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2000-11-21 第150回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月二十一日(火曜日)     午後一時二十九分開議  出席委員    委員長 増田 敏男君   理事 栗原 博久君 理事 田野瀬良太郎君    理事 滝   実君 理事 山本 公一君    理事 中沢 健次君 理事 松崎 公昭君    理事 若松 謙維君 理事 菅原喜重郎君       荒井 広幸君    大野 松茂君       園田 博之君    高木  毅君       橘 康太郎君    谷田 武彦君       中谷  元君    中本 太衛君       菱田 嘉明君    三ッ林隆志君       宮腰 光寛君    山本 有二君       河村たかし君    桑原  豊君       玄葉光一郎君    中川 正春君       長浜 博行君    松原  仁君       桝屋 敬悟君    黄川田 徹君       穀田 恵二君    春名 直章君       重野 安正君     …………………………………    自治大臣         西田  司君    自治政務次官       中谷  元君    自治政務次官       荒井 広幸君    政府参考人    (経済企画庁調整局長)  河出 英治君    政府参考人    (大蔵大臣官房審議官)  竹内  洋君    政府参考人    (大蔵省主計局次長)   津田 廣喜君    政府参考人    (自治省行政局長)    中川 浩明君    政府参考人    (自治省財政局長)    嶋津  昭君    政府参考人    (自治省税務局長)    石井 隆一君    地方行政委員会専門員   蓼沼 朗寿君     ————————————— 委員の異動 十一月二十一日  辞任         補欠選任   小西  哲君     高木  毅君   河野 太郎君     中本 太衛君   松島みどり君     三ッ林隆志君   山本 有二君     大野 松茂君   中川 正春君     長浜 博行君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     山本 有二君   高木  毅君     小西  哲君   中本 太衛君     河野 太郎君   三ッ林隆志君     松島みどり君   長浜 博行君     中川 正春君     ————————————— 十一月十七日  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第二〇号) 同月二十日  株式等譲渡益に対する個人住民税課税に関する請願末松義規紹介)(第一五六〇号)  ゴルフ場利用税の存続・堅持に関する請願末松義規紹介)(第一五六一号)  法人事業税への外形標準課税早期導入に関する請願末松義規紹介)(第一五六二号)  法人事業税外形標準課税導入反対に関する請願中林よし子紹介)(第一五九三号)  同(春名直章紹介)(第一五九四号)  同(藤木洋子紹介)(第一五九五号)  同(松本善明紹介)(第一五九六号)  同(山口富男紹介)(第一五九七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第二〇号)  市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案起草の件     午後一時二十九分開議      ————◇—————
  2. 増田敏男

    増田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。西田自治大臣。     —————————————  地方交付税法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 西田司

    西田国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算により平成十二年度分の地方交付税が八千九百八十五億円増加することとなりますが、基準財政需要額の算定については、国の補正予算による地方負担増加に伴い必要となる財源措置するため、平成十二年度に限り、臨時経済対策費を設けるとともに、地方債縮減等に伴い単位費用を改定することとし、本年度においては、三千六百五十七億円を地方公共団体に交付することといたしております。また、残余の額五千三百二十八億円については平成十三年度に繰り越して交付することといたしております。  以上が、地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 増田敏男

    増田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 増田敏男

    増田委員長 この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として経済企画庁調整局長河出英治君、大蔵大臣官房審議官竹内洋君、大蔵省主計局次長津田広喜君、自治省財政局長嶋津昭君及び自治省税務局長石井隆一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  7. 増田敏男

    増田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
  8. 中川正春

    中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。  それぞれ、ゆうべは御苦労さんでございました、けさですね。まだ頭の中がもうろうとしておられる方もおられると思うんです。元気を出してと言いたいんですけれども、きのうの結果を見ていて、やはり国民全体を失望させてしまった。特に、新しい政治の芽というのがここから出てくるんじゃないか、こういう期待感を持って、緊張感を持って我々も取り組んでいたわけでありますが、結果として、自民党の中の権力抗争だけで終わってしまった。また、それが一番自民党体質として問われなければいけないところ、そこのところが一番悪い形で出たということで事がおさまったということについては、非常に残念であります。そういった意味で、私たち野党が、これからは緊張感を持ってその体質に正々堂々と挑戦をしていくということだと思っております。  その上に立って、きょうは、中谷政務次官、この後それぞれ職務で御退席ということでありますので、大臣より先に、きのうの立て役者でもありますので、ひとつ質問をさせていただきたいというふうに思うんです。  政治家として、一たん政務次官の職を辞す、その心には、やはり加藤さんの目指していた一つ理想というものに同調してのことがあったんだろうというふうに思うんですね。それは、加藤さんがあきらめたということで私もあきらめるんだということであると、国民に対しても申しわけが立たないだろうと思うんです。  改めて、この機会を通じて、その心情といいますか、心を一度開いていただく方がいいんじゃないか。このまま、あの話はなかったんですよ、自民党のサイドでも許してもらったんですよというような話だと男が立たない、こんなふうにも思うんですね。一たんは同じ志を持って、私たちもこれはいける、一緒の仲間としていけるんだという気持ちを持ったわけですから、そこのところをひとつ、せっかくの機会でありますので、真情を吐露していただきたい、こんなふうに思います。
  9. 中谷元

    中谷政務次官 御指名いただきまして、ありがとうございます。  私の一連の対応につきましては、昨日、内閣不信任決議案が提出されるに当たりまして、内閣及び自治省に御迷惑がかかるのではないかと判断いたしまして、大臣に対して辞表を提出いたしておりましたけれども、本日未明に、これにつきましての一連の結論が出ました。その後、本日午前中に大臣に呼ばれまして、この辞表の扱いにつきましては、国務多難な時期に再び自治総括政務次官についていただけないかというお話がありまして、これも私の一連行動を見た上での大臣の御判断だということでございますので、私といたしましてもお受けをしたわけでございます。  この一連政治行動政治現象につきましては、現在、日本の国を覆っております政治に対する閉塞感政治に対する期待が高まった一つ現象ではないかと思っておりまして、我が党のみならず、ほかの政党も抱えている共通の問題だというふうに思います。我が党でも、現実行動としてあらわれたように、さまざまな意見の中でさまざまな現象が起こっている一現象であるというふうに思いますが、きのうの結果を見て、これは非常に難しくてエネルギーの要る問題だと判断をいたしております。  これまで、明治維新や自由民権のときもそうでありましたけれども、社会において政治が求められることが多いわけでありますけれども、そう簡単にできることではなくて、非常に難しく大変な問題であると改めて認識をいたしておりますので、さらにこの問題を真剣にとらえて、各党内で議論をして、そして理想政治をつくるようにさらに努力をしてまいりたいというふうに思っております。  以上です。
  10. 中川正春

    中川(正)委員 もうちょっと腹の据わった答弁があるのかなと期待をしたんですが、どっちにしても、終わった話で、これは追及していたって仕方がない。これをすべてだと思わないで頑張ってください。頑張ってください。これは我々も、まず第一幕だ、こんなふうに考えておりまして、そんな意味から声援を送らせていただきたい、こんなふうに思います。  それでは、今回の交付税に話を戻していきたいというふうに思うんですが、こうして税の増収があったとき、いわゆる収入がふえたときというのは、普通、家計で考えても、そのふえた部分をどうしていくかということになると、まずは、健全な考え方からすれば、借金がいっぱいあるんだから、借金の方を先に返そうよ。その上に立って、今回、経済対策をやっていくわけでありますが、それに対して地方が、これはつき合えということで今つき合わされているということでありますから、それを自治省の立場からいけば、地方だけが負担をさせていくということにはならないんだろうから、その分にも使っていってはどうか、こういうことなんですね。  ところが、今回上がってきたのは、借金を返せというよりも、半分来年の分に持っていったらどうだ、来年も金が要りそうだからそっちに向いて使ったらどうだということになっておるわけですね。ここのところがどうもわからない。  これは、来年に持っていくということは、来年も相当借金しなきゃいけないわけですから、ごまかすことになるわけですよね。収入に対して支出はどうか、それは足らない分が借金だ、そうしたはっきりとしたことに対して、ことしからないしょでちょっと持っていっているから借金少なくて済むんだよ、その分これだけ使えるじゃないかというような安易な方向に流れる財政を組もうとしているんじゃないか、そんな指摘があっても、これは当然なんだろうというふうに思うんですね。  そこのところ、なぜこういう判断をしたか、来年に半分回していこうという判断をしたか、そこのところはしっかりと説明しておかないとだめだと思うんですね。大臣、お願いします。
  11. 荒井広幸

    荒井政務次官 家計に例えられての御質問でございますが、お金があれば、来年よりも今の借金を整理しろという御指摘でございますけれども、今回の補正考え方といたしましては、まず、補正に伴う増額分が八千九百八十五億円ございますので、これを追加公共事業などに係る地方負担への交付税措置と、平成十二年度財源不足のために発行される予定であった地方債のいわゆる縮減を行ったわけですが、その残りの五千三百二十八億円については来年度に繰り越していく、そして来年分、十三年度分の地方交付税総額を確保していく、もって地方財政健全化を図りたい、こういうような考え方でございます。  先生の御指摘のような、今のうちに借金をきちんとしたらどうだというような御指摘だと思いますけれども、そのようなお考えも確かにあろうと思います。そこで、今回は、来年の十三年度においても大幅な財源不足が見込まれておりますし、また金利の上昇も考えられるわけでございますので、地方交付税総額を確保して、少しでも財源不足を縮小しておきたい、このように考えているところでございます。  今年度財源不足分については、一定のルールのもとで既に地方財政対策を講じて、交付税特別会計借入金についても、既に借り入れを行っているものでございます。過去にもこうした例がございましたので、このような例をとらせていただいたということでございまして、来年に考える分と、そして地方に迷惑をかけないように、しっかり財政を今回保障するというようなことにした次第でございます。
  12. 中川正春

