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2000-11-14 第150回国会 衆議院 安全保障委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月十四日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 高木 義明君    理事 嘉数 知賢君 理事 金田 英行君    理事 浜田 靖一君 理事 吉川 貴盛君    理事 桑原  豊君 理事 島   聡君    理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君       麻生 太郎君    下地 幹郎君       菅  義偉君    杉山 憲夫君      田野瀬良太郎君    高木  毅君       中山 利生君    中山 正暉君       仲村 正治君    西川 公也君       額賀福志郎君    林  幹雄君       町村 信孝君    松宮  勲君       宮下 創平君    山崎  拓君       米田 建三君    伊藤 英成君       石井  一君    江崎洋一郎君       大石 尚子君    岡田 克也君       首藤 信彦君    長妻  昭君       山田 敏雅君    渡辺  周君       冬柴 鐵三君    塩田  晋君       赤嶺 政賢君    山口 富男君       今川 正美君    東門美津子君       北村 誠吾君    松浪健四郎君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    国務大臣    (防衛庁長官)      虎島 和夫君    防衛政務次官       仲村 正治君    防衛政務次官       鈴木 正孝君    外務政務次官       荒木 清寛君    政府参考人    (警察庁長官)      田中 節夫君    政府参考人    (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君    政府参考人    (防衛庁運用局長)    北原 巖男君    政府参考人    (防衛庁人事教育局長)  柳澤 協二君    政府参考人    (防衛庁装備局長)    中村  薫君    政府参考人    (国土庁防災局長)    吉井 一弥君    政府参考人    (法務大臣官房審議官)  渡邉 一弘君    政府参考人    (外務省総合外交政策局長    )            竹内 行夫君    政府参考人    (外務省アジア局長)   槙田 邦彦君    政府参考人    (外務省条約局長)    谷内正太郎君    政府参考人    (大蔵省理財局次長)   白須 光美君    安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君     ————————————— 委員の異動 十一月十四日  辞任         補欠選任   宮下 創平君     町村 信孝君   谷津 義男君     米田 建三君   山崎  拓君     林  幹雄君   伊藤 英成君     山田 敏雅君 同日  辞任         補欠選任   林  幹雄君    田野瀬良太郎君   町村 信孝君     宮下 創平君   米田 建三君     松宮  勲君   山田 敏雅君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任  田野瀬良太郎君     山崎  拓君   松宮  勲君     谷津 義男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案内閣提出第一六号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 高木義明

    高木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官田中節夫君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛庁人事教育局長柳澤協二君、防衛庁装備局長中村薫君、国土庁防災局長吉井一弥君、法務大臣官房審議官渡邉一弘君、外務省総合外交政策局長竹内行夫君、外務省条約局長谷内正太郎君、外務省アジア局長槙田邦彦君及び大蔵省理財局次長白須光美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高木義明

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 高木義明

    高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。
  5. 渡辺周

    渡辺(周)委員 民主党渡辺でございます。  まず本日は、民主党として、大変長い時間、六名の委員質問に立つわけでございまして、トップバッターということでございますので、法案の基本的な部分の順次確認ということも含めながら、質疑を進めていきたいなと思う次第でございます。  先般の本会議での質疑あるいは与党からの質問にもございました。御案内のとおり、今回政府の提案された法案は、昨年の周辺事態法案の一部であった船舶検査とほぼ同様でございますが、国連安保理決議のほかに旗国同意が追加されたということが大きな変化であるわけでございます。これは基本的な部分でございまして、大変大事な問題でございまして、まず最初に、この旗国同意が追加された意味を伺いたい。  そしてまた、これによってどのような影響法案にあるのか。具体的に、我が国の行う船舶検査が、昨年の法案において想定していた船舶検査とどのように異なってくるのか。また、そもそもの目的でございます日米安保条約の効果的な運用という部分について、この寄与というものが向上したのか低下したのか、どのように変化があるのかという点について、まず第一点、お尋ねをしたいと思います。
  6. 虎島和夫

    虎島国務大臣 お答えをいたします。  これまでの国会での御審議与党間の御協議を踏まえ、何らかの事情により国連安保理決議が採択されないような状況においても、周辺事態に際して船舶検査活動実施することが必要であると判断される場合には、旗国同意を得てこれに対応する必要があると考えたからであります。  次に、本法案は、周辺事態安全確保法政府原案と大きな差異がありませんけれども、船舶検査活動の定義について次のような相違点があります。  船舶検査活動実施を要請する国連安保理決議がある場合以外でも、旗国同意を得ることを前提船舶検査活動実施が可能となっていること、当該船舶検査活動前提となる経済制裁措置については、国連安保理決議に基づくものには限定されないということでございます。  さらに、本法案は、周辺事態対応して我が国実施する船舶検査活動に関し、その実施態様手続等を定め、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的としております。  本法案においては、国連安保理決議が採択されないような状況においても、周辺事態の際に、船舶検査活動実施が必要であると判断される場合には、旗国同意を得てこれを実施することができることとされております。旗国同意を得て船舶検査活動実施することが可能になることは、本法案目的に資するものと考えております。  以上であります。
  7. 渡辺周

    渡辺(周)委員 そういう形のお答えをいただきまして、この質疑についてはこれまでも繰り返されてきたところでありますが、いわゆる旗国同意を求めるということについてちょっとお尋ねをするわけでございます。  今答弁にありましたような、前提条件国連安保理決議、これはどちらかというと受動的なといいましょうか、極端に言えば、待っていれば満たされる条件というふうにとらえることができるわけでありますが、この旗国同意は、我が国として能動的に行動することが当然のことながら必要となってくるであろう。  当然のことながら、周辺事態発生した場合、だれが船舶検査必要性判断し、旗国同意を求めるという判断を行うのか。そしてまた、周辺事態発生の前に、そこに非常に近い段階において、この必要性判断し、何らかの形で、当然そうしたことを想定した、発生前というのでしょうか、時間的に非常に切迫している状況で求めることがあるのかどうか。そしてそれはだれに対してどのような形態同意を求めていくのか。旗国同意というのは、文書声明等の明示的な表現を待つというのか、あるいは相手国に通知を行った後一定期間拒否をする通告がないというような形であった場合には同意ととらえていいのか、そういうことも同意として判断することがあり得るのかどうか。ある意味では、具体的な時期、対象、そして手段、この点につきましてお尋ねをしたいと思います。
  8. 竹内行夫

    竹内政府参考人 旗国同意に関しまして幾つお尋ねがございました。  まず、船舶検査必要性についての判断及び旗国同意を求めることについての判断についてでございますが、そもそも船舶検査活動周辺事態への対応策としまして、その実施が必要かどうかについて、我が国として主体的に判断をするわけでございます。その場合に、この法案におきましても、船舶検査活動実施については、周辺事態対応するための措置を定めます基本計画内閣総理大臣が定めて、閣議決定を得るという手続が必要でございまして、このような手続でその実施について決定がされるわけでございます。さらに、この実施に関しましては、国会の承認も必要とされるということとなっているわけでございます。  次に、周辺事態発生前に旗国同意を求めることはあるかということでございます。  この船舶検査周辺事態への対応でございますので、そのときの状況と申しますのは、我が国に対する武力攻撃はないというような状況等、これは一つの例でございますけれども、我が国の平和と安全に対する重要な影響を及ぼすような事態が生じている、こういう事態でございます。  そのような状況におきまして、船舶検査活動実施する必要があるという判断をされる場合には、当然のことながら、国際社会におきましても、そのような状況に対する問題意識は高まっているような状況でございましょう。さらには、船舶検査実効性確保するということからいたしますれば、国際社会が広くこの船舶検査活動を承認し、これに協力するということが望ましいわけでございます。  そういうことからいたしますと、まず第一義的には、安保理決議が成立するということが望ましい状況であろうかと思いますので、外交努力といたしましては、そのような決議が得られるような努力を行うことが必要であろうかというふうに思います。  ただし、万一、周辺事態に際しまして国連安保理決議が何らかの理由で成立していないような状況、そこで我が国船舶検査活動を行うという場合に、同意を取りつけることが必要でございますけれども、これについて平素からいろいろな、平素といいますか、事前状況におきましても、各国の理解を得ていくという外交活動というのは極めて重要なことだろうと思います。そのような外交努力を払って、多くの理解を得るように努めるということが重要であろうと思います。  次に、だれに対してどのような形で旗国同意を求めていくのかというお尋ねでございました。  この法案におきましては、旗国同意を取りつける手段につきましては限定しておりません。これは、国際法上、このような場合の合意の取りつけ手段につきまして、規則とか先例慣行といったものがまだ確立しているということは言えないわけでございまして、その手段についても限定されていないという国際的な現状を踏まえたものでございます。  しからば、旗国同意を具体的にいかなる方法で得るかということにつきましては、今のような状況を踏まえますと、個別具体的な状況に応じて異なるものと考えますので、これこれと確定的なことを申し上げることは困難でございますけれども、ただ、例示的に申しますと、例えば、関係国の間であらかじめ合意をしておく、そういう状況が起こったときに複数の国で合意をするということもございましょう。さらに、多くの国と折衝いたしまして、二国間で同意を取りつけるというようなこともあろうかと思います。また、形式にしましても、例えば関係国の間で国際約束を結ぶ場合もございましょうし、また関係国から同意を外交的に取りつけるというようなことで、その意思が明確にされるというようなこともあろうかと思います。  次に、旗国同意についてのまたさらなるお尋ねでございますけれども、この同意の取りつけの形式とか手段につきましては、先ほど申しましたとおり、一般国際法上の規則とか先例慣行があるわけではございません。したがいまして、一般的なことで申し上げれば、対象となります船舶旗国我が国による検査同意しているということが明確に判断できるという状況が必要でございまして、そういうことであれば、船舶検査活動を行いましても、国際法上その旗国との関係で問題が生ずることはないということになるわけでございます。  しかし、他方におきまして、現実状況を考えてみますと、周辺事態というような状況でございます。そういうような状況において、我が国船舶検査活動実施する場合には、国連安保理決議があればそれは問題ございませんけれども、そうでない場合の同意の取りつけ方ということにつきましては、重々慎重、周到を期すということが必要であろうと思います。したがいまして、確実を期すという必要性から考えますと、現実には、国際約束であるとか、さらには明確な同意の意図を表明いたします口上書といった外交文書を取りつけるというようなことが考えられると思います。
  9. 渡辺周

    渡辺(周)委員 大変御丁寧に答弁をいただいたかと思います。  時間がちょっとあれですので、幾つかまだ質問を続けなければなりませんが、今、この旗国同意部分で御答弁幾つかございました。  いずれにしても、これからその手法については詳細な検討というものを当然していかなければならないだろうと思うわけでございまして、ある意味では事前条約であるとか協定等の形で同意を得られるような形をとるというような意味にとったわけでございますが、そういうことで、今後法案成立検討していかれるのかどうなのかということにつきまして、重ねて御答弁をいただければと思います。それを聞いた上で、また次の質問に移りたいと思います。
  10. 竹内行夫

    竹内政府参考人 関係国同意を取りつけるに当たりましては、これは個々周辺事態状況によって関係国も異なってくるわけでございます。それに同調する国というのも、それが予想できる国及びそれに対して慎重な国ということもありますでしょうし、それぞれの国の判断というのは、その時々の周辺事態態様、性格、重要性重大性、自分の国との関係といったことによって個別に判断されるのであろうと思います。したがいまして、あらかじめ包括的な、一般的な国際約束をつくっておくというのは現実には合わないかなという感じはいたします。したがいまして、その個々状況が生じた際に、関係国協力を求める、それのためには、その状況に関します理解を十分に得て協力を求めるという外交努力が必要であろう、こういうふうに考えます。
  11. 渡辺周

    渡辺(周)委員 いずれにしても、今御答弁をいただきまして、まだ議論を深めたい部分がございますが、時間があと半分もございません。また肝要なところについてお尋ねをしたいわけでございます。  今お話しありました、旗国同意を結果として得た上で、当然国連安保理決議、もしくは得た上で実際の船舶検査活動に入っていく。この船舶検査活動に入った場合に、検査態様の最も核心部分である乗船検査を行うためには、さらに船長等同意が必要であるということになっております。  これは、船舶検査活動実効性という点を考えてみますと、実効性は担保できるのだろうかということが一点、大変懸念されるわけであります。  昨年一月の国会審議におきまして、当時の高村外務大臣は、同様の質問に対しまして、逃げてしまうのであれば仕方がないというようなニュアンスのことを御答弁されたと思いますが、そのような状況というのは今回もそのままであるのかということでございます。その点について御答弁をいただきたいと思います。  また、仮に旗国同意を得た後に国連安保理決議がなされたような場合であっても、船長等同意がなければ、それでもやはり乗船検査は行わないということなのかどうなのか、この点についての確認お尋ねをしたいと思います。御答弁いただきたいと思います。
  12. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答えをいたします。  一つは、乗船検査を行うに当たってさらに船長等承諾が必要ということで、実効性が担保できるかというお尋ねでございます。  当該検査対象旗国当該船舶船長等が異なる判断をするということは一般には想定しがたいと思うわけでございますが、仮にそのようなことがあれば、我が国が行う船舶検査活動船長等承諾を得て乗船検査を行う、こういうことにしてございます。したがいまして、承諾が得られない場合にはそのような検査は行い得ないということになろうか、このように思っております。そのようなことが仮に生じますれば、直ちに旗国に通報して是正を求めるというようなことがあろうか、こう思います。  それから、昨年のガイドラインの関連法案審議に際して、逃げてしまうのであれば仕方がないと思うというような答弁、現在も同様かというような認識のお尋ねでございますが、検査対象船舶検査を無視あるいは逃走するような場合には、法案別表に掲げてございます具体的な行為を適切に組み合わせるというようなことで対処する、そういうことになるわけでございますが、我が国としては、船舶検査活動として法案別表に規定される態様以外の行動をとることは考えておらないということでございます。  そんなことを考えてみますと、諸外国の実績等にかんがみて、検査対象船舶検査等を無視して、あるいは逃走するケースは極めて例外的な場合であろう、このように思うわけでございますので、実質的には、我が国が行う検査活動は有効に機能している、このように考えております。  それから、三つ目お尋ねでございます、旗国同意を得た後に安保理決議がなされた場合であっても云々というようなお話でございますが、我が国が行う検査活動は、船長等承諾を得て乗船検査等を行うこととしておりまして、その承諾が得られない場合には、そのような検査は行わないということでございます。先ほどお話ししましたように、そのようなことが生ずれば、直ちに旗国に通報して是正を求める、このような動きになろうかと思います。  以上でございます。
  13. 渡辺周

    渡辺(周)委員 もう一回御答弁をいただきたいのですが、政務次官、例外的なことが起こった場合について、これはいかなる形態でどういうことが起きるかということは、その場、その状況によって幾つかの可能性が、非常にまれなケースであっても想定をされるわけでございます。そのいわゆる例外的なことが起こった場合、今そういうことはないであろうと言いながらも、例外的なことが起こった場合はどうなのか、その辺を具体的にお答えいただければと思います。
  14. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 例外的にいろいろなことが想定されるのではないか、こういうお話でございます。  こういう検査活動に際して、これを無視したりあるいは逃走したりする、仮にそういう船舶が生じましたときには、我が国実施する船舶検査活動による対応に限られるということでは必ずしもなく、他国の検査実施船舶による対応あるいは旗国または交易国等による対応ということも関連して当然考えられるわけでございますので、そのような全体としての対応経済制裁実効性というものは確保されるのではないか、そのように考えておるところでございます。
  15. 渡辺周

    渡辺(周)委員 いずれにしましても、経済制裁実効性を高めるための法案でございます。そして、本来の法の目的でもございます、いわゆる安保の実質的な向上といいましょうか、寄与する部分ということについての法案でございます。いずれにしても、その段階で、一つ手段としてどのような形を我が国がとれるのかというのは、これからもまだ検討の余地があるのかなと思いますので、ぜひこの点につきましても、まだ後ほど同僚委員からも恐らく質問があろうかと思います。  この部分について、もう一つ踏み込んでちょっと考えてみますと、船長等乗船検査同意をしない場合、あるいは乗船検査には同意をしても航路等の変更の要請に応じない場合、法案では、応じるよう説得を行うとしているんですけれども、この説得というのは、具体的にどのような行動を指しているのか。例えば、言語による、言葉による意思の疎通、コミュニケーションがままならない場合も想定されるわけでありますけれども、細かいことかと思われるかもしれませんが、言語以外の説得手段の有無も含めて、具体的にこの点について説明をいただければと思います。
  16. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 いろいろと相手船舶との間のコミュニケーションのとり方というような、そういう具体的なことだろう、このように思うわけでございますが、その現場での状況ということが一概になかなか言い切れないところがあるわけでございますので、私ども、有効な実施をするに際して、語学に堪能な隊員を乗船させるというような、そういうことを考えているところでもございますし、また別表七の項に従って説得を行う、こういうことになるわけでございますが、必要と考えられる限度において、それとの絡み合いの中で、当該船舶に対して接近追尾等、具体的な行動をとるということも考えられるのではないか、このように思っているところでございます。
  17. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今お答えがあったことからいいますと、当該船舶に対して接近追尾伴走及び進路前方における待機を行うことという形で、一種の威嚇行為というのでしょうか、そういうふうにしむける。しかし、これを行うに当たりましても、応じない場合、具体的にアクションとしてどこまでできるのかということについても、もう少し具体的に御答弁をいただきたいと思います。  そしてまた、実際このコミュニケーション、やりとりの中でどういう手法が使われるのか、もうちょっと具体的に、ぜひお答えをいただければと思うのです。この説得という言葉、非常に広くとらえられる部分であろう。そして、その場面場面のいわゆる説得という行為と、あるいはその旗国との対応、あるいは交易国との対応も含めてのいわゆる説得というのは、どういうふうな形でとらえていけばいいのかということにつきまして、御答弁をいただきたいと思います。
  18. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 繰り返しになるわけでございますが、船長等乗船検査に応じない、承諾しないという場合には、これは結果的には検査は行い得ないということになるわけでございますが、コミュニケーション手段としていろいろなやり方があるだろうと思いますし、これから具体的に、さらに内容について、法律施行の前、いろいろと訓練等を通じて、いろいろなやり方があるということを確認しながら、適切な対応をとれるようにしていきたいというふうに思っているところでございます。  また、先ほどの別表七の中で、接近追尾伴走あるいは進路前方における待機といった、言葉コミュニケーション以外の対応の組み合わせということが考えられる、こういうことでございますので、そういうことを踏まえて、十分に説得の効果が上がるような手だてを、今後ともまた細部検討をしていかなければならないのではないか、このように思います。
  19. 北原巖男

    北原政府参考人 お答え申します。  ただいま、政務次官が御答弁されたとおりでございますが、若干技術的な面につきまして、御答弁申し上げたいと思います。  先生御指摘のように、コミュニケーションは大変大事でございまして、言語による障害等がある場合もございます。そういった場合には、私ども、国際信号書による通信等も行うことにしております。例えば、旗でございますが、旗旒信号、これは国際信号旗を使用して意思を伝達したり、またモールス符号を使用いたしました発光信号ですとか、さらには同じくモールス符号を使用いたしました音響信号あるいは手旗、徒手など、いろいろ組み合わせまして、船長の説得に努めていきたい、そのように考えております。
  20. 渡辺周

    渡辺(周)委員 次の委員の時間もございますので、私だけが質問することができませんが、今いろいろ細部にわたって、まだまだお尋ねしたい部分もあるわけですが、一つ最後にお尋ねをしたいと思います。  いわゆる国籍不明船というものが存在した場合、この周辺事態発生をした、そして、国連の安保理の決議がない状態で、本法案に基づいて防衛庁長官実施要項に定めた実施区域、ここを国籍も船の種類も不明なものが航行しているといった場合に、この対応はこの法案によってどうできるのか。もっと言えば、この法案によるそうした場合の限界といいましょうか、どこまでができて、どこまでができないのかということにつきましてお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
  21. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 国籍等が不明な船舶に対して、こういうことでございます。  本法案に基づく検査活動につきましては、国籍とか船種、こういう不明な船舶に対して考えられますことは、まず、国籍等について具体的に照会をすること、こういうことを通じまして国籍等を明らかにした上で、法案に従っての手順で具体的な検査活動に入る、こういうことだろう、このように思います。
  22. 渡辺周

    渡辺(周)委員 終わります。
  23. 高木義明

    高木委員長 次に、首藤信彦君。
  24. 首藤信彦

    首藤委員 民主党首藤信彦です。  幾つか基本的なことからまずお聞きしたいと思うんですが、十一月十日の安全保障委員会において浅野次官の答弁を聞きますと、航空機を空中で検査することは非常に困難である、そういうようなことを述べられているわけですが、この船舶検査法案は航空機を対象としているのかどうかということを、まず基本的な問題として防衛長官にお伺いしたいと思います。
  25. 虎島和夫

    虎島国務大臣 先ごろの安全保障委員会の浅野外務政務次官答弁については、私ども、同感であります。  いずれにしろ、防衛庁としても、船舶検査活動実施とともに、国内法令等に基づき行う禁輸措置及び取り締まり活動等により、経済制裁実効性確保していくことが重要であるというふうに考えております。
  26. 首藤信彦

    首藤委員 ちょっとしっかり答えていただきたいんですが、この船舶法案は航空機も含むのか含まないのか、簡単に答えていただきたいんですが。
  27. 虎島和夫

    虎島国務大臣 含まないということであります。
  28. 首藤信彦

    首藤委員 私は、国連によって行われた経済制裁というもの、三件大きなものがございますが、そのいずれもその内部に入って、経済制裁というものがもたらす被害というものに対してつぶさに研究したことがあります。  ハイチ制裁に関しては、既に艦砲射撃が始まっている、経済制裁が始まっているときに、最後の一週間に民間航空を使って入りまして、そして、最後の民間航路が閉鎖される一週間前にそこを脱出した経験もあります。  そこで、何を言いたいかといいますと、経済制裁が行われて船舶に対する検査が行われ、そして艦砲射撃が行われるような状況においても、商業航空はとまらないということです。しかも、私が飛んでいったマイアミのように、近隣諸国から非常に多くの航空機が、しかも商業航路を使って大量の物資を満載して、日用品まで含めてそれを運んでいるということです。  すなわち、経済制裁を実効あらしめるためには、船舶に対する検査だけではなく、当然のことながら、航空機に対する検査も行われなければ、周辺事態に十分に対処することはできない。したがって、これは船舶だけではなく、船舶等とすべき法案ではないかと思いますが、それについての見解を防衛庁長官にお聞きしたいと思います。
  29. 虎島和夫

    虎島国務大臣 今のところ、この法体系では考えておりませんし、その余についても結論は持っておりません。
  30. 首藤信彦

    首藤委員 私は、この船舶に対する検査法案によって日本の周辺事態対応する法律というものが包括的にカバーされるんだと理解しておりましたが、今おっしゃることでは航空機が抜け落ちている、すなわち、周辺事態においても対処することはできない。  これからまた、新たに航空機に対する検査その他を法案として提出されるつもりか否かを、防衛庁長官にお聞きしたいんですが。
  31. 虎島和夫

    虎島国務大臣 今次法案では、御承知のように、海の方の区域を定めて実施するわけでありますから、この大前提がありますので、航空機は含まないというふうに御理解いただきたいと思います。
  32. 首藤信彦

    首藤委員 それでは、来るべき周辺事態において、恐らく可能性があるだろうと思われる航空機による物資の、しかも、恐らく禁輸対象となるような物資の搬入に対してはどのように対処される予定であられるのか、防衛庁長官にお聞きしたいと思います。
  33. 虎島和夫

