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2000-05-11 第147回国会 参議院 外交・防衛委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十一日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任         浅尾慶一郎君     藤井 俊男君      田村 秀昭君     戸田 邦司君  五月十一日     辞任         補欠選任         戸田 邦司君     田村 秀昭君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢野 哲朗君     理 事                 鈴木 正孝君                 武見 敬三君                 小山 峰男君                 益田 洋介君                 小泉 親司君     委 員                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 山崎  力君                 山本 一太君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 海野  徹君                 藤井 俊男君                 松前 達郎君                 荒木 清寛君                 立木  洋君                 田  英夫君                 戸田 邦司君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君    政務次官        外務政務次官   江崎 鐵磨君        外務政務次官   山本 一太君        防衛政務次官   依田 智治君        防衛政務次官   西川太一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        防衛庁防衛局長  首藤 新悟君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        外務省欧亜局長  東郷 和彦君        海上保安庁次長  長光 正純君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 〇国際原子力機関憲章第六条の改正受諾につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) 〇国際移住機関憲章改正受諾について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付) 〇千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協  定の譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修  正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十  日に作成された確認書締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、田村秀昭君及び浅尾慶一郎君が委員辞任され、その補欠として戸田邦司君及び藤井俊男君が選任されました。     ─────────────
  3. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際原子力機関憲章第六条の改正受諾について承認を求めるの件、国際移住機関憲章改正受諾について承認を求めるの件及び千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会外務省欧亜局長東郷和彦君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長柳澤協二君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 国際原子力機関憲章第六条の改正受諾について承認を求めるの件、国際移住機関憲章改正受諾について承認を求めるの件及び千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 森山裕

    森山裕君 おはようございます。自民党森山でございます。  まず防衛庁伺いたいと思いますが、昨日の夕刊記事でありますけれども、ことしの三月の末から四月にかけまして宮崎県で疑似患畜口蹄疫感染をしたのではないかという、牛の病気が発生をいたしまして、実は大変な状況になりました。自民党の方でも対策本部を設置していただき、また県や畜産団体農業団体を含めて対応してまいりまして、明るい方向を見出しつつあるのではないかと思っておりますが、昨日の夕刊の報道によりますと、この口蹄疫発生というのが同時期に韓国でも発生をして、また四月末にはモンゴルでも発生をしていることが明らかになって、防衛庁では人為的なウイルスの混入の可能性があったのかどうかについて関心を寄せているという内容記事であります。  これは、畜産県にとりましては実は大変な問題でございまして、また口蹄疫というのは御承知のとおり九十二年ぶりに発生をいたしておりますから、獣医さんが口蹄疫そのものを見たことがありませんし、また症状というものも初めて経験をすることでありましたので大きな混乱になったわけでありますけれども、このことが人為的に仮に行われたとすれば大変な問題を含んでおりますので、防衛庁はどういう観点関心を持っておられるのか、また何かそういうことに関心を寄せる根拠があるのか、そのことについて、小さなことでございますから総括政務次官の方から御答弁をいただければと思います。
  7. 依田智治

    政務次官依田智治君) 私の方から答弁させていただきますが、先生の御指摘の「家畜のウイルス性伝染病 宮崎韓国モンゴル口蹄疫」同時期発生」という大きな記事が出て、私も早速詳細に読ませていただきました。これによりますと、防衛庁筋というようなことでいろいろコメントが載っておりますが、私どもとしてはこういう記事があったということは承知しておりますが、現時点、防衛庁としてこの問題について特別に何か対応するという措置をとってはおりません。  ただ、一般論としまして、防衛庁自衛隊としましては、こういう生物兵器というような問題についてはまだ、非常に関心は持っておりますが、本格的研究を行ったことがないということで、今年度あたりから本格的に少し予算等もとって対応して研究していく必要があるなと、こういう認識でおります。今、長官のもとにことしの第一回を五月ごろ開きたい、こういうことでございますが、生物兵器対処に関する懇談会というのを設けまして、いろいろ警戒すべき病原体等の種類、特徴はどういうものがあるのか、そういうものを検査したりする場合どういうような機材や施設が必要かとか、診断、治療等医学的管理の方法、検知、防護の装備等そういうような問題、その他アメリカ等要員を派遣しまして少しアメリカ米軍化学学校とか感染症研究所、こういうところに要員を送って研究させるとか、また組織としましても今度研究本部というのを陸上自衛隊に先般つくっていただいたわけですが、そういうところに特殊武器研究官というのを置いたり、さらに開発実験団の中にこういう医学特殊武器研究というか、そういう面を部隊医学実験隊等を置いて研究するというようなことで、今後いろいろ対応していきたいと。  なお、我が国の場合は生物兵器禁止条約にはもう大分前に加入しておるわけでございますが、私どもとしては、そういうものが万が一兵器として使われるということになれば大変な被害になりますし、これは生物兵器というのは非常に安価ですので、非常にまた運搬手段ミサイル等が発達している現状を考えますとしっかりと研究していく必要がある、こんな感じでおります。
  8. 森山裕

    森山裕君 ありがとうございました。  今、総括政務次官の方から御答弁をいただきましたが、現場では今おっしゃるとおり口蹄疫を運ぶというのは非常に簡単な話でありまして、ウイルスそのものがあれば簡単に運べる話でありますので、そのことはやはり大変経済そのものに大きな影響を与えると思いますし、そのことで人の命にどうこうということはないと思いますけれども、そのことがやはり経済混乱をもたらすということになりますと大きな問題でございますから、ぜひこのことにも関心を持っていただいて間違いのない対応をしていただくようにお願いしておきます。  次に、国際原子力機関憲章第六条の改正関連して質問をいたします。  我が国世界唯一被爆経験を有し、核の悲惨さを世界じゅうのどこの国よりも強く認識をしています。また、日本が国際的な軍備管理軍縮及び不拡散に向けた努力を積み重ねているのも、このような経験を踏まえた国民の一致した願いがあるからであると考えます。本日、議題関連をいたします国際原子力機関IAEAは国際的な核不拡散を推進する上で中心的な役割を果たしている国際機関であります。  IAEAは、原子力平和利用を促進する一方で、核物質軍事目的に転用されることを防ぐための保障措置、査察を実施する等活発な活動を行っており、世界の平和と安定のために核不拡散体制強化を重視する我が国としては、引き続きIAEA活動に対し積極的に貢献をしていくことが大切であると考えております。  また、核兵器を初めとする大量破壊兵器及びその運搬手段であるミサイル拡散の危険は冷戦終結後も存続をしております。これらの軍備管理軍縮及び不拡散体制強化国際社会全体が取り組むべき緊急の課題となっていると考えます。このような中で、我が国としても核拡散防止条約体制の堅持とともに、一層の強化に向けて努力をすることが重要であると考えます。  そこで、四月二十四日から五月十九日までの日程で現在ニューヨークで開催をされております核拡散防止条約検討会議山本政務次官出席をされ、本会議日本代表して演説をされました。演説の模様はテレビで拝見をいたしましたが、何を我が国として主張されてきたのかを山本政務次官にお伺いをいたします。
  9. 山本一太

    政務次官山本一太君) ニューヨークNPT運用検討会議は、本来であれば五年前のNPT会議にも出られた河野大臣演説をしていただくはずでしたけれども、国会の都合ということで、僣越ながら私が参りまして三十分ほどの演説をしてまいりました。  内容は、今、森山先生の方からもいろいろございましたが、大まかに言いますと、その五年前の運用検討会議から考えても、ここ数年、核軍縮それから核不拡散をめぐる状況は非常に厳しい。インド、パキスタンの核実験があったり、あるいは今、先生がおっしゃった弾道ミサイル拡散の問題がある。こういう核不拡散やあるいは核軍縮をめぐる厳しい状況の中で、今回のとにかくNPT運用検討会議を成功させる、これによって、核軍縮、核不拡散についての盤石の体制をつくるということが主な内容でございます。  具体的には、日本政府として、この演説の中で、NPT、いわゆるその会議の歴史の中で初めて具体的な提案をいたしました。八項目提案と呼ばれるものなんですけれども、簡単に言いますと、一つは例の核物質の生産に関するカットオフ条約を二〇〇三年、遅くても二〇〇五年までには成立をさせるということとか、あるいはそのSTARTプロセスを加速させる、STARTⅢを超えたプロセスをどんどんやってくださいという話とか、あるいは核兵器による一方的な削減努力をさらに継続してもらうとか、あるいは核軍縮についてのその交渉を適当な時期に核兵器国によって開始をしてもらうと。こういったかなり踏み込んだ提案日本政府としていたしまして、結局これはオーストラリアとの共同提案という形になりました。  いずれにせよ、来週末に向けて、この会議は続いているわけですが、いよいよその最終文書取りまとめ等作業もやっておりまして、日本としてできるだけこれを成功に導けるように引き続き努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  10. 森山裕

    森山裕君 それでは関連をして少し伺ってまいりますが、核保有国五カ国の代表が五月一日に核兵器廃絶という究極の目標に取り組むことを再確認するとする共同声明を本会議提出をされたようであります。一方、この会議においては、メキシコ、スウェーデン、南アフリカなど七カ国による新アジェンダ連合が、もはやこれまでのように核を持つ国に任せてはおけない、核を持たない国が動かしていくのだということから、核保有国に対して核廃絶を明確に約束をし、核不使用の政策を固める核軍縮交渉を始めるように強い要望をしています。  そこで伺いますけれども、このような新アジェンダ連合動きをどのようにとらえておられるのかということであります。  また、次に伺いますが、日本は従来から核廃絶核軍縮については理解と協力を求めて進めていくという立場をずっととってきていると思いますけれども、この考え方、やり方は今後とも方針として変わらないのかどうかということを、お聞かせいただきたいと思います。  次に、核保有国五カ国と新アジェンダ連合との主張には大きな隔たりがあると思いますけれども、この中にあって日本橋渡し役を果たしていきたいということのようでありますけれども国際社会の中では日本も核の傘で守られているのではないかという批判も一部にあります。このようなことを考えますと、大変難しい橋渡し役になるのかなというふうに考えますけれども、このことについての基本的な考え方をお聞かせいただいて、この質問最後になりますが、五月十九日の最終日には各国合意というものが得られるというふうに思っておられるのかどうか、見通しについて少しお聞かせをいただきたいと思います。
  11. 山本一太

