運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-09-18 第149回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年九月十八日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  九月十四日     辞任         補欠選任         森山  裕君     中川 義雄君      山下 芳生君     八田ひろ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         但馬 久美君     理 事                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 江本 孟紀君                 加藤 修一君     委 員                 加納 時男君                 鹿熊 安正君                 景山俊太郎君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 中川 義雄君                 小山 峰男君                 高嶋 良充君                 高橋 千秋君                 本岡 昭次君                 大沢 辰美君                 八田ひろ子君                 梶原 敬義君                 岩本 荘太君    国務大臣        国務大臣        (国土庁長官)  扇  千景君    政務次官        国土政務次官   蓮実  進君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        環境庁企画調整        局長       太田 義武君        環境庁自然保護        局長       松本 省藏君        国土庁防災局長  吉井 一弥君        厚生省健康政策        局長       伊藤 雅治君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  岡澤 和好君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        水産庁長官    中須 勇雄君        中小企業庁長官  中村 利雄君        運輸省運輸政策        局観光部長    鷲頭  誠君        運輸省鉄道局長  安富 正文君        気象庁長官    山本 孝二君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        建設省都市局長  山本 正堯君        建設省河川局長  竹村公太郎君        建設省道路局長  大石 久和君        建設省住宅局長  三沢  真君        消防庁長官    鈴木 正明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (有珠山火山活動及び伊豆諸島における火山  ・地震活動に関する件)  (平成十二年秋雨前線台風第十四号に伴う大  雨による災害に関する件)  (有珠山火山災害対策に関する件)  (三宅島の火山活動に伴う避難住民対策等に関  する件)  (ライフライン複線化に関する件)  (東海地方における大雨による被害に関する件  )  (新川の決壊に関する件)  (被災者支援対策に関する件)  (防災情報の伝達に関する件)     ─────────────
  2. 但馬久美

    委員長但馬久美君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、平成十二年秋雨前線台風第十四号に伴う大雨による被害により亡くなられた方々に対して、御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 黙祷を終わります。御着席ください。     ─────────────
  4. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 委員異動について御報告いたします。  去る十四日、森山裕さん及び山下芳生さんが委員を辞任され、その補欠として中川義雄さん及び八田ひろ子さんが選任されました。     ─────────────
  5. 但馬久美

  6. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、去る八月二十八日に行いました有珠山噴火による被害状況及び復旧状況等実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。市川一朗さん。
  8. 市川一朗

    市川一朗君 去る八月二十八日、但馬委員長加藤理事高橋委員大沢委員梶原委員岩本委員、そして私、市川の七名は、北海道伊達市、虻田町、壮瞥町及び洞爺村における有珠山噴火による被害状況及び復旧状況等実情調査してまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。  有珠山は本年三月三十一日に二十三年ぶりに噴火いたしました。政府は、当日、平成十二年有珠山噴火非常災害対策本部を設置、それと同時に現地対策本部伊達市に設置し、政府職員等が常駐して対応してまいりました。  七月十日に至って気象庁火山噴火予知連絡会から深部からのマグマ供給はほぼ停止しているとの発表があり、同日、火口から五百メートルの範囲を除く避難指示地区指定が解除され、八月十一日には現地対策本部も閉鎖されましたが、現在なお火口周辺の二百二世帯、三百七十八人がいまだ避難指示対象となっているとのことでありました。  幸い噴火による人的被害はありませんでしたが、伊達市、虻田町、壮瞥町及び洞爺村の一市二町一村で住宅被害全壊二十七棟、半壊百四十一棟、一部破損八十二棟に及び、また道路河川などの土木被害、農業、漁業などの被害を合わせました被害総額は約六十億円に達しているとのことであります。特に、国道二百三十号線上に噴火口ができるなどの地殻変動により、道路、上下水道のライフラインが大きな被害を受け、高速道路道央自動車道伊達—豊浦間、国道二百三十号線及び町道の一部がいまだ通行禁止となっておりました。  避難状況につきましては、ピーク時の四月十三日には三十四カ所の避難所合計五千九百七十四名の方々がおいでになりましたが、八月二十五日には二カ所の避難所に二十二人となり、私たちが参りました前日の八月二十七日にそれまで残っておられた方々全員仮設住宅に移られておりました。今回設置された応急仮設住宅七百三十三戸、応急公営住宅三百六十八戸のほか、民間住宅も三十一戸を確保し、それらの入居状況合計七百九十戸、約千九百人とのことでありました。また、虻田洞爺湖温泉街のホテル、旅館十六軒のうち十一軒が営業を再開しているとのことであります。  これらの状況を踏まえ、復旧及び復興に向けての生活再建策の充実とともに、ライフライン及び学校や病院復旧雇用確保産業の再生などの課題に対し各種施策の推進が求められているとの印象を強くした次第であります。  現地では、虻田町役場で、菊谷秀吉伊達市長長崎良夫虻田町長及び山中漠壮瞥町長から要望がございました。  主な事項を御紹介いたしますと、まず土砂の流出を防ぐための早期砂防対策、次に道南本州を結ぶ重要な国道二百三十号線の代替ルートによる早期復旧高齢者対応防災拠点センターの整備、さらに激甚災害適用対象外消防施設等に対する特例措置雇用確保産業振興等のための財政措置などについて特段の配慮をお願いしたいとのことでありました。  また、災害救助法被災者生活再建支援法適用に続き、激甚災害指定も来年一月に行われることが事実上固まっているとのことでありましたが、地元では住民の他地区への避難等による人口の減少が特別交付税等国財政支援措置影響を与えることを懸念しておりました。  要望を受けた後、三豊地区から噴煙を上げる西山火口群と寸断された国道二百三十号線を含めた地殻変動状況を遠望し、次いで月浦地区において仮設住宅と二学期の授業が始まっている虻田町立洞爺湖温泉小学校仮設校舎を、最後洞爺湖温泉地区においてもうもうと噴煙を噴き上げる金比羅火口群泥流被害地区視察し、泥流に埋まった洞爺湖温泉小学校の移設や温泉街にある社会福祉法人北海道社会事業協会洞爺病院復旧助成課題となっているとの説明を受けました。  以上が調査概要であります。  最後に、復旧復興に向けての作業等でお忙しい中、調査に御協力をいただきました方々に厚く御礼を申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げまして、報告を終わらせていただきます。
  9. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 以上をもちまして派遣委員報告は終了いたしました。  次に、有珠山火山活動及び伊豆諸島における火山地震活動について、政府から報告を順次聴取いたします。吉井防災局長
  10. 吉井一弥

    政府参考人吉井一弥君) それでは、お手元の資料に従いまして、まず最初有珠山火山活動の近況について御説明し、その次に三宅島及び新島神津島近海震源とする地震についての状況を御説明させていただきます。  まず、有珠山火山活動についてでございますが、火山活動につきましては、最近では火山活動は徐々に低下していくものと考えられております。ただ、まだ火口から五百メートル程度範囲では噴石地熱活動に対する警戒が必要であるというふうに言われております。  これに従いまして、避難状況でございますが、現在、避難対象者虻田町の二百二世帯、三百七十八人につきまして避難勧告が出ておりまして、それ以外の方々避難勧告は出ておりません。避難所閉鎖済みでございます。  被害状況でございますが、人的被害はございませんが、橋の流失、住家滅失等がございます。  現地における主な対応状況等でございますが、産業経済対策としての無利子融資雇用対策としての雇用特別交付金事業による雇用確保生活資金確保等を行ってございます。  四番のその他でございますが、七月二十五日に緊急災害復旧緊急防災対策として百九十六億円、さらに伊豆諸島分を含めまして二百億円の予備費の枠を確保したところでございます。また、九月十九日、明日でございますが、保留されました予備費のうちから一億四千八百万円を有珠山災害復旧事業に使う予定でございます。  復興に向けた取り組みでございますが、政府非常災害対策本部では、先週、九月十四日に北海道を交えまして復旧復興について協議する幹事会を開催いたしました。地元、道、市町村では、復興方針を年内に策定いたしまして、またその方針に基づきまして各市町村の具体的な施策を示す復興計画基本方針を今年度中に策定の予定と聞いております。政府といたしましては、この復興につきまして最大限努力してまいりたいと思います。  次に、三宅島の火山活動及び新島神津島近海震源とする地震について御説明させていただきます。  火山活動概要でございますが、六月二十六日、緊急火山情報が発せられ、七月一日以降、震度六以上の地震を初めとする大きな地震が引き続いて起きております。七月八日以来、三宅島では噴火が続きまして、大きな噴火も起きております。  現在の避難状況でございますが、三宅島では、二の下の方に書いてございますとおり、九月一日、防災関係者以外の全員島外避難を決定いたしまして、現在、防災関係者のみ残っております。ただ、島に残っておりました防災関係者も、先日、台風十七号による被害が予想されるため、九月十六日に全員引き揚げておりますが、本日また夕刻ごろ防災関係者等は島に向けて出発する予定でございます。  島の方々避難先でございますが、一時、オリンピック青少年センター等避難しておりましたが、現在では近隣の公営住宅等避難している方が多うございます。その他、個別に縁故を頼って避難していらっしゃいます。そのほか、小中高校生につきましては、親元で暮らしていらっしゃる方以外、もともと小中高校生含めまして四百四十四人おりましたうち、約三百六十人ほどが東京の秋川高校に集団で避難してございます。  三番の被害状況でございますが、これまで神津島地震によるがけ崩れにより一人お亡くなりになりました。それから、家屋損壊半壊等が出ております。特に三宅島につきましては、現地への立ち入りがなかなか困難なため、家屋損壊状況については十分把握できていない状態でございます。その他、降灰による被害道路被害農林水産物被害等が大分出ております。  現地においてとられました避難支援体制でございますが、現在でも島内での活動の際には自衛隊による上空監視を常時行っておりますし、また、避難を支援するため、自衛隊の艦船、海上保安庁巡視船等近海で遊よくしております。またさらに、警察官、消防派遣隊救護班等現地に派遣しておるところでございます。  現地視察等でございますが、七月五日には蓮実国土総括政務次官神津島視察なされました。扇国土庁長官建設大臣が七月十九日、三島を御視察なされまして、それから先週十四日には内閣総理大臣扇国土庁長官を初めとする方々三宅島等視察しております。  その他でございますが、七月二十五日、予備費の枠を確保していただいたところでございますが、九月十二日、そのうちから十四億円を使用いたしまして監視観測体制強化のために使うことが決定されまして、また明日、そのうちの九十六億円を災害復旧事業などに使うことが予定されております。  以上でございます。
  11. 但馬久美

    委員長但馬久美君) ありがとうございました。  引き続いて、山本気象庁長官
  12. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) 有珠山火山活動及び三宅島の火山活動新島神津島近海地震活動について御説明いたします。  まず、三月三十一日に噴火しました有珠山につきましては、引き続き、金比羅山及び西山西ろくの二つの火口群噴火を継続しています。深部からのマグマ供給は停止しておりまして、一連マグマ活動は終息に向かっているものと考えられます。懸念されておりました火砕サージを含む火砕流発生可能性はないと考えられます。しかし、両火口群では現在も火口から噴火が続いておりまして、火口から五百メーター程度範囲内では噴石あるいは地熱活動に対する警戒が依然必要でございます。  次に、六月二十六日から活発化した三宅島の火山活動でございますが、八月十八日に発生した山頂噴火では、島内噴石降灰を観測し、噴煙の高さは約一万四千メーターに達しました。また、八月二十九日の山頂噴火では、噴煙の高さは八千メーター、なおかつ弱い火砕流発生いたしました。現在も断続的に噴火は続いておりまして、二酸化硫黄噴出量は一日当たり約五千トンと、依然活動は活発でございます。  今後の火山活動の見通しでございますが、当面は八月十八日及び二十九日と同程度かこれをやや上回る程度山頂噴火が繰り返される可能性があります。火砕流警戒が必要で、仮にマグマが直接関与した場合にはより強い火砕流になる可能性が将来ございます。あわせて、噴石泥流火山ガスに対する注意も必要でございます。  この三宅島のマグマ活動神津島東方海域地下でのマグマ活動影響によりまして、六月末から、新島、式根島、神津島三宅島及びその周辺海域では活発な地震活動が続いていました。しかし、八月下旬以降、地震活動及び地殻変動とも活動が低調になっております。今後もマグニチュード五前後の地震発生は否定できないものの、六月末から始まった一連のこれらの地震活動はおさまりつつあるものと考えられております。  観測体制でございますが、三宅島の火山活動及び新島神津島近海地震活動対応するために観測機器を緊急に増設するとともに、現地対策本部職員を派遣して体制強化を図っているところでございます。  さらに、今般決定いたしました予備費を使用しまして、気象庁では、大学、関係機関等と協力いたしまして、地震計、空振計、監視カメラGPS等を早急に増強する計画でございます。気象庁では、これらの観測データを一元的に解析いたしまして、火山活動及び地震活動の動向を的確に把握し、島内に残留する防災関係者安全確保島外避難者の一時帰宅や帰島時期の判断等に資する適切な情報発表に努める所存でございます。  なお、気象庁の観測いたします火山情報につきましては、ホームページ等を通じて公表しているほか、火山活動に関する問い合わせに対応するためにテレホンサービスの開始を行うこととしてございます。  三宅島におきましては、航空機による火山活動監視各種気象情報を提供しておりまして、島内における防災関係の業務に当たる関係者の安全を図ることとしております。  以上でございます。
  13. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 次に、平成十二年秋雨前線台風第十四号に伴う大雨による被害について、政府から報告を聴取いたします。吉井防災局長
  14. 吉井一弥

