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2000-08-09 第149回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年八月九日(水曜日)    午後一時三十一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         立木  洋君     理 事                 鴻池 祥肇君                 末広まきこ君                 笹野 貞子君                 福本 潤一君     委 員                 海老原義彦君                 鎌田 要人君                 月原 茂皓君                 中川 義雄君                 橋本 聖子君                 森田 次夫君                 山内 俊夫君                 郡司  彰君                 輿石  東君                 松崎 俊久君                 風間  昶君                 木庭健太郎君                 小泉 親司君                 照屋 寛徳君                 堂本 暁子君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (総務庁長官)  続  訓弘君        国務大臣        (沖縄開発庁長        官)       中川 秀直君    政務次官        外務政務次官   荒木 清寛君        外務政務次官   浅野 勝人君        総務政務次官   海老原義彦君        沖縄開発政務次        官        白保 台一君    事務局側        第一特別調査室        長        鴫谷  潤君    政府参考人        沖縄開発庁総務        局長       榊   誠君        沖縄開発庁振興        局長       襲田 正徳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (領土問題の解決日露平和条約締結に関する  件)  (G8サミット後の沖縄振興開発に関する件  )  (沖縄の鉄軌道導入問題に関する件)  (北方四島の自然保護問題に関する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 立木洋

    委員長立木洋君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  この際、河野外務大臣、続総務庁長官及び中川沖縄開発庁長官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。河野外務大臣
  3. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) このたび、引き続き外務大臣の職を務めることとなりました。立木委員長を初め、委員各位に謹んでごあいさつさせていただきます。  まず、沖縄について申し述べます。  先般の九州沖縄サミットは、小渕前総理が万感の思いを込めて決定されたものであり、二十一世紀に向けての明るく力強い平和へのメッセージを発信することができ、同時に世界の目が沖縄に集まり、沖縄の心を世界に伝えることができたと考えております。  サミットに際し沖縄を訪れたクリントン大統領は、平和の礎での演説において、沖縄戦歴史沖縄の大きな負担に触れながら、よき隣人としての責任を真剣に受けとめている旨述べられました。また、その後の日米首脳会談においては、引き続き日米協力し、普天間飛行場移設を初めとするSACO最終報告の着実な実施全力で取り組んでいくことで一致したところであります。  米軍施設区域の集中により、沖縄県の方々我が国の平和と安全のために背負ってこられた多大な御負担については、私としてもその重みを痛切に感じております。私としても、引き続き沖縄県民方々の御負担の軽減に最大限努力してまいります。  同時に、政府としては、今後とも沖縄における米軍施設区域活動に係る諸課題につき米国政府と緊密に話し合ってまいります。米側において綱紀粛正を徹底し、地元住民とのよき隣人関係の構築に努めるよう引き続き働きかけてまいります。  次に、北方領土問題について申し述べます。  第二次大戦が終了して半世紀以上が経過した今日に至っても、北方領土問題がなお未解決であることはまことに遺憾なことであります。  日ロ間では、平和条約について、東京宣言クラスノヤルスク合意を初めとする一連合意及び宣言が積み上げられています。四月のサンクトペテルブルクでの森総理プーチン大統領との首脳会談では、これら一連合意及び宣言を完全に遵守していくことを改めて確認したところであります。また、先般の沖縄での日ロ首脳会談では、プーチン大統領公式訪日を九月三日から五日とすることが確認されました。その際には、平和条約問題を含め両国関係全体について率直かつ信頼関係に基づいた議論を行うこととなっております。  政府としては、このようなハイレベルでの緊密な対話継続を通じ、あらゆる分野において協力関係を一層強化しつつ、北方領土問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針もとで引き続き全力を尽くしていく考えであります。  最後に、立木委員長を初めとする本委員会委員皆様の御指導と御協力を賜りますよう心よりお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。
  4. 立木洋

  5. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) お許しをいただきましてごあいさつを申し上げます。  引き続き総務庁長官を拝命し、北方対策本部長として国民的課題である北方領土問題の解決促進に取り組むこととなりました続訓弘でございます。  我が国固有領土である北方領土が、戦後半世紀以上を経た今日、なおロシアの不法な占拠のもとに置かれておりますことはまことに遺憾なことであります。  去る七月二十三日、九州沖縄サミット首脳会合の際、森総理プーチン大統領との会談が行われ、プーチン大統領の本年九月三日からの我が国への公式訪問日程確認されました。これまで積み重ねられてきました外交交渉をさらに加速させ、そして成功させるためには、これを支える国民世論をこれまで以上に結集していくことが重要であります。  総務庁といたしましては、関係団体との連携を密にしながら、広報・啓発活動をさらに積極的に展開するとともに、国民世論の一層の高揚を図り、返還要求運動が引き続き強力に推進されるよう支援してまいりたいと考えております。  また、北方領土問題の解決のためには、さまざまな角度からの環境整備が重要であります。平成年度から開始されました北方四島との交流事業につきましては、その参加者訪問、受け入れを合わせて昨年度までに約六千五百人に達し、四島在住ロシア人との間に相互理解が深まるなど相当成果が上がっております。こうした成果を踏まえ、本年度においても、日本語の講師や教育関係者などの専門家派遣等実施することとしており、今後ともさらに充実させてまいりたいと考えております。  さらに、昨年第一陣の訪問が実現した元島民とその家族の皆様によるいわゆる自由訪問につきましては、本年度は四島各島への訪問実施することとしております。  私は、このような努力一つ一つ積み重ねることが返還への道のりを縮めることになると確信しており、今後とも施策のさらなる充実強化を図ってまいる所存であります。  与えられた職責の重さを痛感し、誠心誠意職務の遂行に当たる所存でございますので、立木委員長を初め理事委員皆様方の御理解と御協力を改めてお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願い申し上げます。
  6. 立木洋

