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2000-10-05 第150回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十月五日(木曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 中山 成彬君    理事 稲葉 大和君 理事 今村 雅弘君    理事 中野  清君 理事 望月 義夫君    理事 松原  仁君 理事 渡辺  周君    理事 赤羽 一嘉君 理事 山田 正彦君       岩倉 博文君    奥谷  通君       亀井 久興君    木村 太郎君       木村 隆秀君    砂田 圭佑君       高木  毅君    竹本 直一君       谷田 武彦君    中本 太衛君       林田  彪君    福井  照君       松岡 利勝君    松下 忠洋君       吉田左エ門君   渡辺 博道君       佐藤 敬夫君    筒井 信隆君       中津川博郷君    葉山  峻君       日野 市朗君    前田 雄吉君       松野 頼久君    三村 申吾君       山井 和則君    山村  健君       漆原 良夫君    山名 靖英君       黄川田 徹君    都築  譲君       塩川 鉄也君    藤木 洋子君       大島 令子君    金子 哲夫君       菅野 哲雄君    北村 誠吾君       西川太一郎君     …………………………………    国務大臣    (国土庁長官)      扇  千景君    内閣官房長官      安倍 晋三君    防衛政務次官       仲村 正治君    防衛政務次官       鈴木 正孝君    国土政務次官       蓮実  進君    厚生政務次官       福島  豊君    農林水産政務次官     石破  茂君    通商産業政務次官     坂本 剛二君    通商産業政務次官     伊藤 達也君    運輸政務次官       泉  信也君    郵政政務次官       佐田玄一郎君    労働政務次官       釜本 邦茂君    建設政務次官       田村 公平君    自治政務次官       中谷  元君    政府参考人    (環境庁自然保護局長)  松本 省藏君    政府参考人    (環境庁大気保全局長)  廣瀬  省君    政府参考人    (国土庁防災局長)    吉井 一弥君    政府参考人    (文部大臣官房審議官)  清水  潔君    政府参考人    (文部省体育局長)    遠藤純一郎君    政府参考人    (厚生省生活衛生局水道環    境部長)         岡澤 和好君    政府参考人    (厚生省社会援護局長) 炭谷  茂君    政府参考人    (厚生省老人保健福祉局長    )            大塚 義治君    政府参考人    (中小企業庁長官)    中村 利雄君    政府参考人    (運輸省運輸政策局観光部    長)           鷲頭  誠君    政府参考人    (運輸省海上交通局長)  高橋 朋敬君    政府参考人    (運輸省航空局次長)   上子 道雄君    政府参考人    (気象庁長官)      山本 孝二君    政府参考人    (郵政省電気通信局長)  天野 定功君    政府参考人    (労働省職業安定局長)  渡邊  信君    政府参考人    (建設省都市局長)    山本 正堯君    政府参考人    (建設省河川局長)    竹村公太郎君    政府参考人    (建設省住宅局長)    三沢  真君    政府参考人    (自治省財政局長)    嶋津  昭君    政府参考人    (消防庁長官)      鈴木 正明君    衆議院調査局第三特別調査    室長           飽田 賢一君     ————————————— 委員の異動 十月五日  辞任         補欠選任   岩倉 博文君     中本 太衛君   砂田 圭佑君     谷田 武彦君   吉田左エ門君    木村 隆秀君   山井 和則君     前田 雄吉君   黄川田 徹君     都築  譲君   菅野 哲雄君     大島 令子君 同日  辞任         補欠選任   木村 隆秀君     吉田左エ門君   谷田 武彦君     砂田 圭佑君   中本 太衛君     岩倉 博文君   前田 雄吉君     山井 和則君   都築  譲君     黄川田 徹君   大島 令子君     菅野 哲雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  災害対策に関する件(平成十二年有珠山火山活動伊豆諸島における火山地震活動並び秋雨前線及び台風第十四号に伴う大雨による被害及び対策状況)  派遣委員からの報告聴取     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 中山成彬

    中山委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、特に平成十二年有珠山火山活動伊豆諸島における火山地震活動並び秋雨前線及び台風第十四号に伴う大雨による被害及び対策状況について調査を進めます。  去る八月二十二日、伊豆諸島における火山地震活動及び被害状況調査のため、東京三宅島、神津島新島等委員派遣を行いましたので、この際、私が派遣委員を代表いたしまして、便宜この席から調査概要について御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党の稲葉大和君、中野清君、民主党・無所属クラブ日野市朗君、渡辺周君、山本譲司君、公明党の山名靖英君、自由党の山田正彦君、日本共産党塩川鉄也君、社会民主党・市民連合金子哲夫君、21世紀クラブ北村誠吾君、そして私、中山成彬の十一名であります。  全行程、建設委員会と行動をともにいたし、派遣委員は合同して調査を行いました。  三宅島におきましては、六月二十六日からマグマ活動に伴う地震が多発し、二十七日、海底で噴火しました。その後、七月四日ごろから雄山山頂直下地震観測をされ始め、八日、山頂噴火し、以来、噴火活動は継続しております。  この三宅島の火山活動等影響により、六月末から三宅島西方海域地震活動が活発化いたしました。新島式根島神津島三宅島及びその周辺海域を含む領域では、地震活動が継続しています。八月二十一日までに、三宅雄山噴火が六回、震度六以上の地震が六回発生しております。  このため、三宅村、神津島村及び新島村では、大きな人的被害物的被害発生いたしました。  八月二十一日現在、主な被害状況は、三宅村で、人的被害負傷者一名、住家等被害半壊損壊二十棟、道路被害九カ所、泥流八カ所、神津島村で、人的被害死者一名、住家等被害全壊一棟、半壊損壊二十一棟、道路被害五十二カ所、がけ崩れ二十九カ所、地すべり三カ所、新島村で、人的被害負傷者十四名、住家等被害全壊三棟、半壊損壊八十三棟、道路被害十七カ所、がけ崩れ八カ所であります。  そのほか、全域にわたりまして、農作物、農林水産施設公共土木施設商工関係などに甚大な被害発生いたしており、現在も、噴火地震の頻発に伴い、その被害は拡大しております。  推定被害額は、神津島村で約三十五億円、新島村で約三十八億円とされておりますが、三宅島においては、噴火地震活動が継続していることから、現時点において、その算出は困難な状況であります。  この一連災害によりとうとい生命を失われた方の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、今なお、噴火地震活動終息の見込みがつかない中、不安で不自由な生活を続けておられる皆様に対し、衷心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。  それでは、調査内容について御報告申し上げます。  派遣委員は、陸上自衛隊木更津駐屯地よりヘリコプターに搭乗し、三宅島、神津島及び新島を訪問した後、式根島上空から視察いたしました。  まず、三宅島に到着し、三宅役場において、長谷川村長から被害状況説明を聴取いたしました。  引き続き、老人ホーム入居者及び児童生徒島外避難災害救助法の再適用等について要望がございました。  また、派遣委員から、災害による人心の荒廃についての懸念、各産業被害額農林漁業被害内容等について発言があり、意見交換がなされました。  その後、被害地区に向かいました。  三池地区においては泥流流下御子敷地区及び赤場暁においては降灰泥流、椎取神社及び三宅建材工場においては泥土堆積の各状況を視察いたしました。  次に、神津島に向かいました。  神津島役場では、山下村長から被害状況説明を聴取いたしました。  引き続き、被害を受けた公共施設復旧復興への支援等について要望がございました。  また、派遣委員から、観光業への影響漁業被害状況等について発言があり、意見交換がなされました。  その後、避難勧告地域である与種地区に向かい、急傾斜崩落現場調査いたしました。  村道沿いのよたね神社は土砂に埋まり、避難所として使用していたよたね会館は、土砂崩れの危険が迫っているため使用不能となっております。  最後に、新島へ向かいました。  新島役場では、出川村長から被害状況説明を聴取いたしました。  引き続き、安全な道路建設公共施設早期復旧基幹産業の立て直し、村の財政への支援等について要望がございました。  また、派遣委員から、観光業への影響漁業被害状況若郷地区児童生徒状況等について発言があり、意見交換がなされました。  その後、桧山地区に向かい、土砂崩れにより都道二百十一号線が寸断されている現場調査いたしました。  帰路、上空から式根島を視察し、木更津駐屯地に戻りました。  以上が調査概要でありますが、各島の変わり果てた状況を目の当たりにし、自然の猛威と、それによりもたらされる被害の甚大さを深く認識したところであります。  なお、九月二日、三宅村においては住民島外避難指示が発令されたため、避難された皆様は、避難先で不自由な生活を送っておられます。  私どもは、火山地震活動の一日も早い終息を祈るとともに、現地の速やかなる復旧復興がなされるよう力を尽くす決意を新たにいたしました。  御報告を終わるに当たり、改めまして、被災された多くの皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに、復旧復興対策に尽力されておられます関係者各位に対し、深甚なる感謝を申し上げる次第でございます。  なお、本派遣の移動につきましては、陸上自衛隊第一ヘリコプター団の協力をいただいたことをつけ加え、ここに感謝の意を表したいと思います。  また、今回の調査に御協力いただきました東京都、三宅村、神津島村、新島村などの関係者各位に心から御礼申し上げまして、報告とさせていただきます。     —————————————
  3. 中山成彬

  4. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 中山成彬

    中山委員長 政府から説明を聴取いたします。扇国土庁長官
  6. 扇千景

    扇国務大臣 おはようございます。風邪を引いておりまして、せきが出たら、お許し賜りたいと思います。  有珠山噴火災害を初めとします最近の災害状況につきまして御報告を申し上げたいと思います。  まず最初に、秋雨前線台風十四号に伴う大雨でお亡くなりになられました方とその御遺族に対し、心から哀悼の意を表したいと存じます。  また、有珠山噴火三宅島の火山活動神津島新島式根島での地震秋雨前線台風十四号に伴う大雨により被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げたく存じます。  有珠山火山活動につきましては、噴火後六カ月余りが経過し、活動が低下しつつあり、これに伴い、噴火口周辺五百メートルの地域の二百二世帯、三百七十八人の方々を除いて避難指示が解除されております。  現在、地元自治体では復興に向けた検討が進められており、復興方針を年内に、また、その方針に基づき、各市町村の具体的な施策を示す復興計画基本方針を今年度中に策定する予定であり、復興計画基本方針、この予定したものを、政府といたしましては、関係省庁一体となって可能な限り支援を行ってまいる所存でございます。  三宅島の火山活動につきましては、山頂から多量の火山ガスを排出するなど、依然として活発な火山活動が続いており、予断を許さない状況にあります。  これまで、三宅島の火山活動及び新島神津島近海における地震活動により、死者一名、負傷者十五名のほか、降灰による被害家屋道路への被害発生しており、三宅島につきましては、防災関係者を除く全島民島外避難しております。  政府といたしましては、九月十二日に監視観測体制強化のため予備費から十四億円、九月十九日に災害復旧事業などのため公共事業等予備費から九十六億円の使用を決定いたしました。  今後とも、住民安全確保避難者生活支援等の緊急の課題に、東京都を初め地元自治体と緊密な連携をとりながら、政府一体となって取り組んでまいります。  また、秋雨前線台風十四号に伴う大雨による被害につきましては、愛知県を中心死者十名、負傷者九十八名、全壊半壊家屋約百戸、床上浸水床下浸水約七万一千戸の被害となっております。  政府といたしましては、自衛隊海上保安庁等による救助活動、全国から排水ポンプ車約二十台を集結しての緊急的な排水対策被災箇所応急復旧、九市十三町への災害救助法及び被災者生活再建支援法適用など、迅速な対応に努めてきたところでございます。  私は、それぞれの被災地災害発生直後早速訪れ、現地を視察するとともに、地元要望をお伺いしてまいりました。  災害地復旧に向けて、政府といたしましては、関係省庁一体となって、今後とも迅速かつ適切な対応を行うとともに、災害対策に万全を期してまいりたいと存じます。  ありがとうございました。
  7. 中山成彬

  8. 山本孝二

    山本(孝)政府参考人 有珠山火山活動及び三宅島の火山活動新島神津島近海等地震活動並び東海地方豪雨について御説明いたします。  まず、有珠山でございますが、現在、金比羅山及び西山西ろくの二つの火口群噴火が継続しております。ただし、深部からのマグマの供給は停止しており、一連マグマ活動終息に向かっていると思います。当分の間、火口から五百メーター程度の範囲では、噴石及び地熱活動に対する警戒が必要であると考えております。  次に、三宅島の活動でございますが、八月十八日に発生した山頂噴火では、島内噴石降灰観測し、噴煙の高さは一万四千メートルに達しております。また、八月二十九日の山頂噴火でも、噴煙の高さが八千メートルに達し、弱い火砕流発生しました。現在も連続的に噴煙を出しており、二酸化硫黄噴出量は一日当たり二万トン程度以上という、大変活動が活発な状態が続いております。  今後の火山活動見通し等でございますが、当面は、八月二十九日と同程度か、これをやや上回る程度山頂噴火が繰り返される可能性があり、この場合には、火砕流に対する警戒が必要であります。また、噴石泥流火山ガスに対する注意も必要であります。なお、現段階では、山ろくでの噴火可能性はございません。  三宅島のマグマ活動神津島東方海域地下マグマ影響による地震活動でございますが、これにつきましては、八月下旬以降、活動が低調になっており、一連地震活動はおさまりつつあるものと考えられます。  これらの現状に対する監視体制でございますが、気象庁では、三宅島の火山活動及び新島神津島近海地震活動対応するため、観測機器を緊急に増設するとともに、現地対策本部に職員を派遣し、監視体制強化を図っているところであります。  さらに、今般決定した予備費を使用して、気象庁では、地震計、空振計、監視カメラ、GPSなどを早急に整備する計画であります。これらの観測機器関係機関が整備する観測機器によって得られる成果を気象庁において一元的に監視、解析することにより、火山活動及び地震活動の動向を的確に把握し、島内作業者安全確保を図るとともに、島外避難者の一時帰宅や帰島時期の判断等に資する適切な情報発表に努める所存でございます。  なお、新島神津島あるいは三宅島では、地盤の緩みが発生していることから、少量の雨でも土砂崩れによるがけ崩れ等発生が懸念されます。  三宅島では、これまでの噴火により火山灰が多量に積もっていることから、泥流注意が必要であります。このため、島内作業者の安全を確保するため、降水状況監視、予測し、泥流発生についても警戒を呼びかけることとしております。  さらに、住民防災関係者への情報提供といたしまして、火山観測情報臨時火山情報あるいは地震情報を即座に発表し、火山活動等状況について関係機関に解説を行ってきております。これらの情報につきましては、ホームページを通じて公表しているほか、火山活動に関する島民の方の問い合わせに適切に対応するよう、テレホンサービス開始も行ったところでございます。  また、三宅島におきましては、航空機による火山活動監視各種気象情報島内作業者の皆さんに提供しているところでございます。  次に、東海地方豪雨でございますが、十一日から十二日にかけまして本州上に前線が停滞しており、一方、台風第十四号が日本の南海上にあって、比較的ゆっくりとした速度で沖縄方面へ進んでおりました。この前線に向かいまして、南から台風周辺の暖かく湿った空気が継続して流入したため、東海地方中心に長時間にわたって活発な雨雲の発生、発達を繰り返しました。この結果、東海地方、特に愛知西部では記録的な大雨となりました。  これにより、期間の総降水量としては、尾鷲市を中心とした三重県南部、名古屋市、東海市を中心とした愛知西部、また静岡市などの静岡県中部で五百ミリ以上となりました。  なお、十一日の日降水量でございますが、東海市で四百九十二ミリ、名古屋市で四百二十八ミリなど、その周辺の多くの地点で二百ミリを超えましたが、名古屋市や東海市では、従来の日降水量観測記録の二倍を超える記録的な大雨となり、特に名古屋市の日降水量は、名古屋地方気象台観測開始以来、百十年間で最大でありました。  また、これらを一カ月間の雨量と比較しますと、名古屋市の今回の一日の降水量は、同市の九月の月平均降水量の二倍以上となってございます。  以上でございます。
  9. 中山成彬

    中山委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  10. 中山成彬

    中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村隆秀君。
  11. 木村隆秀

    木村(隆)委員 おはようございます。自民党の木村隆秀でございます。  ただいま御説明をいただきました。まず初めに、有珠山三宅島についてお伺いをしたいと思います。  両地区住民方々の当面の生活である衣食住については、これまでも関係機関方々が懸命に御努力なされておられるわけでございますけれども、避難生活大変長期に及んできております。ここで考えなきゃならないのが、将来の生活を支える職場の確保ということになってくるのではないだろうかと思っております。  そこで、まず有珠山についてでありますけれども、ことしの四月十四日に雇用調整助成金地区指定をして休業補償を継続してきたわけでありますけれども、この暫定措置も今月十三日で期限が切れることになっております。今の状況考えますと、この措置の延長を当然していくべきものだと考えておりますけれども、どのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。  あわせて、三宅島でございますけれども、全島避難という状況を余儀なくされて、もう一カ月が経過をしようとしているわけでございます。この全島避難により失業した方、そして自営業休業を余儀なくされた方に対して、当面の緊急措置として、臨時応急的な就労の場を提供するということを検討していかなきゃならないと思いますけれども、こちらの方も御回答いただければありがたいと思います。
  12. 渡邊信

    渡邊政府参考人 有珠山雇用調整助成金適用ですが、十月の十三日で半年間の期限が切れますので、これは、さらに六カ月延長するということで今準備を進めております。  それから、三宅島の方の就労の問題でございますけれども、これは昨年の秋から地方自治体に交付金を出しまして、つなぎ就労事業を行っていただいておりますが、三宅島の方につきましては、失業者の方だけでなくて、自営業者を含めて休業を余儀なくされた被災者も対象にするということで、東京都の方で現在具体的な事業計画中ということでございますので、これからも連絡をとりながら対応していきたいと思っております。
  13. 木村隆秀

    木村(隆)委員 やはり、生活の不安、職がないというのは大変不安だと思います。ぜひ、避難をされている方々の気持ちになって、これからも手厚い支援をしていただきたいものだ。お願いをしておきたいと思います。  次に、東海豪雨についてでございます。  今もお話ありましたように、台風十四号、秋雨前線によりまして、百年に一度を超える記録的な豪雨になったわけでございまして、避難した住民が、二十二万世帯、五十八万人にも及び、床上床下浸水家屋が約六万三千五百戸、名古屋市内では市域の四〇%が浸水をしたわけであります。  被災時には、建設省方々、また自衛隊方々民間ボランティア方々に応援に駆けつけていただいて、地元の議員として大変感謝を申し上げております。扇大臣にも、いち早く現場を見ていただきました。大変ありがたく感謝をしているところでございます。  今回の災害で、民間方々地方公共団体方々も大きなダメージを受けて、今大変な状況にあると思います。  そこで、激甚災害指定についてお伺いをしたいと思います。  この指定に当たって、これまで都道府県単位での指定であったものが、市町村単位でも指定することができるように改正がされて、局地的な災害にも適用されるようになってきたわけでございます。また、本年の三月には指定基準が引き下げられたという経過があるわけでございますけれども、名古屋のような大都市でこの指定を受けているというのは、阪神・淡路大震災の神戸市を除いては、ないわけでございます。過去の災害を、基準が引き下げられた、それに当てはめてみても、適用はされないのではないかと思うわけでございます。  それほど、大都市はもちろんのこと、都市部にとって、この適用基準というのはハードルが非常に高いんじゃないかな、そんなふうに考えるのですけれども、どのようにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  14. 蓮実進

    蓮実政務次官 木村先生にお答えを申し上げたいと思います。  大都市における激甚災害法適用のあり方についての御質問でございます。  激甚災害指定につきましては、今委員お話しのように、ことしの三月に見直しを三十八年ぶりにさせていただきました。激甚災害指定による公共土木施設等の災害復旧事業等に関する国の財政援助の特例措置は、災害による地方財政の負担を少しでも緩和することを目的として行うものでありまして、結果的に、財政規模が、今委員のお話のように、名古屋などは税収が一年間に五千億ですから、その半分ということになりますと、二千五百億以上の損害がないと指定ができない。そういうことで、非常に基準を満たしにくい傾向にあることは今委員の御指摘のとおりであります。  一方、議員御指摘の中小企業に関する特別の助成措置適用をされるためには、市町村内の中小企業関係被害額がその市町村内の中小企業の所得推定額の一割を超える必要があるということになっております。  また、現在、中小企業関係を含めて、被害額の早急な把握に努めているところでありまして、実は私も、二日に名古屋へ行ってまいりまして、現地を視察し、その後、知事さん、それから市当局からいろいろ要望等を伺ってまいりました。今、十分検討しておるところであります。
  15. 木村隆秀

    木村(隆)委員 今政務次官からお答えをいただきましたけれども、ぜひ都市部においても、こういう災害適用ができるような何らかの方策を今後真剣に考えていただきたい。お願いをまずしておきたいと思います。  次に、被災者生活再建支援についてお伺いをしたいと思います。  被災者生活再建制度は、阪神・淡路震災を契機にできた制度であります。よって、地震被害を想定しているように思われてなりません。このたびのような水害では、浸水被害中心となって、被害対象となる家屋は、現時点では、床上浸水被害一万二千八百戸に比べて、全壊半壊を合わせても約六十戸しかない。被害形態が災害によって大きく異なっているわけであります。  この制度を水害被害にも対応できる制度として運用をしていくべきではないかと思いますけれども、いかがお考えか、お伺いをしたいと思います。
  16. 吉井一弥

    吉井政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の被災者生活再建支援法は、六党の共同提案によりまして、平成十年五月に成立し、平成十一年四月から制度の運用を始めたところでございますが、本法は、地震だけでなく、一定規模以上のすべての自然災害により生活基盤に著しい被害を受け、自力により生活を再建することが困難であると認められたものに対しまして、自立した生活開始支援することを目的としております。  具体的には、先生御指摘のとおり、住宅が全壊またはこれと同等の被害を受けた世帯というものを制度の対象としてございますが、いわゆる床上浸水でございましても、浸水により住宅の多くの部分が損壊いたしまして居住するために一たん取り壊すことを余儀なくされる、例えばそのような場合には、全壊またはそれと同等の被害と認められることがあり得るのだろうと思っております。  今回の東海豪雨に関しましても、実際にも、名古屋市におきまして、当初、全壊半壊ゼロと報告されてきたものが、その後の調査によりまして、だんだんふえてきているところでございまして、被害実態調査の進捗により、また今後も確認が進んでいくのではないかと思っております。  本制度では、住宅の被害程度の確認は、市町村が発行いたします罹災証明書によって行われているわけでございまして、床上浸水の場合も含めまして、被害の実態に合わせてその判定が行われていくことと承知しております。
  17. 木村隆秀

    木村(隆)委員 次に、河川改修についてお伺いをしたいと思います。  今回の災害を教訓として、今までの考え方を見直して、さらに河川の整備を積極的に進めていかなきゃいかぬと思いますけれども、今後どのように整備をしていかれるのか、お考え伺いたいと思いますし、このたびの豪雨で、庄内川、国が管轄をする河川でありますけれども、一色大橋の下流で溢水をしたわけでありますが、庄内川の整備状況、そして今後どういうふうに改修をしていくのか、具体的にお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
  18. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 お答えいたします。  日本国土全体にわたる河川の改修の問題と、庄内川の今後の計画についてお答えさせていただきます。  我が国の国土の一〇%が、水がはんらんする地域になってございます。その国土の一〇%のはんらんする地域に、人口の五〇%が集中し、日本国の資産の七五%が集積しているという状況にございまして、河川改修は我が国土の保全のためには宿命的なものという判断のもとに、長期的な観点から、安全な国土にするためにこの河川改修を実施してございます。  河川の大きさやその社会的な影響度合いによって安全性の水準を設定し実施しておりますが、庄内川におきましては、最も重要な河川の一つということで、長期的には、二百年に一回の確率の洪水を安全に流すような河川にしたいということでやっておりますが、当面私どもの目標としましては、すぐにはそれは到達できませんので、三十年に一回の洪水を安全に流下させるべく事業を実施しているわけでございます。  庄内川は昭和四十四年に国の事業となりまして、今の私どもの当面の目標としましては、庄内川下流部の打出・大蟷螂地区におきましての河川改修のための用地取得、堤防補強、橋梁かけかえ、橋梁かけかえと申しますと国道一号線の一色大橋のかけかえでございますが、この事業は、平成十二年、今年度に着手いたしまして、平成十九年に完了させる予定で、さまざまな観点から事業の実施に鋭意努力している最中でございます。
  19. 木村隆秀

