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2000-11-17 第150回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月十七日(金曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 自見庄三郎君    理事 小林 興起君 理事 鈴木 宗男君    理事 西野あきら君 理事 細田 博之君    理事 長浜 博行君 理事 堀込 征雄君    理事 河上 覃雄君 理事 塩田  晋君       荒井 広幸君    小坂 憲次君       阪上 善秀君    桜田 義孝君       下村 博文君    高鳥  修君       高橋 一郎君    中馬 弘毅君       中谷  元君    野田 聖子君       林  幹雄君    松宮  勲君       八代 英太君    米田 建三君       阿久津幸彦君    加藤 公一君       鹿野 道彦君    鍵田 節哉君       玄葉光一郎君    島   聡君       手塚 仁雄君    松本  龍君       山花 郁夫君    江田 康幸君       遠藤 和良君    中井  洽君       大幡 基夫君    木島日出夫君       今川 正美君    平井 卓也君       小池百合子君     …………………………………    議員           北橋 健治君    議員           中野 寛成君    議員           冬柴 鐵三君    議員           松浪健四郎君    自治政務次官       中谷  元君    自治政務次官       荒井 広幸君    政府参考人    (法務省入国管理局長)  町田 幸雄君    衆議院調査局第二特別調査    室長           牧之内隆久君     ————————————— 委員の異動 十一月十七日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     阪上 善秀君   林  幹雄君     米田 建三君   久保 哲司君     江田 康幸君 同日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     小坂 憲次君   米田 建三君     林  幹雄君   江田 康幸君     久保 哲司君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案冬柴鐵三君外一名提出、第百四十八回国会衆法第一号)  永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案北橋健治君外六名提出、第百四十八回国会衆法第二号)     午前十時三分開議      ————◇—————
  2. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより会議を開きます。  第百四十八回国会冬柴鐵三君外一名提出永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案及び第百四十八回国会北橋健治君外六名提出永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件ついてお諮りいたします。  両案審査のため、来る二十二日水曜日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長町田幸雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  5. 自見庄三郎

    ○自見委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米田建三君。
  6. 米田建三

    米田委員 おはようございます。自由民主党米田建三でございます。  私は、実は、地元横浜市でありまして、在日外国の方とのおつき合いは恐らく人一倍多い議員の一人ではないかと思います。暮らしの問題あるいはお仕事上の問題、いろいろなお世話を月に何遍もいろいろな方からお受けをし、御相談に乗っている立場でもあります。また、最近国籍取得を希望される若い在日方々が大変大勢いらっしゃいまして、そういうアドバイスもしてさしあげている立場であります。  したがって、私にとりましても今法案はまことに身近な問題でもあるわけでありまして、それだけに、我が国が将来におきまして真に在日外国人方々との共生社会をどういうふうにつくっていくのか、このことを真剣に考えている一人であります。そういう意味におきましては、提案者皆様方と同じ基盤に立っているものというふうに思うわけであります。そこのところを原点にしながら、質問を何点かさせていただきたいと思います。  今回の法案を改めて読ませていただきますと、言ってみれば、地方政治において日本国民同等権利付与する、被参政権は与えないけれども選挙権においてほぼ同等権利付与する、こういう法案であります。リコールの請求権も与える、こういうふうになっているわけでありまして、私は、これはやはり国の根幹にかかわる極めて重要な法案であろう、もしこれが国会で成立すれば、これは一つの極めて革命的な法律になるだろうというふうに考えているわけであります。  それだけに、今日、党派を超えて、やはり徹底的な議論、もうちょっと時間をかけた議論が必要ではないかという声が広がっているわけでありまして、私ども自由民主党の中のみならず、昨今は、野党の皆さんの中にも、やはり慎重な議論国会議員全体としてもっとやっていくべしという声が広がっているのもそのゆえんであろうかというふうに思います。  さて、そもそも参政権というものは何なのか、こういうことでありますが、私はやはり、これは、国家という共同体政治的運命を決定する権能である、端的に言えばそういうことではないかというふうに思います。  そこで、ちなみに、この間、ある民間のシンポジウムにお招きをいただきました。そのとき、在日永住権を持っておられるアメリカ人ジャーナリストの方がこういう発言をされました。まことに私は印象的だったので、ちょっと御披露申し上げます。  このジャーナリストがこうおっしゃいました。私は、この法律が仮に成立しても選挙権は行使しません。なぜなら、私はアメリカ国民であり、日本は好きだし愛しているけれども、最終的に日本国帰属する意思はないからです。帰属する意思のない国の政治的運命を決する選挙参加するのは失礼なことだと思っております。こういう御発言があったんですね。  私は、最終的に、どこに住んでいようとも、ある一人の人間がどの国に帰属するか、自分意思がどこにあるのかということは、大変実は大きな問題があると思います。これは、情念や観念の問題ではありません。実は具体的な重みを幾つか持っているということは、後ほど述べさせていただきます。  さて一方、実は、もし日本国国籍をお持ちいただければ、地方議会選挙どころか立候補もできる、国会議員にも立候補できるわけであります。現に、地方議会も含めて、帰化をされて国籍取得されて日本国政治家として活躍をされておられた方、あるいはおられる方、私も何人か存じ上げているわけであります。できるわけであります。そして、現実に、今日、大変多くの方が国籍取得の手続をされております。  ちなみに、例年、ここ数年は、年間一万五千人ほどの方が日本帰化しておられる。平成十一年の例を申し上げましょう。平成十一年に一万七千六十七人の方が帰化申請をしました。申請は一万七千六十七人ですよ。そして、許可を受けた方は一万六千百二十人なんです。実はほとんど許可を受けているのです。ただし、年数がかかったり、厄介なことをはっきり言って言われたり、いろいろあります。いろいろありますが、現状として、ほとんど実は許可を受けておられるわけですね。  そういう中で、私どもは、むしろ国籍取得要件を緩和すべきではないか。そして、これは実は私の個人的考えでありますが、特別永住者皆さん、すなわちサンフランシスコ講和条約により日本国籍を喪失したる者及びその子孫、つまり、かつて日本国民であった方とその子孫、私は、この方々については、これは私見でありますが、無審査で、もし日本国籍を選択したければ、届け出制で受け付けるというふうな制度があってもいいだろうと実は考えています。  というのはなぜかといいますと、御承知かと思いますが、出入国管理令におきましても、いわゆる一般の外国人については、好ましからざる人物の再入国は拒否できます。入国拒否できる。ただし、我が国は今、関連法規におきまして、特別永住者皆さん日本国民同等に実は扱っている。再入国拒否しない、出入り自由。つまり、選挙権以外はもう全部日本国民とほぼ同じ扱いをさせていただいているわけでありまして、私は、ここまで来たら、まさに提案者皆様方がしばしば御主張されておられるように、日本国で生き抜く方々であるわけでありますから、国籍の選択をもし要望されるならば無条件に与えるべきだというような考え方を私は持っているわけであります。  さらに加えて、日本国国民として生きたいと思われる方への要件の緩和ということを実は私は主張している一人でございますが、もしそれが実現したならば、全然問題なくなるわけでありまして、選挙権をどんどんお持ちいただけるし、立候補もできるわけであります。  ちなみに、私は地元がさっき申し上げたとおり横浜でありますが、華僑の方が大勢おられます。随分親しくおつき合いさせていただいております。私の親しくしている方々は、ほとんど実は日本国籍をお持ちであります。しかし、堂々と中国名を名乗って生活をされ、そして中国文化伝統を守るための行事も一年じゅういろいろなことをおやりになったりしている。人種としての中国人である誇りを失わずに、アイデンティティーを失わずに、そして日本国民としてちゃんと選挙権も行使しておられるのです。  将来、我が国はやがて人口減少に転ずる国であります。特に若い世代が減ってきます。どんどん外国の方がお住まいになって、やがて、今のアメリカ合衆国のように、中国系日本人韓国系日本人朝鮮系日本人アメリカ系日本人、こういう方々が大勢いてもいい、そういう社会にむしろなるべきだというふうに私は考えているわけであります。  しかし、ほかの国の国籍をお持ちのままですといろいろな問題があるわけでありますが、それは後ほど言わせていただきますが、とりあえず今の件についてどうお考えか。
  7. 松浪健四郎

    松浪議員 お答えいたします。  米田委員お話を承りまして、大変感銘を受けました。そして、おおむね九割方、提案者考え方が同じではないのか。例えば、二十一世紀日本社会共生社会でなければならない、この一点につきましても、私たちは同じように考えるものであります。  それで、この法律が通ったとしたならば革命的だ、こういうふうにおっしゃられましたけれども、私もそう思いますし、そのような革命的なことをしなければならない二十世紀の末に差しかかっておる、このように認識するものであります。  それで、今、アメリカ人の方の発言を例に例えられましたけれども、実は私の身内にもアメリカ人のお嫁さんがおります。そして、彼女も国籍を放棄しておりません。しかし、彼女は先ほどのアメリカ人と異なるのは、地方参政権でもいいから参政権が欲しい、自分が住んでいる地域のことについては自分も一票を持って決める権利を与えてほしい、このように述べております。  それで、国籍を簡単に取れるようにすればいいじゃないか、帰化を現にこれだけしているのだから帰化要件を緩和すればいいではないか、こういうお話でございます。そして、帰化したならば国政参政権まですべて与えられるのだから、何一つ不自由がないではないか、こういうことであるわけですけれども、これは、AとBがあるならばAでなければならないという偏った考え方にならないか。Bもある、そしてBの人にも参加をしてもらう、つまり、どちらにも参加してもらえる、そういう本当の意味での共生できる社会、これを我々はつくっていかなければならないということを今本当にこの場で慎重に審議をしていく必要がある、私はこのように認識するものであります。  そこで、永住外国人につきましては、地域社会の一員として、その意思日常生活に密接な関連を有する地域公共的事務の処理の決定に反映すべきでございますし、国籍取得しなければ地方参政権を与えないとの立場に我々は立たないわけでございます。この法律を通した上で国籍取得も容易にするということがベストではないのか、このように認識するものでございます。
  8. 米田建三

