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2000-08-04 第149回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十二年七月二十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 増田 敏男君    理事 栗原 博久君 理事 田野瀬良太郎君    理事 滝   実君 理事 山本 公一君    理事 中川 正春君 理事 中沢 健次君    理事 桝屋 敬悟君 理事 菅原喜重郎君       相沢 英之君    荒井 広幸君       小西  哲君    園田 博之君       橘 康太郎君    谷田 武彦君       中谷  元君    菱田 嘉明君       松島みどり君    山本 有二君       河村たかし君    桑原  豊君       松崎 公昭君    松原  仁君       松本  龍君    若松 謙維君       黄川田 徹君    穀田 恵二君       春名 直章君    重野 安正君       宇田川芳雄平成十二年八月四日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 増田 敏男君    理事 栗原 博久理事 田野瀬良太郎君    理事 滝   実君 理事 山本 公一君    理事 中川 正春君 理事 中沢 健次君    理事 桝屋 敬悟君 理事 若松 謙維君    理事 菅原喜重郎君       荒井 広幸君    小西  哲君       河野 太郎君    園田 博之君       橘 康太郎君    谷田 武彦君       中谷  元君    菱田 嘉明君       宮腰 光寛君    河村たかし君       桑原  豊君    松崎 公昭君       松原  仁君    松本  龍君       黄川田 徹君    児玉 健次君       春名 直章君    重野 安正君     …………………………………    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 西田  司君    自治政務次官       中谷  元君    自治政務次官       荒井 広幸君    政府参考人    (警察庁長官)      田中 節夫君    政府参考人    (警察庁長官官房長)   石川 重明君    政府参考人    (警察庁刑事局長)    林  則清君    政府参考人    (警察庁交通局長)    坂東 自朗君    政府参考人    (大蔵大臣官房審議官)  竹内  洋君    政府参考人    (厚生大臣官房審議官)  辻  哲夫君    政府参考人    (自治省行政局長)    中川 浩明君    政府参考人    (自治省税務局長)    石井 隆一君    地方行政委員会専門員   蓼沼 朗寿君     ————————————— 委員の異動 七月三十一日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     河野 太郎君 八月三日  辞任   宇田川芳雄君 同日             補欠選任              宮腰 光寛君 同月四日  辞任         補欠選任   穀田 恵二君     児玉 健次君 同日  辞任         補欠選任   児玉 健次君     穀田 恵二君 同日  理事桝屋敬悟君同日理事辞任につき、その補欠として若松謙維君理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 増田敏男

    増田委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件につきましてお諮りいたします。  理事桝屋敬悟君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事若松謙維君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 増田敏男

    増田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国政に関する調査を行うため、本会期中  地方自治に関する事項  地方財政に関する事項  警察に関する事項  消防に関する事項 以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 増田敏男

    増田委員長 この際、西田自治大臣国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。西田国務大臣
  8. 西田司

    西田国務大臣 地方行政委員会委員長理事ほか委員各位におかれましては、平素から地方行政並びに警察行政推進に格段の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。  当委員会では、地方自治の諸課題解決のため御尽力を賜っておりますが、新しい世紀に向かって、地方行財政はさまざまな課題に直面をしておると考えております。  このような中、本年四月一日から地方分権一括法が施行され、地方分権はいよいよ現実歩みを始めました。地方分権推進法が一年延長されたところでありますが、政府といたしましては、この分権改革の定着と一層の進展を図るため、今後とも強い決意で取り組んでまいる考えであります。  特に、市町村合併推進は避けて通ることのできない課題であります。都道府県の協力も得つつ、今までよりもピッチを上げて、市町村合併を総合的に支援してまいりたいと考えております。  一方、地方財政は極めて厳しい状況にあります。その立て直しのためにも、引き続き地域経済の新生に取り組み景気自律的回復軌道に乗せていくよう全力を尽くしてまいります。  また、国、地方を通ずる行財政改革推進財政効率化に徹するとともに、今後、経済状況や将来の税制抜本的改革の方向も見きわめつつ、国と地方税源配分見直しなどによる地方税財源充実確保に向けて取り組んでまいります。  特に、地方税に関しましては、先般、政府税制調査会中期答申が取りまとめられたところであります。このうち、法人事業税への外形標準課税については、景気状況等を踏まえつつ、早期に実現できるよう具体的検討を進めてまいります。同時に、税源偏在性が少なく税収安定性を備えた地方税体系の構築に向け、具体的な方策検討に取り組んでまいります。  また、地域の自立を促し、その活力を引き出すため、地方公共団体における地域経済活性化雇用機会の増大のための総合的かつ計画的な取り組みを積極的に支援してまいります。さらに、先般、IT革命対応して、地域における情報化施策を積極的に推進するため、私が本部長となって地域IT推進本部自治省内に設置したところであり、地方公共団体情報化施策等取り組みも積極的に支援していきたいと考えております。  消防行政につきましては、ことしに入ってからも、有珠山、三宅島の火山活動や伊豆諸島の群発地震による被害発生するなど、各地で住民の安全を脅かす災害事故が相次いで発生しております。こうした中、国民の生命、身体、財産を災害などから守るという消防責務はますます大きなものとなっており、今後とも、消防防災全般にわたる充実強化全力を挙げて取り組んでまいります。  また、良好な治安は、国家社会発展基盤であり、国民生活にとって欠くことのできないものであります。私は、国民が安全に安心して暮らせる社会を実現するため、全力を尽くし、国民皆様期待信頼にこたえてまいる所存であります。  昨年来、警察をめぐる不祥事案が続発したことを受けて、国家公安委員会は、本年三月、警察刷新会議の発足をお願いいたしました。同会議は、警察刷新改革方策について精力的かつ多角的に御論議をされ、去る七月十三日、国家公安委員会に対しまして警察刷新についての緊急提言を提出していただきました。国家公安委員会といたしましては、この提言を重く受けとめ、警察庁とも協議しながら、一日も早く国民信頼を回復するため、警察法改正など警察刷新改革全力を挙げて取り組む決意であります。  さて、最近の治安情勢を見ますと、犯罪交通事故発生件数増加、深刻化する少年非行、サイバーテロやハイテク犯罪等の新たな犯罪の問題、さらに薬物犯罪を初めとする国際組織犯罪増加ストーカー事案増加など大変厳しい状況にあります。  警察におきましては、捜査体制充実強化を図るとともに、関係機関と連携し、また新たな法律等も効果的に活用しながら、少年非行防止ハイテク犯罪対策組織犯罪対策ストーカー対策等、現下の重要課題に積極的に取り組んでまいります。  このほか、交通安全対策、困り事相談業務強化、女性・子供を守る施策被害者対策推進環境犯罪の取り締まり、オウム真理教対策等地域住民の安全と平穏を守るための諸対策推進してまいります。  以上、警察行政の当面する諸課題について申し上げましたが、こうした情勢に的確に対処していくためには、警察力の一層の充実強化が必要であります。  警察におきましては、従来にも増して組織、人員の効率的運用、装備の近代化等を徹底するとともに、必要な人的基盤整備教育、訓練を通じて職員の資質の向上を図ってまいります。  また、警察職員一人一人が誇りと使命感を持って職務に精励できるよう、処遇の改善等取り組み国民の負託にこたえることのできる警察の確立に努めてまいります。  以上、所管行政の当面する諸問題につきまして申し述べてまいりましたが、委員長理事委員各位におかれましては、よろしく御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。(拍手)      ————◇—————
  9. 増田敏男

    増田委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件につきまして調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官田中節夫君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁刑事局長林則清君、警察庁交通局長坂東自朗君、大蔵大臣官房審議官竹内洋君、厚生大臣官房審議官辻哲夫君、自治省行政局長中川浩明君、自治省税務局長石井隆一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  11. 増田敏男

    増田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小西哲君。
  12. 小西哲

    小西委員 おはようございます。自由民主党小西哲でございます。  本日は、諸先輩方の御高配によりまして、自由民主党を代表して、大先輩であります西田大臣に御質問をさせていただく機会を賜りまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。  地方行政全般につきまして御質問をさせていただきたいと思いますが、まず最初に、地方分権につきましてお尋ねをいたします。  平成五年の衆参両院におきます地方分権推進に関する決議を一つの契機といたしまして、さまざまな過程を経て、本年四月の地方分権一括法の施行によりまして、いよいよ実行の段階を迎えたわけでございます。  思えば、地方分権は、随分昔から地方公共団体が強く要望し、また地方制度調査会などからも提言がなされてきたわけでありますけれども、今回それがようやく実現したもの。この間の関係者皆様の御努力に対して、率直に敬意を表したいと存じます。  しかしながら、地方分権推進はこれで終わったというものではありません。引き続き鋭意取り組んでいただく大変大きな課題であろうと思っておりますが、地方公共団体がこのために努力をしていくことは当然のことといたしましても、国としても、地方へのさらなる権限移譲や国の関与の縮小を図っていくべきであろうと存じます。また、あわせて地方税財源充実を図ることも欠かせないと思っております。真の分権型社会を構築し、国民期待にこたえていかなければならないことは言うまでもないと存じます。  そこで、自治大臣に、今回の地方分権改革につきましてどのように評価をされているのか、そして、今後一層の地方分権推進にどのように取り組んでいかれるのか、御決意のほどをお伺いしたいと存じます。
  13. 西田司

    西田国務大臣 小西委員の御質問に対しましてお答えをいたします。  今回の地方分権改革は、お話にもありましたように、明治以来形成されてきた中央集権型システムを変革して、国、地方を対等・協力関係にするものが基本になってきておると考えております。具体的には、地方分権一括法において、国と地方役割分担あり方を示すとともに、機関委任事務の廃止や国の関与あり方見直し等抜本的改革が行われ、一つの形が整ったものと高く評価をいたしております。  今後、同法を円滑に施行することはもちろんでありますが、分権改革が実効あるものとなり、真に対等・協力関係が構築されるよう、国と地方公共団体関係者双方意識改革も重要であると考えております。また、真の分権型社会の実現のためには、なお取り組むべき課題が多くございます。  今後とも、地方税財源充実確保及び国庫補助負担金整理合理化、さらなる事務権限移譲等地方分権の一層の推進に積極的に取り組んでまいる考えであります。
  14. 小西哲

    小西委員 どうもありがとうございました。  大臣の御決意を伺ったわけでございますが、さらに一層地方分権推進に御健闘いただきますように、心から御期待申し上げたいと存じます。  続きまして、大変重要な問題でございます市町村合併の問題につきましてお伺いをいたします。  地方分権現実歩みを始めたことにつきましては、地方行政に携わった一人として大変喜ばしいことだ、このように思うわけでございますけれども現実に目を向けてみますと、例えば介護保険の問題でありますとか廃棄物処理の問題、さらには本格化する少子高齢化社会の到来、そしてまた環境問題などに対しまして、基礎的な地方公共団体であります市町村におきましては、高度かつ多様な行政サービスの水準の確保が強く求められているところでございます。  私どもは、こうした観点を踏まえ、地方分権成果を十分に生かしていくためには、さらに市町村合併推進することも大変大切なことではないか、このように考えております。  先日、大臣は総理から、地方分権を確立するために市町村合併推進に向けて具体的な取り組みを進めるよう指示を受けた、このように伺っているわけでございますが、今後、市町村合併についてどのように進めていかれるのか、大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。
  15. 西田司

    西田国務大臣 地方分権成果を生かし、基礎的自治体である市町村行政サービスを維持し向上させていくためには、市町村合併は避けて通れない問題であると私は考えております。  市町村合併推進については、昨年来、市町村合併特例法改正により、行財政措置の拡充、市町村合併推進についての指針の策定などを行ってきたところであります。市町村合併の機運は、徐々にではありますが、全国的に盛り上がりを見せつつあると私は理解をいたしております。  そこで、自治省といたしましては、平成十二年度予算において市町村合併推進補助金確保するなど、幅広い支援措置を講ずることとしており、市町村合併特例法の期限である平成十七年三月までに十分な成果が上げられるよう、今までよりもピッチを上げてこれを進めていきたいと考えておるわけであります。
  16. 小西哲

    小西委員 どうもありがとうございました。  いずれにいたしましても、この市町村合併という問題につきましては、これからの市町村あり方考えた場合に、大変重要な課題だというふうに考えております。どうか、大臣におかれましては、先頭に立ってぜひ頑張っていただきたい、このように存ずる次第でございます。  引き続きまして、またさらに重要な課題でございます地方財政健全化への対応についてお伺いをいたしたい、このように存じております。  御案内のように、バブル経済の崩壊後、国、地方財政は、税収の落ち込みや景気対策としての減税の実施、公共事業の追加などによりまして急速に悪化をいたしております。  平成十二年度末の国、地方長期債務残高は六百四十五兆円、GDP比では約一三〇%にも達しておりまして、このうち、地方財政借入金残高が実に百八十四兆円を占めている、こんな状況にあるわけであります。平成十二年度の単年度地方財政収支について見ましても、地方財政規模八十九兆円に対して約十兆円の財源が不足し、これを交付税特別会計借入金地方債の増発によって穴埋めせざるを得ない状況にあると伺っております。この結果、本年度は、各地方団体に交付する地方交付税の総額二十一兆四千億円のうち約四割、八兆円余りを交付税特別会計における借入金で賄う、このような異例の事態とお伺いをいたしております。  また一方、各地方団体財政状況につきましても、極度に硬直化をいたしているわけであります。平成年度末の決算で見ますと、公債費負担比率が、警戒ラインと言われております一五%を超える地方団体が千九百七十四団体にも達しているわけでありまして、これは、使途を限定されない一般財源のうち一五%以上を過去の借金返済に回さざるを得ない団体が実に約六割にも達しているということを意味しているわけでございます。住民福祉向上社会資本整備推進という地方団体本来の責務を果たすにも、借金返済で首が回らないという状況になりつつあると思うのであります。  このように、地方財政は、全体のマクロ的な姿を見ましても、また個別団体のミクロ的な財政状況を見ましても、借入金への依存が強まり、また過去の債務の償還が重荷となって、まさしく危機的な状況にあると言わざるを得ないと思います。  このような地方財政の窮状を打破し、その健全化を図ることが急務だと考えるのでありますけれども大臣はどのようにこの問題について取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
  17. 西田司

    西田国務大臣 地方財政は、今お話がありましたように、通常の収支において引き続き大幅な財源不足が生じるなど、極めて厳しい状況にある、こう私は認識をいたしております。  当面の財政運営といたしましては、景気民間中心の本格的な回復軌道に乗せるべく全力を挙げて取り組み地方税地方交付税等地方一般財源収入増を図ることが財政健全化に資する基本だと考えておるところであります。さらに、景気状況を見きわめつつ、国と地方税財源配分見直し等地方財政の諸課題について幅広く、しっかりとした検討を行い、地方団体がより自主的、主体的な行財政運営を行われるよう財政基盤充実を図ることがまず当面の一番重要な課題、こう考えております。
  18. 小西哲

    小西委員 どうも大変ありがとうございます。この問題につきましても、大変重要な課題だ、このように思っておりますので、引き続きどうか頑張っていただきますようにお願いをいたしておきたいと存じます。  次に、地方税財源充実関係で、環境関連税制への今後の対応についてお伺いをいたしたいと存じます。  私どもの出身は滋賀県でございまして、滋賀県におきましては、二十一世紀における淡水問題、湖沼問題の解決を目指す第九回世界湖沼会議閉鎖性海域環境保全適正利用を目指す第五回世界閉鎖性海域環境保全会議の開催など、琵琶湖の総合的な保全への施策を初め、各種先進的な環境政策推進いたしているところでございます。  二十一世紀における地方公共団体共通の最重要課題といえば、IT関連施策と並んで、この環境施策が挙げられるわけであります。しかし、環境施策推進には多大な経費が必要とされるものの、現在の国、地方に通じる厳しい財政状況の中では、事業の十分な遂行は困難だと思います。  そこで、地方における地域特性に富んだ環境政策の一層の推進を図るため、その財源確保に関する有力な手法の一つとして、環境関連税制につきましてのお考えをお伺いしたいと存じます。
  19. 荒井広幸

