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簗瀬進君
委員派遣について御
報告申し上げます。
去る一月十二日から十四日までの三日間にわたり、長崎県及び福岡県における
運輸事情、
情報通信及び
郵便等に関する実情並びに山陽
新幹線コンクリート剥落
事故に関する実情をそれぞれ
調査してまいりました。
派遣委員は、
齋藤委員長、景山
理事、
釜本理事、
弘友理事、
渕上理事、
宮本委員及び私、
簗瀬であります。
調査団は、
運輸省及び郵政省の各
地方機関から管内の概況等について説明を聴取いたしましたほか、長崎県及び福岡県当局から
運輸及び
情報通信に係る要望を聴取いたしました。
また、長崎県では長崎
空港、長崎中央郵便局、長崎ケーブルテレビジョン、佐世保リサーチセンターを、福岡県では博多港、天神共同集配所、福岡航空
交通管制部、山陽
新幹線福岡トンネルコンクリート剥落
事故現場、NHK福岡放送局、福岡
空港等を視察いたしました。
以下、主要事項について順次御
報告いたします。
まず、長崎
空港は、三千メートルの滑走路を有する
海上空港であり、長崎県の空の玄関口として重要な役割を担っております。現在、国内では十四路線を運航しているほか、昭和五十四年から上海定期便が運航いたしております。
利用客も
空港の
整備とともに増加し、
平成十年の
利用客は約三百十五万人に達しております。また、現在、国内唯一の施設として
空港防災教育訓練センターを建設中で、十二年度中の訓練開始を予定しておりますが、今後の
空港防災対策のさらなる
充実に向け大きな
期待が寄せられているところであります。
次に、長崎中央郵便局は、明治四年に
九州初の郵便役所として業務を開始して以来、百二十九年の歴史を持つ郵便局であります。受け持ち区域内の世帯数は約六万七千であり、地域に密着した郵便局づくりに取り組んでおります。特に、本年は日本とオランダとの交流四百周年に当たるため、長崎の出島をかたどった記念切手を発行するなど、地域とタイアップした
施策を進めております。また、
平成九年には郵便番号七けた化に
対応した新型区分機及びバーコード区分機が導入され、郵便物区分作業の
効率化が図られたところであります。
次に、長崎ケーブルテレビジョンは、昭和六十一年に開局し、ケーブルによるテレビ放送再送信等を行っております。地形による難視聴世帯が多かったこと等から、加入者が順調に増加し、開局二年目で単年度黒字化、三年目で累積赤字を解消するなど、総じて厳しい経営を余儀なくされているケーブルテレビ業界の中にあって安定した実績を上げております。カバーエリアは長崎市内のほぼ全域を網羅しており、現在はケーブルの光ファイバー化を進めております。
平成十一年十二月には加入世帯数が五万三千を突破し、都市型ケーブルテレビとして全国でもトップクラスの加入率となっております。特に、加入金ゼロ作戦を全国に先駆けて
実施し、大幅に契約世帯の増加を見ております。また、コミュニティチャンネルを設け、毎日夕方五時から六時の間に生放送を行い、地域に密着した番組づくりを
実施しております。さらに、放送全般にわたるデジタル化に備え、ケーブルのデジタル化、インターネット
利用サービスの開始等、ケーブルテレビのフルサービス化に向けた準備が進められております。
次に、佐世保リサーチセンターは、
平成八年から三年間、通信・放送機構の分散型映像ネットワーク制御・管理
技術プロジェクト
実施のため、ハウステンボス内に
整備された研究施設で、
平成十年度に
研究開発が終了した後、その研究成果を生かし、佐世保市、ハウステンボスと
協力し、マルチメディア・モデル
観光システムの
開発を行っております。具体的には、ハウステンボス内のマルチメディア・カフェに設置された三面ディスプレーとタッチパネル端末を用い、ビデオ・オン・ディマンド、VOD
技術を応用し、ハウステンボスの
観光情報、お勧めコース等を検索できるシステムの検証を行っております。今後の高度
情報社会における
観光情報検索システムのモデルとして大いに
期待されるところであります。
次に、博多港は、
九州の物流拠点として明治三十二年の開港以来
発展を続ける特定
重要港湾であります。取扱貨物量は年々増加を続け、昨年度の取扱貨物量は三千九百五十七万トンとなっております。近年では、コンテナ船の大型化に
対応するため、アイランドシティ
整備事業、香椎パークポート
事業等、さまざまな
整備が進められております。また、博多港は、離島等との国内定期旅客航路を初め釜山への国際定期旅客航路を有しており、日本一の乗降人員を誇る国際旅客港でもあります。同港は、今後とも韓国まで約三時間という地の利を生かし、
九州地方は
もとよりアジア全域に対する物流拠点としてその
発展が
期待されるところであります。
次に、天神共同集配所における天神地区共同集配システムは、福岡市天神地区の
交通混雑の緩和と
輸送の
効率化を図るため、
平成六年より、天神地区共同
輸送株式会社により三十五社の
事業者が参加して行われている全国初の都心物流共同集配システムであります。昨年度の年間取扱個数は百二十万六千個であり、
事業開始時と比べると二倍以上となっており、今後の都心における物流共同集配システム
