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2000-09-05 第149回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年九月五日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  九月四日     辞任         補欠選任      朝日 俊弘君     松崎 俊久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 月原 茂皓君                 南野知惠子君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君     委 員                 岩城 光英君                 加納 時男君                 佐々木知子君                 中島 啓雄君                 中原  爽君                 松田 岩夫君                 郡司  彰君                 佐藤 泰介君                 菅川 健二君                 高嶋 良充君                 松崎 俊久君                 海野 義孝君                 大森 礼子君                 福本 潤一君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 田  英夫君                 福島 瑞穂君                 岩本 荘太君    国務大臣        厚生大臣     津島 雄二君        労働大臣     吉川 芳男君    政務次官        法務政務次官   上田  勇君        外務政務次官   荒木 清寛君        厚生政務次官   福島  豊君        労働政務次官   釜本 邦茂君    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      上田 正文君        文部省教育助成        局長       矢野 重典君        文部省高等教育        局長       工藤 智規君        厚生大臣官房審        議官       吉武 民樹君        厚生省健康政策        局長       伊藤 雅治君        厚生省保健医療        局長       篠崎 英夫君        厚生省生活衛生        局長       西本  至君        厚生省医薬安全        局長       丸田 和夫君        厚生省保険局長  近藤純五郎君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        社会保険庁次長  高尾 佳巳君        労働大臣官房政        策調査部長    松崎  朗君        労働省労働基準        局長       野寺 康幸君        労働省女性局長  藤井 龍子君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   関本 匡邦君        会計検査院事務        総局第五局長   諸田 敏朗君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      尾崎  護君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十年度一般会計歳入歳出決算平成十年度  特別会計歳入歳出決算平成十年度国税収納金  整理資金受払計算書平成十年度政府関係機関  決算書(第百四十七回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十七回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十七回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八月三十日、中島眞人君が委員を辞任され、その補欠として亀谷博昭君が選任されました。  また、昨四日、朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として松崎俊久君が選任されました。     ─────────────
  3. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 平成十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、厚生省並び労働省及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記をとめてください。    〔速記中止
  6. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 松田岩夫

    松田岩夫君 おはようございます。自由民主党の松田岩夫でございます。  まず最初に、少子化の問題についてお伺いしたいと思います。  御案内のとおり、我が国合計特殊出生率は五〇年ごろには四・三ほどもありましたが、その後低下の一途をたどって、今では、昨年は一・三四になってしまいました。人口を増減しない状態に保つのに必要な水準、すなわち人口置換水準二・〇八を大きく下回ってしまいました。  厚生省国立社会保障人口問題研究所の九七年推計中位推計によれば、日本人口は二〇〇七年ごろにピークを迎え、百年後にはほぼ半分になるという見通しであります。そして、仮にこの出生率がこのまま続くとすれば、千年後には百万分の一、つまり百人ほどになる、生物学的には絶滅の危機に瀕すると。別に空想小説スリラー物シナリオをしゃべっているわけじゃありませんけれども、これほどに低い出生率。つまり、そのまま行くと千年後には日本人が地球上から消滅してしまう、こういうわけでありますが、私はこれはとてつもなくどでかい問題である、極めて厳しい問題である、こういうふうに思う一人であります。  この出生率、どんなふうにお考えなのか、まず最初に、人口問題の所管大臣と言っていいんではないかと思いますが、厚生大臣の御所見を承ります。
  9. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 私がちょうど十年前に同じく厚生大臣をやっておりましたときに、その前の年、つまり平成元年合計特殊出生率が一・五七となったと。これは、それまでに格別に出生率が低かったのがひのえうまの年の一・五八でございました。それをすらも下回ったということで大変にこの一・五七ショックというものが話題になったわけであります。  自来、出生率の動向についていろいろな議論がございましたけれども、例えば人口問題研究所においてもいずれ戻ってくるであろうというお考えがあったと思っておりますが、その後ずっと下がり続けて一・三四まで来てしまったということは、本当に委員指摘のとおり大変に深刻な問題であると思っております。  ただ、出生率というものは短期的と申しますか、ある程度変動するものでございますから、今、委員が御指摘になったようなシナリオがそのまま続くかどうかというのはこれからの客観状況変化、それから政策のあり方にもよると思います。  この背景にございますのは、やっぱり一番大きく響いているのは我が国における晩婚化の進行によるものであるというのが識者が指摘をしているところでございますけれども、これから日本社会がどういうふうになっていくのかということは注目していかなければならないと思います。  いずれにいたしましても、少子化が急速に進んでまいりますと、社会を支える働き手が減少する、市場規模が縮小するという、我が国社会経済に大きな影響を与えることはもう申し上げるまでもないところでございます。  そこで、政府といたしましても、昨年末に少子化対策推進基本方針、そしてまた新エンゼルプランを策定いたしまして、今年度から保育雇用教育、住宅などの各分野にわたる少子化対策充実、さらには児童手当の拡充を実施しているところでございまして、今後とも総合的、継続的な少子化対策に熱心に取り組まなければならない、かように思っておるところでございます。
  10. 松田岩夫

    松田岩夫君 何か発音が不明確ですよ、発音委員長松田とはっきり言ってください。  今、大臣おっしゃるとおり、出生率が下がればといいますか、こんな低い状態が続けば、社会にあるいは経済に、日本全体に大変いろいろな問題を引き起こしますし、一方、出生率回復すれば、社会活性化にしろ、いろいろな問題にしろ、解決は一遍に様子を変えます。  そういう意味では、私はどうしてもこの出生率回復というものを強く望む者の一人であります。もちろん、出生率回復を強く望むと言うと戦争中の産めよふやせよなんというイメージをすぐ思い浮かべる方もあるかもしれませんが、今日は別にそんなものを思い浮かべる必要はないわけで、まともな人口政策、まともな家族政策というものをしっかりやっていくことだと思うのでありますけれども。  その政策を、これから時間があれば少し議論したいわけでありますが、その前に、そもそも大臣一体何もないんですか、思いは、どこまで戻したいとか、おおよそのめどとか。人口が減らないという意味では人口置換水準まで戻す、これはごく常識的な話だと思うんですが、これすらとてつもなく現実的ではないような感じもしないではない。一体政府としてはどんな目標を、目標と言うと言い過ぎかもしれませんが、どんな思いをこの出生率についてお持ちなのか、もう少しお話しいただけるとありがたいんですが、今まで余り聞いたことがないものですから。しかし、何もなくて、ただ育児対策だとかいろいろ言っても何となく腰が定まっていない。何らかの目標、何らかのめど、そんなものはあるんでしょうか。大臣どうですか。
  11. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 申すまでもなく、人口静止状態と申しますか減らない置きかえ水準というのは、委員御承知のとおり二・〇八ということになっております。そのことはそのことといたしまして、そもそも近代社会というものは結婚出産があくまでも個人の自由な選択にゆだねられておるわけでございまして、それを前提にしますと、政府政策前提として出生率目標値を掲げるということは必ずしも現実的でないという面はございます。仮に掲げてみても、そのために一体出生率を上げるどういう手があるんですかという議論になってくるわけでございまして、やっぱりこの傾向は困ったものだというのが率直なところだろうと思っております。  ですから、目標を掲げていないから手をこまねいているということでなくて、近年の少子化背景にあるものは、仕事子育て両立が難しいとか、子育てそのもの負担感が重いということであれば、そういう問題をやっぱり真剣に除去していくという努力、それから結婚出産を望む若い方々がその希望を実現できるようなそういう社会をつくっていくということが現実的な対応ではないかと、こういうふうに私どもは考えております。
  12. 松田岩夫

    松田岩夫君 大臣おっしゃることもよくわかりますが、いま少し政府として、私はこの出生率についてもう少し明確な、もう少しわかりやすい、目標というとあれでございますが、めどというか政策のよりどころとなるような考え方を持つべきではないかということを思っていることだけは強く申し述べて、次の質問に移ります。  さて、今すぐこの出生率が、もうあり得ないわけでしょうが、置換水準に戻るということはないわけですが、しかし置換水準に戻ってもなおこの人口増減というのは大きな惰性を伴います。既に出生率は下がっているのに今人口がふえているのはまさにこの人口増加惰性というわけでございますが、減少も同じでございます。したがって、今すぐ出生率を戻したってその効果があらわれるのは大げさに言えば半世紀後、あるいはそれに近いぐらいの年限がかかる問題でございますから、この出生率をどうするかということは、我々、次の世代どころか、次の次の世代というか、政治家としては物すごく大きな課題ではないかと私はしみじみ思うものですからこの問題をきょうは最初に取り上げておるわけでありますが、しかしいずれにしても、今言ったような状況で二十一世紀前半は明らかに全人口減少社会に、推計がどうあるとかは関係なくもう人口減少社会に明らかに突入していくことが不可避なわけでございます。  既に御案内のとおり、労働力供給のベースとなる生産年齢人口というのは九六年から減少を続けています。経済成長率というのは人口増加率プラス一人当たり生産性上昇率ということで定義されますが、明治初年から一世紀半にわたって経験した人口増加時代というのは、同時に工業化時代でもありました。工業部門の高い成長によって生産性の向上が実現され、人口増加がそれに加わり、長期的な高度成長が実現された時代であります。  これに対し、これから経験する二十一世紀、この経済社会とはいかなるものか。経済サービス化が進む。当然、工業化時代に比べれば生産性上昇率低下傾向が強まらざるを得ない。そういう中でかつ人口減少していく。こういう社会であります。経済成長力を維持する、並のことではありません。  したがって、一方ではよほどの技術進歩による生産性上昇というものが必要となりますし、今、政府挙げて進めつつあるIT革命といったようなものは、いわゆるサービス産業生産性上昇の難しい、困難だとされてきたサービス産業を初め、産業全般にわたって大きな生産性上昇をもたらすことが強く期待されているわけでありますが、同時にまた、経済成長を維持するためには、労働力の面からも、正直、その供給制約を克服するために、これまでにない、また一層思い切った労働供給政策が必要となることは言うまでもない。  これから女性の方の就労増加就労促進高齢者高齢者といっても元気な方が九割、この高齢者の方の再就労、あるいはまた外国方々受け入れとその就労が進むでしょうし、また進めざるを得ないでしょう。  こういった三つ分野を今例示いたしました。例えば、この三つ分野、この三者の就労を進める上でいろいろな問題が、いろいろな課題があります。思い切ってやろうと思えば思うほどその課題はまた大きいわけでございます。  そこでまず、それぞれの問題に入ります前に、これまた非常に漠としておることなんですね、政府政策で。一体、これからの労働力供給政策の中で、女性就労あるいは高齢者の再就労あるいは外国人の方の受け入れ就労といったようなことが労働力供給の中でどのぐらいのウエートを持っておるとお考えなのか、どのぐらいの割合をそれぞれがそれぞれの政策領域が担って全体としての労働力供給を満たそうとされておられるのか、これまた極めて不明確でございます。  労働大臣、どうでしょうか。一体これからの、今言う二十一世紀前半、明らかな人口減少社会、そういう中で我が国経済をそれなりに維持していくために必要な労働力供給政策におけるこれら三者のウエートはいかに、この点について政府考え方をお聞きいたします。
  13. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 松田議員質問にお答えいたします。  今後、労働力人口は二〇〇五年にピークに達して、特段の対策を講じなければ二〇〇五年から一〇年までの間に百二十万減少すると言われております。しかしながら、高齢者継続雇用制度充実仕事子育て両立支援対策充実等を図った場合には、二十五万人程度の減少にとどまるものと見込まれます。したがって、今後十年間については、まず高齢者女性等が活躍できるような雇用環境の整備、業務の省力化効率化雇用管理改善等を推進していくことが重要であると考えております。  一方、今御指摘労働力供給体制への対応といたしましての外国人労働者受け入れにつきましては、我が国労働市場に及ぼす影響等にかんがみまして慎重に検討すべきものと考えておる次第でございます。  以上です。
  14. 松田岩夫

    松田岩夫君 おおむね私も理解をいたしますが、きょうはそのことを御質問する時間はないようでございますので後刻にいたします。  今の御答弁の中で、外国人受け入れあるいは外国人就労、こういった点については、私はもう少し世界、人類のために日本の国が果たすべき役割として、日本経済成長力の維持ばかりではなく、我々が持てる知恵を世界すべての方々に、とりわけ経済の発展に悩む多くの方々に分かち合うべきだ、その一番いい方法は国内においてオン・ザ・ジョブ・トレーニングをしてあげることだ、そういう考え方のもとにもっともっと外国方々を迎え入れる新しい体制をつくるべきだという考え方の持ち主でありますが、そのことはきょうはちょっとこっちへ置いておきます。しかし、今言った思いからすると、今、労働大臣のおっしゃった最後の部分は大いに議論させていただきたい、こう思っておりますが、きょうはちょっとそのことをこっちへ置いておきまして、今おっしゃった中で特に女性就労問題、きょうはこのことについて議論を少しさせていただきたいと思います。  今後の労働力の中で、労働力と言ってはいけませんが、従来経済用語はそう言うわけですので、経済学ではこれを労働力と言うわけですので労働力と申し上げるわけでありますが、労働力供給の中で女性就労というのは一つの大きな要素だと。おっしゃるとおりであり、私もそう思います。  さて、女性就労出生率をさらに低下させるなどといったようなことになってはまことによくありません。実はここに、電通総研がことし三月にまとめた研究レポート、「二十一世紀家族政策研究」というのがあります。その中で上村泰裕さんという方が「家族政策の大転換は可能か?」という論文を書いておられまして、私自身極めて興味深く読ませていただきましたので、ちょっと少し長くなるんですが、引用させていただきます。  家族政策の代表的な研究者であるゴーティエという方の各国の家族政策類型を活用して、この上村さんは先進諸国家族政策を次のような四つの類型に分けておられます。  第一が伝統家族・非介入モデル伝統的な家族、つまり夫が稼ぎ妻が家を守るというタイプ家族社会モデルといたしますが、出生促進のための政府介入は消極的で公的育児支援が小さい国。実は、上村さんは日本をこの類型に入れておられるわけであります。  第二が伝統家族出生促進モデル伝統的な家族、つまり今言いました夫が稼ぎ妻が家を守るというタイプ家族社会モデルといたしますが、出生促進のための政府介入が積極的で公的育児支援が大きい国。ドイツがその典型。特に長期の育児休業といったものを中心にドイツ一つのこのグループ典型だろうと。  第三のグループ平等家族・非介入モデル伝統家族ではなく男女平等家族社会モデルとするが、出生促進のための政府介入は消極的で公的育児支援が小さい国。アメリカがその典型。  第四が平等家族出生促進モデル男女平等家族社会モデルとし、出生促進のための政府介入が積極的で公的育児支援が大きい国。保育サービスとか育児休業とか、そういったことで非常に充実したスウェーデンがその典型。  そこで、我が国は今、この第一の類型上村さんはここに日本を入れておられるわけでありますが、伝統家族・非介入モデルからの転換を求められている。なぜなら、このモデルのままでは出生率低下がとめられないからであると。それでは、どのモデルに移ればよいのか。  第二のドイツ型の伝統家族出生促進モデルへの移行答えにならない。この選択を主張する人がいるかもしれないが、出生率回復するための政策としてはこの選択は有効ではない。高学歴化した女性育児だけに専念させようとしても、仕事を続けようとする女性出産抑制を招き、ますます出生率低下に拍車をかけるだけである。現在では、ドイツ、イタリア、スペインなど女性労働力率が低い国ほど出生率も低い。一九六〇年代と現在とでは、女性労働力率出生率相関関係プラス、マイナスが逆になっている。つまり、昔は女性働きに出れば出生率が下がったが、今は働きに出る方が出生率が高いというふうに変わったことに注目すべきであると。  次に、第三のアメリカ型の平等家族・非介入モデルへの移行、これも答えにならないと。アメリカがこのモデルでうまくいっているのは二つの特殊条件がある。移民と低賃金だと。アメリカには低賃金の、例えば育児支援サービス市場があるので、公的サービスがなくとも就業育児両立が可能である。アメリカでは低賃金労働移民が担っている。そして、移民受け入れているので出生率を気にする必要はそれほどない。我が国が近い将来これらの条件を備えるようになるとは考えにくい。したがって、このモデルはとり得ないと。  結局、日本最後の第四の平等家族出生促進モデルに進む道しかない。高学歴化した女性就業育児とを両立させるにはこのモデルしかないと。そのためには、言うまでもなく育児休業保育サービスあるいは児童手当上村さんは余り多くのものに拡散しないでこの三つ政策を重点的に拡充すべきだとおっしゃっているわけでありますが、しかし我が国には平等家族伝統がない。果たしてこの大転換が可能だろうか。非常な困難を伴うが、やり遂げる以外ないと、こういうことを述べておられる論文であります。  ちょっと長い引用になりましたが、私はお読みして非常に理解を進めることができたし、また私の考えにぴたりだな、方向として、と思いましたものですから、長い引用になりましたが御紹介させていただきました。  どうでしょうか。この上村さんの今の引用をお聞きになって、両大臣からこれはそれぞれ御所見を承れたらと存じます。
  15. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 委員引用されました上村論文の論旨は確かにいろいろ参考になる面はございます。  特に大切なことは、今の出生率低下という現象が我が国社会変化背景にしているということ、その変化の中で出生率低下に歯どめをかけるにはどこが大切かということを指摘しているわけでありますけれども、例えば、いわゆる家族役割についても、私が感じますのは、伝統家族モデル上村さんはおっしゃっているようでありますが、我が国の実態は、実際はもう若い御夫婦の場合には核家族化しておりまして、だからそういう日本社会変化というものはもう着実に起こっておるわけであります。  我々にとって大事なことは、この社会変化、例えば、結婚に関する意識がどういうふうに変わってきたか、あるいは家庭の中の役割分担がどういうふうに変わってきたか、そしてその裏にあるのは、職場における女性役割が非常に重くなってきた、そういうことをしっかりとらえて適切な対策を打っていくことが大事であろうと。  しかし、いずれの場合においても、結婚出産がやはり自由な選択にゆだねられているということを頭に置きながら柔軟な対応をしなければいけないし、男女共同参画社会という今の時代の要請というものをしっかりと受けとめて、次代を担う子供たち心身ともに健やかに育つことができる社会的な体制をつくり上げていくこと、そして何をおいても、国民的な理解を得た上で、社会全体の取り組みとして子育て家庭を支援することをやっぱり公的に進めていくと、そういうことに尽きるんではないか。  これが現在政府がやっております少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランの基本的な考え方でございますので、これからも委員の格段の御理解と御支援をお願い申し上げたいと思います。
  16. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 今ほど松田議員から上村泰裕氏による先進国家族政策をお聞かせいただきまして、まさに目からうろこが落ちるような思いで聞かせてもらったわけでございますけれども、私の答弁は若干それから見れば表現が豊かでないかもしれません。また、旧来どおりかもしれませんけれども、まずやっぱり少子化が進行する中で働きながら安心して子供を産み育てることができるようにするためには、育児休業制度を初めとする仕事子育て両立を支援するための対策が重要であるという点については、私も松田委員の認識と同じでございます。  このような認識のもとに、諸外国の制度も十分に参考としながらも、また現在、女性少年問題審議会において行われております仕事家庭両立支援対策充実に向けた議論の推移を踏まえて、法的整備も含め、必要な処置を講じてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  17. 松田岩夫

    松田岩夫君 時間の都合もありますので、さらに先へ進めさせてもらいます。  私は、今の日本のこの出生率低下、諸外国にもいろいろ事情があります。  しかし、日本出生率低下には気になる点もあるということを思っておりましたところ、鈴木りえこさんという方が書かれたこの「超少子化—危機に立つ日本社会」という書物を読まさせていただいて、これまたちょっと引用させていただくわけでありますが、こんな趣旨のことを述べておられます。  つまり、日本人の価値観は、将来のために努力するよりも現在を気ままに楽しむ享楽主義になってしまった。無責任で努力を軽視し、楽なライフスタイルを好む人生観になってしまった。日本人は、国や企業や家族という集団に依存し、もたれ合い、自分に都合よく利用しようとする一方で、個人の責任を逃れてきた。戦後の日本では、大人が子供に継承すべき価値観をなくしてしまった。日本日本人に対して、誇りと自信を回復し、未来に目を向けることが少子化の進行を食いとめることにつながるのではないか。日本人として誇るべきところは誇り、自信を持つべきところは自信を持つ。未来に対して一人一人が何らかの責任を感じなければ、経済的なメリットが少なくなった子供を産むという人はますます少なくなるだろう。こういったような趣旨のことを書いておられるのでございます。  少子化の原因、背景、これまでの大臣の答弁の中でもいろいろ述べていただきました。しかし、私は、こうした日本人の価値観、人生観といったものに今日の少子化の原因が根差している面があるとすれば、これはまた大変深刻な問題だと、正直、技術論だけの政策では事足りなくなるぞという意味で、前から気になっておったことでございまして、おっしゃっておることに私は半ば同感するがゆえにわざわざまたこれも御引用させていただいたわけでありますが、正直、この点についても両大臣から御所見が賜れたらまことにありがたい。
  18. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 少子化の問題を考えてまいりますと、日本社会がどういうふうに変わったかという中で、日本人の持っている心のあり方というものとかかわっているという今の御指摘は、私は全くそのとおりであろうと思っております。  これは文化論の分野でございますから、議論いたしますとたくさんの材料があると思いますけれども、一言でこの問題に即して申しますと、一人一人の国民が自分が今やっていること、その生きがいというものは単に自分の一代だけではないんだ、これはやっぱり次の時代にも引き継いでいくべきものであるというような気持ちを持ってもらえば、それは家庭の大事さ、子供を育てる大事さというものがもっと理解をされるんではないだろうかと、私は今のお話を伺ってそういうふうに受けとめたわけでございまして、そういう要素が非常に欠けている、そのせつなせつなでいればいいということは私はまことに残念なことだと。  日本の歴史においても、そういう一時期があったと後世に言われるとすれば、これはまことに残念なことで、そういうことにならないようにしたいなということから、そういうことからも今の少子化対策に取り組んでいかなきゃいけない。しかし、それは政府が何をやるかということばかりでなくて、国民の気持ちというものにもう少しやっぱり訴えていく何かが必要じゃないかというふうに感じております。
  19. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 松田委員からは、鈴木りえこさんの本の中身を紹介されながら御質問をいただきましたけれども、これは私はちょっと古い思想だと言われるかもしれませんけれども、やっぱり人生の楽しみや喜びというのは苦労をすることで味わうことができるものであり、まさに出産育児はそうした営みに当たるものではないかというふうに考えております。もとより結婚出産は当事者の自由な選択によるものでありまするが、これから家庭を築こうとする世代にこうした考え方が十分理解されていないとすれば、将来の社会基盤に大きな影響を与える深刻な問題であると考えております。  少子化対策に取り組むに当たっては、若い世代に向け、子育ての苦労とともに楽しみや喜びを伝え、その社会的意義が十分理解されるよう意識啓発を行うなど、国民的な取り組みを推進していくことが重要であると思います。  最後に、労働省といたしましても、昨年末に策定した少子化対策推進基本方針に基づきまして、男女がともに子育てを担い協力して家庭を築いていくことができるよう、職業生活と家庭生活の両立支援対策を初めとする各般の施策に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上であります。
  20. 松田岩夫

    松田岩夫君 両大臣、閣議がきょうはある日かと存じます。時間になられましたら、どうぞあれしてください。引き続き政務次官を初め皆さんに御質疑を続けさせていただきますが、少子化問題について日ごろ思っております基本的な論点について少しお話しさせていただいて本当にありがとうございました。  残された時間がわずかになって、予定した質問が余り進んでおりませんけれども、次に年金問題についてお伺いしたいと存じます。  大臣、もしよろしければもう一問だけ大臣にちょっとお聞きしておく……
  21. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 大丈夫です。
  22. 松田岩夫

    松田岩夫君 よろしいですか。  今、新聞で企業年金問題、これがよく報道されております。党の中においてもいろいろ議論が始まりました。公的年金について、後ほど時間があれば公的年金の方もまた御質問させていただきますが、この公的年金制度の改革をさらに進めていかなければなりませんが、同時にまた、公的年金を補完し、老後生活の多様なニーズに対応してまいりますためのこの企業年金の役割というのは、これまたこれからますます大事になります。  しかしながら、企業年金の現状というのは、昨今の経済環境のもと、積み立て不足の問題、これも顕在化しております。また、受給権保護を図る観点から制度の見直しの必要性、そういう意味で切に私も感じておる一人でございます。  企業年金については、従来から、制度全体として統一的な基準を定めて受給権保護の確保を図る、そのための法律の検討が求められてきたわけであります。いわば政府の宿題、国会の宿題ということになっておるわけであります。今回の改革の動きは遅まきながら政府も本腰を入れてきた、こういうふうに大きく期待をしておるわけでございます。  そういう意味で、この分野に大変造詣の深い大臣が御就任になられたわけでございまして、ぜひ大臣在任中になどと言ってはいけませんが、いつまでもなっておられると思うのでございますけれども、ぜひそういう意味では、少なくともこの臨時国会にというわけにはまいらないのかもしれませんが、次期通常国会までにはぜひこの企業年金改革、しっかりとしたものをつくり上げていくべきだというふうに存じますが、大臣のイニシアチブのもとにぜひ次期通常国会には改革を実現していただきたい。どうでしょうか、大臣
  23. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 松田委員から大変ありがたいお励ましをちょうだいして感動しておりますけれども、御承知のとおり、企業年金というのはいわゆる公的年金を補完する年金制度の三階部分と言われておるわけでありますが、多くの勤労者にとって非常に大事な老後の保障になってございます。具体的には厚生年金基金と適格退職年金とあるわけでありますが、この制度が円滑に運用されるかどうかということについては、法制的に甚だ心もとない状況になっておるわけでございます。  そこで、これらの企業年金の積立基準や受託者責任の明確化など受給権保護の仕組みについてもう少し明確化をしなければならないということで、企業年金としての統一的な基準を定めるための法律の検討が求められてまいりました。政府といたしましても、平成九年以来、関係各省が相寄りまして合同で検討を進めてきたところでございます。今般、その制度の骨格について合意ができましたので、この制度の中身が税制のあり方と深くかかわっておりますので、来年度の税制改正要望として提出をいたしたところでございます。  私から申し上げるまでもなく、企業年金のあり方というのは、前国会で提出をいたしました確定拠出型年金という新しい選択肢を導入することとあわせて、これからの雇用状況変化日本の産業構造の変化というものを頭に置いたときにぜひとも早く対応しなければならない課題でございますので、私どもは積極的に取り組んでまいりたいと思います。  私どもとしては、近く確定拠出型の年金制度の創設のための法律改正をお願いいたしたいと思いますが、同時に、これとあわせて企業年金全体がしっかりと運営できるような、特に受給権の保護という要請にしっかりとこたえられるように取り組んでまいりたいと思います。  どうか委員の皆様方におかれましても、この点について国会の御協力をお願いすることになろうかと思いますが、よろしくお願いを申し上げる次第であります。
  24. 松田岩夫

    松田岩夫君 ぜひ厚生大臣大臣のイニシアチブのもとに、今おっしゃったお考えに沿って力強くひとつ改革をお願いしておきます。  次に、公的年金のことに戻りまして、通常国会で公的年金については改革をして、お互いの努力の中で、いろいろありましたけれども、長期的な一つの基盤ができた。しかし、まだ幾つか残された課題もあります。残された課題一つ一つお聞きしていきたいんですが、その前に私はこの年金積立金の運用のことについて御質問させていただきます。  御案内のように、これまで公的年金の積立金は資金運用部への預託が義務づけられてきましたが、まさにさきの国会で預託義務がなくなり、来年四月から新しくできる厚生労働省による自主運用が始まることになっています。年金積立金は長期の資金であり、本来ある程度のリスクをとって高いリターンを目指すことができる資金だと私は思います。  例えば、企業年金である厚生年金基金を見ますと、昨年度のこの運用収益率は、非常に高かったわけでございますが、一三%となっています。このとき、公的年金である厚生年金、国民年金の積立金の運用は、まだ資金運用部ということですから、資金運用部からの利回り三%、また新規に預託するものの金利は二%にも満たなかったわけであります。資金運用部への預託義務というのは年金受給者にとって大きな損失ではなかったかと思います。しかも、今やその積立金の総額というのは百五十兆円になろうとしております。例えば、厚生年金基金が一三%で運用したと、我々の方は資金運用部ということで三%だったと、その差一〇%、これだけで年間十五兆円もの運用益の違いとなるわけであります。  そういう意味で、この預託義務の廃止、年金受給者のための自主運用ということを極めて高く評価するわけですが、同時にまた、その運用の責任の重さをじっくりと、感じておられると思いますが、感じていただきたいと。運用に当たっては安全、確実、もちろんでありますが、しかし、将来の保険料負担を少しでも軽減するために、とり得るリスクの中でできる限り効率的な運用を目指していただきたい。  バブル崩壊以後、日本の投資環境は非常に厳しいわけでございますが、私は何も、従来からもそうだと、厚生年金基金などは次第にそういうふうになっておりますが、もう今やグローバルであります。世界を投資対象と考えてグローバルな視点で運用も当然取り組まれることになると思いますが、これまた非常に大事な点であります。  ぜひそういう意味で効率的な運用を目指していただきたいと思えば思うほど、一体その体制が十分できておるのか、準備は十分されておるのかということでございます。  実際の運用は民間の運用機関に委託して行うことと思いますけれども、これらの民間の運用機関をいかに評価するかが重要であります。厚生省は必ずしも資産運用のプロではないわけですから、このような巨額の資金の運用を管理するためのいわゆる専門性をどう確保するか、また厚生省及び新しい基金、運用基金における人材の確保、養成ということが極めて重要になるわけであります。安全かつ確実かつ効率的な運用を実現するために、こうした専門性の確保あるいはまた人材の確保、養成といったことにぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、自主運用に臨む厚生大臣の基本的な姿勢及び考え方をお伺いいたします。
  25. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 年金積立金の運用が将来世代の負担の軽減にもつながり得る、その一方で大変貴重な被保険者の利益も守るために、安全、確実、効率的に運用しなきゃならないということは御指摘のとおりでございます。その両方の要請の間でできるだけよりよい運用結果をもたらすという努力はしなければならない。  これまではいささか慎重過ぎたんではないかという委員の御指摘に私はかなり当を得たところがあると思っておりますが、しかし同時に、例えば海外資産への運用ということを視野に入れますと、為替レートの変動というさらに大きなリスクも出てくる。それから、日本ばかりでなくて世界経済全体の動きの影響を受けるということも視野に入れなければならない。大変難しい問題だと思いますけれども、全体としては委員が御指摘のような方向で、やはりこの年金積立金が充実する方向での努力は怠ってはならないというふうに思っております。  そのために、年金資金運用基金につきまして、金融資産運用に関する高度な専門的見識を有する人材を投資専門委員として置くということが決められてございますので、これまでの年金福祉事業団における運用経験で蓄積された知見も生かしながら、そういう方々を適切に選任した上で専門性の向上に努め、御期待にこたえたいと考えておるところでございます。
  26. 松田岩夫

