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2000-04-03 第147回国会 参議院 行政監視委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月三日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     内藤 正光君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浜田卓二郎君     理 事                 岩井 國臣君                 太田 豊秋君                 田中 直紀君                 江田 五月君                 岩佐 恵美君                 渡辺 秀央君     委 員                 阿南 一成君                 有馬 朗人君                 岩瀬 良三君                 塩崎 恭久君                 武見 敬三君                 山内 俊夫君                 小林  元君                 小宮山洋子君                 角田 義一君                 内藤 正光君                 長谷川 清君                 松前 達郎君                 加藤 修一君                 益田 洋介君                 小泉 親司君                 富樫 練三君                 梶原 敬義君                 田名部匡省君                 石井 一二君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    保利 耕輔君        国務大臣        (総務庁長官)  続  訓弘君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君    内閣官房長官        内閣官房長官  松谷蒼一郎君    政務次官        文部政務次官   河村 建夫君        建設政務次官   岸田 文雄君        防衛政務次官   依田 智治君        科学技術政務次        官        斉藤 鉄夫君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    政府参考人        警察庁長官    田中 節夫君        警察庁長官官房        長        石川 重明君        警察庁生活安全        局長       黒澤 正和君        警察庁刑事局長  林  則清君        警察庁交通局長  坂東 自朗君        総務庁長官官房        審議官      藤井 昭夫君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        科学技術庁研究        開発局長     池田  要君        国土庁地方振興        局長       芳山 達郎君        農林水産大臣官        房長       竹中 美晴君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        建設省都市局長  山本 正堯君    参考人        宇宙開発事業団        理事       石井 敏弘君        奄美群島振興開        発基金理事長   岩切 哲朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関  する調査  (最近の行政監察活動実績概要に関する件)  (財政投融資対象機関点検等に関する件)     ─────────────
  2. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三月三十一日、岡崎トミ子君が委員を辞任され、その補欠として内藤正光君が選任されました。     ─────────────
  3. 浜田卓二郎

  4. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会宇宙開発事業団理事石井敏弘君及び奄美群島振興開発基金理事長岩切哲朗君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 次に、行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  まず、総務庁から最近の行政監察活動実績概要について説明聴取することといたします。  それでは、総務庁長官から説明聴取いたします。続総務庁長官
  8. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 本日は、最近の行政監察活動成果について御説明する機会をお与えいただき、まことにありがとうございます。  本日御説明させていただきますのは、お配りした資料の一ページ目にまとめておりますように、おおむねこの一カ月間に関係大臣に対して行った勧告等五件の内容であります。  以下、順次御説明申し上げます。  第一に、特殊法人財務内容につきましては、これまで本委員会に御報告した二十一法人に引き続き、今回は四法人についてその調査結果を通知、公表しております。  資料の二ページをごらんください。  まず、地域振興整備公団について土地造成事業財務内容を見ますと、昭和六十二年度以降十年間はおおむね実質的に利益を計上している状況にあります。  しかし、近年、造成地譲渡実績が低下する中で、投資が拡大し債務残高が増大しているため、将来的に財務内容を悪化させる兆しが見られます。このため、今後の課題として、需要動向を的確に把握しつつ事業を展開する必要がある旨指摘しております。  さらに、もう一つ課題として、産炭地事業用団地につきましては、企業ニーズに合わせた供給方法を検討する等企業誘致に工夫を凝らし、分譲に努めていくことが必要と考えられます。  次に、科学技術振興事業団につきましては、新技術研究開発業務多額公的資金に依存する事業であり、研究成果を的確に評価していくべきと考えられます。  また、科学技術情報流通業務売上高データベース整備に要する費用を下回っている状況にあり、またデータベース分野別収録割合利用割合との間に乖離が見られることから、今後より一層利用状況を加味する必要があります。  次に、三ページをごらんください。  農用地整備公団につきましては、農業生産基盤整備には多額補助金財投資金投入されておりますが、負担金の徴収による償還は順調に進んでいる一方、事業効果につきましては、事業達成目標経済効果についての事前評価は行われているものの、事業完了後の検証は行われておりません。  このため、今後費用効果観点から事業効果を検証していくことが課題である旨を指摘しております。  なお、本公団平成十一年十月に緑資源公団に移行されております。  宇宙開発事業団につきましては、多額出資金補助金投入によりロケット及び人工衛星実用化のための宇宙開発事業実施しております。本事業団財務内容を見ますと多額の欠損が発生しておりますが、これは研究開発成果企業会計上資産に計上されないためであり、技術国産化などに一定の成果を上げている状況は見られます。  しかし、ロケット事業につきましては、打ち上げコストが海外に比べて割高であり、また近年のロケット打ち上げが相次いで失敗し、人工衛星事業にも相次いで事故が発生する状況が見られます。  このため、両事業について一層の開発コストの低減に努めるとともに、一連事故により損なわれた両事業の信頼の回復のための対策を早急に講ずることが課題であると考えます。  また、両事業多額公的資金投入が必要とされる事業であり、費用効果観点から評価を行うとともに、その結果を明らかにし、開発妥当性について不断に論議していくことが必要と考えられます。  第二に、許認可等統一的把握結果について御説明いたします。  資料の四ページをごらんください。  国の許認可等について平成十一年三月三十一日現在における総数調査した結果、一万一千五百八十一件に上る状況が判明いたしました。これは前年に比べ八百五十一件の増加、三百八十七件の減少差し引き四百六十四件の純増であります。  今回増加した許認可等内容を見ますと、金融システム改革のための関係法律整備により、新たな証券会社業務認可等金融秩序の維持や新しい金融システムを構築するために新設された許認可が多く見られるなど、実質的な規制の緩和は進んでいるものと考えております。  第三に、国の関与実態把握結果について御説明いたします。  資料の五ページをごらんください。  平成十一年三月三十一日現在における国の関与総数は三千四百十二件となっております。これは前年に比べ九十六件の増加、六十三件の減少差し引き三十三件の純増であります。  国の関与総数が全体として増加いたしましたのは、全国的統一性公平性確保広域的調整を図る観点から国の関与が設けられていることによるものと考えられます。  なお、国の関与を非権力的な関与か権力的な関与かで見た場合、権力的な関与につきましては減少が見られるところであります。  第四に、補助金等に関する行政監察結果に基づく勧告について御説明申し上げます。  資料の六ページをごらんください。  補助金等につきましては、執行の適正化及び透明性確保並びに補助事業の適正かつ効果的な実施を図る必要があります。  今回は民間団体等整備する施設・設備に係る補助金などのうち交付件数が多いもの、七省庁二十一目の補助金等について調査を行い、勧告したものであります。  その結果、一つ採択審査適正化観点から利用見込みの的確な把握など厳正な審査実施、二番目、契約の適正化観点から競争入札を原則とするなど競争性確保、三番目、透明性確保観点から交付決定概況一覧補助事業等実績報告公開、閲覧の実施指摘するとともに、二省五件、総額三百二十万円について不適正交付があった旨を指摘しております。  以上が最近における行政監察活動成果概要でございます。  国会における行政監視行政府における行政監察活動は車の両輪であります。当庁の活動成果が本委員会における今後の御審議参考になればと存じます。  よろしくお願い申し上げます。
  9. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 以上で説明聴取は終わりました。  次に、財政投融資対象機関点検等に関する件について質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 山内俊夫

    山内俊夫君 きょうは続長官大変お忙しいところ、ありがとうございます。長官はこの行政監視委員会の前の委員長として御活躍されておりまして、きょうは質問を受ける立場ということでお出ましをいただいたわけでございます。  もういよいよ四月に入りまして、郵貯あたり自主運用がそろそろ開始される段取りに入ってきたわけでございますけれども、本年四月から例の郵貯定額貯金、これは百六兆円ぐらいあるんですが、これがもう二年間でほとんど満期を迎えるという、大変大きな資金が動いてくるわけでございます。  自主運用がいよいよ開始されるということで、それに先立って実は全銀協あたり運用リスク国民が負担する可能性があるよというような指摘がありまして、ですから郵貯の持っている自主運用国債などにある程度運用を限定すべきじゃないかという全銀協あたり意見が出てまいりました。ただし、つい最近の新聞でございますけれども、「郵貯長期債運用を抑制」ということでタイトルが出ているんですが、二〇〇一年度には資金運用部への預託義務がなくなる、今後七年間にわたって毎年約三十兆円ずつ自主運用額がふえるというような流れになってくるわけでございますが、郵政側はこれを短期的な国債に切りかえていこう、そうしないと大変リスクが大きくなるということなんですが、大蔵省はそれじゃなくて十年物ぐらいを何とか受け持ってもらえぬだろうかという意見も種々出てきている段階でございます。  先般の参考人説明聴取ということをやらせていただいた中で、比較的全般的な中身としてはっきりしてきたのは財投改革におけるいろんな問題点、大変いろいろ出てまいりました。その中で、入り口論というんですか、これは郵貯が集めるお金、それを資金運用部が一時お預かりして中間的な役目を果たして、それから特殊法人等にその資金を割り当てしていくというような仕組みの中で出口論、その一番の出口特殊法人認可法人指定法人、そういったところのチェック機能が甘ければよろしくないんじゃないかという意見が大半占められていたように私は記憶をいたしております。  こういったいよいよ待ったなしの状況になってきますと、郵政あたり郵貯お金というのが今後国のいろんな政策に十分有効に活用していただける、そしてむだなく活用していただく、そういった意味からも、私は今回の質問一つに絞らせていただいたんですが、政策評価制度というものに対して総務庁長官にお聞きしたいんです。  その前に、特殊法人認可法人、これは百四十ぐらいの法人があるんですが、細かく分けてみますと特殊法人だけでも八十七、これは各省庁が持っております。それと認可法人が八十八、それと民間法人化されたというのが十七ぐらいあるんです。それに指定法人百三十五を入れますとほぼ三百二、三十の法人があるわけですが、これは政策的にきっちりとその目的を明確にしていかなくちゃいけない。そのためには、やはり行政監視立場からいきますと、きっちりとチェックがなされなければ私はもとのもくあみになってくるんじゃないかと。もう二〇〇一年から省庁再編ということが目前に迫ってきているわけでございます。そういった意味から、この行政監視委員会が果たす役割というのは私は大変重要であろうと思っておるところでございます。  そういった必要性を論じておりますけれども、ただ客観的な評価をどうするかということに大変苦慮するわけでございますが、そういった政策にちゃんと合致しているかどうかというその出口論入り口、これが私の今回の質問の趣旨になるんですが、政策評価制度というものをもう一度ここで長官の御意見もお聞きしたいということで質問に入らせていただきます。  まず、今度の新府省の発足にあわせて全政府的に政策評価制度を導入するということにされておりますが、この政策評価制度創設の意義、これをもう一度お願いしたい。また、政策評価制度の検討は現在どこまで進んでおるのか、その具体的な中身、今後のスケジュールというものをまずお聞かせいただけたらと思うわけでございます。
  11. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、山内委員から各般にわたる行政評価制度考え方、そしてその重要さについて御質問がございました。  まさに今回の行政評価制度は新しい省庁再編関連して、今までどちらかといえば予算の獲得や法律制定大変国民皆様は関心があったと。しかし、その予算なりあるいは法律なりがいかに国民のために重要な役割を果たしているのかということについては若干問題を先送りしていた嫌いがございました。そんな状況の中で国民税金重み、それを今回の行政改革の中でじっくりと生かしていこうというのが省庁再編の目玉でもございました。  そんな中で、特に政策評価が問われるようになりました。御案内のように、今回の省庁再編関連して各省庁はみずからの政策評価を行うセクションが新しく組織として設けられました。同時に、総務庁には、今御指摘ございましたように、全省庁的な視点から、もう一段高い視点政策評価をするという、そういう仕組みが講ぜられました。  そこで、そういう仕組みが一体どういう状況になっているのかという御質問でございます。  七人の委員から成る評価関係研究機関がございまして、その結論が二月に一応中間まとめとして発表されました。それらに基づきまして、七月ぐらいにそれを整理し、各省庁と打ち合わせをしながらこれからの評価のあり方についてガイドラインをつくるという状況にございます。それを踏まえて、実は参議院行財政改革特別委員会法制化を急げという附帯決議もございました。それらを踏まえながら、今申し上げたように、各省庁とのガイドラインの詰めをしながら法制化に一生懸命に取り組んでいるというのが現状でございます。
  12. 山内俊夫

    山内俊夫君 大体七月に報告書が出るということで、それからかなり議論が活発化されるんだろうと思います。それをベースに議論を闘わすということになってくるんですが、既にもう待ったなしという状況になってきております。  特に、政策評価については行政機関内部評価にとどまるのではなくというような意見も随分あるんです。現実に各府省がみずからの政策評価するということをされておりますけれども、みずからの評価をするということはなかなか、内輪に甘い体質というのが出てきたときに、これは客観的に厳しい評価がとれないのではないかなという心配があるんです。  先般の松原参考人意見の中に、行政監察局とか会計検査院というのはもう国会直属にした方がいいじゃないかとかなりはっきりとした意見を述べられておったと思うんですけれども、今現在はなかなかそういうわけにはいかない。この現状の中で内部チェックを十分にしていく、それによって情報公開されるんじゃないかというような比較的緩やかな考え方というのがあるんですが、長官、この客観的で厳しい評価を部内では行えないのではないかという意見についてはどうお考えでしょうか。
  13. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今御指摘の点は私も若干心配しております。それはやはり、自分の政策に対する客観的な評価というのは往々にしてできかねる、しかしながらそうはいうものの国民の眼は非常に厳しいと。特に、税金重み考え行政を進めるためにはより客観的な評価をしないと国民の皆さんの御支持はいただけないと。  そういう意味では、先ほど申し上げたように、各省庁に置かれます政策評価を担当するセクション、それはやはりより客観的な評価をせざるを得ない状況に私はなるんじゃないかと。同時に、今御指摘のように、民間有識者から成る方々の御意見もちゃんと参考にさせていただく。そしてあわせて、先ほど申し上げた総務庁には民間有識者から成る委員会を設けて客観的な評価をやるという二重、三重チェックをやることになっております。  そういう意味では、今御指摘のようなみずからの政策評価が往々にしてできかねる場合には、今申し上げたように、二重、三重チェックを働かせて客観的な評価を行い国民皆様の期待にこたえる、そういう仕組みができ上がっておりますので、それを十分生かさせていただきたいと、このように考えております。
  14. 山内俊夫

    山内俊夫君 長官が第三者的な評価機関というものをもっと重要視していきたいというようなことも述べていただきましたが、政策評価並びに独立行政法人評価委員会が出した答申というのがあるんですね。この答申重みというものを我々はもう少しきっちりと受けとめておかなきゃいけないと我々自身も感じるわけでございます。  一連のいろんな警察関係の、きょうも来られておりますけれども、きょうは警察関係質問をしません。先般の新潟の問題とか埼玉のストーカー問題、これは中身は少し質が違うんですが、各セクションがきっちりと報告を上げていないというところに私は問題があるような気がするんですね。  その段階段階で実務的に本当に客観的な報告がなされていないという行政体流れの悪さというのがいろんなところに出てきております。ということは情報がうまく公開されていない、また情報が伝わっていない、少し脳梗塞を起こしているような状況になっているのではないかなと思うんです。  それで、政策評価客観性というものを私はちゃんと担保すべきであると。ですから、評価結果だけではなくて、その評価に至った、結果に至った中間情報というもの、過程公開すべきであると。そこまで開かれたものにしていけばチェック機能が自然に果たされてくるんじゃないかと思うんですが、長官、そのあたりどうお考えでしょうか。
  15. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 先ほど申し上げましたように、民間有識者七人から成る研究会におきましても、今御指摘がございましたように、政策評価関連をしてはすべての情報公開しなさい、それは事前であれ事後であれ、あるいは最終の段階であれ、いずれにしてもその過程において議論をしたそれらのすべての資料公開すべきだ、こういう研究会中間まとめをいただきました。私どももそのように考えております。  同時に、客観的に議論をしていただいて評価をしていただいたその重みは当然のことながら十分生かさせていただく、重みを受け取って十分生かさせていただきたいと、このように考えております。
  16. 山内俊夫

    山内俊夫君 ですから、まず政策評価機能の今後充実強化というのは私は大切だろうと思うし、また長官意気込みというもの、それを受けてきっちりとシステム化していくということについては、充実強化という観点で具体的な御意見をお持ちでしたらお聞かせいただきたいと思うんです。
  17. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいま申し上げましたように、政策評価手法等に関する研究会、これは民間の七人の方々がお入りになった研究会でございますけれども、その中での議論も、先ほど御質問がございましたように、評価結論だけでなくて評価過程等に関する情報もすべて公開をして国民皆様の批判にたえるような、そういう開かれた情報公開を徹底しなさいという指摘も受けております。ただいま御指摘のようなことも視野に入れながら、せっかくの御意見を尊重させていただきたい、このように考えております。
  18. 山内俊夫

