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2000-08-04 第149回国会 衆議院 科学技術委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十二年七月二十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 古賀 一成君     理事 奥山 茂彦君 理事 塩崎 恭久君    理事 高市 早苗君 理事 水野 賢一君    理事 近藤 昭一君 理事 平野 博文君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君       岩倉 博文君    木村 隆秀君       田中眞紀子君    谷垣 禎一君       渡海紀三朗君    林 省之介君       松野 博一君    村上誠一郎君       川内 博史君    佐藤 敬夫君       津川 祥吾君    山谷えり子君       山名 靖英君    吉井 英勝君       北川れん子君    中村喜四郎平成十二年八月四日(金曜日)     午後零時三十二分開議  出席委員    委員長 古賀 一成君    理事 奥山 茂彦君 理事 塩崎 恭久君    理事 高市 早苗君 理事 水野 賢一君    理事 近藤 昭一君 理事 平野 博文君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君       岩倉 博文君    木村 隆秀君       田中眞紀子君    谷垣 禎一君       渡海紀三朗君    林 省之介君       松野 博一君    村上誠一郎君       津川 祥吾君    手塚 仁雄君       松沢 成文君    山谷えり子君       山名 靖英君    吉井 英勝君       北川れん子君     …………………………………    国務大臣    (科学技術庁長官)    大島 理森君    科学技術政務次官     渡海紀三朗君    政府参考人    (科学技術庁科学技術政策    局長)          間宮  馨君    政府参考人    (科学技術庁科学技術振興    局長)          興  直孝君    政府参考人    (科学技術庁研究開発局長    )            結城 章夫君    政府参考人    (科学技術庁原子力局長) 中澤 佐市君    政府参考人    (科学技術庁原子力安全局    長)           今村  努君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官官    房審議官)        藤冨 正晴君    科学技術委員会専門員   菅根 一雄君     ————————————— 委員の異動 八月四日  辞任         補欠選任   川内 博史君     手塚 仁雄君   佐藤 敬夫君     松沢 成文君 同日  辞任         補欠選任   手塚 仁雄君     川内 博史君   松沢 成文君     佐藤 敬夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件     午後零時三十二分開議      ————◇—————
  2. 古賀一成

    古賀委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興基本施策に関する事項  原子力開発利用とその安全確保に関する事項  宇宙開発に関する事項  海洋開発に関する事項  生命科学に関する事項  新エネルギーの研究開発に関する事項 以上の各事項につきまして、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古賀一成

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 古賀一成

    古賀委員長 科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、大島国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大島国務大臣
  5. 大島理森

    大島国務大臣 第百四十九回国会に当たり、一言申し上げさせていただきます。  二十一世紀幕あけを目前にした今、我が国は、グローバル化少子高齢化情報技術革命の大きなうねりの中にあります。このような中、国民皆様方が安心して夢を持って暮らせる国家を実現するためには、これまでの我が国経済社会システムを新時代、新世紀にふさわしいものに改革をしていかなければなりません。  さきの九州・沖縄サミットにおきまして、ITヒトゲノム等が取り上げられたように、今や我々の社会生活は最先端の科学技術なくして語れなくなっております。  科学技術振興は、新技術、新産業創出等により経済構造改革実現するために不可欠なものであるとともに、人々の健康の増進と生活の質の改善に重要な役割を果たし、また、地球温暖化等世界各国が共通して直面している諸問題の解決に資するものであります。  政府として、これまで科学技術創造立国実現に向けて、科学技術基本法及び科学技術基本計画を着実に実行してまいりましたが、まさにこれからが正念場であります。現在、次期科学技術基本計画策定に向けて鋭意検討を進めているところであり、また、来年一月には、文部科学省発足総合科学技術会議設置等我が国科学技術行政体制が一段と強化されることとなります。私は、このような機会に臨み、以下に申し述べますような柱を中心として、科学技術振興施策を機動的、戦略的かつ重点的に展開し、科学技術創造立国実現をより確かなものにすべく最善を尽くす所存であります。  第一の柱として、人々が健康で活躍でき、安全、安心で快適な暮らしができる国の実現を目指します。  二十一世紀生命科学時代とも言われております。国民すべてが活力ある高齢化社会を迎えられるよう、たんぱく質の構造、機能の解明及び医療、環境食料生産等への革新的応用を図る研究を一層推進するとともに、脳科学研究等ライフサイエンス研究充実に努めてまいります。また、この分野研究が適切に行われるよう、生命倫理の問題についても積極的に取り組みます。  最近、伊豆諸島等において地震が頻発し、住民方々の不安が増大しておりますが、地震等による自然災害予測防止に向けて、地震調査研究地震防災研究等強化いたします。また、環境保全の見地から、大量生産大量消費型社会から資源循環型社会への転換を図るため、環境に優しい材料研究開発を進めるとともに、地球規模気候変動等解明及び予測を目指す幅広い研究を進め、その一環として地球シミュレーター開発し、その幅広い利用を推進いたします。  原子力開発につきましては、安全確保を大前提とすることを肝に銘じ、昨年の東海村の臨界事故の反省から制定された原子力関連二法を厳正、厳格に執行するとともに、地域住民国民理解が得られるよう最大限努力をする所存です。また、国民に対し二十一世紀原子力の全体像と長期展望をお示しすべく、新たな原子力開発利用長期計画策定作業を進めてまいります。  第二の柱として、絶え間のない知の創造技術革新により、持続的な経済発展をなし得る国の実現を目指します。  知的資産の増大やその積極的活用による新産業創出等を目指し、戦略的な基礎的研究の一層の充実に努めてまいります。また、そのためにも、研究者創造性最大限に発揮できるよう、より柔軟で開かれた研究開発システムの構築や若手研究者育成を図るとともに、すぐれた研究者研究機会が与えられる競争的資金の拡充を図ってまいります。さらに、質の高い技術者育成確保を図り、我が国技術力強化に努めてまいります。  経済新生のためには、研究開発成果社会還元が極めて重要です。大学国立試験研究機関等研究成果特許化や新技術開発促進のための施策強化するとともに、産学官連携を軸として、地域の持つ科学技術に関する能力を活用発展させる施策の一層の充実にも取り組みます。さらに、社会的、経済的ニーズに対応した重要分野への重点的投資も必要不可欠であり、IT革命を先導する情報科学技術ナノテクノロジー発展に必須の物質・材料科学技術等を推進いたします。  第三の柱として、科学技術活用し、人類の未来に寄与できる国の実現を目指します。  宇宙開発につきましては、人類の平和と発展に不可欠なものであり、中長期的な宇宙開発基本戦略策定を進めてまいります。H2Aロケットの打ち上げ成功に向けて、品質保証技術基盤強化等改革方策を確実に実施するなどのあらゆる努力を傾注するとともに、国際宇宙ステーション計画の進展のため、我が国役割を着実に果たしてまいります。  また、海洋国としての国際的リーダーシップを発揮し、国際協力による海洋調査等の推進のため、深海掘削船開発等を進めてまいります。  先月のサミットでも取り上げられましたが、米ロ核軍縮努力によって発生するロシアの余剰兵器プルトニウムを処分するため、我が国平和利用技術を用いて、国際協力に積極的に参加し、世界の平和と安定に貢献してまいります。  私は、科学技術振興こそ日本新生をなし遂げる重要な原動力であると考えており、青少年を初め国民皆様方科学技術重要性に対する理解と関心を一層深めていただく諸施策を適時的確に講じながら、科学技術行政責任者としてその重大な使命を全うすべく全力を尽くしてまいります。また、来年の一月に控えた科学技術庁と文部省の統合が円滑に進み、その効果が十分発揮できるよう、引き続き両省庁の緊密な連携、融合を進めてまいる所存であります。  委員長初め、委員各位の御指導、御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  6. 古賀一成

    古賀委員長 この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として科学技術庁科学技術政策局長間宮馨君、科学技術庁科学技術振興局長興直孝君、科学技術庁研究開発局長結城章夫君、科学技術庁原子力局長中澤佐市君、科学技術庁原子力安全局長今村努君、資源エネルギー庁長官河野博文君及び資源エネルギー庁長官官房審議官藤冨正晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 古賀一成

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  8. 古賀一成

    古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥山茂彦君。
  9. 奥山茂彦

    奥山委員 初の科学技術委員会におきまして、与党はほかにございませんので、私、代表で質問をさせていただきたいと思います。  きょうの委員会は、特別テーマがあってというわけではないわけでありますので、数点、幅広く聞かせていただきたいと思います。  その冒頭に、我が国はこれまで、宇宙開発におきましても、それから原子力ジェー・シー・オー事故におきましても、いろいろ原因を究明されますと、ごく初歩的な事故があったり、非常に高度な段階で起こった事故ではなかったというふうに言われているだけに、全体的に今日の先端科学技術、さらにまた技術開発がこういった問題で停滞するということがあってはならないわけであります。  そこで、冒頭に、日本科学技術一つの象徴的な存在とも言える、宇宙開発におけるロケット打ち上げの過去二回の失敗等が重なってまいりました。特に、昨年の失敗で、国や宇宙開発事業団メーカー、それぞれが信頼性の向上に今取り組んでおられると思いますが、具体的にどのような取り組みを現在進めようとされているのか、冒頭お尋ねをしたいと思います。
  10. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 総括政務次官渡海でございます。  前の委員会でごあいさつをさせていただきましたが、きょうは初の委員会ということでございますので初の答弁でございます。よろしくお願いしたいと思います。  先生指摘のように、最近、事故が続発をいたしておるわけであります。宇宙開発委員会では、このことを受けまして、本年の五月に、事故失敗再発防止に向けた改革方針というものを取りまとめております。  この取りまとめを受けまして、特に今一番大事なことは、先ほど大臣のごあいさつにもございましたように、来年の二月にはH2A一号機の打ち上げが予定をされておるわけでございます。この成功に向けまして、現在、エンジン燃焼試験などの開発試験充実を図るなど、宇宙開発事業団、またメーカー一体となって入念な開発に取り組んでおるところでございます。  事業団におきましては、製造過程での検査機会を広げる、製造技術また検査技術専門家活用などによりまして品質保証強化を図るということを現在やっておりますし、また、改革が確実に実行されるように、具体的に鋭意取り組んでいるところでございます。また、メーカーにおきましても、開発に係る情報の一元化を図るという目的のもとに、事業団と一緒になってエンジン合同開発チームを設置するなど、所要の取り組みをいたしております。  少し余談になりますが、将来においては、発注ももっと責任を持ってやった方がいいんじゃないか、こういう議論も出ておるところでございますが、ばらばらに発注して組み立てるというふうなことではなくて、とにかく責任を明快にするような体制を組んでいくことも大変重要であろうというふうに考えております。  国として、これらが確実に具体化され、また、運営や技術開発といった業務の状況について、ちゃんと報告を求めて、必要に応じて指導監督をしているところでございまして、今後とも、宇宙開発、これは大臣が就任のときにもお話しになったわけでありますが、次の打ち上げに失敗したら危機的な状況になると思っております。私個人も、十年は宇宙開発がおくれるんじゃないか、こんな印象を持たせていただいておるところでございまして、信頼性を向上させて、そして国民の期待にこたえられるようにしっかりと頑張っていきたいというふうに考えております。
  11. 奥山茂彦

    奥山委員 今、総括政務次官からいろいろとお話をいただきました。来年の二月にはH2Aがいよいよまた打ち上げされるわけでありますが、後には通信衛星とか気象衛星とかいろいろ打ち上げていかなければならないわけでありますし、日本は、アメリカのヒューズ社から十数基あるいは二十基ぐらい受注をしておったわけでありますけれども、これも全部飛んでしまったわけでありますので、これはよっぽど心して取り組んでいただきたいと思っております。  こういった高度の情報技術を扱うということになりますと、この前のジェー・シー・オー事故のように、当初は厳しい内部規定が決められて、マニュアルが決められておったわけでありますが、こういうものを扱うのはしょせん人間であるわけでありまして、人間というものは、長期にわたると緊張状態は続かないわけであります。惰性になってしまって、しかも、民間企業でありますと採算という問題が出てまいりまして、どうしても省力化、手を抜くということになりがちであります。  また、最近は、話は違いますけれども、雪印乳業の問題も、やはり同じように手が抜かれて、品質管理等がきちっとできておらなかった。長期にわたると、必ずこういう問題が出てくるということであります。  今度、何か失敗知識活用研究会というのをつくられたということを聞いておるわけであります。この研究会においていろいろなデータを、やはり失敗の経験も非常に大事なことであるので、その蓄積もしながら、これからの活用に取り組んでいこうとすることじゃないかと思いますけれども、どういう趣旨で、どういう形でこれからこれを催されて、この活用を図っていかれるのか、大臣、いかがでしょうか。
  12. 大島理森

    大島国務大臣 奥山先生にお答えをいたします。  先ほどロケットの話、今、総括政務次官からお話ありましたが、私は、まさに今度はまなじりを決してやろうじゃないか、こう言っておりまして、やらなきゃいかぬ。  それで、もう一つ先生方にも御理解いただきたい点の基本的な心構えとして、スケジュールは確かにきちっとあります。我々の物事の進め方というのは、まず何かスケジュールがあって、そのスケジュールに合わせて何でも、そこが一番大事なんだという考え方が時々あるときがあるんです。  もちろん、そのスケジュールに合わせて、失敗をしないようにしていくということで頑張らなきゃなりませんが、まず打ち上げるということに合わせて、今、政務次官がお話ししたような形を踏まえてやるということを決意として申し上げたいと思います。  さてそこで、失敗知識活用研究会でございますが、これは前科技庁長官からの一つの、大変私はいいアイデアだと思っておりまして、NASAなんかは失敗のデータベースが物すごくあるんですね。そういう中から新しい技術革新が生まれてきている。それがまさに宝だ、そういうふうな考え方でいるわけでございます。  失敗には二つあるんだろうと思います。今先生がお話しされたように、まさに人間の不注意だとか、そういう緩みの中でオペレーションミスをやって失敗する場合と、予見できなくていろいろな失敗があるというのと、二つあるんだろうと思います。いずれにしても、両サイドからも数々のいろいろな失敗を徹底的に科学的に研究して、ある意味では人間工学的なシステマチックなチェックの体制がどうあるべきか、科学技術的に、まさに技術的にどうあるべきか、そういうものを本当に積み重ねてやっていこうということで発足をさせました。  それで、佐藤さんという方に会長になっていただきまして、学者、それから実務の民間方々、総勢二十人ぐらい、もっとありましょうか、スタートをさせたところでございます。そういうことによって、失敗知識社会的に共有しながら、そして社会全体としてどのようなことを学ぶか、あるいはまた、そういうことからそれぞれに具体的に何を考えなきゃならぬか。八月一日に第一回会合をやって、本年度末までに一つ議論をまとめていただくように、今スタートをさせたところでございます。
  13. 奥山茂彦

    奥山委員 ぜひ今度の失敗を教訓として、これからは、同じ失敗を繰り返すということは絶対許されないことでありますから、ひとつ心して科学技術庁として取り組んでいただきたいと思います。  次に、地域科学振興の基本的な考え方の中でお尋ねをしていきたいと思います。  今我が国は、科学技術研究施設等、いろいろな学術施設地方にも分散させているわけでありまして、その一番の基本的な筑波研究学園都市並びに関西文化学術研究都市等が今あるわけでありまして、IT関係を初め、先端的な研究開発中心にしながら今研究が進められているわけであります。  そこで、これまで、科技庁長官とか、文部大臣もそうなんですけれども、大体、筑波研究都市の方には比較的よく足を延ばされておるんですけれども京阪奈学研都市にはほとんど大臣も過去行ってもらっておらないわけであります。これは、国民的な判断からすると、どこに重点を置くかということにもなるわけでありますので、その辺で、京阪奈学研都市にもひとつ大臣も足を運んでいただきたいと思いますが、こういった地域科学振興の問題で大臣から御見解をいただきたいと思います。
  14. 大島理森

    大島国務大臣 奥山先生京阪奈の話は最後に申し上げたいと思いますが、私は国会議員になって十七年ぐらいになります。それで、科技庁との関係は、私ども地域原子力という問題があって、そういう関係で、科技庁と結構おつき合いをさせていただいた。当時と私がなったときと比べて、今長官室に入りまして、各地域知事さんから、自分たち研究開発という問題に本当に積極的に取り組みたいという御要請を非常にたくさんいただきます。  今、デジタルデバイドという言葉が、はやっておるというか、いろいろ問題点になりますが、科学技術格差というものが地域格差につながっていく、そういう問題意識をみんな持っておられる。加えて、日本政策としても、そのことが非常に重要な問題だととらえなきゃならぬ。そういう意味で、具体的に、例えば研究のコーディネーターを県にどんどん派遣するとか、あるいは地域結集型共同研究の各県のあれだとかやっております。  そういうことで、地域における研究開発あり方というものにどうやってこれからさらに力を入れていくかということが非常に重要であるという認識を持って取り組んでまいりたいと思っております。  奥山議員地域京阪奈の問題でございますが、先般も知事さんたちがおいでになりました。非常にいろいろなことをやっておりまして、やはり日本全体でバラエティーに富んでいろいろなことをやるということがこれからの時代なんだろうと思うんです。東京だ、筑波だとかそういう時代じゃないんだろう。したがって、私どもも、例えば京阪奈の問題として、そのIT関係の中でITBLなどはぜひ関西センター一つの拠点とすることを整備すべく、来年の予算要求にきちっと入れて、そういうところにも力を入れてまいりたいと思っております。  いずれにしろ、地域研究開発体制に対して、科技庁としてこれからも大いに努力してまいりたい、このように思っております。
  15. 奥山茂彦

    奥山委員 いずれにいたしましても、たまたま京阪奈の問題を大臣お願いをいたしましたわけですが、例えば科学技術振興財団なんかは、今、各地域研究施設の新たな分散、そして、またその府県と連携しながら、またそれぞれの地域大学連携しながら、研究施設地方にももっと振興させたいということで、随分御努力をいただいているわけでありますので、ひとつその点では、大臣も頑張って、時々学研都市の方ものぞいていただきますように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  さらに引き続きまして、創造的な研究者技術者育成にかかわるような問題と、それから研究成果評価の問題、あるいは資源配分の問題、これが結局なかなかこれまでは日本研究施設もうまくいかなくて、若手研究者がどんどんと海外へ流出をしてきたという過去の経過がずっとあったわけであります。これまで、ノーベル賞を受賞されたような研究者が、大体、日本研究施設で上げた成果評価されてノーベル賞の受賞になったんじゃなくして、海外研究評価されたということでありますから、その点では大変残念なことであったわけであります。  限られた予算でいかにして最大限成果を上げていくかという資源配分の問題、それから柔軟な研究組織というものをつくって、若手研究者成果が十分評価されるような体制をつくっていってもらわなければならないわけでありますが、そういった分野でどういう取り組みをこれからされていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。
  16. 大島理森