    中川(正)委員 過去の例というのが資料として私どもにも届けられているんですが、これを見ていると、今回が五千三百二十八億円。この金額というのは、過去の例に照らしてみると非常に大きいんですよね。バブルの頂点のころ、昭和六十三年にも、これは相当増収があって翌年へ繰り越しているんですが、このときでさえ三千六百億円なんですね。その後というと、平成八年しかない。このときは二千九百三十一。それと比べると、五千三百二十八というのはいかにも大きいんですね。  それと同時に、こうして繰り越していく年度というのは過去にもあるというけれども、本当にこれは例外的な措置なんだということ、これは健全財政の精神からいったら当然そういうことでありまして、よっぽど余ったときでないとこっち向いて渡しちゃだめだよというのが基本だというふうに思うんです。それをあえてやるというのは、これは、これから先、一つ一つ自治省モラルハザードというのを私は説明していきたいと思うんですが、まず地方自治体に対して非常に大きな、これもモラルハザードを起こす一つになっているんじゃないか。  今回、そのまま過去の借金を返しておいて、来年まともに予算組めば、これは国民に対しても、あるいは地方自治体の首長に対しても、その分が、だから五千三百二十八億円というのが借金として積み重ねられるわけですね、これだけの収入がないわけですから。それだけ借金がふえる、来年度分の借金がふえるということなんですよ。それが表に出るということなんですね。  その表に出るということが大事で、表に出るから、我々の財政というのは健全でないよという話になるんですよ。それが来年に繰り越されるということは、その分が表に出ないで、収入に対して、ごまかしながらそれに入り込んでいって予算つけてくるわけですから、これはモラルハザードを起こす一つになる。来年はお金が要るからといってこういうことをやるということ自体が、私は間違いだというふうに思うんです。  そのことを指摘しておきたいんですが、大臣、こういう自治省の姿勢というのをどう思われているんですか。ひとつ自分言葉で答えてください。
  13. 西田司

    西田国務大臣 自分言葉で答えなさい、こういうことでございます。  もう委員十分御承知のとおりでございまして、私の経験からいたしましても、地方財政というのは、国も同様でありますけれども、大変厳しい状態である、私はこういうことを基本的に認識をしております。しておりますが、やはり今国が進めておる景気経済対策、こういうものを優先して、そしてどうして将来に向かって税収等増加を得るかというようなことから考えると、やはり先ほど御説明したようなことで、地方団体地方自治体が困らない対策だけは自治省としてやっていかなければいけない、こういう考え方でございまして、御指摘趣旨については、私も十分理解をしておるつもりでございます。
  14. 中川正春

    中川(正)委員 大臣から的確に、今の政府問題意識というのを表明していただたんだと思うんですね。それは、経済対策ということであります。  地方自治体がこれほど財政赤字に苦しむ状況になってきたというのは、一つは、独自の税収財源というのが、固定資産税やそれぞれ地方税の中で減収をしているということ。これは一つの原因だろうと思うんですが、それ以上に、普通であれば、その減収に対して制御された財政構造というのを組み込まなきゃいけない。これは自治省財政計画責任なんですが、しかし、そうじゃなくて、実際は、景気対策という名でもって地方自治体に対して財政出動をする責任を負わせた、そういう計画自治省が組んだわけですね。だから、景気対策が表に出てきてから非常に財政悪化が極端になってきている、こういう結果が出ているということだと思うんです。  確かに大臣の言われるように、国の方は、地方は金がないんだからその分しっかり面倒を見ている、こういうことだろうと思うんです。その面倒の見方というのは、今回の法案の中でもあるように、地方負担分を将来の交付税で裏打ちをしている、裏保障をしているという方法であるとか、あるいは地方交付税でその分をもう一回直接見ようじゃないかという今回の方法であるとかという形で、将来を保障しながら自治省はやっていますよ、こういうことだろうと思うんですね。  この間も、地元の市町村長さん、陳情にやってきました。その中で、この補正予算の話もあるんですが、来年度予算に向けて、あるいは将来のその地域の計画についてるる語っていく中で、やはり市町村長さんとしては、国の方がこういう形で、いわば丸々ただでということですね、地方にとっては。国の負担分まず補助金としておりてきて、地方負担分交付税で丸々抱えますよという話、これはトータルしたら丸々地方としてはただなんだと。こういう形で事業をやってくださいよ、こういうことになれば、少々むだがあろうが何であろうが、やらなきゃ損だという気持ちになりますわな。  これをやらなかったら、ほかの市町村と比べてあそこの市町村は金を取ってきていないじゃないか、うちの市長はどうなんだ、もっとしっかりしなきゃいけないじゃないかという素直な議会筋からの、あるいは市民からの突き上げもありますね。そんな中で、これは一生懸命になるわけですよね、こういうことなんですね。  ところが、もう一つその後の質問で、私たちもはたと、これはだめだと。私自身も答えられなかったのは、ところでこれが、しかし交付税というけれども、年間七兆円、八兆円という特会交付税借入金というのがふえているわけですね。既に三十八兆円たまってきていますね。これは最終的にはどこへ向いて請求書が届いていくんですかというふうになったときに、自治省として、あれは経済対策だったから一応仮置きで地方借金として特別会計に積んだけれども、大丈夫ですよ、自治省責任持って面倒見ていきますよ、こうして言い切れますか。どうですか、大臣
  15. 西田司

    西田国務大臣 交付税特会に対する御質問だと理解をいたしますが、現在の地方財政は、先ほども申し上げたように、近年の我が国経済の厳しい状況を反映して、地方においても大幅な財源不足が続くとともに、税収入低迷や累次の景気対策のための公共事業追加や減税の実施などによる借入金が急増し、交付税特別会計における借入金残高平成十二年度末で三十八兆円と、今お話しになったとおりの見込みを立てております。  厳しい地方財政状況に対応する当面の財政運営としましては、まずは景気民間中心の本格的な回復軌道に乗せるべく全力を挙げて取り組み、このことにより歳入面において地方税地方交付税等地方一般財源収入増を図り、また歳出面においても国、地方を通じて行財政簡素効率化を推進することにより、歳入歳出ギャップというものを抑制していく必要があると私も考えております。  さらに、景気状況を見きわめ、中長期的な財政構造改革必要性等を十分に踏まえつつ、国と地方税財源配分の見直し、国庫補助負担金整理合理化地方財政の諸課題について幅広くしっかりとした検討を行い、地方団体がより自主的、主体的な財政運営を行われるよう財政基盤充実強化を図っていくことが非常に重要であると考えております。
  16. 中川正春

    中川(正)委員 大臣、もう本当の対話でいきましょうよ、それを読まないで。私が聞いているのは単純なことなんですよ。そこに載っていることは、地方分権推進計画だとかこれまでの一般政策のお題目が並んでいるわけですが、私もう一回、よく聞いてください。大臣考え方の中でひとつ表明をしていただきたいんですよ、その方向性を。だから、改めて聞くんです。  地方合理化を頑張らなきゃいけない、あるいは国もそのバランスをとらなきゃいけない、こんな総論は前からずっとわかっているんです。ところが、経済政策景気対策という名のもとに——このデータを見ても本当に明らかなんですよ、これは改めて私が指摘をするまでもなく。平成七年から景気対策が入って、地方自治体交付税特会借入残高が極端にふえてきている。その極端にふえてきているペースというのがどんどん上がってきているんですよ。  最初、七年のころは三兆六千億レベルというところから始まって、十一年度ではもう九兆円に近い形で借り入れになっていますね。十二年で八兆円レベル。その結果、平成七年のころに十兆円であったものが、これは今三十八兆円になっている。その半分、半分もいかないですね、そのうちの十一兆八千億というのは国で見ているじゃないかというけれども、地方もやはり二十六兆二千億という残高になっている。この調子でどんどんふやしていっていいんですか、このペースでいいんですかということを聞いているんですよ。ここのところを自治省が頑張らないと、だれが頑張るんですか。  さっきの構造のように、それぞれの市町村長にとっては、こんな仕組みを自治省がつくったわけだから、みんなただ乗りだということだったら、ただでないと市民に対して申しわけが立たないんだという、その構造でしょう。その構造片方でつくっておいて、もう片方でこうした形で、これは地方借金ですよといって後から回すということですから、こんなことを地方に対してさせていいんですか。これは自治省がやっているんですよ。こんな構造をつくっていいんですか。景気という名でもって何もかも、何でもありでいいんですか。こういうことなんです、私が聞いているのは。どうですか。
  17. 西田司

    西田国務大臣 あなたは、書いたものを読まずに自分のあれで答えろ、こういうことでございますが、ただお許しをいただきたいのは、私が発言をいたしますことは非常に責任のあることでございます。ですから、思いつき思いつきで二人のやりとりだけでは済まない面があるわけでございます。その点はひとつお許しをいただきたい、このように思っております。  今の御質問を絞りますと、十二年度末で約三十八兆円の交付税特会、これを今後も続けていくというような考え方地方財政交付税というものがやっていけるのかいということにつきましては、私もこの交付税特会には非常に厳しいものを肌で感じておるわけでございます。  これらの問題については、またひとつ来年度予算編成等の中で十分に研究、検討をして、それが積み重ね積み重ねにならないように我々も知恵を出し、皆さん方にも御協力をいただきたいということを基本的に持っておるということをひとつ御理解をいただきたいと思います。  繰り返すようでありますが、現下の地方財政は、我が国経済の引き続く低迷等により極めて厳しい状況にあることは、そのとおりであります。その立て直しのためにも、今政府が進めております景気対策は、当面の最も重要な課題だと私も考えております。  ちょっとよそへそれますけれども、景気景気日本景気といいますけれども、その日本景気の中でも、地方というものと国全体というものにはかなりギャップがあると私は思っておるのです。今後、特に地方におきましては行政需要がふえてまいります。それと、最も私が肌で感じておることは、雇用というものをどうして地方に定着させていくかということ等を考えると、景気対策は悪だ悪だという考え方地方の発展というものが得られるかということについては、私は疑問を持っておるわけでございまして、そういう問題を、御指摘のようなことも踏まえながら、きちっとやっていきたいというのが私の基本的な考え方でございます。
  18. 中川正春

