運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-10-25 第150回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十月二十五日(水曜日)     午後一時三分開議  出席委員    委員長 自見庄三郎君    理事 小林 興起君 理事 鈴木 宗男君    理事 西野あきら君 理事 細田 博之君    理事 長浜 博行君 理事 堀込 征雄君    理事 河上 覃雄君 理事 塩田  晋君       荒井 広幸君    岩崎 忠夫君       小坂 憲次君    桜田 義孝君       下村 博文君    高鳥  修君       高橋 一郎君    中馬 弘毅君       中谷  元君    中本 太衛君       根本  匠君    野田 聖子君       林  幹雄君    松宮  勲君       八代 英太君    阿久津幸彦君       加藤 公一君    鹿野 道彦君       鍵田 節哉君    玄葉光一郎君       今田 保典君    佐藤 観樹君       島   聡君    手塚 仁雄君       牧野 聖修君    松本  龍君       山花 郁夫君    遠藤 和良君       斉藤 鉄夫君    東  順治君       中井  洽君    木島日出夫君       児玉 健次君    今川 正美君       北川れん子君    近藤 基彦君       平井 卓也君    小池百合子君       西川太一郎君     …………………………………    参議院議員        魚住裕一郎君    参議院議員        須藤良太郎君    参議院議員        片山虎之助君    参議院議員        保坂 三蔵君    参議院議員        月原 茂皓君    自治政務次官       中谷  元君    自治政務次官       荒井 広幸君    政府参考人    (自治省行政局選挙部長) 片木  淳君    参考人    (参議院議員)      江田 五月君    参考人    (東洋大学教授)     加藤秀治郎君    参考人    (弁護士)        志田なや子君    参考人    (北京JAC事務局長)  永井よし子君    衆議院調査局第二特別調査    室長           牧之内隆久君     ————————————— 委員の異動 十月二十五日  辞任         補欠選任   高鳥  修君     中本 太衛君   林  幹雄君     根本  匠君   鹿野 道彦君     今田 保典君   玄葉光一郎君     佐藤 観樹君   久保 哲司君     斉藤 鉄夫君   平井 卓也君     近藤 基彦君   小池百合子君     西川太一郎君 同日  辞任         補欠選任   中本 太衛君     高鳥  修君   根本  匠君     林  幹雄君   今田 保典君     鹿野 道彦君   佐藤 観樹君     牧野 聖修君   斉藤 鉄夫君     東  順治君   近藤 基彦君     平井 卓也君   西川太一郎君     小池百合子君 同日  辞任         補欠選任   牧野 聖修君     玄葉光一郎君   東  順治君     久保 哲司君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案参議院提出参法第七号)     午後一時三分開議      ————◇—————
  2. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより会議を開きます。  参議院提出公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、参議院議員江田五月君、東洋大学教授加藤秀治郎君、弁護士志田なや子君、北京JAC事務局長永井よし子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会での審査に資するため、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。  次に、議事の順序でありますが、御意見は、江田参考人加藤参考人志田参考人永井参考人順序で、お一人十分程度に取りまとめて御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答えいただきたいと存じます。  念のため申し上げますが、発言する際には委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人委員に対して質疑することはできませんので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。  それでは、まず江田参考人にお願いいたします。
  3. 江田五月

    江田参考人 本日は、皆さんの審議の参考意見を聞かせろということでお招きをいただきまして、大変ありがとうございます。私も議会は二十一年過ぎたところですが、こういう経験は初めてでございまして、いささか緊張しておりますので、よろしくお願いいたします。  お礼は申し上げますが、どうも、新聞報道によると、きょうこの後にも採決があるとかいうことが出ております。私ども、皆さん質疑参考意見を申し上げに来たのでありまして、聞いたからあとは採決だというのでは、これは質疑形骸化してしまう。もしそんなことがあれば、これは私ども大変な屈辱でございまして、ひとつ冒頭、そういうことのないようにお願いをしておきたいと思います。  さて、私が参考人に選ばれた理由というのは、一つは、参議院議員として今回の与党暴挙を目の当たりにしたということ、また、ことしの二月二十五日の参議院選挙制度に関する各派協議会報告書など一連の経緯の説明役、それに加えて、恐らく、現在の国会議員で、あそこに八代英太さんがおられますが、私と八代さんは同じときに参議院全国区で当選をさせていただいたのですが、今、数少ない経験者ということも含まれているのではないかと思っております。  まず第一に申し上げたいのは、今回の与党暴挙、これは我が国憲政史上例のないものであって、ついに、我が国参議院で初めて、議長国会不正常の責任をとって辞任するという事態を招いてしまっております。  言うまでもなく、民主主義というのは、民意が国の行方を決めていく、主権者である国民がみずからの運命を自分で決める。ただ、そうはいっても、制度化されていないとそのことができませんので、選挙制度ということでこれを制度化する、これが選挙制度というものでございます。  多数が自分たち都合のいいように多数の力で選挙制度を変える、こうしますと、民意とその代表としての議会とがどんどん離れていく。ルールは形式的にはあっても中身がない、形骸化、こういうことにつながりかねないことでございます。議会制民主主義の土俵をつくる基本的なルール選挙制度ですので、当然、与野党合意で、なるべく多くの合意をつくって仕上げなきゃならぬというものだと思います。  例えば商法においても、会社の存立の基盤にかかわるようなことについては特別の多数決を定めているとか、そういう種類のことであって、選挙のたびに、勝った方が勝手に自分都合のいいように選挙制度を変えるのでは、民主主義はおかしなものになってしまう。斎藤参議院議長も、ここのところを最も憂慮されたわけです。  そこで斎藤議長は、ずっと、時間をかけながら、みんなの合意をつくり上げようといろいろな努力をしてこられました。ところが、今回、半数近い少数派意見を全く無視して、選挙制度の改悪に与党が狂奔された。私は、強く糾弾をしたいと思いますし、また、有権者国民皆さんには、来るべき選挙与党に鉄槌を下していただくことを強くお願いいたします。  次に、参議院各派協議会における議論経過について御報告を申し上げます。  昨年六月、参議院選挙制度改革に関する協議会が各会派代表者懇談会のもとに設置をされました。九回にわたって協議会での議論が行われて、本年二月二十五日に、各会派が一致して報告書が作成されました。  その中で、拘束名簿式については、現行拘束名簿式比例代表制仕組みそのものを改めることとなると抜本的な改革となり、その実現は容易なことではないことから、当面は現行拘束名簿式比例代表制を維持することを前提として議論を進めることとなったと明確に明記をされております。これは各会派合意でございます。  その実現は容易でないというのは、何もだれかが引き延ばすとかそういう話じゃないので、先ほど申し上げたように、民主主義基本にかかわることだから、それはみんながとことん納得いくまで議論を尽くした上で決めなければいかぬ、そういう趣旨与党野党も皆しっかり理解をしていたということでございます。  また、六月二日、これは衆議院の解散の当日ですが、斎藤議長は、各派代表者をお集めになりまして、選挙制度は来年は現行のままということを前提に、定数是正はやりましょうね、こういうお話をして、各代表者ともこれを受けているわけでございます。  このように、参議院において、各派代表者協議では、来年の参議院選挙基本的に現行制度で臨む、こういう結論が出ていたにもかかわらず、総選挙終了後に突如、与党、さらに言えば自民党、さらに言えば参議院自民党青木幹事長村上会長から今回の改正案が飛び出してきたということでございまして、極めて動機不純党利党略法案だと言わざるを得ません。  その後の経過につきましては、私、実は毎晩多少の時間を割いてインターネットのホームページにその日の活動日誌を打ち込んでおりまして、関係のものを抜粋してきょうプリントアウトしてこちらへ持ってまいりましたので、どうぞ御参考にしていただきたいと思います。  動機不純の第一は、いわゆる久世問題のすりかえ。もういろいろお話があったから言うまでもないと思いますが、二万人の名簿はある宗教団体から提供を受けて、党費一億円についてはあるマンション業者から提供を受けて比例名簿順位を買った。この不祥事に対して、自民党皆さんは、自分の党の矛盾、不祥事選挙制度の問題にすりかえてしまった。KSD問題も同様のことだと思いますが、これが動機不純の第一。  次に、動機不純の第二は、衆議院選挙自民党皆さんは、個人名では二千四百万票、しかし政党名では千六百万票、八百万票の開きがある。ここをどう埋めるか。これを埋めなければ次の参議院選挙で勝てない。こういうことから今回の票の横流し制度を出してこられたということが動機不純の第二であります。  いかに悪いものか。全国選挙は、私自身はいろいろな事情から残酷区、銭酷区ということを実際には体験をしておりません。しかし、あの全国区の制度がいかなるものであったか、これは多くの人が御存じのとおりで、参議院村上さん自身が一九八五年の選挙制度改正のときにるる述べておられるわけです。あの選挙が終わった後亡くなられる、中には、投票日開票日のその日に亡くなって、自分当選を聞く前に死んでしまった、こういう例もあって、また、お金も大変。こういう全国区の悪い方式に戻してしまう。  しかも、今度は公費助成で五十億円余計にかかるというのですから、何のためかわかりません。  そして、第二の悪い点がいわゆる横流しで、顔の見える人で票を集めて、それを政党の方に落とし込んでおいて、顔の見えない人を当選させる。ですから、この顔の見える人が選挙違反当選無効になっても、その人のとった得票はそのまま有効で、別の人の当選に使われるという大変な、国民の意思を無視した制度になっております。  こういう制度を使ってでも、役所ぐるみ業界ぐるみ企業ぐるみ、そして地方自治体の首長さん方に大変な無理を強いて自民党型集票マシンをもう一度活性化させて、行政改革規制緩和といった方向に逆行させようという悪法中の悪法だと言わざるを得ないと思います。  私ども民主党は、そういうものでなくて、選挙制度のことは議論をするのだ、そういう意味で、広域選挙制度というものを中心にした制度改革の案を衆議院の方で提案させていただいておりますが、これもぜひ議論をしていただきたいと思います。  十分程度ということで、私の意見といたします。  どうぞよろしくお願いします。(拍手
  4. 自見庄三郎

    ○自見委員長 ありがとうございました。  次に、加藤参考人にお願いいたします。
  5. 加藤秀治郎

    加藤参考人 東洋大学政治学を教えております加藤です。  手元に配っていただいたと思いますが、三ページほどの資料に基づいてお話をさせていただきますので、あけていただきたいと思います。  時間がありませんので、早速お話しさせていただきます。  選挙制度民主主義にとって非常に重要なものだということはおわかりかと思いますが、今回の変更も、ささいな変更のように見えますが、結果によっては重大な影響をもたらし得るものであります。  私がよく引く言葉でありますが、今世紀を代表する書物の一つでありますオルテガの「大衆の反逆」にこういう一節がございます。民主政治は、その形式や発達程度とは無関係に、一つの取るに足りない技術的細目にその健全さを左右される、その細目とは選挙の手続である、それ以外のことは二次的である、もし選挙制度が適切で現実に合致していれば何もかもうまくいく、もしそうでなければ、ほかのことが理想的に運んでも、何もかもだめになるということであります。  この観点から、私は、衆議院で旧中選挙区制を廃止したことはよかったと思っていますが、参議院についても、また不適切なことが起きて、そのためにどんどん外れていくようなことがないようにお願いしたいと思います。  それで、一般には金のかからない選挙という点が議論されていると思いますが、私はドイツ日本を比較しながら研究している者ですが、ドイツの場合は深刻な反省に立ってこの点をやらなきゃいけないという気持ちになっているのに対して、日本はまだ反省が足りないのではないか、そういう印象が否定し切れません。今回の場合ですと、制度基本が金がかかるようになっていると思いますが、それを細かい事務所の数などの制限などでやりくりするというのは本末転倒で、根本のところを金がかからない工夫をしていただきたいものだと思います。  それで、二点ほど、一般議論されていないこと、野党側からもほとんど議論されていない点に絞ってお話をさせていただきたいと思います。  一点は、選挙制度は、参議院だけを取り出して考えるのではなくて、国全体の選挙制度をどうデザインしていくか、そういう観点で考えていただきたいということであります。  以下の文章を読みますと、   衆院の小選挙制度は、政党本位政策本位を目指したものだが、参院のこの制度選挙人物本位へと向かせる。賛成する人は「人物が選べてよい」とか、「参議院独自性」が回復できると言うかもしれない。   だが、ここがポイントだが、同じ国で、ある選挙政党本位、他の選挙人物本位というようなことをやろうとしても、うまくいかないのである。衆院の新制度が十分に定着をみないのも、地方選挙をはじめ、他の制度が以前のままであることに一因がある。   いうならば、衆院選だけで政党本位政策本位を目指しても他がそうなっていないのでは、アクセルをかけながらブレーキを踏むようなもので、全体として政党の体質は変わらず、政党本位政策本位実現しない。 ということであります。  次のページに参りまして、その点を少し議論しますと、政治学者は、選挙制度をどれがいいかというようなことを議論するとき、二つの点を考えなきゃいけないということを指摘しています。  第一点は、その国の社会構造がどうなっているか。その国の社会が、内部が同質的か異質的か、マイノリティーなどがある場合でしたら比例代表制などを考えなきゃいけない。そういう点であります。  もう一点がきょう強調したい点でありますが、政党社会関係であります。難しい言葉では政党構造化程度などと言いますが、社会政党がどれだけ根をおろしているか、そういうことであります。  それで、イギリスドイツのように、深く構造化された、根をおろしている国、政党本位が確立している国があります。その場合ですと、その党が強い選挙区でしたらだれでも勝てる、だれが出ても勝てる、選挙区を変更できる、そういうことがあります。  これに対して、日本などでは逆で、政党が余り根をおろしていない、人物本位の面があります。その結果、その候補者が強い選挙区では、所属政党を変えても当選できる可能性があるというようなことがあります。政党本位政策本位ということは、この意味での構造化を強めようというものだと思いますが、それが今回の場合どうだろうかということであります。  このことは、国によって同じ制度が働き方が違う可能性があるということでありまして、例えばドイツでしたら、今度の制度を仮に導入されても、個人名を書く人は余りいないと思います。ですが、日本の場合では個人名を書く人が相当出てくる。それで、衆議院でやろうとしたことと反対の動きが始まるということであります。  もう一つ、ほとんど議論されていない点は、有権者にとってこの選挙制度はどうなのか、一部の熱心な有権者はともかく、大半の有権者にとって適切な選択ができるかどうかということであります。ここは専門用語では情報コストというんですが、後でその点は触れます。気分や願望で人も選べていいというような言い方は俗耳には入りやすいかと思いますが、現実的かどうかであります。私は学者で、政治家ではありませんから、有権者の方に対して遠慮は要らないわけでありますが、有権者の方が果たして、複雑な制度を導入したとき、そこで期待されているような努力をするものかどうかということであります。  次の文章を読みますと、   参議院選挙制度を「非拘束名簿式」に改める法案について、ある重要な論点がほとんど議論されていないように思われる。それは、有権者選択肢について、どれだけ本気になって情報を集めるかということだ。その気のない人に、多過ぎる選択肢を与えても、いい加減な選択となるのは明らかだ。   「非拘束名簿式」とした場合、政党だけでなく候補者も選べる点がよいという意見もあるが、実際にはそう簡単なことではない。「旧全国区」はカネがかかるということだけではなく、候補者選択がいい加減になっていたことも問題であった。   百人を超える候補者の中から一人を選ぶといっても、その気にならないと各候補者のことはなかなかわからない。その結果、著名なタレントに投票したり、知り合いから支援を依頼された組織候補者に票を投じたりするといった状態になっていた。 この点からいいますと、今度の場合、非常に懸念があります。  それで、情報コストというのは何か。次のページでありますが、物事を選択する場合、その選択に必要な情報を得るのに割く時間や労力費用であります。選挙の場合は費用はほとんどかからないと思いますが、有権者がどれだけそのために時間を割くか、労力を割くかということであります。それで、選択の場合、少ない努力で無難な選択ができるのがよい制度だと考えられますが、今回の制度変更でこの点はどうなるのかということであります。  それで、情報コストには量的な側面がありますが、一つは、選択肢が多過ぎるのは有権者負担がかかってよくないということであります。旧全国区は余りにも多くの候補者の中から選ばせる、その結果、有権者が念頭に浮かぶ候補者最初から限られてしまう、ないしはいない。そういうところでたまたま出たタレントの方とか、組織の依頼ですぐ投票したわけであります。  質的な面で申しますと、選択肢が選びやすい形で並んでいるかどうかということであります。日本には最悪の例がございます。選挙区の分かれていない市町村選挙で、無所属の人が非常に多いわけですが、三十人、四十人もいる候補者の中から一人選べと言われても、最初から有権者が検討する候補者というのは非常に限られてしまうわけであります。そういう中で選んだことが果たしてどれだけ合理的なものかというと疑問があるわけで、今度の制度はこれに非常に近くなると思います。  それで、同じ二大政党制、小選挙区制のアメリカイギリスでも、質的な面でかなり違います。  イギリスは、政党性格がすっきりしているので、ふだんから有権者は、労働党はこういう党、保守党はこういう党というイメージを持っていますから、その党の候補者がどういう人かということを一々チェックしなくてもかなり合理的な選択ができる。そういう状態になっていまして、有権者にかかる負担が少ないわけであります。  これに対して、アメリカは、共和党、民主党とありますが、レッテルの違う二本の空瓶と言われるように、ほとんど政党性格がはっきりしません。そこで、有権者がどちらがいいのかということを選ぼうとしますと、有権者それなり努力をしないといけないわけであります。それで、アメリカの場合、有権者それなり努力をしていますからある程度格好がついていますが、ディベートや有権者団体が発行しています有権者ガイド、そういうようなものを参考にして選ぶわけでありますが、そういう努力を果たして日本有権者がするのかどうか、ここが新しい制度を導入した場合生きるかどうかのかぎで、私は、これまでの惰性からいってかなり悲観的であります。ですから、人が選べるのはいいとかいうのは、簡単に聞こえますけれども、実際には、その気で有権者がそれに臨まないと、この制度は逆の効果を持つということであります。  そういうわけで、量的、質的な面についてともにいい状態というのがあると思いますが、それに近い国としては、制度は違いますが、イギリスドイツがある。日本の旧全国区というのは最悪の部類に近い方だったと思いますが、今度の非拘束というのは、数はふえると思いますからより悪くなる、質的な面では、政党を多少意識させるのでちょっといいかなという点で、この面から見ますと、旧全国区とほとんど同じぐらいの点数しか上げられない、ちょっと困った制度ではないかと思います。  以上、私の陳述であります。(拍手
  6. 自見庄三郎

    ○自見委員長 ありがとうございました。  次に、志田参考人にお願いいたします。
  7. 志田なや子

    志田参考人 ただいま御紹介いただきました弁護士志田でございます。  私は、今議論になっております参議院への非拘束名簿式導入法案について意見を述べさせていただきます。  私は、この法案の第一の問題点は、果たしてこの制度名簿式比例代表制と名乗れるようなものなのかどうかということであります。  与党三党は、非拘束名簿式比例代表制と名づけて、候補者個人に投票したものを、その得票のすべてを候補者所属政党得票とみなして、政党得票に基づいて議席を配分する制度を導入しております。  そもそも名簿式比例代表制といいますのは、各政党にその得票率に応じて議席を配分することによって民意を反映させようという選挙制度であります。しかし、非拘束名簿式比例代表制を採用している国でも、立候補しているすべての政党候補者名簿が一覧にされている投票用紙を使って、有権者は、政党を選んだ上で、候補者名簿順位を入れかえたり、候補者名を記入するということで名簿順位を変えるということを可能にしているわけであります。各政党にその得票率に応じて議席を配分するという名簿式比例代表制趣旨を生かした制度となっております。  しかも、参議院比例区が全国単位であるのに対して、この非拘束名簿式比例代表制をとる国の比例区は、日本でいうと都道府県単位程度、実際は一千万の国を十幾つの選挙区に分けるというようなことでありますから、東京でいうと区、市ぐらいの単位になるのでありましょうか、そういう狭い単位で非拘束名簿式比例代表制をしいているわけです。ですから、有権者候補者の人柄や人格、識見、実績を知って、それに基づいて政党が提出した名簿順位を入れかえるということができるわけでありまして、与党三党の法案とは全く制度の目的も内容も異なるものであります。与党三党は非拘束名簿式というふうに名前をつけておりますけれども、この法案は、本来の非拘束名簿式比例代表制の姿とはほど遠いものであると思います。  与党三党の案では、有権者が投票するときには個人名で投票させて個人であることを強調して、票を数えるときには政党への投票として得票数を計算する、こういう制度なのでありまして、こういう制度を導入することによって、とても奇妙なことが起こるわけであります。大量得票した候補者個人得票によって、当の候補者当選するだけではなくて、名簿に登載してある同一政党の別の候補者がほかの政党候補者よりも得票数が少なくとも当選するという逆転現象が生じます。また、当選した候補者関係者が買収などの選挙犯罪を犯して、連座制により議員の職を失っても、政党得票はそのままで、同一政党の別の名簿登載者が繰り上げ当選するという異常な事態になるわけであります。  与党三党の主張する非拘束名簿式は、民意を大きくゆがめ、名簿式比例代表制制度趣旨を没却させるものであります。  第二に、私が心配していることは、女性が多数進出してきた参議院拘束名簿式比例代表制の長所が失われるのではないかということであります。  政党候補者名簿登載順位を決めるのは、政党として適切な人材を候補者名簿に登載することによって、議員にふさわしい人材を得ようとする趣旨だと考えられます。北欧諸国では、名簿式比例代表制のもとで、女性議員の比率を高め、三割台、四割台にまで高めております。参議院比例区でも、拘束名簿式比例代表制のもとで、各政党名簿の高位に女性を登載することによって、女性議員の比率を高めてまいりました。一九九八年の参議院選挙では、比例代表選出五十人のうち十人が女性であり、その比率は二〇%に上っております。  参議院に非拘束名簿式が導入されますと、自民党などが各業界、官庁、支持団体ごとに候補者を立候補させて得票を競わせるということになり、比例区の女性候補がはじき出されるという事態になるのではないかと心配しております。  第三に、拘束名簿式比例代表に金がかかるという主張がありますが、この主張には何の根拠もありません。  もともと、選挙制度としては、拘束名簿式比例代表制というのは、最も買収や利益誘導が起こりにくい制度であり、お金のかからない選挙制度であるはずです。ところが、自民党で起きたもろもろの事件をきっかけにこういうことを言い出したわけですけれども、候補者名簿への登載や順位の決定をめぐってお金がかかると言いますけれども、名簿登載や順位決定がお金に左右されるということ自体が異常なことです。それはまさに政党幹部の見識の問題であり、さらに言えば、政党の腐敗した体質の問題であって、拘束名簿式比例代表制に原因を求めるのは本末転倒であると言わなければなりません。  そもそも、参議院全国区を廃止して拘束名簿式比例代表制を導入しましたのは、お金がかかるという弊害が生じたからと言われております。与党三党の主張する非拘束名簿式は、お金がかかるという弊害はより一層ひどくなり、候補者個人に対する投票を政党への得票に読みかえて民意の反映をゆがめるという意味では、旧全国区よりももっと悪い制度だというふうに私は考えます。  第四に、国民選挙権にかかわる重要法案をこんなに拙速に成立させるべきではないということを強調したいと思います。  この与党三党の法案は、個人名で投票させておきながら、投票後は神出鬼没に政党が登場してくるという大変難しい奇妙な制度であります。十分に国会で審議をして、国民の中で議論を闘わせた上で成立させるべきであります。きょうも、参考人として呼ばれまして、大変に急いでいるということがわかったんですけれども、こんなに急ぐのは、非拘束名簿式の内容が国民に知られないうちに法案を成立させてしまおうというふうに考えているのかなというふうに思わざるを得ません。  現在、参議院選挙制度で憲法上問題なのは、最小の鳥取県選挙区と最大の東京都選挙区との間に、議員一人当たりの人口格差がほぼ五倍にもなっているということであります。最高裁判決でも合憲とはされておりますけれども、強力な反対意見があり、違憲であると主張しております。私は、現在の参議院選挙制度で改めるべきは、抜本的に選挙区の議員定数の格差を是正することであると思います。  どこから見ても致命的な欠陥のある非拘束名簿式導入法案は、廃案にするしかありません。  憲法は、国会を国権の最高機関と定めております。今、国会の権威は国民の間では地に落ちております。衆議院において十分な審議を進めることこそが、国会の国権の最高機関としての権威を回復する唯一の道です。このことを与野党の議員の皆様にお願いをいたしまして、私の意見を終わらせていただきます。(拍手
  8. 自見庄三郎