    政府参考人吉井一弥君) 御報告申し上げます。  本州上に停滞した前線に台風十四号による湿った南風が吹き込みまして、九月八日以降、東海地方におきまして記録的な大雨が降っております。  資料をお配りしてございますとおり、愛知東海市、名古屋市等で一時間雨量のこれまでの最高値を、特に名古屋市で最高値を記録しておりますし、また一日の降水量も非常に大きな雨が降っておるところでございます。  被害状況でございますが、これまでのところ、死者九人、重傷者七人、軽傷者八十六人、住家損壊では、全壊三十九戸、半壊六十戸、一部損壊二百四十一戸、床上浸水は二万八千戸余、床下浸水四万五千戸余の被害が出ております。亡くなられた方は、小牧市、名古屋市緑区等で土砂崩れによる方が三人ほどいらっしゃいまして、そのほか、各地で側溝に落ちたり、川に流されたり、水死の方が六人出ておるところでございます。床上浸水床下浸水は、一級河川新川の破堤あるいは庄内川の越水によります愛知県内浸水によるものが多うございます。  避難勧告でございますが、一時は十一日から十二日にかけまして愛知県内を中心に十八万世帯、四十万戸以上の方々避難勧告が出ておりますが、現在では犬山市のごく一部を除いて解除されてございます。  政府といたしましては、災害の翌日、九月十三日に扇国土庁長官建設大臣被災地視察なさいました。自衛隊では、ピーク時千七百人ほどが出て救援に当たっております。本日も防疫活動等に四百三十人ほどが出ております。そのほかに海上保安庁からも救助活動に出ております。建設省関係では、排水ポンプ車二十台を全国から集結させまして排水対策に当たっております。九市十三町に災害救助法適用され、また九市十二町に被災者生活再建支援法適用されてございます。  一つだけ違っておりますのは、岐阜県の上矢作町でございますが、その後の調べで全壊戸数も多いようでございますので、多分ここも被災者生活再建支援法適用になるものと思われます。  そのほか、災害復旧貸し付け実施郵便関係非常取り扱い実施等を行っているところでございます。  以上でございます。
  15. 但馬久美

    委員長但馬久美君) ありがとうございました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 中川義雄

    中川義雄君 自由民主党の中川義雄であります。  私は、北海道出身ということで、有珠山関係では本委員会皆さん方にも、そしてまた政府関係者にも大変温かい御理解と心強い事業の展開をさせていただいたことに対して、まず心から厚く感謝を申し上げる次第であります。  最初大臣にお伺いしたいわけですけれども、ことしは全くこの国にとって珍しいと思われる火山地震と水害、風害、全部大変な勢いで押し寄せてまいりました。今いろんな財政等困難な事情がたくさんある中でそれに対処していかなければなりません。私は、保守党党首として有珠山視察していただいて以来、大臣のいろんな発言を聞いておって大変心強く思っておりますが、なお決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  17. 扇千景

    国務大臣扇千景君) こうして閉会中にもかかわりませず参議院の災害特委員長の御下命でお開きいただいて、皆さんでこういう御審議をしていただくこと自体が本当に異常だと思えるくらいの災害が連発しております。そして、こうして皆さん方が真摯なお姿で審議していただくことに対しても、まず担当として心から御礼を申し上げたいと思いますし、その重要性、また今、中川委員からお話しございましたように、本年は有珠山を初め三宅島、神津島新島等々、あらゆる災害発生いたしております。また、ついこの間の名古屋のあの集中豪雨、五万戸以上が浸水するという異常事態等々を考えますときに、私どもは一体平時に何をすべきであるか、またこの教訓を生かしてどうあるべきかということを私はつくづくと考えさせられている今現状でございます。  先ほどからも参考人から御報告がございましたけれども中川委員のお地元有珠山には、私は既に四月九日には保守党党首としてもお邪魔いたしました。また、四月十五日には総理とともに与党党党首として有珠山に二度目の視察に伺いまして、皆さん方現状、あるいは陳情、御希望等々を聞いてまいりました。また、七月十九日には御存じのとおり三宅島、神津島新島、そして九月十三日には御存じのとおり愛知県の集中豪雨に即翌日に行って見てまいりました。また、九月十四日には改めて三宅島、神津島新島、これも総理一緒与党三党で二度目に私は伺いました。また、きのう九月十七日午前中は、阪神・淡路大震災の今日の復旧復興状況をきのうの朝、神戸を見てまいりました。  そのようにあらゆる災害が集中しておりまして、それぞれ地元の声を聞きますとともに、今後の被災者の多くの皆さん方の御苦労にどう政府としても対応できるか、最大限の処置を、また支援できる限りをしていきたい、そのように思っておりますけれども、少なくともライフライン等々、被災に遭われたすべての皆さん方が一日も早くもとの生活に戻れるように、政府としての対応、そして今の教訓を生かして今後平時にどのようにあるべきか、治にあって乱を忘れずというのを私どもの心の中に秘めて皆さんと御一緒に今後の対応策を考えていきたい、そのように考えております。
  18. 中川義雄

    中川義雄君 大いに期待しておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いしたいと思います。  次に、三宅島の問題でございますが、有珠山の経験によりましても、被害を受けた被災者が自分の家を離れて避難して生活する、それは大変であるということも私自身も何回も目の当たりにしまして、いろんな話を聞いて、早く家に帰りたい、そういう気持ちが一番先に伝わってくるわけであります。  特に三宅島の場合は、島を離れて、ずっとふるさとから離れたところに住んでいる。そんなことを考えますと、有珠山の場合でさえあれだけの、特に子供たちやお年寄りのその御苦労といったら大変なものでありましたから、三宅島の問題はなお一層大変なことだと思いますが、これについてどのような状態になっているのか。そして、そのためにも復旧作業を早めてふるさとに帰してやりたい、そう思いますが、その点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  19. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 先日、現地視察しました以外に、三宅島に全島避難命令が出まして、代々木の青少年オリンピックセンターに全員一時避難をなさいまして、その現場に行きまして、皆さん方状況を、また御意見等々を私つぶさに伺ってまいりました。  一番びっくりしましたことは、子供さんたち皆さん秋川高校で寮生活をしながら離れていますけれども、東京都の御協力によって都営住宅に入っておりますけれども、なるべくその都営住宅の近くの職業を何とか探したいという御希望があったんです。  皆さん方の御要望の中で、私も想像しなかったんですけれども、満員電車に乗る通勤はしたことがないので、こればかりは、都営住宅から、職が欲しいけれども、満員電車に乗ったことがないから、何とかその近くで、満員電車の通勤になれないので、満員電車に乗らないところの職業を探すことができないだろうかというお話を聞いて、私も、恥ずかしかったんですけれども、初めて、ああそうだ、島の人たちはそういう満員電車を知らないんだという、改めて東京に避難した皆さんの御苦労というものを、想像できない御苦労があるんだということを実感いたしました。  そういう意味では、多くの皆さんが長期にわたって、これからが精神的に一番苦しい時期に入られると思いますので、本来であれば安全宣言ができて一日も早く三宅島にお帰りになれることが最良であろうとは思いますけれども、お帰りになったらなったで今までの灰じんを受けた家をどう手当てをしていくか。そういう意味では、職業をなくした方もいらっしゃいますので、本当にことしは災害の続いた年でございますので、大変心を痛め、また一人でも多くの皆さん方の気持ちを私たちが理解し、そしてハード、ソフト両面において私たちは最大限の努力をしていきたいと切実に皆さん方の御意見を聞いて思ったところでございますので、努力していきたいと思っています。
  20. 中川義雄

    中川義雄君 大臣の重なる決意を聞きまして、本当に心強く思っておりますが、私もそう思うんです。私も田舎育ちですから、急に都会に出てきて、子供のころからなれているのなら別ですが、いい年をとって急にあのラッシュなどというものには耐えることができなくなるのではなかろうかと。ですから、一番大事なのは、早く何とかして災害復旧して島に帰っていただくことが何よりも大切なことだと思うんです。  そこで、防災局長にお伺いしますが、その点についての見通し等がありましたらここで説明していただきたいと思います。
  21. 吉井一弥

    政府参考人吉井一弥君) お答え申し上げます。  三宅島につきましては、噴火活動の今後についてなかなか想定ができないところでございますが、ただいま先生からもお話がありましたように、避難住民方々にとりましては一日も早い帰島が強い希望でございます。現在、全島避難指示によりまして防災関係者以外は島外に避難してございますが、住民が帰島した際すぐに生活が再建できますよう、防災関係者三宅島におきまして道路復旧や電気等のライフラインの維持管理を行っているところでございまして、今後とも都と連携して島の最低限必要な機能をいつでも島民の方々がお戻りになれるように整備していきたいと思っております。  また、島外避難者がいつ帰宅していただくことができるか、またその時期はいつかというふうなことを適切に判断するため、予備費のうちから十四億円を今月十二日に閣議決定いたしまして、火山活動等の動向をより一層迅速かつ的確に把握するため観測・監視体制を緊急に強化することといたしておりまして、必要な観測調査について速やかに実施するとともに、今後施設整備をしなければならないものにつきましても、九月下旬までにはおおむね整備を完了することといたしておるところでございます。
  22. 中川義雄

    中川義雄君 次に、有珠山関係で若干厚生省の考え方をお聞きしたいと思うんですが、大臣も行って見たと思いますが、あそこには唯一と思われる病院があるんです。それは通称協会病院、協会病院と称しておりますが、これは北海道社会事業協会という社会福祉法人が設立している病院であります。  この病院の始まりというのは非常に古くて、大正十年になるんです。大正十年に北海道の開拓があのとおり緒につきましたが、どうしても地域での福祉、特に医療といったものが大変まだまだひどい状況にあった。そういうことで、当時内務省それから北海道庁といったところが協力し合って、これを社会事業としてやろうということで財団法人をつくったわけであります。そして、翌大正十一年の年に昭和天皇、当時皇太子でありましたが、御来道されたときにこの事業に大変共鳴をいただいて、当時としては大変破格の金員をいただいております。ですから、この事業団の理事長というのは歴代北海道長官がずっとやられ、今日までもなるべくなら知事が理事長に当たるというような非常に公益性、公的な病院であります。  その病院が今大変な状況にあって現状復旧できない、復旧したとしてもまた火山が起きたらどうなるか。今、基本的には唯一の、ただ一つの医療機関ですから、どんな火山が来ても安全な地域に移転して再構築しなければならないというのが地域の切実な声なんです。そうすると大変なお金がかかるわけであります。  幸い、私の聞くところによりますと、阪神・淡路のとき厚生省は、公的な病院、特に地方公共団体が経営している病院については、ふだんは三分の一の補助、災害で二分の一の補助というのを三分の二の補助という特別の形で、非常に地域の住民は喜んだと聞いております。できれば、私は政府与党そして厚生省挙げてこの問題も考えていただいて、三分の二の助成の対象にしていただけないものだろうか。その点の厚生省のまず基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  23. 伊藤雅治

    政府参考人伊藤雅治君) 中川委員の御質問に御説明をさせていただきたいと思います。  まず、補助率が三分の二にならないかという点でございます。  御案内のように、阪神・淡路大震災につきましては、これは特別の財政援助及び助成に関する法律というのが当時つくられまして、その法律に基づく特定被災地方公共団体の開設する病院の場合、特例的に三分の二というふうになった経緯があるわけでございます。  そこで、きょうお尋ねの北海道社会事業協会洞爺病院のケースでございますが、現行の私どもの医療施設等災害復旧費補助金制度によりますと、公的病院、協会も含めて公的病院と呼んでおりますが、二分の一という制度になっております。この問題につきましては、先般、地元の方から厚生省に陳情がございまして、私も十分現地の事情を聞いておりますが、現在の制度によりますと二分の一ということでございます。  そして、もう一つ地元の方が大変心配されておりましたのは、現在地での復旧が不可能になった場合にこの制度の適用がどうなるかということでございまして、この場合、私どもといたしましては、特例的に現在地から他の安全な場所に移転して復旧する場合におきましても当然災害復旧事業としてみなすということで対応していきたいと考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、現在、協会自身のお考え方もまだいろいろ流動的な面もあるようでございますので、十分地元関係者の御意見を伺いながら厚生省として最善の努力をしていきたいと考えているところでございます。
  24. 中川義雄

