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2000-03-21 第147回国会 参議院 外交・防衛委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月二十一日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任         益田 洋介君     続  訓弘君  三月十六日     辞任         補欠選任         佐々木知子君     保坂 三蔵君      森山  裕君     長谷川道郎君      続  訓弘君     益田 洋介君  三月十七日     辞任         補欠選任         長谷川道郎君     森山  裕君      保坂 三蔵君     佐々木知子君      浅尾慶一郎君     松崎 俊久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢野 哲朗君     理 事                 鈴木 正孝君                 武見 敬三君                 小山 峰男君                 益田 洋介君                 小泉 親司君     委 員                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 山崎  力君                 山本 一太君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 海野  徹君                 松崎 俊久君                 松前 達郎君                 荒木 清寛君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君    政務次官        外務政務次官   東  祥三君        外務政務次官   山本 一太君        防衛政務次官   依田 智治君        防衛政務次官   西川太一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        防衛庁参事官   小林 誠一君        防衛庁防衛局長  首藤 新悟君        防衛庁運用局長  柳澤 協二君        防衛庁人事教育        局長       新貝 正勝君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        防衛施設庁長官  大森 敬治君        法務省刑事局長  古田 佑紀君        大蔵省理財局次        長        村井 博美君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 〇就業が認められるための最低年齢に関する条約  (第百三十八号)の締結について承認を求める  の件(内閣提出) 〇政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (台湾総統選に関する件)  (沖縄サミットに関する件)  (中国のWTO加盟問題に関する件)  (自衛隊員等による違法射撃事案に関する件)  (いわゆる神環保問題に関する件)  (防衛庁本庁庁舎移転に関する件)  (NECの過大請求事案に関する件)  (交戦規則に関する件)  (防衛庁の国防省昇格問題に関する件) 〇著作権に関する世界知的所有権機関条約締結  について承認を求めるの件(内閣提出)     ─────────────
  2. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十七日、浅尾慶一郎君が委員辞任され、その補欠として松崎俊久君が選任されました。     ─────────────
  3. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事益田洋介君を指名いたします。     ─────────────
  5. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 就業が認められるための最低年齢に関する条約(第百三十八号)の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件に対する質疑は既に終局いたしておりますので、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  就業が認められるための最低年齢に関する条約(第百三十八号)の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  6. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本件審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会防衛施設庁長官大森敬治君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長柳澤協二君、防衛庁人事教育局長新貝正勝君、防衛庁装備局長及川耕造君、防衛庁参事官小林誠一君、法務省刑事局長古田佑紀君、大蔵省理財局次長村井博美君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  10. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 次に、外交防衛等に関する調査議題といたします。  この際、政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。河野外務大臣
  11. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 十六日、私は来日したコーエンアメリカ国防長官会談し、日米安保関係アジア地域の諸情勢について率直な意見交換を行いました。  まず、在日米軍駐留経費負担につきましては、私とコーエン長官の間で引き続き事務レベル協議していくことを確認いたしました。  沖縄については、進入管制業務、いわゆる嘉手納RAPCONの移管問題について私から取り上げたところ、コーエン長官より、米軍運用上の所要が満たされることを前提に日本側への返還に同意する、具体的な点は今後専門家の間で検討させたいとの発言がありました。  普天間飛行場の移設・返還については、私より、日本政府としては閣議決定に従い、引き続きSACO最終報告及び日米安保共同宣言を踏まえ、米国政府と緊密に協議していく旨発言しましたところ、コーエン長官よりも、日米安保共同宣言を踏まえ、引き続き日本側と緊密に協議していく旨の発言がありました。  コーエン長官よりは、米軍が進める、特に沖縄の地元の方々とのよき隣人の施策につき、引き続き努力していきたい旨の発言がありました。  厚木海軍飛行場周辺のダイオキシン問題につきましては、政府として速やかな解決に向けて全力を挙げて努力している旨伝えました。  また、朝鮮半島情勢につきましては、私より、アメリカが辛抱強く米朝協議を継続していることを評価するとともに、我が国による食糧支援決定日朝赤十字会談実施等につき説明し、日米韓三カ国で一層連携していくよう意を用いたい旨発言をいたしました。これに対し、コーエン長官より、北朝鮮とは協議を継続しつつ状況を注視し、日米韓三カ国の連携を強化して対応している、米国の政策は強力な抑止力を維持すると同時に対話を進めることである旨発言がありました。  さらに、総統選を目前に控えた台湾をめぐる情勢についても意見交換を行いました。私より、台湾をめぐる問題が平和的に解決されることが何より重要であり、そのために両岸間の対話が促進されることを強く期待している旨発言しました。これに対し、コーエン長官より、基本的に同様の認識を有している旨の発言がありました。  次に、去る十八日、台湾において行われた新たな指導者を選出するための選挙についてでありますが、我が国としてもその動向関心を持って注視してまいりました。選挙の結果、陳水扁氏が約四百九十八万票を獲得して、新たな指導者に選出をされました。  我が国としては、台湾をめぐる問題が海峡両岸の直接の当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望しており、選挙の結果を受けた新たな状況のもとで、両岸の対話早期に再開されることを期待しております。  また、我が国としては、日中共同声明に基づき、日中間で安定的な協力関係発展させる一方、日台関係については非政府間の実務関係として民間及び地域的な往来を維持していくとの方針は不変であります。  以上、御報告を申し上げます。
  12. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 次に、瓦防衛庁長官
  13. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 本日は、まず三月十六日に行われた日米防衛首脳会談について、続いて自衛隊員等による違法射撃事案について御報告申し上げます。  まず、日米防衛首脳会談について申し上げますと、会談では次のような点について意見交換等を行いました。  第一に、いわゆる神環保問題については、私から、本問題は米軍関係者日本人基地従業員及び基地周辺市民の健康にかかわる問題との認識を示した上、バグフィルター設置のスケジュールを守るよう厳しく監視、督促すること、共同モニタリング、高煙突化米軍要員・家族への代替住宅提供等日本政府の五項目の基本方針等を伝えるとともに、これに基づき、関係省庁が一致協力して解決努力するつもりである旨発言しました。これに対し、コーエン長官より、日本政府取り組みに感謝するとした上で、本問題を引き続き注視する必要がある旨発言がありました。  第二に、在日米軍駐留経費負担については、日米安保体制における在日米軍駐留経費負担重要性について認識が一致しました。私から、日米事務レベルでの協議が友好的かつ生産的に行われることが肝要であり、双方が満足のいく結果となるよう努力する旨発言し、コーエン長官から、日本の経済的な困難も承知しているが、戦略的な観点から、できる限り現在のレベルが維持されることを希望する旨発言がありました。  第三に、沖縄基地問題については、私より、先般取り上げた普天間の問題については引き続き昨年末の閣議決定に従って対処していきたい旨発言し、また、SACO最終報告の着実な実施、三者連絡協議会における在日米軍取り組みに言及しました。  その他、地域情勢日米韓防衛実務者協議日米防衛協力のための指針関連、いわゆる情報戦への対応に係る日米協力について発言しました。  私としては、今後とも日米関係のさらなる発展のため、最大限努力してまいりたいと思います。  続きまして、自衛隊員等による違法射撃事案について説明させていただきます。  平成六年十一月十六日、当時の第一空挺団普通科群長、現陸上自衛隊富士学校総合研究開発部副部長の秀島裕展一等陸佐が、東富士演習場内の射場において部外者三名を見学させた際、そのうちの一名が携行していたライフル銃を借り受け射撃実施した事案に関し、本年一月中旬、部外から処分疑義があるのではとの問い合わせがあり、直ちに調査に着手しました。  その結果、当時の本事案処理が不適切であったと判断し、本年一月二十日、処分等当時の検討の経緯等を改めて徹底的に調査するよう、私から陸上幕僚長に対して指示を行いました。  この指示を受けて、陸上自衛隊警務隊等において捜査等実施してきましたところ、新たに秀島一佐ほか部外者三名が陸上自衛隊が保有する八九式五・五六ミリ小銃を違法に射撃したという容疑事実が判明しました。  そのため、三月十三日、陸上自衛隊東部方面警務隊が、これら四名を銃砲刀剣類所持等取締法違反容疑で逮捕し、翌十四日、静岡地方検察庁沼津支部事件を送致いたしました。今後は、捜査に対して全面的に協力するとともに、徹底的な部内調査を行い、真相究明努力してまいりたいと考えます。  一等陸佐という自衛隊の幹部が逮捕されるという事態が生起したことはまことに遺憾であります。特に今回の事案は、自衛隊管理する武器に関連するものであり、小渕総理からも武器管理を徹底するよう指示があったことから、三月十三日、私から統幕議長陸海空幕僚長に対して、武器管理を徹底するとともに、服務規律の向上に努めるよう直接指示したところであります。  なお、当時の事案処理に当たり、組織的な隠ぺいが行われたのではないかとの疑いがあることは承知していますが、刑事事件に該当するような服務規律違反について、これを組織的に隠ぺいするようなことがあってはならないということは言うまでもありません。  私としては、違法射撃事案の全容を徹底的に解明し、厳正に対処するとともに、今後このような事案が二度と起きることがないよう、隊員の一層の服務指導を含めて再発防止を徹底してまいる所存でございます。こうしたみずからに厳しい姿勢が、国民信頼の回復に必ずやつながるものと信じております。本外交防衛委員会委員の皆様の御協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。  以上、私の報告とさせていただきます。
  14. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 武見敬三