    松田岩夫君 公的年金の積立金ですから、慎重さを一方で要するのは当然でありますが、しかしまた、この金融市場ほどあらゆる分野に先駆けてグローバル化が進み、今も日本の金融システムの改革のためにお互い苦労しておるわけでございますが、しかし、日本の金融システムがおくれているからといって、その犠牲に日本国民がなってもいけないわけであります。ニューヨーク市場、ロンドン市場、世界のそれぞれの中で本当にうまく運用することができれば大変な成果を生むこともまた事実であります。プロも育ってまいりました。  御案内思いますけれども、いわゆる今おっしゃった確定拠出型年金の原型、アメリカで始まり、アメリカではベビーブーム世代の諸君がそれぞれ勉強し、いかに豊かに老後を暮らすか、ハウ・ツー・ビー・リタイア・リッチ、これは彼らの標語になっているわけでありますが、そのために働いたお金をいかにうまく運用してふやしておくか、これが今日のアメリカ経済隆昌の一つ背景になっておるわけでございますけれども、それはともかく、もっともっと我々もそういう意味教育を、国民もし、また役所も、とりわけ厚生労働省のこういった分野に当たられる方々の御努力を、そういう意味でも大きく期待したいわけであります。  最後に私、ちょっと視点を変えますが、たまたま私の地元の岐阜県の医師会報を読んでおりましたらこんな論文が出ておりました。ごく最近の八月号に出ておったわけでありますが、「医療教育のあり方を考える」と題して、医療過誤、最近は、患者を取り違えたとか、あるいはまた薬の処方ミスなどの医療過誤が、連日と言うと大げさですけれども報道される。正直、国民の医療や病院に対する信頼は大きく揺らいでいると言うと言い過ぎでしょうか、しかし心配です。そんなことをお医者さん自身が思って書いておられる。  その中にこんなことが書いてあります。現在の大学医局での医学教育では研究が重視され、医師の臨床での能力が身についていないのではないか。ある大学病院の研修をとっくに済ませた小児科の医師が典型的なはしかの診断すらできなかった例をこの論文の中で紹介されておられます、極端なケースかと思いますけれども。また、医師と看護婦との間のコミュニケーションが不足しているとの問題点も挙げられています。お医者さんと看護婦さんとの命令系統が縦割りで、一人の患者を医師と看護婦が一緒に支えていく意識が薄れているのではないかと。  医療過誤の原因、背景としてはいろいろあると思いますが、今ここで言われたような医療従事者の資質の向上も含めまして、厚生省が中心となって、文部省等関係方面とも十分連絡をおとりいただいて、もっと総合的な対策をとるべきではないか、そんなことを思いました。  医療事故の防止に対する厚生省の決意のほどをお伺いいたします。
  27. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 医療事故との関連におきます資質の向上策につきまして御説明をさせていただきます。  今の先生が御指摘されました岐阜県医師会報につきましては私も読ませていただきまして、真摯に受けとめるべき問題だと基本的な認識を持っております。最近医療事故が頻発しておりまして、真剣に取り組んでその信頼を回復していく必要があるというふうに基本的に思っております。  そこで、この医療従事者の資質の向上という観点から、特に私どもは、医師の養成、看護婦の養成という観点からいきますと、特に医師の養成につきましては、医学部における教育のあり方、それから国家試験制度のあり方、それから卒業後の臨床研修制度のあり方、これらを総合的に検討していく必要があるとも考えております。特に、先生御指摘の、医学部におきまして研究に比べて臨床が十分教育されていないではないかという問題につきましては、これは最近文部省も基本的にそのような考え方に立ちまして、本年三月に医学教育のあり方を調査研究する会議が設置されまして、現在、年度末を目途に検討が行われているということを承知しているところでございます。  厚生省といたしましても、この医師の資質の向上策の一環といたしまして、免許取得後に行われます臨床研修におきまして臨床研修目標に医療事故の防止を取り上げているところでございますが、さらに基本的な臨床研修の能力を強化するために、医師の臨床研修の義務化を含む医療法等の改正案につきましてさきの国会で提出したわけでございますが、残念ながら審議未了で廃案となったところでございまして、その早期実現に努めてまいりたいと考えております。  また、チーム医療という考え方は非常に重要でございまして、看護婦につきましては、平成十二年度予算では、修業後につきましても、都道府県におきまして医療事故の防止を初めさまざまな課題への対応を図るための研修を実施することとしております。  これらの取り組みに加えまして、特に大学病院というのが、学部教育、それから卒業後の臨床研修の八〇%の人たちが大学病院で行っていることを考えますと、非常に医師の基礎的な臨床能力の養成にとって重要だという観点から、この十三日に、文部省にも出席をお願いいたしまして、特定機能病院、これは大学病院とがんセンター、循環器病センターでございますが、お集まりいただきまして、医療安全対策特定機能病院長会議を開催いたしまして、またあわせて医療安全対策連絡会議、これは各病院団体等にお集まりいただくわけでございますが、特に特定機能病院の責任者の方と直接大臣がお話をしていただきまして、特に大学病院の機能のあり方と事故防止のあり方について御議論をしていただき、そして対応考えていきたいと考えております。  また、平成十三年度概算要求におきましても、インシデント事例の収集体制の整備や病院の職員に対する医療の安全確保のための研修の実施等、いろいろの対策の経費を要求しているところでございまして、私どもといたしましては、文部省と十分、以上申し上げたようなテーマにつきまして連携を図りながら総合的な対策の実施に努めてまいりたいと考えております。
  28. 松田岩夫

    松田岩夫君 頑張ってください。  私の質問は以上で終わります。  ありがとうございました。
  29. 南野知惠子

    南野知惠子君 自由民主党の南野でございます。  釜本政務次官、御就任以来御活躍が続いておられますが、本日もよろしくお願いいたします。  早速質問に入らせていただきますが、我が国労働市場におきましても今後高齢化が進展していくものと思います。具体的には、全人口に占める六十五歳以上の割合は、二〇〇〇年には一七・二%、二〇二五年には二七・四%となり、国民の四人に一人以上が六十五歳以上となると見込まれております。さらに、寝たきり老人の方の数は、二〇〇〇年の百二十万人程度から二〇二五年には二百三十万人程度に増加し、要介護の痴呆性老人の方の数は、二〇〇〇年の二十万人程度から二〇二三年には四十万人程度に増加するということが見込まれております。  このような中で、介護保険制度の開始などを背景として介護サービス需要が増大し、介護分野は大きな労働需要の拡大が見込まれる分野となってきておると思います。一方、最近の雇用失業情勢は、改善の動きは見られますが、本年七月の完全失業者数は三百七万人、完全失業率は四・七%となっており、依然として厳しい状況にあると思われます。  このため、こうした成長を期待できる介護分野での雇用機会の創出などを進めていくことは、厳しい状況に置かれている中高年の方々のことを考えても喫緊の課題ではないかなというふうに思うわけでございます。  こうした観点から、介護分野について良好な雇用機会の創出に積極的に取り組んでいくべきであると考えておりますが、その対策はいかがでございましょうか、お伺いいたします。
  30. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) 南野先生には、日ごろから労働行政に関しまして格別の御高配を賜り、まことにありがとうございます。吉川大臣、ただいま閣議に出席のため、役不足ではございますが、私の方から質問にお答えさせていただきたいと思います。  本年四月に施行しました介護労働者の雇用管理改善等に関する法律の改正法に基づき、民間企業のみならず社会福祉法人、医療法人、NPO等が介護分野における新たなサービスの提供等に伴う労働者の雇い入れを行う場合の助成措置、介護分野における労働者の能力開発の推進等の施策を講じています。  なお、新たなサービスの提供等に伴う雇い入れに対する助成措置の申請は、本年七月末までに既に二千二百件に上っており、この申請に基づく雇用創出数は一万二千人となっています。また、ホームヘルパーの養成講習については、二級と三級を合わせて本年度中に三万二千人の養成を行うこととしております。  今後とも、介護分野の特性に応じた労働力確保と良好な雇用機会の創出を図るための施策を強力に推進してまいりたいと思っております。
  31. 南野知惠子

    南野知惠子君 では次は、介護分野における雇用についてまたお尋ねでございますが、今後の少子高齢化社会におきましては若年労働者はますます減少し、その若年労働力不足に対処するという観点から高齢者雇用問題も考えなければならないということでございます。また、老齢厚生年金支給開始年齢の段階的な引き上げが予定されておりますけれども、高齢者雇用機会の確保という考え方から、企業の中には、それに伴い年齢を引き上げる方針の企業もあります。  もっとも、定年引き上げ導入の高齢者雇用問題を考えるに際しましては、企業が高齢者雇用する際にかかる負担などの会社に及ぼすさまざまな影響についても考慮した上で高齢者雇用問題を考える必要があると思いますけれども、こうした企業の負担を踏まえた上で、今後さらなる高齢化社会を迎えるに当たっては、終身雇用、年功序列制度などに代表される日本雇用を見直し、実績主義、成果主義を採用することによって、高齢者の中でも特に意欲と能力のある高齢者雇用の機会を得られるような社会の実現を目指していくべきであろうと私は考えております。  もっとも、高齢者をどのような職場でどのような職種でどのような条件下で雇用するのかという高齢者雇用の多様性に着目しなければならないというふうに思いますが、そこで、そうした社会の実現に向けて、今後具体的にいかなる方策をお考えでしょうか。見通しについてお伺いいたします。
  32. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) 今もお話にございました、非常に急速な高齢化の進展の中で、将来にわたって我が国経済社会の活力を維持していくためには、高齢者が長年培ってきた知識や経験を生かして、その意欲と能力に応じて経済社会の担い手として活躍していただくことが重要なことであると考えております。  御指摘のように、高齢者の意欲と能力等は多様であることから、それぞれの高齢者にふさわしい就労の場を確保することが必要です。このため、十月から施行となる改正高年齢者雇用安定法に基づき、定年の引き上げや継続雇用制度の普及、他企業への再就職の援助を進めるほか、高齢者の企業に対する支援やシルバー人材センター事業の拡充等により、高齢者の意欲と能力の多様化に応じたさまざまな形態の就労の場の確保を図ってまいりたいと思っております。
  33. 南野知惠子

    南野知惠子君 よろしくお願いしたいと思います。  次に、既に御存じのとおり、雇用保険といいますのは失業等給付と雇用安定、能力開発、雇用福祉事業の三事業から構成されており、五十九種の助成金制度であるということでございますが、収支状況は赤字が続いているということでございます。  そこで、労働省雇用保険を財源とする助成を統廃合する方針を立てられましたけれども、難航しているという新聞などでの情報がございます。統廃合による個別の助成金の廃止に対しまして受給企業や労働組合が反対しているということもあるようでございますが、今まで各種助成金を受給し、それに依存してきたことを考えれば、そうした企業の反発を招くのはある意味理解できることではあろうかなと思いますけれども、雇用保険財政は、雇用情勢の悪化に伴う助成金の新設が相次いだ結果、極めて厳しい状況下にあると言えます。  その意味で、雇用助成の統廃合は雇用保険財政のさらなる悪化を防止するための喫緊の課題ではなかろうかと思っておりますが、現在の検討状況はいかがでしょうか。お尋ね申し上げます。
  34. 渡邊信

    政府参考人(渡邊信君) 産業構造が転換していく中で、雇用対策といたしましては、従来にも増して能力開発や人材育成あるいは失業なき労働移動、こういったことが大きな課題になってこようかというふうに思っています。また、御指摘のように、雇用保険財政につきましては大変財政事情が厳しいという状況もあるわけでございます。  こういったことを背景といたしまして、現在、雇用保険制度によります雇用の助成等につきまして重点化、効率化を図るべく、関係審議会において御議論いただいております。審議会での御議論も経て、年内には方向をまとめて結論を出して、来年度の施策に反映させていきたいというふうに考えております。
  35. 南野知惠子

    南野知惠子君 よろしくお願いしたいと思います。  次に、近年、産業構造が著しく変化いたしてきております。情報通信産業などの新規産業が勃興しておりまして、新規産業においては労働力の需要は大変高い状態にあると言えます。新規産業へ労働力を誘導するに際しまして、具体的にどのようにして失業なき労働移行を行っていくべきなのでしょうか。その具体的方策について、政務次官にお尋ねいたします。
  36. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) ただいま御指摘のように、情報通信の分野等においては労働力需要が大変高い状況にある一方で、必ずしもこうした求人が満たされていないという現状にあります。このため、ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策に基づき、専修学校等への委託訓練の拡大、新規・成長分野雇用創出特別奨励金の支給対象に職業訓練受講者等を加えることなど施策を講じているところであります。  また、来年度におきまして、働く人すべてのIT化対応を目指し、約百万人を対象としたITにかかわる基礎的な能力習得機会の確保を図ってまいりたいと考えております。  さらに、経済産業構造の変化対応した雇用の安定のための支援策のあり方について関係審議会で幅広く御議論いただき、その検討結果を踏まえ、必要な施策を講じてまいりたいと考えております。
  37. 南野知惠子

    南野知惠子君 過労死の問題でございますけれども、労働をされる方々の過労死が依然として社会的に大きな問題となっているようでございます。  こうした状況の中で労働省では、過労死の発生予防に資するために新たに保険給付を設けることなどを内容としております労災保険法などの改正法案を次期臨時国会に提出されるというふうにお聞きいたしておりますが、法改正を行う背景とその内容についてお伺いいたします。
  38. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) 近年、業務上の事由によって脳・心臓疾患を発症し、突然死などの重大な事態に至る過労死の事案が増加傾向にありますが、こうした過労死の原因である脳・心臓疾患については発症前の段階における予防が有効であるとされています。  このため、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の項目について異常の所見があると診断された労働者に対する検査と医師等による保健指導等を内容とする新たな保険給付の創設について検討してきたところであります。これについて、本年四月、労働者災害補償保険審議会等の答申をいただいたところであり、現在、そのための労働者災害補償保険法等の一部改正案を次期臨時国会に提出したいと考えているところであります。
  39. 南野知惠子

    南野知惠子君 ぜひよろしくお願いします。  次は、労働者の生活習慣病、今もお触れになられたと思いますが、それと過労死、さらにメンタルヘルスといった最近の問題に適切に対応するためには、職域における保健婦、保健士、いわゆる産業保健婦と言うのでしょうか、の活動をより普及させる必要がある、このように私は考えておりますが、それにつきまして労働省は今後どのように普及を図っていこうとされているのか、今後の方針をお伺いいたします。
  40. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) 労働安全衛生法におきまして、事業者は労働者に対して、先生御指摘の保健婦、保健士などによります保健指導を行うように努めなければならないというふうにされております。  労働省としては、その適切な実施につきまして事業者に対して指導を行っております。また、事業場において適切に活動を行うことができますよう、保健婦、保健士の方々に対しまして産業保健に関します研修を実施いたしております。  今後ともこういった指導、支援を引き続き実施することによりまして、事業場におきます保健婦、保健士の活動の普及を図ってまいりたいと考えております。
  41. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  次は、ファミリーサポートに関してでございますけれども、これからの仕事子育て両立支援対策考えます場合、地域の子育て支援体制の整備が保育体制の整備も含めてますます重要性を増してきていると思うところでございます。  こうした中で、地域レベルにおいて会員が相互に援助を行うということによって労働者の仕事子育て両立をより容易にするということでファミリー・サポート・センター、これが非常に評判がよいと聞いておりますが、今後ますます拡充していかなければならないと思うところでございますが、いかがでございましょうか。女性局長にお尋ねいたします。
  42. 藤井龍子

    政府参考人(藤井龍子君) 先生御指摘のとおり、ファミリー・サポート・センターというのは地域ぐるみで子育てを支援するという理念を実現する一つのやり方ということで、利用者の方々から大変高い評価をいただいているところでございまして、ここ数年、増設増設を続けているところでございます。  来年度につきましては、さらに設置箇所数を拡充する予定でございますが、それに加えまして、保育ニーズの大変高い東京、大阪、愛知等の大都市圏において各市町で早期に設置していただきますよう、会員募集などの準備活動に対する支援の充実を図る予定にしてございます。また、小中学校の余裕教室を活用して、育児のための場所の確保を図ろうという市町に対しましては、その改修費の補助等を新設するといったような大都市設置プログラムを実施するために必要な予算を要求させていただいたばかりでございます。  私どもといたしましては、ファミリー・サポート・センター事業は仕事育児、介護の両立支援対策の重要な柱と認識しておりますので、今後とも充実させてまいりたいと考えているところでございます。
  43. 南野知惠子

    南野知惠子君 子育てし、産み育てやすい環境をぜひ社会に広げていかなければならない、このように思っておりますので、ますますお力を入れて拡充していっていただきたい、このように願っているところでございます。  次は、厚生省の方に対して御質問申し上げたいというふうに思っております。  医療ミスについてでございますが、大変これは心を痛めることでございます。最近、特に医療ミス、事故が毎日のようにマスコミで取り上げられております。医師や看護婦の針刺しなどの事象、事故、または患者取り違え、薬の取り違えなど基本的に考えられない事故の発生が続いており、驚きを超えております。  私自身、看護婦、助産婦である者の一人としてもう唖然としているというのが現状でございますが、これらの事故やミスは医療や診療、看護不信につながるもので見過ごせない行為と思っております。死に至った方々や健康な臓器を取り除かれた方々やその家族方々に本当に申しわけなく思っております。あってはならないことであります。  先月二十二日に国立病院・療養所に向けて医療事故に関する指針を出されましたが、民間病院に対してはどのような指導をしておられるのでしょうか、お伺いいたします。
  44. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 最近相次いでおります医療事故によりまして国民の医療に対する信頼が今大きく揺らいでおりまして、我々はこの状況を謙虚にまた真摯に受けとめ、医療の安全性の向上と信頼性回復のために、行政はもちろん関係者が一体となって取り組んでいくことが求められていると認識しております。  今、先生御指摘の、国立病院・療養所に対しては指針が出されたが民間病院などについてはどうなっているかということでございます。もちろん医療事故の安全対策につきましては、国立病院、民間病院その他の病院の開設主体を問わず、取り組んでいくべき課題であると基本的に認識しております。  そこで、従来、特に横浜市立大学の患者取り違え事故以降、例えば厚生省におきましては、事故防止マニュアルの作成をいたしまして、これはすべての病院に参考になるように開放しておりますし、またことしの三月二十二日に丹羽前厚生大臣から直接医療関係団体、これは国公立だけではございませんで、特に日赤、済生会それから医療法人協会等、民間病院団体組織も含めましてお集まりをいただきまして、そして大臣から直接この事故防止要請のためのお願いをしたところでございます。そして、この九月十三日におきましても医療関係団体にお集まりいただきまして、再度厚生大臣から医療安全対策につきまして働きかけを行う予定にしております。  国立病院につきましては、一般的に病院の事故対策という観点のほかに、厚生省が病院の開設主体であるという観点から具体的なリスクマネジメントマニュアルを作成したものでございまして、そのような点は、同様に自治体病院でございますとか日赤、済生会等のいろいろな病院関係団体にもそれと同じように具体的な院内の体制整備をお願いしていきたいと考えているところでございます。
  45. 南野知惠子

    南野知惠子君 危機管理の担当に看護職をと、これぜひ要望したい件でございますが、リスクマネジメントのマニュアル作成指針、これについて報告が出されたところでございます。医療事故防止に対して、ヒヤリ・ハットというんですか、そういう事例があったかどうか、医療事故の分析評価、それらマニュアルの定期的な見直しを行うことによって事故防止対策の強化充実を図る必要があるということでございます。  そこで、医療スタッフによる基本的行為の軽視、または高度化する医療現場の多忙性、人手不足などなどが背景にあるのではないでしょうか。診療報酬と絡む看護の定数問題、また看護教育問題との関連もあると思われます。危機管理担当の看護職を各医療機関の看護部に、ぜひ定数外に早急に配置すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  46. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 医療事故を防止するためには、先生御指摘のような組織的な取り組みが非常に重要であると考えております。  そこで、この組織的な取り組みの具体的な例といたしまして、職員に日常業務の中で冷やりとしたり、はっとした事例を自発的に報告してもらい、そして病院内に潜在する事故発生のリスクを把握し、安全管理委員会やリスクマネジャー等によりまして具体的な改善策を検討し、そしてその改善策を職員研修やマニュアル作成により職員に周知をするといった一連の取り組みが考えられるわけでございます。一般の医療機関以上に高度な安全管理の取り組みが求められます特定機能病院につきましてはこうした組織的な取り組みを制度的に本年四月から義務づけたわけでございますが、また今、先生御指摘の国立病院等におきますリスクマネジメントマニュアル作成指針におきましてもこうした取り組みが定められているわけでございます。  病院内におきましては、それぞれ、看護婦のみならず薬剤師、診療放射線技師、いろいろの職種が院長、副院長のもとに組織的な対応をしていくということが重要でございまして、これら国立病院の作成指針にそういうことも具体的に書いておりますので、他の医療機関におきましてもそれぞれの実情に応じまして、これらを参考にしながら積極的な取り組みがなされるよう厚生省としても努力してまいりたいと考えております。
  47. 南野知惠子

    南野知惠子君 お言葉ではございますけれども、看護職員は病院にどのくらいいるんでしょうか。相当の数がいるわけでございます。病院全体に一人のリスクマネジャーを置いて、これでよしとすることでは私は足りないのではないかというふうに思っており、何百人か抱えている看護婦の中に一人は看護のベテランであった人を定数外に置かれるなど、これはもう早急にしていただかないといろいろな問題が続発するのではないかなというふうに思っております。  病院にただ一人リスクマネジャーを置かれたにしても、その方は看護に精通している方とは限らないし、いろいろな分野においてその方の威力は発揮していただくにしても、我々、看護という問題はこのアンケートの中にもありますヒヤリ・ハットの段階をどのように防止するかということも大切なことであり、多くの人員管理をしなければならない看護部長にとってはこれは大変な重労働であろうかと思っております。  そういう意味では、ぜひ定数外に一人は置いていただけるような配慮をこの時期にしていただかないと困るというふうに強く思っておりますが、最後に御意見をお聞かせいただきたい。
  48. 伊藤雅治

    政府参考人(伊藤雅治君) 組織的といいますのは院内に何層かの組織をつくるということを意味しておりまして、例えば国立病院のマニュアルでいきますと、ちょっと読ませていただきますと、「リスクマネージャーは、各診療科及び各看護単位にそれぞれ一名を、」となっておりまして、各看護単位に一名のリスクマネジャーを置くとなっております。そして、そういう配置をしながら、その上にといいますか、リスクマネジメント部会というものを設置いたしまして、その部会は医師、看護婦、薬剤師、放射線技師等で構成する、そしてその代表の看護婦は各病棟等に配置されますリスクマネジャーをもって充てると、こういう仕組みを考えておりまして、そしてその上に、さらに副院長、診療部長、看護部長などを構成員とする病院全体のリスク管理をする委員会をつくる、こういう三層構造になっております。  こういうことを各病院において組織的に取り組んでいただくという趣旨でございまして、今、委員指摘の点を踏まえて十分対応させていただきたいと考えております。
  49. 南野知惠子

    南野知惠子君 今、各病棟単位に一人と、看護単位にですか病棟単位ですか、一人置くというふうなお説でございました。  これは、やはり定数外に置いていただかないと、お昼の勤務をしながら夜のリスクマネジメントを病棟内でチェックする、または支援するということは大変難しゅうございますので、その点御配慮いただきたいと、これは要望いたしておきます。ぜひそのようなことができますように、これが喫緊の課題であろうかというふうに思っております。  では、引き続きまして、女性の年金権ということについてお伺い申し上げたいと思っております。  専業主婦の中には、小さい子供を抱えて働けない方がおられます。子供を育てるということは、将来の公的年金を支える世代を養育していることであります。このような世帯には扶養控除の引き上げなど税制上の優遇をとるべきであると思っておりますが、報道によれば、女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会におきまして、女性の年金権の課題、特に女性のライフスタイルの変化などを踏まえた年金問題について協議検討を始めたということでございます。  女性をめぐる年金の問題は難しいものでございますけれども、私なりの女性に対する年金の権利について少々意見を述べたいと思いますが、それに関連して若干の質問をさせていただきたいと思っております。  まず、昭和六十年の法改正におきまして今まで独自の年金権を持っていなかった専業主婦に基礎年金を保障したということは、女性の年金権を実現したということで一歩前進であったと思われます。しかし同時に、当時から、無業主婦と有業主婦との保険料負担の不公平性及び年金制度の個人単位化、所得のない専業主婦から保険料を徴収した場合の弊害などについて議論されてきました。そもそもこのような議論がされるのは、被用者年金が世帯単位となっていることや、また主婦は家事労働が専門という家族主義的な発想があったからと考えられます。  真の年金権を確立する上でも、世帯単位となっている被用者年金を個人単位とすることを念頭に置きながら第三号被保険者問題を検討すべきと考えておるのでございますけれども、どのような認識をお持ちなのでしょうか。また、諸外国の例はどのようになっているのでしょうか。いろいろな課題があろうかということは承知しておる上でお尋ね申し上げます。年金局長に。
  50. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 近年、女性のライフスタイルというのが大きく変化しておるわけでございまして、年金制度がそういった変化対応できていないんじゃないか、こういう指摘も多いわけでございます。例えば、第三号被保険者の問題、あるいは遺族年金ですとか離婚時の年金の取り扱い、それから年金制度を個人単位で組み直すべきだ、こういう御指摘もあるわけでございます。  ただ、こういった問題につきましては賛否両論が非常に激しく対立しておりまして、なかなか意見の集約が難しいということでございまして、実は前回、今回の年金の改正におきましてもこの問題というのは結論を出すことができなかったということでございまして、ただいま御指摘のありましたように、各分野からの専門家から成ります検討会を設置して検討に着手している、こういう現状でございます。  ただいま御指摘のございました、個人単位で年金制度を組み直すべきだ、この問題でございますけれども、これは私どもも将来的にはそうあるべきじゃないか、こう考えております。  ただ、これは、現実には女性というのはなかなか社会的な実態が厳しいわけでございまして、働く場所がなかなかないとか、あるいは給料が非常に低いとか、男女の格差というのは厳然としてあるわけでございます。そういう中で個人単位の年金にしますと、女性としては年金がもらえなくなる、あるいは非常に低い年金しかもらえなくなる、こういったことも十分予測されるわけでございまして、こういった問題は非常に慎重に検討すべきじゃないかと思っております。  それから、外国の例でございますけれども、外国アメリカとかイギリスは日本と同じでございます。配偶者は保険料を拠出することなく年金が受給できる、こういう仕組みになっております。ただ、年金額は若干、日本と同じように男女全く同じ額じゃございませんで、半分ぐらいということで少し少ないわけでございます。それから、フランスなどは配偶者がいる方には付加年金がつく、こういったところもございます。  いずれにいたしましても、検討会を設置いたしましていろいろな分野の方に御議論をお願いしております。この検討会の結論を踏まえて適切な対応をとってまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  51. 南野知惠子