    荒井政務次官 ただいま委員の御質問でございますけれどもITと並びまして環境について非常に重要であるという御指摘、全くそのとおりだと思います。  環境関連税制につきましては、排出源が多い分野における環境負荷の軽減になじむものであり、汚染者負担原則、PPPの考え方を踏まえ環境負荷原因者を広く対象とするとともに、課税主体税制によって対応を図ろうとする環境問題の性格を踏まえて検討する必要があろうと思います。  例えば、地球温暖化対策として、化石燃料に対する課税については全国的視点から制度検討することが適当であると思われますし、また一方で、廃棄物あるいは下水の処理、こういった住民に身近な環境問題については地方独自の対応になじむものと考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、委員指摘のこの環境関連税制につきましては、国民に広く負担を求めることになりますので、国民理解協力が不可欠であろうというふうに考えているわけでございます。  自治省といたしましては、地方における環境関連税制あり方に関する研究会、これを本年二月に立ち上げまして、審議検討を行っているところでございます。引き続き、幅広い観点から検討を進めてまいりたいと考えております。
  20. 小西哲

    小西委員 どうもありがとうございました。大変重要な課題であると思いますので、引き続き検討をよろしくお願いいたしておきたいと存じます。  先日、来年度予算概算要求基準が決定されまして、いよいよ来年度予算編成が始動したわけでございますが、年末に向けまして来年度地方財政対策についても検討作業が行われるわけでありますけれども、このような厳しい危機的な状況にある地方財政の現状を踏まえ、また財政投融資改革地方債などさまざまな問題があるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、しっかりとした対策を講じ、財政健全化に向けた道筋をしっかりつけていただきますように、お願いを申し上げておきたいと存じます。  それでは、引き続きまして、警察行政についての質問に移らせていただきたいと存じます。  昨年の九月に神奈川県警における不祥事案が発覚以来、全国警察不祥事が相次いで発生をし、警察に対する国民信頼が大きく損なわれたわけでございます。中でも、神奈川県警新潟県警埼玉県警栃木県警などにおける不祥事につきましては、マスコミなどで大きく取り上げられ、警察における教育制度キャリア制度監察制度などに対して、さまざまな問題が提起をされたというふうに思います。警察に対する国民信頼を一刻も早く回復することがまさに喫緊の課題であろうか、このように思うわけであります。  警察官使命感自覚がなくなってきているということも言われているわけでありますけれども、このような点につきまして、警察庁としてどのように取り組みをなされてきておられるのか。また、先日公表されました警察刷新会議の設置に至る経緯並びにその検討状況につきまして、お答えいただければありがたいと存じます。
  21. 石川重明

    石川政府参考人 委員指摘のとおり、警察職務遂行に当たりまして、警察官一人一人には高い使命感と職責の自覚というものが求められているというふうに私ども考えておるわけでございまして、国家公安委員会の御指導を得まして、警察庁におきましては、昨年来の一連の不祥事案の反省に立ちまして、そうした観点からのさまざまな施策を講じてまいったところでございます。  特に、その使命感自覚という問題につきましては、国家公安委員会におかれましては、職務倫理基本及び服務の根本基準を定めて職務の公正保持の規範を示しました、警察職員職務倫理及び服務に関する規則というものを制定されますとともに、また、そうした職務倫理に関する教育あるいは幹部に対する教育というものを大きな柱といたします警察教養規則の全面改正を行われたところでございます。  警察庁におきましては、その趣旨にのっとりまして、こうした職務倫理に関する実践的な教育充実する、あるいはそうした教育をしっかり行うためには、昇任時の教育期間の延長が必要である、あるいはその教育の方法として、討議方式によって身につくような形で教育を徹底すべきではないかといったようなことにつきまして、教育制度全般につきまして見直しを行ってきたところでございます。  警察刷新会議から御提出をいただきました緊急提言におきましても、警察職員の職責の自覚ということについては厳しく指摘をされているところでございまして、私どももこれを重く受けとめて、さらに国民信頼を一日でも早く回復することができるように諸施策を強力に推進してまいりたい、このように考えておるわけでございます。  そこで、お尋ねの警察刷新会議の設置に至る経緯とこれまでの検討状況でございますけれども、昨年来の一連の不祥事案を契機といたしまして、国会等におきまして現行の警察制度全般にわたります問題が提起をされているということで、警察刷新改革方策について各界の有識者の御意見を賜るということを目的といたしまして、国家公安委員会がその発足を求められたものであります。  三月二十三日から七月十三日までの間に十一回会議が開催をされました。情報公開、苦情処理、監察、国家公安委員会、責任の明確化、相談への対応、人事・教育制度といったようなことにつきまして、大変多角的、精力的な御論議がなされたというふうに承知をいたしております。  また、会議国民を主軸とするスタンスで進め、国民の納得を得る結論を出すという方針のもとに、第一回会議直後の三月の末にホームページを開設いたしまして、議事要旨等を公表するとともに、広く国民各層から意見、要望等を募集したということでございまして、五月十三日に大阪で、六月十七日に新潟でそれぞれ地方公聴会を開催いたしまして、国民皆様からの幅広い声を直接聴取するということにも努められたわけでございます。  これらの議論を踏まえまして、七月十三日に国家公安委員会に対しまして、先ほど申しました警察刷新に関する緊急提言が提出をされた、このような状況になっておるわけでございます。
  22. 小西哲

    小西委員 ありがとうございました。  ただいま警察刷新会議お話があったわけでありますけれども会議提言がすべてではない、このように思っております。問題があれば、提言を超えたものでもやはり次々と実現をしていく、このようにしていくべきだと考えておるわけであります。  また、これに関連いたしまして、さきの国会で廃案となりました警察法の改正につきまして、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  23. 石川重明

    石川政府参考人 警察刷新会議緊急提言におきましても、大切なことは、警察が受け身にならずに、みずから改革案を提示できるだけの自発性と意欲を持ち続けることであろう、こういうことが述べられているわけでございます。  私ども国家公安委員会の御指導のもとに、警察庁として、今回の提言を契機といたしまして、さらに時代の変化を見据えて、これを具体化するためにはどうしたらいいか、さらに、それを進めるためには別の観点からの問題もあるのではないかといったようなことも考えながら、改革に積極果敢に取り組んでまいるというふうに思っております。  過日、臨時の全国警察本部長会議を開催いたしまして、今後の取り組みにつきまして協議、検討を行いました。引き続き庁内におきましても各レベルでそういった問題について検討しているところでございまして、速やかに警察改革案の具体化に努めてまいりたいというふうに考えております。  そこで、警察法の一部改正の問題についてでございますけれども、七月十三日に今申しました緊急提言をいただきました。その中には、先ほど申しましたような、いろいろな多角的な問題が盛り込まれているわけでございます。私ども、これを一つ一つできるものから実施に移していきたい、こう考えておるわけでございますが、それぞれの事項のどういうことが法律事項になるのか、提言の内容を踏まえた上でいかなる事項警察法改正として盛り込んでいくべきか、現在鋭意検討中のところでございます。まだ確たるものはございませんけれども、監察に関する公安委員会の機能強化の問題、あるいは苦情処理システムの整備といったような問題について、これが法律事項としてきちっと制度として考えられるのではないかなといったようなことを中心に検討を進めているわけでございます。  いずれにいたしましても、関係方面の御意見も踏まえつつ、十分に検討して、速やかに成案を取りまとめるべく全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。
  24. 小西哲

    小西委員 どうもありがとうございました。  ただいま御説明いただいたわけでございますが、最後に大臣にお尋ねをいたしたいと思います。このような刷新会議緊急提言を受けて、今後警察改革についてどのように取り組んでいかれるのか、国家公安委員長としてのお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
  25. 西田司

    西田国務大臣 良好な治安国家社会発展基盤でございます。良好な治安を維持し、国民が本当に安全で安心して暮らせる社会を実現するためには、警察に対する国民信頼が不可欠である、私はこう考えております。  去る七月十三日、御指摘の、警察刷新会議から警察刷新に関する緊急提言が提出されたところであります。いただいた御提言につきましては、これを重く受けとめ、関係方面の御意見も踏まえつつ、国家公安委員会及び警察庁において十分に検討を進める考えであります。  警察法改正など、警察改革案の速やかな具体化に取り組み、重ねて申し上げますが、国民信頼の回復に全力を尽くしてまいる決意でございます。
  26. 小西哲

    小西委員 どうもありがとうございました。  大臣の大変重大なる決意をお聞かせいただいたわけでございますけれども、私もOBの一人として、本当に警察に対する国民信頼をいかに早期に回復するか、これは国家的に大変重要な事項であろうというふうに思っております。そういう意味で、ぜひとも先頭に立ってこの問題について鋭意取り組んでいかれることを心からお願いを申し上げる次第でございます。  時間の方もなくなりましたので、今後ともひとつどうかよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
  27. 増田敏男

    増田委員長 次に、桑原豊君。
  28. 桑原豊

    桑原委員 きょうは、警察刷新会議提言に関連をして、特に私は情報公開という問題についてお伺いをしたい、こういうふうに思っておるわけでございますが、その前に、情報公開ということではなしに情報が漏れている、そういう疑惑といいますか、その問題について伺いたい、こういうふうに思います。  既に新聞にも報道されておりますし、あるいは週刊誌にも報じられている、あるいは国会の質疑でも、きのう、一昨日の予算委員会でも取り上げられておる問題でございますけれども、警視庁のOBが社長をしている株式会社東京シークレット調査会、これは興信所、信用調査機関ということでございますが、そこの受注記録、依頼とその依頼に対してどう対応したかというような、日程的なものなどを含めた、そういう受注記録のコピーが出回っている。そして、私もそのコピーをここに持っておるわけでございますけれども、これを見させていただいております。この受注記録というのは、九八年の十一月からことしの六月までの一年八カ月、約五百件弱の受注記録が記載をされております。  まず、この受注記録のコピーが存在をしている、出回っている、このことについて承知をしておられるかどうかということを警察庁長官の方にお聞きしたいと思います。
  29. 田中節夫

    田中政府参考人 議員御指摘の、新聞報道等で報道されておりますところの、いわゆる警視庁のOB警察官が絡むところの犯歴等の情報の漏えいに関する件でございますけれども、今お話しのような資料、そういうものが出回っているということにつきましては承知をしておるところでございます。
  30. 桑原豊

    桑原委員 私は、五百件という大変大部なものでございまして、なかなか一件一件克明には見てはおりません。しかし、いろいろな依頼があるんですけれども、この中を見て驚いたのは、その依頼注文の中に、自動車免許取得の有無とか、あるいは今長官もお触れになりましたけれども、犯歴、犯罪歴、それから電話番号、外国人登録証、あるいは風営法の届け出、そして自動車ナンバー、こういった依頼があるわけでございまして、この依頼に対しても、受注記録によれば業者は回答をいたしております。回答した部分はマル済というふうにここには記載してあるんですけれども、回答したというのが圧倒的に多いわけでして、ほとんど回答している、こういうことでございます。  今私が申し上げましたような免許や犯歴等のそういうものは、この五百件の中の百五十件程度あるわけでございます。その百五十件の中でも、大半が犯歴と免許、これを合わせてそのうちの百十件ぐらいあるんですけれども、免許ということでございます。  そこで、なぜ驚くかといいますと、これらのこうした情報は、本来、こういう民間の調査機関が簡単に入手できるようなものではございませんで、これらの情報は本来は警察にしかない情報だ。ですから、もしここに書いてあるとおりその情報を得て回答したということになれば、これは、警察からこれを手に入れてそして回答したのではないか、警察の側からいえばそういった情報が漏れているのではないか、こんな疑いが出てくるわけでございますけれども、その点について、この情報が警察にしかない情報であるのかどうかということも含めて、お答えをいただきたいと思います。
  31. 田中節夫

    田中政府参考人 今出回っているとされております資料の中で、犯罪経歴あるいは運転免許経歴、電話番号それから車両番号等というようなお話がございました。今御指摘のありましたすべてについて私どもがその資料を保有しているわけではございません。他の行政機関が資料を保有しているものもございますけれども、今委員が御指摘の情報のうちで、私どもが保有している情報、ほかの機関ではないというものもあるところでございます。
  32. 桑原豊

    桑原委員 これは警察が本来保有している情報で、それがそういった形で外部に漏れたのは、漏れたとすれば警察から漏れたというふうに疑わざるを得ないんですけれども、その点はどうですか。
  33. 田中節夫

    田中政府参考人 御指摘の事案につきましては、国会でも御答弁申し上げましたけれども、六月上旬に警視庁に投書がございまして、以来、監察部門で目下関係者から事情聴取する、あるいは資料等を入手いたしまして調査をしているところでございます。  今委員指摘のように、警察しか保有していない情報、警察が一元的に管理している情報というものがもし漏えいしていたとすれば、それは大変重大な事案だというふうに認識しております。
  34. 桑原豊

    桑原委員 もしそうだとすればそういう事態は大変な事態だ、こういう御認識を示されたわけですけれども、それで今調査中である、こういうことでございますね。  それで、警察から漏れたのではないかというふうなことを疑わせる幾つかのことがあるわけですけれども、このコピーに添付をされておりました内部告発文書なるものがあるわけです。それが今ここにございますけれども、これによると、この受注記録の記入者は当社の取締役副社長で元警視庁の婦人警官だ、そして夫は現役の警視庁の警察官だ、こういうふうに書かれておるわけですね。この取締役副社長が記入されたというふうに書いてあるわけですけれども、この記入は大変丁寧に記入をされてございます。私の手に入れましたコピーによると、非常に丁寧に記入をしてあるわけでございます。  例えば、これは少し専門的なことで私はお伺いしたいと思うのですが、免許の有無の照会依頼に対して、(一二三)〇〇、こういうふうな表記がいわゆるメモ書きとしてたくさんあるわけですね。これは、何かお聞きをいたしますと、警察の方で一二三番、百二十三番というのですかの電話で照会センターというのを尋ねたら免許の有無を教えてもらえる、そしてそれが、免許はないよ、取得していないよということであれば、〇〇というようなことで回答される、そういうことがこのコピーの中にメモとして記載してあるわけですけれども、それが随所にあるわけですが、こういったことは、内部的にはそういう言い方、表現の仕方というのをされておるのかということをお聞きしたいと思います。
  35. 田中節夫

    田中政府参考人 具体的な免許の有無の照会につきましては、そういう免許の有無の照会のシステムはございますが、今委員指摘のような、具体的な、どういう数字を照会の番号とするか、あるいはその結果がどういうような数字として回答されるかということにつきましては、大変恐れ入りますけれども、今手元に資料がございませんので、後刻御報告させていただきます。
  36. 桑原豊

    桑原委員 私、お答えいただいたことをちょっと今聞き漏らしたのですけれども、こういう言い方があるかどうかということ。
  37. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘の運転免許の有無の照会のシステムはございます。ただ、その照会の際にどういうような形、どういうような番号で照会をし、その結果についてどういうような番号で返答がなされるかということにつきましては、その詳細につきましては今手元に資料がございませんので、後刻御説明させていただきますということでございます。
  38. 桑原豊

