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2000-08-04 第149回国会 衆議院 安全保障委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十二年七月二十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 岡田 克也君    理事 嘉数 知賢君 理事 金田 英行君    理事 浜田 靖一君 理事 吉川 貴盛君    理事 島   聡君 理事 田並 胤明君    理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君       麻生 太郎君    金子 一義君       菅  義偉君    杉山 憲夫君       高木  毅君    高鳥  修君       竹本 直一君    中山 利生君       中山 正暉君    仲村 正治君       西川 公也君    額賀福志郎君       宮下 創平君    谷津 義男君       山崎  拓君    伊藤 英成君       石井  一君    江崎洋一郎君       大石 尚子君    桑原  豊君       首藤 信彦君    長妻  昭君       渡辺  周君    冬柴 鐵三君       塩田  晋君    赤嶺 政賢君       山口 富男君    今川 正美君       東門美津子君    北村 誠吾君       松浪健四郎平成十二年八月四日(金曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 岡田 克也君    理事 嘉数 知賢君 理事 金田 英行君    理事 浜田 靖一君 理事 吉川 貴盛君    理事 島   聡君 理事 田並 胤明君    理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君       岩崎 忠夫君    金子 一義君       菅  義偉君    杉山 憲夫君       高木  毅君    竹本 直一君       中山 正暉君    仲村 正治君       西川 公也君    額賀福志郎君       林  幹雄君    宮下 創平君       森  英介君    谷津 義男君       山崎  拓君    安住  淳君       伊藤 英成君    石井  一君       江崎洋一郎君    大石 尚子君       桑原  豊君    首藤 信彦君       長妻  昭君    原口 一博君       渡辺  周君    冬柴 鐵三君       塩田  晋君    赤嶺 政賢君       山口 富男君    今川 正美君       東門美津子君    北村 誠吾君       松浪健四郎君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    国務大臣    (防衛庁長官)      虎島 和夫君    防衛政務次官       仲村 正治君    防衛政務次官       鈴木 正孝君    外務政務次官       荒木 清寛君    政府参考人    (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君    政府参考人    (防衛庁人事教育局長)  柳澤 協二君    政府参考人    (防衛施設庁長官)    大森 敬治君    政府参考人    (運輸省航空局長)    深谷 憲一君    安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君     ————————————— 委員の異動 八月四日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     森  英介君   谷津 義男君     岩崎 忠夫君   山崎  拓君     林  幹雄君   伊藤 英成君     安住  淳君   石井  一君     原口 一博君 同日  辞任         補欠選任   岩崎 忠夫君     谷津 義男君   林  幹雄君     山崎  拓君   森  英介君     麻生 太郎君   安住  淳君     伊藤 英成君   原口 一博君     石井  一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  国の安全保障に関する件     午後一時開議      ————◇—————
  2. 岡田克也

    岡田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国政に関する調査を行うため、本会期中、国の安全保障に関する事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡田克也

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 岡田克也

    岡田委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁人事教育局長柳澤協二君、防衛施設庁長官大森敬治君及び運輸省航空局長深谷憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡田克也

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 岡田克也

    岡田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤英成君。
  7. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 まず最初に、普天間の飛行場の基地の問題についてお伺いします。  これは防衛庁長官にお伺いいたしますが、普天間代替施設使用期限の問題について、先般、十五年という期限かなり先の話で、そのときの国際情勢を読むのは至難のわざだ、設定は困難である、こういうような話をいろいろされたりしたのですが、改めて防衛庁長官からこの使用期限の問題について、どのように考えるのか、お伺いいたします。
  8. 虎島和夫

    虎島国務大臣 ただいまの御質問に対し、お答えをいたします。  普天間代替施設使用期限の問題につきましては、政府としても昨年末閣議決定を行ったとおりでありまして、国際情勢もあって厳しい問題があるという認識は持っております。しかしながら、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長からの要請がなされたことを重く受けとめまして、これを米国政府関係者に対して取り上げておるところでございます。  政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、今後、国際情勢変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢につきましても米国政府協議していく考えであるわけでございます。したがって、このことについては、閣議決定のとおり最大の努力を継続して傾注する、閣議決定のとおり継続して精力的に交渉を進めていくというところでございます。
  9. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 閣議決定の文章の中に、「重く受け止め」てと書いてあるのですね。重く受けとめるというのはどういうことをすることですか。
  10. 虎島和夫

    虎島国務大臣 文字どおり重く受けとめるわけでございます。政府としては重く受けとめるということであります。
  11. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 重く受けとめてどうするのですか。十五年の使用期限はしっかりとセットをする、それを前提にして移設について考えるということですか。
  12. 虎島和夫

    虎島国務大臣 そういうことでございます。
  13. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 防衛庁長官としては、十五年の使用期限をセットすることを前提にしてこの移設考えるということと伺いました。では、そういうことでやっていただくというふうに理解をいたします。
  14. 岡田克也

    岡田委員長 聞いておられるわけですか。長官にもう一回確認を求めるわけですか。
  15. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 長官、もうそういうことでいいでしょう。
  16. 虎島和夫

    虎島国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、普天間代替施設使用期限の問題につきましては、政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、厳しい問題があるという認識もあるけれども、沖縄知事さん及び岸本市長さんからの要請がなされたことを重く受けとどめまして、これを米国政府関係者に対し取り上げて要請しているところであるということであります。
  17. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほど確認をいたしましたのは、そういうふうに重く受けとめてやるので、十五年の使用期限前提にして移設考える、防衛庁長官としては考えますということでいいですねと言ったのです。
  18. 虎島和夫

    虎島国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、これは、昨年末の閣議決定にあるとおり、政府としてはその実現に向けて努力していくということでございます。したがって、今後、国際情勢変化等に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢につきましても米国政府協議していく考えであるということを一括してお答えしておるところであります。
  19. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 いや、私が申し上げたのは、もう一度言いますと、閣議決定の中にもありますように、地元の方の希望もある、だからその十五年という問題については重く受けとめていくので、防衛庁長官としては、この移設は十五年という使用期限をセットすることを前提に進めますというふうにさっき言われたんですよ、それでいいですねと。だから、それは、はいそうですかノーですかだけだと私は思うのですが、先ほど申し上げたように、十五年の使用期限前提移設考えております、防衛庁長官としては考えておりますということでよろしいですねと。イエスならイエス
  20. 虎島和夫

    虎島国務大臣 在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢につきましては、先ほども申しましたように米国政府協議していく考えでありますし、また防衛庁としても、外務省ともども対応するわけでありますけれども、国際情勢が肯定的に変化するよう努力も重ねたいということでありまして、昨年末の閣議決定のとおり、努力を傾注するということでございます。
  21. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 いや、重く受けとめて云々という話、あるいは将来の兵力構成等についての話はまたあるんでしょう。しかし、この使用期限の問題について言えば、先ほど申し上げたように、それは十五年というふうに使用期限を限定することを前提にして進めます、先ほどそういうふうに言われたものですから、私はそれでよろしいですねというふうに再確認をしたところです。
  22. 虎島和夫

    虎島国務大臣 代替施設使用期限につきましては、繰り返し申しますように、国際情勢もあって厳しい問題があるという認識を持っておりますけれども、沖縄県知事さんあるいは名護市長さんから要請がなされておることを重く受けとどめて、これを米国政府との話し合いの中で取り上げる、そして、国際情勢変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢については米国政府協議を進めていくものである。要するに、この閣議決定事項を誠実に実現できるように努力をしていきたい、努力をするということを重ねて申し上げているところであります。
  23. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 重ねて伺うのですが、兵力構成等あるいは在日米軍基地のあり方の問題についても、それは将来国際情勢の状況を見て云々という話は、それはいいのです。私もそれはそうだと思うのです。  それで、普天間移設の問題について、さっき長官は、それは閣議決定に書いてあるとおりに重く受けとめてやると何度も言われたから、重く受けとめてやるという意味は、この十五年の使用期限については、これは移設について十五年ということを前提にして進めますということですねと確認をしたわけです。長官先ほど、はい、そうであります、こう言ったから、もう一度、それでいいですねというふうに私は確認をしたということです。
  24. 虎島和夫

    虎島国務大臣 重く受けとめるということは、沖縄知事さんあるいは関係市長さん、そういう方々が、いろいろな経緯があったけれども要請をまとめてこられたわけでありますから、そのことを重く受けとどめて交渉に入ります、交渉をやりますということでございます。  以上であります。
  25. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 防衛庁長官、もう一回伺いますが、今のようなお話で、では、政府としては十五年ということを条件にして交渉しますという意味ですね。
  26. 虎島和夫

    虎島国務大臣 そのような意見が出ておりますので、これを重く受けとどめて交渉をするということでございます。
  27. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 長官が実際に交渉するときに、どういうことを考え交渉するのかなというふうに私は思うのですが、もう一回伺いますが、十五年の使用期限前提にして、あるいはそれを条件にして交渉するのですね。
  28. 虎島和夫

    虎島国務大臣 沖縄の方の知事さん、関係市長さん、名護市長さんですけれども、からいろいろな要請が行われておるわけであります。そのことを重く受けとどめて政府交渉をいたします、実現に向けて努力しようという閣議決定があって、その閣議決定を誠実に履行していきたい、こういう決意を表明しておるわけであります。
  29. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の話はもうちょっと言いますと、では十五年の使用期限実現するために一生懸命で交渉しますと。それが重く受けとめて取り組むという意味ですね。
  30. 虎島和夫

    虎島国務大臣 申し上げますことは、軍事態勢がやはりいろいろありましょうから、本代替施設を含めての在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢について米国政府協議をするということでございます。これには当然地元意向があるわけでありますから、そのことは重く受けとどめて交渉をやるということであります。
  31. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もう一回聞きます。  地元意向を含めて交渉する、再度そう言われたですね。だから、十五年の使用期限実現するために交渉しますという意味ですね。
  32. 虎島和夫

    虎島国務大臣 これは申しますように、国際情勢変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢につき、米国政府協議していくということであります。この前提としては、沖縄県知事さんとか名護市長さんから要請がなされておるということを重く受けとどめるということでございますから、御理解いただきたいと思います。
  33. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 国際情勢変化に対応して在沖縄米軍兵力構成等について協議をする云々という話は、普天間移設そのものとは限らない。もっとほかの、基地全般のことも含むでしょう。  先ほど私が質問いたしましたのは、普天間基地移設についての使用期限の話でありますから、その部分について伺ったわけです。
  34. 虎島和夫

    虎島国務大臣 これも申しますように、地元意向を重く受けとどめますということです。それで、受けとめて、取り上げてきたところであります。  したがって、協議するというのは、それらの軍事態勢などを取り上げながら交渉していきたい、そういうことであります。
  35. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もう一回伺います。  地元意向を重く受けとめてやりますと。だから、その話は、もう一度申し上げますと、普天間移設の問題については、十五年の使用期限を、十五年を前提に進めるのですね。イエスノーかだと私は思うのですよ。
  36. 虎島和夫

    虎島国務大臣 イエスノーかという問いかけでありますけれども、繰り返し申し上げますが、普天間代替施設使用期限の問題については、政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり厳しい問題があると認識をしておるけれども、稲嶺沖縄知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとどめ、これを米国政府関係者に対して取り上げたところであるというのが前段。政府としては、昨年末の閣議決定にありますとおり、今後国際情勢変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢について米国政府協議していく考えであるということでございます。
  37. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほど申し上げたように、兵力構成云々という話は、普天間移設そのものとは必ずしも直結しない——全体にはそれも含みますけれども。ということであります。  先ほど来話しております十五年の使用期限の問題について、重く受けとめる重く受けとめると何度も言っていらっしゃいます。閣議決定にも書いてあるわけだから。だから、その重く受けとめるというのは、具体的にどうすることなのか、十五年の使用期限自分たちとしてはセットしたいという思いでやるのですねということです。
  38. 虎島和夫

    虎島国務大臣 重く受けとどめて、しっかり交渉をするということであります。地元意向を重く受けとどめて、しっかり交渉しますということであります。
  39. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 だから、重く受けとめるというのは、十五年の使用期限を、政府としてもそういうふうにセットしたいという思いでやるということですねということ。
  40. 虎島和夫

    虎島国務大臣 繰り返してお答え申し上げます。  普天間代替施設使用期限の問題については、政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておりますけれども、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとどめ、これを米国政府関係者に対して取り上げたところであります。  政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、今後、国際情勢変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢につき、米国政府協議していく考えであります。また、防衛庁としても、国際情勢が肯定的に変化するよう努力してまいりたい、こういうことを繰り返し申し上げておるところであります。
  41. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それで長官、ずっとこれを繰り返していても大変ですから、重く受けとめて取り組むということについて、重く受けとめるというのは具体的にどういうふうにすることかということについて、その見解を取りまとめて提出していただきたいと思いますので、お願いします。いいですね。
  42. 岡田克也

    岡田委員長 今の伊藤委員の御趣旨は、この委員会防衛庁の、長官見解を示せ、こういう御趣旨ですか。それとも、今この場で述べろ、こういうことですか。
  43. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今この場でというのはすぐにはできないでしょうから、改めてそれを提出していただきたいという意味です。
  44. 虎島和夫

    虎島国務大臣 答弁の仕方についていろいろ御注文、御要請もありましたけれども、私としては、先ほどから繰り返し申し上げますように、普天間代替施設使用期限の問題については、政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておりますけれども、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとどめ、これを米国政府関係者に対して取り上げたところであります。  政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、今後、国際情勢変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢につき、米国政府協議していく考えであります。協議軍事態勢につき、米国政府協議していく考えであります。  また防衛庁としても、国際情勢が肯定的に変化するよう、これは努力をしたい、努力を続けたいという決意も表明しておるところであります。
  45. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私が申し上げたのは、重く受けとめて交渉するというのは具体的にどういうことかということについて、改めてその見解をお出しいただきたいということであります。
  46. 河野洋平

    河野国務大臣 閣議決定の問題でございますから、外務大臣としてもこの閣議決定に沿って活動をしているわけでございますから、私から御答弁をさせていただきたいと思います。  私、外務大臣として、この問題については数回にわたって米国政府話し合いをいたしております。その米国政府との話し合いをいたしますときには、私どもはこの閣議決定の線に沿って話し合わなければならない、こう考えておりまして、そこで申し上げる閣議決定の線というのは、今もたびたび防衛庁長官から御説明がございましたように、代替施設使用期限については、国際情勢もあってなかなか厳しい問題があるという認識を持っておりますけれども、地元からの要請がなされていることを重く受けとめて、これを米国政府との話し合いで取り上げるということが重要だというふうに閣議決定を我々は理解しているわけでございまして、しばしば、米国政府との話し合いで、地元のこうした御要請を取り上げているところでございます。
  47. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 では一言だけ確認をいたします。  今の、重く受けとめてというのは、政府としては使用期限設定すべきであるというふうに考えていると思ってよろしいですか。
  48. 虎島和夫

    虎島国務大臣 繰り返し申しますけれども、重く受けとめるというのは、代替施設使用期限については、政府として、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておるけれども、知事及び市長から要請があったことを重く受けとどめて、そして日米関係協議でこれを取り上げておるところであるということでございます。  なお、国際情勢変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢についても米国政府協議していくこととしておる。そしてまた、防衛庁としても、国際情勢が肯定的に変化するように努力はいたします。そういうことであります。  閣議決定の線を逸脱することなく努力をいたすということであります。
  49. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 では一言だけ。  使用期限設定したいと思っているのですか。
  50. 虎島和夫

    虎島国務大臣 申しますように、閣議決定のとおりやるわけであります。そのように行動するわけであります。
  51. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もう一回聞きます。  重く受けとめて、さっき外務大臣も言われたように、アメリカ側とも交渉します、交渉するときに、自分たち気持ちは、使用期限設定したいと思っているのですか、そういう思いでやるのですかということを私は聞いたのです。
  52. 虎島和夫

    虎島国務大臣 これは大変大事なところで申しますけれども、閣議決定のとおりやる、そのように努力をするということであります。これ以上も以下もないわけでありますから、御理解いただきたいと思います。
  53. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それでは、防衛庁長官は、閣議決定意味しているところは、使用期限設定したいというふうに思って閣議決定はされていると思っておりますか、どうですか。
  54. 虎島和夫

    虎島国務大臣 使用期限については、申しますように、閣議決定では、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておる。しかし、沖縄知事名護市長からの要請がなされたことを重く受けとめて、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢につき、米国政府協議していくこととする、これ以上も以下もないわけであります。閣議決定のとおり誠実に行動するというのが防衛庁の方針であります。
  55. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 防衛庁長官沖縄知事さんたちとか、もう私も何度もお会いもしたりいたしました。お話も伺いました。私の理解では、沖縄人たちから見れば、我が日本政府が本当にどういう気持ちでやってくれるのかしらん、政府の人に、しっかりやってくださいよ、日本在日米軍基地をこれからどうしようとするんだろうか、七五%もあるではないかと。また、そういうこともあったからこの間も沖縄でサミットもやったんでしょう。そして、そもそもあれは国内問題だ、日本政府がどうしてくれるかという思いでこの問題は出ているんだと私は思うのですよ。  それは、先ほども言われました、閣議決定の内容を重く受けとめて、閣議決定どおりに誠実にアメリカ交渉したい、そのときに、この重く受けとめるというのはどういう意味なんだろうか。十五年の期限設定について、それを実現したい、セットしたいと思うのか、セットしたくないと思っているのか。それは大違いですね。だから、これはセットしたいという思いでセットしたいと政府は思っているのですか、私が聞いたのはそういう意味です。  もう一度聞きます。十五年の期間はセットしたいと思って交渉するんですか。
  56. 虎島和夫

    虎島国務大臣 閣議決定はこのとおりでありますから、このとおり努力するというのは我々の務めであるという認識をいたしております。
  57. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 時間が来ましたから終わりますが、大問題だと私は思います。要するに、防衛庁長官閣議決定の意を受けてどうしようとするのか。一体、十五年の問題を本当にどうしようとするのかということについて、ひょっとしたらノーアイデアかもしれない。自分たちはどうしようとするかという意思がなくて交渉すると言っているのかなというふうに思われますということを申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  58. 岡田克也

    岡田委員長 次に、渡辺周君。
  59. 渡辺周

    渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。  私は、本日のこの質問の中で、いわゆる六月の十三日—十五日、南北の首脳会談が行われたことを契機にしまして、つい先般のタイのバンコクでのASEANの地域フォーラム、北朝鮮が大変大きな対話的行動に積極的に出ている、こうした国際情勢変化をめぐる中で、日本の外交あるいは防衛という面においてどのようにこれから考えているのか。また報道あるいは伝聞等でさまざまな情報が伝えられるわけですが、その中で、日本政府として今どのような認識を持ち、また、今後どう考えていくのかという点について、限られた時間でございますが、お尋ねをしたいと思うわけであります。  昨年九月の国連総会で各国との外相会談を行ったあたりから、北朝鮮が外交姿勢を大きく変化させているというふうに思われるわけであります。  これまでは米朝交渉を中心に、アメリカ偏重、米国を中心に二国間協議を続けてきたこの北朝鮮が、本年だけでも、イタリアあるいはオーストラリアという国と国交を樹立した。そしてその後、今ニュージーランド、あるいはこれからカナダという国とも国交を回復するということで、積極的に国交の正常化交渉あるいは国交を樹立してきたわけであります。そのことから、六月の十三、十四、十五、我々衆議院議員はちょうど選挙のさなかであったわけでございますが、日本の選挙がスタートしたというニュースよりも、六月十三日に首脳会談、もう歴史的な会談が開かれたということが新聞の一面トップを飾ったのは記憶に新しいところであります。  そんな中で、我が国でいいますと、一昨年いわゆるミサイル発射、あるいは不審船が日本のまさに領海内に入ってきて威嚇射撃までした。そしてまた、昨年の韓国の海軍ですか、銃撃戦もあったというような、これは世界的な認識としては、いつ何どきその脅威が暴発をするか、あるいは戦争に向かうか、衝突に向かうかということから、一年間で一転して、いわゆる急激な変化としての、対話路線といいましょうか、雪解け、まさに南北の共同宣言なんかを見ますと、後でこの問題に触れますけれども、急速に姿勢が変化してきたということがまさに驚きなわけであります。  そんな中で、この北朝鮮の外交姿勢の急激な変化というものを、当然ウオッチャーの方々、あるいはアメリカの国防省筋、あるいは極東情勢を中心に研究しているシンクタンクの方々、いろいろな方々がさまざまな意見を寄せているわけでありますけれども、この点について外務省それから防衛庁はどのような御認識を持っていらっしゃるのか、まずその点についてお尋ねをしたいと思います。  そして、もう一つ。例えば北朝鮮の、北朝鮮という言葉をあえて使わせていただきますけれども、国内政治基盤の体制についてどのような変化があったと分析をしているのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  60. 荒木清寛

