運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-03-24 第147回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月二十四日(金曜日)    午前十時三十七分開会     ─────────────    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任         山下 芳生君     畑野 君枝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         但馬 久美君     理 事                 太田 豊秋君                 三浦 一水君                 江本 孟紀君                 加藤 修一君     委 員                 市川 一朗君                 加納 時男君                 鹿熊 安正君                 景山俊太郎君                 鈴木 正孝君                 田村 公平君                 森山  裕君                 小山 峰男君                 高嶋 良充君                 本岡 昭次君                 大沢 辰美君                 畑野 君枝君                 梶原 敬義君                 鶴保 庸介君                 岩本 荘太君    衆議院議員        災害対策特別委        員長       岡島 正之君    国務大臣        国務大臣        (国土庁長官)  中山 正暉君    政務次官        建設政務次官   加藤 卓二君        国土政務次官   増田 敏男君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        科学技術庁研究        開発局長     池田  要君        科学技術庁原子        力安全局長    間宮  馨君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        国土庁防災局長  生田 長人君        厚生省社会・援        護局保護課長   宇野  裕君        水産庁長官    中須 勇雄君        水産庁漁政部長  小林 芳雄君        資源エネルギー        庁長官      河野 博文君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        藤冨 正晴君        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        海上保安庁次長  長光 正純君        建設大臣官房長  小川 忠男君        建設省住宅局長  那珂  正君        消防庁長官    鈴木 正明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (地震防災情報システム整備に関する件)  (原子力災害対策に関する件)  (被災者支援対策に関する件)  (油汚染事件における情報管理に関する件)  (阪神淡路大震災復興対策に関する件)  (活断層調査に関する件)  (消防施設整備に関する件)  (海岸保全施設整備に関する件) 〇地震防災対策強化地域における地震対策緊急整  備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法  律の一部を改正する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 但馬久美

    委員長但馬久美君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十三日、山下芳生さんが委員を辞任され、その補欠として畑野君枝さんが選任されました。     ─────────────
  3. 但馬久美

  4. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 加納時男

    加納時男君 おはようございます。加納時男でございます。  阪神淡路大震災から五年たちました。この間、災害復旧とか地震対策で種々の対策が講じられてきたところでございます。その一つDIS、ディザスター・インフォメーション・システム地震防災情報システムというんでしょうか、があるというふうに承っております。まず、このねらいについて伺いたいと思います。
  7. 増田敏男

    政務次官増田敏男君) 加納先生お尋ねにお答えを申し上げます。  地震防災情報システムDISは、阪神淡路大震災の経験を踏まえまして、政府初動対応迅速化など震災対策充実強化を図るため、地理情報システムを用いたシステム整備を推進しているところであります。  DISのうち、地震発生直後の情報が限られた状況下で大まかな被害規模推計し、政府初動対応迅速化に資することを目的とした地震被害早期評価システムEESについては平成八年四月から二十四時間体制運用しているところであります。  そこで、国の災害対策本部等における緊急輸送など各種応急対策計画の策定を総合的にバックアップすることを目的とした応急対策支援システムについては、現在整備を推進しているところであります。
  8. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  今お話しのように、限られた情報下で大まかな推計をすると政務次官はおっしゃいましたけれども、そういうねらいがまずEESにあると思います。  先日、実は私は国土庁三階の防災対策本部を見学させていただきました。そこでは震度計、気象庁だけじゃなくて自治体からも震度計をずっとつなげまして、それから次官が今おっしゃったGIS地理情報システム、それから建物がどの程度古いのかとかいろんなデータが入っておりまして、発災と言っておりますが、地震が発生してから三十分で大まかな推計、どのぐらいの建物が壊れる、言葉はよくないんですが、何人の犠牲者が出るというところまで大まかな推計をしているというふうに拝見しまして、非常に進んだなと感銘したところでございます。  ところで、そのEESでございますが、これまでに実際に動かした例がございますか。実際に震度七クラスの地震があったように私は記憶しておりますが、いかがでしょうか。それからまた、このシステムはどの辺までリンクしているのか、その辺も伺いたいと思います。
  9. 生田長人

    政府参考人生田長人君) お答え申し上げます。  現在、EESにつきましては、震度四以上の地震につきまして自動的に被害推計を出すということになっておりますけれども、運用を開始いたしました平成八年四月から現在までに百二十三回の運用といいましょうか、動かしております。そのうち震度五強の地震が四回ございまして、震度六弱の地震が二回ございましたけれども、いずれも初動体制を発動する上で大変効果があったというふうに考えております。  それから、二つ目ネットワーク化の問題でございますが、今防災関係機関災害発生時に応急対応する上で大変重要なことは先生御指摘のとおりでございまして、一生懸命ネットワーク化を進めておりますが、現在までには官邸と五つの省庁につきましてネットワーク化を完了してございます。来年度、十二年度におきましては、六省庁につきましてネットワーク化を進めたいというふうに考えているところでございます。
  10. 加納時男

    加納時男君 これは非常にネットワーク化が大事だと思います。官邸等とは既に結んでいるということでありますが、例えばライフラインであるとか医療施設だとか、これからもさらにネットワークを進めていってほしいと思います。また、そういったライフラインを持っている例えばガス会社とか電力会社、水道もそうですけれども、こういったところのGISとまた連携していく、そちらからただ情報をよこせじゃなくて、そちらにも情報を渡すということで、まさに国民的な課題でございますから、震災対策ネットワーク情報化をぜひ進めていただきたいと思います。  一週間前ですか、三月十七日の東京新聞を見ておりましたら、東京から銀座の顔が消えるというのが載っていました。何かというと、交詢社という建物があります。これは昭和四年、私が生まれるずっと前なんですけれども、ずっと前かどうかわからない、大分前なんですが、一九二九年にできた築後七十一年の東京を代表する立派な建物でございます。これがなくなるということなんです。  その原因は、実はこの震災対策関係があります。交詢社ができたときには、当時の建築基準法は、市街地建築物法というものがあったらしいのですが、これに準拠してつくった。けれども、その後どんどん知見がふえてきて、建築基準法昭和五十年代ですか大幅に改正しました。阪神大震災があったので、その後古い建物をどうするのかと。建築物耐震改修促進に関する法律というのがたしか出まして、その結果、古い建物診断しようと。ただし、これを義務づけるのじゃなくて努力義務というふうに私は読んだんですけれども、努力義務ということで交詢社診断をしてもらいました、大崎研究室に頼んだらしいんですが。なぜ私がよく知っているのかというと、実は私は交詢社メンバーでございますので、自分メンバーのところ、お金を出したものが壊れるというので調べたところこんなことがわかりました。  震災が来たならば危ない、だからどうするかということで、改修をしようとしたところ、古い建物なのですごくお金がかかる。自重だけで、どんがらだけで千トンぐらいふえちゃって、仮に改修をしても基礎がもたない可能性もあるというので壊すことになったらしいんです。  きょうは別に交詢社思い出話をするのが目的じゃないので、これはあくまでも一つの例なんですが、こういった古い建物が大都市にあって、かなり人口密集地帯にもある。となると危険だと思います。現在の法体系では努力義務というふうに私読めるんですけれども、そうなんでしょうか。努力義務でいいんでしょうか。伺いたいと思います。
  11. 加藤卓二

    政務次官加藤卓二君) 耐震改修促進についてお尋ねでございましたが、阪神淡路大震災災害にかんがみて、現在の耐震基準施行された昭和五十六年以前の建築物について耐震診断耐震改修促進することが重要であると認識しております。このため、耐震促進法により、学校、病院事務所百貨店等の多数の者が出入りする、利用する建築物所有者に対しては耐震診断改修を行う努力義務を課すことなどにより耐震改修促進しているところでございますが、先生のおっしゃっているとおり、本当にそういうことだけではなかなか思うようにいかないところがあると思います。  立派な建物がなくなると聞いて、きょうお話ししたら、多分基礎がもたないんじゃないのと、今、先生が同じことをおっしゃっているんです。だから、建築に関心があり、そういうものに興味を持つ人たちが、古い建物がそういうことでなくならないようにするための一つの施策も考えていかなきゃいかぬなと一生懸命考えているところでございます。  さらに、平成十年度からマンションや事務所等耐震費用についても一定の補助金耐震型優良建築物等整備事業等を行っておりまして、これは少し補助を出すようになっておりますが、この補助が十二分に行き渡るように一生懸命今後とも研究、努力していきたいと思っております。
  12. 加納時男

    加納時男君 次官から大変丁寧な御説明をいただいて、よくわかりました。ありがとうございました。  こういう問題、ぜひ考えていただきたいのは、建物というのは、今おっしゃった病院にしてもデパートにしても、交詢社というのはクラブ制のところでありますが、テナントも入っています。多くの方が出入りするわけです。こういったところは確かに個人あるいは法人の所有ではありますけれども、ですから自分で努力してやるというのは私はわかりますが、一たび事故が起こったときの社会的なコストというのは非常に大きいわけです。今、加藤次官の方からこういうことについては支援策もあるよということでございますが、この支援策も含めまして、今後この問題をみんなで議論していきたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  次に、原子力防災について伺いたいと思います。  ジェー・シー・オー事故から半年たちまして、前国会で原子力災害対策特別措置法が成立いたしました。近々に政省令整備も経て施行される予定でございますけれども、これに伴いまして、防災基本計画原子力編というのがございますが、これも当然改訂されると思うわけでございますけれども、これの考え方あるいは進め方等について大臣から御所感を伺えたらと思います。
  13. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 御答弁申し上げます前に、国土庁にわざわざお越しいただきまして対策室をごらんいただいたそうで、感謝をいたしております。私も十二月三十一日の晩から国土庁に泊まり込みましたが、Y2K問題その他何も起こらなかった。そういうことで新しい年を迎えました。  先生お話しのように、原子力災害対策特別措置法は去年成立いたしておりますが、防災基本計画原子力災害対策編を至急修正する必要があるという認識を持っておりまして、具体的には計画に基づいて原子力防災対策を実施すべき対象施設の拡大、これは加工施設等でございますが、それから原子力緊急事態宣言の発出など、原子力災害対策特別措置法に基づいて実施すべき新たな事項を追加いたしたいと考えております。それから、モニタリング機能強化など、現行計画実効性を高める上で必要な基準を充実させたい、訓練の細目をはっきりさせたい、こういう気持ちでおります。そういうものを中心にいたしまして鋭意見直しの作業を行っていきたい。  現在の予定でございますが、中央防災会議に設置された防災基本計画専門委員会の意見を伺いまして、四月中に計画原案を策定し、六月の多分十六日でございますが、同法の施行前までに中央防災会議で決定をいたしたい、かように考えております。
  14. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  四月中には原案をつくりたいという力強いお言葉で、六月の法の施行に間に合うということでございました。安心いたしました。  実は、今の大臣お話の中に災害訓練とかいろいろございましたが、この法の施行に先立って、きのうの日経の夕刊を見ていましたところ、昨日、早朝から実際に国も参加した大規模総合原子力防災訓練が行われたという記事がかなり大きく載っておりました。福井県だそうでございますが、これはどのような成果があり、どんな課題が発見されたのか、発見されなかったのか、それも含めて伺いたいと思います。
  15. 藤冨正晴

    政府参考人藤冨正晴君) 御説明申し上げます。  昨日行われました訓練は、福井県が行います原子力防災訓練に通産省、科学技術庁内閣安全保障危機管理室などの事務方が参加いたしまして、国、地元自治体原子力事業者住民など約二千人の参加を得て、東京敦賀市の両地域において昨年十二月に成立いたしました原子力災害対策特別措置法枠組みに従ったシミュレーションを行いました。  今回の訓練におきまして、トラブル発生の朝五時半から午後三時の緊急事態解除までを実験いたしまして、迅速な情報連絡、それから敦賀市のきらめきみなと館オフサイトセンターに見立てまして、要員の参集などの初期動作、さらにオフサイトセンターにおいて国、自治体及び事業者が一堂に会し合同対策協議会を四回にわたり開催するなど、関係機関の連携を図りました。これらの動作が有効に機能し、全体として原子力災害対策特別措置法枠組み有効性が確認できたことが成果であったと考えております。今後、訓練実施状況を総合的に評価し、より円滑な情報連絡のあり方など、反省点及び課題を詳細に抽出することとしております。  こうした今回の訓練の結果につきましては、本年六月中旬の原子力災害対策特別措置法施行に向けて現在作業を進めております国及び自治体防災計画やマニュアルの作成に生かし、より実効性のある原子力防災対策の構築を図ってまいる所存であります。
  16. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。きのう審議官が行かれたようで、御苦労さまでした。早速の御報告ありがとうございました。  今のお話を伺っていて、いろんな点でうまくいったということなんですが、実は私も福井県は十回ぐらい行っておりますけれども、きのう想定した敦賀ですね、あそこもそうなんですが、非常に周辺道路整備されていないところが結構あります。いざ避難というときには、こんなことがあっちゃいけないんでしょうけれども、避難道路も十分あるということがまた住民の方の安心感も高めると思います。  そういうことで、国策としての原子力推進であるならば、例えば周辺道路整備していくということは考えられないだろうか。これを例えば県道だから狭いのだということになれば国道にしたり、それから公共事業費を優先的に配分するとか、いろんな工夫もあっていいと思うんですが、この辺は御検討いただけますでしょうか。
  17. 加藤卓二