    木村(隆)委員 昨年度から、一色大橋をかけかえをして、そこの堤防をかさ上げしていくという計画がやっと動き出したわけであります。特に庄内川は、全国の河川整備の中でも整備がおくれている河川ではないかと思えてなりません。このような豪雨がいつやってくるともわかりませんので、ぜひ早急に、緊急に整備を図っていただくようにお願いをしたいと思います。  次に、県が管理する新川では堤防が決壊をいたしました。また、天白川においても支流から溢水するなど、住宅密集市街地での浸水被害発生をしているわけでありまして、早急な改修が必要になってくるわけであります。  そこで、これらの河川を激甚災害特別事業に採択をして事業促進を図るべきだと考えますけれども、今どのように進んでいるか、お伺いをしたいと思います。
  20. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 愛知県からの報告によりますと、新川流域では約二万一千五百戸、天白川流域では約七千七百戸の浸水被害発生しております。今御指摘の河川激甚災害対策特別事業の採択基準でございます浸水家屋約二千戸以上をはるかに上回ってございます。  現在、この二河川につきまして、再度の災害防止の観点から愛知県は計画を取りまとめ中でございまして、この計画が取りまとめられ次第、私ども建設省は、財政当局と協議しまして、効果的な緊急整備を図っていきたいと考えてございます。
  21. 木村隆秀

    木村(隆)委員 愛知県では、新川や天白川以外でも、多くの中小河川の近くで浸水被害が起きているわけです。これらを考えますときに、やはり中小河川も含めて整備というものをしっかりとこれから進めていかなきゃならない、いくべきだ、こう思いますので、あらゆる川で被害が二度と起こらないように、ぜひこれから整備を積極的に進めてもらうようにお願いをしたいと思います。  最後の質問でありますけれども、今回の水害では、名古屋市内だけでも十五万世帯、三十八万人の方に避難勧告が出されたわけであります。しかし、避難勧告等の伝達に少々問題があったのかと思いますし、伝わったとしても、降雨の状況や河川の洪水の状況というのが余り深刻に受けとめられていなかった。また、夜の時間帯であったということもあり、避難をしなかった住民方々が多くおられたようでございます。  そこで、避難勧告の防災情報とあわせて、河川の水位、降雨の状況等々をインターネットやiモードなどITの新技術を利用して伝えていくという方策を考えていくべきだと考えますけれども、今後そんなお考えはされるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  22. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 ただいま委員御指摘の最新機器によります災害防止は大変重要なことでございまして、私ども、施設のハードの整備は着々と行いますが、それともう一点、被災者方々が速やかに安全に避難するためのソフトの使用が極めて大事だと考えてございます。そのために、インターネットやiモードを利用して、河川の水位、雨量を知りたいときに正確かつ迅速に入手する方法を私どもツールとして持ったと考えてございます。  現在、建設省のホームページでは、河川のリアルタイムの水位、雨量等のデータを、全国の百九の一級水系のうち七十五水系で実施しております。また、利根川の下館工事事務所では、iモードによる降雨や水位のリアルタイムの情報の提供を開始したところでございます。  平成十三年度より、私ども、これらの手法を全国のすべての河川に普及させるべく、さまざまな対策を実施していきたいと考えてございます。
  23. 鈴木正明

    鈴木政府参考人 災害時における避難勧告などの情報伝達に当たりまして、現在は、防災無線あるいは広報車、さらにこれらを多重的に使うことによって伝達をしているわけで、有効な手段である、このように考えております。  パソコンやiモードを活用いたしまして避難勧告などに、いわば防災無線や広報車にかわるものとして使うことはいろいろ課題があると思いますが、現在の防災無線に加えまして、インターネットのホームページなどを活用いたしまして、詳細な災害情報住民の方に伝達したり、あるいは住民の方が把握している災害情報を収集するということができれば、非常に有効な災害情報の伝達手段にもなり得るというふうに考えておりまして、御指摘の方向で、消防庁としても、インターネット技術あるいはiモードなどを活用して、地方団体と住民の間で災害情報が伝達できる方策を積極的に検討していきたいと思っております。
  24. 木村隆秀

    木村(隆)委員 被災をされた方々がどういう気持ちで今暮らしておられるかと考えますときに、いたたまれない気持ちであります。  行政の皆さん方もそんな方々の側に立って、今何をすべきか、ぜひ支援方をさらに力強くお願いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  25. 中山成彬

  26. 谷田武彦

    谷田委員 自民党の谷田武彦でございます。  ただいまの木村委員の質問に関連いたしまして、東海豪雨災害について若干の質問をさせていただきます。前置きは抜きにいたしまして、できるだけ手短に、なおかつ一括してお尋ねをさせていただきます。  先ほどの御答弁を伺っておりましても、名古屋のような大都市では、あれだけの災害でありながら激甚災害指定を受けることは極めて困難であるとの印象を受けました。しかし、百年に一度と言われる大雨が降り、多くの方が被害に遭われたわけであります。何らかの形でこういった被災者皆様に手厚い援助の手を差し伸べていただきたいものであります。  例えば、被災された中小企業、零細企業の皆さんは、営々として今日まで築き上げてきた経営基盤が一夜にして消え去り、ただでさえ厳しい経済環境のもとでの被災だけに、今後事業を続けていくことができるのかどうか、その瀬戸際に立たされております。  確かに今回、直ちに災害救助法適用市町村区域を中小企業信用保険法第二条第三項第四号の規定に基づく地域指定し、保険限度額の別枠扱いなどの特例措置をおとりいただきました。しかし、この指定は、いわゆる貸し渋り対策としての特例措置と一体とした取り扱いとなるため、既に貸し渋り対策として借りていらっしゃる中小企業にはメリットが少ないと言わざるを得ません。激甚災害指定を受けることができればそれにこしたことはございませんが、もし指定を受けることができなくても、指定を受けた場合に限りなく近い支援措置をおとりいただくような特例、弾力的な制度の運用をお考えいただくことはできないでしょうか。御所見を承りたいと思います。  次に、庄内川、新川についてお尋ねをいたします。  国が直轄で管理している一級河川、庄内川の水が、洗い堰を通って愛知県が管理している新川へ流れ込みます。洗い堰が閉鎖されておれば、今回新川が決壊することはなかったものと思われます。庄内川の整備、改修が十分でない今日、直ちに洗い堰を閉鎖するわけにはいかないでしょうが、何らかの形で洗い堰についての検討がなされてしかるべきだと思います。御所見を承りたいと思います。  最後に、いま一つお尋ねをさせていただきます。  このたびの東海地方の集中豪雨水害を踏まえ、建設省におかれましては、昨日、七名の有識者から成る都市型水害緊急検討委員会が都市型水害対策に関する緊急提言をなさいました。まことにスピーディーな対応であり、高く評価するものであります。河川や下水道の管理者のみならず、国、自治体、住民、企業等の関係者が一体となって、一刻も早くこの提言を実施に移していただきたいと存じます。  御承知のように、名古屋市は下水道がほぼ完備しております。今回は一部水につかって稼働しないものもありましたが、排水ポンプ場も数多くございます。また、若宮貯水池を初めとして、地下に大規模な貯水施設も幾つかございます。しかし、それでもなお、今回の一時間九十七ミリという豪雨には耐えることができませんでした。地下貯水池もオーバーフローしました。排水ポンプで幾ら排水しても、排水先の河川から水が逆にあふれ出てくるのではいかんともしがたかったのであります。  そこで、首都圏や大阪では既に先例があると仄聞をいたしておりますが、名古屋のような大都市におきましては、例えば地下に、直接海へ放流する地下放水路を建設していく、そういった必要があると思われますが、いかがでございましょう。  一時間五十ミリや六十ミリの雨に対応できればそれでいいというものではないことが今回証明をされました。百年に一度の大雨だとはいえ、現実に年間降雨量の三分の一を超える雨が一日で降ってしまったのです。国民を守るために、さらに地下に新たな河川をつくるくらいの踏み込んだ対応をしていただきたいと存じますが、御所見を承りたいと存じます。  以上です。
  27. 中村利雄

    中村政府参考人 お答え申し上げます。  今回の東海豪雨によります中小業者の方々に対する被害についての激甚災害指定の件でございますけれども、現在、関係地方自治体とも密接に連携しまして、被害の実態調査をしているところでございます。激甚災害指定を行うか否かにつきましては、これらの調査の結果を受けまして、御議論がございますような実情を十分踏まえまして判断をいたしたいというふうに考えております。  既に中小企業庁といたしましては、被災の中小企業の方々に対しまして、政府系中小企業金融三機関の各支店及び各信用保証協会におきます特別相談窓口の設置でございますとか、政府系中小企業金融機関の融資を別枠で行う災害復旧貸し付けの適用、さらには、政府系中小企業金融機関に対しまして、返済猶予等の既往債務の条件変更及び担保徴求の弾力化等の指示を行っております。さらに、御指摘のように、信用保証協会によります中小企業信用保険の保険限度額の別枠化も行ったところでございます。  今後、激甚災害指定が出されるか否かにかかわらず、有珠山あるいは三宅島等の過去の災害においてとられました対策との整合性も十分勘案した上で、今回の東海豪雨による被災中小業者の実情に対応した適切な対策を講じてまいりたいと考えております。
  28. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 二点お答えいたします。  一点目の新川の洗い堰についてでございますが、この新川と申しますのは、約二百二十年前、天明七年に人工的に開削された川でございまして、その新川の洗い堰は、庄内川と新川の間に設けられた、庄内川の洪水を一部新川に分派するためのものでございます。  今回の出水では、庄内川の水位が上昇しまして、十一日午後十時から約十一時間、新川へ洪水が分派されました。このときの庄内川の本川はどういう状況かと申しますと、一部の区間、庄内川本川では堤防の上から水がもうあふれておりました。そして、かなりの区間で危険水位を上回っておりました。庄内川本川においても、どこが決壊してもおかしくない状況になっていたわけでございます。  庄内川の決壊というのは、名古屋にとっては壊滅的な事態になります。私ども、庄内川の将来的な計画では、新川の分派量ゼロという長期計画を持っております。ただし、今すぐ洗い堰を締め切ることは庄内川本川にとって極めて危険な状態をつくり出すことになりますので、私ども今後、庄内川本川の整備を早急に行いまして、新川への分派量を抑制する方向で、再度の災害防止のために、早急に庄内川の改修、新川の改修を実施していきたいと考えてございます。  二点目の、大都市における地下河川でございますが、委員御指摘のとおり、住宅やビルが密集している地域では、地下における河川が極めて有効でございます。東京では神田川の環状七号の下にある地下河川、大阪では寝屋川の地下河川がございます。  具体的に申しますと、東京の神田川では、平成五年、台風十一号によりまして約三千戸が浸水いたしまして、被害額百五十六億円を発生いたしました。神田川の地下河川ができた以降は、同じ雨が平成九年の六月に降ったわけでございますが、そのときは浸水がゼロでございました。被害額もゼロでございました。  このように、地下河川は大都会における極めて有効な施策でございますので、名古屋市におきましても、今、新堀川の治水対策として、市の中心部の若宮大通りに約十万立方メートルの貯留、いわゆる地下ダムでございますが、市の中心部にございますが、今回の雨ではそれが満杯になり、もしそれがなかったら十万立方メートルの水がさらに名古屋市を襲ったわけでございます。  ただし、これでは十分ではございませんので、現在、中部地方建設局が、新川上流部の洪水をどうやって庄内川へ導くか、放水するかという件に関しまして、地下の放水路案、地下の貯留池案、いわゆる地下ダムでございますね、あと調整池案、または放水路案等の各案を比較検討を行っておりまして、早急に最適な案を見出しまして、着手可能なところから治水対策の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
  29. 谷田武彦

    谷田委員 ありがとうございました。  ちょうど私、この雨のとき名古屋におりまして実際にあの豪雨を体験したのですが、すさまじい雨でございました。まさに我々の予測を超えた雨であったわけでありますが、予測を超えたことが起きるからこそ災害になるわけでございまして、昔から言われておりますが、備えあれば憂いなしでございます。どうぞ、関係者の皆様方におかれましては、一層の御努力をいただくよう御期待を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  30. 中山成彬

    中山委員長 松原仁君。
  31. 松原仁

    ○松原委員 民主党の松原仁でございます。  質問に先立ちまして、三月の噴火以来、半年が過ぎた今も千八百名以上の方が避難生活をしている有珠山周辺、また六月の三宅火山活動以来、群発地震の中で生活をされておられる神津島新島式根島、そして全島避難から一カ月過ぎた三宅島、先般の東海地方での大雨、そういったすべての被災住民皆様に心よりお見舞いを申し上げます。  改めて言うまでもなく、自然の驚異の前に我々は無力であります。したがって、その対応等の際には、予知連、気象庁を含む関係機関の発する情報は唯一の頼りになるわけであります。  今回の三宅島に関する一連経過を振り返りますと、六月二十六日に火山活動が始まり、下旬には、山頂付近での噴火はない、安全宣言と受け取って結構ですという予知連の会見があったわけです。しかし、その直後に神津島で震度六の地震があり、一連の群発地震は回数と範囲をふやしていき、また三宅島の雄山でも同様に、山頂での噴火噴煙の規模が大きくなっていったのは御承知のとおりであります。このような情報と現実のギャップ、何よりもこういったことが関係自治体の対応を難しくし、また同時に、そこに住んでいる住民の不安感を増幅し、またストレスを大きくしていったことは今回の事実であります。  こうした点を踏まえ、今後の火山噴火地震等の予知、観測監視体制強化策について、どのようにあるか、お尋ねいたします。  また、三宅島では、現在も一日に二万トンを超す二酸化硫黄、SO2を含む火山ガスが放出されるなど活発な火山活動が続いておりますが、この現状と今後の見通しについてお尋ねいたします。  そして、この三宅島、全島避難に至ったわけでありますが、今回のこの三宅島の噴火からこの間に至る間の反省事項、総括するようなものが何かあれば、それもお伺いをいたしたいと思います。
  32. 山本孝二

    山本(孝)政府参考人 お答えいたします。  火山噴火予知観測体制の強化についてでございますが、気象庁では、有珠山三宅島などの活動的な二十の火山について、地震計などを設置いたしまして、常時監視しているところでございます。その他の火山についても、火山機動観測班が定期的に観測いたしまして、火山活動の把握に努めております。火山活動に異常現象が発生した場合には、火山機動観測班を現地に直ちに派遣いたしまして、地震計等の観測機器を臨時に増設するなどの臨機応変な対応をすることとしております。  本年三月三十一日に噴火いたしました有珠山、並びに六月下旬から活動が始まり、現在も活発な活動を続ける三宅島につきましては、地震計、空振計、GPS観測装置、遠望カメラ等の観測機器の設置による観測強化を図っております。また、七月の平成十二年度公共事業等予備費によりまして、雌阿寒岳、樽前山、北海道駒ケ岳、御嶽山、阿蘇山などの観測装置の更新強化を行ったところでございます。  さらに、平成十三年度には、気象庁で常時観測を行っております二十の火山につきまして、地震計、空振計、GPS観測装置、傾斜計、遠望カメラなど、新たに観測強化をすることとしておりまして、火山監視体制強化にあわせまして火山監視センターを新設するための概算要求を行っているところでございます。これらで得られた観測データを火山噴火予知連で総合的に精査する体制の強化ということで、火山噴火予知連と相まって気象庁観測体制の強化を図ることが極めて肝要であろうと考えております。  三宅島の火山活動の現状と今後の見通しでございますが、現在でも三宅島では山頂で活発な噴火活動が続いております。山頂直下の火山地震の回数は次第に減ってきておりますが、二酸化硫黄を初めとする火山ガスの放出量は、八月下旬以降次第に増加しておりまして、九月中旬以降、一日当たり二万トン程度以上の火山ガスが放出されております。  今後の見通しでございますが、現在のような多量の火山ガスを放出する活動は当面続くものと考えられております。また、八月二十九日と同程度か、これをやや上回る程度山頂噴火が繰り返される可能性があると考えられております。このため、気象庁では、これらの活動監視するため、火山ガス、地殻変動、地震活動の変化を今後も注意深く監視し、適切な情報を発表したいと考えているところでございます。  今回の一連火山活動でございますが、活動の当初、マグマの西方海域への移動ということで、この山の過去の特徴でございます噴火の歴史、過程から見ますと、マグマ島内噴火をするという可能性はなくなったという判断をしたところでございますが、七月から八月にかけまして、山頂噴火が繰り返され、大規模な山頂陥没、地殻変動などの、今までの火山活動でないような様態が続きまして、火山活動の見通しを得ることが非常に困難な状況、様式の活動になったことが今回の火山の特徴でございます。  その中にありまして、私ども気象庁火山噴火予知連は、今回の一連火山活動のメカニズムについて相当な議論を行って、ある程度の一定の知見を現在得たところでありますが、今後の見通しについては、先ほど申し上げました監視体制強化から得られるデータと現在の火山噴火のメカニズムを突き合わせまして、なるべく早期に今後の見通しについての見解を出せればいいなということで、あす火山噴火予知連を開催いたしまして、その辺の検討を行うこととしております。
  33. 松原仁

    ○松原委員 どちらにしても、先ほど申し上げましたように、大変予測というのは難しいわけでございますけれども、そういった予知連の皆さんの予測等々で、現場住民の方は非常にいろいろなストレスをためたり、不安を解消したりするわけでありまして、そういった情報と現実がなるべく一致するように、さらに今回の経験を踏まえ、いろいろと研究していただきたいと思います。  次に、十月一日より五年に一度の国勢調査が現在行われておりますが、人口は地方交付税等算定の際の重要な要素であります。全島避難中の三宅村の人口が現状としてゼロという調査結果であったとしても、特段の措置を当然するべきと私は考えますが、どうでしょうか。  あわせて、三宅村、神津島村、新島村に対する特別交付金による財政支援についてもお伺いいたしたいと思います。
  34. 嶋津昭

    嶋津政府参考人 お答えいたします。  今御指摘のように、今回、十月一日の国勢調査に基づきまして来年度以降の普通交付税の算定を行っていくことになっているわけでございます。三宅村の状況につきましては、今御指摘のように、島外避難が行われているという状況でございますので、国勢調査にもその状態が恐らく出てくるんだと思います。したがって、今後、来年以降の交付税の算定に当たってどう対応するのかは、一日も早い帰島と復興状況等によって恐らく対応が異なってくるものだと思いますが、交付税の算定に当たりましては、三宅村の行財政運営が円滑に行われるように、国勢調査を補足するような方法等も国勢調査当局等ともよく協議しながら、算定を的確に行っていきたいと思います。  また、伊豆諸島災害に当たる財政需要につきましては、東京都等ともよく協議しながら、それぞれの地域財政需要を的確に把握いたしまして、必要な財政措置を行ってまいりたいと考えております。
  35. 松原仁

    ○松原委員 伊豆諸島の島々の基幹産業観光業であります。直接の被災地である三宅、神津、新島は当然としても、その他の島々も観光客が激減し、特に今回はトップシーズンである夏休みをまたいだこともあり、大きな打撃を受けております。  例えば、大島や八丈島などは、一時期、三宅、神津の方々避難受け入れの候補に挙がったほど安全だったにもかかわらず、同じ伊豆諸島ということで風評被害を受けたわけでありまして、こうした島々の観光業復興対策は現在どのように講じられているのか、お伺いいたしたい。また、過去の事例もあわせてお伺いいたします。
  36. 鷲頭誠

    鷲頭政府参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、伊豆諸島における観光産業というのは大変な基幹産業でございます。ただ、現在では、三宅島が全島避難しているという状況でございまして、直ちに観光復興方策への支援を行うということはいろいろ難しい面もございます。  しかし、東京都に、現在、都、伊豆七島観光連盟、それから運輸省の関東運輸局などをメンバーといたします伊豆諸島観光復興支援協議会というものが設置されておりまして、噴火地震活動状況等を見きわめながら、今後の対応についての検討がなされているところでございまして、運輸省といたしましても、この協議会での議論を踏まえまして、時期を失することなく対処していきたい、こういうふうに考えております。  また、八丈島、大島、今御指摘ございましたとおり、そういう直接被害が出ていないところに対する復興支援策につきましても、この協議会におきまして具体的な検討を行っておりまして、早急に結論を出すこととしております。この結論を受けまして、国といたしましても、正確な情報の提供などを初めとしまして、風評被害の防止のためにさまざまな方策への支援を行ってまいりたいと考えております。  ちなみに、北海道の有珠山噴火に関しましては、地元からの要請を受けまして、風評被害の防止のための正確な情報提供、旅行事業者等に対する正確な情報提供とか、あるいは旅行業者などに対しまして北海道関連商品を重点的に企画、販売してくださいという要請とか、あるいは北海道庁が実施する秋以降の集中キャンペーンに対する支援といったようなことを講じてきたものでございます。
  37. 松原仁

    ○松原委員 長引く避難生活で、経済的基盤、雇用等の問題があります。都内の道路、交通網の不案内ということ等を含め、島民方々にはさまざまなクリアしなければいけない条件がありますが、先月二十八、二十九日の二日間、都内での合同就職相談会が行われました。その際の結果や、あわせて、他の島々も含んだ総合的な雇用対策の現状についてお伺いしたいと思います。  あと同時に、被災児童生徒の問題についてでありますが、三宅、神津、新島の各高校の三年生は九十二名いるわけでございますが、この九十二名、大学入試を前に、さまざまな意味で大変に高いハードルを越えなければいけないわけでありまして、こういった進学を希望する生徒に対して、入学準備金、その後の授業料等における支援策があればお伺いいたします。  さらに、小学生、特に低学年の児童についてであります。週末は会えているかもしれませんが、子供たちが親元を離れて既に一カ月、体の不調を訴える子供もかなりふえていると聞いております。そういった子供たちに対してのケア等について、どうなっているかお伺いいたします。
  38. 渡邊信

    渡邊政府参考人 雇用の問題でございますが、まず九月の二十八日には立川市におきまして、二十九日には港区におきまして、合同就職相談会を開催いたしました。九十五社から一千六百一件の求人がありまして、被災者の方、三百名の方の参加をいただきました。その場で就職が決まりましたのは二十七名ということでございました。  被災者の方の中には、早期に帰島したいという強い希望がありまして、そういったことからも、就職ということについての一種のためらいもあるというふうなこともお聞きをしておりますが、今後とも、就職相談にはきめ細かく応じていきたいというふうに思っています。  なお、全般的な雇用対策でありますが、飯田橋の安定所等に特別相談窓口を設置いたしております。あるいは、被災地域の事業所には雇用調整助成金適用するといったようなこと、あるいは離職をされなくても、休業でありましても、そこの労働者に対しましては雇用保険を特例的に適用する、現在こういったことで対策を講じておりまして、今後とも職業相談等には十分対策を配慮していきたいというふうに考えております。
  39. 清水潔

    清水政府参考人 お答え申し上げます。  大学への入学等に関する支援策についてのお尋ねでございますが、まず授業料及び入学金につきましては、国立大学にあっては、災害等の場合、学生の申請に基づいて免除措置を講ずるという仕組みがとられているところであり、これは公立大学においても同様のことでございます。また、私立大学にありましては、大学の判断によって授業料等の減免措置を行った場合には、私立大学等経常費補助金による支援を行っているところでございます。  奨学金についてでございますが、日本育英会においては無利子の緊急採用奨学金制度を実施しており、在学する学校を通じ、随時受け付けを行っているところであります。  文部省としては、これらの施策を通じて、三宅島等の生徒の大学等への進学を支援してまいりたいと考えておるところでございます。
  40. 遠藤純一郎

    ○遠藤政府参考人 児童生徒の心の健康の問題でございますが、御指摘のように、こういった児童生徒災害時における精神的な影響を緩和し、心の健康を維持する必要があるわけでございまして、文部省では、避難が決まった時点でこの点についての配慮を東京都教育委員会にお願いをいたしましたが、東京都教育委員会では、九月一日から臨床心理士等の専門家や大学院生等のボランティアを秋川高校に派遣しまして、子供たちの相談等に応じる体制をとっているところでございます。
  41. 松原仁

    ○松原委員 最後に、天災は忘れたころにやってくるといいます。備えあれば憂いなしといいます。先ほどお伺いしました予知、観測体制の強化、それだけでは身の安全は守れないわけでありまして、その後の復旧復興生活再建に大きな財政的な支援が必要です。  ここからは私見でありますが、税金や保険のように個人の負担を伴わずに、例えば公営ギャンブル、宝くじなどの収益の一部を基金にし、災害対策に限定した恒常的な財源確保をする等のことが可能かどうか、大臣の御所見をお伺いいたして、私の質問を終わります。
  42. 扇千景

    扇国務大臣 今、恒常的な災害に対する財源の確保ということで御質問ございました。  災害対策の財源につきましては、当初の予算の中にも必要な額を計上しておりますけれども、年度途中の不測の財政需要に対しましては、予備費の活用、また補正予算の編成などによって、機動的かつ適切な対応を行うことというのは御存じのとおりでございます。  本年度におきましても、当初予算におきまして災害復旧等の事業費を政府全体で七百二十七億円を計上しておりましたけれども、また予備費のうちからも、先ほど申しましたように、七月二十五日に有珠山の関連分として百九十六億円、そしてまた九月の十二日には緊急監視観測体制強化分として十四億円を、そして今回、九月の十九日には有珠山伊豆諸島災害関連分といたしまして百七十九億円の使用、これを閣議決定いたしました。  さらに、今回の補正予算、今準備中でございますけれども、IT革命の日本新生プラン、その具体策に加えまして、今度は防災のための施策を重点的に実施するということが今回の補正予算の主なことでございますし、また災害から国民の生命財産を守ることは、政府の最も重要な責務の一つでございますので、これまでも災害対策に必要な財源につきましては最優先に確保してまいりましたところでございますが、今後とも、今先生がおっしゃいましたように、万全を期してまいりたいと考えております。
  43. 松原仁