    桑原委員 それと、圧倒的に数の多い犯歴とか免許の有無の照会の様子を見ますと、このコピーの受注記録というのは、だれが依頼したか、対象というのはだれなのか何なのか、あるいは担当したのはだれか、実施をしたのはいつか、見積もり、請求書、そして納入、報告、こういうふうな項目でメモしてあるわけですけれども、免許の有無などの照会に対しては、多くは照会があったらその日に回答しているのですね、ほとんど余り日を移さずに。少し何か事情があっても、数日の間に大体回答しているわけです。  それから犯歴の方は、これは多少日数を要しているのも多いですけれども、これも決してそんなに時間がかからずに、大体速やかに犯歴の照会にも答えておるわけですね。犯歴の場合は、メモ書きの中では、例えば道路交通法違反で罰金が幾らだというようなことまでもちろん答えておりますし、それから何月何日にどういう法律に違反してというようなことを日付もはっきり答えているということで、かなりメモの段階でもきちっとした回答をしているということがうかがえるわけです。  それで、Bという照会事項もあるわけです。Bというのはどうも、全体を見てみますと、Bは暴力団かどうかというような調査依頼ではないかというふうに想像されるのですけれども、これについても大体即回答しておる。  こういうことで、この回答の敏速さからしても、警察しか持っていない情報だとすれば、警察の中でそのことに速やかに答えていくというか、そういう情報を提供していくというか、そういう協力者がいるのではないかという疑いを強く持つわけですけれども、その点について、どうも警察協力があるのではないか、そういう思いがしている。  それからもう一つ、この会社の紹介をしているパンフレットがございます。このパンフレットは、「弊社の特色」ということでいろいろ書いてあるわけですけれども、「弊社は刑事警察の第一線で活躍し、刑事・民事に精通した警視庁OBグループが、不安定な社会情勢を起因として発生する、様々な難問を解明するため発足した総合調査会社です。」こういうふうに、警視庁のOBだということを強く打ち出しております。そして、「元警視庁刑事の調査員が「合理・合法・妥当」な調査を実施致します。」ということで、身辺警護等もやっておるわけですけれども、これは「警視庁警備部に在籍し、政府要人の警護を担当していた柔道・剣道・空手の高段者である」、そういう警護員です、こういうことで、警視庁とのつながりを非常に前面に打ち出して、いかにも、我々にいろいろ依頼をすれば、もう警視庁とある意味ではツーカーなんだというふうなことまで類推をさせるような表現、書きぶりになっておるわけです。  私は、このことについても、このPR文、少し度が過ぎているのではないか、あるいは現実ならば決して度が過ぎているとは言えないのですけれども、表現の仕方としてどう思われますか、長官。
  39. 田中節夫

    田中政府参考人 今委員指摘の、今回報道等で取り上げられている会社、これは東京シークレット調査会という会社でございますけれども、その業務内容につきましては私どもつまびらかにはしておりませんけれども、今委員指摘のようなそういうこと、いかにも警視庁、現在の警視庁に勤務している警察官とのつながりが強調されるようなものであるとすれば、これはまことに遺憾であるというふうに思っております。
  40. 桑原豊

    桑原委員 それから、私は、五百件近い中の百五十件が警察にかかわりを持つ情報だ、こういうふうに申し上げたのですけれども、ある意味では、わずか一年八カ月の間にそれだけの大量の情報を警察から入手をして回答していると仮にするならば、私はやはり、とてもじゃないが、警察の中でそれ相当に協力者がいて対応したとしか考えられないわけですよ。わずか数件であれば、ある意味では昔のよしみで、たまには教えてくださいよというようなことが先輩、後輩の中で通じるのかもしれないなという気もしないではないのですけれども、しかし、数件ではないのです。この件数は、何と百五十件に近い数がそういう形でもしやりとりをされるとすれば、相当の協力体制があるというふうに想定されると私は思うのですが、その点いかがですか。
  41. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、警察が管理しております個人情報、これは、今委員指摘のように、個人的なよしみというお言葉をお使いになりましたけれども、たとえそういったことがあっても、絶対これはあってはならないことでありまして、ましてや、今危惧されておりますように、今回の事案につきまして、ある種の、組織的と申しますか、そういうグループがおって漏えいしたということになれば、これは極めて重大な事案であるというふうに認識しているところでございます。
  42. 桑原豊

    桑原委員 それで、お聞きをしたいのですが、今調査中である、こういうことなのですけれども、例えば、こうした警察の情報を警察の内部で検索したりそれを使用したりする場合の基準、それから、どういうチェックの仕組みになっているのか、それをまず教えていただきたいと思います。どういうものがそういう対象になるのか、そして、その場合にどういうチェック体制が働いているのか教えてください。
  43. 林則清

    ○林政府参考人 犯歴につきましては、詳細の内容についてはお答え申し上げられませんけれども、捜査の必要上、警察庁の方のコンピューターに犯歴というのは全部入っておりまして、捜査の必要だけに限ってこれを捜査員が、いわゆる照会センターというところがありまして、そこへ、その必要性とそれから対象を、自分の身分を明らかにしてこれを照会する、そうするとそれを回答する、そういう形になっております。  今、そういうものに対する安全措置をどういうふうに講じておられるかというようなお尋ねであったかと思いますけれども、具体的にこういう犯罪経歴にアクセスできる端末装置というものを特定の者に限定する、それから端末装置の操作を特定の者に限定する、照会の際に照会者の本人確認、先ほども申しましたけれども、こういうものを行う、それから照会に当たっては照会事由を明らかにさせる、こういうような措置をとっておるわけでありまして、そういった照会状況を記録にし、事後に、今犯歴の点を申し上げているのでございますけれども、そういうものが適正に行われておるかどうかというものを組織的にチェックをするという仕組みで安全を確保するようにしております。
  44. 桑原豊

    桑原委員 そうすると、こういうことを調査したいということであれば、その必要性とかそういうものをちゃんと明らかにして、特定の決められた人がやるんだ、そして、その調査をしたてんまつは記録をされていて、後でそれがチェックをされる仕組みになっているんだと。そのチェックはどこがやるのですか。
  45. 林則清

    ○林政府参考人 各都道府県警察において、照会を行った事実については、その記録を作成し保存をしております。そして、先ほど御説明申し上げましたような措置をとった上、組織的にこれを当該県警において、時期によっては、こういう照会がありましたよというのを先ほどの照会センターの方からそれぞれの所属へそれが来まして、所属長なり当人なりが自分がやった照会かどうかということを確認するという仕組みにしております。
  46. 桑原豊

    桑原委員 そうしますと、今回のような場合で、そういった調査機関からの依頼に基づいてもしやられたという事実があったとすれば、事後の調査記録をきちっと点検をすれば、そういうことでやったかどうかということは明らかになるという仕組みですね。そういうふうに考えていいわけですね。
  47. 林則清

    ○林政府参考人 仕組みは今申し上げましたとおりでありますが、そういうことでいろいろな形での記録というものは残ることになっておりますが、永久に残っておるというわけではありませんで、照会状況についての記録が今おっしゃっておるような案件ときちっと特定ができた上、それが保存されておれば、だれが照会をしたのかということを特定することは可能である、技術的に。
  48. 桑原豊

    桑原委員 今調査中だということですけれども、いつごろまでその調査が行われるのか、そして、そういった体制であるならば、事後に、どういうところから来てどういうふうに答えたのだ、こういうふうなことが明らかになる仕組みになっておるようですから、私は、早急に明らかにしていただきたいということを長官にお願いしたいと思うのですが、いつごろまでに明らかになりますか。
  49. 田中節夫

    田中政府参考人 調査は現在警視庁で行っておりますので、何分にも調査でございますので、期限を切っていつまでということは申し上げることはできませんけれども大臣の御指示もございまして、早急にその結果が得られるよう警視庁で努力しているところでございます。(発言する者あり)
  50. 桑原豊

    桑原委員 今お話も出ました通信傍受との関係もございます。  さきの、神奈川県の県警で、我々はいわゆる盗聴法というふうに呼ぶのですけれども、その法案が成立した後、神奈川県警で押収品の写真をネタにして女子大生をおどした、こういう例もございました。こうした個人情報あるいは押収品や証拠品のそういう悪用といったことは、こういった個人情報の流出疑惑なども含めて非常な疑惑を思うわけでございますけれども、大変不安が募るばかりであります。  通信傍受法、いわゆる盗聴法が今月の十五日から施行されるということでございます。こういう状態ですと、まさに盗聴によって得た情報も悪用されるのではないかというふうに国民の皆さんは疑わざるを得ないと思うのです。  民主党は、本日、盗聴法の廃止法案を国会に提出したいと思います。これほどの一連の不祥事が続いて、そして不祥事の改革が叫ばれている折から、今ほど来指摘をしたようなことがもし行われているとしたら、とてもじゃないが、これ以上警察信頼してくれと言っても、とても国民の皆さんはそれに値するというふうに私は評価しないと思うのです。  そういう意味では、皆さんにそういう主張をするのは少し矛先が違いますけれども、私は、盗聴法は速やかに廃止をすべきだ、こういうふうに言わざるを得ません。  そこで、もう時間もなくなったわけですけれども、本来は刷新会議緊急提言の情報公開について私はいろいろと質問をしたかったのです。警察の閉鎖性であるとか、あるいは秘密性であるとか、あるいは刷新会議提言の中ではおごりというような表現も使っておられますけれども、そうしたことをなくしていくためには情報公開が一番大事なんだ、これは刷新会議の冒頭の議論の中で強調されております。  ですから、私は、情報を公開する、捜査に関連をするからといっていたずらに何でもかんでも伏せてしまうというやり方はおかしい、こういうことを質問したかったのですけれども、しかし身内に対しては、してはいけない、見せてはいけない、やってはいけないことをやっているのではないか、こういうふうに疑われるわけですね。そういう意味では、いわゆる身内に対しては甘いという、ある意味での警察の閉鎖性みたいなものがこういうところにもあらわれているのではないか、こういうふうに指摘せざるを得ないわけです。  そこで、今調査中だということで、いずれ明らかにされてくると思うのですけれども委員長、私は、ぜひこの問題について、閉会中審査ということで集中的に一度議論をしていただくようにお願いをしたいと思います。
  51. 増田敏男

    増田委員長 後日、理事会で協議をいたします。
  52. 桑原豊

    桑原委員 それでは、私の質問はこれで終わりますけれども、刷新会議提言というのは大変重要な示唆も含んでいますし、また私どもとすれば、極めて不十分な点も我々の側からは指摘もされますので、このことについても、今後集中的な議論をしていくということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  53. 増田敏男

    増田委員長 次に、松原仁君。
  54. 松原仁

    松原委員 私は、民主党の松原仁でございます。今回の衆議院選挙で当選をいたしまして、初めての質問でございますので、よろしくお願いをいたします。  今回、ことしの四月に施行されました地方分権の一括推進法というものは、極めて意義のあるものであるというふうに私は考えております。まさに、長い間の私たちの日本の中央集権を変えていくという大きな大きなターニングポイントにあるというふうに思っております。そして、この地方分権一括推進法は、まさに地方主権の時代の幕あけであるというだけではなく、納税者主権、英語で言いますとタックスペイヤーと言うわけでありますが、納税者主権の時代の幕あけでもあるだろうというふうに私は思っております。したがって、そういった論旨から、質問をする前にその問題意識を若干披瀝いたしたいと思っております。  私は今回の衆議院選挙で当選をしたわけでありますが、私が選出をされた東京三区というのは都市部でございまして、ニーズというか、都市部の有権者が一体何を一番政治に対して望んでいるか、こういう点があるわけであります。それはさまざまな観点にあるわけでありますが、その中で一番大きなポイントは、二つになろうかというふうに思っております。  一つは、政治における発言力という問題でありまして、それは一票の格差ということに端的にあらわされるだろうというふうに思っております。やはり東京の有権者は、政治的に自分たちは発言の上で疎外をされている、こういう認識を持っているだろうと私は肌で感じてまいりました。  もう一つが、やはり税金の配分の問題でありまして、もちろん東京という場所を中心として、首都圏もしくは都市部はさまざまな法人も集積しておりますし、経済でいわゆる日本国内のナショナルミニマムという観点から他の地域に貢献をしなければいけないというのも、一つの筋論だろうと思っておりますけれども、やはり税配分が、東京では過度に税金が集められ、それが地方に分配をされているというふうな一つの意識を、多くの東京の人間、そして都市部の人間が肌で感じているだろうというふうに私は思っております。  そういった一票の格差を是正し、また税負担の公平、平等を期するということは、簡単に言えば納税者主権を実現するということにつながっていくだろうと思っております。  ある心理学の本によりますと、大変おもしろい話でありまして、それは何かといいますと、人間が自分自身で稼いだお金を自分自身で使う場合は、これは一番真剣に使う。人の稼いだ金を人のために使うというときに人間というのは一番、いいかげんに使うと言うと語弊がありますが、やはり真剣に使わない、緊張感が失われるということであります。  さらに言うならば、二番目に真剣に使うのは、自分の金を人のために使うということでありまして、例えば、私がだれかの誕生日に自分のお金で三千円か四千円出してプレゼントを買ってあげよう、こういうときは、自分の財布からお金を出すわけですから、これまた真剣に使うわけであります。  二番目にいいかげんなのは、要するに人の金を自分のために使う。これは、一番いいかげんな、人の金を人のために使うよりは若干ましでありますが、人の金を自分のために使うときは、打ち出の小づちから金がどんどん出てくるということになれば、これはやはり緊張感のないお金の使い方をする、こういうことになるわけでありまして、納税者主権という問題は、やはり自分の金を自分で使うという緊張感、そういうものを政治家が持つ、また行政が持つということが大事なのではないかなというふうに私は思っております。  今言った、自分の金を自分のために使うというのは個人個人における一つの物の考え方でありますが、それを組織に当てはめるとどうなるかというと、簡単でありまして、自分自身の組織で稼いだ金を自分自身の組織で使うというときに組織は一番真剣に金を使う、そして人の組織、自分ではない組織の稼いだ金を自分の組織のために使うというときは、それに比べると、残念ながらお金の使い方はやはりむだが多くなるということをそのまま示唆することになるだろうと思っております。  納税者主権、アズ・ア・タックスペイヤーというふうな言葉もありますが、納税者主権でいわゆる新しい政治、行政のあり方考えるということは、今言ったようなことを考えると、それはすなわち、地方における財政自主権の確立というものと密接に絡みついているわけでありまして、交付金もしくは補助金という形、もちろんそれはそれで歴史的な経緯もありますし、尊重される部分もあると思いますけれども基本は、地方自治体は自主財源で運営をするという方向に持っていかなければいけないということになろうかと思っております。  そして、納税者主権、財政自主権の確立は、同時に、受益と負担対応関係の明確化というふうに表現することができるのではないだろうかと私は思っておりまして、受益と負担対応関係の明確化をするということが、やはりそういった意味で財政自主権の確立と密接に結びついてくるだろうと思っております。  どちらにしても、納税者主権の時代の大きな幕あけが、ことしの四月に施行された地方分権の一括推進法によって扉が開かれたわけでありますが、次には財政の移管というものが出てくるだろうということになります。  私は、大学におきましては経営史というものを学んでおりました。経営史においてさまざまなアメリカの企業等を研究してきたわけでありますが、この研究の結果、アメリカのある経済学者は、創造的破壊という言葉を使っております。シュンペーターという経済学者は、創造的破壊を行わない組織、創造的破壊を行わない会社は長い間のアメリカの経営の中で脱落をしていったということを、たくさんのアメリカの企業を研究した結果、明らかにしたわけであります。  企業において、三十年、四十年、五十年、同じような長い歴史を持つ経営のあり方やシステムや主体を温存していた企業は、大体創造的破壊ができないままにやがて没落をしていったということでありまして、この創造的破壊というものを私たちは今の地方行政あり方についても適用していくべき時代に入っているだろうと思っております。そして、そのことは、今日のいわゆる四十七都道府県、そしてまた三千三百の地方自治体という地方分権の主体においても創造的破壊をしていかなければいけない時代に入っているだろうというふうに思っております。  その場合の基本的な概念、基本的な考え方としては、今申し上げましたように、いわゆる財政自主権を確立し得る単位、そしていわゆる地方分権、さらに一歩進めた地方主権を担当する責任担当能力を持ち得る大きさ、さらには、いわゆる経済的な自立性を持つ大きさというものが大事になってくるだろうというふうに思っております。  現在の二層制の地方自治体のあり方についてはさまざまな議論がなされておりますが、身近な部分を身近な区市町村が行う、そして広域の部分、四つの項目があるというふうに言われておりましたが、いわゆる広域的もしくは連絡調整型、そして統一的、高度専門的な領域については、これは広域の地方自治体が行うということになっているわけであります。  私は、そういう中におきまして、我が民主党も主張しておりますけれども、今ある四十七都道府県をそれぞれけみした場合に、果たしてそれが経済の自立を持つ地域として妥当かどうかという議論があろうかと思っておりまして、そういった意味では、廃県置州というものをやはりこの地方分権一括推進法の向こうの世界においては実現をしていきたい、いくべきだろうと思っておりますし、また三千三百の地方自治体は、二百人、三百人という小さな規模のものから極めて大きなものまであるわけでありますから、この整理統合化、市町村の合併のための特例というのも今ありますけれども、この整理統合化をしていかなければいけないというふうに思っているわけであります。どちらにしても、三千三百のものをもっと少ない数のものに統合する、そして四十七都道府県も同じように少ないものにやっていく、これが必要だろうと思っております。  歴史をひもとくならば、江戸時代というのは三百年の長い歴史でございました。三百年の長い歴史に三百の藩が存在をしていたわけでありますが、江戸時代の三百年を通して、江戸幕府がいわゆる交付金や補助金を三百の藩に出したということは、私が勉強した限りにおいてはないわけでありまして、日本は、江戸時代においてはそういった地方分権ができていたわけであります。  江戸時代にできていたものは、我々は今きっと、もちろんあのときとは社会状況が違っておりますけれども、それはやりようによってできるはずでありまして、今言った、経済の活力を持つ、そしてさまざまな責任能力や財政の自主権能力を持つような新しい地方自治体の単位を今のものにかわってつくることによって、そういった自立する地方自治を目指していくべきだろうというふうに思っております。  そういう中におきまして、私は幾つかの御質問を申し上げたいというふうに思っております。  一つは、今申し上げました自治体のあり方という議論であります。  自治体のあり方につきまして、地方分権の主役、担い手は地方公共団体ということになるわけであります。この地方公共団体、これは現行では都道府県、区市町村、二層制をとっているわけであります。そしてそれは、基礎的地方公共団体、そしてまた広域的地方公共団体ということになるわけでありまして、それが相互に連携を図りながらそれぞれの役割を果たしているわけでありますが、この広域的地方公共団体である都道府県、現行四十七存在しているわけでありますが、これについて統合を行い、そして経済的な自立性を持つような、広域、活力を持つようなエリアで廃県置州のような、そういったイメージを込めて、広域的地方公共団体についてはこれから統合ということはあり得るのか、そのお考えはあるのかについての御所見をお伺いいたしたいと思います。
  55. 西田司