    武見敬三君 まず、防衛庁長官お尋ねをいたします。  今回のこの発覚をいたしました平成六年十一月の陸上自衛隊における違法射撃事案、これは三つの点で非常にやはり遺憾なことであるということを痛切に感じざるを得ません。  この射撃事案そのもの違法性という問題は、まずその基本になりますけれども、同時に、それを組織的に隠ぺいをした疑義があるというのは、これはもう防衛庁に対する国民信頼感を本当に基本的に左右する重大事件だと思います。  したがって、こうした組織的隠ぺい工作があったのかどうかということを、必ずこれを明確にしていただくということと、その責任の所在というものを明らかにして、そして国民の納得する形で再発防止に努めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。これが第二点目です。  第三点目に遺憾であることは、こうした事案というものが常にマスコミ報道を通じて国民に知らされるという点であります。こうした事案がもし発生しているとすれば、防衛庁から自主的に国民に対してその説明をしていただくということがやはり国民信頼を得るために非常に重要なポイントであります。  したがって、こうしたマスコミ報道を通じてでなければ我々が知ることができなかったがごときいわば状況がつくり上げられるということは大変に残念なことでありますけれども、この三点について、今既に御説明をいただいたわけでありますけれども、特にマスコミ報道を通じてでなければ、こういうことについて私どもが知ることができなかったという点についての御見解をいただきたいと思います。
  16. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 武見委員の御指摘はそれぞれもっともである、かように存じます。  マスコミを通じてこれらの事案が知らされるということをもってする前に、常日ごろから私ども服務規律につきましても厳格でなければなりませんし、また、国民から負託をされているその使命からいたしましても、日ごろの活動、行動につきましてはより一層私どもは注意しなければならない問題を持っておるわけでございまして、今回の事案につきましても、部内からこの措置に疑義があるという声を徴しまして、早速事実関係を明確にすることが重要でありますし、そういう自浄努力があって初めて国民から信頼を得るものと、かように考えまして、それらに着手をさせていただきました。再度その調査を進め、そしてその事態に対してこれを明確にしていくということで指示をしたところでございます。  よって、委員からの今御指摘のように、私どもは、さらにみずからの姿勢を正すためにも、一層自浄努力を発揮できるような組織体であるべきと、さように考えるものでございます。
  17. 武見敬三

    武見敬三君 防衛庁長官、まさにそうした責任を負って、この事件について国民が納得する解決処理をしていただきたいということを改めてお願いをしておきたいと思います。  それでは、外務大臣お尋ねをいたします。  二十一世紀のこれからおおよそ十年間、我が国安全保障という問題を考えたときに、その基盤になる一つの大きな課題は、冷戦の化石とも言われている台湾海峡情勢安定化二つ目朝鮮半島情勢安定化、この二つ課題だろうと思います。やはりこの二つ地域安定化なくして二十一世紀初頭十年間の我が国安全保障の確固たる基盤の上に確立することは私はできないだろうと思います。したがって、この台湾海峡をめぐる諸情勢については我が国としても、特に国民一人一人もきちんと関心を持っていただいて、そして情勢について正確に理解をし、我が国としていかにこれに対処すべきかという点についても十分に関心と御理解をいただくということは非常に重要な課題だと思います。  この点については、実は参議院の外務委員会で既に決議を実は行っているわけであります。平成八年五月十六日でございますけれども中国台湾情勢に関する決議として、当時台湾総統選挙が行われたときに非常に軍事的にも緊迫した情勢になったということから、その情勢についての十分な調査を行った上で、各党まさに全会一致で採択をした決議であります。  この決議の中における基本的な考え方というものは二つあります。一つ民主主義であります。そして二つ目平和主義であります。すなわち、この決議の中でも、やはり台湾において台湾人々民選でみずからの指導者を選択をした、選んだということに対しては、当時日本政府としてもこれを歓迎するという意思を明確に表明したわけであります。  また、二つ目平和主義というのは、やはりこうした問題は武力ではなくてあくまでも平和的手段によって解決すべきことであるという点をまたこの決議の中では明らかにしているわけであります。私は、これは今日においても国民的なレベルにおける確実に合意として確認し得る原理原則であろうというふうに考えているわけであります。  今回の台湾におけるこの総統選挙というのを見てみましても、台湾人々民選でみずからの指導者を選んだということについては同じことが言えます。それからまた、わずか四年間でこのような民主的な手続による政権交代ということが現実にもたらされようとしていること、そしてこれはもう想像以上に速いスピードで台湾における民主主義定着をして、単に制度としての民主化だけではなくて機能としての民主主義定着という部分がこの点について明らかに理解し得るのではないかと思います。  したがいまして、このような民主主義制度機能の両面で発展している状況というものは、前回の直接総統をみずからの選挙によって選んだということと同様に、私はこうした民主主義の健全な発展というものがこの地域で起きているということは引き続き歓迎すべきことというふうに考えるわけでありますけれども、この点についての外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  18. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員指摘のとおりだと思います。  台湾におきます民主主義定着をしているということについては、我々としてこれを支持し歓迎することは重要なことだと思います。今回の総統選挙におきまして陳水扁氏が新たな台湾指導者に選ばれたということについて、これは今、議員がおっしゃるようにいろいろな意味で意義深いものだというふうに私は考えております。
  19. 武見敬三

