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2000-05-18 第147回国会 参議院 外交・防衛委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十八日(木曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任         吉川 春子君     小泉 親司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢野 哲朗君     理 事                 鈴木 正孝君                 武見 敬三君                 小山 峰男君                 益田 洋介君                 小泉 親司君     委 員                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 山崎  力君                 山本 一太君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 浅尾慶一郎君                 海野  徹君                 松前 達郎君                 荒木 清寛君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君    政務次官        外務政務次官   江崎 鐵磨君        外務政務次官   山本 一太君        防衛政務次官   依田 智治君        防衛政務次官   西川太一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        内閣官房内閣外        政審議室長    阿南 惟茂君        警察庁長官官房        審議官      岡田  薫君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        海上保安庁長官  荒井 正吾君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 〇保存及び管理のための国際的な措置の公海上の  漁船による遵守を促進するための協定締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、吉川春子君が委員を辞任され、その補欠として小泉親司君が選任されました。     ─────────────
  3. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小泉親司君を指名いたします。     ─────────────
  5. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  保存及び管理のための国際的な措置の公海上漁船による遵守を促進するための協定締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会防衛庁長官官房長守屋武昌君、防衛庁運用局長柳澤協二君、内閣官房内閣外政審議室長阿南惟茂君警察庁長官官房審議官岡田薫君、海上保安庁長官荒井正吾君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 保存及び管理のための国際的な措置の公海上漁船による遵守を促進するための協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 武見敬三

    武見敬三君 協定内容については、これはもう了といたします。  本日は、我が国排他的経済水域における中国海洋調査船活動件数が急増している件について我が国としていかに対処すべきかという視点に立った御質問をさせていただきたいと思います。  平成三年、この中国海洋調査船排他的経済水域に入ってきた件数四回、そのうち調査活動に実際従事していると見られている特異な行動はこのときはゼロ回。それと比較しますと、八年後平成十一年、何とその回数は三十三回にふえ、実際に調査活動をしていると見られている特異な行動は三十回に上っております。しかもこの間に、平成七年より、当該水域での中国海軍艦艇活動が開始されるようになりました。平成七年には二回。平成十二年にはこれが何と二十一回。そして平成十一年、昨年は五月にミサイル護衛哨戒艇四隻を含む十三隻の合同訓練、そして七月には同じくミサイル駆逐艦四隻、ミサイルフリゲート艦四隻のトン数も数量もふえた形での十隻の集団訓練が行われるという状態になってきております。また、さらに平成八年より、今度は尖閣諸島周辺我が国の領海にまで中国海洋調査船が侵入するようになってきた、こういう状態を見ていると極めて遺憾に思います。  ことし五月十日に日中外相会談河野外相唐家セン外務大臣に、指導力を発揮しルールを守るという方向性を築きたいという申し入れをされているわけであります。唐家セン外相は従来の中国の立場を繰り返しながらも、持ち帰り担当部局に伝えると回答しました。我が国平和的解決基本方針に基づいて外交ルートを通じて誠実な姿勢を堅持して、そして交渉により解決するという、そういうことを常に目指して極めて真摯にこの問題に当たってきたというのが私は実情だろうと思います。  ところがこの五月十日の日中の外相会談のわずか一週間後、昨日であります、五月十七日、中国海洋調査船大洋一号が石垣島の南東九十六キロ、船尾からケーブル五本を曳航して明らかに調査活動に従事をしているということが確認をされました。海上保安庁航空機からの中止要求も無視されております。日中外相会談申し入れ直後のこうした海洋調査というのは、これは極めて重大な事態であり、極めて遺憾であると思いますけれども外相はこの事態をどのように認識をし、どのように対処されようとするのか、お答えいただきたいと思います。
  9. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員指摘のとおり、近年中国海洋調査船活動が極めて活発になってきているのは今お話しになった数字を見ても明らかでございます。  その原因につきましては、まだこれということを、確定的なことを申し上げられる状況ではございませんが、いずれにいたしましても我が国事前同意がなく、我が国排他的経済水域及び大陸棚において海洋科学的調査を行う中国海洋調査船が出没するということは極めて遺憾なことでございます。現場におきまして即時中止を求めるとともに、その都度今お話しのように東京あるいは北京の外交ルートを通じまして、こうした活動を中止するように累次にわたって中国側申し入れをいたしております。今お話しのように、先般の日中外相会議におきましても、この問題について私から中国に対して、秩序をきちんとお互いに維持する努力をしなければいかぬという趣旨の話をいたしまして、中国側もそれに対してよく承ったと、持ち帰って努力をすると、こういうお話でございました。  しかしながら、今、議員から御指摘がありましたように十七日の事態につきましては、私どもは直ちにこれに抗議をしておりますけれども、いずれにいたしましても、事実関係を私自身もう一度よく確認をいたしまして、どういう方法をとるかについては考えたいと思います。
  10. 武見敬三

    武見敬三君 もはやこれは従来の対処方針というものでは、こうした中国海軍当該海域における軍事的プレゼンス拡大傾向に裏打ちされた中国海洋調査船活動というものを中止させることは、従来のような対処方針ではもはや不可能になったというふうに私は考えますが、外相の御見解を伺いたい。
  11. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 過去にも非常に高いレベル中国側申し入れを行った経緯がございます。私の承知をいたしておりますところでは、高いレベル申し入れに対して中国側対応をして、その時点におきましては秩序を維持するための努力がなされたというふうに私は記憶をいたしておりますが、今回の現実に起きました状況考えますと、我々としてどういう方法がほかにあるかということもまた考える必要があるかと思います。  しかし、私としては、中国に対してはでき得る限り外交ルートを通じてきちんとした申し入れをし、中国側から誠実な対応を引き出したいというふうに依然として考えております。
  12. 武見敬三

