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2000-11-08 第150回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月八日(水曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 井上 義久君    理事 岩屋  毅君 理事 古賀 正浩君    理事 竹本 直一君 理事 野田 聖子君    理事 田中 慶秋君 理事 樽床 伸二君    理事 山名 靖英君 理事 山田 正彦君       伊藤 公介君    岩永 峯一君       植竹 繁雄君    木村 太郎君       阪上 善秀君    桜田 義孝君       田中 和徳君    中野  清君       西野あきら君    蓮実  進君       林田  彪君    菱田 嘉明君       阿久津幸彦君    後藤  斎君       今野  東君    武正 公一君       前原 誠司君    吉田 公一君       渡辺  周君    山岡 賢次君       塩川 鉄也君    中西 績介君       西川太一郎君     …………………………………    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      扇  千景君    国土政務次官       蓮実  進君    建設政務次官       植竹 繁雄君    建設政務次官       田村 公平君    政府特別補佐人    (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局    経済取引局長)      鈴木 孝之君    政府参考人    (国土庁土地局長)    河崎 広二君    政府参考人    (運輸省航空局長)    深谷 憲一君    政府参考人    (建設大臣官房長)    小川 忠男君    政府参考人    (建設省建設経済局長)  風岡 典之君    政府参考人    (建設省住宅局長)    三沢  真君    建設委員会専門員     福田 秀文君     ————————————— 委員の異動 十一月八日  辞任         補欠選任   木村 太郎君     伊藤 公介君   今野  東君     後藤  斎君   平野 博文君     武正 公一君   野田  毅君     西川太一郎君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     木村 太郎君   後藤  斎君     今野  東君   武正 公一君     平野 博文君   西川太一郎君     野田  毅君     ————————————— 十一月二日  不況打開国民本位公共事業建設産業民主的転換に関する請願(阿部知子紹介)(第八四七号)  同(石井紘基紹介)(第八四八号)  同(五島正規紹介)(第八四九号)  同(塩川鉄也紹介)(第八五〇号)  同(菅原喜重郎紹介)(第八五一号)  同(永田寿康紹介)(第八五二号)  同(楢崎欣弥紹介)(第八五三号)  同(肥田美代子紹介)(第八五四号)  同(松本龍紹介)(第八五五号)  同(横光克彦紹介)(第八五六号)  同(安住淳紹介)(第九〇九号)  同(筒井信隆紹介)(第九一〇号)  同(不破哲三紹介)(第九一一号)  同(山内惠子紹介)(第九一二号)  同(山口わか子紹介)(第九一三号)  同(山村健紹介)(第九一四号)  同(吉田公一紹介)(第九一五号)  同(赤嶺政賢君紹介)(第九五六号)  同(植田至紀紹介)(第九五七号)  同(田中慶秋紹介)(第九五八号)  同(春名直章紹介)(第九五九号)  同(吉井英勝紹介)(第九六〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案内閣提出第一〇号)     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 井上義久

    井上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として建設大臣官房長小川忠男君、建設省建設経済局長風岡典之君、住宅局長三沢真君、国土庁土地局長河崎広二君、公正取引委員会事務総局経済取引局長鈴木孝之君、運輸省航空局長深谷憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井上義久

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 井上義久

    井上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。
  5. 竹本直一

    竹本委員 おはようございます。自由民主党の竹本直一でございます。  昨今非常に議論のテーマになっております公共事業の本質及びその実態、そして将来の問題点等につきまして、私の日ごろ考えていることを中心に御質問させていただきたいと思います。  公共事業は、国民の生活や経済の発展には欠かせないものだと私は考えておるわけでございますが、ノーモア公共事業というようなことで、もはや公共事業は要らないという議論が一部にはあるわけでございます。  しかし、冷静に考えますと、いわゆるインフラ整備状況を考えますと、日本アメリカとを比較いたしましても、下水道普及率は、日本は約六〇%、アメリカは七一%という数字でございます。また、公園の一人当たり面積を見ますと、全国平均日本は一人当たり七・九平米、ところがアメリカの場合は、これは国土が大きいから当然といえば当然ですけれども、二十九・三平米。また、住宅の広さを比較いたしますと、日本は三十三平米、ところがアメリカは約倍の六十平米。大体こういうふうになっておりまして、とてもとても、社会インフラ整備におきまして十分発達した先進国とは言えない状態。例えば、よく言われますように、シンガポール比較いたしましても、シンガポールの方がインフラ先進国ではないか、このように私は思うわけでございます。  そういう意味におきまして、まだまだ公共事業を積極的にやり、そして、こういった社会資本整備をきちんと進めていく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。  ところで、昨今の公共事業に対する批判は非常に厳しいものがあります。まるで公共事業が罪悪であるかのような批判も一部にありますけれども国民の貴重な税金を原資としてつくるものでありますから、国民理解協力をもとにその整備を推進していかなきゃならないことは当然でございます。したがいまして、これらの批判のうちに、反省すべき点は真摯に受けとめ、また改めるべきものは改めていくという姿勢が大切でございます。  こういった観点から、与党三党におきまして、公共事業抜本的見直しに関する三党合意を取りまとめ、政府においても、具体的な検討、実現に御努力いただいているところであります。公共事業透明度を高めまして、国民信頼を得るためには、とりわけ公共工事入札契約制度の改善を図っていくことが必要でございます。  この三党合意におきましても、新法の制定を検討すべきだとしたところでございますが、この点に関しまして、今般、公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案が今臨時国会提出される運びとなりまして、大臣の強力なリーダーシップのもとに、三党合意取りまとめから即座に具体的な対応を図られたことに、まずもって敬意を表したいと思います。  そこで、今回のこの立法趣旨及びポイントとなる点について、大臣御所感冒頭お伺いいたしたいと思います。
  6. 扇千景

    扇国務大臣 おはようございます。  こうしてやっと皆さん方の御協力法案審議をしていただけることに対して、所管大臣として、まず冒頭、心から委員長初め皆さん方に御礼を申し上げたいと思います。  今御質問のございましたように、この法案に対しまして、何としても、この法案皆さん方の御協力で出し、そして通していただくことによって、今竹本先生がおっしゃいましたように、公共事業に対する世の中の風潮あるいは現実、新聞にマスコミに載りますような談合、丸投げ等々の、そういう国民に少なくとも疑惑を持たれるような公共事業であってはならないというのは、今竹本先生御説のとおりでございます。  戦後五十五年間、この法案が今まで一度も日本の中で論議されず、また立法もされていないということに対しては、私は大臣就任早々、何としてもこれを、完全な法律というものはありませんけれども、今世の中に言われておりますような談合だとか丸投げだとか、そういう公共事業の上に冠がつく、ばらまきだ、むだ遣いだ、そういうことが少なくとも抑制されるように、より国民のために、信頼の置ける公共事業たるべきものに立ち返るように努力するべきである。そのためにはどうすべきかということによって、大変性急ではございましたけれども、全省庁と内閣の御協力を得てこの法案を出すことができたというのが現実でございます。  ですから、今趣旨とおっしゃいましたけれども、根本的に、公共事業公共というのは何たるべきか、その公共というものの、ともに公に資する、そういう意味からしても、公共事業の正しい認識のあり方、国民公共事業に対する感覚、そしてマスコミ皆さんにたたかれることのような事例がるる起こることを最低限法律によって抑制し、真に国民信頼たり得る公共事業にしたい。その一念で法案を作成したというのが原点でございます。ぜひ私はそういう意味で、個々の内容についてはきょうるる御質問があろうと思いますけれども、まず、公共事業はどうあるべきかという原点に立って、国としてきちんとした法案を持ち得たいというのが私の立法に至った原点でございます。
  7. 竹本直一

    竹本委員 よくわかりました。ともかく、公共事業という一つの行為について、国民の真の理解を得る努力をされたことに対して、深い敬意を表する者の一人でございます。  さて、具体的な問題に入っていきたいと思います。いろいろ問題があります。そのうちの一つは、まずダンピングであります。  世の中、御承知のとおり大変な不況であります。不況でありますからどうしても仕事が欲しい。仕事が欲しいという中で、競争入札になります。そして、よくちまたで聞くわけでございますが、大変なダンピングが行われておる。そうすると、落札された価格で実際にその工事が実施できるのかどうかということが心配である。そこで、ヒアリング等を行っているという話も聞いておりますけれども、このダンピングは何としても、適正な工事の執行という意味においては非常に大きい問題であります。  したがいまして、ダンピングを防止するためにどういうような措置をとり、どういうふうな工夫をしておられるか。これを総括政務次官の方にお聞きいたしたいと思います。
  8. 植竹繁雄

    植竹政務次官 ただいま竹本委員からお尋ねがございました。公共工事は何といっても公平に、適正に行われることがその趣旨でございます。したがいまして、今お尋ねのように、低価格で受注されればいいということではないわけでございます。したがいまして、本法律におきましても、十五条におきまして、いわゆる適正化指針というものを規定しておるわけでございます。  もちろん、ダンピング受注というものは、今お尋ねのように、工事手抜きやあるいは下請等におけるしわ寄せ、あるいは労働条件の悪化とか安全対策の不徹底等になりやすく、また建設業の健全な発達を阻害している大きな要因でございます。  したがいまして、建設省におきましても、低入札価格調査制度の的確な運用というものを図っていくためにも、このたび、直轄工事対象にしまして低入札価格調査マニュアルというものを策定しまして、これを積極的に運用して、健全な同制度の適用を図っていきたいと考えておるところでございます。
  9. 竹本直一

    竹本委員 確かに、安かろう悪かろうでは困るわけで、やはり品質確保というのは絶対必要だと思うわけでございます。  その場合、例えば外国などの入札、いろいろな国により違いますけれども、一般的なのは、例えば入札をさせまして、そして一番安いところに当然のように落札しない。一番札、二番札、三番札ぐらいで一たん引き揚げて、そこでいろいろな技術力を問い合わせ、そしてそれ以外の例えばファイナンスが、どの程度の余分のファイナンスがつけられるか、こういったことも聞きながら、総合点において結果としては二番札のところが受注するとか、あるいは三番札が受注するとかいうことはよくあるわけでございまして、これは国際競争入札実態でございます。  そういったことを片目に見ながら、今総括政務次官お答えになったように、単に価格だけではだめだという趣旨を生かすために、そこでもう一つ指標を出す必要がある。そこで考えられるのは、やはり技術力評価ということだと思うのです。そこで、国内工事において、どういう技術を持った人がおれば当該の工事に参加させる、あるいはどういう程度技術であればだめだ、こういうようなこともやっておられるのだと思いますけれども技術ということをもう一つ指標にして、そして、結果としていい成果品ができるという一方の要請が絶対あると思うのです。  こういったことについて、この技術力活用評価という点において、いろいろな自治体とか直轄により違うと思うのですけれども直轄で結構ですから、どのような工夫をしておられるのかをお聞きいたしたいと思います。
  10. 植竹繁雄

    植竹政務次官 今お尋ね技術力という点につきましては、その重視のために、当該発注する対象物件によりまして、例えば河川なら河川専門とか、あるいはトンネルならトンネル専門とか、地質とか、そういうものに合った技術力中心にやっております。ですから、完工高に応じてどうということとあわせ、技術者数というものをいろいろ検討しながらやっております。  何といっても、我が国の場合は効率的に配分していくためにはどうしても、技術力を強化することから考えて、その技術力強化のために、民間のそういう技術力の高い人たちも、そういうものも検討しながらやっていくことを図っております。
  11. 竹本直一

    竹本委員 ちょっとよくわからないのですが、要は、当該受注した企業が持っている技術者の数とかそういったもので評価しておられるのか、あるいはそれ以外の、例えば過去における工事実績では非常にすばらしいものをつくっておる、そういったものを見る。その場合に、それが公共建物であるかあるいは民間建物であるかは問わず、そういったものをすべて調査して、そういったものを念頭に置きながら、こういう企業であれば入札に参加させるのは適当である、こういう判断をしておられるのかどうか、ちょっと確認の意味も込めまして、局長でもどちらでも結構ですからお願いいたします。
  12. 扇千景

    扇国務大臣 今お尋ねのことですけれども、基本的にどの業者適任者であるか、ダンピングだけではない、一番安い業者が必ずしも適格ではない、品質保持できるような業者選定する基準というのは那辺にあるかということに関しましては、御存じのとおり、適切な業者選定のために、実際の工事における受注者施工能力等、そういうものを的確に評価して、その成績の評価も以後の企業選定に反映させる、今までの実績を私どもはきちんと把握して、そして次の入札評価基準にする、そういう方式をとっておりますので、企業の持つ技術力を十分に加味して、ただダンピングだけでは、一番低価であるから入札するということではないということだけはぜひ御理解もいただきたいし、今の現状では、そういう評価方式企業というもののダンピング、安かろう悪かろうというものを防止しているということをぜひ御認識賜りたいと思います。  また、工事実施状況現場施工体制、そういうものはどの程度監督あるいは検査が行われ、その検査を通じて適正な施工確保するように努めているかということも特に重視しております。  また、特に品質確保を図る上で、受注者技術力を今申しましたように有効に活用できるように、新しい今回の入札契約方式で、少なくとも活用に積極的にそれを取り入れる。そのことによって、ダンピングで安かろう悪かろうという業者を少なくとも公共工事の中からは選ばないように、実績を含めながら、しかも工事の途中の検査監督等入札のときには業者の加味する点数の中に入っているというのは、先生は既に御存じだろうと思いますけれども、重ねて申し上げておきたいと思います。
  13. 竹本直一

    竹本委員 もう一点、契約関係でよく問題になる下請の問題についてちょっとお聞きいたしたいと思います。  実際、先ほどの議論の、ダンピングが行われたり、あるいはそれに類似したような安い値段で受注されますと、それを一次下請、二次下請に回します、そうすると、下請に入った人はほとんど利益がなくして働かなければいけない、こういう苦情も間々聞くわけでございます。特に、もっとひどくなりますと、親企業が、元請企業が十分な賃金下請に払わないというケースもあるわけでございます。  こういったことについて、例えばアメリカではペイメントボンドというのでしょうか、賃金支払いを義務づけたそういうボンドをつくっておりますけれども日本の場合はどのように対応しておられるのか。  特に、下請業者の保護という意味で、今回法律施工体制台帳提出を義務づけたわけでございます。作成は既に義務づけられておるわけでございますが、それをさらに発注者提出しなさい、そういうことは私は大きい一つの進歩だと思うのですけれども、これを実際にワークさせるためにはどのような配慮をしておられるのか、ちょっとその辺の趣旨をお伺いいたしたいと思います。
  14. 風岡典之

    風岡政府参考人 お答えをいたします。  施工体制台帳についての御質問でございますけれども先生御案内のように、現在の建設業法におきましては、施工体制台帳というのは、発注者閲覧をさせてほしいという請求があったときに閲覧をする、こういう方式になっております。こういう方式でございますと、公共発注者工事現場を常時把握するというのはなかなか難しい、こういった問題点指摘をされております。  したがいまして、この法律におきましては、先生指摘のとおり、公共事業発注者の方へ施工体制台帳というのを提出していただく、これを義務づけております。発注者はそれによりまして、もちろん下請関係全体も含めて、状況を常時把握することができる。またそれを踏まえて、必要に応じて現場の点検をするというようなことが期待できる。これによりまして、一括下請の問題とか、あるいは手抜き工事の問題とか、そういったものを相当程度防止することができるのじゃないかというふうに思っております。  それからもう一つ施工体制台帳を有効に活用したいということでありまして、現在、施工体制台帳内容としましては、元請下請企業あるいはそれぞれの仕事がどういうふうになっているのか、あるいは技術者としてどういう人たちを配置するのかというようなことを書かせるとともに、契約書も添付をさせております。ただ、その場合の契約書は、二次下請以下につきましては、契約金額までは求めていないというのが現在の状況でございます。  今後、施工体制のより一層の適正化というような観点から、例えば二次下請以下の下請金額も記載させるというようなことも含めて、制度の充実ということについて検討していきたい、このように考えております。
  15. 竹本直一

    竹本委員 時間がなくなりましたので、これをもって最後質問にいたしたいと思います。  ちょうどいい機会でございまして、大臣出席でございますので、現下の建設業界現状を見ますと、六十万近い業者がいると思うのですけれども、大手においても非常に株価が、極端に額面を下回っている会社がたくさんある、そして不良債権をたくさん抱えている、また業者の数が多過ぎる、いろいろな問題が建設業界にあるわけでございます。  GDPの二割を負担するこの建設業界の今後のあるべき姿といいますか、今後、どういうふうに業界再編構造改革をしようとしておられるのか、その辺の大臣の御所見を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  16. 扇千景

    扇国務大臣 今竹本先生おっしゃいますように、マスコミにも、金融業界の破綻の次はゼネコンだ、そういう記事が躍るようになりました。大変私はそのことに心を痛めております。  けれども、今六十万社という先生の御指摘がございましたけれども、ちなみに、少なくとも、この業者数というのは、平成四年には五十二万二千社。それが平成十二年、今おっしゃいましたように六十万社。ところが、建設投資額というのは、平成四年には八十四兆、そして平成十二年、今は七十一兆。ですから、業者平成四年から十二年までで一五%ふえています。ところが、建設投資額平成四年から十二年まででマイナス一五%。業者が一五%ふえて、投資額は一五%マイナス。ですから、ゼネコンの危機が言われるのは当然のことでございます。  けれども、私どもは一番懸念しておりますことは、戦後今日まで、この六十万業者の中に、すべてとは申しませんけれども世界に冠たる技術を持った会社がたくさんございます。あるいは橋においては世界一、トンネルを掘るにおいても世界一、そういう技術を持った業者。その技術が、ゼネコンのある会社が倒産することによって、世界一の技術を持った日本技術が埋没しないかということを私は一番懸念しております。  ですから、それぞれの業者が独自の発案、独自のリストラで再建を期することは当然独自の民間業者がなさることではありますけれども、私が今一番懸念しております、その世界に冠たる技術ゼネコン業者の倒産ということによって失うということを一番懸念しておりますので、でき得ればなるべく早く、それぞれの世界一に持っている技術技術会社同士が一緒になって、世界に冠たる日本技術が埋没しないような再建方法なりを私はぜひ考えていただきたいし、国として支援することができ得るのであれば本当はありがたいと思いますけれども、あくまでも民間業者同士の話でございますので、そこまでは指導はできませんけれども、私は、そういうことを、望むならばそうなっていただきたいと念じております。
  17. 竹本直一

    竹本委員 大臣の御奮闘をお祈りして、質問を終わります。
  18. 井上義久

  19. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 いただいた時間は十分でございますが、何か時間が押して六分ぐらいしかないというものですから、もう単刀直入に伺いたいと思います。  大臣首都移転などについては大変積極的な御発言をされて、私は東京を選挙区とする者として歓迎をしたいと思っています。特に私は、国土庁仕事をさせていただいた立場から、終始一貫、首都移転には反対、しかし首都機能移転には積極的にやっていくべきだと思っているわけでございます。大変大臣が率直に政治家としていろいろな問題に御発言もし、お仕事をされていることを私は大変うれしく思っております。大いに激励を申し上げたいと思いますが、限られた時間でありますので、私は一、二点だけ伺っておきたいと思います。  きょうは法案のことも一、二点伺いたいと思いましたが、もう時間がなくなりましたので、私の主とする問題を指摘したいと思いますが、この東京を初めとして、都市が国際社会の中でどのような役割を果たしていけるか、私どもは今、大変大事なところに差しかかっているように思います。  もう多くのことを申し上げている時間はありませんが、最近よく言われているケースでありますが、東京国際会議世界的な比較の中で減っている。ちなみに、私、昨年、一九九九年の国際会議を調べましたら、日本は二百二十回、アメリカは千二百二回、フランスが六百三十三回、イギリスが六百八回、ドイツも六百二回、イタリアでさえ三百八十四回ということであります。東京ソウルだけ比較をいたしましても、東京国際会議が六十三回、ソウルは六十五回であります。明らかに私たちのこの東京国際会議というものが少ないというふうに思います。  それから、それは同時に、日本を訪ねられる外国の旅行者、観光客を含めた数を見ますと、日本は四百四十四万人、アメリカは四千八百四十九万人、フランス七百三十四万、イタリアが五百九十五万二千、シンガポールが六百九十六万人、マレーシアが七百九十三万人、隣の韓国でさえ、でさえというのはあれなんですけれども、韓国も四百六十六万人、中国は八百四十三万人などなどであります。日本は、改めて申し上げれば四百四十四万人であります。少なくとも、私たちのこの国を訪ねる外国の人たちが非常に国際的には低いということを指摘しなければなりません。  なぜなんだろうか。私はさまざまな要因があると思いますが、例えばパリやヨーロッパ、かつて私はベルリンに二年住んでおりましたが、今その町に行ってみますとやはりこの町はいい、パリの街角に立つとどこを見ても本当にキャンパスのような光景が入ってくる。私は、東京はそうした美しい町並みが、ここがいいというところが少ないのではないかというふうに思うわけであります。  そこで、さまざまな要因があると思いますが、一つは、私は空港の問題が大きな問題があると思います。  今、恐らくきょうも、どうなったかわかりませんが、アメリカ大統領選挙のさなかでありますけれども、毎日世界の空港から世界の首脳が飛び立っています。地球は今二十四時間動いている時代であります。そうした国際化の中で、日本の国際空港成田は、十一時以降はいずれも離発着ができません。  そこで、最近東京の石原知事が新しい滑走路の提案をされました。国にも要請をされたと伺っているわけであります。政府はどのようにこの国際空港に対して取り組んでいかれるのか、また東京都のこの提案に対してどう対応されようとしているのかをまず運輸省から伺いたいと思います。
  20. 深谷憲一

    深谷政府参考人 お答え申し上げます。  首都圏の空港に関してのお尋ねでございますけれども、現在、羽田空港、成田空港でございますが、基本的に、羽田空港につきましては国内線の、それから成田空港につきましては国際線の拠点空港という役割を基本と考えております。  羽田空港におきましては、通常、定期便が発着する時間帯につきましては、現在、すべて国内便で利用されておりまして、その時間帯にはなかなかゆとりがないわけでございますけれども、しかしながら、先生今御指摘のとおり、成田空港の方では、地元との騒音の関係もございまして、二十三時から六時まで、これは運用がとまっております。他方で、羽田空港につきましては、一応二十四時間供用がされております。  そういったことを踏まえまして、羽田空港におきましても、いわゆる深夜、早朝の時間帯は国内便での利用が当然ながら低利用時間帯でございますので、こういった時間帯につきましては、いわゆる国際チャーター便とか国際ビジネスジェットでございますとか、そういったことについて御利用いただくというふうなことにつきまして、航空局でもことしの三月から検討委員会を立ち上げておりまして、成田空港との、今申し上げましたような時間帯との関係も踏まえながら検討を進めておりまして、現在、関係者と調整を図っておるところでございます。  なお、御指摘の羽田空港の再拡張の点につきましては、先生指摘のとおり、先般東京都からも御提案がございました。また、エアラインがつくっております定期航空協会の方からも、羽田の再拡張案につきまして一つの御提案がそれぞれございました。これらの御提案につきましては、処理能力の拡大の可能性、空域との関係、それから騒音との関係、あるいは港湾機能との関係等々、検討すべき課題は多いわけですが、これらにつきましては、現在、首都圏第三空港調査検討委員会というのを立ち上げておりまして、ここにおいて積極的に検討してまいりたい、かように思っております。
  21. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 もう余り詳細なデータを申し上げている時間はありませんけれども世界では三千五百、四千メートルの滑走路が数々ございます。例えばアムステルダムでは五本、ロンドンでは三本、それからジョン・F・ケネディは四本、ワシントンのダレスも三本、シカゴでは六本、ダラス、まあアメリカはもうそれでいいんですけれども、アジアを見ましても、例えばクアラルンプールも四千メートルの滑走路が二本、さらに四本を計画しております。それから、シンガポールも滑走路は四千メートルが二つあります。さらにもう二つの滑走路を計画されています。隣のソウルも三千七百五十メートルの滑走路が二本、そしてあと四本を計画されているなどなど、アジアも世界の国々も国際線がいつでも飛び立てるような滑走路を準備しているわけであります。  私は、今お答えをいただきましたけれども、いずれ衆議院予算委員会などで御質問を重ねさせていただきたいと思いますが、きょうは要望だけ申し上げておきます。  羽田の二十三時から朝の六時までの間、私は、少なくとも、チャーター便は当然のことでございますが、成田が二十三時以降は使えないんですから、その後は羽田で活用できるという道を当然開くべきだと思います。千葉県の成田空港の歴史も私も知らないわけではありません。しかし、それは私も都市問題に取り組んでおります一人として積極的に働きかけていきたいと思いますが、行政もしっかり取り組んでいただきたいと思います。  最後に、そういう問題を含めて、成田空港も今土地収用委員会すら持てない無法のような状況であります。たまたま私の選挙区でありました日の出町の廃棄物処理場、ごみ処理場も法廷闘争になりました。圏央道、これも一坪地主やあるいはハンカチ一枚の地主が多くて、その補償などの手続で大変な時間を浪費しました。  建設大臣に、私は、日本の公益的な事業が、憲法で認められている個人に対する補償はきちっとしなければなりません。住民の意見も、ルールとしてきちっと聞かなければなりません。その上で、公益的な事業と認められたものは速やかに行われていくという法整備が必要だと私は思います。  そこで、私は、新しい法律改正を政府も考えていられる、また大臣も答弁をされたと伺っておりますが、一体いつ土地収用法の見直しをするのか。もし政府がやらないなら、私どもは議員立法でこの国会なり少なくとも通常国会には出したいと思います。大臣は明確に答弁される大臣ですから、少なくとも来年の通常国会には提案をされる用意があるのかだけ伺いたいと思います。
  22. 扇千景

    扇国務大臣 今伊藤先生から、国際空港たるものの条件というものを世界的なレベルで御例示なされました。私はそのとおりだと思います。  国際という看板をつける以上は、都市であれ空港であれ、少なくとも二本以上の滑走路がないので、私ども世界じゅうへ行って、国際という看板のついた国際空港で、一本しか滑走路がないのに国際という看板をつけることもおこがましいとすら私は考えております。けれども、少なくとも私は、これを解決しなければならないという条件の中に、なぜそれがいけないかといいますのは、成田、あれだけもめて一本の滑走路で国際空港という名をつけ、一本しか滑走路がないのに、着陸料は、御存じのとおり成田は九十四万八千円でございます。しかも、関空は九十万八千五百円です。一番安いのは、御存じのとおりイギリスのヒースロー、七万八千二百九十七円、これだけ違うんです。  そして、私は、第二期工事ができないということ自体も、少なくとも日本じゅうにいろいろな運動がありまして、一坪運動というのは御存じのとおり東京の成田も、そして沖縄にもあります。けれども、その土地に住んでいる人ならともかくも、その土地に住んでいない人たちがそこへ一坪で入ってきて国の問題を阻止するということに対しては、私は、住民の皆さんはともかくも、外部から来た人の一坪運動者の氏名公表をするぐらいは国民に開示するべきだろう。それが私は、国民として、少なくとも情報開示とおっしゃるのであれば、私はそういうことこそ国民皆さんとともに、一緒になって、国際看板をしょえるかしょえないかという大事なときには、私はそういうことこそ情報を開示すべきであろうとも思います。  私は、建設省としましても、現在、省内に土地収用制度の調査研究会を設置しました。そして、法学、経済、自治体など多様な分野の有識者に検討していただいて本年度中に結論を出しますので、今私と、そこまで担当かどうかはわかりませんけれども建設省の姿勢としては、少なくとも来年の通常国会には、昭和二十六年の制定後、約半世紀にわたって経過しておりますけれども御存じのとおり四十二年の改正を最後に、以来、抜本的な改革が行われておりませんので、次期通常国会においては、この結論を待って土地収用法の改正が提出できれば国の発展につながる、今世紀と来世紀への、二十一世紀を明るい世紀を迎えるために、国の基本的な政策としても改正法の見直し法案は出すべきであると私は頑張っております。
  23. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 限られた時間で質問を申し上げておりましたが、これ以上質問をする時間がありませんので、改めてまた予算委員会などで大臣には質問したいと思います。  大臣、私は今、多摩ニュータウンを選挙区としています。国が提供した都市基盤整備公団は三十数年たっています。五階建てでエレベーターのない住宅で、車いすの人たちは立ち往生しています。もしエレベーターがあれば、自分は自力でケアセンターにも買い物に行けますと皆さんは言っています。これは国の責任です。  そして、私は美しい町並みをと冒頭に申し上げましたが、こんなに首都東京や首都圏が電柱でクモの巣のような町は決して美しくありません。  大臣は、国際性もある大臣です。ぜひ大臣在任中にこれらの問題の新しい道を開いていただきたいことを強く要望して、質問を終わらせていただきます。
  24. 井上義久

    井上委員長 今野東君。
  25. 今野東

    今野委員 民主党の今野東です。  公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案について質問をさせていただく予定ですが、民主党のきょうの質問者の中ではトップバッターですので、その前に二、三、建設大臣にお伺いしたいと思います。  私は、宮城県でアナウンサーをしておりました。一方で、東北弁による落語、民話寄席を主宰しております。東北弁による語りの文化を確立しようという活動でありまして、方言で私たちの地域を豊かにしようという活動であるわけなんですが、大臣は、宮城の方言、おしょしいというのを御存じでしょうか。おしょしいというのは恥ずかしいという意味なんですが、私はとても恥ずかしいと言うときに、おらおしょしいというふうに言います。  近ごろの森内閣について、我が宮城県の人たちは、よぐおしょしぐねえごだねというふうによく言っております。よくまあ恥ずかしくないことねという意味なんですが、森首相のたび重なる失言、中川前官房長官の辞任でそう言われるのも無理もないことと思うのですが、数字を見ましても森内閣の支持率は下がる一方で、近ごろの調査では、共同通信社の調査で一八・三%、毎日新聞では一五%、きのうの日経は一九・六%、そしてこの間の日曜日、フジテレビは一三%台になりました。つまり、国民の八〇%以上もの人が不支持という言葉を突きつけている森内閣でありまして、その森内閣を構成する閣僚の一人として、また連立を組む保守党党首として、この低支持率、おしょしくありませんか。どうお考えでしょうか。
  26. 扇千景

    扇国務大臣 今、おしょしいという難しい言葉を聞きましたけれども、私は関西出身でございますから、そういう御質問に対しては、なかなか難しおすなというのが関西弁でございまして、質問に立っていただいたことには、おおきに、ありがとうというのは大阪弁でございまして、そういう意味では、私も関西弁、京都弁も大阪弁も、まして私は兵庫出身ですから神戸の言葉も知っておりますけれども、おしょしいというのは初めて拝聴いたしました。さすが日本だな、いろいろな古い文化があるなということを今改めて認識をさせていただきましたけれども、中身に関しては、私はいささか異議がございます。  それは、各世論調査をしていらっしゃいますのが、東京圏五百人に対しての世論調査でございますとかいろいろございますから、世論調査というものは、参考にこそなれ、それによって国を左右されるということでは政治が要らなくなりますので、そういう意味では、政治本位で、我々がなぜ国会議員にいるかということで、私は、正当な論議をすることが国民に支持をいただく大きな要素であろうと思います。  きのうも反省材料として、党首討論があり方に対して論議をされたところでありますけれども、国の基本問題を討論する場が週刊誌の三流、亜流になってはならないということで、少なくとも国民の支持が余計なくなる、自由民主党支持だけではなくて、総じて政治の支持がなくなっているということに対しては、国会議員としては、我々は少なくとも反省をし、そして国会のあるべき姿というものを私どもはきちんと取り戻して、きょう先ほどから御質問いただきますように、法案に対しても真摯な審議をしていただいたこと、そういうものが国民の目に映れば、私は政治そのものの不信を払拭できる。これは少なくとも我々の手にかかっているということを再認識して、私は支持率に負けず、明るい二十一世紀を迎える論議をいたしていきたいと思っております。
  27. 今野東

    今野委員 それでは本題の、公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案について質問をさせていただきます。  私は、公共事業から談合がなくなりまして、契約が適正に行われて、また工事がスムーズに進行する、そうあるべきだと思っておりましたので、こういう法律がつくられるということには大賛成であります。ですから、今月一日に建設委員会が開かれまして、大臣がこうおっしゃいました。公共事業に対する国民信頼確保とこれを請け負う建設業の健全な発達を図ろうとするものであります、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げますとおっしゃって、私はこの法律案をいただきました。ぱっと気持ちが明るくなったような気がいたしました。しかし、議員会館に戻って、ずっと読んでいきますと、これじゃだめなんじゃないかというところが何点かありまして、ともりかけた明かりが、今消えかけようとしております。  きょうは、何とか前向きの答えをいただきまして、消えかけた明かりを再びともしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、この法案、第三の公共工事入札及び契約適正化の基本となるべき事項というところなんですが、ここで、一、透明性が確保されること、二、公正な競争が促進されること、三、不正行為の排除が徹底されること、四、適正な施工確保されること、がうたわれておりますね。  不正行為の排除が徹底されることというところなんですが、では、不正行為があった場合はどうするのかと先をずっと読んでいきますと、第五のところに、不正行為に対する措置というのがあります。そこには、不正行為があった場合、第五の一、公正取引委員会に対し、その事実を通知しなければならないものとすること、二、当該建設業者が建設業の許可を受けた国土交通大臣または都道府県知事及びその区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を通知しなければならないものとするとなっているんですが、公正取引委員会とかあるいは発注者国土交通大臣とか都道府県知事、ここに通知するというだけで不正行為の排除が徹底されるということになるんでしょうか。お尋ねします。
  28. 扇千景

