運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-11-17 第150回国会 衆議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月十七日(金曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 小林  守君    理事 石原 伸晃君 理事 稲葉 大和君    理事 柳本 卓治君 理事 奥田  建君    理事 近藤 昭一君 理事 田端 正広君    理事 武山百合子君       小渕 優子君    岡下 信子君       嘉数 知賢君    河野 太郎君       谷畑  孝君    鳩山 邦夫君       増原 義剛君    水野 賢一君       鎌田さゆり君    佐藤謙一郎君       鮫島 宗明君    細川 律夫君       河合 正智君    藤木 洋子君       中川 智子君     …………………………………    環境政務次官       河合 正智君    参考人    (社団法人日本自動車工業    会副会長専務理事)    鈴木 孝男君    参考人    (群馬大学助教授)    西薗 大実君    参考人    (横浜国立大学環境安全工    学研究室教授)      浦野 紘平君    参考人    (兵庫県民生活部環境局    長)           小林 悦夫君    環境委員会専門員     鳥越 善弘君     ————————————— 委員の異動 十一月十七日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     嘉数 知賢君   山本 公一君     河野 太郎君 同日  辞任         補欠選任   嘉数 知賢君     大野 松茂君   河野 太郎君     山本 公一君     ————————————— 十一月十三日  遺伝子組換え作物環境に及ぼす影響等に関する請願荒井聰紹介)(第一二二四号)  同(田中甲紹介)(第一二二五号)  同(樋高剛紹介)(第一二二六号)  同(山内惠子紹介)(第一二九一号)  ダイオキシン発生源対策に関する請願池田元久紹介)(第一二二七号)  同(金子哲夫紹介)(第一二二八号)  同(五島正規紹介)(第一二二九号)  同(後藤斎紹介)(第一二三〇号)  同(佐々木秀典紹介)(第一二三一号)  同(長妻昭紹介)(第一二三二号)  同(日森文尋紹介)(第一二三三号)  同(細川律夫紹介)(第一二三四号)  同(松本龍紹介)(第一二三五号)  同(水島広子紹介)(第一二三六号)  同(山村健紹介)(第一二三七号)  同(山元勉紹介)(第一二三八号)  同(伊藤忠治紹介)(第一二九二号)  同(今川正美紹介)(第一二九三号)  同(大島令子紹介)(第一二九四号)  同(海江田万里紹介)(第一二九五号)  同(桑原豊紹介)(第一二九六号)  同(今田保典紹介)(第一二九七号)  同(中川智子紹介)(第一二九八号)  同(中西績介紹介)(第一二九九号)  同(松沢成文紹介)(第一三〇〇号)  同(山内惠子紹介)(第一三〇一号) 同月十五日  遺伝子組換え作物環境に及ぼす影響等に関する請願永田寿康紹介)(第一三五三号)  同(野田佳彦紹介)(第一三五四号)  同(横路孝弘紹介)(第一三八九号)  同(中川智子紹介)(第一四五四号)  同(中田宏紹介)(第一四五五号)  ダイオキシン発生源対策に関する請願川内博史紹介)(第一三五五号)  同(小泉俊明紹介)(第一三五六号)  同(野田佳彦紹介)(第一三五七号)  同(細野豪志君紹介)(第一三五八号)  同(植田至紀紹介)(第一三九〇号)  同(筒井信隆紹介)(第一三九一号)  同(土井たか子紹介)(第一三九二号)  同(保坂展人君紹介)(第一三九三号)  同(横路孝弘紹介)(第一三九四号)  同(北川れん子紹介)(第一四五六号)  同(佐藤謙一郎紹介)(第一四五七号)  同(東門美津子紹介)(第一四五八号)  同(中川智子紹介)(第一四五九号)  同(中津川博郷紹介)(第一四六〇号)  同(横光克彦紹介)(第一四六一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  環境保全基本施策に関する件(フロン回収破壊現状及び対策問題)     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 小林守

    小林委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  本日は、フロン回収破壊現状及び対策問題について参考人から意見を聴取いたします。  御出席いただいております参考人は、社団法人日本自動車工業会会長専務理事鈴木孝男君、群馬大学助教授西薗大実君、横浜国立大学環境安全工学研究室教授浦野紘平君、兵庫県民生活部環境局長小林悦夫君、以上四名の方々でございます。  この際、参考人皆様に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人皆様におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査参考にしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序でありますが、鈴木参考人西薗参考人浦野参考人小林参考人の順に、お一人二十分程度意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。御発言は着席のままで結構です。  それでは、まず鈴木参考人にお願いいたします。
  3. 鈴木孝男

    鈴木参考人 ただいま御紹介いただきました自動車工業会の副会長を務めております鈴木でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございました。  私からは、自動車業界が推進しております特定フロン回収破壊システム現状課題中心に陳述させていただければと思いますし、あわせて、使用済み自動車リサイクル現状課題につきましてお話しさせていただければと思っております。  自動車工業会では、リサイクル問題を含めまして、環境問題を最重要課題として位置づけ、環境負荷のより少ない自動車開発環境保全のための循環型社会システム実現に向けまして、最大限の努力をしているところでございます。カーエアコン用フロンにつきましても、オゾン層保護地球環境を守るための緊急課題として、特定フロン回収破壊システム構築し、回収促進に努めてまいっているところでございます。  自動車関係業界では、モントリオール議定書並びに国内関係法によるCFC12生産禁止を受けまして、一九九〇年代の初めごろから、新車ディーラー中心回収機を配備し、CFC12の回収体制を整えてまいりました。当初は、使用過程車への補給を目的に、回収、再利用が主目的だったのではないかと考えております。一九九一年には世界に先駆けまして、オゾン層破壊しない新たな冷媒HFC134aを使用いたしましたエアコン開発、普及し、一九九四年には、全車種に切りかえを完了いたしました。  その後、一九九七年三月に、化学品審議会におきまして、これまでの回収活動を一層進め、回収破壊システムづくりが必要との報告がなされました。これに基づき通産省は、フロン回収促進プログラムを策定し、関係者役割分担を規定したと思っております。  回収システムにつきましては関係事業者構築することとし、販売店など、この中には新車中古車販売事業者整備事業者解体事業者などが含まれると思っておりますが、販売店等エアコンから特定フロンの抜き取り、再利用余剰フロンの一時保管を行うこと、自動車メーカーエアコンメーカー販売店などから特定フロン収集移充てんを行い、適当な量が収集された段階破壊施設等運搬すること、国、地方自治体ユーザーに対する啓発に努めること、費用負担につきましては、上記システムに要するインフラ整備関係事業者が負担し、人件費などのランニングコスト最終使用者が負担すること等のフロン回収促進プログラムの趣旨に沿いまして、私ども自動車工業会といたしましても、日本自動車部品工業会など他の自動車関係業界とも協力をいたしまして、特定フロン回収破壊システム構築について検討いたしました。  具体的には、回収拠点から破壊施設に搬入するための収集運搬移充てんにかかわるシステム構築すること、技術情報提供体制整備すること、行政が実施するユーザーへの啓発活動協力することなどを内容といたしますカーエアコン用特定フロン回収促進実行計画を一九九七年九月に通商産業大臣に提出いたしました。  具体的なシステム構築のために、私ども関係業者向け説明会全国十五カ所で開催いたしたり、回収破壊を推進するための中央組織といたしまして、自動車工業会の中にCFC回収破壊システム登録センターを設けるなどした上で、一九九八年一月から首都圏での実施を始め、順次地域を拡大いたしまして、同年十月にシステム全国展開を完了いたしました。  システムの概要といたしましては、最終使用者から委託を受けました回収事業者フロン回収し、回収事業者運搬事業者経由特定フロン破壊事業者処理委託をし、さらに処理事業者熱分解等によりフロン破壊する、こういう形になっております。回収機保有する回収事業者につきましては、自動車工業会内にあります登録センター登録していただき、この登録していただいた回収事業者に対しましては、センターからボンベ、搬送用パレットなどを提供するなどの支援を行っております。  首都圏システムが稼働いたしましてから二年十カ月経過いたしましたが、現在この制度に登録をされております事業者は三千五十八社でございます。また、回収破壊量は、累計で二百五十九トンとなっております。この私ども自動車工業会等システム以外に、地方自治体あるいは他の民間事業者などの独自の回収破壊システムもございますので、これらを通産省が集計いたしましたその数字ベースでの破壊率は、平成十一年度、昨年度分で一八%とされております。  さらに、代替フロンHFC134aを利用いたしましたエアコン搭載車も、逐次使用済み車になる時期が近づいておりますので、自動車工業会といたしましては、部品工業会等とも協力いたしまして、その回収処理に関する自主行動計画を策定いたしまして、通産省に提出しております。現在、具体的なシステム構築準備を進めているところでございます。  また、自動車メーカーといたしましても、CO2などフロン以外の物質、特に自然冷媒利用したカーエアコン開発にも努力をしているところでございます。  カーエアコン用回収破壊が、これまで述べましたような関係業界等努力にもかかわらず、回収率が低いと指摘されていることは、大変残念なことだと考えております。なぜ回収率向上しないのか。これには種々の要因があろうかとは思いますが、一つには、解体事業者整備事業者中古車販売事業者などにおきますフロン回収機保有が少ないのではないか、あるいは、回収事業者による努力にもかかわらず、フロン回収についての御理解をいただけない排出者が少なからずあるのではないか、あるいは、使用過程車への補充用特定フロンCFC12が不足しているという風評のもとに、一部の事業者が、回収いたしました特定フロンを再利用のため備蓄しているのではないか、整備事業者等でかなりの量を在庫しているのではないかというようなこと等が挙げられるのではないかと考えております。  今後の回収促進のための方策といたしましては、現在の活動を補強するためにも、回収機配備促進、特に中小企業解体業者整備業者などが回収機保有することを促進するための方策、あるいはユーザー方々への理解活動の一層の強化、回収機保有事業者への私ども登録しております登録事業者のリストの公表などいたしまして情報提供に努めることなど、関係方面協力もとに、このような対策を一層推進する必要があろうかと考えております。  ここで、自動車リサイクル対策全体の状況について若干触れさせていただければと思います。  これまで、使用済み自動車リサイクルに関する取り組みといたしましては、一九九七年に産業構造審議会の中の廃自動車処理・再資源化委員会で策定されました使用済み自動車リサイクル・イニシアティブ、これに基づきまして、自動車関係業界では、リサイクル率向上、具体的には、二〇〇二年に八五%、二〇一五年に九五%にリサイクル率向上する、そういう目標、あるいは鉛使用量の削減などを盛り込みました自主的取り組みを推進してまいりました。  これらの取り組みは、これまで順調に推移しているのではないかと思っております。例えば、リサイクル率につきましては、現在の段階で八〇%を超えた状況になっております。また、このリサイクル・イニシアティブの中では、これから増大しますエアバッグにつきましても、自主的な回収処理システム構築準備を現在進めております。  しかしながら、近年の使用済み自動車の逆有償化の進展、あるいはフロン回収等、新たな環境問題対応への要請の高まりを背景に、現状リサイクルシステム実効性を維持し、さらに一層向上を図るための必要性が増大しているのではなかろうかと思っております。国内では、循環型社会形成推進基本法の制定、あるいは他の個別のリサイクル法整備も進んでおります。また、ヨーロッパでは、EUにおきまして使用済み自動車に関する指令が公布される状況になっております。  こうした状況の変化を踏まえまして、現在、産業構造審議会の中に自動車リサイクル小委員会というのがございますが、その自動車リサイクル小委員会で、この夏以降、使用済み自動車全体のリサイクルシステムのあり方につきまして、その一層の高度化に向けて、法制化も視野に入れた総合的な検討が開始されております。来年初めを目途に基本的な考え方を取りまとめる予定と聞いております。  自動車工業会といたしましても、この小委員会におきまして、関係事業者意見が十分聴取され、実効あるシステム構築されることを期待しておりますし、私ども自動車工業会の代表もこの小委員会に入っておりまして、産業構造審議会での議論に積極的に参画いたしまして、実効性の高いシステム構築に向けて、今後とも積極的に取り組む所存でございます。  現在、関係方面におきまして、フロン回収促進のための立法案検討されていると聞いております。私ども、その内容につきましてはまだ詳細承知しておりませんが、基本的には、先ほどの産業構造審議会での自動車リサイクル全体の法制化、この検討の中で御審議いただければ合理的なアプローチではないかと考えております。  また、立法化検討するに際しましては、関係者役割分担明確化を前提とすること、あるいは使用済み自動車リサイクルに関係する事業者には中小零細業者が多いことに十分配慮すること、費用負担につきましては、公平性に配慮し、確実に回収処理したことや回収処理に見合った額であること等が確認できる、すなわち透明性の確保といったことに配慮いたしまして、我が国の実態に即した、実効性のあるリサイクルシステム内容となることが必要ではないかと私ども考えております。  いずれにいたしましても、フロン法制化につきましては、産業構造審議会自動車リサイクル小委員会における自動車全体の総合的な法制化と調和のとれた内容となりますよう、また国民各層が納得できるような内容になることを切望する次第でございます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  4. 小林守