    武見敬三君 そういう御理解であるとすれば、このような民主的手続の結果については、それが尊重されるべき事柄であるという御認識をお持ちでいらっしゃるでしょうか。
  20. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) そのとおりです。
  21. 武見敬三

    武見敬三君 それでは次に、今回の台湾における選挙の結果、まさに陳水扁氏勝利をしたわけであります。この勝利の原因というものをどのように分析されておられるのでしょうか。
  22. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 選挙の結果の分析についてはまだ明確に申し上げられません。現実台湾におきまして国民党の分裂ともいうべき状況が非常に流動的に現在なっているわけでございまして、これらを含めてもう少し我々は台湾状況というものを冷静に見たいというふうに思っております。今回の結果だけを見て云々ということは、よって来る理由について直ちに明快に説明をするほどまだ安定した材料がないということでございます。
  23. 武見敬三

    武見敬三君 我々がやはり注視すべき点というのは、今次の選挙の結果が中台関係にどのような影響を及ぼすのか、またそれによってこの地域に私たちが歓迎できないような緊張が今後果たして深まっていくのかどうか、こうしたことがやはりその主たるポイントになって来ざるを得ません。  そこで、実際に今回の選挙の前の時点からこの台湾海峡をめぐる情勢、特に軍事情勢というものを見ていく限り、実は私自身は非常に不気味なものを感じます。この点については昨年の二月二十六日に米国国防省台湾海峡安全保障報告というのが出されております。この報告の中では、二〇〇五年という時点を想定して、その時点における中国人民解放軍台湾の軍との間のまさに能力の評価ということを行った上で、そこにどのような軍事情勢が想定されるのかという解説がなされているわけであります。  こうした状況を見ている、分析を読む限りにおいては、着実にこの台湾海峡の両岸において軍備の拡張が進み、そして軍事的な緊張がじわじわと高まっていること、そしてまたその過程で、我々にとっては歓迎できないことでありますけれども、より高いポイントで軍事的な均衡というものが微妙に保たれるというような状況になってきているということ、これらは与那国島を初めとして我が国の領土、海域、これをまさに深刻に影響を及ぼすような事態によりなってきているということを考えざるを得ません。  現実に、台湾側においてもまさに制海権、制空権及びミサイルの戦力、そしてその防衛力の整備をめぐってこれから恐らく相当こうした状況が深刻化していくことが想定されるわけであります。  こうした状況を、まず防衛庁長官、どのように防衛庁としてはこうした台湾海峡をめぐる軍事情勢分析しておられるのか、伺いたいと思います。
  24. 瓦力

    国務大臣瓦力君) ただいま武見委員の御見識を伺いながら、私どももこの中台間における問題につきましてはさらにこの動向を注視してまいらなければならぬと思っております。  現在のところ、武力行使につながるような軍事的な動きがあるとの情報には接しておりませんが、今、委員指摘のように、それぞれ今日までの軍事力の拡充、近代化、こういったことに着目をして申し上げますと、新型中距離弾道ミサイル、CSS5でございますが、中国はこのようなミサイル並びに新型ICBM及びSLBM、また新型駆逐艦でございますとか、フリゲートの建造、配備、さらにはロシアからソブレメンヌイ級駆逐艦やあるいはキロ級潜水艦を導入いたしております。また、スホーイ戦闘機新型地対空ミサイル、加えて空中給油機でありますとか早期警戒機などの近代的な航空作戦実施に必要な能力の獲得に向けた努力もいたしております。  一方、台湾におきましては、地対空ミサイル、さらに自主開発戦闘機、さらにF16及びミラージュ2000、早期警戒機の配備が進められておるわけでございまして、新型フリゲート艦の導入などがまた一方において海軍では進められております。  将来の中台軍事バランスにつきましては、現時点では確たることを申し上げることは困難でございますが、その動向につきまして十分注目をしてまいらなければならぬと思っております。しかし、私どもといたしまして、中台間が平和で推移することが望ましいわけでございますから、一層そういう視点に立ちましての努力も一方に行っていかなければならない、こう考えております。
  25. 武見敬三

    武見敬三君 残念ながら、台湾海峡をめぐる軍事情勢というものは好ましくない形で推移しているというふうに認識せざるを得ないということであります。  しかし、私は、あえてこういう軍事情勢を取り上げることによって不必要に国民緊張感をあおり立てたり、あるいは警戒心をあおり立てたりするようなことは決していいことだと思いません。こういう事態であればこそ冷静に、こういう事態を正確に理解する努力というものがやはり国民レベルにおいて求められるだろうと思います。そしてまた、同時に政府としては、こうした事態に対して、先ほど御所見をお述べになられたとおり、やはり早期対話が再開されて、そして中台双方の当事者間の信頼醸成ということが進められていかなければならないだろうと思います。  我が国として、そうした早期対話の再開、信頼醸成に対し、協力し得るところはやはり積極的にこれに協力するという基本姿勢が必要だと考えるわけでありますけれども外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  26. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私、ちょっと直接お答えをする前に申し上げたいと思いますことは、台湾海峡緊張が非常に高まっている、高いレベルの軍事的なバランスというものが今できつつあるという議員の御指摘は私もそのとおりだと思いますが、台湾海峡と申しますか、この海峡全体を見てみると、中国は伝統的に本来海軍というものはそう大きなものではなかった、むしろ中国の伝統は陸軍が非常に強いと言われていた時期が長く続いたわけですが、近年において海軍力が整備をされてきたということを指摘する向きがあるわけです。  それは、台湾海峡の対立ということも視野に全く入っていないとは思いませんけれども、むしろ中国が海沿いにといいますか臨海地帯に大変な経済的な地域発展させてきたということもあるでしょうし、それ以外にも幾つかの理由もあって中国が海軍力の整備というものに取り組んできた部分があるのではないか。  もちろん、一方がそういうことをすればもう一方もほっておくわけにはいかないということでそのバランスが高まっていくということになるわけでございますから、今、議員も御指摘になりましたように、これを安易な形で緊張感を高めるような行動をしたり発言をしたりするということを第三国がするということは慎むべきではないか。今の御質問にございましたように、ここは何をするかということを考えると同時に、何をしてはいけないかということもまた考える必要があるんだろうと思います。  私どもとしては、関係者の平和的な、そして建設的な対話というものができるだけ早期に行われるということを期待したいと思いますから、例えばARFを初めとする場を使い、あるいはASEANその他の場を使い、平和的な対話の環境を整える、そういう努力がまずは大事ではないかというふうに思います。
  27. 武見敬三

    武見敬三君 最初に申し上げたとおり、これから約十年間ぐらいの時間軸で台湾海峡安定化そして朝鮮半島安定化というのを、まさに日本アメリカ中国、ロシアといった主要国間の協調関係というものを確立しながら実現をしていかなければならない。しかも、その過程で我が国基本とすべき考え方は、やはり民主主義そして平和主義といったようなものがその基本になければならないと考えるわけであります。  したがいまして、こうした状況についてのやはり御理解を、国民にもしっかり御理解をいただくような努力をも含めて、政府としてこの問題に対処していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  28. 海野徹