    米田委員 済みません、時間が限られているので、御答弁をなるべく手短によろしくお願いいたします。  今御答弁いただいたわけですが、私は、そこが問題だろうと思うんですね。実は、国籍を取るコース、取らざるコース、そうではなくて、国籍をお取りいただかないとまずいことがたくさんあるということをこれから申し述べさせていただいて、御答弁願いたいと思うわけであります。  外国人の方は、たとえ日本国に滞在していようとも、祖国の法や規範、価値観支配下にあるわけであります。例えば朝鮮総連綱領は、我々はすべての在日朝鮮同胞朝鮮民主主義人民共和国政府の周りに総結集し、祖国同胞との連携と団結を緊密強固にするとうたっております。また、大韓民国民団綱領では、我々は大韓民国の国是を遵守するとうたっています。独立国として当然の、当たり前の綱領で、すばらしい綱領だと私は思います。そうしますと、特に規模の大きいこれらの在日外国人団体母国政府の強い影響下にあることは、やはり私はこれは明白だろうと思うんです。構成員の方全員がとは言いませんが。  そういたしますと、我が国政治行政が組織的に外国政府の事実上の介入を招くおそれがある、それがまた我が国国益と相対立するケースもあるのではないかということを危惧するわけであります。  地方政治国政は別だというお話がよくありますが、私は、これはやはりおかしいと。なぜならば、地方政治枠組み国家の法によって定められているわけでありますし、また、予算も政策も、そして具体的な政策について申し上げるならば、教育警察行政、あるいはまた周辺事態安全確保法関連の諸法規におきましても、よく諸先生御案内のとおり、自治体の協力が不可欠であります。  そういたしますと、自治体において我が国国益と相反するような政治的方向が生まれた場合に一体どうするのか、こういう問題があると思うわけであります。その点についていかがでございましょうか。
  9. 冬柴鐵三

    冬柴議員 人はそれぞれに思想、信条を持っております。したがいまして、ある外国人の方が本国に対する一つ忠誠、あるいはその帰属意識を持ったとしてもそれは当然のことでございまして、それはその人のアイデンティティーであります。しかしながら、我々日本国民の中にも、我々の国家を転覆しようと考える人もいられるわけでございまして、それを一律に、外国人はこの国に対して敵対する、そういうような前提を置くべきではない、私はそのように考えます。  したがいまして、国籍取得するかどうかということは、日本の場合二重国籍を認めておりませんので、日本国籍を取るということは、みずからの国籍を放棄する、そういうことを意味するわけでございます。したがいまして、それはすぐれてその人の判断によるべきでありまして、私はそういうものを前提に物事を考え立場にはありません。
  10. 米田建三

    米田委員 そういうお答えではありますが、私は、もちろん日本国民であって日本国を転覆しようと思っている人も一億人の中には何人かおられるかもしれません、しかし、我々政治立場から、一つのバロメーターといたしまして、まずは我が国と命運をともにする御決意をいただくということが参政権の大前提ではないかと申し上げているわけであります。  では、もう一つ具体的な問題を申し上げます。祖国の法の支配下と申しますと、つまり、在日永住者の方も母国法体系におけるところの権利義務を実は課されているわけであります。端的な例は兵役義務であります。在外永住者については休止や免除の規定がある場合もありますが、それはあくまでも憲法より下位法兵役法等の、一つの時代における過渡的な法規であって、安全保障政策の変化によってはいつでも発動され得るわけであります。  ちなみに、幾つか申し上げますが、在日フランス人の方は、永住権を持っていても兵役義務を擁しています。それから、米国は、在日米国人の方も兵役登録義務づけが行われております。  ちなみに、もちろん御承知でしょうが、在日永住者というのは朝鮮半島出身者方々ばかりではなく、我が日本国には世界じゅう国籍の方がおられるということは先生方は御承知でしょう。とかく朝鮮半島出身者方々議論されますが、実はこういうことになっています。  韓国はどうかというと、今日在外永住者兵役免除というふうに兵役法ではなっています。しかしながら、政策の変更によっていつでも発動されるわけであります。ここに昭和四十年三月十七日の東京新聞記事がありますが、韓国政府から召集令状在日朝鮮人青年に発せられたという記事であります。こういうことが今後もいつでも起こり得るわけであります。すなわち、我が国政治的運命を決定する選挙という神聖な行為に参画する方が、身命を賭して、軍人ですから、ある国の国益のために挺身せねばならぬ立場になられる、そういう可能性があるということであります。  もう一点、時間がないのであわせて申し上げますが、選挙権被選挙権を認めている国はたくさんあります。フランス共和国在外永住者大統領選挙国民議会選挙への立候補を認めています。ドイツは連邦議会選挙への立候補権を認めています。韓国国会議員選挙への立候補権を認めております。現に、一九八八年の国会議員選挙では、元民団団長が全国区に出馬、当選しておられます。また、一九七一年から七八年までは、元民団団長の方がやはり韓国国会議員をお務めになりました。また、朝鮮民主主義人民共和国におきましては、今日ただいま五名の方が……(発言する者あり)今七人という声がありますが、私の確認したのは五名の方でありますが、母国国会議員であります。  つまり、問題は、先ほどの軍人の例と同様に、母国国益のために身を挺せねばならぬ方々日本国選挙権を有するというような形があっていいのか、一人の人間が二つの国益を追求することができるのか、こういうことでございます。  友好的な関係にありましても、竹島は今日韓国武装官憲によって占領されております。中華人民共和国は、我が沖縄県の尖閣列島に対する領土的野心を隠しておりません。こういうことがやはり国家存在する限り続くわけでありまして、言ってみれば一種の二重国籍的な存在の方を我が国につくってよろしいのか。国籍をお取りいただいて母国が課している権利義務と離れていただく、それがやはり常識ではないかと私は思いますが、いかがでございましょうか。
  11. 冬柴鐵三

    冬柴議員 世界じゅうには二重国籍を認めている国すらあります。したがいまして、それは一つ考え方でありまして、私は、母国に対する忠誠心と、今住んでいる、みずからが生まれ育ち、教育を受け、そして子をもうけ、営業しているこの日本国というものに対する帰属意識、それはそれぞれが判断されることであろうと思います。  ちなみに、第二次世界大戦中に米国に居住する日本青年たち外人部隊としてみずから兵役参加をして、第二次大戦アメリカのために戦ったという日本人がいたことも私は想起するわけでございまして、質問者のように、外国人は常に外国忠誠を誓って日本には敵対する、そういうふうな考え前提は私は持たないわけでございます。
  12. 米田建三

    米田委員 冬柴先生、私はそういうふうに断定しているわけじゃありませんで、おわかりの上お答えになっているんだろうと思いますが、そういう枠組みの中に置かれているということを言っているわけであります。  もちろん、日本を愛するがゆえに、母国から召集令状が来ても、軍法によって罰せられる危険を冒しながらも日本国のために汗を流す人もいるかもしれません。こういうケースもあるだろう、ああいうケースもあるだろうと言っているわけじゃありません。これは国家枠組みの問題でありますから、少なくとも召集令状を拒否したら諸外国は厳罰を科しますから、これは大概の人は応じるわけですよ。  ですから、私は、そういう個々のケースでこういうこともあるだろう、ああいうこともあるだろうではなくて、国家枠組み議論でありますから、母国国益のために働く存在になり得る方々日本参政権をお持ちいただくのは大変問題があるのではないかということを申し上げているわけであります。  時間が来ましたので、ほかにもたくさん申し上げたいことがあるんですが、ちょっと絞ってお話をさせてもらいます。  先ほどの、私は改めて御答弁願いたいんですが、地方政治国政は分離できないと思いますが、いかがお考えですか。
  13. 冬柴鐵三

    冬柴議員 国政地方政治憲法上は国政日本国民によって行われます。日本国民国会議員選挙し、そして日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する、これが日本国憲法の前文でございます。  しかしながら、同じ憲法の中に、明治憲法にはなかった第八章「地方自治」というものがあります。それは民主主義の原理から導かれる住民自治、すなわち、地域のことはそこに住む人々が自主的、自律的に判断をして決定していくということが、その地域の発展、伝統や歴史や文化というものを発展させる上においても、またそこに住む人々が幸せを実感する、そういうものからも好ましいという立場でそういうふうにとられているわけであります。  しかも、そこには団体自治というものが取り入れられております。これは地方分権思想から由来するものでございます。そして、それは法律の範囲において地方自治の本旨に基づき決められるということになっております。したがって、それはどういう関係に立つかというと、統治機構の一環ではありますけれども国家と対等、平等の関係にある、これが地方分権推進法の精神でございます。  したがいまして、そこに住む人たちがその地域のことは地域で決める、そういうことが行われるわけでありまして、私は、国会レベルの、すなわち中央レベル選挙権被選挙権地方レベル選挙権被選挙権は区別をして考えることは十分にあり得ることだ、このように考えております。
  14. 米田建三

    米田委員 過去の最高裁判決の中で、地方参政権付与せよという訴えについて幾つ判決が出ていますが、そのすべてが、判決主軸は、憲法でそういう権利は保障されていないという判決でありました。皆さんがよく引用される平成七年二月二十八日の判決ですが、これも主文は、その主軸は、保障されていないという判決であります。  そしてなお、地方自治法住民」の項を読みますと、先ほど冒頭申し上げました、今度の法案付与することになっております議会解散請求権地方公務員解職請求権等も、すべて日本国民たる普通地方公共団体住民ということで、日本国民ということをまず前提にしているわけであります。今の御議論でまいりますと、すべてこれらの大改正も行うという話になってまいるわけでありまして、私は、やはりこれは相当な議論が必要だろうというふうに考えるわけでありますが、いかがですか。
  15. 冬柴鐵三