    ○荒木政務次官 渡辺委員が御指摘になりましたように、昨年からことしにかけまして北朝鮮の積極的な対外活動が続いておるわけでございます。その背景といいますか、理由につきましては定かでない部分も多いのでありますが、一つには、食糧その他の支援の獲得を図る意図があるのではないか、もう一つには、国内の政治体制の基盤が安定したことに自信をつけてきているのではないか等々の指摘がございます。ただ、その真意は定かでないというところが実際ではないかと思います。  また、今後この姿勢が続くかということについてもコメントをさせていただきますと、今もカナダやニュージーランド等と外交関係開設に向けましての協議を進めておりますし、また、九月の国連ミレニアムサミットにも参加する見込みであるというふうにも言われております。先般のG8の中でも確認しましたように、こういう積極的な流れを前向きに後押しをしていくことが大事ではないかというふうに考えております。  また、こういう外交姿勢の変化と国内体制の関連につきましても不透明な部分が多いわけでございますが、しかし、金正日総書記が全般的に権力を実効を持って掌握しているということは確かではないかと思っております。
  61. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答え申し上げます。  今、外務省の方からも御答弁申し上げましたけれども、御指摘のように、昨年来、非常に北朝鮮の外交攻勢といいましょうか、活発な行動が出ていることは御案内のとおりでございます。そういう全般の中で、私ども、いろいろと北朝鮮の今後の動向等を、透明性がより一層向上していく、あるいはそういうものが期待される、そういう思いで見ているというようなことでございます。  それから、軍事態勢そのものはどういうふうな状況か、変化が何らか生じているかというようなお尋ねでもございました。  朝鮮半島自身、現状では韓国と北朝鮮を合わせまして約百五十万人程度の地上軍が非武装地帯を挟んで軍事的な対峙をしている、そういう状況の変化は今のところございません。そういうような認識をしておりますが、深刻な食糧不足あるいは経済困難などから、依然として軍事面にその国のいろいろな意味での国力そのものの重点配分をしている、そういうことでもございましょうし、あるいは近代化、即応態勢の強化というような流れもうかがえる、そういう理解をしております。  いずれにいたしましても、日本を含む東アジア全域の安全保障にとっては重大な不安定要因の一つというふうに見ております。片方では、いろいろな南北対話が進むことによって朝鮮半島の緊張が緩和することが期待されるということでございます。私どもといたしましても、引き続き細心の注意をもって見ていきたい、このように思っております。
  62. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今、外務省それから防衛庁と御答弁をいただいたわけですけれども、我々の日本を取り巻く状況というのは、一番不安定な要因が朝鮮半島、そしてもう一つが中台関係、いわゆる台湾海峡問題、この二つがまさに極東の有事の際には必ず不安定要因として出てきたわけであります。また、これを想定したいろいろな形での安全保障のまさに政策的なものが今日まで構築をされてきた。  そしてまた、朝鮮半島という不安定要因が、私どももいろいろな疑心暗鬼の部分がございますが、これまで長年にわたって日本でもこれだけの未解決の問題がございます。当然のことながら、拉致された日本人の問題というのもありますけれども、その問題はまた別の機会としても、例えば朝鮮半島をめぐるこれまでの民族の分断、そしてそれに伴う、まさに朝鮮労働党の例えば綱領の中にあります、まだ赤化革命的な綱領の部分、これが今回一気にぬぐい去られるということが、我々としてはいかんとも非常にまだ信じがたいというのが現実でありまして、また国際社会もそう見ているわけでありますが、そうした中で、ただ、現実問題として雪解けというよりも対話にまずは一つは結びついた。そして、我々が事前に想定していた以上に、大変具体的な共同宣言まで盛り込まれた、踏み込んだ合意といいましょうか、これからの将来を期待されるようなことがなされたわけであります。  そんな中で、この背後にあるのは、もちろん米国もそうなんでありますけれども、やはり中国あるいはロシアという国がことしに入って後押しを当然してきたであろう。何よりも、例えば南北首脳会談の前に金正日総書記が北京を訪れている。そして、この南北のいわゆる首脳会談の後に、七月の十九日ですか、直後にプーチン氏がピョンヤンを訪問しているという中で、新聞報道等にもございますとおり、このときに北朝鮮としてロシアのプーチン氏に、これはサミットでも伝えられましたけれども、これの事実確認としてお尋ねをしたいわけでありますけれども、いわゆるミサイル問題、これを、例えば平和開発のための人工衛星を打ち上げよう、国際的に支援してくれるのならばミサイル開発をやめてもいいんだというようなことを実際プーチン氏に言ったとか言わないとか。そして、言ったというこのことについても残念ながら沖縄・九州サミットでも深く取り上げられなかったわけなんでありますけれども、こうした金正日総書記の発言、なぜこういうことの言質をプーチン氏に与えたのか。これからもっと先を考えますと、当然中国とロシアに共通する一つの利害として、アメリカのTMDあるいはNMDと言われる防衛構想が、まさに前提が覆される。そのためにもあえて金正日氏がこう言っていたということを伝えたのか。  ための利害が当然背後にあると考えるわけでありますけれども、実際、このミサイル問題に関して、今発言の真意について日本政府としてどのような認識をしていらっしゃるのか。これはなかなかここでお尋ねをして答えづらい問題かもしれませんけれども、どのような形でこの金正日総書記の言動の真意というものをとらえていらっしゃるか。もしこの点についてお答えをいただけるのならばお尋ねをしたいと思います。どちらの役所でも。
  63. 荒木清寛

    ○荒木政務次官 金正日総書記みずからが中国、ロシアの首脳と積極的な外交活動を展開しておるわけでありますが、それは、先ほど御指摘のような一連の北朝鮮の外交の変化の中にあるものと思います。また、中国やロシアというのは朝鮮半島を含む北東アジア地域の情勢に一定の影響力を有している大国でありますから、そういう国々との関係改善が北朝鮮にとっても利益であるというような判断があるのではないかと思いまして、動向に注目をしております。  そこで、今、プーチン大統領にミサイル問題についてどういう趣旨の発言をしたのかということにつきましては、種々の情報や報道があるわけでありますけれども、その趣旨や真意というのは必ずしも定かではありませんで、今後とも北朝鮮の真意と具体的な行動を注視し、また情報収集していく必要がある、こう考えております。
  64. 渡辺周

    渡辺(周)委員 その点について、情報収集ということがあります。これはちょっと質問をするということの中に触れていないかもしれませんが。いわゆる情報収集ということについて、これはどうぞ大臣でも結構です、もしお答えいただければと思うんです。  例えば金正日総書記が中国へ訪中する、北京へ行くということについても、これはわかりませんが、日本は知らされていなかったんではないかと。あるいは、韓国も含めてでありますけれども、韓国は事前に知っていた、しかし日本政府の場合は実はこれが知らされていなかったんじゃないかということがあるわけでありまして、ある意味では日本の——いや、これは質問が、通告といいましょうか、骨子として何となく言ったことの中にはないかもしれませんが、これはどうぞ政治家として、大臣でもあるいは政務次官、防衛庁、外務省を含めてどなたでも結構ですが、ぜひ政府としての見解をお答えいただきたいわけです。  ぜひとも、日本の情報収集のあり方について、例えばこれからこういう方針で臨むべきだ、特に近隣が目まぐるしくこれから動いてくるでありましょう朝鮮半島を含め、あるいはアジア情勢を含めて、私もここで質問するのは初めてでございまして、外務省、防衛庁のまさに政府を代表する方々に、日本の情報収集能力の向上、あるいはどういう形、これはなかなか政府機密部分にもあるかもしれませんけれども、ここでお答えいただける範囲で、どうあるべきかというのがもしあれば、ひとつお尋ねをしたいと思います。
  65. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答えをいたします。  北朝鮮の金正日総書記の中国訪問等、防衛庁としては、正確な事実関係といいましょうか、事前にそういう状況というものは知らされていなかった、そういうことではございます。  今、関連して情報収集体制等いろいろなお話がございましたので、ちょっと、防衛庁に限りますけれども、一般的には各種の公刊資料を非常に長期間にわたって収集、整理、分析をやっております。それから、各自衛隊、陸上部隊あるいは艦艇、航空機による警戒監視活動の中でいろいろな情報が蓄積をされる。あるいはまた商業用のランドサット等の衛星のデータ等を解析もしている。あるいは、在外公館に派遣されております防衛駐在官の日常的な活動等を通じまして種々いろいろな情報も入ることもありますし、もちろん外務省から関連の非常に重要な情報を連絡をいただいている、そういうようなことがございます。  以上でございます。
  66. 荒木清寛

    ○荒木政務次官 外務省としましては、在外公館等を中心にこれまでも鋭意情報収集をしてきたわけでございますが、今後ともさらに努力をいたしまして、また同盟国、友好国との緊密な連絡のもとに掌握をしてまいりたいと考えております。
  67. 渡辺周

    渡辺(周)委員 ちょっと時間がなくなりましたので、まだ質問したいことはたくさんありますが、朝鮮半島問題、南北共同宣言のことについて最後に御質問をしたいわけですけれども、例えばこの南北共同宣言の中にこういうふうにあるわけですね。南北は国の統一問題を、その主人である我が民族同士でお互い力を合わせ、自主的に解決していくことにしたと。  これは、いろいろな方々がこの一つ一つを読んで指摘するんですが、いわゆる朝鮮半島の問題は、自主的ということは、他国の介入をなるべくさせない、まして言えば、米国の影響力というものをできるだけ排除したいという北朝鮮側の、北側の思い入れがある。しかし、その背後には、例えば中国とロシアという国が、この極東における米軍、例えば在韓米軍二万一千人、あるいは在日米軍二万七千人、このプレゼンスについて、非常に、あるいはもっと言えば今問題になっているTMD構想、これについてもその前提を覆してしまいたいということの思惑があるのではなかろうかということがまず一つある。  そしてまた、いわゆるしたたかな、したたかというのは、これは指摘をするある人の言葉ですが、北側のまさに戦略に乗った形で、韓国がこの共同宣言で何かしらの言質をとられてしまうのではないだろうかということがあるわけです。  実際アメリカは、米軍は、これはCIAの長官だったでしょうか、このCIA長官がことしの二月の上院の情報委員会の中で、北朝鮮の脅威というものはかえって強化されている、あるいは近代化されている、特に戦車を含めて。CIAのジョージ・テネット長官が二〇〇〇年二月二日、アメリカ上院の情報特別委員会の中で、北朝鮮側は交渉の姿勢を強めている一方で軍事力を強化している、戦争の危険は減っていないというようなことを、根拠を挙げて言っているわけであります。  まさに、南北の大変に歓迎すべき統一といいましょうか、共存といいましょうか、対話が始まって、しかし、その反面で、アメリカあるいはロシア、中国といった大国の、また別のところでの思惑というものが、それぞれのいわゆる安全保障あるいは軍事体制のあり方を含めて、ここに見え隠れをするわけであります。  この話をもっとしたいわけですが、時間がございませんので、まさにこういう状況の中で我々日本として主体性を持って、どのような形で、この一、半年以内、これからもまた劇的な変化が起こり得るかもしれませんが、その中で、どのような形で今後朝鮮半島問題に日本という国が主体性を持って対応していくのか。特に我々は、拉致問題を含めたいろいろな国民的な感情の問題がまだあるわけでありまして、こうした中でどのような対応をしていくかということを、この問題のしまいにお尋ねをしたいと思います。
  68. 荒木清寛

    ○荒木政務次官 六月の南北首脳会談につきましては、半世紀に及ぶ分断を経て、初めて直接の意見交換が行われたわけでありまして、歴史的な意義があると考えておりまして、それに加えて、南北の首脳自身が初めて文書に署名をしたことも画期的であるというふうに考えております。また、その後も南北赤十字会談や南北長官会議が開催される等、南北対話が継続をしているということもまことに心を強くしております。  アメリカの、先ほどの情勢認識お話もございましたが、今後の朝鮮半島の情勢の展開については、政府として予断を持ってコメントをすることは差し控えるわけでありますが、今後とも南北首脳会談の成果を基礎に、南北間の対話が継続、進展し、これが朝鮮半島の緊張緩和につながっていくことを強く期待しながら外交を展開していきたいと考えております。
  69. 渡辺周

    渡辺(周)委員 それでは防衛庁にも伺いたいと思いますが、今後の進展によっては、いわゆる防衛態勢の見直しということを将来的にはされていく可能性があるのかどうか、その点について最後お尋ねしたいと思います。
  70. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 朝鮮半島における緊張の緩和、そういうようなことが進展をしている、そういうことを前提にしていろいろと御質問がございました。  私どもは、防衛計画の大綱、こういうもので、これに従って防衛力整備をし、またいろいろと行動もしているということでございます。大綱では、「将来情勢に重要な変化が生じ、防衛力の在り方の見直しが必要になると予想される場合には、その時の情勢に照らして、新たに検討するものとする。」というようなことになっております。  こういうケースとして具体的にはどういうようなものが考えられるかということだろうと思いますけれども、事柄の性格上一概に申し上げるということはなかなか困難だというふうに考えております。  また、先ほどお話し申し上げましたけれども、今の状況の推移、進展、こういうものが朝鮮半島全般に、軍事情勢、そういうものについての及ぼす影響について注意深く見きわめていく必要があるというようなことでございます。  防衛庁といたしましても、我が国を取り巻く安全保障環境のいかなる変化にも素早く対応するということが、我が国の平和と安全を確保するために非常に必要なことでございますので、そういう意味で、自衛隊の態勢や日米安保体制の信頼性の向上等の面で万全を期しながらということでございます。
  71. 渡辺周

    渡辺(周)委員 ぜひそういう形で、今後もそれぞれ推移を見ていきたいと思うわけであります。  最後に一点だけ。  この今の時期、一年ほど前であったでしょうか、ちょっと質問はがらりと変わりますが、神奈川県のキャンプ場で家族連れがキャンプをしていて増水にのまれて流失されたという事故がありました。そのときに例えば自衛隊の方々が出動要請を受けて救助に向かうわけであります。またこれからいろいろ伊豆諸島の問題もございますけれども、自衛隊の方々が現場に出動し、救助あるいは救出という形で、当然、国民の期待とともにやらなければならないわけであります。  私、一つ思っておりますが、こうした方々に対して災害派遣の手当というのが、実は一日たったの八百円だ。しかも二日出ないと、二日出動して初めて日当八百円がもらえる。別にこの方々、誇りにかけてやっている仕事ですから、安いとか高いとかということはもちろん、どうとも申していませんけれども、余りにもこれは、時間給にすると数十円の単位の世界の話でありまして、例えばこの中でやっていくということに対して、やはりこの方々の仕事ぶりに対して果たしてこれでいいのだろうか。その点についてどうお考えか。そしてまた、どうしてこういう低い額でやっているのかということが一つ。  それと、もう一つ最後に、例えばこういう危険の高い状況の中で出動した場合、手当でなくても、何らかの形で功労を評価するような制度があってもいいのじゃないだろうかということを、どのようにお考えかお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答えいたします。  昨年の神奈川県でございました玄倉川のキャンプ地、中州に取り残されて十三人の方が亡くなった、そういう事件、事故でございましたけれども、委員まさに地元、私も地元ということでございまして、たまたまあの事件の際にも、私は翌日、派遣をされました第一特科連隊、駒門の部隊でございますけれども、そこに指揮所をつくって災害派遣をしておりましたものですから、私もちょっと激励を兼ねて視察に行っておりました。そういうことで、隊員が水の中に入って非常に危険な行動をとった、あるいはそれで幸いなことに人命が救助されたというようなこともございました。そういうお話を踏まえてということでございます。  自衛官の給与は、職務の類似する一般職の国家公務員との給与の相互の均衡ということが一つございます。お尋ねの災害派遣手当につきましても、一般職の国家公務員に支給されます災害応急作業手当等、その辺との均衡を配慮して額を算定しているということでございます。具体的に言いますと、大規模な災害あるいは昼夜を問わない作業、そのようなものにつきましては、一般職のものに比べまして一・五倍の額、そういうことを基準として、そしてまた、お尋ねでございましたけれども、二日以上の作業ということで支給するようなことにしてございますが、これにつきましても、事柄の性格上、非常に重要な危険な作業に携わっている者につきましては、その二日という要件を緩和して支給するというようなことがございます。昨年の玄倉川の事案につきましても、実際にもう数名の者につきましてそのようなことがあったということでございます。  それから、功労表彰等でございますけれども、昨年の事案につきましても、自分の安全を顧みず、とにかく人命救助に当たったということでございまして、たしか本部管理中隊の中道中隊長には手当を支給、陸幕長賞詞が出た、そういうことでございます。  以上でございます。
  73. 渡辺周

    渡辺(周)委員 ありがとうございました。
  74. 岡田克也

    岡田委員長 次に、安住淳君。
  75. 安住淳

    安住委員 二十分弱しか時間がございませんので、簡潔に質問させていただきますので、答弁の方もぜひそうしていただきたいと思います。  さて、防衛庁長官、危機管理の点から私は質問をいたしますが、この一年で実は航空自衛隊の練習機が五件、墜落死亡事故を起こしております。これはこの十年で見ても極めて多い数ではないかということを私は感じますけれども、まずこの点について御認識、どういうふうに考えているのか、御答弁願えますか。
  76. 虎島和夫

    虎島国務大臣 御指摘のように、大変残念で痛ましい事故が起こっておるわけであります。したがって、このことにつきましては国民に大変な御迷惑と御心配をおかけしておりますことに、まず心からおわびをいたしたいと思います。  しかしながらまた、激しい訓練の結果、痛ましい事故に遭った隊員もいるわけでありますから、これらの方々に対しましては、国防のための訓練とはいえ、哀悼の意を表したいと思うわけでございます。  事故原因につきましては徹底した調査分析が行われなければなりません。これらを踏まえて、今後事故を絶滅するという気概を持って防衛庁は対応するようにということを強く指示しておることを御報告申し上げたいと存じます。
  77. 安住淳

    安住委員 私がその中で取り上げるのは、今回は第四航空団の事故にかかわる問題であります。二点について伺います。  実は、この第四航空団では三月の二十二日に練習機が墜落をいたしました。このときは三等空尉が亡くなりまして、その後間もなくといいますか、七月の四日、今度はブルーインパルスの練習機が二機墜落事故を起こしまして、三人の隊員が亡くなりました。  実は、私も鈴木防衛政務次官と一緒にこの葬儀には参列をさせていただきましたけれども、この墜落事故には大きな問題が二つあります。一つは、この墜落現場が二つとも原子力発電所の九キロまたは五キロ周辺に墜落をしているということであります。  もう一つは、訓練の再開の問題であります。三月に起きた事故が三月の二十二日。地元、周辺自治体を含めて、再開に対しては慎重に行うようという要請を事故の究明も含めてお願いをしたのが三月の二十九日。わかりましたと言って、そして再開をしたのが実は三月の三十日でございました。  ですから、今回七月四日、同じこの基地でブルーインパルスの事故が起きて、少なくとも地元の自治体を含めて大変に——この三月にいわば地元意向を無視した形で訓練をなぜ再開をしたのか。そしてまた七月の四日に起きた事故ということでありますから、今度の訓練の再開は大変簡単にはいかないのではないかと私は思います。  そこで、二点について聞きます。  まず第一点ですが、三月のこの時点で、地元要請が二十九日にあったにもかかわらず、なぜ原因究明も何も——原因究明は、正式に発表があったのは実は今週でございました。原因は、視界が悪かったので、高度を下げたところで山に激突をしてしまったということでございましたが、いろいろな安全点検をいわばしないままに三月の三十日の日に訓練を再開したのは一体なぜだったのかということを、まずお答えを願いたいと思います。
  78. 虎島和夫