    武見敬三君 外政審議室長にお尋ねします。  今、外務大臣がおっしゃったとおり、平和的解決方針というのは、これは堅持するべきだということはもう明白でありますが、この我が国排他的経済水域における違法な活動を取り締まるための国内の法的な根拠というのをより明確にしておくということもまた同様に、従来以上に必要になってきたというのは、これはもう明らかであります。  昨年の八月六日、当外交防衛委員会において登外政審議室長鉱物資源に関する鉱業法水産動植物に関する漁業主権法などが適用できるかどうかを中心に整理、検討中と答弁をしております。そこで、現在の外政審議室長に、既に十カ月たっております、この検討結果を御報告いただきたいと思います。
  13. 阿南惟茂

    政府参考人阿南惟茂君) 日本近海各種中国船の動向、武見先生指摘のとおり、極めて重要な問題という認識を持ちまして、政府部内、関係省庁間で対応検討してきているところでございます。  先ほど河野外務大臣もおっしゃいましたように、肝心なことは、中国船国際法あるいは一般国際慣習を守らせるというルールを確立させるということでございまして、この点は外交当局間で引き続き話し合いをしていかれるものと考えておりますが、ここで一つ問題でございますのは、先生も御案内のとおり、日中間排他的経済水域とか大陸棚境界線が画定されてないという問題が一つあるわけでございまして、こういう面での交渉も鋭意進めていくことが重要であると考えております。  他方、こういう境界線が画定されていない現状におきましても、長年の懸案でございました日中漁業協定というものが締結され近々発効されるという運びになっておりまして、新しい海洋法のもとで海の秩序我が国の国益に沿った形で構築されつつあるという状況も一方であるわけでございます。  したがいまして、私ども政府部内で関係省庁集まりまして、こういう状況を見ながら、現行法制下最大限何ができるか、そして、そういう対応が難しい場合には新たにどういう措置が必要かということについて、これまでも検討してきておりますし、引き続き検討してまいりたいと、そういうふうに考えております。
  14. 武見敬三

    武見敬三君 検討ばっかりしていないで結論もしっかり出していただきたい、こう思います。と同時に、尖閣諸島及び当該排他的経済水域というのは日米安保条約適用対象外務大臣はお考えになるか否か、また米国政府適用対象とすることに同意しているか否か。この点について御見解を伺いたい。
  15. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 武見君の持ち時間は十時十五分となっております。答弁は簡潔に願います。
  16. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日米安保条約に言う極東範囲という範囲に入っているというふうに考えております。
  17. 武見敬三

    武見敬三君 で、米国政府はそれに同意をしているか。
  18. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 極東範囲という範囲の中に入っていると私申し上げましたが、これは何も日本側だけの判断ではないというふうに承知しております。
  19. 武見敬三

    武見敬三君 ありがとうございました。
  20. 小山峰男

    小山峰男君 ちょっと質問通告をしてありませんが、聡明な外務大臣ですから十分お答えをいただけるというふうに思っております。  先日来の森総理の神の国発言大変日本を大きく揺るがしているというふうに思っております。現在の憲法でも違反の可能性が強いというふうに思うわけでございますが、外務大臣としてどのようにお考えか。また、この問題はかなり諸外国にも影響を与えているというふうに思いますが、特に外務大臣としてどのようにお考えか。また、こういう総理のもとで外務大臣として職務を遂行することができるのかどうか。その辺のお考え方も含めてお聞きしたいと思います。
  21. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私は、森総理自身現行憲法遵守するという強い決意を持っておられるというふうに確信をいたします。と同時に、その歴史認識におきましても、村山談話と同様の認識を持っておられるというふうにこれまた確信をしているわけです。  その確信していることの根拠は何かということでございますが、村山内閣当時、つまり当時は社会党委員長を首班として、自民党、さきがけがこれに参加をした連立政権でございますが、その連立政権におきまして村山総理村山談話をつくられました。当然、自民党も、その村山総理村山内閣に参画をしているわけでございますから、この村山談話作成に当然共同して当たったわけでございます。当時、森総理は自由民主党の幹事長の要職にあって、こうした村山談話作成にはその相談にあずかっていたというふうに私自身承知をしておりますので、森総理が当時よりずっと一貫してこの村山首相談話総理大臣談話と同様の歴史認識を持っているというふうに私は申し上げていいというふうに思っております。  ただ、しかしながら、先般森総理の発言された状況状態というものが、私は直接現場におりませんのでその状況はわかりませんし、その文脈すべてを承知しているわけではございませんが、少なくとも表現上誤解を生むという表現がなされたということは、御自身もそうしたことに気を使われて参議院の本会議で真意の説明をなさったということでございます。  ということでございますから、外務大臣としては、もし森総理歴史認識なり憲法観について疑いが近隣諸国から持たれるというようなことがあれば、これに対してきちっとした説明を私からいたしたいというふうに思っております。
  22. 小山峰男

    小山峰男君 それでは、今回出ております条約について二、三質問をしたいと思います。余り時間もなくなりましたので、少し通告を省略させていただきたいと思っております。  この協定作成経緯と申しますか、どういうような状況があってこの条約を作成してきたのかというようなことについて、御説明をいただきたいと思います。
  23. 山本一太