    中川(正)委員 そうして大臣独自の考え方を述べていただく、これは本当に、政治がリードしていくという意味では大事なことでありますので、その調子でひとつやってください。お願いします。  それで、さらに話を進めれば、私は景気対策が悪だと言っているのじゃないのですよ。そうじゃなくて、景気対策財政出動でやる場合に、国家がやることと地方自治体がやること、これを峻別していかなければならぬというふうに私は思うのです。普通は、どの国をとってみても、地方公共団体が国家の景気対策に使われる、こんな形で使われていくというのは、あってはならぬことだというふうに私は思うのです。これは、景気対策は国家の仕事なんですよ。それを地方がこういう形で使われていくというのは、私は、二つそのところに構造的な問題があるんだというふうに思っておるのです。  一つは、これは当然のことマインドの上で、頭の整理の上で地方分権ということが進んでいないということ。それともう一つは、地方自体がそうした意味で、しっかりとした意思表示を持っていないということ。本当は、こんなものは市町村長さんや知事の方から大きな反発があって、大概にしておけという話があって当然なのですが、それを自治省がしっかり固めていない。そうした世論が向こうの構造の中で立ち上がってこないで、どうも、自治省自体も国家権力として機能している、それだけが機能しているという構造一つあるということ。  それからもう一つは、財政構造の中で、よく言われるように地方財源地方の独自財源というのが日本の場合、余りにも小さい。三分の二が一たん国へ持っていかれるということ、それを逆に使うときには、交付税も含めて、いろいろな形で地方へおろしながら地方が使っているというこの構造的なところ、これがある。そこにモラルハザードを起こす一つの原因があるんだということだと思っております。  その上に立って、地方分権の推進計画なり、あるいはずっとこれまで繰り返してきた、あるいは自治省もそのつもりになって進めたいと言っている地方分権の考え方からいって、こんなものに巻き込まれないで、地方自体がしっかりとした運営をしていくためにも、早いとこ地方財源を確立していく、財源の上での地方分権を実現していく、こういうことだろうというふうに思うのですね。それについてはもう異論がないのだろうと思う。それは何回も何回もお題目としてきたわけですが、いよいよ、ここに来て本当に、これからの国会の中でも、あるいはそれぞれ行財政改革を具体的に進めていくという国の流れの中でも、これはもう、ここ一、二年で具体的に一つ一つ改革の方向を押さえていかなければいけない、そんな時期が来ているのだろうというふうに思うんですね。  そうした上に立って、その流れに立って、どうなんですか、大臣。具体的に、地方自治体財源移譲をしていくプロセスとして、まず何から手をつけていくべきなのか、どこのところからそれを実現していくと今大臣自身はお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
  19. 西田司

    西田国務大臣 地方分権に絡んでの御質問だと受けとめております。大きな時代の変革の中で、地方分権という問題は言われて久しいけれども、いよいよ、これをどう具体化していくかという問題だと思います。  お話にもありましたように、国と地方との財源配分の問題であるとか、そういう課題をたくさん抱えております。しかし、ここで分権を考えるということになってくると、これは国ももちろん取り組んでいかなければいけませんが、地方も、その大きな時代の変革期という考え方の上に立って、私はあえて地方行革という言葉を使っておりますけれども、どのように地方行革を進めて、その中には、あるいは市町村合併の問題もありましょう、その他いろいろなことがあるわけでございますけれども、そういうことに取り組んでいくという姿勢をいま一つ地方団体も持ってもらうべきだ、こういう考え方を私は持っております。  その中で、先ほど申し上げた財源の配分の問題あるいは新しい税源の安定的な確保の問題、それから地方が本当に、もたれ合いとかあるいは国頼りとかそういうことでなくて、みずからも時代変化の中で取り組んでひとつやっていこうという、財政のみならず、すべてのことに行政意識を改革してもらわなければいけない、こう考えております。
  20. 中川正春

    中川(正)委員 私なりにさっきの大臣のお話を整理すると、まず地方でみずから行革をやりなさい、その努力をしなさい、その行革の一つの過程は市町村合併があるんですよ、これはその意味で効率化、そういうむだな部分の支出を抑えるという意味からも効果があるから、まず市町村合併ですよ、その上に立って財源配分を考えていきましょうという趣旨に受け取れたわけですね。  これは、私も地元で、これからの地方のあり方というのを議論するときに市町村合併の話を出すのですが、さっきの話だと非常に高飛車なんですね。まず、金を節約する段取りを自分たちでしてこい、それをやったら次は税源移譲を考えようじゃないか、これでいくと、恐らく相当反発が出るのじゃないかと思いますね。  現に、この間、市町村の首長さんが集まった総会でそういう演説をされて、いや、市町村としては町村合併じゃないんだぞという批判を受けられたようでありますが、そこのところをいかに納得させるかというのが——私も市町村合併はこれは必要だと思うんですよ。思うのですが、今のような取り組みで、もし自治省地方へ向いて話をおろされるとすれば、それはうまくいかないだろう、反発につながるだろうというふうに思います。  そうじゃなくて、足元の財源と、それからもう一つ補助金の整理、これをもっと具体的な形で提示することから逆に始めなきゃいけないんだろう。自立していきなさいよと片方で言っているのに、もう片方で、地方負担していく部分を交付税で丸々見ていきましょう、あるいは将来そういう保障をしていきましょうと。こんなことを言うよりも、もう、使ってくれるんだったらこれだけですよ、使えないんだったらそのように言ってくださいと。使えないじゃないかという話を出してきて初めて地方は自立するわけですから、そういう気持ちになるわけですから、そこのところが全く逆さまになっているわけですね。  その構造というのを、これはこれまでの自治省の伝統みたいなものなんですが、改めて指摘をしておきたいというふうに思うんです。これは逆なんです、やり方が。そう思いませんか、大臣
  21. 荒井広幸

    荒井政務次官 ただいま大臣からお考えについてお示しがありましたけれども、先生御指摘されるとおりでございまして、大臣が御指摘されているのもそこでございます。  まず、モラルハザードの問題もございましたが、これは地方自治団体が、議会を含めまして、首長も含めまして、自主独立的にきちんと判断をされていることでございますが、まず我が方としても、例えば国庫補助負担金、こうしたものの見直しを進めるとか、あるいは、大臣が中心になって今まとめておりますが、外形標準課税をどのように取り入れていくかというようなことを含めまして、地方の税財源の見直しも含めまして、その基盤をしっかりしていこうと。これはもう当然に自治省は考えて行っていることでございますので、地方のパートナーとして、地方の立場に立って考えている姿勢ということは改めてここで申し上げておきたいというふうに思っておる次第でございます。  また、そうした中で、御指摘のようなことがございましたけれども、やはり景気回復をいたしませんと、その財源というもの、法定五税もあるわけではございますが、その部分もしっかりしてまいりませんので、一つは国と一体となっていただいて、地方が必要だとおっしゃるものについてこの予算を組んでいるわけでございまして、自治省も、その地方負担分をしっかり手当てしようという覚悟で工夫しておるわけでございます。  その中身はやはり、病人に例えれば、病気を治すという景気対策もあれば、治った後、新しい職場につく、あるいは新しい仕事ができるように能力をつけるという意味で、新たなスキルをつけたような景気対策という中身も非常に多く入っているわけでございますので、地方自治団体とともに考えながら、そして財政の厳しいところを十分認識しながら進んでいかなければならないということは、先生の御指摘のとおりだというふうに考えておりますが、自治省もそういうつもりでやっておるということもまた御理解をいただきたいと考えている次第でございます。
  22. 中川正春

    中川(正)委員 時間がなくなってきましたので、こうした総論の部分ばかりで終わってしまうのはもったいないというふうに思うので、一つだけ、これはもうはっきりと地方自治体の首長さんにもメッセージとして出していただきたいんですが、今、地方交付税特会の国の負担分十一兆八千億、これについては当然、国がみずからの借り入れ、将来精算をするときにも国の負担としてやっていきますよ、こういうことだろうと思うんですが、二十六兆二千億、これは地方負担ですね。地方借り入れということになっているわけですね。これについてどうするのか。地方に回すんですか。回すんだったら、回すんだというふうにはっきり言わなきゃいけないし、その回し方、将来どんなふうにこれを精算していくのかということですね。これもやはりはっきりさせていかなきゃいけないんだろうと思う。  今回の補正予算でも、地方負担分交付税特会で見ますよと言っているわけですから、これが将来自分のところに丸々回ってくるんだったら、やはり市町村長さんも考えるでしょう。どんなふうな形でこれが回ってくるのか、この具体的な話をやはりしっかりしておかなきゃいけないだろうというふうに思うんですね。——大臣答弁でお願いします。
  23. 西田司

    西田国務大臣 いや、大臣答弁じゃなくて、あなたの今の御質問は非常に重要なことでございますから、きょうは参考人も来ておりますので、そこから間違いのないお答えをさせたいと思います。
  24. 増田敏男

    増田委員長 嶋津財政局長。(中川(正)委員「いや、参考人要らない。大臣説明して、大臣の口で説明してください。恥ずかしいよ、あなた。重要なことを参考人というようなことを言ったらだめですよ」と呼ぶ)
  25. 西田司