    小林委員長 ありがとうございました。  次に、西薗参考人にお願いいたします。
  5. 西薗大実

    西薗参考人 それでは、資料に五枚とじほどの紙を用意いたしましたので、それをもとにしながら御説明したいと思います。  まず、フロンの問題というのは、環境問題が非常に数多くある中では、比較的よく構造が見える問題ではないかということを先に指摘しておきたいと思います。  つまり、実際の環境問題としてあらわれているのは、オゾン層破壊の問題と温暖化の問題ということになりますが、オゾン層破壊に関しましては、大体二〇一〇年以降にまだピークが来るだろう、最終的な影響は来世紀以降ずっと続くということが、国連環境計画等で指摘されているわけです。それから、温暖化の問題につきましては、現在ハーグでCOP6が行われておりますように、大変大きな問題として取り上げられております。  このような非常にはっきりとした、環境問題のどちらにも関連する原因となる物質として、つまり、明らかな環境汚染物質ということが確定している物質フロンであるということをまず確認しなければならないと思います。  それで、今までの世界的な取り組みの中では、モントリオール議定書というものがオゾン層破壊についてはありまして、この中で生産規制が行われていることは、これは日本でもオゾン層保護法という形で実現されているわけですが、さらに、決議の中では、CFCとかHCFC回収促進ということは既にされているわけです。それから、御存じのとおり、来年の七月までにCFC管理戦略というものをつくるということも決まっております。  また、温暖化の方の問題では京都議定書がありますが、これは基本的には、フロンに関してはHFC等代替フロンに係るものですが、これは排出抑制もともと目的とした条約ですから、どちらをもとにしても排出抑制ということは既に自明のことであるということがわかるわけです。  これは、今自動車工業会さんの方からいろいろとその対策についての御説明がございましたが、これは自動車だけに限らず、家電製品ですとか冷凍空調機器関係、あるいは発泡剤として含むもの、ダストスプレーのようなもの、フロンを使った製品というのは、いろいろな形があるにしても、すべてフロンという有害物質製品の中に封入しているということをまずメーカーは明らかに認識しているわけです。ですから、これは企業倫理の問題としても当然ですし、最近の拡大生産者責任の流れから申しましても、このような有害物質製品中に含むものについては、廃棄部分まで責任を持つということは当然免れないのではないかというふうに私は考えております。  もちろん、そのために、一度出た製品についてそういうものが含まれているということをユーザーに周知する、啓蒙するということは大変重要なことですし、そういう取り組みはいろいろなセクターで行われているわけです。  しかしながら、最終的にその処分の責任をだれが持つべきかというところは、では、買ってしまったんだからユーザーがやらなければいけないのか、あるいはそれを引き取ってしまった廃棄業者がやらなければいけないか、それは現実にはそこがやることになるでしょう、実際の実行という意味では。しかし、それを円滑に進めるといいますか、そういうようなシステムをつくるのは、やはり一番の責任メーカーにあるのであり、それからそれを指導監督する立場にある行政にあることは明らかであると思います。今回のこの法制化の問題は、その点において今まで十分な取り組みがなかったという反省を持って臨まなければならないというふうに考えます。  幾つか細かいことは資料に書きましたのでちょっと省略いたしますが、特にフロン類は、ほかの物質と違いまして、非常に特別な性質を持っているといいますか、人工のガスであるがゆえに、例えば赤外線の吸収領域とか、そういうところにおきまして他の物質とかなり違う性質を持っておりますので、そういう意味ではかなり慎重に扱わなければならない物質というふうに考えられます。  その点から考えますと、資料の二枚目になりますが、今までフロンをどのくらい使ってきたかということを考えますと、年に大体十万トンぐらいつくっているわけですね。代替フロンにかわりまして、現時点でやや少なくなりましたが、それでも日本では大体七万トン程度生産しているということになります。  そのうち、現実に、最終的に大気に放出されなかったものがどのくらいあるのか。これは今までの累積ベースではなかなか議論が難しいので、単年度でちょっと考えてみますと、例えば、昨年の場合にはフロン生産量は約七万トンです。実際には、昨年生産されたものはタイムラグがあって放出されるわけですから、本来であればもっと過去の数字を用いるべきということになりますので、そういう意味で言いますと、CFCの時代、九〇年代初頭あるいは八〇年代後半には恐らく十万トンからの生産があったわけですから、その数字ベースにする方が本来であれば適当かもしれません。  いずれにしましても、そういう母数に対しまして、昨年の回収破壊量、これは、最終的に破壊されたというところで初めて大気放出がなされなかったということが確定するわけですから、少なくとも、そういう意味で明らかに大気に放出されなかった量としてカウントされているものが約千トンということになります。十万トンであれ七万トンであれ、これはもうそれほど大きな違いは出てこないわけですが、それに対しての千トンという数字ですから、これがいかに小さいものかということは、つまり十分な回収破壊がなされていないということは明らかであります。  その回収破壊のときの問題点で、先ほど自動車工業会さんの方からも一八%という数字を出していただきましたけれども、あの数字と、今の十万トンあるいは七万トンに対する千トンという数字、約一%という数字が余りにもかけ離れている。これはどこにその違いがあるのかといいますと、その一八%という数字を算出している根拠は、回収可能量というものを設定して、それに対する数字として出されているわけです。回収可能量自動車工業会の方の御発言がありましたので、自動車を例にさせていただきますと、自動車の場合には千百十八トンというのが昨年の回収可能量という数字になっておりますが、これは、私の目から見ますと、若干控え目な数字というふうに言わざるを得ないと思います。  例えば、車の廃棄台数中古で輸出されるものもありますので正確なところはなかなかつかみづらいようですが、大ざっぱに言いまして大体五百万台前後、これもやや控え目な数字かもしれません。少なくとも五百万台は国内で壊されているのではないか。  それぞれにフロンがどのくらい入っているかということを調べてみますと、これは五年ほど前になりますが、環境庁のモデル事業で、群馬県の方で受けたモデル事業ですが、それのデータ取りということで、私も実際に廃車の山に登りまして、かなり厳密な方法で計測いたしました。つまり、フロンの場合には、気体ですけれども、コンプレッサーの中で液体の油と溶けている部分があるものですから、その部分まで全部抜いて油と分離するわけですね。フロンだけを分けて取る。つまり、回収率をかなり高くした方法というふうにお考えいただければいいと思いますが、そのデータは、普通乗用車一台当たりは平均して大体五百グラム弱というところです。  それで、五百グラム弱という数字妥当性がどのくらいあるかといいますと、最近、例えば江戸川区なんかでは比較的きっちりそういうデータを出しておられますが、これも大体似たような数字が出てきておりますので、自動車というのは走っている間に若干抜けるというふうに聞いておりますけれども、最終的に残っている数字は大体五百グラムぐらいというのは間違いないだろう。これを掛け算してみますと、ざっと二千五百トンということになります。五百万台で五百グラムということになれば二千五百トン。回収可能量というふうに使われている数字の大体倍以上ということになりますね。  ほかの分野でも、冷凍空調機器の場合にはなかなかその母数が出しにくいのですが、しかしながら、例えば冷蔵庫の場合にはある程度計算ができますが、いずれにしましても、現在回収可能量として使っている数字は、若干控え目に過ぎるというふうに私の目には映ります。  ですから、現在のカーエアコン回収量、一八%というようなお話がございましたが、実際に集められる量の一〇%以下なのではないかというところが、私が感じるところであります。  なぜこういう状況になってしまっているか。一つは、フロンというものは、それだけの有害性を持っていることは明らかな物質でありながら、しかもオゾン層保護法ができたのが八八年、オゾンホールが発見されているのが八五年ごろの話ですから、既に十年以上前からそういうことがわかっている物質にもかかわらず、生産段階から最終的に廃棄段階までの流通の量であるとか具体的なルートが皆目わからないというところがあるわけです。  これは、最終的に製品の中に残っているものを先ほどのように算定することはある程度できますけれども、その前の段階の流通で、どこで何キロ引き取られたのか、そのような管理が一切なされていないということで、途中段階での漏えいに関しましては現在のところつかむ手が全くないと思います。これが一つの大きな問題であります。  実際に、回収可能量が全体の生産量のうちのどれだけに当たるかというところは、これも議論のあるところと思いますが、恐らくは、大ざっぱに言って半分程度は何らかの対策をすれば回収ができるというふうに考えますので、その前の段階での漏えいについてきっちりとした基準をつくるべきではないかということが一つ考えられます。残りの半分の回収可能なものについて回収の手だてをする、この二本立てですね。生産、途中の流通、使用段階、ここを押さえるということ、それから、最後の廃棄段階での回収をきちんと行うということが必要であることがわかります。  この問題につきまして、少しポイントをはっきりするために、三枚目からになりますが、三のフロン対策現状問題点、それから、四の放出禁止の法律制定に関する市民の提案というものがありまして、これは、我々、フロンネットという形で、市民で理想的な法案を考えようという研究をしておりまして、それについての内容が四、五に書いてございます。  この三番の問題点、それから五番の市民案のポイント、これがそれぞれ五本立てになっておりますが、ここが対応する形で現在述べたようなことを含めて書かれておりますので、ちょっとここを見ていただいて、そのポイントについて御指摘したいと思います。  まずフロンの問題は、最初に申し上げましたように、オゾン層破壊温暖化の問題、両方に絡んでいるわけです。これは国際条約上も二つの条約に分かれている、また国内法上も現時点ではそれぞれ独立した取り組みという形でされておりますが、実際の現場での取り組みを見てみますと、特定フロンであるか代替フロンであるかということについての取り組みの差は全くございません。したがいまして、実際の運用の利便性ということを考えますと、この二つの内容を融合した法律が必要であるということは明らかであると思います。  それから、三の一というところがその三枚目にございますが、これが、先ほど来申し上げていること、それから現在申し上げました代替フロン特定フロン、両方の問題に絡むべきだということです。ですから、包括的にという言葉を使っておりますが、すべてのフロン類に係る法律が必要であろうという点が一点です。  そして二番目です。  現在、特定フロン回収促進プログラムというものがつくられておりますが、実際の回収量は、先ほど申し上げたように、恐らくはカーエアコンの場合で一〇%に満たないであろう、実際の数字を考えれば。冷凍空調機器の場合は、高い数字が上がっておりますが、これも、分母の問題とHCFCについてのカウントが極めて不鮮明であるという点です。CFCは既に冷凍空調業界では主力の冷媒ではなくなっておりますので、現在主力のHCFCに関しては、一応数字は上がっておりますが、ずっと低い数字になっておりますし、実際に数字がまだつかめていないというところが現状なのではないかと思います。この辺のところで、現在の自主的回収というプログラムでは限界があるのではないかということを指摘しておきたいと思います。  それから三番目になりますが、これは先ほど申し上げました問題ですが、生産から廃棄までの途中の段階というところがやはりつかまれておりませんので、これをつかむことが必要であるということです。  そして四番目になりますが、これは最初に申し上げました企業の、メーカーの、あるいは途中段階にかかわる企業も含まれるかもしれませんが、責任ということで考えますと、私が思うには、そういう有害物質排出しない、基本的にはそういう決意というんでしょうか、これは国も含めてですが、そういうものがいささか不十分なのかなということも思います。  いずれにしても、それだけで解決する問題ではございません。当然、そういう思いの上に現在も回収に取り組んでいる非常に良心的な業者さんもたくさんいらっしゃるわけですし、自動車工業会もそういう意味ではいろいろなシステムをつくられて努力されているというふうに映りますけれども現実には、やはりお金の問題というのはボランティアではできないということがございますので、それをどういうふうに交通整理をするかということが一つの実効のポイントにはなってくると思います。  その場合、排出時負担というのは、家電リサイクル等でも議論されているところだと思いますけれども排出時負担という制度を使いますと、これは自動車工業会あたりから出されている資料でも出ていると思いますが、なぜ回収が進まないのかという理由の中に、実際の聞き取り調査をしますと、排出時負担ではお金が取りにくい、あるいはサービスの低下といいますか、その引き取り費用が上がってしまうといいますか、そのためにサービスでつい取れないということがあると思うんですね。そういうことがかなり意見として強く出ております。  そうしますと、当然、不法投棄という問題も起こってくるわけです。これはもともと、現時点では既にもう有害物質であって、製造の時点でそれを含むということがわかっているわけですから、本来であれば処理費用は内部化されてしかるべきものですね。  この考え方は、あらゆる製品に適用されるわけですけれども、これはフロンの問題だけではなくて、有害物質一般に現在議論が進んでいるところであると思いますけれどもフロンは、そういう意味では、HFCという形で現在もまだ生産、使用が続いておりますので、現時点で費用を内部化し得る、つまり販売価格に上乗せし得る要因を持っている。  しかし、過去に生産された分につきましては、確かに費用の目当てがないじゃないか。その点につきましては、余り厳密に一対一の整合性を考えていきますと、当然それは成り立たないことは明らかですが、現時点でフロンメーカーフロンの原体を出します、それを機器メーカーが使います、この両者、それぞれ応分の負担といいますか、フロンメーカーは、基本的には、つくった物質破壊する分と考えていただければいいでしょう、機器メーカーに関しましては、回収の直接費用というふうに考えていただければいいでしょう、この分をそれぞれのメーカーがまず負担をする。当然それは、負担といっても、機器メーカーが、あるいはフロンメーカーがそのまますべて自腹を切ってという意味ではなくて、今後の製品に費用を内部化して乗せていくということを前提とした発言でございます。  したがいまして、消費者の方といたしましては、ユーザーとしましては、排出時に下流に向かって払うのではなくて、もともと購入時に上流に向かって払うという制度を確立する必要がどうしてもあると考えます。その結果、当面、基金のような形で動くことになるんだろうと思いますが、これが回収破壊に分配されていくわけですが、このときに非常に重要なのが、その数量の管理ですね。  もちろん、マニフェストということが当然大前提となりますけれども、それと同時に、最終的に、CFCの場合には、いずれにしましても、再利用をいつまでも続けていくということが望ましい製品ではないことは明らかです。また、技術的なハードルを設けることによって、それを代替する手段も進んでくるわけです。  ですから、CFCだけではありませんけれども、これはHCFCにももちろん通じる問題ですけれども、あるいはHFCにも最終的にはつながっていく問題ですが、基本的には、やはり再利用は原則禁止の方向が望ましいというふうに考えます。  つまり、数量のカウントには、破壊というところまでいって初めて放出されなかったということが確認されるわけですから、破壊というところまでいった時点での数量をもとに、回収費用あるいは破壊費用の算出を行う。具体的な方法についてはいろいろ議論の余地があると思いますが、原則としてはそういうことを考えておくべきではないかというふうに思います。  それから、今述べたようなシステムというのが一番実効を上げるためのポイントになるのだろうと思いますが、そのためには、最初に申し上げましたCFCからHFCまでの一貫したシステムということですね。これは当然、今のようなシステムを考えますと、現行使われているものについての費用負担がなければ成り立たないわけですから、これは自然にCFCからHFCまでの一貫したシステムをつくるということを意味することになると思いますし、それで初めて整合性がとれるというふうに考えます。  いろいろと申し上げましたが、やはりもう一つ日本の場合に気になりますのは、ハードウエアの問題、回収機の問題、先ほど自動車工業会からも御指摘がありましたが、それと同時に、やはりそういうことに携わる技術的な人を育てるソフトウエアの問題です。これもやはり欠かせないと思うんですね。これが両方成り立って初めて実効的な回収ができるというふうに考えますので、破壊も含めてですが、回収破壊の資格認定制度のようなものも充実させる必要があるのではないかというふうに思います。  以上、メーカー責任からそのような実際の実効の問題まで幅広く述べましたけれども、このようなことが実際の法律に盛り込まれて、ぜひ実効性の上がる法律ができることを望む次第です。(拍手)
  6. 小林守

    小林委員長 ありがとうございました。  次に、浦野参考人にお願いいたします。
  7. 浦野紘平

    浦野参考人 横浜国立大学の浦野でございます。  私は、日本でほとんどフロンが問題にならなかった二十四年ぐらい前からずっとフロンの問題を研究、あるいは社会的にもいろいろなことをやってまいりました。  本日は、長年主張をし続けてまいりましたけれども、はっきり言いまして、国の行政の体制、あるいは業界の地球環境問題に対する対処姿勢などがおくれていたというふうに私は思っております。この時点になりまして、国会議員の皆様方がフロン排出防止のための法整備に動いていただきまして、私を参考人としてお呼びいただきましたことを、大変うれしく思っております。  今まで私は、フロン問題の改善のために、国、自治体、関連業界団体、市民団体などと、幅広い方々といろいろ交流、協力をしてまいりました。これらの方々には、それぞれのお立場や主張がございまして、いろいろなことを私も聞いておるわけですけれども、本日、私は、あくまでも中立の立場で、日本が世界に恥じないフロン対策をどのようにすべきかということを、日本現実を踏まえながら、専門家として意見を述べさせていただきたいと思っております。  お手元には資料を二つ用意しておりますが、一つ、白い方が本日の陳述の概要でございます。もう一つは、私が代表を務めておりますエコケミストリー研究会というところが発行しております「化学物質環境」という情報誌でございまして、ことしの一月号に、フロン対策についての多方面の方々の御意見、特に、現状と法制度の確立への期待、あるいは実効ある対策を行うための注意点などが述べられてございますので、参考資料として配付させていただきました。  それでは本題に入らせていただきますが、まず、大変恐縮ですが、もう皆さん御存じだと思いますが、基礎的なお話として、オゾン層破壊現状のごく簡単なところから話をさせていただきたいと思っております。  太陽からは非常に強い紫外線がたくさん来ておりまして、これが地球上に参りますと、ほとんどの生命は死滅すると言われるぐらい強いものでございます。これが成層圏という、およそ二十キロぐらい上のところ、車で行くとすぐ行けるような高さでございますが、ここに薄い層がございまして、そこの成層圏のオゾン層破壊されます。この破壊の原因は、フロン及びその類縁物質に含まれます塩素や臭素ということになっております。  オゾン層破壊されますと、紫外線がふえまして、皮膚がんがふえるというのはよく御存じだと思いますが、比較的、そのほかにも、年齢がたつとかなりの方が白内障になられるわけですけれども、白内障がふえる、あるいは皮膚角化症になるとか、あるいは農業生産影響を受ける、あるいは生態系も影響を受ける、いろいろなことがわかってきております。  特に南極のオゾンホールに象徴されますように、ことしも最大になりました。昨年も最大ということでしたが、ことしさらに更新をしました。北海道の上空でもオゾンの減少が観察されるようになってきております。これは北極の方のオゾンホールが若干でき始めて、それが影響するということですが、このオゾンホールは、二〇一〇年から二〇二〇年ごろまで拡大傾向にあるというふうに予想されております。  資料の図の1、これはUNEPが予測しました大気中の塩素と臭素の濃度の経年変化の予測でございます。フロンが工業的に生産されましたのは一九三〇年代でございますけれども、このころに戻るということを考えますと、二一〇〇年、要するに、これから二十一世紀ですけれども二十二世紀を超えてもまだずっと戻らない、そういう状況にあるんだということをぜひ認識していただきたい。すなわち、我々が便利な思いをして、あるいはだれかがもうけて、フロンを野放しに放出し続けてきたことが、孫、ひ孫どころか、そのさらに先の先まで影響を与え続けるという認識が必要であるというふうに私は思っております。  その中で、フロンはどこの国が多く使ってきたのかといいますと、アメリカが一番なんですが、日本が第二位でございます。日本は第二のフロン使用大国でありまして、その責任というのも非常に重要でございます。日本は、世界の約一二%のフロン類を使ってまいりましたことから、オゾン層破壊については約八分の一の責任があります。ですから、オゾン層破壊をした八分の一は日本責任である。例えば、世界で二万人ぐらい皮膚がんがふえてくるというような試算もございますけれども、そうしますと、日本人が約二千五百人を皮膚がんにした罪がある。もちろんがんだけではありません、ほかの問題もございます。  そういう認識のもとに、ちょっと前後して恐縮ですが、三ページ目の表1を見ていただきたいと思います。  フロン類には、従来から使われてまいりましたCFCというもの、それから水素がつきましたHCFC、いわゆるCFCの代替として使われてきたもの、それからさらにその代替として使われてきますHFCというものがございます。これは名前が非常に似ておるのでわかりにくいのですけれども、こういったもの、あるいはPFC及びその仲間のSF6というものなどもございます。このほかに消火剤のハロン類というのもございまして、それらがオゾン層破壊ないしは温暖化にかなりの影響を与えているものでございます。  これらの種類があるということはもう皆さん御存じだと思いますが、紛らわしいので、少し整理してここに書かせていただきました。  二ページ目の図がございます。この図は、図2から6、同じような図でございます。これらは、冷蔵庫、ルームエアコンカーエアコン、業務用冷凍空調機器冷媒、いわゆる物や空気を冷やすために使われているフロン類回収が必要になる量、その推移を示したものでございます。言いかえますと、ほうっておきますと大気中に放出されてしまう量でございますが、これは環境庁が試算したものに私がHFCのところを書き加えたものでございます。  これを見ましても、冷媒だけでも、日本は大量のフロン廃棄し続ける形になることがわかります。特にCFCは、今までかなりの量が放出されてしまいまして、二〇一〇年ごろまでにはほぼ放出され尽くしてしまう。ぜひ急いで対策をとるべきだというふうに思います。HCFCの方は、今どんどんふえている状況で、二〇〇五年ごろにピークになり、これが二〇二〇年ごろまで続きます。二〇二〇年になった後は、HFCがずっとかわりにふえてまいりまして、二万トン以上になる。これは冷媒だけですが、こういった形になります。  このほか、右下に文章でちょっと書いてございますが、PFC、これは大気中寿命が一万年とか五万年とかあるという、大気中に出たままである物質ですが、こういったもの、あるいはSF6、断熱材の中のフロンなどがまだ大量に日本に残っている、あるいは使われている状況でございますし、ハロン類も、日本ではかなりの量が貯蔵されております。四百年分ぐらいあると言われていますが、その管理の徹底と破壊を進める必要があるというふうに思っております。  御存じだとは思いますが、米国、ドイツ、フランス、イギリス、デンマーク、スウェーデンなどでは、既にフロン類回収義務や放出禁止の法律がございますし、モントリオール議定書締約国会合で、二〇〇一年七月までに各国はCFCの管理戦略を提出する必要があることになっております。  ぜひ皆様方の見識で、日本が世界に恥じない政策をとっていただきたいというふうに思っております。  次に、フロンの地球温暖化への影響対策の一体化ということについて述べさせていただきます。  先ほどの三ページの表1にも示してございますが、フロン類は、二酸化炭素、いわゆる温暖化の代表的な原因物質ですが、これの、少ないものでも九十三倍、多いものですと一万一千七百倍もの地球温暖化効果があります。  環境庁の地球温暖化ガスの排出量の推計では、HFC、いわゆるオゾン層は壊さないものですが、これだけでも、一九九八年度で、日本の地球温暖化ガスの排出量の一・四八%、PFCとSF6を合わせますと三・五%にもなっております。これは冷媒だけではなくて、HCFC22をつくるときの副生品で出てくるものなども入っております。  これらのうち、冷媒用のHFC、すなわち冷蔵庫とかカーエアコン等に入っているものですが、、先ほどの図6というのが全体の冷媒用のHFCですけれども、ことしあたりから排出量というか、回収対象量というのが急増し始めまして、二〇一〇年ごろには基準年の日本の地球温暖化ガス排出量の一・四%、二〇二〇年には基準年の二・九%にもなると予想されています。  したがいまして、フロン対策は、オゾン層保護だけではなく、地球温暖化防止対策としても極めて重要になっています。  また、先ほど西薗先生からもお話がありましたけれどもCFCやHCFCHFC、これは非常に名前もややこしいんですが、これらの利用機器はほとんど同じでございまして、回収破壊あるいは社会システムも全く分別できないものでございますので、法律上もこれらを一体として扱うということが必要だと思っております。  また、いわゆる家電リサイクル法でもHFC回収が義務づけられておりまして、他の機器でこれらが抜けると、家電品以外は温暖化影響するガスを放出し続けてもいいという、非常に不公平なおかしなことになるというふうに思っております。  次に、現在の回収破壊現状問題点について述べさせていただきます。  オゾン層保護法ができて既に十二年を経過しておりますけれども、四ページ目の表3に示してございますように、冷媒CFCのみの回収率でございますが、それでもこのような低レベルにございます。  ここで、先ほども西薗先生が御指摘されたように、回収可能量を基準にしているということでございますが、私がそこに回収対象量というのを加えてございますけれども、これよりもかなり小さくなっております。その点について、先ほど西薗先生が御指摘したとおりですが、特にカーエアコンについては回収可能量が過小に見積もられているというふうに私は思っております。  また、先ほどのお話もございましたけれども、年間の破壊量は合計で一千トンぐらいでございまして、私ども調査では、そのうちの七百トンがCFC、HCFCが約三百トンぐらいかなというふうにアンケート等でとったのですが、環境庁の方の調査では約半分ずつということでございます。いずれにしましても、回収対象量を基準にとってみますと、冷媒CFC回収率は一〇から一五%ぐらい、それからHCFC回収率は三から五%ぐらいしかない。HFCについては回収破壊の実績が余りない、あるいはその状況把握を国も全くしていない。今後このような情報の収集と公開ということも進める必要があるというふうに考えておりますし、断熱材についての回収破壊促進及び情報公開も必要だというふうに考えております。  また、フロン類の種類別生産量、あるいは種類別、用途別の使用量、フロン使用製品排出量につきましても、廃製品の発生量と言った方がいいですか、そういったものにつきましてもきちっとした情報が入手できない状況にあります。したがいまして、環境庁等でいろいろな推計をする場合にも非常に不明確な部分が残ってしまいます。こういったものの情報の届け出あるいは公開といったものが必要だというふうに考えております。  技術的な問題点につきましては、回収装置についても、かなり最近は進歩しておりまして、いいものができておるんですが、古いものあるいは安いもので非常に性能の悪いものもございます。また、作業性が非常に悪くて、あるいは作業を正しくしないため、あるいは、黄色い方の冊子に書いてございますが、故意に回収をしていないという事例も実はたくさんございます。こういう状態でありますので、何らかの認証制度、あるいは回収した、破壊したということの証明をきちっとしていくシステムをつくる必要があると思います。  また、破壊の方も、技術的にはかなりの完成度を持っておりますが、環境庁がガイドも出しておりますけれども、ガイドに書いていないものもどんどん市販され、使われてきている状況で、一部フロンが放出されたりダイオキシン類の生成が心配されるものもございます。したがいまして、何らかの評価と認証が必要だというふうに考えております。  最後に、以上のことを踏まえて、フロン対策に関する法律にぜひ入れていただきたい事項について述べさせていただきます。  まず、対象とする物質ですけれども、用途によらず、環境中で分解しにくいフロン類とその類縁物質全般を入れるということが本来の姿だというふうに私は思っております。これは、冷媒以外にもフロン類とその類縁物質日本に大量に蓄積し、排出され続けているということからです。  しかし、諸般の事情で、技術的あるいは社会的事情で、当面それが全部入れられないと仮にいたしましても、少なくとも最も回収しやすい冷媒用途のCFC、HCFCHFC、これらはすべて入れるものというふうに考えられますし、これに、さらにその他政令で定めるものというような項を加えて、断熱材その他の用途のものについても順次柔軟に、社会情勢、技術情勢を踏まえて追加できるようにすることが最低限必要だ、そういうものがないと何も努力がされないというふうになると私は思っております。  それから、経費負担については、当然、先ほどお話がありましたOECDの拡大生産者責任のように、製造メーカー廃棄まで責任を負うというのは国際的な流れで、勧告もされる状況になってきておりますので、当然フロンメーカーあるいはフロン含有機器、製品の製造メーカーが基本的には責任を負うということになろうかと思います。  ただ、その分が当然最終的には利用者の負担にもなるわけですが、個別の利用者や事業者の意思に任せるというふうな状況ではなかなかうまくいかないというのが今までの実績でございますので、前払いのデポジット制に類似の制度あるいは基金といったようなものを社会的にきちっと位置づけて、公平な経費負担が定められることが必要だというふうに思っております。  また、経費の問題ですけれども回収して再利用した場合には、それは再利用したものを売るというのが目的ですので、これはまた少し別に扱う必要がございます。  また、製品そのものを、廃冷蔵庫なら廃冷蔵庫を運ぶという問題は、フロンだけのためではございません。フロン回収しないでも運んだりするわけですから、フロン回収作業にかかわる部分について支払うべきだというふうに思いますが、ただ、これは廃棄の費用、破壊の費用だけではなくて、回収作業、ボンベの収集運搬等にかかる費用がフロン破壊そのものの費用の数倍から多い場合には数十倍にもなっております。逆に言いますと、破壊費用というのは非常に安いものでして、回収作業とかボンベの運搬管理の方が費用がかかる。したがいまして、これらの費用をトータルとして考えなければ、実際的には回収破壊は進まないというふうに考えております。  また、一方で、民間事業者努力、競争や技術の進歩を促すということも必要ですので、適切な経費の額というものを決めないと、非常に高い経費で回収しましたということで請求に来られてもやはり困るという問題がございます。  さらに、代替物質、代替技術の導入を促進するべきですし、特に断熱材やエアゾールなど回収破壊が非常に難しい用途については、使用の制限も考えるべきだというふうに思っております。  また、使用フロンの種類と含有量の表示の義務づけ、あるいは、先ほど申しましたが、フロンの種類別の生産量あるいは利用量、その製品廃棄量等の届け出と情報公開といったことが必要だというふうに思っております。  また、回収装置、破壊装置の認定と同時に、記録の保存とか定期的な報告、あるいはその情報の収集と公開、これは行政の方になるかと思うんですが、こういったものも明確にしておくことが、回収破壊が確実に行われていることのチェック方法としてきちっと規定される必要があるというふうに思っております。  このほか、社会的に現在かなり業界団体も行政も自治体もいろいろ努力をしておりまして、そういった既にできている社会システムを最大限に有効に利用するということが必要ですので、これは若干西薗先生と違うんですが、余り細かな資格認定とか許認可をふやし過ぎないということも私は必要であるというふうに思っております。  それでは、それをどう担保するかといいますと、やはりきちっとした情報収集、届け出であるとか報告であるとかいうものを出して、あるいは目標値を定める、あるいは計画を定める、それを公表する、それらの数値をすべてチェックする機能、それを学識経験者等を主とした公開の委員会でチェックし、情報公開をする。基本的には、フロンの流れをしっかりと把握して、それを公開していく、それを皆さん方がチェック・アンド・レビューをしていくという体制が非常に重要ではないかというふうに思っております。  その他、必要な場合には、悪質な場合には、当然、自治体等が立ち入りであるとか勧告、指導等ができるということも必要であるというふうに思っております。  また、HCFCHFCについては、私はきちっとした排出管理が行われれば再利用は認めることがよいというふうに思っております。それは、再利用すればそれだけ本来の生産が減りますので、最終的に排出量も減ってくるという考え方です。ただ、CFCについては、もう余り再利用することは認めないのが原則だというふうに思っておりますので、それらはむしろ代替物、代替技術への転換に対して補助をしていくという形で対応するのがよろしいかと思います。  最後に、地方公共団体の条例等との整合性を持たせる、あるいは必要な上乗せ、横出しが認められるような配慮が必要だというふうに考えております。  以上が私の話でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
  8. 小林守

