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2000-03-30 第147回国会 参議院 国土・環境委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任         山下 善彦君     加藤 紀文君      岩本 荘太君     奥村 展三君  三月二十九日     辞任         補欠選任         加藤 紀文君     山下 善彦君      日出 英輔君     坂野 重信君      岡崎トミ子君     千葉 景子君  三月三十日     辞任         補欠選任         坂野 重信君     世耕 弘成君      北澤 俊美君     菅川 健二君      千葉 景子君     笹野 貞子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石渡 清元君     理 事                 市川 一朗君                 田村 公平君                 福山 哲郎君                 高野 博師君                 緒方 靖夫君     委 員                 上野 公成君                 太田 豊秋君                 末広まきこ君                 世耕 弘成君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 笹野 貞子君                 菅川 健二君                 千葉 景子君                 森本 晃司君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 月原 茂皓君                 奥村 展三君                 島袋 宗康君    国務大臣        運輸大臣     二階 俊博君        建設大臣     中山 正暉君    政務次官        運輸政務次官   中馬 弘毅君        運輸政務次官   鈴木 政二君        建設政務次官   加藤 卓二君        環境政務次官   柳本 卓治君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        環境庁企画調整        局長       太田 義武君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        沖縄開発庁振興        局長       襲田 正徳君        運輸省海上技術        安全局長     谷野龍一郎君        運輸省港湾局長  川嶋 康宏君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○港湾法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十八日、岩本荘太君が委員辞任され、その補欠として奥村展三君が選任されました。  また、昨日、日出英輔君及び岡崎トミ子君が委員辞任され、その補欠として坂野重信君及び千葉景子君が選任されました。     ─────────────
  3. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事福山哲郎君を指名いたします。     ─────────────
  5. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  港湾法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、環境庁企画調整局長太田義武君、環境庁水質保全局長遠藤保雄君、沖縄開発庁振興局長襲田正徳君、運輸省海上交通局長高橋朋敬君、運輸省海上技術安全局長谷野龍一郎君及び運輸省港湾局長川嶋康宏君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 脇雅史

    脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。  港湾と申しますのは、今現在、我が国の中で非常に不幸な位置づけといいましょうか、本来の位置づけからするとやや不幸な状況にあるのではないかな、そんな気がいたしております。  かつて、港というのは我々にとって非常になじみの深い場所でございまして、歌の文句にはしょっちゅう出てまいりますし、小学唱歌にも「港」という歌があったように思います。本質的には我々の生活を支える非常に大事な施設であるはずなんですが、名前のせいか港湾というとどうもなじみが薄くなってしまうわけであります。  法律港湾という定義をして、その整備を進めてきた現在の段階で何か我々から縁遠いものというふうに感じてしまうわけでありますし、特に近年、公共事業のさまざまな批判の中で港湾は、大規模港湾、せっかくいい港湾をつくっても釣り堀ではないかとか、非常に乱暴な議論も出るわけでありまして、多分運輸省港湾を担当されている皆さん方は心の中で、こんなはずではない、不愉快だという気分があるんだろうと思うんです。  我が国にとりましても、港湾というものを間違った格好位置づけてしまえば二十一世紀に向かって大変不幸な事態に国民全体がなるんだろう、ここは冷静に港湾というものをきっちりと位置づけていかなければいけない。多分、港湾管理者といいましょうか行政責任者として運輸省の方はさまざまな感慨をお持ちのはずで、その気持ちのありったけを冒頭に、今さまざまなことが言われている港湾については本当はこうなんだ、こういうふうに考えているんだというような思いを聞かせていただきたいと思います。
  9. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 脇委員指摘のとおり、港湾というものの大事さは私たち十分に認識されていないということの少しいら立ちもございます。  日本の国はすべて海に囲まれているわけでございまして、外国からの交易はすべて海を経なければいけないわけでございます。そうする中で、今までは外国に行くにもすべて船で行っておったわけですが、それが航空という形になりましてからは少しそちらの方に世間の目も移ってしまったといいましょうか、御指摘のように新幹線や空港に比べまして非常に目立たない存在であることは事実でもございます。  しかし、大事さは大変なものでございまして、我が国国際貿易量の九九・八%を取り扱うなど、国民生活生産活動に不可欠な国際海上輸送拠点としての役割がございます。そしてまた、環境への負荷の小さい海運、こういったような事柄も含めましても、これのモーダルシフト、今の環境の問題から考えますと、どうしても自動車社会からもう少し排気ガスの出ない、大量でエネルギー効率のいい輸送に転回しなければいけないわけでございますけれども、それも船の役割でもございます。また、先ほど申しました海に囲まれているがためにあちこちにたくさんの島がございますが、離島との結びつきもこれまた船役割でございますし、そしてまた港湾がなければならないわけでもあります。  また、港湾中心とする臨海部におきましては、市民に開かれた親しまれる空間を形成しているわけでございまして、市民のレジャーあるいはまた憩いの場としても海の大事さがございます。また、臨海部にはずっと工業団地配置してきたわけでございますが、今後におきましても多様な産業導入空間という位置づけも必要でございましょう。また、災害時に非常に大きな役割を果たしたことは阪神大震災等でも御経験のことかと思いますけれども、災害時の臨海部防災拠点としての役割もありましょう。また、最近は廃棄物処理をどうするかといった問題もございますが、もちろん環境にも配慮した形ではございますが、廃棄物海面処分場の確保、こういった役割も担わされております。  いずれにしましても、こういう港湾に対する一部の方々の批判等もありますけれども、そうではなくて、先ほど言いましたこれらの観点から、特にその事業はかなり長期にわたるものでございますから今すぐあした効果が出るものでもございません。それだけに、事前に一つの将来を見越した形で投資していかなければいけないのが港湾でございまして、そのことの御理解をひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
  10. 脇雅史

    脇雅史君 お話中身は一々よくわかるわけでありますが、現在の港湾日本で置かれている立場からするともう少し緊迫感のあるといいましょうか、国民の間にもっと強い言葉情報発信をしないといけないのではないかなという感じがいたします。  山下公園というのがすぐ港湾というと頭に浮かびまして、非常にいい場所ですし、やっぱり市民にとってそういう意味での役割というのも極めて大きいです。しかし、いわば港湾の本来の使命からすれば、そういう付加的な要素だけではなくて、一番大きいのは今言われましたけれども物流をきちっと担う、人の流れももちろんあるわけですけれども、人の流れ、物の流れをきちっと担うという役割があるわけでありますから、そこの役割国民的な合意というのがやっぱり一番基本にあるべきだろう。であるならば、二十一世紀日本物流は一体どうするんだ。飛行機、船、鉄道、自動車、そういったものでどのように分担をしていくべきか。  将来のことですから、なかなかきちっとわからない部分ももちろんあるわけですけれども、一応予測しなければいけない。将来の日本物流というのはこのぐらいあって、そのうち環境問題とかさまざまなことを配慮すれば航路、船によるものがこのぐらい欲しいんだ、それがどういうぐあいに全国流れるという仮定があって想定があって、そしてそれを担う港湾というのはそれぞれ位置づけられてくるわけで、一番基本物流がどうなっていくのかということについてやはり明快なビジョンをお示しいただく。  将来予測というのは、経済の何%成長もそうですけれども、勝手に天気予報と同じように予報する、予測するということだけではなくて、行政の場合にはそこへ向かって近づけるという行政目標なんですね。ですから、その行政目標を、こういう目標我が国は行くんですよということを国民の前に示さなければ港湾必要性というものが十分には浮かび上がってこないというふうに思うわけで、これからおいおい伺ってまいりますが、どういうことを考えているのかをできる限り鮮明に国民の前にお示しいただきたいというふうにお願いを申し上げます。  そこで次に、今回の法改正一つであります重要港湾特定重要港湾といったものの定義でありますが、どうも港湾そのものがそうなんですけれども、港と言うとすっきりくるんですよ。港湾という言葉は何となくすっきり入りません。何か我々の、一般の人間を阻害するような感じを持ってしまいますし、どうしても法律用語的な意味合いを持ってしまうわけで、まして重要港湾とか特定重要港湾とか言われますと、法的にはそうなんでしょうが、おどろおどろしいといいましょうか、とても一般の人が近づけないような名前になってしまうわけです。  法的な名称はともかくとして、本来もう少しわかりやすい、親しみやすい名前が、例えば金銀銅でもいいんですよ、色にして緑の港湾とか黄色い港湾とか、そういう役割をするんだというような港湾を、位置づけるのは当然必要なんですけれども、名前についてはこれは何も港湾だけじゃありませんが、法律用語というのは少し難し過ぎますね。そこは工夫が要るんだろう。話がそれますが、きのうも何とか法の一部を改正する法律の一部を改正する法律なんて、わからぬでもありませんが、やはり行政はそういう工夫が少し要ると思うんです。  それは余談でありますが、まず今回、今までわかりにくかった重要港湾、そして特定重要港湾をどういうふうに位置づけられたのか、その中身についてお伺いをしたいと思います。
  11. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 脇先生から大変御示唆に富んだ御指摘を賜りまして、お話を伺いながら、重要港湾特定重要港湾という港をやめまして、金の港、銀の港というような名前にすればいいのではないかというようなことを考えさせていただいた次第でございます。  御質問の重要港湾特定重要港湾の分類の考え方でございますが、港湾につきましても、御指摘のように最近の海上輸送の形態でありますとか、あるいは産業構造、あるいは経済社会情勢というものが大きく変化してまいっておりますので、港湾の果たします役割というものも三十年前等と比べますと大きく変わっているものでございます。そのために、先ほど港湾審議会の方に、我が国海上ネットワークを形成していく、そういう観点から重要港湾及び特定重要港湾役割配置についての考え方について御審議をいただきまして、昨年の十二月に御答申をちょうだいしたわけでございます。  これを受けまして、今回法律改正お願いしておりますのは、重要港湾につきましては、海上輸送役割を踏まえまして、国際海上輸送網または国内海上輸送網拠点となる港湾、その他の国の利害に重大な関係を有する港湾というような定義をさせていただいたわけでございます。  また、特定重要港湾につきましては、特にその中でも海上輸送上の役割に主眼を置きまして、重要港湾のうち国際海上輸送網拠点として特に重要な港湾というような定義をさせていただいたものでございます。
  12. 脇雅史

    脇雅史君 まだ少しわかりにくいような気がするわけですが、重要港湾特定重要港湾、そしてその他の一般港湾があるんでしょうが、その区分けが変わりますと何がどんなふうに変わるんでしょうか。
  13. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾定義につきましては、先ほど申しました重要港湾、そして特定重要港湾のほかに地方港湾というのがあるわけでございます。  それにつきまして、それぞれの施設整備いたします場合に、国が直轄事業で実施する港というものについては重要港湾以上の港に限定されているということが一つの違いでございますほかに、国の負担率あるいは補助率につきましても、先ほど言いました国の利害に重大な関係を有する港ということでございますので、重要港湾あるいは特定重要港湾については地方港湾と、全部ではございませんが、それぞれの施設について負担率を変えさせていただいているというものでございます。  この点についても、今回の港湾法改正の中に改正点としてお願いしているものでございます。
  14. 脇雅史

    脇雅史君 今回、こういう改正に伴いまして実際に区分けをやり直すわけなんでしょうが、やり直しますとどういう格好に変わっていくんでしょうか。重要港湾の数、特定重要港湾の数です。
  15. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 現在、重要港湾格付をいたしておりますのは全国の港で百三十四港ございます。  今回この法律を通していただきますと、その定義に従いまして見直しをしようとしているわけでございますが、その百三十四港のうち六港につきまして全国的な配置から見直しを行いました結果、六港を地方港湾として格付をするということを今考えているところでございます。
  16. 脇雅史

    脇雅史君 何年か前に、大交流時代という格好運輸省港湾局が大分大々的に宣伝をされていた時期がございまして、その中を見てみますと、中枢国際港湾とか、そういう重要港湾というのとまた呼び方の違う定義みたいなものが、言葉が見えるんですけれども、それは今回の改正関係ないんでしょうか、どんな関係になるんでしょうか。
  17. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) お尋ねの特定重要港湾重要港湾につきましては、特に国際輸送上あるいは国内輸送上の拠点ということで、貨物等重点を置きまして定義をしているものでございます。  そこの貨物と申しますのは、今一番注目されておりますのはコンテナ輸送でございますけれども、これは主として雑貨を中心として輸送しているものでございます。それに加えまして、いわゆる原材料等にかかわりますばら貨物というものがございますが、そういった貨物の量も考慮しながら、そのほかには例えば旅客の数、そういったものについても配慮しながら定義をしているものでございます。  一方、中枢中核港湾国際港湾というものにつきましては、先ほど申しました貨物の中で、ばら貨物コンテナとして輸送しております、あるいは取り扱っております港を中心に考えておりまして、我が国経済競争力を高めていくために国際競争力のある海上輸送網拠点整備する、そういう観点に立ちまして中枢港湾定義しまして、そしてそれを補完するような形で中核港湾というものを定義しているものでございます。
  18. 脇雅史

    脇雅史君 行政の内部ではそれなりの定義が当然進んでいると思うんですが、私も余り港湾について詳しくないということもあって、お聞きしておりましても何かどうもぴったりわからないんです。  重要港湾特定重要港湾があって、地方港湾があって、片や地方国際交流港湾とか中枢国際交流港湾中核国際交流港湾という言葉がたくさんあって、それぞれに行政の歴史の中で意味があることはわかるんですが、国民皆さんに話をするときにそんな言葉を使ってもわからないです。ですから、日本の港は何ぼあって、このうち大事なものはこれ、その次に大事なのはこれ、国はここをやりますということを非常にわかりやすい言葉でお示しいただくような工夫をぜひともしていただきたい。  やはり国民の、我々の施設ですから、我々がわからなければ意味がないので、行政の中で勝手に名前をつけて予算上の措置を変える、そういうことはもちろん要るんでしょうが、それ以上にやはり国民向け用語というものをぜひお考えいただきたい。  かつて、さっき冒頭で申し上げましたが、港という言葉で非常になじみの深い地域、マドロスさんが出てくるような、みんなが懐かしい、いいなと思う、それが港なんですから、言葉で我々から遠ざけないでほしい、これはぜひともお願いをしておきます。  それでは、筆頭理事から御指名でございますので、その辺に関しましてここで総括政務次官から感想をお聞きしたいと思います。
  19. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 今おっしゃるとおり、私もこうして運輸省政務次官をいたしておりますけれども、重要港湾あるいはまた特定重要港湾、この定義をはっきりと定義づけろと言われますと、なかなか難しいのが実際でもございます。しかし、ちゃんと法律上にはこうして規定をされていることも事実でございます。  今委員おっしゃったように、例えば港というイメージで申しますと横浜、神戸なんですね。私の地元の大阪、これは港とはいいながら何か港の風情がないわけでございまして、逆に私は、今、大阪集客都市だとかいうのであれば、これをもう少し港らしく、赤い灯青い灯が点滅するようなところも含めた港にする必要があるんじゃないか、こんなことも言っているわけでございます。今、脇さんがおっしゃることは、本当にそういう意味で実感もいたしております。  それぞれの地域におきまして、港というものは自分の町の、あるいはまた村であるかもしれません、そこの一つの顔でもあるかと思うんですね。そこに何らかの一つ意味づけをしてほしいという気持ちはあろうかと思います。  今回、今局長の方から申しました六つの港湾が格下げになったということで、大変我々に対しましての陳情がございました。降格するのはけしからぬということでございましたが、これは運輸大臣の方からの一つのアイデアでもございまして、港湾法の中では規定はしないけれども、しかし予算上の措置として、それぞれの例えば水俣港につきましては、環境的な意味一つ意味を持たせた港の整備をしております。それから、青方なんかの方にしましては、これは石油基地としての役割があります。  いわゆるここで規定したところの重要港湾ではないにしましても、やはりそれぞれの地域一つの大きな地域の中での意味を持っているわけでございまして、ここはそういう観点から予算づけをしましょうということで特定地域振興港湾、こういった名前を一応仮称としてつけながら、何かの一つ役割をしっかりと担ってもらおうという形に今位置づけるところでございます。ネーミングにつきましては私たち行政の方も少し勉強いたしますので、よろしくお願いしておきたいと思います。
  20. 脇雅史

    脇雅史君 どうもありがとうございました。ぜひともその辺でよろしくお願いしたいと思います。  今回、こうして新たに港湾格付といいましょうか、でき上がるわけですけれども、それ以上に私はもっと重点的な整備というのが必要なんじゃないか。特定重要港湾は全部一緒かというと、やっぱり違うと思うんですね。戦略的に進めなければいけないので、重点的にこことこことここをしなければいけないという、そういう構想といいましょうかお考えはおありなんでしょうか。
  21. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 私ども、現行の七カ年計画等の実施の中でも、またそれから毎年の予算編成の中でも、重点化について特に重点的に事業を実施しているわけでございまして、予算配分についても、重点的な課題につきましてはかなりの伸び率等も確保いたしまして予算配分しているところでございます。  特に、私ども今力点を置いております整備につきましては、国際海上輸送網拠点となります、先ほども申し上げましたが国際海上コンテナターミナル整備でありますとか、あるいは国内の方ですと複合一貫輸送に対応いたしましたロールオン・ロールオフ船でありますとかあるいはフェリーターミナル、そういった内貿ターミナル整備、さらに三番目といたしましては、廃棄物行政に対応いたしますために廃棄物海面上の処分場整備、そういったものに重点的な整備を行うべく予算配分を考えさせていただいているところでございます。
  22. 脇雅史

    脇雅史君 先ほど、重要港湾から外された港湾があって、いろいろ反対もあったというお話もありましたけれども、やはり今の時代はお金もそんなにあるわけじゃないですから、重点的に効率的に整備を図るということが極めて大事だと思いますので、その辺はよろしく御検討いただきたいと思います。  それから、今回の改正で国の負担割合を一部ふやすわけですね。ある意味では国の重点化の思想のあらわれだとは思うんですが、一方では全体の時代流れの中で地方にお任せをするというのが世の流れですから、国の負担割合をふやすというのはどんな精神なんでしょうか。
  23. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 国と地方役割分担につきましては、さきの地方分権委員会の第五次勧告あるいは第二次の地方分権推進計画に基づきまして、先般、昨年の港湾法改正の中で港湾法五十二条を改正していただきまして、直轄事業につきましては、その施設の効用や便益が全国的、広域的に及び、国が計画的かつ適切な整備を行うものが必要なものについて限定をいたしまして事業を実施するというような形にさせていただいているところでございます。  その中で、負担率を上げておりますそのものについて、特に直轄事業で実施するものについて負担率を上げているものがあるわけでございますけれども、それにつきましては、国の役割でありますとかあるいは責任について財政的な面からも明確に示すというような形で負担率を上げさせていただいたものでございます。  それに関連いたしまして、重要港湾の中でもより地方に密着したいわゆる小型船の船だまり、これは地方港湾でも実施をしているものでございますけれども、これは地方港湾役割もほとんど同じものでございますので、そういったものについては国の負担率を引き下げて地方港湾と同じようなものにさせていただいた、そのことを今御提案してお願いしているところでございます。
  24. 脇雅史

    脇雅史君 おっしゃるとおり、一つ港湾でもいろんな性格の施設があるわけですから、それぞれに適切な負担率を想定するというのはいいことだと思いますが、これからも重点的に進めていただきたいと思います。  次に、港湾という名前にあるように湾なんですね、港が存在するのは。例えば、三大湾、東京湾、伊勢湾、大阪湾という湾の中には、特に東京湾なんかは千葉港があって東京港があって、その隣接部分がいろんな問題が出るとか、それぞれに地方公共団体の長が港湾の長もされているわけでしょうから、いろんな意味で調整が難しい部分があると思うんですね。一つの湾としては、やはり湾なりの広域的な施設配置といいましょうか、そういう考え方がぜひとも要ると思いますし、施設のつくり方だけではなくて、実際の運用の仕方もさまざまに役割分担をしたり、これから先ますます港湾同士の、隣接港湾同士のお互いの調整というのが大事になってくると思うんです。  特に、東京、大阪といったようなところについてどんな格好で調整をされようとしているのか。同じ立場の人間同士が、しかも利害が相反する人たちが集まって調整をするというのはなかなか口では言えても実際実績が上がりにくいんですね、先へ先へと結論を延ばすという格好になってしまいますので。そこはやはりそれを調整する立場の人が必要なんです。  それはある意味では、今度、港湾建設局も五つから八つに変わるわけで、それなりに役割も変わってくるんでしょうが、そういう役割を建設局がお果たしになるのか、あるいは東京湾なら東京湾である種のオーソリティーみたいなものをつくって、それぞれの湾の人たちが責任を持ってこの人にお任せしようというそういう立場の方をつくって調整をするとか、何らかのことを考えないと、幾ら大事だ大事だと言っても実態的に調整は進まないと思うんですね。その辺についてどんなお考えをお持ちでしょうか。
  25. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 先生御指摘がありましたように、東京湾のような湾域の中で、現在ですと川崎、横浜、それから東京、千葉等の港があるわけでございまして、それぞれ密接な関係もありますし、それから港自身はそれぞれ競合をしているというふうな状況でございますので、ともすればそういう競合の余りに重複投資等を引き起こすというようなことが起こりかねないようなものでございます。  そういう意味で、今回の港湾法改正の中で、広域的な観点から東京湾の整備というものをどういうふうにしていくべきかということについて、運輸大臣みずからが、この港湾の開発利用の基本方針というものを運輸大臣が定めることになっているわけでございますけれども、その中に広域的な観点からの調整を含めた運輸大臣考え方を示させていただくように港湾法改正させていただくようにお願いをしているものでございます。  それから一方で、先ほどお話にございましたように、私ども出先は今現在五つの出先を持ってございますが、例えば東京湾ですと第二港湾建設局というものが横浜にございます。現在、その湾内の各港湾管理者にお集まりいただきまして、略称湾連調と言っておりますが、東京湾連絡調整会議というそういうものを形成しておりまして、その中でお互いに意見を言い合いまして、自分たちの港はこうしていくんだということも提案を願う一方で、それでは湾全体としてはどうかということについて意見を調整する、そういうふうなことをやらさせていただいております。  また、港湾の開発に関連いたしまして、東京湾全体の環境問題等も非常に大きな問題になってくるわけでございますので、その環境問題についての対応についてもお互いが連絡調整しながらやらせていただくというふうなことをさせていただいております。
  26. 脇雅史

    脇雅史君 お話によりますと、そういう問題意識を持たれていろいろな手を打たれているということは理解できるんですが、現実の問題としてはなかなかそううまくはいかないぞというところがあって、やはり強力にそれを進める何らかの手法を考え出さないと将来に向かってはうまくないんじゃないか。  今の手法でやってもそれはある程度のことはできるんでしょうが、もう一歩進めないと、大阪でも政務次官よくおわかりのように、なかなかそれぞれ兵庫県があって神戸市があって大阪府があって大阪市があってという、それぞれの自治体がいろんな思惑があってそう簡単には進まないわけですから、やはりそこは強力な権限、法的な権限があれば一番望ましいんでしょうが、そうはいかないまでも、それなりのものを皆さんの合意でつくり上げていくということはぜひとも必要だと思いますので、今後、今あるからやっているよということだけではなくて、本気でと言っては失礼ですが、さらに御検討いただきたいと思います。
  27. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 脇委員は近畿地建の局長もされておりましたし、大阪のこともよく御存じでございます。一つの湾の中に兵庫県もあれば大阪もあれば和歌山県もあるといったような中でどう調整していくかということ、それぞれは県知事として県の特色をそれぞれで追求されましょうし、そうする中で、今ここでは運輸大臣一つ役割を果たすことになっております。基本方針でこれを指示することになっております。  今後、建設省とも一緒になってまいりますし、国土交通省という中で、場合によっては先々は道州制といったようなことまでも論議されている中で、ポートオーソリティーのような形の大阪湾だけひとつ総合的に、統合した何か計画ができるようなものまでも含めて検討する必要があると私は認識いたしております。
  28. 脇雅史

    脇雅史君 どうもありがとうございました。ぜひともよろしくお願いをいたします。  次に、港湾といいますと、もし私が船主だったら荷物を運ぶときにそれを使わせてもらうといいましょうか、使っていろいろな便益を受けるといいましょうか、いろんなサービスを受けるわけで、ある意味ではレストランに行くとかいろんなことをする、そういうサービス業だと思うんですね、港湾そのものが。  ところが、現実は、港湾というのは非常に公共的だということで、役所、地方公共団体が主体的におやりになっている。いわゆるお役所仕事、余り悪くは言いたくはないんですが、お役所仕事なわけで、どうしてもサービス精神に欠ける部分が出てしまう。民間が多分港湾をおやりになったら、よその港湾に客をとられないようにいろんなサービスをすると思うんですね。赤い灯青い灯はわかりませんが、あそこの港に行けばいいことがあるぞというような、そういう魅力を持たせる、そういうことをどんどんやっていくと思うんです。  どうも我が国の現在の港湾の状況というのは少し公共性が勝ち過ぎていやしないかなと、もう少し自由度を持たせてサービス業としての役割皆さんに対してぜひあそこの港に行きたいと思わせるような、そういうことをやってほしいわけですね。そういう意味で、港湾局も少し頭をもっとやわらかくしてほしいわけでありますが、どんなお考えがおありでしょうか。
  29. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 使いやすいといった意味、親しみ、こういったことにはいろいろとまた意味があろうかと思いますが、使いやすいということでいえば、運輸省の方といたしましても、港湾の諸手続、税関やいろいろなところに書類を出さなければいけない、こういったことを一元化することには取り組んでおります。  昨年十月より、港湾情報システム、EDIと言われておりますが、これを稼働させまして、船舶入出港に係る港湾管理者、港長への手続の省力化、迅速化を図ったところでもあります。引き続き、このシステムの拡充に努めてまいりたいと思います。  また、東南アジアの主要コンテナ拠点に比べまして非常に高いと言われております港湾利用コスト、これにつきましても、中枢国際港湾整備する大水深高規格コンテナターミナルにつきまして、岸壁を公共で整備して公社一元の管理等によって一つの新方式で建設コストの縮減やその低減を図っていくことにいたしております。  また、親しみやすいといったことになりますならば、今回の法の中にも書かれておりますように、もう少し魚が集まってくるような藻場をできるような環境にも配慮した港湾にしていく。今まではなかなか港湾の中で釣り堀は禁止されておったかもしれませんが、今後はそういったことも含めて港湾がもっと市民にも親しみやすいものにしていこうということまでも配慮いたしております。
  30. 脇雅史