    虎島国務大臣 もちろん大事故でありますから、防衛庁としてもそれなりに重大問題として実は対応をしてきたわけであります。そして、幅広い検討、分析をいたしたわけで、支障なしという判断をして再開されたわけでありますが、また引き続きお説のように事故が起こったわけであります。  したがって、この問題については、ただ単に運転技術の問題とかあるいは設備の問題とかということだけでなくて、幅広い検討は要るのではないかということで、今回はこの事故を反省しながら対応いたしておることをこの際御報告申し上げておきたいと思います。特に運用、装備、生活環境等々の点検、分析なども行って、事故は根絶すべきであるということを指示しておるわけであります。  なおまた、地元知事さんからも、町長さんを伴いまして、私のところにも実は御要請がございました。(安住委員「三月のことを言っているのですよ、三月のことを。今回のことじゃなくて」と呼ぶ)三月と七月……
  79. 安住淳

    安住委員 三月に、二十二日に事故が起きて、何で三十日に再開をしたのですかと言っているのです。あのときに原因究明、少なくとも私も新聞のスクラップを全部見ましたけれども、そこをまず聞いているのです。
  80. 虎島和夫

    虎島国務大臣 それは、幅広い調査検討を加えた結果、再開して支障なしという判断のもとに飛んでおるわけであります。  ただ、申し上げますように、引き続いてまた事故が起こったということは極めて遺憾なことであるから、厳重に、これはさらに幅広いあるいは深い検討を加えるべきであるということで対応しておることを御報告申し上げておるところであります。
  81. 安住淳

    安住委員 いやいや、わずか一週間やそこらで幅広い検討なんて、そんなことをできるわけがないのじゃないですか。今回だって、七月四日以降、実は松島の基地では再開できないわけですよ、調査をやはり丁寧にやっていらっしゃるのでしょうから。一週間やそこらで再開をして、地元意向を無視して訓練を再開して、大変地元では反発の声が上がったわけですよ。これはいわば強引だったということを本当は陳謝しないといけないのじゃないですか、長官。どこを幅広く検討したということになるのですか、端的に答えてください。
  82. 虎島和夫

    虎島国務大臣 三月のものについては、それなりの検討を加えて、これで訓練再開に支障なしという判断で行ったものと思っておりますが、このことについては、それなりに地元との御理解に不十分なところがあったというようなことについては、その後地元の方からもそのような意見を承っておるところであります。  さらにまた引き続き事故が起こったわけでありますから、その点については、従来の検討、分析だけでなくて、幅広い検討、つまり生活環境等々まで含めた、そこまでやっておるということもあわせて御報告申し上げたところであります。
  83. 安住淳

    安住委員 いや、やはりそれは率直に、幅広い検討をしたのじゃなくて、実は検討というか、それは配慮が足りなかったと私は言うべきだと思いますよ。でなかったら、何で今度は一カ月以上こうやって飛ばないで、ちゃんと検査とかやっているのですか。あのときは一週間ですからね。そこをちゃんと間違わないでくださいよ。  それで、実はこの問題で一番心配なのは、三月の練習機の落下地点が東北電力の女川原子力発電所の直線で九キロであった。そしてなおかつ、七月の四日に今度はブルーインパルスの練習機二機、三名の方が亡くなるわけです。これは、実は原子力発電所で直線で引くと五キロであった。同じ原子力発電所ですね。つまり、原子力発電所周辺にこれだけ練習機が墜落をするということは、私は日本の危機管理上も、やはりこれは考えないといけないことだということを実は思っているわけです。  実は、るる質問がありますが、簡単な話、私の方からまず簡単に説明しますが、松島基地の訓練空域の中に原子力発電所があるのではありません。訓練空域と基地を往復する、そこの近くに原子力があって、練習空域で練習を終えて、帰る途中でこの三月と七月の事故は起きているわけですね。  そこで、まず日本全国で見ますと、それではもっと練習空域の中に原子力発電所があるのかどうかというのを調べたら、実はあるのです。北海道の泊、それから福井がそうですね。こういうところというのは、実は言ってみればその上空を含めて練習空域になっているわけです。  そこででございますが、原子力発電所周辺の空域というのは果たして何らかの規制をしているのかどうか、一般民間航空機含めて、そこはどうなっているのか、きょうは運輸省からおいででございますから、まずそのことを御説明いただけますか。
  84. 深谷憲一

    深谷政府参考人 御説明申し上げます。  訓練空域につきましては、昭和四十六年に、民間の空域あるいは航空路の空路、こういうものと完全に分離するということで、昭和四十六年の八月に訓練・試験空域の設定をいたしております。
  85. 安住淳

    安住委員 その訓練空域の設定の中に原子力発電所があった場合に、その禁止空域というのは具体的にどうなっていますか。それは飛んでいいのですか、悪いのですか、まずそもそも。
  86. 深谷憲一

    深谷政府参考人 御説明申し上げます。  訓練空域と原子力発電所の関係でございますけれども、現在、原子力発電所から二海里、これの円内の上空二千フィート、これまでは空域を除外するという措置がとられております。
  87. 安住淳

    安住委員 つまり、飛んではならないわけですね、簡単な話が。ここは防衛庁、これは準用しているのですか、今のこれは民間航空機の話を。いかがなんですか。
  88. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答えいたします。  今運輸省の方から御答弁ございましたように、原子力発電所の近傍を飛ぶ場合、先ほどのような規制がかかっておりますので、防衛庁はそれを遵守して飛行をしておる、こういうことでございます。
  89. 安住淳

    安住委員 それでは、女川原子力発電所の場合は、この訓練空域に入っておりませんけれども、往復路になっている場合は、これはどういうふうになっているのですか。そこに原子力発電所がある場合はどうなっているのですか。
  90. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 松島基地からの訓練空域、二つほど東の方にあるわけでございますけれども、そこからの帰りの飛行、今お話のありました上空半径二マイルについては飛行しないということで、そのように徹底をして飛行訓練等をやっておりますので、今、私どもの松島の航空機につきましては、先ほどの運輸省の昭和四十六年の方針、考え方に沿ってそのようにやっております。
  91. 安住淳

    安住委員 実は、その飛行禁止のエリアは決まっているのです。周辺三・六キロ、それから六百メーターですか、約二千フィートですから、そこは禁止をしている。しかし、その三・六キロも二千フィートも、何度か事務当局にお伺いをしましたけれども、どういう根拠でそれをつくったかというのが実は明確ではないということがわかりました。  これは、平成元年から、原子力発電等に関する要望書ということで、原子力発電関係団体協議会、島根県の澄田知事が会長でございますが、原子力発電所を持っている県が、航空法令の見直しをすべきでないかという要望書を毎年出しております。これは運輸省と防衛庁に出しているわけでありますね。  ですから、私は、この準用、それから通達ということでこれをやっておりますが、何らかの形で、やはりこういう国土の狭い国で訓練空域があって、そしてその往復路のところに原子力がどうしても入ってしまうというのは、これはある程度やむを得ない部分もあるかもしれません。ですから、これはもう少し厳しい運用をすべきでないかと思いますけれども、いかがでございますか。
  92. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 今、お話、昭和四十六年の七月から八月あるいは十月くらいにかけてのお話でございまして、実は私、その当時防衛庁の防衛局で雫石事故の担当を直接私がやっておりましたものですから、原発の周辺での飛行のあり方について、航空安全の確保を最優先にして、自衛隊機もあるいは民間機もそのような体制でいくということで、当時運輸省航空局あるいは総務庁などと、外務省も含めましても、いろいろと協議をしたことがございます。  そういう中で、やはり原発についての住民の不安というものをもちろん非常に大事にしなければいけませんので、そういう中で、諸外国の規制の動向等を見まして定めたという、たしかそういうことではなかったかなというふうに記憶を今呼び覚ましたところでもございます。
  93. 安住淳

    安住委員 いやいや、そんな知識をひけらかしてもらうのじゃなくて、どうするんだと聞いているのだから、ちょっと時間がないので、ちゃんと答えてください。
  94. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 今お話しいたしましたような状況で、自衛隊機につきましては、その周辺はとにかく飛行をしないという大きな原則で対応をしておりますので、そういうことでぜひ御理解をいただきたいというふうに思っておりますが、個別の、松島での帰投さなかの事故ということでもございますので、そういう点を十分踏まえた上で、飛行経路を含めまして、いろいろな工夫ができるのかできないのか、今いろいろと研究、検討もしている、そういうことでもございます。
  95. 安住淳

    安住委員 この要望書は毎年同じような内容なので私もなるほどなと思うのだけれども、飛行コース、それから飛行頻度等に関して、今まで防衛庁地元に対して余りにも説明がなさ過ぎたと私は思いますよ。やはり丁寧に説明をして、きちっと情報公開をした上で地元理解を得なければ、これは不信感を招いたら、双方にとって決してプラスにはならないわけですね。  今回のように、たまたまかもしれません、しかし、原子力発電所周辺十キロの中で、わずか三カ月やそこらの間に二機落ちて四人の方が亡くなるというのは異常なことですよ。ですから、航路、例えば帰るときにはこういうふうにしますということをわかりやすく説明した上で、最後に、訓練の再開の見通しを地元にきちっと説明して納得していただくということをきちっとこの場で言っていただくことをぜひお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  96. 虎島和夫

    虎島国務大臣 これはさっきもちょっと触れましたけれども、地元の方からも知事さんと関係町長さん方が私のところへおいでになりまして、いろいろお話をしました。今のお話のような指摘もございました。私はもっともだと思いました。  したがって、経過についてもなるべく地元の方に御説明をして、そして、これこれこういうことになりこういう結論を得たので、例えば飛行を再開するとか訓練を再開するとかいうような手だてに至らなければよくないではないかということを庁内で申し上げ、知事さんの前でもそのことについてはお話を申し上げまして、そのような対応を今後はとらせたい、これで進んでいることを御報告申し上げておきたいと思います。
  97. 安住淳

    安住委員 ぜひ誠意のある対応をしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  98. 岡田克也

    岡田委員長 次に、長妻昭君。
  99. 長妻昭

    ○長妻委員 虎島長官におかれましては、事が起これば、自衛隊の治安出動あるいは防衛出動の待機命令、あるいは災害派遣を決断されるという本当に重大な立場におられるわけでありますから、日々体調を整えられて職務にしっかりと当たっていただくということをお願い申し上げまして、質問に入ります。  本日は、時間も少ないわけでございますが、日本安全保障について、ごくごく基本的なことをお伺いしたいと思います。  まず、自衛隊の武器使用について質問を絞りたいと思います。武力行使ではありません。  自衛隊は、やむを得ない場合は、法令に従って国民の命と財産を守るために武器使用をするということでありますけれども、そこでお尋ねしますが、自衛隊は、防衛出動ではなくて治安出動の場合でも、現行法令のもとでは自衛隊法の九十条を除いては、自衛隊の武器使用の要件あるいは使用武器の内容、火力は警察官や海上保安庁とほぼ同じと考えてよろしいですね。
  100. 虎島和夫

    虎島国務大臣 警察官職務執行法の準用等々から、そのように相なっておるわけであります。
  101. 長妻昭

    ○長妻委員 ですから、防衛出動ではない場合、自衛隊が治安出動の場合、まだ日本ではその治安出動はありませんけれども、結局、今御答弁いただいたように、お巡りさんあるいは機動隊あるいは海上保安庁とほとんど同じというか全く同じ、自衛隊が出た場合でも、武器の使用要件あるいは武器の火力は同じなわけです。  長官、テロとか工作員、あるいは、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、原発も多い日本海側の沿岸警備、こういうことを警察官と同じというような武器使用要件、武器の火力、これで本当に守れるのでしょうか。どうでしょうか。
  102. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 武器使用につきまして、お尋ねのように、警察官職務執行法の準用規定等が入っておりますので、言われるようないろいろの意味での取り扱い、事態あるいは様相によりまして、委員御指摘のような問題が生ずる可能性というものも決してないわけではないというふうに私ども思っておりますが、そういう中で、一昨年来いろいろな研究、検討もしている、そういうようなことでございます。
  103. 岡田克也

    岡田委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  104. 岡田克也

    岡田委員長 速記を起こしてください。  長妻君。
  105. 長妻昭

    ○長妻委員 ちょっと調子が狂っちゃいますので、与党の方、ちゃんと御出席願います。  それで、今鈴木政務次官からお話がありました、これから検討していくと。これから検討していくというのは、過去の議事録を見ますと、ずっと前からこれから検討する。本当に、あしたテロ、工作員あるいは原発の破壊とか、こういうことが起こる可能性も当然あるわけですから、具体的にどういうふうにするのかということを、これは早急にというか、もう待ったなしで進めていただきたい。もう何十年もかかっている。  そして、もう一つ。長官、治安出動の場合、警察官、海上保安庁と大体同じという御答弁先ほどありました。しかし、自衛隊法の九十条、余りこれまでこの安全保障委員会でも議論されていなかったようでありますけれども、自衛隊法の九十条を見ますと、ここは、治安出動のもとではありますけれども、唯一この九十条が警察官を上回る要件での武器使用ができるというふうに私は理解しておりますが、それでよろしいんでしょうか。
  106. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 今お尋ねの九十条の事柄でございますけれども、権限的にはまさに先生おっしゃるとおりだろう、こう思っております。
  107. 長妻昭

    ○長妻委員 ということは、現行法で、治安出動のもと、警察官以上の武器の使用要件あるいは火力を持てる要件は唯一この自衛隊法九十条というふうに理解をいたしますけれども、では、この九十条というのは一体何を指すのか。九十条の保護対象というのは、条文にありますけれども、何を保護するのかというと、職務上警護する人、それと施設、それと物件、この三つ書いてあります。これは非常に抽象的ですね。これはだれがいつどういう手続で、具体的にこれですというのを決めるんでしょうか。それをお答え願います。
  108. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 防衛庁長官が、こういう九十条の一項の一号のここで言われております、職務上警護する人あるいは施設または物件が云々というような、そういう個々の事態を見て、そして具体的に判断をして、そして指示をする、こういう形になろうかと思います。
  109. 長妻昭

    ○長妻委員 そうすると、それは実際何か文章とか、防衛庁の中にある程度決められたものがあるのかどうか。例えば、職務上警護する人というのは外国の要人なんかも入るのか、あるいは施設というのは原発も、いろいろな要件はありましょうけれども、そういうものも含まれる場合もあるということでございますか。  それとプラス前に言いました、実際の、今御答弁いただいたような紙ですね、実際に書いた紙が防衛庁の中にあって、それが公開できる状態にあるのかということをお聞かせ願いたい。
  110. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 今、具体的にその範囲とかあり方につきまして、防衛庁の中で規則的なものというものはございません。
  111. 長妻昭

    ○長妻委員 これは本当に緊急事態の話ですから、九十条という規定があって、きちんと三つの要件が書いてあるわけですから、事が起こって、ではこれは認定するのかしないのかと一週間かけて議論していてもそれはしようがないわけで、もうあらかじめ本当にきちっと詰めた論議を早急にしていただきたい。そして、それは軍事機密というのはありましょうけれども、全部国民の皆さんにオープンにして、こういう場合はこういうふうにやりますというのがはっきりわかれば国民の皆さんも、高い税金で自衛隊員の皆さんにやっていただいているわけですから、それをぜひ強くお願い申し上げます。  さらに、この九十条には、もう一つの要件として、多衆集合して暴行もしくは脅迫をした場合云々という要件も二番目にありますけれども、この多衆集合して暴行もしくは脅迫というのは、具体的に、これも同じ質問ですけれども、だれがいつどのような手続で決められるのか。あるいは防衛庁の中に既に何か書いた紙が、多少細かく書いた紙があって、それが公開できる状態にあるのか、お尋ねいたします。
  112. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 今、この中身につきまして、具体的に何かの紙で、訓令とか内規とか規則的なもので定めている、そういうことはございませんけれども、ちょっと御参考までに申し上げれば、九十条の第一項の第二号、今委員御指摘がありました多衆集合した暴徒等には適用し得る、そういうことでございますけれども、その中身、多衆というのはどういう法律的な概念か、そういうようなこともあろうかと思うわけでございますけれども、通常、多衆集合というのは多数人の集団というものが、常識的にはそういうことで当たるというような理解をしておりまして、少数の武装した勢力、ゲリラとかコマンドーのたぐいがあった場合にはこの多衆集合に当たらない場合も想定されるのかなというような、そういうことが一つございます。  いずれにいたしましても、警察行動の一つ、一環でございますので、関係の当局と連携等を密にすることが非常に大事だと私どもも思っておりまして、その点につきましても、マニュアル等を含めましていろいろと協議をすることで一生懸命今努力をしている、こういうことでございます。
  113. 長妻昭

    ○長妻委員 今、御答弁の中で、基本的には多衆集合というのが少数のゲリラ等には当たらないという考え方もあるというようなお話がありましたけれども、やはり国際情勢は変わりまして、少数の訓練された、工作員とでもいいましょうか、そういうゲリラが実際上日本の国内に入っていろいろなことをやる可能性もあるわけですから、実際、今の御答弁だと、今の自衛隊、仮に治安出動してもお巡りさんと一緒、お巡りさんの頭数がふえるだけなんですね、今の解釈でありますと。それで本当にそういう訓練されたゲリラ、工作員に対応できるのかという疑問というのがある。こういうのをわからないうちにいろいろ検討されるんじゃなくて、きちんと国民の皆さんに、具体的に基準はこういう基準だ、こういうふうにやって守るんです、それについて御意見を聞かせてくださいと。それで、国民の皆さんが余りそれはよくないよというんであれば、我々はまた修正するというような前向きな議論をしていく時期にそろそろ来ているんじゃないかなというふうに思うわけであります。  そして、ことしの四月十八日の当委員会で瓦防衛庁長官は、私どもの民主党の前原議員に対する答弁で、この九十条の具体的対象をきちんと詰めます、そんなに時間がかかるべき問題ではありません、それは公表することもありますよという御答弁をされているわけでございますから、防衛庁長官、これはちゃんと引き継ぎをされておられますでしょうか。
  114. 虎島和夫

    虎島国務大臣 これは今、前の議論がありましたことについては、確かに問題意識として防衛庁は持っておるわけであります。その報告を受けております。  それで、前の長官のときから指示があり、検討を始めておるということだけは御報告申し上げておきたいと存じます。
  115. 長妻昭

    ○長妻委員 引き継ぎをされて、本当に迅速に御検討いただきたいというふうに、本当に切にお願い申し上げます。  そして、それをお願い申し上げまして、次の質問、最後の質問に移らせていただきますけれども、例えば一つ、やはりこういう安全保障の問題に関しては、具体的事例を挙げて、これはどうしましょうという議論が必要だと思います。  そして、よく言われていることですけれども、領空侵犯についてお尋ね申し上げます。  領空侵犯、自衛隊法でも、八十四条ですか、規定がありますけれども、この領空侵犯における武器使用の根拠の法令というのは何でございますか。
  116. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 自衛隊法八十四条の、対領侵措置を定めているわけでございますけれども、その中の「必要な措置」という文言がございますけれども、その範囲内で対応する、そういうことでございます。
  117. 長妻昭