    ○海野徹君 おはようございます。  防衛庁長官にまずお伺いしたいと思います。  厚木基地の排煙問題、さきの委員会に続きまして、いわゆる神環保の問題について御質問させていただきたいわけなんです。  一九九六年ですか、橋本・クリントン会談があった。あの会談というのは、大変歴史的に重要な意味を持っていたのではないかと思います。日米同盟の強化というのは、双方によって大変高まった認識があります。そういう中で、お互いの信頼関係が、個別の問題でそれぞれ解決されていくことがやはり期待されていたと思うんですね。いろんな懸案事項が日米関係にあった。この神環保の問題もその信頼関係を、日米同盟の強化をうたう中でこれは解決すべき問題であったはずなんです。これがなかなか解決しないでずっと来てしまった。  今回、コーエン長官が来られて、そして瓦長官も視察に行かれて、極めて迅速な形で問題の解決へのスタートがされていった。その中で、私どもは新聞報道でしか知り得ないことが幾つかありました。詳細にわたって、どんな話し合いがされたか、防衛庁長官からお話をいただきたいわけなんです。  新聞報道によりますと、コーエン国防長官は、この問題は日米にとってとても重要な問題、何とかきれいにしてもらいたい、改善できないのであれば閉鎖してもらうしかないというようなことも述べているというようなこともあります。あるいは瓦長官は、煙突の高層化をとにかく迅速に完了させる、バグフィルターを設置した後には日米共同調査の費用は日本側が負担する、あるいはアメリカが施設に対して民事訴訟を提起する場合には異存はありません、また十二年度中の完成を目指している煙突の高層化工事が終了するまで代替住宅を無償で提供する、希望があれば、こういうような発言をされていると新聞報道で我々は接するわけなんです。  コーエン国防長官と瓦長官との、この厚木基地の排煙問題についてどういうような御協議をされて、こういうような報道の中身を含めて、方向が定まっていったのか、詳細にわたって御報告いただきたいと思います。
  29. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 海野委員からの冒頭御発言、私は大変御理解をいただいておりますことを感謝いたしますし、また、日米間におきましては、間断なき対話、また問題解決につきましては努力をしていかなければならないという姿勢で臨んでおるものでございます。  また、ただいまは厚木の問題の御質問でございますが、この件につきましては、委員から御指摘のありましたとおり、厚木海軍飛行場内に居住する米軍要員及びその家族、並びに同飛行場内で働く日本人従業員でございますとか同飛行場周辺の市民の健康にかかわる深刻な問題であり、加えて多年にわたって取り組んできた問題でもございます。  この春に訪米をいたしました折に、防衛首脳会談におきましてもこの問題に触れ、さらに先般、コーエン長官来日につきまして、これらにつきましては日本政府の五項目の基本方針等を伝え、また、我が政府といたしましても関係省庁が一致協力して解決努力する旨発言をいたしたものでございます。  なお、報ずる以外にいかなる発言なり方向があったかということでございますが、コーエン長官のいわゆるこの問題解決が見られなければ施設について撤去する云々という発言コーエン長官の記者会見での発言でございまして、私との話し合いにおきましては、日本側努力、これをよく注視してまいりたい、そういったことで大きな期待を寄せておりました。  懸案の問題でございますので、その問題意識につきましては共有するものでございますが、さらに深刻な問題であるというコーエン長官認識は示しておられたわけでございまして、これらにつきましても私といたしましても十分理解のできることでございますので、さらに関係省庁がこの問題に協力し合って政府としてこたえていかなければならないということは申し上げておいたわけでございます。これらが五項目の提案ということになるわけでございます。  さらに申し上げて、幾つかの問題は協議課題にはなりましたが、私の方から五項目の措置についてより具体的に説明する必要性を感じますので、若干申し述べさせていただいてよろしゅうございましょうか。
  30. 海野徹

    ○海野徹君 はい。
  31. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 一つは、バグフィルターについてでございますが、いわゆる神環保、現在エンバイロテックと申すわけでございますが、三月末までに二基の焼却炉にバグフィルターの設置を完了し、残りの一基についても四月からその稼働を停止し、バグフィルターの設置工事を行うこととしておりまして、我が国政府バグフィルター設置のプロセスを監視し、神環保にスケジュールを守るよう督促をする。  二つ目に、共同モニタリングについては、バグフィルター設置後も周辺の大気の状況を把握するため、日米共同モニタリング日米双方が必要とする限り続ける。米側が希望する場合は、所要経費は日本側が負担する。  三番目に、高煙突化につきましては、直ちに百メートルの高煙突化に向けて取り組みを開始する。高煙突化には神環保との交渉や環境アセスが必要であるが、迅速に高煙突化が完了するよう取り組む。日本政府米国政府に対し、日本政府取り組みの進展を連絡する。  四つ目に、法的措置についてでございますが、日米共同モニタリングにおいて、問題があれば神奈川県を通じまして共同検査を実施し、適当な措置をとることとする。なお、米国政府による神環保に対する民事訴訟につき、日本政府として異存はない。  五つ目に、米軍要員・家族への代替住宅施設の提供についてでございますが、バグフィルターの設置により事態の大幅な改善が見込まれますが、厚木基地内の一部高層住宅については神環保から至近距離にあるため、風向きによっては直接排煙が吹きつけるという事態があり得ますので、高煙突化が完了するまでの間、米側が希望するものであれば、当該住宅居住の米軍要員・家族の中で希望者に対しまして一時的に代替住宅施設を無償で提供する、こういうことを図る用意がある、かように伝えまして、我が国取り組み、誠意に対してコーエンは感謝を述べたこともございました。  以上、共同記者会見でもこれらにつきましては申し上げたところでございます。
  32. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、調査の費用は日本側が負担するということと、民事訴訟を提起する場合には全く異存はない、代替住宅は借り上げて無償で提供する、そういうことは事実ということでよろしいでしょうか。
  33. 瓦力

    国務大臣瓦力君) はい。
  34. 海野徹

    ○海野徹君 では、次の質問に入らせていただきますが、それに対して煙突高層化のために十一億円を計上しているわけなんですが、新聞報道によりますと、エンバイロテック社の幹部というのは、我々はすべて合法的に操業しているんだ、日米共同調査の数値というのは誤りがあるとしか考えられない、煙突を高くするところで反対はしないが、環境アセスなどの多くの手続が要り、予算がついたところで一年はできないし、国から何の連絡もないというような強気のコメントをしている様子であります。  ところで、高層化のための十一億円、計上してはいるんですが、こういうような新聞報道を見ますと、今どのような交渉をして、エンバイロテック社側はどのような見解を示しているのか、その交渉の経緯を御質問したいんですが。
  35. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 海野委員から、交渉経緯、具体性を持った答弁要求でございますので、施設庁長官から答弁させたいと存じますが、よろしゅうございますか。
  36. 海野徹