    虎島国務大臣 今般のこの法律もそうでありますけれども、経済制裁措置でありますから、このことによって目的が達成されないとなれば、包括的に外交対策その他を組み合わせながら、経済制裁の実効が上がるような方途を講じなければならない、この法律のらち外の話であるというふうに理解いたしております。
  34. 首藤信彦

    首藤委員 ただいまの長官の御説明は、評論家としては大変納得的な回答だと思いますが、果たして、我が国の防衛及び周辺事態を預かっている防衛庁長官としては、甚だ不十分なものだと言わざるを得ない。  危機管理及び安全保障というものは、すべての事態を想定してつくり上げていかなければならないものですから、当然のことながら、航空機に関してもそれなりの見解をお持ちだと思いますが、その点に関してはどのように対処しておられるのか、日本の安全保障を預かる防衛庁長官としての見解をお聞きしたいと思います。
  35. 虎島和夫

    虎島国務大臣 繰り返しますけれども、先ほど申し上げましたとおりであります。御意見は御意見として、承らせていただきたいと思います。
  36. 首藤信彦

    首藤委員 私は大変悲しい思いをしております。日本国の防衛庁長官が、我が国の安全保障体制において非常に大きな欠陥があるという指摘に対してそのような回答しかされておらないということは、私としては大変心の痛む思いであります。  残念ながら、時間が限られておりますので、この点に関しては、関係者の注意を喚起し、そしてこの問題に対して真摯な対処をすることを望みつつ、次の質問に移りたいと思います。  この船舶検査目的は、周辺事態、すなわち日本周辺において発生した事態において、国連安保理決議に基づいて実行する経済制裁の実を高めるということにあると思いますが、そこで、問題となっている経済制裁、英語で言うとエコノミックサンクションですけれども、経済制裁と言われるものの概念を明確にしていきたいと思います。  報復あるいは特定国を排除する目的としての経済制裁ではなくて、特定国の政策を変えようとする目的での経済制裁というのは、実は非常に新しい概念で、ほとんど成功例がない。唯一成功例があるというのが、アパルトヘイト政策を続ける南アフリカ政府への制裁であると一般に言われています。  そこでお聞きしたいのですが、国連憲章においては、この経済制裁ということが規定してあります。国連憲章においては、第六章において平和的な紛争解決を規定しておりますし、第七章において武力を伴う強制的な措置を定義しております。それゆえに、PKOと言われるものは六章半の軍隊と言われ、六章と七章の中間にある。  その六章半の軍隊の問題に関しても、国会においては牛歩戦術が行われたり、さまざまな討議が長く行われたわけですが、一体、経済制裁というのは、国連憲章の何章に定義されて、何を目的としているのか、外務大臣にお聞きしたいと思います。
  37. 河野洋平

    ○河野国務大臣 第七章の四十一条というふうに承知しております。
  38. 首藤信彦

    首藤委員 ただいま河野外務大臣がおっしゃったように、経済制裁というのは、経済という冠がついていますから、一見、経済摩擦とか経済問題というふうに考えられて、非常に軽いもの、非武力的なものというふうに考えられますが、実は国連憲章第七章に定義されているように、これは本当に武力に限りなく近い、またその影響も非常に大きなものであります。  この経済制裁の弊害というものが既に指摘されておりまして、一九九二年にブトロス・ブトロス・ガリさんが著した「平和への課題」、これの追補というものが九五年に出ました。追補の中では、経済制裁のもたらす害毒というものに関して非常な関心が払われておりまして、どういうふうにその被害を軽減するかということがここの課題となっているわけであります。すなわち、経済制裁というものはそれ自体非常に大きな重いものだということなんです。  具体的に言えば、ハイチ制裁においては、石油の禁輸が行われたために人々は木を切って、ハイチの山が丸裸になって大規模な環境破壊をもたらした。イラクにおいては、国連機関によって主張されているように、五十万人の子供たちが経済制裁によって死んでいったわけであります。これは誇張ではなく、国連機関の報告だということを追加しておきます。  そこで、経済制裁は、そうした子供たちや妊婦や老人や病人の方に被害を与えないような形で、人道的なものは通そうということになっているわけですね。では、実際に経済制裁を実行する、検査をするときにはその品目、何を検査するというのが目的となります、それは基本計画によって定める、そういうふうになっておりますが、実際、その基本計画の中では医療品などは経済制裁対象となるんでしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。
  39. 河野洋平

    ○河野国務大臣 品目等は、制裁委員会という委員会がございまして、この制裁委員会の中で判断をされるというふうに承知しております。
  40. 首藤信彦

    首藤委員 外務大臣、どうもありがとうございました。私もまさにその点を指摘したいと思っておりました。  私も、イラクの経済制裁に関して十八時間砂漠を突破して見てきましたが、実際に、医薬品というものがヨルダンからイラクの国境まで運ばれる。そこで実はその医薬品を、例えば抗生物質やワクチンを運んでいたトラックはとまるわけです。そして、砂漠に放置されている。その間に、通関書類がイラクからヨルダンにまた同じ時間かけて通り、ヨルダンから今度はニューヨークへ送られて、そして、安全保障理事会の経済制裁委員会の事務局のたった二人の人間によってその膨大な書類が一つ一つチェックされている。そして、その書類が同じような手続を通って国境まで通関のために来るのに大体二カ月かかり、その間四十度の熱砂の砂漠に医薬品がそのまま放置されている、そういうような状況があるわけです。そのような状況において実際に制裁というものは、品目をチェックすることは事実上不可能に近いというようなことを私は指摘しておきたいんです。  再度河野大臣にお聞きしたいんですが、例えば次の対象品目は果たして制裁の対象でしょうか。心臓薬、体温計、マッチ、この三つに関してお聞きしたいんですが、心臓薬、体温計、マッチ、これは経済制裁対象となるでしょうか、ならないでしょうか。
  41. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、内容は個々の事例、要請に基づきまして審査をされるわけでございますが、おっしゃるように、大変多岐にわたっているわけでございます。もちろんこうしたことがしょっちゅう起こるわけではない、起こっては困るわけでございますから、日ごろからそういうものが完全に準備されているというふうにはなっていないんだろうと思いますが。  そこで、今お話しの制裁の内容について、一つ一つの具体の品目について、私ここに資料を持っておりませんが、例えば、経済制裁というときには一般的に、査証発給の禁止、入国の制限、特定物品、サービスの提供の禁止あるいは資金の移転の禁止それから在外資産の凍結、こういったことがあるわけでございます。  そういったことが、先ほど申しました制裁委員会等によりまして、必要に応じて設置されて、その制裁委員会のもとで判断をされるということになっておりまして、今議員が御指摘になりました個別の品目について、今、どこに対してどうなっているかという具体的なことについては、ちょっと資料を持っておりません。
  42. 首藤信彦

    首藤委員 具体的な対応については結構です。ただ、私の研究からいいますと、過去に経済制裁において、心臓薬、体温計、マッチというものは象徴的な、よく言われる品目でありまして、心臓薬というのは、そこにニトログリセリンが含まれているがゆえに、心臓薬からニトログリセリンを抽出してダイナマイトをつくって戦争に使うんじゃないかといって拒否され、そして体温計には最近マイクロチップが入っていまして、それもミサイルに転用されるといって拒否され、そしてマッチは、セルビア兵がクロアチアの家に火をつけるからといって拒否された、そういう例があるのです。  かように経済制裁というものは難しい。実際に制裁を検査するということは難しい。それを、単に基本計画があるからといっても、今までほとんど経済制裁というものに対して研究が進んでいない我が国において、基本計画をつくることも非常に困難である、そういうふうに思うんですね。  このようにしつこく聞いたのはなぜか。それは、経済制裁という言葉を簡単に使うけれども、実際は、経済制裁決定する国連安保理の事務局自体にも経済制裁の分析もその管理能力もないということなんです。そして、周辺事態においては、私たちの目の前で、国境というか海峡を隔てた、日本海を隔てた向こう側で、経済制裁を行ったことによってたくさんの人たちが死んでいく、そういう状況が起こるということを想定しながら、国連の安保理決議があるからといってだけ、経済制裁をそのまま私たちが実行していいものかどうか、そしてそれの実効をあらしめるために船舶検査をしていいのかどうかということをお聞きしたいんです。  私は、この法案の根本的な欠陥は、旗国主義にあるんではなくて、安保理の決議それ自体にある。すなわち、安保理の決議だけではなく、要するに世界の、北東アジアとほとんど関係ない、目の前の惨状がわからない人たちが漫然と決議するだけじゃなく、目の前にある私たちの問題、まさにこの法律が対象としている周辺国の問題があることに関して、安保理の決議ではなく国会決議がこれには必要だ。国会決議というこの文言がない。私たちがこれを決めるんだ。安保理だけではなくて、目の前に起こるかもしれない、五十万人も百万人も子供たちが飢えていく、たくさんの人たちが心臓薬がないために死んでいく、たくさんの人たちが麻酔薬がないために骨折のまま死んでいく、こういう状況を考えて、私たちは国会でそれを決めていかなければいけない。したがって、国会決議ということこそこの中に含まれるべきではないですか。外務大臣、いかがでしょうか。
  43. 河野洋平

    ○河野国務大臣 こうした問題について特定の国が特定の国に対して一国の判断で決めるということにつきましては、今議員がおっしゃるような側面もあるいはあるかと思いますが、一般的に言いまして、国連という国際社会全体に目配りのできる、国際社会を代表する唯一の機関が判断してこそその普遍性がある、正当性があるということを国際社会全体が認めるわけでございまして、一国の判断で決めたのでは、国際社会全体がその決定判断を認めるということになかなかならないという問題があると思うんです。  したがって、もちろん、近くで見ている人はよく見える、それは私は議員の御指摘は一つの側面であろうと思いますけれども、国際社会全体が納得し得る、国際社会全体が受忍義務を負う、そういう問題はやはり国連の場で決めるということが必要になってくるということだろうと思います。  余計なことを一言つけ加えるわけでございますけれども、経済制裁というのは、まさに今議員がおっしゃったように、一般市民を巻き込む、あるいは一般市民に、経済制裁の結果、大きな被害といいますか、影響が出てくるということは避けなければならない。つまり、制裁を受けるべき者はだれか、受けるべき者にきちっと制裁がなされなければならないわけでございまして、そのためにはどういう方法があるかということについては、私の知る限り、今国連内外でさまざまな議論が行われているというふうにも私は承知をしております。
  44. 首藤信彦

    首藤委員 この問題は、私は、この法案全体に関する致命的な問題だと思っています。ただし、この問題だけで今審議を深めるということは、ほかのこの法案の持っているさまざまな問題というものに対する質疑をおくらせるということになりますから、この問題では注意を喚起して、関係部署の研究を深めていただきたい。必ずこの問題は問題化し、なおかつ実行に当たっては大きな障害要因となってくるだろうということを、今のこの時点では申し述べさせていただきます。  次に、検査実務について、今まで言われていない点をちょっと防衛庁長官にお聞きしたいのです。  この検査対象は恐らく民間の船舶、商船などになると思います。そうすると、舷側に寄せていったときにぶつかる可能性がある。ぶつかったときに破損する可能性がある。そうすると、当然のことながら、民間の商船でありますから、これは損害賠償の対象となる。  第一点、これに対する損害賠償あるいは保険的な手当てをしているのか、できていないのか。  第二点、日本海でそういうことが起こると、悪夢として私たちの頭の中に残っているのはナホトカ号の石油流出事件です。今そういう老朽タンカーが日本海を通ったりしているわけです。それに接舷したときに、当然のことながら、それが破損し、そこから大量の重油が流れ出す可能性もある。同じように、周辺事態があると、放射性物質がそこに積まれている可能性もある。こうした二次汚染が発生した場合の損害賠償措置をどのように考えられているのか。  それからさらに、もっと言わせていただければ、周辺事態が予想されるような事態では、危機管理の立場からすると、当然のことながら、商船側の自爆行為もあるということです。それは、積み荷を隠すため、あるいはそれ以外の目的を持って船を自爆させる可能性がある。そうすると、長官がお乗りになっている「しらね」でも、たかだか三センチとかその辺の装甲だと聞いておりますけれども、果たしてそうした自爆行為があったときに我が国検査船を守る体制はあるのか。その点に関して、虎島防衛庁長官の御意見をお聞きしたいと思います。
  45. 虎島和夫

    虎島国務大臣 今の御質疑は、損害を与えた場合というのは、二つの例を提示されたと思うのです。一つは、検査をやっている当該船舶に損害を与えて、そして、それが場合によっては二次災害を起こした場合。もう一つは、それらの原因でないことによって、海洋が汚染されるとかいろいろなことで損害が起こった場合にどうするかという御指摘のようでしたけれども、これは、対象船舶に損害を与えた場合の賠償とか、あるいは先ほどの二次災害というかそういうこと、全く千差万別でありますので、いずれにしろ、現状では、自衛隊の過失により対象船舶に与えた損害については、個々の事案の具体的事情等を踏まえて適切に対応するという、この御説明で御理解いただきたいと思っております。  ただ、当該船舶との間は、先ほど御指摘ありまして、我々も法案の中で説明してありますように、国連安保理決議であるとか、あるいは旗国主義による当該国の同意であるとか、さらに、船長等の承認と申しますか、承諾と申しますか、これがあるわけでありますから、トラブルによる損害というのは想定しがたいというふうに思っておりますけれども、起こった場合は、今申しましたように、個々の事案により具体的な事情等を踏まえて適切に対応するというふうにお答え申し上げておきたいと思います。
  46. 首藤信彦

    首藤委員 最後の質問というのはちょっと十分に答えていただいていないと思うのですが、それは、自衛艦の艦船のリスク、そしてそこに乗っている乗船員のリスクということも指摘しているわけですね。  先日観艦式が行われまして、大変勇壮な観艦式でございました。虎島長官もおられまして、本当に立派な観艦式であったと私も感動いたしました。  ただ、一つ驚いたことは、虎島長官と同じ船に森総理も乗っておられた。これは、私は長年危機管理問題をやっておりますが、こんなことで日本の危機管理というのはできるのかどうか。  例えば、その「しらね」に私たちも乗るのに市谷から飛んでいく予定でしたが、市谷からはヘリコプターが雨のために飛ばない。そのようなちょっとした悪天候でもヘリコプターは飛ばなくなるわけですね。そういうときに長官と総理大臣が同じ船に乗って何時間も洋上にあるということは、危機管理上いかなるものか。  それから、もしそのときに船が接触して沈んだり、あるいは、どうしてもすぐ総理が危機管理室に入って緊急対応しなきゃいけないときに、どしゃ降りでヘリコプターも飛ばないという状況においては、一体いかなる危機管理体制をとっておられたのか。長官の御説明をお願いしたいと思います。
  47. 虎島和夫

    虎島国務大臣 まず最初に、観艦式を大変御評価いただきまして、長官として心から感謝申し上げます。  それから、総理大臣と一緒におったということが危機管理上問題ではないかという御指摘でありますけれども、総理大臣は観閲責任者でもありますし、私はそのそばにおって説明をするという立場であります。  現在の複雑な社会情勢ですから、必ずしも大臣と長官が一緒にいるということが悪いとばかりも言えないような状況もあると思うのです。例えば、一方が外国におったとか、一方がまた難しい事態対応しているとかということ等もありますので、それらについては、事故があった場合にはちゃんと有事即応態勢というのは防衛庁としても考えておりましたので、どうかひとつ御理解いただきたいと思うわけであります。
  48. 首藤信彦

    首藤委員 私は、長官は大変人柄にすぐれている方であるということはよくわかりましたが、これでは一国の危機管理はできないと厳しく指摘せざるを得ない。何度も何度もこういう事態が起こって、あり得ないときに起こって、先ほどのナホトカ号の事件でいえば、片方でペルーの日本大使公邸の占拠事件があり、それから正月、年末年始という時期があり、そういうところで起こるわけですよ。  危機管理というのは、最悪の事態に備えるのが危機管理、そして、そこに落ち込むのをできる限り避けるのが危機管理ではないですか。それを、そういう危機管理の根本ができなくて、どうして防衛庁なのか、どうして安全保障なのか。そういう基本ができなくて、こんな船舶法なんてやっても意味ないじゃないですか。最も基本的なところができていないということを指摘しておきたいと思います。  これは、これから私が議員でいる限り強く指摘したいことで、何度も指摘したいことでありますから、きょうはここにおいてとめておきますが、この点は、防衛庁におかれましても真摯に受けとめて、真剣な対応を望みたいと思います。  最後に、時間もなくなりましたので、一つだけお聞きしたいと思います。それは、重信房子の逮捕に関する問題です。  そこで、警察庁長官にお聞きしたいんですね。日本では、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の問題に関して、拉致疑惑であるとか、不審船であるとか、特殊工作員の海岸からの潜入であるとか、日本の安全保障はこういう人によって侵されている、こういう議論が毎日あるではないですか。  一方、世界で、あの有名なカルロス、アブ・ニダルと並び称される、重信房子なるテロリストの親玉が、日本の中に入ってきて、そして大阪に拠点を設けて、そして何度も北京を往復して、北京というのは、御存じでしょう、日本赤軍の人たちが捕まって、必ず北京に行っているということがパスポートでチェックされている。北京に行っているというのは何を意味しているのかわかっているでしょう。  そういうような状況を考えると、一体今までのは、ここで論議していた拉致問題って一体何だ、不審船って何だ、北からの脅威とは何だ、ミサイルの問題とは何だ。私たちの住んでいるその都市の真ん中にリスクそのものが、脅威そのものがあるんではないですか。そういうことがどうして警察庁はチェックできなかったのか、その点をお聞きしたい。
  49. 田中節夫

    田中政府参考人 委員御指摘の重信房子の問題でございますけれども、警察といたしましては、過去に数多くのテロ事件を引き起こした日本赤軍メンバーの逮捕に向けまして、各国治安機関と緊密な連絡をとりながら、長期にわたる地道な捜査を続けました。その結果、十一月八日、大阪府警察におきまして、その最高幹部であります重信房子を発見、逮捕したところでございます。  同人の、我が国へどうやって入ってきたか、その入国の状況、さらには国内における行動など解明しなければいけない課題がたくさんございます。現在、鋭意捜査中でございますけれども、今後、こうした捜査結果を踏まえまして、テロリストなどの我が国への違法な入国、あるいは我が国からの出国につきまして、関係機関との連携をさらに強化してまいらなければならない、かように考えているところでございます。
  50. 首藤信彦

    首藤委員 私は、これは単に日本赤軍という警察上の、治安上の問題ではなくて、安全保障上の問題であるというふうに考えています。  というのは、これからの時代というのはLIC、ロー・インテンシティー・コンフリクト、いわゆる低強度、低水準紛争というものが紛争の基準になります。そこでは、国家だけではなくて、さまざまな主体がこの安全保障に絡んでくることになる。当然のことながら、ゲリラグループもテロリストグループもその中では重要なアクターになっているんです。  ですから、この問題というのは、決して逃げていた犯罪者が戻ってきて捕まえたということではなくて、安全保障上の正面業務なんです。この問題に対しての認識が極めて乏しいと言わざるを得ません。  これは、なぜ指摘するかというと、私も危機管理問題の専門家として警察の方や公安の方とも話し合うこともあります。何度も何度も指摘しました、もうこれは戻っているよ、絶対戻っているよ。しかし、その警察の方なんかが言われるのは、いや、まだ戻っていません、まだベッカー高原にいる。そして、その証拠として記事か何かを持ってくるわけですが、それは常識から考えて、もう帰ってきているというのはだれが見てもわかるわけですね。  ですから、この問題も、今までの警察という考え方だけではなく、安全保障上の脅威としてきちっと正面から向き合って対応していただきたいと思います。  最後に、この問題は外交上の接点があるかどうかを外務大臣にお聞きしたいと思います。  アメリカは、御存じのとおり、海外におけるアメリカ人の生命、財産などに危害を与えた犯罪者を国内に移送して、国内法で裁くということをずっと最近は続けています。そのために、海外で捕まったテロリストなんかもアメリカへ移送されて、アメリカで裁判を受けて終身刑になっていったりするわけですが、この問題に関して、例えばテルアビブ事件やその他の事件に関して、米国から、アメリカ国内への移送というものの要求が出た場合、日本政府はこれにどう対処するのか。一般犯罪者という形で引き渡していくのか、それとも、やはりこれは日本国の国民でありますから、きちっと日本国で裁判を受け、日本で処理していくのか。外務省としての判断を最後にお聞かせ願いたいと思います。
  51. 河野洋平

    ○河野国務大臣 ちょっと一般論でお答えすることをお許しいただきたいと思いますが、仮にアメリカからそのような請求があった場合には、今お話がありました日米犯罪人引き渡し条約及びその関係する国内法などに基づきまして、我が国として主体的に判断をしていく考えであります。
  52. 首藤信彦

    首藤委員 終わります。ありがとうございました。
  53. 高木義明

    高木委員長 次に、大石尚子君。
  54. 大石尚子

    ○大石(尚)委員 民主党の大石尚子でございます。委員長、お時間をいただいてありがとうございます。  私、実は海軍軍人の家庭に育ちまして、母も同じく海軍の軍人の家に育ったものでございますから、我が国の、特に海の守りの重要性につきましては私にとりましては三つ子の魂のようなもので、大変不勉強でございますが、関心を寄せております。  そこで、船舶検査活動に関する法律に関連して、海上自衛官がこの業務につきまして、検査活動に出動いたしたといたします。そのときに、これはあくまでも貿易その他の経済活動にかかわる規制措置でございますが、もし乗船いたしまして、そして船長さんといろいろ話し合いをしている中で、リストに上がっている品物、例えば武器に関連するものや何かが発覚いたしましたときに、船長さんが、これは経済活動の対象のものではありません、某国に貸与するものです、あるいは贈呈するものですと言われた場合に、この任務に当たっている自衛官はどう対処されることになるんでしょうか、まず防衛庁に伺いたいと存じます。
  55. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答え申し上げます。  実際の船舶検査活動に当たっている際に、具体的に何らかの武器を積んでいることが判明したような場合に、その検査に当たる隊員がどのように具体的に対応するか、そういうことかと思います。  本法案別表におきまして、船長等承諾を得ての乗船検査確認によって規制措置対象物品が積載されていないことが確認できない場合、この場合には、当該船舶船長等にその航路または目的港もしくは目的地の変更を要請するというようなことになるわけでございますが、仮に、今委員お尋ねのような状態、乗船検査によって当該物品、規制対象に該当するようなものが確認された場合には、本案の別表に基づいて、航路等の変更の要請を行うということになろうかと思います。  また、その過程で、当該要請に応じない船長等がおりますような場合、要請に応じるように説得をするということに当然なるわけでございますが、その際、必要な限度において、当該船舶に対して、別表に定めているような接近とか追尾とかというようなことをしながらということであろうかというふうに思います。  また、この実施要項を定めていく過程で、いろいろとやり方を細かく、措置対応について現場の隊員が困らないような工夫を防衛庁としては当然ながらしなければならない、このように思っております。
  56. 大石尚子

    ○大石(尚)委員 現場の自衛官がいろいろな対処の仕方に大変お困りになる、あるいは大変な危険性に直面される、そういうたぐいの法案だと思いますので、ぜひ自衛官の立場にお立ちいただいて、いろいろと御検討いただきたいと思います。  それで、この出動される、出動という言葉がいいのかどうかわかりませんが、自衛官の待遇について伺いたいのでございますけれども、検査活動に出ました場合の手当はどうなっていくのか。これは防衛庁の職員の給与等に関する法律の改正に及んでいくのではないのかと思いますが、この法律がもし今国会を通りますと、三カ月ぐらいで施行の運びになるのかと存じますけれども、もし通った場合は来年度の予算に間に合うのかどうか、その辺はいかがか。  もう一つ、それに関連いたしまして、こういうことはあってはならないことでございますが、この業務につかれたために負傷された、あるいは命を失われた、そういうような場合の賞じゅつ金に関する問題はどうなるのか。これは賞じゆつ金に関する訓令というのがあると存じますが、その第二条の改正に及んでいくのか。そこいら辺のところを伺いたいと存じます。
  57. 仲村正治

