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2000-11-10 第150回国会 衆議院 安全保障委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月十日(金曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 高木 義明君    理事 嘉数 知賢君 理事 金田 英行君    理事 浜田 靖一君 理事 吉川 貴盛君    理事 桑原  豊君 理事 島   聡君    理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君       菅  義偉君    高木  毅君       竹本 直一君    中山 利生君       中山 正暉君    仲村 正治君       西川 公也君    額賀福志郎君       福井  照君    宮下 創平君       谷津 義男君    山崎  拓君       江崎洋一郎君    大石 尚子君       岡田 克也君    首藤 信彦君       長妻  昭君    渡辺  周君       冬柴 鐵三君    塩田  晋君       大森  猛君    山口 富男君       今川 正美君    北村 誠吾君       松浪健四郎君     …………………………………    国務大臣    (防衛庁長官)      虎島 和夫君    防衛政務次官       仲村 正治君    外務政務次官       浅野 勝人君    政府参考人    (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君    政府参考人    (防衛庁運用局長)    北原 巖男君    政府参考人    (外務省総合外交政策局長    )            竹内 行夫君    政府参考人    (外務省北米局長)    藤崎 一郎君    政府参考人    (海上保安庁警備救難監) 久保田 勝君    安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君     ————————————— 委員の異動 十一月十日  辞任         補欠選任   杉山 憲夫君     福井  照君   赤嶺 政賢君     大森  猛君 同日  辞任         補欠選任   福井  照君     杉山 憲夫君   大森  猛君     赤嶺 政賢君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案内閣提出第一六号)     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 高木義明

    高木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、外務省総合外交政策局長竹内行夫君、外務省北米局長藤崎一郎君及び海上保安庁警備救難監久保田勝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高木義明

    高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 高木義明

    高木委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健四郎君。
  5. 松浪健四郎

    松浪委員 おはようございます。保守党の松浪健四郎でございます。  待ち焦がれておりましたこの法案がやっと提出されました。何としても、この国の平和と安全、そして主権を守り抜かなければなりません。その意味におきましては、この法案の持つ意味は極めて大きい、こういうふうに認識するものであります。  この船舶検査活動法案は、周辺事態に際し、国連安全保障理事会決議に基づき、船舶積み荷及び目的地検査し、確認する等の活動であって、我が国領海または我が国周辺の公海において我が国が実施するもの、こういうものでございます。  この法律をつくるに当たりましては、与党三党はプロジェクトチームをつくりました。時間をかけまして真摯に議論をして、そしてこの成立を見守ってきたわけでございますけれども、私もその実務者の一人としてずっと議論参加をさせていただきました。内容はともあれ、とにかくこの国の主権を守らなきゃならない、このことを私はずっと痛感してまいりました。  と申しますのは、ここのところ北朝鮮我が国国交回復問題等について議論をされておるわけでありますけれども、本当にこの国の主権が守られているんだろうか。あの拉致問題を想起したときに、私たちはこの船舶検査活動法案が生きてくる前に、これだけで十分だというふうな認識を持つだけでは不十分であって、この法律を使う前に、国民生命財産、暮らし、これをきちんと守っていかなければならない。  そこで、北朝鮮のあの昨年三月の不審船事案をほうふつとさせられるわけであります。私たちは、あのさまをテレビで見ました。海上保安庁自衛隊もわざわざ見送りに行くというような、本当に日本国民として情けない、恥ずかしい、こういう思いをさせられましたし、私もそのうちの一人であります。  そこで、海上保安庁はあの事案以来どのような対策をとられてきたんだろうか、これが私の最初質問でございます。  海上保安庁質問をさせていただきます。あの不審船事案以来どのような対策をとられたのか、まずお尋ねさせていただきたいと思います。
  6. 久保田勝

    久保田政府参考人 海上保安庁警備救難監久保田でございます。  不審船事案教訓反省といたしまして、迅速な情報連絡監視体制強化海上保安庁等対応能力整備海上保安庁自衛隊の間の共同対処マニュアル整備すること等が昨年の六月の関係閣僚会議において承認されたところでございます。  海上保安庁におきましては、これらの教訓反省事項に基づきまして、防衛庁との迅速な情報連絡を実施しているところでございます。また、自衛隊との共同対処マニュアルについては、共同訓練を経て、昨年十二月に策定し、本年十月マニュアルに基づく共同対処訓練を実施したところでございます。  さらに、監視体制強化対応能力整備についても、夜間監視機能強化型のヘリコプター二機や、不審船を捕捉するのに十分な能力を有する高速特殊警備船三隻の整備を進めているところでございます。そのうち、昨日、高速特殊警備船一隻が進水したところでありまして、来年二月と三月には合計三隻が新潟舞鶴金沢にそれぞれ就役することになっているところでございます。
  7. 松浪健四郎

    松浪委員 新たに高速特殊警備船をつくることにした、一隻は進水をしたという話でございますけれども、もう既にこの高速特殊警備船には、「つるぎ」、「ほたか」、「のりくら」というふうに名前がつけられてあります。この三隻は、新潟海上保安部舞鶴海上保安部金沢海上保安部にそれぞれ配属されるというふうにお聞きをしておるわけであります。  それで、当然この前の不審船がやってきた地域に当たるわけでありますし、私の心配しておりますのは、この地域には我が国原子力発電所が集中してある。この辺はいわゆる原子力銀座とも言われるぐらいこの国のエネルギーにとりましても重要な地域であります。そこで不審船が出てきたというようなことで、我々は大いなる心配をいたします。  そこで、原子力発電所の問題もあるであろうし、距離的に考えてもいろいろな国々との関係から見てこの地域に配備したのかと私は私なりに想像しておるわけですが、なぜその三地域にこの新しい高速船三隻を配備するようにしたのか、このことをお尋ねしたいと思います。
  8. 久保田勝

    久保田政府参考人 能登半島沖不審船事案発生海域及びこれまでに不審船の出没が確認されている海域等を考慮いたしまして、速やかに対応が可能な三部署に決定した次第でございます。
  9. 松浪健四郎

    松浪委員 海上自衛隊が出ていく前に、やはり海上保安庁にしっかりしていただいて警察活動をしてもらわなければ、とにかく密入国者が多いわけですね。  そして、二日前の新聞報道によりますと、覚せい剤を一回で二百五十キロも押収した。平成十一年までの覚せい剤押収量は、年平均で二百五十キロであります。それがたった一回で二百五十キロ押収するというぐらい恐ろしい量の覚せい剤我が国に持ち込まれてきております。これらもきちんと取り締まらなければなりません。  そして、密輸であるとか密入国、こういう問題もあるわけですけれども、これは領海をきちんと守らなければどうしてもうまいぐあいにいかない。ところが、わけのわからぬ不審船がやってきて、その不審船がもし武器を持っているとかそういうような装備をしているとしたならば、海上保安庁が今度新しくつくった高速船、これで対応できるのか。あるいは、この前の不審船のように、海上自衛隊の船も海上保安庁の船も、改造された某国の漁船の足が速くて追いつけなくて、結局見送りしかできなかったというふうなぶざまなことになってしまえば、これまた恥の上塗りということになってしまいます。  そこで、この三隻の機能性能、これらがどのようになっているのか、これをお尋ねしたいと思います。
  10. 久保田勝

    久保田政府参考人 高速特殊警備船性能でございますけれども、既存小型高速巡視船に比べまして、不審船を捕捉するのに十分な速力航続距離を有しておりまして、また不審船からの攻撃に対する防御能力機能強化したものになっております。  具体的には、四十ノット、これは時速約七十五キロでございますが、四十ノット以上の速力を有し、夜間監視能力にすぐれた赤外線捜索監視装置を搭載しております。さらに、遠隔操作によりまして、定めました目標を自動的に追尾して的確な射撃ができる二十ミリ機関砲も搭載しているところでございます。
  11. 松浪健四郎

    松浪委員 二十ミリ機関砲を持っておる、そして時速七十五キロで走ることができる。前回不審船、恐らくは日本の船では追いつくことはない、こういうふうに考えて、そして我が国領海を侵犯した、こういうふうにも私は思うわけですけれども、となりますと、今回の三隻は、例えば前回のような不審船が来たときにきちんと捕捉することができるのかできないのか、このことをまずお尋ねしたいと思います。
  12. 久保田勝

    久保田政府参考人 性能装備等は先ほどもお答え申し上げたとおりでありますが、能登半島沖不審船事案におきましては、不審船速力は、当時三十五ノット、これは時速約六十五キロメートルでございますけれども、三十五ノットであったと確認されておりますことから、速力航続距離とも十分と考えております。また、夜間におけるすぐれた監視能力や高性能機関砲を用いることによりまして、不審船への的確な対応ができるものと考えているところでございます。
  13. 松浪健四郎

    松浪委員 的確に対応できるということで、安心したわけでございますけれども、これは、新潟金沢舞鶴、この地域は「つるぎ」と「のりくら」「ほたか」これが配属されるから心配要らないというふうになるわけでございますけれども、それでは、それ以外の海域不審船があらわれたらどうなるのか。やはり心配ではないのか。こういう懸念を持つものですけれども、これらについてはいかがでしょう。
  14. 久保田勝

    久保田政府参考人 今回、新たに建造を進めておりますこれら三隻の高速特殊警備船以外に、既存高速小型巡視船機能向上を実施しております。新潟舞鶴金沢以外の場所に配置することとしているわけでございまして、今後、不審船があらわれた場合には、海域がいずれであるかにかかわらず、これら高速特殊警備船三隻を含む保有勢力を最大限に活用しまして、当該不審船対応してまいる所存でございます。
  15. 松浪健四郎

    松浪委員 大丈夫だと言うんですが、例えば沖縄あるいは太平洋沿岸、この地域も大丈夫だということですか。
  16. 久保田勝

    久保田政府参考人 新しく建造中の三隻につきましては日本海側に配備することにしておりますし、また、既存小型船日本海側に主として配備しておりますが、その他のところにもありますので、大丈夫でございます。
  17. 松浪健四郎

    松浪委員 安心をいたしました。  そこで、特殊警備船パトロールをしております、それで、領海内において不審な船舶を発見した、どう見ても不審船だ、後ろに国旗も上がっていない、こういうふうな船を発見したときに、海上保安庁はまず最初にどういうことをされるんですか。そのことをお聞かせいただきたいと思います。
  18. 久保田勝

    久保田政府参考人 不審な船舶パトロール中の巡視船が発見した場合には、まず、安全を確認しつつ、可能な限り接近をいたします。そして、当該船舶船名とか登録番号船体特徴等状況調査を実施するわけでございます。  その後に、当該船舶確認作業というものが出てきますが、これは陸上においてもやらなければなりませんので、関係機関への連絡をとるため、上級機関にこれらの状況を報告するとともに、現場におきましては、立入検査を実施するために、無線、拡声機音響信号等あらゆる手段を使いまして停船命令を実施するという運びになるわけです。
  19. 松浪健四郎

    松浪委員 それで、思い起こしますのは、数年前、日本海でのソ連船籍タンカーナホトカ号原油流出事故であります。  これは、ロシア船員海上保安庁海上自衛隊皆さんが救助されました。そして感謝をされたわけで、その活躍ぶりには感謝をしなければなりませんけれども、原油流出、それを野放しにせねばならなかったというようなことがございまして、海上保安庁は、以後、その油を処理できるような船をつくられた、こういうふうにお聞きをしております。とにかく、この国の領海の安全、そして環境の保持、保全のためにこれからも努力をしていただかなきゃならない。  それで、不審船を見つけた、そして停船命令に応じた船、これは素直な船であるのかもしれませんけれども、逃げたとしても追いつくことができる、捕捉することができるということでありますから心配しませんけれども、私の心配するのは、停船をした、そして警備艇から、ゴムボートなのかあるいは小さな船なのか、ボートをおろして、それに保安官が乗り込んで、その停止させた船に乗るわけですね。そのときに、その不審船乗組員武器を持っておる、そういうようなときに、果たして保安官の安全を守ることができるのか。私はそのことを心配するわけであります。  そこで、保安官は、どの程度の武器を持って、どのような形で検査をするのか、措置をとられるのか、そしてどういうふうな形で検査をされるのか、それらのことをお尋ねしたいと思います。
  20. 久保田勝

    久保田政府参考人 不審な船舶停船しましたら、次に立入検査を実施することになるわけでございますけれども、やはり心配なのは、立入検査しようとする船舶から反撃をされるのではないか、武器を使用して攻撃されるのではないかという不安があります。そうなりますと、海上保安官の安全が確保されないという問題になりますので、そういったことをできるだけされないような状況をつくって対処する必要がある。  そうするためには、乗組員を該船の甲板上の一カ所に集める等いたしまして安全を確認する、反撃をされないような状況をまず確認いたしました上で、武装した海上保安官を乗り込ませまして立入検査をやるということになってまいります。
  21. 松浪健四郎

    松浪委員 なぎの状況であればそれほど心配しないわけですね。ところが、物すごい波だ、日本海では冬場は特殊な季節風がありますから、波が物すごく荒いわけですね。そういうふうなときに、小さなゴムボートあるいはボートで、何人ぐらいの保安官を乗せていって、本当に的確な検査ができるのかどうか、ちょっと私は心配するわけですね。そういうことはきちんと訓練をしておかないとできないと思うのですね。  だから、何人ぐらいの保安官ボートあるいはゴムボートで乗り移るのか。そして、どういう状況のときでも乗り移れるような訓練海上保安庁はきちんとやっているのかどうか。このことをお尋ねしたいと思います。
  22. 久保田勝

