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2000-03-03 第147回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月三日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月二日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     岩井 國臣君      小山 孝雄君     有馬 朗人君      鴻池 祥肇君     田村 公平君      谷川 秀善君     岩永 浩美君      仲道 俊哉君     岩瀬 良三君      櫻井  充君     谷林 正昭君      魚住裕一郎君     益田 洋介君      泉  信也君     入澤  肇君  三月三日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     小山 孝雄君      岩永 浩美君     谷川 秀善君      田村 公平君     鴻池 祥肇君      筆坂 秀世君     富樫 練三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         倉田 寛之君     理 事                 竹山  裕君                 長谷川道郎君                 保坂 三蔵君                 溝手 顕正君                 伊藤 基隆君                 峰崎 直樹君                 荒木 清寛君                 笠井  亮君                 照屋 寛徳君     委 員                 有馬 朗人君                 市川 一朗君                 岩井 國臣君                 岩瀬 良三君                 岩永 浩美君                 大野つや子君                 釜本 邦茂君                 岸  宏一君                 北岡 秀二君                 久野 恒一君                 国井 正幸君                 小山 孝雄君                 鴻池 祥肇君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 谷川 秀善君                 中島 眞人君                 浅尾慶一郎君                 木俣 佳丈君                 久保  亘君                 竹村 泰子君                 谷林 正昭君                 直嶋 正行君                 堀  利和君                 本田 良一君                 益田 洋介君                 松 あきら君                 山本  保君                 須藤美也子君                 富樫 練三君                 宮本 岳志君                 清水 澄子君                 三重野栄子君                 入澤  肇君                 高橋 令則君                 奥村 展三君                 松岡滿壽男君                 島袋 宗康君    国務大臣        法務大臣     臼井日出男君        外務大臣     河野 洋平君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       中曽根弘文君        厚生大臣     丹羽 雄哉君        農林水産大臣   玉沢徳一郎君        通商産業大臣   深谷 隆司君        運輸大臣        国務大臣        (北海道開発庁        長官)      二階 俊博君        郵政大臣     八代 英太君        労働大臣     牧野 隆守君        建設大臣        国務大臣        (国土庁長官)  中山 正暉君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    保利 耕輔君        国務大臣        (内閣官房長官)        (沖縄開発庁長        官)       青木 幹雄君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    谷垣 禎一君        国務大臣        (総務庁長官)  続  訓弘君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  清水嘉与子君    内閣官房長官        内閣官房長官  松谷蒼一郎君    政務次官        外務政務次官   山本 一太君        大蔵政務次官   林  芳正君        文部政務次官   河村 建夫君        厚生政務次官   大野由利子君        農林水産政務次        官        金田 勝年君        通商産業政務次        官        細田 博之君        運輸政務次官   中馬 弘毅君        郵政政務次官   小坂 憲次君        郵政政務次官   前田  正君        労働政務次官   長勢 甚遠君        建設政務次官   加藤 卓二君        建設政務次官   岸田 文雄君        自治政務次官   橘 康太郎君        総務政務次官   持永 和見君        防衛政務次官   依田 智治君        防衛政務次官   西川太一郎君        経済企画政務次        官        小池百合子君        科学技術政務次        官        斉藤 鉄夫君        環境政務次官   柳本 卓治君        沖縄開発政務次        官        白保 台一君        国土政務次官   増田 敏男君    事務局側        常任委員会専門        員        宍戸  洋君    政府参考人        警察庁長官    田中 節夫君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十二年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十二年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○平成十二年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成十二年度総予算三案についての理事会決定事項について御報告いたします。  本日の質疑割り当て時間は百二十一分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党・自由国民会議二十七分、民主党・新緑風会三十九分、公明党・改革クラブ十一分、日本共産党十六分、社会民主党・護憲連合十二分、自由党五分、参議院の会七分、二院クラブ・自由連合四分とすること、質疑順位につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ─────────────
  3. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算平成十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。市川一朗君。
  4. 市川一朗

    市川一朗君 まず、日銀総裁にお尋ねしたいと思います。  先日、同僚の長谷川議員との質疑のやりとりの中で、インフレターゲティングについても日銀総裁見解が述べられました。私は、資産デフレの問題は極めて重要な問題であるという認識を持っておりまして、今、日本経済が抱える大変重要な問題ではないかと。これを解決しませんと、私もそれほど専門家ではございませんが、本当の意味での日本経済の本格的な景気回復といいますか、自律回復に乗るのは難しいのではないかという意味におきまして、しからば、どうしたらいいのだろうかといったようなことについて私ども議論しておりますし、そういう観点からこの間の日銀総裁の御見解を注意深くお聞きいたしました。  長谷川議員、若干時間切れで議論が不十分な点もございました。ちょっと切り口は違うかと思いますが、少し変わるかと思いますけれども、改めて少しそういった問題についての日銀総裁としての御見解をいろいろとお聞きしてみたいと思う次第でございます。  この間のインフレターゲティングについての総裁考え方は、大きく分けて二つの考え方がある、そのうちの一つのいわゆる調整インフレ論、これは日銀としてはとるわけにはいかない、しかし、もう一つ考え方として、物価安定に向けた強い決意を中央銀行として示すというような意味では検討に値するのではないか、しかしながら、大義名分は物価安定でも、実質その中身調整インフレ論と変わらなくなってしまう危険性があるので、そう簡単にはいかない、大体こんな御見解だったんじゃないかなというふうに受けとめておるわけでございます。  そういった中で、日銀が現在いわゆるゼロ金利政策もとっておられまして、それなりに大胆な金融緩和政策は行っているとは思いますけれども、冒頭に申し上げました資産デフレ問題解決の糸口がはっきり見えてきたとはとても言えない状況ではないかと思うわけでございます。  そうしますと、議論としてはいろいろわかるわけでございますが、このままほっておいていいのかということになるわけでございまして、少なくとも金融政策面で何にも手が打てないのか、何らかの対応はとれないのかというのは、私だけじゃなくて関係者国民一般のそういう疑問ではないかと思うわけでございますが、金融政策面で何らかの対応はとれないのだろうかというような素朴な疑問に対する日銀総裁としての御見解を改めてお伺いしたいと思います。
  5. 速水優

    参考人速水優君) 御質問のいわゆる資産デフレにつきまして、私ども考え方を簡単に御説明させていただきます。  地価とか株価といったような資産価格につきましては、一般的に資産から将来得られるであろうと予想されます収益を現在の価格に引き直したものではないかと思います。このために、資産価格というのは経済主体の将来の見方についての重要な情報を含んでおりまして、その変動は企業消費者のマインドや経済活動には大きな影響を与えるものだと思います。したがいまして、金融政策運営としても十分注意して見ていかなきゃいけない課題であると考えております。  ただ、このように人々の期待が重要な役割を果たす資産価格に対しまして、金融政策が直接に働きかけるということは非常に難しいことだと思います。また、必ずしも適当ではないというふうに思っております。諸外国の例を見ましても、資産価格そのものにつきまして金融政策の目標として何かを考えていくといったような例は聞いておりません。  日本銀行としましては、現在、ゼロ金利政策という大変思い切った金融緩和策をとっております。こうしたもとで、政府経済政策対策の効果も相まちまして、景気は持ち直してきておるように思っております。そうした動きを先取りする形で、既に株価の方は昨年の初めごろに比べまして五割以上上昇しておるわけでございます。今後、景気回復がしっかりしたものになってまいりますれば、それがいずれ地価にも反映されてくるものというふうに思っております。  ただ、地価につきましては、土地の流動化の促進といったようなことを制度面から対策を打っていく必要があるんじゃないか、市場メカニズムが働きやすい環境をつくっていく必要があるんじゃないかということは私どもも痛切に感じております。そういう意味では、自民党におかれましても、金融サービス法というようなものを今考えておられて、近く上程されるというふうに伺っておりますけれども、こういうことで不動産の証券化あるいは買い取り機関、SPCと言っております、そういう流動化の道具がそろうことが大事ではないかと私ども考え期待をさせていただいております。
  6. 市川一朗

    市川一朗君 やはり金融政策の面だけじゃなくて、多角的に取り組まなきゃいけないテーマであるという認識は私どもも同じ思いを持っているわけでございます。  ちょっと私の言い方が聞きようによってはあっち行ってこっち行ってということになるかもしれませんが、今、日銀でとられておりますゼロ金利政策は、専門的に言えば、翌日物の話で定期預金とかそういった金利まで直接影響するものではないという専門的な見解もあるかもしれませんが、常識的に言えば、ゼロ金利政策というのは、まさにそのまま今の預金金利ゼロに近い状況影響しているというふうにみんな受けとめているわけでございますし、事実上そういう面はあると思います。  そうしますと、このゼロ金利政策というのは、今、日銀がとり得る非常に有効で、かつ思い切った金融政策ということにはなるんですが、しかし一方で、まことにこれは異常な政策といいますか事態であるという面もあるわけでございます。せっかく貯金しておるのに全然金利でもって何かを買ったりすることはできないという点で、私も選挙区で大分年配の方々の支持を受けて来ているわけでございますが、もうみんなから、市川さん、ちゃんとあれ何とかしてよと、こう言われるわけでありまして、そのことと資産デフレをどうするんだという話とのあれは何かかみ合うようでかみ合わないような、私も明快にはどうもぴたっと言えないのでございますけれども、しかしやはりこういう予算委員会の場でしっかりとこの辺の議論はただしておく必要があるし、またその問題についてのしっかりとした取り組みを政治としてもやっていかなきゃいけないというふうに思っております。  なかなか答えにくい状況だとは思いますけれども、わかりやすく言うと一体いつまでこのゼロ金利状態が続くのでしょうか、どうすればこういったゼロ金利状態から脱出できるのかといったようなことについて、日銀総裁立場といいますか、専門家立場でできるだけわかりやすく現時点でのお考えをお披瀝いただきたいと思います。
  7. 速水優

    参考人速水優君) 市川委員の御質問もまさに私どももその問題を日夜考えておる問題でございますので、明快な答えができないかもしれませんけれども、どういうことを考えているかということだけを申し述べさせていただきます。  現在のゼロ金利政策といいますのは、歴史的にも前例のない極めて思い切った金融緩和策であることは御承知のとおりでございます。そういう意味で、異常な事態であるということは私どもも十分認識しているつもりでございます。ただ、現在の景気情勢もとでは、やはりゼロ金利政策を続けていくことによって経済金融面から最大限下支えしていって、民間の自律的な需要が起き上がってくるまでこれで下支えしていくというのが今私どものやっていることなんです。  今後どのような状態になったらゼロ金利政策が解除できるかという点でございますけれども日本銀行はかねてからデフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでゼロ金利政策を続けるということを申し続けております。ただ、このデフレ懸念というのを何で判断するのかということになりますと、これは特定物価指数動きだけで機械的に判断することはできないと思います。  例えば、仮に統計上物価の面でインフレ率マイナスになるとかいうようなことがありましても、その中身、内容ですけれども、例えば構造改革技術革新とかあるいは流通革命といったようなことがどんどん進んできてコストが下がり、あるいはその価格が、消費者物価も下がっていくといったようなことが十分考えられる。そういうことがまた望ましいことでもございますけれども、そういう物価の下がり方をもってして景気が悪いというふうには判断できないわけですから、ただ特定の項目を見て、一つ二つ見るだけでデフレ懸念余りないというようなことは決めかねるのではないかと思っております。  逆に、民間需要回復によって需給バランスが持続的に改善していくということになっておりませんと、現在はデフレでなくても将来のデフレ懸念はまだ残るんだというふうに考えていくべきだと思います。こういう点、現在景気は持ち直しに転じておりますけれども先行き民間需要が自律的に回復していくかどうかということにつきましてはなお明確な展望を持てないでいるのが実情でございます。そのために、物価につきましても今は横ばいで推移しておりますけれども先行き需要の弱さに由来する潜在的な低下圧力なのか、なお注意してその動きの裏にあるものをよく見ていかなければならないというふうに考えております。  今後いつゼロ金利政策を解除できるかということにつきましては、以上申し上げたような考え方を踏まえながら、設備投資とか民間消費とか民間需要回復力の変化に注目してまいりたいというふうに思っております。
  8. 市川一朗

    市川一朗君 総裁、結構でございます。  大蔵大臣にお聞きしたいと思いますが、今の話をストレートにお受けしてよろしいのかどうかちょっと私迷いながら、今私ども予算の審議をさせていただいているわけでございますけれども、昨日も白浜委員質問もございましたが、この予算が通って、さて日本経済はどうなるのだろうかといったことでございます。  今議論いたしましたように、私は、例えば資産デフレ状況というものが非常に重苦しくのしかかっておりますし、それから国債発行残高もふえ続けているといったような状況の中で大変難しい状況なのではないか。とにかく一生懸命取り組んでいかなきゃいけないと。この時点で我二兎を追わずという考え方小渕内閣景気回復を最優先した予算を組まれたことに対しては私自身全く大賛成でございますけれども、さてその先はどうなるのだろうかということを危惧している一人でございます。  それで、大蔵省の方で配っておられます財政中期展望、これは三・五%を前提として計算すると平成十五年度はむしろ国債費の比率は高まるというような、いわゆる財政事情が単純に言えば悪化するというような資料もございまして、これちょっと事務当局にいろいろと文句をつけたんですが、これは仮定の計算なのでこんなものに余りごちゃごちゃ言わないでくださいよというような話なんです。私から言わせれば、ごちゃごちゃ言っちゃいけないような資料余り配らないでよと言いたい面もありますが、大先輩の宮澤大蔵大臣にこんな問題でとやかく言うつもりはありませんので、この際こういう問題に対する私のもやもやとした気分を一掃する意味において、こんなものは余りこだわりませんので、いかがでございましょうか、やはり本音のところでどういったことを考えておられますか、ぜひ大蔵大臣としての見解を伺いたいと思います。
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 多少お時間をいただいてよろしければ、まず当面の経済動きでございますが、一年半ほど日本経済は滑り続けておりましたが、昨年の一―三月にかなり大きな反転がございまして、それは四―六月も続きましたが、七―九月にはちょっともとへ戻ったようなことでございます。十―十二月のところがこれから今月間もなく出てくるんだと思いますが、この辺のところは堺屋長官と私の見方が、合わせたことはございませんが、御答弁を聞いていますと大体同じだと思いますので、違いましたらまた後でお直しいただきたいんですが。  どうもこれからわかります十―十二月というものは、やはりリストラがあったとかいうことで家計は確かに弱いと考えざるを得ないかと思いますので、ボーナスのこともあったかもしれません、したがいまして十―十二というものはどうも余り期待をできないのではないか、これは間もなくわかるわけでございます。しかし、だからといってもう日本経済最悪期を出たということははっきりしておりますから、余りそこを一喜一憂しなくてもいいのではないかということは二人とも似たような考え方をしておりますと思います。  それで、やはりGDPの六割余り国民消費でございますから、どうしても家計回復ということが基本でございますと思います。  それはリストラ、ここは私の意見なんでございますが、ここで労使の交渉が行われておりますので、その結果を云々するのではありませんが、その間にかなりリストラというようなものにも一種の理解といいますか、お互いの落ちつきが出てきたり多少企業の採算もよくなったりしておりますから、したがいまして十―十二はもう済んだことでございますが、一―三のあたりから四―六にかけまして家計の沈滞、マイナスというのはある程度直ってくるんではないだろうか。どうしても収入がふえませんと支出がふえるということは難しゅうございますから、徐々にそれは回復するんではないかという、半分は希望でございますけれども、そういう感じがいたしております。  他方で、設備投資は、これはやはり少しおくれますが、機械受注が、これは先行指標でございますが、よくなってきておりますので、まあ九月ごろには、もう少し早いかもしれませんが、少しプラスになってくるのではないか。  そういたしますと、消費回復し始めて設備投資が多少でもプラスになってくれば、これはもう明らかに民間主導経済成長に入れる、したがって財政負担もこの次は今までのようなことでなくて済むのではないか。大まかに堺屋長官もそう考えておられるようにお話を伺いますし、私もまあそういう感じを持っておるわけでございます。  それで、御質問の本体は、一つは、そうなりますと民間資金需要が出てくるということでございますから、これは私が言うことではございませんですけれども日銀金融についてのお考えのあり方もそこで多少影響を受けてくることは自然であるかもしれない、ただし国債利子負担は少し大きくなるかもしれないということでございます。  それで、おっしゃいます財政構造改善再建でございますけれども、私は、これは私見でございますが、日本経済成長の軌道に入ったとまず確認できました後着手をすることですが、それは頭の中ではもういろいろにお互い考えていることでございますが、どう考えてみましても財政だけの再建ということは可能ではない。  先ほど中期展望お話をされまして、あの資料は、おっしゃいますように、私も、委員のような御専門の方から御指摘があるのはもっともだと思っておりますんですが、昭和五十年ごろからやっている話だものですから、どうもミスリードする可能性の方が高いんではないかと。しかし、衆議院予算委員会からは相変わらず御要求がございます。  しかし、あれで言っておりますことは、簡単に申しますと、景気がよくなっても金利が上がる、したがって国債負担は大きくなる、税収はそれほど大きくならない、社会保障負担というのは減らないだろうといったようなことを考えるとなかなか国債発行というものは減らないなと、何にもしなければ、政策努力をしなければ。この部分が実は一番大事な部分で、それを欠落した資料をごらん願ってもどれだけお役に立つかということは私はごもっともだと思います。  いずれにしても、財政再建考えますと、もちろん歳出だけではない、税制もそうでございますが、中央、地方の関連ももうもとから見直さなければならないと思います。  そして、歳出を考えていきますと、やはり二十一世紀の最初の十年とか二十年とかに日本の経済社会が恐らく非常に変わる、そのことそのものの一環としての財政というふうに考えませんと、どうもちゃんとした解決はないように思います。  しかし、二十一世紀に多分日本の経済社会は非常に変わるのでございますが、その中でいろいろ考えるにしても、何かそういうマクロの言ってみればフレームワークといいますか、恐らく手法としては、やはりマクロモデルをつくりまして、その中での日本の経済社会、国債との関連というようなものを、そういう中からでないとこのプランはどうも私は生まれないんではないかと思います。  決して財政側の責任を放棄するという気持ちで申しているのではございません。新しい中央官庁の再編成ができました後の一番大きな仕事の一つは、これから十年なら十年の日本の経済社会というものはどういうものであるべきか、あるいはあり得るかといったようなことをやはりマクロで、数字の裏打ちをして、その中から政策選択をしていく、それに従って財政再建考えるということにどうもならざるを得ない、これは私見でございまして、どなたに御相談をしたんでもないのでございますが、そういう問題ではないかと。  長くなりまして申しわけありません。
  10. 市川一朗

    市川一朗君 ありがとうございます。やはり事務当局議論するよりは非常に胸にじんとくる御答弁をいただいております。  大変難しい問題でありますが、余計なことを言う前に、せっかく宮澤大蔵大臣もそう言っていただいておりますし、私自身、もともと経済企画庁長官に御見解をお伺いするつもりで御出席賜っておりますので、まず今の点につきまして、長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  11. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) まず、日本経済がどうなったら本格的回復と見て財政の方に手をつけたらいいか、これ自体大変難しい問題でございまして、まず景気回復の問題、そして同時に構造改革がかなり進んでいる、これが一つの条件になると思います。その次に企業の収益性と投資、これが十分にできてきているということもやはり大きな条件になり、そして新しい産業が芽生えている、そういうような、構造改革と同時に日本の産業界の活力ということも必要になってくると思います。それから、やはり物価の問題でございますが、消費者物価、卸売物価、それから資産物価、そういったものの安定も必要だろうと思っております。  大蔵大臣も御指摘になりましたように、この財政中期展望というのは、成長率を一定と押さえて、そしてもう二つ、成長率を一%程度上回る長期金利がある、それから税収弾性率が一・一%というようなこと、それから地方交付税その他の点にも条件をつけておりますが、そういった箱の中で考えますと、こういうなかなか財政再建が困難だというような答えが出てまいります。  しかし、国際的にアメリカがどうだったか、イタリアがどうだったか、カナダがどうだったか、それから日本の七〇年代がどうだったか、八〇年代がどうだったか、九〇年代がどうだったか、こういうような数字を見てみますと、必ずしも予定したとおりにいっていない。平均的な予想値としては今言っている数値はおかしくはないんでございますが、不況から脱出したときにはかなり大きな弾性値といいますか、税収がはね上がっているときもございますし、また長期金利を名目成長率が上回っているときもございます。  回復したときにどのような姿に日本がなっているか。例えば、重厚長大に比べまして、情報産業などでございますと、設備投資の割に売り上げが高いものですから利益率が高いということもあります。現在の日本のROAは三%弱でございますが、アメリカは五・九、倍ぐらいいっている。そうすると、法人税の方も違ってくるというような問題もございます。そういうような立ち上がったときの姿というのがやはり大事だと思うんです。  日本は、今いわば一種の構造改革という体質改善の真っ最中でございまして、そのために費用、入院費がかかって所得がないというような財政状態を続けておりまして、ようやく散歩に行けるぐらいまではなってきた。これが、病気が治って復帰したときに、もとの職業、重化学工業を中心としたもとの職業ではなしに違う職業についているというような状態なんですね。健康状態も変わってきております。それから少子高齢化が進むという、家族構成も変わってくる。そういう姿を見て、それでどのような財政考えていくかということが重要だと思います。  それから、委員御指摘の不動産の件でございますが、資産デフレというのは、不動産デフレ、株の方は上がっておりますから不動産デフレの方ですが……(発言する者あり)株も銘柄によっては大半の銘柄、過半数の銘柄が下がっているような状況でございますが、資産デフレの特に土地について申しますと、土地は、よく言われますように、予測収益還元法という、値段で決まるといいますが、この予測収益自身が家賃が下がったり空き率がふえたりして変わります。  それでもう一つは、将来価格予測というのがあります。将来価格予測でいいますと、人口がふえないものですから住宅がこれ以上要らないというような意識がございまして、これがひとつ足を引っ張っております。我々の考えますのは、経済状況が変わったにもかかわらず社会状況が変わらずに、小さい家に住むのが当たり前だという状況になっているんです。  アメリカあたりで家がいつ広くなったかというと、家でホームパーティーを開く習慣ができたときだというんですが、そういう条件が日本でなくて、依然として土地は高くて、倹約せにゃいかぬものだという意識がありますから、土地需要が非常に抑えられる。これがもう少し浸透してきて資産が積み上がり、土地の値段が安い、以前のように非常に高価なものでないという認識が出てくれば需要回復する。それにつきましては、やはり規制緩和、それから証券化を含む流動化、そういった制度上の支援が必要だと思っております。  だから、本格的に立ち直る段階でそういうことも含めて検討していかなきゃいけない、相当大きな体系的変化を考えなきゃいけないんじゃないかという気がしております。
  12. 市川一朗

    市川一朗君 大変懇切丁寧にお話しいただきまして、ありがとうございました。  通産大臣にお尋ねしたいと思いますが、結局私は、いろいろ意見はあるにしても見方はあるにしても、財政は頑張っているんじゃないかなと思うんです。もう目いっぱい頑張っている。あとは、自律回復というのはまさに民間がしっかりやってくれということでございまして、行政の世界ではそれを大部分を所管しておられるのが通産大臣のところでございます。  通産大臣としてどういう御見解を持っておられるかということに一言で言えばなるわけでございますが、私はやはりこれからひとつぜひやる必要があると思いますのは、将来性の高い産業、それが情報通信産業ということだけにならないと思いますが、そういったものをしっかりと見きわめて、それで何か国を挙げて強力にバックアップするというような政策をきちっとやらないと世界戦争にも負けてしまうんじゃないか。  きのうもおとといもいろんな議論ございましたね。特許の問題なんかもうまさにこれから先、アメリカの特許をとる勢いはまさに世界戦略みたいなあれで、そういったようなことも含めて、かつて通産省を中心に日本もそういう特定の産業を絞って一生懸命やってきたという経緯がありまして、それについてはいろいろと批判はあったり評価があったり、評価は分かれるわけでございますが、しかしやはり本当の戦いに勝つには、国を挙げて取り組むという部分が日本にも必要なんじゃないかなというふうに思います。  そういった点も含めて、通産大臣としての思いのたけをひとつじっくりとお聞きしたいと思います。
  13. 深谷隆司

    国務大臣(深谷隆司君) 先ほどから委員のお考えも含めて、また大蔵大臣経済企画庁長官のお話を承っておりました。  日本の経済全体の流れは、今お話がありましたように、小渕政権が誕生して各般の政策を次々と打ってきたこと、あるいはアジアの経済が極めて好転していることなどを背景にして、ようやく明るみが出てきたという状態であることは間違いがないと思いますが、やはり委員御指摘のように、国の財政出動が全面的に出ていまして、どちらかというと今日の明るみというのは官需でございます。だから、これをどうやって民需にバトンタッチさせていくかということがまさにこれからの正念場ではないかというふうに考えます。  私どもは、日本の経済あるいは景気回復の大きな力を発揮するところはどこかと考えると、まず一口で言えば中小企業だと思います。やっぱり全事業所の九九%、従業員の七一%を占める、ここが元気が出ないとなかなか容易ではないと。ここにはまだ明るさというものを感じられていないというのが実態でございます。  そこで、委員にも御協力いただいて、さきの臨時国会は中小企業国会と名づけて、中小企業基本法の考え方そのものも大きく変えて、そして多面的な中小企業の性格をとらえてそこにきめ細かい対策を打ち立てて、予算や税制はこれから御相談いただいておるわけでありますが、その裏づけをつけてきた。そういう意味でいけば、六千六百億円という今までにないような中小企業対策予算もとり、十二年度も力を入れているわけでございます。  同時に、私たち考えなければなりませんのは、そういう中小企業経済の牽引車になってくれとメニューはそろえたんだけれども、それを国民の皆さんにそのままお伝えするという努力に今までやや欠けているところがあったのではないか。やっぱり、せっかくさまざまな政策を立てたら国民の皆様、とりわけ中小企業の皆様にじかに知っていただくことが大事だと考えて、今一月から三月をこれらの周知徹底に全力を挙げようというので、全国の四十七カ所でのシンポジウムあるいは主要な都市のフォーラム、これは先週は富山で私自身が行ってまいりまして、今度は熊本に参ります。あるいは仙台、大阪等を考えておりますが、そういうことで、徹底して中小企業に頑張っていただく体制をつくっていきたい。  同時に、やっぱり産業界全体が力をつけていかなければなりませんので、これもさきの法律としては、産業競争力強化法案というのを通していただいて、これは選択と集中という新しい動きがぐっとふえてきておりまして、大きな変化につながっていくであろうと思うんです。  今国会は産業技術力強化法案というのを提出させていただいて、これこそまさに今お話のありましたような産官学一体とした技術開発等々を一気にここで進めていこうという考え方でございます。  今、先生御指摘のように、やっぱり何がこれから伸びるのか、そういうところを力いっぱい応援するということが最も重要なことであるというお考え、全くそのとおりでございまして、平成九年に既にそのことに着目をして、十五の分野で、例えば情報とかバイオとか、そこいらに力を入れて進めていこうという方向が示されて、これらについてのお手伝いというのを国を挙げてやってきたわけでありますが、確かに情報あるいはバイオに関してはかなり大きな急激な成長を見込んでおられるし、現実にもそうなってきておるわけであります。  これらのあらゆる技術を、きのうも議論がありましたけれども、日本としてはしっかり取り上げて、まさに世界との競争ですから、同じバイオでもそのもとになるような特許をとっておけばずっと拡大されていくわけですから、そういうところにきちっと通産省としては思いを置いて、積極的な体制をとっていくことがとても大事だと。経済の明るみが出た状況の中で、何が具体的に成果を上げられる方途かということを実務的に考えながら、ぜひ努力をしていきたいと思っております。
  14. 市川一朗