    脇雅史君 ぜひともそういう方向で進めていただきたいと思うんですが、やはり港というものの中で官と民の役割分担といったものを少し民の方に移した方がいいのではないか。  随分いろんなことをやられていまして、水族館があったり、さまざまな施設があって、行けば楽しいという施設日本の港はあちこちあることは私も承知しておりますが、さらにそれを進めていただくということで、官と民の分担でどんなことをお考えになっているか、さらに民の方にいろんなことを移していくお考えがおありになるのか、その辺の考えをお伺いいたします。
  31. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 官と民といいますか、港湾は今地方公共団体で管理をしていただいているわけでございますが、港湾管理者につきましては現状でもポートセールスというものを実施しておるわけでございます。ポートセールス、脇先生の御指摘ですと武士の商法というふうにお笑いになるかもしれませんけれども、セールスということで本当に私も地方公共団体に出向したことがございますけれども、もみ手をしながら船社でありますとかあるいは荷主のところを回りまして、お使いいただくようにということでお願いに回っているものでございまして、私どもはもう商人になったつもりで港湾管理者皆さんもやっていただいているというふうに思っているところでございます。  また、港湾整備運営につきまして官と民との役割を少し変えていってはどうかという御質問でございますが、港湾におきましては、いわゆる新産工特時代から臨海工業地帯の整備におきましても、官が投資をするのとそれにあわせて民がそこに立地するというふうな形で各種の施策を実施してきたところでございます。  また、最近におきますと、地方公共団体が民間にも出資を仰ぎまして、第三セクター方式によりましてコンテナターミナル等の経営あるいは旅客ターミナルの経営、そういったものをしているものがございます。これは民活事業としても実施しているものもございますし、そういう意味での民間資金を導入しながら民活事業も行っているものでございます。  また、新しい方式といたしまして、先般成立いたしました民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法でございますけれども、これにつきましても、従来ですと港湾管理者みずからが起債等で実施しておりました荷役機械等につきまして、民間の資金を導入いたしまして民間による施設整備を行ってもらって、そしてそれの管理運営自体も民間にお願いするという、いわゆるPFI方式による整備というものも、これは今年度は常陸那珂港で平成十二年度から実施させていただくように予定をしておりますが、そういったものも導入するように考えているところでございます。
  32. 脇雅史

    脇雅史君 今の港湾局長お話は非常によくわかりました。認識としてまさにそのとおりだと思います。私と全く一緒なんです。  問題は、東京で局長がそう思っていても、なかなか地方港湾にまで行き渡らないということがありまして、ぜひとも国と地方役割、そして民と官の役割といったものについて、今言われたようなさまざまな新しい制度も利用しながら、どんどん最終ユーザーにとって、本当に港を使う人にとってよい港湾になるように、末端までその精神が行き渡るように今後とも御努力をお願いしたいと思います。  次に、港というのは幾ら整備してもその港が最終点ではありませんから、港からまた次の港、あるいは鉄道を使ってどこかへ持っていくとか、要するに全体の物の流れ、人の流れのシステムといいましょうか日本全国にネットワークがあって、その中の拠点ですから、全体のネットワークがうまく整備されないと拠点整備だけやってもだめだと思うんです。  ですから、そういう意味物流、さっきも申し上げましたが全体の物の流れが将来どうなっていく、どういうネットワークでやっていくのかということを港湾局としてもお考えをいただかなければいけません。今まで港と高速道路がうまくリンクしていないとかいろんなことがあったわけでありますが、そういったことをひっくるめて、今度建設省と一緒になるとぐあいはいいなとは思うわけでありますが、ネットワークとしての整備ということを港湾局としてもぜひ声を大にして言っていただかなければいけないと思うわけで、その辺のお考えをお聞きいたします。
  33. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 政府といたしましては、平成九年四月に閣議決定されました総合物流施策大綱に基づいて、社会資本相互の結節点の利便性の改善や物流のボトルネックを解消するための関係省庁間の相互連携、これによる総合的な取り組みを進めているところであります。  例えば、国際物流の分野におきましては、平成九年度から国際港湾と道路ネットワーク等の計画的、一体的な整備を進める国際交流インフラ推進事業、これを全国十三地域で行っているところでありますし、また十二年度は十七の港におきまして事業を行う予定といたしております。また、国内物流の分野におきましても、内航海運とトラック輸送の連携による複合一貫輸送を推進するために港湾整備と道路整備の連携を行っているところであります。
  34. 脇雅史

    脇雅史君 これもいわゆる縦割り行政とよく言われちゃうんですが、全体としてうまく歩調をそろえて進めないと、国民といいましょうか消費者にいいサービスが与えられないということがありますので、今後ともぜひともいろんな分野と調整をして進めていただきたいと思います。  それから次に、港といいますのは非常に大きな空間を有しているわけで、山下公園の話もいたしましたけれども、我々にとっても非常にすばらしい立派な空間として、物流だけではなくていろんな意味生活空間としても役に立つわけであります。地域づくり、町づくりというのも、港に面した町づくり、神戸のポートアイランドでも半分は住宅といったような格好で利用されたりしておりまして、港と関連をしてさまざまな町づくりがなされております。  私の経験からすると、建設省に都市局というのがあって、都市局というのはすべからく居住空間整備する、港があろうがなかろうがとにかく都市として整備をするわけです。港湾局は、港を核として港湾の周辺の町づくりというのをやっぱりお考えになるので、かなりバッティングしてきた経緯もあるように思うわけでありますが、若干港湾の方は港を通して世の中を見るという格好で、都市全体の中からするとやや港湾に偏り過ぎた嫌いがあるのではないかなと思うんですが、これも一緒の役所になりますから多分うまくいくんでしょうが、町づくりとして港をうまく位置づけてほしいですし、公園とか緑地とか、さまざまな我々に対していい役割があるわけで、その辺の町づくりについて今後どんなお考えがあるのか、お聞きをしたいと思います。
  35. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港と町づくりの関係についてのお尋ねでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、港湾につきましてはそこで展開されます産業活動でありますとかあるいは物流活動、そういったものだけではなしに背後活動のそういったものとも密接に関係して港は成立しているものだというふうに私どもも認識をしているところでございます。  そういった認識のもとで、港湾において個性豊かで魅力のある地域づくりに貢献するためには、緑地でありますとかあるいは海浜の整備等潤いのあるような空間整備する一方で、都市から発生いたしますような廃棄物についても受け入れるための施策を実施してきたところでございます。そういった意味で、都市と密接に関係しているという認識のもとで、港湾の有しております土地につきましても再開発に関連しては町との関連を特に重視しながら再開発をしていくべきだというふうに思っております。  平成九年度から新しく始まった事業でございますけれども、臨海部及びその周辺地区で港湾整備と市街地整備の一体的整備によってその地域を活性化するということで、港づくりと町づくり連携事業というものを新しく事業として発足させております。既に、函館港でありますとか伏木富山港あるいは広島港のところで背後と密接に関係した地域づくり事業を実施しているところでございます。  最近は都市局の方ともよく話し合いをさせていただきまして、それぞれ問題のあるような地域についてよりスムーズに町づくり、港づくりができるようにということでお話し合いをさせていただきながらやっておりますので、これからもそういった施策の方向づけをさらに伸ばしていって、いい地域づくりに資していきたいというふうに思っている次第でございます。
  36. 脇雅史

    脇雅史君 どうもありがとうございました。  まさに港というものがあるないで町の魅力が随分変わる、港があるおかげでその十キロ圏ぐらい全部いろんな魅力を増すことができるとか相当の使い方があるわけで、都市全体の中で港がすっぽりとうまく機能として入り込めるように、今後ともぜひともそういう方向で努力をしていただきたいというふうに思います。  それから、広い空間を有しておりますから、冒頭政務次官からもお話しありましたが、災害時、特に地震とか大規模な火災とかがあったときに避難地になるとか、そういう防災の拠点としての役割というものも随分大きいと思うんです。特に、阪神・淡路大震災のときのように陸路が完全にやられてしまいますと、物を輸送する緊急物資の輸送といったことの拠点にもなるわけです。ただ、港も非常に軟弱なところに建っているわけですから地震の被害を受けやすいということで、せっかくの広場があっても使えないとかさまざまな問題も出ると思いますので、そういったことも前提にしながら、いざというときに役に立つ港、特にヘリで輸送をするということが大分災害時にあるわけですけれども、そのヘリの拠点として随分使えるだろう。  ですから、初めからそういう防災拠点としての役割を入れ込んで港湾計画というのもつくる必要があると思うんですけれども、防災ということについてどんなお考えをお持ちか、お聞きしたいと思います。
  37. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 脇委員指摘のとおり、震災等におきまして港湾が過去においても大きな役割を果たしてきたことは事実でございます。  あの阪神・淡路大震災、陸路がほとんど断たれてしまった中で、大阪からあるいはまた徳島からいろんな物資をどんどんと運ぶことができた。これは、もちろんそのときに港湾も壊れておりましたけれども、早急に自衛隊等が整備して、そこに船を着けて水や食糧を運んだのが実際の形でございました。そういうことを考えますと、港湾がそういった役割を果たすことの重要性を我々ももう少し認識して、それに体した対応をしていかなければいけない。港湾整備そのものにつきましても、流砂現象が起こりますから、ああいう形でそこまでも配慮して、港湾が大震災においても壊れないような耐震性の護岸にしていかなければいけない。このように私どもは認識を新たにして対応を行っているところでもございます。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕  また、ヘリポート等の広い場所がとれるのもこれまた港湾でございますし、それからこの間のような仮設住宅をざっと並べることも、これもあの港湾であったからこそできたのではないかと思います。  このようなことから、港湾整備七カ年計画におきまして災害に強い港湾システムの構築、これを最重要施策の一つとして位置づけをいたしております。そして、大きな地震にも壊れない耐震強化岸壁や避難緑地、広場等から成る防災拠点整備や、今さっき申しました液状化対策を実施しているところでもあります。  また、被災地への曳航が可能な広域的に利用できるメガフロートのようなもののもう少し小型のもの、浮体式防災基地と言っておりますが、これを今年度末に東京湾、伊勢湾、大阪湾等に配備する予定にいたしております。八十メーター掛ける四十メーターぐらいのものでございまして、そこにいろんな、防災のときのヘリポートにもなりましょうし、あるいは船着き場になりましょうし、そういう形で対応をすることにいたしております。
  38. 脇雅史

    脇雅史君 ありがとうございました。  次に、国際化国際化ということでそっちに目が行くわけでありますが、国内の問題も十分に考えなければいけないわけで、物流というときにエネルギーの問題、環境問題を考えますと、船を使うということは非常に大事なことだと思うんです。建設省でも河川の舟運を復活させようとかさまざまな工夫があるようでありますが、全体の物の流れの中で船に任せるというものをふやせばふやすほどいいのではないか。現在でも、諸外国に比べて我が国は船を使っている、内航海運と申しましょうか、そういうものが多いわけなんでしょうけれども、将来やはりそういう方向へ向けてやるんだということをやはり国民の間にアピールしていかなければいけない。  そういう意味で、先ほども申し上げましたが、物の流れはどうなっていく、その中でどういう配慮をするというときに、一つの精神として、全体の物流の中で船を使う部分をふやすよということをきちっと位置づけしなければいけないというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  39. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 今運輸行政の中で大きく取り上げられているといいましょうか、かなり国民の意識までも含めて重要だと言われておりますのが、安全の問題でありますと同時にまた環境の問題でございます。CO2を一番多く出すのが自動車と言われておりますが、これをどう少なくしていくか。エネルギーの効率化、環境問題、こういった観点からこの運輸行政位置づけていかなきゃいけないと思っています。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕  そうするときに、やはりトラック輸送に過度に依存している現在の状況をもう少し船の方にそしてまた鉄道の方に転換しなければいけない。モーダルシフトの推進が求められているところでありますが、この観点から内航海運の利用促進を図る、これはもうどうしても必要なことでございます。そのためにも、内航フェリーやコンテナ船等の建造支援、これは事業団等にやらせておりますが、これらの船舶に対する内貿ターミナル整備なども進めているところであります。  また、国内貨物輸送に占める内航海運の重要性にかんがみまして、今後ともその利用促進を図っていくように努力しているところでございますが、それにはやはり船の方の技術革新の問題もございます。例の高速の、海の新幹線と言われておりますテクノスーパーライナー、こういったものでどんどんと陸上にかわって海上でも乗客までも含めて運ぶ、そのような役割も我々運輸の方が担っていかなきゃいけない、海運がその役割を担うべきだ、このように思って施策を進めているところでございます。
  40. 脇雅史

    脇雅史君 ありがとうございました。  ちょっと揚げ足じゃないですけれども、モーダルシフトという言葉がありましたが、建設省はモーダルミックスと言って、いろんなものをうまく使うんだと。運輸省ではモーダルシフトと言って、車から船、鉄道にシフトするんだと。中身はいいんですけれども、私はその言葉が嫌いでして、もうそういう言葉はやめた方がいいと思うんです。一般国民の方を見ていれば、そんな言葉は使わないはずなんです。モーダルシフトとかモーダルミックスとか、何のことだかわけがわからない。  この国を少しずつよくしなければいけないわけですから、言葉遣いというのは大事だと思うんです。先ほども申し上げましたが、やはり官庁がさまざまな言葉をつくって世に流していくわけですから、その辺の責任問題として変な横文字はもう使わない、わかりやすく聞けばすぐわかる言葉説明をする。もうモーダル何がしはみんなでやめようと思うので、ぜひお願いをしたいと思います。  それから、環境問題について触れたいわけでありますが、港湾というのは非常にすばらしい環境をつくり出す創出的な部分が多いわけですが、現実には、自然環境という面から見たら明らかに破壊施設なんです。でかいピアをつくったり、波よけ施設をつくったり、波止場をつくったりするわけですから、どうしたって環境を壊す。でも、壊し方があるわけであって、できるだけ悪い影響を与えないように、しかも新たな環境としてよりよい環境が生まれ出るようにという工夫が要るわけでありますが、その辺が自然環境という面からするとやや取っつきにくい部分が出てしまうわけであります。  害を与えないという意味では、日本の海岸というのは非常に条件が悪くて、しょっちゅう波によって砂がとられちゃうんです。国土がなくなっちゃうわけで、さまざまな工夫は海岸の方でおやりになっているわけでありますが、港湾みたいなかたい施設一つつくりますと、そこでいわゆる漂砂と言っている砂が遮断をされて、片方にたまって片方はどんどんやせてしまうという現象がどうしても出てしまう。そういったことについても、砂をこっちからこっちへ持っていってやるとかさまざまな工夫があるわけでありますが、技術的にも港湾の形、あるいは砂が抜けるような工夫とか、そんなことが現実になされているわけであります。あるいは砂浜がなくなっちゃうときには、熱海なんかには立派な人工海浜が結構きれいにできていますし、また人工干潟なんかもおつくりになって、それはそれで天然のものより悪いという評価もあるんですが、ないよりはいいに決まっているわけです。  港湾をおつくりになるときに環境面でさまざまな工夫があると思うんですけれども、その辺を今後どうしていくのか、どんな対応がなされているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  41. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 環境問題への取り組みでございますけれども、私ども現時点でも計画段階あるいは埋め立て等の段階で環境影響評価を実施しておりますし、具体的な事業といたしまして、緑地の整備でありますとか廃棄物の埋立護岸の整備、また海面に浮遊しておりますごみでありますとか油については、油回収船あるいはごみ回収船を出動させまして海域の環境整備に努めているところでございます。  また、臨海部では、先ほど来お話が出ておりますように、港湾というよりも港として親しんでいただきますように緑地でありますとか海浜の整備も行っております。  また、かなり汚染をされたようなところの水質あるいは底質の浄化については、例えば汚染された土壌をしゅんせつして除去いたしますとか、藻場あるいは干潟の造成によって生物、生態系等にもいい影響を与えるような、そういう整備をさせていただいているところでございます。  今回、港湾法改正させていただく中で、運輸大臣が先ほどの基本方針の中にも環境保全に対する取り組みについて記述をして、その考え方を示していくということにしております。具体的な事業のこれからの展開といたしましては、例えば生物や生態系の保全というふうな意味では干潟や藻場の造成を通じて水質の浄化機能を向上させるというふうなことでありますとか、先ほど来申しております油・ごみ回収船によります海洋環境整備、また親水性のある緑地の整備。それから、先生の先ほどのお話にございましたサンドバイパッシング等では、例えば京都の天の橋立については、あの橋立が途中で切れるような侵食を受けたわけでございますけれども、サンドバイパッシングを行いますことによって保全をするというようなこともやらせていただいているものでございます。  これからもそういう意味でのエココーストといいますか、そういったものを含めて積極的に取り組ませていただきたいというふうに思っております。
  42. 脇雅史

    脇雅史君 よろしくお願いをいたします。  特に、最近はやや忘れられがちでありますが、福井の方に油が流れ着いた油の事故がありました。ああいったものに対して、当時、船がないとか、荒波の中でなかなかうまく作業ができないとか、さまざまな問題がございましたけれども、常に油の流出という可能性はあるわけでありますから、それなりの対応は当然されていると思いますけれども、今後ともしっかりとした対応をしていただきたいと思います。  また、今回の法改正の中で、廃船、沈んでしまったり沈みそうな船、不法係留とかそういったものを片づけるということが言われておりますけれども、悪いもの汚いものをどけるのはいいんですけれども、いわゆるプレジャーボートといったことについてきちっとした対応をしていかなければいけないわけです。地方をいろいろ回ってみますと、不景気な割に随分高そうな船がいっぱいつながれているなというのが印象なんですが、一体どこに金持ちがいるのかよくわからないんですが、相当立派な船があるんです。立派な船をお持ちの方にはそれなりの対応をきちっとしていただいて、お金も払っていただく。また、庶民としてもうまく使えるような、そういうマリーナとかプレジャーボートに対する対応というのをきちっとやっていただきたいと思います。そろそろ時間ですので、答えは結構でございます。  最後に、港湾を使って、ネットワークを使って物流をこれからうまくやっていかなければいけないというときに、やはり技術開発というのはどうしても忘れられない非常に大事な分野だと思うんです。船にしても港にしてもいろいろ技術的な課題があるわけでありますから、そういうことについて運輸省はもともと立派な研究所があって進められているわけでありますが、今後こんな点で幾つか技術開発をやっていくんだと、そういうことがありましたら御紹介をいただけますでしょうか。
  43. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) ずっと御質問の中でもありましたように、今後海運そしてまた港湾役割が非常に大きい。それはただ経費の節減等の努力だけではなくて新たな新技術の開発がぜひとも必要だ、このように認識いたしております。  港湾における技術開発は、平成八年に策定いたしました港湾技術開発五カ年計画に基づきまして鋭意取り組んでいるところでございます。その重点施策の一つとしまして、港湾機能の高度化につきましては、港湾の情報化、次世代港湾システムの開発など二十一世紀を目指した技術開発を進めております。  例えば、港湾の情報化としまして、昨年十月に港湾EDI、電子データ交換システムを稼働させたところでありますが、またこれは高度道路交通システムや自動船舶識別装置、ITS、AIS、こういった略語を言われておりますけれども、こういったことと連携しながら港湾における海陸複合一貫物流情報システムの開発を予定しているところであります。  そのほか、さきに申しましたテクノスーパーライナー、これは大変評価されております。静岡で今少し使われておりますけれども、これは実験船として、しかしこれをこの間上海まで持っていきました。上海で中国の方々に披露しましたところ、大変好評で興味が集まっていることでもあるようでございますが、このテクノスーパーライナーあるいは高速フェリー、こういった新しい荷役システム、あるいはまたこれは荷役だけではなくて乗客も運べるじゃないかということでございますが、こういった次世代の船舶ないしは港湾施設の開発に努めているところであります。  また、先ほど言いましたメガロフロート、これは大きな防災基地だけではなくて空港にもなり得るものでございますが、こういったことの研究開発につきましてもどんどんと今、新年度にも予算をとりまして頑張っているところでもございます。  今後、我が国がそれこそ海上の国といたしまして、そういったことにも思い切って技術的な課題にも取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
  44. 脇雅史

    脇雅史君 どうもありがとうございました。  国民皆さんの需要、期待にこたえて港湾というものが立派な施設としてうまく全国的に配置され整備されていくことをお願いいたしまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  45. 高野博師

    ○高野博師君 まず最初に、定義の第二条の、改正案についても、それから現行法もそうなんですが、「「重要港湾」とは、国の利害に重大な関係を有する港湾」という規定がされているんですが、「国の利害に重大な関係を有する」というのは具体的にどういうことでしょうか、まずお伺いいたします。
  46. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾につきましては、経済活動に必要な原料でありますとか製品の輸送拠点でありますとか、あるいは食糧でありますとかエネルギー、そういった日常生活に不可欠な物資の輸入を行う拠点、あるいは離島等におきましては他に代替輸送手段のないようなところでの海の玄関口としての拠点、あるいは貨物輸送面で国の利害に重大な関係を有している、そういった機能を持っておるというふうに認識をしているところでございます。  一方でまた、港湾につきましては、それぞれの地域におきまして多様な機能を担っておりまして、輸送上の拠点だけではなしに、例えば地域開発の拠点としての役割でありますとか、先ほど御質問にございましたが防災拠点としての役割でありますとか、そういったものを担っておりまして、今回の法改正の中でこれらも国の利害に重大な関係を有しているというふうに考えまして、重要港湾定義をさせていただいているというものでございます。
  47. 高野博師

    ○高野博師君 国の利害に重大な影響を有するということは、国益という観点からいいますと安全保障の問題それからエネルギー、食糧、今局長がおっしゃったようなそういう問題、領土問題と、国家にとってバイタルな利益を指すのだと思うんです。  そこで、例えば尖閣諸島とかあるいは竹島、竹島なんかは事実上韓国の施政下にあって、韓国があるいは港湾らしきものを建設していると思うんですが、例えば尖閣諸島の場合は自然海岸で港湾ではないということなんですが、将来これが岸壁等をつくったときに港湾という位置づけをされたときに、安全保障あるいは領土問題という点から考えるとこれは国の利害に重大な影響を与える関係を有するという位置づけになるのではないか。そういった場合に、こういう小さな港であっても地方港湾という位置づけではなくて重要港湾というような位置づけがあり得るのかどうか、お伺いいたします。
  48. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 今先生の御質問の趣旨につきましては、例えば竹島、尖閣列島等についてはお話しございましたように港湾区域という形で設定をされていないところでございまして、全国の海岸線の中でも船着き場等があるところでも港湾区域として設定がされていないところというものもやはりあるわけでございます。  そういう意味で、そういうふうな段階の中で港湾について云々ということについて申し上げることはできないかと思うんですが、私ども現在の定義の中で考えておりますのは、やはり物流の問題、そして国のエネルギーとか食糧の問題、そういったものについて国の利害に重大な関係を有するものというふうに考えさせていただいているところでございます。
  49. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、定義の明確化という点についてお伺いいたしますが、そもそも今になって定義を明確化するということ自体に港湾行政の問題点をこれは象徴的にあらわしているのではないかという気がいたすのでありますが、この点について次官にお伺いいたします。
  50. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 港湾法は昭和二十五年に制定されたものでございますが、そのときまたその後においても、昭和四十八年にも改定をいたしております。それぞれ時代に応じまして役割が違ってきたり、あるいはまた技術が違ってきたりもいたします。そういうことから、この位置づけといいましょうか定義といいましょうか、こういったことを変革してきていることは事実でございます。  今回もそのような意味におきまして港湾の法の定義を変えたところでございますが、それを特定重要港湾あるいは重要港湾一般港湾ということに分けているわけでございますが、そういうことで今回の場合にこうした時代が変わってきたのにあわせてこれを変えた、このように私たちは認識をいたしておりますし、そう御理解いただきたいと思います。
  51. 高野博師

    ○高野博師君 現行法は、第二条二項で重要港湾とそれから地方港湾という定義づけをしていまして、そして四十二条二項で、「重要港湾のうち外国貿易の増進上特に重要な港湾」、これを特定重要港湾、こういう定義づけをしているんですが、そもそもこの現行法で、「重要港湾のうち外国貿易の増進上特に重要な港湾」、これを特定重要港湾というこの定義づけそのものは、これはもう六〇年代、七〇年代の考え方位置づけ、まさに高度成長時代港湾役割そのものだと思うんです。  この国際海上輸送網拠点という考え方について、先ほど次官がおっしゃったように時代に応じてと言うんですが、かなり時代におくれてやっとこういう位置づけをしたのではないか。要するに、大航海時代のグローバルな視点から港湾というものをとらえていなかったのではないか、そうしてそういう考えに基づいた港湾行政を行っていなかったのではないか、そういう視点が欠けていたのではないかという感じがするんですが、次官はいかがでしょうか。
  52. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 高野議員の御指摘のこと、あえて否定はいたしません。  確かに私どもも港湾に対するそういった取り組みが若干欠けていた、国民からの意識からずれていた。先ほどの御質問にもありましたように、国民の理解がなかなか得られていない。しかも、港湾というのはかなり整備に時間がかかりますから、将来を見越して早期に手を打たなければいけません。そういうときに、特に大きな国際海上コンテナ役割を占める。しかも、それは大量に積むがために港湾の深さまでも、これは十五メーター水深といったようなことまでも要求される。それに対して、日本の方がおくれておった、東南アジアの重要港湾といいましょうか、諸外国のかなり大きな港湾の方が早く整備をしてしまった。  こういったことから、遅まきではございますけれどもこうした形で対応を始めたところでございまして、そのことはひとつ私どもも反省をしながら今後十分に対応してまいりたいと存じております。
  53. 高野博師

    ○高野博師君 第一条の「目的」の中に「環境の保全に配慮しつつ」という言葉を今回入れるわけですが、これはまさに、環境の保全に配慮をしてこなかったとは言いませんが、こういう視点もやはり今まで欠けていたのではないか。それで今回入れたということで、次官がおっしゃったように遅きに失したという感じが私もあると思います。  この後も質問いたしますが、国際競争力が非常に今の日本は低下してしまったという一つの原因は、こういう港湾のとらえ方、定義づけ、意義づけ、そこにやっぱり一つの問題があったのではないかと思います。  そこで、これまでの港湾整備事業について運輸省はどういう自己評価をされているのか、お伺いいたします。
  54. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 先ほど環境について、「目的」の中に「環境の保全に配慮しつつ」というのを今回入れさせていただいたわけでございますけれども、環境問題につきましても昭和四十八年の改正の中で、環境問題についての取り組みということについてかなりの部分について改正をさせていただいております。  その中で、新しく事業も、港湾環境整備施設でありますとか公害防止対策事業、そういったものに関連した規定を設けまして、環境整備に関連した施策を充実させてきていただいたわけでございますけれども、今回そういうことを明確に示す意味で、法律の「目的」の中に不備があるということで、「環境の保全に配慮しつつ」というような形で入れさせていただいたものでございます。  法改正以来、そういう環境面での施策の充実も図ってまいりましたし、それから港湾整備事業の中で、先ほど来御答弁を申し上げておりますが、外国貿易の中でも特に今は雑貨輸送、それを運びますコンテナ輸送というものが港湾の中でも非常に大きな比重を占めてまいっておりますので、そういった新しい事情に合わせた港湾整備施策というものを充実させていきたいということで、今回先ほども言いました三つの重点施策に重点的に予算配分させていただいているというふうに申し上げたところでございますけれども、そういった施策を充実させていただいているものでございます。  港湾整備事業について全体の評価はということでございますが、私どもは少ない予算の中でそれを重点的にそして効率的に使うように努力をさせていただいているつもりでございます。
  55. 高野博師