    ○長妻委員 じゃ、この「必要な措置」には、領空侵犯をした戦闘機あるいは飛行機、これを攻撃するということも含まれていると解釈してよろしいんですか、「必要な措置」という中に。間違いないですね。
  118. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答えいたします。  自衛隊法八十四条では、国際法上国家が行い得る領空侵犯の取り締まり行為と、そのための必要な権限の行使を自衛隊が行うということを定めた規定でございまして、そういう警察行動の範囲で必要な措置という、そういう組み合わせになろうか、こう思っております。  いずれにいたしましても、必要以上の措置というものは実際問題あり得ない、このように思っておるところでもございます。
  119. 長妻昭

    ○長妻委員 若干これまでの政府の御答弁と違うような感じも受けるんですが、そうしたらお伺いします。  じゃ、仮に、自衛隊法の八十四条の「必要な措置」で武器を使用された、その武器使用が刑法の正当防衛あるいは緊急避難、この条文に違反をしていたといった場合は、これは罪に問われるんですか。
  120. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答えいたします。  八十四条で、刑法上の違法性阻却事由でございます正当防衛、緊急避難、これについての適用ということでございまして、それを超して——先ほどお話ししましたように、「必要な措置」という中に、具体的にお話を申し上げれば、航空自衛隊の要撃機は、領空侵犯機を、一つまずは確認をするということ、それから、領域外への退去または最寄りの飛行場への着陸の警告、あるいは侵犯機を着陸させる場合の飛行場への誘導、あるいは警告または誘導に従わず発砲するなどの実力行為をもって抵抗するような場合には、正当防衛または緊急避難の要件に該当する場合、武器使用、こういうような流れになっておりまして、今御指摘のような、刑法の三十六条、正当防衛の規定でございますが、あるいは三十七条、緊急避難の規定というものを具体的に根拠とするものではなく、自衛隊法そのものの、八十四条の「必要な措置」、そしてその内容が国際法上の規範内で行われるというものであれば、具体的に罪を問われるというようなことにはならない、そのように思っております。
  121. 長妻昭

    ○長妻委員 今、これまでの解釈よりも進んだお話があったと理解いたしますけれども、かつて自民党の国防部会の中でも、改正をして、今まさにおっしゃられた文言をこの条文の、八十四条の中に入れるというような論議がありましたけれども、そういう法改正をしないで、本当に今鈴木政務次官が言われたような解釈で、再度確認しますけれども、自衛隊員は本当にそれで大丈夫なんですね。領空侵犯した航空機を、刑法上の正当防衛、緊急避難に当たらない命令が下った、そしてその命令を実行した、そうした場合、緊急避難と正当防衛に当たらなくても、その隊員は罪を問われない、これは間違いないですね。再度確認します。
  122. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 当然のことでございますけれども、法律に従って行動しているわけでございますので、法律のこの「必要な措置」という範囲を超えて行動するというようなことが、これは考えられないわけでございますけれども、その範囲内であれば責任を問われるというようなことにはならない、このように思います。
  123. 長妻昭

    ○長妻委員 その範囲内、法律の範囲内というのは、刑法じゃなくて、八十四条に基づく「必要な措置」に反しない限りというお話ですね。
  124. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 まさにそのようなことでございます。
  125. 長妻昭

    ○長妻委員 ある意味では、今までの政府の解釈とちょっと一歩踏み込んだ、自衛隊法の中には、武器使用という場合は、九十条とか九十五条とか、武器使用という言葉がちゃんと書いてあるんですね。ところが、八十四条というのは武器使用はないんですよ。これは、本当は法改正でやるべきじゃないですか。今突然この安全保障委員会で、私が理解する限りそういう新しい解釈が出てきたように思いますけれども、本来は、もしそういうことが必要であれば法改正をするという形で対応しないと、国民の目から見ると、何で解釈で突然変わっちゃうんだというふうに言われかねないんじゃないかというふうに思うんですけれども、防衛庁長官、どうですか。
  126. 虎島和夫

    虎島国務大臣 率直に申し上げまして、今の内容について理解が行き届かないのですけれども、ただ、その法律解釈が、従来の慣例に照らして、ここで変わっていくとなれば、これは少し検討を要するんじゃないかなというふうにちょっと感じておりますけれども、どこがどうかということについては今私もその識見を持ち合わせませんので、しばらく御猶予を願いたいと思っております。
  127. 長妻昭

    ○長妻委員 時間もありませんので、防衛庁長官と政務次官、今答弁が違いますから、きちんとしてください。そして、もう時間もありませんので、一言申し上げて終わります。  基本的に、先ほど申し上げた九十条の対象をきちんと絞る、具体的にどういうものか絞る。これはせめて長官の在任中にやってください。これは一言お約束してください、答弁で。
  128. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 従来、八十四条の対領侵措置につきまして、いろいろと国会等でも議論をされているところでございまして、私ども、その基本的な考え方というのは、動いているというか変えているというわけではもちろんないわけでございます。  八十四条に確かに刑法の規定の文言等は入っておりません。しかしながら、「必要な措置」というものの中で、正当防衛あるいは緊急避難、領侵機が何らかの攻撃を自衛隊機に向かってする、そういうようなことがあれば、いろいろな正当な要件に該当するような場合に武器使用ということもあり得る、そういうことでございまして、基本的には、そのような八十四条の解釈適用について、大臣と私との間で考え方にそごがあるというようなことではなかろう、このように思います。
  129. 長妻昭

    ○長妻委員 ちゃんとしてください。  質問を終わります。
  130. 岡田克也

    岡田委員長 次に、田端正広君。
  131. 田端正広

    田端委員 公明党の田端でございます。きょうは、大臣、政務次官におかれましては、大変御苦労さまでございます。  私、先日、外務省が主催されて、人間の安全保障、ヒューマンセキュリティーに関するシンポジウムが行われたことに対して、大変すばらしい企画であった、こう率直に思っております。国連難民高等弁務官の緒方貞子さんとか、ノーベル経済学賞を受賞されたケンブリッジのアマルティア・セン教授も出席されて、非常に中身の濃いものであったと認識しております。  前夜祭のときにセン教授といろいろお話しさせていただきまして、人間の安全保障というのは、社会的といいますか、国際的にはなかなかまだ理解が得られていない。その場合に、例えば人権というふうなものの方が言葉としては理解が進んでいるんだけれども、そことの違いはどういうものがあるかということを私がお尋ねしたら、セン教授は、人権よりもより哲学的でより積極的、一歩深い考えであると思うという意味のことをおっしゃっておりました。  そういう意味では、このヒューマンセキュリティーという、当時の小渕外務大臣の時代からこういう構想があったと聞いておりますが、私は、ぜひこの方向を積極的に進めていただいて、二十一世紀の世界というものはそういう一人一人の、人間そのものの安全保障、そこまでかかわった問題になっているだろうという、この思想を大きく広げていただきたい、こう思うわけでありますが、外務大臣の御決意をお願いしたいと思います。特に、日本が果たすべき役割としては、例えば国連関係機関への資金援助とか、そういったことも含めて大きな役割があろうかと思いますが、御決意のほどをお願いしたいと思います。
  132. 河野洋平

    河野国務大臣 人間の安全保障という考え方は、まだそう歴史が長いわけではないと私承知しておりますが、しかし、相当多くの方々から、こうした考え方をもう追求すべきであるという声は上がっていることも事実でございます。  今議員がおっしゃいましたように、小渕前総理はこの問題に非常に強く関心を持たれて、例えば国連の中に人間の安全保障基金という基金まで設置することを提案されたということがございまして、これらは公明党の御理解、御支援も非常に大きかったと伺っております。  さて、その人間の安全保障でございますけれども、これは、言ってみれば二十一世紀、貧困とか紛争とか、あるいは環境破壊とか麻薬でありますとか、あるいは国際的な組織犯罪でございますとか、やはり人間一人一人の尊厳にかかわる問題、あるいは人間一人一人の生命にかかわる問題について、いろいろな脅威が我々の周りには出てくる。そういうことを考えて、人間の安全保障というものに着目をすべきだ、こういうことが議論でございました。  我が国といたしましても、これまでこうした問題をテーマとしたシンポジウムを開くとか、あるいは、先ほど申し上げました人間の安全保障基金に対してこれをサポートしていくとか、そういったことを考えているわけでございます。  今お話がございましたように、先般開かれましたシンポジウムも大変多数の方々が参加をされて、非常に盛会に終わったというふうに伺っておりまして、この考え方は、例えばアジアでもだんだん広がりつつございますし、世界的な広がりを必ず見せることになるだろうというふうに思っております。
  133. 田端正広

    田端委員 安全保障という視点から、しかも二十一世紀というこれからのことを考えますと、私は、そういう中でも国連というものの位置づけといいますか、安全保障の中心軸を、その辺のところを日本としてもう少し明確にした方がいいのではないかという感じがいたしますが、そういう意味で、今回、G8外相会議とかサミットとか、そういった場面で外務大臣も積極的に国連改革、あるいは安保理改革等も含めて、前向きな御発言が種々あったように思います。  しかし、まだもう一つ、国民から見ればその辺のところがはっきり見えてこないわけでありますが、大臣、どうでしょう。その辺のところ、本気になってやはり取り組まなきゃならない大きなテーマだと思いますが、いかがでしょうか。
  134. 河野洋平

    河野国務大臣 新しい時代になりましても、この国際社会の問題を解決する中心的役割を果たすのは国連以外にないというふうに考えております。そのことは、例えばG8が、先進国の首脳が集まっても、G8でどんな議論が行われたとしても、結局、この国際社会の問題解決、あるいは国際社会に対する説得力を持つのは国連であろうということはだれしも思っているわけでございます。  しかし一方で、今国連が、それでは国際社会の中で十分な力を、説得力を持っているかというと、必ずしもそうではない。その理由は何かというと、一つは、やはり安保理の構成が偏り過ぎているからではないか。つまり、五十年前に国連がスタートをいたしましたときの、あのときの力関係というものがそのままずっと温存されてきて、今二十一世紀を迎えた国際社会の中で、あの安保理の理事国の構成がこのままでいいのだろうか。このままで十分に、国際社会全体に、二百カ国になんなんとする国々に対する説得力は持ち得るかどうかという議論がございます。  そこで今、国連改革という声が出てきております。もちろん、国連改革の中には、財政的な問題でこのままで国連はやっていけるだろうか、財政改革もやらなければいけない。あるいはまた、時代が移り変わってきているわけですから、国連の持つさまざまな組織、たくさんございます組織をそのままにしておいていいか、もっと組織を活性化させる必要もあるだろうというような組織論についても議論がございます。しかし、私は、何といっても、やはり一番のもとは安保理改革が重要だというふうに考えまして、日本としては安保理改革を国際社会の中で提案をし続けてきたわけでございます。  例えば、せんだってのG8におきましても国連改革はテーマになり、議論になりました。しかし、あのG8でも、例えばイタリーとかカナダとかという国は、なかなか安保理改革には積極的ではございません。イタリーもカナダも、恐らく、ここで安保理を改革したとしても自分が安保理に入る可能性がどの程度あるかということを考えると、むしろドイツは入るかもしれないけれども、イタリーは自分は入る可能性があるかどうかということなどもきっと考えるということもあるのだろうと思います。これは、それぞれの国、さまざまな思いでございますから、これ以上申し上げませんが。  そうしたことを考えて、なかなかG8でも国連改革についての合意はできなかったわけでございますけれども、先般の沖縄サミットにおきましては、安保理改革を含む国連改革をやらなければならぬということを議長声明の中に書き込むことができました。これによりまして、G8は、国連改革について、これを進める、サポートする力を得たというふうに思っております。  またさらに、何といってもアメリカが非常に強い力を持っております。拠出金にいたしましてもそうでございますが、そのアメリカとさまざまなやりとりをいたしておりましたうちに、アメリカから安保理改革についてもやや前向きな発言が出てまいりまして、このミレニアムサミットなどを機にもう一歩進めるかもしれないという若干の希望を我々は持っているところでございます。  大変難しい問題でございますから、一遍にいけるとも思いませんけれども、しかし、何とか前進させたいという気持ちを持っているところでございます。
  135. 田端正広

    田端委員 今大臣おっしゃったように、なかなかこれは難しい問題だと私も思いますが、しかし、だからといってほっておく手はないわけでありまして、特に、国連の分担金の比率が、我が国は二〇・五七三ですか、アメリカに次いで第二位でありますが、常任理事国の中で英仏中ロの四カ国合計をしてもまだ日本の方が大きい、こういう大変な分担金を出しているわけであります。それでいて発言権が弱いということは、国民からすれば、これは難しいからだめだ、そういう論理は成り立たないというふうに率直に思うわけであります。  どうでしょう。ぜひ安保理改革、常任理事国入りを目指して、明確にもうちょっと御決意をお願いしたいと思います。
  136. 河野洋平

    河野国務大臣 国連の安全保障理事会、理事国にせよ非常任理事国にせよ、もう少しこれを拡大するという必要がある。しかも、それは先進国も入らなければいけないけれども、開発途上国にも安保理のシートを渡した方がいいというような、さまざまな意見がございます。  それからまた、やはり安保理が、各地区、各地域といいますか、あるいは各大陸、大陸というのは適当でないかもしれません、各地域の声を代表するという、つまり、余り一つの地域に偏るのはどうか、できるだけバランスよく安保理に声が届いた方がいいとか、いろいろな意見がございまして、必ずしもたくさん拠出をすれば入れるというわけにもいかないところも実はあるわけでございます。  私の記憶では、例えばイタリーだって相当な拠出国の一つでございますが、なかなかヨーロッパの中でイタリーが、もう既に幾つもの国が安保理に入っている、またイタリーもかというマイナスの声もあったりするわけでございまして、必ずしも拠出額だけで決められるということではありませんけれども、そんなよその国のことはともかくとして、我が国のことについて言えば、これは納税者の方の気持ち考えても、我が国としてこれだけの国連に対する拠出をする以上は、その国連の意思決定に何らかの形でかかわり合うということがやはり必要だというふうに思います。  私は実は、前回外務大臣をさせていただいたときに、国連総会に行って、我が国は常任理事国になる用意があるという宣言めいた演説をした張本人でございますが、ことしの国連の総会にもぜひ出席をさせていただいて、そこでも安保理改革についてもっと努力をしてみたいというふうに考えております。
  137. 田端正広

    田端委員 ぜひ積極的、前向きにお取り組みいただきたいと思います。  ちょっと視点を変えたいと思いますが、国連の職員、プロパーの職員、例えて言えば明石さんなんかは代表的な、もう明石さん一人で日本のイメージを大きく変えたと思いますが、私のデータでいきますと、九八年の十一月時点で、国連の日本人職員は、分担金から出てくる枠として二百六十五人の枠がありながら、実際は百四名、半分以下。しかも、その時点で、資格試験は通りながら、ポストがあいていないためにあき待ちの人が三十数名。それで、実に不思議なことは、その同じ時点でロシアが、枠は五十人しかないにもかかわらず、実在が百二十八名、倍以上職員がいる。これは私は、やはりその国の外交努力、姿勢、それのあらわれだと思います。  だから、民間の若い人たちが国連の職員になろうということで一生懸命自己努力をしているにもかかわらず、外務省あるいは国としてそういう人たちをバックアップしないということから、なかなか国連の職員の数、日本人職員の数がふえていかない、そういうことも考えられるのではないか。  私は、安保理改革、なかなか難しい、それはそれで政治的に大きく国際世論を盛り上げなければ、頑張っていただきたいと思いますが、しかし、日本の若い青年男女がこういう形で仕事をして貢献しようということに対して、外務省はもっと積極的に外交努力をされてもいいのじゃないか、その辺の残念な思いをしているわけでありますけれども、やはり人を育てるということがこれからの日本にとっての安全保障の大きな役割にもなると思いますが、大臣、再度の御決意をお願いしたいと思います。
  138. 河野洋平

    河野国務大臣 お話しのとおり、我が国には、二百数十人、三百人近い国連職員が我が国から採用されてもおかしくないだけの枠を持っていると言っていいと思います。枠といっても、これはなかなか、バランスでいえばそのくらいあってもおかしくないよというバランスなのでございますが。  最近は、国連及び国連関係組織から採用ミッションというのが大分日本へ来ておりまして、日本からこういうポストにつきたいという人はないかというようなことを大分言ってきております。国連の場合には、つまりいわゆる普通の会社へ就職するのとはまるで違いますから、このレベルのこういうポストが今あいているが、こういうポストにはまる人はいないかというような探し方のように、せんだってその採用ミッションに会いましたらそんな感じがいたしました。  たまたま適材がおられれば、それはできるだけそこへ押し込んでいくという努力をしなければならないと思いますが、私はそのとき、採用ミッションの皆さんに、今、日本はなかなか雇用状況が厳しいから、国連が採用したいと広告を出せば、相当思い切って多くの人が応募する可能性があるよ、しかも相当優秀な人材がたくさん我が国にはいるのだから、もっと採用のための努力をしてみてはどうかということを言いましたが。どうも、してみてはどうかというのは多少よそごとみたいに思われてもいけませんが、我々として、そういうチャンスがあれば、できるだけこれを押し込むといいますか、推薦をするといいますか、そういう努力はいたしておりますし、これから先もしたいと思っております。
  139. 田端正広

    田端委員 続いて、防衛庁長官にお尋ねいたします。  ことしが警察予備隊設立から五十年という大きな節目だとも伺っておりますが、そういった意味で、新しいこれからの自衛隊のあり方といいますか、国民に親しまれる、そういう方向をぜひ目指していただきたいと思いますが、残念なことに、この一年で自衛隊機の事故が五件も相次いでいるとか、そういったことも感じられます。率直に言って、この間、市谷の新庁舎を初めて見学させていただきましたが、オフィスビルという感じがして、本当にすばらしい近代的なビルであるんですが、これが果たしてどうなんだろう、そういう感じも受けたわけであります。  一つは、私も大阪ですから、阪神・淡路大震災のときの自衛隊の活躍等については非常に感銘を受け、また私たちも感謝をしているわけでありますが、そういった意味で、災害援助とか原子力の事故等々、いろいろな緊急事態に対して対応できる自衛隊派遣というものを、次期中期防の計画の中にそういう方向を示したらどうだろう。そうして、それなりの装備とか必要なことも手当てをする。そうして、国民の皆さんに、二十一世紀、自衛隊はこういう形で頑張っていきましょうという新しいイメージをここで一回検討されたらどうか、こういうふうに思っておるわけであります。  その辺についてはいかがでございましょうか。
  140. 虎島和夫

    虎島国務大臣 大変ありがたい御指摘でございまして、私どもも防衛庁に対する激励と受けとめさせていただきたいと思っております。  まず第一に、あれだけの庁舎ができておるわけであります。しかも、中には非常に歴史的に価値のあると申しますか、そういう記念館も残してあるわけであります。したがって、まず第一に、開かれた防衛庁ということで、ひとつ国民の皆さん方にどんどん接していただこうじゃないか、そういう中から、愛される防衛庁・自衛隊というイメージができるんじゃないかというようなことを一つやっております。  もう一つは、この間、与党三党幹事長さん方が今の離島地震に関して現地を視察されたというので、その結果を私も承りました。承った結果、お説のようなことを私も痛感いたしました。阪神・淡路大震災等々を振り返ってみても、災害出動というのは、一体、要請がなければならないものなのか。むしろ事前に防衛庁自体も、災害が起こることが予想されれば、やはりみずから情報を収集して、つまり、防衛庁長官の命令出動というんですか、そういうこともやっていいじゃないかということを、そのときのお話から感じたわけであります。  したがって、国民世論調査をこの間やっておりますけれども、これもお説のように、防衛庁というのは、自衛隊というのは、本来業務、国防のことについて、まず国民の信頼が非常に高いということ、それからもう一つは、災害出動について国民の期待が大きいということ、それから国際貢献についての期待が大きいということがあるわけでありますから、これらの三つのことについて、着実に装備、人員、その他のものについても期待にこたえるような対応をすべきだということで、実は庁内に今検討を命じまして、それで、例えば地理的には、都市部、積雪・山間地帯、それから島嶼部、それから、おっしゃるような、化学物質等による、あるいは原子力事故等による特殊災害、この四つの分野に分けまして、どのように対応していくかということについて、今検討させているところであります。  早速実は三宅島等について調査隊を派遣しまして、ヘリコプターで観察するのもいいけれども、やはり大地に足をおろして、これは小人数でいいわけですから、尉官クラス一人、曹クラス一人ぐらいの二名ぐらいが行って、島に足をおろして、そして、もし地震がさらに続いたならどうなるのかということ等は直接防衛庁の方にも連絡をして、そしてみずからが動かなきゃいかぬときには動くということ等の準備をさせておるわけであります。  お説のようなことで、このことについてはもっとしっかりした対応を予算についても、あるいはまた相当の人員、装備を必要とすれば、次期中期防について取り上げなければなりませんから、それらについてもまたそれぞれ党の方とも相談しながら、お説のようなことが充実されるように、そして本当に愛される自衛隊になり、国民のために活躍できるような、そういう場をもっと拡大してやっていきたいと思っておりますので、御支援、御協力をお願いしたいわけであります。
  141. 田端正広