    大島国務大臣 先ほど奥山先生がぜひ京阪奈にも来て、見たらどうかという御指摘でございましたので、そのことをお答えするのを忘れておりましたが、できるだけスケジュールをつくって行ってみたい、こう思っておりますので、またそのときは御相談させていただきます。  研究というのは、結局人材だろうと思うんです。人間だと思うんです。そういう中で、今までの大学あり方、あるいは研究施設あり方を見てみますと、何か、一生懸命やっている人に金が行かないで、グループでやるとか、そういう傾向があったんではないか。  そういうことで、基本的には一生懸命やって評価が上がった人には一生懸命やってもらうというごく当たり前の発想だと思いますが、競争的研究資金の導入というふうな基本的な考え方に基づいて、やはり個人に焦点を合わせた研究費の援助というものを一層考えていかなければならないんじゃないか。そういう状況の中で、ポスドク一万人の支援計画だとか、それからいろいろなことをやっております。やっておりますが、いずれにしても、個人に、あるいは小さくてもチームに、競争的資金というのでしょうか、そういう考え方に立ってお金を流していく、頑張ってもらうという基本的な考え方をさらに積極的に進めていくことが肝要だ、このように思っております。  そのためには、評価というのが一方にきちっとなきゃいけないことは当然でございまして、残念ながら、それを今政府全体で一元的にどこか評価するという仕組みはございませんけれども、各省において、特に科技庁も当然そうでございますが、その裏腹に評価という問題がしっかりなきゃいかぬ。こういう意味で、評価制度のあり方どもこれからさらに研究して、さっきから申し上げますように、一生懸命やっておる人たちに流していくという基本的な考え方に変えていかなければいかぬ、こう思っております。
  17. 奥山茂彦

    奥山委員 これまで日本は、大学におきましてもいろいろな研究機関においても、予算は組織に流れていって、一生懸命になって頑張っておる個人研究者にはほとんどお金は流れないという状態が、これまでの日本研究施設の大方のあり方でなかったかと思います。  アメリカなんかはどちらかというと個人にお金を流していくということでありますから、非常に早く、そして大きな効果が生まれてくるということにもなってきたわけでありますので、これは日本大学制度の問題にもなってくるわけでありますが、ひとつその辺は十分考えながらやっていただきたいと思います。  それと、最後にもう一点だけ。  科学技術振興ということで、国を挙げて今科学技術創造立国を言っておりますけれども、現実には、日本の小中学校においてどんどん理科離れが進んでいるわけであります。最近は、理科や科学とかそういう面において、子供たちの関心がだんだん薄れてきておるというのが実態であります。これは本来なら教育委員会に聞かなければならないわけでありますが、科技庁においても、やはりこれからの若い研究者たちを育てるのには、もちろんポスドク一万人の計画もやっていかなければなりませんが、もっと、小さい子供たち科学技術に関心を持たせるようないろいろな試みがなければならないわけでありまして、そういった意味で今いろいろな試みがされようとしているわけであります。  しかしながら、まだまだなかなか成果が十分上がってくる状態ではありません。科技庁としては、これから子供たち科学技術に対する魅力をどうつくっていくかということになるわけで、ひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  18. 大島理森

    大島国務大臣 奥山先生指摘は物すごく大事なところだと思いまして、私は、日本の子供たちの理科離れというかそういう問題、ある大学先生方からもいろいろ聞いたりして、一番いいのはさわらせること、それからその上に立って興味を持たせることだ、こう言っておられました。まさにインターネットなんかもどんどん使い、学校に、科技庁が持っているいろいろな科学技術を、もっとわかりやすくなるようなコンテンツをつくって流してやることとか。  そういうふうな意味で、今度お台場に、科学技術理解増進拠点というのをつくったりしまして、ともかく見てもらう、興味を持ったら今度は自分でつくってもらう、そういういろいろなことをやりながら、子供たちに興味を持ち勉強してみようという刺激を与える施策をどんどんやってみたい、こう思っておりますので、一々やっていることを今申し上げません、もし先生も、こういうことやったらどうだなんという、できれば金をかけないアイデアがあったら大いにむしろアドバイスをしていただければと思います。
  19. 奥山茂彦

    奥山委員 この科学技術委員会で、たしか前期だったと思いますけれども、立花隆さんがここで参考人として述べられて、現在の学校教育の中で体験型の授業というのがどんどん少なくなってきた、過去十数年の間に半分ぐらいに体験するような授業は少なくなったし、理科や生物の時間が非常に少なくなった、こういうことを言っておられたわけであります。  なぜそうなったのかなということは、これはいろいろな調査があるかと思いますけれども一つはやはり今日の学校では受験がどうしても優先されるということになりますから、暗記型とかいわゆる受験テクニックばかりが優先されることによって、本来おもしろい授業をやらねばならない体験型の授業の時間がどんどん削られていった。過去そういう経過があったわけでありますので、大臣はまた今度文部大臣も兼ねていただくわけでありますから、ひとつその点も学校教育の中で十分取り組んでいただきたいということをお願いをさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. 古賀一成

  21. 松沢成文

    松沢委員 民主党の松沢成文でございます。  大島大臣におかれましては、科学技術庁長官御就任おめでとうございます。きょうは午前中も一時間文教委員会で徹底しておつき合いをいただきまして、また午後も四十五分ということで、きょうはつくづく大臣は大変だなと思っておりますが、よろしくお願いいたします。  先ほど大臣の所信を聞かせていただきました中に、こういうくだりがありました。「原子力開発につきましては、安全確保を大前提とすることを肝に銘じ、昨年の東海村の臨界事故の反省から制定された原子力関連二法を厳正、厳格に執行するとともに、地域住民国民理解が得られるよう最大限努力をする所存です。」というふうに演説をなさいました。  さあ、この中にある東海村の臨界事故から一年弱経過しましたが、ちょっとこの問題については私まだまだ納得いかないところがあって、恐らく科技庁の役人の皆さんは、松沢というのは相当しつこいなという思いで、その辺顔が見えますけれども、またここには斉藤政務次官もいらっしゃいますので、私も昨年来、この問題ずっと質問し続けていますので、本当にしつこいやつだとお思いでしょうが、本当に日本の国あるいは原子力行政にとって大事な問題だと思いますので、改めてもう一度振り返っていきたいというふうに思います。  昨年の九月三十日に、茨城県のジェー・シー・オーという原子力燃料の加工工場で突如として臨界事故が起きたわけであります。日本で初の臨界事故、先進国においては臨界事故なんというのは過去のものになったかなという感がありましたが、日本で起きてしまった。その結果、現在のところ死者が二名、放射線を浴びて死亡に至った方が二名、被害者が四百三十六名、そして三十万人以上の近隣住民がその臨界事故による放射線の被害あるいは放射能汚染の恐怖におびえたわけであります。  また、この臨界事故は、日本科学技術あり方あるいは原子力行政のあり方、あるいは優秀だと言われていた日本の企業倫理のあり方がすべて、その信頼が瓦解したぐらいにダメージが大きかったわけで、ここでは例は引きませんけれども、諸外国のこの臨界事故に対する論調もかなり厳しいものでありました。  まず、大島長官、就任されて間もないわけでありますけれども、この臨界事故に対する認識、どのようにお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  22. 大島理森

    大島国務大臣 ジェー・シー・オー事故が起こりましたときに、私は、国会の運営の責任者としてその情報を聞きました。私自身、松沢委員も御承知かとは思いますが、青森県というのは再処理工場がございます。もう十何年前でございましょうか、十六、七年前に、この問題を受け入れるかどうか、一人の国会議員としての判断を求められたときに、私なりに、悪い頭ですが、一生懸命勉強した覚えがございます。  臨界事故と聞いたときに、これは大変なことになるなと思いました。戦後築き上げた原子力行政あるいはエネルギーに対する国民の信頼感を一挙に全部失ってしまうだろう、こう思いました。  そのときに、科技庁としてあるいは政府としてのチェック体制にミスがあって起こったのか、あるいはオペレーションの過程が原因で起こったのか、ここが大きな問題だな、こう思いました。その後、先ほどお話があったように、いわばマニュアルどおりやっていないという全く言語道断の結果が出たときに、もう言葉が出ないぐらい本当に唖然としたわけであります。  そしてなおかつ、大内さんと篠原さんがお亡くなりになったときに、どうやってそのことを我々自身が乗り越えて、さらに、安全性というものに対して政府のなし得ることをなすべきか、まずこれがこのことの最大の責任だろうな、そういう思いでおりますし、私自身も科技庁長官になってから、一つは、後で申し上げようと思ったのですが、通報体制あり方にいささかいつも不満を持ってきました。原子力施設のある周辺市町村が得られる情報は二十分以内に全部科技庁に、つまり政府に入るようにするようにもいたしました。  そのように、情報体制そして管理体制、これは法案は二本つくったわけですが、それでもなおかつ安全性という問題に、極端に言えば、これがもう終局の安全体制なんだというふうにおごらないで、毎日毎日安全性という問題を考えて原子力行政、原子力エネルギーに対峙していくことが大事だ。それは働いている人もそうだし、あるいは責任監督署である科技庁もそうだし、商業関係責任を持つ通産省もそうだと思うのです。  一方、松沢さんのように、いろいろな問題提起を出していただくことがまたいい緊張感を持つわけですから、私は、原子力の安全性にとって、そういう意見にきちんと謙虚に耳を傾けていくということも大事な安全性に対する姿勢だろう、こう思っております。
  23. 松沢成文

    松沢委員 このジェー・シー・オー事故のまず第一の責任というのは、当然、ジェー・シー・オーという企業のずさんな運営体制、ああいう裏マニュアルの存在ですとか、あるいはそれを上部の人が知らなかったのか知っていたのかわかりませんが、あってはならないことをやっていたわけですね。ですから、企業の運営体制がまず第一の責任であることはもう言うまでもありません。  ただ私は、それと同時に、こういう事業所に許認可をおろす、事業許可をおろす官庁である科学技術庁、あるいはその後の定期検査の任務を負うべき監督官庁である科学技術庁にも当然この事故責任の一端はあるというふうにずっと申し上げてきました。  その中で、幾つか理由がありますけれども一つは、安全審査指針で科技庁は、このジェー・シー・オーの事業所では臨界事故は起きないだろうと、想定をしていなかったのですね。しかし、現に起きてしまったのです。  それと、二つ目は立入検査。これは法的義務はありませんけれども、立入検査をやることになっていた。それを何度かやりましたけれども、この違法作業を見抜けなかった。またその後、運転管理専門官という制度ができて、そういう専門官が何度か入りましたが、運転試験棟といいましたか、あそこの事故が起きたところには、休みだったりして、結局入っていない。この違法作業を見抜けなかったということも一つ責任だと思います。  そして三番目には、事故が起きた後の初動体制のおくれ。これは、科技庁原子力安全委員会が臨界を想定していませんから、だから結局、臨界が起きて中性子が出て放射線被害が広がっているということに気づくのがおくれてしまったんですね。臨界で放射線被害というのは、初動体制が第一ですから、これが大きくおくれてしまって、その後の被害を大きくしてしまった。  そしてまた、その後の、例えば半径十キロ以内の皆さんは屋内退避せよというような国が出すべき判断、これもおくれてしまった。  私は、以上四つの理由をいつも挙げて、科学技術庁にも監督責任がある、行政責任がある、それを認めるべきだと中曽根長官に何度も委員会の場で訴えてきました。しかし、中曽根長官はさまざまな言葉を使って、行政責任、監督責任ということは一言も明言されなかったわけですね。  中曽根さんが行政責任はありませんとはっきり述べた後には、全国からブーイングがありました。これは原子力施設を持っている自治体の地方議会、二十以上でありますが、冗談じゃないと。自分たち日本の国策のために原子力施設を受け入れているのに、こういう事故が起きて、科学技術庁がその責任を逃げるようなことをするのであれば、自分たちはとてもやっていけないという大変な非難の声ですね、私のところにも幾つも来ました。その意見書がどんどん国に上がってきたわけですね。  そういう中で私と前長官の言い合いは続いたわけなんですけれども、さて、新長官は、このジェー・シー・オー事故に対する監督官庁である科学技術庁の行政責任、監督責任についてはいかがお考えか、お聞かせいただきたい。
  24. 大島理森

    大島国務大臣 責任論というのは、いろいろ幅があると思うのですね、松沢さん。よく言われるように、政治家の責任というのは何か。マックス・ウェーバーは「職業としての政治」で、結果責任だ、こう書いてある。前大臣がお話しされたのは、法律に違背しているとかそういうことはないという意味でおっしゃったと思うのです。  我々の責任は、政治も行政もそうでございますが、先ほどの話ではないけれども、そういういろいろな事例を踏まえながらよりよいものをつくっていくということが結果的に責任を果たすことではないか、こう思うのです。  ですから、そういう中で、あの当時、ある意味では苦渋の判断であったかもしれませんが、前大臣は、訓告ですか、そういうこともされた。しかし、そういうことを踏まえて、確かに言われるように、二十四時間体制科技庁の諸君があそこに行って監視しろとかなんとかというのは無理なのはおわかりをいただいて、どこまでやり切ったんだろうか、法律はここまで書いてあるけれども、どこまでやったんだろうかという思いは前大臣だってあったわけですね。だから、そういう意味でああいう処置を一つとられたと私は思うのです。  その後において、二つの法案をつくり、そして、ああいうことからの反省を踏まえて一つの結論を出した。これは私は、違った意味でまた責任を果たしていることになろうかと思うのですね。  だから、科技庁としての行政責任いかにと言われても、どこのレベルで物を言うか。広く物を言えば、やはりああいうものから反省して、足りなかったから二つの法案を新たに皆さんと一緒になってつくったわけでありまして、そういう意味での責任を後で果たしているのではなかったかな、私はこう思っております。  そういうことを踏まえながら、より一層安全な体制をつくるというのは、松沢さんにも、ましてや科技庁長官にもある。そういう責任を私は果たしていきたい、こう思っております。
  25. 松沢成文

    松沢委員 中曽根前長官と同じような論調であるのですが、科技庁として行政責任、監督責任がないと。ただ、さまざま反省をしなければいけないし、また、二度と起きないようにきちっと次の新たなシステムをつくり上げるのが自分たち責任である、こういう言い回しなのですけれども、もし監督責任がないとおっしゃったのであれば、やはり原子力安全局長の処分というのはおかしいですよ。人事できちっと行政官を処分しているわけですから、それも科技庁の内規では最も重い訓告という処分ですね。結局、言い方は悪いですけれども、首を切られているわけですよ。それには理由があるわけで、あなたの職務を全うしていなかったというわけですね。これはどう見ても行政責任であり、監督官庁としての責任を感じたからこそやっているわけで、もしそうでないというのであれば、これは局長さんは大変にかわいそうだと思います。  私は、何を言いたいかといえば、こういうあいまいな言い回しが、特に原子力立地の周辺住民あるいは原子力関係者に対して、科技庁に対する不信感をますます呼んでいると思うのですね。だから、むしろきちっと行政責任、監督官庁としての責任を認めて、今回は確かに私たちのミスもあったと。その上で、もう一度やり直しますから、安全規制についても防災に対してもきちっと法律をつくってやり直しますから、皆さん原子力行政、原子力開発については協力を願いたい、こう言わなければ、人を切っておきながら、責任はない、でも反省はしています。ずっとそうやって逃げているような態度をとることこそ、私は今後の原子力行政にとって問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
  26. 大島理森

    大島国務大臣 過去のあのときの前大臣の御判断というものが、今松沢議員が、それは科技庁としての行政責任を認めていないのにそういうことをしたというのは矛盾するじゃないかと言われると、そこのところについては、さっきも申し上げましたように、責任論というのは、いろいろな意味でいろいろあるのでしょうと。法律に違背していないということだけの視点で見れば、そこには責任はありません。しかし、例えば、もっとやれることがあったのではないか、もっと考えておかなければならぬことがあったのではないかという意味で、その後二つの法案を出し、皆さんの御議論をいただいた。それは、そこのところがある意味では抜けていたから出したわけですね。そういう意味で、政治という場、行政という場で、広い意味で私は反省というものを踏まえてああいう処分をされたのかな、こう思うのです。  ですから、私自身は、今後そういうふうなものに対処するときには、それはいろいろな問題がありますが、客観的な事実を見て、本当に何でもかんでも逆にまた科技庁責任だということ、逃げるわけではないですよ、一番あのときに、むしろ私どもも怒らなければならなかったのは、民間のあそこの会社の、そこの責任感ですよ。今、各企業においてもそうですが、私は、それぞれ日本人は自分の責任感というものを本当にきちんと持ちませんと、大変な恐ろしい時代になるような気がしておるのです。  だから、私どもも、これからの問題として、いろいろな問題があったときにどうやったらより一層の安全性を持つかということに対してさらに冷静に勉強し、なおかつ日々に努力をしていくということが一番の私どもの今とるべき責任であって、そういうことを怠ったというならば、これは私どもは、少なくとも大島長官としてはそういう場合においては責任をきちっと表明しなければならぬし、みずからも決さなければならぬと思っております。  したがって、そのときにおいてのいろいろなあれがあったと思いますけれども、そういう意味で、これからどうしたらいいかというところに、どうぞ松沢議員のまたいろいろな議論とアイデアもいただければと思っております。
  27. 松沢成文

    松沢委員 では、これからどうしたらいいかという論議に進めていきたいと思います。  今回、被曝された人が四百三十六人ですか、これは最終数値かわかりませんが、出ております。もちろん、臨界が起きたときに、転換試験棟といいましたか、あの中にいた三名のうち二名亡くなっているわけですが、ただ、ジェー・シー・オーの事業所内にはかなりの数の方もいました。また、その後、臨界を終息させるために、水抜き作業を行う決死隊の方がかなり臨界の試験棟の中に入って、水抜き作業をやって臨界終息に向けての作業を行った。それから、近隣の住民の方の中でも何人か被曝と言われる数値になっている方もあると思うのです。  それでは、こうした被曝者の方々がその後、約十カ月近くたっているのですか、今さまざま追跡の調査もしていると思いますし、必要であれば治療もあるのでしょうが、どういうふうに科技庁はその容体、状況を把握しているか、お聞かせいただきたい。
  28. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 まず、今松沢委員もお話がございましたように、従業員の方々がいらっしゃいます。  この方々は、事故後、まず労働省の方で、この事故に係る被ばく労働者の健康管理の在り方に関する検討会が報告書を出しておりまして、その報告書に基づき、ジェー・シー・オーに対して、さまざまな措置をしろ、健康診断なり健康情報の管理なりといったことをやれという指導が行われておりまして、これを受けてジェー・シー・オーにおいて所要の健康診断が実施されているというふうに承知をいたしておるところであります。  また、周辺住民の皆さんでございますけれども、これは、茨城県、東海村、また那珂町、この地方自治体と連携協力をいたしまして、長い名前でございますが、原子力安全委員会健康管理検討委員会の報告を踏まえまして、原子力に対して国民は非常にナーバスになっておるわけでございますから、心のケアも含めた健康相談というものを年一回実施するということにいたしております。これは当庁がやっておりますが、ことしの五月に、強制するわけにいきませんので、希望者三百三十八名に対して第一回目の健康診断を実施したところでございます。  今後とも、地方自治体と連携をしながら健康管理に取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 松沢成文

