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2000-05-25 第147回国会 参議院 外交・防衛委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任         佐々木知子君     片山虎之助君  五月二十四日     辞任         補欠選任         片山虎之助君     佐々木知子君      荒木 清寛君     弘友 和夫君  五月二十五日     辞任         補欠選任         森山  裕君     山内 俊夫君      浅尾慶一郎君     本田 良一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢野 哲朗君     理 事                 鈴木 正孝君                 武見 敬三君                 小山 峰男君                 益田 洋介君                 小泉 親司君     委 員                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 山内 俊夫君                 山崎  力君                 山本 一太君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 海野  徹君                 本田 良一君                 松前 達郎君                 弘友 和夫君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君    政務次官        外務政務次官   江崎 鐵磨君        外務政務次官   山本 一太君        防衛政務次官   依田 智治君        防衛政務次官   西川太一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        防衛施設庁長官  大森 敬治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 〇国際航空運送についてのある規則統一に関す  る条約締結について承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付) 〇千九百五十五年九月二十八日にヘーグで作成さ  れた議定書により改正された千九百二十九年十  月十二日にワルソーで署名された国際航空運送  についてのある規則統一に関する条約改正  するモントリオール第四議定書締結について  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として弘友和夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際航空運送についてのある規則統一に関する条約締結について承認を求めるの件及び千九百五十五年九月二十八日にヘーグで作成された議定書により改正された千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則統一に関する条約改正するモントリオール第四議定書締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会防衛施設庁長官大森敬治君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 国際航空運送についてのある規則統一に関する条約締結について承認を求めるの件及び千九百五十五年九月二十八日にヘーグで作成された議定書により改正された千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則統一に関する条約改正するモントリオール第四議定書締結について承認を求めるの件の両件を便宜一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山崎力

    山崎力君 山崎でございます。  まず、この両条約といいますか、議定書承認も含めてですが、その中身についてはこの際、異存ないということです。ただ、その表題といいますか、日本語について山本次官にちょっとお伺いしたいと思うんです。  この何々についての「ある規則」というのが日本語として非常になじまない。英文を見れば、私のつたない発音でいけば、フォー・ザ・ユニフィケーション・オブ・サートゥン・ルールスということで、このサートゥンというのを「ある」と訳していることで非常にわかりにくくなっているんですが、もう少しましな訳はないのかと。  もちろん、今までこういった外交用語英文外交用語統一的に日本語に訳すということで、関係者にはこういうふうな日本語はこういう英文が浮かんできてこういう意味なんだろうということは恐らく歴史のあることだろうと思って理解はするんですが、翻って現時点でこれを見ても、どうも私自身ですらはっきりイメージがわいてこないのを、一般の同僚議員の方も恐らく大多数の方がそうではないかと思うんですが、その辺についての御見解をちょっと伺いたいと思います。山本次官、よろしくお願いします。
  7. 山本一太

    政務次官山本一太君) 確かに山崎委員おっしゃったように、ぱっと見ると一瞬わかりにくいところもあるかもしれませんが、この「ある規則」、今おっしゃったサートゥン・ルールスというふうに英語はなっているわけですが、つまり「ある規則」というのは、いろいろ規則がある中ですべての規則ではないある部分をカバーする規則というまさにその意味でして、今回の場合は民事面責任を書いてあるということで、実はその他にも御存じのとおりいろんな条約がございまして、一番典型的なのは、例えばシカゴ条約みたいなものがあって、この航空協定で二国間の乗り入れをしているということで、つまりある分野、全部ではない、そのある分野をカバーする「ある」という意味サートゥン・ルールスということです。  実は、これには意外とちゃんとした故事来歴がありまして、簡単に持ってきたんですけれども、この訳語というのは、昭和二十六年、一九五一年の吉田茂全権ほかがサンフランシスコ講和会議の場で平和条約とともに署名した日本国政府の宣言において、我が国が速やかに加入する意思を有する国際文書一つということでワルソー条約を挙げた際に、ここに同条約正式名称の中で「ある」というのを使用しているということで、その後、昭和二十八年、一九五三年にもワルソー条約締結について、あるいは引き続き四十二年、一九六七年に、やはりワルソー条約改正するヘーグ議定書締結、この二つについてそれぞれ国会の承認をいただいたときにも、やはりワルソー条約正式名称の中でこのサートゥン・ルールスと、「ある」というのを使用している、こういうことでありまして、これはもう正式なタイトルをこうやって改正の場合も運用していくしかないという状況で、この条約改正するということでその正式名称をそのままとって「ある規則」と、こういう訳語使用しているということで御説明にかえさせていただきたいと思います。
  8. 山崎力

    山崎力君 大体そういう説明があるだろうなというのは、これを読んでというか、感じたわけですけれども、さはさりながら、日本語としてこれで浮かんでくるかというと非常に問題で、言葉を補ってやれば、いわゆるワルソーで署名された航空運送について幾つかある規則のうち、ある分野規則統一に関してという意味だと思うんですが、そのことがこの文章から日本語として浮かんでくるというのは極めて特異な才能を持った人間でしかないということがございますので、その辺は今後、これはもう一つの固定された訳、いわゆる固有名詞的な訳だということで了としますけれども、今後その辺のところをわかるように、これでも長過ぎて日本語とすれば本当に大変なんですが、お願いしたいということで、次の質問に移らせていただきます。  それで、今度は外務大臣の方にお願いしたいんですが、せんだって台湾陳水扁新総統が就任されました。両岸関係というのは、言うまでもなく我が国外交にとっても非常に大きな、不安要素と言うと言葉は悪いんですけれども、どうなるかによって我が国も大きな影響が出るということで、その就任演説内容というのが極めて注目されていたわけです。  報じられるところ、私自身そこにも参加していたわけで、聞いた人間の一人なんですけれども、極めて巧妙なレトリックで問題を、言葉は悪いんですけれども、すり抜けるというとおかしいんですが回避していて、衝突その他の難しい方を回避していて、それで大陸側の方も、その辺のところの、何というのでしょうか、どう解釈してどうやったらいいかというところをちょっとまだ決めかねているような対応もその当時の報道ではなされておりましたが、日本政府として、あの就任演説に対する現時点での考え方と、それの大陸中国側反応についてどのようにお感じなのか、お伺いしたいと思います。
  9. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員指摘のとおり、我々もあの就任演説については非常に高い関心を持って見ており、そして聞いていたわけでございます。  陳水扁氏演説は、今、議員は非常に巧妙なレトリックというふうにおっしゃいましたが、私どもは、非常に慎重な言い回しで、しかしこれまで述べてこられた枠の中で、その枠から出ることはなく非常に慎重に抑制された演説をされたというふうに聞いたわけでございます。注意深く、そして慎重な言い回しのこの演説は、中国を刺激したくないという気持ちもきっとあったに違いない、そういう感じ演説は聞きました。  これに対して、中国側は二十日に声明を出しているわけですけれども、この声明では、一つ中国原則重要性を強調し、一つ中国原則台湾中国の一部であるという現実を否定したり、一つ中国を将来のこととするという、未来のという言葉を使われたわけで、そのことはあってはならない、そして一つ中国原則が大事なんだということを中国は非常に強く述べているわけですが、それはそう述べつつも、今申し上げたような一つ中国という原則のもとでなら対話を行う用意があるというふうに言っているわけです。これも比較的抑制のきいた反応ではなかったかというふうに私どもは見ていまして、確かに原則をめぐる立場の違いがあって、両岸当事者間の対話再開というのがこのことで直ちにできるという感じではないなというふうに見つつも、両岸当事者による平和的解決のために対話が何とか早期に行われてほしいということを希望しているわけでございます。  いずれにしても、双方発言は非常に慎重な発言、慎重な対応ぶりというふうに感じております。
  10. 山崎力