    小林委員長 ありがとうございました。  次に、小林参考人にお願いいたします。
  9. 小林悦夫

    小林参考人 兵庫県の環境局長の小林でございます。  私の方からは、兵庫県におけるフロン回収破壊現状、またそれに対する問題点対策について、レジュメを使いまして、簡単に御説明をさせていただきたいと存ずるわけでございます。  兵庫県におきますフロン回収破壊の一番初めの対応でございますが、平成五年に環境庁からの委託事業でございますモデル事業を実施したわけでございます。これは、尼崎におきまして、電気冷蔵庫を回収し、それからフロンを抜くという事業でございましたが、この事業をするに当たりまして、関係業界の皆様方にお集まりをいただきまして、その業界によります委員会を設定し、そこでフロン回収のあり方について検討を進めていったという経緯がございます。この協議の中から条例制定という問題が発生したということになるわけでございます。  現在、県の条例によります排出規制といいますのは、環境の保全と創造に関する条例、これは平成七年の七月十八日に制定したわけでございますが、ちょうど阪神大震災のさなかであったわけでございますが、全国で初めて、オゾン層破壊物質大気中への排出の禁止、また適正処理について規定を定めたわけでございます。  資料の五ページにその条文の概要は書いてございますので、ごらんをいただきたいと存ずるわけでございます。  この条例の第六章、「地球環境の保全等」の中の第三節に「オゾン層の保護」というのがございます。  この中では、百四十四条に「何人も、オゾン層破壊する物質のうち規則で定めるもの」これは特定物質と申し上げておりますが、「みだりに大気中に排出してはならない。」という理念規定をまず設けてございます。この中では「何人も」ということで、特定をしてございません。  二つ目が、百四十六条になるわけでございますが、「特定物質使用機器を使用し、修理し、又は廃棄しようとする事業者は、特定物質排出防止基準を遵守しなければならない。」という規定を設けております。この規定につきましては、その下に準用規定を設けておりますが、ここには、改善命令規定、また、その命令に従わない場合の罰金として二十万円というのを規定してございます。  また、あわせて、百四十七条では、こういう特定物質を製造し、販売し、また使用する者は、前条第一項の事業者が、つまりフロン等を回収する事業者でございますが、特定物質大気中への排出を防止するために講ずる措置について協力をしなければならない、こういう規定を設けさせていただいております。  特定物質排出防止基準というのがあるわけでございますが、この基準は相当長い文書でございますが、簡単に申し上げますと、一つは、使用事業者は、特定物質大気中への排出を防止するため、特定物質使用機器の損傷、腐食等による冷媒として使用される特定物質の漏えいの有無について日常点検を行い、異常のあるときは、速やかにその補修等適切な措置をとらなければならないという規定がございます。  それから二つ目が、同じく、こういう事業者は、その作業に従事する者に対して、冷媒として使用される特定物質排出防止についての措置を周知しなければならない。これは教育規定でございます。  それから三つ目が、このような装置、器具等を使用し、また、それを分解し破壊するときは、適切な方法によってこの特定物質排出防止のための措置を講じなければならないという回収義務。  この三つがこの基準に設けられているわけでございます。  こういう形でこの条例が制定されておるということになるわけでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、行政主導型でこの条例条文をつくったわけではございませんで、各業界の皆様方と議論している中で、自主的に回収するのではなくて、条例によってその回収義務を設け、禁止規定を設けることが回収促進することになる、また、業界の皆様方も、それを回収するための動機づけになるという御意見をいただいて、この条例を策定したということでございまして、この条例を策定するに当たって、業界から反対運動等はございませんでした。  二つ目でございますが、この回収につきましては、私ども兵庫県が行政として動かしているというわけではございません。兵庫フロン回収処理推進協議会という協議会がございまして、これは平成六年の十二月、震災直前に設立したわけでございますが、この協議会は、関係の事業者それから消費者、行政が一体となってこの協議会を設けてございます。  この協議会には、現在、カーエアコン関係が百三十三団体、それから冷凍空調機関係が百七十七団体、それから家電製品関係が百二十一団体、それ以外に市町村関係が百八十七、合計六百十八団体で構成されてございます。この協議会におきまして、この回収、普及啓発等、全面的な事業を進めておるということでございます。  このフロン協議会、平成六年の十二月に立ち上げたわけでございますが、その直後、平成七年一月に阪神・淡路大震災が発生したわけでございます。この阪神・淡路大震災におきまして、この協議会の皆様方が自発的に、被災地から出ました電気冷蔵庫、空調機器等からフロンを抜こうではないかという運動が巻き起こったということで、皆様方のボランティアによりましてこの回収が行われたということでございます。  この実績は、二ページをお開きいただきますと、一番下のところに参考という形で書いてございますが、参考2「被災地域からのフロン回収状況」ということで、平成七年度で二十四トン、八年度で二トン、合計二十七トンのフロン回収されてございます。この回収に当たりましては、各業界の皆様方のボランティアによってすべて回収がなされまして、これをボンベに詰めましてストックしたものを地球環境基金等の補助金によりまして破壊をするということを行ったわけでございます。  こういう形でこの協議会の事業がスタートしたわけでございますが、その後、具体的に協議会の主な事業でございますが、(2)のイの(ア)から(エ)まで書いてございますが、(ア)が、まず一つ目は、回収フロン処理システムの事業ということで、平成八年度から、協議会の会員の皆様方が回収したフロン収集する、集めてきてそれを保管し、また搬送し、破壊をするという回収フロン処理システムを実施いたしました。つまり、協議会では普及啓発のみをやったわけではございませんで、そういう事業そのものを進めたわけでございます。  適正に回収破壊がなされたという証明のために、これが処理された後、この処理業者に対して破壊証明書、いわゆるマニフェスト制度をここでは動かしてございます。この証明書を出させていただいた。  また、平成十二年度からは、地球温暖化対策取り組みということで、HFC134aもこの処理対象として追加させていただいております。この実績につきましては、同じく二ページをお開きいただきたいわけでございますが、年度別の、最近のものだけでございますが、九年度で十六トン、十年度で二十二トン、十一年度で十七トンという形で回収がなされてございますし、また、その分野別の処理実績につきましても、カーエアコン関係が七トン、それから業務用関係が三トン四百、それから家電製品が四トン五百、それから自動販売機が一トン八百ということで、合計十七トン、これが十一年度の実績でございます。  それ以外に、私どもでは、県の協議会以外に、日本自動車工業会、または近畿冷凍空調工業会でも回収がなされておりまして、県全体としては、十一年度で約三十トンが回収されているという状況にございます。  あわせまして、この協議会では、零細企業の皆様方が回収する機器等が確保できないという問題もございます。そういうことから、(イ)にございますように、フロン回収装置を協議会では四十台確保してございます。また、回収用のボンベにつきましても五百台強のボンベを協議会で保有してございます。これを企業の皆様方に長期リースという形でお貸しをさせていただいております。リース料は、回収装置が年に四万三千円、それからボンベが三千七百円ということで、これは保守管理費用としていただいているということでございます。  それから、(ウ)でございますが、今お話がありましたように、回収に当たりまして、作業員の技術というのは大変重要でございます。そういうことから、回収の認定事業所制度というのを設けまして、現在は、研修または講習を行いまして、認定を行わせていただいておる。  また、協議会では、パンフレットを作成する、またインターネットのホームページをつくる等によりまして、県民の皆様方に対して普及啓発を行い、フロン回収に対するコンセンサスづくりというのを行っており、また回収事業者に対しましても、技術講習会を開催し、事業者の資質向上を図っているという状況にあるわけでございます。  三ページをお開きいただきたいと存じます。  このような実績の中で、現在、課題としては何があるのか、それに対して今後どうあるべきなのかということを少しまとめさせていただいております。  一つ目が、フロン回収義務の法制化ということでございますが、県では、条例による排出禁止を行い、また条例規制を行っておるわけでございますが、やはりこのようなことをやっている府県がまだ数が少ないという問題がございます。そういうことから、不公平感が大変強くありまして、回収が頭打ちの状況にございます。また、適正なフロン回収を担保し、公平に期するために、行政による監視がやはり重要ではないかと考えます。  こういうことから、やはり法律に基づきます全国的な規制措置の導入が必要ではないかと考えてございます。もう一つは、事業者に対して適切な監視指導を行うために、フロン回収事業者登録制度、またマニフェスト制度の実施が重要ではないかと考えてございます。  二つ目が、回収破壊処理費用の負担でございますが、現在、協議会で運営しております回収フロン処理システムにおきましては、回収事業者の負担額というのは、二十キロボンベ一本当たり一万六千三百円という形になるわけでございますが、これ以外に、事業者では、回収装置、ボンベの整備また回収作業に人件費等がかかるわけでございまして、そういう意味で、フロン回収破壊には高額な出費が考えられます。カーエアコン一つをとりましても、私どもの算定では、大体一台当たり二千五百円から三千円必要ではないかと考えるわけでございます。  この費用につきまして、現在、だれが支払うのかという明確なルールがございません。そういうことから、回収事業者はこの費用をユーザーに求めにくいという事情にございます。また、ユーザーが費用を負担しないということから、フロン回収せずにフロン使用機器を廃棄処分するということも起こってございます。  こういうことから、ぜひとも処理経費の負担のあり方について幅広いコンセンサスを得るために、やはり回収処理に関する全体経費を低減するための技術開発が必要である。また、費用負担につきましては、ユーザーの応分の負担が原則ではございますが、冷媒の製造メーカー、機器の製造メーカー等につきましても、回収処理の全体のシステム構築の中で重要な役割を担うべきではないかと考えるわけでございます。また、デポジット制度の採用等によりまして、不適正処理につながらない費用徴収方法のあり方についても検討が必要である。これらにつきまして、やはり基金等による活用が重要ではないかと考えるわけでございます。  四ページをお開きいただきたいと存じます。  破壊処理施設の整備ということでございますが、フロンを安定的かつ適正に分解できる施設、これは全国的にまだ少ない状況にございます。私ども兵庫県では、広島にある事業所で破壊処理を実施しておるわけでございますが、最近、小規模装置で破壊処理する事業者がふえてきております。こういう事業者におきましてやはり不安定な問題がございます。そういうことから、安全確実な破壊処理が行われるために十分なる対応が必要ではないか。  こういうことから、破壊処理を円滑に行うために、例えばブロック別、地域別に適正処理が可能な破壊処理施設の整備を図る必要がある、また、フロン破壊を安全確実に行うことを担保するため、破壊処理施設に対する認定制度が重要ではないかと考えるわけでございます。  次に、四番目でございますが、温暖化対策としてのフロン回収でございます。  今までのフロン回収というのは、専らオゾン層保護対策としてCFC中心としたフロン対策が進められてきたわけでございますが、今後は、代替フロンとして使用されるHFC排出量が増加していく傾向にございます。こういうことから、温暖化対策としてのHFCも視野に入れた取り組みが重要ではないか。  こういうことで、HFCにつきましてもCFCと同様、回収処理が可能であり、温暖化対策としてのHFC回収処理の推進が重要であると考えるわけでございます。  ただ、この問題についての課題としましては、温室効果ガスというのは、HFC以外にも六弗化硫黄等、他の物質もございます。こういうことから、やはりHFCのみではなくて、温室効果ガスとしてのメタンとかPFC等々につきましても回収処理をする、また、適切な対応をとることがあわせて必要ではないかと考えるわけでございます。  以上で、大変簡単でございますが、私の説明を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  10. 小林守