    南野知惠子君 十六人審議会が発足されておりますので、その行く末も見守りながら検討していただきたいというふうに思っております。  次は、若年者の年金離れについてでございますが、今回の年金制度改革におきまして、将来の保険料負担が重くなり過ぎないよう考慮を入れた結果、老齢厚生年金の支給年齢を段階的に引き上げるとともに、新たに老齢年金の六十歳からの繰り上げ支給制度を創設することなどの措置を行ってこられました。そして、平成三年度以降、二十歳以上の学生にも国民年金の加入が義務づけられ、今回の改正で卒業後の追納入制度が設けられたところでございます。  しかし、将来、年金財政が破綻をするから保険料を支払ったとしても、それに見合った額はもらえないだろうと考える人が多い世代では、保険料を支払う者の割合は少ないと伺っております。実際問題として、厚生省の試算によりますと、若い世代ほど従来に比較して少ない年金しか受け取ることができないという結果も出ているというふうに思いますが、このように、今後、年金財政の悪化、少子化による次世代の年金財政を支える若年者の減少がますます進行することが予測されるわけでありまして、若年者の年金離れを防止する何か具体的な方策というのがあれば、お伺いしたいと思います。
  52. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 若い人の年金離れといいますのは、非常にゆゆしい問題だと認識いたしております。  ただ、年金がもらえなくなるんじゃないか、こういう意見が若い人の間にあるわけでございますけれども、年金がもらえなくなることはこれはもう絶対あり得ないということを私はあらゆる場で申し上げておりまして、この場でも申し上げさせていただきたいと思います。日本経済がそれなりにしっかりやっていける以上、年金がもらえなくなる、こういうことはないわけでございます。  ただ、若い人からいろんな不安とか不信の声が上がっておるということはこのとおりでございまして、こういった不安、年金不信、これを払拭するということは非常に大きな課題である、こう認識して、いろいろな面で取り組んでおるわけでございます。  制度面では、ただいま委員の方から御指摘がございましたように、将来の負担を過重にしない、こういう基本的な理念でもって前回制度改正をやったわけでございます。  ただ、この問題につきましては残された課題もございます。例えば、国庫負担二分の一ということが、平成十六年までに安定した財源を確保して引き上げるんだと、こういう附則が設けられたわけでございまして、この国庫負担の二分の一の引き上げというのは年金不信、年金不安を解消する一つの有力な手段だと思っております。したがいまして、安定した財源を確保してできるだけ早く二分の一に引き上げていただきたい、こういうことをいろいろなところでお願いをし、御議論をしていただいておるわけでございます。  それからまた、実務面でもさらなる取り組みが必要だと思っておりますし、最近、年金教育、年金広報、こういった面についても一層充実する必要があるということで、いろいろな形で取り組んでおるわけでございます。  制度面、実務面両方あわせまして、若い人の年金離れを防ぐということから今後とも取り組んでまいりたい、こう思っております。
  53. 南野知惠子

    南野知惠子君 では、厚生年金がもらえないと今若者が考えていることは、これは違うよということを我々ちゃんと申し上げていかなければならないなと思いますが、それでよろしいわけですね。
  54. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 年金がもらえないということは、これは全くあり得ません。年金というのは、非常に大きい目で見ますと、日本社会経済が生み出した富を現役の方と高齢者の方でどう分かち合うか、こういうシステムでございます。  したがって、日本社会がしっかりしておれば、年金がもらえなくなるとか年金で暮らせなくなる、こういうことはあり得ないわけでございまして、この点は厚生省としても強調してきたところでございますけれども、さらにいろいろなところでこういったことは訴えていかなきゃいけない、こう思っておるわけでございます。
  55. 南野知惠子

    南野知惠子君 では、広報方、よろしくお願いしたいと思っております。  厚生省方々に対してはもう一問残っておりますが、大臣のお帰りが十二時ちょっと過ぎで私の時間内であるということでございますので、その一問は残させていただいたまま文部省の方に移らせていただきたいと思っております。  最近、文部省、大学病院でも医療事故が相次いで起こっております。ことし六月でしたか、早速に全国の国公私立の附属病院の勤務者に対して調査がされましたが、その結果の一部が新聞で報道されました。患者を取り違えたことがあるということは六人に一人看護婦が訴えております。また、医師の指示が不明確であるということは九割にも及んでいるということなどがその調査結果の一部でございます。  先ほど厚生省にもお尋ねいたしましたが、危機管理担当の看護職を各医療機関の看護部に、これも定数外で配置すべきではないでしょうかと思っておりますので、お伺いいたします。
  56. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) 昨今、国立大学も含めて大学附属病院で医療事故が見られますこと、まことに残念なことでございまして、御心配をおかけいたしておりますことを申しわけなく思っている次第でございます。  その対応対策としましてはいろいろ考えられるわけでございますけれども、一つには、医療事故防止、先生も御指摘のように冷やっとしたりする事例がいろいろあるようでございますので、そういう防止システムをうまく機能させること、それからさらには医療現場、なかなか大変多忙な中で看護婦さん等が苦労されているわけでございますが、そういうマンパワーの充実をどういうふうに図っていくかということがあろうかと思っている次第でございます。  医療事故防止システムの体制整備につきましては、今し方御指摘がありましたように、実態の調査をいたしましたし、これまでも事故防止の徹底のための通知を発したり、あるいは国公私の大学病院長にお集まりいただきまして、会議を招集しての徹底でございますとかしているわけでございます。  今後とも、そういう通知、諸会議等のほかに、防止システムの整備としまして、例えばバーコードによる患者識別システムの導入でございますとか、あるいは医薬品の処方のチェックシステムの充実でございますとか、さらには、学生段階からそういう医療事故防止に努めるべく教育充実を図るということを徹底してまいりたいと思っている次第でございます。  また、マンパワーの充実関係では、従来から看護婦等の定員措置について努力しているわけでございますが、来年度に向けまして概算要求を取りまとめたところでございます。私どもとしましては、御指摘のようなリスクマネジャーを国立大学病院すべてに今後二カ年計画で配置すべく所要の定員措置を要求いたしておりますが、このほかに、必ずしも定員事情が豊かでもございませんので、非常勤の看護婦さんをこの際約八百人来年度お願いしたいということなども含めた体制の整備を図りたいと思っておるところでございます。
  57. 南野知惠子

    南野知惠子君 看護婦の非常勤採用なども大変効率よく取り組んでこられたということで大変うれしく思っておりますが、先ほども申し上げました定数外における各病棟への、また各病院看護部へのリスクマネジャーの配置ということを、これはぜひ強く要望申し上げておきます。  さらに、もう一つの要望といたしましては、医療現場における情報提供ということに関連するわけでございますが、看護部長を含めた看護職員の広告ということでもございます。これは文部省におかれてはもう既に御存じのことだと思いますが、医療現場におけるこれらの情報提供の一つとして、看護部長を含めた幹部職員名の広告が、労災病院または国立病院では既に氏名を明記した看板が掲げられておることを御存じだと思います。  国公立または私立大学病院におきましても、早急に病院の玄関または入り口の目につきやすい場所に掲示をお願いし、顔の見える医療、看護を行うべきと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 工藤智規

    政府参考人(工藤智規君) 今さら申すまでもなく、医療法で院内掲示が必要な事項としては、管理者たる病院長の氏名のほかに、「診療に従事する医師又は歯科医師の氏名」とあるわけでございますが、このほか看護関係の職員の氏名につきましては、病棟で婦長さんとか看護婦さんのお名前をという例は多々あるわけでございますが、玄関に表示しているというのは、国立大学病院の場合、一部まれな例としてはございますけれども、必ずしも多い実態ではございません。  今の御指摘の趣旨なども踏まえ、また他の国立病院等の実態とも兼ね合いながら、今後各大学を御指導申し上げる機会があれば指導してまいりたいと思っております。
  59. 南野知惠子

    南野知惠子君 やはり看護部長は病院の中のマネジメントをするだけの立場ではなく、これから地域に広がる介護保険も含めまして、訪問看護も含めましていろいろな問題を提起する者であると思います。こういった医療事故が起こりますのであるならば、やはりそれらも含めて病院機構の改革ということもしていただきたい、そのように思っております。労災病院、国立病院、既に展開されているところでございますので、ぜひよろしくお取り計らいをお願いしたいと思っております。  次は、養護教諭の件でございますが、小学校、中学校の養護教諭の定数改善ということでございます。  先日の当委員会におきまして、少年犯罪の凶悪化、それと低年齢化が目立ち、ゲーム感覚による生命軽視、または倫理観や社会規範の欠如などがあり、二十一世紀の主役である子供たちによってこのような出来事が起こっているだけに心苦しい限りであるということを大臣にお伝えしました。大臣の青年健全育成などについてのお考えを拝聴することもできました。  それに関連してでございますが、これらいじめなどによって集団生活がうまくいかない生徒の保健室登校が増加し、やがて不登校となるケースが多く見られているのが今日でございます。家庭、学校、社会の連携の輪が大切であるということは申すまでもありませんが、私は学校内においてその連携のきずなを強める役割は養護教諭にあると思っております。  生徒だけでなく教師もいろいろと相談できる場となっておりますし、義務教育の場においても、児童生徒による対教師暴力、薬物乱用、性の逸脱行為、ナイフなどによる殺傷行為などの問題行動が頻発していますが、これらに対処するため、養護教諭が従来の救急処置、保健指導などの職務を広げて、相談活動や指導に適切に対応できる必要があると考えております。  私は、今まで保健室及び図書館などに子供たちのオアシスの場をつくるべきである、そのようなことを充実すべきであるということも申し上げながら働きかけてまいりましたが、今般の概算要求で明らかになりました第七次定数改善計画におきまして、養護教諭の定数改善はどのように措置されるのでしょうか、お伺いいたします。
  60. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 教職員定数の改善につきましては、現在の改善計画が今年度に完成いたしますことから、文部省といたしましては、引き続き平成十三年度から平成十七年度までの五カ年計画といたしまして第七次教職員定数改善計画をスタートさせたいと考えているところでございます。  この計画の中で、養護教諭につきましては、救急処置、保健指導などの従来の保健室における職務のみならず、委員指摘がございましたように、今後は児童生徒の心身の健康問題等さまざまな場面で専門性を生かした相談活動等にも適切に対応する必要があるわけでございまして、こうしたことを踏まえまして、次に申し上げるような改善を行うことといたしているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず、児童生徒の心身の健康問題等に対応いたしますために、学級数の増減に影響を受けないように定数積算を児童生徒数に変更した上で複数配置の基準を、小学校につきましてはこれまでの三十学級以上から二十二学級に相当いたします八百五十一人以上に、また、中学校につきましてはこれまでの三十学級以上から二十一学級に相当いたします八百一人以上に改善することとしているところでございます。さらに、緊急的な事情に対応できますように加配定数を措置することとしておりまして、小中学校合計では九百七十四人の改善を図ることといたしているところでございます。  このほかに、特殊教育諸学校におきます養護教諭の複数配置基準を三十学級以上から六十一人以上といたしまして百八十八人の改善を図ることといたしておりまして、これによりまして、第七次教職員定数改善計画全体といたしましては一千百六十二人の改善を図ることといたしておりまして、来年度、平成十三年度要求におきましては、この初年度分といたしまして二百三十三人の改善を要求いたしているところでございます。
  61. 南野知惠子

    南野知惠子君 今数字をお聞きいたしましたが、私たちもいろいろと友人その他から仄聞いたしております。八百人というとやはりなかなかこれは手が回らないよと。  どういうことで手が回らないのかといいますと、子供が家庭内で刃物を持って暴れている、そのことについて父親も母親も手が出せなくてぶるぶる震えているところに電話の連絡がやってきた、そういうところで養護教諭の方が家庭訪問をして子供に十分説得することによって気持ちを和らげ、刃物を手放すことができた。そういうようなことも家庭の中に現実にあるということでございます。  さらにまた、家庭と養護教諭の人たちとを結びつけるものとしてはいろいろな事例が考えられ、またはいろいろな事例を仄聞しているわけでございますが、例えば、学校内におきましても、保健室に複数いない場合には、一人が子供たちのために手をかけている、または、それでなくても一人が家庭訪問をしているということであれば保健室の中は空になってしまう、そういうことによってほかの先生たちが埋めていただけるとは思うんですけれども、そのような協力が学校の中にあってほしいものだなというふうに思いますが、学校全体での関連ということはどのようになっていますでしょうか。
  62. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 委員指摘のように、学校における養護教諭の役割がますます大きくなってきているわけでございます。そういう状況を踏まえまして、今回、次期改善計画において養護教諭についての改善を盛り込んだところであるわけでございますが、率直に申し上げまして、学校全体の中で、先ほど御指摘のように、養護教諭の必要性またその役割の重要性にかんがみまして私どもとしては特に配慮をして改善を図ったところでございますし、とりわけ、複数配置のほかに、児童生徒の心身の健康への適切な対応を行うという観点から、各都道府県に対しまして百八十八名の加配定数を特に配慮いたしたところでございます。
  63. 南野知惠子

    南野知惠子君 数においては本当に御配慮をいただいたと思いますが、我々、話し合いをやっている段階では、四百人に一人ぐらいは将来ぜひ置いていただきたいものだなというようなことも考えております。  また、学校の中で最近テレビなどの設置をやめたというようなこともございますが、校長室のテレビをやめることについてはこれは私はいいと思いますが、保健室の中にはテレビを持ち込み、そこで性教育その他のビデオも活用していただければいいなと思うことと、それから保健室に電話のないところがあります。子供たちとカウンセリングしながらでも、家庭からの電話があった場合には保健室から養護教諭が電話のあるところまで行かなければならない、そのような不便さにおいて大変難渋をしているということも聞いておりますが、電話の問題についてはいかがお取り計らい、計画ございますでしょうか。
  64. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 御案内のように、私ども、保健室以外につきましても心の相談室といったような、そういう児童生徒のいわば安らぎの場といったような施設整備も進めているところでございます。  そういう中で、電話やテレビのお話がございましたが、私ども実態を今把握しているわけではございませんけれども、そうした御指摘も踏まえまして、今後、学校施設における施設整備の際には、そうした点を踏まえて指導もしてまいりたいと考えているところでございます。
  65. 南野知惠子

    南野知惠子君 では次は、高等学校における養護教諭の定数改善でございますが、高等学校におきましては、やっぱり小学校、中学校と多少中身の濃さというんでしょうか、カウンセリングの仕方が違ってまいるのではないかなと思っております。性問題や命、いわば自我の芽生えに関する相談活動、それからそれに関連する指導などが要るのではないか。最近、中途退学者の増加というものもこれあり、現代的課題に対して小中学校よりもさらに心的な要因が背景を取り巻いていると思います。  生徒の心身の健康問題に適切に対処していく必要があるわけでございますが、小中学校よりも学級担任の意識が薄い、これは失礼な言い方でございますが、意識が薄くなっているのではないか。または、生徒指導の一部を担うなど学級担任の補完的な仕事も多くなってきていると伺っております。このため、今後、高等学校における養護教諭の定数改善をどのように図るおつもりでおられるのか、お伺いいたします。
  66. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 養護教諭を含みます高等学校の教職員定数につきましては、先ほど申し上げました義務教育諸学校と同様に、来年度、平成十三年度から第六次教職員定数改善計画をスタートさせたいと考えておりまして、今後、関係省庁に要望をしてまいりたいと思っているところでございます。  具体の改善計画の内容につきましては現在検討中でございますけれども、養護教諭につきましては、先ほど申し上げました中学校や特殊教育諸学校の小中学部と同様の改善を図ることといたしまして、複数配置基準の改善あるいは緊急的な事情に対応できるような加配定数を措置することを考えているところでございます。
  67. 南野知惠子

    南野知惠子君 小中学校並みというと、小学校と中学校、多少違いますので、ぜひこれは中学校並みにお願いしたいというふうに思っております。これは二十一世紀を担う、主役とする子供たちの心身の健康問題でございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。これで文部省への質問を終わらせていただきます。  津島厚生大臣、お帰りでございます。一問、質問させていただきたいと思っております。  食品衛生管理の件でございますが、ハエ、ハチ、ゴキブリ、クモ、トカゲ、ヤモリ、ニホンカナヘビ、生きたアリ、何のことだかおわかりになると思います。さらに、ボルト、ねじ、缶くず、針に針金、釣り針、ガラス、ボタン、プラスチックや電池、石、動物の毛やふん、傷テープ、たばこのフィルター、人間の歯、つめ、指のようなものまで混入した食品が市販されております。  もう危険でどうしようもございませんが、食品の異物混入に関する苦情が東京都衛生局食品保健課に寄せられました数は、九八年が五百四十九件、九九年は五百六十七件と毎年同じような件数がございます。消費者として安心できない状況でありますが、どうしたらこのようなことを防止できるのでしょうか。  また、大阪工場の製品による集団食中毒事件は、雪印乳業ばかりではなく食品業界に深刻な影響を与えたゆゆしい事件であったかなと思います。食品管理への不信、不安はもちろん、雪印乳業に長年依存してきた関連業界も大きな打撃を受けました。安全への検査、再発防止策が行われ、ようやく落ちつきを取り戻してきたやさき、大阪工場ばかりでなく、北海道大樹工場でつくられた脱脂粉乳が食中毒の原因として指摘されました。驚きと同時に、あきれたという感じを持っております。  また、食品ではありませんけれども、昨年、本委員会で取り上げられましたジェー・シー・オーの臨界事故がございました。イロハである臨界管理を怠り、結果として安全性が無視され、企業利益が追求された結果であるということは、この食品と同質の問題であると思われます。  立派な技術を持っていても、管理、実行する人間が手抜きをすればこのような結果を招くということであります。消費者の健康、命に直結する製品を扱う食品業者、特に企業トップはこのことを常に念頭に置き、企業危機管理を怠ってはいけないのであろうと思います。  食品衛生管理を所管する厚生省として、このような観点から企業を指導していただきたいのでありますけれども、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
  68. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 最近におきまする食品に対する異物の混入、また消費者、国民一般の不安感というものを私どもは重く受けとめなければならないと思っております。国民の生命と健康にかかわる食品衛生行政でございますから、非常に重要な責任があると思っております。  厚生省といたしましては、従来より、食品衛生法に基づき、食品の規格基準、施設基準等を定めるとともに、これを具体的に実施いたします都道府県等による施設に対する立入検査等の監視、指導も実施し、これらの遵守を図ることにより食品の安全性を確保する努力をしてまいりました。  今回の雪印乳業食中毒事件につきましては、食品監視について重点的効率化を図るとともに、HACCPについて承認審査及び承認後の監視の充実強化を図る必要があると考え、先般、専門家から成るHACCP承認に係る助言機関を設置したところでございます。  北海道の大樹工場におきまする食中毒の原因と思われる事故につきましては、HACCPの枠外の原料工場の話でございましたように、HACCPそのものについていろいろな御議論がございましたけれども、私どもは今回の事件は、HACCPの周りのいろいろな環境について心しなければHACCPの目指した本来の趣旨が達成できないというふうに受けとめておるところでございます。  また、営業者自身による食品等の衛生的な取り扱いや食中毒発生時の対応が極めて重要でございますが、私どもといたしましては、HACCPに関する企業経営トップ等に対する指導を実施するとともに、営業者に対して指導を強化し、営業者の食品を扱っているという社会責任の自覚というものを促してまいりたいと思っております。
  69. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。  さらに大臣にお願いでございますが、審議会のあり方についてでございます。  今回の中央省庁再編などによりまして、政策的な事項を審議する審議会につきましては原則廃止されるということになりました。医療保険などの分野でも医療保険福祉審議会などが廃止されますが、今日、医療現場で半数を占めており、また大変重要な役割を果たしていると思われる看護職の意見を反映させる場が少なくなることを危惧いたしております。  今回の再編で中医協は残ることとなったようでございますが、中医協に看護職を入れるべきであることは、長年、国会の場でも主張してまいりました。小泉大臣からも委員会構成のあり方を含めて検討するとの御答弁をいただいているところでございますが、二年余たちましてもその後厚生省からは何のお話もございません。これからの医療体制はチーム医療であり、看護職の視点も必要になってくるであろうというふうに思っております。新しい二十一世紀に向けての医療保険、診療報酬のあり方、医療体制や看護体制などを審議する場に改革されない審議会が引き継がれることでよいのでしょうか。国民に開かれたわかりやすい体制をつくり、病院協会のメンバーも加え審議がなされることを望みます。  本日は時間もございません。私の持ち時間いっぱいでございますので御答弁は求めませんが、津島大臣におかれましてもこれまでの経緯などをお踏まえいただき、十二分に御検討いただきますことを信じて御要望のみ申し上げます。  以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  70. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  71. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十年度決算外二件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 保守党の月原です。  きょうは、午前中の高次元の話ではなくて比較的実務的な話でありますが、お願いしたいと思います。  エイズの事故とかそういうような反省にも基づいてでしょうが、医薬品の健康危機管理ということについては厚生省も今力を入れておられることはわかります。そこで、厚生省のその実施要領の中の第九、自主的措置にはどのような対応があるかということをまずお尋ねしたいと思います。
  73. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 事務的でいいですか。
  74. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 はい。
  75. 丸田和夫

    政府参考人(丸田和夫君) 御指摘の医薬品等健康危機管理実施要領、これにつきましては平成九年に制定されたわけでございますが、その中に、第九に規定いたします自主的措置についてでございます。  これにつきましては、医薬品等によりまして健康被害が発生し、または発生するおそれがある場合に、その健康被害の発生または拡大を防止するために厚生省の命令あるいは指導に基づかず医薬品等の製造業者等が自主的にとる措置でございます。  自主的措置の具体的内容としましては、一つは医療関係者への注意喚起の徹底、あるいは医薬品による副作用と疑われる症例報告に基づく添付文書の改定、また製品の回収、あるいは製造販売の中止等の措置が考えられるところでございます。
  76. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 これは、具体的な薬の名前あるいは会社の名前、そういうものは私はあえてここでは申しません。しかし、実際にあった、最近起こったことについて、それをモデルとしてお話を伺っているわけであります。厚生省の方も十分御理解なさっている問題であります。  そこで、販売中止の場合というようなこともその対応一つとしてある、また回収というものもある、そういうお話がありましたが、厚生省に申し出ることになっているのは、それは本来ならば私は事前が本当だと思うんですが、事後でもいいのかということを質問したいと思います。
  77. 丸田和夫

    政府参考人(丸田和夫君) 医薬品等製造業者の方が安全性上の問題に基づきまして販売中止等の自主的措置を行う場合でありましても、医薬品は国民の生命、健康に直接かかわる製品でございますので、使用する患者さんへの影響あるいは医療現場の問題などのことも考慮いたしまして、例えば販売中止に関する医療現場への情報提供の方法とか、また供給停止の方法などにつきまして、厚生省に事前に相談された上で販売中止を行うことが適切と考えております。  しかしながら、医薬品等の一義的な安全性確保義務を負います製造業者等が販売中止の緊急的な判断等を行う場合もあり得るわけでございますが、このような場合であっても、その決定後速やかに厚生省へ申し出るべきものと考えております。
  78. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 その申し出の際に、なぜそうするのか、販売中止をするのかというその根拠、それを示す必要があると思いますが、どのような形でどういうふうなデータに基づいてその根拠を示すことになるのか、一般的な事例を御説明願いたいと思います。
  79. 丸田和夫

    政府参考人(丸田和夫君) 製造業者の方から自主的措置を行う旨の申し出がありましても、自主的措置により安全対策が確保されるかどうかの確認、あるいは自主的措置に加えまして当該製造業者等におきまして実施すべき安全対策がほかにあるか否かの確認、こういったことが必要でありますため、私どもとしましては、副作用の発現状況とかあるいは外国でのそういった状況、また国内における使用患者数、それと、例えば販売を中止した後の代替薬による治療の可能性、こういったことにつきます報告書を求めているところでございます。
  80. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今のお話でありますが、その根拠によっては、今はやめました、販売中止しましたと、こういっても後でもう一回お願いしますと。英国なんかの場合はそういう例があるわけですね。販売中止したと、そしてその後、こういう条件ならばいいと思うんだがひとつお願いしたいというふうに申し出たら、英国の厚生省に相当するところですか、それはだめだと、こういうふうに言ったわけでありますね。  という事例でもわかるように、その根拠というものをはっきり示していなかったら、次にもう一回売りたいんです、販売したいんですといったときに判断する基準がなくなっちゃう。判断の根拠を失うと思うんですね。だから、そういう意味においては、しっかりした根拠、そういうものを厚生省が把握しておく必要があると思います。その点、いかがですか。
  81. 丸田和夫

    政府参考人(丸田和夫君) そういった点も、今、先生からの御指摘の点もございますので、報告書を求める際は、どういった根拠に基づくものかということも含めて、私どもは事前に報告を求めているところでございます。
  82. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そこで、そういう申し出があった、よしわかったと、こういうことになった場合に、それを薬品を使っていたお医者さんあるいは薬剤師、そういう方々にはどのように通知をしておるのか。厚生省自身が通知をするのか、あるいはまた業者を通じて業者にそれを任すのか。そして、その場合に、それぞれの人に示すべき内容はどういうふうな内容であるかということを指導しているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  83. 丸田和夫

    政府参考人(丸田和夫君) 医薬品等の販売を中止いたします場合には、当該医薬品等を使っておられる患者さんに対しまして不必要な不安を抱かせることがなく、また他の薬剤への切りかえが円滑に図られますよう、医師、薬剤師等の医薬関係者を通じまして患者に対しまして適切に情報が提供されることが必要であると考えております。  そのために、薬事法の七十七条の三の規定におきまして、製造業者等に対しましては、医師、薬剤師等の医薬関係者の方に対しまして医薬品の安全性情報を提供するよう努力義務が規定されております。厚生省といたしましても、この規定に基づき適切な情報提供が行われますように製造業者等に対しまして指導しているところでございます。
  84. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 ちょっと十分聞き取れなかったのですが、厚生省は今いろんな情報を流すというふうに言ったが、業者を通じて医師、薬剤師に、業者を指導して、これは販売中止するのならいいですよ、このことについてはちゃんとお医者さんなり薬剤師さんに教えなさいよ、こういうふうに言われるわけですが、私がお尋ねしたいのは、当該業者、Aという薬品を扱っているその業者が自分が販売しておるところの、販売というか、そこのその製品を使ってもらっておるお医者さんあるいは薬剤師さんに、こういうところに説明に行くんですか。それとも、それを使っていないお医者さんあるいは薬剤師さん、そういうものに対してはどういうふうに知らせるんですか。どういうふうな方法を講ずるんですか。
  85. 丸田和夫

    政府参考人(丸田和夫君) 医薬品につきまして販売中止等の自主的措置を講じました場合には、その医薬品等の製造業者の方から、まず第一番目には、今、先生もおっしゃいましたように、当該医薬品を直接使用しまたは調剤しております病院、診療所あるいは薬局に対しまして、直接かつ迅速に文書により情報を提供する、こういうことになっております。次に、当該医薬品を扱っていない医師、薬剤師の方等に対しましても広く情報提供するために、医薬品等健康危機管理実施要領に基づきまして、その措置の内容をマスコミ等に公表することを指示しているところでございます。  そういった自主的措置かどうか、それにかかわりませず安全対策上特に重要な場合には、厚生省が二カ月に一回発行しております医薬品・医療用具等安全性情報に掲載するなど、厚生省におきましても情報提供に努めているところでございます。
  86. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 私が心配するのは、当該製造または販売しておる業者の方は、まず自分が関係しておるお医者さんなり薬剤師さんのところに行く、もうそれで任務終われりと、それはそれでいいんでしょうけれども、しかし医薬分業の精神からいって、その薬を使っておる人がもしほかの薬とまざった場合にはどうなるかというような問題もあるだけに、その関係以外のお医者さんあるいは薬剤師さん、そういうところにも通知するシステムが今あるように、何カ月に一回とかいう話がありましたが、場合によってはそういうところにも物によっては早く知らせる必要がある。業者に任せておったら自分のところだけに行くんです。業者におまえのところはほかのところも行っておけよと言うと、なかなか行かぬ。そういうところは厚生省がやはり国民の健康を預かる者として私は注意すべきことだ、こういうふうに思います。  そこで、ある薬品でありますが、これについてそれぞれ担当のところに連絡文が行った。それには「詳細情報、回収方法等につきましては後刻お伺いの上、ご説明させて頂きます。」と、こういうふうに言っておるのだが、必ずしもこれが徹底されていないと私は聞いておるわけであります。厚生省の方は、この点についてはそれを業者がどのように実施したか、そして厚生省はどのようにそれを確認しておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  87. 丸田和夫

    政府参考人(丸田和夫君) 御指摘の医薬品につきましては、事前に先生の方からお聞きしておりますので、それを前提に申し上げたいと思います。  製造業者等は、その連絡文書で、実際に使用しております医師等に対しまして、販売の中止とか、あるいは自主回収に関する連絡を開始したものと承知しております。この連絡文におきまして、今、先生が御指摘の「詳細情報、回収方法等につきましては後刻お伺いの上、ご説明させて頂きます。」と、こう記載されているわけでございます。  それで、この点につきまして、その製造業者等は医薬情報担当者、いわゆるMRでございますが、そういった人に指示して、文書配付とは別に、ノスカールを使用している医師等へ直接情報提供を個別に行ったと聞いております。  また、その後、私どもの方に回収が完了した旨の報告を受けているところでございますが、先生御指摘のように、情報提供の実施状況について詳しくは私どもは報告は受けていない状況でございます。これにつきましては、具体的な実施状況につきまして製造業者等から報告を受けまして、問題がございますれば改めて指導を徹底してまいりたいと思っております。
  88. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、局長からお話しのように、一部漏れがあるかもしれない。やはり私が申し上げたように、厚生省は、エイズだけではないけれども、最近のいろいろなことを判断して非常に詳細な規定をつくり、実施されておること、私はそれは立派なことだと思っております。しかし、やはり抜けがあるわけですから、そういう点は、今のお話のような点については今後も注意していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、最後政務次官に御質問いたしますが、要望も兼ねておるわけでありますが、ある雑誌を見ると、医者がみずから行った診断や治療について十分な説明が行われず、患者に対して情報を提供しないという批判が非常に多い、こういうふうに書いておるわけですね。そして、不満の理由として待ち時間と同じくらい多いのが説明が不十分な点だと、こういうことを言っておる。中でも、薬の作用や副作用に対する説明がないことに対する大きな不満がある。そのおかげでしょうが、使用された薬が何であるかがわかる本がベストセラーになっておる。  そこまで厚生省考えておるわけではないと思いますが、とにかくこういう薬についての十分な説明、今の当該医薬品について言えば、お医者さんが患者に対してちゃんとした説明ができないと。諸外国でやめたからうちもやめるんだと、こういうふうなだけの理由で、後はうんともすんとも言ってこない。これでは患者も不安になってくる。お医者さんも患者に対して今まで何でその薬を使っておったんですかと。私にはかなりよく効いておったのにどうしたんですか、何か弊害があるんですかと。ある条件をつけたときのいろんなデータは示したけれども、やめたときの話は全然ない。こういうのでは、私はやはり現在の医学の、今申し上げたように国民の健康に対する不安、そういうようなことにこたえることにならないと思うんです。  ましてこれから、何か話によると弁護士も三千人ぐらい年間ふえてくると、司法関係者が。もうこういう訴訟ばかりで飯を食おうとするやつがどんどん出てくるわけですから、ちゃんとした姿勢を示しておかぬと私はいかぬと、こう思うんです。  そこで、本件のような製造業者の自主的な販売中止措置における医師、薬剤師への情報提供を重要と私は考える、今申し上げたとおりでありますが、厚生省の見解はいかがか。そして、今後どう取り組むつもりであるか、そのことをお答え願いたいと思います。
  89. 福島豊

