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2000-03-30 第147回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      奥村 展三君     岩本 荘太君  三月二十九日     辞任         補欠選任      山下 善彦君     加藤 紀文君      阿部 幸代君     筆坂 秀世君  三月三十日     辞任         補欠選任      筆坂 秀世君     吉川 春子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         齋藤  勁君     理 事                 景山俊太郎君                 釜本 邦茂君                 簗瀬  進君                 弘友 和夫君                 渕上 貞雄君     委 員                 岩城 光英君                 加藤 紀文君                 鹿熊 安正君                 鈴木 政二君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 谷林 正昭君                 内藤 正光君                 吉田 之久君                 日笠 勝之君                 宮本 岳志君                 吉川 春子君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君    国務大臣        運輸大臣     二階 俊博君    政務次官        運輸政務次官   鈴木 政二君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    政府参考人        運輸省自動車交        通局長      縄野 克彦君        運輸省海上交通        局長       高橋 朋敬君        運輸省港湾局長  川嶋 康宏君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○港湾運送事業法の一部を改正する法律案内閣  提出) ○海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十八日、奥村展三君が委員辞任され、その補欠として岩本荘太君が選任されました。  また、昨二十九日、阿部幸代君及び山下善彦君が委員辞任され、その補欠として筆坂秀世君及び加藤紀文君が選任されました。     ─────────────
  3. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  港湾運送事業法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会運輸省自動車交通局長縄野克彦君、運輸省海上交通局長高橋朋敬君、運輸省港湾局長川嶋康宏君、労働省職業安定局長渡邊信君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 港湾運送事業法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 田中直紀

    田中直紀君 おはようございます。自由民主党の田中直紀でございます。  きょうは、議題でございます港湾運送事業法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年の六月に運輸政策審議会答申が行われ、今回一部改正ということで、港湾運送事業者規制緩和を図る、こういう内容理解をいたしております。  まず、事業者労働者最低保有基準を一・五倍に引き上げる、こういう方針を運輸省がこの法律に従いまして打ち出しておられるわけでありますが、事業者新規参入をするというためには、この法律におきましては一定基準を得てそして新規参入をする、こういうことがうたわれておるわけでございます。  この審議会答申を経てこの法律をつくった、成立を図ると、こういうことでありますので、内容についてはこの運輸政策審議会の提案というものがほぼ適用されるというような理解でいいのかどうか。そしてまた、一定基準という問題について、これから猶予期間三年間あって、それで事業者が、労働集約型産業でありますから企業が適正な努力をしていく、こういうことではないかと思いますけれども、三年間のためには大変な政策誘導をしていかなきゃいけない。そのためには、やはり国が健全な企業事業者を育成していくためにはそれなりの予算措置が必要ではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、その二点につきましてまずお伺いをいたしたいと思います。
  7. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  まず、今度の規制緩和の中で労働者最低保有基準引き上げというものを考えておるわけでございます。この考え方につきましては、審議会等議論を踏まえたものとしてこれを具体化していくというふうなものでございます。  まず、労働者最低保有基準考え方でございますけれども、これは、導入したときの考え方は、専ら日雇い労働者を使用して港湾運送事業を営むような悪質事業者参入防止することを目的としたものでございます。今回、規制緩和に伴いまして事業参入が容易になるということを踏まえまして、悪質事業者参入防止するという観点からさらに最低保有基準引き上げるというふうになったものでございます。  一方、その労働者最低保有基準引き上げの効果はもう一つございまして、事業規模拡大というものを通じまして、港湾運送事業船舶運航スケジュールの影響で日ごとの業務の格差がある、いわゆる波動性があるといったようなことがございますし、これを解消する方向に働くだろうと。それから、労働者交代制の導入が可能となるようなことに条件がなってまいりますので、日曜、夜間荷役ということに関して柔軟な対応が期待されるということでございます。  あわせまして、この最低保有基準先生今お話にございましたように、事業者の負担にならないような観点も踏まえまして、事業協同組合に加入していただける場合には組合の他の事業者労働者を自己の労働者としてカウントするといったようなことも考えているところでございます。このようなことでもって支援を促進してまいりたいと思っております。  それから、先生、新基準ということなので経過措置のことをお話しされましたけれども、運政審答申が十一年の六月にございました。その後三年間という猶予期間を設けまして、その間に御努力いただくということを考えているところでございます。  なお、予算措置関係でございますが、この基準を満足していただくために事業協同組合というものに加入していただくということが大変重要なポイントだと思っておりますので、港ごとにそういう事業協同組合動きを促進するための調査支援事業のための費用ということで一億六千万の予算を計上しているところでございます。
  8. 田中直紀

    田中直紀君 今回は先行して九港における港湾運送事業者対象にする、こういうことでありますが、現在対象になる事業者というのは、元請事業者が二百八十七社、また下請事業者が三百四十五社ということで、非常に多い事業者対象になるわけであります。また、元請事業者の下にある下請事業者というのが、港湾荷役事業あるいははしけ運送事業いかだ運送事業、こういうことでそれぞれ役割を担われておる、こういうことでありますし、港湾労働者対象で約三万六千人と、こういう状況であります。  運輸業におきましては規制緩和というのは大変重要でありますし、国際競争力をつけていく、こういうことで大変この法案については私は賛成の立場でありますけれども、これだけの経済情勢の中で、雇用の問題あるいは安全性の問題、そしてまた事業者が的確に育成をされていかなきゃいけない、悪質な事業者を締め出すということも大変重要なことでありますが、何といっても今やっております事業者をしっかりと育成していくことが重要であるというふうに思う次第であります。実際の事業者に対して、事業協同組合を一緒になって、そしていわゆる労働者基準を上げていけばいいんだと、単純に言いますとほかの事業者を頼ってやっていくという方法に余り偏らないで、それぞれの事業者がもっと健全な、そしてまた役割を担えるような事業者にしっかりとなっていく。そういう意味では、事業協同組合というものは若干、その三年間においてもすぐにスタートをするのではなくて、まず事業者努力をしてもらうという手順を踏んでいくことが妥当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  9. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  先生おっしゃったとおり、港湾運送事業規制緩和によりまして、港湾運送事業というものが、国際的な競争裏にありますこの港湾において新しい事業として言うならば体質を強化していただく、あるいは生まれ変わっていただくという面がございます。そういう意味で、個々港湾運送事業者がみずからの力で変化していく、大きくなっていくということは非常に大事なことだと思います。  そのような努力は私ども見守ってまいりたいと思いますし、何が何でも事業協同組合ということではございませんで、もしいろいろな事情でそういう事業協同組合を選択するという場合もあろうと思いまして、その場合の一つ便宜措置と申しますか、それを考えているわけでございまして、もともとは個々事業者が切磋琢磨できるような体質に変わっていただくということが前提であろうかと、こう思っております。
  10. 田中直紀

    田中直紀君 料金につきましても届け出制と、こういうことで改定がされるわけでございます。ダンピング防止措置につきましては、これから料金届け出制に移行するわけでありますが、これにつきましてはこの法案成立をして六カ月以内に施行されるわけでありますから、料金届け出制はすぐに実施をされていくということで理解をしていいのかということがまず一点でございます。  それから、諸外国と比べて港湾運送料金がやはり割高になっておる、こういう状況下でありますから、ダンピング防止ということも一方でやっていかなければいけませんが、適正な料金でやっていただく、こういうことも軌道に乗らなきゃいかぬという事態ではないかと思います。その中で、料金体系を見てみますと、諸外国との比較はどういうふうになっておりますか御説明をいただきたいと思います。  我が国では、いわゆる一般料金とそれから運営料金、あるいはコンテナ化が非常に進んできておりますからいろいろな作業をしていく中での特殊料金、こういう料金の積み重ねで荷役作業が行われている、あるいは諸外国と同じように日曜荷役あるいは夜間荷役をやっていく、こういう事態でありますから、料金体系をどういうふうに今後考えていくか、あるいは、届け出制に移行するに当たってスムーズに移行していくというその手順はどういうふうに対処されておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  11. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  まず、現在、料金認可制でございますから、新しい制度になりました場合には、その認可制における料金はそのままスムーズに新しい制度において手続がされたものとみなされるということでございます。  これから新しい状況の中で事業者の方々の切磋琢磨の中でいろんな料金が出てくるのかもしれません。それはまだ具体的に予測することはできないわけでありますが、それにつきましては、今先生指摘のように日本港湾料金が全体に高いということの中で、国際競争の下にありますのでいろんなことが起きてくるのかもしれません。  しかし、この規制緩和をするに当たって、その動きの中で、余りそれが行き過ぎた過度な状態になることについてもやはり配慮しなければいけないと思っておりますので、先生先ほどお触れになりましたダンピングの問題についてはしっかり私ども監視しながら対応してまいりたい、こう思っております。
  12. 田中直紀

    田中直紀君 運輸大臣にもおいでいただいておりますので、二点ほどお伺いをいたしたいと思います。  日米協議の中で、一九九七年にアメリカ連邦海事委員会から港湾荷役の点につきまして強い要請があったところでございます。外国企業参入規制の撤廃を求めてきたわけであります。大変厳しい交渉を展開した、こういうことで聞いておるわけでありますが、今回の規制緩和によりまして我が国港湾荷役規制緩和というのが一歩前進をしてくるわけでありますが、日米交渉の中で海運大手三社が制裁措置を受ける、こういうような状況下にあった時期もあるわけでありますし、日米間でこの問題について最近どういう形になってきておるかというのを一点お伺いいたしたい。  もう一点、先ほども申し上げましたけれども、我が国国際競争力港湾近代化あるいはコンテナ化対応、こういうことでありますが、香港シンガポールあるいは高雄、釜山に比較して我が国の主要港が、重要な貿易立国としての拠点であるわけでありますが、大変劣勢にある、こういうことであります。今回の法律成立に従って強力に国際競争力の強化を図っていく、そのための姿勢、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  13. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 御指摘のFMC制裁措置問題の解決に当たりまして、ちょうど平成九年十一月に斉藤・オルブライト往復書簡というものがございまして、御承知のとおりでありますが、そのフォローアップや、あるいは港湾運送事業規制緩和に関する意見交換を行う観点から、先般も、昨年の秋でございましたが、局長レベル日米海運協議を行ったところであります。本年二月、私自身アメリカスレーター運輸長官と会談を行いまして、この問題につきまして十分意見交換を行ったところであります。  今までのアメリカ側の主張の中でも、日本港湾運送の過去からの経緯現状に対する理解が不足していることによって意見の食い違いが生じておるのではないかという点がございました。  なお、今回の規制緩和は多くの関係者が十分な御議論を行った上でまとめられたものでありますが、日本側は従来の協議の場において、規制緩和趣旨内容等について詳しく説明し、私自身スレーター長官一定理解を得たものと考えております。日本側としては、引き続きアメリカに対し、今回の規制緩和内容につきまして十分説明してまいるつもりであります。  国際競争力についての所見はということでございますが、最近、御承知のとおり、横浜、神戸等日本の主要港は、シンガポール香港等東アジア主要港と比較してその取扱量も大きな差が生じておりますことは事実であります。また、欧米と東アジアの間を結ぶコンテナ基幹航路において日本への寄港回数が減少するなど、日本の港の東アジアにおける相対的地位が大きく低下しているところは委員指摘のとおりでございます。  この原因として、日本より東アジア各国における貨物量の伸びが高いことが大きいと思われますが、我が国港湾運送事業者間の競争が行われにくく、船会社荷主ニーズに合ったサービスが提供されにくかったという事実も認めざるを得ません。  今回の法改正によりまして、コンテナ荷役などにおいて主要九港において需給調整規制廃止を初めとします規制見直しを行うことによって、事業者間の競争を促進し、事業効率化荷主ニーズに応じるようにしたいと考えております。このような施策によりまして、我が国港湾東南アジアの主要港に伍して効率的な物流サービスを提供していくように、今後とも一層努力を傾けてまいりたいと思います。
  14. 田中直紀

    田中直紀君 以上です。
  15. 谷林正昭

    谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。よろしくお願いいたします。  きょうは、現場で私、労働者として頑張っているときから、この港湾運送事業法規制緩和が、そこに働く人たちやあるいはその家族あるいは関係者皆さんが、この後おれたちはどうなっていくんだろうと、非常に心配をしながら今日を迎えました。いよいよ法改正議論に入るわけでございます。きょうはその仲間の皆さんが赤いリボンをつけて、みんな心配ということでお聞きになっておりますので、私も真剣に質問させていただきますので、ぜひよろしくお願いをいたします。  本題に入る前に、今北海道有珠山が大変な状況になっている。気象庁を統括する運輸大臣運輸省としまして非常に大変だと思いますけれども、ぜひそこらあたり抜かりのないような、住民が不安を得ないような情報の一刻も早い伝達、こういうものを御配慮いただきたいなというふうに思いますし、一方では、きょうの新聞で自由党が与党を離脱するんではないか、あるいはどうなっているんだ、二階運輸大臣の去就が注目をされている、こういうような状況もあります。いずれも爆発寸前のような感じがいたしますが、ぜひひとつ心境をよろしかったらお聞かせいただきたいと思います。
  16. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) まず、有珠山のことにつきまして御意見、御指摘がございましたが、この問題につきまして、昨日からも小渕総理とも連絡をとり合いながら、官邸の中に万一に備えての体制を既に整えてございますし、私自身も昨日、委員会終了気象庁に参りまして、気象庁体制等を再確認するとともに、一刻も早い情報を的確に送達できるようなことを常々やっておりますが、今改めて再確認して万一に備えるようにということを気象庁長官にも命じてまいりました。  なお、気象庁長官、ちょうどこの年度末、人事異動を考えておりまして、私自身、既に閣議の人事でございますから総理の了解を得ておったところでございますが、昨日夜、その既に内定をいただいております長官人事異動を撤回いたしまして、現長官が引き続きこの任に当たるようにということにいたしております。現場におきましても既に十分な体制を整えておりまして、避難は既に完了いたしておりますし、新しい観光客等の受け入れは極力避けるように指示をいたしております。  私も、きょうは一日国会でございますし、明日もどうしても外せない日程もありますが、明日午後ぐらいに北海道の現場に赴くつもりで、今運輸省を出てくる際に日程調整を指示してきたところでございますが、私はちょうどたまたま北海道開発庁長官も兼務いたしておりますので、両々相まって万全の体制を期するようにいたしております。  なお、私の党内の問題につきまして大変御親切な御質問をいただきましたが、きょうは、ここは政府立場でお答えをすることでございますが、私は相撲でもそうでございますが、制限時間いっぱい、常に最後の五分までというのが私の信条でございますから、皆様の激励をいただきながら、いわゆる有珠山の問題につきましてはそういうことが杞憂に終わることを願いながら、万全の体制をしいて、責任は全うしたいと考えております。
  17. 谷林正昭