    政務次官山本一太君) 今、先生の四点の御質問お答えをしたいと思います。  まず、アジェンダ連合動きでございますが、そのアジェンダ連合の核不拡散あるいは核軍縮に対する基本的姿勢については日本政府としてもこの姿勢を評価していると言っていいと思います。ただし、そのアジェンダ連合の出している提案につきましては、先ほど先生がおっしゃった核兵器国との核軍縮あるいは核不拡散に対する考え方、その達成の仕方とやや意見の相違があるところもございまして、これは核軍縮というものは現実的に言いますと核兵器国のある程度合意がなければ進まないということも踏まえて、やはりそこら辺のところは現実的なアプローチを探すべきではないかというのが基本的な日本政府立場でございます。それが最初の質問お答えになると思います。  二つ目日本姿勢でございますが、これはもう申し上げるまでもなく、日本唯一核攻撃を受けた国ということですし、先ほど河野大臣のこともお話を申し上げましたが、国連で毎年究極的な核廃絶の決議も出しておりますし、CTBTに対する日本の長年、ここ数年来の非常に大きなコミットメントも国際社会から認められておりますし、当然核軍縮、核不拡散に対してはできるだけ可能な限りのリーダーシップを持ってこれを進めていくという姿勢には一切変わりがないというふうに申し上げていいと思います。  三つ目の御質問アジェンダ連合核兵器保有国との間の調整努力がかなり難しいのではないかとのお話でございますけれども、今回各国国連常駐代表、三十カ国以上の代表といろいろとお話をしたりする機会もあったわけですけれども、その日本の持つユニークな立場、すなわち核兵器国アジェンダ連合との間の橋渡しができるという、このユニークな立場についての評価というものはかなり幅広くあるというふうに感じました。必ずしも、この違いを埋めていくというのはなかなか容易な作業ではありませんが、今回の八項目提案というもの自体がかなりすそ野の広い意見を反映したかなり現実的なものであるということも含めて、日本として十分橋渡し努力ができると思いますし、この八項目提案でそういう期待もあると思いますし、最後先生の御質問とも絡みますけれども、いろんなまだまだ幾つかの問題があって、合意までの道のりは決して容易ではないと思いますけれども最後まで日本政府としてできるだけの努力をする、こういうことであると考えております。
  12. 森山裕

    森山裕君 今、政務次官がおっしゃったとおり、被爆経験を持つ世界唯一の国家でありますから、ある意味では日本意見というのは理解をされやすいという面もあるのかもしれません。そういう意味では、ぜひ今後とも引き続き御努力をいただいて、最終日にいい結論が出るように頑張っていただきたいと要望を申し上げておきます。  次に、国際移住機関憲章改正関連をして質問をいたします。  先日、私は緒方貞子国連難民高等弁務官講演をされた記事を興味深く読ませていただきました。その記事によりますと、冒頭で次のように緒方高等弁務官は述べておられます。   私が一九九一年に国連難民高等弁務官としてジュネーブに赴任したときには、冷戦も終わっており、難民問題も解決していくのだろうと楽観していた。しかし国際政治は新しい段階、つまり大量難民が生まれる時代を迎えた。   赴任したころ世界難民避難民は千七百万で、ピーク時の九六年には二千六百万。今は二千二百万とはいえ、この数は中規模の大きさの国に当たる。 さらに、講演の中途で、「昨年はコソボ東ティモール、チェチェンの問題で多忙を極めた。この三カ所に共通するのは分離・独立民族対立といった問題が絡んでいることだ。」「東ティモールは、住民投票独立が決まった。ところが独立反対派による暴動や殺りくが起き、西ティモールへ約二十万人が難民として流出した。」と述べておられます。  まさに冷戦後も局地的な紛争はむしろ多発をしており、武力紛争発生をするたびに、その直接的な被害に直面をする難民の姿が報道されております。このような武力紛争の直接的な被害者である難民を安全な場所に移動させ、武力紛争終結後に本来の生活の場所に安全に帰還をさせることが、人道的観点のみならず、関係地域の安定にとっても大変重要なことであると考えます。  我が国は、難民等に対する人道援助国際貢献の重要な柱の一つとして位置づけており、難民に対するこのような支援を行っている国際移住機関IOM活動をより一層積極的に行っていくことが大事だと考えます。  さて、東チモールについてでありますが、IOM国連難民高等弁務官事務所とともに東チモール難民に対する支援を行っており、その活動に敬意を表する次第であります。  河野外務大臣は、四月二十八日から五月二日までの日程だったと思いますけれども、シンガポール、インドネシアを訪問された後、我が国の閣僚としては初めて東チモールを訪問されました。  そこで、外務大臣にお伺いをいたしますけれども、まず、東チモールの地に立たれたときの第一印象というものをまず伺ってみたいと思います。  引き続き、時間がありませんのでお尋ねさせていただきます。  次に、国連東チモール暫定行政機構代表であるデメロ氏と、それから独立運動指導者シャナナ・グスマン氏と会談をされたということのようでありますが、その会談内容について、差し支えなければお聞かせいただければと思います。  次に、我が国復興開発支援策として、目に見える形の支援として早期実施方針人材育成支援策説明されたようでありますが、具体的にどのようなものだったのか、お聞かせをいただきたいと思います。  最後に、邦人援助関係者と面談をされ激励をされたというふうに報道されておりますが、邦人関係者意見というものはどういうものがあったのか、何を望んでおられるのかをお聞かせいただければありがたいと思います。  以上であります。
  13. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員からお話がございましたように、私は東チモールへ行ってまいりました。  東チモール印象は、飛行機から見た感じは、大変美しい海と非常に緑豊かな島、しかし相当な山もあるという状況でございました。飛行場そのもの飛行機十分着陸もできますし、飛行機から降りてすぐ飛行場の横にございます事務室に入って、出迎えてくれましたデメロ氏と若干の話をするという部屋ぐらいは残っておりました。しかし、今お話がございましたように、独立派と反独立派といいますか、その間の大変厳しい対立というものは想像以上のものがございました。  昨年八月三十日に住民投票によって独立ということになったわけですが、それ以後独立に反対する人たちのいわば暴動といいますか、によりまして、かつてあったに違いない商店街はほとんど惨たんたる状況になっているということでございます。  私は、コソボにも昨年参りましたけれどもコソボ被害東チモール被害は根本的に違いますのは、コソボはやはり爆撃によって壊されている、爆薬によって爆破されているという状況でございますのに対しまして、東チモール商店街は、恐らく丸太ん棒かこん棒で窓ガラスをたたき割って壁をぶち壊して、そしてうちの中にあるものを全部外に引きずり出して壊しちゃった。それは、壁といわず屋根といわずトイレの便器に至るまで、もう全部ぶち壊した。しかもそれは、一軒残らずと言うと少しオーバーになりますが、恐らく九十数%までそうした状況であるように見受けられました。  したがいまして、そこに恐らく平和に住んでいたに違いない住民たちも、一時は山の中に避難をする、あるいは議員お話しのように西チモールの方へ避難をする、そういう状況であったと思いますが、その後治安が現在回復いたしまして住民たち相当程度町へ戻ってきております。戻ってきておりますが、住むべきうちはございません。したがいまして、恐らくかつて住んでいたであろう地域の近くに、掘っ立て小屋といいますか、あるいは中には簡単な屋根だけつくったところにじっと座っている、そういった状況でございます。もちろん、町の一角には市場どももう既にできまして、その市場には相当な人だかりをするというような状況でもございました。  そこで、国連から派遣をされましたUNTAETの代表でございますデメロ氏、国連東チモール暫定行政機構事務総長特別代表でございますが、このデメロ氏と会って話をいたしましたところ、デメロ氏が一番心配をいたしましたのは、国際的に一時は東チモールに非常に目が向いて、国際社会東チモールのことを大変心配した。しかし、それがもう目は別の方に向いているんじゃないだろうか。  これは、国際社会動きの中にいわゆるCNN現象とでもいいますか、つまりCNNテレビカメラが向いている間はそこにみんなが関心を持つけれども、そのCNNテレビカメラが別の事件カメラを移してしまうと、もうそれまでの大変な事件というものは忘れ去られていってしまうのではないか、こういうことをデメロ氏はしきりに心配をして、彼は、G8の外相会議などがあったらそこでぜひ河野さんからも東チモールの問題について問題提起をしてもらいたいというようなことをしきりに言っておりました。  それからもう一方、これはチモール抵抗民族評議会の議長でございますシャナナ・グスマン氏ともお目にかかりましたが、グスマン氏は、東チモールに対して大いに国際社会から援助の申し出もある、しかし、それが目に見えた形で復興の姿が我々の目の前にないのだと。今、東チモールで八十万と言いますけれども、八十万人口の中で一説によれば八〇%が失業者だと。つまり、仕事が何もないんだと。その八〇%失業者、これは人によってパーセンテージは大分違いましたけれども、少なくともディリの町の中では大変失業率が高いわけですが、その八〇%と言われる失業者が、仕事がしたいんだけれどももう何の作業も目の前では行われない。早く目に見える復興のための仕事を始めてほしいということをしきりに言っておられました。  我が国として、東チモール復興に対しては積極的な支援をいたしておりますから、これはUNTAETからこういうプロジェクトをやろうと言ってくれば、それが具体的に作業に取りかかれるような準備を我が方としてはできておりますから、どうぞひとつ具体的な計画と作業について早く計画をつくり上げましょうというような話をしてきたわけでございます。  それからもう一つ、こもごも言われたことは、うちは直せば直る、しかし今大事なことは人材だと。つまりこれから国づくりをやらなきゃいけない。かつて我が国でも国づくりは人づくりなんという言葉がございましたように、とにかく人材を自分たちは育てなきゃいけない。その人材を育てるためには、例えばインドネシアとかシンガポールとかあるいはフィリピンとか、そういうところにかつて東チモールの人が留学生で出ていた学生がいる、それがもう学費も送れなくて本当に困っている、そういう学生に対する支援がほしい、こういうことも言われました。  もちろん小学校に対する支援も我が方としては具体的に行っておりますが、そこでシンガポールに参りまして、JSPP21、日本・シンガポール・パートナーシップ・プログラム21というスキームがございますから、そのスキームで日本とシンガポールが協力して東チモールからインドネシアに留学している学生に対して支援をしようと。あるいはそれは必ずしもインドネシアと限らなくてもいいかと思いますけれども、つまり留学生に対する支援日本とシンガポールと両方でやろうと。あるいは、シンガポールとの間の話し合いは、シンガポールで公務員の研修なども思い切ってやろうではないかということなども話をいたしまして、シンガポールの外務大臣とは、それはいい、ぜひ公務員の研修を日本と一緒にやろうじゃないかというようなことで合意をして戻ってきた次第でございます。  邦人は、東チモール、現地で五、六十人の日本から東チモールに行っているNGOでございますとか援助関係者、あるいは国連東チモール暫定行政機構の中で職員として働いている方、そうした方々に五、六十人集まっていただいて私はお話伺いました。医療、病院を初めとしてさまざまな分野で大変積極的に働いておられます。赤道の直下で大変暑いところ、しかも冷房のあるスペースなどはほとんどないわけでございますから、大変な厳しい環境の中で、しかし意気軒高、大変積極的に活躍をしてくださっているこうした人たちに会いまして、激励をすると同時に私自身も大いに力を得た次第でございます。
  14. 森山裕