    政務次官福島豊君) 先生御指摘のことは大変大切なことだというふうに思っております。  こうした自主的な販売中止措置におきましても、実際に処方しておられます医療機関や調剤しておられる薬局、そして服用しておられる患者さんに混乱を来すようなことがあってはならないというふうに思いますし、自主的な回収、中止の場合であったとしても、これは十分な説明がなされる義務が私は一義的に製造しておられる企業、そしてまた輸入販売をしている企業に存するというふうに考えます。  今回の先生の御指摘の点で、その情報の提供というものが不十分であったのではないかという御指摘でございますけれども、本件について具体的な報告を受けて、問題があれば適切に対応してまいりたいと思いますし、今後も繰り返しこうしたことが起こり得るというふうに考えておりますけれども、その事例におきまして適切に情報提供が行われるように関係の企業というものを指導してまいりたいというふうに思っております。  それから、先ほど局長からも御紹介がございましたけれども、隔月に医薬品・医療用具等安全性情報というものを発行いたしておりまして、緊急安全性情報の提供ということとは別に、必要な情報というものの提供を行っているわけでございます。こうした事例におきましても、適切にこうしたメディアというものを活用しまして医師、そしてまた薬局等に提供してまいりたいというふうに考えております。
  90. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今のお話のとおり、力強く推進していただきたいと思います。  以上をもって私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  91. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子と申します。  本日は、厚生、労働両省の省庁別の決算審査でございますけれども、関連する省庁にもお見えいただいておりますので、よろしくお願いいたします。質問の数が多うございますので、お答えの方もできるだけ簡潔にお願いできればありがたいと存じております。  それでは、早速質問させていただきます。  つい最近の新聞でございますけれども、警察庁の方の発表でございましたが、昨年一年間の自殺者が三万三千四十八人と過去最悪を記録したということが各紙に大きく取り上げられておりました。各報道の書きぶりといたしましては、不況、リストラの影響が大きいという、そういう報道があったわけでございますが、この警察統計を所管していらっしゃる警察庁の方から直接に、どのようにこの数字をごらんになっておられるか、事務方からで結構でございますので御説明いただきたいと思います。
  92. 上田正文

    政府参考人上田正文君) 平成十一年中における自殺者の総数は三万三千四十八名でありまして、前年に比べまして〇・六%増加をしております。これは、前年とほぼ同水準ではあるものの、昭和五十三年に警察庁が自殺の統計を取り始めてから最も多くなっております。  この三万三千四十八人の内訳でありますが、年齢別では、六十歳以上が全体の三三・七%、次いで五十歳代が二五・一%、四十歳代が一六・二%になっております。また、職業別では、無職者が全体の四六・八%、次いで被雇用者が二三・九%、それから自営者が一三・〇%となっております。  また、遺書がある方九千二百七人についての分類でございますが、原因、動機では、健康問題が四一・二%、経済・生活問題が三〇・二%、家庭問題が八・九%等となっております。こういった特徴をとらえてただいま議員が言われましたような報道各社の見方が出ているものと思われます。  自殺の原因、動機につきましては、ただいま申しましたように警察が推定をし分類をしてはおりますけれども、実際にはそれぞれにいろいろな事情があり、複合的なものであります。したがって、統計から申し上げられますことは、自分の命を絶つという大変つらい選択をされた三万三千四十八人の一人一人の方について事情は千差万別でありましょうが、いろいろな困難な状況が重なった結果このような厳しい数字になったということだと思います。  以上です。
  93. 川橋幸子

    川橋幸子君 統計全般の御説明ですとなかなか特徴的な傾向が出てこないわけでございますけれども、私がいただいた調査によりますと、特に経済・生活問題、自殺の原因、動機をとられたこの数字でございますけれども、平成九年と平成十年の間に非常に大きな増加が見られる。平成九年が三千五百、これが一挙に平成十年には六千件に上がり、ことしも六千七百件余。  非常に、やはりこういうものを見る限りにおきまして不況の影響、特に倒産なさいましたり負債を抱えられたりあるいは失業しておられたりと、こういう経済不況、リストラの影響が大きいという、私はこういう新聞の報道は非常にわかりやすい分析であると思います。この数字というものをそう安易にとらえるべきではないと思うわけでございます。  そこで、きょうは厚生、労働両省の省庁別審議でございますが、この二つの省はともに社会のセーフティーネット、これを整備することを使命としておられる省であるわけでございますけれども、両大臣はこのような自殺の増加をどんなふうに受けとめられますでしょうか。厚生、労働の順にお答えいただきたいと思います。
  94. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 今、川橋委員が御指摘のように、自殺がふえておる、そして平成九年から十年にかけて著しく伸びておるというようなことについては、私はやっぱり日本社会全体の諸条件がかかわっているということは否定できないんではないかという感触は持っております。と同時に、社会的に厳しい条件ができてきた、職を失う方も多くなる。  そういうようなときに、対策としては、もちろん社会問題全体として改善を図るということは基本でありますけれども、忘れてはならないのは、そういう一人一人の方の重荷を背負っていけるだけのサポートをしなければならない。そこのところにやはり心のケアという問題もあるのではないだろうか。自殺の防止対策として、ストレスあるいはうつ状態が引き起こされたという場合の心の健康づくり対策もまた厚生省としては手がけなければならないと思っております。このため、保健所及び精神保健福祉センターにおいて地域住民からの心の健康相談に応じておりますけれども、今、予算等におきまして、厚生科学研究の中でうつ病対策等に関する研究を進めているところでございます。  今後とも、このような厚生省固有の分野における取り組みを強化しますと同時に、また、委員がお触れになりました社会のセーフティーネットをきちっと整備していく、社会保障の面につきましてもさらに一層努力をしてまいりたいと思っております。
  95. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 自殺者の多発が雇用不安が大きくなっていることが直接の原因であるかどうかは必ずしも明らかではありませんけれども、ここ数年自殺者が増加していることは御指摘のとおりでございます。  私としては、労働者の雇用の安定を図ることが労働省の重大な責務であるという認識に立ちまして、ミスマッチの解消を重点とする緊急雇用対策を初め雇用対策に十分に力を入れてまいりたいと思っております。  さらに、雇用不安等から生ずるストレスの解消については、事業所における労働者の心の健康づくりのための指針の普及徹底を図るとともに、労災病院にメンタルヘルスセンターを設置するほか、本年度から電話やインターネットを通じて労働者のメンタルヘルスにかかわる相談を実施すること等によりまして、労働者の心の健康の保持増進に努めてまいりたいと思っております。
  96. 川橋幸子

    川橋幸子君 両大臣とも大変重く受けとめていただいて、心のケアないしはメンタルヘルスというそういう点からの両省の取り組み、それから総合的なセーフティーネットを整備する、雇用対策を進めるということはぜひお進めいただきたいと思いますが、両省に関連しまして、共通するものでございますが、セーフティーネットの中でも非常に最後のよりどころというようなそういう機能を持つセーフティーネットがあるわけでございます。さきの通常国会で雇用保険法の改正をいたしましたときに、参考人の方、東京大学の大沢真理さんとおっしゃる方でございましたけれども、その方の指摘をかりまして、きょうは、厚生省の方には生活保護の問題、それから労働省の方には失業給付の問題を伺いたいと思います。  まず厚生大臣にお伺いしたいのは、生活保護でございますが、これは本当に所得の低い方々、世帯、そういう方々の生活の最後のよりどころとなるわけでございますが、日本の場合は、国際的に見ますと補足性が非常にきついと。補足性というのはどういうことかといいますと、本来ならば生活保護の制度適用を受けるそういう方々が実際にはそれを受けないということでございます。  理由といたしましては、その人の働く所得能力があるかどうかが厳しく問われたり、それから資産がある。例えばの話、クーラーがあるから生活保護を打ちとめるというような、そんな訴訟があったことを御記憶だと思います。資産の面の補足性が非常に厳しい。それから、親族扶養が優先される。日本の場合の親族扶養の場合は、夫婦相互とか子供に対する親の扶養だけにかかわりませんで、親類縁者といいましょうか、兄弟、姉妹、二親等の親族、こういう親族扶養というものも非常に強く求められる。このために、大沢先生のお言葉をかりれば、国際的に見ると特異なまでに強固というふうな指摘をされておられます。貧困世帯と予想される世帯の中で生活保護世帯がどのぐらいあるかといえば、五・七%、二十軒に一軒が保護を受けている、その程度の手厚さといいましょうか手薄さ。最低の手厚さといいましょうか、そのようなことを表現なさったわけでございます。  そこで、これから社会保障制度はさまざまな総合的な改革の時期を迎えるわけでございます。年金、医療、出てまいります。児童手当の問題もございます。そうした社会保障制度全体の見直しの中では、ぜひこうした日本の生活保護制度についてももう一回見直していただきたいと思うのでございますけれども、津島大臣、いかがでございましょうか。
  97. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 生活保護の制度のあり方でございますけれども、もう委員御承知のとおり、これは憲法にゆえんするような、国民の文化的な最低生活を保障する、国民の権利にかかわるものでございます。非常に大切な制度でございますけれども、また同時に、健康で最低限度の生活が維持できるという意味合いにおきましても、ある程度の水準の保障という問題は、これはどうしても避けて通れないわけでございます。  それを今、委員は補足性という言い方でおとらえになって、そういう意味ではどうしても出てくる問題ではございます。外国と違うとおっしゃいましたけれども、これは委員は御承知のとおりだと思いますが、外国におきましても、何らかの形でそのような問題、制度上の問題があるようでございます。ただ、私どもがやはり留意しなければならないのは、こういう制度の運用のためには我が国社会の実態に即して国民全体の理解を得なければならないという面もございます。ですから、諸外国の公的扶助制度について我が国と異なっているということから、直ちに日本でそれでいいという結論はなかなか出しにくい。やはりそれぞれの社会構造や生活困窮者の最低生活の保障のあり方を国民がどういうふうに考えているかということもまた大事にしなければならないわけであります。  私のこれは個人的な感じでございますけれども、この生活保護という制度に対する日本の一般の見方が外国と違う面もあるなと。私も外国生活数年やっておりましたので、例えばヨーロッパとかアメリカに比べますとやっぱり国民感情が違うところはあるなということは、これは否めないところであろうと思います。  それはそれにいたしましても、この生活保護制度について、社会福祉事業法等の改正の際に国会で附帯決議をおつけになっております事実も踏まえて、そのあり方について検討していかなければならないので、今、委員が御指摘の点を含めまして、生活保護制度が国民生活の最後のよりどころとしての役割を適切に果たせるようにこれからも研究してまいりたいと思います。
  98. 川橋幸子

    川橋幸子君 労働大臣には後にお伺いさせていただきますが、今の厚生大臣のお答え、大変優等生の言い回しをなさったような感じはいたしますけれども、結論的には私も、大臣のおっしゃるとおりに、附帯決議の中にも盛られたことでもあり、国民生活の最後のよりどころと、こういう機能が発揮されるように見直してくださるというふうにお答えいただいたことはしかと受けとめさせていただきました。  それと、大臣がおっしゃった国民性の問題というのはもちろんあるとは思います。特に、日本の場合は恥の文化というんでしょうか、生活保護は受けたくない、自力でも頑張っていこうと、こういう文化というのはこれは大事にすべきことだと私も存じますけれども、先ほど申し上げもしました補足性の方はむしろ制度の問題、制度の運用の問題でございますので、そことは少し違うことをきょう申し上げたということを御理解いただきたいと私は思うのでございます。  ちなみに、これは九六年の総務庁の行政監察の結果の報告でございますが、ここでも、近年、要保護者が保護の内容を十分に理解していなかったことなどから、保護に至らなかった例が見られ、的確な実施が求められておりますと、こういう警告があるわけでございます。  ことし二月、宇都宮市で母子世帯の赤ちゃんが衰弱死したというようなこともあるわけでございますので、ぜひ制度の運用、それから制度のあり方含めて全体的に見直していただきたい、これは要望でございます。
  99. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 重ねての御質問でございまして、私も御答弁、舌足らずの点がございましたので補足答弁させていただきますが、今のように、生活保護の本旨に基づいて当然保護を受けられるべき方が受けられない、社会の片隅で忘れられたり、あるいは心理的な抵抗もあるものだから無理に遠慮をされたり、そういうケースはあってはならないと思っております。  それから、適用における個々の例については、私の知るところでは、現実に合わないような規制があるとすればそれは逐次改善をしているというふうに承っておりますので、今後ともその方向で必要なことは努力をして改善を図っていきたいと思います。
  100. 川橋幸子

    川橋幸子君 必要なところは見直してくださるという大臣のお約束でございますので、ぜひ大臣の目でこの行政、見直していただきたいと存じます。  さて、それではお待たせしました。労働大臣にお伺いしたいのは、失業給付というのも、これも働く人々、現役世代の人々にとっては最後のよりどころになるものでございます。  さきの雇用保険法の改正によりまして、雇用保険財政も厳しい中から、負担と給付のバランスを考えてより必要なところに給付が届くように弾力化を図った、このように説明されておるわけでございますけれども、京大の橘木先生の指摘でございますが、OECD諸国を比較すると、どうも失業給付、その水準において、それと給付期間において、これまた最低の手厚さというようなことが指摘されておるわけでございます。  雇用保険法、改正されたばかりでございまして、その附帯決議の中には、今回の改正はやむを得ないにしても、今後の雇用保険三事業の見直しを含めてこういう問題を考えていただきたいということから保険三事業の見直しなどが盛られていると私は理解しているわけでございます。大臣の方からも、働く人々にとっての失業した場合のセーフティーネット、五十代の自殺者が非常にふえている、これはやはり雇用不安と無縁ではないと思うわけでございます。  こうした失業給付がセーフティーネットとしての機能を果たすためのこういう見直しを進めていただきたいと思いますが、労働大臣にお伺いいたします。
  101. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 失業給付につきましては、さきの通常国会におきまして、保険料負担のあり方も考慮しまして現行の給付日数の上限と下限に配慮しつつ、倒産や解雇等により離職した者に対して十分な給付を行うという重点化を図ったところであります。  なお、欧米諸国の失業保険の保険料率は我が国の数倍から十数倍程度となっております例が多いことから、単純に給付についてのみ比較することは適当ではないのではないかと思っております。  また、最後に御指摘雇用保険三事業につきましては、今月一日の雇用安定等事業部会報告を踏まえまして、より効果的、効率的なものになるように見直しを行うとしております。
  102. 川橋幸子

    川橋幸子君 雇用保険法の改正を踏まえた上での、なおかつの改善の私は御要望を申し上げたつもりでございますけれども、確かに日本の場合は雇用保険の保険料率は諸外国に比べれば低いと言われております。  しかし、例えばいつも日本が規制緩和のときにモデルのように持ち出されますアメリカ、イギリス、むしろ市場原理の方を強く主張しておると思われるアメリカ、イギリス、イギリスのことはちょっとまだこの資料にはないのですけれども、私が読んだ限りにおきまして、アメリカの場合は保険料の負担は全額使用者負担という、そういうこともあるわけでございます。  雇用保険三事業の場合は、今回、何というんでしょうか、産業構造の変化を踏まえると成長産業の方に労働力を流動化させようとすれば、これからは産業のシェアは小さくなると思われるようなところの賃金助成は減らします、しかし訓練給付は伸ばしましょう、能力開発はIT関連に重点を置きながら能力開発をやってまいりましょうと、そういう方向にあるように思いますので、失業給付というかあるいは雇用保険三事業というかは別にしまして、全体として雇用保険の中でセーフティーネットというもの、特に日本の場合は諸外国に比べますと支給期間が非常に短いという、これがOECD諸国の中の統計で見る特徴であるわけでございます。  そうした方向での改善をお願いしたいということでございますが、いま一度大臣からお答えいただきたいと思います。
  103. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 正確な数字もありますので、政府参考人からひとつ答弁いたさせます。──きょうは参考人が出席していないそうでございますので、どうも失礼いたしました。  倒産とか解雇等によって離職した者に対しては十分な給付を行おうというふうな重点化を図ったところでありますので、なお御指摘の点については十分検討いたしたいと思っております。
  104. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございます。総合的に考えて見直していただきたいと思います。  今は景気がこういう状況ですので、なかなか財政改革も行政改革も進まないというお話がたびたびこの決算委員会であるわけでございます。景気が持ち直した場合に二十一世紀我が国をどうするかという、こういう姿の中でやはり社会保障、社会保障の中でも生活保護、あるいは雇用保険制度の中ではそうした失業給付ないしは訓練給付を踏まえましてのセーフティーネットをもう一度見直していただきたいということをくどいようですけれども申し上げさせていただいて、次の質問に入らせていただきたいと思います。  ちょっと一番目のところで時間をとり過ぎてしまいましたが、全体、最後までたどり着きたいと思います。よろしくお願い申し上げます。  さて、私は先月、国連の人権高等弁務官事務所とIPUが共催いたしました人権と議会に関する北東アジア地域ワークショップというところに出席してまいりました。モンゴルが主催国でございましたが、中国、南北朝鮮、それに日本が入りまして、この地域の中での新しい安全保障の取り組みの枠組みというものを私は感じ取ってきたわけでございます。人権といいますのも、政治、経済、こうした要素と絡めまして各国間でトレードオフの妥協をしながらその地域の平和を守るという意味で人権は大きな問題になるかと思います。  この会議に出席いたしましたところ、いわゆるパリ原則というものが大変、単なる専門家会合の勧告ではなくて国際基準としてその機能が認められているということを痛感いたしました。  こうした観点から、私が今申し上げましても、多分、一議員が申し上げたことはどこか野党であるとバイアスがかかっているというふうに判断されると困るのでございますが、きょうはお忙しい中、外務政務次官にお見えいただいております。公明党の場合は特に二十一世紀は人権の世紀ということで重視していらっしゃいますが、改めて政務次官より、こうした国際的な潮流についてお話、パリ原則について明確にお答え、御説明、解説していただきたいと存じます。
  105. 荒木清寛

    政務次官(荒木清寛君) 国内人権機構の地位と役割に関する原則、これがいわゆるパリ原則でございますが、一九九一年、国連主催のもとパリで開催されました第一回国内機構ワークショップにおいて採択されまして、その後、同原則に言及をした決議が国連人権委員会、一九九二年、国連総会、一九九三年において採択をされております。  このいわゆるパリ原則におきましては、恐らく、委員の御質問に関して言いますと、国内人権機構が政府からの独立を確保するために独自の人員等を有すること、一定の準司法的機能を持つこと等が求められておるということでございます。
  106. 川橋幸子

    川橋幸子君 そこで、先ごろ、法務省の人権擁護推進審議会は、我が国の人権救済機関・制度のあり方について論点整理を公表しておられます。審議会の中では、今、荒木政務次官から御紹介がありましたような国際的な潮流というのは、どのようにしっかりと情報提供され、今回の論点整理の中にも盛り込まれ、今後の審議に貴重な資料として参考にされていくことになるのか、これを法務政務次官の方にお尋ねさせていただきたいと思います。上田政務次官も公明党でいらっしゃいまして、本当に人権の世紀を御主張なさっていらっしゃると私は大変尊敬しております。よろしくお願いします。
  107. 上田勇

    政務次官上田勇君) 委員、今御質問の中で御指摘がありましたように、現在、人権擁護推進審議会におきまして本格的な調査審議が行われているところでございます。  審議に当たりまして、法務省の方からも、諸外国における取り組み等国際的な潮流を視野に入れつつ、人権の世紀と呼ばれる二十一世紀にふさわしい人権侵害救済制度を確立するとの観点に立った御意見をいただくようにお願いをしたところでございます。これまで、今、委員からもお話がありましたパリ原則を初めといたします諸外国の取り組みや、国際的な潮流を十分踏まえた上での調査審議が行われているものだというふうに承知しているところでございます。  先ほど委員からも言及がありました「今後論議すべき論点の整理」におきましても、この点について、人権救済を行う機関の組織体制のあり方について、独立性の点も含めて論点として取り上げられたところでございまして、今後これらの論点に関する本格的な審議が行われるものであるというふうに期待しているところでございます。  もちろん、法務省としては、同審議会の答申についてはこれらを最大限に尊重して、それを踏まえた所要の措置を講じていきたいというふうに考えているところでございます。
  108. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございます。  十分にこうした国際的な潮流についての検討が進むように審議会の方に対して法務省としても御努力いただくと、こういうことでございます。  私は一つ、きょうは厚生、労働の関係でございますが、厚生省ももちろん人権救済に関してはケア、救済措置の方で非常に大きな役割を持たれますけれども、私は今回は労働省との関連でわからないところがあったと。率直に言いまして、論点整理を拝見いたしましたところ、雇用差別とかセクシュアルハラスメント、こういう項目も人権救済機関の救済すべき人権侵害の主要な類型として整理されているわけでございます。そして、その救済手段、手法といいますのも、相談、あっせん、調停といったソフトな、権限がない、そういう救済にとどまらずに、仲裁ですとか勧告ですとか裁定・命令、訴訟提起、訴訟支援といった、そういう準司法的な機能までがこの国内の人権救済機関のあり方として述べられているわけでございます。  そういたしますと、現行の労働省所管の労働委員会ですとか労働省の行政の中でやっております紛争解決援助制度、こういう関係はどのように法務省の中では審議を進めていかれるのでしょうか、法務省に伺います。
  109. 上田勇

    政務次官上田勇君) 委員から先ほどお話のありました人権擁護推進審議会が先ごろ公表いたしました「今後論議すべき論点の整理」におきましても、この人権救済制度の救済の対象についてという論点の中で他の救済に関する制度との関係が取り上げられているところでございまして、その点については今後とも議論が深められていくものだというふうに考えております。  現時点でその結論について答弁することは適当ではないというふうに思いますが、議員の今の御所見も含めてさまざまな観点から十分に御審議をいただきまして、二十一世紀にふさわしい救済制度のあり方について、今後御提言をいただけるものだというふうに期待しているところでございます。
  110. 川橋幸子

    川橋幸子君 審議の経過途中でこれからの結論待ちということかとはもちろん思いますけれども、そういう御答弁になるとは思いますけれども、しかし一方で、国から独立した国内人権機関を持つべきだという国際基準との関係から、やはり私は全部審議会にお任せというよりは、国としてはこうあるべきだというものがあってしかるべきだと思うのでございます。これは個人的な意見ということで、お答えをいただいてもいいお答えは期待させていただけないと、政務次官、うなずいていらっしゃいますのでここは少しさておきます。  それでは、今度は労働省の方にお伺いしたいと思います。  労働省は、現在、労働委員会ですとか雇用機会均等調停委員会ですとか、それから行政内部の、労働市場がこういう状況でございますので解雇や賃金やさまざまな個別労働相談がふえていることから、行政サービスとしての紛争解決援助制度というのを持っておられるわけでございます。  そこで、来年度の概算要求としては、これらを整備して個別的労使紛争処理システム、これを概算要求されるとともに新たな立法措置を講じたい、このように言っていらっしゃるわけでございますが、こうしたことといいますのは行政サービスとしては大いに推進すべきだと私も存じます。しかし、パリ原則の観点から見ると、やはり準司法的な意味の人権救済の機能というのは法務省の人権救済機関に譲る、あるいはもし独立の機関内で処理するということでございましたら、労働委員会という独立機関が現にあるわけでございますから、そこの機能改善を図る、こういう方向の方が国際潮流に合致するものではないかと私は思っております。  労働政務次官の方から、お答えいただきたいと思います。
  111. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) 現在労働省において検討している個別的労使紛争処理システムは、今後一層の増加が懸念されますが、事業主と個々の労働者との間の個別的労働紛争を簡易迅速に解決することを目的として検討しているもので、人権救済を目的にしているものではありません。  一方、パリ原則は、政府から独立して人権救済等の活動を行う組織である国内機構においての規定であるので、現在検討中の個別的労使紛争処理システムはパリ原則の対象となるものではないと考えております。
  112. 川橋幸子

    川橋幸子君 ただいまの答弁を聞いて大変安心をいたしました。  そうしますと、労働省のこうしたソフトな調停制度も、それからパリ原則に合う人権救済機関としての法務省の人権国内機関もともに必要だと、そこで整合性がとれているというこのようなお答えだということで理解させていただいてよろしいですね。  もし異論がございましたらお答えをどうぞ。異論がなければお答えは結構です。
  113. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) パリ原則は、政府から独立して人権救済の活動を行う組織である国内機構についての規定であるので、今申し上げましたように現在検討中の個別的労使紛争処理システムはパリ原則の対象となるものではないと考えております。
  114. 川橋幸子

    川橋幸子君 同じ御答弁の繰り返しを今伺ったわけでございますけれども、私が確認させていただいたとおりでよろしゅうございますね。労働省の機構も法務省の新たな審議会も両方必要なんだと、これが政府全体の見解なんだというふうにとらせていただいてよろしゅうございますね。
  115. 釜本邦茂

    政務次官(釜本邦茂君) それで結構だと思います。
  116. 川橋幸子

    川橋幸子君 はい。大変結構な答弁をちょうだいいたしまして、大蔵省もぜひ、これは重複する機能だからというようなことで予算をカットするなんという、そういうけちなことをなさらないようにお願いしたいと思います。  さて、残す時間、大変短くなってしまいました。外国人労働者問題についてお伺いしたいと思います。  外国人労働者の問題といいますと、IT関連では、非常に今はITラッシュといいますか明るい部分が出てまいっておりますが、これはやっぱり明るい面の反面、暗い面、デメリットの面が絶えずつきまとっているわけでございます。その一番典型例として、きょうは、私が住んでおります板橋の方で運動していらっしゃる市民グループAPFSの運動の中で一つ新聞記事になりました事件を取り上げまして、法務の方にお伺いさせていただきたいと思います。  法務大臣の在留不許可の父親を返してという、これは本当に私もこの運動とは仲よくさせていただいておりますのでわかるのですが、子供をだしに使うという話では絶対にない。夏休みの最後になりまして、お父さんが収容されているわけでございますけれども、子供たちが、ぜひお父さん元気な顔を見せてほしいと。このバックグラウンドは、御自分たちの方から不法滞在といいますかオーバーステイであることを認めた上で、しかし人道上の見地あるいは子どもの権利条約の見地から在留特別許可を申し出た人たちでございますけれども、お父さんが収容されているわけです。仮放免の申請をした場合、やはりこのような見地から許可を検討していただけますでしょうか。お願いいたします。
  117. 上田勇

    政務次官上田勇君) ただいま委員からいただきました件については承知しておりますけれども、委員も御理解いただけますように、個別の案件について、それについてコメントすることは適当ではないというふうに思いますので差し控えさせていただきますが、一般論で申し上げれば、仮放免の許可、不許可は、仮放免請求の理由あるいは被収容者の年齢、健康状態はもちろんのこと、ただいま委員から御指摘のありました家族状況等諸般の事情を総合的に考慮して個別的に決定されるものでございます。  今回のこの件につきましても、こうした判断のもとに適正に対処していきたいというふうに考えておりますので、どうか御理解をいただきますようよろしくお願いいたします。
  118. 川橋幸子