    ○自見委員長 ありがとうございました。  次に、永井参考人にお願いをいたします。
  9. 永井よし子

    永井参考人 四人目の参考人永井よし子と申します。私は、市民そして女性の立場から、今回の参議院の公選法改正に関する意見を申し述べたいと思います。  既に私の前に三人の参考人意見を述べました。今回の改正案についての問題点は、すべて私も共有したいと思います。ただ、私の申し述べる時間が十分しかございませんので、主に女性の政治参画という点について意見を申し上げます。  私は、北京JACという市民運動をしているNGOの事務局長として、今日、意見を申し述べることにいたします。  北京JACというのは、一九九五年、北京で開かれた世界女性会議におきまして採択された行動綱領を日本のあらゆる段階の政策に反映させたいという願いで、全国的なネットワークを組んでおります女性のグループです。この五年間、特に国連を中心に採択されたさまざまな女性の行動に関する政策もきちんと反映させていただきたいと思っております。  北京の行動綱領の十二の重要課題の一つに、女性の政策決定の場への参画を保障するということがあります。一九八五年に採択された女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約は、日本国会も採択しています。そして、北京で採択された行動綱領も、日本の了解することとし、つい昨年、男女共同参画基本法が成立しました。それは、国会のあらゆる会派が賛成をしたものです。  女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約では、第三条で、「あらゆる分野、特に、政治的、社会的、経済的及び文化的分野において、女子に対して男子との平等を基礎として」ということを明確にうたっています。そして、第七条では、「自国の政治的及び公的活動における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし、」政府は、「政府の政策の策定及び実施に参加する権利並びに政府のすべての段階において公職に就き及びすべての公務を遂行する権利」を保障すべきということになっています。  一九九五年の世界会議にとどまらず、本年六月にニューヨークで開かれました二〇〇〇年女性に関する特別総会においても、女性の政策決定の場への参加が、グローバリゼーションの負の側面が非常に拡大している昨今の世界情勢の中で、新たな展開を探る可能性一つとして強く主張されております。  先ほど志田参考人も触れましたけれども、北欧においては、政党が積極的にポジティブアクションを取り入れることによって、女性の政策決定の場への参画が進み、社会のあらゆる場で男女が平等で生活しやすい仕組みが進行してきました。女性が働きやすくなり、社会保障が充実して、その結果として出生率も上がりました。男女が平等の社会をつくることがこれからの社会に必要であるということを的確に示している例であります。  さらに、フランスではパリテという考え方が導入されました。フランスの女性の政治参画はいわば北欧に比べて多少おくれている面がありましたけれども、今回、男性と女性が公平に平等に参画する仕組みが憲法改正により保障されました。比例名簿拘束制にして女性の参画を保障する。この議論の過程では非拘束名簿議論も出ましたけれども、いかに憲法で男女同数の参画を義務づけたとしても、政党候補者の末尾に半数の女性候補を並べたのでは、それは結果としてポジティブアクションにはなりません。名目だけです。  今回の参議院改正案については、特定の個人の名前を書くことによって政党全体の得票数を上げるということになりますけれども、非拘束名簿式がフランスで避けられた議論経過を考えるならば、非拘束名簿を出すことが女性に対するポジティブアクションを保障しないということの一つの明らかな例でもあります。  日本の女性の政治参画は決定的におくれています。戦後一九四六年の衆議院選挙で三十九人の女性議員が誕生いたしました。それは戦後の歴史の中で、八・四%、最高の女性議員の誕生と言われていますが、このときは二名連記です。女性の政治進出を助けるために選挙制度がいかに大きな影響力を持っているかということのあかしでもあります。  ことしの衆議院選挙では三十五人の女性議員が誕生し、七・三%の女性議員比率となり、列国議会同盟のうち八十位に上がりましたが、たった六年前、日本は百四十九位です。これだけ政治不信、政党批判が高く国民の間に沸き上がり、選挙制度が女性にとって不利なようになったとしても、今回の衆議院ではこれだけ批判票が集まったのです。  参議院選挙法改正については、国民に周知していない段階での改正を急がれるという問題は今までるる指摘されたことではあります。そのときそのときの都合で、都合よく解釈されるということは国民の一票を投じる権利を侵害するものです。国民は一票を投じることによって、どのような仕組みの政治を選ぶか、それを選挙の機会に行使することができます。その選挙の機会を国民に保障するシステムが党利党略で決められていいとは全く思いません。  選挙制度国民の側が納得できるものにする必要があります。お手盛りは最も避けるべき手法です。国会議員国会議員の身分にかかわる仕組みを国会だけで、しかも短時日の審議で、住民に周知されることなく、慌ただしく泥縄式につくって通してしまう、これは国民を最も愚弄したやり方です。国民を愚弄すると同時に、言論の府である国会というシステム自体を軽視する、みずから自分の顔につばを投げかけるようなものだと思います。  参議院は本来どうあるべきか、参議院選挙法が改正されたとき、村上正邦議員はくしくも言っています。参議院は良識の府であるべきということをおっしゃっています。それだけに、深い理性と高い道義の政治理念に立って、私心を捨てて、国家百年の大計のもとに、堂々と政策を論じ、院としての高い見識を示すことによって、国民の政治に対する安心感と信頼を得なければならないと思いますと述べておられます。  今回、参議院で実際に行われたことはすべてこれの否定形です。真っ向から反対することです。この間まで参議院で行われたことは、良識の府ではありません。数の暴力による暴挙です。深い理性と高い道義ならば、本来改めるべきは比例代表順位にお金を使ったことであります。  さらに言うならば、同じ村上議員が、参議院は学識経験者等の有為の人材を立法府に迎えるためにある、しかしながら現行制度においては、つまり比例代表を取り入れたときの議論ですが、もはやテレビ等にのべつ幕なしに出演し、国民大衆に名の知られた有名人でなければ、有為の人材といえども当選することはほとんど不可能にすらなっている。  今回、有名人を政党名簿に載せることによって同じ効果をねらおうとしているのが同じ与党ではないでしょうか。私どもは、一票で信任した議員の票がおすそ分けされて、気に入らない議員の誕生を招くような、そういう制度、仕組みは全く認めることができません。  参議院衆議院のコピーであるとの批判は随分長いこと言われています。今回の改正は、その点についての展望もビジョンも何もありません。今これだけ行き詰まっている。世界的にも国内的にもさまざまな問題を抱えているとき、女性の政治参画を積極的に進めることが国会の活性化あるいは社会的な仕組みの改善につながると私は思っています。女性の政治参画の壁を一層高くするような今回の改正には反対です。  以上です。(拍手
  10. 自見庄三郎

    ○自見委員長 ありがとうございました。     —————————————
  11. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花郁夫君。
  12. 山花郁夫

    ○山花委員 参考人の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、急であったにもかかわらず御出席いただきまして、お礼を申し上げる次第でございます。  さて、十月二十三日からこの審議に入っているのでありますけれども、我が党の堀込征雄委員からの質問に対しまして、この時間は参考人からの意見聴取ということで、提案者の方はいらしておりませんが、その中で、片山参議院議員から、この審議の経過に対しまして、「野党皆さんには、与党法案を出させてもらいます、国会委員会で十分な審議を尽くしましょうと、」こういうことを言っておられます。「同時に、政党間の話も代表者懇を中心にやるのはいささかもやぶさかではありません、やりましょうと、話し合いを。」こういう発言をしておられます。また、「国会議員というのは国会に来て論議を尽くすんですよ。政党間の事前折衝も必要でしょう。それはあっていい。あっていいけれども、うまくいかないときは、国会で一方が法案を出して国会委員会や本会議の中で議論を尽くして結論を集約していくんですよ。その過程で、国民の前に開かれた議論国民皆さんの批判をもらえばよろしい」と。さすが良識の府の選出された議員だと思われます。こういうことを言っておられますので、提案者がこのように議論をしようということを言っていらっしゃるわけでありますから、よもや本日、三日程度審議がなされた後に採決があるなどということはないものと信じておりますが、ぜひこの後も公聴会などを開いていただきたいということをまず冒頭に要請申し上げたいと思います。  さてそこで、江田参考人にお伺いしたいと思います。  片山議員でありますが、先日の発言の中でも、例えば、六十三年の参議院の中につくった超党派の検討委員会、平成二年の第三者の権威ある機関の第八次選挙制度議会、あるいは平成六年のこれも超党派の参議院選挙制度検討会、あるいは去年からやっております代表者懇の下のワーキンググループ、あるいは、ことしの春ですが、前の斎藤議長が私的な諮問機関をつくられまして、そこで選挙制度議論しているんですよ、こういうことをおっしゃって、決して今回の法案というものは唐突に出てきたものではない、こういうふうなことをおっしゃっておられます。  また、さきに引用いたしました発言の中でも、野党が出てこないじゃないか、こういうようなことを言っているわけでありますが、このような発言に対しまして、特に野党の方は参議院の方では出てこなかったではないかということを言われているのでありますけれども、選挙制度という民主主義の根幹にかかわるこういった法案に対してなぜ参議院の方で出ていくことができなかったのか、審議ができなかったのかということについて、本来のあるべき審議のあり方ということの所感も御披露いただければということをあわせてお願い申し上げまして、御意見をいただきたいと思います。
  13. 江田五月

    江田参考人 参議院野党がなぜ審議に加わらなかったのか、本来あるべき審議はどういうものであるか、こういう御質問でございます。  参議院選挙制度についてこれまでいろいろな機関がさまざまな形で議論をしてきたこと、これは事実でございます。例えば、平成二年には、第八次選挙制度議会において今回の非拘束名簿式のような提唱も確かにございます。  しかし、よく考えてみなければいけないのは、第八次選挙制度議会は、こういう方式を提唱する前提として、参議院とは一体何であるのか、衆議院参議院と二院制になっているのはどういうことか、それをよく考えなさいよということを言っているわけですね。第八次選挙制度議会がこういう提唱をした後に衆議院選挙制度が変わった、そして今の衆議院選挙制度になっているわけでありますから、第八次選挙制度議会が考えたときと、衆議院参議院の役割分担をよく考えなさいよという前提、これは変わっていない、しかし衆議院選挙制度は変わったのですから、そのとき考えられていた参議院選挙制度をそのまま持ってくるというのは、前提において大きく違っているということでございます。  あれこれいろいろございまして、そういう議論をずっと詰めて、そして先ほど私が申し上げた本年二月二十五日の各派合意ということになっているわけでございまして、これは党利党略の合意じゃないのです。  さっきも言いましたとおり、参議院というもののあり方を十分考えた上で、なお議論をするんだ。私たちの党の中でも、どういう制度がいいのか、これは党内の議論もずっとやっていたわけで、そういう各政党間、各会派間の審議というものをまるで弊履のごとく捨て去って今度のこういう提案が出てきた。私どもとしては、そういう審議を無視する与党会派のやり方に対して、そのまま受け入れるわけにはいかないということを考えたのがまず第一でございます。  さらに、先ほどるる申し上げましたとおり、この出された案が非常にひどいということもございますね。  それともう一つ、これはぜひ考えなければならぬと思うのは、確かに私どもも今回の参議院野党がとったようなやり方が、あれが百点満点、有権者から何の批判も受けないものだというふうに思っているわけではありません。  しかし、今、この長い間の積み重ねで、議会の審議のルールというものが物すごく厳しいものになっているのですね。厳しいというのは何かというと、はい、時間はこれだけです、はい、何日です、もうおしまいです、はい、どうぞと、一列で並ぶ以外にないエスカレーターのようになっていて、そこへ乗っかったら自然に二階まで持っていかれるということになってしまっているわけで、いらっしゃい、いらっしゃいと、まるで首切り役人が刀を振り上げて、さあそこへ座りなさい、すぐに首を切ってあげますよ、そういうところへ入っていくというのは、与党が行う審議拒否に対して野党が唯々諾々と従うという形になるわけで、形では私たちが審議拒否の形になっていますが、私どもの方は徹底した審議をしたいから、国民皆さんにボディーランゲージでああいうことを伝えざるを得なかったということでございます。  ということを考えますと、今後の審議のあり方はどういうものがいいか。従来型のいわゆる古い抵抗スタイルというものは、あるいは古い強行スタイルというものはお互いにもうやめようではないか、そしてもう一度、論争民主主義の原点にみんなで戻らなければならぬ。本当に論争して、論争し尽くす。どうせ生身の人間がやるのだから永遠にできるわけではありません。そういう論争をし尽くしたあげく、もっと議論の場にマーケットメカニズムを生かして、そして最後は選挙有権者の判断をいただく、そういうものに戻らなければいかぬ。フィリバスターというものがございますが、例の「スミス都へ行く」という映画に出てくるものですね、ああいう論争の価値というものをお互いにもっともう一度再認識をして、議会ルールをつくりかえるべきだ、私はそう思っております。
  14. 山花郁夫

    ○山花委員 江田参考人にお尋ねしたいと思います。  ただいま、ぜひ議論というものをしっかり行うべきだという御発言がございました。私たち民主党は、この選挙制度の改正に対しては対案というものを提出しているわけであります。あるべき審議の姿からすれば、こういう対案を全く審議しないまま採決がされるということは決して好ましいことではないことだと認識する次第であります。  さて、片山参議院議員ほかが出されております案でございますけれども、先日の委員会でも、片山参議院議員は、全国区の復活、再来は断じてこれは慎みたい、こういうふうな発言をされております。そしてまた、今回の法案について、全国区とは違うのですよ、こういうことを言いまして、この比例代表拘束名簿方式はまず党を選ぶのです、まず党を選んで、党の中でだれを当選させたいかを選ぶのですよ、まず選ぶのは党なのですよというような発言をされております。  私は、さきの総選挙当選したばかりでございますので、昔の全国区というものがどういう選挙であったのか、体験したわけではありません。そして、理屈の上で違うという話を聞けば、まあ理屈の上では違うのかなということになるのでありますが、しかしながら、今回の法案を見させていただきますと、まず個人名を自書する、これが原則になっていて、ただし書きの形で、政党に対して投票しても構わない、こういった制度になっているわけであります。  法文を見る限り、やはり個人を選ぶということが優先しているわけでありますけれども、そうであるとすると、旧全国区と、法的な難しい言葉を使えば違うということになるのかもしれませんけれども、事実上、その実態は旧全国区と全く同じものになるのではないかという印象を受けるのでありますが、全国区の時代の経験者としましての御意見をお伺いしたいと思います。
  15. 江田五月

    江田参考人 確かに、比例代表制度ですから全国制度とは違う、形式的にはそれはそのとおりです。しかし、そのために余計悪くなっているとも言えるわけですね。  八代さん、あそこでしきりにやじっておられますが、確かに、私も八代さんも全国制度比例制度に変えるのに反対をいたしました。それは、比例制度になるとますます参議院政党化するからということで反対をしたのですが、だけれども、全国制度というものが、先ほど言いました、残酷区と言われたり銭酷区と言われたり、大勢出てだれだかよくわからぬとか、いっぱい欠陥を持っていたこと、これは確かなことでございます。  そこで、今度の参議院与党案というものを見ると、候補者から見ると、同じ党の中であっても自分の隣の人よりもたくさん票をとらなければ当選が保証されないわけですから、もうこれは、全国をまたにかけて、金は幾らでもかけて運動するほかないじゃありませんか。あの全国区と同じことになってしまいます。有権者から見ても、これだけ大勢の中で一体ちゃんと選べるのか。  先ほど情報コストという問題のお話がございましたが、そういう問題が出てくるので、全国区の悪い点をそのまま復活させてしまう。いわゆる役所ぐるみ企業ぐるみ業界ぐるみということもそうだし、また地方自治体の首長さん方が大変苦労する。ここでちゃんと票を出しておかなきゃ、陳情へ行っても、補助金をもらおうと思っても全部鼻であしらわれる、そういうことが復活する。これでいいのかということなんですね。  それに加えてさらに、個人名でとったものを政党に落とし込んで別の人間を当選させるのに使うというわけですから、より悪くなっているわけでございます。  そのほか、先ほどの、例えば選挙違反があった場合にどうなるかとかいろいろございますし、しかも今度の制度で、比例区ならばまだしも、先ほどもお話ございました、こういう女性の良識を議会に反映させようと思って政党努力する、そういう努力はできなくなってしまうわけです。その上、私も八代さんも、当時私は政党ではありましたが、今回は比例制度ですから無所属で出るということができないわけでしょう。  それやこれや考えますと、全国区ではないんだ、比例区だというのは単に言ってみるだけの話で、いい悪いということを考えますと、これは全く改悪以外の何物でもない、私はそう思います。
  16. 山花郁夫

    ○山花委員 加藤参考人にお伺いしたいと思います。  先ほど加藤参考人は、旧全国区は余りに多くの候補者から一人を選ぶという制度であるというお話をされましたが、旧全国区最後の選挙のときにも、百名以上の候補者の中から一人を選ぶという、情報コストの点から見ても、また政治家候補者の側から見ても、非常にお金のかかる、いろいろな意味でコストのかかる制度だったというお話だと思います。  ところで、今回の法案でいきますと、一つ政党が四十八人まで候補者を立てることができる。そうであるとすると、当然、政党というのはいっぱいいっぱいまで名簿に登載いたします。そうすると、ある試算によりますと、今回は、旧全国区のときどころか、三百人以上の候補者の中から一人を選ぶという非常に情報コストのかかる制度だと考えられます。  そしてまた、これは委員会質疑の中でもまだ出てきていない話でありますけれども、四十八人、果たして一枚のポスターの中に豆粒のような形で候補者の顔を写す形になるのか。あるいは、個人の選挙運動も許されるということで、個人のポスターをべたべた町中に何十種類も張られるのかわかりませんが、このような形になるわけであります。  こういった今度の選挙制度の改正の法案がもし成立してしまったとすると、これが果たして顔が見える選挙、こういうふうに言えるのかどうかということについて御意見を伺いたいと思います。
  17. 加藤秀治郎

    加藤参考人 顔が見えるかどうかということですが、それは人の名前を書くんですから顔が見えるという点はそのとおりだと思いますが、大事なのは、タレントの人気投票だとかそういうのでないので、政治家としての資質を選ぶわけですから、この人がどういうことを考えて、何をやろうとしているのかということまでわかった上でこの人に入れる、そういう形ならいいわけですけれども、事実上、百人を超すような人で、しかも何人の人を検討対象に挙げて選ぶかというと、非常に悲観的にならざるを得ません。  そういう意味で、新聞に投書なんかをする方は、人も選べていいなんて書くかもしれませんが、そういう人は有権者のパーセントからいってごく限られた数で、一般の方が果たしてどれだけ熱心に、それぞれの候補者が何を言い、何をやろうとしているかということを検討して投票するかどうかというと、非常に疑問でありまして、単に顔が見えるとかいうことだけでは済まない面があろうかと思います。
  18. 山花郁夫

    ○山花委員 続けて加藤参考人にお伺いしたいと思います。  私は先日、内閣法制局にといいますか、衆議院議長あてになりますが、質問主意書というものを出しております。今回の制度については、憲法上疑義がある点がございます。それと申しますのも、先ほど来、連座制などで失職した、あるいはみずからが買収行為などを行って議席を失ったような場合でも、政党の投票が生きてしまうではないかという御意見参考人の方からもございましたけれども、こういう議席を失うという場合だけではなくて、非常にたくさんの数を得票したその恩恵をこうむる下位の当選者が出てくるわけですけれども、ある政党で一番多く、何百万票も得票したような当選者が、後になって党籍を離脱する、つまり議席を保有したまま党籍を離脱したような場合でも、今回の法案に照らしますと、政党の投票はそのまま生き続けるということになるのでありますけれども、こういったような制度というものがよその国に存在するのかしないのか。  急な質問ですのであれですが、仮に存在するとしても、こういったシステムというものが妥当なものと考えられるかどうかということについて御意見を伺いたいと思います。
  19. 加藤秀治郎

    加藤参考人 大変難しい質問で、私も答える用意が十分ありませんが、ただ、一点言えることは、現在日本では政党の形が、過渡期といいますか、まだ完全に整っていない時期で、政党変更というのは十分予想される事態だと思うんですね。そういうときでしたら、やはりそういう面でいろいろ懸念される制度というのをこの時期に導入するというのは疑問が残るのではないかと思われますので、憲法上非常に難しい問題で、私も憲法が専門ではありませんので判断しかねますけれども、いろいろ難しい問題を含んでいるというのは今の御説明でもわかります。だとすれば、それだけに制度を導入するときには慎重に検討をするというようなことが必要で、特にここしばらく日本では政党変更が多いわけですから、その点も考えて検討していただきたいものだなと思うわけであります。
  20. 山花郁夫

    ○山花委員 時間でございますので、最後の質問にさせていただきたいと思います。  これはまた加藤参考人にお願いしたいと思いますけれども、今回のこの制度改正案について、提案者の側からは、旧全国区とは違って、選挙運動についても規制という制限をしている、ポスターの枚数は何枚、あるいは法定選挙費用が幾らという形で制限をしているので、旧全国区のように銭酷区というような批判は当たらないという答弁がされているわけでありますが、先ほど江田五月参議院議員からは、そんなことはない、この制度になってもお金がかかるのだという当事者からの御発言がございましたけれども、果たして今回のこの制度改正によって、お金がかからない選挙制度となるかどうかということについて御意見をいただきたいと思います。
  21. 加藤秀治郎

    加藤参考人 私は、現在の制度から比べますとお金は確実にかかると思っております。  大学の教師としての、ちょっと適切な例かどうかわかりませんが、候補者の方は、当選したいという気持ちで立候補されているわけですからいろいろなことをやるというのは当然のことでありますし、そのとき違反がないようにということでありますが、例えば大学でいいますと、学生はできるだけ少ない努力で合格だけはしたいという気持ちがあります。そうしますと、当然教師の側としてはカンニングは警戒しているわけでありますが、今度の制度で疑問なのは、大学の試験でいいますと、カンニングを奨励しながらカンニングのチェックだけは物すごく厳格にやろう、そういうような説明に聞こえるわけであります。  当選のためにはいろいろなことをやらないととにかく当選できない。そして、それをやれと言いながら、細かい事務所の数だとかポスターだとかそういうところでは制限を加えようというような形ですから、これは、根本の方向が間違っているところで、それ以外のところでいろいろ規制をかけようというのはやはり邪道ではないかと思うわけであります。
  22. 山花郁夫

    ○山花委員 ありがとうございました。終わります。
  23. 自見庄三郎

    ○自見委員長 塩田晋君。
  24. 塩田晋

    ○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。各参考人におかれましては、非常にお忙しい中を時間を割いておいでいただきまして貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。  まず、江田参考人に二つほどお伺いします。  一つは、先ほど証言されました問題でございますが、参議院におきまして各党各派協議会がある、そこで報告書が提出されて、その報告書につきましては、次の参議院選挙については時間的な関係から定数の削減のみで、あとは現行の方式でいこうということが結論的な内容であったというふうにお話をされました。そして、それを再確認するような形で、本年の六月二日に参議院議長が各会派を集められてそれを再確認された、こういうふうに今お伺いしたわけでございます。  提出者の参議院皆さんからは、そういったことが言われているけれども、約束はしていない、それは全然なかったんだと。報告書についても、両論併記というか三者併記して書いてあるんだ、こういうお話があり、参議院議長のところでも約束はしてない、したがって、これはその後の状況変化によって、いろいろな事情からこの法案を出すのだ、こういうお話でございます。  その点につきまして、国務大臣もやられ、また参議院野党第一党の責任者であられます江田五月議員のお言葉というのは非常に重いものがあると思いますが、ひとつはっきりと確認しておきたいと思います。
  25. 江田五月

    江田参考人 参議院の方の提出者が衆議院に来てどのようなことをお話しになったか知りませんが、参議院の方では、ここに私も持っておりますが、参議院選挙制度改革に関する協議会というものをつくりました。これは、議長のもとにある各会派代表者懇談会、このもとに置かれた実務者の協議会でございまして、私ども、やはり議長というものの権威は議会人として最大限に尊重しなきゃならぬ、そのもとにちゃんと設置をされた協議会でございます。そこで九回協議をいたしまして、その協議のたびの議事録というものもしっかりとできているわけでございます。  そういうものを踏まえて、平成十二年、本年二月二十五日にこの協議会報告書というものが採択をされています。これも、議事録を見ますと、いろいろ文章の細かなところまで議論をして、その上でこういうことにしようといって出しているものでございます。  Iが「この協議会の経緯」、IIが「参議院の役割と在り方」、IIIが「当面の改革」として、その1が「拘束名簿式比例代表制選挙区制について」、(1)でいろいろな意見が書いてあって、(2)のところで「拘束名簿式比例代表制について」、その中で、ああいう意見もある、こういう意見もあると書いて、最後に「いずれにしても、現行拘束名簿式比例代表制仕組みそのものを改めるとなると抜本的な改革となり、その実現は容易でないことから、当面は現行拘束名簿式比例代表制を維持することを前提として議論を進めることとなった。」こう明確に書いてあるわけですから、これが合意でなくて何が合意か。もう本当に、印鑑証明つきの契約書みたいなものですよ。これを平気で破るというのですからひどい、こう言っているわけでございます。  六月二日の、議長が各会派代表者をお呼びになってお話をしたときも、これを前提にして定数是正をやりましょうというお話をされているわけでございます。
  26. 塩田晋

