運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-03-06 第147回国会 参議院 行政監視委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月六日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月二十一日     辞任         補欠選任      小川 敏夫君     小宮山洋子君      和田 洋子君     小林  元君      海野 義孝君     加藤 修一君      鶴保 庸介君     阿曽田 清君  三月二日     辞任         補欠選任      有馬 朗人君     小山 孝雄君      岩井 國臣君     上杉 光弘君      岩瀬 良三君     岡野  裕君      益田 洋介君     魚住裕一郎君  三月三日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     岩井 國臣君      岡野  裕君     岩瀬 良三君      小山 孝雄君     有馬 朗人君      魚住裕一郎君     益田 洋介君      富樫 練三君     小池  晃君  三月六日     辞任         補欠選任      小池  晃君     富樫 練三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浜田卓二郎君     理 事                 岩井 國臣君                 太田 豊秋君                 田中 直紀君                 江田 五月君                 岩佐 恵美君                 渡辺 秀央君     委 員                 有馬 朗人君                 岩瀬 良三君                 海老原義彦君                 木村  仁君                 武見 敬三君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 小林  元君                 小宮山洋子君                 角田 義一君                 長谷川 清君                 松前 達郎君                 加藤 修一君                 益田 洋介君                 小泉 親司君                 富樫 練三君                 梶原 敬義君                 阿曽田 清君                 田名部匡省君                 石井 一二君    内閣官房長官        内閣官房長官  松谷蒼一郎君    政務次官        法務政務次官   山本 有二君        外務政務次官   山本 一太君        文部政務次官   河村 建夫君        厚生政務次官   大野由利子君        建設政務次官   岸田 文雄君        防衛政務次官   依田 智治君        科学技術政務次        官        斉藤 鉄夫君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    政府参考人        警察庁長官    田中 節夫君        警察庁長官官房        長        石川 重明君        警察庁生活安全        局長       黒澤 正和君        警察庁刑事局長  林  則清君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        科学技術庁研究        開発局長     池田  要君        法務省刑事局長  古田 佑紀君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        労働省労働基準        局長       野寺 康幸君        建設省道路局長  大石 久和君    参考人        首都高速道路公        団理事      小鷲  茂君        阪神高速道路公        団理事      有川 正治君        労働福祉事業団        理事長      若林 之矩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 〇政府参考人出席要求に関する件 〇参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関  する調査  (最近の行政監察活動実績概要に関する件)  (警察行政に関する問題に関する件)     ─────────────
  2. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二月二十一日、海野義孝君、鶴保庸介君、和田洋子君及び小川敏夫君が委員辞任され、その補欠として加藤修一君、阿曽田清君、小林元君及び小宮山洋子君が選任されました。     ─────────────
  3. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事岩井國臣君を指名いたします。     ─────────────
  5. 浜田卓二郎

  6. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会首都高速道路公団理事小鷲茂君、阪神高速道路公団理事有川正治君及び労働福祉事業団理事長若林之矩君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 次に、行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は、既に総務庁及び警察庁からそれぞれ説明を聴取いたしております最近の行政監察活動実績概要に関する件及び警察行政に関する問題に関する件について質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 脇雅史

    脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。  私は、きょうは高速道路に関する行政監察につきまして建設省関係公団の御意見をお聞きしたいと思いますが、質問に入ります前に一言申し上げておきたいわけであります。  最近の予算委員会、その他マスコミの論調を見ておりますと、我が国公共事業は極めて過大であるといった論調が多く見られます。ばらまきである、従来型の不必要な公共事業を相変わらず続けていると。これをこのままうのみにいたしますと大変なことでございまして、もし仮に何分の一かこれが真実だとしても国としては極めてむだなことをしているわけで、必要なものを進めていかなければいけない仕事がたくさんあるわけですから、ぜひとも要らない仕事はきっちりと見分けてやめさせる努力をもしあるとすればしなければいけないと思うわけでありまして、ばらまきばらまき総論で言っておりましてもしようがないわけですから、これは委員皆様方にも行政監視委員会皆様方としてお願いを申し上げておきたいわけであります。  人の選挙区はともかく、自分の選挙区ではよく見ていただいて、要らない仕事をどんどんリストアップしていただきたい。もちろん、どの仕事も全員が賛成なんということはあり得ませんから、何人かは賛成、何人かは反対ということでございましょうが、中身をじっくりと見きわめて、要らない仕事はこの委員会の名においてもやめさせるべきだ、総論はもう結構ですから各論でぜひとも幾つか挙げてしかるべき場で議論をさせていただきたいとお願いを申し上げておきます。  さてそこで、道路の問題でございます。  平成九年八月から十一月まで首都高速道路公団阪神高速道路公団監察が行われました。平成十一年八月三日に勧告が出されております。  勧告中身を見せていただきますと、非常にわかりやすく両公団中身について資料もおつくりになって、いい勧告が出されているというふうに私は認識をいたします。  しかしながら、この道路の問題は、両公団がうまく経営がいっている、順調に仕事が進んでいる、それだけで道路整備が進むというものではないと思うんです。ここは道路全体で、有料ではない無料ネットワークも含めまして、有料無料のトータルのネットワークとしてどれだけの道路をどうつくっていくんだという道路行政の大きな立場がないと、いわば公団はその手となり足となって実行をしていく部隊でありますから、そこだけがよくてもうまくいくというものではございません。ぜひともその裏にあるものをしっかりと見きわめていかなければいけないと思うわけでありまして、まさに木を見て森を見ずということにならないように、道路全般の動きについて少しお聞きをしたいと思います。  そこで、最初の質問でございますが、首都圏近畿圏はそれぞれ非常に多くの道路需要交通需要を抱えた地域でありますが、これまでに有料無料ネットワークをどのように進められてきたのか、そしてこれからどんな整備を進めていかなければいけないのか。これまでの成果といいましょうか評価といいましょうか、そういったこと、さらに先の見通しについてお願いをいたします。
  11. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 首都圏近畿圏幹線道路等整備状況についてお尋ねでございます。  首都圏近畿圏のような大都市圏におきましては、交通渋滞の緩和や環境の保全など、国民生活の向上、社会経済活動効率化を図るために、都市生活を根幹から支える一般道路整備のみならず、大量の高速交通需要を処理するのに最も効果的な自動車専用道路整備により都市機能の増進を図ることが重要であると認識いたしております。  ところが、現在の都市圏におきます自動車専用道路整備状況で申しますと、首都圏では五六%、近畿圏では五五%にとどまっており、特に首都圏では放射道路整備が九〇%であるのに対し、環状道路整備がまだ二〇%にとどまっております。そのため、現在、首都圏においては自動車専用道路として三環状放射整備する方針で取り組んでおりまして、また近畿圏におきましては京阪神地域都市間及び大阪湾岸地域の連携を図るネットワーク整備する方針で取り組んでいるところであります。その整備に当たりましては、限られた財源の中で自動車専用道路早期完成を図るため、有料道路制度を活用してきたところであります。  今後とも、地域皆様方の御理解を得ながら、おくれております環状道路等整備中心首都圏近畿圏自動車専用道路ネットワーク一般道路整備とあわせて取り組んでまいりたいと考えております。
  12. 脇雅史

    脇雅史君 まだまだやり残した道路といいましょうか、やらなければならない道路環状道路中心として数多くあるということのようでありますが、石原都知事就任早々外郭環状道路をごらんになって、早くやらなければいけないといったようなことを言われたようであります。  いずれにいたしましても、これらの道路有料道路制度のもとで実施していくとなりますと、いずれは料金値上げの問題が出てくるのではないか。利用者は、道路は要るけれども料金は払いたくない、これはもう当たり前の話でありますが、であれば道路はつくれないということになってしまいますので、できてから値上げを言っても遅いのでありまして、その辺についてやっぱりきっちりとした見通しが要ると思うんですね。  仮に、今、首都高速道路公団が新たにつくる道路をやめますと、極めて効率のよい公団になりまして、もう本当に超優良企業ということになってしまうわけでありますが、もともと借金をして後で利用者お金でそれを返すという、そういう建前で仕事をしているわけであります。  その仕掛けがこれからつくる道路は少し難しくなってきているのではないかなと。多分、何年か先に阪高なり首都高なり値上げをするというときに、毎回もめておりますが、値上げは嫌だという声が起きるのは必定だと思うんですが、その辺について、有料道路首都圏関西圏について、これまでの制度でいいのかどうか、見通しをお伺いしたいと思います。
  13. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 今後、首都圏近畿圏で重点的に整備を進めることとなります環状道路等は、土地利用等の調整や沿道環境対策の要請から、地下構造の採用や用地取得に多額の事業費が見込まれておりまして、その採算性確保は重要な課題となっているところであります。  このため、各公団整備する道路につきまして、一つには公的助成を強化する、拡充するという観点から国費による助成を強化しているところでございますし、また世代間の公平性観点から償還期間を四十年から五十年に延長するなど、適正な料金水準のもとで採算性確保しながら早期整備が進められるよう所要の措置を講じてきたところであります。  しかし、いまだ着手されておりません例えば東京の外郭環状道路西側区間首都高速中央環状線品川線など計画路線整備手法につきましては、現在のスキームだけで対応できるかどうか若干不明な点もございますので、現在道路審議会有料道路制度あり方や高規格幹線道路網整備あり方を御議論いただいているところでございまして、建設省といたしましては、この審議会検討を踏まえ、具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。
  14. 脇雅史

    脇雅史君 もちろん、有識者による検討は大事なことでありますから進めていただきたいわけでありますが、何よりも大事なことは、有料道路道路ネットワークというのはその地域の人間にとって要るのか要らないのか本当に大事な問題ですから、そういったいろんな国民の方といいましょうか住民方々といいましょうか、合意形成をどういうふうにしていくのか。  吉野川の可動堰ではありませんが、あれはまさに必要なものでも要らないと言われているように私は認識をいたしておりますが、道路につきましても本当に要るんだ、お金を払ってでも欲しい道路なんだ、いろんな方がもちろんおられますが、その辺の民意の合意形成ということについて、これからは本当に、専門家方々だけで決めるのではなくて、しかるべき手続をとって決めていかないと、やることになっても実質的には進まないということが現実の問題として起こると思うんですね。  その辺につきまして、そういう合意形成をどうとっていくのかということについて、お考えがありますでしょうか。
  15. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 先生指摘のように、特に有料道路ネットワーク整備ということになりますと、料金をいただく道路整備するわけでございますので、これを円滑に整備していくためには住民国民理解がぜひとも必要でございます。  ネットワーク必要性一般で申しますと、例えば私たち現在進めております道路整備五カ年計画をつくらせていただく際に、広く国民意見を聞かせていただこうということで、これは耳なれない言葉でございますが、パブリックインボルブメント方式というアメリカで主として取り入れられております方法を導入いたしまして、五カ年計画のキックオフ・レポートにつきましては、十三万人の方々から御意見をお伺いして、今後整備することとなるネットワーク必要性についてPRし、御理解を求めたところでございます。  今後、大都市圏建設いたします有料道路は、環境への配慮あるいは用地補償費等の多額な事業費が必要でございます。有料道路制度を今後とも活用せざるを得ないわけでございますが、その採算性確保につきましては必ずしも楽観できる状況にはございません。  したがいまして、料金をいただくこととなる道路として今後整備する必要がある例えば関越から東名間の外郭環状道路等につきましては、これまで地元区市を中心パンフレットの配布や連絡会開催等外環必要性について情報提供をするとともに、インターネット専用ダイヤル等も活用いたしまして意向の把握を行ってまいりましたし、またこの外郭環状道路はこの効果や影響が極めて広範囲に及ぶことから、直接的に影響を受ける地域方々以外の方々からも多くの意見をいただくことといたしております。  こういう努力を通じまして、引き続き有料制を原則としていく必要性や、あるいは大都市圏自動車専用道路網整備必要性について、わかりやすい形で国民利用者方々から広範囲な理解が得られるよう努力していきたいと考えております。
  16. 脇雅史

    脇雅史君 まさに言われていることは非常にあるべき方向で正しいことだと思うんですが、ぜひともそれを実際の場で生かしていただきたいというふうに思います。  特に、有料道路につきましてはお金を将来利用する人が負担していくわけですから、その手法とともに全体像を明らかにして合意を得ていく努力をしていただきたいと思うんですが、やはり一番大事なことは、両公団についても実際どうなっているんだろうか。例えば、首都高速道路公団ですと三兆何がしの借入金があって返さなくちゃいけないんですが、三兆円なんというお金は我々庶民にはわからないんです。そんなお金を借りているんだったら大変な赤字公団だ、とんでもない公団じゃないだろうかという話に思ってしまうんですが、もともと仕掛けとして、道路をつくるお金を借りて道路をつくっているわけですから、当然健全な仕事をしていれば借金はうんとふえて当たり前なんですね。  問題はそれが返せるかどうかだけなわけでありますが、そういったことについてなかなか実態が御理解いただけないのが今の状態だと思うんです。  特に、今回行政監察局でおつくりになった説明資料一般に出回っているのかどうかわかりませんが、ある意味では非常にわかりやすいと思うんですが、両公団も、仕掛けから始まってどういう仕掛けで、どういう仕組み道路事業をやっているのか、今危ないのか危なくないのか、将来に向けてどうなのかということについてぜひとも情報公開していただくようにお願いをしたいわけでありますが、その辺につきましてどんな対応をされているのでしょうか。
  17. 有川正治

    参考人有川正治君) ただいまの御質問に対してでございますが、阪神公団におきます経営内容等に係ります情報公開につきましては、公団法第三十四条、この規定に基づきまして財務諸表を毎年八月末に官報公告いたしますとともに、財務諸表、それから附属明細書事業報告書、それから決算報告書等、これらを公団の各事務所で一般の閲覧に供しているというところでございます。  また、決算及び収支状況につきましては、記者発表の上、インターネットで公表するほか、公団の財務・経営状況につきましてわかりやすく解説しましたパンフレットを作成するなど、情報提供に努めているところでございます。  さらに、中期的な公団経営方針につきましても、五カ年間に達成すべき目標や重点的に実施すべき方策を示す中期業務計画、これのインターネットでの公表を行うとともに、平成十一年の大阪地区及び京都地区基本計画の指示に際しましての将来の料金見通しの開示、こういったことなどにも取り組んでいるところでございます。  阪神高速道路事業の実施に当たりましては、国民皆様に開かれた形で理解を得ながら事業を進めていくということが重要と考えておりますので、今後とも経営内容等情報公開に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  18. 小鷲茂

    参考人(小鷲茂君) 首都高速道路公団実態について申し上げますが、基本的にはただいま阪神公団理事からお話があったようなこととほとんど同一のことを実施いたしている次第でございます。  先生指摘の点は、求められて出すというよりも、より積極的に自主的に経営内容等国民皆様あるいは利用者皆様に御理解いただく努力が必要ではないか、こういう趣旨だと思いますので、今後ともいろいろな機会をとらえて、あるいはいろいろな方法を新しく生み出すなどいたしまして、我々が行っております事業内容、さらにその基本となっております料金仕組みでありますとか、そういったことも含めて幅広く経営内容を御理解いただくような努力を続けてまいりたいと思っております。
  19. 脇雅史

    脇雅史君 ぜひとも御努力をいただきたいというふうに思います。  先ほども申し上げましたが、よく言われますように、大変な借金をしていると大変なことだと、我が国全体が今六百兆円を超える大変な借金をしているというわけでありますが、借金だけに着目して大変だ大変だと言うのは少しフェアではないのでありまして、子孫借金を残すというけれども、借金だけ残したらこれは大変なことですが、それに見合う資産を残せば必ずしも借金を残したことにはならないんですね。お金を借りてでも必要なものを物として子孫に渡してやるということになれば、これは極めて合理的な手法にもなるわけです、先ほど来申し上げておりますように両公団お金を借りて仕事をして物にかえて、道路にかえて引き継いでいっているわけでありますから。  問題は、じゃ今どれだけ返すべきお金が残っていて、資産はどれだけあるのか。なかなか公共的な財産資産が何ぼあるかというのは言いにくいわけで、例えば莫大な道路用地用地として公団は持っているわけですからそれだけでも売れば大変な財産なんですが、道路である以上売れませんから、なかなかそういったところの資産価値は難しいわけでありますが、いろんな手法はあるにいたしましても、大ざっぱにどれだけのお金を返さなくちゃいけなくて、今資産はどのくらいあるんだ、どういう効用を持ったものを持っているんだといったようなことは資料がありますでしょうか。
  20. 小鷲茂

    参考人(小鷲茂君) 現在、首都高速道路公団は約二百六十キロの路線を供用いたしておりますが、これを資産価値という点でとらえてみますると、平成十年度の決算書がございますのでこれによりますると、十年度末現在におきまして道路資産といたしまして約四兆二千億、これは過去建設を進めてまいりました際の簿価をそのまま積み上げた数字でございますが、四兆二千億ということになっております。このうち既に一兆二千億元本を償還しておる、こういう計算になっております。ここ数年で言いますると毎年約六百億を超える額を元本償還しておる、こういう計算になっているわけでございます。  したがいまして、差し引きいたしますると残っております今後償還を要する費用が約三兆円、こういう状況でございます。これを率に直して言いますると、要償還額全体の二八%を償還している、こういう数字になるわけでございますが、なおまた、現在建設途中のものもございますので、こういうものが供用されまするとその段階で償還額がふえていく、こういうことに相なるわけでございます。  したがいまして、私ども公団といたしましては、あくまでも採算性を維持するという観点から建設費、管理費両面にわたるコストの縮減に鋭意努力するといったような経営努力を重ねまして、確実な償還を期してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  なおまた、二百六十キロと申し上げましたけれども、この路線に現在一日当たり百十六万台の車が通っております。人間の数にいたしますると二百万人の人が通っているわけでございますけれども、これは首都圏全体の貨物輸送量の約四割を私どもの首都高速道路が担っておるという、こういう実態になっております。  御案内と思いますが、東京二十三区の自動車交通の中で首都公団が占める比率、いろいろな指標はございますけれども、単純に延長で言いますると約一三%という数字になっておりますけれども、実際の走行量はその二倍になっております。さらに輸送量に換算しますると三倍ということでございまして、今や首都圏の経済あるいは日常生活に欠かせない基幹道路になっているのではないかというふうに考える次第でございます。  なおまた、多少細かい話になって恐縮でございますが、過去、昭和五十八年から平成九年までの一般街路と高速道路道路交通の状況を比較いたしてみますると、東京二十三区内について見ますると一般街路、一般道路の走行台キロの伸びは〇・九六と減少いたしているわけでございます。これは一般道路の容量がもう満杯になっているということを示しているんじゃないかというふうに思いますが、これに対しまして私ども首都公団の、これも二十三区内でございますが、交通量は一・六三倍というふうに増加をいたしております。この間、若干新設路線の供用もございますけれども、それにいたしましても傾向としてはかなり上昇を示しておる、こういう実態でございます。こういう数字を見ますると、二十三区内で増加をしております交通のほとんどが首都高に来ておる、こういう実態になっているのではないかというふうに思うわけでございます。  この結果、実は相変わらず渋滞が発生いたしておりまして、これを解消するということが大変大事なテーマでございまして、基本的にはネットワークそのものが足りないわけでございますので、先ほど道路局長からもお答えになりましたように、環状線を中心とするネットワーク整備が必要なわけでございますが、このほかにも局所的に車線を拡幅するとか、あるいはジャンクションの形を変えるとかいったような局所的なボトルネック対策が大事でございまして、現在鋭意こういうものの実施に努めているところでございます。  今後とも、いろんな意味で快適で安心できるサービスを図っていくということに全力を尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。
  21. 脇雅史