    西田国務大臣 いろいろなお話がありましたが、まとめると、市町村合併だけじゃなくて道州制問題も今後検討をするのか、こういうようなことに私は要約をしたわけでございますけれども、道州制についてはいろいろな御意見や提言がなされておることを承知いたしておるわけでございます。  これは、結局、現在の都道府県というものを廃止して、これにかわってより広い広域的な地方公共団体をつくっていく、こういう意味が含まれておろうか、中心だろうか、このように思っておりますが、現在の都道府県は、実態的にも、また意識の面でも、率直に申し上げて定着をしておるわけであります。直ちにこれを道州制、今市町村合併もこのような状態でありながら、道州制という問題が果たしてそこにかみ合っていくかどうかというようなことは慎重な検討を要するのではないか、こう考えております。  今後、地方分権が一層進展をし、またそれと同時に市町村合併が進んでまいりますならば、都道府県の果たす役割やそのあり方について、道州制の導入ということも視野に入れた見直しを行うべき時期が来るであろう、こういうことを私は考えておりますが、これはしかし、若干時間のかかる問題でございまして、中長期的な十分な研究を進めてまいりたい、このように考えております。
  56. 松原仁

    松原委員 積み上げというものも必要でありますから、現在の市町村における合併というものの積み上げの上にそういったものもぜひ進めていただきたい、このように思っております。  次に、身近な基礎的地方公共団体である市町村、これが力をつけていくことは必要であるということでございまして、これについては御異論がないと思いますが、現在は三千を超える市町村が存在をいたしております。市町村は、その機能において基本的に違いはないわけでありますが、余りにもそれが、大きいもの、小さいもの、さまざまなものがあるわけでありまして、それをある程度一定の規模、能力に応じたものにしていく必要があろうかというふうに思っております。  現在は、政令指定都市、これは人口百万人規模でありますが、要件としては五十万人を超えたもの、そして三十万人以上の中核市、そして新しく創設された二十万人以上の特例市、こういったものがあるわけでありますが、今回、人口二十万人以上の特例市制度をつくられた背景をお伺いいたしたいと思います。
  57. 荒井広幸

    荒井政務次官 委員が先ほど創造的破壊という言葉をお使いになりましたが、国会においてその一環として地方分権一括法を行いまして、特例市制度をつくったわけでございます。人口二十万人以上の市に一括して都市計画や環境行政等に関する権限を移譲する制度でございますけれども、これも委員の御指摘にございましたが、地域住民のニーズを迅速そして的確に把握していく、それを行政に反映させていくためには、住民に一番身近な基礎的な地方公共団体である市町村に権限を移譲していく、これを積極的に進めることが必要だ、こういう考え方でございます。  一方で、市町村は、その背景、能力、これは本当にまちまちでございますので、一律に権限を移譲することは困難でありまして、委員の御発言にもございました一定の規模、能力を有する市に一括して権限を移譲しよう、これが現実的であるということで、特例市制度が創設されたという背景がございます。
  58. 松原仁

    松原委員 二十万人ということで、二十万人が一つの新しい権限、権限だけではなくて、財源を持つ基礎的地方自治体として力を持っていくというふうにこれからの流れはなっていくと思います。  あわせまして、私は、これは別の切り口になりますが、今日、小選挙区制度が実行されているわけであります。小選挙区は全国に三百存在しておりまして、それぞれが人口が四十万人前後を一つの選挙区の単位といたしております。規模的にかんがみますと、中核市と政令指定都市、五十万人以上を政令指定都市の要件とするならば、この小選挙区の選挙区割りはその間の規模になっているわけでございます。そして、現実にそこで選挙ということが行われているわけでありまして、選挙を行うことによって、人間関係についても、その地域で一定の関係が従来の行政の枠組みと別に発生をしているのもまた事実であります。  言葉をかえて言うならば、選挙が行われることによって、全国を三百に割った小選挙区の区割りに一つの魂が入りつつあるのではないかなと私は認識をしておりまして、今荒井政務次官お話しになった二十万人というのも大きな目安でありますが、申し上げたように、四十万人前後の規模であるこの小選挙区の区割りというものが、現実の選挙ということを通して魂が入るならば、新しい基礎的自治体、さまざまな意味における責任推進能力を持つ新しい基礎的自治体として、大きな一つ現実的なものとしてそこにあり得るのではないかと思っておりますが、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  59. 西田司

    西田国務大臣 全国の三百の小選挙区を基本として、人口三十万から四十万規模の基礎的地方公共団体に再編するとの御提案についても、地域の置かれておる状況、地理的条件や住民の活動範囲の違いなどの地域の実情を考えると、一律の基準によりそうした適正規模を示したり、初めからあるべき市町村数を示すことはなかなか困難なことであるわけであります。  もっとも、昨年八月に自治省からお示しいたしました市町村の合併の推進についての指針における「合併後の人口規模等に着目した市町村合併の類型」にもあるとおり、政令指定都市、特例市との中間に位置する中核市相当の人口三十万程度が合併の一つの目標となることもあり得るだろう、こう考えておるわけでございます。
  60. 松原仁

    松原委員 今大臣の御答弁にありましたが、さまざまな歴史的な経緯があって、簡単には進まない議論でありますが、今回の小選挙区は、なかなかできないだろうというのを、切ったり張ったり、激しい外科的な手術を行って現実のものになっていることを考えれば、私は、一つの方向性として大変に参考にするべきだろうと思っております。  次に、財源の議論になります。  先ほど申し上げましたように、財政自主権の確立が極めて重要であるということを私は申し上げてまいりました。いわゆる交付金、補助金というものも歴史的な経緯がありますが、やはり自主財源を持つということがいろいろな意味で重要だということを冒頭申し上げたわけであります。その自主的財源を持つにおいて大事なことは、増税なき財源移譲というものが行われるべきだろうということであります。  時間の関係で、簡単に御質問したいと思うわけでありますが、いろいろな試算があります。私が考える試算では、地方と国、国の方が地方よりもいろいろな意味でお金が集まり、そして仕事量が逆に地方の方にあるというふうな、いろいろなことが言われているわけでございますが、そういう中で、例えば今消費税、国と地方の配分は四対一でありますが、これを三対二に変更する、さらには所得税と住民税の割合を、現在六九対三一と言われておりますが、これを五〇対五〇に変更する、こういうことによって、いわゆる増税なき地方に対する財源移譲というものが可能だろうと思いますが、このことにつきましての大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  61. 西田司

    西田国務大臣 具体的な数値を挙げての試算については、今ここで直ちにお答えを申し上げることはできませんが、国と地方税源配分見直しは、国の税源を減らして地方に移譲していくか、国民に新たな負担を願うかを考えていかなければならないと思います。現在の経済状況や国、地方を通じた非常に厳しい財政状況考えると、各方面の理解を得るには大変な努力を要するだろう、こう考えておるわけでございます。  いろいろな御提言もありますが、今後、政府税制調査会の答申で示された基本的方向に沿って、多くの関係者の御意見を伺いながら、地方税財源充実確保策を真剣に検討してまいりたい、このように考えております。
  62. 松原仁

    松原委員 最後に、公共事業における地方の裁量権というか、裁量性の拡大ということでお伺いしたいわけでありますが、今度の第二次地方分権推進計画というのが新たにまたあるわけでありますが、この中で、個別補助金から統合補助金という新しい考え方が出てきているわけであります。  しかしながら、現在、この中を見ますと、いわゆる措置をされたものに関して言うならば、統合補助金化されたものに関して言うならば、補助金全体の中において試算をいたしますと、約一割程度にとどまっているということでありまして、このような公共事業に係る地方団体への補助金全体に対しての統合補助金はまだ不十分であり、さらに統合補助金を一層拡充していくべきと思いますが、御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  63. 中谷元

    中谷政務次官 平成十二年度予算で、お話のとおり、六千百十九億の統合補助金がございます。全体の一一%ということでございますが、今後、地方自治体の自主性や自立性を高めるものでありまして、中央省庁改革基本法や第二次地方分権推進計画を踏まえて、対象事業の一層の拡充を図っていく必要があると認識をいたしております。
  64. 松原仁

    松原委員 どうもありがとうございました。
  65. 増田敏男

    増田委員長 次に、河村たかし君。
  66. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしでございます。五分でございますので短いですが、お願いします。  去年の八月に、とにかく日本史上最悪の法律、全国民に番号をつけるというとんでもないことをやられた。それも、自治省はパンフレットでうそばかりついて、国民をだまして法律をつくった。四情報だというのを、これも全くうそだ。また一つとんでもないうそがわかった。そういうことで、それを明らかにしたいと思います。  まず、七月四日、五日に第二回全国担当者説明会をやって、そこで、この使う線について、専用回線だということをパンフレットにも書いてありますし、国会答弁でもはっきりしております。それにもかかわらず、このIP—VPN、いわゆる仮想専用回線を使うということを言っておられたが、それは明らかにうそではないのか。国会答弁の軽視も甚だしい。何をやっておるのか、自治省は。どうですか、大臣
  67. 荒井広幸

    荒井政務次官 委員の御指摘でございますが、これまでも自治省はうそをというようなことはございません。  今御指摘のIP—VPNにつきましてでございますが、この基本設計について、今、指定情報処理機関であります地方自治情報センターにおいて作業を進めております。その中で御指摘の説明会がございまして、検討状況を報告させていただきました。  現在、基本設計の内容はまだ確定しておりませんが、先ほど御指摘がありました学識経験者等の意見を聴取しながら検討する、その地方自治情報センターには技術評価委員会がございまして、この中で、全国ネットワークにはIP—VPNを採用する方向と聞いております。  なお、IP—VPNにつきましては、さまざまなものがありまして、理論的に他回線と離れますので、専用回線を使用する、専用回線であるというふうに聞いております。
  68. 河村たかし

    ○河村(た)委員 とんでもないうそを言って。IP—VPNというのは仮想であって、本当の専用線というのは、その間一つの専用室みたいなもので、ほかに使う場合がない場合、あけてあるんですよ。これは違うのですよ。こんなうそを言っておっていいのですか、あなたたち。  それで、これはどうするのですか。このままやるのですか、これを。今度、何日かしらに説明会があるらしいけれども、それはこの線を使うといって進めるのですか。
  69. 荒井広幸

    荒井政務次官 ただいまお話がございましたけれども、これは確実に、現実的にといいますか、あるいは実効的にこれは専用回線でございまして、地方自治情報センターにおいて採用を検討しているわけでございますけれども、まさに今までの委員を初めとしての国会の論議を踏まえたものでこれを検討している、こういうことでございます。
  70. 河村たかし

    ○河村(た)委員 とんでもない話ですね。  内部資料によりますと、「全国ネットワークを構成する専用回線は、高いセキュリティーを保持しつつ経費圧縮の観点から、IP—VPNとします。」こう言っておるわけですよ。専用回線を使うところを、金がかかるからこっちにすると言っておるわけだ。違うんじゃないのか、それは。そんなことでいいのですか、これは。  それこそ、今、ある自治体でも住民のプライバシーが守れるかという大問題になっておりますけれども、その自治体の指摘するとおりだ。こんな皆さんに国民のプライバシーを守ることはできぬのだよ、これは。  とにかく、ここの経緯を全部明らかにする書類と、こんなインチキを言ったんだから、やめてくださいよ、大臣。これは全国の国民のことですよ、あなた。そんなものが一般の公衆回線の中に流れるんだ、全部、本籍地がどこだとかここだとかいうのが。うそを言ったって、本当にあなた、荒井さん、専用回線でなかったら責任とれますか。とりますか、本当に。
  71. 荒井広幸

    荒井政務次官 これは、国内外含めまして、技術的にもまさに専用回線、そういう範疇に入るものでございます。
  72. 河村たかし

    ○河村(た)委員 仮想専用回線というんですよ。  じゃ、その線の中にほかのデータが流れるか流れないか答えてくださいよ、その線の中に。
  73. 荒井広幸

    荒井政務次官 これはまさに専用回線でございまして、国会で御論議をいただいたその情報しか流れない、こういうことでございます。
  74. 河村たかし

    ○河村(た)委員 うそだ、これは。責任とってくださいよ、もし違ってたら、大臣も。いいですか。一言答えてください、責任とると。
  75. 西田司

    西田国務大臣 私は、残念なことに、あなたほどこのことに精通をしておりませんので……(河村(た)委員「何を言っているんですか、全国民に番号をつけるのに。とんでもないことですよ」と呼ぶ)いろいろ御議論もあるようでございますが、住民基本台帳ネットワークのシステムの基本設計については、先ほどもお答えいたしたように、地方自治情報センターにおいて、法律の規定はもちろんのこと、国会での審議を踏まえた適切な検討がなされているものと私は理解をいたしておるわけでございます。
  76. 河村たかし