    ○塩田委員 責任者の江田参考人がそのようにはっきりと申されるわけでございますし、また、報告書もそういうふうに書かれていることでございます。それの確認をここでさせていただいたわけでございまして、ありがとうございました。  江田議員にあともう一つお伺いします。  先ほど、この選挙法の改正案というのは非常に不純な動機、そして思惑から、また前回の衆議院選挙の結果を見てこういう法案を突如出してきた、こういうお話でございました。そして、その法案の中身から見て、有名人、タレント等が大量得票をして、それが、本人のみならず他の当選者に横流しと言われるような、あるいは人によっては、移譲するような形、おすそ分けとかいろいろ表現されておりますが、そういったことを指摘されて矛盾を突かれたわけでございます。  それはそれとしまして、こういうことも起こらないでしょうか。例えば、全国区でございますから、これはしかも短期間に当選を目指して、各個人が個人票を集めるということになるわけです。そして、それがその個人の所属する党の票になり、また、個人を選択しないで党を選択する投票もできるわけですから、この双方の合算をしてその党の得票数になる、こういうことですね。その場合に、横流しというよりも、むしろたくさんの候補者を各党が出す。たとえ一万であろうと二万であろうと、何人も出せば何十万票になるかもわからない。もちろん供託金没収等の問題はあるでしょうけれども、それにも構わずある党がどんどん各地で候補者を立てる、そういうような状況が起こらないでしょうか。二百人とか三百人、あるいは四百人ぐらい立つんじゃないかと言われていますけれども、それどころか、票を集めるためには、例えば県会議員、市会議員を落選した人とか、あるいはそういった地方議員の任期の間際にやめて立候補する、こういったことをどんどんふやしていけば、銭金にかかわらずやっていけば、その党の票はふえる。だから、有名人でなくても、そういう立候補をすれば確実に党の票としてプラスされていく、こういう面が起こるんじゃなかろうか、このように思います。  その一つは、全国区といっても、走れ走れ孝太郎のような、全国を走り回って、そのために亡くなるような、そういうことでないようにするためには、大体七十万票をとれば当選じゃないかと言われていますね。一億人近い有権者に対しまして七十万票とればいい。そうすると、全国を駆けめぐる必要はないわけですね。ある県だけでも七十万票や百万票をとった人もありますし、またそれ以上の人も出ておるわけですが、ある県あるいはある地域に特化して、そこで選挙運動をやるということにもなりかねないですね。そうすると、全国区で、事務所の数を十五から一カ所に減らしたり、ビラの数にしたって、あるいははがきにしても、到底、全国でそんな十五万や二十万じゃ、これはもう話にならない。そうすると、どうしても特化していく。ということになると、全国区といいながら、実態は全国区でなくなるんじゃないか。そういった問題が起こり得ると思うんですけれども、これについて、江田議員はいかがお考えでございますか。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  27. 江田五月

    江田参考人 全国規模で個人名を書かせるわけですから、全国できるだけ走り回って票を集めよう、そうやって自分の所属する政党名簿順位自分努力で上げよう、これをみんなやることは、それはもうそうなると思いますが、もちろん、全国走り回るのは大変だから、私はここでとれるからここでとるんだと言って努力する、そういうことも出てくるでしょう。現に、全国区のときには、全国から集票ができる人たちはそれはそれで一生懸命やりました。しかし、政党によっては、全国自分の党の中でブロックに分けて、このブロックはだれそれ、このブロックはだれそれといってやったようなところもございます。そうなると、全国民の良識を集めて当選するというものとはまた性格が違ってしまうわけですね。さまざまそういう問題が出てくる。  私どもは、ブロック制というもので、全国規模の選挙運動をやらずに個人名投票で選挙を行う、そういう新しい広域選挙制度というものを提唱しているわけですが、仮にこの非拘束名簿式比例代表制でやるのだとしても、例えば、まず政党名を投票させるんだ、政党名は書いてもらうんだ、これは必須なんだ、政党名を書いた上で、さらにその政党名簿の中で自分はこの人がいい、これによって順位を決めていきたいというなら、それはそれで一つの考え方かもしれませんが、今度のようにどちらでもよろしいとなると、これは、今先生おっしゃるようなさまざまな問題点が出てきて収拾がつかなくなる。  参議院の方で私も指摘をいたしましたが、この法案をお出しになるときに、参議院の調査室で試算をしたこの法案に係る予算措置、これがあるんですね。これによりますと、公費助成で恐らく五十億円以上のものがかかるであろう。こういう資料をつけてこの法案を提出しているわけで、国民の税金のむだ遣いという点でも甚だしいものがあると思います。
  28. 塩田晋

    ○塩田委員 もう一つお伺いしたはずですが、各政党候補者をどんどん立てるという問題についてはいかがですか。
  29. 江田五月

    江田参考人 これもそういうことが起きると思いますね。もちろん供託金の問題などありますから、それぞれの政党は自己責任でそういうことを、有権者の批判も覚悟しながらやられたらという話ですけれども、しかし、普通考えれば、候補者が多ければ、たとえ一万、二万でもその政党得票は多くなるわけですから、まことにもってわけのわからない、むちゃくちゃな選挙ということになるんじゃないかと思いますね。
  30. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。野党第一党の責任者として非常に重いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。  今のことに関連いたしましてお伺いしたいと思いますが、加藤参考人にお伺いいたします。  加藤参考人は、諸外国の選挙制度につきましてかなり詳しく調べていらっしゃるというふうにお聞きしております。  今、この非拘束比例選挙の方式をとっておるのはヨーロッパに多いわけですね。そして、衆議院参議院、いずれかあるいは両方で非拘束名簿比例代表選挙をやっているのが、デンマーク、フィンランド、オーストリア、ベルギー、ノルウェー、オランダ、こういったところが代表的なところであると思います。ただ、その中で、参議院だけでこれをやっているというのは、ベルギーとノルウェーだけでございます。あとは一院制でございますから、参議院にはないということでございます。  その参議院選挙の非拘束比例代表選挙といたしましても、大選挙区だとか小選挙区に分けているところもありますね。それから、順位を党内である程度決められるような形のものもあるように聞いておりますが、特に、ベルギー、ノルウェーにつきまして、その辺はどうなっておるのか、お聞きいたします。
  31. 加藤秀治郎

    加藤参考人 ただいまの質問ですが、きょうの件につきましては、きのう急に言われまして、私もその辺が質問されるのではないかと思いまして急遽調べましたが、今の二院制の場合の上院に非拘束式という話についてちょっと調べておりませんでしたので、ここで責任あるお答えができないんですが、私が知っている範囲でお答えいたしますと、ヨーロッパで名簿の順番をつけないリスト方式、あとは、ついているんだけれどもそれを修正できる、そういう方式をとっている国はあるんですけれども、大半の国は、実際に名簿を変えられる可能性を行使する有権者というのはほとんどいない、非常に限られている。  それで、イタリアは変えましたけれども、以前は比例代表で変えられる余地を残していたんですが、イタリアが比較的多くて、三割ぐらいがそれを行使するだけで、ほかの、今お話に出ましたベルギーその他ですが、名簿順を変えていいというふうに言われながら、実際にそれを行使する有権者はほとんどいないというか、パーセントが非常に限られております。  これは、先ほど言いました政党社会関係が国によって違うからでして、イタリアは日本とやや似ていますけれども、ほかは非常に政党社会に根をおろしていまして、政党があらかじめ用意した順番のもので大体いいということで有権者が投票するから、そうなるわけであります。  それで、先ほどから顔が見えるどうこうという話が出てきましたので、それと関連してお答えしますと、ドイツの例ですが、ドイツは二票制で、一票を小選挙区の候補者に、一票を比例代表ということですけれども、これは普通の日本人の方はほとんど信じがたいことですが、ドイツでは投票用紙一枚に二カ所チェックすることで二票というふうになるわけですが、比例代表名簿の各党の名前のあるすぐ隣に各党の候補者が印刷されているわけです。ですから、同じ党の候補者でいい方は、こちらでつけたところにこちらもつけるという形で、小選挙区の部分にも所属政党が明らかに意識されるような投票用紙です。  それで、この用紙でドイツ人はどう投票しているかですが、実際に変えている例はありますが、小選挙区でだれが立候補しているかということをほとんどの有権者は知らないまま投票所に行っています。ですから、何をしているかというと、私はこちらはこの党に入れる、こちらはこちらの党に入れるということはしていますけれども、この人だからこれに入れるとか、そういう投票はほとんどしていないということであります。  ですから、外国の例をいろいろ、あの国はどうだ、この国はどうだというのは議論できますけれども、ポイントとして、どれだけ政党がその社会に根をおろしているか、そこをチェックしないで議論しますと、日本に余り参考にならないんじゃないかと思います。  ですから、先ほど私は、仮に今度の制度ドイツが導入したら、有権者はほとんど政党名を書くだけで、ごくわずかの方が個人名を書くだけのことでしょうと。しかし、日本の場合でやったら、ほとんどが個人名になる。個人名でやるということは、先ほどから出ています旧全国区とほとんど似たような形態になるということだと思います。     〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 塩田晋

    ○塩田委員 最後に一問お願いします。  今のお話は非常に参考になることだと思います。ドイツの例で話されましたが、これは、日本の小選挙制度の並立制でなしに、併用制という形だと思うんですね。  日本の場合、衆議院選挙の状況を見ましても、政党ブロックと小選挙区と両方ありますね、今の衆議院選挙の場合。政党政党所属の個人とが乖離している、違う例がたくさんあるわけですね。どのところでも同じ数になったところはないんですね。上回っているか、下回っているか。政党の方が多かったり、あるいは下回っている。これは必ず乖離していますね。  それを考えますと、何党のだれだれさんという個人名、これしか投票できない、それでない場合は政党名だというわけですね。それを後で合算するというわけですから、今度の法案は。今の状況からいって、A党のこの人は嫌だ、しかしA党に入れたいという人があるわけですね。その選択の余地がなくなっちゃうわけですね、今の方式だと。  これを立てる方式も考えられると思うのですね。今言われましたドイツの例もありますけれども、二票、あるいは一枚の紙に二つ書けばいいのですね。自分はこの党に投票する、そして、個人としては立候補したこの人だ。その人はA党でない、B党のこの人だ。これを書ければ、政党選挙だということが骨格だ、これはもう提案者は口をそろえて言われたわけですが、党の投票で大枠を決め、議席数を決める、そして、その党内における順序は投票で決めさせるということだって、二つ書くようにすればできないことはない。また、そういうことが日本衆議院選挙の結果を見ても起こっているわけですね。  ですから、そういうやり方に変えれば、顔の見えるということも立てられるし、政党本位選択だ、選挙だということも立てられる、そしてまた日本の現在の状況に適応している、このように思うのですが、外国の例から見まして、そのような方式についていかがお考えですか。お伺いいたします。
  33. 加藤秀治郎

    加藤参考人 ただいまのお話は、私の理解しますところによりますと、現在の改正案政党名個人名かどちらかを書けと言っているのに対して、あらかじめ政党名を書いた上で個人名を書けという制度だと理解しますが、その場合は、比較的政党を意識させることになりますから、現在の改正案よりは現行に近い制度になると思います。  私は、基本的に、先ほどから申している情報コスト観点から、リストの中で人を選ばせたり、これは嫌だとか、そういうことをやるのは、大半の有権者の実情からいってそぐわないというふうに思っていますので、改正案そのものよりはいいと思いますけれども、それ以上の評価はちょっとしたくありません。  これを言いますのは何かといいますと、政党だけを選ばせるということは、一般有権者がそう熱心に政治を見ていなくても、各党についてのイメージというのはあるものであります。ですから、ふだんのそういう蓄積されたイメージに基づいて選挙のとき投票して、それでそうおかしくない選択ができるというところが拘束名簿式比例代表の一番のメリットだと思います。  ですから、そこで人を選ばせるということにしますと、やる人はごく一部はいるでしょうが、それ以外の大半の人が、どういう理由でそういうことをやるのかがわからないというか、むしろ実際にやるのは、日本の場合ですと有名なタレントの方だとか、そういうような方が出てきやすいということであります。  それで、例えば、現在の制度でも、スポーツ出身の方が悪いとは申し上げませんが、現在そういう人を立てる政党でも、比率というものを考えながら名簿の中に入れているのだと思うのですね。というのは何かといいますと、余りにも並べると、それじゃこの党は嫌だというふうにして離れていく人がいますから。あとは、先ほどからの女性との関係でも言えますが、拘束名簿式の場合ですと、女性と男性の比率がどうなっているかということを気にする有権者にとっては、それはチェックポイントの一つなわけですね。  ですから、拘束名簿式の一番のメリットは、丸ごとの党を判断させる。それは有権者にとって、非常にシンプルですが、かなり合理的な選択ができるということでありまして、人を選べる、人の顔が見えるとかそういうことを強調したがる方が我が国にはどうしても多いようですけれども、私は、その議論に対して、本当に有権者がその気で選ぶのでしたら可能性もあるかと思いますが、実際はそうではないと思います。  私自身の例を申し上げますが、東京で学生時代を過ごしておったころ、区議会議員選挙か何かがあったときだと思いますが、何だかよく知らない人のポスターがたくさん張ってある。その中で投票してくれと言われるわけですが、仮に支持政党に近い候補者の中から選ぼうと思っても、三人、四人ぐらいの中からだれがいいのか判断がつかないわけです。それで、私なんかでしたら、この政党を支持しているから四人いる、そうしたら適当にこの人でいい、こういう投票であります。  私は、政治学を勉強していましたから、多少はほかの人よりは一生懸命選挙に関心を持ったつもりでありますが、選挙公報その他を見ても何も判断の材料がないわけです。ですから、判断の材料がないところでそういう高度な選択をさせるということは、結果としてでたらめな投票を誘発するというところで問題があるということであります。
  34. 塩田晋

    ○塩田委員 まだまだお尋ねしたいことは多いのですけれども、時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  35. 自見庄三郎

    ○自見委員長 児玉健次君。
  36. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  きょうはありがとうございます。  最初に、法律家として選挙制度の問題に取り組んでこられた志田参考人にお伺いをしたいと思います。  先ほど志田参考人は、個人名で投票させておいて、神出鬼没で政党が乗り出してくる、果たして名簿式比例代表制と今回のものが名乗れるだろうか、こういうふうにお話をいただきました。個人名得票政党得票に読みかえる、このことの持っている問題点について志田参考人の御意見をお聞きしたいというのが一点です。  二点目は、連座制の問題ですが、発議者の一人が、連座制になったとしても、当選人の当選を失わせる制度でございまして、当選を失った者の得票を無効とする、そこまで及ぶ制度ではございません、こう述べているのですが、こういう種類の連座制についてどのようにお考えか。この二点、お願いします。
  37. 志田なや子

    志田参考人 個人名得票政党に読みかえることの問題点についてですけれども、日本の場合、先ほどもほかの参考人の方が言われていましたように、個人名投票用紙に書くと、その個人の方に投票するのであって、その人の所属する政党に投票するという意識は有権者はほとんどないと思います。ですから、個人名の投票を政党に読みかえるということになりますと、結局は、その個人を当選させようと思って投票した得票が、その個人の属している所属政党得票になってしまうということで、大変に問題なのではないかと思います。  こういうものが名簿式比例代表制と言えるのかどうかということは、先ほども申し上げましたけれども、ほかの国の投票用紙を見ますと、日本みたいに個人名を書いたり政党名自分で書くという投票様式は珍しいようですけれども、とにかく、各政党がきちっと上の欄にあって、A党に一、二、三、四、B党にだれそれということで、きちっとリストがそれぞれの投票用紙にあるわけですね。その上で、政党に投票して、その順位を変えるということをしているわけですから、いかにも個人名得票政党に読みかえるということは、余り言いたくないですけれども、票をだまし取るような結果になるのではないかというふうに思います。  これは比例代表制とは全くまた別のことになりますけれども、個人名で投票して、その余った余分の投票をほかの人にも得票させたいということでできている投票制度もありまして、アイルランドの単記移譲制という制度は、Aの人が当選するのに余った投票があったらBに渡してください、Bの人にまだ余ったらCに渡してくださいということで、これは完全に個人名選挙で個人が当選するという制度ですけれども、それでも、移譲先をきちんと指定して有権者の意思を尊重しようというふうになっているわけですね。  ですから、非拘束名簿式というふうに呼ばれている与党の提案は非常におかしいというふうに思います。  それから、連座制についてなんですけれども、これはまさに個人名で投票したのに得票政党にということの矛盾があらわれているんだろうと思います。有権者の意思とは全く違ったところでありまして、結局個人に投票したのを政党にということで擬制するものですから、個人名投票が政党名最初から併存しているというふうに考えるから、連座制で個人が職を失っても政党の票は残るというふうな法律的な理屈になっているようですけれども、これは非常におかしい。そもそも個人名で投票しているのですから、有権者の意思に反するのではないかと思います。  もっと言いますと、法的な効果といいますか、効果的に言いますと、結局、個人だけの問題であれば、政党が、個人だけ当選しても政党の名誉にかかわるから余り金権選挙はやってくれるなということになると思うんですけれども、政党得票にもなるわけですから、政党の方では、そういうことをやってくれるなじゃなくて、どんどんやってくれということになりかねないのではないでしょうか。そういう意味で、連座制の点もおかしいというふうに考えております。  以上です。
  38. 児玉健次

    ○児玉委員 江田参考人にお伺いしたいと思います。  参議院野党会派結束して努力をなさった。先ほど下さったこのインターネットのものを拝見しておるんですが、十月十一日のところについてなんですが、「野党会派の統一要求」という二段目のところです。参議院からおいでになった発議者の諸君は、繰り返し繰り返し野党に対して話し合いを呼びかけたのに一切拒否したということを言い張りました。ところが、この江田参考人のメモによりますと「二月二十五日まで九回行われた各派協議会を再開し、そこで選挙制度改革議論を続けよう、協議の間は委員会審議は凍結しよう」云々、こうなっています。  私は、非常にこれは道理にかなった提案だったと思うんですが、こういう提案をお出しになった経過と、それに対する与党の側の反応はどうであったのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  39. 江田五月

    江田参考人 私のホームページの抜粋を見ていただけばおわかりのとおり、非常に緊迫したやりとりがずっとあったわけですね。私どもも、もちろん審議に加わらないこと自体が目的じゃないので、十分な審議をしたいことは当然の話でございます。そこで、野党の方から一体どういうふうにすれば審議にしっかり加わることができるか、そういうことを考えて、野党からもひとつアクションを起こそう、提案をしようというので、十月の十一日にこういう提案になりました。  野党会派、ずっといろいろな話し合いをしながら、お互いにもちろん意見の違いは時々ありますが、その意見の違いを乗り越え乗り越えして共同の行動をとってきたわけですが、ここで言っているのは、各派協議会で二月の二十五日に、来年の選挙制度については現行で、こういうことになっているので、あえてそのとおりてこでも動かないとは言わない、そうではなくて、その議論をもう一遍そこでやったらどうですかと。そして、これは、もちろんそこで議論をやって成案を得ることができればそれを実現するということになるわけですから、そういう二月二十五日の審議に反する今回の提案については、これを凍結して、そして協議会意見がまとまるのを待とうじゃないかと。  ちなみに、これは一項目めにこの二つのことが書いてあって、二項目めではそういうことが合意できればクエスチョンタイム、これもやりましょうということまでちゃんと書いてあったわけでございます。  与党の方は、これを半分のみながら半分拒否した。すなわち、この協議会議論することはどうも頭からノーだと言うわけにはいかない、しかし委員会の審議の方はそのまま続ける、こういうことです。  ですから、これは、与党の言っていることをそのままうのみにしてしまうと、現にもう出されているものはそのまま通ってしまうという話になってしまいますから、私どもは、この提案はこのままちゃんと了解をしていただかなければいけないということで、与党のそういう逆提案ではだめだということになって、残念ながらこういう私どもの統一要求に従った打開というのはできなかった、こうなった次第でございます。
  40. 児玉健次

    ○児玉委員 参考人の四人の方にそれぞれ、まだ私の質問時間は約十分ありますから大体お一人二、三分でお答えいただければいいんですが、きのうの朝日新聞に、今度の非拘束名簿式なるものについての世論調査の結果が出ております。  例えば、人気のあるタレント候補を立てると言われる、そのことについてどうかという質問に対しては、問題がある七六%、問題ない一五%。さっき永井さんからおすそ分けという女性らしい表現がありましたが、こういう一つのアンケートの結果が出ています。そして次に、来年夏には参議院選挙がある、非拘束名簿式自民党に有利になると思いますか、有利になる四四%、そうは思わない二八%。そして、全体として非拘束名簿式を導入することについてどう思いますか、賛成九%、反対三八%、どちらでもない四五%。  この結果をごらんになってどのようにお感じになったか、恐縮ですけれども、永井先生から順にお答えいただければと思うのです。
  41. 永井よし子

    永井参考人 実は、今回の参考人の呼びかけが、実はきのう一日朝から出ておりまして、夜、お通夜から帰りましてからお呼びかけをいただきまして、新聞を読んでおりません。申しわけございません。  ただ、今の御発言ですと、国民の今回の改正案に対して賛成が九%ということですね。それは、国民自民党が眠っていてくれればいいと思っているほど眠り込んでいるわけではないということを示しているのだと思います。  これほど国会が機能を失い、政治家として示してほしいと国民が負託しているような仕事をきちんとしていない、まして国会が言論の府として機能していないということを日常的に見せつけられれば、国民も眠り込んでいるわけにはいかないということは次第にわかってくると思います。そのことを示している数字がこの改正案に賛成九%ということだろうと思います。  以上です。
  42. 志田なや子

    志田参考人 私は、このアンケートの結果を見て、国民は非常に賢明なんだなというふうに思いました。賛成は九%しかいない。制度の内容がわかれば反対、けれども選挙制度の問題というのは非常に難しいのでまだわからない。国民の中では、国会の審議の内容がまだ十分に知られていないということの結果のあらわれであろうと思います。  そういう意味で、非常に国民は賢明なんだなと思います。審議を十分尽くされるようお願いいたします。
  43. 加藤秀治郎

    加藤参考人 私は野党の推薦でここに立っているわけですが、何かこの答えについてはちょっと御期待と違うかもしれませんが、私が拝見した限りでは、この調査は、前文がかなり長い文章が続いていましてその後で聞いていますので、果たして調査された方がどの程度わかってきちっと答えたものかどうか、やや疑問が残るものであります。そういう点をまず感じました。  もう一点は、わからないというのがもっと多いかなと思って読みましたら答えが多かったのですが、その解釈は非常に難しいと思います。ですから、全般に国民の方で、賛成、反対を決めているというよりは、まだわからないまま何か事態が進行しているということの方が、調査のやり方によっては出てくるのじゃないかなというふうに印象を持ちました。
  44. 江田五月

    江田参考人 私もちょっと加藤先生と似たような印象を持ったのですが、今の段階でこの世論調査は大変難しかっただろうな、それでもなお世論の動向を知るために質問を随分苦労されているなということをまず感じました。  この質問で答えが多少誘導されているかもしれないなということは思いますが、それでも賛成九%、反対三八%、どちらでもない四五%というのは、やはりこれは世論の傾向をちゃんと示している、そのことははっきり言える。大変難しい世論調査ですが、国民は賢明だということはこれであらわれていると思っております。
  45. 児玉健次

    ○児玉委員 あと五分ありますので、せっかくですから、志田参考人に、先ほどのお話の中で補足的に二つのことをお伺いしたいのです。  一つは、女性の進出を可能にする比例代表選挙の長所を失わせる選挙制度だ、そこのところについてもう少し御説明をいただきたいというのが一点でございます。  それからもう一点は、非拘束名簿式というが本来の非拘束名簿式とはほど遠い、そういうふうにさっきおっしゃいましたが、そこのところがこの間の審議の中で一番かなめだったと私たちは思いますので、重ねてお尋ねしたいと思います。
  46. 志田なや子

    志田参考人 ほかの参考人意見の中でおっしゃられていましたけれども、北欧諸国では、名簿式比例代表制のもとで、政党がそれぞれ積極的に議会に進出させるという政策を持って候補者名簿の上の方に女性をたくさん登載する。それで女性議員の比率をどんどん上げていって、三割、四割まで高めたという現在に至っているわけです。  そういう意味で、拘束名簿式の長所というのはありまして、この長所を生かして、日本でも、特に参議院では比例代表の女性議員の占める比率は選挙区よりもずっと高いわけですから、そういった拘束名簿式の長所というのが日本でも現実にあらわれているのだろうと思います。ところが、非拘束名簿式になりますと、その長所が失われるということになりかねないと思います。  ちなみに、女性議員比率は日本は大変低いわけでありまして、列国議会同盟の資料によりますと、衆議院の場合には百六十一カ国中百五位ということで大変低くて、参議院での女性議員比率が一七・一%とかなり高いものですから、ようやくこれで面目を保っているというありさまであります。こういうときに拘束名簿式を非拘束名簿式に変える必要はないのではないかというふうに思います。  それから、与党三党の非拘束名簿式名簿式比例代表制と言えないのではないか、非拘束名簿式をとっているほかの国と比べても日本の姿はかなり異常なものであるということは、先ほど申し上げましたように、投票用紙を見ていただければ一目瞭然にわかることであります。必ず政党の枠の中に各候補者の名前が書いてあって、政党を選んだ上でその候補者順位を決めるというふうになっているわけですから、個人名の投票を政党に読みかえるなどということは、非拘束名簿式比例代表制と呼ぶにはちょっと恥ずかしいというか、非拘束名簿式比例代表制がかわいそうである、与党三党の提案というのはそういう提案なのではないかというふうに思います。  以上です。
  47. 児玉健次