    政務次官加藤卓二君) 大変大事な原子力施設周辺道路整備についてのお尋ねでございますが、原子力施設周辺道路については、地域の事情も踏まえて、従来の通常の道路事業に加えて電源立地促進対策交付金等も活用しつつ、必要な道路整備を進めているところでございます。また、平成十一年の第二次補正予算においても、避難や迂回の機能が期待される幹線道路について予算を計上するなど、対応を実施しておるところです。今後とも、地域状況を踏まえ、引き続き必要な道路整備を進めてまいる所存でございます。  このほかに電源立地法だとか電源対策勘定などがございますが、こういうものともよく相談しながら電源立地地域道路整備には十二分に注意して心がけていきたいと思っております。
  18. 加納時男

    加納時男君 あと二十秒なので、一言だけ申し上げて終わります。  おっしゃることは結構でございますが、今、電源対策勘定とかおっしゃいましたけれども、そういうものの範囲をはるかに超える話が、地域周辺道路整備ということの陳情を地域住民からいっぱい受けておりますので、ぜひそれを心にとめていただきまして、ちょうど時間でありますから終わります。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 災害対策特別委員会に対する国土庁長官所信表明に関連して、若干質問をいたします。  まず、災害対策基本姿勢ということでございますが、私はずっと大臣所信表明を読ませていただきました。大変失礼でありますが、何かこれは予算説明を私は読んでいるのかなというふうに思ったんです。というのは、基本姿勢というところに国土庁長官災害対策に対して一体どういう考え基本的に持っておられるのかということがないままずっと個別のものがここへ出てくるからであります。  私もこの委員会に長年ずっとおります。ほとんどのところで所信を伺いました。そこで出てくることは、各大臣とも次のようなことを皆おっしゃったんです。それは、我が国は各種災害が起きやすい自然条件にありと、まあそれは書いてありますが、問題はその次です。災害から国土並びに国民生命身体及び財産を保護することは国政の基本でありますということを皆きちっとおっしゃってから以下とこう行くんです。これがない施政方針というのは一体何なのか。これはわざとお抜きになったのか、それとも事務局が書かなかったのか、大臣自身にその認識がなかったのか、これは極めて大事なことなんです。国民生命財産身体を保護する、これは国の責務なんですよ。そのことを踏まえて議論ができなければこの災害対策特別委員会意味をなさない。はっきりとそのことを、所信のところで一体なぜこれがないのかということをひとつ明快にしていただきたい。  結語というところにこれは書いてある、おっしゃっていると思うんですよね。私はわかっておるんですよ、結語に書いてある。それは今から言います。何で結語なのか。結びという書き方もあるけれども、やはり最初所信の一番大事なことをきちっと書いて、以下こうですというのが普通の書き方で、初めにずっと書いて、終わりに私の考えはこれですという書き方は普通ないというふうに思って、いささか私なりに腹を立てて、一体どういうことやということを言いたかったわけであります。後ろに書いてあるからいいでしょうということであるならそれでもいいですけれどもね。
  20. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 兵庫県の御出身で、特に阪神淡路大震災のときにはいろいろな御活躍をされたこと、テレビその他で拝見をしておりました。  これは全部読んでいただきたいと思いましたので、初めはそういうお怒りをいただくかもしれませんが、結語のところに書いてあるから、ここでにっこり笑っていただこうというのが目標でございまして、結語に書いてあるということは、全部の意味はこれだと。本当はもうそんなことは言わずもがなで、国が市町村それから府県と一緒になってしっかり国民生命財産を守るというのは政治家としての大前提でございますから、ひとつ最後まで皆さんに読んでいただく、私もここで皆さん最後結語に特に力を入れて、この辺を大きな声で言ったつもりでございます。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 結語に書くか前に書くかどちらがいいかということですが、私は常識的に見て、大臣所信ですから、最も基本的なことはまず最初におっしゃって、それから以下いろいろとお述べになる方が我々にとってはわかりやすいというふうに思うんで、もし国土庁がこういう文章を書くときには、最初にきちっとこういうものを書いていただきたいという要望をしておきます。そして、大臣はそのものに、そうした基本のことに変わりはないと、これは当たり前で、変わったら困るんですが、そういうことも確認をした上で質問をさせていただきます。  まず最初に、被災者生活再建支援法附則第二条に、被災により「住宅が全半壊した世帯に対する住宅再建支援在り方については、総合的な見地から検討を行うものとし、そのために必要な措置が講ぜられるものとする。」とあり、それを受けて大臣所信にもそのことが出ております。「国土庁に設置いたしました被災者住宅再建支援在り方に関する検討委員会において、本年夏ごろを目途報告を取りまとめるべく、現在、検討が行われているところであります。」と、こう書かれてあります。このことについて若干質問します。  この検討委員会審議は夏を目途報告を取りまとめようとしていることがこの所信からは明らかになっておりますが、大臣として一体、この附則第二条に取り上げられている住宅被災者住宅再建支援の問題を基本的にどのように考えておられるのかということをお伺いしたいのであります。  というのは、これは私たち民主党も入りまして、超党派の住宅再建問題に対する議連がありまして、そこがいろいろと今議論を小委員会で煮詰めております。恐らくこの検討委員会よりも先行いたしております、内容は。そして、二千五百万署名、阪神淡路大震災直後、当時の橋本総理に国民運動的に要請した文書、署名があるんですが、それに基づいてこの事態も動いているわけでありまして、住宅再建問題も。その署名に参画した全国の知事会とか日本生活協同組合連合あるいは全労済、こうしたところも加わって、そうした署名運動を起こしたその立場から住宅再建支援の問題はいかにあればいいかということを具体的なプランを今練って政府に対して要請しようとしておるんです。議連の方は議連の方で出そうとしている。私も議連のメンバーです。そこであるとき議連で質問したんです。国土庁の方もこういう検討委員会を持ってやっている、検討委員会と我々議連との関係はいかがという質問をしました。そのときに、その議連の代表者は次のように言いました。申しわけないけれども、国土庁のその検討委員会なんぞは期待できないだろう、議連の方で責任を持って議員立法として出そうじゃないかということになって、私も納得して、それなら力を入れましょうと、こうなった。  こういう環境の中にあって、一体、国土庁検討委員会なるものはいかなることを検討し、いかなる答えを出そうとしているのか。そこに出てくるものが、今言いましたように議連が出そうとしているもの、そうした二千五百万の署名を集めたそういう団体がこういうものこそ住宅再建支援に必要だというプランを出してくる。それと、こちらの国土庁検討委員会関係、本来ならばこれは最も先行すべきものが実態的には最もおくれているんじゃないかと私は思うのであります。  そういうことを環境的にひとつ知っていただいて、国土庁長官被災者に対する住宅再建問題、この附則第二条にこれを書き上げたその経緯を踏まえて、ひとつ今のお考えをお聞かせいただきたい。
  22. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先生が当時、議員立法をしようというので政治家として大変御努力なさっている姿を私もとうとい御活動だと思って敬意を表しながら見ておりました。とにかく国民の血税をお預かりしながら対策を立てる役所でございますから、住宅再建支援策に関する考え方というのは被災者の自助努力と支援のあり方をどうバランスとるかということだと思います。  ですから、自然災害により住宅が全半壊したその世帯に対する住宅再建支援のあり方なんかにつきまして、被災者生活再建支援法附則において「総合的な見地から検討を行う」ということにいたしておりますわけでございますが、これを踏まえまして、国土庁に設置いたしました被災者住宅再建支援在り方に関する検討委員会、これは住宅再建の支援のあり方を総合的な見地からこれから検討いたしたいということで、これまで十一回の委員会をやっております。十一回の委員会を開催いたしまして、地方公共団体や各省庁からのヒアリングを行いまして、現在、被災者住宅再建支援に関する基本的な考え方、それからまた具体的な支援策のあり方などについて議論をいたしておりますが、本年夏ごろというのはやっぱり八月の概算要求、そのころになると思うのでございますが、予算関連でございますので、それを目途考え方をまとめてまいりたいと。  国土庁といたしましては、本検討委員会報告を踏まえまして、関係省庁と協力をしながら適切に対応したい。特に地震保険の改良の問題とか現物支給にかえて家賃切符を出すとか、いろんなお考え方があるようでございます。それから、公営住宅をどういうふうに方式を考えていくかとか民間家賃の助成とか、いろんなお考え方を私も伺っておりますので、それらをいろいろ検討材料にしながら、いつ起こるかわからないことでございますし、まだまだ神戸で被災された方々の完全なお立ち直りというところまでいっておりませんようでございますから、今まで国の費用としては五兆二百億円を投入しております。これは全国の皆さんに御理解をいただいて対応したことでございますので、万全とはいかないかもわかりませんが、現在の最良と私ども思っておりますことも、より最良のものに変えていきたい、こんな感覚でおります。
  23. 本岡昭次