    西田国務大臣 申しわけありません。それはこれからの問題もありますから、今いろいろ検討をしておることも含めて、財政局長からお答えをさせます。
  26. 増田敏男

    増田委員長 嶋津財政局長。(中川(正)委員「私は、参考人求めていませんよ」と呼ぶ)質疑、いいですか。(中川(正)委員「いや、大臣ですよ」と呼ぶ)答弁を求めますか。(中川(正)委員「そんなの当然です」と呼ぶ)嶋津財政局長、打ち合わせてください。
  27. 荒井広幸

    荒井政務次官 お答え申し上げます。  今までも単年度措置していたものもございますが、十二年度まで折半ルールというのがあるのは御承知のとおりでございます。そうしたルールに基づきながら、考え方を今後とも整理していかなければならないということで、今後の課題としてもありますが、先生御指摘のように、必要なものは必要として国も考えなければなりませんし、モラルハザードが起きないように、地方地方としてもまた考えていかなければならないわけでございまして、そうした問題の取り組みの姿勢、こういったものも含めまして、委員の先生方と御一緒に今後とも考えてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  28. 中川正春

    中川(正)委員 答えになっていないんですよね。これは、市町村長あるいは知事に対して自治省が信頼感が持てない、本当に根本的なところなんですよ。ここのところをはっきりさせるということがそれぞれが自立していくという基本になっていくんです。この肝心なところがちゃんとした話になっていないというのは、これはどういうことですか。  時間が来ているので、もう一回だけ、大臣、しっかり答弁してください。
  29. 西田司

    西田国務大臣 今あなたの御質問の焦点と合うか合わないか、これはちょっとわかりませんけれども、いろいろな地方分権の中で、行財政運営をどのようにみんなが地方でやっていただけるかという一つの問題として、安定的な地方財源の確保につながる法人事業税外形標準課税などについても、今鋭意検討をしておるところでございます。  景気状況等を踏まえつつ、早期に導入を図るとともに、国と地方の税源配分の見直し等について、今後景気が本格的な回復軌道に乗った時点において、先ほどお話があった交付税特会の問題でございますけれども、これはまた、ひとつ法律等によって国会で御審議をいただいて、方向づけを定めていかなければいけないという考え方でございます。
  30. 中川正春

    中川(正)委員 まあ一度議事録を後でゆっくり読んでみてください。これは本当に、国民にこんな議論がオープンになっていったら、一体自治省は基本的なところで何をしているんだという話になります。以上、そのことを指摘しながら、時間でありますので、またこれからの議論にしていきたいというふうに思います。  終わります。ありがとうございました。
  31. 増田敏男

    増田委員長 次に、黄川田徹君。
  32. 黄川田徹

    ○黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。  地方自治体財政は危機的状況にあり、地域住民の目線で最近まで地方行政に直接携わってきた者として、その危機意識はとりわけ強く、かつ実際に肌で感じておるところであります。  また、御承知のとおり、地方債借入金残高はふえ続け、平成十二年度末で百八十四兆円と見込まれており、平成年度から二・六倍、百十四兆円もの増となっております。また、公債費負担比率が警戒ラインの一五%を超える自治体がここ数年急増し、全国自治体の約六割にも達しておるところであります。まさに自治体の財政事情の硬直化は歴然としております。これは、自治体自身の事業拡大もありましたが、基本的には国の景気対策に歩調をそろえた結果であります。  一方で、我が国は、欧米諸国に比べて社会資本の整備水準はまだまだ低い現状にあります。OECDの統計によれば、我が国の地方財政のGDPに対する比率は一二・九%であり、社会保障基金を除く一般政府支出の約八〇%と高い比率を占めております。国際的に見ると、我が国のGDPに占める公的資本形成は一九九七年において六・六%であり、そのうち国が一・〇%、地方が五・六%を占めております。片や欧米先進国では、アメリカ一・八%、イギリス〇・八%、フランス二・〇%、ドイツ一・七%であり、我が国の地方公共団体の公共投資の対GDP比五・六%は主要先進国の約三倍の高い水準にあります。  この中にあって、我が自由党は、国と地方の役割分担を見直し、大きな政府から簡素で効率的な政府へ、かつまた地方分権を強力に推進するとともに、地方への個別国庫補助金を極力減らし、これを一括交付し、国に頼ることのない責任ある地方行政体制の確立を目指しております。  以上の厳しい財政状況にかんがみ、税源移譲に関し、政府税制調査会の中期答申では、また先ほど中川委員さんからお話がありましたが、そしてまたその答弁として、大臣も、景気回復軌道に乗った段階で国と地方の税源配分を含めて議論することになっていると聞いておりますし、また先ほどお答えいただきました。  そこで、最初に自治大臣に、その基本方針及び具体的にどういう時期にどのような取り組みを行うお考えか、お伺いいたします。     〔委員長退席、滝委員長代理着席〕
  33. 西田司

    西田国務大臣 地方分権の進展に応じまして、地方公共団体がより自立的な行財政運営というものができるようにするためには、地方公共団体財政基盤充実強化していくことが極めて重要であると考えております。  このため、安定的な地方税財源の確保等につながる法人事業税への外形標準課税の導入について、当面の課題として精力的に現在検討しておるところでございます。国と地方の税源配分の見直しをするとともに、税源見直しについては、今後景気が本格的な回復軌道に乗った段階において、国、地方を通ずる財政構造改革の議論の一環として取り組んでいかなければいけない、こういう方向を持って、今鋭意努力をしておるところでございます。
  34. 黄川田徹

    ○黄川田委員 どうも具体的なお話はいただけませんでしたけれども、私も首長さん方から税源につきましては大変陳情を受けております。国から地方への税源移譲など、地方分権の基盤を支える地方税財源充実強化はいまだ手つかずということでありますか。早急に実現するよう御指摘申し上げておきます。  次に、経済対策について幾つかお伺いいたします。  我が国の公共投資の約八割は地方公共団体で実施されており、自治体の協力なくしては経済対策の効果は上がらないと私は思っております。今回の経済対策における地方公共団体の役割をどのように認識しておられるのか、自治大臣に重ねてお伺いいたします。
  35. 西田司

    西田国務大臣 マクロ経済対策、税制度等につきましては、国の責任において対処すべきものと認識をしております。我が国経済における地方財政の役割は極めて大きいことから、公共事業の円滑な実施のためには地方団体理解と協力が不可欠である、このように考えております。  このため、今回の補正予算に伴い追加される公共事業地方負担については、従来の地方債措置に加え地方交付税の増額も行うなど、万全の地方財政措置を講ずることとしておりますが、今後とも地方団体において円滑な事業実施が行われるよう最大努めてまいりたい、こう考えております。
  36. 黄川田徹

    ○黄川田委員 また、今回の補正予算において、国税については所得税及び法人税の増収が見込まれていますが、本年度地方税収入の見通しはどうでしょうか。さらに、地方財政計画の計上額を確保できるでしょうか、税務局長にお伺いいたします。
  37. 石井隆一

    石井政府参考人 お答えいたします。  平成十二年度地方財政計画では、対十一年度の決算見込みに比べますと一・四%増と見込んでおるわけでございますが、九月末の調定額の対前年度比で見ますとマイナス〇・二%となっておりまして、比較しますと一・六ポイント下回っているところでございます。  十二年度の最終的な地方税収の見込みですけれども、現時点で確たることはもちろん申し上げられないわけでございますけれども、九月末現在で、対前年度マイナス幅の大きい個人住民税ですとか固定資産税の調定はおおむね終わっておりまして、逆に、対前年度に比べますとプラス幅の大きい法人住民税ですとか法人事業税あるいは地方消費税につきましては、その相当部分が今後調定されるということになりますので、こうした税目の調定が今後進んでいきますと、全体として地方財政計画に近いところまでは確保できるのではないか。ただ計画額をしかと確保できるかどうかまでは申し上げられませんけれども、その前後までは何とかいくのではないかというふうに考えております。
  38. 黄川田徹

    ○黄川田委員 それでは次に、近年の経済対策等により、地方債残高が累増し、地方財政状況がますます悪化する中で、今回の補正予算でも約一兆二千億円の地方負担が見込まれております。そのための財源措置については、地方債の増発を極力抑制する配慮が必要であると私は考えますが、今回の地方財政補正措置における具体的な対応はどのようなものであったのでしょうか、政務次官にお伺いします。
  39. 荒井広幸

    荒井政務次官 お答えいたします。  御指摘のような観点から、ことし、今回の補正予算に伴いましては、極めて地方財政は厳しいわけでございますので、もう一つ国においても公債発行を抑制することとして補正予算を編成しているわけでございます。  従来のように全額を地方債による措置をするのではなくて、交付税の増額をあわせて行い、同時に財源対策のための地方債縮減を図るということにしておりまして、地方財政健全化に配慮しているところでございます。  なお、地方財政健全化のためにも、まず景気対策に万全を期すことが非常に重要でありますので、先ほどお話がございましたが、景気は七、八割方は地方が担っている部分が多いわけでございますので、追加公共事業等が地方団体において円滑に実施されることが非常に重要である、そういうようなことで以上のような対応をとらせていただきました。
  40. 黄川田徹

    ○黄川田委員 加えて、今回の補正予算に伴う公共事業等の地方負担の二〇%については、地方交付税を増額交付することとされていますけれども、基準財政需要額の算定基準は、自治体の人口によることとされております。そうすると、このため、各地方団体における事業実施に伴う実負担額と交付税の配分額には乖離が生じると思われます。  そこで、円滑な事業実施に支障を生じることはないのでしょうか、財政局長にお伺いします。
  41. 嶋津昭

    嶋津政府参考人 お答えいたします。  御指摘のように、今回の補正予算に伴う地方負担につきましては、八割を地方債措置し、残り二割を交付税措置いたします。交付税の配分は今御指摘のとおりのような方法でやりますので、都道府県はともかくとして、市町村において確かに実負担額と交付税措置額との間に差が出てくることもあり得ると考えております。  したがいまして、そういう団体につきましては、個別にその団体の状況をお聞きいたしまして、例えば、資金手当てのための地方債を許可するとか、あるいは特別交付税による措置を考えるとか、そういう手段を講じまして、地方団体の要請にこたえてまいりたいというふうに考えております。
  42. 黄川田徹