    松沢委員 今週発売されました某週刊誌に、まさかと思われるような記事があったのですね。それは、ジェー・シー・オーの東海事業所で第三番目の犠牲者が出ていたのをジェー・シー・オーは隠していたというような報道なんです。  最初は、大内久さんが昨年の十二月二十一日に急性放射線障害による多臓器不全ということで亡くなられたんですね。これは、被曝制限量の三百四十倍にも当たる十七シーベルトの放射線を浴びた、そういうことで、こういう亡くなり方をされた。次いで、四月二十七日に、八から十シーベルトを浴びた篠原理人さんが、一時容体がよくなりかけていたらしいのですが、腎障害や消化管出血などの放射線障害があらわれて、お亡くなりになられた。  それで、この記事によりますと、ことしの五月十九日に、水戸済生会病院でジェー・シー・オーの作業員が悪性リンパ腺のため亡くなっているというふうになっているのです。この方は、臨界時にジェー・シー・オーの中にいたわけじゃないのですけれども、当時入院中だったのですが、臨界事故があって、その直後、電話で呼び出されてジェー・シー・オーの敷地内に入った。したがって、被曝した可能性が強い。週刊誌ですからどこまで信憑性があるかわかりませんが、ここで被曝して、その障害も含めて、悪性リンパ腺になって、それで五月十九日に亡くなったんじゃないかという記事なんですね。  科技庁はこの事実関係を把握しているのか、これは科技庁の把握によると事実なのか、それとも事実無根なのか、この点はいかがでしょうか。
  30. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 当庁におきましてジェー・シー・オーに事実関係を確認いたしておりますが、この週刊誌に載っておられる、お名前は今ちょっとわかりませんが、従業員の方、昨年の二月に水戸市内の病院に入院をしておられますが、臨界事故当日にジェー・シー・オー敷地内に入ったという事実はないというふうに確認をしておるところでございます。事故当日も入院中であって、敷地内には入っていないという報告をいただいております。
  31. 松沢成文

    松沢委員 では、ジェー・シー・オーの中に入っていないということは、放射線を浴びた可能性はないわけで、その病院の中にずっといて、何かぐあいが悪くなって、被曝した影響じゃないことで亡くなったんだ、こういうことですね。事実無根だということですね。
  32. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 病院の方から報告を受けておるわけではありませんから、一応その中に入ったことはないという確認をしたということでございます。そういう意味では、記事は事実無根と申し上げてよろしかろうと思います。
  33. 松沢成文

    松沢委員 こういう事故原子力関連施設で起きたわけで、大島大臣おっしゃったように、一つは、まず起きてしまったときにどうやって危機管理をしていくかということで原子力防災法というのをつくったわけで、また、さまざまな原子力施設を許可するとき、あるいは許可した後の点検だとか、そういう意味で原子炉等規制法も強化したわけですね、二つの法律を変えたということで。  私は、もう一つ原子力の施設の安全規制について、やはりきちっとした体制をつくり上げるのがまた今後の大きな課題なんだろうと思います。  そこで、原子力事故に対する安全面で、原子力安全局が科技庁の中にありますね。それと、原子力安全委員会というのが総理府のもとに置かれている。ただ、事務局は科技庁の方が多く入っておりますので。この二つが原子力安全についてはさまざま行政や規制を行っているわけですね。  今回のジェー・シー・オー事故を見ると、失礼ですが、この二つの機関がほとんど機能しなかった。臨界事故だという認識の発見もおくれましたし、それから中性子線の測定の指示もおくれましたし、また、いわゆる対策本部を立ち上げるのもおくれた。一時は、野中当時の官房長官には、大丈夫ですという報告をその日の夕方に行っているのですね。そういう意味では、この二つがほとんど今回の事故においては機能しなかったのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  34. 大島理森

    大島国務大臣 私も、あのとき国会にいまして、何をしているんだという思いがあった。  私自身、あの事故が起こって、その後自分なりに考えていささか勉強したことの結果として、日本原子力の安全規制のシステムというのは、日本社会全体がそうですが、事前チェックというのにえらい熱心だ。そこで、許可した後は割と、原子力だけじゃありませんよ、全体的にそういう規制システムというのがあったんですね。その後、だから今二つの法律をつくって、運転した後の規制チェックをしていくということになった。  それから、この原子力の問題は特に安全性ということを絶えず言われますから、なかなかそこをもしもということを前提にした議論ができなかった。だから、ようやく防災体制という問題もできた。  今後、私自身、安全局あるいは原子力安全委員会とか、どういうふうに機能したかというのをもう少し検証はしてみたいと思いますが、まず何かというと、人間というのは、だれでもそうですが、起こったときに、これはそのときそうだったとは言いませんよ、隠したがるものなんです。私は、副長官のときもいろいろなことを見ていますが、自分たちが納得しないものを外に報告したくないという思いがあるのは当然ですよ。だけれども原子力の場合は、できるだけ中央政府にリアルタイムで情報が集まるようにしておかなきゃいかぬのじゃないか。  今私が、すぐにこの一カ月以内に、安全委員会がどうだこうだという前にやるべきことはそれだと思いまして、いわゆるSPEEDIというネットワークがあるのですが、これをもっと早く、科技庁の職員は大変なんです、携帯電話に全部入るようになりますから、しかし、それを何かあったときには十分以内には必ず連絡できるようにしろというシステムに変えました。  だから、いろいろなところで情報を把握するけれども、一番あのときも足りなかったのは、間接的な情報を待っているものだから、速やかな対応ができなかったわけでしょう。私は、中央政府が直接にできるだけそれぞれの原子力施設の情報をストレートにとるという一本のルート、ネットワークをつくるべきであるという思いをまだ持っているのです。  まず手をつけるのは、何かあったときにはリアルタイムでできるだけ中央政府に入るようにしろ。まず地方政府はわかります。地方自治体はすぐぱぱっと対応しますが、それを経由して、今度は事業者から市町村、県を通じて政府に来る。だから、それで時間がたってしまう。もう少しそういう意味での、中央政府情報収集システムとか、そういうものからぱっと判断をするシステムとか、さらに研究をしながら努力してみたい、こう思っております。
  35. 松沢成文

    松沢委員 原子力安全局があって、ここで安全規制をやる。もう一つ原子力安全委員会というのがあって、ここでももう一回チェックする。ダブルチェックをやっているのだから、かなりきちっとした強固なシステムになっているんですよというふうに科技庁はよくおっしゃるんですね。ただ、この原子力安全委員会というのは、科技庁が出してくる書類を見て、まあいいんじゃないでしょうかというお墨つきを与えるようなところでして、原子力安全委員会がきちっとした独立機関として本当のダブルチェックをやっているかというと、極めて疑わしい。  ただ、そこで、私はこの原子力安全委員会というのを強化しなければいけないと思うのですが、科技庁は、今後原子力安全委員会をどう強化していこう、そういうプランは持っているのですか。今のままだったら、ほとんど科技庁の御用機関のように終わってしまって、ダブルチェックにつながらないのじゃないでしょうか。
  36. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 ダブルチェックの意味というのは、お互いに緊張関係がなければならないのですね。例えば、少し議論が違いますが、大蔵省の財政、金融の分離の議論というのも、これは民主党さんが一生懸命やられたと思います。私は、御案内のように一時さきがけを散歩しておりまして、この問題は随分いろいろとやったわけでありますが、要は、いろいろな意味で、やはり独立した緊張関係があることが非常に大事であるというのがダブルチェックの基本だと思います。  御案内のように、実は来年の一月から、この安全委員会は内閣府という新しい省庁に移るわけであります。そして、より独立性を保って、次の質問に何かあるような感じもいたしますが、とにかく体制強化して、専門家ももっと入れて、しっかりとやろう。  それと、これは松沢先生の御質問に反論するわけではありませんけれども、今科技庁はとおっしゃいましたが、これはやはり国の原子力政策全体としてそういう体制をとって、むしろ、科技庁をいい意味でチェックするという意味で安全委員会が機能をするという形に変えていかなければいけない。科学技術庁も、当然そのことによって、科技庁としての原子力政策責任を果たす。そして、安全委員会は、独立した機能の中で、国民に対して、原子力政策また原子力の一連のいろいろなことに対して責任を果たす。こうした形につくっていくわけでございますから、科学技術庁としてはと言われると、ちょっと何か不思議な感じがするわけでございますが、そういうふうに移行をしていく予定になっております。
  37. 松沢成文

    松沢委員 今政務次官がおっしゃいましたように、チェックをするには独立した緊張関係がなければできない。おっしゃるとおりで、いい案がありますので御紹介しますけれども、実は、私たち民主党で原子力安全規制委員会設置法という法律案をつくりまして、それを国会に提案しております。  今の原子力行政は、通産省、エネルギー庁、これは商業炉ですね。そして、研究炉とか実験炉は科学技術庁が担当しているわけですよ。ただ、両方の役所の中に、企画推進の部門と安全規制をチェックする規制の部門が両方ともあるわけです。一つの役所に企画推進と規制が一緒にあったって、そのトップは事務次官であり、大臣なわけですね。そこできちっとしたチェックができるか。できるはずがないのですよ。今政務次官がおっしゃるように、独立した機関をつくらなければいけない。  そこで、私たち民主党の案は、原子力安全委員会という国家行政組織法の八条で言われる委員会を、いわゆる公正取引委員会とか、こういう強力な三条機関に変えて、そこに原子力安全規制に対する権限を集中させる。つまり、通産省にある規制権限、あるいは科技庁にある規制権限、あるいは運輸省にも一部あるようですけれども、それと今原子力安全委員会が持っている規制権限を集中させて、そして原子力行政全体を見渡して規制をできる強力な三条委員会をつくったらどうかという提案なんですね。  確かに、これはダブルチェックにはなりません。でも、強力なシングルチェックをするわけですね。それで、例えば施設に対しても、立入検査まで権限を持たせてやっていく。アメリカのNRCに近い形にした方が、原子力の安全規制はより緊張感を持ってやれるのじゃないかということで、私たち原子力安全規制委員会設置法というのを提案しているのですけれども、ぜひとも科技庁でもあるいは通産省でもこういう考え方に御賛同いただいて、これは、今後のことを語らなければいけないと大臣がおっしゃいましたから、今後原子力の安全規制が厳しくできるような体制をつくり上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 大島理森

    大島国務大臣 せっかくの御提案でございますから、よく勉強はしてみたいと思っております。
  39. 松沢成文

    松沢委員 政務次官、何かありますか。
  40. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 ここで八条と三条の違いについて議論することをやっていますと、多分松沢さんの時間がなくなると思いますので、ただ、これは私の私見も入っておりますが、国家がどういう形で責任を持っていくかというときに、原子力政策というのは、先ほども申し上げましたが、国民が今非常にナーバスになっている中で、より責任体制をはっきりすることが大事であろうというふうに思います。  三条独立委員会というのは、確かに公取にいたしましても、そして、これは実現はしなかったわけでありますが、例えばSECのようなものを三条的につくるというふうなさまざまな案があるのですが、このことも、考えてみますと、こういう政策と非常に密着する、要するに実施する部門を独立して監視するという意味では機能するかもしれません。この安全委員会を国家の政策の中核に据えるという意味で内閣府というところに移設もし、また、大事なことは事務局を独立させるということなんですね。要は、せっかく場所は移った、しかし人間は独立していないで、とにかくどこかのひもつきになっているという形をできるだけとらないように、こうしていくことが非常に大事なんだろうというふうに思っております。  なお、一点だけ申し添えますが、既に安全委員会は総理府の方に移って、よりダブルチェックの機能を強化しておりますので、申し添えさせていただきたいと思います。
  41. 松沢成文

    松沢委員 大臣の演説の中にこういうくだりがあるのです。「先月のサミットでも取り上げられましたが、米ロ核軍縮努力によって発生するロシアの余剰兵器プルトニウムを処分するため、我が国平和利用技術を用いて、国際協力に積極的に参加し、世界の平和と安定に貢献してまいります。」  私は、サミットで取り上げられたというのは実は知らなくて、初めてここで知ったのですけれども、これは具体的にどういうことなんでしょうか。軍縮でロシアの核兵器から出る余剰プルトニウムを我が国原子力発電に利用する、要するにプルサーマルなんかで使うプルトニウムに利用していくということだと思うのですが、当然これは高レベル廃棄物につながるわけですね。それはロシアに返せるのですか。その辺はどうなんでしょうか。
  42. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 私もちょっと勉強させていただいたばかりでございますけれども、この余剰兵器のプルトニウムの処分というのは、今ロシアで実は開発をされております振動充てん燃料製造法という方法を用いて燃料をつくりまして、揺すって固めていくという方法でありますが、MOX燃料としてロシアの高速炉BN600において燃焼させる計画を我が国が提案して、そしてお手伝いをしようという提案でございます。  去年から核燃料サイクル機構がロシアの研究機関と協力研究をもう既に開始しておりまして、それをより促進して進めていこう、協力をしよう。技術的な協力もありますし、まだ細かい詰めは行っていないようではありますけれども、費用をどうするか。これは当然、プルトニウムの問題でございますから、国際的なさまざまな相談も必要だというふうに聞いております。  よって、松沢さんがおっしゃいましたようにこっちへ持って帰ってくる、そういうことじゃなくて、向こうでやるということであります。
  43. 松沢成文

    松沢委員 ちょっと時間がないので、最後にどうしても聞きたいことがあったので、核融合についてお伺いしたいのですけれども科技庁が進めている研究の中に核融合というものがある。私も、物理、化学は詳しくないのですが、重水素とか、三重水素というのですか、トリチウムなどを使ってエネルギーをつくることだということなんですが、私を初め、余り一般の人にはまだ認知されていないと思います。  それで、ITER計画というものがあって、国際熱核融合実験炉の研究日本とかEUとかロシアの共同研究で進められていて、日本でも誘致に動いているということなんですけれども政府として、この核融合という技術は次世代のエネルギー源としてどういうふうに位置づけているのか。  今、化石燃料系の発電は環境問題として難しい、また、原子力の場合は安全の問題でかなり推進が難しくなっている部分もある。そういうことで、自然エネルギーの問題をよく議論されていて、国会でも推進議員連盟もできて、さまざま技術開発が今進められているのですが、この核融合については、すごく期待される技術なんでしょうけれども、まだほとんど認知されていないというところなのですが、科技庁としてこれをどうやって次世代のエネルギー源としてとらえているのか、お聞かせいただきたい。
  44. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 大変難しい質問でございますが、今おっしゃいましたように、やはり研究対象としては大いに興味のある対象であり、これまでもいろいろ研究がなされているところであります。  国産では、御案内のように、JT60という炉があるわけでございますけれども、現在の状況は、このITER計画そのものにつきましては、一時アメリカが少し遠慮されておりまして、EUとロシアと日本で今工学設計が行われておるところであります。来年の七月ごろに終わるというふうに聞いておるわけであります。  この誘致の問題につきましては、話はこれからでございまして、この炉を当初一兆円ぐらいというふうに予想されておったわけでありますが、ちょっと高くつき過ぎるということで、コストの面で設計を今やり直しというか工夫をしておるところでありまして、四千七百億ぐらいにまでは下げられるだろうというもとで、ちょうど同時期ぐらいに、ちゃんと手を挙げて各国が誘致の問題を話し合いをしよう、国内でも大臣のおひざ元でございます、大臣自分のおひざ元ですから余りおっしゃらないですが、青森県からも手が挙がっておるわけでありますし、あとは茨城、北海道、こういうところから今盛んに御陳情をいただいておるところでございます。  いずれにいたしましても、当面、技術的な研究開発というのは、やはり将来の可能性、夢のエネルギーとして続けていくべきであろうというふうに考えております。
  45. 松沢成文

    松沢委員 時間です、どうもありがとうございました。
  46. 古賀一成

  47. 山谷えり子

    ○山谷委員 民主党の山谷えり子でございます。決断力と実行力のある大島長官を迎えて、ぜひとも科学技術創造立国実現が一歩、二歩、三歩と大きく前進していくことを念じております。  今、大競争時代で、日本が生き抜いていくためにも、そしてまた国際貢献のためにも、科学技術というのは大変重要な問題だというふうに思っておりますけれども科学技術創造立国実現に向けて大きなビジョンをお聞かせいただきたいというふうに思います。  特に、ことし初め、科学技術庁調査では、日本科学技術の国際競争力における調査なんですが、アメリカ、ヨーロッパに対して競争力が高い分野としてエネルギー、物質・材料、そしてまた低い分野として生命科学IT、それから日本のお家芸であった製造技術がおくれているというようなことが出ておりましたけれども、高い分野をどうするか、あるいは低い分野をどう高めていくかということについて、ビジョンを聞かせていただきたいと思います。
  48. 大島理森

    大島国務大臣 私は長官になりまして申し上げておるのですが、先生と同じ認識をしておりますのは、本当に二十一世紀という日本の姿を考えると、科学技術というものにどのぐらい力を入れられるかということが国家戦略としても大変重要なポイントの一つだと、この認識はお互いに共有できることだと思います。  そして、その中にあって、やはり全体の政治の中でその科学技術政策のプライオリティーをつけていくことが、どうも科学技術的でない科学技術庁長官の仕事としては、そこに最大の仕事があるのではないだろうか。ですから、科学技術政策というのは本当に大事なんですということを、政治全体の中で政策順位を高くしていくということが私の一つの仕事だろうなと思って入りました。  以後、いろいろな御意見を聞きあれしますと、すぐれている部分もあるしすぐれていない部分もある。そのときにどの部署がどうだということは定かにはまだ、これがどうだろうということは、私は率直に言って言えません。例えば、海底の問題でも日本がすぐれている部分があるし、宇宙の分野でも、この部分は割と日本は頑張っているなというところもありますし、IT分野でも、どうもだめだ、だめだと言われてますが、この分野はまだ頑張っているよという部分があります。簡単に言えば、すぐれている部分は一層すぐれさせ、おくれている部分は伸ばしていかなければならぬと思います。  そのときに、これもまた心構え論になるかもしれませんが、私は、失敗ということに対して、いい意味での寛容性を日本人がもう少し持たなければいかぬのじゃないかという思いがある。失敗しちゃいかぬよ、失敗しちゃいかぬよと言うと、私は科学技術の進歩というのが何かとまっていくような気がするのです。ですから、もちろんその人の不注意とか失敗はうんと注意してほしいのですが、全体論として、いい意味での失敗の積み重ね、いい失敗というのはないと思うのですけれども失敗に対する、ある意味ではそれをいい方に転化していこうという考え方に政治の場で立っていかないと、日本科学技術政策は進まないなという思いを持っております。  具体的に、どこがどうだというのはちょっと申し上げられませんけれども、所感として申し上げました。
  49. 山谷えり子

    ○山谷委員 前回の平成八年の科学技術基本計画に基づいて、また今度次期のものを検討中だということでございますけれども、前回非常にいろいろ網羅されていたわけで、十七兆円という予算がついたのが一番の大目玉ではなかったかというふうに思うのですが、にもかかわらず、科学技術白書にもありましたように、アメリカ、ヨーロッパとの格差が拡大している。それは基礎研究だけではなくて、日本が従来得意だった応用の部分でも水準が低下したということで、次期の基本計画ではその辺の見直しとか、あるいは時代認識に合ったスピード感あふれるものを必要としているのだろうというふうに思うのです。  奥山議員もおっしゃいましたけれども、競争的環境づくりとか評価システム研究開発の重点化というのは本当に大事なことだというふうに思うのですが、その辺をもう少し詳しく、何か個人的見解でも結構ですけれども、長官としての抱負をお聞かせいただきたいと思います。
  50. 大島理森