    森山裕君 終わります。
  15. 松前達郎

    ○松前達郎君 民主党・新緑風会の松前です。  きょうは国際原子力機関その他承認案件が三つあるわけでありますが、まず最初に国際原子力機関の憲章改正関係、これについて幾つかお伺いしたいと思うんですが、先ほど森山委員質問の中に、現在ニューヨークで行われているNPTの再検討会議状況等について質問がありました。これについては山本政務次官から詳しい御報告がありましたので、私からはその質問は省略をさせていただきたいと思います。  次に、IAEAの憲章第六条について具体的な内容の問題なんですが、今回、理事国の数の拡大が行われる。従来からの途上国側の要求を反映したものだと私は思いますけれども、具体的にはいかなる国あるいはいかなる地域からの要求が強かったのだろうか、これらを含めまして、今回の理事会構成の見直しの背景についての説明についてお伺いしたいと思います。
  16. 山本一太

    政務次官山本一太君) 先生御存じのとおり、IAEAは一九五七年に設立された機関でございまして、設立された当初は恐らく数十カ国の加盟国だったんだと思いますが、現在百三十カ国にふえております。当然IAEAの加盟国の増加等に伴い理事会の構成を見直すという動きはこれまでもございまして、今まで合計三回、憲章第六条の改正によって構成の見直しをやってきたという経緯がございます。  一九七〇年代以降は大幅な改正というのが行われなかった状況であるわけですけれども、特に加盟国が着実に増加をしてきたということで、アフリカ、中東、それから南アジア地域、ここら辺が中心になって、理事会の構成を改めて九〇年代半ばから見直すべきだという声が強くなってきた。そして、その必要性の認識が広がってきたということが経緯だと思います。  一応、これも先生御存じのとおり、こういう状況を受けて、おととしの六月以降この理事会の議長国であった日本政府我が国から提出をされた改正案をたたき台として協議が行われまして、昨年の十月に理事国数を実質的に五プラス三で八カ国増加をさせる憲章改正案が総会において採択をされた、こういうことでございます。
  17. 松前達郎

    ○松前達郎君 今回、我が国改正案を出して努力をされたというふうに伺っているんですが、この中で特にイスラエルなんですが、いずれの地域グループにも属していなかったと思うんですね。このイスラエルを地域グループに属させる、そういう意味があるのではないかと。この意味合いがもしあるとすると、それについて、河野外務大臣、お考えをお伺いしたいと思います。
  18. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 今、山本政務次官から申し上げましたが、今回の改正によりまして、これまでいずれの地域にも属していなかった、したがって理事国ともなり得ない、そういう立場のイスラエルにも理事国となる機会を、理論的には理事国となる機会が与えられるということになるわけでございます。  これは、イスラエルに原子力利用国としての応分の責任を求めることにつながるわけでございまして、国際的な核不拡散と安全保障の確保に対して意味のあることだというふうに考えておるわけでございます。
  19. 松前達郎

    ○松前達郎君 イスラエルがそういうことで責任と義務を負うことになるんですね。  しかし、今回の改正のためには十分の九以上、多数の賛成が必要だ、こういうふうに聞いているんですが、これが果たして発効するための十分の九が得られるかどうか大変難しい問題だと思いますが、これは懸念として私も持っているんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
  20. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御指摘のとおりだと思います。この改正の発効要件は、全加盟国の三分の二が自国の憲法上の手続に従って受諾をし、かつ各加盟国がいずれかの地域に割り当てるすべての加盟国の表を理事会が十分の九の多数により採択をした後、さらに総会が十分の九の多数によって確認をすると。大変厳しい条件がこの発効の要件になっております。
  21. 松前達郎

    ○松前達郎君 この点はぜひ御努力いただいて、発効可能になるようにお願いをしたい、こう思います。  次に、国際移住機関憲章改正に関係しての質問なんですが、これは難民問題を扱う国際機関としてほかに代表的なものとしてあるのが国連難民高等弁務官事務所というのがあるわけでありますが、この両者の役割の違い、協力体制、これはどういうふうになっているんだろうか。この辺につきまして説明をお願いしたい。
  22. 山本一太

    政務次官山本一太君) 簡単に申し上げますと、国連難民高等弁務官事務所、UNHCRは難民の関係国による受け入れの促進等を行う、例えばキャンプみたいなものをつくる、これに対して国際移住機関は輸送その他のサービスをする、簡単に言うとそういうことだと思います。  この国際移住機関憲章の一条に、難民等の分野に関する国際機関とこれは緊密に協力をしていくと、その協力は関係機関の権限を相互に尊重して実施するという旨の規定がございまして、こういうことに基づいてUNHCRと協力をしているという、こういう構図でございます。
  23. 松前達郎

    ○松前達郎君 PKOの協力法ですね、これに関して、国際移住機関の要請に基づいて人道的な国際救援活動への協力あるいは物資協力が可能になっている、こういうふうに理解しているんですけれども、現在まで行った実績はないと思うんですね。  これは、国際移住機関からの要請がないから行わなかったのか、あるいは先方からの要請を待っているだけではなくて、こちらの方から協力を働きかける姿勢がなかったのかどうか。これあってもいいんだろうと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  24. 山本一太

    政務次官山本一太君) 先生お話のとおりなんですが、国際移住機関がこれまで我が国に対して人道的な国際救援活動への参加、物資協力の実施について要請を行ったということはありません。しかしながら、先生御指摘のとおり、我が国としては従来から同機関の活動に対して資金面の協力を行っておりますし、拠出金の分担国としては恐らく第二位であるというふうに考えております。  今後、国際移住機関より具体的な要請があれば、その要請に基づいて十分な検討を慎重に行い、人道的な国際救援活動への参加、物資協力を行ってまいりたいと考えております。  ちなみに、先生おっしゃったとおり、平成四年の国際協力法の成立以来、UNHCRの要請を受け、人道的な国際救援活動ということでルワンダであるとかあるいは東チモール等については難民救援を行ってきたということは御存じのとおりでございます。
  25. 松前達郎

    ○松前達郎君 今回の改正について、全体を包括的に見て、国際移住機関の組織強化及び意思決定方式を簡素化するんだと、こういうことが目的とされていると思うんですけれども冷戦終結後前後で比較した国際移住機関を取り巻く環境の変化、これもう非常に大きく変化していると思うんですが、これとそれから憲章の改正等に至った経緯、背景、これについて全体的にひとつ御説明いただきたいと思います。
  26. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員御指摘のとおり、東西冷戦終結後、先ほど森山議員の御質問の中で御指摘がございましたように、難民あるいは国内避難民の数というものは大変に激増しているわけでございます。こうした状況に対応するということのために国際移住機関強化しなければならないということがございます。  なぜ、そうした国内避難民あるいは難民が激増したかということは、もう議員御承知のとおり、民族的、宗教的対立が各地で表面化をしてきたということなどがございまして、このためにでき得る限り難民輸送などのサービスを早急に効果的に行わなければならないという必要性が認識されてきているという状況にあると思います。
  27. 松前達郎

    ○松前達郎君 それでは次に、日本国譲許表修正に関する確認書の関係、これについて二、三質問させていただきます。  森総理の外遊、初の外遊ですね、このときに各国首脳とそれぞれ会談をされた。その中で、WTO次期交渉についてはどういう意見交換があったんだろうか、これをまずお伺いしたいと思います。そしてまた、次期交渉の立ち上げがあると思うんですけれども、これに向かってどういう点がその重要なポイントとなるのであろうか、これについて外務大臣の御所見を伺いたい。
  28. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 今般の森総理の欧米訪問の中で多数の首脳と会談をしておられますけれども、私どもが伺っておりますところでは、この首脳会談の中で、特にクリントン・アメリカ大統領及びプロディ欧州委員長との首脳会談では、WTO新ラウンドの立ち上げに向けて御議論があったと承知をしております。いずれも新ラウンドの立ち上げについて協力をしようと、やろうじゃないかと、こういうお話があったというふうに承知をしております。  そして、今、議員お話しのように、WTOの早期立ち上げについて我が国としてもこれは積極的にやっていかなきゃいけない、多角的自由貿易体制を進める上でこれは非常に重要なことだということを考えて、アメリカ、EUとの間で今議論、調整をいたしておるわけでございますが、しかし、この問題は途上国の理解といいますか、途上国にとって魅力的な提案が出せるかどうかということが新ラウンド立ち上げのために非常に重要だというふうに思っているわけでございます。  私どもとしては、米国あるいはEUと話し合うと同時に、彼らに対してこの途上国、つまりややもすれば消極的なこうした国々に対してどういう働きかけを具体的に行うことがいいかということも相談をしているという状況でございまして、先ほども申し上げましたとおり、我が国の国益を考え、新しいラウンドを立ち上げる努力をしていかなければならない、こう思っております。
  29. 松前達郎

    ○松前達郎君 あともう一つあるんですが、米の関税化の問題なんですね。これは、譲許表改正、これがまだ提出されてこない、見送られてそれがずっと続いている、ウルグアイが異議申し立てている、こういうふうに聞いておるんですが、ウルグアイが反対している理由、あるいは今後国会提出時期の目途についてありましたら、お知らせいただきたいと思います。
  30. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御指摘の我が国の米の関税化につきましては、唯一ウルグアイが異議を唱えているわけでございまして、このウルグアイが異議を撤回しないために譲許表修正が実現していないということでございます。  ウルグアイは、関税の設定方法などの技術的観点からさらに検証したいということを言っておるわけでございまして、こうしたことから異議申し立てを行っているというふうに承知をいたしております。  我が方からは、ウルグアイに対しまして、我が国の米の関税化はWTO協定にのっとったものであるということを説明いたしまして、ウルグアイ側の理解を得て早期に異議が撤回されるよう働きかけております。これは、農水省を初めといたしまして議員の方々からも、ウルグアイに対して直接間接の働きかけもあるというふうに承知をいたしております。
  31. 松前達郎