    扇国務大臣 今野委員が、一瞬明るくなったけれども、会館へ帰ったら先行きが何となく心細くなったというお考えはやめていただいて、明るくなるように、この委員会でぜひ二十一世紀のために私はこの法案を御論議いただきたいと先ほど申しましたとおりです。  しかも、私は特に申し上げたいことは、戦後五十五年間、土建国家とも言われました。にもかかわらず、諸外国にあるのに我が国でこの法案が今まで論議されたこともない、またこれを立法しようとしたこともなかったということ自体、私は建設大臣になって初めて知ったのも、私自身も恥ずかしいことですけれども、国会議員たる者が、少なくともこういうことを立法しようと、ただ丸投げだ、ただ談合だ、むだ遣いだ、ばらまきだと言う以前に、こういう法案を国会みずからがするべきであったということを、私自身も含めて反省をしながらこれを立法したというのが原点でございます。  そして、今、これで完全に処罰できるのかというお話がございました。私は、少なくとも建設省は警察ではございませんし、入札する業者すべてを最初から疑ってかかるということ自体、建設省の姿勢としては、私はノーでございます。私は信頼して、国民皆さん方の中から選ばれた業者を、一般入札にしろ指定入札にしろ、今日の日本建設業界をしょってきた皆さん方を最初から疑うということは、建設省がすることではないというのを基本としているということだけは、冒頭に申し上げておきたいと思います。  ただ、その中にも、昨今種々事例がございまして、マスコミに言われますような、談合であったり丸投げであったり、発注者責任を問うような事例がなくはありません。しかも、それが年々ふえております。そのことに対する憂慮は、私も先生と同じ気持ちでございます。  ですから、少なくとも私は、それを通知する、知った以上は通知をして、公取なり、御存じの、今おっしゃいました建設業の許可行政官庁がこの通告によって業者の資格をとることもできるんです。ですから、私は何も罰する方法は、公取は公取として厳然な対処をしておりますし、私ども官庁としても、建設業の許可行政を持っているわけですから、許認可を持っているわけですから、少なくともそのことによって、今回の独禁法または建設業法に基づいて厳しく処分することになることから、談合や、少なくとも丸投げ等の公共工事をめぐる不正の防止に第一歩を踏み出した、そう御認識賜ればありがたいと私は思いますし、これによって国、地方の公共事業すべてにこの法案が網をかけているということを御認識賜りたいと思います。
  29. 今野東

    今野委員 公正取引委員会は、今大臣、厳正な対処をするであろうと思うということをおっしゃいましたが、事実を通知しただけで、その後公正取引委員会がどう対処するかわからないというところに私は疑問を感じているのでありまして、そこのところを見ますと、公正取引委員会、実は私、調べてみました。  審査、審決という行政処分によってどう対処するかといいますと、協定の破棄、協定を守るための実効確保手段の破棄、会合の廃止や団体の解散、協定を破棄した旨の周知徹底、もう一つ、将来同様行為を行わないことなどの排除措置を命ずるとあるんですが、つまり、これは字面で見ますといかにも大変なことをやっているようなんですね、協定の破棄とか協定を守るための実効確保手段の破棄とか、会合の廃止や団体の解散というふうに。しかし、よく考えますと、これはもうしちゃだめよと命じているだけのことですよね。何か、悪いことをした幼児にお母さんが、こらこら、もうそんなことをしちゃだめよと言うのと似ている。  私は、これだけでいいのかなと思ったら、この先に実はまだありまして、さらに、カルテルを行った事業者や団体に課徴金を課すとあるんですが、これは課徴金のパーセンテージが決まっておりますね。例えば公共工事の場合、入札談合物件に係る売上額の合計が十億円であれば課徴金の額は六千万円となっております。しかし、中小企業の場合は三千万円。これは、日本建設業界の九〇%以上は中小企業でありまして、ほとんどが、十億円規模の工事の場合三千万円でいいことになってしまいます。  大臣の見解をここでちょっとお尋ねしたいんですが、三千万円を払って、談合して十億円の公共工事を取っちゃった方がいいということにならないでしょうか、この程度の罰則では。これは法律としてうまく機能しないんじゃないかと思うんです。公正取引委員会のことだから公正取引委員会にお任せでは、やはりまずいんじゃないでしょうか。これは、罪と罰をセットにして初めて機能していくんじゃないかと思うんです、この法律。課徴金の額をもっと引き上げるよう公正取引委員会に働きかけるというお考えは、大臣、ありませんか。
  30. 扇千景

    扇国務大臣 今のお話を聞いておりますと、私が公取の委員長になったようなお答えをしなければならなくなりますので、私は、公正取引委員会の独自性というものを尊重しながら、越権行為にならないように御答弁しようと思っております。  少なくとも、私どもは、建設省として、今おっしゃいましたように、これでいいんでしょうか、親が子供に悪いことをしたらしかるだけよと今先生おっしゃいましたけれども、今まではしかることも何もなかったんです。野放しだったんです。そのことによって、今先生がくしくもおっしゃいました、しかることができるというだけでも業者にとっては大変なことでございます。  私は、御存じのとおり、この法案によって、発注者を通じて入札及び契約適正化のための措置を講ずると書いてございますのは、少なくともこうした不正行為が起きにくいシステムをつくる、また、それを進める、そのことがこの法案の大きな基本的なことでございますし、そういう不正行為がある場合は必ず公正取引委員会等に通知をしなければならないということ自体が罰則にも匹敵するような大きな枠である。今まで何も、ゼロだったんですから、そういう意味では、私は、先ほど申しましたように一歩前進である。完璧であるかと言われると、法案で完璧なものはございません。けれども、少なくとも第一歩であるということは御認識賜りたいと思います。  また、今もっと罰則規定とか罰金規定、これを強化するべきだとおっしゃいましたけれども、少なくとも刑法や独占禁止法の適正な運用によるべきものであって、他の罰則のあり方については少なくとも他の違法行為とのバランスにも配慮しなければならないということは、私は先生がおわかりになろうと思います。  また、私は、そのときの不正行為に対する主な罰則等の処分というのは、時間があれすると悪いですけれども、少なくとも不正行為に対する主な罰則等の処分というのはあるわけですね。談合、この場合は刑法第九十六条の三第二項によって、二年以下の懲役または二百五十万円以下の罰金と処せられております。独占禁止法によっては、排除措置命令というのがございまして、課徴金の納付命令、売上高の百分の六から百分の一、それが今先生がおっしゃった金額に相当するであろうと思います。また、丸投げの場合は、建設業法で営業停止の監督処分。  既にこういうものがあるわけですから、これ以上、今おっしゃったように、現段階では、この法案によって公取等々に通知するということによっても、建設業法と両方の法律にかかるということであって、より私は、今よりもはるかにこれによって縛られる、あるいは規制される、また、精神的にもそれは前向きに検討して、自分たちは姿勢を正さなきゃいけないなと思うことにも大きく寄与すると思っております。
  31. 今野東

    今野委員 しかることを今までしなかったのだから、しかるというだけでも大したものだ、そして公正取引委員会には特別にそういうふうな働きかけはするつもりはないというふうに受けとめさせていただきます。  さて、同じく第三章十一条なんですが、不正行為があった場合です。国土交通大臣または都道府県知事に対しその事実を通知してというふうにあるのですが、これはこの後どうなるんでしょうか。お尋ねします。
  32. 風岡典之

    風岡政府参考人 建設業法等に違反する事由につきましては、その業者を許可しました許可行政庁あるいは管轄の知事に対して通知をするというのが十一条でございます。当然、その内容によりまして建設業法に照らして調査をするということになります。  例えば、丸投げ等の状況がある、二十二条に違反するというようなものであれば、業者を呼ぶなり状況を見るなりして調査をし、その結果として必要であれば監督処分を行う。建設業法におきましては、監督処分としては、指示処分それから営業停止、許可の取り消し、そういうものがあるわけでございまして、行為の態様に応じまして適切な処分を行う、こういうことになります。  また、建設業法の処分だけではなくて、法令に違反したということになりますと、発注者が行っております指名停止という措置も働くわけでございまして、これも違反の態様に応じまして指名停止の期間の長短はございますけれども、あわせて指名停止措置も発動される、こういうことになろうかと思います。
  33. 今野東

    今野委員 指名停止なんですが、これは指名停止をされても、しかられても仕事ができるというシステムになっている業界だから、私はこの法律がちゃんと機能するだろうかと心配しているんです。  私がある県に尋ねたところ、こういうふうに通知されて、それでは業者に対してどうするか、受注者に対してどうするかということを聞いたところ、ここ一、二年の事例では、一、二カ月の指名停止というところがほとんどでした。これは一、二カ月といいますと、例えば、これから停止しますよ、十二月と一月の二カ月間停止しますよといいますと、北海道とかあるいは雪深い東北では、どっちみち仕事ができない時期なんですよ。だから、こんなものはへでもないのです。休んでいるのと同じことなんですね。  そのあたりのことを考えると、不正行為に対する措置が緩過ぎるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  34. 小川忠男

    小川政府参考人 たしか平成六年度だったと思いますが、指名停止についてかなり強化措置を講じたというふうな過去の事実がございます。現段階において指名停止措置が十全なものであるかどうかというふうなことにつきましては、確かにいろいろな議論が省内にもございます。したがいまして、ただいまの御意見などなども踏まえながら、今後のありようについて検討させていただきたいというふうに思います。
  35. 今野東

    今野委員 ですから、一、二カ月の指名停止ということではなくて、最低でも半年は指名停止にしなければならないというふうに思うのですが、具体的にその数字を挙げていただきたい。
  36. 小川忠男

    小川政府参考人 御存じのように、公共事業は、極めて大きなものから小さなものまで、難しい事業から簡単な事業まで、いろいろな性格のものがございます。また、違反措置といってもいろいろな態様、程度のものがあろうかと思います。  したがいまして、事務当局といたしましては、一律に何カ月以上というふうなことについては、十分な検討が必要なテーマではないだろうかと思います。
  37. 今野東

    今野委員 ですから、最低のラインを上げるべきだと言っているのです。それをどのぐらいに引き上げようとお考えですか。お尋ねします。
  38. 小川忠男

    小川政府参考人 最高のレベルというのは議論しやすい要素だと思いますが、最低が幾らであるのかというふうなことについては、極めて微々たる違反があるということからすれば、最低が幾らというふうなことはなかなか一律的には断定しにくい問題ではないだろうかというふうに感じます。
  39. 今野東

    今野委員 業者受注者の側が、不正行為があった場合にこれだけ大きな仕事をしていく上で支障があると感じなければ、この法律はうまく機能しませんよ。ですから、そこのところを伺っているのです。これまでどおりというふうにお考えですか。
  40. 小川忠男

    小川政府参考人 ややお答えが舌足らずだったのかもしれませんが、一般的に強化する方向で検討するというふうな状況であろうというふうな感じは持っておりますが、繰り返しお答えを申し上げましたのは、一律に最低の条件をというのはなかなか難しいというふうなことを申し上げたわけでございます。
  41. 今野東

    今野委員 ですから、強化する方向であるというのならば、最低はどれぐらいにするのですかとお尋ねしているのです。
  42. 小川忠男

    小川政府参考人 なかなか、最低は幾らかというふうなのを、さあ、どうだとこう言われましても、やはり極めて軽い違反の場合にはそれなりに軽いというふうなことだと思いますし、極めて重い場合には最高限度の指名停止を講ずる、その最高限度を上げるのかどうかという議論は別途検討する課題であろうというふうに思います。
  43. 今野東

    今野委員 軽い場合、最低どれぐらいかということをお尋ねしているのですが、私たち民主党は、最低でも半年は指名停止にしなければいけないのではないかというふうに考えております。  さて、それでは次の質問に移ります。  公共工事入札契約の段階でなぜ不正な行為が行われるのかというのを考えてみたいのですが、これは幾つかの点が挙げられると思いますが、私は、入札の際、入札価格の総額だけを提出すればいいという入札のやり方が、不正行為が行われやすい大きな原因の一つだと思うのです。  そこで、入札価格の総額だけではなく、入札の際はさらに詳しい積算内容の内訳など明細を添付して提出するということを義務づけてはいかがでしょうか。そうすることで、業者適正化、本来請け負う能力のない業者工事を落札してしまうというようなことも防げると思うのですが、お考えを伺いたいと思います。
  44. 風岡典之

    風岡政府参考人 公共工事入札当たりましては、適切な積算を行って臨むというのは、先生指摘のとおり、当然のことであるというふうに私ども思っております。その場合に、すべての入札につきまして入札の金額の明細というものを法律上義務づけるということについては、これはいささか、そこまではどうかなというように正直言って思います。  具体的な問題意識としましては、例えば、入札する場合に入札者の積算のやり方というのはいろいろなやり方があります。個別原価で積み上げて積算をするやり方もありますし、市場単価みたいなもので持ってくるやり方もありますし、いろいろなやり方が実はあるわけです。  そういった中で、例えば積算の内訳が明らかにわかるような明細を必ずつけなさいということになりますと、また積算の置きかえ作業というようなものが当然出てくるわけでございまして、そこまで義務づけるということにつきましては、入札参加者にとってやや過大な負担になるのではないかというようにも思っております。また、積算の内訳を完全に分解するというようなことになりますと、当然、原価とか利潤とか、そういったものまで含めて全体をさらけ出すというようなことにもなることでありまして、やり方いかんによっては、経営の内容について全部公開するというような面もあるのかなというふうに思っております。  そういうようなことから、法律で一律に義務づけることについてはいかがかというように思っております。  ただ、冒頭申し上げましたように、積算をするということ自身は、いろいろなやり方はあるわけでして、それは当然の行為でありますので、私どもとしましては、先生指摘のように、不良業者の排除というようなこともありますし、あるいは談合とか低入札が行われるということもありますので、そういうために、発注者入札参加者に対して対象となる工事について入札金額とあわせて明細を提出させるように努めるということは、方向としてやっていかなければならないことかというふうに思っております。  私どもとしましては、この法律においては、国におきまして適正化の指針というのを定めることにしておりますので、その内容として今申し上げましたようなことについても明記をして、努力をしていきたい、このように考えております。
  45. 今野東

    今野委員 これは、本来はしていなければいけないことだったのですよ。総額だけぼんと出てくるから、談合あるいはそのほかの不正行為というのがなされていたわけですね。  これはもちろん今初めてここで出てきた話ではありませんで、七年前、平成五年に、中央建設業審議会というのがあります、これは建設大臣の諮問機関ですが、ここで「公共工事に関する入札契約制度の改革について」という建議が出ております。「制裁措置の強化」という項目で、「談合の防止を図る観点からも、発注者において損害賠償を請求するようにすべきである。」というふうにあるのですね。損害賠償も請求するようにしたらいいのではないかということも申し添えまして、もう時間ですので、私の質問を終わりにしたいと思います。  ぜひこれは、大臣も大変思い入れの強い法案だと伺っております。この法律案が不正行為をしようとする者にとって抜け道のない、凜とした法律となって私たちの前にあらわれることを期待して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  46. 井上義久

  47. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。  まず初めに、本論に入る前に、首都東京の将来に極めて重要な影響を与えるであろう課題であります首都機能移転について、少しだけ伺いたいと思います。  私は、結論から申し上げますと、扇国土庁長官日本外国特派員協会での発言が何で問題になったのか、どうしていけないのか、理解しかねる者の一人であります。  長官も御存じだと思いますが、平成十二年九月十一日付で、「首都機能移転に関する扇国土庁長官発言に対する衆議院国会等の移転に関する特別委員会委員長の声明」というものが出されております。ちょっとここで読ませていただきます。  「さる九月六日、扇千景国土庁長官は、日本外国特派員協会において講演、」「質問趣旨は空港問題であったにも関わらず、首都機能移転問題に言及されました。その立場上、三権分立の観点から、立法府権限への越権・干渉とも受け取れる発言が行われて、報道されるところとなりました。」「国会等の移転に関する特別委員会は、何らこの扇長官の発言に影響されることなく、国会決議の意義を尊重し、真摯に議論を進める所存であることを宣言するとともに、扇長官の発言に対し、遺憾の意を表明します。」なかなか厳しい言葉が並んでおります。  この間には、「方向づけを行う権限の与えられていない国土庁長官」とか「公・私の区別はつけがたく、」とか「国会における審議の場に委ねられた段階において、過去の経過を無視し、」とか、結構強い言葉が並べられまして、私自身、これを読んでいますと、どうしても納得ができない、どこがおかしいのかなというふうに思うのです。  といいますのは、我が国全体のことを憂える国務大臣として、またさまざまな立場から、よりよい国土の発展を願う多くの国民の代弁者である参議院議員として、あえて私見ということで扇千景国土庁長官首都機能移転問題について言及されたことは何ら問題がないというふうに考えているのですが、国土庁長官であり国民を代表する立場にある扇千景参議院議員に、首都機能移転についての思いを率直に、私見としてお伺いできればと思います。
  48. 扇千景

    扇国務大臣 今阿久津先生から、私見としてとおっしゃいましたけれども、私は私見を申し上げません。それは、首都機能移転問題の特別委員会ではお答え申し上げますけれども、きょうは委員会が違いますので、私は、きのうも参議院では首都機能移転問題の特別委員会を開いていただきましたから、そこでは申し上げておりますので、私見は申し上げません。ただ、私が申し上げたことを阿久津先生が御理解いただいているので、大変ありがたいと思います。  私は、平成二年と今日までの日本経済状況、あるいは国際の変化等々を考えれば、先ほども冒頭に御質問がございましたけれども、空港一つとってみても、日本の国際という看板はどういうものはつけ得るのか、国際都市という看板をつけ得るものはどこなのか、また、東京に国際都市と看板をつけ得るだけの東京であろうか。そういう国際的な観点から、外国特派員クラブですから国際の問題の話をしたのであって、私は、日本列島の二十一世紀を考えるときに、少なくとも国際空港であり、国際都市であり、国際流通である、そういうことが果たして保ち得るのか。  そういうことを考えれば、私は、少なくとも、国会議員以前に、日本国民の一人としても、世界に冠たる東京日本、そういうものを考えるときには、国際たり得るものに今手をつけなければ、国際たり得る資格がなくなるのではないかと。  端的に申します。今東京だとおっしゃいましたから、東京二十三区内、今私ども車で走りますけれども、キロが三十キロというスピードが書いてあります。東京都内の平均時速は十八キロ弱でございます。この十八キロ弱の東京の車の渋滞、あるいは踏切のボトルネック等々を含めて、これを標示どおりの三十キロに車を走らせれば、東京二十三区、一年間の経済効果は四兆九千億に及びます。それくらい我々は、東京経済的にも国際都市たり得るかというクエスチョンマークがつかなければならないことを憂えて、二十一世紀、日本も国際国家であり得る基本的なものを私はぜひ持っていただきたい、そういう意味において私は例示を申し上げたのであって、首都機能移転をしただけで首都機能移転先が国際都市たり得るかといったら、これもクエスチョンマークでございます。  そういう意味で、二十一世紀の日本の国際的な地位は那辺にあるかということをぜひ我々は認識しようという意味でございますので、私はぜひそういうふうに御理解いただきたいと存じます。
  49. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 どうもありがとうございました。やや慎重な言い回しだったかなというふうに思うのですが。  私が約十年間秘書を務めておりました石原慎太郎東京都知事は、首都機能移転の費用対効果について検証されております。費用と効果の対比ということで費用便益を示しているのですが、それによりますと、日本全体で四兆五千億円から六兆三千三百億円という巨額な社会的費用が発生することになるとも言っています。  後ほど、機会があれば一般質問の方でまたこの問題については詳しく質問させていただきたいと思っておりますが、長官の発言首都機能移転問題がクローズアップされて国民の知るところとなったことは、思わぬ効果であったと思います。これからも率直な御答弁を国民の代表として期待したいと思っています。  さて、そろそろ本論に入らせていただきたいと思います。  公正な入札制度にするには談合をなくさなければならない。しかしながら、各地で発注者建設業者による、時には政治家まで絡んだ贈収賄事件が絶えず、残念ながら国民に十分信頼されているとは言えないのが現状であります。そんな折、かつて入札干渉罪等の提出にもかかわった扇千景建設大臣中心となって、あえて閣法で、公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案についてまとめられました。  本日は、本法案談合防止との関係を中心にいろいろとお聞きしたいと思います。  そこで、まず建設大臣にお伺いします。  談合は善なのか悪なのかを含め、談合に対する実態の認識と談合防止にかける大臣の意気込みをお聞かせいただければと思います。
  50. 扇千景

    扇国務大臣 談合が善か悪かという御質問でしたけれども、これは談合を、マスコミが取り上げたり皆さん方がおっしゃっているように、悪であるということは、必ず私は言えるだろうと思いますけれども談合という言葉がいけないのであって、今の日本公共工事等々の大規模工事はすべからく何社かが共同で工事を行っております、それは談合とは言えません。少なくとも、談合という言葉の中では、共同事業と談合という言葉の定義がもちろん違いますので、日本の大規模工事は、今大企業が四社も五社も共同で工事に当たっております。  ですから、その辺のところは私はぜひ、こういう世間に言われる、一つ入札を何社かが裏で取引をして、今言われている談合の管轄に入るものに対しては、これは完全に悪であると私は認定できると思います。ですから、私どもは、少なくともこれをなくそう、そういう意味でこの法案に着手し、しかも、今までこういうことがマスコミも含めて国会の中でもいろいろな論議がされる中で、むだ遣いだ、あるいはばらまきだ、すべて公共事業の上にそういう冠がつくということが公共事業にとって大変不幸なことである。  特に例を挙げますと、私は神戸出身でございますので、阪神・淡路大震災のとき、六千人を超える死者を出しましたときに、私が地元に入りましたらみんなが言いました、扇さん、公共工事で立派な建物を建ててくれたところへ入った人はみんな助かったと。  ですから、公共事業も、多くの災害地の皆さん方では、立派な大きな建物の中に避難したら助かったという現実を見るときに、公共事業にそういう悲しい冠がつくのを何としても取るべきである、そして、真に国民に、ありがたいな、これがあってよかったな、これをつくってくれてありがたいと言えるようなものが公共事業の本来の姿であろうと私は思いますので、ぜひ私は、この法案をつくることによって公共事業のイメージというものを少なくとも払拭できる一助になればありがたいと思っております。
  51. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私も、むだな公共事業についてはもちろん見直す必要があるのですが、公共事業すべてについてなくせと言うつもりはないし、今大臣からのお話もありましたとおり、やはり悪である、談合については厳しく断罪していく必要があるのだというふうに思います。大臣談合防止にかける意気込みが伝わってきた気がいたします。  ここで参考人にお伺いしたいと思うのですが、本法律案の目的について確認をさせていただければと思います。
  52. 風岡典之

    風岡政府参考人 本法律につきましての立法趣旨ということでございますけれども、もう改めて申し上げるまでもなく、公共事業を進めるに当たりましてはやはり国民理解信頼というものが不可欠であるというふうに思っております。  入札の過程におきまして、いやしくも国民の疑惑を招くようなこと、これはもう当然あってはならない、また品質確保というような観点からは、適切な施工確保して良質な社会資本整備ということに努めなければならない、こういうふうに考えております。  この法律におきましては、従来は、発注者、国、地方自治体、特殊法人、それぞれいろいろな部分は運用でやっている部分が非常に多かったのですけれども、共通的にルール化すべきものはルール化していこうということで、この法律内容になっているわけでございます。  その中で、すべての発注者につきまして入札契約適正化のために守るべき基本原則というものを明らかにしていこう、また、入札結果や受注者選定過程、そういったものについての情報の開示も徹底をしていく、さらには公正な競争の促進、あるいは談合、丸投げ等の不正行為に対する防止の徹底、また、先ほど申し上げましたような、適切な施工確保のための取り組み、こういったものを具体的な内容として定めております。  私どもとしましては、これは、基本法であります会計法、地方自治法、これは入札契約の基本的な枠組みを決めておりますけれども、これと相まちまして、入札から事業実施の全過程についての適正化というのがこの法律によって確保できるのではないか、このように考えております。
  53. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 どうもありがとうございます。  大変誠実にお答えいただいたのでちょっと言いにくいんですけれども大臣の意気込みと比べて、この法案の「目的」を読む限りは、談合をなくすんだという姿勢が余り感じられないんですね。  これまで何度も談合の摘発が行われてきたのは、市場における競争が十分機能していないからだと思います。発注者である国、自治体、特殊法人等は、単に予定価格を下回れば問題がないものとするなど、これまで談合防止への意欲が希薄な実態がありました。  そこで、大臣にお伺いします。  第一章第一条「目的」の中で、ただ単に不正行為と表現するのではなく、談合という文言を法案に盛り込めないでしょうか。さらに、法案冒頭で、発注者の責務について、発注者談合防止のための責務を有する旨を明確にする条項を置くべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  54. 扇千景

    扇国務大臣 本来、今阿久津先生がおっしゃいますように、談合という言葉は俗語でございまして、これは法律用語ではないわけでございます、基本的には。ですけれども先生がおっしゃいます御趣旨はよくわかりますけれども、この法案を、中身をぜひごらんいただいたらおわかりになりますように、談合は、先ほど申しましたように、排除すべきものであるという基本理念は皆さんお持ちであろうと思いますし、私もそれは先ほど申し上げたとおりでございます。  けれども談合という言葉自体が法律になじむかどうかは、これは皆さん方がぜひきょうの論議を通じて御判断賜りたいと思いますし、あえてこの談合という言葉を入れた方がみんなにわかりやすいよ、法律用語としては不的確かもしれないけれども、入れた方がわかりやすくて、現場はもっと談合しなくなるよという御意見が多々あるのであれば、これはきょうの委員会での皆さん方の御論議に負う、また御論議の結果によって御判断賜ることだと思いますけれども、私は、今、法律を見ていただきまして、全体を通じて今御指摘のことは十分に含まれている。また、その中で、談合の起きにくいシステムづくりを進めるとともに、公正取引委員会への通知等によりその防止を図ることにする、こうされているところでございますから、あえて談合という言葉を入れるか入れないかということに関しては、本来であれば、私はそういう俗語をなるべく法律の中には入れたくなかった。  これを読んでいただければ、業者はすべてわかることでございますから、本来は俗語であるというふうに認識していたので、あえて談合だけが悪いんじゃなくて、ばらまきも悪いし、いろいろなことがありますので、談合という言葉だけを入れるということではなくて、もっと包括的に、本法案全体を通じて御指摘趣旨は十分に入っていると私は認識をしておりますけれども、あとは委員会での御論議にまちたいと思います。
  55. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 今同僚議員からさっとメモが入りまして、刑法の「競売等妨害」という項で、第九十六条の三第二項で「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする。」談合という言葉が刑法上でも使われております。  確かに俗語的な意味はあると思うんですけれども、ぜひ前向きな御検討をいただいて、談合という言葉をきちんと明示していただきたい、そのように改めてお願いをさせていただきたいと思います。  さて、大臣は、欧米、特にヨーロッパの入札制度についても大分研究をされていると伺っております。そこで、米国等の入札制度についてどう評価するか、談合防止という観点から何か学ぶべき点はあるか、コメントをいただければと思います。
  56. 扇千景

    扇国務大臣 今お尋ねございましたけれども、私は最初に、大臣に就任しまして、何とか公共事業というものの適正な姿というものを取り戻したい、その一念でございまして、まず調べたのが、日本にないけれども外国にはこういう法案があるのかないのかを調べたのがこの法案をつくるきっかけになったのは事実でございます。  私、そのときには、米国で連邦政府の発注は法律ではなくて連邦調達規則、そういうふうになっておるところでございますし、各州の発注は各州がそれぞれ定めているというので、今私、資料を全部持っておりますけれども、これを全部読むと時間がたちますので、失礼ですから読むことはやめますけれども、少なくとも、アメリカでは、今申しましたように、各州では違いますけれども、発注は各州がそれぞれ定めているというのがまずございます。  また、フランスでは、公共契約法典が定められて、国、地方を通じて公共部門の契約に適用されております。また、これも私は、最初は国だけだったんですけれども、途中から地方も入れて、国、地方というふうに、これもフランスでは修正をしております。  また、ドイツでは、国、州そして地方公共団体に適用されます建設工事請負契約規程、それに加えまして競争制限防止法、このように公共調達の規定がドイツでは盛り込まれております。  そのように、御存じの、今のアメリカ、フランス、ドイツ、そしてまた加えてイタリア、これも調べましたけれども、イタリアの場合は公共工事基本法、法案そのものが基本法になっておりまして、これも公共工事契約のみを対象に、国も地方もこれを通じて公共工事入札契約の一般原則あるいは手続等を定めております。  このように、今御質問ございましたように、私はこの法案をつくりますときに最初に調べたのが、各国ともこれらがある。にもかかわらず、我が国では一度もこれを検討されたことがない。一時ちょっとそういう動きがあったやに伺っておりますけれども現実にはなかったわけでございますので。  私は、各国ともそれぞれの状況に応じて談合等の不正防止、また不正行為等も含めて、入札契約の適正に関する法律に至って努力しているというのが各国の姿勢でございますので、少なくとも我が国におきましてもこういうものをつくって、そして今までの公共事業に、悪い冠をつけなければ公共事業と言われないということを少しでも払拭し、真に国民のために、あるいは国民に帰する公共事業にしたいというのが基本的な姿勢でございました。
  57. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私は、もちろん何でもかんでもアメリカ制度がよいと言うつもりはないんですけれども、私には持論がありまして、いわゆるグローバルスタンダードというのは、実際にはアメリカンスタンダードなんですね。よくも悪くもの話です。  それで、アメリカ入札制度をよく研究して、アメリカ人が納得するように、アメリカが望むような入札制度をある程度先回りしてこちらが改革をしていかないと、私は我が国も大変な目に遭うと思うんです。アメリカ経済がいつまでもいいとは思っておりません。いずれアメリカ経済が悪くなったときに、日本に対する圧力がどれほど激しくなってくるか、それを考えてきたときには、この入札制度改革、談合の防止というところにはよほど力を入れていかないとならないというふうに私は思っています。  日米の入札制度を比べる限り、決定的に違うのは、公金のむだ遣いになる談合を絶対に許さないという強い姿勢です。  私が大臣にあえて談合は善なのか悪なのかを問いただしたのは、わけがあります。それは、日本の国や自治体が、談合をなくそうとしないばかりか、推奨している疑いが強いからです。先日、公正取引委員会が官製談合について厳しい姿勢で臨む旨を明らかにしたのは、いまだ談合を善とする官が存在することの裏返しの証明と言えます。今必要なのは、我が国も何としても談合をなくすんだという強い姿勢を内外に示すことです。また、もう一つ、できる改革、可能な改革は、ああだこうだといって面倒くさがらずにとにかく一度トライしてみることだと思います。  そこで、入札予定価格の事前、事後公表について大臣にお伺いしたいと思います。  入札予定価格の事後公表については、メリット、デメリットはあるものの、談合を暴く効果も期待され、国から地方へ広がりつつあります。ところが、入札予定価格の事前公表については、建設省は余りやりたくないみたいで、ブリーフィングを頼んでも余りよい資料が来ないし、会計法の予決令がどうのこうのと言って余り検討してくれそうにはないのですが、大臣にお伺いします。入札予定価格の事前公表について、まず国から実現していただくお気持ちはありますでしょうか。
  58. 扇千景