    ○松原委員 終わります。
  44. 中山成彬

  45. 前田雄吉

    前田委員 民主党の前田雄吉でございます。  私の地元は、今回の東海豪雨の最大の被害地であります西枇杷島町でございます。そうした観点から、枇杷島町の、あるいはそれを含みます地域東海豪雨被害について御質問申し上げます。  私も、豪雨の翌朝よりヘルメットをかぶって二週間ボランティアの皆さんと一緒に復興活動を続けてまいりました。地元の声をお届け申し上げたいと思います。  今、西枇、新川の町の復興は、災害ごみの片づけから生活再建へと力点が移ってきております。現地では、復興にかけて力の限りやってきた、何を今度は政府は具体的にやってくださるのかと、怒りの声ともとれる声が続いております。今まで、森総理、扇長官におかれましては、いろいろと復旧への強い意思を私どもにお伝えいただきまして、これは本当に感謝申し上げております。  では、実際にこれから政府として何をやってくださるのか、お尋ねしたいと思います。  具体的に、激甚災害指定ですけれども、意欲はわかりますが、実際にいつ判定がなされるのか、明快な御答弁をお願いしたいと思います。確かに、現地からの最終的なデータをお待ちになっていることはわかっておりますが、必要なデータの簡略化あるいは弾力的な運用をお願いしまして、一日も早い指定をお願い申し上げたいと思います。  現地の西枇杷島の近藤勝美町長は、今こそ、この時期にこそ復興資金が必要なんだ、一日も早く地方交付税の交付金の前倒しと、また激甚災害指定をいただきたいと懇願しておる次第でございます。この点について、明快な御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  46. 扇千景

    扇国務大臣 今おっしゃったとおり、東海地方中心といたしました今回の豪雨につきましては、私も先月の十三日に現地に行ってまいりました。地上、または上空からも拝見いたしまして、被災状況、今回の豪雨が大きな被害をもたらしたことを私は本当に実感してまいりました。  また、特に被害が大きく、私も上空から視察しました新川につきましては、名古屋市等の要望を踏まえまして、今まで重点的に事業を実施してまいりました。御存じのとおり、上流部では青木川放水路の整備、中流部での中江川の水門及び排水機場の整備、下流部での下之一色引き堤の用地買収等を促進してまいっておったところでございます。  お尋ねがございましたような激甚災害指定につきましては、災害状況財政状況、そして農業所得額等、これは客観的な基準というもので判断されるものでございます。  御存じのとおり、被害状況報告につきましては、先日も私申し上げましたけれども、早急に取りまとめるように地方公共団体に私もお願いしているところでございます。また、現在、被害を受けた地方公共団体から関係省庁へ、指定の前提となる被害額が今報告されつつある状況でございます。  今後とも、被害額の査定作業が速やかに行われますように、どうか、関係省庁あるいは地元の皆さんとも、ぜひ先生も御尽力いただいて、早急に対応できるような御報告をいただきたいと存じておりますので、よろしく私の方からもお願いしておきたいと思います。
  47. 前田雄吉

    前田委員 ありがとうございます。一日も早い指定のほどをお願い申し上げます。  次に、ほかの委員からも御質問の中にありました、被災者生活再建支援法の判定基準の緩和についてお尋ね申し上げたいと思います。  この法律は、先ほども御説明がありましたように、阪神・淡路大震災の折にできたものでございますけれども、全壊半壊なら年収五百万円以下の複数世帯で百万円の支給金があるというものです。西枇は生活再建支援法の適用を受けました。これはありがたく思います。しかし、一件も該当の家がありません。つまり、法律は適用されてもだれも助からないわけであります。  私がこの原因をいろいろと探しましたところ、全壊半壊ならという基準がある。国土庁にお尋ねしましたけれども、昭和四十三年にこの全壊半壊の統一基準がつくられたということでございます。  私も、枇杷島であるいは新川で実際にボランティア活動をしながら多くの家を見てまいりました。二日間水につかって、床から一メーター二十ぐらい、壁が落ちている、床板もない。壁がなくて床板もないその家が、国土庁にお尋ねしましたら、半壊とも認められない、こういうお答えでございました。  現在の災害立法は、余りにも風水害に対して軽い取り扱いをされているんではありませんか。生活再建支援法というのは、そういう名のごとく、生活者を中心に据えて、そして弾力的な基準認定を行っていただきたいと思います。建物の構造上の基準ではなくて、生活機能上の基準全壊半壊を認定していただきたい。特に、高齢者で、しかも低所得の皆さん、つまり、年金生活を送っていらっしゃるおじいちゃん、おばあちゃん方がこの問題で非常に苦しんでいらっしゃいます。何とかこうした皆さんに手を差し伸べる温かい政治をお願いしたいと思います。  この壁も落ち床もない生活機能を失った家を、生活再建法の全壊半壊に何とか認定していただけないでしょうか。この点を御質問申し上げます。
  48. 吉井一弥

    吉井政府参考人 お答え申し上げます。  被災者生活再建支援法、改めて申し上げるまでもなく、いろいろな議論の末、六党の共同提案により成立したものと承知してございます。  現在の制度自体、低所得者の世帯でございますとか高齢世帯、あるいは障害者などの要援護世帯を対象とした制度になっているところでございまして、そういう方々で、住宅が全壊またはこれと同等の被害を受けた方々というのが制度の対象になっているわけでございます。  先ほども御答弁いたしましたが、いわゆる床上浸水でございましても、大きな被害が出ているような場合には、個別の認定によりまして半壊または全壊というふうなこともあり得ると思っております。  例えば、住家の主要構造部の被害額がその住家の価額の五〇%以上になった場合は全壊、二〇%以上五〇%未満のものは半壊というふうなことになっているわけでございまして、実際問題といたしまして、今回の災害につきましても、名古屋市からは当初、全壊半壊ともゼロということでお伺いしておりましたのが、その後調査が進みまして、現時点では、全壊四戸、半壊八十六戸というふうな数字にまで上がってきております。西枇杷島町でも、まだまだ実態の把握もなかなか現実問題できていないところも多いのかと思いますが、今後の精査によりまして適切な方向が出てくるのではないかと思っております。  先ほど申しましたように、市町村が発行する罹災証明書によって判断することになってございますが、その実態調査の結果を見て、私どもとしても制度の適切な運用に努めてまいりたいと思っております。
  49. 前田雄吉

    前田委員 ということは、今現在、枇杷島町の方で全壊半壊家庭が、ゼロ、ゼロというふうな状況であるということならば、これは、そういう高齢者とか弱い人々を政府は救えないということでございますか。吉井局長、お願いします。
  50. 吉井一弥

    吉井政府参考人 お答え申し上げます。  災害による被災者への援護措置といたしましては、災害救助法その他いろいろなものがあるわけでございまして、被災者生活再建支援法もその一つであろうと認識しております。  被災者生活再建支援法は、六党の共同提案によりできたものでございまして、自然災害により生活基盤に著しい被害を受け、自力によっては生活を再建するのが困難であるということで、住宅が全壊またはこれと同等の被害を受けたものを法律の対象としておりまして、現在の運用では、被害の実態によりまして全壊または半壊というふうなことが認定されたものについての措置ということになろうかと思います。半壊で解体を余儀なくされたものということでございます。
  51. 前田雄吉

    前田委員 ありがとうございました。  次に、第三の問題ですけれども、被災後の環境問題であります。フロンの問題でございます。これは非常に重大な問題でございます。  今回の災害で約三万台の冷蔵庫が出た。その中で、わずかに三百八十台しかフロンの回収ができていない。しかも、これは行政が行ったのではなくて、民間ボランティアの手によって行われたわけでございます。責任官庁として、環境庁はまことに重大なミスを犯されたのではありませんでしょうか。パッカー車で冷蔵庫をつぶして持っていく。フロンがそこで逃げちゃう。皆さん、フロンは、フロンR12、一粒子でオゾンが十万個破壊されるわけであります。しかも、百二十年続いてであります。神戸の震災のあの混乱の中にあっても、残留フロンの六割が回収されておりました。  私は調べましたけれども、九月十九日になって、環境NPOから指摘されて、環境庁はやっと愛知県庁と連絡をとったということでございます。愛知県庁に押しつけるのではなくて、環境庁がリーダーシップをとって、現地に入って、フロン回収の現地調査をされて、その報告書をこの委員会に御提出いただきたい。その上で、環境行政におけるこの大きなミスにどのように対処されていくのか。環境会議に参加している日本にとって、まことにお粗末で恥ずかしい結果ではありませんか。  また、今回のこの重大なミスを生かして、今後フロン回収についてどのような立法措置をお考えなのか、責任監督官庁としての環境庁の方にお尋ね申し上げます。
  52. 廣瀬省

    廣瀬政府参考人 先生の御質問になられましたフロンガス回収の問題でございますが、今回の災害にかかわって、回収の状況については、愛知県と連絡をとりながら、可能な限りの回収に努力してまいるよう、そして破壊処理を進めるよう努めてまいります。  そして、この一連の問題でございますが、こういう形になったというのはどういうことかというふうに考えますときに、フロン回収については、平常時においても自主的取り組みを中心にしておりまして、このことが、一部においてフロン回収が適切に行われなかった一因と考えております。  そして、そういうことであるならば、フロン回収等の法制化についてということでございますが、現在、各党において議員立法の検討が進められております。環境庁としては、速やかな法律の成立のため、これらの検討に積極的に協力してまいり、二度とこういうことのないような体制を固めてまいりたいというふうに思っております。
  53. 前田雄吉

    前田委員 続けて御質問しますけれども、今の答弁では、フロンの回収についてちゃんと現地調査が行われるかどうか、これは何にも答えられていないわけであります。もう一度御答弁をお願いします。
  54. 廣瀬省

    廣瀬政府参考人 現在、愛知県が、それぞれの搬入されました冷蔵庫について、具体的に回収の体制をとっております。その中で、当然、回収をするときには、その要領が全部わかるようになっておりますので、そのことについて具体的に報告を求めて、今後の法律をつくっていくときにも、それから先生のおっしゃられることに関して具体的な反省点を導き出すためにも考えてまいりたい。特に、平常時の問題を考え災害時の問題という形の参考資料にするために、努めてその調査をしてまいりたいというふうに思っております。
  55. 前田雄吉

    前田委員 愛知県に押しつけるのではなくて、今後、環境庁がリーダーシップをとられたフロン対策をお願い申し上げます。  最後に、中小企業対策についてでございます。  商店街振興組合連合会さんが、豪雨被災地のアーケードとか街路灯、スピーカー等、水害によってだめになったものに対して何の補助もないと。また、七百万円かけて機械を入れたクリーニング屋さんも町工場も、もう廃業せざるを得ないと。こういう声が強うございます。  確かに、中小企業庁は、特別融資枠はつくっていただきました。しかしながら、地元の中小企業は、この不況下にあって、借りられるだけお金を借りているわけであります。この融資枠以外の具体的な中小企業再建策をお伺いしたいと思います。お願いします。
  56. 中村利雄

    中村政府参考人 私ども、商店街振興組合連合会から報告を受けておりますが、それによりますと、愛知、三重両県で、加盟組合四百四十七組合のうち六十五組合が被災いたしましたし、また店舗では、二万五千三百十五の加盟店舗のうち三千八百三の店舗が被災をしたということでございまして、大変大きな被害を出したというふうに私どもも認識しているわけでございます。  今、先生御指摘のように、私ども、災害復旧貸し付けでございますとか中小企業信用保険法の限度額の別枠化でございますとか、こうした手段を講じているわけでございますが、特に商店街につきましては、これまでも活性化のためのいろいろな施策を講じているわけでございます。  例えば、アーケードでございますとか駐車場の整備等の基盤整備でございますが、こうしたものにつきましては、災害救助法適用地域におきまして、被災商店街の共同施設等の復旧につきまして、金利を無利子化するとともに、貸付割合を八〇%以内から九〇%以内に高めて高度化融資を行うというような、災害復旧高度化事業による貸し付けの対象といたしております。
  57. 前田雄吉

    前田委員 ありがとうございました。  一日も早い激甚災害指定の認定をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  58. 中山成彬

    中山委員長 赤羽一嘉君。
  59. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。  まず、質問に先立って、今般の東海豪雨災害、また、全島民が離島を余儀なくされております三宅島の被災者の皆さん、またその他の、新島式根島神津島の、噴火地震災害で大変な被害を受けられた被災者のすべての皆様に、心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。  きょうは、限られた時間でございますが、先ほどからの御質問のやりとりを聞いておりましても、今の法律の中でいろいろな問題点が指摘をされておるところでございます。  今し方、民主党の方の質問の中で、被災者生活再建支援法全壊半壊基準床上浸水被害を受けられた方にこれを認定してほしい、こういう御要望もありましたが、私は、それは立法府の問題であって、現状の法律の中で、床上浸水の方の一部しかこの適用を受けることのできない法律の現状だということを認識しながら、我々立法府の仕事として、その法律の問題点をどうしていくのか、こういったことが必要なのではないかというふうに思っておりました。  私も、その観点で、扇長官も神戸の御出身で、五年前の阪神・淡路大震災、特段、現地の事情をよく御理解いただいておると思いますし、私もあの震災で住む家を失った被災者の一人として、あれから五年余りの経過の中で、きょうは三十分の中で被災者生活支援法に関することについて議論をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、質問に先立って、扇長官におかれましては、御就任早々今申し上げましたようなありとあらゆる自然災害に直面され、大変な御奮闘をされていることに心から敬意を表する次第でございます。  また、ちょっと脱線しますが、公共事業の見直しとか入札方法に関しましても、この臨時国会、大臣の御英断で新しい法律が提案をされる段取りとなりました。まさに政治的なリーダーシップ、政治的な決断というものが、今の法律で問題が出た場合、まさに政治的なリーダーシップが必要なんだなということを扇長官の今回の闘いで非常に実感をし、感銘もしておるところでございます。  その観点から、この被災者生活再建支援法につきましても、現状私が感じている問題点について指摘をさせていただきたいと思います。それが大臣の答弁となりますと、役所の方も、後ろからまあまあと言ってそでを引っ張るような局長もおらないと思いますが、非常に難しい話で実のない議論になってしまうと思います。修正をするならするで、それは我々の仕事としながら、この噴火地震災害豪雨等々、こういったことについて、これからどうしていくべきなのかという建設的な立場に立って率直な御意見を聞かせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  まず、阪神・淡路大震災のときに、個人補償ができないのか、こういった大変な議論がずっと引きずりました。  その個人補償を求める声の論拠となっていたのは、実は災害救助法という法律がございまして、二十三条の一の項目の七番にこういう文があるんです。生業に必要な資金、そして器具または資料の給与または貸与ができる、生業に必要な資金の給与または貸与ができる。こう言って現金支給が災害救助法で担保されたにもかかわらず、実は厚生省の次官通達というものがございまして、災害弔慰金の支給法の資金貸与制度の運用で対応するんだ、ただし現金は支給できませんよ、こういった政府の主張があったわけであります。     〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕  その中でどういったことが起こったかといいますと、雲仙・普賢岳とか奥尻とか、義援金の配分が一世帯当たり一千万近くあったところは、実はその義援金に加えて自己資金で自己再建ができていった。しかし、残念ながら神戸の場合は、これは被災者が二けたぐらい違いましたから、全壊でも三十万円程度だったと思います。私もその程度はいただきましたが、三十万円程度ではなかなか再建ができない。職業、生業を失った被災者の皆さんは、実はなかなか自宅の再建ができずに、大変な数の公営住宅に移ることになった。こういった状況がありました。公営住宅も、十万近い公営住宅をつくりまして、結果としては、神戸市の財政が今後どうなっていくのか、もう暗たんたる状況になったという、非常に矛盾もあるということであります。  難しい質問は局長に任せていただいて後で聞きますが、もう一つ、ちょっと笑い話みたいな話なんですが、災害救助法にかかわって、避難所で毎日毎日お弁当が出ていたわけです。食中毒が怖いものですから、フライ物が毎日出ているんですね。高齢者の人が食べられない。二カ月ぐらいしますと、ぼちぼち神戸市のお店もやり始めたんです。皆さん、神戸市にあるお店を開いても、お客さんが来ないから、商売もなかなかうまくいかない。  実は、神戸市議会で我々の公明党会派が、食券を配るべきだ、千円ぐらいのお弁当を用意するんだったら、それに見合う、神戸市内の店舗で使えるような、商品券じゃありません、地域振興券ではない、食券を配るべきだ、こういうふうな提案をしましたが、市長というか市側は、それは気持ちはよくわかるけれども、今の法律ではそういうことはできません、税金というものはその使い道まで責任を持たなければいけないんですと。ですから、現物支給、現金にかわる支給はできないんだというやりとりの中でお弁当が配られた。食べられなくなる被災者がいっぱいいる。同時に、お店もなかなか復興しない。私は、こんなばかげた話はないな、何ゆえにここまで現金支給はできないということにこだわるのかな、こういった思いもいたしました。  しかし、ちょっと翻りますと、アメリカの場合はどうか、こういう議論も随分ありました。個人の自立をとうとぶアメリカ、若干状況は違いますが、アメリカの法律では、みずからの意思によらず自立の基盤が奪われた被災者に対しては、財産補てんの意味合いを含め支援する枠組みがありまして、最高二万二千五百ドル支給される、こういった制度があるんです。アメリカではそういったこともあるのに、日本は、防災行政なのかどうかわかりませんが、個人の財産補償につながるような現金支給は頑としてしてこなかった。これは非常にハードルの高い議論でありました。  しかし、その中でも、個人の家の解体をどうするのか。解体も、個人の家の解体なんだから自分たちでやるべきだ、当初そういう議論があったんですが、これをやっていきますと全く復旧が進まない。これが判明しまして、恐らく、それを放置することが著しく公益に反する、こういった大義名分を立てて、これは画期的だったと思いますが、現金支給ではありませんが、個人の家の解体についても、あのときは、小里地震担当大臣がこの災害対策特別委員会の議論を受けて、本当に政治的な英断で、史上初めて、すべて国費で解体処理を負担した。これは一つの、あの阪神・淡路大震災でブレークスルーした大きな施策だったというふうに思います。  それに加えて、被災者生活再建支援法、これは議員立法でありましたけれども、時間もかかりましたが、これも個人補償ではないかもしれませんが、具体的には現金支給、こういった法律ができ上がったわけであります。あのときの、要するに法律ではできなかったことが、いろいろな教訓、体験を通して具体的に新しい法律ができ上がったということであります。  ですから、今回の大変な大災害、こんなに五百何ミリも雨が降るような豪雨も予想できませんでしたし、全島民避難する、こういった話もあり得ない、想像ができない被害でありましたが、今回の被害を分析して、今、国としてできること、また法律の限界性というものを見きわめながら、手直しができるところは手直しをしていくべきではないかというふうに思っております。  その一つは、先ほどからの指摘もありました東海地方の今回の豪雨水害については、全壊世帯三十世帯半壊も七、八十と聞いておりますが、恐らく半壊は解体要件が必要ですから、この中で被災者生活再建支援法の対象になる方は極めて少ない。現実に、いまだに二百名以上の方たちが避難所避難をしているわけでありまして、なかなか自分の生活基盤が回復しない方がいる。しかし、今の法律はなかなか機能しない。  先ほどのお話にもありました西枇杷島町、これは有名になりましたけれども、ここについても五千世帯近い床上浸水があった。しかし、そこは実は一世帯全壊半壊がまだ認定されていない。今回の東海地方豪雨災害でも、全部で二万七千世帯以上の床上浸水がありながら、実は全壊認定されているのは三十世帯足らずだ、こういった現状があるわけです。  三宅島については、これはもう法律上しようがないんですが、全半壊の確認がとれない。ガスがあれで島に近づけない。しかし、もう既に昨日で全員離島して一カ月たった。一カ月たって、極めて不自由な生活をしているわけです。そういった人たちに対してこの再建支援法が発動できない。これは、やはり今の法律に限界があるというふうに思っております、後ほどまたゆっくり話したいと思いますが。  生活基盤というのは、家がなくなる、住んでいる家がどうか、こういった議論でありますが、恐らく三宅島の方は、漁業、農業と自営の方ばかりでありまして、観光業も含めて、そういった人たちが生業がやられた。家がどうなっているかわからない上に、生業はもう完璧に、今収入の道は断たれているわけですね。そういう人たちに対して今の被災者生活再建支援法は発動することができない、こういう事実があるということだと思います。  そこで、被災者生活再建支援法の目的というのを読みますと、こうなっているんです。これは、自然災害によってその生活基盤に著しい被害を受けた者が対象になりますよ。その人たちが経済的理由等によって自立して生活を再建することが困難なものに対しまして、その自立した生活開始支援することを目的にした法律ですよ。ですから、生活基盤がなくなりました、当然、家具も何も失いました、その人たちが新しい生活を再建するに当たって、なべかまを初めテレビや電気洗濯機や冷蔵庫を買うに十分とは言えないまでも、足してもらうような現金支給をしましょう。こういった目的があるわけであります、そこに幾つか問題があるんですが。  被災世帯というのが定義されているわけです。この法律の対象となる被災世帯というのはどういうことかというと、その居住する住宅が全壊した世帯もしくはそれと同等の被害と認められる世帯。要するに、半壊して解体した世帯もしくは全壊した世帯、こういう認定だったんです。阪神・淡路大震災のときは、地震の結果ですから、床上浸水とかという話はありませんでしたので。  ただ、ここが矛盾のまず一つでして、要するに、全壊したのは私の資料では十九万世帯だったんです、阪神・淡路大震災のときに。ところが、全壊した世帯がすべて解体しているとは限らないんですね。消防庁の調べでは、十二万世帯が解体している、七万世帯は修繕したまま何とか生活していくと。ですから、全壊認定を受けていても、その家を修繕して住み続けている世帯が実は七万世帯あった。しかし、その人たちはこの被災者生活再建支援法指定は受けているんですね。  一方、半壊はもっと多いんですが、半壊した世帯では解体しないとだめですよと。それは一義的にはわかるんです。解体するほどひどいダメージを受けたところはそうでしょう。ところが、やはり例外が出てきまして、住めないような状況なんだけれども、実はこれは大家さんの持ち物で、大家さんは再建できる経済能力がない。そういうところが結構多かったんですね、持ち家の話だけじゃありませんから。そうすると、解体はできないよ、こうなった場合には、そこに住めないから、その人たちは賃貸住宅を出ているわけです。その人たちはこの例から漏れるわけです。これを見て、非常にここに不公平感が出たというのが被災者生活再建支援法の一番の問題だったというふうに僕は思っております。  これは地震の直後で、何とか国民の要請にこたえなきゃいけないという議員立法ですから、それは落ち度があってある意味では当然だというふうに思います。すべて万能な法律じゃなかった。その中でやはり一番問題だったのは、認定要件がどうか。全壊並びに半壊の解体、こういったことが実は結構被災者の中で大変な不公平感を生んだ。  それに加えて、今回は床上浸水という概念をどうするかということが非常に問題なんじゃないかと思うんです。床上浸水でもすごく幅があると思うんですね。壁が腐ってなくなった、実質的には生活基盤を失ったという状況の方に対してどうフォローしていくのか。この床上浸水についてどう考えるのか。  今の法律では、半壊になったのか、半壊で解体するような状況になったのか、全壊なのかということにこだわらなければいけないんです。しかし、これは率直に言って、私たちが当時、私も衆議院議員でしたけれども、この法律をつくったときが阪神大震災の教訓を生かしたということで、地震災害の教訓として、罹災証明が全壊半壊、こういったことから出てきた、やはり欠落した視点ではないかというふうに思うわけです。  ですから、ここは、今どうしろということではありませんが、現実には、床上浸水でありながら、もう一月近くたっても避難所にしかいることができない、自分の家に戻ることができない人たちがいるわけでして、こういったところ、全部が全部じゃありません、二万数千世帯ありますけれども、そういった人たちは多分ごく一部、二百数名ですから、そういった人たちに対してもカバーできるような知恵を考えていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。  その点について、大臣の御感想というか、その部分についてどう思うか、まあお答えにくいかもしれませんが、きょうは大臣に御理解をしていただくということが主なんで、何かしっかりした答弁をということではないんですが、そこの点についてまず。
  60. 扇千景