    田端委員 最後に、大臣、政務次官、一人ずつにちょっとお答え願いたいと思います。  ことしも八月十五日が間もなくやってまいります。それで、来年から二十一世紀ということになりますが、この八月十五日についての意識の問題ですけれども、終戦記念日ということを、これはこのまま二十一世紀も二十二世紀もずっとやっていくんだろうか、私はこういうふうに思っております。  それで、私は、そろそろ前向きに、積極的にこの日の位置づけを考え直したらどうだろう。つまり、この日によって私たちは平和の大切さとか、あるいは人の命の大切さとか、そういうとうとさというものを学んだわけですから、八月十五日を平和の原点の日、平和の日というふうな国民の休日にしたらどうだろう。実質的にはお盆で休みですから。そういうことを常々思っておりましたが、きょうはせっかくの機会ですので、大臣、政務次官、それぞれお一人ずつこれについての御意見を伺って質問を終わりたいと思います。
  142. 岡田克也

    岡田委員長 それでは、質問時間が終わっておりますから、簡単にお答えください。
  143. 虎島和夫

    虎島国務大臣 私もかつて党務をしておるときに実はこのことの論議に参加したことがありました。あのときは海の日が国民の祝日になったんですね。  国民の祝日は慣例的に議員立法、広い意味の議員立法ということに相なっておりますので、今内閣におる私の立場で意見を申し上げるよりも、従来のしきたり等からいきましても、やはり議員立法という形を頭に置いていただきながら論議を進めていただくとありがたいというふうに思っておるわけであります。
  144. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、八月十五日は、戦没者を追悼し、平和を祈念する日だと思っております。この日を国民の祝日といいますか、休日といいますか、として休みにするかどうかということについては、やはり今防衛庁長官がおっしゃいましたように、相当慎重に考える必要があるというふうに思います。
  145. 仲村正治

    仲村政務次官 去った第二次大戦の是非についてはいろいろ意見の分かれるところもあると私は確かに思いますけれども、しかし、八月十五日が第二次大戦を終結させた日である、まさに平和の出発の日であったということを重く受けとめているところでございまして、我々国民としては、二度と戦争を起こしてはならない、こういう自覚を強く持つべき日である、このように考えております。
  146. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 八月十五日につきましてはいろいろな思いを持っている方々が多かろう、こう思っておりますが、いろいろな要素を考慮いたしまして、慎重に対処することが望ましいのではないかな、このように思います。  以上でございます。
  147. 田端正広

    田端委員 ありがとうございました。
  148. 岡田克也

    岡田委員長 次に、山口富男君。
  149. 山口富男

    山口(富)委員 日本共産党の山口富男でございます。  沖縄サミットとそのさなかに開かれました日米首脳会談をめぐっては、河野外務大臣もよく御存じのように、実にたくさんの論評が出てまいりました。その中で共通に指摘された問題の一つは、基地問題の解決に進展がなかった、こういう論評だったと思います。  例えば、サミット開催地の琉球新報の社説は、これは七月二十三日ですけれども、このように述べております。「日米首脳会談・整理縮小の道筋見えず」、こう題しまして、「日米首脳会談は、結論から言えば、過重な基地負担解消への新しい道筋は見えず、肩すかしを食ったというのが大方の県民の率直な感想であろう。」そしてこの社説は、「アジア最大の米空軍基地がある沖縄で行われた歴史的な日米首脳会談だが、新世紀へ展望を切り開くメッセージではなく、基地固定化の懸念が増幅される結果となった。」こう結んでおります。  基地固定化の懸念という点では、私は、来年三月で期限切れになります在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる思いやり予算にかかわる特別協定につきまして、今般の日米首脳会談で、現在の協定の枠組みを維持することで基本的に意見の一致を見た、こうされていることが日本の外交それから安全保障上なかなか重要な問題だと思うんです。  そこで、河野外務大臣にお尋ねしたいのですけれども、アメリカ側との交渉に当たって、日本政府は、特別協定について、どのような見直し、検討を行ったのか。簡潔にお答え願いたいと思います。
  150. 河野洋平

    河野国務大臣 特別協定、在日米軍駐留経費負担でございますが、この経費負担につきましては、五年前に議論がなされて、五年間の年限を切って実施されてきたわけでございます。来年、その実施期限が切れまして、それをさらに延長するかどうか、こういう問題になっているわけでございます。  五年前の御議論を振り返ってみますと、大きな二つの議論がございました。一つは、アメリカの財政状況が非常に悪いということが一つございました。もう一つは、何とかして日米安保体制の円滑かつ効果的運用、つまり日米安保体制をスムーズに進めるためにこのことが重要ではないかという議論と、この二つの議論が五年前にあったと記憶をいたしております。  今回は、その議論のうちの一方、つまりアメリカの財政状況は五年前とは全く格段に違うという状況にございます。むしろ、我が方の財政状況が非常に当時に比べれば悪いという状況でございます。しかし、もう一方の日米安保体制の運用を効果的にするという問題については五年前と私どもは同じ状況だというふうに考えているわけでございまして、そこで、この在日米軍駐留経費負担を延長してほしい、延長していこうという話し合いにおきましては、むしろそこに着目をいたしまして、効果的運用は必要であろう、しかし財政上の問題は今度はできる限り合理化してもらわなければいかぬ、節約してもらわなければいけないということを申しまして、その点について先方との協議がおおむね合意に達したということでございました。
  151. 山口富男

    山口(富)委員 今お話がありましたように、安保の円滑効果的運用と節約合理化の二つの立場というものが五年前の御議論も振り返られて確認されたと思うんです。結局、そういう立場で見直し、検討を行いましたけれども、新たな特別協定においても、引き続き、我が国の負担の対象は現行の協定と同様の項目とする、こういう一致の内容になっております。もともと、在日米軍駐留経費の負担は、安保条約の運用上、地位協定第二十四条で定められておりますように、駐留経費のアメリカ側負担原則で進めるのが基本的な枠組みです。そして、本来アメリカが負担すべき駐留経費を日本側が負担したのが暫定的、特例的、限定的な性格のものとされた特別協定だったと、振り返ってみて、言えると思うんです。  そうしますと、今回、特別協定の大枠維持で意見の一致を見たということですけれども、そうなりますと、安保条約と地位協定上、本来日本が負担する義務のない費用を、八七年から数えますと、五年先の二〇〇六年まで仮に考えまして、約二十年近く続けることになってしまうわけですね。そうなりますと、もはや外務省が繰り返し述べてきた暫定的、特例的、限定的な性格と言えなくなってしまうのじゃないでしょうか。この点をお聞きします。
  152. 河野洋平

    河野国務大臣 確かにこの規定は地位協定の第二十四条の例外をなす特別な措置を規定するものでございまして、お話のとおり、暫定的、限定的、特例的なものというものを特別協定によって行うということを説明をいたしたことがございます。  しかし、私が今申し上げましたように、現在の日米安保条約の状況を見ますというと、この安保条約の効果的な運用、スムーズな運用のためにはやはりこれらが非常に意味があったというふうに考えておりまして、これ以外のことを実は余り考えていないわけでございまして、この措置はぜひこれから先も、およそ一定期間でございますが、日米双方の合意によって、取り決めをしていきたいというふうに考えているわけです。  それを、おっしゃいますように、これは、それでは暫定的と言えるのかという御指摘は、あるいはあるかと思いますけれども、私どもは、この五年間の経過を踏まえて、安保条約の運用上、この措置は非常に必要だというふうに考えて、さらにこれを進めたいと現在考えているところでございます。
  153. 山口富男

    山口(富)委員 河野外務大臣、二十一世紀の日本と世界の先は長いですから、これ以外に考えられないという答弁では困るのです。  それで、私は、この問題では、アメリカ側がどう見ているのかが大事だと思うんです。  ことし三月に発表されましたアメリカ国防総省の「共同防衛に対する同盟国の貢献に関する報告」というかなり大部の報告が毎年出ております。この第二章、地域別概観及び主要同盟国の貢献で、次のように日本について総括的な評価を行っております。  駐留米軍支援の経費分担は、引き続き、日本の最も重要な責任分担における貢献である、実際、その受け入れ国支援は、米国のどの同盟国よりも気前がよく、特別措置協定と提供施設整備の両方のもとで支出される基金から成る、国防総省は、一九九八年の日本の米軍に対する経費分担支援を、米軍の駐留経費の七六%以上を占める、四十億ドルから四十七億ドルに及ぶと見積もっている、こう述べております。  私はこの報告を読みまして、やはり思いやり予算を中心にした日本側の負担は既にアメリカの駐留経費の七六%以上を占めるようになっているわけですから、アメリカ側にとっては必要不可欠のものになっている。そういう意味で、駐留経費のアメリカ側負担の原則という安保条約の運用上の基本的な枠組みがこの特別協定による日本側負担によって実態としては壊されてきている、このことを指摘しておきたいと思うんです。  次に、私はサミット後の七月二十四日に朝日新聞に掲載されました読者の声を紹介してみたいと思うんです。  その声の中では、このように述べております。「広大な国土を持つアメリカ。どうして日本は、狭い沖縄の中に米軍の基地や訓練場を、ばく大な思いやり予算を投入して提供し続けなければならないのだろうか。 縮小に向かって少しずつでも進まなければ、沖縄の自然が壊されてしまいそうだ。まして国民一人ひとりが、ばく大な借金を背負わされた日本人として、既に思いやり予算を払い続けられる状況ではないと思う。」  先ほど財政状況の問題が出ましたけれども、やはり思いやり予算についての今の国民の皆さんの偽りのない意見だと思うんですが、こういう戸惑いの声に政府はどのようにお答えになるのか、答弁を求めたいと思います。
  154. 河野洋平

    河野国務大臣 日米安保条約は、御承知のとおり、日本及び極東の平和と安全のためにあるわけでございます。  日本で訓練をせずに、あるいは日本にいないでアメリカで訓練しろ、アメリカへ戻れという非常に素朴なお気持ちを私は全く理解しないわけではありませんけれども、この日米安保条約で日本及び極東の平和と安全を維持するあるいは確保するという約束の上でアメリカ日本に来ているということになれば、そのアメリカとすれば、安全を確保するために、平和を確保するために不断の訓練が必要になってくる、あるいは平和と安全が維持できるだけの体力といいますか力といいますか、そういうものをいつも持っている、それが約束を果たすことになるということになれば、米軍が訓練を繰り返すということに対して、我々は理解を示す必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
  155. 山口富男

    山口(富)委員 安保条約の存在と在日米軍の存在が世界とアジアにとってどういう意味を持つのかというのは、私は河野外相とは全く見解を異にしております。  問題は、私は、国民がこれだけ財政状況の問題を心配しているのに、今度の見直しに当たってこの点をきちんと検討したのかということを尋ねてみたいと思うのです。今お答えがなかったので引き続きお尋ねしたいと思うのですが、例えば日本側が負担している問題で、水光熱費などの問題がございます。  今回、これが一定の手直しをせざるを得なかったことは、これは米軍の基地外のところまで負担するようなことがありましたから、見直しは当然だったと思うのです。しかし、毎年三百億円前後という膨れ上がった状態になってきていて、これを上限として据え置いていくわけですから、やはりわずかに削減したところで実態が大きく変わるわけではないと思うのです。  防衛庁から資料をいただいたのですが、例えば、陸上、海上、航空の三自衛隊の年間の光熱水料は二〇〇〇年度で三百四十七億六千四百万だと聞いております。となりますと、日本側の負担している在日米軍基地の光熱水料、これは費目や部隊の構成は違いますから単純に比較はできませんけれども、そのことを考慮しても、やはり驚くべき規模に現在なっていると言わざるを得ないと思うのです。  一体、今度の新しい特別協定の問題として、こういう日本側の負担してきた光熱水料の中身まで具体的に立ち入った洗い直しや吟味をきちんと行ったのかどうか、この点を再度お尋ねしたいと思います。
  156. 河野洋平

    河野国務大臣 今回の協定を延長するあるいは新しい協定を結ぶに当たりまして、合理化あるいは節約を米側に求めるということになりますれば、当然そうした検討を加えるということはなされたものと思っております。
  157. 山口富男

    山口(富)委員 具体的にどうなされたのでしょうか。光熱水料を含みまして、具体的な見直しはしたということですけれども、どういう具体的な見直し、つまり中身まで立ち入った洗い直しというものはどういうものなんですか。
  158. 河野洋平

    河野国務大臣 今御指摘になりましたように、例えて申し上げますと、施設・区域外の米軍住宅のために調達されている光熱水料等を負担しないこと、これは今議員が御指摘になって、それは当然だろうとおっしゃった部分でございますが、これらについてもきちんと仕分けをするという作業がございます。  さらに、現行の上限調達量からそうした上記の住宅分を差し引いて、さらにそれを引き下げた値を出すというようなことの作業が行われたと承知しております。
  159. 山口富男

    山口(富)委員 私が申し上げましたのは、米軍の駐留経費に占める光熱水料が、日本の自衛隊の使っている量と比べてみても非常に肥大化してきているのだから、その中身について考えてほしい、そういう話なんです。  外務大臣、もう一つ委員会に出なきゃいけないようですので、最後に一つお尋ねしますが、今度外務省の発表では、提供施設整備の案件採択基準の作成についても引き続き詳細を詰めていく、外務省の発表文にこう書いてあります。  これは、これまで日本側が自主的に負担してきたとされるFIPの内容について、明確な採択の基準がこれまでなかったということを意味するのですか。それとも、なぜ今回基準をつくることになったのか。この点、最後にお尋ねしたいと思います。
  160. 大森敬治

    大森政府参考人 私の方から、まず事実関係を御説明させていただきたいと思います。  御指摘の提供施設整備でございますけれども、いわゆるFIP計画と言われているものでございますが、これにつきましては、先ほど来御議論があります特別協定とは別に、地位協定の中で我が国ないし米国がそれぞれ経費を負担しているわけでございます。  我が国が負担する場合には、従来より、個々にアメリカ側の案件を聞きまして、安保条約上の目的を達成するという大きな目的を踏まえつつ、我が国の財政事情また経済状況ですとか社会情勢、そういうものを総合的に勘案し、個々の施設ごとに自主的な判断をしてまいりました。  しかし、先ほど来御議論あります特別協定を今回改定するに当たりまして、その一環といたしまして、このFIP提供施設整備につきましても、案件採択の基準を作成し、より透明性を高めるといいますか、国民の理解を得て、安保条約の信頼性を高めるというふうなことで、日米政府間で基準づくりにつきましての基本的な意見の一致がございまして、現在、私ども防衛施設庁も含めまして、より具体的な基準につきまして検討しているという状況でございます。
  161. 山口富男

    山口(富)委員 そうすると、再確認いたしますが、これまで基準はなかったわけですね。日本側の自主的判断だという御答弁ですね。確認いたします。
  162. 大森敬治

    大森政府参考人 先ほど答弁したつもりでございますけれども、従来から、日米安保条約の目的達成という大きな目的を踏まえまして、我が国の財政事情ですとか社会経済事情、そういうものをもちまして個々の施設ごとに自主的に判断してというふうな原則というものは持っておりました。
  163. 山口富男

    山口(富)委員 今の答弁を聞きまして、私、光熱水料の問題といいFIPの問題といい、自主的判断という名のもとでまともな検討が行われていなかったということを、やはり非常に強い憤りを持って感じました。  思いやり予算にかかわる特別協定は、二十一世紀の日米関係にかかわる非常に重大な協議です。にもかかわらず、先ほど防衛施設庁長官、透明性が大事だと言いましたが、極めて不透明と言わざるを得ないと思うのです。  今アメリカから世界で最も気前がよいと言われているわけですから、この思いやり予算について、これが沖縄を初め日本に米軍が基地を固定化する財政的基盤になっている、しかも日本の財政は危機的状況にあるわけですから、現状の追認や大枠維持でなくて、特別協定の締結の適否を含めて、今日の時点で抜本的に再検討することを改めて求めて、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  164. 岡田克也

    岡田委員長 次に、金田英行君。
  165. 金田英行

    金田(英)委員 虎島大臣、防衛庁長官御就任おめでとうございます。いろいろとこれから議論させていただきたいと思いますが、おつき合いいただきたいと思います。  我が国の危機管理体制ということについて、いろいろと言われているわけであります。  最近、いろいろなことが起こり過ぎておりまして、果たして今の行政体制の中で危機管理体制は大丈夫なんだろうかという国民の不安がやたらに募っているという状態だろうと思います。例えば、ジェー・シー・オーの事故だとか、あるいは阪神・淡路大震災だとか、あるいはオウムのサリン事件だとか、いろいろな事件が起きています。そして、ヨーロッパでは、ヨーロッパでなくても、日本でも大きな飛行機の墜落事故だとか、いろいろなことが起きている。こういったことに対して、政治が国民の皆さん方の財産を、あるいは生命をしっかりと守ってやる、このことに不安を感じておられる国民の皆さんが大変多いんだろうというふうに思うのでございます。  例えば、平時であっても、PKOの問題、それから国際緊急援助の体制をどうするか、あるいは大規模災害が起きてきたとき、あるいは周辺事態のとき——船舶検査の問題についてはまだ検討途上でございますが、そんなこと。あるいは、我が国有事の場合。それからまた、グレーゾーンと言われている事態があるわけでありまして、海賊行為があったとか、あるいは避難民対策をどうするのかとか、あるいは武装工作員が日本国内でいろいろと行動を起こしたらそれに対してどう危機管理をやっていくのかとか、あるいは弾道ミサイル対策というのはどうやるのかという形で、各般にわたって我が国の危機管理体制をどうやっていくのかということが問題になるんだろうというふうに思うのでございます。  これらについて、例えば災害対策基本法ではこう書いてあるとか、自衛隊法ではこう書いてあるとか、あらゆる事態が想定されるわけでありますから、こういった危機管理に対して、かねていろいろ検討されておりましたけれども、安全保障・危機管理室なんというのが官邸にあるわけですが、そんなことで、いろいろなことを検討していかなきゃならない。  大体、そもそも憲法にそういった緊急事態のことについての規定が全くない。せいぜいこの程度かなと思うのは、憲法の中に、公共の福祉のときには人権を制約することができるんだよというようなあいまいな規定があるだけでありまして、本当に不安な状態でございます。こういったときに、我々、何としても、全体を包括する、こういった危機管理に対する基本法的なことを検討する時期に来ているんでないかというふうに私は考えております。  でも、この話を防衛庁長官に御質問しても、これは防衛庁限りの問題でないんだ、防衛庁は主要な担当官庁ではあるけれども、警察の問題もある、海上保安庁の問題もある、あるいは自衛隊もあるんですが、いろいろとある。そういったことで、国全体としてこういった危機管理体制の包括的な法案をこれからつくっていく必要がある、そんなことを考えております。  そんなことで、防衛庁長官に後で御質問しますけれども、今憲法調査会等々があるわけでありますが、そもそもこういった危機管理に対する規定が日本の憲法にはありません。そういったことで、憲法調査会の中で、こういった危機管理に対しての規定を整備しておく必要があるのではないかというふうに金田考えているわけでありまして、こういったことについてもこれから取り組んでいかなければならないというふうに思っているわけであります。  ワイマール憲法には、四十八条に非常事態規定というのがありまして、その非常事態規定を使ってヒトラーが誕生したんだという話があるわけでありますが、これは決してこの非常事態規定があったことに問題があるわけでなくて、その非常事態規定を施行する施行法がしっかりとできていなかったから、それが独裁の道に走ったんだということなんだろうと思います。  何とかして、憲法調査会の議論の中でも、こういった危機管理体制に対する憲法上の規定というのが必要だろうというふうに思っております。  ついては、その中で防衛庁が大きく占めております領空侵犯だとか、あるいは災害派遣だとか、海上における警備行動だとか、治安出動だとか、あるいは防衛出動だとか、いろいろな場面で、防衛庁さんは、危機管理体制の中で大きな役割を占める役所であります。  そんな中で、有事立法について防衛庁長官にお尋ねするわけでありますが、有事立法、これは危機管理体制の中で主要な部分を占めるわけですが、我が国が武力攻撃を受けた場合の法整備というようなことに相なっているわけであります。  危機管理体制とか緊急事態法とか、そういったいろいろなテリトリーがあると思うのですが、有事立法が必要だというふうに思うそういった事態というのは、あちらで内乱みたいな形が起きている、あるいは、武力工作員が行動を起こしたために相当の騒擾状態が国内で発生したといったときに、果たして、その騒擾状態が外国からの武力攻撃で起こっているものなのか、あるいは別の団体が起こしているものなのか。有事立法というのは外国の武力攻撃があった場合に働くということであれば、そもそもそんな騒乱状態が起きたときの時点ではわからないわけでありますが。  そんなことで、有事立法、このことについて過去いろいろとやってまいりました。この有事立法を真剣に取り組むのかどうか、そういったことについての防衛庁長官の御所見、決意をまず最初にお尋ねしたいと思います。
  166. 虎島和夫