    ○松前達郎君 以上で、この承認案件についての質疑は終わります。  今度は防衛庁なんですが、防衛庁設置法等の一部改正、この前この委員会で審議されましたが、この中に特別警備隊の新設という問題が盛り込まれていたんです。これは新設という呼び方で盛り込まれたんじゃなくて、人件費の予算化という格好で盛り込まれていたと。これは、我が国の海域に入る不審船についていち早く対応しなきゃいけない、こういうことだと思うんですけれども、このためにはやはり非常に情報が必要になってくる、こう思うんです。いち早く対応するためにはどうしてもそれが必要である。  この情報収集について、今政府が計画している四基の情報収集衛星がございますね。そのうちの二基は合成開口レーダー、解像力が二メーター程度だというふうに私は思いますけれども、この利用について、これは防衛庁としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  32. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) お答えいたします。  防衛庁といたしましては、専守防衛、これを旨としておるわけでございますが、各種情報機能の充実は極めて重要でございまして、いわゆる長い耳、よく見通せる目、こういったものを持つことが情報収集として大切かと思っております。我が国独自の衛星から得られる画像情報は、そういう面で極めて意義があるものである、かように考えておるわけでございます。  これは、松前先生、多年にわたって御研究いただいておる問題でございますから、衛星につきまして申し上げると釈迦に説法のような感もいたしますが、政府が導入に向けて取り組んでいる情報収集衛星は、光学センサーの分解能が一メートルと非常に精密でございますし、夜間でありますとか悪天候時におきましてもデータの入手が可能な合成開口レーダー、分解能が一メーターから三メーターぐらいと、こういうものを搭載する予定でございます。  防衛庁といたしまして、このような能力を持つ情報収集衛星や各種情報収集手段をあわせて利用することによりまして、不審船への対応を含め、多様な事態に有効に対応することが可能になると期待をいたしておるものでございます。
  33. 松前達郎

    ○松前達郎君 この衛星からの情報というのは広域な情報がとれるんですね。そういう意味で、例えば領海内に入ってきた不審船、領海といったら狭いですから、それからせいぜい接続水域を入れたとしても四十四キロしかない、この中に入ってくるのを待っていて、その中で見つけても、江田島からヘリコプターで出動して、はるばる例えば新潟沖あたりまで行くのに時間がかかるんですね。しかもパラシュートでおりようという、007じゃないんですけれども、そういうふうな感じを私は抱いたんですけれども。  それより前に、不審船になるかどうかわかりませんが、船の行動については常に把握しておく必要があるんじゃないか。北朝鮮の不審船を韓国の警備艇が追いかけているのも衛星できちっと出てきますしね。そういうことですから、この衛星の利用というのは十分されていいのではないか、こういうふうに思っております。  収集された情報、これについては、内閣安全保障・危機管理室ですとか防衛庁ですとか、あるいは警察庁ですとか国土庁、環境庁、外務省、厚生省、農水省、いろんな利用の方法があるわけです。環境なども非常に重要です。そういう面で、いろんな利用が考えられるんですが、この中で外務省も恐らく何らかの利用を考えておられるんじゃないかと思うんですが、もしありましたらお答えいただきたいと思います。
  34. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 現在、具体的にどうということを申し上げる状況ではございませんが、しかし、今、議員が御指摘のように、非常に幅広い情報の収集ができるということは大変外交の充実といいますか、外交政策の充実といいますか、そういうことに資するものになるというふうに私ども考えております。  こうした情報が有効に活用される、正しく有効に活用されるように我々としても十分研究をしてまいりたいと思っております。
  35. 松前達郎

    ○松前達郎君 例えば北朝鮮の寧辺にある北朝鮮の原子力施設、これも衛星が見つけたんですね。ですから、そういうような意味で外交的にもそういった根拠を持った交渉をする、交渉の裏づけとなる場合が出てくるんじゃないだろうか。たしかこの情報はアメリカが使っていろいろと交渉を開始したということですから。  これは衛星情報ですから、特に直接攻撃に携わるようなものではありませんから、情報を収集する方ですから、そういう面を、これから情報化時代ですから、情報が力を持つ時代ですから、その辺もひとつせっかく上げるんだったら非常に幅広くこれを活用していった方がいいのではないか、こういうふうに思っておりますので、蛇足になるかもしれませんが、私からお願いをしておきたい、こう思います。  以上で終わります。     ─────────────
  36. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) この際、政府参考人出席要求についてお諮りいたします。  三件の審査のため、本日の委員会海上保安庁次長長光正純君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  38. 益田洋介

    ○益田洋介君 海上保安庁来ていますか。一体何しているんだ、君たちは。一日にまた中国の調査船が入ってきただろう、鹿児島に。どうしたんだ、それで。報告してくれ。六日までうろうろしたというじゃないか、報告してくれ。
  39. 長光正純

    政府参考人(長光正純君) 先生、御指摘の中国海洋調査船、五月に入って二隻、本年累計で四隻になりますけれども我が国の排他的経済水域内で調査活動を行いました。  これに対しましては、従来から、我が国の同意を得ていない海洋調査活動につきましては中止を求め、さらには直ちに中止あるいは域外退去しない場合には引き続き追尾監視を行い、繰り返し中止要求、退去要求を行ってきたところでございます。この間、これもこれまでと同様に対応しておりますが、外務省等関係機関とも密接な連絡をとりながら対処してきたところでございます。
  40. 益田洋介

    ○益田洋介君 中止勧告するだけだよ。それ以上何もできないわけ、現行法では。国際海洋法に違反しているんじゃないの。領海の十二海里とそれから排他的経済水域の二百海里、それは何の通告もなくて調査することは認められていないでしょう、国際海洋法上。どういう対応できるの。
  41. 長光正純

    政府参考人(長光正純君) 先ほどもお答え申し上げましたけれども、海洋法条約上、我が国の同意を得ていない海洋調査活動につきましてはこれは認められないということでございますが、これに対して、先ほど申し上げましたような中止勧告あるいは域外退去の勧告以上に何らかの措置をとり得るかにつきましては、現行法の範囲内でまた関係省庁等とも連携をとりながら対応してまいっているところでございまして、現在までのところ、申し上げた勧告にとどめておるところでございます。
  42. 益田洋介

    ○益田洋介君 関係各省と連絡をとりながらと。具体的にそれじゃ何ができるんだ。連絡とったってしようがないじゃないか、そんなの。こんなことを何回も何回も繰り返していいのか。尖閣諸島でとられたじゃないか。同じことだよ、これ。  もし、法的に何の措置もできないのだったら、現行法上では、何で立法府に言ってこないんだ。具体的にこういう法律をつくってくださいと。そのためにあるんだろう、国会というのは。笑いものだよ、これ国際的に。日本は何しているんだと言われるよ。中止勧告しているだけの話じゃないか。一週間もうろうろさせて、ほかに手が打てないんだろう。だったらこういう法律をつくってくださいと言ってくればいいんだ。何で言ってこないんだ。答えてみろ。
  43. 長光正純

    政府参考人(長光正純君) 先生御指摘のとおり、現在こういった調査活動自体に対する直接の国内法に基づく規制はございません。これにつきましては、私ども、与えられた法律の権限と申しますか範囲内で対処してまいっておるところでございまして、私どもも含め政府全体で検討していただくことではないかというふうに思っております。
  44. 益田洋介

    ○益田洋介君 だから、何で具体的にこういう法律をつくってもらいたいと言ってこないのかと聞いているんだよ。こんなもの放置しておいていいわけないじゃない。いいと思っているの。国民の安全保障というのをどういうふうに考えているんだ、君は。きちんと答えてみろよ、そんな。
  45. 長光正純

    政府参考人(長光正純君) ただいま申し上げましたところでございますけれども、私どもといたしましてもこういった活動については中止されるよう、あるいは同意を得ていないわけですから、域外に退去するよう、今までも繰り返し要請してきたところでございまして、それ以上の対応をいかにするかについては、またほかの関係機関とも密接な連携をとりながら検討してまいることではないかというふうに思っております。
  46. 益田洋介

    ○益田洋介君 関係機関と協議したって何にも進展しないんだよ。そうでしょう。どういう具体的な進展があるんだ。ないだろう。  だから、法律の限界まで来ているんだから、新たに法律をつくってください、あるいは条約を結んでください、そういうふうな提案をしてくるべきだろう。そうじゃないの。姿勢が前向きじゃないんだよ、君のところは。もっと具体的に言ってみろよ。何でできないんだ。何でこういう法律をつくってくださいと言ってこないんだ、立法府に。それに対して答えろよ。時間の無駄だから。
  47. 長光正純

    政府参考人(長光正純君) 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、現在の法律に基づいて私どもとっている措置、繰り返し申し上げたところでございますけれども、こういったものに対してさらにどういったことができるか、改めて検討して、関係機関とも諮って検討してまいりたいというふうに思っております。
  48. 益田洋介

    ○益田洋介君 きょうは長官はどうしたの。
  49. 長光正純

    政府参考人(長光正純君) ちょっと長官は所用がございまして不在でございました。
  50. 益田洋介

    ○益田洋介君 あなたとそんな繰り返し先行きの見えないような議論をしていてもしようがないから、長官に来るように言ってくださいよ。国会を何だと思っているんだ、長官は。何で来られないんだ。答えてみろ。
  51. 長光正純

    政府参考人(長光正純君) 長官は別途の所用がございまして、本日御通告いただいたときには出席できない状況であったということでございます。
  52. 益田洋介

    ○益田洋介君 これは国の一大事なんだよ。二百海里の水域の中に調査という名目で、何の調査をしているか知らないけれども、通告もなしに、ことしになって四回目だよ、入ってきたの。そんなことを放置している国家なんかないんだよ、世界じゅうどこを見たって。これは戦闘状態に入ったっておかしくないんだよ。領海侵犯なんだよ。田先生に言わせれば十二海里だとおっしゃるけれども、二百海里だってだめだよ、そんなの。何でこういう大事な会議長官は来られないんだ。理由を言ってみろ。
  53. 長光正純

    政府参考人(長光正純君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、本日御通告いただいた際に、別途の所用がございまして出席かなわない状況にありましたということでございます。深くおわび申し上げます。
  54. 益田洋介

