○
松原委員 私は、民主党の
松原仁でございます。今回の衆議院選挙で当選をいたしまして、初めての
質問でございますので、よろしく
お願いをいたします。
今回、ことしの四月に施行されました
地方分権の一括
推進法というものは、極めて意義のあるものであるというふうに私は
考えております。まさに、長い間の私たちの日本の中央集権を変えていくという大きな大きなターニングポイントにあるというふうに思っております。そして、この
地方分権一括
推進法は、まさに
地方主権の時代の幕あけであるというだけではなく、納税者主権、英語で言いますとタックスペイヤーと言うわけでありますが、納税者主権の時代の幕あけでもあるだろうというふうに私は思っております。したがって、そういった論旨から、
質問をする前にその問題意識を若干披瀝いたしたいと思っております。
私は今回の衆議院選挙で当選をしたわけでありますが、私が選出をされた東京三区というのは都市部でございまして、ニーズというか、都市部の有権者が一体何を一番政治に対して望んでいるか、こういう点があるわけであります。それはさまざまな
観点にあるわけでありますが、その中で一番大きなポイントは、二つになろうかというふうに思っております。
一つは、政治における発言力という問題でありまして、それは一票の格差ということに端的にあらわされるだろうというふうに思っております。やはり東京の有権者は、政治的に自分たちは発言の上で疎外をされている、こういう認識を持っているだろうと私は肌で感じてまいりました。
もう
一つが、やはり税金の配分の問題でありまして、もちろん東京という場所を中心として、首都圏もしくは都市部はさまざまな法人も集積しておりますし、
経済でいわゆる日本国内のナショナルミニマムという
観点から他の
地域に貢献をしなければいけないというのも、
一つの筋論だろうと思っておりますけれ
ども、やはり税配分が、東京では過度に税金が集められ、それが
地方に分配をされているというふうな
一つの意識を、多くの東京の人間、そして都市部の人間が肌で感じているだろうというふうに私は思っております。
そういった一票の格差を是正し、また税
負担の公平、平等を期するということは、簡単に言えば納税者主権を実現するということにつながっていくだろうと思っております。
ある心理学の本によりますと、大変おもしろい話でありまして、それは何かといいますと、人間が自分自身で稼いだお金を自分自身で使う場合は、これは一番真剣に使う。人の稼いだ金を人のために使うというときに人間というのは一番、いいかげんに使うと言うと語弊がありますが、やはり真剣に使わない、緊張感が失われるということであります。
さらに言うならば、二番目に真剣に使うのは、自分の金を人のために使うということでありまして、例えば、私がだれかの誕生日に自分のお金で三千円か四千円出してプレゼントを買ってあげよう、こういうときは、自分の財布からお金を出すわけですから、これまた真剣に使うわけであります。
二番目にいいかげんなのは、要するに人の金を自分のために使う。これは、一番いいかげんな、人の金を人のために使うよりは若干ましでありますが、人の金を自分のために使うときは、打ち出の小づちから金がどんどん出てくるということになれば、これはやはり緊張感のないお金の使い方をする、こういうことになるわけでありまして、納税者主権という問題は、やはり自分の金を自分で使うという緊張感、そういうものを政治家が持つ、また行政が持つということが大事なのではないかなというふうに私は思っております。
今言った、自分の金を自分のために使うというのは個人個人における
一つの物の
考え方でありますが、それを
組織に当てはめるとどうなるかというと、簡単でありまして、自分自身の
組織で稼いだ金を自分自身の
組織で使うというときに
組織は一番真剣に金を使う、そして人の
組織、自分ではない
組織の稼いだ金を自分の
組織のために使うというときは、それに比べると、残念ながらお金の使い方はやはりむだが多くなるということをそのまま示唆することになるだろうと思っております。
納税者主権、アズ・ア・タックスペイヤーというふうな言葉もありますが、納税者主権でいわゆる新しい政治、行政の
あり方を
考えるということは、今言ったようなことを
考えると、それはすなわち、
地方における
財政自主権の確立というものと密接に絡みついているわけでありまして、交付金もしくは補助金という形、もちろんそれはそれで歴史的な経緯もありますし、尊重される部分もあると思いますけれ
ども、
基本は、
地方自治体は自主
財源で運営をするという方向に持っていかなければいけないということになろうかと思っております。
そして、納税者主権、
財政自主権の確立は、同時に、受益と
負担の
対応関係の明確化というふうに表現することができるのではないだろうかと私は思っておりまして、受益と
負担の
対応関係の明確化をするということが、やはりそういった意味で