    小林委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 小林守

    小林委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑につきましては、理事会の協議により、まず、各会派を代表する委員が順次質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。なお、御発言は着席のままで結構です。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。
  12. 河野太郎

    河野(太)委員 自由民主党の河野太郎でございます。  四人の参考人皆様方には、お忙しい中、お出かけをいただきまして、本当にありがとうございます。一言お礼を申し上げたいと思います。  まず、参考人鈴木さんにお伺いをしたいと思いますが、先ほどお話がありましたように、自動車カーエアコンは、九四年の時点でCFCからHFCに移行しているということのようでございますが、もうそれ以来六年たっておりまして、CFCを使っている自動車がこれから続々と市場から廃車となって退出をする時期に来ていると思います。この先、一年一年が車のカーエアコンに使われているCFC大気に放出させないために貴重な時間になってくると思うわけですが、残念ながら、自動車リサイクル法はまだまだ時間がかかります。通産省が言っているのは、早くて再来年の通常国会に間に合うかどうかということのようでございます。  そこで、法案が出て実施に移るまでにその準備期間があるということになりますと、三年程度これから先かかってしまう。その間にどんどんCFCが出されてオゾン層破壊されるということを許してはならないわけで、このCFCを初めとするカーエアコンフロンの問題については、自動車リサイクル法と全く別個に、なるべく早急に法律をつくってこれを実施に移すことが最大の課題であると思いますが、いかがでございましょうか。
  13. 鈴木孝男

    鈴木参考人 車全体の話と特定フロンの話が、今の先生のおっしゃるように、違いがあるということは私どもも十分認識しております。今現在、産業構造審議会での車全体の検討もかなり加速的に、月二回以上のペースでやっておりますので、私どもとしては、そういう車全体、トータルのシステムの基本的な考え方、そういったものが早くコンセンサスができまして、それと特定フロン回収、今の先生のおっしゃる緊急性をどう調和させるのかということで、法律自体が二つになるということはあり得るのではなかろうか。  ただ、問題は、実効性のあるシステムをつくるということでございますので、その実効性あるシステムをつくるときに、車の場合には大変関係する事業者が多いのです。私ども自動車メーカーのほかに販売の段階整備段階、あるいは販売でも新車中古車は違う。あるいは、解体事業者が大変重要な役割をしているのですが、そういう方々を入れた実効あるシステム。  もう一つは、先ほど来いろいろな参考人からお話ししましたように、情報というんでしょうか、どういうフロンがどのような形に処理されたのか、回収され、破壊されたのか。そのためには、マニフェスト制度とか、あるいは自動車の場合ですと登録制度がございますが、永久抹消と一時抹消につきまして、車の処理に対しては、本来永久抹消に登録でいくべきなんですが、そこが一時抹消制度でも可能である、あるいは輸出をどうするか、そういったような問題がありますので、そういったものと車全体の基本的な考えというのを早くつくっていただいて、その実効システムの中でこの特定フロンの緊急性というものを御議論いただければ、こういうふうに私ども考えております。  以上でございます。
  14. 河野太郎

    河野(太)委員 認識が全く間違っていると思います。  とにかく、フロンというのは出てしまうものですから、車全体のシステムを待っていて、ああ、出ている出ているといって三年間待っていていいとは世の中のどなたも思っていないわけで、自動車産業の理由だけで、自動車産業の言い分だけで、今出ているフロンを三年間回収もせずにずっと待っているなどということが許されていいはずはないと思います。  もう一つ、CFCHFCの問題でございますが、先ほど柳本理事が退席されて、オランダのハーグに向かわれました。日本の六%の温暖化ガス削減の中には、フロンに関して、ここは二%増になるという提案を京都でしたわけでございますが、この二%増を一%増あるいは増分がないというところまで抑えることができれば、六%減の対策は加速的に進むわけでございます。  そういうことを考えますと、オゾン層の保護ということだけではなく、温暖化防止という観点からも、CFCHFCを区別することなく回収すべきだと思いますが、鈴木参考人、いかがお考えでございましょうか。
  15. 鈴木孝男

    鈴木参考人 先ほど私、冒頭でお話ししましたように、特定フロンにつきましては、九七年から回収破壊システムという形で整備をし、実行しております。それから、代替フロンにつきましても、実行計画を通産省に出しまして、できましたら特定フロンと同じようなシステムに乗るようにできないかというのを、現在整備を実施しております。  ただ、特定フロン代替フロンは、例えば国際条約で規制するものも根拠が違うという形で、今それぞれの参考人もお話ししましたように、規制をする必要性はあろうかと思いますが、その性格なり質的な違い、あるいは、先ほどの西薗参考人浦野参考人との間でも、代替フロンについて再利用を認めるかどうかについても違いがあるわけで、そういった国民のコンセンサスというものの議論の過程において、特定フロン代替フロンの違いというのはあるのではなかろうか。  ただし、温暖化防止につきましても、私ども、大変大事な問題だと思っておりますので、そういった観点から、オゾン層の保護というのと温暖化という二つの違う目的がありますけれども地球環境問題において大事だということから、その違いをよく踏まえながら対応していくということが必要だろうと思って、私どもは、対応はぜひ必要だろうと思っておりますし、代替フロンにつきましても、できれば特定フロン回収破壊システムと同じような形に乗れないかどうか、今鋭意勉強をして、関係業界とも勉強しているところでございます。  以上でございます。
  16. 河野太郎

    河野(太)委員 鈴木参考人にお伺いいたします。  先ほど鈴木さんの方から、回収の割合が、回収可能量ベースにお話しが、一八%。これは九九年度の数字だと思いますが、この回収可能量というのは、いろいろな方が今お話しされましたように、いかにもフロン回収が進んでいるようなことを言いたいがために通産省がこれまで必死になって捏造してきた、全く根拠のない数字でございます。  実際にフロン回収がどれぐらい進んでいるかということをこの回収可能量などというものをベース議論をするのは、全く愚の骨頂であり、ここは委員長にもぜひお願いをしたいのは、この委員会では、議論のときに回収可能量を使って議論をすることがよもやないようにお願いをしたいと思います。  本委員会議論をすべきなのは、実際にフロンがどれだけ回収されたかという回収量をベース議論すべきでありまして、九九年度にカーエアコンフロンがどれだけ回収されたかという推計量は、七%でございます。仮に通産省数字一八%にしても、これは極めて低い数字と言わざるを得ない。九四年の化学品審議会で、二年後にカーエアコン回収量を七五%まで引き上げようではないかということが設定されたわけですけれども、それの半分にも行っていない。九七年の化学品審議会では、とうとうその目標数値の設定もできなくなってしまったのが現状でございます。  先ほど、鈴木参考人から、なぜこの回収量が少ないのか、回収機が少ないからだ、理解が進んでいない、特定フロンが不足しているから再利用されているのではないかというお話がありましたが、その前段に、いわばフロン回収しなければいけないのだという法的な枠組みがないこと、それから、現状では回収するのにコストがかかるけれども、費用の負担をだれにお願いすることができるのか。結局、そういうことを考えている業者が自分で負担をしながら、わざわざボランティアでやっているという現状があるのではないかと思います。そういうことを考えますと、法律的な枠組みをきっちりつくっていくことと費用負担のことを明確にしていく必要性があるのではないかと私は思います。  その費用の負担というのは、カーエアコンでございますから、受益者であるユーザーにある程度負担をしていただかなければならない。恐らく数千円、二、三千円の負担になるのかと思われますが、こうした費用を公平に、なおかつ公正に、そして効率的に負担をお願いする場合には、新車を販売する際に、新車の価格に、もちろん今、消費税五%をお願いしているわけでございます、さらにそこでこのフロン回収破壊にかかる数千円の費用を、きちっとユーザー説明をして負担していただく。新車中古車になるときには、その数千円のフロン回収破壊費がさらに転嫁されていく。そして最後にこれが回収破壊されたときには、業者にきちっとその費用が支払われる。そういう仕組みをつくるということが、つまり公平で、公正で、効率的である。こういう費用の負担をする仕組みをつくることが大切だと思います。  それに関して、今、最終排出者費用負担をさせろという議論があるように伺っております。最終の排出者のみが費用を負担するというのは、著しく公平を欠くわけでございますし、何でおれがそんなところで費用を負担しなければいかぬのだといって、費用負担排出する段階で拒絶した場合に、フロン回収が行われる保証もないわけでございます。  この二つのシステムを考えた場合に、どちらが公平で、公正で、効率的なシステムであるか、鈴木参考人にお伺いしたいと思います。
  17. 鈴木孝男

    鈴木参考人 車全体のリサイクルと、特定フロンあるいは代替フロンを含めました回収、この二つとも必要性があろうと思いますし、そのために実効あるシステムをどうつくるか。実効あるシステムをつくるために、先生方おっしゃっておりますように、フロンにつきましての、あるいは既に兵庫県で条例がありますように、大気放出についてどうするか、あるいはいろいろな関係者の責務をどうするか、そういったような制度、法律の枠組みが必要なんじゃなかろうかと思います。そういうトータルの実効あるシステムをつくるという中で、では、費用の負担をどうするのかというのもまた議論されるべきだと思います。  そのときに、車全体の費用の負担のあり方について、今、産業構造審議会で真剣な議論がされ、それとフロン回収の費用の負担とがまた整合性がある、あるいは先ほど、ほかの参考人の方もおっしゃっていますように、費用の負担は何もフロンだけの問題ではなくて、環境問題においても重要だ、そういう大事な問題だと思っているんです。  私どもも今、車全体についての費用負担について積極的に産業構造審議会議論しておりますので、そういった考え方と整合性のある形にできるだけ集中的に御議論いただければということでございまして、私どもは、実効あるシステムをつくるために、制度化、法規制が必要なのではなかろうか、現在なぜ実効が上がらないのかということについて、先ほど来私ども指摘いたしましたが、そういったような問題点についてもっと真剣な議論が行われるべきではなかろうかと思っております。
  18. 河野太郎

    河野(太)委員 済みません、参考人、質問に答えていただきたいと思います。  新車のときから費用負担をお願いするのがいいのか、最終排出者のときに費用負担をお願いするのがいいのか、どちらが公平なシステムだとお思いになりますか。
  19. 鈴木孝男

    鈴木参考人 公平と公正と効率化というのは、私どももしょっちゅう言っているんですが、費用負担を考える場合に、まず、それに関する情報でございますね。  つまり、どの機器について、どういうふうな処理をされて、どのような形なのかといったことが、先ほど来の議論もありますように、まだまだフロンの場合についても、いろいろ情報についての観点が足りないんじゃないか、そういった点もやりませんと、費用負担についての公平とか公正というのが議論できないのではないか。  自動車の場合について言えば、これは何もカーエアコンだけの議論ではなくて、使用済み車全体の議論といったこととも大変リンクしておりますので、その議論が今産業構造審議会で行われておりますので、私どもはその中で、いろいろな関係者、これは先ほど来先生にもお話ししておりますように、車の処理にしろ、エアコンにしろ、販売業界あるいは整備業界、解体事業者、処分業者ユーザーを含めて、国民各層理解もとシステムでありませんと実効あるシステムにならない。その観点で、そういったものと費用の負担というのはリンクしておると思いますので、どれがどういうふうに、どのような負担にすればいいのかという議論を車全体の中の議論と一緒にするべきだろうと思っております。
  20. 河野太郎

    河野(太)委員 結局、自動車業界は、フロンが、CFC排出されているのを容認するわけですね。今のお話を聞いていると、自動車リサイクル法がきちっとできて、自動車業界意見がそこに反映するまでフロンの方もやらない、そういうお考えですね。
  21. 鈴木孝男

    鈴木参考人 そういう趣旨ではございません。私ども、今、カーエアコンフロン回収と車全体のリサイクルシステムが非常に関係があるのではないか、その議論が行われておりますので、車リサイクルシステムの方でも、今の費用の負担を含めての議論が行われている、それとの整合性をとっていただければということでございまして、何も車の全体のシステムがないままにこの議論をされるべきではないということを言っておりません。  また、逆に、費用負担だけに集中する前に、なぜ実効あるシステムという議論の方に、もっと基本的なところに議論が行かないと、先ほど来のほかの参考人の方の意見とも整合性がとり切れていないのじゃないかなと思っております。
  22. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、最後に一言申し上げたいと思います。  どうも今の鈴木参考人のお話を伺っておりますと、日本自動車業界は、自動車リサイクル法を理由に、フロン回収を早く立ち上げることを拒んでいるような気がしてなりません。また、今までなぜ実効性あるシステムができなかったかといえば、費用負担が明確になっていなかったわけでございます。それで、費用負担議論をするときに、なぜ実効性のあるシステムができないのかという議論をするのは、まるで堂々めぐりをしているような気がいたします。  残念ながら、こういう状況では、業界の自主的な取り組みに任せるのではなくて、立法府がきちっとした法の枠組みをつくり、費用負担のルールを決めてフロン回収をスタートしていかなければならないのは明白だろうと思います。  どうもありがとうございました。
  23. 小林守

    小林委員長 先ほど、河野委員の方から回収可能量の概念について、この委員会での用語の使い方については一定のお考え方が示されましたけれども、貴重な御意見ということで拝聴させていただいておきます。  次に、奥田建君。
  24. 奥田建

    ○奥田委員 民主党の奥田建でございます。  河野委員に続きまして、参考人の皆さんに質疑をさせていただきたいと思います。  自動車工業会の方を代表していただきました鈴木会長専務理事には、河野委員から集中砲火を浴びて大変だったと思いますけれども、今河野委員発言のほかに、質問のほかに、システム構築というところに全力を挙げているのだ、自動車業界の方には、ほかにも次世代の自動車の問題、そして今おっしゃった車全体のリサイクルシステム構築ということはあるかと思います。  ただ、その中で、一枚お手元に資料を届けさせていただいているかと思いますけれども、EUの方で、車全体ですけれども、廃車処分に関して、EU内での指令という形で、国内法制化を急ぎなさいという形での統一見解というものが出ております。こういった見解の中で、今の河野委員からも質問がありました車両の処理といったものについて、ここには書かれておりませんけれども、当然、新車販売のときに何らかの価格の内部化を図って、処理に関しては無償で引き取るシステムをつくりなさいということが合意されております。そのほかにもリサイクル目標等を掲げております。  こういったEUの見解、そして輸出産業、輸入産業としての自動車業界として、世界的なスタンダードに基づくあるいはスタンダードの先進を走るという形での御意見を伺いたいと思います。
  25. 鈴木孝男

    鈴木参考人 EUの廃車の指令の動きというのは、ここ数年、これは欧州メーカーのみならず、日本自動車メーカーも輸出をしかつ生産しておりますので、大変関係がございまして、EUの当局あるいは欧州議会等にも私どもの情報の収集なり、考え方を述べる機会もあったと思っております。  日本の車のリサイクルと欧州のリサイクルとはやや違いがあります。さはさりながら、車の全体のリサイクルが、欧州においても、これから各国の法制化にそのEUの指令が実現するということで、我が国においても、そういう意味で、車についてのトータルのリサイクルシステムを早急に改善するということで、多分産業構造審議会も始まっているのだろうと思っております。  そういう意味で、フロンの問題と車の全体の問題というのが今非常に大きな議論になっているだけに、できればそのシステムとの整合性というのを先ほど言って、私どものあれは前向きに対応していますので、河野先生のように、車全体のリサイクルができるまでフロンについての制度化というのに私ども自動車工業会が消極的だということでは決してないことをぜひ御理解いただきたいと思います。  その場合に、今まさしくEUと日本自動車リサイクル全体で議論するときに、EUの場合には、実は放置自動車というのが大変多くございます。日本でもいろいろ社会問題になっておりますけれども日本の場合には、今年間二万二千台から二万三千台くらい、これはなかなか数字を確定するのは難しいのですが、不法投棄車両がございますが、それが自動車全体の〇・四から〇・五と言っていますが、EUの場合には、一けた多くて、七から八%くらい不法投棄が出る。それをどういう形でするのか。それから既存のリサイクルのインフラシステムが、日本とヨーロッパの場合には違います。  そういうような中で、欧州の場合には、いろいろな議論がございましたけれども、今走っている車とこれから売り出します新車、それを二つに分けまして、最終ユーザーには負担させない形で全体の使用済み車の円滑なリサイクルシステムができたと思うのです。  これは私ども日本使用済み車を考えるのも重要だと思いますが、先ほども冒頭申し上げましたように、日本と欧州との違いを踏まえながら、日本の既存の使用済み車のインフラというものを尊重しながら、関係事業者理解もとに、実効あるシステムというのを今産業構造審議会で急いでおると思いますので、そういう形で、EUを一つのモデルとしながら、日本に合った使用済み車リサイクルというのが早急に確立されるべきだろうと私ども考えております。
  26. 奥田建

    ○奥田委員 あと、短くで結構ですけれども、今自主的な回収システムシステムの方は大変な御苦労の上で築かれていると思います。ただ、回収率というものを見れば、だれの目にもそれが至らないといいますか、自主回収というものの限界があるのではないかという見解を持たれることになるかと思います。  そして、費用の問題、理解の問題といったことがお言葉からも出ておりましたけれども、こういった最後のユーザー費用負担、あるいは回収破壊の仕事をしたところへの経費というものがしっかりと回っているのかということを一言で少し評価していただきたいと思います。鈴木参考人にお願いします。
  27. 鈴木孝男