    山内俊夫君 政策評価機能充実強化という観点、まだ少し長官意気込みが伝わってこないんですけれども、実は昨年の中央省庁等改革関連十七法律案に対する衆議院、参議院、両特別委員会から附帯決議がなされているんですね。これはもう行政評価法という法の制定を検討すべきだと言われております。  やはり、日本は法治国家ですから、一つの方針を固めていくとなったら、それをサポートする法制化というのが絶対必要であろうかと思うんですね。そういった法制化に対して長官の御意見、また意気込み考え方というものをお知らせいただけませんでしょうか。
  19. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 冒頭にも申し上げましたけれども、この法制化につきましては当初、各省庁に置かれます行政評価を担当するセクション、そこでみずからの政策評価について評定をする、そういう評定を通じて何年間か経過をした後に衆参両院で今御指摘のように御議決をいただいた法制化について議論したいと、こういうのが当初の方針でもございました。  しかし、国民皆様からすればそれは遅過ぎる、せっかく七人の委員の先生方にお知恵を拝借しながら政策評価の手法についていろいろと検討していただいて、その中間まとめが二月にでき、そして七月の時点で各省庁とのガイドラインがまとまるとすれば、今のように省庁再編後数年を経て法制化ということではなくて、できるだけ早く法制化に着手すべきだということで今検討しております。  いずれにいたしましても、衆参両院の議決はまさに今御指摘のように法制化を急ぐべし、そして国民皆様の御期待にこたえるべし、それが議会の御議決でもございますので、私どもはそれを踏まえて法制化をなるべく急いで国民皆様の御期待にこたえたいと、このように考えております。
  20. 山内俊夫

    山内俊夫君 長官、ありがとうございました。いろいろ長官の決意も聞かせていただいたわけでございます。  今、各省庁でこの政策評価に対するセクションというのがつくられてきておりますけれども、これはまだそれぞればらばらなんですね。ですから、これも少し聞きたかったんですけれども、来年から一府十二省庁という大再編がありますから今決めても、二つ、三つの省庁が一緒になったときのすり合わせもできていないからということで、そのポストが課長ポストになるのか、室ポストになるのか、単なるプロジェクト組織になるのかまだわかりませんけれども、そのあたりもしっかりと見きわめていただきたいと思います。そこのポストが大変重要なんだよという認識を持っていただいてやっていかないと、国民から見てやはり行政は内々に甘いねと言われないような仕組みをこの際はっきりとやっていただくことをぜひ強く要望して質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  21. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 現在の警察の腐敗、その根本的な原因は私は人事にあるんじゃないか、そういう観点からさきの委員会で人事問題を取り上げさせていただきました。  警察の人事について、ここにこういう問題点があるんだ、だからこういうふうに解決するんだという、そういう御報告をいただきたいなということで質問させていただきましたが、まだ警察庁の方針というものが決まっていないというか、お聞かせいただけないようでございますので、その辺の事情をちょっと御説明いただきたいと思います。
  22. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今、委員指摘の私ども警察の人事の問題でございますけれども、御承知のように、私どもの組織はいわゆるマンパワーの組織でございますし、また階級制度で維持している組織でございます。それだけに、一般の組織でも人事制度というのは大変重要でございますけれども、今申し上げましたような観点から警察におきますところの人事というのは大変重要な位置づけがあるわけでございます。組織機能の最大限の発揮とかあるいは組織の一体性の維持とか、さらには職員の士気高揚等の問題に深くかかわっておりまして、いわば組織の根幹をなすと言っても差し支えないというふうに私は認識をしております。  今、委員指摘のように、人事に問題があるのではないかという御指摘でございますけれども、これは昨年来の一連の不祥事案につきまして見た場合に、その原因につきましてはいろいろございますけれども、委員指摘のように、人事のあり方というものが大きくかかわっているのではないかという御指摘だろうと思います。  特に、キャリア制度あるいは幹部というものがかかわり合いがある事案が多うございます。そういうところを見ますと、果たして我々の今とっておるところの人事というのが組織としてうまく機能しているのかどうかということになろうかと思います。  そういう点で、特に幹部の問題を見てみますと、警察本部長等の管理者という者がいわゆる危機管理能力とかあるいは指導能力とかあるいは事件の指揮管理という点について見てみますと、どうも十分にそういうところの能力が発揮されていないというようなところがございます。  また、いわゆるキャリアにつきましても、確かに、きょうも私、採用のときに申したのでございますけれども、警察庁という建物に入ってくる、そこで専ら仕事をするというのではなくて、やはり我々は現場、第一線というのが重要なのであると。  そういう点を考えますと、第一線の経験とか、そういうものについて果たして十分なのかどうかというような問題、あるいはキャリア制度の昇任の問題といいますか、そういう問題を考えてみますと、果たしてキャリアであるがゆえに常に同一歩調で昇進させるとか、あるいは同じようなポストにつけるということについて問題がありはしないかというようなこと等を考えますと、キャリア制度そのものに問題がございますし、またいわゆる推薦制度というものがございまして、これは第一線の都道府県警察において採用されました警察官の中で優秀な警察官につきましてはこれを警察庁に採用いたしまして全国ベースで異動等をしておく制度がございます。こういう制度が全体の制度の中にうまくなじんでいるか、あるいはそういうところに大変優秀な人間がいるにもかかわらずそれが見出されないままに埋もれていないかというようなことを考えますと、まだまだ検討すべきところが多いように思います。  今、委員指摘のように、今申し上げましたようなことだけをとらえましても人事制度には大変問題が多いという認識をしております。  こういうような問題等を含めまして、人事制度全般につきまして抜本的な検討、見直しに現在着手したところでございますし、また、御案内のように、警察刷新会議というものも国家公安委員会に置かれました。こういう場での議論も含めまして、改めるべき点につきましては改める、また我々が十分に認識していないところの問題点というものも十分探り出してそういうものを見直して早急に必要な手だてを講じていくということが必要であろうかというふうに考えているところでございます。
  23. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 また、私はさきの委員会で、女性監禁事件にかんがみまして、警察と地域とのかかわり合いを問題にさせていただきました。そして、わずか二十二万人の警察官で一億二千万人の国民の命と安寧を守るためには地域コミュニティーというものの協力がどうしても必要である、そういう観点からそのあり方について御検討いただくようにお願いいたしました。その後、いろいろお聞きいたしますと、その問題につきましてはもう既にいろいろと御検討なさっておる、まだちょっと現段階でまとまった報告はできないけれどもいろんな検討をしておるんだ、こういうことでございます。  どういう新規施策が出てくるのか、私はその結果を楽しみにしておりますけれども、私も若干の意見がございますので、きょうはその辺ちょっと質問させていただきたいと思っております。  私の知り合いに大島さんという人がおりまして、ワード研究所という調査会社を経営しておられるんですね。そこでは公共サービスの満足度調査という調査をやっておられます。住民は行政の何に満足して何に不満足なのか、そういうことについてアンケート調査をやられたわけでございます。  その結果によりますと、警察の駐車違反の取り締まりが厳しい、厳し過ぎるんじゃないかという人が五二%、そしてスピード違反の取り締まりがやっぱり厳し過ぎるんじゃないかという人が四二%、結構多いんですね。それに対しまして、泥棒を捕まえるということで警察を頼りにしているかと、こういう質問に対して、頼りにしているという人がわずか一〇%なんですね。  警察というのは、親しみがあって、かつ頼りになるというのがやっぱり理想なんでしょうね。ところが逆になっておる。警察は怖いばかりで頼りにならない、そんなイメージが定着しておるんじゃないかという感じなんです。  そこで質問でございますが、駐車違反の取り締まりにつきまして、地域によりまして厳しかったり甘かったりばらばらなんです。駐車違反の取り締まりにつきましては、地域住民の意見というものをよく聞いていただいて地域が困らないようにすべきではないか、地域の意向とは無関係に警察の自由裁量で、言うなれば点数稼ぎで住宅街で駐車違反を取り締まるというような今のやり方は即刻改めてもらいたいなと、こんな感じもするんですね。いろいろと私の身の回りでも住民の不満が多いんです。その辺いかがでしょうか。
  24. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) お答えいたします。  駐車違反は交通渋滞を悪化させる要因ともなっておりますし、またドライバーが違法駐車車両により視界を妨げられまして歩行者をはねるといった形態の事故が発生するなど交通事故の原因ともなっております。また、住宅地におきましては歩行者等の安全な通行の障害ともなっておりますし、あるいはまた緊急自動車の活動に支障を及ぼすというようなこともございまして、国民生活全般に支障を及ぼしているところでございます。  また、要望、苦情等についての一一〇番通報のうち駐車問題に関するものが約四分の一を占めているといったことにも見られますように、取り締まりについての国民の要望等にも非常に強いものがあるというように承知しているところでございます。  こういった情勢下にもございますので、駐車違反の取り締まりに当たりましては、各都道府県警察におきまして地域の交通実態を十分に掌握し、あるいはまた地域住民の方々の取り締まり要望も十分に踏まえながら、悪質、危険性、迷惑性の高いものに重点を置いて取り締まりを実施しているものと承知しているところでございます。  警察庁といたしましても、今後とも地域の交通実態あるいは地域住民の方々の御要望等を十分に踏まえながら、幹線道路の交差点、横断歩道あるいはバスレーンなどにおける悪質、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いて的確な駐車違反の取り締まりを推進するように各都道府県警察を指導してまいる所存でございます。
  25. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 駐車違反の取り締まりをやめろと言っておるんじゃないんですよ。それはそれでいいんですけれども、やり方が余りにも中央集権的過ぎるんじゃないかということなんです。  行政改革で、御案内のとおり、機関委任事務というものがなくなりました。自治事務と法定受託事務に変わりましたね。このことについて、機関委任事務でもあり自治事務でもあるという中間領域みたいなものもあるんじゃないかと私は思っておりまして、その点で私は今の地方分権の問題はちょっと中途半端じゃないかと思っておるんです。  それにしても、もう一つ私がちょっと中途半端だと思う点は、その一番大きい点ですけれども、今までの機関委任事務というのは、国がやれないことをまず都道府県におろします、都道府県でやれないものを市町村におろします、こういうことなんです。それが機関委任事務論なんです。それを百八十度変えまして、まず自己責任だと、自分でやれるものは自分でやりますよと、自分でやれないものは地域で取り組みますよと、地域でやれないものは市町村でやりますよと、市町村でやれないものは都道府県でやるし、都道府県でやれないものは国でやりますと。これは政府信託論というんですけれども、そういう立場に立って考えたときに、今の地方分権、ちょっと中途半端になっておるというのはそこなんです。  そういう徹底的な地方分権論、政府信託論という立場になったときに、駐車違反みたいな話はもっと地域に任せられないのかという問題があるんです。今ここでお答えいただく必要はありませんけれども、ちょっとそういう視点で御検討いただきたいと思うんです。  それで、私は実は一昨日、有珠山の噴火災害の現場、伊達町と虻田町へ行ってまいりました。今のところ食料や医療品などの救援物資に問題はなさそうでございますけれども、避難生活が長期化しそうな状況の中で、ぼちぼちいろんな不満が噴出しそうなんです。マグマが噴出しそうな状況があるんです。  いろんな不満、心配事があるようですけれども、私が一番問題だなと思ったのは、やっぱり警察の対応が悪いということなんです。警察の交通規制が余りにもしゃくし定規であると一部の避難住民から痛烈な苦情が私たちに投げかけられました。  私なんかをつかまえて、こう言われるんですよね。あなたたちは伊達の方からこっちへ、虻田町まで来たんでしょうと。私たち一般人は親が危篤、伊達におられるんですけれども、親が危篤状態であってもそこへ行けないんですよということなんです。これは何とかならぬのですか。それから、虻田町の対策本部がありますね。隣の豊浦に避難地があるわけで、町の対策本部の人がそこへ連絡に行く、それも交通規制で行けない。こんなことはちょっと行き過ぎではないかと虻田町の災害対策本部の関係者が言っておられるんです。  私は、交通規制のマニュアルがやっぱり荒っぽ過ぎるのじゃないかと思うんです。火山の噴火活動も我々が息をするように息をしているんです。激しくばっと爆発するときもあるし、静かに噴煙を上げておるときもあるんです。それから、風向きによってはそれほど危険でないときもあるんです。現実に私らなんかは伊達から虻田町、それから豊浦へ行ったんですから、通ったんですから、緊急車両ですけれども。  今の話は一昨日の話で、昨日は比較的穏やかな時間が多かったようでございまして、私の申し入れを警察の方で考慮されたのかどうかわかりませんけれども、避難住民は一時家に帰った人もおられたようです。それは結構でした、よかったと。  いずれにしろ、交通規制はもう少し弾力的なやり方でやるべきで、私は工夫の余地があるように思います。私は、現地の状況に応じて、例えば警察の緊急輸送車を出してはと、そんなことも考えたりするのでございます。具体的な方法はともかくとして、地域の人が納得できるもっときめの細かい交通規制というものを考えるべきではないかと思います。  それから、ニューヨークの治安は町内会と交番という日本のやり方を採用することによって画期的によくなったというふうに言われておりますね。ジュリアーニ市長は日本のやり方を採用してニューヨーク警察の威信を回復したというふうに言われております。  それが逆に、本家本元の日本の警察がお上意識丸出しであるために地域から遊離してきておるのではなかろうか、そのために警察の威信というものが喪失しかかっておるのではなかろうかと。やっぱり、地域から遊離した警察行政というものは即刻私は改められなければならないというふうに思うんです。ひとつ御検討をいただきたいと思います。  それから、スピード違反の話を先ほどいたしましたけれども、スピード違反の取り締まりにおきましても、ネズミ取りをやっておられるんですけれども、あれはちょっとおかしいんじゃないかと。運、不運があるんですね。だから、捕まったら運が悪い、こういうことなんですね。悪質なスピード違反はすべての道路でやっぱり取り締まるべきじゃないかと。そのための自動監視システムというのは今の技術でやればできるんじゃないかと思うんです。虫の目、鳥の目、宇宙の目なんというような言葉がございますけれども、衛星からというわけにいかぬかもしれないけれども、もう少し高いところから監視カメラでウオッチするだとか、最新の科学技術を使えばそういうことも可能じゃないかと思うんです。そうでないと、何か運、不運で捕まったり捕まらなかったりするようなやり方では地域の信頼感というのが出てこないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  26. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) お答えいたします。  速度違反は交通死亡事故発生の一番大きな原因ともなっておりまして、私ども速度違反の取り締まりの必要性というのは極めて高いものというように認識しているところでございます。  そこで、この速度違反の取り締まりを行うに当たりましては、危険な走行をする車両を重点にいたしまして取り締まりを行うとともに、危険な場所あるいは時間帯を中心にいたしまして、各種の取り締まり資機材を活用いたしまして特定の場所に限定することなく機動的な取り締まりを効果的に実施するように努めているところでございます。  また、いわゆる公開取り締まりの実施とかあるいは自動速度違反取り締まり装置、こういったものが設置されました路線におきましては事前に警告板を設置するなどいたしまして、取り締まりの事前予告にも配慮をしているところでございます。  今後とも、取り締まり資機材あるいはシステムを有効に活用し、悪質、危険な違反の取り締まりを積極的に行うとともに、委員指摘のようなより効果的な取り締まりシステムの整備につきましても検討をしてまいりたい、このように考えております。
  27. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 私は、現状からすると大分先の話をしているかもわかりませんけれども、やっぱり最新の科学技術というのを駆使して合理化、近代化を図って、とにかく地域の信頼を得るということでいろいろと考えていただきたいと思うんです。  空き巣だとか車上荒らしなどの泥棒につきましても、警察と地域との協力、それから連携というものがやっぱり私は必要ではないかというふうに思うんです。例えば防犯カメラを随所に置きますよね。インターネットに載っけられたらどうですか。だから、任意に好きな人が時々ウオッチしますよね。監視ができる。だれが監視しているかわからぬというふうなことになろうかと思うんです。そんなことをやりながら、また自警団のような組織もつくっていくだとか、とにかくいろいろ工夫はあるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  28. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) お答えいたします。  日本の警察、特に駐在所、派出所を拠点といたしました地域社会、地域コミュニティーと警察の結びつきは日本の良好な治安の基礎をつくってきたものとして国際的にも高く評価されてきたわけでございます。  委員指摘のとおり、地域の安全確保といいますものはひとり警察のみではなし得るものではございませんで、地域住民の方々との積極的な協力、連携でやられることが必要不可欠でございます。  現在、警察におきましては地域住民、地域の防犯ボランティアの方々、そしてまた自治体などと連携をいたしながら、安全、安心町づくり活動など、地域における窃盗を初めといたしました犯罪でありますとか、事故等による被害を未然に防止するための地域安全活動を推進しておるところでございます。  また、地域安全運動を推進するために、各府県には約五十万人弱の地域安全推進員、防犯連絡員等のボランティアが委嘱されているところでございます。各都道府県警察におきましては、地域との緊密な連携、地域の信頼を得るという観点からも、そしてより精力的に活動していただける方々を中心に人選を行うなどいたしまして、ただいま自警団のお話もございましたが、組織の活性化に取り組んでいるところでございまして、今後とも地域住民の方々と十分な連携を図りながら地域安全活動を推進してまいりたいと考えておるところでございます。  また、委員から各種のシステムあるいはその活用方策につきまして御意見をいただいたところでございますが、委員の御意見等も参考にしながら、新たな防犯システムにつきましても積極的に検討してまいりたいと考えております。
  29. 岩井國臣