  7. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 沖縄開発庁長官を拝命いたしました中川秀直でございます。  立木委員長を初め理事委員各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願いをいたします。  皆様御承知のとおり、沖縄は、さきの大戦で焦土と化し、その後も二十七年間にわたり米国施政権下に置かれるなど、まことに多難な道を歩んでまいりました。  沖縄が昭和四十七年五月に本土に復帰して以来、政府は三次にわたる振興開発計画を策定し、これに基づきまして総額六兆円を超える国費を投入し、各般の施策を積極的に講じてまいりました。その結果、県民皆様のたゆまざる御努力と相まって、社会資本整備は大きく前進し、沖縄経済社会は総体として着実に発展してきたところであります。  しかしながら、沖縄には、今なお広大な米軍施設区域が存在するとともに、交通の円滑化、水の確保、街づくり環境衛生などさまざまな分野整備を要するものが見られ、さらには産業振興の問題、雇用の問題など今なお解決しなければならない多くの課題を抱えております。  こうした沖縄の抱える諸問題については、現内閣においても引き続き重要課題として、その解決全力を挙げて取り組む方針であります。  沖縄開発庁といたしましては、引き続き、第三次沖縄振興開発計画を着実に推進し、観光リゾート関連産業を初めとする沖縄の特性を生かした産業振興我が国の南の国際交流拠点の形成に努めてまいりますとともに、平成十三年度末で期限を迎える現行計画後の振興開発の進め方としてのいわゆるポスト三次振計について、新たな時代に向けた法制のあり方も含め精力的に検討してまいります。また、特に、昨年十二月に閣議決定された普天間飛行場移設に係る政府方針に基づき、移設先及び周辺地域を含む沖縄北部地域振興並びに駐留軍用地跡地利用促進及び円滑化等重要課題に誠心誠意尽力してまいります。  先般、沖縄においてサミット首脳会談開催されましたが、沖縄におけるサミット首脳会談開催は、二十一世紀沖縄の未来を象徴するものであります。県民皆様の熱い心、温かいホスピタリティーに触れ、G8各国首脳も大変お喜びになられたと聞いております。その成功により、沖縄の存在を内外にアピールすることができたものと考えており、今後は、引き続き国際会議を誘致するなど、アフターサミット対策を積極的に推進してまいります。  私は、沖縄現地の各界の皆様の声を直接伺うことが大切だと考えまして、就任直後の先月七日、八日に沖縄訪問してまいりました。そこで得たものを今後の諸課題解決に役立ててまいりたいと考えております。  最後に、立木委員長を初め理事委員皆様の一層の御理解と御協力、御指導を重ねてお願い申し上げまして、就任のごあいさつといたします。
  8. 立木洋

    委員長立木洋君) 次に、荒木外務政務次官浅野外務政務次官海老原総務政務次官及び白保沖縄開発政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。荒木外務政務次官
  9. 荒木清寛

    政務次官荒木清寛君) このたび外務総括政務次官就任いたしました荒木でございます。立木委員長を初め、委員各位に謹んでごあいさつ申し上げます。  沖縄に関する事項につきましては、SACO最終報告の着実な実施に向け、誠心誠意努力してまいります。  また、北方領土問題につきましては、東京宣言に基づき、この問題を解決平和条約を締結して、日ロ関係の完全な正常化を図ることが我が国対ロ外交基本政策です。  私といたしましても、河野大臣を補佐しつつ、外務総括政務次官の立場から、これらの問題について全力を挙げて取り組む決意であります。  最後になりますが、立木委員長を初め本委員会の各委員の御指導、御鞭撻と御協力お願い申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。
  10. 立木洋

  11. 浅野勝人

    政務次官浅野勝人君) 外務政務次官就任いたしました浅野でございます。立木委員長を初め、委員先生方に謹んでごあいさつ申し上げます。  沖縄及び北方問題につきましては、ただいまの河野大臣及び荒木総括のごあいさつと軌を一にいたします。  沖縄に関する事項につきましては、SACO最終報告の着実な実施に向け、誠心誠意努力してまいります。  また、北方領土問題につきましては、日ロ間のハイレベルでの対話を通じて、北方領土問題を解決して平和条約を締結するよう全力を尽くしてまいります。  外務政務次官としての職務に真剣に取り組んでまいりますので、立木委員長を初め委員会先生方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  12. 立木洋

  13. 海老原義彦

    政務次官海老原義彦君) このたび総務総括政務次官を拝命いたしました海老原義彦でございます。  北方領土問題を解決することは、国民的重要課題であると強く認識しております。  大臣方お話にもありましたように、九月三日からプーチン大統領公式日程が予定されております。私は、外交交渉の前進のためにも、粘り強くすそ野の広い返還要求運動の支えがあればこそと考えており、これまで以上に国民世論高揚を図るため、最大限の努力を払ってまいる所存であります。  また、北方四島との交流事業につきましては、続大臣お話にもございましたが、平成年度に開始されて以来、昨年度までに双方の訪問者が延べ六千五百人に達し、相互理解相当に進んでおります。元島民のいわゆる自由訪問とあわせまして、領土問題解決への環境整備の一環としてこれらの施策をさらに充実して実施できるよう、続大臣とともに尽力してまいりたいと考えております。  微力ではありますが、続大臣もと、誠心誠意努力してまいる所存でありますので、立木委員長を初め理事委員皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
  14. 立木洋

  15. 白保台一

    政務次官白保台一君) 沖縄開発総括政務次官を拝命いたしました白保台一でございます。  今日まで沖縄の歩んできた多難な道のり考えますと、沖縄をめぐる諸課題解決は今もなお政府全体として取り組むべき重要な課題であると認識しております。このような時期に改めて沖縄開発総括政務次官として沖縄振興開発を担当することになりましたことは、私としては、この上ない喜びでありますとともに、責任の重さを痛感しているところであります。  中川長官の御指導もと沖縄振興開発のために全力を尽くす所存でございますので、立木委員長を初め理事委員皆様方にはよろしく御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、あいさつといたします。     ─────────────
  16. 立木洋

    委員長立木洋君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会沖縄開発庁総務局長榊誠君、沖縄開発庁振興局長襲田正徳君、以上を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 立木洋