    ○高野博師君 従来型の公共事業の典型の一つは、港湾整備事業ではないかと思います。  見直し必要性等についてもいろんな議論がありますが、事業の再評価というのをきちんとやった上で、費用と効果という観点からこういう事業についてきちんと見直し、あるいはとらえ直しをするということが必要ではないか。日本経済の牽引車的な役割を果たしてきたのかどうかということについては、私は若干疑問があると思います。  そこで、港湾整備事業基本方針について若干お伺いいたします。  基本方針については、経済再生への道筋を固めるとともに、二十一世紀型社会の構築を先導するため、それぞれの施設整備目標を明確にしつつ港湾の戦略的整備を進めますと、こう書いてあるんですが、戦略的整備とはどういう意味なんでしょうか、お伺いいたします。
  56. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 物流の効率化は、経済構造改革の中でも、コストを含めて国際的に遜色のない水準のサービスの実現が目指される分野として最重要課題の一つであると認識いたしております。また、港湾整備は、自然条件、規模の大きさや社会的調整等の問題がありまして、計画段階から供用まで長期間を要します。  したがいまして、港湾整備に当たりましては、物流コストの削減目標を初めとする港湾整備目標海上輸送ネットワークの拠点となる港湾配置等を明確にした上で、長期的観点から計画的に実施する必要があると認識いたしております。  このため、今回の法改正におきましては、重要港湾等の配置見直し港湾工事の国庫負担率見直し等を行いまして、全国的、広域的な視点から港湾重点的、効率的な整備を進めていくことにしております。また、国際海上輸送コンテナターミナルにつきましては、背後の集積、貨物需要等を勘案しまして、集中と分散のバランスのとれた中枢・中核国際港湾全国配置計画を策定し、これをもって戦略的な整備を進めていると私どもは認識いたしております。
  57. 高野博師

    ○高野博師君 まさに、その戦略そのものはどういう戦略なのかということについて聞いているんですが、中身が問題なんです。  戦略的な整備をやるということについて、今度、前例踏襲主義的な考えでは戦略的な発想というのは出てこないと思うんです。それから、柔軟な発想が必要であるし、きちんとした理念、哲学があった上での全体観に立った上で、十分な情報を持った上で戦略を練るということになると思うんですが、単なる言葉の遊びあるいはレトリックではなくて、戦略というのは非常に重い意味を持っていると思うんです。したがって、まさに日本の場合は戦略的な発想がないというところに問題があるのではないか。  先ほど次官がおっしゃったように、戦略的パートナーシップというのはロシアとか中国の間あるいは米ロの間にもあるんですが、これは必ずしもストラテジーという意味ではなくて長期的なパートナーシップという意味合いが強いということもあるんです。  そこで、もう一つ、先ほどから港湾重点的、効率的な整備を進めるということなんですが、いつから重点的、効率的な整備を始めたんでしょうか。
  58. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾整備重点化につきましては、現在の港湾整備七カ年計画が始まりました、五カ年計画で始まったわけでございますけれども、その中でも、特に重点的な整備をするということをその計画決定の時点でも明確にしているところでございます。  特に重点的な整備対象といたしまして、先ほど申し上げましたが、国際輸送拠点となります国際海上コンテナターミナル整備でありますとか、あるいは内貿の中では複合一貫輸送拠点となります内貿ターミナル整備でありますとか、あるいは廃棄物海面処分場整備、そういったものに重点的に行うということで、事実これらのシェアにつきましては、従前、その前五カ年計画等に比べますと飛躍的にシェアを増大するような形で予算配分してやっているところでございます。  また、この重点的とあわせまして効率的な投資あるいは投資の透明性というふうなことが議論されるわけでございますが、それにつきましても、例えば透明性に関係いたしましては、新規に事業を実施いたしますときには新規採択時に費用対効果分析を行いまして、十分な効果があるものを新規事業として採択していくということでございますし、実施されております事業等につきましては、いわゆる時のアセスということで、その事業について数年を経た時点で再評価をいたしまして、継続するあるいはそこでもう休止するというふうなことについても意思決定をした上で事業の実施をしているものでございます。  また、将来的におきましては事後評価、そういったものも取り入れて港湾整備そのものが、重点的な整備が行えるように実施していきたいというふうに思っております。  また、先ほど来御説明を申し上げておりますが、東京湾等におきまして港湾相互間の連携についての調整を十分に行いまして、重複的な投資がないように整備をすることはもちろんのことでございますし、重要港湾港湾格付見直しについて行いましたものも、これは本当に必要な港について重点的な投資を行うということについての考えに基づいて見直しを行っているものでございますし、負担率見直しは限られた予算を有効に使うということでそれを行っているものでございます。  また、地方港湾については現在百港近くあるわけでございますが、平成六年当時に比べますと、現時点では約二百五十港以上の港を実施港数の中から落としておりまして、そういう意味でも、一つの港に対して重点的な投資ができるような環境整備をさせていただいているというものでございます。
  59. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、我が国港湾国際競争力が過去十年間で相対的に、特に東アジアにおいて著しく低下したという事実がありますが、その原因は何でしょうか。  逆に言いますと、なぜシンガポールとか香港とかあるいは高雄とか釜山とか、これが大きく飛躍したのか、その辺についてはどう見ておられますか。
  60. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 御指摘のように、シンガポールでありますとか香港等におきます港湾取り扱いの貨物量、コンテナの取扱量でございますが、これは私どもの東京港、横浜港等との間には相当の差がございます。  これは、特にアジアの各港が急速にその取扱量を伸ばしてきたということに対して、我が国港湾全体で一千万TEU、二十フィートに換算をいたしまして現状で約一千万ちょっとの貨物量を取り扱っているわけでございますけれども、それが日本列島全体の中で縦に長く連なっております関係で、例えば東京、大阪、北九州というような形で分散して取り扱っているということで、取扱量において差があるということについては先生御指摘のとおりでございます。  競争力についてはいろんな議論があるわけでございまして、港湾施設の問題、あるいはサービス水準の問題、あるいは港湾におきます各種の料金、いわゆる諸料金についてのそういった要因によって利用の度合いというようなものが影響を受けるのではないかというふうに思っておりますけれども、今回、一方でお願いしております港湾運送事業法の改正によりまして、港湾運送事業者間の規制緩和によってより競争が進行いたしまして、それによって利用者に対する便宜が図られるとか、あるいは港湾整備そのものにつきましても、公社方式に加えて、それに公共方式の事業も導入することによって全体の利用料を下げるとか、あるいは港湾管理者が行う料金設定につきましても各種の割引制度を導入いたしますとか、そういったことによりまして競争力を上げていくというふうな努力をさせていただいているところでございます。
  61. 高野博師

    ○高野博師君 なぜおくれたかということについてもう少し答えてほしいんですが、八八年から九八年までの過去十年間で、コンテナの取扱量はシンガポールは四・五倍にふえている。香港は三・六倍。これに対して、横浜は一・五倍、神戸は〇・七%減少しているという事実がありまして、シンガポールは神戸の七・五倍の取扱量を持っている。八八年の段階ではそれほど差がなかったわけですが、港湾運送のコストが高いとかサービスがニーズに合っていなかった、規制があった、いろんな原因があったと思うんですが、その辺について次官はどうお考えでしょうか。
  62. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) 高野委員の先ほどからの戦略という言葉までも含めての御認識、そういったものに対しての我々の観点といいましょうか、それが少し欠けていると言ったら語弊がございますけれども、高野さんの方のもっとグローバルな大きな戦略的なことまでも含めておっしゃっていることがわかってまいりました。  確かに、日本の国のあり方として、中国との生産拠点役割をどう担っていくのか、東南アジアはどうなのか、あるいは石油の輸入をどうしてやっていくのか、そしてまた防衛上の問題としてどこをどう整備し、またそこによっては自衛隊がどう入っていくかといったことまでも含まれているんじゃないか、そのように認識をさせてもらったわけでございます。  そういう点からしますと、確かにそこまでの大きな国家戦略的なことはまだ我々のところにも十分な認識が届いていないということは私自身も自覚をいたしていることでございます。そうした中で、東南アジア等がかなり国家戦略を持って、シンガポールにしましても自分の国を一つの大きな流通の拠点にしていくんだ、こういう国家目的を持ってやっているんじゃないかと思います。  そういうことから、一点集中的に予算が使えるような国情でもありますから、そういうところでかなり先駆的に十五メーター、十六メーターの深い水深のバースを整備していくとか、あるいはまたもちろん向こうは人件費が安い、そういったこともございまして、そこがターミナルの基地になっていく。そういう点からしますと、日本の場合に、最重点的にどこかの港に投資を集中させるといったようなことも現実問題としてできない状況の中で少しおくれたことは事実かと思っております。  しかし、それで嘆いてばかりもおられませんから、現在のところ、この法律整備すると同時に、そういった国際的な流れの中で日本も立ちおくれないようにやっていく、そのことの認識を新たにして取り組んだと、このように御理解賜りたいと思います。
  63. 高野博師

    ○高野博師君 先ほどの局長の答弁の中で、施設整備にちょっと触れられたんですが、実はこの施設整備のおくれということが原因の一つだとすれば、これは私は問題があると思うのは、施設事業費はこの十年間で八八年から九八年まで飛躍的に伸びているんです。九五年は八八年の三倍の予算を使っている。港湾整備事業を十年間でこれだけ飛躍的に伸ばしておきながら、国際的な競争力が落ちているというのは一体どこに問題があるのか。局長、どうお考えでしょうか。
  64. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 今御質問の三倍に伸びているというのは、どの事業に対する伸びでございましょうか。
  65. 高野博師

    ○高野博師君 港湾機能施設整備事業費の推移というこの資料にあります。
  66. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾機能施設整備事業費でございますか。  それは起債事業で実施しております埠頭用地でありますとかそういったものでございまして、今先生が御質問になっておりますのは、例えば水深十五メートルのバースでありますとかそういったものに対する整備費でございまして、残念ながら私ども予算が非常に限られておりますので、それに三倍という形で投資をするというような余裕は今はございません。  それから、先ほどちょっと御質問がございましたが、神戸とシンガポールについて一対七というふうな形になっているではないかという御指摘でございます。それは確かに事実でございますが、シンガポールは御承知のとおり中継貿易ということで港の経営を行っているということでございますが、我が国の港についても、約二割程度はいわゆるトランジットと申しまして、外国からの貨物を中継いたしまして中国等に運んでいるというふうな機能を有してございます。  ただ、我が国の港について、例えば神戸、大阪、横浜がシンガポールと同じような一千万とかあるいは一千五百万TEUを扱うような港にすることが必要かどうかということについてはやはり大いに議論のあるところでございまして、我が国経済そのものを支えていくという意味で十分な整備を行っていくことが重要ではないかというふうに考えております。  ただ、先生御指摘がございましたように、世界の船型の大型化というのはほとんど五年とか十年という間で大きく変わってきております。それで、現状で世界の主要航路に配船をされております船がオーバーパナマックスといいまして、もはやパナマックスを通ることを前提としない大型船になってきているわけでございまして、そういった船に対応した施設整備というのが東南アジア諸国についておくれたということについては否めない事実ではございますが、私ども今整備を促進いたしまして、平成十四年度末にはほぼ現状のシンガポールが持っております施設のレベルに追いつけるのではないか。これは全国合わせてでございますので、神戸港とか横浜港ではなしに、日本全国を合わせた港湾機能としてはそれに追いつけるのではないかというふうに考えているところでございます。
  67. 高野博師

    ○高野博師君 余り納得はできておりませんが、東アジアでこれだけ伸びてきた、シンガポールと比較して一対七という数字にこだわっているわけではありませんが、東アジアが相当伸びてきたというときに相対的に日本が落ちてきたという段階で、この十年間何の手も打たなかったというところに問題があるのではないか。これから追いついて云々と言っているんですが、これは日本経済がこれだけ低迷しているという中で、一つ港湾行政というか港湾役割が十分な役割を果たしてこなかったということも僕は言えるのではないかと思うんですが、投資も含めてむだがあったのではないか、さっき言ったように戦略がなかったのではないかという感じがいたします。  そこで、事業重点化、効率化の中で、国際貿易の拠点となる中枢中核港湾における国際海上コンテナターミナル整備を国家的プロジェクトと位置づけるという、これは二階大臣がそういう発言をされているんですが、国家的プロジェクトという位置づけはいつだれがどのようにして決めたんでしょうか。次官にお伺いいたします。
  68. 中馬弘毅

    政務次官中馬弘毅君) これは平成九年四月の総合物流施策大綱、ここで初めて出てきた言葉ではないかと思います。中枢中核港湾整備という形で位置づけられたわけでございますが、その後におきましても、「財政構造改革の推進について」あるいはまた「産業再生計画」、「財政構造改革の推進について」は平成九年ですし、「産業再生計画」は平成十一年一月でございますが、こうした閣議決定の中でだんだんとこれが固まってまいりまして、中枢・中核国際港湾整備、この必要性を認識されたようなことでございます。  近年の国際分業の進展等によりまして急増しております輸入コンテナ等の物流コストを削減し、我が国における内外価格差の是正や産業立地競争力の改善に寄与することを目的として政府全体を挙げて推進しているということでございます。  また、昨年九月の与党三党、公明党さんも入っておりますが、の政策協議におきましても、整備新幹線とともに国際ハブ港湾という形で国家的なプロジェクトとして位置づけているところでございます。
  69. 高野博師

    ○高野博師君 この中枢中核港湾が国家的プロジェクトだというのは私は初めて聞きました。やっぱり日本の場合、国家的なプロジェクトというのがきちんと位置づけされていないというところにも一つの問題があるのではないか。縦割り行政からは国家的プロジェクトはなかなか出にくいのではないか。関西空港の建設とかあるいは新幹線、これが国家的プロジェクトであるというのは理解できるんですが、どうも中枢港湾に対する投資が国家的プロジェクトだというのはちょっと理解に苦しみます。これも戦略的整備と同じようにレトリックだけの話、言葉だけは非常にいいんですが中身が余り伴っていないという感じがします。  これはこの辺にしまして、もう一つ港湾内の汚染問題について、エコポートとか環境を重視する、環境の保全に配慮するということでありますが、港湾内の海底あるいは底質部、これは相当汚染されているのではないか。ダイオキシンの問題あるいは環境ホルモン、これが相当堆積していて汚染されているのではないか。いわゆるヘドロ、汚染問題についてどういう対応をするのか、お伺いいたします。  特に東京湾については、ある大学の調査等によってもダイオキシンが相当あるということもわかっておりまして、港湾管理者が汚染したものではないことは確かでありまして、いろんな廃棄物の焼却あるいは工場からの廃液、あるいは農薬、こういうものが河川を通って海まで流れてきて堆積している。この汚染によって近海の魚も汚染される。その食物連鎖によって我々がまた汚染されるということでありますので、この港湾内のすさまじい汚染についてどういう対応をするのか、お伺いいたします。
  70. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾に堆積しております汚泥等の問題につきまして、例えば水俣湾におきます汚泥処理の問題、そういったものについては先ほど申し上げました昭和四十年代から対応してきたわけでございます。  特にその水質あるいは底質の改善を図るためには、海底に堆積いたしました汚泥を除去いたしまして処分するというふうなことはもちろんでございますけれども、そのほか汚濁水浄化のためには導水事業といったものも導入をいたしますとか、あるいは堆積しておりますものを除去するかわりに良質な砂を、これはしゅんせつ等で得られる砂もございますので、そういった砂を覆土あるいは覆砂というふうな呼び方をしておりますが、土壌の上にそれをまいてカバーをするというふうな事業でありますとか、あるいは大船渡で実施しております圧縮空気によります曝気作用といいまして、空気を送り込みまして水を酸化還元作用によって浄化していくというふうなこと、あるいは圧縮空気によりまして水を強制循環させるとか、そういった事業を実施しているところでございます。  また、今回法改正をしていただきますその関係環境保全に重点的に取り組むことといたしておりまして、先ほど来申しております藻場あるいは干潟の造成というのにつきましては、これらは窒素でありますとか燐について吸収能力が非常に高いというふうに言われておりまして、そういったものによって水中の窒素でありますとか燐、そういったものについて除去するというようなことも行っていきたいと思っております。  現時点で、先生は先ほどすさまじい汚染というような形での御指摘がございましたが、私どもも逐次いろんな機会の中で底質の汚染についても調査をさせていただいているところでございますが、そのような状況になっているところについては港湾管理者皆さんとも相談して、公害防止対策事業等の中で覆砂なりあるいはしゅんせつなり、そういった事業を実施していくことにしていきたいというふうに思っております。
  71. 高野博師

    ○高野博師君 昨年の七月十二日にダイオキシン対策特別措置法という法律ができたんですが、我々もダイオキシン問題については一生懸命党としても取り組んでいるのでありますが、この港湾の汚染についても、ぜひ先ほどおっしゃったように調査をした上で十分な予算をとって、これは早急に抜本的な対策をとってもらいたいと強く要望しておきます。  最後に、先ほどもお話がありましたが、重油の流出事故等があったときに油の回収船が一隻しかなかったということで、バケツとかひしゃくでくんだという悲惨な状況があったんですが、現在はこういう問題が起きたときにどういう対応ができるのか、あるいは回収船等についてはどういう状況になっているのか、お伺いいたします。
  72. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 日本海におきましてナホトカ号の事故が起こりましたときには、大型の油回収船、油回収機能を装備いたしました船は名古屋港におります清龍丸という船しかなかったわけでございます。清龍丸が一月三日だったでしょうか出動いたしまして、現地におきまして油回収事業に従事したわけでございます。  先生方にも感謝を申し上げさせていただきたいのでございますが、その後、予算措置といたしまして、下関にございます海鵬丸という船が現在就航中、大型のやはりドラッグサクションといいまして走りながらしゅんせつをできる船でございますけれども、が就航しておりますが、それの代替建造といたしましてせんだって三月十五日に進水をさせていただいたわけでございますが、名前については海翔丸と、海を飛ぶ船というような形で海翔丸という船を新しく建造をお認めいただいて、今建造中でございます。  そして、もう一隻、新潟に配備しております船で白山丸という船があるわけでございますが、これについても油回収機能を装備しておりませんので、予算措置をお認めいただきまして、白山丸についても代替建造をお認めいただいております。  白山丸はこれから建造をするわけでございますけれども、おかげさまで全国に三隻配備をしていただくことになりますので、二十四時間でほぼ、東北はちょっとすべてをカバーすることが難しいんですが、事故がありまして出動態勢を要請されますと二十四時間で、東北の北部はちょっとカバーできないんですが、現地に赴いて作業が実施できる。また、四十八時間以内でございましたら全国をすべてカバーできるような形で配備ができるんじゃないかというふうに思っているところでございます。  予算につきまして御配慮いただきましたことについて、お礼を申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  73. 高野博師

    ○高野博師君 こういう危機管理という点でも、港湾あるいは近海についてきちんと対応していただきたいと思います。  終わります。
  74. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  75. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ただいまから国土・環境委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、坂野重信君が委員辞任され、その補欠として世耕弘成君選任されました。     ─────────────
  76. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 休憩前に引き続き、港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 福山哲郎

    福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。  きょうから同僚の岡崎委員にかわりまして理事という大役を務めさせていただきます。まだ未熟でございますが、どうかよろしくお願いいたします、ピンチヒッターでございますが。  二階大臣に際しましては、大変お忙しいところありがとうございました。私は恥ずかしながら運輸行政に関しましては大変勉強不足でございまして、幾つか的外れなことも言うかもしれませんが、どうかお許しをいただきたいと思います。  まず、今回、港湾法の一部改正案ということで、この港湾法というのは、制定されたのが昭和二十五年、今からもう五十年も前でございまして、そういう時代背景ですからアメリカの影響も大変強く受けておりまして、一説によりますと、地方分権の色合いが非常に強い法案だというふうに伺っています。  今回、その法案を五十年ぶりに大きい改正をするということで大変重要な意味を持つと思っておりまして、二十一世紀を目前に控えまして恐らく運輸省としては相当な決意を持って今回の改正に臨まれたというふうに思っておりますので、この改正の意義、そして目的の大臣の御所見をいただきたいと思います。
  78. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) お尋ねのとおり、近年、この港湾につきましては相当グローバル化が進んでおりますし、経済社会の構造の変化が急速に進行しておる。時あたかも港湾法ができて五十年という区切りのときでございますが、経済構造改革等の取り組みを進めていこうということで、港湾におきましても、国際競争力を備えた活力のある社会の構築、国民生活の向上等を図るとともに、環境の保全に対する国民意識の向上等の時代背景といいますか、そうした状況を的確にとらえて、これにこたえていく必要があろうというふうに考えております。  今回の改正は、こうした背景を踏まえて、全国的、広域的な視点から効率的でなお重点的な整備を、そしてその適正な管理運営を推進していくとともに、港湾における環境施策の充実により、より積極的にこれに取り組んでいく上で必要となる措置をこの法案で講じようといたしておるところでございます。
  79. 福山哲郎

    福山哲郎君 ありがとうございます。  まさにグローバル化、そして効率的な運営、そして重点的な整備と、大臣のおっしゃるとおり大変重要な視点だというふうに思います。  そこで、この港湾法改正に至った背景について少しお伺いをしたいと思います。  この港湾法改正は、港湾審議会でずっと議論をされたというふうに伺っておりまして、昨年の七月、中間報告が出され、その後、最終答申を経て今回の改正につながったというふうに思っています。  実は、私、中間報告を取り寄せましてずっと読んだところ、大変いいことがたくさん書いてありまして、これまでの港湾行政の反省を踏まえた上でのいろんな御議論が展開をされたんだなというふうに推察ができるような状況で、その中で非常に特徴的なことは、「国は、将来貨物量の見通し、効率的・効果的な港湾配置・機能・能力等を明らかにしたグランドデザインとしての全国計画を明確に示すべきである。」というふうな文言がこの中間報告ではなされていました。  ところが、全国的なグランドデザインをつくるというのは、御批判があるような、いわゆるばらまき行政ではないかとか、きょうも午前中に同僚委員の方から話がありましたが、非効率な整備が行われてしまうのではないかという反省に立った上での議論だと思うんですが、残念ながらこのグランドデザインという言葉が今回の法改正には反映をされていなかった。  五つの今回の改正内容というのは、港湾の分類の定義、国の負担割合見直し、それから広域的な連携、そして港湾環境政策、それから放置艇の対策ということがあったわけですが、このグランドデザインに関しては表現がされなかったというふうに思っております。  私は、午前中、高野委員の方から戦略がなかなか見えないというふうに言われ、それが実は去年の中間報告には必要だというふうにうたわれていたのがなぜ今回の法改正に反映をされていなかったのかということからまずお伺いしたいと思います。
  80. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 福山委員は去年の七月の港湾審議会の中間報告をお読みになったということでありまして、私ども運輸省としましても、今回、港湾配置、機能、能力、今お話のありましたようなグランドデザインを明確にすべきだという提言も港湾審からいただいておりますので、この提言を受けまして、今回の改正においては、運輸大臣が作成します基本方針の記載事項にそうしたものを踏まえた港湾相互間の連携に関する事項を追加させていただきました。  そして、法の改正後できるだけ早く、一刻も早く基本方針を改正することとしておりまして、その中で、今お話しをしましたように、全国的、広域的な視点から港湾配置、機能、能力に関する基本的な事項について記載をさせていただきたいと思っております。
  81. 福山哲郎

    福山哲郎君 ありがとうございます。  確かに、基本方針はあります。基本方針はあるんですが、もともとの港湾法の三条の二、これは大臣も政務次官ももう百も承知のことだと思いますが、「運輸大臣は、港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針を定めなければならない。」と。もともとこの港湾法の第三条の二に基本方針を定めなければいけないというのがありまして、その基本方針は、「交通体系の整備、国土の適正な利用及び均衡ある発展並びに国民の福祉の向上のため果たすべき港湾及び開発保全航路の役割を考慮して定める」となっているわけですね。  今の連携をつけ加えられるというお話はごもっともとは思うんですけれども、この中間報告で言っているグランドデザインというのは、単に連携を深めて広域的な、効率的な運輸行政をするということだけではなくて、後でまた御議論させていただきますけれども、今ハブ港湾としての日本の国際的な地位が低下をしているという状況の中で、日本がどういう位置づけでこの港湾行政を今回、特定重要港湾等々を定めるに当たってしていくかという、もともとのグランドデザインが必要だという問題意識の中でこの中間報告で私は出てきたんだと思っているわけです。  今政務次官がおっしゃられたような、基本方針に連携をつけ加えるような、申しわけありませんが、そういったたぐいのレベルでこの中間報告にグランドデザインが必要だとは。ここにはしっかり書いてあるわけです。「将来貨物量の見通し、効率的・効果的な港湾配置・機能・能力等を明らかにしたグランドデザインとしての全国計画を明確に示すべき」と書いてあるわけであって、連携、効率だけに特化をした話ではないわけでございますので、今もおっしゃられた基本方針でそれを充当するという御意見は、確かに承りますけれども、少し足りないのではないかというふうに思うんですが、いかがでございますでしょうか。
  82. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) おっしゃることはよくわかっております。  ですから、今言いましたように、配置、機能、能力、やはりきちっと的確に把握をさせていただいて、もちろん先ほど言いましたように連携もきちっとさせていただきながら、そういうものを十分踏まえながら基本方針を改正させていただきたいと思っております。
  83. 福山哲郎

    福山哲郎君 私、別にここで余りこの議論をたくさん続ける気はないんですけれども、能力とか配置とかいうのは、私はあえて中間報告に書いてあるから申し上げたのであって、五カ年の整備計画ももともと九六年につくられているわけですし、現実問題として、この十年来日本港湾国際競争力が落ちているということは、逆に言うと運輸省は百も承知だったわけで、その能力や配置や適性というものに関してはしっかりと知り得る立場にあったのが多分運輸省だと思う。というか、運輸省しか知り得る立場になかったわけで、私は、昭和三十六年に緊急措置法ができて、そして我が国が高度経済成長をしてどんどん物が入って物を出していかなきゃいけない、それが我が国経済を発展させるためだということで港湾整備しなければいけないということで九次にわたって港湾整備計画をされてきたことに関しては、もう甚だそのとおりだと思っています。  ただ、そこがどこか曲がり角に来ているからこそ、今回五十年に一遍の改正をしていこうという流れの中で去年中間報告でグランドデザインを書けと言われたと。もともと基本方針は既存の法案の中にあるわけですから、そこに対してグランドデザインを今回省かれたということに関しては、甚だしつこいようでございますが、ちょっと残念だなというふうに思っておりまして、大臣、いかがでございましょうか。
  84. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 港湾我が国にとっても極めて重要な公共施設でございますが、これらの港湾につきまして近年、東アジア諸国等が相当伸ばしておりますので、比較いたしますと、我が国は東アジアあるいは近隣アジア諸国の港湾に比べて相当見劣りがするような状況になりつつあります。  したがいまして、荷役の問題等につきましても、だんだんと香港だとかシンガポールだとかが発展をしつつあり、我が国港湾はそれだけやや競争力を落としておるわけでありますので、これらの問題について、改めて我が国公共事業全体の中で考えるだけではなくて、もっと全国的な、いわゆる広域的な視点に立った取り組みをする必要があるというふうに認識をいたしております。  既に提言をされておりますグランドデザインの提示につきまして、私どもも、先ほど政務次官が答弁申し上げましたとおり、基本方針を改正することといたしておりますので、その基本方針の中において御指摘のようなことに十分対応していきたいと考えております。
  85. 福山哲郎