    虎島国務大臣 有事法制の整備に対して大変積極的な御見解を承ったわけでありますが、有事法制の整備につきましては、我が国に緊急不正の攻撃が行われたときの対応の基本の一つというふうに考えておりますから、御説のように、極めて重要な法律である、したがって、これは、私としては、制定されることが望ましいというふうに思っておるわけであります。  しかも、防衛庁は既に長年の研究の成果を第一分類として実は公表しておるところであります。そしてまた、関係省庁間は第二分類として、これもまた既に研究の成果を公表しておるわけであります。ただ、五十三年でしたか、当時、防衛庁長官が有事法制研究に手をつけることとなったわけでありますけれども、当時は、これも御高承のとおり、立法化を前提としないという縛りが実はかかっておるわけであります。したがって、これをどのように縛りを解いていくかということも一つ大きな課題としてあるわけでありますが、最近では、法制化を目指した検討を開始するよう政府要請する与党三党の考え方等も出てまいっておりますし、当時からすると国民の理解もかなり行き届いておるものとは理解いたしておるわけであります。  実は、本年四月には、森総理大臣の所信表明の中でも、与党の考え方を十分に受けとめながら、今後、政府の対応を考えてまいるという意見表明もあっておるわけでありますから、私としても、これについては適切に対応したいと思っておるわけであります。  ただ、第三分類につきましては、現在でもまだ内閣安保室がこれを関係機関と調整中でありますので、一防衛庁の所管を離れる、内閣において取り扱うべき案件、こうなっておりますので、三分類の中でもそれぞれ対応は違わざるを得ないというようなことも思っております。  いずれにしても、これらを総合いたしまして、政治的な選択、特に政党間のお話し合い等については大変大事な一つの段階であるというふうに認識いたしておりますので、私の意見は先ほど申し上げましたけれども、そのような議論が進んでいくこともまた一方では期待しておるということを申し上げておきたいと存じます。  以上であります。
  167. 金田英行

    金田(英)委員 大臣の御見解、本当によくわかりましたし、一生懸命に取り組んでいただかなければならないというふうに思っております。  そもそも、非常事態法制を検討しよう、そういったときに相当の反論が出てくるのでございます。野党の一部にもそういうお考えの方があるんだろうと思うのです。  何で非常事態法制を検討しちゃだめなんだというと、そういった非常事態になるということを回避するのは政治家の責任じゃないのかというような考え方が一つあろうかと思いますし、また、非常事態法制というのはそもそも国民の自由だとか権利を制約することなんで、そういったことを検討することはまかりならぬという考え方が一つあろうかと思います。また、そういった非常事態法制が乱用されることによって権限の集中だとか、権利の乱用があって独裁への道を開く、いわばワイマール憲法の話。そんなことで、こんなことは今やることじゃないとか。また、平和な時期、この平和な時点に、こんな有事だとかあるいは非常事態の法制を検討しようということについては、今これだけ平和なんだから、こんなことを議論することによって国内の混乱を招きたくないというような、遠慮みたいなことがあるんだろうと思います。しかし、そういった考え方は、我々政治に携わる者として決してとってはならない態度だと私は思うのであります。  そもそも非常事態、こういったのは、議会制民主主義の枠の中で何とかこういった非常事態をおさめなければならない、それが我々政治家の立場なんだろうと思います。非常事態ということが出てきた場合に、法律に規定がないからこれは超法規的な立場で措置するんだとか、あるいは、緊急の事態であるからこれは許されるんだとか、法律にいろいろとぶつかり合いながらそれを無視して突っ込んでいくというのが非常事態、そんな考え方もあろうかと思います。何としても我々政治家として、立法に携わる者として、法律に抵触する事態を招かなければ自衛隊が行動できない、そういった事態を、常日ごろ、平和のうちに論議して、それを解決しておくことが必要だろうと思います。  それが何で今こんな形になっているのかというと、やはりこういった非常事態法制に対する慎重論、反対論が国会の中に相当の多数を占めてあったということが一つと……(発言する者あり)うん、出した、出した。自由民主党が参議院選前に出して、それをまた我々もそういった主張をして選挙を戦ってきた者として、その公約を守るために、さらに私も一生懸命にその実現のためにやらせていただこうというふうに思っています。  そもそも歴史的に考えてみると、野党の皆さんに聞いていただきたいのですが、昭和四十年ぐらいに国会で問題になった三矢研究というのがありまして、それについて野党の皆さん方から相当の攻撃を食らってしまって、政治問題化されたという事態がありました。それについて、あつものに懲りてなますを吹くような状態が以降現出しておりまして、先ほど長官からもお話しされました、有事法制の研究はやらなきゃならないんだよというようなことでも、五十二年ですか、そんなことになった。福田総理から三原防衛庁長官になったんだけれども、三原防衛庁長官から、有事法制について勉強しなさい、研究しましょうと。ところが、やはり国会のあつものに懲りてなますを吹くような状態があったものですから、一定の枠の中で研究を始めざるを得なかった。これはシビリアンコントロールのもとでやるんですよとか、あるいは現行憲法下でやるんですよとか、これは今後の立法に対する準備ではありませんよ、これは単なる防衛庁の研究としてやるんですよと、随分と腰が引けた、そういった形での有事立法の勉強になったわけであります。  そんなことでありますので、今防衛庁長官からもお話があったように、もうそろそろ国民の皆さん方がこういう有事法制をつくることについて大方御理解をいただける状況が既に現出しているんだろうというふうに思うのでございます。  先ほど言われましたように、第一分類、防衛庁所管のものについては昭和五十六年に既に公表されていて、こういうところが問題なんだよと。第二分類、他省庁の所管の分野については昭和五十九年に、こんなところを直さないと自衛隊は動けないよ、超法規的な行動をとるというのかな、法律にぶつかって自衛隊が円滑に動けなくなるよということが既に公表されているわけであります。その公表から、五十九年、第二分類からはもう十六年もたっている。それなのに、現実問題として立法化の動きが出てこない。第一分類については公表からもう十九年もたって、それは研究のスタートが、これは立法の準備ではないというような、及び腰な研究体制から始まったというところに原因があるんだろうなというふうに思います。  しかし、これは及び腰だということで責めてばかりもいられないのでありまして、現実の問題であります。多分できるでしょう。いろいろな緊急事態があったときに、超法規的な措置だ、これは国民の皆さんに多分許されるだろうというような、国民に一定のその緊急の事態の中で許される行動だという形で、超法規的な行動として、あっちの法律、こっちの法律を踏みにじりながら危機管理に当たるということは、我々いかがなものだろうというふうに思うわけであります。野党の皆さん方にも聞いていただいて、ぜひ協力をいただきたいと思っておるものですから。そんなことで、有事法制については、これから相当の真剣な覚悟で——要するに、結局、議会制民主主義に対する危機が発生するということです。そんなことであります。  そういったことで、再度、この法制は急がなければならないんだというようなことについて、確かに立法の準備ではないんだという研究の前提ではあるんですが、支障があるということはもう既に明らかにされているわけでありますので、これからどんな形でこの有事立法に取り組んでいくのか、そこいら辺についてもしお考えがあるのであれば、防衛庁長官、もう一度、申しわけないんですが。
  168. 虎島和夫

    虎島国務大臣 先ほど申し上げましたように、防衛庁長官という立場では有事立法法制化は望ましいと思っておるわけであります。  ただ、今申しましたように、過去の経緯がありますから、そういう過去の経緯の一つには、今言ったような、近い将来立法化というのをやるんじゃありませんよという、それが一つある。一つはまた、与党三党の方で、やはりこれは有事立法を進めるべきではないかという意見が内閣の方に寄せられておるという、このことを受けて所信表明の中にこの文言が入れられておるということ等を考えれば、できれば政党側と申しますか、そちらの方においてもいろいろな議論が起こり、そして、よきはよき、やはり修正すべきは修正すべきではあろうと思いますから、それらを整理して、一たん緩急ある場合に、国家国民というものを悲嘆と苦しみに陥れないだけのことはする責任が政治にはある、防衛庁にはあるということを申し上げさせておいていただきたいと思います。
  169. 金田英行

    金田(英)委員 長官のお考えを承りましたので、総括政務次官仲村さんにお尋ねしたいのですが。  では、現実問題として、防衛庁の中で有事法制についてこんなことを研究して、もう発表しておられるわけだから、これを法律にするために何をしなければならないというふうに考えておられるか。そして、有事法制について防衛庁としてどんな取り組みをしながら一歩一歩前に進めていこうとしているのか。そこいら辺について、仲村総括政務次官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  170. 仲村正治

    仲村政務次官 お話しのように、研究成果が発表されてからかなりの時間がたっている状況でございます。自衛隊は我が国に対する武力攻撃から国民の生命財産を守るという任務遂行のために、現在、防衛庁においては、公表された報告で指摘されている問題点に関し、報告公表後の法令の改廃等の状況も踏まえつつ、自衛隊の円滑な行動を確保するとの観点から検討を進めているところでございます。  その内容といたしましては、特例措置が必要とされている項目に関し、実体面、手続面から具体的にどのように取り扱えばいいのかといったことなどについて検討を進めているところでございます。
  171. 金田英行

    金田(英)委員 では、具体的にお尋ねしてまいりたいと思います。  防衛庁所管の法律でございますが、それについては既に五十六年にこういう問題があるよということが指摘され、公表されているわけであります。  例えば、物資収用をするための手続に関しては自衛隊法の百三条で書いているわけです。それは、物資調達をするときにどんな手順でやるのかということは政令で定めるということになっているわけでありますが、その政令がいまだかつてつくられていない。まだ未策定である。  あるいは陣地構築をする必要が生じたというときに、土地の収用に関する問題、あるいはいろいろな物資を陸上輸送する、あるいは戦車等々を陸上輸送する場合に道路法上の許可が要ったり、いろいろ難しい話があって、有事のときに間に合わないというような状況をどうするのか。——道路法の話は第二分類ですから、ちょっと間違えましたけれども。  それから、まだ防衛出動はしていないけれども、防衛出動前の待機命令時点において隊員を集めたとき、それが危機に襲われたときに武器の使用はどうするのかとか、そういった形の中でいろいろなことが不備だということが指摘されているわけであります。その項目は相当数ある。  あるいは公道以外の田畑だとか、他人の土地を通ることができないとか。ちょっとごめんなさい。第二分類でした。  そんなことであるわけでありますから、そういったことについて、少なくとも政令の問題については政府内部だけの話で、法律では政令で定めるんだ、こういうふうに書いてあるわけですから、その政令を定めるぐらいのことは、もう十何年、二十年近くたっているわけでありますから、そういった政令の準備が進んでいるのか、そこいら辺について、鈴木政務次官のお考えをただしたいというふうに思います。
  172. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答えいたします。  今、大臣そしてまた総括政務次官の方からいろいろと御答弁申し上げましたように、そういう状況でございますが、今、特に第一分類ということでございました。御指摘のように、五十六年の、防衛出動等における物資の収用等を規定した自衛隊法百三条にかかわる政令は未制定であるという趣旨の問題点を取りまとめて、公表をしているところでございます。  第一分類、そういうことを含めまして、研究、立法準備ではない、そういう形での全体の縛りがかかっているというようなこともございます。全般申し上げれば、研究にとどまることなく、その結果に基づき法制が整備されることが望ましいことだと私どもは考えておりますし、また、法制化を目指した検討を開始するよう政府要請するという先般の与党の考え方を受けとめながら考えて、適切に対応するのが望ましいのではないか、このように思っております。
  173. 金田英行

    金田(英)委員 本当に、五十六年、五十九年の公表以来ずっとその法制化がおくれているわけであります。そんな法律がなくてもやっていけるのだという気持ちがあるとすれば大いに問題でありまして、やはり議会制民主主義——実際に動いてみた場合には、緊急権があるのだからとか、そんな形で、法律がばたばたと超法規的な措置によって無視されていっては本当に議会として困るわけでありまして、そういった中でも何としてもやってほしい。先ほど防衛庁長官の御答弁にもありましたように、三党の合意というのがあるわけでありますし、そういった中で少なくとも有事立法の法制化については、具体的に政府部内としてお出しいただくべき時期に来ているのではないかと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。  それからまた、第二分類、第三分類。第三分類については、国民の避難誘導等々、あるいはジュネーブ条約、四条約の問題、それをどう国内法としてジュネーブ条約を守る国内法制をつくっていくかという問題もあるわけで、そういったことについてもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  時間もなくなってきましたので、最後に一点。  来年一月六日からは、新しい中央省庁の体制に相なるわけであります。二十一世紀は新しい中央省庁の一府十二省庁の体制の中で我々の日本の国の行政機関がなっていくんだという、まさに明治以来の大改革であります。そういった中で、一府十二省の中に防衛庁はたった一つの国務大臣を有するエージェンシー、防衛庁として残ることになったということであります。あの環境庁でさえ省という形になりました。職員は、防衛庁はそれの何十倍、何百倍という形に相なるのだろうというふうに思うわけであります。地域の……(発言する者あり)いや、人数のことを言っているだけですよ。今、防衛庁は二十六、七万ですか、定数は。そんな形にあると思うのです。そんな形で、防衛庁については依然としてエージェンシーのままだ。  今、庁とつく役所の中で、国務大臣をその長に充てているのはこの防衛庁だけでありまして、あとの庁というのは、水産庁だとか林野庁だとかあるいは食糧庁だとかという形で、役人を長とする庁であります。国務大臣を長とする庁は皆なくなりました。北海道開発庁、国土庁、科学技術庁、あらゆる庁。環境庁は省になった。  そういった中で、ただひとり防衛庁だけがエージェンシーのままにとどまっているということについて、あれ、なぜここだけ庁なんだということについていろいろな考え方があるでしょう。そして、あの先生がこうだとか、いろいろなことがあると思いますが、やはり現地の方ではもうここまで、防衛庁が二十六万体制とかそんな体制になっていて、やはり国民の、何というかな、国防というのは国民に対する最大の福祉だというふうに私は考えております。やはり国を失った民族がどのようなつらい目に遭うのか、そして、国の後ろ盾を失った民族が本当にどんな惨めな生活になるのか、いろいろな事情を見て知っているわけでありますが、そういった国防こそ国民の最大の福祉であるという観点からするならば、そして、今の自衛隊の状況を考えるならば、もはや国防省としてやるのがもう、諸外国に対するいろいろな思惑もあるでしょう、遠慮もあるでしょう。しかし、やはり毅然として、この国を守るのは日本なんだ、我々なんだ、そして、その守るためには相当の投資が必要なんだという立場からすると、また、隊員の士気の高揚等々もあるわけでありますが、こういった中で一つだけ庁に残しておくのは、自衛隊の実態あるいは自衛隊の持つ国防の意味等々を考えたときに、もはや省への昇格を具体的に考えるべき時期ではないか。多くの署名運動も地元でも展開されております。  そういった中で、防衛庁自身、この問題について、自分の問題で当事者能力がないということではなくて、やはり防衛庁としてどういうお考えを持っているのか、そこいら辺について長官の御所見を賜りたいと思います。
  174. 虎島和夫

    虎島国務大臣 激励を兼ねたような御発言がありまして、大変に防衛庁諸君も意を強くしたものと思いますが、防衛庁の省移行につきましては、行革会議の最終報告にもあるとおり、政治の場で論議すべき課題であると現在なっておるわけでございます。  したがって、お説のように、国の防衛の重要性が増大して、国防を専らつかさどる主任の大臣を置き、対応させるべき時期が来ておる、私もそう思います。国防組織を省とすることは、国家としての基本を整え、国民の生命財産を守り、国の平和と独立の確保を全うすることにつながるというふうに思っておるわけであります。  しかしながら、いずれにしろ、現状では、政治の場での論議が活発に行われ、深められ、そして、議員御指摘のような形が整えられることを期待しながら御回答にかえさせていただきます。
  175. 金田英行

    金田(英)委員 時間ですので、終わります。
  176. 岡田克也

    岡田委員長 次に、藤島正之君。
  177. 藤島正之

    藤島委員 自由党の藤島でございます。  私、三十数年防衛庁にお世話になっておりまして、実は、いつも答弁者側の方に座っておったのが、きょうは質問者側の方に立つということで、まことに妙な感じがいたしますけれども、それはそれとして、虎島防衛庁長官に幾つかの点についてお尋ねをしたいと思います。  まずその前に、私は、自衛隊につきまして、自衛権を含め憲法上明確にすべきである。今まで我が国の場合は、自衛隊だけでもありませんけれども、いろいろな問題について無理な解釈を次々と重ねておる。これはやはり国民にとっても非常にわかりづらいことでもありますし、世界の立場から見ましても、日本はそういうことを明確にしないまま、ずるずるといろいろなことを現実に合わせて進めていってしまう、こういうふうな誤解を与えておるわけでありまして、もうそろそろそういうやり方を避けて、憲法上明確に自衛権を書き、そのために自衛隊を保有することができる、これをはっきりすべき時期に来ている、こういうふうに私は考えます。また、これは我々自由党の小沢党首がかねがね申し上げているところでもございますので、この際はっきり新しい虎島長官には御認識をいただきたいと、まず思っております。  さて、中身にちょっと入っていきますけれども、六月に南北朝鮮会談がございました。この点について、防衛庁の佐藤事務次官は、これがどのように進展していくか、また、もとのように後戻りするか、これについては今慎重に見守っていく必要がある、このように当時の直後の記者会見で話しておるわけですが、防衛庁は、このような考え方、見方について、現在はどういうことになっておりますか。お答えいただきたいと思います。
  178. 虎島和夫