    ○益田洋介君 時間がもったいないから、具体的にどういうふうにこれから措置していくのか、前向きにこの問題の解決法、方策について書面で当委員会提出してもらいたい。法律を改正するなら改正する、追加するなら新法をつくる、そういうふうな提案を文書で出してもらいたい。  委員長、よろしゅうございますか。
  55. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 別途理事会で協議をさせていただきます。
  56. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは外務大臣にお伺いいたします。  昨夜、来日中の唐家セン外交部長と対談をされたというふうに伺っております。これは特に多分サミットについての意見交換をされたのに加えて、日本からの対中ODAに対する認識、見解、こういったものを前回、前々回外務大臣に私お尋ねした経緯もございますが、そういったこともお話し合いになられたというふうに伺っておりますが、差しさわりのない範囲で、尖閣諸島についてもお話し合いになられましたでしょうか。若干の敷衍をお願いできればと思います。
  57. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員御指摘のとおり、現在訪日中の唐家セン外交部長との間で昨日、日中外相会談を行いました。相当長時間にわたって幅広くさまざまな問題について議論をいたしまして、今、議員御指摘のとおり、サミットにつきましても、沖縄サミットにおいてG8メンバーと議長国として話し合うべき議題をこういうふうに今考えつつあるというようなことについても御説明を申し上げましたし、ODAにつきましても話し合いをいたしました。さらに、議員が今お触れになりました尖閣列島問題についても話をいたしました。どれから申し上げればいいかわかりませんが、まずとりあえずODAから申し上げることでよろしいでしょうか。ODAにつきましては、今日の日本立場から考えれば、中国の高い経済成長、現在八・一%、七%とかあるいは八%と言われる大変高い成長率を見せている中国、そして軍事費についても大変高い伸び率を示しているという中国に対しまして、対中ODAについてもう一度考え方を整理しなければならないと考えています、ということを申しました。  そして、中国に対して、まずは軍事費の透明性を高めてもらいたい、これは総額だけではなくて、その内訳についてもでき得る限りの透明性が必要であるということにつきましても指摘をいたしました。  さらに、日中の経済協力は中国の経済改革を支援するということが基本であったけれども、これから来世紀に向けて何に対して協力をするかということの基本的な考え方についても十分議論したい。つまり、民主化支援、あるいは経済改革支援とこう言ってきたわけですから、これからは何に対する支援というかということについて軸をもう一度議論をする必要が出てきたであろうということを申した次第でございます。  さらに、中国においては我が国の対中経済協力に対して、中国政府は中国国民に対して十分理解をさせる努力をしてもらいたいということについても申し述べたところでございます。  これに対しまして、外交部長は、中国政府は日本のODAが中国の経済建設、日中関係の発展に大きな貢献を果たしてきたことを評価し、感謝をいたします。日中経済協力の形はそのときの情勢の変化によって変革が必要にはなるが、いかなる形にせよ両国間の協力が順調に進んでいくことを期待します。今後の重点分野あるいは新しい協力の考え方、その分野について双方で研究をしていく必要があると考えている。国民に対しても論文や報道などの手段を通じて、日本の協力の内容そしてその成果を紹介する努力を今後とも続けます。こういう話し合いがございました。  さらに、尖閣列島をめぐる話し合いにつきましても、先般の日本青年社の行動について先方から触れられましたので、我が方からは尖閣列島に対する我が国立場、主張というものは、もう累次にわたって述べてあるからよく御理解いただけているものと思う、したがって今の御指摘については事実関係だけを御説明いたしますということを申し述べ、さらに我が国の原則的立場を述べたということでございます。
  58. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。  昨年九月に北京の空港ターミナルが我が国からのODA三百億円でございますか、援助の供与を得て完成したわけでございます。ことし二月になって突然株式会社にするんだと。早速香港のストックエクスチェンジに、株式市場に上場いたしました。  我が国のODA大綱にはやはり政府に対して公共施設の建設、開発の援助をするということを建前にして拠出しているわけでございますから、株式会社にして利益を得る、上場して投資益も得る、こういうふうなことのためにODAというのが使われているわけでございます。こういう現状を外務大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  59. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) まず、事実関係について申し上げたいと思いますが、今、議員が御指摘になりましたように、株式化という措置を中国側がとったことに対しまして我が方から中国側に対して、こうしたことは少なくとも事前に我が国に協議があってしかるべきであろうという旨、申し入れをいたしております。  これに対しまして中国側から、今回の件については大変遺憾であり、今後はこのようなことがないようにしたい、こういう回答が来ているということをまず申し上げておきます。  その上で、確かに議員がおっしゃいますように、国と国との支援でございますから、これが公共的な分野になされるということが重要であるというふうに私も思います。  しかし、これはこの問題ではなくて広く一般論について申し上げれば、例えば国によっては民営化、つまり経済改革というものは、これまでの国営化から民営化に経済を移していくということが経済改革で極めて重要だということがあるとすれば、我が国支援が民営化に向かってプラスになるということもあるというふうには考えていいのではないかというふうに私は思っております。  しかしながら、民営化されることによって我が方の支援した、援助したものが経営の失敗その他で意味のないものになってしまうというようなことであってはならないわけでございますから、そうした点は十分に配慮、注意をしなければならないというふうに思っております。  具体的に本件についてそれを当てはめてみますと、本件の株式化につきましては、円借款の借入人、これは中国政府でございますが、及び実施機関、これは民航総局というんでしょうか、これはいずれも株式化によって変更をされたわけではない、我が国の中国政府に対する債権及び事業目的の確保に対する影響はないということであれば、今私が申し上げたようなことにはならないというふうに思っているわけでございます。  しかし、いずれにしても、冒頭申し上げましたように、こうしたことが事前の説明もなくなされたということについては、我が方として協議があってしかるべきということを先方に申し入れまして、先方からも大変遺憾であった、今後はこのようなことがないようにするというやりとりがあったということを申し上げたい。
  60. 益田洋介

    ○益田洋介君 事前に通告があったとしても、こういうことを許可してよろしいのかどうかという疑問も残ります。  さらには、ODAが三百十億円を投じた上海の製鉄所それから六十三億円を投じた武漢の飛行場、この民営化の計画が進んでいると伝えられている。外務大臣、こういうことばかり勝手にさせておいてよろしいんでしょうか、我が国は。本当に円借款なりODA、国際協力銀行来ていますか、きょう。二十年間で三兆円も貸し込んでいる、中国に。ODAも二十年間で三兆円、締めて六兆円も貸し込んでいる。これは長期の超低利の融資ですよ、みんな。外務大臣、こんなことを続ける必要があると思いますか、我が国は。真剣にこのODAの問題というのは考え直さなきゃいけないんじゃないでしょうか、特に中国に対して。中国だけと申しませんけれども、いかがでしょうか。
  61. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 民営化について私どももしかと調べておりますけれども、現在民営化された案件は北京首都空港のみということに少なくとも現時点ではそういうことになっております。  今、議員お話になりましたように、ODAとしてこの二十年間におよそ二兆五千億前後の資金を中国に出しておることは事実でございます。こうした問題の中で、我々として日中関係というものをどういうふうに維持していくかということも考えなければなりません。それから、物によってというのは変な言い方ですけれども、プロジェクトによって、例えば中国の環境問題に着目をして、中国の環境問題がグローバルな環境問題に大きな影響を与えるということになるとすれば、それについて我が国支援をするということは、これはひとつ考えられていいことではないかというふうに思います。  つまり、私が申し上げたいと思いますことは、ODAについてそれぞれのプロジェクトをもっと精査する必要がある、それから二国間の関係を総合的に、これは二国間の関係というものもまた見ていく必要があるというふうに考えて、冒頭申し上げましたように、対中ODA、これは対中とだけ言わなくてもいいと思います。日本のODA全般について検討をする必要があるというふうに考えております。
  62. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。
  63. 小泉親司

    ○小泉親司君 今回の三つの条約については我が党は賛成であります。  きょうは、日本への核兵器の持ち込みに関する秘密の協定の問題について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  我が党の不破委員長は、これまで、六〇年の日米安保条約改定の際に核兵器日本に持ち込む密約が存在すること、アメリカの公式の記録を示してこのことを明らかにしてまいりました。その内容は、討論記録、英語ではレコード・オブ・ディスカッションというもので、この中身は、第一項では岸・ハーター交換公文を書き、二項のAでは、藤山・マッカーサー口頭了解にあるイントロダクションについては事前協議の対象であるということを書き、二項のC項では、いわゆる核兵器を積載した艦船の一時寄港、それから核兵器を搭載した航空機の一時飛来、こういったエントリーについては事前協議の対象外である、こういうことを明記した秘密協定であります。  この点について、我々は森総理に対しまして外務省が確認すべきだということを要求してまいりました。同時に、一九六三年、これはアメリカの原潜が日本に寄港する問題が起きたときに、当時の大平外相、それから志賀防衛庁長官核兵器の持ち込みは絶対にしないという言明を国会で行いまして、これに対してアメリカ政府が、このような国会の答弁では秘密協定、つまり核兵器日本への持ち込みの秘密協定に対して違反することになるということから大変大きな懸念を表明して、これを日本の外相にただすべきだということを、わざわざケネディ大統領を初めとした中心の対策の会議を開いて、この会議でライシャワー大使に訓令を発して、一九六三年四月四日に大平首相とライシャワーの会談が行われて、大平首相がこのような秘密協定が存在するということを認めて、これからはいわゆるエントリー、核兵器積載艦船の一時寄港、航空機の飛来、こういうものについては事前協議の対象外にするというふうな、そういった答弁を行うということに合意したという文書も私たち明らかにしてまいりました。  当時の、この点では公式記録で明白でありますが、私たちはこの問題で、当時ケネディ大統領を中心として行われたアメリカの核装備艦船の立ち入り、トランジットに関する大統領の会議というものに参加したジョセフ・イエーガー、元アメリカの極東局の東アジア部長でありますけれども、この方にお会いをして、実際そういう会議があったのか、どういうことが話し合いになったのかということを聞いてまいりました。  当時の、イエーガー氏は、私はこの会議に参加したということをはっきりと述べた上で、当時大きな問題になっていたのは、いわゆる核兵器の持ち込みというものをどういうふうに解釈するのか、米国の解釈では核兵器日本に持ち込みそこに残すという、つまり貯蔵がイントロダクションに当たるのであって、核兵器を積んだ艦船が入港するのは導入ではない、通過は制限されていないとの解釈だったということを明白に話しておられます。  このように、当時の国務省の担当者で、一九六三年の当時の大統領が主宰した日本のトランジットに関する会議に参加したイエーガー氏が、我が党の不破委員長が指摘したほとんどすべてのことを認めたという点では、やはりこの核兵器艦船の一時寄港が事前協議の対象外であるというそういう協定が、秘密の協定が存在するということは全く明らかじゃないかと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  64. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 小泉議員は、先般の不破委員長の御質問に次いでこの問題をお取り上げになっていろいろお述べになっておられますが、小泉議員がおっしゃるような米国の公式文書と断定をされる根拠は何なのか。私どもは、そうしたものが米国の公式文書としてあるということは全く承知をしていないわけでございまして、公式文書ありということが確認できるかどうかということをまず私どもは考えているわけですが。  今、議員は、イエーガー氏というケネディ政権当時の方のお話をなさいました。これは私も赤旗でインタビューをされた記事を拝見いたしましたけれども、今日の時点でイエーガー氏を訪問されていろいろと話をしておられるわけでございますが、私どもはむしろ国会の会議録、つまりまさに公式の日本の国会の会議録を見て、例えば鈴木総理は大平・ライシャワーですか、会談その他についての質問に対してそうしたことは絶対ないということを、これはまさに国会の場で明確に否定しておられるわけでございます。私どもは、こうした公式の総理大臣あるいは外務大臣の国会における答弁というものを根拠にして、今、議員からお話のような問題があったというふうには私どもは思いません。  これは、つい先日も森総理が不破委員長の御質問に対して御答弁を既にしておられるわけでございまして、私も議員からのせっかくの御質問でございますけれども、この問題については総理大臣御答弁のとおりでございますと申し上げる以外に答弁のしようはございません。
  65. 小泉親司