    谷林正昭君 どうもありがとうございました。少し安心しました。  それでは本題に入らせていただきます。  まず、港湾運送事業法の今の法案が出てきた経緯等につきましていろいろ勉強させていただきましたけれども、行革委員会、そして運政審海上交通部会、ここから答申が出されたものが基本となり法律改定というふうになっていると思います。その中で、時間の都合もございますので、ちょっとぶっきらぼうな質問になるかもわかりませんけれども、二十数点にわたって質問させていただきます。  まず、大臣にお伺いしたいのは、この法改正を何のためにやらなければならないのか。答申ではいろいろ出ております。しかし、日本国として、運輸省としてその目的をもう一度はっきりさせていただきたい。あわせて、それでは今の日本港湾運送事業の将来のあり方、それから事業を行う事業者のあるべき姿、こういうものを大臣の方からお聞かせいただきたいと思います。
  18. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 谷林委員の、いつものとおりでございますが、みずからの貴重な経験に基づきまして建設的な御意見をちょうだいしておりますことをまず感謝をいたします。  港湾運送事業は、御承知のように、海陸の結節点である港湾において貨物船舶への積み込み等を行うもので、我が国における経済活動国民生活を維持していく上で極めて重要な役割を果たしてまいりましたことは委員も御承知のとおりでございます。  近年、各国港湾の間におきまして国際的な競争が激しくなっていく一方で、コンテナ取扱量などにおきましても我が国港湾東アジアにおける相対的地位は大きく低下している現状にあります。その原因一つといたしまして、我が国港湾運送事業者間の競争が行われていない、各船会社荷主ニーズに合ったようなサービスが提供されていない、こういう指摘を各方面からいただいておりますが、我々は現状はそれを認めざるを得ないような状況にあると認識をいたしております。  今後、我が国港湾東アジアの主要港に伍して将来にわたっても効率的な物流サービスを提供するためには、海上輸送の主流を占めておりますコンテナ貨物などの積みおろしについてより一層の効率化サービス向上が求められているところであります。コンテナ荷役などにおいて主要九港におきまして需給調整規制廃止を初めとする規制見直しを行うことによって、事業者間の競争を促し、同時に事業効率化や多様なサービスの提供を図るために今回の法律改正を御提案いたしておるところであります。  また、港湾運送事業者の将来像に関しましても、集約・協業化を進め、波動性等対応できるような経営基盤を確立するとともに、従来の労務供給的事業から脱皮して、みずからコンテナターミナルを借り受けるターミナルオペレーターとして多くの船会社荷主の荷物を扱うなど積極的に事業の展開を図るようになることが望ましいと考えております。
  19. 谷林正昭

    谷林正昭君 規模拡大、そして荷主ニーズにこたえるための努力というのが目的だというふうに受けとめさせていただきましたし、外国との競争、こういうような観点で今お話しをいただきました。  それでは、具体的にお尋ねいたしますけれども、その荷主ニーズにこたえるということは、そして効率化サービス向上というのは、その港にあって本当にどういうことなのか、具体的に言えばどういうことなのか、これがもう一つはっきりしない。これを一つお聞かせいただきたいと思いますし、一方では、九港だけが今の法律改正対象になる。この港湾運送事業法の第一条、秩序というものを重んじてこの運送事業というのはやらなきゃならない、これは第一条にしっかり書いてあります。ということになれば、後々また質問させていただきますけれども、この第一条をしっかり踏まえながらいわゆる一法律制度的な考え方でいくのか、それともこの一条だけは絶対守りますよという気持ちをしっかり持ってこの議論に入っていくのか、そこらあたりを少し聞かせていただきたいと思います。  今、大臣からおっしゃいましたけれども、日本港湾国際競争力の低下とおっしゃいました。あるいはこれからの将来の競争、こうおっしゃいました。じゃ原因は、果たして小さい事業者だけが日本の港にあったから競争力が低下したのか。私はそうじゃないと思います。ばら積みからコンテナ化になる、あるいは東南アジアを中心にしていろんな産業が発展をしてくる、そういうところにあって、そちらの方を経由しながら行く。じゃ日本を素通りしていったかといったら、私は、日本の荷物はまだ余りふえてはおりませんけれども、微々にふえていますけれども減ってはいないというふうに把握をさせていただいております。  そういうことを踏まえてぜひお聞かせいただきたいということと、先ほど同僚議員からの質問もありましたけれども、労働者の保有基準を一・五倍にするということが安定化の一環として必要だと、私も思います。そして規模拡大策、これも必要だと思います。それから、悪質業者の参入防止、そのためにもきちっとした枠組みが必要だというふうに思います。  そのためには、この一・五倍という数字を上げたときに、じゃそれが法律にはっきり出てくるのか出てこないのか、私はどうも見えないような気がいたしますけれども、一方ではあるんじゃないかと、探せば出てくるというような気もいたしますので、しっかりした答弁をお願いしたいと思います。  あわせまして、先ほど答弁もありましたように事業協同組合化、事業の協同化、こういうところに当たって、先ほど一億六千万円予算をつける、こういうお話がありました。そこらあたり、私は金額の多い少ないはこれからの話だと思いますけれども、その協同化について行政支援、こういうものをしっかりやっていただけるかどうか、その辺をまとめてお聞かせいただきたいと思います。
  20. 鈴木政二

    政務次官鈴木政二君) 五点にわたりまして質問がありました。  谷林委員は今、大臣からもお話しのように、この問題につきまして若いころから大変御経験を踏まえた、大変真摯な形でいつも進められていることを聞いております。  今の御質問で、第一点の質問から順番にお答えをさせていただきたいんですけれども、まず今回の改正でありますけれども、先ほど言いましたように規制緩和の実施や港湾運送業の集約・協業化の推進で事業規模拡大したい。  谷林委員もよく御案内のとおり、今の形を見ておりまして各港そうでありますけれども、日によって貨物量というのは大変違ってきますね。ですから、そういう面では、忙しいときには人手も足りなくなってしまう。また、暇な時期とか暇な貨物量のときにはこれがまた労働者皆さんが今度は遊んでしまうというか仕事に携われなくなってしまう。そういうこともございますから、そういう面で今回のこの集約・協業化をきちっとさせていただいて、特に中小企業の業者の方々にきちっとした形でしていきたいなと思っております。  そして、もう一つ夜間と日曜の荷役の問題でありますけれども、これも交代要員等労働者交代制の導入を可能とすることになると思います。そういう面でさらに柔軟な体制といいますか、実施できるような方向で事業効率化サービス向上化を図っていこうと思っております。  そして、二番目の御質問でありました、最も重要であります目的に書いております港湾運送事業法目的の第一条であります。港湾運送の秩序を確立し、港湾運送の健全な発達を図り、もって公共の福祉を増進すると、こう書いてあります。  今回の規制緩和で実施する港の選択に当たりましては、効率、サービス向上が急がれていることはもう御案内のとおりであります。もう谷林先生御存じのとおりでありますけれども、その実情に合わせまして規制緩和による影響の度合いを一つずつ勘案いたしました。そして、港湾運送の安定化を図りつつ、規制緩和の先行実施が可能な港を選んだつもりでございます。したがって、規制緩和に先行する港、それ以外の港のいずれにおいても私どもは第一条の法の理念に対応することができると考えております。  もう一つのお話でありますけれども、近年各国港湾において国際的な競争が進展する中で、コンテナ取扱量において我が国港湾東アジアにおける相対的な地位が低い。先ほど谷林委員いろいろ御指摘をいただいて、私ども、二階大臣もさっき答弁をさせていただきましたけれども、これ大きな原因はやっぱり特に東アジア東南アジアの急激な経済成長じゃないでしょうか。それによって貨物量の伸びがやはりどうしても向こうが高くなってくるというのが私どもは一つの大きな原因だと考えております。同じでございます、谷林委員考え方が。  そういう面では、我が国港湾運送事業者の間の競争が、非常にまだ今の段階の中で先ほど言いましたように行われにくくなっておりますので、やはり船会社荷主ニーズに合ったサービスの提供がされにくくなっている点も、これもまた一つ原因だと思っております。  このような状況を踏まえまして、今般、一つずつ解決するために規制緩和を行うことによって事業者競争の促進、そして事業効率化やもう一つ多様なサービスの提供をしっかり図っていきたいと思っております。  あと二つの問題でありますけれども、労働者の最低保有の問題であります。  この労働者の最低保有の基準については、港湾運送事業法において今現在は一定数以上の労働者を保有することが許可基準になっておることは御案内のとおりであります。その具体的な人数については運輸省令で定めることとされておりますから、したがって、今のお話のように法律で規定するのかどうかというお話でありますが、今回の一・五倍の基準引き上げに当たりましては省令の改正対応させていただきたいと思っております。  また、さっき言いました荷役量の日々の波動性による労働力の遊休化の解消と、そして労働者交代制導入を可能とすることによります日曜、夜間荷役につきましてもより柔軟に実施できるよう、私ども集約・協業化を推進していくつもりでございます。  この集約・協業化の推進のために行政として具体的にどうするんだという今御質問でありましたけれども、先ほど田中委員からのお話もありましたけれども、今回のこの一・五倍ということで事業規模拡大を促すために、この一・五倍の労働者保有基準に満たない事業者については、やはり事業協同組合に加盟する。そうすると、組合内の他の事業者が雇用する労働者最低保有基準の算定上の自己労働者として取り扱われるわけですね、今度の場合は。そういう面で、私どもはそういう中小の方々につきましては事業協同組合の結成をぜひとも促して、先ほど言いました満たないものにつきましては協同化をして埋めていただきたいなと思っております。  なお、今度の予算は、先ほど言いましたように一億六千四百万を確保させていただいて、規制緩和を行う各港におけるそれぞれの集約・協業化をしっかりと後押しさせていただいて、調査支援事業等を実施する予定でございます。一生懸命やらせていただきます。
  21. 谷林正昭

    谷林正昭君 時間の都合もございますので通告していた内容を少し飛ばさせていただきますが、まず、九港を規制緩和対象にしたという理由は、今ほど実施可能なところからやるとこういうふうな感じでございました。理由をお聞きしたいわけでございますが時間がございません、大体わかっていますので飛ばします。  次に、大臣にお聞かせいただきたいと思いますけれども、行政改革委員会の中で、この規制緩和の推進に当たって運輸省労働省を初めとする関係省庁が協力をして政府全体として整合性のとれた規制緩和をやるべきだ、こういうふうに委員会では言っております。この港湾行政の一元化といいますか連携といいますか、そういうものがこれから非常に重要になるというふうに思いますので、大臣の口からぜひお聞かせいただきたいなというふうに思います。
  22. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 港湾行政の一元化につきましては、我が国港湾が、先ほどからも申し上げてまいりましたように、東南アジアの主要港に伍して将来にわたって効率的な物流サービスを提供していくためには、港湾整備の重点化や港湾運送事業規制緩和など、ハード、ソフト両面からの総合的な施策の展開が必要でありますので、運輸省としましては、ハード担当の港湾局とソフト担当の海上交通局が連携して各政策を進めていくことが必要であるという認識を持っております。  また、規制緩和を推進するに当たりましては、労働関係の安定化にも配慮をすることが重要でありますので、港湾労働法を所管する労働省とも協議して規制緩和を進めていく必要があると考えております。  今回の規制緩和は、運輸省運輸政策審議会及び労働省の中央職業安定審議会における審議、答申を踏まえて実施しようとしているものでありますが、労働省あるいは運輸省の課長クラスが互いに審議会出席するとともに、双方の審議会委員自体を重複するものにしたりするなどして、今回の規制緩和の実施に当たっては双方が連携をとって進めてきたところであります。  今後とも、運輸省関係部局及び労働省と密接な連携をとりながら、今委員指摘のようなことを十分念頭に入れて港湾行政を進めていきたいと考えております。
  23. 谷林正昭

    谷林正昭君 私は絶えずそこに働いている人の立場を思いながらこういうふうに質問をさせていただいておりますけれども、自分たちの職場が本当にこれからどうなっていくかというのが、その家族を含めた心配になってまいります。そういう心配を取り除きながら、競争力のある港づくりというのが大事だというふうに思いますし、そのイニシアチブをとるのがやっぱり運輸大臣、こういうふうに思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。  具体的な中身に入らせていただきますけれども、今九港が指定をされます。今後、この九港以外に仮に十港、十一港、十二港にふやしていくとしたらどういう手続をとるのかお聞かせいただきたいと思いますし、あわせて、そこに参入するときに許可基準あるいは審査項目、こういうものがなければならないと思いますので、そういうものを明確にして、そしてその審査内容を明らかにするのが公正な競争だというふうに思います。  それから一方では、許可基準、審査項目の中に、私がいつも言っている安全という問題が横に置かれております。これは、労働安全基準法があればいいんだ、労働基準法があればいいんだ、労働安全衛生法があればいいんだということではなくて、新しく規制緩和をしてその職場に新しい政策を導入していくときには、例えばハンドル労働者規制緩和をするときに、労働大臣告示の、俗に言う二・九通達というのが出されまして、そしてそこで安全というものをしっかり守りましょうよという告示がなされました。港湾運送事業に携わるごく限られた一スペースの中での労働ということになるかもわかりませんけれども、しかしそれが大きく働き方が変わってくるといったときに、ぜひこの安全というものを法律に明記するべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  24. 鈴木政二