    脇雅史君 阪高も大体同様なことだろうと推察をいたします。  そこで、今後の例えば首都高有料道路をうまく維持管理していこうと思うと一律料金制度というのが、これは歴史的、技術的な必然であったわけでありますが、少し無理ではないかなと。片や技術的な進歩がございまして、自動料金収受システムができつつありますので、ぜひとも首都高速道路も距離制に直すようなことが必要なのではないかなと。今、長く乗れば七百円で極めて安い道路なんですが、ほんの一区間でも七百円ということですから、本質的な利用の仕方としては一律料金というのは少しおかしなわけで、できれば距離制の方がいいわけですが、その辺の見通しはいかがでございましょうか。
  22. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 現在の首都高速道路は、先生指摘のように、均一料金制度を導入させていただいております。これは、大量の交通を迅速かつ円滑に処理する必要があること、また現在の首都高では出口に料金所を設置することが現実的に困難である等の理由から採用されているところでございますが、道路利用者が利用の程度に応じて建設費や管理費を負担するという公平負担の観点からは現在の均一料金制は見直すべきではないかという御意見があることも事実でございます。  近年、ETCと呼ばれる自動料金収受システムの技術が開発されてまいりました。いよいよ実用段階に入ろうといたしておりますが、こういった技術が普及いたしますと、利用者のニーズに対応した弾力的な料金設定を行うことも可能となるわけでございます。  建設省といたしましては、今後、都市高速の料金体系のあり方について、ETCの普及状況を見きわめつつ、利用者の負担の公平の観点公団の採算に与える影響等も踏まえながら総合的に検討してまいりたいと考えております。
  23. 脇雅史

    脇雅史君 そこで、こういう制度を導入するときに、なかなかいつも権力的に進めるということが難しいといったような遠慮もありまして、一部の人はいいけれども、それまでに車載機が入れられない人は従来どおりお金を払ってもいいよという必ず抜け穴を残すようなことがあるんですが、この場合はかなり思い切って、ない人は首都高に乗ってくれなくていいですというような格好で進めないと全体のシステムが非常に効率が悪くなると思いますので余りそういうことはやらないかもしれませんが、免許がない人は車を運転できないのと同じように、きちっとした法制度のもとに進めていった方がいいのではないかなというふうに私は思っておりますので、ぜひともその辺を御検討いただきたいと思います。  時間が参りましたので、これで終わります。
  24. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 自民党の岩瀬でございます。  私からは警察問題について御質問いたしたいと思っております。  去る一月二十八日、新潟県の事件でございますが、女性が発見されて以来いろいろなことが起こりました。概括的に申し上げますと、虚偽発表の問題とか県警本部長の動きだとか、関東管区警察局長の行動、また、そういうことからか、特別監察の意義だとか両者の処分問題、また国家公安委員会の問題等々、変化していったわけでございます。私は、行政監視委員会の立場から御質問したいと思いますけれども、どうもこれらの問題について対応が後手後手になったり、不適切な対応になったというような感が否めないものがあるわけでございます。私も何人も現場の警察官の方を存じておりまして、一生懸命やっておることはもう十分承知しておるだけに極めて残念な話であるわけでございます。  まず最初でございますが、こういう中で三月四日、土曜日でしたか、緊急の本部長会議が開かれたそうでございますけれども、この本部長会議におきまして何を話し、何を指示されたのか、その辺のところからお話しいただきたいと存じます。
  25. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 委員指摘のとおり、新潟県警察をめぐります一連の事案、なかんずく警察本部長と関東管区警察局長の極めて不適切な行動が明らかになったことも踏まえまして、この間、国民の警察に対する不信がかつてなく大きいものになっている、こういう状況下で、警察庁といたしまして、三月四日土曜日に緊急の全国警察本部長会議を開催いたしました。  この会議では、全国の本部長が国民の御批判を真剣に受けとめて、その職責を自覚する、それとともに、国民の警察に対する切実な御要望というものに思いをいたして、着実にこれにこたえていくようにというような観点でこの徹底を図ったものでございます。具体的には、本部長が警察の幹部としての身の処し方をみずからの姿勢で示して職員に率先垂範すべきこと、国民が要望しておられる安心して暮らせる空間を確保するために困り事相談業務の強化等を推進すること等について指示、協議を行いました。  警察庁といたしましても、こうした状況が続いているということを重く受けとめておりまして、本部長の任命に当たりましてその適格性を厳格に見きわめる方策を検討するといったような抜本的な検討を行いまして、部外の有識者等の御意見も参考にしながら人事・教育制度検討等を進めていくということをこの会議において明らかにしたところでございます。  また、会議におきましては、国家公安委員長委員も参加をされまして、警察庁幹部と全国警察本部長が四つのグループに分かれまして、本部長としての重要事案の認識、その際の身の処し方、あるいは現在全国警察が行っております不祥事案の防止対策のさらなる浸透方策、あるいは先ほど申しました国民生活の安全を守るための施策等について真剣な協議を行ったところでございます。  参加者につきましては、現在警察がいわば危機的な状況に置かれているということ、それから不祥事案防止対策や国民のための警察活動の推進を第一線までに浸透させる必要があるとその重要性について共通認識を得たというふうに承知をしております。
  26. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 今、緊急な本部長会議でのいろいろな示達をお聞きしますと、かなり問題点を整理されてこの警察の今の危機的状況に対応していくというような姿勢がうかがえるわけで、ぜひそういう方向でひとつお願いしたいと思うわけでございます。  ただ、そういう中で若干いろいろな問題についてお聞きしたいというふうに思います。  まず、特別監察の点でございます。  特別と銘打っているわけでございますので通常の監察とは違ったものだろうというふうに思うわけでございますが、神奈川県を初めとしましての不祥事件、昨年来の問題、こういうことについて特別監察というようなことであろうかと思いますけれども、この特別監察の意図、実施状況と申しますか、そういう点についてちょっとお話をいただきたいというふうに思うわけでございます。
  27. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 特別監察でございますが、神奈川県警察を初め全国警察で昨年来不祥事案が発生をいたしました。そのことを踏まえまして、昨年の十二月以降、全国警察における不祥事案対策の推進状況を検証する、そして監察において必要な指導を行うということを目的といたしまして警察庁と各管区警察局が全都道府県警察を対象に実施をしているものでございます。  具体的な実施方法といたしましては、監察体制をどのように強化しているか、あるいはそれぞれの県警察におきましても警察署等に特別監察を実施しておりますが、その実施状況、それから公安委員会に対する適切な報告の徹底状況、幹部教育、職務倫理教育の実施状況、それから業務管理の徹底状況といったような監察項目につきまして各都道府県警察の幹部に対して質疑を行う、必要な場合には資料の提出、提示を求めてさらに改善を要すべき事項につきまして指導、指摘を行っている、こういうものでございます。  きょう現在、警察庁におきまして八道府県、管区警察局におきまして三十三県の計四十一道府県につきまして実施済みでございます。
  28. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 かなりの都道府県で終わってきておるわけでございますけれども、襟を正すべき特別監察であったわけでございます。  監察の相手と好ましくない行為を行っておったというようなことが一つの発端であろうかと思うわけでございますけれども、こういうのは言うならば特殊、例外だろうというふうに私は思うんですけれども、ほかの大部分の都道府県で監察が行われておるわけですが、その中において好ましくない事例というのがほかにあるのかどうか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  29. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 先ほど申しましたように、既に四十一の道府県警察に対して実施をしておるわけでございますが、全国的に見ますと、各警察本部における監察とともに、警察署に対する抜き打ち的な監察を実施いたしましたり、あるいは監察現場で不祥事案対策について改善を要する点について具体的な指導を行っているというようなことで、基本的にこの監察は厳正に実施をされているというふうに認識をしております。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕  ただ、管区の特別監察終了後に、監察担当官と警察本部長が入庁同期であるといったような個人的なつき合いから、駅などで会食をしたという事例が二例把握されております。しかしながら、この新潟県警察に対する特別監察の際のように、状況をわきまえずに極めて不適切、不見識な幹部の遊興等の行動があって警察に対する国民の信頼を大きく損なったといったような事例はほかにはないというふうに承知をしております。
  30. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 特別監察をやられたわけでございますけれども、特別監察の各県の実行状況と申しましょうか、監察をする前からそういうことは恐らく方針でもっていろんなことを是正しなさいということになっているんだろうというふうに思うわけでございます。  いろんな項目がありますから全部ということではないんですが、要約していただきたいんですけれども、こういうような不祥事案関係ということで限ってみました場合の各都道府県の実施状況といいましょうか推進状況といいましょうか、そういう点はいかがでございましょうか。
  31. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 各県の不祥事案対策への取り組み状況でございますが、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、監察担当官を増員しておる、あるいは不祥事案が発生した場合に調査あるいは捜査を担当する特別調査班あるいは捜査班を設置するといったようなことで、各県とも監察体制の充実強化が図られているというふうに考えております。  それから、幹部教育の点につきまして、画一的なものを避けるということで、部外の有識者を招致して教育をしていただく、あるいは職務倫理教育におきまして参加意識を高めるといった観点から集団討論を実施するといったようなことでこの徹底を図るための教育の方法の見直しなども図られておるわけでございまして、全般的に見るとそれぞれの県が組織的にこの問題に取り組んでいるというふうに考えております。  ただ、特別監察の実施後にもその県において不祥事案が発生しているという例も散見されるわけでございまして、この不祥事案対策の趣旨が警察職員の一人一人にまで徹底しているかどうかという点については、特別監察において改善を要すべき点というふうに指摘をしたことのその後の改善状況といったものともあわせまして、今後さらに検証をしていく必要がある、そういう意味で都道府県警察を指導していく必要がある、このように考えておるところでございます。
  32. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 特別監察の点から都道府県警察の監察室、いろいろ名称はあるのかもしれませんけれども、監察室の点についても当然もう触れられてきておるわけでございますけれども、都道府県警察の監察室、監察官と申しましょうか、この方については、大体は警察内部の人、こういう方がなっておられる。大体でなくて今のところはそういう方がなっておられる。しかも、警察官として年輩の方、ある意味ではいろんな経験を経た人でないとそういうことができないわけなので一概に年輩の人がいい悪いということは申し上げませんけれども、そういう経験を持った人が非常に多いわけでございます。言うならば、逆に言うとかなりの年輩の人になってきているのではないかと。  ということになってきますと、自分のみずから歩いた道でもあるだろうし、いろいろなおつき合いの点もあるだろうし、いろいろ関係が出てくるんじゃないかと思うんですけれども、こういう点について、監察官室のあり方と申しましょうか、まずこれで監察というものがなされるのかなとちょっと我々は思うわけでございます。そういう点についてはいかがでございましょうか。
  33. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 委員指摘のように、さきの神奈川県警察の事案について申しますと、あの事案につきましては幹部の誤った認識、判断があって監察が本来の機能を正常に果たさなかったということがございました。そして、それが大きな問題となったのも事実でございます。  それでは、監察官室が今どういう形で動いているかということで申しますと、各都道府県警察には監察課とか監察官室が設置をされておりまして、そこで監察官以下の担当者が監察業務を行っておる。やはり警察業務に通暁した担当者によって速やかに全容を解明して所要の厳正な処分を行う、あるいは刑罰法令に触れる場合には捜査を引き継いできちっとした事件処理を行うということで、厳正な対処をすることを基本方針としているわけでございます。  確かに、部内監察であるといった点についていろいろな御意見があるということを私どもも承知をしておるわけでございますが、今申し上げましたような理由、あるいは監察の過程において関係者のプライバシーの保護あるいは職務上の秘密の保持というものに特に配慮をする必要があるといったようなこと、それから非違行為や不適切な事務執行については部内の業務のチェックの段階で把握されることが多いといったようなこともございまして、これを部内でない部外に人を求めるとか、いろいろな考え方があろうかと思いますが、その点についてはなお慎重に検討する必要があるんじゃないか、今の監察体制を強化し、充実し、厳正に行うといったことを主眼として対応していくべきではないか、このように考えている次第でございます。
  34. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 もちろん、警察業務でありますので第三者が立ち入ってはまずい点も多々あろうかと思うわけでございます。ただ、そのほか一般的な事柄については、これはやはり警察といえども県民なり都民なりの御意見というのもまた伺う点が必要であろうかと思うわけで、なかなかそういう話が出る機会というのは少ないのではないか。そういう意味で、監察制度はその中の一つの有効な手段じゃないかと思うわけなので、そういう点についてひとつまた御検討をいただきたいというふうに思っているわけでございます。  それから、国家公安委員会、また都道府県公安委員会も入りますけれども、公安委員会のことについてお聞きしたいと思うわけでございます。  我々思いまして、国民の人は、国家公安委員長という立場にあれば警察の最高の人、こういうふうに思うわけでございますし、公安委員会の皆さんはその中でいろいろな警察のことを決めていく、そういう部署だろう、こういうふうに思うわけでございます。いろいろな法律上の制約というのがあるわけで、それをそのままストレートにやることはちょっと法律上問題があろうかと思いますけれども、国民の感情としてはそういう気持ちがあるということは事実であろうかと思います。  きょうはおいでいただいておりませんけれども、公安委員長なり公安委員の方、また警察本部長、警察庁長官、これは別にしまして、それぞれの委員の方は新聞で見ますとそれぞれ個人的には悔しい思いをしているというようなことを言っておられるわけで、そこの個人的な考え方との乖離があろうというふうには思うわけでございますけれども、公安委員会の権限なり任務なりというのは、法律上書いてございますけれども、簡単に申し上げますとどういうことか、ちょっとそこら辺を言っていただきたいと思います。
  35. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 委員もう既に御案内のことでございますが、国家公安委員会国民の良識を代表する方々が警察を管理するということによって警察行政の民主的保障と政治的中立性を確保するということをその役割としておるわけでございまして、国務大臣たる国家公安委員会委員長と五人の公安委員から構成をされる合議体の機関でございます。  その任務と権限は警察法第五条に規定されておりまして、国家公安委員会は国全体の安全にかかわるもの、国がみずからの判断と責任において行うべき国の公安に係る警察運営をつかさどるという任務が一つございます。二つ目には警察教養、教養というのは教育でございますが、通信、犯罪鑑識、装備などの警察活動の基盤になるものについて、これを統一的に行うことが能率的にも運営上からも妥当な事項について中央において統括をする、こういう業務。それから三番目に、警察職員の活動の基準等を定めて、そのほか警察行政全般について国家的ないしは全国的な見地から調整を行うという、この三つの任務でございます。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕  こうした事柄につきまして、国家公安委員会は大綱方針を定めて、その大綱方針に即して警察運営が行われるように警察庁を管理するということが一つの任務でありまして、その他法律の規定に基づきその権限に属せられた事務、例えば警察庁長官や警察本部長等の任免等の事務をみずからの責任においてつかさどる、こういう任務と権限の関係になってございます。
  36. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 国家公安委員会といえどもいろいろな判断をすることが必要になる場合があるかと思いますが、大体国家公安委員会は、都道府県公安委員会もそうですけれども、議案的なことで出されたものは恐らく十分な資料があってそれで判断していると思うんです。  私が思うには、一番問題なのは報告事項じゃないかと思うんです。報告事項だと義務がないわけですから、今回の新潟事件ということだけじゃなくて、一般的な報告事項だと、どこまで報告するか、またはそれをカットするかというのはやはり事務局の判断になってくる。そうしますと、受ける方は情報が十分得られないままいろんな判断をするというようなことがあるのではないか。一番報告事項が問題じゃないかと。これは各県公安委員会でもそうだと思うんです。  そういう点で、これは公安委員の方にお聞きした方がいいと思うんですけれども、官房長としておわかりの範囲で、報告事項はどの程度なされているのか、その点はどうでしょうか。
  37. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 国家公安委員会には所管法令案、それから人事案件、重要施策等の決裁事項あるいは重要な事件事故、こういったものについて報告等を提出しておるわけでございます。定例会一回当たりにその件数は十数件程度となっております。  この報告の内容につきましては、先般開設されました国家公安委員会のホームページに掲載をされている、こういう状況でございます。
  38. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 ホームページまで出していろいろ今知らしめているということのようでございますので、できるだけ情報公開、そういうものでもってやっていただければというふうに思うわけでございます。  公安委員長なりのお立場というのはいろいろあろうかと思いますが、私が思うには、やはり昔の特高警察、こういう反省から警察の中立性が非常に言われておるわけなんで、そういう意味で政治的な問題からは離れた形でこれをやっていかなければならないんじゃないかというふうに私は今の制度を支持しているわけでございますけれども、それとともにもう一つは、国民の代表という点もあるんじゃないかというのがその中にあるわけでございまして、代表としての意見というのもその中に入れるような形、こういうのも持ち合わせていいんじゃないか、政治的な問題、また内閣の一員というようなことでなくて、あくまでもそこは政治的な中立性を保っていただくということで頑張っていただくということのほかに、そういう代表というような点もお考えいただいてもいいんじゃないかな、これはお答えは要りません、私の考えでございます。  そういう中で、ちょっと時間がなくなってきましたので、公安委員会の点もう少しあれしたいと思いましたけれども、ちょっと先の方へ飛ばさせていただいて、今回の事件で私が一番思ったのは、これは教育の問題にもあるわけなんですけれども、家の中へ引きこもってしまう、そういうことで外部と遮断した形でいろんなことが起こってきているというふうに思うわけでございます。私は、こういう引きこもりは暴力を伴うのかなというふうに思っておったんですけれども、お医者様の見解を聞きますと、引きこもりについてはそのお医者様は経験では暴力を伴うものはないよと、こういうような話なので私も常識的な考えがちょっとおかしくなったわけですけれども。  いずれにしても、家庭内の暴力というのは非常に問題があるし、解決の方法が非常に深刻なわけでございます。どこへ行っても家庭内のことだからというようなことでなかなか相談にならない。殊に、老夫婦と申しましょうか、この場合はお母さんだけだったんですが、年をとってくると腕力的にはやりようがなくなってしまうわけなんですね。  こういう場合に、まず何とかそれから離すことが一つ、または治療することが一つなんだろうと思うわけでございまして、必ずしも全部が警察の所管だというふうには思っておらないわけですけれども、そういう暴力的な行為については警察の方も生活相談という考えでこれの相談に乗ってあげることが必要なんじゃないかと思うんですけれども、この点いかがでございましょうか。
  39. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) 委員指摘のような問題がございまして、警察は、御案内のとおり、国民の生命、身体及び財産の保護等を任務といたしておるわけでございます。したがいまして、犯罪等による被害に遭った者はもとより、その不安を訴える者からの相談等を受けた場合におきましては、たとえ家庭内におけるものでございましても、刑罰法令に抵触する事案につきましてはやはり迅速かつ的確な捜査等を行うことが必要でございますし、また刑罰法令に抵触しない事案につきましても、個々の事案に応じまして、ケース・バイ・ケースかと思いますが、適切な措置を講じまして犯罪等による被害の未然防止に努めることが必要であると考えておるところでございます。  このような観点から、先週土曜日にも開催されました緊急の全国警察本部長会議におきましても、都道府県警察に対しましてこの種の問題につきまして積極的に適切な対応を徹底するように指示したところでございます。
  40. 岩瀬良三