    福山哲郎君 わかりました。  今のグランドデザインに関して細かく言うと、実は中間報告から最終答申の間で抜け落ちているんです。これはいろんな流れの中で抜け落ちたんだというふうには思いますが、そこの意図はあえて詮索をしないことにしておきます。  では、もう一つ聞きます。  これは中間報告にも最終答申にもあった話でございますが、昨年十二月十七日に最終答申が出されました。その中に、港湾行政の透明性と効率性を確保することということが大きな項目として提言をされています。透明性と効率性というのは非常に重要なことだというふうにありますが、これも残念ながら今回の法改正の重要な柱という形では表現がされなかった。  これはどうしてなのかをお示しいただけますでしょうか。
  86. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 今お話しの中で、大変そのとおりだと思います。透明性、効率性というのは大変重要なことだと思っております。  事業の透明性の確保については、御案内のように、事業採択後の一定期間を経過した事業についての再評価のシステムとか新規事業についての採択時評価は既に導入しておりまして、実施しております。  福山委員御案内かもわかりませんけれども、十一年度の再評価の結果、事業を休止するものが、全国で三つの港がありました。これは具体的には述べませんけれども、一点だけ挙げるとするなら、採択を決めて五年経たところでもまだ着工ができていない地区があったわけであります。これは、千葉県の防波堤の問題もありまして、それも休止をさせていただきましたし、採択後、工事を十年間継続しましたけれども、これもやっぱり今の時代見直して、途中で事業の採択というものを、中間でもう一つ残っている事業もやめさせていただいた事例もあるわけであります。  そういう面で、さらに事後評価についても早期導入に向けた検討を現在進めておりまして、客観性、透明性の確保に十分努めているつもりでございます。  今回の法律改正において、重複投資を避けまして効率的な整備を促進するため、港湾相互間の連携の確保に関する基本方針の記載事項の追加を先ほど言いましたようにして、重点投資を行うための重要港湾配置見直し、そして国庫負担率見直しなどの措置を行うこととさせていただいております。  これらの施策におきまして、港湾整備における透明性そして効率性を十分向上することができると考えております。
  87. 福山哲郎

    福山哲郎君 今政務次官がお答えになられたことで、これは少し細かくなりますので、今お答えいただいたことなので局長にお答えいただければ結構なんですが、事業を採択したにもかかわらず五年間未着工のところがあったというふうに今政務次官がお答えになられました。これはなぜ未着工だったんでしょうか。
  88. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) ちょっと落ちました。  未着工になったんです。これを休止したということですから、確認をしていただきたいと思います。  理由は、今局長の方からさせます。
  89. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 事業計画について認めておりますものにつきましても、いざ実際に現地で事業を実施いたしますときには地元でのいろんな調整が必要になってくるものがございます。そういった関連で、調整がつかない場合には着工するということができない場合もあるわけでございまして、例えば公有水面の埋め立てに関連いたしましても、漁業者の皆さんの御理解を得られない場合には実際には埋立免許を取得するということもできないわけでございまして、そういった社会的な事情等も含めて、事業が実施できないというものは全国に例はたくさんございます。
  90. 福山哲郎

    福山哲郎君 今局長がまさにおっしゃられたんですが、事業計画を決めたけれども地元の事情とか社会情勢の問題があって未着工になって休止になってしまったと。それは逆に言うと、今私が問題にしている透明性の確保等について甘かったからこそ事業計画を決めて採択したけれども着工できなかったという事実が残っているんじゃないんですか。  そこで、社会事情や地元の意見の反映があるからこそできなくて、そこは考慮しましたと言うのは、それは裏返しですが、おかしな話でして、そういうことが起こらないために透明性を確保しましょうというのが、中間報告にしろ最終答申にしろ審議会が出された趣旨なのではないでしょうか。
  91. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 委員指摘のことについては理解をさせていただきますが、それぞれの事業についてはそれぞれの事情がございますので、それが着工に移されないということによってそれが透明性がないというふうなことではないというふうには理解をしております。
  92. 福山哲郎

    福山哲郎君 いや、ですから、そういうことを申し上げているんじゃない。それぞれの事情があるからこそ透明性を確保しましょうと。審議会で透明性と効率性を確保することと両方、答申にも出されたものが、今までの既存のものがあるから結構ですといってこの法改正では入れなかったわけでしょう。  それでは、何でこの法改正で入れなかったんですか。それぞれの事情があると今局長がお認めになって、事情があって事業を採択していたけれどもやらなかったものがある、そうだからこそこういうことが必要だと審議会では言われたんじゃないんですか。  では、法改正で入れなかった明確な理由をお答えください。
  93. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 先ほど政務次官の方からお答えをいたしましたとおり、既にその制度を導入して実施しておりますので、港湾法の中に入れるということではなしに運用として実施しているということでございます。
  94. 福山哲郎

    福山哲郎君 では、具体的な制度を、申しわけありません、御紹介いただけますか。
  95. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) ちょっとメモがありませんので若干正確性を欠くかもしれませんが、私どもの組織の中に、出先も含めましてそれぞれのところで評価委員会というのを設けております。そして、それぞれのところで各事業について評価をいたしまして、それについて、継続すべきである、あるいは事業計画を変更すべきである、あるいは休止すべきであるといったことについて結論を出すことにいたしておりまして、最終的には運輸省の評価委員会にそれを諮りまして、結果として休止あるいは継続、そういったものを決めているものでございます。
  96. 福山哲郎

    福山哲郎君 今までの既存の仕組みでは足りないからこそ私は審議会で出たんだというふうに思っていまして、この問題は先ほどのグランドデザインの問題、それから透明性、効率性確保の問題も含めて、今度は審議会のあり方そのものが問われてくるんです。  例えば、審議会がしっかりと答申を出したにもかかわらず、取り入れやすいところだけ入れて、運輸省が自分の都合で取捨選択をして、例えばそれによって法律改正する。私は、審議会の答申を一〇〇%すべて反映しなければいけないなんて、そんな頭のかたいことを言っているわけではないんですが、例えば効率性や透明性の確保やグランドデザインとして国が全体計画を出せということは、私はそう簡単に捨てていい話だとは思わないんです。  もっと極端な話で言うと、国際競争力が落ちているということを運輸省自身が午前中の議論の中でもお認めになられているわけです。国際競争力が落ちているということは、単に整備をするだけではなくて我が国の国益上の問題が非常に重要であるわけです。  その国益に関して言っても、国が全体としての港湾について、どういうふうな形で開発を進めていくのか、整備を進めていくのか、役割をどうしていくのかというのは、実は大変重要な問題で、もう一度申し上げますが、昭和三十六年に緊急措置法をつくって、このままじゃ日本経済成長にそごを来すといって先人の知恵で一生懸命港湾整備されたというのは、私は国益上の戦略があったんだと思います。  ところが、それがなくなってきてこの十年間落ち込んでいるからこそこの改正をするということで、我々も、よし、この改正ならば頑張ろうということでこうやって審議をしているわけです。それにもかかわらず、グランドデザインはない、効率性、透明性はもう既存の制度であるから構わないじゃないかと言われると、私たちとしては非常に納得ができない。  最近はやっておりますパブリックコメントでも全く同じで、パブリックコメントをとるはいいが、聞くだけ聞いてこんな結果でしたよと。でも、結果としては、取捨選択でいいところだけをとって、都合のいいところだけつまみ食いするような状況だと、やっぱり審議会のあり方やパブリックコメントのあり方、先ほど申し上げた透明性の問題というのはずっとつきまとうのではないかなというふうに私は思っているわけです。  余りしつこく言ってもあれなんで、次に移ります。  では、別の観点からいきますと、この港湾法というのは、先ほども申し上げましたように、明治以来もともと国家主導型であった港湾行政がこの港湾法の制定で大きく戦後変わった。いわゆる港湾というのは、管理者、地方自治体でございますが、地方自治体に管理責任をゆだねて、管理者が地域の発展に資する港湾計画を作成して運営するというスタイルがとられたわけです。極めて地方分権的であった。  ところが、先ほどから事情を申し上げていますが、昭和三十六年から、これではだめだ、国策としてしっかりやらなければいけないということで、港湾整備緊急措置法が昭和三十六年に制定をされて、三十七年から五カ年計画がつくられたわけです。昭和三十七年は私が生まれた年でして、この法律と私は同い年になるわけです。要は、そういった社会情勢の変化に伴ってこの措置法が制定をされた。  僕はこの間の明日香村と同じことを言っているんですが、何でこれがいつまでも緊急措置法なのかと。国として五カ年計画をきっちり定めてやっていこう、国策に基づいてやっていこうというものが、いつまでたっても緊急措置法だということに対して私は大変おかしいなというふうに思っておるのと、もう一つは、この港湾法と緊急措置法が、片一方は国が決めてやりましょう、予算事業づけをしましょうという話で、片一方は港湾管理者地域の中で自分たちで責任を持ってやりましょうと。  この二つの法律位置づけ関係性というのはどういうふうなものになっているのか、お示しをいただけますでしょうか。
  97. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾法につきましては、先生先ほど来の御指摘にありますように、港湾計画の制度でありますとか港湾管理者の設立の手続、その港湾管理者自身の業務、あるいは港湾区域と臨港地区の管理、港湾工事の費用負担、その他港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るための全般的な事項を定めているものが港湾法でございます。  一方、これに対しまして港湾整備緊急措置法と申しますのは、港湾整備事業を緊急かつ計画的に実施することを目的といたしまして、基本的には港湾整備の五カ年計画を定めて、その中で港湾整備事業の投資規模等を定めるその根拠になっている法律でございます。緊急かつ計画的にということで、先ほど来グランドデザインのお話もございますが、そういったものを含めて、港湾整備考え方、そういったものをこの計画の中で定めるそのバックボーンになっているのが緊急措置法ということでございます。
  98. 福山哲郎

    福山哲郎君 でも、港湾法の中では、管理者が現実に整備計画等をつくることができるわけですよね。
  99. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) まず、施設等の整備につきましては、港湾計画で定められているものについて施設整備が行われるというのは基本であろうかと思いますが、そのときに、その施設整備の計画については、港湾管理者が発議してみずから計画をつくって運輸大臣に提出して意見を求めるというような制度になっているものでございます。  港湾管理者自身は、みずからその事業を実施することもできますし、一方、国は港湾管理者との協議によりまして直轄事業を実施することができるようになってございます。そして、でき上がった施設については、港湾管理の一体的管理という趣旨に沿いまして、国は港湾管理者施設の管理委託をして、国の施設についても港湾管理者に一体的管理をお願いしているものでございます。
  100. 福山哲郎

    福山哲郎君 すると、港湾整備五カ年計画と港湾管理者がつくる整備計画との関係はどうなるんですか。
  101. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾整備計画の中には、先ほど申し上げましたように、港湾管理者がみずから実施する事業の計画と国が実施する事業の計画、その二つが含まれておるものでございまして、それらを包含した形で緊急かつ計画的に実施する計画として定められたものが港湾整備五カ年計画でございます。
  102. 福山哲郎

    福山哲郎君 でも、現実には予算づけをするのは国ですし、各管理者がつくる港湾整備計画というのは、国の五カ年計画のある一定の縛りというか、枠の中でやらなければいけないということになるわけですね。
  103. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) ある港湾におきます国と地方の実施計画というものは、大きな港湾整備五カ年計画の枠の中に入っているというふうにお考えいただいて結構かと思います。
  104. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、基本的には五カ年計画の中にあって、その中で各港湾管理者、いわゆる自治体が港湾計画をつくって、それがその五カ年計画、国のつくった枠組みの中ならオーケーということだというふうに私は今受け取らせていただいたんですが、そうすると、それに対して国のグランドデザインがない。港湾整備をするときには、あるときには管理者が自分たちでつくったんだと言う。でも、現実には五カ年計画の枠の中に入っているということで、そこら辺の位置づけが非常にはっきりしない。  それから、先ほど申し上げましたように、もう三十八年もたっている法律がいつまでも緊急措置法であるという位置づけ等については非常におかしな感じがしているんですが、政務次官か大臣、お答えいただけますでしょうか、その辺に関して。
  105. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 先ほど、何遍も繰り返しになって恐縮でございますけれども、既にきちっとやっているものについてはなお一層努力をさせていただく覚悟でございますし、今お話しのように、地方分権の問題もありましてやはり地方の声も十分承らなきゃならない。そして、国は、先ほど言いましたように大所高所に立って、国益をもちろん中心として頑張らなきゃならない。そういう面で、私どもも先生の御意見を貴重な御意見と受けとめながら、また一生懸命やっていきたいと思います。
  106. 福山哲郎

    福山哲郎君 では、少し具体的なお話に移りたいと思います。  先ほど高野委員の方からもありましたが、日本港湾施設の現状について数字で具体的にお教えをいただきたいと思います。  例えば、コンテナ貨物輸送量はここ数年どのような伸びをしているのか。そして、国際的に見た場合の競争力、特に、先ほど大臣もおっしゃっていただきましたが、東アジア圏で比較したときの日本港湾施設、横浜や神戸などの貨物の取扱量はアジアの他の港、釜山や高雄やシンガポールと比べて十年余りでどうなっているのか、少し具体的な数字でお示しをいただきたいと思います。
  107. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 午前中もこういうお話が出たというふうに承っております。  今お話しのように、平成十年における我が国港湾の利用状況は、全体の貨物量が約三十一億六千五百万トン、そして外貿貨物量は約十億六千四百万トン、内貿貨物量は、当然でありますけれども、外国から十億六千四百万来れば内貿は当然ながらそこで承ってまた違うところへ、国内へ行きますから二十一億百万トンであります。そのうち、全国におけます外貿のコンテナ貨物量の取り扱いは、実績として約一億五千八百万トン、二十フィートのコンテナでいきますと一千六十万個になるわけであります。  競争力についても、非常に港湾施設、またサービス、港湾コスト等のいろんな要因で競争力がおくれているということも聞いておりますけれども、私どももそういう面でなお一層頑張りたいと思っております。
  108. 福山哲郎

    福山哲郎君 具体的に香港やシンガポールや釜山、高雄等と比較してどうなのかの数字はございますでしょうか。
  109. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) はい。細かい数字でありますので、ちょっと局長の方から。
  110. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) コンテナの取扱貨物量について、TEU、先ほど申し上げましたが、二十フィートのコンテナに換算いたしました取扱個数でございますけれども、横浜につきまして、ここにデータがございますのは八六年の実績と、九六年は暫定値でございますが、八六年が百三十一万個でございます。それに対して一九九六年の暫定値は二千四百万個という数字でございます。  それに対しまして、お尋ねの香港、シンガポールでございますが、香港については八六年が二百七十七万個、九六年が千三百二十八万個、シンガポールは二百二十万個、千二百九十五万個というふうな数字になってございます。
  111. 福山哲郎

    福山哲郎君 今の数字だとなかなかわかりにくいんですが、資料集を見ると、伸び率にしても実際の絶対量にしてもかなり日本は負けているという数字が出ていまして、先ほど高野委員も何倍かという御指摘があったと思いますが、高野委員は非常に紳士的に言われたんですが、なぜこの十年来日本はこんなに国際競争力で東アジアの国々に比べて衰えてしまったのか、低下をしてしまったのか。先ほどお答えがあったんですが、私はちょっと納得しかねましたので、理由についてもう一度はっきりとお答えをいただきたいと思います。
  112. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) もう一度ちょっと言わせていただきますけれども、もちろん東南アジアの経済成長が著しいということは委員御案内のとおりでありまして、そういう面では、我が国と比べましてその経済成長の著しいところに貨物量が行くのは当然の話でございます。  しかし、競争力については、先ほども言いましたように、港湾のまず施設、そしてサービスの水準、港湾コスト等のいろんな要因が考えられますけれども、結果として、我が国港湾への基幹航路の寄港の減少は、輸送コストの増大、強いて言えば、当然ながら人件費の問題もございますし、産業競争力の低下を招く、経済活動の沈滞、空洞化をもたらすなど、生活全般への影響を懸念しております。  そういう面で、例えばフィーダー輸送、御存じだと思いますけれども、香港が今発展しておりますので、我が国が本当に一千個ぐらいのコンテナを持って、残念ですけれどもそういう形をすれば、余計に時間と、そして信用力とか信頼性も失うので、そういう部分も非常に私ども現実の問題として深刻に受けとめております。
  113. 福山哲郎

    福山哲郎君 今、ソフトもハードも両方の面が足りない、不足をしている、フィーダーに関しても基本的にはもう負け続けているというお話がありましたが、本当に残念至極なところでして、衆議院運輸委員会で同僚の民主党の奥田先生が、日本港湾施策はこの十年間眠っていたと発言をされています。  運輸省のお役人にとってはそんな失礼な話はないというふうに思いますが、現実問題として、十年間このハードやソフトが明らかにおくれていたことはわかっていたはずですが、なぜ国際競争力がつくような状況に政策のチェンジをするに至らなかったのか。そういった理由は何かあるんでしょうか。
  114. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) けさほども申し上げましたが、世界の船舶の大型化というようなことが一つの大きな要因でございまして、それに対応した港湾整備のおくれというのがけさからも御指摘をいただいているところでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、港湾整備そのもの、バースを一バース整備するということについてもかなりの懐妊期間があるわけでございまして、けさほど御答弁申し上げましたように、平成十二年度末には十五メーターのバースを十四バース供用することができるような状況になったということでございまして、そういった意味では、施設整備も追いついてまいりましたので、競争力の回復というのは図れたのではないかというふうに思います。  現七カ年計画、これは最初は五カ年計画でございましたが、その五カ年計画の発足のときから国際競争力の回復ということを掲げて努力をしてまいったわけでございまして、私ども眠っていたということでは決してございません。
  115. 福山哲郎

    福山哲郎君 もう大変専門家に失礼ながら、今どんな原因でこれがこれだけおくれたのかという話をされたときに、政務次官はソフトやそれこそ先ほど言われた港湾施設の問題、コスト、サービスの水準、いろいろ言われました。でも、今局長が何と言われたかというと、船舶の大型化についていけなかったからだとおっしゃるわけです。こういう御答弁をされるから逆に納得ができない部分がいっぱい出るわけです。  では、十五メーターバースが十四できるかもしれないけれども、十五メーターのバースが要る船というのは香港とかシンガポールとかに一体どのぐらい入ってきておるわけですか。日本には今十五メーターのバースで現実にどのぐらいの船が入ってきていて、それが日本貨物量について一体どのぐらいの比率なんですか、十五メーターのバースで入ってくる量は。
  116. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 今、手元にそのデータを持ち合わせておりませんし、それから、例えば今世界でトップクラスのコンテナ船というのは、六千個から八千個ぐらい積めるコンテナ船が就航しているわけでございますが、今の私どもの統計の中ではその船がそれぞれの港で何個おろしたかというような形での把握をちょっとしておりませんので、何%というふうな形では御答弁を申し上げることができないわけでございますが、就航してそこに入港している船というふうな形では、バースの大きさということで先ほど御説明をさせていただいたわけでございます。  それから、先ほどバース数のことについてお話し申し上げたのは一つの例として申し上げたわけでございまして、政務次官が答弁申し上げましたとおり、EDI化その他についてもソフト面での整備もやらせていただいているもので、私の答弁にそれが入っておりませんでしたことについてはおわびを申し上げたいと思います。
  117. 福山哲郎

    福山哲郎君 一番巨大なものでいうと、一体どのぐらい、何メーターぐらいのバースが要るんですか。今、世界の最先端の巨大な船というのはどのぐらい要るんですか。
  118. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 世界のトップクラスの船ということで申し上げますと、水深が一応十五メーターでほぼ大丈夫かと思われますけれども、ピッチング、ローリング等のことを懸念いたしますと、最大水深でいえば十六メーターがあれば安心できる水深かと思います。
  119. 福山哲郎

    福山哲郎君 では、その十六メーターの、巨大な船籍というか船というのは世界で今一体何隻あるんですか。
  120. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 現在就航している船は二十四隻ということでございます。
  121. 福山哲郎

    福山哲郎君 ここが問題なんです。大型の施設がないから日本国際競争力が落ちたんだと言う。ところが、現実問題として十五メーター、十六メーター級の水深のバースが要る船というのは世界に二十四隻しかない。その世界の二十四隻に合わせて日本が、例えば今回出てきている中核や中枢港湾でそのバースをつくるといったって、日本全体でもう七港あるわけです、二〇〇〇年一月現在で。韓国八、台湾三、中国四、シンガポール十一、確かに十一でシンガポールは多いのかもしれないけれども、日本全体で七あるわけです。二〇〇〇年以降の見込みでいっても日本全体で十四になる。  ところが、今こうやって議論していたときに何が足りないんだと言うと、局長からは十五メーター級のバースが足りないから、だから国際競争力が落ちたと。こんな原因だというふうに本当に認識しているんだったら、全くもって僕はおかしいと。それじゃ納得できないです。  それで、本当にこの十年間、これだけ日本国際競争力が落ちた原因がそれだけなのか。水深十六メーターとか十五メーターの必要な船が動き出したのが本当に九〇年の頭とか八五年のあたりから動き出しているのかというような点を考えたときに、僕は、申しわけないですけれども、もう少しやっぱり誠実に御答弁いただかないと納得できないんです。  そうしたら、やっぱりまず初めに整備計画、施設ありきといって、きょう午前中にもありましたばらまきじゃないかと言われる批判があったって、これは言われたって仕方ないじゃないですか。いかがですか、政務次官
  122. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 先ほど局長お話ししましたように、一つの要因として水深の十六メーター、十五メーターのバースだと言っておるわけでありまして、これだけでとらえるということは、非常に委員おっしゃるとおりでありまして、先ほども午前中の交通情報委員会におきまして、大臣からも港湾運送法、平たく言いますと需給調整でございます規制緩和の問題等、やはりこういうものも踏まえて総合的にやはり新しい、今まで競争に勝てなかった部分になお一層国際的にも競争力をつけていこう、ソフト、ハードの面で両方やっていこう、こういうことでございます。
  123. 福山哲郎

    福山哲郎君 では、全国十一カ所の中枢港湾、八つの中核港湾というのは、日本港湾行政の中でどういった位置づけでいらっしゃいますか、それから、どのぐらいの荷物をその中枢港湾中核港湾で扱われるのか、お示しいただけますでしょうか。
  124. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 今の量はどのくらいだということでありますので、ちょっと局長の方からその量のことを先に。
  125. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 中枢中核港湾につきましては、中枢港湾それから中核港湾、それからその他の港湾というところでコンテナ貨物を取り扱っているというふうにお考えいただければと思いますけれども、大体全国の九割以上が中枢港湾のところで扱われているというのが現状でございます。  それに対しまして、将来、二〇一〇年ごろには、想定でございますけれども、中枢港湾については全体の八割程度、それから中核港湾については全体の一五%程度、これは現状では全国コンテナの大体六%ぐらいを扱っておりますが、これを一五%程度、そして、その他の港湾におきまして、現状では三%程度でございますけれども、それを五%程度を取り扱うというふうな形で整備をしていきたいというふうに考えております。
  126. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、十一の中枢港湾で九割、二〇一〇年には八割、八つの中核港で今は六%ですけれども将来一五%ぐらいの見通しだということですね。  そうすると、現状では六%しか扱っていないのですが、八つの中核港湾で、今はアメリカとかに輸送する場合に、先ほど政務次官が言われたように国内輸送費や陸上輸送料が高かったりソフトの面だとかいろんなものがあって、例えば釜山とかに運んで、そこを中継地点として先ほど言われたように持っていっている。中核港が今回の法案で整備が進めば進むほど、逆に言うと横浜や神戸のようないわゆる中枢港が釜山やシンガポールや香港との競争力でいうと弱まってくるわけです。そういうジレンマを抱えているわけです。これは恐らく政務次官も百も承知の話で、どこでも議論されている話だと思います。  そういう状況に置いたときに、中核港を整備します、中枢港も整備しますという話、なおかつ中枢港については十五メーターバースをみたいな話が出てくるけれども、中枢港で幾ら十五メーターバースをたくさんつくったとしたって、中核港は全部安い釜山とか香港を経由して輸送していくという実態があるわけです。  中核港を整備すればするほど横浜、神戸を中抜けして逆に日本が相手にしているところを中継して運ぶという実態があるわけですが、こういった実態については、政務次官、どのようにお考えですか。
  127. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 委員御承知のとおり、先ほど局長が言いました十五メーター、十六メーター、なぜ必要かというこの部分的な話をさせていただきますけれども、御存じのようにコンテナはそこの港だけでおろすわけじゃないわけです。ですから、どうしても先ほどの御心配のとおり、我が国にそういう大型のコンテナの船が入れるようなものを整備しないと、やはり先ほど言いましたように釜山やシンガポールに負けてしまう。そこに入れて順番に荷物というのは置いていくわけで、やっぱりそういう面で中枢国際港というのは充実しなきゃならないし、それに伴う連携的な中核国際港もつくらなきゃならない。やはり一カ所でぽんとおろすわけじゃないので、そういう部分はきちっきちっと一つ中心的なものをおろさないとそういう体系的なものができないというふうに承知しております。
  128. 福山哲郎

    福山哲郎君 では、ちょっと別の観点でいきます。  そういう話の中で、九六年の五カ年計画では、二〇一〇年にコンテナ需要が倍増するというふうに出ています。このコンテナ貨物が二〇一〇年までに倍増するという根拠は一体どこにあって、算出はどうしているのかをお示しいただけますでしょうか。
  129. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 基本的には、過去の貨物量だとか将来のGDPとか国際的な分業化をトータルしまして、国際間の競争もきちっとしながら推測したわけであります。この推測の基準、ちょっと私には、大変細かい専門的な知識が要りますので、ちょっと局長の方からこの予測数字をさせますので。
  130. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 現行の五カ年計画をつくりましたとき、一九九六年に推計を行ったものでございますけれども、二〇一〇年のコンテナ取扱量につきましては、二十フィートのコンテナ換算で約二千万個というふうに推計をいたしております。
  131. 福山哲郎

    福山哲郎君 根拠。
  132. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) ちょっと言葉で御説明することをお許しいただきたいと思いますけれども、この貨物量の予測につきましては、我が国からの輸出について、貨物の需要国であります主要の輸出相手国の経済の発展、そういったものについても考慮をいたしますとともに、輸入につきましては、我が国のGDPとかそういったものを配慮に入れて相関を行いながら推計をしたものでございます。  また、先ほど政務次官の方から申し上げましたように、アジアの中での貨物流通につきましては、製品、半製品の状態での動きというものについても現状と変わってきておりますので、そういったものについても貨物量の推計に一つのモデルを構築いたしまして、そのモデルによって推計をしたものでございます。
  133. 福山哲郎