    扇国務大臣 今、赤羽先生から各般にわたる御質問がございました。  私、五年半前の阪神・淡路大震災のときにも直ちに現地に参りました。私も身内が全壊をいたしました。今回も、有珠山、そして三宅島、神津島新島、そして名古屋の集中豪雨等々災害が続きました。  御存じのとおり、赤羽議員も、阪神・淡路大震災のときには災害生活支援法がなかったということで、国会議員の皆さん方で議員立法で新しく法案を提出してくださいました。けれども、その法案の中でも、今赤羽先生がおっしゃいましたように、まだ目の届かない部分、また、それによって救済されない部分が多過ぎるのではないかと。これは六党、皆さん方でお出しになったので、私は、この続いております災害に対しては、修正すべきものなのか、あるいは一部改正すべきものなのかは、ぜひ先生方でも多くの経験を踏まえて論議していただきたいと存じております。  そういう意味では、今幾つかの御質問がございましたけれども、余り木でくくったような答弁はしたくないわけでございますけれども、少なくとも今ございます法律の中では、最大限に考慮し、また、今回も補正予算を準備しておりますけれども、その補正予算の中でも、災害援助ということを最大の目的にして私どもは対処しようとしております。  今委員災害生活支援法あるいは現金支給すべきでないかというお話もございました。けれども、少なくとも本法律では、御存じのとおり支援金の支給上限額を百万円としております。これも、本制度が創設される前の措置が阪神・淡路大震災支援措置として実施されていたこと、あるいは全都道府県の拠出による基金の設置を求めた全国知事会の要望などを念頭に、皆さん方で被災者の自立できるような生活開始に必要な金額と定められたというのが今の現状でございます。私ども、それで支援が、あるいは生活が再開できるとは思っておりませんけれども、少なくとも現法律の中では最大限であろうと思っていますし、また御存じのとおり、私ども見ておりましても、今の法律の中でぎりぎりいっぱいだなと思うところも多々ございます。  けれども、いつも申しますことは、日本列島は災害列島と言っても過言ではない状況の中で、まず自助、そして共助、そして最後が公助ということで、お互いに自分の住んでいる位置を確認し合ってということも私は基本であろうと思いますので、この法律、今、阪神・淡路大震災の教訓を得てつくられた新しい災害生活支援法の改正も含めて、ぜひこういう委員会で御論議いただいて、前向きに皆さんとともに考えていきたいと思っております。
  61. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。  修正云々は立法府の仕事でありますが、これは財源を都道府県に半分持たせていますので、そのときにはぜひ大臣の御協力がないと難しいということなので、今の点、問題を指摘させてもらったと。  続いて、もう一つ大きな問題、議論がありまして、生活基盤が破壊された被災者に対してということです。  恐らく政府は、生活基盤というのは、住宅と生活必需品、住宅なんだということなんです。住宅が、住む空間がなくなった人が今回の被災者生活再建支援法の対象なんですよ、こういった議論がありましたが、我々は当初、新進党のときから法案を出していまして、それは住宅と経済基盤、やはり生業も当然生活基盤なんだ、こう言っていたわけです。  これは、実例をわかりやすく言いますと、家がつぶれた、全壊になった、だけれども会社はつぶれなかったという人がいっぱいいるのですね。わかりますか。家がつぶれました、家はつぶれちゃいましたけれども会社は何とか助かっていますので、会社には通っています、仮設住宅から災害公営住宅に今入って、一貫して給料は保障されています、こういった人たちがいっぱいいました。  一方では、家は一部損壊だ、ダメージはあった、家財道具はぐちゃぐちゃだけれども、解体までにはいかないよと。ところが、お店をやっている人はいっぱいいるわけですね、神戸の長田や兵庫という下町では。店はつぶれちゃった、罹災証明というのは住宅に出ますので、これでは被災者生活再建支援法の対象にならないのですね。どっちが困窮した被災者かといいますと、これは当然、収入の道が断たれた方なんですね。  こういったことについて、非常に問題があるのではないかと再三指摘しているのですが、政府の見解は、生業に対しては、中小企業庁を初め、特例融資を制度としてやっています、こうなるのです。実は、工場をやっているところとかは結構その恩恵を享受しているのですけれども、奥さんと二人でお店をやっているようなところが無利子融資をもらうかどうかというのには、現実、実態としては非常に難しいところがあったのですね。  今回の三宅島の人たちみたいな漁業とか自営業の人というのは、基本的には失業保険ももらいにくい状況でありますし、そういった意味での生活基盤に対する考え方というのも実は議論の余地があるのではないか。きょうはお答えは結構なんですが、そういった点があるということが一つです。  それともう一つ、先ほどもありました支給対象、すごく細かく線が引いてあるのです。これは何でかといいますと、ぶっちゃけて言うと、阪神・淡路大震災被災者が固定しましたので、かけられる財源の費用というのが多分決まっていて、その財源の枠をどう割り振りするかというまさに苦肉の策でして、当時としてはやむを得なかったと思うのですが、やはりちょっと問題を残している。  それは、例えば年収が七百万から八百万の層で世帯主が六十歳以上の方、この人たちはもらえるのですね、この被災者支援法では。リタイアしながら、実は収入が八百万ある六十歳以上の人。そうすると、子供も大体独立しているのですね。  だから、老夫婦で年収八百万ある人たちはこの被災者支援法の対象になり、実は一方で、年収が五百万から七百万の層で四十五歳以下の場合は外れるのですね。四十五歳以下というと、私なんかもそうなんですが、子供が学校に行っている、一番お金のかかる世帯でして、そこで、年収が六十歳以上の人たちより二、三百万円低いにもかかわらず、その人たちが外れてしまう。いろいろな理由があってこういう線の引き方はしたのですけれども、これはもう明らかに不公平なんですね。  これは何でもそうなんですが、線を引いた瞬間に公平、不公平というのは出てしまうので、私なんかは、被災の経験を通して、やはりある程度の、物すごい資産家の人は別にして、一千万円、二千万円出そうという話じゃありませんから、震災で失った人たちへの見舞金みたいな性質のものは、これは所得がどうだとかチェックすることなく、例えば所得が一千万円以下の方にはすべて、それも世帯主が何歳などということは言わずに出すことが一番、どうせ出すなら効果があるのではないかというふうに思っておるのです。  これで一番問題なのは、所得というのは前年度の所得なんですね。ですから、去年までは仕事をしていたんだけれども、震災で仕事を失った場合は、所得がゼロになったにもかかわらず、年収七百万とか八百万で、はい、あなたはだめですよと。これは極めて不合理なんです。  繰り返しますが、全半壊の認定基準が一つ、生活基盤をどうとらえるかが二つ目、そして三つ目は、その支給対象をどう線を引くか。ここについては、私も国会議員の責任として何とかこの修正案を提案したいと思いますので、ブレークスルーするというのは、根拠があれば新しい法律をつくっていくというのはやはり政治家の責任だと思いますので、ぜひ御理解もいただきたいというふうに思っております。  それで、最後に、これは小さな話なんですが、一つ。今回の有珠山のときと三宅島のとき、非常に思うのですが、有珠山は、二百世帯は、もうもとに戻れない人たちが認定されました、危ないからだめだと。百三十世帯は公営住宅に入居している。七十世帯は持ち家の人たちなんですね。三宅島も、どのぐらいの世帯になるかわかりませんが、今、避難勧告でもう一月たっている。これが長期化する可能性も、そうならなければいいと思いますが、ある。  そのときに、ある意味では普通の被災者と違うのではないか。神戸の場合も、私たち新進党で、ローンで建てた家がなくなった、そのローンを債務者が全部かぶるのはおかしいじゃないか、何とかせいという法律を当時議員立法で出しました、当時は議論されずに廃案になりましたけれども。家に戻れる、土地に戻れる被災者でもそれだけの負担がある。生涯の買い物の家を二重でローンをつくらなければいけないのは大変だと思いますが、今回は土地に戻れない人がいる。  これは、参議院の加藤修一さんも言われていたと思いますが、被災者というより災害棄民、嫌な言い方かもしれませんが。自分の土地を放棄せざるを得ない人たちに対しては、ここはやはり英断で、今までの枠とは違って個人補償を含めたことを考えなければ、今の枠じゃ絶対にそれは解決できません。被災者生活再建支援法というのは多分そういう目的ではないと思いますし、自分の土地、東京のど真ん中という話だとまた別でしょうけれども、金もある意味では限られておりますので、ぜひそこまで視野に入れて考えていただきたい。そのことについて最後に御答弁をいただきたい。
  62. 扇千景

    扇国務大臣 今先生がおっしゃいますように、私も見てまいりまして多くの経験をいたしましたけれども、例えば有珠山のときの虻田町、それから洞爺湖温泉街、これは代替地をいただきたい、全部引っ越してしまいたいというくらいの御要望もございました。  また、今先生がお話しになりましたように、三宅島の皆さん方、全島避難ということで、青少年オリンピックセンターにも私は伺いました。そして、職業を求める人たちの御意見も聞きました。けれども、少なくとも、今おっしゃったように、全島、島外避難し、帰れないのではないかという御不安のある方もいらっしゃいます。少なくとも、六カ月以上の長期にわたると見込まれる場合には支援法の対象となるだろうというのは、当然これは先生もおわかりになるところでございます。  振り返ってみれば、私もこの間、改めて九月の十七日、再度神戸を訪ねて、どのくらい復興しているかというのを見てまいりました。一番火災のひどかった長田区を見てまいりましたけれども、私は、五年半たってもまだ復旧しているとは思えません。表通りだけはいいですけれども、一歩裏に入ると、まだまだできていないという実感をしてまいりました。それには、少なくとも地元被災者の皆さん方が譲り合う心がなければ、どんなにお金を出そうと、どんなに支援したいと思っても、皆さんの合意が得られないということでは大変残念だと思った一面も先月の十七日に私は体験してまいりました。  今赤羽先生がおっしゃいますように、島に帰れない人、あるいは村そっくり移転したいと思っている人、それからもう一つ、私が三島へ行ったときに、新島の人たちからは、場所を変えていただきたい、仮設住宅が欲しいという御要望もございました。あらゆる災害の皆さん方、個々の御要望が違います。  また、今おっしゃいましたように、全島避難しまして東京都の都営住宅に入っている人たちに、東京都と協力いたしまして三十一の生活必需品目を支給いたしました。けれども、皆さんがおっしゃるんです。冷蔵庫も結構、炊飯器も結構、みんないただきました、そして、揺れないから安心して寝られるだけでもありがたいんです、けれども、就職を考えるときには、私どもは満員の電車に乗ったことがありません、ですから、通勤時間の満員電車に乗って通うところの職業は困ります、なるべく与えられた都営住宅の近くに職業を求めたいとおっしゃいます。そのように私ども、自分たちが経験しなかった、そういえば通勤電車の経験もない方たちに、本当によくわかるという実感もいたしましたし、勉強もさせていただきました。  ですから、今おっしゃいましたように、現在ある法律の中ですべてが適用できるとは思えませんけれども、最大限皆さんと御協力をして、国としても全省庁挙げてこれに協力するということでございますので、どうかテレビを通じ、また委員会の御質疑を通じて、災害の皆さん方に少しでも生活の希望が持てるような、そういう状況に持っていきたいということを私ども努力してまいりたいと思っております。
  63. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。  これで終わりにしますが、一点だけ。  忘れていたのですが、今の答弁を聞いて、六カ月以上ということで一応ガイドラインが出ていますが、私は、災害救助法は発災後二カ月間が対象ですので、この二カ月から六カ月のブランクのことを考えれば、やはり六カ月というのをもう少し、そこについても御検討いただきたいと最後にお願いを申し上げまして、終わりにします。どうもありがとうございました。
  64. 稲葉大和

    稲葉委員長代理 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了しました。  次に、自由党、都築譲君。
  65. 都築譲

    都築委員 自由党の都築譲です。  質問に先立ちまして、まず冒頭、有珠山噴火災害や、あるいはまた伊豆諸島地震活動火山活動による災害、あるいは今回の東海集中豪雨災害被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧復興をお祈りしたい、このように考えております。  また、扇大臣におかれては、いち早くそれぞれの現地に入られ、被災状況などをつぶさにごらんになって、また地元の御要望などもしっかりとお聞きになられたわけでございまして、ぜひ今後の対応につきまして、しっかりとした取り組みをお願いしたい、こんなふうに要望いたしたいと思います。  そして、私自身、実は衆議院の災害対策特別委員会での質問は初めてでございまして、委員の半分ぐらいが欠席するというような状況の中で、非常に緊張感の欠ける災害対策委員会ということで、国民の代表として選ばれた方たちが、いまだに、例えば三宅島などは全島避難で、きのうようやく一カ月を経過したわけでございまして、大変困っておられる方たちがいる、あるいはまた東海集中豪雨の関係でも、十月三日現在の数字ですが、まだ百六十一人の方たちが依然として避難をされておられる、こういう状況の中で審議をしなければならないというのは何か大変残念だなと、嫌みの一つでも言いたいような気がいたします。  それで、私の方からは、災害の態様ということで、いろいろな災害がございます。  一つは、やはり災害被害をどう抑止するかという観点で、これは、大地震のように一瞬で起こってしまうものから、台風のように、来るぞ、来るぞと構えながら準備ができるもの、あるいは今回の集中豪雨のように、ずっと降り続けていて、だんだんこれは事態が深刻だということがようやくわかってくるというようなものまでいろいろあるのかな、こう思います。そういった災害被害の抑止の観点。あるいはまた、実際に災害発生した場合の救命、救助ということで、国民の生命、身体をどう守るんだ、こういう観点。さらに、災害が一応通り過ぎた後の復旧とか復興の対策。こういったことになるのかな、こんなふうに思うわけでございます。  今回は、私自身が愛知県の生まれでございまして、東海豪雨の関係で、ひとつ関係省庁の大臣、そしてまた政務次官にいろいろお話を聞かせていただきたい、こんなふうに思っております。  まず、防衛庁の方にお伺いしたいと思います。  自衛隊災害出動について、九月十一日の二十一時五十分、愛知県知事から災害派遣要請が第一〇師団に行われました。そして、大変迅速に出動をいたしました。九月二十六日まで延べ九千七百名を動員いたしまして、住民避難支援や、あるいは土のうを積み上げる水防活動とか、あるいはまた輸送の支援、さらに、水が引き始めてからの防疫ということで、疫病が発生しないようにということで消毒作業とか、あるいはまたじんあいの撤収、そして輸送、運搬、こういう本当に労力のかかる仕事を一生懸命やっていただいたわけでございまして、自衛隊のこの災害出動について、私は、本当に大変な御苦労があったし、大変感謝を申し上げるべきだ、こんなふうに思っております。  ただ、最後の点は、防疫の関係では、実はごみの問題、特に西区とか西枇杷島とか新川町、扇大臣も空からごらんになったのかもしれませんが、私自身、実は入ってまいりまして、本当にもうそこらじゅう道路に全部ごみが出されている。畳も湿って、あるいはソファーや家具や、全部もう水浸しになって、使い物にならないものが全部道路に出されている、あるいはまた公園に集積されている。そんな状況の中で、行政も一生懸命取り組み、ボランティアの皆さん方も一生懸命取り組んでいるけれども、自衛隊の皆さんも一生懸命、何百台という車を動員してやっていただいたわけでございます。  ただ、これは、防疫という観点からは認められるけれども、実は本体の業務ではないのかなという気もいたします。それでも地元感謝の気持ちは大変大きいのではないか、私はこんなふうに思うわけでありまして、ぜひ防衛庁、今回の第一〇師団の活躍、活動についてどういうふうにお考えになっているか、お考えを聞きたいと思います。
  66. 仲村正治

    ○仲村政務次官 お答えいたします。  去る九月十一日の愛知県等における集中豪雨災害発生に伴い、名古屋市に所在する陸上自衛隊第一〇師団は、愛知県庁などに連絡員を派遣し、被害状況の収集及び連絡調整に努めるとともに、愛知県知事からの災害派遣要請受理後においては、ヘリによる状況偵察及び輸送支援、渡河ボート等による住民避難支援、土のう積みなどの水防活動、食料品の輸送支援住民への給食、給水支援、防疫活動、そしてまた粗大ごみ等のじんあい処理、輸送等を実施したところであります。  また、岐阜県においては、九月十二日、岐阜県知事からの災害派遣要請を受け、陸上自衛隊第一〇師団は、道路啓開及び浄水場の復旧作業に当たっております。  さらに、長野県においては、同日、九月十二日に長野県知事からの災害派遣要請を受け、松本市の陸上自衛隊第一三普通科連隊が被害状況等災害情報収集を実施したところであります。  防衛庁といたしましては、このたびの災害派遣については、被災地である自治体の要望に適切に対応できたものと考えているところでありますが、防衛庁は、今回の即応、適切、機敏に対応することができた貴重な経験を踏まえて、今後とも気を引き締めて、災害派遣時の自衛隊活動拠点等について自治体と認識を共有するなど、平素からの自治体との連携確保をさらに進め、より一層迅速かつ的確な災害派遣活動を実施し得るよう努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  67. 都築譲

    都築委員 ぜひこれからも、国民の生命、財産、安全を守る自衛隊、国民の自衛隊として、一層の活躍を御期待申し上げたいと思います。  それでは、どうぞ御退席いただいて結構です。  実は、たくさんの質問をつくってしまいまして、各政務次官からお答えをいただかなければいけませんので、手短に質問を申し上げたいと思いますし、また御答弁も簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  まず、今までも激甚災害指定のお話がございました。ぜひ何とか、この被害の甚大な状況にかんがみて、激甚災害指定をお願いしたいと思いますが、今までの基準等がございますから、そういった基準に合うのかどうか、被害状況などもまた迅速に把握をしていただいて、その考え方をお示しいただきたいと思います。  例えば、名古屋市というのはかなり大きな地域になっておりまして、今回大きな被害を受けたのが、例えば西区とか天白区とかいろいろなところがあるわけですが、市全体という形で先ほども御答弁がありました。ただ、東京の場合は、二十三区はそれぞれ独立した特別地方公共団体でありまして、単独で局地激甚災害の対象になる、こういう話もあるわけでございます。市全体、名古屋市の税収が五千億円、公共土木事業をやるにはその何%だ、こういうふうな話になってしまうと難しいんですが、例えば西区とか天白区とか中川区とか、そういった観点で見ていただくことも、これからの災害対応する。特に都市型災害というのは局地的に発生するところもあるわけでありまして、そういったことをぜひ御検討いただくことも大事ではないかなと思いまして、これは要望として申し上げておきたいと思います。  そして、二番目の質問は、先ほどもちょっと申し上げましたが、ごみの問題でございます。  厚生省にお伺いをいたしたいと思いますけれども、実は名古屋市でも、まだ災害の廃棄物が約三万トンも、浸水家具やさまざまなものがたまっておるわけでございまして、この処理に全力で取り組んでおられるということでございますが、さきの藤前干潟の埋め立て問題などでございましたように、名古屋市のごみの問題も大変深刻な状況を抱えておるわけでございます。  こんな中、災害廃棄物の処理事業に係る経費について格段の配慮を願いたいというのが地元要望であろうと思いますが、厚生省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  68. 福島豊

    ○福島政務次官 お答えさせていただきます。  東海集中豪雨によります災害廃棄物の問題につきましては、厚生省といたしましても事態が重大であることを十分に認識いたしておりまして、既に九月二十五日に担当職員を現地派遣するなどして状況の把握に努めておるところでございます。  災害廃棄物の処理につきましては、先生も御存じのように、従来より国庫補助を行っているところでございますけれども、今後、詳細な被災状況の確認を行った上で、できる限りの支援を行わせていただきたいと考えております。     〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
  69. 都築譲

    都築委員 それでは次に、建設省にお伺いをしたいと思います。  既にお話が出ております庄内川は、国の直轄河川ということでございます。私自身、庄内川の決壊箇所なども拝見をいたしました。そして、地元のお話を聞きますと、実は、この直轄河川の改修の促進の状況についていろいろお伺いいたしましたら、どうも庄内川だけが非常におくれているのではないか、こういう状況をお伺いいたしました。  東京それから大阪、名古屋ということで一つずつ主要な川を選んでいただくと、東京は荒川、堤防必要区間が三百一キロ、このうち堤防が、完成堤防で覆われているものが四四・五%、暫定堤防を含めると七三・一%。淀川は、三百三十八・二キロメートルの必要区間に対して六七・九%が完成堤防、そして暫定堤防を含めると八九・五%、こういう状況になっております。今回決壊した庄内川、これは百十二・五キロメートルという短い区間でありますが、二四・四%しか実は完成堤防で覆われていない。そして、暫定堤防を含めると七二・一%ですが、今回決壊したのはこの七二・一%の暫定部分である、こういうふうなお話も聞くわけでありまして、ほかの東京とか大阪は五〇%あるいは六〇%の状況になっているのに、庄内川だけなぜ二四%なのか。  愛知県というのは、工業出荷高全国一位を二十四、五年も続けて、国に対して税金をたくさん納める、そういう役割を今まで果たしてきたわけでございますけれども、何か愛知県だけ余り恵まれないような状況で放置されているからこんなことになってしまうのではないか、こんな思いもいたします。  地元として、先ほどもお話がございましたけれども、一色大橋の改築を含んで、ぜひこの庄内川の河川改修に一層機敏に促進をしていただきたい、こんなふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  70. 田村公平

    ○田村政務次官 都築委員にお答えいたします。  日本で一番貧乏な高知県選出でございまして、税金を豊かな県からいただいておるところであります。  庄内川の河川改修率が大変進んでいないということでございますが、既に先生御案内のとおり、昭和四十四年から直轄河川として建設省は工事をさせていただいております。上流地域には砂防指定地域も大変多く、土砂等の流入も多いところです。私のところは、実は先月も一日で四百六十ミリぐらい雨が降りました。二年前の九月には、一日で千ミリ降りました。大水害になっておりまして、本当に痛いように心の痛みがわかります、私たちはある意味で災害と共生をしておるような環境に生まれ育っておるものですから。  それで、この河川改修、もう一つは地権者の方々の御協力もいただかないと、強制的にできない部分もありますので、この災害を契機といたしまして、精力的に取り組んでまいりたいと思っております。
  71. 都築譲

    都築委員 それから、問四、問五ということで建設省の方に提示をしておりましたが、まとめてお答えをいただきたいと思います。  一つは、今度は県の管理河川ということで、新川と天白川、こういったものについて、河川激甚災害対策特別緊急事業として採択して改修を促進してほしいという話と、それから都市基盤河川等について、恐らく、被災の著しいところ、こういった治水安全度の早期向上のための事業費の大幅な増額という要望地元から出ていると思います。  名古屋の問題、これは後ほど申し上げたいと思いますが、実際には上流部分の問題、結局、上の、長久手町とか瀬戸市とか春日井市とかで降った雨が新川やら天白川に集中して、松原市長さんにもお会いしたときにお伺いしましたが、それこそ二時間、三時間後の急激な増水といったものが起こっておるわけであります。そういった考え方も含めて、しっかりとした対応、改修促進といったもの、あるいは基盤整備といったものを進めていく必要があるんではないか。こういうことについて、建設省のお考えを聞きたいと思います。
  72. 田村公平

    ○田村政務次官 災害発生直後、既に市長さんや県知事さん、正副議長さん、建設省、国土庁にも要望にお見えになりました。本当に災害の対策が忙しいときに本省まで来ていただいたことを心苦しく思っております。  御案内のとおり、新川それから天白川ともに、激特事業基準はオーバーしております。実は先月、私どもの高知県も激特事業に採択したばかりでございますけれども、財政当局と詳細な詰めをいたしまして、なるだけ早くこの二河川については激特事業をやらせていただきたく鋭意作業を進めておるところでございます。近々回答ができると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  73. 都築譲

    都築委員 それぞれ質問が済んだところは、興味があればぜひ残っていていただきたいんですが、もしお急ぎでしたら、退席いただいて結構でございます。  次は、農水省に、農業施設の災害復旧事業、それから漁場環境保全推進事業ということでお伺いいたしたいと思います。  今回の集中豪雨による被害の金額、二十二日現在ということで、ちょっと私が持っているのは古い資料でございますが、それでも農林水産業関係では百六億円というふうな被害が出ておるわけであります。  現実に、私の友人など農業をやっている人たち、キュウリの植えつけをビニールハウスでやったけれども、全部それが雨でつぶされて流れてしまったとか、さまざまな被害も起こっております。また、漁業の関係でいきますと、例えば南知多とか西三河の幡豆といったところでは、流木が海底に沈んで底びき網ができないとか、あるいはまた、ノリの養殖の竹の支柱が流木で押し倒されてしまって全部台なしになっちゃったとか、さまざまな被害が出ておるわけであります。  ここら辺の対応について、農業共済とか復旧融資とか、さまざまな措置を講じていただけるというふうに、農水省の方も既に打ち出しておられると思いますが、ぜひ特段の御配慮をこの点についてもまたお願いを申し上げたい、こんなふうに思っております。いかがでしょうか。
  74. 石破茂