    政務次官山本一太君) 特定の漁業条約に入っている国、締約国漁船の中で、こうした条約参加していない非締約国に便宜的に船籍を移す便宜置籍という例が見られるわけでございまして、これはまさに条約規制から逃れて操業するという目的でこういうことをする事例が見られるということが一つございます。  さらには、通常は非締約国に置籍するという例があるんですけれども、たとえ締約国であっても、さまざまな国内制度が未整備である、例えば登録制度とか漁業管理制度とかが未整備であるために置籍国となっている例もある、こういう例が見られるというのが一つの背景でございまして、公海における漁業資源保存管理が非常に重要だという認識のもと、これをどうやって実効性のあるものにするかということで、便宜置籍船というものの規制を強めていかなければいけないのではないかと、こういう認識が高まったということがバックグラウンドの大きな流れだと思います。  委員も御存じのとおり、九三年の二月だったと思いますが、FAO専門家会議でいよいよこの条約をつくろうと、こういう作業が始まりまして、簡単に申しますと、当初は登録そのもの規制して、それによって便宜置籍船そのものをなくしていこうという方向交渉もあったわけですが、漁船だけなぜほかの船舶と分けてさらに厳しい規制をかけなければいけないのかと、こういう議論があって、この点で合意がまとまらなかったために、それならばむしろ旗国責任を明確化する方向でやってはどうかと、こういう流れになりまして、結局、九三年の十一月でございますが、FAOの総会、二十七回となっていますけれども、ここで本件協定が作成されたというのが大体の流れでございます。
  24. 小山峰男

    小山峰男君 それでは、大臣質問しますが、これは一九九三年、平成五年ですか、会議が行われて、日本自体もやっと今の段階で協定を行うということですが、この協定自体は二十五カ国が必要だというふうになっておりまして、まだとてもそこまで行っていないわけですが、この辺の協定発効の見通し、またほかの国に対する働きかけというのが日本としても必要だと思うのでございますが、その辺について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  25. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員指摘のとおり、この協定は、国際連合食糧農業機関、いわゆるFAOの「事務局長が二十五番目の受諾書を受領した日に効力を生ずる。」ということになっております。現在たしかまだ十四カ国でございまして、この協定が発効するためにはさらに十カ国の受諾が必要でございます。その十カ国の受諾はどうかと聞かれても、それについてお答えをするのがなかなか困難でございますけれども、とにかく二十五カ国そろえばいいということと同時に、むしろ便宜置籍船を受け入れている中米諸国などがきちんとこれに参加をするということが極めて重要だと思います。  したがいまして、我が国としては、一部中米諸国などに対して早期締結を働きかける、協定早期発効を促すということが極めて重要だと考えまして、この協定締結した上で、さらに外交ルート国際会議の場を通じてそうした国々に早期締結を働きかけるべく努力をしてまいりたいと考えております。
  26. 小山峰男

    小山峰男君 あと二分ほどでございますので、よろしくお願いします。  この協定実効性というか、旗国責任というのを強化しているわけですが、これだけでいいのか。むしろ日本としては、輸入制限だとかそういうものまで含めてやらないと、実際の協定目的としていることにはつながらないというふうに思っていますが、簡潔に大臣、その辺どうお考えですか。
  27. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 有限天然資源を守るという視点に立っていえば、何とかしてマグロ消費国である我が国が何らかの措置をとっていくということも重要ではないかという御指摘を各方面から伺っております。  しかし、これは国際的な取り決め、例えばWTOとの整合性その他を考えますと、我が国だけで一方的に行うということは極めて難しいということもございまして、現状では、こうした条約をまず締結し、国際的にこの問題に対する対応をきちんと理解をし、協力をしてもらう努力をするということが何より大事だと思っております。
  28. 益田洋介

    益田洋介君 沖縄サミットまでもうわずかとなりました。  そこで、各国の要人を含めて、警備体制について、陸上、海上、それから航空、このすべての面から相当真剣に、我が国としては現行法上どこまでできるかという問題を含めて警備体制をしっかりと今から各省庁連携をとり合いながら計画を進めていかなければならない。  そういうことで、訓練とか教育とかというような名目で既に海上自衛隊行動を開始しているようでございますが、そうした面でどういうふうな警備状況、布陣を考えているのか、あるいは配備体制を、連携をとっているのか。そういった点について、これは本当に、何か問題を起こして、その後で事後処理がどうのというような話ではないと思いますので、国会としてもしっかりとどういう体制になっているかということを知っておく必要がある。また、不測の事態に備えて、こういう点が足りないのではないかということは、やはり事前に私どもとしても勉強し、また必要であるならば意見交換ということをしていかなきゃいけない、もうそういう時期に立ち至っているんじゃないかというふうに痛感しております。  ですから、警備上の問題だからそうしたことにはなかなか言及できないというような言い方をしないで、外務省、海上保安庁自衛隊、三省から責任ある計画についての発案といいますか、御意見の陳述をしていただきたい、そのように思います。よろしくお願いいたします。
  29. 瓦力

    国務大臣瓦力君) ただいまの益田先生の御意見、御質問、極めてサミットにおける警備問題というのは重要であり、これからさらに検討を加えながら、防衛庁に与えられます責務は果たしてまいらなければならぬ、こう思っております。  御指摘の九州・沖縄サミットにおける海上警備については、第一義的には警察機関たる海上保安庁が担当するものと承知をいたしておりますが、本庁といたしましては、平素から任務遂行に必要な調査研究の一環として、艦艇航空機等により我が国周辺海域における警戒監視活動を実施しているところでございますが、サミット開催時におきましても、検討の必要があれば海上保安庁とさらに委員指摘のように緊密に連携をとりつつ警戒監視活動にかかわる所要の体制をとることが必要である。  これからいろいろ具体的にそれらにつきまして遺漏なきを期して調整してまいりますので、委員の御指摘を踏まえて整備をしてまいりたいと考えております。
  30. 益田洋介