    福山哲郎君 例えば、我が国経済成長率、GDPは大体どのぐらいで想定されていますか。
  134. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) その推計の基準といたしまして、基準年を一九九二年といたしまして、それで二〇〇〇年までのGDPの我が国の伸びを経済企画庁が設定をいたしました三%、それ以降については二・七五というような数字で推計をしております。
  135. 福山哲郎

    福山哲郎君 今の実態の日本経済成長率からいうとかなり高い見積もりだというふうに言わざるを得ないんですが、そこに関しては局長はどのようにお考えですか。
  136. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) その点につきましては委員指摘のとおりかと思います。現在、GDP等の見直しに基づいた推計について見直しを行っているところでございます。
  137. 福山哲郎

    福山哲郎君 その見直しはいつぐらいに終わる予定でございますか。
  138. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 今の事務方の作業の進捗状況からいきますと、本年の五月か六月ごろに出るということでございます。
  139. 福山哲郎

    福山哲郎君 要は、私が申し上げたいのは、せっかく五十年に一度の改正にもかかわらず今のような状況で、根拠もいま一つあいまいであるし、先ほど言ったグランドデザインもできていない。そして、国際競争力が落ちている原因についても正直言って余り明確な答弁がないということで、非常に残念に思うわけです。  そんな状況の中で、少し具体的な話で、これもまた私、現地へ行ってきたのですが、和歌山県に下津港というところがありまして、ここで十四メーター水深のバースを二つつくるという話があります。  和歌山の下津港というのは、先ほど言われた中枢でも中核でもなくて一応特定重要港湾なんですが、ここで十四メーターのバースが二つも要るというのがやっぱりよくよくわからない。そして、同港のコンテナ貨物需要の将来予測が二〇一〇年で四万一千百TEUと非常に大きな値になっているわけです。二〇一〇年で四万一千百TEUです。ところが、九六年に実際に運ばれたのは約四千、九七年が約四千二百、九八年は三千百と四千前後ということで、二〇一〇年のもともとの需要の将来予測の四万一千に比べると十分の一の数字なわけです。  そこで、先ほど十五メーターバースが要るか要らないかというような話がありましたが、十四メーター級のバースを二つつくるという計画がある。こういった議論をもとに、例えば幾ら地方港湾計画を出してきたからといっても、私はつくるなと言っているのではないのですが、そうしたら国は何と言うかというと、それは地方分権の先ほどの港湾法の話ですと言う。でも、国は先ほど言ったように五カ年計画で枠をはめている。  国の需要予測にしてもこの地域の需要予測にしても到底想定不可能な数字になっているという状況で納得しろと言う方が非常に難しいと思っているんですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
  140. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 和歌山県のことでありますので、大臣のふるさとでありますから私からしゃべるのも何か恐縮をしますけれども。  今先生のお話のように、現地へ行かれてという話でありますので、ここには周りが鉄鋼業だとか石油精製の基地だとか火力発電とか、そういうものの条件は結構あるようであります。私は残念ながら現地へ行っておりませんで、先生の御通告をいただいてすぐにいろいろ調べさせていただきましたけれども、今御案内のとおり特定重要港湾でございます。  今お話しのように将来約四万個を見込んでいる。これは、県が管理者でありますから、いろいろと地元の皆さん方、特に関係皆さん方や、そして特にこれは一和歌山県だけではありませんで、当然ながら奈良県とか大阪とかいろいろな背後もこれから、港というのは充実するに従ってその需要も多くあるわけでありますから、当然県の見ておる四万個も私は、今は低調でありますけれども、この港が充実すれば恐らく利用者がいろいろたくさんいらっしゃると思います。  特にここにつきましては、韓国や中国等の近海航路のものも結構需要を見込んでおるようでありますし、また港湾計画の中で十四メートル、ツーバース、船舶の大型化に対応する目的も、地元の関係者の方々のヒアリングもしまして十分対応を、やはり十四メーターバースが二つ要るのではないかというようなことも県の方もしっかりと把握をしているように聞いております。
  141. 福山哲郎

    福山哲郎君 実は、ここは前に計画があった十三メーター級のバースがまだ計画中なんです。それで、まだ計画中のままで残っているにもかかわらず十四メーター級のバースを二つつくると。先ほど言われたみたいに、大阪があるからこそ、大阪中枢としてやってもらわなければいけない。それなのに、十四メーター級のバースをつくってそれだけの大型船が和歌山の下津港に来るかというとなかなか理解しがたいことがあるんですが、それは余り繰り返しません。  しかし、ここについてはもう一つ問題があって、今回の港湾法改正で大きなテーマになっている環境の問題があって、九九年七月の港湾審議会の答申で、計画部会において、この下津港の港湾整備計画について地元住民の理解を得るよう努めることという異例の附帯条件がつけられました。  それは、万葉の歌に読まれたという大変景観のすばらしいところだということと、今の計画性のところでなかなか理解しがたい部分があって部会でそういうふうな異例の附帯条件をつけたんですが、この附帯条件について運輸省は今どのようにお考えになっておりますでしょうか。
  142. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) ちょっと答弁が長くなって恐縮でありますけれども、大事なところでありますので。  今、福山委員おっしゃったように、私も調べてきました、万葉集。「紀伊の国の雑賀の浦に出で見れば海人の燈火波の間ゆ見ゆ」と、大変きれいな美しい万葉集でありまして、それだけ当時から景観のいいところだというふうに把握をしております。  和歌山県の下津港の港湾計画については、平成九年十一月、埋立面積百十七ヘクタールの計画が港湾管理者である和歌山県から運輸大臣に提出され、港湾審議会審議をした上、運輸大臣から景観の保全に配慮するよう意見を付しました。これも把握させていただいております。この意見を受けて和歌山県では、景観の保全のため、埋立面積を七十四ヘクタールに縮小するとともに、埋立地の位置を変更する変更案を策定し、地方港湾審議会に諮った上で運輸大臣に提出があったと聞いております。  これに対し運輸省としては、平成十一年七月に開催された港湾審議会に諮問し、慎重な審議を行った結果、港湾計画を承認するとともに、先ほど言いました修景効果の配慮、そして先ほど委員おっしゃった地元関係者の理解、これは女性の方や旅館業の方や市民の方々からいろいろお話をいただいたそうでありますが、の二点について意見を付したところでありまして、運輸省としては、今回の計画により景観への影響は改善されていると認識していますが、今後、事業の実施に当たって景観への影響について十分なアセスメントを実施することが非常に重要だと考えております。
  143. 福山哲郎

    福山哲郎君 そこで、地元住民の理解を得るよう努めることという計画部会の附帯条件に対して何らかの行動を運輸省並びに県は起こしておられるでしょうか。
  144. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) こういう時期ですので、当然ながらこういう住民の意見を聞かないということはもってのほかでもありますし、今お話しをしましたように、これから住民の意見をしっかりと聴取して具体的な方策を今後進めていくというように運輸省としても考えております。
  145. 福山哲郎

    福山哲郎君 政務次官、大変恐縮でございますが、昨年の八月に出た附帯条件でございまして、要は半年間結局まだ何もやられていないということでしょうか。
  146. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 雑賀崎の整備計画を実行しますためには、これから埋立申請等の手続に入るわけでございますけれども、それに先立ちまして環境アセスメントの手続に入るわけでございます。県はその環境アセスメントに入るための調査を今開始しているところでございまして、環境、景観に配慮するようにということについていかなる形でそれを反映させた形で埋立申請のアセスメントとして持ち込めるかということについて検討しているところでございます。
  147. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 途中の御質問でしたから後ほどそれを言おうと思っておりましたけれども、今言いましたように、もう一つ、特に修景効果というのが非常に御地元の強い要望であるというふうに聞いております。  そういう面では、もちろん環境アセスメントの問題もありますけれども、普通の護岸ではなしにやはり全体的な景観を十分踏まえた護岸をきちっとするように、それから緑の問題、すべての今度の港湾計画で新しく検討させていただいたそういう景観の中できちっとした具体的な緑、背景、そしてもちろん先ほど言いました公有水面の埋め立てについての環境アセスメント、そういうものを十分配慮して指導しております。
  148. 福山哲郎

    福山哲郎君 いや、ですからお答えいただいていないんです。地元住民の理解を得るように努めることという計画部会の附帯条件について、何らかの形で九九年の八月から何かの行動は起こされたのですかと伺っています。
  149. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) アセスメントのための調査に入っておりますので、それが行動に入っているということでございます。
  150. 福山哲郎

    福山哲郎君 済みません。私には到底理解しがたいんですが、もう一度御説明いただけますでしょうか。
  151. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 環境に配慮をする形で、先ほど政務次官の方からもお話がございましたが、どういう形で景観について配慮をするかということについて検討しなければ埋立申請、そういったものにもつながりませんので、現状では、今どういう形でそれを反映させて計画をつくり上げていくかということについて地元で調査をしていただいているということでございます。
  152. 福山哲郎

    福山哲郎君 私の質問には全然答えていただいていないような気がするんです。  ですから、具体的に行動に移ったのか、審議会の答申を受けてということについて全く答えていただいていないんです。
  153. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 質問者の真意はわかりましたか。
  154. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) やはりきちっとした調査をさせていただく、それには当然ながら住民の皆さんの御意見を賜って、きちっとした結論が出たときに具体的な方法等をやはり地元の住民の声が反映できるような形で進めていきたいと思っております。
  155. 福山哲郎

    福山哲郎君 それは、事業計画をするに当たって環境アセスを、今回埋立計画が七十四ヘクタールになるということで、五十ヘクタール以上の埋立規模になるからそれは環境アセス法の適用を受けるから制度としてやるという話です。それは当たり前のようにある話でございまして、そうではなくて、審議会では附帯条件として地元の住民の理解を得るように努めることということであって、今、鈴木政務次官局長が言われたことは、環境アセスメント法の適用があれば当たり前のようにやるあくまでも制度上の話でございますから、私が伺っている審議会で出た附帯条件に対しての行動を起こされたかということに対する答えにはなっていないと思います。
  156. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 私の申し上げようが悪かったのかもしれませんが、地元の理解を十分に得られるように地元で調査をしているということでございます。
  157. 福山哲郎

    福山哲郎君 まだ答えておられない。  ということは、要は審議会のこの附帯条件についてはやっていないということですね。それはお認めになるんですね、局長
  158. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 審議会、運輸大臣の意見を受けて地元ではその作業に入っていただいているということでございまして、まだその結論は出ておりませんけれども、現在その検討をしていただいているということでございます。
  159. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 実は、和歌山和歌山と出ておりますが、私の地元ではないわけであります。  先ほど来政務次官港湾局長が答弁を申し上げておりますが、この件に関しましては、私が大臣就任以前のことでございますが、環境庁等で問題が提起されておる、あるいは新聞等にもそういうことが掲載されておる、特にこのことに関しまして民主党が大変御熱心に再々現地等での調査等をなさっておられる、国会等でもお取り上げになっておられる、そういう状況を承知いたしておりましたので、環境庁に真意を伺いますと、まず和歌山県と和歌山市が協調してこうした問題に対して対応されることが望ましいというお話のようでありましたから、私は、和歌山県知事及び和歌山市長に対して積極的に対応されるようにということを申し上げたことがございます。当然、今そうしたことに対して知事及び市長の方で対応されておるものと信じております。
  160. 福山哲郎

    福山哲郎君 大臣のお言葉はありがたいと思いますが、現実にはお答えをいただいていないですし、その審議会で出た附帯条件に沿って行動はしていない。  私が言いたいのは、実は、先ほどから中間報告や最終答申で僕は省かれたところがあるというふうにお話をしましたが、最終答申には市民参加による港湾行政という部分があって、市民が参加意識を持てる港湾行政の推進ということを提言しているわけです。提言をして、今回これまた法案の改正には抜かれていまして、現実には、審議会で地元住民の理解を得るように努めることという大変異例な附帯条件がついたことに対して去年の九月から何にもやっていない、こんなばかな話は僕はないと思うんです。あげくの果てには、答申から市民参加の港湾行政づくりというのを抜いてこの港湾法改正をしようとしている。  そんなつまみ食いだけして、自分のところの都合のいいところだけとって、私は港湾整備をするのがだめだと言っているのではないのです、先ほどから再三再四申し上げているように。ただ、グランドデザインはない、国際競争力は落ちっ放し、あげくの果てには大きなバースをつくりますという話が出てくる。そして、審議会で出てきたこの聞けという話も結局やっていない。  一体これでどうやって港湾行政が、これから二十一世紀信頼されて、国民運輸省にお任せすると。私は国益だと思っています、正直言って。そういうふうな姿勢ではやっぱり私は信用されないというふうに思っていまして、今回環境保全が目的として入れられたことに対しても、これは一つ間違えると廃棄物の処理に対する埋め立ての正当性に使われる可能性もあると私は危惧をしています。  そうではなくて、私は必要なものは必要でいいと思うんですが、もう少し真摯に透明性のあるしっかりとした行政の運営をしていただかないと、今のような審議で、この港湾法に私どもは賛成をするつもりではいますが、賛成しろと言ったって逆にこうやってお話ししていると賛成するのが嫌になる。もう少し誠意のある御答弁をいただかないとどうしようもない。  最後にもう一つお伺いしますが、これは環境庁と運輸省、両方にお伺いしたいのです。  では、この和歌山の雑賀崎の下津港につきましては、七十四ヘクタールということで環境アセスメント法を適用するんですね。そこだけ最後、御確認をお願いします。
  161. 太田義武

    政府参考人太田義武君) お答えいたします。  七十四ヘクタールということでございますれば、当然対象になるものと考えております。
  162. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 先ほど、再々何もやっていないということを言われておりますが、運輸省としては当然県を指導して、対策を講ずるように指導しているわけでありますから、何もやっていないということだけは少しお言葉が過ぎるんじゃないかと思います。  言われておりますのは、環境対策に対して万全を期せ、こういう御意見だと思いますので、現状、きょう現在どうなっているかということを十分調査して、また後ほど回答を申し上げたいと思います。
  163. 福山哲郎

    福山哲郎君 これで質問を終わります。  ありがとうございました。
  164. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 法案では、重要港湾特定重要港湾、午前中も議論になっていましたけれども、この定義を明確にして、大規模な直轄工事費用の国の負担割合を引き上げる、全国的、広域的な視点から港湾の効率的、重点的な整備を行っていく、そういうふうになっているわけですけれども、具体的にどんなものを重点的に整備していくのでしょうか。
  165. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 港湾整備重点化、効率化のために緊急的な対応が必要な港湾整備として、国際及び国内海上輸送拠点となる国際海上コンテナターミナル整備を考えております。複合一貫輸送拠点となる内貿ターミナル整備、次に廃棄物海面処分場整備重点投資を図る一方で、限られた港湾予算の中でこれらの予算を捻出するために、これまでも事業実施港の数、箇所数の削減等に努めてまいりましたところであります。  今回の法律改正におきましては、国費の重複投資をなくし効率的な整備を促進するために、港湾相互間の連携の確保に関する基本方針の記載事項を追加するとともに、国費の重点投資を行うために重要港湾配置見直し及び国庫負担率見直し措置を行うこととしております。これにより、一層の効率化、重点化のための施策を充実させることができると考えております。
  166. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 一九九六年に始まった第九次港湾整備計画、東京湾、伊勢湾、大阪湾、北部九州、この十一の中枢国際港湾全国各ブロックに一カ所ずつある八つの中核国際港湾、これに大水深の外貿コンテナバースを五十、国内物流向けコンテナバースを三十整備するというふうに計画をしている。  この大水深の外貿コンテナバースというのはどういうものなのでしょうか。
  167. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 近年、コンテナ輸送を担う海運事業者におきまして、企業間連携の再編によりましてコストの削減及び頻度の高い航路設定によるサービスの向上等、競争力の強化に向けた取り組みを行っているところであります。その取り組みの中で、北米、欧州航路の再編成及び六千個を超えるコンテナ積載能力を有する大型コンテナ船の投入等による寄港地の集約化が進められております。施設整備のおくれは、このような大型コンテナ船の寄港の減少を招くことになり、輸送コストの増大、ひいては産業競争力の低下を招くなど、我が国経済生活全般への影響が懸念されておるところであります。  このため、世界の基幹航路に投入されております大型コンテナ船対応に不可欠な大水深外貿コンテナターミナルの整備に国が積極的に取り組み、国際的に遜色のない水準の港湾サービスを実現することが重要であると認識しております。
  168. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私、横浜港に行ってまいりました。そこの外貿コンテナバースを見てきたんですけれども、岸壁の長さが三百五十メートル、奥行きが五百メートルという大変広大な面積で、水深が十四メーター以上、ガントリークレーンを設置して、今お話にありました六千個以上のコンテナを積む大型船が接岸できる、これを五十バース整備する、これが今回の計画なわけです。  この整備計画というのは、どのような外貿コンテナの需要見通しのもとに策定されたのでしょうか。そして、今までの実績というのはどうなのでしょうか。
  169. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) コンテナの取扱貨物量につきまして、平成十年、一九九八年の実績で申し上げますと千六十万TEUということでございます。  外貿コンテナの需要見通しでございますが、平成十二年につきましては、TEUベースで千五百五十万TEUというふうに、五カ年の策定時に推計をした数値としては千五百五十万個と推計しているものでございます。
  170. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 外貿コンテナの取扱量が年率七・六%ずつふえる、そういう見通しで計画が立てられているわけですけれども、三月十五日の交通・情報通信委員会の私どもの筆坂議員の質問で、外貿コンテナの九〇%以上を占める中枢港湾の九八年度の外貿コンテナ取扱量は計画よりも四千二百万トンも少ない、そういうことが明らかになりました。  外貿コンテナバースの一バースの取扱量を百五十万トンということで計算すると、計画より落ち込んでいる取扱量というのは二十八バース分に相当します。五十バース整備する、そういう計画の半分以上が過剰な計画、投資ということになるんです。  港湾局長は、九九年度上半期は前年よりふえている、そう答弁をされましたけれども、では九九年の年間ではどうなっているのですか。
  171. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) せんだって御答弁を申し上げましたように、一九九九年の上半期の外貿コンテナ貨物量につきましては、トンベースで申し上げますと七・六%、TEUベースで申し上げますと九・二%の増加ということでございます。  九九年全体を通じてどうかというお尋ねでございますけれども、まだ集計中ではございますけれども、私どもが現在得ている情報によりますと、ほぼ上半期と同じような伸びが確保できるのではないかというふうに考えております。  それから、先ほど五十バースについてのお話がございましたが、横浜港につきましては、十メーター以上のバースが現在二十一バースございます。私ども計画をしておりますのは、本牧埠頭についてAからDまでのバースがあるわけでございますけれども、現在、そのDバースの一つについて十三メートルの水深のものを十五メートルに改造中でございますが、さらにそういったものを含めてA、B、Cについてもあわせて改造をして大水深化を図ることにしておりまして、既設二十一バースに対しまして平成十七年の今の計画の目標の中では二十三バースということで、二バースの純増というような形で整備をしていくように考えております。  東京の大井埠頭についても、十三メーターのバースが八バースあったわけでございますけれども、それについて七バースの十五メーターバースに改造するというようなことも含めて五十バースというふうに申し上げたものでございます。
  172. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 要するに、運輸省は五十バースが新たにふえるわけではないという言い方をして、改良するものもあるよという話をされるわけです。しかし、取扱量が年率七・六%増で二億二千八百万トンになるから五十バースの整備が必要、これが第九次の港湾整備計画であって、別にスクラップ・アンド・ビルドではないはずなんですね。  それで、横浜港についてはまた後で議論させていただきたいと思うんですが、九九年度の通年の取扱量はどうなっているかということです。  一千万トン以上取り扱っている東京、横浜、名古屋、神戸、大阪、この五港は中枢十一港の取扱量の九割を占めます。九九年のそれらの港の暫定値を見ますと、いずれも前年以下になっているんです。特に落ち込みが大きいのが横浜港と神戸港なんです。  横浜港では、埠頭公社、ここが現在十あるコンテナバースを十六にするという計画を持っております、これは改良するという部分も他にあるわけですけれども。それで、計画では九四年の三千三百四十二万トンのコンテナの取扱量が二〇〇五年には四千六百五万トンにふえる、そういう見通しを立てているわけです。ところが、実績はどうかというと、九五年の四千五十六万トンをピークに年々減少している。九八年には三千百十六万トンと大幅に落ち込んでいるんです。計画どおりにふえるどころか、計画の出発点の九四年よりも減少しているんです。  そういう整備計画、これは私は見直すべきだというふうに思うのですけれども、いかがですか。
  173. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) まず、九九年のデータについてということでございますが、まだ先ほども申し上げましたように集計中ということでございますけれども、コンテナ貨物について申し上げれば、それは減っているというようなことではないんじゃないかというふうに承知をしておりますし、今九五年以降の貨物についてのお尋ねもございましたが、手元にデータをちょっと持ち合わせておりませんのであれなんですけれども、そんなに落ち込んでいるというようなことにはなっていないというふうに承知をしております。
  174. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 これは、暫定値というのが出ていて、今言ったように全体として落ち込んでいるんです、特に大きな五つが九割の取扱量を占めているわけで、それが落ち込んでいるわけですから。これはもう事実であるし、横浜についてはそういう状況になっているわけですから、現実に落ち込んでいる実態を踏まえない、そういう計画というのはおかしいのではないですかということを私は言っているんです。
  175. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 再三同じことを答弁させていただくようで恐縮でございますが、コンテナにつきましては、全国ベースで平成十年については千六十万TEUということでございまして、平成十一年については、まだ推計的な状態でございますけれども千百五十万TEUというような形になってございますので、委員指摘のような形で落ち込んでいるということではないというふうに考えております。  詳細につきましては、詳しくデータが出ました段階で御報告をさせていただきたいというふうに思います。
  176. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 外貿コンテナの取扱量は、これはトン数になりますけれども、五港で一億三千三百五十六万トン、これが九八年、九九年が一億二千八百三十七万トンということで、まだ暫定値ということですけれども明らかに減っているわけです。これが中枢です。数字論争をしていても仕方がないんですが、いずれにしても、減っているかふえているか、先ほど最初に答弁があったように大体前年比そこそこぐらいじゃないかということだと思います。  それで、横浜について言うと、私、見てきて驚いたんですけれども、今でも十バースのうち二つはあいているんです。その上、来春に南本牧埠頭の二バースが新たに供用されます。新しいバースを使う会社は既存のバースを三つ使っているんです。ですから、また新たにあきができてしまう。あきは合計で五つできる。その他にもコンテナを扱える公共の多目的バースが十一あります。現地では、一バースで年間に取り扱うコンテナは二十五万個がベストだと言う。しかし、実際には今でも二十二から二十三万個。この上バースをふやしたら、もっと効率が悪くなる。  本当にあと幾つも大水深のバースが必要なのかどうか、これが私が現地で率直に感じた思いです。その点、どうですか。
  177. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) バース数の話につきましては、今コンテナバースとして考えておりますのは、先ほど申し上げましたが、全体で現在既設のバースとして二十一バースが稼働をしているところでございますが、それを再開発いたしまして二十三バースにするということでございます。その中で、現状では横浜港におきましては十五メーターバースについてはまだ一バースも稼働していないわけでございますけれども、それについては十四メーターあるいは十三メーターのバースを改造いたしまして十五メーターにするということで、十メーター以上のバース数全体については二十一から二十三バースにして対応していくということでございます。  それで、貨物量の伸びについての議論は先生おっしゃっておりましたようにさておきまして、実際に船の大型化等に対応した施設整備というようなことについては対応していく必要があるということで、先ほど申し上げましたような計画に従って整備を進めているところでございます。
  178. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それで、大型化への対応が必要ということなんですけれども、雑誌「海運」の九八年一月号で、当時の大阪商船三井の生田社長が港湾局長と対談をしていて、その中で、  一五メートルの大水深コンテナバースは五〜六、〇〇〇個型のコンテナ船が重量フルロードで、燃料油もフルに積んでいるときに初めて必要な水深です。 と述べているんです。十五メーターの大水深コンテナバースは要らない、そう断言をしています。  アジアから日本経由で米国向けに走るとしますと、アジア貨物は比較的軽いので、ウエイトがいっぱいにならず、絶対に船の底が擦れることはない。復航は、燃料を切らして息も絶え絶えで帰ってくるので、ドラフトは一五メートルもない。   日本起こし欧州向けの船はどうかというと、香港、シンガポールで積むスペースを開けておくのでドラフトは一五メートルもない。ですから、率直に言うと一五メートルを必要とする航路は大雑把にみて殆どないんです。 これは、コンテナ船を運航している会社の社長が要らないというふうに言っているわけです。  実際、横浜港には現に世界最大級のコンテナ船ソブリン・マースク号、九万一千五百六十トンが十四メーターバースに接岸しているんです。だから、大型が必要なんだ、大型対応だ、そう言いながら、先ほど言ったように物すごく大きな需要予測を立てて、結局、現在の状況よりも四千二百万トンも過大に見積もる、こういうような計画を立てている。私はそこに大きな問題があるというふうに思います。  神戸の場合、九八年の取扱量は九四年よりも千三百四十八万トン、三二%も少ないんです。ところが、この間、水深十五メーターバースを四つも整備しました。その結果、コンテナバースが十バースもあきとなって使われていないんです。しかも、さらに今も十五メーターバースを整備中、その上もう一バースの計画もある。  これは、私は明らかにむだ遣いだというふうに思いますけれども、どうですか。
  179. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 神戸港についてのお尋ねでございますが、九四年ということですと地震の前の数字ではないかと思うんですが、神戸港は、御承知のとおり阪神・淡路大震災の被害を受けた関係がございまして、神戸港をベースにいたしました商取引等についても変わっておりまして、それを今、神戸港としては呼び戻すということで必死の努力をしていただいているところでございまして、そういった関係もあってその数字が出てきたのではないかというふうに思います。  生田社長と当時の港湾局長がそういう誌上で討論をしたということについて私は承知をいたしておりますが、私どもも、港湾審議会の中で邦船社あるいは外船社、それぞれの方にも御参加をいただきまして意見を聞くような会を持たせていただいております。そういった中で、先生御指摘のように、本当にその十五メーター、十六メーターのバースが必要なのかどうかということについて、実際に船を運航されている方からも意見を聞きながら必要なものについて対応していくというふうにさせていただきたいと思っております。
  180. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 どういう方がどういう意見を言われたか知りませんけれども、私どもはオープンにこの雑誌というのは見られるわけです。そういう中でこのプロの方が雑誌で堂々とお述べになっている。これは非常に貴重なことだというふうに思うんです。  この神戸のことについても生田社長はこう言っておられます。  一つの良い例があるんです。阪神・淡路大震災で神戸港の三五〜三六あった国際ターミナルが潰れてしまった。そのうち、緊急対応として九つのターミナルを修復して、日曜も含め二四時間対応し、それで何と神戸港の七割の貨物が十分に処理されました。これはソフトが国際基準並に改善されれば、一〇〜一二のターミナルがあれば神戸港の貨物量は一〇〇%処理できることを証明したわけです。  これは、私は一人の専門家の御意見としてなかなか筋が通っているなというふうに思いましたけれども、いずれにしても、やっぱり物事というのは、きちっと批判をするそういう意見にも耳を傾けて、一体、むだではないのかどうか、どうなんだ、過大見積もりではないのかどうかということを真摯に検討していく必要があると思うんです。  それで、こういう状況というのは横浜港、神戸港の特殊な状況じゃないと思います。  中枢港湾である東京湾、伊勢湾、大阪湾、北部九州のいずれも外貿コンテナの取扱量は減ってきているんです。  中核港湾ではどうか。例えば塩釜港の場合、水深十四メートルのコンテナバースを一バース整備中で、さらに十五メーターバースを計画中。ところが、九八年のコンテナ取扱量は五十四万トン、つまり一バースの三分の一しかないんです。  新潟港の場合ですが、今、三バースで七十四万トン、一バース当たりわずか二十四万六千トンの実績。さらに、十四メーターバースが二バース稼働し始めている。これらを使うともとのバースはあきとなるんです。それなのにさらに十四メーターバースをもう一つ整備する、そういう計画があります。  まず整備計画ありきで、そしてつくってから必死になってポートセールスをするということになるわけです。私は、これではあべこべだというふうに思います。  先ほどの生田社長が言っておられる中で、なかなかおもしろいなというか、なるほどそういうこともあるのかなというふうに思ったんですが、  コンテナ貨物が二〇一〇年頃に倍増するという需要予測は、ひょっとしたら頭の良い方が、まず建設ありきという観点から逆算したのではないか。 こういうふうに言われているんです。  私も、先ほどから同僚議員と運輸省の議論を伺っていて、もしかしたらそういうことなのではないかと。それだけの需要があってそれに対する設備投資が必要なんだというのがどうも納得がいかないんです。そういう点でおかしいというふうに思うんですけれども、中核港湾について一体どういうふうに考えておられるんでしょうか。
  181. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 中核港湾につきましては、先ほども言いましたが、現状では三%程度の貨物を取り扱っているわけでございますけれども、将来的には五%程度の貨物を取り扱えるような形にしようということでございます。  それについて、塩釜港についてのコンテナ貨物についての御指摘でございますが、地方港湾におけるコンテナ貨物については、着実に伸びておりますことは自信を持って申し上げられる数字だと私どもは承知しておりまして、貨物については着実に伸びておりますので、中枢港湾を補完する意味で、先ほどのような格付のレベルで、済みません、中核については一五%を目標にしてということでございますけれども、確実な整備をしていくべきだと思っております。  ただ、新しいバース計画があるということでございますが、新しいバースを新規に着工するときにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、着工時におきましてコストとベネフィットについての分析をいたしまして、そういう効果のないものといいますか、時期尚早と思われるものについては着工を見合わせるというふうなことはやらせていただいているものでございます。
  182. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 中核港湾の外貿コンテナの取扱量はふえている、それはそういうことだと思いますけれども、貨物の総量というのはほぼ横ばいなんです。ですから、コンテナバース以外の外貿コンテナの取扱量がふえればそれ以外の取扱貨物というのは減るんです。そうすると、その分の港湾施設も余ってくるわけです。  今まで外貿コンテナは使っていなかった常陸那珂港、ここで三バース完成するんです。これだけで四百五十万トンが新たに加わることになります。そのほかにも大水深バース計画がメジロ押し。運輸省は、川崎港については、今お話があったように、八十四万トンの実績でも新たなバースを整備する予算をつけませんでした。中核港湾の取扱量、これは清水港以外はみな同じくらいか、あるいはそれ以下なんです。  ですから、港湾整備について別に反対だと言っているわけじゃないんです。各港について建設競争をするんではなくて、もっと詳細に全体を見てそれで検討をしていく、そのことが大事だというふうに思うのです。  先ほど生田さんの発言、幾つも紹介しますけれども、先ほどの議論で関連づけと思ったんですけれども、日本の業界のあり方について、  香港の取扱量は年間一、三五〇万TEUあり、ターミナルバースの数は二一、クレーンの数が五八本、シンガポールが世界第二位で年間一、三〇〇万TEU、ターミナル三一、クレーン九八。日本の七大港の取扱量は総合計でやっと一、〇〇〇万TEUなのに、ターミナルバースの数は九五で、香港の四・五倍、シンガポールの三倍。クレーンの数は一九〇で、香港の三倍、シンガポールのほぼ二倍あります。  日本のターミナルの稼働率を計算すると五八%ぐらいです。これを、もし諸外国のように、三六五日、二四時間のワーキングにしたら稼働率は二〇%台になってしまう。 こういう記述があるわけですけれども、やっぱり日本は、先ほど言ったように、過大投資、公共事業を先に何とか確保しなきゃいけないというところからどうも出発しているような気がするんです。  そういう意味で、先ほどの問題提起に戻りますけれども、各港の実態をよく調べて個別に詳細に検討するという作業をぜひやっていく必要があるというふうに思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  183. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 港湾の問題あるいはまた空港の問題等につきまして御党からもしばしば御意見をちょうだいいたしておりますが、私はそれぞれの数字をお示しになりまして御議論いただくこと、それはそれで傾聴に値すべきことだと思いますが、港湾は、御承知のように建設着手してから完成までの間、あるいは建設に取りかかるための地域の合意を得て地元の地方公共団体が中心になってこれに対応しようということを言い始めてから港湾が完成するまでの間、十年、十五年、二十年、場合によっては三十年もかかるものがざらにあるわけでございます。  これと昨今の経済事情等をすり合わせて考えると、多少そこに計画どおりいっていないものも短いタームで考えればあるかもしれませんが、長期的に考えていけば、先ほどからしばしば御議論がありますように香港やシンガポール、私も二年ほど前でありますが、他の用件でシンガポールに参りましたときにシンガポールの港湾を視察する機会に恵まれましたが、ずっと眺めておりまして、この東アジアの近隣諸国がこのような港湾整備をしてコンテナの新しい時代に対応しようとしているときに我が国はこれでいいのだろうかということをつくづく考えました。これに対応できるところは横浜か神戸、これぐらいしかないんじゃないかというふうな現地の説明者のお話も聞くにつけて、港湾という問題について改めて考えなくてはならないと思ったわけであります。  ちょうどそのころ、我が国におきまして公共事業の削減あるいは見直し、そして港湾予算等が運輸省の中におきましてもだんだんと削減される方向の中にあって、これは将来にわたって大きな禍根を残すのではないかというふうに私自身は考えておるわけであります。  ただいまのような御意見、また専門家と言われる生田さんの御意見等も十分参考にしながら、いわゆる御批判にはやはり謙虚に耳を傾けるべきだ、このように思います。私どもも何もでたらめに初めに港湾建設ありきで後から何かの数値を並べた、そういうことではありませんので、我々はこれから、先ほどの御意見、また本法案の改正審議の間に当委員会でちょうだいしました御意見を十分参考にしながら対応していきたいと思っております。
  184. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、今回の法改正港湾区域内に船舶の放置禁止区域を設けることができるようになりました。  近年、海のレクリエーションが活発となってプレジャーボートなどの不法係留、不法投棄が大きな問題となっています。海上保安庁が確認している海洋への投棄船舶の数は、九七年千二百六十四隻、九八年千五百十一隻、九九年千八百十八隻となっています。多分この数は氷山の一角ではないかというふうに思います。  大体、プレジャーボートの処理費用というのは一体幾らかかるんでしょうか。
  185. 谷野龍一郎