    ○児玉委員 御多忙の中、四人の方においでいただいて、本当にありがとうございました。  私たちは、今の貴重な御意見をぜひ十二分に活用してこの後の審議を進めていきたい、そのように決意していることを述べて、私の御質問を終わります。ありがとうございました。
  48. 自見庄三郎

    ○自見委員長 今川正美君。
  49. 今川正美

    ○今川委員 私は、社会民主党・市民連合の今村正美です。きょうは四人の参考人皆さん、大変御苦労さまであります。  私は、まず最初永井参考人にお聞きしたいのでありますが、先ほどお話にありましたが、参考人皆さん方をお呼びするのが、実はきのうの与野党の話し合いの中では、きょう決めてあしたということでは参考人皆さん方にも非常に失礼になるから、日程調整も含めてもっとじっくり参考人の聴取もやったらどうかという私たち野党の側の声もあったのですが、このように急遽決まったといういきさつがございます。  そこで、自民党など与党の方は、この衆議院の特別委員会では、昨日まで二日間、六時間の審議で、きょうこの参考人の聴取が約二時間、そしてクエスチョンタイムを挟んで、その後四時から二時間半の審議ということになっているわけですが、一部新聞や国会の内部のうわさによりますと、場合によってはきょうこの審議が終わり次第採決があるかもといううわさも飛び交っているわけです。  私が過去のことを調べてみますと、旧全国区から比例代表制に変えていくときの国会の審議は、中央公聴会、地方公聴会などを除いて国会内部の審議だけでも、少なくとも二十八時間を超えて与野党ともにじっくり審議をしたという経過があるようであります。それに比して今回の場合には、参議院であのような異常な事態でしたし、しかもこの衆議院でも、まだ現時点では十分な与野党議論にはなっていないというふうに私は思うわけであります。  このような事態の中で、永井参考人、女性として長年市民運動をなさってきて、私も地元では、非拘束とか拘束とかと言われてもよくわからないという声を随分聞くのですけれども、現時点で市民の側から見て、この非拘束名簿方式なるもの、あるいは今参議院選挙制度をどのように変えようとしているのかという理解が果たしてどのくらいいっているのか、御意見があればそこら辺をちょっとお聞かせください。
  50. 永井よし子

    永井参考人 市民の立場から意見を申し上げさせていただきたいと思います。  私ども市民が、国会でどのような審議が行われているのかを知る最もポピュラーな手段はマスコミです。新聞及びテレビのニュースから情報を収集しております。よほど特殊な人はインターネットでアクセスしたりいたしますけれども、大多数の国民は新聞やテレビを通じて情報を知ります。  私も、ばたばたしておりまして、新聞を熟読しているとは言えませんけれども、今回の参議院の公選法改正については、十三日に強行採決をされる直前に、これは非常な問題であるというようなことがわずかにマスコミの中に盛られてきました。ただ、それについてどのような弊害が出てくるか、国民にとってどういう影響が生じるか、国民が一票を投じる権利はどのような保障を失うのか、そういうことが明らかになるような解説記事というようなものについてはお目にかかることができなかったと思います。  十三日に強行採決された後に、こんな審議の仕方では、短時間の審議では、まして野党が欠席しているところでは法案の対立点が問題に見えてこない、国民にとって知る機会が非常に限定されるというような記事も見かけましたけれども、私は、野党が審議に参加しないのは一つの戦略としてあり得ると思います。まして、数の暴力が横行していて、ルールというものが踏みにじられて、それになれてしまうような進行ですと、国民の側も何かマスコミの論調に影響されるというところがありますけれども、私は、きちんとした情報提供はマスコミの義務だと思っておりますので、それがなかなか十分ではないということに、国民の立場から見て非常に不自由を感じております。問題だ問題だと言われながら問題がよくわからない。それを十分に知らせてほしい、マスコミがそういう機能を十分果たしていただきたいと常々思っております。
  51. 今川正美

    ○今川委員 二つ目の質問でありますが、これは永井参考人志田参考人に。きょうはたまたまでしょうけれども、四人の参考人皆さん、男性二人、女性二人とバランスよく来ていただきましたので。  これは先ほど永井参考人の方から御意見があったわけですが、私どもも、今月十三日付で、参議院選挙にかかわる公職選挙法改正案の撤回を求める要望書というのを、北京JAC代表世話人、山下泰子さんの名前でペーパーをいただいておりますが、実は、昨日のこの特別委員会での審議の中でも、我が社民党の方から、女性の政治参画にかかわって、今度変えようとしている選挙制度は非常に問題があるのではないかという質問をいたしたわけであります。  永井参考人志田参考人にお聞きしたいわけですけれども、昨日、この我が党の質問に対して、与党の答弁の中に、社民党は今、衆参国会議員合わせて、ちょうど男性半分、女性半分という状況にありますが、それは非常に好ましいことだと思うのですけれども、社民党は女性が多いんだから、来年の参議院選挙でも非拘束名簿方式のもとで女性を多く出せばいいじゃないかという随分乱暴な答弁があったのです。  いま一度お聞きしておきたいのですけれども、今度、非拘束名簿方式に変えられることによって、今永井参考人が御意見でおっしゃったような、女性の政治参画を果たして促すものであるのか、それとも阻害するものであるのか、永井参考人志田参考人、それぞれ御意見を伺いたいと思います。
  52. 永井よし子

    永井参考人 今回の改正案は、個人名を書かせることによって、政党名簿の中の順位に対して政策的な判断を示さないというあいまいさを残しています。  比例制が残ることによって、政党が女性の政治参画についてどういう見解を持っているのか、あるいは女性が参加することによってどういう社会を目指そうとしているのか、それから、女性が政治参画することが、単に女の顔をしている議員を国会議事堂の中にふやすというにとどまらず、女性が政策判断の場に立つことによってどのような政策展開ができるかということに対して政党としてどのような判断を示すか、そういうことまで読み取ることができるわけです。  比例名簿ですと、ポジティブアクション、いわゆる国会で採択された男女共同参画基本法、あるいは先ほど申し上げました女性のあらゆる差別を禁止する条約、すべての男女共同参画社会をつくるための政策判断をどのように考えるかというときに、ポジティブアクションというのは、きちんと政策判断をするときに重視して判断するということが国会議論の中でも明らかになっています。比例名簿の方がずっとポジティブアクションを政党としてとりやすい。今回のような改正案になりますと、政党のポジティブアクションをとるという動機を非常に薄めることになりますので、結果として女性の政治参画への道は遠ざかるだろうということです。
  53. 志田なや子

    志田参考人 私も同じ意見でありまして、そういう意味でいうと、半分とは言いませんので、三割か四割ぐらい各政党が女性の候補を拘束名簿で入れることがずっと続くような状態にぜひなってほしいというふうに思っております。  それから、非拘束名簿に変わると女性が不利なのではないかということなんですけれども、タレント候補で女性の方が出るということはあると思うのですが、例えば業界だとかいわゆる圧力団体を背中に持っている有力な女性というのは余りおりませんので、そういう意味で、非拘束名簿は女性に不利なのではないかと考えております。  以上です。
  54. 今川正美

    ○今川委員 三番目に、江田参考人にお伺いをしたいのです。  先ほど江田参考人の方から、参議院でのあの出来事は、国政史上かつて見ない非常に重大な汚点を残す問題であるという趣旨のことが述べられましたが、実は、衆議院におけるこの特別委員会の審議の中でも、自民党など与党側の答弁の中に、あるいは与党の議員さんの中に、これは参議院における選挙制度の問題であるし、しかも参議院採決をした案件であるから衆議院では粛々とという表現は使っていますけれども、そこそこに審議をして性急に結論を出したいというふうな声が聞こえてくるわけでありますが、この二院制のもとで、参議院で決めたら衆議院ではそこそこにというふうな与党側の考え方に対して、江田参考人のお考えを聞かせてください。
  55. 江田五月

    江田参考人 私ども、参議院の方がああいう審議の形になってしまったことは、与党野党を問わず、参議院として大いに反省をしなければならぬと思っております。しかし、参議院選挙制度だから衆議院関係ない、逆に、衆議院選挙制度なら参議院関係ない、それはそういうものではない。やはり、二院制というものをとって、一方が行き過ぎがあった、おかしなことになった、そのときにもう一つの院がしっかりと役割を果たす。それができなかったら二院制というものは意味がないわけですね。  以前、衆議院に小選挙区制、比例代表制を導入するときに、参議院は随分、私どもからすると大変な事態ではありましたが、しかし役割を十分に果たされました。私も、細川内閣の閣僚の一人として、本当に参議院の大変な力をまざまざと見せつけられましたが、今回、参議院、私はこれは本当に代議制機関としての役目を果たし損なっていると思います。ひとつ衆議院の方でこれはしっかりとした議論をしていただきたい。そして、願わくは参議院の方にまた戻していただくというような、そういうことだってあるわけですから、ぜひ二院制の妙味をここで生かしていただきたいとつくづく思います。  参議院の方の提案者が、参議院与党第一党、自民党の国対委員長がその役に当たられて、衆議院にまで来て、みずからそれ行けどんどんということをやられるというのは、私は大変遺憾に思っているところです。
  56. 今川正美

    ○今川委員 もう時間があと五分ほどしかございませんが、実は、社民党はもとより、この特別委員会において、野党四党は結束をして、今おっしゃったようにできるだけ慎重に十分時間をかけて審議をしたい。  特に、他の法案と違いまして、これは選挙制度にかかわる法案であり、私たち政治家政党は、国民皆さんから、有権者皆さんから判断をいただく、そういう立場にございますので、私どもは、この委員会の中でも、政治家、与野党議論だけではなくて、公聴会なども開きながら、広く国民各界各層の皆さん方のいろいろな御意見を十分拝聴した上で結論を下すべきではないかというふうに思っております。  そういった意味では、社民党だけじゃなくて他の野党からも、公聴会を開いてほしい、あるいは例の久世問題やKSD疑惑にかかわる証人喚問なども行ってほしい、こういう意見もあるわけです。  こうした、ここだけの審議ではなくて、公聴会なども開いてほしいという野党意見があるわけですが、四人の参考人皆さん方に、一分ちょっとしか時間がないと思いますが、今後の審議の中に生かしていきたいと思いますので、簡単に御意見を下さい。
  57. 江田五月

    江田参考人 ぜひそういうことをお願いしたいと思います。
  58. 加藤秀治郎

    加藤参考人 私も、今回のことにつきましては、国民に問題が何なのかということがわからないうちに事態が進行していると思いますので、もう少し時間をかけてやっていただきたいと思います。
  59. 志田なや子

    志田参考人 同様でございますが、最高裁の裁判官の反対意見の中に、国権の最高機関としての権威というのは、選挙制度国民にとって平等であり公平であるというところに由来していると。ですから、選挙制度の平等と公正というのは守らなきゃいけないということを言っておりますが、そういう意味で、本当にもうちょっと十分に時間をかけて、公聴会もやって、審議していただきたいというふうに思います、全国民の代表なのですから。
  60. 永井よし子

    永井参考人 先ほども申し上げましたけれども、選挙制度というのは、国民が一票を行使するときにいかにきちんと機能するかということが前提になるべきで、党利党略が動機であってはならないわけです。国会は、本来ならば自分たちの身分にかかわることですから、公聴会はおろか、もっと広く国民が参加できるような仕組みで選挙制度を大々的に議論し直していただきたい。これほど政治・政党不信がきわまって政党離れが進んでいる段階で、小手先の訂正や改正で国民の政治に対する信頼は戻ることはないと思います。  ぜひ、公聴会、拡大公聴会から、常設の調査会などを設置して選挙制度のあり方について広く議論を興すというようなことも御検討いただきたいと思います。
  61. 今川正美

    ○今川委員 最後に、これは自見委員長にたってのお願いであるわけですが、今四人の参考人皆さん方から、できるだけ時間をかけて多くの国民皆さん方から意見を聞きながら審議をし、結論を得てほしいという御意見がありましたので、そういう皆さん方の意見をぜひ尊重していただきまして、きょうに限らず明日以降も、与野党ともに慎重にかつ中身のある審議を続けていただきますように、自見委員長のすぐれた識見のもとでそういうお取り計らいをよろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。  ありがとうございました。
  62. 自見庄三郎

    ○自見委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日午後四時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後三時十五分休憩      ————◇—————     午後四時一分開議
  63. 自見庄三郎

    ○自見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参議院提出公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として自治省選挙部長片木淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  65. 自見庄三郎

    ○自見委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤和良君。
  66. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 公明党の遠藤和良でございます。  この委員会も月曜日から連日審議をさせていただいておりまして、提案者の皆さんは連日御苦労さんでございます。また、委員皆さんも大変御苦労さんです。  この三日間でかなり論点が浮き上がってきたように私は思います。したがいまして、きょうは論点を整理しながら、それについて私は質問をさせていただきたいと思っております。  そもそも選挙制度というものは国民の側に立つ選挙制度でなければいけない、私はこのように思っているわけでございます。提案者も、選挙制度にベストはないけれどもベターを目指して努力をする、そういうふうなことをおっしゃっておるわけでございますが、その視点としては、有権者の側に目を向けた制度の方に選挙制度を改善していくというのが大変大事な視点だと思っているわけでございます。  そういう角度から見ますと、今回の選挙制度、いわゆる非拘束名簿式を導入する最大の点は何かというと、これは当選者の順位国民に直接つけていただくという制度でございますね。今までの拘束名簿というのは、国民皆さんには政党名を記入していただくけれども当選の順番は政党がつけますよということでございまして、これを国民の目にさらに近づけていく、国民皆さんに直接当選の順番を決めていただく、こういうことでございますから、この一点だけ見ても、今度の選挙制度改革案が国民の側に近づいた、選ばれる側の論理ではなくて選ぶ側の論理を優先した選挙制度になっている、このように理解をするわけでございますけれども、提案者の皆さんの認識はいかがでしょう。
  67. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 お答え申し上げます。  先生おっしゃるとおりでございます。民主政治国民の意思を政治の場に反映させるということでございまして、選ぶ側そして有権者の側に立って制度立案はなされるべきものだというふうに考えております。  拘束名簿式比例代表制の場合に、かつてから、顔が見えないとかあるいは順位決定がわからないというようなことが指摘されてきたところでございますが、要するに、政党で決めた順位というものを有権者に押しつけるというような形になっていたわけでございまして、今回、選ぶ側に順位をつけていただくという形でございまして、あくまでも有権者の側に立つ改正であるというふうに考えているところでございます。  国民の側からしてみれば、やはり候補者を選びたい、あるいは党も人も選べるようなものにしていきたいというのが有権者の意思ではないかというふうに私ども考えまして、今回のような改正案を提案した次第でございます。
  68. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 確かに、非拘束名簿比例代表制度というものを導入している国は幾つかあるわけでございますが、具体的にどのような形で国民が投票し、どのような形で当選者が決まるのかというその中身については、この委員会でも必ずしも明確にそれが知らされておりません。したがって、ヨーロッパ各国で行っている中の代表の例で結構でございますから、具体的に、どんな形で国民皆さんには投票していただいて、どんな形で当選者が決まるのか、その仕組みについて少し教えていただきたいと思います。
  69. 須藤良太郎

    ○須藤(良)参議院議員 非拘束名簿式比例代表制を採用している主な国は、既に昨日も申し上げましたけれども、オランダ、ベルギー、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、オーストリア等でございます。  これらの国はいろいろな形でありまして、きのうはベルギーの件について申し上げましたけれども、これは、個人名または政党名による投票は今回の我が案と同じ、そして、届け出名簿には政党順位をつける、これは違うわけであります。それから、各党の個人名投票と政党名投票を合算して各党の当選人の数を決定する、これは今回の法案と同じであります。  当選人の各党による決定でありますけれども、これは、一定の基数以上の個人票を得た候補者当選する。一定の基数というのは、これはいろいろ計算がありまして、その政党得票総数を政党当選人の数にプラス一をやって割る。これは絶対にその政党当選人の数の枠に入る数であります。今度は、一定の基数に達しない候補者には、政党順位を付した順に従いまして、政党名票がその一定の基数に達するまでいわゆる移譲をさせて、これを当選にする。なお数がある場合には個人名投票、これはとった票の順に当選人を決定する、こういう方法であります。  その他、オランダとかフィンランド、いろいろありますけれども、全く同じものはない、こういう状況でございます。
  70. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 その中で、日本の国が今導入しようとする非拘束名簿比例代表制というのが各国の非拘束名簿比例代表制に比べてどのような利点があるのかということを考えますときに、私も平成九年の七月二十三日から八月三日まで、この委員会で欧州の選挙制度の調査に行ったことがあります。この委員会の中でもいろいろ、この際調査に行けという話があったのですが、もう既に行っております。そのときの団長は、きょうも出席されておりますが、中馬弘毅先生が団長で行ってまいりました。  各国とも、死票をゼロにする比例代表制で、かつ顔が見える選挙制度にするにはどうすればいいかと大変な工夫をしているわけですね。  例えば、あれはベルギーだったと思いますけれども、ベルギーの投票用紙を見ると政党別に全部の候補者のお名前が記されていまして、それに丸をつけるわけですけれども、その投票用紙自体が新聞紙ぐらい大きいんですね。そんなでかい投票用紙でございますから、これはかえって、いっぱいあるわけですから、どれを選ぶか、投票用紙自体がこんな大きいものですから、なかなか使い勝手が悪い。そこは電子投票制に変えているわけですけれども。  日本の国の非拘束名簿比例代表制は、あくまで投票は単記無記名で、個人名を書く、あるいは政党名投票でもよい、このように単純化されておりまして、有権者にとってみると大変わかりやすい制度だ、このように理解をするわけですね。  それからもう一点は、やはり当選の順番を国民が決められるという意味で、有権者の側に立った制度だ。  それからもう一点の利点というのは、単純な拘束名簿比例代表制だと、候補者に余り意欲がわかないんですね。一番とか二番になっちゃったら、もう当選したようなものですから、余り一生懸命やらない。随分遅い番号だと、見込みがないから、かえってふて寝しちゃう、当落線上の人だけ一生懸命やっているというふうな話になるんですけれども、非拘束でございますから、国民に直接順番をつけてもらう。こういう意味で、候補者自身も意欲がわく。  こういうふうなことから考えると、欧米各国の非拘束名簿制度と比較しても、今回導入しようとする日本制度が、簡便でかつそうした非拘束名簿比例代表制の長所を生かしている、このように私は認識するのですけれども、いかがでしょう。
  71. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 遠藤委員言われましたように、ベルギーの方式もかなり考えた制度であると私は思うのです。ただ、いかにも複雑でわかりにくいですよね。ベルギーには名探偵ポアロなんというのがおりますから、頭の体操みたいなことは好きなんでしょうけれども。  やはり今、遠藤委員御指摘のように、我が国の今回の制度がよその国の制度に比べて大変簡素でわかりやすいということ。あるいは、言われましたように、有権者人物選択をして、それで順番をつけていくというよさですね。あるいは、そのことによって、今言われましたように、順位が発表された、上位の人はもう当選したんだ、こうなっちゃう。下の人はもうだめだと思って力を抜くというのか、投げちゃう。そういう意味では、選挙も活性化しませんし、候補者有権者の結びつきも希薄になるんですね。  そういう意味では、今回の方が、候補者有権者に直接働きかけるという利点があると思いますので、私は、この種の制度の中では日本制度は大変いい制度だ、こういうふうに思っております。
  72. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 この委員会でも票の横流しじゃないかという議論がたびたびあったんですけれども、個人名投票で投票してもらって、それを政党名投票にカウントするわけですから、今もお話があったけれども、横流しとかおすそ分けとかいう議論は、そもそも比例代表制度というのがわかっていない人の議論だ、こう思いますが、どうでしょうか。
  73. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 まさに委員言われるとおりでございまして、何度も申し上げますけれども、選挙制度には多数代表制と比例代表制がありまして、多数代表制は政権交代等でそれなりのメリットがありますが、選挙民の意向を鏡のように映すのは比例代表制でありまして、比例代表制の場合は、得票がそのまま当選人に結びつく、しかも死票がない。  ただ、何度も申し上げておりますが、その比例代表制の中に拘束名簿式と非拘束名簿式がある。そこで、これは比例代表の中の非拘束名簿というやり方でございまして、何度も申し上げますが、それはまず党を選ぶ。候補者名簿を出された政党をまず一義的には選んで、その中で自分はだれを上位で当選させたいかということで、その次に候補者を選ぶ、こういう二通りの選び方ができるわけであります。  したがって、一義的に党であるという意味では、党を選んでいるわけですから、横流しがあるわけじゃなくて、すべて合算して、それで当選人の数にそれがスライドしていく。これはよその国でも皆そうですね。ベルギーだってオランダだってフィンランドだって、ノルウェーも似ておりますけれども、そういうふうに私は理解しておりまして、委員の言われるとおりだと考えております。
  74. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私が実際見てきました例ですけれども、オランダの下院議員、これは順位をつけた非拘束名簿方式ですね。通常は名簿一位の人はその党の党首がなるのですけれども、選挙をすると、大体その政党得票総数の九〇%をその一位の党首がとるのですよ。そして、大体十人分あるいは二十人分の当選を確定するわけですね。  したがって、この場合にどういう仕組みになっているかというと、非拘束名簿順位があるということは結局当選基数を設けているということなんですけれども、二番、三番、四番の人に全部一番の党首の票が行く、移譲されていくわけですね。そして、当選基数に達した人は全員当選、それで十人二十人当選する。これが普通の非拘束名簿比例代表制でして、党首たるものは十人分、二十人分の票を稼がなければ党首じゃないのですね。この場合に横流しなどという議論は全くありません。これは当然のことです。  それから、フィンランドですけれども、これは一院制でございますから、一院制の中でやっているのですけれども、要するに、当選順位は決めません。日本と同じです。また、当選基数も決めていません。ですから、個人名投票ですけれども、個人名投票の総数をもって、その政党得票数にカウントする。そして、それによって政党当選人数が決まるわけですね。その人数が決まって、その後個人名投票の上から順番に当選していくわけですから、全く日本と同じような仕組みなんですけれども、これは当選基数がないから、横流しも何もないのですね。  日本だって同じであって、日本当選基数を決めていないのですから、横流しなどという議論はそもそも生ずる余地がない、こう思いますが、どうでしょう。
  75. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 遠藤先生の外国の実例をよく御研究いただいたお話参考になりました。  お話のとおり、フィンランドの例など見ましても、伺うところによりますと、ポイントゲッターたる、非常に政治力の評価につながっている、そういう得票の多い人は、投票のくま手と言われているそうでございまして、非常に制度として安定されているわけでございます。  そういう点で、お話のとおり、横流しという言葉野党の皆様方は随時使われておりますけれども、根本的に比例代表制とそれからいわゆる多数代表制を誤解されていることでございまして、特に、御説のとおり、もし仮に横流しなんて言われますと、これはもうはっきり言えば、横流しということは違法性、いわゆるイリーガルルール、そういうような言葉につながるわけでございますから、国民に誤解を与える、こういうことで、合算とかあるいは移譲という言葉で表現されるべきでありまして、全く合法であることは、先生の御説のとおりでございます。
  76. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 本当に比例代表制というものは死票をゼロにする制度なんですね。しかも、日本の国は日本全国でやっているわけですから、最も死票が少ない制度だと私は思うのですね。そういうことを考えると、票の横流しなんという議論はどうして出てくるのかな、こういうふうに思います。  もっと比例代表制というものをしっかり勉強してもらいたい、こう思いますが、どうですか。
  77. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 全く御説のとおりでございまして、諸外国にも個人名で投票して比例代表制という投票制度がございます。これは合法で、ちゃんと定着しておりまして、横流しなどという言葉が随所で使われている例は全くございません。  死票がゼロになる、このこともメリットの大きな意味合いでございます。  それから、御参考までに、申し上げるまでもございませんが、現在の比例代表制そのものも、特定の第一位に挙がっている人に投票をしたいという気持ちで政党に入れて、その票が大いに生きて、下位の人を当選に繰り上げてくる、こういう効果があることは御説のとおりである。それから、小さな政党でございましても、トップランナーを一人持ってきて、その人がうんと票をとって、二人、三人という人を当選に至らしめるというふうなメリットもあるわけでございまして、非常にいい制度だと思っております。
  78. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、個人名投票で投票していただいた方が連座制で当選無効になった。本人は当然当選無効ですけれども、それに投じた得票、これも無効ではないのかという議論がありました。これに対して、候補者当選無効だけれども得票そのものは有効であるという根拠をもう少し明快に答弁してもらいたい。
  79. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 お答え申し上げます。  現行の連座制は、候補者の一定の関係人が選挙犯罪を犯してしまった場合に、その当選人のペナルティーとして当選人の当選を無効とさせる、あるいは立候補を制限する、禁止するという制度でございまして、当選を失った者の得票というものを無効とする、こういう制度ではないわけでございます。これは衆議院参議院両方とも同じ制度になっているところでございます。  そして、今回、非拘束名簿比例代表制におきまして個人に投票した票はどのように考えられるかといいますと、第一義的には政党への投票というふうに観念されるわけでございまして、この連座制の効果というものを政党得票数まで及ぼすということになりますと、結局、有権者が、投票者がこの政党にという、その意思さえも無視する形になるわけでございまして、このような形はとらなかった次第でございます。
  80. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 要するに、二つ理由があるということですよね。一つは、連座制で当選者を当選無効にするという理由はペナルティーだ、もう一つは、今度の選挙比例代表選挙だから、個人名投票にしても、これは政党名投票とみなしているんだから、それを無効にすることはできない、こういう話でしょう。
  81. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 今、遠藤委員が言われたとおりなんですね。比例代表拘束名簿の投票というのは、まず第一に政党を選ぶ、第二に、自分のいいと思う候補者を上位に当選させる制度なんです。  そこで、その上位に当選させる候補者選挙犯罪を起こして無効になる。だから、その人はそこから排除されます。しかし、第一義の政党を選んだところは生きるわけでありますから、これを無効にする必要はないんです。まず政党を選んで、二番目に選ぶのが、その政党名簿の中で自分の好ましいと思う人を上位に当選させたい。ところが、その人は連座制でアウトになる。だから、そこはアウトです。しかし、政党を選んだというところは残りますから、この票を無効にする必要は全くありません。
  82. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 かなり明確な答弁になったと思います。  それから、これは自治省に聞きたいんだけれども、実際に新しい選挙制度で投票が行われると、開票時間に従来よりも若干時間を要するのではないかと思うんですけれども、これは、当日、即日開票して、翌日きちっと発表できるのかどうか、あるいは、翌日開票になっちゃって、最終的にはその投票日の翌日の夕方ごろになるのか、その辺の見通しを教えてください。そして、最後の議席を決めるのはなかなか難しいんですね。それがいつ決まるのか、その辺の見通しを今の段階でどのように考えているのか。
  83. 片木淳