    ○石破政務次官 お答えを申し上げます。  私どもといたしましては、農作物の被害額約三十億円、農地、農業施設約百七十億円、合わせまして二百億円ぐらいの被害かというふうに了知をいたしておるところでございます。  施設の復旧につきましては、今月中旬、具体的に申し上げれば、委員愛知県は十月十六日、岐阜県は十月二十三日、三重県は十月十六日より順次災害査定を実施いたしまして、早期復旧に努めてまいりたい、かように考えております。  なお、共済の支払いについてでございますけれども、これも早期に支払いが行われますように関係各方面に文書を発送しておるところでございます。  加えて申し上げまして、農業者に対します融資、これは二通りございます。低利の制度資金の融資でありますとか既貸付金の償還猶予等々でございますが、このことにつきましても、既に関係各方面に対しまして指導を徹底いたしておるところでございます。  また、お尋ねがございました漁業関係でございます。  おっしゃいますように、漁場の流木処理につきましてそのような事業がございます。これは、廃棄物の回収及び処理を行う事業でございます、先生御指摘の漁場環境保全推進事業のうちの海面環境保全推進費において対応することが可能であろう、このように考えております。  県とも御相談をいたしまして、県の方から、三河湾内の西三河地区、知多地区の二地区につきまして御要望を賜っております。これが早急に実施ができますように、既に十月の二日、内示を行いまして、早期に実現をいたしますよう鋭意努めてまいる所存でございます。
  75. 都築譲

    都築委員 どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、今度は中小企業の被災者の問題でございます。  実は、十月の二日に愛知県の中小企業総決起大会というのが前から予定をされておりまして、県の商工会議所連合会と県の商工会連合会、中小企業団体中央会、商店街振興組合連合会、この四団体が、会員を集めて名古屋の商工会議所ホールで総決起大会を行って、政府に対する景気対策や中小企業対策、税制改革、町づくり、さまざまな要望を行いました。その中で、一点、東海豪雨による被災中小企業への支援ということで、激甚災害への指定もぜひお願いをしたい、こういう要望であったわけでございます。  実際に私も見てまいりました。西枇杷島とか西区とか、新川の、本当にもう川のたもとのところの、完全に水没してしまったような商店や工場。あるいはまた、刈谷市とか大府市、半田市、東浦町、こういったところの水没状況。それこそ、水没した車が水が干上がった後もそのまま道路に放置されて大渋滞が起こっているというような状況をつぶさに見まして、こんなところまで水が来たのかと驚くような状況でありました。  特に、大府市、半田市あるいはまた刈谷市、東浦町、こういった三河、知多半島の地域のところは、西枇杷島町、新川町の被害の甚大さは確かなんですが、三河の市、町のところは特定の場所に集中をしております。私の聞いたところでは、大府市のある会社などは、新鋭設備を入れた工場が水没をしてしまって、一社だけで実は百三十億円ぐらいの損害が出てしまった、こういう状況になっておるわけでございます。  これに対して、国民生活金融公庫とかさまざまな融資、貸し付け、あるいはまた信用保険、そういったものの発動、信用保証協会、さまざまな措置がとられるということでございますけれども、ただ、中小企業、まだまだ実際に、どういうような形で営業を立ち上げていくのか、難しい状況にあるわけでございます。そういった企業の実態に応じた貸し付けとか、そういったものについて格別の配慮をしていただく必要があるのではないか。  今時点で、貸し付けの問題、なかなか要請もできないような状況かもしれない企業もたくさんあると思います。そんな中で、ぜひ、少し長く見据えて、こういった災害復興支援復興に取り組む中小企業に対して御配慮をいただきたい、こんなふうに思いますが、通産政務次官の御見解をお伺いしたいと思います。
  76. 坂本剛二

    ○坂本政務次官 大変な被害、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。先週も愛知県の神田知事さんがおいでになりまして、いろいろ陳情を受けました。  ただいまの先生の御質問でございますが、被害を受けました中小企業者の方々に対しては、政府系中小企業金融三機関の各支店及び各信用保証協会に特別相談の窓口を計二十カ所設置しまして相談に応じております。また、政府系中小企業金融三機関の融資を別枠で行う災害復旧貸し付けの適用開始しております。  さらに、これは九月十四日より、政府系中小企業金融三機関及び信用保証協会に対しては、中小企業事業者の事業活動に重大な支障が生じないよう、返済猶予等既往債務の条件変更及び担保徴求の弾力化等につき、被害実態に応じて親身に対応するよう指示をしております。  また、売り上げ減少等の影響を受けております中小企業者に対しましては、中小企業信用保険の限度額を拡大することにより、中小企業者の資金調達が一層円滑になるような措置も講じておるところでございます。  それから、激甚災害につきましても、被害状況指定基準を満たしているかどうか、現在必死で情報の収集に当たっておるところでございます。実情を十分に踏まえて判断をしたい、このように考えておるところでございます。  今後とも、被災中小企業者に対する資金供給の円滑化には万全を期してまいる所存でございます。
  77. 都築譲

    都築委員 どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、中小企業が被災された、大企業でも相当ひどい被害を受けたところもあるわけでありますが、心配なのは、そういった形で融資とかさまざまな手だてを講じられて企業がちゃんとまた復興していく、立ち上がっていくことができれば、その雇用を維持していくこともできるわけでありますが、現実には、もうここまでダメージを受けてしまうと廃業してしまうというふうなケースも考えられないわけではないわけであります。  現実に、ちょっとこれまた九月二十六日現在のデータでありますが、今回の豪雨災害の中で、事業所閉鎖を行ったところが一カ所、そして八名が離職をしたというデータがあるわけでございます。今はまだ何とかみんな一生懸命、ごみを片づけ復旧しようということで努力をされておりますが、資金繰りの問題とか商売の問題、本当にさまざまな課題があろうかと思います。  そんな中で、大変厳しい状況が出てくるかもしれない、そんなことも考えながら対応を講じていかなければいけないんではないか、こんなふうに思うわけであります。その点、三宅島、伊豆諸島地震活動火山活動に伴って、雇用対策としてさまざまな施策を労働省はとってこられたわけでございますが、今回の東海豪雨災害についても、しっかりと目を見開いて、見詰めていただいて対応をとっていっていただきたい、こんなふうに思いますが、どうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  78. 釜本邦茂

    ○釜本政務次官 お答えさせていただきます。  愛知労働局が被災地域で行った調査によりますと、昨日現在で全体の九割以上の事業所が既に事業活動を再開しているとのことであります。一方、昨日現在で三事業所から十一名の離職票が提出されております。  労働省といたしましては、離職を余儀なくされる方々に対しては、一刻も早く再就職ができるよう、きめ細やかな職業相談、職業紹介を行っていくとともに、被災地域の今後の雇用状況を十分に注視し、適切に処理、対処してまいりたいと考えております。
  79. 都築譲

    都築委員 どうぞよろしくお願いいたします。  質問の順番をちょっと変えて恐縮ですが、自治政務次官、来ておられますか。恐れ入ります。  今回の消防の対応について、本当に御苦労をされた、こう思います。そして、一つ私は本当に残念だったのは、消防団員の方が天白区で、たしか救命救助作業をやられた後、お帰りになる途中でお亡くなりになられたというケースがあるわけであります。  消防団員の皆さん方が、本当にボランティアとして、自分の仕事の時間や家族団らんの時間やさまざまな楽しみの時間をあきらめて、そして地元住民の皆さんのために一生懸命訓練をやって取り組んでいる。いざ災害となれば、こうやって出てくる。そしてそのときは、今度は時間だけじゃなくて、自分の生命も犠牲にしなければならないような、そういう本当に貴重な献身的な努力をされておられることに敬意を表したいと思いますが、こういった方が亡くなられたときの災害の補償といったものは、しっかりとやっていただけるのかどうか。  そしてまた、同時に、これから消防が、やはり消防が街角のたばこ屋さんの位置まで全部わかっておるわけでありまして、そういった消防が第一線でいろいろな情報を発信する。警察や自衛隊、それは二線、三線の持続的な活動になっていく。私はこう思うわけでありまして、その点についてのお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  80. 中谷元

    ○中谷政務次官 お答えいたします。  今回亡くなられた方に対する措置といたしまして、今回は、出勤途上の災害であるため、公務災害補償等の対象になるという認識で対処してまいりたいと思います。
  81. 都築譲

    都築委員 どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、国土庁長官にお聞きいたしたいと思いますが、今回、都市型災害に対する対応ということでぜひ伺いたい。  実は昨年も、博多の駅前が水没をして一人亡くなっておるわけです。そして、それに対して一体どういう対応を国土庁あるいは災害対策担当部署としてとってこられたのか。あのときも、あそこまで水があふれて駅前に流れ込むというのは想像もしなかった。今回だって、実は想像もできなかったような大雨が降って起こったわけでありまして、この点についてどうお考えか。  そして、その関連で、問いをまとめて恐縮ですが、国土庁の立場でいったら、私が知る限り、いろいろな官庁の災害対策を取りまとめて調整をして進めていく、こういうことになっておりますけれども、ただ、それだけではなくて、例えば河川の改修の話を先ほど出させていただきましたが、実は建設省の河川局が全部それを、百年に一度の災害に対して、二百年に一度の災害に対してやるんだ、こういうことをやっておられますが、全体をごらんになられるのはやはり国土庁、あるいは災害対策担当部署としての責任ではないのか、もっとそこら辺の連携も図っていくべきではないのか、こんなふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
  82. 扇千景

    扇国務大臣 今、都築議員がおっしゃいましたように、昨年、思いもしないといいますか、予測し得ないことが九州で起こりました。  昨年の六月でございました。福岡で、地下鉄に入ります入り口から浸水してしまったということでございましたけれども、その反省に立ちまして、国土庁といたしましても、昨年の六月末の福岡市のその災害後、地下空間洪水対策研究会というものを設置いたしまして、そこで、地下空間における危険性の事前周知、啓発、あるいは地下空間の洪水情報等の的確かつ迅速な伝達ということを対象に取りまとめまして、関係省庁におきまして今それぞれ実施に移しているところでございます。  今お尋ねがございました、今回の名古屋市を中心とする豪雨災害発生を受けまして、河川審議会に設置されております都市型水害緊急検討委員会、これも、昨日でございますけれども、都市型水害の被害の軽減を図るために、災害拠点設置の耐水機能の確保、地下空間の水害対策に関する緊急提言を取りまとめております。  そういう意味では、今先生が最後におっしゃいました、建設省、国土庁、全部一緒になって、各省庁の取りまとめを国土庁がするべきではないかということもおっしゃいましたけれども、来年一月六日から国土交通省になりますと、もっと総合的に私は対策がとれるものと、ぜひ御協力と期待をしていただきたいと思います。
  83. 都築譲

    都築委員 もう時間が参りましたが、官房副長官、お見えでございますか。  それで、一つ。今国土庁長官扇大臣が言われたような形で国土交通省になるということですが、災害対策関係は、内閣府の方で危機管理監のもと、しっかりとやるというふうなお話かなと思うわけです。だから、今までの反省を含めて、今度内閣府として危機管理についてしっかりやっていただけるのか。今回の豪雨で実は十人の方が亡くなっておられるわけでございまして、失わなくてもいい人命を失うことはぜひ避けたい、こんなふうに思うわけでありまして、御決意を聞かせていただきたいと思います。
  84. 安倍晋三

    ○安倍内閣官房長官 今回の水害に対する対応を含めて、決意と御説明をさせていただきたいと思います。  今回、内閣官房におきましては、九月十一日十九時に建設省におきまして警戒態勢がとられたことから、建設省中心として情報収集、各省庁との連絡を密にいたしまして、終夜警戒態勢をとってまいりました。  さらに、翌日に入りまして、庄内川の水位が危険となったという情報がございました。そしてさらには、四時ごろに新川決壊の情報がもたらされたわけでございまして、それを受けまして、五時ごろには内閣危機管理監を初めとする内閣官房及び関係省庁の職員を官邸に緊急参集をさせ、事態の把握等を行ってきたわけでございます。そしてさらには、建設省中心として、ポンプ車を全国から結集をさせまして排水作業を行うなど、被害の拡大防止に最大限の努力を傾注してきたわけでございます。  先ほど来委員が御指摘のように、こうした危機管理に際しましては、初動体制をしっかりととっていくということが大変重要でございます。今後とも危機管理体制をさらに強化充実いたしまして、国民の皆様に安心をしていただけるよう万全を期していきたい、このように思っておる次第でございます。  どうぞよろしくお願いします。
  85. 都築譲

    都築委員 終わります。ありがとうございました。
  86. 中山成彬

  87. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 日本共産党塩川鉄也です。  冒頭、委員長からも報告がありましたように、八月の二十二日に災害対策特別委員会と建設委員会の合同での委員派遣が行われ、全島民避難直前の三宅島と、あわせて神津島新島を視察しました。その中で寄せられた要望についてまず最初にお聞きします。  神津島村の幹部の方から、村を横断する都道、道路が崩れて、山向こうにある清掃工場にごみを運ぶことができない、収集した生ごみは新島村の協力で新島村清掃工場で焼却処理している、ごみ収集車を船で新島まで運ぶので月に三百万ぐらいのお金がかかる、どうにかならないか、こういうお話がありました。既に七月二十日から現在まで、七月に十四台、八月に三十三台、九月に二十八台と、合計七十五台ものごみ収集車が海を渡っているそうであります。同様に、新島村の若郷地区でも、本村に通じる道路が通れず、ごみは船で海上輸送しているそうです。  このような事態は地震災害が起こったことによって生まれた問題でもあり、東京都から九月に総理大臣あてに提出された提案要求書にも、神津島新島若郷地区のごみの船舶による輸送費について、災害廃棄物処理事業費による国庫補助対象とすることと要望が出されています。  神津島及び新島若郷地区のごみの船舶による輸送費について、災害廃棄物処理事業として国庫補助の対象にできないか、このことをお伺いします。
  88. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 災害廃棄物のお尋ねでございますけれども、厚生省では、瓦れきあるいは家具などの災害廃棄物の運搬処分費に対しては国庫補助を行っているというわけでございます。この補助の中では、災害により特に必要となった廃棄物の処理を行うために要する費用というものに対して補助を行っております。  御指摘のような、船舶による廃棄物の輸送費がこの趣旨に合致するかどうかということになるわけでございますけれども、この被災状況、あるいは離島という特殊性を勘案して、現地査定を行いまして、それを通じまして確認してまいりたいというふうに考えております。
  89. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 この廃棄物処理法の「災害その他の事由により特に必要となつた廃棄物の処理」、これに該当するということでよろしいでしょうか。
  90. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 該当することについて、現地査定で確認してまいりたいと思います。
  91. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 一台の往復の船賃が約六万円だそうです。財政規模の決して大きくない自治体にとって大きな負担でありますので、ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。  次に、三宅島の全島民避難の問題です。  九月の四日に避難指示が出されて、防災関係者を除き、島民避難が行われました。当初はオリンピックセンターでの避難所生活でしたが、直ちに、都営住宅や公団住宅など、公営住宅への入居があっせんをされました。現在、都内だけでも三十八の区や市や町、百二十六カ所に分かれての生活であります。避難者の方から、相談できる仲間が身近にいないとか、寂しくてたまらないとか、必要な情報が手に入らないといった切実な声がたくさん出されています。  私も先日、八王子の多摩ニュータウンの避難者のお宅にも伺いました。ちょうど、三宅島で食料品店を経営されている方がトラックで果物や野菜や日用品を売っていらっしゃる、そこに出会いました。御夫婦の方がおっしゃっていましたけれども、八王子でこのような避難者の方のところを中心にこういう営業をやっていると、まず現場に着くと、三宅島音頭という、三宅の方ならどなたも御承知の音楽を流すんだそうです。そうしますと、お年寄りの方などが、それこそ涙ながらに出ていらっしゃって、本当に島に帰れるんだろうか、この先どうなるんだろうか、こういう不安な声を寄せていらっしゃるそうです。その御夫婦の方も、最近は顔つきも変わってきたような気がすると。このようなことで、大変切迫したような状況が生まれている、そういう声をお聞きしました。  これほど避難者の方が散り散りばらばらにされた事例は過去にないのではないかと思うのです。大島での全島避難も幾つかにまとまった避難所の暮らしでしたし、今回の有珠の場合なども、同様に幾つかのまとまった仮設住宅でありました。今回の三宅島の避難生活がこういうのに比べてもかつてないような事態だという、この点での認識をお持ちいただきたい。この点について、扇長官にお伺いしたいと思います。
  92. 扇千景

    扇国務大臣 委員派遣で皆さんも現地においでいただいたということで、きょうの災害特の開催に対して心から皆さんに敬意を表したいと思いますし、心から感謝も申し上げたいと思います。  三宅島、神津島新島、この三島の被害につきまして、九月十四日に私も、森総理、また公明党の神崎代表とともに伺いました。私は二度目でございましたけれども、視察してまいりまして、改めて自然の恐ろしさというものも私は実感してまいりましたし、また復旧復興道路が閉鎖されておりますときに、あなたがまず試験的に通ってみてください、一車線だけ復旧しました、あなたが通って大丈夫だったら解除しますと言われて、私も人体実験のつもりでその危険地域を通させていただいたこともございます。  少なくとも、これまでには、御存じのとおり、監視観測体制強化、あるいは復旧復興のために、九月十二日に、緊急監視観測体制ということで予算も十四億円の予備費を使わせていただきました。また九月十九日、伊豆諸島に関しましては九十六億円の閣議決定もいたしました。そして、三宅島の噴火に対しましてはその中で五十六億五千万円、それでは満足ではございませんけれども、神津島地震に対しましても三十八億九千万円という金額も出させていただきました。新島地震に対しましては二億六千万円を閣議決定したところでございます。  被害者の支援といたしましては、御存じのとおり、災害救助法適用による生活必需品の配付等々、無償供与でございますけれどもさせていただきまして、今委員がおっしゃいましたように、無償の、実質無利子の融資等、きめ細かな対策を関係地方自治団体と一緒にやっております。  私も、先月の五日、今おっしゃいましたように、災害の皆さん方の一時避難所になっておりました国立オリンピック記念青少年センターに伺いましたけれども、本当に、なれない環境の中で、先ほども申しましたように、精いっぱい元気に振る舞ってくださっているのに、かえって私の方が胸が熱くなる思いをいたしました。  ただ、今おっしゃいましたように、現在避難の皆さん方に、先ほども申しましたように、生活必需品三十一品目を無償供与いたしましたけれども、皆さんが私におっしゃるには、冷蔵庫をいただいたのはありがたいけれども、冷蔵庫は差し込んだら電気代がかかるのだと、それほど切実な思いを持っていらっしゃいます。また、電気がまをもらったけれども、扇さん、電気がまの中のお米が今ないんです、そのような切ないこともおっしゃいまして、胸が痛くなる思いをしたのです。  けれども、残念ながら、現状では、火山ガスの大量放出ということによりまして、島での作業も思うようにいっておりません。事実でございます。ですから、皆さん方が一日も早く島に帰って通常のように生活ができるという目安が今立っていないという現状を考えまして、私たちも、今先生がおっしゃいましたように、政府一体となりましてできる限りの支援体制というものを考えておりますので、もうしばらく皆さんの御協力を得ながら見守っていただき、私たちも万全の施策をとっていきたいと思っております。
  93. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 オリンピックセンターに行かれてのお話をお伺いしました。今の事態は、そこからさらに多くの避難先に移られて、そういう意味では、今まで身近に相談相手がいたのに、そういう方がいらっしゃらなくなってしまう、こういう事態の中ですから、ここでの避難されている皆さんの生の声をぜひともお聞きいただければと思うのです。  八王子なり北区なり、比較的多く集まっている地域などへぜひ扇長官が足を運んでいただいて、改めて生の声を聞いていただく、そういう機会を設けていただけないでしょうか。いかがでしょうか。
  94. 扇千景

    扇国務大臣 東京都庁の石原都知事と綿密に連絡を取り合っておりまして、東京都の都営住宅の空き家を全部開放いたしましたけれども、多くの地域にまたがっていらっしゃいます。  ただ、今委員がお話しになりましたことで私が一番心を痛めておりますことは、全島避難の中で、どちらにいらしたかわからない方がかなりいらっしゃいます。どこにいらっしゃるのだろうといって三宅島の担当者も大変心を痛めておりますので、ぜひこういう機会に、何か皆さん方の報道機関を通じまして、今現在どこにいらっしゃるかわからない皆さんが一番私は心配なものですから、その辺のところも含めて今後も考えていきたいと思っております。
  95. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 そういう意味では、散り散りばらばらというお話をしましたけれども、村民の方のお話を伺って実感したのは、情報が極めて少ない、島の情報が本当に届かないということです。  その中で、最初に出てくる要望の一つが、今自分の家はどうなっているのだろうか、早く島に戻りたい、こういう思いの中で、自分の家がどうなっているのか知りたいという声をたくさんいただいております。ですから、こういうのにこたえた、例えば空中撮影の映像をテレビなどで放映する、こういったことが実現できないか、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  96. 蓮実進

    蓮実政務次官 三宅島の避難住民方々に対する島内の映像の提供についてのお尋ねがございました。  全島避難後もう既に一カ月を経過いたしております。避難住民方々にとっては、地元に残された自分の自宅がどうなっているか、その状況、大きな懸念事項となっていることは当然であります。このため、家屋の現状の情報を提供することは、避難住民にとって心の負担を少しでも和らげることになるのではないかというふうに思っております。  現在、三宅島においては、毎朝、火山活動状況を把握するために、海上保安庁がヘリコプター上空から観測監視を実施いたしております。東京都におきましては、この際撮影される現地の映像等を避難住民方々に提供する方策について、配信方法、これは今もお話がありましたように、避難している方々が都営住宅やなんか方々に分散をされておりますので、これをどうしたらいいか、現在検討されているところであります。  政府におきましても、きめ細かな情報提供を初めとして、避難住民の負担の軽減のための方策について、東京都それから三宅島と緊密な連携を図ってまいるつもりであります。
  97. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 東京都も出資をしているMXテレビというのがありまして、避難先の方に伺いましたら、ほとんどの方がこのMXテレビを受信できるようになっているそうであります。その中には三宅の番組というコーナーもあるそうですから、こういうところで扱っていただきますと、それこそ直ちにお届けすることができるのではないか。その点、ぜひ実現のためにお力をおかりしたいと思います。  情報が少ない、あるいは届かないという問題で今大変深刻だと思うのが、雇用相談の問題であります。  三宅島の被災者の方は、御案内のとおり、自営業の方で、また高齢の方も大変多いというのが実態であります。就業人口のうち六十歳以上の方が二八%を上回る。東京都全体が一三%ぐらいですから、その倍以上の年齢構成になっています。新たに職を求めるにも、この年で、この新しい環境の中でということでの大変大きな御苦労があるわけです。その気持ちを酌み取った、より丁寧な対応をしていただきたいと思っております。  三宅島の避難者からの求職の申込件数が安定所に対して二百十二件あったのに対し、実際の就職件数は四件というふうにも伺っております。また、先月末に実施した就職面接会も、求職相談受付者数二百五十四人に対し、その日の採用決定件数が二十七件ということであります。そういう意味でも大変大きなギャップがある。  一歩踏み込んだ対応も必要ではないか。ぜひとも希望者全員に就職の機会が与えられるような、その保障ができるような取り組みに万全を期していただきたいと思います。労働省としての決意のほどをお伺いしたいと思います。
  98. 渡邊信

    渡邊政府参考人 三宅島の被災者の就職あるいは雇用の問題でございますが、今委員お話ありましたように、九月の二十八日、二十九日には、立川市、港区におきまして集団合同面接会も行いました。企業からも随分協力をいただいたと思います。九十五社から一千六百一件の求人があり、被災者の方も三百名くらいが参加をされまして、確かに、そのとき就職が決まったのは二十七名の方でございましたが、なかなか希望の職種がなかったかということと、やはり一日も早い帰島というのを希望しておられて、就職に対するためらいの気持ちもあったかというふうに現場からは聞いております。  私ども、飯田橋の安定所あるいは中央の監督署等に特別相談窓口を設けておりまして、今後とも、こういったところを通じまして、就職なり雇用の問題については、きめ細かに相談に応じていきたいというふうに思います。
  99. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 例えば、就職の面接会の案内ですけれども、具体的に、避難されている方に届いたのかどうかという問題があります。実際にお聞きしたところでは、記者会見のいわばプレス発表にとどまっていたというのが実情だというふうに伺っております。  そういう意味でも、具体的な方策として、三宅島の避難者の方を採用したいという企業の方がいらっしゃいますので、こういった求人情報を今わかっている避難先の各世帯に直接郵送などで配付をする、こういった具体的な手だてをとる、そのために労働省、政府の方でも力を発揮すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  100. 渡邊信