    中川義雄君 事務的な話はその程度だと思うんですが、この協会病院というのは道内の、調べていただいたらわかると思いますが、地方の拠点都市だとか札幌市というような大都市でなくて、本当に地方で、そういう意味で医療過疎といったような地域につくっている病院ですから、当然のこととして経営はそんな楽なものではないんです。私もよく知っていますが、大変な赤字で苦しんでいる病院であります。  その病院がこの地域での唯一の医療機関としてあるわけですから、それが今回どうしても移転して安全なところにつくらなかったらこれは大変なことになるということでそういう計画を進めているわけですから、そういう事務的な話じゃなくて、これは大臣要望しておきますが、要するに災害関係大臣として、また政府与党の最高責任者としてこれはもっと政治的に判断していただいて、何とか委員長も含めてこの問題について積極的に対応していただきたい。これは要望にしておきますが、これはぜひ実行されるものだと、そういうふうに期待して、次の質問に移らせていただきたいと思います。  今回の有珠山、また三宅島でも同じだと思いますが、まずライフラインがもうめためたになったと言ってもいいんです。下水道も水道も、それからいろんな通信機関、それから電線といったものが大変なことになりました。  その中で、特に水道というようなものは、水はまさに命の根源に当たりますから、やはりこういった有珠山周辺のような十年か二十年に一回このような大災害が起きるところは、このライフラインを単線じゃなくて複線化しておく必要があるのではなかろうか。一方がだめになっても一方が有効にきくというようなそういう安全処置を私はとっておくべきではなかろうか。これは何も有珠山周辺ばかりじゃなくて、このような災害の多発地域においてはライフラインについては複線化構想があってもいいのではないかと思いますが、これは厚生省の、まず事務当局のそれに対する考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  25. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 有珠山噴火によりましては、虻田町の水道が大きな被害を受けたことは御指摘のとおりでございまして、特に浄水場が壊滅的に被害を受けました関係で、現在仮設プラントによる応急給水を行っているというふうな状況でございます。  しかし、御指摘のように、水道はライフラインとして非常に重要なものでございまして、災害時にあっても断水等の影響ができるだけ少なくなるように考慮されるべきだということで、先生が御指摘のような施設の分散化という考え方はまさにそういう方向の一つの考え方だというふうに考えております。  現在、虻田町におきましては、水道の恒久復旧に向けまして地域の実情に応じて災害に強い水道として整備するように計画の検討がなされておるところでございますので、先生が御指摘の点も踏まえまして必要な支援を講じてまいりたいというふうに考えております。
  26. 中川義雄

    中川義雄君 この点につきましても、高い見地からの御配慮を私は特にお願いしておきたいと思っております。  さらに、道路の問題でありますが、国道二百三十号線、これが現在もまだ不通になっております。もっとも、私も見てきまして、なかなか簡単に復旧できるようなそんな状態でないことは事実であります。ですから、私は、この災害復旧も大事だが、この国道にかわる新しいルートというものを、今建設省では北海道開発庁も含めて非常に熱心に対応しようとしているようでありますが、この見通しはいかがになっているものでしょうか。
  27. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 二百三十号についてお尋ねでございます。  一般国道二百三十号、今、委員から御指摘ございましたように、道路上に噴火口が出現するという事態となりましたために、現在は迂回路となっておりました道路国道区間に編入し直轄管理としております。したがって、現在は二百三十号不通区間と旧道道の二本があるわけでございます。編入した直轄区間におきましては、冬期の交通安全の確保や大型自動車の通行の増加に対応するため、舗装の強化工事等を実施いたしております。  今後、引き続き改良を行っていきたいと考えてございますが、本来の一般国道二百三十号の虻田町の中心部と洞爺湖温泉街とを結ぶ区間につきましては損傷が著しく、現在の位置での復旧は困難と考えております。虻田町中心部と洞爺湖温泉街の間の交通を大きな迂回を強いることなく直結できる新しいルートの整備は重要性が高いものと考えております。  したがいまして、現在既にルートの検討に着手しておりまして、現在までに噴火による地形変状のある部分につきまして航空写真撮影を行い、地形図を作成いたしております。今後の火山活動の終息状況影響範囲を踏まえながら、火山や地質の専門家の御意見もいただき、地域の復興計画を勘案しながらルートの検討を進めてまいりたいと考えております。
  28. 中川義雄

    中川義雄君 さらに、今二百三十号線というのはこの被災地に奥から真っすぐ入ってくる道路であります。もう一方、基幹の道路として国道三十七号線、これは太平洋沿岸に並行して走っている道路、それから高速道路と二つがあるわけですが、三十七号線につきましても非常に長い間これが通れなくて大変大きな問題になったわけですから、三十七号線は三十七号線としておきながら、それを災害があったときに迂回できる、災害地をなるべく通らなくても済むような迂回道路を一本計画しておいてはどうか。  そしてこのことは、今まだ実はあの高速道路は、北海道縦断高速道はまだ不通になっておりますから、これももしそれを迂回する道路などがありますと、一時は高速道路は通れなくても高速道路を有効に利用するということもできますから、この迂回道路についての建設省の基本的な考え方がありましたらお知らせいただきたいと思います。
  29. 山本正堯

    政府参考人山本正堯君) お答えをさせていただきます。  先生今御指摘の、虻田町と伊達市、室蘭市を結ぶ道路として国道三十七号は大変重要な役割を果たしておるところでございますけれども、この道路の一部の代替道路としての機能を果たすことを期待されている道路といたしまして、虻田町市街地から伊達市に通じる道路としての都市計画道路山下長和通と、それに続く長和農社通というのが都市計画決定されておるところでございます。このうち、山下長和通の伊達市内の長和駅周辺の一部区間については既にもう今年度完了する予定でございますが、当面整備の急がれております山下長和通及び長和農社通につきましては、橋の新設も含めまして北海道庁で現在整備着手を鋭意検討中であるというふうに聞いておるところでございます。  先生御指摘のように、国道三十七号の代替道路として、代替機能として大変重要な道路でございますので、私ども建設省といたしましても整備に当たって積極的に支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  30. 中川義雄

    中川義雄君 有珠山火山では経済的な打撃というものもまた大変なものでありました。特にこれは観光、もう北海道最大の観光地ですから、その観光の受けた打撃というのはひどいものでありますが、一方また、あの地域は非常に漁業の盛んな地域でありまして、漁業も一時立入禁止というようなことがあって大変な被害を受けたわけであります。  そこで、今回いろんな気象庁建設省が検討した中でハザードマップなどがつくられて、水産庁長官、大磯地区というのが比較的安全な地域というふうにみなされております。ですから、漁港をこの際大磯地区に移転して新しくつくってはどうかという声が起きております。そういう漁民の声も非常に強くなってきておりますが、水産庁長官、その点についての考え方がありましたらお示しいただきたいと思います。
  31. 中須勇雄

    政府参考人中須勇雄君) 先生御指摘のとおり、今回の有珠山火山噴火で、ちょうどその時期がホタテの耳づり作業の最盛期だったということがございまして、周辺の漁業は大変大きな影響を受けました。特に、虻田漁港につきましては立入禁止とか期間の規制、そういうことがございまして大変大きな影響を受けた、こういう実態がございます。  実はこの虻田漁港自体も、現在ホタテ漁業等に従事する漁業者の利用が大変多くて漁港として手狭であるということから、虻田漁港自体の拡張というか、そういうことが検討されてきた、こういう経緯もございます。ただ、こういった事態が生じましたので、確かにこの虻田漁港はハザードマップでも危険な地域にあるということでございますので、その辺地元からの御要請を含めまして北海道庁その他と十分検討いたしまして、適切な方向での結論が得られるように努力をしていきたいというふうに思っております。
  32. 中川義雄

    中川義雄君 それから、火山灰が降ってきて海面を一部確かにかなり汚染させたこともありますが、それはそれほどでもありませんでした。大きいのは、海面に泥流として入ってきたものが海面を大変汚してそれが漁業に大きな影響を与えた、そういうことでありますから、この虻田漁港も含めてこういう危険地域の漁協には、それを漁港内に流入しないような、堤、堰と申しますか、そういったものをこの災害対策事業の中で水産庁としては考える余地があるのかないのか。これも強い要望がありますので、長官の意向をお聞きしたいと思っております。
  33. 中須勇雄

    政府参考人中須勇雄君) 噴火に伴う泥流対策ということにつきましては、基本的には、今御指摘にあったことを含めまして、土どめ工を実施するとか、あるいは治山ダムあるいは遊砂地等を設ける、こういう手段があるわけでございますが、現在、噴火による降灰がまだ危険地域に大幅に堆積をしているという状況でございまして、治山事業等を含めていまだ十分対策を講じられている状況ではございません。今後の対策について、建設省等を含めまして関係機関で連携しながら検討が今後進められなければならないものと、こういうふうに承知しております。  それと同時に、私どもの方としては、万が一火山灰等が漁場に流入した場合にどういうふうに対処するか、こういう問題もあろうかと思います。今回、幸い有珠山周辺海域においてはまだそういうような大きな問題は生じておりませんが、万が一そういうものが生じた場合、漁場復旧対策としていわゆる沿整事業の沿岸漁場保全事業等を活用する、こういうことを含めまして、その辺、北海道庁等も含めまして十分、万が一起きた場合にはそういった事業の活用というようなことも考えていかなければならない、そう思っております。
  34. 中川義雄

    中川義雄君 次に観光問題についてお聞かせいただきますが、実はこの地域は北海道でも最もすぐれた観光地域になって、これが観光産業として地域はもとより北海道全体の経済に貢献しているわけです。しかし、その観光資源はすべて火山に起因するものであります。洞爺湖もカルデラ湖ですから火山が原因であります。昭和新山も有珠山もすべて火山がもたらした景観が観光資源になっているわけです。  今度新たに新しい噴火口がたくさんできました。その噴火口の中でも西山火口群というのはまだ国立公園に指定されていない地域で発生したものであります。ですから、これも、もう噴火、この嫌な気持ちでみんなが何となく暗い気持ちになって、将来こういったところを逆に使って観光地域として使うという意味から、この西山の火口群をなるべく早く国立公園の中に指定していただいて、これを自然環境として保全しながら将来観光資源にしていただきたいという気持ちがあるんですが、それについて自然保護局長の見解を伺います。
  35. 松本省藏

    政府参考人(松本省藏君) ただいま御指摘ございましたように、西山の火口付近、これは現在のところは国立公園の区域外でございます。ただ、新たな自然景観と申しますか、火口景観がつくり出されたということでございますので、国立公園として保護し、あるいは利用を図っていくということも大変意味のある考え方ではないかというふうに考えております。  環境庁といたしましては、有珠山噴火活動の鎮静化を受けまして、今後、国立公園内の被害状況の把握あるいは復興対策の検討のために調査実施したいと考えております。この中で、今お話しのありましたような地域の地形とか地質、あるいは植生などの自然環境調査もあわせて行っていきたいと考えております。  そういうことで、御指摘の西山火口群を国立公園に編入するかどうかにつきましては、今申しましたような調査結果を踏まえ、そして地元からの要望があれば、北海道あるいは自然環境保全審議会などの意見を聞きながら検討していきたいと考えております。
  36. 中川義雄

    中川義雄君 これは人工的に復旧してしまってからやりますと観光資源としての魅力が全くなくなりますので、今から前向きに検討していただきたい、これも強く要望しておきます。  もう一つ、何といってもこの洞爺湖国立公園というのは北海道の観光の最も中心的な、基幹的な地域でありまして、これがことしは大変な低迷で、北海道全体の観光産業に大きな影響を与え、北海道経済全体にも何となく暗さを漂わせております。道民すべて、何とかして一人でも多くの観光客が北海道のすばらしい自然環境を求めて来てもらいたいものだという願いがありますが、運輸省の観光部長にその点について国としての何かの対策があったらお聞かせいただきたいと思います。
  37. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、観光は北海道の大変重要な基幹産業でございまして、有珠山噴火によりまして、周辺支庁はもとより、噴火影響がない広い地域に風評被害が生じたということでございまして、私ども関係機関との連携をいたしまして、五月から北海道観光の振興を図るための「ガンバル、フンバル、北海道。」というキャンペーンを推進してきております。  それから、九月以降、北海道庁が実施いたします集中キャンペーン、これは総額五億円で実施するわけでございますが、私どもも空港整備特別会計から二億円の支援をさせていただきまして、集中的に洞爺湖温泉を含む北海道の観光需要の喚起に努めてまいりたい、こう思っております。  具体的には、九月三十日から有珠及び札幌を主会場としまして感動市場二〇〇〇というものを開催いたしまして、観光キャンペーンとかいろいろなイベントとか、そういうものをプロモーションいたしまして集客を図るということを考えております。
  38. 中川義雄