    政務次官鈴木政二君) まず最初の第一点の、今後どうなるのかという話でありますけれども、御案内のように、九港以外の八十五港、今のところ規制緩和対象に外れております。この九港と八十五港を比較しますと、大変荷役量も少なくて、事業者規模も小さいところが多いところでありますから、もしこの規制緩和に置かれますと大変な大きな影響があると当然予想されております。こういう面では、港湾運送の安定化政策も、九港とそれ以外の港の状況の違いをきちっと踏まえまして、同じ方法でこれから進んでいいかどうかという検討を十分これからもさせていただきたいと思っております。  このため、今回はこうして九港を先行させていただきましたけれども、残る八十五港につきましても、規制緩和状況、そしてこの九港の形を見て今後進めていきたい。なお、これにつきましては、法律改正も含めて検討をしていきたいなと思っております。  次に、許可基準とか審査項目を明確にするという御質問でありますけれども、許可審査の基準等については通達等で定めまして、きちっと公表することを運輸省としては予定させていただいております。  そして、安全性の問題であります。もういつもいつも大臣からこの安全性の問題は、就任以来私ども政務次官、総括、そして運輸省全体にきちっと安全性確保というものを指令を受けておりますので、今回のこの問題で安全性の担保をどうするか、谷林委員の御心配は当然だと思っております。  そういう面では、港湾労働安全性の確保に関しましては、従来から、事業場ごとに安全管理者の選任やクレーンの運転についての一定の資格を義務づけることなどを内容とする例の労働安全衛生法によって労働省が所管をしていることは御案内のとおりでありますけれども、港湾運送事業法の許可基準に入っていませんが、規制緩和によって絶対に安全が損なわれないことを、よく労働省ともきちっと協力し合いまして、先ほど大臣がお話ししましたように、事故災害の防止等についてきちっと事業場を指導していくつもりでございます。  以上であります。
  25. 谷林正昭

    谷林正昭君 安全の関係で、今ほど絶対後退させない、こういう決意もありました。  一つ外国の例をとりますと、港ごとに、港単位で安全を考える、そういう協議会、あるいは安全衛生委員会、言葉はどうかわかりませんけれども、そういうものをつくってやる。なぜならば、業者は非常に小さい業者が多い。あるいは業者ごとによって安全対策が違う。こういうことになってくると、これからは共同作業をするということも労働省で提案をしていますから、そういうようなことを含めたときに、先ほど大臣にお伺いした一元化運営という問題にこの安全がかかわってくるということでございますので、港ごとに安全対策をするというようなことなどもぜひ御検討いただきたいなと思います。  次に入らせていただきます。  運賃料金規制の緩和でございます。今、規制緩和の大きなポイントは参入の自由と運賃の届け出制、いわゆる運賃料金の自由ということになるわけでありますが、その届け出制の中に、あらかじめ届ける、こういう文言がございます。あらかじめというのは何日前のことなのか。こんな単純な質問で恐縮でございますけれども、非常に今後の運営について問題が出てくるような気もいたしますし、届け出た料金の効力はいつから発効するのか、あるいはその届け出に当たって原価計算書を提出させるのか、こういうことをお聞きしたいと思います。  なぜこういう単純な話を聞くかといいましたら、競争になるんですね。そういったときに、あの業者はトン一万円でやるといううわさを聞いたらすぐそれを変更するような、ダンピングにつながるようなそういう値下げ競争が当たり前に届け出でできるということになったら、私はこれは大間違いだというふうに思いますので、そこらあたりはしっかりお聞きしておきたいというふうに思います。
  26. 鈴木政二

    政務次官鈴木政二君) おっしゃるとおりだと思います。改めてきちっと運輸省に確認をするという姿勢も、私どももきちっと物をしゃべらなきゃならないと思っております。  これは、やっぱりほかの立法例に倣いまして、届けられました運賃料金が変更命令の対象となるものでないかどうかの判断をする必要ということから考えましても、運賃料金を適用する日の三十日前までに届けることとしたいと考えております。また、届け出の効力は、当然ながら当該申請による当該運賃料金の実施予定日から生ずるものと私どもは考えております。  また、料金許可制から届け出制に変更することによりまして、先ほどの原価計算の話でありますけれども、従来提出はしておりましたところでありますけれども、今回から原価計算書は添付しなくても結構というふうに私どもは考えております。  ただ、料金変更命令を出すことを検討するに当たって必要のある場合は、報告徴収の規定に基づきまして原価計算書の提出を求めることとしております。
  27. 谷林正昭

    谷林正昭君 後ほど触れますけれども、変更命令を出すときは計算書を見させてもらう、しかし業者の届け出については必要ない。ちょっと矛盾するような気がいたしますが、後ほどまた触れさせていただきます。  次の質問に入らせていただきますが、この答申でも言っていますように、この規制緩和における重要なポイントは、秩序の混乱をどのようにして防止するかである、こういうふうに言っております。第一条で秩序の確立をしっかり守る、そして規制緩和、たとえどういうような状況、まだ今のところは想像の社会ですから、どうなってでもとにかく秩序だけは、あるいはその混乱を避けなさい、こういうような答申になっております。  そこで、今ほど言いました運賃の変更命令を出すということになるときは、市場原理でいきますとダンピング競争にこれはなってくる、そういったときに変更命令を出しますよ、出してもいいですよという法律になっております。そのときの物差し、これが一つ必要になってくるんではないか、基準といいますか。そういったときに、その発動に当たっての透明性や公平性、これは業者は裏を返せば不利益をこうむりますから、それが必要になってくる。そういうものが果たしてつくられるのかどうか、担保できるのかどうか、これが一つ問題があります。  それから、命令の発動に当たって不利益になるということになれば運輸審議会に諮らなければならないというふうに私の勉強した限りではなっておると思います。この運賃の変更命令を運輸審議会に諮るのかどうか。  それから、過度のダンピングという言葉を使いながら市場の混乱防止をうたっております。運政審答申でも過度のダンピングによる港湾運送の混乱防止策案というのが出されました。私も見させていただきました。そういったときに、この過度なダンピングの位置づけ、ここが大きなポイントになるというふうに思います。どこまでが過度なのか常識なのかということになれば、市場原理でいけばすべてがダンピングではない、競争だということになったらちょっと問題があるんではないかな、その辺を少しお聞かせいただきたいというふうに思いますし、そのダンピングの把握の仕方、これもひとつしっかりお聞かせいただきたいと思います。  もう一つ懸念されるのは、多くの元請と多くの下請、そしてその下請にも入れない孫請というのが今の港湾運送事業の実態だというふうに思っております。そういったときに、競争の中で下請、孫請に安くたたきながら仕事を請け負わせる、それが過度なダンピングに当てはまるのかどうか、そこらあたりをしっかりお聞かせいただきたいなというふうに思います。
  28. 鈴木政二

    政務次官鈴木政二君) 今の御質問に答えさせていただきたいんですけれども、まず運輸大臣は、届けられた運賃、これははしけとかそういうものだろうと思うんですけれども、料金が不当に差別、これも今指摘の中で谷林委員がお話の中で含んでいると思います、そういうものがあったときや、また不当競争を引き起こすおそれのあるときは変更命令を発することができるとされております。  変更命令の具体的な運用基準については、おっしゃるとおり下請料金の相当部分を占めるのがやはり御案内のとおり労働コストなどだと思います。そういうものを含む変動費を下回っているような場合を過度のダンピングとして私ども考えまして、変更命令を行う方向で検討をしております。  ただ、変動費の内訳ですけれども、ここらが非常におっしゃるとおりであります。その子細について、項目とかいろんなものをチェックしますね、その項目については今後きちっと私どもは詰めていきたいと思っております。  また、その運用に当たっては、運用指針を定め、そして公表することも予定をしております。また、その公平性等を図るために法律上、先ほどお話しでありますけれども、運賃料金変更命令を行うときは運輸審議会に諮らせていただきます。  以上であります。
  29. 谷林正昭

    谷林正昭君 変動費を下回ると今おっしゃいました。そして中身は詰めていくというふうにおっしゃいました。問題は人件費なんですね。人件費なんですよ、労働集約産業の最たるものでありますから。その人件費をどこで見るかによって過度なダンピングかそうではないか、包括最賃の中の地域最賃さえ下回らなければいいというふうなことになってくれば、私は今の秩序は守れない。やはりこれまで培ってきた歴史の中、あるいはこれまでそこで働いてきた、そして家族を養ってきたそういう生活の維持、いろんな歴史があります、皆さんの中には。そういうことをぜひ勘案しながら、今後しっかりその変動費を詰めるということでありますから、関係団体ともよく相談をしていただきたいと思いますし、慎重な調査もお願いしておきたいというふうに思います。
  30. 鈴木政二

    政務次官鈴木政二君) おっしゃるとおりだと思います。しっかりと詰めさせていただいて、十分御趣旨を踏まえて頑張っていきたいと思います。
  31. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひお願いをいたします。  次の質問に入らせていただきますけれども、このダンピングを見分けたりする根拠は今ほどお聞かせいただきました。  今度はそれに対する緊急監査という言葉が今度の法律に出てきております。じゃ、この緊急監査制度というのは何に基づいてやるのか。今の法律で本当にそれができる法律になっているのか。私はちょっとあいまいではないかなというふうに思っております。したがって、この緊急監査制度をしっかり、今度の規制緩和と同時に法律に盛り込むべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。  あるいは、今度は監査制度のあり方であります。きっちりした監査制度をとらなかったら、しり抜けばっかりの監査制度になったらこれは何にもなりません。したがいまして、今秩序を守るという観点で大きなウエートを占めるこの緊急監査制度についてお尋ねをいたします。
  32. 鈴木政二

    政務次官鈴木政二君) 今の御指摘でありますけれども、緊急監査の根拠条文が第三十三条第二項の港湾運送事業者に対する監査に関する規定でありまして、これによりまして十分緊急監査の実効性を私どもは担保し得ると考えております。  なお、今お話しのようにきちっと詰めろという話でございますから、現在の地方運輸局で行っております監査方法をひとつここも工夫をさせていただきたい。改めてもう一度検討をさせていただいたり、そして私ども運輸省本省の担当部局からも職員を派遣させていただいて、緊急監査を確実に行える体制委員指摘のとおりしていきたいと思っております。
  33. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひよろしくお願いいたします。十年に一回監査に入るとか、そういうことのないようにぜひお願いをいたします。  次に、時間がございませんので簡単にお尋ねいたします。  今、港の秩序を守って、そして労働関係の安定のために一番大きなウエートを占めているのは拠出金制度であります。この拠出金制度について、届け出制になるとこれが果たしてどうなるのか心配であります。これをまず一点、お聞かせいただきたいと思いますし、どう徴収することを担保するのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  34. 鈴木政二

    政務次官鈴木政二君) もう当然でありまして、これは私どもも歩いていくと、この話がよく出ます。拠出金は港湾労働者の年金や福利厚生の施設の整備管理に使われておることはもう御案内のとおりであります。運輸省もその重要性は非常に認識をしておりまして、認可料金制度のもとでこの拠出金を適正なコストと認めて料金の内訳として拠出部分の明示を許可してきたところであることはもう御存じのとおりであります。  ですから、認可料金制度廃止に伴いましてこの制度の根拠を保てないんじゃないかという御質問でありますけれども、運輸政策審議会においても荷主や船主さんたちも入っていただいておりまして、今回の規制緩和の後の港湾運送の安定化のために、届け出料金制のもとにおける拠出金の確保については、従来の制度にかえて新たに荷役料金の分割支払いの制度を導入すべきだと提言をいただいておりますので、運輸省としましても、拠出金制度趣旨等についてなお一層船会社荷主等に対して十分説明するなど、この分割支払い制度が円滑に根づいていくようにきちっと支援をさせていただきたいと思っております。
  35. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひ、労働関係の安定のためにもこれは不可欠だというふうに思いますので、関係各位の御理解を賜るように、また行政の方でよろしくお願いいたします。  次に、懸案事項のようなことで今話されておりますけれども、日曜荷役あるいは夜間荷役、これについて、言葉ではわかるんです、そして事業規模拡大をすれば何とかなるだろう、こういうふうに今進められておりますけれども、これはまさに新しい政策でありますから、日本の港をそういうふうに変わすということでありますから、行政というのがかかわらなかったら私はできないと思います。  したがいまして、この日曜荷役夜間荷役の推進について、具体的にどう対策といいますか行政指導を行うのか、あるいは支援を行うのか、ここらあたりをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 鈴木政二

    政務次官鈴木政二君) 日曜荷役につきましては、外航コンテナ船を中心に今実施をしていることは御案内のとおりでありますけれども、夜間荷役については、もう一部の時間帯、特に明け方の四時ぐらいから朝の八時ぐらいの間を除いて従前やっていらっしゃるところもあるわけであります。ただ、中小事業者が大変この業界については多いので、労働者交代制がとれないというのも私ども十分把握をしております。  日曜の夜間荷役は行わないなどの実施時間帯においてもいろいろ制約があることも事実であります。おっしゃるとおりであります。今後こうした集約・協業化をより進めさせていただいて、より円滑な港湾荷役サービスの実施の推進をぜひしていきたい。その観点から、今お話がありました点をぜひ関係事業者にきちっと運輸省としても働きかけていきたいなと思っております。
  37. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひ、指導ということでお願いしたいなというふうに思います。  最後になります。これは大臣にお聞かせいただきたいと思いますが、この規制緩和を取り入れる法律、まさに運政審答申の中で出されていますように、これまでの歴史をしっかり見つめながら、そして今後の努力をしていかなきゃならぬ、こういうふうなことになります。  しかし、私が今心配しているのは、この市場原理で競争を入れ、そしてお客さんのニーズにこたえながらいろんな形で日本の港の働き方を変わしていく、あるいは仕事の仕方を変わしていく、こういったときに、この運政審の最後の締めくくりではこういう文言、こういう文章がございます。「今こそ、一時の痛みは伴うが、規制緩和により競争原理を導入して、心機一転、港湾運送事業の構造改革に果敢に取り組んでいくことが是非とも必要であり、また、その結果として、最終的に規制緩和の果実が、事業者労働者を含めた港の関係者全員のものになる」と信じている、こういうふうに結んでおります。  私が心配しているのは、市場原理だけがそこに導入されていくと、そこに働く人たち労働者が外にほっぽり出されてしまって、果実どころではない。最後にはしりをたたかれて、働いて働いて働かされて、けが、病気、事故、こういうものと労働条件の大幅ダウンを余儀なくされて競争に巻き込まれてしまう。そういうものが残っては、これまでの港湾運送事業の歴史というものが全く無になってしまう、努力が無になってしまう、そういうことがあってはいけないというふうに思いますので、この労働関係の安定化こそ港湾運送事業、そして日本の港の発展につながるという観点で私はこれまで質問をさせていただきました。  ぜひ最後に大臣に、この労働関係の安定化策について具体的な考えを、御所見をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。
  38. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま規制緩和、今回の法律につきましての御意見でございますが、私は、もとよりこの規制緩和の問題、とりわけ運輸省関係する規制緩和につきましては、まず労働者の処遇の安定の問題、同時に安全の問題、この二つだけは、それぞれの委員会の御審議の結果を尊重することは当然のことでありますが、一歩踏み込んで、この問題に対しましては当面の責任者として、労働問題そして安全の問題については改めて角度を変えて考えていかなくてはならないと常々思ってそういう指示を行っておるところでありますが、時間もありませんので、労働者へ過度のしわ寄せが及ばないように労働関係の安定化に配慮せよということでありますが、これは当然のことだと考えております。十分配慮してまいるつもりでございます。  具体的には、中小事業者事業協同組合化等による集約・協業化を進めることによって事業基盤の強化を図ることなども考えておりますが、料金ダンピングによる事業者の共倒れや労働コストの大幅な削減がないように、料金変更命令や緊急監査制度を用いて過度のダンピング防止していく所存であります。同時に、これらの施策によって労働関係の安定化を確保しながら規制緩和を進めてまいりたい、このように考えております。  御協力をお願いいたします。
  39. 谷林正昭