    鈴木参考人 今フロンにつきましての回収破壊が重要だろうと思っております。それがなぜ回収率が低いのか。  先ほどちょっとお話し申しましたが、私どもシステムの中で、現在三千くらいの登録者数がございますが、新車ディーラーの場合にはほとんど登録されております。なかなか登録がないのが実は中古車のディーラーあるいは修理工場等の整備事業者、こういった形でございます。  一体なぜかとさらに考えていきますと、それぞれの方々が、中小企業あるいは零細企業のためになかなか回収機保有できない、あるいは回収機を持ったとしても稼働率が低いので、むしろ解体事業者の方に委託する。解体事業者の数もなかなか実態がわからないのですが、仮に五千社ぐらいあるとすれば、私どもの今のシステム登録される方が五百九十二社でございます。一割強かと思いますが、その解体事業者方々のところに、小規模の中古車ディーラーの方とか整備事業者の方がかなり委託しますが、その委託される解体事業者のところに回収機がございますと、いろいろ処理ができるのではないか。まだまだ五百九十二社では少ないのかな。新車ディーラーのところは、もうほとんど回収機もあり、あるいは最終ユーザーの方から引き取ったときにはワークしている。  ただ、新車ディーラーを通じての廃車というものが現在大体四分の一でございますので、私ども自動車業界システムが二五%のところだけ生きているのですが、残りの中古車のディーラーの方、修理工場あるいは解体事業者を含めた、委託するところについて進んでいない。これをどういう形で実効性を上げるか。これがまさしく実効あるシステムのための一番のポイントかな。  そのためには、一つはそういう方々回収機というハードを提供する、あるいは先ほど来のソフトのいろいろな研修もするといったようなこと、これは物すごく急ぐのではなかろうか。そのためにはどうしたらいいか。そういう速効性のあるシステム、そのためには関係者の責務というものを決めて、法律で、制度で何か後押しすることもあろうかと思いますが、現在自主的に進めているものが進まないところについての実効あるシステムというのを、制度化、法規制ということで支援できれば、車全体のリサイクルシステム等の法律を待たずしてできるのではなかろうか、こういうふうに感じております。
  28. 奥田建

    ○奥田委員 今自主的回収システムの中で、費用負担、あるいは経費の配分といったものが適切に行われているのか、それをちょっと一言で評価してほしかったのですけれども、ちょっとお答えの方がずれてしまったのではないかと思います。  次に移ります。  浦野教授の方に、断熱材のことについて聞きたいと思います。  三年近く前の一九九七年、民主党としても、オゾン層保護法の改正案という形で、放置あるいは回収の義務といった法案を提出したことがございます。三年近くたってしまったのですけれども、十一月の初めに、自民党案あるいは公明党案といったものが新聞紙上に出ております。この委員会も、こうやってきょう参考人方々にお集まりいただいている理由の一つは、何とか実効性の進まないフロン回収を少しでも進めたい、その法案ができないかということが根底にあるものと私は信じておる次第でございます。  今冷媒フロンの方はいろいろな回収システム等が出てきて、それをどう運用していくかといったことになっている。ただ、断熱材フロン、私も建設の現場におりましたので、特に現場施工の発泡断熱材、こういったものは、きょうの参考人方々にすれば大変悲しい事実であるかと思います。今現在の時点で、その発泡剤としてのフロンの代替物質あるいは発泡剤というものの回収破壊、そういったものがどういう現状にあるか、浦野参考人にお話を聞かせていただきたいと思います。
  29. 浦野紘平

    浦野参考人 断熱材フロンの場合に、冷蔵庫とか業務用冷凍機器、例えば自動販売機のようなものとか、そういったものに使われているものと建築用に使われているものとはかなり取り扱いが違うと思っておりますが、現在、冷蔵庫につきましては、かなりのものが炭化水素系のもの、要するにフロンを使わないものに変わってきております。あるいは、ビル用につきましても、実はEUというかヨーロッパではこれは認められていないのです。逆に言うと、ほかの技術が使われているということです。  といいますのは、現場発泡をするものには、フロン以外にかなり有害な化学物質を使っておりまして、作業者の危険ということもございまして、日本では認められていてもEUでは認められていないというものもございます。そういったことで、現実には代替が可能なものであるというふうに私は思っております。  これからのことについては、そういう形で、先ほども申しましたけれども回収が非常に困難になりがちなものについては代替技術を促進するという方向で物を考えていくということが必要だと思います。  過去のものにつきましては、現在、家電製品協会が幾つかのテストプラント等をやっておるわけです。あるいは神奈川県と協力してやっておったりするのですけれども、実は、断熱材のフロン回収というのは大変手間がかかって、その割に効率が悪いということで、実際、ドイツでもそうですけれども、いかに分別をして直接安全な焼却処理へ持っていくかという方が現実的なんですね。ですから、フロンだけを取り出して、また運んでやるというのではなくて、できるだけフロンを含む断熱材を分別して、あるいは分別しないままでも、冷蔵庫ごと、一部重要な部分を取った後焼却処分するという技術も日本開発が試みられています。  しかし、今までは、断熱材の技術がないから当面は対象にしないといういろいろな状況がありまして、そうすると、ビルというか、建設業界もあるいはそのほかの業界も、努力を始めたところに、これは対象としないよと言われてしまうと、かえって努力が中断してしまうということが繰り返されてきたというふうに私は思っております。  したがいまして、もし今度の法律ができるとすれば、何らかの形でステップを踏んで物事をやるんだという姿勢をきちっと示していただきたい。そうしないと、いつまでも何も進まないというふうに思っております。  以上でございます。
  30. 奥田建

    ○奥田委員 最後の質問になるかと思います。  今、浦野先生の方からもお話がありましたようなことで、私どもも法案の骨子の中で、断熱材の扱いをどうするかということが一つの検討事項でもございますので、またそういったところでアドバイスなどいただければと思います。  小林局長さんに一つだけお聞きいたします。  地方自治体として大変先進的な取り組みと御苦労をされておりますけれども、その実効性などのお話を聞きたいのです。質問としては、今、いろいろな啓蒙の中で、学校教育の現場に、こういったフロンあるいはオゾン層といったことを環境教育として盛り込んだりしているかということをちょっとお知らせいただければと思います。
  31. 小林悦夫

    小林参考人 環境問題に関して、フロンだけではございませんが、環境問題全体、学校教育で必要ではないかということでございますが、現在、府県または市町村で、学校教育の中で環境教育を盛り込むというのは大変難しい状況にございます。これは、やはり基本的に教科書をベースにして学校教育が行われている。その中で環境教育を入れていくというのは大変難しい状況にあるというのがまず第一点でございます。  こういう中で、例えば学校教育の中で、授業ではなくてクラブ活動とか、または子供たちに対する先生方の自主的な御判断で教育をしていく、お話をしていただくというのが今主流でございます。これをやはり教育、授業の中に盛り込んでいただく必要が十分あるのではないかな。ここのところがやはり私どもが一番悩みにしているところでございます。そういう意味では、私自身、十分であるとは思っておりません。
  32. 奥田建

    ○奥田委員 ありがとうございます。子供から親が教えられることもたくさんございますので、ぜひともこういった新しい技術や情報というものを教育の中にも取り込んでいくように頑張っていただきたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  33. 小林守

    小林委員長 次に、田端正広君。
  34. 田端正広

    ○田端委員 公明党の田端でございます。  きょうは、四人の参考人の先生方には大変どうも御苦労さまでございます。  いろいろお話しいただきましたように、フロン回収破壊に関する立法化ということは大変緊急を要するという御認識で、皆さんからもいろいろ御意見をいただいた、こう思っておりますが、私は、むしろ遅過ぎたといいますか、本当に、何で今までこれができなかったんだろう、こういう実感も感じております。 特定フロン冷媒用のフロンの三つに関しては、いずれも、CFCはもう既にピークを迎えているし、HCFCについては二〇〇五年ごろ、そしてまたHFCの方は、これは温暖化の方からいって、一・四%増に当たるようなことにもなるということで、まさに緊急を要する化学物質である。そういうことからいきますと、今お話がいろいろあった中で、自動車の関係と業務用冷凍空調機器と二つに大きく分かれる、こういう感じがいたします。  そこで、一番問題なのは、車社会ということに今なっているだけに、カーエアコンについてどうするかということが大きな問題だと思います。  先ほど来鈴木参考人の方から、車のリサイクル法まで、少しそこを検討する時間をというお話もあったようですが、私は、それはそれとして、車のリサイクルということは、日本社会そのものが循環型を目指していくという方向において当然そういうふうになっていくのであろうし、フロンの問題とはそこは切り離して考えていただいた方がいいのではないか。そして、将来的には、我々が今目指そうとしているフロン回収破壊立法化と車のリサイクル法というものが一本の線でつながっていくようになっていけばいいのだろう、私はそういう認識でおりまして、私たち公明党としても、このフロンの法案を今ほぼ固めまして、近々にも発表させていただきたいと思っております。  そこで、鈴木参考人を除いて三人の方に、一言ずつで結構ですから、私が今述べた、つまり車は三年待てない、リサイクル法ができるまで待ってくれと言われてもそれは無理だというふうに私は思っておりますので、浦野先生そして西薗先生、また小林さんから一言ずつその辺のところについての御感想をお願いしたいと思います。
  35. 西薗大実

    西薗参考人 今の田端先生のおっしゃること、まさにそのとおりだというふうに私も思います。  基本的にまず確認しておかなければならないのは、自動車リサイクルフロン処理というものが相反する性質のものかというと、それはもうないわけですね。少なくとも、整合性をとることができる性質のものであるということは明らかです。  それから、費用負担の問題で、自動車リサイクルには費用がかかるわけですが、現状ユーザーから出る場合ですけれども、廃車を引き取ってもらうときには排出時負担で、これは恐らく大体一万円程度ですか、既に常識化しているような事態があると思いますが、フロンに関してはきちっとした費用負担のそういう常識的なものがありませんので、それが現在の混乱を招いているということが先ほど来指摘されておりますので、むしろフロンの方が現状では出おくれているというふうに認識されます。  ですから、これは浦野先生の資料を見ていただければ明らかなように、やはりここ二年、三年というのは、フロンの放出量、特にCFCが非常に大きい放出量になりますので、これをやらないということはまさに犯罪的行為であるというふうに思います。  現在、私も新聞報道の範囲でしか知り得ませんが、議員立法という形で、各政党で検討されているというふうに聞いておりますし、自民党の案などは具体的に新聞紙上にも出ております。これも、例えばさっき浦野先生が言われたような発泡剤の問題とかまで及ぶかどうかというようなことはありますけれども、それだけでは、今回動く法案が完全なものでないとしても、将来的に、循環型社会全体の中でのリサイクルの中に組み込まれることについて何ら問題のないものというふうに思いますし、今までの政策立案の過程から見まして、私どもから見ましても、非常に透明性が高く、わかりやすい形で進んでいると思いますので、やはりこれは、今議員の先生方が頑張っていらっしゃるような形での、フロンの独立した、先行した法案というものが望ましいというふうに思います。  以上です。
  36. 浦野紘平

    浦野参考人 まさに私も、むしろ大変遅過ぎた、今まで自動車業界は何をやっていたんだと言いたいぐらいでございます。  といいますのは、機器は随分前に自動車工業会が頑張って配ってくださったのですね。ですから、機器が足りないから動かないのではなくて、ほかに理由があるわけです。そういう意味では、この新しいフロンの関係の法律で、HFCももちろん含めて体制をとるということが、今後のリサイクル体制全体を進める上でも、先行的に非常に重要な役割を果たすのではないか。ですから、フロン回収の法制度ができることによって自動車リサイクル、いわゆる循環型社会の全体の進歩に非常に役に立つのではないかというふうに私は思っております。
  37. 小林悦夫

    小林参考人 私の方も同じような御意見になるわけでございますが、私自身、遅過ぎたとか問題があるから早めなければならないという考え方ではなくて、やるべきであるという意思を先に出すべきではないかと思っております。  私ども、条例を制定した段階でも、この条例が制定されたことでフロン回収が十分進むとは考えておりませんでした。そうではなくて、自主的な行動を促進し、動機づけをするために条例をつくったのだというふうに考えてございます。  そういう意味からいきましても、今回の法制化に当たりまして、一〇〇%満足できる法律をつくるというふうにお考えいただかなくて、逆に、少しでも前へ進めばいいというお考えで法制化をしていただければいいのではないか。つくったものは変えられないとか、できた法律に欠陥があるということに余り心配をされない方がいいのではないか、これは私の余談ではございますが、そういうふうに思うわけでございます。
  38. 田端正広

    ○田端委員 大変にありがとうございました。  西薗先生、浦野先生から、車の問題とフロンの問題とはきちっと立て分けた上で、将来的にきちっと整合性を持たせるようになればいいというお話であったかと思います。  そこで、鈴木参考人、今私たちがいろいろ検討している中で、車のカーエアコンの方と業務用の冷凍空調機器等とはきちっと立て分けて法制化すれば、車の問題も回収破壊が非常にきちっといくのではないか、こういう認識で今議論をしております。法律の中でカーエアコンというものを立て分ける、それについての御意見がもしあれば、鈴木さんのお話を伺いたいと思います。
  39. 鈴木孝男

    鈴木参考人 私どもも、車全体のリサイクルシステムカーエアコンとが、相反するものではなくて、整合的なるものではないか。逆に言えば、今、車全体のリサイクルシステムがこの夏からかなり加速的に議論されている、それと今のフロンの方の緊急性で、我々も何らかの立法化は必要だと思っているわけです。  ただ、まさしく先行的にカーエアコンフロンが来るならば、車全体のがそう遠からずあるときに、そことの相反するような形にならないような、そこをぜひ御検討いただければと。  現在、自主的にやっているようなものをさらに加速化するとかあるいは実効性あるものにするとか、あるいは、今まさしく兵庫県の条例のように、大気放出への問題とか関係者の責務がないわけですね。そういったような、現在既にあるインフラあるいはいろいろな仕組みをベースに、それを実効性あるものにするような形での、そのときに車全体のリサイクルシステムと抵触しない形でということをひとつポイントとしてお考えになっていただければということかと理解しております。
  40. 田端正広

    ○田端委員 車の場合は、メーカーがあって、中間の中古業者といいますか、そしてまた解体業者といいますか、そういうすそ野が広いといいますか、一つの車が廃車になるまでの間にいろいろな形で流通するものですから、そういうことは我々としてもしっかりと認識した上で、そうして回収破壊がきちっといくように、そういうシステムづくりが必要だ、こういう認識に立って今作業を進めているわけでありまして、今お話があったようなことは十分配慮してやっていきたい、こう思います。  それで、次の話にちょっと移りたいんですが、浦野先生には、この前、PRTRのときにも大変いろいろとお世話になりましたが、こういう化学物質の問題をいろいろ議論していったときに特に感じるんですが、今回のフロンの問題も、フロンがあって、代替フロンができて、そのまた代替フロンがというふうになっていっているわけですけれども、つまり、環境の面で非常に優しいといいますか、そういう新しい本当の意味の代替物質というのは、これから将来的に可能性はないんだろうか。  例えば断熱材等のことは非常に難しいと今お話がございましたが、そうしますと、やはりもっと新しいものに、一歩進んだ開発というものが技術的に進まなければ、この問題はなかなか難しい問題だなというふうに感じるわけでありまして、先生の御研究の中から、新たなそういう方向が生まれる可能性というのはどんなものでしょうか。
  41. 浦野紘平

    浦野参考人 化学物質全体についてでございますけれども、化学物質がない生活というのは、実は車がない生活と同じで、それはなかなか不可能なことでございますけれども、今までの環境行政も含めてですけれども、何か問題が生じたならばそれを規制する、あるいは被害者が出てから対応をとるという、いつも後追いで来たわけでございます。  そうしますと、私はモグラたたきと言っているんですけれども、たたいてもたたいても次から次から出てくるというような状況でございますので、化学物質という中には、環境ないしは人や生物に悪影響を与える可能性のあるものがかなりあるんだという根本的な認識からスタートをして、その中でよりいいものは何かという総合的な視点で全体を見ていくというシステムが残念ながら今までなかった。  そういう意味で、オゾン層破壊しなけりゃ、今度は温暖化に寄与するHFCが出てくる、それがなければこうと、次々出てくる。そういう意味では、きちっとした展望を示すというのが本来国の仕事なわけですけれども、それができれば、技術的には、断熱材も含めて、冷媒も含めて、さまざまなものが可能でございます。  それが、今度は総合的に評価されないといけないわけです。片方だけはよくなったけれども、こっちの方ではマイナスが出るというのは、トータルとして、今LCA、ライフサイクルアセスメントとかトータルアセスメントという言葉が非常にはやっているわけですが、そういったものが何らかの形できちっと法制度あるいは行政的な視点でやれればいいんですが、なかなか行政が縦割りになっておりまして、全部部署が、係がかわる、違うというと、そこでもうそのままになってしまうという状況ですので、循環型社会推進法の関連も含めて、そういったものの取り組みの仕方というものがどこかで具体化してくれることを私は非常に強く希望しています。
  42. 田端正広

    ○田端委員 西薗先生に一点お伺いします。  先ほど市民案の説明がございましたが、その中で、デポジット類似方式といいますか、そういうことをお触れになっているようでありますが、その関係と、回収基金をどうするかという問題がありますが、そこのところでもうちょっと具体的なお話があればと思います。
  43. 西薗大実

    西薗参考人 市民案で考えている方法というのは、大きく分ければ、メーカーがコントロールに入るということが、つまりメーカー責任という最初の論点からして第一の意味を持つわけですけれども、その中で、メーカーといったときに、フロンそのもののメーカー、それからフロンを使用した機器あるいは製品メーカー、この両方に関与してもらうべきである。  したがいまして、費用の内訳としましては、フロンそのものの破壊費用に当たる部分フロンそのものを製造したフロンメーカーにかかるべきであろうし、回収あるいは回収にかかわる、運搬ですとかそういう費用も含めてですが、それは機器のメーカーの方の分野であろうかというふうに考えます。  ですから、そのような形での費用算出と、それぞれの実行する業者といいますか、処理業者へのお金の流れというものが基金を通じて行われるということがポイントです。  ただ、これはちょっと先ほどは触れなかったんですけれども、代替物質がさらに、例えば自然冷媒のようなものが進展していけば、だんだんフロンのマスが小さくなってきますと、費用的にうまく賄えなくなる可能性というのは当然ございます。  これはちょっと私見になるんですけれども、再利用の禁止のことが絡んできますので、ちょっとだけ言わせていただきますと、基本的に再利用を法的に禁止するかどうかという問題ではなくて、費用の支払いの上では再利用は外してもいいのではないかというのが私どもの主張なんですけれども、再利用で物が回っている中に、最終的にはほかのものに置きかわっていく、フロンではないものに置きかわっていく場合には、それがいつまで続くかわかりませんが、例えば二〇三〇年なり四〇年というころに、だんだんその費用がうまく賄えなくなるんじゃないか、その前の段階から必要かもしれませんけれども。  もともとフロンが果たしてきた役割とは何だったかというと、これは冷凍分野に限りましても、必ずしもカーエアコンだけではないわけですね、ルームエアコンだけでもない。私は、例えば食品の低温流通のシステムというのは、今の日本においては一つの生命線に当たるシステムだというふうに思うわけですが、これを支えているのはまさにフロンを初めとする冷凍技術なわけです。  ですから、その恩恵というのは、車に乗っている、乗っていないにかかわらず、これは国民全部がかかわっている問題ということになりますので、あるいはここのところは非常に慎重を要する議論になりましょうが、そういうことを考えれば、公費をそこにある程度投入するということも最終的には議論の対象になるのかな。ちょっと言い過ぎるかもしれませんが、例えば温暖化の問題で、排出権取引というような形で税金を使うのであれば、むしろこちらに使う方がずっと国民も納得できるし、わかりやすいというふうに私は思っております。  以上です。
  44. 田端正広