    政府参考人谷野龍一郎君) お答えをいたします。  プレジャーボートの廃船処理でありますが、御承知のようにプレジャーボートの大宗は繊維強化プラスチックでつくられたものであります。それを前提として廃棄の方法は大宗として二つございます。一つは焼却処分にする、それからもう一つは細分化して埋め立てをする、こういうことであります。  前者の焼却処分の場合は、FRPがプラスチックであることから高温燃焼させなければいけないというやや難しい問題がありまして、皆さん一般的には細分化して埋設する方法をとっておられます。この場合の費用でありますが、通常三メーターから五メーターぐらい、大体二百万ぐらいの船で約二十万円ぐらいかかると承知いたしております。
  186. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 地方自治体は不法投棄船舶の処理に大変頭を痛めています。持ち主が見つからない投棄船舶というのは自治体が処理せざるを得ないんです。  直接話を聞いたんですが、上に浮かんでいる場合と沈んでいる場合は全然違うんだと。沈んでいる場合には、油が流れ出ないように覆ってクレーンで揚げなければいけないので手間もお金もかかりますということで、東京湾域の七都県市は運輸省に対して、所有者不明の放置艇及び沈廃船の処分についてプレジャーボート関係業界団体が経費を負担する制度をつくってほしいというふうに要望しています。港湾審議会の答申では、プレジャーボートについては届け出制の導入による所有者の体系的な把握、これが必要だというふうに指摘をしています。  私は、やっぱり所有者をしっかりつかめる、そういう手だてが不可欠だと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  187. 谷野龍一郎

    政府参考人谷野龍一郎君) お答えをいたします。  まず、所有者の把握の問題でありますが、現在、船舶の分野でいわゆる登録制度がございますのは、船舶法に基づく登録制度と漁船法に基づく登録制度の二つでございます。  船舶法につきましては、その目的が国籍を証明するということでございまして、そのために五トン未満についてはその対象から外されております。したがって、先生の御理解のように、五トン未満の船が大宗を占めるプレジャーボートについては現在登録制度はございません。  ただ、別途の法律で小型プレジャーボートの安全対策を講じておりまして、安全基準を定めて検査をする制度がございます。この検査を執行しております民間団体に小型船舶検査機構というのがございまして、そこはトータル五十四万隻の在籍船に対して検査を実施いたしております。したがって、そこはすべて、目的は別ですが、所有者を把握してございます。  昨今、先生がおっしゃるような廃棄物船の処理の問題がございますので、地方自治体からの御要請にこたえる形で情報を開示し、所有者については特定できる仕組みが現実にはございます。
  188. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ところが、その検査によってつかめるかというと、そうでないから自治体は困っているわけです。言ってみれば、転売だとかあるいは廃船にするためにわからなくしてしまうということもあるわけです。だから、所有者をしっかりつかめる手だて、これをとるようにということで審議会の答申でも体系的な把握をしなさいということを言っているんだと思うんです。  自治体にとって船舶というのはまさに処理困難物です。処理困難物は当然製造者の責任で処理を行うべきものだと思うんです。運輸省として、今回法改正されたわけですから、この機に製造者の処理責任をきちんとさせたそういう処理の仕組みを私は研究する体制をとる必要があるというふうに思うんです。  例えば、大臣、自動車について言えば、業界が基金を積み立ててやるというようなこともやっているんです。ですから、船舶についても関係業界団体の責任で基金をつくるとか、その業界の責任で。とにかく所有者がはっきりするということが一つ。それから、やっぱり事業者も、もうどうしてもわからないものについては自治体に全部丸ごと投げるんじゃなくて基金で対応する、そういうやり方もあると思うんです。  その点について、ぜひそういう道を切り開いていっていただきたいというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  189. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) プレジャーボートの車庫証明、登録制度などについてもお尋ねがございましたが、それも一つの方法かと思います。  当然、プレジャーボートをつくって売った人とそれを買った人、これがまず責任を持ってこれを処理すべきが筋なんですが、現状は残念ながら日本のいろんな港湾、漁港等がこうした廃船で埋め尽くされておるような状況にあるわけでありますから、とりあえずこの事態を回避しようということで、この廃船につきまして、運輸省としても検討に検討を重ねた結果、今日のような法律を出させていただいたわけであります。  廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいて基本的には所有者と地方自治体において処理されるべきものだということを先ほども述べましたとおり考えておるわけでありますが、プレジャーボートは、御承知のとおり他の廃棄物と比較して処理が容易ではありません。事業者にも協力をお願いし、同時に処理事業者に関する情報の提供、流通ルートの活用等、廃棄物処理が円滑に行われるように努めるということでありますが、これはまさに口で言うのは簡単ですが、本当に厄介な問題だと思っております。  運輸省としては、将来的にはいわゆるFRPの廃船が増加していくことが予測されるわけですから、リサイクル技術の確立を考えようということで、今度の平成十二年度の予算につきまして一億三千万円の予算措置を講じております。当該技術の確立とリサイクルシステムの事業化に関してメーカー等に対しても積極的に協力を要請していく考えであります。  FRPの廃船のリサイクル技術の確立の内容につきましては、FRPの廃材をセメント等の原材料として再利用する技術を確立することができないか、あるいは、船のいわゆる解体した資材及び機器を再利用する技術の確立ができないか、こうした点を念頭に置いて対処をいたしたいと思っております。  今委員指摘のようなことにつきましても、これからこの処理を計画的にそして効果的に整理することができますように努めていく間に参考にぜひさせていただきたいと思っています。
  190. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ちょっと時間がなくなってきたものですから、ごみの問題については、大臣が先ほど言われたように、所有者と事業者の責任、これがきっちりしないとだめなんです。そういう方向でぜひ、リサイクルの探求もいいんですけれども、やはりそこの責任がはっきりするような手だてというのを筋としてとっていっていただくということが大事だと思うんです。
  191. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 私は常々考えておるんですが、プレジャーボートをお持ちになるというのは、かなり生活力もあるし、相当の立場の人が持っておるわけであります。それを廃船にして全国各地の港湾や漁港に迷惑をかけっ放しになっておるというこの実態は、どこでそれを捕捉するかということになりますと、やはり船の所有者、あるいは船を製造しているところ、販売しているところ、そうした方々の御協力を得なければなりませんが、今委員指摘のとおり、私も同じような思いを持っておりますので、その点も余り甘い態度ではなくて、しっかりした対応をしていきたいと思っております。
  192. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 ちょっと時間がなくなってしまったんですが、三番瀬の問題について伺いたいと思います。  東京湾の奥部に残された貴重な干潟、三番瀬の埋立計画ですが、国民批判の中で千葉県は当初の七百四十ヘクタール埋立計画を縮小したわけです。  ただ、百一ヘクタール埋め立てていくということで現在環境会議で審議が行われているわけですが、そのうち船橋側は京葉港二期計画による計画なんです。埋立予定地に隣接して現在百八十五メーターバースが二つ並んでいるんですが、埋め立てで一バースを二百五十メーターに延長する、鉄鋼を扱う三万トン級の大型船が接岸できるようにする計画なんです。船橋の食品専用埠頭に接岸すると移動運賃が余計にかかるので公共埠頭に接岸できるということにしたいという理由です。  しかし、実際に鉄鋼用の大型船が食品埠頭に入ったのは二年間で五回だけ、九八年はたった一回なんです。現在ある二つのバースを活用すれば十分対応できるというふうに思います。  港湾審議会の答申では、「港湾整備の実施にあたっては、干潟や海浜をはじめとした貴重な自然環境への影響を最小限に抑制するに止まらず、自然の能力を活用した新たな干潟や浅場の造成、護岸の緩傾斜化や海水浄化機能を有する構造の採用等をはじめとした生物生息環境を創造する構造形式の採用等の取り組みを進めていくべきである。」、こう指摘しているわけです。  運輸省としてこの三番瀬の問題についてもそういう立場で対応していただきたいと思うのですが、ちょっと時間がありませんので、簡単にお答えいただきたいと思います。
  193. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 京葉二期を含めました三番瀬に関連いたしました港湾計画でございますが、平成四年の三月に港湾審議会において議論をしていただきまして、その結果、運輸大臣の方からは、計画の実施に当たっては環境の保全に十分配慮されたいという意見を付して計画を認めたものでございます。  先ほど先生の方からもお話がございましたように、現時点におきましては、現地調査等に基づきまして計画の縮小案について検討されているというふうに聞いておるところでございまして、港湾計画案についての御相談ということについては私どもまだ受けてはおりませんけれども、こういった検討を受けて港湾計画についてのお話があれば、それについてこの意見を付しました事実に基づきまして真摯に対応させていただきたいというふうに思っております。
  194. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境庁、その埋立場所は旧船橋航路の跡だというわけですけれども、私も現地に行って、既に航路しゅんせつから三十年たっているので、もう浅海域の様相を呈しているわけです。既にそれなりの環境ができていて鳥もたくさん集まってくるというところで、これだけのすばらしいところはもう船橋市内にはないんだというような意見が現地で寄せられました。  私は、航路跡だということで安易に埋め立てていいというふうにはならないというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  195. 柳本卓治

    政務次官(柳本卓治君) 私もその場所には就任以来すぐ行きましたけれども、航路しゅんせつ三十年が経過しておりますけれども、三番瀬の埋立計画案につきましては、今後千葉県の環境会議で検討が進められる予定であります。  先月二十八日にこの検討結果を踏まえた千葉県の見直し案が会議に報告されておりますが、この見直し案は、当初の埋立面積を縮小するなど環境に配慮した面も一部ございますけれども、環境庁としては、三番瀬への影響を最小限のものとするために、先生御指摘の船橋分岐航路跡の埋め立ても含めまして、埋立人工海浜の必要性環境影響について十分な検討を行うことなどを千葉県に対して今後とも要請していく方針でございます。
  196. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 最後に、博多湾の和白干潟について伺いたいと思います。  ことしの二月、福岡市長は、博多湾の干潟にはシギ、チドリなど多くの渡り鳥が飛来しており、今後、国設鳥獣保護区について国と協議してまいります、そう議会で答弁をしています。  環境庁としては、既に九六年に鳥獣保護区域にしたいとの打診をしていたということですけれども、積極的に市と協議して国設鳥獣保護区に指定してラムサール条約に登録する、そういう方向をぜひとっていただきたいというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。
  197. 柳本卓治