    谷林正昭君 終わります。     ─────────────
  40. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、筆坂秀世君が委員辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。     ─────────────
  41. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党・改革クラブの弘友和夫でございます。  私も質問に先立って北海道有珠山の問題について御質問したいと思ったんですけれども、先ほど谷林議員から御質問ありましたので要望にとどめておきたいと思います。  大臣北海道開発庁長官でもございますし、今、有珠山の噴火によりまして一万人近い方が避難されている、そしてまた数分置きに震度四、震度五という体感地震が起こっているという大変な状況になっております。大臣は、阪神大震災で交通もずたずたになったときも真っ先に現地に駆けつけられたという行動派の大臣でございますし、先ほども、官邸に対策室を設けられ、また気象庁長官異動もストップしてこれに当たるという強い決意がございましたので、ぜひこの対策に当たっては本当に全力を挙げてやっていただきたいなと。気象庁長官異動をストップさせて、大臣は先ほど制限時間いっぱい、最後の五分までというお話がございましたけれども、自分は制限時間になったからということにならないように、ぜひ本当にこれの見きわめがつくまで頑張っていただきたい、こういうふうに要望させていただきたいと思います。  質問に入りますけれども、この改正案というのは、先ほど来お話があっておりますが、規制緩和推進三カ年計画によって盛り込まれて初めて議論がスタートしてきた。長年聖域であるとされてきたこの港湾事業規制緩和によく着手できたなと評価する声も一方ではございます。一方では、これはアメリカとか諸外国の外圧によって重い腰を上げざるを得なかったんじゃないかというようなそういう声もございますけれども。  運輸省は、許認可権というのが昔は一万七百七十七件のうち昔は一八%を占める千九百六十六件でございましたけれども、今は全省庁一万一千五百八十一件のうちの千五百五件、一三%と、大分規制緩和をやってこられているわけですけれども、この港運業の規制緩和というのがなぜこうしておくれてきたのかということについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  42. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま有珠山の火山活動の問題につきまして、昨夜来のことにつきまして御質問がございましたが、夕べも実は、もしこれ以上の事態が発生すれば緊急の閣僚会議等も準備をいたしておりまして、いつでも官邸に集合できるような体制を整えておりました。  現場におきましても、国道の交通の遮断、高速道路は当然のことでありますが交通の遮断等、これは気象庁長官が最初に決断をしまして、それぞれ法律に基づいて対応するものでございますが、同時に道路監視用カメラで有珠山を常時監視し映像を配信しておりますが、ヘリコプターによる有珠山の監視も万全を期しておりますし、衛星通信車あるいは災害対策車を現地に出動いたしておりますし、運輸省としては、既に海上保安庁の船も周辺に既に待機をいたしておりますので、いかなる事態が発生しようとも万全の体制をとろうといたしております。  私自身のことにつきましても弘友議員の友情ある御提案がございましたが、これは友情は友情として心から感謝を申し上げておきたいと思います。  御質問にお答えしたいと思いますが、港湾運送事業は、過去、悪質事業者が介入しまして荷役が混乱したことを受けまして、免許制の導入等を行い、規制を強化して悪質事業者の排除をしてきた経緯、昭和三十三年のころからでございます。全体として港湾運送の安定化により重きを置いた行政を行ってきた、それが理由の最大のものではないかと考えております。その結果、事業者競争が行われにくくなり、船会社荷主ニーズに応じた十分なサービスが提供されにくい。そういう結果、東南アジアにおける我が国港湾相対的地位が大きく低下したものと考えております。  このような状況を踏まえ、規制緩和を行い、港湾運送事業の行政のかじ取りをより効率化に重きを置く。つまり、港湾運送の安定化により重きを置いた行政から、これからは効率化に重きを置く方向に大きく転換したいというふうに考えております。
  43. 弘友和夫

    弘友和夫君 今のは、免許制の安定というのがメリットであり、効率が欠けるというのがデメリットだと、こういうふうに思いますけれども、今回は特定港湾九港のみということで、段階的に規制緩和する。  その他の重要港湾、地方港への波及というのは今後どういうふうに考えられているのか、お伺いします。
  44. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  九港につきましては、現在海上貿易の主流を占めておりますところのコンテナに着目いたしまして、コンテナ船の荷役が集中します東京湾、伊勢湾、大阪湾、北部九州あるいは東京湾と伊勢湾の中間に位置する清水という五地域の中から九港に絞りまして、先行して規制緩和を実施するという考えであるわけでございます。  それ以外の港のことでございますけれども、主要九港と比較しますと荷役量は当然少ないわけでございます。事業者規模も小さいということが特徴だと思います。したがいまして、規制緩和というものをした場合には非常に影響が大きいだろうというふうに認識しているところでございます。したがいまして、まず規模の大きい九港について規制緩和をするということを判断したわけでございます。  また、九港以外の港につきましても、背後の経済圏の問題ですとか需給関係ということの個別の事情がございますので、それはそれなりに一つ事業分野を持っているかもしれない、こう思いますので、当面はまず九港の先行実施の中でその影響などをよく見ながら判断していきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  45. 弘友和夫

    弘友和夫君 それと、今回の改正というのは、単に港湾運送事業効率化のみを求めるのではなくて、労働関係等の港湾運送の安定化にもやはり一定の配慮が必要であると、こう思うわけでございますが、悪質事業者参入防止するために今回暴対法の違反者を新たに追加する等欠格事由の拡充それから罰則強化というのは当然であると思います。  事業集約・協業化の促進が必要となるわけでございますが、この観点から労働者保有基準の一律一・五倍への引き上げを図っておられますけれども、その意図と結果というか、それはどういうふうに考えられているか。
  46. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  常用労働者最低保有基準引き上げというのは、専ら日雇い労働者を使用して港湾事業を営む悪質な業者の参入防止するという観点から導入された経緯があるわけでございますが、今回規制緩和に伴いまして事業参入が容易になるということから、悪質事業者参入防止するためにさらに最低保有基準を上げたというふうなことが動機でございます。  ただ、これはそれだけの効果ではございませんで、最低保有基準引き上げますと事業規模拡大されるという効果がございます。それによりまして、小規模事業者であるために日々の荷役量の大きな変動、つまり波動性に直面しているわけでありますが、その解消という方に機能するだろう、すなわち事業効率化ということにつながっていくだろうと思います。それから、日曜荷役とか夜間荷役ということについていろいろと言われておりますけれども、これについて作業体制の充実という方向でまた機能していくのではないか、こう思っております。  さらに、その一・五倍ということについて、規模拡大を図るという視点から、事業協同組合に加入する場合にはその組合の中の相手の事業者労働者も算入するという、言うならば特例を設けるということもございまして、事業規模拡大ということもさらに促進しようと思っております。  そのような観点から、保有基準のアップということについて二つの効果を考えながら導入していきたいと思っております。
  47. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、今回の九港の一般事業者は現行の労働者最低保有基準の大体平均一・三倍程度だと、こう言われています。  この基準引き上げられた場合、これを満たせない業者が出てくると思いますけれども、これに対してどういうふうに考えられているかということ。それから、去年の十月に開催された日米港運協議において、こうしたセーフティーネットについてむしろ緩和に逆行しているんじゃないかという懸念が表明されました。これについて理解が得られたのかどうか。それともう一つは、事業者の協同組合への参加とか協業化に向けての促進支援。三つまとめてお答えをいただきたいと思います。
  48. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、現在労働者最低保有基準との関係で、平均的にどうかといえば一・三倍という数字でございます。  したがいまして、平均的に申し上げますならば、〇・二分だけ、個々事業者で考えればそれを新たに抱えなければいけないということになろうかと思います。もっとも、平均で一・三倍でございますから、いろんな事業者がございますから一・五倍以上の方もおられます。むしろ一倍に近い方の方が問題だろうと思います。  これにつきましては、もちろん御自身で御努力されるという部分もございますが、これを支援するための事業協同組合、先ほど申し上げました事業協業化もしていただければ、組合内の事業者労働者もカウントして一・五倍をクリアするというふうな特例を考えたいと思っております。さらに、激変緩和措置ということも考えておりまして、新基準を適用しない期間といたしまして運政審答申から三年間という期間を設けましてその負担を軽減する措置を考えようと思っているところでございます。  それから、二点目でございますが、昨年十月に開催された日米海運協議の件でございます。これは、私とアメリカの海事局長官のハートさんという方と協議をいたしました。  アメリカの方からは、規制緩和については理解はするが、港湾運送の安定化措置についてはこれはむしろ妨げになるのではないかという強い指摘があったことは事実でございます。例えば、労働者最低保有基準引き上げというのは逆行ではないかというような指摘を受けたところであります。これは私は誤解であるということを強く主張いたしました。日本港湾運送事業の過去からの経緯、あるいは現状をよく説明いたしまして、理解が足らないことを指摘しまして、彼も、私の主張は一応聞かざるを得ないというところまで来たと思います。今後とも機会を見つけましてアメリカによくそれを説明してまいりたいと私は思っております。  それから、事業者の協同組合への参加や協業化へ向けた支援策のことでございます。  これにつきましては、一つ事業協同組合に参加しやすい動機ということでは、先ほど申し上げましたように、一・五倍の基準をクリアするために、事業協同組合に加入していただけるならば特例があるというふうに申し上げたところでございます。これによって促進してまいりたいと思っております。  あわせまして、平成十二年度予算によりまして、規制緩和を行う各港におきまして、それぞれの港湾運送事業者集約・協業化を後押しするという観点から、調査支援事業を一億六千四百万の予算で実施しようと思っています。これは運輸省本省も直接参加させていただきまして、具体的にお話を伺いながら、効果のある、あるいはいろいろな悩みを解決しながら事業協同組合についてのお手伝いをしていきたいというふうに思っているところでございます。
  49. 弘友和夫

    弘友和夫君 労働省、おいでいただいていると思いますけれども、今国会で港湾労働法の改正案が出されておりますけれども、六港について、港湾運送事業者間における港湾運送の業務に係る労働者派遣制度を導入するということになっておりますけれども、港湾運送事業労働者派遣制度を導入するということの意義とそれから効果というか、どう考えられているか、お尋ねします。
  50. 渡邊信

    政府参考人渡邊信君) 行政改革委員会の最終意見を受けまして、今お話のありました港湾労働法の改正案を今提案しております。  その内容は、港湾運送事業主が、労働大臣の許可を受けまして、常時雇用しております港湾労働者を他の港湾運送事業主のもとで就労させる、こういった新しい派遣制度を設けるというものでございます。  その改正趣旨でございますけれども、近年、港湾におきます輸送革新の著しい進展によりまして高度な技術や技能を有する労働者の活用ということが大変大きい課題になっておりますし、また港湾運送事業におきまして一層の効率化が進むということになりますと、労働者の雇用の面にも問題が生じる可能性があるというふうに考えております。こういったことに対応するために、すなわち港湾におきます効率的な経営、就労体制の確立と港湾労働者の雇用の安定、こういったことを目的として今般改正を考えておるところでございます。  この制度の導入によりまして、例えば作業量が少なくて遊休労働者が発生したというときに、その方たちが他の港湾事業主のもとで自己の技能に基づいて就労するというふうなことが可能になります。そういったことで、私どもの観点からも労働者の雇用の安定に資するのではないかというふうに見ておるところでございます。  また、こういった趣旨改正でございますから、一般の民間事業のように派遣を目的として事業をするというふうなものの参入というものは認めないということにしておるところでございます。
  51. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間がありませんので、次から次へ質問させていただきます。  次に、先ほど来論議があっております運輸政策審議会答申の中では、料金変更命令制度と緊急監査制度の導入というのが提言されております。今回は料金変更命令制度というのは新設になっておりますけれども、なぜ緊急監査制度を導入しないのか、法改正を行わないのかということでございますけれども、お答えいただきたいと思います。
  52. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  まず、緊急監査制度趣旨でございますけれども、個々港湾におきまして過度のダンピングが広く行われているおそれがある場合に、その港湾港湾運送事業者に対しまして緊急に監査を行うという制度でございます。  その手続を簡単に申し上げますと、まず、ダンピングしているんじゃないかというそういう申告、あるいは私どもの方で当該港湾荷役量が大分減っているといったようなことを契機としまして、その港湾におけるダンピングが広く行われているおそれがないかを迅速に調査をいたしたいと思っております。  ダンピング調査の結果、その港湾におきましてダンピングが広く行われている、そういうおそれがあるという場合には、緊急監査を実施しまして必要な指導を行いたいと思います。  この場合、緊急監査の結果、過度のダンピングがあるといった場合には、文書計画とか改善実施計画の提出などを求めまして改善状況の報告を求めたいと思っております。さらに、その改善状況等に問題があって事態が改善されないという場合には、法に基づく事業停止処分といったものにつなげていきたいと思っています。  そういう流れでございますが、この制度は現行法の報告徴収権の規定、三十三条の規定をきちっと運用すればできるということでございますので、法律改正ではなくて、この法律の運用の問題として実施したいと考えているところでございます。
  53. 弘友和夫