    冬柴議員 今のお話は、最高裁から出ました判決は、すべて、憲法によって付与するということが憲法上根拠づけられていないということを申し上げているわけでありまして、立法政策として、法律によって与えることを憲法が禁じているものではない。そこには何の矛盾もないわけでございます。  それから、地方自治法で、「住民」、これは十条では市町村の区域に住む人を住民と言うというふうに定義しています。十一条以降は、日本国民たる住民に対して選挙権を与えるとかいろいろなことが書かれております。しかしながら、私どもは、それに対する特別法として本法案提出しているわけでございまして、地方自治法あるいは公職選挙法の特例をなすわけでありまして、特例法は一般法に優先するわけでございます。
  16. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 先ほどからまだ一度も答弁をさせていただいておりませんので、一言お答えを申し上げます。  今の御質問については、確かに最高裁判決は傍論として出されておりますが、五人の裁判官全員が御承知のような指摘をいたしておりまして、これは重く受けとめたい。そのことが私どものこの法案提出のきっかけにもなったということでありまして、先ほど来お答えがありますように、憲法で当然のこととして直接的にその権利を保障するという形ではありませんが、否定しているものでもない。言うならば、立法政策の中に預けられているもの、このように考えて、だからこそ私たちはこの立法措置が必要だと考えております。  先ほど地方分権の話がありましたが、地方につきましても、日本の国権の中で、憲法及び法律、これは国会で決めますが、その法律によって与えられた権能の枠の中で地方は政策判断を自主的にしながらやっていくということでありまして、分離できるかどうかということは、法律の枠の中という意味では分離できないけれども、しかし、それぞれの財政的判断その他地方の独自の問題については主体的に判断をされているわけで、そのことを地方分権と私たち承知をいたしております。
  17. 米田建三

    米田委員 憲法論議をやらせていただくならば、もっと申し上げたいことはたくさんありますが、ちょっと時間が限られていますので。  ただ、私は一つ申し上げておきたいのは、もしこの法案が成立したならば直ちに違憲訴訟を起こすという民間の団体がたくさんあります。私は、やはりここを本当に徹底的に国会議員議論をして、そしてみんなが確信を持った形でこの法案をつくるなり修正するなり、あるいは廃案になるかもしれませんが、いろいろなケースがあるでしょうが、もうちょっと議論しませんと、もし拙速にやって、違憲訴訟が起こされて違憲判決が出たら、憲政史上最大の汚点になる危険性がまだ残っていると私は思うのです。この辺の議論はまだ未熟だと思うのですね。  ですから、私は最後に申し上げたいのは、現在、せっかく衆参両院に憲法調査会が設置されているわけであります。これからの日本の国の形、あり方、そして憲法の基本を踏まえて、慎重な議論が必要であるというふうに思います。  以上で質問を終わります。
  18. 自見庄三郎

    ○自見委員長 江田康幸君。
  19. 江田康幸

    江田委員 公明党の江田康幸でございます。  今回の法案の早期成立を望む者として質問させていただきます。  永住外国人地方参政権要求が本格化したのは約十年前のことであったと承知しております。当初は、永住外国人の中でも多数を占める在日韓国人の方々が中心であったと思いますが、永住外国人参政権確立を求める決議や意見書を採択する動きは、一九九三年の大阪府岸和田市議会を初めとして地方議会に広まってまいりました。現在千四百八十五自治体で、全国の約半数に上っております。採択自治体の人口比率では、これは日本の全人口の七四%に当たることになります。また、読売新聞が今春行いました全国世論調査でも、六五・五%が永住外国人地方参政権を認めるべきと回答しております。この数字を見る限り、私は法案化して論議する機は熟していると見ることができると考えております。  昨日からも議論されておりますように、在日外国人にどのような社会的、政治権利を認めて、どのような義務を課すかは、社会の成熟度、民主主義の成熟度を図るバロメーターの一つであると論じられております。この点は、ここにいる国会議員のほとんどの方が共有することであると考えます。  今回の法案は、地域社会が、社会の流れを見据えながら、同時に自国の歴史や隣国との関係を重視して、国際化と共生の道に日本としてどのような責任ある判断を示すのか、まさに日本民主主義の成熟度が問われている重要な法案であると考えます。そして、ここで議論されたことは、この情報化社会の中でございますので、世界の隅々まで報道され、国際化社会の中で日本がまさに評価されることになってまいります。  昨日提案者の松浪先生が、今回の法案は黒船である、外国人に対する日本人の心の鎖国を取り外すのか、それとも心の鎖国をそのままにして二十一世紀を迎えるのかが問われているとおっしゃられました。また、その民主主義の円熟度がこの法案には問われているのだと申されました。まさに本質的な答弁であり、国会に良心があるとうれしく思いました。したがって、今回の議論に関しては、我々も責任ある議論を展開したいと考えております。  そこで、本質にかかわる幾つかの質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、昨日から何度も議論されていることと思いますが、憲法の解釈について再度確認したいと思います。  最高裁判決では、憲法は、永住外国人地方参政権付与を保障したものではありませんが、これを禁じたものでもないとして、後は立法の、国会判断にゆだねているという解釈が妥当かと考えます。憲法違反の論議は昨日も論じられましたが、既に決着がついていると思いますが、いかがでしょうか。
  20. 冬柴鐵三

    冬柴議員 質問者の申されるとおりでございまして、学説におきましても、古くは禁止説、国も地方レベルでも選挙権は与えられないという説が多かったわけでございますが、その後、許容説、地方レベルにおいてはこれを許容すべきであるという説が多数を占めるようになっております。そして、その中で最高裁判所の平成七年二月二十八日第三小法廷判決が行われたわけでありまして、その中では、今江田議員が御指摘のように、憲法自身が外国人地方参政権を認めているわけではないけれども、立法政策として、地域に緊密に、いわゆる特段に緊密な関係を有すると認められる永住者等に対して、その意思地方自治公共的事務に反映させるために、法律をもって選挙権付与することは憲法の禁ずるところではないという明快な理論を展開しているわけであります。  これは、判決としては傍論ではありますけれども、先ほど中野提案者発言がありましたように、五人の最高裁判所裁判官の一致した見解でありまして、これは学説にも沿う重く受けとめるべき判決である、私どもはこのように考えているところでありまして、お説のように、憲法違反論議はこれにて収束と私は思っております。
  21. 江田康幸

    江田委員 ありがとうございました。  その上で、なぜ永住外国人地方参政権が必要なのかということについて議論させていただきたいと思っております。  これまでの議論を聞いていて、理由は二つあるのではないかと考えます。一つ永住外国人方々の人権擁護、差別撤廃であること、もう一つ日本の真の国際化のためである、この二つではないかと考えます。このそれぞれについて、提案者議員先生方考えを、今回の地方参政権付与と、永住外国人の人権擁護また日本の真の国際化のため、その関係について示していただきたい、そう思います。冬柴議員また中野先生、お願いいたします。
  22. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私は、今江田議員の挙げられました二つのことも排除するものではありませんが、より多くは、地域のことは地域住民が自主的、自律的に定めるべきである、決定すべきである、それがその地域伝統文化をはぐくみ、またその地域に住む人々にきめの細やかな行政が行われる、そういうような住民自治あるいは地方分権という観点から、それには日本人たる、日本国民たる住民以外にも、そこに住み、そして、先ほども申しましたけれども、その地方公共団体と特段に緊密なる関係を有すると認められるような外国人、特に永住者等につきましては、生活実態から見ましても、日本人と変わらない生活実態を有するこの人たち意思を、地方政治に、地方の公共的事務を決定するについて反映させるということは必要である、このような観点から法案を提案しているわけであります。  なお、江田議員が指摘されましたような国際化とかあるいは人権、そういう観点ももちろんありまして、その根源にあるものは何か、民主主義社会におきましては選挙権というものが最も根源的な権利ではないか、私はそのように考えておりまして、この法案を提案している次第であります。
  23. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 お答えをいたします。  国際化の一環だとの御主張は、まさにそのとおりであると思います。我が国は今まで、島国として、ある意味では閉鎖的な国家としてのイメージを持ち、また時にはみずからそのように卑下をしたというか、そういう気持ちを持った時期があったと思います。しかし、今新しい情報化の時代も含めて考えますと、海洋国家として、それこそこれほど世界に開かれた、そして世界の平和とともにしか歩めない宿命を持つ日本ではないかというふうに思うわけでありまして、開かれた日本という視点に立って新しい民主社会を形成していかなければいけないというふうにも思っている次第であります。  よって、差別撤廃、それはそのとおりなんですが、そういう意味での後ろ向きといいますか消極的な発想ではなくて、在日皆さんとともに地方住民として権利義務を分かち合い、共生をしていく、その一環だと考えてはいかがであろうというふうにも思っている次第であります。  御所見は賛同いたします。
  24. 江田康幸

    江田委員 ありがとうございました。  日本の真の意味での国際化ということに、私は今回の法案は非常に大事な点を含んでいるというふうに考えます。やはり多民族、多文化共生の社会をこの日本が築けるのかということが国際的にも問われている、そういう大きな、重要な我々への課題が今回の法案にあるかと思っております。  時間もございませんので先に進ませていただきますが、今回の地方参政権付与の問題は、ボーダーレス社会を迎えてきて、外国人がもう当たり前に我々の隣に住む現実を踏まえて、日本という国のあり方をどう考えるかという国家理念の問題でもあると考えます。これは、自民党の皆さんが言われているところのことでもございますので、重要な論点であるかと思います。  今回の法案についてはこれまでにいろいろな疑問や意見が出ているかと思いますが、国のあり方を念頭に入れて、その幾つかについて提案者方々のお考えをお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。  まず第一は、地方選挙権とはいえ、永住外国人参政権を与えるということは国家の基本にかかわるのではないか、そういう考えもございます。この点について、松浪議員、よろしくお願いします。
  25. 松浪健四郎