財政自主権の確立と密接に結びついてくるだろうと思っております。
どちらにしても、納税者主権の時代の大きな幕あけが、ことしの四月に施行された
地方分権の一括
推進法によって扉が開かれたわけでありますが、次には
財政の移管というものが出てくるだろうということになります。
私は、大学におきましては経営史というものを学んでおりました。経営史においてさまざまなアメリカの企業等を研究してきたわけでありますが、この研究の結果、アメリカのある
経済学者は、創造的破壊という言葉を使っております。シュンペーターという
経済学者は、創造的破壊を行わない
組織、創造的破壊を行わない会社は長い間のアメリカの経営の中で脱落をしていったということを、たくさんのアメリカの企業を研究した結果、明らかにしたわけであります。
企業において、三十年、四十年、五十年、同じような長い歴史を持つ経営の
あり方やシステムや主体を温存していた企業は、大体創造的破壊ができないままにやがて没落をしていったということでありまして、この創造的破壊というものを私たちは今の
地方行政の
あり方についても適用していくべき時代に入っているだろうと思っております。そして、そのことは、今日のいわゆる四十七都道府県、そしてまた三千三百の
地方自治体という
地方分権の主体においても創造的破壊をしていかなければいけない時代に入っているだろうというふうに思っております。
その場合の
基本的な概念、
基本的な
考え方としては、今申し上げましたように、いわゆる
財政自主権を確立し得る単位、そしていわゆる
地方分権、さらに一歩進めた
地方主権を担当する責任担当能力を持ち得る大きさ、さらには、いわゆる
経済的な自立性を持つ大きさというものが大事になってくるだろうというふうに思っております。
現在の二層制の
地方自治体の
あり方についてはさまざまな議論がなされておりますが、身近な部分を身近な区
市町村が行う、そして広域の部分、四つの項目があるというふうに言われておりましたが、いわゆる広域的もしくは連絡調整型、そして統一的、高度専門的な領域については、これは広域の
地方自治体が行うということになっているわけであります。
私は、そういう中におきまして、我が民主党も主張しておりますけれ
ども、今ある四十七都道府県をそれぞれけみした場合に、果たしてそれが
経済の自立を持つ
地域として妥当かどうかという議論があろうかと思っておりまして、そういった意味では、廃県置州というものをやはりこの
地方分権一括
推進法の向こうの世界においては実現をしていきたい、いくべきだろうと思っておりますし、また三千三百の
地方自治体は、二百人、三百人という小さな規模のものから極めて大きなものまであるわけでありますから、この整理統合化、
市町村の合併のための特例というのも今ありますけれ
ども、この整理統合化をしていかなければいけないというふうに思っているわけであります。どちらにしても、三千三百のものをもっと少ない数のものに統合する、そして四十七都道府県も同じように少ないものにやっていく、これが必要だろうと思っております。
歴史をひもとくならば、江戸時代というのは三百年の長い歴史でございました。三百年の長い歴史に三百の藩が存在をしていたわけでありますが、江戸時代の三百年を通して、江戸幕府がいわゆる交付金や補助金を三百の藩に出したということは、私が勉強した限りにおいてはないわけでありまして、日本は、江戸時代においてはそういった
地方分権ができていたわけであります。
江戸時代にできていたものは、我々は今きっと、もちろんあのときとは
社会状況が違っておりますけれ
ども、それはやりようによってできるはずでありまして、今言った、
経済の活力を持つ、そしてさまざまな責任能力や
財政の自主権能力を持つような新しい
地方自治体の単位を今のものにかわってつくることによって、そういった自立する
地方自治を目指していくべきだろうというふうに思っております。
そういう中におきまして、私は幾つかの御
質問を申し上げたいというふうに思っております。
一つは、今申し上げました自治体の
あり方という議論であります。
自治体の
あり方につきまして、
地方分権の主役、担い手は
地方公共団体ということになるわけであります。この
地方公共団体、これは現行では都道府県、区
市町村、二層制をとっているわけであります。そしてそれは、基礎的
地方公共団体、そしてまた広域的
地方公共団体ということになるわけでありまして、それが相互に連携を図りながらそれぞれの役割を果たしているわけでありますが、この広域的
地方公共団体である都道府県、現行四十七存在しているわけでありますが、これについて統合を行い、そして
経済的な自立性を持つような、広域、活力を持つようなエリアで廃県置州のような、そういったイメージを込めて、広域的
地方公共団体についてはこれから統合ということはあり得るのか、そのお
考えはあるのかについての御所見をお
伺いいたしたいと思います。