○今井澄君
議論がおもしろい方向に発展してまいりましたが、私は率直に言って与党もこの
年金の強行は避けたかったと思うんですね。だけれ
ども、避けようがなかったんですよ、
皆さん方は。それは、だって昨年国会に提出されて、閣議決定してから正式に国会に出るまでに一会期かかっているわけです。会期末になってやっと、それは連立与党内の例の財源問題の
議論ですね。そして秋の臨時国会でもうまくいかなかった。そこで、もうどうしてもこれはやらざるを得ないというところにあったんですね。
評判の悪いことを我々は堂々とやったんだ、どうだ、選挙目当てじゃないだろうと。それは全然そういう
理由にはならないんで、やらざるを得なかったということなんですよ。しかも、その裏には農林共済のどろどろした問題まで絡んで、私
どもは十分その舞台裏も見せていただいておりますから、どういう魂胆があってやらざるを得なかったかというのはわかるんですけれ
ども、もしそうでしたらおもしろい方向に
議論が進んできたと思うんです。
今国会に提出される重要
法案で、次に
衆議院の本会議で、明日ですか
趣旨説明が行われ、
質疑が行われるのは、何と驚くことに社会保障基礎構造改革に関する
法案なんです。大事なのは、私は医療保険法の
改正案と医療法だと思うんです。これはどうなるのですか。どうも何か逃げているような気がして、それが出てくるのかと思ったら、どうも与党さんはそれを一生懸命やろうという気持ちが今ちょっとなえているようでありまして、選挙を考えたら、
年金をやって、医療保険をやって、これはたまらぬわいということになってきているんじゃないかとむしろ私などは勘ぐっているわけであります。だから、先ほどから繰り返し申し上げているのは、通すべき筋は通すべきだ、そのときに筋に違ったようなことでちょこっとこういう
特例法案のようなことをやるのはみっともない、まさに政治の見識が疑われるということを繰り返し申し上げているのであります。
それはそれとして、先ほどのマスコミの論調についてですけれ
ども、新聞の見出しなどを見ればもう言うまでもないことなんですけれ
ども、「迫る氷河期、募る不安」、「
年金改革法成立へ」とか、それから「
年金頼みもはや限界」とか、「社会保障見えぬ全体像」とか、「小手先改革、懸案先送り」とか、各紙ともこういう見出しがトップに並んでいるぐらい今度の
年金については非常に問題がありますね。各紙がもちろん社説で取り上げております。
そして、さらに昨日の朝刊あたりで、もう一度
衆議院で成立してからのことがありますが、将来への不安が積み残された、そして将来像がはっきりしない、このままでは、先ほど漫画の
お話をしましたけれ
ども、これで負担と給付の関係が安定しますよと幾ら言ってみても、だれもそれを信じていないんですね。これから本格的にきちっと
議論してもらいたい、
年金改革は今終わったんじゃない、これからですよというのがマスコミの論調だと思うのです。先ほど
大臣が言われたように、私は、こういう問題は政争の具にしてはいけないと思うし、まさに超党派でやるべきだと思うんです。
ある新聞の社説にも書いてあります。スウェーデンでは昨年度から画期的な新制度が始まった。これを我々は大いに勉強してやっていかなきゃならないと思うんですけれ
ども、そのためにスウェーデンでは国会の中の与野党の代表による超党派のワーキンググループをスタートさせて、六年がかりで
法案をまとめた。私たちだって国会の中にそういう
委員会をつくって本当にこの問題をやるんだったら、私たちは党派を超えて参加して
議論をしたいと
思いますよ。今度のことだって、私たちが言ったのは、基礎
年金の
議論を抜きにしてやったということを私たちは大いに主張してきたわけです。だから、そこまで含めてやるならば、超党派で私はやっていくべきだというふうに思うんです。
それからもう一つ、これは社説ではありませんが、ある新聞の編集
委員がおもしろいことを書いています。総理は十年間凍結する、もう変えないということを言うべきだ、そのぐらい言わないと
国民は安心しないということを書いているんです。こういうふうに書いてあります。「カサにかかったように負担増と給付の抑制に突き進んできたのがこの十年の
年金改革の歴史である。五年に一度の
年金財政の再計算と制度の改変がこの十年間で三回あった。」。
それで、これは別の社説に書いてありましたが、前回のときにもうこれが最後の大改革だということを言ったのに、それから五年でまた大改革をやっている。もうこういうことはやめるべきだと。
さらに、私は、余り言いたくはないけれ
ども、ここで最後にもう一度
厚生省の皆さんにも申し上げておきますけれ
ども、この六十五歳問題を特に取り上げて、「
厚生省の
年金官僚たちの自我としか考えられない。」と。前の改革のときに基礎
年金しかいかなかったものだから、何が何でも今度は報酬比例部分もやろうとした、その自我じゃないかと。しかも、これは十三年先から始まるんですね。「十三年先のことをなぜ今、決めなくてはいけないのか。定年後の無収入層はどうなるのか。「だから雇用の延長を」と民間に言うだけで済まされるのか。はっきりしているのは、これらの疑問に答えることなく、自自公政権が
年金官僚の作った
法案を無修正で通すということである。」と批判しているんです。
私は、この種の批判は当たっていると
思います。やっぱり多くの不安を与えながら強行してきたというところに非常に問題がある。我々は、本当にじっくり地に足をつけた
議論を超党派できちっとやらなきゃならない、しかも、それは社会保障制度全体の中でやらなきゃならないんですね。だから、私は、総理の有識者懇談会が結論を出すまで凍結されたらどうですか、学生の十年延納とか、いい部分だけはとにかく切り離して通しておいて、そうでもしないと安心できないですよということを申し上げた。大体マスコミの論調もそういうことだと思うんですけれ
ども、これで終わったんじゃない、このままでは不安が残ります、これからしっかりやらなきゃだめですよと。
どうですか、こういう論調を受けて。