    川橋幸子君 御理解をいただきたいのは私の方でございまして、ぜひ法務省のそうした人道上の配慮について十分御検討の上、個別案件についてここでお答えをいただくということはいたしませんけれども、お願いしたいと存じます。  傍聴席には関係者の市民団体の方々政務次官の答弁を心配そうにして聞いております。どうか、人道上の問題あるいは子どもの権利条約の問題、こうした問題について、これは法律上のセーフティーネットだと私は思っております。ぜひこうした趣旨に照らして仮放免を許可していただきたいと存じます。  もう少し聞きたいところですけれども、これ以上お伺いするとかえっていいお返事が後ろになっても困りますので、きょうはこの件についてはこれだけにさせていただきまして、外国人労働者問題一般について、厚生大臣労働大臣にそれぞれお伺いさせていただきたいと思います。  午前中も、出生率低下人口規模の縮小、だから経済規模が小さくなるから、むしろ外国人労働者方々日本に入ってきてもらって、そこで日本経済をしっかり維持した方がいいのではないか、こういう御趣旨の御質問が同僚議員からもあったようでございますが、外国人労働者問題につきましてはさまざま明暗分かれる部分がございます。  ことしの春ごろ、介護保険法の実施直前に、一部には、特にこれは東南アジア方面に視察に行かれた経済界のミッションの方々が、介護労働分野外国人労働者受け入れを進めてはどうかと、こういう強い御意見があったと記憶しております。介護保険制度を実施されまして半年過ぎようとしております。制度の見直しも、それから実態のフォローアップもやらなければいけない状況に入ってきていると思いますけれども、こうした介護労働分野への外国人労働者受け入れについて、厚生大臣はどのようにお考えでしょうか。
  119. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 大変厳しい雇用情勢でございますが、介護サービス分野は新規雇用創出の上で非常に重要な分野であるということは申すまでもございません。そういうこともあり、また新しい制度を定着させるために、私どもとしては、介護福祉士については年間四万人、ホームヘルパーについては年間十七万人養成するという方針で進めておるわけであります。その結果もございまして、若い方から中高年の方まで介護サービスに積極的に従事しておられまして、現時点では介護労働力の不足という事態は生じていないものと認識をしております。  また、介護サービスについて申しますと、介護保険制度の施行など新しい仕組みのもとで専門的知識や技術が求められているわけでございまして、またこの介護サービスを円滑に進めるために高齢者や障害者などの切実な要望や意見もきちっとくみ上げていかなければならない。そういうことから申しますと、直ちに例えば言葉の問題もあるのに外国の労働者を受け入れるということにはなかなかならないと思っております。  委員も労働行政の専門家としてよく御存じのとおり、外国人労働者というのは、一方で使う方からいうとメリットもあるかもしれませんが、社会的に申しますと、どこの国においても非常に大きな社会的コストを招来していることもまた事実でございます。  また、これは私見でございますけれども、私は、我が国の今の一人一人の日本人の力というものは必ずしも十分に生かされておらない、さらにもっと有効に活躍をし、生産性を上げる余地は大きいと思っておりますので、この問題については慎重に対応すべきだと私は思っております。
  120. 川橋幸子

    川橋幸子君 私の受け持ち時間がもう終わりになってしまいまして、労働大臣に重ねてお伺いすることは非常に困難でございます。こちらの方からまとめ的な御要望を申し上げさせていただいて、次の質問者の方にお譲りしたいと思います。  結局、労働力という非常に何というんでしょうか、経済上の単位のような扱い方で人間を考えてはいけないと。先ほどの仮放免を求める人たち、こういう方々というのは、やはり日本に来て三K職場を支えて、そして地方税も払って、非常にその地域の中で生活基盤を支えながら日本経済にも貢献しているという、そういう定住者の方々がいらっしゃるわけです。そういう方々に対して日本が本当に生活の場としてあるいは雇用の場として魅力的な場を与えられるという自信がない以上、私は安易に外国人労働者方々にお入りくださいというのはかえって失礼な話になるという、そんな気持ちを持っておりますことを最後に申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  121. 松崎俊久

    松崎俊久君 民主党・新緑風会の松崎でございます。  六月二十六日に発覚して以来、雪印乳業の事件は既に七十日を経過しております。この経過については既に新聞各紙に報道されているとおりでありますが、既にやめた石川社長は、自分の就任のときのあいさつの中に、雪印の雪の結晶自体、あのシンボルが清潔さと誠実さの結晶そのものであると高らかに主張し、そしてその三年後に今回の事件は起きました。私も党の調査団の一員として大阪工場へ行ってまいりましたが、大阪工場の入り口には、品質は私たちの良心というでかでかとした看板が掲げられておりました。そういう中で今回の事件が起きているわけでありますから、いかに雪印の食品に対する、食品を生産しているという大事な役割をも忘れて営利本位に走った雪印の姿が非常にはっきりとこの本質をさらけ出したわけでありますけれども。  さて、問題は、その後はうそと苦しい言いわけを繰り返しながら切り抜けようとしました。それに対しては、大阪の市長も保健所も厚生省も、それぞれにきついおきゅうを据えられたことは私もよく存じておりますが、これを見たときに、私は一九八二年のアメリカの事件を思い出しました。一九八二年、ジョンソン・エンド・ジョンソンという製薬メーカーは、青酸化合物をその鎮痛剤に混入したといういたずら、日本でも時々起こりますが、という通告に遭ったときに、この会社は一億ドルを回収に使い、そして我が社の製品を買わないでくれということを繰り返しテレビでコマーシャルをいたしました。その結果、この会社の誠実な態度は、一九九九年、アメリカの最も好感を持って迎えられる会社のナンバーワンになっております。こういう会社と比較したときに、雪印の対応というものは余りにもひど過ぎる、この会社はもう解体する以外はないとさえ思う状態であります。  さて、問題は、この会社の今回の事件に対しまして、厚生省は、七月の二十五日と八月二日でしたか、二回に分けられたと思いますが、最初、二十工場のうちの十工場、それから後、残りの十工場というものに対して、いわば俗に言われる安全宣言というものをお出しになりました。当然、これを聞いた一般消費者、日本国民はもはや雪印の牛乳に心配はないという完全な安心感を持った人もかなり多いだろうと思います。もちろん、それをねらって厚生省は出されたのでありましょうし、雪印もそれを切望したでありましょうから。  ただ問題は、この安全宣言がどういう根拠でこの時期に出されたかということをまずお伺いしたいと思います。
  122. 西本至

    政府参考人(西本至君) ただいま御指摘ございましたように、去る七月二十五日及び八月二日両日にわたりまして、私どもは操業を自粛しておりました雪印乳業株式会社の全国二十カ所の乳処理工場についての調査結果を発表いたしまして、その中で操業に向けての安全性を確認する旨の公表を行ったわけでございます。これがいわゆる事実上の安全宣言として、その後マスコミ等で報道をされたわけでございます。  ただ、この中で私どもは、後で問題になりました大樹工場といったようないわゆる乳処理工場に原料を提供しております原料製造工場は調査対象とはいたしておらなかったわけでございます。  その理由は、六月三十日、事件当初でございますが、大阪市が大阪工場に立ち入りましてサンプリングをいたしました納入工場の脱脂粉乳の原料につきましては、ブドウ球菌も毒素も検出をされなかったということが第一点。それからもう一点は、後で問題となりました原材料工場の大樹工場の脱脂粉乳等を使用したという記録がなかったということによりまして調査不能であったということでございます。  したがいまして、私どもは、二十工場の調査の内容といたしましては、大阪工場で問題となったずさんな衛生管理状態があるかどうか、それからHACCPと言われますいわゆる安全管理の方式の申請書に基づく製造工程、もしくは設備機器の詳細、あるいはHACCPチームによる衛生管理体制の実効性等について、厚生省の職員みずから赴いて現地調査をいたしたというのが内容でございます。  その調査結果をもとにいたしまして、専門評価会議におきまして評価を行い、いずれの施設につきましても衛生管理上大きな問題がない、また、以後は細菌検査のみならず毒素についても検出できる体制を整備するということを条件としてこの二十工場についての操業再開を認めたものでございます。  したがいまして、私どもは、対策本部もいまだ設置いたしておりますし、それから去る二十八日には大阪市と合同の原因究明調査委員会というものを実施いたしまして、今後も早急に原因究明に努めてまいる、こういう状況でございます。
  123. 松崎俊久

    松崎俊久君 今、二十工場に限定して調査されたと。そして、その理由としては、大樹工場からの原料が入っていることが記録になかったとか、あるいは脱脂粉乳に菌並びに毒素が見られなかったという二つの理由を掲げられました。  しかし、大樹工場の事件が発覚いたしました。そうすると、この安全宣言というものが非常に軽率かつ非常に不十分な状態においてあえて発せられたという感じがするわけであります。  いわゆるこの大樹工場のことが明らかになったのは、どういうことから大樹工場が浮かび上がったのか、それをちょっと教えていただきたいと思います。
  124. 西本至

    政府参考人(西本至君) 原材料につきましては、先ほどお答え申し上げたとおりのような状況で、調査初動の段階においてチェックをいたしておったわけでございますが、七月二日の段階で大阪府警が入りまして、そして証拠物件となります配送伝票その他もろもろについて、これを押収されたということでございます。以後は立入禁止という状況になりました。そして、その伝票の中から大樹工場という配送伝票が出てきた、このことによって府警が大樹工場の調査に踏み切られたということでございます。
  125. 松崎俊久

    松崎俊久君 私は、この大樹工場の問題が厚生省の独自の調査によって明らかにされたものならば大変高くそれを評価するつもりでいました。しかし、これが警察のいわゆる捜査の中で明らかになってきたということに非常に遺憾の念を禁じ得ません。なぜならば、厚生省は警察より先駆けてそれを明らかにするべき主務官庁であると。いわゆる事は食品の問題であり、素人の警察よりも玄人の厚生省がこれに先駆けなければならないことは明らかであります。それが、遺憾なことに反対になってしまった。  ところが、これは厚生省の中にもいろんなセクションがあります。予防医学のセクションもあるわけでありますし、多くのドクターもおられる。中には疫学を研究されてきた方もいらっしゃいます。  ここで一つお伺いしたいのは、神戸工場から出た製品で百七十人の中毒が出たという事実であります。これは大阪から出たのが大部分ではあるけれども、神戸工場から出たというこの事実だけですぐに原料に目をつけないような感覚ならば、これはもう予防医学の感覚ゼロと言わざるを得ません。これを厚生省は何とお考えになるのか。ここから突っ込んでいけば、大樹工場のことはおのずから明らかになったはずであります。これが全然なされなかったことに対する厚生省の見解を伺いたい。
  126. 西本至

    政府参考人(西本至君) 後で判明いたしたことでございますけれども、この時期大樹工場から搬入されました乳処理工場は、大阪工場の外、議員御指摘の神戸工場並びに福岡工場でございました。確かに神戸工場では患者さんの発生があったわけでございますが、当然のことながら神戸工場におきましても初期の段階で原材料の調査をいたしているわけでありますが、ここにおきましても大樹工場からの納入記録がなかったというわけでございます。  したがいまして、脱脂粉乳の納入工場というのは国内、国外からあるわけでございますが、国内だけでも四十三カ所あるわけでございますので、事件当該の近辺で納入されていないという工場まですべて調べるということはなかなか通常はあり得ないことでございまして、納入されている実績のあるものについてサンプリングの調査を行うということをいたしたのが真相でございます。
  127. 松崎俊久

    松崎俊久君 まさに今の答弁は落第の答弁としか言いようがありません。これはほかの委員方々も恐らく私の見解に同感だろうと思います。  これはもう本当に国民の命と健康という問題にダイレクトに関係する食品の中毒事件であります。だとすれば、あらゆる可能性を、しかも厚生省の総力を挙げてこの問題の解明に当たるべきだったはずであります。それが、記録がなかったからとか、すべての工場はやらないで二十工場だけに限定したとかというようなこと自体がそもそも大きなミスの第一歩であった。これが安全宣言を発した後に大樹工場の問題が表面に出るや、国民の信頼は一挙に、雪印に対する非難以上に、厚生省の安全宣言は何であったのか、こういうことに、国民の厚生省に対する信頼はがたがたに崩れたということをよく反省していただきたい。  ここで大臣にお伺いいたします。  今回のこの大樹工場の問題にしても、例えば大樹工場から出た脱脂粉乳の袋の日付を三カ月以上もずらして製造年月日をごまかしたという事件がさらにその後にばれております。こういうようなことを繰り返してきたこの七十日間の雪印の態度、食品メーカーとしての態度、消費者への罪をとんと感じていない雪印の態度に対して大臣はどのようにお考えでしょうか。
  128. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 医学、そしてまた公衆衛生に対する該博な御知識を持たれる松崎委員の御質問でございますが、私は幾つかの点で実は申し上げなきゃならないことがあります。  一つは、二十工場を検査し、そして委員会を設けて審査の上、これらの工場には問題がないという宣言をやった。そして、ちょうどそのころは夏場でございまして、乳製品、牛乳に対する国民全体の大変な不信感が渦巻いておった。そういう中で、やはり安心して牛乳を飲んでいただかなければならないということの中で、各工場とも出荷をするときはきちっと管理をし検査をしろよという前提をつけて、我々の検査では安心をしていただきたいと申し上げたわけであります。このことについて欠陥があるとお考えならばそれは見解の相違でございまして、安全宣言をやった後、食中毒は出ておりません。  問題は、その二十工場という製造工場以外のところ、これはHACCP以外のところでありますが、そのHACCP以外のたくさんの原料工場について何でおまえたちは行って調べなかったかという御詮議でございます。それをやることが今の厚生省体制でできるかどうか、それは専門家として先生は当然御存じなはずでございますし、いわゆる地方分権法によりましてそれぞれの工場に対する立入検査は法定受託事務として都道府県が持っております。そういうことの中で、私どもの行いましたやり方が妥当かどうか、これはいろいろ見解があると思います。私どもは最善を尽くしたと思っております。
  129. 松崎俊久

    松崎俊久君 わかりました。最善を尽くしてこうだったということが国民の前に明らかになったわけであります。  とにかく、私は、厚生省が全力を尽くしてやれと主張している理由は、厚生省は監督官庁であります。したがって、そこで食品の問題に対して中毒事件などが起こればその責任を負うべき、その取り締まり権も与えられているわけであります。ですから、保健所を動員するなりあるいはその他緊急に疫学者を動員してその原因を調べるなりということをやっていれば、この問題は国民の不信を買わないで済んだだろうと思います。  大樹工場の問題が起こったから、その後はいわゆる食中毒云々出ていないとおっしゃっていますが、やはりこの大樹工場から出たと考えられる長野の八ケ岳のあたりの工場に問題が起こったことは新聞に出ておりますし、ですから、いわゆる見解の相違という形で逃げられることは大変私は遺憾であり、これは厚生省のとるべき態度ではないと思います。  とにかく、今回の事件は雪印の消費者への罪を忘れてしまった言語道断な態度、もうこれは社長以下重罪に処せられても文句が言えないぐらいの大変重大な犯罪。  それから、大阪の保健所は大変よくやられましたが、ただ一点、発表をおくらせたために三千人以上の人間が、一日の、十七時間の発表のおくれ、これは埼玉の例の事件がありまして腰が引けたために発表がちゅうちょされたというふうに言われておりますけれども、そのために起こった、無用の三千人以上の中毒者を防げたはずが防げなかったと。  それから三番目には、やはりこの厚生省の二十工場に限定した問題並びにHACCPについての問題だろうというふうに思います。  ここで、大臣にHACCPについての見解をお伺いしますが、アメリカでは、HACCPに触れる、マニュアルに触れて違反しているようなものがあった場合に、いわゆる販売停止命令を出す罰則がついております。日本にはこれがありません。  そして同時に、今回の事件は伝票から大樹工場の問題が発覚したということが新聞に報道されております。その伝票ということは、生産過程の問題、直接の製造工程の問題ではありません。HACCPは製造工程に関するマニュアルでありまして、最もすぐれた食品業界は、近年、国際標準化基準、いわゆるISO九〇〇〇シリーズによって、単に製造工程だけではなく、すべてのその会社のいわゆる販売からもちろん物の移動に至るまで、総体的に把握するものによるべきだという見解が徐々に強くなってきております。  厚生省は、このHACCP並びにISOの問題をいかにお考えでございましょうか。厚生大臣、できたらお答えいただきたい。
  130. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 今回の雪印の事件にかかわりまして、HACCPというシステム自体に問題があるのではないかという御指摘が何回かこれまで国会でもございました。ただ、事実関係を念査してみますと、今回の問題は、HACCPの過程として厚生省が認可をいたしました部分以外の部分、つまり大樹工場から出ていたということが次第にわかってきているわけであります。  しかしながら、今、委員が御指摘のとおり、HACCPという非常に高い水準の衛生管理をやっておるということを厚生省が認め、承認する以上、その前後周辺の全体にわたってより以上の高い水準の管理をしていただくことによって、総体として製品が安全であるということがやはり求められているのではないであろうか。こういう考え方に立ちまして、HACCP承認に係る助言機関を今回専門家によって設立いたしまして、承認審査及び承認後の監視の充実強化を図ったものでございます。したがいまして、今、委員が御指摘のような方向に向けてもう少しやはり私どもは研究をし改善を図らなければならない、かように思っておるところでございます。  なお、国民生活の基盤をなす食品を扱っている企業の社会責任と高い自覚が求められるという点につきましては、委員の御指摘と全く同じような考え方を持っておることを申し添えます。
  131. 松崎俊久

    松崎俊久君 雪印の問題は以上で終わりますが、最後に、この雪印の罪というのは一万四千八百二十二名の中毒者を出したというだけではなく、そこに至る一連の態度に完全に食品製造メーカーとしての自覚の不足というものがあると同時に、もっと大きな罪、これはほとんどの新聞が沈黙しておりますが、雪印一社のこの事件が牛乳という最も重要な、日本国民にとって最も重要な食品に対する不信感を雪印がばらまいた。これは後ほどの質問でもさらに展開いたしますが、とにかくその罪が一番大きい。私は、日本国民の何十年か後にあらわれる、牛乳嫌いあるいは牛乳を拒否した人たちの健康の問題が一番罪が大きいというふうに考えております。  さて、次は年金の問題でございますが、八月二十五日の新聞に出ておって、ちょうど私、院の出張で中国、タイ、フィリピンに行っていた時期でありますが、二十五日の新聞を後に帰ってきてから見ましたところ、いわゆる「国民年金 未納・未加入者に罰則」という表題のもとに「生保控除認めず」ということが出ております。これは、非常に未納者が問題になっている状況で、何らかの手を打たなければならないのは当然であります。  そして、これがどういう内容を持ったものか、持っているのか。それから同時に、これに対する各業界の反応はどうであるかということをお答えいただきたいと思います。
  132. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 今回の税制改正の要望でございますけれども、これは国民年金の未納者それから未加入者、こういった方につきましては個人年金に加入した場合の個人年金に係る生命保険料控除を認めないようにと、こういう要望でございます。  これは、どうしてこういう要望を出したかといいますと、公的年金といいますのは申すまでもなくこれは国民全員の助け合いの制度でございます。そして、二十から六十歳未満の方は国民全員が国民年金に加入する義務があるわけでございます。そういった義務を果たした上で自助努力としての個人年金に加入していただきたい。国民の義務を果たさない、そういうサボっている方については税制で優遇するというのはちょっと筋違いじゃなかろうか、こういうことを考えまして、これは未納・未加入が今非常に大きな問題になっておりますので、未納・未加入対策の一環としてこういった要望を出したということでございます。私どもとしましては、これはペナルティーとか罰則とかそういうことではなくて、事の順番としてまず公的年金、次いで個人年金、こういう順番であろう、こう考えた次第でございます。  それから、関係業界の反応でございますけれども、生命保険協会は直ちに反対だということでそういう声明を発表したということを伺っております。
  133. 松崎俊久

    松崎俊久君 「罰則」というふうに強く書かれてしまったわけですが、実際の内容を伺うと、個人年金の控除を認めないというような内容だというふうにわかりますが、個人年金に入っていながら国民年金を支払っていないというのは、これは本当に貧しくて払えない階層ではなく、いわゆる中程度以上の経済レベルの人に多い問題だろうと考えます。そういう意味で、私は、今回のこの個人年金に対して控除を認めない、未納者に対して認めないという態度を正しいというふうに考えております。  年金局長、どうぞ御用がおありのようですから御退席くださって結構であります。  さて、最後質問でありますが、二十一世紀を控えて、健康日本21、これはすなわち予防という視点を強く打ち出した厚生省のヒット作品だというふうに私は見ておりますが、そもそも日本は、だれがつけたのかわかりませんが、成人病などという本当にふざけた名前をつけてしまったために大きな誤りを出しました。  世界じゅうで成人病などという言葉を使う国は日本だけで、どこの国もこんな言葉はあり得ないし、アダルトディジーズなんといえば何かの病気と間違えられるというような程度でありまして、本来はこれは世界的には老年病というふうに呼ぶべき病気であります。老年病というのは老人になったらなる病気というんではなくて、加齢とともに、年をとるとともにふえる病気、こういう定義であります。これが国際的定義になっているわけですが、これを今度厚生省は生活習慣病という大変おもしろい名前をおつけくださいました。これも悪くはないと思います。しかし、この病気が全部生活習慣によるものだと誤解されても困るわけでありますが、生活習慣がかなり大きく関与する可能性のある病気、こういうふうに読みかえるべきだと思います。  これを発表された厚生省の、今年三月に出ておりますが、これの意図を御説明ください。
  134. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 二十一世紀日本社会をすべての国民が明るく元気に生活できる社会とするために、寝たきりや痴呆の状態ではない期間である健康寿命を延ばすこと、そしてまた生活の質の向上などを目標といたしまして、この健康日本21を策定したところでございます。
  135. 松崎俊久

    松崎俊久君 この対象になるいわゆる生活習慣病と規定されたその病名を列挙していただきたいと思います。
  136. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) ちょっとその前に若干前提を申し上げますと、委員指摘のように生活習慣の改善というのが非常に大事と考えておりますが、具体的には、まずその生活習慣の改善といたしましては六つの領域を考えておりまして、一つは栄養・食生活、二番目が運動・身体活動、三番目が休養・心の健康、四番目が飲酒、五番目が喫煙、六番目が歯の健康というような、こういう分野の生活習慣の改善を目指すというところでございます。  そしてさらに、このために対象としておる生活習慣病といたしましては、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病などの分野というふうに考えておるところでございます。
  137. 松崎俊久

    松崎俊久君 私自身の気持ちでもありますし、それから専門家の広範な意見も私は代表していると信じてあえて申し上げますが、どうしてこの中に骨粗鬆症が入っていないのかという点に関して非常な疑問が寄せられております。  と申しますのは、この健康日本21は、そもそも単に寿命が世界一になった、男も女も。これで手放しでは喜べない。要するに、本当に健康寿命と呼ばれる、寝たきりではない、ぼけてもいない、健康なる老後を延長させることに基本的なねらいがある、そして医療費を結果的に抑制できるということにねらいがあるのだと思います。  という視点からいえば、寝たきりを大量につくる骨粗鬆症、脳卒中と並んで多い。しかも、日本女性世界一の長寿であり、八十四歳の平均寿命を記録しております。しかも、世界一長生きする日本女性だということになると、日本女性世界一骨粗鬆症の可能性の強い女性でもあるということに読みかえられるわけでありますから、骨粗鬆症がなぜ抜けてしまったのか、これらは非常に老人問題を研究する医者あるいはいろいろな介護に加わる人たちの間から不信の声が起こっておりますが、これに関してはいかがでございましょうか。
  138. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 委員指摘のとおり、寝たきりの原因として骨粗鬆症は大変重要な位置を占めているということは認識をいたしております。本年三月に公表いたしました健康日本21におきましては、骨粗鬆症の予防の意味も兼ねまして、栄養・食生活の改善の中でカルシウムに富む食品の摂取の増加にかかわる目標を掲げましたほか、身体活動・運動の改善にかかわる目標も掲げておりまして、約七十ぐらいの項目を掲げておるところでございます。  今後、健康日本21の推進の過程におきまして、健康寿命の延伸などの目標実現に資する対象分野充実を図っていきたいというふうに考えておりまして、この対象分野の拡充の中で、ただいま御指摘の骨粗鬆症の減少に関する目標値を掲げることについても検討させていただきたいと思っております。
  139. 松崎俊久

    松崎俊久君 私は、厚生省の厚生科学研究の中で骨粗鬆症の研究班が組織されていることをよく存じております。あの班長は私の友人でもありますからよく知っておりますが、しかし、あの研究班の報告を見ておりますと、いわゆる病院を基礎にしたデータが大部分を占め、本当に日本人の骨粗鬆症予防に対するものが出ておりません。  したがって、私は業を煮やしまして、私が提案し、農水省に呼びかけ、そして私がオーガナイズして、責任者は医科歯科大学にバトンをタッチしましたが、二年にわたって、あのJ—ミルクの資金の一部をいただいて、日本人を明確に代表するサンプリングを全国七町村選びまして、すべての年齢、小学生から八十歳に至るまでの全年齢の女性たちの骨の調査、並びにホルモンあるいは生活態度その他すべてを調査して結論を得て、農水省には報告してありますが、なお厚生省にもその報告書は差し上げてあるはずでありますからごらんになっているだろうと思いますが、実はそのデータの中に大変憂慮すべきデータがあります。  もうたくさんありますが、最も緊急の問題として出さなければならないデータは子供のデータであります。骨粗鬆症になるかならないかは十歳から二十五歳までの間の日本女性が牛乳を飲んだか飲まないかで決まると。もうここにおいでの方々大部分、それはオーバーされているわけでありますが、とにかくこの時期の子供たちのデータをずっと逐年別に分析いたしますと、日本の全女性の中で女子高校生だけがとんでもない動きを示していることが判明しました。それは、小学、中学、高校、大学というふうに骨量はぐんぐん上がっていく、これが普通なのであります、男も女も。そして、大体三十ぐらいで完成していく。  ところが、日本の女子高生は、調査したあらゆる地域で中学三年より落ちているんです、骨量が。もうこの年代の女の子たちは間違いなく骨粗鬆症になると宿命づけられてしまいました。  このデータは何を物語るかというと、ダイエットブームというとんでもないことに対して厚生省、文部省の強力ないわゆる指導的な見解が出されていないことにも一つの理由がありますが、とにかくこれに輪をかけたのが今回の雪印の事件なのだと。  そうすると、この高校生の女の子が骨粗鬆症の年齢になるときは五十年後以上ですよ、六十年後ですよ。この世代でダイエットブームプラス雪印というとんでもないふざけた会社のやり方によって牛乳嫌いの子供を大量に生み出し、その結果が五十年後の日本の膨大な予算を食い、そしてそのころ、頼みのその女性の患者たちの亭主は、いや、亭主と言ってはいけません、夫は既に死亡してもうあの世へ行っていますから、毎日毎日ただひとり寂しく骨折の身を横たえるという、こういう宿命が待ち構えているのだということに至るまでの責任を雪印には感じてもらわなきゃならない。また厚生省もそれをお感じいただきたいというのが私の第一問、第二問の質問に込められた意味なのであります。それをこの骨粗鬆症という問題に立ち返ることによってもう一回振り返っていただきたいというふうに考えます。  ぜひ骨粗鬆症の重点を特に学校給食の外れた高校のところに置いてください。はっきり言えば、私は前にも提案したことがあるんですが、全国の女子高校生に無料で牛乳を配ったって骨粗鬆症の予防費用としてはえらい安いものだということを計算して質問したことがありますが、そのぐらいの気持ちで、文部省と協力していわゆる骨粗鬆症の予防は高校生からと、これをはっきり肝に銘じて指導方針を出していただきたい。いかがでしょうか。
  140. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 大変貴重な御意見をありがとうございました。  私どもも若年女性の食生活については問題があるというふうに考えておりまして、この健康日本21の中でもそのことに触れておるところでございます。御指摘の点を十分踏まえて、健康日本21の推進に努めてまいりたいと思っております。
  141. 松崎俊久

    松崎俊久君 とにかくこのダイエットブーム並びに牛乳を飲まない女の子というのが私たちの全国三十数カ所で調べたのでもすべて四〇%をオーバーしております。中学三年までは牛乳を飲んでいた、しかし高校一年のとき飲まなくなったというのが四十何%いる。内閣支持率の二倍ぐらいはあるわけでございまして、とにかく、そういう意味でこの四〇%がゼロになるべく頑張る方法というものを、ぜひとも文部省と共同のプロジェクトをおつくりになってこれを進めていただくことが二十一世紀の高齢化社会を乗り切る私は最も重要な方策であると考えております。ぜひともこの提案を積極的に考えていただきたい。  最後に、もう二分ぐらいしかありませんが、この健康日本21に関する十二年度予算を大ざっぱに、この実施展開に関する予算を御説明いただきたい。
  142. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 健康日本21は、二〇一〇年を目途といたしまして国民が一体となった健康づくり運動を総合的に展開するためのものでございます。  この中におきましては、普及啓発活動、それから推進体制の整備及び地方計画の推進にかかわる費用、それから各種保健事業の一体的な推進にかかわるもの、そして科学的根拠に基づく事業の推進に要する費用等、大きく分けまして四つの方策を運動推進の柱といたしまして、それに対する予算を十二年度計上しているわけでございますが、もろもろのものを合わせまして、その合計は約一千百十七億円余りとなっております。
  143. 松崎俊久