    中川義雄君 時間がなくなりましたので最後大臣の考え方をお聞きしたいと思いますが、今回、東海地方の豪雨災害、予想以上の災害、その要因はみんなが指摘するように、観測史上かつてなかったような集中豪雨がそこにあったからあんな被害が出た、結果としてそうなった、こう言われております。しかし、この日本列島というのは、春雨、秋雨、台風、まれに見る大雨や、そしてまた大変な風、そして荒波、そういうものの被害が繰り返されてきているわけであります。  東海地方のこの災害、百年に一遍ぐらいの災害だとこう言うわけですが、私どもの十勝で五十六年の年に百年に一遍の大水害が出たときに、建設省も検討していただいて、五百年に一度ぐらいの大雨でも、それに耐えるようなそういう根本的な復旧工事をしていただきたいという要望を我々も出して、そして強く要請して、そのような形の中で事業を完了しました。それ以来というものはほとんど災害というものが起きておりません、確かに。  私自身も、実はアメリカの農業地帯、農家に泊まりながら、なぜあんなに安い農産物ができて、北海道の、日本では最も大規模な経営をしている、それより八分の一ぐらいの価格でどうやって農産物ができるのかということで、一週間ぐらい農家に泊まり込んで見学したことがあります。そのときびっくりしたのは、行ってみたら、人口密度では北海道の十分の一ぐらいのところであります。今からもう十五年ぐらい前ですが、どの細い農道もすべて舗装されておりました。真っ平らであります。かんがい事業が全部終わっておりました。どんなに日照りが続いても水はミシシッピ川から引けるような施設ができ上がっておりました。真っ平らな地域で、見たら山があった。北海道ですと、何ぼ幾ら広いといってもすぐ山が見える。あの地域に行きますと、山は全く見えません。地平線だけであります。山があったからびっくりして、おお、山があったな、あれはと聞いたら、あれは堤防だと言うんです、ミシシッピ川の堤防だと。約三十五メートルぐらいの高さの堤防であります。しかも、上がってみたら、あの広いミシシッピ川が一キロ先ぐらいを流れているんです。そういう大工事がもう今から七、八十年前に完成していると言うんです。  今この国では公共事業の三割カットだとか公共事業の不要論などという話が出ている中で、この災害列島日本の恒久的な災害対策というものはもっともっと基本的に考える必要があるんじゃないか。これぐらいの雨と言ったら悪いが、先日の五百ミリぐらいの雨というのは、あの地域では新記録かもしれぬが、日本列島ではあらゆる地域でいろんな形で起きております。ですから、五百年、千年に一度の大災害にも耐えるようなそういう備えというのが私は必要だと思うんです。  そういった意味では、扇大臣は非常に積極的な発言をされております。期待しておりますので、その点についての、もう災害は起こさないんだ、起きたらこれは人的災害だ、自然災害じゃなくて人的災害だと思うようなそういう決意でやっていただきたいと思いますが、扇大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  39. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 公共事業というのは真に国民が安全と安心の生活が送れるための公共事業でなければならないというのは、今、中川先生おっしゃるとおりでございまして、想定し得るものを最大限に想定して対処するというのが平時の行政としての怠ってはならないことであろうと思っています。  ただ、今おっしゃいましたように、百年に一度、二百年に一度ということではございますけれども、先日も私、名古屋へすぐ参りまして拝見しましても、大体五十ミリを想定していわゆる堤防、小中河川等々の処置をしておりますことがまた大きな問題でもございますし、また、平時におきまして、この間の集中豪雨で、西枇杷島町ですか、あそこではとにかく町に避難命令を出したときにも雨の音でみんなに警報が伝わらなかったというような、そういうことも言われました。また、天白におきましても、ポンプ車自体が水浸しになって使えなかったということもございます。  ですから、そういう意味におきましても、何を想定するかということの範囲が、限度はございますけれども、今、先生おっしゃいましたように災害列島と言ってもいいような日本でございますので、いかに研究をし、また国民の皆さんに安心していただける公共事業というものを適切に対処していくということの基本だけは考えておきたいと思っております。努力してまいります。
  40. 高橋千秋

    高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。  今回、東海地区の豪雨で大変な被害を受けましたその方々にお見舞いをまず申し上げたいと思いますし、先日、先ほど冒頭御紹介ありました有珠山の方の委員会派遣の視察の方も私は参加させていただきました。現地を見させていただいて、大変な状況だなというのを目の当たりにさせていただきました。三宅島の被災地の方も含めて、それぞれの方々にまず冒頭お見舞いを申し上げたいと思います。  私は三重県出身でございまして、今回の大雨のときにもその雨のど真ん中におりました。そのことも含めて、今回の東海地区集中豪雨のことについてまず質問をさせていただきたいと思います。  扇長官の方は十三日の日に早速行っていただいたということで、大変ありがとうございます。ヘリコプターから見ていただいたようでございますけれども、率直な感想をまずお伺いしたいと思います。
  41. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私、本来は当日伺いたかったんですけれども、ヘリコプターが飛びませんで、やむなく翌日朝早く一番で出まして伺いました。本当に私、空から見せていただいてよかったと思いますのは、全体の水の流れ、そしてあの百メートルの堤防決壊による浸水状況、そして新川と庄内川の両側に挟まれた地域の浸水状況等々が大変よくわかりまして、本当にいい勉強をさせていただいて、皆さん方に、今後の大きな対処の教訓として、建設省としてもやっていかなきゃいけない、また国土庁としてもしていかなきゃいけないということの実感を持ちました。  それと同時に、私どもが考えましたことは、先ほどもちらっと申しましたけれども建設省が持っておりますポンプ車を全国から二十台、夜を徹して運転して現地に運びました。そして、私が伺いましたときには、ちょうど百メートルの堤防の決壊のところを、浸水しております水が決壊した堤防からまだ川に流れておりますので、ふたをしてしまってポンプ車で運ぶよりはまだそれを流した方がいいというので、堤防をふさぐ寸前でございました。私がヘリコプターに乗っておりまして、ちょうどそのときに、十時三十分にあの百メートルの決壊しました堤防を全部ふさぎましたというお知らせをいただきました。  その後は、今申しましたような、建設省も大変努力した、二十台のポンプ車の威力というものを初めて私も見ましたし、また地元の知事さん、市長さんにも御説明を聞きましたら、あの水はどれくらいで引くんでしょうねと私が申しましたら、さあ、二日はかかるでしょうと知事さんも市長さんも担当の土木部長さんもおっしゃいましたけれども皆さんの最大限の努力、自衛隊等々も含めた、建設省の今の二十台のポンプ車も含めて、わずか一日で全部水をとりあえず西枇杷島町から排出できたということでは、私は、即対応するということがいかに大事かということを身をもって見せていただきました。  ただ、多くの皆さん方が何から手をつけていいかわからないとおっしゃっているあの気持ちとあの現状を見るにつけても、いかにふだんそれを、先ほども中川委員からお話がございました、百年に一度、五百年に一度でもそれを想定して対処するのが政治の、あるいは行政の力ではないかとおっしゃいましたので、今後、この教訓を生かして、大いに皆さん方に安心、安全をもたらすように努力したいというのが実感でございます。
  42. 高橋千秋

    高橋千秋君 この東海地区というのはしょっちゅう大雨被害が起こるところでありまして、先ほど百年に一度というお話がございましたけれども、確かに統計的にはそうなるのかもわかりませんが、私が三歳のときに実は伊勢湾台風というのがございました。私の家も被害に遭いまして、天井にそのころの雨漏りのしみがまだ残っておりますけれども、百年に一度といいながらも、やっぱりそうはいいながらもしょっちゅうこういう水害というのが起きております。特に東海地区というのは、今回被害が起きた地区も大変低いところでございますのでよく被害が起きております。  先ほど五十ミリというお話がございました。この辺は、確かに公共工事の中、お金のない中でそれに備えていくというのは大変なことではあるんですけれども、この設計水位にやっぱり問題がなかったのかなと。  それから、先ほどポンプを二十台全国から集めていただいたということなんですが、実は名古屋では多額の費用をかけてこの排水ポンプをずっと工事してようやくできたのに、結局水没してしまって使えなかった。それから、同じような話が私の地元の三重県の四日市でもございまして、ポンプがあったにもかかわらず全然動かなかったということがあって、かなり水没してしまいました。地元地区では、自治会長さんがこれは人災だというのを言っていたりとか、私も実際行ってまいりまして聞いてまいりました。  この辺、マニュアルも多少はできているんだと思うんですけれども、やはり今後まだまだ、百年に一度というものの来年あるかもわかりませんし、ことしまだ台風シーズンは終わっているわけではございませんので、予防ということも含めて、この辺もっと見直さなければいけないんではないかなと思うんですが、これは河川局長に伺えばよろしいんでしょうか。
  43. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) お答えいたします。  九月の秋雨前線の豪雨におきましては大変大きな雨量でございまして、百十年前に名古屋地方気象台が観測を始めて以来最大の雨量、日雨量四百二十八ミリ、時間雨量九十七ミリを記録いたしました。このような記録的な豪雨とともに、名古屋の大変都市化が進んだところでございまして、一気に水が出るということが重なりまして、大変な被害が生じたわけでございます。  私ども、このような洪水災害に対してどのような計画を持っているかということでございますが、庄内川または新川、さまざまな河川がございますが、庄内川のように中京圏においては非常に重要な大河川に関しましては、二百年に一度の確率の洪水の対応をして安全性を確保しようということで計画的な工事を実施しております。また、今回破堤いたしました中規模または小規模の河川におきましては、川によって違いますが、時間雨量五十ミリ相当の洪水を処理しようということになってございます。  ただ、新川におきましては、名古屋の重要なところを流れておりますので、長期的に、百年に一度の確率で起きる洪水に対して安全性を確保しようということで長期的な計画を持っておりますが、当面は時間雨量五十ミリに対応しようということで、全体事業費約千五百億円のうち現在まで五五%の進捗を見ているところでございます。  なお、先生御指摘のさまざまな排水機場または下水のポンプ場のトラブルというのを私ども今現在調査中でございまして、一体どのような状況でどのような条件が重なってその事態になったのかということをきちんと把握して、今後関係機関とこれからの防災体制について十分な体制をとっていくよう考えております。  ただし、一部動かなかった排水機場または下水のポンプ場がマスコミに大きく報道されますが、他の下水の排水機場またはポンプ場が十分活躍し、それぞれの地域の方々の安全を救ったということも御紹介させていただきます。  以上、私ども、これからもさまざまな機関と連携をして、災害に強い町づくりに当たっていきたいと考えております。
  44. 高橋千秋

    高橋千秋君 今お伺いしたんですが、確かにポンプが働いてそれを救ったところもあると思うんですが、現実問題として、今回名古屋地元のマスコミには取り上げられたんですけれども、そのポンプ場、完成したばかりで動かなかった。やっぱりそれは水につかってしまって何にも機能しなかったと。水につかるようなところにそのこと自体があったのが設計的に問題があったのかなというふうに思います。  都市部ということでもう大変な状況になっていまして、実は私、十四日に、水が多少引いてからでありますが、枇杷島の方も行ってまいりました。もうどろどろの状態でして、先ほど長官から話ありましたが、何から手をつけていいのかわからないと。本当に都市部の水害の怖さと、それからその後の処理の問題というのは非常に重要になってくるのかなというふうに思います。非常ににおいが大変なんですね。下水から噴き出しましてもうどろどろの状態で、私の知り合いからもメールをいただいたのですが、家を建ててまだ一月だという方がもう今回全く住めない状態になってしまったと。  新川が決壊したわけなんですけれども、今五五%を使って工事をもう進めているということなんですが、今度の基準というのはどの程度までそれはお考えになっているんでしょうか、もう一度お伺いしたいのです。ぜひこの都市部、とにかく一度決壊すると大変被害が大きい地区ですので、その辺についてお伺いをしたいと思いますし、それについていつぐらいまでに完成をされる予定なのでございましょうか、お伺いします。
  45. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、新川の長期的な目標は百年に一度の洪水に安全にしようということでございますが、当面それはすぐ達成できませんので、時間雨量五十ミリの洪水に対応しようと。この五十ミリというのはどういう程度かと申しますと、数年に一度発生するんではないかと私ども考えております。この数年に発生するであろう洪水に安全にしようという、非常に安全度としては低くて大変恐縮でございますが、少なくともそれをきちんとやろうということで現在やっておりまして、先ほど御説明しましたように千五百億の事業費のうち五五%進捗しております。  これがいつごろ達成されるのかということでございますが、私ども一日も早く達成したいという思いでございますが、その流域の、非常に密集地でございまして、そういう方々の土地を譲っていただかなければいけない、またはさまざまな利害調整をして事業をしていかなきゃいけないということでございまして、現時点において残り四五%が何年に終わるかということは愛知県においてまだ見通しは立っていない。  ただし、この災害を目の当たりにした方々のためにも、極力この残り四五%を進めたいという思いでいるということだけを、お答えできないということを大変おわびして、私の答弁とさせていただきます。
  46. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほど地元の四日市市でポンプが動かなかったということもあったんですが、これも含めて、各市ではすぐに災害対策本部が今回できました。しかしながら、地方公共団体の方と国の気象庁等とうまく連携がとれていなかったんではないかなというふうに今回思いました。  情報がきっちり伝わっていなかったということと、それから今回百年に一度という、確かに私も中におりまして本当にバケツをひっくり返すというような感じでしたが、非常に甘く見ていたんではないか。気象の予想ということについても、大変な豪雨だという話は出ていましたけれども、きっちりと縦割りという部分ではいっていたのかもわかりませんが、それぞれの行政の中での連携がうまくいっていなかったのではないかなと思うんです。今後も、こういうことはまだまだことしもあると思いますので、その連絡網についてどのようにお考えになっているのか、これは消防庁長官、よろしくお願いします。
  47. 鈴木正明