    仲村政務次官 ただいまの御質問についてお答えを申し上げたいと思います。  まず、船舶検査活動法が成立した場合、自衛隊の部隊等に対して船舶検査活動という新たな任務が付与されるわけであります。したがいまして、自衛隊の部隊等の隊員も船舶検査活動に係る新たな業務に従事することになるわけでございます。  船舶検査活動に際しては、艦船乗組員等が主体的に業務に従事することになりますが、艦船乗組員に対しては、その勤務の特殊性を評価した乗組員手当、航海手当等が支給されるようになります。  他方、船舶検査活動に際して、自衛隊の部隊等の隊員が従事する業務は、船舶検査活動周辺事態という特異な環境下において行われるのであることから、活動の内容が経済制裁実効性確保するための船舶検査という特殊なものであることを踏まえると、一般的には著しく高い精神的緊張の伴う困難の高い業務であるということが考えられるところから、一般職の国家公務員に対しては、船舶検査活動と比較的類似する、法令違反の疑いのある船舶への立入検査等の業務について、特殊勤務手当が支給されるようになります。  以上を踏まえて、防衛庁としては、今後、船舶検査活動に従事する部隊等の隊員の業務の特殊性を、給与上どのような評価をすべきかについて、詳細な検証を行っていく必要があると認識をいたしておるところでございます。  次の、賞じゅつ金に関連しての御質問でございますが、自衛隊員が船舶検査活動に係る業務に従事し、名誉と誇りを得ることができるようにする観点からは、隊員が、かかる業務を実施する上で、不幸にして殉職等をした場合には賞じゅつ金制度の対象とすることが適当と考えております。船舶検査活動法案が成立した場合には、所要の規定を整備する予定でございます。
  58. 大石尚子

    ○大石(尚)委員 自衛官の方々が任務につかれて、それで万が一のときの処遇というのはきちっと整備してあげなければいけないことだと思っております。  それで、特に私どもの島聡委員が、再三にわたり、百四十五国会あるいは百四十六国会等で、防衛出動あるいは治安出動等に対して、これは別に法律で定めるという、これは早く定めなければいけないのではないかという質問を繰り返しておられるのですけれども、この事項に関連してくるのでございましょうか、周辺事態法は。これとは別でございますか。この島委員質問に関しては、防衛庁における有事法制の研究の一環として研究を続けているという御答弁にとどまっているのですけれども、この法律とは関係なく整備できるのでございますよね。
  59. 柳澤協二

    柳澤政府参考人 ちょっと制度の技術的なところでございますので、私から御説明させていただきます。  今先生言われましたいわゆる有事給与の問題は、これは給与法にもありますとおり、別途法律でこれを定めるということになっております。これは有事という非常に特殊な条件で、非常に幅広い対応を有事というものに対して行うところの給与制度は、非常に基本的な問題から考えなければいけませんので、法律でということになっております。一方で、自衛隊法の百条系列の任務でございますとか災害派遣等につきましては、給与法あるいはその委任を受けた政令、さらには長官の訓令で、いろいろ作業の特殊性に応じた手当が現在でも二十何種類か出せることになっております。  したがって、先ほど総括次官から申し上げましたように、この関係の手当というのも勤務の具体的な内容を評価した上で改めて予算要求をしていく必要がございますけれども、私どもの今までの類似の手当との関係で申しますと、この部分については、必ずしも有事給与のような形で法律を改正しなければならないものではないだろうというふうに思っております。
  60. 大石尚子

    ○大石(尚)委員 わかりました。  それでは、いわゆる有事に関する防衛出動あるいは治安出動に関しての防衛庁職員の給与に関して、別に法律を定めて処遇していくという、この件がペンディングになっておりますので、防衛庁長官、ぜひそちらの方も力を入れて、有事立法と兼ね合わせていくのでしょうけれども、でも、いつ、そういう事態が起こるかわかりませんから、念頭に置いてお進めいただきたいと存じます。防衛庁長官の御答弁をここでいただいてもよろしゅうございますか。
  61. 虎島和夫

    虎島国務大臣 いろいろと、自衛隊員に具体的にはなると思いますけれども、処遇について御配慮いただく御発言を承っておりまして、大変ありがたく存じております。  私どもも、今答弁をいたしましたように、この法律に関しては、法律を御承認いただけば、直ちに必要な改正を行う、措置を行うという気持ちでおります。そしてまた、先般からもこの委員会でも私はたびたび申し上げましたけれども、今の自衛隊員の処遇については、やはり現代に適合するような、新しい職務に適合するようなことを含めて、次期防衛力整備計画の中で、これは来年度から始まりますから、この中でも集大成を期してやろうということで、今検討を加えておることを申し上げておくわけであります。  いずれにしても、これらのことについては、国会における御審議、国民の、世論の動向等を踏まえなければならぬ問題もありますけれども、できることは速やかに実行していきたい、このように思っておるわけであります。
  62. 大石尚子

    ○大石(尚)委員 ありがとうございます。  続きまして、細かいことでございますが、私は、ペルシャ湾に掃海部隊が出動されたときにペルシャ湾に行ってまいりました。それから次いで、PKOの初仕事として陸上自衛隊の方々等がカンボジアにいらしたときも現地に行ってまいりました。  そこで、ちょっと不思議なことに気づいたのでございますが、カンボジアに出動していらっしゃる方々が、タケオで、きょうは任務につかなくていいという休日には手当が出ていなかったのでございます。それから、その後、ゴラン高原のPKOに出動される方々を対象とした政令を拝見いたしましても、これは、業務に従事した日一日につき幾らという手当の規定で、業務につかない日はこれは出ていない。たとえ向こうできょうはその業務についていないといっても、大変危険性をはらむPKO活動でございますから、例えば海上自衛官の方々が船に乗って母港から出動されて、また母港まで帰ってくる、ここは船の特殊事情もございましょうが、当然航海手当がついているわけでございますから、陸上自衛隊のPKO等に参加して外地勤務をなさる方々の休日も、やはり手当の対象にしてあげたらいいのではないかと存じます。  これに関しては、御答弁いただいていると時間がなくなりますので、ぜひこういう細かいことにも十二分に御配慮くださって、また防衛庁長官は隊員のそういう処遇についても大変御理解のある長官と伺っておりますので、よろしくお願いいたします。  日本の自衛官の方々は国際的に大層いい活動をしてくださっております。特に、多国籍の軍隊の方々から日本軍として遇されて、そして服務のあり方等々大変すばらしいと評価を受けておられます。したがって、国際的にも、先進国等々と横並びにきちっと処遇してさしあげるということ。  それから、自衛官の身分は、これは特別国家公務員、私どもと同じようではございますが、唯一、職務につかれるときに宣誓をなさっておられます。「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、」こういうことを宣誓しておられる方々ですので、そこは普通の国家公務員あるいは特別国家公務員と違う、命をかけておられる方々ですので、そこはきちっと処遇してくださるよう要望させていただきます。  これに御答弁いただきたいのですが、持ち時間が押しておりますので、続きまして、今度、同じ自衛官の方々の都心の災害出動に関しましてお尋ねさせていただきたいと存じます。  六本木に防衛庁がございました。その防衛庁が市谷に移転されました。そのために今どういうことになっているかと思いますと、市谷に駐屯しておられた普通科部隊というのでしょうか、これは、要するに、何か都市に大変な災害が起こった、関東大震災のような地震が起こった、あるいはこの前のサリン事件、テロが発生した、こういうときに出動してくださる、その第一線に国民を助けに行ってくださる部隊でございます。この部隊が、防衛庁が市谷に引っ越されたために分散されて、朝霞とか十条とかそちらの方に移っていらっしゃるはずなんでございます。結果的にどういうことになったかと申しますと、山手線の内側、いわゆる日本の中枢を掌握している、日本国の中心部、いわゆる東京都の中心部のところにそういう普通科連隊の自衛官の駐屯地がなくなっちゃったのでございます。  それで、もし何かあったときに周辺から駆けつけてこられることになるわけでございますが、それには時間がかかる。それから、そこに常駐していらっしゃるということで、大変私どもは安心できる。特に、この首都圏の防災のことを考えますと、自衛官の方たちがそこにいてくださるということは、国民にとっては安心感にもなります。それから、国家の中枢部を守るということからしても、そういう部隊が周辺に移動していってしまって、それでよろしいものかどうか、そこはいかがなものでございましょうか。
  63. 虎島和夫

    虎島国務大臣 お説のようなことに相なっておるわけでありますが、何と申しましても、都心部には、あれだけの部隊を収容するのには広大な土地が要ります。したがって、土地を保有することがもうほとんど不可能に近いというようなことから、あるいは不可能といいましょうか、そういうことで、今のような措置をとったわけでありますが、災害派遣態勢の充実強化が必要ということは十分考えておりますし、私としても、都市部での災害を含むさまざまな災害への対応、有事即応態勢については、初動の発出を速やかにやるとか、いろいろなことで検討を加えつつあるわけであります。そのことを命じてもおるわけであります。  この間も、実は、東京都と共同しての災害訓練を行ったわけでありますけれども、最近とみに、地方自治体の方からそのような御要請が高うございますので、地理的には離れたけれども、運用上カバーできるというような確信を持っておるわけであります。  また、先般の東京都の災害の訓練については、私もこの委員会で申し上げましたように、関東南部大震災を想定した、そういう初動出動の計画もあるわけであります。それらを下敷きにしてやったわけでありますけれども、そのようなことで、運用上あるいは機材の整備等々、機動力の発揮には遺憾なきを期して、御指摘のような御心配が生じないように、御心配のことが現実に起こらないように、万全の措置を期していきたいと思っておりますので、御理解と御協力をお願いいたしたいと思います。適切に処理する覚悟であり、それの態勢を整えておるということを御理解いただきたいと思います。
  64. 大石尚子

    ○大石(尚)委員 それでは、ちょっと急ぎます。  もしこの都市に大震災が起こったといたしますと、大体二万二千人ぐらいの死亡または重傷者が予想されるということがございます。それで、特に港区、千代田区は昼間人口が多いところで、それから港区の六本木かいわいは、今六本木の再開発もございまして、また人口が集中してまいります。  そこで、これはぜひ皆様に考えていただきたいんですが、都心に二万坪の更地ができるなどということは、これはもうないことでございます。そこで、私は、六本木の防衛庁跡地、これは今は大蔵省が普通財産として管理しておられるようですが、ここはぜひ、民間に売却したりなさらないで、そして、朝霞へ行ってしまった部隊が、もし駐屯地がないのであるなら、再び防衛庁でその一部でも買い戻しなさってそこに駐屯される。  そして、そこには大変立派な、九十億円もかけてつくった、まだ十数年きりたっていないと思います、地下の司令所がある。指揮所というんでしょうか。それは、とにかく何かに転用できるはずでございます、備蓄倉庫とか。あるいはその他の場所にも使える。それで、あの防衛庁の庁舎を取り壊すのも大変お金がかかることでございましょうが、地下の施設を取り壊すのもこれは大変お金のかかることでございます。税金をそれだけ投入してつくったものでございますから、何か転用を考えたらいいのではないか。  そこで、これは東京都とも十分に御相談くださって、あそこの二万坪は、都心にこれから買おうと思っても買い得ないところを大蔵省が持っていらっしゃるわけですから、防災、国民の安全を守るために国土をどう使っていくかというような国土庁のお立場からも検討されまして、これはぜひ、再開発に売るのではなく、考えていただきたい。大事な国有財産ですから、特特会計等のいきさつはよくわかっておりますけれども、皆様で御協議いただいて、政治的な決断で、国民の防災の拠点としてあちらを使えるように再考していただけるよう、皆様方にお願いしたいのでございます。  きょうは大蔵省並びに国土庁からも来てくださっておりますので、一言だけで結構でございます、防衛庁に加えて御答弁いただければ幸いでございます。
  65. 虎島和夫

    虎島国務大臣 御発言の中にもありましたように、この地は現在大蔵省の所管になっておるわけでございます。再開発地の計画、都市計画の決定については昨年八月に大蔵省、東京都及び港区の三者による協議会が発足し、協議が行われておるところであり、再開発地区計画案を作成中というふうに私どもは承知しております。  そこまでが私どもの所管で知り得た範囲でございますので、御理解いただきたいと思います。
  66. 吉井一弥

    吉井政府参考人 先生御指摘のとおり、六本木の防衛庁の跡地は都心に位置します極めて重要な国有地であると存じております。その利用計画につきましては現在東京都等で作業が行われておりまして、その利用計画は都市計画として定めるべく検討が行われていると承知しておりますが、その利用計画を定めるに当たりましては、防災の観点ももちろん極めて重要な観点だろうと存じますが、そのような観点も踏まえつつ、広域的な都市整備あるいは町づくりというふうな観点から総合的に検討が行われるべきだ、そのように考えております。
  67. 白須光美

    白須政府参考人 御説明申し上げます。  先生から御指摘があったとおりでございますが、防衛庁の檜町の本庁舎跡地につきましては、昭和六十三年度来、特定国有財産整備特別会計、いわゆる特特会計というところで市谷その他の施設の整備を、これは資金運用部からの借入金で行っているわけでございますが、それで整備をいたしまして、本年の五月に市谷の方に防衛庁本庁舎が移転されたところでございます。  この特特会計そのものにつきましては、何分にも借入金で賄っているものでございまして、この返済につきましては跡地の財産を処分してこれに充てるということでございました。六十三年来やっているところでございまして、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。  なお、檜町の売却という点につきましても、ただいま国土庁からも御答弁ございましたように、これにつきましては平成十一年六月の国有財産関東地方審議会におきまして、単に素地で処分していく、いわば切り売りしていくということではなくて、一体といたしまして、オープンスペースとか、あるいは都心型住宅、公共公益機能、そういったようなものをまとめました都市計画に基づきまして、一体としての適切な処分をしていくことが適当ということで、現在、東京都、また港区の方と協議を行いながら、都市計画の決定におきまして作業を進めているところでございます。
  68. 大石尚子

    ○大石(尚)委員 時間になりました。どうぞ、今御答弁くださいましたお二方の方々、ぜひ大臣に私の思いをお伝えくださいますようにお願いして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
  69. 高木義明

    高木委員長 次に、長妻昭君。
  70. 長妻昭

    ○長妻委員 民主党の長妻昭でございます。  船舶検査活動法について中心にお伺いをいたします。  まず外務大臣に、集団的安全保障、この考え方はどういうものか、簡潔にお答え願います。
  71. 河野洋平

    ○河野国務大臣 正確にお答えしたいと思います。  集団安全保障とは、平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為発生したような場合に、国際社会が一致協力して、このような行為を行ったものに対して適切な措置をとることにより平和を回復しようとする概念でありまして、国連憲章にはそのための具体的措置が規定をされているものでございます。
  72. 長妻昭

    ○長妻委員 今回法律が出ております船舶検査活動法、これは今言われた集団的安全保障措置の一環でございますか。外務大臣、お願いします。
  73. 河野洋平

    ○河野国務大臣 まず、国連安保理決議がある場合の船舶検査活動でございますが、国連憲章第四十一条に基づく経済制裁実効性確保するための活動といたしまして船舶検査実施を要請する国連安保理決議に基づき行われる国連憲章第七章のもとの措置であって、国連の集団安全保障措置の一環と位置づけております。
  74. 長妻昭

    ○長妻委員 集団的安全保障措置、これは基本的には安保理の決議がある、こういう大前提がある措置であるという理解でよろしいのでございますか。一言。
  75. 河野洋平

    ○河野国務大臣 そのとおりでございます。
  76. 長妻昭

    ○長妻委員 そういたしますと、この法案船舶検査活動法、これは安保理の決議がある場合は今言われたような集団的安全保障の枠内、当然、周辺事態とか日米安保の効果的運用とか、いろいろ前提はございますが、そういうことで理解を私はいたします。  ところが、今回新たに、安保理の決議がなくても、旗国同意のみでもこの活動ができるというような法律案になっております。  この旗国同意のみの場合、安保理決議がない場合は、これは集団的安全保障措置で、そういう解釈でこれをやるのですか。あるいは、そうでなければどういう解釈でやるのか、外務大臣お答えをお願いいたします。
  77. 河野洋平

    ○河野国務大臣 安保理決議が存在しない場合に、この法案に基づいて行われる船舶検査活動は国連の集団安全保障措置の一環とは位置づけられませんが、いずれにせよ、旗国同意を得て行われるものであるわけでありますから、国際法上の問題はない、適法な活動であるというふうに考えられます。
  78. 長妻昭

    ○長妻委員 私は、今のような発想というのが日本の安全保障論議をおくらせている一つの問題点だというふうに考えております。  確かに、旗国主義で、国家間で、ある意味では取り決めをして活動する、これは国際法上は問題がないかもしれませんが、こういう活動は単なる行政事務ではありませんで、当然危険なことも発生する可能性というのは否定できないわけであります。そして、自衛隊、艦船が公海上に出てやる措置でありますので、やはり日本の国としてきちっと、こういう活動はこういう考え方の中で、個別的自衛権の範疇なのか、あるいは集団的安全保障の範疇なのか、憲法では行使は認められておりませんけれども集団的自衛権の範疇なのか。この三つの範疇以外で危険なところに自衛隊が行って何か作業するというのは慎むべきじゃないかというふうに私は考えております。  あるいは、旗国主義だけでやるのであれば、それをあるいは政府の中で理論を組み立てて、集団的安全保障の枠内で旗国主義だけでもできるとか、そういうような何か裏づけがないと、今の外務大臣の御答弁だけだと、こういう活動の国家間の取り決めだけで艦船が危険な作業の可能性もあるところで作業するわけでございますので、きっちり決めていただきたいと思うのですが、外務大臣、どうですか。
  79. 河野洋平

    ○河野国務大臣 今議員がお話しになりましたように、まずは旗国同意というものがあるということが一つ前提でございます。それと、それはそれとして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、国連の決議があれば、そこで既に国連加盟国に対して受忍義務が出てくるわけでございますから、それは、国連加盟国はそれぞれその決議決定に従うということになるわけでございます。  いずれにしても、旗国同意を得るということと同じように、今議員が想定されているような極めて危険な作業というふうに想定をしていないと申し上げていいと思います。
  80. 長妻昭

    ○長妻委員 今の外務大臣の御認識というのは、全く甘いと思います。  これは、当然危険なことを前提にやるということではありませんけれども、危機管理というのは万々が一のことも考えて当然やるわけでありますので、個別的自衛権の範囲でこういう作業が行われるのか、あるいは集団的安全保障の範囲内で行われるのか、何らかきちんと政府の方がそういうことを示してあげないと、自衛隊の訓練も含めて、武器使用も含めて、現場が大変困る。そして、効果的な運用、実行ができないのではないかというふうに私は考えております。  再度答弁を求めても多分同じお答えになるとは思いますけれども、これは今後課題として、単なる旗国主義で、国家間の取り決めでそれでいいよということで終わらずに、政府の中で、個別的自衛権の範疇か、あるいは集団的安全保障の範疇なのかというのをきちんと議論をして結論をぜひ出していただきたい、こういう研究をぜひしていただきたい。一言、外務大臣、御答弁をお願いします。
  81. 河野洋平

    ○河野国務大臣 繰り返して御答弁申し上げて恐縮でございますが、この法案のつくり方といいますか、この法案目的、そしてその作業の方法については、今申し上げましたように、国連の決議というものを前提にする、もしくはそれがない場合には旗国同意というものをもってこの作業に当たるということでございます。そのことだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  82. 長妻昭

    ○長妻委員 ぜひきちんとした御研究、裏づけを検討されることを望んで、次の質問に移ります。  何で私が今のような議論を申し上げたか。単なる机上の空論、神学論争では全くありません。なぜかというと、この法律の中にも武器の使用というのが認められている場合がある。正当防衛あるいは緊急避難。そして当然、自衛隊法の九十五条によって、武器の防護をするために、警察比例の原則に基づいて必要最低限の武器を使用する、これも公海上では当てはまるというふうに私は認識をしております。いずれにしても、公海上で経済制裁を実効あらしめるためにきちんと水域を設けて活動するとき、今申し上げたような形で武器の使用というのがあり得るわけであります。  そうした場合、万々が一の話というのは危機管理の常識でありますので、話を具体的に想定いたしますと、仮に向こうの商船からも攻撃があり、自衛隊法九十五条あるいはこの法律にあるような要件に基づいて自衛官が武器を使った。しかし多少過剰ぎみになってしまって、商船の乗組員の方が亡くなった、あるいはその商船が沈んでしまった、過剰防衛的な形で。そうした場合、その実行した自衛官の責任というのはどういうふうな形で問われていくのか。防衛庁長官、御答弁願います。
  83. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答えをいたします。  今委員お尋ねのように、自衛隊法九十五条に基づいて、あるいはこの法案の中で武器の使用が認められているわけでございますが、その点、自衛官が具体的に個人的に刑事責任を問われるか、そういうお尋ねか、こう思います。  自衛隊法九十五条に基づく武器使用が同条の規定する要件に従って行われる限りは、当該武器の使用はもちろん適法でございます。したがいまして、相手に危害を与えた場合であっても刑事上の責任は生じない、そのように考えております。
  84. 長妻昭

    ○長妻委員 これもまた過去の政府の御解釈と違うような気がします。  自衛隊法九十五条に基づいて、きちんとその要件を守って自衛官が武器を使用した、しかし過失というか、間違って人を傷つけたり人が死亡してしまったり、船が沈んで乗組員が死亡した。その場合は自衛官の責任は全く問われないと今御答弁されましたが、ではどこが問われるのですか。
  85. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 九十五条のもとで隊員が同条の要件に適合しない武器の使用を行うことは想定しがたいわけでございます。しかし、ここであえて仮定の議論ということで申し上げれば、法律の要件に適合しない武器の使用が許されないことは当然でございます。例えば、正当防衛あるいは緊急避難の要件に該当しない場合に人に危害を与えるなど、もし万が一にも同条の要件を欠く武器の使用が行われますれば、違法な武器の使用ということになりますし、そのような武器の使用については、責任を有する者については懲戒処分、さらにはそれ以外の何らかの処分の対象ということになろうか、このように思っております。
  86. 長妻昭

    ○長妻委員 鈴木政務次官、私はそういう質問をしていません。  九十五条に自衛官がきっちり基づいて、意思としてはねらって撃った、ところがたまたま、故意ではなくて、その弾がそれたりなんとかして、そして商船の相手の方が死亡した、その場合はどうなんですかというふうに聞いているわけです。
  87. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 九十五条の要件に従って武器の使用をし、相手方が死亡あるいは相手船舶を沈めた、そういうことのようでございます。  当該自衛官について、正当な武器の使用の要件の範囲内で行われるのであれば、相手に危害を与えた場合であっても刑事上の責任は生じない、そのように考えております。
  88. 長妻昭

    ○長妻委員 それは、その武器を使用した自衛官個人に刑事上の責任が生じないということですか。そして、もし刑事上の責任が生じるとすれば、それを指揮した上官あるいは組織に生じるということですか。あるいは、刑事上以外の責任は何か生じるのですか。
  89. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 法律の要件に従って正当に武器の使用が行われるのであれば、それは隊員について、武器を使用した者、あるいは、それを仮に上官の命令に従って行った場合におきましても、刑事上の責任は生じない、そのように考えております。
  90. 長妻昭