    扇国務大臣 私、今の阿久津先生のお話の中でアメリカのことをおっしゃいましたので、本来のものをお答えする前に一言申し上げたいと思いますけれどもアメリカのことで今先生がおっしゃいましたように、アメリカでは談合というものがほとんどありません、なくなりました。  それは、少なくとも談合すると処罰されて損をするという、御存じのとおり、談合すると刑事でも民事でも行政処分でも極めて厳しいわけでございます。ですから、談合したら絶対に損なんだということが徹底しているわけですね。ですから、刑事処分におきましても、会社は一千万ドル以下の罰金を科せられるとか、そういう談合に対する厳しい処分がアメリカはあるということで、談合の数が本当になくなったという事例もございます。  私は冒頭に、法案であるいは法律で完璧なものはないと申しましたけれども、まず私は今回、この法案皆さん方に御理解をいただき、そしてこれを施行して、どこまで談合がなくなって、また処罰規定はどうなのかということも、何年かたてばまたこれは新しい手をつけるところがあるだろうということは、それは今から、私、これが通れば談合が一〇〇%なくなるなんて胸を張って言うつもりはございませんけれども、少なくとも今よりはいい建設業界なり公共事業になるんではないかということをぜひ御理解賜りたいというのが一点でございます。  それから、今おっしゃいましたように、予定価格を事前にすることがどうなんだというお話ございましたけれども、私は、メリット、デメリット両方あろうと思います。それはもう先生御存じのとおりで、今までどおり、予定価格の取り扱いにつきましては、国においては会計法令によってというのは今先生もちらっとおっしゃいましたけれども、会計法では事前公表が禁じられております。けれども、少なくともこのために、今、事後公表としているわけですね。  ですけれども、事前にということになりますと、少なくとも地方公共団体におきましても、地方自治法でも、これは発注者の裁量にゆだねられているというのが今の地方自治法でございます。ですから、一部の地方公共団体におきましては、入札の事前公表を行っているところも既にあります。それは先生御存じであろうと思いますけれども。  少なくとも私は、今おっしゃいました予定価格の事前公表というものに関しては、予定価格が事前に明らかになることによって、余計予定価格を探ろうとする、そういうことの不正な動きを防止するという効果だけは一方あるわけでございますけれども、少なくとも、建設業界の見積もりをするという努力を損なわす、業界が見積もりの努力をしなくても金額はわかってしまう、そういうこともデメリットとしてあるわけでございます。あるいは、談合が一層容易に行われる。金額がわかれば、あれによっておれのところはこうだ、こうだという今までの談合のシステムが、むしろ談合が早まるのではないか、そういう危険も一方にはあるということも、これはデメリットの一つとして私はあろうかと思います。これはもう想像にすぎませんけれども。  ですから、少なくとも談合が一層あるいは早目に行われるということがないようにする、そういうことによって事前公表を義務づけることは、少なくとも私は、やっちゃいけませんよと言って公表するということはあり得ない、できないというふうに考えております。  地方公共団体におきます今の予定価格を公表しているというような取り扱いにつきましても、これはまだ試行的な段階でございますから、予定価格の事前または事後公表を本法案によって一律に義務づける、これは、私は少なくとも、困難なことではありますけれども、全部一律に義務づけること自体が困難であるということはわかっておりますけれども適正化の指針において、他の予定価格を推定される、そういうことに対しては支障がないと確認できる場合には、少なくとも私は、事後あるいは事前等々に予定価格も公表できるようにするということは、それは務めであろうと思いますし、先ほど申しました地方公共団体についても、事前公表を行える旨これは定めるということをこの中にうたってございますので、地方自治団体にも御努力いただこうと思っております。
  59. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 どうも誠意ある御回答、本当にありがとうございました。  本法案の目的とする公共工事に対する国民信頼確保建設業の健全な発達を実現するためには、公共工事に対する国民の不信を生み出し、また建設業の健全な発達を妨げている談合にメスを入れなければなりません。その意味で、本日の質問を通じて、大臣談合防止に対する意気込みを伺うことができたのは大きな収穫でした。  本法案をあえて内閣法として作成し、みずからイニシアチブをとって入札制度改革を推進しようとする大臣の勇気には敬意を表します。しかし、本法案の文言を読む限りでは、発注者が責任を持って談合を取り締まろうとする強い姿勢がまだまだこちらには伝わってきません。それは、発注者談合防止責務や競争環境整備といった、入札制度改革に含めるべき基本的内容が明記されていないからであります。  また、本来、入札制度適正化は、中央官庁たる建設省が地方自治体を監視、監督するという側面のみにとどまるものではありません。建設省をも改革の対象として、納税者たる国民の監視下に置くという趣旨で行わなければなりません。その際、入札制度の改革には、指名競争入札の見直しや予定価格制度の是非、総合評価制度の導入など、議論すべき論点が多々あります。しかし、本法案は、そうした制度改革の本格的な取り組みを議論するには、まだこのままではほど遠い内容であると言わざるを得ません。  本来、このような趣旨法案は、民と官の間にあって民の立場を代弁する政治家が議員立法を通じて取り組むべき課題であります。与野党が議員立法を出し合い、議論を闘わせることによって、国民批判の目にたえ得る、より完全な法律へと進化させていくべきであり、私も今後この課題に取り組んでいく決意であります。  以上をもちまして質問を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
  60. 井上義久

    井上委員長 渡辺周君。
  61. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。  今、我が党の委員から続けて質問がございまして、この後にも我が党からの委員質疑に立ちますので、できるだけ重複を避けて質問をするわけでございますが、今までの議論の中で、大変大臣強い意欲を持って、就任直後に今回のこの法案を出されるということを御所信の中でも訴えられてこられたと思います。  その中で、非常に意気込みは、これまでも入札制度のあり方あるいは建設業のあり方、いろいろと審議会の方でも建議書が出されるなどしてきたわけでありますが、その中で、当初の大臣の意気込みでございますが、いわゆる公共工事契約法などを念頭に置いて、欧州各国の例を参考にして出すのだというようなことをおっしゃっておりました。あるいは、当初においては、欠陥工事が出たり業者間の談合事件が生じた場合の発注者責任の明確化、こういうものも盛り込むのだということを御自身の意見を陳述される中で訴えていらっしゃいました。  そんな中で、日本にはこうした規定が何もない、新法を出したい、まさに扇大臣だからこそ出せたかということは、先ほど来質疑のあったところでございます。この点につきまして、今回の法案を総括して、できばえというものはどういうふうに見ていらっしゃるか。当初の思いの中で、その趣旨が生かされている部分、残念ながら物足りない部分、いろいろお考えがあると思いますが、その点についてお尋ねをしたいなと思います。  そして、重ねてもう一つ質問をするとすれば、かつて自由党が、入札干渉罪という法案を準備されまして、国会に提出をされました。扇大臣もかつては自由党に所属をしていらっしゃいました。保守党党首としての扇大臣でございますので、あわせて、入札干渉罪の趣旨というものが生かされたかどうか。また、いわゆるあっせん利得法、この趣旨の部分において、この二つの法案で、当初の自由党さんが用意をされた法案の理念というものが生かされているのかどうか、あわせてお尋ねをしたいと思いますし、明快な御答弁をいただければと思います。
  62. 扇千景

    扇国務大臣 今、できばえはいかんというお話がございました。私は、何も胸を張って威張るつもりもございませんし、これが一〇〇%であるということを冒頭に申し上げたわけでもありませんとさっきもお答えいたしました。  法律の中で完璧なものは私はあり得ないと思います。法律というものは、年とともにあるいは世界情勢とともに、我々国会議員が、立法府として、少なくとも見直し、そして改正し、より時代に即し、またより国民のために、国のためになり得るような法案に変えていく、法案というものはそういうものであろうと思います。金科玉条ではありません。  けれども、少なくとも、私は、今お答えしておりますように、今の現状を憂うる一人として、何としてもこの法案日本の中につくっていって、今までるる言われたこと、またいろいろな事件がマスコミを通じて伝えられることを憂慮する国民の一人としても、ぜひこれはしていただきたい。  しかも、公共工事というのは、建設省だけではなくて全省庁の中に公共事業があるわけでございますので、これは、私ども一つ力んだところで全省庁の御協力がなければできないことでございます。ですから私は、あえて内閣として、皆さん方に、総理のお口添えのもとに、全省庁が協力して初めてできたことでございます。  ですから私は、そういう意味では、本当によくできたなというのが現実の実感でございます。それは、大体これだけ大きな法案、戦後五十五年間なかったわけでございますから、審議会にかけたり法制局に相談して、少なくとも最低五年はかかる法案でございます。けれども、それをわずか二カ月で、みんな協力してくれて、全省庁の御協力があって初めてこの法案が生まれたという経緯をぜひ渡辺先生も御理解いただけるものだろうと私は思います。  先ほども、前任の質問者の中に、こういうものは本来民間業者の意見も聞いて議員立法にすべきだったというざんげともとれるお言葉がございましたけれども、五十五年間の中に議員立法をしなかったということは、私は、やはりじくじたるものをお感じになっての御発言であったろうと思います。  そういう意味におきましても、私は、今回閣法として出させていただいたということに関しては、ぜひ渡辺議員にも御理解をいただき、そして、あえて私はこの法案をすることによって、皆さんの御賛同を得て初めて生まれるわけでございますから、欠陥があれば、またまたこの委員会等々で、お気づきの点は皆さんの立場で御意見をいただいて、補足していくのが時代の流れであろうと私は思います。  こういう世紀末、二十世紀の最後、二十一世紀を迎える、この機をとらえて提出できたことは私は本当に幸せだと思いますし、ぜひ、これを皆さん方に御審議いただいて、いい法案にしていただきたいと念じております。  また、入札干渉罪等々とお話がございましたけれども、これは私が今答えるべきであるかどうかということを考えておりますけれども入札干渉罪というものによって、あのときには少なくとも、国も地方も含めて、私ども入札干渉罪する。あの当時話題になりましたときには、国会だけだったんです。けれども、私たちは、国も地方も、この公共事業のこの法案と同じように、これも国と地方も含めたのですけれども、自由党当時の入札干渉罪というのは、国だけではなくて地方も含めたものにしようというのが、あの入札干渉罪をつくったときの基本的な姿勢でございました。  それを今でも私は、その法案に対しては、やはり入札干渉罪、今話題になって議題になっておりますあっせん罪も含めて、国も地方もしなければ、一方だけでは、これは差別用語になるといけませんけれども、片手落ちという言葉は差別用語になりますけれども、国だけではいけない、地方も含めるという意味では、私は、この公共事業入札干渉適正化法と入札干渉罪と同じ意味で、国も地方もという意味だというふうにおとりいただければいいと思います。
  63. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 かつての所属されていた政党と現在いらっしゃる政党、ましてや閣内に入られて、お立場がいろいろ違いはあるとはいえ、ある程度の意欲は感じているわけでございます。  もちろん、国会議員等の入札干渉等の処罰に関する法律案、これは私も手元にございまして、大変厳しい内容になっております。この分については、これから審議される中で、あっせん利得罪でどのようにまた我々と質疑がされるか、そこの議論にも当然かかわってくるところでございます。  この点についてやると時間がなくなりますが、私、実は、この法案をきょう質問するに当たりまして、私どものいろいろ知っている公共工事を請け負っている方々、当然——きょういらっしゃる委員皆さんも本当はそうだと思います。本当はというのは、そういうことが実際地方の実態あるいは国の実態の中であるということは、全く何も知らない、無垢でうぶなわけではございませんで、そういう現実の中で、公共工事の受注をめぐってどのような形で業者さんたちがやっているかということは、どのようなシステムが残ってあるかということは、当然、皆さん理解の上でこの質問に立たれているのだろうと思います。  私も、正直言ってその一人として、あえて質問になっているわけですが、この中で、私は、大変欠落している部分があると思うのです。それは、我が党がこの法案の審議をする中でも、以前にも部会等でも意見を出し合いました。一つには、これはもうおわかりのことと思いますが、やはり天下りの部分なんですね。  これは、正直言って、今地方の話もございました。例えば、ある地方の話をします。ある地方の土木事務所の所長だった方が、退任をしたら、私どものところにあいさつ状が来るのです。こっち側は、これまで、ある土木事務所の所長をこのたびは退任をします、反対側には、このたび、県内にある公共事業を請け負っているあるサブコンの相談役として、四月一日より、私はここで今度は相談役か顧問かで拝命をいたしました、今後ともどうぞ御指導ください、あいさつ状が来るわけです。何を御指導するのかよくわからないのですけれども、例えば、そんなのが来て、もう土木事務所の所長をやめた途端に、そこへ行くわけです。  実際、この間の中尾元建設大臣の事件は記憶に新しいわけでありますが、若築建設というところが、談合を有利に運ぶためには天下りをしてほしいということで、その口添えをお願いしたということも、中尾元建設大臣事件のときには、当然のことながらそこに事実として記されたわけであります。  また、地方に行けば、私どももいろいろな分野の企業の方々にお会いをします。そして、やはり正直言って、天下りを受け入れている企業が、当然、ある程度安定した受注を受けているというのは事実なのでありまして、だとすれば、この天下りの部分、これは政府・与党内でも、天下りの禁止というものについては今、法整備が進められていると思うわけでありまして、当然我々もこの問題、つまり公正な競争であるのならば、大方の業者さんたちも納得をすると思うんですね。しかし、残念ながら、天下りの人たちを受け入れたところだからこそ優先的に情報が入る。  もっと例を挙げますと、現職の地方の役所の中にいる方々、特に技官の方々、そして退職されて民間会社に天下った方々のOB会、OBと現職の技官たちが一緒になって親睦会を定期的に会費を集めてやっておるわけです。そんなところで話をすれば、当然どの工事がいつどんな額で出るだろうということは、たやすく情報が入る。実際、受け入れる余地のないところは、いつまでたってもそういう情報は入らずに、下請、孫請のままで来る。  だからこそ、その談合という大きな枠の中で頼らなきゃいけないというのが現実でありまして、これは私が言うまでもなく、大方のここにいらっしゃる方は知っていることだろうと思います。だからこそ、この天下りという部分について、受注をした企業、あるいはその天下り先も、受注したか否かは別にしても、やはりこういうものはある程度公表していかなければならないだろう。  私どもも当然、党内の部会でこのことは議論をしてきたわけでありますが、この点については一切今回の法律の中では触れられていない。我々としては強く求めてきたわけでありますが、その点についての御所見をいただければありがたいなと思います。
  64. 扇千景

    扇国務大臣 今、渡辺先生がおっしゃっていることは、あってはならないことをおっしゃったことで、これは今まで当然いけないことなので、あってはならないことをるるおっしゃいましたけれども、少なくとも私はそのことを、今先生がおっしゃったすべてのことを勘案して法案にした、そういうふうに申し上げるのが一番明快であろうと私は思います。  ですから、私は、それによって、皆さんがおっしゃいますように、いわゆる官製談合という言い方をした方が明快かもしれませんので、官製談合という言い方になるんだろうと思います、渡辺先生がおっしゃったことは。ですから、私は少なくとも、そういうこと、あってはならないことの列記を今、渡辺先生がおっしゃいました。  けれども、現行の法制下におきましても、官製談合というものが行われた場合には、受注者談合行為が少なくとも刑法第九十六条の三第二項、談合罪に当たる場合、独占禁止法第三条または第八条第一項第一号、談合当たり告発がなされた場合のいずれも、発注者はその共犯として刑事罰の対象とされております。  ですから、私は、今、すべからく官製談合というものにかかわった者はこの刑法によってきちんと処罰される、また、現行の制度に加えて、今回皆さん方に御審議いただいております、この公共工事入札契約の透明性、競争性の向上がこれによって図られて、不正の起きにくいシステムそのものが構築されることになる、私はそのつもりでつくっておりますし、官製談合も含めました不正行為に対しては相当程度の抑止効果がもちろんあると思っております。  また、御存じのとおり法令の二十条で、国等の職員に対しての教育、あるいは、むしろそれに対して監督等々を行っておりますし、責務の規定として明快にしてあるということも含めて、御理解いただけるところであろうと私は思いますので、ぜひ私は、官製談合的なものは今までもいけないし、これからも当然いけないので、この法案によって、よりそれが抑制されるというふうに御理解いただきたいと思います。
  65. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 確かに、これまでの議論の中でも、今までは何にもしてこなかった、だからこそやるということが、今まであってはならないことがあったんだというんですが、そうはいいながら、現実問題としてあってきたことは、みんな口には出さなくても、地元へ帰っていろいろな方とおつき合いしていれば、ある程度わかってくる部分もあるわけでして、また、そういうものが実際、一つの地方の中でシステムをつくってきたということは、ある程度政治活動をしてくれば、かかわる、かかわらないは別にしても、ある程度のこととしては認識しているわけであります。  今私が聞きたかったのは、いわゆる天下りという部分について、例えば北海道の官製談合でいえば、北海道庁が主体的に割り当てを決めて、官製談合の陣頭指揮に当たっていたということがございました。  実際、これは私も地元のある方と話をしていました。実は談合質問をやるんだということをしたら、業者が罰則されるだけじゃおかしいんだよ、こんなのは官と民が一緒にならなきゃ談合なんかできっこないんだ、幾ら頑張ったって、官の方が金額を教えてくれるから、我々は、あるグループのチャンピオンがいて、その代表者がそこへ行って、見積もって積算した額の、この額より上か下かと言うと、喫茶店で新聞を読みながら、下だとか上だとか指で指して教えてくれるんだ、それよりどのぐらいの額が高いか低いかと言うと、イチローの年俸を指さしながら、なるほどと、うまくヒントを、スポーツ新聞なら出ている金額か何かをぺろっとしゃべって、なるほどと言ってそのままコーヒー代を払って帰ってくる、そういうことが実際あるんだよ、こんなことはよくあることだと言っておりました。  実際問題として、この官製談合という部分について、きょう公取の方にも来ていただいていますので、後ほど伺いたいわけですが、一つは、大臣に聞きたいのは、あるいは建設省に聞きたいのは、天下りという部分ですね。よく、この話をすると、必ず職業選択の自由だというふうに言うんです。しかし、北海道の例を見ますと、北海道庁のOBで、いわゆる天下りを受け入れたところは、先ほど申し上げたように、受注を安定して受けている。そして、新しく受け入れたところは受注額がふえていて、その天下ったOBが退職をすると、実は受注額、受注実績が前年比減っている、この相関関係があるんだということも報道等でされているわけであります。  だからこそ、私たちは、天下りの実態というものをちゃんとはっきりと外に出さなきゃいけない。別に、この工事は何人天下りをしたこの会社が受注していますと何もやることはない。ただ、どの企業にはどれだけの人間がこれから天下りをしますよ、この人はどんな経歴だと。ですから、こういうことはもうはっきりとさせるべきじゃないか。その上で、それはまた、その地域に住んでいらっしゃる納税者の方々がどう判断するかという一つの参考になるんだと思います。だからこそ、週刊誌には、次から次へと、天下り名簿をすっぱ抜くとかというのはしょっちゅう出てくるわけであります。  だとすれば、もうはっきりやってしまえばいいじゃないかと思うわけでありますので、この天下りの点について今後どう、先ほど大臣おっしゃいました、これから意見があったらどんどん言ってくれ、改善すべき点は改善するというようなことをおっしゃいましたので、この天下りという部分についてどうされるか。これは通告の質問の中にはないのかもしれませんが、この点について今後どうしていかれるかという、何かお考えがありましたら、天下りの公表の有無ということについてもぜひお答えいただきたいと思います。
  66. 扇千景

    扇国務大臣 私は、天下りという言葉がいつごろから世の中に出てきたのか、今記憶が定かではございませんけれども、少なくとも、今の官僚、全省庁通じて、優秀な人材が集まっていることは確かでございますけれども、大体五十二、三で皆さん、これも私もよくわからないんですけれども、一人が偉くなると、その学年から突出した者が出ると、あとは全部やめなければいけないということではないんですけれども、大体、エリートと言われるところはその学年から一人か二人、そしてあとは散っていくというふうな、散り方によると思うんですね。  けれども、私は、民間でも定年を六十五歳、少なくとも六十歳の定年を六十五歳にまで上げようというのが今の民間企業の考え方、また組合もそういうことをおっしゃっています。  日本の平均寿命が世界一、そういう時代に、労働者、あるいは少子高齢化社会に向けて労働力が低下する、不足する、その場合に、少なくとも能力のある人たちには六十歳定年を六十五歳にまで延長しようという民間のそういう動きがありながら、官庁の中においては、少なくとも今と同じように五十二、三歳で一人に淘汰される。私は、そういうシステムこそ考えて物を言えばいいというふうに思っていますけれども、お役所の方からは余り定年延長なんということは話に聞いたことがないんですね。  ですから、少なくとも官のあり方自体もこういう機会には、いい機会ですから、渡辺先生そうおっしゃるのであれば、官のあり方、そして官の人たちの、五十二、三歳で、後はどこへ散るか。その散り方が、いわゆる天下りという言葉になるのか、あるいは同じくどこか関連の企業に行くのか。そういうことになる今のシステムの基本をぜひ次回でも御論議いただいて、どういうふうにあるべきかと。  五十二、三歳の働き盛りは、大体子供さんがまだ学校に通っております。そういう時期の官の人たちの行き先、少なくとも一次的には、就職する場合には、今再就職することについては、本人のこともございますけれども平成七年度、平成八年度に就職した人たち、そういう人たちには、短期間、少なくとも長期にしても皆さん方に通知するということが義務づけられております。離職後二年間は、あるいは離職前五年間に在職していた省庁と密接な関係のある営利企業への就職をする場合、少なくとも人事院等の承認を得なければならないということで、これはすべからく明らかになっております。  ですから、私が今申しましたように、五十二、三歳で、少なくとも、離職後二年間、しかも離職前五年間に在職した関係の省庁と密接な関係のある営利企業へ就職する場合に届け出ているという明快さがあるわけです。明示してあるわけです。それをもいけないというと、だんだん役人になる人がなくなると私は思います。それは生活設計ができないからであります。  少なくとも私は、それでは、給料を上げないまでも、定年の延長制度というものを民と官が同じに、近くなるくらいな論議も盛んにするべきで、今渡辺先生がおっしゃいました、第一次的な就職は少なくとも人事院に届ける、明快になる。それじゃ、それが、少なくとも二年間であればまだ五十五歳ぐらい。じゃ、次の第二次の就職先のときは自由になる、第三次は自由。第二の人生、第三の人生というのは、長寿社会の日本においては、これはもう必要不可欠なものだろうと私は思います。  けれども、そういうときに、能力のある人が第二次、第三次に行くということまでを天下りという言葉で縛るということだけではないというふうに私は御理解いただきたいと思います。
  67. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 別に私は長寿社会がどうだとか、五十二、三歳でその貴重な経験がだめになるからとか言っているのじゃなくて、フェアじゃないということがあるからこそ、もっと言ってしまえば、これ以上時間が、あと五分しかありませんけれども、結局、フェアじゃない社会になってきた。だから、かつて集票マシーンと言われて自民党を推してきたところが、変な話ですけれども、野党でももう推すと。何でだ、こんなフェアじゃない社会をつくるのだったら、我々は何もそんな自民党を推さなくてもいいと。だからこそ、自民党の方々は危機感を持って、変な話、集票マシーンが崩れてきた。  その構図は何かといったら、結果として、今まではそういう縦の秩序が守られてきた。ところが、フェアじゃなくなってきた。だから、変な話ですけれども、野党にだって支持をしよう。今我々が自民党支持者の方から言われているのは、このアンフェアな社会を壊してくれと。  つまり、天下りの方々が行ったところに優先して、例えば公共事業が受けられる。そいつらが仕切って下請に出す。そこが仕切って下請に出せば、当然のことながら、そこにはうまみがあるから、どんどんそこが、下請が傘下に入っていく。ところが、あるときは泣かされるような仕事だってやらなきゃいけない、そうしないと食っていけないからだと。  この説明をすると長くなりまして、あと四分しかありませんからきょうはできませんが、実際、この天下りの問題についてはぜひまたやりたいと思うわけでありまして、私は、結果的に、天下りと言うのがだめであるならば、ある意味では、民間への転職ということが、自分の影響下にある、それをわかっているから受け入れるわけでありまして、受け入れる先は、当然うまみがあるから受け入れる、この若築建設の例がまさにその一つの例であります。この議論はきょうはできません。また次回やりたいと思いますが、この点については明確な答弁をいただけなかったと私自身は理解をしております。  最後に、公正取引委員会からきょうは来ていただいております。  今までの質疑の中で、またこの法案を見ていただいて、いわゆる根來委員長自身がマスコミのインタビュー等で、官製談合、先ほど来議論になっております官製談合の対策には法整備が必要であるというようなことをおっしゃっているというふうに伺っているわけでありますが、その理由について、そしてまたどのような法律が必要だとお考えになっていらっしゃるのか。  そしてまた、法律をよく読んでみますと、不正事実があると認めた場合には公正取引委員会に通知する義務がある。そして公正取引委員会は、この通知を受けて、具体性、事件性があると認められた場合にはいろいろ具体的な対処をするわけでありますが、この法律の制定、成立をすれば、どのような形で公正取引委員会は対応していかれるのかということにつきまして、公取の方に伺いたいなと思います。
  68. 根來泰周

    根來政府特別補佐人 これはもう御理解いただいているところだと思いますけれども発注者がこの談合に深く関与している場合が多々あるわけでございます。こういう場合、事業者あるいは事業者団体だけを対象にして行政処分をするというのは大変不公平でございまして、これについては、対象の事業者あるいは事業者団体からもいろいろ不平不満がありますし、私どもも何となく隔靴掻痒といいますか、そういう面があるわけでございます。  そこで、この発注者団体、このかかわり合いというのは幾つも、深くかかわっている場合と、あるいは注意義務を怠っているような場合も、いろいろあるわけでございますが、そういう場合にどうしたらいいかという問題であります。  そこで、独占禁止法には確たる根拠がないのでありますけれども、要請という形で、発注団体に不正防止についての要請をしているわけでございます。これを法的な何か裏打ちをする方法はないかということが一つの主題でございます。  ただ、独占禁止法というのは、御承知のように、事業者あるいは事業者団体が対象になっておりますので、発注者団体というのは対象になっておりません。これはやはりほかの法律と深くかかわっているところがございますので、私どもだけではなかなかいい知恵がないわけでございます。そこで私が申し上げているのは、各省庁にまたがることであり、非常に難しい問題でございますから、これは政治のお力をかりて解決するほかない、こういうふうに申し上げているところでございます。
  69. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 大変申しわけなく思っているのは、せっかく公取の委員長に来ていただいておりますが、最後にもう一度伺いたいのは、この官製談合であるということが発覚した場合、公正取引委員会としては現状どう対応できるのか。これは、独占禁止法の限界ということはさまざま指摘をされているわけでございまして、ただ、公正取引委員会も一緒になってこの実効性を高めていかなければならないというのは、これはもう委員長御存じのとおりでありまして、また多くの方が期待するところでありますが、その点につきまして、もう一度、御認識というよりも、また意欲をぜひ聞かせていただきまして、次の方に質問を移りたいと思います。
  70. 根來泰周

    根來政府特別補佐人 先ほど申しましたように、こういうことについては要請をしておりますし、また、場合によっては刑法犯ということで告発をいたしまして、従犯という形で行為者を縛るということも可能でございます。そういう我々に与えられた権限を駆使してやっていきたい。  今度、この法律も拝見したのでございますが、この法律趣旨もよく体して、私どもも、発注者の責任ということも十分視野に入れまして適正に対応したい、こういうふうに考えておるところであります。
  71. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 終わります。
  72. 井上義久

  73. 武正公一

    武正委員 民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。  本日は、委員長そしてまた建設委員各位におかれましては、質問の機会をいただき、心から感謝を申し上げます。また、先ほど来、扇建設大臣よりは本法案の思い入れをるる聞かせていただきまして、時宜を得た法律案であるということで敬意を表するとともに、以下、幾つかの点についてお伺いをさせていただきます。  まずは第一に、発注者責任の明記についてお伺いをさせていただきます。  もう既に同僚委員から御指摘がありましたが、まず第一に、官製談合、発注担当者が落札予定価格を教えている等、公共工事でこうした官製談合が行われている、行われていたという認識はお持ちでありましょうか。これをまず第一にお聞かせいただきたいと思います。  そして二点目は、これは聞く話でございますが、発注担当者が積算ができない、あるいはしなくて、その積算に至る大部分を建設コンサルタントや大手設計会社に任せていた、いるという話を聞くわけですが、積算価格の漏えい、談合の誘発につながり、建設コンサルタント、大手設計会社による建設業界支配となるおそれが指摘されております。公共工事の発注担当者が積算できない、あるいはしていない、大部分を外部に任せているという認識をお持ちかどうか。  以上、二点の認識について、建設大臣にお伺いをさせていただきます。
  74. 扇千景

    扇国務大臣 まず、今の御質問の中で、発注者責任とそれからというお話で、まずその点からお答え申し上げたいと思います。  発注者責任として談合の防止またはその他の入札契約適正化の責務を負う旨を明らかにするべきではないかと今おっしゃいましたけれども、少なくともこの法案では、御存じのとおり、入札契約適正化の基本法として、透明性の確保あるいは公正な競争の促進、また不正行為の排除の徹底、適正な施工確保、この四点を挙げているというのが第三条にございますのは、先生御存じのとおり、御認識賜ることだろうと思います。  また、これらの入札契約にかかわりまする発注者あるいは受注者すべてが踏まえるべき基本原則でございますし、あるいは、当然のことながら、発注者もこれに従って入札契約適正化を図る責任を負うものであるというのは、おわかりのとおりでございます。明記してあるとおりでございます。  けれども、少なくとも排除を徹底すべき不正行為の主なものである談合につきましては、今おっしゃいましたように、発注者もこの基本原則に従って、透明性の向上、あるいは談合の起きにくいシステムづくり、あるいは先ほどもお答えになりましたけれども、公正取引委員会の判断に、通知をする、公正取引委員会に必ず通知をしなければならないというそういう義務もあるということによって、私は少なくとも防止が図られるというふうに考えております。  また、国などは、職員や建設業者に対しましても独占禁止法等の関係法令に関する知識の習得等をさせる責任を負う、そのように考えておりますし、それは第二十条に、ごらんいただきましたら書いてあるとおりでございますので、明記してあるところでございます。  そういう意味で、この法案に対しましての発注者談合防止あるいは責任の趣旨、そういうものに対しては十分に少なくとも盛り込んであるというふうに私は考えております。
  75. 武正公一

    武正委員 発注者責任の明記についてというのはまくら言葉でありまして、今お伺いしたのは、官製談合が行われているという認識があるかないか、また、公共工事発注者が積算できない、外部に委託している、こういう認識をお持ちかどうか、以上、二点の認識をお伺いしたので、それについてお答えをいただきたいと思います。
  76. 小川忠男

    小川政府参考人 若干大臣の御答弁を補足させていただきたいと思いますが、特に、ただいま御指摘いただきました、積算が外部に漏れている、ないしは積算する能力がないのではないのかというふうな点についてでございますが、率直に申し上げまして、公共工事発注者は、私ども直轄建設省だけではなくて、全国に三千三百の市町村ございます。その中には、技術者が極端に言えば一人もいないというふうな団体も現にあるわけでございまして、その場合には、残念ですが、コンサルに、丸投げと言うと語弊がございますが、全面的におんぶせざるを得ないというのも現実であります。そういうふうな場合には、極めて残念ですが、全貌を掌握しているわけではございませんが、場合によっては御指摘のようなケースがあり得ることを否定できないというふうなのが、極めて残念ではございますが、率直なところでございます。  私ども直轄の場合にも、率直に申し上げまして、行政判断は伴わないような単純な業務等々については、定員事情、職員状況を考えまして外部委託をせざるを得ないというのが現実でございます。ただ、その場合でも、やはり発注者としての責任というふうなものが大前提というふうなことは堅持していきたいと思います。  したがいまして、問題は、やはり冒頭申し上げましたような極めて発注体制が脆弱な団体が現にあるというふうなのも事実でございますので、それに対する支援体制というものをどういうふうな形で構築していくのかというのは、やはり大きな、避けて通れない問題になってくるのではないかというふうな感じはいたしております。  以上でございます。
  77. 武正公一

    武正委員 発注担当者が積算できないという認識が地方自治体並びに建設省直轄事業についてあるということで御答弁がございました。  そして、それが、建設コンサルタント、大手設計会社が積算をする場合には、そこにまた先ほど指摘があったように天下りがあるということで、これがまた官製談合の温床ということでありますので、積算をやはり発注担当者、担当部門で行っていくというのが発注者の責任であるということを申し添えて、ちょうどきょうはまた公取の方がおいででございますのでお聞きをしたいのですが、大臣が、発注者責任は明記されているというお話でしたが、同僚委員指摘もありました。独禁法には根拠がなくて、要請しかできない、発注者に対して要請、お願いがせいぜいであるということでありますが、本法律施行後どういう形で公取として対応ができるのか、対応が変わるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  78. 鈴木孝之

    鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。  本法案におきましては、談合等、公正取引委員会の所管します独占禁止法に違反する事実があると疑うに足ることがございましたら、発注者の側において私どもへ通知することが義務づけられています。  私どもとしては、その通知を受けまして、それを違反事件を調査いたします一つの手がかりとして、貴重なものとして扱わせてまた調査を進めたいと考えています。  また、引き続きその中で発注者が関与するような事例、事実が見られました場合は、その点につきましては、現在、私ども法律では、先ほど公正取引委員長が申し上げましたけれども、事業者あるいは事業者団体に処分が可能となっておりますので、発注者の側につきましては、その改善方を真摯に要請してまいりたいと考えております。
  79. 武正公一