    ○岩井國臣君 日本の治安は世界一いいということで、これは世界の評価を得てきているんだろうと私は思います。それのもとはやっぱり交番、お巡りさんと町内会です。  実は、その町内会というものが自治組織として少し崩れかかってきておるので、地域コミュニティーの再生というか復活というか、それは何も警察だけの問題じゃないですよ、自治省だけの問題でもないですよ、とにかく国全体の問題ですけれども、地域コミュニティーの問題というのはよほどこれから考えなければならないと思うんです。そういう前提を一つ置きます。今の町内会がいいということではございません、そういう意味で。  しかし、やっぱり日本の警察のお巡りさんというのは親しみがあります。お巡りさん、地域の信頼があるんです。そういう地域の信頼はどこからきておるかといったら、それは交番です。それから町内会です。それが日本の警察の一番いいところです。世界に誇るべきところですから、これをひとつ大事にしてもらいたい。そうすれば、女性監禁事件を九年以上も発見できないということは絶対ないんですよ、これは絶対ないんですから。  だから、ぜひひとつ地域とのかかわり合いというんですか連携、一緒になってやるということ。それで、もうとにかくお巡りさんは親しみがある、何かあったらお巡りさんのところへ飛んでいくというふうに、今までそれで来たわけですから。そういう感じでやっていただくと私はいいんじゃないかと思いますので、ひとつ真剣な御検討をよろしくお願い申し上げます。  以上で質問を終わります。     ─────────────
  30. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会総務庁長官官房審議官藤井昭夫君を政府参考人として出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  32. 江田五月

    ○江田五月君 昨日の午前一時ごろ、小渕総理が体調不良のために緊急入院をされたということでございます。  これはやはり、私どもにとっても、もちろん国民にとっても大変な事態であって、私も、夜十時半過ぎでしたか、議員宿舎の自室に戻ってテレビのスイッチを入れたらテロップが出ておりました。それから、十一時半の官房長官の会見ももちろん拝見をさせていただいたし、あとインターネットのいろんなニュースを検索をしてみて、とうとう二時過ぎにまでなってしまった。  二十二時間三十分これが公表されなかった。しかも、どうも聞くところによると、二日じゅうに何事もなく公務に戻られるということであればその事実はもう消してしまおうという、そういうことであったようなことで、そんなことでいいのかということを私のホームページに書き込んで、それから寝たら二時半で、きょうはいささか眠いんですが、しかし本当に我々にとっても国民にとっても大変なことでございます。  私もドコモ株問題とか警察問題などで総理を追及いたしまして、私の追及なんかは蚊が刺したほどの刺激もあるかどうかと思いますが、しかし仮に総理の心労の一因をなしたとすればまことに恐縮でございます。総理の一日も早い御回復と公務への御復帰をお祈りしております。  きょう十一時に青木官房長官から記者会見で国民に対する発表がなされておりますが、やはり国会を通じての国民への説明ということも非常に重要で、官房長官は首相臨時代理という大変な任務におつきになった早々ですから、きょうは官房副長官に御無理をお願いしました。事情の説明をお願いいたします。
  33. 松谷蒼一郎

    内閣官房長官松谷蒼一郎君) 小渕総理の今回の病状につきましては、官房長官が本日十一時に記者会見で発言したとおりでございまして、病名は脳梗塞であり、現在集中治療室において治療を受けているということでございます。集中治療室での治療の状況等につきましては私どもはまだ状況をいただいておりませんが、治療に現在専念をしているというように聞いております。
  34. 江田五月

    ○江田五月君 青木官房長官が総理大臣臨時代理につかれた経緯についても簡単に御報告ください。
  35. 松谷蒼一郎

    内閣官房長官松谷蒼一郎君) 昨四月二日の日曜日の未明に小渕総理が体調の不調を訴えて入院されましたが、その際に青木官房長官がその旨の連絡を受けたと承知をしております。その際青木長官は、総理の従来よりの疲労が蓄積したものと考え、ゆっくり静養してもらった方がいいよという、その旨をお伝えしたというように承知をしております。  その後、若干の連絡はありましたが、夕方になりまして、官房長官は夕方の七時ごろ病院へ行かれまして、その際総理より、青木官房長官の記者会見でありましたように、有珠山噴火対策など一刻もゆるがせにできないので、検査の結果によっては青木官房長官が臨時代理の任に当たるようにとの指示を受けられた、こういうことでございます。
  36. 江田五月

    ○江田五月君 そして、きょうの朝九時に、青木官房長官の言葉によると、青木長官の私の一存という、一存でこれは昨夜の指示に該当する事態であるという判断をされて首相臨時代理になられた、こういうことですね。
  37. 松谷蒼一郎

    内閣官房長官松谷蒼一郎君) そのとおりでございまして、総理が心配をされていますように、有珠山噴火対策等一刻もゆるがせにできない諸課題に対応していく必要があることから、諸状況を判断して本日の九時に臨時代理をお受けすることとしたわけであります。
  38. 江田五月

    ○江田五月君 昨日の未明一時、入院、その直後とおっしゃいましたか、その後いずれにしてもそれほど時間がたたないうちに青木長官、その連絡はいただいたと、そしてゆっくり静養されたらどうですかと。しかし、夕方連絡があって七時にお会いをした、この指示をいただいたと。八時ごろ集中治療室に入られたというわけですが、その八時ごろ集中治療室に入られたという連絡を青木長官はいつお受けになりましたか。
  39. 松谷蒼一郎

    内閣官房長官松谷蒼一郎君) 私が直接青木官房長官からは伺っておりませんが、恐らく七時に総理とお会いになってただいま申し上げましたようなお話をいただいて、それでお帰りになった後、秘書官からあるいは連絡があったのかと思います。
  40. 江田五月

    ○江田五月君 もちろん、お会いになった後で、その前に受けるということはないわけですから後は間違いないんですが、後のいつごろなんだろうかと。けさの十一時の会見では、それから一時間ほどして集中治療室に入られたということだという御発表ですが、その入られた直後に連絡をお受けになっているのかそうではないのか、これはわからないですか。わからなきゃわからないでいいんですよ。
  41. 松谷蒼一郎

    内閣官房長官松谷蒼一郎君) 私の方ではわかりません。
  42. 江田五月

    ○江田五月君 昨夜十一時半に官房長官が記者会見をされたときには集中治療室に入っているというようなことはおっしゃらなかったんですね。しかし、そのときには既に官房長官は知っていなきゃおかしいと思います。  そして、実は夕方六時の新聞、マスコミに対するファクスですか、総理の動静。私の聞き間違いでなければ、たしか朝六時に起床して終日来客なく資料整理等という、こういうファクスを送られている。それについて青木長官は、きょうの十一時に記者の皆さんから質問をされたら、いやそれは私は承知していないと、こういうことだったので、通告をしておきましたが、そのマスコミの皆さんに対する総理の動静というのはだれの責任でだれがいつ発表されるんですか。
  43. 松谷蒼一郎

    内閣官房長官松谷蒼一郎君) 総理の動静については、マスコミ各社より、総理ないし総理秘書官に本日の動静について個々に記事をとるというように伺っております。  当日の動静については、どういうような形で本日の総理動静というものが書かれたかについては全く存じておりません。
  44. 江田五月

    ○江田五月君 これはもう日常のルーチンとしてやられていることで、個々にマスコミにそれぞれ聞かれて話すというようなシステムではないと思いますよ。そんなはずがないんで、しかも私、きょうのたしか十時ぐらいには通告をしていて、そんなに別に調べるのに手間のかかるような話じゃないんですが、今のお答えというのはどうも納得ができないわけですが、ここでとめてもしようがないので別にとめはしません。  つまり、私どももちろん小渕総理が一日も早く回復されることを祈っている。しかし、総理大臣というのは国家のまさにかなめ中のかなめですから、この人がどういう事態であるかということは、もちろん病気のことですからそんなに根掘り葉掘りということは必要ありませんけれども、だけれどもやっぱり国民みんなの関心事であるのは当たり前なんですね。それが入院から二十二時間半も発表がなかった。しかも、どうもきのうの十一時半の発表のときだって、誠実な対応をされていたのではないんじゃないかと。もうちょっとわかったら正直に言いますということを二度か三度か繰り返し言われたんですが、ということは今言っていることは正直じゃないということを言っているようなものでして、しかもきょうの十一時の発表でもどうもいろいろ問題が残る。そして、今の動静の発表の仕方などを見ても、大本営発表という癖がまだ抜けていないんじゃないかという、そういう感じがします。  いずれにせよ、きょうはとりあえず小渕総理の一日も早い御回復をお祈りする段階ですからこれ以上いろんなことをつつくのはやめますが、ひとつ副長官からも小渕総理にみんな心配しているということをお伝えいただき、同時にこのいろいろな事態についてはっきりとした正しいことを国民にもあるいは国会にも明らかにしてくれるように要望しておきますが、一言だけ、今の私の要望に対するお答えをください。
  45. 松谷蒼一郎

    内閣官房長官松谷蒼一郎君) ただいまの要望を長官にも伝えておきます。
  46. 江田五月

    ○江田五月君 では、どうぞ副長官、次の方へ行ってください。お疲れなされませんように。  さて、本委員会行政監視を任務とする委員会で早速警察問題、どうもくどいようですが、これをさらに伺わせていただきます。  保利公安委員長、大変御苦労さまでございます。  申し上げるまでもないんですが、私が警察問題を取り上げるのは別に警察が憎いからということではありません。私も学生時代に逮捕、勾留なんかをされた経験ありますが、別に今ごろまでそのことを何とも思っているわけでもないし、むしろ逆に裁判官時代には、千葉に勤めているころなんかは令状当番もやりまして、夜中の令状請求なんかも担当しました。千葉からユンボが盗まれた、横浜から船で載せられてどこか外国へ持っていかれる、早く行かなかったらどうにもならぬ、早く審査してくれ、早くといったってこっちは一応資料を見なきゃ令状を出せないという、そういうようなやりとりの中で、警察官の皆さんは本当に御苦労されているということはよく知っています。  そういう警察官の皆さんが国民から今信頼されないという事態になっていて、これを一体どうするんだと。台風が吹き荒れているときだから頭を下げて、また台風一過、秋晴れになれば大丈夫だから、どうせ人のうわさも何とやらだからと。そういう今をうまく繕って通り過ぎれば、過ごせばいいという事態ではないということ。  ですから、むしろ警察というものを再構築しなければいけない。新しい警察制度をつくり上げるという、そのくらいなつもりでここは取り組まなきゃならぬということ。それには保利国家公安委員長でやれるのか、そこが問題というわけですが、その問題はちょっとこれからとして、そういうときだと思うんです。  覚悟について、まず保利公安委員長田中長官、簡単にお話しください。
  47. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 今御指摘のとおり、警察におきましては数々のいろいろな不祥事が起こっておりまして、私も非常に悩んでおるところでございます。  しかし、今、北海道で噴火をしております有珠山周辺には千名を超える警察官が動員されて交通整理に当たり、あるいは地域の住民の方々のいろいろな御要望に的確に対応していると伺っておりますし、さらにはまた中目黒で電車事故がございましたときには急遽警視庁管轄下の五百名の警察官が動員されて、そこで交通整理あるいは状況点検等に動いたというようなことがございました。そういうことから見ますと、やはり警察の組織というのは現在きちんと動いていると思っております。  しかし、一部不心得の者がおりまして、国会あるいは国民皆様に大変御心配をおかけしているところでございますが、私は、そういう警察の現在持っております力というのをそぐようなことがあってはいけない、このように思っておりますので、そういう意味でも、現在持っております警察の力というのを日本の治安の維持のためにきちんと動かしていく体制を整え直すという、そういう気持ちで取り組んでいかなければならない、こんなふうに思っておりまして、私自身、公安委員長として努力をしてまいりたい、このように考えております。
  48. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 委員指摘のように、昨年来、神奈川県警を初めとする一連の不祥事案がありまして、不祥事案再発防止対策に組織を挙げて取り組んでいるさなかにまた新潟県で最高幹部らにかかわりますところの不祥事案が発生いたしました。そのほかにもいろいろ不祥事案が発生しているということは委員指摘のとおりでございます。  そのような現状を見ますときに、国民皆様からの厳しい御批判、そういうものを我々は真摯に受けとめて、警察の原点に立ち返って一から出直す、やはり再生の道を歩むという気持ちで頑張っていかなければならないというふうに考えております。  国家公安委員会に警察刷新会議も設けられました。いろいろ御議論もあろうかと思います。そういう御議論も受けとめ、また我々自身の手で我々自身が再生の道を歩むというような覚悟のもとで渾身の力を振り絞って、全国警察官一致団結して再生の道といいますか新しい警察づくりに努力をしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  49. 江田五月

    ○江田五月君 公安委員長もあるいは警察庁長官もその言やよし。しかし、そこに内容が本当に伴うのか、行動が本当に伴うのか、ここが問題なんです。  例えば新潟における例のマージャンの件ですが、だれに聞いても、私はマージャンを知らないから何ともわからないと言う人はいます、しかしマージャンを知っている人は、いや、あれはうそだよと言うんです。だれに聞いてもそう言うんですよ。それはうそじゃない、本当はああだったのかもわかりません。だけど、皆そういうふうにしか聞かない。うそだと皆笑うけれども、それはわかっているけれども、まあいいやというようなことでしか受け取られていないので、それで事が済むならそれでもいいんです。私も警察ににらまれたくないし、できればもみ手ですり寄っていい子だいい子だと言ってもらえればその方がずっといいんですけれども、しかし私どもはそれでは国民から負託をされている任務にこたえることにならないので、やはり嫌われてもしようがないというので言っているわけです。  テロリストにミサイルと言うと言い過ぎだと私は言ったら、その言い過ぎだのところを除いて新聞がどこか書いたんですが、そうすると警察の皆さんが江田五月はひどいやつだとか言っているそうですが、私の方をにらむんじゃなくて、そういうような世間の受け取り方をされているということをひとつよく認識していただきたい。  マージャンについて言えば、マージャンのことなんか本当はどうでもいいんです。だけれども、聞いたら、いや、日本じゅうの警察官の勤務時間後の私生活というのはまじめでございまして、勤務時間はちゃんとやっているわけですから、マージャンのことなんか日本じゅう調べるような必要を認めないので調べない、こういうお答えでした。木曜日でしたか。そうすると、金曜日の朝には、どこでしたか、あれは三重県警管内ですね。捜査の最中に携帯電話で連絡とり合ってマージャンをやって、それはかけていたというようなことを報道されるわけで、私は、私が調査をしてくれと言ったことの答えはどうでもいいんだけれども、ちょっと何かなきゃいかぬと。わかりますか、それ。何かなければ、そういう対応だけでは警察制度の信頼は取り戻せないという、そこは私の悩みでもあるけれども、保利委員長田中長官も悩んでいただきたい、もっともっと悩んでいただきたいと思います。  さて、なかなか大変な事件が起きました。先週木曜日、金曜日の週刊誌とかテレビの報道で千葉県警の船橋東署留置場レイプ事件、衆議院の法務委員会でも取り上げられましたが、この事実関係、これを説明してください。
  50. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 今、委員指摘の事案でございますが、平成七年十一月二十六日の夜でございますが、千葉県船橋東署の留置場で当時看守係をしておった巡査長が留置中の女性の体にさわるといった不適切な行為を行った、こういう事案であります。  当時、関係者から事情聴取をするなど事案解明に努めたわけでございますが、女性に被害申告の意思がない、刑事立件のための供述が全く得られないということから刑事事件として検察庁には送致はしていない、こういうものでございます。  ただ、看守勤務員としてあるまじき行為であるということで、内部処分といたしまして関係職員を同年の十二月二十五日付で諭旨免職といたしまして、監督責任として署長以下関係警察官に対して減給等の懲戒処分をした、こういう報告を受けているところでございます。
  51. 江田五月

    ○江田五月君 ちょっとはっきり聞こえなかったんですが、女性に被害者としての意識がなくて供述が得られないと、そういうお答えだったんですか、今。
  52. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 事情聴取を行って事案の解明に努めたわけでございますが、女性に被害申告の意思がなく刑事事件の立件のための供述が全く得られなかったということから刑事事件として検察庁へ送致はしていない、こういうことでございます。
  53. 江田五月