    岩瀬良三君 時間が来ましたので、これで終わります。  ただ、法務省の方の質疑お願いしておいて、ちょっと時間がなくなりまして恐縮でございます。  終わります。
  41. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 民主党・新緑風会を代表いたしまして、警察行政に関することで質問をさせていただきます。  まず、田中長官に伺いたいと思いますが、一連の神奈川県警を初め不祥事が続発をしています。ある日の新聞の社会面などを見ますと、半分以上が警察の不祥事の記事です。  新潟の女性監禁事件の対応をもとに、これからどうすればいいかを中心に伺いたいと思いますが、まず神奈川県警の覚せい剤もみ消しや集団暴行事件など、また京都府警の容疑者自殺、北海道警前署長がわいせつ容疑で事情聴取中に自殺、あるいは岡山西署の警察官が交通事故処理に絡み再三違反点数を軽減する調書を作成したとして懲戒免職になった事件など、挙げれば切りがありません。そのたびに言語道断、信頼回復に教育の徹底をと言われていますが、これだけありますと組織全体の根本的な問題としか言いようがないと思います。  まず最初に、この一連の不祥事についてどのように考えておいでになるか、簡潔明瞭にお答えいただきたいと思います。
  42. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 昨年の神奈川県におきますところの不祥事案初め一連の不祥事案が起きましてから、私どもは再発防止対策に懸命の努力を続けてまいりました。いろんな施策を打ち出してまいりましたし、また、私、一月十一日に長官を拝命いたしまして、その就任時にも全国の警察官にこの不祥事再発防止につきまして指示したところでございます。  しかしながら、今、委員指摘のように、この私どもの気持ち、心が一線の隅々まで浸透していないということのためか、その後も不祥事案が多発しておりますことはまことに残念でありますし、また今回の、お話がございましたように、特に新潟の事件のように最高幹部が関与していることはまことに残念でございまして、私の力の足らなさというものを感じておるところでございますけれども、こういう反省事項もまた一つの大きな教訓事項として組織の先頭に立って再発防止対策に取り組んでまいりたい、渾身の力を振り絞ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  43. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 法務省からも政務次官においでいただいていますが、京都府警の小学校二年生の男の子殺害事件の容疑者が自殺したことにつきまして、任意同行のやり方などいろいろ問題が指摘されています。  二月九日に京都府警の一連の捜査手続に問題がなかったかどうか地検が捜査を開始したと伺っていますが、どういう理由で開始されて、今どのようになっているのか伺いたいと思います。
  44. 山本有二

    政務次官山本有二君) 御指摘のような報道があったことは承知しておりますけれども、御指摘の事件は被疑者の自殺により終了しておりまして、京都地検の説明を求めましたならば、京都地検いわく、捜査のあり方について検証をし今後の教訓とする趣旨でさきの事件の報道になったというように言っておりまして、あくまでも今後の教訓とするための調査というように認識しているようでございます。
  45. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 その調査というのは、検察官は司法警察職員に対し捜査に関して指示や指揮ができるという刑事訴訟法の規定に基づいて調査が行われたのではないかと思いますが、教訓としてというだけで、それで終わってしまうものなんでしょうか。  それともう一点、新潟県警のいろいろな捜査の不備、それからうその発表、こうしたことについて地検が動かれるということはないのでしょうか。あわせてお答えください。
  46. 山本有二

    政務次官山本有二君) 京都地検の説明は、二月十日夕刻に京都地方検察庁の次席検事が記者会見としてコメントしたものでございまして、教訓の中身を申し上げるならば、監査あるいは適否の調査ではないということでございます。  そして、小宮山さんの御指摘の刑事訴訟法百九十三条の一般的指示あるいは一般的指揮、これらに当たるのではないかという御質問に対しましては、必ずしもこれに当たるものではないが、しかし今後検察行政及び検察庁の持っておる捜査機関としての位置づけ、その上からしっかりした教訓を見出したい、あくまでも教訓を見出したいということでございまして、警察との何らかの指揮、指示、それを意図したものではないということでございます。  そして、次の御質問の新潟の事件でございますが、被害者が発見されるまでの経緯等を含めて十分な捜査を遂げた上、検察において本年三月三日、公判請求したものでございまして、今後公判を通じておのずから明らかになる事実もございます。その上で検察においてこれを別途それ以外に調査する所存はございません。
  47. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 先ほど読み上げましたように、指示、指揮ができるという規定があるわけですので、必要な場合にはしっかりその点を法務省の方としてもやっていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。  次に、警察庁に伺いたいと思います。  まず、この新潟の女性監禁事件ですけれども、どうもその後の特別監察の方に話の中心が行ってしまっていますが、本来この事件自体重大なことなのだと思います。  事件の捜査の不備というのがいろいろ指摘をされております。県警の前歴者リストに容疑者が登録されていなかった、そのこと。それから、四年前に警察に母親から相談に来たのにきちんと対応していない。しかも、五年間保管すべき受理記録が紛失している。そして、今回の女性発見時の出動要請にもきちんと対応していない。おまけにうその記者会見をしている。  こうした一連のことにつきましてもっと早く対応すれば、九年二カ月などという長い状態でなく女性を救出することができたと考えますが、この新潟県警での一連の対応について、警察庁長官はどのようにお考えになっているでしょうか。
  48. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 委員指摘の新潟県警察におきますところの女性監禁事件、長期間にわたり大変痛ましい状態で被害女性が発見されたわけでございます。私どもとしては言葉もないというところが正直な気持ちでございます。国民の生命、身体の保護に任ずる警察といたしまして、重大かつ深刻に受けとめなければならないというふうに考えております。  本事件の取り組みを見ますと、御指摘のように、組織を挙げた捜査にもかかわらずなぜ前歴のある被疑者を捜査線上に浮上させることができなかったか、手口資料としてデータに入っていなかったかということ、それからまた担当地域について実態掌握をしなければならない地域警察機関がなぜ被害女性を発見できなかったか、さらには被疑者の母親が四年前に管轄警察署に被疑者に関し相談をした際、相談したと申しておりますけれども、その件につきましてもなかなか明確でないところがございます。御指摘のように、資料がないということもございます。そういうことを考えますと、もっと早い段階に救出できるチャンスがあったのではないか、一歩踏み込んでいればその被害者女性を早くもっといい状態で救出できたのではないかというふうに私どもは反省をしております。そういう形で問題点はあるというふうに認識しております。  また、御指摘のように、女性発見の際に保健所の職員から管轄警察署に対し臨場するよう依頼があったにもかかわらず迅速に臨場しておりません。このときにも保健所職員から詳しく状況を聞くというような配慮があれば直ちに臨場ができたというふうに思っております。  さらに、女性を発見、保護した際の記者会見におきまして、いろんな配慮があったと思いますけれども、しかしながら事実と異なる発表を行った不適切な対応がありました。極めて遺憾に思っております。  これらの一連の事案は警察への信頼を揺るがしかねないものと認識しておりまして、目下事実関係の調査をさらに進めているところでありますけれども、私どもといたしましては、その調査結果を踏まえながら、反省し教訓とすべき事項につきましては全国都道府県警察に対し徹底し、指導の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、一連の新潟事件につきましては国民皆様に心からおわびを申し上げる次第でございます。
  49. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 そのうその会見についても、配慮をいろいろしたとか、事実と異なるということはうそということですよね。警察の方でうその会見をする、しかもその担当地域で発見できなかったということですが、柏崎署と容疑者の自宅とは六百メートルしか離れていない。それなのになぜできなかったのか。やはり、これは言葉だけで幾ら長官がおっしゃっても国民の方としては納得できないことだというふうに思います。  そしてしかも、神奈川県警の事件を契機に襟を正すために行われているはずの特別監察が新潟で新たな不祥事を起こしているわけですよね。新潟では、監察はほんのわずかの時間で、禁止されているはずの接待の雪見酒とマージャンが目的だったとしか思えないような行動がとられています。  この飲食につきまして、県警あての請求書が出たということですが、それがどこかへ行ってしまっているとか、まだまだこのことについてもいろいろ事実を究明されなければいけない点が多いと思いますけれども、こちらの点についてはどのようにお考えでしょうか。
  50. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 委員指摘のように、この特別監察は昨年来の不祥事案再発防止対策の大きな柱の一つでございました。私どもといたしましては、この大きな柱でありますところの特別監察が行われた当日、監察が終了したとはいえ、監察担当官である前関東管区警察局長と本部長が会食、そしてマージャンをするという警察幹部としてあるまじき行為が行われたこと、まことに遺憾であり、国民に申しわけなく思っております。  そしてまた、その過程でいろんな問題が起きてまいりました。今、委員指摘のような経費負担の問題等もまたあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、現段階では私費で負担したという報告を受けておりますが、その他にも調査すべき事項がございますので、その調査を徹底してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  51. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 自費でやったといいましても、ホテルの方としてはその経費は県警あてに切ったと。だけど、要らないと言われて捨てたという話もありますので、そのあたりの事実関係はしっかり調べていただきたいと思います。  さらに、図書券をかけてマージャンをしたと言われても、だれもそれを信じる人はいないと思います。きちんとそのあたりの事実関係も調べた上で公表をしていただきたいと思います。  そして、各地で、今四十一道府県ということですけれども、特別監察が行われておりますが、聞くところによりますと、かなり短時間のところとか、二カ所と今は言われていますが、禁じられている飲食をともにした例があるとか、ほかの地域での特別監察についてはどのようになっているのか、そこをチェックなさったでしょうか。
  52. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今、委員指摘の特別監察の実施状況でございますが、今までのところ四十一道府県に対して行っております。  その具体的な状況でございますけれども、監察方法等につきましてはそれぞれの道府県警察の実情にかんがみましていろんなやり方があると思っております。大方のところは大体その特別監察の目的を達成しているというふうに考えております。しかし、今お話しのように、茨城、鹿児島県におきまして、監察担当官と本部長が警察庁入庁同期生であったというようなことで、旧交を温める趣旨ということで個人的に会食を行っている事例が見られます。監察自体は厳正に行われたというふうに考えておりますけれども、しかしながら厳正さを疑われるようなそういう行為があったということは極めて遺憾でありまして、私から厳しく注意したところでございます。
  53. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 二月二十九日に新潟県警本部長、関東管区警察局長が引責辞任をいたしましたけれども、県警本部長が減給処分、管区局長は処分なし、これは懲戒免職に値することだと考えますが、そうした国民の声との間にかなりの乖離がある。  この処分についてはどのようにお考えになっていますか。
  54. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今回の新潟県の不祥事案で、新潟県の本部長は国家公安委員会の人事に係るものでございます。関東管区警察局長警察庁長官、私の人事に係るものでございます。  委員指摘のように、この両名に対する行政処分といいますか懲戒処分等の妥当性の御指摘だろうと思いますけれども、私どもといたしましてはこの事案の内容あるいは法令、過去の実例等にかんがみまして判断をしたわけでございます。  特に、中田局長の処分についてのお尋ねかと思いますけれども、これは一連の経緯から私のところに本人が申告をしてまいりました。私といたしましては、全体の状況から見て、あるいは警察の置かれた状況から見て、これは職を辞すべき事案であるというふうに判断をいたしました。  その結果、私の判断といたしましては、職は辞すべきである、いわゆる諭旨免職に相当するものである、懲戒免職に次ぐ重い処分であるというふうな判断をいたしました。しかし、具体的な規律違反につきまして、懲戒処分として問擬するかどうかにつきましては、少なくとも私の判断といたしましては、この中田前局長に対しましては、この職を辞すべき、みずからの役人の生活に終止符を打つべきような内容をみずから申し出たということを判断いたしまして、公務員法に言う処分はしなかったわけでございます。
  55. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 申告してきたのが自首に当たるということだと思いますけれども、どう考えてもこれはやはり身内に甘い処分としか言いようがないのではないかというふうに思います。  そして、田中長官御自身が長官としては初の減給の懲戒処分というのを受けられましたけれども、これは全体に対する指揮が行き渡らなかったということに加えて、私はこの中に管区局長に対する辞職という形にしたという処分のあり方についても含まれているのではないかと思いますが、どのように御自身は考えていらっしゃいますか。
  56. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 委員指摘のように、三月二日、国家公安委員会から私が減給百分の五、一月という懲戒処分を受けました。  懲戒処分の理由でございますけれども、これは関東管区警察局長が新潟県警察に対する特別監察の実施に当たり、監察担当官としての立場をわきまえない行為をしたことに対する監督責任を問うたものというふうに処分理由はなっております。したがいまして、私が処分を受けた者として言うことにつきましてはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、処分の理由はそういうふうになっているということでございます。
  57. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 六万円程度の減給ということだけではとても私は長官の責任に値する処分ではないのではないか、しっかり御自身で責任をおとりになるべきではないかというふうに考えます。  あと、国家公安委員長の責任についても伺いたいところですが、予算委員会と重なっておりましてきょうは委員長にはお見えいただいていません。かわりまして任命権者として官房副長官においでいただいていますが、国家公安委員長を任命した内閣の責任について伺いたいと思います。
  58. 松谷蒼一郎

    内閣官房長官松谷蒼一郎君) 今回の一連の不祥事はまことに遺憾なことでございます。  国家公安委員会委員長の責任についてもさまざまな意見があることは重々承知をしておりますし、内閣におきましても十分そのことについては考慮しているところでありますが、新潟県警本部長に対する懲戒処分等の措置については国家公安委員会におきまして事実と法に基づき事案の重大性を踏まえて対応されたものであると考えております。  国家公安委員会委員長は、警察庁を管理する国家公安委員会を代表する者として、幹部職員を初めとする全警察職員に対し一層厳格な規律の保持を求めるとともに、警察に対する信頼の回復と国民の安全確保に全力を尽くすことがその責務であると認識をしております。
  59. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 何かちょっと文書を読み上げられただけでよくわかりませんでした。  もう一度伺いたいんですけれども、私は保利国家公安委員長がまず責任をとることでスタートをすることではないかと考えておりますが、内閣としては任命権者としてどのようにお考えになっているでしょうか。
  60. 松谷蒼一郎

