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2000-08-04 第149回国会 衆議院 厚生委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十二年七月二十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 遠藤 武彦君    理事 鴨下 一郎君 理事 坂井 隆憲君    理事 鈴木 俊一君 理事 山口 俊一君    理事 金田 誠一君 理事 五島 正規君    理事 桝屋 敬悟君 理事 武山百合子君       岩崎 忠夫君    岩屋  毅君       木村 義雄君    熊代 昭彦君       塩崎 恭久君    田村 憲久君       竹下  亘君    西川 京子君       堀之内久男君    三ッ林隆志君       宮澤 洋一君    吉川 貴盛君       吉田 幸弘君    吉野 正芳君       荒井  聰君    家西  悟君       石毛えい子君    釘宮  磐君       土肥 隆一君    古川 元久君       三井 辨雄君    水島 広子君       山井 和則君    江田 康幸君       福島  豊君    樋高  剛君       小沢 和秋君    瀬古由起子君       阿部 知子君    中川 智子君       小池百合子平成十二年八月四日(金曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 遠藤 武彦君    理事 鴨下 一郎君 理事 坂井 隆憲君    理事 鈴木 俊一君 理事 山口 俊一君    理事 金田 誠一君 理事 五島 正規君    理事 桝屋 敬悟君 理事 武山百合子君       岩崎 忠夫君    岩屋  毅君       木村 義雄君    田村 憲久君       竹下  亘君    西川 京子君       堀之内久男君    三ッ林隆志君       宮澤 洋一君    吉川 貴盛君       吉田 幸弘君    吉野 正芳君       荒井  聰君    家西  悟君       石毛えい子君    釘宮  磐君       土肥 隆一君    古川 元久君       三井 辨雄君    水島 広子君       山井 和則君    江田 康幸君       福島  豊君    樋高  剛君       小沢 和秋君    瀬古由起子君       阿部 知子君    中川 智子君       上川 陽子君    小池百合子君     …………………………………    厚生大臣         津島 雄二君    厚生政務次官       福島  豊君    政府参考人    (警察庁刑事局捜査第一課    長)           井口  斉君    政府参考人    (厚生省健康政策局長)  伊藤 雅治君    政府参考人    (厚生省保健医療局長)  篠崎 英夫君    政府参考人    (厚生省生活衛生局長)  西本  至君    政府参考人    (厚生省医薬安全局長)  丸田 和夫君    政府参考人    (厚生省老人保健福祉局長    )            大塚 義治君    政府参考人    (厚生省児童家庭局長)  真野  章君    政府参考人    (厚生省保険局長)    近藤純五郎君    厚生委員会専門員     宮武 太郎君     ————————————— 委員の異動 八月三日  辞任   塩崎 恭久君 同日             補欠選任              上川 陽子君     ————————————— 八月三日  医原性クロイツフェルト・ヤコブ病に関する予備的調査要請書中川智子君外六十五名提出、平成十二年衆予調第二号) は本委員会に送付された。     ————————————— 八月四日  年金改悪に反対し、安心して暮らせる老後保障に関する請願赤嶺政賢君紹介)(第三四号)  同(瀬古由起子紹介)(第三五号)  介護保険緊急改善に関する請願赤嶺政賢君紹介)(第四四号)  同(大森猛紹介)(第四五号)  同(木島日出夫紹介)(第四六号)  同(児玉健次紹介)(第四七号)  同(瀬古由起子紹介)(第四八号)  同(中林よし子紹介)(第四九号)  同(春名直章紹介)(第五〇号)  同(藤木洋子紹介)(第五一号)  同(松本善明紹介)(第五二号)  同(矢島恒夫紹介)(第五三号)  同(山口富男紹介)(第五四号)  介護保険在宅介護利用料引き下げ等緊急改善に関する請願小沢和秋紹介)(第五五号)  同(木島日出夫紹介)(第五六号)  同(児玉健次紹介)(第五七号)  同(穀田恵二紹介)(第五八号)  同(佐々木憲昭紹介)(第五九号)  同(志位和夫紹介)(第六〇号)  同(塩川鉄也紹介)(第六一号)  同(中林よし子紹介)(第六二号)  同(春名直章紹介)(第六三号)  同(不破哲三紹介)(第六四号)  同(松本善明紹介)(第六五号)  慢性毒性を含む遺伝子組換え作物食品安全性確認に関する請願石毛えい子紹介)(第一〇〇号)  同(小沢和秋紹介)(第一〇一号)  同(瀬古由起子紹介)(第一〇二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  厚生関係基本施策に関する件  派遣委員からの報告聴取     午前十時四分開議      ————◇—————
  2. 遠藤武彦

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  厚生関係基本施策に関する事項  社会保障制度医療公衆衛生社会福祉及び人口問題に関する事項 以上の両事項について、その実情調査し、対策を樹立するため、小委員会設置関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 遠藤武彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 遠藤武彦

    遠藤委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  厚生関係基本施策に関する件、特に雪印乳業大阪工場食中毒事故等に関する問題について調査のため、来る八日火曜日午前十時、雪印乳業株式会社代表取締役社長西紘平君、国立感染症研究所食品衛生微生物部長山本茂貴君、元大阪大学講師藤原邦達君、ジャーナリスト平澤正夫君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 遠藤武彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  6. 遠藤武彦

    遠藤委員長 厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、去る七月十七日、雪印乳業食中毒事故に関する実情調査のため、大阪府に委員派遣を行いましたので、派遣委員より報告を聴取いたします。鈴木俊一君。
  7. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員 派遣委員を代表いたしまして、団長にかわり私からその概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、遠藤武彦委員長団長として、理事坂井隆憲君、金田誠一君、五島正規君、委員田村憲久君、西川京子君、宮澤洋一君、津川祥吾君、中津川博郷君、永田寿康君、江田康幸君、瀬古由起子君、中川智子君、松浪健四郎君、そして私鈴木俊一を加えた十五名であります。  現地における説明聴取大阪市役所会議室において行い、まず、遠藤団長派遣委員紹介を含めあいさつを行った後、關大阪市助役から今回の食中毒事故の概略の説明があり、引き続き飯塚環境保健局健康推進部長から雪印乳業食中毒事故の経過、大阪市が行った大阪工場衛生管理状況調査中間報告被害状況などについて説明を聴取いたしました。  続いて、遠藤団長から、大阪市が考え食中毒事故原因雪印乳業大阪工場に対するこれまでの立入検査状況再発防止策及び国に対する要望などについて総括的な質疑を行いました。  その後、各委員から、HACCP承認時の検査方法、これまでの検査仮設パイプ設置や屋外での調合作業などに気づかなかった理由、政令が定める回数の立入検査実施されていない理由など市が行った検査に関する質問原因物質の特定に時間がかかった理由被害状況から推察される黄色ブドウ球菌増殖箇所、いまだ汚染源が特定できない理由など大阪市が行っている調査に関する質問のほか、原材料検査記録状況、市の食中毒事故公表の時期、雪印乳業以外の食品製造業者に対する検査実施状況医療機関との連絡体制、今後の予防策などについて質問が行われました。  大阪市からは、これらの質問に対し説明がなされるとともに、HACCP承認時やこれまでの立入検査において仮設パイプ等の存在を発見できなかったこと、現時点においても原因が判明していないことなど反省すべき点については反省し、立入検査実施体制食中毒事故情報公開あり方を含め、今後、厚生省とも連携をとりながら検討を進め、再発防止に向けて努力するとともに、今回の事故に関する報告書をまとめて公表する旨の発言がありました。  次に、雪印乳業株式会社からの説明聴取に移り、まず、遠藤団長あいさつを行った後、須永常務取締役西日本支社長から今回の食中毒事故についての謝罪があり、引き続き安田西日本支社生産部長から大阪工場の概況と今回の事故の経緯、雪印乳業としての事故原因解明状況などについて説明を聴取しました。  次いで、遠藤団長から、雪印乳業安全性確保に関する社内教育事故防止のための社内監視体制などについて総括的な質疑を行った後、各委員から、仮設パイプ設置等HACCP違反となるとの認識有無社員向け作業マニュアル有無チャッキ弁等洗浄頻度出荷検査の項目及び出荷検査有効性加工乳の再利用状況及び再利用に対する認識販売店等に対する救済策被害者への損害賠償に関する雪印乳業取り組み姿勢衛生管理に関する専門従事者有無などについて質問がなされました。  雪印乳業からは、これらの質問に対し説明がなされるとともに、今回の食中毒事故により被害に遭われた方々に誠意を持って対応し、万全の再発防止策を講じていく旨の説明がありました。  なお、今回の事故に関しては、脱脂粉乳など原材料原因ではなく、製造工程に問題があったと考えており、チャッキ弁以外とすれば、脱脂粉乳とバターの調合段階成分調整移動溶解機の使用時、冷蔵庫に入っている戻し乳の移動時、調整乳タンクなどの温度管理がうまく機能しなかった場合の四つが考えられることなどの説明がありました。  なお、派遣委員調査報告書を作成しましたので、詳細は報告書によって御承知願いたいと思います。また、派遣委員調査報告書につきましては、本委員会議録参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。  以上をもって報告を終わりたいと思いますが、今回の実情調査につきましては、関係者多数の御協力により極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。  以上、御報告申し上げます。
  8. 遠藤武彦

    遠藤委員長 以上で派遣委員からの報告聴取は終わりました。  お諮りいたします。  派遣委員調査報告書につきましては、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 遠藤武彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  10. 遠藤武彦

    遠藤委員長 次に、津島厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。津島厚生大臣
  11. 津島雄二

    津島国務大臣 第百四十九回国会における厚生委員会の御審議に先立ちまして、所信の一端を述べさせていただきます。  我が国において現在ほど社会保障の将来が問われているときはございません。我が国経済全体の動向とも調和を図りつつ、社会保障制度国民の新たな需要に対応し、将来にわたって安定的なものとすることが急務となっております。今後の社会保障については、給付と負担あり方などが重要な課題であると認識しておりますが、当委員会における御議論や各党のお考えを十分にお聞きするとともに、さき総理のもとに置かれた社会保障構造の在り方について考え有識者会議での御議論も踏まえ、このような課題について検討を進めていく考えであります。また、さき総理が示された日本新生プランにおきましても、社会保障新生が一つの柱として位置づけられているところであり、担当大臣として、国民合意形成を大切にしながら、将来に向けて安定的かつ効率的な制度の構築に全力を挙げてまいります。  以下、厚生行政主要施策について申し上げます。  まず、医療制度につきましては、今後の急速な高齢化などによる医療費の増加を考えますと、その抜本改革は避けて通れない課題であります。さき国会において審議未了のため廃案となりました健康保険法等改正案及び医療法等改正案につきましては、老人定率一割負担導入医療提供体制見直しなど抜本改革に向けた第一歩であり、その早期実現を期してまいりたいと考えております。また、高齢者医療制度見直しなどの課題につきましても全力を尽くしてまいります。  介護保険につきましては、関係者皆様方の御努力により、本年四月からおおむね順調に実施されております。今後、現場の御意見に耳を傾けながら、国民皆様とともに介護保険制度をよりよいものに育ててまいります。また、本年十月からは、六十五歳以上の方々からの保険料の徴収も開始されることとなり、改めて、介護保険国民皆で支える制度であることについて、国民皆様に御理解をいただき、その円滑な施行に努めてまいる所存であります。  年金制度につきましては、本年三月に成立した年金制度改正法の円滑な施行制度の長期的な安定に努めてまいります。また、老後所得確保の一層の充実のため、公的年金に上乗せされる確定拠出年金制度早期導入全力で取り組んでまいります。  少子化への対応につきましては、昨年末に少子化対策推進関係閣僚会議において策定されました少子化対策推進基本方針に基づき、新エンゼルプランを策定したところであり、低年齢児の受け入れの拡大を初めとする保育サービス充実など、総合的な少子化対策の一層の推進に取り組んでまいります。  社会福祉制度につきましては、さき国会において成立した、利用者本位制度の確立を目的とする社会福祉事業法等改正法の円滑な施行を初め、社会福祉の増進のために積極的に取り組んでまいります。また、障害者の自立と社会参加を促進するため、障害者プラン推進に積極的に取り組んでまいります。  食品安全性につきましては、食中毒防止に万全を期するとともに、遺伝子組み換え食品食品添加物などに対する国民の不安が解消されるよう食品保健対策充実を図ってまいります。特に、雪印乳業の製品による食中毒事件につきましては、まことに遺憾であり、被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げます。厚生省としては、省内に対策本部設置するとともに、全国雪印乳業工場担当官を派遣いたしまして、衛生管理について確認を行ったところであります。今後、対策本部における検討結果を踏まえ、このような事故再発防止に努めてまいります。  廃棄物対策につきましては、循環型社会を構築するため、廃棄物減量化やリサイクルを推進し、廃棄物処理体制整備に取り組んでまいります。  保健医療行政につきましては、結核やインフルエンザなどの各種感染症対策に積極的に取り組んでまいります。特に、インフルエンザによる高齢者の死亡などが社会問題となったことから、この予防接種推進するための施策に取り組んでまいります。  医薬安全行政につきましては、医薬品などの安全性有効性確保に最大限の努力を重ねるとともに、血液事業見直しを進めてまいります。  このほか、関係者高齢化を踏まえた援護施策充実慰霊事業などの実施国立病院療養所の再編成の推進などにも努めてまいります。  さらに、医療福祉分野におけるIT革命推進に取り組むとともに、次世代の先端科学医療技術の活用により、働き盛りの国民に対する脅威でありますがん、心臓病の克服と、寝たきりや痴呆にならない健康な高齢期実現を目指して、メディカル・フロンティア戦略推進してまいります。  私は、これらの重要な課題に対し、委員各位の御指導を得て、全力で取り組んでまいりたいと考えております。これまでにおきましても、委員会皆様方と一緒に厚生行政推進してまいりましたが、今後とも、皆様のなお一層の御理解と御協力をお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。(拍手)     —————————————
  12. 遠藤武彦

    遠藤委員長 この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局捜査第一課長井口斉君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、保健医療局長篠崎英夫君、生活衛生局長西本至君、医薬安全局長丸田和夫君、老人保健福祉局長大塚義治君、児童家庭局長真野章君、保険局長近藤純五郎君、以上八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 遠藤武彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  14. 遠藤武彦

    遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ林隆志君。
  15. 三ッ林隆志

    ○三ッ林委員 自民党の三ッ林でございます。  少子高齢化社会にあって、この少子高齢化対策日本の将来を考える上で極めて重要な課題であります。厚生省においては、ただいまの大臣発言にもありましたように、新ゴールドプランや新エンゼルプランの策定、四月からの介護保険制度実施等少子高齢化対策推進してきておりますし、今後も進めていただきたく思っております。  これまで私は小児科医として長年医療に携わってまいりました。そこで、本日は、少子化対策、特に小児医療保険の問題について質問させていただきます。  国民が安心して子供を産み、健やかに育てられるように小児医療充実してほしいという国民の声は大変大きなものがあります。これからの日本の将来を担う子供たちの健康を守ることは重要なことであります。そして、小児医療充実するためには、まず、その前提となるマンパワー確保が重要な課題であると考えます。  しかしながら、医療現場では小児科医が足りないとよく耳にしております。最近は、小児科医労働条件等の問題もありまして、医学部の学生が小児科医になりたがらない傾向にあるようにも思われます。厚生省として、小児科医マンパワー確保現状や今後の課題についてどのように考えるのか、健康政策局長にお聞きしたい。
  16. 伊藤雅治

    伊藤政府参考人 御説明をさせていただきます。  小児医療提供体制現状でございますが、病院全体が減少傾向にございますが、小児科を標榜する一般病院につきましては、平成五年と平成十年を比べてみますと、四千二十五から三千七百二十というふうに減少しております。  一方、小児科を標榜する診療所の数につきましては、平成五年の二万七千三百七十から、平成八年が直近の数字でございますが、二万七千九十五とほぼ横ばいでございます。  そこで、今お尋ねの小児科医の数の問題でございますが、小児科従事する医師数につきましては、平成四年の三万三千八百三十二人から平成十年には三万四千六十四人と、横ばいというふうに見てよろしいかと思います。  一方、十五歳未満人口千人に対します小児科医の数について見ますと、平成四年が一・五九でございますが、平成十年には一・八〇となっておりまして、全体としては小児科医の数は減少しているという状況ではございません。  しかしながら、小児医療確保は、少子高齢化が進展する中で非常に重要な問題と認識しておりまして、やはり非常に重要な課題でございますから、地域におきましていかに小児科医同士連携体制をつくっていくか、休日、夜間診療体制確保でございますとか救急医療体制確保など、極めて重要な課題考えておりまして、今後とも努力をしていきたいと考えているところでございます。
  17. 三ッ林隆志

    ○三ッ林委員 これからも小児科医マンパワー充実をよろしくお願いしたいと思います。  ただいまの局長説明にもありましたが、小児救急医療については現在危機的な状況にあると言われております。小児の病気のほとんどは急性疾患であるために、家族は、すぐに診察を受け、また治療してほしいと希望するわけで、休日、夜間いつでも安心して子供を診てもらうことのできる病院診療所が身近に欲しいという母親の声を至るところで聞いております。  厚生省としては小児救急医療体制充実についてはどのように取り組んでいるのか、健康政策局長にお聞きします。
  18. 伊藤雅治

    伊藤政府参考人 小児救急医療体制充実につきましては、安心して子育てができるような観点から重要なものと認識しております。  そのため、平成十一年度より、小児科を設ける病院が当番制で夜間診療を行うなどの事業に対しまして国の補助制度を開始したところでございます。平成十一年度におきましては全国百十八カ所、十二年度におきましてはこれを二百四十カ所に拡大をいたしまして、この予算額増額等を図ったところでございます。  今後とも、この小児救急医療体制整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  19. 三ッ林隆志

    ○三ッ林委員 小児は減ってはいるのですけれども小児救急医療を受診する子供はふえているという事実もありますので、今後ますますの充実を期待したいと思います。  そして、厚生省におかれましては、小児医療確保のために種々の政策推進しているようですけれども国民安心感を与える小児医療体制充実についてどのようなビジョンをお持ちなのか、厚生大臣考えをお聞きしたい。
  20. 津島雄二

    津島国務大臣 委員指摘のとおり、小児医療充実は、今の我が国社会にとって最大の関心事であり課題でございます。安心して子育てができるということの基礎には、万一のときにどのように医療的に対応できるかということがあることは申し上げるまでもございません。本会議における代表質問もちょうだいをいたしましたように、徐々に国民的な関心が高まっていることも私どもはしかと受けとめなければならないと思っております。  こうしたことから、厚生省としては、小児・周産期の医療ナショナルセンター充実したいということで、委員承知だと存じますが、国立成育医療センター、これはまだ仮称でございますけれども、これを平成十三年度までに整備いたしますとともに、同センターを中心に成育医療に関する診療臨床研究教育研修情報発信の機能が一体となった全国的な政策医療ネットワークを構築したいというふうに考えております。  それから、委員指摘救急医療体制でございますけれども、新エンゼルプランにその全国的な整備の計画を盛り込んでございますことは、局長から御答弁したとおりでございます。  それから、やはり従事をしておられる小児科医方々の経営の安定も図らなきゃならないことも当然でございますが、平成十二年度の診療報酬改定におきましては、入院では小児入院管理料を新設いたしましたし、外来では小児外来診察料の引き上げを行ったわけでございます。  それから、委員承知のとおり、都道府県、地域における取り組みも非常に大事でございまして、国と連携しつつ地域小児総合医療施設整備していただきたい。これは各県でいろいろと積極的な動きがあることを私どもは大変うれしく思っておるわけでありますが、この際、国としても、小児診療棟専門病院など小児医療施設の整備の補助を行うこととしておることは御承知のとおりでございます。  二十一世紀に向けた母子保健分野の国民運動計画である健やか親子21という計画を本年じゅうを目途として策定いたしたいと思いまして、これと相まって、子供さんを安心して育てていくという環境を醸成してまいりたいと思います。そして、小児医療のより具体的な確保策についても、さらに一層充実をしてまいりたいと思っております。
  21. 三ッ林隆志

    ○三ッ林委員 ありがとうございます。  次に、予防は治療にまさるという言葉がありますように、疾病予防対策は、国民の健康を考える上で重要な柱の一つであります。厚生省においては、働き盛りの国民の健康の維持増進を図るため、メディカル・フロンティア戦略推進するとのことであり、健康な高齢期実現するため、この戦略を大いに進めていただきたいと思います。  少子化対策の上からは、小児の健康対策、疾病予防対策充実も重要であると考えます。この点につき、厚生省としてはどのような政策を進められようとしているのか、児童家庭局長にお聞きします。
  22. 真野章

    真野政府参考人 先生仰せのとおり、子供の健康というのは、国民の生涯を通じた健康の基礎でございまして、これは大変重要だというふうに私ども考えております。  このため、市町村におきまして、母親学級などにおきます乳幼児の健康の保持、増進のための知識の普及、また、医師、保健婦など専門家が行います疾病予防等に関する集団または個別の保健指導、それから、乳幼児の心身の発達の異常等を早期に発見する、そういうことのための一歳半でございますとか三歳の健康診査、それから、子供の感染症を予防するための予防接種、そういうものを地域医療ということで市町村などにおいて行っていただいておりまして、これに対してこれらの推進を図るための支援を行うというのが厚生省の姿勢でございます。  さらに、現在、少子高齢化が大変進展をいたしておりまして、次代を担う子供が健やかに育つことができるようにしたいということで、先ほど大臣から御答弁がございましたように、母子保健分野での国民各層の幅広い取り組みをしていきたい。私どもの母子保健の水準は高いと思っておりますが、何とかそういう高い水準を維持しつつ、また新たな課題に取り組むということで、現在、健やか親子21ということで総合的に検討いたしておりまして、子供の体の健やかな発達を図るための環境整備というものも主要課題の一つとして今議論をいただいておりまして、ことしじゅうをめどに具体策の取りまとめをいただきたいというふうに考えております。
  23. 三ッ林隆志

    ○三ッ林委員 ただいまの局長のお話の中にも予防接種の話がありましたが、ここでワクチンについて一つお聞きします。  乳幼児の細菌性髄膜炎の原因として大きな割合を占めているインフルエンザ菌のb型は、予後も悪く、早期の対策が望まれております。このインフルエンザ菌b型に対するワクチンは安全性有効性の評価も高く、WHOによれば、一九九八年度の段階で二十二カ国で定期接種され、八十八カ国で認可されております。欧米先進国ではインフルエンザ菌b型の髄膜炎はワクチン認可前の五%以下に激減したとの報告もあります。  我が国におけるこのインフルエンザ菌b型に対するワクチンの承認状況はどうなのか、また、今後予防接種法に位置づける考えはないか、保健医療局長にお聞きしたい。
  24. 篠崎英夫

    篠崎政府参考人 先生御指摘のように、このワクチンの予防接種につきましては、先進国、開発途上国を含めまして二十二カ国で現在実施をされているというふうに承知をいたしております。  インフルエンザb菌に対するワクチンにつきましては、企業により開発が進められているというふうに承知をいたしております。今後、薬事法上の承認申請がなされれば、医療上の必要性に応じまして速やかに審査をしてまいりたいと考えております。  また、予防接種法への位置づけについてのお尋ねでございますが、我が国では現在二十種類のワクチンが承認をされておりまして、その中で予防接種法に基づいて接種するワクチンは、当該感染症の流行状況ですとか、あるいはワクチンの承認状況安全性有効性などを総合的に勘案して決められているところでございます。近年におきましては、特に平成六年の予防接種法の改正によりまして、対象疾患の大幅な見直しがなされまして、現在、日本脳炎など七種のワクチンの接種を行っているところであります。  また、平成六年の法改正時に設けられました五年後の検討規定に基づきまして、平成十年六月から以後二十回にわたりまして慎重審議を重ねて、公衆衛生審議会で意見書が取りまとめられたところでございますが、インフルエンザb菌ワクチンにつきましては、いまだ承認をされていないために直接触れられてはおりませんで、社会問題化した高齢者に対するインフルエンザワクチンの接種を進めるという内容になっているところであります。  御指摘の件は、今後とも、我が国における感染症発生動向やワクチンの供給、安全性有効性などを考えながら研究してまいりたいと考えております。
  25. 三ッ林隆志

    ○三ッ林委員 小児においても、また成人においても、この疾病予防というものにますます力を入れていただきたく希望します。  以上で質問を終わります。
  26. 遠藤武彦

    遠藤委員長 次に、西川京子さん。
  27. 西川京子

    西川(京)委員 自由民主党の西川京子でございます。  津島厚生大臣におかれましては、国の予算の中で大変大きな枠を持っているこの厚生省という守備範囲の広い省の大臣というポストにおつきになられて大変御苦労も多いかと思いますが、ますますの御活躍をお祈り申し上げます。  ただいま三ッ林議員より小児医療の問題が質問されましたけれども、私も子供を育てた母親という立場から、子供を取り巻く環境問題というのは大変興味を持っております。社会的環境あるいは自然環境。今、どんどんそういう子供社会環境、自然環境というものが大変厳しい状況になっているわけでございますけれども、その中で私が一番気になりますのが自然環境の問題でございます。  私は熊本県の南端の水俣市の隣にあります津奈木町という人口六千人の大変小さな町に住んでおりますけれども、ここで七月の中旬以降、八代海沿岸全部で三十数億になるという今までで三番目ぐらいになる大きな被害を出した赤潮が発生いたしました。これは、漁民の人に聞きますと、何か今までの赤潮とまた違う、今までの経験からちょっと予測のできないような赤潮の発生の仕方だったというようなこともお聞きいたしました。  赤潮のメカニズムというのは、もちろん気候条件なり植物プランクトンなりさまざまな条件があるわけですが、海水の汚れというのはやはり大きな要因だと思うのでございます。その中で、私が、海水の汚れということから考えまして、やはり何とかこの水質汚濁の問題を絶対取り上げなければいけないのではないかという思いを強くしたわけでございます。  特に、この水質汚濁の問題に関しましては、いわゆる個人、主婦の立場で、いろいろさまざま、琵琶湖の浄化運動とか、あるいはお米のとぎ汁を直接流さないとか油を流さないとか、個人レベルの国民の自覚というんでしょうか、そういう意識がかなり出てきているわけです。現実に、公共下水道、あるいは建設省なり農林省なり、厚生省のやっている合併浄化槽なりという三つのプラン、国庫補助事業があるわけですが、その中でまだまだ完全とは言えないという状況考えますと、ぜひこの問題を私も取り上げたいなという思いがいたしました。環境ホルモンの問題についても最近特に皆さんの関心が深いわけでして、この水質汚濁についての処理というのは国の大きな緊急の課題ではないかと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  まず、合併浄化槽についてでございますけれども、合併浄化槽の生活排水処理の方法としては、先ほども申し上げましたが、建設省、厚生省、農水省それぞれの、公共下水道、農業集落排水、合併処理浄化槽と三方式が併存しているわけでございますが、この厚生省の所轄の合併浄化槽についての特徴、他の省庁のものと比較いたしました特徴をぜひお聞かせください。
  28. 西本至