    虎島国務大臣 御指摘のようなことはあるわけでありますが、いまだ南北を含む朝鮮半島の情勢については極めて流動的である。したがって、いろいろと提言があり、期待があることは十分承知いたしておりますけれども、それが一つの方向に固まり、そして、その固まった条件下で我が国の針路を決めるという段階には立ち至っておらない、したがって、慎重に事態の推移を見守りながら国の将来を誤らないようにしなければならないというのが、現在の防衛庁の立場でございます。
  179. 藤島正之

    藤島委員 今そういうふうにお答えいただいたということは、当時の考え方と今も変わっていないということなのですけれども、防衛庁長官は、防衛庁が発行しております防衛白書、これは毎年一回発行しているわけでございますが、これを御存じでございましょうか。
  180. 虎島和夫

    虎島国務大臣 私が閣議に提案いたしまして承認をいただいたものでございます。
  181. 藤島正之

    藤島委員 本年版の第一ページにどういうものが書いてあるか、御存じでしょうか。
  182. 虎島和夫

    虎島国務大臣 極めて鮮明な写真が載っております。
  183. 藤島正之

    藤島委員 そういうことでございます。まさに南北の代表が握手している写真が一番大きく写っているわけですね。ところが、この中身についてほとんど解説がない、これはどういうことなのでしょう。私は、国民の皆さんやこの読者に、これだけでございますと誤ったメッセージを与えていることになりはしないか、こう危惧するわけであります。そこで、その意図が那辺にありや、御説明いただきたいと思います。
  184. 虎島和夫

    虎島国務大臣 ただいまの写真は南北の首脳がそれぞれ写真に載っておるわけであります。これは、申しますように、結果的に何が出るかわかりませんけれども、しかし、少なくとも今まで南北の対話もなかったというような地域の首脳が一堂に会する、そして語り合う。しかもその中に、いろいろ我が国についても取りざたされ、論議をされた。兵器の、つまりミサイル等々の、こういうようなことの扱いにまで論議が及んだということは、やはり防衛という立場から見れば、一つのニュースであるというようなことになると思います。  しかし、また一方では、そうではありますけれども、我々は、まずはきちっと将来を見据えてこのように動くであろう、したがって、それに応じて我が方の防衛を変えるというあれはないのですよという、ある意味では警鐘を鳴らすというか、そういう見方もある。あるいは、こういうことがどんどん実っていって、そして、朝鮮半島あるいは北東アジアに平和が来るといいなという、それは当然期待もあるわけであります。いろいろ読み方、見方があると思いますけれども、私どもはそういうような、まだ混沌としておる状況だけれども、そういう事実があったということを防衛白書の中で表示しておるというふうに御理解いただきたいと思います。  決してこれは、このことによって我々の従来とってきた方針を、今日ただいま直ちに大きく変換するというところに至っておらないという認識を持っておることだけは、繰り返し国民の御理解をいただくように申し上げておきたいと思います。
  185. 藤島正之

    藤島委員 最後に、長官が今お話しになったその点ですね。そこだけははっきりしておいた方がよろしいのではないかと思います。  やはり安全保障というのは、願望だけでいくわけではないのでありまして、やはり現実を一歩一歩踏み固めながら進めていく必要がある、私はこう思うものですから、誤ったメッセージでなければよいが、こういう観点から実は御質問してみたわけでございます。  そういうことで、国際情勢全般に移りますけれども、やはり、ソ連が崩壊いたしましてロシアになり、経済力が弱まってきたということで、我が国の周辺としても、極東ロシア軍がかなり小さくなってきておる。これに対して、中国、韓国、北朝鮮、ここはこの数年やはり防衛努力を続けておるわけですね。その点について、五年前と現在にどのような変化があるのか、今申し上げた四カ国について、これは防衛局長で結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。
  186. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答え申し上げます。  委員もよく御存じのように、我が国周辺の軍事情勢につきましては、極東ロシア軍の量的な縮減傾向などの変化が見られますものの、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在している中で、軍事力の近代化を行っている国々、そういうものもありますし、また、朝鮮半島における軍事力の対峙など、諸問題が未解決のまま存在しているというようなことでございます。  御案内のように、北朝鮮につきましては、軍事面に資源を重点的に配分、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発、あるいは配備というようなことでございますし、また、大規模な特殊部隊を保持して即応態勢の維持強化に努めている、そういうことでございまして、この周辺の安全保障にとっての重大な不安定要因ということになっているというふうに理解しております。  また、韓国は九七年末の経済危機、その後、効率性の向上というものに大変配慮をしながら、陸軍の近代化、こういうものを行っておりますし、海空軍の近代化もあわせて行い、また、米国との共同演習等も行っている、そういうような状態でございます。  中国につきましては、軍事力の量から質への転換を精力的に図っているというような、そういうことでもございますし、弾道ミサイル、核戦力、海空軍力の近代化、そしてまた海洋における活動の範囲が拡大している、こういうことが非常に注目されるということでもございます。また、国防費につきましては、公表ベースで十二年連続対前年度比一〇%以上の伸び、そういうことでございます。  また、極東ロシア軍につきましても、先ほどお話ししたようなことではございますけれども、核戦力を含む大規模かつ近代化された戦力が蓄積された状態ということでございまして、規模的には九〇年以降縮小というような傾向にあり、その活動も全般的には低調かなというような理解をしているところでもございますが、全般ではそういう状況の中で推移している、このように認識しております。
  187. 藤島正之

    藤島委員 今お話がありましたように、中国、北朝鮮、韓国はかなりのテンポで伸ばしているわけですね。そういうことを考えますと、私は、北の方を重視しておった考え方から、南といいますか、西の方に徐々にシフトしていくのがいいのじゃなかろうかな、こう考えるわけでありまして、九州地区及び新潟、石川、金沢あるいは福井、こういった日本海側の方に、各県に一個連隊ぐらいずつ増強配備しておくことが国民の安心のために必要なんじゃないかなというふうに考えております。  この点については、今防衛庁答弁を求めても答弁はなかなかできないと思いますので求めませんが、私はそういうふうな考え方がよろしいのじゃないかなとだけ申し上げておきたいと思います。  ところで、防衛力整備の問題について二、三尋ねたいと思いますけれども、防衛庁長官は、基盤的防衛力構想という言葉を御存じでしょうか。
  188. 虎島和夫

    虎島国務大臣 承知いたしております。
  189. 藤島正之

    藤島委員 ごく簡単に御説明いただけますでしょうか。
  190. 虎島和夫

    虎島国務大臣 基盤的防衛力構想とは、我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも、みずからが力の空白となって我が国の周辺地域における不安定要因とならないよう、独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという考え方でございます。
  191. 藤島正之

    藤島委員 今防衛庁長官がお答えになりましたように、独立国として最小限度の防衛力をふだんから持っておく、こういうことでございまして、経済財政事情とかいろいろな事情があるわけですけれども、これは常々きちっとそういうものを維持しておかなきゃいかぬ、これが今の防衛計画の大綱の考え方でありまして、毎年の防衛力整備もこの考え方にのっとってやっておるというふうなものでございますが、この中で、実は幾つかのものについて伺いたいのですが、とりあえず陸海空の一つずつの装備品につきましてお尋ねしたいと思っております。  現下の経済情勢は非常に厳しいわけでございますので、そんなにどんどん整備するというわけにいかないと思うのですけれども、私がちょっと気になっておりますのは、与党自民党の中に、有力な方が、陸上自衛隊の戦車は要らないのだ、あんなものあって何だ、こういうふうに公然とおっしゃっている方がございます。もう故人になった方もございますけれども、現在の有力者の中にもおられるわけですが、この際、戦車についての有用性といいますか、整備の考え方について、ごく簡単にかつ明瞭にお答えいただきたいと思います。
  192. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 戦車の有用性ということでございますが、私ども自衛隊の任務は、何よりも、我が国の国土、国民、そういうものに対しての外国からの侵略の未然防止、あるいは万一侵略が起こりましたときにはそれを排除するということにあるわけでございます。そういう中で、戦車というものが、火力、防護力、機動力に、言ってみますとバランスのとれた装備品だというふうに私ども思っております。そういう中では中心的な役割を担う、そういう立場のものというふうに考えております。  いろいろと、新大綱、現在基礎になっている物の考え方でございますけれども、その中でも陸上防衛力のコンパクト化ということが検討され、その中で、従来千二百両ぐらいあったわけでございますけれども、それも若干減らして九百両体制というようなことでございますけれども、一定の数量を保持するということが、先ほどお話しした点からしますと非常に大事なこと、そしてまたそれを着実に近代化するということが非常に大事だというふうに思っております。
  193. 藤島正之

    藤島委員 今お答えになった中で、やはり非常に有用であると同時に、近代化しておく必要があると思うのですね。これは湾岸戦争のときそうだったのですけれども、イラクと米国の戦車が戦争したとき、イラクの戦車は非常に古い形だった、しかしアメリカの戦車は全部最新式だった。それで、砂漠で対峙したとき、アメリカの戦車は一台もやられないで、イラクの戦車が全滅したというようなこともありまして、近代化はぜひ進めていっていただきたい、こう思います。  次に、海上自衛隊のイージス艦でございますけれども、これはお答えいただかなくて結構なんですけれども、二年前にテポドンが発射されたときなどにはかなり活躍しておるわけですね。これは現在四隻しかないわけであります。  私が考えますに、今までの海上自衛隊の重点は、対潜水艦あるいは対機雷といいますか掃海といいますか、こういう点に非常に重点が置かれてきたわけでありまして、航空といいますか、上からの脅威について若干海上自衛隊としてはまだおくれている嫌いがある、こう思っているわけですが、イージス艦四隻といいますと、定期修理に入ったりしていますと、実際に運用できるのはかなり限られてくるわけでありまして、あと何隻とは申しませんけれども、これはやはりもう少し充実しておいた方がよろしいのじゃないかな、こう思うわけであります。  次に、航空自衛隊でありますけれども、航空自衛隊は、何度か空中給油機について議論があり、もう少しで予算化するというところまでいきながら、自民党の中での議論が煮詰まらないで先送り先送りとしてきたわけでありますけれども、これはそろそろ限界に来ているということで、もう時間もありませんのであれですが、有力な国で空中給油機を持っていない国があったら挙げていただきたいのです。
  194. 首藤新悟

    首藤政府参考人 有力な国というのは、一般的にアメリカ、ロシアあるいは中国、もうちょっと小規模になりましてイギリス、フランス、そういった国かと存じますけれども、こういった国は既におおむね空中給油機を保有しておるというふうに承知いたしております。
  195. 藤島正之

    藤島委員 要するに、空中給油機を持っていない国を探すのに苦労するというぐらい、もうどこの国でも持っているということなんです。  したがいまして、これはぜひ速やかにことしの予算の中で何らかの形にしていただくようにお願いしたいと思いますが、防衛庁長官の御決意を伺いたいと思います。
  196. 虎島和夫

    虎島国務大臣 私の承知いたしておるところでは、二十五カ国が保有しておる、アジアでもかなりの国が保有しておると承知いたしております。  したがって、この点につきましては、政府の昨年の十二月十七日、安全保障会議におきましても、次期防において速やかに整備を行うこと、このため平成十二年度においては必要な予算を計上することとされて、実際に予算も計上されたわけであります。調査研究費でありますけれども。  そういうようなことで、平成十三年度の概算要求については、このような経緯を踏まえて現在検討中であるという、時期的にもそういうことでありますから、別にとどめておきたいと思います。  それから、実は先ほど、私が防衛白書に関しまして、北朝鮮関係のミサイル開発云々の話が両首脳間であったと話しましたが、これはちょっと錯誤でありまして、こういうことはありませんでしたので、おわびして訂正させていただきたいと思っております。  以上であります。
  197. 藤島正之

    藤島委員 ただいまの件は了解いたしました。  先ほどの空中給油機については速やかに御努力いただきたい、こう思います。  もう時間が来ましたのでこれでやめますけれども、実は、自衛官の再就職の点ですね。若年定年でありながら再就職の点が非常に厳しいものがあるので、この点ついて実はいろいろ議論したかったんですが、時間が参りましたので次回に譲りまして、きょうはこれで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  198. 岡田克也

    岡田委員長 次に、松浪健四郎君。
  199. 松浪健四郎

    ○松浪委員 保守党の松浪健四郎でございます。  大臣並びに両政務次官におかれましては、長時間にわたって本当に御苦労さまでございます。  私は、六月から七月の初めにかけて、日本アメリカなど七カ国が参加してハワイ沖で行われました環太平洋合同軍事演習、いわゆるリムパック二〇〇〇についてお伺いしたい、こういうふうに思います。  このリムパックは、一九七一年、ちょうどベトナム戦争末期のころに、アメリカ、カナダなどを中心に四カ国が参加して行われました。これは、旧ソ連に対抗して太平洋の海上交通路を確保しなきゃいけないということを旗印にして行われた、こういうふうに承知しておりますけれども、我が国が初参加したのは一九八〇年であります。  そこで、現在とではリムパックの性格あるいは内容がかなり変化してきたのではないのか、こういうふうに思うわけですけれども、長官はどのようにお考えでいらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
  200. 虎島和夫

    虎島国務大臣 リムパックそのものの全貌については今つまびらかにいたしませんけれども、ただ、我が国が参加できる分野については基本的な変更はないというふうに理解いたしております。
  201. 松浪健四郎

    ○松浪委員 そもそもリムパックは多国籍軍の演習であったわけですが、我が国の場合は、集団的自衛権の行使は違憲、その判断からアメリカとの二国間演習との形をとってきている、だから長官変化していないというふうにおっしゃるわけでしょうけれども、しかしながら、その解釈にはかなり無理が生じているのではないのか、こういうふうに私は思っておるわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  202. 虎島和夫

    虎島国務大臣 従来の国際的な防衛力のかかわりの中で、多国籍軍との協同、連携ということは、我が国として、極めて限定された、PKOとか特殊なものを除けば実行されておりませんので、これを、今リムパック全体のあれがだんだん変わってきたから、日本もそれじゃということにはこれはならないんだというふうに御理解いただきたいと思います。やはり、日本は今までの状況を踏襲するのが正道であるというふうに思っております。
  203. 松浪健四郎

    ○松浪委員 鈴木政務次官のお考えを。
  204. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 若干補足風になりますけれども、特に本年実施をされたリムパックにつきましては、海上自衛隊等の参加部隊、ハワイ周辺海域において米海軍部隊と協同して戦術訓練を実施したということで、これは従来と全く変わらないスタイルだろう、こういうふうに思っておりますが、特に、米海軍を中心とします数カ国の海軍が、今回は初めて難民救援というような、そういうことを実際に演練したという、そういうことで恐らく今御質問のお話が出たんだろう、こういうふうに思いますが、私ども、難民救援というような中身、シナリオ、事態、様相等を、国連平和協力法あるいはそういう関連の法律もございますので、そういうものも踏まえた上でいろいろと考えていかなければならないだろうというふうには思ってはおりますけれども、大きくは集団的自衛権にかかわるような問題は多分ないだろうというふうな認識をしているところでもございます。
  205. 松浪健四郎

    ○松浪委員 それで、多国籍軍の活動が中心となっているリムパックに参加し続けるその意義は、今のお話では、日米間だけの、二国間だけのことだというふうにおっしゃるわけですけれども、現実は多国籍軍がやっているわけでありまして、それに日本が参加し続ける、それにはそれなりの意味、意義があろうかと思うんですが、それについてお尋ねしたいと思います。
  206. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 重ねて御答弁申し上げますけれども、我が国有事においての日米共同対処、そういう際にも、日米双方の行動が円滑に行われるというようなことが非常に大事だというふうに思っておりますし、日米安保体制、御案内のように、日本の安全を図る上で非常に大きなウエートを占めている、そういうことでもございますので、そういう意味での相互の信頼性の維持向上に非常に役立っているというようなことでございまして、リムパック参加の意義というものは基本的に変わるものではない、このように思っているところでございます。
  207. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく時代が変わりました。そして、軍事情勢も当然のことながら変わってまいりました。地域の民族紛争あるいは宗教にかかわる紛争等、全然八〇年代と趣を異にしているわけであります。そこで、軍事的な演習だけにとどまらず、人道的な支援、これらについても真剣に考えていかなきゃいけませんし、また、人道的支援というものは必要である、我々はそのように思うわけであります。  自衛隊の方も人道的な支援が中心という立場をずっととってこられたというふうに思うわけですけれども、それならば、人道的支援ならば何をしてもいいのかという批判もあるのは事実であります。これに対して自衛隊、防衛庁はどのようにお考えであられるのか、どのように反論されるのか、お尋ねしたいと思います。
  208. 鈴木正孝

    鈴木(正)政務次官 お答えいたします。  今お話しのように、人道的支援の名のもとに自衛隊の派遣がかなり広範囲になるのではないかという御懸念かなと、こういうふうにも思います。どちらにいたしましても、人道的な国際救援活動あるいは国連の平和維持活動への我が国の参加に当たっては、従来より、憲法、そして国際平和協力法の枠内で行われることという大原則、そしてまた、国内の支持を受けるものであり、かつ、国際社会的にもそれなりの評価をいただけるものであるという、そういうことで、いろいろと総合的に判断して派遣をしている、そういうことでございまして、人道的支援という名のもとでいたずらに自衛隊の派遣がエスカレートするというようなこと、そういうことはないというふうに思っておりますが、あわせて、我が国が世界から信頼される、そしてまたそれなりの扱いを受ける国家になるためには、国際社会で求められている責任あるいは役割を着実に果たすことが他方では非常に大事だというふうに思っているところでもございまして、国際貢献そのものが非常に重要な課題だというふうな理解のもとに積極的に取り組んでいきたい、このように思っているところでもございます。
  209. 松浪健四郎

    ○松浪委員 いずれにいたしましても、リムパックへの参加の是非が防衛庁の中でも問い直されつつあるというようなことをお聞きしておりますけれども、本当に必要だという演習であるならば、堂々ときちんと説明をされて、国民のために参加されるよう切望いたします。  時間が参りましたので、私の質問は、これで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  210. 岡田克也

    岡田委員長 次に、東門美津子君。
  211. 東門美津子

    ○東門委員 社会民主党の東門美津子でございます。  在日米軍基地の集中する沖縄、その中でもさらに基地の大半が存在する中北部地域、沖縄三区から国会に送っていただきました。米軍基地の重圧に苦しみ続けている沖縄の民衆、とりわけ、沖縄から初の女性国会議員として、沖縄の女性たちの声をぜひ国政の場に届けたい、その思いで出てまいりました。頑張りたいと思います。  まず、先日開催されました九州・沖縄サミットについて伺います。サミット全体についてはさまざまな場で議論がされておりますので、私は、沖縄の立場に絞ってお伺いいたします。  総理は、所信表明演説の中で、さきのサミットで、すべての人々がより一層の繁栄を享受し、より深い心の安寧を得、より安定した世界に生きられるよう、我々は何をなすべきか議論し、沖縄から明るく力強い平和へのメッセージを発出したと述べられ、日本新生プランとして、主体的、創造的に外交を展開し、外交の新生を図ると述べられました。  そこで、お伺いいたします。  沖縄サミットでは、沖縄県民のもてなしの心、すばらしい伝統文化を持つ美しい島などと、沖縄独自の色は発信されたようですが、基地の重圧が軽減されるような話し合いは、残念ながら何も見えず、単にお祭り騒ぎのような感さえありました。  一方、県民は、基地の重圧に苦しむ実情を内外に発信しようと、数々の米軍犯罪に抗議をし、人間の鎖で嘉手納基地を包囲しました。お年寄りから子供まで、二万七千人余の県内外及び外国からの参加者が思いを一つに集いました。基地のない平和な沖縄を求める多くの人々の熱い思いを、外務大臣並びに防衛庁長官はどのようにお感じになられたか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  212. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄サミットは、今総理の言葉を引用してくださいましたけれども、サミットに参加をして、サミットの議論としては非常にレベルの高い議論が行われたというふうに私どもは承知をしております。ただ問題は、つまりサミットの議論と、議員がおっしゃいますように、沖縄県民の受けとめ方ということは、時によって分けて考えなければならないものもあるのだろうと思います。  と申しますのは、サミットの議論は、二十一世紀を視野に入れて国際社会全体に向かってメッセージを出す、こういうことで欧米の先進国の首脳がお集まりになったわけでございまして、沖縄基地の状況は、これはまさに日米二国間の問題でございますから、サミットのアジェンダの中にも入ってございません。したがって、サミットでの議論とは別に、沖縄の問題について言えば、例えばアメリカの大統領が平和の礎で述べられたスピーチであるとか、あるいは日米首脳会談であるとか、こういったことが沖縄基地問題としては最も具体的な話し合いと申し上げていいかと思います。  それ以外にも、各国の首脳は、沖縄に来られて、つまりそれまでは沖縄というのはほとんど御存じなかった方々でございますから、沖縄に来られて、沖縄の文化とか沖縄の方々との触れ合いというものを通していろいろな感触を持って帰られたと思いますけれども、アメリカの大統領は、やはり平和の礎を訪問をして、ここには敵も味方も、亡くなられた方がすべて祭られてあるということに一種の感銘をお受けになったようでございます。  そして、日米首脳会談のときには、基地問題についてお話がございまして……
  213. 東門美津子