    山崎力君 そういうふうな日本政府側の両岸、中国台湾に対する反応をそういうふうに受けとめられているということがわかりましたけれども、問題は、その慎重さが将来どこへ向かうのかということが一番問題だろうと思うんですが、その辺についての御感想は何かございますか。
  11. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) これはまだもう少し見てみないとはっきりしてこないと思います。  いずれにしても、これから通商問題があったり、さまざまな現実、具体的な動きというものがあるわけで、それについて双方がどういう発言をし、行動をするかということがあると思いますが、私どもとしては、繰り返し申し上げておりますが、従来の日本政府のとってまいりました立場、認識というものの上に立って双方の話し合いが早期に行われるように願っているところでございます。
  12. 山崎力

    山崎力君 時間ですので、これで終わります。
  13. 海野徹

    海野徹君 おはようございます。民主党・新緑風会の海野徹であります。  外務大臣お話をお聞きしたいわけなんですが、一つ日朝正常化交渉のその後の進捗状況について、いろいろ我々は報道あるいはその関係者からお聞きすることが多いんですけれども、非常にタフな交渉向こうはされているような印象がありまして、それに対する我が国交渉のぐあいはどうなのか、お聞きかせいただきたいと思います。
  14. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 大変御心配をおかけしておりますが、日朝国交正常化交渉は先般四月にピョンヤンで久しぶりに再開をされたわけでございます。  その四月に再開をされました日朝国交正常化交渉で、双方双方関心事を述べ合うということに終始して、一歩突っ込んだ話は次の回にしようと言って次回の交渉につなげる作業を最終的にいたしまして、次回は東京で行うということなどを決めて、その折、我々は五月の末には東京で行うことになるなという感触でおりました。そして、その東京で行われる日朝国交正常化交渉のための準備にもう我々は入っていたわけでございます。  双方連絡すべき事柄等については適時連絡をとりながら、東京におきます交渉の日時を最終的に詰めようという作業をしておりましたところ、先方から準備都合もあるので当面延期したいという話が参りまして、一体いかなる理由による延期かということでやりとりを大分いたしましたけれども先方からは準備都合があるので当面延期だということで、その具体的な理由等についてはしっかりとした説明がないままに、とにかく当面は延期だということを繰り返されて、当初我々考えておりました五月末の東京におきます会議延期せざるを得ないという結論を我々も出しまして、五月末の準備は、つまり物理的な準備ですね、ホテルをどうするとか場所をどうするかとかいう、そういう準備はもうそこで停止をしたということでございます。  しかし、その折にも、これは無期延期ではない、当面延期だということを双方はお互いに話し合っておりまして、その当面というのがどのぐらいの期間かということについてはまだ確認はしておりませんが、とにかく当面延期だと、こういう状況に今なっております。
  15. 海野徹

    海野徹君 前回委員会外務大臣にちょっとお聞きさせていただいて、それは所管外ですからということだったんですが、朝銀のことなんですけれども、その後いろんな御調査をされてもう念頭に置かれているかと思うんです。  ちょうどその延期の時期ですね、同じような時期に私のところへ情報を入れていただいた人がいまして、それが一つには、朝銀東京検査が三月十五日の締め切りだったのが、それが無期延期になったと。これは、信用組合検査・監督が国に移ったということの理由があるかもしれませんが、担当している春日さんという弁護士に聞きましたら、いや全く期限が設定されていないでいろいろ、我々としてはいろんな真相究明委員会があります、の弁護士なものですから、いろいろ検証するには十分時間をもらったからというようなお話もあったんですが、その一方で、政府高官から、七月もしくは八月に一兆円の公的資金を朝銀に注入しようというようなのが責任副議長の方へもう連絡が行っていると。それも、公安の方々もそれは情報として察知しているというような話がありまして、その後のスケジュールは、年内に正常化をして来年は戦後補償まで交渉に入るんだということで総連の幹部も言っていらっしゃるという話もあります。  非常に、一兆円にも及ぶような公的資金の注入というのは、大変これは我々の関心事というか日本人全体の関心の大きなことですから、そう簡単に検査も終わっていない段階で、しかもいろんな意味で各地で問題がある朝銀の経営内容の中で、そう簡単に決まるものじゃないんだろうなと。それがどうも交渉延期と絡んでいるんじゃないか、あるいは交渉に入る前提条件としてあるんではないかなという疑念があるものですから、その辺について、おわかりになる範囲内で外務大臣から御所見をいただきたい。
  16. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私からまず御答弁を申し上げられるのは、日朝国交正常化交渉の中でこの朝銀問題が取り上げられたあるいは議論されたという事実はありません。  それから、朝銀の問題について今、議員からいろいろ御指摘がございました。大変な問題だという御指摘がございましたが、この問題は、前回もそう申し上げましたが、外務省としてお答えをする範囲を少し出てしまうと考えます。私どもにはお答えをする能力がございませんが、いずれにしても、今御指摘の朝銀信用組合というんですか、は、これは我が国国内法によって、国内法に基づいて免許を受けているわけでありまして、そうした金融機関にあっては破綻処理の問題は、我が国関係当局、すなわち金融再生委員会等国内法令に従って対処するということに恐らくなるのであろうと思います。  私どもとしては、少なくとも現時点ではそれ以上の情報といいますか、この問題についてのやりとりを承知していないのが実情でございます。
  17. 海野徹

    海野徹君 外務大臣からの御答弁は多分そうなるんではないかなと思いましたが、先ほど、交渉で積極的に進めてみたりあるいは滞ってみたり、あるいは別の分野で、別のというかほかの国については積極的に外交を進めてみたり、あるいはADBについては韓国は支持、日米は慎重ということで、それに対して非難してみたり、非常にタフな交渉向こうはしてくるものですから、その辺、具体的な日朝正常化交渉議題としては聞いていないといっても多分いろんなところで影響があるんではないかと思いますから、重大な関心を持っていただきたいということを要望させていただいて、質問を終わります。
  18. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 委員長、一言だけお願いします。  ちょっと細かいことですが、先ほど私、日朝正常化交渉が五月の末というふうに申し上げましたが、当時のやりとりでは五月の下旬というやりとりであったということで、そこは訂正をさせていただきます。  それから、日朝国交正常化交渉については、先方はミサイル問題であるとか拉致問題であるとか、そういう問題を横に置いて、明らかに国交正常化の問題に絞れという意味のことをしきりに言っていることもございまして、確かにおっしゃるようにいろいろな議論があって非常にタフなやりとりにはなっておりますが、私どもとして注意深くこの協議には臨みたいと思っております。
  19. 海野徹