    ○長妻委員 これはちょっと私の理解と違うのでありますが、当然普通の法律でも業務上過失傷害とか業務上過失致死とか、きちんと自分はやっていても間違って、過失でそうなってしまった、死んでしまったりけがをさせてしまった場合はちゃんと処罰する考え方というのがあるのです。  そうすると、もう一回本当に確認しますけれども、公海上でこの法律に基づいて自衛官が、例えば九十五条の要件をきちんと守ってやった、しかし過失で船が沈んだり相手が、商船の乗組員が死んでしまった場合、一切刑事的責任は自衛官にも問われないし、その上官あるいは組織にも全く問われない、こういうことで、これは政府の統一見解としてはっきり受けとめてよろしいのですね。
  91. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 この武器使用の要件に合致するかしないかということが大変大事だ、こういうふうに思いますが、仮に過失、それが単純なミス等で行われたような場合につきましては、その武器使用の要件に該当するかしないか、そういう問題が出てくるのではないかと思います。その場合には、この要件に仮に合致しないということであればそれなりの、先ほどお話ししましたような責任というものが生ずることがある……(長妻委員「合致して過失の場合です」と呼ぶ)過失で合致しないという……
  92. 長妻昭

    ○長妻委員 九十五条に合致はしているけれども、過失ということです。
  93. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 九十五条の要件に合致をするということであれば、本来的には過失の責任というものは生じないというふうに思いますが、隊員の個々判断で、それなりの過失があって、そのことが九十五条の要件そのものに該当しないという可能性がある場合には、それこそ先ほどお話し申し上げたように処分なりなんなりの対象ということがあり得ると……。
  94. 長妻昭

    ○長妻委員 今の御答弁で、九十五条の要件はきちっと守った、書いてあることを熟読して、その自衛官の方がそれをきちんと守って武器を使用した、しかし弾がそれて商船の方が亡くなった場合は、過失と一般的に言いますけれども、今の御答弁だと、それはある意味では九十五条の条文に違反している。九十五条の条文では、正当防衛、緊急避難以外は人の身体を傷つけちゃいかぬということですから、過失であってもその隊員は九十五条に違反しているということで、それは厳密に認定されるのでしょうけれども、その場合は当然隊員は刑事的な責任を負うというような多分今御答弁だと思うのです、うなずかれておりますので。  そこで私が一番初めに集団的安全保障の枠内なのかということを申し上げた意味があるのでございます。  どういうことかといいますと、船舶検査活動というのは護衛艦の乗組員の方、検査官の方がぎりぎりのところでやるわけでありますので、本当にやはり自分たちの身の安全を守らなきゃいかぬ。恐怖の中でやる場合もありましょう、波が非常に高い、海が荒れている場合もありましょう。そういうときに、上官の命令であるにもかかわらず、武器を使用した隊員個人が過失の場合でも刑事責任を負うというようなことであると、本当に隊として体をなしていくのか、あるいは上官の命令というのがどれだけ有効なのかという、実は疑問があるわけであります。  しかし、今の政務次官の御答弁は従来の御答弁と多分同一線上にあると思いますけれども、それを何らかのことを考えていかないと、いつも、例えばこれで公海上に出て、武器使用があって、過失で相手の命なりが失われた場合、隊員個人が書類送検されてしまうとか、そういう事態も起こりかねない、起こらないとは限らないわけでありまして、そういうことで本当に隊として体をなしていくのか。  ある意味では武器使用の根源的な問題にもさかのぼっていくわけですが、それが今まで政府の中できちんと整理をされていない。その整理をされていない現状の中で、安保理の決議がなくて旗国同意だけでありますと、それは集団的安全保障という考えではない、私的な国家間のあれだと。  ということだと、仮に裁判になった場合、隊員の武器使用、過失があった場合に、裁判所も、その活動が安保理の決議があって集団的安全保障のもとで行われた活動であれば、その隊員に対する刑事的処罰も裁判官は考慮しましょう。ところが、集団的安全保障という考え方ではない、旗国同意だけで、ある意味では根拠がなく実行をしていく、そういう場合は、裁判官が、集団的安全保障がある場合とない場合で判断が違ってくるのではないか。そういうことでは逆に自衛官の活動にも支障が出てくる、安保理の決議がある場合とない場合で事後の取り扱いについて濃淡が出てくる、そういう懸念があるから、今申し上げましたように、武器の使用に関して、過失も含めて、隊員個人に、書類送検されるような、そういうような現状の解釈をきちんとしてほしいということを強く申し上げます。  これは御答弁は必要ありませんけれども、ぜひこういう御研究なり理論なりをきちんとお示しいただかないと、いつまでたっても、武器使用したときに自衛官個人の責任にいつもおっかぶさっていくということになりかねませんので、そこら辺は特に強くお願いを申し上げます。  そして次に、例えば、また仮定の話でありますけれども、湾岸戦争と全く同じものが起こった、そしてイラクに対して国連安保理決議で禁輸措置がとられた、経済制裁がとられた。まさにあの湾岸戦争のときと同じ、全く寸分たがわぬ事態が起こった場合に、今議論されております船舶検査活動法案が仮に通っていた場合、日本はそれに対して何か貢献をできるのでしょうか、防衛庁長官お願いいたします。
  95. 河野洋平

    ○河野国務大臣 もう議員御承知のとおり、本法案に基づく船舶検査活動は、周辺事態に際し、我が国が参加する経済制裁実効性確保するために、国連安保理決議に基づき、または旗国同意を得て、制裁対象国に出入りする商船などの検査確認を行い、要すれば進路変更を求めるなどの措置をとろうとするものでございます。  すなわち、船舶検査活動前提となる周辺事態ということが、今議員の御指摘の中にそれに対する御質疑がもしあるとすれば、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であって、ある事態周辺事態に該当するか否かは、その事態の規模、態様などを総合的に勘案して判断をすることになっておりまして、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできないことになっております。
  96. 長妻昭

    ○長妻委員 湾岸戦争のときに国民の皆様は、全部とは言いませんが、金銭的な貢献だけでいいのかというような議論が巻き起こったやに私は感じております。しかし、実はあの時点と、同じ湾岸戦争が起こったと仮定をすると、全く法整備はできておりませんで、同じ金銭的なバックアップ以外は何もできない、今も変わっておりません。  そのときに、仮にイラクでまた全く同じことが起こったときに、私が懸念するのは、政府は、イラクは周辺事態ではありません、あそこは行けませんともはっきり言われていないわけで、急に、ではイラクも、国民の皆さんが、そういう世論が盛り上がったから行きましょうという判断をされる可能性もあるのじゃないか。しかし、それはそれでいろいろな議論がありましょうけれども、その場合、実際、検査活動をするときに、今の護衛艦の皆さんは訓練としてそういうところを想定していないと思います。そうしたとき急に、例えば周辺事態、枠を広げて、そこまで行く行かないという議論が降ってわいたように出てくる可能性は本当にないのか、イラクは周辺事態でないと言い切れるのか、外務大臣に一言お願いいたします。
  97. 河野洋平

    ○河野国務大臣 周辺事態我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である以上、現実の問題として、このような事態が生起する地域にはおのずから限界があるわけでございます。例えば、周辺事態が御質問のイラク、クウェート近辺といった中東で生起することは現実の問題として想定をすることはできません。
  98. 長妻昭

    ○長妻委員 わかりました。  もう時間もありませんので、もう一つ質問といたしましては、訓練の問題です。  この法律が公布されてから三カ月以内に施行されるということで、非常に短いわけでありまして、果たして護衛艦の方々が三カ月でこれに対応できるのかという一つの疑問もありますけれども、それと同時に、実際この法律が通った場合、海上自衛隊の皆さんは多分訓練すると思います。実際この法律が実行されて、海上自衛隊が外に出て公海上でちゃんと海域を決めて検査活動をする場合、当然、現実問題としては、日本とアメリカ二カ国ではなくて、多分複数のもうちょっとした国が、カナダ、オーストラリアとか韓国とかそういう国、イギリスも入るかもしれません、日本海上で、そういうことも想定されるわけであります。  そういう意味で、今申し上げたような国の多国間による海上封鎖の検査活動の訓練、例えばリムパックというのはことしありましたけれども、そういう訓練に日本の海上自衛隊が参加することについては問題なしということでありましょうか。最後に御答弁お願いします。
  99. 虎島和夫

    虎島国務大臣 この船舶検査活動法が成立した場合には、当然に、円滑かつ効果的に任務を遂行できるよう必要な訓練を実施する、これは、そういう措置を講じて遺憾なきを期してまいりたい、こう思っております。  もう一つは、区域を指定するわけでありますから、ここは競合しないように、指揮系統が乱れないようにという配慮が働いた結果と承知いたしておりますので、訓練をやるかやらぬかは別として、実際に動くとなれば、それぞれの範囲でそれぞれの権限に基づいて執行されるというふうに理解いたしております。
  100. 長妻昭

    ○長妻委員 確かに海域は混交しないというふうに法律で書いてありまして、全くまじらないで当然やるのですが、それにしても、他国と一緒にそういう原則を守りつつ訓練をするという必要性があるのではないかなという気もするのです。長官、これは訓練できるかできないか、明確にお答えいただいた方が現場が混乱しないでいいと思うのですが、明確に、できるかできないか。
  101. 虎島和夫

    虎島国務大臣 それは、本法案が成立した場合には、先ほど申しましたように、当該任務の円滑なあるいは効果的な遂行という点からいろいろな訓練はやる、その中で、他国との間の海域分担を行った上、船舶検査活動にかかわる訓練をすることは可能である、これはもう当然のことであります。  今御指摘のことは、さらにいろいろな場合を想定すべきじゃないかという御指摘と思いますけれども、これは、法案の成立を踏まえながら、今法律ではちゃんと海域は区別するとなっておりますけれども、いろいろな検討の中から、そのようなことが必要であるのかどうか、精密にこれは繰り返し検証をしなきゃならぬ課題であると思っております。
  102. 長妻昭

    ○長妻委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
  103. 高木義明

    高木委員長 次に、江崎洋一郎君。
  104. 江崎洋一郎

    ○江崎委員 民主党江崎洋一郎でございます。引き続きまして、船舶検査法案につきまして質問をさせていただきます。  まず、この法案がなぜこれまでおくれたのか、政府の見解を再度お聞きしたいと思います。  昨年五月、周辺事態安全確保法案が議論された際に、当時の与党三会派による修正協議が行われたわけでございますが、調整がつかず、船舶検査に係る規定が政府原案から抜け落ちたわけでございます。当時の与党三会派によります、別途早期に立法化を図るという前提で削除をすることになったわけでございますが、そのまま今日に至ってきた、このような状況にあるわけでございます。  これほど焦点になった規定についてなぜ一年以上も放置してきたのか、その責任についてどう考えておられるのか、まず防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  105. 虎島和夫

    虎島国務大臣 船舶検査活動の取り扱いについては、お説のように、昨年来、与党において慎重かつ真剣な論議が行われてきたものと、同様に私も承知いたしております。  政府としては、与党における議論について具体的にお答えする立場にありませんけれども、本法案がこのような議論の結果も踏まえて作成されたものであり、本法案に基づいて船舶検査活動を有効に行うことができるというふうに判断をいたしまして、我が国の平和と安定に資するものとして御提案申し上げているわけであります。
  106. 江崎洋一郎

    ○江崎委員 私としましては、我が国の安全保障上重大な欠如と言わざるを得ない面がこの一年続いたという意味で、大変残念に思っておる次第でございます。  質問を続けさせていただきますが、当時の議論の際、政府原案では国連安保理決議のみが要件としてございました。私ども民主党といたしましても、国連安保理決議を重視する立場ということから、政府原案にございました船舶検査規定を復活させる修正案を参議院に提出しました。しかし、否決されるという経過をたどっております。  しかし、ここへまいりまして、一年以上もたちましてから出てきました本法案につきましては、新たに旗国同意がつけ加えられてございます。そこで、国連安保理決議に基づいた過去の船舶検査の事例によりまして、旗国同意実効性というものにつきましてお尋ね申し上げたいと思います。  過去に、一九九〇年、対イラク制裁措置、また九二年には対ユーゴ制裁措置、そして九三年には対ハイチ制裁措置という三度にわたる事例があるわけでございますが、九二年のユーゴの事例によりますと、対セルビア、モンテネグロへの経済制裁としての禁輸監視につきまして、NATOは、九二年十一月から九六年六月までの間に、アドリア海上のすべての船舶対象としまして、延べ七万隻以上の船舶検査実施したと報告されております。これは国連安保理決議によるケースであったわけでございますが、国連安保理決議がもしも得られなかった場合、旗国同意をこのような状況の中ですべての国からとることは難しかったのではないかと私は思っております。この点につきましてどのようなお考えをお持ちか、ぜひともお聞かせいただきたいと思います。  そしてもう一点、キプロス、ケイマン、バハマ等の便宜置籍船、このような特殊な形態につきましてはどのように対処を考えておられるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  107. 竹内行夫

    竹内政府参考人 安保理決議があります場合には、先ほど来るる述べておりますとおり、加盟国の受忍義務ということで同意もあるということになるわけでございますが、そうでない場合、いろいろな状況におきまして先生が御指摘のような困難というのは現実問題として存在すると思います。  経済制裁実効性のあるものにするためには、なるたけ多くの国がこれに参加して、その抜け穴と申しますか、そういうものがないようにしていくことが必要でございます。そのためには、なるたけ多くの国がこれに賛同し、協調し、同調するということが必要でございますが、先生が御指摘になりましたような安保理決議が成立しないような状況というような場合は、それが困難な状況であるということだろうと思いますので、旗国同意を得るに当たっても、それは決して容易なことでないということは考えられるわけでございます。  したがいまして、この我が国船舶検査法におきまして、周辺事態、すなわち我が国自身の平和と安全にとって重要な影響があるような状況が生じているという場合におきまして、我が国の平和と安全を守るためにいろいろな努力をするその一環として、なるたけ多くの関係国同意を得るという働きかけ、外交努力が必要というふうになることは当然であろうかと思います。  それから第二番目の、便宜置籍船の場合の旗国同意の問題でございますが、もちろん、国連安保理決議がございます場合には、当然その便宜置籍国も国連の加盟国として受忍義務を負いますので、改めて同意を得るという必要はないわけでございます。ただ、安保理決議がない場合、これはやはり、便宜置籍船でありましてもその旗国たる国の同意というものが必要になるわけでございまして、その同意を得て船舶検査が実現可能となるということでございます。  この同意の取りつけ方につきましては、これは個別の状況におきましていろいろあり得ると思います。多数国間の例えば会議同意をまとめるとか、二国間で折衝して同意を表明してもらうとかいろいろなことがあって、個別の状況によって異なるかと存じます。
  108. 江崎洋一郎

    ○江崎委員 旗国同意というものが、安保理決議がない場合にはなかなか難しいという御答弁と認識をさせていただきました。  続きまして、また事例による質問を続けさせていただきます。  同じく九二年のユーゴ制裁の際でございますが、このときには、周辺の領海あるいは公海のみならず、ドナウ川における船舶検査というものも実施された実績がございます。我が国船舶検査は、本法案にのっとりますと、我が国領海または周辺の公海とされておりまして、周辺国の河川への対応は規定されておりません。しかし、実際に九二年の事例として、このような場面があったわけでございます。  これはあくまで例えばということで御理解いただきたいと思いますが、北朝鮮あるいは中国、ロシアにまたがる鴨緑江について、仮に船舶検査が必要となったという状況が訪れたとします。その場合に、本法案にのっとり我が国はノータッチという姿勢で政府はお考えになっておられるのでしょうか。また、この場合でも同様に、安保理決議が得られぬ場合にこれらの国から旗国同意というものが得られるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  109. 竹内行夫

    竹内政府参考人 本法案に基づきます船舶検査活動は、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態に際して行うものでございますが、船舶検査につきまして、法案の中では、我が国領海または我が国周辺の公海において実施されるというふうにされているわけでございます。したがいまして、お尋ねのような状況、すなわち複数の国が沿岸国となるような河川につきましては、この法案の今申しました規定から見まして、この法案に基づく船舶検査活動というのは行わないわけでございます。  それで、先ほどユーゴの場合のドナウ川に関する船舶監視活動について御指摘がございました。確かに、これは安保理決議の七八七におきまして触れられております。  ただ、その場合に安保理決議で決められておりますのは、このドナウ川というのが、ユーゴに到達するまでにいろいろな国を通過しております。ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアといった国を通過しておりまして、しかも伝統的にドナウ川は、国際河川といたしまして大変な交通の要路として使われていたわけでございまして、現実にここを通じましていろいろな通商が、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア等とユーゴとの間で行われる、こういう事情がございます。したがいまして、この安保理決議七八七におきましては、こういうドナウ川の沿岸国に対して、安保理決議の厳格な実施に対して協力といいますか措置を求める、こういう状況でございました。  我が国船舶検査法につきましては、我が国はそういう地理的な状況にございませんが、いずれにしましても領海及び公海ということで、他国の領域、領水に対して船舶検査を行うということは想定されておりません。
  110. 江崎洋一郎

    ○江崎委員 本法案にのっとりますと、現実には船舶検査は行われないということでございますが、しかし、国際環境がそれを許さないという事態も当然考えられるわけでございます。その際には政治決断ということも考えられようかと思いますが、現実に過去の事例として行われた事実があるわけでございますので、十分今後は河川の船舶検査というものにつきましても想定をした上で対応していただかないと、危機管理というものにつきまして、経済制裁の効果的措置としてはなかなか効果を生まないのではないかというふうに懸念をいたしております。また発展的な意味で御検討いただければというふうに思っております。  今までお答えをいただきましたが、とりわけ旗国同意に関しましては、なかなかこれは、安保理決議なき場合に得ていくのは難しいということではないかと私は認識しております。旗国同意を取りつける方法としては、多国間または二国間における協定においてあらかじめ同意を得ているという場合は、これは現実的だとは思いますが、別途個別的に取りつけるという場合につきましては、必ずしも速やかに同意が得られるとは思えないというふうに考えております。とりわけ、特に経済制裁対象となっている国から果たして旗国同意というものが得られるのかどうかは、甚だ疑問でございます。そういった面で、本法案にとりまして、国連安保理決議というもの自体が必要十分条件でございまして、その他の条件はあえてつける必要がなかったのではないかというふうに私は考えております。  さて、次の質問に進めさせていただきます。  過去の議事録によりますと、第百四十五回国会におきまして外務省条約局長さんが、船舶検査につきまして、旗国同意には明示的な同意もしくは黙示的な同意があると説明をされておられます。この黙示的な同意とは一体どのようなものを指すのか、具体的に教えていただきたいと思います。
  111. 竹内行夫

    竹内政府参考人 ただいま御指摘の条約局長の答弁は、たしか臨検と船舶検査の違い、差異についての質問に対しまして、船舶検査はこういうものだというところで触れられた答弁であろうと理解いたしております。この答弁は、国際法上の考え方としまして、全く一般論として、同意といった場合には明示的同意もあれば黙示的同意もあるということを申したものであろうと理解しております。  翻りまして、この場合の船舶検査に関します旗国同意ということについて申し上げますれば、その対象船舶旗国我が国検査同意することが明確に判断されるということが必ず必要であろうというふうに考えます。もちろん、これは公海自由の原則ということに、非常に重要な国際法上の原則にのっとったことでございます。したがいまして、周到なと申しますか、慎重な配慮をした上で旗国同意というのを確認する必要があろうかと思います。  いずれにしましても、現実の問題におきましては、国連安保理決議がない場合において旗国同意を得るというような状況になりました場合には、確実を期すということから、国際約束であるとか明確な意図を表明する外交文書を取りつけるといったようなことが考えられるというふうに存じます。
  112. 江崎洋一郎

    ○江崎委員 ありがとうございました。  それでは、次に、我が国を取り巻く重要な外交課題の中で、本法案との関連で朝鮮半島問題につきましてお伺いをしたいと思います。  米国は、昨年五月のペリー報告に基づきまして、本年七月に引き続き、今月にも米朝ミサイル協議がクアラルンプールで行われたわけでございますが、この協議の成果について政府はどのように認識をされておられるんでしょうか。また、この協議が仮に不調に終わっている場合、北朝鮮によるミサイル開発に歯どめがかからず、今後北朝鮮に対する経済封鎖というものに発展する可能性がないのか、政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  113. 槙田邦彦

    槙田政府参考人 米朝のミサイル協議につきましては、私ども、アメリカ政府から随時連絡を受けてきておるわけでございます。最近、今月の初めでございますけれども、マレーシアのクアラルンプールで行われました米朝ミサイル協議、ここにおきましては、ミサイル関連の輸出であるとか、あるいは北朝鮮自身用のミサイル活動、それから他国によって人工衛星を打ち上げる、その引きかえに北朝鮮がミサイル活動を抑制する、そういった考え方を含めまして、ミサイル問題全般について、詳細かつ建設的、実質的な議論が行われたというふうに聞いておるわけでございます。  今次の協議におきましては、米朝双方で今後検討する必要のあるもの、あるいは解決する必要のある重要な問題が残されているということでございますけれども、さらにそれぞれの立場を明確にするということで、引き続き、双方の共通の土台を拡大するようにこのプロセスが進んでいくというふうに考えておるわけでございます。  そうしますと、内容がつぶさに明らかではないという点はございますけれども、米朝間においてこの北朝鮮のミサイルの問題を解決していくために行ってきているプロセスというものは、今後とも継続して行われていくというふうに考えておるわけでございまして、そういう中で、委員が御指摘のような経済封鎖、経済制裁というふうな行動に移行しなければならないような事態というものは想定されないというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、政府としましては、この米朝間のミサイル協議というものを非常に強い関心を持って見守っていきたいと思っているわけでございます。
  114. 江崎洋一郎

    ○江崎委員 非常に順調に推移しているというお話ではございますが、ここにちょっとこんな情報もございます。北朝鮮の泰川という貯水池がございまして、この地下には約一万六千本にも及ぶ使用済み核燃料が貯蔵されているということでございます。それは何を意味しているかというと、二〇〇一年までにはアメリカ本土を標的にする核ミサイルの開発が可能との米国からの情報もございます。  政府はこの情報について入手をしておられるのか、あるいは、入手しておられるのでございましたら見解をお伺いしたいと思います。
  115. 槙田邦彦

    槙田政府参考人 泰川という場所に核関連施設があるのではないかという情報は、さまざまな形で聞き及んでいるわけでございます。  他方、事実関係の問題として、実際そこにどのような施設なりあるいは核関連の活動が行われているのかということについては、これはなかなか、またつまびらかにしていないという状況でございます。  委員も御承知だと思うのでございますけれども、御参考までに申し上げますと、アメリカのDIA、ここが五年ごとに報告を出しておりまして、一番最近の報告というのは一九九五年に出ておるわけでございます。  その中に書かれておることを読みますと、このまさに泰川という場所が言及されておるわけでございますけれども、ここで北朝鮮は発電用の原子炉を建設していたけれども、その前の年、九四年の米朝間の基本合意によってこの建設は中止されており、したがって、その合意のもとでいずれは解体されるものとなるであろう、こういうふうに書いてあるわけでございます。  そういうことから申しますと、このDIAの報告に関する限りは、この泰川における核施設というものは解体されている、あるいは解体された、凍結されている、この状況はつまびらかではございませんが、そういう状況にあるということではないかと思うのでございます。  しかしながら、いずれにしましても、これは、検証といいましょうか、査察というふうなことが実際に行われて、目で見ませんと、具体的な状況がどうなっているかということはわからないというのがこの種の問題の特質でございますので、そういう意味では、私どもは、この泰川も含めまして、北朝鮮の核関連の活動というものが具体的にどういうふうに行われつつあるのかということについては、非常に大きな関心を持っていかなければならないというふうに思っております。
  116. 江崎洋一郎