    益田洋介君 具体的なお話を伺いたいと思って質問をしている次第でございます。  例えば、海上保安庁巡視艇とそれから海上自衛隊護衛艦がどのような配備体制をとるのか。沿岸、それからもう少し離れたところでの警備ということもやはり役割分担をして配備をしなきゃいけないんじゃないか、そういう点について具体的な配備体制、打ち合わせの状況を伺いたい。それが私の質問内容でございます。
  31. 荒井正吾

    政府参考人荒井正吾君) 海上保安庁からお答えさせていただきます。  沖縄サミットは初めて海上に面した施設で行われますので、海上警備が非常に重要でございます。その任務海上保安庁は仰せつかっているわけでございますが、具体的には、全国から巡視船約百隻、航空機約二十機というような勢力最大級勢力配備いたしまして海上及び沿岸域監視警戒を実施することにしております。  具体的には、沖合に配置いたしました航空機によりまして、沖縄本島に接近する不審な行動船舶早期発見、あるいは沖合から沿岸に向け順次配備いたしました巡視船艇により不審な船艇に対処する。その場合、保安庁の持つあらゆる能力を駆使して対処するというつもりでおります。  他の関係官庁、とりわけ自衛隊との関係でございますが、自衛隊は日ごろから艦艇航空機により我が国周辺海域警戒監視活動を実施されておりまして、そのような活動の中で、密航船不審船、あるいは時には海難事故あるいは救助の必要な船の通報を受けて連携して事に当たっておるという事情にございます。沖縄海上警備におきましてもそのような日ごろの連携基本にいたしまして事なきを得たいと、最大限海上警備に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  32. 益田洋介

    益田洋介君 不審船については今、武見先生から御質問ございました。これについては外務大臣にまた後ほど答弁願いたいと思うわけでございますが、潜水艦それから弾道ミサイルの探知についてはどのような警備体制を敷かれるおつもりか、海上保安庁防衛庁から答弁願います。
  33. 荒井正吾

    政府参考人荒井正吾君) 沖縄サミット警備対象になります中には、国際テロ組織その他の武装勢力のことも念頭に入れて考えております。  今、益田委員指摘のような、弾道ミサイル潜水艦という対象物を御指摘になりましたが、そのようなものがどのような勢力によりどのような手法で接近してくるかという分析は要ろうかと思いますが、そのようなものが現実に武力を行使されるというのは、言ってみれば警備内容でも大変特別な意味があろうかと思っております。  海上保安庁といたしましては、過去の経験からいたしまして、海上ではございますが、警備体制の中で想定される脅威あるいは警備の必要ということを念頭に置いてやっております。したがいまして、弾道ミサイル潜水艦というのは、特に海上におきましては潜水艦については防御の警備体制をとっております。弾道ミサイルにつきましては、どこからちょっと飛んでくるかということも含めまして、さらに分析が要る事項かと考えております。
  34. 益田洋介

    益田洋介君 どこから飛んでくるかというのは、そんなの想定しているでしょう。沖縄本島と朝鮮半島の間でしょう。その上空でしょう。そんなことも想定していないの。常識的な話じゃないの。どこから飛んでくるなんという、そんな話をしたらだめだよ。だから、それに対して具体的にどのような配備をするかというのが私の質問なんだ。ちゃんと答えてみろよ。
  35. 荒井正吾

    政府参考人荒井正吾君) どこから飛んでくるかと言いまして、遠くからという趣旨もあろうかと思いましたが……
  36. 益田洋介

    益田洋介君 東シナ海だよ。
  37. 荒井正吾

    政府参考人荒井正吾君) 私どもは、海上警備の中で海中から飛行機を撃ち、具体的に申しますと……
  38. 益田洋介

    益田洋介君 何ではっきり言わないんだよ。
  39. 荒井正吾

    政府参考人荒井正吾君) ということも想定しております。それは十分考えられる警戒すべき対象だと考えております。
  40. 依田智治

    政務次官依田智治君) 先ほど防衛庁ということで、よろしいですか。
  41. 益田洋介

    益田洋介君 聞いていないよ。長官に聞いているんだ。いかがですか、長官。
  42. 依田智治

    政務次官依田智治君) 防衛庁関係としましては、このサミット警備、先ほど長官から言いましたが、一義的には警察的視点に立って、海上海上保安庁が近接した地点を先ほどのような体制で守る、その周辺においてやはり必要な体制をとると。それで、今、先生が言われたような情勢に応じまして、P3Cによる警戒とか、その他いろいろ防衛庁の持てる体制対応するというように考えておりますが、まだ具体的にそこまで詰めておりません。
  43. 益田洋介

    益田洋介君 時間のことに非常に厳しい委員長でございますので、これでやめますけれども、P3C、今、政務次官おっしゃいましたが、これの配備もきちっとお願いしたいと思います。  以上でございます。
  44. 小泉親司