    久保田政府参考人 ただいま何人ぐらいで乗り込んでいくのかという御指摘でございますけれども、具体的な数字を挙げるというのは個々の場合によりますのでなかなか申し上げにくいところでございますが、不審な船舶に乗り組んでいると予想される人数というのを周到に確認をいたしまして、呼びかけを行う等により大体これぐらい乗っているだろうというのを見て、そしてその人数を制圧するに十分な勢力海上保安官を乗り込ませるということを考えております。
  23. 松浪健四郎

    松浪委員 ちょっと心配だなという面もありましたけれども、いずれにしても危険が伴う、こういうふうに思うわけです。そして、これは乗り移って検査をしなきゃいけないわけですね。それで、まず保安官の安全というものを重視されて、一ところに乗組員を集めるという話がありましたけれども、それは、この不審船密入国者を運んでいるのか、あるいは覚せい剤であるとかそういった薬物を運んでいるのか、あるいは付加価値のあるものを密輸しようとしているのか、こういうようなことを的確に検査しなきゃいけないと思うわけですね。これは十分に検査できるのかどうか、ちょっと心配なんですが、そのことについて海上保安庁にお尋ねしたいと思います。
  24. 久保田勝

    久保田政府参考人 海上保安庁は、日ごろから、現場におきましては巡視船等で、不審な行動をするような船舶に対しましてはよく立入検査をやっておりますので、立入検査の技術については相当な練度を積んでいるところでございます。  今想定の不審な船舶に乗り込んだ海上保安官がどのような検査をするかということになりますと、船舶同一性とかあるいは船籍港、船長の氏名、それから直前の出発港または出発地目的港または目的地積み荷の性質、または積み荷の有無、その他、船舶積み荷及び重要と認める事項検査いたします。そして、我が国法令違反しているか、または違反のおそれがあるのかを確認するという行為を綿密に実施するわけでございます。
  25. 松浪健四郎

    松浪委員 綿密に検査する、そしてそのノウハウは海上保安庁が持っておるということで安心もいたしますけれども、私たち四面海に囲まれた国であります。何よりも拉致問題が起こるほどこの国が容易に主権が侵されやすい、このことを忘れるわけにはまいりません。たまたま昨日、憲法調査会憲法学者の話を聞いておりました。第九条についての議論が盛んでありましたけれども、私は、この学者の話を聞いておればこの国の平和と安全、主権は守れない、非常に寂しい思いをして話を聞いておりました。  私は長い間、アフガニスタンという、ソ連が侵攻してきた国、これをウオッチングしてまいりましたけれども、平和ぼけをしてはならないということ、そして今、平和であるがゆえに、安全であるがゆえに、青少年に対する有害環境、こういうようなものもある。自由であるがゆえに有害環境というものもある。結局、平和で自由であればどういうことが起こるのか、そしてそのことを起こらせないように一生懸命国会でも議論をしておるわけでありますけれども、これらはこの国が平和であるがゆえに起こっておることである、私はそのように思うものであります。  とにかく、海上保安庁皆さんにはしっかりしていただいて、この国の主権、これをきちんと守っていただいて、四面海に囲まれましたこの国を可能な限り守っていただきたい、そういうふうに思います。  そして、海上保安庁仕事をるるお尋ねしたわけでありますけれども、私が質問した以外に、海上保安庁はどのような仕事をなされているのか、お教え願いたいと思います。
  26. 久保田勝

    久保田政府参考人 海上保安庁におきましては、海難救助、それから海上における法令違反の取り締まり、領海警備海洋汚染の防止、船舶への情報提供等の幅広い業務を行っているところでございます。  特に最近は、薬物、銃器の密輸外国人の密航のように海を越えてくる犯罪を取り締まることが大変重要となっております。去る九月二十二日にも、石垣島において、けん銃八十六丁、それに実包一千百七発を摘発したところでございます。  また、本年七月の九州・沖縄サミットにおきましては、会議場とか宿泊施設等重要な施設の周辺海域において、各国首脳の安全を確保するための大規模な海上警備を実施したところでもございます。  このような活動をいたしております。
  27. 松浪健四郎

    松浪委員 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案、これを議論する前に、海上保安庁がしっかりした活動をしてもらわなければ、この国の主権を守ることができない。そこで、さらに海上保安庁には充実した装備を持っていただいて、活躍していただきたい、こういうふうにお願いをいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  28. 高木義明

    高木委員長 次に、冬柴鐵三君。
  29. 冬柴鐵三

    冬柴委員 公明党の冬柴鐵三でございます。周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案が、きょうこのように委員会審議が始まったことを心から喜ぶものでございます。  と申しますのは、昨年、平成十一年の四月の末ごろ、この周辺事態法の採決が間近に迫っておりました。その際、この船舶検査活動につきましては、当時の自由民主党自由党と私ども、野党でございましたけれども新党平和との間で、意見の乖離が相当ございました。もっと詳しく言いますと、自由民主党と新党平和はほぼ同一の考えでありましたけれども、当時与党ではありましたけれども自由党考え方と大きく乖離をしていた。どうしても調整がつかずに、この部分については法案から削除をして、その余の部分について成立をさせたという経緯があります。  そのとき、私は新党平和の幹事長をしておりましたので、その交渉をずっと重ねてきたものでございまして、そういう意味で、この法案がきょうこのように一年半を経過して改めて提案されて、我が国周辺における我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態対処をすることができる、そういう意味で、私は非常に感慨深いものがあるということでございます。  当時、自由民主党と、野党でありましたが新党平和の考え方と、自由党考え方とで最も大きな差があったのは、本法案では第二条に記載されております国際連合安全保障理事会決議による要請、こういうものをどう理解するのかという点が大きな違いがあったように思います。  我々は、今回行われる船舶検査というものは、国連憲章に基づく国際の平和と安全を確保するためのいわゆる集団的安全保障措置対応して行うものではない、我々が行うのは、あくまで我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態というものに対応して行うものであって、それは非軍事であり非強制本質を持っている、このような理解をしていたわけでございます。  そういう理解相違はどういうところにあらわれてくるかといいますと、もし国連の行う集団的安全保障措置への参加というような形でこれを考えますと、まず、地域というものが世界じゅうに広がってしまうという点が大きな相違であります。我々のような、我が国周辺地域における事態対応するということになれば、当然、地理的にはこの範囲が限局をされてくるわけでございます。  二つ目は、いろいろな安保理における常任理事国利害関係等によって安保理決議というものがもしできなければ船舶検査ができないのかどうかというような議論にもまた発展をするわけでございまして、その点も相違がございました。  それからまた、安保理決議に基づいて集団的安全保障措置として行うのであれば、ほかの加盟国が行っているのと同じように、停船を命じて、それに応じないという場合には警告射撃等措置をとることができるのではないかというような考え方にも発展してくるわけではございますが、我々は非強制でございます。あくまでこれは、同意に基づく、あるいは船舶検査のために乗船するに際しても船長の承諾を求めるという構成をとっております。  したがいまして、そういうところに大きな相違がありまして、むしろ、当時の自由党さんから見れば、日米安保条約信頼性を確保し、そしてそれを実質的に保証するという本質があるならば、この法律の中に国連安保理決議というものを書き込むこと自体が矛盾ではないかということにまで発展をいたしまして、どうしてもこれが調整がつかずに、当時の周辺事態法からこの部分を削除しないとその余の部分が一緒に道連れになって不成立になってしまう、こういうような事態があったわけでございます。そのようなところから、三党幹事長合意によって、この部分だけを削除して後日を期するという合意ができたわけでございます。  したがいまして、今回の法案の審議の理解、焦点と申しますか、これは、本法案の第二条に記載されてあります国際連合安全保障理事会決議に基づく船舶検査要請、そういうものに基づいて行うのか、それとも、それは違う意味で、すなわち検査を受ける船舶の受忍義務としてとらえるのかどうかというところが非常に大きな問題点であるというふうに私は思っております。  そのような点から、本法案では第一条で、この目的として、周辺事態対応するために我が国が行うものであってというふうに書かれていることは、その安保理決議の要請に基づいて行うものではないという本質だというふうに私は理解しているんですが、その点についての防衛庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  30. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 委員が長い間お立場で本法にかかわってこられました経過については、今お話がありましたけれども、心から敬意を表したいと存じます。それらを踏まえまして、今般この法案を提案しておるわけでありますので、よろしゅう御協力方をお願い申し上げます。  申し上げるまでもありませんけれども、周辺事態というのは、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態、こういうことであるというふうに定義しておるとおりであります。  なお、地域についてのお尋ねがございましたけれども、我が国周辺地域とは、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態が生起する地域のことであり、議員御承知のとおり、あらかじめこれを地理的に特定することはできないという見解を持っておるわけであります。  なお、議員御指摘のとおり、本法律案は、日米安保条約の効果的な運用に寄与する、そして我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とするものであって、日米安保条約の目的の範囲内のものというふうに理解し、提案しておることを御理解いただきたいと思います。
  31. 冬柴鐵三

    冬柴委員 防衛庁長官と私の見解は、乖離はありません。そのとおりだと思います。  それでは、この法案になぜ国連安全保障理事会決議というものが二条に入っているのかということの理解でございます。  もっとも、周辺事態法の中には、安保理決議だけが書かれてありまして、旗国の同意というものは書かれていなかったわけでございます。しかし、この我々が行おうとしている船舶検査活動というのは、あくまでも検査を受ける船舶及びそれに所属する国の同意というものが前提になった任意の、向こうの協力を得て行うものであって、決して強制力を行使して行うものではない、そういうことが前提になっておりまして、議論が分かれたわけでございます。  それでは、何で安保理決議が入ったかといいますと、もともとは旗国の同意を得るということがベースにあって、しかしながら、国連安全保障理事会における決議、これは国連憲章第四十一条だと思うのですけれども、そういうものが行われたときには、国連加盟国は憲章二十五条によってそれを守らなければならない、受忍しなければならない義務が発生します。  したがいまして、そういう関係にある国は、国連安保理決議があった以上は、旗国の同意というものがなくても、この国連憲章二十五条というものに基づく受忍義務、協力義務の範囲で、あらゆる国の船舶検査に応ずる義務が生じてくる。そういう観点で、これを我々はとらえてきたわけでございます。  そういう意味で、長官の見解、この安全保障理事決議というものについてここへ書き込んだその意味、これは旗国の同意というものにかわるものであるというのが私の理解でございまして、検査を受ける船舶、被検査船舶の受忍義務という形でこれはとらえている、私はそのように理解しているわけでございますが、長官の見解をお伺いしたいと思います。
  32. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 後段、委員御指摘のとおり、そういうことが望ましいことでありますけれども、国連安保理決議が何かの都合でいただけなかった場合、ですから、そのことを想定すると、やはりここでもう一つ歯どめというか、あるいはその実行のための手だてが要るのじゃないかというようなことで、旗国の同意ということを実は入れたわけでございます。  それで、国際法上の観点からも、船舶検査活動の前提として国連安保理決議があるということは大変有益であるという認識を持っておることも、この際、つけ加えて表明しておきたいと存じます。  以上であります。
  33. 冬柴鐵三

    冬柴委員 したがいまして、この法律は、国連安保理決議があるとはいえ、あくまで旗国の同意、すなわち被検査船舶の所属する国籍国の同意というものがまず前提にあり、そしてまた、検査のために乗り込む場合には船長の承諾を求める、そういう構成になっておりまして、自衛隊の部隊が検査を行うわけですけれども、武力で威嚇し、またはこれを行使するという形で行うような構成には決してなっていないということをもう一度確認していただきたいと思います。
  34. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 委員お説のとおりであります。
  35. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そこで、六条に武器使用に関する規定がございます。  これは、船舶検査のために乗り込む自衛隊員の安全というために規定されたものであって、決して攻撃的なものではない。これは、刑法三十六条及び三十七条に規定するような正当防衛あるいは緊急避難というようなものに基づくものであって、自己またはともに働く僚員の生命、身体を急迫不正の侵害から守る範囲で行使できるというものであって、決して攻撃的なものでないということも御確認をいただきたいと思います。
  36. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 本件につきましても、お説のとおりです。  敷衍して若干申し上げますと、本法律案第六条は、自衛官が対象船舶に乗船してその職務を行うに際し、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体を防護するための必要最小限の武器を持ち、これを使用することができるように措置したものであります。  その武器使用は、これもお説のとおりです。やむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器が使用されることとするとともに、正当防衛または緊急避難に該当する場合でなければ人に危害を与えてはならない、こういう要件を課しておるとおりであります。
  37. 冬柴鐵三