    海野徹君 ありがとうございました。
  20. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 速記をとめてください。    〔速記中止
  21. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 速記を起こしてください。
  22. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党・改革クラブ弘友和夫でございます。  きょうは条約の審議を行う本委員会でございますけれども、私は、こうした条約締結だとかさまざまな対外交渉の際の日本側の姿勢というものにもかかわりますし、また緊急の問題でもございますので、お許しをいただきまして、長崎県佐世保港内佐世保重工業、いわゆるSSK米軍基地岸壁の競合問題について御質問させていただきたい、このように思っております。  この問題につきましては、去る一月十八日に本委員会におきましても御視察をいただいておりますし、また自民党の中でも佐世保基地問題を考える議員懇談会というのを設置された。また、地元でもいろいろな協議会を持っておりまして、これの本格的な解決のためにはすみ分けをしなければならないということで、国の調査費も計上されて徐々に進んでいるように思うわけでございますけれども、しかし今非常に緊急を要する問題というのが進んでいる。  といいますのは、佐世保港の立神第四、第五岸壁米強襲揚陸艦ベローウッドとエセックスの交代配備のために七月一日から約一カ月間引き渡しをせいと、こういうふうに要求をされている。これは日米合同委員会の四月六日の最終通告でもそういうふうになっているわけですけれども。こうした明け渡しというのは、一カ月あったにしましても、現在の工事の遅延、また受注工事の契約不可能によるSSK経営悪化というのはもう目に見えている。要するにここには千五百名も従業員の方がいらっしゃる、その死活問題になる。さらには百社を超える協力企業、また千七、八百人に及ぶそこにも従業員がいらっしゃるわけですよ。一カ月間仕事を全くできないということになりましたら、そういう協力企業なんかはまずもたないというところがたくさん出てくるという大変な当面する問題が起こっております。  それにまた追い打ちをかけるように、今月の九日には蛇島南岸壁共同使用区域、これを来年の一月までに明け渡しをしなさいと、こういう要請が来ておるということでございまして、まず一つは、今この抜本解決のために進んでいるものが本質的に何年かかってこれのすみ分けができるのか。これは十年、二十年かかったって、これはもう大変いろいろな問題が起こっているわけですから、それが二年でできるのか三年でできるのか五年以内にできるのかというそういう決意等もお聞かせをいただきたい。  それと同時に、こうした立神第四、第五岸壁の問題、これは防衛施設庁作業台船を並べてどうかということで、それは米軍にけられて、もう七月ですから目の前に来ているわけですから。これを何でけられたのか、どういう理由でけられたのか、またどうしようとしているのか。それから、蛇島南岸壁のことについても、時間がございませんので簡潔に明快にお答えをいただきたい、このように思います。
  23. 大森敬治

    政府参考人大森敬治君) お答え申し上げます。  佐世保地区のいわゆるすみ分け問題につきましては、私ども非常に重要な課題だというふうに認識しておりまして、なお全体的な見地から総合的に検討していきたいというふうに思っております。具体的に申し上げますと、その岸壁のといいますか、立神港区を中心とした岸壁使用の問題と、それから前畑弾薬庫の移転、集約の問題、それから崎辺地区利用の問題と、この全体を見てやっていく必要があると思います。この点はやや中長期的なところになると思いますけれども、やはり一番重要なのは、その中心立神港区の岸壁利用の問題だと思います。  そこで、私ども、今御指摘のように、十二年度の予算でお認めいただきまして、新たな岸壁建設のための基礎調査をやらせていただくということにしております。新たな岸壁建設につきましては、何とか早く地元関係者理解を得て、早期建設できるようにしたいというふうに思っておりますけれども、具体的に何年ということをちょっと申し上げられないところがございます。そこで、当面喫緊の問題は御指摘の四号、五号岸壁利用の問題でございまして、御指摘のように、先般の合同委員会におきまして七月一日から三十一日までの約一カ月、三十日間、米側利用について要求がなされております。  そこで、私ども現実地元SSKの方で利用している状況をよく踏まえてやっていかなきゃいけないというふうなことでございまして、地元利用状況といいますか、それの受ける影響を今具体的に聞かせていただきつつ、また米側にもその影響を少なくするのにはどのような方策があるのかということを鋭意調整しているところでございまして、これにつきまして何とか地元関係者の御理解を得て解決をしたいというふうに思っているところであります。  いずれにしましても、佐世保港の利用につきましては、関係者米海軍、自衛隊、佐世保市、民間企業ということで、かなり多くのところになっております。その点、その関係者の御意見を十分お聞きしつつ、私どもといたしましては、米側の運用上の要求地元要望というものを踏まえて円満に解決するように努力したいというふうに思っております。  それから、御指摘の点の蛇島南岸壁の問題でございますけれども、この点も私ども米側から要請を受けているわけでございますが、これも御指摘のように、SSKが船舶を係留するための施設を米軍提供区域の一部を共同使用しているわけでございまして、これは企業としてやっていく以上不可欠な事業といいますか、ことであるというふうに私どもも認識しておりまして、このような民間企業にとりまして非常に重要な利用につきましては、米側の要請とはいえ、それが支障を受けるということでは非常に問題が多いんではないかというふうに思って、現在米側とも、その実態を踏まえまして、何とか円満に解決できるように努力したいというふうに言って努力しているところでございます。  米側の要請ですと来年の一月以降の明け渡しというふうなことになっておりますけれども、この辺は、先ほど申しましたように、企業として重要な業務をやっていくための共同使用でございますので、その点を十分認識しつつ米側とも話し合い、円満な解決に努めていきたいというふうに思っております。
  24. 弘友和夫