    小泉親司君 今回の協定については、私どもは賛成であります。  この協定に密接に関連して、マグロ類の資源管理の問題について質問をさせていただきたいと思います。  先ほど外務大臣からもお話ありましたように、我が国はマグロ類の世界有数の生産国であり最大の消費国だということは明白でありますけれども、その点ではマグロ類の資源の保存管理には重大な責任があるというふうに考えております。ところが、今マグロ類の保存、資源管理に大変重大な問題が起きていると。それは、便宜置籍船による乱獲問題だというふうに思います。我が国のマグロ漁業に今この点が非常に深刻な状況をもたらしている。  私どもは、この前、マグロ漁船の中心地であります宮城県の気仙沼の漁協からいろんなお話をお聞きしてまいりました。今、日本のマグロ漁船は六百六十三隻のうち二割に当たる百三十二隻が減船を余儀なくされたということであります。中心地は何か鹿児島と宮城県だというふうなお話もありましたが、気仙沼の漁協では百三十二隻の減船のうち六十五隻という、半分が減船になってしまうという状況で、職を失う地元の船員は約六百人と。減船に伴う減収は、造船でありますとか鉄鋼でありますとか漁具の卸業だとか漁船への食料納入業者へと、こういう形で広がって、規模は二十億円とも言われていると。  しかし、マグロの保護が日本の漁民の犠牲で進められているという一方で、便宜置籍船への規制が具体的にどうやられているのか。私、乱獲は事実上野放し状態と言っても差し支えない状況で、例えば水産庁の資料によると、便宜置籍船は二百四十隻と推定されて、刺身用のマグロ供給量、漁獲高は四万七千トンと、これがほとんど日本に輸入されていると。日本全体の供給量の五十万トンの約一割が、輸入二十五万トンの二割に相当するものが便宜置籍船からのものだというふうに推定されて、水産庁のホームページでは、本年四月現在で三百四十七隻の便宜置籍船が認定されていると言われていると。  この便宜置籍船の問題は国際機関でも、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約、いわゆるICCATの規定でも、違法で、無報告で、無規制の漁業活動であるというふうに非難して、保存管理措置の効果を損なっているという形で国際機関でも非難されていると。漁協の方は日々、この廃絶に向けた必死の取り組みを進めているわけでありますけれども外務大臣としてはこの便宜置籍船という問題をどういうふうに認識されておるのか、その廃絶に向けて政府としてどういう取り組みを進めているのか、まず初めにお尋ねをしたいというふうに思います。
  45. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) マグロ漁船というものが、大変活発にマグロ捕獲に当たって高い技術を駆使してマグロ捕獲に当たっていることから、有限の天然資源というものが枯渇するおそれがあるという指摘がまず起きてまいりまして、そしてこのマグロ漁船を減らさなきゃいかぬという話になって、このマグロ漁船をどうやって減らすかということでこれはまたそれで大変議論があったわけでございます。  マグロ漁船は、その船を、操業をやめると、ただ操業をやめるわけにはいかないから、それはもう売ると。それは、仲介する人もいて、その漁船が他国に売られるということが一時大変活発にあった。そのマグロ漁船がいわゆる便宜置籍船になってしまったわけですが、したがって、それは国籍が変わっただけで、マグロをとるという作業はちっとも変わっていないということに結果としてなった。しかも、それはマグロをとってくれば買い手はいるというわけですから、それはマグロ漁船はそのまま国籍を変えたまま操業は続いているという状況になって、これは本来大変心配された有限的天然資源というものに対する不安、心配というものは解消されていない部分が相当多いという状況に今あると思います。  これに対して、最もマグロの消費国である日本を中心に何とか、こうした矛盾といいますか、こうした法の抜け穴とでもいいましょうか、そうしたことをきちっとしなきゃいかぬということで、この問題が起こってもう相当長い時間がたつわけでございますが、しかし、相当長い時間、国際的な議論をされますが、まだ完全な法的な措置というところまで行っていないというのが現状だと思います。
  46. 小泉親司

    小泉親司君 この便宜置籍船の問題については、国際機関でも、先ほど、違法で、無規制で、無報告の違法な活動だということが指摘をされ、地元の漁協の皆さんは泥棒船だと言っておられる。そして、問題は、私大変時間が限られておりますので、やはり私は、この便宜置籍船からのマグロ類の輸入というものをきちんと政府として制限措置をとるべきだというふうに考えております。  その点で、先ほども議論がありましたが、外務大臣はこの前の外務委員会の議論の中でもその点に触れて、WTOとの整合性が問題なんだと、その理由として、WTO協定では幾つかの条件があって、例えば差別待遇の手段となるような方法で適用してはいけないとか、国際貿易の偽装された制限となるような方法で適用してはいけないとか、こういうこれらの条件が満たされるか否かについて相当慎重に検討する必要があるというふうに答弁されているわけでありますけれども、いわゆるこういう便宜置籍船からの輸入制限措置というのは、いわゆるWTO協定の、具体的には九四年のガットの二十条(g)項の規定でありますが、こういうやはり便宜置籍船からの輸入制限措置は差別待遇の手段となるという見解なんですか。例えば、国際貿易の偽装された制限となるという見解なのかどうか、外務省の見解をきちんとお話しいただきたいというふうに思います。
  47. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) これは国際会議で大変激しい議論もありましたし、なかなか国際会議の結論が出ないという状況にもあるわけです。  我が国としては、確かにマグロ資源の保護というものも極めて重要だと考えておりますし、こうした置籍船、便宜置籍船をどうやって排除するかということについては最も積極的に考えているわけでございますが、今、議員がおっしゃったようなICCATにおきましても、ICCATの勧告でも、これはホンジュラスとベリーズと二つの国について輸入禁止が勧告をされているだけで、それ以外の国についてはICCATも結論を出さないという、今少なくとも現状はそういうことになっているわけです。  我々とすれば、国内的に一方的な輸入禁止措置をすれば、これは今、議員お話しになったように、明らかにWTOあるいはガットの規定に抵触をすると、もちろん例外規定はありますけれども、その例外規定で読めるかどうかというところについてはいろいろな議論があって、いろいろな議論があって少なくとも国際的な理解あるいは国際的にこの問題についての定説というものができなければ実効性が非常に低いだろうということもあるわけです。  ですから、今我々が懸命にやらなきゃならないことは、この条約をまず締結をすることと同時に、国際機関をしてこの問題にもっと踏み込んだ解釈をする、あるいは認定をするということをしてもらわなければいかぬという状況だと思います。
  48. 小泉親司