    市川一朗君 特に情報とかバイオの関係だと、日本がこれから多分その産業は伸びていくと思いますが、このままいくと枢要な部分はみんな何か特許料でよそへ持っていかれてしまうような状況なんじゃないかということを私も懸念しておりまして、問題をしっかり共有しておるということを確認させていただいて、私もそれほどの専門家でもございませんので、一生懸命頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。  経済の問題、これぐらいで打ち切りますので、関係大臣はどうぞ。ありがとうございました。  外務大臣にちょっとお尋ねしたいと思います。  広い意味で私、危機管理政策がちょっと平和ぼけした日本、非常におくれているんじゃないかなという問題意識を持っている政治家の一人でございますが、きょう外交問題といいますか安全保障の問題について一、二、問いただしたいと思います。  やはり何といいましてもアジア太平洋地域の平和と安定ということに関しますと、いろんな問題、心配な問題がいっぱいありますが、北朝鮮問題、それから特に最近台湾の総統選挙を控えたいわゆる中台関係、これは非常に微妙であり、極めて重要なテーマではないかなと思うわけでございます。  北朝鮮をめぐる問題につきましては、けさの朝刊でも米十万トン支援決定とか、そういう報道もなされておりますし、近く外務大臣、韓国に訪問されるようでございますが、私は非常に重要なテーマだと思っておりますので、現時点における、外務大臣として北朝鮮問題についてどういう認識を持ってどう対応しようとされておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  15. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 委員お尋ねの我が国周辺のもろもろの問題でございますが、議員が御指摘になりましたように、私どもも最も現在重要な問題の一つは朝鮮半島、いわゆる北朝鮮をめぐる問題だと思っております。この北朝鮮の問題は、ここが国際社会の中にもっと入ってきてくれる、あるいは窓をあけてくれるということがございませんと信頼関係というものはなかなかつくれないということがまず一つございます。  それからもう一つは、何といっても核不拡散という問題があって、この核不拡散問題というものは、これはただ単に北東アジアだけの問題ではなくて国際社会全体の問題ということもございますから、この問題の処理を何としてもしなければならない。さらには、経済問題といいますか人道問題といいますか、こうした問題についても我々はやはり無関心ではいられないわけでございます。さらに、我が国との間には拉致問題がございますし、それから国交を何としても、外交関係をきちんと持つということが必要だということもございます。  したがいまして、この問題を少しでも前進させたいと、こう考えてこれまでも随分さまざまな作業が行われてきたわけでございますが、まず一つは何といっても北朝鮮内部からの情報がなかなか我々には十分ない、つまり内部がよく見えないということもございます。そうしたことをクリアするために、今私どもはアメリカ、韓国と日本、つまり日米韓三つが協調をして北朝鮮政策というものを練り上げる、そして三カ国で北の情報もそれぞれの立場からとり、その情報分析をともにするという作業をしているわけでございます。そんなこともございますので、私は、先般お許しをいただいてワシントンへ参りましたときにもこの問題について少し話をしてまいりましたし、韓国とも話をしなければいけないなと実は思っているわけでございます。  一方、北朝鮮は金正日体制というものが、いろいろ判断はございましたけれども、やはり確立をして、あそこはあそこなりに一つの体制というものがちゃんとできているのではないかということになりまして、北との関係を見ておりますと、最近では米朝協議というものも大分進んできた、この七日には米朝協議というものがさらに行われる、これは相当難しい協議になるとは思いますけれども、しかし双方は相当この協議にも期待もかけている部分もあるわけでございます。  他方、一月にはイタリーが北朝鮮と外交関係を樹立いたしました。仄聞するところによりますと、オーストラリアも最近北朝鮮との外交関係を持つというようなこともありまして、北がしきりに国際社会の中で動く気配がございます。そういう一つの潮どきといいますか潮目といいますか、そういうものを考えて我が国としても北との関係のために話し合いの場をつくる必要があるだろう、積極的につくる必要があるのではないか、こういう意見もございまして、私どもも努力をしておりますが、しかしまだなかなか日朝双方に合意は、完全な合意が、つまり完全な合意というのはテーブルに着いて話し合おうというための合意でございますけれども、そうした合意がまだ発表するところまではいっておりません。しかし、全力を挙げて今、国益を踏まえて北との話し合いが進むように努力中でございます。
  16. 市川一朗

    市川一朗君 私もテーブルに着くということは非常に大事だと思っておりますが、その点はまた後で触れさせていただきます。  もう一つのテーマであります特に中国と台湾の関係でございます。中国と台湾という言い方自体が、表現自体があるいは問題になってしまうのかもしれません。俗に中台関係と言わせていただきますが、けさもたまたまテレビを見ておりましたら、アメリカのロス国務次官補の総統選に向けた発言が報道されておりました。日本のテレビとしては珍しい、そういう報道をしたなと思って興味深く見ておったわけでございますが、あれもなかなか状況は厳しい面もあるかと思いますが、私の、台湾も中国も行っておる立場で言いますと、ぎりぎりのところはやはり大人の解決がきちっと図られる方々同士の関係だという面はあるのでございますが、その点についての外務大臣としての御見解をお伺いしたいと思います。
  17. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 台湾が選挙でございますから、この選挙に絡んでいろいろな発言が、選挙ということになると、しかも三つどもえの選挙をやるわけですからさまざまな発言がある。あるいはまた、この選挙前にも台湾の中でいろいろ御発言があったりしておりまして、これについては我々も関心を持って見ているところでございますが、議員がお話しになりましたように、この問題は基本的には海峡を挟む両岸の話し合いで問題が平和裏に解決されることが何よりも大事なことでございまして、それについて我々が余り深入りした話をするよりは、この海峡を挟んだ両岸に、ぜひ話し合って平和裏に問題を処理してくださいということを言う我々の立場をできるだけ繰り返しお伝えするということが当面一番大事なことではないかというふうに考えております。
  18. 市川一朗

    市川一朗君 私は、昨年の夏に民主党の江本議員と御一緒しましてOSCE、欧州安全保障協力機構議員会議の方に参加させていただきました。  大変興味深く思いましたのは、その場で、専門家はよくわかっているわけですが、ロシアを中心として旧ワルシャワ条約国それとNATO諸国、みんな参加しまして同じテーブルで欧州の安全保障問題について議論しておられる。立場が違いますからそれらの結論というのはなかなか出ないんですけれども、しかし同じテーブルで、いわゆる東西冷戦構造が終わった国におけるヨーロッパ諸国が、アメリカも含めていろいろとあらゆる問題について、あのころはコソボ問題もありました。  私そこで、議論されておるところで発言の機会がありましたので、コソボ問題に関する小渕総理のサミットにおける発言を紹介しましたら、大変建設的な御意見だということで参加国の大方の大変な評価をいただきまして、外交辞令もあるかもしれませんがよかったなと思っておるわけでございますが、翻ってアジアを見てみますと、全くそういう状況とほど遠い今のような問題をいっぱい抱えているわけでございます。  これは一朝一夕にはいかない問題だと思いますけれども、私は、日本がアジアにおけるOSCEみたいなものを、そういう機構づくりのイニシアチブをとっていくというような姿勢、それを示すことは、やはり平和的解決、話し合いで問題を解決しようという国なんだということで、これから二十一世紀を迎えて、日本の国として毅然とした態度でいろいろ憲法問題その他も議論していかなきゃならない状況だと思いますけれども、それがとかく、ともすればアジア諸国の誤解を招くような感じがございますが、例えば今のようなアジアでOSCEのような機構をつくっていく、そういった努力を、日本がイニシアチブをとって頑張るという姿勢を示すことが、日本という国が誤解されないで済む一つの極めて重要なアナウンスメント効果にもなるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  現時点でなかなか簡単ではないという話も外務省の諸君からはいろいろ聞いていますけれども外務大臣としての御熱意はいかがでございますか。
  19. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) ヨーロッパへ行ってみると、私はもう大変感心することが多いんです。  ヨーロッパにも二つの考えがあって、例えばEUのような人たちは、むしろ主権を少し削ってでもEUという地域をつくろうとそれぞれの国が相当な主権を譲歩していますね、貨幣を統一しようとか。言ってみれば、国境線もどんどんどんどん低くして一緒になろう一緒になろうという力が出てきている地域と、そうではなくて、やっぱり主権は非常に大事にして、国内問題によそから口を出されることは嫌だということを非常に厳しく言う国と、そこは非常に分かれているんですね。  しかし、やっぱり一つの流れは、国家主権というものをどこまで主張するかどうかというところは、これは非常にこれから先も議論のあるところで、EUはまさにそこを少しずつ乗り越えて、国家主権よりもむしろ地域というものを考えていくというふうになっていっているように思うのでございます。  そういうことをアジアに移しかえて考えてみると、アジアはなかなか難しいというのが一般的でございます。しかし、ヨーロッパだって、ドイツとフランスがああやって仲よく一つのEUをつくっているということを考えると、アジアに絶対できないだろうかと、私は多少そういう思いもございます。  ただ確かに、一つずつ当たってみると、アジアはやっぱりヨーロッパと違って政治制度が明らかに違う。つまり、自由主義と社会主義が全く違う。それを一つにするということが、一つにするわけじゃありませんが、一つのグループの中でうまく話ができるかねと言われると、それはなかなか難しいかもしれない。それから、経済力の差が非常に激しいという点も、これまたなかなか一つでやれるかねと言われると、そこもなかなか難しい。  確かに言われりゃ難しいことばかりでございますけれども、しかし要は、政治家がそういうものを乗り越えてやろうじゃないかという気持ちになるかどうかということがまず一番大事なところだと思うんですね。  最近も、小渕総理からの御発言もございまして、日本と韓国と中国とで日中韓の三首脳がテーブルを囲む、こんなことはもう本当に画期的なことで、今までなかったことでございますけれども、それがASEANの会議の折にできたとか、あるいはまた北東アジアの問題を考えるために六カ国で集まって議論をしようじゃないかというような話があったりして、これはまだまだなかなかこの方は難しいのでございますけれども、そういうことをやってみようとか、そういうとにかくアイデアがまず出てきた。アイデアが出てきたら、そのアイデアを何とか実現する方法はないかという努力は、これはお互いにその地域の政治家の努力という、あるいは政治家の思いとでもいいますか、そういうことが大事なんだというふうに思います。  非常に難しいことではありますけれども、そういう方向に行ってみようじゃないかという気持ちを持つかどうかということがまず一番大事じゃないかというふうに思っております。
  20. 市川一朗

    市川一朗君 やっぱりそういう方向を持つことが大事だという御発言を聞いて、私も意を強くした次第でございます。  参議院もいろいろ立場が違っても、いつも同じテーブルに着いていろいろディスカッションをしておるわけでございまして、やはりそういった中で大事な問題は議論されていくということになると思います。  外務大臣、もうこれで結構でございます。ありがとうございました。  危機管理という点で、ちょっと防災問題を二、三お尋ねしたいと思いますが、中山大臣は国土庁長官建設大臣を兼ねておられますので、ちょうど都合がいいと言っちゃ恐縮でございますが、まとめて一本でちょっとお答えいただきたいと思う次第でございます。  この間熊本で高潮災害がありまして、私も驚いたんですが、十二人も死者が出たんですね。堤防ができているところで出たと。ああいう災害を見てみますと、やはりもう我々日本人は防災という問題をもっと根本から考え直した方がいいんじゃないかと。要するに、ずばり言えば、危険なところは昔は住まなかったんですよね。やはりそういう危険なところには住まないでいくという考え方をもっと徹底していくようなやり方をしないとだめなんじゃないか。  例えば、百年に一遍の災害に対応できるような堤防をつくっても、二百年に一遍の災害が来るとひとたまりもないわけですね。堤防は壊れなくてもやっぱり溢水はあるわけでございますし、そういったような問題を繰り返しておるわけにいかないんじゃないか。  それで、昔は、私も若干記憶があるんですが、土地に古老とか長老とか言われる人がいて、結構昔のことをよく知っているんですよ。ところが、今そういった方もいなくなってきて、何かそういう言い伝えが抜けてしまう。  昭和五十一年に大災害がありまして、長良川の堤防が決壊しました。あのとき小豆島もやられたんですが、兵庫県である山が山ごと落ちたんですね。私も現地へたまたま行ってみたときに、現地の人から言われたのは、実はここは昔から抜け山と言われていたんですよと。ですから、江戸時代か何かに一回同じようなことが起きているんですね。  そういったようなことで、これを具体的にどういうふうにしたらいいかというのはわかりませんが、例えば古老にかわるものとして、何か政府が中心になって地図をつくって、どこが危ないかどうかとやっていく。これをやろうとすると、地主の方とか宅地開発専門の方からしますと、そんな、やめてくれという話もありますので、なかなかやれない部分はあるんですが、しかし、やはりそこまでやらないと、ああいう災害が起きてしまいますと、あそこは町営住宅までできているんですね、町営住宅をつくったのはけしからぬなんというテーマでこの問題を取り上げたくないんですが、要は考え方なんですよ、具体の話よりも。  そういう考え方をやはりしっかりこれからの方向づけとして見据える必要があるんじゃないかなと思うのでございますが、中山大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  21. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) お答えを申し上げたいと思いますが、先生は、建設省それから国土庁と両方のお役所、最後は事務次官をおやりになった専門家でございますから、かえって釈迦に説法みたいな話になってしまうかもわかりません。  熊本というのは私のおやじのふるさとでもございまして、あの災害が起こりました際にも大変気を病んだわけでございますが、本当に日本列島というのは、この間もちょっと御答弁で申し上げたかもわかりませんが、赤道あたりでは時速千六百キロぐらいでこの宇宙を飛んでおることになるわけでございまして、公転、太陽の周りは秒速二十九キロで走っていると言います。  Cの137といいましたか、電波星、電波を発している星が三つほどありまして、それで地表の動きを今精密にはかるような、この間、南鳥島のニュースでも、大体一年に八センチぐらい日本の方へ近づいていると。九千六百万年ぐらいたちますとハワイが日本にひっつくという計算になるそうでございますが、毎年九センチから七センチぐらいハワイが日本の方に向かって太平洋プレートの上を移動しているということでございます。  日本列島というのは何か四、五回そのプレートの動きによってでき上がったと。初めは隠岐島とか鳥取、島根の方しかなかったそうでございますが、それから山陽、広島のあたりがひっついて、それから、今話題になっております吉野川、私もちょっと苦労しておりますけれども、吉野川の大活断層、中央構造線、あれが後でひっついて、それで四国の土佐、高知の方がひっついたと。それから今度は木曽のいわゆるフォッサマグナ、あれから北がぼんとひっついて、最後に単独で来たのが伊豆半島だそうでございます。伊豆半島が鉄砲玉のようにぶつかって、それでぼんと持ち上がったのが富士山だそうでございますから。その富士山の隣に、特に国土庁長官になります以前から私、飛行機でいつも見ているんですが、箱根は輪のようになっている。あの上にもっと高い山があったそうで、それがぼんと陥没した。熱海の湾の中には富士山よりも高い山があると。それがどんと落ちて、もうしょっちゅうあそこは地震が起こりますが、温泉がわいている。熱い海と書いて熱海とはよくつけたものだなと思います。  事ほどさように日本列島は、三つのプレートが日本の下に入り込むということでございますから、七割がとにかく山地でございますし、その意味では、防災を踏まえた国土利用のあり方につきまして、建設省といたしまして、昨年六月末に広島市それから呉市を中心に発生しました土砂災害を教訓として、ハードの対策であります土砂災害防止工事とあわせて、土砂災害の危険性のある区域を明らかにして人家の立地抑制等を進めるソフト対策として土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律、これは仮称でございますが、今国会に提出する予定をいたしております。  また、水害につきましても、土地利用と治水事業の調整を一部行ってきましたけれども、さらに流域全体として効果的な治水対策を進めてまいりたい。「流域での対応を含む効果的な治水のあり方について」という、二月四日に河川審議会に諮問をしたところでございます。  先般も、御承知のような平成七年一月十七日に阪神・淡路大震災が、例の吉野川から新潟、それから間宮海峡に抜けます大活断層に沿って災害が起こりまして、六千四百三十二名の大変な犠牲者が出て、国費五兆二百億円を入れまして、五年間でこの法律の期限が切れましたものですから、先般、二十三日の日に阪神・淡路復興対策本部の看板をおろしましたが、お話しのように私ども常にこの防災というものをいかに心がけていくか。  自然災害に対しますのは国土庁、御承知のとおりでございますが、事故災害に対しましても国土庁が調整役を受けることになっておりますので、その意味で万全を期し、常に災害に対する心がけというものを国民に対しても啓蒙しなきゃなりませんので、事業費でございますが、二百三十億円ぐらいでメモリアルセンターというものを神戸につくるという、そんな計画をいたしておりました。  あらゆる地震災害その他に対する情報を収集してはどうか。一五九六年に伏見の城が崩落をする、これを市村座で「地震加藤」と、加藤清正が蟄居を命じられておりましたが太閤秀吉のところへ駆けつけるというのが、これは歌舞伎の芝居になっておりますので、私は文化庁長官にそういう資料も集めてくれと。そういうものを国民にいわゆる地震というものに対する、災害というものに対して心がけをつくるために、特にそういう資料を集めてほしいと。  また、良寛和尚という子供に優しい和尚がおりますが、あの方が、災難を受くるときには災難を受くるがよくて候、これが災難を避くる妙法にて候というようなことを書いていらっしゃいます。  私どもはそういうあきらめの境地ではいけませんので万全を期したい、かように申し上げたいと思います。
  22. 市川一朗

    市川一朗君 日本の文化、歴史に詳しい大臣にちょっと細かいことを聞いて恐縮ですが、治水事業で、今現場で起きている難しい問題が一つあるんです。難しいというか厄介な問題なんですが。  ウルグアイ・ラウンドで構造改善事業にかなり予算がつきまして、それで土地改良が進んでいるんです。大体一町歩、東北あたりですと一町歩にもう一回組みかえようと。ところが、その事業が進む、それに合わせて治水事業が伸びていないものですから、当初予算ベースで比べるとそれほど差はないみたいなんですが、補正予算まで含めるとやっぱりかなり差があるのかなと。その辺は専門的にはわからないんですが、現場では大変そごを来している問題があるんです。結局、最後のところは、排水のところで川を直さないと全体の事業が完成しないんですね。その問題が起きております。  さっきの大臣の答弁に比べますと水準が細か過ぎちゃって間尺が合わないかもしれませんが、端的で結構です。考え方をお聞かせください。    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
  23. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) その問題は、災害対策が重点ということになっておりますものですから、治水事業は国民の生命と財産に直接的にかかわる根幹的な事業として認識いたしておりまして、一方、治水施設の整備水準は、時間雨量、大体五十ミリの降雨に対しまして五五%と大変低いところでございます。長期的な視点に立ちまして治水施設の整備に努めているところでございますけれども、限られた予算の中で実際に災害のあった地域というのがやっぱり重点になるようでございます。再度の災害防止対策を優先的、重点的に実施しているというのが現状ということだと思います。  農業関係の場合は、これは補正予算で少し伸びているようでございますが、土地改良事業に直結する治水事業が優先的に行われているという感じでは、率直に申しましてそうは言いがたいと、先生の御指摘のとおりだと思っております。  両事業の整合性につきましては、国及び地方間で事業調整を実施しているところでございますけれども、今後とも引き続き連携を密にしまして事業の効率的また効果的実施に努めてまいりたい。またさらに、治水事業費の確保につきましても、国民の安全確保という社会資本整備の中でも最も根幹的事業でございます治水事業の推進に今後とも全力を挙げてまいりたいと、一同決意をいたしております。
  24. 市川一朗

    市川一朗君 どうもありがとうございます。  突っ込んだ議論はあと国土・環境委員会の場もございますのでそちらに譲りたいと思いますが、防災という観点で、もう一つ私非常に重要だなと思っておりますのは、いわゆる公共事業といいますか公共工事の品質確保という問題だと思います。  今つまらない事故がいっぱい起きています、トンネルのコンクリートが落ちたりなんかする。ああいうのはもう言語道断なので、ああいうミスを犯しちゃ絶対いけないと私は思いますが、ああいう事故が起きますと、もう大変な事故につながるわけでございますので、私はそういったことが絶対起きないように取り組まなきゃいけないと思いますので、これはまずぜひやっていただかなきゃいけないという前提の中で、日本のそういった問題も含めた公共工事全般についてきちっとした品質確保を図っていく体制が十分できていないんじゃないかなということを危惧しておる一人でございまして、しかし、ぎりぎりの話としては、最後のところは品質確保の問題とコストの問題とが二律背反的な部分があるわけなんですね。  それで、日本でも会計法という法律がございまして、私がるる述べる必要はないと思いますが、要するに競争入札に付して最低価格で落札するというのを基本にしておって、一応物の考え方としてはやはりそういった国家的なテーマで行われる公共的なものについては、一つは公正さが大事であるということと、それから国民にとって有利でなきゃならないというようなことで、いろいろ議論した結果、ああいう今のような制度になっているんだということでございます。  それを、じゃしからばどういうふうにやればいいかという点については、解決しなきゃならない問題がいっぱいあるのでございます。簡単に会計法の問題がどうのこうのという問題だけじゃないのでございますが、そういった点についての大臣の御見解と、できましたら、大蔵大臣、こういった問題について大蔵省としてどう考えておられるかにつきましても御見解をお伺いしたいと思います。
  25. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) 確かに、先生の御指摘の会計法の問題がありまして、安かろう悪かろうというのが一番困ることだと思っております。公共施設は特に国民生活と経済活動の基盤そのものでございますので、国民のニーズを満足して、また安心して使用できる施設を提供していくために、適正な価格もとで公共工事の品質確保というものを図ってまいりたい。特に、セメントの崩落事故なんというのがありましたから、建設省でもトンネルを点検いたしましたりいたしておりますけれども、そういう意味でまず施工者の持つ技術力を十分に活用する必要がある。  それから、価格の競争のみでなく、価格と性能と品質とを総合的に評価できる入札契約制度というものの一層の活用を図らなければならないと思いますし、二つ目には企業評価の充実を図るなどして技術と経営にすぐれた企業に活躍してもらうための環境づくりでございますね。  それから、発注者は国、都道府県、市町村と多岐にわたりますので、必要に応じて発注体制の不十分な発注者に対しこれを技術的に支援する仕組みをつくること、三千三百以上の市町村があるわけでございますし、市も六百六十四ばかりありますものですから、それなりにちゃんと責任の持てる技術者がいるところとそうでないところの実力の差というものがありますから、そういうものに対する徹底的な指導とか誘導をすることが必要ではないかと思っております。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまお話しになりました会計法二十九条の六は落札の方法でございますが、これについてすら第二項がございますそうで、それは「性質又は目的から前項の規定により難い契約については、」と、つまり落札だけでなくその他の条件の場合には今言われるようなことを考えてよろしいという規定がある由でございますが、大蔵省でもそういう考え、いわゆる総合評価方式ということを昨年以来工事にも導入してもらっておりまして、意識としまして、殊に昨今のようにああいうトンネルの上が落ちるというようなことになりますと、その方の意識はやはりかなりはっきりしてまいりましたから、いわゆる総合評価によって入札を行っていくということをかなり厳しくしていかなければならない、そういう認識は十分持っております。
  27. 市川一朗

    市川一朗君 私も、会計法の基本的考え方で最も有利な条件という表現で整理されていると理解しておりますので、最も有利な条件の中には品質確保ということも国民にとっては非常に大事なテーマですから、十分両立し得る概念であるというふうな理解のもとに、この問題ではかなり専門的に追求していきたいと思っております。いいものをつくっていきたいという、その努力をしてみたいと思っておるわけでございます。  国土庁長官建設大臣、もうお聞きしませんが、三千三百の市町村の中で技術者が全くゼロという市町村が、数は言いませんが、いっぱいあるんです。しかし、そういうところで結構いろいろなものをつくっているんです、町長さんが発注して。  ですから、これは本当になかなか心配なことがいっぱいあるんですが、そういった問題も含めまして、ひとつ我々も取り組むつもりでございますので、建設大臣としてもぜひともよろしくお願いしたいと思う次第でございます。  きょうはどうもありがとうございました。  最後に、宇宙開発の問題につきまして、科学技術庁長官、お待たせいたしまして恐縮でございます。  私、いろんな事情で大変宇宙開発について興味を持って、余り表立った応援ができないでおりますことを大変恐縮に存じておりますが、心の応援者でございますが、そういう立場で言いますと、最近の一連のロケットの打ち上げ失敗というのは私も本当に心配なわけでございます。  私、一番心配していますのは、この流れで、例えば次に失敗した場合なんかを考えますと、第二の航空機産業になってしまうのじゃないか。結局、日本では今は航空機はつくれないでいるわけですね。今の日本の自動車産業の隆盛から見ますと、十分、ずっとやっていれば航空機も相当立派な航空機をつくれるような日本だったんじゃないかと思うんですが、もう全く今となってはどうにもならない。宇宙開発ロケットもあるところまで来た、それが全くだめになってしまうおそれはないのかといったようなことを懸念しているわけでございます。  原因分析その他進んでおられると思いますが、その点について、そういうおそれのないようにするためにはやはりしっかりとした取り組みをするということを大臣からお伺いしたいと思います。
  28. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 昨年十一月のHⅡロケットの打ち上げ失敗に続きまして、ことしはミューⅤロケットの打ち上げが失敗いたしました。国民の皆さんの期待を大きく裏切りましたことを大変申しわけなく思っておりますし、大変私も厳しく受けとめておるところでございます。  まずは、当然のことでありますけれども、打ち上げ失敗の原因の究明を徹底的に行いまして、そして我が国の宇宙開発体制を立て直し、また信頼性を高めるために必要な対策を講じていかなければならないと思っております。  宇宙開発につきましては、委員御承知のとおり、衛星による通信あるいは放送、それから気象衛星、天気予報、地図づくり、あるいは船舶とか自動車のGPS、ナビゲーターですね、今自動車にはみんなカーナビがついておりますけれども、こういうもので、広範な分野で国民の生活にもう浸透しているわけであります。また、宇宙のなぞに迫る天文観測、それからこの間の毛利飛行士のスペースシャトル、こういうようなものが続々と打ち上げられているわけでありますけれども、あるいは国民、特に青少年に対しまして大変大きな夢と希望を与える、そういう側面も持っておるわけでございます。  二十一世紀になりますと、間違いなく宇宙利用時代に突入をするわけでありまして、欧米諸国におきましては精力的に積極的に宇宙開発活動を行っているわけであります。  我が国といたしましても、今回の打ち上げの失敗を乗り越えまして、また体制を整え、そして宇宙技術の信頼性を高めて、それによりまして宇宙関連産業の発展に必要な基盤を整えるべく、今後も関係者が一丸となって取り組んでいく必要があると思っているわけでございます。
  29. 市川一朗