    弘友和夫君 受ける影響等を考えて、また地元協議をしておりますとかいうことですけれども、もう既に、七月明け渡しをしなさいと、こうなっているわけですよ。受ける影響といったって、かわり得るところはないわけでしょう、四号、五号。今大変な不況の中で、今まで十八日間ドックでやっていたのを十五日間に短縮して、四号、五号岸壁に着けて、そこでしか二百五十トンクレーンもないし、できないんですよ。だから一カ月間休まないといけないということになるわけです。そうなったときに、先ほど申しましたように、佐世保重工業ももちろんですけれども、それに関連するいろいろなところというのはばたばた倒産することにならざるを得ないじゃないですか。それを受ける影響を考えて云々というような話にならないわけですよ。  これをいろいろお聞きしましたら、本当に交渉している姿勢というのが、私は、もう時間がありませんので余り言いませんけれども、とにかく戦後ずっとまだ占領されているというか、そういうものが続いているような日本側の姿勢にもあるわけです。それで、例えば司令官が、もともとこの四号、五号岸壁米軍に与えられた施設でSSKに貸しているだけだ、米軍は必要となれば明け渡しを求めるのは当然の権利だ、こういうふうに言っていると。施設庁も、あなたたちは知っていて借りているんだからそう言われたら返さないとしようがないんじゃないかと言う。こういうことが端々に出ているわけです。そんな問題じゃないでしょうと。本当に、千五百人また千七、八百人、防衛施設庁なり外務省なり防衛庁、やっぱり日本の国民を守るというかそういう立場交渉していくのが当たり前の話であって、全くそういうことが感じられない。  例えば、資料でお配りしたナンバースリーのこの蛇島南、これだって、この係留施設を返せとこう言っているわけです。この係留施設をつくっているところは共同使用のところだからこれを返せと。何で返せかと。理由を聞いてみましたら、駐車場が少し足りない、それで米軍の洗濯場をここにつくるというわけですよ。米軍の洗濯場をつくるのと死活問題、いろいろなSSKなりそういう死活問題とどっちが大事なんだという姿勢で交渉しているのかということなんですよ。  四号、五号だってそうなんです。先ほど答弁がなかったけれども、じゃ作業台というのを提案していたんでしょう、今まで。何でけられたのか、理由は何でけられたのかと。何か揺れるからとかなんとか言う。じゃ重量計算、そういうものをしていないで、共同計算なんかしていないで提案したんですか、防衛施設庁。そうじゃないでしょう。そんな、けられた、米軍がそう言っているからといってそれを受け入れざるを得ないなというような、そこに問題があると言っているわけですよ。どうですか。  もう時間がありませんので、外務大臣もいろいろ交渉に入られていると思うんですね。そういう中で、本当にそういう立場に立って交渉されているのか。それから、防衛庁長官もぜひ、自衛隊、ベローウッドとかそれを、別々にやってもらってもいいじゃないですか。ほかのところで交代してもらってもいいじゃないですか。そういうことを本当に提案をしたのかと、ただ米軍が言っているからしようがないですねというんじゃ済まないんですよ。最後にお答えをいただきたいと思います。
  25. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私どもも、今、議員指摘のように、七月という時期も承知をいたしておりますから、この七月という時期、もう目前に迫っているわけでありますが、この七月という時期を頭に入れながら、しかしこれは交渉解決しなければならないわけですから、米側とそして地元企業との間のでき得る限り円満な解決というもののために政府としてやれることはできるだけやろうという姿勢でおります。  申し上げるまでもありませんが、日米の地位協定その他というベースがございますから、しかしそのベースはあったとしても、今、議員が御指摘のような企業の非常に厳しい状況ということも頭に入れて、私どもとしては円満な解決を図れるようにできるだけの努力をしたいと思っております。
  26. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 佐世保地区における諸問題を抜本的に解決するというためには、大変困難な問題がありますが、佐世保地区全体の利用計画を検討する必要がある、かようにも考えて、平成十二年度予算にこれらの現況調査を実施するための調査費も計上して取り組んでおるわけでございますが、なお多くの利害関係者相互の共存を図ってまいる、そういう必要上、中長期的な課題として鋭意取り組んでまいりたい、かように考えております。  施設庁長官からも説明をいたしましたが、港湾管理者である佐世保市長を初め、米海軍関係者の意見もよく調整をしながら、また聴取して検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。本委員会も視察をいただく等鋭意御助力をいただいておりますが、現地における問題も、整理しながら進めなければならない問題もありますので、さらに努力をしてまいりたいと考えております。
  27. 弘友和夫

    弘友和夫君 時間が参りましたので終わりますけれども、本当にもっと、今の答弁では中長期的なお話だけで、もう目の前に来ているわけですから、ぜひこれは譲れない線ですよ、地元にとっては。そういうことをはっきり、またそういう気持ちで交渉していただきたいと要望して、終わります。     ─────────────
  28. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、森山裕君及び浅尾慶一郎君が委員辞任され、その補欠として山内俊夫君及び本田良一君が選任されました。     ─────────────
  29. 立木洋

    ○立木洋君 本日の議題の二件については賛成ですし、特にお尋ねしたいこともないので、きょうは先日終わりましたNPTの再検討会議について、大臣に基本的な点をちょっと二、三お尋ねしておきたいと思います。  最終文書が出されまして、全体的に読んでみましたし、前回山本政務次官からの他の議員に対する答弁もよく聞いておりますので、経過については大体わかっているつもりです。ただ、残されている問題も確かにあります。  しかし、基本的な問題の一つとして、最終文書の中には、自国の核戦力の完全廃絶を達成するという核保有国の明確な約束をするという点に私は注目をしました。これは一つの前進とも言えるべきものではないかと思うんです。ただ、この問題については、当初、五月一日でしたか、核保有五カ国がいわゆる共同声明を出している。そのときには核兵器の廃絶を究極の目標とすることを明確に約束するという趣旨の共同声明だったと思います、もちろんその他の内容もありますけれども。  それで、こういう言葉が適切かどうかは知りませんけれども、速やかな核廃絶を迫るという内容に対して、核保有国がそれで何とかおさめたい、何とか逃げ切れればいいというふうな感じがあったのかもしれませんが、しかし、最終的にはそれに対する強い反発もあって先ほど申し上げたような最終文書になったのだろうというふうに見えるわけです。  だけれども、この問題というのは、私は振り返ってみますと、前回河野さんが外務大臣をおやりになったときに、国連の舞台でこの核廃絶の問題を究極の目標とするという見地での提案をし、それが国際舞台でのいわゆる決議としてずっと踏襲されてきたわけです。この問題について、前回、衆議院の委員会では、河野外務大臣はこれをこのまま続けていって果たしてどうなんだろうかという自問自答のような答弁をされている議事録も見ました。ですから、今回の八項目というのはまた変わった内容のものであるということ、これは別に前回質問もありましたけれども。しかし、そういう見地から見ると、日本政府として提起したこの究極的な廃絶ということがどういう意味だったのか。  これは、もう軍縮議連で長い間議論されてきた問題でもこれあり、これは河野外務大臣が知らないことはない。だけれども、これはある意味でいえば、核保有国のいわゆるある場合ではそれを支えるような役割をも担ったんではないかというふうな指摘を私はせざるを得ないんじゃないかという感じもしているんです。ところが、これは今回の場合には究極的な目標ということが否定をされました。そしてこういう国際会議、NPTの再検討会議で、先ほど申し上げたような、核保有国としていわゆる完全廃絶を達成するという、こういう明確な約束をするというふうになったということを考えるならば、今こういうふうな形で一定の究極的な目標ということを掲げて国連の舞台でそういう問題まで提起し続けてきた日本政府の姿勢というのが改めて問われているんではないか。根本的に、この核問題に関する根源的な問題で、いわゆる唯一の被爆国としてどういう姿勢をとらなければならないかということが改めて問われているんじゃないかと思うんです。  こういう今回の再検討会議の経過を見てどういうふうな認識をお持ちになったのかということをまずお尋ねしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  30. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 世界で唯一の被爆国である日本は、核軍縮、そして最終的な核廃絶、核のない世界をつくるということは我々の使命だ、我々がどうしてもやらなければならない問題だというふうに私は思っております。  しかし、その一方で、国際社会はバランス・オブ・パワー、力のバランスというようなことが世界の安定というものをつくるという考え方もあり、現実にそうした状況でもあったわけですが、我々は何とかして核廃絶を、国際世論として核廃絶というものを進めていかなければならぬ、こう考えていたわけです。  私は、前回、国連におきまして究極的核廃絶という決議案を提出いたしましたのは、御記憶だと思いますけれども、あの当時、核廃絶という言葉を使うということは国連ではなかったんです、つまり決議案として。決議案に核廃絶という言葉を使って、しかもそれがコンセンサスになるという状況というものはありませんでした。何とかして核廃絶という言葉を入れた決議案を国連総会で通したいという気持ちが私には非常に強くて、多少の妥協があったとしても核廃絶という言葉を入れた国連における決議案を成立させたいという気持ちがあって、究極的という言葉をあそこにつけるについては相当、議員も御承知のとおり、いろいろなやりとりがあった上で究極的核廃絶という言葉になって、しかし棄権はありましたけれども、投票に付して反対のない決議案となったわけです。そしてその後、NPTの会議でも認められて、これは究極的核廃絶というのは国際社会の中で一つの否定しがたい言葉あるいは目標ということになったことは事実だと思います。  今回、今、議員がおっしゃったように、今回の決議は究極的核廃絶をさらに乗り越えて一歩前進したものだというふうに私は受けとめております。今、議員がおっしゃったように究極的核廃絶は否定されたんじゃないかというふうにおっしゃいましたけれども、私はそうは思っていないんです。究極的核廃絶は、さらにそれを乗り越えて前進したのだと。つまり、これは発展的に新たな目標というものを国際社会がつくったのだというふうに私は受けとめているわけです。  これからは、今、議員が御指摘になりました……
  31. 立木洋