    本岡昭次君 住宅再建を国が支援するという、今までは個人のものは個人で、私有財産制のもとだからみずからの私有財産に係るものは自分で再建しなさいというこの基本形態から一歩踏み込んでいこうという努力は私は認めます。そして、今おっしゃったように、夏というのは概算要求というものに関連しているんだ、予算要求というものもあるだろうとおっしゃっていることは前向きの姿勢として私は評価します。しかし、今おっしゃったようなレベルのものが出てくるとすれば何かがっかりというふうな感じがしないでもないわけでありまして、もう一方、今言いましたように議連とかそういう運動体のところが出してくるプランというのはもう少し積極的な前向きなものであります。  今、大臣国民の大切な税金を預かっている役所としてという前置きがありました。確かにそうでありますけれども、そこのところはお互いに安全システムをつくっていくという共通理解をしながら、そういう住宅再建に対して公的な資金を、支援をどれだけできるのかということは、私は国土庁としても大胆に踏み込んでいくことが必要ではないかということをここで申し上げ、そして議連なり民間の出てきたその内容の問題も、恐らく国会で論議をするときに、もう国土庁が出したものは金科玉条、それしかないんだということにならないようにやっていただきたいということを、きょうは要望にとどめておきます。  それから次に、被災者生活再建支援法ができまして、これが現に今適用をされておりまして、その適用のあり方から生活再建支援法も今のままでいいのかという問題がかなり起こってきております。このことは、私は阪神淡路大震災の今の被災者にどうこうということを言っているんじゃないんです。これから起こってくる災害に対して一つ一つ適用しながら、そこに問題が起こればそれは改善をしてよりよいものに押し上げていくという一つシステムのようなものが必要であろうと考えるからなのであります。だからこそこういう委員会の中でそうした実態を具体的に検証して、そして今ある法律をよりよいものにしていくということをぜひやりたいと思います。  そこで、被災者生活再建支援法の適用を平成十一年の四月五日から受けているんですが、愛知、岩手、広島、山口、福岡、熊本等で七十一市町村がこの支援金の対象になりました。  そこで、こういう資料もあるわけです。全壊したという世帯が四百二十八世帯、その中でいわゆる百万円、七十五万円あるいは五十万円、こういう三つのいろんな状況によってお金が出ますが、そういう全壊という状態ながら支給された世帯が二百四十三世帯、パーセントでいくと五六・八%。逆に言うと、四三・二%は全壊したけれども被災者生活再建支援金の支給を受けていないということを私の持っている資料は言いあらわしていると思います。一つ法律があって、全壊したといいながらいろいろな制約によって四〇%近い世帯が支給の対象にならない。この法律は果たして法としての公正公平という観点から本当に被災者の生活再建ということについての法律たり得るのかというふうに私は考えます。  一体なぜこういうことになるのか。これははっきり言いまして所得制限であります。所得制限であります。収入の合計が五百万円以下の世帯で支援金百万円。収入合計が五百万円を超え八百万円以下である世帯であって、その世帯主の年齢が六十歳以上であるものまたは総理府令で定める要援護世帯であるもので支援金五十万円。しかも、その百万円も複数世帯で百万円であって、単身であれば七十五万円であります。金額の問題は後で議論しますが、百万円、七十五万円、五十万円というこの金額をもらえないというのは、今言う所得制限にあるということ、果たしてこの所得制限が妥当なのかどうなのかということであります。  そこで、物の考え方の一つとして、要するにこれは福祉政策というふうにやっておられるなら、所得の低い人、高齢者ということでそれなりの妥当性があるでしょう。しかし、これは福祉政策じゃなしに、国民生命財産を守るというそうした基本的な国の責務に基づいて、自分の責任でない自然災害によって生活の拠点である家が全壊するということに対して、国がその生活を再建するために頑張れと激励の意味も込めて国民の大切な税金をそこに投入していく、要するに共生、助け合い、そういうものであるべきだと思うんです。恵まれない人、生活困窮者に支援するということではないはずです、この法律の趣旨は。とすれば、やはり所得の制限というところに基本的に問題がある。  そこで私は提案したいんですが、やはりこれは一千万というレベルの所得に引き上げていくということをやらなければ、これからまた梅雨の時期に入ってどんどん風水害が起こって、そして一市町村十件以上、県レベルで百件以上の災害救助法の適用を受ける災害が出てきたときに、また所得で隣の家はもらったけれどもこっちはもらえないというようなことが、それは零コンマ何%とかいう割合で出てくるならいいけれども、四割、五割という形で出てくるというのは私はどうしてもまずいというふうに思うんです。  一千万まで引き上げますと、全世帯の年間平均収入は七百五十五万というふうに統計で出ているのであります。少なくともこの全世帯の年間収入平均を上回る、そして全体の七割から八割をカバーするというふうな金額でもってこの法律基本を定めるべきだと、私はこう考えます。だから、私は、そういう意味でのこの法律改正を、こんなのは政府が出さないかぬものを政府が出さへんから議員立法で成立したものですよ。だから、我々は議員立法という立場でそこのところの問題も解明したい、こう思っておるんですが、私の言っていることに長官、無理がありますか。
  24. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 先生の言っていらっしゃることは本当に政治家としては無理がないとは思いますが、役所の一番責任者としておりますと、そうはいってもなかなか大変だなと。打ち出の小づちでも持っていればいいのでございますが、それがない。六百四十五兆円のいわゆる公債発行残高、地方もなかなか大変、その中で財政再建をどうするんだといういろいろな議論をする中で、現在行い得る最良の方式というのは一体何だろうかというところが、私は国民皆さんに納めていただいている税金を災害が起こったときにその方にどういうふうに心のいやしそれから立ち直りに使っていただくかというのは、これは大事な大事な問題だと思います。  今、先生、二百四十三件という御指摘がございましたが、これは二百五十七件になっておりまして、今申請期間中でございますから、これでまだとまりません。  だけれども、恐縮でございますけれども、被災者生活再建支援法というのは、自然災害から生活基盤に著しい被害を受けた方々で経済的な理由等によって自力による生活を再建することが困難な人、これが原則でございまして、自立した生活の開始を支援することを目的としておりまして、この目的を踏まえて、世帯の収入、世帯主の年齢、それから要援護世帯かどうかをこの対象世帯の要件と定めております。法律でそうなっておりますので、現在の収入要件を前提とすると我が国の全世帯の約五割がこの要件に該当しておりまして、適用範囲が特に狭いということにはなっていないものと考えております。いずれにいたしましても、制度の趣旨とか財源の確保等の問題もございますので、御指摘の点については慎重な検討をしなければならない。  収入制限を一千万円以下にした場合には全世帯、日本じゅうの八割の人が対象になってしまいますので、これは一体どういうことだろうと。気持ちとしては、先生がおっしゃったように、災害を受けられた人にそのときばっと本当にサンタクロースのようなことができればこれはまた一番適切だなと思いますが、その袋の中身というのはどなたからお預かりしているかといったら、これは国民から預かっておりますので、おのずからその辺に、皆さんに御納得をいただく、議会の先生方にも御納得をいただく、委員会先生方にも御承知いただくような対応しか今のところは、これはないそでは振れないと申しますか、そんな形になっておると思います。
  25. 本岡昭次

    本岡昭次君 これはまた議員立法で改正案を出した中で議論をさせていただくことにします。  それで、今おっしゃったように、サンタクロースのように気前よく上げられたらいいんですがというお話がありました。私は、国民が一生懸命働いて納めた税金を預かっているという立場から、当然そういう慎重な配慮は必要だと思います。しかし、私が言いましたように、安心システムをつくっていくという基本的な命題が一つあると思うんです。  それと、私は最初なぜ前にあるのと後ろにあるのと違うかと、ばかみたいなことを言うなと思われたかもしれませんが、私の気持ちとしては、やはり国民生命財産身体の保護、それをやるのが国の責務だと書いてある国の責務とは何かということなんですよ。国の責務と言う以上、自分の責任でない状態で起こった事柄に対して、やはり国がその生活を再建するということ、生活基盤を回復することに対して可能な限りの支援をするということでなければ国の責務ということと結びつかないというふうに思うんです。  そして、今一番大事なのは、私は、こういう自然災害等の起こった後の状況というのは、復興というけれども、何を復興させるのかというと、信頼の復興というのが最も大事だと思うんです。政治に対する信頼、政府に対する信頼、一番厳しい状態にだっと追い込まれた人に対してどうするかと。ところが、私の被災地の神戸を見ても、あなたがおっしゃったように五兆円からのお金をつぎ込んだと、私の見る限りかなりなことをやったと。だけれども、政治に対する信頼、政府に対する信頼が回復したかというと、しないんですよ。これはなぜかという問題があるんですよね。そこのところを政府がしっかり考えなければ、それこそ国民から預かったお金をむだに使ったという、使い方によるんですよ。  だから、一人一人の被災者が生活基盤を回復し、自立し、そして税金を納められるような状態に自分の生活をもとに戻していくということを一日も早めていくことこそが私は復興の一番大事な、そしてそこに初めて政治への信頼も生まれてくる、こう思うんです。だから、その問題も、生活基盤回復のために今のシステムの中の所得制限が妥当かどうかというところをぜひとも国土庁としてお考えいただきたいということを強く申し上げておきます。  それから次に、百万円という金額ですが、これも国民の税金だというところから話が来るようになります。しかし、私は別の論議があると思う。というのは、あくまで現物主義なんです。国民生命財産を守る国の責務とは何かというと、みんな現物なんですよ。お金は渡さぬというのは国民不信です。お金を渡したら、酒を飲んでしもうたら終わってまうやないかと。そんなことをされてこんな大事な税金をというふうなところが出てくる。それは酒を飲んだりそれをばくちに使ったりパチンコに使ってしまったら、何のためにお金を渡したんやということの論理は確かに出てきます。だからといって、百万円のお金を渡して、それで買う物を指定して、冷蔵庫とか洗濯機とかと物を指定して、そして買った物の領収書を持ってこいというふうなこのやり方、あくまで現物主義なんですよ。  災害救助法の中の修理というのもそうなんです。修理するのに四十万円のお金を渡しますというのは、四十万円を渡すのじゃないんです。キッチンを直しなさい、それで工務店がキッチンを直したということがはっきりしてからそのお金をキッチン用に渡す、こういう仕組みなんです。全部現物主義なんですよ。  片方は福祉という立場で持ってくる、こっちはお金じゃなくて現物という形で持ってくるという発想があるから金額の問題というものが低く低く抑えられるという現状にある、私はこう思うんです。それは現物主義というのも一つ考え方でしょう。私は一〇〇%否定しません。だけれども、被災された方が生活基盤を回復して自立への道を歩んでいくというときに、国から渡すお金は冷蔵庫ですよ、電気洗濯機ですよ、炊飯器ですよ、何々ですよといって物を指定して、しかもその金額。そうしたら、何ですか、私は五十万円の冷蔵庫を買おうという人と十万円の冷蔵庫を買おうとしたら一体それはどうなるのかというふうな事柄まで、一々五十万円はあなた高過ぎると言うのか。そんなことまでなぜ政府が、役所が一々構わなければならぬのかという、ここのところを、今、大臣も首をかしげられました。  だから、その現物主義を何とか打ち破って、そして金額を積み上げていくということがなければ本当の意味の生活回復の支援ということにはならぬ、こう思いますが、いかがですか。
  26. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 今の後の部分から申し上げますと、ラジオ、テレビ、電話機、自転車、寝具、鏡台、照明器具、食器戸棚、食堂セット、座卓、たんす、扇風機、電気アイロン、ミシン、電気洗濯機、電気掃除機、電気冷蔵庫、ガステーブル類、電子レンジ、自動炊飯器、これは領収書は要りません。
  27. 本岡昭次

    本岡昭次君 要らぬの。
  28. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) はい。これは領収書は要りませんから、御安心いただきたいと思います。  領収書の要るものというのは、ストーブ──石油ストーブ、電気ストーブ、ガスストーブ、それから電気カーペット、防寒服、ルームエアコン、ベビーベッド、乳母車、学生服、学習机、眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器、その他内閣総理大臣が必要と認めた医療用器具または福祉用具。ですが、地域差とか事情の問題もあるようでございます。  とにかく被災者生活再建支援法では支援金の支給上限額を百万円といたしております。最高は百五十万まで行けるようでございますけれども……
  29. 本岡昭次

    本岡昭次君 行っていない。それは神戸だけだ。
  30. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 訂正いたします。上限額百万円までといたしておりますけれども、本制度を創設する前に実施されていた阪神淡路大震災被災者に対する生活再建支援金制度等の支援措置を視野に入れまして、全国知事会の御要望とかそういうものを基礎にいたしまして、被災者の自立した生活に必要な金額として定めたものでございます。  それから、支給額の増額については、制度の創設の際の経緯、それから財源の確保等の問題もございまして、慎重な検討を要するということは先ほどから申し上げておるところでございますが、支援法で、支援金は自立した生活を開始するために必要な経費として政令で定められておりますので、そのために引っ越しの費用とかおおむねすべての世帯が保有している耐久消費財、先ほど申し上げましたような物の購入経費、それから医療費、こういうものに限られているということになっております。これらのメニューの中から被災者が必要な物品等を選択していただく。  何かひもつきのような感じがしてお気に召さないかもわかりませんが、やっぱり政府も税金をちょうだいしている方々に対する責任というものは、こういうものに使っておりますと。先生が例示なさいましたが、ばくちとかそんなものに使われても困りますので、効果があるような、費用対効果というのが最大の問題になっておりますが、公共投資だけではなくて、こういうものも費用対効果というものが確実になるようにいたしたいと思っております。
  31. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう時間が来ましたから、最後に、失礼ですが、中山大臣も生活再建支援法のことについては詳細にまだまだおわかりになっていないように思います。  それで、これは議員立法とはいえ非常に大事な法律だと、こっちは議員立法でつくって政令は国土庁でつくったということで、それでは法律をつくった私たちの意思と政令をつくった国土庁の意思が果たして一致しておったのかという点もありますし、これはぜひとも、五年後に検討しようという衆議院での附帯決議もございますが、五年を待たずに、今起こっていることの中で問題があれば、やはりそれを一つ一つよりよいものに改善していく。例えば死亡弔慰金でも、初め五十万円でスタートしたものが今五百万円になっておるんです。それで障害者にもお金が出る、貸付金とか。  やはりこれは災害が起こるたびに、そこで起こったことを教訓にして一つ一つ手直しをしていって、よりよいものに仕上げていくということをぜひこの生活再建支援法にも組み入れてやっていただきたいということを強く要望しておきます。
  32. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  私は、油防除対策と沿岸線の環境脆弱性指標のマップ、これについて質問したいと思います。  まず最初に、サハリン2の概要について答弁していただきたいんですけれども、運輸省にはナホトカ号事故の教訓を踏まえた形で説明していただきたいと思います。あと、通産省には、九九年九月の事故発生の問題、さらに海洋汚染の危険性、開発の将来展開を含めて御答弁をお願いしたいと思います。
  33. 河野博文