    西本政府参考人 合併処理浄化槽の特徴でございますが、これは各家庭から排出されます生活排水を集める管渠というものを持っておりません。その排出場所におきまして処理、放流を行うということでございますので、人口密度の低い中小市町村あるいは地形の起伏が激しい中山間地域におきまして効率的な生活排水処理施設というふうに考えております。  また、設置状況でございますが、これにつきましては、平成十一年度の新設浄化槽のうちで合併処理浄化槽の占める割合が六五・八%というところまで上昇いたしております。既設の浄化槽全体に合併処理浄化槽の占める割合はまだ一三%にとどまっているというのが現状でございます。  補助事業につきましては、平成十二年度で全国で二千三百三市町村におきまして十万基強が設置される予定となっているのが現状でございます。
  29. 西川京子

    西川(京)委員 ありがとうございます。  そういう細かい数字もありがたいのでございますけれども、今実は公共投資に対して、地方にむだな公共投資をするという批判がかなり一般の論調として出てきているわけですが、現実のいわゆる生活基盤という下水道処理、生活汚水処理の問題について、大きな大都市と地方との差がどの程度なものか、その辺の具体的な数字をぜひお願いしたいと思います。
  30. 西本至

    西本政府参考人 下水道あるいは合併処理浄化槽等の生活排水処理施設の整備につきましては、毎年、汚水処理施設整備率という形で公表させていただいているところでございます。  この整備率によりますと、平成十年度末におきまして六六%というふうになっております。ただ、人口が百万人以上の大都市におきましては九九%というところに達しております。その一方で、人口五万人未満の中小市町村におきましては三七%程度にとどまっておるということでございまして、御指摘のとおり、地域によって大きな格差があるというのが現状でございます。
  31. 西川京子

    西川(京)委員 ありがとうございます。  漠然と地方の公共投資はむだが多い、そういう論調に私はちょっと異議を唱えるものでございますけれども、基本的なこういう問題においてもこれほどの格差があるということで、地方の人間は生活に大変不便を来している現実があるわけでございます。  その中で、具体的な例ですと、都会から若い御夫婦がおじいちゃん、おばあちゃんの田舎に帰ってくる。そうすると、ああいうくみ取り式のトイレで、孫が怖がってトイレに行かないとか。あるいはお嫁さんを田舎で迎えるに当たって、このトイレではお嫁さんがびっくりするだろう、親御さんにごあいさつに来るときに。そういう問題から、ぜひこの際縁談がまとまった時点でこういう設備をきれいにきちんとしたい、そういう要望が大変多いわけでございますね。  そういう中で、具体的に、私の住んでいるような小さな町は、合併浄化槽が、確かに農業集落排水あたりもいいわけですが、これもやはり最終処理場をつくらなければいけないという現実がありますので、かなり点在しているところで膨大な管を敷設するむだな工事があるという現実があるわけで、最終処理場ができるまでにかなりの年月を要するという現実もあります。  その中で確実に、たとえ一軒一軒でも、この合併処理浄化槽というのは一週間か十日の工期でできて、一軒でも汚水を、生活雑排水を流す家が減っていく。これは大変簡便な事業だと思って、小さい市町村、中山間地の市町村というのはぜひこれを大いにやるべきだと、私は厚生省にエールを送りたいくらいのものでございます。  その中で、この補助事業の補助金の問題なんですけれども、これをぜひ検証したいと思います。  実は、平成六年にこの制度ができたときに、私どもの町ではすぐにこれを取り上げまして、住民に啓発をしながら、補助対象として八十二万幾らでしたか、最初八十二万四千円いただいていたんですね。それが、これは多分家の広さを基準にしたと思うんですが、平成十年に見直しがありまして、これが一気にこのレベルのところが四十一万一千円ぐらいの額に減額されてしまったという現実があります。その中で、市町村がその分の差額を一件につき四十万ぐらいずつ、小さな財政規模から持ち出さなければいけないという現実があるわけでございますが、このあたりの改正の経緯をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  32. 西本至

    西本政府参考人 ただいま議員御指摘のように、平成十年度におきまして、合併処理浄化槽設置整備事業の補助基準単価についての見直しというのがございました。  従来は、単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の差額補助という考え方で設定いたしておりましたところでございますが、この年に合併処理浄化槽の生活雑排水に関する汚濁負荷削減割合の相当分という考え方を取り入れまして、合併処理浄化槽の設置費用の実勢価格の約四割を根拠に補助基準額を設定いたしたというところでございます。  この見直しによりまして、御指摘のように、規模によりましては補助基準額が引き下げられる結果になったものでございます。ただ、合併処理浄化槽の機能と実勢価格から見直しを行ったという点の趣旨でございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  33. 西川京子

    西川(京)委員 ありがとうございました。  実は、以前には田舎の家は比較的広いので、面積に比べて補助金が出ていたという現実があります。ただし、それは、余りに広い家に老夫婦が二人ぐらいいると実勢に合わないだろうという御配慮で、住んでいる人数でそれを決めてよいということになったと思うんですね。実勢に合わせるというのはそういうことだと思うんですが。  そういう中で、現実に五、六人槽の価格を考えますと、がたっと減るわけですね、人数分になると。しかし、現実に合併浄化槽の工事をする場合に、浄化槽自体の値段は小さくなっても、それほど差はないわけです。その敷設する工事費なりなんなりはやはり百十万ぐらいかかるわけですから、そういう配慮のもとにされますと、現実には本当に市町村のその辺の持ち出しが多くなって、これをぜひ推進したいという、大きなネックになっていることは事実なんですね。ですから、この辺の弾力的運用というんでしょうか、人数比と実勢価格とのあれのもう少し弾力的な運用というのをぜひ御要望したいと思います。  それともう一つ。単独処理浄化槽といいまして、汚水だけをやっていた浄化槽が今まで七百万基ほど現実に敷設されているわけですね。そういうところでは、これをぜひ合併浄化槽に転換するというのは単なる努力目標に以前の国会でなっているわけですが、これを努力目標にしておきますと、やはり撤去費用にお金がかかるということで、いつまでたってもこれはなかなか、本当に使えなくなるまで使ってしまう、その間にどんどん生活雑排水は流してしまうという現実がありますので、古い施設を、単独浄化槽を撤去する費用に対する補助という、その辺に関してはいかがでございましょうか。
  34. 西本至

    西本政府参考人 浄化槽法が改正されまして、原則単独処理浄化槽の設置が禁止されるということになりました。したがいまして、御指摘のとおり、既設の単独処理浄化槽の合併処理浄化槽への転換ということが非常に大きな課題であるものと私ども認識をいたしております。  既設の単独処理浄化槽の転換につきましては、個人の負担が大きくて進みにくいという面があることも承知いたしておりまして、市町村が設置主体となる特定地域生活排水処理事業というものの一層の活用を図ることを考えておりまして、現在の国庫補助制度の活用あるいは拡充を図りつつ、計画的な転換が進むように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  35. 西川京子

    西川(京)委員 ありがとうございました。  私も最初の代表質問でトイレの話はないんじゃないかとちょっと思いましたけれども、しかし、やはり主婦として、これは一番大切な水質汚濁の問題であるので、ぜひということでこの問題を取り上げましたが、今までの質疑の流れの中で厚生大臣の御所見をぜひお願いしたいと思います。
  36. 津島雄二

    津島国務大臣 西川委員の最初のお話の中で、有明湾の汚濁の話、赤潮の話を伺いまして、非常に強い印象を受けました。  と申しますのは、私の地元には陸奥湾という宝物があるわけでありますね。この陸奥湾の汚濁の問題を突き詰めていったら、委員指摘のとおり合併浄化槽と集落排水の問題に行き着いたわけであります。  今、私の地元においても市町村長が熱心にこれに取り組んでおり、また広域下水道の方も建設省は力を入れていただいているのでありますけれども全国的に言いますと、先ほど局長から御答弁しましたように大都会と中小都市の間には格段の差があることも事実で、恐らく委員の御質問の背景には、御地元の事情を踏まえてのことであろうと非常に賛成できる御所論が多かったと思いますので、これから施策充実にさらに一層努力をしてまいりたいと思います。  あわせて二つだけ申し上げると、一つは、今度の浄化槽法の改正は議員立法でございます。したがいまして、これを推進したのは浄化槽議員連盟でございます。先生もどうかそういう議員同士の力強い運動に参加をしていただいて、行政側がする努力をバックアップしていただきたいと思います。  もう一つは、浄化槽の問題に入ってまいりますと、どうしても自己負担と地方の負担と国の負担の三つのバランスを考えなきゃいけませんので、そういう意味では、地域性、それから農林省所管の事業、建設省所管の事業との間のすみ分けということについても配慮しなきゃいけませんが、結論を申しますと、御指摘の点については、私どもとしても大きな、大事な課題として積極的に取り組んでまいります。
  37. 西川京子

    西川(京)委員 ありがとうございました。  議員活動に対する指針まで御教示をいただいて、本当にありがたいと思っております。精いっぱいこれからこの問題に取り組んで頑張りたいと思います。津島厚生大臣におかれましても、大臣という立場、そして政治家という立場でも、ぜひこの問題に御配慮いただきたいと思います。  本当にいろいろとありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
  38. 遠藤武彦

    遠藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
  39. 桝屋敬悟

    桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。限られた時間ではありますが、質問をさせていただきたいと思います。  最初に、実は昨日の予算委員会でも議論をさせていただきました介護保険の問題もやりたいと思いますが、昨日は子ども国会で、大臣のお姿がなかったものでありますから、きょうはしっかり大臣議論をさせていただきたい、こう思います。  最初に、その話題に入ります前に、医原性のクロイツフェルト・ヤコブ病に関する予備的調査、本日も理事会で議論がありました。これにつきましては、衆議院の、私も久しぶりにこの厚生委員会に帰ってきたわけでありますけれどもさき国会、解散前の国会で既に予備的調査は同じものが出されておりまして、そして解散で効力を失ったという状況があるわけでありますけれども、前大臣は、厚生省として引き続き調査をして、その結果を公表する、このように答弁をされてきたということも伺いました。  この問題につきましては、最近新聞報道で新しい資料が発見されたというような報道もあったわけであります。一方、今申し上げましたように、きょう当委員会理事会でも予備的調査の要請が行われまして、先ほどこれを決定し、命ずることとした、こういう経過であります。  こうした新しい動きを踏まえまして、大臣としてはあるいは厚生省としてどのように対応されようとしているのか、お伺いをしたいと思います。  マスコミではまさに、私もちらっと読みましたけれども、第二のエイズのような書き方もあるわけでありまして、私は、仮にも国民に情報を隠していると思われるような状況はよくない、このように思っているわけであります。情報開示や医療技術に対する厚生行政の信頼性を守るためにぜひとも大臣にリーダーシップを発揮していただきたい、このようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  40. 津島雄二

    津島国務大臣 御指摘医原性クロイツフェルト・ヤコブ病に関する問題でございますが、御指摘のとおり、前国会におきまして予備的調査が求められ、そのことを受けて前大臣が、厚生省としては衆議院の解散で効力を失うことがありましても引き続き調査し結果を公表すると答弁をしておるところであります。  そういう中で、再び予備的調査の要請を決定されたということを今伺いましたが、私どもは、これには誠心誠意おこたえをしてまいりますけれども、既に前大臣がきちっと調査をしてその結果を公表すると言っておりますので、現在その調査が取りまとめの段階に来ておりますから、今後、これを完了いたしましたときには包み隠すことなく全部公表をいたしたいというふうに思っております。  少し時間がかかったであろうというお話でございますけれども、必要な資料の確認や当時の関係職員への聞き取り等、しっかりやらなければいけなかったわけでございますけれども、ここでお約束をいたしますけれども、できるだけ早く公表したいと約束した経緯を踏まえて、回答内容については公表をいたします。  新聞報道、いろいろございますけれども、私は、これまでございました薬害の問題、HIVの問題の経験を踏まえて、決してその二の舞にならないように、すべてを公表をいたしまして、そして透明性のある議論をしていただいた上で適切な御判断を求めるということでやってまいりたいと思いますので、どうか御信頼をいただきたいと思います。
  41. 桝屋敬悟

    桝屋委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  この前のマスコミの報道を見ておりましても、国民の皆さんから見ると、今大臣から御決意がありましたけれども、ともすると誤解を与えるような報道もあるわけでありまして、誤解なのか本当なのか、これはまさに大臣おっしゃったように、知り得た事実を、調査結果を一日も早く国民の皆さんにお示しをする、これが大きな第一歩だろう、このように思っております。あわせまして、厚生省の見解をきちっと整理していただいて、ぜひとも適切な時期に発表していただきたい、お願いをしておきたいと思います。  それから、介護保険の問題であります。  今も大臣の所信の中で申されました。介護保険についてはおおむね順調に実施されている、今後、現場の御意見に耳を傾けながら、国民の皆さんとともに介護保険制度をよりよいものに育ててまいります、これはまことに適切な表現だろうと私は思っております。  私ども与党三党、この介護保険が始まる前から制度の円滑な導入ということに随分腐心をしてきたわけでありまして、始まった後、言ってみますれば段階的にならし運転をしながら今制度導入を行っているわけでありまして、まさに現場意見にしっかり耳を傾けていただきまして、国民の皆さんとともに、この表現どおり、ぜひとも国民の皆さんに信頼いただける介護保険制度にしっかりと育てていかなければいかぬ、我々もそのように思っているわけであります。  そういう意味では、きのうも予算委員会で政務次官とも議論をさせていただきました。ただいままで三カ月間介護保険制度を運営をしてきて、おおむね順調に進んできた、そして、いいところもある、反省をし見直しをしなければならぬようなポイントも見えてきた、こんな御報告をいただいたわけであります。特に私うれしいのは、サービスの利用者がふえたということは、やはりこの介護保険が本当にねらった部分の大きな成果でありまして、措置から保険というこの制度に移行する中で利用者がふえたということは、私はまことにうれしい話だな、このように思っているわけであります。今後、十月から高齢者保険料の徴収も始まりますので、さらにしっかりと現場状況を注意しながら推移を見守っていかなければいけない、こんな思いであります。  そんな中で、きのう政務次官から、ショートステイについては、現場で混乱も、混乱とはおっしゃいませんでしたけれども、問題が出ているようなお話を伺いました。そういう意味で、短期入所については支給限度額の一本化、通所系のサービスと一本化をするというようなお話もいただいたわけであります。そういう検討をしている、こういう御報告でありましたけれども、きのうちょっと申し上げましたけれども全国的なシステムをつくり上げたものですから、これからまずいところは見直しをしながら、手直しをしながら進めていくということになりますときに、どうも今のショートステイの、短期入所の一本化にしても、実施までに相当時間がかかるということを伺っております。  私は、全国的なシステムを展開しているわけでありますからやむを得ない部分もあるなと思うわけでありますけれども、これはある意味では残念な話でありまして、すばらしいシステムを導入し、コンピューターを使ったシステムになっているのだろうと思うのですが、そのシステムを構築したがゆえに、見直しをする、手直しをする、一部改正をするということが実際に展開されるのに、それこそ今のショートステイの話を伺いますと、来年、再来年の一月からでないとどうもできないのではないかということを伺っているわけであります。これはすばらしいシステムであるがゆえに、全国的な大規模なシステムであるがゆえに小さいカーブが切れないということでありまして、まことに悩ましい話だなと思っておりますけれども、これも始まったばかりのシステムであります。システムが本当にうまくいくのかどうかというのは今も実はずっと関心を持ってきた人間としては日々私も心配をしております。  そういう意味では、このシステム、開発には随分費用もかかったでありましょうけれども、必要なものはやはりぜひ見直しをしなければならぬ。それは、これから概算要求の作業もあります。必要な予算については確保して、そして移行スケジュールについてはできるだけ早くできるような、これは信頼につながる話でありますから、ぜひそんなお取り組みもお願いをしたいと思うわけでありますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  42. 津島雄二

    津島国務大臣 デイサービスとショートステイサービスを別枠にして、余りにもきちっとつくり上げたということで小回りがきかなくなっちゃったということは、そのとおりでございます。  別枠にしたのは、ショートステイを少しある期間に集中して使わせてあげようという配慮からきたのでありますけれども、それがある意味で裏目に出ている面もあるわけでございますね。そこで、これを改めて、一本で使いでのいい方を利用していただけるように今度するわけですが、システムの方が十四年一月まで対応できない、御承知のとおりの事態になっております。  ただ、これをそのままにしておくわけにはいきませんので、利用しやすい、つまり、ショートステイサービスをかなり自由に利用していただくとともに、今の規則上からいうと償還払いにその結果としてなる点だけは改めてあげたい。いわゆる受領委任方式というものを導入すれば、結果としてはそれほど大きな支障なしにかなり自由に利用していただけるのではないかという判断で、今そのような方向で受領委任方式による振りかえ措置をとっていただく。しかし、これは市町村でやると決めていただかなきゃなりませんから、その普及のために今一生懸命努力をしておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
  43. 桝屋敬悟

    桝屋委員 今大臣のお話は、全国的なシステムはシステムとして、実際に利用される現場で問題がないように運用で対応していきたい、こういうことでありまして、それはぜひそういう方向でお願いをしたいと思うのですが、今大臣からお話がありましたように市町村の判断ということも一つあるということでありますし、それから、私がもう一点申し上げたいのは、ショートだけの話ではなくて、ソフトは大丈夫ですか、システムは大丈夫ですかということであります。  時間がありませんから余り言いませんが、私も全国幾つかの国保連合会のソフトの状況等伺いました。今にも破裂しそうだという切実な声も聞いておりまして、エラーなんかも、どうしてこんなエラーが出るんだろうかという声も聞いているわけでありまして、そのエラーがだんだん減っていけばいいのでありますけれども、大変だという状況で、これがシャットダウンするようなことになるとえらいことでありまして、一つ一つの制度の内容もさることながら、このシステムについても、十三年度概算要求に向けて、また我が党も何が問題なのかというのは今後とも研究をしていきたいと思いますけれども、ぜひともそういうことにも御配意をいただきたい、これはお願いをしておきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。どうぞよろしく。
  44. 遠藤武彦

    遠藤委員長 次に、小池百合子さん。
  45. 小池百合子

    ○小池委員 保守党の小池百合子でございます。  厚生委員会のメンバーになったのは初めてでございます。まさに厚生行政、本当に幅が広うございます。年金、介護、そして医療、大変御苦労なことだと思いますが、これまで経済を担当いたしてまいりました身といたしましても、やはり将来への不安というものが個人消費を抑えているということを大変実感いたしておるところでございますので、ぜひともこの委員会で、大所高所、そしてまた国民の側に立って、かつ国家の運営という、その両方をバランスよく進めていかれますようにお願いを申し上げたいと存じます。  さて、最近は雪印の問題で食品の安全に対しての不安というものが出てまいりました。この雪印問題については、来週の八日に集中して審議をするということでございますので、これはさておきまして、私は、食品の安全も命にかかわることでございますから大変重要なことでございますが、また一方で、まさに命を預ける医療現場でのミス、事故ということが大変多発しているように思うわけでございます。  昨日もインターネットでいろいろとそのキーワードで検索をいたしておりますと、出てくるわ出てくるわでございまして、それも、言ってみれば凡ミスといいましょうか、現場の方にとっての凡ミスが患者の側に立ってみればまさに生命にかかわるということでございます。金融の世界などでもモラルハザードということが言われるわけでございますが、この医療現場でのモラルハザードがあるのではないかと大変心配をしているところでございます。  きょうの新聞にも、筑波大学の方でがん患者と間違えて手術をした。これは間違えて肺をとられちゃった人というのはどうなるんだろうということでございますし、院内感染で敗血症の方、ガーゼを残したまま縫合された、肺疾患と心臓疾患と患者を取り間違えられた、また、点滴を過剰投与、十倍の睡眠薬を投与、消毒液取り間違えなどという形で、続々とこの医療ミスが目立っているところでございます。  患者といたしましては、もうお医者様にある意味で命をお預けするしかないというような医療現場のことでございますので、やはり安心してその病を治してくださる、そういう信頼感というのが一番必要ではないかというふうに思うわけでございます。  その意味で厚生大臣にお伺いをしたいわけでございますが、特に目立つヒューマンエラー、こういったことに対して、行政として何ができるのか、また何をすべきなのか、また何をしていこうと考えておられるのか、伺いたいと存じます。
  46. 津島雄二

    津島国務大臣 まず最初に、小池委員、これまで経済あるいはマクロ経済政策の面で大変御活躍でございましたが、厚生行政関心を持っていただいたことを大変ありがたいと思っております。  それで、最近の医療事故が続発しているではないかという御指摘、これまでどうであったかというような議論もいろいろあるようでございますけれども、しかし、今のような事故が続けば、国民医療に対する信頼が大きく揺らぐのは当然のことでございまして、我々はこの状況を非常に真剣、深刻に受けとめておるところでございます。  そのためには、私ども行政も、医療安全性向上、信頼性回復のために努力しなければいけませんが、また同時に、医療関係者が一体となって取り組んでいただかなければならないわけであります。  すなわち、医療事故防止する上で、直接の担当職員一人一人が患者の生命を預かっているという意識を常に忘れず、安全に十分に配慮して医療従事をしていただくことがまず先決である。それから同時に、非常に医療が高度化、複雑化しておりますから、例えば集中治療室でのいろいろな配管、輸液の管等が複雑になってくる、あるいは高度な機械を使わなければならない、そういうことの中でちょっとしたミスが重大な結果を招くということにも留意をしなければならないと思っております。  ことしの三月二十二日に医療関係団体にお集まりをいただきまして、前大臣から直接このような問題、すなわち職員の意識の向上や組織的な取り組みに積極的に取り組んでいただくように働きかけを行ったところでありますし、また、厚生省全体としては、医薬品、医療用具などについて、医療ミスを起こしにくいものに改めるシステムを新たに構築するということ、それから、国立病院療養所向けの具体的な事故防止マニュアルを作成し、これを一般の医療機関にも周知して参考にしていただくというような努力をいたしております。  なお、私見でありますけれども医療現場のいろいろな問題情報、つまり、うっかりやったという情報を、大きな結果につながらないものでも、これをフィードバックして再発を防止するという仕組みにどうもまだ不十分なところがあるのではないかというのが私の個人的な見解でございます。
  47. 小池百合子

    ○小池委員 確かに医療は大変高度化いたしております、複雑化いたしております。しかし、今最後に大臣が私見としてお述べになりました点でございますけれども、意外と単純なところでミスを犯している。例のジェー・シー・オーじゃございませんけれども、結局、現場は最終的にバケツでやっていたなどとあきれるような問題点が指摘されたわけでございます。ですから、高度化、複雑化ということにとらわれ過ぎて、意外と基本的なことができていないということで、原点に戻るべきではないかというふうに指摘をしておきたいと存じます。  それから、先ほども同僚議員の方が既にお尋ねになりましたけれども、やはりいろいろな意味で、命を預ける、そこでお医者様を信頼するということと同時に、いろいろな情報公開ももっと明確にしていかなければならないと存じます。  きょうは既に調査の実行ということの命令が下されたようでございますけれども、例のクロイツフェルト・ヤコブ病につきましても、これも積極的に行政の側として情報公開をしていかなければ、医療現場に対しての不安ということと同時に、厚生行政に対しての信頼感を確保するということ、これはまさに生命線であるというふうに感じるわけでございます。この点で、大臣の決意のほどを伺わせていただきたい。
  48. 津島雄二

    津島国務大臣 医原性クロイツフェルト・ヤコブ病に関する問題でございますが、先ほど当委員会において予備的調査を行うという決定を改めていただいたと承りまして、これを重く受けとめさせていただきます。  前国会での予備調査関係で、昭和五十一年以降の長期間に及ぶ関係書類の確認、それから、多数の研究班関係者関係職員に対する調査票による調査や追加的な確認作業を行ってまいりましたが、ようやくまとめの段階に入ってまいりましたので、これを予備調査と並行して私どもはまとめて、回答内容をしっかりと公表いたしたい。そして、先ほども申し上げましたが、これまでのHIVの二の舞にならないように、すべて公表し、透明性のある御議論をいただきたいということで取り組んでまいりますので、よろしく御信頼をいただきたいと思います。
  49. 小池百合子

    ○小池委員 話は違いますが、雪印の社長さんが記者会見場で現場からの報告を何も聞いていなくてあたふたとする姿がニュースで伝えられました。そういう立場に大臣が置かれないように、しっかりと現場の方に御指導なさるようにお願いを申し上げます。  さて最後に、時間がもうございませんので、この一点かと思いますが、年金の積み立て状況について現状を把握しておきたいと思います。  年金は長期にわたるものでございますから、一瞬一瞬のことに気をとらわれるのはいかがなものかというふうには思いますけれども、例えば年金福祉事業団での運用状況が一体どうなっているのか。また、厚生年金とは別に、厚生年金基金の方でございますね、企業年金、これについての運用状況がどうなっているのか。特に最近まだまだ経済が低迷をいたしております、この辺大変私自身も心配をしているところでございますので、数字があればお答えをいただきたいと存じます。
  50. 津島雄二

    津島国務大臣 年金福祉事業団の運用資産でございますが、平成十一年度末時点の時価総額で約二十七兆五千億でございましたが、去る六月末時点の時価総額では約三千億減の約二十七兆二千億となってございます。  この辺は先生も専門家でおありなのでおわかりのとおり、多分に金融資産、わけても株式等の市場の動向で影響を受けることはやむを得ないところでございますけれども国民からお預かりした資産の運用でございますから、絶えず責任を感じながらしっかりと運用していくことが必要だと思っております。  一方、企業年金の方も、基本的に、日本の金融市場が同じ構造になっておりますから、積み立て不足が発生してございます。厚生年金基金の平成十年度決算では、千八百五十八基金のうち約三割の五百五十九基金で余剰がございますが、七割の千二百九十九基金で積み立て不足になっておるわけであります。平成十一年度決算は出ておりませんが、運用環境が好調でございましたから、財政状態は多少改善しているのではないかと思いますが、全体としては、低金利、それから株価も低迷しているという状態でございますから、決して生易しいものではないというふうに考えております。
  51. 小池百合子

    ○小池委員 今企業経営は大変難しい段階で、最近はまた倒産、合併など非常に流動化をいたしております。それだけに、この年金をしっかりと支えていかないと、例えばリストラに遭った人たちなどにはまさに最後のよすがというところになるかと思います。また、雇用の流動化ということで申し上げるならば、確定拠出型年金の導入ということは一種安全ネットにもなっていくであろうということで、早期の導入を図りたいというふうに考えているところでございます。  以上、質問を終わります。ありがとうございました。
  52. 遠藤武彦