    ○立木洋君 これからは、まだ質問していないので。ちょっと質問していることに答えてください。  一方、アメリカのこの間の姿勢、核問題に関する、御承知のように、CTBTの問題では非常な不信とあるいは不満と怒りというのが国際的にも世論になりました。ただ、それだけではなくして、御承知の未臨界実験の問題、いろいろ意見の相違もあるでしょうけれども、これも大きな問題になりました。さらには、保管核弾頭の整備計画など、新たな核開発と見られるような問題についても厳しい批判があります。  とりわけ今回の会議でも初日から問題になったのは、全米ミサイル防衛です、NMD。この計画というのが非常に大きな批判を受けた。これらの問題というのは、ただ単に非核保有国あるいは非同盟諸国だけからの批判ではなくて、アメリカの同盟国や核保有国からもやっぱり厳しい批判が出て、国連筋からの報道によれば、今回ほど再検討会議でアメリカが孤立したことはない、アメリカの顔が見えないような会議と言ってもいいんではないか、最後にイラクの問題でやり合ったぐらいのものだ、あとは釈明に終始したみたいなことまで言われるような事態にアメリカの孤立が見られました。この問題は結局、私は、日本政府が核保有国の理解の枠内で彼らの協力を得るというような、いわゆる交渉の仲介役ですか、こういうふうなものは通用しないと。  アメリカは、一九九〇年代に二回にわたって核政策の見直しをやりましたけれども、核廃絶の選択肢は全くないということが明確にされています、二回とも。そして、先般三月にインドをクリントン米大統領が訪問して、核保有するなというふうな説得をしようとした。その過程で、クリントン大統領自身が、自分は核兵器を持ちながら他国に持つなと言うのは偽善者だという指摘を受けざるを得ないことも認めているんです。このような根本的な矛盾をなくさないで核拡散は実質的には阻止できない。ましてや核廃絶も進めることはできないだろう。  今日の段階は先ほど言ったように新しい段階に来たんです。いわゆる究極的な目標にするということは先送りするということなんです。最終的なものにするということなんです。いわゆる優先的に核廃絶をしようという姿勢ではないんです。これが否定された、本来こういう考え方はこれは極めて重要な問題です。  だから、私はこれが否定されているという見地に立って新しく考え直す必要がある。いわゆる核廃絶を究極的な目標にするという理念、考え方というのを放棄すべきだと。できるだけ速やかに、いわゆる責任を持つという態度をとったこういう核保有国がどういう行動をとるのか、こういう見地からよく見直していく、そして一歩でも速やかに核廃絶が進むような努力をする、こういうことをこれからの課題にしなければならない。ましてや期限も切られていないし、具体的にどうそれを廃絶の方向に進んでいくかという問題を具体的に進めていくという方向に転換することは私は極めて重要ではないだろうかというふうに考えるんです。  だから、日本政府がこの新しい時点に立って、一歩前進したと大臣もおっしゃいましたから、その時点に立って核完全廃絶への理念と役割を日本政府自身が根本的に見直さなければならない。だから、そういう意味では、究極的目標という考え方を放棄するということ、そして核廃絶を速やかに進めるべく新たなステップを開始するということ、こういうことを明確にするということが極めて重要だと。いわゆる国連総会で三つの核廃絶促進の決議に対して、新アジェンダ連合等々の決議に対して全くそれを棄権してきたと。そういう姿勢をもう改めるべきだというふうな点について具体的な答弁をいただきたいと思う。  それで私の質問を終わります、きょうは。
  32. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私は、議員の御意見と若干考え方が違うんです。  それは、今回のこの決議で究極的核廃絶が新たな文言に取りかえられた、それはただ単に言葉が変わっただけじゃないと。この文言をつけるに当たってさまざまなやるべき問題を中に組み込んでいます。それは、日本側山本政務次官演説した八項目の中でかなりの部分がこれに織り込まれて、つまり具体的にこの核廃絶に向かっての道筋、極めて漸進的でありますけれども、道筋というものを含めながらこういう文言になっているということを我々は確認しなきゃいけない。したがって、一つ一つであってもやるべきことをこれから積み重ねてやっていくということが大事だということが第一点。  二つ目は、アメリカは非常に孤立してアメリカが云々と議員議員のお立場上おっしゃるんですけれども、今回ほどアメリカは柔軟な、最終的に柔軟な対応をした会議はなかったと私は思っているんです。それは、柔軟にならざるを得ないという環境もあったと思います。しかし、最終的にアメリカが柔軟に対応しなければこういう決議は最終的にはできなかったということもまた認識をする必要があるのだというふうに思っています。  日本として、どうも議員とそこが違うんですが、究極的核廃絶を我々がまず主張した、我々のそれこそ究極的な目標は明らかに今回それに一歩近づいたというふうに私は認識をしておりまして、この前進を我々は評価したいというふうに思っております。
  33. 田英夫