    政府参考人河野博文君) いわゆるサハリン2プロジェクトについて御説明をさせていただきます。  サハリン2石油・天然ガス開発プロジェクトは、これは米国企業が中心になっておりますが、日欧の企業も出資をしておりまして、事業実施主体となるサハリン・エナジー社が既に設立をされております。サハリン島北東部沖合におきまして事業が進められているところでございます。昨年の七月から流氷のない夏場、これは六月から十一月ごろまでだけでございますが、暫定的な形での原油生産を開始したという状況にございます。  今後、原油と天然ガスを輸送するためサハリン島南部までのパイプラインと積み出し施設を整備しまして、二〇〇四年から原油の通年生産を行う、また二〇〇五年からは天然ガスの生産を開始いたしまして、LNGの形で輸出を行うという予定だと承知をしております。  昨年の九月の油漏れ事故についても御報告申し上げてよろしいでしょうか。  実は、昨年九月二十八日の未明でございますが、サハリン2プロジェクトにおきまして生産された原油を一時貯蔵いたします設備を固定するための係留索が切れまして、生産設備から貯蔵設備へ送油をいたしますホースの切断が起こりそうになったということで、それを避けるための安全装置が働きまして、その際に原油が一部漏出したということでございます。これは、ホースが分離する際に、ホース口自身は遮断されたわけですけれども、二バレル程度の原油が流出したということでございます。  そこで、流出した原油でございますけれども、現場に待機しておりました操業会社の、先ほど御紹介したサハリン・エナジー社でございますが、保有しております油回収船でこの二バレルのうちの約一バレルは回収をいたしました。残りは自然蒸発したのではないかというふうに報告を受けておりますが、本件による自然環境等への影響は現在まで報告を受けておりません。  私ども通産省といたしましては、この事故発生に際しまして、操業会社に出資をしております日本の企業、これは三井物産と三菱商事でございますが、ここを通じまして事故状況あるいは油回収作業状況等について報告を受け、海上保安庁等関係者に連絡をしたところでございます。
  34. 羽生次郎

    政府参考人羽生次郎君) ナホトカ号の教訓について簡単にお答えいたします。  平成九年に起きた事故でございますが、約六千キロリットルの原油が流出いたしました。  この値に対して教訓は主に三つございます。一つは、事故の未然防止策として、今までのような旗国、フラッグカントリーがこれを取り締まるのから外国船舶を自分の港でコントロールするという取り締まりの強化でございます。もう一つは、ひしゃくですくっているのがテレビに出ていた画面に代表されますように、防除資機材の十分な整備と開発でございます。特に、荒天下において高粘度油にどう対応するかという問題でございます。第三番目は国際協力でございまして、いろいろな情報あるいは機材の相互の融通等、これを閉鎖海域であるこの辺では実施しなければならない。この三点でございます。  これに従いまして、運輸省といたしましては、取り締まりの強化を行うために外国船舶の監督官五十八名を日本の各地に派遣しております。  さらに、油防除資機材の開発として、大型油回収装置、荒天下でも働く装置を三基配備するとともに、高粘度油に対応する油回収装置を各海上保安庁管区に置いております。さらに、大型油回収船を二隻、一隻は本年十月に竣工する予定でございまして、北九州に置く予定でございます。もう一隻は新潟に平成十四年に配備する予定でございます。  さらに、国連環境計画、UNEPが提唱しています地域海行動計画一つであります北西太平洋地域海行動計画、日本、中国、韓国、ロシアが関係国になりますこの計画、これを本年中にも実現すべく関係国で話し合っておりまして、恐らく本年秋にこれについて成案を得ると考えております。その場合、その本部を日本の富山に誘致することを考えております。  以上でございます。
  35. 加藤修一

    加藤修一君 きょうは十五分しか時間がございませんので、できればもう少し手短にお願いしたいと思います。  それで、こういう問題については事前の対策あるいは事後の対策、大きく言えば両方あると思うんですけれども、きょうは事後の対策について教えてほしいということも含めて質問したいわけです。  油流出事故防除に関していろいろなマップ、例えば環境脆弱性指標、そういったものを用いたマップがつくられているわけですけれども、各省庁でそれなりに取り組んでいるというふうに聞いております。例えば運輸省、水産庁、環境庁、海上保安庁、それぞれ手短に、手短にお願いいたします。
  36. 長光正純

    政府参考人長光正純君) それでは、手短にということでございます。  私ども海上保安庁で取り組んでおりますESIの関連でございますけれども、油流出事故発生時に必要となります油防除資機材の配備状況でありますとか防災情報、社会情報、自然情報、こういったものをデータベース化する沿岸海域環境保全情報整備、これを平成九年度から開始しておりまして、これらの情報とさらには事故発生時の油の拡散あるいは漂流予測結果を合わせまして電子画面上に表示できるシステム、これを平成十一年度から既に運用を開始しているところでございます。このシステムは、特に油防除対策に対し重点を置いたものとなっております。  なお、運輸省所管の社団法人であります日本海難防止協会では、沿岸域環境保全リスクマップ、これを平成五年度以降順次地域別に整備してきているところでございます。
  37. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 水産庁におきましても情報マップの整備を進めております。平成九年から開始いたしまして、各海域ごとに、平成十三年にはすべての海域についてマップを作成したいという予定でございますが、水産海域につきましては漁業への影響を最小限にするという観点でございますので、例えば藻場、干潟あるいは産卵場、繁殖保護水面、その海域の漁業の状況といったことにつきまして今整理を進めているところでございます。  以上でございます。
  38. 遠藤保雄

    政府参考人遠藤保雄君) 環境庁におきましても、関連情報を都道府県を通じまして収集いたしまして、脆弱沿岸海域図を策定いたしております。そして、これを関係省庁、都道府県に記録媒体として配付しております。  その中身でございますけれども、地域別の地図上に示されました沿岸の自然環境を中心に情報を整理しまして、パーソナルコンピューターで簡便に検索表示できるように対応しております。
  39. 加藤修一

    加藤修一君 海上保安庁に聞きたいんですけれども、要するに四省庁でやっている話なんですが、縦割りでやっているような部分があると私は理解しているわけです。イニシアチブをとっているのは海上保安庁と聞いておりますけれども、データの統合可能性、きょう配付しております資料で、水産庁にもらった資料が一枚目なんですが、データの統合可能性と相互運用性の関係、それからそれに対応する形で効果的な油防除対策、そういったものがどういうふうに一対一に対応しているのか、その辺についてお願いいたします。
  40. 長光正純

    政府参考人長光正純君) データベースの関係でございますけれども、先生御指摘のとおりでありまして、これはこういった情報をいわゆる共有化してまいるということが非常に重要なポイントになるわけでございまして、私ども海上保安庁では、先ほど御説明申し上げました沿岸海域環境保全情報整備、これに当たりましては、学識経験者の方々あるいは関係省庁等から成ります沿岸海域環境保全情報整備推進委員会というものを開催いたしまして、情報を共有化するために関係省庁と連携をとりつつ進めてまいっているところでございます。  この点につきましては、今後とも関係省庁の協力を得てデータベースの充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、こういったデータベースをもとにしてのいわゆる効果的な油防除マニュアル等々をどういうふうに整備していくのか、こういう御質問かと思いますけれども、海上保安庁では、全国十六海域で作成しております排出油防除計画におきましては、こういった初動措置対応といたしまして沿岸海域環境保全情報を参考にして適切な排出油防除方針を策定するよう記載といいますか整理をしておるところでございまして、今申し上げました平成十一年度から運用を開始しております沿岸域情報管理システム、こういったものを活用しまして、事故が発生いたしました場合にはこういった情報に加え、防除活動の基本となる油の漂流状態あるいは風潮流等の自然条件等を総合的に判断して、洋上で回収することを前提に関係機関と調整しつつ具体的な防除方針を立てて実施してまいることとしているところであります。
  41. 加藤修一

    加藤修一君 答弁の中に共有化するという話がございましたけれども、私は、きょう配付した資料の一枚目の図を見てもデータの統合をやったって意味がない話になっていると思うんです。といいますのは、海岸のタイプ分け、これを環境庁は五種類に分けているんです。それから、水産庁は海岸のタイプ分けがこれも五種類、でも中身は全く違いますよ、同じ五種類でも。それから、運輸省の外郭団体である海難防止協会がやった海岸のタイプ分けは八種類ですか、こういう防除対策を統一的、標準的にやらなければいけないデータにもかかわらず、こんなふうにやって果たして効果的にやれるかどうか私は非常に疑問だと思うんです。  先ほど長官からも税金の話、赤字国債の話あるいは費用対効果の話が出てまいりましたけれども、そういった観点から考えていって、これは十全にうまくデータを使った上で、さらにそれに対して油防除対策ができるとはちょっと私は理解できないんですが、もう少し説明いただけますか。
  42. 長光正純

    政府参考人長光正純君) データベースの関係でございますけれども、先ほどお答えさせていただきました沿岸域情報管理システム、私ども運用を開始しておりますが、この中には、先ほど他省庁の方からも御説明ございましたけれども、干潟でございますとかサンゴ礁、養殖漁場、定置網、あるいは海水浴場でありますとかウミガメ産卵地、こういった自然環境情報もちょうだいしておりまして、こういったものを含めたシステムとして我々の方では事前に把握しておるという状況になっております。  こういったデータをさらに今後も関係省庁等と連携しつつ充実していく必要があろうかと思っておりますが、こういった情報をベースに、事故が発生いたしました場合にはその他の状況等を総合的に勘案して防除方針を立てることとしているところでございます。
  43. 加藤修一

    加藤修一君 要するに、マップ作成の統一的なコンセプトが明確になっていないということですよ。  一つは、環境脆弱性の定義を統一すべきだと思うんです。それから、海岸線のタイプ分けも統一しなければいけない。あるいは、データの重複が多過ぎますから、その辺についてどういうふうに効果的に作業をやるかということも当然あると思うんです。それから、ベースになっている地図の縮尺、これだって統一をしなければいけないと私は思っていますし、あるいは回収作業と脆弱性マップがどういう形で一対一に対応するか、そういった面について非常にわかりづらい。ほとんど対応していないんじゃないかと言われてもしようがない中身になっています。  きょうの資料五枚のうちの二枚目に、これはサウスカロライナの油流出に対する沿岸環境及び野生生物に関する脆弱性の関係で、ESIですか、かなり詳しくやっている話なんです。そして最後の五ページ目でございますけれども、沿岸線の状況のランキング、これは最終的に十二か十数個になっているわけですが、例えば岩場やその他コンクリート、木材、金属などでできた構造物、そういった場所については予測される油の挙動というのが当然ありまして、それに対応した形で防除作業、回収作業上の考慮事項というのがあるわけであります。その一番下の方には、例えば防除作業として洗浄は必要とされないとか満潮時に潮のかかるところは人間が接近可能で云々と、そういう形で具体的に書いているわけなんです。  ですから、私はこういった形で今後進めていくべきだと考えておりますけれども、この辺について手短に、積極的な検討を行うか行わないかという点について。
  44. 長光正純

    政府参考人長光正純君) 資料として拝見させていただいておりますけれども、先ほど申し上げました環境保全情報整備推進事業、これの成果を今後の防除方針策定に際しては十分に反映させていく方向で、さらに各省庁に御協力いただきながら勉強してまいりたいというふうに思っております。
  45. 加藤修一

