○野沢太三君
自由民主党の野沢でございます。
これまで各
委員からそれぞれ貴重な御
意見をちょうだいいたしておりますけれ
ども、ほとんど私としても共感、共鳴をすることが大部分でございますが、これまでの議論と重なりもあろうかと思いますが、私なりの考えを申し上げてみたいと思います。
国連が結成されましてから半
世紀余りを経過してまいりまして、この間、やはり
国連が果たした
役割、特に
世界の
平和維持機構としての仕事では大変大事な
役割を演じたのではないかと思います。
冷戦の続いていた時代には、大国の対立から
安保理そのものも余り
機能しなかったという問題もございましたが、
冷戦終結後はまた逆に、内戦、内紛あるいは
民族的な対立等々でいわゆる
国家間の
安全保障としての
国連のあり方というものがある意味で限界を来しまして、むしろこれからの
国連の果たす
役割というものは、
国家とあわせましていわゆる
国民あるいは人類という大きなやはり共通の立場で問題を
解決する、平和を
維持する、そして
人間の
安全保障といった面から問題のアプローチをする必要が出てきているんじゃないかな、かように思うわけでございます。
その意味でも、今の
国連がそれに十分こたえられる形にはなっていないと思うわけでございまして、やはりこれにふさわしい形に変えていかなきゃいかぬかな、こう思うわけでございますが、その意味での
国連改革の第一の
課題はやはり、各
委員も御指摘のとおり、
安全保障理事会の
改革が大変大事ではないかと思います。
これまでの五つの
常任理事国を加えた十五という
枠組みをもう少しふやして、
地域なりあるいは当事者能力の大きい
日本、ドイツ、こういった国をぜひ入れたらという声は出てきておりますけれ
ども、なかなかこれがまとまらない。特に、
地域問題としては、ドイツに対してはイタリーというカウンターパートがいるし、あるいはインドという候補については、先ほ
ども田
委員からも御指摘のとおりパキスタンという相方がいる。その中で
日本は比較的共感、共鳴をいただいてはおりますけれ
ども、
日本だけというわけにいかない。
大変厳しい立場にございますが、これまでどおり着々とほかにできることがたくさんあるわけでございます。
ODAにしろ、あるいは始まってまだそう日はたっておりませんが、PKOによります
地域の
貢献、平和の
維持、そういった面でのやれることがたくさんあろうかと思いますので、その面での
役割を重ねながら、重層的な共鳴、共感の輪を広げることが今大事ではないかと思うわけです。
その意味では、むしろ
経済社会理事会が必ずしも
機能していないというわけでございますけれ
ども、この理事会を実効あらしめることが今後の
国連改革の中では非常に重要ではないかと思うわけでございます。
貧困の解消であるとか、あるいは
地球環境への
取り組みであるとか、あるいは
NGOの参加、多くの
委員が御指摘をされましたその協
力関係をこういった面から厚くしまして、
国連そのものの全体の力を高める、これがやはり大事な仕事であろうかと思います。
信託
統治の
機構については一応
役割は終わったということではございますが、いまだにまだ自力でいわゆる行政、
政府というものを構築できないような場面の現象が時々起こっているわけでございます。その意味で、この
機構はある意味で休止をして、新しい事態に対して模様がえをしながら
対応したらどうかなと思うわけでございます。
そういったそれぞれのパート、パートの問題もさることながら、一番やはり大事なのは、私は
国連の総会の
機能をしっかりここで再構築することが大事ではないかと。加入の数がふえまして百八十八というような状況の中で考えますと、一国一票制というもののあり方自体もひとつ再
検討すべきことかと思いますし、総会はいわゆる意思決定という面では勧告ということに特化されておりますから、その面では見かけほど強くない、そういった面を少し決定という形で
機能させるためにも、例えば
財政問題の
解決等については総会マターとしてしっかり物を取り決めるということが大事ではないかなと、こう思うわけでございます。
それから、総会も
国連の
枠組みである
国家の集まりという制約を脱し切れないわけでございますので、ここでも
参考人の皆様から何人か御指摘をいただいておりますけれ
ども、
NGOの