    大島国務大臣 基本計画でこれまで検討していることで、今のお答えになる部分をちょっと申し上げたいと思います。  まず、知識創造活用世界に貢献しようということを明確にしよう、そこに日本としての大きな目標を持とう。一方、その科学技術がそれぞれの生活にどのように役割を持つかということもきちんとやろう。  そういう中で、具体的にどういうところに科学技術システム改革として持つかというと、まず第一点は、競争的研究環境の整備をいたしましょう。できれば競争的資金の倍増を図りたい。それから、競争的資金へのオーバーヘッド、間接的資金もないといけませんね。それから二番目として、若手研究者をやはり自立させる、それから流動性を持たせるということがポイントだろう。先ほど来先生もお話しした、評価システムの改善というものが必要でありましょう。さらに、いろいろありますが、産学官の連携の促進というのも、日本はアメリカに比べて私は非常におくれていると思う。ここが一番おくれているがゆえに、刺激がない。自分がやったことが自分の評価になるというここのところを、しっかりともっともっと充実させなきゃならない。  以下、そういうふうなものを踏まえながら、先ほどのまた総論に戻りますけれども、私たちは、国際協力があって、持続的な発展のためには、もう一度科学技術振興が必要である、そういうふうな内容で今一生懸命研究させていただいておりますが、具体的にはどういうことに力を入れるんだ、私どもとしては、ライフサイエンスだとか、それから情報通信、環境、物質・材料、この四分野に特に重点を置いてやっていこうじゃないかというところで議論を今集約しかかっているところでございます。
  51. 山谷えり子

    ○山谷委員 評価の部分で、平成八年の科学技術基本計画のところは、評価の実施方法のあり方についてのガイドラインを検討して策定する、そしてまた、国民各般の意見が反映されるよう配慮する、また、評価の結果等について情報開示に努めると書いてあったのですが、私は情報開示されたという記憶が余りありませんで、非常に難しい形であるいはされたのかもしれないというふうに思うのですね。  私は長い間発行部数九百万部ほどの生活情報紙をつくっていたのですけれども、本当に一般国民にわかるような、例えば物質素材でしたらば、どこの大学あるいは何々というドクターがこれを発見して、こういうふうに改良して、こういうふうに市民生活の中で動いて、あるいは、こういうマーケット、何兆円なり何百億円でもいいですが、そういう市場が成立したんだとか、世界にこういう形で輸出しているとか、何か目に見えるような形の公表の仕方をしないと、国民自身が、ああ、日本技術立国だというふうな夢も描けないし、あるいは若い人たちが志も持てない。  何か評価の仕方が身内だけで、もちろんプロが評価しなきゃ素人は評価できない部分もあるのですけれども、公表と、あるいは何をどう評価するかという場合、やはり庶民感覚というか国民に近い感覚のやり方をこれから提案していかないと、どんどん離れていくのではないかなと思います。
  52. 大島理森

    大島国務大臣 山谷先生生活紙というかそういう部分のプロでございますから、大変おもしろい視点だと思います。そういう御提案を踏まえて、評価の公開という問題はどうあるべきか、研究してまいりたいと思います。  とかく専門家というのは難しいことをわかりやすく言うのを面倒くさがるときがあるものでございますから、とても大事な視点だと思って、研究してみたいと思います。
  53. 山谷えり子

    ○山谷委員 それから、長官は先ほど産官学の連携をというふうにおっしゃいまして、本当にそれは大事だというふうに思うのですけれども日本版でもTLOというのができて、動き始めている。最初のころはマスコミも報道したわけですけれども、最近はぱったりと報道しなくなって、何だかアメリカのようにはうまくいっていないんじゃないかという思いをきっとみんな多くの人が持っているのではないかというふうに思うのです。  例えば、今、アメリカで雇用創出のナンバーワンがテキサスで、これはオースチン大学中心になってITなんかで人を創出している。それから、ナンバースリーがジョージア州で、これもジョージア州立大学中心になってということで、やはり何かアメリカは本当に研究に対してお金を投じ、そして、それがまた産官学の連携で雇用創出につながって、実際に人口がそういう形で動くというところまでいっているわけですけれども、私の印象では、日本版の産官学の連携、TLOというのはいまいちだなというふうに思うのですが、それはどこに原因があるとお考えですか。
  54. 大島理森

    大島国務大臣 TLOの法律自体がついこの間できたばかりでございます。  しかし、例えば、大学の中に会社をつくられまして、さあ、立ち上げてやろうというところが結構出てまいりましたので、先生も今おっしゃいましたが、ちょっと日本人はせっかちなんですね。ちょっとスタートさせて、もうだめだから、成果が出てないんじゃないか、こう言われますけれども、どうぞひとつ、長い目でとは私は申し上げませんが、少し温かく見ていただきたい、そして励ましてやっていただきたい。人間というのはそういうことがないとやる気になりませんので。  そして、私は本当に初めてだと思うのです。大学が、自分のところで抱えているものを、民間と一緒になって何か金もうけしよう。金もうけという言葉は悪いのですが、大学先生が私企業と一緒になって何かやるということに、長い間大学の中で、そういう何かあったんじゃないでしょうか。その壁を今取っ払いながら意欲的にやっていかなきゃなりませんので、そうすぐに成果がどうだこうだと言わないで、ひとつ温かく、そしてまた厳しく励ましてやっていただきたい、こう思います。
  55. 山谷えり子

    ○山谷委員 確かにそのとおりでございまして、ですけれども、もしできましたら、さらに発明者、発見者には大きなお金の還元をするとか、あるいは表彰制度で名誉を与えるとか、インセンティブを高めるようなことも考えていただきたいなというふうに思っております。  それから、確かに長い目で見なければいけないのですが、今、自民党さんも、民主党が勝ったおかげかどうかわかりませんが、公共事業の見直しの政策評価とかしなきゃいけない。要するに、研究プログラムにおいても、方向性の機動的見直しというのはどういう形でやろうというふうにお考えでございますか。
  56. 大島理森

    大島国務大臣 今度の概算要求の閣議決定をした内容をごらんいただいたのでございましょうか。私ども、森総理のもとで、日本新生ということで、初めはIT、それから都市基盤、あるいは環境、それから高齢化という四つの項目が日本新生を図るポイントだというので、そこに重点的にやろう。  しかし、閣内でもいろいろな議論を行い、あるいは我が党でもいろいろな議論をしていただき、総理も大変な御決断をいただいて、それはもちろんそうであるけれども、そこに科学技術というものが非常に二十一世紀は大事だ、人材というのも大事だということが明確に入るようになりました。  政治なり予算編成というものを、物事を変えるというのは、きょうからあした、百八十度変わるというのは、これは私、革命だと思うのです。それ以外に、民主的に物事を変えていく努力というのは、やはり日々にそういうふうな考え方が必要だということを訴え、説明し、理解をいただき、そしてやっていくしかないんだろうと思います。  平成十三年度は、そういう意味で、科学技術という問題を中心に、非常に大きな予算目標に向かって努力してまいりたいと思いますから、どうぞ民主党の皆様方もぜひ御理解をいただいて応援していただきたい、こう思っております。
  57. 山谷えり子

    ○山谷委員 お互い緊張感を持って、本当に日本のために働きたいというふうに思いますけれども、先ほどの評価の発表の仕方について、もう一つちょっとつけ加えさせていただきたいのです。  先日、アリゾナに取材に行きまして、砂漠の中にガラスの大きな空間、お城みたいなものがありまして、バイオスフィアといいまして、完全に空気も水も廃棄物も食糧も自給自足できるという、つまり、それを持って宇宙空間とか惑星にぽこっと人類が行けるという実験施設があったのですね。実際に、二年間、八人の研究者がそこで自給自足生活を済ませていろいろなデータをとったわけですけれども、その跡を一般観光客に開放して、非常にこと細かく研究者たちが説明をしてくれているのですね。やはりそのくらいの、市民生活との密着、それも老若男女、いろいろな人が行って、あこがれを持って聞いているというような。  ですから、大学とか研究機関だけが閉鎖的な空間でただ細かく研究するんじゃなくて、もし研究が終わったら、そういう形で一般市民に開放して、科学技術に対するいろいろなセンスアップ、夢を見られるような、そういうような使い方を工夫しながら、私たちの距離を縮めていただきたいというふうに思います。
  58. 大島理森

    大島国務大臣 先生おっしゃるとおり、本当にそうだと思います。  さっきも各先生方の御指摘がありましたように、日本の子供たちにも科学技術あるいはそういうもののレベルを上げるためにどうしたらいいんだという御質問をいただきました。  やはり、さわらせる、見させる、興味を持たせる、そこから好きなものを選んでいくということだと思います。  実はお台場で、科学技術理解増進推進拠点という大きな建物をつくっておりまして、これはハードじゃありません、そこに子供たちが来て見られるような大きな展示場みたいなものをつくりたいと思っておりますし、ネットワークでどんどんわかりやすく教えてやること、もっと国民に、科学技術というのは自分たち生活のものなんだよということを本当にわからせる努力が少し足りなかったと思いますので、一層いろいろな知恵を、研究してやってみたい、こう思っております。
  59. 山谷えり子

    ○山谷委員 期待しております。  続きまして、原子力開発についてなんですけれども、長官も最初の演説の中で、安全確保を大前提に、国民理解を得られるようにということをおっしゃいました。  エネルギー政策というのは、省エネ、新エネ、自然エネルギー、コージェネレーション、いろいろ進めていかなければいけませんけれども日本あるいは人類、特にアジアなんかは当面、原子力発電に依存するということは間違いないわけでございまして、また環境問題でも、原発がなければ世界のCO2が三割ぐらいふえるんじゃないかというようなこともございまして、本当に基幹エネルギーだという位置づけは変わらないというふうに思うんです。  ただ、原子炉の寿命が三十年ほどと従来から言われておりまして、三十年ほどになっている原子炉が幾つかこれから日本に出てくるわけでございます。私、総合エネルギー調査会の委員をしておりましたので、COP3を受けて、二〇一〇年までに原発二十基新設というふうなことを言っていたところが、それが困難になってくる。そうすると、寿命を延ばすんじゃないか、安全基準は大丈夫だろうか、処理基準、それから処理の方策、どんなふうになっているんだろうかというふうな不安を覚える人も多いと思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。
  60. 藤冨正晴

    藤冨政府参考人 御説明いたします。  我が国原子力発電所につきましては、アメリカのように四十年間の運転年数を認可しているわけではございません。ほぼ一年に一回の定期検査などによって、機器の健全性を確認した上で運転をする仕組みとなっています。  さらに、通産省におきましては、原子力発電所の高経年化に関しまして、電気事業者による技術評価長期的な保全計画を専門家の意見を聞きながら評価するとともに、今後の高経年化対策の具体的取り組みについてまとめまして、平成十一年二月に公表いたしました。  この取りまとめに際しまして、比較的運転年数の長い日本原子力発電敦賀発電所一号機、関西電力美浜発電所一号機、そして東京電力福島第一原子力発電所一号機といった運転開始後三十年を迎えるプラントにつきまして、技術評価を行いました。そして、その後の十年間の保全計画も同時に策定いたしました。具体的には、機器の経年変化による技術評価のための運転期間を六十年と設定いたしまして、定期点検の充実や予防保全活動の実施などにより、経年変化事象の顕在化による機器とか構造物の機能喪失は未然に防止できると評価しております。  当省としましては、今後、各プラントが三十年を迎えます段階で技術評価を実施し、十年間程度の保全計画を策定するとともに、さらに十年後にはこれを見直していくという長期的な視野に立った取り組みと、毎年の定期検査による確認という組み合わせをしております。これによって、より一層安全管理に向けた取り組みをしていきたいと思っております。  なお、実際の運転期間につきましては、電気事業者みずからが運転を継続した場合と廃止した場合との経済性を比較考量し、総合的な経営判断に基づき決められるものですが、運転が継続する場合の安全性につきましては、今申し上げましたように、国としても十分チェックしてまいる所存でございます。
  61. 山谷えり子

    ○山谷委員 私は、八五年にその基準ができたというふうに記憶しているんですが、そうすると、平成十一年というのは、基準を変えたという意味、それとも八五年基準に基づいてそれを出したんでしょうか。
  62. 藤冨正晴

    藤冨政府参考人 お答えします。  先生のおっしゃっている八五年基準というのがよくわかりませんが、もともと、通産省が原子力発電所の安全審査をし、許可するときには、その審査書に基づいて物がつくられ、年に一度、厳密に言うと約十三カ月運転してから、機器の重要なものについて、とめる、冷やす、閉じ込めるというような主要な機器についての点検をして、また次の十三カ月運転するというステップを踏んでおります。
  63. 山谷えり子

    ○山谷委員 その辺に関しては、資料公開とか情報公開を進めながら、本当に多くの人に安心感を与えられるようなやり方でお願いしたいというふうに思います。  つい七月二十一日に、茨城県沖の地震で、福島第一原発、これは発電用タービンにある水蒸気を逃す弁に取りつけられている細い管が、温度の上下による疲労で劣化してひび割れて、もちろん放射能が漏れるような場所ではなかったので問題はないんですけれども、ただ、耐用年数の問題とか地震の問題とか、やはり国民は不安に思うわけですね。  ですので、定期検査の項目の見直しとか、あるいは耐震性、信頼実証試験の技術レベルが今上がってきているわけですから、そういうのはもう新しい技術、知見レベルでやっていらっしゃるのでしょうか。
  64. 藤冨正晴

    藤冨政府参考人 お答えします。  通産省は、今までに原子力発電所のいろいろなトラブルを水平展開することとか、世界各地で起きましたトラブルを含めてですけれども、そういうものをそれぞれの発電所ごとに評価しております。  それから同時に、最初に設置許可を受けたときから新しい知見ができたものについても反映するように、ここ十年弱にわたってですけれども、定期安全レビューというのを行っております。これを古い原子力発電所から順番に、大体、年に三、四基ぐらいずつ今やっておりまして、これについても一年ごとに、でき上がったところで一般の方に公表して、評価しております。つまり、今までの知見とかトラブルを反映して、ユニットごとに古いものから、またさらにそれを十年間見直すというような定期安全レビューをやっております。
  65. 山谷えり子

    ○山谷委員 頑張ってください。  大島長官にお伺いしたいんですけれども、私は、太平洋経済協力会議というところでエネルギー部会の委員をやっておりまして、アジアのエネルギー事情を、国際会議とか取材、ヒアリングに回ったりしておりますと、中国なんかも本当に人口増で、その方たちがいい暮らしを求めて原子力発電所がどんどんできておりますし、それから、インドなどは大分老朽化した原子力発電です。日本はもちろん、もっともっと気をつけなければいけないことはたくさんあるわけですが、アジア諸国に比べますと技術力というのは大変高いわけでございまして、アジアに対する原子力発電技術関係での貢献とかその方向をどのようにお考えでございましょうか。
  66. 大島理森

    大島国務大臣 かつて環境庁長官をやっておりましたときに、アジアのエネルギーの変化、GDPの成長とともにアジアのエネルギー需要動向というものをいろいろ勉強したりしまして、その推移のとおり化石燃料で全部賄おうとすれば大変なことになるなという思いは、今ふと先生の御意見を聞いていて思い出しておりました。多分、そういう意味で、原子力の問題というのは、非常に大きなエネルギー問題というのは出てくるわけでございます。  もちろん、我が国は平和利用安全確保を大前提にして、アジアの皆様方との原子力国際協力、積極的な役割を果たすことが国際貢献という意味でも大変重要だろう、こう思っております。技術あるいは人材交流、安全規制等に対する協力等を中心にこれから大いに積極的に貢献してまいりたいと思います。そういう意味で、本年の十一月に、第一回アジア原子力協力フォーラムというのを開催したいと思っておりまして、そういうことをきっかけにしてアジアへの貢献というものをより積極的に進めてまいりたい、このように思っております。
  67. 山谷えり子

    ○山谷委員 本当にぜひ、世界環境問題に対する貢献にも同時になりますし、それから外交、平和のカードにもなるというふうに思いますので、積極的に進めていただきたいと思います。  最後に、ちょっと教育問題にかかわることになってしまうのですけれども、中学、高校の教科書を見ますと、エネルギーに関する指導が非常に偏りがあったり薄っぺらだったりというようなことを感じまして、これはマルかバツかという一つの答えじゃないわけですね。それこそ、スウェーデンは一基とめたよ、ドイツだって原子力発電を引き揚げるよなんという、各国の事情とか、それからエネルギーのいろいろな側面をとらえて多角的に複眼的な物の見方というのをつくっていかないと、このエネルギー環境問題でいい教育というのはできないというふうに思うのです。  ですから、ディベートとかディスカッションとか、本当にマルかバツではないような新しい教育カリキュラム、それも小学校ぐらいの段階から、ヨーロッパなんかは随分立派な教科書をつくって、全欧で統一してやろうなんという、非常に熱意を持ってやっておりますけれども日本でもそのようなことをしながら、エネルギー環境問題で世界でリードをとっていくような若者たちをつくっていっていただきたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。
  68. 大島理森

    大島国務大臣 文部大臣として、今の御意見をちょっと拝聴して、社会科とかあるいはそういうふうなことを見てみて、本当にいい視点だと思うので、いろいろ考えてみたいと思っております。
  69. 古賀一成

    古賀委員長 次に、津川祥吾君。
  70. 津川祥吾

    津川委員 民主党の津川祥吾でございます。  まず初めに、宇宙開発について御質問させていただきます。  きょうも質疑の中で何回か御指摘がございましたが、いわゆるH2ロケットの人工衛星の打ち上げ失敗ですとか、あるいは文部省の方になりますが、ロケットの打ち上げ失敗等々、幾つも、つい最近になりまして日本宇宙開発において一つの陰りが見えてきているというふうに言われております。  そんな中で、宇宙開発政策大綱というものが平成八年に改定されて以後、五年たっているかと思います。まさにその間に多くの行き詰まりを見ているわけでありますが、この大綱について見直しの計画があるか、あるいは、あるとするならばどういった形で見直しを考えていらっしゃるのか、大臣の見解をお願いいたします。
  71. 大島理森

    大島国務大臣 宇宙開発政策大綱は、我が国宇宙開発の基本的な施策を決める長期的な指針を示すもので、開発委員会策定しているものでありますが、先生おっしゃるとおり、もう既に前回から五年たっております。したがって、本年六月に宇宙開発委員会において、現行の政策大綱にかわる中長期の戦略の検討を開始しております。私も二回ほど出席をさせていただきましたが、大変活発な御意見をちょうだいしておりまして、そういう意味で、できるだけ二十一世紀幕あけにふさわしい宇宙開発の中長期戦略が策定されますよう最善を尽くしてまいりたい、こう思っております。
  72. 津川祥吾