    委員長立木洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  18. 立木洋

    委員長立木洋君) 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  19. 笹野貞子

    笹野貞子君 民主党・新緑風会の笹野でございます。  このたびは、三大臣及び政務次官の諸先生におきましては御就任まことにおめでとうございます。非常に重大な時期になりました。各大臣、各政務次官、この二十世紀を後世に輝かしい歴史を残すために御奮闘いただきますことを、まずもってお祈りさせていただきます。  それでは最初に、北方領土問題について外務大臣に御質問いたしたいというふうに思います。  プーチン大統領がこの九月にいよいよ日本に来日することが決まりました。私たちが待ちに待ったと言うべきか、いよいよ大詰めに来たという感じでございます。  しかし、私は北海道生まれでして北方領土とは小さいときから非常にかかわりを持っておりますし、また、私の父は貿易商をしておりまして、大型の船で当時から北方四島を駆けめぐっておりまして、あれは日本領土だと私のもう小さいときから言い切っていたという関係上、この北方領土の問題については、殊のほか私は今までも頑張って返還のために努力したつもりでございます。そこで、このごろ新聞を見たり、あるいは外務大臣のきのうの予算委員会での御発言で何かちょっと私はわかりづらくなってしまいまして、一体どうなっちゃうんだろうかという不安感が起きてまいりました。  そこで、ちょっと大臣におさらいをさせていただきたいんですけれども、かの有名なクラスノヤルスク合意とかあるいは川奈合意というような合意の中で、今世紀に起きたことは今世紀という、二〇〇〇年ということが盛んに言われておりますが、大臣、この二〇〇〇年に、クラスノヤルスク合意をしたことは何なんでしょうか。簡単に御説明いただきたいと思います。
  20. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日ロ間で首脳がいろいろと会談を持ちまして、領土問題を解決して平和条約を締結するための作業と申しますか話し合いをいたしまして、重要なことが何カ所かございます。  一つ東京宣言でございます。東京宣言には、まさに領土問題を解決平和条約を締結しようという両国首脳宣言がその中に盛られております。  次に、クラスノヤルスク合意でございますが、領土問題を解決して平和条約を締結しようという東京宣言を踏まえまして、この東京宣言を踏まえて、これを二〇〇〇年をめどに達成しようと、達成するために、「東京宣言に基づき、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くす。」、これがクラスノヤルスク合意でございます。  問題は、この東京宣言クラスノヤルスク合意がまず日ロ間の一番重要な部分になると考えていいのではないかと思っております。  昨今、国内、国外いろいろな御議論がございます。これは余計なことでございますが、ロシア側にもいろいろな御議論がございますし、我が国内にも専門家方々あるいは政治家方々がいろいろ御発言をなさっておられます。しかし、いずれにいたしましても、東京宣言を踏まえての御発言というふうに私ども御発言をなさった方に確認をいたしておりますが、それは東京宣言を踏まえての発言であると。すなわち、領土問題を切り離して別のものだということを考え発言しているのではないということを私が確認をいたしておりまして、この点については、我が国ロシアとの間の交渉の原則は東京宣言に書かれたとおり、すなわち領土問題を解決平和条約を締結しよう、これが我が国の基本的な考え方で、この基本的考え方に変更はございません。  さらに、昨日でございましたか、私の発言新聞に一部取り上げられましたけれども、私の発言は、全くこのクラスノヤルスク合意に書かれたとおりのことを申し上げたつもりでございます。それはすなわち、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすことだと、全力を尽くすことだということを私は申し上げたのでございます。
  21. 笹野貞子

    笹野貞子君 その二〇〇〇年をめどにとか全力を尽くすとか努力するというのは非常に格好よく聞こえますけれども、しかし、私にしたらだんだんわかりづらくなりまして、なぜかというと、野中幹事長言葉はどう考えてもそうは聞こえないですね。新しい若い大統領が出てきたので領土問題と並行して平和条約考えないといけないという、この並行してというのと領土問題を解決してというのとどう違うんでしょうか。
  22. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 新聞の取り上げ方もございますけれども、私は、野中幹事長からその真意を伺うように指示をいたしまして、私どもの者が伺いに参りまして、幹事長からは東京宣言を踏まえて発言をしたものだということを直接聞いて帰ってまいりましたので、東京宣言、すなわち領土問題を解決平和条約を締結する、この考え方を踏まえていろいろと御発言があったということでございまして、そこは余り深読みをなさらなくていいのではないかというふうに思っております。
  23. 笹野貞子

    笹野貞子君 大臣、これは深読みをかえってしたくなりますね。  我々は、物事が決まらないときはそれは平行線だという言葉をよく使います。これは私にしてみると、こういう発言を、まだ何カ月もあるわけです二十一世紀になるまで、今は八月ですからまだ足かけ半年もあるわけですから、半年も前から何かできないことを予想して、それを今から責任逃れをするような、そういう言葉に聞こえてなりません。  私は大臣にしっかりと申し上げたいのですが、私たち、この半世紀、この四島を返還するために本当に全身全霊、命がけでやってきている人がいっぱいいるわけですから、自分たち責任逃れのために今からそういう予防線を張るような発言というのは、これは非常に私はよくないというふうに思います。せっかく今我々日本国民も、全員が北方四島を本来の日本領土であるという認識もと活動しているわけですから、そういう余り人心を混乱したり、あるいは雑音と言ってはいけませんかもしれませんけれども、そういうかき回すような外交交渉というのは私は断固するべきじゃない。  外務大臣は、私たち国民の意思をしっかりと酌んで最後まで、まだ時間はたっぷりあるわけですから頑張っていただかなければいけないというふうに思います。  また、野中さんの発言の中で、新しいプーチン大統領は、領土の問題でいうとロシアはたくさん領土問題を抱えているからという御発言ですが、私は、旧ソビエト時代に非常に領土問題でかたくなな態度を見せていたソビエトが、かえってかたくなになればなったからこそ自分国内の十五あった共和国ばらばらになっちゃったわけですから、他の国の領土のことなんて考えていられませんよ。自分の国がばらばらになったわけですから、そんな言い逃れというのは非常におかしいわけで、そういう点では、日ロ交渉に限って毅然たる態度で臨んでいただきたいというふうに思います。  この私の希望に対して、大臣、ちょっと御所見を。
  24. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御心配をいただいて大変恐縮に存じます。  議員もお話しになりましたように、まだまだ我々は交渉する時間を十分持っておりますから、全力を挙げて御期待に沿うべく努力をいたします。
  25. 笹野貞子

    笹野貞子君 今、時間ですと言うのでもうやめますけれども、私は、沖縄女性性的犯罪のことにつきまして、大変に重大な問題ですのでこれから引き続きその問題について質問をさせていただきます。きょうはできませんけれども、ひとつ女性の人権を守るための御努力最後までお願いいたしたいと思います。  これで質問を終わります。
  26. 福本潤一