    松浪議員 お答えいたします。  本院では憲法調査会が設置されまして、今、二十一世紀のあるべき日本の姿というテーマで、鋭意参考人をお招きして、そして二十一世紀日本はどういう国にしなければならないかということで熱心に議論が展開されておるところでございます。そこで問題になりますのは、いつも憲法第九条の問題、つまり我が国の安全保障の問題についてであります。同時に、もう一つは、我々は化石エネルギーを産出することのできない国である、そこでどうしてもエネルギーの問題も大きなテーマになってまいります。  そのことを考えましたときに、我々の国は、地方分権化がさらに進む、また進めていかなければならない。そうしたときに、安全保障の問題、我々は日米安全保障条約を結んでおります、もし港のある地域であるならば、米軍の艦隊、船を受け入れるのか寄港させないのか、そういう議論もありましょう。また、自衛隊の基地をどうするこうする、そういった問題も浮上してまいりましょう。さらには、エネルギーの面からいうならば、原子力発電所をどうするか。地方の皆さん方が、こういうふうな大きなテーマとして、国政に、国民生活に直接かかわる問題、これが地方の住民意思で左右されることがある、こういうふうに考え、そこに、他国の人たちにその判断をゆだねるというのは危険ではないのかという危惧、これが大きく横たわっておる、こういうふうに私は思います。つまり、永住外国人を信用することはできないという議論もあるということでありましょう。  振り返って考えてみますと、明治維新、我が国は、お雇い教師として諸外国から優秀な外国の指導者を招き、その人たちからありとあらゆることを学び、近代的な日本を構築することができました。かつて、外国人から学ばなければならない、こういうふうな思いを持っていた日本人が、やがて高度経済成長をなして、たくさんの不幸な外国人、また不幸に陥れた我が国政府が、そのような外国人に対して疑心暗鬼で臨むということは、私は大変残念だな、こういうふうな思いを持つものであります。  そこで、地方公共団体が国の統治機構の一環をなしているということは申すまでもございません。しかし、憲法には、地方自治の原理、すなわち地方における事務を地方公共団体みずからの機関によりその責任において処理するという自治の原理、地域のことはそこに住む住民意思に基づき処理すべきであるという住民自治の原理もまた規定されているところでございます。本法案は、この住民自治の原理に基づいてまず立案されております。  とにかく、国の事務と地方公共団体の事務とを明確に区分することによってありとあらゆる心配事は払拭できるのではないのか、このように考えております。
  26. 江田康幸

    江田委員 今、国の政策が地方の条例にも深くかかわってくることもあり得る、安全保障等においては懸念される一つにもなろうか、しかし、地方の自治と国の政治を明確に区分することでそれは乗り越えられるということでございますが、同様の意見をちょっと冬柴議員にも言っていただければと思います。
  27. 冬柴鐵三

    冬柴議員 憲法第八章「地方自治」というのは、国民代表者である、そしてまた、それが構成する、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会が定立する法律、その法律の範囲内で、地方自治の組織、運営に関する事項は地方自治の本旨に基づき定められるということになっております。また、条例につきましても、法律の範囲において条例を制定することができると書かれているわけでございます。  したがいまして、この法律の範囲内で行われるわけでございますから、国民主権との間では何ら矛盾するところがないわけでございます。地方には地方の、そしてまた国には国の役割があります。これが地方分権推進法第一条で明確に国と地方の役割を区分しているところでありまして、地方が、国の外交、防衛について容喙あるいは制肘することはできないわけでございまして、私どもはそのような心配はいたしておりません。
  28. 江田康幸

    江田委員 お二人の意見をお聞きしまして、条例もその法律の範囲内で行われるものであって、国民主権とは矛盾することは何らないということの御意見をいただいたと思います。  さて、次でございますが、では、参政権が欲しいならば帰化すればいいじゃないか、私は、これは乱暴な意見だと思いますが、この点については、北橋議員、お願いいたします。
  29. 北橋健治

    北橋議員 この問題は、国籍にかかわらず、永住者として長く地域社会に暮らしておられる皆様を、私ども日本人と同じく住民として本当に迎え入れて、住民自治にかかわる参政権の一端を付与すべきだという問題でございます。帰化しなければ地方参政権を与える必要がないという立場は、私どもは到底理解できない立場でございます。  私ども在日外国人方々との共生というのは非常に大事なこれからの日本人全体にとってのテーマだと思っておりますけれども、事永住者の方の多くの割合でいらっしゃいます北朝鮮籍あるいは韓国籍方々との関係におきまして、第二次世界大戦当時に、日本の国策によって日本国民にされた、創氏改名ということがあった、そして、戦後、御本人たち意思を確かめることもなく、またもとの国籍に戻した、こういう過去の経緯を負っております。そして、過去これまで、日本国と最も近い国でありながら最も遠いような、そういった関係韓国との間にいろいろな問題がある中で、私たち地域社会が円滑に発展していくためにこの問題を議論しておるのでありまして、在日外国人方々アイデンティティーを否定しかねないようなそういう姿勢は、私ども大変残念なお立場だと考えております。  そして、この問題は、我が国社会民主主義の成熟度の問題でもありますし、我が国社会の内なる国際化を示すバロメーターともいうべきことだと考えております。
  30. 江田康幸

    江田委員 ありがとうございます。  私も、日本が世界から、とりわけアジア各国から信頼される真の国際国家になるためには、簡単に言えば、やはり外国人も気持ちよく住める国、平等に生きられる共生社会にならなければならないと考えております。この参政権を主張するというのはその一環であって、私は、帰化論というのは問題を非常に矮小化させているものだと考えますので、同意見でございます。  時間があと少しでございますが、もう少しさせていただきます。  納税義務参政権問題とは別の問題という主張がございます。国税、地方税を払うのは行政サービスを受けるための対価であって、参政権問題とは別の問題なんだという主張がございますが、この問題についてはいかがお考えか、中野議員、お願いいたします。
  31. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 お答えいたします。  私も別の問題だというふうに考えております。消費税も含めれば、日本に住む人はすべて納税をしていると思いますが、言うならば、納税していなければ選挙権がないとか、またはその逆を考えるとかというふうに結びつけて考えるのはいかがであろうか、このように考えます。  ただし、選挙権付与という提言もしくはそのような希望をされる方々が、日本国民と同じように義務を果たしております、よって、すべてとは言わないけれども地方自治体における権利をと言う、その同じように義務を果たしておりますという例えの中に、納税の義務も果たしておりますというふうにお使いになられることはたびたびあることでありまして、この納税の義務選挙権の必須条件だというふうには考えておりません。
  32. 江田康幸

    江田委員 私も、納税の義務を果たすというのは、その行政サービスを受けると同時に、その使い道、使途に注目して自分たち権利を行使するためでもあるということが重要だと思っております。特に、参政権というのは非常に大きなウエートを占める市民的権利の行使の手段でございまして、これを認めないというのは、これは論理に矛盾があると考えております。  時間がなくなってまいりましたので、私、最後にまとめさせていただきますが、今回の法案は、地方のことはその地域に住む住民が自主的、自律的に決定するのが好ましいこと、そして、成熟した民主主義国家として、地域に特段に密接な関係を持つに至ったと認められる外国人たる住民意思を、日常生活に密接な関係を有する地域公共的事務の処理の決定に反映すべきであること、特に、日本で生まれて育ち、そして生計を営まれて、そして骨をこの国に埋めていかれようとされている在日韓国人の方々など、特別な歴史的背景のある人々に対しては、その人たちが望むならば、限りなく日本国民に近い扱いがされてしかるべきであるという本法案の趣旨をよく理解しております。  そして、日本の国際化というのは、換言すれば、多民族、多文化共生の社会を築こうということであるかと思います。文化的に異なる、異質であることを認め合って、その上で共存する社会でございます。  永住外国人地域社会構成員として地方自治に参画することは、地域社会をそうした共存共生の社会に近づけることであります。永住外国人地方参政権を与えることは、積極的に地域社会に貢献し、彼らに勇気を与えることになると思います。外国人の人権を擁護して、かつ日本が開かれた国であることを世界に示すために、また歴史的沿革という観点からも、永住外国人への地方参政権付与は必要であり、今国会での法案の成立を私は強く望みます。  以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  33. 自見庄三郎

    ○自見委員長 阿久津幸彦君。
  34. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。  まず初めに私の持論を申しますと、私は、永住外国人地方参政権付与に賛成であります。それは、日本人外国人を問わず、自分の住んでいるコミュニティーを愛し、そのコミュニティーの発展に寄与している人々にとって、地方参政権の行使を通じてコミュニティーづくりに参加することは当然の権利であると考えるからであります。したがって、私は、今国会において本法案が速やかに成立することを願うものであります。  ところで、私は、地元で一般市民を対象にしたタウンミーティングという対話集会を行っております。タウンミーティングとは、政治家と市民が同じ目線で政治についてざっくばらんに語り合う会合でございます。今回の質問に先立ち、タウンミーティングに集まった市民の方々法案の賛否に関して意見を聞いてみました。その結果は、ほぼ二対一の割合で賛成意見が多数派を占めていたものの、国政とのかかわりなどに関して疑問や不安を表明された方も少なからずいらっしゃいました。本法案国民の十分な理解を得るには、そうした懸念に対して丹念に答えていくことが必要であると感じました。  そこで、まず、先日行われた私のタウンミーティングで市民の方々から寄せられたさまざまな意見、疑問を中心に、本法案の性格について何点か確認をさせていただきたいと思います。  まず初めに、永住資格について政府参考人の方にお伺いをしたいと思います。  といいますのは、今回の法案では、永住権付与イコール選挙権付与という形になっております。すなわち、永住権がどのように付与されているかによってこの法案が大きく左右される形になると思うんです。  そこで、政府参考人の方にお伺いをしたいと思います。永住権付与の条件は何でしょうか。
  35. 町田幸雄