    内閣官房長官松谷蒼一郎君) ただいま申し上げましたように、国家公安委員会委員長の責任についてはさまざまな意見がございます。そのことは重々承知をしておりますが、これにつきましては事実と法に基づき国家公安委員長としては警察に対する処分を行っているというように考えております。そういう意味におきまして、むしろ国家公安委員長としては今後この警察に対する信頼の回復と国民の安全の確保に十分力を尽くしていくべきではないかというように考えているところでございます。
  61. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 今のままでは十分にその責務を全うするということは私は難しいのではないか、やはりこれは内閣が罷免をなさって新たにスタートをすべきではないかと思いますが、官房副長官に申し上げてもまた文書をお読みになるだけだと思いますので、これで結構でございます。  次に、公安委員会あり方について伺いたいと思います。  警察法の改正、監察指示に権限を与える、不祥事の報告義務などという改正が検討されておりますけれども、この警察法の改正だけで十分だとお考えでしょうか。
  62. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今国会に提出しております警察法の一部改正案でございますが、これは昨年の神奈川県警察におきますところの一連の不祥事案を踏まえまして、その再発防止対策の一つとしてお願いをしているものでございます。  その内容は、委員指摘のような内容でございますが、具体的に申し上げますと公安委員会監察の指示、警察職員の法令違反等の公安委員会への報告の義務づけ及び公安委員会委員の再任の制限に関する規定を設けることを柱とするものでございます。これによりまして、公安委員会の管理機能が強化され、不祥事案の未然防止、事案処理や対応の適正の確保及び警察職員の職務の遂行の適正の確保という点で私どもは相当の前進があるものというふうに考えております。その早期成立につきましてぜひとも御理解を賜りたいというふうに考えております。  しかし、この改正法だけで十分かというお話でございました。  今回の新潟県県警におきますところの不祥事案等を見ますと、改めて幹部職員を初め全警察職員が厳格に規律を保持し、不祥事案の再発防止に全力を尽くす必要があるというふうに考えておるところでございます。この点、私どもといたしましては、国家公安委員会の御指導を得ながら、この国民の警察に対する批判と国民の怒りというものも真剣に受けとめまして、抜本的あるいは基本的な対策に取り組んでいく必要があるというふうに思っております。
  63. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 公安委員会は警察をチェックすることが任務なのだと思います。ところが、自前の職員も事務所もない。国家公安委員会の場合、警察庁委員会の庶務を行っているわけですね。そして、独自の事務所もなく、会議は警察庁の二階奥にある会議室で行われている。もっと独立してしっかりとする必要があると考えます。  また、監察官が警察の身内の方であるという問題、これは、監察官というのは公安委員会のもとにおいて外部の人も登用するということが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  64. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 公安委員会あり方につきまして、私ども管理を受けます警察庁としての答弁につきましてはおのずから限界があるところでございますけれども、国家公安委員会は私ども警察庁が行いますところの警察運営につきまして警察庁の補佐を受けつつ管理するということになっております。両機関、いわば管理機関と運営機関というふうな関係にあるというふうに考えておりますけれども、国家公安委員会は実際の警察の運営に当たるところの警察庁からその運営について報告を徴しまして警察庁に対して必要な指示を行うことができるという意味で大変にその独立性といいますか、その構成から見ましても、あるいはその委員選任の経過から見ましても、独立性は強い、警察を管理するという別の第三者的な要素もあるというふうに私どもは考えておるところでございます。  また、監察のお話がございました。私どもといたしましては、現在の監察あり方につきましてはかなり問題があるという認識の上で今回警察法の改正をお願いしているわけでございます。  独立した監察機関を設けたらどうかというような御意見もあります。私どもの監察につきましては、御承知のように、服務監察と業務監察というのがございますが、委員指摘の方は恐らく服務監察、非違に関する監察だと思います。これにつきましては、職員の非違の把握、あるいはこれが人事と密接に関連する、さらには具体的なケースによりますと、刑罰法理に触れるということになりますと捜査にも発展するというようなこともございまして、私どもは従来から警察の中においてやっておったものでございます。  これが別の機関あるいは別の監察の機関を設けることにつきましては、今申し上げましたような警察の中のいろんな事情あるいは秘匿性を要するものということから考えますと、どのようなものが可能であるのか、必要なのかどうかということにつきましては、これは慎重に検討していただく問題ではなかろうかというふうに思っております。
  65. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 全然、前向きというかやる気のある御答弁ではないように感じます。  そして、新潟県の公安委員会につきましても、今回の事件についてどのような審議をしたのか。二月二十三日に一度開かれて、正確な発表に努めるよう注文したということしか聞いておりません。警察法の中の都道府県公安委員会の規定の中に、「道府県公安委員会は、国家公安委員会に対し、警察本部長の懲戒又は罷免に関し必要な勧告をすることができる。」とありますが、新潟県の公安委員の方はこういうことを御存じであったのではないようです。  新潟県公安委員長の鈴木さんという七十歳の方ですが、「公安委員は素人で、県警からの報告に対して意見を言うのは、おのずから限界がある。外から見れば、警察と公安委員会が一体と見られても仕方がない」と新聞の取材に答えています。「県警本部が事務局として機能しており、公安委員は専門的知識が十分ではない。制度あり方について検討し、改善すべき」だと県の公安委員長がおっしゃっているのですが、こういう声に対してはどういうふうにお答えになりますか。
  66. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 今回の新潟県の一連の不祥事案に関しまして、本部長の任免に関し新潟県公安委員会から国家公安委員会あてにいろいろ御意見があったということは私ども承知はしておりません。  ただ、今お話しのように、国家公安委員会も含めまして都道府県公安委員会あり方、あるいは管理を受けることとなる警察庁あるいは都道府県警察本部とのあり方につきましてはいろいろ御議論があろうかと思います。私どもといたしましても、このような問題につきましては、国家公安委員会の御指導を得ながら、現状をどのように分析し、そしてまたどのような対応策があるのか、あるいはそれは法律改正が必要となるのかどうかということを含めまして検討されるべきものだと思いますけれども、当面私どもといたしましては、公安委員会を補佐する機能というところを充実いたしまして、公安委員会の管理機能が十分に発揮されるよう努力してまいると、そういうことでございます。
  67. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 公安委員の人選につきましても、国家公安委員は五年二期まで、五人いるわけですね。三人いる各都道府県の公安委員は三年三期までということになっておりますが、平均年齢が六十代の後半、国民の良識を代表する人がこう年輩の人ばかりだという、名誉職になっているのではないか、しかも高給が払われている、こういうような点でいろいろ委員の選び方にも問題があると思います。  リストは警察庁でつくるのではない形を考える必要があるのではないか、また会議の持ち方、議事録も公開されていない、こういう情報公開、いろいろあり方について検討すべきだというふうに思っておりますが、その点はどうでしょう。少しは前向きの御答弁をいただきたいと思います。
  68. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 国家公安委員選任でございますけれども、これは内閣の方で国会の方に御提出されるわけでございます。お話のように、私どもの意見も聞いていただいておりますし、最終的には内閣の方で御判断をされますので、警察庁の方でその選任あり方についてどうだということにつきましてはなかなか答弁できにくいところもございます。  それから、俸給の問題についても同様でございます。私どもでちょっと御答弁申し上げるのは適当ではないんじゃないかと思います。  ただ、議事録等につきましては、国家公安委員会は、最近でございますけれども、ホームページを開設いたしまして報告状況あるいは具体的な議題の内容、またそこでどういうようなことが議題とされたかということにつきましては国民皆様に公開しているというのが実情でございます。
  69. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 大体、公安委員会あり方について警察庁長官が答弁されているというこの仕組み自体がおかしいのではないかと思います。  公安委員会をしっかりしていただくと同時に、やはり外部の第三者機関としてオンブズパーソン的な機能も必要なのではないかと思いますが、その点を伺いたいと思います。
  70. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) オンブズパーソンのような第三者機関設置がどうかというお話がございました。  私ども管理を受ける立場から申しますと、公安委員会が私どもを管理するというのは、私どもの民主的な運営といいますか、そういうものがちゃんと目的どおりに達成されているかどうかということを大きな役割としておられるわけでございます。そういう意味で、公安委員会はまさに警察の監視・監督機関というふうなことが言えるのではないかというふうに思っております。  したがいまして、公安委員会と別に第三者機関というものをつくることにつきましては、公安委員会と機能が競合すると申しますか、そういう点でやはり慎重な検討が必要ではないかというふうに私どもは考えております。
  71. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 やはり公安委員会あり方、それからそういう第三者の目が入ったチェックということ、これは政治の中立性ということで政府の方がかかわられるというのも限度があるかとは思いますが、せっかく官房副長官もおいでいただいておりますので、そのあたりのあり方についても国民全体の意見を聞きながら納得のいくような仕組みをつくっていただくようにお願いをしたいと思います。  まだ警察のキャリア、ノンキャリアの問題なども伺いたい点があるのですが、きょうは大野厚生次官においでいただきました。そもそも私は新潟の事件で九年二カ月もの間いろいろな意味の傷を負った女性の問題について伺いたいと思っていたんですね。ですから、残りの時間はそちらを伺わせていただきたいと思います。  これからいろいろなことに取り組まなければいけないのだと思いますけれども、心的外傷後ストレス障害、PTSDへのケアなど、その女性自身、また家族への長期的な支援がこれから必要になってくると思います。  心のけがとも言われるこうしたものに対して、社会的にある程度認知はされてきておりますけれども、まだまだカウンセラーですとか、あるいは子供について児童福祉司、数が足りない、あるいはその質の問題、それからどのようにしてケアをしたらいいかノウハウもまだまだ少ないのではないかと思いますが、こうしたことへの取り組みについて大野次官に伺いたいと思います。
  72. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 今回の事件は大変痛ましい、想像を絶する事件でございました。  厚生省も新潟県を通しまして情報収集を行っております。新潟県によりますと、被害者は今医療機関に入院治療を受けておりますが、新潟県は医師とか臨床心理士等で編成されます医療チームを設置されておりまして、女性とか御家族から要請があれば直ちに派遣することができる、こういう体制になっているようでございます。  ただし、被害女性の心の傷は大変大きなものがございますし、余り積極的にこちらから働きかけますとかえって心の傷を広げるというようなことにもなりかねないことでございますので、よく連携をとりながら、御要請があれば派遣をするというような形で対応をしているということでございます。  厚生省も、これからも新潟県とよく連携をとりながら、どういう支援ができるか、しっかり連携をとってまいりたい、このように思っております。  また、こういうふうな事件についての一般論の御質問もあったかと思うんですが、一般的に心的外傷につきましては、厚生省の心のケア対策として精神保健福祉センターなどで心の相談事業を実施しております。今後、類似の事例があった場合には、こうした事業の活用や専門機関の連携などにより対応をしてまいりたい、この心的外傷問題は最近大規模な災害等々を通して大変大きな問題になっておりまして、精神保健医療従事者に対するPTSD研修などに厚生省は今まで取り組んでまいりまして、必要な対策事業をやってきたところでございますが、今後必要なことをしっかりまた検討してまいりたい、このように思っております。
  73. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 今回の女性の監禁事件、ある意味では子供に対する虐待の一つだというふうに思いますけれども、そうした虐待につきまして今の児童福祉法では虐待の定義がないわけですね。二十五条に通告義務というのはありますけれども、免責規定も含まれておりません。それから、三十四条の禁止規定の中に虐待ということを加えるべきではないかという議論が以前からございます。この禁止規定の中には軽わざとか曲芸をさせるというような時代に合わないものがまだ残っているわけです。  前回の児童福祉法見直しのときにも大分議論になったのですが、そのときは保育料の値上げの方だけ厚生省はなさいましたので、そのときに引き続き残されている問題、児童福祉法改正について取り組むというお約束があるはずですので、ぜひ児童福祉法の改正など法整備をきちんとすることと、先ほどちょっと申し上げました児童福祉施設の児童福祉司が非常に少ない、しかも予算の削減の中でかえって減らされようとしている話もございますので法整備、それから人的整備について、残り時間少ないんですが、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  74. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) この児童虐待は子供の人権にかかわる大変重要な問題でございまして、関係機関と連携を深めながら、今一生懸命取り組んでいるところでございます。  児童福祉法におきましてさまざまな規定が設けられておりますことから、この規定を積極的に活用いたしまして実態把握だとか背景の分析、また国民の通告促進、こうしたことをしっかりやってまいりたいと思いますし、御指摘の問題につきまして、法的整備の問題につきましても今後真剣に検討をしてまいりたい、このように思っております。  平成十一年度では、児童相談所を中心といたしまして地域連絡網の整備を図るとともに、児童虐待対策協議会を設置いたしました。また、平成十二年度では福祉、保健、医療、警察、教育などの関係機関で児童虐待防止市町村ネットワーク事業というものをモデル事業として全国で百市町村で実施いたしまして、この調査結果をもとに平成十三年度にはさらに拡大、全国的な展開等々も検討をしてまいりたい、このように思っております。
  75. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 今ある法律の規定をしっかり使ってでは足りないと申し上げておりますので、児童福祉法の改正並びに人的配置についてしっかりとお約束をいただきたいと思います。  もう残されたのは数分なんですけれども、もう一度田中長官に一点だけ伺いたいと思います。  現在の警察の中の二十三万人の警察官のうち五百人のキャリアがいろいろ上の方へ行く、そしてノンキャリアとの二本立てのあり方、それから研修のあり方など、警察自体の組織としての問題点も多いと思いますが、これからどのように取り組まれるでしょうか。
  76. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 委員指摘のように、警察組織は国家公務員Ⅰ種採用者のいわゆるキャリアとノンキャリアという構成になっております。  警察の仕事もますます専門化しておりますし、また非常に複雑化する仕事の中で専門的な知識あるいは特殊な知識を要する仕事が深まっておりますので、そういう意味でキャリアというものの必要性というのは今後ますます高まってくると思っております。ただ、私どもは基本は現場でございます。基本の現場を構成しているのは多くのノンキャリアの警察官でございます。したがいまして、キャリアとノンキャリアの仕事あり方、あるいは人材の登用、それからキャリアとしての自覚、そういうことになりますとまだまだ問題点は多かろうと思います。  この際、こういう問題も含めまして、私どもは、庁内におきまして、人事・教養制度あるいはキャリア制度あり方、運用につきまして根本的な見直しを考えておるところでございます。
  77. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 その二本立てのあり方のほかに、研修の資料もいただきましたけれども、警察官として必要な知識、実務、柔道、剣道などございますが、もっと人間としての基本的な研修も私は必要なのではないかと思います。外部からも人を呼んでそういうことをしっかり教育をしていただきたいと思います。  最後に、多くのノンキャリアが中心でしょうが、警察官は一生懸命仕事をしているわけです。本当にやりきれないという声が全国の警察官から上がっております。あってはならないことが起きてしまったなどという言葉だけでは済まされないと思います。信頼を回復するためにはやはり小手先ではだめで、根本的な組織の問題として多くの知恵をかりながら腰を据えて取り組んでいただきたい、そしてその取り組み状況をしっかり公開していただきたいと思います。  国民に向けてそうした姿勢を示すためにも、今回の事件への対応について、田中警察庁長官の更迭と保利国家公安委員長の罷免、責任をとられることがまずスタートだと思いますので、そうしたことを要求いたしまして私の質問を終わります。
  78. 益田洋介

    益田洋介君 答弁者席が何か顔見知りの方ばかりで、非常に楽しいというかファイトが燃えてくる、そういうふうな気持ちでございますが、石川官房長、毎日御苦労さまでございます。本来でしたら一息入れていただきたいところなんですが、厳正中立を旨とする当委員会委員長としてはそういうことはあってはならないと、何としても所見を述べるようにと。ですから、二、三に限りまして私は質問させていただきたいと存じます。  一つは、警察に対する国民一般の方のイメージダウン、この点について率直に官房長の御意見を伺いたいと思います。  昨今行われましたあるメディアによりますアンケートでは、警察に対するイメージ、これはサンプリングの方法もございますし、また対象といたしました年代層、性別その他、一概に国民の総じた声として扱うことはいかがかと思いますが、こうした意見もあるということで発表させていただきますと、かつて警察のイメージは正義、清廉、剛直というイメージであった。素直に国民の各位もこの点は受け入れていた。そこに信頼感が生まれる土壌があった。それが昨今、残念なことにこのイメージから非常に逆転しまして急転直下、収賄、陰湿、こそくという、本当に口から出して発音するのが嫌なたぐいの日本語でございますが、そういったイメージに変わってしまった。これはさまざまな点が皆さんに私ども同僚議員からも衆参両院を通じて指摘をされております。  私は、端的に言いまして、キャリアとかノンキャリアとかいうふうなことは別にいたしまして、一たんおきまして、警察官僚あるいは警察官といった要するに国民の安全保障を第一線で護持しなきゃいけないという立場にある最前線の警察職員という言い方をいたしますが、そのイメージダウンというのは世界における日本という国家のイメージダウンに直結するのではないか、そういうふうに危惧されてなりません。  今回の特別監察というのは、神奈川県警の一連の不祥事を受けて厳正、また中立さを希求するという意味で始められた。それが特別監察でございましたところ、監察の責任者である管区の局長が、監察も短時間で、有能な方で人の百二十倍、二百倍仕事をこなされるのかもしれませんが、一説によると遊興にふけっていた。非常に悲しいことで、厳正を基とする特別監察の本意を根底から覆してしまっている。  この点に対しての処分、田中長官はどちらに行かれたのか、多分予算委員会にまたお戻りになったのかもしれませんが、長官認識、また国家公安委員長の御認識というのは国民認識から物すごい乖離があったと。それは私の一国民としての、また一政治家としての偽らざる認識でございまして、国民は既にもう警察不信を通り越している、怒りが本当に体じゅうにわき起こってきていると、こういう状態だというのが現状であると思います。それが今回の処分にあらわれている。  そこまでのところ、官房長の御所見を率直にお伺いしたいと思います。
  79. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 今、委員指摘のとおり、神奈川県警察を初めとする全国の一連の不祥事がありまして国民の信頼を大きく損なった、それに対して私どもとして国民の信頼回復というものを一番大きな目標として諸対策に取り組んでいたさなかに今回の新潟県の事案が発生をしたわけでありまして、国民皆様方の今御指摘のお怒りあるいは不信といったようなものをさらに増幅させておるということにつきましては、警察庁としてもまことに国民皆様に申しわけないというふうな気持ちでございます。  そういうことで、いろいろな対応策をとっているわけでございますが、今後都道府県警察と一体となってこの問題は進めていく必要がございます。一層の規律の厳格化、あるいは職員が今どういう気持ちで現場で働いているかということにつきまして、誇りと使命感が持てるような職場環境というものを一刻も早く整備する必要があるということで、仕事国民の信頼を一日も早く回復するような方向に向けて全力で努めてまいりたい、このように考えております。
  80. 益田洋介

    益田洋介君 神奈川県警で一連の不祥事の始まりがあった直後だったと思いますが、石川官房長とこの話をいたしました。特に人事・教育について、倫理観の確立というのは、もともと警察官を目指している方というのは一般の方よりも正義感が強く、また倫理意識が旺盛な方であろう、そういうポテンシャルをお持ちの方が希望してなられているんだろうというふうに私は私なりの考え方を申し上げました。  そのとき長官は、やはりそのとおりだと思うけれども、毎日毎日現場でおつき合いしている方が多いのでどうしてもそちらの方に流されてしまうんだと。大変残念なことですが、また率直な御意見ではなかったかと思います。  そういう認識を踏まえて、あのとき官房長は今と同じようなことを申されました。やはり警察の国民に対する信用の回復に向けて鋭意努力する、ぜひ傾注して努力をしてまいる所存でございますという言葉でございました。同じことを繰り返されても、もう信用されないんですよ、官房長。  どこかできちっとした歯どめをつける、そういう御決意が必要だ。国家公安委員会の下に第三者機関を設ける、監察機関を警察から独立させる、さまざまな御意見、その中にはもちろん警察とかそうした組織的な経験をお持ちの方に入っていただかなきゃいけないわけでございますが、そうでない第三者の率直な意見も取り入れるべきだというような声もございます。何かやはり、もっとその根底にある部分の改革が私は今回は本当に必要になってくるんじゃないかと。  これはやまるところがないですよ。京都にしてもそうでしょう。これはやっぱり何か改ざんするとか、それから無謬性に対するこだわりといいますか、非常に根強いものがあった。だから、この京都の場合にも間違いを犯したということを率直に認めなかった。そのことから結局は捜査に時間がかかり、または真実の究明に四苦八苦しなきゃいけないことになってしまった。根本的な原因がどこにあったのか、問題点の所在とかそういうふうなことが明確にならないから、したがって的確な措置がとれなかった。これは常識ですよ。  だから、まず改ざんするとか、何か隠ぺいするとか、そうした体質を直すその具体的な方策というのは、官房長、どういうことだと思いますか。
  81. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 神奈川の事例でも今回の新潟の事例でも、報道対応に当たって事実と異なる発表を行っておる、それが結果として報道をミスリードするような形で大変国民の御批判を買ったわけでございます。  こういう問題についてはきちっと正確な事実に基づいた報道をする、そして現場の混乱の中で誤りがあったならばわかった時点で即座に訂正をする、そういったきちっとした報道対応が必要でありますし、また特に神奈川の問題と新潟の問題については警察の最高幹部が不見識な行動をとったというところに大きな問題があるわけでございまして、私どもとしてはここで抜本的な人事・教育制度というものを改善する必要があるということで今着手をしているところでございます。  それから、いろいろな不祥事案が発生をするということにつきましては、職員の一人一人にまでその琴線に触れるような形で物の考え方、スタンスというものを確立しなければならない、これについては地道な努力が必要でございますが、本当にこの状況というものを踏まえて職員が自覚をして事に当たるということが必要だろうと思います。  さらに改善を要する点、多々あろうかと思いますが、それにつきましても前向きに積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  82. 益田洋介

    益田洋介君 非常に大切なポイントを今、官房長は指摘されました。警察官個々人の本人の自覚によると。どうやって自覚させるんですか。私はこのことを言っているんですよ。  具体的にどういうふうな教育方針を持って職員一人一人の、現場で毎日実際に仕事に従事している、犯罪防止や対策に携わっている人たちの自覚を促していくのか、この教育の方針の根底を伺っている。本人の自覚に任せるって、そんなことはわかり切ったことだ。そんなことを聞いていないんですよ。国費のむだ遣いだ。きちっと答えてください。
  83. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 職員の自覚ということにつきまして、いかにそれを徹底する方策を講ずるか、こういう観点で申し上げますと、先般、国家公安委員会におきまして服務と職務倫理に関する規則というものを定められました。そして、これを警察職員の一人一人にまで徹底することにつきましては、警察職員の教育体系の中におきまして、それぞれの例えば採用時あるいは昇任時、そういったときに警察学校やあるいは管区警察学校、大学校で教育がございますが、そこで職務倫理に関する具体的な教養課程の中で講じて、そこで事例に則して物事を考えて、実際の実務に当たるときにそれが行動の規範となるような形で定着するように今考えているところでございます。
  84. 益田洋介

    益田洋介君 木で鼻をくくったような答弁ばかり繰り返されるのはたまらないよ、官房長。この委員会もいろいろな委員会やいろいろな会派の方の考え方もあってなかなか開けなかったけれども、やっと開けた。また委員長お願いしてもっと頻繁に開いていただいて、頻繁に来ていただきたい。  通り一遍の答弁だけで、きょうはこれで終わったというので、また帰って腹の中で舌を出しているんじゃ困るんだ、官房長。そうじゃないか、今の答弁なんか人の心を打つ力がないよ、あなたの答弁は。きょうはそんなことを聞くために来てもらったんじゃないんだ。  警察のことばかりやっているとまた怒られるといけないから、もう一点だけ。  一日の当院の予算委員会で、国家公安委員会の保利委員長がこういうふうな答弁をされているんです。今回の件は隠ぺい体質と、それからひとりよがりの組織に警察が成り下がってしまったという同僚議員の質問に対してのことなんで、そのおごりの構造に対する質問に対しての委員長の答弁はこういうことだった。今回の件は警察の体質が露呈したと思っている、それから病巣が広がり一連の不祥事となって噴出したんだ、こういうふうな発言、これは実感だ。  これについて、この委員長の答弁、官房長、どう思いますか。
  85. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 私どももこうしたお考え、重く受けとめてしっかり対応していかなきゃならない、こういうふうに考えております。
  86. 益田洋介