    ○田端委員 ありがとうございました。
  45. 小林守

    小林委員長 次に、武山百合子さん。
  46. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。本日は、参考人皆様、お忙しい中おいでいただきまして、ありがとうございます。  それでは、早速、自動車工業会鈴木さん、まず質問したいと思います。  自主的取り組みをずっとされてきたわけですけれども、期間にして、年数にしてどれくらいされてきたんでしょうか。
  47. 鈴木孝男

    鈴木参考人 九七年に化学品審議会が出されまして、それを検討して、九八年の一月から首都圏を初めとしましてシステムを展開しました。全国的に整備されましたのが、同じ年の十月でございます。そういう意味で、首都圏から始めたときから考えますと、二年十カ月かと思っております。
  48. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、その前は何もしていなかったということだと思いますけれども自動車工業会だけに責任を押しつけるわけにはいきませんけれども、国民は、通産省自動車工業会が非常に後ろ向きで、積極性がないからフロン回収がおくれていると思っておるんです。国民に対して、今まできちっと説明をされてきましたでしょうか。
  49. 鈴木孝男

    鈴木参考人 私どもも、国民へのあるいは社会への啓発、広報活動は大事だろうと思っております。そういう意味で、本日、お手元に、私ども環境関係のパンフレットと特定フロン回収システムのパンフレットを資料として御配付しているわけでございます。  この環境パンフレットの方は、大体二年か三年に一回は改訂をしまして、私ども環境問題にどう取り組んでいるか、これは地球温暖化の問題、オゾン層の問題、排ガスの問題、商品としての自動車のほかに、自動車をつくる工場での環境問題、そういうようなものをやっておりますので、できるだけ私どもが取り組んでいる形を情報開示してまいりたいと思っております。  それからまた、九七年の化学品審議会が一つの政府の考え方の大きな転換だったと思っております。  従前は、回収、再利用という形での回収促進しておりますが、再利用というのが一つ入っていたのじゃないか。それが回収破壊システムという形で、私どもの関係します販売業界あるいは整備業界に特定フロンについての回収体制をということで、九〇年代の初めから新車ディーラー等を中心回収機を備えて回収をしていた。九七年の審議会で、それを回収破壊という形で破壊する、破壊工場にどうやって持っていくかという形で、そういうシステムがより確立された、こういうふうに御理解いただければと思っております。
  50. 武山百合子

    ○武山委員 今、数値的に言いますと、非常に回収率が低いということで、ようやくみこしを上げて、立法府でも法律をつくろうという状態になったのですけれども、そうしましたら、日本自動車工業会は、積極的な態度でこの法律ができることに賛成ですか。
  51. 鈴木孝男

    鈴木参考人 私どもは、今ある特定フロン回収破壊システム実効性を上げるような制度につきましては賛成しております。  問題は、その実効性あるシステムをどうやるかについて、既にあるインフラ、あるいは関係する事業者、つまり、自動車業界といいましても、私どもの車をつくるメーカーのほかに販売の段階整備段階、解体の関係の方、あるいはフロンという側面からするとフロンメーカーエアコンをつくるカーエアコンメーカー、それぞれ違うわけでございます。そういう関係事業者方々理解協力を得ないと実効あるシステムはできないのではないか。  それからまた、今はフロンという形でカーエアコンが入っていますが、逆に言えば、フロンでいけば、家電については家電リサイクル法というので来年から対応される。それと、業務用のエアコンと私どもカーエアコンとがどうなるのか。  逆に今度は、自動車業界全体について言えば、EUと同じように、車全体のリサイクルシステム日本において早急により実効のあるシステムにするという議論が集中的に進んでいる。そうすると、車全体で見た場合に、車全体でいろいろリサイクルするときに、ディーラーなりあるいは解体事業者のところに行ってみますと、エアコンのほかにいろいろなものをそれぞれ分別、解体し処理をしている。そういったトータルの、車全体のリサイクルを進めるシステムと、フロンという部分で、廃家電あるいはいろいろなほかのものとの整合性というのをどういう形でやるのかというのも一つのポイントかな。  そういった点を十分御議論いただければ、まさしく特定フロン回収破壊システムをやり、あるいは今後代替フロンについても特定フロンに準じたシステムにする。そういう自動車関係、あるいは自動車というよりは、逆にフロン関係者のそういった方向をプッシュする制度化というのは大変よろしいのじゃないかと私ども思っております。
  52. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、西薗参考人にお聞きいたします。  先ほどのお話の中で、良心的な業者の方がやるだけ損をしているという現状であると、この辺について、まずその原因がどこにあるのか、そしてどうすれば良心的な業者が損をしなくなるのか、その辺の説明をお願いいたします。
  53. 西薗大実

    西薗参考人 議論の本質自体は先ほど来の繰り返しになると思いますけれども、良心的な業者というのは一体何かということを考えてみますと、それはこの問題を環境問題としてちゃんと理解している、したがって、フロンを適正処理することに対してそれなりのモチベーションといいますか、意欲を持っているということを意味するわけです。  その場合に、それに見合うだけの費用をどこからか充当できれば損をしないわけですけれども現実の問題としては、排出時負担という形での現状での負担では、必ずしもそれだけの額を取れないだろうということですね。そういうことが現実に起こっているということです。  それは、一つは、先ほど来システムという言葉が出てきますけれども、どういうことでもそうですけれども部分部分で非常に小規模に動いている間はコストはどうしても高くなるのです。  ですから、これは浦野先生の方が御専門ですけれども、そういうハードウエアにしても、それから実際にそういうものを使って集めたフロンをどのように最終的に破壊していくかということに関しましても、恐らく全体の流れが回収の方に傾けば、コスト自体は下がってくるということは容易に予想できます。それを一部の意義を感じる人だけがやっている間は、極端に言えば、幾らもらっても、例えば一台につき一万円もらっても、もしかしたら見合わないかもしれないということが起こっているというふうに思います。
  54. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、浦野先生にお聞きしたいと思います。  先進国の多くは回収の義務と放出禁止が法律になっているわけですけれども、これからつくっていく上で、EUのどんな点を参考にしたらいいと思われますか。
  55. 浦野紘平

    浦野参考人 EUでも、国によってそれぞれ随分違っております。ただ、日本と一番違うのは、先ほど西薗参考人からもお話がございましたけれども、まず地球環境を保全することが必要であるという基本理念がしっかり書いてある。  実を言いますと、国によっては必ずしも実効がうまくいっていないところもあるわけですけれども、それはそれぞれの国のいろいろな事情がございます。日本の場合は、法制度ができれば非常に実効が上がる、先ほど鈴木参考人の方から理解協力がなければという話ですけれども、理念ができてきちっと法制度ができれば、日本は比較的理解協力は得やすい国だというふうに思っております。  逆に言うと、そういうものが何もないと、理念で行動する、先ほど言った良心的な方がなかなかふえない国だというふうに私は思っておりますので、その辺、EUではしっかりとした理念をきちっと法律化するということが行われる点を私は非常に評価して、あるいは日本もそういういいところはぜひ見習っていただきたいというふうに思っています。
  56. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございます。  それから、また先生にお聞きしたいのですけれども、情報公開です。これは最も大事だと思うのですけれども、情報公開は必ずしていかないと実効性の担保というのが見えてこないと思うのです。  それで、先生のおっしゃるように、理念がしっかりしていればスムーズにいく、きちっとできればいく、私もそう思いますけれども、情報公開の流れなんですけれども、したくない部分もかなりあるわけなんですね。情報公開するためのポイント、情報公開をきちっとするための最も注意しなきゃいけないところはどんなところでしょうか。
  57. 浦野紘平

    浦野参考人 なかなか難しい御質問だと思うのですが、現在、先ほどちょっと話題も出ましたけれども、PRTR法というのができまして、従来型のCFC、HCFCについては排出量の報告と公開が行われるようになってくるということもございます。これがやはりHFCについても、当然何らかのことが行われるべきです。  それから、先ほど幾つか紙に書いたものがございますけれども、まず、正直言いまして、生産量とか、それがどこでどのぐらい使われていて、どこに流れているかというのが全くつかめない状況なんですね。フロンのように国際的にも規制をされ、いろいろ管理が求められているものですら、日本の国でそういったものの流れが把握されていない、しかも公開されていないということは非常にゆゆしき問題だと私は思っております。  まず、そういった個別の企業が幾ら幾らというのもございますけれども、全体の流れがしっかりと把握できるようにすべきですし、また個別の製品についても、フロンが何グラム、どういうものが入っているか、これから代替フロンになりますと混合冷媒というのがかなり使われてくるようになるわけですけれども、それが今度、回収破壊する、特に回収して一部再利用しよう、あるいは破壊しようという場合でも、何が入っているかわからないということでは進まないんですね。  ですから、そういう意味では、個別の機器についてもそうですし、すべてきちっとした表示ないしは報告というものを示していく。逆に言うと、それがしっかりできれば、余り規制的にしないでも社会の目がきちっと見ていけるというふうに思っています。  これを嫌がるのはなぜかということなんですけれども、PRTR法のときでもそうですが、過剰に営業秘密を言いたがるというか、国際的な営業秘密のルールからすると、日本の企業は必要以上に営業秘密を主張されるというふうに私は思うのです。これはやはり制度としてどこまでが営業秘密として認められるのか、逆に認めるべきものはきちっと認めなければいけないというふうに思っておるわけですが、その辺が非常に日本はあいまいなんですね。ですから、営業秘密をどこまで守るかというルールを、今後はこれに限らずしっかりつくっていくべきだというふうに思っております。
  58. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。  小林参考人にお聞きいたします。  自主的取り組み兵庫県はされているわけですけれども、国がする前に始められたわけですけれども、他の県でそのような動きのあるところはありますでしょうか。
  59. 小林悦夫

    小林参考人 私どもは、兵庫県が始めた以降、各県との連絡協議会等を行っておりまして、結構、各県、今取り組んでおられるところは多くございます。半分以上になっているんではないかと思っております。ですから、これがこのまま一気に法制化ということで、国全体に広がるというのを大変期待しているところでございます。
  60. 武山百合子

    ○武山委員 もう少し小林参考人にお聞きしたいと思いますけれども、やはり視察に来たり、それから市民団体を巻き込んでやられておるわけですけれども、特に苦労したことというのはありますか。
  61. 小林悦夫

    小林参考人 特に苦労したことは、そういうふうに考えますと余りないというのもあるんですが、私どもがやっていく上でやはり一番重要だったのは、秘密をつくらないということだったと思います。  今までの行政というのは、ほとんど業界の方々とも市民の方々とも話し合わないで、行政側で案をつくってしまって、つくった案を説明するというのが多かったわけでございますが、このフロンの問題を含めて、最近私ども兵庫県がやっております行政施策というのは、ほとんどが、市民の皆様方とか業界の皆様方と事前に協議をしながら、お互いが納得する中で条例を制定する、また施策展開をしていくということが多くございます。  そういう意味では、最近そういうトラブルというのはほとんどなくなってきたなと思っております。
  62. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。
  63. 小林守

    小林委員長 次に、藤木洋子さん。
  64. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。  きょうはお忙しい中を参考人としてこの委員会にお出ましいただきまして、ありがとうございました。順次お伺いをしてまいりたいと思いますが、まず最初に鈴木参考人にお伺いをいたします。  御説明でも詳しく述べられたわけですけれども自動車業界では、通産省フロン回収促進プログラムに基づいて、CFCフロン回収破壊システム登録センターを設置されまして、そのシステム利用回収事業者登録を受け付けて、私、調べさせていただきましたら、ことし六月末現在で三千四十五事業者登録していたと思うのですが、今のお話では三千五十八で、またそれからふえているというようなことになっておりますね。では、九八年の一月からことしの六月までの回収破壊実績はどうかといいますと、累計で二百四十四トンというふうに承知しておりましたけれども、今のお話では二百五十九トンということで、これも若干ふえてはいると思うのです。  しかし、先ほどから問題になっていますのは、破壊処理率、これが可能な率だということで、かなりこれが控え目になっているということを言われていたわけですけれども、もしこれが実際に処理された率だとしても、それだけにとどまっているのかということの方がむしろ驚きなわけでございます。  そこで、末端の自動車解体業までフロン回収装置を購入したけれども、ディーラーがフロン回収のお金を払ってくれない、こう言って、回収装置が運転されることはまれだということも伺っているわけです。  そこで、業界の自主的取り組みシステムというのは、回収から破壊処理まで、パイプはつなぐことができたというふうに思うわけですね。しかし、お金が途中で漏れていることが多くて、結局フロンはほとんど空中に漏れてしまうということになっているんじゃないかという気がするのですね。ここに私は、法的義務のない回収システムの限界があるんじゃないかということを思わないわけにはいかないわけです。  そこで、自動車業界などは、生産規制で十分な効果を上げているということをおっしゃってこられましたし、これ以上の規制は過剰規制だということも述べてこられました。また、法律があれば回収が進むというものではないということも伺ったことがございます。こういうことをおっしゃって法制化に強く反対してこられたわけですけれども、私はこの際、その姿勢そのものをお変えになることが大事じゃないかというふうに思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  65. 鈴木孝男

    鈴木参考人 自動車業界というのでしょうか、あるいは自動車工業会が、今先生が御指摘のような、過去においてということについては、私どもそのように理解しておりませんで、私の冒頭のときにも、リサイクル問題を含め、環境問題は最重点課題として取り組んでいる、私どももいろいろな分野で、フロンの問題を含め、温暖化の問題あるいは排ガスの問題等についても最大限努力しているつもりでございます。  そういった視点で、本日の御議論等の中でも、私どももむしろ、例えばカーエアコンフロンについて言えば、新車のディーラーでも現在二万拠点ぐらいあるわけですね。中古車のディーラーでいけばそれが七万拠点ぐらいある。あるいは整備業者の工場でいけば八万を超える、そういった方々に、我々のシステム自動車業界全体のシステムに入って確実に破壊してもらう、こういうことをやっていますが、残念ながら、中古車ディーラーあるいは整備業者、ないしはその解体業者にその方々委託する場合に、解体事業者のところの回収機というものが、まだ、ハード面でも十分ではない。  それについて、我々は政府とも協力しながら、そういったような形の今のシステムをどうやって登録者をふやす、あるいはハードなりソフトのインフラを整備する、そういったことについて、できるだけのことをやっていきたいと思いますし、そういったような取り組みを、立法面でむしろ実効性が上がるようなシステムが制度化されるならば、先ほども述べましたように、私どももそういったことで、やはり基本理念で、例えば特定フロンについてはこういうことが必要だというような立法というのは、こういう我々の取り組みを支援するものとして大変重要なのではないかというふうに認識しております。
  66. 藤木洋子

    ○藤木委員 立法提案が必要だという御意見のようでございます。  次に、西薗参考人にお伺いをしたいというふうに思います。  参考人のお話の中で、業界の自主的取り組みにゆだねた対策では実効が上がらない、だからフロン放出禁止のための法制化を求めることが大切だということで、実際、フロンネットでは、フロン放出禁止のための法律制定に関する提案というのを市民案としてお出しになって、私もこれは検討させていただいているところでございます。  この市民案では、フロン製造業者及び製品、機器メーカーなどから、既に使用されているフロン回収破壊のための協力金制度、これはもう既にあるものに対しての協力金制度ですね。それから、今後製造するあるいは使用されるフロン回収破壊促進するためにはデポジット類似方式というやり方で負担金制度を制定するということが述べられているわけです。フロン回収破壊基金を設立するということになっているわけです。  先ほど、現状問題点の一つに、回収破壊促進するための経済的インセンティブがないということで、フロン及びフロン使用製品の販売価格に処理費用を上乗せ、つまり内在させられる問題だということを述べられたというふうに思うわけです。代替技術への移行を促進し、それがフロン使用量そのものを削減する、そういう効果も発揮するだろうということを述べておられるわけで、私も、それはそうなるだろうなという気はするんですけれども、価格に上乗せをするか、あるいはどこかで企業努力をするか、必ずしもそこまで法制化をする意味があるのかという気もするわけですね。  むしろ、メーカー責任だということになれば、価格を高くしたくない、できるだけ安い処理の技術も開発していきたいという双方の技術が働いて、仮に、結果的にそれが価格に上乗せされるというようなことが起こったとしても、その方がインセンティブがあるのではないかという気がしているのですけれども、ちょっとその辺、お考えがあったら、詳しく聞かせていただきたいと思います。
  67. 西薗大実

    西薗参考人 今、藤木先生のおっしゃったことが、確かに起こると思います。  お金の流れを、なぜわざわざ消費者がメーカーを通じて、つまり上流側にということを明示したかというと、今までの議論の中で、そもそもこれはユーザー責任のある問題じゃないんだから、ユーザーが負担するのはおかしいんじゃないかという議論は、一方では常にあるんですね。  私どもとしては、その考え方ですと、少なくとも過去に製造した分について、それは全く今のところ財源がないわけですから、それを、ゼロからといいますか、財源を全部メーカー側に新たに負担させてその基金をつくるという制度は、これは一つは現実的ではないという問題がございます。  それからもう一つは、やはり基本的には拡大生産者責任だと思うんですね。しかし、使用者には処理責任はないとしても、受益者ではあるわけですから、受益した分の相応の費用を負担するという議論は成り立つであろう。つまり、私がユーザー立場として、簡単に言えば、二百万円の車を買います、その二百万円の車のフロン処理するために三千円かかります、その三千円を払ってくれますかと言われたときに、私は、三千円払ってでも、ちゃんとメーカーの方の責任で、きっちりしたシステムができていて処分してくださるのであれば、払いますよというふうに言いたいわけですね。そのことを形としてあらわすと、ああいうふうになるのかなと。  その中で、当然、メーカーがコントロールするということの非常に重要な点は、先生が言われるように、コストミニマムということが恐らく製造の段階から起こってくるであろうということは十分予想されますし、それが最終的には、簡単に言いますと、フロンのような物質というのは、一見、非常にメリットが多いんですが、今までのトータルで見ていきますと、かなりデメリットが大きいわけですね、こんなような議論をしてまで、最後までどうするかという議論をしなきゃならないというそもそもの原点に立ち返りますと。  そういうことを考えれば、先ほど浦野先生が言われたように、当面ちょっと使いにくい面もあるけれども、トータルに考えれば、よりこちらの方がいいじゃないかという選択肢が当然働いてくる。そして、国もそういうことを、例えば費用の回し方の中で、技術開発の方に、これは断熱材の場合なんかに明らかにそれは言えると思うんですけれども、今まで成り立たないと思っていた分野をどうやって代替物質の方に変えていくかというような技術支援の方にお金が回るような仕組みを考えるとか、いろいろなことができてくるんじゃないか。やはりその第一歩が、ユーザーがとりあえず現在使われているものに対する費用負担を価格に内部化するということの中でしていくことがスタートなのかなというふうに考えております。
  68. 藤木洋子