    松崎俊久君 終わります。
  144. 海野義孝

    ○海野義孝君 公明党の海野でございます。  ただいま専門家の委員の方から大変高邁な議論の展開がございました。私は、きょうのこの関係厚生省労働省につきましては直接専門的な分野でございませんが、素人の立場でふだん思っていること等について少し御質問したい、こういうふうに思うわけでございます。  期せずして、今、松崎委員からも大変突っ込んだお話がありました問題に絡むんですけれども、医療費が大変年々膨大になっている、大変なスピードでふえていると。特に、近年のバブル崩壊後の我が国経済が大変低迷してきたということもありまして、そうした中で医療費の伸び方というのは大変なテンポで、もう既に年間三十兆円余というような状況にあるわけでございます。  これは、厚生省当局としましても、当然そういった医療費の増大に対応して、できるだけ医療費をふやさないという面で健康医学というか予防医学の面につきましても大変力を入れていらっしゃるというふうに思うわけですけれども、その辺の関連につきましてもし挙げていただけるならば、医療費の近年の状況、例えば五年間、十年間でこういった伸びをしてきて現在どういう状況であるとか、あるいはそういった中で予防医学の面についてはどういうような分野に予算の面でもお金を使ってきたかとか、そういった点について最初に概略御説明いただければと思います。
  145. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 御質問に対しまして若干総論的にお答え申し上げたいと思いますけれども、医療費の増大がいろいろな意味課題になっております中で、行政の側から申しましても、また医療を担当する方々の方からも、やはり国民のためにはできるだけ効率的に医療サービスが提供されなければならない。そうであるとすれば、医療費の増大をただ放置するのでなくて、より多く国民の生活の質の向上につなげていかなきゃならない。殊に、高齢化が進んでいく中で、高齢者ができるだけお元気でいていただくことが一番いいことだと、こういう考え方が定着はしてきております。  具体的に医療費の伸びについて申しますと、従来のように年々国民経済成長率をかなり上回って伸びる、仮に最近では四%であるということをただ当然のこととして受けとめておいていていいんであろうか、むしろ医療費全体の伸びを結果として予防医学の発展によって抑えることができる、そしてより多くを寝たきりになったりする前の予防に投入すべきである、こういう考え方は私どもも正しい考え方であると思っております。  そういう見地から、先ほどから御議論がございます二十一世紀における国民健康づくり運動、健康日本21運動というものも位置づけられるわけでございますが、また最近、メディカルフロンティア戦略というものを日本の新生プランの中に位置づけて、先端的科学の研究を生かしながら予防と治療成績の向上につなげていこう、こういうことも手がけておるところでございます。  そういう見地から、委員指摘のような問題点を大いに国会においても御議論され、私どもに有益な御提案を賜れば大変ありがたいと思っておるところでございます。
  146. 海野義孝

    ○海野義孝君 大変ありがとうございました。  総論的な考え方、方向というか、そういったことについては真剣に取り組んでいらっしゃるということは大体理解できます。  さっきもちょっとお願いしたんですが、例えば一般予算の中では社会保障関係の費用とか、そういった中で医療関係の費用なんかもあるわけですけれども、いわゆる予防的な部分に使っていくお金というのはどうなんでしょうか、そういった点はある程度把握されているのか、余りそういうような考えは持っていらっしゃらないのか、その辺はいかがでしょうか。
  147. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 予防に関する予算の総額というのはなかなか計算するのは難しいのでございますが、平成十二年度でこの健康日本21というのをまさに予防の中心的な事業というふうに考えておりますので、その合計額をもってすれば、先ほど申し上げましたが一千百十七億円余りが私どもの考えている十二年度予算の中での話でございます。
  148. 海野義孝

    ○海野義孝君 具体的に、予防医学の発達によりまして年々の医療費が本来であればふえるべき部分が相当抑制される、そういうような分析というか、そういったことは特になさっていらっしゃらないのか、いかがでございますか。
  149. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 一対一の関係でのその関係を分析しているわけではございませんが、先ほど大臣から御答弁もされましたように、健康寿命の延伸あるいは生活の質の向上という意味では予防、特に予防の中でも一次予防の重要性は私ども認識しているところでございます。
  150. 海野義孝

    ○海野義孝君 これはちょっと質問が見当違いかもわかりませんけれども、つい二週間ほど前に新聞発表にもなりましたし、あと厚生省の方からも詳しい資料もいただきましたけれども、国民健康保険調査というのが出ておりました。この中身を見ますと、四十七都道府県別の九八年度、一昨年度の一人当たりの医療費というのが発表になっておりまして、私が住んでいる千葉県が一人当たりの医療費は二十六万七千円、年間で一番少ない。一番多いのが山口県で、年間四十七万八千円ということで、ほぼ倍といきませんけれども違うと。この二十数万円の間に四十五、六都道府県が散らばっているということでございます。  私は、これを通じて、できれば一人当たりの医療費の都道府県別というのが国民健康保険所管の関係だけでなくて、そういったものが掌握できないものかということを厚生省にもお願いしましたけれども、これは現実には、例えば私がサラリーマン時代に千葉県に住んでいて、会社の保険組合の方に入っていまして実際には会社の医療施設でかかっていましたから、これは千葉県にはカウントされないということにもなるでしょうから。  そういう意味で、これはなかなか全体的な一人当たりの医療費を、さっき申し上げましたように、約三十兆円の一人当たり都道府県別というのは出ないというのもわかりましたけれども、例えば国民健康保険関係に限ってみましてもこういうふうに都道府県で大変違うという点が、実は私、随分前に長野県というところは大変予防医学の進んでいる県である、したがって一人当たりの医療費というのも少ないんだというようなことを聞いたことがありましたので、たまたまこの出たデータを見まして長野県を見ましたら、いい方ではあるけれども決して指折りの方には入っていないということなので、このことをもってして予防医学と具体的な医療費の関係というのは、何か因果関係がこれで求められるかということを私も私なりに調べたけれどもよくわからない。  ひとつ専門の厚生省の方で、この点について何かコメントできることがあったらお答えいただきたいと思います。
  151. 近藤純五郎

    政府参考人近藤純五郎君) 全国の医療費の地域差の比較をする場合に私どもよく使わせてもらっておりますのが国民健康保険の数字でございまして、全国の医療費ベースでやりますとかなり推計値が入ってくるということもございまして、国民健康保険の数字を使わせていただいているわけでございます。  それで、先ほど先生御指摘のように、実績の医療費を十年度で見てまいりますと、一番高額が山口県、四十七万八千円、それから一番低額な千葉県が二十六万七千円、こういうことでございまして、およそ一・八倍程度の格差がございます。  それで、なぜこういう地域格差があるのかというのが前々から問題になってきているわけでございますが、これは北海道を除きますと西高東低というのが大体通じております。徐々に縮小傾向にはあるわけでございますけれども、格差というのは同じような傾向が続いているわけでございまして、一つはやっぱり高齢化の差異ということで、年齢構成の違いが最大の理由でございます。  それから、それ以外では恐らく一番大きな問題としましては、人口当たりの医師数でありますとかあるいは病床数、これによりまして医療費が違ってくる、その他住民の健康意識とか、いろいろ理由はあるかと思うわけでございますけれども、先ほど先生例に挙げられました長野県でございますけれども、長野県は先ほどの実績の医療費で見ますと全体で三十六番目ぐらいに当たるわけでございます。低い方には一応属するわけでございます。  私どもよく言いますのは、年齢の構成で補正するということをやりますと、長野県は四十六位ということで、全国で下から二番目ぐらいに低いことになるわけでございまして、確かに保健の意識というのは全県的に高いわけでございまして、そういう意味でかなり予防といった面が効いてきている面はあろうかと思っております。長野県は全県的にそうでございますけれども、全国的にも、点在ではございますけれども、やっぱりそういう意識が高いところは低くなっている傾向があるというのは、予防意識が強い、これはまさに町ぐるみ村ぐるみと、こういったところがやっぱり低いという傾向は見られるんではないのかなと、こういうふうに考えております。
  152. 海野義孝

    ○海野義孝君 私が疑問に思っていたというかわからない点を大分解明していただきました。  そうはいっても、高齢時代がどんどん進んでいるということもありまして、年間約三十兆円の医療費の中では、一人当たりというのは間違いなく年々ふえてきているという問題ですから、予防医学の問題は、そういったふえ方をできるだけ抑えていくという面にやはり貢献していくような面で、例えばさっき私がたまたま自分の少ない知識の中から長野のことを言っただけで、いや、実はうちの方はもっと努力して赫々たる効果を上げているんだというような県もおありになるんじゃないかと思いますけれども、そういうような各県の状況というものを省としては掌握されて、健康医学というか予防医学に具体的に役立たせるという方向では、さっき健康日本21というような問題もありましたけれども、これまでそういった取り組んでいらっしゃる面はあるんでしょうか。いろいろな各県の情報等を収集された中からそういったものを今度は逆に全国的に予防のために取り上げていくというような、そういう試みという面はおありになるんでしょうか。  私はさっきのお話を聞いていて、三十何兆の医療費がかかるんだけれども、片っ方では、健康日本という問題ではあるとしても、千数百億円ぐらいの予算ということは、もっと予防の面にお金を使っていくということが、例えばドイツなんかはその典型的な国のように私は理解していますけれども、その辺のところの、そういう各県でのいい点なんかを全国的に取り上げていくというような何かお考えというか、おありなんですか、そういう面で。
  153. 篠崎英夫

    政府参考人(篠崎英夫君) 今、先生が御指摘になったように、まさに今までも全国的にモデル的な地区がございました。  今回も、この健康日本21におきまして国がこの間、三月に全体計画をお示しいたしましたが、それに基づいて各地区で、都道府県あるいは三千三百の市町村の単位でそれぞれ地方計画をおつくりいただくことになっております。その際に、今までのモデル的な地区の事例を参考にしながら、各地区で地方計画を立てていただいて二〇一〇年までに所要の目標に達したい、このように考えておるわけでございます。
  154. 海野義孝

    ○海野義孝君 そういったお取り組みに対して大変期待をする次第でございます。  そこで、この予防医学の問題に関して、身近なところからの予防を含めてちょっと一つ考え方厚生省の方にお聞きしたいと思うんですけれども、ドイツなどでは、公的な医療保険というものにクア療法といいますか、温泉施設等を通じた健康増進のそういう設備を整えたようなクア施設を使った療法等がいわゆる公的な医療保険の対象になるというような話で、そこにはやはりドイツの医学にというか健康に対する哲学というものが、病気になってからお金を使うということよりもいかに予防していくかという点にお金を使い、その点が公的な医療保険にも取り込まれているという、もちろんこれは、私が言うまでもなくドイツも基本的には財政問題等によって大変影響を受けますので、そういった医療費等の保険の問題についてもいろいろな紆余曲折はあろうかと思いますけれども、一貫してそういう考え方をとってきたと。  私のところへよく相談に来る方たちが、リハビリというようなことが今ありまして、例えば競輪の選手が伊東の温泉病院というのですか、そういったところでけがしたときなんかに療養するというような、リハビリをするというようなことが昔からよく言われていますけれども、そういう要するに予防的な立場での温泉療法というようなものについて、これは今の状態では公的な医療保険の対象になるという問題とはほど遠い。せめて医療費控除程度の問題かと思いますけれども、そういったいわゆる温泉療法的なものについて公的な医療保険等をやっぱり取り込むことによって、結果的にはそういったところにお金がかかるとしても、一方でそういう医療費が相当抑制されていくというようなことが実現できるならば、そういう方向に私はやっぱり考えていくべきではないか、すぐ実現できるかどうかということは別としましても。  これは昔、よく生活の知恵といいますか、農村なんかでいわゆる農閑期になると疲れた体をいやすために温泉、湯治場へなべかまを持っていって、そしてそこで温泉に一週間とか十日とかつかってリフレッシュをしてまた農繁期に備えていく、こういうふうな生活の知恵が、それは全国的じゃないとしても、温泉を近くに持っているところはそういうことがあったわけですけれども、そういうような面を予防医学にきちんと法的にも取り込んでやっていくというようなお考えについては全く検討していないのか、あるいはこの程度のことを今やっているというようなことが何かあったらお答えいただきたいと思います。
  155. 近藤純五郎

    政府参考人近藤純五郎君) ドイツ関係でございますけれども、先生御指摘のように、ドイツにおきましては温泉クア療法というのが保険給付に入っております。ドイツの医療保険制度の体系として、予防とかリハビリ、これを給付として直接取り組む、こういうふうな体系になっているわけでございます。そういうことで、温浴療法でございますとか飲用療法とかいうことで四年に一回、三週間を限度にしてそういうクアハウスを利用するということが認められているようでございます。  しからば日本の場合ということでございますけれども、日本の場合もリハビリ等につきましては、予防的なあれでございますけれども、既に医療保険に取り込んでおりますけれども、いわゆる健診等の予防的なものにつきましては、これは保健施設といいますか、ヘルス事業という形で各保険者で取り組むような形をとっているわけでございまして、先生御指摘のような温泉を利用する、こういった市町村というのも結構たくさんございます。  そのヘルス事業を使いまして、全国で温泉を持つ市町村というのが二千百三十四市町村あるそうでございますが、そのうちの約四分の一の市町村におきましてこういった温泉を活用したヘルス事業を行っているようでございまして、この市町村においては先生御指摘のような老人医療費の低下とか、それから生活習慣病、リハビリ、こういったものに効果がある、こういうふうに私ども聞いております。
  156. 海野義孝

    ○海野義孝君 この問題だけやっているわけにもまいりませんので、この問題の締めくくりとして津島大臣にまとめていただきたいんですが、いろいろと今伺った範囲でも、実現に向かってということはやっぱり一歩一歩ということで努力が必要かと思いますが、こういう例えば温泉療法的なようなものをそういう予防医学として、あるいはそういう公的な医療保険の対象にしていくというような場合の問題点とかその対策というような点についてはどんな御所見をお持ちですか。
  157. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 予防医学的な検証を進めて医療資源の効率的な運営をするということは非常に大事なことであろうと思います。  ただ、医療保険との関係につきましては、給付の対象にするということになりますと、それが専門的に見て統一的な療法として確立されて、そしてその適用と効果が科学的に安全性を含めて確立されないとなかなか難しいと考えております。  したがいまして、先ほど局長からも答弁ございましたように、全国の個々の保険者が予防的な見地の事業が非常に大事だということで、その保健事業の一環として行っておられる、その中に温泉療法も入っておるというこの形が現在においては一番現実的なやり方ではないかと。温泉療法というものが予防医学的な見地からいっても大変に有用なものであるという認識が確立されていけば、そのような動きはますます広がっていく、広がっていってもいいというふうに私どもは考えております。
  158. 海野義孝

    ○海野義孝君 大変ありがとうございました。  この問題については、また引き続きいろいろと勉強させていただき、また御省におかれましてもひとつ前向きにいろいろと研究をしていただきたい、このように思います。  要するに、費用対効果という部分で、そういう医療保険の給付対効果、医療費の軽減という問題との因果関係というのはなかなかそう簡単に出ないので難しい問題かと思いますけれども、そういう先例の国もあるということでひとつ今後も御研究いただきたい、私もやっていきたいと思っています。  時間の関係で、いろいろと御答弁をあらかじめお願いしてありましたけれども、かなりはしょらせていただくことを御容赦いただきたい。  次に、労働省の方に。吉川大臣、初めてお出ましいただいて、どうもおめでとうございます。障害者の雇用問題につきまして、少し細かく御質問をしたいと思います。  私も、厚生白書であるとかいろいろな書物等で障害者の雇用問題について浅く広く少し勉強してみましたけれども、それと同時に、最近私のところに、日本で唯一の国立の三年の短大で、そういった身障者専門の大学ができてもう十数年たっていますけれども、そこを御卒業された電子工学関係の方で一流企業に入られた。ところが、やはりいろいろと状況を聞きますと、そこで勤めていられなくなって退職されたというような方の御父兄が私のところへ来られていろいろとお話がありました。この方は聴覚の障害ですけれども、私が会社にいた時代には精神的障害というか、そういった方がいまして、やっぱり退職せざるを得なくなったということですが、身体障害者の方々は結構大勢いらっしゃるわけで、こういった方に対しては法律的にもやはり法定雇用率というのがあってそういった方を雇用するということですが、いろいろと問題があるように思います。  そこでまず、身体障害者の方の雇用状況というようなことについてちょっと一言、まず教えていただきたいと思います。
  159. 渡邊信

    政府参考人(渡邊信君) 障害者の雇用率ですが、今御指摘のように雇用率制度というのがございまして、平成十年度からこの法定雇用率が一・六%から知的障害者を含めて一・八%に引き上げられております。こういったこともありまして、障害者の雇用率は徐々にではありますが上昇しておりまして、平成十一年度では前年比〇・〇一ポイント上昇の一・四九%という状況でございますが、なお法定雇用率の一・八%は下回っているというふうなことでございます。  また、公共職業安定所で仕事を探しておられる障害者の方ですが、ことしの七月末で十二万八千八百人おられまして、前年比で見ますと七・三%増加しているということで、なおなかなか就職状況が厳しい状況にあるかというふうに認識しております。
  160. 海野義孝

    ○海野義孝君 ありがとうございました。  今のお話の中で、やっぱり一般の健康な方々にしても近年は大変そういった就職状況というのが厳しいということでございますけれども、今御指摘のハローワーク等での求職の方、これは身体障害者の方々ですね、十二万八千。七・三%ふえていらっしゃるということです。  少しずつ法定のそういう雇用率が上がっているということは大変喜ばしいことでありますけれども、やっぱりこの場合も求職者と求人との関係である程度、何というんですか、ミスマッチ的な問題もあろうかと思うんですが、そういう状況、いわゆる身体障害者の方々の就職を難しくしているというか、そういった点では特に何かございますでしょうか。
  161. 渡邊信

    政府参考人(渡邊信君) 障害者の雇用は景気の変動にかかわらず一貫して少しずつふえておる状況でありますが、今御指摘のように、障害者の働く環境を整えていくということは企業にとってもなかなか難しいというふうなこともあって障害者の雇用が伸びないという面もあります。  また、障害者の雇用にとっては、トップの方がやはり障害者の方の雇用に努めるんだと、そういう姿勢を示されるということは大変重要なことであろうかと思いまして、労働行政におきましても、求人の開拓に努めるとかあるいは職場環境の改善を行われる場合の助成をするとか、そういったことで障害者雇用の環境をつくるというふうなことを助成しております。  ただ、最近の状況について申し上げますと、障害者の雇用が進んでいない一番大きい理由は、やはり中小零細企業におきます障害者の雇用が進むというよりむしろ落ち込んでいるということでございまして、数字で申しますと、特に百人未満の企業の実雇用率が平成五年の二・一一%から平成十一年では一・七二%というふうに急激に低下をしているところであります。昨今の景気の変動というものを反映して、障害者の雇用にもこれがあらわれているのではないかというふうに見ております。
  162. 海野義孝

    ○海野義孝君 この身体障害者の方に対する企業の雇用納付金制度というのがあるというふうに聞いておりますけれども、これとその実効性についてです。  これは要するに、何かそういった方々を、身障の方々雇用すべきという法的な義務があるけれども、実際に雇用していないそういった企業も半ばを超えていると、率的に言いますと。そういった企業は身体障害者雇用納付金制度というのがあってそういう納付金をされているということですが、それがどのぐらいあって、それを具体的に雇用を高めていく上で実効性というものがあるかどうかということですけれども、この制度とその辺の関係、いかがでございますか。
  163. 渡邊信

    政府参考人(渡邊信君) 障害者の雇用納付金制度ですが、障害者の雇用につきましては実際に企業で雇用していただくということが一番大事なことで、そういったことで法定雇用率を設けているわけでありますが、雇用率を達成できない、していないという企業からは、これは三百人以上の企業に限っておりますけれども、雇用率の未達成一人について幾らというふうに今御指摘雇用納付金を徴収しているところでありまして、これを例えば超過達成している企業に奨励金として、これを助成金として支出をするということにいたしまして、事業主全体で障害者の雇用に努めるというふうな仕組みの制度でございます。  この効果でございますけれども、この納付金制度が発足しましたのは昭和五十二年でございますが、当時の実際の雇用率が一・〇九%でしたが、平成十一年度には先ほど申しましたように一・四九%まで上昇しておると。しかも、景気の変動にかかわらず、失業率は上がったり下がったりいたしますけれども、障害者の実雇用率というのは一貫してふえ続けているというふうな状況にありまして、この制度はやはり一定の効果を上げているというふうに見ております。
  164. 海野義孝

    ○海野義孝君 あと簡単にお答えいただきたいんですが、精神障害者の雇用の義務づけ等を含めたいわゆる精神障害者の具体的な就労促進策といったことについてが第一点。  もう一つは、知的障害者の就労促進のために行政機関としてどのような協力ができるかと、この点について簡単にちょっと教えていただきたいんですが。
  165. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 御指摘の精神障害者に対しましての雇用率制度を適用し雇用を義務づけることは、対象とすべき精神障害者の範囲やプライバシーの保護の問題等解決すべき課題が多いものと考えておりますが、平成十一年度より研究会を設置し、精神障害者の雇用促進するためのシステムのあり方等について検討しておるところでございます。
  166. 渡邊信

    政府参考人(渡邊信君) 知的障害者の就労促進ですけれども、知的障害者につきましては、先ほど申し上げましたが、平成十年七月から法定雇用率に算入をするということにしておりますが、またあわせまして、安定所におきましてきめ細かに一人一人就職の相談に応じているというふうなことや、あるいは知的障害者の方を対象としまして民間事業所で就業体験というのもしていただく、その際の助成をするというふうな事業を行っております。  なかなか知的障害者の方の雇用は身体障害者の方に比べてもなお難しい面があるわけでありますが、こういった施策の積み上げによって知的障害者の雇用を進めていく必要があろうかというふうに考えております。
  167. 海野義孝

    ○海野義孝君 最後吉川大臣にお願いしたいと思いますが、さっきもちょっと途中で触れましたけれども、障害者の解雇という問題に関係してでございますけれども、一方では大変な御努力で、そういった身体障害者の方々就業機会をふやしていくためにいろいろな企業にも努力を促す、それから行政としても大変いろんな面で取り組んでいらっしゃることはよくわかりますけれども、一方で、これは個人的な事情もあるでしょうけれども、解雇されるというかやめていく、こういった点もやはり高水準にあるというふうに私は理解しているんですけれども、そういう方の、つまり身体障害者の方々働きやすいそういう環境づくりというふうな点がいま一つ十分でないというような気もします。これは身体障害者の方の独特のそういった仕事に携わるという点でのいろいろな厳しさもあろうかと思いますが、そういうような働きやすい環境づくりという点がいま一つという点。  そういう面で、特に働きやすい環境づくりのためにどのように行政として今後支援を行っていくかという点について、具体的な方策についておありでしたら、あるいはお考えをお持ちでしたら、ひとつ大臣、お答えいただきたい。
  168. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 御指摘のように、障害者の雇用を進めるに当たりましては、障害者の働きやすい環境づくりが大切であるというふうにまず考えております。  このため、労働省といたしましては、従来より、障害者の作業を容易にするための施設設備の設置、整備を行う場合における費用の助成、また障害の種類ごとに雇用管理上配慮すべき事項を取りまとめたマニュアルの作成及び事業主に対する周知徹底などを図る対策によりまして障害者の働きやすい環境の整備に努めてきたところでありますが、また、本年度からは、障害者が勤める職場に同行し職場定着等の支援を行うジョブコーチを制度化するためのパイロット事業を実施しているところであり、十三年度においてはさらに事業の拡充を図ることといたしております。  今後とも、労働省といたしましては、障害者が働きやすい環境の整備に向けて積極的に支援をしてまいりたいと思っております。
  169. 海野義孝