    町田政府参考人 私ども永住者の中に一般永住者特別永住者がいると考えておりますが、お尋ねは恐らく一般永住者のことを聞かれていると思いますので、それについてお答えします。  入管法二十二条に規定されておりますが、一つは、「素行が善良であること」、それから二つ目は、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」というのが法律上定められた要件でありまして、その上に、かつ法務大臣がそれらの者の永住が日本国の利益に合すると認められることが必要とされています。  ただ、日本人及び永住者の配偶者または子については、上記の、「素行が善良であること」及び「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」の要件に適合することを要することはない、そういうぐあいになっております。
  36. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 素行が善良であるというのは、具体的に何か取り決めは、その細かい部分はあるんでしょうか。
  37. 町田幸雄

    町田政府参考人 普通の人、そういう意味でございまして、特に犯罪等があるとまずい、そういうことでございます。
  38. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 それでは、資産または技能を有するということなんですけれども、例えば、資産がどのぐらいあったらとか、手に職という技能の部分で、何か特別な具体的なものがあればお答えいただきたいと思います。
  39. 町田幸雄

    町田政府参考人 この趣旨は、日常生活において公共の負担となっておらず、かつその有する資産または技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること、そういうことを指して言っております。資産をいっぱい持っている、そういうことを要求しているわけではございません。
  40. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 日本国の利益に合するというのは、何となくわかる感じもするんですけれども、これは、特に日本国に対して危害を加えなければ問題はないというような意味なんでしょうか。それとも、もう少し積極的な意味があるんでしょうか。
  41. 町田幸雄

    町田政府参考人 ほぼ御質問の趣旨で、言われたとおりでよろしいかと思っております。
  42. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 要するに、私のちょっと持った印象なんですけれども、運用によって、この永住権付与の条件というのは幅があるのかなというふうに思うんです。  そこで、少し伺いたいんですが、永住権制度の運用の実態はどうなっているのか。特に、付与条件の中には在留期間が入っておりませんが、どうなっているんでしょうか。
  43. 町田幸雄

    町田政府参考人 先ほどの御質問とも関連するわけですが、先ほど申しましたような要件を満たしているかどうかを判断するためには、一定の時間をかけて見る必要がある。そういうことも考慮いたしまして、実務上、引き続き十年以上本邦に在留していること、それから二番目は、日本人永住者または特別永住者の配偶者については、婚姻後引き続き三年以上、それらの子については引き続き一年以上、それぞれ本邦に在留していること、三番目に、難民認定を受けている者は、引き続き五年以上本邦に在留していることを許可の目安としております。
  44. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 帰化要件が在留期間五年であるのに対して、なぜ永住権要件が十年なんでしょうか。  私が調べた限りの諸外国の例と比較しますと、例えば、フィンランドなどは永住権二年に対して帰化要件が五年、スウェーデンが一年に対して同五年、デンマークが二年に対して七年、ノルウェー三年に対して七年、こういったぐあいで、永住権要件帰化要件が同じ国もオランダのようにあるんですけれども、ほとんどは帰化要件の方が長くなっているんですね。それで、帰化要件が在留期間五年であるのに対して永住権要件が十年というのは、本来は五年に合わせて改めるべきではないかというふうに私は考えているんですが、いかがでしょうか。
  45. 町田幸雄

    町田政府参考人 私どもとしては、永住というのは、在留活動というんでしょうか、活動の制限もありませんし、期間の制限もなく我が国に在留できるということになるわけですから、それなりに時間をかけて見るべきだという考えで、十年ということを一般の目安にしているわけでありまして、帰化の方はまた別途の考えでやっているものと推測しております。
  46. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 日本だけがかなり特殊な形に帰化要件永住権要件がなっておりますので、ぜひここのところは将来改めていただくよう御検討をいただきたいというふうに考えております。そして、門戸をもっともっと広く開放する形に持っていきたいというふうに考えております。  それで、もう一つお伺いしたいのですが、外国人にとって永住権取得のメリットは何でしょうか。
  47. 町田幸雄

    町田政府参考人 永住いたしますと、先ほどもちょっとお答えしてしまったわけですが、外国人の場合、在留資格というのと在留期間ということで管理するという形になっているわけですが、在留資格で、国内でできる活動に制限があるわけですが、それがなくなるということと、それから、在留期間、それがまたなくなる。だから、一々入管局等へ行って在留期間の更新等をしないで済む、そういうことが一番大きなメリットであろうと思います。
  48. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 法律的にはもちろんそういうことだと思うのですが、私は、やはり永住権取得すると、日本への愛情、愛着というのでしょうか、愛国心がはぐくまれていく一つのきっかけになるのだと思うのです。もちろん、その部分で責任というものも育っていくと思うのです。ぜひ、ここの部分をお考えいただきまして、永住権取得にできるだけ適切な運用をお願いしたいというふうに思っているのです。  ここから先はなかなか答えにくい問題かもしれないのですが、本法案が仮に成立した場合、永住権付与審査に影響が及ぶことがあり得るとお考えでしょうか。例えば、外国人がふえ過ぎたら厳しくなったり、あるいは少なければ比較的寛大になったり、ちょっとその辺について、御感想程度で結構なんですが。
  49. 町田幸雄

    町田政府参考人 公式的な話としては、私ども、仮定のことでありますので、ちょっとお答えしづらいところでございます。
  50. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 なかなか答えにくいと思うのですが、私は、この永住資格の運用の仕方が、この法案について非常に大きな影響を与えると思っております。  将来、特別永住者はいろいろな調査でも減るというふうに言われております。だんだん一般永住者の方がふえていく、相対的にふえていくという形になると思うのですけれども、そんな中で、特に一般永住者に向けての永住資格の運用について、もちろん今までも正確にやってこられたと思うのですけれども、運用の幅があるだけに、厳正な、そして寛大な、公正な運用をぜひお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。  参考人の方、結構です。どうもありがとうございました。  続きまして、今度は提案者方々にお伺いをしたいと思うのですが、時間の関係で、一問にどなたか代表の方にお答えいただければというふうに思っております。  私のタウンミーティングでよく問題になったのが、実は国政との関係について、あるいは被選挙権についてということが結構取り上げられました。  そこで、幾つかお伺いしたいと思います。  まず被選挙権についてなんですけれども、私は個人的に参政権選挙権被選挙権一体不可分なものと考えておりますが、年齢による経験上の違いを持たせること以外に、何か分割できる明白な理由というのはあるのでしょうか。
  51. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 お答えいたします。  これも立法上区別して規定できるものだと考えております。  今御指摘のありました年齢のこともございますが、同時に、被選挙権、すなわち知事や市町村長は、その県や市町村に住んでいない人も立候補し、就任することができますが、投票権は、その県や町に住んでいなければ投票はできません。すなわち、選挙権被選挙権をそのような形で区別をしているという一例として申し上げたいと思います。
  52. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私は、本来、被選挙権付与すべきであるというふうに考えているのですけれども、いかがでしょうか。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  53. 北橋健治