    福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  最初に、沖縄サミット関連開発庁長官にお伺いしたいんですが、八百四十億円投入いたしまして、事故なくといいますか無事終了したわけでございますが、沖縄振興に、今回のサミット成果を受けてどういうふうに発展に結びつくお考えでおられるか、この点を最初にお伺いさせていただきます。
  27. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 今回のサミット首脳会合沖縄開催契機といたしまして、沖縄独自の伝統や文化、あるいはまたすぐれた自然環境、ホスピタリティーあふれた県民性など、沖縄の魅力といいましょうか、そうしたものを内外に発信できたのではないかと考えております。観光リゾート地としての知名度の向上にもつながったものではないかと認識をいたしております。また、サミット開催契機整備された施設や道路、通信などの社会資本は、沖縄における今後の産業振興国際交流拠点としての発展にも役立つものと期待をしているところでございます。  今回のサミットが残したこれら有形無形の財産を最大限活用いたしまして、今後、北部振興を初めとする沖縄振興に積極的に取り組んでまいる所存でございます。  具体的な取り組みの一つとして、本年六月、サミット開催先立って、国際交流の拠点、コンベンション都市としての沖縄の今後の発展に向けまして、国際会議等の各種会議サミット契機沖縄開催されますように各省庁連絡会議を設置いたしまして、政府としても所要の支援を行うため閣議了解を行ったところでございます。  以上、そういった取り組みをこれからも積み重ねてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  28. 福本潤一

    福本潤一君 今回のサミットは、沖縄の心を世界へ発信できた、できない、さまざまな論評はあるわけでございますが、ここで内閣官房長官でもございます開発庁長官、今回の基地の問題で若干触れさせていただければと思います。  昨年の十二月に普天間飛行場移設に係る政府方針というものを閣議決定されまして、そこで代替施設の基本計画作成というために、政府沖縄県及び地元地方公共団体の間で協議機関を設置する、これを協議するということでございますが、この協議機関の設置、十五年期限つきとかいろいろな問題がございますが、とりあえず、まず協議機関の設置ということが具体的にどうなっているか、お伺いしたいと思います。
  29. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 普天間代替施設の協議機関についてのお尋ねであろうと存じますが、昨年末、閣議決定におきまして、この代替施設については軍民共用空港を念頭に整備を図ることとしておりまして、その具体的対応を協議する機関につきましてはできるだけ早く、できれば今月中というようなめどで立ち上げるべく、今、県また地元地方公共団体とも相談をして協議しておるところでございます。
  30. 福本潤一

    福本潤一君 やはり沖縄の基地の問題ということになりますと、外務大臣、今回サミットがあった後、また国際的な情勢でも、日ロの問題また日朝の問題、さまざまございます。  その中で、私はあしたから二度目の北朝鮮訪朝をしてまいりますけれども、今回南北会談が終わりまして新しい動き、情勢が出てきている。そういうときに沖縄基地にどういう影響を与えるかというのも私ども関心があるところでございます。  南北が協調していく動きというのは、これはとどめることがない形で動いて、思っている以上に速いんではないかと思われます。在韓米軍を、逆にこれはひょっとしたらなくてもいいような動きになるんではないかということでオルブライト長官が急遽行かれたり、北が北京に行かれたり、金正日氏が行かれたりしていました。  これは、ある意味では日韓米という三国の体制、またもう一つは、北朝鮮とロシア、中国のこういう一つの冷戦構造の延長のような動きの中で、日韓がいろいろな動きをする形と同時に、北と南の協調が成って、こちら側という言い方をするとまた問題あるかもわかりませんけれども、日本米国、この関係が残りの四国と対峙するというような形の情勢がこの中で生まれてきますと、沖縄の基地というのはより米国にとっては重要度が増していくのではなかろうか。さらに、基地の統合関係も含めて考えているときに、そういう南北の情勢も含めて、沖縄の基地にどういう影響を与えるかということをどういうふうに認識しておられるか、お伺いしたいと思います。
  31. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 朝鮮半島がその緊張を緩和させていくということは大変重要なことだと思います。したがいまして、この両首脳会談というものを我々は歓迎いたしたいと存じます。そして、この緊張緩和への動きをできるだけバックアップしていく必要があるだろうというのがまず基本的な我々の考え方でございます。  問題は、南北の首脳会談実施された背景といいますか、そのためにさまざまな事柄があったんだろうと思います。もちろん、韓国の金大中大統領の包容政策、長い間信念であったこの包容政策を一貫してとり続けられた金大中大統領のお考えというものが、分断された民族の統一という悲願に向かって多くの方々理解を得て最終的にといいますか、朝鮮民主主義人民共和国の金正日総書記の理解あるいは合意というものに達したということだと思います。それと同時に、日米韓三国の政策協調というものもあずかって大きかったのではないかというふうに私どもは見ております、対話のためには抑止力というものも必要だと思うからでございますが。  そうしたことを考えてまいりますと、金大中大統領は在韓米軍というものをどういうふうにお考えになるかということがまず一つあると思います。  これはどうも南北の首脳会談の中でも議論があったのではないかというふうに私どもは見ておるわけでございますが、引き続いて在日米軍についてどうかという御議論も恐らく出てくるだろうと思ってはおりますが、私どもは、南北の首脳会談によって緊張緩和に向けた、何といいますか、舞台の幕があいたというふうに今考えております。幕はあいたけれども、そのこと自体新たな状況が変わったというところまではまだ行っていないわけで、ただ幕があいたということだけで軽々に安全保障について論ずるということでいいかどうかという問題が一つございます。  もう一つは、在日米軍あるいは日米安保条約は特定の地域とか特定の国を対象に考えられているわけではございませんで、日本及びこの周辺、極東周辺というこの地域の平和と安定のために米軍のプレゼンスというものが意味があるということを我々は考えているわけでございまして、こうしたことからもう少し慎重に考えるべきであろうというふうに私は思っております。
  32. 福本潤一

    福本潤一君 さまざまな形で慎重に対応しないといけない時点に来ておると思います。  同時に、私も北朝鮮へ行くに当たってさまざまな人道問題という問題もございます。まず、食糧難で米を与える以上に、例えば農業技術協力をして技術協力の中でそこが自立できるような形の動き方というのが一つの大きなキーポイントになるんではなかろうかというふうに思います。  ということで、北方領土の問題、若干触れさせておいていただきますと、今回笹野委員からも御質問がありましたけれども、一点だけ、外務大臣の方になるかもわかりませんけれども、この領土問題を全然切り離して、先ほどの意見と通ずるものがあるかもわかりませんけれども、中間条約を結ぶというような考え方があるかないか、この点だけ先に確認させていただければと思います。
  33. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 領土問題を切り離して中間条約を考えるということを私どもは考えておりません。
  34. 福本潤一