    遠藤委員長 続いて、五島正規君。
  53. 五島正規

    五島委員 民主党の五島でございます。  昨日も予算委員会質問させていただきましたが、若干時間不足ということもございまして、改めて津島大臣にお伺いしたいと思います。  津島大臣厚生大臣二度目ということで、前回はゴールドプランを作成されたときの大臣をしておられました。あの時期は、まさに高齢化が現実のものになろうとしている時期の中において、国として高齢社会に対するインフラの整備をどうしていくのかという非常に重要な課題を担当されたわけでございます。  今、高齢社会が現実に非常に進行していく中において、ソフト面も含めて社会全体をどのように整備していくかという時代に入ってきたというふうに思っています。そして、その中において一つ特徴的なことは、あのゴールドプランを作成されて今日までの間で介護保険制度ができたというのは、非常に大きな変化であっただろうと思っています。  ただ、介護保険問題というのは、議論の当初から老人医療の問題とさまざまなところにおいて非常に深くかかわってまいりました。ところが、昨日もお伺いしたのですが、ことしの四月から介護保険実施されたわけですが、残念ながらといいますか、健康保険法の改正が前国会に提出されながら審議されなかった。この国会にも出されていない。したがいまして、早くても秋の臨時国会までこの予算関連法案が審議されないという状況にあります。  その結果、介護保険についても大変大きな問題が起こってまいります。例えば二号被保険者の介護保険料は、御承知のとおり健康保険とセットで徴収することになっているわけでございますが、健康保険法の改正がないために、あるいは当初見込んでいたほど介護保険実施によって老人医療費の減額はなく、健康保険料介護保険料を別建てで徴収せざるを得ない状況になった結果として、上乗せをして徴収しなければいけない。  しかし、一方において、現行の健康保険法において上限規定があるということで未収金が残ってきています。現在、月に約二百二十億円ぐらいの未収金が残っているというのが現状だと思います。これが四月以後積み重なってくるわけですが、この未徴収分というものは何らかの形で徴収せざるを得ない。ただ、きのうもお伺いしたのですが、これを短期に徴収してしまうということになりますと、二号被保険者にとっては非常に大きな負担が一時的に来るということになってまいります。健保組合の約四〇%が未徴収の状況でいかざるを得ず、あるいは政管健保についても一定額を未徴収でいかざるを得ない。これをどれだけの期間で非常な負担を起こさずに徴収していくか、これも非常に重要な問題だと思います。  その点についてお伺いしたいわけでございますが、一号被保険者に関しては、御案内のように、介護保険は三年間の財政とサービスの給付というものを比較して単価を決めていくということになっています。ことしの四月から実施されているわけですが。  したがって、この未徴収の問題というのは、保険者の責めに帰せられる内容によって起こってきているのではなくて、まさに与党あるいは政府の責任においてこの予算関連法案の審議がおくれた結果生じた問題であり、これについては、例えば半年とか一年で何としてもこの未徴収分を回収するということではなくて、三年の間に徴収するとか、あるいは各保険者と厚生省が協議をしてそれぞれで決定して決めていくとか、何らかの措置が必要だというふうに思うわけでございます。問題点はきのうの予算委員会でも大臣もお認めになったわけですが、この辺、具体的にどうされようとしているのか、具体的にお答えいただけませんでしょうか。
  54. 津島雄二

    津島国務大臣 御指摘のとおり、昨日も申し上げましたように、介護納付金に見合った介護保険料率を設定できない健保組合が四割もある。そして、委員指摘のとおり、本来予定された保険料が月に二百二十億ぐらい取れないという状態でございますね。それを、当面の措置として納付猶予ということで、保険者に対してはしばらくは納付しなくてもいいということで、糊塗していると言ってもいいと思うのでありますが、これは何とか解決をしなきゃならない、委員の御指摘のとおりでございます。  これは、全体として徴収できなかった部分を一遍にやれとなると大変ではないか、なだらかにすべきではないかという委員の御指摘は傾聴すべきものがあると思っておりますけれども、健康保険組合の運営の自主性の尊重ということ、また、その関係者の御意見等も踏まえながら今後検討していくべき重要な課題であると認識をしております。  具体的にどうするか言えというのが御質問のようでありますが、今二百二十億ずつ不足になっているという状態を解消するためには、まずもって健康保険法の改正をしていただきませんと次の議論にまいりませんので、この際、私の方から陳情でございますが、どうか皆さん、委員会で話し合って、健康保険法の改正法が早期に実現いたしますようにお願いを申し上げたいと思います。その過程において、またいろいろと御意見を交わしながら、適切な結論に導いてまいりたいと思います。
  55. 五島正規

    五島委員 津島大臣がそうおっしゃるのであれば、やはりこの国会にこの保険法を、十分議論するという前提はあるにしても、提案されるべきであった、それもされていないということに対しては非常に問題ありと私は考えております。  加えまして、老人医療、すなわち老人保健と介護保険との整合性の問題についてお伺いします。  御案内のように、老人保健、介護保険、ともにお年寄りについては一割の負担に新しく変えていこうということでございます。介護保険につきましては、生保ぎりぎりの低所得者において、一月の在宅の負担の限度額は一万五千円という数字になっております。それに対して老人医療の方は、所得と関係なく、医療機関の規模によって三千円と五千円、こういうふうになっている。これはいかにも格差が大きい。  これについては、ここまで大きな格差というものをなぜ設けられるのか。そうした上限規定を決められた結果として、老人医療費の問題が非常に大きな問題になっているわけですが、一割というものを導入されても、現行の制度と改正後の負担割合を見てみますと、外来について、現行の制度では実効負担率が七・一%、これが七・二%に変わるだけですね。〇・一%しか変化しない。これで本当に老人医療の問題に手をつけたと言えるのかどうか。  一方、新しい制度であるからということで、介護保険については非常に抜本的な発想が入っています。保険そのものをケアマネジャーという形でもって有効に、これは医療と介護は違いますから、それをそのままにしろと言っているわけではないんですが、そういうふうにケアマネージをしていきながら、業者がどこであったとしてもそれぞれのサービスのトータルな利用というものの制限と額の決定、そして、どこの業者を使おうと、例えばその一割あるいは低所得者については最低一万五千円の負担という形で制度整備されています。医療に関してはそういうことが全然されていないまま経過しています。  今回の健康保険法の中で三千円、五千円という範囲を入れたことによっての矛盾点もありますが、それは後ほどお伺いするとして、介護保険と老人保健との間の負担あるいは仕組み上の大きな整合性の欠如というものについて、これはこれでいいとお考えか、この辺も含めて検討しなければいけないとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  56. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 介護保険医療保険との負担の相違ということでございますが、御承知のとおり、これまで老人保健につきましては、現行法ではございますけれども外来の一部負担については一回五百三十円ということで設定されてきたわけでございまして、今回、これを定率制に変更したい、こういうことで予算編成の過程において決まったわけでございますけれども、そのときには、従来の負担とほぼ同水準である、こういうふうなことで三千円なり五千円の上限が設定されたということでございまして、御指摘のように確かに介護保険とそのまま比較すれば差があるわけでございますけれども、これは先生の御指摘のように介護保険と老人保健が整合性があるというのが最も理想だと思いますけれども、今回の措置はこれまでの経緯を踏まえた上で定率制を導入したということで、この整合性をどうするかについては今後の課題である、こういうふうに考えております。
  57. 五島正規

    五島委員 年金の収入が生保よりもはるかに低い人であっても、利用料は月額一万五千円払わないといけない。そして、健康保険法が改正されていないということもあって、例えば訪問看護なんかを受けた場合でも、三倍近い、三倍強の格差が生まれて、介護の判定、すなわち介護保険の判定を受けると、そういう医療保険からの、老人保健からの訪問看護を受けられないからということで介護保険の適用を受けないケースも現状においては存在している。これはいずれ解消されると思います。そういう生活しておられるお年寄り一人一人にとってみますと、医療保険介護保険との整合性の問題というのは非常に厳しいものがあると思っています。それがそういういいかげんなことでは困る。  それからもう一つは、これは近藤局長、あるいは政務次官は医者ですので、現実問題としてお伺いしたいんですが、今度の制度の中で、これまでございました老人医療における薬価の外出し問題が解消されることになりました。解消されることは結構です。解消しようというのは、邪魔くさいとかいろいろな理由で言っておられましたが、解消することについては反対ではありません。しかし、その結果導入された制度というのは極めて複雑怪奇、私はこれは患者さんに説得できるとは思えない。  例えば院外処方と院内処方。それも、院外処方といっても、そこの病院が院外処方の比率が五〇%以上か以内かによって分けている。例えば、高知の例でいいますと、高知医科大学は主として院内処方の病院になります。四十数%しか院外処方率がない、すなわち選択に任せています。一方、高知の国立は院外処方の病院でございます。  そうしますと、同じ病気で同じような検査、治療を受けておられて、月に二回かかっておられる、診察料、初診料、検査料で月に二万五千円要りますよ、そして、月に二回の受診で、一月分の薬、仮に二万五千円もらっておられる患者さんの場合、高知医大でそれをもらいますと、診察料の二万五千円の一割、本人負担は二千五百円で済みます。そして、その院外処方を持って薬局でお薬をもらっても、それについては自己負担を払うことになっておりません。一方、高知国立病院でそのようにしますと、病院で二万五千円の一割、二千五百円。そして、処方せん薬局において二千五百円払う。五千円払わなきゃいけません。同じ治療、同じ薬をもらいながら、このような格差が生まれてくる。  これは結果としてどういうことが生まれてくるかといいますと、中規模以上の病院については、これからは、患者さんの負担考えるならば、はっきり申して選択制をとる。選択制をとって、院外処方が主体の病院においてお年寄りに対しては院内で薬を出す、あるいは院内処方が主体の病院においては処方せんを出すとすれば、負担は半額になるということなんですが、こんなばかげた制度を入れて、これを患者さんに了解してもらうということができると思いますか。あの一割負担の問題は、窓口徴収のややこしさということが大きな問題だったと思います。これは、その煩雑さは変わらずに、なおかつ、理屈において国民に納得してもらえない。なぜこういうばかげた制度が出てきたのか。この辺についてどうお考えなのか、近藤局長あるいは政務次官、お答えいただけますか。
  58. 近藤純五郎

    ○近藤政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、一律に定率の一割負担導入する、その際に、これまでの御老人の負担を基本的には変えないという水準でセットする、こういうことで三千円なり五千円の上限を設定したわけでございますが、その際に、院外処方の問題があったわけでございます。  この院外処方の問題をどうするかというのは、我々はまだ現在も苦慮しているわけでございますけれども、いろいろな方式を考えたわけでございますが、先生の御指摘にありましたように、主として院外処方を行っているものとして届け出た医療機関につきましては、薬局と医療機関で半分半分にする、それから、主として院内処方ということで医薬分業をしない医療機関につきましては、これは上限を三千円なり五千円なり設定する、こんなような形にいたしたわけでございますが、これは一つの割り切りでございます。  医療機関単位という形で設定させていただいたわけでございまして、この定率を入れ、なおかつ、比較的少額の上限設定をするということになりますと——これを償還払いという形になりますと、これは市町村において大変な手間暇もかかるということで、医療機関という形で、中で処理をしていただこうということにしたわけでございまして、この方式は、現場におきます実務的な可能性、制度としての簡明性、負担の公平性、こういった諸点を踏まえますと、総合的に判断いたしまして、今許された中で最も妥当なのではないのかな、こんな感じを持っているわけでございます。  それで、先生御指摘のように患者が有利なように、医療機関として裁量で院外に出したり院内処方したりするということも、そういう手法というのは全く考えられないわけではないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、院外と院内の処方の比率という実績を踏まえまして届け出をしていただくわけでございますので、例えば院外処方を行う医療機関が院内処方を行うことにいたしますとだんだんと院内処方に近づいてくるわけでございまして、逆の方向も当然考えられるわけでございますので、その操作というのは限度があるのではないのかな、こういうふうに考えているわけでございまして、現実的な制度の仕組みとしては、こういう方法が一番適切ではないのかな、こういうふうに考えている次第でございます。
  59. 五島正規

    五島委員 全く公平性はない。同じ治療と薬をもらって五千円の負担と二千五百円の負担がなぜ公平なのか。こんなの理屈がつきません。煩雑性というのは、だれの煩雑性なのか。患者さんの煩雑性なのか、医療機関の煩雑性なのか、レセプト審査の煩雑性なのか、そこのところをはっきりさせないといけません。少なくとも患者さんの煩雑性ではない。  そういう意味において、この制度、しかも院外処方について、患者そのものに選択を任すというやり方を廃止されるのですか。そうはできない。排除できない。そうだとすると、例えば院外処方を出す場合は、院内処方、院外処方といわずに、院外処方を出すケースについては半分に割りますよというなら半分に割ればいい。院内処方で出すのなら、院外処方の病院であろうと何であろうと、それは五千円の枠の中で処理しますとやればいい。そのことによっての煩雑性というのは、レセプト審査の煩雑性ですね。すなわち、皆さん方のところの利便性を考えて、患者の煩雑性、患者さんのややこしさとか不公平感というものを全く配慮していないじゃないですか。これは、恐らく健康保険法が出てきたとき、私はこの問題は大きな問題だというふうに考えております。  次の問題に移ります。  先ほど当委員会の冒頭におきまして、津島大臣の御発言がございました。その中で、年金の問題につきましても、公的年金に上乗せされる確定拠出年金制度早期導入というふうなお話がございました。これは年金制度の二階部分、三階部分、非常に老後の上において大事な問題でございますので、この議論はしっかりやっていかなければいけないと思います。ただ、言えることは、公的年金としての基礎年金、ここのところはやはりきちっとやっておかないと、そこのところがあやふやなままで三階部分についての議論をするということにはなかなかならない。  基礎年金というのは、従来高齢期の基礎的支出を満たすものに充てるものというふうに表現されてまいりました。そういう非常に重要な基礎年金でございます。この基礎年金につきましては、前回の、昨年改正される以前の年金法におきまして、昨年度中に公費五〇%へ移行するということが附則にうたわれておりましたが、諸般の事情があったのでしょう、結果においてこれが履行されませんでした。そして、前通常国会において、昨年の国会におきましてこの年金法が改正されたとき、再び基礎年金を五〇%に移行させる、平成十六年までにということが附則の中に記入されました。これについては、附則に書かれても実際上それが実施されなかったという不信感もあり、本当にどうなのかという国民の不信感というのは強うございます。  この点につきまして、丹羽前厚生大臣は、できる限り早く前倒しをして基礎年金への五〇%への移行を図っていきたい、このようにおっしゃってまいりました。また、昨日の津島大臣の御発言におきましても、そうした前大臣の御発言の意向というものはよく承知しておられるというお話でございました。しかし、ここまで来ますと、確かにこの問題は国全体の財政の問題等々ございます。総額にいたしまして、公費の負担が二兆四千億ぐらいのお金が要る話でございますが、平成十六年度を前倒しするとすれば、平成十五年度にするのですか、十四年度にするのですかという話になってくると思います。最終的には、この問題は、当然閣議においてあるいは大蔵省との間の協議において決定される内容だと思います。  津島大臣としては、この問題を何年度ぐらいに前倒しをしてやれというふうに閣議あるいは大蔵省に対して協議をされる御予定なのか、お伺いしたいと思います。
  60. 津島雄二

    津島国務大臣 社会保障制度、あるいは広く言えば予算編成の基本のところにかかわるぐらいの大きい話であることは御指摘のとおりでございます。今国会でも何度か御答弁いたしましたが、前大臣のできるだけ早い機会に基礎年金についての国庫負担分二分の一への引き上げは実現してほしい、この御意見は私は大切にしたいと申し上げております。  と同時に、委員の御指摘いただいたように、非常に大きな財源にかかわることでありますから、日本社会保障制度、その負担の分かち合いをどうするのか、ひいては日本の財政全体をどうするのかということにどうしても踏み込まざるを得ない重みを持った問題だと思っております。また、そのことをしっかり議論せずに基本のところは先延ばししてしまって、当面ということになりますと、これは何度も御指摘いただいているようにさらなる不信感、つまり不安を募らせるわけでございますね。一体負担は結局どこへ行くのかという議論に帰結していく。  そういうことを考えますと、私は、早く実現したい気持ちはあるけれども、全体像についてきちっと国民的な合意を得る努力をすることが大事だなということでございまして、すべてわかった上での御質問だと思いますけれども、いついつまでにということを私は今お答えできないことはまことに残念だと思っております。
  61. 五島正規

    五島委員 私は、津島大臣は経済問題に非常に強いので逆にそういう発言になるのかと思いますが、例えば三階建ての部分については、言いかえれば御本人自身が老後の問題について自由に設計する部分は非常にございます。しかし、基礎年金というのは国民生活の基盤、基本的な問題で、ここをどうするかということが本当に老後に対する国民の安心というものを与える大きな部分だろうと思っております。そういう意味におきましては、経済専門家の立場を離れて、せめて厚生大臣として丹羽大臣以上の、蛮勇であったとしても、蛮勇を振るってそこのところは前向きな答弁をしていただきたい。  私の方からは、この問題につきましては、高齢期の基礎的支出ということであれば、例えばこの介護保険の一号保険料、昨日も申し上げましたが、介護保険の第一段階の人たち、すなわち世帯非課税の人たちの保険料というのは大体千五百円ぐらいです、この千五百円ぐらいの保険料は基礎年金に上乗せしてほしい。それに要する財源は約三千億。仮に基礎年金が公費半額負担になるとしますと、国の公費の負担が千五百億ふえ、そして二兆四千億の保険料の軽減部分が千五百億減るということになってまいります。そのことによって、基礎年金の第一段階の人たちの保険料と相当の部分を上乗せしていくということが、基礎年金がまさに高齢期の基礎的な支出を賄っているというふうに国民から納得できる内容だろう、そのことをぜひお願いしたい。  とすれば、次の一号保険料の改定の時期である平成十五年度からやはり公費の負担を二分の一にするという方向でぜひ津島大臣には検討あるいは大蔵省との折衝をお願いしたいと思いますが、先ほどの話では、これについてもここでは御回答はいただけないのかと思いますので、そのことは強く強く要望をさせていただきたいと思います。  次に、時間の関係がございますが、先ほど小池委員の御質問に対して、医療事故の問題についてお話ございました。この問題は、今医療抜本改革の問題というものが検討されている中において、私は、どうも厚生省が進めようとしている方向で基本的な点が抜けているのではないだろうか、これは前国会でも御指摘申し上げました。  確かに、新たな院内感染の問題、例えば多剤耐性等々による新たな問題、あるいは、おっしゃるように非常に高度の医療の中においての問題というふうなものによる事故というよりは、この間起こっている事故というのは比較的大規模の病院において単純ミスによる事故がふえております。この最大の理由というのは、やはり医療考え方に誤りがあるのではないか。  先ほども大臣おっしゃいましたけれども医療というものをばらばらにして、バーコード方式でそれぞれが総合的に組み立てていくという形で医療をやっていくとすれば、必ずこういう事件が起こるのではないだろうか。基本的に医療というものは、患者さんに対する医師、看護婦の担当制、一対一の人間関係というものを、たとえどのような大きな病院においても、そこにおいてその人が責任をとるという制度導入されずに看護の業務、検査の業務あるいは医師の仕事というものをばらばらにして、それをシステムでつないでいければできるということであるとすれば、人のやることである限り必ず単純ミスによる事故が起こってくるだろう。  そのあたりについて本当に厚生省が、これからますます医療はIT産業との接点もふえてくるんでしょうが、そうなった場合に、医療そのものの行為がバーコード化され、分業化されて、それを何か組み立てればいいという流れになるとしたら非常に危ないと思っておりますが、その点について、政務次官、どうですか。
  62. 福島豊

    福島政務次官 確かに、先生おっしゃられますように、患者取り違え事件におきましても、患者を搬送するまでのプロセスと手術室でそれを受け取るプロセスと細分化されている中にありまして、そのすき間で発生をした事故であるという考え方もできると思います。  ですから、医療が高度化する中において、それぞれモジュール化されていく。それは、一方ではチーム医療ということが言われておりますからやむを得ない面であったとしましても、それぞれのモジュール化された部分というものがいかにつながっていくのかということに対して十分な配慮を医療現場において払わなければならないだろうというように私は思っております。  現在も、国立病院におきましても事故防止マニュアルというものの作成作業をいたしておりますけれども、その検討の中で、一人の患者さんに対して一貫した継続した注意を払うことがいかに実現されるのかということについても、十分な注意を払いながら検討を進めてまいりたいと思います。
  63. 五島正規

    五島委員 私は、患者さんの状態に対して医師が治療方針を立て治療する、これは当然だと思いますが、患者そのものの状態をいわゆる一対一の関係において把握していただく、それがやはり看護婦さんの役割だろう。そういう意味では、看護婦さんの業務というものを、できるだけ一人の患者に対して担当の看護婦が責任を持つようなシステム、これは大病院においてもそういう形で取り組んでいかないと問題があるだろう。そういう観点からの例えば看護要員の配置というふうなものも見直していただきたいし、あるいはモデル的にそういう形でどこかの病院でやっていただいて、その効果というものを見てもらうことが必要だろうということを申し上げておきたいと思います。  時間がありませんので、次の問題に移ります。雪印の食中毒事件の問題でございます。  これもまた昨日も指摘させていただきましたが、今、食品衛生法に基づくところの監視業務あるいは指導業務、これは保健所あるいは政令市が責任を持つことになっています。ところが、一方において、食品産業全体を見ますと、非常に大型の食品産業がふえてきている。雪印なんかもその最たるもので、原料も全国から来る、販路も全国である、そして工場は巨大なプラントによって運営されている。これを保健所が監視するあるいは指導するということが果たして可能だろうか。  また、事故が発生したときに、直ちに疫学調査実施して原因の究明をやっていかないといけません。これもまた、本来なら食中毒事件ですから保健所です。ここまで一つの県を越えるような被害に対して、その機能を保健所が持つわけがございません。同じようなことは、実は今日の感染症でも言えます。これだけ人と物の移動がグローバルになってきている中において、ある種の感染症に関して、保健所がそれをすべて管理していくということはできません。  だからといって、保健所の機能がなくなっているわけではありません。日常的な対人サービスとして、その地域の中における食品指導の問題、監視の問題は非常に重要でございますし、感染症の問題につきましても、定点観測というものを含めて非常に重要でございます。  言いかえれば、今日の時代の中で起こってきているこうした巨大な食品産業に対する、保健所が本来やろうとしてずうたいが大きくなり過ぎてできなくなってきているものに対して、これをどういう形でカバーしていくか。保健所ではなく、直接そういうものを監視していく、指導していくシステムが必要になってきたと思うわけです。今回の雪印の問題を見られましても、このHACCPに伴うところの監視だけでも、厚生省が中心になって、これだけの人を入れて、専門家、工学専門家の手までかりてようやくチェックが終わる。これを日常的に保健所でやれといったってできるはずがない。あるいは、都道府県でも無理かもしれない。あるいは、ある種の感染症に関しては都道府県でも無理かもしれない。だから、例のHIVの、エイズの問題に関しては拠点病院方式というふうなものまで採用したこともあったと思います。  そういうふうなことを考えると、これからの食中毒防止、とりわけ大きな食品産業における食中毒防止ということに関して、やはり何らかのシステム上の構築が必要ではないか、そのように考えるわけでございますが、いかがでございましょう。
  64. 西本至

    西本政府参考人 保健所のバックアップ体制の問題でございますが、保健所は、今御指摘ございましたように、飲食店営業者などに対する日ごろの監視指導、あるいは食中毒が発生いたしました場合の緊急時の対応、あるいは情報収集等、いわば地域衛生の拠点としての機能を果たしているわけでございます。私どもも、常日ごろからその機能の強化については指導いたしているところでございます。  ただ、御指摘のように、食品の製造加工技術等が非常に高度化いたしておりますし、また流通が広域化しているというようなことがございますので、これらに適切に対応していくためには、何らかのネットワーク的なものが必要であり、これを計画的かつ効果的に食品監視を行い、また科学的知見に基づく衛生指導の推進というものが必要であるというふうには考えてございます。  例えば、一例を挙げさせていただきますが、東京都におかれましては、保健所とは別組織で、都内全域を機動力を持ってカバーする東京都食品環境指導センターというような専門的な監視体制整備されているところでございます。  私どもも、担当部長会議等では、それぞれの都道府県の事情はございましょうが、そのようなものを都道府県レベルでまずお考えをいただけないかということについてはお願いもしているところでございます。  全国レベルのものにつきましては、今回の事件を反省いたしまして、対策本部等でもこれから検討させていただきたいというふうに考えているわけでございますが、いずれにいたしましても、時代に沿った食品安全性確保に万全を期するために、監視指導等の充実強化に努めてまいりたい、このように考えております。
  65. 五島正規

    五島委員 東京都の場合は、東京都で全都をカバーするというシステムをつくることも可能だと思います。  問題は、ここまで交通その他が広域化している、そして生産も非常に広域的にやられているという状況の中におきましては、どうしても役所というのは従来のお役所のシステムあるいは国と県、市町村という流れの中で処理しようとされるんですが、恐らくそれでは効率的に、しかも機動的に監視することは無理な時代に入ったんだろう。その辺についても、こうした大型の事故が起こらないということを前提としてどのような制度がいいのかということをお考えいただきたいと思います。  例えば、一つの例を挙げますと、政務次官は大阪の御出身ですが、大阪の府衛研というのは非常に日本でも有数のすぐれた検査機能を持っておられる検査施設でございます。そうしますと、広域的な新たな感染症の検体の検査というものについて、大阪府衛研であるから大阪府だけをカバーすればいいのか。恐らく、今の検体の移動なり情報の伝達速度からいえば、例えば大阪府衛研が近畿、中・四国ぐらいをカバーしても何ら困らない、現実には物理的な障害はないという時代にまで来ているわけですね。そういうことも含めて、やはり従来のお役所の慣行にとらわれずに、この再発防止のシステムというものをぜひ検討をしていただきたいということを要望しておきます。  最後に、時間がございませんので、これもまた先ほど自民党の西川議員の方からも質問されておりましたが、浄化槽法が議員立法で前国会で通りました。この問題について一、二お伺いしておきたいと思います。  単独浄化槽というのはし尿だけ。今日の河川汚濁の最大の原因である家庭雑排水の問題を考えた場合に、もう単独浄化槽の新設をやめて合併浄化槽にしていこう、これは法の趣旨としてはまことに当然だということで、我々も賛成いたしました。  ただ、問題がこの法案にはございます。  一つは、都市下水道の予定区域におきましては単独浄化槽を認めますよ、こういうふうな特例措置を入れました。その建前としては、都市下水道ができれば、そこに皆さんにつないでもらう、合併浄化槽にしても単独浄化槽にしてもつないでもらう、こういう前提に立っています。  しかし、数年の間に都市下水道が来たとして、この単独浄化槽をつなぐかといえば、現実にはつながれていないケースが、例えば建て売り住宅等々においては一般的でございます。やはり一定のお金がかかる。しかも、都市下水道の予定区域であるということで、合併浄化槽をつくっても、それに対しては補助金が出ない。ですから、当然ユーザー側の負担として浄化槽をおつくりになる。少しでも安い方がいいということで単独浄化槽をつくられて、それが都市下水道が三年、五年後来たときにつなぐかというと、ほとんどつながれない。そこのところで、結局ここに単独浄化槽を残してしまうと、現実問題としてはこの法律の効果というものが、都市部においては余り効果が上がらないのではないかと考えております。これをどう解決していくか。  特に、都市下水道が来た段階において単独浄化槽をつないでいく、そのことに対する大幅な助成をしていくとか、そういうふうなことを制度的に仕組まない限り、どうせ下水が来るんだからということで、二重の国庫補助ができないというのはよくわかるんだけれども、国庫補助がない、だから安い方がいいということで、建て売り住宅の業者さんなんかは単独浄化槽をつけてしまう。しかし、ついてしまうと、今度下水道が来たからといって、まだ数年しかたっていないよ、しかも新たに室内配管も含めてお金がかかるということになると、なかなかそういう建て売り住宅その他では進まないという問題が起こってきます。この問題についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  66. 津島雄二