    ○海野徹君 はい。
  37. 大森敬治

    政府参考人大森敬治君) 事実関係でございますので、私の方からお答えさせていただきたいと思っております。  現在、いわゆる神環保の問題でございますけれども、先ほど大臣から答弁がありましたように、神奈川県からの改善勧告に基づきまして、エンバイロテック側に業務改善の一環といたしましてバグフィルターの設置を求めているところでございます。  神環保側との交渉でございますけれども、昨年の夏行いました日米のジョイントモニタリングの結果、神環保の出します煙の中に異常な数値のダイオキシンが含まれている、約七十倍のダイオキシンが出ているということで、先ほど申し上げましたように、神奈川県を通じて業務改善勧告が出されまして、それに基づきます業務の改善がなされているわけでございます。  そのような、政府として改善勧告を出すのを契機といたしまして、神環保側と私ども防衛施設庁との話し合いといいますか、民事契約上での解決の方向というものが中断しております。私どもといたしましては、現状におきまして、やはり神環保側といいますかエンバイロテックの方が神奈川県の求めます改善勧告に基づきまして、大気環境上問題がないような操業をしてもらうことが第一であるというふうに思っております。また、そういう観点から、バグフィルターが設置後も継続的なモニタリングを実施するというふうな考えに立っております。  また、最近に至りまして、神環保側は政府との高煙突化についての話し合いに応じる用意があるというふうに言ってきております。私どもといたしましては、高煙突化の問題は、先ほど大臣からも答弁がありましたように、厚木基地の地形の問題、また気候上、季節的な問題からいたしまして、高層住宅に煙が吹きつける状況があり得るというふうなことでございまして、その点から高煙突化は必要であるというふうに考えているところでございます。  神環保側の最近の対応につきましては十分把握していないといいますか、その真意がはかりかねているところがありますけれども、いずれにいたしましても、私ども防衛施設庁といたしましては、政府側のとっておりますエンバイロテックへの業務改善の進展状況を見ながら高煙突化の話し合いも進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  38. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、バグフィルターの設置の状況というのは余りよろしくないし、エンバイロテック側の交渉も用意はあるといいながらも、我々、我々というか政府の皆さん方が進めようとするような順調なスケジュールでは行っていないということですか。
  39. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 簡潔に願います。
  40. 大森敬治

    政府参考人大森敬治君) はい。バグフィルターの設置がなされまして適正に運用されますと、大気環境は大幅に改善され、基準値以下になるというふうに私ども政府といたしまして認識しております。  一方、神環保側との交渉をこれから積極的に取り組んでいかなきゃいけないわけでございますけれども、神環保側の従来の交渉の状況からいたしまして非常に難航するということは考えられるわけでありますけれども、私ども、高煙突化は必要であるというふうに強く認識しておりまして、神環保側と具体的な折衝に近く入りたいというふうに考えております。
  41. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、十年度の補正予算で、さきの委員会でも質問させていただきましたが、廃棄物の固形燃料化施設の設置のために見舞金を十二億円支出してありますね、民事契約を結んでということなんですが。そのときから今回のバグフィルターの問題、あるいは煙突の高層化の問題、非常に相手側の神環保側の交渉姿勢に余り我々が期待できるような誠意がないというふうに見受けられるわけなんです。  しかも、この民事契約、当然三十トンという話が出ていたわけなんですが、多分に周辺の皆さん方の状況を聞くと三十トン以上燃やしている、処理しているというような話も聞いているわけなんです。当然、これは契約ですから、それを違反した場合のいろんな問題点が、双方のとるべき処置が講じられていると思うんですけれども、その見舞金、さかのぼって見舞金を支出したときの民事契約後のエンバイロテックの対応はどうなんですか。
  42. 大森敬治

    政府参考人大森敬治君) 御指摘のRDFの関係でございますけれども、御指摘のように、防衛施設庁が神環保側と民事契約を結びましてその設置を求めたものでございます。  御指摘のような三十トン以上の燃焼をしているのではないかということでございますけれども、防衛施設庁と神環保側の民事契約上、適宜、燃焼量について報告を受けることになっておりますし、また防衛施設庁も必要に応じて立ち入りをしてその燃焼の確認ということをしておりますので、私ども認識におきまして、神環保側も誠実にRDFの運用をしているというふうに私ども理解しております。
  43. 海野徹

    ○海野徹君 誠実に運用している、対応しているということであれば、まだなおかつこういうような問題点があるわけですから、バグフィルターにしてもあるいは煙突の高層化にしても、もう少し迅速な対応があってしかるべきだと思うんですが、その辺は、彼ら合法的だから、数値に誤りがあるんだからというようなことを言っているというんですが、いろんな意味でこれから交渉も大変になっていくのではないか、かなりしたたかな交渉をしているんじゃないかな、その辺のいら立ちがワシントン・ポストなんかにああいうふうな表現で出ているんじゃないですかね、どうなんですか。
  44. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 海野委員からの重ねての御質問でございますが、施設庁長官が地形等についても触れて説明をいたしましたが、私も視察いたしまして、大体状況は承知をいたしておりましたが、改めて視察をいたしまして、ちょうどくぼ地になっておりまして、排煙口と、こう申し上げていいと思うんですが、その高さといわゆる地形の高さが大体同じでございますから、そこから煙が出ますと、建物に季節によりましては排煙が直撃する形になっております。  今とりあえず、とりあえずといいますか、まずはバグフィルターで三基のうち二基、四月に入りまして一基、それぞれ手順を追って進めておるわけでございますが、これが果たして基準を確保できるかどうかという心配もありますが、いずれにしても、なお排煙が出るわけでございますので、高煙突化によって、その排煙を住民生活にかかわることのないように高煙突化によって処理をしようと、これをしなければ生活上非常に困難であるという認識でこれを進めたいと考えております。  ところで、なぜそれが進まないかということについてのいら立ちは米側にもございまして、私どももその粘り強い交渉を施設庁が中心になってこれからも進めるにつきましては、我が国政府の公害問題、環境にかかわりのある厚生省、さらに環境庁、また対米交渉につきましては外務省にも御協力賜らなければなりません。実態は防衛庁、施設庁が取り組んでまいりましても、関係省庁が一体となってこのことをさらに督促、進めようということで協議を持ちまして、そういう方針のもとでこれから鋭意努力してまいりたいと。こういう理解を得られることが日米安保体制の私は根幹にかかわる重要なことだと、こう認識をいたしておりまして、一層努力をしたいと考えております。
  45. 海野徹