    ○田英夫君 私もNPTの再検討会議について質問をしたいと思います。  今の立木委員外務大臣の御議論を大変興味深く拝聴しましたが、今回の再検討会議、私は政府の御努力、特に山本政務次官、現地に行かれて八項目の提案をされた、そのことが一つ結論を得るのに貢献したということを私も認めますし、評価をしたいと思います。  同時に、しかしこの結果を見ると、日本政府が従来とり続けてきた態度、そして、今回は一定の役割を果たされましたけれども、いよいよこれから核廃絶という、さっき外務大臣もこの言葉を入れたいということを言われた。まさに核廃絶ということ、核軍縮ではなくて核廃絶ということを実現するために日本がどういう役割を果たすか、どういう基本姿勢をとるか、どういう哲学を持つかという、その哲学の転換を迫られているんじゃないかという意味で立木委員と私は同感なのであります。  ですから、ここは本当はこの委員会で一日費やしてこの核廃絶問題について各党で議論をするようなこと、機会を持てればと思います。衆議院選挙までできるかどうかと思うので、終わった後の特別国会、参議院はメンバーが変わらないわけですから、そういう機会が与えられればということを提案しておきたいと思います。  特に、私は一つ提案したいのは、これは将来の問題にならざるを得ないんですけれども、今この同じ参議院の国際問題調査会で国連改革問題について議論を進めております。この問題に関連をして、先日私も提案をしたんですが、もちろん今、国連の安保理事会の問題は一つの大きな改革のテーマになっているわけですけれども、もっと全体として、もちろん信託統治理事会などというものは必要なくなっているわけですから、改革を迫られている。そういう中で、今ジュネーブ軍縮会議で核軍縮の話をしようということになってきているわけですが、そうではなくて、国連本体の中に軍縮理事会というものを設置して、その中に核軍縮小委員会とでもいうようなものをつくるべきではないか、そういうことを日本が提案をすべきではないかと思いますが、急な話ですが、感想を伺いたいと思います。
  34. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私は、今回のNPTの成果について一定の評価をしておりますけれども、この成果を上げるためにかかった年限というものは相当長時間の年限を要したわけです。これだけの前進を遂げるために相当な時間を使い、そして最後のこの会議でも時計をとめて最後ぎりぎりのやりとりになったというこの数年間の動き、積み重ねを考えると、この成果は本当に一定の成果として評価をしますけれども、ここまで来たんだからすぐ次の階段がまた上がれるかというと、それほど簡単ではない。いや、私は、上がるべく努力はするのは当然ですけれども、それはそう簡単ではない。相当大変な作業、大変な積み重ねが必要だということを自覚しなければならぬということをまず申し上げて、確かに今度の成果を踏まえて、従来よりは一歩進んだ議論、進んだ目標に向かって具体的な作業をしなきゃならないと思います。  例えば、カットオフ条約の問題にしても、あるいはCTBTの早期発効の問題にしても、あるいはSTARTプロセスにしても具体的に書き込んであるわけですから、この作業をやれる状況はできてきている。そして、それと同時に、山本政務次官の提案その他もあって、この最終的な成果の中に軍縮会議において核軍縮を扱う適切な補助機関の即時設置という項目、即時設置を奨励しようという一項が入っているわけです。これが、今、田議員がジュネーブじゃなくてニューヨークでということをおっしゃったわけですが、場所はともかくとして、軍縮会議において核軍縮を扱う適切な補助機関をつくろう、しかもそれは即時設置が必要だという提案というものが具体的にこの決議案の中に書き込まれているということを考えますと、今、田議員の提案というものはある意味でその方向に沿っていると言ってもいいのではないかと思います。
  35. 田英夫

    ○田英夫君 そこで、日本自身の問題になるんですけれども日本は非核三原則というものを国是としているというふうになっています。しかし、よく考えてみますと、これは歴代の総理大臣初め、関係大臣が国会で答弁をされたということであって、何ら国内法、または国際条約というような形で確認をされているものではない。したがって、つくらず、持たずはともかくとして、持ち込ませずというところでいつも疑惑が持たれているという残念な状態にある。  ここで、それを乗り越えて非核三原則を事実上確立するために一つ提案があるんですが、実は五月二十日、先週土曜日に我々の土井党首が沖縄で記者会見をしてこのことを提案しているんですが、日本はこの国会で、衆参両院で非核国家ということを決議して、日本は非核国家であると、もちろん非核三原則内容とするわけですが、そして、それを日本政府が国連の場に持ち込んで、国連総会で承認をしてもらうという手続をとるべきだという提案をしているんですね。  江崎外務政務次官は先日中国からモンゴルへ行かれました。大変御苦労さまでした。そのモンゴルが実は一つのモデルになるというわけです。一九九八年の国連総会で、モンゴル政府が提起したモンゴルの非核国家宣言を全会一致で承認をして、今唯一、世界でただ一つ非核国家の地位というのを国連によって与えられていると。もう言うまでもなく、日本という、唯一の被爆国という立場日本の場合は、むしろモンゴルにおくれをとったのではないかとさえ思うわけで、こうした手続をとるべきだという私どもの提案に対して、外務大臣の感想を伺いたいと思います。
  36. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 非核三原則については、今、田議員からもお話しのとおり、累次にわたって総理大臣から国会の場で発言をし、答弁をしてまいりました。さらに、国際条約ではございませんけれども、国際会議の場で繰り返し日本立場日本の政策として発言をしてきているわけです。このことは、国際会議、例えば国連を初めとする国際会議の場で我が国はこうした立場をとっているということを発言することは、これはある意味で国際的なコミットメントに近い意味を持つということもあると思います。  今、田議員がおっしゃるように、国連総会の場で非核国家としての地位を得るということについて、今我々は考えておりませんが、そうした国が、モンゴルを初めとして、現在はモンゴルだけだと思いますが、モンゴルがそうしたことをなさったということはモンゴルの国策から考えて一つの考え方なんだろうと思います。ということであって、日本としてそういうことが今直ちに必要か、意味のある作業かというと、私はまだ考えたこともございません。
  37. 田英夫

    ○田英夫君 考えてください。終わります。
  38. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛政務両次官に質問をさせていただきます。  人口が十二億とも十三億とも言われる中華人民共和国という国があります。昔はこれを中共と呼びましたけれども、今は中国と各新聞は呼んでおります。私は、政権の推移によってその国名を変えていくような国は滅びるんではないかというふうに思っております。南シナ海というのがあるけれども、南中国海とは言っていない。依田政務次官、どういうふうにお考えになりますか。アメリカはピープルズ・リパブリック・オブ・チャイナ、これはシナですね。だから、シナの呼び名がどんどんこれ変わっていくということはおかしいんじゃないかと私は思っているんですが、いかがお考えですか。
  39. 依田智治

    政務次官依田智治君) 突然の質問でございますが……
  40. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 質問通告をしていなくて済みませんでした。非常に優秀な政治家というふうに思っておりますので。
  41. 依田智治

    政務次官依田智治君) やはり、国名というのはその歴史を踏まえながら変わっていくんだと思うんですが、それがどういう名前がいいのかということはまたそれぞれの国で決めることじゃないか、このように思っています。
  42. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 そのシナの海軍が、沿岸警備の海軍からここ数年飛躍的に外洋の海軍へ脱皮をしているというふうに私は承知しているんですが、依田総括政務次官はどのようにお考えになっておりますか。
  43. 依田智治