    ○江崎委員 今まで朝鮮半島を御質問申し上げましたが、以上のように、我が国をめぐる緊迫した外交情勢の中で、安全保障体制の必要、十分かつ効率的な整備が喫緊の課題ではないかなというふうに考えております。  ちょっと観点を変えますが、防衛庁の装備調達制度についてお伺いをしてまいりたいと思います。  ここに、防衛庁の正面装備におきます防衛費の当初予算の推移をあらわした資料がございます。全体としまして、平成二年の一兆七百二十七億円をピークに、平成十二年には七千七百二十億円まで減少しております。内訳を見ますと、いわゆる戦車などを含みます甲類装備品が減少、他方で、通信、電子を含む乙類装備品が増加しているという傾向があらわれているわけでございます。  これは、IT革命の進展によりますエレクトロニクス部品関連の増大によるものと思われるわけでございます。このような構造変化の中でより効率的な調達補給体制を整備していくというためには、民生品規格の採用による新規参入の促進、あるいは市場競争原理の導入などが不可欠ではないかと感じておりますが、防衛庁といたしましていかなる手を打っておられるのか、防衛庁長官お尋ねを申し上げたいと思います。
  117. 中村薫

    中村政府参考人 ただいま議員が御指摘になりました乙類装備品とは、陸上自衛隊の装備のうちの直接、戦闘の用に供しません車両であるとか通信機材とか、施設機材等を指しますけれども、指揮通信機能の充実という観点で防衛庁としても重点的に整備に配慮しているところでございます。現象面から見ますと、議員が御指摘のように、最近ウエートを増してきているところでございますけれども、これは、災害対策等に迅速に対応するためであるとか、情報化に対応するためであるとか、いろいろな要素があります。  一般論として申し上げますが、このような乙類装備品については、いわゆる戦車であるとか、火砲であるとか、甲類装備品に比べて要求性能から見れば相対的に民生品は使いやすいというふうに考えられます。もちろん、乙類といっても防衛装備品でございますので、例えばジープであっても落下傘で落とせるような頑丈なものでなくてはいけないとか、いろいろな特殊要因はございます。直ちに民生をそのまま使うというわけにいきませんけれども、傾向としては使えるというふうに考えております。  いろいろ特色はございますけれども、民生品の活用によってコスト削減に努めていくというのは重要な課題であると考えております。防衛庁としては、防衛調達の透明性、公正性の一層の確保のため、また装備品等のライフサイクルコストの総合的な抑制のために、民生品の活用を図ること等により防衛調達における競争性を高めることが重要であるというふうに認識しております。  具体的には、議員がお触れになりましたように、規格品であるとか仕様書の見直しを行って、民生品であるとか民生技術が入ってこれやすくする、それから、インターネットによって規格、仕様書の概要などを一般に公開して、それによって新たな参入がしやすくする、さらに一元的な資料の情報提供を行う体制を整備していくということ、それから衣類であるとか車両等一般に市販されている場合には、可能な限り一般競争入札に移行するというような対策をとってきています。  今後とも、このような策について着実に推進していき、潜在的な新規参入の機会をふやしていって競争性を高めていきたいというふうに考えております。
  118. 江崎洋一郎

    ○江崎委員 今民生品の活用あるいは一般競争入札というお話がございましたが、ここに「契約方式別の装備品調達額の推移」という防衛庁からの資料がございます。  これを見ますと、一般競争入札あるいは指名競争による比率というのは、九四年には一二・一%の比率であったものが、九九年には一六・八%と増加しているわけでございます。しかし、随意契約というものは、相変わらず九九年も八三・二%と、依然高水準であるわけでございます。  単純には比較することはできないと思いますが、アメリカにおける同様の比率を見てみますと、これも防衛庁の推計でございますが、米国における競争入札は約六割と、日本に比べ非常に市場原理を重視している傾向があるわけでございます。  我が国の調達方式も、先ほど申しました民生品規格の採用あるいは市場競争原理の導入によりまして、ある意味での米国型の調達を目指していく必要もあろうかと思いますが、その点、研究開発着手段階において、民間企業からの技術提案を積極的に受け入れていくという必要もあるかと思います。これについていかなる措置をお考えかお聞きして、最後の質問とさせていただきたいと思います。
  119. 中村薫

    中村政府参考人 防衛庁といたしましては、先ほど御説明しましたように、一般競争入札等の手段を講じて、できるだけ競争的な環境を整備してまいりたいというふうに考えております。  他方、米国と単純に比較はできませんのは、御承知のように、米国の場合は、艦船修理その他は工廠という形で政府みずからやってしまう。そうすると、最近も米国海軍の方が見えましたけれども、修理は基本的に国だ、なぜならば、民間に任せたらストやられちゃ困るからねというようなことで、それは全く除外して、それであと民間にやる部分についてはということで統計を整備してあるということで、前提が若干違いますが、いずれにしましても、競争的な条件をできるだけ整備していきたい。  そのためには、委員が御指摘になりましたような、まず開発段階から民生品をできるだけ入れられるように、また現在も行っていますように、いろいろな仕様書などを見直しまして、防衛庁の特殊なスペックというようなものが必要のないものであればできるだけ民生品を入れていくというような形、さまざまなことを通じまして民生用品の活用等を図ってまいりたいというふうに考えております。
  120. 江崎洋一郎

    ○江崎委員 まだまだ装備調達制度につきましては質問をさせていただきたいんですが、きょうはお時間が参りました。どうもありがとうございました。以上で終了させていただきます。
  121. 高木義明

    高木委員長 次に、山田敏雅君。
  122. 山田敏雅

    山田(敏)委員 民主党山田敏雅でございます。  本日、私は、ぜひ外務大臣にお伺いしたいことが本法案質問に先立ちましてございますので、お願いいたします。  私は、広島県で生まれて育ちました。そして、国家公務員をやっておりましたので、一時、外務省に出向いたしまして、スイスのジュネーブで国連代表部の仕事をさせていただきました。そのような経験の中で、一つお伺いしたいことがございます。  私は、小さいころから広島の核兵器使用による悲惨な状況を非常に身近に見て育ってまいりました。当然、日本の外交政策は、世界の核兵器を禁止する、そのような国の外交方針としての柱があるんだろうなとずっと小さいころから思って育ってまいりました。そして、この五十年間の日本の外交政策を見ますと、いろいろな平和運動はございましたけれども、世界を動かす核兵器廃絶、核兵器を禁止する運動には非常に至っておりません。そして、世界的にも日本はそのような目で見られておりません。  ひとつここで外務大臣にお伺いしたいんですが、日本は、世界唯一の被爆国として、本当にリーダーシップをとって国連の場であるいは国際世論の場で、アメリカに対して核兵器を禁止する、そしてそのための手段を国連で真剣に議論するということがあったのでしょうか。そして、これから本当にあるのでしょうか。これだけをお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、島委員長代理着席〕
  123. 河野洋平

    ○河野国務大臣 私も核問題には随分と長い間関心を持ってまいりましたので、被爆による状況がいかに悲惨なものであるか、しかも、それは人間の一世代にとどまらず、二世代、三世代とそうした不安とか恐怖というものが続いていくということを考えれば、こうしたことが二度とあってはならぬという強い気持ちを私は持っております。  山田議員も、今お話しのとおり、御自身の御経験がおありでございますから、私がそう詳細を申し上げる必要もないと思いますけれども、例えばごく最近の例を申し上げれば、一九九五年、国連におきまして我が国が提出をいたしました究極的核廃絶の決議案というのを御存じだと思いますが、いずれにせよ、あれは究極的と言っているのであって、大した意味がないとおっしゃる方もございますけれども、私はそれはそう思っていないのであって、少なくとも国連の場で核兵器国がいる中で究極的な核廃絶を主張する決議案を提案した。  実は、我が国が国連で決議案を出したということはそれまでに経験のないことでございまして、我が国が国連で決議案を出す、しかもその決議案が究極的核廃絶に関する決議案だということは、今議員がお話しの問題、大変おくればせながら、非常に象徴的な作業をしているというふうにお受け取りをいただきたいと思うんです。  この究極的核廃絶という決議案は、大変いろいろな議論を呼びました。つまり、日本がそういう決議案を出すということが、核保有国、つまりアメリカを初めとする核保有国との関係においてどうなのかというような議論がございましたけれども、私どもは、核保有国に対しても、究極的な核廃絶というものは、この地球上に生きとし生けるものにとって願いはそこにあるということを申し上げて、この究極的核廃絶に積極的な賛成をお願いして、圧倒的多数でこの決議案は通ったわけでございます。  そして、本年まで毎年この究極的核廃絶の決議案は国連に提案をされ、どんどん共同提案国も多くなるというような状況でございましたが、本年に至りまして、いわゆるNPTの運用検討会議がございまして、そこで新たな核廃絶についての合意ができてきたわけでございまして、私どもは、究極的核廃絶という決議ではない、核兵器の全面的廃絶への道程、道のりですね、道程という決議案を、ことしから究極的核廃絶の決議案にかわって全面的核廃絶への道程についての決議案を出すに至ったわけでございます。これにつきましても、核保有国を初めとする世界各国の支持を得て、たしか百四十数カ国の賛成を得て国連でこの決議は通っております。  議員御承知のとおり、一方で、いわゆる新アジェンダ連合というのが核廃絶に大変熱心で、これはややもすると、非常に急進的な決議案を出されます。私はいつも言うのですけれども、その新アジェンダ連合の決議は、我々が考えている方向と、方向においては違いはない、ただ残念ながら、新アジェンダ連合の決議案はいかにも性急であって、これでは核保有国との間の調整は全くできない。  私どもは、むしろ、核保有国を少しずつであっても説得をして、核廃絶を実現させるための手段、方法をとっていきたい、こう考えて、新アジェンダ連合よりはやや一歩おくれるような形でこれまでの決議案には対応していたわけでございますが、本年に至って、私は、自分で言うのはおかしゅうございますけれども、ことしの日本の出した決議案は、新アジェンダ連合の出した決議案よりもむしろ積極的な決議案であって、もちろん、核保有国もこれに対していろいろと考えて、NPTの運用検討会議の結果などを踏まえて、それぞれの判断をしてくださった。全員、全部が全部賛成したわけではございませんけれども、それなりの判断をしてくださった。  そういう意味から、核廃絶へ向かって、国連の場では、着実に一歩進んだと言うほど大見えを切っていいかどうかという気がしないではございませんが、あえて申し上げれば、確実に一歩前進をしたというふうに私自身は考えております。国連の場を使ってこうした作業をすると同時に、私どもは、世界各国に向かって核の悲惨さを訴える、こういうことは、これからもやっていかなければならない、我々にとって大事な仕事だというふうに思っておる次第でございます。
  124. 山田敏雅

    山田(敏)委員 ありがとうございました。  国民の側から見まして外務大臣の御決意を承って大変うれしいのですが、やはり今世界で核が現実に保有されておって、そして人類が危機に直面しているわけです。その核兵器の廃絶をどんなスケジュールで、具体的にどんな力を持って進めていくのかというのが、日本国民に対しても世界に対しても非常に見えにくく、わかりにくい、そういうことだと思います。日本は本当に世界で唯一の国だ、このような国はほかにはないんだということ、核兵器を使用されて、そしてとうとい命が失われたということを、今後ともぜひ世界に訴えていっていただきたいと思います。  次に移らせていただきますが、周辺事態ということでございまして、その可能性のある北朝鮮の問題について若干御質問させていただきます。  まず、北朝鮮に対する我が国の外交姿勢でございますが、日本は、たしか二月に十万トン、そして今回五十万トンの米を援助しますということでございます。国際機関から要請されたのが十九万五千トンであるということにもかかわらず、国民の貴重な税金を使って援助するということはどういう理由なのか、お答えいただけますでしょうか。
  125. 河野洋平

    ○河野国務大臣 ちょっと御答弁申し上げます前に、今私の答弁がちょっと間違えまして、究極的核廃絶の決議を出したのは九五年と申しましたけれども、正確には九四年でございました。訂正をさせていただきます。  北朝鮮、すなわち朝鮮民主主義人民共和国と我が国との間の関係というものは、歴史的なさまざまな関係というものを我々は十分認識して、そして、我が国の周辺にあるこの国との間の国交を、今のような不正常な状況から正常な状況に直す必要があるというふうに考えているわけでございます。それは当然、国と国との関係は、正常であることが不正常であるよりはいいわけでございますから、このための努力は当然しなければなりません。  さらに、北朝鮮との関係を正常化する上で、国際社会から見ても、北朝鮮の今日の状況というものは安全保障上もいろいろ問題がある、つまりミサイル問題を初めとしていろいろな問題があるということから、北朝鮮と北朝鮮周辺の国々との関係が安定した関係になるということは、やはり北東アジアの安定に相当寄与するであろう。それからさらに、北朝鮮が……(山田(敏)委員「米のことを質問質問に答えてください」と呼ぶ)いえ、米の話はちょっとこれから詳細を申し上げます。  そこで、北朝鮮が積極的に国際社会に出てくるということはそれなりの意味があるわけでございますから、そこで、我が国としても北朝鮮に対して人道的支援である食糧支援を行うという方針を私は決めたわけでございます。  議員は数量についてお尋ねだと思いますが、この数量を、二月に十万トン、そして十一月に五十万トンという数量をどう計算して出したか、こういうお尋ねでございますが、これについては担当者から御答弁をさせていただきます。     〔島委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 槙田邦彦

    槙田政府参考人 先ほど委員の方から、二月に十万トンというふうにおっしゃいましたけれども、これは三月でございます。  三月に、十万トンの米支援、食糧支援を行うということで政府の方で決定がなされたわけでございますが、この十万トンにつきましては、これは私どもが考えましたことは、やはり北朝鮮という国が、食糧につきましては極めて厳しい食糧不足の状況、これがこの数年連続的に続いているという状況がございます。(山田(敏)委員「時間がないので、私の質問に答えてください。十九万五千トンに対してなぜ六十万トンかという質問」と呼ぶ)はい、わかりました。  十九・五万トンというのは、ことしの九月に、ことしの九月から十二月までの四カ月分ということで、WFPが緊急アピールということで出したものでございます。そのことが何を意味したかといいますと、昨年の七月からことしの十二月までの十八カ月間のアピールとして、全体で約八十七万トン、これがWFPの行う緊急食糧支援活動にとって必要であるという数字でございます。  九月の時点でその八十七万トンのうちどれだけ充足されたかといいますと、これが約五十八万トンでございます。そうすると、この五十八万トンの充足された数の中に、ことし三月、日本が決定をした十万トンも含まれているわけでございます。そうすると、九月の時点で申しますと、ことしの末までに約三十万トンというものが不足しているなということになります。  そこで、私どもは、来年はどうなるのかということを見ました。これはWFPの責任者がいみじくも言っておるのでございますが、来年は、ことしの、今までの当初の数五十八万トンと同等またはそれ以上のものが必要になるであろうというふうに言明をしておるわけでございます。新たなWFPのアピールというのはことしの末には出るだろうと思います。これを合計しますと八十八万トンプラスアルファということになります。これを丸めて言いますと約百万トンぐらいかなということになるわけでございますけれども、日本はそれの約半分をことしから来年にかけて提供する、こういう計算になるわけでございます。
  127. 山田敏雅

    山田(敏)委員 質問に端的に答えていただきたいのですが、この六十万トンというのは、ことしの要求十九万五千トンに対して、来年の分もやるということでよろしいのですよね。今の御答弁でわかりました。もう結構です。
  128. 槙田邦彦

    槙田政府参考人 ちょっと済みません。十九・五万トンがことしの要求ということではないのでございます。昨年の七月からことしの十二月まで全部で八十七万トン、その中に十九・五万トンが埋め込まれている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  129. 山田敏雅

    山田(敏)委員 今の数字わかりましたが、結局、トータルで六十万トンというのは、来年の要求額も含めてやる、こういうことだと理解いたしました。  次に、米の問題もそうなんですが、国民の側からしまして、非常に北朝鮮外交はわかりにくい。今私も率直な疑問を申し上げたわけですけれども、日本人にとって一番大きな問題は、拉致事件があるわけです。これは、一人の国民の方が申されました。我が国は、拉致疑惑とか、それから、先ほどの北朝鮮のスパイ船なんですが、これが不明船だとか呼ばれますので、本当にそういうことがあったのでしょうか、あれは疑惑なんでしょうかというような国民の声もあります。こういうことで、我が国の主権を侵されて、そして我が国の国民の財産と生命が、勝手に外国から侵入されて、一説によりますと二十人から三十人の方が拉致されているということでございますので、これは、国民の気持ちとしては、今の北朝鮮外交は本当にいいのかというのが率直な気持ちでございます。  そこで、私はまず、たくさんの拉致事件に関する証拠が残っております。これは、国民がほとんど全くと言っていいくらい知らないということがございます。それから、先ほどの北朝鮮のスパイ船についても、政府は見解を発表したわけですが、もちろん証拠があって発表されたわけですから、このような証拠をはっきりさせて、国民とそれから国際世論にまず明らかにしないと、疑惑だとか不明だとかというような言葉を使っていると、私たちの国家というのは一体国民の財産と生命を守るのか守らないのかはっきりしない。  ここにアメリカのケースをちょっと取り上げてみます。アメリカは、御存じのように、一九七九年の国際人質抑留禁止条約に加盟しております。この中には、人質を抑留をする国際テロ行為、これはテロ国家であるというふうに条約の中にはっきり書いてあるわけですね。  ですから、アメリカの場合は、イランの人質のケースをちょっと申し上げますと、四つのことをやったわけですね。一つは、国連を動かす、イランのアメリカ人の人質のケースですが、国連を動かす。二番は、国際司法裁判所に訴える。三番は、日本等の同盟国と経済制裁を行う。四番に、最後に、武力によって救出部隊を編成し、そしてイランに、これは失敗しましたけれども、行く。これは、国家が考えられるありとあらゆる全力を傾注してアメリカの人質を救出するという姿勢があるわけです。  さらに、ボスニアでたった一人の兵士が抑留されたわけですが、そのときは、艦隊を動かし、それから航空団を動かし、海兵隊を動かし、最後はNATOを動かして救出に向かう。国家が国民の財産と生命を守るという姿勢が、やはり国民の国家に対する信頼だと思います。  そこで、法務省にお伺いいたしますが、富山で起きました拉致未遂事件、これは、実際に猿ぐつわをはめられ、手錠をかけられ、ビニールの袋に入れられて放置されたわけですが、その証拠がたくさん残っております。そして、捜査資料もございます。しかし、刑事訴訟法四十七条によって、公判前の捜査資料は公開しない、こういう理由で、今日に至るまで捜査資料は証拠も含めて公開されておりません。  これは、その四十七条のただし書きに、公益上の問題については特別に認めてもいいんだということが書いてございます。これについて、この刑事訴訟法の四十七条、前例があったのかどうか、公表したケースがあるのかどうか。そして、これから、今の刑事訴訟法というのが我が国の法律でございます、しかし、今回のケースは相手が北朝鮮という我が国の主権を侵害する国家であるというケースを考えて、このただし書きが適用されるのかどうか、お伺いいたします。
  130. 渡邉一弘

    渡邉政府参考人 お答えいたします。  まず、四十七条のただし書きがこれまでに適用されたことがあるかという御質問でございますけれども、個別的、具体的な事件に係ります起訴に至らない事件の記録の開示、不開示の取り扱いにつきましては、記録を保存する検察官が判断すべき事項でございますので、法務当局としては個別的に述べることは御容赦願いたいと思いますけれども、検察官において、被害者等が民事訴訟等において被害回復のために損害賠償請求権等の権利を行使するために必要と認めた場合に、関連事件の捜査あるいは公判の運営への支障や関係者のプライバシーを侵害しないかどうかということを個別具体的に判断しまして、これらに支障が生じない範囲内で、実況見分調書のような代替性のない証拠に限って開示した例があるものと承知しております。  それから、富山の事件の捜査情報を開示すべきではないかという御質問でございますけれども、個別的、具体的な事件に係る起訴に至らない記録の開示、不開示の取り扱いにつきましては、先ほども申し上げましたように、記録を保存する検察官が判断すべき事柄でございますので、法務当局として開示する、しないについて申し上げることは御容赦願いますが、一般論として申し上げますと、四十七条のただし書きに規定する場合に該当するか否かの判断は、個々の事案ごとに、開示の必要性関係人のプライバシーの保護等々を十分に勘案しました上、記録を保存する検察官が判断すべき事柄であることを御理解いただきたいと思います。
  131. 山田敏雅

    山田(敏)委員 ただいまの答弁は、検察官が判断するということでございますが、それでは、今回、本件について開示をしてほしいという手続は、具体的にどのようにすればよろしいのでしょうか。
  132. 渡邉一弘

    渡邉政府参考人 先ほども申し上げましたように、一般的に事件記録の全部を開示した例というのは私ども承知しておりません。ただ、被害者等が民事訴訟等で権利を行使するために必要不可欠で代替性がない証拠については、申し入れがあれば、検察庁において具体的、個別的事案を判断して開示をしている場合があるということでございます。
  133. 山田敏雅

    山田(敏)委員 ちょっと時間がありませんので、これは引き続き情報開示を求めるという形で進めてまいりたいと思います。  二番目に、もっと明らかな証拠があるわけですが、辛光洙事件というのは、大阪の男性が北朝鮮に拉致されて、それを、その人物に成り済まして韓国に渡って逮捕された事件でございますが、この人物に対する韓国に膨大な公判資料がございます。そして、実際に、大阪の男性が拉致されて、人物のパスポートそれから住民票、その他これを証明する証拠がたくさんございます。  これについて、非常に拙速であり、この御家族の方が、その当時非常に、早くやってくれということで、政府に対して要望されたそうですが、非常に後手後手に回りまして、このスパイは先日の恩赦によって既に北朝鮮に帰った。  その帰った後に、北朝鮮当局の発表は、この人物のやったこと、すなわち拉致をしてそしてその人物に成り済まして韓国においてスパイ活動をやったということに対して英雄視するという公式なコメントがございました。ある意味では、北朝鮮が拉致があったということを現実に認めたケースでございますが、この件について、当局として、その捜査資料を入手し、そしてそれを国民及び国際世論に開示する用意はあるのでしょうか。お答えをお願いいたします。
  134. 渡邉一弘

    渡邉政府参考人 お尋ねの件につきましては、まだ検察庁に送致も受けておりませんので、法務省としてはお答えいたしかねます。
  135. 山田敏雅

    山田(敏)委員 私は、この件は外務省に質問をお願いして、見解を出してくださいというふうにお願いしておりますので、外務省の方からお願いいたします。
  136. 河野洋平

    ○河野国務大臣 御指摘の点は、韓国政府我が国に対してできる限りの協力を行うという立場でございまして、我が国からの捜査共助要請に応じております。そして、既に捜査関係書類の提供を受けるなどしているところだと思います。  これらの捜査資料を公表すべきかどうかは、本事案の捜査を遂行していくとの観点から、検察当局において判断されるべきものと認識しておりまして、外務省はこれ以上のお答えは差し控えさせていただきます。
  137. 山田敏雅

    山田(敏)委員 本件については検察庁が判断するということでよろしゅうございますか。——はい、わかりました。  最後になりましたが、防衛庁の方で、先日の北朝鮮のスパイ船が最後に北朝鮮の港に入ったということを確認して判断したということでございますが、その具体的な根拠あるいは証拠について、これは、安全保障会議というものがございまして、高度な判断をもって、防衛上の秘密であっても公表できるというような解釈ができるわけですが、その点についてお伺いいたします。
  138. 首藤新悟