    ○海野徹君 長官、努力していきたいということなんですが、とりあえずという発言がありました。地形上、要するに抜本的にすべてが解決するというふうにはならないのではないかなというような想像もできるわけなんですけれども。  しからば、防衛施設庁としては、この問題、コーエン国防長官が改善できなければ閉鎖してもらうしかないというような話もマスコミとの記者会見でしているとなると、中長期的にこの問題、バグフィルターを設置し、あるいは煙突の高層化、それだけで済む問題なのか、あるいは地形上もうどうしようもない、これは中長期的にはとにかく移転してもらうか、そのためには買い取るのか、あるいは移転施設をつくるのか、それも施設庁の方で、防衛庁の方で試算したら百億円ぐらいでできるじゃないかというようなことも計画したとかしないとかというような報道もされているわけなんです。その辺の中長期的な見通しはどういう見通しがございますか。
  46. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 海野委員からの御質問でございますが、こういう問題はいろいろな視点に立って方々からの御発言もありますが、私どもとすれば、神環保にいたしましてもそこで企業を営んでおるわけでございますので、最大限の協力を得てダイオキシンとか公害防除のための協力はいただきたいと願っておるわけでございますが、なかなか設備等につきましての交渉事でございますので即断した返答が得られがたいことも事実でございます。  しかし、それらの環境をつくるための高煙突化までの努力を最善を尽くして、でき得れば早い時期に結論が得られるように、先方の理解も得て設置をさせてもらいたい、設置をしていかなければならぬと、こう考えておるところでございます。  これができない場合にそれじゃどうするかという話は、実は非常にさらに高度な問題になりますから、きょう、その後の見通しを持って取り組むよりも今具体的に取り組むべき課題を申し述べさせていただきましたが、海野委員からの御心配も十分に承知をいたしますので、それやこれやを踏まえながら、まず当面の課題として全力を挙げさせていただきたいと、こう考えます。
  47. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、将来の問題を、仮定の問題を今お話しもできないでしょうから、ただ、六十億で買い取るよとか百億で移転する、要するに建設費が百億ぐらいかかればできるよということの計画すらしたことはないということでよろしいんですか。それはあったけれども、今はあくまでも現段階で我々が処理できる最大限のことをやるのであって、それはあくまで何かの話で出たんだという程度なんですか。
  48. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 海野委員からの御指摘どおりでございますと御返事を申し上げた方が御理解を得られるかと思います。
  49. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、調査の費用は日本が持つ、あるいは住宅の借り上げ費用も日本が持つということなんですが、その費用の捻出というのはどういう理由で捻出はされていくわけですか。
  50. 大森敬治

    政府参考人大森敬治君) 高煙突化のための経費でございますけれども、これは防衛施設庁の方で十二年度の予算の中に計上させていただきまして、この高煙突化取り組みたいというふうに思っております。また、モニタリングの関係でございますけれども、この共同モニタリングの経費につきましては、私ども防衛施設庁というよりも環境庁のたしか予算だと思います。  いずれにしましても、政府といたしまして駐留米軍の基地の安定的使用というものを確保するということが日米安保条約の目的達成上不可欠だというふうな認識でございます。  このような認識のもとに、先ほども説明しました平成十年の閣議了解で、関係省庁協力してこの厚木基地の環境問題の改善に取り組むということになっておりまして、それぞれ予算を計上して実施しているところでございます。
  51. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、いわゆる思いやり予算の範囲内でやるということではないんですね。
  52. 大森敬治

    政府参考人大森敬治君) 私どもが整理しておりますいわゆる駐留支援経費の関係の経費ではございません。
  53. 海野徹

    ○海野徹君 それでは、外務大臣防衛庁長官、両大臣にお伺いしたいんですが、これは日米安全保障というか外交の問題、あるいは日米安全保障の問題、極めて重要な問題でありますが、もう一方では極めてすぐれて環境の問題なんです。在日米軍関係者だけではない、日本人もいるわけです。同じような問題で苦しんでいらっしゃる、ダイオキシンで苦しんでいらっしゃる方がこの日本にたくさんいらっしゃるんです。  今、思いやり予算ではない、環境庁の予算でというような話があったわけなんですが、代替処置のこういう処置というのは大変異例だと思うんですね。  外務大臣は、国民にできるだけ開かれた形で理解を求めて、情報公開して協力してもらうんだということになるとしますと、こういう異例の処置というのをほかの同じ問題で苦しんでいる方々にどうやって説明されていくわけですか。外務大臣防衛庁長官、お二人にお伺いしたいと思います。
  54. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 確かに、議員指摘のとおり、環境問題は日本全国、問題があればどこでもできるだけ早く処理をしなければならないことでございます。  先ほど施設庁長官からお話がありましたのは、モニタリングの問題について環境庁が予算計上するという御説明があったというふうに承知をしておりますが、この神環保に関係しますモニタリングを見ておりますと、空気中のダイオキシンの濃度をどういうふうに調べるかということについて、先ほど防衛庁長官からもお話がありましたが、地理的条件等もありましてかなりはっきり南風による影響と北風による影響とで地域が違ってきているという状況だと聞いております。  これは、モニタリングをしている例えば神奈川県などの説明を聞いても、南風が吹いているときにはどうしても米軍住宅側に直接その風が当たる、北風が吹いてくる場合にはかなり開けた地域に拡散をしていってしまう。したがって、モニタリングを相当しっかりやらないと、そのダイオキシン濃度、一年間を通してモニタリングをしっかりやらないとそれがはっきり出てこないケースも多いというような説明もあるわけです。  私どもとしては、これはもう、もちろん議員がおっしゃったように、そうしたモニタリングがしっかりなされて、米軍住宅であろうと日本人の住宅であろうと、当然同じように基準を超えた部分についてはそれをどう解決していくか、積極的にやらなければならぬというふうに私は思っております。
  55. 瓦力

    国務大臣瓦力君) ただいま外務大臣からも御答弁がございましたが、類例のない状態にこの環境は置かれておるわけでございまして、日米安全保障条約及び日米地位協定に基づきまして提供しております厚木海軍飛行場のより安定的な使用を確保する、かような観点から、大気環境を保全するため、民事契約を締結する等により必要な措置を講ずることとする閣議了解を得て行っておるわけでございます。  なおまた、この周辺には米軍家族のみならず、米軍要員ももちろん家族と同居いたしておるわけでございますが、その飛行場で働く日本人従業員でございますとか周辺市民の健康にかかわる深刻な問題、これは政府全体として問題解決に取り組まなければならないと、かように考えるわけでございまして、これらの高煙突化でありますとかバグの設置でありますとか、こういうことを通じて環境保全が保たれれば方向性が出るわけでございまして、それらに向けてまずは全力を挙げて取り組んでまいりたい、こういうことで取り組みをさせていただいておるところであります。
  56. 海野徹