    ○江田五月君 被害申告の意思がないと。しかし、これはマスコミなどでも言われていますが、事件の後のことは別として、事件そのものの事実関係というのは、今、体にさわったというような言い方をされましたが、非常にきれいな言い方をされますけれども、それほど当事者間に争いはないようで。そうすると、これは今マスコミで言われていることだけが事実だというわけにはいきませんが、少なくとも言われている事実関係を前提にすると特別公務員暴行陵虐罪に当たる事案であって、親告罪というようなことではない。  女性に被害を申告する、そういう意思がなくても、特別公務員という身分の人のとるべき行動を著しく逸脱して暴行陵虐に及んでいるということですから、仮にその被害者に被害申告の意思がなくていわゆる親告、告訴ということをしないでも、これはやっぱり全体の公務の信頼性の確保のためにもああいう報道があれば事案というものを認知してもいいのではないか、むしろしなきゃいけないんじゃないかと。捜査の端緒というのは何でもいいわけですね、報道を通じて捜査機関が認知をするということがあっても十分できるので。  これは捜査をする意思がないということでいいのかどうか、大変私ども疑問に思いますが、いかがですか。
  54. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 委員指摘の事案につきましては、ただいま官房長から御説明申し上げたとおりでございますが、その後国会等でもいろいろ御指摘を受けました。  千葉県警の報告によりますと、被害届をする意思がない、事件の立件ができなかったという報告を受けておりますけれども、今、委員指摘のように、特別公務員暴行陵虐罪の成否も含めまして、そういう場合でも公判とかいろいろ考えますとどの程度に被害女性の御協力が得られるのかどうかも含めまして現在千葉県警に対し調査を指示しております。  したがいまして、今、委員指摘のような問題も含めまして県警において現在調査をしているというふうに私は考えております
  55. 江田五月

    ○江田五月君 調査をしておる、しかし捜査に着手はしていないということですか。
  56. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今お話し申し上げましたように、被害届を出す意思が当時なかったということでございますけれども、具体的にどのような御協力が得られるのかどうかというのも含めまして、それは調査の中には今お話しのように捜査ということもあろうかと思いますけれども、それも法と証拠に基づきまして捜査するわけでございますので、そのような証拠等も含めまして、そういうことが可能なのかどうかということにつきまして、全体を含めて千葉県警において目下調査をしているところでございます。
  57. 江田五月

    ○江田五月君 保利国家公安委員長、あなたはこの事件の報告は受けておられますか。
  58. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 本件につきましては、先週三月三十日の国家公安委員会でこの件の報告がございました。  今、長官から答弁がありましたように、警察庁が指示をいたしまして千葉県警において調査を進めているということを私どもも伺っております。私ども、これは非常に重要なことだと考えておりますので、国家公安委員会におきましてもこの調査結果に関心を持っております。そして、事案の処理方針あるいは再発防止対策等について警察庁から十分に聴取し、指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、先ほどお触れになりました特別公務員暴行陵虐罪につきましては、時効が七年と承知しておりますのでその期間内にあるものと、七年と聞いておりますのでまだその期間内にあるものと承知をしております。そういった観点からの調査もあり得るなということを私ども頭に入れておるというふうに申し上げておきます。
  59. 江田五月

    ○江田五月君 公訴時効が七年ですかね。これは七年以下の懲役ですから、公訴時効は五年じゃないかと思いますが、違いますか。私の間違いかもしれません。
  60. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 警察の方からの説明を七年で受けておりましたが、今、五年と訂正がございましたので、謹んで訂正させていただきます。
  61. 江田五月

    ○江田五月君 済みません、余計な注意をしまして。  この事件は、事件自体も報道されているとおりとすれば極めて深刻で、そしてその後のことについてはまだ事実が報道でどこまでのものであるかというのが確定はちょっとできないですが、しかし神奈川県警と同じ組織的な隠ぺい工作の疑いもある。警察幹部が金銭を使って事件のもみ消し工作を行っていた疑いもある。何より、重大な犯罪の事実を知りながら意図的に捜査をしないという、まことに警察への信頼の根本的な失墜につながるような事件かもしれない。  加害者の留置場を担当していた巡査長は、もちろん職はやめましたが、警察の御厄介になって、御厄介というのは中に入れられてじゃありません、警察の世話をいただいて、一年間でしたか警備会社に勤めさせていただいてというような、身内でちゃんと面倒を後まで見るという、そういう体制がうかがわれるんですが、今、三月三十日の国家公安委員会で報告をされたということですが、しっかりひとつ個別の事案ではありますが注意を払っていただきたい。  もう一つ、新潟県警でまた重大事件、白川勝彦元国家公安委員長の私設秘書逮捕、交通違反もみ消し事件、この事実関係を説明してください。
  62. 林則清

    政府参考人(林則清君) お尋ねの事件は、国会議員私設秘書が上越市在住の会社員を介しまして、平成十一年十月八日、上越市内においてスピード違反で検挙された自営業者から同人の交通違反点数を抹消するよう依頼を受け、その旨当時の県警交通機動隊長に依頼し、依頼を受けた交通機動隊長が平成十一年十月下旬ごろ、かつての部下である当時の県警運転管理課員をして県警運転管理課内の電算機端末装置を操作させ、運転者管理ファイルに記録されていた自営業者の交通違反歴を抹消の上、同ファイルを事務処理の用に供したというものでありまして、公電磁記録不正作出、同供与の容疑で三月十九日に当時の交通機動隊長と当時の運転管理課員の二名を、三月二十六日に国会議員私設秘書、仲介した会社員、違反者の自営業者の三名をそれぞれ逮捕したというものでございます。
  63. 江田五月

    ○江田五月君 この事件は政治家と警察との癒着の事件でもあります。確かに、私どもの事務所も、私も問い合わせたら過去に依頼が来たことはあるというようなことで、私どもも反省をしなきゃならぬと思います。これを機会にこの種の問題を根絶する必要があるし、そういう意味で今回の新しい新潟県警本部長の果断な処置を私は警察再生へ向けての強い決意のあらわれと見て評価したいと思います。  この事実関係ですが、公電磁記録不正作出、どこにある公電磁記録ですか。警察庁のホストコンピューターが書きかえられたということじゃないんですか。
  64. 林則清

    政府参考人(林則清君) さようでございます。
  65. 江田五月

    ○江田五月君 新潟県警のコンピューター、どこどこ県警のコンピューターとかと思っておったら、そうじゃなくて警察庁本体の、全国を統一的に管理するんですからそうなってなきゃならぬでしょうが、警察庁のホストコンピューターが書きかえられているというんですから、これはやはり相当重要、重大。  公安委員長警察庁長官、これを機会にいわゆる交通違反もみ消しはもう根絶をするんだと、そういう決意がおありかどうか聞かせてください。
  66. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 今回の事案は私どもも非常に心配しておりまして、三月二十三日の国家公安委員会でこの問題が取り上げられまして、いろいろ御議論があったところでございます。私からも発言をさせていただきまして、こうした不正行為が望ましくは物理的にできないようにしなければならない、人の手にゆだねられているという状態ではまだ心配であるというようなことを言って、それができるかできないかわかりませんが、そこのところの研究をしてもらいたいということを私からもお願い申し上げたところでございます。  今後、問題点等を十分に洗い出してそういった抜本的な対策をきちんととっていかなければならないと思いますし、国民皆様方にも御協力をいただいてこうしたことのいわゆるもみ消しというようなものが起こらないように我々も注意をしなければなりませんし、また一般の皆様方にもぜひ御協力を願いたい、このように考えておるところであります。
  67. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 大臣から御答弁申し上げましたように、今回の事案、決してあってはならない事案が起きたわけでございます。  このコンピューターシステムそのものにこのような違反行為といいますか違法行為が生まれる余地があるとすれば、これを基本的に直していかなければいけないということで、今回、先ほど大臣の御答弁の中にございましたように、国家公安委員会におきましても、単に通達を発してこの種の事案を防止するのではなくて、システム的にこれを防止するというようなことを考えるべきであるという御指摘をいただきました。  私どもは、今回このような御指摘も踏まえまして、この種の事案が起きないように努めてまいりたいと思いますし、またいろいろ私どもにはお問い合わせ等がございます。具体的ないろんな問題等につきましては、これは真摯に対応していくのは警察として当然でございますけれども、この種のお申し出がもしあるとすれば、それは窓口におきましてもきちっと対応してお断りをするということを徹底してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  68. 江田五月

    ○江田五月君 一つ方法として、どうも私は、聞きますと、各県警本部のコンピューターの操作によって警察庁のホストコンピューターに入力もできるし削除もできるということのようで、入力はできても削除は各県警本部からではできないというようなことぐらいのことはそれほど難しいことではないという気がしますが、そういうことをやるおつもりがあるかどうか。  それから、これは委員長に要請ですが、全国の警察のコンピューターの抹消件数が幾らあるのか、あるいはコンピューターの記録の都道府県ごとの数、保存年限分の反則切符の数、あるいは一たん切られた後是正された反則切符の数などの調査によって、いずれにせよコンピューター記録の抹消とコンピューターに入力される前の段階で交通違反のもみ消しがあったかどうか全国の総点検作業を行ってほしいと思いますので、後ほど。
  69. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) ただいまの資料要求につきましては、後ほど理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  70. 江田五月

    ○江田五月君 さっきの入力と抹消の関係のこと。
  71. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) こういった違反の登録は、先ほど刑事局長等からも答弁がございましたように、県警本部の行政処分課において点数というものを入力して警察庁の電算機に登録するということになっております。したがって、登録いたしますのはすべて県警でございますので、その時点で抹消登録しなきゃいけないような案件も生じてまいりますので、基本的にはやはり抹消登録というものも県警においてすべきではないか、このように考えております。
  72. 江田五月

    ○江田五月君 ホストコンピューターの抹消については警察庁の方でやるという、そのくらいのことはできるんじゃないかという気がするんですが、御検討ください。  もう一つ問題提起。これは内閣特別顧問に就任されるときに中坊公平さんが新聞のインタビューで言われているんですが、警察署長とか警察本部長などの警察幹部の人事異動があるときに、任地のさまざまな方面から祝い金やせんべつやらがたくさん集まって、人によっては何百万あるいはそれ以上のお金が集まる、それが裏金となってプールされて交際費などに使われていると。私のところに出入りする新聞記者の皆さんと雑談をしていますと、異動のときには警察幹部からせんべつなどをもらうんですよねとかいうそんな話もあるので、接待なども頻繁に行われておる、こんなことも聞いております。  委員長、人事異動にまつわる警察幹部への祝い金、せんべつ、そしていわゆる裏金、その実態調査、総点検、これもぜひひとつ取り上げていただきたい。
  73. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) ただいまの資料要求につきましても、後ほど理事会で協議をしたいと思います。
  74. 江田五月

    ○江田五月君 警察問題、まだまだいろいろ聞きたいんですが時間がありません。長期的テーマの財政投融資機関の問題に移ります。  もう時間がほとんどないので、いろんなことを聞きたいんですが、きょうは特に郵政省に来ていただいておりまして、財投機関の情報公開、そして財投機関だけではないけれども、ちょっと広がって特殊法人情報公開ということが今議論になっていて、特殊法人の中でも会社組織のものは一体どうなんだろう、NTTの情報公開というのはどうするんだろうなどということが議論になっておりまして、きょうはそれらすべてにわたって聞くことはできませんが、郵政省電気通信局長天野さん、わざわざ済みません。今そういうことで、実は私ども民主党の正式の機関として小渕総理・株疑惑解明プロジェクトチームをつくって国政調査権のもとで疑惑解明作業を行っております。しかし、NTTとNTTドコモが大変非協力で困っております。本当に困っております。  最初は個人のプライバシー以外は国政調査権に最大限協力すると言っていたんですが、最近では例えば地域ドコモ八社の株主の数とか名前、名前まではいいから法人何社で個人何社か数だけ明らかにしてほしいと言うと、NTTドコモ九州は法人五十社、個人十三社と明らかにしてくれたのに、その他はだめだと言う。なぜかというと、個人の中には会社の代表者もいるのでそういうあいまいもことした数字は出せないと。  何があいまいもこか。個人と法人だったら、それは、実は会社の代表者という資格だけれども個人として株主になっていれば、会社はその個人を株主として相手にして、配当もその個人に出さなきゃいけないので、もし法人に配当を払っていたらこれはおかしいことになりますよね。あいまいもこじゃないんですよ。名義上法人と個人の区別ははっきりしている。全くナンセンスな言いわけだと思うんです。あるいは、NTT出資の会社の合併の際の合併比率の基礎となるデータなどについても、委員会の議決による国政調査権か裁判所の決定以外は出せないと。  これではNTTやNTTドコモも疑惑の一員ではないかと思われてしまうわけですが、電気通信局長、どうですか、せめて郵政省が持つ資料については積極的に情報提供したり、あるいはNTTやNTTドコモに対して、個人のプライバシーなどにかかわらないものは積極的に協力してはどうか、そういうアドバイスぐらいやってくれませんか、これは陳情なんですが。
  75. 天野定功

    政府参考人天野定功君) NTTは確かに政府が株を保有している特殊法人でございますが、一九八五年、昭和六十年に電電公社から民営化されました以上、国会附帯決議もございますが、NTTの経営の自主性に配慮しまして政府の関与は必要最小限とするべきであるということになっておりまして、先生御指摘のようなNTTの個々の経営判断にかかわる資料の提出等につきましてはNTTの自主的な判断で行われるべきであるというふうに考えているわけであります。
  76. 江田五月

    ○江田五月君 やはり私は、そういう答えをお聞きすると、だって職員は贈収賄の適用もあったりするわけですよね、情報公開制度の中にやはりNTTは加えなきゃいかぬのじゃないかと。もちろん、何から何までと言っているわけじゃありませんよ。そういうことを強く思います。  きょうは長期的テーマについてはそれ以上触れられなくて、また次に回します。  私の質問を終わります。
  77. 益田洋介

    ○益田洋介君 まず、昨週末以来、私ども国民を初め世界各地の人たちが非常に関心を持っておりまして、災いが大きく生じないようにといった意味での関心のるつぼに全国民が包まれております有珠山の噴火事件でございますが、北海道開発長官、非常にお忙しい中向こうに行かれまして、別の理由でもお忙しかったかもしれませんが、テレビのメディアの画面、それから新聞報道、ラジオ等を通じて私ども国民の印象に非常に強く残っていますのは、この事件に関して準備態勢、それから対応の仕方が、自衛隊の隊員の方が非常に印象深く私どもに映るような活動をされていらっしゃるということは、昨今余りいいニュースがなかった中で非常に喜ばしいことだ、防衛庁を応援する立場の一国民としては、個人としては私は非常に喜ばしい。  防衛庁長官、大変御多用と思いますし、御心労も絶えないと思いますが、改めて我が委員会に冒頭御決意のほど、対応方を御教示くださればと思います。
  78. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 益田委員から日ごろおしかりをいただくわけでございますが、きょうは防衛庁の有珠山火山災害にかかわる努力につきまして評価をいただきましたが、私どもはさらに努力をしなければならない問題だと心得て努力をしてまいることを冒頭に申し述べさせていただきます。  三月二十九日、有珠山の火山活動が活発化いたしてまいりました。緊急火山情報の第一号が出されるに至りましたことから、私より有珠山火山活動活発化に伴う災害派遣にかかわる準備態勢の強化に関する長官指示というものを発出させていただいたわけでございます。  これを受けまして、内局及び各自衛隊におきましては、内局及び陸上幕僚監部の職員、それぞれ一名でございますが、現地対策本部等に派遣して、また関係自治体、道庁以下の連絡員を派遣することとしたわけでございます。これは、それぞれ自治体に張りつけをいたしまして情報収集に努めるとともに、有珠山周辺活動において所要の待機態勢をとらせていただいたわけでございます。  また、同日十五時二十分の北海道知事からの要請を受けた災害派遣活動といたしましては、一つは住民避難の支援を三月二十九日から三十一日にかけまして、給食支援を三月三十日から四月一日、また有珠山周辺地区における航空・交通情報の提供を三月三十日から今日までやっておるわけでございます。  ヘリ等におきましての火山観測支援も三月二十九日から張りつけをいたしております。装甲人員輸送車でありますとか火災防護衣等を使用しての避難民の救助は三月三十一日、四月一日、両日行っております。次に、ヘリによる避難住民用の毛布の輸送は三月三十一日に取り組ませていただいております。また、四月一日以降、給水支援、これも重要な仕事でございますが、加えて自衛隊の非常用の糧食の提供もさせていただいております。避難住民の一時帰宅支援もこの四月二日、状況を見ながら行わせていただいておりますし、避難住民の避難場所移動支援等も実施したところでございます。  さらに、官庁間協力といたしまして、輸送機等によるものでございますが、C1輸送機二機による警察部隊の輸送、これは三月三十一日、松島から千歳基地を経て送り込んでおります。また、ヘリによる国土庁政務次官等の輸送を行い、さらに政府調査団の輸送も三月三十一日、四月一日、新千歳から有珠山周辺地区の往復等を行わせておるところでございます。  いろいろ点在する作業がございますので、きめ細かにタイムリーにこれらの作業を行わせてまいりたい、かように手配をし、また火山状況を見ながら出動態勢も検討させていただきたいと考えております。  また、配備等の状況につきましては、質問の時間もございまして多少長くなって恐縮でございますが、四月二日十七時現在における自衛隊の配備の概要は、駐屯地等における待機数及び司令部等における管理業務に従事する数を含めまして、人員六千百名、車両七百二十両、航空機約六十機、艦艇十一隻。具体的な配備状況を申し上げますと、陸上自衛隊については伊達市近傍への展開人員が約一千百名、東千歳から南恵庭駐屯地等における待機人員が約二千二百、計三千三百名でございます。また、海上自衛隊につきましては、豊浦町から伊達市沖に護衛艦が四隻、大湊及び函館基地に七隻、計十一隻、さらに航空自衛隊につきましては、千歳、三沢及び入間基地等におきまして輸送機及び偵察機十四機が待機しておるところでございます。  なお、こういう自然災害でございますので休止をしたり、また活発に動き出したりいたしますので、万全を期しながらこれらの状況を見ながら対応させていただきたい、かように考えております。
  79. 益田洋介

