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参考人(
八幡隆司君) 本日は貴重なお時間をいただき、私
たちの
箕面市の取り組みを初め、
障害者団体の
活動を
報告させていただくことを非常にありがたいと思っています。
私は、
大阪の北の人口十二万という
箕面市の
議員をしておりますが、
議員というよりはむしろ
福祉現場の
職員として
全国のいろんな
方々と
かかわりを持っております。その中で体験をしてきたこと、実感をしてきたことを
中心に今回の
福祉事業法の一部
改正について私なりの見解を述べさせていただきたいと思います。
まずその前に、
箕面市というところは皆さん余り御存じないとは思うんですけれ
ども、
障害者雇用を
中心とした取り組みが盛んということで
関係者の間では広まっております。その
理由は、一九九〇年に財団法人
箕面市
障害者事業団というものを
市民と
行政の一体化した取り組みの中で進めており、
障害者の雇用を
中心にさまざまな取り組みをしていかないと、入所
施設の場合はどうしても、通所
施設であっても入り口あって出口なしという
状況になってしまう、その
施設の
状況打開のためにはぜひとも雇用という問題を外すことはできないということで
箕面市が取り組んだからであります。
実際には、雇用というものは国の施策でありまして、市町村が取り組む
課題ではないんですけれ
ども、そのことを
中心に据えることによって
生活やさまざまなプランをつくることが非常に明確になってきたと思います。実際に、
箕面市では既にNプランを一九九六年に完成し、ことしの三月、Nプランの後期推進に向けた提言書もまとまっております。
その上、
障害者の雇用
制度についての検討でありますとか、あるいは
作業所や
施設の今後のあり方な
ども一九八八年にまとめられ、地域としてどのような
サービスを幅広く
提供し、それぞれの
作業所あるいは
施設がどのように
役割を分担していくかということで、
障害者団体あるいは
関係団体、そして
行政が一体となった
障害者市民施策推進
協議会というものを常設し、さまざまな話し合いを行っているところでありまして、私
たちも今回の
社会福祉事業法の
改正には非常に大きな興味を持っております。
具体的に私が、
社会福祉事業法の一部
改正について重要な視点というか、ここは一体どうなんだろうという疑問を持っておりますのが十点ございます。レジュメの中の三ページで一部gがダブっておりますので、そちらの訂正をお願いし、g、h、iを順次繰り下げていただきたいと思います。
一つは、私
どもが一番大切にしているのは、障害当事者の
権利を守るというか主体を守っていくという原則が本当にどこまでこの
法律で守られていくのだろうかということです。
この
身体障害者福祉法の十七条の五の二に「当該
身体障害者の介護を行う者の
状況」というものが介護を支給決定するときの
基準となっておりますけれ
ども、やはり家族と同居しているということで本人の
社会参加が非常に制限されるといいますか、成人になってさまざまなところへ出かけるときにガイドヘルプ、あるいはそういう介助者がいなければ外へ出られないということで、親が肩がわりするということだけではだめですので、そういう部分のことをどういうふうに考えていくのかということや、またそのときの自己負担におきましても、家族の世帯収入でということで、どうしても
障害者が一人前に見られず、扶養家族のような形で
障害者本人を見ていくことがどうかというふうなことを考えております。
私
たちは、
障害者が実際にどれだけのニーズを持っているかということに関しては、その
障害者がどれだけの
社会性を持っているかということが非常に大きく影響していると思います。ですから、単に障害の程度、種類ということではなくて、その方が非常に積極的に
社会参加をしたいと考えておりましたら、その人のガイドヘルプなどのニーズは上がっていきますし、家の中で閉じこもっているだけならばそんなに介護は要らないということもあると思います。
そういうふうなところを主体として考えていくのと同時に、第二点目には、総合的な
サービスの
供給というのが
箕面市でも非常によく考えられて、論議がありました。
総合的な
サービスの
供給というのは、一人の
障害者が
仕事に通い、またホームヘルプ
サービスやガイドヘルプ
サービスを受け、さらに文化的、創造的な
役割の場所に通い、地域とつながり、さまざまな場所に
参加する、あるいは子育てをしていくとか、そういう非常にいろいろな場面がございまして、その
障害者のさまざまな場面に合わせて、どう総合的にそのニーズを満たすようにいろいろな
サービスを複合しながら一人の
障害者に
提供していくのかということが非常に問題になっております。幸い、
箕面市においてはそういう基盤がある程度はできていますけれ
ども、
全国ではほとんどそういうのはできていないというのが
実態で、今後の
役割分担ということは非常に問題になるかと思います。
さらに三つ目には、多様な
事業体、
市民活動の参入保障ということでありまして、先ほどの
参考人さんのお話にもありましたけれ
ども、現在の
福祉サービスには非常に
民間の活力というのが、法人を持たないところが
活動しております。
ただ
社会福祉法人を持たないということだけでグループホームの
経営ができなかったり、さまざまな
事業が制限されてしまう。それだけの力量を持った団体が
全国にたくさんございますけれ
ども、
法律の枠の中で、できる実力があっても実際にはやることができないという制限を受けていることに関して、もっともっと幅広い団体に認可を与えていかなければならないと思います。
また、今回も一種、二種
事業という形で
NPO団体と
社会福祉法人との
事業内容に分け隔てがございますので、こういうことに関しても
NPOであっても授産
事業のような
施設、現在、
障害者の授産
事業というのは
作業所が行っておりますので、
福祉法人でなくとも
NPOでもそういうことができればというふうに考えております。
さらに、
行政責任の明確化ということでもう一つの視点を言っておきたいと思います。
措置から
契約に移るということは、その場合に
責任が一体だれになるんだろうかと。実際にその
サービスを受けられなかった、
サービスの苦情をどこに言っていくんだろうかというときに、やっぱり障害を持っている人の場合は一番身近な相談窓口というのは大切でございます。遠いところに出かけることもなかなか難しいですし、言語障害の人の場合、本当になれ親しんだ人を通じてでないとそのことをなかなか言えないという
状況がございますので、その中で
障害者の当事者グループを
中心とした団体があれば、そういうところを通じてきっちりと
行政の方にその苦情、相談に行ける、また
行政が
責任を持ってそのことの解決に当たるということが非常に重要であると思っています。
まだ私の言い足りない部分についてはさまざまな
資料ということで、大変小さな字で読みにくいかと思いますが、十点について私が特に強調したい部分を話させていただき、私の
意見とします。
以上です。