    政府参考人鈴木正明君) 地方団体と地方気象台など関係機関との連携の問題でございますが、これまでも地方の防災会議などの場を通じまして十分な連携を強化するように要請をしてきております。また、ことし六月には、特に風水害対策ということに重点を置きまして、都道府県と政令都市の防災責任者にお集まりいただきまして、そこに関係省庁から、建設省、林野庁あるいは御指摘の気象庁からも責任者の方に来ていただきまして、大雨災害に関する情報など各種の防災気象情報の利用方法などにつきまして説明も行ってきております。また、その場では私の方から、気象官署との連携も十分とられまして万全を期してもらいたい、こういう要請を行っております。  そこで、地方レベルでの連携でございますが、地方気象台から地方公共団体に対します気象情報の伝達は、従来は気象ファクスを用いて行われていましたが、気象庁におきまして、昨年の九月から新たに画像を主体としたわかりやすい情報提供手段ということで緊急防災情報ネットワークの運用を開始されました。私どもとしても、それによって各地域の実情に即したきめ細かな情報が地方団体においても入手できるということが可能になりますので、これを積極的に導入するように県の方にお話をしていまして、財政措置を講じております。  お話しのように、風水害のみならず、地震火山噴火などさまざまな災害対策におきまして気象庁などと密接な情報交換を行うことは大変重要なことでありまして、今後におきましても、各地方団体と地方気象台などとの連携を一層促進しまして、より地域の実情に即した防災情報というものが地方団体が入手できるように私どもとしても努力をしてまいりたいと考えております。
  48. 高橋千秋

    高橋千秋君 地方公共団体との情報の問題もそうなんですが、実は今回の雨の被害で私も体験をしたんですが、非常に一般の方の情報不足、今どのような状態になっているのかというのがさっぱりわからないというようなことが随分続きました。  今みんな携帯電話を持っているんですけれども、携帯電話で例えば知り合いのところに電話をしようと思っても、あの大雨の最中、はっきり言って全く使えない状態に陥りました。携帯を見たときに現在使えませんという表示が出てくるんですね。そうすると、普通の回線を利用しようにも、今公衆電話も非常に少なくなってきていますし、なかなかそういうのを使える状態にありませんでした。そして、先ほど長官の方から、地元の方、雨の音で聞こえなかったという声がありましたけれども、同じようなことがずっと発生しまして、結局、今自分がどういう状態に置かれているのかというのがよくわからない、そういうことになりました。  今回、私が特に体験をした携帯電話等電話網について、伺うところによると、どうもそういうことを想定してつくっているわけではないということだったんですが、やはりこれだけ普及してまいりましたので、ぜひこういう災害対策についても利用できるような状態にしていくべきではないかと思うんですが、このことについて郵政省の方からお話をいただけますでしょうか。
  49. 天野定功

    政府参考人天野定功君) 今回の東海地方におきます豪雨災害によりまして、東海四県にあります携帯電話基地局、六千三百二十七局ありますけれども、このうち百局に障害が発生しました。  けさ九時現在では一局を除きすべて復旧しておるわけでありますけれども、携帯電話の利用できなくなった原因といたしましては、一つには交換局と無線基地局を結ぶ中継回線の故障、それから長時間の商用電源の断、三番目には無線基地局の浸水、さらに通信トラフィックの集中による無線基地局設備の機能障害などが挙げられると思います。  このような障害を回避するために、電気通信事業法に基づく事業用電気通信設備規則によりまして、携帯電話事業者は、平素から中継回線の断に備えました予備ルート対策、あるいは電源設備の故障あるいは停電に備えた予備電源対策、あるいは局舎構造をしっかりしたものにする対策など技術基準が定められておりますので、それに基づいてこれを維持するように義務づけられているわけであります。  しかしながら、今回の事態は、電気通信事業者が通常想定される災害に対して対策を行ってきたわけでありますが、今回の大雨のような通常想定され得ない事態には十分対応できなかったものであろうというふうに考えております。  郵政省としましては、携帯電話が非常に普及して第二のインフラにもなりつつあるわけでありまして、このような携帯電話の安定したサービスが提供されますように、今回の災害教訓としまして、耐災害性の向上対策に関しましてさらに電気通信事業者を指導してまいる所存であります。
  50. 高橋千秋

    高橋千秋君 携帯電話の問題もそうなんですが、今回特に、私もその中に巻き込まれたんですが、交通網の問題がございました。  私は、その日の夜に東京へ来て、翌朝、参議院の共生社会調査会の派遣で北海道へ行く予定をしていたんですが、結局、羽田は行けませんでした。それから、では名古屋空港から行こうかということになりましたが、名古屋空港は飛行機は飛んでいるんですが、空港まで行けない。何で飛行機が飛んでいるのかよくわかりませんでしたが、空港までとにかく行けない。それで仕方がなく、ようやく近鉄が動き出しましたので、伊丹へ向かいました。伊丹も最終が非常に早かったので結局そこもだめで、最終、関空から北海道へ飛ばさせていただきました。  そのような状態になりまして、大変交通網がずたずたになりました。その中で特に問題だったのは、何人からも体験談を聞いたんですが、JR東海道新幹線の中で私の知り合いも二十時間缶詰になったと。東京を出るときに、もう東海地区ではかなりの雨が降っていて、もうとまるというのはわかっているのに、どんどんどんどん東京駅から発車をしてしまった。それから、新大阪の方からも、もう東海地区はかなり雨が降っているというのがわかっていながら、どんどんどんどん新幹線を発車してしまったということを伺いました。  おかげで、私の友人も、熱海を過ぎたあたりでとめられまして、結局、翌朝まで缶詰状態になった。しかし、その中で全くその状況報告がなかったということなんですね。それで、今どういう状態なのか全く報告がなかったと。そして、ようやく翌日の朝十時ぐらいにおにぎりが二個配られただけだということで、大変な憤慨をしている声を伺いました。  このこと、今後もあると思うんですけれども、やっぱり雨ですからとめなきゃいけないとは思うんですが、その予測ができたはずなのに、どんどん各駅からダイヤを優先して出してしまったことに今回の大変な問題があるんではないかなと思うんですが、この点について伺いたいと思います。これは運輸省からですか、よろしくお願いします。
  51. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 今、先生御指摘のように、九月十一日からの集中豪雨によりまして、JRに限らず十一社三十二線区で大きな輸送混乱になりました。  特に、東海道新幹線につきましては、今おっしゃいましたように、長時間にわたって途中駅、駅間に停車するということになったわけでございますが、特に東京をどんどん新幹線を出させたという点でございますけれども、JR東海によりますと、通常、集中豪雨による運転中止というのが従来であれば一、二時間で終わるという予測のもとに、一応東海道新幹線、東京から発車させるという措置をとったようでございます。  この前提としては、要するに、長時間に対する気象情報の把握ということが十分できていなかったと。特に、従来は三時間程度の気象情報の把握ということで今後の措置についていろいろ対応を考えているようでございましたが、その点について非常に問題があったということは否めないかと思います。  それから、乗客に対する情報提供についても、今お話しございましたように、通常、車掌に対しては十分置きに指令の方から情報を流すことになっておるわけでございますが、実際の現場においては、新幹線の中で乗客の対応ということを考えて、乗客の対応に忙殺されるというようなことからなかなか直接情報が乗客に伝わらなかったという事態でございます。  そういうことで、我々として、実はJR東海にも今後の対応として幾つか反省すべき点があるのではないかということで、十三日の日に担当者を呼びまして事情聴取をしました。その際にも、JR東海としては、やはり旅客に対する情報提供、あるいは気象情報の把握、さらには長時間にわたって駅間あるいは駅にとめざるを得なかったというところについては幾つかの反省すべき点があるということで、今後、我々としてもその翌日十四日付でJR東海に、今回の災害を反省点としてどういう点を改善していったらいいのか詳細に改善策を詰めてくれということで現在指示しているところでございます。
  52. 高橋千秋

    高橋千秋君 新幹線は私も含めて議員の方もしょっちゅう使われるところだと思いますけれども、やっぱりそういう乗客に対する情報提供をある程度きっちりとしていれば多少の我慢はできたのかなというふうに思います。  そして、二十四時間かかったということですね、完全復旧までに。その原因というのは、単純に、どこも崩壊したとかそういうのはなかったと思うんですが、二十四時間もかかったということの原因はどちらにあるんでしょうか。
  53. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 東海道新幹線の場合には、先ほどから出ておりますように、豪雨の状況に応じて運転を中止するということになっておりますが、時雨量五十ミリ以上の豪雨が続きますと自動的に運転中止ということになります。  そういう意味で、東海道新幹線、実は十一日の夕方から時雨量五十ミリを超えまして、雨量が継続しております関係から運転中止を解除することができなかった。翌朝になりましてやっと時雨量が落ちついてきたということもございまして解除に至りまして、その解除に至りました結果、各駅間及び駅にある列車を具体的に動かすということでその作業を始める結果、結果として長時間にわたる、二十数時間にわたる運転中止ということになったわけでございます。
  54. 高橋千秋

    高橋千秋君 新聞等で見させていただきますと、変電所が水没したというのも伺っております。大体、確かに百年に一度の大雨であったんですが、水没するようなところに変電所自体があること自体にも問題があるのかなというふうに思います。やはりそういうのはある程度予想できるわけですから、そういうところに設置をすること自体に問題があるのかなと思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。
  55. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 鉄道の変電所の設置場所でございますが、一般的には過去の浸水記録を参考にしまして用地を選定するということで、具体的には変電機器の設置高さにつきまして、過去最大の冠水位よりもさらに〇・五メートルかさ上げするということになっております。  今回の浸水しました新枇杷島変電所の機器についても同様に設置されておりましたが、変圧器が約一・二メートル浸水して送電がストップしたということでございます。ただ、通常ですとこの変電所の送電がストップした場合には両側の変電所から自動的に送電を行うシステムになっておるわけでございますが、実はこの送電を切りかえるシステム自体が浸水してしまいまして、結果として働かなかった。そのために、手動というか手作業で線をつなげるという作業を行いまして、この復旧に約二時間を要したということでございます。  そういう意味では、先ほどから言っております事情聴取の中でも、JR東海としては今回浸水した送電切りかえシステム、これをかさ上げするといったような措置を今後とりたいということで、その対応を現在検討しているところでございます。
  56. 高橋千秋

    高橋千秋君 時間がなくなってまいりましたので最後に長官にお伺いしたいんですが、今回の被害、都市部ということで住宅被害も大変多かった、それから中小企業のいわゆる製造業の下請工場も大変つかりました。その関係で、トヨタ等の工場も操業停止に追い込まれたりさまざまな被害をこうむっております。こういう方々復興していくためにはさまざまな援助が必要だと思いますし、昨日だったと思うんですが、西枇杷島町の町長さんが涙ながらの会見をして、ぜひ助けてほしいという会見もされていたと思います。  ぜひ長官の方からもその対応について改めて心意気を伺いたいなと思うのと、それからもう一つ言っておかなきゃいけないのは、大変被害の多かったのが車なんですね。車が水没しまして、もう千台以上の車が放置された状態になっています。きのうも大渋滞だったようなんですが、その辺もぜひできれば手助けをしてあげる方法がないかということを御検討いただきたいなと思いまして、最後に長官から今後の対応についてお伺いをして、終わりたいと思います。
  57. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今お話るる、先ほどからも皆さんの御検討いただいているのを聞いて、本当に私も現地をつぶさに拝見いたしまして、特に都市災害、近年の土地利用の変化によって大都市等々の状況が変わってきた、それに対応することが並行して行われているんだろうかと。先ほども、今、高橋委員もおっしゃいましたように、ふだんの連絡網はきちんとできていたのかというお話もなさいましたけれども、私は、都市の災害と、先ほど私からも申しましたように、災害時の対応というものになれていない、またどこにだれがどうするかということの連絡網も不行き届き、また、一つ電源が切れたらすべてがアウトという今の都市の現状等々もかんがみまして、先ほど建設省、国土庁あるいは郵政省等々からもお話がございましたように、各省庁の縦割りを外して災害対応するときには全省庁一緒になって対策を練っていくということが私は大きな要因であろうと思います。  先日、九月の一日、災害対策ということで国を挙げて災害対応する予防訓練をいたしましたけれども、ああいうことが平時、大都市においてもせめて連絡網だけでもどういうふうにすべきかということは地域地域の、地方自治の話ではございますけれども、国もそういうことに対して最大限の努力をし、あるいは皆さん方に通達もし、そういう今回の名古屋のような突発的な、あるいは想像を超えた雨量に対応するという、これが、不慮の災害というのは知らないときにやってくるから不慮なんでございますので、この災害というものに対応できるような、都市政策も含めて対応を検討していきたいと思っております。
  58. 高橋千秋