    ○河村(た)委員 この経緯の説明資料、それから、今はっきり言われたんだから、専用線でほかの情報は流れないと、そのところには。言われたんだから、もし違っていたら辞任してもらう。以上確認して、あと資料の提供をお願いしますよ。いいですか、委員長
  77. 中谷元

    中谷政務次官 これは、専用の交換装置がありまして、名前を言うと、フレームリレーとセルリレーという専門の装置があって、つないだところしか情報が流れない、そういう機械でございます。
  78. 河村たかし

    ○河村(た)委員 じゃ、委員長、資料要求だけ。
  79. 増田敏男

    増田委員長 発言の時間が過ぎましたので、整理をします。  資料は提出してください。それから、責任云々の話はまた別途問題ですから、何しろ資料を提供してもらう、そういうことにいたしたいと思います。まず資料提供。
  80. 河村たかし

    ○河村(た)委員 以上で終わります。
  81. 増田敏男

  82. 若松謙維

    若松委員 公明党の若松謙維です。地方行政委員会で初めて質問をいたします。  先ほど民主党の先生もおっしゃっておりましたが、地方自治あり方、これについて、自治大臣を中心に御質問させていただきます。  自治大臣は、前回たしか、野球ですと、一回ピッチャーで投げられましたが、諸般の事情ですぐベンチにおられましたけれども、二回目からの登板ということで、ぜひ今度はフルカウントしていただいて、すばらしい地方自治を築かれるように願う次第でございます。  そこで、二十一世紀地方自治体のあり方ですけれども、ちょうど私も、細川政権時代の石井自治大臣、当時のですけれども、今市町村合併という議論がございます。これも、連立与党三党として、当面千自治体に縮小して、さらにその先の三百なり、そういった流れをしいております。ちょうど七年前ですけれども、今まで市町村合併については、自治省としては、あくまでもそれは地元の問題、中立という御見解を、そのときに初めて、やはりこれからの、三千三百では多過ぎる、むだも多い、そういうことで政策転換をいたしまして、自治省としても積極的に市町村合併推進する、こんな経緯がございました。  そのためにさまざまな、いわゆるインセンティブの法改正も行われましたし、そういった一つの段階が終わって、いよいよ、ではどういう新しい形の地方自治体が築かれるのか、先ほど松原先生のお話は道州制からのお話がありましたけれども、実は道州制も新進党のときにちょうど議論がありましたけれども、では具体的に道州制をもって何をするかという議論が煮詰まらなかった経緯がございます。  いろいろなこういった地方自治体のあり方についての議論を考えると、まず二十一世紀の基礎自治体、いわゆる住民自治をつかさどる地方自治というのはどういうものなのか、明確に議論を詰めていかないと、議論があっち行ったりこっち行ったりして、しょせん市町村合併といっても何のための千なのか。そういったことで、本来の住民サービスの向上につながらない市町村合併であってはならないし、また新しい基礎自治体であってはならない、そう思うわけなんです。  そういった思いを前提に御質問するわけですけれども、現在、いわゆる都道府県、四十七都道府県がありまして、この都道府県もかなり権限も持っておりますし財源も持っております。それで、三千三百の市町村にさまざまな権限を移管したり財源を移譲したり、こんな関係にいるわけですけれども、これを私どもは、あえて呼ばせていただければ地方自治の二層制、こういう都道府県と三千三百の市町村。  ところが、こういう現在のやり方ですけれども、では、国でさまざまな政策が決まります、それが県に行って、県がいろいろな仕分けをして、埼玉の場合には九十二市町村があるわけですが、それに落とすわけです。この県を通すことによって、それだけで一カ月、二カ月、三カ月かかってしまう。ところが、御存じのように、今はスピードの時代ですし、かつIT革命とも言われますように、まさに情報技術は格段に飛躍しておりますので、かえって県が邪魔になる。こういう議論は、当然県会議員も言っておりますし、また市町村関係者も言っております。  こういう状況にかんがみて、私は、今こそ地方自治法を改正して、少なくとも基礎自治体というのは、都道府県というのはあくまでも広域行政という言い方がありますけれども、まさに基本的には現在の市町村、これが三百になるか千になるかという数の問題は別として、いずれにしても、基本的な地方住民ニーズはすべてその基礎自治体である市町村で行うべきである、また、それが今でき得る環境になっていると私は考えます。  そういった意味で考えますと、都道府県というのは、あくまでもその基礎自治体、三十万になるか五十万になるかわかりませんけれども、そこで当然他の市町村との広域行政、これの調整機能に徹する。こういった形の二十一世紀の、あくまでも基礎自治体はいわゆる市町村、これが私の場合は、私は三百ぐらいでいいと思っているんですけれども、四、五十万規模の市町村、このいわゆる基礎自治体一層制に限りなく近づく、そして現在の都道府県というのは調整機能をやる、これが新しい二十一世紀の基礎自治体のあり方ではないかと思うんですけれども、かなり主張させていただきまして、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  83. 西田司

    西田国務大臣 現在の都道府県、市町村というのは、今お話もございましたように、言葉をかえれば、二層制を基礎として地方自治制度というものができておる。ただ、ここで見落としてならないことは、この都道府県、市町村というのは国民の間に広く定着しておるということも見落としてはならない問題である。しかし、一方において世の中が非常に変化してまいりますから、新しい時代に対してどういう制度がいいのか。  今触れられました一層制というような問題もございますけれども、私は、町村合併はやらなきゃいけない、こう考えております。そうしないと、いろいろ社会情勢や産業構造や経済情勢、そういうものに対応ができない、こう思っておりますから、これはやっていかなければいけないと思います。しかし、基本的構造にかかわる問題を今ここでばんとぶつけることがよいのかどうか、これはちょっと私の判断ができないところでございます。  そこで、今後、地方分権というのが一層進んでまいりまして、また市町村合併も進んでいく、進んでいかなければならないと思っておりますが、都道府県の役割やそのあり方についての見直しを行うべき時期が来るであろう、こう私は考えております。しかし、これはかなり時間のかかる問題でございますから、中長期的な研究課題として私どもも真剣に検討したい、こう考えております。
  84. 若松謙維

    若松委員 私、昨年八月にイギリス、ロンドンの近郊の何という町でしたか、ちょっと忘れましたけれども、行ってまいりました。そして、イギリスの市町村合併を見てまいりました。  特に、イギリスの場合には、日本で言う基礎自治体、市町村に相当するものが数百あるわけです。その上にカウンティーという、それがあるところとないところとありまして、いわゆるイギリスの地方自治制というのは一・五層制ぐらいなんですね。一・三ぐらいですかね。なぜそれができるかというと、イギリスは、御存じのように、日本と同じぐらい土地が狭くて、島国ですから、基礎自治体と中央政府がある意味で一体になっている。その調整を、あちらで言うカウンティーというのですか、そういったところが機能している。そのカウンティーの機能は〇・三から〇・五ぐらい。  これは、実はサッチャー時代にかなり地方自治体の改革を行いまして、それでいろいろな試行錯誤をいたしました。ですから、イギリスではそういった試行錯誤をした上での現在の自治体という姿があるのですね。ただ、やはり結論としては、いわゆる日本で言う都道府県的な、あちらで言うカウンティー的なものはあくまでも調整機能、そういった一つの結論に至っております。  では、アメリカはどうなのかということですが、アメリカはまさに国土が広くて、住民がいるところに自治がある、そこからどんどん広がっていく、そういう感じですので、日本にはほとんど参考にならない。  ただ、一つ言えることは、アメリカもイギリスも、いわゆるIT化というのですか、まさに情報化によりまして、特に私が非常に感じたのは、介護保険がことしの四月から始まりましたよね。これからの介護保険というと、今までは地方自治体、いわゆる市町村が介護プランを立てて、それで業者に丸投げして、業者がやったことを確認すればそれでお金を払う、非常に簡潔だったわけですけれども、これからは、既にケアマネジャーがいて、ケアマネジャーが要介護者に、あるサービスはこの業者、あるサービスはこの業者と。今度、業者側からすれば、介護するそれぞれに関係する保険、政府管掌とか健保組合とか、そういったところに請求事務を行う。物すごい事務なんですよ。  その事務は、ではどうやっているかというと、いわゆるMOとかというフロッピーの小さいものですね、そこに入れて、メールでの請求事務をやらないととても間に合わない。そこに実は県が入りまして、県がその調整機能をやったんですけれども、かえってそれが邪魔になったという例があるのですね。  いわゆるIT革命というのは、とりもなおさず管理費の削減ですから、いかに中央の一つの決まった国の政策を住民におろしていくか、また住民のニーズをいかに国としては吸い上げるか、これは基本的にはストレートな関係がいいわけですよ、IT時代には。そうすると、都道府県という機能は限りなく少ない、また、そうしなければIT時代に逆行するということなんですね。  そういうことを考えますと、大臣ぜひ御理解いただきたいのですけれどもIT時代にふさわしい都道府県というと、今定着しておりますけれども、実は弊害もふえている。そういったことを考えると、やはりこれからの二十一世紀の基礎自治体、あくまでも市町村基本的にその市町村でできる——ちょうど私のいるところが上尾市二十一万人、増田先生のところの熊谷市が十六万人、これでもちょっと不十分だなという感じがするのです。そうすると、三十万から五十万人、そして全国で割ると大体三百自治体におさまるのかな。これが基礎自治体になって、都道府県はあくまでも調整機能、こんなイメージなんですけれども、どうでしょうか。御理解いただけますでしょうか。
  85. 中谷元

    中谷政務次官 今介護保険の例をお話しされましたけれどもITというのはまさに情報の流通革命だと思いますね。お話しのとおり、中央と地方が結びつき、余計なものが介在しない方がいいと思います。省内では、七月二十六日に、地域IT推進本部をつくって検討しておりまして、地方公共団体相互を結ぶ総合行政ネットワークを構築して、それを国のネットワークと接続する、それによって地方の情報交流がより活発に行われるようにいたしております。  インターネットというのは、まさに個と個が結びつくという発想でございますので、お話しのとおり、IT化が進展すれば、都道府県においても簡素で効率的な体制の整備に資するものになろうかというふうに私も予想いたしておりますので、さらにITの研究整備を進めてまいりたいというふうに思います。
  86. 若松謙維

    若松委員 自治大臣にさらに御意見をいただきたいのですけれども、実は先月も私はワシントンDCへ行ってきました。それで、連邦政府もWEBGOVという一つのポータル、連邦政府がさまざまなITによる行政のサービス提供をしております。  日本の情報公開というようなものじゃなくて、例えば納税申告書も、いわゆるIRSですか、国税庁にインターネットでアクセスすれば、そこで一〇四〇というフォームを入手して、自分のコンピューターにダウンロードして、自宅で申告をしてファイルする、申告する。これは実は、アメリカの国民の一割、二千四百六十万人が既に利用されているということなんです。ちょうどことしは、秋に十年に一回の日本で言う国勢調査が行われますけれども、大体一億人ぐらいがインターネットで国勢調査に参加する、こういう状況なんですね。  ところが、各省庁いろいろなサービスを国民に提供しているわけですけれども国民にとっては、何々省とか、いわゆる市だとか都道府県に関係なく、先ほど政務次官がおっしゃったように、やはり直の関係ができているのですね。そういう時代になっているわけで、そのために連邦政府はどうしたかというと、さっきのWEBGOVという、連邦のすべての行政のツーウエーの、ITの情報提供なり、また行政サービス提供、これをすべて入り口を一本化しまして、WEBGOVというものです。これは、たしかことしの十月ぐらいから実施されるようですけれども、そこに国民がアクセスすれば、今度は連邦政府としての検索エンジンがありますから、必要な行政サービスを入手できる、こんな状況になっております。そうすると、都道府県も市町村関係なくなる、そういう時代なんです。  IT革命というのは、先ほどの、いかに国民と当事者とを一本化するかという話と同時に、縦割りとか市町村、都道府県、そういう垣根をなくすということも非常に重要な役割なんですね。ですから、そういう時代だからこそ、これは早急に、やはり日本の強い行政組織というものを再構築するためには、これは私は早急に結論を出さなければいけない、そう認識するわけですけれども、再度西田大臣のお考えをお伺いします。
  87. 西田司

    西田国務大臣 私も若いときから地方の行政をやってまいりました。その中から私が学び取ったことは、やはり一番大切なことは、住民に身近なところで、いろいろなコミュニティーを挟みながらやっていく、それをどのように行政事務の間で整理整とんをしていくかということだと思うんです。これはちょっとあなたの御質問とは違うんですけれども。そういうことの中から市町村合併という問題を進め、本当に効率的に、機能的に、そして住民と本当にお互いの意思疎通を図って吸い上げていく、そういうものをつくることが当面の課題かな、こう考えております。  ただ、IT、情報技術時代、こう言われておりますけれども、人間が生きていくためには、そういう技術的なこと、機械的なことよりも、もう一つやはり人間の触れ合いというものもまた欠かすことのできない大切なことではないのかな、こういうことを私は考えております。お話しになったことは非常に私も勉強になりましたので、今後ひとつ検討をさせていただきたい、このように考えております。
  88. 若松謙維

    若松委員 基礎自治体、あくまでも住民自治の強化向上、さらにIT時代というまた大きな波があります。津波と英語にもなっている。ですから、それもぜひ把握した上でのこれからの地方自治あり方というものをさらに進めていただきたい。当然与党側としても検討しますので、またこれは引き続き議論させていただきたいと思っております。  もう一つは、これも自治大臣にお伺いしますけれども、現在の地方財政が、景気回復のおくれでその悪化が一層深刻化しているというのも、これは御案内のとおりだと思います。特に、今回の東京都に見られたような外形標準課税の導入ですか、これから行われるわけですけれども、これは、地方分権一括法による地方税改正がちょうどことしの四月一日以降施行になっております。まさにこういった動きこそがこれからの自治体の財政改善に重要と考えますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  89. 西田司

    西田国務大臣 地方財政の厳しさはたびたび申し上げておるとおりでございまして、非常に重大な状態だと考えております。  そこで、御質問の東京都の外形標準課税についてでありますが、これは東京都も、極めて厳しい地方財政の現状を背景として、地方分権観点から一つの試みといいますか、そういうことをやられた。このことに対して私はどうだこうだと言おうとは思っておりませんが、ただし、このあり方についても幾つかの問題点がある、こう私は認識をしておるわけでございます。  地方分権一括法によって創設された法定外目的税等については、各地方団体においてさまざまな検討がなされておると聞いております。具体的な相談はまだないところでございます。今後、各団体において、地域の実情を踏まえ幅広く活用されることを期待いたしております。  いずれにしても、地方財政健全化のため地方税充実確保重要課題であり、自治省といたしましても必要な助言を行ってまいりたい、こういう考え方を持っております。
  90. 若松謙維