    ○黄川田委員 市町村も、三百万人の大都市もあれば百人規模の小規模の町村もございますので、十分な配慮を強く望むものであります。  それでは次に、平成十三年度地方財政対策課題について幾つかお尋ねいたします。  まず、地方公共団体地方債の償還負担に苦しんでおり、高金利時代に借り入れ政府資金の繰り上げ償還等の公債費負担対策を求める声が強いわけであります。自治省として、これまでどのような対策をとられてきたのか。また、今度どういうふうに対処していく方針か、財政局長に重ねてお伺いいたします。
  43. 嶋津昭

    嶋津政府参考人 地方公共団体の公債費負担につきまして、高金利時代の地方債の繰り上げ償還に対する要請が非常に強うございます。その御要請におこたえしまして、平成十一年度におきまして、政府資金と公営企業金融公庫資金の繰り上げ償還を実施いたしました。また、十二年度におきましても、公営企業金融公庫資金の借りかえ措置を実施したところでございまして、それ以外にも、一般的に公債費負担が高い団体につきまして、地方団体の申請によりまして、公債費、その金利につきまして、それの公債費負担を軽減する計画を立てた団体についての財政措置等をしているわけでございまして、また、平成十三年度以降におきましても、公債費負担のあり方につきましては、地方団体財政状況なり要望をお聞きしまして、適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  44. 黄川田徹

    ○黄川田委員 これにつきましても、脆弱な市町村財政でありますので、要望が強いわけでありますので、その取り組みをしっかりしていただきたいと思います。  それでは次に、乗り合いバスの需給調整にかかわる規制が来年度平成十三年度から廃止され、バス会社が採算のとれない路線から撤退することに関する規制も緩和されることになっております。これに伴い、各地域では生活交通の確保について、地方公共団体が中心になり協議会を設置し、必要な措置を協議することとされております。したがって、地方公共団体財政負担も増大すると予想されますが、自治省の取り組みはいかがなものでしょうか。これにつきましては、政務次官にお伺いいたします。
  45. 荒井広幸

    荒井政務次官 お答え申し上げます。  御指摘のように、地域協議会、仮称でございますが、設置することとなっておりますので、本当に生活交通、これを確保する必要があるという場合には、例えば行政バス、スクールバスなどの活用を含め効率的な輸送形態を選択したり、あるいは事業者に対する公的補助のあり方、地域の足の確保のために必要な措置を協議する、こういうふうになっておりますので、自治省といたしましては、地方公共団体財政運営に支障がないように、必要なところには必要な対応ができるようにということで、地方財源の確保を含めまして適切な財政措置を早急に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  46. 黄川田徹

    ○黄川田委員 対象となる自治体は、財政運営、大変厳しいわけであります。具体的な対応がちょっとお聞かせいただけませんでしたけれども、ぜひとも、運輸省とも緊密な連携をとられまして、積極的に対応していただきたいと思います。  それでは最後に、平成十二年度までの地方財源不足の補てん対策について適用されてきた、いわゆる国、地方間の折半ルールは期限切れとなります。そこで、平成十三年度地方財政収支についてどのような見通しと対策をお持ちか、同じく政務次官にお伺いいたします。     〔滝委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 荒井広幸

    荒井政務次官 お答え申し上げます。  平成十二年度は、通常収支で約十兆円の財源不足が生じたところでございます。平成十三年度地方財政の見通しについては、現段階では確たることは申し上げられませんけれども、歳出面では、景気回復への取り組み、IT関連施策の推進を初めとするいわゆる日本新生への対応、各般の施策を実施するというようないろいろな要請がございますので、そういうことをしていく必要があり、同時に公債費も増加することと思います。また、歳入面では、税収等財源不足を埋められるような大幅な伸びは期待できないと考えておりますので、残念ながら、引き続き大幅な財源不足が生じるのではないかと予想をしております。  いわゆる国、地方の折半ルールにつきましては本年度で切れることになりますが、関係省庁ともよく協議をいたしまして適切な地方財政対策を講じ、地方自治団体が支障なく行財政運営を行っていくように、最大限の努力をさせていただきたいと考えております。
  48. 黄川田徹

    ○黄川田委員 このままですと、国の破綻の前に地方が先に破綻するんではないか、こう思っております。  今後とも、地方財政健全化のために、その確保のために力を注がれることを強く望みまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  49. 増田敏男

    増田委員長 次に、春名直章君。
  50. 春名直章

    春名委員 日本共産党の春名直章です。  今回の補正予算追加された補助事業地方自治体が行う場合に、地方負担の一兆二千億円、これに対して財源措置を二千三百三十億円される、このことを計上することによって、地方自治体が新たな現金の支出、これをしなければならない事態は当面回避できる、こういう措置を今回おとりになっているわけです。  ところで、その補助事業を全額やりますと、財源の八割は結局地方債の増発で行わねばならないということになります。それが大体どれぐらいの額になるのか、まず確認しておきたいと思います。
  51. 嶋津昭

    嶋津政府参考人 お答えいたします。  今回の補正予算に伴う地方負担額は、約一兆二千億円でございます。それにつきまして八〇%の地方債を充てることにしておりますので、公営企業等を除きまして、普通会計分では九千九百億円の地方債の発行を見込んでおります。
  52. 春名直章

    春名委員 現金を一円も出せないという事態まで地方自治体財政は深刻化しているので、そういう事態を自治省自身が自覚しているからこそ、今回、補助事業をやるときに現金がなくてもできるように対策をとるということにしたけれども、しかし、九千九百億円の地方債を発行する、その残高が確実に増大をしていくという措置になるのであります。  当座の現金がなくても、専ら地方債の増発にその財源を依存して、国の景気対策地方を動員してきた、先ほど来の議論ありますけれども。そういうやり方をやってきた結果が、百四十五兆円という地方債の過去最悪の残高を生み出した原因になってきた。いろいろ今回、地方の事態を配慮したというふうにおっしゃると思いますが、今回の措置も基本的には今までの、不況対策地方に一緒にやらせるという同じ手法をとっていると言わざるを得ません。  そこで、自治大臣の御認識ですが、こうした国の景気対策への地方道連れ政策が主に原因となって地方自治体財政を非常に困難に陥れてきた、こういう自覚があるのかどうか、ここを確認しておきたいと思います。
  53. 西田司

    西田国務大臣 繰り返すようでありますけれども、現下の地方財政は、我が国経済の引き続く低迷等によりまして極めて厳しい状況にございます。その立て直しのためにも、一つはやはり、景気対策は当面する最も重要な課題であり、切れ目のない財政運営に努めることが必要と私は考えております。このため、我が国経済における地方財政の役割は極めて大きいこと、また地域経済の動向にも大きな影響を及ぼしていることから、公共事業の円滑な実施のためには地方団体理解と協力が不可欠であります。所要の地方財政措置を講ずることとした最も理由はそこにあるわけであります。  また、今回の措置は、従来の地方債措置に加え地方交付税の増額を行い、地方財政健全化にも配慮したものだと私は理解をいたしております。
  54. 春名直章

    春名委員 私がお聞きしたのは、こういうやり方が地方自治体財政を非常に困難に陥れてきた、そういう自覚、とりわけ九〇年代の数回にわたる景気対策地方を動員してきたわけでして、この間議論を大分してきているんですけれども、自治大臣自身が、そこに一つの大きな要因があるということについて自覚されているかどうかを確認したかったのです。その点をお答えください。
  55. 西田司

    西田国務大臣 私も、地方のみならず国の財政状況が非常に厳しいという認識は十分持っておるわけでございます。ただ、厳しい厳しいだけではいけないので、それをどのようにして回復軌道に乗せ、そして将来の地方財政等も安定をさせていくかということは、これは一度に何もかもやるというわけにはいきませんから、私は、現在の国のとっておる政策方針というものは、それを進めることによって、そしてさらにお互いが知恵を出し、汗をかきしてひとつ財政健全化させていきたい、こう考えております。
  56. 春名直章

    春名委員 汗をかくのはいいんですが、健全化させていく道から遠ざかっている対策をとっていらっしゃるので、その原因について明確に認識していただきたいということで聞いているわけですが、やはり景気対策というのは努めて国の責任ですから、自治省はここのところを認識して当たらないと私はまずいと思うんです。  地方単独事業だって、毎年二十兆円近く計画で進めながら、六年近くですか、それが執行できない、未消化の部分が残る、こういう事態まで至っているわけですから、それを基本的には同じ手法で今回の補正予算地方自治体に押しつけていると言わざるを得ないのです。  次に、今回の措置で、自治体固有の財源である地方交付税増額分の八千九百九十億円のうち約六割に当たる五千三百二十八億円を来年度に繰り越すということにしておられる。先ほども議論ありましたが、私からも、なぜあえてこのような措置をとらねばならないのか、明確にしておいていただきたいと思います。
  57. 西田司

    西田国務大臣 今回の補正におきましては、地方交付税増加額、今御指摘になりましたように八千九百八十五億円のうち五千三百二十八億円については平成十三年度に繰り越し、平成十三年度分の地方交付税総額の確保を図っていく、地方財政健全化に資するものと理解をいたしております。  御指摘のような対応も考えられないことはないが、平成十三年度においても大幅な財源不足が見込まれ、また金利上昇の予測もある中で、地方交付税総額を確保していかなければいけません。少しでも財源不足を縮小する必要があると考えております。  平成十二年度財源不足については、一定のルールのもとで既に地方財政対策を講じ、地方交付税特別会計借入金についても既に借り入れを行っているところであります。過去においてもこのような理由から今回と同様の方法をとっているところ等から、審議をいただいている方法によることとしたものであることを申し上げるわけであります。
  58. 春名直章