    首藤政府参考人 お答え申し上げます。  昨年三月の能登半島沖不審船事案に係る不審船につきましては、防衛庁としては、これまで入手いたしました種々の情報を総合的に分析いたしました結果、いずれも、昨年三月二十五日早朝までに北朝鮮北部の港湾に到達したと判断したところでございます。  しかしながら、具体的にいかなる情報に基づいて判断したかにつきましては、今後の情報収集活動等に支障を生じるおそれがあるということから、公表することを差し控えたいと存じるわけでございます。  なお、今、山田先生、安保会議の件をおっしゃいましたが、私どもとしては、一般的に、防衛上あるいは公務上知り得た秘密を開示するという場合は、自衛隊法にも規定がございまして、開示をする場合には長官の許可を受けなければならない、こういった許可は、法令に別段の定めがある場合を除いて拒むことができないとなっているわけでございますが、その関連の法令としましては、刑事訴訟法あるいは民事訴訟法等いろいろございますけれども、いずれも、そういった場合は、国の重大な利益を害する場合あるいは公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き拒むことができないということがございますけれども、逆に申せば、そういったものに該当する場合には、拒むことあるいは提出などを控えることができるということになってございます。
  139. 山田敏雅

    山田(敏)委員 一言だけ。  今の、情報を開示する、証拠を明らかにする、そういう行為が今なされておりませんので、国民にとっても非常にわかりにくい、そして、非常に北朝鮮外交に対する不満がたまっていると思います。きょうの答弁を踏まえまして、ぜひ前向きに情報の開示を行って、この問題の、北朝鮮外交の基本にしていただきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  140. 高木義明

    高木委員長 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後四時四十二分開議
  141. 高木義明

    高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤島正之君。
  142. 藤島正之

    ○藤島委員 自由党の藤島正之でございます。本日は、自由党の立場から、ただいま議題になっております船舶検査法案について防衛庁長官及び外務大臣質問させていただきたいと思います。  まず最初に、この法案周辺事態の安全確保法の補完的なものである、こういう位置づけで間違いございませんでしょうか。防衛庁長官お尋ねします。
  143. 虎島和夫

    虎島国務大臣 そのように考えております。
  144. 藤島正之

    ○藤島委員 周辺事態の安全確保法には、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態など、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態対応して我が国実施する措置、その実施手続その他の必要な事項を定め、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与し、こう書いてあるわけです。  だとしますと、船舶法案の要件となっております国連安全保障理事会の決定ということを引き合いに出して、日米安保条約の効果的な運用、ここに結びつけておるわけですけれども、これはある種の混同といいますか、矛盾のようなものを持っているんじゃないかというふうに思うわけですけれども、その辺はいかがでございましょうか。外務大臣でもよろしゅうございますけれども。
  145. 河野洋平

    ○河野国務大臣 本法案に基づきます船舶検査活動についてのお尋ねでございますが、これはあくまでも周辺事態に際しまして、我が国我が国の平和及び安全の確保のためにとる対応措置一つとして行うものでありまして、日米安保条約の効果的な運用に寄与するものであります。このような船舶検査活動の性格は、国連安保理決議があると否とにかかわらず、何ら変わるものではないと思います。  本法案におきまして、安保理決議に基づく船舶検査活動と、安保理決議がない場合には旗国同意を得て行うということになっておりまして、いずれにせよ、我が国の安全ということのために行う作業でございます。これは、本法案に掲げてございますように、周辺事態対応するものでございますから、このことについての今お尋ねの二つについて矛盾があるとは思っておりません。
  146. 藤島正之

    ○藤島委員 国連決議がありますと、四十一条及び二十五条の関係から国連加盟国は受忍義務があるということからしまして、その措置としては他の国と共同したりしまして他の国と同様の措置をとれるようにすべきだ、こう考えておるわけですけれども、この点については、防衛庁長官、いかがでしょうか。
  147. 虎島和夫

    虎島国務大臣 船舶検査は、経済制裁実効性確保する目的で、各国の主体的な判断によりその具体的な実施内容を定められる性格のものであります。したがって、諸外国が実施する活動は必ずしも一致するものではないというふうに考えます。  これまでの諸外国によるいわゆる船舶検査の活動実績にもかんがみ、本法案に規定されている範囲内の対応船舶検査活動を有効に行い得るものと考えておるところであります。
  148. 藤島正之

    ○藤島委員 今の法案船舶検査に有効に対処できるかどうか、おいおい御質問してまいりたいと思いますけれども、要するに、国連決議に基づいてやれるものと、そこに今回の法案旗国同意を得てというのをあえてくっつけまして、そこでやれる範囲を非常に限定している。そこに私は、周辺事態に対して両方の形のものをやろうとするもので、ある種の矛盾といいますか、行為に限定を加えざるを得ない、こういうことになっているんじゃないか。こういうことを私は先ほど外務大臣のときにも指摘したわけですが、その辺はどうでしょうか。
  149. 河野洋平

    ○河野国務大臣 幅を狭めてとおっしゃいましたけれども、国連の決議があれば国連加盟国はみんな受忍義務があるわけでございます。その国連決議が何らかの事情で行えない場合ということになりますと、複数の国々とタイアップをして経済制裁措置を行うなりなんなりという作業をし、その中から旗国同意を得て船舶検査を行うという作業が出てくるわけでございますから、決して全体を狭めているというふうには思わないのでございます。
  150. 藤島正之

    ○藤島委員 私は、国連決議があれば、周辺事態に限らず、周辺の地域に限らず、どこの地域に行ってもいいわけでありまして、またその行動についても、かなりフリーハンドといいますか、を持っておるわけでありますし、その点、旗国同意という点については同一視する場面じゃないということを申し上げているわけです。  それでは、質問しますけれども、この件は経済制裁ということなんですが、国連決議がない場合我が国だけでこういう行為を実行する、そういうことなのでございましょうか、防衛庁長官
  151. 竹内行夫

    竹内政府参考人 経済制裁が導入されているということがこの船舶検査を行う前提でございます。経済制裁実施されるに当たりまして、当然、第一義的には、国連安保理決議によって制裁というものが決定され、実施される。その場合には、決して船舶検査だけに限るわけでございませんで、各国の国内法に基づきまして輸出入の禁止措置といったようなことが行われるわけでございます。  その際に、今単独でということをおっしゃいましたけれども、やはり国連の安保理決議として国連の制裁がある場合、それから国連の安保理におきまして何らかの事情によりまして制裁なり船舶検査活動というのが決議としてまとまらなかった場合という場合に、国際社会がやはり平和と安全の維持のために経済制裁国際社会——国連ではございませんけれども、協力する国同士で集まりまして経済制裁を導入して船舶検査を行うということは考えられ得るわけでございます。  そういう場合でございますので、単独で、例えば我が国一国だけで、ある国に対して経済制裁を加えるということを仮に決めまして、それで船舶検査を行うというようなことは、この船舶検査法案では想定しておらない、そういうことは対象としていないということでございます。
  152. 藤島正之

    ○藤島委員 単独でということを想定していないということなんですが、その場合、共同してやる場合に、安保理の決議がないわけですから、そうしますと、この案では旗国同意というのが条件になっておるわけですけれども、先ほど来の質疑でもいろいろありましたけれども、旗国同意というものは、私は、周辺事態というのは、最初に申し上げましたように、我が国の安全に非常に重大な事態になりそうな時期でありまして、そういう事態のときに本当に旗国同意というものが取りつけられるのかどうかですね。  例えば、御承知のように、旗国といいましても、対象国が旗国とは限らないわけでありまして、タンカーとか何かですと、リベリア船籍とか、税金の安いところに旗国を持っていく、そういうケースがいっぱいあるわけですけれども、そういうところは実質的にその船に対して旗国の支配が全然いっていない。そういうケースも非常に多いわけだと思うんですね。  そういうのを前提にしたときに、本当に速やかな旗国同意、こういったものが現実に得られるというふうに考えておいでなんでしょうか。
  153. 竹内行夫

    竹内政府参考人 先生御指摘のような問題、すなわち安保理決議がない場合に旗国同意が速やかに得られるかという問題につきましては、私どももその点は問題があると思いますので、したがいまして、まずは国連の安保理において決議を成立させるということがやはり第一義的に求めるべきことであろうと思います。  それで、しかるに安保理決議に関しまして、場合によっては拒否権の行使といったようなことで成立ができないというようなこともあり得るわけでございます。そのような場合に、国際社会としてやはり何らかの平和と安全の維持のための経済制裁措置が必要だという認識が高まり、それがまた我々の、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼすような事態への対応策としてもしかるべきものであるというような際には、その旗国同意が得られるような外交努力をする必要があると思います。  それは決して容易なものではないかもしれません。かつ、なかなか速やかに得られるものでないかもしれません。しかし、そこはやはり国際法の大原則であります公海自由の原則ということにかんがみましても、旗国同意を得ることが不可欠でございますので、外交努力でもってしかるべく迅速な効果的な措置の導入に努めるということであろうかと存じます。
  154. 藤島正之

    ○藤島委員 今お答えがありましたように、旗国同意というのは、現実問題非常に難しいことじゃないかと思うんですね。  先ほど来も、あらかじめ同意を、合意を得ておくというような話がありましたけれども、では、日本の周辺にたまたま来る船が事前に全部わかっているのかどうか。とてもそんなことはあり得ないと思いますし、具体的に、来たときにその船がどこの船か確認して、外交ルートで同意を得ていると、そんなふうに得ている暇にも目的地へ行っちゃうんじゃないかというふうに思うので、要するに、この法案は、国連決議があるのが前提であるけれども、特定国の反対で決議が得られない場合にどうにもならないというので、格好だけをつける意味旗国同意というのをくっつけた、そういう矛盾した、無理のある法案だ、こういうふうに実は思っているわけです。  したがいまして、私どもとしては、この法案はもう一回分解をして、国連決議がある場合にどういうことがやれるのか。それは、地域的な問題もありますし、他国と同様のことがやれるように、そこはぐっと広げて一般の国と同じようなことをやれるようにしておく。一方、それとは全く別に旗国同意というのが条件でやるのならば、それはそれで私はいいと思うんですが、そういうふうに二つの内容に分けるべきだ、こういうふうに思うわけですが、その点について、防衛庁長官、いかがでございましょう。
  155. 虎島和夫

    虎島国務大臣 諸外国における今までの実績等にかんがみれば、我が国が行おうとしておるこの法律に基づく船舶検査活動は実質的には有効に機能するものと考えられる、そのようなことで御提案申し上げておるわけであります。
  156. 藤島正之

    ○藤島委員 有効に機能するかどうかということを伺っているわけじゃなくて、性格が違うわけですから、二つの法律に内容を分けるべきではないか、こういう質問なんですが。
  157. 虎島和夫

    虎島国務大臣 政府としては、この案を、現状、客観情勢その他すべてを勘案した結果、最良のものであると考えて、現状から考えて出しておりますので、どうぞ一括で御審議いただきますようにお願い申し上げます。
  158. 藤島正之

    ○藤島委員 どうもかみ合わないようなので、この点は我々は、そういうふうに二つに分けて、すっきりもう一回整理し直して出すべきだということを強調しておきたいと思います。  さて、それでは、本当に今の法案の内容で効果的なのかどうか、この点についてもうしばらく議論してみたいと思います。  ところで、この措置は非軍事、非強制ということ、そういうふうにとらえてよろしゅうございましょうか。
  159. 虎島和夫

    虎島国務大臣 我が国が行う船舶検査活動は、貿易その他の経済活動にかかわる規制措置であって我が国が参加するものの厳格な実施確保する目的で、船舶の積み荷及び目的地を検査し、確認する活動並びに必要に応じて当該船舶航路等の変更を要請する活動であり、本法案に基づく船舶検査活動は、制裁対象国との関係を含め、武力の行使または武力による威嚇に当たるものではない。  また、一方、船舶検査活動態様に関しては、法案別表にあるように、船長の承諾を得ての乗船検査確認並びに船舶の停船や必要に応じた航路等の変更の要請等、何ら強制措置を伴うものではない、これらのことを実行したいというわけであります。
  160. 藤島正之

    ○藤島委員 要するに、非軍事、非強制、こういうふうに受け取ってよろしいわけですね。
  161. 虎島和夫

    虎島国務大臣 通常、そのように呼びならわしております。
  162. 藤島正之

    ○藤島委員 周辺事態というのは、先ほど私、最初に読み上げましたように、我が国の安全に及ぼす影響が非常に重大な事態が差し迫っている、こういう事態だと認識しておるわけですね。したがって、最初に申し上げたように、この法案はその補完的な法案であるというふうな位置づけで間違いない、こういうことなのでありますが、そういう状況にあって、全く非軍事、非強制、こういうものでよろしいんでしょうか。
  163. 虎島和夫

    虎島国務大臣 先ほども申し上げましたように、現在の社会的な状況、客観情勢等を考えた場合には、この法案の内容がとり得る最善の道であるということで提案しておることであります。よろしくお願い申し上げます。
  164. 藤島正之

    ○藤島委員 それでは、この内容について少し見てみたいと思いますが、過去の例について伺ったところでは、船舶検査はこれまで三回、対イラク制裁の際の船舶検査以下三回あるわけでありますが、いずれも国連の決議に基づくものでありまして、それ以外のものはない、こういうふうに外務省から聞いておるわけでありますが、その総数は、十一万隻以上の照会、一万八千隻以上の乗船検査、警告射撃が行われたケースは十五件、進路変更を行ったケースが二千隻、これに間違いございませんか。
  165. 竹内行夫

    竹内政府参考人 我々が調査いたしました結果、今委員御指摘のとおりでございます。
  166. 藤島正之

    ○藤島委員 それでは、さらに伺いますけれども、停船あるいは停船しろという指示にもかかわらずそれを無視して航行したものはありますでしょうか。
  167. 竹内行夫

    竹内政府参考人 我々が承知いたしているところでは、問題のある船舶に対しては進路変更を要請するとか求めるというようなことをしているのでございまして、それ以上に事態が発展をいたしまして、例えば航行不能にさせるような発砲を行うというようなことは行うことなく、この船舶検査実施されているというふうに承知をいたしております。
  168. 藤島正之

    ○藤島委員 要するに、進路変更まではあるが、停船あるいはその停船命令を無視して航行をしたものはない、こういうふうに受けとめておきます。  さて、別表で、第五条関係で、こういうことを自衛隊は行うことができる、こういうふうに表に書いてあるわけでありますが、この幾つかについてお尋ねしたいと思います。  まず、三番目の「船舶の名称等の照会」、これは照会することができる。これの照会に応じなかった場合はどうするんでしょうか。
  169. 仲村正治

    仲村政務次官 ただいまの船舶検査に当たって、我が国としては、仮に検査対象船舶検査等に従わない、あるいは逃走するような場合には、法案別表に規定されている具体的行為を適切に組み合わせることにより、このような船舶対応することにしております。  なお、諸外国によるこれまでの検査対象船舶への検査等実績等にかんがみますれば、検査対象船があくまで検査等に従わないとか、あるいは逃走するケースは極めて例外的な場合でありまして、我が国が行う船舶検査活動は、経済制裁実効性確保するための措置として実質的に有効に機能すると考えているのであります。  また、船舶検査活動に際して、これに従わなかったり逃走したりした船舶への対応は、我が国実施する船舶検査活動による対応に限られるものではなくて、他国の検査実施船舶による対応旗国または交易国等による対応も当然想定されるところであります。そのような全体としての対応をもって、経済制裁実効性確保されることとなると考えております。  例えば、逃走したりした船舶への対応でありますが、海域がそれぞれ各国分担して決められておりますので、たとえ我が国の分担区域から逃げたりしても他の国の実施区域でその検査を受ける、こういうことになると考えているのであります。
  170. 藤島正之

    ○藤島委員 その先まで読まれるとちょっとあれなんですが、私の方は、照会を拒否された場合はどうするのかということを伺っているわけです。  それでは、次に、乗船しての検査確認、これをやろうとするには船長の承諾が必要になっておりますけれども、これを船長が承諾しなかった場合はどうすることになるんでしょうか。
  171. 仲村正治

    仲村政務次官 お答えいたします。  当該検査対象船舶旗国当該船舶船長等が異なる判断を示すことは一般には想定しがたいが、仮にそのようなことがあれば、我が国が行う船舶検査活動は、船長等承諾を得て乗船検査等を行うこととしておりまして、その承諾が得られない場合にはそのような検査を行い得ないことになる、このように考えているのであります。
  172. 藤島正之

    ○藤島委員 要するに、船長の承諾がない場合は、船舶検査は、書いてあっても何もできないということになるわけです。  それから五番目、航路の変更の要請、これも船長が同意しない、あるいは従わない、こういう場合はどうするんでしょうか。
  173. 首藤新悟

    首藤政府参考人 その場合も、今、仲村総括政務次官からお答えしたのと基本的に同じでございます。ただ、先ほど来るる申し上げておりますように、過去の実績等を見ますると、そのような要請は通常受け入れられておるということがございますし、また、これも申し上げておりますけれども、そういった事態への対応は、我が国実施いたします船舶検査活動による対応に限られたものではございませんで、他国の検査実施船舶による対応、あるいは旗国または交易国等による対応も当然想定されるところでございまして、そのような全体としての対応をもって経済制裁実効性確保してまいりたいと考えているわけでございます。
  174. 藤島正之

    ○藤島委員 あと、船長に対する説得あるいは接近追尾、こうあるわけですけれども、いずれも同じようなことになるんだろうと思うのですね。要するに、海上自衛隊がこういう行為をしようとしたときに、相手側が同意をしなかったり、こちらの説得に従わないと何もできない。総合的にいろいろなのを組み合わせたところで、何もできないものは何もできないんですね。そうなりませんか。
  175. 虎島和夫

    虎島国務大臣 そこで要請した行動そのものは、船長の承諾がなければできないわけであります。しかしながら、それではそれを放置するのかとなれば、国家としては、やはり貿易その他いろいろな国際間のかかわりがあるわけでありますから、それらのことを総合的に動かしながら、この法律の期待するところを達成するように努力する、こういうことに相なると思います。
  176. 藤島正之

    ○藤島委員 いろいろな方法があるとおっしゃるんですけれども、要するに、組み合わせても、何もできないものは何もできないので、海上自衛隊としては、派遣はされたはいいけれども、いろいろなことは試みるけれども、結果、何もできないということになるんじゃないかということを私は危惧して申し上げているわけです。  そういうふうに申し上げると、いや、現実にそんなケースは余りない、こういうふうにおっしゃいますので、それでは、その点についてただしていきたいと思います。  先ほど申し上げたように、実例として、警告射撃、あるいは場合によってはテークダウンというのがあるんだそうですけれども、テークダウンというのはどういうことをやるんでしょうか。
  177. 竹内行夫

    竹内政府参考人 テークダウンと申しますのは、私の承知しておりますところでは、湾岸戦争の際に船舶検査が行われました、その際に、警告射撃と航行不能に至らしめる発砲の中間に位置するものというふうな措置であったと承知いたしますが、ヘリコプターから部隊をその船舶に降下させて船舶検査活動を行うということをテークダウンというふうに承知をしております。
  178. 藤島正之

    ○藤島委員 外国はそういう例までやっているわけですね、現実に。したがって、航行不能射撃とか、そういうところまでやらなくてもいい、従っているといいますけれども、要するに、船舶は、外国の場合には、警告射撃、あるいは場合によったら航行不能化のための措置、射撃ですね、あるいはテークダウン、そういう手段があり得る、やるかもしれない、こういうものが背景にあるから従っている、こういうふうに理解すべきじゃないんでしょうか。
  179. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 ただいまのテークダウン等降下、リペリングというのはヘリからおろすというような、そういう行為であると承知はしておりますけれども、警告射撃を含めまして、諸外国で若干ながらそういう実例があるということは承知はしておりますけれども、我が国におきましては、先ほど来いろいろと御答弁申し上げておりますように、この法案の趣旨にのっとって、全体的な組み合わせ、そしてまた、いろいろなその時々の状況等を勘案しながら、本法に言うところの経済制裁の効果を上げるように最大限努力をしていく、そういうことでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  180. 藤島正之

    ○藤島委員 私は、この法案が通ることによって、日本の海上自衛隊は絶対に実力を行使することができない、それがこの法律だというのが相手方にはっきりわかってしまって、本当に従ってくれるのか、それでは海上自衛隊はまるでかわいそうではないか、実はこう思うわけなんですね。したがって、最初から申し上げているように、国連決議があったような場合には、ほかの一般の国が行えるような、そういう程度の実力の行使は海上自衛隊に権限として与えるべきであると。要するに、この法案は、何も権限を与えないで、海上自衛隊に仕事だけやらせよう、こういう法案としか私は受けとめられないのでありますが、その点はいかがでしょう。
  181. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 いろいろと委員お話しでございますけれども、この法律に従って本来の経済制裁の効果を上げるべく自衛隊の部隊等が一生懸命努力をする、そういうことになるわけでございますが、先ほどの諸外国の例の中にも、言ってみますと、十一万件程度の照会等を含めて、実際の効果というのが、それなりの大きな効果があった、そういう全体的での評価というのが行われているわけでございますので、仮に自衛隊に、今先生お話しのような諸外国並みの権限なり行動というものができない、こういうことであっても、総合的に努力をすることによって本法の趣旨は達成できるだろう、このように思っているところでございます。
  182. 藤島正之

    ○藤島委員 時間になりましたので、私は、最初から申し上げているように、この法律案は完全に分離をした形で、少なくとも、海上自衛隊が一般の外国と共同して対処する場合に同じような行為ができる、こういうふうな内容に差し戻してしかるべきだということを強調して、質問を終わります。ありがとうございました。
  183. 高木義明

    高木委員長 次に、赤嶺政賢君
  184. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 私は、日本共産党の赤嶺政賢でございます。日本共産党の立場から、今度の船舶検査法案に対し質問を行いたいと思います。  質問の第一ですが、今回の法案は、前回のものと変わっておりまして、その中身が、前回政府は、国連安保理決議なしには船舶検査活動ができないと言っていたわけですが、今回なぜその国連安保理決議のみを根拠としなかったのか、なぜ旗国同意という新しい根拠を盛り込んだのか、この点で説明を求めたいと思います。
  185. 仲村正治

    仲村政務次官 船舶検査活動実施する場合には、国際法上、対象船舶旗国同意が必要となる。国連安保理決議があれば、国連憲章第二十五条により、加盟国に受忍義務が生ずることになります。旗国同意を取りつけることなく他国の船舶検査することができることとなるわけです。  このことを踏まえて、国際法上の観点から、船舶検査活動前提として国連安保理決議があれば有益であると考えておるわけでありますが、何かの事情で国連安保理決議決議されない、そういうときであっても国際法船舶検査ができる、旗国同意を得て実施をする、こういうことにしたものであります。
  186. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 皆さんは、安保理決議がないと実効性がないんだということを繰り返し説明されてきたわけですね。今回の場合に、この安保理決議がなくても、旗国同意があれば船舶検査ができるということになれば、皆さんがこれまで説明してきた実効性ある船舶検査という立場と違ってくるんじゃないか、その点はどうなんでしょうか。
  187. 虎島和夫