    北橋議員 私ども法案には被選挙権は含まれておりませんが、しかし、だからといってこれは、地方選挙において被選挙権を認めることが憲法違反だという考え方ではございません。  ただ、これは、二年前に金大中大統領が来日されましたときに、その直前だったと思いますが、超党派で、民主党、平和・改革の皆様で提案をしてから二年経過いたしておりますし、この間、与党の首脳陣が韓国政府の首脳に対しても、今国会で成立を期したいとか言っているわけですね。自自公三党合意で、国会で法制化を図るとはっきりと書かれているわけです。これは国民に対するお約束。ということは、外国の皆様にとりましても当然お約束ととるでしょう。そのまま二年間、ほとんどたなざらしにされてきた。ようやく本格的な審議、採決に至る過程に入っているわけでございまして、そういう中にありまして、私どもとしてはまず成立を期すということが大事なことだ。そういった意味から見まして、現実問題、この国会での成立を期すという見地から、そしてまた、国民世論のコンセンサスの状況を見ましても、まだ被選挙権までは十分には形成されているとは言いがたいのではないかとも考えました。  ただ、この法案が成立いたしますと、今後、国民の皆様の中にも、外国人との共生、地域社会民主主義の成熟、あるいは国際化を前進させるという見地から、国民世論の意識の高まりというものを私ども期待をしておりまして、その時点で国会判断をしていくものだと考えております。
  54. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 どうも本当に丁寧な御答弁、ありがとうございました。  今の答弁の中でも十分にわかったのですけれども、実は、私のシンポジウムで、いろいろな方々から、市民から意見を聞いたときに、割と被選挙権についてはまだ抵抗感がある感じがいたしました。ですから、提案者方々がこれまで積み上げてきて、非常に御苦労の中で提案されているこの法案は、かなり現実的な面も配慮された法案なのかなというふうに感想を持っております。  それで、もう一つ国政との関係というか、国政への参政権付与の問題なんですけれども、実は、かなりこの永住外国人地方参政権について知識がある方でも、誤解なのかどうかちょっと私にもわからないのですけれども国政への参政権議論がごっちゃになってしまう。先ほどもちょっとあったような気がするのですけれども、そこの部分が多々見受けられます。  それで、国政への参政権付与考えているのか、改めてになってしまいますし、保守党の方も退席されてしまったのですが、各党の代表者の方に、一言で結構です、お伺いしたいと思います。
  55. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私どもは、国政に関する参政権、すなわち被選挙権選挙権外国人には与えることができない、憲法上もそのように考えております。
  56. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 お答えいたします。  それこそ憲法を改正して二重国籍制度でも認めるという時代になれば別でありますが、現在の日本憲法のもとで、国政レベルにおける選挙権ということは全く考えられませんし、同時にまた、地方参政権を要望されている皆さんもそのことを要望されているわけではありません。
  57. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私は、この法案の中で国政への参政権付与を明白に否定し過ぎてしまうと、将来、例えば五十年後とか百年後に世界がどういうふうに変わっているのかわからないので、そこまではすべきでないと考えているんですけれども、この法案国政への参政権付与意味していないという明確な御答弁をいただきましたので大変満足しております。意外にこの部分が誤解をされているなという感想を持っております。  国政への参政権付与する法案ではないということ、それから、地方参政権の中で選挙権付与するものであり、被選挙権についてはこの法案では付与しないということ、それから、先ほどちょっと議論があった有資格者のうち申請された方々にのみ付与するものであるということ、この三点をぜひ国民皆様方に御理解いただきたい、また私どももPRしていきたいというふうに考えております。  続きまして、提案者方々に国際化における本法案の意義についてお伺いをしたいと思います。  本法案の成立は日本の国際化へ向けて大きな一歩を踏み出すものであります。本法案は単に日韓、日朝関係の観点からのみとらえてはならないと考えております。そこでお伺いをしたいのですが、本法案日本の国際化にとっていかなる意味を持っているか、御意見を伺わせていただきたいと思います。
  58. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私は、日本の国が開かれた国であるということを世界に喧伝できる絶好の機会だと思っております。  外国の元首ではありますけれども、金大中大統領が我が国国会で、平成十年九月、感銘深い演説をされました。そのくだりの中で、私は在日同胞六十数万の人々のことを考えないわけにはいきません、もしこの人たちに地方選挙権が獲得されるとするならば、その人たちが喜び、また韓国にいる国民も喜び、また世界もそのような開かれた日本の国の政策を賛嘆するでありましょう、このような感銘深い演説をされたことを想起するわけでございますけれども、私は、そのような意味で世界は評価するであろう、このように思っております。
  59. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私は、この法案特別永住者だけではなくて一般永住者を含めている点、これが非常に先進的で画期的なことであり、大きな意義があることだというふうに考えているんですけれども、一般永住者を含めている点について私が先進的、意義があるというふうに考えているということで、昨日も何度か御答弁いただいているんですが、それに対する確認をまずしたいと思います。
  60. 冬柴鐵三

    冬柴議員 そのような評価をいただければ非常にありがたいわけでございますけれども、私も同感でございます。  日本には今百数十万人の、すなわち日本の人口の一%を超える外国籍人々が居住をしていらっしゃいます。しかし、その中には、特別永住者のように、何代にもわたって日本で生まれ、日本で育ち、そして日本で結婚し、子をもうけ、そして営業し、そして骨を埋めていった人々、今四世が二万人を超える人々がいられます。こういうような一群の、我々と全く生活実態において変わらない、ただ外国籍にあるという人々と、たまたま日本に数日間観光で訪れる外国人、そのような人たちもいられるわけで、そこには濃淡があります。  しかし、地域のことはそこに住む住民意思でというためには、やはりお住まいになっている地方公共団体との間で格別な、緊密な関係が生じていると認められるような人々に対して与えるべきであると私は思います。先ほどの入管局長の答弁にもありましたように、一般永住の方も、配偶者をこの国の人に求め、あるいは十年以上もこの国に住まわっていられる方々に与えるわけで、その人たちは生涯をこの国で過ごしていかれることが期待される人たちであります。したがいまして、この人たちにも我々は区別をすることなく選挙権を与えるべきである、このように考えている次第でございます。
  61. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 せっかくの御指摘でありますから、一言お答えいたします。  当初は、特別永住者から先行させたいねという心情があったことは事実です。歴史的な経緯がありますので、特別永住者皆さんへの配慮というのは、敬意を表するといいますか、そういうことは必要ではないかと思いましたが、特別永住者皆さんも、やはりこれは、後ろ向き、または贖罪ということではなくて、本当の日本の国際化、民主主義のバロメーターとしての前向きの姿勢で、一般永住者とともに取得したいというお気持ちも披瀝をされましたことをこの際付言させていただきたいと思います。
  62. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 どうもありがとうございます。  私は、この法案の柱の一つは、特別永住者だけではなくて一般永住者にも機会を与えたというところだと思うんですね。そこで、ちょっと不安な点があるので、大変申しわけないんですけれども冬柴議員の方にお伺いしたいと思います。  といいますのは、きのうの答弁の中で、産経新聞で「公明、修正に含み」という記事が出ております。これは読めば逆にわかるんですけれども、ちょっとそこを読ませていただきますと、「公明党の冬柴鐵三幹事長は、自民党の一部で浮上している地方参政権付与対象を在日韓国人ら「特別永住者」に限定する案について「生涯をこの国で終わろうという人を特別永住者、一般永住者に区別するのはいかがなものか」と否定的見解を示した。ただ、「委員会で合意が得られるなら固執しない」とも述べ、修正に応じる可能性には含みを残した。」というふうに書かれているんです。  そこで、改めての質問になるんですが、特別永住者に限り選挙権付与するという意見がありますが、どうお考えでしょうか。
  63. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私は、そのような考えをとらない立場でございまして、平成六年以降今日まで、この法案を起草する作業の中におきましても一貫して、特別永住と一般永住の方々に対し、しかし強制してはいけない、求める人だけに対してということで申請主義を考えたわけでございまして、韓国の方であってもこれを取得するのは必要ないというふうに思われる方に対しても与える必要はないし、与えるべきではないし、また北の方々でいろいろと、団体としては反対しているけれども私はこれを取得して日本の町づくりに参加したいというふうな意思を持つ方には径庭なく与えるべきである、こういうふうに考えてまいりました。  したがって、私は国会の論議の中を尊重すると言っておるわけでありまして、そのような角度で書かれることについては私の真意は伝わっていないというふうに思いますので、よろしくお願いします。
  64. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 どうもありがとうございます。ほっといたしました。私は、一般永住者を含めている点がこの法案の命の一つだと思っております。ぜひ一緒に頑張らせていただきたいと思っております。  最後にもう一問だけお伺いいたします。  現在多数の自治体が本法案の成立を待望しておりますが、自治体永住外国人参加を求める背景は何でしょうか。できれば具体的な例を挙げながら、簡単で結構なので、お答えをいただければと思います。
  65. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 お答えをいたします。  地方自治体の中で、とりわけ地方議会がこの推進についての意見書決議をしていただいているということだと思います。また、首長の皆さんも積極的に賛成される方が多いと考えておりますが、地方住民の一員として、諸行政について、環境であるとか住宅であるとか、また民生、福祉であるとか、やはりともに参加をし、そしてともに議論をする、そういう共生の意識を持った方が地方行政も進めやすい、また、より充実するという見識をお持ちのところは、今御指摘のありましたような積極性をお持ちだと思っております。  また、現実に、学校のPTA会長であるとか自治会の会長であるとか、そういう世話役を在日外国人皆さんがお務めであるという事例は枚挙にいとまがないわけでありまして、それらのことを考えますと、やはり地方参政権というのはその一つ意思をあらわす形として望ましいという御判断があるものと考えております。     〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ともに生きる、共生という言葉を使って御説明をいただきまして、本当にありがとうございました。  私が本法案を支持するのは、単にそれが永住外国人のためだからというのではなく、永住外国人参加日本人にとっても大きな意味があると考えるからであります。日本が開かれた社会をつくっていく上で多様な物の見方や価値観を受け入れていくことは、必ず我々にとってもプラスになると私は信じております。  また、実際のところ、時代はもはや、日本国内の居住者を日本人とか外人とか、この二つに分け、後者を排除していれば済むといったものではございません。既に地域レベルでは日本の国際化が始まっています。たとえ国籍の異なる者同士であっても、協力して地域社会をつくっていくことができる。多くの自治体において、そのような外国人日本人との共生を模索する試みが既に進んでおります。  これに対して、国政を預かる私たちの方がむしろおくれているのではないでしょうか。二十一世紀が多様な価値観を持った人々共生社会であるとはだれしもが口にすることです。しかし、参加を保障する仕組みがなければ、共生社会といってもお題目にすぎないと私は考えます。参加なくして共生なし、そのことを最後に訴えて、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  67. 自見庄三郎

    ○自見委員長 塩田晋君。
  68. 塩田晋

    ○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。  昨日の委員会で、私は、現在提案されております法案を呼ぶのに、野党案、与党案というふうに申し上げたわけでございますが、いろいろ検討しておりますと、現在の政権をつくっておられる与党、中でも自民党さんは加わっておられなかった。また、野党におきましても、自由党、我々の党は、呼びかけもなかったし、参加はしていない。共産党さんもまた別の観点で加わっておられない。こういう状況でございますので、よくよく内容を見ますと、両案ともに、表題から一言一句全くたがわない、マル、ポツまで一致しておるということがわかりました。不思議なことも起こるものだなと、これは非常に驚きでございまして、お互い相談されたならよくわかるけれども、たまたま全く同じになったというのは不思議なことだと思います。それはそれとしまして、この法案については、この場では本法案というふうに呼ばせていただきたいと思います。  そこで、この法案我が国の国の基本にかかわる問題である、国民主権にもかかわる問題である、このように思いますので、私は、憲法上の問題としてこれをどのようにとらえておられるかということをお聞きしたいわけでございます。  この問題は、それぞれいろいろな議論が行われておりますし、また、先ほど来出ておりますように、国民の間でも必ずしも十分正確には理解していないという面もあろうかと思いますので、何としても、国の重大問題でありますので、これはその点を明らかにして、国民だれもが理解をした上でやはり判断をすべき問題だと思いますので、その観点に立ってお伺いしたいと思います。  憲法第十五条の第一項にございます「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」ここにございます「国民固有」という「国民」と、憲法九十三条の第二項にございます「地方公共団体の長、その議会議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体住民が、直接これを選挙する。」十五条と九十三条、この憲法の規定、特に「国民」と「住民」という関係におきましてこの法案はどのように割り切っておられますかをお聞きいたします。それぞれの党でお願いいたします。
  69. 冬柴鐵三