    市川一朗君 バブル期に理工系の優秀な学生が卒業して、専門の分野につかずに商社とか銀行に大量に流れまして、そのツケが今いろいろなところで起きているんじゃないかという指摘をする方がおられまして、私もそういう面もあったなということを感じているわけでございます。  やはりこういった宇宙開発、ロケットの開発みたいな問題、アメリカはいわゆる軍需産業の中で取り組んできたというテーマもあるわけでございますので、なかなかアメリカのようなわけにはいかないと思いますけれども、そういったことを一生懸命自分のライフワークとしてやっていこうという学生が将来そういった道に歩めるようにするための科学技術教育と、それからそこで学んだ学生の心の問題も含めて、しっかりと取り組む必要があると思いますが、科学技術庁長官であり文部大臣でもあられます中曽根大臣のその辺に関します抱負なり御決意なりをお伺いしたいと思います。    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
  30. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 日本の科学技術の将来を考えますと、科学技術、また理工系に関心を持って勉強する人材を高等教育機関において養成していくということは大変重要なことでございます。  このため、文部省におきましても、大学の理工系学部等におきましては、物づくりを中心に据えた実践的な教育の充実を図るほか、実際の技術現場において就業体験を行い、進路、職業意識を育てるインターンシップ、これの推進などを通じまして、高度な技術系人材の養成に努めているところでございます。  一つ統計があるわけでございますけれども、例えば金融、保険の分野に就職をした理工系学生というものを調べてみました。理工系の学生の中で金融や保険の分野に行った方が平成二年度が二・八%、平成三年度は二・五%です。いわゆるバブル期は二%から三%台の学生が金融や保険に流れているんですね。その前とその後は一%から一・五%ぐらいという、そういう統計がありまして、そういう意味では理工系の人気が下がっていたのかなというふうに思っております。  大学志願者総数に占める理工系の志願者の割合というのはしかし最近は増加しておりますけれども、情報産業とかそちらの方に行っているようで、物づくりとか製造技術とか、そういう方に行っているかどうかというのは非常に心配されているところでございます。  今後とも学校教育全体を通じまして、物づくりを尊重し、そして技術者になることが誇りに思えるような、そういう機運の醸成に努めていきたい、そういうふうに思っております。
  31. 市川一朗

    市川一朗君 終わります。
  32. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で市川一朗君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  33. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、直嶋正行君の質疑を行います。直嶋正行君。
  34. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。  まず初めに国家公安委員長にお伺いしたいと思うんですが、この数日、新聞紙上をにぎわしております一連の警察の不祥事についてでありますが、昨日夜、大変長時間の国家公安委員会を持たれた。そして、報道されていますような長官の懲戒処分をお決めになったというふうに伺っておりますが、国家公安委員会におけるその結論をお出しになった経過についてお聞かせをいただければというふうに思います。
  35. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) このたびの事案につきましては大変国民の皆様方に御心配をおかけしておりまして、心からおわびを申し上げたいと存じます。  昨日、国家公安委員会は十時に開催をされましたが、一たん中断をいたしまして五時から再開をいたしまして、まず国会におきます審議のありさまについて私から御説明を申し上げ、御論議を賜りました。大変厳しい国会からの御指摘並びにホームページで寄せられるいろいろな国民の声、さらにまたいわゆる一般世間から言われておりますいろいろな御批判等を真摯に受けとめなければならないということを確認いたしたわけであります。その上に立ちまして、国家公安委員会におきまして大変長い審議の末に、警察庁長官に対する監察を行った行為に対しての監督責任がいかがなものであるかということについて協議をいたしました。  その結果、全員がやはり田中長官はこういう監察にあるまじき行為がなされたということに対しては監督責任を負うべきであるということで意見が一致し、その後の長い協議を終えまして発表されました百分の五の減給の処置を決めさせていただいた次第であります。  国家公安委員全員がこの処置には署名をいたしておりまして、国家公安委員会としての処置の決定であると思っております。
  36. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、公安委員長の方から長官の監督責任ということで、要するに特別監察に関する局長に対する監督責任ということでこの処分が決まったというお話があったんですが、この参議院における二日間の審議の中でさまざまな問題があったわけですが、一つは、今申された局長に関する行為に関する問題あるいは県警本部長の問題ということがあったんですが、もう一つは、局長あるいは県警本部長に対する処分についてはさまざまな角度から議論がありました。  きのうの協議の中では長官から国会の状況を報告されて話し合った、こういうことなんですが、今回の処分は今は監督責任だと、こういうふうにおっしゃった。そうすると、その他の部分についてはいかなる結論に相なったのか、ちょっとお伺いしたいんです。
  37. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 特別監察という神奈川県警の事件を受けての非常に重い監察の中でああした行為が行われた、またそういう監察のあり方を監督することができなかったということで、その行為自体に対しての監督責任を問うたものであります。  そのほかの件につきましては、概括的に警察内部のいろいろな処理その他について十分に監督をしなければならないという、そういう意味での概括的行為に対する監督責任を問うという国家公安委員会の中の様子でありました。
  38. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、今回の国民の皆さんの怒りは、やはり当初の二月二十四日、それから二月二十八日に再度協議されても、俗に言いますと甘い処分に終わった、ここにあったと思うんですよね。この部分については、今のお話だと協議はされたわけですか、そして公安委員会としての何か問題意識というようなものはなかったわけですか。
  39. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) この部分についても、話題としては、もちろん国会で取り上げられたことでありますから、それを報告しております以上、いろいろ議論が出ました。  ただ、警察庁長官が行いました中田管区警察局長に対する処分については、これは長官の行ったことを了とするという前の発表をしておりますけれども、そのことでいいのだということになっております。
  40. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私が申し上げたかったのは、できれば見直していただきたいということなんですが、長官がおっしゃっているように法的にいろいろ問題がある、あるいはもう引責辞任されていると。じゃ、しからば公安委員会としてそのことに関して反省はなかったのかという議論があったのかなかったのかということをお伺いしたいんです。
  41. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 国会の御指摘並びに世論の厳しさというのは十分に承知をいたしておりますけれども、法と規則に照らしてこの処置でいいということが決定づけられております。それは、御承知のように、長官から御説明をさせますけれども、引責辞職をしておる、これは公務員にとっては大きな、最大とは申せませんけれども大きな責任をとるという形でありますので、その引責辞職をしたということを了としております。
  42. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 法的にいろいろ議論はあるかもしれませんが、私はやはり基本的に今回のこの処分の問題について国家公安委員会としての判断が問われた、このように思うんですけれども、そういう受けとめはなかったわけですか。
  43. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 繰り返しになりますけれども、国会からのいろいろな御指摘等は委員に十分伝わった上で御議論をいただいて、国家公安委員会の中で、それは私も論議に入っておりますけれども、この決定を了とするということを覆すに至っておりません。
  44. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 では、公安委員長としてはどうなんですか、この公安委員会としての判断は正しかったと、こういうふうにお考えなんですか。
  45. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 私が代表し総理をしております国家公安委員会の決定でありますから、私はそれは正しかったと思っております。
  46. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 二日間、国会であれだけの議論をした。確かに、その途中で退職金を辞退するとか、それからさっき委員長がおっしゃった長官の処分ということがあったんですけれども、私は本質的にもう一つやはり問われている問題は、国家公安委員会として本当にきちっと警察を管理して監督しているのか、そしてその人たちは正しい判断をしているのかと、こういうことになるんじゃないかと思うんです。これは委員長御自身の御判断も含めてでありますが、私はそこは間違っていると思うんですが、そうは思われないんですか、この二日間のやりとりの中で。
  47. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 気持ちはよく理解をいたすところでありますが、国家公安委員会の中でのいろいろなやりとりからいいまして、この手続は間違っていない、決定は間違っていないと私は思っております。
  48. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 警察庁長官にちょっとお伺いしたいんですが、国家公安委員会の事務局は警察庁にあると、こういうふうに説明を受けているんですが、警察庁の中には専門の例えば部課というのは置いておられるんでしょうか。どういうぐあいになっているんでしょうか、ちょっと御説明いただければと思うんです。
  49. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 御答弁申し上げる前に、昨日、国家公安委員会から、私の中田前関東管区警察局長に係る行為につきまして懲戒処分をいただきました。このことにつきましては、国民の皆様に改めて心から深くおわび申し上げるものでございます。  今、委員御指摘の国家公安委員会の補佐体制でございますけれども国家公安委員会の庶務は警察法によりまして警察庁において処理するとなっております。これを受けまして、警察庁の組織令におきまして警察庁長官官房総務課が国家公安委員会の庶務に関することをつかさどると、こういうふうになっております。これを受けまして、現実には長官官房総務課におきまして国家公安委員会の庶務を処理するため五名の体制をとっているところでございます。
  50. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、今お話しありましたが、国家公安委員会というのは警察庁の中に事務局があると、こういう説明なんですが、実は官房総務課がほかの仕事と一緒に兼務している。ですから、私は今のこの仕組みの中から思いますと、例えば国家公安委員会のホームページで国家公安委員会の役割というのも説明されていますが、ここには、警察制度の企画調査や予算、それから国の公安に関する事実、警察官の教育、行政に関する調整、要するに一言で言いますと警察庁を管理すると、こういうふうに書かれているわけです、このホームページの中にも。今みたいな体制ですと、これはできないんですよね。  結局、そういう中から自然自然と国家公安委員の皆さんも警察庁の影響といいますか、あるいは御自分で本当に国民に声を反映した形での御判断をとれなくなってきたんじゃないかと思うんですが、私はその中で今回のような問題が出てきたと思うんです。ですから、私は、国家公安委員会としてのやはりけじめが必要だと、こう思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  51. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 再三御答弁をいたしておりますが、国家公安委員会制度ができました、終戦直後のことでありますけれども、その時点では、警察の組織体制の中に目を向けるという前提ではこの国家公安委員制度はできていなかったと思います。そして、警察が外に向かって行う行動、つまり戦前の警察のような形のものを民主制それから中立性を保つ意味でそれを監視するという形の国家公安委員会ができておったと思います。当時は具体的な事件がいろいろございましたから、そういったものについて警察が行き過ぎにならないようにという配慮からこういう国家公安委員制度ができたと承知をいたしております。  その時点におきましては、警察内部の問題というのが、これは警察の中できちんと規律が維持されているという前提があったんだろうと私は思いますが、目が向けられていないということは事実でございました。そういう意味で、今度警察法の改正をお願いいたしまして、国家公安委員会としても警察の組織の中に目が向けられるように今後配慮をしていくという形の改正案を御提案申し上げておるところでございます。  そういう意味で、私どもは、やはり政府と警察組織との間の連絡役、またあるいは警察の監視役としてその機能を果たしていかなければならないし、確かに今申し上げたような観点から見ますと、警察庁の中に事務局があるからという御指摘もございましたが、そういう点では不備を感ずることは事実であります。今後、いかに国家公安委員会の制度を充実していくかということについては御論議を大いにしていただきたいと思っておりますし、私どもも改革に努めていかなければならないと思っております。
  52. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 さっき申し上げたこの国家公安委員会のホームページにもあることなんですが、国家公安委員会制度というのは「国民の良識を代表する者が警察を管理する」と書いてあるわけです、「管理する」と。私は、今は管理していないと思うんです。確かに個々のことまで管理監督せよとは言いませんが、一番大事なことじゃないんでしょうか、今回のようなことは。どうなんでしょうか。
  53. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 国家公安委員会が現在やっております役割は、警察行政に対する大綱方針を定め、そしてまた警察行政の運営がその大綱方針に即して行われるように指揮監督をすることである。さらにまた、事務の個々の具体的な執行について立ち入った指揮監督を行うものではないと私ども考えております。余り細かいところまでは立ち入らない、しかし総括的な指揮監督はしなければならないと思っております。それが管理ということの解釈であろう。私は、その上に立って国家公安委員会規則等を定める、そういうような仕事をして警察行政を管理しておる、それが現状であると認識しております。
  54. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私がお伺いしたのは、だから今御説明された現状から見て、国家公安委員会は今回のこの処分の件に関して責任を負うことはないということですか。その御判断をお聞きしたいんですよ。
  55. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 今の御指摘は、新潟の問題にかかわっては、小林本部長に対する処分につきましては国家公安委員会処分でございました。これについては国家公安委員会が処分を決めております。  それで、あと中田氏に対する人事権は警察庁長官にございまして、その警察庁長官の行う処分、これが国家公安委員会に報告をされまして、それを了としたということでありまして、両方に落ち度はないものと私は信じております。
  56. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 落ち度がなければあれだけ国民から批判の、ホームページ等にも批判のメッセージが来ている、あるいは方々からそういう批判が上がっている、あるいはまた国会の中でもきのう、おとといと二日間さまざまに議論された、こういうことにはならないんじゃないでしょうか。やはりそのことに過ちがあったからこういう結果が出ているんじゃないんでしょうか。私はそう思うんですけれども、いかがでしょうか。
  57. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) この点については公安委員会の中でもいろいろ御協議をいただきまして、その上で、世論については十分に承知をしておる、しかし警察庁長官の行った判断についてはこれを了とするということでは全会一致しております。  世論を受けてどう考えるかということでありますが、片方では国家公務員法、そしてまた人事院規則等がございまして、それにのっとって決定をしていきませんと、他の処分案件との整合性その他、今度の場合は加重することをやはり考えなきゃいけませんけれども、そういうことも加えて処分をしたという意味で適正だというふうに思っておるわけであります。
  58. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、きのう行われた処分で警察の中でもさまざまな混乱もあったと思うんですが、これで今回の問題が全部つじつま合わせをされて終わってしまってはいけないと思うんです。やはりこの機会に、戦後続いてきた国家公安委員会というもののあり方ももちろん議論しなければいけないでしょうが、そういうことをやっていく前提として、今回の国家公安委員会あるいは委員長も含めて皆さん方の判断が本当に合っていたのかどうか、国民の期待に沿っていたのかどうか、こういうことをきちっと整理しなければいけないと思うんです。  私は、そういう意味では、法的にはいろんな議論があるかもしれませんが、国家公安委員長の責任も極めて重いと思うんです。今どのように自覚されていますか。
  59. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) この問題が大きくなりましたきっかけは、中田氏がみずから自分の不始末について警察庁に申し出をしてまいりまして、こういう不始末を生じました、いたしましたということを言ってきております。そこから発生をいたしまして、この事件が大きく広がって報道もされ、また国会でも御審議をいただいたものであります。  そういう観点から見てみますと、この告白がもしなければ、この事件もあるいは隠しおおせたのかもしれないということを考えますと、ちょっと裏返しをした見方で大変恐縮でありますが、そういうことが明るみに出たということは、私自身は警察の古い体質が露呈したものだというふうに申しておりますが、そういう形で露呈したということは私ども重く受けとめなければいけませんし、同時にまた、ほかにこういう体質を持ったところがないかということを検証していくということは私ども国家公安委員会にかけられた責務でありますし、さらにまた警察庁の警察組織を全部監督する警察庁長官の責務でもある、このように感じておりまして、その責務を遂行していくということが私どもにかけられた責任であると感じております。
  60. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は重ねて申し上げておきます。  この件に関しては、今申されたようなさまざまな将来のことを議論したり、あり方を整備していくということは当然必要なことでありますが、私はその前にやはり国家公安委員会としての大きな責任をどうするかということが問われなければいけない、このように思っております。  これは、きのうの照屋議員とのやりとりの中でも、法制局長官が、あの言葉は政治責任という言い方でありました。そのようなコメントも述べられておりました。  ちょっと官房長官にお伺いしたいんですが、今のやりとり、公安委員長とさせていただいたんですが、これは今申し上げたように、私は内閣としての政治的な責任も含めて、当然これは免れ得ないと思うのでありますが、本来総理にお聞きすることなんですが、官房長官にお答えをいただきたいと思います。
  61. 青木幹雄

    国務大臣(青木幹雄君) 議員おっしゃるように、内閣としても非常に大きな責任を感じております。  ただ、今度の問題につきましては、議員も御承知のとおり、昨日、予算委員会が終わった後で三時間半に及ぶ議論がなされまして、その議論の中には国会の声、世論、そういうものもすべて含んでいわゆる公安委員会で決定された問題でございますので、私は公安委員会の独立性の上からいっても、内閣としてはこの決定は非常に重いものだ、そういうふうに考えております。  ただ、私も個人的な見解として、今度の処分についてこれは非常に甘いものだということは再三申し上げております。そのとおりでございます。しかしながら、決定が最終的にされた上には、私はやはり官房長官という立場で、個人的な見解が先立っていろんな報道をされる危険もございますので、この際のコメントは差し控えたいと思いますが、何ら私の個人的な考えには変わりありません。
  62. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この間、私ども峰崎委員が、国家公安委員の方々に、この予算委員会に証人喚問でしたね、お願いを申し上げたと思いますが、ぜひこれを委員会において議論していただきたいと思います。委員長にお願いを申し上げたいと思います。  それから、官房長官、もうちょっとお伺いしたいんですが、この一連のさまざまな出来事の中で、例えば国家公安委員会の年収が週一回しか委員会に出ていないのに二千六百万円だと、こういうような報道もされまして、これは私は真偽のほどは確認はいたしておりませんが、こういう処遇のあり方も大変大きな国民の関心を呼んでいます。この点に関してどうお考えでしょうか。
  63. 青木幹雄

    国務大臣(青木幹雄君) この問題は、これは正確なことかどうかわかりませんが、例えば日銀政策委員の場合、非常に高い給料が払われております。しかしながら、一切の兼職が禁じられております。ですから、そういう場合には、それに就任することによって今まで得ていた収入が非常に大きく減る場合も、いろいろなケースがあろうと思っております。  ただ、今度の公安委員の場合が、そういうとり方をするのか、それともいろんな仕事もしながら片手間のような形で公安委員を務めるのか、その辺の議論も含めて、今後この問題については広く議論を求めて決めていかなきゃいかぬ問題だろう、そういうふうに解釈いたしております。
  64. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 兼職をしている人はかなり高額な日当をいただいているというような報道になっています。私はちょっと国民的な常識から考えても問題があるんじゃないかと個人的には思っておりますが、ぜひこれは真剣に受けとめて御議論いただきたい。  それから、実はきのう、国家公安委員会の開催について、昨年の一月から、これは事務局の方からちょうだいしました。週に一回の会議ですが、ほとんどの方はほぼ出席をされています。ただ、問題は国家公安委員長なんです。今の委員長の前任の方、ちょっと私、だれか名前を忘れましたが、この方などは去年一月からの開催の中でほぼ三分の一しか出席されていない。これはどういう事情があるかわかりませんが、今の委員長も、例えば十一月、十二月は全く出席されたというふうになっていません。  それから、ちょっとここは問題なんですが、一月二十八日にあの新潟の問題が、発端が起きまして、その後の二月三日、十日あたりのこの二回の委員会、それから二月二十四日、最初の処分を議論した委員会、これも公安委員長は実は欠席されているということをいただいているんですけれども、これは何かあったんでしょうか。
  65. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 私は、国会の都合がつき、お許しがいただける限りにおいては全部出ております。これは自信を持って申し上げることができると思います。  ちょうど昨年は臨時国会もございました。さらにまた、ことしに入りましてからは予算委員会がずっと開かれておりまして、そういう意味で、国会の都合がつくときは必ず出ております。ほかに行っているということはございません。
  66. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の御答弁も含めて、これからのあり方の中でぜひ議論しなきゃいけないというふうに思います。  それから、官房長官にもう一点お伺いしたいんですが、先ほど内閣の責任について免れ得ないというようなニュアンスの御答弁がございました。この点についてはさらに内閣の中でもぜひ議論をしていただきたいなと思うんですが、いかがでございましょう。
  67. 青木幹雄