    ○片木政府参考人 今回の非拘束名簿式比例代表制におきましては、お話ありましたとおり、政党への投票のほか、名簿登載者個人への投票が認められることになっておりまして、旧全国区の開票同様、候補者別の分類、案分票の計算に時間を要することが想定をされるところでございます。  具体的な開票所要時間については、個々の開票所における有権者数、事務従事者数、機器類の導入状況等によって大きく異なりますけれども、旧全国区の事例などを参考にしながら、現在、検討を進めておるところでございます。  即日、翌日開票の見通しについてのお尋ね、あるいは最後の当選者を決めるのが大変難しいといった点の御指摘がございましたが、自治省といたしましては、今後、開票手順をどうするかさらに具体的に詰めてまいりますとともに、全国の市町村選管の実務の実態も勘案しつつ十分に調査をいたしまして、あるいは開票等の方法について十分工夫することを進める中で、そこら辺をどのように最終的に判断するか決めてまいりたいというふうに考えております。
  84. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 提案者に伺いたいんですけれども、私は、この際電子投票を導入すべきだと思うんですね。  やはり普通、非拘束名簿比例代表制を導入している国は、電子投票制度をとっているところが多いです。先ほどお話ししましたベルギーも、一番最初、こんなでかい、新聞紙みたいな投票用紙だったんですけれども、それを電子投票にすることによって、自分の入れたい政党の名前をチョイスするとそこから名簿が出てきまして、入れたい候補者をオンするともうそれで終わり、こういうふうな仕組みになっているわけですね。  ですから、投票所に掲示してある各党候補者一覧というものが全部画面に出てきまして、それぞれの候補者がどんな政見を持っているか、どういうふうな政策を持っているかということも皆例示されるわけですね。それを押さえるとそのまま投票ということでございまして、しかも、開票時間はゼロですから、即座にできる。  こういうことですから、私は、非拘束名簿比例代表制を導入するというのが、電子投票を採用する大きなきっかけになるのではないかな、こう思います。政府もIT戦略をしているわけですけれども、国民に一番身近な投票ということをきちっとそういう形でされることによって、すごくはっきりするし、野党皆さんは、個人名投票で政党名投票じゃないじゃないかという話ですが、電子投票制にすれば、最初政党をチョイスするわけですから、そしてその中で個人名が出るわけですから、非常に非拘束名簿比例代表制という趣旨に合った投票になると思うわけでございまして、その辺も今後は検討していただいて提案をされるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  85. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 私も全く同様な意見を持っているところでございます。株主総会においてもそろそろ電子投票というふうな考えも出てきておりますし、そこらも十分に検討に値するというふうに考えております。  ただ、今先生がおっしゃったような、投票所に行って電子投票をするというのと、最終的には各個人が家庭でパソコンでぴっとやるというような形になっていくんだろうな、いろいろな段階があろうかと思いますが、本人の確認をどうやってやるのか、あるいはセキュリティーは大丈夫か等を含めて、さらに、平成七年に、衆議院の方で記号式を自書式に戻されたという経緯もございますので、各党各会派でしっかり議論をさせていただきたい、このように思う次第であります。
  86. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それからもう一点、この際、検討をしていただきたいことは、インターネットの解禁です。  全国個人名投票でお願いするわけですから、これは活動の分野が大変広くなります。そして、個人の政策、考え方、そういうものも有権者にPRしなければなりません。かつ、これは在外投票制度ができることになっているわけですから、世界じゅうの人に個人名投票をお願いするという形になるわけですから、運動量は従来の紙とかポスターとかそういうものでは大変難しくなるのではないかな、こう思いますね。そうすると、候補者自分のホームページを持って、そこで自分の政策を発表する、こういうことは大変有効な選挙の手段になると思うんですね。  これは、現行法制の中では、まだ文書図画という形でございますから、政治活動としてはできるけれども選挙活動はできない、選挙期間中はホームページの更新はできない、こういう仕組みになっているんですが、積極的にホームページを政治活動にも選挙活動にも使える工夫があるのではないか。これはEメールで相手に送りつけるわけではなくて、見ていただくわけですから、そういう仕切りをすればそれを解決することはそんなに難しい話ではないのではないかなと思いますが、この際提案者に、そういう考え方があるかないか、お聞きしたいと思います。
  87. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 先般もお答え申し上げましたけれども、まさに今遠藤先生がおっしゃったようなそういう諸要素を考え、かつ今資源が大切だ、こういうことを考えても、おっしゃるとおり、選挙運動にもインターネットが活用できるように、ホームページが活用できるようにしていくべきだろうというふうに考えております。  参議院でも議論になったんですが、少なくとも例えば選挙公報、中央選管がやります分厚いのが来ます、これは全国に配らなきゃいけない、大変な紙を使うしお金も使う、それだけでもできないか、在外投票も含めてインターネットで、ホームページでやった方がいいんではないかという御提案がありました。今御紹介いただきました、ホームページは文書図画に当たるという解釈の問題もございますが、各党各会派でしっかりその辺も前向きに議論しなきゃいけない時代になっているというふうに考える次第です。
  88. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 自治省選挙部長にも聞いておきますが、一つは、電子投票制度について自治省の部内でどのような検討が進んでいるのか。それから、今のインターネットの解禁の問題ですけれども、解禁するとどういうことが心配なのか、こういう点をクリアできればできるのじゃないかと認識をしているとか、その辺の具体的な検討状況、今の段階でどういうふうに考えているか教えてください。
  89. 自見庄三郎

    ○自見委員長 手短に御答弁お願いします。
  90. 片木淳

    ○片木政府参考人 一点は、自治省における電子機器利用の研究の関係でございます。研究会を設置いたしまして、ことし八月に中間報告書を取りまとめたところでございます。今後は、技術的な側面や経費的な観点等からの検討も必要でありまして、引き続き、選挙システムに電子機器を導入するに当たって解決すべき課題をより明確にしていくということで、政治的な判断をお願いしたいというふうに、材料を提供したいというふうに考えております。  また、インターネットを活用する選挙運動を認めるか否かにつきましては、いろいろと御議論がございます。先ほど御答弁ありましたとおり、現行法の解釈といたしましては禁止されておるということでございますが、立法論といたしましては、今後各党各会派において議論をしていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  91. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  92. 自見庄三郎

    ○自見委員長 手塚仁雄君。
  93. 手塚仁雄

    ○手塚委員 民主党の手塚仁雄であります。よろしくお願いいたします。  非拘束名簿の導入という提案がございまして、三日間、さまざまな審議が行われてまいりました。ある意味で問題の論点というものも私は明らかになってきたというふうに思います。  選挙制度というのは党利党略であってはいけないことはもちろんでありますが、要は、いかに国民の皆様方にとっていいものであって、いかに民意をしっかりとくみ上げるものであるかという観点議論されていかなくてはならないというふうに思うわけであります。きょうも、先ほど参考人の方からいろいろなお話がございました。提案者の方々はいらっしゃいませんでしたので、その中の話を一つ、私も参考になったので披露させていただきますと、東洋大学加藤先生が、選挙制度というのは量的な側面、これは選択肢がいかに絞られているか、そして質的な側面、これは選択肢がいかに整理をされているか、選択肢が絞られていて整理されている制度ほどわかりやすくていい制度だというようなお話もあって、大変参考になったわけであります。  そういった中で今回この議論をさせていただいておりまして、提案者の方から、今回の制度は、選挙制度にベストというものはないけれども、よりベターなものを提案したんだというお話がございました。  もう論点ははっきりとしていると思いますが、どうしてベストと言えずにベターという言い方をされているのか。恐らくは、この間の議論の中でも、少しこの部分はこの制度で欠点があるんじゃないか、こんなふうに感じられているところがあるんじゃないかなと思うんですが、この間の議論を通じて、ベストではない、ベターであるという部分で御答弁いただければと思います。
  94. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 私は、選挙制度にベストはないと言いましたのは、本当は、選挙制度というのは議会制民主主義の土俵づくりですから、関係者全部が結構です、この制度はよろしゅうございますというのがベストだと思うんですね。しかし、それはそれぞれのお立場や考えがあってなかなか全会一致、万人が賛成するというのはできないんですね。  我々与党はこの制度がベストだと思っておりますけれども、一昨日来、大変この委員会でも御議論いただいておりますので、皆さんにおいては、こういう問題点もある、欠点もあるじゃないか、こういう御指摘があるので、そこは私の方がやや謙遜しましてベターと申し上げたので、私は、比例代表と多数代表では、比例代表の方が、少なくとも全国単位の場合にはこっちの方がいいと思います。拘束と非拘束の中では、拘束よりは私は非拘束の方がいいと思う。  少なくとも我々はベストの制度を目指したわけでありますけれども、残念ながら野党委員皆さん方の必ずしも御賛同を得ていないように感じますので、わかりませんけれども、そういう意味ではベターだ、こう申し上げた次第であります。
  95. 手塚仁雄

    ○手塚委員 ベターだということでありますけれども、この間の論議の中で、先ほど来、移譲だとか合算だとか、我々は明確にこれは横流しだと思っておりますが、先ほどの参考人からのお話の中ではおすそ分けという言葉も出ておりました。何はともあれ、極論すれば百万、二百万とった人が一票もとっていない人を連れて国会議員になる、この制度がやはり問題だと思うんですね。  そういった意味で、例えば私ども衆議院の方は小選挙比例代表制を導入されて二回選挙をやりました。私も一回、最初の小選挙区制で落選をして、今回の二回目の小選挙区制で当選させていただきましたが、要は、小選挙区に立候補する、そして同時に我が党の場合は比例代表の方にも立候補する、重複立候補です。ただ、小選挙区で落選をされた方が比例区で、いわゆる世間一般で言われている復活当選をしますと、敗者復活のように一度負けた人がまた上がってきた、こんなことをやゆされるわけであります。  ただ、あくまでもこの比例代表の方は、小選挙区制の最大の欠点である死票を生んでしまう部分をカバーするという利点も明確にあるわけです。ただ、世間では、この選挙制度議論されるときに、小選挙区で負けた方が、自分のところの地域で負けた方がブロックで、比例で上がってくると、どうしても復活当選で、金バッジ、銀バッジ、銅バッジみたいな話もありましたけれども、そんな言い方をされて、国民はそういうふうに理解してしまう部分があると思うんですね。  間違いなくこの制度も、一度やって二度やってどういう評価になるかわかりませんが、明確に、国民の皆様方は、あの人は何百万票とった人に連れられて当選してきた人だ、そんなふうにやゆされることは今から容易に想像がつくことだと思うんです。そういった意味では、この横流しの問題は、私は深刻だというふうに思います。  そこで、この間、私どもの玄葉委員からも質問させていただきましたが、いわゆる記号式、チェックシートみたいなものにまず政党名をチェックしていただいて、その中で、その政党以下最大四十八人まで並んでいる各党の方を、いい方をチェックしていただく、そしてその政党名の合算をして当選者を決めていくという方法をとれば、この横流し、移譲でも合算でもいいですが、それを避けることができるというふうに思うのですが、この点いかがでしょうか。
  96. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 記号式投票のことについては玄葉先生からも昨日御指摘があったところでありますが、我が国は御承知のように自書式が定着しているわけであります。そして、過去の法改正においても一時記号式というものがあったのでありますが、議員立法によってこれを自書式に切りかえたということはもう委員御承知のとおりだと思います。  さて、投票用紙が非常に大きくなるということを昨日私は申し上げました。ベルギーの例を挙げますと、これがベルギーの例ですね。こういうふうな、これは全く同じ大きさだそうであります。こういうことで、これを消していくわけですね。埋めていくわけです。非常に大きなものになるわけです。  そしてそのときに、私が申し上げましたように、この順番というのが非常に大切なのですね。最高裁判所の裁判官のお話を昨日も申し上げましたが、前の方と後ろの方に非常に注目が集まるわけですね、確たる意図を持たなくて投票所に臨んだ方々は。そうすると、この順番をどうするのだという問題もさらにあるわけであります。  それからまた、先ほど申したことに関係するのですが、日本は自書式に非常になれておりますし、それから党ということでちゃんと候補者の名前を掲示されているわけですから、そう混乱は起こらない。このように思って我々は記号式をとらなかったということであります。
  97. 手塚仁雄

    ○手塚委員 自書式にこだわられるわけでありますが、世界で自書式をやっている国はもう日本とフィリピンだけだそうであります。これは三年前の新聞ですから大分古いのですが、フィリピンの方ももう既にマークシートを目指して検討が進んでいるということでありまして、自書式にこだわるという話を聞いていると、本当に我が国選挙後進国だなと僕は言わざるを得ないと思うのですね。投票用紙が大きくなることがどれほど大きな問題なのか、全くわかりません。投票用紙が大きくなって、ただそれを見て、投票していただいたものを、開票が早くなることは間違いありませんし。  もしどうしても自書式にこだわるということであれば、例えば投票用紙、一枚のこの紙に二つ欄をつくって、片方に政党名、片方に候補者名を自書式で書いていただきます。政党名の方を書いて候補者名を書かない票があれば、これは政党名の票として生きる。ただ、政党名なしで候補者名だけ書かれてもこれは無効だというふうに徹底する。片山先生も昨日来言われておりましたが、識字率が高いとか、我が国国民性から考えて国民は必ず理解してくれるというお話を何度もきのうからされておりましたから。  とにかく、この横流しの問題をクリアするためには、マークシートか、もしくは自書式であっても併記をしていただく、まずは政党名を書いていただいて、それから候補者名を書いていただくというふうにした方がいいと思うのですが、いかがでしょうか。
  98. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 御説を拝聴いたしまして、私も時代としてはそういう方向へ流れていると思っております。しかし、細川内閣のときも、二票制で一回決まり、その後一票制ということで変更しましたとおり、片山発議者が申し上げましたとおり、識字率という歴史的、伝統的なものはございますが、これから向後新しい制度がなお一層検索され、あるいはまたデジタルデバイドなどが解消されました暁には当然電子投票も普及してくるでしょうし、その際はまたそういう制度が取り入れられるものと確信しておりまして、現時点ではベターな方法ということで、私たちはこの方法をベストだとして御提案しております。
  99. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 手塚委員、なかなかいい御提案をいただきまして、将来の課題としてはぜひ検討すべきことだと私は思います。  先ほどの遠藤委員の御指摘にもありましたが、やはりこれだけIT、ITと朝から晩まで言っているのですから、このIT革命の中でやはりそれを利用しなければいけませんね。私も、インターネットは、早急に各会派相談して、これからの選挙運動にはそれを活用すべきだと思いますし、あるいは電子投票なんということも、これは本気で考える時期に来た、そういう中で手塚委員の言われることが実現していく方向で検討すべきではないかと私は思います。  今言われるように、政党名も書け、個人名も書け、政党名を書かなかったら無効だと。これはまた二重投票で、無用の混乱を起こすのですよね。そこで、政党名簿をきちっと出して、それを選んでもらって、個人の名前を書くということですからね。やはりこういう制度は、簡素でわかりやすい、複雑でない、難解でないということが一つ制度のポイントだと私は思いますので、そういう意味でこの制度をベストでなくてベターだと申し上げているわけであります。
  100. 手塚仁雄

    ○手塚委員 堂々めぐりになるかと思いますが、簡素でわかりやすい制度、あるいは少し複雑かもしれないけれども、横流し、合算でも移譲でも結構ですが、要は国民の側から見て、何でこの方が当選したのか、結果がわかりにくい方がよほど問題だと思うのですね。  ですから、何もそんなに急がれずに、こういう議論がここのところ出てきているわけですから、もっともっと時間をかけてこれは議論をして、来年の七月に間に合わなくても、提案者の方はここを逃すと二〇〇四年になってしまうと言いますけれども、毎年毎年参議院選挙があるわけではありませんから、来年が間に合わなければ、その次の参議院選挙に間に合うわけですから。これだけ明確に論点がはっきりしている問題でありますから、時間をかけた、国民世論にもしっかりと耳を傾けた論議をするべきではないかな。それがまさに選挙制度であって、民主主義の原理原則だと僕は思うのですがね。  たくさん答弁を求めていきますと時間がなくなりますからあれですけれども、先ほどの参考人の方々にも質問があったことでもありますけれども、自書式投票の妥当性あるいは、この間本当に私どもが審議拒否をしていたということもあったかと思いますが、この国会が始まる前と比較をしますと、連日の過熱したマスコミ報道で、この制度の論点、問題点あるいは選挙のシミュレーションですね、どういう形になっているかということが連日、新聞等でかなり報道されています。ですから、有権者国民の方々は、今国会でこの選挙制度議論している、どんな制度になるかということをある程度御理解をいただいているのではないかなというふうに思いますが、その中で大変ショッキングだったのは、二十四日の朝日新聞の世論調査ですね。  もう提案者の方々もごらんになっているかと思いますが、この制度の内容を知っていたという方が四七%、よく知らなかったという方が四九%、まあ五分五分ですね。問題なのは、この非拘束名簿式を導入するということを賛成している方はたったの九%、一割いないのですよ。驚くべき数字だと思いますよ。これで本当にこの制度を強行して世論の、国民の審判を受けられるのかどうか。過去こんなことがあったでしょうか。  ぜひこれは各党の提案者の方々から一言ずつでも感想をいただきたいと思います。
  101. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 私も朝日新聞の調査の結果を見させていただきました。  こういう調査は電話でおやりになりますしね、設問の立て方で相当答えが変わってくると思いますよ。  それからもう一つは、やはり拘束式、非拘束式というのは大変わかりにくいのです。拘束というと手錠をはめられたような感じもありますしね。非拘束といっても何だと。  そういう意味で、こういう時期にこういう調査をやっていただいたことの意味は大変あると私は思いますけれども、これが本当に国民皆さんのお考えを、あるいは御意向を正確に反映したのかなという疑問が私はあります。  ただ、この中で、今の政党順位をつけるのはおかしい、これが一番多かったですね。それが最初の質問で、それはそうだという意見が多かった。そういうあれもありますからね。全部、設問を通じて、一貫した国民の意向はなかなか読み取れないのではなかろうかなと私は思いますが、この結果を謙虚に我々は参考にさせていただきたい、こう思っております。
  102. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 私もこのアンケート調査を拝見いたしました。  今お話があったように、現行比例制度を変える必要がある、これが一番多いわけですね。では、どう変えるのか。これは長年、この場でも何回も出てきましたけれども、もう十数年かけてずっと議論してきている、これを非拘束式として今御提案させていただいているという自負を持っております。
  103. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 保守党の月原ですが、今両議員から説明したのと大きくは変わりませんが、政府の方とか党がまだ確定していないことを国民に大々的に啓発するということは難しい問題です。我々はこれがベターな制度だと思って、ここの議会法案として認めていただけるならば直ちに啓発する。我々は、現在の我々が出している案がベターなもので、これはより国民に密接になる参議院比例代表制度である、こういうふうに思っているわけでありますから、我々は、この世論そのものは謙虚に受けとめて、一層ベターであるということを政府も挙げて理解していただく、そういう努力をしなければならないと思っております。
  104. 手塚仁雄

    ○手塚委員 反対の方がこの朝日新聞ですと約四割ですね。恐らく、反対の方々は、間違いなく、制度が変わることによって、横流し自分たち当選させたいと思わない人もくっついて当選してきてしまうというこの実態をよくわかった上で反対されていると思いますね。それは幾ら今後説明をされても、この制度はなかなか受け入れられるものにはならないだろう。わかっているか、わかっていないかといえば、わかっているというのがだんだん上がってくると思いますけれども、賛成か、反対かということであれば、反対する方と賛成する方は比例して上がってくるというふうに思います。  時間がありませんから、これで終わりにしますが、今回のこの制度の導入、党利党略と言われた部分もありました。それはさんざん私どもも議論させていただいてまいりました。明確にこれは、移譲、横流し、合算、おすそ分け、いろいろな言葉がありますけれども、それが一番の問題点であって、これをクリアしない限り、絶対私は有権者の方々は受け入れないと思いますし、結果として大変厳しい審判が下されるんじゃないかな、あえてそれを申し上げさせていただいて、終わります。  ありがとうございました。
  105. 自見庄三郎

    ○自見委員長 加藤公一君。
  106. 加藤公一

    加藤(公)委員 民主党加藤公一でございます。  きょう、時間がありましたら、私の名前に関係する質問もさせていただきたいと思っておりますので、諸先輩方には以後お見知りおきをいただきまして、御指導を賜れればと考えております。  今回の法案に関しましては、参議院選挙において、より有権者にわかりやすく、そして公正な選挙が行われるようにというのが最大の趣旨でないかと思います。本日は、まずその点に関しましてお話を伺いたいと思います。  まず初めに、十月の二十三日月曜日の公明新聞を拝見いたしましたところ、公明党東京都本部の山口那津男副代表、新聞によりますと、参議院選の東京選挙区の予定候補というふうに記してございますが、この山口さんが、二十一日、東京都小金井市の特別養護老人ホームつきみの園を訪れて、お年寄りを見舞って、同時に、タオル二百本を贈呈した、こういう記事が出ております。実際、山口さんは、都内でも、もう既に先生方御存じのとおり、このように町中にたくさん御自身のポスターも掲示をされていらっしゃいまして、恐らくここにあるとおり、来年の参議院の東京選挙区に御出馬の御予定でいらっしゃるんじゃないかと思います。  公職選挙法からいたしますと、この山口那津男副代表の行動、これは違法になるのではないか、事前の買収になるのではないかという疑いを持たれても仕方ないと思うんですが、同じ政党として、魚住先生のお考えを伺いたいと思います。
  107. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 お答えいたします。  小金井市におきましては、党の組織におきまして、女性局が十数年前からこのようなボランティアの活動をしているところでございまして、私もこの新聞の記事を見まして確認をしたところでございますが、あくまでも小金井市の女性局がこのタオルをお集めになりまして、それで毎回、毎年このように贈呈をしているということでございまして、そこで山口那津男氏が立ち会ったというふうにすぎないというふうに理解をしております。
  108. 加藤公一

    加藤(公)委員 いや、この新聞によりますと、とてもそう読める状況にはございません。といいますのも、この同施設の武藤治彦副施設長から山口さんに対して「「ありがとうございます。大切に使わせていただきます」と謝意を述べた。」とはっきり書いてございますので、その女性ボランティアの方に対してではなく、山口さんに対して贈っていただいたという御認識かと存じますが、いかがでしょうか。
  109. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 あくまでも小金井市の女性局でございます。あそこの新聞に載っております方、女性、山口那津男氏の右隣、写真自体の右隣は小金井市の市議でございまして、毎年中心となってやっている方でございまして、ただ、これはあくまでもその記事が多分間違っていたんだろうと僕は思います。
  110. 加藤公一

    加藤(公)委員 私も、きょうは公選法の問題ですから、改正案の問題ですから、こればかり質問するつもりはないんですが、公明新聞が間違っていたという答弁ではちょっと納得できない。しかも、もし新聞が本当に誤報したということであれば、恐らく翌日に、これこれこういうわけで間違えましたということがあるんじゃないかと思いますが、それは全く出ていないわけであります、今日まで。  先生のおっしゃるように、本当にこれは公明新聞の誤報ということでよろしいんでしょうか。もう一度確認させてください。
  111. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 そのとおりでございます。
  112. 加藤公一