構築のモデルケースとして参考となるものであります。
次に、福岡航空
交通管制部は、中国四国
地方の一部と
九州一円を管轄空域とし、航空路管制と航空路
情報を
提供して航空機の安全運航を支える
運輸省の
地方支分部局であります。管轄空域内には過密化する福岡
空港を初め二十一の飛行場があり、航空の
安全確保に努めております。また、航空
交通流管理センターは、航空
交通の円滑な流れと安全を
確保するため、日本全国の
交通状況や空域の運用状況を一元的に把握、管理し、
交通予測を行って特定の航空路や
空港に航空機が集中し過ぎるのを
防止する日本で唯一の施設であります。同センターは、国際民間航空機関、ICAOが強力に
推進している航空
交通管理、ATMのための中核的存在であり、アメリカ、ベルギーに次ぐ
世界で三番目の施設であります。
我が国では、一日に約五千三百機もの航空機が運航しており、今後も航空需要は増加の傾向にありますが、空の
安全確保に向け、同センターの業務がますます注目されることと思われます。
次に、私たちは、本年一月三日に発生した
JR九州佐世保線境松トンネル内のコンクリート剥落
事故について、
JR九州社長より説明を聴取いたしました。同
事故は、佐世保線の電化に伴うトンネル改築時にコンクリート内に布きれが混入し、その部分が落下したものと推定されております。同社は、管内の全コンクリートトンネルについて一月下旬までに打音検査を
実施しておりますが、
鉄道輸送のさらなる
安全確保のため、万全の
対策を講ずるよう強く
要請されるところであります。
次に、山陽
新幹線コンクリート剥落
事故は、昨年六月二十七日に発生し、走行中のひかり三五一号のパンタグラフを損傷させたものであります。私たちは、山陽
新幹線の
運転終了後、実際に福岡トンネル内の
事故現場を訪れ、剥落箇所及び補修状況等を視察するとともに打音検査を体験してまいりました。
事故後、
JR西日本は、昨年十一月八日から十二月十五日までの間、一部の
列車を
運転休止し、山陽
新幹線全百四十二トンネルの安全総
点検を
実施いたしました。打音検査の結果、清音でなかった九千六百九十平方メートル、全体の約〇・二%はハンマーによりたたき落とす等の処置が行われております。
鉄道輸送における安全の
確保は最
重要課題であり、今後、同種の
事故を発生させないため、引き続きトンネルの保守管理の
徹底等、安全運行に向けたさらなる
努力が強く望まれるところであります。また、国民の不安を払拭するため、
徹底した
原因究明と
再発防止に向けた抜本的な
安全対策の
確立が何よりも大切であることを強く痛感した次第であります。
次に、NHK福岡放送局は、地域
社会との共生を合い言葉に、地域に密着した放送番組づくりに積極的に取り組んでおります。アジアとの距離が近いという地理的特性を生かし、福岡放送局が制作拠点となり「新アジア発見」という全国放送番組を制作しております。また、本年は先進国首脳
会議、
サミットが
九州・沖縄地域で
開催されることから、五月から六月にかけて沖縄を積極的にアピールしていくほか、
サミットの模様をハイビジョン映像で撮影し、全
世界にNHKのハイビジョン
技術をアピールしていく予定とのことであります。
次に、福岡
空港は、福岡市東南部に位置する
運輸大臣が設置する第二種
空港であります。
JR博多駅から地下鉄で五分という立地を生かし、
利用者数は年々ふえ続け、昨年一年間の
利用者は千七百六十一万人に上っております。現在、国内線三十一路線と北京、ホノルル、シンガポール等の国際線十六路線が運航しております。私たちは実際に管制塔に上り、航空機の管制業務を視察いたしましたが、自衛隊との共用
空港であるため、自衛隊の航空機や民間航空機が次々と離着陸を繰り返しており、
航空管制業務の重要性を改めて
認識いたしました。なお、同
空港は、今後の航空需要の増加とともに
空港容量が限界に達するおそれも出ており、その面の改善が求められております。
次に、今回の
委員派遣において関係
地方自治体から寄せられました要望事項について御
報告申し上げます。
まず、長崎県からは、
九州新幹線長崎ルートの早期
実現、離島航空路線の維持、存続のための
支援、女神大橋の
整備促進、ナガサキ・アーバン・ルネッサンス二〇〇一構想の
推進に伴う
重要港湾長崎港内港地区の
整備促進、高度な
情報通信基盤
整備の
推進、マルチメディア
社会における通信料金の
あり方等について要望が出されました。
次に、福岡県からは、福岡
空港の需要を継承し、より高度な拠点機能を果たす新
空港の早期
整備、新北
九州空港の早期開港、福岡
空港の
整備等の
促進、
九州新幹線の建設
促進、
地方バス
対策の
充実強化、離島航路補助
制度の
充実強化、
研究開発用ギガビットネットワークの
整備促進、
情報通信を
利用した先導的プロジェクトの
推進、電気通信格差是正
事業の
推進等についての要望が出されました。
これらの要望につきましては、今後国政の場において十分
検討していく必要があろうかと思います。
最後に、今回の
派遣に当たりまして種々御配慮をいただきました
関係者の皆様に心から感謝申し上げまして、
報告を終わります。
以上でございます。