    国務大臣(青木幹雄君) 昨日の予算委員会において総理が直接いわゆる公安委員会のあり方等について今後検討しなきゃならないということを申し上げておりますので、その線に沿って検討していきたいと考えております。
  68. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと私の申し上げたニュアンスとは違う御答弁のようですが、この問題はまた同僚議員が後日も継続してお尋ねをするというふうに思いますので、私の方はきょうはこのぐらいで、別の問題に行きたいというふうに思います。  それで、農水大臣、昨日、農水省の元課長補佐が逮捕されたという報道がありました。これについてコメントはありますか。
  69. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 農林水産省の元職員が逮捕されたことにつきましては、公務員の倫理が厳しく問われている中で、まことに遺憾であり、残念に思っております。  私といたしましては、この事態を重く受けとめ、今後、農業構造改善事業等について、事業執行の透明性の確保など事業実施の適正化に全力を尽くしますとともに、倫理の保持について倫理研修や倫理管理体制を強化するなど、万全を期してまいりたいと考えております。
  70. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 農水省の昨年十二月の調査報告書では、今回の逮捕の原因になったような便宜供与は、事実関係はなかった、認定できなかったと、こういう報告があるんですが、この調査と今回の逮捕についてはどのようにお考えでしょうか。
  71. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 農業構造改善事業に関する調査は、農業構造改善事業の執行体制の適正化を目的にしたものでありまして、犯罪行為の摘発を目的としたものではございません。もちろん、職員の職務執行に関する調査の過程で刑事告発を要する事態が生ずれば告発を行うこととしていたところであります。  かかる立場に立って、本人の自己申告を基本として、強制権限がない中で、調査委員会はできる限り網羅的に調査し、その結果を踏まえて昨年十二月下旬及び一月上旬に厳正に処分を行ったものであります。ただ、当該調査の結果では、刑事告発をすべきとの心証を抱かせる証拠は得られず、事実の確認に至らなかったところであります。
  72. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 事実の確認に至らなかったことと今回の結果とをどのようにお考えですかと私はお尋ねしているんです。
  73. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 先ほども申し上げたわけでございますが、調査委員会におきましては自己申告を基本としまして、強制権限がございません。そういう中におきまして、幅広く精力的に調査を行ったところでありますけれども、このような事案は確認をするに至らなかったということでございまして、この点はまことに遺憾であると思っております。(発言する者あり)
  74. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) お静かに願います。
  75. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 質問に答えていただきたいんですよ。このような確認ができなかったということと今の結果とをあなたはどう思っておられるんですかということなんです。
  76. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まことに残念な結果であったと思います。
  77. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それだけでは済まないんじゃないでしょうかね、農林大臣。その調査のやり方だって問題があったんじゃないんですか。そういうことは出ないんでしょうか。どうですか、大臣。
  78. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 調査を行いまして、昨年の一月並びに十二月、それからことしの一月、調査の結果、処分をいたしておるわけでございます。決してそういう点におきまして、調査を甘くした、こういうことはないと考えております。できる限りの調査を行って処分を行った、こういうことでございます。
  79. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は大変問題があると思うんですよ。調査も、マスコミ報道等であるいは世論に批判されて何回もまた調査をやり直したり、そして今回のような結果もその調査では発見できなかった。この問題はまた私どもの同僚議員が後日質問をさせていただきます。  午前中これで終わりたいと思うんですが、よろしいですか。
  80. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  81. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。  残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  82. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十二年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。直嶋正行君。
  83. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それでは、財政問題について午後はお伺いをしたいと思います。  まず、大蔵大臣にお伺いをしたいのでありますが、大蔵大臣衆議院の方の予算委員会の答弁で財政に触れられまして、平成十三年度及び十四年度の予算は中立型、財政再建平成十五年度からというような趣旨の御発言をされたというふうにお伺いをしております。議事録等にもそのように記載されているんですが、昨年末の大蔵大臣の例えば臨時国会での御発言等からこの発言を見ますと、財政再建をまた先送りされようとしているんじゃないかと、このようにも受けとめられるんですが、どういうお考えでそのような趣旨のことをおっしゃったのか、お伺いしたいと思うんです。
  84. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一度だけ、後ほど、衆議院でももう少し真意を申し上げたつもりでありましたけれども、戦略会議というのがそういう意見を言われまして、それをもとにそのとおりかというようなお尋ねがありましたので、別に特に強くそれを反論するようなつもりもございませんでしたので、日本経済が軌道に乗ったことを確認するのにやはり二年ぐらいかかるといえば、まあそうでございましょうというふうに申し上げたのは事実でございます。  大変そこをはっきり考えて申し上げたわけでもなくて、申し上げようとした意味は、日本経済が一遍だけ民力で成長しましても次の年にはそれがはがれるというようなことではいけませんから、そこはそういう民間経済力ではっきり軌道に乗ったということでありませんとフレームがかけませんので作業が難しゅうございますという意味の気持ちで申し上げておるわけでございます。  ただ、そう申し上げながら、けさほども申し上げましたけれども、どうも今度の財政改革というのは、財政だけにとどまるということは実は考えにくうございまして、税制が入るのはもちろんですが、中央、地方の行政、財政の関係もやり直さなきゃなりませんし、むしろ産業界全体が、今いろいろベンチャーのお話もございますし情報通信のお話もございまして、日本の経済社会というのはかなり変わるのではあるまいか。またそうでないと二十一世紀にはなかなかやっていけないのではないかという思いがいたしますものですから、財政改革というお尋ねをいただきましたときに、いつも私の気持ちの中にそういうものがございまして、全体の問題として、恐らくそのためにはやはり日本経済の五年とか十年とかいうものの、中期ぐらいでございましょうか、の間のやっぱりマクロのモデルをつくって、そして整合性のある計算をしてみないと、それをやったからといって当たるわけではありませんが、それをしないでただいいかげんに数字を持ってくるというわけにはいかないのだろうということを思うわけでございます。  そうしますと、そういう考え方あるいはそういう作業の準備というのは、例えば来年一月から新しい中央の行政組織ができるわけでございますけれども、その行政組織の一つの最初の課題というのはやはりそういうものをつくり上げることではないだろうかということを、これは私が勝手に思っておることでございますけれども、思っておりまして、幸いにしてそのときに経済が大体回り始めるということになってきますと、モデルをつくって作業しますのにやはり一年ぐらいはかかるように思いますので、そういたしますとそこは、十三年は問題外といたしましても、十四あるいは十五ぐらい、どこかその辺からそういう考え方をとっていかないといけないのではないか。これは自分だけの考えでございますが、そう思いますのでそんなことを申し上げております。
  85. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 本当はそういった全体的な話をぜひ総理からお伺いしたいところだったんですが、きょうは残念ながら御出席されないということで、今の大蔵大臣お話を本当は続けると大変いいと思うんです。  それで、今もお話があったんですが、経済が立ち直った後も二年ぐらい要るということなんですが、ただ私は今の財政はそんな状況じゃないんじゃないかなと。例えば、中立型か緊縮型かという議論よりも、むしろこの赤字がどうなるのかということをきちっとしないと本当に予算が組めなくなるんじゃないかなと思うんですけれども大蔵大臣、その辺の認識はどうなんでしょうか。
  86. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは持っておりまして、けさほども余り感心した書類でないというお話の中から中期展望お話がありましたけれども、やはり経済がうまく動き始めましても、仮に三・五%というのはかなり高うございますが、その場合租税の弾性値を一・一といたしましても、結局三・八でございますから、五十兆の三・八というのは二兆円にもなりませんので、どうもそういう事実が大変に狂ってこない限りは、歳入は黒字になりましても、その幅というのは余り大きなものをにわかには期待できない。  他方で、来年は何とか、来年といいますか十三年度は、私は今回御審議いただいております歳出の中にかなり切れるものがあると思いますので、十三年度は何とか国債を少し落としてやっていけるかと思いますが、タイムリーに社会保障関連の全体の合意ができませんと、これは常に歳出を押していきますし、また景気がよくなれば金利が上がりますので国債費も上がると思わなければなりませんので、両方からしまして、あらかじめ公債発行額がここでとめられるという見当がその辺でつかなくなるのではないかと思っていまして、そうでなくて今の問題がみんな片づけばできるはずですが、なかなかそうもいかない。しかし、税制改革というものがにわかにまた新しいものとして登場することも難しい。そこのところで行ったり来たりしながら新しい体制が組めればこれは本当にいいことだと。  しかし、なかなか簡単なことでないという思いがしますものですから、国債がふえるのはどうするのかというお尋ねには、それは何とか何年間かのうちにとめなきゃいかぬと思っておりますけれども、急にそれがきちんととめられるかということはやはり相当苦労が必要だと思っております。
  87. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 大蔵大臣は今のお話でも独特のやわらかい口調でおっしゃるからそんなに危機感が出てこないんですが、私なんかはもうこれは大変じゃないかなと。  今おっしゃったように、かなり経済成長率が高くても毎年毎年三十兆円ぐらい出さなきゃいかぬ。だから、これは経済回復する回復しないという問題じゃなくて、経済回復する回復しないという問題はもちろんありますが、その問題だけじゃなくて財政そのものが行くところまで行っているんじゃないかと。大臣はかなり難しいとおっしゃったけれども、かなりどころか、ひょっとしたらというような危機感も持っているんですが、そういう御認識はどうなんでしょうか。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これを不用意に申すとしかられるわけですが、国債の残高というのはなかなか減らない、どちらかといえばふえる傾向にある。それをどれだけ抑えるかということでございますが、日本の経済がうまく回り始めて、しかも世界経済とうまくつながっていきますと、アジアを含めましてやっぱり経済のベースが大きくなりますから、そういう意味で多少の国債の増加には耐えられる、それだけの力を持っていくだろうと。  これはしかし、余り不用意に申してはいかぬことなのでございますけれども、そういう思いがしますものですから、どんどんふえていくというトレンドをどこかできちっとつかまえておけば、そうすればこれだけの国力のある経済ですから、大いに心配しなければならないのですが、しかし十分そこはやっていけるだけの力を日本経済はやがてまた取り戻すだろうということをどこかで考えておりますものですから、そういうふうに思っております。
  89. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 経済のベースは大きくなる可能性があると、こういうふうにおっしゃったんですが、しかし今の大蔵大臣お話を聞いていると、向こう五年から十年はやっぱり赤字がふえちゃうんじゃないかと。  例えば税収をとりましても、この計算も、中期展望もそうですが、経済成長率の差は余り関係なく、大体五十兆円ぐらいでいっちゃうと。そうすると、ふえる余地がどれぐらいあるのかなと、率直に言って大変疑問なんですけれども、この点はどうなんでしょうか。
  90. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) だんだん深間に入る気持ちはするんですけれども、一・一というものが、御承知のように現在の税制を大体考えておるわけでございます。ですから、このままの税制であれば一・一かもしれないが、税制にいろいろな、ここはしかし国民的な合意がありませんと簡単にできることではございませんが、国民的な社会保障の給付とそれから負担という問題であるとか、いろんなことの国民的な合意ができて税制というものがいろいろ変わっていくというようなことは、私としては期待をしたい問題でございますから、そういうことも含めますと一・一というものにこだわることはない。  ただ、そんなことを口で言うほど簡単ではございませんけれども、しかし、そのぐらいの改革がありませんと、二十一世紀の日本の経済社会というのはなかなかやっていけないのではないかと思うものでございますから、それで、財政もそういうことの一環として考えていかなければと、いきたいと思っておるわけでございます。
  91. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、今、大蔵大臣の頭の中には税制について問題意識がかなりある、お持ちであると、一・一を変えるということも含めてという理解でよろしいんでしょうか。
  92. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 例えば、各党でいろいろ御議論をなすっていらっしゃいますときに、将来の社会保障負担と給付というものをいろいろ御議論になって、そういうものは例えば消費税で賄うのがいいとか国民福祉税とかいろんな御議論がございます。  また他方で、衆議院の御議論がございましたが、今のように日本の所得税の課税最低限が高い、三百六十何万円という。大変たくさんの人が直接税を払っていない、かなりの生活ができているのに払っていないということは、やっぱり低い税率でもいいからもう少したくさんの人に所得税を払ってもらうべきではないかというような御議論といったようなものはいろいろに、つまり二十一世紀の経済社会における日本のあり方の中で御議論をしていただけるのではないかと。  言うほど簡単なことでないのは存じておりますけれども、それぐらいの社会的な変化が要るのではないかと思っております。
  93. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 相当そういう意味では、思い切った課税ベースの拡大も含めて、税のあり方もこれから課題になる、こういう理解でよろしいですか。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 個人がどれだけここでそういうことを申し上げていいのかとは思いますものの、少なくともそういう背景でないと財政の抜本的改革というものはやっぱりできないだろう、そんなふうに思っております。
  95. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私も大蔵大臣余り深みにはめるつもりはないんですが、今のお話と、もう一つ私が気になっていることは、いわゆる国債費が今税収の大体三分の二を占めているんです、金額的に見ますと。これは税収から地方交付税を除いた額で、国が使えるお金ということで見ますと、これは参議院の予算調査室がおつくりになった資料で細かく分析されているんですが、これがやはり傾向的に今度は三分の二じゃなくてどんどん七割、八割と今のままで行くとふえていく、こういうことが指摘されているんですが、こういった国債費との関連についてはどうでしょうか。
  96. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 金利が高くなる、ならないとまたいかぬわけですが、なりますし、また政府としても額面を小さいものにして個人にも持ってもらいたい、消化をたやすくしたいということは、借りかえの期間が早く来るということでございますから、どっちから見ましても国債費はふえると考えていかなければならないと思うんです。  今おっしゃいますように、国債費国債金収入とがもう一緒になる、あるいはクロスするというようなことになりますと、これは国民のどなたが見ていらしても、こいつは容易なことでないなと思われるに違いないので、何とかそういうふうにならないうちに手当てができないかという思いは大変強くしております。
  97. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう私、本当にサラ金地獄に近い状態に今数字だけ見ていると思えるんですけれども、やはりこういう状態というのは、私はやはり政府政策的な面もあると思うんですよ。  もう一つ申し上げますと、ペイオフを延期されましたね、二〇〇一年四月実施を。二〇〇一年四月実施からということで考えますと、あれは一年延期なんですが、実質は二年延期なんですよ。大蔵大臣がさっきおっしゃった十三、十四は中立型でというお話と時期は符合するんです、ペイオフのここまで。これはやはり当然、金融関係等について不良債権の処理がおくれた場合、あるいは国がいろいろな面で補てんする資金が必要になってくる、こういうことを考えると、これも財政要因になってくるんじゃないでしょうか。
  98. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) お答え申し上げる前に、先ほど私が申し上げようとしたのは、十年物の国債を三年にするとか二年にするとか、額面と申し上げましたが、年限を短くするという意味でございますので。  それで、今のことは、昨年の暮れにこの決定をいたしましたものですから、一年延期でございますね。全貌がどうも明らかにならないままに報道され、また、ちょうど時期が年末年始でございましたから、少し私は、間違ってといいますか、正確でなく受け取られたと思うんですが、あのこと自身は、文字どおりやはり信用組合というものが三百ほどあって、年間に二十ぐらいはつぶれてきておりましたから、これが四月から初めて政府の管理下に入る。今まで検査したこともございません。でございますから、四月から始めても、急に書類ができるわけじゃございませんから、その次の年の三月までにこれを検査し終わって、三百近いものを、しかもかなり傷んでおるかもしれないという、見たことがない中身でございますので。  それで、破綻させるもの、再生させるもの、あるいは資金を送り込むものをそれだけの期間で決めるのは、それは幾ら何でも無理だと。一方では、まあ信用組合であれば、ローカルにはともかく、国の信用に影響がないとお考えになられる方々もあられましたし、やっぱりそれは地域まで考えると大変だと思われる方もありまして、あの部分を一年延ばさせていただきました。  しかし、いわゆる大銀行に対する公的資金の注入といったようなことが延びるわけではございませんので、この延びた一年の間でどういう程度のことが起こるだろうか。多少のことは起こるかもしれませんけれども、第一、日本の金融についての国際的な信用が損なわれるというようなことは、それは考えられませんし、また多少の公的な負担というものはふえるとしても、その金額は、そう言ってはなんですが、相手がそういう機構でございますので、そう大きいことはないと、これはまず達観して間違いないことと思っております。  なお、予算的には、今御審議いただいております予算に四兆五千億円という国債整理基金への繰り込みがございますので、もうこれだけございますと、恐らくその中でという程度の問題ではなかろうか、多少金の性質は違いますけれども、と思っております。
  99. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ペイオフの問題はまた議論させていただく機会はあるかと思うんですが、ただ私が心配するのは、大蔵大臣はいろいろお考えになっておっしゃっているんですけれども、結局どんどん問題の解決が先に行ってしまう。その間は常に財政負担が伴ってくるというのがこの数年間の我が国の姿ですから、私は、ペイオフに関しても本当に与党の中でいろいろ議論されているときも大蔵大臣は最後まで延期を反対されていたと、そのように理解していたんですが、今のようにさらりとおっしゃられますと、一体どう考えていいのかなと、率直に言いましてそういうふうに思ってしまうんですけれども、どうなんでしょうか。
  100. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 各党でいろいろ御議論しておられまして、私は黙っておりましたけれども、大変正直申しますと、一年そうなってもダメージは余りないなと思っておりましたんです。国際的にはもちろん問題ございませんし、国内の財政ですとこれは四兆五千億積んでございますし、六兆円ふやしておりますから、まあまあ大丈夫だろうなと思っております。
  101. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 一つ一つの問題は大蔵大臣がおっしゃるようなことかもしれません。後ほどもちょっと議論させていただきますが、どうも最近は与党間でいろんなことを決めてきて、財政を統括している大蔵大臣もそれをのまざるを得ない、こういうことが多いんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、私は、ですから大蔵大臣が本当に財政規律を守っていただかないとこの国は大変なことになるんじゃないかと、こう思うんですけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思うんですが。
  102. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御激励をいただいてありがとうございます。どうも大蔵大臣がゆるふんじゃないかということを言われまして申しわけありませんが、本人としますと、何か雲が地平線上に出てきましたとき、どのぐらい大きくなるかなというようなことは見ておりまして、耐えられる限度とそうでないものは見ながら対応しておるつもりではございますけれども
  103. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうも何か大蔵大臣を信頼してどんどんついていくとますます泥沼に入りそうな感じが、大変失礼なんですが、するんです。国債残高は今六百四十五兆円、国と地方を合わせてですが。これはもちろん膨大な借金だということで議論になっているんですが、もう一つさっき大蔵大臣おっしゃったんですが、この借金というのは、当然景気回復したときに金利政策の足を引っ張るというか、足かせになる。ですから、もう既になりつつあるという指摘もありますが、したがっていろんな意味で手足を縛るんですよね。この点はどうなんでしょう。見通していらっしゃるんでしょうか。
  104. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一番最近発行いたしました十年債の利回りが今一・七五とか一・八ぐらいのところで、これは私は自分の部屋で毎日毎日見ております。一昨年これが大変暮れから上がったことがございますので、用心しております。ただいまのところは消化は順調でございますけれども、それはもうおっしゃるまでもなく、民間資金需要が出てくれば、そんな安い金利でいつまでも通ることはありませんと思っております。  ですから、そういう意味では痛しかゆしで、クラウディングアウトになるような資金需要は出てほしいし、出ましたときにすぐ国債がやめられるかというと、そう入れ違いになるわけにいきませんから、国債の方は国債の方でクーポンレートがどうも上がっていくという、競合する、競合といいますか両方が並んでいく時期というのは回復期にはやっぱり出ると考えておかなければいけないと思っています。  ですから、先ほど申し上げましたように、短い国債を出しますと借りかえ時期が早く来まして高い金利に移らざるを得ないという問題があるわけでございます。
  105. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 結局、いろんな問題がたくさん積もり積もっているんですが、全部トレードオフの関係になりつつあるんです、今、大蔵大臣が説明されたように。だから私さっきこれを泥沼と言ったんですけれども、表現は悪いかもしれませんが。  それで、この国債の話で最後に大蔵大臣にお伺いしたいんですが、ちょうど小渕政権になってから、私も計算しましたが、八十三兆円強の国債発行されています。この国債の発行と、今経済が明るくなっているという議論もありますが、効果と比べて、費用対効果で見て大蔵大臣はよかったと、こう思っておられますか。
  106. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一昨年の八月に小渕内閣が誕生いたしまして、何とかしてこの不況を脱却したい、そのためにあらゆることをしようという決心をいたしましたことは御承知のとおりですが、やはり不況になるということはそれだけ国内に失業者がふえるということでございますし、国民生活がそれだけ悪くなるということでございますから、これは何をしてもやはり国がそうなることは回避しなければならない、そこからは脱却しなきゃならないという、この決心そのものは恐らく御同感をいただいていることなんだと思いますが、おかげで少しそこからは出てこれそうだというところまで来まして、しかしいかにも負担が大きいな、いかにも財政は大変だなということ、そっちの面の御指摘がある。昨年はこんなにもございませんでしたが、ことしは少しそういう面もいろいろ御指摘があってきているということは私は当然だと思っています。思っていますが、だからここでそれをやめていいかというと、それはどうしてもそう考えられないものですから、まことにつらいことでありますけれども財政状況は悪くなってきていて、ここでそれをすぐにとめることができない。  できれば、もう今度の御審議いただいておりますような予算というものは、不況対策としても金融安定措置としてもこれで終わりにしたいと念願しておりますけれども、それが結局これだけの深刻な病気から逃れるためのコストであって、これ以上失業が深刻にならずに、国民生活が悪くならずに済むのであれば、だから幾らでも金を使ってもいいとまでは思っておりませんけれども、とにかくぎりぎり使えるものはやっぱり使わなきゃいかぬのだろう。後に問題が残りますことは、これは覚悟しなければならないなと思っております。
  107. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、今も大蔵大臣おっしゃったんですが、十年度あるいは十一年度の状況と十二年度、恐らく違うと思うんです。もう一つは、大蔵大臣も今おっしゃったんですが、幾ら使っても、どんどん使ってもと、こういう傾向はやはり昨年からすごく強くなっているんです。ですから、そこがさっきから申し上げているような財政状況をもたらして、私はもう一種の慢性病だと思います、いろんな意味で。  具体的にちょっとその話を今からしたいと思うんですが、例えば平成十二年度予算編成にこういうのがあるんです。いわゆる総理枠、総理特別枠。例えば公共事業、非公共。それからもう一つは、これは新聞に報道されていませんですが、与党枠というのがあるんです。こういうことがやはり財政をゆがめていくんじゃないでしょうか。どうなんでしょう、こういう問題について。
  108. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ちょっとお時間を拝借してよろしゅうございますか。  まず、公共事業が千年一日のごとく変わらないという御批判は私どもも強く感じておりまして、昨年の秋から四つ、一つ構造改善に関すること、一つは少子化に関すること、一つ環境問題に関すること、一つは情報通信に関すること、この四つの枠に絞りまして、それが総理枠の二千五百億なのでございますが、それで現在までの、今までのいわゆる公共事業全部をその枠に整理し直しましたところで、大体九兆円の中で二二%ぐらい、二兆ちょっとがそういう枠で整理ができました。  これは総理枠でなくてもできるはずなのでございますけれども、各省の枠にしますと、各省の今までの予算とのどうしてもつなぎということで継続ということになりやすいので、新しいものを各省が選べるためにはちょっと別の場へ外しました方が新しい考えで物を整理しやすいという問題がございました。同じようなことは非公共で今の四つのアイテムの中で三つ、環境と少子高齢化と情報通信、これはいわゆるミレニアムでございますが、これはもう少し話が進んでおりまして、総理府の内政審議室が総理の命を受けまして、今までなかった幾つかの、実際には八つでございますけれども、テーマを選んで、それを各省庁を横断して学会を加えまして、チームを一つ一つのプロジェクトについてつくりまして、それも一年でできない問題でございますから、それは例えば地球温暖化であるとかヒトゲノムであるとか、学校をコンピューター、インターネットでつなぐとかそういう数年かかるプロジェクトを、単年度の予算審議ではありますけれども、事実上それを総理の責任において乗り越えまして、数年間のプロジェクトを八つのチームで今負うことになったわけでございます。  これなんかも、まさにそういうことでありませんとそもそも単年度主義を乗り越えられませんし、各省庁を編成したチームというものをきちっとつくるということもできませんので、そういう意味で、一番そこで問題になりますのは党の三千億という生活枠というものでございますが、これは数年前に公共事業を従来のパターンから外すために、生活関連の施設、当時は下水とか公園とか、そういうものでこの三千億を動かしております。これは何年かやっておりますので、また多少おっしゃるような批判があるかもしれませんが、前の二つはそういう意味で今までの枠から新しいものを誕生させる方法としてかなり有効であろうと思っております。
  109. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっと今の二兆円の四分野の話とこの総理枠で言っておられる、例えば総理枠二千五百億円ですよね、公共事業だけでいいますと、数字が合わないんですけれども、これ違う話じゃないんでしょうか。ちょっと私理解できなかったんですけれども
  110. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今二兆円余りと申しましたのは、従来やっております公共事業、今の予算の公共事業の総額は九兆四千億でございますが、その中でその四つの問題に、現在ある公共事業の中でそれをその系統で整理しましたトータルは全体の二二%、二兆円ぐらいになっておりますと、こう申し上げましたので、現実の予算といたしましてはその四つの重点枠で枠立てをいたしたわけでございます。二兆円は従来ありますものもそういう系統で整理ができますものですから、整理をいたしました結果はそのぐらいになっていると申し上げているわけであります。
  111. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 与党枠もまた後で議論したいんですが、これはしかし、今、大蔵大臣は構造を変えていくというような感じお話があったんですが、むしろこれは予算編成における技術論かもしれません。  僕は、例えば総理枠、これは閣議で決まっていますけれども、総理枠そのものをつくることでも、これは大蔵大臣の権限をかなり侵しているんじゃないかと思うんです、いわゆる大蔵大臣予算編成権を。ですから、もちろん内閣としての責任で最終的にはお決めになるんでしょうが、大蔵大臣がみずからやはり省庁の要求を見てお決めになって、その上で内閣の中で何を増減するかという手続じゃないんでしょうか。何か話が私は逆のような気がするんですけれども、どうなんでしょうか。
  112. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ここまで行きますと私も上手に御説明できないかもしれませんけれども、結局、各省庁で新しいことを考えたい、大蔵省もそれはやっぱりそうだなと。普通でしたらスクラップ・アンド・ビルドで来いということになりますが、簡単にそうもいかない。しかしやっぱり新しいものは入り用だなというときに、今までの場ではその新しいものが植えられないので、それで総理のところの枠でそういうものを植えて、ですからこの仕事は実際上大蔵省と各省一緒にやっていることになりますのですが、そういうものの中から新しいものを育てていこうという、どうも役所の間の長年の習慣をひとつ改めていく一つのそういう知恵らしいと、らしいとしか私にはなかなか言えませんので、どうもそういう苦労、そういう工夫のように見えます。  ですから、これはもちろん各省庁が直接に関係しておりますし大蔵大臣が関係しておりますけれども、それを総理のイニシアチブのもとに新しいものとしてつくっていこう、こういう仕組みのように思います。
  113. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、具体的に手をつけていくということになると、改善をしていこうということになると、今のようなお話で、これはすごく時間がかかる。本当は、やはり大蔵大臣が蛮勇を振るわないと、さっきからるるお話ししてきたような財政事情、それからさっきもお話がありましたね、来年度は、来年度予算では削れるものがかなりあると。私は恐らく今年度だって削れるものがかなりあったんじゃないか。そういうことをやっていかないと、おやりになっていただかないと、本当にさっきの財政事情とは話がかみ合ってこないんですけれども、私はそう思うんです。
  114. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、おっしゃることはわかっておりまして、財政は締めなきゃならないが、しかし不況対策あるいは将来に対するものとして新しいものが入り用だと。それで、新しいものをつくるためにそういう一つの場をつくって、各省庁、大蔵省が一緒になってやっておりまして、それによって、何といいますか、スクラップ・アンド・ビルドというような難しいことを言わずに新しいものを育てていこうと、そういうやり方と申しますか、したがいまして、予算要求のときにも、これは別枠で来いとか、この部分は倍までいいとかということを言っておりますのは、そういう新しいものを時間をかけずに育てていこう、そういう考え方のように見ております。
  115. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 なかなかここはかみ合わないところなんです。  この与党枠というのは、一体、これは与党が勝手に使えると、こういう意味ですか。
  116. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ちょっとこれも細かいことになりますと私にわかりかねる点があるんですが、これはしかし、今度初めてじゃございませんで、いわゆる生活枠として三千億というものを何年か前につくりまして、これは、各省庁と大蔵省との折衝の外で政党が新しい問題に対処するために自分たちのイニシアチブで、いわば配分でございますが、その三千億の配分をする、そういう仕組みでございます。
  117. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、これはさっきから議論しています大蔵省、大蔵大臣の責任と権限、それから政府としての各省庁、これと別のところで生活関連枠三千億円というのは従来からある。しかし、この与党の人たちというのは財政責任は負われないんですね、申しわけないんですけれども政府の大臣とは違うんですね。ですから、これがやっぱり結局与党の方で生活関連だということで自由に使えるんじゃないですか、治外法権なんじゃないですか、これは。
  118. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 与党枠というのは俗称でございまして、予算審議の最終の段階で当然与党が、与党も地域的な意味での与党ということと各部会を代表している与党と両方の部分がございますから、そういうところの長い間の予算要求、大蔵省も全体のことはわかっておりますから、それをいわば調整ということになるのでございましょうね、各部会、各地域の。そういう形で、実際にそういう人たちが入ってこられて調整されますが、全体は三千億ということ、それから調整の対象になるアイテムは全部財政当局はもちろん知っておりますし、いわばそれは法律的にはもう問題なく財政当局、大蔵大臣の責任においてなされるものでございます。
  119. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、私は大蔵大臣として問題がある、権限の中でなされるものだということでそういうことをやっておられるから。だから部会だとか地域なんでしょう。部会とか地域の代表が入って、要するに皆さんで決めてくださいと、こういうことなんですよ。これはとんでもない話じゃないですか。じゃ、そういう人たちがどうやって財政が悪化したときに責任をとるんでしょうか。大蔵大臣が責任をとられるから日本の財政をお預けしているんじゃないんですか。
  120. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それでございますから、何年もやっておりますから見当はついておりますが、大体それを三千億の中で調整してください、一緒にしましょうということでございますから、金額的に手形をお渡ししたわけではありませんし、どれをとりどれを捨てるかという選択ということになりますと、三千億程度のものはやはり選択の中でまとめた方が効率的だということはございますから、それは私の責任の中で行われていることでございます。
  121. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 理解できないんですね。私の頭が悪いのか、大蔵大臣の説明が上手なのかよくわかりませんが。  では、ちょっと別の話にしたいと思います。  今の与党のかかわりで言うと、もう一つ私は与党のかかわりの部分で言いますと、公共事業予備費、これは昨年五千億、ことしも五千億です。この使途を見ますと、私も内容をちょっと見たんです。例えば、平成十一年度を見たって、本当はこれは当初予算でやるべきだなと思うものが六割方入っているんじゃないでしょうか。もともとこんなに五千億という予備費は何で要るんでしょうか。理解できないんです。
  122. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昨年度の場合、ああいう経済状況でございますから、秋近くなりまして予算に計上しております経費が足りなくなるという意味は、つまり経済回復がおくれまして、もう少し財政がてこ入れをすることがあることはあり得べしと、その場合の五千億ということで計上いたしました。結果としては、九月になりまして、やはりどうしても公共事業の力が弱いと申します意味は、正確に申しますともっとたくさんの計上を必要とするということでございましたから、そのころになりまして、この国会が終了しておりましたが、五千億を発動することにいたしました。  その対象としては、まさにおっしゃいますことだと私も思うので、つまり幾つかのプロジェクトがあって、それに一〇〇の予算が必要だというときでも、本予算のときにそこはまず八〇でひとつ行くしかありませんと。いろいろな意味で、その事項としては当初予算のときに考えられているものであっても、しかしその金額がいざ行ってみるとそれでは足りないと。  そういう意味で、見通しのできなかった要因によるものという意味で五千億を発動いたしましたから、したがいまして、おっしゃいますようにそんなものは最初から当初に乗っけておけばよかったというような種類のそれに該当する項目が多うございます。全く新規のものではなく、元来そうでないものが多いと思いますが、予見し得べからざる事情というのは、それだけの追加というものが日本経済に必要であるかどうかということの予見ができなかった、こういう意味でございます。
  123. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いや、大臣、それは私ちょっと違うと思うんです。これ二つ問題があるんですよ。今の、大蔵大臣もお認めになった使い道の問題、これ一つあります。それから、例えば平成十一年度の公共事業予備費を見ますと、もう既に補正予算をつくることが前提になっている、決まっているんです、もうお決めになっているんです、お決めになっているそのときに出費されているんですよ。それだったら、補正予算の中できちっと取り込んで、本当に経済対策として効果があるものないもの、判断をしてお使いになるのが普通のちゃんとした真っ当な使い方じゃないんでしょうか。どうなんでしょうか。
  124. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、確かに補正予算を組みますときに私の頭の中に五千億というものはございました、五千億を発動するかしないかというのはかなり後まで私も見ておりましたけれども。ですから、補正を組むことと五千億を発動することは、それは全く別々のことではございません。日本経済がどれだけのものを必要とするかということでございますから、五千億というものは私はいつも頭にございました。ただ、これはそういう条件が生じなければ憲法上発動できませんので、それでかなりおくれましたけれども
  125. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう一つ。今お触れになったんですが、問題は補正予算なんです。  補正予算も、最近はもう補正予算を組むことが当たり前になっていまして、来年度はどうか知りませんが、過去の、例えば平成十一年度を見ましても八兆円以上組まれた。それから、十年度の補正予算、これも小渕内閣になってのもの全部合わせますと総額が約二十二兆円なんです。ところが、実際にそれを経済対策効果があるとおっしゃる公共投資に使っているのは十一兆円なんです。ですから五〇%なんですね、五〇%はその他のものにお使いになっているんです。だから、結局、景気対策経済対策だと言いながらいろんなむだなものにお使いになっているんじゃないでしょうか。  さっきの予備費も私はある意味ではシーリング逃れみたいな感じがするんですけれども、補正予算だってそういうものがあるんじゃないんでしょうか。どうなんでしょうか。
  126. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 五千億というのを公共事業予備費とお願いしましたのはそのほかのものには使えないという意味で、ただいまのような例外はその部分は防げておると思いますけれども。  今の補正予算お話でございますが、おっしゃいますように、年度の途中で補正予算を組むということが、殊にこういう難しい経済状況になりますとほぼ慣習的になっているのではないかということは、私は御批判は素直に承らなきゃならないと思っています。つまり、年の、年度の初めにこれだけ大きな、経済のこれだけの変動を全部読み込むことが現実に難しいものですから、秋のころには補正をするかもしれないという心配は常に当初予算の編成のときにございますから。  ということは、またそれを何となく頭に置いてというようなことにもなりかねませんので、そこで補正というものをやる。しかも、その補正は本質的にはシーリングの適用の外でございますから、そういう弊害を生みやすいということは確かでございます。確かでございますから、よほどそれは注意しなければなりませんが、根本的にはやはり年の初めに、年度の初めに経済の一年度間の変動というものを十分に見通せないというところから補正という問題が起こってきたことに、昨今のようなこういう難しい経済ですとそういうことになりかねない。  この平成十二年度の場合は、今お尋ねがありますので、金融安定策にしましても、失業対策にしましても、あるいは今おっしゃいましたまさに五千億にしましても、かなりのものをもう本予算に組んでおりますので、過去の何年かのような大きな補正予算を秋にはやるんだというようなふうに私は実は今正直考えておりません。  経済の動向にもよりますけれども、これで私はいわゆる不況打開についての刺激的な予算というものはほぼこの十二年度予算をもっておしまいにできるのではないか、またそうしたいということもございますけれども、そう思っておりますが、従来補正予算があたかも最初からもう仕組まれておったようなという御批判は十分反省いたします。
  127. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は補正予算を否定しているんじゃないんですよ。  しかし、補正予算を使って上手にシーリング逃れしている。例えば、ウルグアイ・ラウンド対策費、平成六年から今日までの支出で一兆六千七百四十一億円あります。そのうち一兆三千二百一億円は補正予算もしくは予備費で使っているんですよ。こんなものは予算意味がないんじゃないでしょうか。さっき大臣は見通しが立たないからなんとおっしゃった。これは見通しが立っているんですよ。わざわざこれは全部外枠で使っているんですよ。  これは私は、大蔵大臣としては大変な責任だと思うんですよ。どうなんでしょうか。
  128. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ウルグアイ・ラウンドが妥結いたしましたときに、我が国の経済、殊に農業についての影響は非常に大きゅうございますので、ウルグアイ・ラウンドの緊急対策というものを何年間かにわたって政府・与党で決定をいたしました。それを予算化していったわけでございますから、基本的にはウルグアイ・ラウンド対策というものは、本来予見していなかったウルグアイ・ラウンドの妥結によるものでございますから、そういうことで御審議をお願いしても法的には間違いでないだろうと、こういうふうに思っていたしました。おしかりがあります点は決して理解できないことでもございませんけれども、日本政府の施策として本来予測していたものではなかった性格のものだということは事実でございます。
  129. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 だけれども、なぜそんなに長年続けなきゃいけないんでしょうか、平成六年から、当初だけならまだわかるんです。当初は、その初年度分は予備費で使っているんですよ、確かに、予測できなかったと。後がおかしいんです。  これは時間がありませんからもう一つ申し上げます、あえて。  去年の第二次補正のときの介護対策なんです。介護対策費約九千億円、これは財政法上大変問題があるんじゃないでしょうか。当時は介護対策としてどうかという議論はなされましたが、余り財政面からの議論はないんですが、これも大変な、だって四月以降の経費を前倒しして使っているわけですよね。こんなのは本当に与党の政策のつじつま合わせに補正予算を使ったんじゃないですか。
  130. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 介護の法律によりまして、介護の料率は各市町村が決めなければならない、各市町村は平成十二年の四月の前にそれを決定しなければならないということがございましたので、したがって国がどれだけのことをやって各市町村がどれだけの負担をするかということは事前にわかっておりませんと各市町村は料率の決定のしようがないわけでございます。  したがいまして、あれを前の年の予算に組みまして、それによって各市町村がどれだけの料率を、条例を決定できるか、これは二月、三月にしなきゃならないものでございますから、そのために国が早い支出を決定いたしました。厚生大臣がもっとよく御存じですが。
  131. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今そういう御説明なんですが、国と地方の負担はもう制度的にきちっと決まっているんですよ、介護保険制度は。私ももう持ち時間が余りございませんのであえて申しませんが、ずっとるる今財政の問題を議論させていただきましたが、やはり別枠が多過ぎるんですよ、今のウルグアイ・ラウンドもそうですし、与党枠もそうですし。ですから、結局こういうことが積もり積もって財政を必要以上に悪化させているんじゃないんでしょうか。私は財政規律が本当にゆがんできていると思います。これは多分大蔵大臣もお感じになっておられるんじゃないかと思うんですが、最後のこの点どうでしょうか、総括的に所感をいただきたいと思うんです。
  132. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ともかくこの不況を何とかして脱却いたしたい、雇用不安もございますから。そのために財政は全力を尽くしておりまして、結果として、今おっしゃいましたような財政そのものが危機状態にある、将来も心配すべき状態だということはおっしゃいますとおりです。  また、先ほどちょっとおっしゃいましたが、とにかく財政は思い切ってやろうということを言いますと、締めるべきところが締まっていないという問題があるかもしれません。そういうことを含めまして、とにかく財政は危機状態にございますので、この日本経済をとにかくピンチから救った、もう大丈夫だというときになりましたら、本当にもとに返りまして、財政そのものをまず考え直さなければなりませんし、またその財政の処理に当たります私どもの心構えも新たにして再出発をしなければならない。そういう意味でも、新しい財政の将来というものを新しく考え直さなければならないときに来ておるということは、御指摘のように痛感をしております。
  133. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 では、ちょっと残り時間で、今度は雇用問題について質疑をさせていただきたいと思います。  まず、労働大臣にお伺いしたいんですが、今の雇用状況、それから政府経済計画では、失業率の見通しを四・五と置かれています。この四・五という数字について、労働大臣はどのように今認識されていますか。
  134. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 御指摘のとおり、現在の雇用情勢は非常に厳しゅうございまして、一月につきましても四・七%という高水準にございまして、極めて厳しい状況にございます。経済見通しでは、経済新生対策を初め必要な諸施策を推進することにより、十二年度の失業率については〇・二%改善して四・五%程度になるものと、こういうふうに見通しております。  したがいまして、私ども労働省としましては、単に四・五%の達成にとどまらず、さらに引き下げる意気込みで、平成十二年度において雇用対策の効果的な実施に取り組んでまいりたい、こう思っております。  そこで、ひとつ御説明いたしたいんですが、先ほど有効求人倍率の結果が発表されました。実は、一月の有効求人倍率は〇・五二倍でございまして、十二月が〇・五〇でございます。この数字というのは、〇・五〇になりましたのは久しぶりでございまして、なぜこのような変化があったかということを調べてみました。建設業の新規求人が前年同月と比較して六カ月ぶりに増加した、それからサービス業で一九・七%増加、製造業で一二・八%増加、このように主要な産業の新規求人が前年同月と比較して非常に増加いたしております。  この内容を見ますと、サービス業の中で、特に福祉関係への介護職を中心といたしまして、医療、教育、社会福祉関係で二八・四%、実はふえております。また、ソフトウエア開発等の情報サービス業では、二二・〇%前年同期比でふえております。さらに、製造業における電気機械器具製造業、パソコン部品、半導体、携帯電話部品等におきまして三四・九%増加していると、こういう状況にございます。  これらの内容が十二月、一月の有効求人倍率はまだ非常に低い程度でありますが〇・五倍の大台に達したと、こういうことでございまして、私どもとしましては、こういうミスマッチを解除しながらこういう需要にどういう形で対応していくか、これはもう専修学校等々ぜひお願いをしなきゃいけないわけですが、技能研修だとかそういう形で最大の努力をいたしたい。  この十二月、一月の変化を見ますと、自然の動きと比較するわけでありますが、ちょこちょこフキノトウが出てきたかなと、まだ小さい声でしか言われませんが、何かそのような実は感じを持っておりまして、これをぜひ促進させていただきたい、こう考え、このように現在の状況認識いたしております。
  135. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 さらにお伺いしたいんですけれども、今お話があったんですが、大臣はミスマッチと、こういう言葉を使われたんですけれども、まさにそこが問題だと思うんですよ。  最近の失業は世帯主失業が多いんです。それから非自発的失業者は、これは百万人を超えている。だから、大臣は明るい部分をおっしゃった。確かに求人が伸びている産業もある。しかし、この世帯主失業で、しかも高齢の方というのはますます失業期間が長期化しているんです。これは経企庁の分析等でも明らかになっています。  これに対してどういう対応をされようとしているんですか。さっき、数字はなるべくよくしたい、こういうお話があったんですが、どうしようとされているんでしょうか、お伺いしたいと思うんです。
  136. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 確かに先生御指摘のとおり、完全失業率の内容を見ますと、例えば非自発的失業でありますが、一月には百一万人とふえてきております。したがって、御承知のとおり今あちこちでリストラを実行いたしておりまして、そういう意味の失業がまだこの数字前後で今後推移するのではないかなと。大手企業リストラが、発表されただけであって、まだ具体的な実行には参っておりません。しかし、全体を見ますと、これ以上急激に非常にふえるということはないのではないかなという感じもいたしております。  したがいまして、今度予算でもお願いするんですが、失業保険の受給者、これを相当大幅に見まして百八万人を予定いたしまして、そのような予算を組んでおります。そういう形で、不幸にも職を離れざるを得ない方々に対しては、まず失業保険の対策で講じさせていただき、そして一方、特に四十五歳以上の中年齢の失業の方々がふえる見込みがありますので、こういう方々の継続的な雇用の補助金というものを考えまして、少しでも次の職場にスムーズに移ることができるような措置を講じて、全力を挙げてこういう事態に対処させていただきたいと、こう考えております。
  137. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、大臣は今も、これ以上総体として悪くなることはないと、こうおっしゃったんですが、問題は質の問題なんですよ。失業率が依然として高くて、さっきもおっしゃったけれども、非自発的失業者は百万人を超えている。ここをどう手当てしていくかということなんですよ。  ことしの労働省の予算、これは私はぜひ大蔵大臣にも聞いていただきたいんです。というのは、これを見ますと、私の方でいろいろ計算してみました、内容をチェックしてみました。要するに、労働省予算の中で一般会計と保険の部分があるんです。一般会計として税を使っている部分を見ると、三千九百億円なんです。しかし、そのうちの三千三百億円は実はさっきおっしゃった失業給付なんですよ、失業給付。ですから、労働省が雇用政策として税金を使っているのはわずか六百億円なんです。  さっき公共事業費五千億の話がありましたけれども、わずかこんなお金なんですよ。こんなお金で本当に、構造的にどんどん失業が長期化していくような中で本当の手当てができるんでしょうかね。  労働大臣、これ、どうするつもりなんですか。
  138. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 今、先生御指摘のとおり、一般会計で計上されている雇用関係の費用は、一つは失業保険給付に対する政府負担金の問題でございます。これはレシオが決まっておりますから、これはこれなりにきちんといたしまして、いわゆる雇用保険三事業で企業からいただいている千分の三・五のお金が大体五千六百億円入ってくるわけですが、今までこの三事業の特別会計の中でいわゆる積立金がございまして、安定資金を活用するということで基金ができているわけですが、この中から千四百億円を追加いたしまして、約七千億円の規模で雇用対策費を計上いたしております。  先生おっしゃるとおり、実は非常に種類が多いんですが、例えば雇用安定事業では二十種類ありまして、これらの中で使われないときには安定基金の方へ参りますから、片方で需要が、非常にお金が要るようになったという場合にはそちらの方に回して、私どもとしては、雇用対策として、需要のあるところには予算上不足したとしても安定基金からそれを回すことにいたしまして、ぜひその実態に対応させていただきたいと、このように考えております。
  139. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、保険のお話があったんですけれども、私が問題にしているのは、税金をわずか六百億円しか使っていない。それも、使い道を見ると雇用対策じゃないんですよ。雇用対策として使っているんじゃないんですよ。さっきの二十一世紀に向けた人材育成に少しとか、あちこち少しずつなんですよ。今の雇用を何とかしようというお金でその六百億円が組まれているわけじゃないんですよ。  ですから、労働省は、今るるおっしゃったように厳しい雇用情勢なら、なぜもっと税金を使ってきちっと手が打てるような対策をお打ちにならないんですか。それが一番問題なんですよ。保険事業しかやっていないんですよ。大蔵大臣、ちょっとこれ。
  140. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは私の方から申し上げるべきだと思います。  というのは、非常に雇用状況が苦しくなりまして、大変なコストが要りますのですが、これが今までのところ、とにかくかなりの部分、雇用保険の特別会計が長い間の蓄積を持っていてくれましたので、それに大変大きな部分を頼ってまいりました。そういう意味では、直接納税者の負担に係るところはおかげさまで何十年の蓄積によって賄われていたんですから、そのことは一般会計は非常に感謝しております。  しかし、その蓄積ももう今やなくなるようになりましたので、それでここで本当に納税者のお金を使わせてもらわなきゃならないんですが、これまで比較的楽ができましたというか処理できましたのは保険の蓄積のおかげでございます。
  141. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 雇用保険の運用につきましては、財源的な面から見ますと、事業主の共同連帯によって処理していくにふさわしい事項がいわゆる三事業でございまして、国民全体の共同連帯によって対処すべき事項、これにつきましては租税を財源とする雇用政策の対象としていくべきものと、こういうふうに考えて処理をいたしているところでございます。
  142. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、さっきから議論しているんですが、労働大臣は全然違うことをおっしゃっているんですよ。なぜ税金を使ってこれだけの雇用情勢なのに手をお打ちにならないんですか。今、大蔵大臣としての御説明はありました。私は、何でそのことを今年度まで続けているのか大変疑問なんです。労働省は一体何をしているんでしょうか、それをお伺いしているんですよ。
  143. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 私どもとしても一般会計からいただくべきところはぜひいただきたいと、こういうことでございます。  御承知のとおり、各地域で失業の状態はどういう状況か、どういう形で、地域として現実に自分のそばで見ておって雇用対策に何ができるかということで、各都道府県に対しまして、実は昨年の暮れでありますが、約二千億円、一般会計からいただきまして、これを全部配賦済みでございます。各府県におきましては、基金をつくりまして、議会とも相談されて、具体的にどうするか、こういうことで三カ年計画でありますが、相当の雇用数を予定いたしております。
  144. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 去年の夏に確かにそういうことがあったのは事実なんです。しかし、平成十二年度も、それからさっきも議論いたしましたが、依然として四%台半ば以上の失業率が続くんですから、それこそ大蔵大臣、さっきのお話じゃありませんが、私は雇用政策特別枠ぐらいつくってやるべきだと思うんですよ、本当に。  それで、さっき労働大臣は保険三事業の話をされているんですが、これはもう皆さん御承知のとおり経営者、企業からお金を集めて、お互いにそれで補てんし合っているお金ですよね、保険三事業。ですから、これに本当に頼り切りになっているわけですよ。  ところが、これは保険ですから、保険というのは御承知のとおりやはり財政収支バランスもありますし、出すべきかどうするかという判断基準は結構これはシビアにやらなきゃいけないんです。ですから、労働大臣がさっきおっしゃったように、労働省の雇用保険を使った保険事業は、いろいろ枠はおつくりになるんですが、たくさん種類はあるんですが、使われないんですよ。  一つだけ例を言います。もう時間ありませんからあれですが、例えば今度の新規・成長分野雇用創出特別奨励金というのがあるんですが、これは基金を九百億円でつくっているんですよ。労働省がおつくりになっている。それで、十五万人ぐらい目標があるんですよ、目標の雇用拡大、適用は。ところが、現時点、一月末でお聞きしますと、支給対象になっているのはわずか百三十三人なんです。十五万人と百三十三人ですよ。金額も九百億円が八千八十万円ですよ。これが雇用政策ですか。だから、保険というのはそういう部分があるんです。  ですから、さっきから申し上げているように、思い切った手を打とうとすれば税金を使ってやはり雇用政策を、企業に支給するいわゆる助成金とか補助金ではなくて、もっと個人がきちっと本当にミスマッチを解消できるような手当てをすべきなんです。この十二年度の労働省予算は本当につくりかえていただきたいぐらいの気持ちです。
  145. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) 御指摘のとおり、新規に雇用を創出するということで実はこの制度がつくられました。相当の希望者があると、こう予定しているわけでありますが、実はこの申請を昨年の九月一日から受理し始めたわけであります。  したがいまして、先生御指摘のとおり、まだデータとしては非常に不足しておりますが、こういういい制度でありますから、ぜひ中小企業の皆さん考えてください、新しい分野に出てください、それに対しましてきちっとした人件費の補助をいたしますと、こういう制度で、今関係機関を通じてPRに最大の努力をいたしておりますが、今後さらに伸びるというように私ども期待をいたしております。
  146. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もう時間がありませんし、今の御答弁には私ももうあえて申し上げるつもりはありません。ぜひ小渕内閣としてきちっと手を打っていただきたい。  それから最後に、残った時間で外務大臣防衛庁長官にちょっとお伺いしたいんですが、例の日米安保のガイドライン、あれの中で、自自公合意の中で実は船舶検査がまだ、去年出すというお話だったんですよ。私は、これは日米関係から見ても大変な問題だと思うんですよ。外務大臣、これは直接は防衛庁長官なんですが、日米関係から見て本当にどうなんでしょう。政府間の信頼関係を損なうんじゃないんでしょうか。これから沖縄で難しい話をしなきゃいけないんです。このことを思うと、本当にこのままにしておいていいのか、こう思います。  それから、もう時間がなくなりましたから、運輸大臣総務庁長官、特に警告射撃で与党内の意見が合わないというふうに聞いているんですが、これどうされるんでしょうか、本当に。だけど、与党内の意見が合わないからといって、外交関係含めて一番大事な日米関係の問題をこんなにほっておいていいんでしょうか。ほっておいても大丈夫だというんでしたら、政府が去年出した法案は一体何だと、こう言いたいです。  四人の方、申しわけないんですが、御答弁いただきたいと思います。
  147. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 御質問は、ガイドラインの審議の際に船舶検査活動の問題がありまして、これを削除したということに絡んでのお尋ねだと思います。  もし議員のお尋ねが、こういうことをしたためにアメリカが何か不満を言っているのではないか、アメリカから何か指摘があったかと、こういうお尋ねであるとすれば、現在のところアメリカ側からそういう指摘はございません。ございませんが、この手の話でございますから、決着はつける必要が、つまり何らかの決着はつける必要があるかと言われれば、それは十分議論をしてほしいという気持ちはございます。つまり、今は三党間で御議論が続いているわけでございますから、三党間の御議論もしていただかなければなりません。  ただ、繰り返して申し上げますが、政府としては、今、議員がお尋ねのアメリカとの関係で、サミットもこれあり、アメリカから何か話があったんじゃないかというならば、これを何とかしておかなきゃいけないではないかという、そういうお尋ねであるとすれば、そうしたことはないということだけ申し上げておきます。
  148. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) お答えをいたします。  今、外務大臣から経緯につきましてもお触れになりましたが、昨年十二月二日に、自自公三党安全保障プロジェクトチームにおきまして船舶検査活動に関する座長案が示されたところでございますが、本活動の重要性にかんがみまして、私どもとすれば、政党間で今御協議をいただいておるわけでございますが、精力的にその政策効果を発揮をいただきたいと、立法措置が講ぜられることを期待いたしておるところでございます。これは我が国周辺の問題のことでもあり、そういう準備は、これは日米間とはまた別といたしましても、三党間での協議がなお一層進みますことを期待しておるところでございます。  また、いろいろ委員にはお世話になることになると思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
  149. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 船舶検査活動につきまして、大変御激励をいただいたような感じを受けておるわけでありますが、これはもとより国連の平和活動か自国の防衛かといった点で議論がなされておりますが、いずれにしましても、今、外務大臣防衛庁長官からお話のありましたとおり、自自公の三党間のプロジェクトチームで、世界に貢献し国家の平和を守る、この点でしっかりと意見は一致しておりますので、やがて妥当な結論が得られるものと信じております。
  150. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) お答えいたします。  昨年成立いたしましたガイドライン法は、アジア太平洋地域の平和の基礎となる日米安保の抑止力を高めるために必要な法整備だと評価しております。同時に、公明党が政府に対して平和外交の推進を強く求めたと承知しております。  お尋ねの衆議院段階での政府原案から削除された船舶検査活動に係る規定につきましては、両党ともその重要性を認識しており、三党でプロジェクトチームをつくり精力的な議論が行われていると聞いております。各党それぞれの考え方があるのは当然でございますが、日本の平和を守るためにどうあるべきかという点では一致しており、プロジェクトチームの協議を見守りたいと考えております。
  151. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は一言だけ最後に言わせていただきたいんですが、精力的に三党で御協議されるのはいいんですよ。だけれども政府はきちっと責任を果たさなければいけない。それから、三党任せはやはりそういう意味では問題があるというふうに最後に申し上げたいと思います。  それから、きょうはいろいろ通告をさせていただいた質問ができませんで、まことに申しわけございませんでした。おわびを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  152. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  153. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、松あきら君の質疑を行います。松あきら君。
  154. 松あきら