    益田洋介君 もう少し真摯な態度で臨んでもらいたい、官房長。きょうはこれで終わりにしますけれども、これでは終わりませんよ。  それでは、お忙しいところ恐縮でございますので、私はもうこれで、官房長、結構でございます。  次に、農林水産省にお願いしたいんですが、これも、きょうは農林水産大臣、予算委員会でお忙しいようなので構造改善局長においでいただいております。  今回の一連の収賄容疑で逮捕者まで出した事件ですが、局長、私初めて耳にした言葉なんですが、局内で、おたくの局でございますけれども、実際に予算配分を仕切っているのは班長というふうに呼ばれている課長補佐に当たる担当者の方、この班長行政というのは長い間慣例化してきた。農林水産省の例の接待疑惑のときにまとめた報告書の中で、農林水産省自体が指摘しているレポートの中で新規採択や予算配分が長きにわたって担当者の裁量によって行われる余地が存在し得たと、こういうふうな指摘をされている。そして、改善局の年間予算の一兆三千億のうち約一兆円は土地改良や集落排水、公共事業に使われている。一説によれば改善局、したがって農業土木事業の総本山だと。  局長は、食糧庁とか林野庁、水産庁、環境庁といった割合に現在いらっしゃる局とは直接的には関連のないところをお歩きになってこられて、だからある程度内部からも外部からも構造局の仕組みとか体質というのは御存じじゃないかと思うんですが、私、素人として、国民の皆さんによくわかるように、班長行政というのは一体どんなものなんですか。そこまでで結構ですから、現状をまずレポートしてください。
  87. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 班長行政という明確な概念があるわけではございませんけれども、今回の農業構造改善事業に関連をして言われるいわゆる班長行政という言葉について申し上げますと、課長補佐がみずから担当する業務について、長い経歴を背景といたしまして強く意向を働かせることができるという実態について言われているものというふうに考えます。
  88. 益田洋介

    益田洋介君 こうしたことが今回の一つの事件の発端といいますか、長い間の伏線であったわけで、それがたまたま表に露呈したということです。  このレポートにあるとおり、長きにわたって存続し得た。存続し続けさせてよろしいんですか、将来的に。どのようにお考えか。もし改善をされるのであれば、改善局が何を改善するのかわからぬけれども、さらに改善をお考えであるならばどういうふうに具体的に改善をお考えなのか、局長として。そのお考えを伺いたい。
  89. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 二点申し上げたいんですが、一つは、課長補佐を中心といたしまして担当者の裁量が働く余地があるかないか、この裁量が働かないようにするということであります。  そういうことを私ども思いまして、農業構造改善事業につきましては平成十一年度から第三者委員会を設置いたしました。第三者委員会の構成は大学、消費者団体、監査法人、マスコミといった方々でございまして、こういう方々事業の適正かつ効率的な執行を確保するために御意見を聞いて、その結果を公表するということでございます。  具体的に申しますと、地区の認定であるとか事業費の配分について基準をこの委員会が設定をし公表する、それから事業を実際に実施する地区の計画なりについてきちんと公表する、業務委託を予定している市町村があればその旨例えばネットワークなどに載せまして事前に公表し、だれでもアクセスができるようにする、そういったことでございます。  こういうことを通じまして担当者の裁量が働かないような改善措置を講ずるということでございますし、その結果採択をされました事業、またその進行状況をこの委員会を通じてチェックするという、これが第一点でございます。  それに加えまして、二点目でございますけれども、人事の問題につきましても、同じ部署を長く、あるいは数度にわたって同じ方が務めるというふうなことがないように、課長補佐クラスにつきまして他の行政分野、専門分野の方々と大幅に交流をする人事の交流ということもあわせ行ったところでございます。  今後はこうした措置をさらに強化いたしまして、今申し上げましたような担当者の裁量が働かないような透明性のある事業執行に努めたいと考えております。
  90. 益田洋介

    益田洋介君 どうもありがとうございました。  局長、きょうは私だけ質問のようでございますので、どうぞお引き取りください。  次に、外務省にお伺いしたいんですが、昨今話題になり始めて、これから沖縄サミットに向けてなお一層世論の紛糾を呼ぶと思われます思いやり予算についてでございます。  これは昭和五十年代初め、非常にアメリカの財政状況が悪化しまして、加えて円高が続いていた状態があって米軍の駐留経費が膨大に急増した時期がございました。当時の防衛庁長官がシンパシチックな思いやりというような考え方、発想はそうだったかもしれません、出発しているわけでございます。  五十三年度の当初予算では六十二億円がこの点に向けての予算として計上されました。十一年度に至っては、これが年々ふえてまいりまして実に二千七百五十六億円余になっておりまして、二十年、三十年近くたちまして、やはりもう日米の財政状況が完全に逆転している状態だし、このまま思いやりというような発想で、膨大な予算を果たして我が国の財政自体が非常に逼迫している中で続けていっていいのかどうかという議論が盛んになされているわけでございます。  それは、一つは数値的に測定した結果としてこういうことが言われております。日本の負担量が一番大きいと、負担総額が。それは駐留米軍に対して三十七億ドル、一ドル百十円換算で四千九十八億円、次にドイツで十二億ドル、イタリア十億九千万ドル、韓国七億ドル、そういったことで、さらに駐留費全体に占める支援負担率もサウジアラビアに続いて日本は七六%と世界第二位である。  ただ、私思いますのは、こういうふうな数値だけで果たして判断できる問題なのかなという気がいたしまして、これは外務省、防衛庁にお伺いしたいんですが、私はやはりNATOの諸国や韓国なんかとこの問題を論じ合う基盤が日本の場合違うんじゃないかと。同盟国意識を持って名実ともに彼らは米軍を支援している立場にあるのに対して、日本は今そこまで至っていない、自分のところの血は流したくないというのが基本的な姿勢。  さまざまな意見がある。例えば、ゴルフ場やPXのような独立採算施設についてはもうやめた方がいいじゃないか。重箱の底をつつけばいろいろな議論があるけれども、それからやはり財政状態だけで日米関係というものが左右されていいのかという議論も、特にアメリカの上院の中では、これは山本政務次官御存じのとおり、ワシントンでシンポジウムが二日に開かれている。ウィリアム・ロス共和党上院議員やジョゼフ・リーバーマンという、これは民主党の上院議員ですか、非常に知日派で知られている方々がやはり削減という議論は重大な誤りであるとか、それからアメリカの財政事情が逼迫したときに日本への駐留を減らそうという考えもアメリカは持っていなかったというような議論もある。それから、先日お会いした在日米大使館の幹部の方が安保ただ乗りだということも言っている。ただ、日本のマスコミはもうもろ手を挙げて削減削減と言っている。  これはやはり時期的に見ても、十六、十七日にコーエン国防長官が見えますけれども、防衛庁長官、外務大臣と議論をなさると思いますが、ちょっと時間がなくなって恐縮ですが、若干ずつで結構でございますから大まかな御所見といったところをお伺いさせていただきたいと思います。
  91. 山本一太

    政務次官山本一太君) 益田委員から御質問を受けて答弁をさせていただくのは大変光栄に存じます。  今、委員の方から御指摘がございました日本の駐留米軍に対する経費負担が各国、ほかの国の場合に比べてやや大きいのではないか、こういう議論があるというお話がありましたが、委員指摘のとおり、私も単純には比較できないというふうに考えております。  日本以外の国のいわゆる駐留米軍に対する負担というものは、一つ一つケースを調べてみますと、やはりその国独自のといいますか、それぞれの違った安全保障の環境といいますか、そういったいろんなことを総合的に要素として勘案して判断しているという点からしますと、それは益田委員のおっしゃったように、単純には私は比較評価はできないものである、これが一点目でございます。  そして、特に在日米軍駐留経費負担につきましては、やはりちょっと決まり文句で恐縮でございますが、日米安保体制の効果的な維持といいますか、こういったものを確保するために実際非常に役に立っているということと、同盟関係について基本的に非常に戦略的重要性を有している、こういう点から私はとらえていかなければいけない、このように考えております。  いずれにせよ、以前益田委員がおっしゃっていたのも覚えておるんですが、ホスト・ネーション・サポートということについて、政府としてももちろん説明をしてきたつもりではありましたが、私も毎週毎週地元に帰って後援会の皆さん方と話すたびに思うことなんですが、この問題について本当にわかりやすく説明をしてきたかということについてはいささか反省する点もあるのかなと思っております。ぜひこの重要性を国民にわかっていただくように、私の立場で何ができるかわかりませんが、具体的にそういう努力をぜひとも外務省の方でもやりたいと考えております。  長くなりますので、このぐらいにしたいと思います。
  92. 依田智治

    政務次官(依田智治君) お答えさせていただきます。  今、山本外務政務次官から答えたのとそう変わるわけでございませんが、先般、うちの瓦長官がアメリカに行って首脳会談、コーエンさんに、今後、財政事情の変化とかを踏まえ、また日本国民理解を得る必要があるというようなことを言ったのが何か削減のような報道になっておりますが、私どもは、日米安全保障というものの柱は二つ、一つは自衛隊のしっかりした防衛力、あと一つは日米安保体制ということでやっておるわけでございます。  それから、先般私は、ティモールの自衛隊のUNHCRの物資輸送の援助で行ったときに、インドネシア、フィリピン等へ寄って首脳とも会ってきたんですが、あのASEAN地域の海軍力とかいうようなものは非常にまだおくれている。そして、こういうアジア太平洋地域における平和と安定というようなもの、これは大変重要だなと。  そういう意味においては、日米安保共同宣言で言いましたように、我が国の安全、さらにアジア太平洋地域、ひいてはこれが世界の安全にもつながるというような、日米の安保体制というのはそういう非常に我が国の、海洋国家日本としても極めて重要な部分を占めておるわけでございます。  先生先ほど御指摘のように、一九七〇年代の後半から、財政事情の変化の中でまず地位協定二十四条の範囲内でできることは何かということで我が方が少し援助を始め、援助というか支出を始め、最近は特別協定で、地位協定では読めないけれども、両国の財政事情とか国防力の負担の状況等を考えてここくらいはいいんじゃないかということで、今十二年度予算では二千七百五十六億程度が盛り込まれております。駐留経費全体として、例えば土地を借料に換算したり、総体とすれば六千六百億ぐらいになるわけで、数字でやるとそうなるわけですが、これは極めて重要だと私どもは考えております。  ただ一方、財政事情、例えば光熱水料の負担なんということもやっているわけでして、それをじゃぶじゃぶ使って日本にツケを回すということになるとこれは大変ですから……
  93. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 依田次官に申し上げます。次官、できるだけ速やかに答弁を終了してください。
  94. 依田智治

    政務次官(依田智治君) はい、すぐ終わります。  そういう点はやはり必要な経費でもしっかりと切り詰めてやっていく必要があるんじゃないか、また、そういう点を国民にしっかりと理解していただく努力というものが必要じゃないか、ちょっと長くなりましたが、そんなことでしっかり詰めてやらせていただきたい、こう考えております。  以上でございます。
  95. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、きょうはこの委員会の長期テーマであります財政投融資の関係についてお伺いをしたいと思います。  今、国と地方の財政が六百四十五兆円債務残高があるということで、これはGDPの一・三倍、もう本当に危機的な状況である、大問題になっております。財政投融資の残高も四百兆七千九百八十三億円と巨額に上ります。もし、財投機関の財務がおかしくなって償還計画、これが破綻をすればそれこそ大問題になると思います。融資機関以外で投融資残高が一番大きいのは日本道路公団でございます。実はちょっと調査室に調べてもらったんですけれども、財投の中でいわゆる事業関係の融資関係というのは、これは融資というかお金の流れというのは三〇%ぐらいではないかということですので、四百兆の残高でいいますと大体百兆から百二十兆ぐらいになるのかなというふうに思います。  その中の道路公団の問題ですけれども、道路公団道路債券や長期借入金などの固定負債、これは九八年度決算で二十五兆六千億円に上ります。資金収支は業務収入が約二兆一千億円に対して金利負担だけで何と約一兆一千億円、業務収入の半分以上は金利で消える、こういう状況にあります。元金の償還二兆二千億円は業務収入では賄えない、約六割、一兆三千億円以上を借金の借りかえで賄っている、こういう状況にあります。  総務庁は、去年の四月に道路公団の財務状況について調査報告をしておられますし、報告書を出しています。どのような内容になっているのか、説明をしていただきたいと思います。
  96. 東田親司

    政府参考人東田親司君) お答え申し上げます。  昨年の四月、日本道路公団に対する財務調査結果を発表いたしましたが、この概要は大きく分けますと二点でございます。  一点は、高速道路事業についてまず見てみますと、建設費の償還道路網全体で行いますいわゆるプール制でございますけれども、この高速道路全体の収支率、収入に対する費用の比率でございますが、これは平成八年度で五七でございまして、収入が費用を上回っている状況にございまして、償還の現状は順調と考えられます。しかしながら、道路資産の収益を確保する効率資産効率と呼んでおりますが、これは道路資産に対する収入の割合ということでございますけれども、この資産効率で見ますと次第に低下してきている状況が見られました。  これまで収支が順調でございましたのは東名とか中央・名神といった採算性のよい道路の収益が大きく寄与してきていると認められますが、これら二路線から得られる収益には限界がございますので、今後採算性の悪い道路建設や供用が進めばこれら二路線の全体への貢献度は低下せざるを得ず、高速道路事業経営に及ぼす影響が懸念されるということを第一点指摘してございます。  次に第二点目として、一般有料道路事業でございますが、八年度末で五十一道路が営業中でございますけれども、これについて見てみますと、平成九年十二月に開通いたしました東京湾横断道路、アクアラインでございますが、これが一般有料道路事業全体の収支に大きく影響することから、一般有料道路事業経営の健全性確保のためにはアクアラインの的確な収支管理が不可欠であるということを二点目として指摘しております。  以上でございます。
  97. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今、報告にありましたように、九六年度まででそういう結果が出ているわけですけれども、その延長線で九七年度以降は一体どうだったのかというのを調べてみました。  まず、高速道路の収支率ですけれども、つまり百円稼ぐのに幾ら経費がかかったかという指標ですけれども、九六年度までは総務庁の報告どおり好転して五七まで下がっているわけですけれども、九八年度には反対に五九に上がっております。それから、九八年度の路線ごとの収支率でも二十路線中十二路線が九六年度よりも悪化をしています。例えば、道央自動車道が一三〇が一四九、東北横断が一七六が一九一、東海北陸が二一四が二五七、中国横断が一六八が一八七、四国縦貫が一七九が一八四、それから四国横断が一五六が一六一という、今申し上げたのは顕著な例ですけれども、とにかく十二路線が悪化をしている。  公団の資金の内容も見てみると、業務収入の割合がだんだん九六年度までは大きくなってきたんですが、その後業務収入の割合が今度逆に減っていくんですね。九六年度業務収入の割合は四五・一%だったものが九九年には三三・五%に落ち込む。そして、債券・借入金収入の割合が四七・三%が五九%にふえるというように、明らかに九六年度をピークにして公団の財務状況が悪化傾向に転じているわけです。ですから、そういう意味で、現状は順調ではあるけれども、これはこの先どうなるのかという点について見るとかなり不安があるわけですね。  なぜ九六年まで好転傾向であった公団の財務状況が九七年度以降悪化傾向になったのかとお考えでしょうか、建設省
  98. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 確かに、公団収支状況を見てまいりますと、先生指摘のように、例えば平成八年度には二兆三百八十九億の業務収入、平成九年度には二兆九百四十五億の業務収入であったのに対し、平成十年度には二兆九百四十七億の業務収入にとどまっており、全体として業務収入が伸び悩んだ時期があることは事実でございます。これは近年の景気状況等も反映していると思いますし、また昨今供用いたします道路が、暫定供用いたしました道路が多いように、当分の間早期に交通量の増加が見込めないといったようなこともあるのかなというように考えております。
  99. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 こうした傾向が続くと公団償還計画に重大な支障を及ぼす、そういう危険が出てくると思います。  高速道路については七二年の十月からプール制が採用されて、東名、中央、名神の収入からの内部補助、これで採算性が低い路線償還を支えてきたわけですね。先ほど総務庁の報告にもありましたように、これら路線の利用密度はかなり高くなっており、そこから得られる収益はおのずと限界がある、高速道路建設がこのまま続けば東名、中央、名神の内部補助の効果は薄まっていくこととなり、さらに採算性の低い道路について新たに償還の対象への編入が進めば高速道路事業経営に及ぼす影響が懸念される、こう指摘をしているわけです。いつまでも東名だとか中央だとか名神、この三路線に頼って採算性の低い路線つくり続けているということになると、高速道路事業そのものがパンクをしてしまうんじゃないか、そういう重大な指摘だと思います。  建設省はその点についてどう受けとめておられるのでしょうか。
  100. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 高速道路全体の採算性についてのお尋ねでございます。  高速道路の全国プール制は、今御指摘がございましたように、全路線が一体的な交通網として機能し、料金水準、徴収期間等について一貫性や一体性を持たせることが適当であること、また事業実施時期の違いにより生ずる料金格差による地域間の不公平感を解消する必要があることなどから、昭和四十六年度の道路審議会の答申を受け、昭和四十七年度より採用いたしております償還方式でございます。  建設省といたしましては、今後とも電気、ガスや一般的な商品などの他のあらゆる財・サービスと同様に、プール制を活用しつつ高速自動車国道の整備、管理を進めることが適切であると認識しておりますが、しかし今後社会経済情勢等の変化により将来の交通予測等の計画の前提条件が大幅に変化するおそれがある場合には計画の見直しが必要と考えられ、見直しに当たりましては、適切な料金水準を維持しつつ高速自動車国道の整備を推進するため、コスト縮減や国費充当の拡充など採算性確保に向けた取り組みを行いたいと考えております。
  101. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 東名について言うと九六年度一三・六が九八年度は一五・七、それから中央について言うと一六・二が一八、名神は一六・一が一七・三というふうにどんどん収支率が悪くなっていっているわけですね。ですから、それに頼って、そして全体の交通予測を従来型で強気にどんどん拡大していけば最後には税金をつぎ込まなければいけないというような、そういう事態にもなりかねないんだと思います。  尼崎公害判決では、道路公害による健康被害を認めて浮遊粒子状物質の排出差しとめを命令し、自動車走行の規制を求めました。自動車交通量をどんどんふやす交通体系のあり方というのは恐らく今後転換を私は迫られるだろうというふうに思います。先に行くほど交通量がふえるという前提の償還計画、これは非常に危険なのではないかと思います。  今まで収入面での問題点について見てきたわけですけれども、経費面でも大変な状況です。今後の建設区間というのは極めてコストが高いものが多いんですね。例えば、九八年十二月決定の整備計画を見てみますと、伊勢湾岸自動車道の高槻―箕面間が一キロ三百三十七億円、菰野―亀山が二百十二億円、第二東名の秦野―御殿場が二百七十四億円、東京外環の三郷―松戸が百八十七億円、十三路線の平均でも一キロ百三十五億円。  ちなみに、一キロ三百三十七億円というのは今の料金収入で機械的に計算するとどうなるだろうかということをはじいてみました。そうすると、これは十三億七千万台の料金に相当します。一日十万台走るとして三十七年六カ月間走り続けてやっと到達する、そういう金額になります。これは元金分だけですから、そのほかに金利だとか管理費だとかかかるわけですから、こういう高いものをつくった場合に採算がどうなるのかというのは非常に大きな問題になると思います。  さっき話があった一般有料道路の東京湾横断道路、アクアラインですが、これは十五・一キロで一兆四千億円、キロ当たり九百三十三億円もかかっています。一メートルに直すと、一メートルつくるのに一億円もかかるという大変な経費負担ですが、九八年度の収支率は三一六というひどい不採算路線です。公団の財政を圧迫して、これはもう交通量をふやしていかなきゃいけないということで料金の引き下げが今検討されているということですけれども、いずれにしても深刻な事態になっています。  非常に高額の道路を次々とつくって返済のめども立たない、そういうやり方を続けていっていいものかどうか、この点について建設省のお考えを伺いたいと思います。
  102. 大石久和