    冬柴議員 ともに日本国民を指しております。
  70. 北橋健治

    北橋議員 お答えいたします。  今回の法案が九十三条第二項の定めによるものとのお考えかもしれませんが、私ども、九十三条二項の「住民」には永住外国人が含まれているとは考えておりません。私ども、この法案で地方選挙権を認めようとするのは、本条によるものではなくて、法律上立法政策にゆだねられることとして、ここで議決をして定めようと考えている権利でございます。  十五条一項につきまして、「国民」というものをどう考えるかでありますが、国民だけが持っている国民に特有の権利という御理解をされる方がいらっしゃいますけれども、私どもはそもそもそのように考えておりません。国民が当然に持っている権利だというふうに理解をいたしております。  したがいまして、昨日の答弁でもお答えしておりますので割愛をさせていただいておりますが、法律上与えられた権利として地方選挙権付与することは本条に反しているものとは私ども考えておりません。
  71. 塩田晋

    ○塩田委員 第十五条で、「公務員を選定し、及びこれを罷免する」、この「公務員」という場合は、国家公務員も地方公務員も含まれておりますか。お伺いいたします。
  72. 冬柴鐵三

    冬柴議員 両者を含んでおります。
  73. 塩田晋

    ○塩田委員 民主党さんもよろしいですね。  憲法第九十三条の「住民」、これは日本国民たる住民、こう言われましたね。その日本国民たる住民、すなわち国民ですね、国民が直接これを選挙するということについては本法はどう割り切っておられますか。
  74. 冬柴鐵三

    冬柴議員 そういうことを前提といたしまして、その日本国民たる住民生活実態において径庭のない外国人、そういう人たちもこれに加えようと、立法政策上この国会法律を定めようとしているわけでございます。法律によって選挙権付与しようとしているわけでございます。  その理由は、九十三条二項を含む「地方自治」というところ全体を見ていただいたらわかりますけれども、ここには住民自治思想、これは民主主義からくるわけでございますが、あるいは地方分権の要請からくる団体自治というものがそこに盛り込まれておりまして、解釈上は、九十二条にある地方自治の本旨に基づきという部分をそのように学者は理解をしているわけでございます。  私どもは、そのような住民自治を認めた憲法の中において、国会提出する法律において、生活実態において変わらない、特定の地方公共団体と特段に緊密な関係を有すると認められる外国人に対して、その地方公共団体の処理する公共的事務についてその意思を反映させる方がいいだろう、こういう配慮に基づいて今回この法律提出しているわけでございまして、憲法上、外国人に対して定住者であろうとなかろうと参政権を与えているという考え方は持っておりません。
  75. 塩田晋

    ○塩田委員 今御答弁ございました、国民たる住民国民の固有の権利という観点、そして十五条は、国家公務員、地方公務員あわせての公務員だということでございますから、日本国民でない日本国内に在住する住民、住人ですね、この人たちに、憲法第九十二条によって地方自治の本旨に基づいて法律で定めればいいんだ、組織及び運営に関する事項については法律で定めることができるわけですから、その線でやるんだということでございますが、冬柴先生も御存じのとおり、憲法は、非常に早急にというか短期間ででき上がったものですから、十分検討もされていない、特に当時はGHQという存在があったものですから、整っていない面があると思うんですね。「日本国民」あるいは「国民」そして「何人」、特に人権にかかわるところだけ「何人」になっていますね。  そして、この九十三条の二項の「住民」というのは、これは参考まででございますけれども憲法の素案、そのまたもとになったと言われるマッカーサー、GHQの草案ですね、この中には人ということが一つも出てこないわけですね。国民という場合はジャパニーズピープルだとか、何人という場合はパーソンと表現していますね。そして、九十三条の場合は人という概念が出てきていないんです。あるのは、ダイレクト・ポピュラー・ボート、こういう表現だけなんですね。これは参考までに申し上げているんで、これがこうだからどうということはないですけれども、その辺、なぜ「住民」と書いて「何人も」という表現がなかったのでしょうか。
  76. 冬柴鐵三

    冬柴議員 第三章、国民権利義務のところには、「日本国民」とか「国民」とか「何人も」とか、あるいは何も主語を書かずに規定しているところもございます。しかしそれは、物の性質上、日本人には当然適用されるけれども、その性質上外国人にも適用すべきものについてはその表記にかかわらずこれを適用するというのが判例の立場であり、学説の大宗の流れもそうだと私は理解をいたしております。
  77. 塩田晋

    ○塩田委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、まだまだたくさん、議論すべき、また明らかにしたい点がございますので、判決問題も含めまして、後ほどまた機会を与えていただきたいと思います。  終わります。
  78. 自見庄三郎

    ○自見委員長 大幡基夫君。
  79. 大幡基夫

    ○大幡委員 日本共産党の大幡基夫です。  私は、永住外国人地方参政権の制定は、いわば憲法に対しての国会と政党の責任、態度が鋭く問われていると考えます。  私は大阪に生まれ、育ちました。大阪には十六万人もの永住外国人がおられます。これらの人は、生活基盤もある、納税義務も果たしています。地方参政権を与えるのは当然だということで、大阪には四十五の地方自治体がありますが、そのすべてで地方参政権を求める意見書を採択しています。大阪府、大阪市も、自民党は反対しましたが、他のすべての政党の賛成で可決されています。  一部に、憲法十五条が公務員の選定と罷免を国民固有の権利と定めていることから、外国人参政権を認めることは憲法に反するとの意見があります。しかし、そうではないと思うんです。憲法国民固有の権利とは、国民だけが有する権利意味するのではなくて、国民から奪ってはならない権利、つまり権利の不可侵性を言っているとの解釈が当然だと思うんです。  また、憲法九十三条の第二項は、地方公共団体の長、その議会議員は、その地方公共団体住民が直接これを選挙する、こう述べて、地方政治の担い手を住民と呼んでいます。永住外国人住民であることは明らかです。私は、ここによりはっきりと、地方参政権がだれに保障されるべきかの憲法考え方が示されていると考えます。この憲法解釈があるからこそ、最高裁判決でも、立法上、政策上の問題だと認定している。  私は、憲法永住外国人地方参政権問題をこのように考えますが、この考えに対しての両提案者の御意見をお聞かせください。
  80. 冬柴鐵三

    冬柴議員 参政権国家存在前提といたしております。では、国家とは何か。国家は、領土、領空、領海、すなわち領域の存在と、そこに住む国民存在と、そしてそれを統治する統治の機構、この三要素があると言われております。国民主権の立場日本国憲法第一条では「主権の存する日本国民の総意に基く。」と天皇の地位を定めておりますが、主権者は国民であるということが書かれております。したがいまして、国民が主権者である、統治機構の源泉、権力の源泉は国民にある、こういうふうに認めているわけでございます。  私は、そのような観点から十五条を見たときに、その訳文は、英文はまさに、質問者がおっしゃったとおりの、譲り渡すことのできない権利、そのように書かれております。したがいまして、日本国民だけに認められたというふうな読み方ではないというふうには思いますけれども、しかし、今るる述べた背景から見ても、公務員を選定し及び罷免することは国民固有の権利と言うときの国民、これはやはり日本国民だけであって、外国人を交えることができないものである、このように思いますし、九十三条二項の「住民」というのも、そのように見たときに、いわゆる地方公共団体の長及びその議会議員というのは統治機構の中の一環でありまして、地方公務員も十五条がかぶってくるわけでございまして、私は全体と部分という観点で十五条と九十三条二項の「住民」を読んでおります。したがいまして、これは日本国民を指している、外国人を入れる余地はないというふうに思います。  しかし、立法政策上、今こういうふうにすることは許されている、憲法上それは排除していないという解釈のもとに本法案を提案しているわけでございます。
  81. 北橋健治

    北橋議員 十五条の関連でいえば、先ほど冬柴議員お答えになりましたけれども、私ども、二年前に共同で立案をして提出した経過がございまして、基本的に同じでございます。九十三条二項の「住民」のところが御党と若干見解を異にするんだと思いますが、最高裁平成七年の判決を見ましても、九十三条二項に言う「住民」の中に永住外国人が含まれているとは私ども考えておりません。  ではなぜできるのかというなれば、立法政策上の判断にゆだねるということでございますので、本条によるものではなくて、立法政策上与えられる権利だと理解をいたしております。
  82. 大幡基夫