    春名委員 その姿勢が私はやはり問題だと思いますね。財源不足について、交付税法六条の三の二項で、交付税の税率の引き上げとかあるいは制度の改正によってこれを解決するというのは努めて国の責任である、こういうことが明記されています。来年度財源不足が巨額起こるだろう、そのことを想定して、その財源不足の穴埋めのために、今回生まれている交付税増額分の六割をそのまま充てていくというやり方をすること自身に、私はやり方が誤っていると思います。そういう姿勢では困ります。  今年度で、財源不足を国、地方で折半して補てんするという方法は一たん取りやめになるということになります。新しい方法を、今荒井政務次官もおっしゃっていましたが、年末に協議もされていろいろどういう知恵を出すかという議論がされるということになると思います。そのときに、地方の固有財源である交付税を、前年余っているから、余っているわけじゃないんだけれども、財源不足のために、五千億円ぐらいは前もってその補てん分に回す、そういうやり方をなぜやるのか、それが私は理解できないと言っているのです。  これから折半ルールにかわる新しいルールをどうするかという議論をする前に、地方の固有財源をその補てん分に既に回していく、なぜそういうやり方をするのか、そこのところを私は明確にしていただきたいのです。
  59. 西田司

    西田国務大臣 平成十三年度地方財政の見通しについて、現段階で確たることを申し上げることは控えさせていただきます。  一つは、歳出面等では、IT関連施策の推進を初め各般の施策を実施する必要があり、また公債費も増加する一方であります。二つ目には、歳入面では、税収等財源不足を埋められるような大幅な伸びは期待ができにくいと考えております。こういうことから、残念ながら、引き続き大幅な財源不足が生ずるのではないかと予想しております。  いわゆる折半ルールは本年度で切れるわけでありますが、関係省庁ともよく協議して、適切な地方財政対策を講じ、地方団体が支障なく行財政運営を行っていけるよう、最大限の努力をいたしたいと考えております。
  60. 春名直章

    春名委員 ですから、私が申し上げているのは、折半ルールが今年度で終わって、来年度新しいルールを検討する、その前提に、ことし増額をされた交付税を既に六千億円近く、五千三百億円、その分を補てんするというものに地方の固有財源を先に回してしまう、なぜそういうやり方をするのかということを問うているわけです。  やはり、交付税というのは地方の固有財源ですから、そのことをわかっているのであれば、来年どういうルールにするかは別にして、財源不足の穴埋めに先取りして埋めてしまおうというやり方をする必要はないではないですか。そこが私には理解できないのです。地方の立場に立てばそういう対策になるのでしょうかということを問うているわけでありまして、このような形を変えた地方への負担転嫁、私はどうしても認めるわけにはいきません。この点を明確にしておきたいと思います。  それで、きょうは時間が余りありませんので、続いて、市町村合併問題について聞いていきたいと思います。  補助金整理合理化の問題が今国を挙げての大方針になっています。その方針に反して、今年度合併補助金を創設しましたが、その理由は何でしょうか。さらに、来年度の概算要求で合併推進のための補助金を三十億八千万円もつけています。どうして合併に限っては補助金の整理という流れを逆流させるのか、その点を明確にしてもらいたいと思います。
  61. 中谷元

    中谷政務次官 春名委員とは同じ郷里ということで、同じ政治活動をしている関係で、各市町村の現状におきましてはほぼ共通の認識を持っているつもりでございますが、これまでの右肩上がりの経済成長の状況があればいいのですけれども、現実問題として、この状況期待するのが厳しいというのが現実でございます。それに加えまして、少子高齢化社会もやってまいりますし、財政再建の必要性、そして地方分権の推進等の体制整備等も考えますと、市町村の合併につきましては、二十一世紀に向かって地方行政の避けて通れない課題であるというふうに思っております。  そして、市町村合併を強力に推進するために、平成十三年度の概算要求におきまして、都道府県体制整備事業交付金と市町村合併推進交付金等の国としての支援策を盛り込んで、国と都道府県と市町村が一体となってこの課題に取り組めるように予算要求をしていたところでございます。  交付金につきましては、合理化の流れがあって、真に必要なものに限定をしておりまして、積極的に整理合理化を進める必要があるのですけれども、今般の予算要求の内容は、市町村合併推進のために真に必要なものという認識で提案したものでございます。
  62. 春名直章

    春名委員 最後のところだけでよかったのですけれども。真に必要なものかどうかも含めて、地方自治体がそれを判断すればいいことなのですね。これはそういう政策誘導をするということなのですよ。そこが問題なのです。  そこで、大蔵省自身がこの補助金について問題点を指摘する見解をまとめていますね。自主合併の時代に市町村合併推進交付金は分権に逆行する。昭和の大合併当時の補助金は、総理大臣地方への勧告など国の役割が強く規定され、財政支援も合併町村を優先的に扱うなど全体的な合併の取り組みの中でのものだった。国、地方の対等・協力の関係を築くという地方分権の流れの中で、あくまで市町村の自主的な合併を推進する時代であり、昭和二十年代から三十年代のような国の強いイニシアチブによる合併促進の際にとられた手法を再度とるのは地方分権の流れに逆行するという指摘であります。この現物、全部私も読みましたけれども、ここにあります。  この意見について、非常に筋が通っているなと私は思います。地方分権の時代に逆行するということが大蔵省からも指摘をされるほどのこういう対策自治大臣はこれをどう思いますか。——自治大臣に聞いているのです。
  63. 中谷元

    中谷政務次官 先ほどお話ししたとおり、市町村の合併の推進については避けて通れない問題でありまして、現状のまま放置をしておりますと、なかなか合併というものは進みません。そして、この合併の問題につきましては、自治省としてはそれを強制するというようなことではなくて、あくまでも市町村と住民が自主的に判断をしていただくようにお願いをしているところでございます。  そのために、合併のパターンを含む要綱やその是非を問う検討、協議を行っていただくだけの土台づくり、こういうものをすることが合併の自主的な促進につながるのではないか、そういうお手伝いのつもりでつけているわけでございまして、強制的にそれを進めるということではございません。
  64. 春名直章

    春名委員 国、地方の対等・協力の関係を築くという地方分権の流れに、このような補助金政策誘導するというやり方がおかしいのではないかという指摘を、同じ省庁の中でも指摘されているわけです。それについてどう思うかと聞いているのです。自治大臣
  65. 西田司

    西田国務大臣 今あなたの御質問を聞いておると、市町村合併の必要性においては大変御理解をいただいておるような感じがいたします。その手法として我々が考えておることとの食い違いがあるわけであります。  私は過去、昭和の大合併も、地方ながらやってまいりました。今回とあの合併との違いは、あくまでも住民主体、そして自主合併ということを原則といたしておるわけであります。しかし、そのことも、やろうとすればいろいろな経費というものが要るわけでございまして、別にあめをばらまいてなんというようなこそくな考え方は持っておりません。必要なことは国が支援するのは、これだけの大変革をやろうとするのですから当然なことだ、こう考えておるわけでございます。
  66. 春名直章

    春名委員 性急なこういうやり方に異議を申し立てているわけです。  町村会の緊急要望が十月に出ましたね。   市町村合併は、条件が整った地域から住民合意の下、自主的に行われるべきものであり、地域の実情を無視した性急な合併は、かつての経験に鑑みても、行政サービスの低下や地域格差の拡大につながることが懸念され、絶対に行うべきではない。   国においては、市町村合併を進めるにあたって地域住民の意思を十分尊重し、真に自主的なものとなるよう強く要望する。 自主的にやるというのであれば、このようなやり方、平成十七年までに、あめがいろいろあるからそこまでにやった方がいいという、御本人も発言されていますけれども、そういうやり方自身に疑義の念が出ているわけであって、そのことを私は申し上げているので、きょうは時間が来ましたので、改めてまた議論をきちっとやっていきたいということを申し添えまして、質問を終わりたいと思います。
  67. 増田敏男

    増田委員長 次に、重野安正君。
  68. 重野安正

    ○重野委員 私は、社会民主党の重野安正です。今議題となっております地方交付税法の一部改正案について、基本的問題を中心に幾つか質問をいたします。  まず、本年度の経済見通しと補正予算との関係についてであります。  この間の総理の発言あるいは行政府内部のやりとり等を聞いておりますと、一・五%成長は既定の事実であるというふうに私は理解をいたします。そうしますと、今回のこの補正予算は、一・五%成長を確かなものにするための補正予算なのか、さらに上積みをするための補正予算なのか、この点について大蔵省の見解をお伺いします。     〔委員長退席、栗原委員長代理着席〕
  69. 津田廣喜

    津田政府参考人 春以降の我が国の経済の推移を見ますと、四—六月のQE、いわゆる国民経済計算の速報でございますが、こういった数字を見ましても、設備投資や企業収益などの好転を中心にしまして緩やかな改善が続いているわけでございますが、一方で、雇用情勢は非常に厳しいということと、GDPの半分以上を占めます個人消費がおおむね横ばい状態にあるというようなことで、いまだ景気回復も万全とは言えない状態にございます。加えまして、こうした雇用とか消費の状況は、我が国の経済や社会がいわば構造変化の局面にあるということを示しているのではないかと考えております。  こうした認識のもとで、今回の補正予算は、公需、いわゆるパブリックディマンドでありますが、公需から民需へのバトンタッチに万全を尽くすということと、年度の後半の公需の落ち込みを防ぎたいというようなことを念頭に置きましてつくるものでございます。  内容としましては、社会資本整備が中心ではございますが、日本新生プランのいわゆる重要四分野と言われておりますIT、環境、高齢化、都市基盤整備といったものを中心といたしまして、そういう構造変化にも役立つようなものを中心に編成をしたということでございます。
  70. 重野安正