    ○海野義孝君 時間が参りましたので、大変たくさん御質問を残しましたことをお許しいただきたいと思います。  大変ありがとうございました。
  170. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  高齢化社会が目前に迫っている中で、介護と仕事両立、とりわけ家庭責任と仕事両立しながら労働者が働き続けられる環境整備、これが今求められているというふうに思いますが、我が国は、御承知のように、一九九五年にはILO百五十六号条約、家族的責任と一般的に言われておりますが、この条約を批准しましたし、判例で見ましても、例えば一九九七年の北海道コカ・コーラボトリング事件における札幌地裁判決など、家庭責任を考慮して配転命令撤回の判決が出される、こういった流れが今国内外の時代の流れかと存じます。  昨年、男女共同参画社会基本法も成立をしたところでありますけれども、仕事家庭両立というのは男女共同参画社会の実現のために欠かせません。この中でもとりわけ事業主の責務というのが大きいというふうに私ども思っておりまして、これは衆参本会議での首相答弁あるいは委員会での官房長官の答弁でも明らかですし、私が共生社会調査会でも大西男女共同参画室長に質問いたしました際にも明確に事業主の責務についてお述べになりましたが、労働大臣も同じお考えだと思いますが、いかがでしょうか。
  171. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 男女共同参画社会基本法に規定されておりますように、育児、介護といった家族的責任を負っている労働者が男女を問わずその役割を円滑に果たしつつ働き続けることができるようにするための取り組みが企業においても求められていると認識しております。また、使用者の責任については八田委員が御指摘のとおりで、これは重要な問題だと思っております。
  172. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 本当にそのとおりだと思うんですね。  ところが、私はこの間、労働・社会政策委員会でも女性の介護責任を負った方の問題も取り上げてきましたが、男性にとってもやはり同じ問題だということを痛感しました。  これは私、最近、愛知県瀬戸市にお住まいの梅村義信さんという方からお話を伺いまして、大変胸が痛い、こんなことがあっていいのかという思いなんです。  これは、シティバンク、エヌ・エイ、シティバンクというのは外資系の銀行なんですけれども、ここにお勤めの梅村さんのお母さん、脳梗塞、狭心症、骨粗鬆症などがありまして、最近では痴呆の進行もあります。ですから、歩行の付き添いは無論ですけれども、排せつや食事、入浴やお洋服を着たり脱いだりの介助、通院の付き添い、御夫婦で力を合わせてされていますし、十二歳と十五歳のお子さん二人あるんですが、ぜんそくの持病があるということだそうです。  この方をシティバンクは今東京へ転勤せよと、こういうことになっているそうなんです。これは今特に始まったことではなくて、この方は七三年入社なんですが、名古屋支店に勤務をされて、十年後に東京への転勤の打診がありました。当時も御両親の介護をしていましたので、困るということで交渉をして二年間だけの約束で東京に赴任されたんですね。ところが、この約束が守られなかったんですね。五年たっても六年たっても名古屋へ戻れない。とうとう裁判に訴えて、二年間かかったんですけれども名古屋支店に戻ることができました。名古屋の勤務になったんですね。ところが、また今度は東京へ転勤と。お父さんが九四年に亡くなったんですけれども、お母さんの病状は悪いし、とても介護で家を離れられないということで交渉して、じゃ東京じゃなくて大阪へ、愛知県の瀬戸市から毎日大阪まで通勤をされて介護と仕事両立を図ってこられました。  実は、こういう配転がたびたびあるものですから、そのたびに親御さんは精神的にも追い詰められて病状が悪化をしていくということで、お医者様からも注意を受ける。銀行の方にもそういった診断書は出ているんですけれども、こういう状況を重々知っているんですけれども、ことしまた、大阪まで勤務していたのを今度はまた東京へと。とても受けられないということで話し合いはしているんですけれども、会社から転勤するか退職をするかと迫られているんですね。事実上、親御さんの介護のために退職を迫られるなんという悲惨な状況で、シティバンクのやり方というのは本当にひどいなというふうに思うんですが、これは、ただこの梅村さんの問題だけではない。親の介護について、これから就職する男子学生にとっても問題になっています。  私、ここにきょう、学生の就職実態アンケート調査というのを持ってきたんですが、これは愛知労働問題研究所が調査をしてまとめたんですが、これを見ましても、学生の採用試験の面接、そこで男子学生に対して、長男であるかどうか、または次男だからどこでも行けるかどうかとか、親御さんが介護が必要になったらどうするかと。結局、将来介護責任を負う学生は採用しない、こういう実態もあるというのがこういう調査でも明らかなんですね。  企業は介護しながら働く人に対する配慮が要り、そういうことが企業の責務だと、今、大臣もお答えいただいたんですけれども、こういう実態についてどうお思いになるでしょうか。
  173. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) ただいま八田委員が具体的な事例を挙げられまして答弁を求められましたけれども、私も聞きながら同情すべき点はあるなという気持ちは十分持っておりまするけれども、このことについて、こうあるべきだ、こうすべきだと言う今立場にもございませんし、先生の紹介の個別事案につきましては、まだきょう聞いたばかりでございますので、ここで答弁を控えさせてもらいたいと思うんです。  ただ、一般論として申し上げますならば、労働者が仕事家庭両立を図るためには、事業主が育児、介護といった労働者の家族的責任にも配慮することが望ましいと考えておるわけでございまして、このため、平成十一年度より、仕事育児、介護を両立できるような制度を持ち、多様でかつ柔軟的な働き方を労働者が選択できるような取り組みを行うファミリーフレンドリー企業の普及促進を図っているところでございます。
  174. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私、この梅村さんだけでなく、これから就職する男子学生にとっても大変ですので、ぜひ大臣においてきちんとそういった指導をされるべきだと思うんです。  このシティバンクという会社は、実は今おっしゃったファミリーフレンドリー企業なんですね。ファミリーフレンドリー企業で、労働省がここは家庭的責任を果たすためにいい企業ですよと、こういうふうなお墨つきを与えている企業でこういうことが行われているというのは、私、大問題だと思います。  高齢化が進むにつれてこの介護の問題というのは本当に大きいですから、勤務地など労働条件が大幅に変更される、こういうとき、特に世界的に見て日本は異常な単身赴任ですね。だから、そういう単身赴任なんかのやむを得ないときは本人と家族の同意を前提にするとか、労働者の家庭責任を果たしながら職業ができる、こういう権利を保障できる、もう労働者の家庭仕事両立が本当に実現できる施策、企業責任を果たさせる実効ある施策をこれから検討しておいていただきたい、こういうふうに思いまして次の質問に移ります。  次に、豊能郡美化センターの解体工事に従事された労働者が高濃度ダイオキシンに汚染された問題と、それから今後の解体工事における労働者の安全確保について伺います。    〔委員長退席、理事南野知惠子君着席〕  労働省は検討委員会を設置されて、近日中にいわゆる緊急対策を出して解体工事の自粛を解除する、こういうふうに伺っておりますが、今後の対策を立てる上で一番大事な問題というのは原因究明だと思うんですね。現在のところ、実態調査に基づく本格的な原因究明はまだ途上ですね。しかし、緊急対策で解体工事は始めるという。  そこで、私、この緊急対策についてちょっと労働省最初に伺いたいんですけれども、解体作業はダイオキシン汚染の除去を確認した上で行うこと、緊急対策にそういうふうにされると思うんですが、今もそうだったんですね。ところが、汚染除去が前提なのに労働者は暴露されてしまった。除去が確認できるかどうかというのが今問題だと私は思います。  ですから、計画どおり、書類どおり実施されているかどうかという立入検査、今度も問題になったんですけれども、それはどうなのか。たとえ立入検査されたとしても、この汚染除去の確認を監督官だけに負わせるというのは私はちょっと大変だと思います。ですから、ダイオキシンについての知識を持っている専門家などがきちんと確認をする、こういう実効性の担保が必要だと思われますが、いかがですか。
  175. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) このダイオキシンに関します解体工事の作業中に発生いたしました被曝の問題は、かなり重要な問題というふうに受けとめております。  当初、先生御案内のとおり、日立造船の方から解体工事の計画書が出されまして、それについてある程度行政の方もチェックをいたしたという経緯がございます。しかしながら、先生御案内のとおり、計画書の中ではダイオキシンを完全に除去して作業をするという計画であったわけですが、その後、工事が逼迫いたしまして、その計画どおりに必ずしも行われなかったのではないかという疑いを現在持っているわけでございます。  ただ、先般、解体作業に当たりました労働者の被曝がかなり高濃度であったと。この原因は一体那辺にあるかということにつきましては、先生御指摘のとおり、まだ厳密な意味での原因の究明には至っておりません。ただ、溶断の際に発生したガス状のダイオキシンを吸入したといったようなことが大きくきいているんではないかというふうに専門家の検討の中で指摘されているわけでございます。最終的な結論にはまだ若干時間がかかるかと思っております。  それで、今後の問題でございますけれども、もちろん解体作業、ダイオキシンがそこに存在するということ自身が周辺住民にとっては大きな不安、健康上の問題が生じる可能性がございますので、解体工事自身は一方でできるだけ早く進める必要があるわけでございます。しかしながら、解体工事に伴う安全の問題とどうバランスをとるかということでございまして、先生御指摘のとおり、この検討委員会の専門家の方々に緊急対策の内容自身を御検討いただいておりますし、また素案の部分につきまして現在パブリックコメントをいただいている最中でございます。    〔理事南野知惠子君退席、委員長着席〕  最終的にこの案が確定いたしましたら、できるだけ早くこの対策を各工事業者等と関係団体にお示しいたしまして、十分な御理解をいただきまして、工事の実施に当たって事前に労働基準監督署に計画を出していただき、また出していただきました計画書に基づきまして、監督署に置きます監督官、さらに監督署にはそれ以外にこういった方面の専門家がおりますので、そういった者も動員いたしまして、計画どおり行われているかを確認しながら作業を進めてまいりたいというふうに思っております。
  176. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 実際に今までも書類どおりできなかったとか確認ができない事態があったものですから、そこのところは今度の反省のもとにしっかりと原因究明とともにやっていただきたいと思いますが、この緊急対策自体は根拠法令がないわけですね。これでは実効性の確保も本当に心配で、労働者の命と健康ということでは重大な影響があります。  今後、今おっしゃった作成する解体作業マニュアル、そういうのをつくられるときには、根拠法令の整備など実効性のあるものにすべきだと、こういうふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがですか、簡単で結構でございますので。
  177. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 解体工事を安全に実施するためには緊急対策を策定し、これは当面やめるようにということは、私自身、お盆前でしたけれども、この事件があってから直ちに命令してしばらくやめてもらったわけなんです。緊急対策の効果を確認し、今回の事業の原因調査結果やダイオキシン類暴露の健康影響に関する科学的な知見の集積を踏まえて、必要な対策を検討してまいりたいと思っております。これは長期策ですね。
  178. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 根拠法令のことを聞いているんです。
  179. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 私語は禁じます。
  180. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) 今、大臣から申し上げたとおりでございます。果たしてこの緊急対策をどういったものにするのか。それは現在ではまだ白紙でございますけれども、いろいろな御意見を踏まえながら、効果の上がる方法を目指して検討してまいりたいということでございます。
  181. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 やっぱりきちんとした解体作業マニュアルをつくる場合は根拠法令の整備など実効性のあるものをしっかりと責任を持ってつくっていただきたいと思うんです。  この問題では厚生省にも私は責任があるということで、大臣に伺いたいんですけれども、この焼却施設に高濃度のダイオキシンが蓄積をしたというのは、炉頂型で冷却水の循環方式という構造上の問題、いろいろ重複したと言われておりますけれども、しかし今となってはそういったことが問題ですね。ですから、そうした技術基準を設けてきた厚生省の責任を重大に感じていただかないといかぬというふうに思うんです。  豊能郡の美化センターの場合は余りに高濃度だということで、解体に当たって国の補助金を特別につけていただいた、これは大変結構ですが、当然のことですが、工事終了まで国が責任を果たすべきですし、今後こうしたことが起こらないように万全の対策をとるべきだと思いますけれども、厚生大臣、いかがでしょうか。
  182. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) ダイオキシン問題は、厚生省にとりましても、その主要な排出源が廃棄物焼却施設であるということから、排出量の削減が急務になっております。  現在では、昨年の三月に政府において取りまとめましたダイオキシン対策基本指針に基づき、平成九年の排出総量から五年後の平成十四年にはその九割を削減するという極めて思い切った目標を掲げ、その達成に向けて努力をしておるわけであります。具体的には、廃棄物処理法やダイオキシン類対策特別措置法に基づいて排出基準等の遵守の徹底とともに、国庫補助制度等によるダイオキシンの排出の少ない廃棄物焼却施設の整備をどんどん促進していくことに尽きると思っております。  しかしながら、過去においてそのような基準に達しない焼却施設がたくさんつくられたこともまたこれ事実でございまして、今の美化センターの問題もその結果出てきたものであろうと思っておりますが、この解体物処理問題については労働省とも御協力しながら、厚生省として支援できるところは支援をしてまいりたいと思っております。
  183. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 ぜひ支援していただきたいと思うんですね。廃棄物施設を建設する場合はどんどんとおつくりいただくために補助金を出されていますが、問題があって大変だとなって解体する場合は今は財政支援のシステムがないものですから、循環型社会を構築するという見地からもやはり施設の解体についても財政措置を講ずるべきだと私は思いますし、労働省と相談の上お願いしたいと思います。  それから、労働省の方の緊急対策というのは、健康障害の防止といいながら肝心の労働者の健康診断については触れられていないんですね。ですから、少なくとも希望する労働者については健康診断を行って必要な対応をすべきであることを強く要望して、私の質問を終わります。
  184. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  三宅島の災害対策について質問いたします。  きのう、全島避難が終了いたしまして、私は一時避難先のオリンピック記念センターを訪れましたけれども、それこそ、そこでは避難された方々が本当に切実な要望を出しておりました。  まず、雇用の問題ですけれども、被災者の中で雇用保険の被保険者五百十一名については、迅速、簡便に雇用保険の適用を実施していただきたい。  特に深刻なのは民宿、農漁業などの自営業者です。収入が途切れて債務だけが残されている。抱えている債務の返済猶予はもちろんだと思いますけれども、政府として東京都とも協議して雇用の確保を責任を持ってしっかりやっていただきたい、このことを要望したいと思います。
  185. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 三宅島から避難している雇用保険被保険者に対する受給の手続につきましては、離職者の所在地でなくとも、避難先の住所地を管理する安定所において雇用保険の受給手続がとれますように手続の簡素化を図っているところでございます。  なお、お昼のNHKの報道では、既にその手続が済んだという一部の方の報道がなされていることを私、聞きました。
  186. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 就職の、就労の場を保障する、その点もしっかりやっていただけますね、当然だと思いますけれども。  一言で結構です。
  187. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) しっかりやっていくということでございます。
  188. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 結構であります。  避難指示で避難された方々には、災害救助法などに基づいて生活必需品、寝具、衣類、什器、電化製品など、これの給与が行われております。これは非常に大切です。しかし、避難指示が出される前に自主避難された方々、この数は島民の六割以上、数えてみると二千三百六十五名の方がおられるんです。こういう方々に対しても、求めに応じて生活必需品の給与を、そういう措置をとられるべきだと思いますけれども、その点をお伺いいたします。
  189. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 災害救助法が適用されている場合には当然生活必需品の支給が行われますが、今、委員指摘の九月二日の全員避難指示以前から自主的に避難された方はどうかということですが、現にこれらの生活必需品がなくて困っておられる場合には当然支給することが可能であります。  東京都においてもこのような考え対応されているものと承知しており、今後とも都との連携を図りながら適切に対応してまいります。
  190. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 当面、非常に切実な問題で、今の大臣の御答弁は非常に大事な点だと思います。  それからもう一点、介護保険とのかかわりなんですけれども、避難した要介護者に対しても避難先で継続して介護サービスが受けられるように、その点でも万全の対策をとっていただきたいと思います。
  191. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 確かに、避難の際にはいろいろと慌ただしいので、必要な被保険者証を持ってこなかったというようなケースもあり得ると思いますが、氏名、住所等を避難先の事業者に申告することによってサービスを受けることができる、そういう取り扱いも可能でございます。そして、この旨、東京都を通じて既に連絡済みでございます。
  192. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは次に、介護保険について質問をさせていただきます。  制度がスタートして五カ月経過いたしました。来月、十月から六十五歳以上の高齢者からの保険料の徴収が始まります。しかし、制度実施以降の状況は、要介護認定のあり方やサービスの供給など実に多くの問題が噴出して、自治体への苦情も殺到している、このように承っております。  とりわけ、費用の一割を自己負担する利用者負担、これは政府の特別対策で若干の軽減措置はとられたとはいえ、従来はほとんど自己負担なしで福祉サービスを受けてきた高齢者あるいは低所得者、そういった方々に利用の抑制に向かわせている、そうした実態があると思います。  大臣は、この利用者負担の問題について、今後は利用者の実態を踏まえ検討していかなければならない、そのように繰り返し答弁されていると思いますけれども、具体的に利用者負担のどの点を検討されるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  193. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 介護保険の制度は、何と申しましても全く新しい制度を導入したわけでございますし、これまでは、類似のサービスが提供されていたとしても、それは措置としていわば行政的な配慮で行われていた。今度は、国民全体あるいは地域住民が助け合うということの中で、保険制度として行われるということになったわけでありますから、当然たくさんの問題が出てくる、また現在でも指摘をされておることは事実でございます。  私どもは、そのような利用者あるいは事業者、保険者の御意見に対して虚心坦懐に耳を傾けなければならないと思っております。何としても十月に、二分の一ではございますけれども保険料の徴収が行われるときに、国民全体として介護保険制度に対する理解と御支持が高まるように努力をしてまいりたいと思います。  自己負担の問題は、いろいろ御議論があると思いますけれども、それは徹底して申しますと、自己負担をされる側から言えば少なければ少ないほどいいわけでございます。しかし同時に、助け合いということになりますと、皆様方は保険料を負担しているわけでありますから、その辺のバランスというものは、これは大事にしなければならない。  また、市町村においては独自の軽減措置を低所得者に対して適用しておられる例もあると聞いておりますけれども、そのような実態に対しても我々はいろいろと調査をさせていただいているわけでありますが、ただ一言申し上げますと、所得が低ければ、あるいはある程度以下の所得であれば全部まけてしまうという議論は、私はやっぱり慎重にしなきゃならぬ。所得が、ある年にあるかないか、多いか少ないかは多様な要素によりますよ。例えば、膨大な資産を持っておられる方が資産の譲渡でたまたま損失が出たりいたしますと、その年は所得がなくなります。  ですから、この問題は、お互いに助け合うというシステムの中で、利用者のどの階層の方にどのぐらいの負担をしていただくという問題で、慎重に検討すべきことだと思っております。
  194. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣は、たくさんの問題があるし指摘されていると言われました。やはり自己負担の問題についても、利用できなければしようがない、利用しにくくてもこれ問題なんですね。  利用者の一割負担が何をもたらしているのか。例えば、東京都が行った介護保険の在宅介護サービスの利用状況調査では、要介護度別に設定された訪問・通所サービスの一カ月当たりの利用限度額に対する平均利用率、これが五〇%という結果なんですね。そのほか、日野市の訪問看護ステーションでは三七%、中野区の診療所では二七%、非常に低い結果が出ているわけです。これらに共通するのは、要介護度が高くても利用率が半分に満たないということなんですね。つまり、必要な介護サービスを受けたくても一割の自己負担が重くて利用を抑制せざるを得ない、こういう人たちが大勢おられる、このことを示していると思うんですよ。  政府の特別対策のもとでもこうした深刻な状況にある、このことは大臣、もちろん御存じですよね。
  195. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 私も、昨日は新潟県まで行ってたくさんの方、市長あるいはケアマネジャー、ヘルパーの意見を聞いてまいりましたし、先週は東京都のある区の実態をお調べをいたしました。また、全国から関係者に集まっていただいて全く率直な御意見を伺いました。全体として、この制度はやはり始めてもらってよかった、利用はふえましたという考え方が大勢を占めております。  ただ、もしその利用負担の関係で利用していただきたい方が利用できないようなことがあってはいけないということで、その点についてはなお念には念を入れてこれからも議論はしていきたいと思いますけれども、しかし申し上げますけれども、介護保険でございますから、たくさんの方の保険料をちょうだいして、高齢者を含めて保険料をちょうだいして維持している制度ですから、ですから、一定の所得層の被保険者の保険料や利用料を一律に免除してしまうということは、これは制度そのものになじまないということだけは申し上げさせていただきます。
  196. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 利用料のことを言われましたけれども、私は、その限度内でどういう利用率か、このことを問題にしているんですね。利用者の一割負担によってこれまで受けてきたサービスを辞退もしくは削減する例、これは新潟もそうでしょうけれども、東京も、全国各地でそれこそ続出しているんですよ。  実際、最高の要介護度五と判定され、月に約三十五万円のサービス利用が可能となったにもかかわらず、月三万円余りの一割負担ができずに自己負担を月一万円に抑えたため月十万円程度の介護サービスしか利用できなくなっている、そういう高齢者も相次いでいるわけですね。日野市の訪問看護ステーションでも利用限度額を五割以上利用している人はわずか三割弱ですよ。八割が自己負担を一万円以下に抑える、そういうことでやっているわけですよ。  年金で生活している高齢者にとって、要介護度が重い人も軽い人も介護費用には一万円前後しか使わない、そう考えている人、そう設計している人が非常に多いんですね。これが実情ですよ。大臣もそういうことについては御存じだと思います。  ですから、私はその点で、大臣も先ほどちょっと言われましたけれども、こういう実態について一体どうなっているのか、それぞれの要介護度別の利用限度額に対して一体どれだけの利用しかないのか、平均何%になっているのか、地域差もあると思います。そういうことについてきちっと調査して発表する。調査されているんですか、それが必要だと思います、現時点で。
  197. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) それは当然のことでございまして、今我々がやっている一番の仕事はそれでございます。私自身が出向いてやっております。ただ、四月から始まった制度でございますから、その資料はまだ完全に整っておりませんから、だから歩きながら調べ、考え、よりよい制度をつくっていきたいと。  そして、今いろいろな例をおっしゃいましたけれども、確かに利用料があるから利用を抑えてしまう、あるいは家事支援にばっかり持っていってしまう、そういう声も確かにございます。しかし同時に、今まで以上に大変に利用しやすくなったという声もございます。両方ございますから、これから一生懸命伺って、一生懸命考えてまいります。
  198. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、大事なことを言われましたよ。調査されているわけですね。その調査というのはいつ発表されますか。それはどういう見通しですか。
  199. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 今調査中でありますから、それは調査が整えば、そして皆様方に客観的に御議論いただけるようなものであれば、できるだけ早くそれは公表するのは当然でありますけれども、今いつということは申し上げません。
  200. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、その調査が非常に大事だと思います。一体全体どういう状況になっているのか。五カ月たっているわけですよ。私は、この時点でその調査が整っていないということは一種の怠慢だと思いますけれども、大臣約束されたように、調査が整った後、その調査をしっかり出していただき、またそれを検討させていただきたいと思います。  その点で、いろんな問題点、大臣も認められましたけれども、利用限度額、それをいっぱいいっぱい使うと自己負担が多くなる。それによってどういうことが今あるかというと、介護保険制度の実施に当たって全国の自治体で介護サービスの利用抑制を防ぐために市区町村独自で保険料、利用料の減免、軽減措置を実施している、そういうところがふえているわけですよ。  大臣も言われましたけれども、そういうことについても当然調査されていると思いますけれども、介護保険実施後にその調査はどうなっているのか、されているのかどうか、これもお尋ねいたします。
  201. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) それは当然のことであります。さっきから何度も申し上げておりますように、私自身も出かけて、きのうも新潟県内のどこどこの町村でどれだけ軽減をしている、どこがどれだけと詳細に聞いております。
  202. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それなら大臣、結果を示していただきたいんですよ、結果を。約束していただけますね。
  203. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) それは、先ほどから申し上げているように、しっかりとした全体像が把握できる調査が整えば、それは国会においても、介護保険を支えてくれる多くの国民の方々の支持を受けるためにも、それは示して一緒に考えるのが当たり前です。約束しない方がどうかしているんです。必ずやりますよ、それは。
  204. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やっていただきたい。  大臣、はっきり言いますけれども、これまで介護保険の問題について、そういう調査の実態というのを示せ示せと何度言っても、今、大臣が言ったような答弁は出てこなかったんですよ。ですから、大臣の責任ではっきりやっていただきたい。あなた方の部下がその点については、大体五カ月たっているわけですからね、実施してから、その実態が何かということを問われて、それがいまだにデータをもって示せない。これは大問題ですよ。そのことをはっきり私は申し上げておきたい。  そして、自治体による独自対策、これは私は今後も広がっていかざるを得ないと思いますよ。東京都を見ても、制度の実施前は独自対策をとるのは延べ十九自治体だった。しかし、年度途中でそれが二十六になっているんですよ。そして、その点でなぜそうなっているかということについて言うと、自治体で何らかの措置を講じない限り介護サービスを受けることができない、受けにくい、そういう実態があるからですよ。しかも、利用者負担を引き下げた自治体では利用回数や時間が大きく伸びているんです。  例えば武蔵野市、ここでは介護保険のホームヘルパーと通所介護、通所リハビリの利用料を一律三%に軽減した。そうしたところ、ホームヘルプの利用時間総数が約二倍に伸びているんです。要介護度別の利用限度額に対する利用率も六三%です。最高の要介護度五でも八〇%近くに達しているんですね。これは東京都の平均を大きく上回っているわけで、こうした措置をとるということ、そのことが安心して介護保険を受けられるということを示していると思うんですよ。  私は、こうした実態、このことを踏まえて、やはり政府が今とられている問題、大臣も虚心坦懐に意見を聞くと言われました。自治体のこういう試みも含めて、あるいは国民の声を含めて、やはり介護保険が本当に国民にとって使い勝手がいいものになるように、そういう方向でぜひ進めていただきたいと思うんです。大臣のお考えを伺いたい。
  205. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 介護保険法を提案いたしましたときに御党は反対をなさいましたが、今この介護保険制度は国民の理解を得て、利用されやすいように期待をしているとおっしゃったことは大変ありがたいと思います。お励ましだと思ってありがたくちょうだいをいたします。
  206. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 時間が来ましたよ。
  207. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後です。  大臣、答弁になっていないですよ。こういう国民の声を聞き、あるいは自治体からのこういう措置、それから受けてどう進めるのかと言ったんです。全然答弁になっていないじゃないですか。もう一度答弁してください、まじめに。
  208. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 先ほどから答弁をいたしておりますように、この介護保険はいよいよこれから本番になりますので、私どもも、私からすべての関係者も、国民各位の、そして地域社会の声を真剣に受けとめながら一生懸命取り組んでまいります。よろしく御支援のほどをお願いいたします。
  209. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  210. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社会民主党の福島瑞穂です。  まず、厚生省に対して遺伝子組みかえ食品の問題についてお聞きをいたします。  現在、法律に基づいて、大豆、トウモロコシ以外の遺伝子組みかえ食品は実際に市場で流通していながら表示義務はありません。菜種、ジャガイモ、トマト、てん菜などです。これらについても国民の知る権利を保障する上で表示すべきだと考えますが、いかがですか。
  211. 西本至

    政府参考人(西本至君) 私ども、今まで七種類の遺伝子組みかえ食品の安全性審査を終えておりまして、御指摘のように、大豆、トウモロコシ以外にはジャガイモ、てん菜、トマト、綿、菜種というものがございます。  これらにつきまして、てん菜につきましては、まず植物防疫法によりまして遺伝子組みかえ作物を輸出する可能性のある国からの輸入が禁止されているということでございます。それから、トマトにつきましては、国内企業がその商品化を断念しておりますので、これらの二品種については国内における流通の可能性は極めて低いというふうに考えております。  また、綿と菜種につきましては、そのものを食べるということはございませんで、油が流通しているわけでございます。ジャガイモにつきましても、また植物防疫法によりまして芋そのものが輸入されるということはございませんが、加工品が輸入され流通している可能性があるというのが現状でございます。  大豆、トウモロコシ以外は表示しなくてもよいかということでございますけれども、JAS法におきましては、大豆、トウモロコシ以外につきましても、ジャガイモ、綿、菜種については表示を義務づけているところでございまして、表示が義務づけられておりません作物のてん菜、トマト、これらにつきましては、今御説明申し上げましたようにそれぞれ植物防疫法等によりまして実際には輸入が禁止されておる、あるいはまた国内企業がその商品化を断念しているということでございますので、国内における流通の可能性が低いことから表示の必要性はないというのが現状でございます。
  212. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 菜種は油になっているから表示しなくていいということなんですが、消費者の立場からすれば、知る権利としてこれはぜひ表示していただきたい。  それから、ジャガイモに関しても、マッシュポテトやポテトフレークあるいは冷凍のポテト製品はたくさん今出回っておりますけれども、これについては表示をされておりません。コーンフレークも加工品ということで表示をされておりません。原料、農産物段階での検査による表示をすべきであると消費者は求めておりますので、なぜできないのか、それについてお聞きします。
  213. 西本至

    政府参考人(西本至君) 食品衛生法に基づく遺伝子組みかえ食品の表示につきましては、本年七月の食品衛生調査会の表示特別部会というものがございまして、そこで来年の四月から実施される遺伝子組みかえ食品の安全性審査義務化と一体のものとして必要との報告が取りまとめられたところでございます。  また、この報告におきまして、表示の具体的なあり方につきましては、関係業界が既に農林水産省のJAS法に基づく表示の準備を進めているという実態がございますので、これらを踏まえまして関係業界が対応可能なものからスタートすべきとされたところでございます。  遺伝子組みかえ農作物をそのまま販売する場合におきましては、当然義務表示の対象となるわけでありますが、加工食品の場合には、原料段階ではなく製品レベルで組みかえられたDNAまたはそれによって生じたたんぱく質が存在する場合、遺伝子組みかえの表示を義務づける方向で準備を進めているというのが実態でございます。
  214. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 加工、調理されたものはDNAが分解されて遺伝子そのものが残っていないということが回答のようですけれども、消費者の立場からすれば、全く未知の新しい製品である遺伝子組みかえ食品かどうかということは大変関心のあることだというふうに思います。特に、例えば子供を持っているお母さん、お父さん、そういう人にとっても非常に関心があるところだと思います。  表示をするということは、最低限どういうものかということを明らかにするものですから、加工、調理されたものはしなくてもよいというのでは納得がいきません。どうですか。
  215. 西本至

    政府参考人(西本至君) 一部お答えが重複するかもしれませんけれども、原材料とする加工食品というものは、既に組みかえられた段階によりましてDNAもしくはこれによって生じたたんぱく質が加工の工程で除去あるいはまた分解されるということが現在の知見でございます。  したがいまして、もう食品中には存在していないということでありますので、表示は必要がないというのが現在の判断でございます。
  216. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いいえ、DNAが分解されたかどうかを今聞いているわけではないんです。原料、農産物段階での検査による表示を消費者は求めていると考えるので、もうなくなっているからいいのだということではなく、原料農産物段階であるわけですから、きちっと遺伝子組みかえ食品をこういう形で使ったと表示すべきだと考えますが、いかがですか。
  217. 西本至

    政府参考人(西本至君) 各国によりましても表示の考え方はさまざまでございます。  私どもは、先ほど申し上げました表示特別部会で、今、議員御指摘のような点につきましても、その是非について実は問うたところでございます。そういう結果、現在の段階では、先ほど申し上げたところの加工品については表示をまだしなくてもよいのではないかという段階に至っているわけでございます。  もちろん、将来の問題としてそのようなことが議論されてくるということも十分考慮はさせていただいております。
  218. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 表示は各国で非常に違います。ぜひ原料段階についても表示をされるようにお願いします。  遺伝子組みかえ食品の安全性評価は、現在、成分比較のみで行われております。長期摂取の影響については評価の対象にはなっておりません。なぜ長期摂取の影響を調べないのでしょうか。
  219. 西本至

    政府参考人(西本至君) 遺伝子組みかえ食品につきましては、安全性審査基準というものを設けております。これに基づきまして、挿入をした遺伝子によってつくられるたんぱく質の有無あるいはその有害性の有無、またはアレルギーの誘発性の有無、こういうことのほかに、挿入をいたしました遺伝子が間接的に作用してほかの有害物質をつくる可能性の有無といったようなことを含めて非常に詳細な項目を設けまして、食品衛生調査会の専門家の意見を聞きながら個別に安全性審査を行ってまいったところでございます。  これらの科学的な検討におきまして必要がないと判断されれば、現在の仕組みでございますが、急性毒性に関する試験や慢性毒性に関する試験は省略することができるとされているわけでございます。  これまで安全性審査のなされた二十九品種の作物と六品目の添加物につきましては、急性毒性に関する試験を実施しているものもございますけれども、慢性毒性等に関する試験は実施する必要がないと判断をされたものでございますので、していないというのが実態でございます。  今後とも最新の科学的知見の収集と調査研究を進め、遺伝子組みかえ食品の安全性確保に努めてまいりたいと考えております。
  220. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 遺伝子組みかえ食品のことを調べれば調べるほど少し怖くなりました。例えば害虫に食べられることを防ぐために、害虫が食べると死ぬような殺虫作用を持つ酵素を作物の中に入れて、そのことによって、虫がトウモロコシを食べれば死ぬというふうなトウモロコシもあります。それを人間が食べて果たして大丈夫なのか。遺伝子についてもまだ大変未解明のところがあります。  今、日本国民の四人に一人がアレルギーで、子供の中では三人に一人がアレルギーということが言われております。今、長期摂取の影響を調べなくてもよいというふうに厚生省は断言をしているんですけれども、ということは、人間に対する今モルモット実験が進んでいると言えると思いますが、いかがですか。
  221. 西本至

    政府参考人(西本至君) 新しい技術あるいは科学が導入されますときには、当然のことながらいろいろな不安や、あるいはまた問題というのは指摘されるわけでございます。遺伝子組みかえ食品につきましても、もちろんいろいろな学説等がございまして文献等も出るわけでありますが、私どもといたしましては、もう数年も前から、それぞれの専門家の方々にお集まりをいただきまして、先ほど申し上げたような安全性の審査基準というものを設けて実際に行ってきたわけでございます。  したがいまして、人間をモルモットにしているというような考えは私どももちろんございませんで、現在で得られる知見をすべて集約して、その上で現段階での科学レベルで安全であるということを確認しているわけでございます。
  222. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 遺伝子組みかえ食品の安全性評価については、現在、書面審査のみで行われていると聞いておりますが、いかがですか。
  223. 西本至

    政府参考人(西本至君) 御指摘のとおりでございます。
  224. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 化粧品や食品添加物については実際の実験も行っております。その実験の中身についてはいろいろ議論のあるところですが、遺伝子組みかえ食品の安全性評価が書面審査のみで行われているということは大変問題だと思います。  実際、書面審査以外のきちっとした調査をした上で許可するかどうかを考えるべきだと考えますが、いかがですか。
  225. 西本至