    武正委員 本法案が施行されても、依然公取は要請しかできないというお答えでございました。  では、第一条の本法案趣旨、第一条「目的」、あるいは、先ほど公取に通知という第十条、ないし第十六条に、発注者責任を明記し、守られない場合は公取が関与できるという記載を設けた場合に、公取としてどのような対応ができるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  80. 鈴木孝之

    鈴木政府参考人 本法案にそのような規定を設けました場合でございますが、私ども、その点につきまして、すべてが扱い切れるかどうか、若干懸念を有しているところでございます。  と申しますのは、この法案対象公共工事に限定しておりますところ、入札談合及びそれに対する発注者側の関与は工事に限られませんで、物品、役務の調達においても行われるものであるため、本法案において公共工事に限定して発注者側に対する措置規定を設けたとしても、必ずしも十分な、すべての問題を扱い切れるものとはならない、そういう限界があることを若干懸念いたしておるものでございます。
  81. 武正公一

    武正委員 物品購入などがこれには盛り込まれていないという点を今指摘されたと思います。  先ほど来、建設大臣はこれで万全だというような御答弁をされておりますが、私からすれば、公取がやはりお目付役としてきちっと、官製談合発注者側に対する要請以上の強い態度で臨めるというふうな形が必要だと思いますが、再度建設大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  82. 扇千景

    扇国務大臣 ぜひお聞き取りいただきたいと思います。  私は、万全だと言った覚えもございませんし、法案に一〇〇%というのはないということは、何度も貴党の同僚の皆さんにも申し上げてあります。少なくとも私は、一里塚である、第一歩であるということだけは明言するというふうに申し上げてありますので、きょうの御審議において皆さん方の意見によってということも申し上げてありますので、私は、これで万全であるということは一度も言っておりませんので、ぜひ御認識賜りたいと思いますし、発注者責任というものもでき得る限り是正していく。  また、少なくとも、この法案によって発注者がもっと責任を感じる、それを提言する、しかも喚起する、そういうことに対しては、私は大きな役割を果たすというふうに感じていると申し上げているんです。
  83. 武正公一

    武正委員 建設大臣の強い決意をお伺いいたしました。ありがとうございます。  続いて、第二につきましては、第十九条の情報の収集、整理及び提供に努めるという点でございますが、やはり、各発注機関が共同で利用できて、建設会社技術力を公正に評価し得る工事実績データベースが必要であろうというふうなことは、既に指摘をされているところでございます。  財団法人日本建設情報総合センターのCORINSがありますが、データベースとしてこれを念頭に置いているのかどうかをまず一つお伺いしたいということであります。  CORINSは、平成六年に建設省直轄工事、都道府県、政令市に登録義務づけが開始されていますが、市町村は少なく、二十二市町村が活用中、十五市町村が準備中、ことし八月十八日現在。また、受注時合計登録件数は約五十四万件、竣工時約八十万件、平成十二年度の情報で、これは受注時でありまして、入札時の情報は登録されておりません。  例えば、関東地方を中心に構築されているのがKDnetでございますが、その登録は入札情報からでありまして、入札公告九万件、入札予定五十三万件、入札結果百十八万件。民間でこれだけのデータベースをつくっているわけであります。  特に、公共工事の発注の七割は都道府県、市町村と言われておりますので、全国の発注業者が共同で使える入札時からの工事実績情報データベースの確立が第十九条の実行のためには必要と考えます。これについての御所見をお伺いしたいと思います。
  84. 扇千景

    扇国務大臣 今おっしゃいましたように、少なくとも、情報その他の普及が公共工事入札及び契約適正化の推進に資することとなるように、情報の収集及び整理、提供に努めなければならない、これは今御指摘のあった第十九条でございます。  けれども、今おっしゃいましたように、本法案で情報の公表を、入札契約適正化を図る上で最も重要な事項の一つ、そういうふうに位置づけていますから、今の、国、特殊法人等及び地方公共団体を通じて入札契約にかかわるさまざまな情報の公表を義務づけているところでございます。それは、今おっしゃったとおり、公表するということが基本でございますので、今までそれがやみであったということに対するひとつの大きな前提でありますし、私は前進であろうと思っております。  また、一方、数多くの発注者から発信されます情報は膨大な量になります。少なくとも、私の記憶では大体二万件、一年間に二万件の入札があるわけでございますから、膨大な量であることだけは間違いございません。それと、少なくともこの工事に関しては、書類あるいは設計図が要りましたり、あるいは積算の細かいことが要りますから、これは大変な量になりますけれども、今、御存じのとおり、森内閣において電子政府という言葉を使っておりますし、また、今回は、私は入札も電子入札を将来やっていきたい。そうしますと、より全国一律に電子入札によって明快になる。  ただ、電子入札をします場合には、電子入札をしたときに相手が良質な工事をし得る業者であるかどうかの選定が大変不安になる、そういう一縷の不安も持っておりますけれども、私は、二十一世紀型というのであれば、少なくとも電子入札をして、より公平に、より明快にできるという方法を得るべきであろうと思っております。  これは電子政府とともに今まだ緒についたばかりでございますから、最終目標としては私は電子入札というものも当然考え得るものである、しかもそれがより公明、公正である、しかも電子入札をした場合には談合というものもすべてできなくなるし、今おっしゃった第十九条で情報の収集、公開等もすべて、電子入札というものが実行されるようになれば、これも一つ私は大きく前進するものであると思っておりますので、ぜひ十九条の御理解と、そして十九条の適用方法を今後ぜひ御検討いただきたいと思っております。
  85. 武正公一

    武正委員 データベースの構築が電子政府のこれからの中できちっと行われていくべきであろう、そのときには、現状、例えばCORINSのような、受注情報ではなくて、入札時の情報がやはり、先ほどの市町村まで含めた発注者は欲しいということでありますので、ぜひ入札情報まで含めたデータベースの全国的な構築をお願いしたいと思います。  第三番目が第十五条の適正化指針でありますが、まず、2の一の情報の公表に関して、予定価格の事前公表は賛否両論ある、メリット、デメリット両方あるんだということでありますが、私は埼玉県の出身ですが、埼玉県では一〇〇%行われているということをまず申し添えたいと思います。これは、やはり、いわゆるボーリングというような予定価格を探ろうとする不正な動きの防止につながるわけですので、ぜひ行うべきだろう、指針に盛り込むべきだと思います。これは私の考えを伝えておきます。  そして、一方、公表するものと公表は控えた方がいいものというのがあると思うんですが、談合防止のためには、指名業者の公表というのは実は控えた方がいいんじゃないかなと思うわけですね。入札参加業者が明確になって談合を助長してしまうからでありまして、これは2の四に関しても同様に、他の指名業者がわからないように、現状では現説、現場説明の日時、場所を特定しておりますので、どの人が指名されたのかがすぐわかってしまう。これも、限定しないでもうちょっと緩やかに、関係図書などを取りに来たっていいんじゃないかなということ。あとは、現説から入札までの期間も、これが一つ二週間というような、これは直轄事業では上限がありますが、これをもうちょっと適正にしてやることによって談合を防止できるんじゃないかということ。  それと、先ほど大臣が力強く言われたインターネット入札、電子入札。これはもう密室性を排除するわけですから、やはり談合防止にもなるし、また、後で触れますが、一般競争入札について事務量が膨大になるという点については、この電子入札は大変有益であるというふうにも考えるわけであります。  先ほど入札時の明細書の添付も同僚議員から出ましたが、特に、具体的には工事仕様書に金額を明記して提出させるというような形で、それぞれ談合の防止につながるのではないか。  指針に盛り込む点、以上、お聞かせをいただければと思います。
  86. 風岡典之

    風岡政府参考人 まず五条の関係で、指名業者の名称の公表の時期についてでございます。  これは、五条の規定の関係につきましての入札情報の公表につきましては、時期は、この法律では政令で定める、こういうような法形式をとっております。現在、政令で定める内容につきましては検討させていただいておりますけれども、一律的な義務づけの措置としては、手続の各段階でやるのではなくて、まとめて契約締結後に行うということが基本かな、このように考えております。  ただ、情報公開というような形で個別に求められるケースもありますから、途中の段階で情報を公表するということまでこれは禁ずることはできない、このように考えております。  ちなみに、建設省におきましては、指名業者の名称の公表の時期でございますけれども、これは中央建設業審議会の審議、建議を受けまして、昭和五十七年から、指名業者については指名通知後、なるべく早期に公表する。要するに、入札契約が締結された段階ではなくて、指名段階でなるべく早期に公表する。このことが開かれた行政、透明性につながるということで、今そういうような取り扱いをさせていただいております。  今後、先生指摘のような形で、どういう時期に発表するのがいいのかというようなことについては、多分いろいろな御議論があると思いますので、私どももさらにいろいろな議論をしていきたいというふうに思います。  それからもう一点、入札当たりまして明細書をつけるべきだということでございますが、これも確かに重要な御指摘であります。先ほども御答弁をさせていただきましたけれども法律で明細をつけることを義務づけるということについてまでは、今の時点ではなかなか難しいなというふうに思っております。  ただ、入札当たりまして積算をするという、当然のことでありますので、そういった当たり前のことが行われるようなことということは当然必要なことでありまして、この点につきましては、閣議決定をします適正化指針の中でその考え方を明らかにしていきたい、こういうように考えているところであります。
  87. 武正公一

    武正委員 次に、JV共同体について伺いたいと思います。  昭和三十七年に、建設事務次官通達ですね、このJV共同体が導入された当初、共同請負の実施については、中小建設業者を今後単なる共同請負から協同組合化へ、さらに進んで企業合同へと位置づけているんですけれども、今日までどのようにそれが歩んできているのか。また、JV共同企業体については、その受注額の割合に応じて施工を請け負っていることがわかるような、例えば下請への受注票を提出するような形で、いわゆる名義貸しのようなことや上投げのようなことが起こらないようにすべきと考えるんですが、これについてお伺いをしたいと思います。
  88. 植竹繁雄

    植竹政務次官 今の、中小企業育成のための経常JV制度が要するに形骸化している、そしてその中には施工しているかどうか、そういう疑問があるところもあるんじゃないか。したがって、JV制度の的確なガイドラインを考えまして、これを運用していけばいいじゃないか、そういうお尋ねでございます。このJV制度のあり方ということにつきましては、昭和六十二年の中央建設業審議会におきましていろいろこれを建議いたしまして、受注機会の配分と、誤解を招いたり施工の効率性を阻害している、これをなくすためにも、中小建設業者の振興を図るための経常JVについて、例えば構成員の数とか組み合わせとかあるいは資格等につきまして、一定のガイドラインを示しながら、各発注者においてそれに従って運用基準を各自に決めておるということでございます。  そして、この実態につきましては、全国四十七の都道府県中四十一自治体、あるいは特例政令都市十二の中の八自治体というものが事業をしておられるわけでございます。
  89. 武正公一

    武正委員 中小企業建設業育成という点でこの経常JVというのがあるわけなんですけれども、例えば中小建設業育成には、経営事項審査申請書類の簡素化とか、工事報告について、図書の作成、写真の提出、打ち合わせ議事録の作成などを簡素化するというような形で中小建設業の負担を減らすというようなやり方もあるんじゃないかなという点を、これはちょっと指摘をさせていただきます。  最後に、一般競争入札を原則とすると会計法で決められているわけなんですが、これを指針に盛り込んだらどうかなという点を触れさせていただきます。  まず、一般競争入札については幾つかやはり指摘があるわけですね。  まず第一に、不適格業者の排除が困難という指摘、第二に、過当競争により質が低下するのではないかという指摘、第三に、受注に隔たりが出るという指摘であります。  例えば、不適格業者の排除が困難ということについては、経営事項審査の徹底というか、特に平成十年改正で技術力の重視ということをうたっているわけですので、この点を徹底していくことでできるんじゃないかなと思うわけなんですが、ただ、平成十年の改正で、完成工事高の上限が三千二百七十から二千四百九十九に下がったのと同じく、技術力の上限も三千百三十二から二千四百二に下がっておりまして、これでは技術力重視と言えないのではないかと思うわけであります。  それともう一点は、建設業の種類別技術職員数についてですが、建設業法、建築士法、技術士法が一級五点もしくは二級二点扱いなのに対して、電気工事士法、電気事業法、消防法、職業能力開発法による電気工事士、電気主任技術者、消防設備士、技能士の評価が、二級が上で二点もしくはその他一点ということで、差があるわけですね。  このように差を設けるのはいかがかなと思うのは、建設業法では三百万人の資格を持ち、電気工事士では百八十五万人、技能士で二百二十万人という資格を有しているわけですから、差を設けるのはいかがかなと思うことをまず第一にお聞かせをいただきたい。  それから第二の、過当競争により質が低下するのではないかという指摘は、過日、熊谷国体工事で再入札が行われたときに、未工区の入札は抽せんでどちらにするかを決めたやり方を行って、一つは調査基準価格を下回り、保留後、適正であるとの判断で、設計価格を大幅に下回る価格での落札となり、もう一つの工区も一回目の落札金額を大きく下回るといった結果に終わっております。  これは、発注者が設計価格と落札価格が隔たりがあるとその能力を疑われるというメンツのことをよく言われるんですが、もうメンツの問題ではない。やはり、先ほど、価格が安いのは、ただそれだけでは問題だと言いましたが、調査基準価格を下回っても、検討して、大丈夫だということも埼玉県が今回熊谷国体で出しております。  それとまた、予算を使い切らなければならないということはもう時代にそぐわないという点では、やはり落札価格は競争によって安くする。それがきちっと適正に行われる工事であるということが補完されれば、やるべきではないかな。質は決して低下しない。これが第二点であります。  それから第三点は、受注に隔たりが出るという指摘がありますけれども建設業が今雇用六百五十万人。日本の産業構造改革が今後行われる必要があるときに、やはり適正な競争は、建設業、避けて通れないと思うわけでありますね。  冒頭大臣が、八十兆から七十兆に、平成四年から平成十一年で建設投資が下がったと言われましたが、これは民間の建設ががくんと落ちたのであって、それを補うために、地方公共団体は、この七年間、景気浮揚、雇用確保の名のもとに補正予算を出し続けてまいりました。  私は、埼玉県議をちょうどその五年間やってまいりましたので、まざまざとその様子を見ておるんですが、埼玉県では、平成四年の八千億の県債が、この七年間で二兆三千億、三倍にふえたわけですね。これは埼玉県ひとりに限らず、全国の地方自治体の県債、都道府県債の発行額が飛躍的にこの七年間、八年間でふえたわけであります。地方自治体は、もう補助金をもらっても負担を伴う公共工事はできない、まして県単独事業なんかとんでもないというような状態になっている。  こういう状態では、受注に隔たりが出るから一般競争入札ができないということではなくて、やはり適正な競争を、一般競争入札を原則とするということをこの指針に明記することによって、地方自治体も大変な財政難という、また日本もこれからやがて財政構造改革に突入、こういう時期には公共工事をやはり一般競争入札によって、適正な競争を導入する、これについて最後お聞かせをいただきたいと思います。
  90. 扇千景

    扇国務大臣 今たくさんおっしゃいましたので、どれからどうと思いますけれども、まず一般競争入札に関しての御答弁を申し上げたいと思います。時間もあることですから、多くは申し上げられませんけれども。  一般に競争入札は少なくとも透明性、競争性が高い、今委員がおっしゃったとおりだと思います。けれども、メリットだけかというと、そうではなくてデメリットもございます。そのデメリットはどこにあるか。不良あるいは不適格業者の排除が困難、だれが入ってくるかわからない、そして資格審査等の事務処理が膨大になる。  そういうこともありますし、今私ここに例を持っておりますけれども日本の場合、私は大変、これも今までこういうことが世の中に余り公示されていないということも残念だと思いますけれども、もともと明治二十二年に会計法が制定されて、その当時は一般競争入札が原則だったんですね。ところが、それが、不良業者が参入するということが起こって、これは明治三十三年に指名競争入札。そして、それを導入したけれども、今度は昭和二十三年に、当時ほとんどの工事を随意契約で行っていたんですね、ですからそういう意味では、これは特に国鉄の場合はその当時は多かったわけでございますけれども、GHQ等々の命令によって原則として一般競争入札契約をされたんですけれども、今言ったような不良業者あるいは資格審査等々の煩雑な仕事が多くなったということ。  また、イギリスのバンウェル委員会で、これは一般競争入札を導入したときに、一般競争入札価格のみに関しての重点を置いて、仕事の仕上がりのよさに関心を払わないという根本的な欠陥を内蔵した、また、入札に参加させようとする業者について慎重にして周到な審査がされることは絶対に必要であるということで、これも指名競争入札に変わった。これがイギリスでございます。  また、ニューヨークにおきましても、これは一般入札において、一般競争の弱点は、不誠実な業者が低価格入札し、不当な設計変更、訴訟を通じて契約額を上げる場合にはっきりする。また不正、浪費、悪用は一般競争入札と非常に綿密な関係があるということで、一般競争入札以外の方法の可能性について真剣に討議された。  いわゆる諸外国でも日本でも、同じような一般競争入札に関するメリット、デメリットというのは両方内蔵しているわけでございますけれども、私は、今回のこの法案において、現時点で指名競争入札を禁止して一般競争入札を全面的に導入するということは、今の事例を挙げただけでも困難な部分が多いなということはおわかりいただけたと思います。  これは、今後一般競争入札を適正に実施するとともに、公募型の活用等によって指名競争入札においても透明性、競争性を高めるということにして、私は一般競争入札の適正なあり方というものも今後ぜひ皆さんと検討し、なお、一般競争入札が一番理想ではありますけれども、一般競争入札のデメリットを少なくするように努力していきたい。そして、一般競争入札をなるべく多くするという方向だけは間違いないということを申し上げておきたいと思います。
  91. 風岡典之

    風岡政府参考人 経審につきまして二点御質問をいただきました。  まず、平成十年度の改正、確かに見かけ上は技術力のところは点数を引き下げておりますが、これは完工高の引き下げとの見合いでやっておりますので、私ども、この考え方は、別に技術力を引き下げる、積極的に引き下げるという意味ではなくて、ニュートラルにしているというつもりです。逆に、民間の、国家資格以外のものを評価するようなこともあわせてやっておりますので、御理解をいただきたいと思います。  それからもう一点、技能検定の資格等、私どもにとりまして他省庁の技能士等の資格との格差がおかしいじゃないかと。経審の基本的な企業評価の考え方でございますが、これは元請企業としての施工能力、それからまた管理能力、この総合的なところを評価しているというふうに考えております。技能検定等につきましては、施工能力に重点がある資格ではないか、このように考えておりまして、結果的にはそういうところから少し取り扱いの差があるのではないかというふうに考えております。ただ、今後技能検定等におきましてマネジメントみたいな能力を重視するというような動きがあれば、またそれはそれで適正な評価をしていきたい、このように考えております。
  92. 武正公一

    武正委員 終わります。ありがとうございました。
  93. 井上義久

    井上委員長 後藤斎君。
  94. 後藤斎

    後藤(斎)委員 吉田議員のお時間をちょうだいして、本日の主目的であります公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案の「目的」の最後の項にあります建設業の健全な発展という項について、二点に絞ってお伺いをしたいと思います。  公共事業というのは、従来であれば社会資本の充実という観点が大変強かったと思います。このところ景気対策という側面がもう一方の柱として立てられていますが、実際、大手建設業と中小の建設業、大変格差が開いております。  若干古い数字で恐縮なんですが、九八年度の工事総事業額、この年は十六兆あったようですが、五三%が資本金一億円以上の大手が受注をしております。一千万以下の個人、零細は〇・四%というふうになっております。そして、八八年と九八年の数字を見ますと、資本金五千万未満の受注件数が大変激減をしております。八八年のときに、例えば一千万未満の受注件数が十一万三千百四十一件、それが九八年度、十年たって三千四百九十二件。一方、一億円以上の資本金を持つ企業が八八年度では六万一千六百六十九件、九八年度には七万一千九百三十二件と伸びております。これを見てみますと、実際の一億円以上の大手の受注額が、シェアで見ると八八年の四〇%から五三%に増加をしております。  これはもともときょうの主題の議論でございます入札をする際の企業のランクづけの話もありますが、実際工事が大変大規模化している、プロジェクトが大きくなっているということ、逆に言えば生活に密着した工事が減っている。実際、地方に行けば建設業というのはまだまだというよりも大変有力な地方の産業を支える、経済を支える業態になっていると思います。  このような実態を踏まえながら、どのような形で、大手の建設業の方と中小零細と言われている地場で活動する建設業の方がどう調和をとって健全な発展をとっていくかということが大きな課題になると思いますが、この点について、特に中小企業、零細の方の受注機会の確保等、具体的な制度づくりについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、山名委員長代理着席〕
  95. 扇千景

    扇国務大臣 我が国の建設業界の少なくとも九九%が中小企業であるのは今おっしゃったとおりでございますし、また事実でございます。地域の住宅社会資本整備の、そしてまた経済、雇用を支えているこれらの中小企業者、中小建設業者の振興あるいは育成を図るということは重要な課題であるというのは意見を同じくしているところでございます。  このために、公共工事の発注に当たりまして中小建設業者の受注機会の確保を図るために、御存じのとおり中小企業者に対する国等の契約の方針、これに基づきまして中小企業向けの契約目標を毎年設定しています。ちなみに平成十二年度は国全体の四四・一%、これを中小企業皆さん方に国等の契約の方針に基づいて見直している、毎年しております。また、分離分割発注の推進ということも行っております。  今後とも、建設省としては、これらの取り組みを着実に実施し、中小建設業者等の受注機会の確保に努めるとともに、公共工事入札契約等の改善によりまして、技術と経営にすぐれた企業が発展できるように努めてまいりたいと思っております。
  96. 後藤斎

    後藤(斎)委員 ぜひとも、そんな視点の中で、これからも中小企業の方にも留意をした政策づくりをお願いしたいと思います。  もう一点でございます。  今回の法律とは直接関係しないのですが、建設省さんが所管をなさっている法律の中で、公共工事の前払金保証事業に関する法律という、昭和二十七年にスタートした法律がございます。実際、この業務に携わっている会社、西、東、北海道と、今三社がございます。そして、三社、きのうインターネットでもう一度確認をしたのですが、業務内容については確かに記載がございます。ただ、売り上げ等、そういうものについての経営内容がきちっと出ていないような感じがございます。  実際、この前払い保証制度というものが、公金、税金を使って公共事業をする際の大きな穴を埋めないという視点では評価ができるのですが、実際、この三社にもう過去五十年近くにわたって独占をされてき、それがなおかつ地域によって独占をされてきたということで、むしろ、保証料の料率の設定等々、大変、契約業者の側から見るとコストアップの要因になっていたのではないかなというふうにも思っています。  建設省がこの法律に基づいてチェック体制をするということになっていますが、実際、この三社は株式会社の形態になっています。十二分なチェック体制ができていないというふうなことも一部指摘をされておりますが、これから、この公共工事の前払金保証事業に関する法律の運用、そして、この三社に独占されていると言われているこの事業の形態について、建設省のチェック体制も含めて、これからの見通しとして、この法律の改正等にお取り組みになるのかどうか、お伺いしたいと思います。     〔山名委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 風岡典之

    風岡政府参考人 前払い保証会社でございますけれども、これは公共的な性格の仕事をしておりますから、法律に基づいてきっちり事業をしていかなければならない、このように考えております。  現在、保証会社につきましては、法律に基づいて登録ということを要件にしております。また、具体的に、事業計画等の審査だとか、あるいは保証約款、保証料率の承認とか、そういったことも法律で決めております。さらに、せっかくの前払い金が適切に下請企業に流れるようにということで、使途監査というものも厳重にやるというようなことでの取り組みをしているわけでございます。また、これまでも、建設業者の置かれた非常に厳しい状況の中で保証料率の引き下げということもいろいろやってきております。  今後、依然として状況も厳しいわけでございますので、そういった保証料率の取り扱いをどのように進めていくべきなのかということについても検討していきたいと思いますし、また、いろいろ手続の簡素化というようなことについても取り組まなければならないというふうに思っております。  また、先生指摘の、三社で独占になっているんじゃないかという御指摘でございます。  確かに三社体制は続いておりますけれども法律上は、要件を満たすものにつきましては、申請があれば登録をしなければならないということになっておりますし、また、三社におきましても、事業区域というのは、重点区域というのはもちろんありますけれども、三社の区域以外のところで、名称の区域以外のところでも事業活動を行っているということを申し添えたいと思います。  いずれにしましても、重要な役割を担う保証会社でありますので、私どもとしてもきっちりと指導監督をやっていきたい、このように考えております。
  98. 後藤斎

    後藤(斎)委員 今局長からお答えがあった中で、事業区域を超えて適正にやっているんだというお答えでしたが、実際、料率については三社一律だというふうにもお聞きをしております。  そして、今ちょうどパンフレットを見て、これがちょうどインターネットに乗っているものと全くほとんど一緒なんですが、例えば東日本さんで見ますと、本社が東京都中央区にございます。支店については、ほとんど各県の建設会館を活用して、総体で四百二十人の職員の方が十兆円近い公共事業の保証を行っています。通常の損保さんでいえば、十兆円の売り上げを上げる体制といえば、その十倍、二十倍の人的な資源も含めたものが実際必要だというふうに言われているのですが、なぜ、この保証事業法に基づいているから、こんな簡素で効率的な保証会社が運営できるのか。  先ほど、三社でなくてもきちっとその申請要件に合えばいいんだというお答えでしたが、今の事業会社の経営形態も含めて、その点についてもう一度御答弁をお願いします。
  99. 風岡典之

    風岡政府参考人 各保証会社の事業の形態につきましては、最も効率的な取り組みを行っていこうという、民間会社でございますので、そういった判断のもとに事業執行体制というのを決めているわけでございます。  私どもとしましては、今後、できるだけ申し込み等もインターネット等でやれるようにするというようなことも含めて、さらに、業務執行体制のあり方というものについては各社真剣に検討していかなければならないというふうに思っておりますし、また、そういったことをすることが保証料率の引き下げというような余地も出てくるので、そういう努力はさせていきたいというふうに思っております。  また、法律上、登録要件を満たすものにつきましては、申請があった場合には、その要件を満たす限りにおいては当然に登録をしなければならないというのがこの前払い法の趣旨でございます。
  100. 後藤斎

    後藤(斎)委員 ぜひともそんな観点で。  この部分、例えば料率が上がっていくことは全体の公共事業のコストアップにもなっていきます。せっかく今回、適正法案ということで、競争条件をますます透明化、そして国民にわかりやすい形でやろうとしている中で、何かわかりにくい部分が出てきた。そして、実際、経営内容をホームページ等でほとんどの企業体、株式会社であれば明示をし、公開をしているにもかかわらず、事業の仕組みや料率の部分だけで、それを公表していないということは何か後ろめたいようなものがあります。  それは、建設省の所管の局長大臣も、そういう点についても何か一つ前向きに、今法律改正を、新しい法律をつくってやろうとしている中で、後ろめたいようなものが、隠してやっていくというのは今回のこの趣旨に本当に反していくと思いますので、その点について、大臣、御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  101. 扇千景

    扇国務大臣 今お話にありましたように、保証というのは、今公共工事を受注しても、途中で会社がつぶれて、工事が途中で中断してしまって進行しないということも幾つかあるというのは御存じであろうと思います。  そういうときに、果たしてそれを保証するのはどうするのか。継続するにしても、それはだれがどうするのかというために、公共事業の安全性あるいは品質確保のためにこれをしているわけでございますから、全国三社と今おっしゃっていますけれども、その三社以外にも、民間から登録があって適正であれば、これは門戸を閉ざすものではないということを今局長から答弁しましたけれども、私はそのことを指導しておりますので、民間から自分たちも参入したいということで、適用条件が整っていれば、幾らでもおいでいただいて、門戸を開いて、より公共事業の安全性確保のためには私は寄与すること大であろうと思っておりますので、その点だけはお答え申し上げておきたいと思います。
  102. 後藤斎

    後藤(斎)委員 以上で終わって、吉田委員に交代をいたします。
  103. 井上義久

  104. 吉田公一

    吉田(公)委員 今まで、本法律案について、談合のことについたり、あるいはまた入札制度についたり、一般競争入札についたり、いろいろ質問がありました。大臣がおっしゃったように、法律案というのは一〇〇%万全ではないというお考え方からすれば、本法律案を可決、成立しても、談合というのは本当になくなるんだろうか。そういう懸念をする人は大変多い。  したがって、この法律案は運用次第ということもございますけれども建設省も相当な厳しい態度で臨むことが本法案を運営していく上で一番大事なことだ、こう思いますが、本当に談合がこの法律案によって少なくなる、そう確信をしておられるのかどうか、まずそれを伺いたいと思います。
  105. 扇千景

    扇国務大臣 私、先ほどから皆さん方に申し上げておりますけれども、今の公共事業皆さん方の認識の中に、少なくとも公共事業らしくない冠がつくというのは先ほど申しました。少なくとも、今吉田先生おっしゃいましたように、談合とか丸投げとかばらまきとかむだ遣いとか。あるいはそういうことをいかにしてなくしていくかというためにこの法案提出した基本があると私は思っております。  これによって全部、一〇〇%なくなるかと言われますと、法の裏を考える方がたくさんございまして、あらゆる法案は、裏の手を考えて、英知を悪い方に結集するという、やからという言葉を使ったら私大変嫌なんですけれども、そういう方があることだけは確かでございます。  ですから、私、一〇〇%ではないと申しましたけれども、少なくとも私は今の、現状公共事業の冠をとりたいということから発想を行っておりますので、今先生が御指摘のように、なくなるのかと上段に切りつけられますと、確信は持てませんけれども、少なくとも日本人であって公共事業の基本が何たるかというものを理解すれば、これによって、談合と丸投げ、すべて今までの不本意な冠がかなり少なくなるということを、私は適用者及び参入者も心しなければならないことだと念じております。
  106. 吉田公一

    吉田(公)委員 大臣の基本的な姿勢を伺いましたが、私は何も一〇〇%なくなるとは思っていません。  ただ、この法律を施行した以上は、これは民需と違って国民の税金を使ってやるものですから、やはり公正で公平でなくてはならないというのが大原則ですね。したがって、ぜひ発注者側の当局の厳しい姿勢をまず望むものでございます。  それと、この間、少年法改正がありました。要するに、余り事件が多いので年齢の引き下げを行いましたね。それと同じように、談合が余り多いので、よく新聞紙上や報道をされますけれども、そういうことであってはならないという建設省の基本姿勢からこの法律案を出した、こう思うのですね。  ただ、問題は、先ほど我が党の委員から質問がありましたが、それでは罰則強化はどうなっているんだということになりますと、どうも罰則強化は余りさわっていないというようなこともございまして、今後運営に当たっては、また改正点があるとすれば、やはり罰則強化をきちっとすれば、それがこの法律案のエキスなんですよ。例えば指名停止を六カ月から一年に延ばす、それは行政処分です。それから、刑事処分についてはもっと強化するということになれば、この問題については大半は解決するのではないか、実は私はそう思っているのですね。短絡的かもしれないけれども、少年法の改正を見たってそうだから。  だから、そういうように本法律については罰則強化になっているのかどうか。手続上は随分改正になっていますけれども、基本的な問題は罰則強化になっているのかどうか。そのことについて伺いたいと思っています。
  107. 植竹繁雄

    植竹政務次官 今、吉田先生がお話しのとおり、独禁法違反とか談合とかいうのは刑法あるいは独禁法、そういうものは別な法律でもって対応しているわけですが、建設省の方といたしましては、やはり建設業者の指名停止の問題とか、あるいは建設業法によって、今委員お話しのとおりこれをさらに延ばすとか、そういうことをやっておるわけであります。  さらにまた、最近の指名停止措置の運用につきましては、談合とか贈収賄の昨今のいろいろな状況から、そういう社会情勢を踏まえまして、今後ともいろいろそういう議論の中におきまして現在の運用基準で十分なのかどうか検討して、対応していきたいと考えております。
  108. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、いわゆるペーパーカンパニー、先ほどからも議題になっておりましたが、地方公共団体についても、いわゆる商事会社、ペーパー会社、丸投げ、みんな同一用語ですよ。それをきちっとやることによってかなり適正化になっていく、そういうふうに判断をしているわけですね。  ところが、そのペーパー会社が、何年も何十年も、要するに実績があるものだから、申し込まれてもここで切っちゃうわけにいかないのだ。だから、今度はこの法律に基づいてちゃんと、そういう実績があろうがなかろうが、だってそれはそうでしょう、職員も抱えていない、土木技術者もいない、機械もないのだから。機械なんて全然ないのだから、それは建設業にならない。だから、そういう意味では、まさに丸投げなんだよ、自分で施工できないのだから。  そういうのを厳しく、やはり通達を出してやらないと、地方公共団体もどう扱っていいかわからない。これほどいけないと言っていながら、まだ平気でやっているのだから。だから、そこのところをちゃんとしないと、いや、うちには道具がありますよなんて、空気入れなんかあったってしようがないのだから。だからぜひ、やはりそういう土木機械がなければだめなんだ。その点はどうなんですか。はっきり、ちゃんと通達を出してください。
  109. 植竹繁雄