    高橋千秋君 ありがとうございます。  終わります。
  59. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  八月末に有珠山に対して特別委員会としては視察団を組みまして、その中でいろいろな要望を受けたわけでありますけれども激甚災害指定外の公共施設適用拡大、これを要望としてございました。また、財産、生活確保という視点で、現行の災害救助法の整備をということで拡充に当たる中身について、これも要望がございました。ぜひともこれについて積極的な検討を推し進めていただきたいと、そのように思います。  それで、二十一世紀は災害の世紀であるということで田村委員が常日ごろおっしゃっているわけでありますけれども、私も全く同意見でございまして、そういう認識にいるわけでございます。災害によって生きる糧、生きる手段を奪われてしまうと、二度と立ち上がれないと。そういった人々が増加する可能性が極めて高いんではないかなと、そう思います。それに適切に対処しなければいけない。ある種のいわゆる災害棄民ですか、民を捨てる、災害棄民のおそれがあると、被災者の中にはそう感じている人がふえていくことが十分予想されるんではなかろうかと思います。  ですから、今の制度、支援制度ですね、あるいはどのようにそういった制度を拡充していくか、それを事前に防ぐためにはどういうふうに政府対応していかなきゃいけないか、その辺のことについて、やはり先ほど長官がおっしゃったように、平時にいかなる対応をしていくかということが極めて重要であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それで、被災者生活再建支援法適用についてお伺いしたいわけでありますけれども東海地方については九月十一日付で適用されたと聞いております。ただ、全島が避難しております三宅火山噴火災害についてはいまだ適用されていない。私はこの法律の適用を急ぐべきだと考えているわけでありますけれども、いつ適用されることになるのでしょうか。この辺についてよろしくお願いいたします。
  60. 蓮実進

    政務次官蓮実進君) お答えをいたしたいと思います。  被災者生活再建支援法は一昨年、私の地元の那須で大変な水害があったわけですが、多分あれが一番最初ではないかと思っておりますが、要するに一つの市町村において全壊世帯が十以上、十ですね、十以上ある場合にはいいんですけれども、それがなければ適用されない。  そこで、三宅島に関しては噴火が現在進行中、続いております。そこでその調査ができないこともあって、現時点においてはこの要件は実はまだ満たされておりません。全壊が三棟、半壊が二棟、床上浸水が六棟ということでありますが、ただ、今後の火山地震活動泥流被害の動向次第で法の適用を満たすことになれば、その趣旨に沿って速やかに対処していきたい、そう思っております。  それからまた、東海地方を襲った、今お話しのように、豪雨災害に関しては、九月十四日現在で西枇杷島町など愛知県内の九市十二町については法の適用が決定をいたしております。
  61. 加藤修一

    加藤修一君 確かにそのとおりなんですけれども火砕流など危険な状態が六カ月間程度継続するなどそういったいわゆる居住が不可能であると、そういった場合が対象になっているわけですけれども、今の現状を考えていきますと支給の対象になるのは場合によっては六カ月以降という話になりまして、これは生活を持続的にしていくという観点から考えた場合には極めて心もとない、これでは遅い、私は何とか早く支給する措置をとらなければいけないと、このように思いますけれども、長官、どのようにお考えでしょうか。
  62. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 私も先ほど申しましたように現地を見、また三宅島に関しては全島避難皆さん方にもお会いして切実な御意見を聞いております。けれども、今、総括政務次官からお話しございましたように、少なくとも生活に必要な緊急の物品購入に充てるためということで最高の百万円を支給するというようなことも、既に今御指摘のありました被災者生活再建支援法に基づいてこれも適用しておりますけれども、正直申し上げて、三宅島の避難皆さん方は、今もらっても私たちは離れてしまってどうにもならないんだという切実な御意見もございました。  これから島に帰って三宅島の皆さん方は今後どうするかということで、改めて今おっしゃいました被災者生活再建支援法適用をいかようにするかということの災害状況がまだ決定いたしておりませんので、これに関しては今後なるべく皆さん方の、今の現行制度というものを、今の御意見、皆さん方の御要望をいかに適用していくか、またいかに活用していくかということに私どもは最大限の努力をしていきたいと思っておりますので、少なくとも今の実績あるいは災害状況等を積み重ねていって試算させていただきたいというふうに考えております。
  63. 加藤修一

    加藤修一君 三宅島の件もそうでございますけれども北海道有珠山噴火、大災害関係につきましても、先ほど事務方から説明がありましたように三百七十八名の被災者が自宅に帰ることができないという現状であるわけでありまして、そういったことで、今、長官から一世帯当たり最高百万円支給されるということでありますけれども、やはりこういったことを考えていきますと生活の再建には限界がある。そういった意味では、支給額をもっと拡充すべきではないか、早急にこういった面についての検討を私は始めるべきではないかと思いますけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
  64. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 細かいことに時間をとっては申しわけないんですけれども、今私どもが考えておりますことは、加藤委員御存じのとおり、有珠山関係分といたしましては緊急災害復旧分といたしまして御存じのとおり総額二百二億円のうちの四十三億円を既に七月二十五日の閣議で大至急でということで閣議決定をいたしました。また、緊急防災対策分としても有珠山関係分で百五十三億円というのも同じくこのときに同時にさせていただきました。また、九月十二日の閣議決定分といたしましては、三宅新島神津島、この三島におきましてかかる緊急の観測・監視体制強化ということで、先ほどおっしゃいましたように十四億円を既に九月十二日に決定したところでございます。  また、九月十九日、あすでございますけれども、閣議がございますので、あすの閣議では有珠山関係分の一億円、それから伊豆諸島関係分として九十六億円。これは、内部説明しますと、三宅島の噴火に関しては五十六億円、神津島地震に関して三十六億円、そして新島地震に関しまして二億円、トータルで九十六億円をあすの閣議で決定する予定にしておりますので、なるべくそれを緊急に皆さん方に少しでもお役に立てるようにという政府としての迅速な対応というものは心得ておりますけれども、なおかつ、今後、災害状況、御要望等々によっては考慮しなければならないと思っております。
  65. 加藤修一

    加藤修一君 私の質問は、個人の関係について、公的支援に対してアクセントを置くべきだと、そういう趣旨の質問でございまして、例えば今申し上げてきました法律の改正が必要であると、それから法律においては国が二分の一という状況になっておりますけれども、やはり国が二分の一以上の拠出をする改正が私は必要でないかなと、そう思っております。これについては答弁は要りません。  次に、住宅再建の関係でございますけれども、支援の関係でございますけれども被災者生活再建支援法の附則の第二条に自然災害によって全半壊した世帯に対する住宅再建支援について検討すべしと、そういうふうに明記されておりますけれども、これについては国土庁は早々検討しているように伺っております。  この関係につきまして、やはり住宅取得資金の助成などを措置する法制化、これが極めて重要だと思いますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  66. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 個人の補償に関しましては、今、加藤委員がおっしゃいましたとおり、国土庁の中におきましては被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会、これを設置しておりまして、公的支援あるいは住宅の共済制度を含めてこれは必要ではないかというのを今この委員会で議論していただいているところでございます。そしてまた他方、皆さん御存じのとおり、超党派の議員で構成されます自然災害から国民を守る国会議員の会というものも皆さん超党派でおつくりをいただきました。また、被災者住宅再建促進小委員会というものも、国あるいは都道府県及び市町村が毎年千六百億円負担してという、そういう案も既にこの委員会では出ております。  そういう意味で、私どもとしましても国土庁に設置しておりますこの検討委員会、また超党派でおつくりいただきました委員会、小委員会等々を含めまして、今後多くの委員会での御検討を踏まえて私どもは連絡をとりながら対処していきたいと思っております。
  67. 加藤修一

    加藤修一君 ところで、建設省にちょっと確認したいわけでありますけれども建設省にはがけ地近接等危険住宅移転事業というのがあるわけですけれども、この目的は、災害の未然防止を図るため、がけ地の崩壊等による自然災害のおそれの高い土地から居住者自身の自助努力による住宅の移転を支援し、国民の生命の安全を確保するということで、補助率二分の一、最高七百八万円ということなんですけれども、これは実際にある制度ですね。手短にお願いします。
  68. 三沢真

    政府参考人三沢真君) がけ地近接等危険住宅移転事業でございますが、ただいま先生おっしゃいましたような趣旨に基づきまして、現在、建築基準法第三十九条に基づきまして公共団体が条例で災害危険区域という区域を指定いたします。そういう区域を対象として区域を指定されました際に、既に存在していた住宅であって条例で追加された規制の……
  69. 加藤修一

    加藤修一君 時間がないから、済みませんが、あるかないかで。ありますか、ありませんか。
  70. 三沢真

    政府参考人三沢真君) あります。
  71. 加藤修一

    加藤修一君 これは災害の未然防止についての話なんですけれども、先ほど来から私は国土庁が持っている法律について伺ってまいりましたけれども、あるいはそれにかかわる検討会をやっているということですけれども、住宅再建の補助は全く考えられていないと。要するに、未然防止については建設省でありますけれども考えていると。自助努力による住宅の移転ですよね。一方、国土庁については、先ほどの法律の関係では自助努力はもうない状態なわけですね、被災者は。  そういったことに対して、こういった面での対応がまだ考えられていないということについて私は不備でないかというふうに理解しておりますけれども、やはり私はこの被災者生活再建支援法を大幅に改正して、いわゆる生活支援の拡充を初め住宅再建にかかわる支援、資金補助を、個人への公的資金という意味合いになりますけれども、図るべきだと、私はこのように考えますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  72. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今おっしゃいますように、本当に真に災害援助になるのか、あるいは先生が今おっしゃっておりますように、被災者生活再建支援法適用することが可能かどうかという件に関しましては、先ほど私が申しましたように自然災害から国民を守る国会議員の会、被災者住宅再建促進小委員会、こんなことをつくっていただいて、超党派でできていることですから、私はそれに関してはぜひその超党派でつくっていただいたところ、それから国土庁の中の委員会で改正すべきである、あるいはこれに手を加えるべきであるという御意見が出れば、それを尊重させていただきたいと思っております。
  73. 加藤修一

    加藤修一君 それは政府が主体的に対応すべき話だと私は思います。  それで、防災局長にお聞きしたいわけですけれども平成四年度国土庁委託調査で初動期災害対策に関する調査報告書というのが財団法人の都市防災研究所で行っておりますけれども、その中の「第五章 まとめ」の中で自然災害と個人被害について言っております。自然災害による個人被害については、公的補償になじむものではなく、個人みずからの自助努力によるべきものであるという話があって、「さて、」と、次の段階が極めて重要だと私は思っていますけれども、「さて、大規模長期災害については、被災者が、避難生活の長期継続により、生活・生業の確保について極めて厳しい状況に置かれ、いわゆる自助努力の基礎が失われている状況にあって、それを放置することが著しく公益に反するため、行政等による支援の充実が必要とされる客観的状況がある場合について、種々の検討がなされる必要がある。」というふうにこのレポートではなっているわけですよね。これは国土庁のそうそうたるメンバーも入っているわけでありまして、公的な文書でありまして、検査を通った文書であるわけですよね。だから、私は、そういうところについてはやはり明確に法律を大きく改正してやるべき問題であると、議連の問題ではないと、そう思います。
  74. 吉井一弥

    政府参考人吉井一弥君) 住宅再建の問題につきましては、先ほど来お話が出ております被災者生活再建支援法の制定の段階でいろいろ議論にもなりまして、附則でその点については今後総合的な見地から検討するということになっておるわけでございまして、現在、先ほど長官から申し上げましたとおり、国土庁にも検討委員会をつくりまして検討いたしておるところでございます。  ただ、被災者生活再建支援法につきましては、基本的には各都道府県が基金を拠出いたしまして、その運用果実で被災者生活再建支援を行う、それに対しまして国が二分の一の補助を行うというスキームになっているわけでございまして、そのあり方につきましてはまた全国知事会等関係の方面といろいろ御相談していかなければならないんじゃないかと考えております。  先ほど申しました国土庁の検討委員会では種々議論がなされておりまして、取りまとめ、若干おくれておりますが、鋭意取りまとめていただくよう今検討しているところでございます。
  75. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いします。  以上です。
  76. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  今回の東海豪雨では、まだ水がついておりますところを長官にヘリコプターから視察していただきまして、愛知県下で言いますと二十一市町村には災害救助法適用されたわけであります。  まず厚生省に伺いたいと思いますが、私、現地被災者皆さん、また水の中で救援活動もさせていただいたんですが、非常に重大な問題がたくさんありました。  例えば、町全体が冠水しました西枇杷島町なんですけれども避難所に食料の備蓄が少ない、食料が行き渡りませんで、古城小学校で言いますと、大人でもビスケットが一日約二枚ぐらいで、妊婦さんに子供が自分の食べるのを差し上げていた状況があったとか、あるいは西枇杷島小学校というところも、ここは乾パンが三枚だったんですね。ほかの避難所でも毛布が一人一枚は行き渡らなくて、段ボールがあればいいというような避難所も実際にあって、教室の中とか廊下にそのまま休まれるという事態がありまして、大雨の情報や決壊した堤防の様子さえわからないということですね。愛知県下二十一自治体が災害救助法で、八つの川が決壊をして、溢水はもっとたくさんの状況ですね。  ですから、県や自治体任せでなくて、実態をきちんとつかんで、そして食料とか水とか被服を確実に届ける手だて、救助法ですから救助をしてもらわなくちゃいけないと思いますが、そういう手だてについてはどうだったんでしょうか。
  77. 炭谷茂