    政務次官(柳本卓治君) 御指摘のように、本年二月に福岡市長が博多湾の国設鳥獣保護区設定に向けまして環境庁と協議していく旨を発言しております。環境庁としても、前向きに取り組んで大歓迎でございます。  御存じのように和白干潟を含む博多湾一帯は、環境庁が平成九年に取りまとめましたシギ・チドリ類渡来湿地目録におきまして全国十二地域の重要渡来地域一つとして位置づけられております。  和白干潟につきましては、現在、福岡県が鳥獣保護区の設定を行っておりますいわゆる県設の鳥獣保護区でございますが、このような位置づけを踏まえまして、環境庁としては、和白干潟を含む博多湾の一部を国として鳥獣保護区の設定を行いまして、今後、環境庁が直接保護に携わる必要があると考えております。  今先生御指摘のように、環境庁としては、和白干潟を含む博多湾の一部区域を国設鳥獣保護区に設定すべき地域位置づけておりまして、福岡市長の発言を歓迎いたしますし、また今後、設定に向けまして福岡市、福岡県等の関係機関と調整を進めていく所存でございます。
  198. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 最後に、大臣、今度の法改正の中で環境保全をするということがきちっと位置づけられた、これは大変結構なことだというふうに思います。  もうきょう、時間がなくなってしまったんですが、今の和白干潟もそうですし、それからアカウミガメがいる産卵地もそうですし、いろんな問題を抱えています。どうかそういう問題について、環境を破壊するという、そういう建設は行わないようにお願いをしたいというふうに思いますが。
  199. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 御質問の最後に環境問題について特に御提言がございましたが、私ども運輸省としましては、港湾の建設に際しまして、守りの姿勢というか受け身の姿勢で、そこを開発すれば環境にこういう影響があるんだというようなことを一々指摘されながらおろおろしながらやるような開発じゃなくて、もっと環境問題というものもきちっとやっぱり把握して対応する。むしろ最近は、それぞれの港湾の建設に際しまして、港湾予算全体の一割ないし二割ぐらいはそうした環境保全に対して、あるいはまた一般市民皆さんにも港湾に親しんでいただくというようなことも考えて積極的な対応を各地で図っているところであります。  今そうしたものの例示といいますか、集めまして、さらに我が国港湾建設に際しまして、環境面からも文化の面からも歴史の面からもいろいろな御批判にたえ得るようなものをつくっていきたい、私自身はそう考えております。
  200. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  201. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 港湾法改正に当たりまして、質問をしていきたいというふうに思っております。  先般、大臣もシンガポール港を見てきたということを衆議院の委員会で御答弁なさっていますけれども、私もシンガポールの港をあの小高い丘の上から、一望できるところがあるんですけれども、そこから眺めまして、すごいなと思わず声を上げたところでございます。港の整備のすごさというのはこの目で見てきておりまして、本当に驚いているわけでございます。  ずっと午前中からの質疑の中でも、アジアにおける我が国の国際的地位の低下とか国際競争力の低下ということが盛んに御答弁なり質疑なりでされているわけですけれども、これはどういう数値を見ながら、対比をしながら言われておるのか、そしてまた、そういうことになったと思われる原因について大臣はどう思われるのか、ちょっとお聞きをしたい。  私は、シンガポールというのは、地理的にも世界の心臓になり得るところにちゃんと位置していて、その地の利を生かしながら今発展を続けているというふうに解釈をしておりまして、日本の港のあり方とはちょっと違うのではないかなという思いをしながら今この質問をずっと以下続けていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。  まず、その原因について。
  202. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) シンガポールの地理的な位置づけ、またシンガポールという国につきまして大変御関心を持って御言及をなされておるようでございますが、私はシンガポールの港湾の建設の状況を見まして、これだけ思い切った港湾建設をされる、そういう地域が私たちと経済的に競争していくということを考えますときに、これは容易ではないなということを考えたわけであります。  同時に、それは位置だけの問題ではなくて、例えばチャンギ国際空港がございますが、これは世界で最初の埋立空港と言われております二十四時間空港。これを建設する場合におきましても、漁業交渉などにおきましても全然制度が違うわけでありまして、私も、関西空港建設が始まるころに参考のためにチャンギ国際空港を視察に行ったこともございますが、漁業補償はどうするんですかと言ったら、漁業補償は、来年から国が使うからもうあなた方には許可しませんと言ったらそれで終わりだというんですね。これは何のために視察に来たのかな、これじゃ全然参考にならないという、そういう思いをしたわけでございます。  ですから、位置だけの問題ではなくて、シンガポールが今日繁栄しているのには、国際都市、コンベンションシティーを目指して国全体で取り組んでおる、あるいはまた環境整備、美しい町シンガポールをつくるために国が思い切った法制度、あるいはまた国民がそれに協力している、このことも我々は日本と比べて考えなきゃならない点が相当あるという、そういう示唆を受けたわけでございます。  先ほどお尋ねの国際的地位の低下につきましては、シンガポール、香港及び釜山等のアジアの主要港湾が急速にその機能を拡充しておるということは委員も御承知のとおりでございまして、我が国港湾へ寄港する航路の割合は減少しておるわけであります。相対的に我が国港湾の国際的地位が低下しておる、このように認識しているわけであります。  競争力につきましては、港湾施設、サービス水準、港湾コスト等の要因が考えられるわけでありますが、結果として、我が国港湾への基幹航路の寄港の減少は、輸送コストの増大、ひいては産業競争力を低下させる、あるいは経済活動の沈滞、さらに経済の空洞化をもたらすものでありまして、これは国民生活全般への影響が懸念されるわけでありますから、私どもは、ここらでこれ以上この東アジア諸国に私たちの港湾建設がおくれをとってはならない、そういう思いをいたしております。
  203. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大臣、港湾の荷物の取扱量が減少しているというのは、どの数字を指して言われておりますか。
  204. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 数字の細かいことは政府参考人に。    〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕
  205. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 先ほど来御答弁申し上げておりますが、我が国コンテナの取扱量については、若干の変動はございますけれども、傾向として決して減っているということではございません。  先ほど大臣が申し上げましたのは、基幹航路、いわゆる欧米、アメリカ航路あるいはヨーロッパ航路に就航しております船の寄港割合が相対的に小さくなっているということでございます。
  206. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 物流の取扱量は横ばいで推移してきておりますよね。この十年間ほとんど変わらない、取扱量については違わないと思います。そうしますと、日本というのは高度経済成長時代から今は安定の時代に入ってきたというふうにとらえるべきであると思うんです。日本の地位といたしましては、アジアの東の端にあるわけでございまして、その先は太平洋でございまして、日本を経由してほかの地にまた再び荷物を積み出していくという役割はなかなか担い得ない地理的な条件があると思います。そういう中で、いまだに二〇%もの積みかえの荷物があるということは、私はさっき数字を聞いていて、まだそれほどあるのかということで驚いたわけでございます。  そういう状況の中で、しかもこの十年来日本経済不況と言われておりまして、貿易もなかなかままならないというか、成長が見込まれなかった時代でございます。この時代においても取扱貨物は量においては減っていない、横ばいで推移してきているということは、私は必ずしも、港湾業界そのものがそれほど衰退している、あるいはアジアとの競争に負けているという数字にはならないのではないかなというふうに思うんです。  アジアは今急成長を果たしているところでございまして、日本のかつての急成長の時代と同じ状況にございます。特にまた、シンガポールは東南アジアがバックに控えておりますし、香港は大中国、それと釜山は、朝鮮半島はもちろんですけれどもモンゴルからロシアに至る大市場があるわけでございます。そういう地理的な中でふえていっているのは当たり前でございまして、そのふえていくものと日本のふえ方の足りないものを比較して国際競争力が下がったと言うのはいささか違うのではないか。日本がどんなに港の整備をいっぱいやって拡充しても、わざわざ日本まで来て、そこを拠点としてまた世界に荷物を運んでいくという時代はもう過ぎ去っているんじゃないか。  かつて日本が製造国として世界に先駆けてあらゆる分野、自動車や家庭電化製品あるいはコンピューターなどなど、日本が生産の世界一を誇りながら日本が原材料を買って日本から輸出するという時代は、それは、当然船の荷物というのはふえていって当たり前ですし、日本拠点になって、世界の材料を運ぶ船が日本に来て、日本におろしてまたそこから分散していくというのは構図としてあったと思いますけれども、これから先はそういうことはもう望まない方がいい時代に入っているのではないかと思うのですけれども、大臣はいかがお考えですか。
  207. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) そこは残念ながら若干見解を異にするわけであります。  昨今の経済情勢をお考えになりますと、今委員が御指摘のようなこの議論の展開ができるかと思うのでありますが、やはり先ほども申し上げましたとおりでありますが、こうした大規模な港湾を建設するというのは、短い歳月で建設できるわけではありませんから、相当長期にわたっての対応をしていかなくてはならない。そうしたわけで、経済が急によくなってきたとか、あるいはそうした需要が大きくなってきたからといって直ちに港湾整備するというわけにはまいりませんから、やはり少し長期的な展望に立って対応をしていかなくてはならない。その際に、今委員が御指摘のように、もう要らないのではないかという議論に対して、我々は必ず必要だ、将来に対してそれだけの準備をしておく必要がある、そういう認識を持っておるわけでございます。
  208. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私はもう要らないなどとは思っておりません。  日本は海洋国ですので、これから先も外国との交易によって生活を成り立たせていかなければならない国だということは十分承知をしております。しかし、安定した経済成長の中で、今の港の設備を少しずつ維持管理をきちっとしながら大型船にも対応できる港につくり変えていくという安定した成長、拡充でいいのではないかと思うわけですけれども、今度の計画は、十六メーターのコンテナバースの建設を国家プロジェクトと位置づけて大々的にやっていきたいという大臣の強い決意が示されておりますものですから、私は時代に即応した日本の歩みに合わせていいのではないかということなんですけれども。
  209. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 御意見は御意見として十分承っておきたいと思いますが、先ほど岩佐委員にも御答弁申し上げたわけでありますが、やはり将来のために必ず今我々が計画していることの先見性が評価される時代が来るだろうと思っておりますから、ぜひ御理解をいただきたいと思います。また、御理解をいただけるまで私たちは説明をする責任がある、このように思っております。
  210. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、将来そういうことになるという根拠を私は聞きたい。  なぜかというと、これはレクのときに政務次官にということで振った質問なんですけれども、これからますます情報化の社会になっていきます。物流という物を交換する時代から情報が空中を飛び交っての情報化時代。それから、生産物は、原料を輸入して生産して輸出するというのではなく、現地生産体制というのが今どこの国でもとられておりまして、二国間でも協議しながらそういう現地生産体制がとられています。  これから先ももっとそのことが進んでいくということになりますと、それではこれから先の船の荷物というのはどういうものが主流になっていくとお考えですか。今までは原材料であるとかパルプなどの材料とか鉄鋼材とか原油とかいろいろあったわけですけれども、エネルギー政策も変わっていくでしょうし、生産体制も変わっていくという中でどういうふうにお考えなんですか。
  211. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) まず第一に考えなきゃなりませんのは、現在、エネルギーが九割、そして食料品が六割ぐらい海外に依存して輸入しているわけでありまして、今輸出入の物資は船で九九・八%というのが現状であります。もちろん飛行機もありますけれども、これは飛行機は目立ちますけれども実際は船が九九・八%の輸送であります。  そうしますと、今、大渕委員がおっしゃいましたように、原材料からいろんなものがあります。でも、今は大体主流といいますか、それはそれなりの十分なものがありますけれども、コンテナがやっぱりある面では主流で、雑貨的なものも多くなってきました。  そういう面で、マン・ツー・マン、要するに国と国との二国間の、これは当然ですけれども、船というのは、先ほどもちょっと申しましたけれども、一つは、その一国一国でやると確かにいろんな問題がありますけれども、船が大型になるとそれだけコストが安くなる、それだけ採算面がいいということでありますから、ある面ではこういう形の船の、先ほど大臣が言いましたように港が、今大変いろんな状況がありますけれども、きちっとした形をとることは将来の我が国にも非常に有利なことになります。  もう一つ。先日も実は二階大臣から指名を受けまして、御存じだと思いますけれども、テクノスーパーライナーという、簡単に言いますと、最終的には九十三キロで運ぶ船、これで長崎から上海まで行きました。ちょうど上海の人で、上海の中国の要人、要するにうちでいう運輸相と同じような方と会いました。たまたま去年でしたか、田村委員福山委員と一緒に中国へ行ったんです。そのときいろいろ会った人と向こうで偶然会いました。  簡単に言いますと、そういう新しい運送の船も出てきまして、九十キロですから国内のものも変わりますから、そういう面で非常に私は重要な港湾というのは、十五メートルの港湾、十六メートルの港湾も必要ではないかと。
  212. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 十五メートルの港湾は必要です。でも、日本にもちゃんとあります。現在使われているんです。  それで、今政務次官は九九・八%、エネルギーと食料品というふうに言いました。私もそう思います。  だから、エネルギー政策は変わってきます、これから絶対に。そうしますと、自分の国で発電できる仕組み、いわゆる自然エネルギー等々の新エネルギーに転換をしていかなければならない時代が当然やってまいります。そうしたときに、この港というのはそういうことには使われない。  食糧はどうでしょう。世界じゅうが食糧不足という時代が来ると言われています。二十一世紀は限りなく自給率を高めていかなければならない時代。それはもう農水省の食料・農業基本法においても、計画においてもそのことが示されているわけでございまして、食糧においてもこれからふえてくる可能性はない、エネルギーについてもないということになると今の答弁はいかにも説得力のない答弁になってしまうのではないかと指摘をせざるを得ないというふうに思います。  私は、港の整備をするならば、これから先、日本の港として有効に利用される地域は一体どこなのかというところをしっかりと見きわめなければならないというふうに思うんです。  今までの三港湾は全部太平洋側に向いておりまして、港湾整備が行われてまいりました。でも、これから日本が最も力を入れてやらなければならないのは対岸貿易、いわゆるアジアに目を向けて貿易をやること。朝鮮の釜山も港拡張が行われていますけれども、まだまだ日本がこれから追いついていける状況は十分にあるし、むしろ日本全体からすれば香港もシンガポールもそれほどかけ離れている数値とは思いません。  そういう状況の中ですので、目的、どこに向けた貿易を拡大していくのかという、この大きなグランドデザインの中で港湾整備も進めていかないと取り返しのつかないことになるというふうに思うんです。北海道であるとか新潟であるとか、あるいは福岡、佐賀あたりに対アジア向けの港湾整備というのをきちっとやる、それが必要だと思いますが、いかがですか。
  213. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 大渕先生が新潟だからと言っているふうには全然聞こえません。
  214. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 言っているんです。新潟だから。
  215. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) いや、本当に日本全体のバランスを見てお話を今伺っているつもりでおります、私は。  確かに昔は、江戸時代のころでもそうでありますけれども、千石船は松前から日本海へ来てやっていた時代があって、非常に活発な時代がありました。でも最近は、とみに社会主義の国がああいう形になってきて、ロシアが当然そうでありますし、大統領がかわられました。中国も先ほどお話がありましたように大変活気のある国であります。最近、見ていますと、小さな日本海側の港の中でも銭湯までロシア人の方が入っていらっしゃるという話も聞いておりまして、非常に人的な交流もたくさんあると思います。当然ながら先生のおっしゃる御意見はもっともだと思います。  ただ、一つ私が今政務次官として感じていますのは、あの日本海側の各県の知事さんだとかいろんな皆さん方は、これからはもっともっとポートセールスを積極的に、今やっていらっしゃると思いますけれども、なお一層、やはり貿易でありますのでポートセールスも進んでやっていただいたらどうかなという気がいたします。
  216. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 港の整備の中の一つに先ほどから料金の問題が出ておりますけれども、四十フィートコンテナ一個当たりの港湾諸料金というのが、日本の港が一番高いというふうな資料になっております。これらの改善も必要になってくるのではないかなというふうに思いますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  217. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) おっしゃるとおりだと思います。  先ほども御答弁させていただいたように、我が国港湾の諸料金が非常によその地域、特に東南アジアに比べて高いわけであって、二倍くらい高いと思っています。  それにしましても、例えば荷役料にしても入港料にしても岸壁使用料にしても、それから複雑であるところの水先案内人のパイロット料もこれは大変な金額でありまして、そういう面では、突出はしておりませんけれども東南アジアに比べれば非常に高い。ですから、先ほども言いましたように、特にそういう面では港運関係とかいろんな関係について、やはりコストの削減、そして利用者のニーズへの効率的な対応も必要ではないかと思っております。
  218. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 財源の問題についてお伺いをいたします。  収入、いわゆる港湾収入から経費を差し引くと多少の利益、粗利益というのは見えているわけですけれども、そういう状況の中で、この間ずっと毎年毎年この港湾の維持管理に一般会計から多額のお金が投入されているんです。粗利益はちゃんと上がっているのに、なぜこれほど一般会計からの財源を投入し続けなければならないのでしょうか。
  219. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾管理者港湾管理に関連いたしまして、企業会計方式に関連した会計のことについてのお尋ねかと思いますが、港湾管理者は、企業的な、効率的な経営を図るために、港湾管理者におきまして企業会計方式を採用いたしましてみずからの事業についてチェックをしているということでございます。  それ自体は非常に意義のあるものだというふうに感じておりますけれども、港湾施設ということについて申し上げますと、防波堤でありますとか航路、そういったものにつきましては、本来非収益性のもの、それに対する対価というものをとっていないものでございまして、そういう意味では、港湾管理者は収入そのものについてもかなり制約を受けている、投資に対しての収入という意味でも制約を受けているものでございます。  そういう意味で、それらの施設を管理していくときに、すべて収入によってそれらをカバーしていくということについては財の性格上からいってもやはり問題があろうかと思いますので、そういう意味で、一般会計からの注入によりまして港湾管理者の財政を支えていくということでございます。
  220. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 納得できません。  運輸省、だって、これはあれでしょう、収入から経常経費を差し引いたのが粗利益ということですから、利益が上がっているにもかかわらず一般財源を、毎年毎年多額のお金を入れていかなきゃならないというこの仕組みを変えていかない限り、港湾を産業として一本立ちさせていくというようなことは将来できないんじゃないですか。永久に面倒を見続けるという構図になっていくんじゃないですか。これをしっかりと直していだたかなければならないと思います。時間がないので、後でまたお話し合いをさせてもらいます。  ちょっと質問を変えます。さっきのプレジャーボートの処分の問題なんですけれども、大まか通告しているところは同僚委員にやっていただきました。  それで、私は、この法案、河川法もそうですし、それから今度は漁港法も出てきて、この不法停留の船を徹底的に処理していく法案が三本そろうわけですけれども、これはもしかすると、放置された船を税金によってきちんと処分するための強制法案というふうに位置づけられるのではないかというふうに思います。  一隻二十万円以上もの処理費がかかるだれのものかわからないものがたくさん日本じゅうにある。こういう状況で、まさに税金を使ってこれらの不法の停留船を処分していくための法律改正というふうに位置づけているんですけれども、これは間違いでしょうか。
  221. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 放置艇対策につきましては、私どもは規制によりまして放置に対して対応していくということと、それから一方では、港内の静穏な水域を活用いたしまして、私どもボートパークというふうに呼んでおりますけれども、比較的安い料金で収容する施設を増加していく、その両輪によりまして放置艇対策をしていきたいというふうに考えているところでございます。  一方ではそういう施設整備によって放置艇を少なくしていくということと、それから一部港湾管理者については努力をお願いするところでございますけれども、みずからの努力によりまして放置艇を撤去する権限についてもこの法律の中で付与して整備をしていただくということでございます。
  222. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それもちょっとおかしいのね。  マリーナを整備していくと言うんだけれども、マリーナの建設を取りやめたところがこの資料だと物すごいじゃないですか。五十万隻ものプレジャーボートがあって、こういう船が停泊する場所がないから、これをつくらなければならない計画で恐らく進んできたと思うんです。ところが、今度はその船を処分する法律はつくるけれども、マリーナ建設の予定は大幅に削減ですね。これ、真っ黒になるほど書いてあるわけでしょう。これで不法投棄、不法停留をするなと言っても無理なんじゃないですか。  二百八十万人もの免許証を持っている方たちがいらっしゃるんです。その人たちが船を持つ時代です。日本は豊かな国になっている証拠じゃないですか。それを、そういう整備がなかなか進まない中で、そういうお金持ちの人たちが船を持っているとすると、まあいいや、ほっておけば国で処分してくれるのだから二、三カ月ほっておけばいいんだということになってしまって、所有者がわからないままに国が処分しなければならない事態というのが起こってくる。後の人たちはまた新たに買う資金があるわけですから、また必要なときに買えばいいというようなことになったらどうするんですか、これ。歯どめがかからない。
  223. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 大渕先生がお示しいただいているのはこのマリーナのデータかと思いますが、私が先ほど御答弁申し上げたのは、マリーナというのは、ヨットでありますとか、あるいはかなり大きな船も含めて収容するような施設のことかと思うんですけれども、ボートパークと申し上げましたのは、港の奥の方で比較的静穏な水域がありますところに秩序立った係留施設を設けることによりまして比較的安い料金で船を収容しようとするものでございます。  放置艇の中で特に今問題になっておりますのは船外機つきの船も含めた小型のプレジャーボートでございまして、そういったものに対して秩序ある収容の施設を設けることによってかなりの対応ができるのではないかというふうに考えております。
  224. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 徹底的に不法の停留がなくなるための管理が必要だと思います。  河川も海上も、それから港湾も、全部国費で管理がされているわけですよね。多額のお金を費やしながら安定に自然が回っていくように管理されています。そこを利用してレジャーを楽しむ人たちにもそれだけの負担をしていただく必要があると思います。税負担をする必要があると思いますので、ぜひ、そのボートの購入登録あるいは検査のときには、そうしたことを考慮してそういう維持管理がきちんとできるような税を取ってもらって管理がきちんとできるようにすることが必要だというふうに思います。  もう一つは、先ほど大臣も言いました製造者責任、ここを明快に出して、どこの会社でつくられた船で、どういう販売経路で出されていったかと。いわゆる産業廃棄物のマニフェスト制度と同じ制度をきちんとシステム化する必要があると思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。環境の保全ということを盛り込んできたこの法案ですが、そうした環境対策の一つとしても取り組んでいただきたいと思います。  最後に、大臣にお答えいただきたいと思います。
  225. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) プレジャーボート等を販売した人とか、これを購入してレジャーを楽しんだ人たちがそれぞれの地域で、河川や漁港、港湾等の周辺にこれを放置したままにしておいて、それぞれの地域環境に対しても大変迷惑をかけておると同時に港湾や漁港の機能を損ねておる場合がたくさんあるわけでございます。したがいまして、やむにやまれずこれから政府が対応しようとしておるわけでありますが、本来はこれは本人たちの責任で解決すべき問題でありますので、ただいま御指摘の点を今後の検討課題とさせていただきたいと思っております。
  226. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。     ─────────────
  227. 市川一朗

    理事(市川一朗君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、北澤俊美君及び千葉景子君が委員辞任され、その補欠として菅川健二君及び笹野貞子君が選任されました。     ─────────────
  228. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 大臣に冒頭でお尋ねしますが、大臣は災害があると必ず現場に行く。この間の地下鉄でも適切な指揮をされたわけでありますが、だからここに座っておられることを、どうも気は向こうの方に行っておるんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  昔、佐藤栄作さんの伝記を読んでおったら、僕が小さいころは、食あたりしたら測候所測候所と言うたらいいんだ、なぜなら必ず外れるからだと。その測候所、今言えば大臣の管轄にある気象庁がそういうふうに言われておった時代があるわけです。  今度の有珠山のことについては、私は非常に気象庁そのものの真価が問われておるときだと思います。そういうところから、今どのように対処されようとしておるのか、現状はどうなのか、大臣からお話を願いたいと思います。
  229. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 気象庁につきましていろいろ御意見をいただきましたが、私は今回ばかりは外れることを期待しております。  しかし、現状はそうではございませんで、先ほど来、熱心な御審議が続いておりましたので、あえて委員長にはお願いをしなかったわけでありますが、一時二十分の気象庁からの連絡によりますと、有珠山で地殻変動を確認したと、こういう連絡があります。  自衛隊のヘリコプターから北海道防災会議火山専門委員の観測によりますと、西尾根内、いわゆる有珠山の西側の斜面の山のことでございますが、百メートル以上にわたって断層、地割れ群が確認されました。    〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕  また、北海道大学有珠火山観測所によりますと、北西山ろくの協会病院付近で地割れが確認されました。  そして、ただいま入りました情報によりますと、先ほどの発表以来、地殻活動に大きな変化があったとの報告はありません。地震活動は引き続き活発で、震度三ないし四程度の地震が多数発生しておりますと。これが現状でございます。  後ほど、グラフも届いておりますので、委員長のもとにお届けをしておきますから、委員長の御判断で配付をいただければ幸いだと思います。
  230. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 関係閣僚として適切な対処をされることを期待します。  さて、次にこの法案についての質問であります。  これはもう既に多くの方々が質問されておるので、別の面で重複する点もあると思いますが、あえて聞かせていただきますから、簡潔に御答弁願えたらと、こう思います。  輸入大国である我が国にあって、製品や生活物資の輸入等における国際海上コンテナ輸送役割は非常に高まっておる。今後の我が国の国際海上コンテナ輸送量の見通しはいかに。私は、いろいろ港があることは知っておるわけですが、コンテナ港ということに焦点を合わせてあえてお尋ねをこれからしていきたいと思います。まず冒頭にこの質問であります。
  231. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 現行の五カ年計画の中で、平成十二年のコンテナにつきましては千五百五十万TEU、これは二十フィートのコンテナに換算をいたしまして千五百五十万個を輸出輸入に合わせて取り扱うということでございます。そのようにまず想定をしております。  実績につきましては、平成十年につきましては千六十万TEUでございます。
  232. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 次に、我が国発着の欧米等との輸送に際して、他国のハブ港を利用したフィーダー輸送を行うことに対して日本国内にこれら航路の発着する港湾を確保しておくことはどのようなメリットがあるのか。  先ほどから二〇%とかそういう話がありましたが、その二〇%、このパーセントの話は別として、仮にそれをもっと上げたらどれだけの利益が日本にあるんだという観点から私はお尋ねしておるわけです。
  233. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 先ほど二〇%と申し上げましたのは、神戸港、横浜港等において中国との間のトランシップといいまして、中間貨物を二〇%ほど扱っているということでございまして、それによりましてコンテナの取り扱いの手数料と申しますか、そういったものについて日本港湾にお金が落ちるということでございます。  それに対しまして御質問の、例えばシンガポールなり香港をメーンポートにいたしまして、そこでヨーロッパから来る貨物あるいはアメリカから来る貨物を中継いたしまして日本の方へ運んでくるというふうな事態が生じた場合には、まずその港で荷揚げをして別の船に移しかえて、そして来るということでございますので、どうしても港湾の中で、香港なりシンガポールで貨物が滞留といいますか、一晩そこで休むようなことも含めて起こるわけでございまして、それによる貨物のおくれということについての損害、それから、場合によっては、ジャスト・イン・タイムというようなことを申し上げますが、予定どおりに貨物が来ないというふうなことによる損失、そういったことが懸念されるわけでございます。
  234. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今の点で、おくれが出たり、ジャスト・イン・タイムと、こういう話はわかりますが、私がお聞きしたいと思っていることは、結局日本にだけ来るなら、船の大きさは知りませんけれども、例えば百トンの船でいいんだと。しかし、これが中継港とするためだったら二百トンの船が要るんだと。では、日本に二百トンの船が入るバースをつくるということのメリットがあるのか。そうじゃなくて、百トンのあのバースで十分ではないか、なぜ二百を。  これ、金がただでできるなら別だけれども、これは後でまた経費がどのくらいかかるかということを質問するわけですけれども、そういうふうなことも分析されてそれは、当然運輸省というのはそういう頭脳の塊ですから、そういうふうに私は発想としては考えておかぬといかぬと。  そういうことで、私は、中継地としての意味は何か、それから先ほど言ったハブ港というものをあえてたくさんつくる必要があるのか、こういうことを国民に対して説明ができぬといかぬ、こう思って質問しておるわけですが、いかがですか。
  235. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 日本は御承知のとおり東西に非常に長い島国でございまして、シンガポールのような都市国家というような形ではございません。そういう意味で、どうしても日本貨物を揚げましても横持ちが必要になるわけでございまして、そういう意味日本に唯一のハブポートを経営するということと、御指摘のように、今は中枢港湾というのは四カ所というふうに考えておりますが、四カ所に分散配置するということが分散と集中のそれぞれのメリットを最大限に生かせるような形ということで中枢港湾というのを位置づけているものでございます。  それから、外国からフィーダーをするということについては先ほど申し上げたようなことで損失があるわけでございまして、そういう意味で、日本にあと何バースつくればいいかということについては改めて検討が必要でございますし、新たに一バースを整備するときにおきましては、メリットそれからそのコスト、そういったものを比較いたしまして、十分なメリットがある場合に新しい事業として実施するというふうにしているものでございます。
  236. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そのような考え方でぜひお願いしたいと思います。  そして、やたら外国の量が非常にふえてきておる、例えばシンガポールや香港だと。こんなにふえておるというのは、ふえておるなりの理屈があると思うんです。日本がそれに対抗してそういうものと同等のものを持たなければならないというふうに言えるのか。  そこのところは、東南アジア諸国は今非常に工業が発展しておる。日本よりはちょっと付加価値の低いもの、そういうもので、要するに量で勝負していく、人件費が安いとか土地が安いとか、もろもろのところで工業の発展も行われてきているわけですから、そういうところはもともとそういう港を、今大変物量を輸入するものだから、輸入というか、とにかく外国から持ってこぬといかぬ、送り出さぬといかぬ、そういうところで大きくしなければならない背景がある。そういう意味で、今局長お話の中に直接の言葉はなかったけれども、私はそういう状況を判断しながら適切なことを考えられておるんだと思います。  そこでもう一つ局長がおっしゃった中で、国内一つだけではいかぬじゃないか、四カ所と。これは私は当然だと思うんです。そういう場合に、その四カ所を選ぶについて、私は全体の交通体系、交通運送体系というか、そういう中で、要するに陸上であれば、今さっきいろいろな議員からお話がありましたが、例えば公害の問題も出てくる、車も走らせましたら。それとかいろいろな条件がありますね。だから、本当に必要なものを最もジャスト・イン・タイムに届けることができる運送、そういうところにもまたハブ港なりこの特定重要港湾をつくる考えが出てくるわけです。  そういう考え方に基づいて四カ所なり、これからまたそのほかの周辺の小さな港、それに協力するべき中核港とか、そういうような配置を十分考えられて決断されたんだと思いますが、私の一方的な主張ですので、局長から、こういう点を要素として考えてセットしたんだよ、決めたんだよというお話をお伺いしたいと思います。
  237. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) ただいま御審議をいただいております港湾法につきまして重要港湾定義見直しをさせていただいておりますのは、委員が御質問いただきましたとおり、百三十四の重要港湾がございますが、その百三十四の港について全国のネットワークを組むというそういう観点から見直しを行いまして、六港については重要港湾から地方港湾に変えたということでございます。その重要港湾の中で特に外国貿易の拠点となるような港ということについて特定重要港湾というものを指定しているわけでございますが、その中でも特に大きな機能を持たせるという意味中枢港湾というものを四港整備するというような形でございます。  それから、そういう配置論によりまして、けさほどモーダルシフトという言葉を使ったということで脇先生からおしかりを受けたんですけれども、そういうモーダルシフトを推進することによりまして、例えばトラック輸送に対しましてロールオン、フェリー等を活用いたしますことによって輸送コストあるいは炭酸ガスの排出量、そういったものについては三、四割程度の、同じ十トン車で十トンの貨物を運ぶということで比較いたしましてもそういう効果があらわれるんじゃないかというふうに考えております。  そういうことも加味してネットワークを組んで重要港湾を指定する、または特定重要港湾を指定するというふうにさせていただいております。
  238. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 局長に申し上げるのは釈迦に説法ですが、今までと将来日本が同じようなペースで財政がふえていく、公共事業がふえていくという保証はなかなかないわけです。そして、これをもしふやすとするとすれば、財政の硬直化、これが俗に言われております。  それで、それはいろいろなことを言われておりますが、本質は何かといったら、将来財政が適宜適切な所得配分ができなくなっちゃうわけです、今使っちゃうわけですから。そういう意味があるわけであります。それだけに、後世の人たちがいいものをつくってくれたな、これをもとに日本は発展していったんだなと、こういうふうなものに重点を、当たり前のことですが置かなければいけない。そうすれば、今直ちにつくったお金で埋めてファイナンスする必要はないわけで、多くの後進の者たちが評価していく。  そういう意味で、私は、今申し上げたように、港湾の設置ということについては、今焦点はコンテナの方の話にしておりますが、重要港湾でちゃんとしたことを、後世の人から指摘されないような、そういう立場でやっていただいておると思いますが、ひとつさらに高度の判断をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで次に、国際海上コンテナターミナルは一バース整備するのに、それはいろいろなとり方はあると思うんですが、どの程度の予算を必要とするんですか。  そして、その前に、シンガポールとかこういう非常に立派な、今、大渕先生がおっしゃっておった、シンガポールをごらんになったという、運輸大臣もごらんになったと言われておりますが、そういう理想的なものを一つつくるんだったらどのくらいの金がかかるんですか、そのことを、およそでいいですが、教えていただきたいと思います。
  239. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 先ほど来話題になってございます水深十五メートルのコンテナバースということを例にとって申し上げますと、海面と接しておりますところの幅が三百五十メーターございます。そして、通常、コンテナの扱う量等を勘案しますと約五百メートルの奥行きがあるコンテナヤードを整備するものでございまして、その全体事業費で申し上げますと大体二百億から二百五十億ぐらい、これは自然条件によって違ってまいりますので一概には申し上げられませんけれども、いわゆるコンクリート舗装と上のコンテナクレーンを設置いたしましてそれぐらいかかるんじゃないかと思われます。  岸壁そのものの本体の値段というのは、大体そのうちの八十億から百億ぐらいでございます。あとはヤード及びコンテナクレーンの費用、それからマーシャリングヤードの中でコンテナをつかんでヤードの中を走る施設も必要でございますが、そういったものをもろもろ込めてそれぐらいのものが必要ではないかというふうに考えられます。
  240. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 それで、局長も現場というか諸外国の港も見られておると思うけれども、例えば、局長が行かれたところでいいんですが、それと比べて日本の代表的なところはどういう点がまだ不足しておるなと。数とかそんなのじゃないんです。位置はもう既に聞きましたから、設備としてまだこういうものが足らないですと、日本のトップグループにしても。そういうのはどういうところが足らないのか。金額は問いません、抽象的ですが。
  241. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 今御説明を申し上げましたコンテナ埠頭というのは、日本の場合はほとんどが公社埠頭でございます。  公社といいますのは、その建設費をすべて借入金で賄っているわけでございまして、十五メートルの場合ですと、三割、三割を国と港湾管理者から借り入れまして、あとの二割、二割は財投と市中借り入れ、そういったもので整備して使っているものでございますが、そのかわりに、公社埠頭というのは基本的には船社に専用貸しの形で貸し出しをして利用してもらっております。  それに対してシンガポール等は公共埠頭でございますので、ヤードについて専用貸しではございませんから、そこに一たん置きましてもどんどん船が入ってまいりますと次のために貨物を動かさなければいけないようなことがございますし、それから、そのヤードを有効活用するという意味では、中で走っているトラックがコンテナを二段積みにして走っていたり、あるいはヤードの中でも最低四段以上積んでいるとか、そういった形で利用しております。  ですから、そういう利用形態そのものがかなり違っておりますので、一バース当たりに対する取扱量によって一個当たりの値段とかそういったことを言いますと今申し上げたようなことも微妙に影響してまいりまして、物すごく窮屈に扱えば一個当たりの値段はやはり下がってくるわけでございます。  諸外国、シンガポールなんかを拝見させていただいたものですと、日本との基本的な違いはその辺のところではないかというふうに思います。
  242. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そこで、今予算について一応一港は幾ら、どのくらいだというお話は聞かせていただきましたが、国際海上コンテナのターミナル整備予算の推移というんですか、ここ五年、何年でもいいんですが、どういうふうに動いておるのか。
  243. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 当初予算ベースでお話しをさせていただくことをお許しいただきたいと思うんですが、当初予算ベースで国費でどれだけかということでございますが、平成八年が三百四十五億でございます。平成九年が四百一億、平成十年が四百六十八億、十一年が五百二十九億というふうな形になってございます。
  244. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 国際海上ターミナルとして重要性を認識して作業をされておること、これは非常に私も支持するものでありますが、私が先ほど申し上げたように、これから財政が非常に厳しくなっていく、そして後進の人たちが、さすがあのときにやってくれたからこそ我々の生活があるんだと思われるようなものに投資しなければいけないということから考えると、幾つかあるうちの今までの悪い例を言うと、ことしAというのに着手したら、今度はおれのところもやってくれよと、それならばBだ。おれのところは次だ、Cだと。そういうように全部完成しないで一斉に一年ぐらいずつずれてやっていくというのは、これは人間の世界だから苦しいところはあると思いますけれども、しかし完成しない限りは意味がないものなんです。だから、長い間眠っておったらしようがないわけです、完成までに。  多くの投資をして、本当を言ったらこれは金利を生むんです。何か証券でも、うまい人はヘッジファンドでもやってぼろもうけする人もおるから、それをネタに。そのことを考えたら、やはりできるだけ早く効率的に重点的に一つ一つ片づけていくぐらいの気持ちが私はないといかぬと思います。  そんなところから、このことについての重点施行というのはどういうふうにされているか。
  245. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) コンテナ埠頭の整備というのは重要港湾の中で実施しているわけでございますけれども、重要港湾の中で実施箇所数、いわゆる施設ごとに数え上げますと、平成八年ごろは千三百カ所ぐらいのところで実施してきたわけでございますが、現在は一千カ所ぐらいの実施箇所数に絞って投資をさせていただいております。その結果、十三分の十ぐらいの形で一つの港に重点的な投資ができているということかと思います。  先生御指摘のとおり、手をつけてから完成するまでの間が長ければ長いほど効果が波及するのがおくれますので、そういう意味で、実施箇所を減らして重点投資することによって早く施設を完成させて供用するというようなことを心がけていきたいというふうに思っております。
  246. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、海上コンテナの問題についてお尋ねしましたけれども、私が思うのは、単に景気回復のためだというような考え方に立っていないということだと思います。これはやはり我が国が将来において社会資本として整備しなければならない問題、国際的に生きていく輸出輸入大国である日本がぜひ実現しなければならない問題だ、こういうふうに私は思います。  ケインズの話じゃないですけれども、穴を掘って埋めたらGNPは上がるんです。どこかへ持っていったら、その人の懐へ全部入れてやったらGNPはその金額だけは上がるんです。しかし、それ以上の、波及効果ということも考える景気対策として私は大切と思いますが、この種の問題はそういう効果もできるだけ期待しながらも、基本的にはどうしても国家が将来発展するためにやらぬといかぬ問題だというようなことで取り組んでおられると思いますので、よりその点を頭に入れて進んでいただきたいと思います。  大臣に最後にお尋ねしますが、その前に、プレジャーボートの廃船にかかわる現状、費用については今もありましたので重なるんですが、私自身が言いたいことは、保有者の自己責任というものを考えぬといかぬと、使うのはみんなの税金を使うわけですから。そうかといって余り高くしたら売れぬという日本経済全体のいろいろな問題が出てくるかもわかりませんけれども、原則は自己責任なんだ、こういう立場に立つべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  247. 谷野龍一郎