    渡邊政府参考人 先ほど申しました合同就職面接会と申しますか、これにつきましては、都営住宅に入居をしておられる八百九十八世帯、それから三宅村の役場避難先を把握しておられる六百八世帯のすべてに対して直接案内を差し上げました。また、東京都だけではなくて、関東近県にもいろいろと避難しておられるということでございまして、そういった方に対しましては、新聞、テレビやラジオ等を通じて周知を行ったところであります。  なかなか行き届かないではないか、まだまだやることもあるというふうに私ども思っておりまして、今後とも、東京都に九割ぐらいの方が避難しておられると思いますので、東京都を中心に、職業相談等に対する周知、宣伝にさらに力を入れたいと思います。
  101. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 東京都が就労などのニーズの把握調査ということでアンケートをダイレクトメールで発送してやっている、こういう取り組みもあるわけですね。実情をリアルにつかむ、こういう点での努力もあるわけですから、やる気になればすぐできる取り組みではないか。直ちに実現をしていただきたいと思います。  それから、さっき述べましたように、避難先が都内だけでも百二十六カ所に上るような状況です。先月末には二カ所で行ったわけですが、その程度では実態に合わないという問題があると思います。避難者の住んでいる近くまで足を運んだ出張相談会、こういったものが開けないか、このことについて検討いただけないでしょうか。
  102. 渡邊信

    渡邊政府参考人 先ほど申し上げましたように、東京都内に九割近くの方が避難しておられるということで、東京都には全国でも最も多くの安定所を配置してありますから、最寄りの安定所にお越しいただければ職業相談に応じるということになっておりますし、また、千葉、埼玉あるいは長野等関東各県にも避難しておられるようでありますが、安定所へ出向いていただければ職業相談に応じる体制をとっているところであります。  全被災者を訪問いたしまして最寄りのところで相談会を開くということも、行政も今、手いっぱいの状況でございましてなかなか困難かと思いますが、今後とも、こういったことの相談体制を充実し、また周知にも努めていくというように、さらに努力はしたいと思います。
  103. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 最寄りの安定所の場所を知らないという方も実際にはいらっしゃるわけで、そういう意味でも、周知していただくということ、直接現地に足を運ぶという取り組みが必要ではないかと思うんです。  北海道の有珠山噴火のときには、近隣の安定所の応援も受けて、豊浦ですとか長万部、壮瞥などで、それぞれの町で週一回の出張相談を実施したということも伺っております。行政が足を運んでくれた、私たちのところに来てくれた、これが大変な安心感になっているということなんですね。何よりも三宅避難者の方の立場に立って、ぜひとも実現をしていただきたいと思います。  次に、義援金の配分の問題です。  かつて、日本赤十字社の義援金問題懇談会の報告書では、その冒頭で、義援金とは何か、こういうことを明らかにして、一義的には被災者の当面の生活を支えるものと規定をしております。三宅島の避難者の方に真っ先に届けられるように、都あるいは村にぜひとも国の方からもアドバイスをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  104. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 現在、東京都、日赤の東京都支部、また東京都の共同募金会などによって募集された今回の災害による義援金というのは、十月三日現在で九億七百万円の善意の寄附が集まっているというふうに聞いております。また、この義援金につきましては、十月中にも配分のための委員会を開催し、被災した方々への配分の作業が始まるというふうに聞いております。  義援金の取り扱いについては、先生ただいま指摘されましたように、日赤がガイドラインを作成しているところでございまして、三つの原則、迅速性、透明性、公平性という義援金の三原則を掲げているわけでございまして、私ども厚生省といたしましても、この三原則に基づいて、義援金がなるべく早い時期に被災者方々に届くように、できる限りの心を配ってまいりたいというふうに考えております。
  105. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 この日赤の報告書では、義援金はあくまでも市民の善意で集まったものであって、その善意が生かされる配分でなければならないという指摘を行っています。続けて、本来行政が行うべき復興事業等に充当することは原則として避けなければならないと戒めてもおります。先の見えない不安な暮らしの中にいる避難者の方にこそこの義援金が直ちに渡されるように働きかけていただきたいと思います。  次に、被災者生活再建支援法の問題です。  既に有珠山噴火被災者の方に対しては、火口近くの長期避難世帯に対して、長期間住宅への居住不能状態が継続することが見込まれるということで、被災者生活再建支援法適用されています。おおむね六カ月程度以上の居住不能状態が継続することが見込まれるという規定にのっとり、実際には六カ月を待たずに、三月末の噴火避難から四カ月後の決定でありました。  三宅島についても、先ほど扇長官の方からもありましたとおり、六カ月以上の島外避難が見込まれる状況になれば必ず支援法の対象になるということで対処したい、このようにお述べいただきました。  このような生活再建支援法ですが、いろいろな条件をクリアした上で最高百万円が支給されるということですが、この支給されたお金というのは、当面の生活資金、生活の維持のために何にでも使える、こういう仕組みになっているんでしょうか、お尋ねします。
  106. 吉井一弥

    吉井政府参考人 被災者生活再建支援法の、支給されました経費の使途でございますが、法律では、支援金は、「自立した生活開始するために必要な経費として政令で定めるもの」ということで、具体的な経費といたしましては、おおむねすべての世帯が保有していると見込まれます電気冷蔵庫、電気洗濯機、テレビ等の耐久消費財の購入経費、引っ越し費用、医療費などが規定されております。これらのメニューの中から被災者が必要な物品等を選択する形となっております。
  107. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 三宅避難者の方は、全島民避難から二週間もたたずに公営住宅に入居をされております。そのため、実際には、行政の方で各避難家庭に支給した家電製品ですとか、また避難者の方自身が必要に迫られて購入しなければならなかった家財道具がたくさん生まれているわけです。  最高百万円支給されるとした場合に、その内訳として、生活必需品や引っ越し代金として使う通常経費というのが七十万円充てられます。この中の生活必需品についてですが、三宅避難者の方の今の実情に当てはめてみるとどうなのかということなんです。  八王子で避難生活をしている方にお話をお聞きしましたところ、通常経費で、生活必需品ということで二十項目挙げられておりますけれども、例えば自動炊飯器、これは既にあります。電子レンジもあります。ガステーブルのたぐいもあります。電気冷蔵庫もある。電気掃除機もある。電気洗濯機もある。扇風機もあるし、座卓もあるし、照明器具もあるし、寝具もあるし、電話機もあるし、テレビもある。つまり、生活必需品として調える二十項目のうち、既に今の生活で十二項目はもうそろえざるを得なくなっている。現に調っているわけであります。  実際にはその品目の六割を既に備えているわけですから、実際の適用ということでは、これは有効に活用できないのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  108. 吉井一弥

    吉井政府参考人 被災者生活再建支援法におきましては、先ほども申しましたように、「自立した生活開始するために必要な経費」ということで政令で定められておりまして、基礎的な耐久消費財等の必要不可欠なものに限定して、特に通常のものにつきましては規定されているところでございます。  今先生おっしゃいました電気製品等につきましては、一般的には災害救助法の支給対象にはならないのが通例でございまして、そのようなことを踏まえて現在のような規定になっているのではないかと思われますが、先生おっしゃいました家具とかいうふうなものにつきましても、かなり物品の範囲としては規定されているところでございます。  なお、被災者のニーズや物品の普及状況につきましては、定期的に調査いたしまして、支給メニューとしてふさわしいものがあれば追加するというふうな形をとっているところでございます。
  109. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 ぜひとも改善ということでお願いしたいと思いますけれども、今示した事例のように、実際に当てはめてみると、いわば実際の支給額が切り下げられるような事態につながるわけであります。この生活再建支援法に基づく支援金の支給については、対象をすべての災害にも拡大し、年齢ですとか所得ですとか、あるいは使い道の制限は取り除いて、また家屋全壊の場合でも百万円にすぎない支給限度額を大幅に引き上げるなど、国の責任で真に実効ある制度にしていくべきだと思います。  今、民宿の経営者の方など、自営業の皆さんというのは、実際には、新しくお客さんを招くためにエアコンを購入した、エアコンがあるとお客さんが集まる、こういう投資をしたときにこういう災害に遭っております。ですから、そういう意味では、かなりの額の借金だけを背負って、今の生活というのが、定期預金を解約してという先の見えない生活に置かれています。生きる希望を失う人が出てくるのではないか、こういう心配の声も上がっているわけであります。  ぜひとも、生きることを励ますような、必要な現金支給、生活に必要な現金給付を考えるべきではないかと思うのですが、扇長官、いかがでしょうか。
  110. 扇千景

    扇国務大臣 先ほどから、赤羽議員のお話にもございましたように、阪神・淡路大震災のときにもそのことが多く問題になりました。そのように、今回も、皆さん方の切実な思い、あるいは現状を見てまいりました私どもにとりまして、本当にできる限りのことは即、してさしあげたい、そういう気持ちでいっぱいでございますけれども、現在の決められた災害支援の対策法の中では精いっぱいのことをしてまいりますし、また六党御一緒になって、阪神・淡路大震災の後この被災者生活再建支援法をお決めになりました皆さん方で、また手直ししなきゃいけない部分等々ございましたら、ぜひ私どもも皆さん方とともに、急速に対応できるようなものに改めていかなければならないと存じております。
  111. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 今政治の責任が問われているというふうに思うわけです。被災者の方が、生活や営業、これを支える土台そのものが崩されている実態に置かれている、土台そのものが掘り崩されているわけですから、それを励ますような政治というのが求められている、このことを強く要求するものであります。  補正予算の議論についても、必要なことを、いわば従来型の公共事業の積み増しのようなやり方ではなくて、何よりも国民の皆さんの暮らしを直接励ますような、支援するような仕組みにしていく。例えば、介護保険や健康保険の負担軽減ですとか、そしてこの災害被災者対策など、国民生活防衛のための緊急措置こそ中心にすべきだと思います。災害前の借金返済の負担軽減や個人補償、営業補償など、被災者に対する生活支援強化を図ることを強く求めて、質問を終わるものであります。
  112. 中山成彬

    中山委員長 この際、休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後二時二十三分開議
  113. 中山成彬

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大島令子君。
  114. 大島令子

    大島(令)委員 社会民主党・市民連合大島令子です。  きょうは、東海豪雨災害と都市型水害について質問をいたします。  質問に先立ちまして、有珠火山災害三宅噴火災害及び東海地方の集中豪雨災害に伴い、不自由な避難生活と後片づけ、生活再建に懸命に取り組んでおられる皆様にお見舞いを申し上げます。また、不幸にして亡くなられた方々の御遺族、関係者の皆様に心からお悔やみを申し上げます。  私は、先月九月二十九日に、社会民主党国会議員団の一員として、私の地元であります愛知県、集中豪雨の一番ひどかった西枇杷島町の現地視察をしてまいりました。地元関係者の努力と、被災住民、また多くのボランティアの方々の協力を得て、今のところ、疫病も広がらず、被災地復旧復興のつち音が響き今日に至っていることは、まことに幸いであると思いました。しかしながら、生活の激変からくる健康不安や生活不安、被害復旧復興産業経済の回復に向けた課題など、今後とも多くの困難が予測されます。  今回の東海豪雨災害は、都市防災の弱点を露呈しております。愛知県内では十五河川がはんらん、うち堤防の決壊は七河川、十地点にありました。そのすべてが地方自治体の管理の中小河川です。国が管理している一級河川は、百年から二百年に一度を想定して改修事業が進められています。それに比べ、中小河川は、五年に一度程度の降雨量を想定し、愛知県の新川の堤防整備の達成率は二〇%程度。その理由は、財政的問題ということです。  そこで、都市型水害とは何か、記録的集中豪雨の頻発という異常気象をどう見るかということです。  名古屋市内は庄内川の堤防で守られ、西枇杷島町を守る新川は、危険水位の状態に六時間もさらされ、堤防自体の飽和、水膨れ状態、つまり、決壊しやすくなっていたのではないかと思われます。江戸時代には、新川、庄内川の上流の小牧市、春日井市は当然に都市化していません。田んぼは貯留機能を十分果たしていました。しかし、今日は都市化が進行し、西枇杷島地区も開発が進んでいます。  現地愛知県では、電気、水、食料が足りない。やっとの思いでたどり着いた避難所が実は陸の孤島であった。毛布もない、携帯電話もバッテリー切れ、情報からも隔絶。避難三日目の十三日に、やっとおにぎりや乾パンなどが西枇杷島小学校に届く。自宅の二階に取り残された人にも食料は十分に届いていなかった。電気、ガス、水道などのライフラインもとまったまま。二千五百人が避難した西枇杷島町役場では、トイレも不自由したということです。水害常襲地帯では、避難場所にせめて自家発電機を、それも地下でなく設置するように義務づけることが必要ではないかと感じました。  三十七万世帯避難勧告。浸水四万棟。住民は着のみ着のままの脱出。新川決壊は十二日午前四時。見る見る胸まで増水。西枇杷島町は、水に沈んだ町と化してしまいました。道路の冠水、車の立ち往生が随所に起こり、町じゅうに汚水につかった乗用車が無残な姿をさらしておりました。  水害は震災に比べ、堤防決壊を含めて避難準備がしやすいのですが、常日ごろから浸水履歴のわかる浸水実績図、洪水はんらん危険区域図の住民への徹底が必要と感じました。適切な避難方法の指示、避難所の孤立、食料、水の途絶などが起こらぬような備え、適切な避難勧告を出すタイミングなど、住民避難判断への情報伝達システムの整備も急務と感じました。  今回の東海豪雨では、西枇杷島町のある小学校では濁流が胸の高さまで達し、住民が再避難する事態が起こっていました。名古屋市内の小学校でも、校舎の一階が浸水し、避難住民が階上に駆け上がるという場面もありました。  河川の洪水対策は、堤防を厚くする、高くする、川幅を広げる、川底を掘るなどが主な手法です。スーパー堤防などが取り組まれ始めましたが、莫大な費用がかかり、都市部では不可能に近い状態です。溢水は仕方ないが、堤防の破堤は避ける努力が不可欠です。異常降雨による災害を広く薄くするため、浸透性のアスファルトや地下貯留槽、小規模貯水池を整備するのも早道であると思います。  今回の記録的豪雨では、名古屋市では二十四時間で五百ミリ強、想定雨量をはるかに超えていました。建設省治水課の担当者は、雨量だけで見ると、堤防決壊、越流は不可抗力と言っています。この評価は妥当なのか。地形的条件、特に災害に弱い地域、急傾斜地や丘陵地帯の住宅、低地やゼロメートル地帯の新規開発地域を含めて、浸水実績図、過去に浸水したことのある履歴などを役所に掲示するなど、住民への広報も大切だと感じました。  また、福岡市や東京都の冠水被害の続発は、都市地下街のもろさを露呈していました。東京都の主な駅の地下街は二十五万平方メートルもあるのです。  もし、今回と同様な豪雨の場合、東京や大阪はどうなるのか。五十ミリ降雨を想定した計画すら未達成の東京北区、足立区、江戸川区の各区は、大規模冠水を免れません。個々人が万が一の災害を想定して自衛手段をとるしかないのが実情です。国が管理する東京の荒川、大阪の淀川ですら、二十から三十年に一度の降雨が前提の治水計画と聞いております。もし荒川下流が決壊すれば、周辺地帯、特に江東区のゼロメートル地帯なら六時間で三十万から四十万戸が水没すると言われております。  もし荒川が決壊したらというシミュレーション、これは三日間、五百四十八ミリ、建設省荒川下流工事事務所の想定ですが、五千七百ヘクタールが浸水、三十四万戸、八十五万人が被災被害額は二十四兆円ということです。  ことし七月にも、東京都心で観測史上二番目の大雨が降り、国会のすぐそばの港区赤坂では、道路に深さ一メートルもの水がたまり、交通渋滞が発生、地下鉄も線路が水につかりストップしました。東京都内の各区も、小中学校や公園を避難場所にしていますが、これは主に地震を想定したものです。非常電源の配電盤が地下にあり、水が流れ込んで使えなくなる可能性もあるわけです。  東京都の雨水対策、雨水整備クイックプランと言うそうですが、ことし三月策定されました。五十ミリの想定雨量でも都区部で半分程度しか完成していませんが、地下空間の浸水対策はやっと検討会を設置したばかりです。都内には主要駅十三カ所に二十三万平方メートルの地下街があります。都の対応は、大雨情報の伝達や浸水危険箇所の公表にとどまっているのが現状です。  さて、本論の質問に入ります。  以上のような都市災害を踏まえまして、扇建設大臣に質問をいたします。  こうした都市災害に対して、今後建設省としてどういう対策を考えていますか。また、同じような降雨が東京や大阪で起こった場合、水害被害想定のシミュレーションは準備していますでしょうか。また、ハザードマップ、災害予測図は周知徹底されているのか、お伺いいたします。
  115. 扇千景

    扇国務大臣 今大島委員から多くの問題を提起していただきましたけれども、差し当たっての御質問は都市型水害に対してのことでございますので、まずその一点に関してお答え申し上げたいと思います。  都市型水害に対処するためには、御存じのとおり、河川及び下水道の整備と流域での雨水の浸透あるいは貯留対策が一体となった総合的な治水対策が重要だと考えております。このために、都市化の激しい全国の十七流域におきましては、昭和五十五年七月から、河川管理者及び流域市町村等の関係機関が協力して総合治水対策協議会、これを順次設置しまして、総合的な治水対策を鋭意推進しておるところでございます。  新川の流域におきましては、御存じのとおり、昭和五十五年九月に新川流域総合治水対策協議会を設置しまして、小中学校のグラウンド、そこで雨水をためたり浸透させるという約三十の施設を初め、そして浸透舗装や住宅開発に伴う調整池など、合わせて五十四万立方メートルの整備を実施したところでございます。  私も現地に参りました。西枇杷島町の皆さん方は、警報が鳴ったらしかったけれども、余りにも雨音がすごくてその警報が耳に入らなかった、そういうこともおっしゃいました。そういうことも含めまして、今後は、そういう対策もあわせて行わなければいけない、治水対策だけではなくて、そういう緊急時の防災対策も全体的に考慮していかなければならないということが、今回、地元の皆さんの御要望でよくわかったことでございます。  今後とも、関係機関が一体となって河川の改修の一層の推進及び流域の貯留浸透施設の確保に努めてまいりたいと思います。  もう一点、ハザードマップに関して御質問がございましたけれども、はんらんのシミュレーションというのはどうしているかという御質問でございました。  建設省では、浸水いたしましても人命が失われないような、洪水の被害を最小限に食いとめる対策の一環としまして、全国の一級水系のうち百八水系につきまして、計画対象規模の大洪水が起こったことを想定しまして、河川のはんらんシミュレーションを行って、その結果は既に公表いたしております。これは、一級河川でございますけれども、公表しております。  また、洪水のはんらんが予想される区域を示した地図に避難場所や避難経路を重ね合わせて作成した地図を洪水ハザードマップと言っておりますけれども、その洪水の際に、スムーズに避難し、危険を回避しなければならないということで、洪水から人命を守るために、洪水ハザードマップの作成と普及は大変重要なことだと思っておりますし、今後もそれを推進していきたいと思っております。  また、洪水のハザードマップの作成は、平成六年度以降、積極的に推進しているところでございますし、本年の十月現在、公表されている洪水のハザードマップは八十五市町村となっております。本年度末には約百五十の市町村に及ぶものと思っております。  平成十年八月末に阿武隈川の出水を経験した福島県の郡山市では、住民の迅速な避難に洪水ハザードマップが有効だったという結果もいただいております。また、郡山市長は、避難勧告や指示を発令する際や、あるいは避難救助等を行う際にも大変役に立ったということで、この洪水ハザードマップというものがより重要性を今後も増すものと存じております。  御存じのとおり、今後も、洪水のはんらんが予想されます地域等々に関しましては、自分の住んでいる地域の洪水ハザードマップによって避難情報を把握して活用していただけるようにということを、作成の主体であります市町村と協力して、わかりやすく、見やすい内容としていくということに心がけてまいりたいと思いますし、また情報提供の方法についても、さまざまな工夫が必要であると認識しております。
  116. 大島令子

    大島(令)委員 住民一人一人にそういう周知が徹底されるよう、より一層お願いいたします。  次に、下水道は、時間雨量五十ミリで今整備中でございます。異常降雨の際、下水道に流れ込んだ雨水をどこに排水するかが問題となります。下水道は、五年に一度の降雨量を想定し、整備されていますが、一級河川は二百年に一度で二級河川が五年では、アンバランスであると思います。一体的整備が必要と考えます。  河川と下水道は、同じ建設省でありながら所管が別となっているわけです。このため、都市の中を流れる河川整備がおくれがちであると、下水とのバランスで、このような排水をどこに流していいのかということが生じます。これも財政支援がなければできないと言われております。私は、下水も河川も一体となる行政を目指していただきたいと思いますが、長官、いかがでしょうか。
  117. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 洪水に際しまして、下水道と河川行政が一体となって対応すべきだという御質問にお答えいたします。  都市化の激しい大都市におきましては、下水道によってその地域の水を河川の中または海へ排水するということは、日々の生活地域にとっては大変重要な事業でございますし、そして、その下水道から受けた水を今度は河川が安全に海へ流していくということも大変重要なことでございます。  河川と下水道が一体となってその地域を守るという認識のもとに、各市町では、特に大きな大都市では、今回の場合は名古屋市でございますが、名古屋市総合排水計画策定協議会、昭和五十四年から名古屋市の総合排水計画を河川と下水道で協力してやろうというような協議会を設けて、連携して事業をやってございます。  具体的には、ハード的には、河川サイドでは、若宮大通りの調整池をつくったり、下水道サイドでは、福徳ポンプ所、落合ポンプ所等をつくったり、その排水能力を上げておる一方、この両方の行政が実際の洪水のときも連携をして安全な運用をやっていこうということで、この地域を守るための最大限の努力をしているところでございます。  なお、今回の名古屋市の洪水、大雨は、その担当者が現在考えている計画をはるかに上回ってしまい、各地で浸水被害が生じたと私ども判断してございます。
  118. 大島令子

    大島(令)委員 次に、河川改修工事、また雨水浸透型の歩車道の積極的な導入について伺います。  私は、堤防や下水道は、こうした豪雨による水害の際に万能薬にはならないと思いました。御存じのように、現在の都市は地面がコンクリートで覆われておりまして、今回のような豪雨の場合、水が下水道や河川など、特定のところにしか流れない構造になっているところもあります。都市化されていなかったときには、雨水は、森林や田畑や池などにたまったり、そこから地下に浸透していきました。私は、国や県が伝統的なこの治水方法を学んで、歩道や車道を雨水浸透型にしたり、また現在の河川改修工事でも、自然に逆らわない自然工法にしていただきたいと思います。  お手元に、きょう、写真を配らせていただきました。三番と四番の写真は、私の町内会を流れる香流川といいます。これは三面、コンクリートで固められております。これは九月十四日、水害が起きたすぐ直後ですが、非常に水が少ないです。しかし、九月十一日の夜は、この堤防が崩れている。草のところまで水が来て、私の近隣の人たちは、本当に床上浸水するのではないか、この香流川がはんらんするのではないかと心配で眠れなかったと言われております。  そして、マスコミでは、西枇杷島町、新川、災害のひどかったところが取り上げられ、私の住んでいる長久手町は災害救助法適用の町になっておりませんが、この香流川が非常に早い流れで流れたため、ここに側溝の水が入り切らず逆流して、私の町も四軒床上浸水ができました。そして、きょう現在も、これは県が管理している河川ですが、このままの状態で放置されております。マスメディアの届いたところではいろいろな対策が講じられますが、こういうところには全然行政の光が当たらないことに、私は非常に疑問を感じております。  こういうことも含めまして、この香流川は、本当に私たち、ふだん災害のないときには、きれいな川だなというふうに思いましたが、いざ災害発生しますと、非常に住民は危険にさらされております。一度、今後、この東海豪雨災害を生かして、河川工法を、時間は、お金はかかると思いますが、建設省として見直す考えはございませんでしょうか。
  119. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 今回の名古屋地方を襲った大水害に関しまして、河川をコンクリートで覆ってしまったという点が御指摘されました。  戦後、私どもが大都市におきまして河川をコンクリートで覆わざるを得なかったということを御説明させていただきますと、名古屋市におきましては、昭和四十年には、田畑と、いわゆる農地と宅地が同じ数字の九千ヘクタールでございました。ところが、農地はどんどん減り続け、現在では二千ヘクタール、宅地はどんどんふえ続けて、現在は一万四千ヘクタールということになってございます。  昔、大雨が降れば、水が、ある意味で遊び、ゆっくりと川の中へ出てきたものが、一気に川へ入ってくるようになってきているのが現状でございます。その一気に川に入ってくる水をいかに早く大量に海へ導いてやるかというやむを得ずの手法として、私ども、限られた用地の中の河川で、コンクリートブロックやコンクリートで護岸をし、スムーズに洪水を処理しようということをしたわけでございます。そして、そのことによって、その地域の洪水を大幅に低減したと考えてございます。  今後は、私ども、川がその地域における重要な環境空間ということも認識しまして、安全ということも踏まえた上で、このコンクリートの三面張りの川を、可能なれば、用地等の御協力を得ながら、自然豊かな河川の形に幅を広げていきたいと考えてございます。災害から守るということと同時に環境を守るということは十分私ども認識しておりますので、これからもそのような方向で都市における河川の改修に向かっていきたいと考えております。
  120. 大島令子