    政府参考人炭谷茂君) 今回の災害におきましては河川のはんらんによる急激な増水という事情がございまして、地域防災計画予定いたしておりました避難所が一部使えないと、特定の避難所に想定外、二倍から三倍の方々避難されたという事情もございます。また、周辺地域の水没により、避難所への食料の輸送がなかなかスムーズにいかなかったというような事情がございまして、当初、先生が御指摘なさいましたように、食料等が避難全員に対して十分に行き届かなかったという事情がございます。  このような状況の中で、地元の地方自治体におかれましては、状況の落ちついた二日目以降からは、十分とは必ずしも言えないとは思いますけれども、おにぎりや弁当、毛布、タオル、衣料等の日用製品について給与を開始されたというふうに報告を受けているわけでございます。  厚生省といたしましては、水や食料品等が十分に届かなかった点について今回の対応を検証いたしまして、将来同様の災害が生じた際に、より的確かつ迅速な救助の実施ができるよう研究をしてまいりたいというふうに考えております。
  78. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 こういう事態、将来研究というふうに言われるんですけれども、本当にきちんとしていただきたいというふうに思います。  今回の場合、どこも着のみ着のままで避難をされた方というのが非常に多いわけです。ですから、お金も持って出ない。家財道具なんかは、ひどいところでは三メートルぐらい水が来ましたので、すべて電気製品なんかでも部屋の中でひっくり返っているとか、流木の来たところはもっとひどくなっているんですけれども、そういう中で支給されたのがよくて毛布一枚だけというのは、本当にこれで救助法が発動されて、適用されているんだろうかというのを私自身も実感として思ってきました。  あるおばあちゃんは、ボランティアの人が、私も行ったんですけれども、ぬれた畳に座ったまんまで、家具も電気製品も全部だめなんですけれども、これを捨てちゃうともう買えないから、見舞金もすぐ県から出るという話を聞いたけれども、畳二枚ぐらいしか買えないからこのままでいいって、こうぬれた畳の上に座って放心したようにしていらっしゃるんですよね。  だから、今すぐ必要な生活物資をどうするのか。災害救助法では、避難所仮設住宅でそういうものを備えるというのがあるんですが、公営住宅や民間住宅の空き家も含めて仮設所のような対応をして、布団とか冷蔵庫とか生活必需品の貸与とか供与が緊急に必要だと思われるんですけれども、いかがでしょう。
  79. 炭谷茂

    政府参考人炭谷茂君) 今回の災害で一時的に居住できない人に対しましては、現在、避難所を設置しておるところでございますが、これが長期にわたるという場合もあろうと思います。こういう場合は、公営住宅のあっせんをしていくということになろうかと思います。  今回の災害で住居を失った方々については、県と被災市町との間でこれらの方々についての恒久的な住宅対策をこれから検討するというふうに聞いております。  また、災害救助法におきましては、生活用品が水没で使えなくなり生活用品の確保が困難になられた方々については、炊飯器、食器、被服、寝具等、最低限の生活必需品の給与等を行うことといたしております。  また、先生御指摘されました大型の家庭の電気製品、例えば冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの問題につきましては、これは少し災害救助法のような応急的な救助では対象というのはいかがかというふうに考えておりまして、むしろこれについては災害援護資金貸付金の制度や被災者生活再建支援金の支給等によって対応をすべきものと考えております。
  80. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 先ほど来お話があったその法律では、やっぱり年齢制限とか所得制限とかいろいろあってすぐにはほとんどの方が使えないわけですよね。ですから、私は、地方自治体にもきちんと援助をしながら、マンションの一階でも住めるようにするには二カ月ぐらいはかかる、その当面が困りますので、現物とか資金で、生活が少なくとも当面できるようにぜひしていただきたいと思うんです。  それだけでなく、消防庁に防災計画、先ほども避難所計画の二倍ぐらいの人が来たというふうにも厚生省が言っておりますけれども、西枇杷島町というのは役場の一階が水没しました。一階に防災無線があったんですね。ですから、防災無線が使えなくなって災害対応に重大な障害をつくったわけでして、避難した人も安全だと思って行ったら、見る見る水がついてきて孤立をした。避難所そのものの電気が消えたり、水が来なかったり、トイレまで使えなかったところもあったわけです。それよりも、聞こえなくて、消防車が避難してくださいとここは言ったんですけれども、天白でもそうですけれども避難することを全然知らなくて家にいて、ひどい方は天井裏でずっと朝まで待っていたという方があるんですけれども、そういう方には自分の家だからということで食事も水も届かなかったわけなんですね。  さらに、洪水ハザードマップも公表されていないので、自分たちの地域が、江戸時代から住んでいる人は洪水があるというのは知っているかもしれませんが、新住民が多いものですから全く知らない方が大半だったんですね。  ですから、こういう地域防災計画そのものを早急に点検して見直す、実際に住民の安全を守り命を守ることができるように見直すべきだと思いますが、どうなっているでしょうか。
  81. 鈴木正明

    政府参考人鈴木正明君) 地域防災計画についてでございますが、これまでも、例えば降雨量などに応じた具体的かつ適切な警戒あるいは避難基準というものを設定する、計画の中にきちんと書くということで、地域に即したより具体的かつ役に立つ実践的なものにするように見直しをするということを地方団体に要請してきているところでございます。  お話の災害危険箇所などにつきましては、最近は特に過去に災害発生していない地域でも風水害による被害発生している事例が見られますので、災害履歴がない地域も含めて、その後の土地利用状況の変化とか、あるいは最近の降雨状況ども勘案して、再度再点検をして地域防災計画にきちっと明示するというふうに要請をいたしておりますし、災害危険地域を住民方々に周知徹底することが大事でございますので、その点も地方団体の方に要請をいたしております。  また、ことしの六月には都道府県あるいは政令指定都市の防災責任者に集まっていただきまして、そこに関係省庁ともども私からもこの点について要請をいたしております。  消防庁としては、今回の災害教訓というものも踏まえながら、地方団体に対しまして、地域防災計画が実効性のあるものになるよう、また災害危険箇所が周知徹底されますよう、適切な情報提供が行われるように今後とも一層努力をしてまいりたいと考えております。
  82. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 災害のときに全く役に立たなかったことが、いろいろな悪条件、ポンプ場に水が入ったとか無線が水没したとか、それから備蓄の毛布や食料が水没したとか、それはそれぞれ個々には思いがけないことでそうなったと言うんですけれども、重なってもう全く役に立たないというのが今回の皆さんの悲痛な声で、愛知県下では洪水のハザードマップを住民に公表しているのは豊橋市さんだけで、あとはどこもないんですよね。だから、こんな危険なことが、それは無論抜本的に見直して指導もしていただきたいんですけれども、そういう御認識を、責任をきちんと自覚していただきたいと思うんですね。  現地ではもう本当に聞けば聞くほど唖然とすることばかりで、三メートルもついた名古屋の天白区では避難勧告も出なかったんです。ここでは、私も伺ったんですが、七十七歳の女性が水が引いてから死体で見つかったというところもありますし、寝ていて布団が浮いてきたのでびっくりして一体なんだろうと思って起きたら、水害であっという間に水が来たというようなことも皆さんおっしゃっていました。  西枇杷島では新川が決壊しましたけれども避難命令を夜中に出したから、決壊は三時半ぐらいだったものですから、また出すと混乱が起こるんだとか言って住民に決壊を知らせなかったんですよね。しかもその時間帯というのは、みんなが呼びかけ合ってこうずっと言っているものですから、実際に外を歩いている人もいたわけで、本当に町民は大変な危険にさらされたというふうに思うんですが、私、長官にこの防災行政のあり方がこういうようなのは問われているというふうに思いますが、どうですか。
  83. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 先ほどから皆さんの御議論にお答えしておりますように、少なくとも災害を最小限に抑えるために、先ほどからの気象情報、そして地域の伝達方法、また河川情報、そういうものをいかに早く知り得るかというのが私は勝負であろうと思います。  特に、私、名古屋へ行きまして、今、八田委員がおっしゃいましたように、一番反省する点といいますのは、避難所に、学校に行った皆さんの中に災害弱者がいたということでございまして、その災害弱者のお年寄りが、船で、ゴムボートでお弁当をみんなとりに行ったんですけれども、その災害弱者の皆さんはゴムボートに乗ることもできないで、体が動かないという方がいらしたということで、私は、避難所災害弱者の皆さん方にも行き届いた食料の配給等々が行き渡るように、こういうこともふだんから地方自治体できちんと連携をしていかなきゃいけないなと、そういうふうに思っておりますし、今後の反省材料としましては、今、八田委員がおっしゃったように、避難命令発令あるいは伝達方法等々に関して、少なくともこれらの教訓を生かして、今後再びこういうことに対処でき得る地方自治体の体制というものを国と一体になってやっていこうというふうに反省もし、教訓も受けております。
  84. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 時間がありませんので、実は中小企業庁に、中小企業に少なくとも実質的な無利子になるような制度も考えていただきたいというので長官にもお願いしたいと思います。個人補償なども含めて。  この地域では、長良川の河口堰事業とか、万博や空港では大変公共事業にお金を使われているんです。しかし、今回でも堤防工事の未整備があったのは明白ですので、やはり住民の安全に欠かせない対策をとってこなかった行政の責任は重大だと思いますし、無計画な乱開発そのものも改めていただきたいということを最後に指摘をして、質問を終わります。
  85. 梶原敬義

    梶原敬義君 素朴な質問をいたします。  去る十一日の東海地方の豪雨によりまして名古屋市西区新川の左岸堤防が決壊したことについて、どうしてあの場所が百メーター決壊をしたのか、なぜあの場所だったのか、まずそこからお尋ねしたいと思います。
  86. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 新川の左岸十六キロ地点におきまして十二日の午前三時三十分に決壊いたしました。  決壊する以前、降雨状況はどのようなことかと申しますと、二十四時間前から降り始めておりまして、愛知県春日井の雨量観測局では決壊するまでに約四百七十ミリの雨が降っておりました。このため、堤防全体がもう既に雨のため湿潤状態になっていたものと考えられます。さらに、深夜のことで大変確認しにくいんですが、その決壊した瞬間には新川全体にわたりまして洪水が堤防いっぱいに流れておりまして、新川のどの地点が決壊してもおかしくない状態となっていた模様でございます。  決壊の原因は、このようなことから長期の雨と新川の大量な洪水、これが原因と考えられます。
  87. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。  ただ、なぜあの場所だったのかという素朴な疑問が残るんです。そこら辺は。
  88. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) あの決壊した地点は堤防が完成しておりまして、過去の洪水でも特段の異状が見出せなかった箇所でございます。  先ほど申しましたように、新川のどの地点が決壊してもおかしくない状況でございまして、あの地点が決壊するということを事前に特定することは私ども不可能だったと考えております。
  89. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうだと思いますけれども、今考えてみますと、我々の地方においても堤防がありまして、歴史的に見ても壊れそうな地域というのはあるわけですね。だから、今後の課題といたしまして、五十ミリを超えたらどの辺の堤防が水が突き当たるとか、危ないとか危なくないとか、そういうマップというのか、そういうことがこれは非常に大事じゃないかと思うんです。  ただ、やっぱりここが切れたということは、流れの当たるところとか何かそういう、ほかのもっと上が切れるかもっと下が切れるかというものもあり得るわけですが、なぜここが切れたのか、あるいはそこが何か日ごろからちょっと弱い地域だったのか、そんなことが言えるのか言えないのか、重ねて。
  90. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 河川の水防という、洪水時に地域の方々河川に出てきていただきまして私ども一緒に堤防を守る行為、水防がございますが、その水防するところは、私ども事前に、過去に大きな水害があったとかモグラの穴で水が噴いたとか、またはちょっとした雨でのり崩れが起きたとか、さまざまな実は洪水以前に兆候がございます。兆候を私どもは丁寧に丁寧にそれを見て、そういう危ないところを重要水防箇所、特に危険な箇所を重要水防箇所として私ども建設省河川管理者、一級河川河川管理者は建設省でございます。または、地方の二級河川等は県が河川管理者でございますが、そのような重要な水防箇所は水防管理団体、これは各市町村長でございますが、水防管理団体に周知して、河川管理者の日々の、日常の点検と、いざというときのその地域の水防団の方々の水防活動によってその堤防の破壊を免れているというのが現在の堤防の安全の水準だということでございます。
  91. 梶原敬義