    政府参考人大石久和君) 高速道路の採算検討に当たりまして、交通量の見通し並びに建設単価の上昇の見通しについてお尋ねがございました。    〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕  交通量の推計につきましては、現在一般的に確立いたしております推計方法により最新データを用いて実施いたしておりますが、私どもの将来償還表におきましても永久に利用交通量が増加すると見込んでいるものではございませんで、現在我々が用いております推計データによりますと、平成三十二年まで利用交通量が増加すると見込んでおりますが、それ以降は横ばいで推移し、最終的には減少に転ずるというような見込みも使っております。高速道路の利用実績や経済社会情勢の変化に応じ、適宜交通量の将来推計は見直しを行っておりまして、今後とも将来交通量を適切なものとするための見直しを続けていく必要があると考えてございます。  また、建設単価につきましては、特に近年、用地単価でありますとかあるいは建設資材単価の上昇、あるいは沿道環境への配慮による環境対策費用の増加や、あるいは地下的な構造を用いることが多くなったために構造物費用の増加等によりまして増加の傾向があることは事実でございます。  したがいまして、今後、建設コスト、収入予測につきましても最新のものを採用するほか、コスト縮減を図るとともに、必要に応じて国費の充当の拡充をするなど、採算性確保をするためのさまざまな工夫を実施していく必要があると考えております。
  103. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今私が話をしたのは事業計画の予定事業費の範囲内で済んだとした場合であって、実際にはどの路線も予定事業費を大幅に上回っているんですね。  例えば、直近のものとして、九八年度に新しく供用開始した五区間に係る整備計画事業費、これを実際にかかった事業費と比較をしてみました。山形自動車道の寒河江―西川―月山、これが一・四四倍になっているんですね。それから、常磐自動車道のいわき―いわき四倉、これが一・〇九倍、それから東海北陸自動車道の一宮―美濃、これが一・三六倍、徳島自動車道は美馬―川之江で一・五七倍、山陽自動車道の神戸から三木、これが一・六七倍、いずれも整備計画の予定事業費より大幅に上回っています。  こういう状況は恐らく九八年度供用開始区間についてだけではないというふうに思いますけれども、いずれにしろ償還計画というのは整備計画の予定事業費を前提にしてつくられているんですね。実際の事業費整備計画の予定事業費を大幅に上回れば償還計画の前提が崩れます。  こういう事態に対して建設省は、何とか償還計画のつじつまを合わせようということで、償還期間を大幅に延長してきました。高速道路償還期間というのはずっと長い間三十年だったわけですが、それが九四年度の計画改定で四十年に延長されました。九九年四月の改定ではさらに四十五年に延長して、昨年暮れには五十年としているんですね。ちょっと私も調べて驚いたんですが、最近の直近六年間で償還期間を二十年も延長したわけです。  総務庁はこの償還期間の延長についてどう指摘をしておられますか。
  104. 東田親司

    政府参考人東田親司君) お答え申し上げます。  償還期間につきましては、ただいま先生指摘のとおり、料金改定に係る認可に際しまして必要に応じ逐次延長されてきておりますが、償還期間の延長は料金値上げ抑制効果はあるものの、道路資産の耐用年数を考慮する必要があり、際限なく延長が可能なものでもないという趣旨を記述しておるところでございます。
  105. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 要するに、赤字を先送りするというだけの話なんですね。  日本道路公団自身も、「JH決算ファイル 一九九九」、こういう資料をいただきました。私も見させていただいたんですけれども、その四ページ目に「建設投資額の回収期間(借入金の償還期間)は、金利負担や事業リスクを考えれば、短く設定するに越したことはありません。」と書いているんですね。私はこれはごくごく当たり前のことだというふうに思って読んだんですけれども、不採算の路線を次々とつくって、そのたびに償還計画を変更して償還期間延長をする、こういうやり方というのは限界に来ているというふうに思います。償還期間五十年というぎりぎりの計画というのは、収入見通しとか事業費に狂いが生じればたちまち破綻をする、そういう爆弾を抱えているようなものなんですね。  一九八七年、バブル経済の時期に策定された一万一千五百二十キロの高速道路建設計画、これをバブル経済が破綻し、好景気が望めない、そういう状況になってもそのまま進めようとする、そういうところに根本的な問題があると思います。バブル破綻でこの計画を見直すどころか、反対に九〇年代になって急速に建設がふやされているんですね。  公団への高速道路の施行命令の累計延長、八〇年には五千四百十四キロ、九〇年には六千七百十九キロ。八〇年代の十年間でふえたのは千三百キロ、年平均百三十キロです。ところが、九〇年代に入って施行命令延長というのは急増しているんですね。九三年に一気に千二百四キロも施行命令を行って、その後も九七年に三百三十七キロ、九八年に七百四十六キロふやして九〇年以降の八年間で合計二千二百八十七キロ、年平均二百八十六キロ、八〇年代よりも年平均で百五十キロもふえているんですね。八〇年代平均の二・二倍になる。これでは無理が生ずるのは当然だと思います。しかも、まだこれから二千四百五十六キロも新たな施行命令を行うとなっているんですね。こうした猛烈な建設拡大、これが今日の大きな矛盾を招いているんじゃないかというふうに思います。  その背景に九四年に六百三十兆円に拡大した公共投資基本計画がある。高速道路建設というのは、景気対策として総額ありき、とにかく大型公共事業をどんどんやらなきゃいけない、そういうことで中心的な手段にされてきた結果ではないだろうかというふうに思うんですね。道路計画は、新幹線はどうあるべきか、航空は空路がどうあるべきか、そういう総合政策の中で私はとらえられていかなければいけないというふうに思います。    〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕  今、空港も大分大きな問題になっていますね。例えば、静岡に本当に空港が要るんだろうかというような、そういういろんな問題があるわけですけれども、そういう問題を含めて、とにかく総合的に考えるということが今求められていると思うんですが、建設省、いかがでしょうか。
  106. 岸田文雄

    政務次官(岸田文雄君) 今、先生の方から総合交通体系の中での道路行政につきまして御質問がございました。  この総合交通体系ということで言いますならば、昭和四十六年でありますが、臨時総合交通問題閣僚協議会の決定というものがございます。四六方針と言われているものでございますが、その中に交通体系というもの、受益者負担の原則に基づいて、なおかつ各交通機関の競争のもと、また個々の利用者の自由な選択等を反映して形成されるものというものが明記されているわけであります。  この原則、昭和五十七年の総合交通担当者会議におきましても確認がされまして、建設省としましてもこの原則を踏襲して、総合交通体系の中で道路行政を考えております。  この原則を踏襲しながら、より具体的な内容としましては、効率的な交通体系をつくっていくというためには道路、交通等の複数の交通機関を組み合わせた輸送が効率よく行われなければいけない、こうした連携の確保や改善が大切だというふうに考えておりますし、また道路の特質といたしまして、道路それ自身が一つ完結した輸送を担うというだけではなくして、航空ですとか鉄道ですとか、他の交通機関の末端部分をすべて道路が担うというような道路の特質もあるわけであります。こうした効率ですとかあるいは道路の特質、こんなものをしっかりと頭に入れながら交通拠点へのアクセスの整備ですとかあるいは交通結節点を整備する、こういったものを重視していかなければいけないのではないか、そのように考えております。  原則としましては、先ほど申し上げました四六方針の原則を踏襲しながら、具体的には今申し上げましたような効率の問題あるいは道路の特質の問題、こんなものを頭にしっかり入れながら道路行政を進めていかなければいけない、そのように認識しております。
  107. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、行政監察局道路公団の報告書を読ませていただいて大変いろいろ問題があるという認識を深めたわけですけれども、やっぱり後世に借金をうんと残す、そういうことを放置していたら大変なことになるというふうに思います。この報告はまだ九六年までで、今のところはいいという、ただ将来は大変だという、なるかもしれないというスタンスで書かれているものですね。私は、これはやっぱりフォローアップをしていく必要があるというふうに思います。  それから、高速道路建設あり方も含めて根本的に一体どうあるべきなのかというところまで踏み込んで総合的にぜひ作業を総務庁としてもこれから進めていっていただきたい、そういうふうに思います。
  108. 東田親司

    政府参考人東田親司君) 今回の調査結果で提示させていただきました課題につきましては、今後の建設省や日本道路公団の取り組みの進展状況を踏まえながら、必要に応じまして再度財務内容の評価を行うなど、的確な対応を図ってまいりたいと考えております。
  109. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 最近、衛星の打ち上げに伴うロケットの失敗が相次いでおりますが、九八年二月にHⅡロケット五号機「かけはし」、それから九九年十一月にはHⅡロケット八号機、これは運輸多目的衛星、ことしの二月にMⅤのロケット、科学技術庁が前の二つと文部省が後の一つ、それぞれ損失というのですか、打ち上げに失敗した損失はどれほどか簡単に教えてください。
  110. 池田要

    政府参考人池田要君) ただいま御指摘の私どもHⅡロケットによって打ち上げましたHⅡロケット五号機につきましては、平成十年二月に通信放送技術衛星「かけはし」の打ち上げをいたしました。この間、この衛星自身の開発費に約四百五十二億円かかってございまして、そういう意味ではこの総経費は約六百七十六億円となっている次第でございます。  また、昨年十一月のHⅡロケットの八号機によります運輸多目的衛星の打ち上げに係ります経費は、この衛星の調達費用も含めまして約三百四十三億円となってございます。  以上でございます。
  111. 工藤智規

    政府参考人工藤智規君) 先般、二月十日に私どもの宇宙科学研究所から打ち上げましたロケットが失敗いたしまして、いろいろ御心配をおかけしたり、まことに申しわけなく思っておるところでございます。  本件のロケット及び衛星の製作経費でございますが、ミューⅤロケットの製作経費が六十八億円、それから積み込んでおりましたASTRO―Eという衛星の製作費が百十六億円でございまして、合計で百八十四億円に相なります。
  112. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 この三つの損失の合計をいたしましたら約千二百二億円になるんですね。千二百二億というのは大変な数字でして想像もちょっとつかないんですが、ちょっと考えてみますと、人口五十万人の都市の一年間の予算に匹敵するぐらい、介護保険法がこれから四月から適用されますが、老人ホームやなんか非常に不足しておりますが、これが相当程度できるような、いわばそんなところだと思うんです。  それに、日本のロケット打ち上げというのは相当信頼を失ったと思うんですが、そういうものを合計しますとこれは大変なことでして、宇宙開発事業団あるいは宇宙科学研究所のそれぞれの打ち上げに対する責任体制というのは一体どうなっておるのか、事業団のそれぞれの責任体制、責任者もひっくるめて答弁願いたいし、科学技術庁あるいは文部省につきましては、その管理監督の責任がある立場ですから、どのように考えておられるのか、あわせて答弁してください。
  113. 池田要

    政府参考人池田要君) 宇宙開発事業団のロケット打ち上げの実施体制についてでございますけれども、宇宙開発事業団では、ロケットの打ち上げに当たりましては、まず打ち上げを安全にかつ確実に行うということで、事業団に設けられました宇宙輸送システムの本部長、これに理事を充ててございますが、この理事を実施の責任者といたしまして、約百五十名の職員から成る打ち上げの、打ち上げ隊と称しておりますけれども、これを編成し、この打ち上げ隊の指揮のもとに、これは実際に現場ではメーカーから参りました作業員等も含めまして総勢約六百五十名ほどの者が作業に当たり、打ち上げ、飛行安全等に携わっているところでございます。
  114. 工藤智規

    政府参考人工藤智規君) 宇宙科学研究所は大学共同利用機関でございまして、前身の時代は東京大学の附置研究所でございましたけれども、全国の大学関係研究者の英知を結集するために大学共同利用機関として発足してございます。  このロケットの打ち上げの実施体制、管理責任体制でございますけれども、軌道工学の御専門でございます松尾所長以下所員が総力を挙げて当たっているところでございまして、実際の鹿児島での打ち上げに当たりましては、所長のほか実験主任が総括の指揮に当たりまして、所内職員七十一名を含め、メーカーの作業員等総勢約二百名で当たったところでございます。
  115. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それぞれ科学技術庁、文部省の管理監督責任みたいなものをあわせてお聞きしたんですが、答弁がなかった。後でしていただきたい。  あわせて、失敗の原因についていろいろ報道されておりますが、まだ今調査中ということですが、なかなか言えないんじゃないかと思いますが、設計上に問題があったのか、製作上に問題があったのか、引き取り検査のところに問題があったのか、打ち上げ上の問題があったのか、その辺はもう大まかに答えられる段階に来ていると思うんですね。前の分と合わせて答弁してください。
  116. 池田要

    政府参考人池田要君) 先ほどロケットの打ち上げについての責任について御質問がございました。  科学技術庁といたしましては、衛星の開発からロケットの打ち上げまで行います宇宙開発事業団、これは特殊法人でございますけれども、これの監督をしているわけでございますから、そうした意味では事業団がきちんと仕事をできるように監督するという意味での責任は私ども有していると考えている次第でございます。  今回の先生指摘ありましたロケットがHⅡというシリーズに入りましてから五機までは全くトラブルがなかったものが六番目、五号機と称しておりますけれども、六機目、これは二段目でございました。それから、今回八号機は一段目、そういう意味では一段目につきましては七番目にして初めてこういうトラブルを経験したわけでございますけれども、こうしたロケットにつきましては、高価な衛星を積んでいるわけでもございますし、これがきちんと機能しなかったといったことについては非常に深刻に受けとめているところでございます。  現在、事故の原因究明についてどうかということでございますけれども、HⅡロケットの五号機は平成十年の二月でございましたから、これにつきましてはもう既に宇宙開発委員会専門家を動員して原因究明を行ってございます。  この報告によりますと、先ほど申しましたように、第二段目のエンジン、これも液体の水素を燃やすエンジンでございますけれども、エンジン燃焼室にあります冷却管、これは水素を流します、これはエンジンが動き出しますと熱をとると同時に暖めるという非常に重要な役割を果たすわけでございますけれども、こういう多くの冷却管を束ねるように金を主体にしました金属によるろうづけというのがございますが、こういう部分に構造的に弱いところが生じていたと。また、ロケットは実際に打ち上げに臨みます前に地上で一連の地上試験をいたします。こういう燃焼試験の過程でこのろうづけの部分に、構造的に弱い部分に亀裂が生じておったと。  こういう合わさった原因となりまして打ち上げ後に燃焼室の一部が破損し、エンジンが所定の期間燃えずに早期停止に至ったという原因が推定されてございまして、当時の技術的知見の範囲では必要と考えられることはやっていたといったことはお認めいただいているわけでございますけれども、結果的には製造上、検査上に十分でない点があったというふうに考えているところでございます。  また、昨年十一月のHⅡロケットの八号機の打ち上げ失敗につきましては、これも事故直後から宇宙開発委員会の技術評価部会において調査がなされております。このロケットにつきましては、一段目のエンジン、これが七番目にして初めてトラブルを起こしたわけでございますけれども、六分燃えなければいけないところが約四分でとまってしまいました。これはこのエンジン自身が約三千メートルの海底に沈んでいるということが見きわめがつきましたので、これを一月までに引き揚げました。  これを分解調査など専門家を動員してやっております結果でございますけれども、液体水素の燃料をエンジンに送るターボポンプという非常に重要な部分があるわけでございますけれども、このポンプに異常な振動が発生したと。当該ポンプの入り口にある、これはインデューサーと言われる羽のような部分でございますけれども、これが金属疲労によって破壊されたということが専門家の目によってエンジン停止の原因と推定されているところでございます。  現在、技術評価部会の検討はまだ続行中でございまして、このインデューサーが疲労破壊した原因をさらに絞り込む必要がある、引き続き詳細な調査分析を行って私どもとしましては原因究明について早急に結論を得られるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
  117. 工藤智規

    政府参考人工藤智規君) 私どもの宇宙科学研究所は、先ほど申しましたように、大学と同じような性格を持ちます大学共同利用機関でございますので、文部省と研究所との関係が管理監督ということとは違うのでございますけれども、できるだけ研究者の自主性を尊重しながら私ども運営に努めているところでございますが、しかし今回のような事故、失敗がありましたことは私ども文部省といたしましても極めて深刻に受けとめておりまして、徹底的な原因究明と早期の信頼回復に努めるべく頑張っているところでございます。  いずれにしましても、その原因につきましては失敗後直ちに徹底的な調査を始めまして、これまでのところ地上で受信しましたデータの解析あるいは画像データの解析等によりましてほぼ特定されつつございます。  それによりますと、三段ロケットでございますけれども、第一段ロケットのモーターのノズル部と言っておりますが、そこの耐熱と形状維持のための役割を果たすグラファイトという炭素を固めたものでございますが、それが数回にわたって剥落しまして、したがってそこから高温のガスが側壁から流出して姿勢制御を乱したということが推測されてございます。  これは実は我が国でのロケット打ち上げ史上初めての部分でございまして、これまで同じミューⅤロケットは二回成功しているのでございますが、二回成功したから慢心していたわけではございませんで、HⅡロケットの事故の教訓も得ながら、できる限りの点検を慎重にして打ち上げに臨んだわけでございますけれども、残念ながらこういうことになった次第でございます。
  118. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 設計とかあるいは製作はメーカーと契約して下請みたいに出すんでしょうが、契約の仕方は随意契約ですか。その辺はそれぞれどうなっているんですか。
  119. 工藤智規

    政府参考人工藤智規君) 先ほど幾らか答弁が長くなったので割愛させていただきましたが、私どもの場合に、これまで解析したところでは、基本的に設計とか製作方法等に問題があったとは考えにくいところなのでございますが、設計等は、これは御案内のとおり、日本のロケットというのは昭和三十年に……
  120. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 結論だけでいいです、四十九分までしかないですから。
  121. 工藤智規

    政府参考人工藤智規君) 御質問の契約の仕組みでございますけれども、政府全体で国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令というのがございまして、その政令に基づきまして「国の委託に基づく試験研究の結果製造された試作品等の調達をする場合」ということで、ミューⅤロケットは我が国独自の共同研究の成果で開発されてきたものでございますが、これに基づきまして随意契約させていただいております。  いずれにしても、規定に基づき公正に執行させていただいております。
  122. 池田要

    政府参考人池田要君) 宇宙開発事業団のHⅡロケットにつきましても、これまで開発に携わってまいりましたメーカーを選んで契約している、すなわち随意契約でございます。
  123. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 我が国のロケットはコストが先進アメリカ、欧米に比べると倍ぐらいかかる、こう言われております。そこで、ここのところどうも少し経費を落とそうということもあったようですね。  今度の事故というのは経費の削減との関係は全く考えられませんか、事業団。
  124. 池田要