    弘友和夫君 次に、先ほど来論議があっております拠出金制度ですけれども、これはぜひきっちりと担保を、先ほど出ましたので省略させていただきますけれども、改正になってもこれは適正に運用できるようにしていただきたいと思います。  それから、先ほど大臣の答弁に東アジアにおける相対的な地位が低下している云々という、サービスの問題とかいろいろございましたけれども、その中で、海外では二十四時間可能な体制荷役が行われている、我が国では行われていないという日曜・夜間荷役の問題等ございますけれども、これはやはり体制として日曜荷役夜間荷役を使いやすい港にするためにやっていかなければならないわけですけれども、ぜひ交代制の就労を実施するための推進対策措置というのが必要だと。やはりその体制をとっていかなければ、中小零細が多いから難しいんだということだけじゃなくて、交代制ができるような体制というのに持っていかないといけないと思いますけれども、これについてお考えをお伺いしたいと思います。
  54. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  日曜荷役について現在コンテナ船を中心に実施されているとか、夜間についても一部の時間を除き従来から実施されているということを申し上げたいのでありますが、中小事業者が多いためなかなか十分とは言えないということが現状だと思います。それにつきましては、先生指摘のとおり、労働者交代制がとれないというところが原因となって、今は実施時間帯などにおきまして制約があるということだと思います。  この点につきましては、労使問題も関係するということを念頭に置きながら、円滑な港湾荷役サービスの実施という観点からこれを推進してまいりたいと思っております。
  55. 弘友和夫

    弘友和夫君 それから、官民協議機関の設置でございますけれども、先ほどの港湾行政の一体化、運輸省労働省、それぞれの省庁の縦割りだとかいろいろな問題、運輸省としてはこういう協議機関は余り必要ないというようなお考えでございますけれども、私はぜひこれは設けるべきだということで、やはり政府全体として整合性のとれた政策にすべきじゃないか。官民協議機関というものの設置は、これは行革委員会意見書にもあるわけでわけでございますので、ぜひ設置をするべきだと思いますけれども、これに対するお考えをお伺いします。
  56. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  行政改革委員会の最終意見には協議機関の設置という具体的なことまでは記載されていないわけでありますが、今お話がございました協議機関というものが規制緩和の円滑な実施という趣旨であるならば、私どもは今回法改正に伴いまして港湾運送の安定化という観点から措置を講じているつもりでございます。  それから、労使問題に関係することであるならば、労使間で話し合っていただくことが適当じゃないだろうかというふうに思うわけであります。  しかし、規制緩和を円滑に実施していくために、事業効率化サービス向上を求めるためにいろんな関係する方々が意見交換することが望ましいと思っておりますので、今、既に港湾管理者が主体となりまして、港湾サービス向上などを目的としまして、港湾運送にかかわるほとんどの関係者の方が集まられた協議会が主要九港のほとんどの港に置かれているわけでございますが、それぞれ活発に活動しておられますので、見るべき成果も上がっているというふうに認識しております。  協議会という意味では、既にございます利用促進協議会の活用ということが一つあり得るのではないかと思いますが、しかし運輸省といたしましては、引き続き港湾運送関係者の方々から御意見を賜って、適時適切な措置調整を行っていく気持ちには変わりございませんので、そのようにやってまいりたいと思います。  また、政府全体の施策の進行状況ということにつきましては、労働省等関係省庁とも引き続き連携を十分とりながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
  57. 弘友和夫