    若松委員 これも私の考え方を述べて終わりにしたいんですけれども、先ほども統合補助金というお話が出ました。それで、後はもう地方でやってくれ、恐らく交付税も、やはり今の国家財政考えますと、少なくとも増加はあり得ないと思います。そうすると、もう地方財源は決まる。そうしますと、後はもう足りない部分は地元で検討してもらう。ですから、地方税はこれからの例えば知事選なり、もしかしたら市町村でも焦点になる。何でもかんでも足りないお金は陳情して国にお任せして、お金のことは選挙に関係ない、こういう時代はもう終わるべきだし、だからこそ、やはり地方税というのは地方住民も巻き込んだ議論をしなければいけない。そうしなければ、日本の財政赤字というのは膨らむばかりだと思うんですよ。恐らく同じ認識だと思うんですね。  ですから、そういった観点から、私は、地方税というのはあくまでもどんどん地方で議論していただいて、ある意味でどんどん導入してもらう、またそういう認識でこれからも自治省としてひとつ温かく見守っていただきたい、そういう主張をさせていただきます。  そこで、今度は警察刷新に関する緊急提言の内容に入りますが、ぱっと読ませていただきまして、大変日本の有力な方々の御意見の要約でございます。結論として、この緊急提言に織り込まれている項目で、どういったところがこれからの警察法改正に反映されるのか、それについて簡潔にお願いします。
  91. 石川重明

    石川政府参考人 委員既に御案内でございますが、さきに廃案になりました警察法改正案におきましては、公安委員会の監察に関する指示、あるいは懲戒事由に係る事案の警察本部長の報告義務というような規定等を設けまして、公安委員会警察に対する管理機能の強化を図るということにいたしておったところでございます。  今回の刷新会議緊急提言におきましては、このほかに、警察職員職務執行について国民からの苦情というものがあるわけでありますが、そういうものを誠実に受け付けることを制度化すべきではないか、それを幹部の監督のもとに適切に処理することが重要である、不適切な職務執行が明らかになった場合には監察制度によってこれを確実に是正していくことが大切であるということが述べられているわけでございまして、苦情申し出を公安委員会に集約するシステムを確立すべきである、あるいは監察の遂行状況というものを機動的に確認をする監察管理委員、これも仮称でございますが、こういう制度、あるいは当該確認を行うための調査を補助する監察調査官の制度が必要なんじゃないかといったようなことが提言をされたところでございます。  こうした仕組みによりまして、公安委員会への情報が集約をされ、公安委員会の監察点検機能の強化が図られ、さきに廃案となりました警察法改正案で規定をいたしておりました公安委員会の監察に関する指示権というものがさらに実効的に機能することになるのではないか、こういう観点であろうと思います。  そこで、こうした問題につきまして、いかなる内容を法律事項としてどういう形で盛り込むかということを今検討しておるところでございます。
  92. 若松謙維

    若松委員 これは与党でもこれから議論するわけですけれども、ちょうど私の選挙区内に桶川市という、ストーカー事件のちょうど本拠地がございます。ことしの四月、その担当課長が首になりましたけれども、実は私も選挙ポスターを破られたり、ひどい状況地域なんですね。それを被疑者不定で告訴しましたけれども、実はその人が課長さんなので何もしてくれなかった。私も被害者だったんですね。  そんなことで、警察のキャリアをいろいろなところで使っているわけですけれども、やはり不適材不適所という面が多々あるので、これはこれからも議論しますけれども、非常にこれは重要な事項なので、非常に気を引き締めて、特に国家公安委員長西田委員長も重要な関心を持って、引き続きこの緊急提言を含めたこれからの警察法改正についてお願いしたいと思っております。これは要望だけで結構です。  それで、いよいよ最後になりますけれども、これは余り取り上げられない問題なんですけれども、この際少し時間をいただいてと思います。  いわゆる安全標識というのがございますね。ちょうど九五年ですけれども、大宮、私の隣の市で小学生が、ちょうど安全標識がありまして、根元が腐っていまして、ちょっとぶら下がったらそれが倒れちゃって亡くなられたんですね。それとか、ちょうど去年が首都高で高速道路のふたがぼんと飛び上がっちゃった、こんなこともありまして、安全関係のものが結構置き去りにされている。  当然、道路の新設という面もありまして新しい施設がどんどんふえているわけですけれども、では既存のメンテナンスはどうなのかというところで、ちょっと資料がありますので……(パネルを示す)これはそうでもないのですけれども平成元年から五年ぐらいの間にやった、根元がちょっとさびていますよね。これが、もっとひどいのになりますと、こういうほとんどさびっ放し、さびの人生の方もいらっしゃいますけれども。こんな状況から、これも同じですけれども、もうここら辺になると、ちょっとした圧力ですぐ折れちゃうんですね。こういう総点検をやりますと、結構危ない、安全標識が実は危険標識になっている。  そういった面で、これは警察庁ですね、そういった点からの見直しも含めて、しっかりとした措置をとるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
  93. 坂東自朗

    坂東政府参考人 道路標識等は、委員指摘のように、設置後におきましても、損壊あるいは滅失等によりましてその効果が損なわれないように、常に良好な状態を保つことが重要であると私どもも十分に認識しているところでございます。  このために、道路標識につきましては、定期的な点検を行いますとともに、住民からの意見を受け付けて、道路標識等の改善に役立てるための道路標識意見箱といったようなものを活用しております。あるいは、警察官の随時点検を行う、こういうことによりまして、取りかえあるいは補修等の適切な維持管理に努めているところでございます。  今後とも、委員指摘のように、この安全標識というものが危険標識といったようなことにならないように、道路標識の管理が一層適正にされるように都道府県警察指導してまいりたいと思っております。
  94. 若松謙維

    若松委員 ちょっと時間がありますので、もしわかれば、その意見箱、どのくらいの意見があるのかとあわせて、大体予算的にはどんなふうになっていますか、この安全標識のメンテナンスに関しては。わかる範囲で結構です。
  95. 坂東自朗

    坂東政府参考人 これは都道府県警察予算ということになっておりますので、都道府県によってそれぞれ額が違うと思いますけれども、いずれにいたしましても、全国の道路標識、私ども公安委員会が管理いたします道路標識等は一千百万枚ございますので、片や新しい道路等ができることにあわせて必要な規制標識を新設するとともに、必要によりまして、こういった一千百万枚の道路標識が適正な状況に保たれるように維持管理をしているというところでございます。
  96. 若松謙維

    若松委員 ちょうど埼玉的に、埼玉だけでも約四十万本あるわけですけれども、ちょっと予算は実は下がりぎみで、私としては、地元に上尾道路とか圏央道の早期開通と言いながらも、こういったメンテナンス面も、注意を怠りますと先ほどの死傷につながる事故につながりますので、ぜひこれも引き続き可能な範囲で最大の配慮をいただきまして、安全環境をさらに向上していただきたい、それを要望して質問を終わります。ありがとうございました。
  97. 増田敏男

    増田委員長 次に、菅原喜重郎君。
  98. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 自由党の菅原喜重郎でございます。  まず、警察庁の方に質問いたします。  最近の神奈川県警事件、新潟県警事件などが相次ぐことで、国民の怒りと警察不信の声は激しいものがあります。国民は、国民の生命、身体及び財産の保護という警察の役割に期待しているだけに、こういうことが起きますと、一事が万事でないとしても、この不信解消のためには、全警察にふだんの業務への再点検や信用回復への努力が求められてしかるべきであると思うのであります。  また、警察職員は、単に犯罪を取り締まるだけでなく、犯罪を未然に防止する責務を持っているわけでありますが、私は支持者から、幾つかの警察にまつわる相談を受けている事例があります。きょうはその内容について具体的には触れませんが、集約して申し上げますと、民事不介入についての先入観が警察の腰を重くして、被害者を一層窮地に追い込んでしまうということであります。  もとより、警察警察職員の多くは、本来の使命に燃えて職責に専念している方々が大勢を占めているわけでありまして、不祥事や不適切な行為に属するのは極めて少数だと認識いたしております。  さて、それで、今申し上げましたことを念頭に置いてお尋ねするわけですが、三月九日の国家公安委員会において、警察行政の刷新に関して警察刷新会議の発足を求めることとされ、三月二十三日の第一回会議から十一回の会議を経て、七月十三日に警察刷新に関する緊急提言がなされました。国家公安委員会並びに警察庁としては、これを受けて、今後どのように刷新を図るのか、私もお伺いをいたします。
  99. 西田司

    西田国務大臣 良好な治安国家社会発展基盤でございます。良好な治安を維持し、国民が安全で安心して暮らせる社会を実現させるためには、警察に対する国民信頼が不可欠であります。  去る七月十三日、御指摘警察刷新会議から警察刷新に関する緊急提言が提出されたところであります。いただいた御提言につきましては、これを重く受けとめまして、関係各方面の御意見も踏まえつつ、国家公安委員会及び警察庁において十分に検討を進める考えであります。警察法改正など警察改革案の速やかな具体化に取り組み国民信頼が回復できるよう、全力を尽くしてまいる考えであります。
  100. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘警察刷新会議の緊急の提言をいただきました。そこにおきましては、大切なことは、警察が受け身にならず、みずから改革案を提示できるだけの自発性と意欲を持ち続けることが大事だということで結ばれております。  私どもといたしましては、ただいま大臣の御答弁がございましたけれども国家公安委員会の御指導のもとに、警察庁におきまして、今回の提言を契機といたしまして、時代の変化をしっかりと見据え、改革に積極果敢に取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございまして、提言に盛り込まれた事項はもとよりでございますけれども、それに加えまして、私どもといたしましても改善案を示してまいりたいというふうに思っております。そして、国民信頼を獲得できる警察であると同時に、先ほど第一線の警察職員の気持ちに触れられましたお話がございましたけれども、第一線の職員がやはり自信と誇りが持てる警察、そういうことも目指して改革案を示してまいりたいと考えているところでございます。
  101. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私も、今申し上げましたようないろいろな事例の相談を受けておりますので、また、このことにつきましては後ほど質問させていただきまして、次に、厚生省の方に質問申し上げます。  医療法に定める人員を著しく下回る保険医療機関の取り扱いについてなのですが、平成十二年四月の診療報酬の改定において、厚生大臣の定める入院患者数の基準及び入院環境料等の算定方法、これは平成六年三月十六日厚生省告示第六十五号に基づく医療法に定める人員標準を満たさない医療機関について、入院時医学管理料、看護料の減額が強化されました。また、平成十一年四月からは、医師充足率が六〇%以下の医療機関に対して新たに適用されることとなったところであります。  これによって地域医療の切り捨てにつながる懸念が出ているわけですが、例を岩手県にとりますと、岩手県の自治体立病院は、県立病院二十七、市町村立病院十二病院を有し、他の医療機関との連携のもと、地域医療の確保のため、地元医科大学や東北大学医学部を初めとする関係大学との連携を強化しながら医師確保に努めているところではありますが、それは全く厳しい現状にあります。岩手県の医師数は、人口十万人当たりを見ても全国平均を下回っており、特に都市部を除いた病院においては、地域の民間診療所が少ないため、病院への外来患者が集中し、その結果、依然として医師不足が続いている状況であります。平成十一年四月から実施された減額措置は、事業経営に大きな影響を与えることが必至であり、大変憂慮しております。  ついては、自治体病院の使命である地域住民の医療確保及び地域の実情に応じた健全な事業経営を確保する立場から、当該取り扱いの緩和措置を速やかに講じるべきであると考えるところですが、このことについて関係省庁の見解を伺います。     〔委員長退席、滝委員長代理着席〕
  102. 辻哲夫

    ○辻政府参考人 医療法で医師等につきまして、御指摘のように備えるべき標準人員というものが決められておりますが、これを満たさないいわゆる標欠の保険医療機関につきましては、適正な医療サービスを十分に提供する体制にない、基本的にこういう認識に立っております。そしてまた、近年、病院の医療水準といいますか、病院の医療の水準の確保ということは非常に重要な課題になっております。  こういう中で、診療報酬サイドとしまして、その標準を割った場合に一定の減額をさせていただくということでございますが、御指摘のとおり、これまでその標準を五割以下にまで割っているという場合には一五%減額としておりましたものを、六割以下の場合まで減額の対象を広げまして一二%減額としたような見直しをさせていただいたのは事実でございます。  しかしながら、こうした減額措置というのは、過疎地、山村、離島等におきましては医師等の確保が困難であるといった特別の事情を考慮しなければなりません。そういうことから、医師のみ今言ったような不足がある場合は三%だけ減額させていただく、こういった配慮を講じておるところでございます。岩手県の場合、わずかにそういう標欠の病院があるわけでございますけれども、すべてそういう特例措置を講じられる、三%のみの減額となっております。  そんな中で、私どもとしては、病院たる以上、一定の医療の水準が必要であるということも非常に大切でございますので、関係当局には、何とか医師の確保ということにつきましてお願いさせていただいておるところでございます。
  103. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 何せ本当に医師の確保は大問題になっておりますので、こういう点にもよろしく御配慮をお願いしたい、こう申し上げまして、次の質問に移ります。  市町村あり方についてなのですが、私は、五期目の地方公共団体の長としての経験から国会議員になりまして、一貫して市町村あり方についてシティーマネジャーシステムの導入を主張してまいりました。今、地方分権制度強化拡充が求められているわけですが、このため、現在の地方公共団体をめぐるさまざまな状況から市町村の将来を考えた場合に、現在の三千三百の市町村というものが問題となり、その広域合併による再編成も進められているわけであります。  自由党としては、現在三千三百ある市町村を三百程度に目標を決め、段階的に統合するということを主張しているわけですが、この最近の市町村合併、積極的に動いてきているのではないかという感じは受けますが、現況がどうなっているのか、また、これに取り組む政府の方針について、これはどうなっているのか、まずお伺いします。
  104. 中川浩明

    中川政府参考人 最近の市町村合併状況につきましてお答えをいたします。  市町村合併につきましては、昨年の四月に兵庫県の四町が合併いたしました篠山市がございますが、その後、合併に向けての多くの動きがございます。昨年七月の合併特例法の改正後について見ますと、茨城県、埼玉県、東京都、新潟県、山梨県、香川県、福岡県、長崎県の各都県におきまして新たに十の合併協議会が設置をされておりますし、さらに兵庫県におきましても合併協議会が設置される予定と聞いております。また、住民発議につきましても、香川県等で署名収集等も行われていると聞いているところでございます。このほか、平成七年の、前回の市町村合併特例法改正後に新聞などで報道されました合併の動きがある地域は、全国で百八十六に及んでいると聞いております。  このような中から、昨年十二月に法定協議会が設置されました新潟県の新潟市と黒埼町につきましては来年の一月一日に合併することが既に決定されておりますし、また昨年八月に協議会が設置されました茨城県の牛堀町、潮来町につきましても来年の四月一日に合併する旨の協定が締結されたところでございまして、市町村合併の機運は、徐々にではございますが、全国的に盛り上がりつつあるものと考えております。  政府といたしましては、都道府県と協力態勢をとりながら、いろいろな面において市町村合併推進に現在努力をいたしているところでございます。
  105. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この地方分権時代にふさわしい地方自治体行政の整備、それは今後とも積極的に合併を進めるべきだと思うのです。しかし、現在の地方自治行政、その制度のままこういう合併をし、そこに権限とお金を移譲していっても、実は政治の刷新というものはなかなか出てこない。むしろ、中央の腐敗しがちな体制を地方に分散していく傾向にあると私は警告を続けてきているわけでございます。  御承知のように、現在、市町村長、市長は企画立案権、予算編成権を持ちまして、議会にそれを諮ります。議会の承認を受けますと、それが企画立案権者に返ってきまして、密室の執行もできるような権限です。ですから、これが安易に腐敗の温床となってしまってくる実態でもあるわけです。  そこで、私は、これはアメリカに行きましてシティーマネジャーシステムを見まして、やはり企画立案権と執行権の分離を図らないと根本的な日本の政治の改革は出てこない、そういうことで主張してきたわけでございます。当然、このことを問題にして何回も自治大臣質問してきましたが、これは地方自治制度の根幹にかかわる問題だからなんというような答弁をもらってきたわけですよ。しかし、今までの答弁は今までの役人の不勉強なので、アメリカの民主主義制度が導入しているのが、何がこの日本で地方自治制度の根幹にかかわる問題だか。  当然、地方自主権というものは、市町村長が政策を掲げて選挙に当選しますから、その政策実現を保障する権限がないといかぬわけです。しかし、これは何も金執行権、いわゆる事業の執行権まで持たせなくても、企画立案権、予算編成権で十分だと私は考えているわけです。現実に、現在現金の取り扱いについては、保管権は収入役が持って分離しているのですから、何も、金そのものの執行を分離するといわゆる地方自治の本旨である公約した市長の政策実現が阻害される、そんなことはないと思うんですよ。  ですから、このような質問をしてきました結果が、地方制度調査会平成元年十二月六日提出の小規模町村のあり方についての答申がなされました。「小規模町村の行政運営の体制」ということでいろいろ、時間がなくなってきましたから、それではこれをちょっと読ませていただきます。「組織形態の簡素効率化と補完・代行 市町村組織について、地域の実態にあわせ、組織形態の簡素効率化が行えるよう、その多様化を図る必要がある。また、効率的な行政サービスの維持改善を図るため、他の行政主体による補完・代行が必要と考えられる。このため、次の措置等を講ずべきである。」として、「エ その他」として「支配人制の導入等の基本的な組織形態のあり方、事務配分の特例についても、今後、検討する。」こういう答申がなされているわけですが、これがその後、全然手がつけられていないわけです。  私は、このシティーマネジャーには、アメリカでは大学に部がありまして育てておりますが、日本では官僚が十分に育っていますから、ひとつこのシティーマネジャー制度の日本版の導入について大臣の意見を、今までどおり地方行政の根幹にかかわる問題だと言うことのないような前向きの答弁をお願いして、質問を終わりたいと思います。     〔滝委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 西田司