    ○海野徹君 この大気汚染の問題、ダイオキシンの問題というのは極めてすぐれて環境の問題であって、これは要するに被害を受ける人はアメリカ人であろうと日本人であろうと同じなんです。厚木基地だけ米軍が要請すればこれが解決される、あるいは解決に向かっていくということは、これは相当国民の皆さん方は注視もしていますし、そのやり方によっては、説明の仕方によっては大変な批判が起きるだろうと。  この際、私は個人的には全国でこういうような問題がこのことを突破口にして解決されていけば一番いいな、その前例になればいいなと思っているわけなんですけれども、大変重要な問題であるということだけ、そういった意味ではきちっとした説明を、要するに国民の皆さん方に協力していただけるような説明をどうやってしていただけるか、それは私の方で強く要請したいと思います。  神環保の問題だけで済むわけにいかないものですから、サミットの問題、時間がなくて一問だけ質問させていただきます。おとといですか、中国の駐日大使が、サミットは豊かな国の会議なんだ、中国発展途上国にある国だからサミットに参加する必要はない、あるいはサミットは経済面等で共通の利害の調整の場であって全世界の普遍性はあり得ない、あるいは国連の安保理の決定の権威を傷つけるものだ、だから中国は参加しませんよというようなことをおっしゃっていました。  外務大臣にお伺いしたいんですが、もともとサミットというのは先進国の経済関係あるいは政治的な問題も後々出てきたわけなんですが、それを調整する場としてスタートしたのではないかと思います。そういった意味では、この中国大使の言っていることはなるほどなと。  あるいは、台湾総統選挙が民進党の候補が勝ったということになると、もし仮に中国がオブザーバーの形で参加して、あるいはアメリカも大統領選挙がクリントン大統領がゴア氏に支援する形で何らかの発言をするとしたら、沖縄のサミットの場というのが台湾問題を含めた米中のいろんな意味であつれきを生む衝突の場になるという可能性も想定できるわけです。そういったことも想定しながらも、なおかつ中国の参加を要請したということは、その理由は何でしょうか。
  57. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日本政府中国にG8サミットに参加をしてほしいという要請をしたことはございません。  九州・沖縄サミットはアジアで開かれるサミットでございますから、しかもそれは東京ではなくて沖縄という、言ってみればかなりアジアの懐に近いところで開くということでございますから、アジアの声を聞く、あるいはアジアの心を何らかの形で反映させる方法があるかということを考えたことは事実でございます。  しかし、それはこれまでもどこで開かれようが、ヨーロッパで開かれようが北米で開かれようが、サミットが開かれるときには必ずその事前もしくは事後に日本からアジアの国々に今回のサミットはこういうやりとり、こういう議長宣言を発出しました、この議長宣言はこういう意味です、あるいはこういう経過からこういう議長宣言になっているんですということの説明は、かなり詳細な説明をしているんです。それが事前であったり事後であったりするわけですけれども、そのことはアジアの国々にそうした説明をこれまでも毎回サミットの前後にはしてきているわけです。  したがいまして、そのことによって日本の国がサミットに出席をする場合には、事前にそうしたアジアの国々に今度のサミットの議題はこういう議題になりますよ、なる予定になっておりますということを、そういう場があればできるだけ聞くという努力を今までもしてきたわけです。  例えば、ASEANの場でありますとかその他アジアの首脳が集まる場に総理が出かけていく、あるいは外務大臣が出かけていってアジアの人たちからいろいろな意見とか考え方を聞いて、そして日本も参加をしているわけで、そういう意味ではアジアの声を今回だけ反映させよう、聞こうということではありませんけれども、しかし今申し上げたように沖縄という場所でございますから、できるだけそうしたことも考えてアジアの声というものをよく聞いておきたいということが一つありました。  それからもう一つは、G8のメンバーの中に、G8だけで議論をしていていいのか、非G8といいますかG8以外の国の考え方とか意見というものもやはり聞くべきものがあるのではないかということを、その重要性をおっしゃる方が多くて、むしろそういうことがG8の共通の認識になりつつあるということもあるということは事実なんです。しかし、だからといってG8に中国に参加しませんかということを要請するとか招聘するとかということをした事実はございません。  したがって、G8サミットが行われるということになれば、率直にアジアの声に耳を傾けようということもあって、例えば小渕さんがアジアの首脳に積極的に会われるというようなことをやっていることは事実でございます。
  58. 海野徹

    ○海野徹君 ありがとうございました。
  59. 益田洋介

    益田洋介君 まず最初に、米中関係について外務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。  昨年秋、米中交渉において中国がWTO加盟の交渉を妥結したわけでございますが、これを受けてアメリカ政府としましては最恵国待遇を恒久化する、いわゆるMFNを恒久化する方針を決めたわけでございますが、これに引き続きまして貿易面での正常通商関係、NTRと呼ばれていますが、それの恒久的な供与について、八日、クリントン大統領は民主党を通じて議会に法案を上程したわけでございます。  この法案につきましては、共和党のみならず民主党の一部からも中国の特に農産物でございますが、を中心とした輸入の乱入が懸念されるところから、この通商交渉の恒常的な供与については反対意見が強くなっているという現状を中国政府としては非常に遺憾なことであるというふうにとらえて、十三日、全人代で石広生対外貿易経済協力大臣が非常に激しい口調で米国の議会の対応の仕方について批判をして、もしこのようなことで今回の恒久的供与が見送られるということになったらば最大の被害者はアメリカの通商関係者である、アメリカの輸出業者が中国側のマーケットから拒絶をされて一番被害を受けることになるだろう、米国企業における損失が甚大なものであるというようなことで、いつもそういうふうな手段を講ずるわけでございますが、相当な圧力をかけてこられて、これを受けて二十七日に北京で米中の閣僚級の会議が開かれるわけでございますが、こうした非常に高度の外交というか、内政を含めた交渉が行われようとしている。  我が国としては、これをどのように受けとめていくのか、また話し合いの場に我が国も臨もうとしている用意があるのかどうか。その辺のところ、外務大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  60. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 中国のWTO参加、加盟につきましては、アメリカ政府は非常な熱意を持って中国のWTO参加、加盟について努力をされたと承知しております。  これは、本年のシアトルにおきますWTOの閣僚会議直前までアメリカは大変努力をした。しばしばこれはもうまとまらないのではないかと巷間言われていたものでございますけれども、最後までアメリカ側が努力をして、米中のWTO加盟についての話し合いを続けて、最終的には双方の努力で米中は合意をしたわけでございます。しかし、合意をいたしましたけれども、今、議員指摘のとおり、議会においてはなかなかこのことをさらに進めるというところで非常に難しい状況に今なっているというのはそのとおりだと思います。  私は、しかしアメリカ政府が、将来においてWTO、すなわち世界の自由貿易というものが国際社会に利益をもたらす、アメリカにももちろん利益をもたらすという確信を持って中国を説得した。中国も、またいろいろ議論はありましたけれどもWTOに加盟をしておくことがプラスというふうに最終的には判断をされたものというふうに思うわけでございます。  議会はいろいろな、大統領選挙前のいろいろな思惑もございましょう。それから、通商関係者には直接ダメージを、目先のダメージについて非常に心配をする向きもあると思います。アメリカ政府はそれに対してセーフガードその他をできるだけやるということで説得をしているわけでございまして、この説得が最終的に議会の関係者の了承を得るところとなれば、これは一つの山を越えたということになるのだというふうに思います。  もちろん、我が国はかねてから中国のWTO加盟についてこれを支持しておりまして、日中の間の話し合いは終わっているわけでございますから、米中、さらには将来はECと中国との間のWTO加盟についての話し合いが終了して、中国がWTOに参加をされ、そして国際的な自由貿易体制の中に中国も入るという状況ができることを我々としては望んでいるわけでございまして、アメリカ政府アメリカ議会に対します説得が終わるということを期待したいと思っております。
  61. 益田洋介