    ○益田洋介君 災害対策特別委員会ではないかと思われるような御丁寧な報告をいただきまして、ありがとうございました。  やはり一国の安全保障を達成するということが平和憲法下で自衛隊に求められた非常に大きなテーマでございます。軍事力に偏り過ぎないでというモットーのもとで形成され、また私どもが運用してきた憲法の重要な一部でございますので、ぜひともその任務を遂行していただきたい、このように期待しております。  次の議論は与党の一部で、といいますのは党の再編が今進行しておりますので、議論をされておりました自衛隊の国防省への昇格問題、これを議員立法という形でともすれば今国会にでも法案提出まで行こうではないかという気概まで感じられた一時期がございましたが、基本的に私はこのことを論じたからといって軍国主義の再現を懸念するというような立場ではございませんし、それからまた憲法第九条第二項の自衛権というものに対して否定をしていないというところから全く自衛隊合憲であるという認識に立つ立場から考えましても、しかしなぜ今この時期に急がねばならないのか、そういった素朴な疑問を抱くわけでございます。  もともと、平和憲法と呼ばれます現行憲法というのは、先ほど申し上げた過去の経験からして過度に軍事力に偏らないように自衛隊というものを運営していこうということで考えておりました。この政府の当初の憲法制定時の理念は反映されていかなければいけない。  そういう面からしますと、今問題にされているのは、むしろ憲法の見直し論議が本格化されようとしているような時代でございますので、そういうやさきにやはり庁の省への昇格論議が先行するというのは何か不自然な気がしてなりません。この点についての長官の御意見を伺いたいと思います。
  80. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 庁から省への昇格の問題につきまして益田委員から御質問がございました。  御承知のとおり、行革会議の最終報告、これは平成九年十二月三日におきまして「別途、新たな国際情勢の下におけるわが国の防衛基本問題については、政治の場で議論すべき課題である。」、かようにされたわけでございます。  私といたしましては、防衛庁の省への移行につきまして次のような意義があると考えております。すなわち、国家の最も重要な任務は国の平和と独立を確保し、また国民の生命、財産を守ることでございます。このために国際情勢を分析し、国内諸条件を踏まえて適切に防衛力を整備運用し、国の防衛をマネジメントすることは行政組織の果たすべき大きな機能である、かように考えます。したがいまして、かかる機能を託された防衛庁を省に位置づけいたしまして主任の大臣を置くことは国家として基本を整えるものである、かように考えます。現状ではさまざまな事務を行っている総理府の外局として防衛庁が置かれている状況にございますが、国防組織に専任の、主任の大臣を置きまして国家の危機に際し対応していくことは危機管理の観点からも望ましいものと考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、政治の場で議論が活発に行われ深められていくことを期待するわけでございますが、これは私はこの中でもたびたび申し上げておりますが、広く国民にも庁から省へ、そして国の安全、生命、財産、基本にまたがることが議論されていくことが望ましい、かように考えるものでございまして、今なぜということではなくて、今まで歴史を振り返って積み上げてきたものがございますから、より活発に議論をしていただければ幸いと、かように考えるものでございます。
  81. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは次に、科学技術庁と文部省にお尋ねをしたいと思います。  冒頭この委員会総務庁長官から四月三日付の行政監察活動実績概要ということで御説明がございました中で、三ページの宇宙開発事業団というところに累積欠損が一兆八千二百二十二億円ということで大変な欠損額が公表されました。  これにつきましてさまざまな議論がございます。日本は近年、残念ながら平成十一年十一月十五日のHⅡ型ロケット八号機の打ち上げ失敗、さらに十二年二月十日のMⅤ型ロケット四号機の打ち上げ失敗、世界が非常に注目をする中で二機も連続して失敗をした。原因の解明についてはいまだ正式なリポートは出されていない。当委員会でもこの問題を取り上げたのは、私の記憶している限りにおいては、今国会においては初めてだと思います。  まず、この事故概要、これからの対策。具体的な数値を申し上げますと、HⅡロケットの場合は総事業費として三百四十三億円、MⅤは百八十九億円。これは、結果的に科学技術の進展、発展、研究過程においてはすべて欠損という扱いをするということは、数学的な割り切り方だけでは済まないかもしれない。しかし、国民には納得がいかない部分があるわけで、ぜひともその点丁寧な、国民の言ってみれば税金を野党の方なんかどぶに捨てるというような言い方をされた方がいらっしゃると伺っていますが、実はそうじゃない、このような改善策を検討しているんだというところをひとつ両政務次官に御披瀝願いたいと思います。
  82. 斉藤鉄夫

    政務次官(斉藤鉄夫君) 最近の特に科学技術庁に関連いたしましては、HⅡロケット八号機打ち上げ失敗につきましては国民皆様の期待に沿えない結果となり、まことに残念で厳しく受けとめております。  このために今二つのことを全力を挙げて取り組んでおります。一つは徹底した原因究明、そして二つ目はそのことを受けて我が国の宇宙開発体制を抜本的に立て直して信頼性を高めるということでございます。  まず最初の原因究明でございますが、事故直後から宇宙開発委員会技術評価部会を設けまして原因究明を行っております。海底から回収したエンジンの詳細な調査などから、今のところ液体水素燃料をエンジンへ送るターボポンプの羽根、インデューサーと呼んでおりますけれども、このインデューサーが金属疲労により欠損したことが原因であるということが絞り込めております。現在はこの金属疲労が発生した原因について詳しく詰めているところでございます。事故原因究明は最終的な段階に差しかかっているものと考えております。  また、二番目の宇宙開発体制の抜本的な立て直しということでございますが、宇宙開発委員会の特別会合、これは宇宙開発委員以外のいろいろな外部の専門家の方に来ていただきまして、特別会合を開催して宇宙開発体制の立て直しに向けた検討を精力的に行っているところでございます。この会合では宇宙開発事業団の組織、体制、それから宇宙開発事業団とメーカーとの役割分担、さらには産業界の製造現場における品質管理、品質保証のあり方、検査のあり方ということにも踏み込んで信頼性確保のための対応策を検討しているところでございます。  これらの原因究明、また立て直し、これらの結果を十分に踏まえロケット技術の信頼性を高めるとともに、我が国の宇宙開発体制を立て直し、国民の期待にこたえられる宇宙開発が推進できるよう最善の努力をしていきたいと決意しております。
  83. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 御指摘のございました先般のミューⅤロケットの打ち上げでございます。細心の注意を払い万全を期して臨んだところでありますが、結果的に国民の期待を裏切る結果になったということをまことに申しわけなく思っておるところでございます。  文部省といたしましては、これまで九年、十年と成功してきておりましてかなり自信を持っておりましただけに、今回の失敗を非常に厳しく受けとめておりまして、宇宙科学研究所に直ちに指示をいたしまして早急な原因究明に取り組んでおるようなわけでございます。  これまでにわかっておる原因といたしましては、第一段ロケットの耐熱材、グラファイトと言っておりますが、数回にわたって剥落して、その結果ロケットの姿勢が乱れ所定の軌道に投入することができなかった、このように推測をされておるわけでございます。今後さらに製造過程等も含めて詳細に調査するなど徹底的な原因究明を行うことといたしておりまして、その結果を踏まえまして必要な対策を講じ、一日も早く我が国の宇宙科学、宇宙開発に対する信頼を回復するように全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように思っておるわけであります。
  84. 益田洋介

    ○益田洋介君 私は、両政務次官にお願いしておきたい資料要求がございます。  まず、HⅡロケットにつきましてはエンジンの燃焼途中停止、それが原因であると言われておりまして、エンジン開発は三菱重工業。さらに、MⅤロケット四号につきましてはノズルの破損によるトラブル、ここまでが原因の一部解明として発表されております。ノズルの製造は日産自動車。  私は、これらの製品の開発、当然のことながら調達には入札を行ったと考えておるわけでございますが、そのおのおのの入札方法、それから入札の作業の経緯について報告書を当委員会に提出していただきたい。委員長、よろしくお願いいたします。
  85. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) ただいまの資料要求につきましても、後ほど理事会で協議いたします。
  86. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。  さらに、今回のロケット開発、打ち上げに約九千三百億円の税金投入した実績がある。この点を考えまして、総務庁は三十日、財務調査の結果を発表いたしました。そして、さらにコメントとして費用効果観点から開発妥当性を不断に論議していくことが必要である、このように断言している。そして、所管する科学技術庁などにロケット事業からの撤退を含めた新たな事業の見直しを求めていると。  この辺について、その後どういうふうな検討、話し合いがなされているのか、将来的にはどういうふうな方向に持っていくのか。  実際は、事業の見直しをする、撤退を含めた事業の見直しというのは、これは抜本的な改革を求められている。今までにもそういう勧告総務庁からもあった。しかし、科学技術庁の指導の徹底がなされていないために、あるいはその勧告を関係する事業団が重く受けとめていなかったために、適切な改善措置がとられないために未然防止が不可能であったと、こういうふうな見解もあります。  この点について、政務次官、いかがお考えでしょうか。
  87. 斉藤鉄夫

    政務次官(斉藤鉄夫君) 総務庁報告では、今後の課題として、事業評価を行うとともに、開発妥当性について不断に論議していくことが必要というふうに指摘をされております。もちろん、私ども宇宙開発を進めていくに当たり、こういう議論を常に行いながらやっていくということは当然のこととしてこれまでも行ってまいりました。  今回の打ち上げ失敗の経験を糧にロケット事業等についても今後信頼性と効率性の一層の向上を目指して努力をしていく所存でございます。
  88. 益田洋介

    ○益田洋介君 それから、これは御専門の政務次官でございますので、私は素人の立場から単純な質問として、国民皆様にやはりお答えしておきたい点がございますので、伺っておきたいと思います。  これは開発費の効率性の悪さという点での指摘でございます。  例えば、二トンクラスの静止衛星打ち上げコストの比較の場合、日本のHⅡロケットは一基当たり百九十億円、米国のデルタⅢは九十億円、欧州のアリアン4号は百八億円から百三十億円で、日本は欧米諸国の開発費の二倍から三倍のコストがかかっている。この効率の悪さが今回の事故で浮き彫りに出ているのではないか、また総務庁調査で浮き彫りに出ている。  この点の指摘については技術的にどのようにお考えでしょうか。
  89. 斉藤鉄夫

    政務次官(斉藤鉄夫君) HⅡロケットにつきましては、一〇〇%国産技術でこのロケット技術を完成させるという国策のもと、我々取り組んでまいりました。  そういう意味で、例えばある特殊のバルブ等、外国から完成されたものを買えばその方が安上がりになるというところもあるわけでございますが、国産技術でこれを全部完成させるという一つの哲学のもとにやってまいりましたので、他のロケットと高くなる部分はございました。今回の監察結果でも、国産で技術を完成させるという面については大変その目標が遂行できたと評価をいただいたところでもございます。  しかし、先ほど益田委員の御指摘にありましたように、今後宇宙ロケット打ち上げにつきましては外国との競争もございます。外国とのコスト競争に勝たなくてはいけないわけでございまして、HⅡロケットの半額で八十億円、九十億円で打ち上げられるHⅡAロケット開発に今全力を挙げているところでございます。  このHⅡAにつきましては、一〇〇%国産というその一つの制約はございませんので、いろいろな形でコストパフォーマンスのいいロケットにしていきたい、このように考えております。
  90. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。  最後に、三十一日、科学技術長官が記者会見で発表いたしました茨城県東海村の臨界事故、これについて原子力安全局長を訓戒処分にした上で更迭した。これは行政責任が当然あるということでその責任を問うた形でございますが、その中で長官はこのように述べている。処分理由については法律上の義務違反はなかったが、結果として事故を招き国民の信頼を損ねたと。これは説明が非常に不十分であると思います。  私は、これは法律上の義務違反はなかったということを言うのであれば、挙証責任は当然科学技術庁にあると思います。この点はどういうようにお考えでしょうか。
  91. 斉藤鉄夫

    政務次官(斉藤鉄夫君) 今回の処分につきまして、原子力安全局長の九月三十日に至るまでのいろいろな業務につきまして法律に直接触れる瑕疵、これはなかったということでございます。  しかしながら、ああいう事故を結果として起こしてしまった、そして原子力安全規制行政に対しての国民の信頼を大きく損なってしまった、このことに対して我々は大いなる責任があるということであのような処分をさせていただきました。  御理解をいただきたいと思います。
  92. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございます。  法律に違反していないという点での御説明をぜひ文書で当委員会に出していただきたいと思います。  それから、防衛庁長官、ちょっと御丁寧に御説明していただき過ぎましたので、申しわけございません、残りの質問についてはきょうは取りやめたいと思います。  ありがとうございました。
  93. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) ただいまの益田君の資料要求につきましても、後ほど理事会で協議をさせていただきます。
  94. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  私は、長期テーマになっております財団法人民間都市開発推進機構、いわゆる民都機構というふうに言われておりますけれども、この件について伺いたいと思います。  最初に伺いますけれども、平成六年から土地の取得を始めることになったわけでありますけれども、現在までに買い取った土地の件数、総面積、取得金額の総額、これは幾らかをまず明らかにしていただきたいと思います。
  95. 山本正堯

    政府参考人山本堯君) 民間都市開発推進機構が平成六年の三月十五日に土地取得・譲渡業務を開始いたしましたが、それ以来、三月三十日までに取得した取得件数が百八十三件でございます。取得総面積が三百四万五千平方メートルでございます。取得総額が八千六百八十億円となっております。
  96. 富樫練三

    ○富樫練三君 この土地を買い取るときの財源はどういうもので、その財源の枠は累計でどのぐらいありますか。
  97. 山本正堯

    政府参考人山本堯君) 財源は政府保証枠がございます。政府保証で一兆五千億ということで現在認められております。
  98. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうすると、これは政府が保証するお金を銀行から借り入れて、それで土地を買い取る、こういう仕組みですね。総額一兆五千億のうち八千六百八十億をこの三月までに使った、こういうことのようですね。  どういう土地を買うかという点なんですけれども、民間開発しようと思っているところを民都機構が買い取る、こういうことのようでありますけれども、もし買い取らなかった場合はその開発はどういうふうになっていたんでしょうか、民間開発しようと思っているところを買い取らなかった場合は。開発しようと思っているけれどもできないところを買っているんじゃないですか。どういう土地を買っているんですか。
  99. 山本正堯

    政府参考人山本堯君) 民間が融資をなかなか受けにくいといったようなところにつきまして、一定の規模、一定の要件に基づきまして事業を立ち上げようというようなところについて対象としてこの民間都市開発推進機構が土地を取得する、こういうことでございます。
  100. 富樫練三

    ○富樫練三君 普通ならば、土地を買って銀行から借り入れを起こして、それで開発をしますね。その結果、利益で銀行に借金を返すと。これが普通のやり方だろうというふうに思いますけれども、この民都機構が買い取る場合は、民都機構が買い取りますからお金が相手方に渡りますよね。そのお金でその土地の上に開発をして、それで十年以内でしょうか、十年たったらその土地を買い戻してもらう、こういう関係になっているわけですね。  ということは、その民間開発事業者というのは、銀行からはなかなか借り入れられないという状況のときに民都機構が助け船を出してその土地を、お金を貸すのではなくて土地そのものを買い上げてあげる、後からまた譲渡をする、こういう仕組みだということで理解してよろしいですか。
  101. 山本正堯