    冬柴委員 今のお話によって、大体この法律の性格が明らかになったと思うわけでございます。  そこで、もう一つの論点として、日米安全保障条約と本法はどのような関係に立つのかという点について、若干お伺いをしたいと思います。  法案第一条にも、後段に、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与するということが書かれてあります。したがいまして、この法律自体、周辺事態法を含めて、これは、日米安保条約信頼性をより高め、そしてまた効果的な運用に寄与するという目的があると考えます。  したがいまして、先ほども防衛庁長官は若干論及されたわけでございますけれども、この法律は日米安全保障条約の枠の中で行われるものだというふうに私は考えているわけでございますが、長官のその点についての御答弁をちょうだいしたいと思います。
  38. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 このことにつきましても先ほど若干申し上げましたけれども、この法律案は、日米安保条約の効果的な運用に寄与する、そして我が国の平和と安全の確保に資することを目的とするものでありまして、特に日米安保条約の目的の範囲内のものというふうに御理解いただきたいと思います。
  39. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そこで、もう「周辺」という言葉の意味の神学論争はここではやめます。  私は、この部分につきまして、平成十一年の予算委員会で、まだこの法案は提案はされていませんでしたけれども、当時の故小渕恵三内閣総理大臣との間でこれを議論させていただきました。  その際、周辺事態法では、周辺事態という言葉は略された言葉でありまして、もう少し正確に言いますと、我が国周辺地域において、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態というのが正確な言葉であると私は理解しております。そうしますと、我が国周辺地域においてという地域というのは、まさにこの一点をもって画された範囲をいうと私は理解しているのですけれども、もう神学論争はやめると今申し上げたとおりでございます。  しかし、その際、小渕総理は、インド洋とか地球の裏側まで行くということはありませんというふうに、消極的に、一つの控除する、そのような意味でこの範囲を、最初インドネシアということで言い間違えられまして、それを撤回してインド洋というふうに言われましたけれども、そのような遠隔地まで我々が出かけていって船舶検査をするという趣旨ではないのだということをおっしゃいました。  すなわち、どこまでの範囲とは言わないけれども、しかし、余りにも、地球の裏側とかあるいは相当な距離を隔てたインド洋はこの地域には含まれていない、私はこういう理解をしているのですが、防衛庁長官、それでよろしいですか。
  40. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、安保条約の目的ということを特に挙げたわけでございますが、あらかじめ特定の区域を限定して周辺地域というものを考えているものではない、したがって、それは条約の目的に沿う範囲でそのときの事態に応じて決められるべきものであるという認識を持っておるわけであります。
  41. 冬柴鐵三

    冬柴委員 あと四、五分残されておりますが、今おっしゃいましたように、日米安保条約の範囲の中だ、しかも、これは我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態に国家の主権行為として我が国の判断で行うものであって、どこからも強制されたり影響を受けて行うものではないということも確認をしておきたいと思います。  あと、ここの第二条の後段におきましてもそのような意味が書かれていると思うわけでございますが、一言申しておきますと、「我が国領海又は我が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)において我が国が実施する」、すなわち主権行為として実施する、我が国の判断において実施するものをいうというふうに書かれているわけでございますので、仲村政務次官にその点、もうここに書かれているとおりだと思いますけれども、もう少しこれを確認しておきたいと思います。
  42. 仲村正治

    仲村政務次官 ただいまのお尋ねの我が国領海または周辺の公海という点につきましては、我が国領海または我が国周辺の公海において我が国が実施するものをいっております。
  43. 冬柴鐵三

    冬柴委員 あと二、三分ありますが、同僚議員にお譲りいたします。  ありがとうございました。
  44. 高木義明

    高木委員長 次に、田端正広君。
  45. 田端正広

    ○田端委員 公明党の田端でございます。  ただいま我が方の冬柴幹事長が、過去の経緯を踏まえて、問題点を確認されながら、議論をさせていただきました。あと残りの時間を私が引き継いでやりたいと思います。  基本的なことを少し確認しておきたいと思いますが、船舶検査活動のこの法律というものは、私も今回与党のプロジェクトメンバーの一人として議論をさせていただきましたが、周辺事態に際して、この法律を今回別の法律として独立させてここに提案したというその意味、目的について、まず防衛庁政務次官、よろしくお願いしたいと思います。  今までいろいろ議論がございました。だから、そういう意味では、備えあれば憂いなし、こういう意味でこの法律は非常に大事な法案だと私は思っておりますが、その点についての見解をお願いします。
  46. 仲村正治

    仲村政務次官 お尋ねの点は、周辺事態安全確保法が国会審議における修正の結果として後方地域支援と後方地域捜索救助活動を中心に定められた法律となっていることに配慮するとともに、今般の与党における合意を重く受けとめて周辺事態安全確保法とは別の立法形式とすることとしたところであります。  なお、政府としても、船舶検査活動の特性、例えば、通常、経済制裁対象国の周辺公海において比較的長期間、常時検査艦が配置されることなどにかんがみまして、周辺事態安全確保法に規定される二つの活動、すなわち後方地域支援及び後方地域捜索救助活動に比べ、その実施にかかわる事項法律においてより詳細に規定することが求められているのであります。  他方、本法案は、周辺事態安全確保法の政府原案と異なり、船舶検査活動が実施される場合を国連安保理決議による場合に限定しないというものであるという点からすれば、従来の法形式と同じにしなければならないとまでは言えないと考えております。ということを踏まえれば、別法形式において規定することも可能である、このように考えているところでございます。
  47. 田端正広

    ○田端委員 ただ、国民の間といいますか、一般的に少し誤解があると私は思うんです。それは、船舶検査活動という言葉自体に何か武力を行使してやるんではないかとか、そういう非常に無理やり強引にやるようなイメージがあるために、この問題は非常に議論が誤解を招きやすい、こういう思いがいたします。  そういう意味で政務次官に確認しておきたいんですが、船舶検査活動というのは、憲法上禁じられている武力の行使、そういったことには当たらないということをひとつ明確にお答え願いたいと思います。
  48. 仲村正治

    仲村政務次官 我が国が行う船舶検査活動は、貿易その他の経済活動に係る規制措置であって我が国参加するものの厳格な実施を確保する目的で、船舶積み荷及び目的地検査確認する活動並びに必要に応じ当該船舶の航路等の変更を要請する活動でありまして、具体的には諸外国の例も踏まえ法案別表において次の態様で行うこととしているのであります。  すなわち、一つに船舶の航行状況の監視、二つに呼びかけ、信号弾等による自己の存在の顕示、三つに船舶の名称、目的地積み荷等の照会、四つに船舶停船要請及び船長等の承諾を得ての乗船検査確認、五つ目に必要に応じた航路等の変更の要請、六つ目に前項の四と五の要請に応じない船長等に対する説得、七つ目に前の六番目の説得に必要な限度に接近、追尾等を行うこととすることであります。  他方、憲法第九条の「武力の行使」とは、我が国の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為と定義されております。また、憲法が禁ずる「武力による威嚇」とは、現実には武力の行使をしないが、自国の主張、要求を入れられなければ武力を行使するとの意思なり態度を示すことによって相手国を威嚇することとされております。  本法案に基づく船舶検査活動は、制裁対象国との関係を含め、この意味における武力の行使または武力による威嚇に当たるものではなく、憲法上問題となることはないと考えております。
  49. 田端正広

    ○田端委員 それから、周辺事態法の場合には安保理決議に基づいてということでありましたが、今回「旗国の同意を得て」ということがそれに加わったわけでありますけれども、つまりそういう意味では、経済制裁の実効性をより確保するという意味において「旗国の同意を得て」という言葉を私は加えたという認識でおりますが、この点についてはどうでしょうか。
  50. 仲村正治

    仲村政務次官 船舶検査活動を実施する場合には、国際法上、対象船舶の旗国の同意が必要とされますが、国連安保理決議があれば、国連憲章第二十五条により、加盟国に受忍義務が生ずることとなりますので、旗国の同意を取りつけることなく他国の船舶検査することができることになっております。  このことを踏まえ、国際法上の観点からも、船舶検査活動を要請する国連安保理決議があることは有益であると考えております。このような考え方に変わりはないのであります。  その上で、本法案において、船舶検査活動の実施を、国連安保理決議に基づく場合のほかに、国際法上必要とされる旗国の同意を得た場合においても可能としておりますのは、これまでの国会での御審議や与党間の御協議を踏まえ、政府としても、何らかの事情により国連安保理決議が採択されないような状況においても、周辺事態に際して我が国参加する経済制裁の実効性を確保するために船舶検査活動を実施することが必要であると判断される場合にも対応する必要があると考えたからであります。
  51. 田端正広

    ○田端委員 それから、周辺事態法船舶検査法との関係性といいますか、この二つの法律関係性、先ほども議論がありましたが、日米安保条約の枠内における船舶検査活動、こういう位置づけであるというお話でございました。その点について、私もそれは認識は一緒なんですが、例えば日米合同での訓練を行うとかあるいは後方地域支援とか、こういうことになってきますと、誤解を招いて、少し軍事力の強化のようなイメージに受け取られかねない、そういう心配もあるわけですが、その点は誤解のないようにすべきだという意味で少し確認しておきたいと思いますが、どうでしょうか。
  52. 仲村正治

    仲村政務次官 御指摘のとおり、誤解が生じないように実施をしていかなければならない、このように考えているところでございます。
  53. 田端正広

    ○田端委員 それで、そういう意味からいきましたら、国民的コンセンサスというものを得るためには、周辺事態に限ってと、そういう意味での船舶検査活動、ここのところが非常に私は大事になっていくんだろう、こう思うわけであります。  その場合、つまり、第一義的には自衛隊活動を指定しているんだ、こう思いますが、現実に船舶検査活動をやる場合に、日本とアメリカとの地域の分担とか、あるいは日本自衛隊の規模あるいは部隊編成とかあるいは構成をどうするとか、そういうこともいろいろ出てくると思います。  これらの問題が周辺事態法の基本計画とのかかわりになっていくんだと思いますけれども、こういう、実際に現実に船舶検査活動をやる場合における自衛隊の、日米関連しながら、その中における自衛隊の分担、地域の分担を含めて、どういうふうなことに具体的にはなるのかということを少し御説明願いたいと思います。
  54. 仲村正治

    仲村政務次官 船舶検査活動における米軍との関係についてお尋ねがありましたが、本法律案に基づく船舶検査活動は、他国の検査活動と明確に区別された海域において、我が国自身の主体的な判断に基づき、必要な一連の検査活動を行うものであります。我が国としては、法案別表に規定されております態様以外の行動をとることはないと考えております。  以上であります。
  55. 田端正広

    ○田端委員 別表に掲げている以外のことはないということなので、そういう意味で、ぜひ誤解のないように国民に対する理解を求めていく必要があろう、こう思います。  それで、実はもう一つ、誤解という意味では、警告射撃ということが非常に従来からも議論の中に大きな問題提起としてあったわけですが、今回の政府案においても警告射撃については規定はされていませんが、そういう警告射撃を行わなくとも実質的に経済制裁の実効性は確保できるんだと、そういうことについて確認しておきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  56. 仲村正治

    仲村政務次官 そもそも経済制裁による貿易の規制措置等は、各国は、それぞれ自国の国内法令等に基づき行う禁輸措置及び取り締まり活動により実施するものであります。  船舶検査活動は、この経済制裁が十分に機能しているかどうかを確認するとともに、その実効性を確保するために、参加国等がみずからの判断で一定の措置をとるものであります。こうした船舶検査が行われること自体が、そのような経済制裁を実効的なものとする上で極めて重要なものであると考えております。
  57. 田端正広

    ○田端委員 そして、安保理決議がない場合であっても旗国の同意を得て船舶活動を行うということで、同意している以上、船舶検査の実施にはトラブルが生じるということはほとんど想定されないのですけれども、その辺のところ、現実対応としてどんな方法で同意を取りつけるのかという、ここが一つのポイントになると私は思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  58. 仲村正治

    仲村政務次官 旗国の同意を具体的にいかなる方法で得るかにつきましては、個別具体的な状況に応じて異なるものと考えられることから、確定的に申し上げることは非常に困難でありますが、例えば、関係国間で合意する場合もあろうし、二国間で個別に同意を取りつける場合もあると考えております。  また、形式にしても、国際約束による場合もあろうし、国際約束以外の外交文書による場合もあると考えております。
  59. 田端正広

    ○田端委員 先ほど冬柴先輩の議論の中にもありました、周辺事態という非常にわかりづらい言葉になっているところがこの法律の、非常に難しいといいますか、そういう点になっているんだと思うわけであります。その地域をどういうふうに考えるかという問題についてはここで議論するつもりはありませんが、しかし、実際問題、現実に船舶検査をやる場合にはどういう形でどういうふうに進んでいくんだろうということをイメージする上で、少し過去の実例を挙げていただいて、経済制裁の、過去、イラクを初め何回かあったと思いますが、それについての実態を少し御説明いただきたい。過去四、五回あったように聞いておりますが、外務省、よろしくお願いします。
  60. 竹内行夫

    竹内政府参考人 お尋ねの船舶検査についての過去の例でございますけれども、これまでのところ、我々の承知しておりますところでは、経済制裁の決議ができまして、その後、その経済制裁の決議の実効性を確保するという見地から、船舶検査を含めた具体的な措置についての安保理決議というのが何回か行われております。  御承知のとおり、イラクに対します制裁といたしましては、一九九〇年安保理決議の六六五に基づきまして、船舶検査が行われております。さらに、九二年十一月安保理決議七八七に基づきまして、新ユーゴに対する経済制裁に関する船舶検査というのが決められております。さらに、一九九三年十月安保理決議八七五及び九四年五月の決議九一七に基づきまして、ハイチに対します制裁に関する船舶検査ということが決められておりまして、こういったものが現実のものとして行われているところでございます。  これらの船舶検査につきまして、この三つを全部合わせますと、総数といたしまして約十一万隻以上の船舶に対する海上における照会というのが行われまして、そのうち一万八千隻以上への乗船検査が行われた、こういうふうに承知をいたしております。
  61. 田端正広