    津島国務大臣 確かに、御指摘のように、下水道予定地域に単独浄化槽を認め続けるかというのは大議論がございました。浄化槽法を先般改正するに当たって、提案者等と私どもの間でも随分議論がありまして、先生御指摘のように、この際思い切って単独浄化槽を全廃させた方がいいんじゃないかという有力な御意見もございました。  ただ、こういう経済状態の中で、にわかにすべての方に負担を求める結果につながることについてはどうしても踏み切れなかったということで今回の改正になったわけでありますが、委員指摘の問題点はよく私ども承知をいたしております。  したがいまして、予定地の今の適切でない状態が早く解消するように、建設省とも協力をいたしまして、しっかりと将来下水道につなげていけるように、国のいろいろな施策を含めて真剣に検討させていただきたいと思います。
  67. 五島正規

    五島委員 現在の浄化槽、八五%を超える浄化槽が依然として単独浄化槽でございます。これをどう合併浄化槽にかえていくか、あるいはどう都市下水道につなげていくかということが大事だろう。そのネックになっているのは、実は、単独浄化槽に対して合併浄化槽の補助はつくんですが、その単独浄化槽を撤去する費用について補助がつかないということでもっておくれている。  これは、やはり都市の環境を考えれば、そこのところは思い切って単独浄化槽を合併浄化槽に切りかえていくための大胆な、大胆なといっても大した金額ではないわけなので、やっていく。あるいは、都市下水道の予定区域の中においては、合併浄化槽をつくろうと単独浄化槽をつくろうと、これについての公費の補助はつきません、そのかわり、都市下水道ができたときには、その都市下水道への接続については補助の対象にするとかいうふうな制度をぜひ検討していただきたい。このことを強く要望して、質問を終わります。
  68. 遠藤武彦

    遠藤委員長 この際、暫時休憩することといたし、午後一時をめどに委員会を再開いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  69. 遠藤武彦

    遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、御報告申し上げます。  昨三日、議長より本委員会に送付されました、議員中川智子君外六十五名からの医原性クロイツフェルト・ヤコブ病に関する予備的調査の要請につきましては、理事会の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、本日、調査局長に対し、私から、予備的調査を命じましたので、御報告いたします。      ————◇—————
  70. 遠藤武彦

    遠藤委員長 厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。石毛えい子さん。
  71. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。  それでは早速でございますが、きょう、私は、主に二つのテーマで質問をさせていただきます。一つは、長崎の原子爆弾被爆地域拡大是正の件に関すること、それからもう一点は、神奈川県の大和市で生じました大変痛ましい、お子さんが無認可施設で亡くなられました件に関して質問をさせていただきます。  まず最初の質問でございますが、もう大臣、政務次官御存じのことと思いますけれども、長崎県及び長崎市あるいは関係自治体、議長さん、関係諸団体の皆さんから、長崎原子爆弾被爆地域拡大是正に関する要請、被爆地域拡大、具体的には、長崎市の爆心地を中心に十二キロメートルの範囲において、これまでの健康診断特例地域に該当していない地域を特例地域に指定するように、拡大是正をするようにという要請が出されております。  くしくも八月六日、もうすぐでございますけれども、広島に原子爆弾が投下され、九日には長崎市に投下され、命を奪われた方は無論でございますけれども、後遺症にお悩みになる方、あるいはそうした状況が新たに発生されている方、大変お苦しみになっていらっしゃる方もおられて、ぜひとも健康診断特例区域の拡大ということについて、私がいただきました要請書によりますと、「被爆五十五年の節目の年にあたり、この要望実現の暁には、さらなる地域拡大の要求をしない決意をもって強く要請する」というような、そうした文面も添えられましてこの健康診断特例区域の拡大を求める要請が出されております。  最後の要請というような強い求めでございますけれども厚生省として、この件についてどのように今お考えになっていらっしゃるかということをお尋ねしたいと思います。
  72. 津島雄二

    津島国務大臣 爆心地からの距離で見た場合に、ほかの地域は指定されているが、指定されていない地域があるではないか、こういう問題について、長崎市及び長崎県から、健康診断特例地域にそこを指定してほしい、こういう御要望はいただいております。  この指定につきましては、国は一貫して、昭和五十五年に取りまとめられました原爆被爆者対策基本問題懇談会意見に基づいて対応をしております。それは、「科学的・合理的な根拠のある場合に限定して行うべきである。」こういうふうにされておるところでございます。  そこで、今回、指定拡大をしてほしいと言われている地域がどうなんだろう、科学的、合理的な根拠のある場合に当たるかどうかということで、その後、ということは昭和五十五年以降、厚生省において専門家から成る検討班を設け、長崎県、長崎市が実施した残留プルトニウム調査報告書につき検討を行いましたが、平成六年十二月に公表されたその報告書では、指定拡大要望地域においては原爆の放射性降下物の残留放射能による健康影響はないと結論が得られているところでございます。したがいまして、これまでの方針を変更することは困難でございます。  以上でございます。
  73. 石毛えい子

    ○石毛委員 大臣の御答弁をただいま伺いまして、その終わりの言葉の次に、しかしという言葉がつけられましてその後の御答弁をいただけるものと私は確信をしていたところでございますけれども大臣、この「残された被爆者たち 五十五年前の真実 長崎からの訴え」、これはごらんになっていらっしゃいますでしょうか。
  74. 津島雄二

    津島国務大臣 その御指摘があるのを待っておったわけでありますが、先ほど申し上げましたことが今の方針でございますが、今回長崎市が中心となって取りまとめられた証言調査報告書というものが出されておりますので、それをこれから精査、研究をさせていただきたいと思います。
  75. 石毛えい子

    ○石毛委員 ぜひとも精査、研究をされまして、長崎市、長崎県ほか関係者皆様の要望に、それこそ投下後五十五年、当時仮に十歳の方は六十五歳、二十歳の方は七十五歳ということでしょうか、要望書の中にも今回をもって最後のというふうに記載されております。このチャンス、チャンスという表現は余り適切な表現ではないかもしれませんけれども、この折が非常に大事なのだと思います。  そして、大臣、これから精査、検討というふうにおっしゃってくださいましたけれども、私もちょっとこれを拝見しますと、「ものすごい風に吹き飛ばされ畑の中に転んだ」ということで、爆心地から十・六キロメートルで当時十一歳の方が爆風を受けられた証言ですとか、あるいは、十・三キロメートルのところにおられた当時十一歳の方が、爆音を耳にし、光線というふうに書かれてありますけれども、熱線に包まれて、「一週間後に上半身の皮膚がはげ落ちた」というような具体的な証言がなされております。  そして、ぜひとも本当に心を込めて御精査をいただきたいというふうに思いますけれども大臣も御存じのとおり、つい先ごろの、ことしの七月十八日の松谷さんに対する長崎原爆松谷訴訟の最高裁判決は、今まで、大臣先ほど御指摘されました懇談会の報告書の中身とも関連すると思いますけれども、残留線量の推定方式でDS86というんでしょうか、そうしたスケールではかるだけではなくて、被爆されたその事実と実態をきちっと直視して、因果関係を認めるということで、最高裁では松谷さんの勝利になったということでございます。こうした新しい動向もぜひお受けとめいただきたいと思います。  それから、私はもう一点注目すべきこの間の政策的な対応だと思いますけれども、「東海村ウラニウム処理施設事故による被曝住民の健康管理の方針」というのが、二〇〇〇年、ことしの三月二十七日、原子力安全委員会から出されておりまして、これを見ますと、例えば二百名の住民の被曝線量は二十五ミリシーベルト未満で、これは二・五センチグレイでしょうか、専門用語ですけれども、微量であって、確定的影響が発生するレベルではないとしながらも、健康不安への適切な対応のため、健康診断を行うことを原則とし、心のケアを含む健康相談を行うというような、そうした方針が明らかにされております。  こうしたことも同時にきちっとお受けとめいただきまして、平成六年、九四年十二月の報告書の残留放射能のスケールを判断基準とするということだけではなくて、新しい知見が出されているということ、それから、もう一度繰り返しになりますけれども、科学的、合理的な根拠というのは、そうした線量ではかるだけではなくて、精神的なあるいは心理的なトラウマといいましょうか、そうした後遺症、傷をどんなふうに今持っておられるかということも、立派にこれは科学的、合理的な知見の中に含まれることだというふうに私は考えます。  そして、もう一つつけ加えさせていただきたいことは、この健康診断特例区域の拡大は、新しく法律を変えるというような政策対応ではなく、政令の変更で実現可能な政策でございますので、できれば早急に検討していただきまして、この八月、予算の概算要求の時期にぜひ厚生大臣のお力で、健康診断特例区域の拡大に伴って必要になる健康診断の費用ですとかその後の政策的対応のための費用、こうしたものを概算要求の段階でぜひとも大臣に御努力をいただきたいということをお願いさせていただきまして、この件に関しまして、私の質問は終わらせていただきます。  次に、スマイルマム、いわゆる認可外保育施設で起きました子供さんのけがの事件、そして痛ましいことに、お二人のお子さんが命を失われたわけですけれども、この件に関しての質問でございます。  まず最初にお尋ねしたいと思いますけれども、新聞等々からこの事件をずっと時系列的にフォローしてまいりますと、この認可外のスマイルマムという施設で子供さんがけがをされたというその事実に最初に接しておられますのは、どうやら、九九年の四月に親御さんから神奈川県の大和署に被害届が出されて捜査が要望されたということでございまして、一番最初にこの事件をキャッチしたのは警察署だというふうに思います。  具体的な中身についていろいろと、それこそ精査をしていきますと、例えば二歳男児の目の下にあざがあって一週間ぐらいのけがというような状況にうかがわれて、事故が大きいか小さいかという表現はいかがかとも思いますけれども、それほど注目を引かなかったといえば言えないこともないのかもしれませんけれども、私が申し上げたいのは、ともあれ、一番最初に子供被害を受けとめた警察署からこの認可外保育施設の立入調査権を持っております県なり児童相談所に一報があって、この施設のあり方についての適切な対応がされていれば、子供さんが亡くなるというところまで行かなかったのではないかという思いがしきりにいたします。  ちょうどさき国会では児童虐待防止法が成立した、こういう状況子供の虐待に対して社会は大変大きな注目を寄せているところでございますけれども、きょうは警察庁からおいでいただいておりますので、私はこの四月に大和署から児童福祉関係の諸機関に連携がとられていたらというふうに考えるわけでございますけれども、警察庁はこの件に関しましてどのようにお受けとめになっておられるか、その点を質問いたします。
  76. 井口斉

    井口政府参考人 委員指摘のとおり、この種事案につきましては、警察と県、あるいは児童相談所等関係機関との緊密な連携を図ることが極めて重要なことと認識しております。  今回の死亡事件は、大変残念な事件になっておりますけれども、昨年四月の一番初めの傷害事件につきましては、その段階では直ちに児童虐待事件としての断定をできるだけの証拠がなかったものと考えておりますが、しかしながら、その後におきまして、警察と関係機関との連携につきまして不十分な点があったものと承知しております。  警察庁としましては、今後とも、この種事案におきまして、都道府県警察と関係機関との連携の強化につきまして指導を徹底してまいりたいと考えております。
  77. 石毛えい子

    ○石毛委員 もう一度重ねてお尋ねいたします。  その時点では虐待と断定できる事実といいますか所見を持たなかったという御答弁を前半でいただいたと思いますけれども、それは、まず捜査一課が受けられるんだと思いますけれども、ヒアリングのときにお伺いしましたら、警察署の別のセクションとして少年指導係でしたでしょうか虐待を扱うセクションがあるというふうに伺いましたけれども、そうしたセクションとの連携のもとに虐待と断定できる事実はないということを断定したというふうに今受けとめてよろしいんでしょうか。
  78. 井口斉

    井口政府参考人 昨年四月の事件につきましては、所轄署の刑事課の方で取り扱っております。その段階では、おっしゃるとおり確かに子供の顔にけががあるということがわかりましたけれども、それが殴られてできたものなのか、あるいは保育の過程で子供同士のけんかでできたものか、あるいは自己転倒でできたものか、この辺につきまして、はっきりとどういうものかということは断定できない。そういった意味で、捜査としても、立証できぬまま、進捗せぬまま保留状態であったわけでございます。
  79. 石毛えい子

    ○石毛委員 この点は非常に重要なポイントになるところかと思います。私は専門ではございませんけれども子供がある一定の暴力等々の被害を受けたときに、それが虐待であるかどうかという事実認定は、政務次官はお医者さんでいらっしゃいますけれども、お医者さんでも非常に難しいというふうに伝えられております。  ですから、この件に関してはもっと本当に精査していかなければいけないことなのかもしれませんけれども、今の御答弁で、虐待と断定できる事実というふうには受けとめなかったという御答弁ですけれども、これからもこういう類似のことは非常に起こってくることなわけで、連携をきちっととってまいりたいというふうに言われましたけれども連携をとるべきかどうなのかという、その虐待についての判断が非常に難しいのだと思いますけれども、そのあたりはこれから警察庁としてはどういう方向に展開されていくのか、そこの点を確認させてください。
  80. 井口斉

    井口政府参考人 私ども刑事の世界では、いろいろな被害届が一番に入ってくると思います。そういった際に、それが本当に児童虐待なのかどうかというのは、おっしゃるとおり大変難しい点がございますので、今、私ども内部といたしましては、これにつきましては少年課の方が児童虐待全般を所掌しておりますので、なるべく少年係の方にそういった情報を前広に集めようじゃないか、こういう施策を進めておるところでございます。
  81. 石毛えい子

    ○石毛委員 そういたしますと、まず刑事の方で少年係ときちっと連携をとって、虐待であるかどうか確認をするということをきちっと制度的に位置づけていくというふうに理解をさせていただきますので、またこの点の細かい点についてはお教えいただければと思います。ありがとうございました。  それでは、厚生省の方にお尋ねいたしたいと思いますが、ただいまの質問とも関連しますけれども、このスマイルマム事件について、厚生省はどのような経過としてお受けとめになっておられるのか、そしてまた、なぜこのような事件が生じてきているのか、そのことをどう認識されているか、御認識をお伺いしたいと思います。
  82. 福島豊

    福島政務次官 お答えさせていただきます。  今回の事件につきましては、大変痛ましい事件でありまして、心から遺憾であるというふうに考えております。亡くなられた、そしてまた心身に傷を受けられたお子さん方、そしてまた家族の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。  本件の事実関係がどうであったのかということは、今後の捜査、また公判の中で明らかにされていくというふうに考えておりますけれども、現在までの神奈川県の発表、また報道からうかがえる範囲では、基本的には特異なケースではなかったかという思いはいたしますが、関係機関等が連携をとることによってより早期に介入ができたのではないかという思いもいたしまして、遺憾な思いがいたします。  どういう背景があったのかということでございますけれども、認可外の保育施設、特にベビーホテルに関しましては、弱い立場にある乳幼児を預かる施設であるにもかかわらず、質について問題がある施設もある、そういう指摘もありますし、そしてまた密室化しやすいという問題もあるというふうに考えております。  ですから、こうした事件を受けまして、私どもとしましては、基本的には二つきちっとやっていかなきゃいけないと思っておりまして、一つは、良質な保育をできるだけ幅広く提供する体制を進めるということだと思います。認可保育所における低年齢児童の受け入れ枠の拡大、そしてまた延長保育といったような、現在でもまだまだ不足しているというふうに言われている保育サービスについて、その拡充を一層図っていかなければいけない。  そしてもう一つは、こうした問題のある施設というものについて適切な介入というものがなされなければならないということでございまして、ベビーホテル全施設への立入調査を行う、そしてまた認可外保育施設に対しての指導の徹底、このことをしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  83. 石毛えい子

    ○石毛委員 その立入調査は、プログラムによりますといつでしょうか。ことしの六月三十日、この件が起こってからということですので、これから具体的な調査の結果に基づく政策的な対応は明らかにしていくということだと思います。  私は、新聞報道等々から時系列的に精査を少しいたしましたし、それから、神奈川県の福祉部児童福祉課が対応経過というペーパーを出しておりまして、これを拝見したのですが、まず最初に非常に思いますのは、とにかく、先ほどの子供さんのけがをされた事件が九九年の四月に起こっていて、でも、これは親の方との関係以外には明らかになっていかなかったわけですから問題は社会化しなかったわけですけれども、五月にスマイルマムの営業を知ったというふうになっております、五月に知りまして、その後児童相談所へ他の無認可施設長から通告がされまして、第一回の立入調査が七月十九日ということですので、大変遅いという感じがあるのですね。スマイルマムが開設されているのが九九年の二月で、四月に最初の事件が起こって、営業を知ったのが五月で、第一回の立入調査をしたのが七月ということで、まずは遅いと思わざるを得ません。  それから、その後、立入調査の結果、指摘事項を文書通知したのが複数保育従事者の配置、有資格者の確保、避難訓練の実施、記録の作成ということで、私は県の児童福祉課の方に確認をしていないのですけれども、いただいた対応経過の文書によりますと、このときに、例えば神奈川県は、無認可施設が児童福祉法に定めております指導基準を遵守すれば神奈川県の場合には助成金が出ていますというような、そういうある意味で良質な水準に誘導するような対応をしていたかどうかというのが疑問なのですね。ここをしたかどうかというのは確認してありませんので、ちょっと私の考えで今申し上げているということなのですけれども、もしそういう誘導をしていればまた違った展開になったのではないか、そういう考えがあります。  それから、八月三十一日に第一回の文書通知を出して、次が十月二十六日に二回目の立入調査をしていて、休園を検討するように指導をしているということなのですね。この休園を指導したのが十月二十六日で、子供さんが亡くなるという本当に痛ましい事故が起こりましたのが二月四日、二月十八日ということなのです。  私は、このときからこのことに関しても警察から通報がなかったようなので、それもまた問題だというふうに思っているのですけれども、それはちょっと置きまして、十月に立入調査をしまして、二月に子供さんが亡くなられて、二月の末に第三回の立入調査をして、そして第四回の立ち入りが六月九日ということで、第三回の立ち入りから既に五カ月たっているといいますか、いかにも後手後手に回ってしまっているということはやはり指摘せざるを得ないのですよね。  ですから、今、政務次官、これから問題施設への介入の政策あり方について検討ということですけれども、もう少し御所見をお伺いさせていただきたいと思います、立入調査がこういう実情でということで。  私は、出雲施設長はどういう方かわかりませんけれども、特異なケースというふうに言うこともいかがかという思いがいたします。一番最初の立入調査のときに、その結果で指導するときに、先ほど申し上げましたけれども、助成がありますということで良質な方向に政策的な誘導をしていれば、この件は特異なケースにならなかったかもしれない。いろいろなところでイフということになるんですけれども。でも、少なくとも事実として言えるのは、本当に調査の間合いが余りにもあき過ぎている。それから、調査と指導の質というものに対して、本当にきちっと担保されていたかどうかということに対して、私は大きな疑問を持つということなんですけれども、もう一度政務次官の御所見を伺いたいと思います。
  84. 福島豊

    福島政務次官 立入調査あり方というものに問題があったのではないかという御指摘だろうというふうに思います。  立入調査に関しましては、今るる経緯が御報告ございましたけれども、児童福祉法の第五十九条の規定によりまして、都道府県知事等が認可外保育施設に対して必要な報告を求めることや施設に立ち入って必要な調査質問を行うことができるということが規定をされているわけでございます。  そして、その調査等に当たりまして、昭和五十六年に、これは児童家庭局長の通知でございますけれども、当面の指導基準というものを定めました。そしてまた、平成元年以降には、課長通知によりまして、処遇面の重点的着眼点というものを定めて、指導のあり方について、その内容というものを改善をしようという方向で努力をしてきたということがあろうかというふうに私は思っております。  今回の事件に際しましては、今御指摘ございましたように、立入調査というものが有効に機能していなかったのではないかという御指摘だというふうに思います。先生の御指摘につきまして、しっかりと受けとめさせていただいて、そしてまた神奈川県とも連携をとらせていただいて、一つ一つの立入調査というものがどういうぐあいであったのかということについても我々は把握をしなければいけないと思っておりますし、また、そうしたことを踏まえて、今後いかにあるべきかということについても、具体的な方向性というものを検討して出してまいりたいというふうに思っております。
  85. 石毛えい子

    ○石毛委員 もう時間が参りましたので、これ以上の展開は余裕がなくなったわけですけれども、私は、本当に子どもさんの命が失われているという痛ましい、その問題への深い悲しみと同時に、これは児童福祉行政、保育行政の根幹的な問題であると思っています。  例えて申しますと、認可外の保育施設に保育に欠ける子どもが入っていたとしまして、認可の施設でしたら公費が出て、認可外でしたら出ないということは、これは子どもの立場から見れば、あるいは親の立場から見ても不公平、不平等であろう、そういう問題があるかと思いますし、しかも、認可外施設への立ち入りを警察的規制で許している行政の実情というのは、保育そのものがもともとアンペイドワークといいますか家庭で子育てをするという原則に立っているからこそ、そこからテークオフできないのではないか、そういうような政策的に本質的な問題を含んでいるということだと思いますので、民主党としましても、これからこの問題に真剣に取り組ませていただきたいということを申し上げさせていただきまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  86. 遠藤武彦

    遠藤委員長 次に、家西悟君。どうぞ着席のままで結構でございます。
  87. 家西悟

    家西委員 それでは、民主党の家西悟ですけれども大臣にお伺いしたいこと等ありますので、よろしくお願い申し上げます。  まず最初に、来るべき八月二十四日、この日は、問題として発生した薬害エイズ事件を教訓とし、そしてサリドマイドやスモン、そういった薬害を二度と起こさないという誓いを新たに碑を建立されたということは、大臣も御承知のことと思います。そして、その経過については、大臣も当然、また総括政務次官も御存じだと思います。  まず、当時の厚生大臣、薬害エイズの解決のときの厚生大臣は菅直人です。そして、碑の問題について、建てることに意義はあるということを言われたのは小泉厚生大臣です。そして、昨年、一年前にその碑の除幕式をやられたのは宮下厚生大臣です。そして、一年がたとうとするときに、今回、この二十四日に、当事者の人たちを初め市民グループがぜひとも集会を行いたい、そして新たな誓いを立てていただきたい、ひいては厚生省の碑の前で、大臣なりに出てきていただいてぜひとも決意を述べていただきたい、そして、我々の要請、要望を受け取っていただきたいというお話になっていますが、そういったことを大臣はお聞きになっていますでしょうか。そして、その要請にはおこたえいただけるのでしょうか。その辺、御答弁いただければと思います。
  88. 津島雄二

    津島国務大臣 誓いの碑が建立されるまでの経緯、八月二十四日にそのような記念すべき日が来るということも存じ上げておりますし、それから薬害被害者関係者から要望書をこの機会に私どもの方に手渡したいというお話は伝わっております。  皆様方のお気持ち、特に薬害に遭われた方々のお気持ちは、今でも私たちは大事にしなければいけないと思っておりますし、また、薬事行政に携わる者として、二度とそのような過ちを犯さないという緊張感を持って仕事をしなければならないと思っております。  その二十四日にどうこうということにつきましては、どのような方とどのような要望書をやりとりするのかということまでは、私はまだ伺っておりません。
  89. 家西悟

    家西委員 どのような方というのは、多分薬害の被害者ということで、サリドマイド、スモン、HIV、そういった人たちが中心となった団体だと思います。  そして、要望書をお渡ししたいということを言っているわけですけれども、それをお受け取りいただけるのでしょうか。その場において厚生省のしかるべき方、大臣並びに政務次官、そういった方が御出席いただいて、ぜひとも受け取っていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  90. 津島雄二

    津島国務大臣 そういう真剣な問題についての要望書を私がちょうだいをするのは当然のことでありますけれども、どのような形でどのようにするかということについては、まだ細かく検討を了しておりません。
  91. 家西悟

    家西委員 どういう状況が整えば、大臣は御出席いただいて、お受け取りいただけるのでしょうか。  私は、薬害エイズの被害者として申し上げます。  あの碑は、建てるために相当の時間議論がされ、厚生省方々にも理解をいただいたと思います、碑文についても。そして、建てられたとき、除幕式に宮下厚生大臣はこのようなことをあいさつでされています。本当にこれまで失われた生命や健康が取り戻せるものではありませんが、皆様方の思いにこたえることができますよう、新しい世紀に向けた薬事行政の新たな発展を誓う次第でございますということをお述べいただいた。皆様の思いにこたえられるということですので、ただ建てればいいという話ではないと思います。  そして、八月二十四日、本来、建立されたのは厚生省です、あの碑を建てられたのは。その一年目に当たるようなとき、折に触れて、そういったときには本来厚生省の方が何らかの式典を開くなりされるべきではなかったでしょうか。今回そのようなことが全くないということで、市民グループの方がぜひともそういう集会を持ちたい、そして我々の要請を碑の前で受け取っていただきたいというお話になっていったと思うんですが、その辺のことを考慮いただいて、ぜひとも大臣出席していただいて、あいさつなりをする意思はございませんでしょうか。
  92. 津島雄二

    津島国務大臣 昨年宮下大臣が出て申し上げたことは、私もしかと受けとめておりますし、全く考え方には違いはございません。それから、委員を含めて、そのような過去に被害を受けられた方々には本当に申しわけないという気持ちを私は十分に持っております。  ただ、去年の行事は、これは厚生省が建立をいたしましたから、これは厚生省の行事であります。それで、これを年々の厚生省の行事にするかどうかとか、どういう形でするのかということについては、またおのずからいろいろな判断材料があると思いますので、委員のきょうの御要望に対してはひとつ研究をさせていただきたいと思います。
  93. 家西悟

    家西委員 その研究というのが私には理解できません。何の研究をされるんでしょうか。大臣、どうぞお答えください。
  94. 津島雄二

    津島国務大臣 細かい議論をするのは適当ではないと思いますけれども、私どもは深く心に刻んで仕事をしなければならない出来事が、委員指摘の薬害の問題のほかにいろいろございます。そういうことについて行政の慣行としてどうするのかということについては、一定のバランスのとれた判断が必要でございます。  そういう見地からいって、例えば、たくさんのことについて、しかも、場合によっては非常に真剣、深刻な要望書をお持ちになるケースがたくさんございます。薬害ばかりでなくて。そういうことを全体として頭に入れた場合に、この八月二十四日というものを一つの年々の行事にしてどういうふうにするかということについては、やはりそれなりの勉強をして検討をさせていただきたいと思います。
  95. 家西悟

    家西委員 いや、正直言って単純な話ですよ。いろいろな要請があるというのはわかります。しかし、今回、碑に刻まれている文章をお考えください。そして、来る団体というものをお考えください。サリドマイド、スモン、HIVです。国が非を認めた被害者たちが来るんです。どこの人たちとかそういったものがわからないとかいう話じゃありません。そういった人たちが来て要請したいということを言っているのであって、全く意味不明の人たちが来るとかそういう話じゃない。  また、仮にそういう判断をお出しになるのなら、一体、どういう団体だったらオーケーで、どういう団体だったらだめだということをおっしゃっているのか、説明してください。
  96. 津島雄二

    津島国務大臣 そのようなことを含めて検討させていただきます。
  97. 家西悟

    家西委員 検討検討と言われますけれども、どういう検討をされるんですか。  そして、碑というものは石に文字を刻んでいます。これはどういうことかおわかりでしょうか。石に刻んであるということは、石に刻んだ文字というものは数千年はもちます、永遠に忘れないということを誓われたはずです。二度とこのような被害を発生させないということを誓うということでやられたのじゃないでしょうか。そして、そういった人たちが要請に来、そして一年たちます、その中でいろいろな問題が起こっていた、そういったことについて要請を申し上げたい、真摯に受けとめていただきたいという要請をするんです。それをどうして鋭意検討とか研究とかいうふうに言われるんでしょうか。私には全く理解できない。答弁になっていないですよ。
  98. 津島雄二