    津川委員 その件に関連いたしまして、幾つかちょっと具体的にお答えいただければと思うことがあるのですが、最近の宇宙開発の中で、よく新聞報道に出てきますのが、いわゆる宇宙基地開発の問題であります。  日本だけではございません、日本とアメリカとヨーロッパで共同でやっておるという報道がなされておりますが、そういった中で、日本だけがひょっとしたら置いていかれるのではないか。あるいはHOPEの計画なども、一時は随分報道されておりましたが、最近全く見なくなってきている。こういった計画が見直しのあり得る項目に入っているのかどうなのか、できれば大臣の見解をお願いいたします。
  73. 結城章夫

    結城政府参考人 まず、国際宇宙ステーション計画でございますけれども、これは日本も参加しておりまして、日本の実験棟、JEMというものが今、打ち上げはまだ二、三年先になりますけれども、準備をしておるところでございます。  それから、HOPEの問題でございますが、HOPEの実験機の計画がございまして、これをどうするか、今宇宙開発委員会の方で、来年度の予算をどう取り扱うかということで御審議をいただいているところでございます。
  74. 津川祥吾

    津川委員 科学技術庁宇宙開発事業団ロケットの打ち上げ失敗等々、失敗が続く中で、先ほどの大臣のお話の中にも何度か出てまいりました、まさにその失敗をどうやって今後生かしていくか、あるいは同じ失敗をどうやって繰り返さないか、こういった話になるかと思いますが、一部のお話の中では、いわゆる失敗学といったもののいわゆる学術的なアプローチをとっていくべきではないかというお話があるかと思います。  大臣も恐らくそういった考えに立たれているかとは思いますが、この宇宙開発分野においてまさに失敗学をどのように活用していくのか。あるいはまた、この失敗学というものが、単に一つ分野だけではなくて、それ以外の科学技術開発分野にも応用可能であるかと思います。応用を十分にしていった方が、それ以外の科学技術に関しましても非常に研究にプラスになるのではないかと思いますが、そういった点についてお答えをいただきたいと思います。
  75. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 先ほど奥山委員の御質問にもあったところでございますけれども、御案内のように、最近事故が続いております。そこで、宇宙開発委員会で再発を防止するための改革方策というものを本年五月に取りまとめておりまして、これをもとに、特に来年二月にはH2Aロケット、これは初号機でございますけれども、絶対に成功しなければなりません。これに向けてエンジンの燃焼試験等の開発試験充実を図るなど、宇宙開発事業団メーカー一体となって今取り組んでいるところでございます。  特に、事業団では、製造過程での検査、これを回数をふやすなどより厳しくする、また、製造技術検査技術専門家を多く活用いたしまして、品質の高いものをつくるという努力をしておよりります。また一方、つくっておりますメーカーの方も、情報を一元化することが大事だろうということで、宇宙開発事業団と一緒にエンジン合同開発チームというのを設置いたしまして、現在、所要の取り組みを実施しておるところでございます。  少し細かい話になりますが、例えば今のLE7というエンジンは、発注先が少しばらばらでございまして、そういったことも一つの原因になるということで、できるだけチームでよく情報交換をしながらやっていこう、こういうことが大事であろうというふうに考えておるところでございます。また、適宜当庁からもまた宇宙開発事業団の方に実施状況について報告を求めまして、適切に指導してまいりたいというふうに考えております。  最後に、失敗学というお話がございました。  先ほども大臣の方からお話があったわけでありますが、八月一日に失敗知識活用研究会という研究会が立ち上がっておるわけであります。来年の三月、本年度末までに一応の報告をしていただくということで、要は、失敗の中には、先ほども大臣がお話ししたように、いい失敗、悪い失敗と言っていいのかどうかわかりませんが、不注意の失敗というのはよくないと思いますけれども、予見できなかった失敗、やってみて初めてわかった失敗というものが多々あります。そういうものをきっちりとデータベースとして蓄積をして、そして情報公開できるものはできるだけ情報公開をすれば、社会全体として、新たな研究開発の際にセキュリティーマネジメントといいますか、安全学につながる。同時に、全体のコストを下げるという意味で大変公益に帰するという考え方のもと、八月一日にこういう研究会スタートをいたしております。  まだスタートしたばかりでございますから、どの分野でどういうことが生かされるかということについては、今の段階では何ともお話はできないわけでありますが、先生方に頑張っていただいてきっといい結論を出していただけるというふうに考えておるところでございます。
  76. 津川祥吾

    津川委員 今のお話を伺っておりますと、実は一点、整合性がないのかなと思われる部分があったのですが、確かに、失敗学といいますか、失敗知識活用を大いに進めていくべきだ。先ほど、大臣のお話の中でも、失敗というものに対してもっと寛容であるべきではないかというお話がございました。  ただ、今お話のあった中で、来年、H2Aロケットの打ち上げは絶対失敗してはいけないというお話があったかと思います。絶対ということはこの中ではなかなか言えないわけでありまして、つまり、こういった多くの部品、多くの基礎技術をまとめて一つ成果を出そうとする場合には、必ずどこかでミスが起こることがあり得るということをまず前提にするべきではないか。もちろん、ひょっとしたらこれは失敗するかもしれないといってやることはないわけでありますが、ただ、もしこれが何らかの段階でミスが起こった場合、最悪の場合どうなるのか、こういったことの想定も当然していかなければならないわけですし、そういったいわゆる危機管理の部分というものが今まで日本の中で不十分であったというのも、いろいろな部分で指摘をされていることかと思います。  先ほどのお話の中にございました、いわゆる原子力分野においても全くそのとおりでありますし、あるいは昨今お話になっております雪印の問題につきましても、やはり危機管理がなっていなかったのではないかというお話がございます。この宇宙開発の中でも、危機管理というものをぜひ活用していただきたいし、これから起こるであろう失敗についてもしっかりと把握をしていただくような努力をしていただきたいと思っております。  それから、平成十三年に省庁の改編がございます。文部省と科学技術庁の統合がなされるかと思いますが、宇宙開発分野におきましては、まさしく科学技術庁の部分と文部省の部分、アカデミックな部分がそれぞれあったわけでございますが、これが統合されることによってこの宇宙開発分野の組織がどのように変わるのか、あるいはその方向性がどのように変わっていくのか、もし決まっていることがあれば御見解をいただきたいと思います。
  77. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 まず、先ほどの絶対にというのは、ちょっと言葉は適当でないというふうに思います。言われるとおりだと率直に認めさせていただきたい。経験は生かしていきたいということであろうと思います。  今の委員の御質問でございますが、今まで我が国宇宙開発は、御案内のように、天文衛星やその他の打ち上げのためのロケット実験など、学術分野の基礎研究、こういうものは文部省の宇宙科学研究所で行ってまいりました。また、国の施策として、実用化を視野に入れて衛星やロケット技術開発を行う、これは宇宙開発事業団の仕事として行ってまいりました。また、技術開発につながる先行的、基礎的研究を行う航空宇宙技術研究所、この三つの組織で行ってきたところでございます。  それぞれの役割分担があるということで今申し上げたわけでありますけれども、御質問にお答えをさせていただきますが、省庁再編後はこれら三機関は文部科学省のもとで宇宙関係の科学研究技術開発をともに進めるということになります。したがって、この機会に三機関の連携協力を一層強化いたしまして、施策の融合化を進め、宇宙開発信頼性と効率の向上に努めてまいるということをしっかりと認識していかなければいけないというふうに考えております。  既にことしの二月より、科学技術庁、文部省及び、先ほど申し上げました宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所、宇宙開発事業団の三機関による協議会を開催いたしておりまして、さらなる連携協力を深めるための協議というものを進めております。この取り組みをできるだけ充実させまして、省庁統合後も我が国宇宙開発体制というものをより確実なものにしていきたいというふうに考えております。
  78. 津川祥吾

    津川委員 科学技術庁と文部省が統合されても組織的には統合されないというお話でございました。もちろん、そもそもの役割が違うから組織が違うんだという話かもしれません。  ただ、例えばロケットを打ち上げる技術ということに関しますと、確かに、液体燃料であったとしても固形燃料だとしても、やはりそれぞれ共通する技術というのは非常に多いと思います。先ほどの失敗の話にもございますが、まさにこういったところが一緒になってやるべき分野というのは非常に多いかと思いますが、そのために、組織が三つあって、それぞれが連携強化するというレベルで果たしていいのかどうなのか。むしろこういった部分に関しては一つ分野にして、その中で分担をするような、例えば部会のようなものをつくっていくといった方向性の方がいいのではないかと思いますが、もう一度質問させていただきます。組織三分野に当たりまして、一つの組織に統合するという計画はないということでございましょうか。
  79. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 計画はないかということでございますが、今、連携強化という議論をさせていただいております。そういう中で、さまざまな可能性として将来にそういうことがないとは言えないと思います。しかし、現時点では、先ほど申し上げましたような形の中で、より連携強化を進めていくということを考えておるところでございます。
  80. 大島理森

    大島国務大臣 私は文部大臣もやっておりますので、今の先生の御指摘を伺っておりまして、今政務次官がお話ししたとおりなんです。むしろこれは、二省庁が統合することによって、より効率よく整合性を持ってやれる分野だと思っております。そして、それぞれの目的の違いを生かし合いながら、共通する部分は、例えば予算上の問題も、あるいはハードの面でも、あるいは人的交流でも、大いに生かし合って、私は、むしろ省庁統合をしたことによってよき成果が出るようにできる分野だな、そういうことをやりながらずっとやっていくことによって、さっき政務次官がおっしゃったようなこともあるいはあるかもしれませんが、来年からのスタートに当たってはそういう心構えでやっていきたいし、いい成果を出したい、こう思っております。
  81. 津川祥吾

    津川委員 つい最近の日本宇宙開発失敗の事例の中に、先ほども指摘がございましたが、例えばそれぞれの発注がばらばらであるというようなお話がございました。確かに日本の生産技術というのは非常に高い。それぞれの生産部品は非常に優秀であるけれども、今回こうやって事故が多発したのは、まさに技術技術の境目の部分のところ、あるいは部品と部品の境目のところで事故が起こった、そういったお話、指摘もございます。  そういった話を聞きますと、個々の部品ですとか、それぞれの部署を何とかして管理するというのではなくて、宇宙開発全体あるいはロケット計画全体のシステム的な管理をするべきではないか。これは、いわゆる製造業の中で多く出てまいりますが、ISO的なシステムの管理というものが非常に優秀であると言われております。この宇宙開発分野においても、それぞれの部品の品質管理ももちろんですが、全体としてのシステム管理をするべきではないかと思いますが、御見解をお願いいたします。     〔委員長退席、平野委員長代理着席〕
  82. 渡海紀三朗

    渡海政務次官 委員おっしゃるとおりだというふうに思っております。現在考えておりますことは、先ほども申し上げましたように、やはり製造過程できっちりと検査をする、チェックをするというふうなことも大事でございましょうし、さまざまな品質保証を実行するための担保といいますか、施策、やり方を講じていくことは大変大事なことだというふうに思います。  その中で、宇宙開発事業団も、種子島宇宙センターについては本年中にISO9000の導入というものを進めておりまして、本年度中には認証を取得できる予定でございます。主要なさまざまな事業部があるわけでございますが、そういったところでも、平成十三年度中の認証取得を目指して現在準備を進めているところでございます。また、それぞれのメーカーは、メーカー独自の作業として、既にそういったさまざまな品質管理、工程管理をやられておるところでございまして、今後そういったことを大事にしながら、しっかりとやっていきたいというふうに思っております。
  83. 津川祥吾

    津川委員 引き続きまして、次の質問に移らせていただきます。  先ほども原子力発電、エネルギー政策の問題が出てきておりますが、新エネルギーの技術開発につきまして、現状でどうなっているのかということについてまず御質問をさせていただきたいのですが、それに関連いたしまして、いわゆる住宅用の太陽光発電の普及ということで、国費による補助事業というものがなされているかと思われます。この制度そのものがもう既に七年間実施をされている。あと二年ほど継続されるというお話を伺っておりますが、どの段階で市場の自立化を図ろうとするのか、あるいはその市場の自立化を図るめどとしてどういったものを使っているのか、そういったことについて見解をお願いいたします。
  84. 大島理森

    大島国務大臣 新エネルギーにつきましては、先ほどもちょっと議論の中でありましたように、環境という問題、まさにその視点からのいろいろなエネルギーを研究開発し、確保していかなければならないというのは日本の大きな宿命だろう、こういうふうに思っております。  平成七年の七月に内閣総理大臣のもとで決定されたエネルギー研究開発基本計画に基づきまして、確かに太陽光発電、風力発電、燃料電池の研究開発を実施中であります。  我が科技庁におきましては、波力エネルギーの先駆的、基盤的なエネルギー研究開発を進めておりますけれども、今先生が御質問された、太陽光の実用化はいつごろなんですかという御質問だったでしょうか。
  85. 津川祥吾

    津川委員 実用化といいますか、これを国費で補助事業をされているわけですが、それを……
  86. 大島理森

    大島国務大臣 それの成果は一体今どうなのかということですか。それでは、通産省の方からちょっと。
  87. 河野博文

    河野政府参考人 住宅用の太陽光発電の導入でございますが、これは先生も御承知のように、この普及促進ということで、私ども、新エネルギー財団を通じて設置費用の一部を助成いたしております。これによりまして、初期需要の創出とシステム価格の低減を促すということでやっています。  この結果、実は近年かなりの値下がりを見ておりまして、過去六年間でおおむね三分の一ないし四分の一まで値段が下がってきているという状況でございます。そういう意味で、一般設置者の方々環境意識の高まりと両々相まって、本年度はどうも昨年の倍以上のペースでの申し込みが急増しているという状況にあるわけでございます。  最終的には、私どもは、これは普及に当たって助成措置を必要としないでも需要者の皆さんが購入していただける、そこまでこのシステムの価格が下がって市場が自立化するということを目指しているわけでございます。  今御指摘にもございましたように、この制度は現在のところ、終期を平成十四年度末ということにしているわけでございまして、これに向かいまして、メーカーの皆さんに対してはコストダウンの時間的目標を持っていただく、そして価格引き下げ努力をしていただくということで、何とか市場自立化の目標時期を、ここを目標としてやっていきたいなというふうに考えているところでございます。  またさらに、太陽光発電などのいわゆる新エネルギーの導入促進策のあり方につきましては、現在、総合エネルギー調査会新エネルギー部会あるいは総合部会の審議が行われておりますので、さらに必要なことがあれば検討してまいりたいというふうに考えております。
  88. 津川祥吾

    津川委員 今新エネルギーについての質問をさせていただきましたが、その中で、実は私自身注目をしているのが、いわゆる燃料電池についてであります。  今までの新エネルギーというものは、環境には非常に優しいけれども、残念ながらなかなかその発電量というものが大きくならない。その原因の一番大きなものがエネルギーコストである、余りコストが高くなるようであれば実用化はなかなか難しいというお話でございましたが、この燃料電池の技術的な現在のところの課題と今後の研究の予想、実用化のめど、普及目標等ございましたら、お願いいたします。
  89. 河野博文

    河野政府参考人 御指摘のとおり、燃料電池はエネルギー効率も高いですし、また環境負荷も低いということで、今後のエネルギー環境技術の中でも恐らく重要な役割を果たし得るものだというふうに思っております。また、ある意味では、新規産業の創出という観点から見ても重要なものだというふうに考えているところでございます。  燃料電池の最近の動向でございますが、特に近年、この技術開発に関するいわゆる企業連携が活発になってきておりまして、二、三年前から、燃料電池自動車あるいは民生用の燃料電池コージェネレーション、この試作品が発表されているという状況にございます。二〇〇三年、四年ごろの商品化を具体的に標榜している企業もあるわけでございまして、ここのあたりを目指した開発競争が今加速しているという状況でございます。  こうした民間企業の皆さんの技術開発の支援を行うということで、私どもも、平成十二年度予算の中で燃料電池関係予算はほぼ倍増して八十億円余りということでお手伝いをさせていただいておりますが、特にいわゆるミレニアムプロジェクトということで、燃料電池の実用化、普及に欠くことのできない安全性、耐久性などの基準、標準の策定に向けて、さまざまな研究あるいは実証試験を行っているということでございます。  また、一つの課題は、例えば燃料電池にどのような燃料を水素源として提供するかということですけれども、こういうことも含めまして、昨年十二月から燃料電池実用化戦略研究会を設置して、各界の方々の御意見を伺いながら戦略の検討を行っているという状況にございます。
  90. 津川祥吾

    津川委員 済みません、私がいただいている手元の資料の中には、二〇一〇年には二百二十万キロワット供給目標というふうにお話をいただいておりまして、実は今これの見直しをされているというお話までいただいておりますが、これは上方修正だと思いますが、それがどの程度されるものなのか、もしそこまで決まっておりましたら、一言お願いします。
  91. 河野博文

    河野政府参考人 御指摘の数字は、確かに私どもが、いわゆる従来型のエネルギーの新しい利用形態という意味での新エネルギーの導入についての見通しを二〇一〇年に向かって策定したときの数字でございます。  現在、私ども、総合エネルギー調査会で、燃料電池のみならず、太陽光ですとか風力ですとか、あるいはバイオマスも含めた新エネルギーの導入見通し、これを再度チェックいたしております。来年に向かって新エネルギー部会などでの審議が続きますので、その過程の中で、この数字についても見直していこうというふうに思っております。
  92. 津川祥吾

    津川委員 次の質問も関連でさせていただきますが、原子力についてですが、原子力研究開発及び利用に関する長期計画というものの改定案が出されているかと思いますが、この基本理念について大臣にお伺いしたいという点が一つ。  それから、続きまして、その中に、いわゆる総発電量ですとか原発の基数といった数値が明記されていない。あるいは、いつまでにといった数字が出ておりませんが、そういったところの御答弁をいただければと思います。
  93. 大島理森

    大島国務大臣 今、長期計画を策定いたしております。それで、なぜ具体的な数字を挙げないのかという疑問を時々ちょうだいするのです。その中には、むしろこれからの原子力というものを、日本の戦後の原子力政策というのは、いわばアメリカから学んで、ヨーロッパから学んで、そしてキャッチアップして、そのためには何年計画で何基つくって何したらいいんじゃないかというふうなスケジュール計画というものが大事であった。  しかし、事ここに来て、先ほど来この科技委員会でも議論がございましたように、原子力という問題に対して多様な国民の意見が一方にあり、逆に言うと、こう言うとちょっとおしかりをいただくかもしれませんが、しかし、先進国の中で、これほどまた原子力エネルギーというものを割と真剣に使ってきた国もないという、ある意味では、原子力は一方においてかなり常識の世界に入ってきたねと。  だとすれば、もう一度、日本の中における二十一世紀原子力というものを国民の皆さんに考えてもらおう。どういう位置づけにしたらいいか、我々としてはこういうふうな位置づけにしたらいいんじゃないか。ある意味では初心に返って、国の中における原子力の位置づけの理念的なものにしていきたいという考え方がちょっとございまして、そういう意味で、今大いに議論をしているところでございます。  ですから、そこには何基あって、どうなって、こうなってということではなくて、もっと幅広く原子力というものを国民の皆さんに考えてもらいたいという気持ちの中で今度つくっているということでございますので、今後、皆さんからの意見の募集、いわゆるパブリックコメントというものですが、そういうものをしたりしながら策定をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  94. 津川祥吾