    虎島国務大臣 ただいま総括政務次官からお答えいたしましたように、旗国同意を追加した理由は、何らかの事情によって国連安保理決議が採択されない、このような状況においても、周辺事態に際しては船舶検査活動実施することが必要である、こういうふうに判断される場合があると考えられましたので、その際には、船舶検査を受け入れる国の立場も考慮して、その同意を得た上で対応する必要があるというのでこの条項を入れさせてもらったわけであります。
  188. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 前に進まない答弁はちょっとやめていただきたいんです。安保理決議があるから効果を持つんだ、こう説明していました。今回、安保理決議がなくても船舶検査ができるというぐあいになると、前の説明と矛盾するんじゃないですか。その矛盾する中身についてきちんと説明をいただきたいということなんですが、防衛庁長官
  189. 虎島和夫

    虎島国務大臣 安保理の決議があれば当然にできるわけであります。  ただ、今回配慮したのは、安保理決議が何らかの事情でとれなかった場合、しかもなお船舶検査をする必要があるというときには、旗国同意を得、かつ船長等承諾を得てこれをすることができるという項目をつけ加えたわけであります。つまり、より実効性のある方法をここで挿入して御提案申し上げたわけであります。
  190. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 安保理決議がなければ実効性がないということをおっしゃっていたわけですから、今回、安保理決議がなくても、旗国同意があれば船舶検査ができるんだということ、ここには明らかに矛盾した中身の発展があると思うんですよね。  それで、周辺事態という中で安保理決議が担保されたら船舶検査に日本の国が出ていく、こういう方向に私たちの党は反対ではあるわけですが、ただ、皆さん方の立場を説明する上で、安保理決議という、いわば国際社会に認められた、皆さんなりに言えば認められた立場、これがあるから船舶検査に出ていくんだということになっていたと思うんですよね。今は国際社会で認められていなくても、いわばより広い概念の中であなた方が船舶検査に出ていく、国際社会であなた方が船舶検査に出ていくことをチェックするものが失われていく、そういうことになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  191. 河野洋平

    ○河野国務大臣 議員がお話しになりましたように、周辺事態が起きている、その周辺事態が起きているということから国連ではさまざまな議論が行われて、決議が行われるということになれば、これは議員も御承知のとおり、国連の決議でございますから加盟国は受忍義務が生ずるわけで、これはどの船であっても船舶検査対象として検査ができるわけでございますが、何らかの理由によって国連決議ができないという状況になった、しかし一方で周辺事態というものはある、そういう状況であれば、この問題に関心を持つ複数の国々と相談をして、経済封鎖を行うあるいは経済的なプレッシャーをかけるための議論をし、実行をしよう、そういう話が複数国の間で行われるということになれば、その複数の国々と一緒に旗国同意を得て船舶検査を行うということができると思うんです。  議員のお尋ねの中で、我が国一つでもできちゃうんじゃないか、だから歯どめがないではないかという御理解であるとは思いませんけれども、それは何も我が国一国の恣意に基づいてやるというのではなくて複数の国々の合意があって行うということでございますから、これは国連の決議という、議員がおっしゃるような国際社会唯一の組織であります国連の決議によって行うという状況とはいささか違いますけれども、それは国連の決議を得るために努力はするわけですけれども、何らかの理由でそれができないということになれば、旗国同意を得て船舶検査を行うために次の努力をするということは御理解いただけるのではないかと思いますが。
  192. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 国連安保理決議をしないということは、国際社会でやはりそれだけの位置しか持っていないということにつながっていくと思うんです。  周辺事態ということについて、ちょっと国会での答弁を調べてみましたけれども、去年の特別委員会の四月二十日の答弁で、野呂田国務大臣周辺事態については六つの類型化をしておりまして、一つは、我が国周辺の地域において武力紛争の発生が差し迫っている場合。これは差し迫っているわけですから、武力紛争そのものは起きていないわけですね。二つ目は、武力紛争が発生している場合。三つ目は、武力紛争そのものは一応停止したが、いまだ秩序の維持、回復等が達成されていない場合。四つ目は、ある国の行動国連安保理によって平和に対する脅威あるいは平和の破壊または侵略行為決定されている場合。五つ目は、ある国における政治体制の混乱等によりその国において大量の避難民が発生し、我が国への流入の可能性が高まっている場合。六つ目が、ある国において内乱、内戦等の事態発生し、それが純然たる国内問題にとどまらず国際的に拡大している場合であってということで、いわば、この六つの周辺事態ということを考えてみた場合に、おのずからその六つについて国連安保理対応の仕方が出てくると思うんですね。そこをやはりしっかりやっていくことが国際社会に対する、政府がふだん言っている立場に立っても、そこをしっかりやるということになるんじゃないかと思うんですね。  ところが、旗国同意を得てできるということになりますと、安保理決議がない場合、つまり周辺事態法というふうなのはアメリカのそういう軍事行動を後方支援ということもあるわけですから、まさに今世界で批判されているアメリカの覇権主義的な行動に日本が船舶検査の面でも従っていくことになるんじゃないか、そこにやはり安保理決議なしにできるという道が開かれることになっているんじゃないかと思いますが、この点いかがですか。
  193. 虎島和夫

    虎島国務大臣 以前に防衛庁の方で長官、大臣が六項目を挙げたというのは、ある事態がこのような周辺事態に該当するか否かは、その事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断するものであるため、その具体例をあらかじめ包括的に示すことはできないが、例えば以下のような場合が考えられるとして、六つのことを例示として掲げておるわけであります。そのことについての発表であったと思います。  これは、あくまでも、ある事態周辺事態に該当するか否か、周辺事態において我が国周辺事態安全確保法に基づいていかなる対応措置をとるかについては、これは例えば日米両国政府間において密接な情報交換、政策協議を通じての共通の認識に到達する努力は払われるでしょうけれども、我が国がその時点の状況を総合的に勘案し、あくまで我が国の国益を確保するという観点から主体的に判断するというのが我が国政府の方針であります。
  194. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 防衛庁長官国際社会の道理に立つということを皆さんがおっしゃるのであれば、周辺事態というのも起こり方はさまざまある、そして安保理の対応にもさまざまあるだろう、そういう国際社会の、いわば国連の安保理のさまざまな対応に日本がよって立つというんでしょうか。そこから離れて、国連安保理が考えてもいないようなことを、実際にはアメリカと一緒に行動していくことになるわけです、結果としては、旗国同意ということがあれば。そういうことになるのではないか。  結局、さっき外務大臣お答えになりましたように、船舶検査というのは日本一国だけでやるものじゃないですよ。国連安保理に基づいてやるものでもない。皆さん旗国同意ということであれば、結局どこと一緒にやるか、アメリカじゃないですか。そういうアメリカの覇権主義的な行動に日本がついていくことになるんじゃないか、そう思うんですが、いかがですか。
  195. 虎島和夫

    虎島国務大臣 これは、計画を定め、そして具体的な実施要項と申しますか、これを定めるわけでありますが、その際の一つ大事なことは、海域を定めるというのがあります。この海域は他の国と競合しないように定めるということでありますから、我が国判断によって海域を定め、その海域の中での船舶検査を行うということでありますから、アメリカと共同行動がなければやらない、そんなことは想定しておらないわけであります。
  196. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 おのずから日本の海域が定まるのではなくて、アメリカと相談の上で海域も定められ、混交しないということになるわけです。  それで、そこのところを一つ指摘をいたしまして、旗国同意を得るという手続の問題で少し質問をしたいんですけれども、同意を求める手順、これはどういうものなのか。外務省が当該経済制裁対象国並びにその第三国の政府同意してくれるような外交ルートを通じて要請をするのか。この同意の具体的な手順、ここを明確にしていただきたいと思います。
  197. 荒木清寛

    ○荒木政務次官 旗国同意を得る具体的な手順ということでありますが、これについては、いかなる方法でこれを得るかにつきましては、個別具体的な状況に応じて異なりますから、確定的に申し上げることは困難であると考えます。  しかし、例えば、関係国間で合意をする場合も考えられますし、二国間で個別に同意を取りつける場合も考えられます。また、国際約束以外の外交文書による場合もあると考えられます。
  198. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 今の答弁で、私、どんなふうにして同意の手順、何が手順になっているのかわかりませんけれども、先ほどの質問にもありましたが、旗国同意という場合には、世界じゅうの国々に外交文書を発して同意を得るのですか、どんな方法でやるのですか。
  199. 竹内行夫

    竹内政府参考人 まず、同意ということからいたしますと、第一義的には、申すまでもなく、安保理決議が成立することが望ましいわけでございますので、国連の場で努力をするということがあろうかと思います。それが何らかの事情により安保理決議ができなかった場合に、個別にその旗国同意を得るという努力をするわけでございますが、それは、先ほど総括政務次官から答弁いたしましたとおり、個別の状況によっていろいろなことが考えられると思います。  例えば、これは全くの例でございますけれども、関係国が一種の会議というものを持ちまして、外交担当者が集まりましていろいろ打ち合わせをして決めるということもあろうかと思います。それから、二国間の外交チャネルを通じて同意を集めてそれを集合するというようなこともあろうかと思います。これはまさしく、先ほど来述べておりますとおり、個々状況におきまして外交的な活動として行われる、その具体的なやり方というのは個々の場合によって異なってき得る、こういうことであろうかと思います。
  200. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 その場合に、かなりの国に上るわけですよね。経済制裁対象国それから第三国、そういうところに、皆さんとしては、この海域では日本が分担して船舶検査をやりますよ、同意してください、そういう外交文書を流すことになるわけですか、あるいは二国間の首脳会議なんかをやることになるわけですか。
  201. 竹内行夫

    竹内政府参考人 御質問の点に関しましては、繰り返しになるわけでございますけれども、外交チャネルで二国間でやる場合というのもございますでしょうし、それは場合によっては首脳レベルでの接触ということもあるかもしれません、多数国間の会議を開催するということもあるかもしれません。繰り返しでございますけれども、それはまさに個々状況において最も適切と思われる方法がとられるということでございます。  重要なことは、旗国同意を明確に得るという手順を踏むということであろうかと思います。
  202. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 旗国同意を明確に得ると。例えば、向こうから文書で来るとか、あるいはその文書にかわる明確さでもって同意を得るということになるわけですね、今明確に得るというぐあいにおっしゃっていましたけれども。
  203. 竹内行夫

    竹内政府参考人 旗国同意、これは公海上におきまして外国から自国の船舶検査を受けるということに対する同意でございますので、これは旗国としましても恐らく、というか非常に慎重に判断をされることだろうと思います。したがいまして、当方といたしましても、まるで誤解が生ずるといけませんので、そこのところは先方の同意がはっきりしているということが必要であろうかと思います。それは周到な同意の取りつけということが必要だろうと思います。  それがどういう形式で行われるかということにつきましては、それはその時々の状況にもよるわけでございますので、これということが国際法上決まっているわけではございませんし、また先例慣行上決まっているということもございません。これはその時々の状況において最も適当な方法がとられるということかと存じます。
  204. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 つまり、同意のとり方というのは国際法上何の根拠もないということなんですね。そういうことですね。
  205. 竹内行夫

    竹内政府参考人 国際法上、これは法律的な話になりますけれども、一国の意思というものを表明いたしまして、それが一種の法律的な意味を持つと申しますか国家の意思として明確に示されるということがございます。その方法といたしましては、条約、協定といった国際約束の場合もございますし、外交文書、例えば口上書であるとかメモランダムであるとか、いろいろな外交文書がございます。さらには首脳による声明といったものも例えばあるかもしれません。そういうようないろいろな国家の意思の表明のやり方の中で最も適当な方法ということをその状況に応じて考えてまいる、こういうことになるかと存じます。
  206. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 結局、安保理決議以外にも旗国同意が得られたら船舶検査ができるという部分を入れたために、同意手続というのも、聞いている私たちの方でも余りよくわからない、当たってみなければわからないというような見通しのない法律になっているような気がするのです。  そこでちょっとお尋ねいたしますけれども、九日の本会議の際に、外務大臣は我が党の山口富男議員の質問に答えまして、対象船舶旗国我が国による検査同意していると判断される場合というぐあいに答えているわけですが、判断される場合には問題がないということを言っているわけですけれども、その場合の判断というのは、今議論になりました文書による明確な同意とか外交の舞台での明確な同意とか、そこをもって判断というわけですね。それ以外には判断が出る余地はないと思うのですが、いかがですか。
  207. 河野洋平

    ○河野国務大臣 旗国同意が必要でございますから、旗国同意したということがあいまいな形であっては困るわけで、今御答弁申し上げましたように、そういうあいまいでないはっきりとした同意ということが重要だと思います。
  208. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 そのことを確認しておきたいと思います。  もう一つは、船舶検査をやっていく場合に船長の同意というのが一つの大きな山場になっていくと思います。旗国同意というのは先ほどの答弁があったわけですが、船長が船舶検査を拒否した場合は船舶検査活動はできないということになるのかどうか、この点も御答弁をお願いします。
  209. 河野洋平

    ○河野国務大臣 旗国同意と船長の承諾ということが必要だろうと思います。
  210. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 そうすると、船長の同意がなければ船舶検査は行わないということになるわけですね。
  211. 首藤新悟

    首藤政府参考人 船舶検査活動は、旗国同意と、加えて船長等承諾を得て行うものでございます。
  212. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 ですから、船長の明確な承諾がなければ船舶検査は行わないという理解でよろしいのですね。
  213. 首藤新悟

    首藤政府参考人 失礼しました。今、乗船検査船舶検査を言い間違えたと存じますが、そこは訂正させていただきたいと存じます。  乗船検査を行う場合には船長等承諾が必要であるということでございまして、当初、船長等が容易に承諾しないというような場合にも、この別表に掲げられておりますような説得その他の手法を用いまして承諾を得る、そして乗船検査ができる等のことを私どもとして努力してまいるということでございます。
  214. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 今までの船舶検査の例を見ても、やはり船長等がその乗船検査に抵抗する、あるいは嫌がる、あるいはその現場から逃走するというようなことが起きているわけですけれども、皆さん説得をするというわけですが、その説得をするという行動は、果たして平和的な説得というところにとどまるのか、あるいはそこにとどまらないという事態発生した場合には乗船検査を停止するのかというのはいかがですか。
  215. 仲村正治

    仲村政務次官 旗国同意を得て検査実施するに当たって、さらに船長の承諾を得て乗船検査をするということになるわけでありますが、それを拒否された場合には、そのようなことが生じれば直ちに旗国に通報し、是正を求めていくことになります。
  216. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 あと一度質問の機会がありますので、今の、船舶検査を実際に行っていた場合にどんな事態に発展していくか、そのことについても次の機会に触れていきたいと思います。  全体として、やはり船舶検査活動は緊張を生む強制的な活動になっていくと思います。それだけに、明確な国際法的な根拠があるべき性質のものです。それは、国連憲章の第四十二条であり、安保理決議であり、そして国連海洋法条約あるいは戦時臨検というものも明確な国際法上の根拠となるわけですが、船舶検査活動は、今出されている法律というのは、そうした条約的な根拠を全く持っていない。旗国同意を得れば可能という解釈でやろうとしている、いわば条約上の根拠もないままやろうとしているということは、非常に重大な行動に発展していくのではないかということをきょうは指摘しまして、私の質問を終わります。
  217. 高木義明

    高木委員長 次に、今川正美君。
  218. 今川正美

    ○今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。  実は、虎島防衛庁長官は私と同じく長崎選出の議員で大先輩でございまして、非常な親しみを覚えるのですが、この委員会ではいささか厳しい質問もさせていただきたいと思っております。  ところで、我が党は、この船舶検査法案にかかわる大もとの法律であります周辺事態安全確保法、いわゆる周辺事態法に関しては、一つは、安保条約の変質、拡大につながる、あるいは集団的自衛権の行使につながっていく、さらに、アジア地域に新たな緊張を生み出すなどの理由で、昨年春の百四十五回通常国会では周辺事態法に反対をしてきました。  ところで、いま一度確認のために質問をするわけでありますが、周辺事態法で言う我が国周辺の地域というのは、周辺事態法の大もとの条約でもあります日米安保条約第六条で示すいわゆる極東の範囲と同じものと理解していいのでしょうか。
  219. 虎島和夫

    虎島国務大臣 周辺事態とは、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であり、その生起する地域である我が国周辺の地域をあらかじめ地理的に特定することはできないということは、もう政府見解として重ねて申しておるところであります。  また、周辺事態というのは、日米安保条約の第六条に言う極東における国際の平和と安全の維持といった観点ではなく、あくまで、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすか否かということに着目をしたものであります。したがって、周辺事態及び我が国周辺の地域と日米安保条約上の概念である極東との関係を一概に論ずることはできない。  なお、周辺事態は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であるということから、現実の問題として、このような事態が生起する地域にはおのずから限界があることもまた現実であるというふうに認識しておるところであります。
  220. 今川正美

    ○今川委員 私はこの委員会に入る前に、これは衆議院調査局安全保障調査室から参考資料第一号というものをいただいています。これの六ページにも、「我が国及び極東の平和と安全の維持を目的とする日米安全保障条約目的の枠内のものであることをより明確にするため、」というふうにしっかりと明記されているわけですから、一番の大もとは日米安保条約でありますので、やはり昨年の国会審議も含めて、このように非常に国民の生命と財産、安全にかかわる大切な法律であるはずですから、国民によりわかりやすく、やはり答弁説明をお願いしたいと思うわけであります。  そこでまず、具体的に船舶検査活動法案に関して、第一条に関して、日米安保条約の効果的運用に寄与する旨記載されていますけれども、これは一体いかなる意味なのか。これは何を聞かんとしているかといいますと、安保条約が改定された現在の日米安保条約は、この四十年間効果的に運用されてきたという認識が政府にあるのかどうか、そこはいかがですか。
  221. 虎島和夫

    虎島国務大臣 日米安保条約に基づく日米安保体制というのは、過去四十年間、我が国及び極東に平和及び安全をもたらしただけでなく、アジア太平洋における安定と発展のための基本的な枠組みとしても有効に機能してきており、効果的運用がなされてきた、このように考えております。
  222. 今川正美

    ○今川委員 そのとおりなのです。つまり、六〇年で安保の一部が改定をされてからこの四十年間、今虎島長官がおっしゃったとおり、日本の平和と安全に大いに寄与してきた、効果的に運用もされてきたということなのですね。  この十年間を振り返ってみますと、いわゆる冷戦が終結をして、日米安保条約が一番大きく想定をしていたソ連の脅威、このソ連という国も崩壊をした。そして、この周辺事態法という法律が国会で議論をされていたあの一年ちょっと前を振り返ってみますと、朝鮮半島も危機といいますか、そういうことが言われていた。ところが、ことし六月、一番肝心の朝鮮半島でも歴史的な南北首脳会談が行われている。  このように、この四十年間日米安保条約は効果的に運用されてきた。あの時期、ソ連の脅威だソ連の脅威だと言われた時期から比べますと、今のこの時期というのは、より緊張緩和、日本にとって平和と安全を脅かすような脅威になるものというのは、比較にならないほどに低くなった、小さくなったというふうに思うのでありますが、そこはいかがですか。
  223. 虎島和夫

    虎島国務大臣 それは見方がいろいろあると思います。  確かに、朝鮮半島に限って言っても南北首脳会談が行われました。これは大いに歓迎すべきことである、しかもその成功を我々は期待する、あるいはまた日本がその成功に向けて何かサポートすることがあればこれはやるべきであるというふうに思っておりますが、いまだ現実には、例えば安全保障問題については、何らかの取り決めができて、例えば南北間に存在している兵力が減ったわけでもなければ、あるいは南北の防衛首脳会談が行われましたけれども、伝えられるところによりますと、そのとき論じられた課題といいますか議案も極めて限定されたものであるというようなことでありますから、この関係はいまだ不透明である。期待はするけれども、また日本もこれを支援したいけれども、いまだ関係は、将来は不透明である。  したがって、我々は、現状ではこの話し合いが進展することを期待しながらも、注意深く見守っていくというのが現在我々がとっておる、とらなければならぬ態度である、こういうふうに思っております。いたずらに我々は刺激するわけではありませんけれども、現状は現状でありますので、御理解いただきたいと思います。
  224. 今川正美

    ○今川委員 あとの質問の事項がたくさんありますので、この点は一点だけ申し上げておきたいのですが、今長官もおっしゃったように、朝鮮半島の平和的な方向性というのが、まだ最終的に確定したわけではない、それはわかります。ただ、わかりやすく言うと、ソ連の脅威だと言っていた時代から比較をして、日本及びその周辺の安全保障にかかわる環境が一層険しくなっているということであれば、周辺事態法であるとか、あるいは今回ここに提出をされている船舶検査法案であるとかというのがわからないわけではありません。しかし、少なくとも当時から比べると緊張がより緩和しているのに、日本の軍事的な役割をより強めるような法律なり法案がどうして出てくるのかが国民にとっても非常に理解しづらいということだけを申し上げておきたいと思います。  さて、この法案の第二条でありますが、先ほど示しましたこの資料第一号によりますと、六ページと十六ページを比較して読んでみました。六ぺージでは、船舶検査活動を国連に対する協力活動として位置づけるのではなくて、周辺事態への対応に限定しようとするものである。ところが、十六ページでは、同じくこの船舶検査活動は「国連安保理決議に基づき行われる集団安全保障措置の一環である。」というふうに昨年国会答弁をされている。この二つの間に矛盾はないのですか。
  225. 首藤新悟

    首藤政府参考人 私、今川先生の今の御質問を正確に把握できたか。それから、今おっしゃられた資料は、私どものつくった資料ではなくて、調査室の方でおつくりになられた資料かと存じますが、二条に関しまして、船舶検査活動を国連に対する協力活動と位置づけていないのに国連安保理決議を要件としているということでございますけれども、船舶検査活動実施いたします場合には、国際法上、対象船舶旗国同意が必要とされるわけでございますけれども、安保理決議がございますれば、国連憲章第二十五条によりまして加盟国に受忍義務が生ずることになりまして、検査を受けることについて同意しているものと考えられることから、旗国同意を取りつけることなく他国の船舶検査することができることとなるわけでございます。  このことを踏まえまして、国際法上の観点からも、船舶検査活動を要請する安保理決議があることは有益であると考えている次第でございます。
  226. 今川正美

    ○今川委員 私の質問の趣旨は、国連安保理決議を要件とするのはおかしいという意味で言っているのではないのです。  昨年の百四十五回国会で、政府答弁として、船舶検査活動の国連憲章上の位置づけとして、「憲章第四十一条に基づく経済制裁実効性確保するために、国連安保理決議に基づき行われる集団安全保障措置の一環」であるというふうに外務省の総合外交政策局長がお答えになっている。  今回、この法案が正式に提出をされて、この「目的」、第一条の関係で、先ほど申し上げたように、「「周辺事態対応して我が国実施する船舶検査活動に関し」とは、本活動を国連に対する協力活動として位置付けるのではなく、周辺事態への対応に限定しようとするものである。」というところに矛盾があるのではないかというふうに申し上げたのです。いま一度、答弁お願いします。
  227. 首藤新悟

    首藤政府参考人 申すまでもなく、この船舶検査活動は、周辺事態に際して行うものでございますけれども、これを実施いたします場合には、先ほども申し上げましたけれども、国際法上、対象船舶旗国同意が必要となるわけでございまして、安保理決議がございますと、国連憲章二十五条によって加盟国に受忍義務が生ずることとなって、旗国同意を取りつけることなく他国の船舶検査することができることとなるわけでございます。  このことを踏まえまして、国際法上の観点からも、船舶検査活動前提として、国連安保理決議があることが有益であると考えておりまして、このような考え方に変わりはないわけでございます。  その上で、本法案におきまして、船舶検査活動実施を、安保理決議に基づく場合のほかに、国際法上必要とされる旗国同意を得た場合においても可能としておりますのは、これまでの国会での御審議あるいは与党間の御協議をも踏まえ、政府といたしましても、何らかの事情によって安保理決議が採択されないような状況におきましても、周辺事態に際して我が国が参加する経済制裁実効性確保するために、船舶検査活動実施することが必要であると判断される場合にも対応する必要があると考えたからでございます。
  228. 今川正美