意見をくみ上げられるような組織、総会にしていったらどうか、こんな考えもあるわけでございます。その意味で、
国連に血を通わせる、市民
活動の活力を取り入れる意味でも、総会にそういった性格を持たせることも
一つの
改革の道ではないかなと、こう思うわけでございます。
こういった大きな
課題については、
日本の意思だけではとてもできない問題がございますが、差し当たり
日本が今具体的にできることを積み重ねていくことがやはり大事だと思います。そのためにも、横田
参考人からも御指摘がございましたが、
日本としてイニシアチブのとれる
発言を絶えず発信、繰り返すこと、例えば通常兵器の移転登録問題であるとか、それから小渕総理も情熱を傾けられました
対人地雷の禁止の問題であるとか、平和
国家である
日本でなければ言えない、やれないということが多々あろうかと思うわけでございます。
その意味で、各機関の中で
日本がやはりやってくれたと、対米追随などと悪口を言われないように独自の
発言を繰り返し、それによって実績を築いていくということが大事であろうかと思います。
同時にまた、
日本の立場というのは、
アジアというものを意識しまして、
アジアのグループの皆さんの代弁をするということが
日本としては大変
期待をされているんじゃないかなと、かようにも思いますので、いわゆるG8というような
枠組みとあわせて、
アジアでの
枠組みの中で
日本が何ができるか、何を言うべきか、これを絶えず考えた
発言を重ねていくということがまず第一にあろうかと思います。
それをやる意味でも、明石さんとか緒方さんとか立派な方もおられますが、そういった方々が今後とも輩出するような人材の送り込み、育成、これをやはり積極的、組織的に図ることが大事かと思います。
例えば、大学のコースからそういった
国際公務員養成のコースをつくる、あるいは外務省の職員の中からある割合は
国際公務員として振り向けるんだと、そしてまた、実践の場にそういった人
たちを送りましてトレーニングを重ねる、そして、そういった皆様が将来また
任務が終わって帰ってきたときには、
国内で手厚くこれを遇する道もまた開いていかなければ、なかなか手が挙がらないと思うわけでございます。
二%程度の今職員しかいないという中で二〇%の
分担金ということでありますから、せめて一〇%くらいの職員を
国連に
日本が送り込む、このくらいのことはこれからの
取り組み次第ではできることというふうに考えるわけでございます。
それからもう一点は、やはり
財政問題でございます。アメリカが滞納しているということ、アメリカ以外にもございますけれ
ども、こういった国々に対して呼びかけましてこういった当面の滞納をなくすということもございますが、
国連の負担金のあり方について抜本的な私は
改革をしなくちゃならぬかなと。
今の
国連の負担金は、いわゆる応能主義といいますか、能力のあるところに今たくさんかけるという形でやっておりますので、アメリカが二五で
日本が二〇でということでありますし、それから途上国については〇・〇〇一というんですか、まことにもう微々たる負担しかしないということであります。権限と義務、これはもう両方くっついているんだということからすれば、少なくとも
常任理事国に入っている、そしてさらにそれに準ずる国については、一定の固定費負担をした上でなお
経済の実力に応じた応能主義にするなどの
改革が十分できるんじゃないかと思うわけでございます。
その意味でも、もう少し合理的な権限と
責任に見合った負担のあり方について
日本から提言をしていく、同時に、
日本もまたそれをしっかりと義務を守るということが大事かと思っております。
それから、
日本にできる仕事といたしまして大変大事なのは、先般皆さんと御一緒に参りました
国連大学などの存在とその活用であろうかと思います。
国連大学は立派なことをやっておりますけれ
ども、なかなかこれが知られていないというような限界、そしてまた、学生をとれないということからして一定の識者だけしかこれを活用できないということもございますので、ひとつこれをもっと開かれた大学にし、そしてここを通して
国際公務員の育成であるとか、あるいは
日本文化の
世界への発信などを含めて文化面で
日本がより一層
国際的な
貢献ができることが、大変回り道のようで
世界に対する理解を深める近道かと、かように思います。
大変どうもありがとうございました。