    ○田端委員 過去四回の国連安保理決議に基づいて、十一万隻、そして一万幾つかの乗船検査があった、こういうことであります。先ほどの議論の中でも、周辺事態というところは地球の裏側まで行くんじゃないという小渕前総理のお話があったということですから、我々の認識としてもそういう遠隔地を考えているわけじゃありませんが、一つの例として、イラクのときのことをもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。  つまり、ペルシャ湾を出入りする船舶に対する検査というものが主体であったんだろうと思いますが、イラクの場合に、どういう状況においてどういう船が検査対象になったのか、あるいはそのときの積み荷、どういう積み荷が問題になったのか、あるいは、照会した船のうち乗船検査までいったのはどのぐらいあったとか、進路変更させたのかさせていないのかとか、いろいろなことがあると思いますが、今つかんでおられるところでの湾岸戦争における状況について御説明いただければと思います。
  62. 竹内行夫

    竹内政府参考人 イラクの場合におきましては、まず安保理決議の六六一等によりまして経済制裁というのが決定されております。その際の対象でございますけれども、基本的にはすべての貨物というのが制裁の対象になっておりまして、例外といたしまして、人道目的の、例えば医薬品であるとか食糧といったものが例外として除かれておるところでございます。  この決議の実効性を厳格にあらしめるために、船舶検査についての安保理決議というのが決議六六五として成立をいたしまして、実施をされたところでございます。  先生がお尋ねの諸点でございますが、これまでのところ、総数で三万四千隻以上への照会、尋ねるということが海上で行われまして、そのうち一万二千隻以上への乗船検査が行われたということでございます。そして、いわゆる警告射撃が行われたケースは、この三万四千隻以上のうちの十五件であるというふうに承知をいたしております。  さらに、警告射撃を超えました、いわゆる航行不能にさせる発砲ということは行われたことはないというふうに承知をいたしております。
  63. 田端正広

    ○田端委員 もう少し何か、状況を詳しくいきませんかね。  例えば今の、三万四千隻を照会して一万二千隻を乗船検査した、こういうことでありますが、それは米軍がやった数なんですか、それとも、そのほかの、イギリスとかそういったところも含んでいるのでしょうか。  それから、これらのその対象になった船は入っていこうとした船なのか、向こうから出てくる船もあったのではないかと思いますが、輸出入の、入りと出のところ、どういう状況であったのか。  そして、今、進路変更についてちょっとお答えがなかったのですが、例えばそのうちどの程度そういう進路変更のチェックをされたのか。  その辺のところを、もう少し詳しくわかれば、お願いしたいと思います。
  64. 竹内行夫

    竹内政府参考人 失礼いたしました。  先ほど申しました検査の数等は、米軍のみならず、すべてのところが行ったものでございまして、このイラクの制裁に関しましては、アメリカのみならず、イギリス、カナダを初めとする西側の諸国が参加をしておりまして、それを今まで総計したものという数でございました。  それから、安保理の制裁決議におきましては輸出入ともに制裁の対象ということになっておりますが、現実には、船舶検査という観点から考えてみますと、物を運んでいく船、これは出たり入ったりということで、対象水域で航行している船ということでお考えいただきたいと思いますが、輸出ということからすれば当然出ていく船でございますけれども、入っていく船ということについても当然検査は行われておると思います。  それから、先ほど答弁漏れがございましたけれども、イラク制裁の場合に照会を行いましたのが三万四千隻以上と申し上げましたが、そのうち進路変更を求めた船につきましては約七百三十隻というふうに聞いております。警告射撃が十五件であった、こういうことでございます。
  65. 田端正広

    ○田端委員 積み荷の場合、問題ない積み荷というのは、イラクの場合はどういうふうに、例えば医薬品とかそういうものは、人道的なものは全く問題ないんだと思いますが、ほかにも何かそういうふうなものがあったのでしょうか。
  66. 竹内行夫

    竹内政府参考人 安保理決議の制裁を決めました決議の六六一でございますけれども、そこで、すべての加盟国が輸出入を差しとめる措置をとらなければならないというのがございまして、その中で、輸入でございますけれども、厳格に医薬品といいますか、医療目的のための物資ということと、それから食糧、これは人道上の見地から食糧の輸入が必要な場合というようなことが決議に明記をされております。
  67. 田端正広

    ○田端委員 少しイメージが膨らんできたといいますか、状況がつかめるような感じもいたします。  今お話があったように、イラクの場合に三万四千以上の船舶に対する照会を行って、進路変更は七百三十、そして警告射撃が十五件ということでありますから、警告射撃は本当に三万四千のうちの十五件ということで、そういう意味では非常に少ない数だというふうに認識いたします。  それで、過去、こういう実態から見て、実際に警告射撃がなくても非常に実効性はあるということが、この数字でも私、納得できたわけでありますが、これについて、政務次官の方で御感想があれば、お答え願いたいと思います。
  68. 浅野勝人

    ○浅野政務次官 ただいま参考人から御説明を申し上げました数字から推測いたしましても、この法案に規定される範囲内で実質的に有効に機能し得るものと考えます。  確かに警告射撃はいたしませんけれども、停船の求めに応じるように説得を行い、その際には、説得に必要な限度内で、接近、追尾、伴走及び進路前方における待機といった措置をとることをこの法案の中で明確に定めております。  それから、経済制裁の実効性を確保するための対応といたしましては、現場船舶検査活動をするだけではありませんで、二カ国以上で行うケースが多いと思います。その場合、停船に応じなかった商船が実はそちらの海域に進んでいった、ともに船舶検査をしている相手の国に対して、そちらの海域に行ったのでそちらでも十分停船を求めてチェックをするようにというようなことで、二重三重の船舶活動もできるわけでありますし、それから旗国や交易国に対して、あなたのところのこの船舶積み荷に対しては問題がありそうだ、ぜひそちらでもチェックをしてほしいというような通報をそれぞれの国にすることも予測ができるわけでございまして、全体としての活動で経済制裁の実効性を確保する、つまり、船舶検査を行うこと自体が経済制裁を実効あるものとする上で極めて重要だと存じております。
  69. 田端正広

    ○田端委員 時間になりましたので終わります。  ありがとうございました。
  70. 高木義明

    高木委員長 次に、金田英行君。
  71. 金田英行

    ○金田(英)委員 日米安全保障条約に基づくいろいろな協力、ガイドラインがあるわけでありますが、さきの国会で、米国軍の後方支援の問題が一つ、それから後方地域の捜索救難活動二つ目、そして三つ目の船舶検査、こういう大きな三つの柱からガイドラインが成り立っていたわけでありますが、この船舶検査については、残念ながら、さきの国会で別途立法ということに相なりました。そういった形で、今回、このようなことで船舶検査法の審議ができることを本当にうれしく思うわけであります。これでガイドラインが完成するなという感じでございます。  そのことでございますが、とにかく日本の平和と安全をどうやって守っていくかということで、自衛隊だけが日本の安全を守っているわけではございません。あらゆる外交、民間あるいは国、政府を挙げての各種の外交、それから経済の相互依存関係をより両国間で深めていくとか、あるいは文化交流を通じてとか、相手国の信頼を得られるような相互の信頼関係を醸成していく、そのことによって総合的に日本の安全と平和は守られていくんだろうというふうに思っております。  憲法九条でも、武力の行使というのは極力避けなければなりませんし、また自衛権の範囲内でしか行使できないという形になっているわけでありますが、とにかく平和的な手段で日本の平和と安全を守ってまいろうという我々の精神、その一つの新しい手段がこの法律によって獲得することができるというふうに考えております。一つの手段、日本の平和と安全を確保するために武力行使によらないもう一つの新しい手段を我々は手に入れることができるということだろうと思います。  それは、とりもなおさず経済制裁であるわけであります。その経済制裁を有効たらしめる、実効あるものにせしめるために武力の行使というものは回避される、そういった手段が日本の平和と安全を確保するためにこの法律によって獲得することができる、これがこの法案意味だろうというふうに思うのであります。  確かに、日米安全保障条約の一環として行われるものではございますけれども、新しい手段、経済制裁を有効たらしめて武力行使に至る前の段階で日本の平和と安全を確保する、そのための船舶検査活動を今立法できることを喜びとするものであります。  こういった点から考えて、過去幾多の経済制裁が国連決議、発動されてございます。そういった今までの経済制裁の事例がどうなっているのだろうか。  経済制裁には、例えばビザの発給を停止するとか石油をとめるとか、あるいはいろいろあるわけでございますが、どのような経済制裁がなされてきたのであろうか、そういったことについて、あとそれがまたどういう実効をあらしめているのかということについても、外務省から御説明いただきたいと思います。
  72. 浅野勝人

    ○浅野政務次官 国連安保理事会は、御指摘のように平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為の存在を決定して、国際の平和と安全を維持または回復するために、これまで多くの事例について制裁の実施を決議しております。その内容は、個々の事例の要請に応じて、例えば、査証発給の禁止、入国の制限、軍事に転用される懸念のある特定の品目やサービスの提供の禁止、それから、資金などの移転の禁止、時には在外資産の凍結といった多岐にわたっておりまして、中には相当厳しい制裁も含まれておるわけであります。  これらの制裁の直接的な効果について、一概に論ずることは必ずしも容易でない面がありますけれども、これらの制裁は世界の平和と安全の維持あるいは紛争に対する回復のための有効な手段であるという、国連初め関係国がそういう認識に立って、効果があるという国際社会の一致した認識の上で実施をされているものと受け取っております。
  73. 金田英行

    ○金田(英)委員 今、浅野政務次官から、やはり平和を回復するためあるいは周辺事態を解決するために有効な手段である、経済封鎖はそういったものであるということをお話しいただきました。  そういったことで、この船舶検査法というのは、あくまでも戦争回避のための手段だ、平和と安全を確保する新しい手法だという観点に立っている。  とかく一部野党には、これは武力の行使であるとかあるいはこれはまさに憲法の禁ずる武力の行使そのものではないかというような一部御意見があることについては、ただいまの御回答で、これは戦争を回避して平和裏のうちに周辺事態を解決するための国連等々各国が一致して認識している有効な手段として我々が今手に入れるものなんだということに御理解がいただけただろうと思うのですけれども、この点について再度外務省の御見解を賜りたいと思います。
  74. 浅野勝人

    ○浅野政務次官 まさに金田委員の御指摘のとおりでございまして、船舶検査活動、この法案は、日米防衛協力のための指針の実効性を確保するための法整備の一環であります。我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態対応して我が国が実施する活動を定めたものであります。この法案は、周辺事態安全確保法と相まって、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和と安全の確保に資することを目的とするものであり、周辺事態において、事態の拡大を抑えるあるいは収拾に役立つという重要な意義を御指摘どおり持っているものと考えております。
  75. 金田英行

    ○金田(英)委員 まさに、経済封鎖を実効あらしめるためのこの船舶検査法の意義というのは大きいわけでありますが、よくよく考えてみますと、貿易等々の経済封鎖をするというようなこと、果たして海だけなんだろうか、飛行機等々でいろいろな戦時物資等々が空輸されたりすることがないであろうか。例えば、日米のガイドライン等々で、日米協力の中で海だけ問題にしたとは到底思えないわけでありますが、空から制裁対象国に対する支援物資なんかが入っていくということは考えられなかったんだろうかどうか。船舶検査だけでいいんだろうか、航空機等々についても、スクランブルをかけて行き先を変更するというようなことは海と同様に考えることはできないだろうかというふうにも我々素人は考えるわけでありますが、この点について外務省の考え方をお尋ねしたいと思います。
  76. 浅野勝人

    ○浅野政務次官 金田委員の時代をとらえた鋭い御指摘とは存じますが、航空機を対象とした検査については、飛行中の航空機に対してこの法案に規定されているような検査確認活動を行うことは、実際問題として困難と思われます。  Aの国からBの国に航空機が行くことについては、Aの国の発進の際のチェックとBの国にランディングしてからのチェックが基本になりまして、その途中で航空機に対して検査確認をするというのは、実際には難しいと考えます。船舶検査活動の実施とともに、国内法令に基づいて行う禁輸措置や取り締まり活動によって総合的に経済制裁の実効性を確保していくことが重要かと存じます。
  77. 金田英行

    ○金田(英)委員 わかりました。  緊急にスクランブルをかけて着陸を命ずるとかというようなことがあるのかなと思っていたんですが、特にこれからそういう必要性は出てくるんだろうと思いますが、今後の検討にお任せしたいというふうに思います。  それで、今回の法律で、周辺事態が発生したときに、国連安全保障理事会決議または旗国の同意があった場合というふうになっているわけでありまして、前回、安全保障理事会の決議を前提としてこういった船舶検査を行うということから少し広がったのかなという感じがするわけであります。確かに、安全保障理事会の決議のときだけなんだというようなことになりますと、拒否権が発動された場合に安全保障理事会の決議が得られないわけであります。そういったときに、それでもなお周辺事態ということが現実にあって、そして経済封鎖をしなきゃならない、あるいは経済制裁を行うことが必要であるというときに、旗国の同意があった場合には船舶検査ができるということに相なって、新しい法律として提起されているわけでありますが、この旗国の同意ということについて若干御見解なり、勉強させていただきたいんです。  旗国の同意といったときに、具体的にどのような同意なのか、相手国に、それから船籍を見つけてから相手国の外交ルートで同意を求めることなのか、明示的な同意とかあるいは黙示的な同意とかいろいろあろうと思いますが、具体的にこの旗国の同意というのはどういう手続、どういう方法で獲得することになるんでしょうか、そこいら辺、外務省になるんですか。
  78. 浅野勝人