    ○小泉親司君 私たちは、ライシャワー大使がラスク国務長官に四月の四日に行った大平・ライシャワー会談について詳細にアメリカ政府にその内容を明示した、そうした公式の電報を送ったというアメリカ政府の公式の資料から明らかにして、外務大臣にないしは日本政府に提示している。しかも、その大もとになったケネディ大統領を中心とする対策会議については、当時のケネディ政権の政府高官であるイエーガー氏がその会議に参加したと言っている。ということは、そういうアメリカ政府の言明は全く間違いであると、こうおっしゃるんですか。
  66. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私は、今申し上げましたように、この問題については日本サイドで、日本側で鈴木総理、明確に大平外務大臣とそうしたことはないということをはっきりと述べているわけでございまして、私はこの公式な発言というものを信頼するというのは、私の立場からすれば当然のことだと思います。
  67. 小泉親司

    ○小泉親司君 私たちは事実関係を明確にしているわけで、ということは事実というのは一つしかないんだから。そっちがあって、我々が提示して、物的証拠も示した事実があって、実際に政府高官であるイエーガー氏に我々が取材をして、実際そういう事実すらも確認するんですか、そうしたら、外務大臣は。
  68. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 繰り返しになりますが、政府として、先般、不破委員長がお示しになったような文書については、小渕前総理も森総理もこれらについてコメントをしないというふうに申し上げているわけでございます。
  69. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、コメントをしないというのと事実関係を認めないというのとは違いますからね。どっちなんですか、あなたは、そうしたら。
  70. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) これはもう明確に、核持ち込み問題に関する密約があるのではないかという御指摘に対してそうしたことはないということは、これはもう累次にわたって明確に述べております。
  71. 小泉親司

    ○小泉親司君 我々は、アメリカの公式の記録に基づいて実際に密約が存在するということはこの間のものでも繰り返し言っておる。例えば、今度のケネディ大統領の対策の会議でも、当時参加した高官の名前は、ジョセフ・イエーガー氏を初め、実際には国務長官や特別補佐官ばかりではなくて副次官補という、実際には全体では五十人近くいるアメリカ政府の人たちも参加して、それが知り得る立場にあるような形での会議で行われているわけであります。だから、実際に例えば六六年に、私たちがもう既に政府にも明らかにしたものでありますけれども日本と琉球列島における合衆国の基地権の比較という報告書の中でも、七二年のレアード国防長官からロジャーズ国務長官への書簡でもその秘密協定の存在というのが明らかになっている。何編も繰り返して言っている。  実際に最近明らかになったアメリカの国務省の文書でも、一九六二年の三月にアメリカ政府が日本核兵器を貯蔵しよう、緊急時に核兵器を持ち込めるような、そういう貯蔵をしよう、つまりイントロダクションを要求した。これ通称空軍ではハイ・ギアー作戦、ハイ・ギアー計画とも言っているそうでありますけれども、この計画の中でも、実際に秘密の討論記録がある、レコード・オブ・ディスカッションが存在するんだということを言っている。もうあらゆる政府文書で、アメリカの政府の文書で、公式の文書でそういうふうに秘密協定の存在を繰り返し言っているわけですよ。  なぜ、こういう秘密協定の存在が明らかになっているのにもかかわらず、日本政府としてはそれを拒否し続けるのか。私、そこが最も外務省の責任として確認すべき事柄ではないんですか。
  72. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、この問題については、つまりこの問題というのは私がまず申し上げたいのは、事前協議の問題につきましては、岸・ハーター交換公文、それから藤山・マッカーサー口頭了解、それだけが存在するのであって、それ以外名称、形式のいかんにかかわらずいかなる密約も存在しないということを我が国政府は繰り返し述べてきているわけで、このことについて米側から何の、何といいますか異論もないという状況がこれまでずっと続いてきているという事実を我々は重く見ているわけでございます。
  73. 小泉親司

    ○小泉親司君 ですから、私たちは現在アメリカの公式文書でこういう秘密協定が存在するんではないかということを提示しているわけで、それに何ら確認もしようがないで、もうひたすら隠し続けるというのは、やはり大変重大な問題だというふうに思います。  先ほど外務大臣は、これが一体公式文書かどうかということをお話しになりましたけれども、そもそもアメリカの外交文書は、アメリカの情報公開法に基づいて、これは日本の情報公開よりも非常に広くできている法律でありますけれども、この情報公開法で外交文書は二十五年にわたって原則として公開されると。  例えば、私も何回かこの情報公開で文書をとりましたけれども、例えばこの文書の中ではアメリカ政府が公開しないものもあるんです、公式文書でも。しかし、公開したものでも大変重要なところは黒く塗りつぶされているものもある。例えば、この間の報告では約七万件近いものが公開されていないというものがある。しかし、私たちが提示している問題というのは広く公開されているもので、このいわゆる公開に当たっても政府がきちんと承認したもとで行われている文書なんです。ですから、これが公式文書じゃない、一体公式記録なのかどうなのかというようなことを言うのは、アメリカ政府のシステムからしても大変おかしい。  実際、アメリカ政府がやりとりしたこと、こういうものも、ここに記載されているものも外務大臣は全部否定されるんですか。
  74. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私が申し上げた意味は、議員が先ほど来からお話しになっているものが事前協議に関する安保条約の関連取り決めについて最終的に決めた公式のものであるかということについて私は疑義を申し上げているわけでございます。  私は、今申し上げたとおり、もう長い間繰り返し累次にわたってそうしたことはないと言い続けてきていて、そのことについて米側も全く異論を言ってこない、異論を差し挟まない。同盟国であるアメリカというものを我々は信頼しているわけでありますから、もし我々の国会で述べているこうした発言についてアメリカ側としてそれが間違っているということであれば、アメリカからは何らかのリアクションがあったでありましょう。しかし、これまでの間そうしたことはないという事実を私は申し上げているわけです。
  75. 小泉親司

    ○小泉親司君 それは外務大臣、リアクションがないとか云々の話じゃないですよ。実際に、私たちはこの公式記録で秘密協定の存在を実際に認めている。それで、イエーガー氏に私たちは、今度の、一九六三年の四月四日に行われた大平・ライシャワー会談について、ライシャワー大使がラスク国務長官に送った電報をイエーガー氏に見せました。これは外務大臣、先ほど赤旗お読みになったとおっしゃったからそのことも知っておられる。イエーガー氏は、実際にこれは当時の国務省の書式であって、間違いない本物なんだということまではっきり言っているわけですよ。  そういう、当時の政府担当者がそう言っている中身まで全部否定するというのは、実際に全くアメリカ政府を大変逆に言えば愚弄した話で、国際的にも私、通用しない話だと思いますが、大臣、いかがですか。
  76. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員にぜひ御理解をいただきたいと思いますことは、三十年、四十年経た今、記憶をたどっていろいろとお話をされるということも非常に大事なことだと思います。しかし、もっとその近くの時点で、日本の総理大臣が、外務大臣のこの発言、行動についてそうしたことはないとあれだけ明確に言っているという事実についても議員に御理解をいただきたいと思うんです。
  77. 小泉親司

    ○小泉親司君 この問題は日米関係の話なんですよ。実際にどこかの日本の首相が勝手にそういうことを言った話じゃないんです。日米でそういうことを言って、実際に食い違っていると、外務大臣の見解では食い違っているというわけですから、事実関係が。実際にはアメリカ政府が、私たちはアメリカ政府が秘密協定が存在するということを物的証拠を示しているわけで、実際に外務大臣が言っておられるのは、何の証拠も示さないでそう言っているんだということを言っておられるわけで、実際にどういう経過でやったかなんて全く明らかじゃないじゃないですか。  私、先ほども一つ外務大臣は、いわゆる事前協議の取り決めは二つなんだと、岸・ハーター交換公文と藤山・マッカーサー口頭了解なんだとおっしゃった。確かに岸・ハーター交換公文は公開されておりますから。ところが、藤山・マッカーサー口頭了解というのは、例えば私どもが、一九六〇年の六月六日に、アメリカの上院でこの新安保条約の議論が始まるそのときに、当時アメリカ政府がアメリカ議会に今度の新安保条約の内容について報告している文書があるんです。  その報告している文書の中には、藤山・マッカーサー口頭了解なんという、そういう取り決めの存在なんというのは何にも記載されていない。逆に、討論記録という、私たちが提案したレコード・オブ・ディスカッションというものが、実際にはその目次がきちんと明記されている。  だから、藤山・マッカーサー口頭了解なんというのは全く私たちは架空のでっち上げだと思いますが、実際にもしそれが、藤山・マッカーサー口頭了解があなた方の言うように実際の取り決めとして存在するのであれば、どこでいつアメリカ政府がその藤山・マッカーサー口頭了解については言っているというふうに答弁されるんですか。
  78. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員の御発言ともちょっと思えない御発言で戸惑っておりますが、昭和三十五年、すなわち一九六〇年一月十九日に岸・ハーター交換公文が署名をされました。そして、藤山・マッカーサー口頭了解がそこであったわけでございます。  このことは昭和四十三年、すなわち一九六八年の四月二十五日、藤山・マッカーサー口頭了解の内容を文書の形にして国会にお出ししているわけでございます。この国会にお出しをしているものというものは、つまり国会で皆さんごらんをいただいて御議論をいただいているということでございますから、こんなものがあったのかなかったのかという議論を今なさるということは私にとっては甚だ心外でございまして、私はもう一度繰り返し申し上げますが、アメリカ側は、これまで事前協議にかかわるものを含め安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する義務は誠実に遵守するとアメリカは繰り返し言って遵守しているわけです。そして、事前協議にかかわる事項については日本政府の意思に反して行動することはないと、日本政府の意思に反して行動することはないと繰り返し述べているわけでございます。  政府としては同盟国であるアメリカを信頼しているし、我々が国会で述べている、そういう状況についてこれは極めて明快に国会で述べているわけでございますから、このことをぜひ理解し信頼していただきたいというふうに思います。
  79. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) この際、申し上げます。定刻が……
  80. 小泉親司