    加藤(公)委員 魚住先生の御発言、しっかりと承っておきたいと思います。  それでは、この参議院選挙制度の問題について御質問をしたいと思いますが、先ほど来、連座制、あるいはこうした今の山口さんの件も若干これは疑惑が残るわけでございますが、こうした選挙違反の問題について、もしも名簿に登載をされた方が連座で問題になった、今までの比例代表制度であればこうした制度はありませんでしたが、今回非拘束にするに当たって、これは連座の対象になるんだ、これを適用するんだということが法案に出ております。  改めて伺いますが、いかなる理由でこの非拘束名簿の方式に変えるときにこの連座制を適用することに至ったのか、お答えいただきたいと思います。
  113. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 今回の非拘束名簿式に変えるに当たって、名簿登載者個人の選挙運動も認めるところでございまして、議論の中では、全国に目を光らさなきゃいけない、大変ではないかという議論もあったわけでございますけれども、かつての全国区のときに連座制というものがあった、それとの関連性上、均衡上、やはりこの連座制というものは認めるべきである、このように考えて提案をしているところでございます。
  114. 加藤公一

    加藤(公)委員 今のお話でありますと、先ほどの質問、答弁の中にもございましたのであえて繰り返しませんが、連座制によって名簿登載者が当選無効になった、失効したという場合に、その方は当選無効になるけれども、その方に投じられた票は相変わらずその所属政党の票として生きるということだと先ほど御答弁がございました。  もしそうだとしますと、これは法律以前に、国民感情として、極論いたしますと、例えば四十八人立候補して、上位二十四人が全員当選無効になった、全員失効した、下位二十四人が当選をする、極論かもしれませんが、どんなことをしても、どんな選挙違反をしても、票を稼いでしまえばそれで当選者を確保できるということになるわけです。  これは、現実問題そんなことはない、政党がそれぞれ自粛をすればいいんだ、廉潔性を保てばいいんだと言われればそれまでかもしれませんが、やはり国民感情からすれば、もしも万が一そんな事態になったら、二十四人は極端にしても、一人、二人、三人ということはあるかもしれない。これをどういう理由で有権者の方に御理解いただくのか、ぜひ御説明をいただきたいと思います。
  115. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 極論とおっしゃいましたけれども、それはなかなか想像しがたいところでございますが、先ほど来、なぜ有効なのかといいますか、それは結局、現行の連座制というもののあり方、つまりそれはペナルティーとして当選無効あるいは立候補の禁止をするという制度であるということ。それから、この比例代表制においては、個人名投票であっても、それは第一義的に政党への投票である、そういう意思を勘案した場合にこれを無効とするわけにはいかない、そういうふうに考えております。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  116. 加藤公一

    加藤(公)委員 今のお話でありますと、ペナルティーだと。そうすると、あくまでもその候補者政党名簿に登載をされた候補者として選挙運動をされるわけでありまして、その政党がペナルティーを科されなくてもいいのか。これは、有権者の感情からすれば、それは個人の選挙制度でその個人だけの得票になるわけではないということは、もうこの議論の中でずっと続いてきた話です。あくまでも比例代表なわけですから、政党にペナルティーがなくていいのかというのは大きな疑問になると思います。  この点についてもぜひ御説明をいただきたいと思います。
  117. 魚住裕一郎

    ○魚住(裕)参議院議員 今のこの連座制、あるいはなぜ無効にならないのかという理由は今述べたとおりでございますが、あと、今先生のおっしゃった部分は政策判断だろうというふうに思っております。  つまり、これは、例えば全部無効になる、しかも数年かかって無効になったといった場合、ずっと不安定なまま経過してしまうというようなことがいいのかというふうに考えているところでございまして、余りにもこの選挙結果に及ぼす影響が大き過ぎるのではないか、そういうふうに判断をした次第であります。
  118. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 こういうことなんですね。今度の非拘束は、比例代表政党選挙でありますけれども、同時に個人の選挙も一定の限度で認めるわけであります。個人の選挙を認めるから連座制を適用するわけであります。連座制の適用の結果その人が当選無効になるのは、その個人の選挙運動に問題があったから、買収、供応の問題があったからその人は当選無効であるわけでありまして、政党の方には関係ないわけです。  それから、先ほど投票のことを申し上げましたが、この比例代表拘束名簿というのは、第一義的に政党に入れる、その次に、自分の望ましい人を当選者の上位に置きたいということで個人名を書く。だから、その個人名の方は無効になりますけれども、第一義的に選んだ政党の方はそのまま生きるわけでありますから、票としては政党部分は有効になるわけであります。(発言する者あり)
  119. 細田博之

    ○細田委員長代理 静粛に願います。
  120. 加藤公一

    加藤(公)委員 今の片山先生の御説明ですと、最初政党名を書いて、その政党名簿順位について二番目に個人名を記入するという制度であれば、よしあしは別にして筋は通っているとは思いますが、今皆さんが御提案されている法案であれば、個人名しか記入をしないわけであります。個人の選挙運動もするわけです。その個人の選挙運動で買収、供応があった、あるいは連座制が適用された、当選が無効になった。それで、いや政党には全くペナルティーはないのですと言われても、これは一有権者として考えれば到底納得のいくものではないはずなんです。  最初にも申し上げましたが、二十四名というのは極論だとしても、例えば、よく言われるように、有名人の方が立候補された、一人で何百万票という票をとられるかもしれない。その方が連座制の適用を受ける、あるいはちょっとした不注意かもしれません、買収、供応の罪で問われるかもしれない。そのときに、その個人がペナルティーを受けるだけで、その何百万票に何の影響もなく、政党にそれが流れてしまう、生かされてしまう。要するに別の候補者当選するだけでありますから、これはやはり国民感情からすれば到底理解し得ない。  いかがでしょうか。もう一回ここを御答弁いただけないでしょうか。
  121. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 個人の選挙運動を認めますから連座制を適用する、個人の選挙運動でその候補者が買収、供応をやるから連座制の適用になる。政党が買収、供応したわけではありません。だから、個人だけが当選無効になる。これが我々の考え方であり、制度趣旨であります。(発言する者あり)
  122. 細田博之

    ○細田委員長代理 静粛に願います。
  123. 加藤公一

    加藤(公)委員 それであれば、はっきりと、政党を記入する、さらに個人を記入するという制度に変えたらどうなんでしょうか。個人名しか書かないのに、今の理屈は国民には到底理解できないはずであります。  諸先輩方ですから、私よりも何倍も投票所に足を運んでいらっしゃるはずでありまして、市民感情だって私よりよっぽどよくわかっていらっしゃるはずです。だったらなおさらのこと、政党名を記入して、さらにその中で個人の順位を書く、あるいは政党だけでいいという方はそこは記入しなくてもいい、こういう制度なら今の先生の御説明も百歩譲って理解もできますが、とてもじゃありませんが、個人名一つ書くのに今の御答弁で納得するわけにはいかないのですが、いかがでしょうか。お考えは変わりませんか。
  124. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 もう一昨日来、私は何度も繰り返しているのですが、これは比例代表制選挙制度であります。比例代表制政党を選ぶのです。ただ、政党を選ぶ前に、政党候補者名簿を出すのです。それが拘束名簿で、政党が順番をつける拘束名簿のやり方と、順番をつけずに、個人名を書いてもらって、順番を有権者に選んでもらう非拘束名簿があるわけでありまして、あくまでも比例代表でありますから、各党は名簿を出すわけです。今回は順位をつけずに名簿を出して、その名簿について個人名を書いてもらうから、これはもともと比例代表という意味では、政党選挙であるのは当然であります。  あなたの御提案も、それは検討の余地があるかもしれませんけれども、先ほども同じ御質問がありましたから、それは二重投票になるし、わかりにくいし、混乱が起きるし、現在の党名ないしは個人名を書く方がずっと簡素でわかりやすく、制度としてベターだと我々は申し上げているわけであります。
  125. 加藤公一

    加藤(公)委員 最後は恐らくもう見解の違いだけになってしまうのかもしれませんが、政党を書いて個人名を書くことと、一方、個人名でも政党でもいいですよと書くのと、どっちがわかりやすいか、これは調べたんですか、有権者の方にアンケートでもとりましたか。  例えば、サンプリングして、こういう選挙制度とこういう選挙制度、どちらがわかりやすいですかと調査をして、データが出て、こちらの方がわかりやすかったからこうしますというなら私も何も言いません。ただ皆さんのお考えだけで、個人の名前を書くだけの方がわかりやすいんだからそっちがいいんだ、こんなことを言われて、今の答弁とてもとても納得いかないわけです。  あくまでも比例代表だと先生がおっしゃっていることはよくわかりますよ、比例代表議論をしているんですから。比例代表だったら政党名を書けばいいじゃないですか。その後に名簿順位の優劣、個人の意思を表明する、この方がよっぽどわかりやすいと思います。  もうこれを最後にしますが、どうですか、もう一回考えを聞かせてください。
  126. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 何度もこの間何人かの委員皆さんからそういう御指摘があって、党名を書いてもいいのですよ。党名を書いてもいいし、個人名を書いてもいいのですよ。それが比例代表制です。  そこで、加藤委員、これは平成二年に第八次選挙制度議会が答申したものなんですよ。それは、国会議員が入っているのじゃなくて、経済界、労働界、言論界、学識経験者あるいは役所のOBが入って、慎重に審議して出したのが、まさに我々が提案しているこの法案ですよ。そういう権威ある第三者機関があなたが言われるようないいかげんなものを出すはずはない。それを我々は制度化しようとしているわけであります。(発言する者あり)
  127. 細田博之

    ○細田委員長代理 静粛に願います。
  128. 加藤公一

    加藤(公)委員 八次審が出したから、それが権威があってすばらしいんだ、私の言うことがいいかげんだなんて、そんな話ありますか。冗談じゃないですよ、本当に。何だと思っているんですか。冗談じゃないですよ。  この人とくだらぬけんかをしていても始まりませんから、もう一点、僕はぜひ伺っておきたい点がありますので、この件を伺います。  選挙ですから、当然、各政党、各個人が自分の勝利に向けて運動するわけでありまして、この法案によりますと、実際の個人の選挙運動が認められていて、ポスターについては七万枚が許可をされている。確かに、全国区のときよりは三割減らされたというふうに聞いております。しかし、自治省の方の試算では三百五十九名で現在予算を見ていらっしゃるというふうに伺っておりますが、すなわち三百名から、あるいはそれを超える候補者が立候補することを想定されていらっしゃるわけです。  そこで伺いますが、一人七万枚で三百五十九人立候補したら、日本じゅうに何枚ポスターが張られると思いますか。二千五百万枚を超えるんですよ。二千五百万枚のポスターをこの日本じゅうに張れると思われますか。小選挙単位で考えますと、それを三百の小選挙区で割りますと、ここは衆議院ですからあえてこの例を出しますが、八万三千枚を超えます。衆議院選挙の場合には、各候補者政党ポスター千枚でありますから、三人立候補すれば、小選挙区全体で三千枚。六人出ても六千枚です。それが小選挙区で、アベレージの話でありますが、八万三千枚を超える。実際、こんなに張れるところがあるんですか。  皆さんは、顔が見える選挙にするためにこの制度に変えるんだとずっとおっしゃってきた。顔が見える選挙にするという理念だけは私は賛成しますが、現実問題、ポスター一つとったって実現可能性がないと私は思うわけです。(発言する者あり)それは張りたい人が張るんですよ。では、一体張る場所があるんですか。どうお考えですか。ちょっと御意見をお聞かせください。
  129. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 お答えいたします。  今、小選挙区の数で割られましたが、全国の投票所は五万三千あります。そして、この比例代表の方々は掲示板がないわけです。投票所において党名と名前が出ておるわけであります。そういうことからすると、一投票所に一・何枚かということになるわけであります。私たちは、それでも十分名前を売ることができない、こういう非常に強い意見があったわけですが、現在の状態から考えて七掛けということにしたわけです。
  130. 加藤公一

    加藤(公)委員 一人一投票所一・何枚という話をしているんじゃないんですよ。それが三百人、四百人出るんですよ。では、例えば一つの小学校を投票所だとしましょう。そこに一・何枚だとしたら、その間だけで五百枚、六百枚張るわけですよ。どうやって張るのですか、その小学校の周りに。
  131. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 ポスターの七万枚につきましては、選択肢が当然候補者に任されているわけです。しかも、私はかつて東京選挙区で出ましたときに、定数四名で立候補者は七十名でございました。その七十名のとき、大変大切な血税を使って七十枚の公営掲示板を使いました。結果的にそこに張られたポスターは七枚でした。こういう現実もあるわけでございまして、ポスターだけで生きようとする候補者は徹底的に七万枚を全国に張りますでしょう。あるいは、集中的に東京をねらえば東京で張りますでしょう。それは選択肢で任されているわけでございます。ビラの二十五万枚もしかりでございます。はがきの十五万枚もしかりでございます。十五万枚書けない候補者もおいでになるかもしれません。それぞれの、最もみずからの政党に利する、自分に利するという選択肢を行う、そのキャパシティーを示したものでございます。
  132. 加藤公一

    加藤(公)委員 時間になりましたのでまとめますが、それは上限七万枚張るのはいいですよ。ただ、前と違うのは、政党単位ですから。政党選挙するとずっとおっしゃっていたじゃないですか。政党がお金を出して政党ごとに活動するんだと。それは、少しでも多く立候補者を立てて、少しでも活動したい。選挙を勝ちたいというのは皆さんだって同じじゃないですか。比例で出られる先生方もいらっしゃるわけだし。現実にそれが可能なのか。  つまり、三百人、四百人立候補して、全国をエリアとする選挙制度がいいのかということを私は言いたかったわけでありまして、時間になりましたから終わりますが、この点、改めて国民皆さんに御説明いただけるような審議を要求して、終わります。ありがとうございました。     〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  133. 自見庄三郎

    ○自見委員長 中井洽君。
  134. 中井洽

    ○中井委員 初めに、審議を始める前に三つだけ申し上げます。少し不快なことやら、違うとおっしゃるかもしれませんが、普通ならお答えもいただき、議論したいのですが、どうやらこれが最後の質問の機会のようでございますから、あと具体的に聞きたいことがたくさんありますから、私が三つ申し上げることは心にとめていただいて、その後の具体論についてお答えをいただきたいと思います。  私は、今回のこの法案の提出のあり方、あるいはまたこの与野党間のトラブルの行く末をいろいろ見ておりまして、三つ感じたわけであります。  一つは、今回の、この非拘束名簿式の比例制度としてまとめられて法案を出されて、一気呵成にこういう審議をおやりになったやり方というのは、小渕さんが御病気になられて、この病状を私どもに一切知らさずに、あっという間に森総理候補を党内で固められて本会議で処理をされたこのやり方と非常に似ている。このやり方は間違っている、もう少し与党皆さん方、数が多いとか少ないということではなしに、物事の決め方、運び方、この時代でありますから、国民に、世界じゅうに説明がきちっとできる、そういうやり方をお考えになるべきだとあえて申し上げておきます。  それから二つ目は、私も議運や国対関係の仕事、いろいろなことをやりました。昔と違って、参議院先議ということをかなり言われるようになって、幾つかの法案参議院で先議をされてまいります。このことは大変結構なことだと思っております。  ところが、こういう重要な法案参議院先議で取り運ばれたのは、今回が多分初めてだろう。前の参議院選挙制度改革衆議院選挙制度改革含めて、すべて衆議院先議で行ってきた。今回、参議院のことだということで参議院先議だということは、参議院がお出しになったんだからいいでしょう、しかし、そのことで大きな失敗をなさった。参議院のいろいろな議論を聞いていると、何もあんなに無理しなくてもやる方法はいっぱいあったんだろう。それは与野党とも反省をしなきゃならない。このことが、参議院先議としてはやはりトラブルになってしまうから衆議院先議でやろうよ、こういうことになるというおそれ、あるいは参議院無用論ということが国民の中へ出てくる。このことをやはりお互いが反省しなきゃならないんだろう、私はこのように思っております。  それから三つ目は、やはり衆議院参議院、お互い選んでいただく身ですから、こちら側の選挙制度の希望や要望もありますが、国民全体に御理解をいただいて、そして参加していただきやすい、またわかりやすい選挙制度というのを常に心がけていくべきだ。それは、党利党略もあるでしょう。しかし、与党だけが賛成、野党は全部反対、こういう中での質疑、審議、これは選挙法の改正ということに関して、私は悪例を残すと心配をいたしています。過去、いろいろと議論はありました。しかし、名前を書く選挙から政党名を書く選挙、もう限度だなという大体の合意があって比例というものへ移っていったんです。今回、本当に大体の合意があってこういうことをやるんでしょうか。  今ずっとここ三日ばかりの議論を聞いておりますと、お互いまだまだ理解し合えていない面がいっぱいある。これから来年の六月に向けて国民皆さんに、私どもが説明責任がある。これが通ったら、私どもは反対だといったってその制度選挙をやるんですから。衆議院国会にいる者がわからなくて説明のしようなんかありません。どうして十分な時間をかけておやりにならないのか。こういう審議のやり方というのは、私は、後世に、選挙制度与党の好きなようにやっても構わない、こういう悪例を残すんだ、このことを大変憂うものであります。  私自身、民社党で、比例区の選挙法を、この委員会理事で、大反対しながら通過をいたしたときのことを覚えております。また、小選挙比例代表になるときには、私どもは、民社党はつぶれる、民社党をつぶす覚悟で選挙制度改革に賛成するんだなと確認して実は賛成をいたしました。今、あの制度をやってみて、よその党もみんなつぶれるのかと思ったら、つぶれてなくなったのは民社党だけで、よその党はみんなあるのですね。そういうような思いもございます。  また、私は、平成八年の初めての選挙のときは新進党でありましたから、当然比例にも出るのだと思っていましたら、告示の前、夕方四時ごろに、比例は全部出ないと。本当にこれはびっくりしました。この間は自由党でやりまして、比例はまあ横一列に並ぶのかなと思ったら、比例一番になる。一番になって、相手は比例に出ない。幾ら言ってももう運動してくれません。有権者へ運動してくれません。  そういうことで、いろいろな思いをそれぞれ持っているわけでありまして、完璧な制度がないわけですから、お互いが持ち寄って、いい制度を少しずつでもつくっていく、選挙違反の少ない、また金のかからない選挙制度にしていくという努力をやはり続けることが、政党や政治あるいは選挙国民から信頼をされる根幹だと僕は思っています。そういう意味で、質疑打ち切りになるようでありますが、このやり方というのは大変残念なことだと思っています。  それで、具体的に質問させていただきます。  ずっと御答弁を聞いていますと、片山さんから、第一義的には政党を選ぶのだよ、そして、名前を書いていただいて、第二義的に順番を決めるのだ、こういう御答弁が続いております。ところが、この法案の中には、選挙人は、投票用紙参議院名簿登載者の一名を自書し、これを投票箱に入れるとなっています。ただし、氏名にかえて、参議院名簿届け出政党の届け出に係る名称または略称を自書することができる、こうなっています。  これはどうして先に政党名を書かないのですか。政党名を書くことができる、ただし登載者の氏名を書くことができるとやらなかったのか。僕は法的に何の問題もないと思うのです。一義的に政党を選ぶというのなら、やはり一番最初政党を書くとお書きになったらどうでしょうか。
  135. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 中井委員の言われることは、拘束名簿ならまさにそうなのです。非拘束名簿は、名簿を出した政党を選んだ前提の上に、その名簿に載っている候補者を選んで、順番を、政党がつけたその順番でいくのではなくて、有権者名簿の中の候補者を選んでいただいて、その得票の多寡で当選者を決めるわけでありますから、制度としては、まず固有名詞、個人名を書いていただくことを念頭に置いているわけです。その念頭の中には、政党拘束名簿を出している、その拘束名簿から選ぶというのが前提にありますから、政党選択はそこで、名簿の中の名前を選ぶということでもう行われているわけであります。
  136. 中井洽

    ○中井委員 あなたはそう言われるけれども、要は、国民の中にも国会の中にも制度がきちっと理解されていないというのは、個人の名前を書くことが政党と読みかえることができる、この合意形成ができていないのですよ。もうああいう選挙を二度としないために個人名政党名選挙にしよう、そして、政党をきちっと育てていこうというもとにやってきたのだ。そして、衆議院参議院も、個人名を書く選挙選挙政党名を書く比例選挙で、ようやく国民の理解を得てきた。中には、それはいろいろと問題もあるでしょう。しかし、それはそれでの是正を図ればいいのに、どうしてここへ来てまた、個人名を書いたら政党名と読むのだと、そういう変更をやるのですか。そこのところが十分理解されていないのに、僕らが幾ら言うても、いや、もう個人名政党名だからと。そういう説明はだめだな。全然それは通用しない。
  137. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 立法技術上はそういうことになるわけでありまして、ただ、ただし書きで書いておりますけれども、個人名も党名も書けるということは、これは平等で、パラレルなのですよ。ただ、制度としては、非拘束名簿というのは、個人の名前を書いていただいて、名簿の順番を得票の多寡で選ぶというところに制度のポイントがあるわけです。拘束名簿は順番なのです。こっちは個人名得票の多寡ですから、むしろ原則としては個人名を書いていただく。それは、各政党名簿を出しているということが前提になっているわけでありまして、世界の比例代表を見ましても、何度も議論がありますけれども、似たような制度はいろいろあるわけでありまして、それは比例代表制に対する御理解をもう少しいただければおわかりになるのじゃなかろうか、こういうふうに私は思っております。
  138. 中井洽

    ○中井委員 政党名で書く、そして名簿登載者の個人名を書くとしたら、どこが悪いのですか。どこか悪いですか。今の制度改革というなら、政党名を書く、しかしその中の登載者の個人名を書くこともできるという法律にしてどこが悪いのですか、聞かせてください。
  139. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 いやいや、悪くはありませんよ。間違いではありませんけれども、この制度趣旨は、政党が出した名簿の中で個人名を書いていただいて、それによって当選を決めるというのがこの制度のみそですよ。それは御承知のとおりであります。したがって、そういう書き方にしたわけでありまして、ただ、それは個人名を書こうが党名を書こうが、これはまあパラレルというのか平等でありますから、あとは立法技術の考え方でございまして、私は何度も言うように、我々の立案の趣旨はそういうことでございまして、それは第八次選挙制度議会の答申を読んでいただければはっきりと答申の中に我々の案が書いてありますから、ぜひ御理解を賜りたい。
  140. 中井洽

    ○中井委員 あなたは何かというと第八次選挙制度議会の答申だと。そして、比例区を導入したときに、二回やったら選挙制度を変えようと徳永議長が言うたのを金科玉条のごとく答弁で言うが、あなたは斎藤参議院議長の首を飛ばしてやっているじゃないですか。議長が大事なら議長を守りなさい。あなたは徳永さんと名前を書いておらぬでしょうに、昔の人で。何を言うているのですか。もうちょっと丁寧な説明をした方がいいよ。  政党と個人との関係をどうするのだ。個人、個人と言う。個人選挙をどんどんやる、それを政党に勘定するということで国民の理解が得られるなら結構だ。しかし、それならば、参議院様は政党交付金の比例区の分を自分らから引き下げるとどうして言わないのですか。政党選挙をやめるのでしょう。政党選挙の数を減らして個人選挙でやるのでしょう。政党交付金は国会議員の数でいくのですから、政党のもとでやる選挙でちょうだいするのです。当然自民党みずから政党交付金は参議院さんの分を減らしますとおっしゃるのが本当じゃないですか。どこかに書いてありますか。
  141. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 これまたもう何度も繰り返しておりますが、これは比例代表選挙でございまして、比例代表というのは、第一義的には政党を選ぶのですよ。だから、この制度政党選挙なのですよ。ただ、政党を選んだ中で、党が順位をつけるのではなくて、有権者皆さんに順番を決めてもらう制度なのです。政党を選ぶのですよ。政党選挙なのですよ。(発言する者あり)
  142. 自見庄三郎

    ○自見委員長 静粛にお願いします。
  143. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 その中で、党の幹部でなくて国民皆さんが選ぶ、そういう制度なのですよ。ぜひ御理解を賜りたい。
  144. 中井洽

    ○中井委員 有権者に順番を決めてもらうというのは、自民党さんが自分らで順番を決められなくなったからだけじゃないですか。ほかの党はちゃんと自分の党で決めているのです。党で順番を決めたかったら、党員の投票をすればいいのじゃないですか。そして政党名を選べばいいじゃないですか。そういうやり方だって幾らでもあるものを、一遍に他の党まで含んで自民党都合に合わせて、順番を選んでくださいというやり方がおかしいだろうと僕らは申し上げているわけでございます。  それから、政党名を書く、政党名を選ぶのだとおっしゃるけれども、それじゃ、有権者が投票所へ行ったときに、まず選挙選挙の投票をされるのでしょう。次の記載のところへ、今度も比例区というんですか、比例区のところへ行くんでしょう。その政党名はどこに書いてあるんですか。投票所に、何百人の名前を書くようなのが一枚張ってあるだけですか。どこへ張るんですか。
  145. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 投票所にそれぞれ掲示されるわけであります。不在者投票の場合もそれと同じ。これは法律に書いてあるわけです。
  146. 中井洽