    ○松あきら君 公明党・改革クラブの松あきらでございます。  子供の心の情操教育に読書が大変に役立つというふうに言われております。しかし、子供の活字離れが言われまして、これも久しいわけでございます。子どもの本の日の切手が発行されます。(資料を示す)このようにかわいらしく美しい切手でございます。私は子供がもう本当に大好きなんですけれども、この子供たちはまた絵本が大好きというわけでございます。私はこの切手の発行を推進した者として、ぜひ皆様にこの子どもの本の日の切手、お知らせをさせていただきたいというふうに思います。  実は四月二日がアンデルセンの日ということで、これは世界的に子どもの本の日ということになっております。私ども、子供たちに本の読み聞かせ運動また朝の十分間読書運動を推進しております子ども図書議連、これは村上正邦先生が議連の会長でございまして、私も事務局次長をさせていただいておりますけれども、超党派での運動が実りまして、五月五日には上野に待望の国際子ども図書館が開館されます。これもうれしいことでございます。  実は四月二日、本来ならば発行の予定だったんですけれども、残念ながら日曜日ということで三月三十一日発行ですので、ぜひ皆様、奮って御購入をいただきまして、やはり大人たちが子供たちによりよい本を与える、こういうよりよい風潮をつくっていただきたいというふうに思います。殺伐とした世の中ですので、やさしい心、気持ちを育てることは大変重要なことでございます。こういったことにこのかわいらしい切手の発行がぜひ役立ってほしいという思いでございます。  それでは質問に入らせていただきます。  総理が沖縄のサミットを決断されましたことは、私は非常に意義深いことであるというふうに思います。私もサミット成功を心より祈っている一人でございます。  しかしながら、沖縄にはまだまだいろいろな問題が残されているわけでございます。その中で、主に基地に関係するアメリカ人と日本女性との間に生まれたアメラジアンという子供たちの問題が解決しないままになっております。特に沖縄県におきましては、アメリカ軍人の夫と結婚した日本人妻が子供が生まれた後で離婚して、妻が子供の養育を続けているにもかかわらず、夫が例えば帰国して養育費の支払いを拒絶した、結果として妻は子供の養育費の請求について泣き寝入りを余儀なくされる、こういうケースが多々あるわけでございます。  アメリカには、養育費を払わない父親は犯罪者であると、こういうことで扶養義務を放棄した父親を特定して、中央当局が母子にかわって育児養育費を徴収するという制度があります。御存じのように、ドイツにも基地がございまして同じような問題を抱えておりました。ところが、二国間協定が結ばれまして、この制度が生かされて実はドイツは解決したんです。籍が入っていない内縁の関係でもDNA鑑定までして徴収をしてくれるという、こういう制度があるわけです。日本も以前、アメリカから二国間協定を結ぶように要請があったにもかかわらずこれを断ったという経緯があるわけでございます。父親から遺棄された母子家庭の子供たちは非常に困っております。  そこで、アメラジアンスクールとしまして、民間のフリースクールがボランティアでこの子供たちを集めて教育をしております。就学猶予で学籍を抹消されたりといった子供たちを預かっているわけですけれども、私も見学いたしましたけれども、三LDKの民家で非常に狭いところで、先生が五人くらい、生徒は四十人くらいおりましたけれども、非常に運営も大変でございます。私も文教・科学委員会で何度か質問をさせていただきました。そして、学籍を復活できるようになりまして、アメラジアンスクールを卒業しても中学卒業の資格をやっともらえるようになりました。それまでもらえませんでしたから、もちろん高校にも行けないし、ちゃんとした就職もできないというような形でございました。しかし、このように義務教育を受けないで大人になったケースもあります。  沖縄は、そもそも基地を抱えておりまして特殊な事情もあるわけでございます。そして、県にこういうことを訴えましても、そもそも沖縄県は基地そのものを認めていないということで、非常にこういった問題に冷たいそうでございます。やはり私は、こういう問題をほっておいていいんだろうかと。フリースクールですので、当然アメラジアンスクールには公的な補助が出ないわけでございます。そこで、例えば財団などをつくって生活あるいは教育全般にわたってサポートをしていただきたいと思うわけでございます。  人権国家、差別のない日本という観点からも、沖縄サミットに向けましてぜひ官房長官外務大臣の御意見を承りたいと思います。
  155. 青木幹雄

    国務大臣(青木幹雄君) お答えをいたします。  アメラジアンの問題につきましては、私といたしましても非常に重要な課題であると認識をいたしております。そういう認識に立って、先般、内閣官房の沖縄担当事務局に対しまして、関係省庁の協力を得て、沖縄県とも連携をしつつ、これまでの取り組み状況や今後の対応について早急に取りまとめを行うような指示をいたしたところでございます。これを受けて、現在政府部内においても具体的方策について幅広く検討を行っているところであります。  なお、今、先生御指摘ございました財団による支援等につきましては、御承知のように低金利時代でございますので、十分な果実が期待できるかという問題もあろうかと思いますので、その適否も含めて、いずれにせよ実効性のある対策を前向きに早急に取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。
  156. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 大変大事な御指摘だと思います。  私は実は、ちょっと話が横にそれますけれども、かつてジャピーノというフィリピンと日本人の混血の子供たちがフィリピンに取り残された形でおりまして、この子供たちに対する何らかの支援をということをフィリピン政府から言われたことがございます。これはまた、沖縄もそうでございますけれども、フィリピンに残された子供たちは経済的にも大変深刻な状況でございまして、私はこのことを何とかしなきゃいけないというふうに思ったことがございます。まだ決定的な処理が、処理といいますか解決策ができないんですけれども、この場合にはNGOがフィリピンで大変活躍をされまして、むしろ政府というよりはNGOの活躍でこの問題が相当程度救われているという実態がございます。  沖縄につきましても、今、松議員お話しのように、NGOが大変この問題にかかわって積極的にやってくださるということが救いになっているわけで、私は、このNGOをどういうふうに支援するかというのが一つ問題解決のかぎであろうと思いますし、もう一つは教育の問題でございますから制度的にこれをどういうふうに考えるか、これは文部省の御判断がいろいろおありだと思いますが、そこをどうするか、とりわけ義務教育のレベルでどういうふうにするかということがあると思います。  特に、そういう子供たちが子供社会の中で、あるいは一般の社会の中でいじめの対象になるというようなことがあるとこれはまことに問題としては深刻な問題だと思いまして、この問題を早急に解決しなきゃいけないというふうに思うんです。  ちょっと話が長くなって恐縮でございますが、アメラジアンというのはむしろ言ってみれば日本の婦人が、こういう言い方は適当ではないかもしれませんけれども、どちらかといえば被害者ということであろうかと思います。ジャピーノの場合には、フィリピン側の女性が日本人側の男性によって被害を、これはいろいろあるようでございますけれども、非常に単純化して言えばそういう状況であるわけです。  したがって、日本政府とすればこのアメラジアン問題については、言ってみれば加害者とも言うべきアメリカ側から何らかの話があれば、これは積極的にそれに取り組む必要があるのだろうと思っております。  ただ、決定的な問題は、やはり日本の法制度が民事には公権力が介入しないという基本的な考え方があるものですから、この問題は極めて民事の問題でございますから、この民事にどういうふうに公がかかわるかというプライバシーの問題になりますから個人的なところにどこまで入っていけるかという問題がある。したがって、NGOを支援するとか教育制度を考える、あるいはそれを支援する方法があるかどうかということが一番重要なところなんだと思います。  外務省としても、これは十分研究をしなきゃいけないと思っておりまして、官房長官もとで各省が招集を受けてそこに参加をしておりまして、先生からもいろいろ御指摘があるというふうに伺っておりますから、これはできる限りの努力をしてみたいと思っております。
  157. 松あきら