    ○東門委員 途中ですけれども、私の質問は、人間の鎖について、外務大臣並びに防衛庁長官、それをどうお感じになりましたかという質問だったものですから、途中でとめてしまいました。済みません、よろしくお願いします。
  214. 河野洋平

    河野国務大臣 御無礼しました。  人間の鎖につきましては、あの基地を取り巻いて、主催者発表で二万七千人と言われておりますが、大変多くの方々が行動をなさったということにつきましては、私ももちろん承知をいたしておりますし、これはこれで大変大きなムーブメントであるというふうに思います。しかし、他方、サミットを歓迎する沖縄の方々の行動というものも大変多くあったということも、また事実私はこの目で見ております。
  215. 虎島和夫

    虎島国務大臣 いろいろな行動がサミットを中心に行われたわけであります。人間の鎖は人間の鎖としてまたアピールするものがあられたと思うのです。それをどう評価するかについては、それぞれを主催した人方が自分の心でどう受けとめたかということ等に帰すると思いますので、この際、その評価については論評を避けたいと思います。
  216. 東門美津子

    ○東門委員 主体的、創造的に外交を展開し、そして外交の新生を図るというのは、沖縄基地問題に関して、それも一つの外交に入ってくると思います。どのような意味を持つのでしょうか。SACO最終報告の着実な実施による整理縮小と、いつも聞こえますが、それだけでは主体的、創造的な外交とは言えないのではないかと思います。対米外交においても、総理のリーダーシップで一歩も二歩も踏み込んで基地問題に取り組まれるとの意思のあらわれかなともとれますが、いかがでしょうか。外務大臣、お願いします。
  217. 河野洋平

    河野国務大臣 森内閣は日本の新生ということをテーマに掲げておりまして、外交の新生もまたその中にある五本柱の一本でございます。極めて重要な柱ということを我々は考えております。  いろいろ申し上げなければならないと思いますが、時間を区切って申し上げれば、恐らく森総理の頭の中にあって私にいろいろと御指示がございますのは、例えば北東アジアにおいても大きな動きがある、朝鮮半島を初めとしてさまざまな動きがある。こういう動きに対しても、主体的に自分たちとしてやるべきことはきちんとやらなければいけない、新しい状況に自分たちは足を踏み込んでいく、そういう気持ちが必要だということを指しておられると思います。そして一方で、そのためにはこの日本周辺の平和と安定を維持する、そういうこともまた考えていかなければならないと考えるのは当然のことだろうと思います。
  218. 東門美津子

    ○東門委員 今の御答弁の中で、そのためにはアジアの平和と云々とございましたけれども、それは沖縄基地の問題は動かないということなんでしょうか。それとも、どうなんでしょうか。基地問題に関しては、外交の新生ということであれば、私は前進あるものと期待しているのです。よろしくお願いします。
  219. 河野洋平

    河野国務大臣 基地の問題について申し上げれば、私は、少なくとも今のところは米軍のプレゼンスというものがあって、この周辺の安定というものが維持されているわけでございますから、この安定がなければ何も動きは始まりません。  そして、それではどういうことになるかといえば、例えば朝鮮半島問題がこうなればこうなるのではないかというようなお話も時にございますけれども、私は、それは一つの理論としてはそうおっしゃる方があっても当然おかしくはないと思いますけれども、現実的な問題、我々はどうしてもリアルに物を考えなければならぬ立場におりますから、現実を考えますと、朝鮮半島問題は、首脳会談によって前向きの緊張緩和の兆しは出てまいりました。つまり、幕があいたという感じでございまして、そこではまだ新たな変化があったというわけではないわけでございまして、変化があるのではないかと胸をときめかすというだけで、こちら側に何か変化を起こすべきだとか変化があるとかというふうに考えることは少し早いというふうに申し上げなければならないと思います。
  220. 東門美津子

    ○東門委員 米軍のプレゼンスは必要だという御認識だと今伺いましたけれども、その中で、米軍という場合に、海兵隊はどうなんでしょうか。  海兵隊は、決して日本を守るためではなく、軍事訓練が主です。そういう海兵隊の撤退を沖縄県民はずっと求めてきております。それならグアムやハワイでも、本国で、自国でという声もあるわけです。そういう意味でなら、ぜひ海兵隊の撤退に一歩二歩踏み込んで、私は出ていっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  221. 河野洋平

    河野国務大臣 米軍の軍事構成につきましては、私どもが今ここでにわかに申し上げることは控えさせていただきたいと思います。  国際情勢その他を十分議論し、両国の話し合いその他必要なことについて作業をしなければ、米軍の中でこの種のものは要るとかこの種のものは要らないとかということを我々が今ここで申し上げるということは控えなければならないことだと思っております。
  222. 東門美津子

    ○東門委員 海兵隊のほとんどが十九歳から二十一、二歳の若者たちなんです。その若者たちが、言葉も食べ物も文化も異なる地で、しかも軍隊という上下関係が厳しいところで、軍事訓練に明け暮れる毎日です。私は、若者たちに同情さえしております。  その若者たちが故郷を離れて異文化の中で生活をするには、その土地についての教育が不可欠です。その地の歴史、文化等についての教育がしっかりなされなければ、政府アメリカがいつも口にしているよき隣人となることは極めて難しいと思います。  事件、事故が起こるたびに、余りにも多過ぎる事件、事故ですが、それが起こるたびに、米軍は、一層の綱紀粛正に努める、あるいは二度と起こさないよう教育を強化すると約束をされます。政府もそのようにおっしゃいます。しかし、一向に後を絶たないのが事件、事故なのですね。  外務大臣、つい先月も、一番安全であるべき自宅で就寝中の少女が米兵によってわいせつな行為を受けるという事件がありました。一九九五年、三人の米兵による少女のレイプ事件以来、政府も米軍も約束をしました海兵隊の教育の強化がどのように行われているか、その教育のプログラムの内容をぜひお示しいただきたいと思います。
  223. 河野洋平

    河野国務大臣 最近起こりました一連の問題は、まことに我々として怒りが込み上げてくる事件でございます。こうした事件の再発をどうして防ぐかということを考えましたときに、もちろん綱紀の粛正というのは当然ございますけれども、それともう一方、教育の強化ということがあるのだというふうに思います。  議員おっしゃいますように、教育の強化につきまして、私どもとしても無関心ではございませんけれども、米軍は米軍としてさまざまな教育プログラムを持っているようでございます。  ちょっと長くなりますけれども……(東門委員「それは後で資料でいただけますか」と呼ぶ)では、できるだけ詰めて申し上げれば、アメリカ軍人は、アメリカ本土において入隊した時点から、種々の訓練などを通じ、継続的にあるべき軍人としての品行、行動規範を教え込まれております。さらに、米軍人は、海外に赴任した後も受け入れ国の文化、慣習や綱紀にかかわる教育などを受けるものと承知をいたしております。  我が国に赴任した場合の教育プログラムの内容については、各軍各部隊により異なる面もございまして一概に申し上げることは困難でございますが、例えば在沖縄海兵隊におきましては、自由時間中といえども公務中と同様の心構えで行動しなくてはならないという基本的な心構えの原則に立ちつつ、教育の浸透、責任意識の向上、規制措置の導入の三つの柱から成る指導計画を策定し、実施をいたしておるわけでございます。  議員は海兵隊について特に言及をなさいましたけれども、海兵隊といえども日米安保条約におきます米軍の中で中心的な役割を果たす非常に重要な部隊だというふうに私どもは承知をいたしておりまして、しかし、非常に若い人たちが多いということも事実でございます。また、話を聞きますと、相当な頻度で入れかわるということもあるようでございまして、それらをいろいろ聞けば聞くほど、その教育のプログラムというものは、なかなか一概に全体を通してこうという御説明が今ここで短時間ではできないということをお許しいただきたいと思います。
  224. 東門美津子

    ○東門委員 私が申し上げているのは、もちろんちゃんとした教育の計画があることは存じています。その中身です。何をどれくらいの期間教育されているのか。理念だけではなくて実際的な教育の内容、それをぜひ資料としてで結構ですから入手していただきたいと思います。私は、実は七月四日初登院以来ずっとそのことを外務省の方にお願いしているのですが、なかなか出てこないのです。ここでぜひお願いをしておきたいと思います。  今政府は、沖縄サミット会場に近い名護市の辺野古周辺に、普天間飛行場移設に名をかりて、台湾海峡や北朝鮮を射程距離に置いた米軍の最新鋭軍用機MV22オスプレーの基地をつくろうとしております。  この問題は、一九九七年の市民投票により、当該地域住民の意思は明確にノーと示されています。このことを踏みにじる行為は許せるものではないと、沖縄県民は私も含めて思っております。国土の〇・六%でしかない狭い沖縄在日米軍基地の七五%が配置されていますが、この上さらに新しい基地を押しつけて、二十一世紀まで沖縄基地の島として固定化する方針ですか、ぜひお答えいただきたいと思います。
  225. 仲村正治

    仲村政務次官 確かに、おっしゃるとおり、当時の海上ヘリポートについての住民投票では、反対が多数を占めました。その後、平成十年の十一月十五日に知事選挙が行われたときに、現在の稲嶺知事は、SACOに基づく基地の整理縮小こそ現実的な対応である、その中に普天間基地移設について掲げられたわけでありますが、それは、軍民共用、十五年期限という条件をつけて県民に訴えられて、県民の圧倒的な支持を受けて当選をされたわけであります。  したがって、当時住民投票で否決をされた海上ヘリポートと今回稲嶺知事が進めようとする普天間基地移設の問題とは別の問題だと私たちは受けとめております。
  226. 東門美津子

    ○東門委員 その件については時間がないのでまた後に回しますが、では、その十五年の使用期限ということについてお伺いいたします。  防衛庁長官がおられますのでぜひお願いしたいのですが、長官は、就任時の記者会見で、最初は十五年は困難とはっきりと述べられておられました。そして、後にもちろん撤回はされましたが、本当のところはどうなのでしょうか。困難ではなく可能ですか、ぜひお聞かせください。十五年の使用期限です。
  227. 虎島和夫

    虎島国務大臣 当時の発言の真意を問われておるわけでございます。  私の真情を申し上げます。  ただいま、私もこうして防衛庁長官としてこの場に立たせていただいておるわけでありますが、総括政務次官としては仲村先生が御就任になりまして、また政務次官としては、防衛庁OB、鈴木先生が御就任になっていらっしゃるわけであります。そういう沖縄に、あるいは防衛庁に縁の深いお二方とこうして責任者に座ったわけでありますから、三位一体、力を合わせて国と沖縄の皆さんとの間の信頼醸成に努めたいということをまず申し上げたわけであります。これが真情であります。  もちろん、これには、昨年の暮れ閣議決定されました政府の方針もございます。政府としては、閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり、厳しい問題があるとの認識を有しておるけれども、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとめて、これを米国政府関係者に対して取り上げたところであります。  なお、今後、国際情勢変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍兵力構成等軍事態勢については米国政府協議をしていく考えであるということを踏まえ、さらにこれに加えまして、SACO最終協議、これを着実に実行するための努力をいたしたい。それは我々三位一体となって、沖縄の皆さんとの間の信頼醸成に立って、このことも進めていきたいということを申し上げたわけでありますけれども、このことを真意としてお受けとめいただくと、大変ありがたいことであります。  我々も最後まで努力をし、政府の方針がそのように確定されるように全力を尽くしてまいりたいと改めて申し上げる次第であります。
  228. 東門美津子

    ○東門委員 質疑の時間が終了というのは来ておりますが、最後だけ……
  229. 岡田克也

    岡田委員長 はい、終了しました。
  230. 東門美津子

    ○東門委員 質疑じゃありません。  沖縄復帰後二十八年を経た今も、在日米軍基地の七五%を背負い、基地の重圧に苦しんでいます。二十一世紀こそ基地のない平和で豊かな県づくりを目指して頑張る決意であることを申し上げて、私の初の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  231. 岡田克也

    岡田委員長 次に、北村誠吾君。
  232. 北村誠吾

    北村(誠)委員 私は、無所属、21世紀クラブの北村誠吾でございます。大変お疲れのことと思いますけれども、両大臣、そして関係の皆様方、よろしくお願いをいたします。  まず最初に、私は外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  時間がございませんので、私は佐世保の基地関係についてお尋ねをいたします。  もちろん、さきに、ことしの二月二十四日、衆議院の安保委員会におきまして、宮島議員の質問及びそれに対する関係大臣その他の方々の答弁を議事録で見せていただき、かつまた、今年の五月の二十五日の参議院の外交・防衛委員会における公明党の弘友議員の質問に対する答弁等、会議録を踏まえた上でお尋ねをさせていただきたいと思います。  日米合同委員会というのがございます。この日米合同委員会にかけなければならないので、国及び県、市等が共同で計画をしつくり上げようとしておる高規格道路が米軍の基地あるいは住宅、そういうところにかかってくるので、非常に用地の問題について解決が難しいなどということで、どうも、私が県議会における経験、あるいは佐世保市議会の議員としての経験、そういう中から感じておりますことは、県当局及び市当局及びおのおのの議会においてこれらの用地問題の解決を図るに当たり、あたかも日米合同委員会における用地の確保に対する対応やその協議がずるずるといつまでも時間がかかってさばけないというふうな印象を与えかねないようなことがございます。  私は、この際、日米合同委員会の意義と役割、そして日米合同委員会においてどのようなことをこれまでやってきたか、余りにも時間がかかり過ぎるというふうなことはないかということについて、まず外務大臣にお尋ねをいたします。
  233. 河野洋平

    河野国務大臣 議員御承知のとおり、日米合同委員会は日米地位協定の第二十五条に基づいて、同協定の実施に関して、日米相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日米両政府間の協議機関として設置をされております。  同委員会におきましては、在日米軍にかかわる諸問題について、日米間で定期的に話し合いが持たれているわけでございます。そして、その合同委員会のもとには、補助機関として、例えば在日米軍の施設及び区域の提供、返還などについて協議をする施設分科委員会を初めとして二十三の分科委員会が設置されておりまして、それぞれ専門的な事項に関し協議が行われているわけでございます。  議員が今お持ちのいろいろな問題につきましても、私ども今具体的にそれについてコメントを申し上げるだけの材料がございませんけれども、こうした日米合同委員会協議の結果等につきましてはできるだけ速やかに公表をするということを考えているところでございます。
  234. 北村誠吾

    北村(誠)委員 次に、佐世保港内における立神港区四号、五号岸壁というのがございます。これにつきまして、従来、施設庁及び防衛庁また外務省ということで、いろいろな関係政府機関が努力をしていただいており、特に私どもが七月から一カ月間この岸壁を使えなくなるというふうな懸念をいたしておりましたが、最終的には、御努力によりまして、三十日間というのが二十日間になり、そして十四日間で済んだということがございました。このことについては大変感謝をいたしております。また、さきに申し上げました衆議院、参議院の会議録を見ましても、誠意を持って本件には当たるという両大臣及び施設庁の答弁というものを聞くとき、大変ありがたいというふうに思っております。  今後、この四号岸壁、五号岸壁の競合問題あるいは佐世保港のすみ分けということについて、大変大きな問題でありますけれども、基本的にどのように進めていこうというふうに考えておるか、また、できるだけ早く、前倒しでやっていこうということを野呂田前々防衛庁長官も現地に来られておっしゃられたということもありますので、その点につきまして御答弁をお願いします。
  235. 虎島和夫

    虎島国務大臣 佐世保港の件に関しましては、かねてから港湾管理者であります佐世保市長さん初め市当局の皆さん方、あるいは佐世保市民の皆さん方からは、防衛庁・自衛隊に対する大変な愛着を持っての接し方等々をしていただいておりますことを心から感謝申し上げたいと存じます。  そしてまた、あそこは土地柄からいっても日米友好ということについても大変に実績があり、それなりの人脈も広いところでありますが、残念ながら、毎年、今お話のありました立神岸壁の使用について、本来米軍が管理しておるわけでありますけれども、通常は佐世保の基幹産業であります佐世保重工業株式会社が支障のない限り使わせてもらっている。夏になりますと、これが、あけてくれ、いや困るというこの議論が毎年繰り返される。したがって、日米友好等々についても水を差すということを憂えまして、県の方も努力をし、市も努力をし、関係者の努力もあって、実は何とかこれはすみ分けに近いような形に、少なくとも立神岸壁とジュリエット・ベイスンについてはすべきであるということから、防衛庁としても、調査費五千万円余りをつけまして、現在調査を実施しておるわけであります。  細目についてはまた防衛施設庁長官から答弁させますけれども、お説の趣旨に沿うような対応を我々としてもしっかりしなきゃならぬという考えを持っておりますことをお伝え申し上げて、あとは長官の方から御答弁をお願いしたいと思います。  以上でございます。
  236. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  基本的な点は今大臣が御説明されたとおりでございますけれども、佐世保のいわゆるすみ分けの問題の中でその四号、五号岸壁の問題が喫緊の課題でございまして、この利用につきまして、確かに御指摘のように、毎年やりくりでやっておるところでございますけれども、やはり構造的にといいますか、これを抜本的に解決するためには新たな岸壁をつくる必要があるというふうに私ども強く認識しておるところでございまして、今大臣が説明されましたように、早期に新たな岸壁をつくるための努力をしております。  十一年度に、既に前倒しで基礎的なボーリング調査をやらせていただいておりますし、十二年度にも、港湾の状況といいますか、深浅測量をするべく今準備をしているところでございまして、大臣が申されましたように、五千百万の経費を計上しまして、これに充てようと思っております。  また、佐世保の問題は、四、五号岸壁の問題もありますけれども、全体的なすみ分けの問題もございます。この面で、五千百万の中の一部を投入しまして、全体の利用、これは米海軍、また海上自衛隊、それから地元企業の利用が競合しているところでございますので、立神岸壁、また崎辺地区ですとか、その他佐世保の現有施設をいかに総合的な観点から利用するかというふうな調査もあわせてやらせていただいております。  いずれにしましても、四、五号岸壁にかわります新しい岸壁をつくりたいということで、十三年度にはその基本計画といいますか、実施計画ができるような予算を概算要求をしたいと思っておりますけれども、現在庁内で検討中のところでございます。
  237. 北村誠吾

    北村(誠)委員 最後に、米軍の佐世保基地司令官でありますダンスコム司令官は間もなく離任されますが、最近会いましたときに、現地にあります佐世保重工業造船所の存在は米軍にとりましても極めて大切でありますということを申されたことを付言して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  238. 岡田克也

    岡田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十四分散会