    政府参考人池田要君) 先生指摘のように、宇宙の機器につきましては打ち上げをいたしますともう修理がききませんし、そういった意味で特徴があるわけでございまして、私ども非常に高い信頼性が要求されると考えてございます。  このロケットの開発につきましては、HⅡにつきまして申し上げますと五機までは全くトラブルなく純国産で非常に高い性能を有している、そういう意味では海外からの評判も高かったわけでございますけれども、ただ高いと言われてまいりました。一機打ち上げるのに百九十億円からかかるといったことは、私どもこういうロケットを開発し、いずれは民間事業者への移転等も考えますと、これを削減というのは非常に大事な要素ではございます。ただ、先ほど申しましたように、まず信頼性を確保して確実に打ち上げるといったことが大事だと思っておりまして、そうした意味ではまず信頼性を確保しながら、それによってコストが低減化されるべきだ、そういう考え方で臨んできたところでございます。  これは現在HⅡからHⅡAという改良型に進む段階でございますけれども、これは私ども心がけているところでございますが、それが今回の事故につきましては、その信頼性の確保の点で、この事故原因を見きわめますとよりしっかりした体制に移る過程で大事な部分があるのではないかといったことについて、関心を持って取り組んでいるところでございます。
  125. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。  最後になりますが、聞いておりまして、文部省あるいは科学技術庁としては担当者はどういう責任を考えておるのか、あるいはとろうとしているのか、あるいは何かそこはやっぱり行動を起こしてもらわないと常識的に、千二百億ですよ、千二百億飛ばしておってしゃあしゃあとして答弁されたら、これは困る。だから、文部省はどう考えておるのか、あるいは宇宙開発事業団あるいは宇宙科学研究所のトップの人はどのような責任を考えておるのか。  それで、科学技術庁長官と文部大臣は同じですね。今の文部大臣になってジェー・シー・オーの問題があり、ロケットが二回失敗をし、これはただでは済まぬと思うんですよね。これはきょう大臣がおればそこのところはきつく言おうと思っておったんですが、政務次官のお二人、ここのところはきちっとけじめを私はつけるべきだと思うんです。こんな大きな金額、人口五十万の都市の一年間の予算に匹敵するような、それで科学技術庁の局長の答弁でもしゃあしゃあ当たり前みたいなことを言っている。これはきょう時間がないが、しかし大臣の責任問題についてはそれぞれお考えを述べてください。
  126. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 時間を超過しておりますので、答弁は簡潔に願います。
  127. 斉藤鉄夫

    政務次官(斉藤鉄夫君) HⅡロケット五号機に引き続きまして、昨年十一月のHⅡロケット八号機の失敗、国民の期待に沿えない結果となり、まことに残念であり申しわけないことと深刻に受けとめております。  このような事態が発生した現在、それぞれの失敗について徹底的な原因究明を行い、必要な対策を講ずる所存でございます。それによって今後のロケット打ち上げをより信頼性高いものにし、我が国の宇宙開発体制を立て直すことが何よりも重要であると、このように考えております。  大臣、そして私、政務次官でございますが、そのために関係者を督励し、国民の期待にこたえられるよう、また国民の期待にこたえられる宇宙開発となるよう、今後とも全力を挙げていく所存でございます。
  128. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 文部省といたしましても、今回の失敗については非常にその責任の重さといいますか、国民に対して申しわけない、一段と強いものがございます。特にミューⅤロケット等については世界の最先端を行っているものでございますし、これから世界の研究にも大きな影響を及ぼすわけでありますから、原因の究明は徹底することはもちろんでありますが、十四年から次の計画、十四、十五、十六年とあるわけでございまして、これを確実に成功させるという大きな責務を負っているわけであります。  全省を挙げてこの問題にひとつ真剣に取り組みながら、宇宙開発に対する国民の信頼をきちっと取り返す、そのことに全力を尽くすことがまず当面の責任を果たすことになるのではないかと、このように考えております。     ─────────────
  129. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会警察庁刑事局長林則清君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  131. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 今までの同僚議員の質問の中にも今般の新潟県警本部を中心とする少女監禁問題についてそれぞれ質疑が交わされました。  実は私の地元でありまして、私が現在住まいをいたしておるのが新潟県三条市であります。十年前を思い起こしまして、大変な騒ぎでありました。もうそのことは一々もう時間も経過しますので申しませんが、ただ地元の人たちは、農家の人たちはそれぞれ米を持ち出す、保有米まで全部使い果たす、要するにボランティアで人が集まって捜索をやる、隣の村の山の奥まで捜索、私の秘書ももちろんボランティアで行ったり、私もまた、こう言ってはおかしいですが、皆さんに御慰労に行ったりしたものでございます。当時は私は衆議院に在籍をいたしておりました。本当にその御家族も、あるいはまたその親戚筋で市会議員をやっておられた方もおられまして、本当にみんなが必死になって捜索をいたしました。農家に保有米がなくなるぐらいの炊き出しをやったというんですから、およそ想像していただきたいのであります。  しかし、あけてびっくりで、今回のこの騒動でわかったことは、もうほんのわずかなことがこの十年間という経過をしてしまった、大変な取り返しのつかない過ちをしてしまったと。  私は、この問題が起こりましてからテレビを見まして、これは感情論ではないですよ、感情論というただそういう意味だけじゃなくて、何と警察の皆さんの記者会見における表情が苦渋に満ちた、申しわけないという表情が全くない。これはもう驚くなかれでした。警察官の最高幹部としてなんということを言いませんよ、私。人間としてこれは大変気の毒なことだったと。私なんかはこういう話をしていても涙もろい方ですからもう涙が出てくる、本当にその本人と家族のことを考えますとね。そういう表情がないですよ。  だから、ずっと各社の社説だけでもその当時から拾ってみますと、「心身の深い傷をどういやせるか」、「「おごり」が消えていない」、もう各社ですよ、「「腰の重い警察」では市民を守れない」、「どこへ消えた「天職意識」」、「閻魔さんに舌を抜かれるよ」、こんな社説まである。もうそれは全く言葉にし切れない。「「神奈川」を忘れたのか」とか「背景まで解明する審理を」、「トップは怠慢の責任とれ」、「警察に自力更生はできるのか」、「失敗認め出直すしかない」、「警察の組織と人を洗い直せ」ということまで昨今の社説ですよ。中身は皆さんだってみんな読んでおられると思う。  かつては我が国においては世界一の治安国である、私どもはかつて選挙民に演説をするときに誇らしく自信を持って、これほど夜夜中、子供でも御婦人でも歩いて安全な国なんというのは世界じゅうありますか、我が国だけだと言って演説したですよ。しかし、十年前からもうやめたんです、そういう演説は。本当に昼日中のことですからね、しかもどうなっているかわからない。そういう意味で、今回の問題というのは非常に大きな問題を残している。  一々のことを、私がまた自分の感じを今申し上げておると時間がなくなってしまいますので少し皆さんの考えを、きょうは委員長もあるいはまた長官も時間がないということですから、この委員会は何もその最高責任者をお呼びするというのではなくて、まさに現場にいる皆さんのと国会議員との話し合い、あるいはまた意見交換、あるいは国会議員の感じを現場の皆さん方は、警察に限らず、各役所の人たちから酌み取ってもらうために私どもはこの委員会というのを、何も責任者がいなくてもやろうじゃないかと言っておりますので、きょうはもう課長さんでもいいぐらいに私は思っています。ぜひ皆さんの考え方を若干お聞かせいただきたいのであります。しかし、憤りはまさに筆舌に尽くせないということを申し上げておきたいと思います。  さて、私が今若干心配をいたしておりますのは、この人たちの御家族について大変な配慮をしておられる。本人についてもそうです。一部の新聞だの雑誌なんというのは、この気の毒な少女の写真でもあったら何百万だぐらいな話が地元で飛び交っている。そんなばかな、これはマスコミ自身も反省してもらわなきゃいけないのでありますが、しかしそういうことをかんがみますと、すぐに心配になるのは実は裁判になったとき人権が本当に守られるのかということ、これは警察の問題ではないが、しかしこの場で私は危惧を申し上げておきたいと思うんです。これは警察庁にも申し上げておきたいと思うんです。  そういう中でこの人権を、今現在もそうですし、そして家族と本人あるいは親戚に至るまでと言っていいでしょう、この人権を守るためにせめてどうぞ、私はあえて警察最高幹部の皆さんに罪の償いなどという言葉は使いたくないが、しかし皆さんに一片の良心と、そしてまた道義的あるいはまた倫理的、そういう人間としてのお気持ちがあるならばこの問題について、そして今後どう対処するか、簡潔に一言でお答えをいただきたいと思います。
  132. 石川重明

    政府参考人石川重明君) この新潟の女性監禁事件につきましては、被害者を大変悲惨な状況下で長期間救出できなかったということはまことに残念だというふうに思っておるわけでございます。  今御指摘の被害者に対してどういうような支援なり保護をするかということにつきましては、この監禁をされておりました被害女性に関しましては保護当初から女性被害犯罪指導係の女性警察官を配置いたしまして、この女性に母親の方とともに寄り添いながら具体的な支援の活動を行っているところでございます。  一方、御家族に対しましても支援をする担当者を決めまして関係機関等との調整を実施しています。  また、マスコミの取材攻勢等による御心労というものも確かにあるようでございます。こういった点につきましても御要望によりまして警察官を配置するというようなことでできる限りの支援を行っておりますし、また今後とも行ってまいりたいというふうに考えております。  また、今後被害者の精神的なケアの問題を初め御家族もいろいろなことで問題を生じるわけでございまして、この支援をどう進めていくかということにつきましては、被害者とかあるいは御家族の御意向というものももちろんございますが、平成十年に県警察を事務局として新潟県被害者支援連絡協議会というものが結成をされておりまして、その構成機関である県の福祉保健部等を中心に県の教育長、医療機関、臨床心理士会等の各機関、団体、それぞれ連携をとりながら推進をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  133. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 それは大変ありがとうございます。また、しっかりやってほしいと思いますね。  問題はそういうケアを、もう組織ができた、あるいはそういう流れができた、そこまでのことはやるんですね。しかし、その後のケアがほとんど今までもできない。だからそこをしっかりやっていってもらいたいということをこの際、我々も監視をいたしていきますけれども、同時に、言うならば皆さんさっきも大臣に対する責任の問題も別の角度から話がありました。あるいはまた国家公安委員長に対する責任の話もあった。これは今現在の裁きの仕方についての責任は問われることも事実でしょう。  しかし、私はその当時の、十年前の県警本部長、あるいはまた十年前のその捜査に当たった責任者、その人たちは一体、もう時間が過ぎたんだと、まあ気の毒だったねと、あるいはまたきのう実は偶然にNHKの、私はよく知っているんです、その当時の三条警察の署長さんもよく知っている。しかし、県警本部から来た捜査、指導というものがどういうものであったのかということに至ると、そのときはそのときで、もう責任が終わって勇退したんだから何も償うものはないわということで果たしていいのかねと。その人たちはどういう償いをする気持ちでいるのか。  要するに、当時の県警本部長あるいは当時の捜査に当たった人たち、あるいはまた昨今のマージャンをやっていた諸君に至るまで、一体どういう償いをする気持ちですか。そういうところまで話し合いをしておりますか。話し合っていなきゃいないでいい。あるいはこれから話し合いするならしてもいい。そのことだけどうぞ、もう言いわけはいいから。
  134. 石川重明

    政府参考人石川重明君) この捜査につきましては、大変厳しい環境の中で、先ほど委員も御指摘のように、県民の方々の御協力も得ながら全力で対策本部として取り組んできたというふうに思っております。  ただ、今後事件を解明する過程におきましていろいろな警察の対応の状況というものが明らかになる、そうした場合にやはりその反省、教訓を酌み取って今後に生かすこととともに、もし責任ということでございますれば、法令違反あるいは妥当性を著しく欠くというようなことがございましたら、その対応に応じて明確にしていかなきゃならないと、こういうふうに考えております。  ただ、御理解いただきたいのは、捜査というのは積み重ねということがございます。そういうことで、作業の集積でございますので、事後的な検証というものをしっかりしなきゃならない、こういうふうに思っております。
  135. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 多分そういう回答だろうと思うんです。それは今までの回答で、今度のこの事件というのは類例を見ないことなんですよ。だからまた同じことをあなたたちは依然として考えておられる。そこが残念だね。せめて一片の謝罪あるいはまたその償いを何らかの形で、我々の捜査の及ばないところだ、積み重ねだからといったって、初期的ミスはもう衆議院で質問しているから私はあえてそれに触れていない。そういう気持ちが大事じゃないのと、警察官として。  私は、あなたたちの大先輩の川島さんあるいは後藤田さん、大変教育をいただきました。もちろん、中曽根先生も内務官僚の一人ですからあなたたちの先輩でもある。大教育を受けてまいりましたよ。同時に、私の恩師は実は矢部貞治先生と申しまして、かつての終戦後の警察学校で警察官に対して本当に頑張れと、日本の国をしっかり守っていけということを教えられた先生です。私の恩師です。  そういう意味では、まさにあなたたちこのごろハートがないですよ。私はもう矢部先生と一緒に全国行脚して回ったことがある、学生時代、先生のかばんを持ったり。卒業してから、あの先生が政治評論家として、あるいはまた憲法調査会の副会長として、あるいは選挙制度審議会の副会長としてもいろいろな立場があったので、私は学生時代からかわいがっていただいたのでかばんを持っていた。どこへ行っても駅に迎えに出るのは警察の人でした。それは甘えとか何かじゃなくて、要するに心の通いがあった。昔教えてもらった先生が来る、そこでまた教えられたことを思い出す、要するにそういうことが非常に麗しい関係だったと私は本当にそういう気持ちを今でも忘れていません。  あるいはまた、こう言うといろんな立場の人たちもこの中にもおられるが、かつては安保闘争がありました。このときでもこの矢部先生という人は学生を全部集めて、私の母校、拓殖大学ですが、そこで全学生を集めて、警察官も君たちも同じ人間同士だ、血を流し合うことはいかぬ、君たちと同じ年齢じゃないかと。私は今でも覚えている。そのときに言った言葉は広瀬淡窓の「君は川流を汲め我は薪を拾わん」という気持ちでやれと。警察官、お巡りさんと大学生がお互いに一緒になって倶学倶進だと。ともに学びともに日本の国家をよくするために進んでいけという訓辞をされたのを私はよく覚えている。要するに、警察官のモラルの問題、人間性の問題、私はもうそこに帰結していると思う、今度の事件は。今度の問題の発祥もあるいは今の後始末の問題も。  また私が一人でしゃべっちゃうと時間が、皆さんの考えをここでちょっと記録にしておきたいことがあるのであえてこれぐらい申し上げさせていただきますが、私は警察制度と人事の配置ということが非常に大事だと思うんですね。一部新聞あるいはまた雑誌なんかで昔読んだこともあるが、このキャリアの制度を抜本的に考え直したらいいというのを僕は行政改革で何でやらなかったかと思うんですよ。だけれども、とにかくキャリア組がいきなりその県に行ってトップに座って何をやるんですか。むしろ、その県の本当のたたき上げの人が県警本部長になって、監察するのはキャリア組がやったらいい。でなかったら監察なんかできるわけないじゃないですか、仲間で。来たら、いや久しぶりだな、一杯やろうよと、これは人間の情だ、今私が言った。だが、そうではないんです。ある程度の距離があってしかるべきでしょう。それにはやっぱり現地の人たちが、県内の隅々まで知っている、そういう中から県警本部長というのは選ばれるべきだと思いますよ。  そういうことについて、ぜひこの際、県警本部長の人事配置あるいは機構、今までの仕組み、そのうみをこの際出して思い切った抜本的な改革をやるという意思が警察庁におありでございましょうか。あるいは、公安委員会のことはもう一問しますけれども、そういう気持ちを国家公安委員長もお持ちなんでございましょうか、この問題で、昨今。どうですか。簡単でいい。
  136. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 警察における人事制度の問題につきましては、神奈川の事案、それから新潟の事案、それぞれいわゆるキャリアと言われている者について極めて不見識な行動があったということで私どもも大変問題意識を持っておりまして、これにつきましては部外の有識者の意見等も酌みながら抜本的に検討してまいりたい、このように考えております。
  137. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 ぜひそうしてほしいと思います。  私は、もう時間ですから肝心の公安委員会について申し上げておきますけれども、これはあなたたちから回答を得ることじゃない。私がこの場であえて申し上げておきたいのは、公安委員というのは名誉職になっている。立派な人たちだと思うんです。それは国家公安委員は国会が承認して、我々が承認しているんだから立派な人でないなんて言えない。だから立派な人なんだ。しかし、どうも機能していない。立派な人が立派な働きをする場になっていないということを指摘しておきたい。地方に行ってはまさに名誉職になっている。  この問題については抜本的な考え方をこの機会に、現役の警察の皆さんが今までずっとやってきたことを変えるとなったら大変な抵抗だと思うんだ、部内だって。それは国の行政改革だってそうだけれども、しかし今この時期がチャンスだと、二十一世紀に向けた日本の警察の信用を回復する最大のチャンスだとむしろ思って取り組むべきではないかなと、まさに禍を転じて福となすということではないかということを申し上げたいのであります。逆にそこはむしろ皆さんに激励をいたしたい。  警察法の改正案も出ております。警察法の改正もまずは監察制度、神奈川で起こったような問題からの改革、法律改正等もやっているわけだからいいと思う。そんなもの、今ここへ来たからこれ全部やれなんていったってできないから、まず今度の国会でそれは第一歩やっておくということを私はなすべきだと思います。ぜひそれは法律改正のために真剣に取り組んでほしいと思います。  同時に、警察は、このごろの警察の人たちが、会話で私は揚げ足をとって言うんじゃないですよ、要するに家庭内暴力、学校の暴力があったと、それは弁護士のところへ飛んでいくよりもやっぱり警察に行くんだね。警察署にあるいは派出所に飛び込んで相談に行くんですよ。  私は、そういう意味では、事件になる前の作動というのは、今までの戦前、我々小さいときの警察というのはみんなそうだったと思う。事件にさせない。抑えるという意味じゃない、ふたをするという意味じゃないですよ。事前の指導あるいは訓育をやってきたんですよ。そういうことじゃなくて事務的になっちゃって、それは私の、警察官の仕事じゃありませんというようなことになっているからこういうふうに十年間も置いてきぼりになってしまう。そこのところは、昨今の警察官の仕事というのは、終戦後から今日まで来ている社会的な国家的な国民的なそういうニーズにこたえられる警察官の意識になっていないというところ、すなわち警察機能にもなっていない。あるいはまた同時に、警察に対して皆さんがそういう自助努力をしようとしないというところを非常に危惧するものであります。  何とぞそういう点を考えて、明るい、本当に国民に信用される、またある意味における日常生活の治安維持を国民と一緒にやっているという、そういう相談相手、そんな気持ちを一面持っていくような、そんな警察官の養成も考えていくべきではないかという感じがいたしまして一言申し上げながら、どうぞ公安委員長あるいは警察庁長官に私が今申し上げたことをお伝え願いたい。  以上をもちまして質問を終わります。
  138. 田名部匡省