    ○藤木委員 ありがとうございました。  それでは、浦野参考人にお伺いをいたします。  いろいろお話をいただいたことを、一つ一つもっともだというふうに私は感じてまいりましたけれども、きょう先生自身がお述べになったのじゃないんですけれども、もう一つ、配付していただいた資料の中にちょっと興味のある論文がございまして、私、これを拝見させていただいたんです。  横浜国立大学の加藤みか氏の論文の中で述べていることなんですが、ここでは、現在、商業的に実用化されているフロン分解施設が三十四ある、そのうち、産廃ロータリーキルン法の九施設を初め、既存施設を利用した方法が十六施設あるというふうになっているわけですね。この既存の廃棄物焼却施設等を利用する場合は、フロン分解専用施設よりも経済的に非常に有利になるというふうに述べておられるわけです。その専用施設というのは、分解処理費が非常に高くなって、補助金などで支えなければ維持できない、持続できないというような問題があるというふうに述べておられるわけですね。多額の税金などを投入しても、実際に稼働していない例が幾つもあるということでもございます。また、ダイオキシン類を絶対に副生させてはならないということも必要だとしておられるわけです。  そこで伺いたいのは、既存の廃棄物焼却施設等を利用することが低廉だということで今後ふえてくるということが起こってまいりますときに、フロン分解に伴うダイオキシン類の副生というのは注意が必要ではないのかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいのです。
  69. 浦野紘平

    浦野参考人 今のお話で、既存施設、既存のインフラを使うことによって、設備投資と、それの償却とか人件費とか消耗品も含めて全部について、やはり既存のものを使った方が明らかに経済的であるということは確かです。  ただ、フロン、あるいはハロンもございますけれども、その中には塩素ないしは臭素というオゾン層を壊す元素そのものが、やはりダイオキシンの原因にもなり得るわけですね。それで私どもも、実はこの方式は加藤を初め我々かなりの努力をして技術開発をしてきたわけです。その当時は、まだダイオキシンの規制は日本ではほとんどない状態でございましたけれども、EUその他の状況を見て、ダイオキシンが発生しない条件で分解できるかどうかということを非常に苦労してつくってきたわけです。  塩素というのは、食品にも入っていますし、塩ビももちろんそうですし、いろいろなところに入っておるわけですが、きちっとした施設できちっと管理をすれば、非常に低く保てる。それから、フロンを加えた場合と加えない場合でダイオキシン濃度に差がないようにできるということをたくさんの場所で、北海道から九州まで確認をして歩きました。  そういう意味では、日本の現在の廃棄物焼却施設の中で、優良な場所を選べば、フロンを焼却してもダイオキシンが生成しない状態で十分できるというふうに私は思っています。ただ、それをしっかり確認しながら認証していくことが必要だというふうに思っています。
  70. 藤木洋子

    ○藤木委員 出身県の兵庫県の方にお聞き漏れしましたので、後の時間を使わせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  71. 小林守

    小林委員長 次に、中川智子さん。
  72. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  きょうは四人の皆様、お忙しい中ありがとうございます。  まず最初に、自動車工業会鈴木参考人に伺いたいんですが、回収機の配備とか取り組み、一定程度されてきた、それがなかなか功を奏さなかったというところも感じられたんですが、きょうの西薗参考人浦野参考人そして小林参考人に、かつてそういうふうに悩んだときに、自動車産業界としては、御意見を聞いたり、何かそういう場所をお持ちになったことはおありなんですか。
  73. 鈴木孝男

    鈴木参考人 私どもも、フロンの問題を含め、リサイクル問題というのは、関係者といろいろな対話が必要なんじゃないか。  例えば、兵庫県の場合のように、地方自治体で協議会をつくっておるという方式は大変有効なんじゃないか。国と地方自治体がどういう分担関係にあるのかということも多分、特定フロンをこれから回収破壊していくための実効性を上げることのポイントだろうと思っておりますし、それから、私どもも逆に、自動車業界といいましても、いろいろな事業者がいる、そういったものにどういう形で関係者協力を得てやっていくか。  一九九七年、通産大臣の要請で、私ども自動車工業会のほかに部品工業会あるいは販売連合会、整備連合会、いろいろな方々がそれぞれ通産大臣に自主的な計画を出しています。しかし、それが横の連携をとりながらやるということで、今、私ども自動車工業会が一応代表いたしまして登録センターというのをやっておりますが、これは自動車工業会だけの組織でなくて、関係する団体等の委託も受けながらやっている。  そういったことで、私ども、やはり実効性をどうやって上げるかということについて、いろいろな方々のいろいろな意見を聞きながら、今後とも、自動車工業会としても努力をしてまいりたいと思っております。
  74. 中川智子

    中川(智)委員 私がお伺いしたのは、浦野さんとか西薗さんのお話を聞いていて、そうしたら、ないということですね。ちょっと簡単な質問だったんですが、よくわかりました。  その中で、西薗参考人の先ほどの御意見、やはり私もそれを特に思うんですが、価格に内部化して、うちなんかもやはり自動車を持っていますが、自動車を買うときにきっちり説明を受けて、それだったらと納得して、独自な、本当に実効性のある取り組みというのをしていたら、ここまで深刻にならなかったというふうに痛感するわけです。  法案に関しては非常に消極的と伺ったので、きょうは最初からけんかかなと思っていたんですが、このお話の中で、反対ということはおっしゃらないし、大変重要というふうにおっしゃったので、それはもうイコール賛成というふうに思います。  私は、やはり不法投棄の問題とかいろいろ、先ほどの藤木さんのように、お金が消えちゃうように途中で空中にフロンも消えてしまうということは、これは非常に現実性のある心配だと思うんですが、いわゆる排出時の負担ではなくて、これはもう国際的に見ても非常に後ろ向きだと思うんですよ。  そこで、回収破壊、そこのところにきっちりお金が行くような流れというのをまず自動車工業会がどう示すかというところが、きょう、この委員会の物すごく大きな、一歩進んだというふうに自動車工業会が姿勢を示されるいい機会だと思うんですが、いかがでしょうか。
  75. 鈴木孝男

    鈴木参考人 費用負担の問題も重要かと思っておりますが、先ほど来私どもお話ししておりますのは、それぞれのものについてもいろいろな特性があって、その効率的なシステムをどうするか。例えば、車の場合にはライフサイクルが長いというのがございます。それから、特定フロンのコスト、これからの新車となりますと、その世代間をどうするかという議論等があろうかと思います。  そういった問題が今使用済み車全体で、エアコンに限らず、いろいろな問題のリサイクルを進めるにはどうするか。と申しますのは、使用済み車は、従来、我が国においては有価物としての取引でいろいろなインフラができているわけです、その解体、整備、買い取りと。そういう既存のインフラを尊重しながら、どういう形で我が国に合ったリサイクルを進めていくか。  そういった場合に、そういう実効性のある関係者役割分担、あるいは国なり地方自治体の役割、あるいはそれぞれの適正な処理をどう確認するか、その情報。車の登録制度でいけば、永久抹消、一時抹消についてもう少し改善をしたらどうか。あるいは、マニフェストというのは、自動車の場合には産業廃棄物に基づかない一般的な自動車についても二年前から自主的にやっていますが、今のマニフェスト制度でいいのか。  そういったことで、適正な処理をきちんとしませんと、費用負担の問題についてもトータルで考えられないんじゃないか。それが今、車全体について、この夏以降、集中的に産業構造審議会議論されていますが、その議論とできるだけ整合性のある形にというふうにお話をしている次第でございます。
  76. 中川智子

    中川(智)委員 私、では自動車工業会がどうするのかというところをはっきり伺いたかったんですが、次の質問に参ります。  浦野参考人に伺いたいんですが、浦野さんもやはりPRTRで痛感されていると思いますが、営業秘密というのは企業が守るだけじゃなくて、この国の困るのは、国も一緒になって守ってしまうというところが非常に厄介だと思っているんです。  浦野参考人に最初にお答えいただいて、そして小林参考人にも同じ質問をお願いしたいんですが、今、自民党案というふうな形で、私も報道とあと個別のちょっとした情報収集しかないんですけれども、基金ということでの法案に一生懸命御努力いただいているわけですが、いわゆる今の自民党案のフロン処理に基金というところでの法案に対しての御意見と、特に浦野参考人の場合には、三つの物質CFCとHCFCHFC、この三つということに特定しているというところがありまして、回収業者の都道府県知事への登録制ということがあると思うんですが、この法案に対する、基金案に対する御意見をお二人からお伺いしたいと思います。
  77. 浦野紘平

    浦野参考人 まず最初に、全体的な取り組みについてですが、自主的ということが実は、営業秘密の問題ですけれども、本来、最近の産業の方々は、PRTRもありますし、国際的な流れもあって、情報公開に比較的前向きになってきておる。営業秘密についても、比較的前向きな企業も随分ふえてきているという感じを受けるわけですけれども、実は、先ほどもお話がありました自動車工業会取り組みの話を聞いておりましても、通産省化学品審議会が、通産省産業構造審議会がと、そればかり出てくるわけですね。それは自主的ではないんではないかというふうに思うわけです。ですから、営業秘密についても、やはり自主的にどこまで公開していくのか、あるいは、これからは公開しないと産業が成り立っていかない時代に入ってきている。  本当の営業秘密はもちろん守らなきゃいけないわけですけれども、必要以上に隠している体質というのは、これから産業としても非常に困る事態がたびたび起こってくるのではないかと思いますので、その辺は、ぜひ自主的に、自動車産業のような日本を代表する企業が進んでいろいろな情報公開をやっていただきたいと思います。  それからもう一つは、基金の件ですけれども、私は、末端ユーザーが使っているものについては、あるいはその業界も非常に複雑な場合には、個別の事業者あるいは個人に任せるということは難しい面がありますので、ある程度基金的なものは必要だと思います。  ただ、新聞でしかわかりませんけれども、自民党案と言われるものですと、自動車についてはそういう制度をつくる、しかし業務用冷凍空調機器等については全部民間任せであるというふうに出ておるわけですけれども、その辺、先ほどのデポジット制的なものがほかにも使える可能性もあるし、それから、これから販売し購入するものと過去に販売したものについて、やはりどういうふうにお金の流れをつくっていくのかというのは、単純に基金だけでは片づかない問題があるのではないか。あるいは、基金をつくるとしても、自動車だけに必ずしも限る必要はないのではないかというふうに思っております。  それからもう一つ、三物質に当面限る、しかも冷媒に限るというのが新聞記事では出ておりますけれども、当面そこから仮にスタートするとしても、やはりそれに限った法律にするというのは、せっかくこれだけ皆さん方が御議論いただいて、議員立法して、ほかのもの、先ほども資料にもちょっと書いてございますが、断熱材にしても、そのほかの用途のものにしても、あるいはPFCその他にしても、たくさん問題を抱えております。それには全然触れられない法律あるいは対応できない法律では、せっかくつくる意味がない。ですから、順次ふやしていけるような法律、あるいは最初からある程度の枠をつくっていく法律にぜひしていただきたいというふうに私は思っています。
  78. 小林悦夫

    小林参考人 私の方から、基金の活用ということでございますが、先ほど私申し上げましたように、回収破壊費用の負担という意味合いから、ユーザーの応分な負担というのは一つの原則であると考えるわけですが、冷媒の製造メーカー、機器の製造メーカー等、機器というのは自動車も含むわけでございますが、こういうふうな全体のシステムの中での費用負担というのは、やはり必要であるというふうに考えてございます。  また、あわせて、先ほども問題になっておりますが、デポジット制度の採用も含めて、放置自動車というのが大変多いわけでございまして、これに対する費用負担をどうするかという問題が放置されます。そういう意味から、やはりこういう基金の採用というのは重要ではないかというふうに考えます。  それからもう一点、企業の秘密という問題につきましては、私ども、条例制定の段階でもそれが問題になりました。現実に私どもの条例の中では、企業においては環境行動について情報を公開しなければならないという規定を設けてございます。その規定には、県はその情報公開について指示をすることができるという規定も設けてございます。現実にはまだそういうことを発動したことはございませんが、今後は、そういう情報公開をすることが企業の発展に十分つながっていくという意識を持っていただきたい、そういう意味で、情報公開というのは重要ではないかと思っております。
  79. 中川智子

    中川(智)委員 西薗参考人に、ちょっときょうの議論からあれですが、原発の問題でCO2の削減の議論になるときに、原発を十三基つくればそれを解消できるとか、やはり原発議論にすりかわることが多いのです。でも、社民党としては、反原発という形で、原発はもうこれ以上決してふやしてはいけない、むしろなくす方向でということを主張しているのですが、この議論に関してどのようにお考えか、伺いたいのです。
  80. 西薗大実

    西薗参考人 フロンの問題もちょっと今のお話と共通するところが実はございまして、フロンを使わないと、例えば自然冷媒でいくと効率が落ちるではないか、CO2排出がふえるではないかという議論もいつもあるわけです。この辺のところが、先ほどのまさに浦野先生が言われたLCAという考え方がやはりあると思いますし、トータル的な考え方がやはり必要なところです。  原発議論だけに関して言えば、私は当面、現在稼働しているものに関して、これを即時撤廃というのはやはり無理があるだろうということは思いますが、新設についてはやはり見合わせるべきだというのが私見ではございます。ただ、フロン議論も含めまして、結局、それは感覚ではやはりまだ物が言えない世界なのですね。  原発に関しましては、私自身が、そういう試算といいますか、きちんとした根拠を持って今の発言を申し上げているわけではございませんので、あくまでも感覚的な域を出ていないわけなのですけれども、これをフロンの問題に置きかえますと、確かにエネルギー効率が落ちるものもあります。しかし、技術的に解決可能だということが見えている分野もあるのです。そこのハードルをどう設定するかということがとても重要だと思うのですね。  恐らく、原発議論でも同じだと思うのですけれども、ではそれにかわるものをどこから持ってくるかというときに、それが自主的に芽が出るまで待つというのでは、これは多分いつまでたっても芽は出ないのです。やはりある目標を持って、この分野でいけるのであろうということを見た場合に、冷媒分野でも同じだと思いますけれども、こちらに将来的にはいくのだというような一つの目標というか、ハードルを示すと、技術というのは進むというふうに私は思います。
  81. 中川智子

    中川(智)委員 終わります。ありがとうございました。
  82. 小林守

    小林委員長 以上で各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。  これより自由質疑を行います。  この際、委員各位に申し上げます。  質疑につきましては、理事会の協議に基づき、一回の発言時間は三分程度となっておりますので、御協力をお願いいたします。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いいたします。御発言は着席のままで結構です。  それでは、質疑のある委員は挙手をお願いいたします。
  83. 藤木洋子

    ○藤木委員 藤木洋子でございます。  先ほど小林参考人にお聞きをしたかったことがございましたのですが、時間の都合で今伺いたいと思います。  兵庫県、私の出身県が、いち早くこの条例をつくってフロン回収に取り組んでこられたということに非常に注目をしていたわけですけれども、この条例では、冷蔵庫、それからカーエアコン、業務用冷凍、空調機器等の使用、修理、廃棄等の際に、大気中へフロン排出することを禁止するということになっておりまして、関係事業者に対して立入検査等で指導を行ってきておられますね。  今、兵庫県が、回収フロン処理システムというのでは、使用量がふえている代替フロンに対しても、対応を今志向しておられるということになっていて、これをふやしていこうというお考えのようでございますけれども、その回収がなかなか進んでいないというのが実態であろうというふうに思うわけです。  そのためには、フロン大気中への排出を法律で規制するということが、先ほど来述べておられたように、極めて大事だろうということで私たちもとらえておりまして、それをぜひ立法化したいというふうに思っているわけですけれども、その法律の中身に盛り込むこととして一つ必要ではないかと思うことについて伺いたいのです。  たとえ法律ができて、あるいは回収システムができて、十分な回収費用が支払われるということがあったとしても、結局はすべて現場の裁量にゆだねられるという点がございますね。そういう場合に、地方自治体による立入検査だとか破壊証明書などで十分なチェック機能を果たすようなシステムを盛り込むということが必要ではなかろうかというふうに思うのですけれども、自治体で取り組んでこられて、その点いかがでしょうか。
  84. 小林悦夫

    小林参考人 私ども、現在の条例の中で重要なことというのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、法制化の中で適正なフロン回収を担保する、また公平性を期するという意味から、都道府県、市町村を含む、行政による監視というのは必要であるというふうに考えてございます。  現実に、私どもの方でも、年間大体五十社ないし百社、年によって違うわけでございますが、立入検査を行い、そこの作業状態また作業による記録を確認し、適正に処理をされているかどうかをチェックしてございます。これは必要だと考えております。
  85. 藤木洋子

    ○藤木委員 ありがとうございました。
  86. 水野賢一

    ○水野委員 自由民主党の水野賢一でございます。  私は、二点にわたって質問させていただければと思うのですが、第一問目は西薗参考人にお伺いさせていただければと思います。  先ほど来のお話の中の基金に関してですけれども、基金に対して、協力金なり負担金なりという形で、フロンメーカー、もしくは自動車であれば自動車メーカーが負担するということでしょうけれども、先ほどの田端理事の御質問とも多少重複するかもわかりませんけれども、具体的な数として、年間どのぐらいの金額、大体、ラフな計算でも結構ですけれども、もし想定されるものがあれば教えていただきたいというのと、この場合のフロン製造メーカーと機器メーカーの負担の割合というのは大体どのぐらいになりそうなのかを教えていただければというのが一点目の質問です。  二点目は、鈴木参考人にお伺いしたいわけですけれどもフロンというのは自然界には存在しない物質なわけですね。その自然界に存在しない物質生産して、もしくはそれを使用することによって利潤を得ている業界があるわけでございます。  その中で、有害物質で多くの人に健康被害などを与えた場合には、例えば薬害エイズなんかが一つの典型ですけれども、損害賠償ということが当然必要になってくるわけです。これは、被害を受けているというのが個々人の健康というよりはむしろ地球環境全体ですから、いわゆる損害賠償というのは当たらないかもしれませんけれども、しかしながら、せめて回収破壊に対して一定の負担をするというのは当然じゃないかと私は思うわけです。  先ほど来、産業構造審議会などのいろいろな話がありましたけれども、一定の負担をする意思というのは、自主的にあるのかないのか、改めて、その覚悟というか、決意というのをお聞かせいただければと思います。
  87. 西薗大実