    福本潤一君 じゃ、時間ですので。
  35. 小泉親司

    ○小泉親司君 日ロ領土問題について質問をさせていただきます。  今度の問題では、日ロ領土問題が大変困難になったということでいろんな報道がされております。しかし、外務省で発表されている文書というのは、日ロ首脳会談プーチン大統領が、日ロ関係の全面的な拡大が大事だ、難しい問題も避けて通らずに対処していく必要がある、私たちは慎重に一貫して着実に進んでいく必要がある、日ロ関係では特に極東をめぐる協力が大事だと言っているだけで、何ら具体的なものがないんですね。  例えば、参議院の予算委員会総理大臣が答弁しているのも、微妙な問題、敏感な問題という発言をされたとか、新聞では、年内決着困難にとか、プーチン氏が平和条約年内締結に難色とか、日ロ平和条約は忍耐が必要とか、外務次官も記者会見で、二〇〇〇年までにできないと言うと天から何か落ちてくるようなことはないとか、つまり事実関係が全く明確じゃない。ここが一番大きな問題だと思うんです。  日ロ首脳会談でプーチン氏は何と言ったんですか。具体的に何と言われたんですか。
  36. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) プーチン大統領森総理との沖縄におきます首脳会談において大統領は、両国関係の全面的拡大が大事だ、同時に、難しい問題についても避けて通らずに対処していく必要がある、自分たちは、この自分たちはというのはプーチンさんと森さんという、この二人はという意味だったと思いますが……
  37. 小泉親司

    ○小泉親司君 それは私がさっき読んだことです。
  38. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 慎重に一貫して着実に前に進んでいく必要がある、こういうことでございまして、時間にして恐らく四十分ぐらいの会談だったと思いますが、その中で日ロ関係の具体的な問題があったというふうには私記憶をしておりません。
  39. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私が先ほど読み上げましたのは外務省が発表した文書を読み上げているんです。ですから、それと同じものなんです。  私が言っているのは、領土問題で難しいというものがいろんな形で出されているんだけれども、つまり野中幹事長発言もあるわけでしょう。問題は、プーチン氏は何というふうに難しいと言っておるんですか。それとも、全然このことどおりであれば、一体このどこの文面に領土問題のことについて言っているんですか。例えばそこを私はお聞きしたいんです。  要するに、プーチン大統領が、日ロ首脳会談ないしはその他の会談領土問題についてどのように言っておるんですか。例えば敏感だとか、きょうも外交・防衛委員会外務大臣もおっしゃられたけれども、敏感な問題なんというのはここの中に一言も出てこないんですよ。森総理も参議院予算委員会で、敏感な問題というのがあるんだと、これが日本にとっては重要問題なんだと、何かわけのわからない発言をされておるわけです。  だから、一番問題なのは、プーチン大統領が何と言っているのかということをはっきりとお話しいただきたいと思います。
  40. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 事実関係がどうかと言われても、首脳会談に私も同席いたしましたけれども、こういう話で、これ以外の具体的な話はなかったと記憶しております。
  41. 小泉親司

    ○小泉親司君 そうしましたら、なぜ野中幹事長はああいう発言をされたんですか。
  42. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) これは本人でないからわかりませんけれども、たしか以前に伺った話では、プーチン大統領という人の若さとか人物像とかそういうものを頭に置いてお話しになったのではないかというふうに思います。しかし、それがどの程度的を射ているかどうかということは私にもまだよくわかりません。
  43. 小泉親司

    ○小泉親司君 伝えられるところですと、ロシアには大変領土問題がたくさんあるんだと、この問題を解決したら、日本との関係領土問題を解決したらほかのところで火がついてしまう、だからなかなか解決しないんだというような発言をされたというような報道もありますが、そういうことをプーチンさんは言っておられるんですか。
  44. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) そんなにたくさん領土問題があるというふうには私は聞いておりません。
  45. 小泉親司

    ○小泉親司君 この日ロ領土問題は、私は高村外務大臣のときにも議論いたしましたけれども、かように中身がわからずに、つまりいわば政府の大変秘密外交的な形で事がどんどん進んでいくと。例えば川奈の会談の問題でも、今度野中幹事長が言われたと言われている領土問題を切り離した平和条約という問題も、既にイワノフ外務大臣から、ロシア側からそういう提案が川奈会談であったんだというような報道もあって、私、そのことを高村大臣にお聞きしたら、高村大臣の答弁は、内容が、当たっているとか当たっていないとか、当たらずといえども遠からずとか遠からずといえども当たらずとか、そういうことも一切言及できないということを御理解願いたいと、つまり何も言いたくないと、こう言っているわけですよ。  だから、問題は、この日ロ領土問題が一体どういうふうに解決していくのか。やはり私は、もっと国民的な理解を得ながらこの領土問題が進まないと、一切国民には問題を度外視して、事がどんどん政府の秘密外交で決まっていってしまうというところに私非常に大きな問題があるんじゃないかというふうに思うんです。この間の日ロ首脳会談の問題でも、何か川奈会談クラスノヤルスク合意を文書化しようというお話が出たというような話が、合意がありますけれども、そういう事実はないんですか。
  46. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ございません。  今、議員がいろいろお話しになりましたが、どんどん何か決まっていってしまうのではないかというお話ですが、そうしたことが決まっていっているというふうなことはございません。
  47. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、決まるというよりも、クラスノヤルスク合意、川奈会談それから今度の問題も、一体領土問題で日ロがどういうそれぞれの主張をしたのか。よろしいですか、領土問題ですよ、今の日ロ関係ではなくて。このことが全く不鮮明なんですよ、不明確なんですよ。  それで、新聞がいろんなことを書いて、外務大臣、よろしいですか、それを質問すると、いや、そういうのはないとか、いや、そういうのは余り気にしなくていいとか、きょうの産経新聞などによると、いや、努力目標と言ったのが重要で、今までは全力を挙げるのが努力目標と言ったから困難だとか、私は、そういう秘密外交で進んでいるところに今度の領土問題の大変解決を難しくしている一つの要因があるんじゃないかということを指摘しているんです。  時間がちょっと十分で、ないので、もう一つだけお尋ねしたいのは、私たちは、今度の領土問題という問題は、やはりソ連のスターリンの領土不拡大という原則に反した領土問題の誤りが最も大きな原因で、その問題について日本政府が、そういう点をソ連に対して、ないしは現在のロシアに対してきちんと言ってきたのかどうなのか。ここがやはり一番大きな、もう一つの大きな問題ではないかというふうに思います。  その点で、外務大臣はそういうことをロシアにきっぱり言ったことがあるのか、それからロシア側自体はそういうことを認めているのかどうなのか、この点についてお聞きをしたいというふうに思います。
  48. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 領土問題は、明らかにロシア側の不当な占拠でございますから、これはもう理論的にソ連共産党の何がどうとかなんという問題ではないのではないかと思います。これはもう明らかに一九四五年、当時のソ連軍隊がまさに不法にああいう状況をつくり上げたわけであって、このことはだれが考えたって非合法というか、明らかに無法な行為でございますから、それはやっていることが違っているよということは繰り返し言っているわけでございまして、そんなことを言わないわけはないのでございます。  それから、議員いろいろおっしゃいますが、日ロ間でこの問題を何とかどうやって解決をするかについて、それはもう本当に知恵を絞り、そして歴史学者を初めとしてさまざまな人たちに集まってもらって討議をしてもらうということから、例えば国境画定に関する委員会をつくり、共同経済活動に関する委員会をつくり、そうした委員会で双方で相当議論を深めているという状況もございまして、それらが深まっていけばまたそれらをもとにしてさらにハイレベル議論を行うということになるんだろうというふうに思います。
  49. 小泉親司