    加藤修一君 それでは最後に、サハリン2の油流出事故対策計画、これの日本語訳をまず出してほしいということです。  それから、サハリン2対策関係省庁申し合わせの作業をまず急ぐということ。対応体制整備で油防除マニュアル、これは消防庁であります。それから、北海道沿岸海域排出油防除計画の改定それから防除マニュアルの作成を行うべきだと、これはともに海上保安庁であります。それから、ESIとGIS、これの作成プロジェクトチームを私はつくるべきだと思うんです、その中で当然対応体制考えなければいけないわけですけれども。それから、地域住民、NGOとの連携を明確にすること。  それから、三番目としては、プーチンがロシア大統領になると思うんですけれども、日ロ首脳会議で合意文書を交わすべきである。それから、OPRC条約へロシアを加盟させる、あるいは二国間協定をつくるべきだと。  ほかにもまだございますけれども、最後にはTAPシステムの構築を目指すべきであると。つまり、軌道分析ということなんですけれども、GIS化した沿岸環境脆弱性地図とか漂流シミュレーション、あるいは防除労力・費用シミュレーション、そういったものに対応して考えていくことが当然必要ではないかと思っていますので、どうかこの辺についてよろしくお願いいたします。  以上です。
  46. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  二月二十三日、阪神淡路大震災復興本部が五年間の法規定によって解散されました。政府は、今後、関係省庁の連絡会議において復興対策を行うこととなってしまいました。  ほとんどの震災特例措置が五年という期限切れを迎え、被災者は今、不況と震災の二重苦に悲痛な声、大震災いまだ終わらず、いまだ生活再建ならずという叫びが被災地の現実なんです。  ことし一月、神戸新聞の紙上において五年の特集の討論がありました。兵庫県知事、神戸市長らの対談でございますが、そのとき神戸新聞社の社長はこう述べています。「ハード面の素早い復旧に比べ、被災者の生活再建は本当に遅れている。この落差こそが、この国のありようを示している。阪神大震災が日本の矛盾や欠陥を象徴的に露呈させた」と指摘をしています。被災地の実態を私は的確に述べていると思いました。全くそのとおりだと思うんです。  県が行った国際総合検証においても被災者の生活再建のおくれが指摘され、その是正も提言されていますが、大臣、五年たって、六年目を迎えているわけですけれども、まず今日の現状認識についてお尋ねします。
  47. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 五年の歳月が過ぎたわけで、一九九五年、平成七年一月十七日午前五時四十六分に起こりまして、六千四百三十二名のとうとい犠牲が出たわけでございます。四万八千世帯ばかりの仮設住宅をつくりましたけれども、これもことしの一月十四日に最後の方がお立ち退きいただきました。  先ほど申しましたように、五兆二百億の国費を投入して、この間、いわゆる略奪とか暴動的なことも起こらずに、NGOの方々が大勢お入りいただいて、私は日本という優しい国を世界に証明したという思いでございますが、その陰でまだなかなか再起できない方々もいらっしゃる。物にはすべて陰がありますから、その陰の部分にどう光を当てるかというのが私はこれからの重要な問題であろうと思います。  今お話がありましたように、二月二十三日で法律の期限が切れましたので一応復興対策本部というのは看板をおろしましたが、その後、各役所の局長審議官クラスで協議会をつくりまして、また、実務者の課長の組織、幹事会をつくりまして、一応その後の今先生の御心配の面での細かい部分に入っていくような対応をいたしたいという気持ちで対応いたしております。  阪神・淡路地域におきまして、これまで政府、地元地方公共団体、地元住民等の一体となった努力で復興は着実に進展しておると思っております。多くの方々が生活再建しつつありますが、その一方で高齢かつ低所得の被災者の生活再建がおくれていることは重々承知しております。時々、マスコミあたりでもテレビでも、焦点をそこに絞っていろいろ現状を見せていただくものを私どももしょっちゅう見ておるわけでございますが、こういう方々に対しまして、これまで被災者自立支援金の支給とか、それから心のケア対策等の被災者支援策、それからまた安定した雇用の確保と。私も何度か現地を視察させていただきまして、靴の工場とかその他見てまいりました。  今後とも、地方公共団体のこうした取り組みに対しまして、私どもも必要な支援を政府としても行っていくべきだ、対応に万全を期したいと思っております。
  48. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、その一方の生活再建の実態が非常に厳しいことを述べたいと思うんです。  私たちも日本共産党として五年目の検証を行いました。特に、神戸市会議員団の皆さん調査した災害復興公営住宅調査の中で、千七十四通の回答がありまして、そこには本当に苦痛がびっしりと訴えられているんですが、その言葉の中に、余りの多さに全部紹介できませんけれども、あすからどうしようかと死にたくなる、そして、娘二人を亡くし、私は今死ぬことばかり考えていますが、それもできません、早く死んで楽になりたいなど、私は五年を経て今なおこのような声が寄せられているということ、胸が詰まります。震災のひどさの検証の大切さを改めて痛切に感じています。今、行政が、国がなすべきは、生活を再建し、真の人間復興の対策ではないかと私は思います。  その質問の第一点ですけれども、この実態から、被災者の三万一千六百四十二世帯が入居しています復興公営住宅、この入居してから五年以後の家賃補助の延長について質問したいと思います。  衆議院での藤木洋子議員の質問に対して大臣は、被災者の実態に胸が痛むと発言されています。私もそう思います。また、実態を参考にさせていただいてこれから検討したいという答弁もされています。  家賃補助の制度がなぜできたのかということは、当時の総理が、低収入の方が大変だから、これが実施されてとっても役に立ちました、そして、この制度がなければ生きられなかったとも言っています。  来年この補助が打ち切られますと、所得の一番低い被災者の方は家賃が倍になってしまうんです。神戸に次いで一番大きかった西宮の実態を今皆さんのところにお配りさせていただいたんですけれども、一の資料なんですが、この実態を見ますと、今、政府補助をしていただいて六千六百円で入居しています。これが打ち切られたら市が一般減免しましょうと、一万一千百円になります。こういう事態で倍になるんです。これでは本当に大変だと。実際の家賃が減免が市も国もなくなったら二万二千三百円になる。これは政令月収二万円ですからね、一カ月、こういう水準の方がこういう状況になる。今でも私は食事代を節約していますと言われています。これでどうして生きていけというのかと訴えられています。被災地の全体から見てもこういう低所得者の方は七割いらっしゃるんです。  現在、この制度が被災地にとって必要不可欠の制度であると私は考えますが、それをお認めになりますか。
  49. 那珂正

    政府参考人那珂正君) 御指摘の家賃低減対策特別補助の制度でございますが、これにつきましては、被災者の方々の早期の生活再建を促進するために、また被災直後におきます各地方公共団体の財政事情等をも勘案いたしまして、団地ごとに管理開始後五年間の期限の特別措置として補助を行っているものでございます。  それぞれ五年後、具体的には一番早いもので十三年六月でございますが、十三年六月以降どういうふうにするかというのは、事業主体が家賃をそれぞれ条例で決定し、あるいは減免措置についても決めているわけでございますので、生活再建の状況とか他の公営住宅入居者とのバランス等、あるいはそれぞれの財政状況等をまずそれぞれの事業主体において判断すべきものと理解しております。
  50. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 今、被災地の十市十町の中で、一市六町は自治体の独自の減免措置がないんです。ですから、二番目の資料を見ていただいたらわかりますが、これは淡路の町の一つですけれども、五千五百円の家賃、今、国の補助で家賃が安くなっています。だけれども、これがなくなったら、町の制度がないために一万六千九百円という、三倍にもなるわけです。  だから、今答弁されましたように、国の補助が継続しない場合は自治体によってはこのような減免措置を継続することが困難な場合が生じると言われているわけですから、この自治体の大変さ。だけれども、そうなると被災者の生活は本当に大変だということ。五年たったからといって私は打ち切ることはないと思いますが、大臣の答弁をいただきたいと思います。
  51. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 特別家賃低減対策補助の期限の延長についてのことでございますが、この制度は、被災直後における地元地方公共団体の財政事情等も勘案をいたしまして、特別措置として平成八年二月に総理の指示でこれを実施したわけでございます。  関係省庁が協議いたしました結果、そのときにそれを導入するということで、五年を経過してしまいましたから、期限延長の扱いにつきましては、被災者の方々の生活再建の状況先生が今お示しになりましたように、いろいろ地方で対応のできない点もございますから、他の公営住宅の入居者とのバランスとか地元地方公共団体の財政事情等も総合的に勘案しまして判断をすることにいたしております。  いずれにいたしましても、平成十三年度の予算、いわゆる単年度制度のこれが悲しいところでございますが、今こうしますということを、気持ちはわかっていただきたいと思いますが、来年度の予算対応したいということでございますので、先生の意のあるところはしっかりと受けとめておきたいと思っております。
  52. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 本当に一日も早い決断を下していただきたいと思います。  現状は、何度も繰り返しませんけれども、高齢者が五五%住んでいらっしゃるわけですから、これ以上の収入のふえる見通しがないという状況でございますので、この点を強く申し上げまして、次の質問に移ります。  次は、災害援護資金についてでございますけれども、この災害援護資金については、今五万七千人の方が最高三百五十万円、利子三%で借りています。この制度は五年据え置きで、あと五年間で払い切る十年間の制度です。早い方はこの八月から支払いが始まる方もあります。借り入れをされた業者の方は、五年たったら商売も立ち上がれると思った、だけれども、借金を抱え、生活するだけで精いっぱいで、資金の返済が困難という実態になっています。  大臣の衆議院での御答弁で、お気の毒だと思うが、法律で決められているからだめだ、あとは所管事務の市町村の判断で支払い猶予など、自治体の裁量でやっていただきたいという答弁をされています。でもこれでは、貸付原資は千三百億円あるわけですが、三分の二を国が出しているから十年間で自治体から全部返してもらえばそれでいいんだ、それでは余りにひどいと思うんです。その実態を私はつかんでいただきたいと。  私は北淡町へ行ってきたんですけれども、ここでは全盲の方が三百五十万円借りて、マッサージをしていたら返せるだろうと思ったけれども、復興住宅が遠いところに行ったためにお客さんが減ってしまって、収入が減って返せない、どうしようかという、本当に実態は百人百様の状態です。ですから、私は、厚生省の管轄になりますけれども、この支払いがどうすれば可能になるのか知恵を出していただいて、対策を練っていただきたい。  その一例の私は提案をしたいと思いますけれども、衆議院の答弁で自治体の裁量に任せるという言葉がございましたが、この裁量について、やはり自治体被災者の百人百様の実態からさまざまなことを考えようと今しています。  その中で、兵庫県には復興基金という制度がございます。この復興基金の制度は、今、ことし、来年に向けて五十七事業をやっているんですが、利子補給の事業も二十項目あるんです。ですから、例えば国として、兵庫県や各自治体が復興基金でこの災害援護資金の大変な実態の中で利子補給等を考えたならば、この事業として検討したならば、国としてはその自治体の裁量として認めますか、その点を。
  53. 生田長人

    政府参考人生田長人君) お答え申し上げます。  先生御指摘の阪神淡路大震災復興基金でございますが、これは各般の行政施策を補完するという形で、できるだけ被災地の復旧・復興対策を機動的、弾力的に進めるために兵庫県、神戸市が設置したものでございまして、国が地方財政措置を講じているところでございます。  例えば、御指摘の災害援護資金の返済に係る個人に対する利子補給等の措置を講ずることはどうか、こういう御指摘だというふうに思いますけれども、国を代表して見解を述べる立場にはございませんけれども、国土庁といたしましては、基金の行う具体的な施策につきましては基金を設置しました兵庫県、神戸市、こういうところにおきまして基金の設置趣旨を十分踏まえていただいて、地元の実情に応じて検討されていくものというぐあいに承知しております。
  54. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そうすれば、自治体の裁量においてこの有効な使い方はやれるということの認識でいいんですね。
  55. 生田長人