    ○浅野政務次官 さまざまなケースがあると思いますけれども、具体的にどういう方法をとるかについては、まさに個別の具体的な状況に応じて異なるものと考えられますので、確定的に申し上げることは困難ですが、例えば、関係国間で合意する、それは例えばAの国、Bの国、Cの国といったようなさまざまな旗国の船舶が来るでしょうから、そういう当該国を含めて、船舶検査をしている国が主体的になってマルチの場で合意をする場合もあるでしょうし、それから、日本がやっている場合、日本とその旗国との間でバイの関係で、二国間でやるケースも考えられます。そして、形式にしても、条約とか協定といった国際的な約束による場合もありましょうし、それ以外の外交文書でやる場合もあると考えられます。  したがって、旗国から同意を取りつける手段については、一般的に国際法上の規則または慣行が必ずしもあるわけではございませんので、まさにケース・バイ・ケースで、在京の当該国の大使館あるいは在外公館を通じて、それぞれただいま申し上げましたようなさまざまなやり方を組み合わせて実効あるものにしていくということになろうかと存じます。
  79. 金田英行

    ○金田(英)委員 わかりました。  実例をこれからまたそろえていかなきゃならないと思うんですが、具体的にお尋ねしますと、制裁対象国の旗を掲げた商船が航行しているという場合には、具体的に決議のある場合とない場合とではいろいろとあるんでしょうけれども、そういった場合は具体的にどうなるか。制裁対象国の旗を掲げた商船がそこに、海上にいるという状態を想定してみたときに、安保理決議がある場合には、いかなる国も検査を受忍する義務というのがあると思うんです。ですから、臨検できるし、また、検査活動を開始できると思うんですが、決議がない場合については旗国の同意が必要ですから、制裁対象国の同意を得ないと検査活動ができないということになるわけであります。  そうすると、制裁対象国の旗を掲げた商船については、安保理決議がない場合についてはほとんど実効性がないのかなということを心配するわけでありますが、経済制裁の実が実際に上がらないのかな、果たしてそれでいいんだろうかというような気も若干するわけでありますが、その点について御見解があれば、あと、考えていることがあればお知らせください。
  80. 仲村正治

    仲村政務次官 本法案船舶検査活動は、国連安保理決議に基づいてまたは旗国の同意を得て実施することとしているところでございますが、まず国連安保理決議がある場合は、国連憲章第二十五条により加盟国に受忍義務が生ずることとなります。そのことによって、検査を実施することは可能であるということでございます。  しかし、この場合も、検査対象船舶船長等の承諾がなければ乗船検査等を実施することはできないのであります。国連安保理決議がない場合は、旗国の同意を得ることが必要となります。制裁対象国が同意を与えない場合は、当該国が旗国である船舶を対象に船舶検査活動を実施することは不可能になると考えているところでございます。
  81. 金田英行

    ○金田(英)委員 いろいろとそれでいいのかなという気はいたしますけれども。  隣の仕事と一緒にあわせて考えてみたいんですが、これは船舶検査活動であります。しかし、一般的に、海域によってはといいますか、領海においてはあるいはまた排他的経済水域においては、我々政府は、日本の国は警察活動を行う権利があるわけであります。海賊行為等々を防止する、まあ臨検と呼びましょうか、今は海上保安庁仕事であります。そういった臨検、警察活動との兼ね合いの中で、制裁対象国を旗国とする商船について何らかの行動をとることはできないのか、警察活動の含みも込めてできないのかどうか、その点について御見解があればお知らせいただきたいと思います。
  82. 仲村正治

    仲村政務次官 例えば海上における警備行動、これは、自衛隊法第八十二条は、防衛庁長官が、海上における人命、財産の保護または治安の維持のため特別に必要がある場合に、内閣総理大臣の承認を得て自衛隊の部隊に命ずるものでありまして、一種の警察活動として一定の強制力を伴う措置として行うものであります。
  83. 金田英行

    ○金田(英)委員 いろいろと難しい検討がさらに必要になってくると思うんですけれども、制裁対象国の旗を掲げた商船については、安全保障理事会の決議がない場合には手も足も出ないということについては何らかの措置があり得るし、また、周辺事態の緊張度合いにもよると思うんですが、そういった緊張が相当に緊迫している事態においては、ただ指をくわえて見ているというわけにはいかない事態も我々の頭の中で想定されるわけでありますが、その点についてのさらなる検討をお願いしたいというふうに思います。  それで、警察活動船舶検査活動との関連でありますが、法案の中に、自衛隊の部隊等がこの検査活動を行うということがあるんですが、この「部隊等」の「等」というのは、具体的に何を指しておられるんですか。
  84. 仲村正治

    仲村政務次官 自衛隊等というのは、自衛隊の機関のことを指しているのであります。
  85. 金田英行

    ○金田(英)委員 機関ということは、例えば語学のできる防衛庁の組織部隊とか、そういったことを指すんだろうと思うんですが、この検査活動と排他的経済水域あるいは領海内における警察活動を行っている海上保安庁との連携は、全くこの問題については考えなくてもいいのかどうか。海上保安庁のやるべき仕事でないということはわかるんですが、警察活動との関連というものについて、関係ないんですよと一言で言い切れるのかどうか。今後、いろいろな協力体制というのは考慮していく必要があるのかどうか、そこいら辺について、もし所見があればお聞かせいただきたいと思います。
  86. 仲村正治

    仲村政務次官 お答えいたします。  制裁対象国の周辺海域、過去の例からいたしますと、主として公海が想定されるわけでありますが、我が国領海内も排除されないと考えております。その場合、本法案に基づき自衛隊船舶検査活動を行うことは予定されているわけであります。  他方、我が国の管轄権が及ぶ海域、主として領海内が想定されるわけでありますが、接続水域、公海にも限定的に及び得る、こういうふうに理解をいたしておりまして、経済制裁の実効性を確保するための措置として輸入規制等を行う海上保安庁にあっては、法令の励行等との観点から、必要に応じ立入検査を実施することが予定されているということであります。
  87. 金田英行

    ○金田(英)委員 大体わかったんですが、さらなる検討をまた一緒にしてまいりたいというふうに思っているわけであります。  それと、この法案の別表のところに、「規制措置の対象物品」という表現が出てまいります。規制措置の対象物品が見つかったとか見つからないと別表に書いてあるわけですが、その規制措置の対象品目というのは、実施要項で決めるとも書いていないわけであります。基本計画の中にも書いていないのは当然でありますが、この物品についてどんな定め方をするのかなというふうな気がするんです。その点についてお答えいただきたいと思います。
  88. 仲村正治

    仲村政務次官 船舶検査活動の対象物品の範囲は、周辺事態安全確保法に規定する基本計画に定められるものでございます。  この対象品目の範囲は、経済制裁が安保理決議に基づく場合は当該安保理決議において決められる、経済制裁が各国間の合意等による場合は当該合意等に基づく、このようになるわけでございます。
  89. 金田英行

    ○金田(英)委員 安保理決議である場合はいいんですが、安保理決議がない場合について、この物品は日本の主体的な意思で決めていかなきゃならないと思うんですが、その周辺事態の緊張度合い等々によってもいろいろと品目が違ってくる。具体的な品目、例えば武器だとかという形で決めていくのか、そこいら辺、またさらに検討いただきたいというふうに思うんです。  それから、先ほどの質問等々でもあったわけですが、この船舶検査法で船長の承諾を得てやるんだというようなこと、そういったことで実効性が、ここは日本が担当する実施区域だよ、隣はアメリカだよ、そしてさらに隣はカナダだよ、こうなっていった場合に、担当区域がそれぞれ、日本の責任ある区域が決められるわけでありますが、このような船長の承諾を得てというような形の中では、日本の実施区域は船長が承諾しなければ荷物の検査が受けられないんだというようなこと、こういうことをしっかりと国内法の明文で高らかに宣言しているということに相なれば、日本の担当海域船長が同意しなければ自由に航行できるよというようなことになって、日本の担当海域を目指して商船がそこを通過しようとしてやってくるというような、安全な抜け道と申しますか、そんな形になりはしないかな。  果たして国内法で船長の同意を得てというようなことを明文化して書く必要が、まああるんですが、こういったことについて、先ほどの質問にもありましたけれども、このようなことで果たして完全なあるいは実効性の伴う船舶検査になり得るであろうかということを疑問に思うんですが、その点についてお答えいただきたいと思います。
  90. 仲村正治

    仲村政務次官 お尋ねの、検査対象船舶の旗国と当該船舶船長等が異なる判断を示すことは一般には想定しがたいが、仮にそのようなことがあれば、我が国が行う船舶検査活動船長等の承諾を得て乗船検査等を行うこととしていることから、その承諾が得られない場合には乗船検査等は行い得ない、こういうふうになります。  いずれにいたしましても、そのようなことが生じれば直ちに旗国に通報し、是正を求めることとなると考えております。
  91. 金田英行

    ○金田(英)委員 それでは最後に質問させていただきますが、実際に検査に行って、その船に船長の承諾を得て乗ってみた、そしてそこに、船底に規制品目、対象品目があった、例えばミサイルが積んであったとか自動小銃があったとかというような、船底に寝ていたというような事態に、具体的にはどう動くんだろうか。没収というようなことは書いておらないわけですから、そういった事態に対してどのような対応をするのかどうか、そこいら辺について政府の御見解をいただきたいと思います。
  92. 首藤新悟

    首藤政府参考人 今金田先生お尋ねの、例えば船倉にそういう物品があった場合にどういうことをするかという点につきましては、別表の中の第五番というところにございますように、「航路等の変更の要請」ということで、我々としまして、その船に対象物品が積まれていないことが確認できない、逆な表現でございますが、積まれていないことが確認できない場合においては、その船長等に対してその航路または目的港もしくは目的地の変更を要請するということを決めているわけでございます。  そしてまた、そういう私どもの要請に応じない場合がありました場合は、その船舶船長等に対してこれに応じるよう説得を行うというようなことが決められているわけでございます。
  93. 金田英行

    ○金田(英)委員 最後の質問だと言いましたけれども、本当に最後の質問にさせていただきます。  現在、防衛庁において次期中期防の検討が行われるというふうに聞いているわけでありますが、この船舶検査法の成立で、装備の面あるいは人員の面あるいは予算の面等々で、何か中期防の見直しの中で検討すべきものが出てくるのかどうかということをお尋ねして、私の質問を終わらせていただきます。
  94. 仲村正治

    仲村政務次官 ただいまお話しのとおり、現在、平成十三年度以降の中期的な防衛力整備について、安全保障会議等において政府レベルの検討が行われているところであります。お尋ねの点も含めて、その具体的な内容について現時点でお答えできる段階ではないということを御理解いただきたいと思います。  なお、防衛庁は、海上警備行動下における不審船等への立入検査に必要な装備品を逐次整備していきたい、このように考えているところでございます。
  95. 金田英行