    植竹政務次官 委員、全くおっしゃるとおり、現実はそういうことでございますので、私どもも、不良・不適格業者というものを排除する、そのために、公共工事品質確保とか、建設業の健全な発達のために、これは本当に最重要課題の一つとして考えておるわけでございます。  したがいまして、これまでも、例えば工事現場における監理技術者の配置の問題とか、確認の徹底を図るよう、地方公共団体に、工事発注者にこれを強く要請してまいりました。  そこで、今回の法律案におきましても、例えば十条とか十二条によりまして、今まで公共事業の一番の元が了解すればあるいはこれを認めるというようなことは、一切禁止するようにいたしております。  したがいまして、例えば、いわゆる丸投げ、一括請負の全面的禁止、また施工体制台帳の写しの発注者に対する提出の義務づけ、さらには施工体系図の、公衆の見やすい場所にいわゆる公開するような掲示の義務づけ、そういった措置をやりまして、工事現場における不正な行為を徹底的に排除する。また、適正化指針において工事施工状況評価等による不良・不適格業者の排除に向けて全力の取り組み体制を図っておるところでございます。  本法案が成立いたしまして、これを具体化すれば、さらに公共工事における不良・不適格業者の排除に徹底して努力していく所存でございます。
  110. 吉田公一

    吉田(公)委員 今政務次官答弁されましたが、政務次官の場合には、いつかわってしまうかわからないので、局長の方もちゃんと、大丈夫ですかね、今の政務次官の。答弁のための答弁なんと言っては困るから、ちゃんとそっちでもう一回、きちっと。
  111. 風岡典之

    風岡政府参考人 当面の非常に重要な課題というのは、やはり不良業者排除ということが一番大事な課題だと思います。建設業者数が非常に多くて供給力過剰だといいますけれども、まず、不良業者の退治ということが第一歩だというふうに我々は思います。  今、総括政務次官からお話がされましたように、私どもとしても、いろいろなやり方、もちろんこの法律も駆使してそういったものに臨んでいきたい。  それからまた、特に、丸投げ業者、あるいは水増しで完工高を稼ぐような業者がいます。こういった者につきましては、例えば消費税の納税証明書というのを持ってきてください、これだけ完工高を上げているのだったらそういう証明書はあるでしょうというようなこととか、いろいろ工夫をしながら、悪質業者というか不良業者の排除ということについて全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
  112. 吉田公一

    吉田(公)委員 先ほど一般競争入札というお話がありましたが、これはなかなか、一般競争入札というのは非常にいい点もある。それは、要するに談合ができないから。  だけれども、では、何百件来るかわからないということになると、書類審査もある、経審も出さなきゃいけない、そういうこともございまして、それでは指名競争入札にする。大体そうでしょうがね。地方公共団体もそう。指名競争入札建設省の場合には一件何社指名をやっているんですか、大体平均で。
  113. 風岡典之

    風岡政府参考人 会計法、予決令に基づきまして、少なくとも十社以上ということでルールが決まっておりますので、十社程度の指名を行っております。
  114. 吉田公一

    吉田(公)委員 十社程度じゃ、それはやる可能性はあるよね。だから、指名業者を三十社にしてしまえばいいんだよ、別に。そういう工夫をするだけでもう随分、半分ぐらい違うんだから。だから、そういう意味では、指名業者を十社にしているというところに問題があるので、何も一般競争入札に切りかえる必要はないんだ。二十社なら二十社、三十社なら三十社にしてしまえば、要するに施工能力のある企業選定して三十社にすれば、なかなか難しいわけだから、それがまさに、公正とは言わないけれども、準公正になってくるわけで、当然施工能力のない人が入ったら困るわけだから、審査しなきゃいけませんね。だから、そういう意味では、指名競争入札の一件当たりの指名業者選定数は三十社、こう決めれば別に何もそんなに大騒ぎする必要はないんだよ。  それからもう一つは、指名業者をふやすということも防止の一つですが、全然話が違うんだけれども、要するに、今のこの法律の問題というのはいっぱいいろいろな人がやっちゃったから、私はちょっと違うことを言おうと思って。  去年だったか、民間による建築確認指定機関というのをつくったよね。あれは建設省にしては珍しいことだと思ったんだ。今までは都道府県や区市町村がやっていた建築確認を民間の指定機関でやらせるということになって、準備を進めていると思うんですが、その後どうなっているか、経過を教えていただきたいと思っています。
  115. 三沢真

    三沢政府参考人 今先生おっしゃいましたように、建築基準法の改正を二年前にいたしまして、それに基づきまして、昨年の五月から、このいわゆる建築基準法の建築確認検査民間開放と呼んでおりますけれども、確認検査民間団体もできるような法律改正を施行しております。その制度開始以降現在まで、いわゆる指定検査確認機関と呼んでおりますけれども民間の確認検査機関については、建設大臣が指定したものが八機関、それから都道府県知事が指定したものが四十四機関、合計五十二機関という指定状況になっております。
  116. 吉田公一

    吉田(公)委員 全部で五十二件、全国で五十二件でしょう。そうすると、数が物すごく少ないよね。だから、地方公共団体で建築確認をするということになって、建築主事が建築確認をおろすということになっているわけですが、そうすると、何で五十二機関なんて少ないのか、それをぜひひとつ、何か技術的に問題があったのかどうか。
  117. 三沢真

    三沢政府参考人 先ほども申し上げましたように、建設大臣指定八機関、建設大臣指定というのは二以上の都道府県で活動をする機関でございます。あと、都道府県知事の指定が四十四機関でございますので、まだ各県に一つとは言えませんけれども、県ごとにそれぞれの県での事務を処理できるような体制が順次整いつつあるということで、必ずしも決して少ないという状況ではないかと思います。
  118. 吉田公一

    吉田(公)委員 いや、とにかく少ないよね。これは四十七都道府県というんだから、ないところも相当あるわけだ。したがって、各県に平等に権利を与えなきゃいけないんで、また義務を与えなきゃいけないと思っているんですよね。  とかく都道府県、地方公共団体における建築許可行政というのは、これがまた何というのか、法律どおりやっていないのもあるし、担当によって突拍子もないことを言ってみたり、そういうことがたくさんあるものだから、民間公共機関でやる建築確認と、やはりきちっと競争させないと、もうそこしかないんだから。だから、そこへ持っていかなけりゃ要するに家が建たないんだから。そこでいつまでもとめられていて一カ月、二カ月平気なんというのはたくさんあるわけで、おまえらが訂正しないからやらないんだ、こういうことで、これはもうスピード時代に一カ月も二カ月も放置されているなんということはあってはならないことなんだけれども、とにかくそこしかないものだから、結局泣き寝入りみたいなことが起きるわけです。  だから、民間の建築指定機関をつくって、それで民間ではどんどん早くやるというような競争をさせないと、要するに建築確認だって、みんな土地を買って、みんな材木を、前渡金を払って、それで一カ月も二カ月もおくれたら、それだけで金利が大変なんだ。だから、早くおろしてやらなきゃいけないんだけれども、全然、また縦割り行政ですわ、土木と建築と違ってみたり。  だから、この民間の指定機関にはやはり土木も入れてやらないと、道路位置指定なんかの問題があるから、河川敷の問題もあるし水路の問題もあるし、確認をとるためには道路が必要だから、そういう土木的なものもちゃんと入っているのかどうか。
  119. 三沢真

    三沢政府参考人 まさに先生おっしゃいましたとおり、この民間活用するという趣旨は、やはり行政の方で体制が十分でなくて審査にも時間がかかったりする、そういうことにも対応するということに非常に大きいポイントがございまして、おっしゃられたとおり、全都道府県ですべて設置されるという状況にはなっておりませんので、この点につきましては、できるだけ早くこういう民間検査機関ができるように、私ども促進していきたいというふうに考えております。  それから、どこまでカバーしているのかという話については、要するに、建築基準法上、道路位置指定とかそういうものも建築主事が見ることになっておりますけれども、建築主事が審査する事柄は全部民間が審査できるということですので、事柄によってここは公共団体に行かなきゃいけないとか、そういうことはございません。ここで全部完結するようにいたします、受け付けた以上は。
  120. 吉田公一

    吉田(公)委員 では、もしそういうことであれば大変結構なことでございまして、これはもう促進につながることですし、民間企業と競争関係にあることによって地方公共団体の建築課の連中の意識も変わってくる、そう思いますので、ぜひひとつ。  例えば東京なんかどこにあるの。全然知らないな、おれ。別に青森県のことはおれ知る必要はないけれども、とにかく東京のことぐらいは。どうなっちゃっているのか。
  121. 扇千景

    扇国務大臣 今お話を聞いておりまして、全国の表をもしあれでしたら後でお手元にお届けいたしますけれども東京におきましては、東京都の防災・建築まちづくりセンターというのがございまして、これは東京都知事の認可によって今設置されております。そういう意味で、大臣の、私が指名しましたのが八機関ございますけれども、それも東京で、日本建築センターでございますとか日本建築設備・昇降機センターとか、あらゆるものがございますので、これ、全国の表をもしおよろしければ後で差し上げるということで、見ていただきたいと思います。  そういう意味では、今申しましたように、全国の中でも、少なくともまだ普及していない、また設置されていないというところがございますけれども、今の活用状況では、比較的に一戸建ての住宅等々では建築確認を行う機関が指定されまして、あるいは宮城県、青森、大阪など、そういう府県では、昨年だけでも既に全確認件数の一割から二割程度という、これもまだ一割か二割かと言われればそれまででございますけれども、まだ昨年からでございますので、今、現段階ではそういう状況でございますので、鋭意これをふやしていきたいと思っております。
  122. 吉田公一

    吉田(公)委員 終わります。
  123. 井上義久

    井上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  124. 井上義久

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山名靖英君。
  125. 山名靖英

    ○山名委員 公明党の山名靖英でございます。  何点かにつきまして、大臣並びに関係者の皆さんに御質問をさせていただきたいと思いますが、できるだけ演説は短くしたいと思いますし、答弁も簡潔明瞭にぜひお願いをしたいというふうに思います。  先ほど来より公共事業の問題について論議がございました。また、扇大臣からも的確な御答弁をいただいたところでございますが、再度、確認の意味も込めまして、この公共事業についてまずお伺いをしたいと思います。  御承知のように、公共事業のあり方をめぐっては、不正事件が起きるたびに改革が論議をされてまいりました。しかし、少しのど元を過ぎますと、また同じような事件が発生をする、こういう繰り返しで、国民皆さん公共事業全般にわたる信頼性というものが極めて失われてきたわけでございまして、その点はまことに残念なことでございます。特に、むだ遣いが多過ぎるんじゃないか、あるいは透明性が低い、あるいは経済効果の問題についてはいかがなものか等々、そういった声が出されてきたわけでございます。  改めて指摘するまでもなく、公共事業というものは、限られた財源、国民の税金でありますが、それを効果的に活用いたしまして、国民生活に豊かさをもたらす社会資本整備する、これが公共事業の持つ本来の目的であるはずであります。  その上に立って、国土の均衡ある整備国民生活に直接あるいは間接に豊かさをもたらし、農業など基盤整備の一層の進展、加えて経済の発展に寄与する、こういう本来の使命、役割を持った公共事業でありまして、ましてや、先般からの火山噴火やあるいは地震、水害等、こういった災害に直面をして思いますことは、やはり脆弱な国土というものを立て直さなければならない。災害に強い国土といいますか、こういったものも一方でしっかり進めていく必要があるわけでございます。  しかるに、そういった重要な使命を持った公共事業に対して、一部の政治家やあるいは役人の利権あさりとか私腹を肥やす、こういったことに利用されることは断じて許されないと思います。  そういう意味を込めまして、まず公共事業のあり方について、大臣からの御見解をお伺いしたいと思います。  とともに、与党三党におきまして、いわゆる公共事業の見直しという四基準を設けまして、一定の見直しを進めてきているところでございまして、高く評価をするところでございますが、従来から建設省関係、いろいろと事業の再評価について取り組みをされてきたかと思います。今日まで、BバイC、費用対効果等の観点を含めまして、どのような再評価、見直しをされてきたのか、取り組みをされてきたのかお伺いをし、この三党の合意による四基準の見直し、その後の進捗状況、以上あわせてまず御質問をさせていただきたいと思います。
  126. 扇千景

    扇国務大臣 今先生から御質問がございました中で、何点かございます。その中で、まず今御質問にございました、与党三党による公共事業の見直しの進捗状況等々とも御質問になりましたけれども、少なくとも今回の公共事業というものに対しての見直し、それは、今まで御存じのとおり建設省におきましても見直しをしているというのは、山名先生も今御指摘のとおりでございまして、建設省としましても、今までも公共事業の抜本的な見直しというものもしてまいりました。  それは、評価制度というものを取り入れまして、御存じのとおり、平成十年、十一年度、この中におきましても、六千五百の事業の中で、既に中止十三件、休止三十八件、そういうことも、この与党三党の見直しまでにも、建設省独自の評価方法によって中止あるいは休止というようなこともしてまいりましたけれども、今般、政府・与党におきまして、この見直しの基準を、今四点とおっしゃいました、それによって私どもは見直しをしてまいりました。  特に申し上げたいことは、建設省としましても、この三党合意に基づいては百二件。けれども、私は、もとより就任しましたときから、建設省独自の見直しをすべきであるということを期限を切って建設省に言っておりまして、建設省独自で見直し案件を出そうといって出したのが三十四件でございます。建設省だけでも百三十六件にわたるものでございます。今、進捗状況とおっしゃいましたけれども、少なくとも建設省としましては、他の省庁は別としまして、私は、担当の建設省としましても、与党三党で見直したものと独自で見直したもの、合計で百三十六件を見直しの俎上に上げました。  その中で、私は、少なくとも地方の評価委員会等々で御論議をいただいて、本年度じゅう、少なくとも来年度予算までにそれらの中止あるいは継続あるいは補助金停止等々、あらゆる方法を各評価委員会で出していただいて、そして決定していこうと思って、私の最終目標は、少なくとも、これはマスコミにも申し上げてありますけれども、三けたに持っていきたいというふうに思っております。少なくとも今は地方自治体の皆さん、あるいは収用に協力していただいた皆さん方からも、ぜひ継続してほしいとか、あるいはこれはなくてはならない工事であるという、国会の先生方も含めて、各地方自治体からも御意見をいただいていますので、私は、それらを参考にしながら、この百三十六件の俎上に上がりました事業に対して、少なくとも三けたの結果を出していくように努力していきたいと思っております。それが最初のお答えになります。  それからもう一つ、今回の公共事業の見直しを具体的にはどうだという御質問がございました。  この具体的に関しましては、今回の御審議いただいています公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案提出によりまして、私どもは、少なくとも三党で合意されて今俎上に上がっておりますものも含めて、今後、今先生がおっしゃいましたようなすべてのものが、長期にわたって継続されたりあるいは進捗されないというものに対しては厳正な態度で臨むということに関しては、私は今までと変わりがないところでございますけれども基準になって俎上にのっただけで、地元の今までは反対なすった皆さん方も初めてぜひやってくださいといって合意していただいたところもございますので、そういう意味では、今回のことがショックになったのか、あるいは今までまあと言っていたのが啓発できたのか。  そういう意味では、私は大変大きな契機になったと思っておりますので、先ほどから申しますように世紀の変わり目、これらによって、この法案をすることによって、今までの不正等々が防止され、しかも、より国民の前に透明な公共事業というものが見えるようになって、むだを省き、真に国民に帰するような公共事業にしていきたい。これを私は願っている次第でございます。
  127. 山名靖英

    ○山名委員 経済効果という観点からの御答弁が抜けているのですけれども、そのこともあわせてお願いしたいと思いますが、今も大臣からお話がありましたように、大体九割近い事業というのが地方に対する補助事業であるわけですね。建設省直轄事業というのはごくわずか。その大半の地方補助事業が今回の見直しの対象になっているということで、一部新聞報道にもありましたように、地元的には大変な拒否反応が現実問題として出ているわけであります。  しかし、地方における評価委員会が十分な検討を行い、計画をし、そして予算がつき、いざ執行。それでもなかなかできない。五年たっても、十年たっても、二十年たっても完成しない、こういった現実の問題。これが、今大臣もお述べになったように、これは大変だ、このままではとても我々の地域にこういった公共事業を実現することが不可能になってしまうということで、大変なこれは刺激策になり、反省点につながり、また真剣な計画の見直し、こういったところに結びついている。  このことは、私は今までにない、これは大事な前進の傾向ではないか、こういうように思っている次第でございまして、今後とも、何よりも当初申しましたように透明性を図り、そして信頼性を図っていく。そして、なおかつ経済効果を上げていく、均衡ある国土の発展に寄与する。こういった公共事業が今後とも有効に推進できるように、ひとつ御努力をお願いしたいと思います。  一点、BバイCの問題で、実際、公共事業経済効果としてどのようにプラスになっているのか、この二、三年の実態からお教えをいただきたいと思います。
  128. 扇千景

    扇国務大臣 今の先生がおっしゃいました、この二、三年の経済効果がどの程度あるかという数字に対しては、今私手元にございませんから、数字を挙げることはできませんけれども、少なくとも私は、近年の公共事業は、先ほども私が申しましたように、評価制度というものはこの法案ができる前から建設省としては既に実行しているところでございまして、事業の少なくとも五年間の未着工、あるいは事業の採択後十年間の経過、あるいは準備・計画段階でも五年間の経過を経て事業化できていないものということで、先ほども中止あるいは休止した件数を申し上げました。  けれども、少なくとも私は、これらによって建設省独自でむだを省き、あるいは国民に透明性を示し、そしてある意味での大きな経済効果ができたと思っておりますし、なおかつ、来年のことを言うと鬼が笑うと申しますけれども、来年、省庁再編で国土交通省に、これは衣がえすることになりました。それによって、私は、公共事業というものがよりコストダウンをし、運輸省と建設が一緒になるのですから、これはより多くのコストダウンができて、よりスピーディーに、そしてスピーディーにすることによっての経済効果も出てまいりますし、そういう意味において私は、今山名委員がおっしゃいましたように、今回のことに関しましての大きな前進であるし、国民のためになる公共事業のむだを省くという点では、今度の省庁再編での経済効果というものは、コスト面においてもスピード面においても、私は完全にあらわれてくる。また、今までもそれに努めてきたという点は、御理解いただきたいと存じます。
  129. 山名靖英

    ○山名委員 それでは、本法案内容に移りたいと思いますが、そういった公共事業の持つ重要性に絡みまして、その透明性、公正化を図るために入札契約適正化法案の提案に至った、こういうように思います。  そこで、この法案によって、従来の公共工事に係る入札契約、こういった透明性、あるいは公正性、あるいは不正の防止、こういったものがいかに確保できるのか、成果に国民皆さんの期待は極めて大きいと思います。午前中の審議の中でも、法律の網の目をくぐる、そういうやからも、行儀の悪い業者も当然イタチごっこのように出てくる、こういうことも事実としてあるかと思いますけれども、この法案によるいわゆるそういった不正防止やあるいは透明性、こういったものがいかに担保されるのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  130. 扇千景

    扇国務大臣 先ほども申しましたように、法律が一〇〇%のものでないというのは山名先生にも御理解いただけるところであろうと思いますけれども、この法案が通りました後、私どもはこの不正行為が防止できるか、少なくとも防止しなければいけないということに立ってのこの法案の作成でございます。  少なくとも私どもは、今皆さんがおっしゃいますように、公共工事国民の税金によって賄われているということにスタンスを置きまして、国民のためになるようにはどうしたらいいか。少なくとも私は、本法案において、国、特殊法人等、地方公共団体を通じて入札契約のこれは適正化に取り組む。これだけでも私は、今までと違って大きなインパクトを与えるものだと思っておりますし、各年度の発注見通しあるいは受注者選定入札契約の透明性、その情報の公開もこれも義務づけておりますので、これも私は、改めて皆さん方の目にとまる、そして皆さんに見ていただけるということも大きな利点であろうと思っております。  また、談合、丸投げ等の不正行為、今までもここで御論議されましたけれども、それらを排除するための公正取引委員会または許可行政庁への通知、これも義務づけておりますので、これも今までと違ったことで、単に談合があったらしい、そういうことでは終わらなくなる、これも私は大きな変化であろうと思います。  また、丸投げの全面的禁止あるいは施工体制台帳活用等による適正な施工体制確保、これを発注者に義務づけているのですから、この義務づけたことによって、各発注者入札契約適正化に取り組むガイドラインとして、少なくとも私は、今度の入札契約をチェックする第三者機関の設置等を定めるということを適正化の指針として策定しておりますので、少なくともそういうことは、今先生が御指摘になりましたように、あらゆる面での防止策あるいは透明性が強調され、なおかつ国民に見えた公共事業になるということを念じております。
  131. 山名靖英

    ○山名委員 わかりました。  そこで、本則の対象といたしまして国及び地方公共団体並びに特殊法人、これが対象になっておるわけでございまして、こういうふうに国も地方もあるいは特殊法人も一括して網をかける、法律できちっとした取り決めを行っていく、法律を制定するという、まあ過去に余り前例のないことだと思いますし、この法律が成立することによって公共工事を行う公的機関について一定のルールづけが決定するということについては、まさに評価に値すると私は思います。  ところで、現在でもこの入札あるいは契約に余り規制のないといいますか、公益法人だとかあるいは地方公共団体の持つ公社、こういったところはこの対象外ということになっておるわけでありまして、その適正化をどういうふうにお考えになっているのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  132. 風岡典之

    風岡政府参考人 先生指摘の公益法人あるいは公共団体のつくっております公社の取り扱いでございますが、法律上につきましては、これらは国や地方公共団体、特殊法人とは異なりまして、入札契約手続について直接法的な規制がありませんので、この法律対象ということについては、そこから外させていただいております。  ただ、これらの法人につきましても、建設工事等を行う機関も非常にたくさんあるわけでございまして、そういったものにつきましては、入札契約適正化ということを進めていくことは、またそれはそれとして必要なことであるというふうには考えております。  私どもとしましては、本法案に準じた措置、こういったことを講じられることが望ましいということを考えておりまして、設立団体であります地方公共団体ともその点の協力を求めるというようなことを通じまして、できるだけ同じようなルールでやれるようにという努力をしていきたい、このように考えております。
  133. 山名靖英

    ○山名委員 公益法人あるいは公社にしても、極めて公共性の高いものでありますから、やはりきちっとした適正化のための指針といいますか、これに準じた決定をぜひ図っていただきますようにお願いしたいと思います。  それと、この適正化指針の策定についてでありますけれども、本法案では、情報の公開あるいは適正な施工というものを発注者に義務づけているわけですね。一方、一律義務づけのない事項といいますか、こういった内容につきましては、適正化指針というものを作成いたしまして、いわば今後の努力目標、こういう形で規定をしておるわけでございまして、ガイドラインという形で定めているわけでございます。  この適正化指針というのは、発注者入札あるいは契約適正化に向かって努力することを促すということで、極めて、ある面で柔軟的に、ある面で健全性を自主的に高めよう、こういう配慮もあろうかと思いますが、適正化指針の持つこの意義について改めてお伺いをしたいと思います。
  134. 風岡典之

    風岡政府参考人 先生指摘いただきましたように、この法律には発注者に義務づける事項というものと、それから各発注者につきまして発注体制がいろいろ千差万別でありますし、また工事の取扱量もいろいろ差がありますので、そういった形で一律に義務づけることが困難なものにつきましては、ガイドラインということで、適正化指針というのを定めていきたい、その両面をもって入札契約適正化を進めていきたいと思います。  特に適正化指針につきましては、これは特殊法人とか公共団体の自主性というものもあるわけでして、そういったものにつきまして配慮しつつ、全体として入札契約適正化が着実に進むような、そういった目標として設定をしていきたいというふうに思っております。  また、このガイドラインは、そういう目標をつくるだけではなくて、個々の発注者がそれに従っていく努力義務というものがあるわけでございまして、また、その結果として、毎年度どのような進捗になっているのかということもこの法律でフォローしていくというようなことになっておりまして、義務づけ事項のものと適正化指針と、この二つを合わせて入札契約適正化というものに努力をしてまいりたいと思っております。
  135. 山名靖英

    ○山名委員 そこで、公共工事を適正に施工していくために、元請だけではなくて下請についても、従来指摘されたような手抜きだとかあるいは極めて粗雑な工事だとか、こういったことのないように適正なものにしていくという必要があるわけでありまして、そのために、本法では施工体制台帳、こういったものを発注者が点検をする、そして適正な現場施工体制確保を図る、こういうふうにしておるわけであります。あわせて、この施工体制台帳内容の充実も今後検討を進めていかなければならない、こういうふうに考えますけれども、どのような内容で今後この充実について進めようとしているのか、お教えをいただきたいと思います。
  136. 風岡典之

    風岡政府参考人 施工体制台帳でございますけれども、これは、発注者現場状況を把握する上で極めて有効な手段であります。  現在の施工体制台帳内容でございますが、これは、元請、下請にどういった企業がいるのかとか、あるいはそれぞれどういった工事内容を分担するのか、また配置する技術者はどういう方なのか、こういう情報が記載をされます。また、それとあわせまして、請負契約の写しというものをこの台帳には添付するということになっております。ただ、この請負契約内容を見ますと、現在の建設業法におきましては二次下請以下の下請契約については請負金額の部分までは特に求めていない、こういったのが現状でございます。  今後、施工体制台帳というものをより一層活用していくということが適切な施工のために有効であるというふうに考えておりまして、私どもとしましては、二次下請以下の下請代金につきましてもこれを記載させるようなことを含めて、その内容の充実について今後検討していきたい、このように考えております。
  137. 山名靖英

    ○山名委員 次に、今回のこういった法律に基づきまして、規模の小さい市町村、こういったところは現実問題として非常に負担も重くなるし、なかなか大変な事態が出てくるんじゃないかと思っております。  スムーズにこの法律が施行できるように、そういった小さな各市町村での実情というものをやはり勘案をしていただきまして、本来の趣旨に基づいた十分な執行ができるように、発注者の体制強化といいますか、そういった意味でしっかりと配慮する必要があるのではないか、こういうふうに思っておりまして、こういうことについてどうお考えなのか。とともに、入札あるいは契約についての煩雑な事務といいますか、こういったものを解消する意味から、また一層の効率化を図るという意味からも、IT化といいますか、こういったものが今後求められていくと思いますし、こういった体制についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。
  138. 風岡典之

    風岡政府参考人 入札契約適正化を進めていく上では、小さな市町村も含め、発注者全体が足並みをそろえていくことが重要なポイントであるというふうに思っております。  ただ、先生指摘のように、規模の小さな市町村につきましては、そういったことを進めていく上で大きな事務負担ということも確かに懸念をされるところであります。私どもとしましては、例えば情報の公表のやり方につきましても、閲覧方式というような簡便な方式も含めて、いろいろやり方を提供していきたいということで、余り大きな負担にならないような措置というものも考えていきたいというふうに思っております。  また、市町村の発注体制の強化ということも大きな課題でありますので、この点につきましては、例えば工事成績評価の実施とかあるいは現場の確認、こういうようなことにつきましても、必要に応じまして外部の機関を活用するというようなこともいろいろお勧めしながら、規模の小さな市町村におきましても円滑な取り組みができるように努力をしていきたいというふうに思います。  それから、もう一点御指摘をいただきました入札契約事務のIT化でございます。  これも、確かに今後の入札、発注のあり方、合理化、あるいは建設業の経営の効率化の面でも非常に重要な課題であります。これも適正化指針の中で、各発注者において入札契約事務のIT化等の取り組み、そういった考え方を盛り込んでいきたいというふうに思っております。  建設省におきましては、二〇〇四年までに図面とか書類等の各種情報の電子化というようなこと、あるいは通信ネットワークを利用した情報の共有化、電子入札、こういったことを目標に掲げながら、IT化についても積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
  139. 山名靖英

    ○山名委員 今回のこの法律案は、建設業界といいますか、そういう全体にあっても大きな改革につながっていくのではないか、こういうふうに期待をするところでありますが、現実、中小零細建設業といいますか、こういった人たちにとっては、まさに今厳しい状況下に置かれているわけでありまして、なかなか仕事がない、あっても元請からいわゆる単価をたたかれてくる、あるいは指名登録をしても呼んでもらえない。  せんだって、私のところへメールが届いたんですが、新潟のある田舎の方の人なんですけれども、登録をして二十年になるけれども、この二十年間で受注件数は数件だったと。こういった嘆きの声も寄せられているわけであります。  いずれにしましても、そういう現実の中小零細建設業人たちにとって、今後そういう意味での仕事量がふえていくということは念願でもあるわけでありまして、中小企業に対する発注率四四・一%というような数字がこの前出ていましたけれども、今後、そういった受注機会が確保できるように、加えて透明で公正な、こういった事業が進みますように御努力をいただきたい、このように思っております。  中小零細建設業皆さんに対するそういった支援策を含めて最後にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  140. 扇千景

    扇国務大臣 今おっしゃいましたように、中小企業に関する受注の問題ですけれども、今まで、午前中にも御論議いただきましたけれども、私たちは少なくとも、中小企業が何としても大きな公共事業を支えているという意味で、地域の住宅あるいは社会資本整備を担い、また地域の経済、雇用を支えているいわゆる中小建設業者の振興育成を図る、そういう意味においても重要な課題であると認識しているのは、今山名先生がおっしゃったことと私たちは同等の意見を持っております。  また、そうしなければならないのが我々の任務だと思っておりますけれども、少なくとも、毎年度中小企業者に対する国等の契約の方針を定めまして、中小企業向けの契約目標を毎年設定して、それをなるべく範囲を広げてというのは行っております。  そして、少なくとも、分離分割発注の促進、なるべく多くの皆さん方にということで、分離分割発注をするということも、これも促進しております。  また、ランク別発注の実施及び発注基準の適正な設定、御存じのとおり、ランクづけも全部公表しておりまして、ランクを決める方式も全部公表しておりまして、全部公開しております。これも、少なくとも私は、建設省が大いに変わってきた姿勢の一つであろうと皆さんに御理解いただけるものだと思っています。  また、経常のJV制度活用等々含めましても、私たちは、今後ともこれらの措置の着実な実施を図りまして中小建設業者への受注機会の確保というものに資していこう、そのように思っておりますので、ぜひ今後ともいろいろな御意見をいただいたり、また今の、メールで地方の御意見もございました。私の手元にもそういう意見も来ておりますので、中小企業の健全な育成というものをぜひ図っていきたいと思っております。
  141. 山名靖英

    ○山名委員 ありがとうございました。終わります。
  142. 井上義久

    井上委員長 山田正彦君。
  143. 山田正彦

    ○山田(正)委員 自由党の山田正彦です。今回の法案について、自由党として質疑させていただきます。  扇大臣、かつて自由党におられて、入札干渉罪とか大変積極的に、公共工事に関する不正行為を弾劾しなきゃならない、随分そういう御自身の、強い大臣個人の意向もあって、今回のこういう法案になってきたのではないかと私どもも大変評価させていただいているところです。  まずは、今回、入札制度について、本来、会計法の二十九条の三、また地方自治法の第二百三十四条の第二項では一般競争入札が原則となっていますね。その実態はどうやら指名入札という形に流れているようですが、まず、大臣としてその点についてどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  144. 扇千景

    扇国務大臣 先ほどもお答えしましたけれども、一般競争入札が歓迎されるべきものであるというのは、基本的には意見を同じくしておりますけれども、メリットとデメリットがあるというのは先ほども申し上げたとおりでございます。  少なくとも公共工事につきましては、契約締結後に目的物が完成する請負契約である、そういうことでありますとか、品質確保が強く求められること、これは公共事業であればなおのことでございますので、契約の適正な履行を期待し得る、ある信用のおける建設業者に発注するということが特に重要視されるということは、山田先生も御承知であろうと思いますし、御認識であろうと思います。  また、そのために建設省は、技術力も十分あり、不良工事のおそれの少ないと考えられる大手建設業者を対象として、大規模工事については一般競争入札を採用するとともに、中小工事についてはあらかじめ施工能力等が十分な一定の業者というものに競争を行わせる指名競争入札を行っております。  少なくとも私は、一般競争入札が本来であれば有効である、またそれが国民になお多く門戸を開くという意味においてはいいということも先ほども申しましたけれども、それによってどの程度業者の能力というものを判定し得るか、そういうのが先ほど申しましたデメリットの中にもありますので、これは、原則として私どもは今も七億五千万以上の工事については一般入札ということで図っておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思いますし、今後も私たちはそういう意味で門戸を開くということには努力していくということだけは申し上げておきたいと思います。
  145. 山田正彦