    西田国務大臣 実行の段階に入ってまいりました地方分権を具体化していくためには、地方公共団体の行政体制の整備、確立は極めて重要な課題であります。市町村組織についても、地域の実態に合わせた組織形態の簡素効率化を行えるよう、その多様化を図っていく必要があると私は考えております。特に、地理的、地形的諸条件が厳しい小規模町村にあっては、少子高齢化等に伴い行政需要が高度化することが見込まれる一方で、行財政基盤が十分でなく、住民ニーズに対応することがなかなか困難となる等の課題があると考えられるわけであります。  御提案になったシティーマネジャー制の導入の問題でありますが、このことも含めて、基礎的地方公共団体としての組織運営等の行政のあり方について、市町村の行政制度の根幹にかかわる重要な問題として、今後も幅広い観点から検討をしていく必要があると私も認識いたしております。
  107. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 終わります。
  108. 増田敏男

    増田委員長 次に、春名直章君。
  109. 春名直章

    春名委員 日本共産党の春名直章です。きょうは警察問題に絞ってやりますので、国家公安委員長警察庁長官にお伺いしたいと思います。  神奈川、新潟、埼玉、栃木等々、一連の警察による不祥事が続発をして、当委員会でも私も繰り返しただしてまいりました。それで、国家公安委員長も新しくなられましたので、改めて御認識を問うていきたいと思うんですね。  この間の国会の警察問題の質疑も振り返って、今問題点として改革の手をつけなければならない分野として何があるのか。例えば、監察制度の問題、国家公安委員会制度の問題等々の指摘もありましたけれども、国家公安委員長警察庁長官の言葉で語っていただきたいのですが、今問題としてどういう事項考えられるのか、どうしたらよいと思っておられるのか、そこの率直な感想をそれぞれからお聞きしておきたいと思います。まず国家公安委員長、どうぞ。
  110. 西田司

    西田国務大臣 たびたび繰り返して申し上げておりますが、良好な治安国家社会発展基盤であるわけであります。良好な治安を維持し、国民が本当に安心して暮らせる社会を実現するためには、警察に対する国民信頼が不可欠であると私は考えております。国家公安委員会及び警察庁におきましても、警察刷新会議からいただきました緊急提言を重く受けとめ、関係方面の御意見を踏まえつつ、十分に検討を進める考えであります。警察改革案の速やかな具体化に取り組んでまいりまして、繰り返しますけれども国民信頼を早急に回復していく、このことに全力を尽くしていく考えであります。
  111. 田中節夫

    田中政府参考人 今委員指摘のように、警察刷新会議緊急提言がなされました。私どもは、これを組織全体として真剣に受けとめて実現していくことはもとよりでございますけれども、そこで指摘されました情報公開の問題あるいは苦情を言いやすい警察、さらには監察の強化の問題、公安委員会活性化の問題、それから住民からの困り事相談に対する対応の問題、さらには警察職員職員としての個人責任の徹底の問題、それからまた時代の変化に対応する警察、非常に多岐にわたっております。  いずれも、これからの私ども警察あり方としては欠くことのできない視点だと思いますし、私どもは、これからのありようとか、あるいは人事の問題でありますとか、あるいは組織全体の問題でありますとか、そういうことも加えまして、国家公安委員会の御指導も得ながら、早急に改革案をまとめてまいりたいというように思っております。そして、私どものみずからの意思でこういう改革案をつくるというようなことが国民皆様からもわかるような形でお示しをしたい、かように考えているところでございます。
  112. 春名直章

    春名委員 続いて長官に聞きますが、警察組織と体質に問題があるということが広く指摘をされているわけですが、そういう御認識はお持ちなんですね。
  113. 田中節夫

    田中政府参考人 今回の刷新会議におきましても、十一回行われ、また二回の公聴会が行われました。十一回の議論にはすべて私参加させていただきました。  その中でやはり委員の先生方から御指摘がありましたのは、国民の切実な要望に誠実に対応しなかった、閉鎖性の問題、あるいは無謬性へのこだわり、キャリアのおごりの問題というような問題の御指摘がありました。それらにつきましては、私ども、やはり反省すべきところはしっかりと受けとめて反省しなければいけないところもございました。  そういう意味で、一連の不祥事の問題というのが、いろいろな背景がございますけれども、刷新会議で御指摘をいただいたことにつきましては、私どもは重く受けとめているところでございます。
  114. 春名直章

    春名委員 閉鎖性の問題、キャリア制度、無謬性の問題ということが緊急提言で最初の三つの問題点ということで、問題の所在というのが提起されていますね。つまり、あれは緊急提言で議論された中身の前段なわけですけれども、その御認識は警察庁長官も共有している、そういう問題がある、つまり閉鎖性と秘密性、国民の批判を受けにくい体質、こういう問題がやはりあったということを率直に分析をされているのかどうか、もう一度お聞かせいただきたい。
  115. 田中節夫

    田中政府参考人 今回の刷新会議の議論の前提となりますか、議論を始める前に、座長を初めといたします先生方の共通の問題認識として、なぜ最近の問題が起きてきたのであろうかというようなことで御議論されたわけでございます。  言葉として、無謬性へのこだわりとかあるいはおごりでありますとかというようなことにつきましては、我々としては若干、いろいろ言葉としては問題なしとはしないわけでありますけれども、しかし、指摘されるようなことにつきましては、これは、そういうことはあったというふうに受けとめなければいけないと思っています。
  116. 春名直章

    春名委員 例えば、閉鎖性や秘密性という提言がされているわけです。具体的にどういうことを指していると思われますか。
  117. 田中節夫

    田中政府参考人 例えば閉鎖性の問題でございますけれども、情報公開の問題がまず最初に取り上げられました。これにつきましては、やはり情報公開法が施行されることになっておりますし、また都道府県でも情報公開条例への取り組みがなされております。その中で、やはり警察の仕事というのは秘密の保持という大変重要な面がございますけれども、私どもがそれを理由にして、それを盾にして本来公開すべき情報も公開していないではないかというような御指摘がございました。そういうことがやはり典型的な例ではなかろうかというふうに思っております。
  118. 春名直章

    春名委員 少し横道にそれてあれですけれども、私が以前、例えば神奈川の不祥事もみ消しマニュアルを国会に提出しなさいと言ったんですよ。提出しないと言うのですよ。こういうことはこれから解決されるんですか。
  119. 田中節夫

    田中政府参考人 具体的な神奈川県警の資料の御指摘でございますが、これはいろいろ国会等でも御議論いただきましたので、私からただいま答弁を申し上げることはできませんけれども、今後、国民皆様に当然に公開すべき情報は公開していくということでございます。
  120. 春名直章

    春名委員 国家公安委員長、最初の発言が少し抽象的だったので、今長官は少し項目を追って具体的な話をされているので、国家公安委員長の御認識も聞いておきたいのですが、国家公安委員長信頼の回復が決定的に大事だということを先ほどの答弁からずっと言われている。信頼の回復をするためには具体的に何を解決しなければいけないのか、今の時点で結構ですから、国家公安委員長はどういうことを考えられているのか、提言の中身じゃなくて御本人の言葉で聞かせてください。
  121. 西田司

    西田国務大臣 七月十三日に御存じのように刷新会議から、十一回にわたる御審議の中で、今あなたが言われる問題も含めて提言を受けたところでございます。  そこで、一連の不祥事件に対しては、いろいろな背景や原因というもの、これは警察の秘密性や閉鎖性等へのこだわり、あるいはキャリアのおごり、第一線現場の規律の緩み、いろいろなことが指摘されておりますが、私も、こういう問題をやはり改革しない限りは警察に対する国民信頼というものは回復できない、このことをひとつ、国家公安委員会はもちろんですけれども警察庁と一体になってやっていこう、こういう考えでございます。
  122. 春名直章

    春名委員 その議論を踏まえて少し具体的に聞いていきますが、さきの通常国会で警察法の改正をお出しになりました。どういう趣旨でこれを出したのか、そして、なぜ一度も審議もされずにこれは廃案になったと考えるのか、出し直しということになるわけですけれども。その持っている政治的重み、どういう趣旨でこの改正を出されたのか、なぜ一度も審議もされずに廃案になったとお考えになっているのか、その点、長官の御認識を聞きたい。
  123. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、さきの通常国会におきまして政府から警察法の一部改正案をお出しいたしました。御案内のように、一度も御議論もなく廃案となったわけでございます。  この一部改正案につきましては、神奈川県警察等におきますところの不祥事案、それを踏まえまして、その防止を図るために規定の整備を図ろうとしたものでございまして、警察職員職務の執行の適正を確保するために、公安委員会警察庁及び都道府県警察に対する監察の指示でありますとか、あるいは警察職員の法令違反等の報告の聴取、さらには委員の再任の制限等に関する規定を設けたものでございます。  この一部改正法案がなぜ審議未了となったかという御質問でございますけれども、この一部改正案をお出ししておるその後に、新潟県の問題でありますとか、あるいは各県におきます桶川事件の問題でありますとかいういろいろな問題が出ました。そのようないろいろな警察に係る不祥事案につきまして、その一部改正法案で十分でないのではないか、こういうような御意見がさまざまな方面から出てまいりました。そういうような背景、御意見もございまして国会では御議論がなされなかったというふうに思っております。  また、警察刷新会議もできましたので、そこで改めて警察の現状、問題点、取り組みについてきちっと提言をいただいてからの方がいいのではないか、こういうような御議論もございました。そういうことで、この一部改正案は、直ちに国会で御判断いただくということについては無理があるというようなことで、国会においてもそういうような御意見で廃案となったというふうに私ども考えておるところでございます。
  124. 春名直章

    春名委員 さらにその上に立って具体的に聞きますが、今おっしゃったように、神奈川県警不祥事を受けて出したのが警察法の改正案で、そのかなめは、国家公安委員会が個別に監察の指示を出せるようにするということが大きかったと思うんですね。しかし、それでは新潟の問題等々の問題に十分こたえることにならない、そういう御意見があってこういう事態になったということを今おっしゃったと思うんですね。  それで、新潟の教訓というのをどういうふうに受けとめるのかということが、そういう流れからいっても極めて大事なわけですね。その点での御認識をちょっと私は聞いておきたいと思うんですが、最大の教訓は、身内の監察では、こういうやり方では信頼を得ることができない、それを国民が拒否したというところに重大な問題が新潟で浮き彫りになったということだと思うんですよ。そこのところをどうお考えになっているかを私聞いておきたいんです。  この新潟の不祥事案の中で、四つほど問題が出てきたと思うんですよ。  一つは、関東管区警察局長自身が、局長自身が空監察をやっていたという事実です。  第二に、そのやろうとしていた監察の中身が、神奈川の教訓を生かすための、警察庁が出してきた切り札としての特別監察であったということです。短い期間に四十七都道府県をすべて特別監察という名前で監察するんだということで派遣をされて、一月の二十八日に中田局長が行って、その特別監察がこんな事態だったという、この二重の信じられなさという問題が出てきたわけです。  第三に、この空監察をだれもいさめるどころか、ホテルの確保、マージャンの手配、新潟県警の幹部が言われるがままに接待を行ってきたということへの驚きと怒りです。こういう事態が目の当たりにされたわけですね。  そして、さらに言えば、これは直接監察とは言いませんが、小林本部長が虚偽発表を行って、警察庁は直ちに特別調査チームを新潟に派遣しました。しかし、そのときに、この小林、中田の両名の遊興の事実すらつかむことができずに、とんでもない調査報告がされました。こういう事態が赤裸々に浮き彫りになって、本当にこれでいいのかということが国民の批判となり、国会での議論になった中心だったと、だれもがこれは認めるものであります。  そうであれば、神奈川県警不祥事を受けて出したこの警察法改正案を、新潟県警不祥事によってこれをさらに改善をするということでこれからやろうとするのであれば、当然この監察の強化、とりわけ外部監察制度の仕組みの導入等々、このことについて真っ正面から国民期待にこたえる改革が必要だと私は考えます。この点での長官の認識、この監察のあり方について今どうお考えになっていますか。
  125. 田中節夫

    田中政府参考人 今委員から具体的な新潟の事案を踏まえての監察のあり方の御質問をいただきました。問題点として四点あるのではないかというお話もございました。  新潟の事案におきましては、特別監察ということで、私どもとしては、神奈川の事案を踏まえましての大きな対策の柱として行ったことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、それが十分ではなかったということも御指摘のとおりでございます。  ただ、まだその段階におきましては、お願いをしておりました警察法の改正というのがないわけでございまして、個別的指示とか監察に対する国家公安委員会等の関与につきましてはまだ明確ではありませんでしたので、新潟県の問題に対しまして、そのお願いしている法改正の条項がどのように適用され、どのように動くかということにつきましては、これはまだ議論の余地があろうかと思います。ただ、そういう新潟県の問題も踏まえまして、この刷新会議におきましては、具体的事例を挙げて議論をされたところでございます。  そして、今外部監察のお話がございました。その議論につきましてもかなり激しい議論があったことは、私どももそばにいて承知をしております。  しかし、結論といたしまして、外部監察の導入につきましては、警察組織や業務に精通している者が当たらなければ実効ある監察とはなり得ないこと、職員不祥事調査は捜査活動と密接に関連する場合が少なくないことから、警察以外の組織に行わせるのは適当でないこと、厳正な処分を行い、業務運営上の問題点の解決を図るためには、監察と人事の緊密な連携が不可欠であること、そして、個別的、具体的な監察指示権の付与等により公安委員会が第三者機関的に監察点検機能を十分に果たし得ること、すなわち、公安委員会がいわゆる外部監察的な機能と申しますか、第三者機関的な監察点検機能を果たす、それによってこの監察のあり方というものが改善されるのではないか、こういう御指摘でございました。  私どもといたしましては、この刷新会議提言というものを、警察の実情あるいは警察の今後の監察のあり方としてはまことに時宜を得た、そして私どもにとっては大変示唆のある御意見だというふうに思いまして、その方向で改革を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  126. 春名直章