    大島(令)委員 次に、避難所生活している被災者が現在二百四十七名いると伺っております。なぜこの方たちが今なお避難所にいるかということを厚生省の皆さんに考えていただきたい。  これらの方々は、ほとんどがひとり暮らしの高齢者や病弱な人、単身者、低所得者の方だと聞いております。私も西枇杷島町役場の公民館に避難をしている人に尋ねました。その方の話では、女性の年金は知れている、二十五年勤めていた、これで住む家も一階が水浸しになって、大家さんが補修をしない、帰るところがない、女のひとり暮らしで、少ない年金で、どこに行けばいいのかという声を聞きました。私は、公営住宅や民間住宅の家賃補助など、市町村の事務とはいえ、やはり国が災害弱者に対する行政としての目配りを、もっと温かい支援をすれば、この人たちはもといた場所で、もといた地域生活ができると思います。  このような現状をどういうふうに認識していられるのか、お考え伺いたいと思います。時間がありませんので、簡潔にお願いいたします。
  121. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 確かに、今回の災害におきまして、日常生活に多大な支障を生じて、多くの方々生活上困難を来していらっしゃるわけでございます。  手短でということでございますので、結論から申しますと、私ども、現行制度でできること、最大限にできることについて、これを活用しながら、関係の自治体とも連携しながら、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  二、三の例を申し上げますと、例えば高齢者や病弱者の方々が自力では土砂の除去や家屋の清掃ができない場合、これについては、災害救助法によってこれらの障害物の除去ができたり、また住宅の応急修理を実施するというようなこともできますし、また住宅の問題につきましては、恒久的な住宅をいかに確保するか、また被災者の希望するところで建設することができるかなどについて、関係自治体の総合的な検討を踏まえて、必要があると判断された場合には、応急仮設住宅の建設を行うことも可能でございます。  また、生活福祉資金の貸し付け、災害援護資金の貸し付けなど、現行制度でできることについて最大限活用して、これの支援を図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  122. 大島令子

    大島(令)委員 午前中から問題になりました、被災者生活再建支援法の問題点について伺いたいと思います。  先ほどから、全壊半壊か、水害の場合どうなのかという議論がありました。お手元の写真の一、二は、床上浸水の家です。行きましたところ、根太、床を支える角材、この上に板を敷いてござを敷いて寝ている人たちが非常に高齢者の世帯に多かったです。私どもが行ったのは九月二十九日でした。長官に聞きたいのですが、この写真の現状の場合、この支援法は、全壊なのか半壊なのか、どう判断されるのか聞きたいと思います。  また、役場の職員の招集体制についても伺います。  遠隔通勤の際の登庁に要する時間の統計は把握しておりますか。特に、東京や大阪、名古屋など、大都市はどのようになっていますでしょうか。幹部職員や災害要員の宿舎を日ごろから手当てすべきではないかとも思っております。  また、災害用の備蓄用品についても伺いたいと思います。  この缶詰は、枇杷島町でお見舞いに行った方からいただきました。九六年四月三日の日付でございます。賞味期限が三年ですから、もう切れたものをいただいた。ボートで消防団員の人が助けてくれた、その舟の中でいただいたのがこの飲料水だったと言われます。これにあらわれているように、備蓄商品の賞味期限切れ、こういったこともいま一度考えるべきではないかと思います。  また、その視察に行ったときに、愛知県は、来年のこの水害の時期までには河川がはんらんしないような体制をとると私どもに明言しました。しかし、今までの午前中の議論を聞いていますと、河川激甚災害対策特別緊急事業として採択されないと、この庄内川、新川は、来年までに完全復旧というのは非常に困難ではないかと私は考えております。  私の町のこの写真の川も、これから台風のシーズンを迎え、本当に住民は不安を抱いております。ぜひ、防災行政の責任大臣としての扇建設大臣そして国土庁長官、そしてもう一つ政治家としての立場から、以上の質問に対して政治家としての御所見を伺いたいと思います。
  123. 扇千景

    扇国務大臣 午前中からこの委員会をこういう時期にお開きいただいて、感謝しています。また、意義あることだということを先ほども申し上げました。  今大島委員から、来年の出水期までに今回の被災箇所に関して復旧させると愛知県は言っているけれどもというお話ございましたけれども、今回の被災箇所に関しましての国としての支援方法は、現在建設省としましても、災害発生直後、九月の十二日から十四日及び九月二十七日から二十九日にかけまして災害査定官を現地派遣いたしました。そして、緊急現地調査と応急工事の技術指導を行って、その支援を行ってきたところでございます。  ですから、今回の災害箇所のうち、応急工事が必要な箇所につきましては、既に愛知県におきまして工事が進められております。また、これも来年の出水期までに完了するということになっております。  なお、愛知県におきましても、現状よりさらに安全性を高めるための災害復旧事業を検討し、そして実施することになっておりますし、建設省としましても、最大限の支援を行ってまいりたいと考えております。  また、先ほどの生活支援の話に関しましても、午前中から御論議ございましたように、現状の法律は、阪神・淡路大震災の後、六党によって緊急に法案化されたものでございますので、立法府の皆様といたしましても、この六党で共同提案されたものに対してどう対処すべきか、また、足らざるをどう補うべきかということもぜひ御検討いただいて、私たちもそれに対して、より協力ができるものはしていこうというふうに考えております。  今回の、次に予定されております補正予算に対しましても、災害復旧というものを最重点に置いておりますので、ぜひ補正予算が出ましたときにも御協力を賜りたいということを申し添えておきます。
  124. 鈴木正明

    鈴木政府参考人 災害時の職員の緊急参集についてでございますが、従前から、災害発生時の職員の緊急参集ということについては重要な問題だと考えておりまして、参集基準の明確化、連絡手段、参集手段の確保、また職場周辺の宿舎の確保など、参集体制の整備を行うように地方団体に要請をしてきております。  それぞれの地方団体においては、全職員の登庁に要する時間の統計などをつくっているかどうかは私どもつまびらかではございませんが、それぞれ職員の登庁に要する時間を勘案して、短時間で登庁可能な者を緊急参集要員として指定する、あるいは非常参集者用の宿舎を整備するということなど、それぞれの実情に応じまして非常時の参集体制の整備を行っているところでございまして、お話のございました東京、大阪あるいは愛知においても、それぞれ宿舎の整備、参集システムの整備というものを行っているところでございます。  必ずしも十分な体制がとれていない地方公共団体もございますので、私どもとしても、地域の実情に応じた職員の参集体制を整備するように、さらに要請をしてまいりたいと考えております。  次に、備蓄物資についてでございます。  地方公共団体に対しましては、従来から、災害発生時に必要となる水、食料等を確保するため、地域防災計画にきちんと備蓄する物資の種類とか数量などについて定めるということで要請をいたしておりまして、それぞれの自治体におきましては、必要となる物資について、みずから公的備蓄を行ったり、あるいは他の地方公共団体の応援とか民間との協定によりまして備蓄を確保する、こういう手段で対応しているところでございます。  ただいま議員から御指摘のありました点も踏まえまして、それらの備蓄につきまして、やはり適切に管理を行っていくということが当然のことでございますので、その趣旨を十分徹底するように私どもも取り組んでいきたいと考えております。
  125. 吉井一弥

    吉井政府参考人 お示しのありました写真につきまして、全壊半壊かというお尋ねがございましたが、建物の被害全壊半壊かということは、全体の建物の価額に対しましての被害額がどのぐらいか、どのぐらいの割合になるかということを市町村が個別に認定することになっておりますので、私からの答弁は差し控えさせていただきます。
  126. 大島令子

    大島(令)委員 どうもありがとうございました。
  127. 中山成彬

  128. 北村誠吾

    北村(誠)委員 私は、21世紀クラブ北村誠吾でございます。  きょうは、本災害対策特別委員会に議題として上がっております関係災害地域の被災者の皆さん、そして、今なお先の見えない中で、ふるさとを離れて暮らしておられる関係の皆様方に、お見舞いとおねぎらいを申し上げたいというふうに存じます。  私は、離島振興法の適用を受けております長崎県五島列島の北から二番目の小値賀という島で生まれ育ちました。ただいま、人口は四千人を切っております。  その離島で生まれ、さらに長崎県議会にありまして十三年余り、ちょうど雲仙・普賢岳が噴火災害を百九十八年ぶりに引き起こしましたそのときに議席を得ておりまして、政府また各政党、特に建設省、自治省、関係の皆様方に大変なお世話をいただきました。その復興対策が、がまだす計画という名のもとに、島原地域再生行動計画ということで、今日まで着実にその歩みを進めておりますこと、このことに関しましてもお礼を申し上げなければなりませんし、そういう立場から、私は今次災害につきまして、大変重大な関心を抱かざるを得ない。  特に、離島生まれ、離島育ちの私としては、また台風、風水害において全国の皆様方にその都度お世話になっております長崎県民の一人として感謝を申し上げながら、今回各地で起きております災害につきまして、新米ではありますが、私も国会議員の一人として、当特別委員会に所属させていただき、先輩委員皆様方とともに真摯に取り組んでまいりたいと思い、八月二十二日、三宅島を初め、あの諸島を視察させていただいたわけでございます。  特に、扇建設大臣・国土庁長官にお尋ねをいたしたいわけでございますが、午前中以来、大臣の御答弁の中に、災害復旧あるいは復興、あるいはその対策ということには、自助、共助、公助ということが極めて大事であるということを意味するお言葉がありました。私も同感であります。  そこで、私は、引用させていただいて恐縮でありますけれども、かつて雲仙・普賢岳の復興計画をつくるに当たり、建設省九州地方建設局雲仙復興工事事務所の松井所長が、その計画策定委員会の第一回目の日に、平成八年五月十七日でありますが、この日に松井所長があいさつの中で述べられた部分の一部を披露させていただきたいと思いますので、お聞きとめいただきたいと思います。  日本国民の国民意識の中に根づいておりますかなり根の深い問題かもしれませんが、私自身も一国民、一市民でありますが、市民の気持ちの奥底には、だれかがやってくれると、人に頼めばやってくれるんだと、ずばり申し上げますと、甘えの構造と申しますか、そういう気持ちがあると常日ごろ感じております。だれかに頼んでやっていただくのが一番楽なんでありますけれども、もっと厳しく言えば、自己責任といいますか、そういったものが、私を含めた日本の国民には、その視点が、欧米諸国に比べますと物足らないところがあるんじゃないかと思っております。それぞれが、汗をかきながら、いろんなことに立ち向かい、計画に向かって、努力していく姿勢が必要なのではないか。私は、今、国の立場ということでありますけれども、国は国の立場で頑張る、都道府県は都道府県の立場で頑張っていただく、市町村市町村の立場で頑張っていただく、それとあわせまして、民間の方も、あるいは個々人も含めまして、それぞれお互い努力するということが大事じゃないかというふうに思っております。  こういうことを雲仙岳災害対策基金に基づく島原地域再生行動計画の策定委員会の第一回の会合で、建設省の工事事務所の当時の所長でありました松井さんがしっかり述べてくださいました。  この精神に基づいて計画をつくり、おかげで今日、島原半島地域復興というものは、目覚ましく着実に、まだ平成二十年近くまでかかるのではないかというものもありますけれども、息長く着実に進めさせていただいております。  そこで大臣、今日、報道によりますと、北においては有珠山、あるいはこの東京の、まさに都内においての火山あるいは地震における災害、南は奄美諸島、琉球列島、悪石島において地震があり、あるいは噴火の兆候もという懸念が言われております。  そういう中で、同時多発的な、多種多様な災害が時を置かずして起きたような場合には、これこそまさに国が対応をしなければならない。それぞれ、都道府県知事も関係市町村もやらねばならないことは法によっても定められておりますけれども、やはり国の立場で大きく構えたときに、どのような取り組みをしていけばよいのであろうとお考えでしょうか。特に、過ぐる九月一日でありましたか、東京都において、防衛庁、陸海空自衛隊の協力を得て、都内で総合的な防災の訓練がなされました。その教訓なども踏まえながら、所感があればお聞かせを願いたい。  それと、いま一つ。大臣は先ごろ、私も個人的には大変必要であると思っておりますが、防災服をあつらえられて、デザインをされて、非常にスマートに、また機能的に着こなしておられるのをテレビで拝見いたしました。私は、男女兼用というわけにはいかないだろうと思いますけれども、それなりに国会議員としても、このように災害多発の国日本であれば、我々も必要であろうと個人的には感ずるわけでございますが、そういう作業をしてごらんになってどのような所感を持たれたか、よければお聞かせをいただきたい。まずこの点についてお尋ねをいたします。
  129. 扇千景

    扇国務大臣 北村議員が、普賢岳のときに大変貴重な経験をされ、また、それに基づいて災害というものに対処するという姿勢をお持ちになっていることに心から敬意を表し、また私どもも、一つ一つの災害を教訓として、いかにあるべきかということも、関係省庁と連絡をとりながら、新たな災害発生を未然に防ぐということに最大の努力をしていかなければならないと思っております。  先ほどおっしゃいましたように、私も申しましたように、自助、共助、公助という、その基本的なものを知る上におきましても、先ほども私、大島議員に申しましたように、ハザードマップだとか、あるいは洪水のシミュレーションだとか、そういうものをふだんからぜひ知っていただきたいし、また阪神・淡路大震災のあの災害を含めまして、私どもは、断層のあり方というものも、自分の家の下に断層があるやなしやということも、あの阪神・淡路大震災のときに初めて日本列島の断層地図というものも見たわけでございます。  そのように、私どもはそれらのことを教訓にしながら、災害が同時多発したというときに対しては、やはりふだんからの自助というものを最大限に認識しておかなければならないと私自身も強く感じたところでございます。  また、今、災害発生したときにはどうするのかというお話でございましたけれども、少なくとも、政府と地方自治体が一体になって速やかに災害情報の収集あるいは連絡体制の確立を行うというのは当然のことでございますし、人命救助を一番初めにしなければならないというのを私ども一番重要視していることは、御存じのとおりでございます。応急対策という活動、あるいは迅速に活動するということにおきましても、先ほど申しましたような日ごろの準備というものがいかに大事かということも、私どもも皆さん方と一緒になって考えていかなければいけない大きなことであろうと思っています。  例えば、災害が同時に発生した場合、そういう場合におきましても、応急活動に当たりましても、先ほどもお話ございました自衛隊災害派遣、あるいは警察における広域緊急援助隊、そういうものも活用しまして、緊急消防援助隊の派遣等によりまして、広域的に救出活動に即応できるようにというのは、日ごろから考えていることでございます。  例えば、有珠山噴火災害に当たりましても、東京の消防庁あるいは横浜市の消防局から派遣、あるいは東北、関東、中部の各都県警察からも派遣をさせていただきましたし、三宅島の噴火災害に当たりましても、海上保安庁の巡視船を鹿児島から派遣したというようなことも、大きな全国的な規模での応援体制がとられた証明であろうと私は思っております。  そういう意味におきましても、災害対応の体制を確保するために、国土庁におきましても、ふだんから防災局以外の職員で事前に指定されました非常災害対策要員が応援する体制を常にとっておりますことも、御報告申し上げておきたいと思います。  そして、今最後に防災服についてお話がございましたけれども、実際に、有珠山に二度、それから三宅島、新島神津島に二度、そしてこの間の名古屋等々私は行ってまいりました。阪神・淡路大震災のときにも当然参りましたけれども、私どもが今着ております指定の防災服というのは、大変ごわごわして動きにくい、しかも機能的ではないということで、何とか、もう戦後五十五年たって、軍隊の余りぎれでつくったような防災服ではなく、しかも、私は阪神・淡路大震災のときに思いましたのは、救助犬を連れてあの飛行機からおりてきてくださった外国からの支援体制を見たときに、全身オレンジ色で格好いい犬を連れておりてきてくださったのです。それを見た途端に、ああ、この人たちが来てくれたらひょっとしたら助かるのではないかという気を持ったのですね。ですから、この人たちが来てくれたらひょっとしたら助かるのではないか、そういうことを気分的に与える、あの人たちが来たら、もう少し頑張れば、自分は今苦しいけれども、助けてもらえるのではないかという精神的な気持ちを持たせてもらえるような防災服でなければ意味がない。  私は新島で経験しましたが、一線だけ復旧したところを扇さん試験的に通ってみてください、あなたが通って間違いがなければと言われまして通ったときに、そこまでがけ崩れが起こっていまして、私は、二次災害に遭うのかもしれないなという気がしたのです。私が着ています防災服は砂の色と同じなのです。もし私が二次災害で砂に埋まってしまったら、どうして私がわかるのだろう。土砂の色と防災服が同じ色では防災服にならない。私は、少なくとも、そういう意味では、夜光性塗料、発光体をつけまして、夜になってもライトが当たれば自然発光もして、災害者があそこにいるということがわかるだけでも多くの人命を救助できるのではないかと思って考えたわけでございます。  また、腕なんかも全部ジッパーであくようにしまして、腕が折れたらすぐジッパーをおろしてそこを止血するとか板を当てるとか、そういうことも考案いたしました。  これは、男性用も既に総理にもプレゼントしてございます。男性用も用意しておりますので、なるべく安い費用になればと、多くの皆さんに御利用いただければと。機能的だと私は思っております。デザイン等々に関しましては、一度北村先生にも着ていただきますと、男性のモデルとしてぜひ御愛用いただければ、多くの皆さんに希望を与えることになるのではないかと思いますので、またその御意見も聞かせていただきたいと思います。
  130. 北村誠吾

    北村(誠)委員 ありがとうございます。そのすばらしい防災服を着た国会議員が現地を訪れれば、彼らが救ってくれるのではないかと言われるような国会議員に私も一日も早くなりたいというふうに思います。また、おっしゃられるように、やはりいろいろな場面で目立つということは非常に大事なことで、私はごらんのとおりの体型でありますから、モデルにはちょっとたえかねると思いますが、そこら辺はいかような場合でも通用するような防災服ということで、いいものができるであろうとまた期待をいたしております。  さて、質問に入らせていただきます。  私は、特に三宅火山活動及び新島神津島近海地震等の災害についてお尋ねをさせていただきます。  三宅雄山火山活動に端を発して、この島々における火山噴火及び地震活動は、発生以来既に三カ月災害が続いております。三宅島、新島神津島等に甚大な被害発生させています。目の当たりに見ました。  とりわけ三宅島では、朝から何遍も言われておりますとおり、全島民島外避難ということであり、六百人の方々の所在、行方が今のところつかめていない。これは、私は大変重大なことであるというふうに思いますので、後ほどお尋ねをさせていただきますけれども、非常事態に至っておりますし、緊急かつ深刻な事態に対応するために速やかな財政支援及び関係法令の弾力的な運用というものが求められ、なおかつ火山噴火地震の予知の観測監視体制強化ということが特段に求められておると思うものでありますので、時間の許す限り、順次お尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  まず、建設省関係につきまして、災害復旧事業にかかわる査定設計、その委託、また査定設計の間における人的な不足、これらの支援ということについて、今次災害においても、それぞれの島、それぞれの村、あるいは都が責任を持ってそのような陣容を整えることができればよろしいけれども、やはり地方団体ではなかなかそのようにいかないのではないかというふうな懸念がありますので、ここら辺のことについて、国としてどのような対応考えておられるか。  さらに、降灰の除去事業の採択要件のことでありますけれども、都市公園以外の公園や、公共性また必要性の高い広場や道路、こういうものについて活動火山対策特別措置法の降灰除去事業の対象とすることはできないのか、ここら辺についてもお聞かせいただきたい。  さらに、災害関連の緊急事業につきましては、単年度ということが事業の原則とされておりますけれども、これだけ地震噴火が続くということであれば、被害の規模が拡大していくということでもありますので、事業年度の延伸につながるようなこと、あるいはそのような取り扱いというふうなことができないのか。  さらに、先ほど大臣から新島のお話がございましたが、安全性に配慮して、トンネルなどによって道路をつけかえる、迂回路を設けるというふうなことについても災害復旧事業の対象とすることができないか。  実は、私の記憶に間違いがなければ、島原半島の火砕流あるいは土石流をよけるために、それと立体交差をするような形で迂回路をつくっていただき、それをさらに高規格道路に立ち上げていくというふうな工夫をしていただいた。そういうこともありますので、この迂回路的な考え方というのは、安全のため、人命を確保するためにも、また、大臣が先ほど、勇気を奮ってみずからの命を賭して通過されたという道路、多分、私も新島視察の折に見せていただいた、あの恐ろしい絶壁の高いところ、下は港というところではないかというふうに思うわけです。  ちょっと散漫な質問になりましたが、今述べたことにつきまして、参考人で結構でございますから、御答弁をお願いします。
  131. 竹村公太郎

    ○竹村政府参考人 災害復旧関係に関しまして、私の担当しているところで三点御質問がございましたので、お答えさせていただきます。  まず第一点、災害復旧事業にかかわる査定の設計に関した費用の補助についてでございますが、これは特別な構造物についての査定、調査の部分につきましては、五百万円以上で、かつ、決定工事費に対する割合が七%以上であるものにつきましては設計委託の補助を実施しております。また、激甚災害指定された災害の場合には、今言った基準とはかかわりなく、幅広く補助対象として設計委託を採択しているところでございますので、今回の災害につきましても、本制度を適切に適用して、地方公共団体財政支援に努めてまいりたいと考えてございます。  二点目を抜かしまして、三点目の御質問でございましたが、災害関連緊急事業は単年度事業とされているが、事業の実施年度の延伸についてはどうかという御質問でございます。  災害関連の緊急砂防事業に関しましては、原則として年度内に完成の見込みのある砂防ダムを新たに整備するという事業でございますが、通常、甚大な被害発生した場合には、災害発生した年には、災害関連緊急砂防等事業により実施しまして、次年度以降は、砂防激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業を実施しているところでございます。  また、火山噴火に伴う災害につきましては、その規模が大変大きくて、対応する施設も大規模となることから、通常の激特事業の三年である事業期間を五年に延伸するなどを目的としましたいわゆる火山激特を、平成十三年度の新規事業として現在要求しているところでございます。このような火山激特事業により、火山噴火に伴う再度災害に万全を期していきたいと考えてございます。  最後の、安全性に配慮したトンネル等による復旧工事はどうかというお尋ねでございます。  今委員御指摘のように、災害復旧というのは、もともと原形に復旧するというのが基本となっておりますが、道路等におきましては、原形に復旧するのが不可能な場所、非常に災害が激しくて、施工性、安全性、経済性等から見てこれは不可能だというときには、トンネル等による新ルートでの復旧も可能でございます。  もちろん、その機能が増強するようなときにも災害関連事業の制度が用意されておりまして、今回の新島におきます檜山地区、木戸の坂地区等も原形復旧が不可能だと判断してございますので、現在東京都では、トンネル等で対応策を考えている状況にございます。
  132. 山本正堯

    山本(正)政府参考人 お答えをさせていただきます。  先生御指摘の、公園あるいは私道等の降灰除去対策事業でございますけれども、活動火山対策特別措置法第十一条におきまして、降灰除去事業の対象につきましては、市町村が行う一定の道路あるいは下水道、都市排水路あるいは公園または宅地に係る降灰を除去するものというふうに法令上されておるところでございます。  委員お尋ねの、都市公園以外の公園でありますとか私道、ヤードに係ります降灰除去事業につきましては、被災地状況を十分踏まえた上で、法令の弾力的運用により公園あるいは宅地として対応できないかどうか、今後検討してまいりたいというふうに思っております。  特に公園につきましても、都市公園法上の公園でなくても対象となる場合があるということでございますので、弾力的な運用を検討してまいりたい。あるいはまた、私道、ヤードにつきましても、宅地と一体のものとして運用できないかということについて、前向きに検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。  以上でございます。
  133. 北村誠吾

    北村(誠)委員 非常に前向きの御答弁をいただいて、ありがとうございました。  時間がないので、厚生省に、今我々が重大な関心を持っております介護保険にかかわる部分について、一点お尋ねをします。  災害に伴いまして、介護保険、この認定の処理等の遅延、これによって著しく制度が完璧に行われないというか、困った人たちが出てくる。しかも、島を離れて東京都内で過ごす方がほとんどでありますけれども、また東京都以外の方もいらっしゃるということでもありますし、NHKの昨晩の報道によれば、四国から青森までずっと広がっておられる。捕捉も大変じゃないかと思いますが、この認定、あるいは期限が来たときにこれを継続していく資格をきちんと得るということのために、厚生省ではどのような仕組みを用意されておるか、考えておられるか、御答弁をいただければと思います。
  134. 大塚義治