    小泉親司君 最後の質問でありますけれども、私はWTO協定の幾つかの条件も輸入制限措置には決して障害にならないというふうに思います。つまり、差別的条件という問題で、正当な活動をしている人に対して、船に対して一方を輸入制限すれば、それは当然のこととして差別的な待遇になるかもしれない。しかし、現実には、一方は違法な操業をしている便宜置籍船と言われている、認定されている、しかも泥棒船とも住民の方は言われている。そういう問題をはかりにかけるのは、私は筋が違うんじゃないかというふうに思います。  その意味では、先ほど外務大臣我が国が一方的に行うことが難しいんだと言っておられるけれども、このWTO協定というのは、御承知のとおり、多国間協定ですから、なかなかその解釈というのが非常に難しい、それは私もよくわかります。しかし、いろんな例を積み重ねていくというのが基本なわけで、その意味では我が国が一方的な措置をとれないかどうかというのはこれは議論があるところで、我が国としても、まず第一にマグロの資源保全という立場からこのWTO協定をきちんと解釈した上で、そういう措置をとれないことは私はないと思いますので、その点、やはり日本政府として、今の漁民の方々の犠牲の上に立ったこういう資源保全の措置という点から比較すれば、日本政府としてしっかりとこの便宜置籍船からの輸入措置をまずとって、やはりきちんと国際的な立場での対応も、外交努力もあわせてやるという立場を私は貫くべきだというふうに考えますが、最後にお聞きして、終わります。
  49. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) マグロ漁船関係する、あるいは一般的に日本の漁民の大変な御苦労、御苦心というものを我々は十分理解をし、この漁民の利益というものを守るために最大の努力をしなければならないというふうに考えるのは当然のことで、我々も基本的にそうした姿勢で臨みたいと思っております。  ただ、その一方で、多角的貿易協定であるWTOというもののルールというものと整合性もまた考えなければならない、これは日本の国のよって立つ立場からいって、そうしたものを無視するわけにはいかないと思います。したがいまして、我が国ができることは何かということについて、できる限り考えていくということは十分我々としてやらなければならないと思います。  繰り返して申し上げますが、こうした多角的貿易協定というものに対立する、あるいはそれを破るということは我々はするべきでないと思います。この協定を大事にしていくということには十分我々は配慮しなければならぬと思いますが、一方で、日本の漁民というものの利益を守るというための方法は何があるかということについても、十分考える必要があるというふうに思います。
  50. 小泉親司

    小泉親司君 終わります。
  51. 田英夫

    ○田英夫君 ただいまの条約協定については、小泉委員外務大臣のやりとりで問題点がかなり明快になってきたと思います。私も全く同感であります。  マグロの問題については、利益が大きいということもあって、かつて大きな商社が一船買いという船ごとマグロを買ってしまう、事前に。帰ってきたときにはもうマグロは市場に流れないで隠されてしまうという、値をつり上げたところで市場に出すというような、そういうことが横行して大変問題になったことがあります。  そのことができなくなったために便宜置籍船というような形になっている面もあると思いますので、これは政府として、国際的なこういう協定などで対応するということだけでなくて、日本の特殊な問題ですから、政府全体として農水省なりそういう関係省庁国内体制考えないと対応が十分できないんじゃないかという意見だけ申し上げておきます。  質問をしたいのは、日朝国交正常化交渉が延期になったということが報道されております。この事情について、外務大臣からお答えいただきたいと思います。
  52. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日朝の国交正常化交渉は、御承知のとおり四月の初めにピョンヤンで行われたわけでございますが、このピョンヤンでの協議、本会談の結果を受けまして次回は東京で行うと、しかもその時期については五月の下旬ぐらいを目標に東京で行おうということを前回の本会談で合意をしたわけでございますが、そして、その後、日朝の間で連絡をずっととり合ってきたわけでございますが、このたび北朝鮮側からの申し入れがございまして、次回の本会談の開催は準備の都合等もある、当面延期することとしたいと、こういう申し入れがございました。  我々としては大変残念なことでございまして、一回目の会談での話し合いの状況などは非常に建設的な話し合いが行われたというふうに我々は見ていたものですから、今回の当面延期したいという先方からの話に若干当惑をしているわけでございます。しかも、延期につきまして、その理由等については余りはっきりしない、立ち入った説明がないと。これは、そうしたことは差し控えたいと、こういう先方からの、そういったような感じでございまして、結局のところ準備の都合上延期ということになったわけでございます。  私どもとしては、この延期の理由等を考えてみると、六月の十二、十三ですか、南北首脳会談等もあって、これは相当重要な会談と北朝鮮側も考えていると思いますから、そうした準備が非常に大変だということも一つの理由であるかと思いますが、その理由については明確な説明がございませんで、我々としてもその理由について、これというふうにはっきりと自分を納得させているわけではございません。
  53. 田英夫

    ○田英夫君 報道の中で、推測で、大臣が今言われたように南北首脳会談がある、その対応を優先させたいということではないかという推測と同時に、日本側がいわゆる拉致問題を取り上げようということに対する不快感が原因ではないかというような、そういう推測もありますけれども、もし後者の方であるとするならばこれはまことに残念なことでありますし、その辺のところをどういうふうに外務大臣は見ておられますか。
  54. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 一回目の会議の席上で私どもは、この拉致疑惑といいますか拉致疑惑の解明というものについて、これは極めて我が国として重要な問題である、さらにはミサイル問題というものもはっきりさせてもらいたいということを述べているわけで、先方からは過去の清算ということが重要な問題で、拉致であるとかミサイル問題というものはその後の話ではないかというような意味の反応があったというふうに聞いておりますが、我が方としては、この二つの問題は決して横に置いてといいますか、次の問題だというふうには考えていないので、これは少なくとも並行的に話し合っていこうということを言ってきているわけです。  そのことについて、そのことを理由に今回の延期という明示的な話はございません。ございませんから、そこは私の方で定かには申し上げられませんが、北朝鮮側が発信しますいろいろな新聞でありますとかその他メッセージの中には、そうしたことを非常に重要な問題だと指摘する部分もございます。  それから、先ほど申し上げましたが、当面延期したい、こういう話でございまして、これは無期延期とかということではなくて当面延期という言葉を使っておりますので、それがまたどういうことであるかということについても我々考えなければならぬというふうに思っています。
  55. 田英夫