    津川委員 今のお話ですと、確かにパブリックコメントは重要でございますが、原子力について国民の皆さんによく考えていただくために数値を出さないというのはいかがなものかと思います。  国策としてエネルギー政策を考えていく以上は、こういった目標、計画を立てる、それをおかしいというのであるならば、それを修正するのももちろんやぶさかではない、こういった姿勢にしなければならないのではないかと思います。  それから、先ほどの新エネルギーの分野と関連いたしまして、十年後には新エネルギーの燃料電池で二百二十万キロワット以上予測されております。これがどのくらいのエネルギーであるのか。例えば原発で何基分になるのか、また同時に、原発をつくるとしたら何年ぐらいかかるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  95. 河野博文

    河野政府参考人 先ほどの二百二十万キロワットというのは発電規模でございますので、通常、最近建ちます原子力発電所は百万キロワットないし非常に大きいものですと百三十万キロワット以上でございます。非常に大まかな数字で恐縮ですが、二百二十万をそれで割りますと二基分ぐらいに相当するということかと思います。  建設に要する期間は、そもそも建設計画ができてから実際に運転開始するまでの期間は、用地の取得等々相当長期間を要しております。ただ、これは既に用地の取得を済ませている場所に建つ場合とそうでない場合、さまざまでございますので、一概には申せません。建設期間だけを取り出して申し上げれば、五年から十年の間だろうというふうに今申し上げられると思います。
  96. 津川祥吾

    津川委員 建設に取りかかればそのぐらいで終わるかもしれませんが、計画の段階から入ればもう少しかかるというのが常識的な判断かと思います。  十年後に新エネルギーがこれだけ発電供給量があるだろうというときに、それよりも先の原子力エネルギー政策を考えるときに、新エネルギーというものがその計画の中に入ってこないということは、私は不自然ではないかと思います。この長期計画の中に新エネルギーのあり方、特に燃料電池の分野というものもぜひ一言触れていただきたいということをお願い申し上げます。  時間がなくなりましたが、最後に一つだけお願いをさせていただきたいのですが、先ほど大臣が何度かお話をされました。これからの科学技術立国日本をつくっていくためにはまさに人材が重要である、そういった話の中に幾つかございました、評価の方法ですとか。  ただ、予算というお話がございましたが、予算が不足することによって研究開発がおくれることがあっても、予算を潤沢にすることによって研究開発が加速するということは私はなかなかあり得ないのではないか。まさに人材がどれだけ集まるかというところが一番重要になるかと思います。  先ほど、お子さんの理科離れの話がございました。体験学習をしてもらうべきだというのは確かに重要なことかと思いますが、それはまさに文部省的な部分であって、科学技術庁的な考え方をしますと、私はそれ以上にもっと花形的な分野が必要ではないか。例えば、かつてスプートニクがそうであった、あるいはかつては原子力もそうであった。だからこそ、そういった分野に多くの技術者が集まってきた。しかし、残念ながら、今日本にはそういった花形的な分野がない。そういったものをつくるべきではないか。  それと関連をいたしまして、実は私は、全く手前みそでございますが、燃料電池の分野というものがまさに花形の分野になり得るのではないかというふうに考えておりますので、ぜひお考えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。  質問を終わります。どうもありがとうございました。     〔平野委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 古賀一成

  98. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 まず、事故、トラブルに対する対策についてお伺いします。  昨年来、ジェー・シー・オー臨界事故ロケットの打ち上げ失敗、トンネル内のコンクリート落下などの事故が続き、一段落したと思ったところ、今度は雪印乳業の食中毒事故、三菱自動車の故障隠しといった、故意と言われても仕方のない事故が続発しております。  私は、昨年来の事故、トラブルについては、技術者あるいは経営者の責任感、倫理観の欠如によるものであり、技術的な原因の追求だけではなく、このことをあわせて、安全管理、品質管理の体制や組織の管理運営の見直しが必要であると主張してまいりました。科学技術庁では、昨年来の事故、トラブル等を踏まえ、原子炉等規制法の改正、宇宙開発体制の見直しといった改善策を講じているのでありますが、まず、それらが真に実効性が上がっているのかどうかを明らかにしたいと思うのであります。  また、のど元過ぎれば熱さを忘れるということでなく、新しい原子力安全規制の体制のもとで厳格に安全管理を行い、他に範を示していくことが重要でありますので、原子炉等規制法の改正後、各地に国の検査官等を配置し、保安管理を強化しているのでありますが、安全対策強化の実施状況を報告してもらいたいと思います。
  99. 今村努

    今村政府参考人 お答え申し上げます。  原子力開発利用に当たりましては、安全の確保が言うまでもなく大前提でございまして、事故の教訓を踏まえ、二度と同様の事故が起こらないよう、再発防止に最善を尽くす覚悟で今取り組んでいるところでございます。  昨年九月に発生いたしましたジェー・シー・オー臨界事故の原因は、直接の原因はジェー・シー・オーによる違法な行為によるものでございますけれども政府といたしまして、原子力安全委員会事故調査委員会の報告書を踏まえまして、昨年臨時国会で成立いたしました原子炉等規制法の改正によりまして、まず事業者及び従業員が守らなければならない保安規定の遵守状況に係る検査制度を法定して創設したこと、それから、原子力保安検査官を主要施設のございます地域に配置することによりまして、現場の日常監視体制強化するなどの措置を講じたところでございます。  具体的には、本年六月から、当庁につきましては、所管の主要な原子力施設が存在いたします青森県、茨城県、神奈川県、福井県、大阪府、岡山県の各地に原子力安全管理事務所などを設置いたしまして、現在二十三名の原子力保安検査官を配置したところでございます。  また、当庁所管の四十四の原子力施設、事業所を対象といたしまして、この七月から現地の保安検査官を中心といたしました保安規定の遵守状況に係る検査、これは法律施行後初めてのものでございますが、これに取りかかりまして、七月末現在、十一事業所における検査を実施したところでございます。現在これは実施中でございます。  さらに、先ほども大臣からお話がございましたが、大臣の指示によりまして、自治体が設置しておりますモニタリングポストで万一異常が検出された場合、速やかにそれが私どものところに通報されるよう、コンピューターネットワークシステムの改良に取り組むことにしたところでございます。  こうした形で、現場の日常監視の強化中心に、原子力施設の安全確保に万全を期しているところでございます。
  100. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今の質問は、つい先日も千葉県の労働者が法定限度を超える被曝をしたとの事故が発生しているからで、臨界事故を起こすような性格のものではないかもしれませんが、やはり、核燃料物質や放射性同位元素については事業者が緊張感を持って管理がなされるよう国の指導の徹底を要望して、次の質問に移ります。  原子力については、国民の信頼回復を図ることでも厳しい状況が続いています。そのような中で原子力開発利用長期計画策定することになるわけですが、現段階では、具体的な数字に欠けるなど、国民から見てわかりづらい点があります。  そこで、大臣として、今回の原子力開発利用計画によって国民に何を訴えかけたいのか、基本的な考えをぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  101. 大島理森

    大島国務大臣 確かに菅原委員おっしゃるように、今度の原子力計画は、先ほどの御意見もございましたが、具体的な数字が明示されないのはいかがなものかという御指摘はいただいております。  私たちが今、二十一世紀日本として原子力というエネルギーをどのように考えるかということについて、戦後五十数年、原子力利用しよう、それもエネルギーとして利用していこう、そうしなければ日本はやっていけないのだという、まずそこありきで今日まで参りました。そして、三十数%の電力エネルギーの源としての姿が今日の状態であるわけであります。  一方、御指摘いただいたように、ジェー・シー・オー事故等においての安全性という問題は、絶えず国民の皆さんからチェックを受け、そしてまた私どもも、おしかりをいただいたりしながらもそれに対応してきた。  しかし、先進国の中で、もちろん日本よりも大きく依存しているところがあるわけでありますけれども、三十数%の依存をしている原子力エネルギーというのは、ある一面、これは極端に言えば、おしかりをいただくかもしれませんが、いわゆる定着した形で原子力が使われている。  そういたしますと、今後、改めて日本として、原子力というエネルギーをエネルギーとして多面的に使ったり、あるいはまた、国民社会原子力をどのように考えたらいいんだというふうな観点とか、まさに高速増殖炉の問題もありますが、また、国際的にどのように考えたらいいのだろうか、あるいは、放射線というものを、今度はエネルギーというだけではなくて、もっと多面的に使うという視点からも考えてみたらどうかという意味で、理念的な考え方というものをもう一度原点に返って考えてみたい、そういうふうなところに重点を置いて今度の利用長期計画というものを今つくっているところでございます。  もっと言えば、大臣として、端的に国民にわかりやすくどういうことをおまえは言いたいのだというと、やはり二十一世紀原子力というものを平和的に使っていきましょう、そういうことのためにはいろいろこういう多面的な使い方もあります、しかし一方、原子力にはこういう欠点もありますよというふうなものを率直に申し上げながら、そして平和利用を問いかけていくということを今度の基本計画にしていきたい、こう思っております。
  102. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 政策に数字を入れる努力というものは、これは責任をとらされるので大変なことなんですが、これに関連して、今谷垣大臣もいるからなんですが、高レベル放射性廃棄物の最終処分については二〇〇〇年までという、大胆に検討いただいたことが法制化の実現にもなっていることと思い合わせまして、やはり、こういう数字を入れてはっきり政策を示せるような努力お願いしたいな、こう思っているわけです。  次に、ミューオン粒子を用いた研究について質問していきます。  原子力の話を続けますと、近年、大型加速器の開発により、原子よりさらに小さな素粒子を用いた研究が大きな広がりを見せ、原子力利用の新たな展開が見られるところであります。一口に素粒子と言っても、我々に比較的なじみのある陽子、中性子、電子から、質量のあるなしで最近話題を呼んでいるニュートリノまで多種多様ですが、その中で、私はミューオン素粒子に注目させられています。  ちょうど昨年、科学技術委員会で欧州の各研究所を視察し回った際、イギリスのラザフォード・アップルトン研究所で、ミューオンに関する日英の共同研究の話を大変興味深く見聞、拝聴したところです。それによれば、ミューオンを触媒として用いる新たな常温核融合の方式が提案されているのでありました。  そこで、まず、ミューオン核融合に関する研究の現状についてどうなっているか、お知らせしていただきます。
  103. 中澤佐市

    中澤政府参考人 お答えいたします。  今先生からお尋ねのありましたミューオンの核融合研究でございますが、これは、理化学研究所が中心になりまして、平成二年度からミューオン科学研究ということで日英の国際研究協力として実施してきているものでございます。  先生からお話ありましたイギリスのラザフォード・アップルトン研究所、ここに陽子加速器がございますが、その陽子加速器に、理研が開発して製作いたしましたミューオン発生装置というものを取りつけまして、最先端のミューオン研究を行っているところでありまして、先生のお話のミューオン触媒核融合実験というのもその一つでございます。  この研究といいますのは、陽子加速器によりまして陽子をタングステンというものにぶつけまして、そこからミューオンというさっきの粒子を発生させて、それを触媒として重水素と三重水素、トリチウム、これの核融合反応を起こそうという実験であるわけでございます。  これまでの成果という御質問でございますけれども、まだ小規模ではありますけれども核融合を起こしまして、毎秒三マイクロワットのエネルギーというものを百六十日間にわたって連続して発生させることに成功しております。  ただ、ミューオン核融合は、その原理について基礎的な理解を深める研究段階のものでありまして、効率的なエネルギー生産ということを行うためには、今後克服していかなければならない技術的な課題が幾つかある状況だというふうに承知しております。
  104. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今いろいろ報告をいただいたのですが、このミューオン核融合研究については英国の加速器を使って共同研究を実施しているのですが、やはり我が国も、同様の加速器を整備するなどして、ミューオン核融合に関する研究を積極的に進めていく必要があると思います。  そこで、ミューオン核融合に関する研究の今後の見通しも同時に報告していただきたいと思います。
  105. 中澤佐市

    中澤政府参考人 ミューオン核融合研究の今後の見通しということでございます。  まず、先ほど御説明いたしました理研とラザフォード・アップルトン研究所との研究協力、これは、実はことしの九月で十年間の共同研究期間が終了いたします。しかしながら、これをさらに十年間延長いたしまして、引き続きこのラザフォード・アップルトン研究所の加速器を使ってミューオン触媒核融合研究をまず継続することとしております。  また同時に、今後のもう一つ別な計画といたしまして、日本原子力研究所と、あと大学共同利用機関なんですけれども、高エネルギー加速器研究機構というのがございますが、この二つが合同いたしまして大強度陽子加速器計画というものが今計画されてございます。この計画におきましては、先ほどのラザフォード・アップルトン研究所の陽子加速器を六倍ぐらい上回り、六倍ぐらいの強さになりますけれども、一メガワットクラスの大強度陽子加速器の建設というプロジェクトでございます。  この計画におきましては、生命・物質科学研究とか素粒子といった物質の根源を解明するような研究を行うという計画であるわけでありますが、その一環として、ミューオン発生装置を設置して、先ほどのラザフォード・アップルトン研究所での研究をさらに発展させたようなミューオン核融合研究を行うことを検討いたしているところでございます。
  106. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大島大臣、これは要望なんですが、実はミューオン核融合は大変重要な研究課題になっている、私はこう思うわけです。ですから、ぜひ加速器の建設と同時に、このことに対する大臣の関心と配慮とを強く求めるわけです。  といいますのは、一昨年、アメリカのセンセンブレナー委員長一行が日本にやってまいりまして、アメリカではITER、核熱融合の予算の中止が通告されたわけです。しかし、日本ではこれを継続するわけなんです。ですから、私は、アメリカが中止したITERの研究予算をまた日本が出すということはどんなものかということ、これは有馬大臣にも問いました。しかし、こういう核融合は、これは地球防衛といったらいいか、新しい人類のエネルギー開発のために、どこの国が開発するとかしないとかは問題じゃなくして、これは人類の課題ですから、双方に予算を出すなら、もしミューオン核融合にも予算を出すなら私はITERの方も賛成する、こういうことでずっと大臣に質問してきた問題ですから、ぜひこの問題は、本当に日本がイギリスと先鞭をつけている問題ですから、大臣、このことにぜひ関心を持ってこの研究の方を進めていただきたい、こう思います。  さらに、ミューオンは加速器で人工的につくり出されるだけでなくして、宇宙線として我々の手のひらの面積に毎秒一個もの量が降り注いでいるのであります。この宇宙線ミューオンの検出装置を火山の近傍に設置すれば、エックス線、レントゲンと同様の原理で火山の内部構造が観測できると言われているわけです。火山については、有珠山の火山活動や三宅島の火山活動が住民方々生活に大きな影響を与えていることは御承知のとおりですが、そのような状況の中で、有珠山や三宅島の場合は、地震計などの観測機器の活用により事前にその火山噴火の危険性が察知され、このことが住民の素早い避難に結びついたことは、これは高く評価されるところです。  この火山噴火予知について、このような取り組みに加えて、さらに最先端の科学技術を応用していく姿勢も重要でありますので、この宇宙線ミューオンを利用した火山の観測研究の現状についても説明をしてもらいたいと思います。
  107. 結城章夫

    結城政府参考人 御説明いたします。  火山の活動を観測する技術、装置といたしましては、通常の場合、地震計、傾斜計、地球測位システム、GPSでございます、あるいは火山の表面温度の観測といったことが行われております。一方、理化学研究所におきましては、これらの観測法に加えまして、今先生指摘の、宇宙線ミューオンが火山体を透過する性質を利用して、火山体内部の直接観測を試みるという新たな着想のもとでの基礎的な研究を進めておるところでございます。  これまでの実績といたしましては、浅間山におきまして宇宙線ミューオンを利用した観測を試みまして、火口付近の大まかな構造を把握するといった成果を上げているところでございます。このような基礎研究は、将来の火山観測に新たな展開を与える可能性もございますので、今後の研究成果に期待しているところでございます。
  108. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 有珠山や三宅島の火山活動ばかりではなく、他の火山にも注意を払う必要があります。岩手山は平成十年ころから火山活動が活発な状態が継続して、今後の火山活動の推移が見えないために地元住民の不安が続いており、また産業への悪影響も及ぼされています。  そこで、再三質問してまいりました宇宙線ミューオンを利用した岩手山の観測の見通しについて、お答えをいただきたいと思います。
  109. 結城章夫

    結城政府参考人 岩手山につきましては、平成十年の二月ごろから地震活動や地殻変動が活発となりまして、平成十年九月には、雫石で震度六弱の地震が起こっております。現在は、地震活動や地殻変動は比較的落ちついておりますけれども、西岩手山の噴気活動は活発化しており、噴火の懸念が払拭されてはいない状況にあるというふうにお聞きしております。このため、岩手山の火山活動については、今後も気象庁による監視活動を注視していく必要があると考えております。  一方、岩手山でこの宇宙線ミューオンによる観測をする件でございますけれども、理化学研究所がことしの一月からフィージビリティースタディーを行いまして、その結果を踏まえ、岩手山におきましても、浅間山に続きまして宇宙線ミューオンを用いた観測を試みてみる予定でございます。  具体的には、観測機器の設置場所を今決めようとしておりまして、八月中にも決定し、十月から観測を開始する予定にいたしております。岩手山におきますこの宇宙線ミューオンの観測によりましてよい成果が得られることを大いに期待しておるところでございます。
  110. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大臣、この宇宙線ミューオンを利用した研究、ぜひ積極的に推進してもらいたいと思います。もしこれが成功すれば、日本世界に先駆けて開発した技術となり、カミオカンデの観測成果と相まって国際的注目を集めると思いますので、本当にこれは大臣、よろしく御配慮をお願いしたいと思います。
  111. 大島理森

    大島国務大臣 菅原先生は隣の県でございますし、昔から存じ上げておりまして、率直に、このミューオンというものにこんなに御熱心に取り組んでおられたというのは、初めて伺って大変いい意味での刺激を受けました。ミューオンの世界というのはまさにこれからだろうと思いますので、私もさらに勉強して、やれる範囲のところで進めてまいりたい、こう思っております。
  112. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大臣の積極的な答弁、ありがとうございました。時間が参りましたので、残余の質問は次に回しまして、これで終わります。  どうもありがとうございました。
  113. 古賀一成

    古賀委員長 次に、吉井英勝君。
  114. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私、最初にエネ庁の方から来ていただいておりますから、長期エネルギー需給見通しについて、九八年度に立てたものですね、この見通しどおり進んでいるのかどうか、そのところから質問をしていきたいと思います。
  115. 河野博文