    政府参考人谷野龍一郎君) 御説明させていただきます。  今までここでなされました議論も踏まえまして整理をしますと、三つの点に整理ができると思います。  使用しなくなった船舶の処理の問題、これの一つは技術の問題だと思います。  これについては、先ほど大臣が御答弁になりましたが、平成十二年度、一億三千万という大変大きなお金をつけていただきましたので、その処理技術を確立することを急ぎたいと思っています。そして、それを実用化するということだと思っております。  それから第二点目は、いわゆる負担の問題だと思います。  この負担の問題につきましては、これも所有者が責任を持つというのがやはり原理原則だと思います。その限りにおいて、いわゆる製造責任者の責任をどう加味していくかということだと思います。  大渕先生からさっきちょっと御指摘がありましたので補足しておきますが、昨年の七月から、ISOの国際スタンダードを受けまして、JISの規定として製造者を明確にできる刻印を艇体に打たせることにしておりますので、そういったものを考えながら今の原則に沿ってこれから考えていきたいと思います。  それから、最後の問題は所有者を特定する仕組みの問題だと思います。  これにつきましては、現在、既に条例で五府県ぐらいで所有者を特定する制度を実行しているところがあります。したがって、こういったものを先行させながら全国画一的な一種の所有者を特定する制度について真摯に検討させていただきたい、それまでの間は、今全数は小型船舶検査機構で把握しておりますので、このデータの活用を図っていきたい、こういうことでございます。
  248. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 各議員の意見というものを十分酌み、そして自分たちの判断のもとでそういうことを進められることを大いに期待しております。  最後に大臣、今回の法改正を受けて、国際海上コンテナターミナル整備に対してどのように取り組んでいくか、運輸大臣としての考え方をお尋ねして、質問を終わらせていただきます。
  249. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 今の御質問の前に、先ほどからのプレジャーボートの御議論を聞いておりまして、今度、廃船を引き揚げてきて解体するわけですから、あらゆる箇所に船のナンバープレートをつけておけばだれに売ったということがわかるわけですので、私はこの法律の後、そういう関係企業を運輸省へ招いて、それぐらいのことを申し渡したいと考えております。いかにもこれを税金だけでやるということに対しては問題があるということは私自身も承知をいたしております。  もう一つ、景気回復のために社会資本の整備云々をしてはいけないという意味だったと思いますが、私も全くそのとおりだと思います。  社会資本の整備は社会資本の整備として、公共事業公共事業として必要なわけで、景気が悪くなったら公共事業をやろうかと、そんな存在ではないはずなんです、もとより。私は、そこのところは今後どこかの場面できっちり議論をしていく必要があると思いますので、委員の御主張に対して賛意を表しておきたいと思います。  時間がございませんので、国際海上コンテナターミナル整備につきまして簡単に答弁をさせていただきます。  これは、国家的な観点から必要な施設を確実に整備することによって、今後、港湾管理者の負担等を軽減する、あるいは施設の使用料を軽減するということを期待しておるわけでありますが、今後ともアジア諸国に対する国際競争力を確保する観点から、国際海上コンテナターミナル整備港湾の諸手続の情報化等、港湾整備における最重点施策として積極的に取り組んでまいりたいと思っております。東アジア諸国と現在の私たちの国の港湾整備の状況等を十分考慮しながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  250. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 終わります。
  251. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 質問に入る前に、今、有珠山の緊急火山情報が入っております。今のところ地下活動に大きな変動はないというようなことでありますけれども、地域皆さん方にとっては大変なことだと思います。大事に至らないようにお互い祈っている次第でございます。  私が最後の質問者でありますので、質問事項が重複するかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。  一九九三年から一九九七年までの五カ年間のアジア主要港のコンテナ取扱量を見ると、香港、シンガポール、高雄、釜山などの取扱量が我が国の東京、横浜、神戸などの主要港をはるかに凌駕する状況になっております。  我が国の主要港の不振の原因はどこにあるのか、そしてその挽回策はあるのかどうか、お示しいただきたいと思います。
  252. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 先ほど来御答弁申し上げているとおりでございますが、シンガポール、香港、釜山等のアジアの主要港の港湾整備が、機能が急速に拡充する一方、我が国港湾への基幹航路に就航しております船の寄港の割合が減少するというふうな結果によりまして、相対的に我が国港湾の国際的な地位が低下しているということでございます。  その原因等については、港湾施設の問題でありますとか港湾におけるサービス水準の問題、あるいはいわゆる港湾諸料金、コストの問題、そういったものが考えられるわけでございます。  先ほど来申し上げておりますように、基幹航路に就航しております船が我が国の港に入港いたしませんと、それによって二次輸送、そういったものを必要とすることによって輸送コストの増大を招きまして、結果的には我が国産業の競争力を低下させるということになるわけでございます。そういう意味で、中枢中核港湾整備というものについて重点的にこれからも、これはソフト、ハード両面にわたってでございますけれども、整備を推進させていただきたいというふうに思っております。
  253. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国内においても港湾間の競争の激化、そして限られた財源が各港湾に対して分散してしまう懸念を抱えております。全国的、広域的な視点に立った整備計画のもとで重点的な投資を行うことが求められているのではないかと思っております。  しかし、一方では、我が国は細長い列島から構成されており、海上輸送は物資の輸送基本的な手段となっているとともに、特に離島においては旅客輸送の不可欠な手段となっております。このため、全国どこでも最低限の海上輸送サービスを提供することは国土の均衡ある発展のために重要であると思っております。  この重点的な投資という要請と全国どこでも最低限度の海上輸送サービスが提供できるという要請は相矛盾するところがあるわけでありますけれども、この二つの要請をどのように調和させていくお考えなのか、お尋ねします。
  254. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 島袋委員お話であります。本当に限られた予算の中で効率的に港湾整備を進めるための事業の実施コストとか、また箇所数の削減によって投資の重点を緊急的に今対応させていただいております。  先ほど来ずっと御審議の中で、国際及び国内海上輸送拠点となる海上コンテナターミナル、そして複合一貫輸送拠点となる内貿のターミナル、それから、ちょっと論点は違いますけれども、廃棄物海面処分場の問題、これもさすがに環境問題いろいろありますので、この三点を今重点的に図っていますけれども、今、島袋委員お話のように、日本全国本当に離島がありますし、島袋委員は沖縄の御出身ですから、特にこの離島に関しては肌で感じられているということは十分承知をしております。  ちょっと調べさせていただきましたら、沖縄では四十九の港があるそうであります。重要港湾が本島の那覇ですか、本島の方で四つあって、宮古島、石垣島と一つずつ。ですから、最低限住民の生活は、飛行場もないような離島でありますから、こうした基盤、地方港湾をきちっと整備していきたい。そして、これはもう沖縄だけじゃなしに委員のおっしゃるとおり全国的な話でございますので、私どももそうした均衡のある発展を、最低限ナショナルミニマムの確保を重点的にしたいと思っております。  そういう意味から、御指摘の相反するではないかという話でありますけれども、お互いに重点的なものをきちっきちっとやっていきたいと思っております。
  255. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 誠意ある御答弁ありがとうございました。沖縄県は、後でやりますけれども、非常に離島の離島県ですから、よろしくお願いしたいと思います。  次に、港湾分類の見直しが行われますけれども、重要港湾の四つの役割の中の一つに政策的な要請への対応という一項があります。  この点について、対米協力のための周辺事態法や有事ACSAが既に制定され、有事法制の立法化についても言及される昨今の情勢を勘案すると、危機管理への対応の一態様として軍事上の要請も入ってくる可能性があるわけでありますけれども、そのような状況はどういうふうに想定されているのか、お伺いします。
  256. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 今回の法改正の中で重要港湾定義につきましては、輸送上の役割というものに主眼を置きまして、国際海上輸送網または国内海上輸送網拠点、その他の国の利害に重大な関係を有する港湾ということで定義をしているものでございます。  しかしながら、国にとっての重要性という観点からいきますと、輸送上の役割以外にも、けさほど御答弁申し上げましたが、地域開発の拠点でありますとか災害時におきます防災拠点、そういったような役割も想定されますのでその他の政策的な要請への対応ということを入れさせていただいているわけでございますけれども、けさほどの御答弁で申し上げましたように、その他の尖閣列島の問題でありますとか軍事上の問題というようなことについては想定しているものではございません。
  257. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 有事法制あるいは周辺事態法やACSA等、そういったものが法制化されておりますので、やはり港湾整備というものもそういうふうな方向にあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、これは大臣どうですか、そういう面の対応については。いわゆる有事法制に関連したような港湾整備が計画されているのかどうか。
  258. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) ただいま委員指摘のように、他の法律あるいは他の政策等を十分勘案して港湾整備においても重点的に考えていくべきだということだと思いますが、我々もそうしたことについては十分念頭に置いて対処していくべきものだと思っております。
  259. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 港湾工事の費用に対する国の負担割合が十分の五から十分の五・五それから十分の四に見直されることになっておりますけれども、これによって負担率が上下する事業規模はどの程度になるでしょうか。
  260. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 重要港湾におきます事業の中で、昨年七月に改正されました港湾法の第五十二条の第一項第一号に基づきまして、国際海上輸送網または国内海上輸送網拠点となるような施設ということで、コンテナあるいはフェリー等に対応した施設につきましては、現状の国の負担率が十分の五でございますけれども、それを十分の五・五に引き上げるというものでございます。  具体的に申し上げますと、例えば水深十二メートル以上の外貿ターミナル複合一貫輸送に対応する内貿ターミナルに関連いたします事業、これは、それに関連いたします防波堤・航路、臨港道路等の事業も対象に入れたものでございますけれども、十二年度予算で申し上げますと約一千億程度でございます。  それに対しまして、重要港湾の中で地方に密着をいたしました小型船を収容するような施設についての整備をしておるわけでございますが、これは地方港湾におきます整備とほとんど変わらないということで、重要港湾につきまして現行では十分の五の国の負担で事業を実施しているわけでございますが、それを十分の四という地方港湾と同じように引き下げるというものでございますけれども、これにつきましては、水深五・五メートル以下の係留施設と先ほど申し上げました防波堤・航路、臨港道路、そういったものを対象にした事業を合わせますと、大体十二年度予算におきます事業規模は約二百七十億ぐらいでございます。  そういった意味で、事業費全体でいいますと、国の負担は上がるということになろうかと思います。
  261. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 現在の港湾は耐用年数五十年という設計思想のもとで建設されているというふうに思っております。  そこで、もう既に四十年を経過しておりますけれども、そろそろ更新需要への適切かつ計画的な対応が求められているのではないかというふうに思います。その点については、政府のこれに対する対処方というものはありますか。
  262. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾構造物等についての耐用年数は、御指摘のように約五十年ということで設計をしているものでございます。そういたしますと、一九六〇年代から急速に整備をやってきたわけでございますので、いわゆる年齢的には四十年を過ぎた施設というものが非常に多くなってきてまいっております。  それで、今般、地方分権の一環といたしまして統合補助金制度というものを発足させていただいたわけでございますが、港湾につきましては港湾施設改良費統合補助という、そういう制度を発足させております。  これは、既存の施設の有効活用を図るために港湾管理者の裁量の範囲で複数の施設についてもその中で流用も含めてできるような形で配分するものでございますけれども、こういったものによりまして、港湾管理者の裁量の中で機動的に、御指摘のような古くなった施設についての機能回復といいますか、そういったものをやっていただければというふうに思っております。
  263. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 港湾のこういった耐用年数、余り見てすぐわかるようなものじゃありませんけれども、その辺は慎重にやっていただきたい、対応していただきたいというふうに思っております。  平成十一年十二月十七日の港湾審議会の答申、「経済・社会の変化に対応した港湾整備・管理のあり方について」ですが、「地方港湾審議会と国の港湾審議会役割分担を明らかにし、各々の審議会の審議事項の整理を行い、各々が連携して効率的・効果的な審議を行うことが出来るように検討すべきである。」と述べております。  両審議会の役割分担についてはどのように考えておられるのか、そして今回の法改正ではその役割分担を見直されるのかどうか、お尋ねいたします。
  264. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 現行の重要港湾港湾計画の改定の手続といたしましては、港湾管理者港湾計画を策定いたしまして地方港湾審議会に諮りまして、その上で運輸大臣港湾計画を提出することになってございます。運輸大臣は、その提出された計画を国の港湾審議会に諮りまして、その結果として、問題がなければその港湾計画を認める通知をするというふうな形になっているわけでございます。  ただ、御指摘のような昨年十二月の港湾審議会の答申によりまして、地方の裁量というものについてより大きくしていくべきではないかということでございます。審議事項について地方にお任せするようなものをより広くしていこうということで、それによりまして全体の審議過程を効率的に運用できるようにしようということでございます。  具体的に申し上げますと、軽微な変更というようなものについての取り扱いの範囲を広くすることによりまして、地方限りでの港湾審議会の報告だけをさせていただきましてそれで了とする範囲を拡大していくというふうなことを考えているところでございます。  港湾審議会につきましては、平成十三年の一月に港湾審議会が交通政策審議会の港湾分科会というものに改組をされることになりますので、その中で国の審議会の審議事項や審議方法についても見直していきたいというふうに考えております。
  265. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 前述の港湾審の答申で、「港と地域が一体となって発展してきた歴史を有している我が国では、地域づくりと一体となった港湾計画の策定について、地域の実情に応じて機動的な対応を講ずることができるよう、これまで以上に港湾管理者の裁量の範囲を拡大することが必要である。」というふうに述べております。  この点と国の港湾行政との関係について御説明をいただきたいと思います。
  266. 鈴木政二

    政務次官(鈴木政二君) 委員も市議会や県議会を地元でやられて、特に地域のこうした港湾管理者の裁量を高めるという統合補助金等を大いに歓迎していただいていると思っております。  国の行政としても、対応すべき課題、要請に対しまして、今言いました地域港湾管理者の柔軟かつ迅速に対応した地方の主体的な地域づくりを一緒になってこれからもやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  267. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 昭和二十五年の港湾法案の提案理由で大屋国務大臣は、港湾管理者としての港務局の効用についてかなり力説されております。  現在の港湾管理者の中にはたった一つの港務局しかありません。我が国でこの制度が普及しなかった理由はどのような点にあったとお考えですか。ちなみに、港務局が一つあるというのは愛媛県の新居浜港というふうに聞いておりますけれども、どういうわけですか。
  268. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾法にございますポートオーソリティー制度といいますか港務局については、ヨーロッパ、アメリカ等で採用されておりましたポートオーソリティー、それをひな形といたしまして港湾法の中に導入されたものでございます。  この港湾法制定以前におきまして既に地方の公共団体が港湾を管理しているというふうな実態がございまして、新しい港湾法の中でも港湾管理者がそのまま移行したというふうなこともございますし、それから、港湾施設は、先ほど大渕先生の御質問にもお答えを申し上げましたが、それ自身の営造物として築造されるものもございますので、それから高い収益を上げていくということは非常に難しい部分もございます。  そういう意味で、コストに見合った収益を確保いたしまして自立経営を図るということについてはかなり難しい面がございまして、そういった理由で、御指摘のように現時点では愛媛県の新居浜港だけが港務局として成立しているということかと理解をしております。
  269. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄県内の重要港湾六港、那覇、中城湾、金武湾、運天、平良、石垣の現在の取扱貨物量はどのような状況になっているか、お尋ねしたいんです。
  270. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) お尋ねのございました沖縄の重要港湾につきましては、那覇、運天、平良、石垣、金武湾、中城湾という六港がございます。  六港の合計で平成十年の実績で申し上げますと、二千九百九十九万トンでございます。そのうち、那覇が九百二十九万トン、運天が八十四万トン、平良が百万トン、石垣が百二十六万トン、金武湾が千百四十七万トン、中城湾が六百十四万トンというふうになってございます。
  271. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この数字によりますと、金武湾が一番多いんですか。その理由は何ですか。
  272. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 金武湾には石油の基地がございまして、その関係で原油の輸入等を行っておりますので港湾の取扱貨物量が一番大きくなっているわけでございます。
  273. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 平成十一年度、中止・休止及び見直しをする事業で、休止港湾等二十六事業の中に沖縄県の竹富東港、小浜港、船浦港の三事業が入っておりますけれども、その理由についてお尋ねいたします。
  274. 襲田正徳

    政府参考人襲田正徳君) 開発庁といたしましては、公共事業の効率的な執行また透明性の確保を図るということで、原則といたしまして、開発庁で予算計上を行うすべての公共事業につきましていわゆる再評価を実施しているところでございます。  平成十一年度分につきましても再評価を実施したところでございますが、お尋ねの港湾整備につきましては、近年、投資の重点化あるいは効率化を進めているところでございますが、お話にございました船浦港、それから小浜港及び竹富東港の三港、いずれも地方港湾でございますが、これらにつきましては、事業必要性は認められるわけでございますが、これまでの整備によりまして、当面必要な係留施設が利用可能な状況となっているということで、沖縄県の再評価の結果を踏まえまして私どもも休止といたしたところでございます。
  275. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大体わかりましたけれども、平成十二年度の港湾関係予算港湾整備事業費の沖縄開発庁分として三百二十九億六千万円が計上されておりますけれども、その内訳と事業の概要について御説明いただきたいと思います。
  276. 襲田正徳

    政府参考人襲田正徳君) 平成十二年度の沖縄関係港湾整備事業費でございますが、国費ベースといたしましては、三百二十九億六千万円、対前年度比で一・七二%の増というふうになっております。ちなみに、事業費ベースでは三百六十三億五千四百万円、対前年度比で一・八七%の増というふうになっております。  その事業の概要でございますが、御案内のように、那覇港それから平良港あるいは石垣港といった沖縄におきます海上輸送の根幹的な役割を果たしております重要港湾整備、さらにこれも重要港湾ではございますけれども、特に流通加工港湾としての機能を有します中城湾港の新港地区、こうした港の整備を進めることにいたしております。  また、住民生活の安定あるいは地域の産業振興等に寄与するための離島等地方港湾整備も積極的に推進していくことにいたしております。
  277. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ちょっと質問事項にはないんですけれども、今、石垣港でクリアランスをしておりますね。その実態、どういうふうな状況になっているか、御説明いただけますか。わかりますか。
  278. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 確たるデータを持ち合わせておりませんので、大体ですが、千六百隻ぐらいということでございます。
  279. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これはかなり石垣市においては収入源になっております。ですから、私はクリアランスをやっている状況を業者から話を聞いて、土日を税関の方が全く閉鎖してしまって、せっかく港に着いてもそこで停泊して、あるいは那覇に向かっていってやるというふうな状況があるということで、七年ぐらい前ですか、税関の方でぜひ土日も対応してほしいというようなこともお願いした結果、わずか二週間ぐらいでそれを土日もわざわざ出勤していただいて、今対応しております。非常に地域で喜ばれておりますので、そういったふうなことがこれからもずっと継続できるように私は切にお願いしておきたいというふうに思いますけれども、税関の方いらっしゃいませんが、もし運輸省で御返事がいただければありがたいんですけれども。地元で非常に心配しておるわけです。
  280. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 運輸省が大蔵省のことを申し上げることはできませんが、先生の御質問がございましたことをお伝えさせていただきたいと思います。
  281. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 よろしくお願いします。  日本全体が島嶼国でありますけれども、その中にあっても我が沖縄県は唯一の離島県であります。さらに広大な海域に広がる多島県であるわけであります。それゆえに沖縄の振興にとって港湾整備はまことに重要であり、大切なことであります。沖縄の港湾整備に対する大臣の御所見を賜りたいと思います。
  282. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 沖縄は、島袋委員御承知のとおり、大小さまざまな島といいますか、百六十に及ぶ島から形成されておるわけでありますから、港湾の重要性というのは他の地域に比べはるかに高いものがあろうと思います。  したがいまして、その港湾の果たす役割、そして事業の効率性、またはさらに最近特に内外から言われております透明性を確保した上で、必要な投資につきましては積極的に対応してまいるつもりでありますし、同時に沖縄振興につきましては、私どもとしましては、港湾のみならず空港、その他運輸省ができ得る限りの対応をいたしたいと考えております。
  283. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 せんだって、嘉手納RAPCONが返還されるということでコーエン国防長官がわざわざ、恐らく大臣もお会いしたと思いますけれども、その御尽力に対して本当に感謝申し上げます。  それで、那覇港の軍港の返還問題について、これはやはり合意は見ているわけでありますけれども、残念ながら移設を条件としているためになかなか思うようにいかないというのが今日の状況であります。これは県民の長年の要請でありますので、ぜひ早目に那覇軍港を、私は無条件で返還していただきたいということが願いでありますけれども、その辺についての運輸省としてのお考えをお聞きしたいと思います。
  284. 二階俊博

    ○国務大臣(二階俊博君) 先ほどのRAPCONの問題につきましても、当面といいますか、外務大臣と国防長官との間でお話し合いをなさることが基本でございましたが、若干日数がたち過ぎておりますし、あらゆる委員会でこの問題につきまして沖縄県選出の衆参の、しかも与野党の国会議員からの強い御要請でございましたので、私はアメリカに対していろいろとアプローチをしてまいりましたが、コーエンさんとは私はお会いをいたしておりません。  しかし、今お話しの那覇の軍港の問題につきましては、これまた私が前へ出るわけにもまいりませんが、きょうこうした御質問が島袋議員からおありであったということを関係の閣僚には伝えておきたいと思います。
  285. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひ、無条件の返還を県民は願っておりますので、その方向で運輸省としても努力されていただきたいということを要望しておきたいと思います。  ありがとうございました。
  286. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  287. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、日本共産党を代表して、港湾法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  本法案は、国際競争力の強化などを理由に、重要港湾の大規模な施設整備費用の国庫負担率を引き上げ、中枢・中核国際港湾コンテナターミナルを重点的に整備しようとするものです。しかし、中枢中核港湾の外貿コンテナ貨物は第九次港湾整備計画の見通しより大幅に落ち込んでいます。  今、国と地方の債務残高が六百四十五兆円、国内総生産の一・三倍という破局的な状況になっています。そして、その重要な要因である公共投資のあり方が国政上の重要問題になっています。  そのようなときに、まず建設先にありきという過大な需要見通しのもとでの中枢中核港湾への集中的で大規模な公共投資は、従来型の公共事業によるむだ遣いをさらに助長させるものです。したがって、本改正案に反対します。  なお、環境保全の配慮が改正案に盛り込まれましたが、全国各地で重要な干潟や浅海域の環境港湾整備によって損なわれていることは重大であり、環境を破壊する建設は見直しをするよう強く求め、反対討論を終わります。
  288. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  港湾法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  289. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  290. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  291. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。中山建設大臣
  292. 中山正暉

    ○国務大臣(中山正暉君) ただいま議題となりました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  住宅金融公庫は、従来より、国民の住宅建設に必要な資金を融通することにより国民の住生活の安定に大きく寄与してきたところでありますが、成熟社会に向けた良質な住宅ストックの形成、維持管理及び流通の促進を図っていくためには、その融資制度について諸般の改善措置を講ずることが必要であります。また、同公庫が引き続き安定的に資金を融通していくための措置を講ずることが必要であります。  この法律案は、このような観点から、今国会に提出された平成十二年度予算案に盛り込まれている貸付対象の拡大及び貸付条件の改善、同公庫の業務に要する資金の調達手段の多様化等、所要の改正を行うものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、良質な住宅ストックの形成等を促進するため、新築住宅及び一定の耐久性を有する既存住宅等に係る貸付金の償還期間を三十五年以内とすること、既存住宅を購入して優良な住宅となるよう改良する場合における貸付金利及び償還期間の特例の創設その他貸付条件の改善を図ることとしております。  第二に、住宅市街地における居住環境の改善を促進するため、土地の合理的かつ健全な利用に寄与する耐火建築物等で過半の住宅部分を有するものを貸付対象とし、貸付金利の上限等を定めることといたしております。  第三に、住宅宅地債券の引受対象者を追加するとともに、同公庫が住宅金融公庫債券を発行することができることとし、あわせて、住宅金融公庫債券に係る債務の担保に供するため、その貸付債権の一部を信託会社等に信託することができることとする等、資金調達手段の多様化を図ることとしております。  その他、これらに関連いたしまして所要の規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  293. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、来る四月四日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会