    ○田英夫君 先日、来日した唐家セン中国外務大臣と話し合う機会がありまして、ほとんどの時間を朝鮮問題について話をしたんですが、もちろん南北首脳会談に対して非常に、開かれるということだけで既に意義があるという評価を彼もしておりましたし、また日朝国交正常化交渉が開始されることに対しても非常な期待を話しておりました。  国際的にもこの問題は非常に関心を集めているわけでありますし、私も、今回の北朝鮮の延期という態度を決して、従来そういう場合はしばしば非常に厳しい態度の中で出てきたと思いますが、今回そうではないというふうに判断していいのではないかと思っておりますが、どうかひとつこれがいい方向で続きますようにお願いをして、終わります。  ありがとうございました。     ─────────────
  56. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 外務大臣から発言を求められております。この際、これを許します。河野外務大臣
  57. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほどの武見委員質問に対しまして、私から、尖閣諸島は安保条約極東範囲内と答弁をいたしましたが、尖閣諸島日本の固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないことでございます。  一般的な意味で、極東の中にはもちろん日本も含まれているわけでありますから、私が尖閣諸島極東範囲極東に含まれると申し上げたのはそういう意味からでございますが、突然の御質問で舌足らずであったと思いますので、今申し上げたような補足をいたしたいと思って発言をお願いいたしました。  つまり、もう一度申し上げれば、当然のことながら尖閣諸島日米安保条約の適用の範囲であるという意味でございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。     ─────────────
  58. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 協定の問題については格別意見はありませんので、一般的な外交の問題を二つ取り上げて外務大臣の所見を伺えればと、こう思います。  二つとも、いずれも本委員会においてかつて取り上げた問題でありますので、その後の推移を中心として御意見をお聞かせ願えればと思います。  最初は、例の杉嶋日経新聞元記者の問題でありまして、彼がスパイ容疑で拘束されてからもはや半年を経過しようとしていると。前回も申し上げましたけれども、彼は、私はスパイではないとはっきりそう断定してもいいと思います。撮影禁止、あの国という大変危険な国で、そこで撮影禁止の場所で衆人環視の中で写真を撮りまくる。こんなスパイなんかいるわけないですから、スパイとはとても思えないんですけれども、いずれにしろ、スパイ容疑で拘束されまして数カ月にわたって身柄拘束状態にあると。一体どうなっているんだろうかと厳しく対応を求めて、もしどうしてもスパイ容疑があるならばきちっと裁判にかけてシロクロをはっきりさせるべきだと、これは当たり前のことだと思うのであります。  ただ、彼は過激派のシンパなものですから、それで日本の政府も、過激派のシンパなんか面倒見てられるかと、暗にこんな思いがあるのではないかとすら思いたくなるわけでありますけれども。思想、信条にかかわらず、日本人である以上はその生命の安全というのは政府の重大なこれ責任問題でありますから、一体どういうふうな交渉が続いておるのか、それから今後どうやっていくのか、これからの見通しはどうなのか。ひとつしっかりとお答え願えればと思います。
  59. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 佐藤議員から、かねてからこの問題について御指摘をいただいておりますが、私は、はっきり申し上げて、政府として邦人保護ということは極めて重要な、当然のことながら重大な問題である、したがって、大きな関心を持っておるということは、これまでも申し上げておりますように、改めて今申し上げていいと思います。さらには、杉嶋氏がいかなる経歴の人か、いかなるバックグラウンドが仮にあるかということが、我々にとってこの問題に関心を持つか持たないかということを分けるものではないということもはっきり申し上げていいと思います。  そういう前提に立ちまして、これはもう議員から指摘を受け、あるいは受けるまでもなく、早期の解決というものに我々としては全力を挙げております。政府といたしましては、事件発生当初より、前回も御説明を申し上げましたが、在中国我が国大使館を通じるなどして、北朝鮮側に対し本件抑留の事実関係説明を求めてまいりましたが、北朝鮮側よりは、杉嶋氏の所在、健康状態につき若干の説明はあったものの、詳細な回答は、現在どういうことになっているかについては回答を得ておりません。政府としては、引き続き、本件を解決するために効果的な方法を模索しつつ対処をしてまいりたいと、こう考えております。
  60. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 ひとつ精力的に解決を目指して頑張っていただきたいと思います。  それから、第二の問題は、これもかつて取り上げたことなんですが、日本、韓国間の逃亡犯罪人の引き渡し条約でありまして、これは前の高村外務大臣が大変積極的に取り組んでおられまして、法務省と警察庁の間に意見の対立が若干あるので速やかにそれを調整して成案を得たいということを彼は再三申しておりましたが、それからもう一年有余たっておるのにかかわらず全然進行しているような様子はない。河野大臣もそういうことをおっしゃられたことが、記憶しておりますが、あるわけであります。いずれにしろ速やかに成案を得たいと。  しかし、もうこの問題が起きてから何年もたっているのにかかわらず全然進行をしていない。一体警察庁と法務省との間にどんな大変な、とてもじゃないけれどもこれはもう一朝一夕に解決できないような大問題が果たして、あるんでしょうね、恐らく、今まで解決していないところを見ますると。そこで、外務省とすれば一体どういうふうに理解しておるか。どんな対立があるのか。これは到底克服できない、さじを投げてますよということなのか、ちょっと御意見を承れればと思います。
  61. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御指摘の件については、国際刑事警察機構、ICPOを経路とする仮拘禁請求制度導入の是非に関連して関係省庁間で意見の相違があって、現在詰めの作業をしているというふうに承知をいたしております。  議員から再三御指摘をいただいておりますが、私としても本条約については早急に締結したいと考えておりまして、事務当局を叱咤激励しているところでございます。できるだけ早急に調整を終えるよう作業を急いでおりますので、もうしばらくの時間をいただきたいと存じます。