    ○小泉親司君 時間がないので最後にいたしますけれども、野中幹事長発言でも、先ほど出ましたが、中間条約とか云々かんぬんとかというのは、やはり中間条約があるのかないのかというより、そういうもの自体は決して認められないもので、これはロシアが、先ほども申し上げましたように繰り返し主張してきたと伝えられているものでありますので、やはり領土問題を含めた平和条約解決というのはきちんと追求すべき課題だというふうに思いますので、その点、あるかないかというよりは、考えているか考えていないかというよりは、そういう方向は全く違うんだということをきちんと外務大臣として明確にすべきなんじゃないでしょうか。  終わります。
  50. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 一言だけ、私、実は御説明を落としておりましたのは、東京宣言の中に「日本国及びロシア連邦が、全体主義の遺産を克服し、」云々という文言がこの中に入っておりまして、それはまさに議員のおっしゃったものであろうと思います。念のために申し上げておきます。
  51. 小泉親司

    ○小泉親司君 今のは。
  52. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 中間的なものというお話だったと思いますが、この手の話を私どもは今全く考えておりませんので、これについて申し上げることはございません。
  53. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。  きょうは基地問題はございません。予算委員会の物騒な劣化ウランもございません。ロマンあふるる鉄軌道、汽車ぽっぽの話をしたいと思います。  沖縄における鉄軌道導入への世論の高まりをどのように受けとめておられるか、まず白保総括政務次官にお伺いいたします。
  54. 白保台一