    政府参考人山本堯君) 今、先生がお話がございましたように、民間都市開発推進機構が民間から土地を買い上げる、その際に、事業予定者がございますが、事業予定者が事業構想に基づいて事業を推進するということでございます。その際、事業の推進が十年間の間に事業ができないということになればもとの事業者に買い戻す、こういう格好の事業でございます。
  102. 富樫練三

    ○富樫練三君 昨年の三月、百四十五通常国会参議院の国土・環境委員会に配られました説明書があります。この説明書の中に、機構が取得した土地は、十年間を限度に保有した後、その土地で事業を行う事業者に譲渡される、また、その後の事情の変化により事業の用に供されない場合も想定されるため、当該土地における民間都市開発事業の施行に支障のない範囲で国、地方公共団体等に譲渡することができる、こういうふうになっています。  ということは、もしもその相手方の民間開発事業者が、もうこれは開発できないとかあるいは倒産してしまうとか破産するとか、そういうふうになった場合には、最終的にはこの土地については国または地方公共団体に譲渡する。すなわち、現在は民都機構が持っているんだけれども、それをその開発事業者に譲渡するのではなくて、国が買い上げたり地方自治体が買い上げる、こういう道も開かれているということですね。
  103. 山本正堯

    政府参考人山本堯君) 今、お話がございましたが、機構が十年間保持をいたしまして事業ができないというような場合にはまた他の事業者、他の譲渡先を探すということになるわけでございますが、あるいはまた道路とか公園とか、公共団体が事業を行うというようなことが適切であるというようなところについては、今、先生がおっしゃいましたような地方公共団体が買うこともあり得ると、こういうことでございます。
  104. 富樫練三

    ○富樫練三君 先ほど百八十三カ所の土地を買ったというふうに報告がありましたけれども、現時点で、その中で既に開発事業者が破産をしている、あるいは倒産をしているとか、最初計画した開発事業者自身はもう開発は不可能になっているという事例は、もしありましたら、それはどこの土地でどの会社だったのか、その買い取った金額は幾らだったのか、それをお知らせいただきたいと思います。
  105. 山本正堯

    政府参考人山本堯君) 実際に取引先が破綻している案件でございますが、現在、私どもが承知をいたしております案件につきましては、千葉県の船橋市の本中山の土地、アサヒ都市開発ほかから取得した土地が一件、それからもう一件は平成九年に東京の南大塚の土地、サングレースというところからでございますが、それから土地を取得した案件、それからもう一件は、平成十年でございますが、日本長期信用銀行から取得しました東京の小金井市花小金井の土地、この三件でございます。
  106. 富樫練三

    ○富樫練三君 最初の船橋のアサヒ都市開発についてなんですけれども、これは日債銀と関係のある会社ですか。
  107. 山本正堯

    政府参考人山本堯君) 先ほど申し上げましたように、アサヒ都市開発というところでございますが、日債銀の子会社といいますか、親会社が日本債券信用銀行、こういうことでございます。
  108. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうすると、もう一件は長銀でしたね、それと日債銀。そういうところが事実上開発はできないというふうになっていますね。こういう場合に、十年たったけれどもやはり開発ができないという場合、どうしますか。
  109. 岸田文雄

    政務次官(岸田文雄君) 十年たって開発ができない場合ということですが、その可能性についての御質問でありますが、基本的にこの制度としまして、優良な土地活用ができる案件について取得しているというのが建前でありますから、これは仮にその民間企業が破綻した場合、それをほかに転用する場合、転用する可能性は十分あるという案件であるということ、これが大前提であります。  ですから、仮に相手先が破綻したとしましても、これを他に転売する等の措置は十分可能な案件が取り扱いの対象になっているということを考えますときに、これは十分ほかへの転用は可能だというふうに認識しております。
  110. 富樫練三

    ○富樫練三君 転用可能な場合もそれはあるかもしれません。  ただ、仕組みとしては、十年間、銀行から民都機構が借り入れたお金で買っていますから、それは十年間だということになりますと、十年間の間にその土地を譲渡できなければお金は入ってきませんね。ということは、銀行に対して返済ができませんね。そういうことになりますね。  その場合はだれが補償するかというと、連帯保証人みたいな形で政府がいる。そうすると、仕組みとしては、十年間そういうかわりの第三者の開発事業者が見つからない場合には政府が補償することになりますか。
  111. 岸田文雄

    政務次官(岸田文雄君) まず基本的に、これは先ほど言いました基本的な前提のもとに仕組みが成り立っておりますので、破綻が生じた、そしてこれを転売するということになった場合、これは丸々全額損失ということはなかなか考えにくいというふうに思っております。そして、その不足分が生じた場合には、一義的には民都機構で対応する、これが建前だと思っております。
  112. 富樫練三

    ○富樫練三君 民都機構というのは、土地を買って、その土地を売って、ツーペイになって初めて成り立つんですよね。そこがもうかったりあるいは損するといったって、基本財産はそれほどあるわけじゃないんですから。問題は、銀行から借りたお金と土地を譲渡したお金で、それがツーペイになって初めて成り立つ、こういうものですよね。  ところが、そこに入ってくる土地というのが極めて不安定な土地がたくさんある。あの百八十件、これをずっと見れば、ほとんど大手の不動産会社やあるいはゼネコンが持っている土地なんだけれども、しかしすぐに開発できるめどがないから民都機構が買い取るわけでしょう。開発できるんだったらそこはとっくにやっているわけですから、できないところを買い取るわけですから、そういう不安要素がある。  そこで、先ほど私が言った説明書のように、事情の変化によって事業の用に供されない場合も想定されるということは建設省そのものが言っているわけですから、そういうリスクというか不安定要素を抱え込んでいるということなんです。  ですから、そういう場合には、最終的には政府が補てんするかあるいは自治体に買ってもらうかというふうにせざるを得ない、こういう仕組みだろうというふうに思うんです。仕組みとしてはそうですね。そういうことは想定していないし、ないようにしたいんだけれども、最悪の場合は仕組みとしてはそういうことですね。
  113. 山本正堯

    政府参考人山本堯君) ただいま政務次官からお答えを申し上げましたように、基本的には今申し上げましたように、先ほどのような都市銀行の破綻というようなことを想定されない、今までには想定されないような事態の発生に伴うものでございますけれども、先ほど申し上げましたように、民都機構はこういう優良な民間都市開発事業実施が見込まれる土地を適正な価格で買っておるということでございます。直ちに損失が発生するものではないというふうに認識しております。その場合に、先ほど申し上げましたように、民都機構がかわりの事業者を選定する、こういうことでございます。仮にその際に差損が生じた場合には、民都機構の推進会計の中に推進業務運営基金、積立金がございますが、それを取り崩して基本的には対応する、こういうことでございます。
  114. 富樫練三

    ○富樫練三君 先ほど適正な価格で買い取ったというふうに言っておりますけれども、例えば船橋市本中山の場合は約四千八百平方メートルですね。これは幾らで買いましたか。
  115. 山本正堯

    政府参考人山本堯君) 民都機構の関係につきましては、私ども、面積でありますとかあるいはそれぞれの事業概要でありますとか、そういったような関係につきましては公開をさせていただいておるところでございますが、価格につきましては、取引価格のような情報が開示されますと法人が有する競争上の地位などが害されるおそれがある、あるいはまた民都機構の以後、近傍類地で取引を行うといったようなところについてその近傍類地の土地取得がうまく行えないといったような点等々、あるいはまたこういうような公共機関について土地取得についての価格について、例えば公共用地を取得する場合には、そういうようなものについて土地取得は公開されていない、こういったような観点から私どもとしましては公表を差し控えさせていただいているところでございます。
  116. 富樫練三

    ○富樫練三君 それだと余り議論にならないんですよね。既に譲渡した土地もありますね。資料をいただきました。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕  全部でこれは六十件ぐらい譲渡した土地がありますね。圧倒的に多いのは、これは不動産業者。住友不動産が圧倒的に多いですね。それから新日本製鉄、鹿島建設、それから日産不動産、フジタ、大林組、そういうところですね。  ですから、ゼネコンと不動産業界が多いというふうに思いますけれども、これはそれぞれ幾らで譲渡しましたか。幾つか例で結構です。
  117. 岸田文雄

    政務次官(岸田文雄君) 先生の方から民都機構の土地取得業務につきましての情報公開の話、特にその金額の話を御指摘いただいたわけですが、業務情報公開につきましては従来から所在地ですとか契約年月日ですとか、面積、用途地域、事業概要、こういったものにつきましては情報公開を行っていたわけですが、それに対しましてより情報公開を進めるべきだという御指摘を昨年来ずっと受けてまいった。結果としまして、取得相手先ですとか事業施行予定者、こういった部分につきましては昨年四月から情報公開を一歩進めたという状況にあるわけですが、御指摘の価格につきましては都市局長からお話をさせていただきましたが、民都機構の目的が民間を支援して、そして良好な町づくりを行っていく、こういった目的のもとにできているわけであります。  ですから、この土地価格を公開することによって売り主及び買い主にとって資金事情が明らかになること、このことは今の競争社会の中で競争上の地位に不利益を生じさせるかもしれない、こういった民間に対する不利益を生じさせる懸念ですとか、それから民都機構自身にとりましても、まずもって良好な町づくりをしなければいけない、こういった目的のためにあるわけですから、この一部分の取引価格が表になることによって周辺の価格交渉に影響が出てくる、そのことによって町づくりそのものに影響が出てくるという懸念があるわけでして、そういった両方の理由からこういった価格を明らかにしていないということ、これをぜひ御理解いただきたいと存じます。  そして、これは民都機構だけではなくして、都市公団初めほかの公共機関におきましても価格は公表していないということ、このことも御理解賜りたいと存じます。
  118. 富樫練三

    ○富樫練三君 それはおかしいですよ。民都機構というのは法律に基づいて建設省がつくった指定法人ですよね。そういうことになっていますよね。そこが使うお金というのは政府が保証する銀行からの借入金ですね。その土地というのは、最終的に、場合によっては道路とか公園の部分も含めて、地方自治体が買い取ったりあるいは国が買い取るということもあり得ると。政府が全面的に保証しているわけですからね、ということですね。ですから、公が保証した売買ですよね。その中身について最終的に政府が保証しなければならないかもしれないというものについて、その価格について、買い取った価格も売った価格もわからない。それで適正な価格だという保証は全くないわけなんですよね。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕  ですから、そういう意味では、適正だと言うのであれば、幾らで買い取って幾らで売り渡すんだ、こういうことが明らかになって初めてこの行政監視委員会としての役割を果たせるわけであって、そのことをどうしても明らかにできないというのであれば、改めてこれは委員長にお願いをしますけれども、今まで買い取った百八十三件の土地、約三百万平方メートル、八千六百八十億円、これの土地の所在地と取得年月、それから個々の取得の面積、取得の価格、取得の用途地域、さらに取得の相手先、開発計画の内容及び着工予定の年月、あるいは竣工予定の年月、それから開発事業者、さらに譲渡したものについては譲渡価格、これらについての一覧表をこの委員会にぜひとも出していただきたいというふうに思いますけれども、委員長、いかがでしょうか。
  119. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) ただいまの件につきましては、後ほど理事会において協議させていただきます。
  120. 富樫練三

    ○富樫練三君 これはぜひ、そういう実態が明らかにならないと民都機構の仕事の中身というのはわからないわけなんです。  そこで、次の問題に移りますけれども、この民都機構が大宮市の中心部に四万八千平方メートルを東急車両から買い取りました。ここにマイカルという開発事業者がサティというショッピングセンター、それから映画館八つをつくる、こういう計画が既に進行しております。もう既に建物が進んでいるわけでありますけれども、この映画館については、県内のほかの同じようなところでは十二時過ぎまで映画が上映されている。この大宮の地域というのは商店街やいわゆる住宅地域、こういうところなんですけれども、この店がつくられた場合には交通渋滞やあるいは深夜までの映画上映などで環境破壊が予想されることから、多くの住民がいろいろな意見を今まで出してきました。  これについて伺うわけですけれども、この民都機構がつくられました法律、根拠になっているのが民間都市開発の推進に関する特別措置法ですね。この第一条、目的の中にこういうことが書いてあります。「良好な市街地の形成と都市機能の維持及び増進を図り、もつて地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。」、こういうふうに書いてあります。ところが、この点について地元の自治体などがオーケーするならばいいではないかというのが今までの建設省の態度であったというふうに感じております。  そこで伺いますけれども、私は、まずこの法律の第一条、これをしっかりと守るのは第一義的には建設省ではないのかというふうに思います。第二に、その建設省によって指定された法人である民都機構がまずこの法律を守らなければならないというふうに思いますけれども、先ほど言ったような地域にこういう建物ができるということについて、環境の破壊にはならない、良好な市街地の形成であり地域社会の健全な発展に寄与するというふうに、そういう側面だけでしか見ていないのかどうか、そこのところをまず伺います。
  121. 岸田文雄

    政務次官(岸田文雄君) 今、先生が御指摘なられました目的につきましては、法律、制度全体としてその目的を果たすというふうに考えております。  それで、まず民都機構の仕組みですけれども、土地の合理的かつ健全な利用ですとか都市機能の増進に寄与する建築物の整備、こうしたことが可能な土地を取得、管理することによって民間事業者の都市開発事業の立ち上げを支援する、これが制度の基本であります。ですから、民間企業者がこうした整備を行い増進を行う、そして具体的にそれを行う際には民間企業者が地元の地方自治体との交渉を行い調整を行って、そして理解を得る、こうした仕組みになっているわけです。ですから、先生の御指摘されましたその目的につきましては、やはり最も地元の事情をよく知っているその地方自治体がそれをその調整の中で実現するものだというふうに考えております。  ですから、今、建設省ですとか民都機構ということがありましたが、何よりも町づくりということを考えましたら、地元の事情がわかっている地元地方自治体が前面に出て第一義的にその判断を行う、これが最も望ましい姿だと思っております。
  122. 富樫練三

    ○富樫練三君 この地域には建設予定地の半径二、三百メートルの範囲内に幼稚園があります。小学校があります。中学校があります。高等学校があります。養護学校があります。図書館もあります。いわば住宅地であり、かつ文教地区でもある、特別指定されているわけじゃないんですけれどもね。そういう町並みになっているところのど真ん中にこれができると交通渋滞は当然起こる、こういう状況なんですね。  ですから、私は、建設省がこういうところにそれをつくるということがどうなのかということで判断を逃げるのではなくて、地元の自治体に任せるんだ、この法律の判断については地元の自治体が考えればいいことだと逃げるのではなくて、まず建設省自体がそういうものについて一定の判断をして、これは適切なものなのかどうか、これで良好な市街地の形成になるのか、健全な発展になるのか、こういうことをまずやるべきだというふうに主張をしたいと思うんです。この点についてはぜひ地元というか現地も確認の上、調査をしていただきたいというふうに思います。  時間があと二分ぐらいしかありませんので、次の問題に移ります。  行政監察及び情報公開の問題についてです。  この民都機構については、今お話がありましたように、価格も含めて正確な資料国会に実は報告されておりません。ですから、今までも何度か問題になってはきたんだけれども、その実態を把握するのが非常に難しいというのが現状であります。  そこで、これは最後の質問になりますので総務庁長官に伺いますけれども、総務庁が行いましたアンケートの結果というのをいただきました。この指定法人等の指導監督に関する行政監察結果報告書というのをいただきました。  ただ、これを見ますと、これだけでは中身はほとんどわからない、建設省関係のをいただいたんですけれども。この中でも、大体事業費全体の八割から九割は土地の買い取り、ここに使われているわけなんです、この民都機構というところは。ですから、ほかにもいろいろ事業をやっているんです、六つか七つやっていますけれども、圧倒的にお金が集中的に使われているのはこの土地の買い上げ、こういうことだと思うんです。民都機構はできてから大体十三年目に入ったんでしょうか。特に、九四年、平成六年からは土地の買い上げが中心になってくるということで、一兆五千億円の枠でやるわけですから、これはあと二年の時限ですね、二〇〇二年までですよね。  そうすると、あと残っているのは枠としては約七千億あるわけですから、これから二年間で七千億の土地をさらに買い上げよう、こういう計画だろうというふうに思いますので、これはこの時点で行政監察をしっかりとやる必要があると思いますけれども、そのお考えについて長官にまず伺っておきたいと思います。  あわせて、行政管理局でありますけれども、民都機構の情報公開については、その特殊法人情報公開検討委員会、ここではまだ十分な検討がされていないというふうに伺っておりますし、前回この委員会参考人として御報告をいただきました東洋大学の教授もこれは未検討と、こういう表が私どものところに配られました。  その未検討になっている理由と、今後検討の結果これは当然情報公開の必要ありという可能性もあるというふうに思いますけれども、この点について行政管理局としてはどのように考えているのか、この点あわせて長官からでも結構ですし、局長さんからもあわせて御答弁をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
  123. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいま富樫委員と建設省との質疑を通じまして、確かに情報公開の重要性というものはなるほどと理解できます。ただ、御案内のように、民都機構はいわば財団法人なんですね。したがいまして、財団法人情報公開といいますか、私どもが行政監察を行うということについては大変難しいテーマであるということを御理解賜りたいと存じます。  しかしながら、今、建設省との質疑を通じまして、公益法人に対する建設省の指導監督、そしてまた都市開発行政のあり方等々、建設省自体としても問題意識を持ってこれからいろいろと検討されると思いますけれども、そういうことを踏まえながら、私ども行政監察を担う総務庁としてどういう手だてがあるのかこれから勉強させていただきたい、このように思います。  もう一つ、例の指定法人に対する情報公開の問題でございますけれども、今御指摘をされましたように、検討委員会ではいわば政府の情報公開と同じように特殊法人等々の情報公開は大変重要なものである、そういう認識のもとに議論をしていただきました。そして、中間まとめをそろそろ公表させていただく予定ではございます。  そういう中間まとめを公表する際に国民皆様からいろんな注文をいただく、それで注文をいただいてより立派な情報公開制度に仕上げていきたいというのが私どもでありますけれども、同時に検討委員会も、今、議員が御指摘ございましたように、とりあえず特殊法人等情報公開のありようについて議論をして、それが終わった段階指定法人議論をする、こういうふうになってございます。  したがいまして、これから委員会として議論をなされる、その議論を踏まえて我々は対応したい、このように考えておりますので御理解を賜りたいと思います。
  124. 富樫練三