    ○松あきら君 うれしい御答弁、ありがとうございました。やはり実効性があるということで前向きに検討していただける、よろしくどうぞお願いいたします。  それでは、次に行きたいと思います。  今、子供たちを囲む環境というのは甚だひどい状況となっております。残念なことに悲惨な事件が後を絶たないわけでございます。  先日の宇都宮でも、ガス、水道をとめられて、そしてお子さんが一週間食べ物を与えられずに亡くなったという事件がございました。  お母さんが児童手当を受けるために申請に行ったら書類の不備で受け付けてもらえなかった、あるいはまた生活保護等の公的手段の利用を余りにも知らなかった、そういうこともあると思います。核家族あるいは近所づき合いのなさ、こういうことにもよるんだと思いますけれども、しかし今後の反省としまして私は、例えば料金が払われないからもちろんガス会社はガスをとめ、水道局は水道をとめたわけでございますけれども、どうやらそこで電気も通じていて人が生活をしているらしいということがわかれば、例えば民生委員なり市役所なりにここはガスや水道をとめますよということを連携してもらえなかったのかなと、残念なわけでございます。  やはり私は、せっかく行政は予算措置をして生活保護等の公的サービスを準備しているんですから、こういったことに対する公助の周知というものをもっとしっかりやっていただいて、また横の連携と温かい血の通ったシステム、そういうことにしていただきたいと思うわけでございます。  厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
  158. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の宇都宮におきます事件はまことに痛ましい事件であり、私自身も委員と同じように心を痛めております。  所得のない家庭に対しましては最低生活を保障するいわゆる生活保護の仕組みがございますが、結果として最も援助を必要とする家庭に対して援助の手が届かなかったことに対しまして、大変遺憾に思っております。  厚生省といたしましては、今、委員からも御指摘がございましたように、民生委員において幅広く地域の情報というものを行うように促していかなければならない。そして、生活保護部門におきまして、生活に困窮している方に対しましても、御指摘のようなガスであるとか水道であるとか、こういうような業者、関係方面と連絡、連携というものを十分にとりながら、今後こういった方々の生活実態というものを十分に把握していきたい、このように考えております。  いずれにいたしましても、生活保護の制度につきましては、私ども、さらに広く周知徹底を図っていかなければならないことは言うまでもないことでございますが、たとえ本人が詳しい福祉の仕組みを知らなかったとしましても、地域全体で困窮している方々を要するにみんなで補い合っていく、こういうような支援が行われるように私は望むところでございます。
  159. 松あきら

    ○松あきら君 やはり、私はその点非常に大事な点であると思います。  もちろん、プライバシーの問題ですとかそういったこともありますので、踏み込んで、役所の方あるいは民生委員の方が、おたくは生活に困っているんでしょうかとか生活保護を受けなさいとか、そういうことはもちろん言えないわけでございますけれども、横の連携さえとれていればこういったこともPRされていかれるのではないかというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  そこで、公助の周知について今お願いしたわけでございますけれども、意外と知られておりませんのは、都市基盤整備公団、住宅公団の賃貸住宅で、御両親などの近所に住みたいという方があったら、例えば御両親が都内に住んでいる、そばに住んであげたいと思ってもマンションは高い、こんないろんな問題があるわけです。そうしましたら、何と公団住宅の抽せんの倍率を一般の方より十倍率をよくしてくださる、こういう制度があるそうでございます。これによりまして、近くに身内の方や兄弟あるいはお子さんが住んでいる、こういう安心感が持てるわけでございます。やはり核家族の孤立を救うものだと思いまして、ぜひこういった方向で大いに住宅政策を進めていただきたいというふうに思うわけでございます。  しかし、私も実はこの制度を知らなかったんですね。今回ちょっと知りまして、ああ、これはなかなかいいぞと。やっぱり、こういうよい制度、ほかにもあると思います。  ですから、こういった公助の周知、PRを皆さんにぜひしていただきたい。そうしたら、私も申し込もうという方が随分出てくると思うんですけれども、その点、建設大臣いかがでございましょうか。
  160. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) お答え申し上げたいと思います。  いわゆる近居問題、スープの冷めない距離というのが話題になっておるわけでございますが、先生御指摘のように、これは公団住宅だけでなしに私は公営住宅まで、自治体の住宅などにも広げるべきではないかと思いますが、お話のございましたように、低所得層の場合は五倍、それから高齢者、障害者の場合は十倍、低所得者で高齢者それから障害者の場合も、これも十倍という、一人で十票獲得できるという倍率を上げておりまして、たくさんの方が一緒に住んでいらっしゃる方も、これも五倍に上げております。  そんな意味で、公団におきましては、高齢化社会への対応の一環として、高齢者等の世帯とその親族の世帯とが同一または隣接する市町村に住むことを希望して公団住宅への入居を申し込んだ場合には当選率を通常よりも十倍高くするという先生のお話のような処置をいたしております。  それからまた、この制度につきましては、公団において募集パンフレットで制度の概要を記載することによりまして周知を図っているものと思っておりますが、こういうパンフレットをつくりまして、公団賃貸住宅に係る近居制度の概要、まだしかし一般によく知られておらないのかもわかりませんので、今後この周知徹底を図りますようなPRを公団に命じたいと思いますし、また最初に申しましたように、一般の公営住宅との連携も図ってまいるようなことをいたしたい、かように考えております。
  161. 松あきら

    ○松あきら君 ぜひ、よろしくお願いをいたします。  次に、介護についてお尋ねをいたします。  四月から介護保険が始まるわけでございます。先日も私の地元の相模原のある主婦の方からお手紙をちょうだいしました。その方は、お子さんが一人いて、今二人目を妊娠中で、そしておしゅうとさんが介護三の認定を受けられたそうです。  この介護三の認定ですけれども、痴呆があるそうで、いろんなところに出かけていってしまったり、かなりこのお嫁さんは苦労をしていらっしゃるということでございます。今までショートステイに一月十五日間程度預かってもらっていたところ、今度の介護保険では月にすると三日か四日、つまり六カ月で二十一日と決められているんですね。もう途方に暮れているという状況なわけです。こんなことであれば今までの制度の方がよかったんじゃないかなんというふうに言われているわけです。  特養に入っている方は五年猶予期間があると聞いております。介護保険はスタートするわけですから、私は、制度を改善すべきは改善して、少しでも国民に安心していただきたいと思います。  厚生大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
  162. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 今回のショートステイについての利用限度日数につきましては、率直に申し上げましてさまざまな御意見が寄せられております。  私どもは、できるだけ多くの方々に要するにこのショートステイ制度というものを御利用していただきたい、こういうような観点からこのような制度を設けたわけでございますが、地域によっては、いや、余っているんじゃないかなんというところもありますし、足りないところもある。こういうところもございますけれども、全般的にはほぼ私は需要を満たすことができるものと、こう考えておるような次第でございます。  そこで、家族が介護している場合などによって、例えばホームヘルプサービスなどを六割未満しか利用しない場合にはショートステイの利用日数を原則として二倍に拡大するなど、ショートステイの柔軟な利用に配慮していきたい、こう考えております。  それから、その一方で、ショートステイの利用につきましては、これまで一部の自治体であるとか、これまで利用されている方々から、従来より今申し上げたようないろいろな御指摘があるわけでございますので、いずれにいたしましても、私としては、市町村の実態を早急に調べまして、この四月のスタートに間に合うような柔軟的な対応を事務方に今指示いたしておるところでございます。
  163. 松あきら

    ○松あきら君 ぜひ、大事な点でございますので、御配慮よろしくお願いをいたします。  先ほども大蔵大臣の御答弁の中でちょっと出たように思います。私も、平成十二年度の実は科学技術情報通信研究開発関連予算につきまして、自自公三党の二十一世紀型研究開発に関するプロジェクトチームのメンバーでございます。提言のまとめに参加をさせていただきました。各省から二十一世紀型研究開発という項目の予算を提出していただきまして、科学技術を振興する予算を吟味し、提言をしたというところでございます。  ただし、情報通信プロジェクトの分野や、あるいは産学官連携プロジェクトにしましても、科技庁、文部省、通産省、郵政省、農林省、建設省がそれぞれに科学技術に取り組むことになるわけでございます。大切なことは、重複することなしに本当に効果的に効率的に予算が執行できるのか、また横の連携がうまく調整できるのかということなんです。また、そういったことをどこの機関で統括するのでしょうか。  こういった点、大蔵大臣、そして総務庁長官、そして科学技術庁長官にそれぞれお尋ねをしたいというふうに思います。
  164. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの組織におきましても、各省庁の、おっしゃいますように、関係するプロジェクトが重複しておりますから、プロジェクトごとに関係省庁間に連絡会をつくってもらっております。それで、大蔵省も入りまして、その重複を避けるということにいたしております。  それから、御承知のようなことで、ミレニアムプロジェクトというのは、初めて今回プロジェクトを八つ設けまして、それも単年度でできませんので、事実上何年間かの計画ということで、その間のいわば将来の財政負担を保障しているわけでございますが、そういうことで、各省庁からプロジェクトごとに人を集めましてチームをつくってやるようにいたしております。これは今度ミレニアムプロジェクトで初めていたしました。そのお世話をいたしましたのは内閣の内政審議室でございますが、これはもうプロジェクトチームができますので、そのチームがずっと進めていくことになると思います。  それから、新しい省庁再編成後は、総合科学技術会議というものができますので、そこが恐らく文部科学省を中心に各省庁の役割を分けながら調整することになってまいると思います。
  165. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) お答えいたします。  各省庁が行っております科学技術政策について内閣が総合調整を行える体制を整備すべきだとの御指摘は、私はまさにそのとおりだと存じます。  したがいまして、今回の省庁再編に当たりまして、内閣総理大臣を議長とする総合科学技術会議を設置するとともに、内閣府においても総合科学技術政策の企画立案及び総合調整を所掌することになりました。これにより、こういう体制の整備をすることによりまして、内閣及び内閣総理大臣が科学技術政策の総合調整にリーダーシップを発揮しつつ、その総合的かつ計画的な振興を図っていけるような体制ができ上がるものと存じます。
  166. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 科学技術庁長官として御指名いただきましたけれども、その前に、先ほど子供の読書のことについて先生お述べになりましたので、文部大臣として御指名いただいておりませんけれども、ちょっと御礼も申し上げたいと思っております。  子供の豊かな感性とか思いやりの心をはぐくむには読書というのは非常に重要でありまして、そういう意味で、議員連盟の先生方を中心にいろいろ御尽力いただいて、ことしが子ども読書年、国会で御決議もいただきましたし、また、ことしは国際子ども図書館も開館するということで、大変ありがたいことだと思っております。  御質問の方の科学技術行政についてでございますが、大蔵大臣また総務庁長官からも御答弁がございましたけれども、直接の担当としてちょっと詳しく御説明させていただきたいと思います。  科学技術行政につきましては、中央省庁等の改革におきまして、今お話しありましたように、総合科学技術会議とそれから文部省と科学技術庁が統合される文部科学省、この二つが大きな柱となるわけでございます。  この総合科学技術会議は、科学技術政策の重要性にかんがみまして、内閣府のみに置かれる重要政策に関する会議一つとして位置づけられ、国家的、社会的課題に対応するための総合戦略の策定、それからもう一つ予算、人材等の配分の基本方針の策定等を行うこととしております。そのため、現行の科学技術会議と比べまして、常勤議員数を現行の二名から四名に増加するほか、内閣総理大臣または関係大臣に対しまして諮問を待たずにみずから意見を述べることが可能となるなど、会議の自主性、機能性の強化が図られているところでございます。  各府省におきましては、この総合科学技術会議の議により策定される総合戦略を踏まえて、文部科学省が府省横断的基本政策の企画立案、研究開発に関する計画の策定等を実施し、また他の府省庁は文部科学省の基本政策を踏まえて、それぞれの役割に応じた研究開発を実施していく、そういうことになります。  各省庁連携プロジェクトにつきましては、現在はそれぞれのプロジェクトごとに関係省庁間の連絡会を設けることによりまして重複の排除とか連携強化を図っているところでございますけれども、今後、省庁再編後はさらに、基本的には総合科学技術会議の総合調整のもとで関係省庁がそれぞれの役割分担を明確にしつつ、目標達成に向けて一致協力して努力することになります。  省庁再編を機会に、こういうプロジェクト、これらが一層効率的、効果的にできるように関係機関と連携調整を密にしていきたい、そういうふうに思っております。
  167. 松あきら

    ○松あきら君 科学技術立国を目指す我が国でございますので、ぜひよろしくお願いをいたします。  時間が参りました。経企庁長官、申しわけありません。御質問できませんでした。  終わります。
  168. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で松あきら君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  169. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、富樫練三君の質疑を行います。富樫練三君。
  170. 富樫練三

    富樫練三君 日本共産党富樫練三でございます。  私は、警察の不祥事に関連して、その不祥事を実行した者に対しては処分できなくなってしまう、この問題について国家公安委員長の責任について伺います。  きのうの夜でありますけれども国家公安委員会が開かれました。その終了後、これは国家公安委員会委員長発言という資料がございますけれども、これを見ますとこういうふうになっております。田中警察庁長官に対する減給処分、その理由が書いてあります。処分理由は、関東管区警察局長が新潟県警察に対する特別監察の実施に当たり監察担当官としての立場をわきまえない行為をしたことに対する監督責任というふうになっております。私も長官の監督責任は重大だと考えます。罷免するのが当然であるというふうに思います。  しかし、今度の長官の処分、これは監察の担当官としての立場をわきまえない行為をし、今度の不祥事で第一に処分の対象となるべき関東管区警察局長は処分なし、こういうことでありますから、こういう処分なしということが間違いであった、したがってその監督責任がある警察庁長官を処分した、こういう意味も含まれているのかどうか、この点についてまず伺います。
  171. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 御承知のとおり、中田さんに対する人事権は警察庁長官が持っております。警察庁長官がこの中田氏に対する処置として減給等をしないということについてのお尋ねだと思いますけれども、その点につきましては中田氏がみずから申し入れてきたこともあり、またさらに辞任という大きな行為を行う、それもやめたらどうだということを受けて反省してやめますということを言ってきたというようなもろもろのことを考えまして、事実上の引責辞職をしているということを重く受けとめておりまして、それで警察庁長官からの判断が私どもに示されて、それを国家公安委員会が了としたということになっておりますので、この点は問うておりません。  したがいまして、この中田氏が担当官として立場をわきまえない行為をしたということに対しての監督責任を問うたものであります。
  172. 富樫練三

    富樫練三君 処分が軽かったということや、例えばこれは新潟の県警本部長に対する、それから処分がなかった、これは関東管区の局長に対して、こういうことも含めて今度の警察庁長官に対する処分だというふうに、私はこれを見て、監督責任を問うというふうに言った場合に当然そのことも含めているというふうに感じるわけですけれども、今の答弁ではそれは含まない、こういうふうな話ですね。  そうすると、処分をしなかったことが正しかったんだということになりますね。引責辞任だというふうに言いますけれども、それは自分の都合でやめたことですよね、言われてやめたとしても。処分ではないですね。ここはどうですか。
  173. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 引責辞職を求め、引責辞職をしたということでありまして、その件については国家公安委員会としては妥当、こういう判断をいたしておりますので、その分は含まれておりません。
  174. 富樫練三

    富樫練三君 そのことが今大問題になっているわけなんです。  例えば、この間の特別監察でありますけれども、局長が監察の責任者として行った。チームの責任者として行った。ところが、実際には監察はしないで、やってはいけないというふうに警察庁から言われている監察の責任者と監察を受ける方の側の責任者、本部長とが雪見酒にマージャン、プライベートの時間だといいながら公用車を運転手つきで使う、そして観光を行う、こういうことです。しかも、九年二カ月も監禁されていた女性が発見されて保護されるというその重大なとき、そういうときにそれをやっていたということですね。  これが処分の対象ではないというふうに、したがって処分をしないんだと、こういうことなのか、それとも、もうやめたから今からは処分はできないんだと、こういうことなのか、そこははっきりしないわけですけれども、あの時点では処分の対象ではないというふうに恐らく警察庁の長官考えたと。これは、この一連の中で警察庁の長官の一番の汚点であるし、一番の欠点だったと、一番の間違いだったというふうにどうしてあなたは思わないんですか。
  175. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 今の雪見酒というふうにおっしゃられた、その部分の行為をした、そういうけしからぬ行為をしたということに対する監督責任は問われております。  ただし、それについての処分については、いろいろなことが起こりまして、引責辞職を求めてそれを受けたと。つまり、引責辞職をしているという、公務員としては非常に大きな責任のとり方をしているということを警察庁長官が判断したということについては、国家公安委員会としては是としているわけであります。
  176. 富樫練三

    富樫練三君 そういう判断に対して今国民の怒りがどんどん広がっているわけですね。そこが大問題なんですよ。  これは、例えば監察に行った。夜、ホテルで酒を飲みながらマージャンもやった、図書券をかけた、こういうことも言われております。そこに、その関東管区の局長がいるところでですよ、九年二カ月も監禁されていた女性が発見されて保護された、どうするかと。  それに対して、そういうときだからこそ監察に行った局長は、直ちに自分も戻るから、もう宴会はやめて、そしてすぐに本部長も現地に戻ると、こういうふうにやるのが実は見本を示す監察だったんじゃないですか。それを、本部長に対して帰ったらどうかと言った。本部長は結構ですと言った。それは、局長がそのまま宴席に居座っていて本部長に言ったって、本部長はそういうふうに答えるしかないでしょう。そういうことが合法的だと、今の警察の方針に合っているんだというふうに考えるんですか。
  177. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) ですから、再三申し上げておりますとおり、そういった行為をしたということに対する監督責任は十分に問われております。
  178. 富樫練三

    富樫練三君 それは処分には値しないんですか。もう一回言いましょうか。そういう行為は処分には値しないのかと聞いているんです。
  179. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) これは、警察庁長官が判断をしたことを国家公安委員会が是としておるということであります。その判断については警察庁長官からお聞き取りをいただきたいと思います。
  180. 富樫練三

    富樫練三君 そういう警察庁の長官の判断を国家公安委員長としては是としたと、こういうことですね。  そこで、この委員長の発言についてなんですけれども、これによると、その後に委員長の決意のようなものが書いてあります。その中で、警察庁長官の監督責任を問う事態にまで及んだことは極めて遺憾でありというふうに書いてあります。国家公安委員長の警察に対するむしろ監督責任というか管理責任、これについては、これは一言も書いておりませんけれども、これはなぜですか。
  181. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 警察庁長官に対するこのたびの処置については国家公安委員会として決めたことでありますが、国家公安委員会としても警察庁長官の監督責任というのは重大であるという認識もとにこの処置が行われたということであります。(「みずからの管理責任は」と呼ぶ者あり)みずからの監督責任を感じていればこそ、このような厳しい処置を国家公安委員会としてとったわけであります。
  182. 富樫練三

    富樫練三君 残念ながら、この文面からはそういうふうには読み取れないんです。  改めて伺いますけれども、この委員長発言の中では、国民の皆様にまことに申しわけなく思っている、こういうふうに書いてあります。何を申しわけなく思ったんですか。
  183. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 警察組織全体がこのようなことをしたということについて大変申しわけなく思っております。  時に、その一月二十八日という日が長年拘束状態にあった女性が発見されたという日でもあり、そういう意味も重なりまして大変申しわけなく思っているということであります。
  184. 富樫練三

    富樫練三君 法律上は警察庁に対する管理というのは公安委員会ですよね。ですから、先ほどの公安委員会委員長の管理責任とそれから国民の皆様にまことに申しわけなく思っているという点、これはあわせて考えれば、あなた自身が実はもうちょっと責任をはっきりさせなくちゃいけないということをここに書くべきじゃないですか。そこが全然ないんですよ。全く無責任じゃないですか。
  185. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) そこに書き落としていると言われればそのとおりかもしれませんが、今御答弁申し上げておりますとおり、そのような責任を感ずればこそ、田中長官に対する厳正な処置をしたということであります。これは国家公安委員会全体の意思であります。
  186. 富樫練三

    富樫練三君 書き落としたんですね。  問題は、空監察や宴会、マージャン、そしてうその記者会見、そして国民の怒りが、この処分が国民の前に明らかになったときに、それまで新潟県警本部に向いていた国民の不信や怒りが今度はどんどん警察庁に向かってきている、今は公安委員会に向かっているんですよ。それは、公安委員長がちゃんと責任をとらない、ここに最大の原因があるというふうに言わなければならないと思うんです。  改めて伺いますけれども、二月二十四日、中田局長から警察庁の長官に対して相談があった、こういうふうに言われております。これは衆議院委員会でも答弁をしているようでありますけれども。それで長官は、局長に対して辞任しなさい、こういうふうに言ったと。そのことについて国家公安委員長に長官から相談があったと言われておりますけれども、それは事実ですか。
  187. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 二月二十四日はたしか木曜日であったと思いますが、衆議院の地方行政委員会がずっとございまして、それが終わりまして一たんうちに帰り、そして深夜、その次の日の予算委員会に備えるべくホテルに泊まりました。そこで田中長官に会いまして、田中長官から驚くべき、私にとっては驚くべきそういう御報告がありました。
  188. 富樫練三

    富樫練三君 その内容と、それに対して国家公安委員長がどういうふうな態度をとったか、その内容をお知らせください。
  189. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 中田さんが申し出をしてきたと、そして実はあの特別監察の日に、夜、県警本部長も交えての食事があり、さらにその後マージャンをやったということを中田氏自身が自分のところへ知らせてきたというお話を聞きました。  私は、ちょうど神奈川県警の問題、委員も御承知のとおり、懸命に取り組んでいるさなかでありまして、このような警察の内部体制を厳重にするために特別監察という形をとってもらって、そして特別監察をやっていたその御当人がそういうことでありましたから、私は本当にびっくりいたしたのでありますが、ちょうどそのことについては中田さんからあったということでありましたので、小林本部長にも確かめたようであります、警察本部から。  その結果、小林本部長からもお話があり、両者でそういうことになっていたということでありましたので、これは、中田さんに関する処分については警察庁長官がおやりになる、それから小林さんの処分については国家公安委員会がやる、そういうこともありましたので、御承知のように、ちょうど新潟において県議会が開かれている最中でありまして、二月二十四日、そういったことで、新潟の県議会にも支障を来さないようにという観点から、できるだけ早くこれは処理をして、そして取りかえなきゃいけない、取りかえると言ったら失礼ですけれども、やめていただく、そして新しい本部長を着任させなければいけないというようなお話をいたしました。
  190. 富樫練三

    富樫練三君 ということは、中田局長が辞任をする、辞職をするということについて、そういうことでいいというゴーサインを委員長は出したということですね。要するに、局長が辞任をするということについてあなたは認めたんですね。(発言する者あり)
  191. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) お静かに願います。
  192. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) これは、中田局長に関する人事権は、先ほどから申し上げているとおり長官にございますから、辞任をするということをその時点で認めたかどうか、私は記憶が定かではありません。
  193. 富樫練三

    富樫練三君 要するに、取りかえなきゃいけないということは、辞任することを認めたということなんですけれども、文書で辞表というか退職願というか、それが出されたのはいつで、そのことについて公安委員長の方に報告がありましたか。
  194. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 二月二十五日、翌日でありますが、夕方長官から小林本部長が辞任を表明した旨の報告を受け、速やかに更迭、処分をした方がいいということを申し上げました。
  195. 富樫練三

    富樫練三君 要するに、二十四日の夜、長官から話があって、辞任でよしと、二十五日改めて文書で辞任届が出されて、速やかにそれでやる、こういうことであなたは確認をしているわけなんですね。
  196. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) ちょっと違います。
  197. 富樫練三

    富樫練三君 違うんですか。事実をちゃんと言ってください。
  198. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 辞表を提出したというのではなくて、辞意を、小林さんが辞意を表明したという報告を受けたのであります。
  199. 富樫練三

    富樫練三君 それは文書でですか、辞意というのは。
  200. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) そこの事実関係については警察庁長官から答弁いたさせます。
  201. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 二十五日に小林新潟県前警察本部長からの辞意表明、夕刻でございます、これは口頭でございます。その後、当日のうちに特使をもって文書が届きました。
  202. 富樫練三

    富樫練三君 長官、今答弁していただいたついでといってはなんですけれども、もう一点聞いておきたいと思います。  文書で届いたと。それを国家公安委員長のところに持っていくなり、あるいは口頭か何かで相談されましたか。
  203. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 今申し上げましたように、辞意表明があったということは直ちに大臣に御報告申し上げました。そしてまた、同人が特使にて文書を持ってまいりますという報告もあわせていたしました。
  204. 富樫練三

    富樫練三君 国家公安委員長の返事はどのようなものでしたか。
  205. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 辞表が出たといいますか、辞意表明されたことによりまして、大臣から速やかに更迭、処分すべきというような御指示がございました。
  206. 富樫練三

    富樫練三君 国家公安委員長、要するに本人から辞意表明が出されてそれに同意をして、文書でそれがきちんと正式に出てきたと。そのときにあなたは、速やかにやるように、処理するように、要するに早くやめさせるようにと、こういう態度だったということですね。
  207. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) それは、新潟県議会が開催中でありまして、それに対して的確な対応を新しい本部長のもとでやらなければならないと思ったからであります。
  208. 富樫練三

    富樫練三君 もちろん、新潟県議会を軽視するわけではありません。だけれども、そうやって二十六日に実は発表しましたよね。その結果どういうことになったかというと、二十九日付で辞職をすると、こういうことになりましたね、それは二十六日付で発表したと思うんですけれども。  結果としてそのことが、事実をきちんと調査するということ、事実を解明するということ、それから国家公務員として、その身分があれば公務員法が適用されるわけでありますから、当然、処分という問題も出てくると、こういう二つのことについてあなたはふたをしてしまったんでしょう。そうじゃないですか。
  209. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 先ほども申しましたように、ふたをするという意思はございませんが、その時点では、小林さんの辞意が既に表明をされておったということもありまして、県議会に対する対応をきちんとしなければいけないということもありましたので、早く新しい方に着任してもらわなきゃならぬと、そういう意味であります。
  210. 富樫練三