    政府参考人生田長人君) 再び申し上げますが、基金の設置趣旨というのが大変大事でございまして、その趣旨を踏まえて、地元の実情に応じて検討されていくものというふうに考えております。
  56. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 そしたら、自治体の裁量において検討をしていくことは可能であるという、そういう考え方を私は受けとめたいと思います。  時間の関係でもう一点お聞きしたいと思いますが、被災者生活再建支援法についてお聞きをいたします。  これは御存じのように、今も質問がありましたけれども、阪神淡路大震災が全半壊四十五万七千九百五世帯、そういう瞬時にして住宅を奪われて、住宅再建に公的支援をという叫びが国会を動かして九八年五月にこの支援法が成立しました。しかし、この支援法は、法の重点が住宅再建よりも当面の生活支援に置かれました。ですから、支給額は少なく、適用条件も厳しく、被災家庭が抱える二重ローンなどの悲劇を解消することはできませんでした。ですから、支援法成立後の全国各地での災害に適用したこの支援金制度は、先ほどもありましたけれども、この合計全半壊三千七百二十五世帯中二百五十七世帯しか、七%余りしか適用しなかったという実態です。ですから、一世帯当たり平均七十四万七千円であったようですけれども、住宅を失った方への支援としてこの制度は不十分であるということはこの数字でも明らかだと思うんです。  この間の国土庁長官の見解は、国が弔意を示すもの、そして見舞金程度のもの、こういう認識を示していました。また、前長官は、五年の見直しを待たずに前倒し改正することも言及しています。私は中山長官の支援法の認識をお聞きしたいんですけれども、時間の関係上、もう一点述べさせていただいて、最後にまとめてお願いしたいと思います。  阪神淡路大震災被災者の場合は、支援法の附帯決議によって支給されました。被災世帯数、今も申し上げましたが、四十五万世帯中十三万八千世帯の支給、わずか三〇・七%の支給にすぎませんでした。  私は本当に皆さんに現場を見ていただきたいんですが、とりあえず写真を見ていただきたいと思って持ってまいりました。(資料を示す)寅さんの映画で有名な菅原市場というのがこの仮設なんですが、この市場は昨年の十二月三十一日をもって閉鎖せざるを得ませんでした。住民が帰ってこれなかったからです。そして、須磨区や都市計画をしているところはまだ六割の仮換地ができていませんから、本当に住宅が建てられないという更地のままでございます。  こういう実態を私は見ましたら、住宅再建支援の声は一層大きく広がっています。そして、二重ローンを抱えている方は、再建マンションの方で平均二千九百四十万円です。一戸建ての方は三千百二十万円抱えています。そういう人たちに一人一人が自分の町に戻ってこられるような施策が必要だと思います。  この一月、自然災害被災者支援促進協議会が住宅再建支援制度を発表しました。その代表の一人の竹本会長は、生活基盤を失ったとき、立ち上がる勇気を与えることが国の国民への義務として政治は受けとめてほしい、住宅再建に全壊六百万、半壊二百万円を支給することを提案されました。全くそのとおりだと思います。  日本共産党も提案いたしましたけれども、このことは省略させていただいて、今、政府が行っている検討委員会の結論の方向づけ、住まいは個人の財産であるが生活基盤なのだという立場で、大臣はその住宅再建の対策をどう講じるのか、お聞きをしたいと思います。
  57. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 基本的には、本当に人の苦しみ、悲しみを理解するというのが私は政治の基本であるべきだと思っております。  そんな意味で、実務者会議を存続いたしまして継続しておりますのは、先生の御指摘のようないわゆるミクロの問題に、国というのはどうしてもマクロから物を見て、そしてミクロの世界は府県、それから自治体という三層構造になっておりますので、今のお話、私も現場を見て、その市場も私も見てまいりましたのでお気持ちはよくわかるわけでございますが、被災者生活再建支援法というのは、全国知事会等の関係者の要望も踏まえまして、六党の共同提案によりまして、平成十年の五月に成立しておりますが、平成十一年四月から制度の運用を開始いたしまして、きのうまで二百五十七世帯、先ほども御答弁いたしましたが、一億九千万円の支援金が支給されております。  ただいま御指摘がありました金額とか所得条件等から制度として不十分であるという御指摘がありましたけれども、制度の趣旨とか財源の確保の問題もございまして、現行制度を円滑かつ適切に運用して実績を積み重ねることが重要だと思っておりますが、国土庁といたしまして、これと並行して、本制度の問題点を一つ一つ検討いたしまして、必要な調査に今着手しているところでございます。  そんなことで、衆議院の災害対策特別委員会において、「この法律施行後五年を目途として、この法律施行状況を勘案し、総合的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と、こういう旨の附帯決議もあっておるわけでございます。  それからまた、住宅の問題でございますが、住宅が全半壊した世帯に対する住宅再建の支援のあり方についても、被災者生活再建支援法附則において、「総合的見地から検討を行うもの」とされているところでございますので、本検討委員会において、雲仙・普賢岳災害とか、北海道の南西、奥尻島の地震とか、それから阪神淡路大震災の教訓も踏まえまして、将来の自然災害により住宅を失った被災者に対する住宅再建支援のあり方について総合的な見地から検討を行っていきたい。そういう意味で、万全を、できるだけの最良の方式をとりたい、かように思っております。
  58. 畑野君枝

    畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  米国原子力艦船の放射能事故への災害対策について質問をいたします。  中山国土庁長官所信で、昨年の茨城県東海村の臨界事故を契機に、原子力災害対策特別措置法が成立したことに伴って、国土庁として、防災基本計画原子力災害対策編の全面的な見直し等を行うと表明されました。その点に立って伺いたいんですが、長官も御存じのように東京都、大阪府に次ぐ人口を抱えているのが神奈川県でございまして、八百四十四万人住んでおります。その神奈川県の横須賀市は人口が四十二万人でございますけれども、その横須賀港に米国原子力艦船が入港しております。一九九〇年からの十年間で年平均延べ二百五日にも及んでいるわけでございます。首都圏の玄関口の横須賀に原子炉があるような状況とも言えると思います。  それで、海外でもこうした事故があるというふうにも言われておりますけれども、事故が、災害が起きてしまったら、原因は何であれ防ぐしかない。米国原子力艦船といえども、日本で事故が発生した場合には災害対策については日本の法律に基づいて対応せざるを得ないわけでございます。  神奈川県横須賀市、それから長崎県佐世保市、沖縄県と、この三県に米国の原子力艦船が寄港しているわけですが、地元の自治体からはぜひ災害対策基本法に基づいて地域防災計画ができるようにしてほしい、こういう要望が強く出されております。今回の特別措置法では原因者の問題で船舶が除かれておりますけれども、ぜひ地元の要望にこたえていただきたい、何らかの措置をとっていただきたいと思っております。  政府も、この間、原子力推進艦船に係る事故対応について関係省庁とも協議すると前向きな自治体への回答をされておりますので、ぜひ国土庁として住民生命財産を守るためにも米国原子力艦船への災害対応体制について防災基本計画に位置づけていただきたいと思いますが、中山大臣、いかがでしょうか。
  59. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 今お話を伺いながら、私も昭和三十八年に大阪市議会に当選をしたのでございますが、その一週間後に大阪湾に対する米原子力潜水艦の寄港阻止決議案というのが出たことがありました。それからまた、私、NLP、ナイト・ランディング・プラクティスという厚木を使ってのNLPを三宅島に移そうと思って、三宅島に飛行場をつくることをやったことがあります。そのとき、レンジャーとそれからカール・ビンソンに招待をされまして、原子力空母というものがどんなふうに安全対策をしておるのかという話を聞きました。しかし、やっぱり人間のやったことでございますから、いつ何が起こるかわからないという気持ちでございます。  エンタープライズが阪神淡路大震災のときに神戸に接岸をして電力の支援をしたいと言ったときも、これはどうもうわさではお断りをしたという話を聞いております。そういう原子力の平和利用というものと安全保障の問題、いろいろ問題があると思いますけれども、それの対応に万全を期さなければいけない。  防災基本計画原子力災害対策編については、昨年の原子力災害対策特別措置法の制定に伴いましてその修正を行う必要があり、今検討を鋭意いたしておるということでございます。  米国の原子力潜水艦そのものに対して、これは米国の領土、艦船というのは米国の領土でございますから、そういうことにかんがみますと、通常の原子炉等の災害と異なりまして、事故対策そのものを防災計画の中に規定することは、これは人の領土ということになりますので困難であると思いますが、我が国の領土内に影響が及ぶ場合に備えて、住民避難、それからまた防災対策についての地域防災計画の中で対応することが大事だと思います。  安全保障というものの根底はその条約を結んでおります双方の国民の納得というものが一番大切な根底だと私は思いますので、国土庁といたしましても、防災基本計画の修正に当たりまして、関係省庁と連携を図りながら、関係地方公共団体、今お話がございましたように佐世保、横須賀、それから沖縄という三地域に限られるものだと思いますが、関係地方公共団体が原子力艦船における事故災害が発生した場合を想定して地域防災計画を策定し得る根拠等を規定することについて検討してまいるということでございます。
  60. 畑野君枝

    畑野君枝君 ぜひよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  61. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 活断層についてのみの質問になると思います。  政府は、阪神淡路大震災、野島断層のずれによりましてああいう大きな地震が発生したわけでありますが、その後の反省の上に立ちまして地震調査研究推進本部というのを設定されまして、鋭意その活断層に対する調査対策について充実強化を図っておられることにつきましては敬意を表します。  今、日本の国土に約二千の活断層があって、うち要注意の活断層が九十八あるということを聞いておりますが、この調査並びに評価の状況はどのようになっておるのか、最初お尋ねいたします。
  62. 池田要

    政府参考人池田要君) 御説明申し上げます。  先生御指摘のとおりに、阪神淡路大震災を契機にいたしまして地震防災対策特別措置法をつくっていただきました。この法律に基づきまして総理府に地震調査研究推進本部が置かれてございます、本部長は科学技術庁長官でございますが。この地震調査研究推進本部の方針のもとに、地震調査研究の柱としまして、活断層調査も含めて関係機関連携のもとに取り組んでいるところでございます。  今、先生から全国の活断層についての御指摘ございました。もともとこの活断層調査は内陸地震の発生を評価するということを目的にいたしまして、過去の活動の履歴、位置でございますとか、最近の活動の時期、ずれ、こういったものを調べることを目的にしてございます。全国に大きいものから小さいものまで約二千あるというのは御指摘のとおりでございます。  そのうち主要な四百から五百ぐらいの活断層をまとめまして、九十八の断層帯ということで調査対象としてこの調査研究推進本部が発足当初から取り組んでございます。科学技術庁では地方自治体、県あるいは政令指定都市でございますけれども、地方自治体に交付金を交付いたしまして、これら活断層調査を推進しております。このほか工業技術院地質調査所等とも連携いたしまして調査も行ってございます。そうして、調査データが整ったものにつきましては、この地震調査研究推進本部の地震調査委員会、専門家を動員しました委員会、毎月のように開かれている委員会でございますけれども、この委員会で評価を行ってございます。  これまでに、重立ったものから申し上げますと、糸魚川—静岡構造線断層帯でございますとか、神縄・国府津—松田断層帯、それから富士川河口断層帯に係ります五つの断層帯がございますけれども、既に評価を終了いたしまして、今後数百年のうちにマグニチュード八程度の規模地震が発生する可能性が高いといったような評価結果をいただき、これを公表してきているところでございます。
  63. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 おおむねそのときの調査というのは、三年ぐらいというめどを持ちながら調査を始めたのではないかと伺っておるんですが、この点が一つ。  それから、交付金については、地方自治体、県の調査については地元の負担がないのですね、その点はいかがですか。
  64. 池田要

    政府参考人池田要君) 御指摘のとおりに、これは地元の県ないし政令指定都市に交付金を使っていただくわけでございますけれども、地域によっては三年ほどかかっているところがございます。これは物理的な探査でございますとかボーリングをする、あるいは断層によりましてはトレンチといいまして溝を掘るといったような調査をするわけでございますから、広範な地域においてこういう事業をしますにはある程度時間がかかるのは事実でございます。  それからもう一つ、地元の負担について御指摘ございました。地元の負担はございません。これだけ申し上げたいと思います。
  65. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 めどですが、九十八断層帯のうちに今調査が終わって評価も終わっているというのは三つありました。九十八から三引くと、もうほとんどですな。めどとすれば、これらが全部出そろうのはいつごろと考えればいいんですか。
  66. 池田要

    政府参考人池田要君) これまでに主要九十八活断層帯のうち八十五の断層帯について既に調査に取りかかっております。そういった意味では、この九十八掲げましたものの地元との御相談が整わずにまだ調査に手がついていないところもございます。  そうした意味では、私ども既に調査を着手しておりますのが九十八のうちの八十五これまでに上っておりますから、そうした意味ではここ数年のうちには主要九十八挙げたものにつきましては何らかの格好で調査の結論を得たいと考えているところでございます。
  67. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そのおくれている理由がまだすっきりしないんですが、次に行きます。  私の地元の大分県、別府からずっと万年山に抜けての断層帯がこの中に入っていると聞いておりますが、調査状況はどのようになっておりますか。
  68. 池田要

    政府参考人池田要君) 御指摘の大分県にございます別府—万年山断層帯でございますけれども、平成十年度から科学技術庁交付金によりまして大分県が活断層調査を実施してきてございます。これまでに地形の調査ですとか地質の調査、ボーリング調査、あるいは人工地震波によります物理探査等、それにトレンチ調査も行ってございます。私の承知する限りにおきましては、十二年度においてこの断層帯の東部、特に別府湾ですとか大分市を中心に調査を行って、この十二年度で調査はほぼ終了できるというふうに伺っております。  私ども、こういう調査結果がまとまり次第、先ほど申しましたような専門家を動員しました調査推進本部でこの結果についての評価をいただくということを考えております。
  69. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 地方自治体というのは、お金は国が出してくれるわけですから、全体で八十五ぐらいが調査にかかっているという状況で、のど元過ぎれば熱さを忘れるじゃないが、阪神淡路大震災の後、何かもう忘れてきているような、スローペースになっているような気がしております。大臣、きちっとやるように決まっている以上は、もう随分時間がたち過ぎているような気がしておりますが、何らかの督促というか、地方自治体は腹は痛まぬのですから、これをもうちょっと急がせる方法はないですか。
  70. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 阪神淡路大震災の後にもメモリアルセンターというのを事業費も入れまして大体二百三十億ぐらいで計画しております。私はその中に先生の御指摘のあるような地震に対する問題、それから世界には八百ぐらいの火山がありますが、そのうちの一割が日本にございます。ですから、そういう問題も含めて、災害に大変脆弱な国土でございますから、過去の地震の記録なんかをどんどん集めたらいいんじゃないか。  特に、一五九六年に伏見桃山城が崩落をしておりまして、これが明治二年に市村座が「地震加藤」、加藤清正がおっ取り刀で太閤秀吉に蟄居を命ぜられたときなんですが、それが芝居になっております、「地震加藤」。そういう歌舞伎の芝居なんかも私は復活させて、これは文化庁長官にもお願いをしました。  すぐ忘れてしまいます。どうも人間というのは衝撃を受けたときにはそれなりの衝撃として受け取るんですが、すぐに忘れるという、忘れるから人間生きていけるのかもしれませんけれども、これだけはやっぱり忘れさせないために、特に日本列島というのは四回ぐらいぶつかってできた。吉野川中央構造帯からフォッサマグナ、木曽谷に入って新潟の沖を通って間宮海峡に抜けるのが最大の大活断層だそうでございますので、このユーラシア大陸のプレート、それからフィリピン・北米プレート、それから太平洋プレートという三つのプレートが日本の地下へ潜り込むその接点にある国土ということをもっと国民認識していただくようなメモリアルセンターでなきゃいけませんし、やたらに不安をあおってもいけませんので、その辺の兼ね合いというのが、冷静に皆さん情報を提供する、そういうメモリアルセンターとなってくれることを希望しますとともに、先生のお地元の方にもいろいろ問題があるようでございますので、二千の活断層、活発な活断層については特に留意をしてまいりたいと思っております。
  71. 池田要