    弘友和夫君 最後に、先日大臣また局長は同僚議員の質問に対して、コンテナ貨物の取り扱いが五千万トン計画より少ないじゃないか、余り整備が必要ないんじゃないかというお話に対して見直しをするような御答弁をされておりました。  それは、見直しをするべきところはしないといけないと思いますけれども、ポートセールスなんか行って、おたくは一バースしかなければかわりがないんじゃないかとかいろいろなことがございます。また、大水深がなければ十五万トン級のコンテナは行かないんじゃないかとかいうような話もあるわけですから、やはり必要性は必要性としてきちっと御答弁を私はしていただきたいなというふうに思いますし、またそういうことも含めて、受け身の体質ということよりも積極的な事業経営というのが必要なんじゃないかと思いますが、それについて最後にお尋ねします。
  58. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 先般のある議員の御質問に対する答弁、少し物足りなかったようでございますが、それは謙虚にお答えした結果だと思います。  議員御指摘のように、港湾コストについて四十フィートコンテナ一個当たりの料金を比較しますと、我が国港湾の諸料金香港、ロサンゼルス、ロッテルダムなどと同水準であり、世界の中で別に特別突出しているわけではありません。しかし、シンガポールや釜山、そして高雄などと比較しますと約二倍となっておる。これは用地費や人件費の格差、為替レートの影響等によるものと考えられますが、今後港湾の諸料金の低減を図っていくことが重要だと考えております。  そこで、今後の港湾の問題でありますが、私も調べてみますと、現在十五メーター級のコンテナターミナルの整備状況でありますが、韓国が今八バースございますが、将来にわたってこれが十六バースになるだろうと。それから、台湾が現在三バースで、将来も三バース。それから香港、いや中国全体でございますが、現在四バースから将来は十バースになるだろうと。そして、シンガポールが現在十一バースから三十一バース。我が国でありますが、七バースから十四バースというふうな開発が期待されておるわけでありますが、今後におきまして、これらの近隣アジア諸国の港湾の整備状況等を十分勘案しながら我が国対応がおくれないようにしてまいりたいと思います。  なお、北九州の響灘地区における港湾の開発につきましても、水深十五メートル二バース、水深十メートル二バースを計画中でございますが、今後におきましても積極的に対応してまいりたい、このことをつけ加えておきたいと思います。
  59. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  60. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本です。  まず運輸大臣にお伺いいたします。  大臣は、法案の提案理由説明で、港湾運送事業はその特性から過去に混乱の歴史を経験したと述べられました。その特性とは具体的にどんな特性で、どのような過去の混乱の歴史があったのか、簡潔に御答弁願います。
  61. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 基本的には、船会社荷主からの求めに応じ港湾荷役の労務を提供するという受注型の労務供給的事業であり、従来の港湾運送事業というのはそういう事業でありましたが、大規模な設備投資等を必ずしも必要としないために、全コストに占める労働コストの割合が非常に高い労働集約産業でありましたことは御承知のとおりであります。  港湾荷役において、船舶運航スケジュール等に左右され日々の業務量に格差が生じる、いわゆる波動性が存在するところであり、業務量が少ない日には労働力が遊休化するというために日雇い労働者に依存する傾向があったわけでありますが、こうしたことから、過去において日雇い労働者の労務供給を業とし、単にピンハネを行うような悪質業者が多数参入し、荷役現場が混乱した事実があります。労働問題の発生や作業の質の低下等を招いていたことがあったと承知しております。
  62. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 波動性ということが述べられました。波動性とはどういうことかと。  私はここに昭和二十六年三月三十日の参議院運輸委員会の会議録を持ってまいりました。港湾運送事業法を制定したときの提案理由説明でこうはっきり述べております。 一度荷動きが減小すればただちに激甚なる不当競争を展開し、この事業の重要な施設でありまするはしけや荷役機械の維持、修理すらも放擲いたしまして、混乱と無秩序の中にともだおれの危機に陥るに反し、一方輸送力の増強が強く要請されるときには、輸送上の大きなネックとなりまして、多くの問題がこの事業にしわ寄せされて来るのであります。  この法律ができる前はこういう状況であったわけです。こういう混乱の中で悪徳労務手配師の暗躍や労働者の権利のじゅうりんが横行したと。  そこでお伺いいたしますけれども、この法律の制定当初は今のような免許制でございましたか。
  63. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  昭和二十六年の港湾運送事業法制定時でございますが、これは議員立法だったわけでございますが、当時は事業者の登録制でございました。一定の登録拒否要件に該当しない限り登録することが可能という制度でございました。
  64. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 登録制だったんですね。  登録制ではまだこの事業の安定を図ることはできなかったと。私はきょう、天田乙丙氏の「港運がわかる本」という本をお持ちいたしましたけれども、この中では、事業登録制では「需給を調節する規制措置がないため、最小限の登録基準を充足しさえすれば、簡単に登録業者の資格を取得できたから」、「新規業者はほとんど野放しに近い状態で叢生した。このままでは、港湾運送秩序の確立と、公正な競争の確保を図ることは不可能な状況であった。」と、こう述べておられます。  そこで、一九五九年、登録制から免許制へと変更する事業法の改正が行われました。このとき、自民党、社会党、両党の共同修正理由はこう述べております。 事業者の乱立、不適格業者の出現等に起因して、荷役近代化はおろか、秩序は混乱し、労使双方に不安動揺を与えているのであります。かかる憂慮すべき事態が生じますのは、事業が単なる登録制であるがため、その実体を的確に把握し得ないためであることは申し上げるまでもありません。  以上のような実情にかんがみまして、この際港湾運送事業を免許制に改めまして、港湾運送の秩序を確立し、事業の健全な発達をはかり、もって公共の福祉の増進に寄与せしめようとするものであります。  つまり、事業登録制では需給を調節する規制措置がないからだめだ、実態を的確に把握し得ないからだめだと、これはまさに政府がそう主張してつくった免許制なんです。  これをやめるというのは、この歴史に照らしてどう説明されるのか、運輸大臣にお伺いいたします。
  65. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 長い歴史の中でつくられてきた免許制をやめるということは時代に逆行するだろうという御意見だと思いますが、戦後の悪質な事業者参入など港湾運送の混乱を解決するために免許制が導入されたところでありますが、免許制は、安定した港湾荷役体制を確保し、我が国の経済の発展に大きく寄与してきたものという認識は持っております。  一方、東アジアにおける経済構造が大きく変化をしていく中で、免許制のもとでは事業者間の競争が行われにくい。船会社荷主ニーズに合ったサービスの提供が満足いくような状況ではない。免許制の持つ問題点が顕在化してまいりまして、これが近年の我が国港湾コンテナ取扱量等において相対的に地位の低下が歴然としておる、それが大きな原因一つとなっておるというふうに考えております。  このため、港湾運送事業の構造改革を喫緊の課題として今回の法改正による規制緩和を行うものでありますが、過去の混乱の歴史を踏まえ、悪質事業者参入阻止等、その安定性の確保には十分留意して進めることとしておりまして、規制緩和を実施することによって我が国経済の発展に大きく貢献するものとの認識を持っております。
  66. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 時代は変わっても波動性労働集約性というその特性は変わっていないわけであります。  そこで、現在の問題です。現在はもう過度のダンピングや不適格業者などというものは一切なくなった、もう緩めても大丈夫だと言える状態にあるのかという問題であります。  海上交通局長にお伺いしますが、一九九八年まで過去五年間の港湾運送事業者への監査の状況、処分の理由の主なものについてお答えいただきたいと思います。
  67. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  港湾運送事業者への監査ということで、認可料金の遵守状況の監査を目的としながらやっておるわけでございますが、毎年業務監査を実施しております。  平成六年度から平成十年度までの各年度におきまして、それぞれ百十九、八十、百五、百二、八十八に対して監査を行ったところでございます。このうち、認可料金が収受できていないものなどに対して文書で警告を発しておりますけれども、平成六年度から平成十年度までの各年度におきまして、それぞれ八十四、三十七、六十三、五十四、六十三社に対しまして処分を行ったところでございます。
  68. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 五年間で約五百事業者を監査して三百社が文書警告処分を受けた、処分率は六割、そのほとんどがダンピングということであります。認可制である今でさえ、こんなにダンピングが横行しているのではないでしょうか。  運輸大臣、こんな状態のもとで認可制から届け出制へと規制を緩和すれば、さらにダンピングが横行するのは火を見るより明らかだと思うのですが、いかがでしょうか。
  69. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 規制緩和によりまして事業者同士が競争する、切磋琢磨する、そのことによって効率化が進むわけでありますが、料金面も含むサービス向上が図られることに期待をいたしておるところであります。  ただ、規制緩和の結果、事業者間の競争が激化する余り過度のダンピングが行われる結果、港が混乱することのないように、そうした事態を避けることを考えておりまして、所要の港湾運送の安定化策を設けることとしているところであります。  具体的には、大きくコスト割れをしているような料金が届け出られた場合には料金変更命令をかけることとしているほか、規制緩和を行う港の料金水準が著しく低下しているような場合には、直ちに緊急監査を実施することとしているところであります。  このような制度を迅速にしかも的確に運用することによって、料金ダンピング問題にはきちんと対応していけるものと考えております。
  70. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 では、それが歯どめになるかどうかを検討したい。  暴力団対策法違反者等を欠格事由に加える、これは当然のことですけれども、今お話しになった運賃料金変更命令制度であります。過度のダンピング防止するため、運輸大臣が不当な競争を引き起こすおそれがある運賃料金について変更命令を行うことができると。  まず、じゃお伺いいたしますけれども、過度なダンピングとはどのようなものか、基準はどのようなものになるのか。元請が下請料金を低く抑えることは過度のダンピングに入るのか、いかがですか、運輸省
  71. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  過度のダンピングということにつきましては、届けられました料金が変動費を下回っているということで考えておりますが、その中には、港湾労働の特性を踏まえまして労働コストなどを変動費の中に加えながらその中身を決めていきたいと思っているところでございます。そういう労働コストを含むところの変動費を大きく下回っている場合に料金変更命令を行うという方向で今検討しているところでございます。  それから、今お尋ねの下請料金そのものは港湾運送料金ではありませんので、直接それがダンピング対象ということではないということになろうと思います。
  72. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 下請たたきの料金に歯どめがないと。実際私、港湾運送事業者の方々や労働者の方々からお伺いしても、まさに下請たたきのダンピングというものが極めて重大な状況になっております。ここに何の歯どめもなければ、実態は絶対に救われないと言わざるを得ないと思います。  では、その運輸大臣の変更命令なるものは有効かどうかということであります。  きょうは自動車交通局長に来ていただいておりますが、今回の法のスキームと全く同じ運賃料金運輸大臣の変更命令という規定が貨物自動車運送事業法第十一条の二項にございます。  交通局長、この変更命令ができて十年になりますけれども、この間この運輸大臣の運賃料金変更命令は何回出されましたか。
  73. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) 貨物自動車運送事業法に基づきます運賃料金の変更命令は、届け出られた運賃がいわゆるダンピング等の要件に該当する場合に行うものでございます。これまで届け出られた運賃料金ダンピング等の要件に該当するものであったということはございませんでしたので、変更命令を行ったことはございません。
  74. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 十年間にゼロという御答弁ですね。だから、実際仕組みはあっても、この貨物自動車運送事業法でも出されたことがない。つまり、絵にかいたもちに終わっていると言わざるを得ないと思います。  次に、割り戻しについて聞きたいと思うんです。  あなた方は、免許制のもとにおける運賃料金の割り戻しの禁止や下請の制限等の規定について、許可制のもとでも適用するなどとしております。割り戻しというのはいわゆるキックバックのことで、これは現行法の第十条に明確に禁止規定が置かれておりますが、これは海上交通局長に聞きます、この十条違反でこれまで摘発した例がございますか。
  75. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  割り戻しの禁止の規定が港湾運送事業法十条にございますが、現在、同条の規定に違反したとして摘発した例はございません。  なお、九港においてもこの割り戻しの禁止の規定は維持されます。許可制のところにおいても割り戻し禁止の規定は維持されます。
  76. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 つまり、今までも十条に基づく摘発の例はないということですね。今までも摘発された例がないんですから、許可制のもとでも適用するといってもこれは意味がないと私は思います。これでは歯どめなどとは到底言えないと私は思います。  次に、これは運輸大臣にお伺いしたいと思います。  今回の法改正は昨年六月の運政審海上交通部会答申に基づくものと、これは明らかですけれども、この運政審は九七年十二月の行革委員会の最終意見を受けたものでございますね。いかがですか、確認をさせていただきます。
  77. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 平成九年十二月に、行政改革委員会から、現行の事業免許制を廃止し許可制に、料金認可制廃止届け出制にすべきであること、同時に港湾運送の安定化等を図るための各施策の実施及び検討が必要である旨の最終意見内閣総理大臣に出されたところであります。  これを受けまして、十年五月より、運輸政策審議会におきまして、行政改革委員会最終意見を踏まえて、港湾運送規制緩和の具体的な進め方や規制緩和に伴う港湾運送の安定化策等について審議が行われ、最終答申は十一年六月に出されたところであります。
  78. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この最終意見にはこうあります。「中小企業が多い港湾運送事業者と大企業の」「船社、荷主との力関係の差を背景とした過度のダンピングは、労働環境の悪化等につながることから、料金変更命令、船社、荷主への勧告制度等その防止方策について検討すべきである。」と。ところが、運政審答申では、ダンピング防止策については書かれてありますが、船社、荷主への勧告ということには触れられておりません。  行革委の最終意見にさえはっきり書かれているように、ダンピングが横行する背景には港湾運送事業者と船社、荷主との力関係があり、ここを規制しなければ防止策の効果は期待できないと思うんです。  なぜ船社、荷主への勧告を制度化しないのか、お答えいただきたいと思います。
  79. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 緊急監査の結果、船社、荷主の要望により過度のダンピングが行われていたことが判明した場合には、船社、荷主に対して再発防止のための要請を行うというような運用をすることを今考えております。
  80. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ヒアリングをして協力要請というスキームが出されていると思うんです。しかし、そのヒアリングや協力要請というのは、同一の船社、荷主の要請により過度のダンピングが繰り返し行われていることが明白になってやっと公表というような話なんですよ。これでは強制力は担保されないのじゃないかというふうに思います。  同じようなダンピング防止規定の例として、建設業法第十九条の三、「注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする」「契約を」「してはならない。」という規定が建設業法にございます。せめてこれと同趣旨の規定ぐらいは設けるべきではないでしょうか。
  81. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えします。  建設工事の注文者は、その経済的な優越性を不当に利用して請負人を経済的に圧迫して低価格受注を強いることが少なくないということに着目し、それが手抜き工事、不良工事等の原因となるので、欠陥住宅の横行による公衆災害という言葉がございますが、要するに一般人に対する災害を惹起する等の結果を招くおそれがあることからこのような規定が設けられているというふうに承知しております。  港湾運送事業につきましては建設業のような事情が存在しないためにこのような規定は設けておりませんが、運賃料金変更命令とか緊急監査制度によって過度のダンピングを十分防止し得ると考えております。
  82. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 もう一つ、同趣旨法律についてお伺いしたい。  貨物自動車運送事業法第六十四条には、「当該一般貨物自動車運送事業者等に対する命令又は処分のみによっては当該違反行為の再発を防止することが困難であると認められるときは、当該荷主に対しても、」「勧告することができる。」という規定がございます。貨物自動車運送事業法では荷主に対する勧告という制度があるわけですから、なぜ港湾運送事業法ではできないのか。いかがですか、これは。
  83. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 貨物自動車運送事業法におきます荷主への勧告制度趣旨は、荷主から過労運転や過積載といった公道における交通の安全を阻害する行為などを強要されることを防止するために設けられているというふうに承知しています。  港湾運送事業につきましては貨物自動車運送のような事情が存在しないために勧告制度は設けないというふうに考えております。
  84. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、今二つの答弁をお伺いして本当にひどいと思います。  つまり、一般人に被害が及ぶからトラックの場合は荷主に至るまで勧告をするんだと。あるいは、建設業法についても、一般人に被害が及ぶからそれはいいんだと。しかし、港湾運送事業法の場合は、ダンピングが起こって、労働条件が本当に悪化して仮に事故で命を落とすとしても港湾労働者だからそこまではやらないんだ、そういう話じゃありませんか。私は、そんな話は港湾労働者やその家族は絶対納得しないとはっきりと指摘をしておきたいというふうに思います。  我が党は、御存じのとおり、行革委員会の最終意見そのものに反対をしてまいりました。しかし、その行革委員会でさえ船社、荷主事業者の力の差ということは認めて、勧告などの方策の必要性を指摘したわけであります。今回の改正案はその行革委員会の最終意見からさえも後退したものである、私はこう思いますが、運輸大臣、いかがですか、これ。
  85. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 当委員会の御指摘を受けて、法の施行に際しまして十分対処してまいりたいと思います。
  86. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 港湾利用者の圧倒的多数は大企業でございます。我が国輸出の五〇%を上位三十社が占めて、この三十社を合わせれば内部留保は二十五兆円と言われるほど有力企業がそろっております。一方で、港湾運送事業者は、運輸省からいただいた資料によっても一千三十五社中九百十二社、実にその八八%が従業員三百人以下、または資本金一億円以下の中小零細企業なんです。  認可運賃から届け出運賃への規制緩和によって運賃ダンピング競争が行われるならば、たとえあなた方の言う過度のダンピングでなかったとしても中小零細港湾運送事業者は経営困難に陥り、労働者の雇用破壊、労働条件の切り下げを生み出すことは明らかであります。ましてや、過度のダンピングに対する歯どめなるものも今見たように全く実効性が疑わしいと言わざるを得ない。  このような規制緩和は、結局我が国港湾運送事業の基盤を崩し、安定と安全を損なうものであり、我が党は断固反対する、このことをはっきり申し上げて私の質問を終わります。
  87. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほど有珠山問題については同僚議員から質問がございました。大臣の決意もお伺いいたしました。  そこで今、やはり気象庁として監視を続けているお山の総点検をやはりやっておくべきではないかというふうに思います。御要望申し上げておきたいと思います。  もう一つは、地元に運輸大臣が行かれるというお話でございますが、やはり地元の方々と気象庁との信頼関係は何かといえば情報なんです。その情報が、一万人と言われる方々が避難されている、そういう方々にちゃんと伝わる体制というのはつくっていると思いますが、やはり気象庁に対する地元の信頼なくして、何ぼ情報を出してもそれは説得の材料にはならない。したがって、気象庁として、やはりそこの住民に対する安心と安全をどう与えるかというのは情報しかないわけでありますから、その点ひとつ信頼のある情報というものを出していただく。  その場合に、やっぱり有珠山を研究している研究者の方もおられると思います。地元のそういう気象にかかわる、地元の山にかかわる情報ということも、私ども雲仙の経験からすれば非常に役立ったことでございますから、その点どうかひとつ留意をして、一刻も早く山がおさまっていただければいいわけでありますけれども、地元の方々に対して安心を与えるようなことをひとつ御努力願いたいと思っておるところでございます。御要望申し上げておきたいと思います。  法案改正について質問申し上げますが、この法案改正港湾運送事業は活性させられるのかどうか、活性するのかどうかというところが一番この改正の問題点でありまして、改正の背景の目的に、東アジアにおける日本の港の地位の低下ということが挙げられておりますし、その原因に業者間の競争の停滞、それからサービスの低下が背景として挙げられている。したがって、それは規制緩和でなければならないという位置づけをされていることでありますが、果たしてそのことで港湾運送事業効率化し、活性化するということになるのかどうなのか。  なるとお考えになったそのお考えについて、まずは御説明を願いたいし、そのことを通じて港湾運送事業が活性化して、東アジアにおける我が国の港の地位が上がるのかどうか、大臣の御所見をお伺いしたい。
  88. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 答弁に先立ちまして、先ほど御要望という形でお話のありました有珠山の問題につきまして、今御指摘気象庁と他の省庁あるいは現場との連携が極めて重要だと、そういう思いで、私は昨日気象庁に参りまして、北海道開発庁の職員を気象庁に常時駐在をさせるといいますか、情報の連携にそこに立ち会わせる、同時に官邸に気象庁の職員を派遣するという形で二十四時間体制をとっておりますし、現地との間で連携を密にし、北海道庁とも連携をしながら対応をいたしておるところでございます。  たった今でございますが、政府内部あるいは与党との間でも連絡をとりまして、この後直ちに北海道開発庁の米田総括政務次官と国土庁の増田総括政務次官を現地に派遣することにいたしております。気象庁関係からいたしますと、当然運輸省政務次官が参らなくてはなりませんが、国会審議の関係でただいま総括政務次官も他の委員会に出ておりますし、こういう状況でございますので、委員会の御審議終了次第運輸省も参加をさせる、そして現地で万全の対応をさせていただく。  ただ、今長崎での御経験に基づいての御指摘は大変重要と考えますので、そのように対処をさせていただきたいと思っております。  今回の法律改正によりまして、コンテナ荷役の大部分を占めます主要九港におきまして需給調整規制廃止を初めとする規制見直しを行うことによって、事業者間の競争を促し、同時に事業効率化荷主ニーズに応じたサービスの提供がなされることを期待しておるわけでありますが、事業集約・協業化を進め、事業規模拡大することによって荷役量の日々の波動性によって労働力が遊休化してしまうことを解消するとともに、労働者交代制の導入を可能にする、ここが大きなポイントであろうと思いますが、日曜荷役夜間荷役をより柔軟に実施できるようにするなどいたしまして、事業効率化サービス向上を図っていきたいと考えております。  このような施策を実施することによって、我が国港湾東アジアの主要港に伍して効率的な物流サービスが提供できることと考えておりますが、さらに、東アジアの各港湾の整備の状況は先ほども弘友委員質問にお答えしたところでありますが、いわゆる十五メートル大水深バース等我が国港湾の整備につきまして今後相当力を入れて対応していかなくてはならないというふうに認識をいたしております。
  89. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、関係者協議機関の設置の問題でございますが、先ほども御質問あって答弁いただきましたが、やはり行政改革委員会では、経済のグローバル化と国際物流輸送の重要性及びアジア諸港との港湾間の競争対応した我が国港湾の効率運営と安定化・運営化並びに週七日二十四時間稼働港湾の運営に対応した労働関係の安定化方策の確立が主要な実は課題になったわけでございまして、そのためには、港湾の建設と運営、それから労働問題の一元的な施策の確立と省庁の枠を超えた政策の確立というのが最も私は求められていると考えます。  したがって、今回の港湾運送事業法は、港湾労働法との関係、そして規制緩和の実施を目的化した改正のみでは、総合的な視点に立った港湾物流政策が全く欠如していると言わざるを得ないと思う。それは指摘をしておきたいと思います。  行政改革委員会意見書に基づきまして、安定した港湾運営の確保と秩序の混乱と労働環境の悪化を防止するためには、やはり関係行政機関、運輸省労働省、関係輸送事業者、それから港湾労働組合、それから船社、荷主らによる関係者協議機関の場を設けるべきだと思います。それは、いろんな質問でもございましたように、港湾を取り巻く環境がやはりそうせざるを得ないのではないかというふうに思いますので、その設置についていかがでございましょうか。
  90. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) まず、行政改革委員会の最終意見との関係でございますが、ここで、先ほど申し上げましたように関係者協議機関の設置までは言及しているわけではありませんが、その趣旨でございますが、今先生の御指摘にございましたように、安定した港湾運営の確保や秩序の混乱ということに着目しているわけであります。これにつきましては、関係の皆様方がお入りになった運輸政策審議会議論も踏まえまして、港湾運送の安定化策につきまして御提案申し上げ、これを着実に実施していきたいというふうに考えているところでございます。  それから、労働環境の悪化の問題に関しましては、具体的には労使間の問題であろうかと思いますので、まずは労使間で話し合っていただくべきことではないかと、こう思っております。  しかしながら、運輸省といたしましては、引き続きこの規制緩和を円滑に実施するという観点からは、港湾運送関係者から随時御意見を賜り、適時適切に必要な措置調整を行っていく所存でおりますので、そのような中で労働省との連携あるいは調整も行いながら事柄を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  91. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 私は、ぜひともこういう関係協議機関をつくって、港の民主化と同時に、あわせて労働環境の改善というのは努めていかなきゃならないと思いますよ、そういう責務があると思います。指摘だけしておきたいと思います。  次に、緊急調整措置の導入についてでありますけれども、平成十一年六月の運政審答申では、港湾運送安定化策として、悪質な事業者参入防止、それから過度のダンピングによる港湾運送の混乱防止、拠出金の確保、事業集約・協業化、日曜・夜間荷役の推進と規制緩和実施に伴う労働関係の不安定化、雇用不安、労働争議の懸念に対する労働条件悪化の防止策の必要性が強調されております。  したがって、行政改革委員会意見書それから運政審答申に基づいて、法案は過度のダンピング防止や運賃それから料金変更命令、許可の欠格事由や罰則の見直しが盛り込まれましたが、法の実効性と裏づけが担保されておりません。規制緩和による業界のダンピング競争の激化と港湾運送の混乱が予想されます。  そこで、タクシー、トラック事業では秩序の混乱を防止するための緊急調整措置が導入されておりますが、港湾運送事業法においても、規制緩和の推進による秩序の混乱を防止するために緊急調整措置を導入すべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
  92. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  港湾運送事業を行うに当たりましては、上屋とか荷役機械とか一定の施設を確保しなければなりませんし、数十人以上の熟練した労働者を確保する必要があるわけでございます。タクシーやトラックとは状況が異なるのではないかと考えているところでございます。  したがいまして、港湾運送規制緩和に関しては、緊急調整措置という参入を一時ストップするというような規制措置を設けるということではなく、ダンピング対策や集約・協業化の推進等、港湾運送事業の特性に応じた対応策を講じていくことが適切な措置と考えているところであります。  なお、タクシー事業やトラック事業では、著しい供給過剰状態だった場合に運転者の過労運転等による事故の増加が懸念されるという輸送の安全の確保の観点から緊急調整措置を導入したものと聞いておるところでございます。
  93. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 そう言われるけれども、労働条件の急激な変更になるわけですよ。実態としては、交代制の勤務体系を導入したいと考えているわけでしょう。そういうところで、初めて導入する問題についてやっぱりきちっとそういうものを通じて、問題があれば修正をしていくことなどということは常に考えておかなきゃならないことだと思いますよ。ですから、こういう緊急調整措置というのは考えるべきだと私は思います。今からでも遅くないからきちっと考えていただきたいと思います。  次に、派遣労働の問題についてでありますが、今回の港湾運送事業法港湾労働法の改正案を見ますと、港湾運送事業法において労働者保有率を一・五倍に引き上げ事業規模拡大する一方で、港湾労働法において波動性対応するために事業者間の港湾労働派遣制度を導入することで、保有した労働者を有効に活用して日雇い労働者の就労を事実上なくしていくという制度だと理解をしておりますし、その意味では、雇用秩序の確立が今回の制度改革の目的を達成する一つの大きなキーポイントだと思っております。  港湾労働者派遣制度については港湾労働法で一定規制が図られますけれども、派遣対象労働者以外の港湾労働者は単に届け出だけであります。派遣対象労働者以外の港湾労働者がいわゆる偽装常用の温床になりかねないかと実は心配をしているわけでございまして、今回の制度改革の目的を達成して港湾運送事業者が発展していくためにも、港湾労働法で規制する以外にも、いわゆる港湾運送事業者が自主的ルールをつくって雇用秩序を確立していくことが非常に重要ではないかと思います。  行政としてそのような指導をすべきだと考えますがいかがでございましょうか。また、指導されるとしたら具体的にどのようなことをお考えでしょうか。
  94. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  御質問趣旨労働関係、雇用問題の確保の視点のように思われるわけでございますが、私ども運輸省立場から申し上げますならば、今回の規制緩和との関係でいえば、労働者に過度のしわ寄せがないように、集約・協業化による事業規模拡大を図るために事業協同組合への参加を促進するといったような措置を考えたり、あるいは過度のダンピング防止措置など港湾運送の安定化措置を講ずるようにしているわけでありますが、運輸省立場からいたしますならば、そういったことを通じて労働関係の安定を図っていくというふうに考えているところでございます。
  95. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 労働法との関係もございましょうが、雇用主とそこに働いている労働者間の問題でございますから、やはりそれは責任を持って事業者がきちっと整理していくようにお願いをしておきたいと思います。  それから、先ほども御質問ございましたが、過度のダンピングの定義というものをいま一度きちっと明確にしていただきたいし、その発動の要件をひとつ明確に御答弁をいただきたいと思うんです。  料金の届け出の導入に伴いまして過度のダンピング、先ほども質問があっていましたように、今でもそういう状況が行われているというようなことが言われているわけでございます。しかし、それを阻止するためには料金等変更命令制限というのが盛り込まれました。あわせて現行の料金などの監視制度を機動的に弾力的に運用することによって監視機能を高めることとしていますが、過度のダンピングとはどのような状況、状態を言うのでございましょうか。また、著しい原価割れとはどの程度の状態を言うのか、それぞれの具体的な定義と変更命令が発動される要件について教えていただきたい。
  96. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  変更命令を行うべき場合は、運賃料金が不当に差別的であるときや不当な競争を引き起こすおそれがあるとき、これが変更命令を発する要件であります。  そこで、特に不当な競争を引き起こすといった場合の運用の基準が課題であろうかと思います。これにつきましては、他にも規制緩和をした事業法における料金の変更命令制度考え方もあるわけでございますが、それとの横並びを考えながら、一方、かつ港湾運送というものの特殊性を考えながらその基準を考えていきたいと思っております。  したがいまして、基本的にはその変動費に着目するわけでありますが、労働コストなどを含む変動費につきまして、これを下回っているような場合に過度のダンピングと、これは著しい原価割れというのと同じような意味で使っておりますが、として考えて変更命令を行う方向で検討しております。  その詳細については今後また詰めてまいりたいと思っております。
  97. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、拠出金の確保の方策についてでありますが、運賃料金規制緩和に伴ってこの拠出金の制度そのものの維持というのが非常に不安定になってくるのではないか、そういう心配から御質問しておきたいと思うんです。  これは行政改革委員会の最終意見書において、安定した港湾労働を確保するために労働者の福利厚生などの拠出金について、規制緩和後も関係者間の継続した取り組みがなされることが重要と指摘をされております。これは非常に心配をされた上でのことでそういう指摘をされているのではないかというふうに思いますが、あわせて運政審答申では、拠出金の分割請求、分割払い方式への変更が打ち出されておりますし、港湾運送事業者並びに荷主、船社に対して拠出金の分割請求、分割収受を完全に実施する措置と、港湾福利厚生基金などの各拠出金の安定的な運営を確保できるようにすべきだと考えます。  料金が不安定になってくるわけでありますから、ここのところも非常に不安定になってくるのではないか、こういうふうに思うので、その見解をお伺いして質問を終わります。
  98. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、運政審におきまして規制緩和後の港湾運送の安定化のためにいわゆる拠出金の確保についていろいろと御議論があったところでございます。  そこで、認可制のもとで認可の内訳として示されたものがなくなるわけでございますから、それにかわる制度としまして荷役料金の分割支払い、この分割部分において従来の福利厚生に相当するものを別に払っていただく、こういった制度を導入すべきことを提言しております。  運輸省といたしましても、この制度趣旨等について船会社荷主等に対して十分説明をいたしまして、この分割支払い制度が円滑に根づいていくように支援したいと思っております。運政審においては船会社荷主も入っておるわけでございますので、その趣旨をきちっと私ども説明し、支援していきたいと考えております。
  99. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  100. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 運輸大臣、大変お忙しいところで、後の方の時間もおありのようですので、私は一点だけ確認しておきたいと思います。  そもそも今回の規制緩和に至った一つの大きなきっかけとして、アメリカのFMCが日本における港湾運送事業への参入規制されていると、これがあったことは確かであろうと思います。それに関連して、日本対応がきちっとしないということで、海運三社に対してFMCが課徴金を課した。言うなれば罰金を取ってしまった。これはもうまことに理不尽な話でありまして、港湾運送事業じゃなくて海運業者に全く関係のないそういうような課徴金を課してきた。これが一つの大きな要因であったと思われます。  アメリカはどうかといいますと、それはあたかも表面だけ見ますと参入は自由になっているかもしれませんが、実態はアメリカ港湾労働組合であるチームスターが握っている。チームスターが新免などに対して、新しい事業を立ち上げようとすると役員を派遣してくる。その条件はチームスターから言ってくる。それから、労働者の派遣もすべてチームスターが握っている。実質は、アメリカのチームスターがそういうような規制以上のことをやっている。そういう実態があるわけです。それで、恐らくこの話が持ち上がったときには、アメリカ側は自分の国でそういうような実態になっているということを知らなかったと私は理解しております。  そこで、これは事務レベルで協議していることですので、近い将来そういうような機会があると思いますので、運輸省側からはFMCあるいはアメリカ運輸省に対してそういう実態があるということを十分認識させていただければと思いますが、これは高橋局長にお伺いしたいと思います。
  101. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 先生指摘のとおり、アメリカにおきますところの港湾労働の実態というのは、私どもよく調べまして、去年の十月における日米海運協議の中でも指摘いたしました。私どももいろんな問題を抱えていますけれども、アメリカにおいても必ずしもアメリカだけが一〇〇%正しいというわけではないということを指摘いたしました。  特に、港湾の労使の問題もそうですし、それから悪質な事業者がいる港湾もあります。そのための規制が行われているところもあります。それを具体的に指摘いたしまして、私どもがとろうとしているこの措置について無用な誤解をしないでもらいたいということを話をしたところでございます。  先生からそのような御指摘を受けましたので、意を強くしましてアメリカに対してきちっと説明してまいりたいと思います。
  102. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 戸田委員から御専門の立場から御指導いただいたような気がするわけでございますが、先ほど午前中の田中議員の質問に対しましてもお答えしましたとおり、斉藤・オルブライト書簡、御承知のとおりでございますが、この書簡を誠実に実施するということで再々確認をいたしておるところでございますし、先般来日しましたスレーター長官には私は相当突っ込んでお話をしました。  例えば、本件以外でございますが、嘉手納RAPCONの問題にいたしましても、本当の話し合いが日米間でなされておるのかということまで話し合いました。あなたがこの問題の責任者でないということぐらいは承知しておるが、民間航空の最高の責任者として嘉手納RAPCONの問題についてもきちっとした対応をしてもらいたい。これも相当勉強してこられておりまして、かなり際どいところまで話し合いをいたしまして、今回返還についての見通しを得るに至ったということに関しても十分効果があったと思います。  本件に関しましても、アメリカ側のそうした主張に対しまして我が国対応ということを十分説明してほぼ了解が得られたということを考えております。
  103. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 終わります。
  104. 岩本荘太