    富樫練三君 私は、あなたは判断を間違えたんだと思うんです。  県議会に対してきちんとする、あるいは国会に対しても国民に対してもきちんとするというのは、こういう問題が起こったときには事実をきちんと解明できるような状況をつくる、このことが大事だと思うんです。ところが、あなたはそれにふたをしたんです。早くやめさせると、こうやったわけなんですね。ここの判断は第一の間違いなんです、委員長の。  第二に、しかしその後、手直しのチャンスはあったんです。二十八日の国家公安委員会が開かれる前に首相官邸に呼ばれたと言われておりますけれども、事実ですか。
  211. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 二十八日はたしか衆議院予算委員会をやっておりまして、その合間を見て官房長官にお目にかかったことは事実であります。そして、以後、厳正に警察内部を運営するように、努力をするようにという御指示をいただいたと思います。
  212. 富樫練三

    富樫練三君 官邸はだれと一緒に行ったのかということと、そこでどういう話がなされたのか。この点についてはどうですか。
  213. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 私は、私が呼ばれましたので、私自身一人でたしか青木長官にお目にかかったと思っております。
  214. 富樫練三

    富樫練三君 事実ですか。正確に言ってください。
  215. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 正確には覚えておりませんけれども、記者の皆さんもいっぱいいらっしゃいました。秘書官はついてきたかどうか記憶がありませんが、青木長官の部屋の中には入っておりません。
  216. 富樫練三

    富樫練三君 記者の方はあなたの今の答弁と違うんですよ。つい先日のことですよ。二月二十八日の午後でしょう。何で思い出さないんですか。
  217. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) あのときの記憶、予算委員会もやっておりますし地方行政委員会もやっておりますし、いろいろこの警察のことでもお尋ねがありまして、私も頭の中が整理できておりませんが、青木長官のお部屋に入って、そしてお話をしたのは私一人と断言してよろしゅうございます。
  218. 青木幹雄

    国務大臣(青木幹雄君) 保利委員長がお見えになったのは一人でございます。間違いありません。
  219. 富樫練三

    富樫練三君 警察庁長官、二十八日の午後、新聞報道によればあなたは一緒に行ったということになっておりますけれども、それは事実ですか。
  220. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 私が大臣と御一緒して官邸に行ったということはございません。
  221. 富樫練三

    富樫練三君 そうすると、長官は官邸に行ったことはないと。官房長官にこの問題で会ったということはありますか。
  222. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 当日、一人で官房長官のところへ伺いました。
  223. 富樫練三

    富樫練三君 それは何時ごろですか。
  224. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 時間は定かでございませんけれども、大臣が官房長官にお会いになる前だというふうに記憶しております。
  225. 富樫練三

    富樫練三君 あなたはそこでどういう主張をなさいましたか。
  226. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 新潟県におきます一連の事案の概要について御説明を申し上げました。
  227. 富樫練三

    富樫練三君 不祥事件に対する処分の問題についても話しましたか。
  228. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 処分の内容につきましても御説明いたしました。
  229. 富樫練三

    富樫練三君 ここで、田中警察庁長官は官邸に呼ばれたが、前局長の処分は考えていないとかたくなな姿勢を貫いたと、こういうふうに書かれておりますけれども、事実ですか。
  230. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 私は官房長官に対しまして事実を御説明申し上げました。それにつきまして官房長官から特別なお話はございませんでした。
  231. 富樫練三

    富樫練三君 そうしますと、ここで前局長の処分について、それはそのとおり報告したということですね、処分なしということで。
  232. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 処分なしという委員の御意見でございます。私どもとしては、引責辞職というのも強い処分でございまして、これは一般に言いますところの諭旨免職に相当する処分であるということもあわせ申し上げました。
  233. 富樫練三

    富樫練三君 では、改めて伺いますけれども、引責辞職というのは処分であるというのは法律のどこにありますか。
  234. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 国家公務員法に定めるところのいわゆる懲戒処分ではございませんけれども、例えば地方公務員の運用といいますか、具体的な例を見ますと、懲戒免職、その次に法律上は停職、減給、戒告となっておりますが、運用としては懲戒免職に次ぐ重い処分として諭旨免職という処分を行っております。それに相当する処分であるというふうに御説明申し上げました。
  235. 富樫練三

    富樫練三君 国家公務員について聞いているんです。
  236. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) ただいま申し上げましたように、地方公務員法で言う諭旨免職に相当する引責辞職というのは強い処分であるというふうに御説明いたしました。
  237. 富樫練三

    富樫練三君 それは法律のどこにありますか。
  238. 田中節夫

    政府参考人(田中節夫君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、国家公務員法上にはございません。しかし、辞職の内容がそういう性格のものであるというふうに御説明いたしました。
  239. 富樫練三

    富樫練三君 長官がどういうふうに考えようとも、あなたは法律に基づいて行政を担当しているわけでしょう。それを勝手に解釈してそれを当てはめて重大な処分であると、そういう勝手な解釈は許されません。  次に、そういう経過があった上で、二十八日の夕方から国家公安委員会が開かれました。この問題がかなりはっきりしてから初めて開かれる実は国家公安委員会なんですね。  ここで委員長に伺いますけれども国家公安委員会というところは委員長は発言できる場所ですか。
  240. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 発言することはできます。会を総理するという立場では発言をしなければ総理ができません。
  241. 富樫練三

    富樫練三君 きのうのこの委員会で、この件に関して、処分の件に関して、あなたは発言しなかったというふうに言われました。どうしてこの件については発言しなかったんですか、発言できるのに。
  242. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 大変恐縮でありますが、きのうの委員会とおっしゃられたんですが、きのうの委員会でということでありますか。
  243. 富樫練三

    富樫練三君 これ、速記録です。三月二日、参議院の予算委員会です。この中に、あなたの答弁で、公安委員会の中ではこの問題については発言をいたしておりませんと書いてありますよ。どうしてですか。
  244. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) それは、国会での御報告等をしておりますから当然話題としてはありましたけれども、事実に即したようないろいろな審議をするという意味での発言はありません。(「二十八日の公安委員会だよ」と呼ぶ者あり)二十八日ですか。失礼しました。ちょっと取り違えておりました。  二十八日の国家公安委員会では、そのことは委員の中からは若干の発言があったと記憶しております。
  245. 富樫練三

    富樫練三君 私は、この処分の問題について、国家公安委員長が発言しておりませんというふうに答弁しているので、どうして発言しなかったのか、発言できるにもかかわらずどうして発言しなかったんですかと、こう聞いているんです。
  246. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 二十八日の、改めて正確に申し上げますが、私からは冒頭に、冒頭のごあいさつをするのでありますが、冒頭に、今回の処分について国民的批判は非常に強いものである、政府の中でも論議されている旨を各委員に申し上げた上で各委員の御意見を伺うということはいたしております。
  247. 富樫練三

    富樫練三君 国務大臣国家公安委員長に充てるということになっているわけですけれども、それは政府、内閣と国家公安委員会の間の意思疎通を図るということ、こういう点も含めて政府の治安に対する考え方、こういうことについても国家公安委員会にきちんと反映させる、こういう立場であなたは国家公安委員会の委員長になっているんですよ。なぜその任務をやらないんですか。
  248. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 私は、この国家公安委員長に就任して以来ずっと国家公安委員会には出ておりますし、国会に支障がない限りは出ておりますが、国会での動きというのをお伝えするのは私の立場であると認識いたしまして、国会でのいろいろなやりとり、または審議の模様等については国家公安委員の皆様方に御説明をいたしております。  あわせて、こちらで御論議をいただきました審議の様子のビデオ等につきましては、一部ではありますがお目にかけて、こういうやりとりをやっておりますというようなことも御報告をいたしております。
  249. 富樫練三

    富樫練三君 そんな一般的なことを聞いているわけじゃないんですよ。二十八日の国家公安委員会というのは、新潟の不祥事件に対する処分のことが中心的な議題だったわけでしょう。これは臨時で緊急に開いた国家公安委員会ですよ、二十八日というのは。そのために招集した国家公安委員会です。そこで新潟の本部長の処分と、そして関東管区の局長の処分をしない、こういうことが確認をされたわけでしょう。  本部長に関しては国家公安委員会の任命権ですから処分を決定するけれども、しかしながら管区の局長についてもこれはそこで審議はされている、もちろん任命権者は違いますけれども、そういうことになっているわけでしょう。そのことについてあなたはなぜ言わなかったのか、ここが重大な問題なんですよ。
  250. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) そういう問題提起は、総理をする立場としては申し上げました。それで各委員の皆様方の御意見は伺いました。伺いましたところ、それは了とするということでございまして、私は、そういうことはやりましたということを改めて申し上げます。
  251. 富樫練三

    富樫練三君 要するに、あなたは国務大臣として国家公安委員長になっているんだけれども、その一番大事な仕事は全くしていないということですね。  しかも、この問題の一連の経過を見ると、先ほどの二十四日、田中長官からの相談に対してはまさに一番最初の段階で判断ミスをしたし、二十八日の官邸の問題、あるいは公安委員会での処分なしに対してはそれを黙認した、こういうこともあるわけです。そして三月二日、きのうの国家公安委員会、ここで長官の処分は決めたけれども、しかしながら、あなた自身の責任については全く明確にしていない、こういう状況でありますね。  この一連の状況を見たら、あなたは国家公安委員会の委員長として私は残念ながらふさわしいとは思わないんですよ。あなたはみずから身を引くべきじゃないですか。
  252. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) もとよりこの問題については非常に難しい問題でありますので、私はこの職にとどまり、そして警察の秩序維持のために全力を尽くしていくということが私の責任だと思っております。
  253. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 富樫君、既に時間が経過をしております。
  254. 富樫練三

    富樫練三君 そういうことでは国民の信頼を得ることはできない、そういうことを申し上げて、終わります。
  255. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で富樫練三君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  256. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、清水澄子君の質疑を行います。清水澄子君。
  257. 清水澄子

    ○清水澄子君 大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。  小渕総理は、財政再建を寸時も忘れたことがない、こういうふうに言っておられるわけですが、それを受けた宮澤大蔵大臣は、財政再建の基本的な目標となる数値というものをお持ちなのかどうか。例えば、アメリカ方式とかまたはEU方式のようなものを考えておられるのか。そういう点についてどういうお考えをお持ちなのか、お聞かせください。
  258. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは先刻もお答え申し上げたことですが、財政再建のことを考えますと、これは財政だけの問題にとどまることはできなくて、税制はもちろんですが、地方と中央との行財政の再配分でありますとか、あるいはもっと広く、結局二十一世紀の初頭における我が国の経済社会のあり方そのものに全部かかわってくる、そういうものと不可分のものにならざるを得ない。  したがいまして、先ほども申し上げたことですが、私見では、かなり大きな我が国の五年ぐらいを占うモデルをつくって、その中で我が国の経済諸元がどういうふうになるのか、その中で財政はどういう役割を果たせばいいのかといったような大きな問題の一つとして問題をとらえるしか方法がないのではなかろうかと。  そういうことができる時期になりましたら早速そういう発想のもとに問題を考えていくべきではないかということを、先ほども申し上げましたが、私としては思っております。
  259. 清水澄子

    ○清水澄子君 では、まだ具体的には何らないということですよね。  それでは、地方自治体には財政再建団体転落を決める比率として公債費二〇%という指標がございます。国もこういうふうに、やはり国自身にもそういう指標といいますか、そういうものを課していくということは非常に必要なことではないかと考えますけれども、その点どうお考えでございましょうか。そしてまた、その場合は何%ぐらいが妥当と考えていらっしゃるのか。
  260. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 何の指標でございますか。
  261. 清水澄子

    ○清水澄子君 この公債費ですね、過去の公債費を支払っていく比率です。
  262. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 公債依存度という意味ですね。それは一義的に私は申し上げられないと思います。  地方財政でございますと、それがいいか悪いかはわかりませんが、今、中央から交付金をもらっている団体が大部分でございますから、そういう行政指導でございましょう、入り用かもしれませんが、国の場合でございますと、これだけ大きな経済で公債依存度がどのぐらいが適当かということはなかなか申し上げられないのではないか。  強いて言えば、どこからも交付金を受けたりしないわけでございますから、できれば自立した借金財政でない方がいいと、強いて言えばそうなるかもしれませんけれども、そうでなければ悪いかというようなこともまた言えないんだろうと思います。恐らく国の場合ですとそういう目標を設定することはちょっと難しいのではないかと思います。
  263. 清水澄子

    ○清水澄子君 でも、これだけ財政が非常に他の国にもどこにも例がないような危機的な状況にあるわけですから、やはり何らかの目標というものもまだ具体化しない、考えていないということになると、大変なことだと思います。  今、私が申し上げたようなアメリカ方式でもEU方式でも、ちゃんとそれなりに目標を立ててそれに近づいたと思います。それを達成するために努力をした。そういう意味でも、そういう目標が示せないのならば、そうであれば歳入に占める税収の構成比を例えば八〇%とか高目に設定して、税収以外の財源、借金などに余りにも頼る、そういう膨張予算は組まないというような財政再建の目標というものを持つべきではないかと思うんですけれども、この面では大臣、いかがでしょうか。
  264. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういう意味のお尋ねでありましたら、現在の国の財政の公債依存度は言語道断でありまして、これはもう落第でございます。  これは問題なく落第でございますが、将来、財政再建を終えました後どういうことにすべきかということでありましたら、これは仮定のことでございますけれども、どれだけ国民負担を税金の形でお願いできるか、どれだけの国民のコンセンサスが得られるか。それはまた、例えば社会保障においてどれだけの給付を国民として求めるかということにも関係いたしますけれども、そういうことから決まってくるであろうと思います。  それはやはり規律としては、おっしゃいますように、これ以上は適当でないというようなことをそういう税負担との関連で考える必要があるかもしれないと思います。
  265. 清水澄子

    ○清水澄子君 今、いろいろ現状の中ではっきり言いまして、小渕内閣では財政対策についてはまだ本当に対策がなされていないということははっきりしたわけですが、しかし今のような状況は放置できないということも、これは皆さんが指摘をしておるだけではなくて、やはり今後二十一世紀をどうするかという意味ではさまざまな面で本当に真剣に検討していかなければならない重要な課題だと思うわけです。  それで、今、宮澤大蔵大臣は個人的なお考えをお述べになったんですけれども、これは内閣として一日も早くそういう目標を明確に立てて、そしてこの政策を国民に訴えるという、そういうことが非常に必要だと思いますが、それらについては景気が上向いたらというだけでは非常に私たちは納得できないわけでございます。  これらについてはもっと本当に、今何も持ち合わせていないのだということだけが明らかになったんですけれども、この内容についてはきょうはここだけで終わりたいと思います。  では、歳出のあり方について、予算の使い方についてお尋ねをしたいと思います。  ずっとこの予算委員会でも指摘をされていましたけれども、私は公共事業すべて悪いとは言っておりません。しかし、やはり公共事業費というのは相変わらずの膨大な国費のむだ遣いというところは、私は、それは現実のものとして横行していると思います。この予算の使い方というものを見直さない限り財政再建や借金体質からの脱皮は不可能なのではないか、こういうふうに思うわけです。    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕  先ほど直嶋議員も質問を一部されておりましたけれども、私もきょうは公共事業の本体部分にまでは入れませんけれども、今回の予算案の公共事業等予備費という五千億円について質問させていただきたいわけです。  そこで、大臣、予備費については憲法はどのように定めておるんでしょうか。
  266. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 要するに、国として予見しがたい将来に備えて予備費を置くということ、予見しがたい予算の不足のために置くということが憲法八十七条で定められております。
  267. 清水澄子

    ○清水澄子君 予見しがたい予算の不足に見ているということになっておりますね。そして、これは憲法の第七章財政ですけれども、八十五条でも国会の決議に基づくとか国会の事後承認が必要だとか、いろいろ非常に厳しい規定があるわけです。  今回のこの公共事業等予備費という規定は、その法的根拠はこの憲法に準ずるんですか、何なんでしょうか。
  268. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 憲法八十七条に認められておる権限に基づき、またその条件によって予備費の計上をお願いしておるわけでございます。
  269. 清水澄子

    ○清水澄子君 そうでありますと、予備費は憲法で支出の範囲とか手続が非常に厳格に定められているわけですけれども、この公共事業等予備費についてはそれが見受けられないわけです。遠い、ずっと以前の例はあるんですけれども、今回のこの手続処理等については何だか与党内において非常に何か利権を奪い合ったような、そういうふうな内容が見受けられるわけです。  十一年度に五千億円出てきたこの公共事業等予備費ですけれども、十二年度もまた五千億円提案されているわけです。  そこで、お尋ねしたいんですが、十一年度の例でお伺いしますが、政府はいつどのように配分を決められたんでしょうか。
  270. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 十一年度におきまして、経済状況の推移いかんによっては当初予算でお願いをしておりますだけでは十分でないかもしれない。しかしそれは、経済状況の推移が予見しがたいことでございますので、その分を予備費として計上をお願いいたしました。不幸にして経済状況政府期待するような好転をいたしませんでしたので、この予備費を九月に使うことを決定いたしたわけでございます。  十二年度におきましても同様な趣旨におきまして予備費の計上をお願いいたしております。すなわち政府は、しばしば御説明申し上げますように、もう何度も繰り返して、今後景気刺激的な予算を組まないように、またそのような経済運営に努力し希望するということを申し上げてございますけれども、万一そうでない状況が生じましたと、そういう予見を今からしがたい状況の展開によりましては予備費の使用をお認めいただきたい、こういう考え方に基づくものでございます。  それで、どのような形で予備費を使ったかということでございますが、国家的プロジェクトの推進千五百五十億円、二十一世紀発展基盤整備千四百六十七億円、緊急課題の対応千三百六十二億円、災害復旧等六百二十億円、たしかそういうふうに心得ております。
  271. 清水澄子

    ○清水澄子君 時間がありませんので、この予備費使用の内訳は説明できませんけれども、これは年度末には非常にまだ遠い九月の二十九日に閣議で五千億円の全額を、ほとんどですね、八千円だけ残して内容、使い道を決めてしまっている。そうすると、予算の不足が生ずるときというのと、そんなに早くこれが対象になるのかという点ではどうなんですか。
  272. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一般的な予算の不足につきましては一般の予備費三千五百億円を用意しておりまして、この五千億円は、これも一般的な予備費としてお願いしますのはいかにも、もっと限定的にお願いをすべきではないかということで公共事業等予備費と、そういうふうに使用の可能な目的を限定したわけでございます。
  273. 清水澄子

    ○清水澄子君 これは非常に、必ずしも予見しがたいものとは言えない内容が多いと思うんですけれども。  十一年度当初の公共事業費を省庁別に上位五省庁の金額とパーセントを答えてください。そして、一方、公共事業費等予備費の上位五位もひとつ一緒にお答えいただきたいと思います。
  274. 林芳正

    政務次官(林芳正君) 数字でございますので、私の方から答弁をさせていただきます。  まず、十一年度当初の公共事業のシェアということでございましたが、一位が建設省で五兆四千六百三十三億円、五七・九%。二位が農水省、一兆三千四百六十二億円、一四・三%。三位が北海道開発庁、九千三百七億円、九・九%。四位が国土庁、六千十億円、六・四%。ベストファイブということでございましたから、五位が運輸省で四千八百十七億円、五・一%でございます。  そして、昨年の九月二十九日に、先ほど委員から御指摘がありました、公共事業等予備費五千億円のうち、公共事業の関係費は四千二百五十億円でございましたので、これを一〇〇とした場合の五省庁のシェアは以下のとおりでございます。  一位が建設省で二千四百四十三億五千五百万円、五七・五%。二位が農水省で七百十八億四千二百万円、一六・九%。三位が運輸省で六百十三億九千五百万円、一四・四%。四位が北海道開発庁、三百三十六億七千六百万円、七・九%。五位が沖縄開発庁、九十九億七千五百万円、二・三%。  以上でございます。
  275. 清水澄子

    ○清水澄子君 当初予算の順位、順位は一つぐらいは上下あるんですけれども、例えば当初予算の公共事業でも建設省は五七・九%、そして公共事業等予備費の方でも五七・五%、その次が農水省と、ほとんど配分するパターンというのが変わっていないんですね、比率も変わっていない。  そこで建設大臣にお伺いしたいんですけれども、九月に定めたこの公共事業等予備費の中身は、やはり道路整備特別会計に千九十七億円、それから官庁の営繕費に百三億円となっているわけですけれども、これらのどこが予見しがたい予算の不足だったのか。いずれも同じものが当初予算本体にも同じように計上されているということとの関係はどのように考えたらいいのでしょうか、お答え願います。
  276. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) 平成十一年度公共事業等、等と申しますのは病院とか学校も入っておりまして、それから庁舎の営繕なんかが入っておりますものですから、その等というものの中身はそういうものも入っておりますということを御理解いただきたいと思います。  民間事業の回復力が弱うございまして雇用情勢が大変厳しい状況にあるということで、予算作成時には予見しがたいというのは、大体八月ごろから予算というのは役所で準備し始めるものでございますから、もう三月になっておりますわけでございますが、そんな意味で、状況の変化にいかに予算編成時とは違うものを見ていくかということで、それが機動的に対処するためにこれを使用するということでございまして、具体の事業の選定に当たりましては、景気を本格的に回復軌道に乗せるために、まず一つとしては年度内に経費の不足が見込まれるもの、それから二つ目には景気を浮揚させるための効果が大きいもの、それから三つ目は即効性のあるものを対象としたもの。  それから、道路整備につきましては、経済波及効果の大きいプロジェクトとして高規格幹線道路の整備とか、それからまた二十一世紀発展基盤整備としてETC、高速道路渋滞が起こりますのでこれをノンストップで走り抜けるような、いわゆる自動料金収受システムと申しておりますけれども。それからまた、ITSと言われておりますが、高度道路交通システムという、料金所で大体渋滞が起こりますのでそれを通り抜けるために電子的なもので通過を容易にするようなもの、そんなものにお金を使ってまいりたい。それから、連続立体なんかをいたしましての踏切の解消でございます。  それから、官庁営繕につきましては、緊急個別課題への対応として中央省庁再編、特に来年の一月六日には今一府二十一省ありますものが一府十二省に変わるわけでございますので、予算の編成も区切ってやらなければならないということになるわけでございますが、そういうものに使わせていただくということでお願いをしておるわけでございます。
  277. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、引き続いて運輸大臣にも質問いたします。  九月の公共事業等予備費では運輸省がやっぱり突出しているわけですが、中身は新幹線整備に四百二十億円、空港整備に百八十九億円などとなっています。これらは毎年の予算に計上されているわけですけれども、これのどこが予見しがたい予算の不足だったのかお答えください。
  278. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 公共事業の予備費でございますが、これはたしか平成十年十一月の半ば過ぎでございましたが、小渕総理と小沢党首が政策合意をいたしまして、いわゆる自自連立に向かっていく前夜のようなころでございます。  その当時は、我が国の経済最悪期は脱したというものの、民間需要回復力が弱く、雇用情勢が厳しい、そういう状況の中で、私たちは自由民主党に対し、当時、予備費五千億円の計上を要求した次第であります。もちろん、先ほどから御議論にありますように、大蔵大臣や小渕総理の御了解があることは当然のことであります。  公共事業予備費が計上され、これがどのように使われたかということでありますが、景気回復に万全を期すという観点から、まず、年度内に経費の不足が見込まれるもの、景気浮揚効果が大きいもの、さらに即効性のあるものを対象として、極めて厳しい財政事情もとではありますが、それだけに貴重な財政資金を有効に活用する。したがいまして、経済波及効果の大きいプロジェクトを選んだわけでありますが、羽田空港の沖合の展開、あるいは関西国際空港の二期、整備新幹線といったいわゆる国家的なプロジェクトの推進に合計六百四十四億円の経費の使用を決定したところであります。  特に羽田沖合の展開につきましては、この経済波及効果だけでも五兆一千億、平成十五年度末に完成を予定しております。平成十九年供用開始を目指しております関西国際空港は二兆三千億円の経済効果を見込んでおるわけであります。新幹線はまだまだ道半ばでございますが、これらはもっと思い切った予算を投入して早く完成させることが、経済波及効果はもとより、後世に私たちの共通の共有の財産として残すわけでありますし、さらに国土の均衡ある発展を図っていくというためには大いに寄与できるものだということを確信しておるものでございます。
  279. 清水澄子

    ○清水澄子君 今、私は建設大臣運輸大臣のお答えを聞いていて非常に理解できないことがございます。  といいますのは、予見しがたい予算の不足という中身と、景気浮揚効果が高いものであるかどうか、そして雇用をどう生み出すかということは大事なことなんですが、これは財政ルールの問題じゃありませんね。だから憲法でやはりきちんと明確に使い方等が規定されているんだと思う。予算の不足ということを書いているのであって、景気効果にどうかというふうなのは、それは全体で何のどの政策を優先すべきかは、これは私はもっと議会で審議すべきことではないかと思います。  ですから、例えば公共事業だけが雇用を生み出すとは考えられない場合もございますし、私どもは、特に今、福祉とか医療とかそういう面がむしろ経済的な波及効果があるんじゃないかということも考えておりますが、ですから、経済景気浮揚効果のためにこういうことが使われるというのは、やはりここは本当に憲法に反すると思うわけです。  ですから、その点は非常に何か景気対策と言えば何でもできるかのように言っておられますけれども、非常にこの予備費、公共事業等予備費の使い方、配分の仕方、それと当初予算との関係というのは非常に矛盾が多くあいまいで、これはもっと今後明確にしていただきたいと思います。  そこで、大蔵大臣に、これは各省庁にしたいわけですができませんので、ぜひ大蔵大臣、先ほどもこの九月二十九日付の五千億円の配分の内訳で国家的プロジェクトというのをおっしゃいました。国家的プロジェクトというその分類なんですが、これは与党内でなさったんでしょうけれども、これは何があるわけですか。
  280. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) あの際、国家的プロジェクトとして予算化いたしましたのは、関西空港の二期事業百五十五億円、羽田空港沖合展開事業三十億円、整備新幹線四百二十億円、高規格幹線道路整備六百七十二億円、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策二百七十三億円でございます。
  281. 清水澄子

    ○清水澄子君 非常にやっぱりおかしいと思います。  国家的プロジェクトならば、当初予算に組み込んで国会で十分審議すべき私は政策ではないかと思います。それを当初予算に組まずに、しかも国会できちんと審議も行わず、九月に何か公共事業等予備費として配分してしまっている。これは憲法の上でもやはり問題がありますし、それから十一年度予算の説明文書には「予見し難い予算の不足」と明確に書いてあるんですけれども、それについても私はこれは明確に反していると。こういう点について、今後、こういうお金の使い方について、十分私はこれを取りやめていただくよう、今後の予算の組み方の中で、そのことを私はここで警告をしておきたいと思います。  以上です。
  282. 竹山裕