    河野政府参考人 先生、今御指摘なさいましたように、現行の長期エネルギー需給見通しは九八年に策定されたものでございます。  その後の動きを見てみますと、すべてをトレースすることが今可能ではありませんけれども、例えば石油の依存度について申し上げますと、五五%から五二%に低減しております。あるいは天然ガス、あるいは原子力のウエートはそれぞれ上昇を見込んできたわけでございますけれども、現時点で一%程度増加したといったような、見通しの方向に向かった変化があらわれていることは御紹介できると思います。  ただ、他方で、需要面で申しますと、景気低迷の中で九八年度のエネルギー消費全体が第二次石油危機以来初めて、十六年ぶりでマイナスになるというようなことで、まず需要動向が変化をしております。他方、同じ需要動向の中でも民生、運輸部門は相当強い伸びを示しておりますので、この辺も私どもの見通しどおりかどうか、ここはチェックが必要だろうというふうに思っております。  また、供給面では、御案内のとおり原子力発電所の立地計画が長期化したり、あるいは原油価格がかなり上昇するといったような、見通し策定時とは異なる環境も生まれているというふうに思っております。  このため、現在の長期エネルギー需給見通し、あるいは各種の施策について、こうした変化を織り込んでエネルギー調査会において幅広く検討を行うということでございます。したがいまして、具体的な検討課題としては、需要面で民生などの分野にも重点を置いた総合的な省エネルギー対策ですとか、あるいは供給面で石油や天然ガスなどの安定供給に向けた取り組み、あるいは原子力、新エネルギーへの取り組み、こういったことを検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  116. 吉井英勝

    吉井委員 長期エネルギー需給見通し、二年前に立てたものがもう検討し直さなきゃいけなくなってきている。原発の基数についても全然違ってきているわけですね。ですから、この点では総合エネルギー調査会の二年前の判断、見通しが合っていなかった、合わないものだった、判断の誤りがあったといいますか、そういうことは既に出ていると思うのですね。  二年前のメンバーの方の中で、原発の基数にしても全然違ってきているわけですが、判断の誤りがあったことについて、余りそれは責任を感じていらっしゃらないというか、そういう感じです。一方、総合エネルギー対策推進閣僚会議の方で了承されているわけですが、当時の、二年前の閣僚の方はほとんどもうかわっておられていらっしゃらない。ですから、結局、わずか二年前に立てたものが、食糧をどうするかとか、エネルギーをどうするかという、これは基本的な問題ですが、これが本当に二年そこそこで何とも頼りないものといいますか、こういうふうになってしまっている。  私は、こういう点では、大臣にちょっと伺っておきたいのですけれども、エネルギー政策の基本というのは国会できちんと審議して決定をする。エネルギー政策、エネルギー需給見通しなどきちっと議論をして決めて、そこから原子力長期計画なりそれぞれの問題が出てきて、それに合わせて原子力をどうするかとかそういう議論が出てきて、そこから先がまたそれぞれの原子力研究開発予算をどうするかとか、あるいは再生可能エネルギーの予算をどうするかとか、本来そういうふうに議論がなされて、そして国権の最高機関である国会において決定して、最も重要な基本問題であるエネルギーなどというものを考えていくべきものだと思うのですが、私はこの点について、まず大臣に伺っておきたいと思います。
  117. 大島理森

    大島国務大臣 吉井先生、どうなんでしょうか。エネルギー見通しという問題について、国会の場で、議論はもちろんしていただくわけですよ、こうして今でも議論しているわけですね。国会で決定をする、つまり、法律行為的なことでエネルギー政策、エネルギーの需給見通しをつくるということになじむんだろうかなという思いがするのです。  それは、本当に科学的に、数字的に、専門的に検索をしつつ、そして見通しを立てるということもしなければなりますまいし、今後の経済見通しというものもまた、そういうふうな意味でかなり専門的にもいろいろな議論をしていかなければならない。  ですから、国会で決めるということよりも、このような例えば商工委員会でありますとか科学技術委員会でございますとか、そういう場面で先生方の所見をいろいろ議論していただくことを我々もいわば大臣として踏まえながら、そして専門的な、またそういう意味でかなり知見的な、そういう方々もそこに入れた上で、計画でございますから、そういうふうにした方が私はいいのだろうと思うのです。  法律的に国会で決定をする、そこに権利義務もある意味では派生していくような形で国会で決めるということになりますと、こういう経済動向の激しい中にあったり技術革新があったりする中で、どんなものだろうかなという思いで、必ずしも吉井先生の御意見には私は賛成しかねるなという思いで今聞いておりました。
  118. 吉井英勝

    吉井委員 まず、専門的、技術的知見というお話なんですが、その専門的な方たちが集まったはずのところがわずか二年前に決めたものがもう崩れてきてしまっている。  ですから、やはりそれはそういうところの御意見はいろいろ伺うにしても、きちんと審議をして、日本のエネルギー政策をどうするのか、需給見通しとあわせた表裏一体のものとして、きょうも先ほど来いろいろ議論がありましたが、例えば再生可能エネルギーをどういうふうに見通しを持って、そのための研究開発の投資をどう進めていくかとか、やはりそれは本来国会できちんと議論をして組み立てていくべきものであって、それが全然国会があずかり知らないところで、専門家なのかどういう方なのか必ずしもよくわからない中で長期需給見通しがまとめられて、それはいわば自動的に閣議了解ということに閣議で了承して、そしてそのもとで日本のエネルギー政策が進んでいく。私は、これはやはり本来の姿として逆立ちしていると思うんですね。  ですから、こういう点で、国会が審議して大事な基本的なものについては決定をしていく、そういう中でのエネルギー政策というものを組み立てていくということが大事だというふうに思います。  さて、そういう中で、次に引き続いて伺っていきたいのですが、では、今度総合エネルギー調査会の方も総合部会がつくられて、今年春の新聞を見ておりますと、原子力に批判的な人とか自然エネルギー促進の人もメンバーに入ったと大々的に載っておりました。マスコミでも、NGOの参加とか紹介されておりましたが、総合部会にNGOを入れると、今度は総合部会の下に、その人たちを排除した形でのエネルギー政策ワーキンググループというのをつくって、そこから排除してしまう。  せっかく総合部会に入ってもらって、今までのようにいわば原発推進派とかそういう人を中心にしてのものから、さまざまな角度から議論をして、そういう点では今までよりはより専門的に、また技術的にもいろいろな角度から議論しようということにしたのに、ワーキンググループにおろしてしまうことによってそこから排除したら、非常に意味をなさないことになると思うんですね。なぜそういうNGOの方たちを排除したのか、これを伺っておきたいと思います。
  119. 河野博文

    河野政府参考人 先生今御指摘がございましたように、総合部会には非常に幅広い方々、これはエネルギーの関係の供給の事業者の方ですとかあるいは需要家、それからNGOの方々、幅広い有識者の方々に参加をいただいているわけでございます。  御指摘の、総合部会のもとに設置されたエネルギー政策ワーキンググループ、ワーキンググループは実は二つございますけれども、これは文字どおり作業部会でございまして、茅部会長の御指名で、総合エネルギー調査会の各部会の部会長さんを中心に有識者の方々に参加をいただいて、エネルギー政策考え方ですとか需給像の定量的な複数シナリオ、こういったものを検討していく上で、総合部会に検討していただくたたき台をつくるような、まさに作業部会としての位置づけでございます。  一方、もう一つのワーキンググループはエネルギーセキュリティーのワーキンググループでございますけれども、こちらは国際関係、安全保障、エネルギーの関係あるいはリスク定量化分析、こういった分野専門家方々に参加をしていただいて、総合部会に出していただく報告を作業するということでございます。  こうした検討をいたしますけれども、結局、最終的に、もちろんNGOの方あるいは産業界の代表の方々が参加されている総合部会で審議をしなければ検討結果はまとまらないわけでございまして、あくまでそういう検討体制でございます。もちろん、ワーキンググループに属さない方々についてもオブザーバー参加は自由ということになっております。
  120. 吉井英勝

    吉井委員 エネルギーセキュリティーの議論はちょっとおいておいていいと思うのですね。  総合エネルギー調査会があり、総合部会があり、エネルギー政策ワーキンググループ、全部これは責任者は同じ方なんですね。二年前に見通しを誤った方が全部この責任者になられて、せめてその見通しの誤りを正して、きちんとしてやっていくならば、せっかく立場の違う人たちも入れて議論をしようというんだから、ワーキンググループの段階から入れて議論をするのは当たり前だと思うのですよ。それをなぜ排除したのかということをお聞きしたわけで、結局、排除の理由というのは明らかにできないというのが実態だろうと思います。  原子力委員会の長計策定第一分科会の報告書の中では、大事なことがあると思うのですね。「決定された政策等に沿った情報のみが発信されてきたことにより、国民原子力に対して密室性、閉鎖性の印象を抱いている。」やはりこれがだめだというのが今の反省なんでしょう。  そして、原子力に対してさまざまな意見を広く集めるんだ、こういうことになっているのに、総合部会ではわざわざ入ってもらったんだけれども、その部会の責任者、つまり二年前に方針を誤った方が責任者として自分のもとにワーキンググループをつくったら、今度はそこからは排除してしまう。これでは全然正せないことになってしまいますから、私は、こういうやり方というものは本当に根本的に改めなければいけないと思いますよ。そうでなければ、国会議論してつくり上げられるような責任を持ったものにならないし、一方、専門家がつくっているといいながら、つくっているところが非常に不透明で、しかも恣意的に、いろいろな意見を結集しようという方向が出ているはずなのに排除する。このやり方ではきちんとしたものはできない、直ちにこういうことは是正されるように強く求めておきたいと私は思います。  次に、原子力長計で「もんじゅ」、再処理工場の位置づけが出ておりますが、高速増殖炉は将来エネルギーの幅広い選択肢、有力な選択肢という位置づけで臨んでいくのか。あるいは高速増殖炉はもう選択肢じゃなくて、推進するのは当然という立場で進めていくのか。いずれの立場をとろうとしているのか、この点を伺いたいと思います。
  121. 中澤佐市

    中澤政府参考人 今吉井先生から御指摘のありました、長計の中での「もんじゅ」の位置づけの話でございます。  一言お断りしておきますが、この長計はまだ案が固まったものではなく、途中段階でございます。先ほどのお話ではありませんが、今回の長計策定は、分科会も策定会議も全部公開で議論をしておるものでございますから、そういう形になろうかと思いますが、まだそういうものだということであります。  それで、まさに今の審議されているたたき台の案には、「将来の非化石エネルギーの有力な技術的選択肢として位置付け、適時適切な評価の下にその研究開発を着実に進める。」と書いてございます。これは、いわゆる原子力発電と核燃料サイクルについての基本的な考え方の部分でございまして、ここの中では、核燃料サイクル技術につきましても、またその中の高速増殖炉サイクル技術につきましても、大変重要なもので推進しなければならないという考え方で整理されている中での文章でございます。
  122. 吉井英勝

    吉井委員 そこで、その有力な選択肢という考え方で臨むならば、実は、高速増殖炉については実際にはさまざまな炉型があります。タイプがあり、さまざまな方式があるんですね。溶融塩炉というやり方もあれば、増殖しない高速炉という考え方もありますし、さまざまなものがある。  だから本来、日本はちょっと走り過ぎて、十分な基礎研究の段階を飛び越して進んでしまったと私は思うのですが、この有力な選択肢、幅広い選択肢ということで基礎からきちんとやっていこうという立場であるならば、実は「もんじゅ」というのは原型炉ですから、商業化を前提としたものですから、そこへ進んでいくのじゃなしに、原型炉としての「もんじゅ」運転再開にこだわる必要はないと思うんですね。  本来、有力な選択肢ということは、逆に言えば、選択肢になり得るかどうかも含めてきちんとした研究を積み上げていくことが大事ですから、その点で、世界は高速炉をやめているのになぜ原型炉としての「もんじゅ」の再開なのか、ここのところを次に聞きたいと思います。
  123. 中澤佐市

    中澤政府参考人 吉井先生が今言われましたように、高速増殖炉サイクル技術というのは、確かに技術的な多様性を備えているものでございます。今回の長計の案の中でも、まさに炉型選択あるいは再処理法、これは湿式あるいは乾式、あるいは燃料の製造法、化合物燃料、金属燃料等々いろいろな技術的な多様性があるということをちゃんと指摘されております。そして、そのような考え方の中で、現在、サイクル機構と電気事業者などが協力して実用化戦略調査研究というのを行っておりますけれども、いろいろ多様な選択肢の中で検討しているところでございます。  ただ、この長計案の中にも同じ場所に、「高速増殖炉サイクル技術のうち、最も開発が進んでいるものは、MOX燃料とナトリウム冷却を基本とする技術である。」同技術評価をまず優先して行うことが必要であるというふうなことを述べております。つまり、「もんじゅ」はまさにその炉でございまして、そういう意味で、「もんじゅ」で発電プラントとしての技術信頼性を実証する、そしてその運転を通じてナトリウムの取り扱い技術を確立するということで、まさに原型炉としての所期の目的を達成するべく、これまでの御審議でも早期再開が適切であるというふうな考え方議論されてございます。
  124. 吉井英勝

    吉井委員 大体、「もんじゅ」方式がいいのかどうかということを含めて、これは根本的なところで問題が今あるわけなんです。それを、原型炉「もんじゅ」ということに固定してこれで進めていく、私はこのやり方というのは強行するべきじゃないというふうに思います。  あわせて、東海再処理工場を再開してプルトニウムを取り出すということが今考えられているわけですが、再処理して、そのプルトニウム循環は今うまくいっているのかどうかという問題があります。プルトニウム循環は今うまくいっていますか。
  125. 中澤佐市

    中澤政府参考人 プルトニウム循環と申しますと、まさに今御議論がありました高速増殖炉、あるいはその前の「ふげん」、あるいは軽水炉での利用という意味でのプルサーマル等々あるわけでございます。もちろん実験炉としては、高速増殖炉の実験炉としての常陽というようなところでも使っておりますし、そういういろいろなものがございますが、まさに高速増殖炉「もんじゅ」につきましては、ナトリウム漏れ事故以降、今まだ動いてございません。先ほど申し上げました位置づけの中で、早期再開を、理解を得て行いたいと思っております。  また、プルサーマルにつきましても、計画的に始めようというやさきにBNFLの問題が起こりました。ただ、あの問題につきましても、これも御案内のとおり、日英の合意ができて、これから具体的に全体として進んでいくだろうと思っております。そんな状況でございます。
  126. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、プルトニウム循環というのは今うまくいっていないわけなんですよ。うまくいっていない中で再処理工場を動かし出すと、プルトニウムはどんどん出てくるんです。これは使いようがないですから、プルトニウム余剰という問題が出てきて、国際的に不信を招きます。  そういう中にありながら、このプルトニウム循環方式に立ったエネルギー政策に固執する限り、ここから抜け出すことはできないんですよ。だからこそ、こういう問題を含めて、私は、エネルギー政策の大もとのところを国会できちんと審議して決定するという、そのことが最も大事だということを改めて強調しておきたいと思います。  ところで、六ケ所の再処理工場には、ジェー・シー・オーのような臨界事故が起こったときには自動的に終息させる装置がついているわけですが、東海処理工場には臨界を自動的に終息させる装置はついていませんね。これは一言、確認だけしておきます。
  127. 今村努

    今村政府参考人 お答えいたします。  東海再処理工場におきましても、仮に臨界になりましたときには、その途中の段階で、必要なボロン等の注入をする等により臨界を終息させることはできるというふうに思っております。(吉井委員「自動的にはないのですよ」と呼ぶ)自動的にという観点から見ますと、やはりそれは対処しなければいけないと思います。
  128. 吉井英勝

    吉井委員 自動的に終息させる装置というのはないんです。ですから、危険なままでプルトニウム生産とかプルトニウム循環に進むということは非常に大きな問題があるわけです。ですから、プルトニウム循環方式自身が今実際には崩れているわけですから、現在の再開の計画というのは、私はやめるべきだというふうに思います。  それで、再処理工場の大量放射性ガスの放出も今国際的にも問題になってきております。OSPAR委員会は六月二十九日の総会で、海洋への放射性物質の排出、放出を見直すよう決議をしております。ヨーロッパはこの方向で、もっともフランス、イギリスの棄権したところは縛られないということになっておりますが、しかし、これは非常に大きな政治的な一つの力を生み出しておりますが、ヨーロッパのこうした動きを日本としても重く受けとめることが大事だと私は思いますが、この点については大臣に伺っておきたいと思います。
  129. 大島理森

    大島国務大臣 OSPAR委員会の決議に対しましては、重く受けとめるというより注意深く見守ることが必要だ、このように思っております。十五カ国のうち、十二カ国によって採択されたことは承知いたしております。  今、先生からもお話がございましたように、さはさりながら、フランスとイギリスはこれに対して棄権をした、このこともまた先生も重く受けとめていただきたいものだ、このように思います。この決議が再処理施設の操業や放出管理に対してどのような影響を与えるかについては、まだ必ずしも明らかではございません。したがって、私は注意深く見守る、こう申し上げたわけです。  いずれにしろ、我が国の再処理施設において、放射性物質の放出に係る影響が可能な限り少なくなるよう設計されるとともに、やはり厳正な安全審査と厳重なモニタリングというものが必要でありまして、そういう観点から安全性の確保を図るということが大事だ、このように思っております。  再処理というのは、私の青森県において商業ベースで今大きな工事が進んでおりますし、原子力という問題は何が何でも安全性というものを大前提にして考えるということを、原子力問題を問われるとき、必ず私は最後にそれをつけているんですが、言いながら、自分でそういう責任を感じてやっていかなきゃいかぬ、このように思っております。
  130. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたから、次のテーマはまたの機会にいたしますが、大臣の地元も六ケ所の、これはけた違いに日本でも大きな再処理工場ですから、OSPAR委員会の決議などはまさに大臣の地元にも非常に大きくかかわってくるものですから、注意深くという話ですが、重く受けとめて、やはり日本原子力政策全体にもかかわりますし、国民の安全にかかわる問題ですから、重く受けとめて対処していただきたい、見ていっていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  131. 古賀一成

    古賀委員長 次に、北川れん子君。
  132. 北川れん子

    ○北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。  私は、東海村にあります核燃料サイクル開発機構、旧動燃の運転再開及び高レベル放射性廃棄物の貯蔵についてお伺いしたいと思います。  東海村におきまして、二〇〇〇年六月二十三日付で国に対して廃液の処理先の方向づけをしてほしいというような要望を提出されたということをお伺いしたのですが、この要望書に対して国は回答書を出されたのでしょうか。もし出されたのでしたら、内容をお聞かせいただきたい。  そしてまた、ちょうどきのうなんですが、八月三日付の毎日新聞に、もうごらんになったと思いますけれども、高レベル放射性廃棄物、地上での冷却期間、安全確保に百年必要、国の方針の倍というか、本当は三倍になりますが、記事が掲載されました。この記事に対しての長官の御見解をお伺いします。
  133. 中澤佐市

    中澤政府参考人 まず、第一点の方でございます。  高レベル廃棄物を持って行き先をとおっしゃられたのだというふうに今思いましたけれども、そういう文書が出てきて、回答を出したのかという御質問でしたね。それは、東海村の核燃料サイクル機構の再処理工場の中にございます再処理工場から出てきた高レベル廃液、これはあそこでガラス固化体にしているわけでございますが、それをどこかに持っていってほしいということの要望があって回答したのかという御質問、ちょっと確認だけしたかったのでございますが、そういうことでございますね。
  134. 北川れん子