    ○富樫練三君 終わります。
  125. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほど総務庁長官から宇宙開発事業についての監察結果の説明がありまして、同僚議員の方も同じようなそのことについての質問がありましてダブるかもわかりませんが、これはもう三回目でありまして、引き続いて質問させていただきたいと思います。  先ほど科学技術庁の総括政務次官の答弁と文部省の政務次官の答弁のニュアンスが違うなと思ったんです。ちょっと申し上げますと、ロケットの打ち上げ失敗に対してどう考えているのかという質問に対して、科学技術庁の方は厳しく受けとめてと、こう言っているんです。それで、文部省の方は国民の期待に沿えず申しわけなく存じますと、こう言っているんですよね。  何か科学技術庁は、もうずっと大臣もそういう言い方をしているんですが、厳しく受けとめる、そして原因を究明するというようなことだけで一体いいと思っているのかどうなのか、最初に答えてください。
  126. 池田要

    政府参考人池田要君) 改めまして先生から御指摘いただいて大変恐縮でございますが、私ども今回のHⅡロケットの打ち上げ失敗につきましては大変厳しく受けとめておるということはまず申し上げなきゃいけませんし、宇宙開発につきまして多くの国費を使わせていただいていますし、国民の期待が大きいところを考えますと、その期待に沿えなかったことについては大変申しわけないと思っているところでございます。  これは私ども改めて申し上げるまでもなく、昨年十一月に事故が起きましてから、大臣、政務次官におきましても、ほかの委員会でもたびたびこの旨申し上げているところでございます。
  127. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は申しわけないというのは初めて聞いたんですよ、科学技術庁は。それまで言っておりますか。言っておりますか。──そうですか。  先ほどの総務庁長官説明によりますと、宇宙開発事業団に国の出資が二兆二千七百四十六億円、補助金が百三十二億円、これは莫大な国費を投入しているわけであります。しかし、行政監察した結果、今後の課題として二点を指摘されておりますね。もう御承知のとおりでありますが、その一点は「事業の今後の展開に当たっては、一層のコスト低減に努めるとともに、一連事故の発生によって損なわれた両事業の信頼の回復を図るための対策を早急に講ずること」、二、「費用効果等の観点から評価を行い、その結果を明らかにしつつ開発妥当性について不断に論議していくことが必要」だと、このように指摘をされておりますね。  この点についてどのように受けとめておられるのか、対応しようとしておられるのか。
  128. 池田要

    政府参考人池田要君) まず、今般のHⅡロケット事故につきましては、既に事故発生当初より宇宙開発委員会におきまして専門家を動員いたしまして、技術評価部会によりまして、これは公開の場でございますけれども、徹底的な原因究明に取り組んでいるところでございます。一月には海底からエンジンも引き揚げたところでございますし、それを目の前にしながら専門家の皆さんに今その原因究明について徹底的な解明を行っていただいております。  これも先ほど政務次官から申し上げましたように、既にどこが最初に壊れたかといったところまで突き詰めてまいりまして、この原因の究明につきましては最終段階にあると申し上げられると思います。  なお、このような原因究明と並行いたしまして、こういう事故を招きました背景につきまして、事業団の仕事の仕方、事業団とメーカーとの関係等につきましても、その体制のあり方といった点から宇宙開発委員会の特別会合におきまして御議論をいただいているところでございます。私ども、この原因究明ですとか特別会合の議論を踏まえまして、より信頼性の高い開発のあり方について答えを出していきたいと考えております。  また、今回の総務庁報告におきまして、費用効果等の観点から事業評価を行いなさい、それから開発妥当性について不断に論議していくことが必要といった点につきましても、私どもこういう国民の期待にこたえて宇宙開発を進めるに当たりましては、常により適切な進め方を追求していくということは当然のことでございますし、このような指摘をまつまでもなく、このような今回の打ち上げ失敗の経験を糧にいたしまして、ロケット事業等につきましてもこの信頼性と効率性の一層の向上を目指して着実に進めていきたいと考えておるところでございます。
  129. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、私はやっぱりやめるかやめぬかという判断までぎりぎりのところをやって、じゃどうするならどういう努力をするとかいうところまでいかないと、何かもう当たり前みたいな話を前提にして事が進められることについては大変遺憾に思います。  我が国は科学技術立国を目指す、予算もそこには重点配分する、こういうことがずっとここのところ続いております。それをいいことに最近どうももとが緩んできているような気がしております。  そこで、ちょっとお尋ねしますけれども、宇宙開発事業団におけるロケットあるいは衛星に対する政策等の契約、あるいはそういう価格が一体高いのか安いのかという内部の監査体制、これは物を買うときに担当者が判断してそのままではいかぬ、だれか第三者、違う角度から見なきゃいけない。そういう体制について少し、これは通告しておりますからお尋ねしますが、お答えください。
  130. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) お答えいたします。  宇宙開発事業団がプロジェクトを組んでこれを発注するという場合のコスト等の評価、あるいはその妥当性チェックというものについてのシステムを御説明させていただきますと、まず最初に宇宙開発委員会が定めました政策大綱あるいは宇宙開発計画に基づきまして私どもプロジェクトを組み、これを宇宙開発委員会の方に要望いたしまして、宇宙開発委員会の計画調整部会というところでまずオーソライズを受ける、そして予算を要求するというような形になるわけでございます。  まず最初に、予算の要求に当たりましては、技術開発部門で予算の当該プロジェクトの概算見積もりを行います。そういたしまして、予算が通った後、認可予算を受けます。この認可予算に基づきまして技術開発部門で業者等からRFP、リクエスト・フォー・プロポーザルといったようなものを取り寄せまして、その指標であるとかあるいは作業概要といったような計画を立て、そしてこれに基づく予算というものも積算して予算実施決議書というものを定めます。  そして、これを理事会に諮りまして、理事会で契約案件の施行趣旨でございますとか実施計画額、こういったものについて理事出席のもとで理事会の承認を得た後、さらに詳細な形で契約審査委員会というものが副理事長以下で構成いたしておりますが、この契約審査委員会におきまして契約の方式を随意契約が果たして適当であるのかとか、あるいは相手方企業というものが技術的に十分な能力を持っているのか、あるいはこれまでの技術実績はどうであるとか、あるいはコストはどうかといったようなことを評価いたしまして、そしてそこで承認が得られますと次に原価計算部門に参ります。  そして、この原価計算部門でさらに材料費、労務費、経費といったようなものを積み上げ、いわゆる原価を積み上げるわけでございます。これで契約予定額というものを算定いたします。  さらに、契約担当部門に参りまして、具体的な契約相手方と契約交渉、契約書、契約金額といったようなもの、あるいは契約条件、こういったものを定めて契約担当役員の承認のもとに契約締結が行われると、このような一連の体制でやっております。  したがいまして、技術開発部門と原価計算の部門、契約担当部門、それぞれが相互に牽制されるというような体制がとられておるところでございます。
  131. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。  それで、それは会計検査院やあるいは行政監察当局が、今言われましたように、そこらの契約にかかわる一連流れ資料は全部出せるわけですね。
  132. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) 会計検査院につきましては、私ども毎年度会計検査を受けております。したがいまして、こういったものは随時検査院の要求に従ってそれぞれの資料を出すというようなシステムになっております。  なお、行政監視といいますか行政監察というものにつきましては、行政監察等があった場合、もし必要とあればそのような資料要求がございましたら当然のことながらお見せするというようなことになろうかと思います。
  133. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それは今後、会計検査院あるいは行政監察局に私は要望したいんですが、要するに形式だけじゃなくて中身の、それが果たして妥当かどうか、契約そのものもコストの面からもこれは十分、大臣おられますけれども答弁要りませんが、そこまで踏み込んだ監査をしてもらわないと、これは外国のロケットに比べて二倍も三倍も高い、それは大量生産せぬからだというだけでは私たちは納得できない。会計検査院は別にいますが、長官にもぜひそういう観点から監査もしていただきたいと思います。  この契約のやり方を見ますと、契約に当たっては、理事長が出席する理事会において契約案件の施行要旨、目的、実施計画、金額などを説明し、その了承を受けた後に契約の稟議を行い、決裁は契約担当役員、理事が行っていると。稟議の決裁というのは、これは普通、常識ではトップ、最高責任者が判を押す、決裁するんですね。先にやっていて最後の決裁については契約担当理事のところで終わるというのは、これまたおかしな形になっているんですね。どうなんですか。
  134. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) 理事会で承認いたす場合におきましては、予算実施決議書というような形で基本的な予算実施額、計画額というものが定まっておるところでございまして、そしてあと先ほど言いました原価計算等のさらに詳細な積み上げをやってきちっと計算するわけでございますが、契約自身が非常に多いということ並びにその他決裁案件が非常に多いということで、内部の手続合理化といったような観点から、いろんな稟議につきましては理事長決裁のものも場合によってはございますし、担当理事がこれを決裁する、あるいは場合によっては部長どまりの決裁というような、通常組織で行われているような下への権限委譲と、そのかわり当然のことながら責任もそこでとると。最終的責任は当然のことながら理事長がとるわけでございますが、個々一件一件をすべて理事長が見るという、必ずしもそのようなシステムをとってはおらないと。これは契約のみならず、通常の案件につきましてもすべてを理事長決裁にしているわけではございません。
  135. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それは納得できないんです。  金額が五千万以上の場合は契約審査委員会、五百万以上は小委員会で大体やっているでしょう。同じです。理事長がこれは最後、契約というのは一番大事なことですから、そこでその契約について了承するかしないかということが一番大事なこと、それはしないと。  ところが、額を一億円以上とか絞っていったら件数は相当絞れるじゃないか、そんなやり方でこれは国民に対して本当に明朗な処理の仕方をしているのかどうなのか、我々が本当に時間をかけて突っ込んでいったら対応できるのかどうなのか、科学技術庁、その辺はどこまで科学技術庁としては立ち入ったそういう内容について検討が常日ごろからなされているのかどうなのか、時間がないからこの議論というのは引き続いてやらなきゃしようがないですが、ちょっと先にそのことを聞いておきます。
  136. 池田要

    政府参考人池田要君) 事業団の主要な事業についてどういう契約がなされているかということにつきましては、一昨年でございましたけれども、NECとの契約のときに過払い等の問題がありまして、私どもも事業団が現場をどれだけ把握しているかといったことにつきましては非常に厳しい目で見ざるを得なかったといったこともございました。  そうした意味では、私ども事業団が契約内容につきましてしっかりと把握しているかどうかといったところにつきましては御指摘のように大変関心を持って見ておりますし、今申し上げましたように、事業団からも説明がございましたけれども、事業団法人として責任を持ってこういう宇宙開発事業を行っているわけでございますから基本的には事業団の判断で運営されるべきものと思っておりますけれども、今回の先生が御指摘のようなコストの問題ですとか、それからこういう事業者の関係でトラブルが生じたといったような場合にはその都度必要な見直しをすることとしてございます。  また、今回のような総務庁指摘等につきましても、今後の宇宙開発のあり方につきまして国民の信頼を得ていくためにはどうしたらいいかといったことにつきましては不断に検討もしてまいりたいと思いますし、総務庁あるいは会計検査院等から指摘いただきましたところにつきましては、私ども監督官庁としてそれを真摯に受けとめて改善策に取り組んでまいる所存でございます。
  137. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 もう一つお聞きしますが、役員十一人のうちに何名が天下りですか。天下りという表現は悪いね。要するに官僚の。
  138. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) 役員は常勤と非常勤がございますが、常勤の役員は理事長、副理事長、そして常勤の理事が五名というような体制になっております。このうち、役人出身といいますか国家公務員、行政官であった者は理事長、理事といたしましては二人というところでございます。三人でございます。
  139. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 梶原君、簡潔にお願いします。
  140. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私のところにあるのは十一人中、常勤、非常勤入れて七名。  七名という数字は間違っていますか。
  141. 石井敏弘

    参考人石井敏弘君) 非常勤の理事について申しますと、今現在、宇宙科学研究所の先生が一人入っておられますから、これもあるいは国家公務員だと言い得るのかもしれません。それから、非常勤理事の一人は運輸省から来ていただいておる、それから監事につきましても元公務員という方がおられますので、合計しますと七人。非常勤は三人のうち三人が元役人、それからあと理事者サイドが三人と監事が一人、こういう構成で元国家公務員でございます。
  142. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 終わります。
  143. 田名部匡省

    田名部匡省君 長官、私は今まで質問をずっと聞いてそれぞれの役所が答弁しておるのを聞いて、私は事業をやった経験がありますけれども、やっぱり責任感というのがもう全く感じられないなと。やっぱり人の金を使っているという、もうそんなぐらいの感じなんですね。  この前も参考人の先生方においでいただいて、私もいろんな資料を見せてもらって実はびっくりしたんですよ。子会社、孫会社がもうかって本体は赤字だというのは新聞等で見て薄々わかっておったけれども、あんなに詳しく書いたのを見て、これはいよいよいかぬなと、こんな思いがしました。いつも言うんですけれども、国民の大事な税金をなるたけむだに使わない努力というのをやらなきゃいかぬ。しかし、役所や特殊法人の人たちにそれを求めても、資金の調達にしても何にしても全然困りませんから、だからやっぱりああいう考え方になるんだなと。  この間も三人の先生方にいろいろ伺ったんですけれども、やっぱり監察とかそういうものは外に置くべきだと。私もそう思うんですね。何にも通告していなくて申しわけないんですけれども、最後になると皆さんがもうお話しになったことばかりですから残ったのをやるという感じなんです。  この間、北川知事に一遍来てもらっていろんな話を国会の何人かの仲間の先生に聞いてもらったんですけれども、情報公開評価システムというものをきちっとやったんですね。そして、バランスシートをやった、そのおかげで県の補助金は一律もう全部カットしたと。県民は文句を言わなかったというんですね。それはなぜかというと、情報公開したから、内容がわかったからこれはもう無理は言えないということになったと、こういう話を聞きました。  そこで、この特殊法人情報公開検討委員会というのを先ほども何人かの同僚の委員方々から質問がありましたけれども、総務庁行政監察局や会計検査院がデータを集めていろんな統計を出してくれておる。この間も猪瀬参考人が言った。実態を把握できているわけではないと、出してはおるけれども国がシステム全体を把握できないという点が一番怖いと、こういうお話を伺って、やっぱりもうちょっと内部のそういうことをつくり上げていかないと、私はこの委員会でも理事会でももっともっとスタッフを充実してくれと、専門家を入れて国会がこれは手を入れないともう絶対できないと思う。  したがって、これは委員長も真剣に考えてそういう体制を整えて、アメリカだって行政を監視する会計検査院というのは議会に置いてあるというんですね、審議会に関して隠れみのと言われているのももっともだと思うと、これは参考人の先生方の話ですよ。チェックをどう機能させるか、政治の役割ですと言うんです。私もそう思う。これは役所がやるのではなくて、国会議員がどれだけ責任を持ってやるかという体制をつくらなければ何をやったって私は基本的にうまくいかない、こう思うんです。大臣の政治家としてどうお考えになるかということをまずお聞かせいただきたいと思います。
  144. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 田名部委員とは昨年来この行政監視委員会で御一緒させていただきました。今の持論はずっと昨年から承っております。まさに私も同感であります。  今回、行政監視を担当する総務庁長官に就任をしまして思いますことは、やはり情報公開、何としてもガラス張りにしたい、すべきだ、同時に政策評価、これもやはり徹底的な行政評価を行うべきだと。そして、国民皆様と同じような視点税金重みをちゃんとかみしめる必要があると。そうすることによって今まさに御指摘のような私は仕組みができ上がるんじゃないかと。  同時に、それはやはり行政ではどうにもなりません。行政も、先ほど申し上げましたように、仕組みとしてお互いに行政監察といいますか行政評価をやるような仕組みができ上がりましたけれども、しかしそれは国民を代表する議会が厳しくチェックしていただく、その機能を十全に果たしていただくことが結果として今お話しのようなまさに税金重みがわかる、そういうシステムになるんじゃないかと、このように思いますのでその辺のところはよろしくひとつ御指導賜りたいと存じます。
  145. 田名部匡省