    津島国務大臣 委員のお気持ちはよくわかりますし、それから、先ほどから申し上げておりますように、碑に刻まれていることについては、私は深く今でも心に受けとめております。  八月二十四日まで日にちがございませんので、それまでに結論を出さなきゃいけませんから、何も長く検討ということではございません。きょうこの場においては、それまでに検討して結論を出すということでお許しをいただきたいと思います。
  99. 家西悟

    家西委員 碑文についてお読みになったことはございますでしょうか。  「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性有効性確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」 そして、その下に、「千数百名もの感染者を出した「薬害エイズ」事件 このような事件の発生を反省しこの碑を建立した 平成十一年八月 厚生省」となっています。  どうしてこの前で受け取ろうとしないんでしょうか、検討とかそういうふうに言われておられるのか。私には本当に理解ができない。厚生省の姿勢ですよ。
  100. 津島雄二

    津島国務大臣 その碑文に書かれた趣旨については、私は本当に真剣、深刻に受けとめなきゃいけない、これは毎度申し上げているとおりであります。  ただ、どのようにして皆様方のお気持ちを受けとめたらいいのかということについて、きょうこの場でお答えをするにはまだ検討課題がございますので、二十四日まででありますから、きょうの委員のお話は真剣に受けとめさせていただきますが、きょうこの場においては結論を申し上げるのはお許しをいただきたいと思います。
  101. 家西悟

    家西委員 私が言っているのは、せめて厚生大臣や政務次官が出てきていただいて、何もその場で答えを出していただきたいという話をしておるわけじゃありません。ただ、要請書か要望書かわかりませんけれども、そういったものをお受け取りいただければという話をしているのに、どうしてこれからとかいう話になっていくんでしょう。全く……(発言する者あり)そうですよ。  そして、質問の聞き取りに来られたときには、最初、別室で医薬品副作用対策室の室長がお受け取りしますというようなことを言われた。一体どうなっておるんですか。本当にこの問題は大変なことだったということをお思いになっているなら、そういう誠意を見せていただきたい。  そして、午前中の議論の中にも、各委員質問、クロイツフェルト・ヤコブ病の予備的調査の問題について薬害エイズのようなことを二度と繰り返さないようにするということを大臣はおっしゃっていたんじゃないですか。そういう姿勢があるなら、ぜひともそういう場に出てお受け取りいただきたい。それが厚生省の姿勢じゃないでしょうか。私はそう思えてなりません。  そして、HIVだけで言えば五百人近い死者を出した。五百人の命をなくしたことを深く反省していただいているなら、そういう人たちに誠意を持ってこたえるのが政府のお務めじゃないでしょうか。国民に対して、自分たちは二度とこのようなことをしませんという誓いを新たにされる、そういう碑であるということもあわせてやっていくべきじゃないでしょうか。ただ建てればいい、仏彫って魂入れずみたいなことはやめるべきじゃないでしょうか。いかがでしょう、大臣
  102. 津島雄二

    津島国務大臣 お気持ちは十分わかりますので、二十四日まで残る日にちは短いわけでありますが、その間、先生の御要望、お気持ちにこたえるにはどうしたらいいか、あとわずか、一遍検討をさせていただきます。
  103. 家西悟

    家西委員 答えになっていないんじゃないですか。せめて局長を出すとか、そういうお話がなぜできないんでしょう。  私は、ほかにも質問を用意していました。この一問、大臣の方から、最低限医薬安全局長でも出しますということを一言言っていただいたら次の質問ができます。どうなんでしょう。
  104. 津島雄二

    津島国務大臣 そのことを含めて真剣に対応をいたします。今のお言葉を受けとめて対応をさせていただきますので……。
  105. 家西悟

    家西委員 どうして答えを出していただけないんでしょう、具体的に。それぐらいのことは言えるんじゃないですか。お二人で御相談されて、日程が合えば大臣が出る、大臣の日程が合わない、総括政務次官が出ようという話を政治家として御判断いただけないんでしょうか。
  106. 津島雄二

    津島国務大臣 先生のお気持ちも体し、それから、貴重な時間でありますから、何らかの形で厚生省を代表する者が対応をさせていただくということで、お願いします。
  107. 家西悟

    家西委員 大臣、私たちの言っているのは、本当は大臣が出てきていただきたいということをずっと言っているんですよ。それは要請もされてきたし、今回突然言っているわけじゃありません。これは火曜日から言っています。厚生省の方にもお話を申し上げました。きのうもう一度言いました。しかし、できないというお話をされているんです。どうしてそれぐらいのことをしてあげようというお気持ちが起こらないんでしょう。政務次官でもいいですよ、お答えいただければ。
  108. 福島豊

    福島政務次官 大臣の今の御答弁を踏まえまして、私になるかどうかということは別といたしまして、厚生省を代表する形で出席をさせていただくということで対応させていただきたいと思います。
  109. 家西悟

    家西委員 ですから、代表するというのはだれなんですかということを言っているんです。どの程度までの方を言われるんですか。要求は、大臣、政務次官、そして、幾ら何でも局長あたりには出てきていただきたい、薬務行政の最高責任者である方には出てきていただきたいということを言っているんですけれども、その辺で御検討いただけるんでしょうか。
  110. 津島雄二

    津島国務大臣 当然、厚生省を代表するということになれば、少なくとも薬務行政を担当する者は出なければいけないと。
  111. 家西悟

    家西委員 局長と解釈してよろしいんですね。今うなずかれましたけれども、最低でも局長ですね。ありがとうございます。ぜひとも出てきていただいて。  そして、これは、毎年八月二十四日が来ます、このような混乱をしないためにも、来年から定期的に八月二十四日は薬害根絶の日とされたらいかがでしょう、大臣
  112. 津島雄二

    津島国務大臣 大変有益な御指摘でございますので、これも真剣に受けとめさせていただきます。大変先生のお気持ちはよくよくわかっておるわけでございますが、ひとつ御理解をいただきたい。
  113. 家西悟

    家西委員 ありがとうございます。ぜひとも受けとめていただきたい。  なぜならば、私自身のことでもありますけれども、私自身、具体的に申し上げますと、CD4という免疫細胞の数値は、今抗HIV薬によって正常値の半分ぐらいです。四百台ぐらいになりました、おかげさまで。そのかわり血小板減少が起きてきています、血小板数が下がってきています、抗HIV薬によって。そして、出血が起こりやすくなっているという状況です。これは副作用です。  血友病の治療をするために血液製剤を使ってC型肝炎、B型肝炎に感染し、そしてHIVにも感染し、そして、その治療薬として用いたものによって、CD4を上げる、免疫細胞を上げるために使った薬によって今度は血小板減少が起こっている。そして、血液製剤を使っても出血がとまらないというような状況になりつつある。こういった中で、そしてC肝、B肝での副作用で肝臓の数値も悪くなってきています、幾つもの重荷を背負わされたわけです。  そういった人たちの気持ち、思いをしっかりと受けとめていただきたい。鋭意検討とか、お気持ちはわかるとかいう話ではありません。具体的に健康被害を受けておるわけです。その重さ、悔しさというものを肌身で受けとめていただきたい。そして、そういったときに誠意ある対応をぜひともお願いしたい。  私の質問時間は終わりました。本当はもっと具体的にお話をお伺いしたいし、私、この問題だけじゃなくて幾つもの質問を用意してきました。これは残念ながらできませんでした、次回をもって質問させていただきますけれども大臣、最後に、お願いです。どうぞ私たちそういった被害者の気持ち、そしてそれを支持した国民の声というものを無視しないでいただきたい、ぜひともよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  114. 遠藤武彦

    遠藤委員長 続いて、三井辨雄君
  115. 三井辨雄

    三井委員 民主党・無所属クラブの三井辨雄でございます。  本日、厚生委員会は、私にとりまして国会質問でございますし、デビュー戦となります。舌足らずな点もあると思いますが、よろしくお願い申し上げます。  さて、先ほど五島先生もちょっと触れられておりましたが、津島厚生大臣には、平成二年以来二度目の厚生大臣に御就任とのことですが、厚生行政課題山積の折から、政策に精通された津島大臣がその任につかれたものと拝察いたしております。  私、今回の質問に当たりまして、大臣の前回の所信表明など議事録を拝読いたしましたが、平成二年といえば、ちょうどゴールドプラン、すなわち高齢者保健福祉推進十か年戦略の推進が始まったときであります。活力ある長寿福祉社会実現するため、二十一世紀までの残された最後の十年間で、一つとしては、ホームヘルパーなどの在宅福祉対策の緊急整備、また二つ目といたしましては、寝たきり老人ゼロ作戦の推進、三つ目といたしましては、特別養護老人ホーム等の施設の緊急整備など高齢者の福祉の分野におけるサービスの基盤整備を大幅に推進しようというときでした。言うなれば、今日の介護保険制度の基礎、導入部分であったなという感慨を持つものであります。  私自身、当時既に医療福祉の現場高齢者医療の問題や老人保健施設の運営に取り組んでおりました。北海道庁の担当者とも随分やりとりをいたしました。とりわけそういった思いを強くいたしております。そして、本年四月から介護保険制度施行を迎えたわけですが、この十年間を振り返り、ゴールドプラン、さらには新ゴールドプランとして政策補強もされてきましたが、大臣御自身は高齢者の保健福祉施策についてどのように総括されますでしょうか。また、今後どのような方向に持っていかれるのか、お考えをお聞かせ願います。
  116. 津島雄二

    津島国務大臣 今国会においてこの厚生委員会三井先生を初めとする新進気鋭の方が多数参加をされたということ、大変私もうれしく思っております。これからの厚生行政の発展のために有益な御助言を賜りたいと思っております。  私もちょうど十年前に厚生大臣を拝命いたしましたが、ちょうどそのときはゴールドプランを打ち出し、そして私が予算委員会でいろいろと御説明を申し上げて初年度の予算を獲得し、それから、これに関する八本の福祉法の改正をいたしました。  ここでまず申し上げておきたいのは、そのような大きな転換が可能になったのは、実は消費税の導入でございました。消費税という大型の税を導入するに当たって、一体これは国民生活にとってどのような意味があるのかということを国会議論する中から具体的に明らかにするということで、ゴールドプランをお示しするということにつながり、それが具体的な予算となり、法律改正になっていった、そして、その後の十年間の高齢者を中心とする福祉行政の大きな柱になったことが大切であろうと思います。  そして、今やいよいよ介護保険というものにつながってきたわけでありますけれども、振り返ってみると、全体として、いろいろと心配をされたけれどもおおむね計画どおり進展をした。そして、今私ども課題としては、介護保険制度をしっかり育てるということに集約できるのかな、こういうことになっておるわけであります。  実は、この介護保険制度を可能にした大きな制度改正がございました。それは、措置権限を市町村におろしたという、平成二年の私が担当しておりましたときの法律改正でございまして、考えてみれば、あれがなければ介護保険体制もなかなか出発できなかったかなと思いますと、あの高齢者保健福祉施策実施主体として市町村を位置づけたということは大きな意味があった。委員も、お地元の北海道の現状の中から、やはりこの点は御理解をいただけるのではないかと思っております。  こういう条件整備を踏まえて、問題はこれからの高齢者対策をどう進めるかでありますが、今、まず申し上げましたように、介護保険体制を発足され、四月から実施をしておりますけれども、これからしっかりと根づかせていく。そして、さらに今私どもが目指しておりますのは、高齢化社会を、単に高齢者のために必要なサービスが提供されるばかりでなくて、活力のある高齢化社会にしたいということで施策充実させていかなければならないだろう、それから、少子化対策をあわせて充実していかなければならないだろう、こういうことになっておるわけであります。  どうか委員諸賢におかれても、今私どもの取り組んでおります介護保険制度とゴールドプラン21というものについて御理解を得、またいろいろな御助言を賜れば幸いであります。
  117. 三井辨雄

    三井委員 ありがとうございました。  御説明のとおり、本年二〇〇〇年度から今後五カ年間の高齢者の保健福祉施策の方向としてゴールドプラン21が策定されました。新ゴールドプランの終了と介護保険制度導入という新たな状況を踏まえてということですが、では、実際に介護保険導入に伴って、高齢者を取り巻く医療や福祉を担う現場はどうなっているのか。私のところにも実はさまざまな意見が来ております。また、問題も寄せられております。ここで一つ一つ取り上げることはできませんので、特に介護サービスの基盤整備についてお尋ねしたいと思います。  いかなる分野においても基盤整備が進まないとその事業は進展していかない、こういうぐあいに思っております。現状において、施設整備マンパワー確保など基盤整備の進捗状況はどうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  118. 大塚義治

    大塚政府参考人 お尋ねの介護サービスの基盤整備状況でございますが、ちょうど十一年度末で新ゴールドプランが終了いたしますので、その目標と達成の状況ということを例にとって御報告を申し上げたいと存じます。  きちんとした数字が平成十年度まで実績としては出ておりますので、若干のタイムラグがございますが、例えば施設関係では、最も中核的な施設でございます特別養護老人ホームでございますが、新ゴールドプランでは、平成十一年度末の目標値二十九万人分でございました。平成十年度末のきちっとした実績で二十七万九千百四十七人分、約二十八万人分でございまして、十一年度末には当初の目標を確実に達成をしておるというふうに考えております。  同様に、在宅サービスの中心の例でございますとホームヘルパーということになろうかと思いますけれども、目標値が十七万人、十年度末の実績で十五万七千七百十一人、約十六万人でございまして、これも最終年度には目標値を必ず達成できるという数字になるわけでございます。  全般に申しますと、サービスの種類あるいはまた地域によっても率直に申しましてある程度の差はございます。差は見受けられますが、全体といたしましては、おおむね新ゴールドプランの目標は順調に達成でき、整備が進んできたものというふうに認識をいたしております。
  119. 三井辨雄

    三井委員 今お話を承りましたように、確かにある部分順調に来ているかなという感じはいたします。  さて、私の地元北海道では、例えば介護サービスのうちの二十四時間巡回型訪問介護を実施しているのは、北海道二百十二市町村あるわけでございますが、都市部を中心とした二十八市町村しかまだこのサービスは行われておりません。また、施設サービスを含め介護保険サービス十四種類をすべてそろえているのは札幌市一市だけといった大変厳しい状況にございます。  今後、特に郡部での介護サービス整備にどのような対処をされるおつもりなのか、また地域格差をどのように埋めていこうとなさるのか、お尋ねしたいと思います。
  120. 大塚義治

    大塚政府参考人 お話ございましたように、地域の置かれた事情、条件はさまざまでございまして、それぞれの地域で御苦労いただいておるところでございますけれども、今後の介護サービス基盤の整備につきましては、既にお話が出ておりますけれども、昨年末にゴールドプラン21というものを策定いたしました。これは、全国のそれぞれの市町村におきまして今後の見通しをつくっていただきまして、これを集大成いたしました計画といたしたものでございます。  したがいまして、国といたしましては、この計画期間中、当面五年ということでございますが、この五年間にそれぞれの市町村の目標が達成できますように全力を挙げて支援してまいりたいと思います。  中でも、離島でありますとか山間僻地でありますとか、特に条件の厳しいところもございます。例えばこうした地域につきましては、ホームヘルパー、訪問介護員の養成研修につきまして本年度から国庫補助を実施いたしておりますし、また、各地域でもさまざまな工夫や努力が展開をされております。  私どもも、例えば他の行政も視野に入れて、文部行政でありますとか農林水産行政でありますとかとの連携もとりながら、例えば空き教室の転用を進めるとか、農協の空き施設を活用して農協自体がサービス事業者として活躍いただくとか、そうした他の行政との連携といったことも視野に入れながら、さまざまな工夫を凝らして過疎地域あるいはそれに準ずるような地域のサービスの確保をバックアップしてまいりたい、こう考えております。
  121. 三井辨雄

    三井委員 まさに十月から介護保険の半分の徴収が始まるわけでございますが、そういう中で、離島あるいは過疎の地においては、改めて不平等性ということが問題になってくるのではなかろうかと思います。  今、離島、過疎地のサービスの報酬に対して一五%の特別地域加算が認められておりますが、そもそも介護保険は、市場原理を導入することにより利用者が自由にサービスを選択し、またサービス提供業者が競争し、より良質なサービスを確保する仕組みになっていると思います。しかし、人口密度の低い過疎地では民間事業者の参入はなかなかできませんし、また、参入した事業者も撤退するという状況でございます。市町村としてはサービスの確保に大変苦慮しておりますし、また、地元の社会福祉協議会等は採算面で苦しんでいるというのが現状でございます。  例えば、北海道の例で申し上げますと、日高管内がございますが、ここは九つの市町村がございまして、つまり自治体でございますが、面積は東京の約二倍ぐらいあるところでございます。ちなみに人口は、平成九年でございますが、八万八千六百人という大変少ない人口でございます。こういうところにも明らかに地域格差が生まれているというのが現状でございます。  このように介護保険の前提となる市場原理が働かない地域が存在するわけですが、過疎地域においてのサービスの供給確保事業者の健全な育成のためには、全国一律、輪切りで離島、過疎地へ一五%というのではなしに、ぜひとも地域実情に合った特別地域加算等市町村に対する支援が必要ではないかと実は私は思っております。この件についてはいかがでしょうか。
  122. 大塚義治

    大塚政府参考人 介護報酬に絡む御指摘かと存じますけれども、介護報酬におきましては、地域実情も反映するという観点から地域差を設けておりまして、基本的には五つの区分で算定をいたしております。ただ、これ以上さらに細かく区分をいたしますと、利用者から見ても大変わかりにくいという点もございますし、審査支払いに関する事務も大変煩雑になるということから、この辺が限度かなと考えております。  これに加えまして、お話のございました離島等につきましては、事業運営も非効率になるという観点で、民間の参入も期待するという趣旨も含めまして、サービスを確保する目的で一五%の特別加算をしておるわけでございます。この加算につきましては、地域に限定した特例的な取り扱いでもございますし、さらにこれを細分化するというような工夫ができないかということもございますけれども、先ほど申し上げましたように、余り複雑化するのも別の問題が生じてまいります。あるいはまた保険料、自己負担との兼ね合いも出てまいるということで、私どもとしては、当面この率で運営をする必要があるだろうと考えております。  先ほど申し上げましたように、それぞれの地域におきましてさまざまな工夫、試み、取り組みが行われておりますので、私どももそれらの御努力連携をとりながら、今後の介護サービスの基盤整備の実態の推移につきましては、これを慎重に見守ってまいりたいと考えております。
  123. 三井辨雄

    三井委員 北海道の事情だけ申し上げるわけにいきませんが、よりきめ細かいサービスをぜひともお願い申し上げたいと思います。  さて、冒頭に大臣にゴールドプランからこの十年間を振り返っていただきましたが、次に、平成十二年度版の厚生白書について若干お尋ねしたいと思います。  「新しい高齢者像を求めて—二十一世紀の高齢社会を迎えるにあたって—」と題されているとおり、今後五カ年間の高齢者保健福祉施策の方向として、ゴールドプラン21について記されております。中でも、今後取り組むべき具体的施策について六つの柱立てがなされておりますが、特に私が関心を寄せているのが、第三の柱であります元気高齢者づくり対策、ヤング・オールド(若々しい高齢者)作戦であります。  実は、私の地元でも、今、PPK運動という、もう御存じだと思いますけれども、ぴんぴんころりんという、高齢者がなるべく介護保険を使わないで元気よく生き生きと、花の運動ですとかあるいはボランティア活動をしながら生き生きとした老後を送りたいという運動をされているわけでございますが、まさにヤング・オールドそのものなのかどうかわかりませんが、そうした実態を見るにつけ、厚生白書の言うところの元気高齢者とはどのような姿を描こうとしているのか、また、高齢者ができる限り元気で生き生きと生活を送ることができるよう積極的な社会参加を進めるとのことですが、もっと具体的にどういう施策を想定されているのか、御説明をお願いしたいと思います。
  124. 大塚義治

    大塚政府参考人 ゴールドプラン21の基本的なコンセプトは、活力ある高齢者像の構築ということでございます。おっしゃいますように、今後の施策の中核の一つというふうに位置づけるべきであろうと考えております。  この施策は、ひとり高齢者保健福祉施策のみならず、もう少し幅広い取り組みが必要でございましょうし、さらには行政のみならず、民間団体、もちろん地方公共団体、さらにはお一人お一人のお年寄りまで幅を広げる、そうした幅広い取り組みが必要だろうと考えております。  私どもの担当しております分野、つまり、高齢者保健福祉施策の観点からの施策を一、二例示として申し上げるならば、生きがい活動の支援ということで、言ってみれば高齢者が自宅に閉じこもるようなことがなく、戸外に、社会に出て御活躍をいただくために、例えば生きがい対応型のデイサービス事業でありますとか老人クラブ活動への積極的な参加をお願いするための支援といったような取り組みを具体的に進めていく必要があると考えております。  もう一つは、もう少し幅広く、社会参加あるいは就業の支援ということで、労働行政で進められておりますシルバー人材センターとの連携を強化いたしまして、就業という観点にも目を広げた対策を講じていく。こうした積み重ねで、今後の生き生きとした高齢者社会活動参加を支援してまいりたい、こんなような考え方で進めておるところでございます。
  125. 三井辨雄

    三井委員 今後とも、皆さんとともに一歩一歩制度充実を図ってまいりたい。しかし、これから高齢者の仲間入りする私たちが目指すべき方向は、介護保険のお世話にならなくて済むような、そして自立した老後生活が送れるような生活を立ててまいりたいと思います。  これをもちまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  126. 遠藤武彦

    遠藤委員長 続いて、山井和則君。  なお、山井君の発言の前に私から申し上げることがございます。  山井君からはスライドを映写したいという申し出がありました。これを許可することにいたします。しかし、この際一言申し上げておきますが、きょうのことをきょうではなかなか大変でございます。また前例がないのです、断る理由は前例がないということしかありません。  そこで、今まではパネルとか何かを提示したりしましたし、これからはOHPなども使われることもあり得るのではなかろうか。そんなことを考えると、何を映させてもいいというわけにはいかぬ。ですから、これは事前に少なくとも理事会とか何かにどういうものを映すんだということを、ただスライドだけではだめです。今後、これは委員の皆さん方も御承知おきいただきたい。  それから、今回のことは他の委員会にも影響を及ぼすことがあり得る、及ぼさないということを条件に、そのかわり、私からは議運の委員長に対して、こういうことも今後ありますよということをきちっと申し上げておきましたから、今後、スライドの問題をどうするかは議運の場でやるということにして。それが条件です。よろしゅうございますか。委員の皆さん方もそのとおりにしてください。  では、そういうふうにさせていただきます。  山井和則君。
  127. 山井和則

    山井委員 本当にありがとうございます。テストケースとしてスライド使用を許可していただきまして、ありがとうございました。委員長、ありがとうございます。  私、初めて質問をさせていただきます山井和則と申します。本日は、介護保険の問題、私の生涯のテーマでありますが、このうち四点ぐらい質問をさせていただきたいと思いますが、初めてのことですので、少しだけ私の自己紹介もさせていただきたいと思います。  私は、学生時代から福祉施設でボランティア活動をしておりまして、そんな中で、豊かな日本と言われるけれども、本当に困っておられる、体の不自由な方や家庭が崩壊した子供たちあるいはお年寄りが多いということを痛感して、生涯を福祉にかけたい、そんな思いで過去十五年ぐらい活動をしてまいりました。  その中で、私は、今の豊かと言われる社会で、最も政治や社会の光が当たっていない寝たきりや痴呆症のお年寄りに取り組んでまいりましたが、非常にいろいろ考えさせられたことがありました。その十五年間の間、二年間はスウェーデンに参りましたし、また、イギリス、アメリカ、デンマーク、ドイツの老人ホームで一カ月単位で実習をさせてもらったこともありました。その中で考えさせられたのは、残念ながら、日本社会というのが安心して長生きができないということであります。その最たるものが、最初に取り上げさせていただきます身体拘束という問題であります。  今回、厚生省は、介護保険において身体拘束ゼロ作戦というものをスタートされまして、身体拘束というものは認めないということを決められました。このことに関しましては、本当にすばらしい英断だと思います。このことについて少しスライドを使ってお話をさせていただきたいと思います。  まず、身体拘束といっても、それは何なのかというのはなかなかわかりにくい部分があるかと思います。ちょっと薄くて見えづらい方もあろうかと思いますが、実はこれがいわゆる身体拘束であります。見えますでしょうか。ベッドの上にさくをつけて、座っておられて、それでひもで縛られておる。痴呆症のお年寄りは動き回ると勝手にこけて骨折をする危険性があるということで、現場の方も泣く泣くひもで縛っておられるわけであります。私は、過去十五年、こういう老人ホームや在宅で、研究をしてまた海外にも行く中で、残念ながらこういう現状が十五年前からずっと今日においても続いております。  まず最初、大臣にお伺いしたいと思いますが、このような身体拘束、これ以外にも、痴呆症のお年寄りを車いすにひもで縛る、あるいは薬で寝かす、あるいは個室に閉じ込めて出られないようにするこのような身体拘束、現場をごらんになったことがございますでしょうか。大臣、よろしくお願いいたします。
  128. 津島雄二

    津島国務大臣 ちょうど今から十年前、山井先生はまだ学校でございましょうか、そのころ、私に対して御質問が某党の委員からございました。身体拘束、縛りつけの現場をあなたは見たことがありますかと。幸いに、私はその数年前に厚生政務次官をやっておりまして、そのときに実情をある程度知っておりました。まず、事実だけ申し上げます。
  129. 山井和則

    山井委員 ありがとうございます。  今までこういう問題を御認識いただいていたということですが、ほかにもいろいろな形がございます。  こういうふうに、昼間の時間、さくをつけて、それでもさくから落ちるかもしれないということで、ひもで縛りつける。あるいは、このようにさくをつけて、ひもで縛られて、実際にはひもをほどいてください、ひもをほどいてくださいというふうに私に懇願をされるわけです。ひもで縛られたお年寄りは、見る見る顔つきが変わっていき、落ち込み、二週間、三週間で寝たきりになる。そうすると、もうこける危険性はないだろうということで、ひもからほどいてもらえるわけですが、この痴呆症のお年寄りも、残念ながら、ひもからほどかれて一カ月後にお亡くなりになられました。そういう意味では、残念ながら、こういう身体拘束というのが死期を早めているという部分もあるかと思います。  例えば、この方も右手を縛られておりますが、やはりひっかくくせがあるということで、それでひっかけないように右手を縛っている。でも、こういうとき、だれかが寄り添って手を握っていればひっかかないわけです。あるいは、一緒に手をつないで散歩をすれば、このような方も元気に暮らせる。しかし、右手を縛られて寝かされていたら元気になるはずがないわけであります。あるいは、点滴の針を抜くからといって、こういうふうに両手を縛られている。残念ながら、十五年前からこのような現状は続いております。  厚生省が身体拘束ゼロ作戦を打ち出された英断には敬意を表しますが、この意義、このような問題に対して今身体拘束ゼロ作戦を厚生省が始められてどのような取り組みをされるのか、そのことを大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  130. 津島雄二