    ○金田(英)委員 終わります。
  96. 高木義明

    高木委員長 次に、西川公也君。
  97. 西川公也

    ○西川(公)委員 自民党の西川公也です。  私は、外交と防衛は表裏一体だ、そういう意味で、外交がうまくいけば防衛の部分も相当比重を弱めることもできるんでしょうけれども、そういう観点から質問をしたいと思います。  私は、ここにいます吉川貴盛議員とともに、五名で、八月の二十七日から九月の八日まで中南米を訪問してきました。目的は何だといいますと、一つは、アメリカのフロリダ半島に刺さったとげと言われるキューバ、キューバは革命後四十一年がたっておりますけれども、キューバとアメリカの友好関係を再構築できないか、そして私どもがその手助けをできないか、こういう期待を持って訪ねていきました。  ちょうどアメリカのニューヨークでミレニアムサミットが開かれるのと重なってしまいまして、当初はカストロ議長と会える予定で行ったのでありますけれども、そんなことで会えませんでした。しかし、カストロさんの後継者と言われますラヘさんという国家評議会の副議長と会うことができたのでありますが、やはり、そう我々が考えておったほど、キューバのアメリカに対する考え方、これは心を開いてくれるかなと思って幾つもの投げかけをやりましたけれども、結果的には空振りに終わった、こういうことでありました。  その前後に、私どもはブラジル、アルゼンチンを訪問しました。ことしはブラジルで、南米十二カ国が初めて、南米サミットというのが行われたのです。前日に私どもはブラジリアに入りまして、副大統領と会見をしまして、南米の状況を聞きました。その中で、ブラジリアで十二カ国の皆さんが集まってやろうとしていることは、これから南米も地域としてまとまっていこう、こういうことでありまして、その機運が非常に高まっていました。ねらいは何だといいますと、南米の域内貿易を活発にするとともに、南米の十二カ国が本当の友好を深めてこれからおつき合いしよう、こういうことでございました。  この南米サミットの中で、宣言の中の一つに、太平洋と大西洋を結ぶ横断道路をつくろう、こういう話がありました。これは両大洋間連結道路ということで、これからつくるということで宣言の一つに入りました。今計画が幾つもあるようでありますけれども、私どもには、ぜひ日本としても応援をしてくれないか、こういう投げかけがありましたので、私どもも早速、南米大陸横断道路建設促進議員連盟、こういうことできょう立ち上げよう、こういう考え方で協力をしていこう、こういうことをブラジリアで話し合いをしてきました。  それからもう一点、アルゼンチンのブエノスアイレスを訪ねましたら、メルコスール、南米共同市場、これに支援をしてくれないかと。このメルコスールのねらいは何だといったら、今ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、つまり、大西洋側でアンデスの東側の皆さんは、域内の関税をゼロとして商業活動をやる、こういう話でありましたし、さらに今後、アンデスグループ、つまりペルー、コロンビア、チリ、ボリビア、エクアドルの五カ国の皆さんも、ぜひこのメルコスールと連携をとってやっていこう、こういう話でありました。現在はいずれも経済的協力にとどまっていますけれども、今後本当にうまくいくかどうかわかりませんけれども、こういう話し合いが続けば、少なくともこの域内の紛争は起きにくくなると私は実感として受けとめてきました。  それで、二十一世紀の我が国の外交戦略、こういうことを考えますと、一つは、アメリカと日米安保条約を堅持しておって、お互いに他国からの侵略を防衛していこう、これも一つ大事なことだと思います。しかし、もう一つは、やはり近隣諸国、特に東アジアの地域が紛争が起きないようにすること、これも大事な話だと思います。  日本はすぐ集団的自衛権の問題等に触れてしまって、お金はODAでふんだんに出しながらも、自分が主導権をとって東アジアの安定のためにまとめていこうという姿がどうしても商業主義にしか受け取れない、こういう状況が私は実感でございます。  そういう中で、私は、東アジア地域での集団の安全保障機構、こういうものをつくっていくべきだ、こう思っているのです。商業主義もいいのでありますけれども、やはり日韓中あるいはフィリピン、こういうものを入れて、みんなでこの東アジアはお互いに守っていくんだ、こういうことを考える時期が来ていると思いますけれども、この辺についてどう考えるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  98. 浅野勝人

    ○浅野政務次官 我が国が位置しております東アジアでは、緊張緩和に向けた前向きな動きも見られますが、依然として先行きの見えにくい不透明な状況の要素も存在しております。  こういうような状況の中で、東アジアにおいては、従来からアメリカを中心とする二国間同盟を軸にして平和と安定が維持されてまいりました。中でも日米安保体制は、この地域におけるアメリカのプレゼンスを支える重要な柱となっておりまして、政府としては、今後とも日米安保体制の信頼性を高めてまいりたいと基本的に考えております。  これに加えて、西川委員が今御指摘になられましたように、地域の平和と安定を確保していくためには、その地域における経済、貿易の枠組みだけではありませんで、政治、安全保障の面での対話や協力の枠組みを幾重にも積み重ねて整備していくことが重要である、全く委員の御指摘と同じ考えに立っております。  したがって、具体的に何をしているかということになりますと、こうした考えのもとで政府としても、二国間の安保対話、防衛交流だけではなくて、ASEAN地域フォーラムのような多国間の対話の枠組みに積極的に取り組んでおりまして、今後ともこのような取り組みを通じて、域内の、地域全体としての信頼醸成を図って地域の平和と安定を確かなものにしてまいりたいと存じております。
  99. 西川公也

    ○西川(公)委員 ぜひ、確かなものにする、そして、やはりこれは政治主導でなければできないと私は思います。そういう意味で、私ども、積極的にこれらを提言しながら、東アジアがまとまっていればこの中の紛争は起きない、こういう状況に持っていくのが理想だと思います。  確かに、この東アジアは、台湾と中国本土の問題もありますし、北朝鮮と韓国との問題もありますから、そう簡単にできる話ではありませんけれども、やはり目標を持ってやっていくこと、これは大事なことだと思いますので、ぜひ政務次官にもそんなことを心がけておいていただければと思います。  ところで、やはりアメリカというのは、私は今農林部会で特にWTOの問題をやっていますけれども、ありとあらゆる手段でアメリカのひとり勝ち、これが実態であろうと思います。それは商業もそうだし、金融もそうだし、そういうことでありますけれども、それはやはり国家戦略、国家目標というのがしっかりしているからだろう、こう思います。  それで、米国が締結している集団安全保障条約、これはもう挙げたら切りがない。例えば北大西洋条約、一九四九年四月四日、これはアメリカを含めて十九カ国でありますけれども、もう関係国全部入ってしまっている、こういうことになっていますね。それからANZUS、一九五一年九月一日署名、これはオーストラリア、ニュージーランドとアメリカだ、こういうことですね。それから、アメリカとフィリピンの防衛条約、これも一九五一年に結ばれている。それから東南アジアの集団防衛条約、これは非常に興味あるのですけれども、七カ国、オーストラリア、フランス、ニュージーランド、フィリピン、タイ、英国、米国。これはもっと、東南アジアの集団防衛条約ですから、ほかの国が入ってもいいんですね。しかし、もうとにかくやれるところからだけ、フィリピンとタイだけ取り込んでしまおう、こういうことでやってきています。  それから、日米安保条約、米韓相互防衛条約、そしてさらには米州相互援助条約、通称リオ条約と言われますけれども、南米全部含んでやったわけですね。今キューバは外れておりますけれども。  そういうふうに、アメリカは、北大西洋の地域なら北大西洋の地域にどんとアメリカと一緒にやろう、南米は南米でアメリカと一緒にやろう、東南アジアもできるところだけやっていこう、そして難しいところは日米だ、米韓だ、こういうふうにやっていますけれども、やはり紛争が起きそうなところ、あるいは紛争が起きたところに積極的に、介入という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、アメリカと友好国関係を深めていく、こういうやり方をやっていますね。  日本も、これは後でまた聞きたいと思いますけれども、ODAでふんだんなお金を出しておったら、日本に味方をする、日本も味方をしてあげるよと、できればこういう話を私は組み立てていくべきだと思うのです。  そこで、こんなものは研究したことがあるのかどうか。私は、戦前の古い考え方は言いません。そんな考えは持っていません。いかに平和を守るか、こういうことで申し上げておるわけでありますけれども、外務省でも、まあ防衛庁がやったらおかしな話になるのでしょうから、こういうことを検討されたことが過去にあるかどうか、そして、これからそんなことをやってみるかどうか、政務次官に決意のほどをちょっとお聞かせいただければと思います。     〔委員長退席、島委員長代理着席〕
  100. 浅野勝人

    ○浅野政務次官 具体的に安全保障の枠組みとしてどこかの国と協議しているかということになりますと、それはございません。  しかし、日米安保条約のような二国間だけではございませんで、先ほど申し上げましたように、アジアの国々とは、ASEAN地域フォーラムを中心にさまざまな枠組みが、話し合う枠組みがございますし、来年からは特にEUとの十年と位置づけて、EU諸国との話し合いをもう少しきちんとした枠組みにして進めたいとやっております。先週、私が派遣をさせていただきましたけれども、南太平洋十六カ国との、これは年に一回首脳会議がございまして、その翌日、日本やアメリカ、韓国などと域外国との対話に日本参加をして、南太平洋の国々との平和と安全の確保、そしてあわせて経済協力、日本側からもお願いをすることは漁業それから核燃料の輸送といったような重要な問題もございます。そして、今週に入って、実はカリブ海の国々の外務大臣に日本においでいただきまして、初めて日本とカリブの国々とのそうした話し合いを持たせていただくというようなことで、どうしても経済中心の通商、貿易などの枠組みが、話し合いが中心にはなりますけれども、いずれ、信頼醸成の進展とともに安全保障の問題についても話し合えるような信頼関係を築いていくことが重要かと存じております。
  101. 西川公也

    ○西川(公)委員 そこで、私ぜひ政務次官に申し上げておきたいと思いますが、日本との交流で大西洋岸にある国、特にブラジルあるいはアルゼンチンでありますけれども、物は全部パナマ運河を通るのですね。私どもは、そのパナマ運河を通ることはそれはそれで結構なのですが、南米の太平洋と大西洋を結ぶ道路をつくろうか、こういう話が持ち上がったのは、特に、今パナマ運河の経営実体はどこかというと、アメリカが引いた後パナマがやっているかというと、そうではなさそうですね。どうも中国が株券の大半を占める、こういうような状況に変わってきているようであります。  そうしますと、日本は中国にODAでお金を支援しておる、こういう状況の中で、日本が気づかないうちに中国がパナマ運河の株を買い占める、こういうことが、聞いてきた話でありますけれども、外交筋から聞いてきたんですから間違いないと思います。そういうことも考えながらODAというのは決めていかなきゃいけないなと私は思いましたので、長々と話をしましたが、そんなこともぜひ御記憶しておいていただければと思います。  それから、ここで、今度は自衛権の問題についてお伺いしますが、確かに本音がなかなか言いにくい、現行の憲法の中では拡大解釈しか今まで便法としてとれなかったような解決方法だというのが自衛権の問題の私の受けとめ方でございます。  そこで、個別自衛権は、これは一カ国でやるのは当たり前でありますけれども、二カ国だったら集団的自衛権には入らないかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。     〔島委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 竹内行夫

    竹内政府参考人 私、正確に先生の御質問理解しているかどうか自信がございませんが、御承知のとおり、そもそも集団的自衛権という概念は、自国が攻撃、武力行使、実力の行使の対象になっていないけれども、自国と特別の関係にある国がそういう攻撃の対象になった際に、それを排除するために、武力をもって、実力をもって協力をするということでございますので、それは、関係国といいますか、友好国が二国であろうがそれよりも多い数の国であろうが、それは概念としては変わりはないというふうに存じます。
  103. 西川公也

    ○西川(公)委員 今の答弁で、概念は変わりないと言ったのですが、もう一回確認したいんですけれども、一カ国で守るときは個別的自衛権だと私は思うんですね。それで、二カ国で自国の安全のために守る、お手伝いを願う、これは集団的自衛権とは違うんですか、一般論として。
  104. 竹内行夫

    竹内政府参考人 個別自衛権の場合には、まさに自分の国が攻撃対象となっているということで、自己を保存する、守るという意味での個別的自衛権でございますけれども、集団的自衛権の場合には、自国がその対象にはなっていないけれども、自国と密接な関係にある国が攻撃の対象になっているというときに、そろって対応するということでございます。  恐らく先生が今お触れになったのは——もう一つ、集団的安全保障という概念がございますので、これは厳密に言いますと集団的自衛権とは異なるわけでございまして、ある複数の国のグループ、複数の国の集まりの中で不法な武力の攻撃とかがあった場合に、集団的にみんなで一緒になってそれに対応するということが集団的安全保障の概念でございますけれども、集団的自衛権ということにつきましては、概念としては、二国であろうがそれ以上であろうが変わらないということだろうと思います。
  105. 西川公也

    ○西川(公)委員 一つだったら個別だけれども二つ以上は集団だ、これは当たり前の考え方だったら私はそう考えていいんだろうと思います。  そこで、日米安保条約というのはなかなか触れにくいからそこは構いませんが、米韓相互防衛条約、一九五三年十月一日にできております、韓国と米国の間。これは一般論として解釈したら、個別的自衛権に入るんですか、集団的自衛権に入るんですか。この辺ちょっとお聞かせをいただければと思います。
  106. 竹内行夫

    竹内政府参考人 お尋ねの、米韓の条約でございますので、有権的な解釈ということは困難でございますけれども、今テキストを持っているわけでもございませんが、私の理解するところでは、集団的自衛権という概念であるというふうに思います。
  107. 西川公也

    ○西川(公)委員 それで結構です。  それで、国連の理念として、国連そのものが有効な活動を開始するまでの間は自衛のために両者とも認められる、こういうことになっていますね。それでは、集団的自衛権、どうするんだといったら、政府の解釈は、日本では、憲法の制約により、集団的自衛権は存在はするけれども行使は認められない。  今度、せっかくこの船舶検査というところに踏み込むわけでありますけれども、これは一国ではなかなか効果は上がりませんけれども、今の、集団的自衛権は存在はするけれども行使は認められない、その解釈でいいのかどうか。そして、もしそういうことであれば自己矛盾に陥ると思うのですけれども、その辺、どう考えますか。
  108. 仲村正治

    仲村政務次官 国際法上、国家は集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているものとされているのであります。  我が国国際法上このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上当然であるが、政府は一貫して、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきものであって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とする集団的自衛権の行使はこれを超えるものとして憲法上許されないとの立場に立っているところでありまして、防衛庁としてもこの見解を変更する考えはありません。
  109. 西川公也

    ○西川(公)委員 わかりました。やはりこれは憲法論議でやっていかなきゃならないということもわかりました。  そして、昨年の通常国会では自民、自由、公明・改革、三会派の調整がつかずに、船舶検査活動を修正削除して周辺事態安全確保法が昨年の五月に成立をした。今回また出してきましたけれども、変わったのは何だといったら、旗国の同意、この部分が入ったぐらいでありますけれども、これは何で今回出てきたのか。突然出てきたので、法律を出すのに前と同じではまずいから入ったのかどうかわかりませんけれども、その辺の経緯はどんなふうなんですか、ちょっとお聞かせください。
  110. 仲村正治