    ○山田(正)委員 これは私がエコノミストに書いた公共事業のこと、「小さな島の大きなムダづかい」と題しまして、実は、九州の長崎県壱岐の島、そこにおいてごみ焼却場の建設をめぐる公共事業をエコノミストに書いたんです。  その中で、大臣、実はある町においては、ほぼ同じごみ焼却、これは大手ゼネコンの指名なんですけれども、予定工事価格の半額以下の七億三千五百万で入札できた。ところが、隣の町では、ほぼ同じ規模のものが十九億五千七百万で、これは恐らく談合がなされたと思うんですが、落札されたんじゃないかと。かなり私も資料を集めて原稿には書いてあるんですが。  その中で、結局、ごみ焼却能力のトン当たりでいきますと、最初の町においてはトン当たり六千万円。ところが、隣の町においてはトン当たり一億五千万もかかった。  いわゆる指名入札制によって談合がなされ、大変なむだ遣い、損失がなされているという現状は、現にこれは、小さな島の小さな一つのごみ焼却場の問題だけでこれだけの大きなことがあるわけですから、指名競争入札においてはかなりこういう弊害がある。これについては、大臣、どうお考えですか。
  146. 扇千景

    扇国務大臣 今山田先生の事例を挙げられたことに関しましては、私存じ得ませんでしたので、改めて先生のエコノミストにお書きになったものを後で拝見させていただくとしましても、今いろいろなところで公共事業むだ遣いあるいはばらまき等と言われておりますことと、また公共工事等も含めてのコストアップ、今先生が事例を挙げられましただけでも倍の費用の計算がなされております。  そういう意味においては、やはり公共事業の適正なあり方、これは、私は特に注意しなければいけないために、今回は入札契約に対する適正化法ということで、適正化ということ、そこに意味があるのでございまして、そういう意味では、いろいろな事例をお挙げいただいて、私たちも勉強させていただきながら、みんなと一緒にこの適正化法の適正な適用というのを図っていきたいと思っております。
  147. 植竹繁雄

    植竹政務次官 今先生のお話の、ごみ焼却場の価格が半分だということでございますが、基本的には、公共入札の場合は大臣が言われたとおりなんですが、ごみ焼却には大きく言いますと三つあるのです。というのは、ストーカー方式、流動床方式あるいはロータリーキルン。そうしますと、これによって価格が全部違うのでございますので、一概にそれが半分とか言うことは、価格面からではできないのです。  大体、ストーカー方式の方が場所が小さいですから、それだけ土地の手当ては低いし、流動床は広いという点でございますので、種類によって少し違うということがございますものですから、特にその場合は、ちょっと、大臣が言われたのは基本的な考えでございます。
  148. 山田正彦

    ○山田(正)委員 この最初の町において、もともと予定価格の半分の値段で、いわゆる入札監視委員会みたいなものを設けて、競争入札というか、談合を廃止したので、予定価格より半分以下で落とされた。ですから、機械の種類によって安くなったという事例ではないのです。これは、私が詳しく書いておりますから、読んでいただければわかることです。  そのことはそれでいいのですが、私が大臣にお聞きしたいのは、こういった指名入札制度の欠陥、例えばよく田舎であることなんですが、町長選挙あるいは市長選挙等々で応援して負けたとなりますと、半年から二年ぐらいは少なくとも指名を外される。それが常識みたいになっているようですが、そういった政治に指名入札制度が利用されているという事実、これについて、大臣及び政務次官についても十分御承知なのかどうか。  であったとしたら、この際、もう指名入札制度をやめて、公募型の入札にしても、午前中吉田公一民主党議員がおっしゃったように、少なくとも二十社から三十社、談合ができないようにするとか、そういう具体的なガイドラインを考えられる気持ちがないかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  149. 扇千景

    扇国務大臣 これは午前中もお答えしたことでございますけれども、先ほども私は例を挙げました。電子政府という森内閣の方針とともに、私は、その法律の中で、やがては電子入札ということも入れました。少なくとも、電子入札になれば、今山田先生がおっしゃっているような指名とか一般とかそういうことがすべてクリアされて、すべての人が、いつ、どこで、だれに、幾らで落ちた、またそれをどうしているかということが全部見ることができるようになるということで、私は、二十一世紀型の公共事業の姿としては、電子入札方式をとるということの目標だけは少なくとも共有していきたいと思いますし、また、それによって、今おっしゃったようなあらゆる不正あるいは不透明、そういうものが排除されるということを、実行一日も早からんことを努力していきたいと思っています。
  150. 山田正彦

    ○山田(正)委員 また、競争入札をどうしてもできない理由の中に、先ほどの説明にありました不良業者というのをなくすということ。それについては、当然、ある程度業者の認可制度、資格審査等もあることだから、ある程度免れると思うのです。  実は、地元の中小業者からいろいろ話を伺ってみまして、むしろ、競争入札を進めると大手ゼネコンがどのような業種にでも入ってくるということになって困りはしないか、そういう話をしてみたわけです。ところが、そうではないと。  実は、やはり島のある小さな公共工事、国の工事ですが、これは二億二千七百万の工事でした。これについて、こんな小さな工事まで今は大手ゼネコンが入っているわけです。その下請をさせられた。その下請の金額が一億一千四百万だった。いわゆる約半額ですね。そうしますと、なぜそうなるのかとその内訳を聞いてみましたら、大手ゼネコンは本社経費がかかる、九州支店の支社経費がかかる、各県ごとに置いている営業所の経費がかかる、それと現場経費がかかる。そうすると、四つの経費がかかるから、それくらいもらわなきゃ合わないということですね。  ところが、地元の業者にしてみれば、ちゃんと現場に重機はありますし、例えば競争になっても、大手ゼネコンよりも格安で自分たち入札できる、競争できる自信があります、そういう話をされていまして、確かに、そういう意味では、午前中話を聞いていましても、大手の業者公共事業を受けている割合はかなり大きいのですが、むしろ、競争入札にすれば、価格もかなり下げられるし、そしてまた中小地元業者についても潤うのじゃないか、そう思うのです。  そういった事情があっても、なおやはり指名入札制度にある程度こだわるというか、それも必要だとお思いでしょうか。もう一度お考えを大臣から。
  151. 扇千景

    扇国務大臣 今重ねての御質問でございますけれども、私は、冒頭に申しましたように、一般入札が理想であるというのは先生もおっしゃるとおりでございますけれども、現段階において、公共事業であるということに関しては、適正な施工と適正な品質保持、少なくともそういうものがなければ公共事業たり得る資格はないと思っております。  ですから、そういう意味におきましても、今山田先生は小さなところでという御質問がございました、私は小さなところまで知り得る状況にはありませんけれども、少なくとも、現段階におきましては、予定価格の公表というようなこともございますけれども、まず元請と下請、この両方の対等なパートナーシップに基づく元請と下請の関係というのは私は必要であろうと思います。全事業を大手が全部一括するのではなくて、地元の人ができる部分、あるいは大手の技術も借りなきゃいけない部分等々あろうと思いますから、元請と下請の関係というものは重要なパートナーシップで、確立していかなければならないものだ、私はそういう認識は持っておりますけれども建設省でこれまでも、元請業者に対しましても書面による契約の締結あるいは明快な経費内訳による見積もり、そして協議の徹底等について指導を行っております。業者によっては、口頭だけで契約書もないなんという下請と元請の関係というのもございますので、そういうものはすべからく明快にしろというふうに指導もしてまいりました。  またさらに、今御論議いただいておりますこの法案の中身におきましては、公共工事の適正な施工確保する観点から、一括下請を全面的に禁止するというふうに私どもは明記してございますし、施工体制台帳発注者への提出の義務づけ、あるいは発注者による、これらの現場施工体制の点検の徹底等を図るというふうに明記してございますので、私はこれらの措置によって、不必要な重層下請や、あるいは手抜き工事につながりかねない不当な下請へのしわ寄せというものを排除し、また元請と下請の関係の一層の適正化を図るというのがこの法案趣旨でございますので、今山田先生が御指摘いただいたような心配は、今までも今後も、なきにしもあらずですけれども、この法案によって、より元請下請の明快さが出てくるものと私は期待しております。
  152. 山田正彦

    ○山田(正)委員 これ以上同じことを聞くわけにはいきませんが、一歩前進であることは私もそう思うのですけれども、さらに地元あるいは地方の小さな業者、そういったものに対しての配慮、例えば分離分割発注、先ほど午前中からずっと大臣も、それを意欲的に取り組む旨おっしゃっておるようですが、ぜひそれを実現させていただきたい、そう思います。  次に、いわゆる予定価格公共工事の予定価格を事前に、もちろん今のところ公表しておりません。ところが、そういうことから政治家に対して、予定価格はどれくらいになるのかと聞き出す。聞き出して、それが贈収賄の温床になったり、あるいはまた選挙にそれを利用したりとか、いろいろな形がなされている。これは決していいことではありません。  そういう意味では、予定価格を事前に公表する、これは大変、談合その他の不正をなくし、そういったいろいろな不正行為をなくすためにも必要なことだと私は思うのですが、総括政務次官植竹先生、これはどうお考えでしょうか。
  153. 植竹繁雄

    植竹政務次官 今先生お話しのとおり、予定価格の公表という点については、確かにある面ではそういう点の必要性というものはありますが、一方では、予定価格を公示しますと、またその業者間における談合の要素ともなり得る危険性もあるわけでございます。そういう点につきましては、また状況状況に対応してやらないと、一概にそれがどうだということは、決定するということはできないと思います。
  154. 山田正彦

    ○山田(正)委員 予定価格が事前に公表されるから談合になぜ結びつくのか、それはちょっとよく私もわかりかねるのですが、決してそんなことはないと思うのです。むしろ、予定価格を事前になぜ公表しないのか。例えば、今回民主党の田中慶秋筆頭理事ともいろいろ話し合いながら、地方自治団体においては、自治体においては事前公表しているところもかなりあるやに聞いております。今回の附帯決議でも、地方自治体については事前公表を認めるというかそういう内容で、私は、国においてもぜひ事前公表して、その透明化をさらに図るべきだ、そう考えておりますが、今度は大臣、どうお考えでしょうか。
  155. 扇千景

    扇国務大臣 この委員会で、この法案に対しての御論議をいただいている中で、るる示唆に富む御意見もたくさんいただきました。  今山田先生がおっしゃいましたように、今まで国において、少なくとも予定価格の取り扱いにつきましては国においての会計法というものの中で、会計法の法令の中では事前に公表が禁じられております。そのために、今までは事後報告というふうにしておりますけれども、一方、今山田先生がおっしゃいました地方自治団体におきましては、既に一部の地方自治団体で入札前の事前公表を行っているところもございます。  ですから、今おっしゃいましたように、今後、特に今まで何が危ないなと思われて事前公表しなかったかというのは、少なくとも予定価格の事前公表について、予定価格が事前に明らかになるということで、予定価格を探ろうとする今までの不正な動きを防止するという効果は私は必ずあると思います。けれども一方、建設業者の見積もり努力を阻害する。建設業者は、値段さえ知れば、見積もりを今までより適正にしなくても簡単に金額を知り得るから、自分たちがその能力があるかないかとかという積算をしないで、予定価格だけぱんと見て入札しよう、そういう動きがなきにしもあらずというデメリットも一方ではございます。  けれども、少なくとも、談合が一層なくなるということに関しては、私は逆に、その価格によっては自分のところはできないけれども、おまえのところができるんじゃないかといって逆に談合するというのが、今総括政務次官がおっしゃったことにもなろうと思いますけれども、そういう問題点もはらんでいます。  事前公表を義務づけるということは、私は一概には、今の段階では困難な状況にはあります。ありますけれども、今お話しのように、地方公共団体における予定価格の事前公表取り扱いにつきましては、試行的な段階なんですね、地方自治体におきましては。ですから、地方公共団体が、試行的でもあるけれども現段階でそれを実行しているということがございますので、私は、予定価格の事前または事後公表を本法案によって一律に義務づけるということは困難かもしれませんけれども適正化指針におきましては、他の予定価格を類推させないような、そういうことにおいて支障のない場合には事後公表するように努めるとともに、あるいは地方公共団体においての事前公表を行える旨定めるものも、私どもはこの法案で考えておりますので、そこのところは御理解と御協議をいただきたいと存じます。
  156. 植竹繁雄

    植竹政務次官 私の方は大臣と違いまして、舌が少々短いものでして、舌足らずな点があることをお許しいただきたいと思います。  基本的には、この法律の施行によりまして、地方自治体が公共工事でやっていると同じような効果があらわれるということがその趣旨でございまして、私の場合は一例として、それを全部法制化した場合に、まだ一遍にはできない、この法律の施行によって徐々にそういう公表化ということが進んでいくという段階において申し上げたということでございます。
  157. 山田正彦

    ○山田(正)委員 先ほどの大臣の答弁に関してですが、まず、会計法でもって事前の公表を禁止されているということはこれは間違いだ、いわゆる政令、閣議決定でもって禁止しているということじゃないかと思うのですが、そうであれば、会計法に関係なく閣議決定でもって、ガイドラインで、適正化指針で事前公表を国の工事においても十分決めることができるのじゃないか。  それからもう一つ大臣が、もし事前公表すると、それに合わせてさらに談合がやりやすくなるのじゃないか、そのようなお話でしたが、それこそ適正化方針の中で、実は今回、附帯決議の中で強く主張して認められている第三項、この中に、発注者は、入札に参加する者に対し、対象となる工事に係る入札金額とあわせてその明細を必ず提出させるように努めること、こうなっております。いわゆる明細、積算、これをきちんとさせることによって、それぞれ、いいかげんな話し合いで出すのではなく、きちんとした、いわば不正の行われない、談合のなされない入札制度というものは担保できるのではないか、そう考えますが、田村政務次官、どうお考えでございましょうか。
  158. 田村公平

    ○田村政務次官 済みません、午前中ずっと、お昼まで参議院本会議をやっていたものですから、午前中の審議を聞いておりませんが、先生のおっしゃる意味は、要するに、不正をなくそうということと、それから、中小零細企業を含めて、正当な対価が得られるような受注の機会が欲しいというふうに私は理解をしておるのです。  先生の選挙区の事情も、私の四国の土佐の高知も、大変似たような環境にあると思います。そういう中で、大手さんだけじゃなくして、地元の業者さんを含めて、しかもそれが、公正かつ公平な受注の機会、いわゆるダンピング、それから、通称、業界用語で言いますけれどもタタキとか、そういうことにならないように。私たちがやっておる公共事業国民皆さんの税金でありますから、地元の企業にも仕事をなるたけ取っていただきたい。それは、そこに納税、税金が入るわけですから、県外大手さんが取りますと税収は上がってきません。  そういう意味で、会計法のこともありますし、地方自治法のこともありますけれども、適正な受注がこの法律によってできるように、そして今附帯決議のことも先生はちょっとお触れになりましたけれども、そういう形の中で、これが始まりのスタートになっていくようになれば、この法案の意義があるのではないかというふうに思います。
  159. 山田正彦

    ○山田(正)委員 今回の新しい法案では、第十五条の第二項において、学識経験者らの意見を適切に反映する機関を設ける、いわゆる第三者機関ですね、ということになっていますが、これは、国においては平成六年から入札監視委員会が設置されております。国ではこれができているから、これでいいとしてのお考えなのかどうか。  そしてまた、その入札監視委員会平成六年からですからもう六年以上になっているわけですが、それの実績といいますか、一体どのようにして監視しているのか、その中身。実際に、それでもって、その間に、この前の中尾元建設大臣の事件とかいろいろなことも方々で、各地でしょっちゅう起こっているのですが、当然のことながら、監視委員会として、何十件かあるいは何百件か取り上げられ、それなりにそういう報告がなされ、是正措置がされたのかどうか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  160. 田村公平

    ○田村政務次官 先生御案内のとおり、九州地建を中心にいたしまして、というよりも全国で八つの地方建設局がございまして、それで大体四名ないし五名の公認会計士、弁護士、あるいは学識経験者と呼ばれる大学の先生方を中心にした入札監視委員会を設けております。  四半期ごとに八つの建設局で計三十二回の入札監視委員会を開いておりまして、それで、発注したものから抽出した、これは地建から委嘱をしておるものですから、その中で、平成十一年度では合計百七十七件の審査をいたしております。平成六年からこの委員会が設置されまして、その委員会設置以降、不適切等の指摘は受けてはおりません。  入札監視委員会の運営につきましては、今後とも、そういう意味で、八つの各委員会で適切な運営をしていきたい、このように思っております。
  161. 山田正彦

    ○山田(正)委員 百七十七件と申しますと、例えば九州地建の場合、全体の件数の何%に当たるのか。そして、全く何らの指摘もなされなかった。そうすると、入札監視委員会において、そういう資料、例えばどういう資料をもとにして不正がなかったのかどうか監視するのか。たとえ、いかに学識経験者、弁護士さんとかジャーナリストとか公認会計士が集まったとしても、見せられる資料においては、それはもう何にもありません、別に問題はありません、次から次にそうなっていく。それでは、行革のこの時代において、そういった要らないものをさらにつくっているということになりかねないか。  ゼロというのは全く信じられない。それこそ、浜の真砂のごとく談合がある。もっと具体的に申し上げますと、例えば、指名業者の中でも、次々に同じ指名業者がずっと並んでくれば、これは公平じゃないんじゃないかとか、いろいろな指摘はあるはずなので、私にはどうしても、そういう六年間でゼロという、合点がまいりませんので、詳しく明確に御説明いただきたい。
  162. 田村公平

    ○田村政務次官 ここに手持ちの資料で言いますと、九州地建に関して言いますと、二千三百十二の中で二十七ということになります。それを今大ざっぱに計算いたしますと、八つの地建の中のパーセンテージに直しますと、若干数字が間違っておったら申しわけないと思いますが、手持ちの資料でやっていますので、一・三%ぐらいになると思います。  それで、その入札監視委員会の中でどういう議論がなされておるかということは、私、高知なものですから、仄聞した話でありますが、まず請け負った業者さんが積算、それから下請関係だったら下請協力書、それから、例えば生コンが何立米要ったとか鉄筋は幾ら要ったとか矢板が幾ら要ったとかという図面、書類があります。それに基づいて、どういうふうにちゃんとやっているか、そこにダンピングがあるのか、世間のいわゆる建設物価から外れているのか、労務単価は適正かというふうなことを先生方が審査しておるというふうに、これは政務次官になる前からの話でありますが、そういうふうに私は聞いておりまして、お答えになるかどうかわかりません。  それからもう一つ談合がいっぱいあるじゃないかと言いますけれども、実は私どもの高知県でも談合という話はしょっちゅうあります、垂れ込みだとか談合情報というのは。その場合には、談合情報に基づいて、そのまま入札をするのじゃなくして、関係する機関を全部呼びまして、再度入札、指名のやり方を変えたりすることもありますので、マスコミに報道される談合というものと、いわゆる本当に談合が行われるというのは、若干どころかかなりの乖離が数字の上にはあるというふうに、これは皮膚感覚でありますけれども、そういうふうに思います。
  163. 井上義久

    井上委員長 小川官房長。
  164. 山田正彦

    ○山田(正)委員 官房長に私は質問はしておりませんし、もともと行革のもとに、政務次官、大臣、そして代議士との間の議論ということになっておりますから、参考人でも私は求めてはおりません。  本来、こういう討論というのは、官主導の政治をできるだけなくすためにも、それぞれ政治家同士の議論にと思っておりますから、今の官房長の答弁についてはお断りいたします。
  165. 井上義久

    井上委員長 では、追加の質問、いいですか。  山田正彦君。
  166. 山田正彦

    ○山田(正)委員 では、追加質問いたしますが、今の田村政務次官の答弁で、これはとても、だれが聞いても納得できる内容ではございません。しかしながら、確かに談合の情報というのは幾つも幾つも寄せられているはずであります。  その談合情報の処理なんですが、今回の法案において、いわゆるそういった知り得た事実、例えば談合があったぞということを知り得た事実は公正取引委員会に通知する、もしくは監督官庁に通知するというふうになっているようですが、もし通知義務、これは公務員としての義務、法律的にはなっていますが、それを怠った場合にはどうなるのでしょうか。大臣お答えをお願いできますか。
  167. 扇千景

    扇国務大臣 今、法案の中ではそこまで明記してございませんけれども、少なくとも私は、義務づけてあるということ、法というのは、法が通ればそれを守るというのが、もちろんそのための法律でございますので、届け出なければならないと書いてあるのに届けないというのは、これは法律をつくっても意味ないということでございますから、そんなことはあり得ない、そういう業者は次の入札に参加できないだろうと思いますから、私は、守っていただくための法律であるということは明言しておきたいと思います。
  168. 山田正彦

    ○山田(正)委員 これは発注者が、公務員の方でそういう談合の情報を知り得たときに通知する、今の大臣お答えですと、通知しないということはないんじゃないかと言うのですが、立法としては、これは法案の中にそうした場合の処分については何も記されておりません。しかしながら、ガイドライン等についてちゃんとした適正化指針を入れるべきではないか、私はそう考えますが、その御意見。  それともう一つ、実は、私の方で国家公務員法を調べてみましたら、第六節の「分限、懲戒及び保障」、その中の第八十二条に、職員が、左の各号の一に該当する場合においては、これに対して懲戒処分とする、免職、停職、減給または戒告の処分をできる。これはどういう場合かというと、この法律またはこの法律に基づく命令に違反した場合あるいは職務上の義務に違反した場合と明快に書かれておりまして、そういう意味では、この公務員法の八十二条をもとにしてでもガイドラインで、いわゆる担当者、知り得た公務員、談合情報を知り得た者、それに対しては、少なくともそれを通知しない場合はそういう処分に付する、それくらいの定めはしておかなければいけないんじゃないか、そう思いますが、総括政務次官、いかがでしょうか。
  169. 植竹繁雄

    植竹政務次官 今、山田先生のお話のとおりでございまして、公共事業直轄工事については会計法でなっておりますが、これは地方自治法でそういうことが定められておりますので、この新法ができました場合、それに通知義務を怠った場合は、これは地方自治法でしかるべき措置がなされると思っております。  法律は、すべての法律が一緒になって、総合的にやって、地方自治法を適用する場合はそれによってやる、法律をオーバーラップしてやるということはなくていいんじゃないかと思います。(山田(正)委員「国家公務員は」と呼ぶ)法に抵触するわけですから。
  170. 山田正彦

    ○山田(正)委員 オーバーラップの意味がわからなかったのですが、懲戒処分等についてはガイドラインできちんとやっていただけるかいただけないか、それはそういう趣旨で解させていただければと思います。  時間が参りましたので私の質問は終わりますが、大臣総括政務次官並びに政務次官、この法案において何としても、この法案に魂が入るかどうかは扇大臣建設大臣としての最後仕事ではないかと私は思うのです。大変失礼なことを申し上げたかもしれません、ぜひそのガイドライン、ひとつ何とか本当に意義のある法律に、ぜひその意気込みで最後まで取り組んでいただければ、そう思っております。  私の質問を終わらせていただきます。
  171. 井上義久

  172. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。  公共工事入札及び契約適正化という場合に、工事の多くの部分を担っている下請業者の方の現状を改めることが必要だと思います。元請による下請いじめはひどい実態の中にあります。ダンピングや指し値発注などとともに、契約の問題でも、ある下請業者の声として、最初から契約書をつくることはまずない。工事に着手し、部分払いが始まってもなお請負金額が決まらない。最終的に決まるのは工事が終わるころ、最後の代金をもらうころになってからだ。そして、当初の口約束の請負代金はほごにされてしまう、このようなことがまかり通っているのが現状であります。  建設大臣にお伺いいたしますが、こういう現状についてどのように御認識をお持ちなのか、お伺いします。
  173. 扇千景

    扇国務大臣 今塩川委員がおっしゃいましたように、あらゆるところで工事の途中で会社が破産したり、あるいは親会社がだめになって下請も、親ガメが倒れれば子ガメも倒れるということになったり、あるいは材料を仕入れていた会社が倒産したためにその会社から仕入れる材料が不足して工事が進捗しなかったり、あらゆる事態が今の現状では起こっております。そして、それで中断した場合に、工事が進捗しなくて下請孫請まで料金が支払われない、それによって訴訟を起こしたいけれども、訴訟を起こすと余計次に仕事がもらえない、そういう悪循環が今の世の中に起こっていることは、私もよく存じております。  けれども、そういうことを保証するために保証協会もつくり、お互いに建設業界で、あるいはお金をプールして工事適正化を図ろうということで保証制度も取り入れていますので、そういう意味では、これからもそういう孫請、子請、孫請というのでしょうか、親ガメが倒れたらすべてが倒れるとか、あるいは一体で工事をしているところの一つが破綻したことによって余波を受けるということで、泣きが入らないように何とかできないかということを私はよく陳情も受けておりますので、今先生がおっしゃったようなことがないように、これは最初の受注のときに、適正であるかどうかということをより的確に判断するということも今度の適正化法の中の大きな意義の一つであろうと私は思っております。
  174. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 建設省の行っております下請代金支払状況実態調査について、平成十一年の元請調査の中でも、前払い金の支払い方法や完成払いの手形期間の長さなど問題が指摘をされています。  発注者から元請業者に前払い金が支払われている事業所で、下請業者に前払い金を支払っていないものは、公共工事について三二・三%、民間工事について四四・九%にも達している。特に、労務について、工事着手時に必要な費用を現金で支払っているものは、いまだ公共工事で六四・一%、民間工事で五〇・〇%しかおらず、さらなる改善が必要である。完成払いについての通常の手形期間が百二十日を超えているものが、公共工事で一二・三%、民間工事で一三・二%だった、このように報告をされています。このような現状実態を改善することこそ、本法の目的の大きな一つではないかと思います。  そこで、具体的にお聞きしたいと思いますが、下請いじめの是正の問題では、地方自治体で進んだ取り組みが行われております。一村一品運動で有名な大分県の話でありますが、ワールドカップサッカーの開催を目指して九八年五月に着工した県のスポーツ公園工事で、元請下請関係について不適正な実態があった。情報公開条例に基づいて、請負契約書を見ると、手形期間が百二十日以内であるべきところ、百三十五日以上になっている、これなどがその写しですけれども、このような現状、ひどい実態が明らかになっております。もうこんなことは許せない、こういう業者の方の運動の広がりもあって、議会への請願なども行われ、行政が重い腰を上げるような形になりました。  大分県では、このような現状を打開するために、元請業者に対して、「一次下請・二次下請等を問わず、施工体系図に記載されたすべての下請契約に係る下請契約書又は注文書の写し」の県への提出を求めております。この八月二十四日付の土木建築部長名の通知「大分県発注工事における施工体系図等の提出について」では、「下請業者に対する下請代金の不払いや建設業従事者への賃金不払いに関する下請苦情相談が増加している傾向にあり」「相談があったもののほとんどが書面による下請契約等がなされておらず、適正な下請契約がなされていないことが下請代金不払い及び賃金不払いにつながる原因の一つと考えられます。」「つきましては、県発注工事における適正な下請契約の指導の一環として、元請業者に対し、」請負金額の記入欄も入った「施工体系図」と、この施工体系図に記載されたすべての下請契約にかかわる「下請契約書又は注文書の写し」の提出を求めております。このような大分県の事例にも学んで、元請下請関係適正化するために、施工体制台帳への再下請代金の記載を義務化すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  175. 扇千景

    扇国務大臣 これはさっき塩川先生もお座りになってお聞きになっていたので、私はもうおわかりいただいているものだと思っておりましたけれども、元請下請に関してのお答えを先ほども申し上げました。  そのときにも塩川先生お聞きいただいていましたけれども建設省、これまでも元請業者に対しましても、書面による契約の締結や明快な経費内訳による見積もり、または協議の徹底等について指導を行うなど、あらゆることをしてきたと申しましたし、また今回は、元請下請間の取引の適正化に努めてきた、それも先ほど申し上げたとおりでございます。  けれども、今事例がありましたように、地方公共団体の中でもまだできていないところが多々あると思いますので、さらに私どもは、今回のこの法案におきましては、公共工事の適正な施工確保する観点から、一括下請を全面的に禁止するとともに、少なくとも施工体制台帳発注者への提出の義務づけ、今先生がおっしゃいましたように、発注者による現場施工体制の点検の徹底等を図ることとしているのは、法案をごらんいただいたとおりでございます。  ですから、私は、これらの措置につきましても、少なくとも、不必要な重層の下請やあるいは手抜き工事につながりかねない不当な下請へのしわ寄せ、それを排除し、あるいはまた元請と下請のパートナーシップの一層適正化を図っていく。パートナーシップが必要であるというのはわかっていますけれども、今おっしゃったような例もございますので、よりこれを適正化していくというのが本法案の大きな目的の一つであるということを御確認いただきたいと存じます。
  176. 風岡典之

    風岡政府参考人 事務的に、施工体制台帳の記載内容のことですので、ちょっと私の方からも補足的に御説明させていただきたいと思います。  先生御案内のように、現在の建設業法におきましては、施工体制台帳に添付する契約書というのは、元請と一次下請、一次の間の契約書については金額の入ったもの、二次下請以下のところについては必ずしもそこまで求めていないという状況がございます。  先ほど先生の方から、大分県で新しいいろいろな取り組みがされたというお話がありました。現在、建設省直轄工事においては、一次下請にかかわる契約金額が入った契約書施工体制台帳に添付して受注者から提出をさせているというのは、実際上はやっております。  今回は、そのこと自身を法律上の義務づけというふうに、今大臣答弁されましたような形にさせていただくわけでございますが、その際、施工体制適正化というような観点から、二次下請以下まで含めた下請金額の入った契約書、これを施工体制台帳として添付をしていただくというような方向で今検討を始めているところであります。
  177. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 今局長の方でお答えいただきましたけれども、十月二日の中央建設業審議会で、風岡局長の方から、ピンはねなどいろいろな議論もあるので、元請と一次下請だけでなく、下請相互間の契約金額についても義務化したい、下請相互間の契約金額についても法律上の義務として提出していただくことと、下請間の契約金額も入れた契約書類を添付していただくのがこれまでと違う、このように報道されておりますが、これはそのとおりでよろしいのでしょうか。
  178. 風岡典之

    風岡政府参考人 ことしの十月の初めに中央建設業審議会がありまして、こういったことにつきましていろいろ御説明をする機会もありました。正確にちょっと、どういうふうに申し上げたのか、あれでございますが、私の今の考え方といたしましては、先ほど申し上げましたように、二次下請以下の下請金額、これも契約書に入れて発注者の方へ提出をしていただくというような方向でこれは検討させていただきたいというように思っているところであります。
  179. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 検討というお話がありましたけれども、具体的には、施行規則に盛り込んでいくということなのか、また、やるとすればいつから実施をする予定なのか、そのことも改めてお聞きしたいと思います。
  180. 風岡典之

    風岡政府参考人 今申し上げましたようなことを実現するためには、建設業法の施行規則の改正という作業が必要になります。まず、考え方として、そういったことを実施するかどうかということを十分議論して、大臣の意思決定をしていただいた上で、実施をする場合には、先ほどのような建設業法の規則の改正ということになります。  いずれにしましても、この入札契約適正化法律につきましては、来年の四月からの施行、本格施行ということになるわけですので、なるべく早目に、今私が申し上げましたようなものについての検討の結論も得たい、このように思っております。
  181. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 大分にお伺いしたときに、専門工事業の団体の役員の方のお話を伺いましたが、景気対策と言うけれども、この公共工事で利益はゼネコンに不当に集中されるだけで下には回ってこない、上のピンはねで、私たちの実際の物づくりの段階では、元請が請け負った金額の半分になっていることもある、これでは技能者も育てることができず、物づくりはだめになる、このような現場での声にこたえるときだと思います。ぜひとも、この点での取り組みを強めていただくことをお願いするものです。  次に、入札契約制度においては、発注者の恣意性や裁量権を排除することが一つのポイントだと考えます。発注官庁が予定価格を漏らしたり、政治家を通じて工事配分を決めるなど、官製談合を防止するためにも、なぜ発注者による予定価格の事前公表を行わないのか。局長の方からお願いします。
  182. 風岡典之