    ○理事(竹山裕君) 以上で清水澄子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  283. 竹山裕

    ○理事(竹山裕君) 次に、入澤肇君の質疑を行います。入澤肇君。
  284. 入澤肇

    入澤肇君 私の質問時間は五分間ですので、例えて言えば野球で九回の裏にリリーフに立って、そして攻め球に苦心するというような感じでございます。その五分間でどういう質問をしようかと思って一生懸命考えたんですけれども、一般質疑の初日でございますから経済問題から入りたいと思います。  いろんな評論家が設備の過剰、雇用の過剰、債務の過剰につきまして、最近の状況について見解を述べております。月例経済報告によりますと、景気は緩やかに改善しているというふうに言っております。  過剰設備の状況について見ますと、一時大変な過剰設備を抱えていたのが最近はかなり縮小してきたと。それから、過剰雇用につきましても、リストラが進む中で今度は新しい雇用調整の問題に直面しているということが言われています。過剰債務につきましても、相次ぐ公的資金の導入等によりまして縮小傾向にある。    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕  私は、この過剰設備、過剰雇用、過剰債務、これは先般の経済白書で三つの過剰対策として非常に丁寧な説明があり、この克服なくしては日本の景気回復はないんだということが強調されていたわけでございますけれども、現時点においてどのような状況になっているかにつきまして、現状と見通しにつきまして経企庁長官にお伺いしたいと思います。
  285. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 設備の過剰感は依然として強いものがございまして、「平成十一年経済の回顧と課題」におきまして過剰施設の全産業の量は五十七兆円と推計しております。  しかしながら、最近かなり進んでおりまして、例えば企業の短期借入金残高などを見ますと、七―九月期で前年度に比べまして三兆円減っております。また、それを反映いたしまして、自己資本比率、これが同じ期間で一・五ポイント上がりまして二二・七から二四・二になっている。また、売上高経常利益率、これが〇・四一ポイント上がりまして一・七八から二・一九になりました。このROA、売上高利益率ですが、売上高利益率が〇・四一というのは結構大きな数字なんですね。そういう意味で着々と進んでおります。  それを反映いたしまして、この十―十二月には機械受注がふえてきた。これは六カ月ないし九カ月後に設備投資として発現いたしますので、ややそういう意味では、一方に過剰施設はありますけれども、他方ITとか新しい施設ではそういう投資が動き出した。それだけ企業の体力は回復してきたと言えると思います。
  286. 入澤肇

    入澤肇君 要するに、総括して言いますと、設備、雇用、債務の三つの過剰はここにおいて著しく改善しているというふうに断定してよろしゅうございますね。  しかし、今後これを着実なものにしていく必要があります。その着実なものにしていくためにさらなる手を打つとすればどんなことが考えられましょうか。
  287. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) やはり、現在政府がやっております経済新生対策を着実に推進していく、これがまず第一だろうと思います。そして、あわせて、企業が体質を改善する場合に、その受け皿となる雇用の創造あるいはミスマッチの解消等によりまして労働力の流動性をつけ、その受け皿をきちんとつくっていくということが大事だと思います。  なお、低金利政策を継続していることも、この意味ではやはり重要な意味を持っていると思っております。
  288. 入澤肇

    入澤肇君 私、もう一つ大事なことは、午前中も市川委員から質問がありまして、資産デフレのことにつきまして御議論ございました。この地価の下げどまり傾向、これが下げどまりがない限り、要するに新しい設備投資に資金が回らないということで、景気回復の軌道が順調にならないんじゃないかという感じがしているんです。  日本不動産研究所のデータによりますと、九九年上期の企業による社宅、厚生施設の売却は東京ドーム三・八個分だと、過去最高であったと、こういうふうなことから、要するに地価も今後弱含みで推移しそうだと言って、東京都区部それから六大都市の平均、関東、中部・東海、近畿の商業地で大幅に地価が下落しているというふうなデータを出しておりますけれども、この地価の値下がりについてはどのようにお考えになっていますか。
  289. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御指摘のように、不動産研究所その他いろんなところから出ておりますのを見ますと、地価は依然として下落しておりまして、特に都心の商業地域での下落が大きいと言われております。  地価の予測につきましては、まず収益還元法というのがありますが、これは一時非常に信頼性があったんですけれども、最近は、家賃が下がるとか入居者が減るということで収益が下がるから地価がまた下がってしまうということがあります。それから、予測価格という方法で非常に長期に見るということがございます。  基本的に、私は、やはり土地の需要をふやすという意味で日本人の住生活をもう少し豊かにしていく、それのためには、やはり規制緩和あるいは都市計画の概念の転換、それは政府の方でも今国会に出す準備をしておるようでございますが、こういった規制緩和と経済回復とあわせていかなければ、いずれか一方ではなかなかできない問題ではないかと考えております。
  290. 入澤肇

    入澤肇君 もう一つ、二月の月例経済報告によりますと、公需から民需へのバトンタッチ、これは予算編成のときから言われたことでございますけれども、これを円滑に行っていくことが必要だということが改めて強調されております。  ただ、公的資本の投資、特に公共投資のあり方を見ていますと、この公需から民需へのバトンタッチを確実にするためにもう一工夫、二工夫あっていいんじゃないかなという感じが私はしているんです。  例えば、いわゆる一般の公共工事、これなども工期を短縮して早期に完成させて、そして受益効果を早期に発生させるということがなくては民需の回復につながらないし、それからミレニアムプロジェクトなどでたくさんの予算がつきましたけれども、基盤的、ベンチャー的なものについては公的資金を投入するけれども、それを使って民間がさらなる工夫をして企業を起こすというふうな使い方、それからテレビのデジタル化のための基盤的、技術的体制整備につきましても、私は公的にきちんと資本を投下して、そして一層IT革命を促進するということにつなげていいんじゃないかと思うんです。  要するに、波及効果が大きいと思われるものに公共投資を集中するということが必要だと思うんですけれども長官考え方はいかがでしょうか。
  291. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 昨年秋の経済新生対策のときにも委員御指摘のようなことを考えまして、例えば全国で交通渋滞の重要箇所になっていて、もう間もなくできそうだと、あと五件とか三件とかなっているところを百カ所改善していただくというようなプロジェクトもつくりました。また、全部の学校を二〇〇一年以内にインターネットで結ぶということも、これはかなり前倒しにして文部省、郵政省にやっていただくことにいたしました。  また、私が担当しておりますインパク、インターネット博覧会、これは政府がわずかなお金、わずかといいましても二十数億で三十億近いのでございますけれども、それで各企業が参加していただきますとやはり数十倍の効果がある。そういうソフトの面からのアプローチもあろうかと思います。できるだけそういうことに努めまして、できるもの、例えば電子教育あるいは電子政府の執行などを前倒しにすることも非常に重点的に考えまして、各省の御賛同を得て目下推進しております。
  292. 入澤肇

    入澤肇君 時間がありませんので、もう一つ労働大臣にお聞きしたいんですけれども、七十万人の雇用計画というのが先般の予算編成のときに議論されました。百万人が七十七万人になり、今度は七十万人という目標が出されたわけですね。これは運動論として展開するんだという話でございましたが、それを受けまして、非常に長ったらしいたくさんの補助金が労働省から出ております。  ただ、これらの支出状況を見ますと、私もいろんな現場へ行って見てみますと、例えばやたらに公園をつくっている。一時的な作業員を確保して失業対策みたいなことをやっている面もたくさん見られます。要するに一時的支援である、ばらまき的色彩が強い、あるいは構造改革につながらないんじゃないかという疑問があります。  そこで、七十万人の雇用計画は現時点でどのような達成状況なのか、それから先ほどの三つの過剰の問題でお話しございましたけれども、雇用情勢は現在転換点にあるという認識でいいのかどうか、これについて労働大臣からお答え願いたいと思います。
  293. 牧野隆守

    国務大臣(牧野隆守君) まず最初に雇用状況認識の問題でありますが、四・五%を目指しまして私どもは全力を挙げているという現状でございまして、実際の有効求人倍率を見ますと、一部に残業時間が長くなったとか、特定の先進分野に対する求人が非常にふえてきているという現象がございます。何かいい兆しかなと、こう期待を持ちながらも、片方におきましては、従来のリストラによって今後も非自発的失業者がやはりふえる可能性が強いと。  その上にもう一つ心配しておりますのは、三月の末で決まります新卒者の就職状況でございます。これらを見ましてさらに政策を強化しなきゃならないと思いますが、今まで三次にわたりましていろんな対策を打ち、現在実施をいたしておる、御承知のとおりであります。  そこで、七十万人雇用創出を見込んだ去年の六月十一日付で打ち出しました緊急雇用対策でありますが、この実情を申しますと、一つは、地方における臨時応急の雇用就業機会の創出を図る緊急地域雇用特別交付金について、これは各都道府県に既に二千億円をお渡ししたわけでありますが、私どもとしては雇用創出見込みを約三十万人と考えております。これは、去年の八月から実施いたしまして平成十四年三月三十一日の間でこれをやる、こういうことでございます。  二番目は、新規・成長十五分野等の前倒し雇用等に対する助成であります新規・成長分野雇用創出特別奨励金、これは、本年一月までの支給申請は千百十八人、相談件数は約一万六千七百件あったわけでありますが、まだ緒についたというような状況でございまして、これの実施期間は十一年八月からこれも平成十四年三月三十一日まで、こういうことになっております。  それから三番目が、労働者を失業を経ないで受け入れる事業主への助成金、人材移動特別助成金、こういう制度をつくりましたが、本年一月までの支給見込み労働者は七千人でございます。これも実施期間がことしの九月三十日まで、こういうことで現在進行中でございます。  それからもう一つは、雇用情勢の変化に臨機に対応して中高年の非自発的失業者の雇い入れに特別の助成を行います緊急雇用創出特別奨励金という制度がございます。これは、地域的にほかと比較して失業が多いという、特に求人倍率差によって低いところを指定するという制度でございますが、二月十八日現在で支給申請は千六百十三人、相談件数は七千六百四十八件、実施期間がやはり平成十四年三月三十一日まで、こういうことで、今日現在、はっきりこれだけだと、まだ私ども目途としたところから見ますと非常に低い水準にございます。  しかし、これらについてはなかなか施策が浸透いたしませんで、今最大の努力をいたしておりますが、何せ平成十三年度末までの措置でありますので、もっとPRをいたしまして、この措置を積極的に利用していただけるように特に中小企業の皆さんに促進措置をとらせていただきたい、全力を尽くさせていただきたいと思います。  なお、このほかに、緊急対策以外でいろんな措置を講じておるわけですが、例えば創業、異業種進出を行う中小企業に対する雇い入れ助成金、これは一年間で給与を半分補助するということですが、これは非常にたくさん出てきておりまして、昨年一月から実施いたしまして今年一月までの雇い入れ予定数は約七万人ということで今後さらにふえる可能性があるわけで、どうかひとつ、私どもも一生懸命あらゆる方策をつくりましてやっておりますので、ひとつ先生方からも絶大なる御指導、御支援を賜りたいと思います。
  294. 入澤肇

    入澤肇君 ありがとうございました。
  295. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で入澤肇君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  296. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、松岡滿壽男君の質疑を行います。松岡滿壽男君。
  297. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 私ども政治家の責務というのは、国家と国民の安全と豊かさを守るということが大きな責任だというふうに思っておりますが、警察も国民の安全と生命と財産を守っているという大変大切な業務をしょっておるわけでありますけれども、このところの一連の不祥事といいましょうか、不適切とか非常識というものを通り越して、一種異常な感じが出てきております。国民は非常にこういう事態に対して不安を持っておるというふうに思うんです。  昨日、私、中国新聞の例を出しまして、二千六百六十万円という報酬の問題を取り上げました。中国五県ではやっぱりそうかというふうに思っているのかなということを申し上げたところ、夕方、日刊ゲンダイという新聞に国家公安委員会の委員の決め方ということについての記事が出ておりました。  警察庁のOBが、やはり警察の方から見てかなり思い切ったことを言う人は最初から除外するんだというような話も出ておりましたし、今のこの時代に、どう考えましても週一回の勤務で二千六百六十万円ということは、大切なお仕事ですからそれはわかるんですよ。しかし、どうしてもやはりある程度言わず語らずという部分が出てくる可能性があるわけですね。しかも、国の場合は常勤という形にしている。しかもこの十年間でいわゆる急に定例日以外に出たのはこの間の二月二十八日とそれから天皇陛下がお亡くなりになった日、その二回しかないということなんですね。これはどう見ても国民に説明できる問題ではありません。  だから、そういう国家公安委員の選び方の問題と、それから常勤扱いにしているということは法律で決めているんだとおっしゃいます。それはそのとおりと思いますが、どうも国民の常識から見るとのど元を通りにくい話であります。  こういう問題につきまして、国民に対してわかりやすくひとつお話しをいただきたいと思います。
  298. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 国家公安委員会の本来の業務というのを私は考えるのでありますが、例えば、大変大きな緊急事態が発生した、国の存続にかかわるような大きな問題、例えばミサイルが飛んできたとか、そういうときに緊急に対処するための警察力の動員その他についてやはり協議をする機関が必要である、それが国家公安委員会のある理由だろうと思います。  そこで、国家公安委員会の人選につきましては、内閣が警察庁などの意見を徴して、そして内閣が責任を持って国会に御推薦申し上げ、国会の御了承をいただいてこの人事を決めるという形になっていることは委員御承知のとおりであります。  それで、今回のような件だけではございませんで、そういうことがございましていつ緊急状態がかかるかわからないと、そういうことで民間から、これは広く法曹界、それから学界、言論界、経済界など、五人のメンバーそれぞれ見識のある方に御就任をいただく。  そして、御承知のように、特別職の職員の給与に関する法律というのがありますが、この法律はいわゆる三条委員会横並びで今の金額が示されておる。具体的には百三十四万六千円というのがほかの委員会と横並びでついております。そういう法律がございまして、それにのっとってやっていると。  したがって、緊急事態等に対応するため、あるいは諸種のいろいろな治安維持のためにいつ呼び出されるかわからないという状態、また呼び出しがあれば必ず行かなければならないという状態に適格するのと、もう一つは、そういう高い見識を備えていなければならない方をお集めをするという意味もありまして、このような給与体系になっているんだと私は承知をしております。
  299. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 きのうは私、参議院のあるべき論についてのお話も申し上げたんですけれども、公安委員会のあるべき論、やっぱりこの国家公安委員会も形骸化し過ぎているんじゃないかと。いわゆる管理、チェック機能というのが十分かということの疑念が一つ出てきておるわけですよ。  それと同時に、都道府県のやつも、例えばきょうの読売ですが、私の地元の加藤公安委員長、宇部興産の副社長までやられた立派な方でありますけれども、「警察法は我々の立場を「警察を管理する」とだけ規定しているが、まったく抽象的で、何をするのか明確でない」ということを言っておられます。  だから、この際、やっぱり大事な警察を管理するという部分ですから、国の場合も都道府県の場合も、それこそ総理お得意の有識者懇でも国民会議でもつくって公平にやはりこのシステムを考え直すということをお考えになったらどうでしょうか。
  300. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 具体的には私もまだどういう形にするかという御相談はございませんけれども、そういう方向づけが内閣の中にあることは承知をいたしております。  そういうところで、いろいろこれからの警察行政のあり方その他についてよく検討しなければなりませんが、期するべきは、やはり警察の民主性と中立性を守っていくということが一つ観点としてあると思います。その上に立って日本の治安維持を図るわけでありますから、自分たちの襟をきちんと正すという仕事が必要である、そういうふうに認識をいたしております。
  301. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大臣のおっしゃることもよくわかるわけですけれども、それぞれ五つの部分の有識者の代表を選んでおられるということでありますが、けさの新聞を見ますと、お名前は申し上げませんけれども、「さむらいの切腹は最高の道義だ」ということをおっしゃっている委員の方がおられるわけですね。私は、先ほどもやりとりがありましたけれども、お二人の方がかつての侍に値する人なのだろうかということが大きな疑念としてあります。  贈収賄事件を例にとれば、贈った方は一応減給ですから罰則の対象にはなったわけですけれども、片方は何ぼ警察庁長官がああいうことを言われてもやっぱり罰を与えられたと国民は思っておりません。だから、もらった方は免罪で、贈った方だけ罰されているという状態ですね。しかも、切腹というのは腹を切って自殺することですね、切腹というのは。  ただ、確かにこの方が言っておられる侍というところを、であるとすれば、四百五十年前にザビエルが日本に来たときに、まあとにかく日本人というのは非常にすばらしい国民性だと。今まで発見した人民の中で最も優秀で、異教徒の間には日本人にまさるものを発見し得ないと考える。日本人は友誼に厚く、一般に善良で、悪心なく、また何物にも増して名誉をたっとぶ。富より名誉を重んじる。国民は互いに礼儀正しく、名誉を失うということを領主より罰を受けることより恐れておると。  この日本人は一体どこに行ったんだろうかという思いが実はいたすわけでありますけれども、切腹というのは刀で腹を切って死ぬことで、自殺または死刑の方法としてかつて用いられた。しかし、これは明治に入って、一八七三年に刑罰としての切腹は消滅してしまっているわけですね。かつては侍は名誉を重んじて、そういう不浄な執行吏の手にかかるよりはみずから自分の罪に服すということが武士のいわゆる切腹です。  こういう発言ですよね、問題は。「さむらいの切腹は最高の道義だ」と。これをこの件に当てはめるということは私はいささか無理があるだろうと思うんですが、こういう方がやはり委員をやっておられるということに問題があるんじゃないでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  302. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) その発言の事実関係は存じませんが、公式発言ということでは私はないのではないかと思います。  恐らく、いろいろな思いが頭の中にぐるぐるしておりますときに例えば記者団から突如として聞かれて、その頭の中の思いがすっとつぶやきで出たというのをとらえられたのではないかなと私は思いますが、活字になりますとそうやっていろいろ大問題になるということでありますから、私は国家公安委員の皆様方にそういう御指摘がありましたことをお伝えして、十分に、いろんなことを言いたいだろうけれどもそこは言葉を選んで慎んでもらいたいということをよくお伝え申し上げておきたいと思います。
  303. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 厚生大臣、少子化問題ですけれども、時間がありませんので、今度の少子化問題の予算と、少子化対策臨時特例交付金、二千億ほどこの前の予算で出しておられますね。これの効果。どうも急に出てきたものだから、地方は大分戸惑いを持っておったようですけれども、どうもせっかくのお金のないときの大事なお金が保育園や幼稚園のそういう備品に化けてしまったんじゃないかという危惧も持つんですけれども、どういう使われ方をしたか、どういう効果があったか、お答えください。
  304. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 実は私自身も厚生大臣になる前に党の方の政調会長代理としてこの問題のまとめ役をやった一人でございますけれども、これはこれまで、保育所の待機児童の解消をどうするかということを国から一方的に押しつけるのではなくて、それぞれの地域地域の実情があるんじゃないか。  ですから、ひとつ地域の皆さん方、地方自治体の皆さん方、それぞれ創意工夫してこういう問題に取り組んでいただきたいと。こういうような要するに初めての試みでございまして、予算総額は二千億円でございますけれども、これまでは保育所の施設であるとか設備整備など保育所関連の予算であるとか、それから幼稚園などの教育関連経費であるとか、それから公共施設への子育て支援設備の整備など、こういうような事業にもう二千億円すべて交付されております。  これによりまして、要するにこの交付金を施行することによりまして、現在大体三万八千人ぐらいの保育所の待機児童がいると見られておるわけでございますが、これがほぼ解消が見込まれる、こういうことで、効果が大変上がっている、こう考えているような次第でございます。  また、急にという話もございましたけれども、私どもは、要するにこの補正予算が成立いたしました後、各市町村に対しまして周知徹底をいたしましたとともに、これはすぐにやれといっても間に合わないところもありますから、そういうところに対しまして運用においてそれぞれの市町村が基金をつくって平成十三年までに支出が可能になると、こういうような措置をとらせていただいたところでございます。
  305. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ありがとうございました。
  306. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で松岡滿壽男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  307. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
  308. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、昨日の委員会で時間の都合で十分な質疑ができませんでしたけれども、やはり沖縄の基地問題を一、二点質問したいと思います。  まず、普天間飛行場の代替施設については、工法及び具体的建設場所の検討を含めて基本計画の策定はいつまでに行う予定であるのか、七月の沖縄サミットの前までにできるのか、またその前提となる基本計画策定の協議機関、それはいつ立ち上げる予定であるのか、官房長官、お示し願いたいと思います。
  309. 青木幹雄

    国務大臣(青木幹雄君) お答えをいたします。  普天間飛行場の代替施設につきましては、昨年末の閣議決定にありますとおり、今後、代替施設の工法及び具体的建設場所を含めて基本計画の策定を行うことにいたしております。  基本計画の策定のスケジュール等につきましては、今後政府部内、さらには沖縄県、名護市との間で話し合いを行い、またこの問題は米国政府とも緊密に協議する必要があると考えておりまして、現時点では策定の時期については具体的に申し上げる状態にありませんが、これは官民共同の施設ということになっておりますので、工法等も含めて今後検討を急いでいきたい、そういうふうに考えております。
  310. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 官房長官、昨年の十二月二十八日の閣議における発言として伝えられております中で、代替施設は最小限の規模とするというような発言をなさっております。長官としては、この最小限の規模の施設というのは、どのような想定のもとにそういう発言をなされたのか、お伺いいたします。
  311. 青木幹雄

    国務大臣(青木幹雄君) 私が最小限の施設と申し上げたのは、SACO合意に基づいてできるだけ最小限の設備にしなきゃいかぬという前提で申し上げたわけでございまして、今お答えをいたしましたように、規模をどういう規模にするかということは、沖縄県が民間の飛行場をどういうふうな規模でお考えになっているか、そういうことも含めて検討すべき問題である、そういうふうに考えております。  最小限と申しましたのは、安全とか環境とか、そういうものに配慮しながら、SACOの合意を踏まえた発言と御理解いただければと思っております。
  312. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ちょっと外務大臣にお伺いしたいんですけれども、アメリカ側からこれまで、こういうふうなものをつくってほしいとか、そういった施設の問題についてどういうふうな希望があるのか。あるいは、外務省として今まで何回か交渉する中で、どういった移設の基地をつくってほしいとかというような要望はございませんか。
  313. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) ただいま官房長官が御答弁でございましたが、現在の段階ではまだ場所の特定その他もできていないわけでございまして、したがいまして、場所の特定あるいは工法についても決定していない段階でございまして、まだまだそうした細かい問題について決定的な御提案があったということは承知しておりません。  しかし、いずれかの段階で双方で協議をしなければならないという時期は来るだろうと思っておりますが、その時期がいつになるかもまだ今のところ承知をしておらない状況でございます。
  314. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 やはり長い間経過しているだけに、アメリカ側から何のアプローチもないということは非常に不自然な感じがするわけでありますけれども防衛庁長官、その辺の、アメリカを訪問されてそういったふうな関係でもし向こうとして何かありましたら、御所見を承りたい。
  315. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) お答えいたします。  先ほど来、官房長官並びに外務大臣がお答えをいたしておりますように、今沖縄、殊に現地におきまして、地域の住民生活でございますとか、あるいは自然環境に著しい影響を及ぼすことのないような配慮を、最大限の努力を行う、こういう基本方針のもとでいろいろこれから取り組みにつきまして考えてまいる、そういう段階でもございますし、先般アメリカに渡りました折も、こういう条件で、こういう要件でというようなことはございませんでした。
  316. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は、きのうも指摘をしたわけでありますけれども環境影響評価の実施をすることになっておりますけれども、その結果、もし自然環境に著しい影響を及ぼすことが避けられないというふうなことが判明した場合に、一体この施設をそのまま、キャンプ・シュワブ沖の建設をそのまま進める状況になるのかどうか、その辺を具体的に説明いただきたいと思います。環境評価の問題。
  317. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 議員の御指摘になります問題意識は、例の橋本総理とモンデール大使との間で合意をいたしましたあの時点から今日までの間にいろいろ話があったのではないか、こういう御指摘であったとすれば、あの合意は一九九六年の合意でございますから、それまでの間、先ほど官房長官が御答弁になりましたように、SACOの最終報告その他を踏まえて日米で協議が何度かあったということもあると思いますが、しかし、今、防衛庁長官や官房長官が御答弁になっておりますのは、その後、名護に、つまり知事の県内移設、そして名護市長の受け入れということになりまして、辺野古地区ということが、だんだんに地域的に受け入れの場所が決まってきたわけでございます。  ということになりますと、まだ大きな範囲でございますけれども特定されてきてからはそうした話はまだないというふうにお受け取りをいただきたいと思います。  そして、辺野古沿岸域ということにはなっておりますけれども、まだまだその沿岸域といっても御承知のとおり相当広い範囲でございますから、その中で特定はされておりませんので、環境問題その他を十分配慮した上で最終的に地域の特定がなされるということになるのだろうと思っております。
  318. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 環境問題については非常に重要でありますので、よほど気をつけていただきたいと要望します。  それで、地元の辺野古の行政委員会というのがありますけれども、そこでこの間、新聞報道によりますと、まず承認はするけれども、ただし三キロ沖につくってほしいというような要望がございますけれども、それについては政府の何か御見解はありますか。
  319. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 私どもは地元の御意見というものは重く受けとめるということを基本的な姿勢にいたしておりますが、特定の地域の方々のそうした御希望ということについては、市長その他の御判断もございましょうし、まだ三キロ沖とか何キロ沖とかという特定の場所を私ども一つの候補として受けとめているという状況ではございません。  恐らく、この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、環境アセスメントを初めとしていろいろな問題を考えた上で場所が特定されていくのだと思っておりまして、まだ今の段階でどこということを特定されているというふうに聞いておりません。
  320. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 では、その海上案とか陸上案とかというふうなものについてはまだ政府としては整理はされていないということを確認してよろしいですね。陸上案と海上案。
  321. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) キャンプ・シュワブ内の辺野古沿岸域ということで市長からの受け入れの御返事をいただいているわけでございまして、場所を特定しての考え方はまだ決まっていないというふうに受け取っていただきたいと思います。
  322. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 去る一月六日の朝日新聞の報道によりますれば、米国国務省東アジア・太平洋局は、従来、核密約が存在するのではないかと言われている一九六九年十一月の「ニクソン米大統領と佐藤首相の共同声明に関する合意議事録」と題する文書の存在を認め、しかも該当する二つの文書の存在が確認されております。  三十年以上経過した現在も機密扱いになっているという二つの文書の一つはいわゆる核密約に関するものと推定され、もう一つの密約文書は沖縄基地の自由使用に関する保証を与えたものではないかと考えられるというようなことが、アメリカのこの文書によって、存在しているのではないかというようなことが、大体見解がございます。  外務大臣、その辺について御所見を承りたい。
  323. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 御指摘の報道は、報道機関とアメリカ政府政府機関関係者との間のやりとりに基づくものと思われます。政府としてはその詳細を承知する立場ではございませんで、コメントを申し上げるのは適当でないと考えております。  いずれにいたしましても、政府が従来より申し上げているとおり、そうした御指摘の報道が報じているような密約は存在はしていないと、この点については佐藤総理御自身を含む歴代の総理大臣及び外務大臣がこうした密約の存在を明確に否定をいたしているわけでございます。ぜひそうした歴代総理、外務大臣の発言を信頼していただきたいというふうにお願いを申し上げます。
  324. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 委員長、一言だけ。  この問題については非常に重要なことであります。密約の問題についてはいろいろな証言が今日まであるわけですから、この問題についても何らかのこういった自由使用の問題が、やはり隠された問題があるんじゃないかというような疑念がありますから、ひとつその辺については十分な対処をしていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  325. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次回は来る三月六日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会