    津島国務大臣 身体拘束の実態でございますけれども、ある社団法人の調査によりますと、医療・福祉サービスを利用した者五百七十六人のうち四百九人、七〇%が何らかの形で身体拘束を受けた経験があるという回答がございますように、委員指摘のとおりの現場における問題はございます。  それで、欧米の状況と比べてどうなんだろう。これはいろいろ議論がございますけれども、欧米でも多少国によってニュアンスが違うと思いますけれども、しかし、基本的に言えることは、身体拘束というのは、やはり人権の立場からいっても極力ゼロを目指さなければいけないということでございましょう。それと同時に、恐らく介護をされる側からいうと、例えば痴呆のある方の自損事故であるとか、事故を避けるためにはこれは次善の策であるというような意識もあったかもしれない。ただ、厚生省としては、そういう考え方もこの際やはり乗り越えていこう、それでゼロ作戦を今はっきりと打ち出したわけでございます。  具体的に言いますと、介護保険事業者の指定基準の中に身体拘束を原則禁止する旨の規定を盛り込んだ、これがきっかけになりまして、最近になって関係者方々のさまざまな取り組みが始まったというふうに理解をいたしております。  この身体拘束がある背景について、いろいろ日本独特の問題もあると思いますね。というのは、寝たきりが多いということ、これは委員、各地でごらんになっておわかりのとおり、あれも日本独特のいろいろな生活慣習、寝るときの習慣とかいろいろあると思うんですね。そういうことの中から身体拘束というのは出てくる可能性がふえていく。それから、痴呆に対する対策がまだ十分でない。  私は、そういう身体拘束そのものを減らしていくためには、いろいろなことに取り組んでいかなければいけないなと。ただ、基本的に、今申し上げましたように、そういう原則を打ち出して、それで承認の条件にもしておるというのは大きな変化であったというふうに私は思っております。
  131. 山井和則

    山井委員 今大臣からもございましたように、社団法人呆け老人をかかえる家族の会のデータによりますと、七一%の方が、自分の家族の痴呆症のお年寄りが拘束を経験したと言っておられます。例えば、部屋に閉じこめられた四十六件、ベッドの上で手や足を縛られた百六十八件、車いすに体を縛られた、また立てないようにされた百三十四件、薬でおとなしくされた、行動を抑えられた百八件。七〇%もの方が経験しているというのは、これはかなり日常的に行われていると言っていいと思います。  今海外との比較がございましたが、例えばスウェーデンでは、こういう拘束をする場合には市町村に対して届け出の義務があります。それが正しい身体拘束、どうしても命や安全のためにやむを得ないかどうかチェックをします。またドイツでは、以前、縛られたお年寄りが首が締まって亡くなったという事件をきっかけに一九九二年に世話法というのができまして、このような身体拘束はすべて医師の鑑定書が必要になって、裁判所の許可なく縛ったりすれば警告を発し、それでも改善されなければ閉鎖ということになっております。  このような問題は今日始まったわけではありませんで、例えば、私の手元にある、一九八八年に出ましたこの「ルポ老人病棟」という本、大臣も御存じだと思いますが、ここで、一九八七年にこの著者の方が、こういう身体拘束というのはゆゆしき問題じゃないかということを指摘されています。それに対して、当時の斎藤十朗厚生大臣は、これは遺憾なことであるので改めていきたい、そして都道府県に対して指導をしていきたいと。そして、注目すべきは、もっと興味深いのは、私がやめましてもこの方面のことはやってまいりますということで約束されているわけです。  それ以来、何と津島厚生大臣まで十五人、厚生大臣がこの十三年間にかわっております。この十三年間、このような現実が指摘されてから、厚生省はどのような取り組みをされてこられたのでしょうか。
  132. 大塚義治

    大塚政府参考人 身体拘束に関連する問題というのは、折々確かに御指摘がございました。  ただ、先ほど大臣からも御報告申しましたように、これを受けとめる現場、あるいは家族も含めての土壌というのが必ずしも成熟をしておらなかったという面が率直に言ってあろうかと思います。したがいまして、私ども、随時関係者とお話をしたりする機会もございましたけれども、一つの明確な、具体的な取り組みということで大きなきっかけになる施策を打ち出すことに至らなかったというのが、率直に言ってこれまでの経過だろうと思っております。  先ほど大臣から申し上げましたように、今般、関係者の機運というのも正直に言って盛り上がってまいりました。そういうことが、今回思い切ってこうした方向を打ち出せる一つの条件づくりでございます。したがいまして、私どもとしては、いわば現場からのこの盛り上がりというのを貴重なきっかけといたしまして、思い切って今後この対策に取り組んでまいりたい、こういう経過でございます。
  133. 山井和則

    山井委員 そういう経緯を経て今回この身体拘束ゼロ作戦に取り組まれることには本当に敬意を表しますが、先ほどの家西議員の質問ではありませんが、忘れていただきたくないのは、今痴呆症のお年寄りが百六十万人、家族の会の調査では七〇%が拘束をされているということを考えたら、何十万という痴呆症のお年寄りが毎年拘束を経験され、そして、私も実際目にしましたが、縛られて無念のうちに亡くなっていかれた。家族も、家で見られない以上仕方がないといって家族も泣いた。痴呆症のお年寄りも泣いた。そして、それを縛っている看護婦さんも、本当はこんなことをしたくないんだと十三年間泣き続けてきて、多くの方が無念のうちに亡くなられたわけです。ですから、今回の身体拘束ゼロ作戦では、ぜひとも毅然とした態度で取り組んでいただきたい。  それでお願いになりますが、まず一点目は、やはり実態調査をしていただきたい。実態調査をしなければ、どういう対策、なぜ縛らざるを得ないのかと言うことができないと思います。ぜひとも早急に実態調査をしていただきたい。  それとともに、二番目は、アメリカなどでは、例えば老人ホームの廊下にオンブズマンのポスターが張ってありまして、いろいろな虐待や食事を与えないということがあったらすぐにオンブズマン、この電話番号に電話してくださいというポスターが張ってあります。もし毅然とした態度で本気で厚生省が取り組むのであれば、身体拘束ゼロ作戦をやっています、もし安全上の問題あるいは命に別状がないのに安易に縛るようなことがあったら、これは禁止ですから保険の取り消しになりますよというポスターをぜひとも全国介護保険施設に張り出していただきたい。これをやっただけでも、お医者さんの意識、現場の方の意識、家族の意識も変わると思います。やはりやる以上はそれぐらい一生懸命やっていただきたい。そして、毅然とした姿勢で取り組んでいただきたい。もし安易に今までのように取り組んでいる施設が発見されたら、保険をもう取り消すということをしっかりと表明していただきたいと思います。  続きまして、この身体拘束の問題にもかかわるんですが、では、このような身体拘束をせずにどう世話したらいいかということに関しまして、私は、グループホームというものについてお願いをしたいと思います。  今まで、私も過去十年間、いろいろなグループホームの本を書いて運動をしてまいりました。なぜ痴呆症のお年寄りが縛られるか。行ったこともない病院に行って、ここはどこだとふらふらと歩いてしまう、そんな中でこけてしまう。そうじゃなくて、このグループホームは、厚生省介護保険と同時に正式なメニューに入れたわけでありますが、御存じかとは思いますが、五人から九人規模の痴呆症のお年寄りがスタッフとともに共同生活をする。  その写真も一応持ってまいりましたが、これは、一九九三年、日本で初めてできたグループホーム、秋田県のもみの木の家というところです。この一階に六人の痴呆症のお年寄りが住んでおられます。グループホームを見られた方もないのではないかと思ってちょっとスライドを持ってこさせてもらったんですが、このように痴呆症のお年寄りも、先ほどの病院のように寝巻きを着ていると元気がなくなるわけですが、こういう私服を着て簡単なお皿洗いや料理のお手伝いをすると、痴呆の進行が遅くなるあるいは症状が和らぐということが厚生省調査でもわかっているわけであります。しかし、まだグループホームの数が非常に足りないわけであります。  このグループホームに関して、厚生省は、どれぐらいグループホームが今後必要なのか、そして、今全国で四百カ所ぐらいで、ほとんど、八割から九割の自治体に全くないわけですね。このような家庭的な居心地のいいグループホームに入りたいと多くの御家族の方から私のところに問い合わせがありますが、ほとんどの自治体にまだないんです。このことに関して大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  134. 福島豊

    福島政務次官 大臣にかわりまして御答弁をさせていただきます。  先生の御著作は何冊も私は読ませていただいておりまして、グループホーム問題につきましても、先生が熱心に訴えてこられたということはよく承知をいたしております。  これから二十一世紀に向かいまして、痴呆性高齢者の数というものが急速にふえていくわけでして、その処遇をどういう形でするのかということが極めて大切だ、特に身体拘束というものを本当にゼロにしようと思えば、痴呆性高齢者の方に対するケアというものに対して確立された体制をつくることが必要である、私はそう思っております。このグループホームは、その一つの中核になる施策である、そのように考えております。  現在、グループホームは、介護保険制度の中で保険給付の対象サービスの一つとして位置づけられました。数が少ないではないかという御指摘でございますけれども平成十二年七月一日時点で、六百五カ所のグループホームが指定居宅サービス事業所の指定を受けております。  昨年、私ども、ゴールドプラン21、今後五カ年間の高齢者保健福祉施策の方向というものを決めたわけでございますが、これは基本的に、それぞれの自治体の立てられた計画というものを合計してどの程度の水準になるか、そういう決め方をしたわけでございます。そのゴールドプラン21の中では、平成十六年度までに全国で三千二百カ所の開設を見込んでおります。先生方の大変な御努力で、グループホームというものが非常にいいんじゃないかということが全国的に浸透しつつあることの一つのあかしだ、そのように私は思います。  ただ、この三千二百カ所というのは、さまざまな議論があろうかと思いますが、ゴールドプラン21そのものが、国が数字を先につくるということではなくて、地方自治体の計画というものを踏まえてつくられた性格のものであるということを御理解いただきたいというふうに思っております。国としては、この三千二百カ所が見込まれておりますけれども、地方公共団体の取り組みというものに対してしっかりと支援をしていきたい、そのように考えております。
  135. 山井和則

    山井委員 二〇〇四年度で三千二百カ所ということですが、三千二百カ所というと二万五千人ぐらいでしょうか、一カ所八人とすると。痴呆症のお年寄りは、大体そのころには厚生省の推計では百八十万人ぐらいになっているわけですから、それでも百人に一人も入れるか入れないかわからないぐらいだと思うのです。やはり大きな施設や四人部屋、回廊式のものよりはこのようなグループホームの方が居心地がいいということがわかって、効果も上がっています。  少しこの話を続けさせていただきますが、この痴呆症のお年寄りも、家族の名前はわからなくなってしまっても、ホウレンソウのお浸しをつくったり、そういう今まで長年やってきたことを続けることによって元気を取り戻していくわけですね。  一方、同じような痴呆症のお年寄りが十分なケアができない施設に行くと、ひもで縛られて、弱って寝たきりになって亡くなっていく。こういうところは利用しやすいけれども、実際、こうやって笑顔で暮らせるようなグループホームは利用しにくい。これではやはり、介護保険の理念というのは、保険料は払ってもらうかわりにできる限り受けたいサービスは利用できるというのが介護保険の理念だと思いますが、二〇〇四年度三千二百カ所でも、全国に三千三百カ所市町村があるわけですから、半分ぐらいの自治体にまだグループホームがないということになると思います。今ないのは百歩譲って仕方がないとしても、二〇〇四年の目標でもまだないというのが目標になるというのはやはりおかしいのではないでしょうか。  そのあたり、ある程度御家族なり本人がグループホームに入りたいということを望めば利用できる体制を、大体でいいですが、何年後ぐらいにつくっていこうということを考えておられるのでしょうか。
  136. 福島豊

    福島政務次官 何年後という具体的な数字を示すのはなかなか難しいところがあろうかと思います。  それは一つには、自治体においてどのようなサービス提供をするのかということについての考え方というのが一つあると思いますし、そしてまた、それはスウェーデンにおきまして大きな転換が起こりましたように、二十一世紀に入りましてから数年の間にその認識そのものも大きく変わっていく可能性があると私は思っております。そしてまた、グループホームも一つのバリエーションとして、例えば、特別養護老人ホームにおきますユニットケアというような考え方もあるわけでございまして、そういうようなさまざまな施策を組み合わせるということも一つの考え方ではないかと思っております。  いずれにしましても、先生御指摘ございますように、痴呆性高齢者の方の万全の処遇の体制というものをつくるということに向けて、国としてはしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
  137. 山井和則

    山井委員 民主党は、今回の衆議院の選挙でも、小学校区に一つ、そう考えるとやはり二万五千カ所ぐらいになるのですが、そのグループホームを将来整備する、それで、痴呆症や体が弱ったときに、町外れの大きな施設や病院に行くのではなくて、住みなれた地域で暮らし続けられる社会をつくろうじゃないかということを言っております。  公明党さんも、今までグループホームに福島先生を先頭に取り組んでくださったのは存じ上げております。  やはり二十一世紀、本当に豊かな高齢社会というものをつくるのであれば、ぜひとも厚生省さんにおかれましても、今までのように、痴呆症になったり弱ったお年寄りを移動させる、環境変化させるとますます痴呆症を悪化させるわけですから、そうではなくて、住みなれた地域に、例えば小学校がどんどん空き教室がふえているわけですから、そういうところにグループホームをつくって、できるだけお年寄りが移動しなくていいように、家族や茶飲み友達が訪問できるような、そのようなグループホームをぜひとも整備していっていただきたいと思いますし、これも厚生省調査でもわかっていることですが、必ずしも大規模な施設や大規模な病院よりもコストがかかるわけではないと思います。  そこでお伺いしたいのですが、私、グループホームについて数多くの質問を受けるのですが、その一番大きなふえない理由と言われているのが、介護報酬がやはり低いのですね。今約二十六万円ぐらい、月々平均で。老人ホームが平均で月三十三万円ぐらい、そして療養型病床群が四十三万円ぐらい。そう考えると、最も安いわけです。ある市長さんがおっしゃっておられました、介護保険のサービスで最も採算がとれないのがグループホームであると。これは各種の世論調査でも、市町村が最も足りないと言っている断然トップがグループホームです。  でも、先ほども津島厚生大臣、これからは痴呆対策に力を入れていきたいとおっしゃっておられましたけれども、痴呆対策に力を入れたいと言って、その切り札がグループホームじゃないかと世界的にも言われている中で、その介護報酬が最も採算がとりにくくて、ふえないというのは、これはおかしいと思います。特別養護老人ホームや療養型病床群並みの介護報酬にしても別に高くはつかないわけですから、そのあたり、早急にこのグループホームの介護報酬を上げていただきたいと思います。  それとともに、あと二つ指摘したいと思いますが、もう一つ、ふえない理由と言われておりますのが、併設型には設備補助が出ます、建設補助が出ます。ところが、単独型にはほとんど出ないのですね。その結果、老人ホームや病院の併設型はまあまあふえるけれども、本来のグループホームの趣旨である、住みなれた地域に単独でつくりたい、民家を改造してつくりたいというのが、建設補助がほとんど出ないからできないわけです。これはやはり、先ほども言いましたように、二十一世紀の高齢社会、住みなれた地域で終えられるという社会づくりのためには、単独型の建設補助というものを出していくべきだと私は思います。  それとともに、三点目、もう一つ言うならば、質の問題であります。  私は、介護報酬をアップして単独型の建設補助を出したら、どんどんグループホームはふえると思います。ただし、一方では、悪質な業者が安易にグループホームをつくるという弊害も逆に高まると思います。そのためには、当然、介護報酬と単独型の建設補助をつけるかわりに、きっちりと質をチェックする。  一つの例を言いますと、今は都道府県だけの認可になっています。劣悪なグループホームも少しずつできています。それに対して市町村に言いますと、いや、勝手に建てられたんです、都道府県の認可で建てられたんです、私たちは行ったこともありません、事故が起こっても私たちの責任じゃないですと市町村は言うわけです。こんなことではだめだと思います。やはり市町村にも都道府県と同様に認可の権限と、きっちり監督する、チェックする権限も持たせて、建てやすいようにするけれども質のチェックは今まで以上に厳しくするというようなことが必要ではないかと思いますが、グループホームをこれからふやしていく方策をお伺いしたいと思います。
  138. 福島豊

    福島政務次官 何点か御指摘ございましたが、まず初めに、介護報酬が低いのではないかという御指摘でございます。  介護報酬に関しましては、平成十一年度、介護保険がスタートする以前でございますが、補助基準単価というのが一人当たり月約十七万円、介護報酬がスタートしましてからこれが一人当たり月額二十五万円ということで、八万円引き上げさせていただきました。この二十五万円という数字が一体どこから出てきたんだという話がありますけれども、これは、十一年に実態調査というものを実施いたしまして、どの程度の水準になるのかということで決めさせていただいた数字でございます。  介護報酬の水準についてさまざまな御意見があるということは承知いたしておりますが、今後、この介護保険制度を運営していく中で、介護報酬の見直しという意見につきましても、その実態を踏まえて対応させていただきたいというふうに考えております。  それから、引き続き、施設整備の補助ということでございますが、現在、併設型ということで、特別養護老人ホーム等に併設するものに対して、社会福祉法人ですと三千万円程度、医療法人ですと二千万円程度の補助をさせていただいております。これは、グループホームにつきましても、入所しておられる方にさまざまなことが起こり得る可能性があるんだろう、そういう場合にバックアップをする施設があった方がいいのではないかという考え方がありまして、このような形でまずは力を注がせていただいているということでございます。  ただ、単独設置の場合でも全く支援をしていないのかというと、そうではございませんで、先ほども先生から御指摘ございましたように、住みなれた地域でということですから、既にあるさまざまな家屋等を改修することによってグループホームに転換することが可能でございます。  そういうことを考えまして、改修費また初年度の設備の補助ということで、一カ所当たり五百万円という補助を、これは国、地方も合わせてということでございますけれども、決めさせていただいております。今後の整備状況も踏まえて引き続き対応してまいりたいというふうに考えております。  最後に質の問題でございますが、先ほどの認可外保育所と同じでございますけれども、密室性ということがこのグループホームについてはやはり同様に指摘をされているわけでございまして、その質の確保というものはきちっとしていかないといけない。高齢者の虐待という問題もあるわけでございます。基本的には、この介護保険の運営は市町村が主体となってやるわけでございますから、市町村においてきちっとこの質の確保に対しての取り組みをしていただきたい、そのように考えております。  都道府県が認可をするという形になりますけれども現場で市町村がさまざまな調査が可能になるように、法律上でも市町村に対してさまざまな資料の提出等々の権限を与えたわけでございます。その権限を生かしていただくことによって、一つ一つのグループホームの質の確保を図っていただきたいと思いますし、そしてまた、国としましては、都道府県を介しまして、この市町村のグループホームに関しての質の確保ということに対しての取り組みに、積極的に推し進めていただくように指導してまいりたい、そのように考えております。
  139. 山井和則

    山井委員 今のことについてでありますが、私が聞いた幾つかの市町村では、グループホームが地域にできても、市町村の担当者は行ったこともない、自分はグループホームを見たこともないと。そういうことに対して、事業者の方から、山井さん、担当の課が行ったことも見たこともないと言っておられるのですけれども、どうしたらいいんですかということを言っておられるわけですね。その辺はそういうことがないようにきっちりと市町村に徹底をしていただきたいのと、先ほどおっしゃった単独型への補助、五百万円というのは残念ながら非常に低過ぎて、やはり改築には二、三千万かかるわけですから、この五百万円をもっと引き上げていただきたい。  それと、いざという緊急時の対応のために併設型の方が安心だということでありますが、もちろんその面もあると思いますが、そのためには、何も隣になくても、一キロ離れていても、五分、十分で行けるということであれば、親施設を持っていれば単独型は柔軟に認めるというふうに変えていただければと思います。  それで、実際このようなグループホームがふえれば、先ほどのように拘束をされて、ひもで縛られていても、家族はほかに預かってもらうところがないから泣く泣く預けているわけです。実際、呆け老人をかかえる家族の会の調査でも、グループホームにおいては拘束を経験したという答えはゼロであります。  ですから、そのようなことをやっていただきたいと思いますし、介護報酬、例えば今は夜勤という形では認められておりません、グループホームでは。宿直だけです。痴呆症のお年寄りを五人から九人預かって、晩ゆっくり寝てるはずはないわけですから、ここはやはり宿直ではなくて夜勤という形で、その意味での介護報酬を上げていただきたいと思います。  続きまして、痴呆症のお年寄りの問題。これにつきましては、痴呆症の問題については若年性痴呆の方の問題や前痴呆の問題、さまざまな問題がありまして、私もこれから取り組んでいきたいと思いますが、この介護保険で最も切実な問題の一つが、やはり認定が軽く出るということであります。  そして、厚生省もこのことに気づいて、今の認定を、一次判定プログラムを改定していくということをお聞きしているのですが、聞くところによると二、三年かかるというようなことでありますが、家族にとってはそれこそ一週間、一カ月の勝負をしているわけであります。痴呆症のお年寄りは大体五年から七年ぐらいで亡くなられるわけですから、もし一次判定プログラムを直すのに二、三年かかったら、そのうちに、百六十万人の痴呆症のお年寄りのうち数十万人はもう亡くなってしまうわけです。そういう意味では、ぜひとも早急にやっていただきたい。  二、三年ぐらいないと直せないということをもし御家族の方に言うならば、言葉遣いは荒っぽいかもしれませんが、二、三年待ってくださいと言ったら、私は介護者の方から本当にどつかれると思います。何を言っているんですか、二、三年も待てるはずがないでしょうということを言われると思います。その一次判定プログラムの改善の問題と、もしそれに時間がかかるのであれば、痴呆の判定が軽くなって苦しむお年寄りや家族をなくすために、経過措置としてどうやって痴呆の判定を正確にやっていくのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  140. 福島豊

    福島政務次官 委員おっしゃられますように、できる限り早くこの判定ソフトの見直しを進めなければいけないというふうに厚生省考えております。具体的には、八月十一日に第一回の要介護認定調査検討会をスタートさせることとなっております。その後、一分間タイムスタディー等の具体的なデータを積み重ねて、そしてまた、実際に使用するまでにはテストもしてみなければなりません。その結果を踏まえて、また修正をしなければならないということも出てくるだろうというふうに思います。  現在の一次判定ソフトをつくるに当たりまして、実は膨大な取り組みをしたということは事実でございまして、早くても信頼性に欠けるようなソフトになってはいかぬということが一つはあると思います。そういう点を踏まえながら、できる限り早く、委員指摘のように見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。  一次判定と二次判定というものがあるわけでございまして、一次判定だけですべてが決まるわけではない。そこで、二次判定によって本当に適正な判定がなされるように、それまでの期間対応していかなければならないということも一つあると思いますし、そしてまた、一次判定に関しましても、訪問調査を行うわけでございますけれども、そのときの訪問調査票の記入に際して、痴呆状態に随伴する身体の状況等に関して適切な記入をしていただく。単に八十五項目チェックするだけではなくて、みずから観察したことを記入していただく。そしてまた、その日だけ非常にぐあいがいいということもあるわけでございますから、その日の状態だけに注意するのではなくて、御家族の人から、問題行動がないかとか、そしてまた、介護の度合いに対して影響を及ぼすようなさまざまな困難な問題がないかとか、そういうことをきちっと確認をして、それを特記事項としてこの訪問調査のときに記入をしていただくということが必要だ。これは従来から指導してきたところでございますけれども、今後もこれを徹底していくことによって、一次判定ソフトに関しましてこれを補強するような形というものをとってまいりたいというふうに思っております。  委員おっしゃられることは確かにごもっともでございまして、厚生省としても全力で取り組ませていただきたいと思っております。  また、二次判定によって一次判定が変わるという事例がたくさんございました。これについても、具体的にどういう変更があったのかという事例集というものをきちっとつくりまして、今後の要介護認定の判定に当たりまして、その用に供するために、これは八月を目途に、都道府県また市町村にお配りをしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  141. 山井和則

    山井委員 この痴呆の判定の問題に関しては、やはり一つ言い添えねばなりませんのは、介護保険施行される一年、二年前から、御家族の方々を中心に、モデル事業でも非常に痴呆が軽く出ている、何とかしてくれということを再三再四厚生省に対して言っていたにもかかわらず、本番でも、やってみるとやはり症状が軽く出てしまった、そのせいで今まで受けていたサービスが受けられなくなって、今までは在宅で面倒を見られたのに、泣く泣く病院や老人ホームにお年寄りが移らざるを得なくなったケースや、介護疲れで家族が倒れてしまった。本来、御家族やお年寄りのための介護保険であったはずですのに、それによって逆に泣く御家族やお年寄りがいてはならないと思いますので、早急な見直しをお願いしたいと思います。  最後の質問になりますが、これも、今回の介護保険で御家族が非常に泣いておられる問題、これは、午前中の桝屋議員の質問にもございましたので深くは触れませんが、ショートステイが上限の枠ができて非常に利用しづらい。全体的には、介護保険までの六割、七割にダウンをしてしまった。今まで月に一度、一週間ショートステイがコンスタントに利用できていたら家で面倒を見られた方が、残念ながら介護保険によってそれができなくなって、それこそ泣く泣く家で見ることを断念したというケースも出てきているわけです。  このことに関しては、先ほどの答弁にもありましたように、受領委任方式の振りかえ方式で、枠を取っ払ってどんどん利用できるという方向。これでまず一つお願いしたいのが、これはまだ市町村の裁量にゆだねられていて徹底されていないんです、多くの自治体がまだこれをやっていません、ですから、ぜひともこの場で、これは徹底するんだ、あしたから全国三千三百の市町村で介護度に応じて枠内で利用できるんだということをはっきりさせていただきたいと思います。市町村の判断に任せるのではなくて。  それとともに、私申し上げたいのは、ショートステイに安易な条件を設けたら家族が倒れてしまうというのはわかり切っていることです。何でこんなことが介護保険実施されてしまったのか。家族の声を聞いていたらこんなことをやるはずがないんです。これを言った瞬間から、家族からは大ブーイングが出てきたわけです。  それで、どういうメンバーでこのことを議論したのか、私今回調べさせていただきました。そうしたら、これは医療保険福祉審議会の老人保健福祉部会と介護給付費部会で議論されて、例えば介護給付費部会二十一人の中で、いろいろ各種団体がおられますが、家族の代表が入っていないんですね。お年寄りの代表も入っていない。もう一つの老人保健福祉部会の方も、二十人の委員の中で家族の代表が入っていない、お年寄りの代表が入っていない。  ですから、私はここでお願いしたいのは、供給側、サービスを提供する側の理屈で介護保険をやってもだめなんです。やはり利用する側が厚生行政の主人公なんですから、ぜひともこの委員に家族を入れてほしい。そうしないと、同じような失敗がまた起こるわけです。それとともに、車いすのお年寄りなら出席できるわけですから、当事者、介護保険のサービスを利用しているお年寄りを入れてほしい。それと、私もっと驚いたのは、在宅福祉の一番の核であるホームヘルパーさんの代表も入っていないんですよね。これはどういうことですか。もっと言えば、今介護保険で一番苦しんでいるケアマネジャーさんも一人も入っていないんです。これはやはりおかしいと思います。家族、当事者、ヘルパーさん、ケアマネジャーさんの代表を入れないとだめだと思います。  おまけに、今在宅で介護している介護者の八五%は女性です。にもかかわらず、この委員のメンバーを見ると、二十人中二人、あるいは二十一人中二人で、女性が一割前後なんですね。こういう審議会というのは、半分は女性あるいは介護経験者にしないと空理空論になってしまうのではないでしょうか。そのことも求めて、最後の質問とさせていただきます。
  142. 津島雄二