    政務次官白保台一君) 車社会で大変渋滞が多い、こういうような状況もあります。したがって、定速性だとか定時性だとかそういったものを求めて、あるいはまた地域の発展ということを求めて幾つかのグループがあります。  一つは、市議会議長会の要請もありますし、あるいはまた高嶺さんを中心とした実現する会がありますし、あるいは県議会の議員連盟がありますし、その他また具体的な絵をかいている皆さん方があります。それは、結局は沖縄自体の車社会を何とか解決しなきゃならないという、そういった方向での夢を求めた沖縄の鉄軌道に対する期待といいますか、希望といいますか、そういうものであるということで強く受けとめております。
  55. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、沖縄の人たちの夢であり、同時に夢で終わらせてはいけないことだろうというふうに思います。  開発庁長官、私は、沖縄の自立経済を確立する、それから本当の意味での経済振興を図っていくという視点からも、この鉄軌道の導入というのはとても大事なことだと、こういうふうに考えております。  今、白保政務次官からお話がありましたが、NPOの沖縄南北縦貫鉄軌道を実現する会には県選出の国会議員が党派を超えて全員顧問として就任をしております。それから、県議会にも超党派の議員連盟が実現をいたしました。実は、沖縄に鉄軌道を導入してほしいというのはもう復帰直後からの要望なんです。  そこで、今、白保政務次官からもありましたが、長官としてこの鉄軌道の導入についてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  56. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) お尋ねの鉄軌道計画について、委員かねてよりお取り上げをいただいているということも承知をいたしております。  現在の第三次沖縄振興開発計画においては、交通体系の整備というのが重要な柱になっておるわけでありますが、陸上交通については、道路網と御案内のような平成十五年開業を目指して今建設を進めております都市モノレールの整備をうたっておるわけでございます。  鉄軌道の整備については、沖縄県を初め関係者間において需要それからまた収支、採算性などの諸課題について検討していくことが重要であると認識をしておりまして、今後のポスト三次振計の検討においてもこのような観点からの検討がなされるべき課題認識をしておる次第でございます。
  57. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 唯一鉄軌道のない沖縄は、御承知のように車社会であります。さまざまな社会経済的なロスが多過ぎるんですね、実は。そういうことで、私は、沖縄県それから沖縄開発庁が、リゾート観光産業沖縄振興のための一つの戦略産業として位置づけている、そのリゾート観光産業振興という立場からも鉄軌道は必要であろうというふうに思います。  同時に、やっぱり鉄軌道が実現することによって、モノレールを含めた総合的な沖縄の交通体系の整備も図られるのではないかなと、こういうふうに思っているわけです。特に沖縄の場合には、済みません河野大臣、基地の話はしないつもりでしたが、基地あるがゆえに東西間の基幹道路の整備やバイパス道路の整備が非常におくれているわけです。南北間の道路の整備はできているんですね。  そういうことで、私は、どうしてもポスト三次振計としての新たな沖縄振興開発計画、それと、今開発庁、政府がお取り組みであります沖縄振興新法、この策定に際して、沖縄開発庁として鉄軌道の導入を含む新しい総合交通体系の整備、従来言われてきた一次から三次にわたる沖縄振興開発計画の中で言われてきた総合交通体系の整備というこの考え方の中には、鉄軌道の導入というのは含んでいないんですね。だから、ぜひポスト三次振計の沖縄振興開発計画の中に、そして沖縄振興新法の中には、鉄軌道を含む総合交通体系の整備、こういう位置づけを開発庁長官におかれては明確にした上で取り組んでいただきたい、私はこういうふうに思っておりますが、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  58. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) お話のございました前段の幹線道路の渋滞の問題でありますが、これはまた委員御承知のとおり、五十八号線等々の交通渋滞対策として、先ほど申し上げました平成十五年開業予定の都市モノレールの建設、それからまた宜野湾のバイパスの整備、また渋滞のひどい交差点の解消を初め関連の道路整備を進めておるところでございますが、これに加えて、読谷村から那覇市を経て糸満市に至る地域高規格道路である沖縄西海岸道路の調査整備にも取り組んでいるところでございまして、那覇市や豊見城村あるいは糸満市などの区間でも事業が始まっているところでございます。  そういうことのネットワークの整備にあわせまして、バスレーンとかパーク・アンド・ライドや時差通勤等、ソフト面の対策にも取り組んで総合的に対策を講じていく必要があるのではないかと考えております。  本来のお尋ねの鉄軌道でございますが、先生も顧問におなりになったNPO、沖縄南北縦貫鉄軌道を実現する会のお取り組み、また県議会での議員連盟、こういったことも存じておりますが、今沖縄県の方も、やはりモノレールやバスの統合の情勢等も見きわめて、専門家の御意見も聞きながら議論を深めたいと。行政としては、やっぱり収支や採算性についても考えなきゃいけないので、運営主体をどこにするかというようなことも含めてきちんとしたデータに基づいて検討していきたいと、こういう御方針を承っておりますし、また他方、沖縄の将来を見据えた皆さんの御意向というようなことを厳粛に受けとめながら、議会との議論も深めて沖縄の町づくりや産業振興の観点から検討したいと、こういうお考えもあるというふうにも仄聞をいたしておるところでございます。  いずれにしても、そういったるる申し上げたような観点、問題も含めて、沖縄県を初め関係者間において検討していくことが重要であるというふうな認識を持っていますし、このような観点からの議論を十分積み重ねていただきたい、こう思っているところでございます。
  59. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 戦前、那覇を起点にして与那原まで、もう一つは今の嘉手納基地のあたりまで軽便鉄道が実は走っておったんですね。だから私は、その鉄軌道の問題というのは、社会経済的な視点だけじゃなくして、あるいは産業振興や自立経済という視点だけじゃなくして、今ややっぱり環境やあるいは県民の健康問題等を含めてとても大事だと思いますので、ぜひ来年度予算編成へ向けて、開発庁としても、例えば調査費を計上するとか、そういうふうな具体的な取り組みはいかがでございますでしょうか。
  60. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 戦前、軽便鉄道が大正三年、一九一四年ごろ開通をし、また昭和二十年まで、沖縄戦まで営業していたということも伺っております。その後も現地におかれていろんな御要望がこれについてあったということも聞かせていただきました。  今、先ほど申し上げました、今度開通いたします那覇空港から首里汀良町までのこのモノレールにいたしましても、沿線の夜間人口やあるいは中南部圏域の人口あるいは人口動態調査、そういったことからいろいろな収支計算をしておるようでございますが、やっぱりそれでも単年度黒字が十年後、あるいはまた累計で黒字になるのが二十三年後というようなことでございまして、直ちに今この鉄軌道について先ほど申し上げましたような実施主体、その手前にある例えば収支採算性あるいはその他の幾つかの検討されるべき課題、需要調査といったようなことについていま少し県も含め関係者間で十二分な御協議をいただいて、その上でまた我々としては考えさせていただきたい、そういうような今スタンスでございます。
  61. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 まず、北方領土について質問させていただきます。  北方領土は、たまたまこれは戦後の事情もございましてでしょうが大変豊かな自然が今残っております。領土交渉が進む一方で、北方四島の豊かな自然をどのようにして残すかということについての具体的な施策がおありになったら伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。外務大臣に伺います。
  62. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 堂本議員はその専門家でございますから御指導をいただくことが多いわけでございますが、私も鳥類保護連盟のメンバーの一人として、北方四島にはシマフクロウでありますとかあるいはエトピリカでございますとか、我々にとっては本当に何よりも大事な宝物のような鳥たちもいるわけでございます。  この北方四島のこうした鳥類、もちろん哺乳類もおりますけれども、こうした自然をどうやって残すかということは我々にとって極めて重要だと思います。  ただ、まず最初に申し上げなければなりませんことは、現在の北方四島の状況を考えますと、何をするにしても北方四島の我が国の法的立場を害するということだけは避けなければなりません。  こうしたことをまず前提に、四島の自然を保護する、あるいは四島にいる生物を保護することを考えようとすれば、一番考え得るのは専門家の交流だと思います。日本専門家北方四島と申しますかロシア専門家がともに専門知識を持ってこれら生き物の保護について意見を交換し、今やらなければならないことをどうやるかということについて意見を交換する。これは従来の枠組みの中でできることがあるのではないかと思います。