    仲村政務次官 本法案は、周辺事態安全確保法の政府原案と大きな差異はありません。  しかし、船舶検査活動の定義については次のような相違点があります。船舶検査活動の実施を要請する国連安保理決議がある場合以外でも、旗国の同意を得ることを前提に船舶検査活動の実施が可能になっているということであります。当該船舶検査活動の前提となる経済制裁措置については、国連安保理決議に基づくものには限定されないことになっております。
  111. 西川公也

    ○西川(公)委員 旗国の同意というのが入ったわけでありますけれども、安保理決議、旗国の同意、どっちがあっても船長が承諾しない限りこれはできないわけですね。そして、警告射撃もない。こういうことで、日本法律は、どうせ何言ったって、とまらなくたって全然問題がないんだから平気なんだ、こういうことは船に乗る人は当然それはわかりますよ。それで、日本が何を言っても構わないときに、とまって一々答えるようなお人よしは世の中にいないと思いますよ。だから、もう少し踏み込まなければ、本当はこれは消化不良ですよ、私どもは。やはり警告射撃をやるぞ、だめなら乗り込むぞ、このぐらいの話をしなければ、消化不良もいいところで、幾ら日本が警告しようが何しようが、旗国の同意を得ようが、船長がだめと言ったら終わり、これで本当に効果が上がるのかどうか。私は、防衛庁だってこれは消化不良だと思いますよ。その辺ちょっと心の中を聞かせていただきたいと思います。
  112. 仲村正治

    仲村政務次官 そもそも経済制裁による貿易の規制措置等は、各国がそれぞれ自国の国内法令等に基づき行う禁輸措置及び取り締まり活動により実施するものであります。船舶検査活動は、この経済制裁が十分に機能しているかどうかを確認するとともに、その実効性を確保するために、参加国がみずからの判断で一定の措置をとるものであります。こうした船舶検査活動が行われる事態が、そのような経済制裁を実効的なものとする上で極めて重要なものであると考えております。  また、経済制裁の実効性を確保するための対応は、現場における船舶検査活動に尽きるのではなく、他の検査実施船舶との情報交換、旗国または交易国に対する通報等の措置を行うとともに、当然想定されるところでありますそのような全体としての活動をもって経済制裁の実効性が確保されることとなるのであります。  さらに、これまで実際に船舶検査活動が行われた際に警告射撃等が行われたケースは極めてまれであり、このような各国による活動実績等にもかんがみ、我が国としては、船舶検査活動法案に規定されている範囲内で船舶検査活動を有効に行い得るものと考えているのであります。
  113. 西川公也

    ○西川(公)委員 委員でこっち側に座っている人はみんな大体同じなんですよ。幾ら言ったって日本では取り締まりもしないし、警告なんかしたって何もしてこないといったら、そんなもの言うこと聞くわけないのです。ですから、今回は私はこの法案で賛成でありますけれども、生ぬるい、これはしっかり前を向いてもう少し直していって、本当に効果のあるものにしなければだめだ、こういうことを申し上げておきたいと思います。  そして、その警告射撃でありますけれども、ほかの国でもやらないのですか。
  114. 首藤新悟

    首藤政府参考人 西川先生の御質問は、船舶検査を他国がやっている場合に外国が船舶検査に対して警告射撃をしないのかという意味かと存じますが、これは、過去の例におきまして、非常にケースは少のうございますけれども、警告射撃が行われたことはたまにあるということでございます。  例えば、先ほど外務省の方からも御説明があったかと存じますけれども、今続いております国連安保理決議に基づく対イラク制裁におきましては、過去十五件ほどの警告射撃が行われた例があるということを承知いたしております。
  115. 西川公也

    ○西川(公)委員 時間が来ましたので最後にしますけれども、船舶検査の過去の実績、十万隻以上を照会して進路変更したのは二千隻以上、防衛庁としては、こういうことをやれば効果があると思っているかもしれませんけれども、十万隻のうち二千隻ですよ。これはやはり効果がないのですよ。ですから、ほかの国の制度も我々に今度教えていただいて、やはりしっかりした本当の法律にしていただきたい、こういうことを申し上げておきます。  そして、最後でありますけれども、自衛隊の部隊等のみが実施するということで、先ほど金田委員質問に対しまして、等とは自衛隊の機関を指す、こういう話をしましたが、私は、防衛庁の機関はよくわかりませんので、想定された周辺事態が起きたとき、船舶検査をやる場合、具体的に出動を想定して、起きた場合を想定して訓練するでしょうけれども、どんな編成で出動していくのか、その辺を最後に答えていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  116. 北原巖男

    北原政府参考人 お答え申し上げます。  まず、先ほどの機関でございますが、例示といたしまして学校等を例示させていただきました。これは、例えば、学校の職員の身分のままで通訳とかそういう形で乗船していくこともあるということでございます。  それから、今後どういう形で船舶検査活動を進めていくかにつきましては、閣議決定で基本計画をつくります。そして、それを受けまして、防衛庁長官が実施要項というものをつくります。こうした基本計画並びに防衛庁長官がつくります実施要項、これらに基づきまして、個々具体的にどういう形でどういった事態に応じてこうしたことをやっていくといったことを適切に定めていきたい、そのように考えております。
  117. 西川公也

    ○西川(公)委員 今の話では、これは質問が、言われっ放しで終わってしまいますが、そんなわけにいかない。  具体的にはどういうことが想定されるのか、訓練していくのだろうけれども、部隊の規模等、そういうものをお聞かせいただきたいということであります。これからやりますというのか、全く計画もなくてこの法律をつくったわけではないだろうから、どんなものか具体例で挙げてください、それでやめますから。
  118. 首藤新悟

    首藤政府参考人 具体的な規模等につきましては、その時々の船舶検査活動の実施する規模といいますか、私どもが分担する海域とか、そういったもろもろの要素を勘案しまして、例えば、艦艇の数でございますとか、それに従事する隊員の数その他がその都度そのケースごとに決まると存じますので、現時点において具体的に申し上げることは困難であろうと思います。
  119. 西川公也

    ○西川(公)委員 終わります。
  120. 高木義明

    高木委員長 次に、吉川貴盛君。
  121. 吉川貴盛

    ○吉川委員 引き続いて質問をさせていただきたいと思います。  この船舶検査活動法、高木委員長を初め委員皆さんには御熱心に御議論をいただきますことを、与党の一人として御礼を申し上げたいと思います。  また、虎島防衛庁長官初め防衛庁、そして関係する外務省の皆さんにおかれましても、日ごろから防衛行政あるいは外交関係に対しまして、しっかりとお仕事と申しましょうか対応をとられておりますことにも敬意を表しながら、質問をしてまいりたいと思っております。  最初に、防衛行政にかかわる基本的な問題でありますので、このことはまず聞いておかなければならないと思っていることがございます。  それは、最近というよりももう既に数カ月前になりまするけれども、ことしに入りましてから、七月四日にT4型機の墜落事故というものがございました。さらには、海上自衛官萩崎一佐による秘密漏えい事件、九月八日に残念なことに逮捕されているわけであります。そしてまた最近は、トキメックへの過払いという問題も出てまいりました。  こういうような問題が出てまいりますと、どうしても、国民皆さんにしてみますと、防衛意識が私は低下をしていくのではないかという心配をするわけでございます。  そこで、もう三十分しか時間がありませんから詳しくは申し上げられませんけれども、このT4型機の墜落事故の概要、さらにはその原因、再発防止対策としてどのようなことをされたのか。さらには、飛行再開について、関係地方公共団体の皆さんに対する理解はどのように求められてきたのか。そして、海上自衛官の萩崎一佐による秘密漏えい事件に対しましては、今浜田筆頭おりませんけれども、我が党の浜田先生のもとでPTをつくって、今後の対応策についてはつい先日提言を行わせていただいたところであります。  この防衛庁のとった対応策とトキメックへの過払いの対応策とを一括して、まず御説明をしていただければと思います。国民皆さんにわかりやすい形で、対応策をぜひ最初に御説明していただきたいなと思っております。
  122. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 御指摘のありました案件については、それぞれ先生方の御心痛を煩わせましたこと、また国民にもいろいろと御意見を持たれるようなことに相なりまして、防衛庁としても心苦しく思っておりますし、同時に、防衛庁の信頼回復のためにはしっかりした対応と処置をしなきゃならぬという決意で実は臨んでまいったわけであります。  そういう中から、時間も制約がありますのでお答え申し上げますけれども、海自の秘密漏えい事件につきましては、あの事件が発生した日に直ちに本人をラインから外す、職務を外す、そして、警務隊がありますので、その司令を長とする調査機関をつくって、直ちに調査にその日から入りました。全容がつかめましたので、御指摘のありました党の方の御提言等も大事にさせていただきながら、関係者の処分、それから将来に向けての事故の根絶対策等について取り組んでまいったところであります。  それから、二番目の航空機事故を中心とするお話につきましては、これも一方では国民に大変な御心配、御迷惑をかけるとともに、犠牲者のことを思えばまことに心情心苦しいものが長官としてあるわけであります。  地元への対応としては、地元知事さん初め関係町長さん方からもいろいろと御要請がございまして、それらを踏まえまして、訓練の一時中止による事故原因の徹底解明とかというようなことに努めてまいったわけでございます。  ただ、ブルーインパルスというのは、これはただのショーとかなんとかというようなことではなくて、このことによって高度な戦技訓練を行っておるというのが主たる目的でありますので、やはりこの訓練をやめるわけにはまいらないという実戦実技上の問題がございますので、この点については地元の方にもお話をしてまいったところであります。  また、これらの事故あるいは事故処理等については、今後とも特に地方自治体とは連絡を緊密にしながら、地元の御理解をいただきながら、事故の推移等々について御説明を、あってはならぬけれども、もしあった場合はそのようなことを行うというような方針を決めたわけであります。  それから、トキメックの過大請求のことがございました。  これは、実は以前に不祥事が起こりまして、それから防衛庁の発注については洗い直しをやっておるわけであります。平成の十、十一、十二年分について、実は二百八十件の精査を行ったわけです。その精査をした内容は、当時の防衛庁長官が中心になられまして事故再発防止のためのいろいろな施策をとられた中にチェックするための具体的な方策を打ち出しておられましたので、これに準拠して実は調査を進めたわけであります。  その中に、十二件の不当と申しますか、実はそういうものが発見されましたので、それぞれ処置をいたしておるわけでありますが、その中の一つにトキメックの過大請求問題があったわけであります。これらもその他の案件と同様に厳正に処理をして、こういう事態は二度と繰り返さないというようなことで、実務的にも理念的にも頑張らせておりますので、御理解をいただきたいと思うわけであります。  いずれにしても、これらの案件を処理するためには、ただその現象面を追うということだけじゃなくて、例えば事故防止については、広く、練度の向上とかそういう精神訓話だけでなくて、例えば航空パイロットの心理的なもの、一体、航空心理学というのはないのかあるのか、あるとすれば、どのような科学的な対応を考えると事故というのが減少に向かうのかというようなこと等も総合して判断すべきというようなことで、実は、メンタルヘルスというような、そういう立場からの専門家をお招きしていろいろと御検討を願っておるところであります。  一例を挙げましたけれども、要するに、幅広く、科学的に、そして経験的に、あるいはまた制度上の問題等も踏まえて事故の絶滅を図っていくというようなこと等を措置しておるわけであります。あるいはまた、訓練空域と訓練機が発着する飛行場との間の往復帯についても、従来のことでは合理性は必ずしもないじゃないかということで、根本的な検討を加えまして、事故の減少につなげるというようなことも直ちに措置しておりますことも御報告申し上げておきます。  繰り返しますけれども、これら一連のことは絶対に根絶するという気迫を持って、制度上あるいは運用上、防衛庁一体となって取り組んでおりますことを御理解いただいて、御協力願いたいと思います。
  123. 吉川貴盛