    ○中井委員 今は比例区ですから、記載のボックスの中に各政党名が書いてあるわけです。それを見てやる。ところが今度は、そのボックスの中は何もないからわからない。こういったことも含めて——党名は書くんですか。ボックスの中へ党名は書くんですか。間違いないですか。
  147. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 私よりこの点は詳しい提案者がおりますけれども、当然、党名を書いて、党名の下にその党所属の名簿候補者を書くわけであります。  それから、今中井委員言われましたけれども、党員が選ぶのと国民が選ぶのは全然違うんですよ。国民参議院議員にふさわしい人を選んでもらうんです。国民に顔が見える選挙をやるんです。政党の枠の中でいい人を選んでもらうのが比例代表の非拘束名簿制度なんですよ。皆さんのところでも、例えば友部達夫議員の順位づけ、中尾則幸議員の順位づけ、いろいろな議論があって、それなり国会その他で問題になったことがありますよ。我々は、順位づけを国民に選んでもらう方が国民に顔が見えて、その方がずっと人を選ぶにふさわしい制度だと考えているわけであります。
  148. 中井洽

    ○中井委員 僕の言っているのは、ボックスのことを言っておるんです。投票所というのは、一カ所どこかに数百人名前が出て、自民党はだれというのが書いてあるわけでしょう。それで選べというのも大変なことだと僕は思いますよ。  例えば、選挙法で、自民党森総理、こう書いても今は他事記載にならないのですね。自民党、有効だと。これに合わせて、例えば自民党片山虎之助と書いたら有効ですか、どうですか。
  149. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 おっしゃるとおり、有効でございます。
  150. 中井洽

    ○中井委員 どっちの票ですか。
  151. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 政党としてカウントいたします。
  152. 中井洽

    ○中井委員 どっちの票、どっちですか。
  153. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 もう一回答弁いたします。  片山票といたしましてカウントし、自由民主党に合算いたします。
  154. 中井洽

    ○中井委員 それでは、片山虎之助自民党と書いてあったらどうなるんですか。
  155. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 全く同じです。名前優先でございます。
  156. 中井洽

    ○中井委員 これは統一見解ですか。名前優先ですか。個人の名前が優先ですか。
  157. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 再三お答えいたしますが、個人の名前が優先で、かつ自由民主党に合算されます。
  158. 中井洽

    ○中井委員 正直言いまして、こういう選挙制度をやられるといったら、僕らも覚悟しますから、いろいろやり方はある。  例えば、党内で御議論のときに、顔の見えない選挙だ、こう言うのなら、政党名のかわりに党首名を書いてもいいという方法は御検討なさらなかったですか。党首名、小沢一郎でもいいし、土井たか子でもいいし。それで政党名だ、カウントするという比例のやり方は御議論なさらなかったですか。
  159. 須藤良太郎

    ○須藤(良)参議院議員 その議論はやっておりません。
  160. 中井洽

    ○中井委員 僕はこんな緊迫したときにこういうことを言いたくなかったんですよ。だけれども、国民の中にも国会議員の中にも、総理大臣を直接選びたいという方はたくさんいらっしゃる。だけれども、憲法の関係、天皇制の関係でなかなか難しいんだと僕は思っています。この比例のときに、根幹は、地方議員さんはなかなか政党へ入ってくれない、国民一般党員になかなか入ってくれないという国民性もやはりあって、お互い苦労しておるのはわかるんです。だけれども、政党名選挙で、政党交付金も含めて、体制をつくってきた。その政党名だけではだめだと言うのなら、国民の総理大臣選挙のかわりに党首名、これも一つのやり方としてある、そういう提案なんかも幾らでも僕らはできたと思うんですね。そういうのを議論した上でこういう問題を処理していくという審議の仕方がやはり欲しかった、私は先ほどからそういったことを申し上げているわけでございます。  まだ少し時間がありますので、あと幾つかの点を聞きます。  例えば、比例代表選挙制度で、ここはまずい、あそこはまずいといろいろなりまして、私、与党のときに、今自由党の政治改革推進本部長をしていますから、自民党さんや公明党さんと一緒になって公職選挙法のいろいろな是正をいたしました。その中に、比例で通って他の政党へ移るのはだめよという項目、無所属はいい、だけれども、選挙名簿を出して戦った相手へ移るのはだめよ、こういう決定をいたしました。憲法違反の問題も含めていろいろございます。私どもはオレンジの彼も何とか片づけたいと思ったのですが、どうしても憲法上片づかない問題があって、割り切れなかったというところはございます。  しかし、今回、政党選挙だとおっしゃるけれども、初めから個人名を書け、選挙運動も個人になっておるわけですね。ところが今度、通られた方が、何党であれ、自分は百二十万票書いてもらった、党のお世話にならなかった、気に入らぬからよその党へ移る、これはいいのですか、だめなんですか。
  161. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 お答え申し上げます。  候補者が当該選挙におきまして争った政党に移ることは禁止されておりまして、失効いたします。したがいまして、今お話があったように、いかに多くの票をとったといいましても、他の政党に移ることは禁止をされております。
  162. 中井洽

    ○中井委員 こういったことも必ず不満が出てくる。だから、それは本当に十分議論をしてやればいいんだと僕は思っています。そういう意味での議論の時間が足りないことを残念に思っています。  まだ幾つかありますので、お尋ねをいたします。  これは全国三千三百ぐらいの市町村で開票が行われるんです。立会人はどうするんですか。個人の候補者が二、三百人ふえる。立会人はどうされるの。
  163. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 お答え申し上げます。  これは、再三申し上げましたとおり、比例選挙でございまして、政党間の争いでございますから、政党の立会人がこれをもって確認すればいいことになっております。
  164. 中井洽

    ○中井委員 立会人の数は何人か知っていますか、保坂さん。聞かないとわからないの、再三答弁した割には。
  165. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 元法務大臣にお答えいたします。  十人でございます。
  166. 中井洽

    ○中井委員 それぞれの選管へ申し込んで、十人を超えたら抽せんですよ。だけれども今度は、皆さん政党で何票じゃなしに、中身で順番が決まるんですよ。個人個人で何千万という選挙費用と大変な労力をかけてやるんですよ。それなら一票でもふやしたい、だから必ず立会人が要ると僕は思うんですね。政党代表がそんな四十何人の分を見られますか。立会人をやってくれる人はおりません。そんなのはおりません。これは何にもそこのところを、実際の開票等、考えていないんじゃないか、こう思います。  それから、先ほど私の前の加藤さんからポスター七万枚のお話がありました。本当におっしゃったとおりですよ。張らぬ人は張らなきゃいいじゃないか、こんな乱暴な答弁はありませんよ。あなた、ビラ二十五万枚、どうやってまくんですか。まき方はまだ決まっていないでしょう。衆議院のとおりでいったら、演説会と街頭演説と事務所内だけですよ。証紙が届くのは告示の日の夕方でしょう。張れるのは明くる日でしょう。十五日間で二十五万枚、だれがまくんですか。どこで演説会をやるんですか。ビラをまこうと思ったら、一日二万人ずつ集めなきゃならない。そんな運動ができるわけはないでしょう。やろうと思ったら、何百人、何千人の運動員が要るじゃないですか。これは本当に選挙運動を知っている人がやったのかと僕は思っています。  私どもは、今の比例制度のあり方がそのままそっくりいいと何にも思っていません。いろいろ変えていけばいい、みんなで変えればいいんだ。それをあなたたちは、前の金融監督庁の長官の問題またKSDの問題等で党内順位をつけにくくなってきて、一遍に切りかえちゃう。これは少し乱暴なやり方だ、まことに残念な審議だと私は思っています。  細かいところを詰めていったら、詰まっていないところがまだまだいっぱいある。よくそんなことで大事な選挙法を改正すると言えるものだと私は思います。もう一遍参議院で、比例区をやっている人それから昔の全国区をやった人も含めて十分練り直して、時間をかけておやりいただくことを希望して、質問を終わります。
  167. 自見庄三郎

    ○自見委員長 木島日出夫君。
  168. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  二日間の審議を通じて、非拘束名簿式比例代表の最大のごまかしが、個人名で投票させ、これを政党得票と読みかえ、有権者の意思に反して政党議席を得る、ここにあることが明らかになったと私は思います。  問題の焦点がどこにあるか。個人名投票を政党がとったものと読みかえる、そこに問題の焦点があるんです。個人に投票したのに政党への票と読みかえる、そして投票者の意思をねじ曲げる、こんな異常な選挙のやり方をとっている国は世界のどこにありますか。あったら言ってください。答弁してください。
  169. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 何度も答弁しております。似たような制度は、ベルギーにもオランダにも、フィンランドにもその他にもあります。
  170. 木島日出夫

    ○木島委員 そこに最大のごまかしがあるんです。世界の投票のやり方、資料、配付したのを見てください。どこにそんな選挙制度がありますか。  昨日、片山提出者は我が党の児玉委員の質問に対し、横流し横流しと言われますけれども、個人名政党名を合算して鏡のように議席配分をスライドするのは、これはベルギーだってオランダだってフィンランドだってみんなやっています、よく調べてくださいよと答弁したんですよ。とんでもないごまかし答弁ですよ。これを見てくださいよ。ベルギーでもオランダでもフィンランドでも、全部、どこの国だって、有権者が投票しているのは個人じゃありません。政党が提出した候補者名簿こそ投票している対象じゃないですか。今度のあなた方の出してきた法案のように、白い紙に個人名を単記記載させている国などどこにもないじゃないですか。投票しているのは、候補者名簿に投票しているんですよ。どうですか、答えてください。全然違うじゃないですか。
  171. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 フィンランドがまさにそうでございまして、それからベルギーやオランダも、政党がとった票と候補者個人がとった票を合算して議席配分をしている点では、我々が出しているこの案に似ているわけであります。  ただ、同じ制度はないと何度も申し上げているんです。選挙制度というのは各国の事情やいろいろな背景を考えてそれぞれの国が選択すればいいわけでありまして、第八次選挙制度議会が十分な審議をし、しかもその間いろいろな各超党派の検討委員会で検討した結果のこの案を導入すべきだ、我々はこういう判断をしたわけであります。
  172. 木島日出夫

    ○木島委員 八次審はここにありますけれども、投票の具体的なやり方なんて書いていないですよ。そんなことは書いていないですよ。いいですか、よく見てください。  政党がとった票を合算して政党比例配分する、当たり前ですよ。そんなこと比例代表選挙の本質ですよ。そんなところに問題の私は焦点を絞っているんじゃないんですよ。個人名を書かせているのに、それを政党がとったものと読みかえるというところ、片山提案者の言葉によると、この投票の第一義は政党への投票なんだと言いましたね、それがインチキだと言っているんですよ。  いいですか、ベルギーだってオランダだってデンマークだってオーストリアだって、みんな政党が全員の候補者を並べたのを投票用紙の中に書き込んでいるんですよ。順位だってつけているんですよ、ベルギーは。オランダだって順位つけているんですよ。デンマークだって順位つけているんですよ。ただ、その政党がつけた順位有権者が下の方の順位に集中してひっくり返すことができるというだけですよ。そういう制度ですよ。  唯一違うのは、確かにフィンランドです。広い世界の中でフィンランド一つだけです。しかし、フィンランドは個人名なんか書かせていないんですよ。見てください。番号の中で丸をつけさせているだけです。(発言する者あり)
  173. 自見庄三郎

    ○自見委員長 静粛にしてください。
  174. 木島日出夫

    ○木島委員 しかし、フィンランドは有権者幾らですか。四百十五万人ですよ。しかも、全国一区じゃないですよ。全国十五の選挙区ですよ。一選挙区当たり何人ですか。二十八万ですよ、たったの。それで何人選ぶんですか。有権者二十八万の中で定数十三から十四ですよ。片山提出者は岡山県です。倉敷市ぐらいでしょう。倉敷市で十三人を選ぶ選挙で、だからこういうやり方がよく見えるんですよ。日本は一億人の有権者でしょう。それに、投票用紙に真っ白で個人名だけ書かせる。  何でこれが政党への投票が第一義と言えるんですか。片山さん、答弁してください。何でこんなことが政党が第一義と言えるんですか。
  175. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 三日間の審議で私は何度も繰り返しているんですよ。比例代表制度である。比例代表制度の中には二通りあって、順番をつける制度だ。その順番は、国民皆さん個人名を書いてもらうことによって順番をつけるんです。しかし、あくまでも比例代表政党本位です。ただ、政党本位だけれども、順番を政党でなくて国民がつけるというところに意味があるから、個人名を書いていただく方がベターである。ただし、個人名を書きたくなければ政党名を書いていただいても一つも構いませんと。フィンランドは、個人名は書きませんけれども、順番をつけるんですから、同じですよ。  私が言っているのは、ベルギーだってオランダだって、政党名でとった票と個人名でとった票を合算して議席を配分する。私は合算と言っているんですよ。横流しだとかいうようなことは一切言っていない。合算して、その合算によって議席を配分すると。
  176. 木島日出夫

    ○木島委員 全然質問に答えていないんですよ。  合算のことなんて認めているんですよ、私は。ただ、合算する前提として、その投票が政党に投票されたものとみなされなければ、そのみなし方が正しくなければ、正当性がなければ、それは合算できやしませんよと言っているんですよ。この投票用紙、よく見てください。(発言する者あり)
  177. 自見庄三郎

    ○自見委員長 静粛にお願いします。
  178. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 条文に、ここに、投票所内の投票の記載をする場所その他適当な箇所に参議院名簿届け出政党等の名称及び略称並びに参議院名簿登載者の氏名を掲示するとちゃんと書いてあります。
  179. 木島日出夫

    ○木島委員 だから、私が言っているのは、掲示したぐらいじゃだめだと言っているんですよ。なぜヨーロッパの非拘束名簿式をとっている国々がこういう大きな投票用紙をつくっているか、その本質をあなた方は知っていますか。これは単に投票用紙の問題、記入の方法のあり方の問題じゃないんです。政党が選ばれているというのがまさに比例代表制の本質です。その本質を非拘束名簿式においても厳守する。そういう制度の根幹にかかわることだから、ヨーロッパのこれらの国々では、まず政党がきちんと選択されている。そして政党選択された基礎の上に立って、優先して当選してほしい候補者を選べる仕組みを編み出したんですよ。そういうことなんです。そういう比例代表の本質を守り抜かんがためにヨーロッパの国々はこういう投票用紙をつくり出したんですよ。あなた方のでは違うじゃないですか。真っ白い投票用紙個人名を書かせるだけじゃないですか。こんなインチキないじゃないですか。
  180. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 委員の御説は傾聴に値いたしますが、しかしながら、現実問題としては、フィンランドの例でも例えられましたが、仮に小さい大きいと言われましても、現にフィンランドの場合は、個人名を記号で選択して、それを直ちに政党で合算して、ドント方式でその順位を決めているということは、当選者を決めているということは、現に我々が選んだ方式に近いわけです。しかしながら、我々の方といたしましては、憲法四十七条に基づく理念といたしましても、やはり我が国の実情に即したやり方ということでベストな方法を選択したのが今回の提案でございます。
  181. 木島日出夫

    ○木島委員 まことに異例で例外的で、日本と全く質の違うそんなものを見つけ出してきて、個人名を書かせる理由にフィンランドの制度を持ち込むなんというのは、とんでもないまやかしだと私は思うんです。  一言言います。唯一の例外はフィンランドですよ。しかしここは全候補者の通し番号をつけた候補者名簿が所属政党名とともに掲示されるんですよ。だから有権者投票用紙個人名でなく番号をつける。非常に政党名簿をよく点検し、吟味しなければ投票できない仕組みすらつくられているんですよ。全然違うんですよ。  それで、提出者は、先ほど来、きのうも聞いておりました、日本個人名単記投票が慣習だとか、投票用紙が大きくなり過ぎるとか、日本人は識字率が高いとか、こんなの全部私はへ理屈だと思いますよ。とんでもないですよ。議会制民主主義の根幹にかかわる選挙のやり方、投票の方法をどうするかという大事なことを論議しているんですよ。  問題の焦点は、有権者がまず選択するのは政党であるという比例代表制の原則を、非拘束名簿式においても、投票行為それ自体においていかに守れているかどうかにあると私は思います。  提出者は、政党を選ぶ比例代表制を唯一の根拠にして、それだけを繰り返し、オウム返しのように言っておりますが、投票の横流し、きょうの参考人は言いました、おすそ分け、あなた方はこれを票の合算と言っておりますが、そういうことを強弁しておりますが、そう言えるためには、ヨーロッパのように最低限投票自体において政党に投票されたという前提条件が必要ではないか。この前提条件を根本から欠いているあなた方の与党案は、まさに私は、命名すれば、政党隠しのにせ比例代表だと言わざるを得ないということを申し上げておきます。  なぜこんなごまかしの制度を持ち出してきたか、理由ははっきりしていますよ。自民党が二〇〇〇年の総選挙比例代表得票率が二八・三%になってしまった。その後ますます国民自民党への批判は強まっている。もう自民党とは書いてもらえない。自民党への支持を隠したい。それで、自民党に対する不支持を棚上げにして、業界丸抱えの元官僚候補やタレント候補を擁立して、自民党へのアレルギーを回避して、そして自民党員同士競わせて、このごまかしの仕組みを利用して、そして自民党議席を確保しようと。悪知恵というのです、こういうのは。廃案しかないと私は思います。  次に、この選挙制度が、片山さんは第一義が政党への投票だと言うけれども、実際にも個人が前面に出てくる、政党は後景に退く、陰に隠れることにならざるを得ないということを示していきたいと思います。  個人名投票の多寡、多い少ないが候補者の当落に直接かかわるんです。国会議員にとっては命にかかわる問題ですから、選挙の実際が候補者個人の死活をかけたまさに激烈な選挙にならざるを得ないのは当たり前でしょう。  選挙運動について、法案に即して見るとどうなるでしょう。いいですか、こうなるんです。ポスター、どうなりますか。比例名簿は大体目いっぱい立てるでしょう。四十八人が最高限度です。恐らく大政党は四十八人立てるでしょう。そうするとどうなりますか。現行制度では、政党ポスターは十万五千枚が基本です。今度はこれに、四十八人の候補者を擁立した政党は個人ポスターが三百三十六万枚張れるんですよ。どうですか、日本国じゅう、政党ポスターが十万五千枚、個人ポスターが三百三十六万枚、三十二倍。全国の雰囲気が個人選挙一色になることは容易に想像されるじゃないですか。  次に、音の出る選挙はどうなるか。政党カーはどうなるか。現在、一政党の宣伝カーは全国で十三台ですよ。この制度が入りますと、個人の候補者カーが一人につき二台配分されますから、四十八人目いっぱい立てれば、個人用の車、拡声機つきの車が九十六台出せるんですよ。政党の車は全国でたった十三台、個人の車は九十六台。どうですか、こういう仕組みをあなた方はつくり出そうとしているのです。  個人にとっては命にかかわる、個人名投票をしてもらわなきゃ自分が落ちるんですから。そういう仕組みをつくり出して、有権者に一票選択を求めたら、政党なんかかき消されるのは当たり前じゃないですか。政党なんというのは後景に退くことは当たり前じゃないですか。個人が前面に出ていくことは当たり前じゃないですか。  片山提出者はきのう再三、政党の運用に任せる、良識に任せると言いました。こんな良識が通るはずがないじゃないですか。よく聞いてください、実際の選挙候補者個人が死活をかけて走り出したら、恐らく、ある政党の良識など期待できるはずがないんです。既に自民党は、個人名投票制度を見越して走り出しているじゃないですか。  十月四日の読売新聞はこういう記事を書いていますよ。業界丸抱えの官僚候補が自分個人を前面に押し出している、読売が報道していますよ。ちょっと御披露しますか。こう言っているというんですね。「お役に立ちます郵政事業、残してよかった国営事業」、郵政省OBがこういうことを言っている。「成熟した車社会の構築を目指します」、運輸省のOBがこういうことを言って自分を押し出したんですよ。ある女性の予定候補は、四月に出産した赤ちゃんを抱いた写真など個人の人柄を前面にアピールしたものにつくりかえたというのです。四月に出産した赤ちゃんを抱いた写真を前面に打ち出して、こんな選挙をやり始めているんです、あなた方は。(発言する者あり)いけないとは言っていません。個人が前面に出るじゃないか、政党は後回しになるじゃないかと。まさにそうしなきゃ自民党名簿登載者は当選できなくなるからこういうことをやるんですよ。  それはいかぬというのじゃないんです。政党が後景に退いて個人が前面に出るじゃないか、政党が第一義だなんというのは真っ赤なうそじゃないか。そんなやり方をさせておいて、現実になることは想定できて、現にやっておって、そして、あくまでもこれが政党への得票だからという理屈だけで、合算して、自民党得票をたくさんとれる、三人分とってもいいんだと。  それで、その候補が金をばらまいて、買収して、その候補は連座で首になりますよ、しかし、そういう黒い得票全部有効だと。有効な理屈も、比例だからという理屈だけでしょう。比例だから有効なんですよ。確かにそうですよ。比例代表選挙には連座制ないんですよ。個人選挙だから連座になるんですよ。しかし、あなた方は、そういうやり方をさせて、現実には個人が前面に出てくる選挙を現にやって、買収選挙をやっても、括弧つき、政党が第一義だからという理屈で連座からも外してしまう。こんなインチキ、国民が納得できますか。片山さん、答えてください。
  182. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 今回の制度は、かつての全国区に逆戻りする制度じゃありません。各党が名簿を出して、それを選ぶということでまず党を選んで、各党の出した名簿に載っている各党の候補の中から最も適当な人を固有名詞で書く制度でございまして、私は、そういう意味では、旧全国区の弊害と拘束比例代表が持つ弊害を両方直している、こういうふうに思います。  ただ、委員が言うように、個人と党とどっちが中心になるのか。私は、これは分担関係で、何度も申し上げておりますが、個人と党と公営をかみ合わせて、旧全国区のようなああいう選挙運動の再現は起こさない。そこでそういう制度的な歯どめをかけておりますし、あとは、何度も申し上げておりますけれども、運営後の問題はあるかもしれません。しかし、国民がまゆをひそめるような金権選挙がこれからの我が国で通用するはずはない。各政党の良識、国民の賢明な選択の中で……(発言する者あり)
  183. 自見庄三郎

    ○自見委員長 静粛にお願いします。
  184. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 だから、私は、おのずから節度を持った選挙運動が行われるものと思っております。
  185. 木島日出夫

    ○木島委員 あなたの、選挙の運動が個人と政党と公営なんというのは、そんな分担なんというのはインチキですよ。  いいですか。あなた方は、衆議院の中選挙区制を廃止して小選挙比例代表並立制にしたとき、何と言いました。中選挙区では自民党一つ選挙区に三人、四人、五人立つ、自民党同士の激烈な選挙をやるから汚職、腐敗、金権選挙になるのだと言ったじゃありませんか。  今度のあなた方の選挙制度というのは、この中選挙区の自民党員同士を戦わせる、そして買収選挙になるのでしょう、それを全国に広げるだけの選挙になるのじゃないですか。どうですか。中選挙区の時代の、自民党員同士を激突させて、それが政策抜きの金ばらまきの選挙になった、それを今度は全国に広げるだけの選挙制度じゃないか。  答えてください。まあ、答えられないのなら、もういいですよ。答えられないのですよ、あなた方。
  186. 自見庄三郎

    ○自見委員長 片山虎之助君、質疑時間が終了いたしておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。
  187. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 衆議院選挙制度は、各会派がいろいろないきさつ、曲折の中で合意してできた制度でありまして、おたくの党は私はよく存じ上げておりませんけれども、それでできた制度でございますから、みずからそれをいろいろ批判されるのは天につばするものじゃありませんか。
  188. 自見庄三郎

    ○自見委員長 木島君、質疑時間が終了いたしておりますので、簡潔にお願いします。
  189. 木島日出夫

    ○木島委員 選挙制度というのは全党が合意して進めなきゃいかぬものなんですよ。しかし、今度は、全野党合意していないのにあなた方は突っ走ってきたじゃないですか。  選挙制度は、議員の身分にかかわる問題だけじゃないのです。まさに根本国民の参政権の問題なんですよ。我が国議会制民主主義の根幹にかかわる問題なんですよ。こんな重大な法案が、参議院で全く審議もされない。当委員会でもわずか十時間半ですよ、参考人二時間だけですよ。こんなことで審議が打ち切られようとしている。私はとんでもないことだと思います。  今度のこの個人名投票制度は……
  190. 自見庄三郎

    ○自見委員長 木島日出夫君、質疑時間が終了いたしておりますので。
  191. 木島日出夫

    ○木島委員 どんな角度から見ても理がないということを主張し、最後に、一言。
  192. 自見庄三郎

    ○自見委員長 時間をお守りください。
  193. 木島日出夫

    ○木島委員 一昨日、我が党の佐々木憲昭議員が提起したKSD疑惑での証人喚問要求、本改正法案について有権者から望まれている中央公聴会、こういう要求を顧慮することなく、与党が数の力で一方的に……
  194. 自見庄三郎