    田名部匡省君 何か予算委員会の方で皆さんおいでになれないということですから、官房長、ひとつよろしくお願いします。  今回のこの事件で国民の批判がこれだけ大きいのは何だったのかという御認識からまず承っておきたいと思います。
  139. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 一つは、最初に被害者が保健所等の職員によって発見、救護された際、事前に柏崎警察署に対して出動の要請があったわけでございますが、これに対する対応が最終的に現場へ出動していない、要するに要請にこたえていない、これについて、警察はいろいろな国民の要請に対してきちっとこたえるべきではないかといった点について問題があったのではないか、こういう御批判がございました。これはごもっともなことだろう、こういうふうに思います。  もう一つは、この救出後の捜査の最初の会見におきまして報道対応に誤りがあった。一部事実をたがえて発表したということで後の報道対応が非常にまずくなったということで、捜査の信頼性というものが問題になった。  三つ目は、当日、特別監察が関東管区警察局によって行われたわけでございますが、救出の認知後におきましても、監察を行うべき立場にある管区局長とそれを受ける立場にある警察本部長が会食をし、遊興をしているといったような、そういう監察の信頼性というものを著しく欠く、また状況、場所、時というものを考えない幹部の不見識な行動があったということについて大変国民の信頼を失った、こういうことでございます。
  140. 田名部匡省

    田名部匡省君 私と大分認識が違うんですね。  私どもにいろんな資料調査室がつくってくれている、この中に「組織は上から腐っていく」、これは佐々さんが書いたものです。テレビでしょっちゅう彼は思い切った発言をしています。後藤田先生も私は一緒に大臣をやりましたけれども、なかなか風格もあるし、本当に立派な方だな、こう思いました。その佐々さんが、厚木警察における新任隊員暴行事件、相模原南警察署暴力団係の巡査長による女子大生恐喝事件、最も世論の警察不信を高めた事件は警察官の覚せい剤使用を県警ぐるみで隠ぺいしようとしたと。  昨今、信号機で金をもらったとか、やったとか、こういうことがずっと続いているんです。皆さんのところだけでなくて、きょうの朝日新聞だってこのとおりでしょう。建設省関連の資格テキスト出版、OB、農林省がどうした、あそこがどうしたって、毎日。  私は、この国というのはおかしいことをおかしいと思わないからおかしくなった、こう思うんです。これは国民に責任がありますよ。国民がおかしいと思わないんだ、こういうことを。渡辺さん、さっきから私が言いたいことを言ってくれました。  きのう、下北半島をずっと後援会を集めて演説会をやってきました。その前の日は十和田市でこの子供のことを話した。私もどっちかというと涙もろい方です。この子供の気持ちになって、九年間あの小さな部屋におって一歩も出なかった、どんなんだったろうなと。その親の気持ちを考え、もし私の娘がそうなった、あるいは孫がこうなった、それを考えたときに、演説をしていて涙が出てきた。そういう国民の感情から余りにもかけ離れたことだということで、みんなが怒っているんです。  私が子供のころ、親が何と言ったかというと、何か悪さをしているとお巡りさん呼ぶよ、こうやって言われたものです。そのぐらいお巡りさんというものは権威もあったし権限もあったんだ。だから、皆ちゃんとしたんです、そのころは。今ごろそういう親がいないです。ですから、何か国民は長いものには巻かれろでしょう。あるいは、さわらぬ神にたたりなしと、昔の人はよく言ったんだ。それはなぜかというと、私は何かやったら後から意地悪をされるのでないだろうかとか、恐らくこの委員会でこんな発言、みんなやったら、これは選挙でやられるのでないかなんて心配する人さえおるんです。ないと思うけれども、しかし、そういうことがいろんな積み重ねなんです。  きのうも行ったら、こういうことを言われてきた。前回の衆議院選挙で、四十六人に対して一人当たり四千三百六十三円相当の酒食のもてなしをした。そして、会費は千円もらった。結果として四十六人不起訴にした。なぜかというと、諸般の事情から不起訴としたと新聞に書いてある。この諸般の事情というのは何だか知らぬ。片一方の市では名刺を配って歩いて戸別訪問で捕まっちゃっている、飲み食いした方は諸般の事情でと、こういうことなんかいろんなことをきのう言われました。  図書券ならいいのか、商品券ならどうなんだと、答えられない、どんなことを聞かれても。幾らまでならいいんだと、これが国民感情なんです。そのことの認識がなければ、これから何か変えていこうといったってなかなか変えられません。どう思いますか。
  141. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 先ほど時と状況、場所等を考えない不見識な行動と言いましたけれども、それは委員指摘のとおりに、あの長期間非常に悲惨な状況下で監禁をされていた少女だった方が救出された、そういう事件の重み、それから被害者の気持ち、そういったものに思いをいたさない行動であった、そこにすべてのものが集約しているということはそのとおりだろうというふうに思います。  私どもは、そういう被害者の無念というものを感じて、捜査であれば捜査を実施しているわけでありますから、この問題については重く位置づけて、ほかの警察活動につきましても、こういったことについて重点を置いてやるようにしてまいりたい、こういうふうに思っています。
  142. 田名部匡省

    田名部匡省君 この新聞で公安委員の皆さん方がいろんな意見を言っておった。これを今読んでみて、私は保利大臣とは年も一緒、当選したときも一緒、一番仲がいいんです、まじめに答えておるのを聞いて保利さんらしいなと思った。  しかし、確かに政治が関与してはならぬ、これはもう当たり前のことです、警察が政治に左右されちゃいかぬというのは。ただ、それは例えばだれそれを逮捕するとか、こういうふうにするというのに口を出しちゃいかぬと私は思う。しかし、内部のことについても口を出せないということは私はおかしいと思って聞いておったんです。内部のことだけです。外で指揮権を発動せいとかなんとかいうのでない。どうしてできないんだろうなという疑問を持ちましたが、ちょっと官房長、おいでになったら、どちらでも結構です。
  143. 田中節夫

    政府参考人田中節夫君) 国家公安委員会におきますところの大臣、公安委員長の位置づけでございますけれども、それは言うまでもございませんけれども、総理し代表するということになっております。  公安委員会の具体的な議事内容につきまして私どもから申し上げるのはいささか問題があろうかと思いますけれども、今回の問題につきまして、大臣のお立場、あるいは一般的案件でもそうでありますけれども、いろんなケースにおきまして大臣は御発言をしておられることが多いということはございます。  ただ、今回の案件につきまして、大臣が具体的に発言されたのかどうか、あるいはどういうような御発言をされたかということにつきましては、これは私どもからお答えを申し上げるべきではないと思います。
  144. 田名部匡省

    田名部匡省君 そういうことですから、いろんなマスコミがやっぱり変えなきゃいかぬと。私もそう思う。むしろ、監察官は別個に採用して徹底的に教育をして、それぞれの監察業務に専門に当たらせるということにした方がいいと思うし、国家公安委員会の皆さんも立派な人でありますけれども、私も二千六百万も報酬をいただいているというのはわからなかった、国会で承認していながら。まあ、聞いてみれば週に二時間だとかなんとか、高いか安いかわからぬが、聞いてみたら、いや、これをやると勲一等がもらえるんだ、こういう話まで聞いて、これでいいんだろうかなと。  実動部隊の公安委員会でなければならぬのに、私はあの公安委員会の対応も国民を相当失望させたと思うんですよ。本当にそう思う。我々もそう思う。良識を反映させるところではなくて、警察庁による甘い処分を追認しただけだというふうにみんな感じています。  私は三十三分で終わりだそうでありますけれども、このこともまた都道府県の公安委員会だって一体今どうなっているか、私もよく見ております。各界の有力者を集めた委員会だが、これは全くお飾りで名誉職という批判が絶えない、人事権は警察が握っていると、こういうのはみんな社説に書いてあるとおりなんです。わからないんですから、中のことが。  これは委員の皆さんごらんになったと思うんだが、「組織は上から腐っていく」というやつをよく見てみてください。全くこのとおりだもの。よくこの人は度胸よくこれを書いたものだと思いますよ。言いたいことを言って、大分の警察に赴任したときはもうひどい状況だったということなんかずっと書いてありますけれども、こういう人たちを公安委員に選んでみた方がよっぽど効果があると思う。  我々は選挙のときに裁判官だれがいいかとかなんとか、国会議員で名前も聞いたことがなきゃ顔もわからぬと。だれにマルつけてだれにバツつけるといったってつけられないでしょう、これ。我々ですらそうだから、一般国民が、皆さんから持ってこられたのを見たって、何人かは名前を聞いたことがあるなと、あるいは那須さんはよく知っているがという程度でしょう。本当に向いているかどうかというのは我々はわからぬですよ。これは演説会でもやって、私はこういう考えで今度は公安委員をやりますというのでも聞いたのなら、ああなるほどいいなと思ってできますけれども。  どうぞ、いずれにしてもこの委員会は何回もこういうことをできるので、ただ言いっ放し、答えっ放しでなくて、委員長、ここで国会議員同士で、今度は参考人、いろんな人を呼んで聞いて提言をして、どんどんやるぐらいの委員会であってほしい、こう思いますので、きょうはもう時間で、こんな大事なことを終わるというのはまことに残念ですから、次にはこういう佐々さんだとかいろんな専門家を呼んで聞いて、やっぱりここで私どもがODAのように提言をするという委員会であってほしい、こう思います。  言いたいことの半分も言えないで終わったんですけれども、さっき渡辺さんが言ったやっぱり心なんですよ。だから、あの大岡越前とか水戸黄門さんとかというテレビを見てみんなが喜ぶのは、やっぱり強きをくじき弱きを助けるという、あれを見てみんな国民が感動しているんですから。  どうぞ、そういう警察官であってほしいし、特に警護官たちが、私のときは金丸さんと加藤六月さんと吹田あきらさんと、山岡君の応援演説に行ってピストル撃たれたんですよ。私は爆竹を鳴らして走ってきたと思った。そうしたら、私の警護官がぱっと私の前に立ってカーテンの方に押して、そして金丸さんのところへ行って伏せて体を覆いましたよ。第一線に立つ人たちは命がけでやっているんですよ。  きょうだって、青森あたりは雪が降っていますわ。雪の中で交通整理をやったり、そういうまじめにやった人の努力に報いられないようなキャリアというものは私は壊してほしい。努力したら認めてあげればいいじゃないですか。  私はスポーツ界で生きているから、何ぼ全国大会で優勝してもオリンピックに行けないなんて、そんなばかなことをやったらやる気なくしちゃいますよ。これだけは、これからいろいろ検討される中で、優秀な者はちゃんとそれを認めるということでいいんじゃないでしょうか。  三十ぐらいで税務署の署長に来たり、県警本部長だって警察で上がったばかりの人でないでしょう。通産省でも何でも来るんでしょう、県警本部長で。だから、それを見ておったら、やっぱりもう少し本気でやるという姿勢をみんなに見せることは私は大事だと思っている。  どうぞ今後とも頑張ってください。  これで終わります。
  145. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 田名部君の御提案につきましては、委員会の今後の運営の方法として、理事会等で議論をさせていただきたいと思います。
  146. 石井一二

    ○石井一二君 質問に先立ちまして、委員長にひとつ御検討お願いしたい件がございます。  私は絶えず委員長からの距離が遠いところへ座っておるなという考えでここにおりますが、この細い通路、ちょっと太目の速記の方がお通りになるときは不測の事態も起きかねないというような距離にございます。自自公政権ができてかなりの歳月がたちますが、自由党と公明党の諸君が向こう側へ座るということを一度、他の委員会との関係もあろうかと思いますが、実力派の委員長でございますのでぜひ御検討をいただきたいと思います。  さて、先般、第一生命が毎年出しております国民から募集した川柳を見ておりますと、入選作の中にこのようなのがございました。いわく、「マンガだと 思えば国会 腹立たぬ」と、こういうのでございまして、これはややひねったあれでございますが、こういうことを言われないようにしっかり我々も質疑をしていきたいと、そういう気持ちできょうはおるわけでございます。  私は、本日は労災病院関係について若干の質問をいたしたいと思います。  もちろん、憲法第二十五条で認められておる我々の健康というもの、そういった意味で一番大事な行政の一つであろうと思いますが、国民の医療費は今や三十兆円になんなんとし、年々、老人医療費というものもその三六・二%まで上がり、片や労災関係の被災労働者の割合というものはどんどん減って、例えば昭和五十三年の三十四万九千件から現在は十四万というような数に減っておる中において、相も変わらず労災病院は赤字を垂れ流しておるというような状態にあるように認識をいたしております。  労働基準局長にまずお聞きしたいんですが、この現状をどのように認識し、今後どのような施策を改善のためにお持ちか、簡単に項目だけでも結構ですから、長々しゃべらずにひとつ御披瀝を願いたいと思います。
  147. 野寺康幸

    政府参考人(野寺康幸君) 労災病院、現在三十七ございますけれども、先生指摘のように、医療事業の単年度収支では黒字を維持しておりますが、政府支出によります施設でございますとかあるいはほかの減価償却も含めますと、損益ベースでは赤字でございます。例えば平成十年度の決算では、二千六百三十億の収益に対しまして、かかりました費用、支出の方が二千八百三十億、約二百億円の損失と、こういうことになっております。  労災病院の運営につきましては、これまでも出資金の縮減あるいは業務の民間への委託、そういった方法によりまして経費の抑制に努めてまいっております。特に、平成九年十二月の閣議決定がございまして、昨年末の総務庁行政監察結果に基づきます勧告の中でも、こういった状況の御指摘を受けているわけでございます。  労働福祉事業団に対しましては、今後とも効率的な病院経営を指導してまいりたいというふうに考えております。
  148. 石井一二

    ○石井一二君 同じ質問に対して、労働福祉事業団若林理事長はどのような御認識をお持ちですか。
  149. 若林之矩

    参考人若林之矩君) 私ども労働福祉事業団は勤労者の医療を推進いたしておりまして、土地、建物、高度医療機器等につきましては国から出資金をいただいて整備をいたしておりますけれども、一方、職員の給与、退職引当金等の人件費、医療材料費、こういった労災病院の運営に要する費用につきましては診療報酬を中心とした自前収入で賄ってまいっておりまして、長年にわたりまして、減価償却を含まない単年度収支について赤字を出さないということを目標に効率的な経営に努めてまいった次第でございまして、その内容はただいま労働基準局長から御説明のあったとおりでございます。  最近におきます厳しい財政事情を踏まえまして、もとより政策医療のための引き続き一定の出資金を仰ぐことは必要でございますけれども、私どもとしてできる限りの努力をしてまいりたいと思っておりまして、具体的には技能業務や検査業務等の外部委託業務量に対応いたしました嘱託職員の活用、休日・夜間を含めました機器の効率的な活用、あるいは物品の購入における契約努力、外部コンサルタントによる経営指導、こういったことを進めているわけでございますけれども、何よりも重要なのは私ども職員一人一人の経営改善に対する自覚でございまして、これをさらに徹底いたしまして、一層の経営改善に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  150. 石井一二

    ○石井一二君 今、理事長が自覚ということを言われました。また、局長もいわゆる収入から支出を引いたら黒字になるようにしたいんだと言われましたが、この感覚自体が私は自覚が足りないと思うんです。  なぜならば、民間と比べてくださいよ。あなた方がもらって当たり前と考えておるような出資金は、民間の場合、売り上げの中から出して、なおかつ黒字を出すための努力をし、黒字を出している病院もたくさんあるわけです。  また、労働基準局長労働福祉事業団を管理監督し指導しておる立場だと思うんですが、この理事長というのは毎回、昭和三十二年にできてから四十二年間で六人かわっていますが、あなたもその前任者もその前々任者も皆事務次官。労働基準局長からいえばかつての上司であり、もっと怖い偉い人だと。将来自分が、局長がどう出世するかが皆かかっておるような発言力の強い人を指導できる立場にもないと思うんです。  しかも、労働行政ばかりやってこられたあなた方が、武家の商法のごとく、この厳しい医療改革の時代に医療に対して物を言うだけの見識があるのかどうかということを私は疑っておるわけでございます。  例えば、皆さん方の先ほど来の答弁聞いておっても、減価償却費の削減をしたいというような厚かましい考え、また統廃合するとか民間への委託ということを言われますが、もっともっと私は考えなきゃならない実務的な経営中身改善のための問題が多いんじゃないかと思うんです。  若干の例を申し述べてみますと、特に、購入の材料費が高いと私は考えます。MRの排除ということを考えたことがあるか。また、機材の購入を他の民間病院と比較したことがあるか。あるいは国立病院、自治体の病院とも比較したことがあるか。  薬価基準の何万というような種類の薬価について、それぞれ買っておる価格というものがどれだけ薬価基準から乖離し、その結果できた薬価差益というものがどのように組織の中で消化されておるかということを調べられたことがあるか。  また、人件費の適正化。理事長の退職金のことを言っておるんじゃないですよ。例えば、看護婦さんの基準看護点数の比較ということをやられたことがあるか。二・八制について検討されたことがあるか。  日帰り手術というのは今アメリカでもどんどんどんどんはやってきておりますが、こういったことをやることによって回転率を上げると、こういう努力をしたことがあるか。  また、出来高払いという診療の実態とかけ離れたことで、九八年度だけでも五十八億五千万という不正請求の指摘が労災病院について全病院でありますけれども、こういったことに対する自己反省がどうなっておるか。  私は、数々の問題を真剣に御検討いただかないと立ち直らないというように考えております。だから、減価償却だけいらえばいいというような考えではなしに、今後ひとつ抜本的に改善特別委員会でもつくって格別の努力をするんだということをお約束していただきたいと、このように思うわけでございます。  いろいろ申し上げたいこともございますが、もう私が始まった段階でもう私が終わっている時間で、渡辺秀央議員のようにもう帰ってしまわれた方もございまして、私もほかの用事もございますので、私が今申したことに対してひとつ御反論があれば承りたい。前向きに努力ができるのであれば、それはそれでひとつこの次に、またある程度期間を置いてその成果のほどをお伺いさせていただきたいと思います。理事長、いかがですか。
  151. 若林之矩

    参考人若林之矩君) ただいま先生指摘の点は御指摘のとおりでございまして、私どもやはりいろいろな経営を改善してまいります場合には、いろいろな民間の病院の指標というものと比較しながら、改善できるところを改善していかなきゃならないというふうに考えているところでございます。  今御指摘ございましたような改善委員会をつくって各病院が改善をしていくということも非常に重要なことであるというふうに考えておる次第でございまして、私ども今ただいま御指摘の点も含めまして一層の経営改善の努力に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  152. 石井一二

    ○石井一二君 最後に一言だけ、私はこうしたらいいと思うことがありますので、御提案申しておきます。  現在の労災指定医療機関をもっともっとふやして、健康保険取り扱い病院で自主的な申告があるものは皆認めていったら、全国に散らばっている労働者のためにそれだけ扱い病院がふえるわけですからいいんじゃないかと思います。  それで、こういったことができない場合、主務官庁としての立場をおりられて厚生省に持っていくべきだと。これは医療でたった八%しか労災患者はやっていないんだから、素人である皆さん方がこれを管理監督するということは無理じゃないかと思います。そういうことを私の私見として申し上げておきたいと思います。  以上です。終わります。
  153. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 本日の調査はこの程度にとどめることとし、これにて散会いたします。    午後四時四十六分散会