    岩本荘太君 参議院の会の岩本荘太でございます。最後でございますが、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  各委員から、有珠山対応について大臣に大変御苦労をかけておられる旨、あるいは今後よろしくということでございますが、私も災害対策委員でもございますので、大臣は十分御承知していることだと思いますけれども、私もたびたび行政の立場で災害対応をしたことがございますので言わせていただきますと、これは自然の動きですからどうしようもないということはどうしようもないわけですけれども、要は地元の人の不安をどう解消するかというのが一番大きな、災害になる前もなった後も、ということはやっぱり先手先手にやっていかないといかぬ。同じことをやるのでも時間の差があったら百点が零点になっちゃうんですね。  そういうことをわきまえていただいて、やっぱり地元の人の気持ちになって、地元の人が今何を知りたいのか、何が欲しいのか、その辺をお考えいただいて対応していただきたいなと。ぜひとも、私の経験を踏まえての御要望でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。  法律改正の方でございますが、先ほどからいろいろな面で審議が尽くされておりまして、私が質問しようとする分の大部分がもう質疑になっておりますので、なるべく重複を避けて私なりの質問をさせていただきたい。  端的に言いまして、私も港に関する行政もやったことがございますけれども、やはり今の物流といいますか物の流れの中で、航空輸送が何か花形みたいに考えられがちでございますけれども、この運政審答申の中にもありますように貿易量の九九・八%が港でございますので、大変地道な努力をされている大切な仕事である。これから国際化が拡大するに従ってさらに重要になってくるんじゃないのかなと、私はそういう認識でおるわけでございます。  それで、先ほど来、その重要な港湾がいわゆる東アジアあるいは東南アジア港湾との関係で大変地位が低下している、これをぜひともさらに盛り返さないとこれからの港湾関連産業というのがどうにもならない、こんなふうな認識であるんだと思うんです。  局長、来ていただいて、具体的な数字を聞こうと思ったんですけれども、時間の関係もございますので、私、数字的にちょっとお聞きしたものを、本当はこれを印刷してお配りすればよかったんですが、それができませんでしたので、運輸省からいただいた資料で簡単に申し上げます。  どのぐらい東アジア港湾との差があるかというのを教えていただいたんですが、香港シンガポール、高雄、釜山、横浜、神戸と、こういう表がございまして、これは単純に言いまして、一九七八年、八八年、九八年と十年ごとの三段階ございますが、一九七八年では、今申し上げた六つの港のうち、コンテナ取扱量というのは神戸が一番多かったわけです。それが十年後になりますともう下位になってきた。さらには一九九八年になりますと、香港なんかと比べますとこれは七分の一になるんですか、そのぐらいの大きな差が出てきているというのが現状であるように教わりました。  また、今回のこの法律改正による一番の効果といいますか、これは、労働集約型の運送業を規制緩和によってできるだけ効率的にして取扱料を安くしようということなわけですが、東南アジアあるいは東アジアといいますと、どうしても彼らの賃金が随分低いんじゃないかという認識があるわけで、それを調べていただきましたら、教えていただきましたのが、日本平成八年、釜山と香港シンガポールがそれぞれ平成十年三月の聞き取りというお話を伺いましたけれども、日本の場合、船内業務で月額四十四万七千円、沿岸で四十万六千円です。これに対して釜山では二十二万、シンガポールも十五万から十六万、こんなところであるわけです。  まず、こういうような実態というのは、これは教わったからこれでよろしいかと思うんですけれども、こういう認識でよろしいわけですね、まずその点から。
  105. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 先生にお示ししました数字ではそのとおりでございます。
  106. 岩本荘太