    ○吉川委員 私は、質問の中で、逮捕された萩崎一佐と申し上げましたけれども、三等海佐の間違いでありますから、訂正をしておきたいと思います。  ただいま防衛庁長官からこの三つの事案についてそれぞれ対応策等をお伺いしたわけでありまするけれども、その中で、特にこの墜落事故に関しましては、今メンタル的な面からも、あるいは科学的な対応等々ということを御答弁いただいたわけであります。  私は、民間のパイロットの方の性格というんでしょうか、それがすべてではないと思いまするけれども、ちょっと聞いたことがあるんです。非常に専門職でありまするから、その専門職なるがゆえに過信をしてしまう面というのが多々あるんだそうです。そして、余り上からの指導というものに対して耳をかさないというような点があるんだそうです。自分がやっていることがもう絶対だというような、そういった自信。それは自信は確かにいいのでありまするけれども、実際に事故につながっているということは、その自信がある面では過信につながっていっているのではないかと思うんです。  先ほども申し上げましたように、この七月の墜落事故、そして九月八日の逮捕と、トキメックへの過払い等々で、防衛庁長官初め仲村政務次官、そして防衛庁皆さんも大変御苦労をされているんだろうと思うんですけれども、防衛行政の基本にかかわる問題でありますから、しっかりとお取り組みをぜひしていただきたいと思っているところであります。  さらにもう一点お伺いをさせていただきたいと思いまするけれども、私は、やはり自分の国は自分で守るんだ、そういった国民の防衛意識の醸成というものをもっと我が国は図っていかなければならないのではないかと思っているんです。そういった面において大変残念な不祥事や事件が続いたわけでありまするけれども、防衛庁といたしまして、今申し上げましたように、防衛に対する国民意識の醸成をどのように図っていかれるつもりなのか、お考えをぜひお伺いしておきたいと思います。
  124. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 先ほどは最後のところで、事故防止について大変貴重な御提言がございましたけれども、当然このことも含んで検討しておると思いますけれども、さらに委員の御発言の趣旨を体して、その点についても遺漏なきを期していきたいということをまず申し上げておきたいと存じます。  それから、国民防衛庁に対するあるいは自衛隊に対する御理解度というのは、近年とみに高まっているということは御高承のとおりだと思います。これは、やはり自衛隊の諸君とか防衛庁の方は一生懸命やっていらっしゃる、歴代長官等を中心としてやってこられた、そういう実績が実はつながっておると思います。  そこで、私どもとしては、今言ったような不正を根絶するとかということは当然ベースにあることでありますけれども、そのほか、国民の期待の高い第一には、まず国防のことに任ずるということ。第二には、災害対策をしっかりやってもらいたいということ。  この災害対策についても、阪神大震災の反省等々もありまして、実は自主出動というか、こういう制度も取り入れられましたので、この間の鳥取の震災のときも、地震が発生した五分後には自衛隊の偵察機が地震発生地に参りまして偵察行動をしたというようなこと等ありました。それから、出動も早かったというので、わざわざ鳥取の知事さんが大臣室まで参られまして、お礼を申して帰られました。  あるいはまた、先般、東京都と合同防災訓練をやったわけでありますけれども、これは関東南部地域の大震災発生のときの実は対応策というのが防衛庁にございまして、その中を下敷きにしながら、規模は大規模地震発生の想定の三分の一の程度の動員でありますけれども、地方自治体の御要請にも率直に総理を初め熱心にこたえられて、あのようなことで、これらがやはり大都市あるいは東京近傍に住む国民の方々の信頼というか、安心感というものをかなりいただいたのではないかと思っております。さらに、今地方自治体の方から共同訓練の要請がありますので、これには積極的に対応していきたいというふうに思っておるわけであります。  その他、防衛庁に対する例の参観をされる国民が大変多うございまして、最近は一カ月に五千人ぐらいおいでになるんです。それらの人方に対しても、これは広報する、そういう姿勢でなくて、我々は国民の税金によってこれだけの装備をし、これだけの仕事をやらせていただいております、あるいはこれだけの備えをしておりますということを報告することは防衛庁としての義務だということを職員に申しまして、広報とかなんとかというのを超えた義務という立場からしっかりやるように申しておりますので、逐次この考え方は末端まで浸透しておるように思います。  したがって、これらの地元あるいは末端、第一線の活動に対する支援措置と申しますか、中央の方の持つべき責任というものも予算上、制度運用上きちんと果たしていこう、そのようなことも今話しておるわけであります。  いずれにしても、先生御指摘のとおり、まさに国を運営するためには、防衛力というのが、具体的には自衛隊防衛庁がしっかりしなきゃなりませんので、その任に応ずるように日夜努力を重ねていきたいと思っておりますので、どうか御指導、御叱正を賜りますようにお願い申し上げます。
  125. 吉川貴盛

    ○吉川委員 災害対策にいたしましても、PKO、国際貢献にいたしましても、しっかりとしていかなければならない。そういった意味において、防衛力の整備というのは私は必要不可欠なものだと思っておりますので、私どもも、また次期防の関連もございますので、しっかりと議論をしながら支援体制をしいていかなければと思っておるところであります。  大分重複をいたすわけでありますから、ごく簡単に聞いていきたいと思いますが、船舶検査活動法についてであります。  まず、この法案の意義をどのようにお考えになっておられるのか、そしてこの船舶検査活動法の最大の目的は何なのか、これを二つあわせて御答弁をいただきたいと思います。
  126. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 本法律案は、周辺事態安全確保法と相まって、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資するという重要な意義を有するものでございます。  本法律案成立すれば、指針の見直しに際し企図した周辺事態への対応のための法整備が完了するという意味においても、重要な意義を有するものと認識いたしております。
  127. 吉川貴盛

    ○吉川委員 次に、基本計画に従って防衛庁長官が定める実施要項の内容はどういったものがございますか。長官でなくても、事務方でも政務次官でも結構ですよ。
  128. 仲村正治

    仲村政務次官 船舶検査活動に関する実施要項については、基本計画により定められる事項に従って防衛庁長官が定めるものであります。  実施要項においては、活動の具体的な実施区域の指定のほか、活動の具体的内容、期間、その実施態勢等について定めることになっております。
  129. 吉川貴盛

    ○吉川委員 内容を聞いたんですけれども、答弁を……。
  130. 北原巖男

    北原政府参考人 お答え申し上げます。  具体的な内容につきましては、今総括政務次官から御答弁いたしましたが、基本計画を受けまして、それを受けた形でつくってまいります。  例えば具体的な実施期間がいつからいつまでであるとか、また、基本計画で大まかな実施区域を、範囲を決めますけれども、それは、例えばでございますが何々海の北部とか、そういうかなり大まかな形になろうかと思いますが、それを受けまして、実施計画では例えば北緯何度何分から云々といったきちっとした形で範囲を決めるとか、また、いろいろ事態の様相によりまして実施区域を変更しなければいけない場合には、どういった場合に変更しなければいけないだとか、そういったもろもろの、まさに整々と誤りなきを期す内容を盛り込んでいく。  また、いずれにいたしましても、これは、事案が生起しまして、その基本計画ができ、それを受けてやっていくということになろうかと思っております。
  131. 吉川貴盛

    ○吉川委員 次にお伺いしますが、船舶検査活動について、この第五条に規定されるような態様に限定する理由はどういったことでしょうか。
  132. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 一つは、過去の諸外国の活動実績を参考にさせてもらいまして、経済制裁の実効性を確保するために、これらのことはやはり濃密に効果の上がるところを選定してやるということは必要であろうということであります。  それから、これは必要に応じて、また基本計画の範囲内で、状況の変化に応じてやられるわけでありますから、そのようなことと御理解いただきたいと思います。  それから、船舶検査が行われたという例が非常に少ないということでありまして、その態様については各国の解釈が完全に確立されておりませんので、やはり、やってみて、そして客観情勢を全部判断しながらやってみる、そして実効の上がる方法をさらに積み重ねるというような手法も必要かと思っております。  いずれにしても、我が国としては、諸外国におけるこれまでの実績等にかんがみまして、法案に規定している船舶検査活動は、経済制裁の実効性を確保するための措置として有効にこれで機能するという考えを持っておりますから、法案別表に規定されるような内容でやっていきたい、こういうことを考えておるわけであります。
  133. 吉川貴盛

    ○吉川委員 基本的なことをさらにお伺いしてみたいなと思うんですけれども、先ほど、金田議員の質問にもあったかと思います、あるいは西川議員もかなり強く御指摘をしていたようにも思いますけれども、仮に検査対象船舶検査を無視した場合あるいは逃走した場合、どのように対処をするのか。  第五条関係に、航路等の変更の要請ということもあるわけでありまするけれども、今大臣がおっしゃいましたように、実際にやってみて、そして実効が上がるようにというようなことはもちろんでありまするけれども、具体的に今想定をしておられることがあるとすれば、より具体的な御答弁をいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  134. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 仮に検査対象船舶検査を無視し、あるいは逃走するような場合には、法案別表に規定される具体的行為を適切に組み合わせる、こういうことによってこれらの船舶には対応するということになるわけであります。  諸外国におけるこれまでの実績等にかんがみれば、検査対象船舶があくまで検査等を無視し、あるいは逃走するケースは極めて例外的であるというふうに承知いたしております。したがって、我が国が行う船舶検査活動は実質的に有効に機能するものと考えております。  実際に検査を無視したり逃走したりした船舶への対応は、我が国が実施する船舶検査活動による対応に限られるものではなく、他の検査実施船舶による対応、旗国または交易国等による対応も当然想定されるところであり、そのような全体としての対応をもって経済制裁の実効性を確保する、こういうことで進めたいと思っておるわけであります。
  135. 吉川貴盛

    ○吉川委員 次にお伺いをいたします。  第六条の関係武器の使用というものを認めているわけでありますが、端的にお伺いいたしますけれども、この場合、使用する武器の種類はどんなものを私どもは想定したらいいのでしょうか。
  136. 北原巖男

    北原政府参考人 私ども、この船舶検査活動につきまして考えておりますのは、まず、基本的に商船を対象とするものでございます。そして、乗船して検査等を行う場合には、まず対象船舶船長さん等の承諾を得て行うということがありますので、これらの職務に従事する者の生命または身体に対する危険が生ずるといったことは、通常、予想はいたしておりません。  ただ、先生御指摘の御質問関係してくるわけでございますが、そうした事態にありましても、対象船舶に乗船いたしましてその職務を行うに際しまして、不測の事態が発生することも否定はできないわけでございます。こうした場合に限りまして、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体の防護のために必要最小限の武器の使用を行うように措置しているわけであります。  したがいまして、ちょっと前段が長くなりましたが、こういった法律の趣旨、目的等から、今先生の御質問の、どんな武器を想定しているかということにつきましては、けん銃、小銃、あるいは機関銃程度のものを想定している、そういうわけでございます。
  137. 吉川貴盛

    ○吉川委員 よく理解できました。  それでは、この検査活動法の最後の質問になりますが、私どもは一日も早くこの法案成立することを願っているところでありまするけれども、この法案成立をしたといたしますると、当然、検査活動訓練が必要になってくるんだろうと思われるんです。その訓練はどのような形で行われていきますか。  本当は、リムパック、ことしあったわけでありまするけれども、そのような場で訓練が行われれば一番いいのでしょうが、来年はもちろんありません、再来年ということになるわけでありますが、そのリムパックを待つということもないわけでございまして、しっかりとこの訓練がされていくのだろうと思うんですね。そのことをお答えいただければと思います。
  138. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 一般的に、防衛庁自衛隊諸君は、その練度を高める、あるいはみずからの行動の実効が上がるような激しい訓練を継続しておることは事実でございます。御高承のとおりであります。  船舶検査活動につきましては、法案成立した場合には、円滑かつ効果的に任務を遂行できるよう必要な訓練を実施する等の措置を講じ、遺漏なきを期してまいる、こういう決意でございます。  それから、先ほど私の答弁の中で、やってみてという話がありましたが、あれは、誤解のないように申し上げたいのですが、実施要項を定め、その区域などは、やってみて効果が上がらなければまた区域を拡大する、そういう趣旨でありまして、この法律の本体に触れるような話ではございませんので、追加して御答弁を申し上げておきます。
  139. 吉川貴盛

    ○吉川委員 もう時間がございませんので、船舶検査活動法については以上で終わらせていただきたいと思いますが、最後に一点だけ、本当は二点聞きたかったのでありまするけれども、一点だけお伺いをさせていただきたいと思うんです。  現行の中期防衛力整備計画、平成八年度から平成十二年度でありまして、今年度で終了することになりまして、十三年度以降の中期的な防衛力整備につきましては、目下、安全保障会議において十分な議論をしているところだろうと思います。十三年度の予算編成までに政府としてこの決定をしていかなければならないところでありますが、この安全保障会議において現段階でどのような議論をなされているのか、そしてまた防衛庁としていかなる方針を持って取り組んでいかれようとしているのか、その辺を最後にお伺いさせていただきたいと思います。
  140. 虎島和夫

    ○虎島国務大臣 本件につきましては、来年から始まる中期防でございますが、現在政府レベルで検討中でありまして、具体的内容について今お答えできる段階にはないわけでありますが、お尋ねでありますから申し上げますと、防衛庁としては、防衛計画の大綱のもとで防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を進めるという大方針のもとに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることは必要であるという基本方針で対応しておるわけであります。  なお、現下の社会情勢等々、国際情勢等踏まえまして、例えばIT革命への的確な対応、あるいはまた国民の大変期待の大きい災害派遣能力の充実強化、あるいはゲリラ等による攻撃やNBC攻撃、化学物質等の攻撃対処能力の向上、それからやはり隊員に対する福利厚生を含めた各種施策に配慮する、そういうことが必要である、こう考えておりますので、先ほど一部の事故対策で申し上げましたけれども、それらを含めまして次期防の中で必要な水準まで持っていきたいということで検討を加えておるわけであります。  いずれにせよ、本件については政府レベルの検討に持ち込むわけでありますから、引き続き内外諸般の情勢を勘案しながら所要の検討をしっかり行ってまいりたい、こう思っておるわけであります。
  141. 吉川貴盛

    ○吉川委員 次期防、最も大切な部分でありますので、我々もしっかりと議論をしていきたいと思いますが、力強いお取り組み方をぜひお願いしておきたいと思います。  一日も早くこの船舶検査活動法を成立させていただきますことを祈らせていただきながら、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  142. 高木義明

    高木委員長 次回は、来る十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時一分散会