    政府参考人池田要君) ちょっと事務的に補足させていただきます。  先生からはもっと急ぐように自治体を指導できないのかということがございました。例えば九州の県下におきましても、先ほど九十八と申し上げましたけれども、六つほどございます。ただ、そのうちの、これは例でございますけれども、長崎県下にも雲仙の断層帯があるわけでございますが、長崎県におきましては雲仙岳の噴火等いろいろ御苦労もされていますし、そうした意味では、当初この制度が始まりましてから、七年度から私どもからこういう御相談を持ちかけているわけでございますけれども、県の方でほかの事項、火山の問題ですとかいろいろかかっておられますとなかなかその準備が手につかないといったような事情もあろうかと思っております。  そういう意味で、私ども、全体こういうプログラムにつきましては公開しながら、各県の様子につきましても御紹介しながら自治体に対してはこういう御提案を申し上げているわけでございますし、お金は負担をかけないわけでございますけれども、どうしても人手はかかります。ある程度そういう意味では御負担をかけるわけでございますから、そうした意味で県の方で何がしか必要がある場合にはむしろ国の機関が、先ほど申しましたような工業技術院地質調査所ですとか、そうした機関が必要な調査を行うといったようなことで、必要な断層帯の調査につきましては的確に進めてまいりたいと考えております。  そういう意味では、私ども、五年ほどたつわけでございますし、御指摘のとおりに急ぎながら、国土全体がどうなっているかといったことにつきましてはそういう問題意識を持ちながら取り組みを進めてまいりたいと思っております。
  72. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう少し時間がありますから、ちょっと地元のことを言いますと、伝説ですが、別府湾に瓜生島という島があったそうですね。これが、豊臣秀吉の時代の前後に大きな地震がありまして、潮がずっと何キロも引いて、そして潮が満ちてきて島がなくなったという伝説があるんです。  また、私がじかに経験したんですが、二十何年前かに大きな地震がありまして、ちょっと山の方でしたんですが、九重レークサイドホテルという鉄筋のホテルが倒れたんです、がくっと来て。そういうように大変生々しいわけです。  これは大分県だけじゃなくて、そういうところはいっぱいあると思うんですが、この際、早くその調査だけはやって、これは建築なんかにも全部、これから家をどういうふうに建てていくかということにも関係してきますし、繰り返しますが、ぜひこれは急ぐように対策をお願いして、質問を終わりたいと思います。
  73. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 先ほど本岡委員の方からもお話がございましたが、大臣所信表明の中に国民生命身体財産を守る重要な責務を我々政府が担っておるというお話がございました。  そこで、つらつら考えますと、今、災害が起きたときに最も頼りにされるのは、初動的に頼りにされるのは消防を初めとする国家の地方組織であろうと。ただ、その組織を見ておりますと、地域の実情といいますか、例えば山がちであったりとか過疎であったりとかというような地域的あるいは経済的な実情を必ずしも反映した装備になっておらぬというような気がいたします。  そこで、そういう対応について国がどう対処されるか、そのことの視点を踏まえてきょうは議論させていただきたいというふうに思うんです。  災害対策基本法については、その第三条から第五条において国、都道府県及び市町村の責務が規定されております。国民生命身体財産災害から守るという規定でございますが、これをどう理解していいのか。災害に対する一義的責任というものは国にある、もしくは市町村にある、都道府県にある、どう考えていいのか、並列的に並んでおりますから。この辺を含めて、まず大臣にお伺いしたいと思うんです。
  74. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 御指摘の点でございますが、国、都道府県それからまた市町村それぞれに役割があると思って、それに応じまして災害から国民または住民生命身体財産を守る責務をそれぞれが有しているという感覚でおります。  災害対策基本を定める災害対策基本法及び本旨を定める地方自治法においてもそれぞれの責務が明記されております。地方自治法でも、「普通地方公共団体は、その公共事務及び法律又はこれに基く政令により普通地方公共団体に属するものの外、その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」、いろいろございまして、「市町村は、基礎的な地方公共団体として、第六項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項に例示されているような第二項の事務を処理する」、いろいろ細かいことが書いてございますが、基本的には住民に最も身近な地方公共団体、消防組織とかの整備とか自主防災活動の促進とか災害発生時の応急対策などにより、第一義的な防災活動はやっぱり市町村ということではないか。  なお、このことは災害対策における国の役割を否定するものではございません。例えば、地方公共団体が対処できないような広域にわたる大規模災害が発生した場合には国は災害対策本部等を設置して応急対策の総合調整を行う。特に自然災害国土庁でございますし、事故災害、いわゆる先ほどからありました石油の問題なんというのは通産省、しかしそれが起こった後の各省の調整は国土庁がやる、そんな形になっておりますが、そういう形で政府組織の機能をすべて挙げて対処いたします。  防災行政の責任者として、私は、関係省庁の協力を得ながら、国民のために災害対策をそういう意味で掌握する国土庁としての責任は、第一義的な地方自治体、それを受けての都道府県、それから国との関係というのは緊密に連携をとるべきものである、時間的に差があってはいけないと思っております。
  75. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 よくわかりました。  ちょっと具体的な話を先に進めさせていただきながら、また大臣に時間があればお伺いをしたいんですが、次に消防庁長官にお伺いをいたしたいと思います。  先ほどの大臣お話にございました、市町村が一義的に災害に対する責任を負う、それに対して国が責任を負わないという意味ではないという留保がついておりましたけれども、先ほども言いましたとおり、それぞれの市町村の現場で災害が起きたときに最も頼りになるのは消防ではなかろうかというふうに思います。  そこで、消防のありようを見ますと、やはり地域の格差がある。その装備等をいろいろ考えてみますと、例えば消防ポンプ車なんか、あるいはヘリコプターというようなことも含めてですけれども、基本的な消防用設備とか防災にかかわるありとあらゆる設備を見ておりますと、やはり地域の格差というのはすごくあると思う。それから、その地域の特殊性を反映したものでなければいけないような気がする。山がちなところであれば、道路が寸断されてしまえば、四輪の車を幾ら持っていってもしようがないわけでありまして、この辺について消防の方ではどのような取り組みをされておられるか、お伺いをしておきたいと思います。
  76. 鈴木正明

    政府参考人鈴木正明君) お答えいたします。  消防機関における各種消防施設設備などの整備についてでございますが、消防庁におきましては、市町村が消防活動を行う場合において必要な消防施設とか人員というものを整備する場合の指針というものを消防力の基準という形で告示でお示しいたしております。  それで、これは昭和三十六年に制定されておりまして、市町村における消防ポンプ自動車を初めとする消防施設整備の推進に大きく役立ってきたと考えておりますが、平成八年四月一日現在で申し上げますと、主な消防施設の充足状況でございますが、全国的に見ますと、消防ポンプ自動車ですと約九〇%、救急自動車だとおおむね充足されている、こういう状況でございます。  先生御指摘のように、例えばそれぞれの各県ごとで見ますと、充足状況はかなり地域によって違っております。そこで、消防力の基準におきましても、地域における人口あるいは地勢、それから建物構造などの状況に応じて消防施設整備を進めるというふうに規定をしております。  私どもの方としては、定期的に市町村における消防施設とか人員の整備状況というものを調査しておりまして、そういうことを踏まえまして、今後ともそういった調査の結果等に基づきまして計画的な整備が進められるように市町村の指導、助言に努めてまいると、こういう考え方でございます。
  77. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 手短にちょっと聞きたいんですけれども、例えばヘリコプター一機あるいは最新の消防車というんですか消防ポンプ車、これは一台幾らいたしますか。大体で結構です。
  78. 鈴木正明

    政府参考人鈴木正明君) お答えいたします。  ヘリコプターは六、七億ぐらいでございます。小型、中型いろいろありますが、そういうことでございます。それから、消防ポンプ自動車は、これもいろいろ装備の条件はありますが、二千万ぐらいでございます。
  79. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 防災という観点は、地域に格差があってはならぬものだろうと思います。国民生命身体財産と、最も基本的なものを守る、政治の本当に根源であろうと、所信表明大臣もおっしゃられたとおり。  それで、やはり六、七億もかかるヘリコプターを市町村で持てと言ってもこれは無理な話でありまして、また都道府県で持てということになってもこれはなかなかしんどいんではなかろうか。そこで国の役割というものが出てくるんだろうというふうに思うんです。  もう時間がございませんものですから、国における予算措置等において地理的条件やこういった財政力の地域間格差みたいなものの状況にどのように配慮をされておられるか聞いた上で、最後質問をさせていただきたいと思うんです。
  80. 鈴木正明

    政府参考人鈴木正明君) お答えいたします。  消防施設などに対する補助金補助率につきましては、一般的には三分の一以内というのが原則でございますが、お話しのような過疎地域とか振興山村とか離島などに関しましては、特にそれぞれの特別法などの規定によりまして補助率のかさ上げをしていまして、消防ポンプ自動車とか防火水槽などの整備については十分の五・五の補助率とする、こういったことで整備促進を図っているところでございます。  また、起債と交付税を組み合わせた形でそれぞれの市町村が災害に強い町づくり事業ができるような措置も講じておりまして、こういったことで実質的に市町村の負担の手当てをしながら整備を進めていっていると、そういうことで今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  81. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 よくわかりました。国として格差に配慮して行政をされておられるということはわかりました。  ただ、考えておりますと、第一義的に市町村が災害の責任を負うという今の御答弁の中で、それを盾にと言ったら言葉はちょっと言い過ぎかもしれませんが、そのことが一義的にあるからこそ市町村にその整備あるいは装備といったものを任せるというのは、もうこれは時代おくれになってきているのではないかという気がします。  といいますのも、先ほどちょっと通告外のことで聞かせていただいたのは、ポンプ車二千万、まあヘリコプターを市町村で持てとは言いませんけれども、これが六、七億円。これを市町村で整備しろと、幾ら補助を出すということにしても、平均的な基準、最新の設備があって、全国的に最新のものをどんどん時代の流れとともに入れていかなければいけないと私は思いますし、そういう意味においては、大臣、こういう市町村という単位に一義的に任せておってよいものか、また、それを今後どう所信の中で生かしていかれるおつもりか、所感というか、その辺のところを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  82. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 私も、阪神淡路大震災のときにすぐに大阪市の消防局へ飛んでいきましたら、東京は消防庁があるからボタンをぽんと押すと関東一円にぱっと伝達ができるけれども、大阪の場合は自治体に全部一件一件電話をかけたと、こう言うんです。抜けていて後でえらいしかられたところがあったという話をしていました。それから、私も、大阪市が今の消防用のヘリコプターを買ったときに、大阪市の市役所の上にはヘリポートがあるんですが、何とそこへおりられない、おりる許可がおりないという、臨時訓練用の着陸なんというばかなことでやったことがありました。どうも地方自治体とそういう意味での連係プレーというのはうまくいっていないなという感じがいたしました。  ですから、阪神淡路大震災のときにも、大阪から支援に行くのに一件一件電話をかけるようなことをせずに、一体的にどう対応するかというのは、私は役所に入ってからもあらゆる機会にそういうことの話をしておりますし、そういう災害に、私、先ほど時間的に差がないように、市町村と都道府県と国、この連携がありますけれども、例えば自衛隊に出動を言ったのが、朝の五時四十六分に起こったのに十時過ぎに自衛隊にぼつぼつ電話をかけたらどうですかと係長が知事に言って、それで自衛隊に言ったと。ところが、八尾飛行場にはもうビデオを撮ったやつが六時間も眠っていたというような話があります。  そういうちぐはぐなことにならないような対応をしていかないと、すぐに作動するような安全体制というのを私は確立すべきと、これが先ほど来のいわゆる災害に対する物を忘れないようにする一番の根底だと思っております。
  83. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。  本日の最後でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。  たしかこの災害対策特別委員会質疑をするのが、前回は昨年の十月二十日、熊本県の不知火町の松合地先を視察した後の集中審議だったと思います。私は、そのとき審議したことのフォローアップという意味で御質問させていただきたい、こう思っておる次第でございます。  私、現地を見まして、その後も質疑等をいたしましたんですが、どうも何か技術的な面で非常にそれぞれの技術者が自分の守備範囲を守り過ぎたというか、その点が非常に気になった点でございます。あのところも、いわゆる道路をつくった人、あるいは船だまりをつくった人、あるいは町営住宅に関与した人、それぞれ技術的な面でいろいろ検討はされていたと思うんです。したがって、それぞれの人の持っている基準であれば恐らく何の責任もなかったんでしょうけれども、現実は十一名の方ですか、亡くなったという大変な惨事になったわけで、もう少しああいう面でそれぞれ各人が少しオーバーラップしても互いにダブルチェックするような気持ちでやることがああいう災害を防げるんじゃないかというような指摘をさせていただきました。そのとき大臣は、たしか、日本の国というのはアフリカより海岸線が長いんですか、そういう日本であるから二十一世紀に向けてそういうことも十分取り組んでいかれるというお話でしたので、それは今確認ということで、これ質問ではございませんので、確認ということで申し述べさせていただきました。  私の質問は現実的な問題点でして、ああいう災害を受けた後、それでは松合地先のあそこはどう改良するのか。改良といいますか復旧するのか。復旧というよりも改良改善だと思うんですけれども、これはいろんな構造物があると思いますが、一番大きいのは漁港といいますか船だまり関係だと思いますので、その辺の復旧といいますか改善改良にどう取り組まれるのか、その点について水産庁にお伺いいたします。
  84. 中須勇雄