    政務次官依田智治君) やはり、最近の状況、傾向として、中国は核戦力や、特に海空軍の近代化にあわせて海洋の活動範囲を拡大する動きを見せておる。それは、特に南沙、西沙、我が国の尖閣周辺、そういうようなことで、相当活動範囲を広げる動き、それがどういう意図であるのかということは確かでないわけでございますが、私どもとしては、その動向については大変注目していく必要があると、このように考えております。
  44. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 昨年来の排他的水域内での中華人民共和国の船舶の動向について、もうちょっと詳しく御説明願いたいと思います。
  45. 依田智治

    政務次官依田智治君) 防衛庁としては、先ほど申し述べましたような中国の動きを踏まえまして、我が国周辺海域においての必要な警戒活動を護衛艦並びにP3C等を活用してやっておるわけでございますが、近年艦艇の航行が非常に増加しておる。  例えば、昨年の五月には尖閣諸島の近海で十三隻。また、七月には十隻。本年三月には奄美諸島北西方の海上で五隻。また、同年四月には沖縄本島北西方の海上で四隻。つい最近もまた下北の方でも発見されておると、こういうような状況になっておりまして、極めてその動向については注目しておるところでございます。
  46. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 西川太一郎政務次官にお尋ねしますが、五月二十五日、中華人民共和国の艦船が津軽海峡を横断したという記事が載っておりますけれども、相当これは今までと行動が違うんではないかというふうに思いますが、どうですか。
  47. 西川太一郎

    政務次官西川太一郎君) 御指摘の件は、五月二十四日の午前七時ごろでございますが、青森県下北半島の尻屋崎沖北東約七十五キロメートルの海域で、中国の海軍のヤンビン級砕氷艦兼情報収集艦一隻を、通常の警戒監視を行っておりました海上自衛隊の護衛艦とP3Cが発見をいたしたものでございます。活動中という表現をいたしましたのは、下北半島沖の津軽海峡を反転するような行動をこの船が行っていたという事実がございましたので、単に通航と言わず活動中というふうに表現をいたしたものでありますが、同艦は、さきに益田先生から御指摘がこの委員会でもございました、五月十四日から二十日にかけて対馬周辺で行動を確認されていたものでございます。  防衛庁は、発見後速やかに、海上保安庁でありますとか外務省でありますとか官邸でありますとか、関係機関に連絡を行い、また引き続き護衛艦及びP3Cによって所要の監視を行っているところでございます。同艦が情報収集の任務を持っていることや対馬海峡において反転を繰り返し、このたびも反転を繰り返していたことなどから、何らかの情報収集活動を行っている可能性があると考えまして調査を行っておりますが、現在のところ、その目的につきましては確たることを申し上げることは困難な状況にございます。  なお、中国海軍の艦船が今回のような活動を行っているのを確認いたしましたのは、この地域におきましては初めてのことでございますことをつけ加えさせていただきたいと思います。
  48. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 御説明は大体新聞に書いてあるようなことをおっしゃっておられますが、これは情報収集艦であることは確認されているのですか。
  49. 西川太一郎

    政務次官西川太一郎君) 中国海軍のヤンビン級砕氷艦兼情報収集艦一隻というのは、先ほど申しましたとおり、そうした目的を持って動いているということは、そのように防衛庁としては理解をいたしております。
  50. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 しつこくお尋ねしますけれども、何の情報をとっているというふうにお考えになっているのか、あるいは向こうの海軍の行動範囲を拡大しようとしている第一歩と見ておられるのか、どういうふうに軍事的にごらんになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  51. 依田智治

    政務次官依田智治君) 実はきのう防衛庁内でもちょっといろいろ関心を持って分析してみたんですが、具体的に何をしようとしたのかということについては断定するような材料はありません。  ただ、これは砕氷艦兼情報収集艦四千四百二十トンということで、先ほど西川政務次官からお話ししましたように、対馬沖でも何日も活動しておるということで海の深さをはかったりなんかをしているのかどうか、そのあたりもわかりませんが、いずれにしてもそういう情報を収集するということは、中国の海軍が今後この海域等を通航したりいろいろする際のいろんな情報を収集しておる、こういうことであろうというように考えておるわけでございます。  なお、日本近海ですから、その他のいろんな情報等もいろいろ収集する可能性もあるわけでございまして、我々としては重要な非常に注視すべき行動であるということで今後とも注目していきたい、こう考えております。
  52. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 我が方は護衛艦とP3Cで相手側をキャッチしているわけですが、通信の傍受はできなかったんですか。通信はしていなかったのですか、向こうの通信は。
  53. 依田智治