    ○重野委員 十月の十九日に経済企画庁が公表しました見直し試算との関係でありますが、経企庁の見直し試算では、経済対策関連四兆円のうち、その三分の一を織り込んで一・五%成長、こういうふうにしているようでありますが、その三分の一を織り込んでという、そのことの根拠と、もし仮に全額織り込んだ場合に今年度の経済成長の見通しというのはどういうふうになるのか、それについてお伺いしたいと思います。
  71. 河出英治

    河出政府参考人 十月十九日に私ども政府の見通しを、今年度当初は一%程度というのを一・五%に変えたわけでございますが、その中で、公的固定資本形成につきましては、一月の段階ではプラスの〇・九%と見ておりましたものを、三角の五・二%と下方に修正をいたしております。これにつきましては、今回の補正予算の効果も一部、今年度執行分につきまして織り込んだところでございます。  なお、どの程度織り込んでいるかということでございますが、私ども、補正分だけということではやっておりませんで、当初予算からの額も含めて、全体としての過去の年度の執行率等を勘案して策定をしておりまして、例えば平成年度ですと八割強だったと思いますが、そういったものを前提に策定をしているわけでございます。  ただ補正予算の今年度分と来年度分との関係でございますが、仮に国会で議決をしていただきました後、地方に関係するものはこれから地方議会での手続があるということでございますから、かなりの部分は来年度の執行ということになるわけでございますので、今年度分につきましては、それを織り込んで五・二%減としたところでございます。
  72. 重野安正

    ○重野委員 今年度の成長見通しはどの程度ですか。
  73. 河出英治

    河出政府参考人 今年度の成長見通しにつきましては、十月十九日の段階で一・五%というふうに上方改定をいたしました。なお、これからまた年末にかけまして、来年度予算の編成とあわせまして、今年度の正式の実績見込みを検討いたしたいというふうに思っております。
  74. 重野安正

    ○重野委員 今大蔵、経企両省庁の答弁を聞いたんですが、なかなかわかりにくいんですね。今後の経済がどのような姿となっていくのか、なかなかはっきり感じることができないわけです。はっきり言えることは、今日までの補正予算の繰り返しによる大変な借金がたまったということ、これはもう間違いのない事実であります。どうもはっきり見えない、だけれどもお金だけはどんどん投入されているという今日の事実、それはどういう考えでそういうふうなことをとるのかということが一つです。  それから、地方という立場から見ますと、トータル約百八十四兆円、大変なお金でありますが、そういう借金を抱える地方財政の実態から見て、国のそういう補正予算につき合う余力が果たしてあるのかということを私は非常に心配しておるんでありますが、大蔵、自治、それぞれどのように受けとめておられるか、お聞かせください。     〔栗原委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 津田廣喜

    津田政府参考人 累次の補正予算というのは相当な金額に上りますけれども、この補正予算によりまして、それがなかりせば相当大きな落ち込みになったであろう日本経済を下支えすることができたという効果は、間違いなく上がっていると考えております。  ただ、民需全体が非常に弱い状態が続きましたものですから、かつての景気回復時期のように、補正予算によりましてそれが民需に直ちにつながるというような形にはなかなかなりにくかったと思っております。しかし、それがなかった場合の状況を想像いたしますと、やはり今のような状態にまで持ってこられたという効果は相当あったと思います。  最近は、地方単独事業の方がなかなかできないということは、私どもよくわかっておるつもりでございまして、その分、直轄事業などのウエートを高めることによって補正予算の社会資本整備などは対応しておりますし、先ほどからもるるお話が出ておりますように、補助事業につきましても、その裏負担についてはしっかりした手当てをしているというふうに考えております。
  76. 嶋津昭

    嶋津政府参考人 地方財政と国の財政は公経済の車の両輪ということを言われているわけでございますが、今回の景気対策におきましても、国と地方が協力して景気対策の目的を実現させるということが大事なことだと考えております。  特に、公共事業等につきましての地方団体の役割につきまして自治大臣からも御答弁をしたところでございますけれども、そういうことでございますので、今回の公共事業地方負担額につきましても、地方債交付税を組み合わせることによりまして地方団体の円滑な事業実施に対応し、その景気対策に資することができるように対処したというふうに考えております。
  77. 重野安正

    ○重野委員 地方自治体財政状況というのは、本当に厳しい状況にあります。したがって、両省におかれては、目配りのきいた対応、対策というものを考えていただきたいことを要望しておきます。  次に、財源措置の問題についてでありますが、交付税特別会計増額分八千九百八十五億円の問題であります。  まず、九九年度精算分四千七百億円、これを額面どおり税収増の成果と言えるかどうかという点について、私は若干額面どおりに受け取れないのであります。むしろ、九九年度二次補正で大きく減額をして、その結果、はね返りがこういうことになったのではないかという受けとめ方を私はするのであります。つまり、減額補正をし、そして土台を下げて見ていく、そうすれば、表現としてはこういう表現になりますけれども、実態としてはそういう実態にないのではないか、こういう私はうがった見方をするのでありますが、そこについて、大蔵省の方はどのように考えておりますか。
  78. 竹内洋

    竹内政府参考人 お答えいたします。  一般論としてまず申し上げますれば、補正予算につきましては、補正時までの課税実績、大法人に対する聞き取り調査の結果を踏まえまして、個別税目ごとに積み上げにより見直しを行っているところでございます。  今お話のございました十一年度税収でございますが、第二次補正予算におきましては一兆四千億円の減収を見込んだところでございます。これはまず、十一年度税収全体の土台となります十年度の税収全体につきまして、十一年度当初予算編成時に基礎といたしました、いわゆる第三次補正後から決算にかけて、約七千億円の減少が生じておりました。いわば十一年度税収の土台が七千億円へこんでしまったということがございました。  それからまた、十一年度補正予算編成時点でございますが、既に、法人税の還付金、これもまた減収要因となるわけでございますが、これが前年と比べて四千億円と大幅に増加していたところがございました。  さらにまた、ボーナスが低調であった、さらに金利の低下も生じていたこと等の状況が存在いたしまして、これらが税収に大きな影響を与えると私ども見込んだところでございます。  しかしながら、先生御承知のように、十二年度三月末にかけましては大変株式市場が活況を呈したわけでございます。一方、これは特殊な事情でございますが、平成十三年度の三月末決算から、企業におきましてはいわゆる退職給付会計というものを導入するということになりまして、それに備えまして、企業年金等の積み立て不足の有税償却の増加等による法人税の増収、いわゆる退職給付会計の積み立て不足を好調な株式を売るという形で三月決算法人が決算において有価証券売却益を計上した、十一年度限りの特殊要因による税収の増加が相当ございました。  さらに、もちろん、今申し上げましたように、株式市場が好調でございましたので、株式取引等が急増したことによる源泉所得税の増収なども生じたわけでございます。  このような結果、十一年度決算におきましては、補正予算額四十五兆六千七百八十億円に対しまして、一兆六千億円近くの増収となっているところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、税収見積もりでございますが、見積もり時点までの課税実績、政府経済見通しの諸指標、関係者などのヒアリング等をもとにいたしまして、その時点では最も適切と考えられる見積もりを行うべく、最大限の努力を傾けているところでございます。ただ、結果といたしまして、予算額に対して増減が生じることは避けがたいということを御理解願いたいと思っているところでございます。
  79. 重野安正

    ○重野委員 次に、財源対策債について質問いたします。  本来交付税措置すべきなのに、財源対策債で補てんするというやり方、これはいろいろ指摘をされているわけであります。本年度も約二兆五千億円の発行が予定されておると聞いております。本年度当初で問題のあるそういう措置を講じて、年度後半に入って縮減をするということ、そういうふうなやり方が一体正しいのかなというふうな思いを持つわけであります。  地方交付税の持つ重み、これは地方自治にとっては根幹をなす問題でありますけれども、そこら辺の認識というか、そういう点についてはどういうふうに考えておられるか、お伺いいたします。
  80. 西田司

    西田国務大臣 通常国会におきましては、当初における国税の見積もり及び歳出予算に基づいた地方財政対策について御審議をいただいたわけであります。  今回の補正予算においては、国税が当初より増収が見込まれること等に伴い地方交付税の増額も見込まれる一方、先ほど来御議論のある公共事業追加等に伴う地方負担増加が生じるところであり、これに対応する地方財政措置を講ずるとともに、公債費負担の軽減に資するため、当初の財源不足に対応した財源対策債の縮減を図ることとしたわけであります。
  81. 重野安正

    ○重野委員 もっとこの議論を深めたいのですが、時間もないようでありますので、次に進みます。  次に、基準財政需要額の再算定に関連して、二点ほど伺います。  今回の財源措置で、給与改善費など二千三百三十一億円を減額いたしております。交付税法十条三項では「変更することができる。」とは書いておりますものの、変更しなければならないとはされておりません。八月末変更ということは、私は交付税趣旨からして異例なことではないのかなというふうに受けとめるわけであります。調べてみますと、一九八二年にそういう例があるとのことであります。  私は、補正予算が仮に編成されなければこの減額再算定は事実上あり得ないと理解をするわけです。そういう点からすると、私はこの減額というのはちょっと問題がある。そういうふうな私の理解が間違っておるかどうか、ひとつお聞かせをいただきたい。  自治省地方の関係、しかも財源の出し入れの帳じりを合わせなければならぬ、そのことはわかりますが、しかし、地方自治体の実態というのはそうそう容易な実態ではないわけで、そういう点についての見解をひとつお聞かせください。
  82. 嶋津昭