  63. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 私が申し上げるまでもなく、大臣の方が鳥のことはよく御存じで、シマフクロウは今百二十羽ぐらいいるそうですけれども、大変大事な鳥が生息しています。北海道に百二十羽、国後に七十羽から八十羽いるそうです。  ただ、国後島ではもう今近郊の開発が進んでいるとか、そういう開発が進んでいますが、一方で、一九八四年に国後にはクリル自然保護区ということでロシアの自然保護の指定区にしているわけですが、日本返還されたときに果たして、海と陸とを一緒に保護するようなやり方をロシアはしている、ところが日本の場合だと、そういった海と陸とを一緒に保護するような国立公園の方策がございませんが、そういったものを下げない形でできるのかということを一つ伺いたい。  それから、この自然を守っていくために、今おっしゃった人物の交流ということだけではなくて、例えばユネスコがやっています生物圏の保護地区というのを、これは例えば中国の長白山と北朝鮮の白頭山、この間、名前は違いますが一つの山ですけれども、それを両方ばらばらに保護地区に指定している。MABと普通ユネスコで呼んでいますが、人間と生物圏計画というのがございますけれども、例えばそういったような形でロシア日本が共同で登録するとか、あるいは両方を別に登録できるのかどうか、そこのところがよくわかりませんが、それから、または世界自然遺産に登録するというようなことの可能性についてはいかがお考えでしょうか。
  64. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 余談でございますが、もう本当に羽を広げれば一メートル近くあるようなシマフクロウが釧路の林の中を飛んでいるのを私は直接見たことがございますが、ああした鳥たち北方四島の中にはまだ生き残っていてくれることを本当に願うものでございます。こうした生き物たちを保護する方法は、我々人類といいますか我々人間がやらなければならない。裏返して言えば、人間が彼らを滅ぼしてしまうようなことは絶対にしてはならないことだというふうに思います。  今お話がございましたように、保護区をどうするか、あるいは世界遺産の登録をどうするか、あるいはMABについての考え方をどうするかというのはいずれも大変難しいことではありますけれども、とりわけロシア側が設定をしていると言われる保護区については我々は関知しておりませんので、一体それがどういう状況であるかもよくわかっておりません。  問題は、世界遺産とか国連の問題については我々大いに研究すべきものもあるかと思いますけれども、結局、そうしたものの登録をするためには、所有権といいますか主権といいますか、だれが登録の申請人になるかとかということを考えますと、そこでまた人間の何といいますか人為的な問題が入ってきて自然保護を大いに邪魔してしまうというまことに残念な事態もあるわけでございます。  繰り返しになりますが、北方四島に関する限り、我が方の法的立場を今害するようなことは絶対すべきでないという基本的な考え方をまず持ちながら、そうしたことが、法的立場を害することなくそうした自然保護についての作業ができるとすれば、それは十分研究するに値することではないかというふうに思います。
  65. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 予告していない質問ですけれども、たまたまIUCN、世界自然保護連合という、国連ではございませんが日本国もそれから七十四カ国ぐらいがメンバーになっている世界自然保護連合という組織がございます。たまたま私は、そこの今理事をしておりますけれども、大変に関心は強くて、自然の歴史という視点から申しますと北方四島に対しては国際的に強く関心を持たれておりますので、今大臣がおっしゃいましたように、日本の法的な難しさを害すると、法的に日本の主権を害するというようなことのない範囲で、IUCNのような中立的な立場のところが何か仕事をすることも可能なのじゃないかというふうに思ったりもいたします。  多分、文化遺産はユネスコが担当しておりますけれども、自然遺産はIUCNが担当していますので、その遺産として登録することをしないまでも、できるだけ将来的にも北方領土の四島の自然を保護するというようなことが何らかの形で可能になれば大変うれしいということで、またいろいろ工夫してみたいと思いますが、これは意見として申し上げさせていただきます。  あと一分ぐらいの時間が残されている中で、きのう、私、予算委員会の中でも沖縄開発庁長官に中城の質問をさせていただきましたけれども、もう一回確認したいことがございます。  と申しますのは中城の近くに与那原という地区が、もう既に与那原という埋め立て地には、ホテルとか、それから文化交流用の施設とか、それから人工ビーチ、マリーナなんかがあるとのことなんですけれども、私、行ったことがないんですが、沖縄は大好きでしょっちゅう沖縄へ行っていますけれども、ここにはまだ行ったことがございません。そこからほんのわずか離れたところで今回、十キロしか離れていないようですが、そこでまた中城の埋め立てをすると。  そこの目的を見ますと、全く同じようなホテルであったり、それから観光商業地区であったり、マリーナの人工ビーチというようなことなんですね。泡瀬は、やはり大変自然観光資源としてむしろ大事にして、そういうところをそういった観光をするためにその自然を残すということもひとつ大事じゃないかと思いますので、再度、環境影響評価の問題、そして今干潟の埋め立てというのはそれこそ国際的に大変批判されるところでもありますし、むしろその干潟を観光資源にするというようなことをお考えいただくことはできないかどうか、伺いたいと思います。
  66. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) 今の与那原とおっしゃいましたでしょうか。
  67. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 そうです。
  68. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) そこにそういう施設もありながら、また同じような施設をということにつきましては、十分私も承知をいたしておるわけではございませんが、いずれにしても観光並びにスポーツを初め、そういった新しい沖縄振興発展、そういう地域特化をしながらさまざまなまた振興開発に取り組んでいこうというその中に中城湾の新しい港と、それから今、先生が問題になさっておられます泡瀬地区の開発というものが県、市挙げて計画をされ、そして今事業が進捗していると、こういうことだろうと思っております。  お尋ねをいただきましてから、私も地図を見ながらいろいろ考えておったのでございますけれども、先生御指摘のこの干潟の地域も、できれば何とかして残したいということで既存の陸域から二百メートルぐらいわざわざ海へ出しまして、出島方式で干潟の半分は残すというような感じで計画をされ、そしてまたトカゲハゼという生息地もございますので、そこも完全に離してそういう計画をしたと。そして、やむを得ず消滅する藻場及び干潟については、新たにそれにかわる人工干潟の造設や藻場の造成など環境に対する配慮、ちょうど反対側にクビレミドロ生育を図る干潟をまた八ヘクタールつくろうと、こういう計画も……
  69. 立木洋

    委員長立木洋君) 長官、簡潔に。
  70. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) ごめんなさい。  いたしておるところでございまして、後ほどあと写真もお見せいたしますが、例の人工生育も大分しっかり育っているようでございますので、環境面には十分配慮しながらやってまいりたいと存じます。  いずれにしても、これはもう既に市議会の議決、沖縄市長の同意あるいはまた漁協の漁業補償、全部済んで、また住民のいろいろな御意見をいただく機会にも御意見が出ず、そしてここへ至ってきてしまったということで、改めてということはいささか無理があるのではないかと存じております。
  71. 立木洋

    委員長立木洋君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  72. 立木洋

    委員長立木洋君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 立木洋

    委員長立木洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 立木洋

    委員長立木洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  75. 立木洋

    委員長立木洋君) 委員派遣承認要求に関する件につきましてお諮りいたします。  沖縄振興開発及び海上保安業務等に関する実情調査のため、八月二十三日から二十五日までの三日間、沖縄県へ委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 立木洋

    委員長立木洋君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 立木洋

    委員長立木洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十六分散会