  62. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 叱咤激励する相手を間違っておられるんじゃないでしょうか。事務当局ではなしに警察庁と法務省、特に警察庁だと思いますけれどもね。何か仮拘禁制度、インターポール、ICPOを通じての仮拘禁制度を考えておる、提案しているということなんですけれども、警察庁来ておられますね、今の問題について、時間がありませんから、簡単に警察庁の考えを述べてください。  それと、全然妥協する気はないのか。もうこれは勝手にやれとうちの方はこう考えておる、どうしようもないことだと、こういうことなのかどうなのか。妥協案というものを考える余地があるのかないのか。それを含めてお願いします。
  63. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 警察庁といたしましては、犯罪捜査に関しましての日韓協力の重要性にかんがみまして、ICPOの経路も積極的に活用して、そのことによって両国間の逃亡犯罪人引き渡しに関する協力の迅速かつ効果的な遂行に貢献できるという立場から、関係省庁と調整に努めているところでございます。
  64. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 もう当然御案内と思いますけれども日本とアメリカの間に逃亡犯罪人引き渡し条約がありまして、これに基づいて国内法としての逃亡犯罪人引渡法というのがつくられておりまして、アメリカ人についてはもうきちっとした外交ルートに乗って、それから司法手続に乗っけて引き渡してやる、そういうことになっておるんですけれども、何か韓国人については特別な扱いを導入しようとしているとしか思えないんですね。まさかアメリカとの条約を改定する、そんな不可能なことを警察庁が言っているわけありませんからね。韓国人の場合は特別だと、こんなことは一体許されるんだろうか。アメリカ人の逃亡犯罪者の場合には、慎重に慎重に、外交ルートを通じて、司法手続を経ましてやっていくと。ところが、韓国人の逃亡者の場合には警察ルートでぱっぱっぱとやってしまうと。こんなことが一体許されると我が国の政府機関が考えておるんでしょうかね。いかがですか。
  65. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 御指摘ございましたように、日米の条約についてはICPOの経路に関する規定はございません。また、韓国においても、韓国とアメリカとの条約にはそういった規定はございません。しかしながら、韓国におきましては、韓国とカナダ、韓国とスペインとの引き渡し条約においては既にICPOの経路によっても仮拘禁請求を行う制度が導入されております。  そういう意味で、韓国も国によって違った対応をしておりますし、誤解は先生としてはございませんと思いますけれども、当然正式な引き渡し請求というのは外交ルートというものを通じてなされるわけでございますけれども、仮拘禁というのは、その前段階で迅速な対応ということがかなり重要なポイントになりますので、ルートを必ずしも単数にするのではなくて複数にする、そういった国も結構ございますので、そういったことも踏まえまして、警察庁といたしましては、我が国の法体系との整合性といったものを維持しつつ、日韓間においてこういった制度を導入することが望ましい、そういうふうに考えて現在御意見を申し上げているところでございます。
  66. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 法律問題についてあなたから説明を聞く気は全くありませんけれども、いずれにしろ、法律程度が非常に、意識が薄い、人権感覚も低い、そういう国々にこういう制度があるからこの日本でも導入しようと、こう言っているとしか思えないんですよ。韓国が何をやっていようが、日本日本、独自の判断があっていいわけでありまして、アメリカとの交渉では非常に慎重なルートを設けておると、しかし韓国その他の国々についてはもう簡単にやっていこうと、こんなことが人権感覚から見て許されるわけはないでしょう。  これ内閣法制局なんかに持ち込んでやっぱり協議をしておるんだと思うんですけれども、皆同じようなことを言っていますか。簡単にやれと、アメリカとのやつはちょっと難しいことを考え過ぎた、もっと手軽にやっていこうと、そんなことを内閣法制局その他が言っておるんでしょうか、いかがですか。
  67. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) 私としては、法制局の見解はお伺いしておりません。
  68. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 ぜひとも、憲法感覚から見て、一体アメリカと韓国との間で違うルートを設けることができるのかできないのか。韓国でやっているからいいですよと、そんな説明で納得すると思っておられるのかどうかわかりませんけれども、少しもっと広い目で考えて、少しぐらい時間がたってもこれはやむを得ないんです、逃亡犯罪者の引き渡しというのは。政治犯罪者は引き渡さないとかそういういろんなネックがあるわけですから、それを慎重に慎重に一つ一つ切り抜けていって引き渡す、これは当たり前のことなんですからね。もっと便宜よりもさらに人権という問題を考えてもらいたい、便宜もあるいは必要かもしれませんけれども。  いずれにしろ、アメリカと韓国との間でルートが全然違う、全然かどうか知りませんけれども違うというやり方について、それで許されるのかどうかという、そういう観点からの議論をしてもらいたいと思いますし、これについて外務省も指導的立場で、両省庁意見の相違についてできるだけ早く調整していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  69. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  保存及び管理のための国際的な措置の公海上漁船による遵守を促進するための協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  70. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十三分散会