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国務大臣(
宮澤喜一君) 多少お時間をいただいてよろしければ、まず当面の
経済の
動きでございますが、一年半ほど
日本経済は滑り続けておりましたが、昨年の一―三月にかなり大きな反転がございまして、それは四―六月も続きましたが、七―九月にはちょっと
もとへ戻ったようなことでございます。十―十二月のところがこれから今月間もなく出てくるんだと思いますが、この辺のところは
堺屋長官と私の
見方が、合わせたことはございませんが、御答弁を聞いていますと大体同じだと思いますので、違いましたらまた後でお直しいただきたいんですが。
どうもこれからわかります十―十二月というものは、やはり
リストラがあったとかいうことで
家計は確かに弱いと
考えざるを得ないかと思いますので、ボーナスのこともあったかもしれません、したがいまして十―十二というものはどうも
余り期待をできないのではないか、これは間もなくわかるわけでございます。しかし、だからといってもう
日本経済は
最悪期を出たということははっきりしておりますから、
余りそこを一
喜一憂しなくてもいいのではないかということは二人とも似たような
考え方をしておりますと思います。
それで、やはりGDPの六割
余りが
国民消費でございますから、どうしても
家計の
回復ということが基本でございますと思います。
それは
リストラ、ここは私の意見なんでございますが、ここで労使の交渉が行われておりますので、その結果を云々するのではありませんが、その間にかなり
リストラというようなものにも一種の理解といいますか、
お互いの落ちつきが出てきたり多少
企業の採算もよくなったりしておりますから、したがいまして十―十二はもう済んだことでございますが、一―三のあたりから四―六にかけまして
家計の沈滞、
マイナスというのはある程度直ってくるんではないだろうか。どうしても収入がふえませんと支出がふえるということは難しゅうございますから、徐々にそれは
回復するんではないかという、半分は希望でございますけれ
ども、そういう
感じがいたしております。
他方で、
設備投資は、これはやはり少しおくれますが、
機械受注が、これは
先行指標でございますが、よくなってきておりますので、まあ九月ごろには、もう少し早いかもしれませんが、少し
プラスになってくるのではないか。
そういたしますと、
消費が
回復し始めて
設備投資が多少でも
プラスになってくれば、これはもう明らかに
民間主導の
経済成長に入れる、したがって
財政の
負担もこの次は今までのようなことでなくて済むのではないか。大まかに
堺屋長官もそう
考えておられるように
お話を伺いますし、私もまあそういう
感じを持っておるわけでございます。
それで、御
質問の本体は、
一つは、そうなりますと
民間の
資金需要が出てくるということでございますから、これは私が言うことではございませんですけれ
ども、
日銀の
金融についてのお
考えのあり方もそこで多少
影響を受けてくることは自然であるかもしれない、ただし
国債の
利子負担は少し大きくなるかもしれないということでございます。
それで、おっしゃいます
財政の
構造改善、
再建でございますけれ
ども、私は、これは私見でございますが、
日本経済が
成長の軌道に入ったとまず確認できました後着手をすることですが、それは頭の中ではもういろいろに
お互いに
考えていることでございますが、どう
考えてみましても
財政だけの
再建ということは可能ではない。
先ほど
中期展望の
お話をされまして、あの
資料は、おっしゃいますように、私も、
委員のような御
専門の方から御指摘があるのはもっともだと思っておりますんですが、昭和五十年ごろからやっている話だものですから、どうもミスリードする
可能性の方が高いんではないかと。しかし、
衆議院の
予算委員会からは相変わらず御要求がございます。
しかし、あれで言っておりますことは、簡単に申しますと、
景気がよくなっても
金利が上がる、したがって
国債の
負担は大きくなる、税収はそれほど大きくならない、
社会保障の
負担というのは減らないだろうといったようなことを
考えるとなかなか
国債発行というものは減らないなと、何にもしなければ、
政策努力をしなければ。この
部分が実は一番大事な
部分で、それを欠落した
資料をごらん願ってもどれだけお役に立つかということは私はごもっともだと思います。
いずれにしても、
財政再建を
考えますと、もちろん歳出だけではない、税制もそうでございますが、
中央、地方の関連ももう
もとから見直さなければならないと思います。
そして、歳出を
考えていきますと、やはり二十一世紀の最初の十年とか二十年とかに日本の
経済社会が恐らく非常に変わる、そのことそのものの一環としての
財政というふうに
考えませんと、どうもちゃんとした解決はないように思います。
しかし、二十一世紀に多分日本の
経済社会は非常に変わるのでございますが、その中でいろいろ
考えるにしても、何かそういうマクロの言ってみればフレームワークといいますか、恐らく手法としては、やはりマクロモデルをつくりまして、その中での日本の
経済社会、
国債との関連というようなものを、そういう中からでないとこのプランはどうも私は生まれないんではないかと思います。
決して
財政側の責任を放棄するという気持ちで申しているのではございません。新しい
中央官庁の再編成ができました後の一番大きな仕事の
一つは、これから十年なら十年の日本の
経済社会というものはどういうものであるべきか、あるいはあり得るかといったようなことをやはりマクロで、数字の裏打ちをして、その中から
政策選択をしていく、それに従って
財政の
再建を
考えるということにどうもならざるを得ない、これは私見でございまして、どなたに御相談をしたんでもないのでございますが、そういう問題ではないかと。
長くなりまして申しわけありません。