    政府参考人(西本至君) 安全性の審査基準は実は七つの項目から成り立っております。逐一申し上げる時間がございませんが、第六番目までが、委員指摘のように、書類を中心とした、あるいはデータを中心とした審査ということになっておりますが、第七番目は、六番目までのものに問題があるということがわかりました場合には、先ほどお話がございましたように、急性毒性に関する試験、あるいは亜急性毒性に関する試験、あるいは慢性毒性に関する試験、生殖に及ぼす影響に関する試験、変異原性に関する試験、がん原性に関する試験、その他必要な試験ということで、それぞれの今申し上げたような試験を行うべきであるということもこの審査基準の中に実は定められているわけでございますが、現在までのところはこの第六番目までの審査で問題がないということが確認されておりますので、この七番目の実際の試験には入っていないというのが実態でございます。
  226. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 厚生省が書面審査のみで許可しているということはぜひ改めていただきたい。しかも、長期摂取の影響も調べずに許可しておりますので、その点については再考を強く求めます。  それで、EUでは、遺伝子組みかえの表示ができるのは混合比率一%だけです。御存じ、沖縄でのサミットの会議で、遺伝子組みかえ食品の最大の輸出国であるアメリカ、行け行けどんどんと、ヨーロッパの極めて慎重な、遺伝子組みかえに対して慎重な態度をとるヨーロッパで対立をして結論が出ませんでした。EUでは混合比率一%ですが、日本の改正JAS法ではこれを五%程度にすることが検討されていると聞きます。これでは、ヨーロッパではれっきとした遺伝子組みかえ食品であるにもかかわらず、日本では非遺伝子組みかえ食品として売れることになります。  ということは、ヨーロッパが引き受けない遺伝子組みかえ食品、ヨーロッパでは遺伝子組みかえ食品なのでなかなか売れない食品が、アメリカの最大の輸出国に日本がなって非遺伝子組みかえ食品として売られるという、この点についてはいかがでしょうか。食品衛生法ではこれを激しくEU並みにすべきだと考えますが、どうですか。大臣、どうですか。
  227. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 福島委員指摘のとおり、EUにおきましては、大豆を含む非遺伝子組みかえ食品における遺伝子組みかえ食品の混入率が一%以下であれば表示を義務づけないという主張をし、これに対して、それは余り現実的でないというアメリカと大変な対立になっているのは御承知のとおりであります。  また、日本では、農林水産省のJAS法におきまして、我が国への輸出国の流通実態を踏まえ、大豆についてはこの混合率を五%と定めておるところでございまして、さらに厳しい基準を設定、これ以上の厳しい基準を設定することは考えにくいと思っております。  今の御議論を拝聴いたしておりまして、科学的な知見がいろいろと進んでいく、また、そればかりでなくて、我々人類の住んでいるいろんな環境も変わってくる中で、私どもはたくさんのリスクに今直面をしているわけでありまして、それをどのように我々は向き合っていくかという基本的な問題に絡んでいると思います。  私は、やはり科学的な知見に基づいた広い内外の専門家の意見を集約して、現実的に対応していく以外にはないと、かように思っておるところであります。
  228. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 科学的知見に基づいてヨーロッパでは混合比率一%は遺伝子組みかえ食品の表示としているのですから、なぜ、それに対して日本は甘く、五%程度でも非遺伝子組みかえかを聞いたわけで、それに対する明確な答弁がないことは極めて残念だと思います。  また、きょう話を聞いていますと、国民の健康を守る厚生省が極めて、専門家の意見を聞いた、書面審査で十分だったという答弁に終始していらっしゃることに激しい失望を感じております。  では次に、コーデックス委員会が新しい安全性評価のための議論を開始しておりますが、厚生省は、この議論を踏まえて、より激しい評価基準をつくることは考えていらっしゃいますでしょうか。
  229. 西本至

    政府参考人(西本至君) 本年三月に第一回のコーデックス・バイオテクノロジー応用食品特別部会が開催されまして、遺伝子組みかえ食品の安全性審査基準を作成することが合意されたところであります。現在の進捗状況でございますが、この特別部会のもとに設置されました作業部会におきまして、この国際的な基準を完成させるよう作業を進めているところであります。  先ほど御指摘のありました長期摂取による健康への影響につきましても、この委員会で基準を策定すべきか否かについてあわせて検討をいたしているところでございます。
  230. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 安全性評価についての企業提出データは、公開はするがコピーができないということになっております。既に企業の特許や秘密事項は白抜きのような形で隠されており、一字一句書き写すのは構わないことになっているのに、なぜコピーが認められないのでしょうか。
  231. 西本至

    政府参考人(西本至君) 遺伝子組みかえ食品の安全性審査に係る資料につきましては、特許申請中の技術に関係する情報などの財産権あるいはまた企業秘密にかかわる情報が多々含まれておりますことから、事業者の同意を得た上で閲覧は行っているところであります。  しかしながら、当該資料のコピーということになりますと、事業者の了解が現在では得られておりませんので、厚生省の判断におきましてコピーを認めることは困難であると考えているわけであります。
  232. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 遺伝子組みかえ食品についての国民の関心は非常に高いものがあります。見せていて書き写すことはできるわけですから、それを例えば何週間もかけて書き写すといったようなことは大変面倒であり、大変なことです。閲覧はさせるがコピーをさせないという理由が今わからないんですけれども、むしろ厚生省は企業を説得すべきではないですか。
  233. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 委員おわかりのとおり、今おっしゃっている問題は特許申請中の技術に関する情報をどうするかということで、これは特許を守っていく、情報を守っていくという非常に大事な法益にかかわる問題でございまして、一方的に厚生省がこの部分については自由自在にみんな公開してしまえと、これは法律家であれば当然それは無理だなとすぐ感じられるところであります。
  234. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 法律家ですから、閲覧できるのであれば、もし特許を盗もうと思う人間は閲覧ができるわけですから、とっくの昔にそんなものは盗めるわけです。閲覧はさせるがコピーをさせないということは非常に利便を害するというふうに思います。現に企業の特許や秘密事項は白抜きになっているわけです。  繰り返して言いますが、もし特許を盗んでやれと思うのであれば、閲覧すればそんなの幾らだって盗めるわけですから、コピーをさせないということは、法律家が考えれば当たり前ですが、合理性がないというふうに考えます。
  235. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) これは私も法律家のあれでありますけれども、著作権法上の問題との非常に難しい問題でございまして、残念ながら委員と私は意見は異にいたします。
  236. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ですから、特許が盗まれるという話ではないわけですよね。それは法律家でなくてもあっても余り関係ない議論だと思いますが、ぜひ企業を、つまり国民はどういう根拠で遺伝子組みかえ食品を認めたのかということを大変知りたいわけですから、それが実質的には議論できないということは、厚生省はやはり国民の方に向けて行政をしていないんじゃないかと言われても仕方がないというふうに考えます。今後、ぜひ対応を変えてくださるように検討をよろしくお願いします。  次に、日本人の主食であるお米なんですが、遺伝子組みかえ稲、米についてはまだ食品としての安全審査申請は出されておりません。仮に申請が出され、認可された場合には、遺伝子組みかえという表示は義務づけられるのでしょうか。
  237. 西本至

    政府参考人(西本至君) これまで遺伝子組みかえ稲に関する安全性審査は申請はされておりません。表示につきましては、遺伝子組みかえ稲の安全性審査の結果、もし承認されるようであれば、具体的な表示方法あるいは内容あるいはまた実施時期を検討することになろうかと思います。
  238. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 これは表示の義務はかからないんですか。
  239. 西本至

    政府参考人(西本至君) 表示する方向で考えております。
  240. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 表示する方向でということですと、ごめんなさい、私、国会答弁よくわからない。それは表示されるということなんでしょうか。
  241. 西本至

    政府参考人(西本至君) 繰り返しになりますが、承認されるということがまず前提でございますので、承認されましたならば具体的な表示の方法、内容、それから実施時期を含めて検討するというのが現段階で言える精いっぱいのところでございます。
  242. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 表示されるのかされないのか。もし認めるとして、表示をするのかされないのか、どちらですか。
  243. 西本至

    政府参考人(西本至君) また繰り返しになりますが、そういうことになりましたら表示する方向で考えております。
  244. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 はい、わかりました。方向でということは恐らくされるのだろうということで聞いておきます。  ただ、この点につきましては、例えば米は、一日三食三百六十五日、平均寿命八十二歳ぐらいまで食べ続ける、最も多く食べ続けるもので、世界じゅうの中でも米をたくさん食べる日本人ですから、これがもし遺伝子組みかえ、主食がそうなった場合に一体どういうことになるのか大変懸念を持っております。私は個人的には米の遺伝子組みかえ食品を認めないでほしいと思っておりまして、また引き続きいろいろ質問あるいは教えていただくことがあると思いますので、よろしくお願いします。  では次に、労働省に対してお聞きいたします。  セクシュアルハラスメントの相談件数が九千五百件というように新聞に載っておりました。こういう問題に関して労働省、今後の対策はいかがされるでしょうか。あるいは小規模の企業ではセクシュアルハラスメントの防止策がなかなか浸透していないという意見もあるのですが、いかがでしょうか。
  245. 藤井龍子

    政府参考人(藤井龍子君) 平成九年の改正によりまして、男女雇用機会均等法に職場におけるセクシュアルハラスメント防止のための規定が新設されたわけでございます。それに伴いまして、今、先生おっしゃいましたように、平成十一年度で九千件を超える相談が私どもの都道府県労働局雇用均等室の方へ来ているわけでございます。セクシュアルハラスメントに関しましては、半分は企業からの御相談、半分は女性労働者からの御相談ということで、女性労働者からの御相談が年々ふえてきているというのが現状でございます。  私どもといたしましては、何よりも事業主に防止策を講じていただくということが必要かと存じますので、指針というものがございます。これに基づきまして必要な指導を事業主に行っているわけでございます。  また、女性労働者からの御相談の中には心理的に大変ダメージを受けておられる方もいらっしゃいますので、そういう専門のカウンセラーを都道府県労働局に配置し、相談に対応するというようなことをやらせていただいておりまして、今後ますます拡充をさせてまいりたいと思っております。  特に、先生御指摘のとおり、いろんな調査結果を見ますと、大企業等ではかなりこのセクハラに対する防止対策を講じていただいておる状況でございますが、中小、特に零細企業がまだまだという状況でございますので、零細企業を中心に今後防止策の指導に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  246. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 先般策定された男女雇用機会均等対策基本方針においてポジティブアクションの促進が盛り込まれております。具体的な方策というのはどういうものがあるでしょうか。  私は、個人的に思うのは、労働省は管理職の男女比、企業の調査を持っていらっしゃいます。ですから、例えば日本の企業ベスト千とか、公表の可能性、そういうのをインターネットで労働省が出して、それを就職活動の目安にする、あるいは企業が男女平等を実現するための強いインセンティブになるのではないかというふうにも思いますが、そういうことはいかがでしょうか。
  247. 藤井龍子

    政府参考人(藤井龍子君) ポジティブアクションの規定も平成九年の改正で初めて盛り込まれたものでございますが、これにつきましては私どもガイドラインというのを作成して普及をさせたり、あるいは企業のトップの方々にお集まりいただいてセミナーを実施する、あるいは業種別使用者会議を開催、あるいはポジティブアクションにいち早く取り組んでおられるような企業については労働大臣表彰等を行っているところでございます。  ポジティブアクションにつきましてはどういう形で我が国で進めるべきかというのは、この平成九年の法改正のときにいろんな議論が行われているわけでございますが、我が国の現状を踏まえますと、まずは事業主の方々にそれぞれの企業の実態や考え方に応じて自主的に取り組んでいただくのがいいのではないかということで、今申し上げたようなガイドラインの策定等をやらせていただいているという状況でございます。  ただ、先生がおっしゃいました男女比を調査し公表するといったようなこともポジティブアクションを進める上では有効な方法かと私どもも考えているところでございますので、今後、さらにそういった方法や諸外国の取り組み事例も参考にしながら、ポジティブアクションの推進のための取り組みというのを一層実効あるものとするため、その手法のあり方について検討をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  248. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ぜひ成果が上がるようにこの点は頑張ってください。  丸子警報器という判決がありまして、正社員とパートタイマーが同じ仕事をしていて時間給に直して八割以下である場合は公序良俗に反するという判決が出ております。ですから、パートタイマーについても取り組んでいらっしゃいますけれども、パートタイム労働者の処遇の確保のため企業に対する指導をもう少し強化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  249. 藤井龍子

    政府参考人(藤井龍子君) パートタイム労働者につきましては、パートタイム労働法及びその法に基づく指針に基づきまして雇用管理の改善の指導を行っておるところでございます。  また、パートタイム労働法の第三条に、パートタイム労働者の労働条件につきましては通常の労働者との均衡等を考慮して決めるようにといったような努力義務規定がございます。これに基づきまして、均衡を図る方法はどうあるべきかという御議論を労使参加いただいた研究会でやっていただきまして、この四月に報告書をまとめていただいたところでございます。  この報告書を広く労使の方々に周知し、均衡あるパート労働者の労働条件の確保を図っていただく、それぞれの事業場、労使で努力をいただくということが必要かと存じておりますので、この報告書の概要をわかりやすいパンフレット等にまとめまして広く配布をし、説明会等でその周知に努めているというところでございます。
  250. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 年齢差別の問題に関しては、定年制などとの関係でいろいろ問題があるかもしれないんですが、方向としてはその方向に行くのがいいのではないかと思っております。  中高年女性の就職は求人の年齢要件などを背景に激しい状況がありますけれども、中高年女性の就職を促進するための対策としてどのようなものをお考えでしょうか。
  251. 藤井龍子

    政府参考人(藤井龍子君) 我が国女性方々は、出産育児でいったん退職されまして、子育てで一段落した後に再就職を希望されるという方が多いわけでございますので、そういう育児期が終わって再就職を希望されるという女性方々の支援というのが私どもの雇用均等行政の大変重要な課題であると考えているわけでございます。  これまでも情報提供、相談あるいは保育、介護の講習の実施等をやってきたわけでございますが、今後労働力人口減少するといったような見通しあるいはそういう再就職を希望する女性方々の再就職意欲の高まりといったような現状もございますので、平成十三年度から、こういう再就職を希望する女性が能力発揮を希望される分野、また企業や社会のニーズも大変高い職業分野、例えば情報関連産業とか医療福祉分野、そういった分野に再就職をしたいという方々のためのキャリアカウンセリング技法といいますか、長く職を離れていらっしゃるものですから、やはり特別のキャリアカウンセリングが必要かと思われますのでそういった技法、また能力開発につきましても特別の配慮、手法が必要かと思われますので、そういった再就職を希望する方々のための能力開発プログラムの開発を実施したいと思っておりますし、また、こういう開発したプログラムに基づいた具体的な大変質の高い職業能力の習得の促進といったようなものをモデル的に実施いたしまして、再就職を希望する女性方々の能力発揮を全面的に支援する事業を展開したいと思い、予算要求をさせていただいたところでございます。  また同時に、企業の方に対しましても、先生おっしゃいますように、求人の年齢要件というのが再就職を希望される方がなかなか希望のところに就職できないという原因の一つになっているという調査結果も出ているところでございますので、企業の方々に対しましてはこういった求人の年齢要件の緩和を要請してまいりたい。そのほか、再就職を希望する方々をうまく活用されている企業の事例集をつくったり、そういったものを情報提供として企業にお示しするといったようなことも含めて、広く企業に対しましても再就職女性の活用というものを働きかけてまいりたいと思っておるところでございます。
  252. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ありがとうございました。  終わります。
  253. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  本日の最後の時間をいただきました。質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  私、専門外ではございますが、労働時間と豊かさといいますか、その辺について、ごく一般の人間と時々お話ししていていろいろ議論になることがあるという、そういうような視点からちょっとお伺いをさせていただきたいと思っております。  いわゆる豊かさといいますか、戦後の日本、これは本当にここにおいでになる皆さん方の御努力のたまものであると思いますが、非常に豊かになったと言われているわけでございまして、実際に実質消費水準なんかも物の本によりますと終戦直後から比べるともう十倍近く上がっていると。確かにそういう点では物的には非常に豊かになっているわけでございますが、また別の面から見ますと、先ほども川橋先生の御質問でございましたか、自殺者が最近ふえてきたと。これは本当に豊かになってこういうことが起こるのかなというような気がいたします。  とはいえ、豊かさをはかる指標というのはなかなかいろいろあって、労働時間だけに限ったことでない、いろいろな面があるでしょうし、これはまたデジタル表示といいますか、数字でこれだということを表示できない問題もあろうかと思いますが、その点は十分心得ている次第ですが、労働時間ということで質問させていただきます。  いわゆる豊かさの指標の一つとして労働時間というのがあると思います。これはもう皆さん多くの人がお認めになっている。短くなって、拘束されない自分の時間をたくさん持てるという方がはるかに豊かであるというようなことであろうと思います。  何か余談みたいな話でございますが、物の本によりますと、未開人種というんですか、それは差別語になるかもしれませんが、いわゆる昔のままの農耕、狩猟、それから漁労、それから焼き畑農業なんかやっているそれらの人の今の生活時間なんかを分析すると、我々は、食糧を確保するために相当努力しているんじゃないか、それで時間の大半をつぶしているんじゃないかというふうに一般的に考えてしまうんですけれども、実はそうでなくて、非常に自由時間が多いというような研究者の報告があるわけでございます。それが一つの豊かさと言い切れるものではございませんが、要するに、そうやって物の豊かさがなくてもそういう時間があれば幸せなのか、あるいは我々みたいに物の豊かさを持って時間に追われるのが本当の幸せなのか、それはまた別の議論になると思います。これからの日本の豊かさを求めるための一つの大きな課題にはなるんじゃないかと思います。  そのことは今さておき、私どもも、戦後豊かになるために、労働時間につきましても、我々の若いころといいますか、仕事を一生懸命やっていたころは随分労働時間が多かったような印象を受けます。これは戦後の復興の時期ですからやむを得ないと思いますし、そのときにやはり将来はもっと楽な生活、楽な労働時間にするんだ、そうなってもらいたいという願いからそういう努力をいたしたんだと思いますが、どうも最近周囲を見てみますと必ずしもそうなっているのかなというような疑問を私自身持っているところでございまして、その辺、当然調べればいいのかもしれませんが、そういう視点からこれからいろいろと私も研究といいますか調べていきたいと思いますが、そのきっかけとして、まずきょうは労働省にその点をお聞きしたいと思って質問をいたすわけでございます。  そういう意味で、労働省の方も随分いろんな面で御努力されてきたと思います。実際、労働時間も随分統計的には軽減されているんじゃないかというふうには思っておりますが、今までどういうような経過をたどっているのか。これは分析するのに非常に難しいと思います。国内だけの経年変化ばかりじゃなくて、国際的な比較もありましょうし、あるいは女性の労働進出といいますか、それからパートの問題もあるでしょうし、非常に難しいかと思いますが、労働省としてはその辺どういうふうに把握されておられるか、まず御説明を願いたいと思います。
  254. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) 客観的な数字だけ申し上げさせていただきたいと思うんですが、労働者一人平均の年間の総実労働時間の推移という観点から見ますと、昭和三十五年、すべての規模の企業で平均いたしますと二千四百二十六時間。特に規模別に見ますと、五百人以上の規模で二千三百七十七時間、百人から四百九十九人の規模では二千四百二十五時間、三十人から九十九人の規模では二千四百七十六時間というかなり高度な水準でございました。  その後、高度成長期にかけまして、すべての規模におきまして労働時間は減少してまいりましたが、昭和五十年度以降は厳しい経済情勢を反映して減少傾向が若干とまりました。企業規模経営で見て、おおむね二千時間台から二千百時間台で推移したということでございます。  そして、政府が初めてその後千八百時間というのを目標にいたしたわけでございますが、それに沿いまして労働基準法の法定労働時間というのを改正いたしましたのが昭和六十三年でございますが、それ以降、平成十一年度には企業規模経営で千八百四十八時間まで減少いたしました。これは規模別で見ますと、五百人以上が千八百八十二時間、百人から四百九十九人が千八百四十一時間、三十人から九十九人で千八百四十時間という状況でございます。
  255. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 たくさん数字をいただきまして、私すんなりと頭に入ってきませんので、これは後ほどまた議事録を見て勉強させてもらいますが、言うなれば少し減ってきたけれども、また最近そうでなくなったというふうな印象を受けるわけでございますが、実際こういうような数字から見てもそうなんでしょうけれども、もう一つ私はいわゆる、何といいますか、サービス残業といいますか、昔からよく言われている、あるいは公務員なんかでよく言われるふろしき残業ですか、そういうものの実態がまだ大きくかかわっているんじゃないのかなというような感じがするわけです。本当の改善の御努力、国家公務員なんかの場合もサービス残業といいますか、これは昔は、残業手当なんかも必ずしも実際の時間割りじゃなかったという時代がございますし、サービス残業なんかも随分あったと。私もそういう経験がございますので十分わかっているわけでございますが。  そんな中でも、特に最近国会対策の時間が大分減ったというような話をちょっと伺いますので、それは違いますか、それはまた実態を調べてみないとわからぬと思うんですが、そういう面がやっぱり労働時間として各人に非常に負担になっているというか、かかっているということもあるんじゃないかと思うんですが、その辺、労働省の方ではどういうように把握されておられるか、お知らせを願いたいと思います。
  256. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) サービス残業は一体何かということですが、これはなかなか難しい面がございますが、一般的に言いますと、その実態を統計的に把握するのは大変困難でございます。ただ、その多くは、労働基準法三十七条、これは割り増し賃金を支払うということでございますけれども、労働基準法三十七条に定めます割り増し賃金の全部あるいは一部が払われていない違法な残業というふうに承知いたしております。  労働省におきましては、事業場に臨検監督を行いまして、これを含めました基準法違反を発見したときには例えば割り増し賃金を払わせるといったような是正を図っているところですが、今後とも、こういった法定労働時間あるいは時間外労働の限度基準というのがございますけれども、この遵守あるいは割り増し賃金の適正な支払い等につきまして、使用者に対しまして的確な監督指導を実施させていただきまして、基準法違反の是正に努めてまいりたいというふうに考えております。
  257. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 実際、実感として若い人なんかに話を聞きますと、私どもが若かったときと余り変わっていないというのが実態なわけで、これは本当のことを言えば、労働省が幾ら企業をいじめてというか言っても、企業自身の表に出ないというか内面的な問題で解決されちゃう面もありますから、そういう面では非常に難しい問題だとは思いますけれども、その辺はまたひとつ、不当な労働ということでもないんでしょうけれども、きちっとした、労働省がつかんでいる労働時間とぴったり合うような、そういうような指導といいますか調査をしていただきたいなと思うんです。  私がここで申し上げたいのは、先ほど来言っております私の質問の視点が豊かさの追求ということでございますので、こういう面からの豊かさ、労働時間からの豊かさがどうなったかということもやはりどこかが把握しなきゃいかぬなと。そういう意味で、ちょっと今の御説明ではまだそこから豊かさを云々するだけの分析ができるかなというような疑問を持つんですが、そういうことをやはり労働省としてしっかり把握するような方向になっていただきたいなと。そうでないとすれば、これは経企庁の問題かな、総務庁の問題かなというふうな気がしますので、やはり労働省としては、その辺、そういうような把握の仕方で進んでいただきたい。  その辺、大臣、今までの局長のお話をお聞きいただきましてどういうような御認識を持っておられるか、お話し願いたいと思います。
  258. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) お話はよくわかりますが、我が国経済的な地位にふさわしい豊かでゆとりある労働者生活を実現するためには、労働時間の短縮を実現することがまず重要であると認識しております。しかし、年間総実労働時間を見ますると、平成十一年度において千八百四十八時間であり、昨年七月八日に閣議決定されました経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針に掲げられている目標である年間実労働時間千八百時間には至っておりません。  労働省といたしましては、年間総実労働時間千八百時間の達成、定着を図るために、まず週四十時間労働制の遵守の徹底、長期休暇の普及等による年次有給休暇の取得促進、所定外労働の削減を柱といたしまして労働時間短縮に積極的に取り組み、豊かでゆとりある労働者生活の実現に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  259. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  そういう意味で、今、大臣が言われたこと、局長からの御答弁でも私はわかるんですが、要は、私が申し上げたいのは、単に週四十時間とかそういうことでなくて、それ以外の労働時間というのも随分昔からある、そういうものの中で労働時間の実態というものを本当に正確にとらまえて、その上でまた行政的にも国民が豊かになるような方向に持っていっていただきたいな、こういう趣旨でございます。私も余り突っ込んでもまだできませんし、時間もございませんので、そこまでで労働時間の質問はやめさせていただきます。  もう一つ、省庁再編、いよいよこれが間近になったわけでございまして、たまたまきょう厚生省労働省、これは一緒になる省のようでございますので、お二人の大臣がお見えになっておりまして大変都合のいいケーススタディーの問題ではないかなというような気がするわけでございます。  省庁再編、これはいろんな御批判があって、公共事業をやる国土交通省ですか、あれは大き過ぎるんじゃないかとか、本当に二つのところが集まってしっかり機能するかどうかという危惧もございますから、これからはそういうことを払拭してしっかりと進まなきゃいけない問題だなと思うんですが、私はこの省庁再編というのは、大きくなるとか二つが重なるとかというよりも、いわゆる省庁で仕事をされている大臣以下の方々が今までと違った一つの刺激を受ける、新しい時代の刺激を受けるというところに意味があるんではないのかなというような気がいたしておるわけでございます。  どの姿が一番いいものか。これは絶対的な姿というのはないと思うんですね。それぞれの社会でできた機構が、やはり社会状況が変わったために変えなきゃいけないというのももちろんあるかもしれませんけれども、いわゆる制度疲労といいますか、そういう言葉が適当かどうかわかりませんけれども、まあまあになって組織というものが非常に新しいことに対応できなくなっているというようなことに対する一つのインパクトとして大事だなというふうに思っております。  そういう意味で、皆さん御議論されて一応銀の器といいますかいい器は今回つくったわけでございますけれども、器はつくっても中の料理が同じであったりよくならなければこれはもうどうしようもないわけでございまして、これからはその料理をどうよい料理にするかの努力をしなければいけないと思っております。  そういう意味で、両省が一緒になるということは、私の視点からいきますと、いわゆる高齢者とか障害者、そういうふうな方々の福祉と労働を一体となって考える、そういうメリットがあるのかなというような感じもするんですけれども、それに限らずどういうようなメリットがあるのか、あるいはメリットといいますか、そういう省庁再編に向かってどういうようなメリットをつくり出すための努力をされておられるのか、どういうふうな新しい料理をつくろうとされているのか、その辺を両大臣からお聞きしたいんですが、先ほど労働大臣に先にお聞きしましたので、今度厚生大臣にその点のお話をぜひ伺いたいと思っております。
  260. 津島雄二

    国務大臣津島雄二君) 岩本委員のお話、真に求めるべきものは本当の意味の豊かさであるというお話に感銘を受けております。  申すまでもなく、国民の健康と安心にかかわる、またセーフティーネットにかかわる社会保障制度を厚生省は担当しておりますけれども、その目指すところは真の豊かさであります。  二十一世紀日本社会がそういう本当の豊かさを求め得るものになるかどうか、そのときの我が国社会の形はどういうものであるかということを総合的に議論いたしますと、やはり総合的な社会政策の確立が必要である。社会政策という観点から申しますと、労働政策の占める位置は非常に大きいわけでございます。ですから、我々のこれまで担当してまいりました分野について今後考えていく場合にも、労働省一体となって施策を進めなければ当然いい結果は得られないと思っております。  そういう意味で、今度両省一体となるのは本当にありがたいことでございまして、ただ一緒になるということばかりでなくて、あらゆる分野で新しい総合的な発想方法をつくり出しながら努力をしてまいりたいと思います。  具体的に申しますと、家庭とか職場とか地域などあらゆる空間を通ずる疾病対策、失業対策育児、障害、高齢などの社会的支援を必要とする事態に的確に適応することでございまして、私は幾つかある柱の中で、活力ある高齢社会の実現という意味では、労働省一体的な仕事で随分新しい発想方法が出てくるであろう。  例えば、先ほどの労働時間の短縮は一つのメルクマールでございますけれども、短縮された後、高齢者に元気で社会参加をしていただきたい、どこで社会参加をしていただくか、そうすればおのずから新しい分野は出てくるわけでありますし、少子化への対応については女性を中心として職場と社会のあり方を抜きにして考えることはできない。  それから、障害者の社会参加、ノーマリゼーションということについても一体としていかなければならないし、それから健康づくりの推進でも地域と職場を通じた努力が必要である。そして、介護保険の実現に向けた介護マンパワーというのはやっぱり大事な労働力でございますから、労働省のこれまでの知見をいろいろおかりしていきたいと思います。  平成十三年度予算概算要求におきましても、こういう新しい省庁の統合によるメリットを生かせる政策については優先的に取り扱うということになっておりますので、私どもも労働省と連携をしながら一生懸命取り組んでおりますばかりでなく、両省に協議機関を設けさせていただいておるということも最後に付言をさせていただきます。
  261. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 一言。厚生大臣、大変いいお話を伺いまして、これからもっとさらに議論を高めていけそうな気がいたしますので、その辺よろしくお願いいたします。  労働大臣の方は、今労働省のサイドから何か補足することがございましたらお話を伺わせていただきたいと思っております。
  262. 吉川芳男

    国務大臣吉川芳男君) 厚生労働省の設置に伴いまして、まず子育て支援と仕事家庭両立のための対策の総合的な実施、それから高齢者雇用施策と生きがい施策の連携、また職場、地域を通じての健康づくりなどというものは、これはやっぱり厚生省労働省一体化してやってこそ大いなる成果が上がるものと確信しております。  また、これまでの連携を積極的に進めるために、厚生大臣から今御披瀝もありましたように、両省の事務次官をトップとするところの厚生労働省発足準備会議を設けまして、施策の融合化や効率化、連携の一層の強化のための具体案づくりに取り組んでおる次第でございます。  私も、厚生労働省設置の趣旨が十分生かされますよう、今後とも努力していきたいと思っておる次第でございます。
  263. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございました。
  264. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 他に御発言もないようですから、厚生省並び労働省及び環境衛生金融公庫の決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明六日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会