    梶原敬義君 なぜあそこが切れたのかというのは、今後の課題といいますか、後日でも少し落ちついて研究の余地があるのかないのか、ぜひ検討をしていただきたいと思います。  それから、先ほど言いましたように、地方に行きますと、堤防は確かにありますが、五十ミリに時間降雨量を設定した場合とかあるいは百ミリに設定した場合に、堤防、いろいろあると思うんだけれども、例えば五十ミリに堤防を設定してつくっているなら、テレビやラジオを聞いておりまして、その地方はもう五十ミリを超えたというなら自動的に地域住民避難をしてもらうようなシステム、何かそんなものが、ある日突然寝ていて切れて水が来たというよりは、そういうのが各県、地方の皆さんにも相談をして指導して、これは気をつけた方がいいとか悪いとかというのは市民はわからぬわけです、その辺は。この堤防は五十ミリに耐えるのか百ミリに耐えるのかわかりませんから、ひとつ何とか対応を、もうできているものか、これからするものか。
  92. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私ども河川で人々の安全を守るというときに、気象庁と協力して洪水予報の注意報、警報等を出すということが法律的に決まっております。それは、水防法第十条というところに決まっております。  ちなみに、今回の庄内川におきましても、九月十一日の二十時四十分の注意報から始まりまして十二日十七時三十分の解除するまでの間、十数回の注意報、警報等の情報を出しております。情報を私ども出していますが、各個人の寝ている方々にどうやってそれが届いているのか、または届かせるべきなのかというところに関しましては、実はこれからまだまだ工夫の余地があるかと思っております。  特に、従来、水防法ができたときには現在のような情報のツールは考えられておりませんでした。ラジオ等しか考えられてなかった時代でございますので、新しい時代の情報システムの中でどのような情報を私どもどのような形で国民に出していくのかということが実はこれから大きなテーマだと認識しております。その件に向かいまして、私ども去年からその件に関しては十分検討していますし、これからもやっていかなきゃいけないと考えております。
  93. 梶原敬義

    梶原敬義君 先ほど何か国土庁長官が治にあって乱を思うというような……
  94. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 乱を忘れず。
  95. 梶原敬義

    梶原敬義君 忘れずか。要するに、普通の状態のときに川はそんなにはんらんするとはだれも思っていないけれども、五十ミリを超したら危ないぞと地域住民が知らないんですね。堤防があるその横に住んでいる人たちは、堤防のところに住んでいる人たちは、これは何ミリに耐える堤防かどうかというのは、安心し切っているんでしょうね。だから、もう五十ミリ超えて百ミリ近くなったら早くどこかへ移った方がいいとか悪いとかというのを日ごろからわかっておれば、これは随分命も落とさぬで済むようなことが多いと思うので、ぜひその辺を地域住民に、プラス・マイナスあると思うんですが、日ごろから知ってもらうようなことが大事ではないでしょうか。
  96. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、梶原委員のおっしゃるとおりでございまして、これには私たち少なくとも防災という観念から考えまして三つ考えております。  それは、まず自助ということでございます。みずから自分たちを、少なくとも自助というのが、最大限自分たちの置かれているところがどうなのかという現状把握。それから、その次は公助でございます。公に助ける。自助、公助。そして最後が共助、ともに助けると。私は、災害に関しては少なくともこの三原則、自助、公助、共助というこの三原則で私ども対応していかなきゃいけない。  国が全部見られるわけでもない。けれども、今おっしゃったような最低限の防災のためには、私は、少なくとも日ごろから先ほど申しましたように皆さん方がこういうときにはこうするべきであるという自助、自分で少なくとも最低限は、三十分、三時間はもつよというような観念も御理解いただき、そして公助、共助という、少なくともその三原則に私ども基づいて今後対策を練り、また周知徹底をしていきたいというふうに考えております。
  97. 梶原敬義

    梶原敬義君 終わります。
  98. 岩本荘太

    岩本荘太君 無所属の会の岩本でございます。  私も梶原委員に引き続き素朴な質問をさせていただきたいんですが、まずその前に、有珠山、先日私も調査に参加させていただきまして、地元方々、自治体の首長さん、大変御苦労されているわけでございまして、いろんな御要望をいただきました。ぜひともこれはかなえていただきたいな、国ができることはかなえてあげていただきたいなと思っております。特に、自治体でやっぱり必要であるけれどもなかなか公的な助成のされないような支出が多かったと、そういうものに対しての要望がございましたので、きょうは自治省の方はおられないと思いますけれども、ぜひとも災害の統括として国土庁の方でその辺をお酌み取りいただきたいなと思っております。  有珠山を初めとして、私は有珠山の質問じゃないんですけれども、先ほどもちょっと質問出ましたが、最近非常に災害が多いじゃないかと。私自身もそんな実感がして、これは調べたわけでないので、実感というだけで本当かどうかわからないんですが、何しろ多い感じがします。それは社会不安が災害を引き起こしているんだとまでは言いませんが、災害になれば社会不安が募るのは当然でございますから、それに対する適切な対応はぜひともお願いしたいと。新聞報道の限りでございますけれども大臣は東奔西走の御活躍をされております。頑張っておられますことには、これは大変結構なことであると。人心の安定といいましょうか、人心を安らかしめるということに大変役立っていると思っております。  と同時に、先ほど大臣言われました治にあって乱を忘れずですか、平たく言えば、平時に何をなすべきかということを言われておりまして、まさにそのとおりだろうと思っております。平時にやはり防災体制のチェックといいますか、今どうなっているのかなということを常に注意をしなくちゃいけない。訓練ばかりでなくて、自然環境、社会環境、そういうものをすべてあわせたチェックが必要なんではないのかなという気がいたします。  そういう意味で、何点か私が疑問に思いますのは、疑問といいますか私自身の疑問点として持っておりますのが、これだけいろいろ災害を防ぐいろんな設備なり投資なりをしていながら同じような災害がなぜ起こるのかということでございまして、それを自然現象といいますか、気象の問題で考えてみますと、どうも最近何か雨の降り方が随分変わったんじゃないか。東京でも今までなかったような集中豪雨があって、熱帯地方に近づいたんじゃないかというようなお話もございますし、さきの東海の雨にしましても一日五百ミリという非常に異常な状況であるわけで、国民の皆さん、一つの不安として、本当に気象状況が熱帯型、あえて地球温暖化と結びつけるつもりはございませんけれども、何らかそういう変化があるんじゃないかというような疑問を持っておると思うんですが、その辺、気象庁としてはどういう御見解か、ちょっとお知らせを願いたいと思います。
  99. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) お答えいたします。  今回の東海地方を中心にした集中豪雨でございますが、これは名古屋地方気象台が開闢以来の記録でございまして、異常気象と言うことができます。  気象庁では、過去の平均的な気象状態から大きくかけ離れた気象現象があらわれた場合、これは統計的に三十年間の平均から一定の値がかけ離れたものを異常気象と呼んでいるわけですが、今回の名古屋東海地方を中心とした気候については異常気象であるというふうに考えてございます。  ただ、先生御指摘のように、いわゆる温暖化の兆候だとか、そういうことによってこの現象が起きたかどうかは科学的に実はまだ不解明でございまして、我が国の平均気温がこの百年の間に平均的に約一度上昇しているのは確かでございます。一般的に温暖化が進めば我が国の場合には高温になる、あるいは多雨になるということが言われているわけでございますが、それが科学的に十分因果関係がまだ詰められているという段階ではないということだけは御報告してもいいかと思います。
  100. 岩本荘太

    岩本荘太君 私がこういうことをお聞きするのは、やはり自然環境が変わったら災害対策も変えなきゃいかぬという観点からでございまして、そういう意味で研究をよくしていただきたいなとお願いをする次第です。  そこで、今回の名古屋、今言われましたが、過去に記録がなかったということでございますけれども、これは大体何年に一度ぐらいの確率の雨というふうに御認識されておりますか。
  101. 山本孝二

    政府参考人山本孝二君) 記録的には名古屋気象台が観測を開始して以来初めてでございますので百十年でございますが、再現確率という統計手法で私どもが計算した結果で申しますと、例えば日降水量四百二十八ミリという数字でございますと、再現的には三百年に一度程度の大きな降水があったというのは、これは統計学的な見地からの結果でございます。
  102. 岩本荘太

    岩本荘太君 実は、レクをしている際に、確率を言えるのかと言ったら言えないという御返事があったので、今、僕はきょうはあえてお聞きしたんですけれども、今言われた百十年の記録があるから百十年に一度ということは、これは気象庁長官としてはちょっと言い過ぎな気がいたします。やはり建設省にしたって確率を考えて計算してきちっとそれでやっていると思いますので、その点はよく御理解をいただきたいなと思います。  私は、もし確率計算ができないとすれば、建設省がなぜ百年に一度とかなんとかという数字を出しているのかという御質問をしようかと思ったんですけれども、今気象庁はそういうのは出るわけですな。出るから、それはその辺で建設省との整合性はとれているということだろうと思いますので、その辺はそういうふうに理解させてもらって、その点、通告したかもしれませんが、建設省にはそれはお聞きしない。  これ通告はしてないんですけれども、先ほど例えば百年に一度だけれども今は数年に一度だと、今の整備水準は数年に一度だと。それが非常に僕は重要なことだと思うんですね。梶原先生の御質問と似ていると思うんですけれども、本当にそこに住む人は知らないわけですよね。だから、先ほど大臣が言われた災害に対する自助、要するに自分でもしっかりやらなきゃいかぬ、これは確かにそうですけれども、情報が与えられなければ自分で何もできないんですよ。だから、それは、いや、大臣じゃない、それはしっかりとそういうものを与えなきゃいけない。したがって、その辺に私は、河川局と住宅局とのあれがあるかもしれませんけれども、要するに、河川局が例えば百年に一度の計画は持っているけれども、数年に一度の今現状ですよということが都市計画に反映されているかどうか、その辺の問題が非常にあると思うんですけれども、もしお答えできればお願いします。
  103. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 私どもは、災害は常に過去のデータしか持っておりません。過去のデータでもって未来を予測するという制約がございます。そういう意味で、確率論を出さざるを得ないという大変わかりにくい世界に何となく私ども落ち込んでいるように思われて、大変恐縮でございますがそのような手法しかないということをまず御了解ください。  そして、私ども災害対策と住宅、都市の関係でございますが、十分まだ安全性が保たれていない、堤防が保たれていないということから、安全な都市をつくろうということで、現在、都市づくりの中で洪水にタフな強い町づくりをしようということで、例えば今回問題になった新川の流域の中では二十六の調整池、雨量の浸透のための施設をつくってございます。これは何かと申しますと、小学校のグラウンドを雨の降ったときは使わないわけですからそこに水をためて、小中学校のグラウンドに水をためて川に出さないという施設を二十六カ所も既に新川流域でつくってございます。その容量は五万二千トンでございます。約二十八億円の事業費を投入して、川の事業だけではなくて都市の中のタフな水害に強い町づくりということを私どもと住宅局、都市局、力を合わせてやって実施している現状にございます。
  104. 岩本荘太

    岩本荘太君 そういう御努力は多といたしますが、例えば、今何トンと言われましたか、五万トン、二十八億ですか、そういう数字はそれは大変御努力の一つの結果としてお聞きしますが、要するにそこに住まれる方はそれじゃ極端に言えばどうでもいいわけですよね。  要するに、自分らがどういうときにどういうふうにして対応しなきゃいけないか。繰り返しますが、自助をしっかりと発揮するにはやはり情報がしっかりしなきゃ発揮できない。だから、その辺を河川局は河川局でお考えになる、住宅局は住宅局でお考えになるということでなくて、それを一緒になって考えなきゃいけないなと。  ちょっと余談になりますけれども、去年のあの不知火の災害のときも、私は明らかにあれは堤防をつくった側とそれから公営住宅をつくった側の連絡のミスだと思っているんですよ。  もう時間がありませんから、まだたくさん通告したことはありますけれども、今、委員長の目が時間のないことを知らせておりますので、もともと私はこれは時間がないと思っていました。したがって、また決算委員会等、別の機会に質問させていただきます。  それともう一つは新聞に出ておりました舗装面積の拡大、これも非常に状況を変えている。これは前から建設省に質問していることですけれども、それから大臣に今の御質問を通告しておきましたけれども、大変失礼で、もう時間がありませんので、この点は次の別の委員会で機会をとらえてやらせていただきたいと思っております、この委員会があればまたやらせていただきますけれども。  そういうことで、以上で質問を終わらせていただきます。
  105. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会