    ○自見委員長 木島君、質疑時間が終わっておりますので。おたくのオブザーバーも出て合意した質疑時間ですから、しっかり守ってください。
  195. 木島日出夫

    ○木島委員 審議を打ち切ることは断じて許せないということを強く主張して、終わります。
  196. 自見庄三郎

    ○自見委員長 北川れん子君。
  197. 北川れん子

    ○北川委員 社民党の北川れん子です。よろしくお願いします。  まず、皆さんがよく言っていらっしゃる、第八次審議会とここに書いてあるのですが、そこの中の御自分たち都合のいいところをとっていらっしゃるなというふうに思うのですね。この中にも、政党における候補者選定に関する手続の届け出及び公表、選挙における公費負担の仕方などについて所要の検討を行うべきだと。非拘束を書いた後にそういうこともちゃんとうたってあるのですが、具体的なことは検討されたのかどうかお伺いしたいと思います。
  198. 須藤良太郎

    ○須藤(良)参議院議員 例の八次審に書いてあるのは、いわゆる個人名を導入しろということでありますけれども、できるだけ今の党営の活動を基本にしてそれを考える、こういうことでありまして、今回は党営といわゆる個人活動を一緒にした形で考えておるわけでございます。
  199. 北川れん子

    ○北川委員 きのうもお伺いしましたが、自民党候補者の条件というのは、党員二万人を集めるという条件は何の変わりもないということですから、何ら透明性が、この一番考慮されなければいけない点も変えずにこの制度を持ち込もうとされているわけです。  そして、きょう、江田参考人お話の中にもありましたが、参議院の方では、二月二十五日の協議会で、現行制度を来年近々の参議院選挙では用いて、まずは定員削減の方をやろうということは合意していたということを何度も強調されていました。にもかかわらず、今回こういうふうに出してこられたということでありましたならば、なぜ総選挙の際に皆様方の政党与党政党が非拘束名簿式の導入を公約というふうに掲げられなかったのか、その点をお伺いしたいと思います。
  200. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 従前から片山代表発議者からも御答弁申し上げてまいりましたけれども、お手元にございますでしょうか、この須藤協議会と称している各派代表者懇の下にあります協議会の中におきましても、何度も議論の対象になっております。  ちなみに、せっかくでございますから御披露申し上げますと、二月の九日、第七回の経過概要について申し上げます。これは民主党の寺崎委員が発言した言葉でございますが……(北川委員「そういうことを聞いているのじゃないのですよ」と呼ぶ)いや、ちょっと聞いてください。党内では経過報告をして意見を公開した、こう言っております。その後に、制度の骨格については、結論をいえば、衆議院と同じ比例区ではなくて、全国区でいくブロック制とする非拘束選挙制度に改めた方がよいのではないかという意見であったと。ちゃんとこの協議会と党の間で往復した議論が展開されている実証でございます。  それから、その後の方にも、定数削減については急ぐけれども、しかし、もしここで言うならば、逆転区を解消することにとどめておいて、時間の経過があるので、本協議会は短時間で結論を得られやすいところから手をつけようという提案をしているわけです。実際に、非拘束の問題を議論しながら、順位をここで民主党が提案している。そして、最後の方ではもう一つはっきり言っているのです。同じ方が、当面比例区の拘束名簿式はやめたい、そして非拘束式にすべきだと考えているという議論までしているということを御披露申し上げますのは、きちんと議論を積み重ねてきた今日であるということを実証していると思います。
  201. 北川れん子

    ○北川委員 全然答弁に答えてくださっていないじゃないですか。皆さんは、二月二十五日の協議会合意点があったにもかかわらず、これだけ拙速に進めようするならば、なぜ六月の選挙のときに公約に掲げなかったのかということをお伺いしているのですよ。今の四分は省いてくださいよ。今の四分ぐらいの答弁は私は要らないですよ。
  202. 須藤良太郎

    ○須藤(良)参議院議員 私が座長をやっておりましたので申し上げますけれども、報告書に書いてある内容はもうそのとおりでありますから特に申し上げませんけれども、協議会性格は、議長のもとの代表者懇の下につくられたいわゆる実務者の話し合いの場でありまして、それが要するに参議院の全党の方向を決定する、そんな協議会ではないわけでありまして、これを代表者懇に上げて、代表者懇でその内容を検討するのが参議院の党としての話だと思います。
  203. 北川れん子

    ○北川委員 なぜ公約に掲げなかったかということは、もう今の答弁でわかりましたけれども、皆さんは、これを公約に掲げて戦う、これが本当にいい制度だというふうにその時点には思っていらっしゃらなかった、そういうことじゃないですか。そして、来年の参議院選挙に拙速に持ち込もうとするその姿勢に対して今批判が来ていることに対しての反省もないというのは、今の御答弁で私は重々わかりました。  皆さんが総選挙の結果を見て、先ほども共産党の木島委員がおっしゃっていましたが、選挙の結果と久世問題、それが出てきたから今拙速に。物事一つ一つ詰めて聞いていけば何にも答えられないじゃないですか。そういうような選挙制度を今なぜ持ち込まなければいけないのか、改めてこの時点でお伺いしたいと思います。
  204. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 これまで経緯、事情については何回も説明してまいりましたが、繰り返しになりますけれども、平成十一年の六月に、参議院各派代表者懇のもとにワーキンググループをつくったのであります。それが実務者会議でございまして、そこでいろいろなことをやるということになったけれども、しかし、時間が、議長が十二月までに結論を出せというものですから、定数削減だけをやろう、ほかのことはやや凍結でいこう、それだけ協議前提に、ワーキンググループの前提にしただけの話なんです。合意なんかは何にもないのです。その結果、二月二十五日に報告書がまとめられましたけれども、共産党さんや民主党や社民党さんの御意見もそれぞれまとまらず、三案併記になったのです。  そこで、二月二十五日以降代表者懇を四回やりましたけれどもまとまらない、定数削減ですら。いわんやほかのことは全くまとまらない。その間、与党はいろいろ協議しましたけれども……(発言する者あり)
  205. 自見庄三郎

    ○自見委員長 静粛にお願いします。
  206. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 六月の衆議院選挙もあり、このままでは参議院選挙制度改革はすべて先送りになる、四年後になる。我々は、衆議院とは違う参議院独自性のためには、衆議院と違う選挙制度をとりたい。定数削減も含めてやりたい。来年から二十一世紀ではないか。(発言する者あり)
  207. 自見庄三郎

    ○自見委員長 静粛に。
  208. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 四年先送りは、大変参議院の自主性の確立や権威からいって問題になる、そういうことでこの案を導入する決意をいたしたわけであります。  その間野党には、何回も何回も、国会が始まれば委員会で審議を始めましょう、委員会の審議とあわせて各会派協議も始めましょうと申し上げましたが、全部、まとまらないとか党内事情があるとかということでお断りになったわけでありまして、我々は常に話し合おう話し合おうとやってまいったわけであります。それを審議拒否をもってこたえられたわけでありますから、その辺の御事情を、社民党のことも含めてよく御理解を賜りたいと思います。
  209. 北川れん子

    ○北川委員 今のも全然私に対する答弁になっていないわけですよ。今の三分、私のカウントでは三分です、先ほどの四分と、七分は削除してくださいね。私の答えではないですよ。  そうしたら、もう一度お伺いします。先ほど、連座制の問題でかなり詰めた話がありました。例えば、片山虎之助さんそして社民党と書いた場合、その投票用紙はどういうふうになるのですか。
  210. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 これは、改正六十八条の二の三項と五項で明確になっておりまして、まず、有効でございます。  そして、片山虎之助という名前は自由民主党でカウントいたします。それから、社民党ですか、下の方は。社民党と書いた場合は社民党なんですが、この二つの政党を同時に書いた場合は、これは無効でございます。  一つの文字で、例えば、具体的に申し上げれば、こうめいと平仮名で書いたといたします。たまたま公明党という政党が一方にあり、一方には諸葛孔明という自由民主党候補者がいたとします。そうすると、その政党が違うのですが、それは有効でございまして、六十八条の二の三項で、そしてそれは案分比で自由民主党と公明党に案分する、こうなっております。
  211. 北川れん子

    ○北川委員 いや、そういうことを聞いているんじゃなくて、個人名政党名が合致しないときは、この投票用紙は無効なのか有効なのかということをお伺いしているのです。
  212. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 お答えいたします。  政党本位ですが、個人名が優先いたします。ただし、政党が……(発言する者あり)いいですか、個人名を優先して政党で合算をいたします。したがいまして、違う政党で同じ名前になっていたならば無効でございます。(発言する者あり)いや、誤解があるといけませんから。
  213. 北川れん子

    ○北川委員 それは有効だということをおっしゃっているのですか。片山虎之助さんにカウントされて社民党にもカウントされるということを言っているのですか。
  214. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 いや、片山さんは社民党の名簿には載っておりません、したがいまして、これは無効です。
  215. 北川れん子

    ○北川委員 先ほどは、片山虎之助さんにはカウントされるとおっしゃったでしょう。(発言する者あり)ですから、私の質問を全然聞いていらっしゃらないじゃないですか。私は、片山虎之助と書いて社民党と書いた投票用紙は有効か無効かとお伺いしたのですよ。
  216. 自見庄三郎

    ○自見委員長 保坂三蔵君。正確に答えてください。
  217. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 はい。北川委員も私の答弁をよく聞いてください。前段と後段に分かれていますから。  政党が違う名前で、片山虎之助、社民党の場合は無効でございます。社民党には片山虎之助さんは立候補しておりません。そういうことなんです。ですから無効だ。
  218. 北川れん子

    ○北川委員 皆さんは、有権者とか市民とかいう気持ちにおなりになったことがないからそういうふうにおっしゃるわけですよ。有権者や市民が何かのきっかけで間違うことというのはたくさんあるわけで。これは無効票なわけですね。  これは、個人が優先だから無効になるわけですか、政党が優先だから無効の投票用紙になる、どちらですか。
  219. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 お答えします。  それは矛盾しているわけですね。政党名候補者登載名簿がある、その以外の人間が違う政党の名前を書かれたら、これは投票として矛盾しておるでしょう。これは無効です。
  220. 北川れん子

    ○北川委員 少し御答弁の前段でぐらついていらっしゃるのを私はこの場ではっきりと見ました。それほど皆さんがやっていらっしゃる非拘束名簿式比例代表制というのは、危うい、ややこしい問題なんですよ。  そして、先ほどの連座制に移りますけれども、連座制は、個人の名前で片山虎之助さん、そして自民党と書いて、片山虎之助さんが何か悪いことをされた、もしかですよ、例えばです、その場合に、なぜ個人票が、個人の部分が……(発言する者あり)
  221. 自見庄三郎

    ○自見委員長 静粛にお願いをいたします。
  222. 北川れん子

    ○北川委員 ですから、連座制の適用でかなり詰めたお話がありましたけれども、なぜ連座制のときに個人の部分の票がマイナスにならないのか、これはだれにとっても理解がしがたいものであるわけですよ。
  223. 自見庄三郎

    ○自見委員長 片山虎之助君、正確に、簡潔に答えてください。
  224. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 いろいろ引き合いに出していただいて、ありがとうございます。  これも既に何度も申し上げましたが、この非拘束比例代表というのは、まず党を選んで、それからその党の名簿の中で当選させたい人を選ぶ、そういう一種の二面性があるわけです。ただ、個人名を書かせますから、ある一定の限度の中で個人の選挙運動は認めます。個人の選挙運動を認めますから、連座制を適用いたします。その結果、当選無効になるような選挙犯罪を犯した場合には、当選者は排除されます。しかし、二面性がある。党の方の投票は生きるわけでありまして、個人に入れた投票の方だけがアウトになる、こういうふうに御理解賜りたい。(発言する者あり)
  225. 自見庄三郎

    ○自見委員長 静粛にお願いします。
  226. 北川れん子

    ○北川委員 それは全く御都合主義でしかないわけですよ。政党に対して御都合主義になるというのが、この投票用紙のありよう、連座制に対しての適用の仕方にもよく如実にあらわれていると思うのですね。  そして、自書ですから、個人名を書いてもいい、けれども、ただし政党名と合致したのが一枚の中にあったら、個人としてカウントされるし政党としてカウントされる。では、一枚の用紙に二つのカウントがある分と、政党名だけしか書かない人、個人しか書かない人というのは、一つ一つのポイントしかないわけですね。一つ投票用紙の中に、同じ二つ、政党と個人を書けばツーポイントになる、こっちとこっちはワンポイントずつ。そういうのはおかしいんじゃないですか。(発言する者あり)
  227. 自見庄三郎

    ○自見委員長 静粛にお願いをいたします。
  228. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 党名だけ書いたものは、それは今何度も言いますけれども、第一義的には党の投票ですから、個人の名前を書くのは党の中の順位づけですから、そこをぜひおわかりいただきたい。だから、順位づけの方のいわば権利を放棄したと考えるべきなんですよ。党名は、党は選んでいる。その次は、その党の名簿の中で当選すべき者を選ぶ制度なんだから、それについては自分が権利を放棄された、党名の投票が生きる、こういうことになるわけであります。
  229. 北川れん子

    ○北川委員 それは、有権者に対しての周知徹底を皆さんがどれほどされるかというところにかかってくると思うのですよ。  皆さんは、参院選挙制度において、旧全国区制から全国比例代表制度へと制度変更されましたよね。それのときにはどれぐらいの周知期間を要されたのでしょうか。また、その期間において具体的な方法は十分であったと今考えられますでしょうか。それをかんがみて、今回、具体的に周知の徹底、そして何カ月おかけになるのか、その辺を御答弁いただきたいと思います。
  230. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 御答弁申し上げます。  国民への周知徹底は大変重要な作業でございます。従来から、公職選挙法の改正時におきましては、その周知を図るため各種の啓発事業を展開してきたところでございまして、今日までそれは大きな問題を起こしておりません。パンフレット、チラシ、新聞、テレビ等でお知らせ申し上げます。  なお、在外邦人に関しましては、自治省のホームページ、衛星新聞等を通じて周知してまいりたいと思います。  それからまた、選挙執行時において非拘束名簿式比例代表制による投票方法の周知を重視したポスター、あるいはまたテレビ等の各種の啓発事業を実施していく所存でございますので、国民には周知徹底が十二分に図られるものと確信をしております。
  231. 北川れん子

    ○北川委員 今具体的にお答えになった中に、私が何カ月ほど周知徹底をされる期間を短時間に設けられるのかと言った部分は抜けていらっしゃった。それと、旧全国区制から全国比例代表制へ移すときの周知徹底期間が何カ月あったかということにもお答えにはなっていないと思うのですが。
  232. 保坂三蔵

    ○保坂参議院議員 お答えをいたします。  昭和五十七年の参議院選挙への拘束名簿式比例代表制を導入した際でございますが、このときは、法律改正においては、公布日と同日で施行しております。しかし今回は、なお一層複雑になった部分がございますし、また罰則制を導入いたしましたので、公布後二十日間で施行日を設けております。
  233. 北川れん子

    ○北川委員 答弁も違うと思いますし、皆さんは、とりあえずこれをやってみて、応急処置で、もしだめだったらまた変えたらいいじゃないかという簡単なことをおっしゃった。けれども、参議院というのは、六年という期間を決められた候補者を選ぶ選挙に、そのようなあいまいな形の、今の周知徹底に対しても物すごくあいまいですよね、周知徹底に対して皆さんが重要視されていないという点、これは大きな問題点だと思います。  そして、在外投票において今回党名投票のみになるのでしょうか。
  234. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 在外は両方可能であります。両方。党名でもよいし、個人名もよいということです、在外は。
  235. 北川れん子

    ○北川委員 皆さんは、きょう参考人皆さんが来られたときにもいらっしゃらなかったし、この間の野党議論に対して真摯なお答え、かみ合うようなお答えが返ってこぬということはキャッチボールにならないわけですよね。ですから今、国内でさえ、この個人名の徹底を、党と個人をどういうふうにリンクさせて有権者にわかるようにしたらいいかということは皆目わからない。それを在外の人たちにどうやってわからすように皆さんはやろうとされているのか。ですからあえて党名投票なのかということをお伺いしたわけですが、その点いかがでしょうか。
  236. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 ですから、今度の投票は個人名または党名だということになっておりますから、在外についても同様であります。
  237. 北川れん子

    ○北川委員 やはり皆さんがこれをやった後どういうふうになっていくかということに対してのシミュレーションの時間がなさ過ぎる、なさ過ぎるための今の御答弁だというふうにしか私にはとることができない。  次の質問に移りたいわけですが、きょう参考人の中に北京JACの永井さんも来てくださいまして、女性の社会進出並びに政策決定の場へ進出することが、この非拘束名簿式が導入されれば不利になるということを訴えてくださいました。皆さんが別室で聞いてくださっていたかどうかが本当に心配なんですけれども。  きのう私は、例えば、今回持たれた制度の中にクオータ制を導入したい、そういう意向を持った形で、入れたらどうなりますかという質問をしたら、お答えが返ってきたのが、憲法違反であると。憲法違反であるというお答えが返ってきたのですが、憲法の何条に違反しているのかを具体的にお答えください。
  238. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 十四条、法のもとの平等でありまして、各政党がどのようなことをされるかは政党の自主性にまつわけです。女性のみの党をつくることもいいし、ある党は女性を名簿の中の、その順位は投票で選ばれるにしても、自分たちの書く順番の前の方に女性を並べて、我が党は女性を優位に置いておるのだということも示すことができるわけです。
  239. 北川れん子

    ○北川委員 今、憲法十四条違反だとおっしゃった。  憲法十四条、こう書いてありますよ。法のもとの平等、貴族の禁止、栄典の授与、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会関係において、差別されない。」  これにどうしてクオータ制が違反するのですか。私きのう言いましたよ、クオータ制というのは、男女どちらかの性が四〇%以下にならないように制定する制度ですよ。これのどこが平等に反するわけですか。
  240. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 フランスは憲法を直したのです。憲法マターですよ、これは。
  241. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 委員、きのう私がお答えしましたのは、憲法十四条も十九条も二十一条も、例えば一つ政党が、女性を全く入れない政党ができてそれが名簿を出した場合に、女性がいないことをもってクオータ制に触れるからと、こういうことになれば、やはりそこは憲法違反の議論が出てくるので、私は憲法違反とは申し上げませんよ、憲法に触れる可能性もある、疑いもあるので、ここは慎重に、慎重に検討する必要がある。  したがって、その前に各党が自主的に、社民党は、うちは女性の方を六〇%にします、四〇%は男性で我慢しなさい、こういうことを名簿でお決めになれば、あとは国民の審判を仰げばいい。運用でやるべきで、憲法のことがクリアできない限り、それを直ちに制度に持ち込むのはやや疑問があるということをお答え申し上げたわけであります。
  242. 北川れん子

    ○北川委員 皆さんが金科玉条のように言われる第八次選挙制度議会委員名簿もありますよ。このうち、二十七名のうち女性はお一人だけですよ、藤田晴子さん、財団法人明るい選挙推進協会理事。  きょうおっしゃった、憲法の十四条、十九条にクオータ制の導入が違反しているというのはこれは大きな憲法の拡大解釈ですよ。おかしい。違反じゃないですよ。どこがこれが抵触するんですか。
  243. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 もう時間が余りありませんから、私はここで憲法論を云々するのもいかがかと思いますし、私は、憲法に触れる疑いがあるので、触れないかもしれません、したがってそこはきっちり憲法論としてクリアする必要がある。制度として導入するのならば、よその国でも、例えばイタリアでもフランスでも慎重な検討を今しているわけでありますから、我が国も、そこがクリアできなければ直ちに導入はいかがかな、こういうことを申し上げているわけです。ただ、だから運用上、社民党を初めそういうお考えのところはそういう運用で、そういう名簿をおつくりになればいかがでしょうかということを申し上げているわけであります。
  244. 北川れん子

    ○北川委員 私は社民党の議員として、護憲、それもこれからは積極的な護憲で、この国会の中で働く議員として今お話ししている。その答弁をお伺いして、なぜ日本国憲法のこの十四条、十九条が、女性が、それもクオータ制はどちらかの性ですよ。男性であろうが女性であろうが、片一方の性が四〇%以下にならないようにと規定する。この文言を憲法違反だときのうはっきり言われて、きょうはそれかどうかはわからないと言う。一日たてば……(発言する者あり)きのうおっしゃいましたよ、憲法違反だって。(発言する者あり)おっしゃいました。  ですから、きょう、この憲法の十四条、十九条に触れるなどという形でお考えになるような政党に対して多くの国民政党離れをする、そういうきっかけになっているのじゃないでしょうか。皆さんは、無党派層そしてまた選挙へ行かない人たちが選挙へ行くような政党につくりかえていく、そしてまた投票率を上げるような形として非拘束名簿式比例代表制というものを一番ベストな制度だとして今出してこられた。その方が、女性が政策の決定の場に行くことに寛容な政党一つあればいいのではないかというようなお答えをされることを有権者がマスコミを通して聞いていて、皆さん政党に対して希望を持つことができるとお思いになっていらっしゃるのでしょうか。
  245. 自見庄三郎

    ○自見委員長 傍聴議員の方々は、委員席より前に出ないでください。傍聴議員の方々は、委員席より前に出ないでください。
  246. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 何度もお答えしておりますが、昨日も憲法違反なんて明快なことを言っておりませんよ。憲法に触れる疑いがあるので慎重な検討が必要だ、こういうことを申し上げたわけでありまして、あとは運用で、当面は、憲法がクリアできるまでは運用でお考えになったらどうでしょうかということを繰り返し申し上げているところであります。
  247. 北川れん子

    ○北川委員 ですから、申しわけない、触れるかもしれないというような形で憲法十四条と十九条を出されたことに私は怒りを感じているわけですよ。なぜ憲法十四条、十九条に触れるわけですか。
  248. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 私が言っているのは、制度として義務づける場合に、例えばある党が、自分のところは、それは実際の話じゃありませんよ、仮にある政党ができた場合に、私のところは男性だけの政党にします、私の党は女性だけにします、それは思想、良心の自由でそうやりますと。憲法十九条に基づいてそういう党をつくった場合に、その名簿は、女性だけの党ですから、あるいは男性だけの党ですから、その党が名簿を出した場合に、クオータ制を導入するとすればそれは憲法十九条に触れるではないか、こういうことになるからそこのところは慎重な検討が必要である、こういうふうに申し上げているわけであります。
  249. 北川れん子

    ○北川委員 今そういう政党がないわけですから、机上の空論の中で、今日本国憲法を生きた形で国会の中で根づかせようとしているものに対してそういう言い方というのは、答弁としてはおかしいと私は思います。  またもう一度お伺いしますが、非拘束名簿式比例代表制、これは女性が政策決定の場へ行くことを進める制度であるのかどうかお答えください。
  250. 片山虎之助

    ○片山参議院議員 いや、それは恐らく制度としてはニュートラルだと私は思いますよ。ニュートラルだけれども、今の女性の皆さん、大変そういう意味ではお強くなられたので、私は二十一世紀は女性の世紀になるのではないかと思っておりますので、参議院でも衆議院でも、女性議員がこれからどんどん増加することを私は個人的に歓迎しております。
  251. 北川れん子

    ○北川委員 有権者の中にも女性は半分いるわけですよね。そして、強くなったという一くくりの言葉ではなくて、今本当に大変な状況に置かれている女性たちもたくさんいて、女性に対する視点が欠けている政策もいっぱいあるわけです。そして、選挙制度というのは、あらゆる問題に対して意見を、視野が広い人をいかにすくうべきかという、それをまず問うべき選挙制度ですよね。
  252. 自見庄三郎

    ○自見委員長 北川れん子君、質疑時間が終了いたしましたので、簡潔にお願いをいたします。
  253. 北川れん子

    ○北川委員 そこのところで、皆さんが言っていらっしゃる非拘束名簿が、これだけの、たった二日間のこの議論の中でもいろいろな破綻が見えてきている。パイプの穴が詰まって通らない。そういうことを踏まえて、なぜ今通そうとされているのか。  そして、我が社民党も、きのうもお伝えいたしましたが、KSDの疑惑、これは本当に大変な問題であるわけですよ。これに対してのおのおのの証人喚問を要求しておりました。それに対しての答弁もまだいただいていない。前向きに検討してくださいということをお伝えしました。そして、各地での公聴会、きょうは拡大公聴会という御意見もありました。それに対してぜひ……
  254. 自見庄三郎

    ○自見委員長 北川れん子君、質疑時間が終了いたしたので、簡潔にお願いをいたします。
  255. 北川れん子

    ○北川委員 先ほどの七分削除していただいた分だと思ってお答えいただきたいと思います。
  256. 自見庄三郎

    ○自見委員長 北川れん子君の質疑時間は……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)
  257. 西野あきら

    ○西野委員 委員長
  258. 自見庄三郎

    ○自見委員長 どうぞ。
  259. 西野あきら

    ○西野委員 ……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)
  260. 自見庄三郎

    ○自見委員長 ただいまの西野君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者多し)起立多数。質疑は終局いたしました。討論は省略し、直ちに採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者多し)起立多数。本案は可決いたしました。本案の委員会報告書の作成を委員長に一任することに賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者多し)起立多数。そのとおり決しました。  本日は、これにて散会をいたします。     午後六時三十六分散会