    津島国務大臣 御指摘の問題点は確かにあると思っております。  まず第一に、例のショートステイを利用しやすくするために、システムを変えるまででも市町村の決断によって振りかえ措置をとってもらうという点では、今三千百七市町村というほとんどの市町村で振りかえ措置を実施する方針を決めていただいておるのですけれども、肝心の受領委任方式をとる市町村はその八割、二千四百七十五市町村にとどまっている。おっしゃるとおり、これはできるだけ活用できるようにしてもらいたいということで、先般、七月三十一日の全国課長会議においてもその徹底を図ったところでありますが、引き続き、熱心に広報、指導に当たってまいりたいと思っております。  それから、医療保険福祉審議会のメンバーのお話は、私も幾らか委員と似たような印象を持っております。利用者代表として入っておられる方だけで、現場の声を十分に反映できるかなと思っております。この点は今後の検討課題でありますが、と同時に、もっと広く現場の声を絶えずくみ上げる努力をする、また、あらゆるチャンネルを通じてそれを実現していくということも大事で、そのような方向で事務当局にも最大限の努力をするように、私からも申し入れているところであります。  御意見、ありがとうございました。
  143. 山井和則

    山井委員 本当にどうもありがとうございました。初めての質問で失礼も多々あったかとは思いますが、最後に一つだけ申し上げたいのは、介護問題の性格であります。  私たちは簡単に今二年後、三年後と言いますが、多くの介護者はもう二年、三年後なんか待てないのですね。お年寄りは亡くなってしまわれるわけです。二年たってからいい制度ができたからといって、天国に追いかけていって、いいグループホームができたよ、いいサービスができたよと言ってももう遅いわけですので、一刻も早く進めていただきたいと思います。  また、私も偉そうにいろいろ言わせていただいた部分がありますが、私は、ここに立たせていただいているのは山井個人ではなくて、全国二百五十万人と言われる寝たきりや痴呆症のお年寄りやその家族が本来ここに来たらいいのですけれども、来れないわけですから、その代弁に来ているつもりであります。私、生涯この介護の問題に取り組んでいって、安心して長生きができる、弱い立場の方々地域の中で暮らせる社会づくりのために頑張ってまいりたいと思いますので、これからも御指導いただければと思います。  最後になりますが、スライドのことを特段のテストケースとして御配慮いただきまして、本当にどうもありがとうございました。
  144. 遠藤武彦

    遠藤委員長 次に、樋高剛君。
  145. 樋高剛

    樋高委員 自由党の樋高剛でございます。  本日は質疑のお時間をちょうだいいたしまして、大変にありがとうございました。また、委員会皆様方関係各位の皆様方にも心から感謝を申し上げる次第であります。  本日は、総論の部分でありますけれども厚生行政の中でも社会保障制度あり方につきましてお尋ねをさせていただきたい、このように考えている次第であります。  まず、津島厚生大臣におかれましては、大変にお疲れさまでございます。一昨年になりますでしょうか、いわゆる金融再生国会、このときには大臣は大変な御苦労、御尽力、大活躍をなさったわけでありまして、私は、小沢一郎自由党党首の秘書としてそばで勉強させていただいた次第でありますけれども、現在の金融再生制度を成案になった最大の功労者であるというふうに思っている次第であります。  さて、大臣にお尋ねをさせていただきますけれども、今、現在の社会保障制度社会保障そのもののあり方を本質的に考え直すべき段階に来ているのではないか。いよいよ来年から二十一世紀を迎えるわけでありますけれども社会保障あり方そのものにつきまして私もいろいろ考えているのでありますが、大臣、いかがお考えでございますでしょうか。社会保障制度社会保障そのものの目的につきまして、どうか御指導いただきたいと思います。
  146. 津島雄二

    津島国務大臣 まず最初に、三十代半ばの樋高委員社会保障問題について真剣な関心を持っていただいているということを本当に感謝をいたしたいと思います。  社会保障制度あり方は、今直接裨益しておられる高齢者の方やあるいは病気を持っておられる方ばかりではなくて、これからのすべての方々、殊に少子化社会の中で、若い方々にとってほど大きな問題点であるということをまず御指摘を申し上げたいと思います。  そこで、この間森総理が所信表明をなさいましたけれども、あそこでお気づきになったと思いますが、幾つかの日本新生の柱というものを挙げられた。その第一は経済の新生であり、そして二番目に社会保障新生ということを挙げられていることはお気づきになったと思います。三つ目が教育の新生ということでございましたけれども。つまり、二十一世紀を目前といたしまして、この制度は残念ながらまだ確固とした基盤の上に確立をされていないかもしれない、そしてまた、どういう社会保障制度がいいかという国民議論も熟していないという認識がその背景にあるんだろう、今その新生の柱として挙げられているのは。  それで、どういう問題点があるかはおいおい御議論してもいいんですけれども、今ここで概略を申し上げますと、高齢化に伴って費用はふえていく、その負担をどうするかという問題が目前にあるんですけれども、世代間、世代内の給付と負担のバランスをどうしたらいいかという問題。それから、これから持続して安定して運営できる制度にするにはどうしたらいいかということ。それからまた、どんな場合にも、限られた財源、資源を有効に使わなきゃならないので、できるだけ効率的な制度にするにはどうしたらいいか。それから、特に、いろいろな意味で恵まれない立場にある方々については、やはり国が特別な配慮をしなきゃいけない、それをどういうふうに進めるか。  こういう問題を解決するに当たって、費用負担あり方として、御自分で備えていただく部分と、社会がみんなで支え合う部分、つまりこれが保険の制度でありますね、それから、三つ目が公助、つまり国や公が支えてあげる部分、この三つをどのように組み合わせるかということについての国民の間の合意がまだできていない。その合意をつくり上げるためにいろいろな議論が出てまいりまして、結局、社会保障制度だけ議論していたのでは不十分で、税制にまで踏み込んで議論しろと。御党の御意見の中にはしばしばこの問題点が出てくるわけでありまして、そういうことを全体としてやはり政府としても取り組もうということで、御承知社会保障構造の在り方について考え有識者会議というものを今開き、積極的に御議論をいただいておるわけであります。  これからそのような議論皆様方と真剣、熱心に進めまして、できるだけ早い機会に日本社会保障制度あり方について国民的な合意を少しでも広くつくり上げていきたいというのが私の気持ちでございます。
  147. 樋高剛

    樋高委員 今大臣もおっしゃいましたとおり、基本的社会保障システムを確立するということは最重要課題であると私も考えを同じくする次第でありますけれども、私ども自由党は、日本一新という言葉を合い言葉に今回の総選挙を戦いました。その中で、社会保障制度そのものは、やはりシステムそのものに問題がある、根っこの部分に問題があるのではないかということを、今まで何度も何度も繰り返し自由党の主張としてお訴えをしてまいりました。  社会保障制度と申しましても、高齢者医療、基礎年金、介護保険と三つに大まかに分かれると思いますけれども、その一つ一つにつきまして、まず年金でございますが、私どもの、そして私の主張を申し上げますと、総じて、財源につきましてはもちろん消費税、福祉目的税でということでは従来から申し上げているとおりでありますけれども、基礎年金の財源は消費税、それ以外の年金制度については確定拠出型年金の普及など個人年金及び企業年金の制度充実、年金の支給開始年齢及び給付水準の多様化を図るなど、年金受給者の希望に応じ、つまり、個人のそれぞれ選択に応じて年金制度整備を図るべきだというふうに年金制度につきましては考えているのでありますが、大臣は、現行の制度のままでよろしいとお考えなのでしょうか。それとも、そうでないとするならば、どこをどのように変えればよろしいとお考えでしょうか、具体的にお聞かせ願えればと思います。
  148. 津島雄二

    津島国務大臣 年金について、今挙げられた基本的な問題点のその第一歩が、前大臣が申し上げた、せめて基礎年金でも二分の一は国庫負担にしたらどうかということでありますね。その問題一つ取り上げても、二兆四千億という膨大な財源をどうするかということにかかわりますから、だから、そのことについて国民的な合意を得る必要がある。  仮にそれを簡単に税方式と申しましても、一体それはどういう税で、それはだれの負担になるかという問題につき、これは野党さん方の間でも意見は分かれておる。そういう状態では、私どもの側、つまり、政府の側、行政の側から、こうすべし、ああすべしということはなかなか簡単には言えないわけであります。  ですから、私が申し上げているのは、その年金問題一つとりましても、財源のあり方、報酬比例部分、それから三階建て、全体を通じてどういうふうにするとどのようになるのか、つまり、給付と負担、それから、その結果として世代間にどういう違いが生ずるのかをやはりある程度選択的に提示をして、こうなればこうなる、こうなればこうなる、そういう幅広い議論を与野党の敷居を取り払ってでもやるべきところへ来ているなと思っております。  ですから、今私どもがやるべきことは、ああしろ、こうしろということをこっちから言う前に、そういう議論のきっかけをこちらから提供して、議論をしていただくことが先決だ、その第一歩が、やはり今の基礎年金の国庫負担あり方ということであろうかな、こういうふうに思っております。
  149. 樋高剛

    樋高委員 次に、医療保険制度についてであります。  高齢者医療は消費税を財源とするというのが私の持論であります。国民健康保険事業の広域化による制度の安定、電子カルテなど情報通信技術の活用、薬価を含む規制緩和の推進、保険者の機能の強化、カルテ、レセプトの情報開示、診療報酬制度見直し、そして、医療施設の体系化や医薬分業の推進など医療供給体制整備を図るべきだというふうに、私、そして自由党も考えております。  医療保険制度につきまして、引き続きでありますけれども、現行のままでよいとお考えなのか、もしそうでなければ、具体的にどういうところを直すべきだと。まず大臣の御所見を伺いたいと思います。
  150. 津島雄二

    津島国務大臣 現行のままでいいとは到底思っておりませんので、前国会において医療保険制度の改正案と医療法の改正案を提出させていただいたわけであります。  ただ、それにしてもまだほんの第一歩だ、基本的な改革の方向は十分に見えてこないではないかという御批判がいっぱいあったわけでありまして、前回提出をいたしました医療保険法の改正案は次の国会には是が非でも提出をして御議論いただきたい。その中で、もちろん薬価の話、診療報酬の話、医療提供体制の話、高齢者医療の話という四つの大きな課題にわたって議論を交わしてまいりたいと思っております。そういう全体像についてできるだけ早く国民的な合意を得たい。ただ、今はその入り口のところの高齢者医療費の一割負担についてだってまだ改正法が通らないわけですからね。まだペンディングのままになっているという現状でありますが、どうか、委員におかれても、次の国会、この議論に積極的に参加をしていただきたいと思います。
  151. 樋高剛

    樋高委員 引き続きでありますが、介護保険、今までも先生方は議論を何度も繰り返してまいりましたけれども、介護保障制度につきまして改めてお伺いいたしますけれども、問題点等、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  152. 津島雄二

    津島国務大臣 介護保険制度は、ゴールドプランを充実してくる延長線から出てきた制度でございますけれども、今の現状は、歩きながら考えて、四月から始めて、何とか定着をさせるということで精いっぱいでございますけれども、この制度が本当に導入されてよかったと国民に思っていただけるようにするためには大変な努力が要ると思います。その努力を積み重ねながら、おおむね四年後には全体をもう一遍見直しましょうというタイムスケジュールになっております。もちろん、費用負担あり方も含めて議論をしていく。  こうして三つの分野を申し上げますと、本当に残念ながら三つとも大きな基本的な課題が未解決になっていると私は率直に認めます。それだけに、これからの委員会議論は大事になるだろうと思っております。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  153. 樋高剛

    樋高委員 どうもありがとうございました。  今大臣の御所見をお伺いいたしましたけれども社会保障制度全般につきまして、大臣のお考え、哲学、さまざま問題があるということで、私も同じ認識ではありますけれども、よくお聞きをいたしておりますと、社会的弱者救済、いわゆる困った人だけを救うことに立脚なさっていらっしゃる、そこに発想の原点があるのではないかとちょっと感じられるのでありますが、大臣、いかがお考えでございますでしょうか。
  154. 津島雄二

    津島国務大臣 いや、そういうふうにおとりになるとしたら、私はちょっと舌足らずだったのかな。最初に申し上げた幾つかの問題点の中に社会的な弱者を救う、そこのところは恐らくそのすぐ後で申し上げた公助の部分であろう。しかし、社会保障制度というのは、公助、共助、自助、さっきとは逆に申しますけれども、この三つが適切に組み合わされて、そして国民的な支持を受けているということが大事でありますから、全体の中で、そういう意味において社会的弱者を守るということを私は申し上げたわけであります。
  155. 樋高剛

    樋高委員 ところで、将来、二十一世紀において、激動する国家、社会になっていく中で、社会保障制度の基本理念につきましてしっかりと考えていかなくてはいけないと思う次第でありますけれども、私は、基本理念につきましてはこうあるべきだと考えております。いわゆる弱者救済、今大臣おっしゃいましたけれども、もちろん当たり前の話でありますけれども、その上に立脚して、社会、国家を構成する人間すべてが生存共同システム、皆さんがお互いに助け合って生存をするシステムになるべきではないかという基本的な理念を持っております。  したがいまして、基礎的な部分は国が責任を持って整備をするのが一番重要な部分なのではないかなと私は思っておりますが、大臣、いかがお考えでございますでしょうか。
  156. 津島雄二

    津島国務大臣 そのような切り口で言えば、そのとおりであると思います。  必要なことについては国が責任を持ってしてさしあげる。しかし、また、社会の構成員の全体の方の有機的な結びつきというものを大事にして、みんなで幸せを高めていくという要素があり、そして、さらに言わせていただければ日本の経済社会全体のダイナミズムを前進させるという視点もあってもいい。福祉というものが、困っている方々を助けるばかりでなくて、さらにそのような仕組みを通じて社会全体が前へ向かって進んでいく、それが、私ども、今改めて高齢社会についても言っている一つの視点でございます。
  157. 樋高剛

    樋高委員 私は、社会保障制度、いわゆる高齢者医療、介護、基礎年金、この財源は消費税、福祉目的税を充てるべきだという考えでありますけれども、一つ申し上げておきたいのは、その全額を消費税で賄うという考えでは全くございませんで、そこの判断、どのぐらいまでか、一部もしくは全部なのか、それは国民の判断によるべきではないかと私は考えております。誤解なきようにと思いまして、ちょっと一言つけ加えさせていただきました。  ところで、今厚生省が中心となって進めておりますいわゆる社会保険方式、特に国民年金保険料、ちょっと視点を変えまして、社会保険という直接税、税金ではないかというふうに私はちょっと考えたりもするんですが、この点につきまして、大臣、いかがお考えでしょうか。
  158. 津島雄二

    津島国務大臣 社会保険税というふうな性格に限りなく近いであろうというふうに思っております。
  159. 樋高剛

    樋高委員 つまり、たくさんお金を持っていらっしゃる方もそうでない方も納めるということは、人頭税ではないかと私は考えるんですが、大臣はいかがお考えでございますでしょうか。
  160. 津島雄二

    津島国務大臣 そこは所得比例で取っておりますから、言ってみれば、税として観念すると、税の構造は人頭税のような定額税ではございませんから、そこは細かく念査しなければいけないと思いますよ。  一言申し上げると、よく税方式と一言で言うと、みんながひとしく同じような金額を出し合ってと漠然と思っておられるかもしれませんが、実はそうではない。一つ一つの国民負担についてどういう構造で財源をいただいているかということを慎重に比べていかなきゃいけないという意味で、一言で人頭税とおっしゃる今の考え方は、私はちょっとなじまないのであります。
  161. 樋高剛

    樋高委員 ここに合意書がございます。「平成十二年度税制改正にあたって」、こういう文書であります。これは、自由民主党さんと自由党と公明党・改革クラブさんが、平成十一年十二月十六日、自民党さんは大臣が税調の小委員長ということで代表いたしまして、我が党自由党からは鈴木淑夫先生が出まして、このように先生のサインがある合意書であります。  ここには「基礎的社会保障の財政基盤を強化するとともに、負担の公平化を図るため、」先生重々御承知と思いますが、「消費税を福祉目的税に改め、その金額を基礎年金・高齢者医療・介護を始めとする社会保障経費の財源に充てること」とすると書いてありますけれども、これは昨年の話でありますけれども、今現在、大臣、ここに書かれてある合意につきましての実現に向けての御意思はいかがでございますでしょうか。
  162. 津島雄二

    津島国務大臣 今は立場が違いますが、そこに書かれておることは、基本的には当を得たことが書かれていると私は思っております。
  163. 樋高剛

    樋高委員 本年度後半、つまり十月からは、きょうもずっと朝から議論になっておりますけれども、改めてお伺いをいたしますけれども、年度後半からは保険料を半額徴収するというふうになっておりますが、これは予定どおりこのまま粛々と半額徴収を始められる御予定でございますでしょうか。改めてお伺いします。
  164. 津島雄二

    津島国務大臣 就任のときにも申し上げましたが、私ども厚生省は、立法府から今の法律に従って粛々と介護保険制度を進めろと命令を受けているわけでありますから、忠実にこれに従って準備を整え、実施をしていく以外にない、かように思っております。
  165. 樋高剛

    樋高委員 また、来年度後半からは全額徴収なさるということで、今、概算要求の時期であります。そのことも踏まえまして、今どのような姿勢で取り組んでいらっしゃるのか、ちょっとお聞かせ願えますでしょうか。
  166. 津島雄二

    津島国務大臣 今申し上げたのと同じ方針で、既定方針で進めさせていただきます。
  167. 樋高剛

    樋高委員 私も、選挙区を回っておりまして、皆様方からも言われたりもするのでありますが、基礎的社会保障——社会保障保険料と国庫負担と本人負担で賄われておりますけれども、国庫負担というのは、つまり税金であります。  しかし、実はその税金の一部は、言ってみれば、お金に印がついているわけではないのですが、赤字国債なんですよということを言うとびっくりするわけなんですが、そこで、国民の前で、税金、いわゆる国庫であるといえば聞こえはいいのでありますが、赤字国債なのではないかと。はっきり私はPRすべきではないかと思うのでありますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  168. 津島雄二

    津島国務大臣 そういう側面はあると思います。  逆に申しますと、社会保障の給付と負担について、これからの経済動向もまた大きな影響を与えるであろうということを申し上げておきたいと思います。黒字とか赤字とかいう関係で申せば、そういうことだと思います。
  169. 樋高剛

    樋高委員 総論は終わりにしまして、ちょっとここで個別の問題を取り上げたいと思います。  横浜市港北区におきまして、鶴見川多目的遊水池におきまして、ダイオキシン、いわゆる産業廃棄物によりますPCBが検出をされたという事実は御承知のとおりかと思いますが、これの問題点、そして大臣考えの今後の対策につきまして、いかがお考えでしょうか。
  170. 福島豊

    福島政務次官 お答えをいたします。  現状につきましてですが、建設省と横浜市が共同事業として行っております鶴見川多目的遊水池事業におきまして、遊水池などの建設予定地の一部に昭和四十年代、今から三十年前でございますが、廃棄物が埋め立てられていた部分がありまして、この箇所を建設省が調査したところ、その中に最大で十九・二ミリグラム・パー・キログラムのPCBが含まれていたというふうに伺っております。  本件については、建設省が鶴見川多目的遊水池土壌処理技術検討委員会設置いたしておりまして、横浜市と連携をしてこの安全な処理について検討が行われているところでございます。  では、厚生省の立場はどうかということでございますけれども、建設省及び横浜市のこの取り組みを注視しつつ、必要に応じて技術的な助言を行うなど適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  171. 樋高剛

    樋高委員 これは実はただごとでは済まない問題だと私は認識をしております。  実は、このすぐ横に、隣接するところに病院があります。そして、その横には横浜国際総合競技場、いわゆる二〇〇二年ワールドカップ・サッカーの決勝戦が行われる。まさしくその遊水池のところに、今おっしゃったとおり、ここは建設省と横浜市の所有地でありますけれども、早い話がそこにふたをしまして、今処理方法がないものですから、ふたをしてしまって、そして、そこを世界各国から集まってこられる選手のバスを着ける場所にしようということになっているのだそうでありまして、これは一地域の問題ではなくて、本当に、国際問題とは言いませんけれども、そのぐらい大変な問題ではないかなと私は思っている次第であります。また、付近住民の皆様方も大変に困っているわけであります。先日、米軍のPCBの問題も取り上げられましたが、二百四十倍の量でもありますし、またこれは原因が産業廃棄物であるということからいたしましても、私は、この問題を徹底して今後追いかけてまいりたいと思っている次第であります。  きょうは本当にありがとうございました。
  172. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 小沢和秋君。
  173. 小沢和秋

    小沢(和)委員 日本共産党の小沢和秋でございます。私は、七年ぶりに、九州・沖縄ブロックの選出議員ということで出てまいりました。よろしくお願いします。  被爆五十五周年を前に、被爆者行政の抜本的改善を求める立場で二点お尋ねをしたいと思います。  まず、去る七月十八日に最高裁から判決が出された松谷英子さんの原爆症認定の問題についてであります。  松谷さんは、一九四五年八月九日、長崎市で爆心地から二・四五キロの地点で被爆いたしました。爆風で吹き飛ばされたかわらが頭に突き刺さり、頭蓋骨陥没で意識不明の重傷を負いました。その後、意識は回復しましたが、頭髪が抜けるなど被爆特有の症状が出ました。今も半身が不自由な生活をしております。  松谷さんは七七年に原爆病院の診断書を添えて原爆症の認定を申請しましたが、却下され、異議申し立ても却下されました。それでもあきらめず、八七年に再度申請しましたが、それも却下、異議申し立ても認められませんでした。  たまりかねて、松谷さんはついに裁判を起こしました。裁判では、一、二審とも勝訴し、今回、十二年目に最高裁でも勝利をかち取りました。最高裁は、松谷さんが被爆直後に脱毛など原爆症特有の症状が出ていることから、爆心地より二キロを超えていても認定すべきだと判決を下したものであります。  最高裁でさえ認めるようなはっきりした症状が出ているのに、松谷さんの認定をかたくなに拒否し、引き延ばしとしか思えない十二年もの長期裁判を続けた厚生省の責任は重大であります。松谷さんに肉体的、精神的苦痛をこのように長期にわたって与えてきたことについて、今大臣はどうお思いでしょうか。
  174. 津島雄二

    津島国務大臣 御質問の松谷さんの御苦労につきましては、本当にお気の毒であったと思います。  松谷さんの原爆症認定については、最高裁から判決が出ましたので、原爆被爆者医療審議会に諮りまして、七月三十一日付で認定をいたしたところでございます。この認定に基づきまして、長崎市において医療特別手当の支給決定が行われることになると聞いております。
  175. 小沢和秋

    小沢(和)委員 問題は、さかのぼって認定をして、そういう手当を支給するだけでいいのか。今も申し上げたように、これだけ長期に精神的、肉体的な苦痛を与え続けてきた、こういうことについてやはり補償をもっと積極的に考えるべきではないかということもお尋ねをいたします。
  176. 津島雄二

    津島国務大臣 松谷さんの原爆症認定につきましては、最高裁の判決が出たわけでございますから、私どもとしては、それを真剣に受けとめる必要がございます。その結果といたしまして、先ほど申し上げましたように、これまで差し上げていた一般の健康管理手当を超える医療特別手当の支給部分をお払いするということで、私どもは、現状は修復をされたというふうに考えております。
  177. 小沢和秋

    小沢(和)委員 さっき、私、経過で申し上げたように、七七年には松谷さんは既に原爆病院の診断書を添えて申請をしているわけです。だから、私は、本当に厚生省が松谷さんに責任を感じるのであれば、少なくともこの時点から認定をして、手当なども計算して払うということをやってもいいのじゃないかと思うのです。ぜひそういう点で積極的に対処していただきたい。  それから、次の質問ですが、今回の判決は、原爆症認定についての最高裁の初の判断であります。判決の精神は、現在の科学の到達点では原爆症は完全に解明されていない、原爆症だとの疑いを否定し切れないケースについては救済せよということだと思います。マスコミも、「国の基準より広く」、「狭き門やや広く」、「機械的運用に疑問」などと一斉に報じております。  そこで、厚生省から伺ったことですけれども、今、原爆症認定をめぐって裁判中の事件が三件、異議申し立て中の事件が五件あると伺っております。どの事件も長期化しておりますけれども、これらについても早速この判決の精神で積極的に見直し、早急に解決を図るべきではないか、お尋ねをします。
  178. 津島雄二

    津島国務大臣 御指摘のように、原爆症の認定をめぐって訴訟しておられる原告の方々異議申し立てをしておられる方々は、本当に御苦労であろうと拝察をいたしております。  しかしながら、今回の松谷さんの判決の場合も、あくまでも松谷さんの脳損傷について今の認定制度でどのように判定をすべきかということの御判断をいただいたわけでございまして、松谷さんの被爆後のいろいろな事情、疾病の状況等を総合的に判断をして、最高裁としては原爆放射線の起因性を認めるという判断を示されたわけであります。  しかし、このことについては、これは最高裁の判決でございますから私どもは従うべきでありますが、今の認定制度によって認定を受けてこられた方、認定をしたこと自体の抜本的な見直しにつながるものではない、かように思っております。
  179. 小沢和秋

    小沢(和)委員 だから、私はわざわざマスコミがこう報じているということも今触れたわけです。マスコミは、もっと幅広く救済をすべきだというふうに最高裁が判決を下したというふうにどの新聞も評価して報じているのですよ。  当然厚生省も、松谷さんの問題の判決の中に示されている考え方というのはどういうものか、それを今後厚生行政の中でどう生かすかという立場で検討するわけでしょう。だったら、今申し上げたような係争中の、裁判中の事件、あるいは異議申し立て中の事件についても、その立場でもう一度考え直して積極的に対応する、これは当たり前じゃないですか。
  180. 津島雄二

    津島国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたような松谷さんの事例は事例といたしまして、そのほかの原告及び異議申立者の疾病と原爆放射線との因果関係有無については、これまで行政として行った判断をみずから変更するような状況ではない、したがって、係争中の裁判については、引き続き司法の判断を仰ぐ必要があるため、今回の最高裁の松谷判決をもとに直ちに別の認定をすることにはならないと私ども考えておるところであります。
  181. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は、先日、この問題の調査のために長崎に行ってまいりました。そこで多くの人々から訴えられたことは、これまでの国の姿勢は被爆者に対し余りに冷たい、できるだけ認定しまい、救済しまいとしているということでした。今回の判決を機に、被爆者行政全体を改めていただきたい。  長崎市の被爆地域見直し問題もその一つだと思います。次にそのことについてお尋ねをします。  今私がお見せしておりますこのパネルは、長崎の被爆地域の地図です。ピンクが長崎市、ここは全域が当初から被爆地域に指定をされております。上の青、それから両横の緑、これはその後追加的に健康診断特別区域に指定をされたものです。しかし、その外側の黄色の部分というのは、たび重なる地元の要請にもかかわらず被爆とは何の関係もない地域ということになっております。  このことについて、伊藤一長市長は、現在の原子爆弾被爆地域は、長崎市と長崎市に隣接する町の一部で、南北約十二キロ、東西に約七キロの区域となっています、しかし、これは原子爆弾の被害状況から見ても大変不合理で、爆心地から同心円状の半径十二キロメートル圏内は同様に取り扱っていただきたいというのが私たちの早くからの悲願ですと述べております。  問題は、原爆の被害は同心円状に広がっているのに、厚生省が被爆地域を長崎市と行政区域で指定したことから始まっております。そのために、爆心地から同じ距離で被爆していながら、一方は被爆者、他方はそれと認められないという矛盾が起こっております。これを解決するのは厚生省の責任ではありませんか。半径十二キロ以内の被爆者をすべて平等に被爆者と認める、このパネルの黄色の未指定地域を被爆地域と指定する、これ以外にこの矛盾は解決のしようがないんじゃありませんか。
  182. 津島雄二