    西薗参考人 一点目の具体的な金額ですが、これはもちろんあくまでも概算でしか現時点では物を言えないわけですけれども、常識的な範囲で、例えばキロ千円のフロンがキロ五千円になる、つまり四千円上乗せになるというのは、これはちょっと法外だなということは皆さんお感じになると思うのです。  我々の計算の上では、現在使われているHCFCはまだつくられております、それからHFC類、例えばこういうものがキロ数百円から、物によっては多分千円を超える価格で取引されていると思いますが、それよりは少ない額、例えばキロ五百円程度を上乗せして考えても、七万トンという生産量から考えまして、例えば五百円でいきますと、三百五十億円という基金ができます。かなり大きい額ですね。  しかし、諸外国で、例えばアメリカあたりは、新品のフロンに税金をフロン税という形で、これは必ずしも使用目的としてすべてがフロン処理費用に回っているわけではないとは思いますけれども、税金という形でかなり相当額の、数百円から千円近くの額がかかっておりますし、あるいはデンマークあたりは、これは冷凍業界に限ってですが、やはりデポジット制をやっております。  結局、変な話ですが、漏れれば漏れるほどお金が余ってしまうのですね、メーカーから取る分に関して言うと。つまり、生産分に見合わせてお金を取るわけですから、物が集まらないとお金が余ってしまうということが起こるわけですけれども、その辺のところを勘案いたしまして、今申し上げたようなキロ五百円程度をかけて三百億円程度の財源ができるかなという点が一点あります。これは、冷媒用途ではなくて、あくまでもすべての用途に均等にかけるということで申し上げております。  それから、機器の方ですけれども、例えば自動車、それから冷蔵庫等、また業務用の機器、それぞれ状況が違いますので、一体幾らかかるものやらというのは、物によってあるいは運搬の距離とか、いろいろな状況によって変わってきますが、大ざっぱなところで、先ほどお話が出ましたが、兵庫県の場合で二千数百円という算定がありましたが、これは破壊費用まで含んでだと思うのです。ですから、機器の回収に要する直接費用だけでいいますと、自動車関係、冷蔵庫関係、大体二千円というところかなという大ざっぱな見込みです。  それで、廃棄台数を掛け算しますと、例えば自動車の場合、正確な廃棄台数はちょっとわからないのですが、先ほど用いました五百万台という数字を使えば百億というお金になりますね。冷蔵庫の場合も、大体同様な台数だと思いますので、百億というような形になります。業務用は非常に難しい問題がありますが、このあたりはキロ当たりに直しますと安い値段になると思いますので、やはり百億からそれを超えるぐらいの額、それぞれの業界の実際の規模というのがあると思いますので、またこれは何らかの勘案が必要なのかもしれませんが、あと、家電関係、ルームエアコンなんかも含めまして、恐らくこれが四百億程度はいけるのではないかなというふうに考えております。  ですから、これはごく大ざっぱな試算なので余り参考になるかどうかわかりませんが、つまり、常識的な額の範囲内で十分な基金がつくれるというふうに考えております。以上です。
  88. 鈴木孝男

    鈴木参考人 いわゆるどういう費用をどう負担するかということは、最終的にはユーザーにどう転嫁するかということでございますので、その費用の負担をだれがいつどういうふうにやるかということは、ケース・バイ・ケースで、一般論としてしかお話しできないのではないかと思っております。  私どもは、特定フロンにつきまして、先ほど来の社会システム構築するに当たりまして、いろいろな形で自動車工業会としてもコストを負担したつもりでございます。  ただ、先ほど来議論に出ているようなフロン回収費用、さらに使用済み全体でいえば、廃車にかかるいろいろな費用をどのような形で負担するのか、まさしくコストとしての負担の仕方について、従前のいろいろな廃棄物についての考え方もあるでしょうし、あるいは諸外国の例等も踏まえて、どういう形でやるか、これは、使用済み車については現在政府全体で議論がされている、そういったことに対応してくるのかなと思っております。
  89. 鎌田さゆり

    ○鎌田委員 きょうはどうもありがとうございました。民主党の鎌田さゆりと申します。  まず初めに、鈴木参考人に。  今、鈴木参考人に水野委員から寄せられた質問に対してのお答えで、水野さんは、結局のところは、この問題に対して工業会として覚悟、決意があるか、それをお聞きになったと私は思うのですが、そこに私も非常に期待をしたり、どんなお答えがこの最終局面で出るかなと思って聞いたら、きょうの委員会の流れをずっと見てきて、やはり何も変わらない、覚悟もない、決意もない、どこか他人事のようにとらえていらっしゃるのじゃないかという感想をどうしても持たざるを得ないお話、御説明、御答弁になっていらっしゃるので、私は、この覚悟というものをぜひ工業会一体となってお持ちをいただかないといけない問題だということを改めて申し上げたいと思います。  なぜならば、今、環境ホルモンにせよ、あるいはいわゆる十六歳、十七歳の青少年を取り巻く有害環境、こういう問題を考えるときに、では何を環境ホルモンとするか、どんな影響があるのか、何を有害環境とするのかというその線引きが非常にあいまいになっている中で、なかなか議論が進まない、あるいは研究結果が出てこない中で、このフロンの問題については、先ほどからいわゆる専門家のお二人の参考人のお話、あるいは自治体の取り組みを聞けば、やらなければいけないことはもうわかっている。ここでもう私たちが決断しなければいけないのは、やるべき決意、そこで決断をする覚悟を持つということです。  ここはお返事は要りません、きっとまた同じ返事が返ってくると思いますから。ぜひ改めて私ども意見ということでお聞きをいただきたいと思います。(鈴木参考人「一言だけ」と呼ぶ)では後でお願いします。  それで、質問をさせていただきたいのは小林参考人浦野参考人、お二人にお聞きしたいのです。  九月のいわゆる東海豪雨の際に、愛知県内で非常に大量なフロンの問題について危ぶまれている、そういう事態が発生をいたしました。大量のフロンが未回収のままプレスされて、そして廃棄処理場、いわゆる一時保管所に運ばれた家電製品ですとかカーエアコン自動車、そういったものがそのままの状態になっている状態を、同じ自治体レベルで、例えば小林参考人はどんな感想を持っていらっしゃるか。あるいは今後、自治体同士として、そういう自治体があるというところで、緊急的なときに国内で何かそういうネットワークを組む必要性があるとお感じになっているかどうか。  浦野参考人には、今度のこの法案を準備していくに当たりまして、緊急災害時に、一時的に非常に大量のものが、このフロンの問題を有しているものが出てしまったというところに対して、国として、あるいは自治体レベルで、行政として、どのような対応が求められるとお考えになるか、その辺のところをお返事いただきたいと思います。
  90. 小林守

    小林委員長 それでは、まず鈴木参考人の方から一言。
  91. 鈴木孝男

    鈴木参考人 私どもは、いわゆる費用負担をどうするかというときに、その方法論だけじゃなくて、例えば、適正な処理費用が、どういう形で透明、確実な授受ができるか、そういうことも含めて考えるべきで、そこの議論なしにどういう形でだれにどうという形の議論は問題が多いのじゃないか。フロンで言えば、先ほど来からほかの参考人もありますように、どういう形で適正に特定フロン処理されているか、そこについてまだまだ解決しなくてはならない問題がある。その問題を踏まえた適正処理を担保、確認するという方法議論することなく、単に第三者機関で基金があるとかいう議論に行くのは問題があるのじゃないでしょうかということを言っているのでございます。
  92. 小林悦夫

    小林参考人 私の方から、愛知の水害の件でございます。  大変コメントがしづらいというのが本音でございますが、私どもとしましては、やはりフロン回収をしていただきたいというのが本音でございます。そういう意味で、向こうの県に対して、どのような状態であるかについて事情聴取をさせていただきました。それに対して、必要なアドバイスがあれば申し上げますということで申し入れをしましたし、また、必要な応援を、要請があれば、私どもの方からお伺いしますということも申し上げております。今のところ、それに対して特にコメントはいただいておりません。  それからもう一点。地元のNGOの団体の方が私どもの方にお越しになられました。その方々から、地元の自治体の動きについていろいろ御批判をお聞きしたのですが、私は、そのNGOの方々に、自治体を批判する前にあなたたちが自分たちで行動してください、行動する方法というのはいろいろありますよと。現実に、兵庫県が震災で問題になったときに、自治体がまず動いたのではなくて、私どもの県の職員もNGOの一員として動いたんですよということを申し上げまして、そういう動きをしたらいかがでしょうかというアドバイスをさせていただいたということがございます。
  93. 浦野紘平

    浦野参考人 緊急時についてというのまではなかなか今まで議論になっていないわけですけれども、基本的には、この制度がもしできれば、技術者も装置もかなりの数が日本にちゃんと定着する。そうなったときに、当然、今の時点ではボランタリーにやってなかなか身動きできない状況ですが、法制度がきちっとできれば社会基盤ができるので、機器を貸し出しする、あるいは人が派遣されるということは十分できる。  そのときにだれが主体になるかということですけれども、それについてはやはり自治体が、互助会的ですけれども、そういうことをお互いに助け合うというルールをつくっていくということが一つと、もう一つは、機器のメーカーなりそういうものも、やはりそういう緊急時のときにちゃんと援助をする、支援をするというような体制をつくっておくということができればこういう問題にも対応できるというふうに思っています。  それからもう一つ、若干、鎌田委員の御質問以外で答えていいのかどうかわかりませんが、廃棄についての証明とか、あるいはユーザー負担がふえるとかいうことも先ほどから出ておりますけれども、技術というのは非常に進歩をするものでございまして、かなり経済的にできるようになる。フロンも、代替フロンをつくる当時は、そのメーカーは、非常に高価なフロンになってしまう、ですから、代替物はできません、あるいは今までのフロンを規制してもらっては困りますと言っていて、現実には非常に安くなっているということもございます。  それから、先ほど鈴木参考人廃棄の証明その他がはっきりしないからできないとおっしゃったようにも聞こえたんですけれども、現在の廃棄物焼却施設その他での破壊については、自治体がしっかりと量の把握あるいは証明を得ているという状況環境庁も一応把握しているという状況だと私は思っています。
  94. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。きょうは、参考人の皆さんに貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  今、同僚の鎌田議員から質問がありまして、実は私は愛知選出でございまして、先般の東海豪雨のときには大変に残念な思いをしたわけでありますが、そういう中でちょっとお聞きをしたいと思います。  私は、本当に一刻も早くフロンの規制法案をつくるべきだと思っております。それをまさしく東海豪雨で痛感した。地元では、どうしても規制法がなかったということが一つの言いわけにされてしまったということであります。  それで、鈴木参考人小林参考人にお聞きをしたいと思います。  鈴木参考人も、認識としてはフロンを規制すべきだということ。しかしながら、今、審議会の話がある、あるいは、そういう中で実効性という言葉を何回も使われますけれども、ただ、私は、今の東海豪雨のことも挙げまして、やはり一刻も早くつくることのメリット、メリットという言葉はいいのかどうかわかりませんが、有効性の方が高いのではないか。審議の過程をいろいろと注視なさっていると思うんですが、一番気になっている部分、疑問に感じていらっしゃる部分はどこかということをお聞かせいただきたいと思います。  そしてまた、小林参考人におかれましては、非常に危機感を持って、先ほど、やるべきこと、意思をまず示すことが大事だ、私もこれは大変に重要だと思います。こうして御質問をさせていただいている中で、ちょっと鈴木参考人にいろいろと質問が集中してしまっている感の中で、私たち政治家もしっかりとやるべきことだということを改めて認識しなくちゃいけないと思っているわけでありますが、そういう中で、兵庫県が先駆けて条例をつくられた、今後国において法律ができてくる、こういう中で、要望といいましょうか、こういうふうにすべきだということがあれば、きっとあると思うんですが、お聞かせをいただきたいと思います。
  95. 鈴木孝男

    鈴木参考人 愛知県の水害のときにも、私どももお話を聞きますと、数万台の車が出ました。その中には、もう一度整備すれば売れるものと、もう廃車しなくちゃいけないもの、廃車しなくちゃいけないものは多分半分ぐらいあったと思いますが、そのときに大変活躍したのは、解体事業者さんの方で回収機を持っておる方は、新車ディーラーの方が、例えばここにこれだけありますよと、集中的に処理したという、まさしくこれまで自動車業界のやっている登録システム、あるいはそのインフラがあった場合には、かなり効果があったと思っております。十分じゃありませんけれども、数万台のうちの相当部分について、解体事業者の方が引き受けて一カ所に集まっていた廃車を処理したということで、むしろ、今新車ディーラー中心になっているのを、どうやって中古車ディーラー、整備事業者、あるいは解体事業者の方を取り込んで、インフラなりソフトの面でのことをやるか。  そういう意味で、このような今のいろいろ関係しているものの既存のインフラ、あるいは既存の事業者をどういう形でやるか。そういう形での法律、まず基本理念も必要だろうと思いますし、そういう国、自治体を含めた関係者の責務、そして、今実効が上がっていない部分についてそれを支援するような立法という形が、廃車全体についての議論がありますが、そういう廃車全体の議論を横目で見ながら、しかし、そこの議論と抵触しないようなものについて法制化というのを考えるというのが、本日の議論の中からも浮かび上がっているんじゃないかと私ども認識しております。
  96. 小林悦夫

    小林参考人 まず愛知の水害の件でもう少し言葉をつけ加えたいと思いますが、やはりフロン回収するというのを私どもの大震災のときにもやったわけでございますが、現実上は、現在の防災計画の中には書いてないわけでございます。と同時に、やはり新たに道路を確保しなければならない、早く建物をどけて更地にして新しい建物を建てなきゃいけないということが求められている中で、フロンを抜くということが、そういう部署の方、またそういう方々からは、いわゆる震災復興の中で邪魔であるという意見が物すごく強かったわけです。  そういう中で、やはり市民の皆様方が自主行動をするという中で、私どもが勇気を得て行動したという部分がございます。そういう意味では、行政体としては大変つらい行動になりますので、その辺はやはり同情すべき部分はあると考えております。そういう意味から、先ほど申し上げましたように、NGOの方々の行動というのが重要であると考えています。  それからもう一点、先ほどの、実際に動かすに当たって何を希望するかということでございますが、やはり法制化に当たりましては、先ほども申し上げましたけれども、一〇〇%いい法律をつくるということにこだわらないで、少しでもいい、五〇%でもいいから、まず動かすということが重要ではないか。私ども、実際に私のところでつくりました条例そのものが十分であるとは思っておりません。しかし、あの条例をつくったことで皆様方が動き出したということが重要ではなかったかなと思っております。
  97. 田端正広

    ○田端委員 きょうは、もう本当にいろいろと貴重な御意見をありがとうございます。  ちょっと一点追加して御質問をさせていただきたいんですが、先ほど西薗先生から、年間七万トンないし十万トンの生産量に対して、破壊までいくのは一千トンぐらいだ、つまり一%ぐらいだ、そういう話を聞きますと、非常にむなしい思いもするわけですが、法案の中にそこをどう書き込むかという問題になると思います。  つまり、環境大臣が指針を定めて、そして事業者、民間すべてに努力規定みたいなものがやはり必要だなということを痛切に感じております。そしてまた、破壊に至るまでのマニフェストをきちっとしたそういうものでフォローしないと、フロンというのは無色透明で見えないだけに、倫理観がなければどんどん大気中に出ていく、こういうことだと思うんですが、その点についてもう少し、例えば技術的にもそれは防げる可能性はあるんだとか、そういうことがもしあれば、西薗先生あるいは浦野先生、御意見をお願いしたいと思います。
  98. 西薗大実

    西薗参考人 私どもの市民案の中でその点について考えてまいりましたのは、やはり技術的な基準というのは絶対に必要であるということですね。  というのは、現在、回収というふうにいっておりますが、回収機をつないだだけに終わっている回収現実にあるわけです。これは、自治体で冷蔵庫あたりを集めているところでは、全国データがかなりとれていますので、比べていただければわかるんですが、きっちり確かにこのくらいとれるだろうなという量がとれているところもありますし、一台当たりに直しますと、本当に十グラムとかそういうようなところもあるんですね。  それから、極端なことを言いますと、一台に入っているはずのないような量がとれてしまっている場合もある。これは恐らく、オイルがまざって、それをきちんと分離できていないという例なんですね。これは実は破壊のときにも、これはもう浦野先生がよく御存じですが、破壊に回りますと非常に困ることもあります。  いわゆるトップランナー方式という言葉がありますけれども、現時点ででき得る技術というのはもうかなり明らかになっておりますし、そのために、やはりまた基金の使い道もきっちり考えていくべきであるわけですから、結局、いつまでも自主的取り組みの中でそういうことが整備されていくということを待っていますと、これは絶対にならないと思いますので、現在できる技術をよく吟味した上で基準をつくっていくということによって解決できるというふうに思います。
  99. 浦野紘平

    浦野参考人 技術的なことについては、かなりのことができるということですけれども、御質問は多分、技術的なことよりも、技術というのは流れをつかむ技術の問題だと思うんですけれども、どれだけつくられて、どういう機器にどれだけ利用されて、それがどういう市場に出回って、それが廃製品にどういう形で入っていくかということの流れが、先ほども申し上げましたけれども、きちっと把握されていない。いわゆるボトムアップ方式で製品の側から推計したフロンの量とメーカーがつくったと言っている量が、かなりのギャップがある状況なんですね。ですから把握できていない。やはりつくったという方が多いわけですね。  ですから、そこら辺も含めて、流れをしっかり把握できるルールづくりをしていくということと、それから、では、機器を回収しましたといったとき、機器当たりのフロン回収量、破壊量というのもきちっと報告をさせて、それをちゃんと公開していく。公開していけば、おかしいところは非常にクリアに見えてきますので、それによって改善もできる、あるいは、自治体がそれをチェックあるいは国がチェックして、指導監督あるいは勧告その他のこともしていけるというふうに私は思うんですね。まずは、その情報がきちっと把握される、あるいはそれが公開されていく、それを公的な機関ないしは公的な委員会等がチェック・アンド・レビューをしていくということが非常に重要だというふうに思っております。
  100. 小林守

    小林委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く心から御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十三分散会