    春名委員 その三つの外部監察を入れない指摘というのは、国会の論議で石川官房長等が同じことを言っていたのですよ。それがまた同じ中身で入ってくるので私は驚いているのですけれども。  自治体の監察に、例えばこの間外部監査を導入しました。その理由は、仕事に精通した人でないと監査ができないということで自治体のOB職員などで構成していたのですけれども、空出張や空監査が続出して、その批判にこたえるために外部監査を導入する以外にないという方向になったわけですね。  それで、今問題は、この新潟の教訓からも国民が注視しているのは、国民の立場に立って物を見る人が監察しなければならない、国民の立場から見る監察が必要なんだということが問題になっているのですよ。先ほどいろいろな理由を言われたけれども、そういう教訓から、神奈川から新潟までのこの流れの中で重大な教訓が今国民にも提起され、警察庁にも問われているのじゃないですか。だから、あなたは提言以外にももっと積極的にいろいろ考えてやるとおっしゃっています。その国民の批判と期待にこたえるこういう外部監察の問題について、真摯に今取り組むべきときに来ている、こういうふうに私は思うのですね。  国家公安委員長、この点、外部監察制度、この導入についてどういうお考えでしょう。長官にももう一度お聞きします。
  127. 西田司

    西田国務大臣 経過等については、警察庁長官から説明をしたとおりでございます。  私は、口癖のように言っておるのですけれども、やはり国民の強い信頼というものが警察に寄せられなければ、本当に世の中というものはやみになってしまう、その第一線に警察が立っておるのだ、だから今、監察問題とかいろいろなことがありますけれども、そういうことをひとつ刷新会議提言等、公安委員会の中でも十分に議論、検討をして、国民から信頼される警察に生まれ変わっていくようにやっていきたい、こう考えております。
  128. 田中節夫

    田中政府参考人 先ほど来、提言に盛り込まれている事項以外につきましても、みずから警察として改革の余地はあるという姿を示すために努力をしたいというふうに私は申し上げてまいりました。  具体的な問題として、今委員の方から、外部監察の問題につきましては、これは提言では外部監察は適当でないということであるけれども警察としてはどうか、こういう御趣旨の御質問だろうというふうに思いますが、私どもといたしましては、やはりこの公安委員会の第三者機関的な機能というものを十分に強化することによりまして、おっしゃるような外部監察制度ということに十分対応できるというふうに考えておるところでございます。
  129. 春名直章

    春名委員 時間が来ましたので、引き続き議論を深めたいと思います。  以上で終わります。
  130. 増田敏男

    増田委員長 次に、重野安正君。
  131. 重野安正

    重野委員 私は、社会民主党・市民連合の重野安正です。大臣の所信表明について、地方行財政基本問題を中心に幾つか質問をいたします。  まず自治大臣質問いたしますが、本年四月から新地方自治法も施行されました。地方分権推進法に規定されながら積み残されている課題は数多くあります。一方、総理は、地方分権については引き続き強力に推進するとの所信を述べられました。今後どのような具体的方策をもって推進するのか、大臣の見解を伺います。
  132. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  今回の地方分権改革は、地方分権一括法の成立によって一つの形が整ったものと理解をしておりますが、地方分権推進委員会による地方分権一括法の施行状況の十分な監視活動を確保する必要があること、及び引き続き検討を要する問題も数あると思います。地方分権推進法を一年延長したところでありますが、この間に精力的にあらゆる問題に取り組んでいきたい、こう考えております。  真の分権型社会の実現のためには、なお取り組むべき課題が多くありますので、地方分権推進委員会において精力的な御審議をいただくと同時に、自治省といたしましても、市町村合併のさらなる推進地方税財源充実確保国庫補助負担金整理合理化等、地方分権の一層の推進に積極的に取り組んでいく考えでございます。
  133. 重野安正

    重野委員 そこで伺いますが、地方分権の根幹的考え方の一つとして、推進委員会住民の自己決定権の保障を重視してきたことは御案内のとおりでありますが、これを受けて地方制度調査会住民投票制度について審議していると思うのですが、審議内容はどのようになっておりますか。
  134. 中川浩明

    中川政府参考人 第二十六次の地方制度調査会は、「自己決定・自己責任の原則を踏まえた地方分権時代の住民自治制度あり方」というテーマで現在御審議を進められております。御指摘がございました住民投票制度につきましても、この審議の中において、住民自治の充実方策一つとしてその検討対象になっておりますが、具体的には、専門小委員会におきましてこれまで二回審議が行われております。ただ、この住民投票制度につきましては検討すべき課題も多いということから、現時点において意見の集約には至っておりません。  今後、秋に予定されております答申の取りまとめに向けましてさらに議論が深められていくものと考えておりますけれども、なお多くの論点が残されておりまして、直ちに一般的な制度として制度化を図るということについては困難な面があるものと認識をいたしております。
  135. 重野安正

    重野委員 住民投票の制度化は不可欠と私は考えています。住民自治の豊富化や現行法でも規定されていることを考えれば、住民投票を自治行政に有効に機能させるために、議会の議決権、そして住民の直接請求権との調和をどう制度的に図っていくか。もって多様な住民投票を多くの自治体で積み上げるという、そのことが将来的にも大事ではないか、このように考えますが、どうでしょうか。
  136. 中川浩明

    中川政府参考人 現在、地方公共団体住民投票が実施されている例がございますが、これはあくまでも当該地方公共団体の条例によりまして行われているものでございます。  ただいま御指摘のように、このような実際行われております例を積み上げることによって、住民投票制度の是非あるいは問題点というものをより明確にすることが必要ではないか、ただいま申し上げました地方制度調査会の中でもそのような御意見が述べられているところでございまして、そういう観点からの住民投票制度というものの取り上げ方ということは十分考えられるところではないかと思っております。
  137. 重野安正

    重野委員 いずれにしましても、住民の多様な意見をどう反映させていくかという意味での住民投票制度というものは十分に検討に値する命題である、その検討も実際に実効を上げるような形に至る検討でなければならぬ、私はこういうことを強調しておきたいと思います。  そこで、住民投票との関連でもう一点質問します。  先月の二十四日、大臣は総理から市町村合併推進を指示されたというふうに聞いておりますが、それは間違いないのでしょうか。間違いないとすれば、総理の指示をどう具体的に推進しようとするのか、大臣の見解を伺いたいと思います。  また、現行市町村合併特例法第十六条に規定する国や府県の助言、情報などの措置以上の手段で推進することは、政府が強制的にするのは難しいとするさきの諸井地方分権推進委員長の弁をまつまでもありません。となれば、住民自治の基礎的単位にかかわる合併については、今回の田無市と保谷市で行われた例でも示されておりますように、住民の意向調査としての住民投票こそもっと積極的に活用されてしかるべきではないか、このように考えるのでありますが、大臣の見解を伺います。
  138. 西田司

    西田国務大臣 まず冒頭の、総理から市町村合併の問題について話があったか、こういうお問いでございますけれども、これは地方分権の中で話が出たわけでございます。そのことは間違いございません。  地方分権成果を生かし、基礎的自治体である市町村行政サービスを維持し、向上させていくためには、私は、市町村合併は避けて通れない問題であると考えております。また市町村合併は、地域あり方にかかわり、地域の将来や住民の生活に大きな影響を及ぼす事柄でありますから、市町村地域住民が自主的、主体的に取り組むことがやはり基本である、こう考えております。  その上で、都道府県としても、市町村合併特例法の十六条、今御指摘になった定めにより、地域全体の発展や住民生活の水準の確保という観点から、市町村合併をみずからの問題として積極的に役割を果たしてもらいたい、こう考えております。  また、自治省といたしましても、市町村合併推進についての指針の策定、平成十二年度予算における市町村合併推進補助金確保など、幅広い支援措置を講じることとしており、市町村合併特例法の期限である平成十七年三月までに十分な成果が上げられるよう、今までよりもピッチを上げ、一生懸命これを進めていく考えであります。  最後に、住民投票の問題にお触れになりましたが、御承知のように、現在、総理の諮問機関である第二十六次地方制度調査会において御議論をいただいておるところでございます。市町村合併に関して住民の意思がより反映されるような方策について、同調査会の審議におけるさまざまな御意見を広く踏まえて検討してまいりたい、こう考えております。
  139. 重野安正

    重野委員 次に、いわゆる中期税制答申について質問いたします。  まず大蔵省に伺いますが、中期というからには、常識的に期間は三年程度ということだろうと私は理解しておるのであります。したがって、三年間でこの膨大な答申についてすべて実施に移す考えなのかどうかということ。それから、当然長期にわたるものもあるはずでありまして、両者の区分はどういうふうになっているのか。それから、国民の参加と選択、こういうふうな副題がついております。立派な副題と思いますが、私の理解としては、その具体的内容については何ら示されていないのではないか。そういう中で、国民は選択するべき具体像というものを描けるのか、こういう懸念を持つのでありますが、大蔵省としてはどのように考えておられますか。
  140. 竹内洋

    竹内政府参考人 ただいまお話がございましたように、確かに今回の中期答申、そのタイトルが「わが国税制の現状と課題」、また副題が「二十一世紀に向けた国民の参加と選択」となっているところは委員の御指摘のとおりでございます。  今回のいわゆる中期答申でございますが、これは、今後の税制論議の際に必要となる判断材料を国民に幅広く提供する必要があるとの考え方に立ちまして、税制全般にわたり、その現状と課題等につきまして、幅広く、かつわかりやすく記述されたものと承知しておりまして、大変大部なものになっているところでございます。  今回の答申には、二十一世紀経済社会を展望すれば、所得課税を初め消費課税、資産課税等を含めた税制全般についての抜本的な見直しが必要であるとの認識が示されているところではございますが、ただいま申し上げましたように、答申の性格から、個別の論点につきましては、具体的な見直しの時期については基本的には明記されないものと承知しているところでございます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、今回の答申をまさに字義どおり受けとめさせていただきまして、今後の税制あり方検討する際の参考とさせていただきたいというところでございます。
  141. 重野安正

    重野委員 全文三百八十二ページという膨大なものでありますが、その四分の一弱を個人所得課税に割くことで基幹税目のあり方を重視している、こういうふうに私は理解をしておりますが、果たしてこのような課題設定で妥当なのかなという感じを持つわけです。  前段では、両税の性格の違いというものを無視して、負担水準の低さばかりを強調しているんではないかなというふうに考えるんですが、これでは、国民は増税なのかという印象しか持ち得ないんじゃないか。基幹税目の強調という大蔵省の主張は、そのままそれは増税につながることなのか、こういう私なりの疑問を感ぜざるを得ませんが、そこについてはどういうふうにお考えですか。
  142. 竹内洋

    竹内政府参考人 ただいまお話がございました点でございますが、再現いたしますが、二十一世紀経済社会を展望すれば、所得課税を初め消費課税、資産課税等を含めた税制全般につきましての抜本的な見直しが必要であるとの認識を示しているところでございまして、特段、ある税等について強調しているところではございません。  ただ、委員の御指摘の個人所得課税につきましては、事実関係として負担水準だけを申し上げますと、我が国の所得課税負担水準は、累次の税制改正によりまして、負担軽減や景気対策として減税分を踏まえまして低下しているところでございます。
  143. 重野安正

    重野委員 次に、法人事業税外形標準課税について質問いたしますが、外形化について、景気状況などを踏まえつつ早期に導入というふうに言っておられます。景気動向、例えば、GDPの伸びがどれほどになったら導入するのかとか、あるいはその条件と時期、それからそれに伴う地方税法の改正、そういう私の思いと申しますか、疑問と申しますか、懸念と申しますか、そういうふうなものがあるんですが、自治省、どのように考えていますか。
  144. 石井隆一

    石井政府参考人 法人事業税外形標準課税の導入の問題ですけれども地方分権を支えます安定的な地方財源確保ですとか、応益課税としての税の性格の明確化ですとか、あるいは負担の公平とか経済の構造改革とか、いろいろな重要な意義を有する改革でございまして、中期答申でも、景気動向を踏まえつつ早期に導入を図ることが必要であるというふうに今御答申いただいたわけでございます。  ただ、委員質問のような、具体的にGDPが何%伸びたらといったような条件は特にございません。私どもとしますと、極めて厳しい地方財政の現状ですとか、あるいは景気状況等を踏まえながら、総合的に判断をすべきものであろうと考えております。
  145. 重野安正

    重野委員 どういうふうな立場、どういうふうな判断でこの税の導入というものが語られるのかという点について聞きたいんですが、例えば、不況による税収減、それをカバーしていくために、安定性というものの立場からこれを考える、そういうふうに理解をしていいのか。例えば、景気が安定的に推移をしていくということになると、その思惑が外れることもあり得るんですね。そういうことについて、例えば都道府県が、自治体がこの税の導入に消極的になるというふうなこともあらわれてあながち間違いではないだろうというふうなことが出てくると思うんですが、これについてどういうふうにお考えでしょうか。
  146. 石井隆一

    石井政府参考人 法人事業税への外形標準課税の導入を地方自治体の側がぜひというふうに熱心になった理由は、確かに先生おっしゃいますように、今の法人事業税は所得にだけかかっていますので、税収が非常に不安定だ、したがってこれを安定化させたいということがもちろんあることは、おっしゃるとおりでございます。  ただ、同時に、やはり応益課税としての税の性格の明確化ですとか、あるいは黒字、赤字を問わずできるだけ広く薄く公平に負担していただきたいという負担の公平ですとか、それから、長い目で見ますと、外形課税にすることによって経済活性化なり構造改革につながるんじゃないか、こういう考え方もあわせて持って進めております。  先生おっしゃるのは、仮に、ある程度景気が回復してくると、これは所得にだけかけていますとそれなりにまた税収がふえていきますから、熱意が薄れるんじゃないかというようなことじゃないかと思いますけれども、これは全国知事会の方も、そういったことも踏まえつつも、やはりこの機会に、応益課税という性格ですので、本来のあり方である姿に法人事業税をぜひ変えていただきたいという考え方でありますし、私どもとしても、それが望ましい方向ではないかというふうに考えて取り組んでおるわけでございます。
  147. 重野安正

    重野委員 最後に、もう時間も来ているようですが、外形化に転換した場合の税収の府県別割合について質問したいんです。  税調答申でも、事業活動価値に占める割合が最も高いのは給与、約七一・五%というふうに言われております。そこで、九八年度決算額に基づいて、源泉給与所得税額をもとにして外形化した場合の府県別占有率、こういうふうなものを出してみますと、府県別占有率の格差は縮小する、しかし反面、現行課税のもとでの占有率一%以下の府県は、多少アップするとはいえ、依然一%を超えるには至らない、さらに、最大の東京都にあっては相当に減ることが推計される。  そういうふうな事情がありまして、このことが大変大きな問題になるのではないか。定性面での評価評価として、定量的問題との調和というものも十分考慮する必要があるのではないかと考えるんですが、自治省の見解を。
  148. 石井隆一

    石井政府参考人 法人事業税の府県別のシェアの問題でございますが、現在は、御承知のように分割基準と申しまして、法人事業税が応益課税という性格でございますので、法人の事業活動と地方団体行政サービスとの間の受益関係を的確に反映させるような分け方をしなくちゃいけないということで、現在ですと、鉄道ですとか電気とか銀行とか一部の業種を除きまして、従業員の数を基本にしまして分割をいたしておるわけであります。  今後、法人事業税外形標準課税が導入された場合の都道府県別シェアのあり方ですけれども、これはやはり、今申し上げたこの応益課税としての性格に着目した税源の配分の適正化、それから、余り複雑な制度にしますと納税者がお困りになるということもありますから、制度の簡素化といったような点を十分留意しまして、具体的に詰めさせていただきたいと思っております。
  149. 重野安正

    重野委員 ありがとうございました。
  150. 増田敏男

    増田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十九分散会