    嶋津政府参考人 お答えいたします。  今御指摘ございましたように、平成十一年度におきましても給与改定の不用額は出たわけでございますが、実際に減額再算定はいたさなかったところでございます。それは、そのときにおきます地方交付税が国税の減少により減額をする等々の事情があったこととも関連するわけでございます。  今回の場合には、今御審議ただいておりますように、地方交付税財源も生じておりますので、地方公共事業地方負担等も含めた再算定をしようということに踏み切ったわけでございます。再算定をするということになりますと、やはりそのときにおきますところの年度内における不用額の見込みが、人件費についても二千六百億円、地財計画ベースで二千六百億円と比較的大きな額になります。また、国の補正予算におきましても、人件費の不用額を予算上落としておるわけでございますので、そういうこととのバランス等も考えまして、今回の再算定において減額をすることといたしたわけでございます。
  83. 重野安正

    ○重野委員 それでは、以上で終わります。ありがとうございました。
  84. 増田敏男

    増田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  85. 増田敏男

    増田委員長 これより討論に入るのでありますが、理事会の協議により、討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 増田敏男

    増田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  88. 増田敏男

    増田委員長 次に、地方自治に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として自治省行政局長中川浩明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  90. 増田敏男

    増田委員長 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、理事会等において協議が行われてまいりましたが、その結果に基づき、滝実君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び自由党の四派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。滝実君。
  91. 滝実

    ○滝委員 提案者を代表いたしまして、本起草案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。  まず、本案の趣旨について申し上げます。  御承知のとおり、町村が合併して市となるための人口要件は、平成十年の市町村合併特例法の改正により、現在、四万以上とされております。  しかし、現在の状況を見ますと、現行法の人口要件を満たすことが難しい場合もあり、また、いわゆる連檐要件等が合併の障害となる例もあるのではないかと思料されるのであります。  以上のことから、市町村合併の一層の促進を図るため、市制要件の緩和を行う必要があり、本起草案を提出することとした次第であります。  次に、本案の内容について御説明申し上げます。  本案は、平成十六年三月三十一日までに市町村の合併が行われる場合に限り、合併後の普通地方公共団体が市となるべき要件を、人口三万以上を有することのみとするものであります。  なお、本案は、公布の日から施行することといたしております。  以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。  何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————  市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  92. 増田敏男

    増田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。春名直章君。
  93. 春名直章

    春名委員 全党一致が委員長提案の基本です。日本共産党はこの法案に反対です。本来、この法案は議員提案とすべきです。そして、提出者にも質疑を行うべきでした。それをやらずに強引に委員長提案としたことには、まことに私は遺憾であります。  やむなく自治省行政局長にお聞きをいたします。  地方自治法の第八条には、市の要件が四点示されています。一つは、人口五万。二番目、市街地を形成している戸数が全人口の六割以上を占めること。三番、商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が全人口の六割以上を占めること。四番、都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を備えていること。この四点が市の要件であります。  自治省は、この市の要件は現在でも適切だ、必要だとお考えなのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 中川浩明

    中川政府参考人 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘がございました現行の市制施行の要件につきましては、市町村を区別して取り扱うという現在の地方自治法の基本的な考え方から設けられているものでございますが、人口五万以上という要件は、特に市町村の中でも重要な事務を処理するという趣旨から、市の要件としてふさわしい規模を有するという必要性から設けられたものでございますし、また、連檐要件及び都市的業態要件につきましても、都市的形態を備えていると認めるための要件として設けられたものと理解をいたしております。  今後、地方分権の一層の進展や合併による市町村の規模拡大によりまして、基礎的な地方公共団体である市町村のあり方についての検討も必要となってくると思われますけれども、それまでの間は、市となるためのこうした要件は維持することが適当であると考えております。  ただ、今回の市町村合併特例法の改正案は、市町村合併を促進するという観点から、合併の場合に限ってその要件の緩和を図ろうとするものである、このように特例的な措置であると認識をいたしております。
  95. 春名直章

    春名委員 どうして合併のときに限ってこの要件をなくすかということなんですね。五万を三万にする、今合併特例法で四万なんですけれども。それだけじゃなくて、先ほど言った、今度、人口要件以外のものを全部取っ払ってしまうのですね。だから、合併の場合は三万以上、それだけで市ということにするんです。そのことに私は疑義があるんですが、自治省としては、今おっしゃったけれども、当面必要要件だというふうにおっしゃっているけれども、では、合併した市はそういう必要要件はなくてもいいんでしょうかということが率直な疑問でありますね。自治省としては、これはどう受けとめられていますか。
  96. 中川浩明

    中川政府参考人 市制要件につきましては、自治法にその原則が書かれているわけですが、合併を推進するという立場から、合併推進のためのもろもろの特例を定められております市町村合併特例法において、その要件を、既に現在四万という特例が設けられているわけでございまして、それをさらに市町村合併を推進するという観点から緩和する、そういう趣旨によるものではないかというように考えております。
  97. 春名直章

    春名委員 ですから、本当に合併推進のためなら何でもありなんですよ。市の要件がどうだろうが構わない、そんなことでいいんですかということを私は思うのですね。  一昨年の十二月の八日に四万へと緩和する合併特例法の改正を議論しました。参議院の地方行政委員会で、提出者の自民党の平林議員はこう言っています。市でございますから、従来の考えとしてとっております都市的な形態を有する地方公共団体、都市的な形態を有するということは変更すべきではない。いいですか、わずか二年前に、合併によって四万に緩和するということを決めたときに、提出者のお一人の自民党の皆さんは、ほかの要件は緩和しちゃだめだと。ところが、三万にするときには全部緩和していい。これは全然合理性がないんですよ。  本当に市の要件を変える必要があるのであれば、本則である地方自治法の要件についてきちっとした議論をすればいいんですよ。合併に邪魔だから全部取っ払う。だれに怒ったらいいのかわかりませんけれども、いないので。本当に何でもありなんですよ、これは。  私不安なのは、四万の場合はこれでいい、ところが、三万にする場合はもう必要がないから要件を外す。これから三万以上になったら、合併の場合は全部外れるわけです。そうすると、こんなことをしていて、本当に市として求められる住民サービスの機能をちゃんと果たせるのだろうか、非常に私は不安です。この点の御心配は自治省はしておられませんか。
  98. 中川浩明

    中川政府参考人 市町村のうち市においてのみ処理することとされております生活保護、児童福祉、老人福祉等の事務につきまして、今回の改正によって新たに設置される市においても十分その機能は果たし得るものと考えておりますし、また、必要に応じて、広域行政等によって処理をすることも可能であると考えております。
  99. 春名直章

    春名委員 全く矛盾していまして、そうであれば、本則について、市の要件について真剣な議論をして、改正を出しなさいよ。本当に合併のためだったら何でもやるということが、短い討議ですが非常に明らかになりました。  市の要件を変えるのであれば、地方自治法をどうするのかという真剣な議論が必要です。これを避けて、合併に限ってはこの要件を無原則に緩和する。余りにも便宜的です。市への昇格というあめを使って合併を誘導するこのようなやり方は、私は決して認められない。そのことを申し上げて、発言とさせていただきたいと思います。
  100. 増田敏男

    増田委員長 次に、重野安正君。
  101. 重野安正

    ○重野委員 私は、市町村合併特例法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論したいと思います。  ただいま議題となりました市町村合併特例法の一部を改正する法律案に反対いたします。  反対の第一の理由は、現行地方自治法に定める市町村の区分を基準とする限りにおいては、人口要件を軽々に扱うことには問題があると思います。九八年の臨時国会での法改正で、合併した場合、市となる人口要件を五万人から四万人にしたばかりであります。今再び、器に合わせて要件を変更することは不適切であり、場当たり的であると言わざるを得ません。  第二の理由は、合併の場合だけ三万人以上を市とすることの矛盾です。現に、滋賀県栗東町や広島県府中町、千葉県白井町のように五万人以上の町や、岩手県滝沢村のように四万人以上の村が存在しています。また、人口六千百七十八人の歌志内市のように、一たび市となれば、人口要件を割り込んでも都市自治体として存続し得るという逆の制度矛盾が顕著となってきます。三万人以上の町村は百十九団体あります。今回の改正によってこのような制度間の不均衡は拡大され、むしろ逆に、市とは何なのかということが問われることになります。  今回、市街化率及び都市的業態、人口の要件を不要とするというのであれば、現在人口三万人以上の町村については、合併の有無に関係なく、すべて市とすることが公平ではないでしょうか。この場合、市の要件を人口三万人以上のみとするというのであれば、合併特例法ではなく地方自治法第八条の本則を改正すべきであると考えます。  第三の理由は、合併誘導の手段として人口要件を変更することの問題です。今回の改正案は、人口要件の緩和をもって合併誘導の手段とするこそくなものとなっています。しかし、国による市町村合併の強制や、合併のためには何でもありという態様は、本来の分権自治の観点に反するものであると言わざるを得ません。合併はあくまでも手段であって、目的ではありません。住民の意思と地域社会の選択を尊重すべきであって、国は自主的な合併を支援する立場にあくまでもとどまるべきであります。  この間、時折の政策目的に合わせ市となる人口要件を緩和してきたことが、ただいま申し上げてきたような矛盾を生み出していることは、もはや明らかであります。このような矛盾を解消するには、現行市町村間に人口区分をもって区別する制度を根本的に改める必要があると考えます。言うまでもなく、市町村には地方自治法上の区分はありません。したがって、市町村と呼称上の区別をする必要はないとも言え、基礎的地方公共団体としての統一的呼称のあり方についての検討を早急にされるべきであることを提案したいと存じます。  以上の理由で、本改正案に反対するものであります。  最後になりましたが、本法案については、二会派が反対を表明しているにもかかわらず、委員長提案とされています。しかし、従来、委員長提案は、各党各会派間の態度が一致していることが原則と私は理解をしています。国会の守るべき慣例であり、今回の改正案の取り扱いについて、決して先例としないことを確認していただきたく、一言申し添え、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  102. 増田敏男

    増田委員長 これにて発言は終わりました。  お諮りいたします。  市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  103. 増田敏男

    増田委員長 起立多数。よって、そのように決しました。  なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十五分散会