    ○大幡委員 憲法とこの地方参政権の問題についてもさらに深めていきたいと思うんです。  続いて、二つのことをお聞きしたいんです。  一つは、この法案を今国会で成立させて二十一世紀を迎えることは日本民主主義にとって極めて重要だということであります。  外国人、異文化との共生という問題で、日本の状況は大変おくれています。東京都の知事の三国人発言もありました。外国人を犯罪者のように扱う指紋押捺制度が廃止をされたのはようやく昨年です。自民党の中には、外国人参政権を与えることは国益に反する、こう公言する人もいます。人権の保障という観点から見ても、こうした状況を変えることが必要だと考えます。つまり、外国人参政権保障は、外国人の問題であるだけでなく、日本人日本社会にとっての問題でもある。  九八年に韓国の金大中大統領が、訪日の際の国会演説で、二十一世紀の新しい日韓関係についてこう言われました。「過去を直視するということは、歴史的事実をありのままに確認することであり、未来を志向するということは、確認した史実から教訓を得て、よりよい明日を模索するという意味であります。」深い感銘を呼びました。つまり、地方参政権の問題は、過去の日本の植民地支配に端を発した問題です。  同時に、今我々に求められていることは、これを未来に向かって日本外国人に対しての排他的な構造を打ち破る契機にする、二十一世紀日本社会が国際社会との共生、相互理解の中で民主主義的に前進する契機にすることではないかと考えます。ここに、この外国人参政権の問題が、我が国民主主義の成熟度をはかる上での重要な意義がある、これが一つです。  もう一つは、この問題での国民的合意が既に形成されていることです。一九九三年の大阪岸和田市に始まり、意見書を採択した自治体国民の七四%もの人たちが住んでいます。  日本共産党は、被選挙権を含めて付与すべきだと考えていますが、少なくとも投票権を付与するという点では各党が一致できる状況になっていると思うんです。  問題は自民党です。昨年三月、当時の小渕首相が韓国で、金大中大統領との会談後の会見で、「定住外国人地方参政権問題については、韓国側の関心の大きさは十分理解する。自民党で検討しているが、一歩突っ込んだ形で真剣に検討したい。」こう述べました。この言明から既に一年半もたっています。にもかかわらずに、いまだに自民党は態度を明確にできないでいる。ここに問題が決着しない最大の原因があると思うんですが、この点についての両提案者考えをお聞きしたいと思います。
  83. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 この法案は、決して日本の国の主権を侵すものではありませんし、国会でのみ決めることができる法律に従って地方の行政が進められ、また条例が決められるということでありますから、国の主権を侵すものではない。安全保障上の問題も、決して、その根幹を揺るがすような役割を地方自治体が担っている、また地方がその事務を担っているということもありません。  そういう意味で、我々は、慎重な議論をと言われる自民党の議員皆さんのお考えというのは、実はいつまでやればいいんだろうかという疑問を持ち、また、今御指摘の件については全く同感であります。自民党の議員皆さんから、慎重な審議をとか、拙速を避けるべしとかと言われますと、我々が提案して、二年間は一体何だったんだ、その間に、その審議入りを阻止し、妨害をされたのはむしろ自民党の皆さんだったのではないのか、今ごろ真剣な論議をと言うならば、その二年間を無にしないでいただきたかった、こう思う次第であります。  むしろ、他の法案のときに、重要な法案で、絶対に審議の時間が必要だということをたびたび野党の議員が主張したときに、それを無視して強行審議、強行採決をされたケースの方が多かったのではないかというふうにも思うわけであります。  きょうも、残念ながら、熱心な議員皆さんはここに御出席ですが、自民党の議席の空白が大変目立つこともその熱意の度合いをあらわしているような気がしてなりません。  私どもは、御指摘のように、きのうきょうと充実した議論が行われていると思いますが、この国会においてぜひこの重要な法案が成立を見ることができますように、ともに頑張ってまいりたいと思います。
  84. 大幡基夫

    ○大幡委員 時間が過ぎましたので、日本共産党がこの法案を今国会で成立させるために全力を尽くす決意を表明して、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  85. 自見庄三郎

    ○自見委員長 今川正美君。
  86. 今川正美

    ○今川委員 私は社会民主党・市民連合の今川正美であります。  時間が非常に限られておりますので、両提案者に対しまして三点ほどお伺いをしたいと思います。  私も佐世保に住んでおりますので、特に在日方々とは随分長い間親しくおつき合いをさせていただいております。そういった意味で、随分以前からこうした地域社会での参政権の問題に関しても御意見を伺う機会が多かったわけでありますが、幸いにして、今回は全く同一の法案が出ておりますので、私は基本的に賛成をする立場でお伺いをしたいと思います。  特に、在日外国人社会的あるいは政治権利を認め、同時に、どういう義務を課すかということは、その社会の成熟度合いをはかる一つのバロメーターであろうとも思うわけですね。そういった意味で、在日外国人の市民的権利を認めていくということは、これから日本が二十一世紀に向かうに当たって、やはり本当の意味での国際協調、あるいはお互いの立場を理解し合う、そういう意味でもこの法案は非常に大切なものだというふうに思うわけであります。  さて、お聞きしますけれども、両提案者におかれては、この永住外国人に地方選挙権付与することによって、日本にとってどのようなプラス面があるのかということをお伺いしたいと思います。
  87. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私は、成熟度というふうに言われましたけれども、全く同感であります。このような多様ないろいろな考え方というものが地方自治の事務の執行の中に生かされるということはすばらしいことであります。そういうことで、地方自治がより充実したものになっていくためにも、そのようないろいろな考え方が披瀝されることが非常に必要だということが一つでございます。  それからもう一つは、何かこれは永住外国人のために付与するという形の題目になっていますけれども、私は、日本国民そのものの問題、我々の問題だというふうに思っています。私どもが世界に開かれた人道国家として二十一世紀を生きていくためにもこのような法律はぜひ必要だろう、このように思っているわけでございまして、どういうプラスがあるかと言われれば、私はそのように思っております。
  88. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 日本の国が人権大国として国際社会に評価をされることは最大の国益一つだというふうに思っております。同時にまた、在日皆さんが、地方自治において、日本人と同じように権利義務を享有し、共生をするということの中にあって、在日皆さん日本社会に対する貢献の意識もまたそれだけ大きくなるというふうに考えておりまして、これもまた当然の大きなメリットであるというふうに考えている次第でございます。
  89. 今川正美

    ○今川委員 今のお二人の御答弁と私も全く同感であります。  二点目に、実は、今回の法案にはいわゆる被選挙権が含まれておりません。その理由を簡単にお聞きしたいのと、それから、国政参政権付与については、今後を含めましてどのような基本的なお考えがあるのかをお伺いしたいと思うんです。
  90. 冬柴鐵三

    冬柴議員 理論的に、地方における被選挙権永住外国人等に認めることはできないとは考えておりません。しかしながら、今この選挙権付与することだけでもこのように大変に難しいわけでございまして、国民のコンセンサスを得つつ、これは、将来の国民が、このような法律が施行された後に在日方々とともに考えていく問題であろうというふうに思っております。  なお、国政レベルの選挙におきましては、選挙権被選挙権とも、永住者といえども外国人には付与することはできないというふうに考えております。理論的に考えておりますので、将来ともにそのようなアクションもとることができないと思っています。
  91. 北橋健治

    北橋議員 国政につきましては、日本国憲法が容認をしていないと理解をいたしておりますし、国際社会におきましても、その事例は少ないものと理解をしております。  被選挙権につきましては、憲法が否定をしているものとは考えておりませんけれども冬柴議員お答えになりましたように、現実問題として、国会での合意を形成していく、そしてまた国民世論の今後の成熟の度合いを見ながらということで、今回は盛り込まなかったところであります。
  92. 今川正美

    ○今川委員 いま一つ、実は、ここ数年来、朝鮮半島で何か少し緊迫したりするたびに、特に在日朝鮮人に対して、いろいろな嫌がらせだとか、あるいは暴力行為だとか、あるときには事務所が破壊されるとか、あってはならない事件がたびたび起こってまいりました。私が住む佐世保でもそうなんですが、いわゆるそういう在日方々に対するいろいろな意味での差別行為、あるいは就職とか教育の機会などにおいても、まだまだ克服をしなければならない、改善をしなければならない課題も多いと思うんですね。  そうした在日方々の基本的な人権をどのようにきちんと守っていくのか。そして、やはりお互いに、地域社会で差別をすることなく、豊かに、心豊かに生活をするために、そういった生活環境を改善する立場でどのような具体的なことをお考えなのか、両提案者にお聞きをしたいと思います。
  93. 中野寛成

    ○中野(寛)議員 お答えをいたします。  昨日、衆議院では人権啓発教育法が通過をいたしました。参議院において早期の成立を期待いたしたいと思います。そのような啓発教育の問題というのが人権を考える上で大変重要であると思いますし、在日皆さんへの差別の問題も、当然のことながらその中に含まれているわけでありまして、そういう努力は必要だと思います。  同時に、しかし一方で、在日皆さんの権益だとか行政差別をなくすとかという、法的な制度や行政の実態で差別がないようにすることをまず先行させるという意味で、住宅や金融その他、地方自治体でやっておりますお年寄りの入浴券から乗り物の乗車券などに至りますまで、内国人待遇として同じようにやるということを今日までずっと積み重ねてきているわけでありますが、そのような努力の積み重ねが、ひいては国民住民皆さんの心の中から差別感を取り除くことにもつながっていくものだというふうに考えております。  行政サイドからと、そして国民の心の中からと、相まって差別の実態と意識をなくしていく努力が必要だと考えております。
  94. 冬柴鐵三

    冬柴議員 民主主義社会におきまして、いろいろな権利を守っていく、その根源的なものは何かと考えたときに、やはり選挙権に行き着くわけでございます。そういう意味で、本件提案は、今質問者がおっしゃるようないろいろな差別、そういうものをこの国の恥としてぬぐっていくためにも、民主主義社会において最も基本的な選挙権付与ということが根源的に大切だという思いでこの法案を提案しているわけでございます。
  95. 今川正美

    ○今川委員 もう時間が参ったようですが、最後に、先ほどのお二人の見識の高い御答弁に心から敬意を表しますとともに、もう二十一世紀まであとわずかであります。二十一世紀は、いわゆる人権と共生の世紀とも言われております。その人権そして共生という見地から考えますと、今提出されておりますこの法案は、まさしくそういった意味において大切な重要法案だと思います。  ある意味で、これから二十一世紀に向けて、とりわけアジアの国々から、日本がどのような姿をして歩んでいくのかということに物すごく関心も高いわけでありますから、この法案が今世紀中に速やかに成立することを心から願っております。そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  96. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次回は、来る二十二日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時七分散会