    ○北川委員 国に対して、あそこにはたくさんの貯蔵の廃液があるわけですから、それに対する方向づけがないまま再処理工場を運転するということに対しての不安みたいなものがあるから、それをガラス固化体という意味ではなくて、廃液のプールにありますよね、いろいろ。それに対して六月二十三日付——では、要望書はごらんになっていないというふうに見たらいいのでしょうか。
  135. 中澤佐市

    中澤政府参考人 東海村の方から国に対して要望書という形で何点か出てきております。その中で、高レベルの廃液をふやさないでほしい等々出てきておりますが、これについては現在、この要望に対して文書で回答することも含めて、どういうふうな御回答を考えられたらいいだろうかということで、これは国だけではなくて、サイクル機構等々にもあわせて出ておりますものですから、現在まだ回答は出しておりません。
  136. 北川れん子

    ○北川委員 新聞の意見に対しての長官の御見解をお願いします。
  137. 大島理森

    大島国務大臣 申しわけありません。新聞は見ていないものでございますから。
  138. 北川れん子

    ○北川委員 とても残念です。すごい大きな新聞であったわけです。東京版は小さかったのですよね、関西版がとても大きかったわけです。一面に出ておりましたので、ぜひ見てください。これは科学技術庁の見解の前提が崩れたということではないかなというぐらいの試算が出たということですので、ぜひ見てください。  そして、ガラス固化技術開発施設の貯蔵容量、四百二十本とお伺いしているのですけれども、現在、九八年三月末では廃液が四百五十三立米、ガラス固化体が六十二本。使用済みの燃料が一九八一年からこれまでで約千トン、それをすべて固化体にすれば約千本になる、大体こんな試算が出るかなというふうに思うのですが、ガラス固化体の貯蔵容量は先ほど言いましたように四百二十本ですね。四百二十引く千六十二ですからマイナス六百四十で、約六百四十本分は行き先がなく貯蔵できないわけですが、この廃液のままいつまで貯蔵されるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  139. 中澤佐市

    中澤政府参考人 貯蔵容量の能力等々につきましては、私、今正確に数字を把握しておりませんので、御指摘の数字を前提にしてお話ししたいと思いますが、まず、東海の再処理工場、これはさまざまな重要性がございまして、今運転再開をお願いしたいということでやっているところでございます。もちろん運転を再開すれば高レベル廃液も出てくるわけでございますが、これについては、処理をしてガラス固化体にしていくという形になります。  そして、今後の再処理の計画、これはお認めいただいてからではありますけれども、ガラス固化体の貯蔵能力に至るまでにはまだ数年あるわけでございまして、現在、これらの貯蔵問題について、もともと最終処分につきましては、先般の法律ができましたものですから、この秋に実施主体ができて、そこで実際の取り組みが始まるわけでございますけれども、それが二〇三〇年代あるいは二〇四〇年代半ばまでには遅くとも処分を開始するという計画で動いてございますから、それまでの間の貯蔵という問題については、これは東海ももちろん同じでございますけれども、その貯蔵の場所ということについては今後努力していく予定になってございます。
  140. 北川れん子

    ○北川委員 それは核燃料サイクル機構を再開するということが前提でのお答えだろうと思うのですが、私は、次に、なぜ今の時期に核燃料サイクル開発機構を再開するのかということをお伺いしたいわけです。  それで、一九九七年に、たった三年前なんですけれども、もうお忘れになった方もいらっしゃるかもわからないのでちょっと説明しますと、三月十一日に、午前十時六分ごろアスファルト充てん室で火災が発生しました。作業員が手動で一たんは消火したが、十時間後、午後八時四分ごろ爆発が起きて、室内の放射能が環境中に放出され、三十七人の被曝労働者が出た事故があったわけです。思い出してください。これは旧動燃でした。動燃の正規の職員はついておらず、下請作業員、こういう言い方をすると失礼になるのか、最近は協力関連会社という、作業員の方のみが運転操作にかかわっていらっしゃったわけですね。協力関連会社だということを強調されたのが岸本洋一郎理事でいらっしゃったわけですが、そういうふうにして、本来の職員の方はそこにいなくて、関連会社の方が三十七人被曝したという。  ことしの三月二十七日、茨城県知事、東海村村長に運転の再開を核燃が申し入れたということなんですが、どのような改善点を核燃の方から申し伝えられて、それで再開。安全点検とか点検をし直したとか、そういう一連の手続のことはもういいですので、重要な点、この事故においての改善点が何点あったのか、箇条書きでおっしゃってください。
  141. 今村努

    今村政府参考人 お答え申し上げます。  今お話がございましたように、この東海再処理施設におきましては、放射性廃棄物を処理するプラント、アスファルト固化処理施設が平成九年三月事故を起こしました。それ以来この再処理施設は運転を停止いたしておりますが、この間、核燃料サイクル開発機構におきましては、当該施設におきまして運転管理面の改善を行うだけでなく、自主保安活動の一環といたしまして、最新の技術的知見、運転経験などをもとにいたしまして、安全性確認作業の結果を踏まえまして、原子炉等規制法に基づく手続を経て、所要の設備、機器の改造など安全確保にかかわる改善措置を実施してきたところでございます。  この内容につきましては、科学技術庁に核燃料サイクル開発機構から報告がありましたほか、原子力安全委員会にも報告をされておりまして、原子力安全委員会におかれまして、その内容をつぶさにチェックされました上で、その内容について妥当なものというふうに確認がなされているところでございます。  具体的にどうかということでございますけれども、例えば、安全性総点検で明らかになりました事項は、原子炉等規制法に関連する改善事項は二百十六件とか、非常にたくさんの数がございます。それら一つ一つにつきまして、案件についてチェックをいたした上で、その所要の措置は終了したという確認が原子力安全委員会においてなされたところでございます。  以上でございます。
  142. 北川れん子

    ○北川委員 では、私の方から、具体的に教えていただいたわけなんですけれども一つは、中性子吸収材、硝酸ガドリニウムを設置した。それともう一つが、可搬型中性子測定器を二台置いた。それから三番目が、従業員は、事故があっても屋外退避をしないでも屋内で終息させるための訓練をしている。それが先ほどの吉井委員の分とつながると思うのですが、自動での終息機能はないということをもう一度ここで強調しておきたいと思うわけです。  実際、私は現場に入っていきましたら、床のところに臨界退避経路とずっと書いてあるわけですよ。その矢印が同じ方向だったので、何だろうと思ってお伺いしたら、五階のコントロール室に、臨界であろうがなかろうが、事象、事故が起これば全員集まるようにしたと。ジェー・シー・オー事故の以前は屋外退避であった。協力会社と合わせて再処理センターだけでは八百七十七名がいらっしゃって、これは三交代なんですね、三交代だから何名になるか、職員だけの数でいえば百数十名とおっしゃっていましたが、核ジャックとかいろいろな状況があるから、もう長官とか皆さん御存じだろうと思うのですが、とても狭く密閉されたところへ一気にがあっととりあえず集めさせるということは、私は、より危険だなと感じたわけですよ。  それで、お伺いします。屋外退避より屋内退避にマニュアルを変更された理由をお伺いしたいと思います。
  143. 今村努

    今村政府参考人 これは、平成九年三月のアスファルト固化処理施設の事故の教訓を踏まえた対応であるというふうに私ども理解しております。  アスファルト固化処理施設の事故におきまして、実際に中央制御室というところがあったわけですけれども事故のありました後、直ちに全員がそこから離れたということで、事故をきっちりとコントロールするというような体制が十分とれなかったということがその原因でございます。  したがいまして、東海再処理施設自体におきまして何らかの事故がありましたときに、オペレーターが全部そのプラントからいなくなってしまうということになりますと、そのオペレーターを管理することができないということから、安全の確認をいたしつつ必要な体制を講じるという意味で、中央制御室等の場所に所要の人がいて必要な措置を講ずる。したがいまして、そこには、例えば放射線の線量当量測定が実施可能になるように、放射線測定器が設けられたということでございます。  全体の構造をごらんになるとおわかりになろうかと思いますが、臨界になりますと、それは放射性物質が出るわけではなくて、直接の放射線が出るわけです。臨界の場所から中央制御室までは相当距離がありまして、その間、大きなコンクリートのブロックがあるということになるわけでございますので、そういう意味での安全評価もいたした上でこういう体制をとった、このように私ども理解いたしております。
  144. 北川れん子

    ○北川委員 では、マニュアルを変えたんだということで今聞かせていただきましたが、それは「もんじゅ」の事故の経験を生かしていないということを、もう一度点検していただきたいと思うのですね。  コントロール室であっても、皆さんを集めてみたけれども、何か起こっているそうだとかということで、作業員の方たちを行かせたじゃないですか、行ってこいとかと。結局、集めてももう一回行かせるとか、そういうふうなむだが、全員を集めることはとても危険だということをもう一度、マニュアルを変えられたんだったら、考え直していただきたいというふうに私は思います。  そして、つい最近も東海村でありましたよね。これは茨城県の東版ということで、読売新聞の朝刊でしたが、見ていらっしゃらない方が多かったかもわかりませんが、二〇〇〇年の六月二十九日ですね。東海村の核燃工場の核分裂生成物を含む廃液手順ミス、二十リットルが漏れるということで、牛乳瓶一本分ぐらいがぼたぼたと落ちていたということなんです。これは五月の八日の夜、事故か事象か知りませんが起きましたが、ちょうど準備運転中であったわけです。公表が六月二十八日ということで、事故隠しと言われているわけですが、原子力基本法の自主、民主、公開が、やはり旧動燃体質からは抜けていないということをここで私は思ったのです。  質問なんですけれども、このときの同事故後、漏えいフランジ部の処置はどうされたのでしょうか。そしてまた、そのフランジはどんな状態になっていたのか、お伺いしたいと思います。
  145. 今村努

    今村政府参考人 大変申しわけございませんが、今御指摘の点の具体的にどのような措置をとったかということについて、今ちょっと手元に資料がございませんので、それにつきましては後ほど調べて御返事申し上げたいと思います。
  146. 北川れん子

    ○北川委員 では、再処理を再開されるということでありましたら、この起こったことは、毎回毎回新しく起こるわけですから、新しい事象での資料をぜひこの委員会にお持ちいただきたいということをお願いしまして、私は、最終的になぜ運転を再開する必要があるのかというのは、先ほども出ておりましたが、プルトニウムの余剰、この点からお尋ねしたいと思います。  一九九八年末の国内のプルトニウムの在庫量は、科技庁原子力局核燃料課公表では、再処理工場内に五百三十七キロ、プルトニウム燃料加工施設内に三千五百九十六キロありますね。合計すれば四千百三十三キロとなるんですが、プルトニウムの在庫は大量であり、需給の現状から見れば余剰と思えるんですが、いかがでしょうか。これがまず一点です。  それから、プルトニウムの需要側、使う側、高速増殖炉「もんじゅ」、九五年十二月のナトリウム漏れ事故でとまったままです。そして、かつ、「もんじゅ」の施設の中には、新燃料として既にプルトニウムが三百六十七キロ貯蔵されているわけです。転換炉の「ふげん」は、九七年四月、冷却系から重水が漏れる事故があって、二〇〇三年廃炉の見込みであるということをつい先日お伺いしました。常陽も二〇〇三年一月まで定期検査に入っています。これを全部、需要側、使う側を見ますと、限りなくゼロなわけですね。  そうすると、海外からの供給部分、残るのはあと三十トンの引き取り義務、これは何かもう供給協定ができているということで、毎年毎年三十トン引き取らなければいけないと思うわけですから、余っている上にも海外からの三十トン、三十トン、三十トンが積み上げられていくわけです。余剰なわけです。  それで、国際公約を守るためにも余剰のプルトニウムを持たないことが肝要だというふうに、今まで日本政府はずっとこの観点を推し進められてこられたと思うんですが、これは余剰ではないのでしょうか。
  147. 中澤佐市

    中澤政府参考人 プルトニウムの問題につきましては、日本利用目的のない余剰なプルトニウムを持たないという原則のもとに、毎年プルトニウムの管理状況を公表し、また国際的枠組みの中での透明性向上をやってきております。  そして、今先生指摘のいろいろな数字がございました。  これにつきましては、先ほどもお話をいたしましたけれども、プルサーマルの計画等々あるわけでございまして、出てくるプルトニウムの利用という意味では、これは常陽、あるいは「もんじゅ」も将来お願いをしたいと思っていますが、プルサーマルの利用等々、いろいろあるわけでございまして、短期的な需給の問題というよりも、中期的に見て利用目的のない余剰のプルトニウムは持たないという考え方で我々はこれに対処していきたいというふうに思っております。
  148. 北川れん子

    ○北川委員 多分、私の数字が間違っていなかったからそういうふうに言われたと思うんですが、余剰ではないのですか。それには答えていただけていないと思うんです、今のお答えは。
  149. 中澤佐市

    中澤政府参考人 余剰とは思っておりません。
  150. 北川れん子

    ○北川委員 では何ですか。
  151. 中澤佐市

    中澤政府参考人 我々は、先ほども申し上げましたように、利用目的を持っているプルトニウムというふうに思っております。まさに先ほど申し上げたとおりでございます。
  152. 北川れん子

    ○北川委員 ということは、まさか、あの「もんじゅ」と言ったらいいのかどうかわかりませんが、皆さんには、もう五年前ですっかり、何かいつの間にか、五年間の間に新しい「もんじゅ」になっているというふうに思っていらっしゃるのかもわかりませんが、まさかあの「もんじゅ」を再開するようなお考えをお持ちになっていらっしゃるんでしょうか。  なぜ私がそういうふうに言うかというと、九五年の事故の結果、大量のナトリウム化合物、あのときビデオ隠しで、白い粉が雪のように舞っていた、それがナトリウム化合物であったわけですが、広範囲に拡散したわけですよね。その範囲はもう私たち人間の手の届く範囲ではなくて、あれ、ずっと換気口が回っていたということが後でわかりましたよね。すべてのところにあのナトリウムの化合物が入っていたわけですよ。  だから、鉄材とかマイクロチップや制御システム、接続端子とか配線とか、すべてに入っていた。この、すべてに入っていたということを科学者が言うのには、それはもう老朽化している。生まれる前にもう老朽化したという。  先ほども、原型炉のままで終わったらいいのじゃないかという御意見も出ていましたけれども、あれは実験と設計の両方に問題があったわけで、ナトリウムがずっと漏れていて、換気装置が稼働していたというわけですね。その結果、試運転中のこの原子炉の各部分は既に老朽化しているわけですよ。その老朽化率というか、そういう観点がおありになるかどうかということをお伺いしますが、老朽化率は何%ですか。
  153. 中澤佐市

    中澤政府参考人 まず、「もんじゅ」の安全性の問題でございますが、これは科学技術庁事故調査委員会の検討、それに基づく報告、あるいは安全委員会に対しての科技庁が行いました安全性総点検の結果の報告、それについての安全委員会の見解のまとめというような形でこれまでも必要な手続、段取りはやってきてございます。  そしてまた、今回の「もんじゅ」、どういうふうにしたらより安全な形でやれるかということで、ナトリウムの配管を太くする等々、いろいろな対策を今サイクル機構も準備をしてございまして、その考え方のもとに、方向性としてはいいのではないかというふうな考え方も示されてございます。  したがって、それが安全審査の申請という形で出ていったときに、安全委員会等々での御審議があって、安全であるということがそこで御議論の対象になって、結果、安全であるということになれば承認がなされ、そしてそれに基づいて改造工事が行われるという形で、安全については万全な形で進められていくものではないかというふうに思っております。
  154. 北川れん子

    ○北川委員 だから、それはもうほとんどすべてのことに対してそういうふうにお答えになるわけですけれども、私は、老朽化は何%かとお伺いして、安全審査の手順をお伺いしたわけじゃないわけです。老朽化したものに上塗りで幾ら塗っても、はげるということを言っているわけですよ。そういう視点で「もんじゅ」を点検されたことはあるんですかということを再度お伺いしたいのです。老朽化しているという面で。
  155. 今村努

    今村政府参考人 お答えいたします。  「もんじゅ」につきましては、もう既に実際の二次系の温度計の不備からナトリウムが漏えいいたしましてから相当月日がたつわけでございますが、その間におきまして、いろいろな角度から、現在の設備がどうなっているのか、あるいは、安全審査に照らしてどうか、技術基準に照らしてどうかということを繰り返し検討いたしております。したがいまして、今、老朽化の問題も含めまして、現時点で直ちに問題があるところがあるというふうには理解しておりません。  ただ、「もんじゅ」につきましては、まだ、その改造につきましては今後安全審査が必要でございます。その安全審査の際に、当然、水平展開的にそうした問題も、安全規制の一環であるいは原子力安全委員会におきまして改めて審査されることになりますので、その際、今の御指摘の点につきましてももう一度確認することになるのではなかろうか、このように考えております。
  156. 北川れん子

    ○北川委員 私は、新しい点で、老朽化率を入れていただくということをお願いします。  今、再処理工場をなぜ再開したいかということを言われたときに、まず四十トンの廃液を処理したいと。でも、百四十トンの貯蔵能力があって、九十トンあるわけですね。まだ入れておくプールがあるわけで、四十トンの処理をすれば四百キロのプルトニウムが出てくるわけです。  先ほどは余剰ではないということを強調されたわけですが、そうしたら具体的に使用先を、「もんじゅ」とかいうことが今一つ出たわけですが、プルトニウムを使用する目的、ほかの具体的な使用先を教えてください。何に使われるのですか。
  157. 中澤佐市

    中澤政府参考人 先ほども申し上げましたが、今後再処理によって回収されるプルトニウムにつきましては、当面、常陽、高速増殖炉の実験炉でございます。それから「ふげん」、これも平成十五年まで運転の予定があるわけでございます。それから、先ほど申し上げましたけれども、軽水炉によるプルサーマル。これは今後、もともとの計画に近い形で、もともとの計画ですと、二〇一〇年ごろまでに累積で十六基から十八基で軽水炉でのMOX燃料によるプルサーマルを行うということになってございますが、こういう形での需要というものが考えられるわけでございます。
  158. 北川れん子

    ○北川委員 ですから、それはもう私さっきから、それは限りなくゼロに近いでしょうと。ここ三年ぐらいのスパンで見ても、それは限りなくゼロに近いわけですから、そのことをまた述べられるということは、プルトニウムの使い先がない、ほかのことに、核の平和利用以外への転用を考えていらっしゃるのではないか。では、その点お答えください。
  159. 古賀一成

    古賀委員長 北川委員、時間が参っております。十一分まででございまして、何分か超過しておりますが、これを最後の質問ということで。  では、中澤原子力局長
  160. 中澤佐市

    中澤政府参考人 大変恐縮でございますが、先生が、限りなくゼロに近いという言い方をされました。私どもは、先ほどから何度も申し上げておりますけれども、そのようには思っておりませんで、利用目的のないプルトニウムというものではなくて、まさに利用目的を持ってそれを考えているということでございます。
  161. 古賀一成

    古賀委員長 長時間、大変御苦労さまでございました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会