    大塚政府参考人 介護保険における認定に関する問題でございますが、ちょうど時期的に介護保険が始まりまして約半年が経過をいたすものですから、いわゆる認定の更新の時期に当たってきております。  三宅島の島民方々の中で、要介護認定を受けている方でちょうど更新期に当たる方が相当数おられまして、今日のような現状でございますので、若干事務のおくれが生じております。  既に五十八人の方が更新を終えられておりますけれども、九月末で更新期を迎える方が、残りまだ五十七人程度おられる。こういう方につきましては、こうした特殊な事情でございますので、要介護認定審査会が開ければもちろんよいわけでございますが、なかなかそうも簡単にまいらないということで、努力をしていただいておりますが、とりあえず資格証というのを発行いたしまして、要介護認定をその間に受けていただく、その間は介護保険によるサービスが継続的に受けられる、こんなような措置を講じております。  引き続きまして、東京都あるいは関係庁と連絡をとりまして、受給者の方々のサービスが途切れたり不十分になることのないように努力をしてまいりたいと考えております。
  135. 北村誠吾

    北村(誠)委員 いろいろ微妙なこともあり、間違えてもそういう避難をしておられる方々が希望を失うことがないように、きめ細かくやっていただきたいと重ねてお願いをしておきます。  時間がないので、まとめて二件お尋ねをします。  まず第一点は、郵政省の関連と思いますけれども、NTTの電話の回線、センターとまでは言わないのかもしれませんが、三宅島が一つのキーになって、それから御蔵島、青ケ島、かれこれそれぞれの島につながっておるというふうな状況である。したがって、既に東京電力の発電は三宅島においてはとまっておる。NTT独自の電源でもってこれを維持する。そこに大変な御苦労をいただいておるということを承知しておるわけでございます。  そこの辺で、仮に、このNTT電話回線によっていろいろな仕事がなされておる。例えば、冒頭申し上げましたように、観測データの送信、受信、あるいはそれに基づいてのいろいろな判断をするための準備、そういうことのために、どうしてもNTTの電話回線というものは大事である。これをきちっと守る。また、三宅島から先の電話回線が、どんなに小さな島でも、どんなに小さな人口であってもきちんと大事にされておるということ、先はまた八丈島もあるわけですけれども、そこら辺についてNTTの所見を聞かせていただきたいと思います。  もう一点は、自治省の方にお尋ねをします。  十月一日の国勢調査のことにつきましては午前中に御質問もあっておりましたけれども、私は、不明者が六百名というふうなこと、こういったときに国勢調査はどのようにするのであろうかという疑問もあります。国勢調査は法律で、国勢調査の目的以外の用に使わないという約束を国民にするから、なかなか転用はできないのかもしれませんが、災害の緊急、このような場合に、国勢調査をするそのときに、戸別の訪問をして面接をする、そしてあの票を回収する、こういう人が必ず回るわけでありますから、大変便宜的でルーズな考え方かもしれませんけれども、せっかくならこういう機会を生かして、戸別訪問する回収者の方が、三宅島から来ておられる方はいらっしゃいませんかと聞くというふうなことはできないものか。  この点について、村、都、自治省、あるいはけさほどの答弁の中の言葉にありましたが、国勢調査関係当局という言葉を御答弁の方がおっしゃった、私はメモがありますけれども、そういうふうにも思いますので、この災害時に、日本国民で六百人、東京中心にしてこの本土におるというけれども、なかなかその所在がわからぬというのは、大変悲しい、申しわけないことだ、それぞれの都合で行っておられる方もあるかもしれませんが、非常に残念なことだと思いますので、村の財政、普通交付税等の算定など、いろいろな問題もあろうという懸念も抱きながら、そこら辺の気持ちを酌んで御答弁をいただければというふうに思うんです。お願いします。
  136. 天野定功

    天野政府参考人 ただいま先生御指摘のように、三宅島におきましては、現在、商用電源が供給されておりません。このような状況におきまして、NTTの通信の状況でございますが、自家用発電機のない電話局一局、携帯電話基地局二局は運用を停止いたしておりますが、電話局二局、無線中継所一カ所、携帯電話基地局一局は自家用発電機及びバッテリーにより運用をいたしているところです。  自家用発電機への燃料補給あるいは潤滑油の交換は、火山活動状況等を見ながら入島して行っているわけでありますが、燃料の補給等ができず、バッテリーも消耗した場合には、現在運用中の電話局等もすべて運用が停止することが予想されます。そのような場合には、三宅島はすべて通信サービスが停止する、影響を受けるわけですが、それのみならず、先生御指摘のように、ここを経由しております神津島、御蔵島、青ケ島につきましては、島内電話は別ですけれども、電話、ISDN回線、専用線と携帯電話のサービスは影響が生じますし、また八丈島につきましても、ISDN回線、専用線及び携帯電話が影響を受けることが予測されます。  これの対策といたしましては、NTTでは、衛星回線を利用した特設公衆電話を設置したり、あるいは専用線の衛星回線への振りかえ等の準備を現在行っております。また、ふくそう対策といたしまして、災害用伝言ダイヤルも、伊豆諸島におきましてはもう既に運用を行っております。  郵政省としましては、引き続き、三宅島におきます通信サービスの供給が確実に確保されますよう、状況に応じて適切な措置がとれますよう、電気通信事業者を指導してまいる所存でございます。
  137. 嶋津昭

    嶋津政府参考人 お答えいたします。  十月一日の国勢調査につきましては、東京都におきまして、三宅村と総務庁の国勢調査関係部局と協議をしていただきまして、三宅村からの避難者についての正確な調査を期するために、あるいは今後の復興対策や災害対策に必要な資料を得るために、総務庁におかれまして、三宅村からの避難者に係る集計を別途行うこととする、また三宅村の島外避難者が島に戻った段階におきまして、三宅村が行政需要の基礎となる人口を確定するための人口調査を自治体において別途行うということを、協議して決めておられます。  したがいまして、私ども、普通交付税の算定におきましても、このような補足調査状況をも勘案しながら、来年におきまして、その時点におきます三宅村の行政需要をできるだけ正確に算定できるような方法で、これらの国勢調査なりその他の統計調査、補足調査等を考え合わせながら適正な方法をとっていきたいというふうに考えております。
  138. 北村誠吾

    北村(誠)委員 どうもありがとうございました。
  139. 中山成彬

  140. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 保守党の西川太一郎です。  このたびの有珠山三宅島、また愛知県の大豪雨等々で犠牲になられたり被災をされました皆様に、哀悼の意をささげ、またお慰めを申し上げたいと存じます。  日本災害列島、これは私どもは不可避的に受けとめながら、これにかっていかなければならない。こういう観点から、きょうは、三宅島の問題を中心に、大臣並びに政務次官の皆様方にお尋ねをしたいというふうに思います。お忙しいところ御出席、御苦労さまでございます。  そこで、早速でございますが、まず初めに気象庁長官にお尋ねを申し上げます。  午前中、民主党の松原仁先生からお尋ねがございました点につきましては、私も同じ思いでございますが、時間の関係で重複を避け、この問題は割愛をさせていただきますが、一点、避難をされております島民の皆さんはいつ帰れるのだろうか、これは非常に大切な問題でございます。  これに関連して、これはなかなか難しいことであろうと素人でございますが想像いたすのでございますけれども、今後の三宅島の火山活動の見通し、帰島の問題に関連して、気象庁長官の御見解を承りたいと存じます。
  141. 山本孝二

    山本(孝)政府参考人 今回の三宅島の火山活動でございますが、噴火当初の六月二十六日から二十九日にかけましては、これは従来の三宅島で起きているようなマグマ活動でございまして、この段階では、マグマの動向が極めて明確にわかっていたところでございます。  しかし、その後、七月になりまして、山頂噴火があった上で、大規模な山頂陥没だとか地殻変動にも、ステップ状の変化という、私ども経験のないような活動様式になりまして、火山活動の見通しを得ることが非常に困難な状況になっているのが事実でございます。  しかし、その一方で、噴火メカニズムに関しまして、火山噴火予知連では、さまざまな角度からの検討が進められておりまして、一応、現時点では、噴火のメカニズムそのものについては、ほぼ解明できているのではないかと思っております。しかしながら、今後の推移について、そのメカニズムがどのように動くのかということについては、現時点での私どもが持っている知見では、率直に申し上げまして、なかなか難しいところでございます。  九月になりましてから火山ガスの放出量が非常に多くなっているということで、マグマ活動とのカップリングによってそれが出ているのは確かでございまして、現在のところ、このガスの放出というのは当分の間続くというのが、大筋の科学者の一致した見方でございます。  いずれにしても、これらの問題について、あす、火山噴火予知連伊豆部会を開催いたしまして、このメカニズムについての詳細な検討を行う予定でございますし、その後、観測データの整理に合わせまして、今月の中旬あるいは下旬に、再度、今後の見通しを含めた検討を行うということで、いましばらくお時間をおかしいただきたいというのが現在のところの状況でございます。
  142. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 災害には、起こってしまった後をどうするかという対策を重点に置くものと、それから今のように、科学的に粋を集めても自然が相手でなかなか予測がつかない、しかし、しっかりとこれを観測し、でき得べくんば、いろいろな予測、予知も加えながら対応していかなきゃならぬ、こういう難しいものがある。今の三宅島は、まさに後者のものでございましょう。  したがいまして、御苦労は多とされるわけでありますけれども、しかし避難をされている方々からすれば、ぜひひとつ明確な方針を打ち出せるように、なお一層の御奮闘をお願いしたい。その基礎には、気象庁さんの観測というものが大いにあずかって力あるものでありますから、私からもこれはよろしくお願いをしたいと思って、御要望申し上げます。  そこで、扇大臣にお尋ねをいたすわけでございますが、火山噴火をして、地震の予知というのはなかなか難しいようでありますけれども、しかし、観測監視の体制は依然として強めていかなければならぬ。  けさの一部の新聞報道に、東京都のいわゆる観測をする方々のチャーター船が、火山ガスが非常に濃密になってきて、三宅島の港に係留をし、そこに本部を置いておくことが危なくなって、よそに移すというようなことが報じられておりました。  ということは、これは、すぐどうということじゃない、なかなか大変なことだなと私は心配をいたしているわけでありますけれども、現在全島避難が行われた一方で、いつでも島民は、帰って、自分のふるさとで暮らしたい。島を捨てたいというふうに思っている人はいないわけでありまして、道路でありますとか水道、電気等のライフラインというものを、いつでも使えるように、再開できるように確保しておいていただきたい。このために、東京都初め多くの防災関係者方々島内活動してこられたわけであります。  しかし、これらの方々の、いわゆる防災関係者安全確保というものを、そして島外避難者の一時帰宅、帰島時期の判断というものについては、先ほどから申し上げているとおり、火山活動の、例えば噴火火砕流火山ガス、こういうものがどういう状態なのかとか、また地震はどうなのかとか、そういうものを観測監視をする体制が非常に重要であり、これを強化していただくことが必要でございます。  けさほどの大臣のお言葉の中に、九月十二日に予備費を約十四億円投入されることの御披露がございました。また、九月十九日には公共事業等予備費を九十六億円復旧事業に投入してくださるということも御表明がございました。  こういう点、承知をいたした上でのお尋ねでございますが、帰島に備えて、また、この予測というもののデータを確保するための監視観測体制強化ということについての御決意を承りたいと存じます。
  143. 扇千景

    扇国務大臣 西川先生から、三宅島に集中しての御審議をいただきました。午前中からもお答えしておりますけれども、特に三宅島におきましては、私も全島避難した皆さん方にお会いをし、御要望も聞きましたけれども、本当に一日千秋の思いで、自分がいなくなって三宅島がどうなっているんだろうという、先ほどからもお話ございましたように、多くの皆さんから、不安と、そして危惧する話がるるございました。  御指摘のとおり、三宅島で作業をしております防災関係者、この安全確保とか、あるいは島外避難されている方々のその切なる思いというもの、帰島についての適切な判断のためには、火山活動等の動向の迅速かつ適切な把握が必要であるというのは言うまでもございませんし、そのためには、監視観測体制強化は極めて重要でございます。  今、西川先生が御指摘ございましたように、私どもは九月の十二日、そのうちの十四億円を、予備費を使いましてこの監視観測体制強化に当たったわけでございますけれども、これを受けまして、上空でのガスの成分の観測等、三宅島に機器を設置せずに実施することができる観測監視体制強化については、即座に今これを実施しているところでございます。  三宅島への観測機器の設置につきましては、火山活動により被災した機器の代替機器の設置、あるいは太陽電池等によります観測機器の耐障害対策を進めております。しかしながら、九月の十日ごろから、御存じのとおり高濃度の火山ガス発生をしております。設置作業が当初予定よりもおくれていますことは現実でございますけれども、何よりも人命第一という観点のもとに、少々作業がおくれていることは御寛容賜りたいと存じます。  今後は、火山ガスに対する十分な安全対策を講じながら、残りの機器につきましてもできるだけ早期に設置できますように、国の関係機関あるいは東京都と連携しながら進めていきたいと存じております。
  144. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 続いて、運輸省の泉総括政務次官、郵政省の佐田総括政務次官にお尋ねを申し上げます。  観測機器の動力というのは、御承知のとおり電力であります。観測結果を送信するNTT等の電気通信設備、また航空管制のための無線設備など、三宅島内で維持しなければならない重要な設備の動力は、すべて電気、電力でございます。三宅島が無人島化し、送電がとまった場合、三宅島の航空関係施設への影響伺いたいと思います。  そして、佐田政務次官に伺いたいことは、離島にとって通信手段というのは大変重要なことは言うまでもありません。これを確保するために、先ほど北村委員からもお尋ねがございましたが、NTT等の通信機器の停止に伴う影響というものはどんなものがあるのか、これをお尋ねしたいと思います。  これは政府参考人の方でも結構ですが、どうぞよろしくお願いします。
  145. 泉信也

    ○泉政務次官 三宅島内にございます発電施設等の送電停止が行われた場合の対応策についてのお尋ねだと思います。  確かに、今、三宅上空を通って、新東京国際空港、成田に発着する航空機がございます。この航空路を飛行いたします航空機に対します位置情報というのは、航空保安施設が島内に設置されておりますので、ここを当然経由していくわけです。仮に電力の供給あるいはNTT回線が断たれた場合、当然この運用を停止しなければならない、そういう事態が発生することになりますので、既にこうした場合を想定いたしまして、他の航空保安施設を活用する迂回航路を設定しておって、そのような航空路の保全を図っておるところでございます。
  146. 佐田玄一郎

    ○佐田政務次官 今、西川委員の方からもありましたように、こういう状況の中で、電気通信関係のネットワークが非常に重要になってくるわけであります。  三宅島には、NTTの通信回線を使用し運用されている航空関係施設、今運輸省の方からも御報告があったとおりでありますけれども、そしてまた、三宅島の近隣の島々における通信回線を中継している電話局があるため、これらの通信機器等が停止した場合に島の内外に大きな影響が出る、こういうおそれが危惧をされておるわけであります。  現在、火山ガスが出てきたり大変な状況の中で商用電源が供給されていないということがありまして、いわゆる電気設備がないわけでありまして、そういう中におきまして、三宅島の電話局に設置されている自家用発電機及びバッテリーを用いまして、燃料を供給しながら、これは近くの島から燃料を持っていってやっているわけでありますけれども、補給しながら通信回線の確保を行っているところであります。今後も、引き続き通信回線の確保に努めていくところであります。これは、島のところに発電機がありまして、神津島の方から燃料を持っていって、そこで自動的に動かして発電をしているという状況であります。  また、三宅島の近隣の島々における通信回線については、万が一に備えまして、これがだめになった場合には、衛星回線を利用した特設公衆電話を設置する等、準備を進めているところであります。この周りに、御蔵島であるとか八丈島、そしていろいろな島がありまして、そういうところに、最悪の場合には衛星通信を使いましての電話機を取りつけていきたい、かように思っております。  また、電気通信事業者に対し、引き続き伊豆諸島災害及び周辺での通信サービスの確保をしっかりと、そういう意味において、最悪の場合は衛星へ持っていく、そういうふうなところで、すべてにおける、どんなことになっても確保できるように、今考えているところであります。  以上です。
  147. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 次に、生活支援について伺います。  十七年前、昭和五十八年、私は東京都議会議員でございましたが、そのときにも三宅島が水蒸気爆発を起こしまして大変なことになったことを思い出しているわけでありますけれども、その当時、家屋でありますとか事業の損害を復旧するために、公的融資に頼らざるを得ない人が大勢いたわけであります。これはもうほぼ返し終わっただろうと思いますが、加えて、今度の災害でまたそういう借金をせざるを得ない状況に追い込まれる方々がいます。  住宅等いろいろなことがございますけれども、私が伺いたいのは、これから安定して、島に皆さんが帰って、さあ観光事業だ、お土産屋さんだ、御商売だ、農水関係も、アシタバやいろいろなものをつくらにゃいかぬ、こういうことになると思います。  一つ代表的なものとして、観光事業のお土産屋さんなんか、伊藤通産政務次官、こういう方々生活再建のために、これも午前中、中村中小企業庁長官の御答弁にありましたけれども、いわゆる特別融資枠の制度と何も変わらぬじゃないか、その枠の中で幾ら七兆円残っていたって、それでやられたんじゃ、不況で借りてしまって追い打ちの災害で借りることができないという御質問があって、そうだな、ここがちょっと抜けてたかなと、私もかかわった一人として感じたのですけれども、ここのところをひとつ、通産省、特段努力をしていただきたいと思いますが、御決意はいかがでしょうか。
  148. 伊藤達也

    ○伊藤政務次官 今西川先生からお話がございましたように、被害に遭われている中小企業者に対して、しっかりとした対応をしていかなければいけないというふうに私たちも考えております。  そういう意味からも、政府系の中小企業金融機関三機関で特別の相談窓口というものを設置して、きめ細かく御相談に今乗らさせていただいております。  さらに、融資の別枠を設けておりますし、そして、売り上げが全くない状況に今ありますので、中小企業信用保険の限度額の拡大といった措置を講じているところでございます。  さらに、弾力的な運用をしていかなければなりませんので、返済猶予、既往債務の条件の変更あるいは担保の徴求の弾力化、そしてさらには、貸し付けたお金の返済の据置期間中の利子の支払いというものを年一回にする、そういった弾力的な措置を、政府系のこの三つの中小企業金融機関並びに信用保証協会に対して、被害の実態に応じて親身に対応するように今指示をいたしているところでございます。  さらに、災害の長期化に伴いまして、九月の十二日の閣議決定により、災害復旧貸し付けの金利を引き下げる、そして、結果的には著しい被害を受けた中小企業者に対して無利子融資となるように、国と自治体が協力して利子補給を行うことも決定をいたしているところでございます。  今後とも、三宅島の噴火活動終息をし、そしてその復旧活動に支障が生じないように、しっかりとした対応を講じていきたいというふうに考えているところでございます。
  149. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 これは次の質問にもかかわることでありますけれども、スキームはきちっとできても運用に血が通っていないと、特にこういうときには、つらい思いをしておられるわけでありますから、伊藤政務次官、これは政府系金融機関三つの関係者にも、保証協会にも、スピーディーに温かく対応をされるようにぜひひとつ御指導をお願いしたい。これはお願いを申し上げておきたいと存じます。  続けて、厚生省の福島厚生総括政務次官にお尋ねをいたします。  福島さんはお医者さんでもあられますから、この質問をよくわかっていただけると思うのですが、私もNHKのニュースでしか存じなかったのですけれども、実際に現場避難された先にも、いろいろ問い合わせをしてみました。  問題は、高齢者のひとり暮らしの方々が、コミュニティーが自然災害でばらばらになって、そして受け入れる東京都も、できるだけ近隣の方々のいるところで、おじいちゃん、おばあちゃんを面倒を見てくれそうなところに受け入れようと努力をしていますけれども、なかなか受け入れる公的住宅がうまいぐあいにあいていなかったりしております。ひとり暮らしの方々が寂しい思いをしてふるさとを離れているということは、ストレスも募るし、いろいろな意味でお気の毒なことだと思うのですね。買い物も近所づき合いもなかなか思うに任せない、そしてこれが健康の不安につながっていく、こういうこと。  これは、もちろん一義的には東京都の仕事であることは重々承知をいたしております。しかし、災害時における高齢者に対する対応のあり方、対策という言葉は使いたくないのですが、わかりやすいから使いますが、対策。それから、今後、これはひとり三宅島の問題だけじゃないと思うのですね。したがって、そういう観点から、一般論、普遍的なものとしてお尋ねをするのですが、特にこういう罹災をされた高齢者の方々に対する、阪神大震災の後もいろいろなことを聞いておりますが、こういうことに対する国の一つの方針というものをしっかり打ち立てるべきじゃないかと思いますが、お尋ねをしたいと思います。
  150. 福島豊

    ○福島政務次官 先生が御指摘いただきました点は大変大切なことだと思っております。阪神・淡路大震災のときにも、高齢者の方が、いわば災害弱者ということで、大変大きな、生活上の困苦のみならず、精神的そしてまた健康面での影響を受けられたと私も承知をいたしております。  現在、東京都下の各市区町村におきましては、東京都の指導のもとで、地域の在宅介護支援センターと連携しつつ、島外避難されている高齢者からの介護サービスや生活支援などの相談に応じるとともに、それぞれの方々状況に応じた適切なサービスの提供に努めておられるというふうに承っております。  特に、このような高齢者の方々の不安が解消されるよう、市区町村が介護及び生活支援事業としてきめ細かな生活援助サービスを実施する場合には、厚生省からその事業に対して補助を行うこととなっております。  引き続き、東京都と連携を密にいたしまして、こうした市区町村における取り組みというものを積極的に支援をしてまいりたいと思っております。
  151. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 ぜひ温かくやってあげていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。  最後に、防衛庁の鈴木政務次官にお尋ねをしたいと思います。  このたび、どの災害においても、防衛庁、自衛隊のお働きぶりというのは非常に見事であるというふうに思います。それぞれのところで国民の皆さんから大いに頼りにされる組織として陸海空の三つの自衛隊が本当に寝食を忘れて御努力をされている姿、私は、とうといものであり、自衛隊の存在意義というものが、大いに、別の意味で、国を守る、国防という本来のお仕事と同じように、災害に対する御努力が敬意を払われたというふうに思います。  今後、三宅島に関していえば、先ほど来話題にしておりますように、島民が帰島をいたす場合には即生活ができなければ困るわけで、いわゆるライフラインの復旧というもの、火山灰に雨が降ってコンクリート状に固まって、お年寄りや島の素人の方々ではこれを除去するなんということは大変なことでありまして、こういうときにやはり自衛隊が出動をして、降灰、泥土、こういうものを除去して、そしてライフラインを復旧し、生活環境を、いきなりもとに戻せないにしても、それに近い状態にしてさしあげるということは、大変崇高な任務だと思います。これをぜひやってほしいと思いますが、御決意を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  152. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 今、西川委員から自衛隊三宅島での災害派遣活動につきまして大変高い評価をしていただきまして、本当にありがたく思っているところでございます。  御案内のように、ちょうど六月の二十七日、東京都知事からの災害派遣要請を受けまして、当時は西川委員が私の前任の防衛政務次官ということでございましたけれども、それ以降、避難住民に対する生活支援、航空機による航空偵察あるいは人員、物資の輸送等、大きな活動を積極的にさせていただいているわけでございます。  また、大規模な噴煙が発しました八月の十八日以降は、泥流等の発生により特に被害の大きいと予想される箇所の土のう積み、そういうようなことを含めまして、降灰の除去等一生懸命やってまいったわけでございます。  現在は、神津島等に陸及び海自の連絡要員を配置いたしまして情報収集活動を行いますとともに、八月二十九日以降も、ライフライン維持のために三宅島内活動する防災関係者等の島外避難に備え、沖合で、艦船、護衛艦、これを待機させております。また、気象庁の関係者等による火山監視あるいは観測支援業務を海上自衛隊の大型航空機で支援できるような態勢を実施しているということでございまして、懸命の支援をしている、そういう状況でございます。  今お話ございましたように、大変御苦労をいただいている島民の皆さんの帰島に際して、物資の輸送、降灰、泥土の除去等の支援が必要、そういうようなことが考えられるところでございますので、防衛庁といたしましても、これらの支援に遺漏なきを期すように、東京都あるいは他の関係機関と十分な調整を行って、積極的に対応してまいりたい、このように思っているところでございます。
  153. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 扇長官、大変めり張りのきいた行動が、今国民の皆さんから、非常に頼りになる、こういうふうに評価を受けているというふうに、私もわきからも聞きますし、私もそう思います。  母は強し、こう申しますから、どうぞ長官避難に遭われている方々のお母さんになったような気持ちで、ひとつ温かい、災害復旧を含めた対策をしっかりとやっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  154. 中山成彬

    中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会