    ○小泉親司君 はい。私が言っておるのは、アメリカ政府が藤山・マッカーサー口頭了解はこういう形で存在しているんだということを認めたものはどこにあるかとお聞きしているんですよ。そんな、外務大臣が言っておられるのは、外務大臣は私の質問をよく聞いておられないかと思いますが、実際に外務大臣の言っていることなんというのはもう何遍も繰り返し、壊れたレコードじゃないけれども日本政府が繰り返し言っていることなんです。  私たちが提起していることは、新しい事実関係で、新しい事実関係に基づいて、アメリカの公式記録の新しい関係に基づいて提起しておるということなんです。だから私たちは、この一連の私たちが日本政府に提起した日本への核持ち込みについての密約が存在するという問題については、外務省が当然やはりきちんと確認すべき責任を持っているし、これはやはりアメリカは公式記録がないんだという形でアメリカ政府を愚弄するような、そして国際的に通用しないような議論を展開するというのはやっぱり筋違いだということを申し上げて、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  81. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 委員長、一言だけ。  議員の御発言でございますから私は十分注意深く伺いましたけれども、先ほど申し上げました藤山・マッカーサー口頭了解の内容を国会にお出しをした後に、上記文書についてはアメリカ側から異存がないという旨の回答があったこともその後国会に報告をしておることを議員は御承知だと思います。
  82. 田英夫

    ○田英夫君 本日の議題になっております条約の中でIAEAの憲章六条の改正の問題で御質問しようと思いましたが、先ほどから同僚委員の御質問がありましたので、ダブるところはやめておきたいと思います。  一つだけお聞きしたいのは、IAEAの問題で一つ気になるのは北朝鮮の問題ですね。北朝鮮のいわゆる核疑惑と言われるものが顕在化してきて国際的に非常に問題となった、その発端のところでやはり北朝鮮のIAEAの離脱という問題があったんじゃないか、こう思うんです。最近、北朝鮮はかなり柔軟な外交姿勢に転じてきているというそういう状況の中で、いわば北朝鮮不信という国際的な動きの発端になったこのIAEAの問題、例えば日朝交渉でいきなりそういう話をするわけにもいかぬでしょうけれども、これがもとに戻るというようなことは考えられないのか。そういうことが起こってくれば非常に国際的な北朝鮮に対する不信感というものは和らげられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  83. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 北朝鮮が昨年後半から本年にかけて非常に活発に対外的な活動をしているということは御承知のとおりでございます。例えば一月にはイタリアと、今月八日にはオーストラリアとそれぞれ外交関係を樹立したり回復したりするという動きがございます。  他方、けさの新聞も報道しておりますが、ARFへの加盟についても積極的な姿勢を見せているという状況にあるわけでございますが、今、田議員御指摘のIAEAの問題につきましては経緯が経緯でございますから、この問題については我々も大いに注目をしているところでございますが、少なくとも現時点で復帰の動きがあるというふうな報告は受けておりません。  ただ、北朝鮮は米朝間の合意された枠組みというもののもとでIAEAに対して一定の協力姿勢を示していることもございます。しかし、IAEAとの保障措置協定を全面的に現在履行しているかというと、それはまだはっきりとしないわけでございまして、さらにIAEAからの協力関係の改善の呼びかけにも今のところこたえているというふうには聞いておりません。
  84. 田英夫

    ○田英夫君 次に、NPTの再検討会議の問題ですけれども、先ほど森山委員が非常にいい御質問をされて傾聴をしておりました。  そこで、私、きょうは山本政務次官にこの八項目の提案について御説明をいただこうと思いましたけれども、これもかなり先ほど触れてくださいましたので繰り返しませんけれども、特に今回、八項目、非常に具体的な問題を提起されたということを私も評価したいと思います。  従来、残念ながら日本政府核軍縮の問題についての態度というのは、確かに一つ姿勢を示し続けてきていたわけですが、私から言えば物足りないという気がしておりましたが、今回のはかなり具体的であります。ただし、具体的ではあるけれども、もう一つインパクトがないと。なぜだろうかという気がして、そういう意味では、専門の勉強をしておられる外務省の担当の皆さんの成果がここに並んでいると思いますが、もう一つインパクトがない。  例えば八項目の二番目にカットオフ条約交渉を即時始めろと。非常に具体的に二〇〇三年、それがだめなら二〇〇五年と、期限を切るということは従来むしろ否定されてきた態度だったと思うんですが、これをはっきりされた点は非常にいいと思います。しかし、それが具体的には二〇〇五年までにそういう状況にあるのかどうか、これは政府としてはどういうふうに見ておられますか。提案をされた以上は、これはやっぱり実現の可能性ありと見ておられると考えていいんでしょうか。
  85. 山本一太

    政務次官山本一太君) 田先生の、今回の日本の八項目提案は評価できるところもあるが、いま一つインパクトがないというお話は、先生の御見識として受けとめさせていただきましたが、今回の八項目は、今、先生に御評価いただいたとおり、三十年のNPTの歴史の中で初めて日本政府が出した具体的な提案という点では恐らく大きな評価をいただけるのではないかと思いますし、私自身はかなりインパクトのあるものだというふうに考えております。  今おっしゃったカットオフ条約に期限をはっきりと二〇〇三年、遅くとも二〇〇五年、こういうふうにつけたということは、かなり野心的なといいますかアンビシャスな、踏み込んだ提案であったと思いますけれどもカットオフ条約をめぐる状況は必ずしも簡単ではありませんが、やはりこうした提案を出して、この精神を何らかの形で最終文書に盛り込むとか、あるいはNPTに呼ばれた加盟国の間に植えつけるということがカット条約を前に進めるインセンティブになる、そのことを信じて頑張っていかなければいけないのではないかというふうに考えております。  それともう一つ、今回の提案を一言で言いますとその心は、核兵器保有国合意を全く不可能にするのではなく、余りにも核兵器保有国に対して対立的ではなく、ある程度彼らの合意が得られるベースを持っているということとプラスアルファ、先生に今御評価をいただいたように、CTBTあるいは特にカットオフの話、STARTの話、さらに踏み込んだ提案もそこで出しているという、いわば現実的に一歩でも進めようという観点からやらせていただいたものだということで、これはオーストラリアが後で共同提案国になってもらったことから考えても、それなりの評価を受けておりますし、さっき森山先生からの御質問ではちょっとお話ができなかったんですけれども、補助機関の中では既に議論のベースになっているということは一言つけ加えさせていただきたいと思います。
  86. 田英夫

    ○田英夫君 まさに山本さんが触れられたところは、今の御答弁は私と政府のお考えとの違いをある意味でずばり言っておられるんだと思うんです。  つまり、私とというのはちょっとおこがましいんですが、この八項目のうちの三番目のSTARTⅡ、Ⅲ、そしてⅢを超えたプロセスへというそういうところにも関連をします。Ⅲを超えたプロセスというのは一体どういうことになるのか。つまり、その次の四番目は核兵器国自身の核軍縮をやれということ、これも当たり前のことなんですけれども。  実際問題としては、五カ国の中で米ロが圧倒的にまだ万で、それがSTARTⅢが終わると二千発とか二千五百発とかいう核弾頭の数になる。そうすると、まだあと残る三つの英、仏、中とは、これは百発単位ですからまだ単位が違う。その次のプロセスというのは、米ロも千発を割ってくるようなところまで行けと、こういうことなのか。  ところが、私などの感覚で考えると、そもそも核兵器国自身にあなた方自身で話し合って核兵器を減らしなさい、なくしなさいという哲学でいいのかということなんですよ。だから、新アジェンダ連合の国々の皆さんの考え方は私と非常に似ていると思います。私はそう思っているんです。そもそも自分たち自身で自分たちの最大の武器だと思っているものをなくしなさいといったって、それはできっこないじゃないかと。だから、世界の世論がこれを強要するぐらいの強い圧力をかけなければ核廃絶はできませんよというのが、そこの二つの哲学の違いじゃないかと思います。  日本政府の、今の山本さんの御答弁の中にはしなくも出てきたけれども核保有国に対して配慮するという態度、これは大事かもしれないけれども、それでは核はなくなりませんよというのが私の意見です。そこのところはどういうふうにお考えですか。
  87. 山本一太