    津島国務大臣 その地図で御指摘のとおり、爆心地からの距離で見た場合に、より近い地域であるにもかかわらず指定をされていないということについて、長崎市及び長崎県から御要望が出ておることはよく承知をしております。  被爆地域の指定につきましては、国は一貫して、昭和五十五年に取りまとめられました原爆被爆者対策基本問題懇談会意見に基づきまして、科学的、合理的な根拠のある場合に限定して指定を行うべきであるとの方針で臨んでおることは御承知のとおりであります。  また、長崎の場合の指定拡大要望地域については、御要望がございましたので、その後厚生省において専門家から成る検討班を設け、長崎県、長崎市が実施した残留プルトニウム調査報告書について検討を行いましたが、平成六年十二月に公表された報告書において、指定拡大要望地域においては、原爆の放射性降下物の残留放射能による健康影響はないという結論が得られているところでございまして、これ以上の指定地域拡大は困難であるというふうに考えております。
  183. 小沢和秋

    小沢(和)委員 いや、それでは私の質問に全然答えていないんですよ。私が言っているのは、被害というのは爆心地から同心円的に広がっていくはずでしょう、だれが考えても。それなのに、最初に行政区域で指定をしてしまったために、同じ距離でも被爆者と認められる者と認められない者という不平等ができてしまっておるじゃないか。これをどう解決するかといったら、十二キロという同心円で、その以内の者は全部被爆者と認めるという形でしか救済できないじゃないかということを私は言っているんです。大臣の今の答弁では、全然答えになっておりません。  そこで、次にお尋ねしますが、今回、地元の長崎では、爆心地から十二キロ以内の未指定地域の全被爆者八千七百人から被爆の実態についてアンケートを行い、それを「聞いて下さい!私たちの心のいたで」という証言集にまとめました。大臣、これがその証言集です。平均年齢が七十歳を超えている被爆者たちから具体的記述を求めるアンケートで、八〇%以上の回収ができたという。これだけでも関心の高さがわかると思います。  大臣にお尋ねしますが、長崎市の話では、大臣が不在だったので秘書官にこの証言集を預けてきたと言うんですが、大臣、その後見ていただいておりますか。
  184. 津島雄二

    津島国務大臣 一べついたしました。
  185. 小沢和秋

    小沢(和)委員 それは大変結構です。  この中の証言に照らすなら、国がこれまで原爆被害は爆心から二キロ以内としてきた立場が実態といかにかけ離れているかということがはっきりすると思います。  もう一度さっきのパネルを見ていただきたいんですが、私、たくさんの証言の中で三人だけ御紹介したいんです。まず、このAという地点ですね。大臣、見てくださいよ。このAという地点、これは爆心地から十・三キロの当時の深堀村ですけれども、ここで十一歳のときに被爆した男性は、飛行機のかすかな爆音を耳にした直後に黄色い光線に包まれ、思わずあっと叫んだほどでした。ドーンと爆音がとどろいたのと同時に、自宅近所の家々の窓ガラスが割れる音がしました。その後、私は上半身の皮膚のあちらこちらがひりひりと痛み、一週間後には皮膚がはげ落ちたことを今でも思い出しますと述べています。  今度はBですね。ここの地点です。爆心地から八・六キロの当時の矢上村で十一歳のときに被爆した男性。普賢山の頂上近くで、目の前でぴかっと光った。見たその瞬間、熱い熱射を体に浴びたのです。そして、大音響とともに爆風の強い衝撃があったのです。私たちは、降りかかってきたじん灰を吹き払いながら弁当を食べた記憶が今も消えません。こう述べておる。  もう一つだけ聞いていただきたいのは、このCの地点ですね。爆心地から八・〇キロの当時の日見村で十二歳のとき被爆した男性です。突然、中空に巨大な塊が爆発する閃光と熱線を感じて驚いた。家に帰ってみると、ガラスは割れて、入り口の障子の桟などはめちゃめちゃに壊されていた。網場道の方へ行く途中、牛車の上にはけが人や死にそうになった人などが運ばれ、諫早方面へと急いでいた。帰宅途中、やがて油のような黒い雨が降ってきて、白いシャツに黒い斑点をつくった。  以上が証言の一部ですが、この人々がどんなに深刻な被爆体験をしたかは、この証言集を読むならば明らかです。いつ自分も発病するかという不安を抱えてこの五十数年を過ごしてきた、その苦しみを厚生省はもっと真剣に受けとめるべきであります。この証言集をどう評価し、今後の地域拡大問題に役立てていくのか、お尋ねをします。
  186. 津島雄二

    津島国務大臣 被爆された方の証言というのは、いつ聞いても大変に衝撃的なものでございます。今回まとめられた証言調査報告書には、今仰せになったような方々の体験が述べられており、今も健康に不安を持つ状況であるということも理解できるところでございます。  地域拡大の問題につきましては、先ほども御答弁をいたしましたが、科学的、合理的な根拠のある場合に行うべきであるという基本方針がございますので、この方針に立って、今回長崎市が取りまとめられた証言調査報告書につき、今後精査、研究をさせていただきたいと思います。
  187. 小沢和秋

    小沢(和)委員 厚生省は、基本懇答申以来、科学的、合理的根拠がなければ地域拡大は認めないという厳しい態度に終始しております。  しかし、まず合理的という点でいえば、現在の指定そのものがいかに不合理かは先ほどから指摘したとおりであります。科学的ということについても、今回の松谷さんへの最高裁判決は、厚生省が被曝線量を推定する科学的根拠にしているDS86の信頼性について疑問を投げかけております。多くの科学者から、DS86では遠距離の被爆の実態を全く反映していない可能性が出てきたと指摘をされております。  被爆の実態そのものが現在の科学で解明し尽くされていない、このことを率直に認め、今後の解明のための生のデータとしてこの証言集を正面から受けとめていただきたいと思いますが、そう考えていいでしょうか。
  188. 津島雄二

    津島国務大臣 地域指定の拡大につきましては、先ほど申し上げ、また今委員が引用されましたような、科学的、合理的な根拠のある場合に行うということでございまして、今の証言集につきましても、そういう立場から精査をさせていただくのは当然であろうと思います。  なお、松谷判決にも言及をされましたが、松谷判決の方は、原告の方の被爆後の状況や疾病の状況を総合的に考慮した結果最高裁が判断を下されたものでございまして、認定制度地域指定制度に直ちにつながる判決とは私どもは受けとめておりません。
  189. 小沢和秋

    小沢(和)委員 どうも私の質問にまともに答えていただいていない感じがするんですがね。  今回、長崎市では、被爆者の平均年齢が七十歳を超え、もうこれ以上待てないということでこの証言集を持って市長を先頭に上京し、全市議会議員が超党派で厚生省、各政党、衆参全議員などに訴え、東京でこの問題についてのシンポジウムも開催をいたしました。共産党では不破委員長が直接訴えを聞き、シンポジウムには、ここにおります瀬古議員が党代表として参加をいたしました。  ところが、長崎から来た市長らが恐らく一番話を聞いてほしかったはずの厚生省では、大臣にも次官にも会えず、応対したのは課長だけで、シンポジウムには、担当者が他の所用があるためと、だれも出席しなかったということであります。これが全市挙げての超党派の運動に対する誠意ある対応と言えるのか。聞けば、厚生省には被爆者問題を担当する者が十八名もいるといいますが、全員が本当にどうにもならないほかの所用があったからシンポジウムに出席できなかったとは到底信ずることはできません。だから、私は、この貴重な証言集をまじめに読んで検討していただけるのかとどうしても不安を感ずるんですが、もう一度、この証言集を積極的に受けとめる姿勢を聞かせていただきたい。
  190. 津島雄二

    津島国務大臣 精査をいたしておると思っております。
  191. 小沢和秋

    小沢(和)委員 では、これで最後にしたいと思います。  国は被爆者援護について特別の責任があると思います。そもそも、長崎、広島に原子爆弾が投下されたのは、国が誤った侵略戦争を行ったことに起因しております。もちろん、アメリカが一般市民に大量殺りく兵器を使用したことは国際法に違反しており、直接の責任がありますが、日本政府が講和条約で賠償請求権を放棄した以上、日本政府が国家補償の立場で誠意ある取り組みをする責任があります。折から、被爆五十五周年を迎えようとしております。二度と被爆者をつくらぬ決意を込めて、松谷さんへの最高裁判決の精神に学び、この際、被爆地域拡大に前向きに対処すべきであります。改めて大臣の姿勢を伺って、私の質問を終わります。
  192. 津島雄二

    津島国務大臣 重ねて御答弁をいたしますけれども、松谷判決そのものについては真剣に受けとめて対応をいたしているところでございますが、後の地域指定等の問題は、従来の方針にのっとって、そして新しい証言集を精査しておるという状況でございます。
  193. 小沢和秋

    小沢(和)委員 不満足ですけれども、これで終わります。
  194. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 中川智子さん。
  195. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  津島大臣福島政務次官の御就任を心から喜び、かつ、大いに期待しておりますので、よろしくお願い申し上げます。  まず最初に、六月に厚生省内に設置されました介助犬の検討委員会、これについてひとつ大臣の御決意を伺いたいんですが、一昨日も、介助犬第一号のシンシアが国会に参りました。大臣、超多忙でいらしたのでお会いできなかったんですけれども。盲導犬普及は二十年も長く皆さんの努力があって、今、盲導犬が道交法の中で位置づけられ、一つの大きなサービス犬として活躍していますが、介助犬も、やはり障害を持つ人たちの社会参加に向けて大きな役割を果たすものです。それを受けて、厚生省検討委員会設置されたわけですけれども、介助犬が今後広く、早く普及し、障害者の方たちの大きな助けになるようにぜひとも望みたいんですが、津島大臣の御決意をお願いいたします。
  196. 津島雄二

    津島国務大臣 昨日は知りませんでしたが、ぜひシンシアと会えたらよかったなと今思わせていただいております。  介助犬については、いろいろな機会に、例えばテレビ等の媒体で活躍ぶりを見せていただいて、非常に深い感銘を受けておりますし、それから盲導犬についても、そのことによって目の不自由な方が随分不便さが軽減されて社会的活躍をしておられるというのを見ますにつけて、本当にありがたいことだなと思っております。  就任をいたしまして、先般、盲導犬について、テレビの報道で、今でもなおかつレストランやホテルでなかなか受け入れてくれないところが多いという話に接して、早速、新聞記者さんとの会見で、これはぐあいが悪いことだという私の意見を申し上げましたが、同じように、介助犬についても、社会一般の理解協力が増進することを期待しておるわけでございます。
  197. 中川智子

    中川(智)委員 今の大臣のお話を聞くと、とてもたくさんの方が喜ばれると思います。よろしくお願いいたします。  続きまして、本日当委員会で命令が発せられました医原性——私たちは薬害クロイツフェルト・ヤコブ病と呼んでおりますが、その命令が発せられました。速やかに調査報告が出されることに対して、大臣、政務次官、御尽力のほどをよろしくお願いいたします。その要望を出しまして、質問に移らせていただきます。  大臣、クロイツフェルト・ヤコブ病のことを御存じだと思いますが、これは、発症しますと脳細胞が破壊されてスポンジ状態になって、もう本当にごくわずかな期間で自分で動くことも話すこともできなくなりまして、治療法も全くなく、一、二年で死亡してしまう病気です。  今問題になっていますのは、医療行為を介して感染したクロイツフェルト・ヤコブ病です。それで、あえて私も薬害クロイツフェルト・ヤコブ病と言っております。これは、病死した方から、病気で亡くなった人の死体から採取してつくった、いわゆるヒト組織由来の医療用具による初めての被害がこの薬害クロイツフェルト・ヤコブ病なわけですが、午前中、桝屋委員、小池委員もこのことに関連して御質問をなさいました。詳細は省きますけれども、なぜ日本でこれほどまで被害拡大したのかを一刻も早く明らかにするためにも、大臣がおっしゃいました包み隠さずという言葉は非常に、午前中の答弁の中でおっしゃいまして、このことが基本だと思っております。  再び大臣に、この薬害クロイツフェルト・ヤコブ病に対しての御所見を伺いたいと思います。
  198. 津島雄二

    津島国務大臣 クロイツフェルト・ヤコブ病は大変重篤な病気であるということは委員指摘のとおりでございまして、患者さん方、そして御家族の御苦労はまことに大変なことだと拝察をしております。現行の医療、介護、福祉の枠組みの中でできるだけのことはまずしなきゃならない、これは当然のことであろうと思っております。  ヒト乾燥硬膜を外科手術に使うことによって発症した疑いのあるケースが出てきた。それが世界的にいつその症例が発見をされ、その原因についての知見が確定をしてきたかということについてはいろいろ議論があるようでありますし、それから、本当の原因については、プリオンという物質、たんぱく質が関与しているということまではわかっても、まだ完全にはわかっていないというのが学界の定説のようでございます。  そこで問題は、恐らく、これまでの過程の中で不幸にして我が国で罹患をされた方について薬事行政等々を所管する政府、厚生省としてどういう責任があるのかないのか、そういう問題だと思います。  私は、このことについては、これまでの薬害事件の反省の上に立って、起こったことをすべて公表いたしまして、そして、法律に照らしてどういう最終的な判断をしたらいいかという議論をしていただきたい、透明にしていただきたい、こういうふうに思っておるところであります。
  199. 中川智子

    中川(智)委員 それでは続きまして、この問題について国会で一番早く取り上げて、委員会質問なさいました福島政務次官に伺いたいんですが、政務次官の御発言、議事録を何度も読み、感動をして、再び、このところだけでちょっと確認したいんですが、御自分の言葉で十分答えられる質問です、福島さんの質問のところで「これは、薬害エイズ問題と同じく、日本厚生省の対応が極めて遅かった一つの事例ではないかというふうに私は感じております。」このお気持ちは変わりませんか。
  200. 福島豊

    福島政務次官 質問したことは私もよく覚えております。また、政務次官を拝命いたしましてから、当時の事情につきましてるる改めて勉強をさせていただきました。また、委員会で私が質問した当時、私自身が承知しておりましたことと、そしてまた、中川委員の御努力等によりまして今までにまた新たになってきたこともあると思いますけれども、そういう状況を踏まえますと、当時、厚生省においてどれだけの認識をしていたのかということについて、これはなかなか、ヒト乾燥硬膜とクロイツフェルト・ヤコブ病との発症の関連について予見するほどの情報というものが十分存在しなかったのではないかという認識を現在は深めております。
  201. 中川智子

    中川(智)委員 とても残念に思います。福島政務次官はお医者様でもありまして、人の命を預かるお医者様、それで、やはりこの問題にいち早く気づかれて質問をなさった。そのときにこのような形で立場を鮮明にして質問なさっていて、それから何をどう勉強されたかわかりませんけれども、今のようなお答えが出るということは極めて残念です。  では、具体的に続いて質問いたしますが、九七年の厚生委員会福島政務次官の質問の中で「CDCのMMWRは、極めて世界的にも有名な、まさにスタンダードともいうべきレポートでございますけれども、これは厚生省にも当時配付されていたのか。また、その分析をする部局があってしかるべしというふうに私は思いますが、」そのような中身の質問をされています。これに対しては私も全く同感でございますけれども、次官も御存じのように、厚生省は、さまざまな情報を入手したけれどもそれを生かさなかったということを繰り返し答弁しています。これについての次官の御答弁をお願いします。
  202. 福島豊

    福島政務次官 私が発言をいたしましたそうしたさまざまな情報というものについて、国民の生命と安全を守る立場にある厚生省というのは一にも二にも敏感であるべきである、いち早く察知をし、適切な対応をとるべきである、その思いは、当時もありましたし、政務次官に就任をいたしました現在でも全く変わっておりません。  ただ、当時の厚生省におきまして十分な体制があったのかと言われますと、その点については、そうした感染症のさまざまな情報に対して、それを組織立って収集し、そしてまたさまざまな警告を発する仕組みがあったとは現在まで私の知り得るところでは断定ができない、そのように思っております。  それはまことに遺憾なことであります。遺憾なことでありますけれども、しかしながら、厚生省としましても、現在は、国立感染症研究所を中心としまして、週報なり月報なり、これをきちっと出す体制をつくっております。私も、本日委員会がございますので、昨日感染症情報センターに行ってまいりました。そして、どのように情報を集めて、そしてまたどのように発信をしているのかということをつぶさに聞いてまいりました。現在はアメリカのCDCに倣った体制をつくろうということで極めて強力に努力をしておるというふうに感じましたけれども、当時の厚生省状況においてそこまでの体制があったのかと言われると、残念ながらそのような体制があったとは確認し得ない、そのように感じております。
  203. 中川智子

    中川(智)委員 たくさんの人の命が失われて、体制がなかったからしようがないというふうにはまさかお思いではないですね。再び御答弁を。
  204. 福島豊

    福島政務次官 全くしようがないなどとは思っておりません。まことに遺憾なことであると私は思っております。
  205. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、その原因についてつぶさにやはり情報を公開し、そこに関して厚生省としての責任のとり方を考えていくというところの決意はございますね。
  206. 福島豊

    福島政務次官 現時点において厚生省がなすべき努力は、当時の状況も含めましてきちっと調査をしまして、そしてまた、確認し得た情報については国民皆様にすべて明らかにするということがまずもって必要だと思っております。ですから、本日、予備的調査が命じられましたけれども、それに対しての適切な対応というものを速やかにとっていく必要がある、私はそのように思っております。  そしてまた、その後のことでございますけれども、そうした事実が明らかになった後に、どのようにそれを司法なりが判断するのか、法的な観点からどのように判断するのかということがあろうかと思います。それは専ら司法の判断にゆだねるべきであろうと私は思っております。
  207. 中川智子

    中川(智)委員 私は、司法の判断にゆだねるだけでは絶対だめだと思っておりまして、ここで質問しているのは、立法府としての責任、行政の責任を問うているわけです。そこは同じですよね。
  208. 福島豊

    福島政務次官 責任という言葉というのは、きちっと定めて使わないといけない言葉ではないかというふうに思っております。  過去の経緯に対しまして、司法による判断というのもあろうと思います。そしてまた、私自身がこの立場で申し上げるとすれば、再びこのような事例を起こさないための体制というものをいかにしてきちっと築いていくのかということに、まず厚生省は責任があると私は思います。  そしてまた、先ほどからの繰り返しになりますけれども、当時の状況について調査を行い、そしてその情報というものを国民に対して明確にする、この点についても責任がある、私はそのように思います。
  209. 中川智子

    中川(智)委員 では、次の質問に移りますが、再び次官に伺いたいのですが、私、諸外国との差というのを次官はどのようにお考えか伺いたいのですが、FDAと英国厚生省の会話記録は、八九年三月に英国厚生省が警告して、ヒト乾燥硬膜は英国薬事法の基準を満たしていない。二番目に、八七年二月六日の第一症例報告以来、英国政府はこの問題を調査してきたというふうに書かれています。  そして、アメリカは、これに関してはヒト乾燥硬膜ライオデュラは承認されていません。それは、ドナーチェックができないとかいろいろな理由でアメリカはこのライオデュラを承認しませんでした。でも、第一症例がアメリカで出ているわけですけれども、これは、アメリカの病院がカナダから取り寄せて、それで発症しています。アメリカの場合は、自分の国で承認していないものでも、第一症例を、ちゃんと御存じだと思いますが、第一症例を受けて全米の医療機関に警告を出しています。カナダも第一症例以降、危険な硬膜は使用していない。  発症原因としてプリオン説が確立したからではなくて、諸外国では危機管理として第二症例発生の危険を予知して警告したのです。これはやはり日本厚生省国民の命や健康を守る使命感に乏しい、危機管理がなかったというふうに思っていますが、これに対して手短に御答弁をお願いします。
  210. 福島豊

    福島政務次官 今るる中川委員から御紹介ございましたが、若干事実関係を整理させていただきたいと思っております。  各国によって対応が異なったという事態がございます。米国、これは第一例目が確認をされた地域でございますが、そしてまたカナダ、これは先ほども中川委員おっしゃられましたように、カナダからのものを米国で使ったということのようでございますけれども医療機関に対して、ヒト乾燥硬膜ライオデュラの特定のロット番号、二千番台でございますね、特定のロット番号の製品に限って廃棄などを勧告しておる。ライオデュラ全体を対象としたわけではない。それは、感染の危険性ということでロット番号を特定して廃棄を命じた。  イギリスにつきましては、これはFDAから連絡が——直接にFDAから報告がなされましたのはカナダとイギリスだけに限られておりまして、日本に対しては報告がなかったわけでございますね。その報告を受けたイギリスでございますけれども、ライオデュラを介したクロイツフェルト・ヤコブ病の感染の可能性について、医療機関に対して情報提供はしましたけれども、引き続きライオデュラの供給というものを認めておりました。  ですから、アメリカでの対応、またカナダでの対応と、イギリスの対応というのは異なっております。  そしてまた、先ほども若干申しましたが、FDAからの報告日本にはなかった理由というのは、同一のロット番号のものが日本には輸出をされておらなかったということがございますけれども、こうした情報に関しまして、当然、B・ブラウン社の方から輸入業者に対して報告があったんじゃないかという話がございますけれども、当該製品の製造業者及び輸入業者からもこれは報告がございませんでした。ですから、厚生省がこういった一連の事実というものを確認したのは一九九六年、平成八年になってからであるというふうに承知をいたしております。  また、ドイツではどうだったかということでございますけれども、これはライオデュラの製造業者のB・ブラウン社が所在するところでございますけれども、B・ブラウン社から報告を求めましたけれども、使用を禁じるような措置は講じていなかったというふうに承知をいたしております。各国によって対応は異なっております。
  211. 中川智子

    中川(智)委員 福島次官からそのような説明を受けるとは夢にも思っておりませんでしたが、時間がございませんので局長に伺いたいのですが、今度の予備的調査では入っておりませんで、この承認時のことについて伺います。  保健医療局の数々の問題を質問主意書、さまざまな質問の中で指摘しましたけれども、製造メーカーは別として、一義的には、まずライオデュラを承認した当時の薬務局、現在の医薬安全局に大きな瑕疵があったのではないかと私は考えております。  九七年五月六日のこの委員会で、当時の薬務局長は、ドイツのB・ブラウン社のヒト乾燥硬膜につきましては、昭和四十八年、薬事法に基づく医療用具として輸入承認の対象となっていて、その時点におきます有効性安全性、品質について云々の答弁をしています。そのときに、CJDを想定した安全性の評価は行われていなかったというふうに答弁しています。  ヒト組織からとった初めてのもので、しかもそれはドイツでは医薬品として承認があったのに、日本では医療用具、メスとか体温計とかガーゼとかそのようなものと同じ形で医療用具として承認されたわけです。  そして、この答弁の中に、さまざまなそのようなことがあったわけなんですが、この乾燥硬膜というのは健康な人からは採取できないわけでして、病死した人の硬膜を使った医療用具なので、クロイツフェルト・ヤコブ病は想定していなくても、何らかの病原体の汚染の可能性というのは、素人で考えましてもそうだろうなと思うのですけれども、初めてのヒト由来の医療用具を承認するのにどれくらい検討されたか。そして、当時の資料の提出をこの場で要求いたします。局長の御答弁をお願いします。
  212. 丸田和夫

    丸田政府参考人 ただいま委員の御指摘のとおり、ヒト乾燥硬膜であるライオデュラにつきましては、昭和四十八年の四月に厚生省医療用具として輸入承認申請が行われております。これにつきましては、厚生省におきましては、薬事法に関する手続に従いまして、無菌試験結果あるいは臨床試験結果などに基づきまして有効性安全性を評価した上で、同年七月二十三日付で承認したものでございます。  それで、本製品は、脳外科手術などで生じました硬膜の欠損部位を補てんするといった整形の目的で直接体に縫合する医療材料ということから、医療用具として位置づけられているものでございます。  それで、具体的にどういったことを安全性について行っているかということでございますが、無菌性につきましては、承認書に記載されている滅菌条件は十分な効果が見込めるレベルにあるということを確認しております。また、滅菌が確実に行われているかどうかを確認するために、規格及び試験方法、こういったものにおいて無菌試験を実施することとされております。三番目に、国立衛生試験所、これは当時の試験所でございますが、ここにおきまして無菌試験を実施し、その結果を確認しております。  さらに、承認申請に当たりましては、二つの大学病院におきまして、計三百五十名の患者さんにおける臨床使用結果の提出がございまして、その中に問題となるようなデータはなかったということでございます。  以上でございます。
  213. 中川智子

    中川(智)委員 福島次官、最後にちょっと質問したいのですが、今の局長の七三年の承認時の話を聞いていて、いわゆる医療用具というのは、あくまでも人工物であって、手術等における一時的、補助的用具であるべきだと思うのですね。にもかかわらず、死体からとったヒト組織を医療用具として承認したということで、そのことに対して次官はどのように考えるかということと、前に丹羽大臣が、ヒト由来のものに関してはほかの医療用具と一緒にすべきではないということで、厚生大臣の答弁として、医療用具に対して監視とか指導ができるかを含めて十分に検討しなければならないというふうに答弁されました。  最初の質問は、今の、七三年の承認時、ヒト組織であって医療用具として簡単に承認したことに対してどのように思うかということと、厚生省としては今どれぐらいヒト組織は別にすべきだというその検討が進んでいるか、この二つを最後にお伺いして、終わります。
  214. 福島豊

    福島政務次官 局長から御説明ございましたけれども、私も、ヒト由来の製品につきましては、それをどういうふうに審査するのかということについても違った形のやり方があるだろうと思います。  ただ、これは今の時点で判断をするのでそのように思うというところが多分にありまして、当時、ヒト由来の製品というものについての認識が、そこまで、感染等の可能性から厳密に一般の製品と分けなければならないという認識が確立していたかどうかというのはまた別だろうというふうに私は思っております。  しかしながら、こういう一連の経過というものを考え、そしてまた、このクロイツフェルト・ヤコブ病の問題だけではございませんから、ヒト由来のものについてはきちっとしたルールというものをつくっていく必要がある、私はそのように思っております。  さまざまな御提言をいただきまして、昨年の四月以来、中央薬事審議会のバイオテクノロジー特別部会におきまして、こうした製品に対しての規制のあり方についての審議を進めております。現在も継続中でございます。できるだけ早く、どういう規制のあり方が適切なのかということにつきまして関係者皆様の御意見というものを集約して、御報告をさせていただける機会を持ちたいというふうには思っております。  以上でございます。
  215. 中川智子

    中川(智)委員 私、先ほど丸田医薬安全局長質問と要望をしたのですが、承認時の資料を出してほしいという質問に対するお答えがなかったのですが、それを改めて要求します。
  216. 丸田和夫

    丸田政府参考人 承認時の資料は提出いたします。
  217. 中川智子

    中川(智)委員 ありがとうございました。
  218. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 次回は、来る八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会