    風岡政府参考人 予定価格の事前公表につきましては、先ほど来御答弁があったわけでございますけれども、重ねてになりますけれども、事前公表を仮に行うということになりますと、予定価格を探ろうとするそういった動きの防止ということについては確かに有効な解決手段になるわけでございますが、一方では、建設業者自身がいろいろ見積もり努力というのが必要でなくなってくるとか、あるいは談合が容易になるとか高値の受注になりやすいというような問題点指摘もなされておりました。これは、建設業審議会におきましてもいろいろ議論してきまして、そんなような問題点、メリット、一方問題点もあるということで、これからの検討課題だというふうな整理を一応させていただいております。  また、実際に地方公共団体でいろいろな試行をやっておりますけれども、その試行の状況もいろいろお聞きしますと、例えば鎌倉市なんかは、試行をやってみたんだけれども、予定価格が高どまりの傾向があったというようなことで、試行をちょっと中断しようかというようなところもありますし、逆に、落札率が低くなったので、もう少しやっていこうかというようなところもありまして、正直言いまして、その辺の実態というのが、どういうような形になるのが通常の形なのかというのはちょっとまだ見きわめできないというようなこともあります。  いずれにしましても、先ほど来お話がありますように、国の場合には今の会計法の予決令でそういった取り扱いができないことになっておりますので、私どもとしては、当面事後公表という対応をしていきたい、公共団体につきましては、法令上そういうことに特に取り決めがありませんので、各自治体の判断というようなことになろうかというふうに思っておりまして、その辺の考え方を適正化指針というところであらわしていく必要があるのかなというふうに思っております。
  183. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 都道府県や政令市のレベルを考えますと、この点、地方の方が進んでいるのではないかということを感じます。  建設省と自治省による地方公共団体の入札契約手続に関する実態調査、この中によっても、予定価格を事前に公表している団体は、昨年六月時点で、都道府県で七団体の一四・九%、指定都市で五団体の四一・七%に達しています。やはり、大型の公共工事を発注する都道府県や政令指定都市という団体の趨勢は、予定価格の事前公表ではありませんか。局長、いかがでしょうか。
  184. 風岡典之

    風岡政府参考人 公共団体の予定価格の事前公表の取り組み、確かに、今先生指摘のありましたように、少しずつふえている傾向はございます。これは、先ほど申しましたように、法令上の前提というようなものもありまして、いろいろな取り組みというのが行われているのは事実だと思います。  ただ、結果につきましては、いろいろな見方があるというのも一方事実のような気がしますので、もう少しいろいろな試行結果というものを私どもとしては眺めてみたいなというような気もしております。
  185. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 私が拝見した建設工業新聞でも、ここにありますけれども、「予定価格等の事前公表 都道府県、政令市に広まる ここ一年で急増、制度として定着の気配」、こういう見出しの記事が出るほどであります。  ここの記事にありますように、建設経済研究所の調査では、予定価格等の事前公表の団体、都道府県、政令市で二十三になっている。昨年の六月の時点の十二が、ことしの六月の時点では二十三ということで倍増しているというのが現状だと思います。その点、その背景には、事前公表のデメリットが少ないという判断が働いているんだと思うんです。  例えば、東京都がことしの七月にまとめたもので、「東京都の公共工事における入札制度等の改善について」、写しをいただきましたけれども、この中で、例えば「予定価格が目安となって競争が制限され、落札価格が高止まりとなること」、先ほどデメリットと指摘されたこの問題については、この報告の文書の中では、「事前公表したことによって落札率が高止まっているという状況はなく、むしろ事前公表した案件の平均落札率のほうが低い結果となっている。」このように指摘をし、結論として、想定されるようなデメリットは確認できなかった、むしろ、予定価格を探ろうとする不正な動きを確実に防止する効果があった、このように述べております。改めて、予定価格の事前公表について義務づけるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  186. 風岡典之

    風岡政府参考人 東京都の試行の結果につきましては、先生今御指摘をいただきましたような結果であったというのは私どもも承知をしております。  ただ、先ほども申し上げましたように、別のところの結果を見るとまた違うような傾向も出ているのも、これ一方事実でございます。私どもとしましては、いろいろなところで積極的に今取り組まれているのも事実ですから、それの結果を十分フォローしていくということが当面やっていくべきことではないかなというふうに思っておりまして、いろいろ勉強させていただくというのが現在の考え方です。  いずれにしましても、制度上の制約というのが非常にあるわけでございますので、まず自治体の方の状況をよく分析をさせていただくということがスタートかなというふうに思っております。
  187. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 次に、一般競争入札の導入の問題ですが、本来、公共工事入札方式は、会計法や予算決算及び会計令で、一般競争入札を原則とし、指名競争入札や随意契約は例外規定となっています。ところが、さきの建設省、自治省による調査によっても、その導入は遅々として進んでいない状況実態であります。その採用が進まないのは、入札参加者が増大し、不良・不適格業者の排除が困難、また、入札参加業者が多くなることから、資格審査等の事務量が膨大になるなどとしております。  しかしながら、政治家や官僚のかかわる予定価格の漏えいなどによる談合が、ほとんどが指名競争入札を舞台にして起こっていることは周知のとおりであります。なぜなら、やはりそこには指名業者選定するという裁量権が働くからではないか。局長の方から一言お願いします。
  188. 風岡典之

    風岡政府参考人 確かに、一般競争につきましては、透明性、競争性にすぐれているという長所はあるのは事実でございますけれども、一方、不良業者が入るというデメリットもあるということで、これもまた事実ではないかというふうに思います。  談合等の批判につきましては、これはどういう制度をとってもある意味では限界のあるところというのが私どもの率直な考えでありまして、一般競争入札制度を採用すればそういった問題が完全に解消できるのかということについては、必ずしもそこまでも言い切れない。また、指名競争入札についても、いろいろな工夫をすることによって、少しでもそういった競争性を高めるようなやり方も可能ではないかということでありまして、私どもとしましては、一般競争については、やはり不良業者を排除するという大きな問題が現実問題としてありますので、そこのところについて、いかにそういった問題が解決できるのか、その辺の審査体制、あるいは現場の監督体制のあり方、そういったものを十分検討した上で進めていきたい、また、そのことが、やはり良質なものをつくっていく上で重要なポイントではないかというふうに思っております。  もちろん、透明性、競争性ということについても、他の制度においても極力そういったものが発揮できるような工夫ということについては努力をしていかなければならない、このように思っております。
  189. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 事務量の増大ですとか不良・不適格業者工事参入を防ぐために指名競争入札一般を否定するものではありません。しかし、官製談合を防ぐためにも、指名競争入札の欠陥を是正するとともに、一般競争入札をより促すことが必要ではないかと考えます。そのためにも、政府の行動計画により、一般競争入札が一定規模以上、国の場合七億五千万以上、公団や都道府県、政令市の場合二十五億円以上、この数字をより改善するお考えはないか、扇大臣、いかがでしょうか。
  190. 扇千景

    扇国務大臣 これも、きょう午前中から各委員の御質問と同じものがございまして、一般競争入札にかかわる範囲を拡大しろ、またそれによるデメリットあるいはメリット等々、いろいろ御論議が行われました。  私は、基本的には一般入札することが何よりも透明性あるいは皆さん方の公正性に対しては必要であるけれども、先ほども局長が申しましたような、そして私が先ほども申しましたような、各国が一般競争入札からなぜ指名入札に変わっていったかということも、さっき塩川委員もお聞きいただいたと思いますけれども世界情勢等々勘案しましてもやはりデメリットがあるということも事実でございますので、できれば私どもはそのデメリットを最小限にとどめて、今回の法案によって一般競争入札の拡大と、そしてそれの確保と、より透明性によって、先ほども申しましたような一般入札制度を改めて私たちは電子入札をするということも含めれば、一般入札という塩川先生が今おっしゃっている御希望どおりのことが運べると思いますので、これは今後の課題として、私は目標として挙げているということだけは御認識賜りたいと存じます。
  191. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 さきにも触れました東京都の入札制度等の改善についての報告の中で、やはり一般競争入札についても述べています。「一般競争入札は、手続の客観性が高く、発注者の裁量の余地が少ないこと、手続の透明性が高く、第三者による監視が容易であること、入札に参加する可能性のある潜在的な競争参加者の数が多く、競争性が高いことがそのメリットとされている。」メリットの面を改めて列記しているわけですが、この上で、いわば結論として、「一般競争入札方式は透明性が高く、競争性が確保され、不正が起きにくいシステムとして着実に定着したものと言える。」このように述べています。  デメリットの面についても、この報告では、「大型工事においては不良不適格業者が入り込む余地は少なく、また、その排除については発注者支援データベース・システムの活用により対応が可能」「大型工事の案件数の減少傾向は顕著」、こういう側面もあって、「事務量が極端に増大する見込みは少ない。」このようにデメリットを否定する見解も述べられているわけですから、ぜひともこれらの指摘に学んでいくべきときだと考えます。  また、一般競争入札とともに、指名競争入札についても、指名を行う場合も第三者機関による指名選定の公正さを保つことや、指名業者数現状より多くし競争性を高めること、また中小業者が適切に指名されるよう制度を改善することなど、この指名競争入札の透明性を高めるための取り組みをより進めるべきではないか、このように考えますが、局長の方で、いかがでしょうか。
  192. 風岡典之

    風岡政府参考人 指名競争入札につきましては、これは先ほど申し上げましたような、できるだけ競争性のあるような形にしたいということで、公募型の指名競争入札を行う等々の取り組みをしておりますが、こういったものにつきましては、できるだけそういう方式を広く活用できるように努力していきたい。これは、国だけではなくて公共団体も含めてそういった公募型の入札方式も含めた取り組みが行われるように努力をしていきたいというふうに思っております。
  193. 扇千景

    扇国務大臣 今局長にとあえて御指名がございましたから私立ちませんでしたけれども、私は、塩川先生がおっしゃいますようなことは、まさに普通のことをおっしゃっているのであって、だれしも思うことは同じでございます。  ただ、それをいかに実行できるかということと、それから、東京都の事例をおっしゃいましたけれども、我々は全国を対象に事例をとって、そして私どもはそれに対処しているというのが国としての姿勢でございます。ですから、私は、少なくとも今塩川先生がおっしゃいますようなことに対しては、前向きに、しかも今度の適正化法をそのためにも提出したというふうに御理解いただければいいと思います。
  194. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 ぜひとも、大分県ですとか東京都のように、国の実践よりも進んだ事例というのを大いに学んでいただいて、それを生かしていただきたい、この思いで私は質問をさせていただいております。  次に、今局長がおっしゃった第三者機関による入札手続の透明化の問題ですが、現在、建設省入札監視委員会を地建ごとに設置し入札手続を監視するとしておりますが、これは現在、抽出による監視となっております。一地方建設局で年間四回開催をしまして、抽出、審議の対象はおよそ平均年間で約二十二回ぐらいとなっております。これは、建設省発注工事の場合、監視委員会の監視対象は年間何件で、この抽出している、実際の扱っている件数はそのうちの何%になるのかをお答えいただきたいと思います。
  195. 小川忠男

    小川政府参考人 数字だけを述べさせていただきたいと思いますが、平成十一年度の実績でございますが、報告された件数は合計で一万三千六百十三件となっております。このうち、約一・三%に相当いたします百七十七件を無作為に抽出して、点検、御議論をいただいたというのが実績でございます。
  196. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 私は、やはりこれほどいろいろな問題が起こっている公共工事をめぐっての問題ですから、対象が余りにも少なく、入札が本当に適正に行われているのか、監視ができるのか、疑問を感じざるを得ません。  例えば、関東地方建設局の入札監視委員会の規則に、入札監視委員会は報告の内容または審査した対象工事にかかわる理由及びいきさつ等に不適切な点または改善すべき点があると認めたときは、必要な範囲で地方建設局長に対して意見の具申または勧告を行うことができるとありますが、先ほどの答弁の確認にもなりますが、この意見の具申、勧告をした事例はあるでしょうか。
  197. 小川忠男

    小川政府参考人 決定的に不適切であるというふうな形での勧告はございません。ただ、すべてがしゃんしゃんで終わったのかと申し上げますと、いろいろな議論があるのも事実でございます。ただ、結果として不適切であるから中止せよというふうな形のものはないということでございます。
  198. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 そういうふうに言いますけれども、依然としていろいろな談合事件は起こっておりますし、汚職事件も生まれているわけで、それなのに何もひっかからないというのが実態としておかしいのではないか、このことを感じるわけであります。何のための監視委員会なのかということも改めて問いただすときではないでしょうか。  入札監視委員会による監視を、私はすべての公共工事に適用すべきではないかと考えます。また、地方公共団体を含めてすべての発注者が、入札監視委員会、この設置を義務づけるようにすべきだと思いますが、扇大臣、いかがでしょうか。
  199. 扇千景

    扇国務大臣 今御指摘がございましたように、塩川委員がおかしいではないかとおっしゃいましたけれども、そのおかしいものを出していただくためにつくった第三者の監視委員会でございます。  それで、今、関東の建設局の監視委員会のお話を塩川委員なさいましたけれども、これは、少なくとも関東の地方建設局で、監視委員会、六名いらっしゃいます。そして、今おかしいとおっしゃいましたけれども、それは名前は言いませんけれども、弁護士、団体役員常任監事、大学教授、これは法学専門、大学教授工学専門、大学教授土木工学専門、大学教授法学専門、以上のような有識者そして学者によって私は公平に委員会が開催され得るということを聞いておりますし、また、報告も受けております。全国のこの監視委員会全部言っておりますと時間がありませんからやめますけれども、この第三者機関、すべてこういう第三者の学識経験者、しかも経験を有する皆さん方で監視委員会が成り立っているということをもう一度御確認いただき、各地方自治体にというふうにおっしゃいましたけれども、地方自治体にこういうものを置くだけのゆとりと権限があるのか。これだけ国が専門家を選んで出している監視委員会の報告も、おかしいなとおっしゃってクエスチョンマークがつくということは、地方においても同じことではないかと思いますので、国が置いております監視委員会を少なくともお認めいただいて、これは皆さんに御了解いただいた監視委員会でございますので、ぜひ私は御認識を新たにしていただきたいと存じます。
  200. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 私は、この間の扇大臣の答弁の中で、一歩前進とか一里塚という話をお聞きしました。  そういう意味での前進の方向を本当に築くのであれば、例えば、予定価格の事前公表の問題ですとか競争入札の改善、やはり肝心かなめのところを押さえていただきたい。この点、先送りになっているような現状がないだろうか。さきに述べたように、大分ですとか東京都のように地方の方が進んでいる事例もあるわけですから、大いに学んで、国民皆さん公共事業をめぐる不信を取り除く上でも、さらに踏み込んだ取り組みを行っていくべきではないか。  その上での大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  201. 扇千景

    扇国務大臣 今、塩川先生がおっしゃいますようなことがもっと早く国会で論議されるべきであった、私はそう思います。  冒頭に申しましたように、戦後五十五年、初めてこの法案委員会提出でき、きょうのように実りある論議をもっと早く私はさせていただきたかったと思いますし、今までの国会議員が何をしていたかということは言いませんけれども、少なくとも、我々、現在国会議員として籍を置く者は、私は、こういうことに一々目を配って、そして、ないものはつくり、悪いものは直す、この姿勢だけは我々はすべからく日々新たに認識を持って、二十一世紀を迎えたいと思います。
  202. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 私は、今回の法案の背景は、やはり、扇大臣大臣につかれたその理由ともなっている中尾元建設大臣の受託収賄事件をきっかけにしたものではないかというように思います。公共事業の不透明性に対する国民の疑惑や怒りが、法案作成の動機にあるのではないかと思います。したがって、この法案でも、あのような、中尾事件に見られる公共事業を食い物にする政官財の癒着を根絶する、こういう方向での取り組みにつながるものが必要だと考えます。  私は、中尾事件のように、現職の建設大臣大臣室でゼネコン業者から金を受け取り、建設省の幹部が業者と宴席をともにして飲み食いをする、高価な絵画をもらったりする、この点でも、透明性の確保ということが議論になっておりますが、建設省自身が襟を正すことが必要で、建設省としての情報公開をより進めるべきではないかと思いますが、扇大臣、いかがでしょうか。
  203. 扇千景

    扇国務大臣 私は、きょうこうして皆さんの御質問お答えしておりますのは建設大臣としてお答えしておりますけれども、私が建設大臣になったときの成り行きが不純であるということは、皆さん御承知のとおりでございます。少なくとも、建設大臣に今まで女性がなったことがない、また、女性には割り当てられるポストではないということを考えても、私は、初代の女性建設大臣となったということの認識を重く受けとめております。  そして、今おっしゃいましたけれども、一大臣の不正行為と建設省を結びつけるということ自体を私は明快に分離したい。それは大臣の資質であって、建設省の資質ではありません。ですから、少なくとも我々は、大臣の、そういう態度をとった資質の皆さん大臣の資質と言われれば私も癒着していると思われますから、それは明快に私は申し上げておかなければならないと思います。私は癒着していないからこの席に着いたのだと思っています。  ですから、私は皆さん方とともに、少なくとも今日の公共事業を含めた、戦後の土建国家と言われながらも成長してきた日本の現在というものを重く受けとめて、そして、公共事業の本来のあるべき姿、国民に利する、国民の税金によって賄われる公共事業の明快さ、正解さ、透明さ、あらゆるものを国民の目にきちんと見ていただく、そのための公共事業適正化法であるということをぜひ御認識いただいて、きょうのような御論議が絶えず行われることを私は建設大臣として切にお願い申し上げておきたいと思います。
  204. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 建設大臣の資質の問題が取り上げられました。私は扇大臣の資質の問題をぜひともお話ししたいと思います。  八月十二日付の朝日新聞の社説では、中尾元建設相の汚職問題について、   当初、天下り問題も含め、「知り得たことはすべて公開する」と約束した扇千景建設相は、一転して内部調査結果の公表を拒んだ。事態の深刻さをどこまで認識したうえでの判断なのか。「大臣の立場を離れて個人として話を聞いた」という国会での弁明に至っては、行政の責任者としての自覚がなさ過ぎると言わざるをえない。 このように述べています。  この指摘を真摯に受けとめるべきであります。  今回の中尾事件の教訓を本当に生かす立場から、金権腐敗政治の一掃の問題でも病巣にメスを入れることが必要であり、また、国民本位公共事業政策の転換を図る立場から、企業・団体献金の禁止や天下りの禁止など抜本的な改革を進める、このことを求めて質問を終わるものです。
  205. 扇千景

    扇国務大臣 あえて私の資質に対しての御質問がございましたので、私は一言だけ申し上げておきたいと思います。  私は、むしろ、私がこの席に着いたからこそこの法案ができたと自負しておりますし、皆さんにもこうして御論議いただけたと思っております。  そこまでおっしゃるのであれば、もっと早く私は共産党さんも法案として出していただきたかった。そして、公共事業がばらまきだとかあるいは談合だとかそういう冠がつかないまでに私どもはこういうことも是正するべきであったと、反省も含めて私はこの法案をつくり、皆さんに御論議いただいているということで、私が公明正大でないということだけは断じてありませんし、すべて公明正大にいたしておりますので、過去のことについて、そのときの発表できることと、警察、検察に口どめされている官僚のものとは別でございますので、私はあえて、この席に着いたからこういう法案提出し、御論議いただけたと思って、感謝しております。(塩川(鉄)委員委員長」と呼ぶ)
  206. 井上義久

    井上委員長 質問時間が終了していますので、終了していただきたいと思います。
  207. 塩川鉄也

    塩川(鉄)委員 終わります。
  208. 井上義久

    井上委員長 中西績介君。
  209. 中西績介

    ○中西委員 終わりになりましたので、質問内容についても重複するところが相当出てくると思いますけれども、余り怒らずにお答えいただきたいと思います。  国、地方公共団体、特殊法人の行う契約は非常に金額の大きいものもあるのに、本法律案公共工事入札契約に限定して法制化し、透明化措置を講じておるわけでありますけれども、これはどうしてここに絞られたのか、この点についてお答えください。
  210. 扇千景

    扇国務大臣 今、中西先生から公共工事だけになぜ絞ったのかというお話がございましたけれども、少なくとも私どもは、公共工事というものは、今るる申しましたように、公共工事の上によくない冠がついている、そして、特に公共工事に関しては多額の国民の税金を原資として、あるいは少なくとも国民生活や経済活動の基盤となる社会資本整備するものであることから、私どもは、特に公共工事に関して、特に建設省でございますし、あるいは建設省以外の各省庁も公共工事を多数抱えて国民の生活に資する点が多々ございますので、そしてその公共事業が、国民生活に大きく貢献しているものに不正な冠がつくということに対しては、この際、何としても、これを皆さん方に、良質な公共工事国民に感謝される公共工事国民の合意の得られる公共工事というものに持っていきたいということで、今回は少なくとも公共工事というもので、あるいは、国民の多くの税金を支出しているという面に対して私たちはぜひこれを正していきたい、そういう意味を込めた法案であるということを御理解いただきたいと思います。
  211. 中西績介

    ○中西委員 今説明ございましたように、この種問題については今まで余りにも多くの問題があり過ぎたということもあり、その点はうなずけますけれども、ただ、こうしたことだけに限らずに、今、先ほどから論議されておりますように、我々を含めて今後のあり方というのは全般的に、やはり今問題になっておる政治倫理の問題にかかわって、すべてを我々自身が律していくということが大変重要ですから、私を含めて、そうした体制をとり得るように、これからも建設省、特にそうした事業の多いところでございますから、十分お気をつけになっていただくように御指摘をしたいと思います。  そこで、提案理由の中に、近年、受注者選定工事施工に関して不正行為が多発しておりということからずっと続きまして、不良業者が介在する余地がなくならず云々とあります。  ここ数年のこの不正行為の発生件数はどの程度になっておるかということを掌握しておられるのか。これらの問題は出たとしても氷山の一角にすぎないと私は思いますけれども、一応、この件数がもしわかればお答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
  212. 風岡典之

    風岡政府参考人 公共工事をめぐります不正行為の発生案件ということで、最新の数字を調べてまいりました。これは建設省、それから都道府県の建設業の許可担当部局で掌握しているものであります。建設業法に基づき監督処分が行われたものということで、平成十一年の件数を御報告させていただきたいと思います。  いろいろな違反パターンがあるわけでございますけれども一つは独禁法違反の入札談合、これは十一年一年ということで、三十五件ございます。また、刑法の談合罪の適用をされた案件、これは二十三件。それから贈収賄の関係が三十六件。それから一括下請負、丸投げの関係の案件、これは七件ということであります。これは、国全体という数字、建設省及び各県での把握している分全体という意味であります。  以上です。
  213. 中西績介

    ○中西委員 今も報告ございましたけれども、先ほども申し上げましたように、私はこれは氷山の一角だとしか認識できません。  したがって、本当に毎日嫌というほど、報道関係を必ずと言っていいほどにぎわしておりますけれども、こうしたことがこの法律によって一定の成果あらしめるということを、先ほどからの論議の過程を聞いておりますと、目標にしてやっておるということでありますから、この点、ぜひ確実に、しかもそのことが末端まで徹底するようにやはり指導を強めていくということが、本来なら各自治体、地方自治、分権、これが確立をされる、そのことが一番望ましいわけでありますけれども、依然として地方のそうした問題が多いだけに、できるだけこれらの問題についても指導ができれば指導をしていく、そうした体制をぜひ確認していただきたいと思います。  そこで、入札契約で透明性の確保を徹底するには、指名競争入札を廃止して一般競争入札にすべきと私は考えます。これは、先ほどから何回か論議された点でありますけれども、我が国でも、平成八年に導入した履行ボンドに加えて、これに今度入札ボンドや入札後の事後審査の導入など、積極的に取り入れ、拡大していくことが重要ではないかと思っておりますけれども、これについてはどのようにお考えですか。     〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
  214. 風岡典之

    風岡政府参考人 一般競争を進めていく上で、資格審査、チェックというのを、先生指摘のように入札ボンドというようなものを活用したらどうかというような御意見も確かにございます。これは、アメリカで広く確かに使われている制度でありますが、この制度自身は、発注者から独立したボンドの引受機関によって不良業者が入らないように審査をするという制度であるわけです。  しかしながら、この審査の実態を見ますと、保険会社等による審査が行われるわけですけれども、建設会社について、入札ボンドの審査は主に財務内容とか経営状況の審査が中心だ、そういったものがありまして、ですから、アメリカでもそれだけではなくて、発注者がみずから適格な業者かどうかということを審査しているわけです。  そういう意味で、正直言いますと、この入札ボンドというのが、不良業者が排除できるということの切り札にはなかなかならないなというような現状がありまして、中央建設業審議会でもいろいろ、平成六年の建議で御議論したわけでございますけれども、要するに、これが直ちに不正を防止する、あるいは一般競争を促進できる特効薬というようなところまではいかないというような検討の結論も出ているわけでございまして、私どもは、こういったやり方がどういうような効果があるのかということは引き続きいろいろ勉強はしていきたいと思いますけれども、これによって、導入することによって一般競争の資格審査の課題が解消されるというようなところまではとてもいかないなというのが現在の考え方であります。
  215. 中西績介

    ○中西委員 事後審査についてはどうですか。事後審査。
  216. 風岡典之

    風岡政府参考人 事後審査の意味をちょっと私、正確に理解できておりませんけれども工事を実施してその結果を評価するということでございましょうか。  その意味では、技術力のある業者をできるだけ次の入札機会を多くするようにということは、これはやはり重要な指摘だというふうに思っております。  これは、今回の適正化指針の中でも、工事施工実績についての成績評価というものを何とか共通のルールとしてやっていきたいというようなことも指針の内容として定めようとしております。これは当然、客観的な評価をしませんと、またこれは不公平になりますので、何を審査すべきなのか、また、だれが審査してもやはり同じような審査結果が出るように、そういうようなことが大きな課題でございますけれども、そういった成績評価をする方向で、指針においては考え方を整理し、努力をしていきたいというふうに思っております。
  217. 中西績介

    ○中西委員 この際、きょう午前中からの論議でも大臣お答えしておるように、これを機会に今までのあしき体質を何としても払拭しようというのがそのねらいであるだけに、あらゆる制度を徹底して究明していくということがこれから大きな課題ではないか、残っておるのではないか、こう思うわけです。  したがって、ぜひ、この種問題についても、このほかでも結構でありますから、十分お考えいただいて、さらにまた閣議等でいろいろ検討した結果をまた、指針を出すわけでありますから、そうした中にそうした問題についても触れていくように願いたいと思います。  そこで、去る十月二日の日に、中央建設業審議会の提案にあります、「建設産業の再編の促進について」の中でも、各企業技術開発力の差が競争に反映されるように、総合評価方式、VE方式企業の持つ技術力が反映できる発注方式の一層の活用を図ると書かれています。  そこでお聞きしますけれども、一層の品質確保と、価格以外の技術力重視の多様な入札方式についても採用することができるように本法案に積極的に位置づけられなかったのはなぜか、この点についてお答えください。
  218. 風岡典之

    風岡政府参考人 できるだけ技術力を生かして、そういったもので競争してもらえるような入札方式を採用していくということは、これは私どもも大いに進めていかなければならない。そのための方式としましては、先生今御指摘をいただきましたように、例えばVE方式とか総合評価方式とか、そういったものが技術力を大いに発揮できる方式ですので、それを積極的に進めていきたいというふうに思っております。  この考え方は指針の中でも、入札契約の改善の方法というのを指針の内容として定めておりますので、これはまさに、そういったことも含んで、技術力を発揮できるような入札方式をできるだけ普及していく、こういった考え方に立っておりますので、指針でそのことも明記して、そういう取り組みが広く発注者間で行われるように努力をしていきたい、このように思っております。
  219. 中西績介

    ○中西委員 次に、価格のみの競争だけでなくて技術力重視等の総合評価方式が取り入れられると、予定価格の上限拘束性が無意味になる可能性もあります。本法案提出される際に予定価格制度についての検討はどのようになされたのか、この点をお答えください。
  220. 風岡典之

    風岡政府参考人 価格だけで落札者を決定するのではなくて、価格とそれ以外の技術力等を総合的に評価して落札者を決定するような総合評価方式、これはもう既に一部は始めているところであります。  そういうような形で、できるだけ価格によらないような方式というものも進めなければなりませんが、一方、予定価格は予定価格としての考え方がありまして、これは国費を使って行う事業でございますので、契約の上限ということの意味があるわけでして、歳出予算、これがどんどんふえるようなことにもならないようにということで、不正、不当な価格による契約を防止する、そういう機能も予定価格の中には含まれているわけでございまして、技術力を重視する面というのと予定価格の本来持っているそういった考え方、これはそれぞれの考え方があるわけでございます。  私ども、今回この法律を検討するに当たりましても、確かに予定価格の上限拘束性をどういうふうに考えたらいいのかという非常に大きな問題があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、技術力を発揮させて、できるだけ発揮するような取り組みをしたいということと、やはり予定価格の上限拘束性でやって、国費をできるだけ有効に使っていきたい、この二つが何とか両立をする取り組みが現状では必要ではないかということで、その点につきましては、予定価格の上限拘束性というものを前提にしながら、その中で技術力の積極的な活用が図られるような取り組みも進めていくということで、この制度を創設しているわけでございます。
  221. 中西績介

    ○中西委員 今までのと重なることもあると思いますが、地方においては、談合事件の反省から、くじ引きによる選定をやるような場合が起こってきています。先ほどから申し上げるような技術力から一層遠ざかる中身になることは必至ですね。  ですから、地方自治体の主体性を尊重することは大変重要です、このことを私たちは無視することはできませんけれども技術の開発意欲を損なわないように、多様な入札方式、同時にまた透明化ということが非常に重要ですから、ここいらは、あわせて、そういう地方のやり方等についても、やはり多くの皆さんが納得するような指導方法なりなんなりがありはしないかという気がしてならないわけですけれども、この点についてお答えいただければと思います。
  222. 風岡典之

    風岡政府参考人 公共事業の場合には、当然、優良な業者をいかに選定していくかということが非常に大きなポイントになるわけでございまして、その意味で、受注者施工能力を適切に評価していく、また、いい仕事をした人については次にまたいろいろな受注機会が拡大するような取り組み、そういうことが必要ではないかというふうに思っております。  そういう観点から、先ほど申し上げましたようなVE方式とか総合評価方式とか、あるいはもっといろいろな方式もあるのかもしれませんけれども、できるだけ企業技術力評価して、それに基づく入札が行われるような仕組み、これは技術力による競争というのは、やはり談合を避けるためには非常に有効であるというふうに考えておりまして、私どもとしては、これは国だけではなくて自治体も含めて、そういう取り組みを一斉にやるということに非常に意味があるわけですので、先ほど、そういったことについても適正化指針の中で明記をしたいというふうに申し上げましたけれども、そういうものを受けて、発注者そろって、そういう方向でできるだけの努力をしていきたい、このように思っております。
  223. 中西績介

    ○中西委員 今局長の方からも言われましたけれども、年度ごとにずっと業者の数を見てみますと、先ほどの論議にもありましたように、予算の面では減額になっておるのに業者の数はどんどんふえておるという状況にあるわけです。これは日本全体の今の産業構造のあり方そのものとの関連があると思いますけれども、こうしたことを考えれば考えるほど、建設業界における今までいろいろ指摘をされた問題等を考えれば、中小企業におきましても、やはり一定の技術力というものを評価できるような体制をつくっておかないと、これから後の建設業界において生き抜いていくことは不可能になってくるのではないかと思うんですね。  ですから、今までみたいな、マンネリみたいなことだとかいろいろなことをやっておったのでは、いつまでたっても、そうした点の進歩なしにまたいろいろな不正が行われていくということもございますので、この点については、やはりこれから後、勉強するあるいは研修する機会などを相当数とってでも、この問題等についてはさらに重要視するということを多くの皆さん理解していただくということが物すごく大事ではないかと私は思っています。そうした点で、こうした問題等についてもぜひ取り組みを強めていただければと思います。  ただ、問題は、地方公共団体に、各種の義務、例えば一定事項の情報の公表だとか適正化指針に基づいて講じた措置の報告などいろいろ課せられるわけでありますから、事務負担などを含めて、発注体制が整備されていない市町村が出てくる可能性があると私は思うんです。そうしたときに強制的に追及できないということもあり得ると思いますが、こうした問題等については何かお考えですか。
  224. 風岡典之

    風岡政府参考人 入札契約適正化を進めていく上には、これは発注機関もいろいろあるわけでございますので、確かに、規模の小さい発注機関に対する適切な配慮ということも十分考えていかなければならないというふうに思っております。  例えば、入札情報についての公表ということを義務づけておりますけれども、その公表のやり方自身も、いろいろな簡便な方法も含めてやっていただいてもいいのではないかということで、将来的にはできるだけきっちりしてやっていただきたいのですけれども、当面は閲覧方式活用する方式とかいうようなものを含めて、いろいろな簡便な方法というものも示していきたいというふうに思っております。  それからまた、第三者機関を設置するというようなときに、小さな発注機関に第三者機関をそれぞれごと持つというのも、またこれも行革その他から見て非常に不効率なところもありますから、例えば幾つかの市町村が集まって、共通でそういう機関を持つとか、あるいは県の機関をかりるとか、いろいろな活用の仕方もあるわけです。したがいまして、各発注機関の状況状況に応じていろいろ進めていかなければならない項目についても、いろいろな弾力的な取り組みができるように、そういったことについてはいろいろ考えていきたいというふうに思っております。
  225. 中西績介