    政務次官山本一太君) 田先生のおっしゃっているお話と私が申し上げたことは、私は基本的には違わないと僣越ながら思っておりまして、河野大臣の御命令で今回も行ったものですから、きっと大臣も同じお考えではないかと。おしかりを受けないようにちょっと御答弁申し上げたいと思うんですけれども。  核のない世界をつくるということについては、それは全くアジェンダ連合も、核保有国といいますか、日本もこれはもう共通したものだと思います。ただ、そこに至る戦略が違う。そこは先生がおっしゃったように国際世論をむしろ盛り上げて、核兵器保有国に配慮するというよりは世論の力でこれをなくしていくというアプローチもあるかもしれませんし、あるいは現実的に一歩でも踏み出すように、今ここに核があり核抑止力があるということの現実を踏まえた上で一歩でもこれを前に進めようという、そのどちらかを選ぶかというそれはまさに戦略的な考え方だと思います。  日本政府としては、やはり今ここで核保有国が全く受け入れられないようなコンセプトを出すということが必ずしも全体のプロセスを進める上では有益ではない。特に、大変手前みそになるんですが、先生にいただいたチャンスなので、このNPTカンファレンスを盛り上げるために日本政府としては大臣の御指導のもとで相当努力をいたしまして、今のナイジェリアのバーリ議長に働きかけたり、あるいはアメリカに働きかけたりずっとやってまいりまして、この会議がかなり大事だという認識各国に植えつけたということでは、手前みそではございますけれども相当努力をしたという気持ちもありますので、そこは恐らく戦略の違いではあると思います。もう一つだけ申し上げさせていただきますけれども、ナイジェリアではなくてアルジェリアの議長でございます、失礼しました、アルジェリア出身のバーリ議長。  さっき森山先生お話一つだけ言えなかったことをちょっと先生に御報告したいと思うんですが、今の最終文書に向けての取りまとめでポイントになっているところが二つだけございます。  正確に申し上げますと、核軍縮、中東をめぐる議論というのはここ一週間でかなり本格的になっていまして、予断を許さない。一つは、新アジェンダ連合核兵器国に対し核軍備の全面廃絶を達成する明確な約束を行うよう求めていると。これに対して、御存じのとおり、一日の五核兵器国の声明は九五年の前回会議で示された究極的核廃絶を再確認するにとどまっているということで、ここで違いが出ているのと、もう一つは中東問題で、エジプトを初めとする中東諸国がイスラエルを名指ししてNPTに加入を求める、この二つが一番の問題になっているということだけ、さっきちょっとどうしても申し上げられなかったので、一言御報告したいと思います。
  88. 田英夫

    ○田英夫君 ありがとうございました。  最後に、もう時間がありませんから、河野外務大臣から感想をお聞きしたい。  日本の非核三原則というのは、まさに国際的に認知された一つの重要な姿勢であることは間違いありませんが、同時にこれは総理大臣が国会で答弁されるという形で表明をされている。しかも、つくらず持たずというのは日本の決意ですからこれは評価されて当然ですけれども、持ち込ませずという点については、今小泉委員質問もそれに触れてくるわけですが、国際的にそこが何かしりが抜けているのじゃないかという不信感があることも事実であります。ですから、せっかくの非核三原則というものが何かもう一つ権威がない、インパクトがないということが事実ですから、これを乗り越えるにはどうしたらいいんだろうかということを私どももいろいろ、皆さんも考えておられると思うんですが、そこの知恵ですね。  例えば、非核法案というのを私も実は関係者とつくってみたことがあります。つくらず持たずというのはこれは国内法でできると思いますが、持ち込ませずというのは、つくってみまして、変なことですがずばり言いますと、日本に核を持ち込んでよろしいと承認する立場の人というのは最後突き詰めると総理大臣になっちゃう。それに罰則をつけますと総理大臣に懲役何年という、特定の人間しか予想されない、その人に懲役何年ということを法律の中で規定することになるんですね。そういう問題に逢着をしました。  だから、持ち込ませずというのを一体きちんと権威あるものにするというのはどういう方法があるだろうかというのは宿題だと思います。その道の権威だと言われる河野さんはどうですか。
  89. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 時間が過ぎておりますから、簡潔に答弁願います。
  90. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 非核三原則をどうやって法律的に担保するかという議論は、確かに随分長い間あるというふうに承知はいたしております。  しかし、この問題は、法律的に仮につくったとしてもその法律の実効性をどうやって担保するかということが非常に難しくなるわけでございまして、むしろ現在、日本の国が非核三原則を持っておるということがもう国際的にも十分周知徹底できているということを考えれば、現時点で新たなものをつくるよりもこうした姿勢を国際会議その他で繰り返し述べていくということが重要ではないかというふうに申し上げたいと思います。
  91. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  92. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 条約の関係につきましては特別意見はございません。そこで、外交上の一般問題について大臣にお尋ねしたい、こう思います。  実は、本年三月、中国の政府系ノンバンクの破綻問題、広東国際信託投資公司の破綻問題につきまして二回にわたって取り上げております。この政府系ノンバンクが破綻したと。日本の銀行がこれに融資をしておりまして、四千億という膨大な額が焦げつき、不良債権化したということなんでありまして、それをどうするかと。これは、実は中国政府が政府として保証している、日本の銀行もそれを信頼して融資をしたということなんですけれども、昨年の六月、小渕総理が訪中した際にこの問題を持ち出したら、中国側が、それは調査もしないで融資をした日本の銀行が悪いんだと、こういう話でありましたということで何か問題は終わったような感じになっておるようでありますけれどもね。  昔から、債務者に金を貸す際に相手の信頼、信用が十分でない場合には必ず保証人を立てさせる、債務者が払わないときは保証人が払う、これは万国共通の、歴史を超えた当たり前のことなんですけれどもね。ですから、中国政府がそんなものを払えるかと言っていることは全然私は理解できない。日中友好とか何とか、そういう問題以前の人類共通の問題に中国政府は反旗を翻していると、こう言ってもいいわけなんですね。前回お尋ねした際に、外務大臣はいかなる解決策があるか検討いたしたいという答弁がありましたが、検討するも何もとにかく払うものは払えと、これは人類共通の原理なんだと、そう言えば済むことなのでありますよね。何を検討するのかわからない。  それから、会談のたびに、あるいは機会あるたびに随時この件は中国側に申し入れているということも答弁しておられましたけれども、幸い昨日、日中の外相会談がありましたので、当然のこととしてこの問題は取り上げまして中国側に迫ったことだろうと思いますので、その際の中国側の回答がどうであったのか、ちょっと御披露していただければと思います。
  93. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員から御指摘の問題は、昨日会議の中で取り上げました。私どもからこの問題の本質についても指摘をいたしましたし、また、これは中国側ができるだけきちんと処理をしなければ、今後、世界各国の民間の投資というものは中国には出ていきませんと。つまり、投資環境というものが整備されなければ投資を期待してもそれは無理ですよ、だから、そういう意味からも中国はきちんとこの問題は対応すべきですということを申しました。  それに対して、唐家セン外交部長からは、この問題、すなわちGITICの問題ですけれども、この問題につきましては広東省のみならず中央政府としても高度に重視しております、関係部門が日本の関係者からのさまざまな意見を注意深く伺っておりまして、最近中国政府として本件処理を加速するとの決定を行っておりますと、こういう回答でございました。  この問題は、昨日の会議のやりとりをごく簡単に申し上げれば今御披露したとおりでございますが、四月上旬には我が方の広州総領事より広東省政府の幹部に対して、本委員会におけるこの問題をめぐる質疑の概要についても紹介をした上で、中国側としてさらに一層適切な措置をとるよう強く求めたということがございます。中国側としても、そうした我が方からの指摘はきちんと受けとめているというふうに考えております。
  94. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 そんなに難しい問題ではないのでありまして、中国政府が自分が保証したんだ、保証債務が存在するんだということをまず認めるのか認めないのか。認めた以上それはすぐ払えと、当然のことですからね。広東の何か出てくるとかそういう問題でもないのであって、日本政府とすれば保証債務の支払いを中国政府に催促すればいいだけの話なので、それを一体いつまでにきちっと払いますと、こういう回答だったんでしょうか。結論だけで結構です。
  95. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日を切っての御返事ではありませんでした。
  96. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 政府の仕事というのは国民の生命、財産の安全を確保することなんです。銀行だって日本国民ですから。大変評判は悪いですけれども、あれは日本国民ですから。銀行の財産を確保するのも政府の重大な責務です。これができない政府はもはや政府じゃないと言ってもいいわけなんで、それだけの責任を相手にぶつけて、いつまでに払うんだと追及するのは当たり前のことでしょう。なぜそれを追及しなかったんですか。日ぐらい切らせなさい。借金を取り立てるときはいつもそうするでしょう。
  97. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 外交部長とのやりとりにつきましては、先ほど申し述べたとおりでございました。  この問題は、既に先方は破産をしているわけでございまして、その破産後の処理をどういうふうにするかということがこれからの問題だろうというふうに私は理解をいたしております。外銀を優先するという議論もございましたし、さまざまな議論が行われたということをたしか私は記憶をいたしておりますが、少なくとも昨日はそうしたことを頭に、念頭に置いて私から外交部長に申し上げたところでございます。
  98. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 大変申しわけないですけれども、法律問題の基本が理解されていないんじゃないでしょうか。債務者が破産をした、それで保証人が債務を支払う。保証人が破産したわけじゃありませんからね。ですから、広東のその政府系のノンバンクが破産をした、困っております、これからどうするかと。ほかの債権者の手前もこれありと。そんなことは理由にも何もならないんです。破産をして払えなくなったから、じゃ保証人であるあなた払いなさいよ、いつまでに払いますかと。私にやらせれば、もう三十秒あれば直ちに交渉はもうきちっとやりますよ。いずれにしても大変におかしい。  それから、四千億というのは膨大な額で、一年間の中国に対するODAが二千億ですから、その掛ける二ですから、いかにこれが膨大な額であるかと。そのODAを受け取りながら、中国はそれを軍事費の方に回している、あるいは海外の諸国に援助資金としても使っていると、こういうことが報道されておりますが、本当にけしからぬことだと思いますよ。そんな余裕があるとすれば、まずもって日本国民の財産を侵害したこの四千億を払うのが当たり前のことだと思うんですよ。なぜそういうことをきちっと、これ理路当然の話、常識の話なので、言えばわかることですから、なぜそれを申し入れようとしないのか。  何度も言いますけれども、日中友好を阻害するとか阻害しないとか、そんな問題じゃないのでありまして、人類の普遍の哲学をあなた方はどう考えているんですかと。払う義務があるものは払うんですよと。幸いあなた方にもお金があるようですよというだけでありましょう、この問題というのは。いかがでしょうか。
  99. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私ども政府といたしましては、中国のノンバンクに対する邦銀の債権回収にかかわる問題についてどういう態度でどういうかかわり方をしていくかということについて、今、議員御指摘がございましたが、よく考えなければならぬと思います。
  100. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 余りくどいのは私は嫌いなんですけれども、考える必要なんかないということをさっきから言っているでしょう。おかしいですよ。なぜこんな基本的なことを強いて理解なさろうとしないのか、それがおかしいと思うわけであります。  時間がなくなりました。この問題はこれからも強力に申し入れをしまして、払うものは払わせるというふうに対応していただければと思います。時間ありませんか。
  101. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) もう時間であります。
  102. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 時間だそうですから、これからの外務大臣の御奮闘を期待しますから、お願いいたします。
  103. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 他に御発言もないようですから、三件の質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、国際原子力機関憲章第六条の改正受諾について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  104. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、国際移住機関憲章改正受諾について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  105. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  106. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩をいたします。    午後零時十一分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