    政府参考人中須勇雄君) 先生御指摘のとおり、昨年九月の不知火湾奥の松合地区における大変大規模事故につきまして、私ども、早速熊本県、不知火町、水産庁等によりまして、学者にも入っていただきまして、松合漁港高潮対策検討会というものを発足させていただいております。昨年十二月に第一回目の会合を開いて、現在二回開き、いろいろ住民の方の意見を聞きながら、住民の意向を聞きながら、今お話の出ました護岸のかさ上げであるとか船だまりについての水門の設置、これをどう進めるか、こういう検討を行っているところでございます。この検討結果を踏まえて施設の整備に私ども取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
  85. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私は、あそこの災害の一番のポイントは住宅があったということだと思うんです。人が住んでおられた。普通船だまりというのは、私は専門じゃないですから詳しくはわかりませんが、船だまり程度の構造物をつくるというときは、その背後にあそこのように干拓地みたいに使われて住宅があるということはないんだろうと思うんです。そういう面から、一つは、そういう住宅、今でも住んでおられると思いますので、そういう人たちがまた台風シーズンに同じ目に遭ったら困りますので、その辺をどうするかということを考えて十分計画を練っていただきたい、こういう気がするんです。  それともう一つは、そのときに同じような海岸があるんじゃないかということで、緊急点検をされる、全国調査をされるというお話を承っております。たしか昨年十一月にその結果は出たように伺っておりますが、私はそれは水産庁だけでやられるのかと思ったら、海岸関係の四省庁が協力されて全国的にやられたということで、大変それは結構なことです。全体像につきましては国土庁に後ほどお聞きするとして、とりわけあの地先の災害というのは水産庁関係が一番大きかったわけですので、水産庁の方では調査結果にどんな結果が出ているのかわかりやすいように、全体でどのぐらい対象海岸があって、危ないのがどのぐらいあって、特に住宅がその背後地にどのぐらいあるかわかれば一番いいんですが、その辺ちょっとお願いいたします。
  86. 中須勇雄

    政府参考人中須勇雄君) 御指摘の緊急点検、お話のとおり四省庁で実施をいたしました。そのうち、私どもが担当いたしました漁港についての状況を申し上げますと、一つは、点検の対象としては、湾口が南側に面している、開いている湾内で、背後の最低地盤高が既往の最高潮位より低い地区、こういうことでまず地区をピックアップいたしまして、それで三百七十六地区、海岸線の延長にして四百四十一キロ、こういうことでございました。これは実は漁港海岸全体の総延長からいいますと約七%がこれに該当する、こういう数字でございます。  このうち、特に松合漁港地区と地形条件が類似をしている、今先生のおっしゃった、特に人的被害ということに関連いたしまして、湾奥に位置するということと背後の最低地盤高が既往最高潮位より一・五メートル以上低い、これは松合地区の場合は一・七メートルだったわけでございますが、一・五メートル以上低い地区ということで調べた結果では、先ほど三百七十六地区のうち六十八地区、こういうことになっております。例えばこの六十八地区につきまして、既に海岸保全施設整備が終わっているものの割合が七四%、こういうような数字に相なっております。
  87. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 七%と小さいようですが、キロにして四百キロと大変大きなものでございますし、ただいまのお話整備が済んでいるといっても、恐らく松合も済んでいる部類に入っているんだろうと思うんですが、そういうところで起こっているわけですから、その辺、視点をしっかり据えて、据えてといいますか変えてといいますか、しっかりと見ていただきたい。特に、先ほど言いましたように、これは僕は通告していませんので恐らく調べていないと思いますけれども、家があるというところが緊急性が要るわけですから、その辺の御配慮をひとつお願いいたしたい。  それと、こういう調査はいいんですが、そういう危険なところは早速対策を立てて取り組まなきゃいけない。これからの取り組みの姿勢と、取り組みにどういうふうなお考えで取り組まれるのか。  それと、平成十二年度予算でどう反映をされているのか。恐らく、今、公共事業はいろいろ言われておりますけれども、こういうものは当然やるべき公共事業である。それには最初の設計基準がよかったか悪かったかという問題もあるかもしれませんけれども、それはさておいて、やるべきことはやるべきであるというふうに私は思いますが、その辺をよろしくお願いいたします。
  88. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 高潮の災害対策に対しまして関係省庁、これは農林水産省の構造改善局と水産庁、運輸省、建設省ということでございますが、危険個所の総点検を実施したところでございまして、その結果、台風による高潮被害が懸念される地域は全国で千四百二十地区あります。そこにおける海岸保全施設整備率は七五%。先ほど犠牲者は十一名とおっしゃいましたが、十二名出ておりますようでございます。このうちで特に地盤が低い地域は全国で四百九地区ありまして、そこにおける海岸保全施設整備率は七五%となっております。全国平均は四一%ということでございますから、これは平成七年度の話でございますが、平成十四年には四八%に上げたいという希望を持っております。  今後、高潮対策につきまして、危険個所の全国調査を踏まえて、海岸防災施設整備の一層の推進を図ることとあわせて、警戒それから避難等の適切な対応を図る見地から、ソフト対策強化をあわせて進めることが重要であると認識いたしております。このため、昨年十月に関係省庁、上記四省に加えまして気象庁と消防庁と国土庁によりまして高潮災害対策強化に関する連絡会議というものを設置いたしました。  地域における防災対策に役立つより子細な高潮情報の提供に向けて検討を行っているところでございます。
  89. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 国土庁に御質問しようと思った分もありますが今大臣にお答えいただきましたので、この件につきましては以上で質問を終わります。  もう一つ災害に関しまして、最近非常に予期せない洪水が多いというような状況がありまして、その点に関して実は、災害対策委員会じゃないんですけれども、昨年九月九日の決算委員会で私は建設省に、官房長にきょうお見えになっていただいておりますが、質問させていただいたんです。  いわゆる公共事業をやって、私は公共事業を全部だめだと言っているわけじゃないんです。公共事業はやらなきゃいけないものはやらなきゃいけないわけですけれども、公共事業をやるということは随分国土をいじくるわけです。一つの例で言えば、舗装が非常にふえてくる、道路をやるにも舗装、住宅をつくるにも舗装と。舗装しますと、例えば雨が降った後の流れ方も違ってくる。例えば住宅計画をするときに、住宅の部署は住宅をお考えになるかもしれない、道路の部署は道路をお考えになるかもしれない。しかし、そういうものが全体もっと複合してどうなるかということを考えないと、本当に予期せざる洪水というのは起こるんじゃないのか。  その点について、特に公共事業をたくさん持っておられる建設省、どういうお考えですかという御質問をさせていただいたときに、大変前向きなお答え、やっておられないですけれども、これからはぜひやっていきたいというようなお答えをいただきましたので、きょうはそちらもフォローアップという意味で、具体的にどういうことをやられているのか、官房長お見えですのでお願いします。
  90. 小川忠男

    政府参考人小川忠男君) 御指摘のように、公共事業が大規模化いたしますと、予期した、あるいは予期しないいろんな影響が出てくることが予想されます。その意味では、やはり省庁の壁を越えた総合的な政策の調整といいますか展開と申しますか、今まで以上に必要になってくると思います。  そういうふうな観点から一つだけ例を挙げさせていただきたいと思いますが、一昨年でございましたけれども、例えば水循環というのは各省の調整が最も必要になるような典型例だと思いますが、関係省庁集まりまして、水循環に関連するいろんな政策の点検、御相談をして中間的な取りまとめを行い、それを実施に移すというふうな努力もさせていただいております。  また、たまたまきょうでございますけれども、公共事業に関連いたします六省庁、私ども建設省、農林水産省、運輸省、国土庁、北海道開発庁、沖縄開発庁の事務次官が集まりまして公共事業の評価システムのありようですとか再評価あるいは政策の連携等々についていろんな打ち合わせ、御相談をするというふうなことになっております。  そういうふうなことで、御指摘いただいたような点を踏まえまして、各省間の連携体制、さらにはそれを地域におろしたときにどういうふうな形で政策展開をすればいいのかという観点、引き続き努力させていただきたいと思います。
  91. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私も水循環ぐらいしか余り思いつかないんですけれども、これはほかにもいろいろあると思いますし、いわゆる公共事業の効率的な実施というものにもつながるんじゃないか、そういう意味でいい性格の公共事業が取り組めるんじゃないかというようなことも思いますので、ひとつその点これからもよろしく御検討をお願いいたしまして、質問を終わります。
  92. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  93. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 次に、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院災害対策特別委員長岡島正之さんから趣旨説明を聴取いたします。岡島災害対策特別委員長
  94. 岡島正之

    衆議院議員(岡島正之君) ただいま議題となりました地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は、昭和五十五年五月に災害対策特別委員会提出による五年間の時限立法として制定されたものであります。その後、昭和六十年三月、平成二年三月に本法の有効期限延長を行い、さらに、平成七年三月には有効期限を五年延長し、平成十二年三月三十一日までとしたものであります。  この間、発生の切迫性及び被害の甚大性が懸念される東海地震に備えまして、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業が今日まで二十年間にわたり鋭意実施されてきたところでありますが、この法律は本年の三月三十一日をもってその効力を失うこととなっております。  しかしながら、地震対策緊急整備事業につきましては、用地買収の難航等の諸事情により、現行計画で執行できなかった事業及び財政的制約により現行計画に盛り込めなかった地震防災対策の推進上緊急に整備すべき追加事業がかなり残されております。  さらに、阪神淡路大震災等大規模地震災害の教訓や社会環境の変化等により、新たに必要となった追加事業が生じているところであります。  本案は、このような本法の実施状況及び地震防災対策強化地域における地震防災対策の万全を期する上から、本法の有効期限をさらに五年延長し、当該事業を引き続き推進し、東海地震防災対策の一層の充実強化を図ろうとするために提案いたしたものであります。  次に、本案の主な内容について御説明いたします。  第一に、本法の有効期限を五年延長し、平成十七年三月三十一日までとすることといたしております。  第二に、地方分権の推進を図るための関係法律整備等に関する法律、中央省庁等改革関係施行法等の関係法律について、所要の改正を行うことといたしております。  第三に、その他所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上がこの法律案の提案の趣旨及びその内容であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  95. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に質疑、討論もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  96. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 但馬久美

    委員長但馬久美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会