    ○今川委員 次に、旗国同意が得られる場合はどうするのかという点に関しては先ほど他の委員質問に対して一応答えがありましたが、いま一度、旗国同意、つまり説得をしてみても得られない場合には、船舶検査というのはやらないというふうに確認していいわけですね。
  229. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お尋ねのように、本法案に基づく船舶検査活動につきましては、国連の安保理決議あるいは旗国同意を得て実施するということで、このいずれも存在しないような場合、今お尋ねの、旗国同意が得られない場合にはどうかということでございますが、この際は船舶検査活動実施することはできない、このように承知しております。
  230. 今川正美

    ○今川委員 第二条に関していま一つ。  「我が国周辺の公海」というふうにございます。この範囲をお尋ねしたいと思うのですね。先ほど、周辺事態法で言う「我が国周辺の地域」ということをめぐっては、政府は、何度聞いても、いわゆる地理的概念ではないというふうにはねつけておられました。しかし、普通、国民の側から見て、安保条約で言う「極東」の範囲は、政府の従来の統一見解としてはフィリピン以北、日本及びその周辺、それには韓国、台湾を含むというふうに当初はなっていましたね。日中国交回復以降は、台湾を含むのはいかがかという政府答弁があったというふうに記憶するんですけれども、いずれにしても、国民の側から見ると、こういう法律に反対か賛成かを問わず、なるほどここら辺のエリアを指すんだなということがわからないと、我が国周辺の公海と言った場合にも地理的概念ではないというお答えが返ってくるんでしょうか、そこをはっきりさせてください。
  231. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 本法案第二条の「我が国周辺の公海」の範囲、こういうことでございます。周辺事態、すなわち、これは繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に際し、我が国船舶活動を実施し得る地域のうち我が国領海部分を除くということでございます。また、そのようなところで船舶検査活動というものを実施する、こういうようなことでございます。
  232. 今川正美

    ○今川委員 例えば、十年前の湾岸危機、それから湾岸戦争、あのときに、日本はお金は出しても人は出さないのかというふうな議論がありましたね。そして、あのときにアメリカ側から聞こえてきたのは、日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすか及ぼさないか、こういう考え方に立ちますと、どんなに離れていても、日本の原油のほとんどは中東に依存しているではないかというふうな物の言い方がアメリカ側から聞こえてきました。  そうしますと、我が国周辺の公海と言った場合に、例えば具体的にペルシャ湾、ああいったところまで含むんですか、含まないんですか。
  233. 首藤新悟

    首藤政府参考人 ただいま鈴木政務次官からお答えいたしましたように、我が国周辺の海域のうち我が国領海を除く部分我が国周辺の公海であるということになるわけでございます。今先生おっしゃられました文脈での御答弁となりますと、インド洋あるいはペルシャ湾といったような部分の公海も含むのかということでございますけれども、これは周辺事態安全確保法の際に政府側からたびたび御答弁申し上げておる答弁と関連するわけでございますが、そもそも周辺事態は地理的概念でなく、したがって、その生起する地域をあらかじめ地理的に特定することはできないということでございますが、他方におきまして、周辺事態我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態である以上、このような事態が生起する地域にはおのずと限界があり、例えば中東やインド洋上で生起することは、現実の問題として想定されないという答弁をしてきているわけでございます。
  234. 今川正美

    ○今川委員 次は、第六条に関してであります。  いわゆる武器の使用の規定がこの法律案では非常に抽象的に過ぎて、これが仮に法律として制定された場合に、現場での拡大運用の余地、可能性が多分にあって、憲法九条が禁止をしている武力行使と果たして一体化しないのかどうか、その点をまずお伺いしたい。
  235. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 本法案の第六条に規定しております武器の使用の目的は、自衛官が対象船舶に乗船してその職務を行うに際して、活動の実施を命ぜられた部隊等の自衛官の生命または身体に対する危険が生ずるという不測の事態発生することが否定できない、こういうことから、かかる場合に限り、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体を防護するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合に、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる、こういうことにしておるわけでございます。  このように、同条に基づく武器の使用は生命または身体を防護するために必要な最小限の措置でございまして、これによって事態が悪化して武力の行使との関係で問題が生ずるといったような性質のものではない、このように考えておるところでございます。
  236. 今川正美

    ○今川委員 いま一つ、自衛隊法第九十五条、いわゆる武器防護のための武器使用に関してですが、これはPKO協力法との比較がよくされますけれども、武器防護のための武器使用は、この船舶検査活動法案に当たってはどうなんですか。
  237. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 船舶検査活動対象が、言ってみますと、基本的には商船というようなことでもございます。また、検査実施するに当たりましては、先ほど来お話ししておりますように、国連の安保理決議に基づくとか、または当該船舶旗国同意を得てというようなことでございまして、過去のいろいろな状況、事例等から見ましても、軍艦や商船等がかかる活動を妨害するために攻撃を行ったというような事例は承知しておりません。いずれにいたしましても、検査活動を行う我が方の艦船に攻撃をするというようなことは、一般的には想定しがたいというように思っております。  さらに、では一般論としてどうかというようなお尋ねだろうと思いますので、その辺をちょっと考えてみますと、自衛隊の艦船の行動中に不測の事態発生したような場合、当該艦船は、当該危険を回避するための行動、例えば現場から退去する等の行為行動、または万が一危険を回避する努力を払っても回避し得ないような差し迫った状況のもとにおいては、いわば最後の手段として、自衛隊法九十五条に基づき当該艦船等を防護するための武器を使用することは可能である、このように理解しております。
  238. 今川正美

    ○今川委員 この点は、一言だけ申し上げておきますと、昨年三月、いわゆる不審船問題というのがございましたね。この場合には、海上自衛隊が初めての海上警備行動ということでありますから、我が国の領海内で侵犯事件が起こったということですから、ケースは違います、船舶検査活動の場合と。ケースは違いますが、あのときのことを振り返ってみると、護衛艦から計三十五発の警告射撃、あるいはP3C対潜哨戒機からは十二発の警告爆弾を投下というふうになっていまして、国民の一部からは、なぜ捕まえなかったか、あるいはなぜエンジンをぶっ放さなかったかみたいな非常に過激な反応もあったわけですが、ややもすれば、一たんこういう法律ができると、海上警備行動と明らかに船舶検査活動は違うはずなのに、拡大解釈という形で広がっていく危険性を非常に感じるわけであります。  次の質問に移ります。船舶検査活動の実例、これも参考資料の中に、対イラク、それからユーゴ、ハイチというふうにあります。湾岸危機、湾岸戦争のときのイラクのケースで結構なんですが、ここに「参加国 西側諸国が実施。」「検査実績 一九九〇年八月〜一九九八年六月現在で、二万隻以上に照会。」というふうにありますが、私が聞きたいのは、検査をした側、いわゆる西側諸国の艦艇の隻数及び兵員数はおおよそどの程度であったのかをちょっとお聞かせください。
  239. 首藤新悟

    首藤政府参考人 米国防省の議会に対する報告書「ペルシャ湾岸戦争の遂行」、これは九二年四月に出されたものでございますが、これによりますと、湾岸危機の七カ月の間、つまり九〇年の八月から九一年の二月でございますが、この間におきまして、十九カ国の海軍艦艇百六十五隻以上が船舶に対する照会、乗船検査進路変更等の活動を行ったとされております。  なお、兵員数につきましては、報告書に記述がございませんために不明でございます。
  240. 今川正美

    ○今川委員 湾岸危機、湾岸戦争のときは、オマーン湾、ペルシャ湾、紅海など、地理的に見て、幾つかの国が担当海域を分ければ、こう言うとおかしいですが、一定の実効性確保できるかもしれませんが、問題は、我が国及びその周辺海域、公海で、どこで周辺事態が生ずるかは全く現時点でわかるはずもないわけですが、その実効性確保するのが現実的に可能なのかなという気がいたします。  さて、もう一つ、次の質問に進みたいと思います。  これは、安保条約においてもそうですし、周辺事態法の審議のときにも非常に大きな問題として取り上げられたと思うのですが、この船舶検査活動も含めまして、周辺事態に際して、いわゆる日本の主体性というのは確保できるんだろうかという質問であります。  それはどういうことかといいますと、これまでの日米間、日本政府がとってきた具体的な態度を見てみますと、安保条約にかかわる事前協議制の問題です。この運用実績、一九六〇年から現在に至るまで、四十年間、事前協議制度にかかわって日米の協議が行われたことはなかったはずですね。  例えば、私は佐世保にいますけれども、米艦船が核兵器を積んできているか来ていないかという問題は、私自身、三十二年間いろいろな形で行政側を通して外務省などにも問い合わせをしましたが、そのたびに、米側から事前協議の申し入れがない以上は核兵器を積んでいないものと理解するといった趣旨の答弁だけでした。  ところが、先般新聞にも報道されましたように、アメリカの側は、いわゆる事前協議の対象となるのはイントロダクション、例えば、核兵器を陸揚げし、弾薬庫などに貯蔵する、そういう場合には事前協議の申し入れの対象だ。ところが、核兵器を積んだまま艦船がホワイトビーチや佐世保、横須賀港などに一時寄港する、こういったものはトランジットという使い分けをアメリカの側はしていまして、これは協議の対象とならないということをはっきり言っている。このことが少なくともアメリカの公文書でもってはっきり立証されたわけであります。  こういった問題があるにもかかわらず、日本政府は何ら国民に対して説明しようとしない、少なくともこの問題に関しては米国政府の方が正直だと思っています。  それと、いま一つは、湾岸戦争などや一昨年十二月のイラクへの空爆などのとき、横須賀から、あるいは沖縄の海兵隊、佐世保の揚陸艦部隊、いろいろな形で出撃をしていっているわけですが、これも事前協議の対象となるはずなのに、事前協議が行われたためしはありません。  このような形で、日本の側の主体性というのは確保できるのだろうか。まさしくアメリカの、米政府の言いなりになりはしないかという懸念を強く持つのですけれども、この点いかがですか。
  241. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 先ほど大臣からも御答弁申し上げたわけでございますが、周辺事態を認定するといいましょうか、そういうことを含めまして、日本の主体性というものがいかがか、こういうお尋ねだろう、このように思います。  周辺事態確保法におきましても、周辺事態があると判断され、この法に基づく特定の対応措置実施する必要があると認められる場合には、基本計画の案を策定し、閣議決定を求めるということになっているわけでございます。  このように、周辺事態の認定とその対応措置については、我が国政府が主体的に理解をし、認識をし、また判断をし、閣議決定しながらやっていくということでございますので、我が国の主体性は十分確保されている、このように考えているところでございます。
  242. 今川正美

    ○今川委員 時間が参ったようでありますが、まだあと三点ほどお聞きしたいことがございますし、それと、この法案にうたってありますように、船舶検査活動を行うのは自衛隊等となっていますので、この自衛隊という組織の中がいろいろな問題を今生じているように思いますので、その点は次回に具体的に質問をいたしたいと思います。  きょうは、これで終わります。
  243. 高木義明

    高木委員長 次に、北村誠吾君。
  244. 北村誠吾

    ○北村(誠)委員 21世紀クラブの北村誠吾でございます。お疲れとは存じますが、よろしくお願いをいたします。  質問の機会をお与えいただきまして、本当にありがとうございました。本法案を提出されるに当たりまして、この重要性並びに緊急性というものを認識されて、ここまで運んでこられました各党各会派の諸先輩の皆さん方に深く敬意を表し、そういった立場から質問をさせていただきます。もう随分議論がございましたので、私がお尋ねすることは総括的なこと、また、短い時間でありますので、お許しをいただきたいというふうに思います。  まず、船舶検査活動経済制裁実効性確保することによって我が国の平和と安全を確保するための新しい法案というふうに考えておりますが、総括的に、この法案の意義について再度端的にお答えをいただきたいというふうに思います。
  245. 虎島和夫

    虎島国務大臣 先ほども、アジア太平洋地域と申しますか、我が国をめぐる周辺地域の状況については申し上げましたように、不透明性と不確実性が存在しておる、日米安保体制を堅持していくこと、さらに、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの実効性確保すること、このことは一層重要であるという認識を持っているわけであります。  したがって、ガイドラインの実効性確保するための国内法整備に努めてきたところでありますけれども、本法律案は、周辺事態への対応のための法整備を完了させるべく国会に提出したものであります。
  246. 北村誠吾

    ○北村(誠)委員 そういった立場から、大変重要な法案であるという認識を私もいたします。  そこで、先ほど来お話があっておりますけれども、いろいろなことは抜きにして、旗国同意を得る、このために具体的にどういった場合を想定し、どういった手順で旗国同意を得ることをするのかということについてのお尋ねでありますけれども、再々多くの委員からお話がありました。  外務省にお尋ねをいたしますが、私は、同意を求めるべき旗国というのが地球上に無数にあるのであればなかなかやりにくいというふうに思いますけれども、めでたくこの法案が成立の暁には、これだけ精力を尽くして重要法案として審議をしてきた、そして成立した法律に基づいて、しっかり外務省は、それぞれ外国にある公館、外務省の出先、そういったところで、関係国に対して、通商航海条約等々常々外国との接触があるわけでありますから、そういう中で、本法に基づく船舶検査等については、それぞれの世界、全部の国と私は言いたいところですけれども、そういうふうな気持ちで、これだけの重要法案を通して実現したということであるから、そういう努力をやっていくというふうなことで、地道な努力になる、大変な作業かもしれないが、やるという気持ちはありませんか。どうですか、そこら辺については。
  247. 竹内行夫

    竹内政府参考人 ただいま先生が仰せになられましたとおり、この法案は非常に重要な法案と認識しております。したがいまして、この法案についての理解を各国から得るということに関しては、我々、外交ルートを通じまして、透明性を保つとともに、理解を得るための説明をしていくという努力をいたしたいと存じます。  他方、旗国同意の問題について申し上げますと、周辺事態が起こりましたときに、船舶検査活動実施する必要が生ずるというような状況におきましては、まずは国連の安全保障理事会において決議の成立を得るということが、その実効性のためにも有意義であり、第一義的に行うべき外交努力であろうかと思います。  それが何らかの事情によりましてできない、できなかったという場合で、なおかつ周辺事態、すなわち我が国の平和と安全にとって非常に重要なことが起こっているというような状況で、経済制裁、ひいては船舶検査措置を導入する必要があろうという判断に至った場合には、それは関係国に協調、同調、賛同を求める外交努力、これは力を入れて一生懸命やらなきゃいかぬ話だろうと思います。その関係国の範囲がいかなるものになるかということにつきましては、それはその時々の状況において異なってくるものでございますし、また、賛同を得られるか得られないかというようなことにつきましても、そのときの政治状況、国際情勢等いろいろあるかと思います。  いずれにいたしましても、我が国の平和と安全を守るためということでありますれば、当然のことながら、できるだけ多くの国から同意を得て実効的な船舶検査が実現できるように努力するということは、これは当然の責務であろうと存じます。
  248. 北村誠吾

    ○北村(誠)委員 ありがとうございました。  私の質問の趣旨は、周辺事態等が生じたとき、安保理決議があれば、それはもうすすっと進めば大変結構なことでありますけれども、そういうふうになかなかいかない場合も想定して、平時、ふだんに、何にもないときにそういう理解が得られるように、関係国に対しての努力をしておくということをお願いしたいということでありますので、これはお答えは要りません。先ほど局長より御答弁いただいたことで了としたいというふうに存じます。  さらにお尋ねしますけれども、先ほど今川委員質問にもあったのでありますが、我が国国民は、大体武器の使用ということについて、私の感じるところ、非常に過敏と言えるほど用心深いといいますか、非常に関心が高いということであり、先ほど鈴木政務次官から御答弁をいただきましたが、私は、この法律が成立することを望む者として、その立場からお尋ねするわけですけれども、武器の使用については、隊員の安全、身体、生命の確保、このために最小限度許されるものについて使用を、この点はよくわかります。こういう説明は国民にも理解していただきやすいだろうと思います。  ただ、もう一点の自衛隊法九十五条の適用除外ということが言われていないので、船体防護、あるいは武器等の防護、そのために緊急やむを得ざる場合は武器防護ということで武器の使用をすることが、この法律に、できないというふうには決めておらないということについて、それが、私は間違いないと思うんですけれども、そのことについても、先ほどの隊員の身体、生命のことと同様に、国民に広く理解をいただかなければいけないというふうに思いますから、その点について、私の今の質問の意図を酌んで答えていただきたい。
  249. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 先ほど御答弁申し上げたわけでございますが、船舶検査活動法案におきましては、いわば自然権的な自己保存のための措置としての武器使用ということを必要最小限の権限として隊員に与えているということでございます。  それから、現場といいましょうか、事態がいろいろと考えられるわけでございますが、基本的には相手方は商船ということでもございますから、そこから何かあるというようなことは一般的には想定はしがたいわけでございますが、ひょっとして万々一何かありましたようなときには、活動に携わっている艦船は、いわば自衛隊法九十五条の武器防護等の措置をとる権限というものを当然ながら持っているわけでございますので、そういう意味におきまして具体的な対応措置がとれる、そういうことでございます。  いずれにいたしましても、先生御心配の、現場でいろいろなことが、混乱が起こらないように、乗船して活動する個々の隊員が、そこで混乱をして、困るというようなことがないように、法律が成立した暁には、私ども、いろいろと具体的な手順等を詳細に検討し、支障のないように配慮していきたい、このように思います。
  250. 北村誠吾

    ○北村(誠)委員 私は、武器防護の観点、これを考えたときに、やはり艦船あるいはヘリコプター、これらは国民の貴重な税金によってあがなわれた財産でありますから、これらがやたらと、無意味に、不法に、不当に損害を受けたりというふうなことがないようにというのは、これは普通の国の普通に求める対外的な権利であるというふうに思いますから、そういうふうなことも踏まえて、ぜひこの法律が成立した暁には、その運用においてお考えをいただきたいというふうに思うわけです。  さて、その運用の点でありますけれども、基本計画を定め、さらに実施要項をつくっていくというふうなことが法案の中に書かれておるわけでありますけれども、この点に関して、国会の承認というふうなことなどについて一連の事柄があるというふうに思いますが、その点について外務省ないしは防衛庁、いずれでも結構でありますから、お答えをいただきたいというふうに思います。
  251. 首藤新悟

    首藤政府参考人 国会との関係につきましては、まず周辺事態に際して対応措置をとる、つまり船舶検査活動実施するということ自体は国会の承認をいただくことになっております。  また、内閣総理大臣が閣議によって基本計画を作成する。この基本計画につきましては、国会に報告するということになっているわけでございます。
  252. 北村誠吾

    ○北村(誠)委員 基本計画については、今、国会に報告するというふうなことでお話がありました。  閣議の決定に基づいて国会に報告するということで、基本計画国会の承認を得るというふうな手続にはなっておらないという意味ですか、お答えください。
  253. 首藤新悟

    首藤政府参考人 そのとおりでございます。
  254. 北村誠吾

    ○北村(誠)委員 先ほどおっしゃられた、実施の際に国会の承認を得る、そして、ざっと申して、国会の承認を得るいとまがないときには、実施の後、国会に報告し、承認をとる、あるいは、国会で承認できないというふうになったときには、その行動を、船舶検査活動をやめるというふうに定めてあるように認識しますが、その点につきまして確認をしていただきたいというふうに思います。
  255. 首藤新悟

    首藤政府参考人 おっしゃられましたように、国会の承認につきましては、船舶検査活動につきましては、内閣総理大臣は、船舶検査活動実施する前に、これを実施することについて国会の承認を得なければならない。  ただし、今おっしゃられましたが、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないでこの船舶検査活動実施することができる。この承認を得ないで船舶検査活動実施いたしました場合には、総理大臣は、速やかに、この船舶検査活動実施について国会の承認を求めなければならない。そして、不承認の議決があったときは、速やかにこの船舶検査活動を終了させなければならない、こういう仕組みになっているわけでございます。
  256. 北村誠吾

    ○北村(誠)委員 さらに、ちょっと法案と直接結びつきませんけれども、この法案以外に、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの実効性というものを確保するためにどのような努力をしておられるか、時間が余りありませんので、簡潔にお答えいただければと思います。
  257. 首藤新悟

    首藤政府参考人 各種の分野において、今先生がおっしゃられた、安保条約実効性確保努力を日々行っているわけでございまして、例えば先般防衛庁長官はアメリカに参りまして、いわゆる2プラス2、つまり向こうの国務長官、国防長官、こちらは外務大臣並びに防衛庁長官、四人における協議をいたしましたし、翌日、ワシントンにおきまして、防衛首脳会談、コーエン国防長官と虎島防衛庁長官との間の会議を開いた、こういったようなことで、平素から間断なく防衛首脳間の会議を行っているというのが一つございます。  また、自衛隊と米軍とのいろいろな共同訓練を実施いたしまして、平素からそういった実効性確保を行っている。  さらには、我が国有事における共同作戦計画あるいは周辺事態における協力計画、こういったことにつきまして、日米間、主としていわゆる制服が中心になりますが、この両制服間におきまして、いわゆる包括的メカニズムと申しますメカニズムに従って、各種そういった共同作戦計画などの検討を行っているというような、いろいろな種類の施策を実施しているわけでございます。
  258. 北村誠吾

    ○北村(誠)委員 さきに成立をした周辺事態安全確保法及びこの新しい法律によって、普通の国が当たり前に行えることを行えるということが、より現実的に一歩近づいたというふうに私は評価するものであります。  最後に、これは外務省に対して、質問ではありませんが、ぜひお聞きをいただきたい。  私は、アジア全域、特に東アジアあるいは太平洋の国々に対して、特に海洋国家日本として考えたときに、きょう朝参りましたときに、国会周辺に日章旗とともに日章旗によく似た形の国旗が上げられておりました。私は、タクシーの運転手さんに聞かれて、それをわからなかったので、衆議院の事務局の方に教えていただきました。これはパラオというお国の国旗だそうでございます。  それで、大変幼稚な話でございますけれども、ほとんど毎朝私どもには公報をいただいております。でありますので、外国からおいでになる方の国旗を国会周辺に掲揚されるというときに、衆議院の公報あるいは参議院の公報に、このような国のお方がお見えで、こういう国旗を掲げるというふうなことを、せっかくおいででありますし、また国旗を掲揚するというときに、私のように不勉強な者はいずこの国の国旗かわからないというふうなこともあって、失礼があってはならぬと思いますし、一人でも多くの人に、世界じゅうの国々の国旗、あるいはその存在、あるいはわざわざ日本においでになった方々に対する歓迎の意を表する意味からも、そういう配慮というものを外務省においてお考えいただけないものかなという気持ちを持ったわけでありますけれども、もし感想でもあれば、聞かせていただけないかなと、質問ではありませんが。
  259. 竹内行夫

    竹内政府参考人 感想ということでございますが、私も日章旗とともにあの旗を見まして、実はこれはどこの国の旗かなと思いまして、それで、パラオのナカムラ大統領がおいでになっていると気がつきまして、テレビのニュースでも映っておられました。  やはり外国の要人、首脳がせっかく日本に訪日される場合には、それをより多くの日本国民の方に知っていただいて、相互理解を深めるということは非常に重要なことだろう。これは先生が今御指摘になった点だろうと思います。  お話しの点については検討をさせていただきたいというふうに思います。
  260. 北村誠吾

    ○北村(誠)委員 どうもお疲れのところ、答弁、またおつき合いをいただきまして、まことにありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  261. 高木義明

    高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十五分散会