    岩本荘太君 それで、私の疑問は、要するに今回こういうことによって港湾の発展を図ろうというわけですけれども、労働集約型のこういう運賃を切り詰めるということは、これは至難のわざではないかという疑問があるわけでございまして、釜山と比べても二倍から二・何倍かの、そのぐらいの差があるわけですね。ということは、端的に考えますと、釜山の労働者が二人でやることを日本労働者は一人でやらなきゃいかぬ、シンガポールに至っては三人でやることを一人でやらなきゃいかぬ、こういうような状態になるわけです。  それで競争せよということになりますと、先ほどから出ていますとおり、ダンピングによる賃金への圧迫とかそういうことになるんだろうと思いますし、さらには、これでは競争できないということで日本に立ち寄らずにほかの港に行くというようなことも考えられますし、それはいわゆる港湾運送業の衰退につながる、それによってまた港湾が寂れてくる、こんなことになるんじゃないのかなと。  これをやっぱり防ぐ、これがこの法律改正趣旨でもあると思うんですけれども、要するに、港湾をどうするかということ全体の中の今回の改正は一部であるんだと思うんです。だから、肝心なのは、やっぱり全体をどうするかということ、日本港湾というものをどう持っていくかというしっかりしたものがないと、やはり労賃に対する圧迫とかなんとかが出てこざるを得ないのかなという感じがするわけです。  そこで、港湾を所管されております大臣に、日本港湾といってもたくさんありますから一概には言えないと思いますけれども、例えばハブ港としての機能でいくのか、そうすると東南アジアの港、東アジアの港とは同じような競争をしなきゃいけないというようなこともございますし、いろんな日本の港の周辺の環境によっても随分違ってくると思うんですけれども、そういう中で、大ざっぱな質問で大変申しわけないんですけれども、日本港湾というものを、九九・八%の物流を抱えている重要な港湾というものをどういうふうに持っていかれるというお考えを持っているのか、どういう哲学を持っておられるのか、具体的なことは後で局長にお聞きしますので、大臣のそういう大きな視点からのお答えをひとつお願いいたしたいと思います。
  107. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 答弁に先立ちまして、先ほどの災害の問題につきまして、大変御経験に基づいて先手先手にやれということでございますが、まことに適切な御助言をいただきましてありがとうございます。  今、早速現地にそれぞれの対応をいたしておりますが、この対応が総合的にといいますか、情報が最終のところでは一括掌握できるような体制が大事だと思いますので、総理官邸とともにただいま現地にもそのような対応ができるように、例えば北海道開発庁は出先に組織を持っておりますので、これが対応することも一つの方法と思いまして、今官邸その他と打ち合わせをいたしておるところでございますが、早急に対応いたしたいと思っております。  ただいま岩本議員から運輸省及び港湾対応する哲学いかんと、こういうことでございますが、御承知のように我が国港湾東アジアの主要港に伍して効率あるいは物流サービスの点で大変劣ってきた、こういうことで、今回の規制緩和によって港湾運送事業法改正のみならずインフラの重点整備、つまり港湾の新しい建設等につきましても対応していかなくてはならない、つまりはハード面とソフト面の両面から総合的な取り組みが必要だと認識をいたしております。  まず、港湾運送事業法規制緩和を行いまして事業者間の競争を促す、そのことが極めて大事だと思っておりますが、同時に中枢・中核港湾の整備を重点的に進める、このことによって、中枢国際港湾においては大水深あるいは高規格のコンテナターミナルにつきまして整備、管理、運営の新方式を導入することなどにより、その利用コストの低減を図ってまいりたいと思っております。  なお、港湾情報システムの導入も極めて重要でありますので、今後こうしたことに一層努力をするとともに、強制水先制度及び夜間入港規制の適切な見直しなどを進め、二十四時間体制対応できる使いやすい港湾に進めていく必要があろうと思っておりますので、議員の御指摘等を十分踏まえて今後の対応を図っていきたいと考えております。
  108. 岩本荘太

    岩本荘太君 ありがとうございました。私の質問が広過ぎて大臣お答えづらい面もあったかと思いますが、どうもありがとうございました。  やはり港湾は場所によっても随分条件が違うと思うんです。例えば私の地元の金沢港にしても、物はたくさん入ってくるんですけれども出ていく物がないというと何かアンバランスがあって、港湾そのものの発展性に欠けるような面もございます。したがって、民間に任せる面、地方自治体に任せる面も多いかと思いますけれども、やはり全体を見ておられる運輸省がその辺もしっかり全国的な関連づけで見ていただきたいなと、こういうことを要望させていただきます。  それと、今の大臣のお話で、それでは具体的にどんなことをやっておられるか、ハード面、ソフト面で。ハード面では長期計画等を立てておられると思いますけれども、その辺をちょっと御説明をいただきたいと思います。それぞれ二局長おいでになりましたので、両方お願いします。
  109. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 私の方からソフト面についてお答え申し上げたいと思います。  まず、何といいましても、今御提案申し上げている港湾運送事業法規制緩和を通じて、港湾競争を通じて活性化し、事業効率化を図って荷主ニーズに合ったようなサービスが提供できるようになるという対策を進めていくということがまず一つ基本だろうと思っております。  あともう一つは、大臣がお話しされましたけれども、港湾の使い勝手の問題として、例えば港湾諸手続の関係で非常にペーパーレスでなかった時代がございます。これをペーパーレスにしていくための港湾情報システムの導入といったようなこともございます。あわせまして、水先の問題ですとかそれから夜間の入港規制の問題ですとか、そういったものについても、安全を踏まえつつではありますが、その規制の合理化をして港が使いやすいようにしていくということが大事かと思っております。
  110. 川嶋康宏

    政府参考人川嶋康宏君) 港湾整備につきましては、港湾整備緊急措置法に基づきまして港湾整備七カ年計画を策定いたしまして実施をしているところでございます。  七カ年計画の柱といたしましては、国際競争力を有する物流ネットワークの形成、信頼性の高い空間の創造、活力に満ちた地域づくりの推進という三つの目標を掲げて整備をさせていただいているところでございます。  この中で、特に国際コンテナ関係につきましては、世界のコンテナ航路の中で非常に投入が行われていてメーンになりつつございます大型船の寄港の可能な施設整備というものが急がれるわけでございますが、いわゆる水深十五メーターの高規格のコンテナターミナルの整備につきまして今整備を急いでおりまして、シンガポールその他と比べましても遜色のない港の整備というものを心がけているところでございます。平成十二年の末には十五メーター以上のバースが約十四バース整備される予定でございまして、それによりまして、ほぼ現在のシンガポールの実力と拮抗できるというふうな状況になるのではないかというふうに考えております。
  111. 岩本荘太

    岩本荘太君 いろいろやっていただくのは結構なんですが、例えば環境条件、整備条件がシンガポールと同じでは、端的に言いますと先ほど言った運賃の差というのは解消しないんじゃないかと。それと、昔はやはり日本東アジア東南アジアとの経済格差というのは随分あったと思いますから物量もかなり違ったと思いますけれども、今は御存じのとおりの発展段階に来ておりますので、そういう面も考えますと大変な仕事だと思います。  先ほど言いましたように、事業法の改正、これは確かに今の世の中で必要なことであると思います。これが適正に運用されるということもしっかりと見ていただかなければいけないと思うんですが、と同時に、やはりもっとソフト、ハードを含めた全般的な事業の推進といいますか、これは事務方がしっかり状況を把握していただいてそれを仕組んでいただきたい、それを大臣がしっかりと具体化していただきたい。  そういう意味で、港湾全体をこれからしっかりとやっていただきたいという私の希望もあるんですが、その辺について最後大臣、先ほども御答弁いただきましたけれども、一言御答弁いただきたいと思います。
  112. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) 港湾運送事業につきまして大変熱心な御意見をちょうだいしましてうれしく思っております。  先ほど、金沢港の例などもお取り上げになっての御発言がございましたが、私も、昨日もそうした港湾の実態につきまして、それぞれの地域には港湾協議会などというものができておりますが、果たしてその港湾協議会が十分お役に立てるような活躍、期待にこたえられるような活躍をされておられるかどうかということも総点検をして、場合によっては新たな組織をつくってでも、関係者が一体となって、港の場合には、港を建設するまではみんな大変熱意を持って元気よく声援を送ってくれるわけでありますが、港ができてしまいますとみんな何だかぽかっと見詰めておるような感じもないとは言えませんので、それらの点について私は十分掘り下げて対応するようにということを昨日局長以下に命じたところでございます。  御発言の趣旨を十分生かして、港湾行政あるいはまた港湾運送事業につきまして対応してまいりたいと思っております。
  113. 岩本荘太

    岩本荘太君 よろしくお願いします。どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  114. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  115. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、港湾運送事業法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  港湾運送事業は、政府自身も認めるように、波動性労働集約性などの特性を持ち、供給過剰による事業秩序の混乱と悪質事業者や劣悪な労働条件の横行などの歴史の中で、港湾運送事業の安定化と港湾労働者労働条件の確保のために、事業免許制の導入や認可運賃・料金制度の確立などが図られてきたのであります。  港湾運送事業規制緩和は、この歴史の教訓に逆行するものであり、港湾運送事業の安定的発展の基盤を崩し、政府の責任を放棄するものと言わなければなりません。  反対する理由の第一は、本改正案が、米国及び我が国の大手船社、荷主の要望にこたえ、長年の歴史と国民の闘いの中でつくり上げられてきた規制をなし崩しにするものだからであります。  反対する第二の理由は、運輸省港湾運送の安定化策としている過度のダンピング防止策などもその実効性が極めて疑わしいからであります。  運輸大臣料金変更命令も、同じスキームを持つトラック事業では、つくられて十年間、一回として発動されたことがないことが私の質問で明らかになりました。また、元請による下請たたきのダンピング料金には適用されないという極めて実効性を欠いたものであります。さらには、割り戻し禁止規定も、現在でも摘発例はゼロだということも明らかになりました。  このような方策をもって安定化策などとは到底言えないのであります。  反対理由の第三は、今回の法改正が、この規制緩和議論の出発点ともなった行政改革委員会の最終意見からさえ後退したものであるからであります。  最終意見は、船主、荷主港湾運送事業者の力の差を認め、船主に対する勧告などの方策の必要性を指摘しているにもかかわらず、本法案には何らその方策は講じられておりません。運輸省が過度のダンピング防止すると言うのなら、建設業法や貨物自動車運送事業法に存在する規定ぐらいは盛り込むのが当然ではありませんか。  最後に、そもそも港湾を二十四時間三百六十五日稼働させると言うのなら、ばらまきと言われるむだな港湾整備を見直し、効率的な港湾運営をどうするか、労働者の八時間交代制など労働条件の保障をどうするか、物流政策としての総合的な検討が不可欠であります。  これらの検討も保障もないまま、米国や大手船社、荷主の要求にこたえて行われる今回の規制緩和は、我が国港湾運送事業の基盤を崩し、事業者労働者の安定と安全を損なうものであることを強く指摘して、私の反対討論を終わります。
  116. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  港湾運送事業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  117. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、簗瀬君から発言を求められておりますので、これを許します。簗瀬進君。
  118. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 私は、ただいま可決されました港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     港湾運送事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に向け万全を期すべきである。  一、需給調整規制廃止されても、労働関係港湾運送の安定化が保たれるよう努めるとともに、問題が生じた場合には、関係者意見を十分聞いた上、必要に応じ、適切に対応すること。  二、規制緩和の進展に伴い、港湾労働者に過度のしわ寄せが及ばないよう配慮し、料金変更命令制度や緊急監査制度を厳正かつ機動的に運用することによって、ダンピング防止を図ること。また、このため関係各省が連携して、船会社荷主にも必要な指導を行うこと。  三、日曜荷役夜間荷役港湾サービスの更なる向上を図りつつ、港湾運送事業者集約・協業化を進めるとともに、港湾労働者の良好な労働条件の確保に配慮するなど必要な環境の整備に努めること。  四、規制緩和を行う九港以外の港においては、従前の事業免許制度及び認可料金制度が遵守されるよう法の適切な運用に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  119. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) ただいま簗瀬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 全会一致と認めます。よって、簗瀬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、二階運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。二階運輸大臣
  121. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま港湾運送事業法の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。  ただいま御決議のありました附帯決議及び同時に当委員会における御審議の経過を尊重し、運輸省として十分な努力をしてまいる決意でございます。  よろしくお願いいたします。
  122. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  124. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 次に、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。二階運輸大臣
  125. 二階俊博

    国務大臣(二階俊博君) ただいま議題となりました海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  海洋汚染防止につきましては、各国が協調して取り組むことによって初めて十分な効果が期待できるものであるため、我が国といたしましては、従来より、国際的な動向に対応しつつ、海洋汚染防止対策の充実強化を図ってきたところであります。  さらに、有害液体物質の流出事故時等における適切な初動措置を確保するため、船舶所有者に対し有害液体汚染防止緊急措置手引書を船舶内に備え置くことを義務づけるとともに、当該手引書について検査の対象とすることを内容として、千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約附属書Ⅱの改正が、平成十一年七月に行われ、平成十三年一月に発効する見込みとなっております。  このため、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正し、同条約の改正に伴う国内法制の整備を行う必要があります。  また、あわせて、平成十一年三月の総務庁による認可法人に関する調査結果に基づく勧告を踏まえ、海上災害防止センターについて、その事業活動、財務状況等に関する実態について透明性をより一層確保するため、財務諸表等の公開に関する規定の整備を行う必要があります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、船舶所有者は、有害液体物質を輸送する一定船舶ごとに、有害液体汚染防止緊急措置手引書を作成し、これを船舶内に備え置かなければならないこととしております。  第二に、船舶所有者は、その有害液体汚染防止緊急措置手引書が技術基準に適合していることについて、国土交通大臣が行う検査を受けなければならないこととしております。  第三に、海上災害防止センターの財務諸表等の公開に関する規定を整備しております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  126. 齋藤勁

    委員長齋藤勁君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会