    田名部匡省君 これはいろんな関係大臣においでいただいて私たちが質問して、それで終わっちゃっているんですね。ですから、私は国会議員が一体本当にどう考えるのかということが大事だからこのことを申し上げる。この検討委員会で、先ほどもお話がありましたが、十機関が情報公開免除の可能性ということをこの間お話をされたんです。  ただ、国民税金補助金、それから補給金、これは出資金みたいなものだろうと思うんですが、過去に財投を受けた会社もあるわけですね。いずれにしても、国民のそういうお金を使っている限りは全部情報公開の対象にすべきだと、これが基本なんですよ。それを財団法人でどうのこうのと。私はむしろ連結決算もやらせた方がいいと思う、子会社、孫会社。そうでなかったら、本体だけ見たってそれをどういうふうに使われているかというのはわからないですよ。  ですから、いずれにしてもいろんな話を聞いておって、財投白書もないんだという話で、財投がどうなっているかもわからない。しかも、これは前にも申し上げたと思うんですが、大蔵省を呼んで聞いてみたら、今、特殊法人に一般会計から五兆円出しているという。その行き先が徹底的にどう使われているかというのを調べようがないというのは、私は全くこれは不思議な世界だなと思っているんです。どうぞこれは大臣一人だけでどうこう申し上げてもできることではないので、きょうは同僚の委員の皆さんに、この行政監視委員会というのは参議院の独自性を発揮する一番の場だと私は思うんです。  そういうことを考えると、郵便貯金や簡保やいろんな金が財投に回って、それは利息は少しはもらえるかもしれぬけれども、それを使ったところが大赤字を出して私たちが納めた税金国民が納めた税金で補てんされるということは、これはもうあってはならない。だめなものはやめる、やれるものは民間から資金を集めてやると、こういうふうにやろうというんですから、本当に思い切ったことをやらなきゃいかぬと、こう思います。  さっきも成田空港が公団で、羽田と関西空港は株式会社で何とかといって、どうして同じ飛行場が株式会社もあったり公団でやってみたりという、私もこれ読んでおって本当におかしいと。地下鉄もそうだというんですね。ですから、もう少しこれは今度は、十五分でもう終わりのようですから、たまには時間を少しもらって、今度はしっかり勉強してきますから。  私は、東京湾の横断道路を委員の皆さんと一遍視察に行きたいと思っているんですよ。一体車が何台一分間に走っているか、そういう中身も全部調べて、本当に足を使って我々も行ってみなきゃいかぬと。猪瀬参考人も何かどこかの団地を見に行って、あいているものはあるのにあいてないことになっていたという話もこの間伺って、こんなこともあるのかなと、こう思っておりましたが、きょうは時間ですから終わりますけれども、いずれにしても最高責任者として今私が申し上げたような方向で、大臣もそうだと、こういう考えをお持ちでしたら役所の方に督励をしていただきたいし、我々も国会議員としての国民に対する責任を果たしていかなきゃいかぬと、こう思っております。次の世代のためにも今やり遂げていかなきゃいかぬと、こんな気持ちでおりますのでよろしくお願いして、最後に大臣の総括的な考え方をお話しいただいて終わりたいと思います。
  146. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、最後にアクアラインのお話がございました。  私は、NHKの実は放送を見て、記者会見がございましたときに、きょうアクアラインのお話がNHKで放映されたと、あれはまさにいわば政策の失敗であったということをNHKは言っていたよと、こういう話を申し上げたら、影響は大変なんですね。直ちにとんでもないと、とんでもない発言だと、こういう話になった。それはそうではなくて、NHKが、今御指摘のように、通行台数が当初の予定をした四割しか走っていないと、そしてその背後地が例えば東名や名神というような道路とは違う、だから収益が上がるであろうと予測しながら実は上がらない状況がもう最初から予想されていたんだというような報道があったことを私は披瀝をしたわけですね。ところが、そういう袋だたきでしょう。  したがって、正論はちゃんと支えていただかなくちゃだめだと。ぜひひとつ、この参議院行政監視委員が今お話しのように国民の側に立って厳しく監視をしていただく、同時に税金は効率のいい使い方をということをぜひお願い申し上げたい、私も及ばずながらそういう初心を貫きたいと存じますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  147. 石井一二

    石井一二君 二院クラブ・自由連合の石井一二でございます。最後のバッターでございますが、最後までよろしく御清聴をお願いしたいと思います。  歳月のたつのは早いものでございまして、二十世紀最後の年、ことしもはや四月を聞くようになりました。多事多難、いろんなことが起こっておりまして、小渕総理の御病気の問題とか火山の噴火とかいろいろございますが、世界的に見てことし最大のやはり関心事はオリンピックであろうと思います。日本では、そのオリンピックでひょっとすれば女子のマラソンが金メダルはとるんじゃないか、高橋尚子が走るんじゃないかという声も聞かれておりますが、その高橋尚子が最後の調整を名古屋マラソンの前に行ったのが奄美群島の徳之島でございます。  きょう私は、この島を中心に日本の離島行政について若干質問をしたい、そのように思うわけでございます。  御高承のごとく、離島行政は離島振興法あるいは沖縄振興開発特別措置法、奄美群島振興開発特別措置法等によりまして一般の行政よりは手厚い保護の手を差し伸べております。こういった中で、行政も今財政難でいろいろ大変でございましょうが、補助率の引き上げとか地方交付税の特例とか税制上の特例等を踏まえて、まず地方振興局としてどのような姿勢、考え方のもとに離島行政に取り組んでおられるか、基本的なお答えをお聞きしたいと思います。
  148. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) ただいま委員から御指摘ありましたように、離島振興法は昭和二十八年に議員立法として制定されました。  離島におきましては、やはり本土と隔絶された島であるということで生活諸条件、交通諸条件、非常に厳しいわけでありまして、そういう中からくる後進性を脱却するための基礎条件の改善でありますとか産業の振興ということでもろもろの特別措置が講ぜられてきておるところでございます。  また、御指摘ありました奄美群島につきましても、昭和二十八年に本土復帰以来、特別措置法のもとに復興でありますとか振興、また現在は振興開発事業を積極的に行ってきております。また、これによりまして産業の振興でありますとか交通基盤の整備、各分野において相応の成果は上げられてきているものと理解をしております。
  149. 石井一二

    石井一二君 私、奄美と沖縄、どちらも島だと思うんですが、この特別措置法の中身を比べてみまして、明らかに沖縄の方が優遇されているんですよね。と、こう申しますと、それは基地があるから当たり前じゃないか、こういう答えが出てこようかと思いますが、その辺どのようなお考え局長はお持ちですか。例えば、沖縄は自分のところの管轄じゃないからよく知らぬのだというようなことはまさかおっしゃらぬと思うんですが、その辺いかがですか。
  150. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 御指摘がありましたように、沖縄と奄美群島につきましては、両地域とも我が国の南西諸島に位置しております。また、両方とも亜熱帯地域であるという自然的、また地理的条件が類似をしております。また、産業とか文化の面でも共通でございます。また一方、両地域については戦前から今日までの歴史的な経緯でありますとか復帰後の地域社会の実情等、両者の違いもまた少なくないわけでありまして、そうしたことを総合的に勘案しながらそれぞれの振興開発に係る諸制度がつくられているものと理解をしております。
  151. 石井一二

    石井一二君 どうも抽象的な答弁で不満足ですが、もう少し具体的に私の理解を申し述べますと、私はそもそも法律のできた背景が違うと思うんです。奄美の場合は昭和二十九年、沖縄は四十七年で、もう池田内閣の所得倍増論もありましたし、「もはや戦後ではない」という言葉も出ましたし、高度経済成長期を経て非常に余裕が財政的にも大蔵省もあったと。自然増収もぼんぼん出だしたころですから、私はそういう意味で沖縄に対してはもう少し甘い答えが出たんじゃないかと思っております。  そういう中で内容を見てみますと、まず恩恵を受ける範囲というものが、道路法の十三条の指定と言われる国道の維持、その管理という言葉が奄美の場合は削除されておってありません。また、港湾法第二条第五項の港湾公害防止施設とか港湾環境整備施設というものも奄美の方の特別措置法には言葉が出ていない、そういうことをしてよいという対象になっていない、そういうような違いがあるわけです。  それで、具体的に補助とか助成とかいうかさ上げですが、林業施設、道路、港湾、空港、水道、砂防施設、海岸、地すべり防止施設、河川、これすべて沖縄の方がうんと優遇されているんです。同じなのは漁港とし尿処理施設、ごみ処理施設だけなんです。私は、こういった中で現状を踏まえていろいろ考えてみるべきだと、そのように思っております。  ちなみに、奄美群島の市町村、それから沖縄の市町村、この二つのいろんな指数を調べてみますと、財政力指数では、これは高い方がいいのですが、奄美が〇・一四に対して沖縄は倍近い〇・二六。経常収支比率では、これは低い方がいいんですが、奄美が八九・一に対して沖縄は八四・六。公債費負担比率が、これも低い方がいいんですが、奄美の二五に対して沖縄は一四・五というように格段の差があるわけなんですね。  それと、歳入ですが、これは地方税、どれぐらい自主財源があるかという意味で見ますと、奄美の場合は七・四%しか自主財源がないけれども、沖縄は平均して一八・二%と格段に自主財源が多い。また地方債が占める割合は、これは低い方がよいわけですが、一三・六の奄美群島に対して沖縄は九・五というように、いろいろそれだけ十二分なかい性を沖縄は持っておると。それに比べて奄美は人件費では逆に一八・八と沖縄の二一・一というように歳出に占める割合は低い。それだけの自主努力をしている跡がうかがえるわけでございます。  私は、こういった分析のもとに、所管が違うから沖縄のことは別だというような考え方じゃなしに、ぜひ奄美に対してもひとつ今後新たに考え直していただきたい、そのような気がするわけであります。これについては最後で局長の所見を聞きますので、答えを考えておいていただきたいと思います。  と申しますのは、せっかくきょう基金の理事長が来ておられますので、基金について時間があるうちに若干聞いておきたいと思います。  長らくの不況が続いておりますけれども、保証業務における保証残高、また原資の一部である特別転貸債の残高、こういったものが最近どのように推移しておるか、数字をお持ちであれば御示唆を願いたいと思います。
  152. 岩切哲朗

    参考人岩切哲朗君) 奄美群島振興開発基金は保証業務と融資業務を両方やっております。  保証業務につきまして、最近五年間の残高を申し上げます。平成六年から二百四十五億、二百四十四億、二百三十六億、二百三十六億、二百三十二億と、奄美群島におきましても御多分に漏れず経済活動は低迷しておりますので、それを反映してやや微減の傾向でございます。  もう一つお尋ねの転貸債の残高でございます。平成六年から、残高でございますから七十七億、七十三億、六十九億、六十五億、六十一億でございます。  これは減少傾向にございますけれども、融資の財源は私どもは出資金と転貸債で行っております。出資金につきましては、国及び鹿児島県、奄美群島十四市町村からいただきました出資金が着実にふえてまいりまして、出資金で賄える部分が大きくなりました。そして、転貸債は少なくなった。と申しますのは、転貸債は利子がかかりますから、利子のかかる財源が少なくなったということは非常に私どもにとってはありがたい、喜ばしいことだと、そのように考えております。
  153. 石井一二

    石井一二君 今、転貸債が減ってきた、残高が減ってきたのは喜ばしいという御指摘もありましたが、今後特に新しい産業の誘致が難しい、若い者はどんどん都会へ出ていってしまうというような中で過疎化ということも心配されておるわけでありますが、奄美群島開発基金が将来的な改善点として、こういった面でこうなればもっとやりやすいんだ、また現地の振興のための役に立つんだ、あるいは現在こういう制度があってこういうところが問題で頭を痛めているんだと、そういった面があればひとつ御示唆を願いたいと思います。
  154. 岩切哲朗

    参考人岩切哲朗君) 委員の御指摘のように、奄美群島につきましては社会資本は相当整備されましたけれども、なかなか産業の立ち上がりが遅い。事実でございます。  私どもは、基金は専ら、民間の機関でございますので、大島つむぎでございますとか黒糖しょうちゅうとか、そういうものに対して極力力を注いでやってまいりました。しかしながら、やはり奄美群島で一番強味といいますのは地域固有の資源でございますとか伝統とか技術とか、そういうものを生かしたものについての立ち上がりが一番必要であると考えるわけでございます。したがいまして、平成十二年度から制度改正をしていただきまして地域資源等振興資金という制度をつくっていただきました。  これは、例えば奄美群島固有の資源でございます薬草でありますとか海藻でありますとか、あるいは伝統的な技術である染めとか織りとかあるいは自然塩でありますとかそういうもの、それからキビ酢とか健康食品、そういうものに対して融資をして立ち上がってほしいという形で制度を認めていただいたものでございます。  私どもといたしましては、奄美の企業の立ち上がりのために出資金をいただいておりますけれども、従来ともこの出資金をいただくとともに、地域の需要に応じて新しい制度をつくっていただく、また改正を認めていただく、そういう努力をしていきたいと思います。
  155. 石井一二

    石井一二君 我々はよく法案が通るたびに附帯決議をやるんですが、昨年の三月に奄美群島発展のためということで衆参両院で附帯決議を行っているんです。その中身は、やや似通っていますが、要は奄美群島発展のために特段の配慮をやれとか、今、理事長お越しの基金の業務の効率化を図るとかというようなことを両院で決議しているわけですが、当然行政はそういった決議を受けて何らかのアクションを起こしておられると思うんですね。  そういう意味で、局長、この決議を受けて具体的にその後どのような行動をおとりになっておるのか、最後にこの問題についてお答えをいただき、なお私が先ほど奄美の方が沖縄より大分劣っていることについて若干意見を述べましたけれども、それに対する何らかのコメントがあればあわせて時間内でお答えをいただきたいと思います。よろしく。
  156. 芳山達郎

    政府参考人(芳山達郎君) 御答弁の前に、先ほど離島振興法の制定年次を二十九年と言ったと承知しておりますが、二十八年でございます。おわび申し上げます。  ただいま委員から御質疑ありました昨年法律が延長になりますときに衆参の所管委員会において奄美群島の振興を図るための特別の配慮を行う旨の附帯決議がなされておるところであります。  現在とも奄美地域の置かれている現状は非常に厳しいという中で、平成十一年度、こういう附帯決議等を踏まえまして、十一年六月に第三次奄美群島振興開発計画を策定いたしました。その中で、地域の特性を生かした新たな産業の振興であるとか、沖縄と連携した新たな観光ルートづくりなど交流連携を推進してまいろうと。  また、十一年の補正予算におきましても一層の振興開発事業の進捗を図ったところであります。  また、十二年度の予算におきましても、新たな施策として、ソフト施策の充実が今うたわれておりますけれども、観光情報拠点施設整備事業の創設、また先ほど理事長から御説明ございました奄美基金の融資事業において地域資源等振興資金を創設するというようなことで、今後とも奄美群島の諸施策の推進に努めてまいりたいというぐあいに考えております。  なお、先ほど御質疑ありました奄美と沖縄との補助率やいろいろの違いというのは確かにあるわけでございまして、先ほども御答弁申し上げましたが、奄美群島においては昭和二十九年から復興措置が開始されておりますし、また現在に置かれている実情等の違いもあるわけでございますが、我々としてもこの特別措置の充実を引き続き図ってまいらなければならないというぐあいに考えておるところであります。  昨年三月の法延長のときも、新たな地方税の減免または不均一課税に対する地方交付税に伴う補てん措置を充実するとか、また補助金の採択に当たりましても、中山間地整備事業の補助採択の基準の緩和について充実しておりますように、今後とも沖縄振興策の動向等も十分注意を払いながら、引き続き地元の県ないし市町村の要望を勘案しつつ特別措置の充実に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
  157. 石井一二

    石井一二君 よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  158. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 本日の調査はこの程度にとどめることとし、これにて散会いたします。    午後四時二十九分散会