    ○中西委員 そのときに地方自治体の、発注者の権限まで規制をかけるようなことがあってはならないわけでありますから、地方分権を推進するときに、逆行しないようにするということがまず前提にならなくちゃならぬと思うのです。特に、適正化指針とのかかわりによって、地方自治体の入札制度の自主性、こうしたものをむしろ慫慂しながら、どうするかということを考えていく必要があろうかと思っています。したがって、そうした問題等について検討したことはございますか。
  226. 風岡典之

    風岡政府参考人 入札契約適正化の推進というのは、これはあらゆる発注者がやはり共通にやっていくべき課題であると思っておりまして、その意味では、この法律で足並みをそろえてやっていこうという考え方であります。  ただ、先ほど申し上げましたように、発注機関もさまざまな態様があるわけです。技術者がたくさんいるところもありますし、あるいは発注量の多いところ少ないところ、いろいろなことがあります。また、地方自治体にはやはりそれぞれのやり方というものもあるわけでございますので、そういった地方自治体の自主性というものをやはりある程度尊重することも必要だということで、自治体の自主性も尊重しながら、なおかつ全体として統一的に適正化の方向を目指す、そういうことをできるだけ調和をしながら進めていく。適正化指針についても、そういう意味法律上、公共団体の自主性を損なわないようにというような条文も入っているわけですので、そういう意味で、その点についても配慮しながら、なおかつ全体として統一的な方向が目指せるように取り組みをしていきたい、このように思っております。
  227. 中西績介

    ○中西委員 これは言ってはいけないことですけれども、地方自治体の中でこうした問題が起こりやすいという条件が今あるわけですね。したがって、こうした点についてやはり相当、これから後、先ほど申し上げたような研修会だとかいろいろなものを、各県ごとぐらいに実施していただき、そしてこの方針、この法案の中身というものを徹底して熟知していただくことを遂げていただくことが一番大事じゃないかと思いますので、こうした点についても十分留意していただくように指摘をしたいと思います。  次に、本法律案で一括請負が全面的に禁止されることになりますけれども、この一括請負ということがちょっと、範囲なりなんなりが不明確なところがございますので、どういうことを指して言っておるのか。それから、実効性は確実に確保できるだろうか。これも先ほどから出ておりましたけれども、どのような対策を考えておられるのか、この点についてお答えください。
  228. 風岡典之

    風岡政府参考人 一括下請負、これはもちろん法律で禁止をしているわけでございますが、個別ケースにおいて、どういう状況になった場合にそれが一括下請負、いわゆる丸投げになるのかということについては、確かに微妙なところもあります。  私どもの基本的な考え方としては、当然、元請側において技術者を配置して、工事施工管理だとかいろいろな指導をするということがあって初めて適正な元下関係になるわけでございます。技術者を全く配置していないというのは、これは当然丸投げということになりますし、仮に技術者を配置していても、やるべきことをやっていないということであれば、それは一括下請負という扱いをせざるを得ないということで、これにつきましては、できるだけわかりやすい、どういうような状況になった場合に丸投げと言えるのかということについては今までもいろいろなケースを示すような努力をしておりまして、これについては、そういう努力を引き続きやっていきたいというふうに思っております。  それからまた、この法律におきましては、施工体制台帳発注者の方へ届けていただくということを義務づけるわけです。また、発注者の方はそれをもとに現場の点検ということも行います。さらには、施工体制台帳というのは、今までは要するに、現場の中で見えるところに掲示をしていただいたのですけれども、これを公衆の見えるところの方にも掲示をするようにというように、今回の法律によってそういった義務づけもしているわけでございます。  そういうように、発注者現場状況の把握、あるいは第三者からのいろいろな情報等をもとにして、現場で丸投げ等のそういった違反がないかということについては十分把握をしていきたいというふうに思っております。
  229. 中西績介

    ○中西委員 建設業者の技術力や過去の実績の審査が十分行われないで、安易な発注が原因ではないかと思われる上請は、多くは一括請負である場合が多いわけでありますけれども、現在、どのような体制でこれに対する取り組みをしておるのか、また検討しておるか、この点について。
  230. 風岡典之

    風岡政府参考人 上請、これは確かに一括下請負につながる可能性が非常に多いということで、私ども、その防止が非常に重要なテーマであるというふうに考えております。  上請が起こる背景、これはいろいろあるわけでございますけれども発注者によりましては、施工の合理性というものを無視した無理な分割発注が行われるケースだとか、あるいは、能力が十分あるかどうかをチェックしないで業者の指名をするというようなことで上請が起きているケースもあるのではないかというふうに思っております。この辺は、発注部局とも十分連絡をとって、そういった上請になりやすいような発注が行われないように連携を保っていかなければならないというふうに思っております。  また、一括下請負の状況把握につきましては、先ほども申し上げましたように、本法案では、現場施工体制台帳提出の義務づけとか、あるいは現場への発注者の立ち入り点検とか、あるいは施工体系図についての公衆に見やすい場所への掲示、こういうような措置を講じておりますので、こういったものによって、不正な行為の排除というものについて、相当効果が期待できるのではないかというふうに思っております。
  231. 中西績介

    ○中西委員 先ほどからの一括請負とのかかわりもございますので、特に検査の方法だとか、あるいは、点検するにも職員の数が第一不足していると私は思うんですよ。それなのに今、二五%削減だとかなんとかいうから、肝心なところは全部目をつぶらなくてはならぬという事態がそれぞれの職場で起こってきていることは事実なんです。  これは、総定員法のときに建設省の方からもいろいろ指摘をされたことでありますけれども、そのお話を聞いておると、人員が足りないということを盛んに言われるわけでありますから、こうした点、もう少し本格的に、真の行政のあり方だとかサービスというのはいかにあるべきかということを追求しておかないと、これは到底不可能だと思いますね。  ですから、そうした点をやはり十分考慮に入れて、特に大臣におかれましても、そうした点についてお考えいただきたいと思いますし、さらにまた、第三者機関みたいなものがつくれるなら、そういうものによって、どうこれをなくしていくか、こうした多くの問題がこの中には内在しておると私は思っています。したがって、こうした点についても、もう少し本質的な合理化、ただ人減らしをすれば合理化だという感覚をなくしてもらわないと、日本の行政というのは完全に行き詰まってしまうのじゃないかということを私は強調したいと思うのです。こうした点、ひとつ十分お考えいただければと思います。  そこで、もう一、二ございますので質問を続けますけれども、本法案では、入札契約における透明化、情報公開とともに、適正な施工体制がその基本的柱となっております。  現在、工事の七割以上は一次以下の下請業者施工されている現状であると聞きますが、適正な施工体制確保するために、下請業者との適正契約、急落する現場で働く建設技能労働者の賃金を初めとする福利厚生費の適正な保障が急務だと私は考えます。しかし、本法案には、公共工事における一括丸投げの禁止しか触れられておらないという弱さがございます。極めて不十分だと言わなくてはなりません。  そこで、二次以下の下請業者との契約額の施工体制台帳への記載、それから二つ目に、工事着工前の契約締結の義務化、三つ目に、元請企業による指し値発注の禁止、ほかにもございますけれども、以上の点、すべての下請業者との適正契約が推進される条項を設けなかったのは、なぜ設けなかったのか、この点についてお答えください。
  232. 風岡典之

    風岡政府参考人 まず、施工体制台帳につきまして、二次下請以下の契約金額について明記をさせた上で発注者の方へ提出をさせるという件でございますが、これにつきましては、そういうような方向で現在検討をしているところであります。仮に実施をするというような場合につきましては、これは先ほどお答えをさせていただきましたけれども建設業法の施行規則の改正という作業で可能になりますので、この法律においては特にそういったことについて条文等は設けていないということであります。  それから、工事の着工前に契約の締結をするという、義務化を図るという点であります。  契約の締結の時期の問題でありますので、基本的にはそういう方向が望ましいというようには思うわけでございますけれども契約のやり方につきましては、文書による契約もなかなかなされていない、まだ口頭な部分も非常に多いというような現状、それから、先ほど御紹介がありましたような形で、契約書を結ぶのもかなり工事が始まってからというような現状があります。  その点につきましては、私どもとしては、元請の団体等に対して、元下間の契約のあり方というのが、いろいろきめ細かい点、いろいろな観点がありますので、そういったものについては常々指導をしております。文書による契約を進めるようにとか、あるいは指し値受注にならないように、これは三つ目の御指摘にかかってしまいますけれども、当事者にちゃんと見積もりを出させて、協議をして、契約をするようにというような指導をしているところでありますので、そういったものを引き続き続けさせていただきたいということであります。
  233. 中西績介

    ○中西委員 もう一つ下請工事高の多くの部分を占める現場技能労働者の賃金が、公共工事設計労務単価が、現場の日払い賃金と連動して、今回の大幅下落によって大幅に賃金引き下げになっておりますけれども、そうならないようにしなくてはならぬと思うのです。福利厚生費、現場の安全確保の費用が確保されるような措置条項を考えるべきだと私は思っています。  重層下請構造の下請労働者は、以前から建設業法で遵守はうたわれ、建設省も各種通達で徹底を図ってきたように、また、ILO九十四号条約に示されている賃金労働条件確保され、労働契約を重視する条項というのがなければ、基礎的なものが私は壊れていくような感じがしてなりません。したがって、この点についてどうお考えですか。
  234. 風岡典之

    風岡政府参考人 公共工事現場の労務者の単価の問題を御指摘いただきました。  これは、私どもとしましては、実勢を的確に調査して、状況を正確に把握して、それを積算に用いるというような、そういった努力をしていかなければならない。最近、少し労働力の過剰感がありまして、労務費の単価が下がっているところでありますけれども、いずれにしても、実態を正確に把握するという努力をこれからも引き続きしなければならない。  また一方、いろいろな現場管理経費自身も労働者を雇う場合にはかかるわけでございますので、こういった経費についても、そのときの状況を適切に反映するということは当然のことでありまして、これも定期的にそういった取り組みをしているわけでございます。  そういう意味で、現場の労務費あるいは管理費についての状況把握というのは、的確に把握をしていくという努力はこれからもしていきたいというふうに思っております。
  235. 中西績介

    ○中西委員 さらにこれらは細かく指摘をしたいと思いますけれども、時間がございませんので割愛します。  最後になりますが、これは大臣お答えいただければと思っています。  一向に減少しない談合に、短期間に指名停止では余り効果がないと言われています。したがって、これらについて、免許取り消しを含む、一層強化することが非常に大事だと私は思っておりますけれども、この点とあわせ、もう一点、官製談合事件の発生に対して、本法律案策定に際しては、このような発注者を処罰する法改正は考えられなかったのか、この二点についてお答えいただきたいと存じます。
  236. 扇千景

    扇国務大臣 今中西先生が御指摘になりましたこと、また、きょう朝からの委員会で、この問題が各先生からも大変提起されました。私は、大変重要なことだと思っております。  談合を行った建設業者に対するペナルティーにつきましては、私は、刑法や独禁法に基づきます処罰のほか、建設省におきましても、平成六年から、独禁法の違反あるいは刑法談合等の場合については、指名停止の最低期限を引き上げる等により、ペナルティーの強化を図ってまいりました。  けれども、今先生のように、まだこれでは軽過ぎるのではないかという御意見もるるございますけれども、私は、今後も、指名停止措置の運用につきましては、最近における談合あるいは贈収賄等の発生などの社会情勢や、また、当委員会での皆さん方の御意見を踏まえまして、現在の運用基準で果たして十分なものかどうか、これは検討させていただきたいと思って、きょうは皆さんの御意見を拝聴したところでございます。  また、今、入札談合が生ずることのないように努めるべきというのは、発注者自身が談合に関与するなど、いわゆる官製談合はあってはならないことでございますし、また、私は、こういう認識がないのは官たるものの資格がないと思うほど、この点に対しては厳しくしなければならないと思っております。  けれども、現行の法制度におきましても、官製談合が行われた場合に、当該行為が少なくとも刑法第九十六条の三第二項、談合罪に当たる場合、あるいは独占禁止法第三条または第八条第一項第一号、談合当たり告発がなされた場合、このいずれも発注者はその共犯として刑事罰の対象とされておりますのは先生も御承知のとおりでございます。  少なくとも、このような現行制度に加えて、本法案により、より公共工事入札契約の透明性あるいは競争性の向上が図られて、不正の起きにくいシステムを構築されることとなることがありますように、私たちは、官製談合も含めた不正行為につきましては相当程度の抑止効果があると考えておりますけれども、きょうの委員会皆さん方の御意見を拝聴しながら、今後の大きな課題にさせていただきたいと存じます。
  237. 中西績介

    ○中西委員 意見がありますけれども、時間が来ましたので、終わります。
  238. 井上義久

  239. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 保守党の西川太一郎でございます。  私は、昭和五十二年に東京都議に当選をしまして、十六年間都議会に籍を置き、そのうち九年間は、入札契約問題を主として取り扱います財務主税委員会というところに理事委員長やいろいろな立場で身を置いてまいりました。したがいまして、この問題につきましてはいろいろと見聞きもしてまいりまして、大変関心のある問題として受けとめております。  建設大臣は御就任の直後に、御自身は素人であるということをたびたびおっしゃいました。私は、この問題こそそうした国民的視点から、公共事業のあり方、特に入札、発注、契約のあり方、こういうものの後を絶たない不祥事に対して行政のトップにあられる大臣がどういう姿勢で臨まれるかということを、私のみならず多くの皆さんが期待をしておられたと思うわけであります。  そういう中で、基本的な考え方がここでできるわけでございまして、私は、そういう意味でこの法律というものは、入札干渉罪でありますとか、また公共工事入札契約制度のあり方に対する抜本的な改善を求めてきた我が党としては、大変時宜を得た法律であるというふうに、まず冒頭立法趣旨につきまして賛意をあらわすものでありますが、公式な質問でありますので、改めて大臣から、この立法趣旨についての基本的な姿勢を冒頭承りたいと存じます。
  240. 扇千景

    扇国務大臣 今西川先生から、長い間公共工事等々に関する御経験、あるいは都議会議員としての御経歴も御披瀝なさいましたので、はるかに私よりもこういう法案に対しての適切な認識をお持ちであろうと思いますけれども、あえて御質問でございますので、今回の法案の基本的な考え方というものの一端を述べさせていただきたいと存じます。  御存じのとおり、公共工事の成果というものは国民生活と深くかかわっているものでありますし、また国民の貴重な税金により賄われているのは言うまでもありません。そのために、国民理解信頼のもとに進められるべきものであるということは重要なことでございますし、いやしくも国民に疑惑を招くことがないように適正に実施することが強く要請されているのは当然のことでございます。  このために、私どもは、この法案におきまして、国そして特殊法人等、地方公共団体のすべての公共工事発注者を通じて、少なくとも公共工事入札契約適正化について基本原則を明らかにすること、また入札結果や受注者選定過程等を公表することによる透明性の確保、そして公正な競争の促進談合や丸投げ等の不正行為の防止の徹底、適正な施工確保を図るための措置を講ずる、これが私がこの法案をつくるときの大きな四つの基本的な姿勢でございます。  ですから、これによって、会計法及び地方自治法で基本的な手続が定められている公共工事入札契約につきましても、私は、入札から事業実施に至る全過程においてその適正な実現を図って、国民公共工事に対する信頼確保また信頼の回復を図っていく、そのための法案であるということをぜひ御理解いただきたいと存じます。
  241. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 大変立法趣旨は明快であるというふうに思います。  そして、今までこうしたものをなぜつくらなかったのか。それはある意味では、きょうは言葉を選ばずに率直に申し上げますが、談合が業界にとって非常に便利であって、景気のよい時代にはバランスよく、大きいところが中堅を、中堅が小規模を、ジョイントベンチャー方式とかいろいろなことをしながら、バランスよく仕事が満遍なく回るようにできたんですね。  私は、この問題を議論するに当たっては、業界側の企業としての社会的責任というものを覚せいさせるということ、これは法律以前の問題として、いやしくも国民の税金を対価として得る、その仕事はモニュメントとして残るぐらいの気概を持ってやるべきだと思うんです。設計者が協会の賞を受けたり、いろいろな褒章に輝くのに、その設計に基づいて行われる建築が不正な手抜き工事であったり、価格の厳密な検討を経ずして談合、丸投げで行われるなどということが許されるということ自体、日本建設業者すべてとは申しませんけれども、そういうことが当たり前のような業界の体質は、こんな私ごときの質問を聞いていただいている業者はいないかもしれないけれども、みんな、省を挙げて、国会を挙げてそういう方々に強く訴えていかなきゃいかぬ。そういう方々の不心得なことがなければ、談合入札をめぐる疑惑事件などというものは起こらないはずなんです。物すごい手の込んだやり方をしているのですね。  そこで、私、二番目の質問でございますけれども、心配なことは、地方公共団体、会計法とか地方自治法に基づいて一生懸命にやっているのですよ。そして、例えば私の関係したのは東京都議会でございますから東京都について言えば、財務局というところは絶えず不正がないようにいろいろな方法を努力しているのです。それでもそういうことがあるというふうによく言われております。  そして、年々物価も上がり、予算規模もふえますから、議会物と言われる議会の承認を得るものの最低額は、私が当選した昭和五十二年には三億円だったものが途中から五億円になり、その後はどうなっているか知りませんけれども、どんどんお役所サイドの、議会のチェックを受けないで事後報告でいいということで入札契約の結果の報告が終わっているわけですね。そして、資料として出されるものはようかんを切るみたいに百万単位ぐらいでずらっと入札の順番が決まっているなどという資料を目にすると、何でこんな都合のいい話ができるのかというふうにだれもが思うわけです。  しかし、余分なことをしゃべりましたけれども、それはこっちへ置いておいて、本論は、会計法や地方自治法で規制をされてしっかりやっている地方自治体に今度またこういう法律でかぶせていくということは、地方分権のやる気をそいでしまうような心配があるのですけれども大臣、これは大丈夫でしょうか。
  242. 扇千景

    扇国務大臣 今西川先生のいろいろな例が挙げられましたけれども、少なくとも私は、戦後、今日まで日本経済国家としてこれだけ成長を来した中にも、公共工事の占める役割というものの大きさ、また重要性というものはかなりあった、また評価されてしかるべきものであると私は認識しております。  だからこそ私は、先ほども申しましたけれども、少なくとも平成四年のピーク時にあった建設業の数が五十二万社ございましたのが現段階では六十万社になっている、そういうことも私は、大きな姿として、日本公共事業のあり方、あるいは戦後の復興ということを含めたこういう建設業者の増大ということも大きな貢献を果たしてきたと思っておりますけれども、他方考えてみますと、これだけ業者が大きくなり従業員数がふえていくということになりますと、少なくとも公共事業費等々のバブル崩壊後の事業の減少ということから考えますと、その相関性においては少なくとも苦しくなっているということだけは私は言えると思います。  特に地方自治体においては、公共事業によって潤っているという地方もなきにしもあらずでございます。多くの地方の財源と活性化を公共事業に頼っているというところも当然あるわけでございまして、そういうところへ、今西川先生が御心配になったような、地方自治体に逆にこれによって重荷を背負わすのではないか、あるいは地方分権等々の件に関しても、逆に縛るのではないかという御懸念がございましたけれども、私たちは、少なくとも地方公共団体の自主性を損なうことは望ましくない、当然それも考えておりますし、各発注者に義務づける事項は必要最小限のものにする。そして、それ以外のものは、適正化指針により各発注者の多様性を踏まえた対応が可能になるよう、地方の公共団体の自主性に配慮するということだけは、私は特に法律上担保するということをしていかなければならないと思いますので、今おっしゃいました地方自治体への懸念というものを最小限にとどめ、またそうしてはいけないということのために、今後の省令、法令等々を私どもは勘案しながら、適切に地方自治体への少なくとも配慮をしていきたい、そのように思っております。
  243. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 具体的に今大臣お答えになったこと、それで尽きるわけですけれども、建設経済局長、参考人としてきょうは来ていただいていますので伺いたいんですけれども、不正を防ぐために情報公開、どうしても必要ですね。しかし、この情報公開をすべての公共事業にさせるということになりますと、これは大きなもの小さなもの取りまぜて、日本じゅうで膨大な公共事業があると思うんですよ、数において。これは事務の簡素化とかそうしたものに反するという面もあるわけですね。  したがって、今大臣がおっしゃったとおり、地方に負担をかけないように政省令をきちっと整備されるということに答弁も尽きるのかもしれませんけれども、実務的な面から、もう少し今の大臣の御答弁を補足していただけますか。
  244. 風岡典之

    風岡政府参考人 各発注者に余り過度な負担をかけるということは、円滑な目的を達成するためにも支障がありますので、そういう行政の効率化というようなことも一方考えていかなければならない。  私ども、具体的には、今先生指摘をいただきましたような情報の公表の範囲、これも政令で最終的には定めさせていただきますけれども、これも情報公表の意義を損なわない範囲で、極めて小さいようなものは対象から外させていただくというようなことも考えていきたいというふうに思っておりますし、また公表のやり方も、先ほど来御説明しておりますように、閲覧方式だとか、掲示方式だとか、あるいはインターネットを活用するとか、いろいろな方法がとり得ると思いますので、具体の情報開示のやり方につきましては、少し各発注機関の負担の軽減というようなことも念頭に置いて適切なやり方を検討していきたい、このように思っております。
  245. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 今のことは、実際に担当されるのは地方公共団体がほとんどでありますから、ぜひひとつそこのところはしっかりやっていただきたい、これは御要望を申し上げておきたいと思います。  先ほど、先輩、同僚議員から、角度を変えて丸投げ防止対策について御議論がありました。私もあえてそのことを重ねてお尋ねするのは恐縮でありますけれども、丸投げというのは本当にけしからぬ話でございまして、さっきちょっと長々と申しましたけれども、そういうことを伝統的に許している。ほかにもいろいろな、御縁があるなんという言葉があるんですね。  それは、情報を早耳でとっておいて、どこかの土地を買っておいて、当該地域の公共事業がわいてきますと、私のところの資材置き場がここにありますとか、どこどこの工事を私どもは先にやりましたからこれは御縁があるんですからと言って、談合のときの材料にするんだそうですよ。  そういうようなことを許すということ自体、それは取り締まる法律をどんどんつくってやっても、何度も言いますけれども、そういう体質が業界にあるとしたら、ここも、これはもっと率直に建設省が業界に対して指導していく。ただ法律をつくればいいというものじゃないと思うんですね。  これは、大臣お一人ではもうあっちこっちへ飛び回って大変だと思うので、お二人の植竹、田村両政務次官、ぜひひとつこのことを補佐して頑張っていただきたい。そういう意味で、衆議院でありますので、植竹総括政務次官建設省を代表してひとつ御決意を承りたいと思います。
  246. 植竹繁雄

    植竹政務次官 今西川先生からお話しのことは、今日公共事業罪悪論が言われている中で、丸投げとか談合とかいう最大の原因の一つだと思いますが、これは本当に、先生もおっしゃるとおり、また大臣がお話しするとおり、これを根絶していかないことには健全なる公共事業の発注ということはできないわけであります。  そういう意味におきまして、品質確保、あるいは建設業の健全な発達がないと、今後の日本の発展は大きく前進しないという意味で、私は、今回の法律制定というものは、本当に大きな二十一世紀に向けての意義があるものと考えるわけでございます。  そういう意味におきましても、現場を担当する技術者とか、あるいは配置とか、そういうものを全般に的確に措置しながら進んでいきたい。  具体的には、先ほど来お話にありますとおり、一括下請の禁止、これは建設業法においてはいろいろと、先ほど申し上げましたように元請業者が了解すればできるようなことがありますけれども、これを全面的に禁止しないことには丸投げを禁止できないということから、これも本法律案に入っておるわけでございます。あるいは……(発言する者あり)いろいろ何か聞こえましたけれども、その点、今答弁中でございますので。  発注者施工体制台帳の写しの提出の義務、あるいは施工の体系図のいわゆる情報公開を適宜していくといったようなことを踏まえまして、具体的に現場における不正な行為がなくなるようにしていくわけでございます。  いずれにいたしましても、本法律が施行されれば、本当に形をつくって魂入れずじゃ困りますものですから、これは建設省といたしましても、議員御指摘のとおり、今後とも大きく前進してまいりたいと思います。
  247. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 特別、質問下請に出したわけでないのに、何かよその方の御発言に答弁があったようでありますけれども、私がお聞きしたかったことは、要するに、丸投げというのを容認するような、いやしくもそういう体質が業界にあったら、幾ら法律をつくってもそれは効果がない。もっと建設省は地方分権というものを十分尊重しながら、しかし国民から信頼される、だから入札とか契約だけの見直しをするという狭い範囲の考え方じゃいけないんですよ。公共事業全体がいかに価値ある公共事業であるか、何というんですか、でき上がった生産物によっても、国民から、ああいい工事をしてくれた、すごい私たちに便益を与えてくれた、そういうことをやらなきゃいけないんですね。そういう意味では、公共事業のプライオリティーというものも議論されなきゃいけない。  また、私は東京選出だから我が田に水を引くわけじゃありませんけれども、いまだにあかずの踏切なんというのがたくさんあるし、それから、大阪もそうだと思う。三大都市圏においても連続立体交差が遅々として進まなかったり、交通の結節点が依然としてボトルネック状態になっていたり、やらなきゃならないところ、うんとあるのですね。船が着かない港をつくったとか、お猿しか渡らない橋をつくったとかいって地方の方々によくしかられますけれども。それはバランスのよい公共事業をやらなきゃいかぬのですよ。だから、そういう意味で、都市部における公共事業というものもこれはぜひひとつ促進してもらいたい。これは要望にしておきます。我が田に水ばかり引いてはいけないから。  議事進行の意味で、最後質問にいたしますが、最後質問はどういう質問かといいますと、私は、まず隗より始めよで、こういうことを基本法的につくっていこうというならば、建設省御自身の発注案件、そういうものについて、どういうふうに不祥事に巻き込まれないようにしていくのかという決意をここでやはり明確にしていただくということがこの法律審議には欠かせない視点だというふうに思いますので、これを最後に伺って、時間がありますから、答弁いかんによってはもう一度それについてお尋ねをして、もし満足のいく答弁であればこれで私の質問を終わりたい、こう思います。
  248. 扇千景

    扇国務大臣 西川先生がおっしゃいましたように、あらゆる面において、今、公共事業等々、必要欠くべからざるものとあるいは不必要なものとむだを省こうという、そのために三党合意公共事業の見直しも行い、建設省独自でも先ほども申しました百三十六の見直しを列記したところでございます。  今るるお話がございましたけれども公共事業が必要であるということの例として踏切のこともおっしゃいました。全国に一千カ所の踏切のボトルネックがございます。そして、今回は、今おっしゃいましたようにあらゆる面で、来年から国土交通省になって、そういうものを立体交差等々で、公共事業がより廉価に、より早く、そしてより国民性に利する公共工事というものが二十一世紀行われるということのためにも、今回この法案を今世紀末に何としても皆さんに御論議いただいたというのが基本でございます。  そして、今おっしゃいましたように、この法案が通ってどうなるのかということでございますけれども、一言だけ、弁明ではございませんけれども建設省の姿勢として、御存じのとおり平成五年のいわゆるゼネコン汚職というものがございました。あのときに、契機として、少なくとも一般競争入札による透明性の向上、あるいは公募型指名競争入札の参入、そしてそれを導入したということ、そしてまた資格審査あるいは格付結果の公表、あるいは予定価格の事後公表等、それなりに建設省としては努力してまいりましたけれども、私はまだ不足だと思ったのです。  ですから、今回は、できれば皆さん方に御理解いただきたいのは、本法案提出によって、少なくとも私は四つの大きな前進があろうと思います。  一つは、指名業者選定過程を公表する。そして二つ目には、資格審査、格付情報の公表。これは等級も順位も点数もでございます。そして三つ目には、入札監視委員会による審査の強化。今までるる、審査委員会がなぜあったという御質問もきょういただきましたけれども、これも少なくとも強化していかなければならないのが三つ目だろうと思います。四つ目には、総合評価方式、VE方式の積極的な実施。  これは、今回の法案によっては、少なくとも今よりも前進させていただけるものと私は存じておりますし、今西川先生がおっしゃいましたように、これは国だけではなくて、地方公共団体と一体になって、今後公共事業というものがいかにあるべきかという原点に立って、きょうの皆さん方の御意見等々を勘案しながら、より二十一世紀型の公共事業に前進できるように、その御意見を重要視して実施していきたいと私は思っております。  ありがとうございました。
  249. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 終わります。
  250. 井上義久

    井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  251. 井上義久

    井上委員長 この際、本案に対し、古賀正浩君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党の七会派共同提案による修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。田中慶秋君。     —————————————  公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  252. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ただいま議題となりました公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党を代表いたしまして、その趣旨の御説明を申し上げます。  第一に、公共工事入札及び契約適正化の基本となるべき事項のうち、「入札及び契約からの不正行為の排除が徹底されること。」を「入札及び契約からの談合その他の不正行為の排除が徹底されること。」に修正し、第二に、適正化指針に定める事項のうち、「入札及び契約の過程並びに契約内容について学識経験を有する者等の意見を適切に反映する方策に関すること。」を「入札及び契約の過程並びに契約内容について学識経験を有する者等の第三者の意見を適切に反映する方策に関すること。」に修正しようとするものであります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。以上。
  253. 井上義久

    井上委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  254. 井上義久

    井上委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、古賀正浩君外六名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  255. 井上義久

    井上委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  256. 井上義久

    井上委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  257. 井上義久

    井上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、古賀正浩君外六名より、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党の七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。樽床伸二君。
  258. 樽床伸二

    樽床委員 ただいま議題となりました公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、保守党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところであります。また、大臣の答弁もほぼこの附帯決議案に近いものになっておりますので、読む必要もないかと思いますが、まず、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえるところであります。     公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 一般競争入札については、審査体制の整備等を図りつつ適正に実施するとともに、指名競争入札についても、指名基準の公表や受注者の意向を踏まえた指名を行う公募型指名競争入札活用等により、その透明性の一層の向上に努めること。  二 不正行為の再発を厳に防止するため、公共工事発注者による厳重かつ再発防止につながる視点からの指名停止措置、建設業許可行政庁による監督処分を厳重に行い、談合、贈収賄等の不正行為の排除を徹底すること。  三 公共工事入札及び契約に関し、不良不適格業者の参入を排除し、あわせて談合等の不正行為やダンピングの防止を図る観点から、発注者は、入札に参加する者に対し、対象となる工事に係る入札金額と併せてその明細を提出させるよう努めること。    また、談合が明らかになった場合には、発注者による損害賠償請求の適切な運用を図ること。  四 不良業者の排除、技術と経営に優れた企業の普及を図るため、ISO取得を資格審査の際に活用する等企業品質管理システムを促進すること。  五 建設業を取り巻く厳しい経営環境にかんがみ、地域の雇用と経済を支える中小・中堅建設業者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに、ガイドラインの活用等によりJV制度の適切な運用を図ること。    また、適正な施工体制確保観点から、施工体制台帳活用等により、元請企業等と下請企業の関係の適正化に努めること。  六 入札及び契約についての第三者による監視や苦情処理を適切に行うため、公共工事の発注量や執行体制等に応じ、既存の組織の活用も含め、第三者機関の効率的な設置運営を図ること。  七 入札予定価格については、支障がない限り、少なくとも事後公表を行うよう努めるとともに、地方公共団体においては、事前公表を行える旨を明確にすること。  八 規模の小さい市町村については、その実情に配慮し、入札及び契約適正化のための取組みが適切に行われるよう執行体制の確保等について必要な助言等に努めること。  九 いわゆるダンピング受注は、手抜き工事下請へのしわ寄せ等につながりやすく、また、建設業の健全な発達を阻害するため、その的確な排除を行い、公共工事品質確保を図ること。  十 入札及び契約に係る事務の簡素化・効率化を進めるため、公共工事入札及び契約のIT化を促進するよう努めること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  259. 井上義久

    井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  260. 井上義久

    井上委員長 起立総員。よって、古賀正浩君外六名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、扇建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。建設大臣扇千景君。
  261. 扇千景

    扇国務大臣 公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案につきまして、本委員会におきまして貴重な御討議をいただきました。心から感謝申し上げ、ただいま全会一致をもって修正議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま附帯決議において提起されました、一般競争入札の適正な実施と指名競争入札の透明性の一層の向上と中小建設業者の受注機会の確保等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を初め、各委員の皆様方の本当にありがたい御指導、御鞭撻、心から感謝申し上げて、御礼といたします。本当にありがとう存じました。(拍手)     —————————————
  262. 井上義久

    井上委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 井上義久

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  264. 井上義久

    井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会