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松村龍二君 ただいま
お話ございましたように、このたび新潟の事件が、市民、
国民に
警察が目を向けていない、そこのところを非常に軽く扱っているということであります。
例えば
警察署に、詐欺に遭った、横領に遭ったということで申し出ていきますと、担当の人がまず受け付けをしていただきます。その方自身は非常に、警備に出たり夜の当直があったり、ばたばたしてなかなかじっくりできない。やっぱり捜索もしないといかぬということになると刑事
課長が目を向けてもらわないといかぬ。刑事
課長が目を向ける能力と
判断がない、小さな事件を軽く見るということになりますと、またそのうちに
警察は転勤が早いのでかわってしまう、前任者の事件は手をつける気もないというと、いつまででも詐欺や横領等の事件がほったらかしになる。
私自身も、ここの
委員会でも取り上げたことがありますが、
国会議員になりまして頼まれてそういう小事件を
警察にお願いしましたところ、三年ほどやってくれませんで、三年たってやっていただきましたら有罪になったということで、大変にプロ的な悪い横領犯を、詐欺犯を検挙していただいたということがあるわけであります。
それから、ただいま
公安委員長がおっしゃいましたように、相談官を一人署に置いたからこの問題が解決するということではないと思うんです。私はぜひここで
指摘しておきたいのは、例えば
警察署長とか
警察本部長のドアが市民に開かれているかということです。私
どもが
警察署へ入っていっても次長がブロックして
署長になるべく会わせない。あるいは、
警察本部長に会うということは普通の方にとっては不可能に近いようなことで、電話も取り次がないというのが実情ではないか、全国共通の実情ではないかというふうに思います。
私の町で、ある町長が当選しましたら町長室から出て受付のところに机を持っていって座って、町民のことは何でも聞きますということをする町長さんが出たんですが、これはちょっとやり過ぎかなというふうにも思いますけれ
ども、やっぱり市民が困ったことについて
警察署長や
警察本部長が門戸を開く、ドアはいつも開かれているということでないと、一人の
指導官に押しつけてみても相談員に押しつけてみても、夜は徘回老人が出たから捜してくれ、昼は詐欺の相談がある、何か防犯の相談がある、こんなもの一人でできるわけないわけですよね。したがって、全署員が、
警察官が防犯相談員といいますか困り
事相談員であるということでなければ到底この問題は解決しない。形だけつくってもだめであろうというふうに私は思うわけであります。
それから、時間が限られておりますので次に行くわけですが、それから
警察の仕事について、いろんな不祥事が起きますと
警察が聖人君子であることを要求するような錯覚が一部にあるんですけれ
ども、
警察官というのはもともと悪の世界を退治するためにいるわけですから、半分悪の世界に足を突っ込んでいないと悪が退治できないわけです。
私が
警察本部長をやっておりますときに、
県警の機関誌に毎号、今月は名刑事、各部署の名刑事を十人集める、次は交通係、次は警ら係というふうに集めまして、対談というか座談会をいたしまして、その結果を機関誌に載せて、上下の意思疎通を少しでも図ろうというふうにしていたわけですけれ
ども、そのとき、ある刑事が、私は風俗店によく出入りしています、その女性から情報を得ておりますと。風俗店に行って、そこに悪いことをやった人が息抜きに来る、女性に何でも話をする、その女性から情報を得て検挙の材料にしているんだというようなことを堂々と言う刑事さんがいまして、なるほどなと思ったわけであります。
ただ、昨今表になる事故は、そんなすばらしいことで泥だらけになったという事故ならいいんですけれ
ども、ちょっと次元が違う、程度の低い事故がありますのであれですけれ
ども、
警察の仕事はそもそもそういうものであるということは認識していただきたいというふうに思います。
それから、上級幹部といいますかいわゆるキャリアの教育の問題なんですが、やはり真剣勝負で鍛えるということが必要なんですね。
週刊誌によりますと、いろんな記事がありますが、神奈川
県警で昔、一九九二年七月、指名手配中の容疑者を二十五人の捜査員が取り囲んだのだが容疑者がけん銃を発砲、捜査員二人と主婦が被弾、捜査員の一人は死亡していると。この事件は、実は東京から任命されていったキャリアが
課長補佐をしていて、この人が指揮をとったと。以後、もう神奈川
県警においてはそういう
立場の人を信用しなくなったということが、この久保なんとかさんの、文芸春秋にも書いてありますのでそういうこともあったのかなと思いますが、こういう中途半端の、責任のあるところに素人を入れて鍛えるんではなくて、やっぱり初期の段階に鍛えないといかぬ。
私も自慢話をするわけではありませんが、私のころは全国で大阪府警だけが警らの係長のポストを一つあけておいて、半年は一人だけでやれというふうなことを私自身経験しまして、そのとき、やっぱり昇任試験が免除されている者の責任、一生かかっても巡査
部長になれない人がたくさんごろごろといいますか、たくさんおる中でなぜ
自分が幹部になっていけるんだろうかというふうな自問自答もそういう環境にあって初めていたしましたし、それから、
警察というのは上意下達の、命令がもうぼんぼん、ごみためのように上からどんどん流れてきて、下の方は全く意見が言えないというふうな組織だなというようなことも認識しましたり、それから、下の実情は上の方には伝わらない、また、したがって、ここが実態でも、各級幹部を伝って
本部長のところに行ったら、
本部長がここだと思って指示したら実は実情がここであるというようなことがある職場だなというふうなことも
感じたわけです。
したがいまして、この上級職の幹部の教育については、
警察庁も今後、
国家公安委員会としても考えると思いますけれ
ども、これらについて今どういうことをお考えなのか。また
人事院にもひとつ御意見をお聞かせいただきたい。
国家公安委員長あるいは
警察庁、また
人事院に
お話をお聞かせいただきたいと思います。