    政務次官依田智治君) そのあたりについて当時我が方の海上自衛隊等がどのような活動をしたかと、この点はちょっと手のうちに当たりますのでこの場で御披露することは差し控えたいと。しかし、いずれにしましても、自衛隊としましてはそういう艦船が我が国周辺にあるとなれば、持てる力を発揮してあらゆる情報収集活動は行う、これは当然なことでございます。
  54. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 中華人民共和国の海軍の外洋海軍化というものは急速に進んでおるわけでありますから、それに対して我が国の防衛に遺憾なきよう任務を遂行していただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。
  55. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私も条約の関係については特別意見はありません。  現在、アメリカのカリフォルニアで行われている、ある幾つかの裁判の例を取り上げて外務大臣の御所見を承りたいと、こう思っております。法律家としてとても理解できないような裁判が行われている、そうとしか言いようのない問題であります。  この裁判の原告というのは、第二次大戦で日本軍の捕虜となって強制労働をさせられたというアメリカ人、カリフォルニア在住なんでしょう、それから日本軍によって強制連行されて日本でやっぱり奴隷労働を強いられたという中国系、朝鮮系のアメリカ人、同じくカリフォルニア在住の者だと思われます。この者たちがカリフォルニアの裁判所に損害賠償請求を起こしておると。  被告になっているのは、彼らを奴隷労働させたという当時の日本の大企業、三井、三菱系の財閥系の企業それから旧八幡製鉄、今は新日鉄ですか、それの関連の在米企業が被告になっておって、一人当たり数百万ドルとかという相当膨大な何か損害賠償を請求されておると、こういうふうに新聞でも報道されております。  実は、一昨年と昨年、カリフォルニア州は州法を改正しまして、民事訴訟の時効を延長したんです。この対象となった事件というのは、第二次大戦中にナチスドイツ、その同盟国、これは日本のことですけれども、これが犯したホロコースト、大虐殺ですね、日本の場合には南京の大虐殺なんかが対象になっておるようであります。それから、日本軍の捕虜となった、あるいは強制連行されて日本の企業から奴隷労働を強いられた、こういう人たち、これの時効を延長しようという発想なんですね。  実はこれのきっかけになったのが、アグネス・チャンではなくてアイリス・チャンという中国系のアメリカ人女性の書いた「ザ・レイプ・オブ・ナンキン」、南京の強姦事件というやつで、これはアメリカで大変な評判になりまして百万部近くも売れたと。これは南京虐殺を取り上げて、日本軍は本当にひどいということをリアルに書いておる。それを読んだアメリカ人たちは大変憤激しまして、たまたまカリフォルニア州にその犠牲者あるいは相続人たちがいるものですから、何か日本政府から謝罪の言葉でも受けたのか、あるいはまた慰謝料をもらっておるのかということを聞いたら、何もそんなことは、びた一文受け取っていないし何のあいさつもない、本当にひどいものだということになって、そうか、それならカリフォルニア州としてこの問題を取り上げて日本政府を追及しよう、とりあえず在米の企業あたりがどうだろうか、日系の企業はどうだろうかということで時効を延長するという法律をつくったんですね。  しかし、時効を延長するというのは、ある権利がありまして、これをずっといろんな人が行使してきた、それでことしいっぱいでこの時効が来る、そこでやむを得ず二〇一〇年まで、あるいはもう少し延長しようというのが時効延長の考え方なんですけれども、もともとこんな権利はだれも考えていなかったんですね。にわかに時効を延長するよと言われても、一体そんなことが本当に権利としてあるのかどうか。だれもよくわからないし、そもそもアイリス・チャンの南京虐殺に関する報道日本の研究家たちによれば大変いかがわしい、なかなか信用できない、客観的な証拠は一切ない、こんなことも指摘されておる。その本がきっかけになってこんなものをつくって、そして日系企業を訴える。そのうち日本政府も訴えるということになるのかどうか知りませんけれども、そういうことが果たして許されるのかどうなのか。  それと、もう一つ大きい問題ですけれども、これは実は国対国の問題なんだろうと私は思うわけであります、本当にそういう犠牲者がおるとすれば。それを一地方団体が、アメリカの州というのは特殊な立場、地位は持っておりますけれども、それでも国際的な問題を取り上げてこれを扱うということが州として許されるのかと。やっぱりアメリカ政府を通じて日本政府交渉して解決すべき問題だろう、こういうふうに思われるわけでありまして、それを時効を延長すると一言だけで、昔々の五十年前のそういう大問題というのか、こっちから言わせれば何にもなかった、向こうから言わせれば大変な問題だ、そういう争いのあるようなケースを取り上げて、一州が裁判をすることができるんだろうかという疑問が法律家としてあるわけです。  そこで、外務省にお尋ねしたいのは、今何件ぐらいこういう事件が提起されておって、被告となっている日本企業にはどういう会社があるのか、それから金額的にはどれぐらいになっているのか、総計すれば。その辺のところを概略ちょっと説明していただければと思います。
  56. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) お尋ねの件数、訴訟が提起されている件数は二十数件と承知しております。今、議員からもお話がありましたように、政府は御指摘の訴訟の当事者ではございません。被告とされているのは日本企業でございまして、その企業名及び具体的請求額などについて政府説明をするということは控えたいと思います。
  57. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 もう遠慮はないんですよ、どんどん言ってください、公開されている裁判でやっているんですから。おかしいよ。
  58. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) と申しますのは、我々が承知をしておりますものだけでそれがすべてかどうかという問題もございますので、ここで何件と明確に言い切るということは、もし間違いがあってはいけませんし、そもそも当事者でない者がこのことについてあれこれ言うことは控えるべきだと思っております。  私は、今、議員が御指摘になりました問題は非常に重要な問題だと思いますことは……
  59. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 ちょっと、そこはまだ聞いていませんから。
  60. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) はい。
  61. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 公開の裁判で行われているんですから、裁判所に問い合わせれば件数と被告、原告名ぐらいきちっと教えてくれますよ。それをやるのが在外公館の仕事でしょう。そんなこともやっていないんですかと言いたくなりますが、よろしいです。  そこで、この問題、先ほども言いましたけれども、国対国の問題であろうかと私は考えるわけで、一地方自治団体がそんなことをできるわけはないと私は考えているわけであります。アメリカの州がそんなに偉くはないと。それから、日本とアメリカの間では、こういう戦争にかかわる賠償問題は講和条約で既に解決済みと私は考えておりますけれども、その点いかがでしょうか。
  62. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 今、議員がおっしゃったとおり、さきの大戦にかかわる賠償、財産及び請求権の問題は、日本国民がとった行動から生じた個人の請求権の問題を含めてサンフランシスコ平和条約によって日米両国間で既にすべて解決済みということになっております。  そして、この点につきましては、アメリカ政府もそれから東京におられますフォーリー駐日大使も、平和条約日本に対するすべての請求権を解決済みであるということを大使もおっしゃっておられますし、アメリカの国務省もこうしたことを対外的に言っておるわけでございまして、この解決済みとの立場は、これはもう明らかだと申し上げていいと思います。
  63. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 アメリカ政府は州に対して注意を喚起する、そのような措置はとっておるんでしょうか。もしとっていないとすれば、なぜとっていないのか。とるべきであるということを我が国として申し入れるべきだと思いますよ。いかがでしょうか。
  64. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ちなみに、この手の問題で州法に書き加えた州はカリフォルニア一州でございます。現在、ロードアイランドとニューヨークで審議はされているようでございますけれども、既に審議が終わってそうした措置がとられているのはカリフォルニア州一州であり、さらにニューメキシコとミネソタではそれは廃案になったというふうに聞いております。  私は、今、議員が御指摘になりましたように、アメリカ政府が州に対してそうしたことをしているのかという御質問でございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、アメリカ政府は国務省の立場としてこの問題は明確にしておりますし、フォーリー大使も公の場でこうしたことを言っておられまして、そのことはアメリカは国の立場というものをはっきりさせているということだと私は思います。
  65. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 アメリカ政府に対して、法律論として厳しく申し入れをしてください。絶対に許されないことだと、法律家として私はそう考えます。  実は、ナチスのホロコーストについては時効がないというヨーロッパの考え方があるんですけれども、それにしてもきちっと国と国の間で条約を結んでこれは終わりということを約束したことでありまするから、こんなことが許されるわけはないと。もしそうならば、日本人でも原爆問題を取り上げて、あの犠牲者、その相続人が、人道上許されないことですよ、突然原爆を投下して非戦闘員である一般市民を数十万人も虐殺したわけでしょう。それをほっておいていいわけはないんですからね。もし、こんなことが許されるとすれば、広島市や長崎市が条例をつくりましてアメリカを訴える、在日のアメリカ企業を捜し出しておまえを訴えると言ってやればいいんですよ。そのとき、アメリカ政府は慌ててそれは困るということを言ってくると思いますから、同じことを君たちもやっているんじゃないかと。そういう考えだって私はあっていいと思って、こんな法律に反するようなやり方をみすみす見逃しておいていいのかということを強く外務省に申し入れまして、またこの問題を取り上げさせていただくかもしれませんけれども質問を終わりにいたします。
  66. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 委員長、最後に一言だけ。  今、議員指摘の問題は、二月の二十日に私ワシントンへ参りまして、オルブライト国務長官にこの問題については取り上げて我が国立場を述べたところでございます。
  67. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 終わります。
  68. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 他に御発言もないようですから、両件の質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、国際航空運送についてのある規則統一に関する条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  69. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百五十五年九月二十八日にヘーグで作成された議定書により改正された千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則統一に関する条約改正するモントリオール第四議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  70. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十八分散会