    益田洋介君 総統選の結果を経まして、さまざまな情勢分析というのがなされているわけでございますが、一問、これは外務大臣、それからきょうお二人参加していただいています政務次官にもあわせて御意見を伺いたいわけでございますが、アメリカの平和研究所のクローニン氏というのはアジア情勢のエキスパートということで知られていますが、アメリカ中国台湾、この三国の外交関係をクローニンさんはカヌーのようなものだという説明をされております。  非常に振幅が激しい、また流れの速い潮流をかじ取りをうまく均衡を保ちながら下っていくという、そういう状況の難しさ、かじ取りの難しさというものをとらえてそういう表現をされていると思いますが、そのカヌーが揺らいでいくと考えられるシナリオを幾つかクローニンさんは挙げておりまして、例えば陳総統中国との対話に余り動かないで中国側が再び挑発に走るのではないか、軍事面、経済面において。  二点目としては、アメリカの上院が台湾安全保障強化法案を可決してしまうのではないか。三点目は、アメリカ政府早期警戒レーダーシステムの台湾供与を決めたり、さらには問題となっておりますTMD構想に関して促進をすることに対して中国側が再び激怒する。これは最悪のシナリオでございます。  しかし、こういう状況を踏まえながら、アメリカとしては一層中国との外交交渉の密度を増そうとしている。ですから、近々、アメリカの大統領の腹心と言われているバーガー補佐官、国家安全保障担当でございますが、北京に派遣して交渉を開始するというふうな積極的な姿勢を示しているようにうかがわれます。  この点、アメリカの動きについて、また中国側がどのように受け入れていくというふうに考えられるのか、大臣それから二人の政務次官の御意見を拝聴したいと思います。
  62. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) アメリカ中国の話でございますから推測の域を出ないことをお許しいただきたいと思いますが、アメリカは、今、議員お話しのように、アメリカの議会におきましてはいろいろな動きがございます。しかし一方、アメリカ政府ははっきりと台湾の独立にはくみしないということも言っているわけでございます。恐らくアメリカは、台湾に対しては独立を求めるということについて自分たちはこれを支持しないということを言いつつ、中国に対しては武力をもって問題解決をするべきでないということを言うということなんだろうと思います。それがアメリカ政府の恐らくこれからおやりになる作業の一番の基本であろうというふうに私は考えております。  それから一方、中国は、今これも議員がお話しのように、今後の中国の経済の発展というものを考えたときに、米中関係というもの、この関係というものはやはり大事にしていかなければならないというふうに中国が考えていることも想像できると思います。  したがいまして、ここはでき得る限り冷静に、少し時間を使って関係者が話し合うということが何より重要ではないかというふうに思っております。
  63. 東祥三

    政務次官(東祥三君) 益田議員からいつも極めて難しい、また極めて重要な質問が突然出てきて、私はやきもきしてしまうんですけれども、私は次のように考えます。  日本において、先ほど外務大臣がおっしゃられたとおり、今御指摘になられている問題は米中関係の問題ですから、日本にとって米中関係がどうあってほしいのか、それはやはり常によい関係を保っておいていただくことが日本にとってもプラスになる。もちろん、米国との間に日本日米同盟という極めて重要な同盟関係を結んでいるわけですし、中国との間も日中友好条約に基づいて日本中国との関係改善を今日までずっと努力してきたし、またその関係が今後とも維持されていく方向で進んでいかなくちゃいけない。  そこに台湾というそういう要素が入ってきて、この問題は日中共同宣言に基づいた形でもって日本はそこで述べられているまさに中国の視点、それを十分理解し、そして尊重していくという立場を貫いていっているわけですから、そこで、先ほど武見先生の方からもお話がありましたとおり、この台中関係中台関係が平和裏に解決されるようになっていくことを望むと。すべての関係国といいますか、すべての国々がそれを望んでいるんだろうと思うんです。  したがって、日本としては、その反対の極にあります、つまり武力でもって何らかの動きが出てきたときに、そのようにさせないように常に日本として外交努力をありとあらゆる知恵を使いながら、また持てる能力を使いながら、武力行使に突き進まないように配慮していく必要があるということなんじゃないかと私は思います。
  64. 山本一太

    政務次官山本一太君) 難しい質問でも、いつも益田委員政務次官にまで御質問していただけることを大変感謝を申し上げたいと思います。  もう大臣と総括のおっしゃったことに尽きると思いますので、私はつけ加えることはほとんどございませんが、さっきクローニンさんの例を出されたんですけれども、大きなカヌーの揺れができるだけ大きくならないように日本外交としてできることを考えていく、こういうことに尽きるんじゃないかと思います。
  65. 益田洋介

    益田洋介君 次回からは通告をさせていただきますので、安心をなさってください。  次に、防衛庁の装備局長にお伺いします。  十七日、九八年度の入札契約の監査結果を発表された際に、談合と疑われる調達品目が四品目あって、それぞれ落札シェアが過去三年間ほぼ固定していたということでございまして、無線機用の専用乾電池ですとか航空機用パッキング、その他でございますが四品目、各品目ともそれぞれ年間の契約額が一億を超え、十億円にも達しているというようなものだった。  これに対して装備局の説明では、各社に説明を求めたが、そのような、つまり談合の事実はなかったと否定している、こういうコメントを発表されていますが、これだけでは恐らく国民の皆様は現況において納得されないんじゃないかと。さらなる調査を鋭意進めていただいて、しかる後の説明を当然求める声が上がってくると私は思いますが、その点いかがでしょうか。
  66. 及川耕造

    政府参考人及川耕造君) 御指摘のとおり、今回実施いたしました入札契約の監査におきまして、過去三年間にさかのぼって落札シェアの推移等の落札状況をチェックいたしましたところ、今、先生おっしゃいましたように、過去三年間シェアがほぼ固定しているものが三グループ、それから規則的な落札が行われているものが一グループございました。  これら三グループ及び一グループにつきましては、談合情報対応マニュアルの手続に準じまして、今御指摘のとおり報告を業者に求めましたところ、いずれも談合はいたしていないという文書等の回答があったところでございます。これまでの調査結果につきましては、既に関係機関に連絡済みでございます。  したがいまして、今後、関係機関による調査等あるのかないのかございますけれども、私どもとして必要な調査については引き続き実施いたしたいというふうに思っているところでございます。
  67. 益田洋介

    益田洋介君 ぜひ、私の今の提案というのは真摯に受けとめて、きちんとした形で回答を出していただきたいと思います、当委員会に。余りさまざまな問題が累次にわたって続出しているのですから、きちっとしたけじめというものを示していただくべきだと私は考えますので、よろしくお願いいたします。  次に、防衛庁の本庁の庁舎等の移転計画、この概要について、特に予算面、御報告いただきたいと思います。
  68. 小林誠一

    政府参考人小林誠一君) 防衛庁の本庁の移転計画でございますけれども、いろいろ経緯がございますので、まず経緯から御説明させていただきます。  現在、防衛庁が所在しております檜町地区、六本木は周辺の商業地化が著しく進展しておりまして、いろんな意味で警備面の影響が増大してきておりますので、防衛中枢の所在地としては適当でなくなってきております。  このため、昭和六十二年に防衛庁の中央組織を檜町地区から市ケ谷地区へ移転させ、関連する都内及び周辺の防衛施設、これは目黒あるいは朝霞、大宮、霞ケ浦及び十条の六地区を機能的に集約、再配置することによりまして、国有財産の有効利用を図るとの観点から、防衛庁本庁庁舎移転計画を定めまして、昭和六十三年度から所要の施設整備を行ってきております。  現在まで、この整備計画に従いまして予算額、今お尋ねの予算額でございますけれども、四千八百三億円を計上しているところでございます。
  69. 益田洋介

    益田洋介君 現在、庁舎がございます檜町、これは約七万五千平方メートル、二万二千八百坪でございますが、この跡地利用はどういうふうな計画を理財局はお考えでしょうか。
  70. 村井博美

    政府参考人村井博美君) ただいま御質問のとおり、跡地は約七・八ヘクタールあるわけでございます。都心部に残された貴重な大規模国有地であるということもございまして、跡地処分のあり方につきまして、昨年六月でございますが、国有財産関東地方審議会から答申もいただいたところでございます。大蔵省といたしましては、跡地の処分につきまして三点を基本方針といたしたいと考えております。  第一点は、都市環境及び生活環境の改善に資するよう、具体的にはオープンスペース、住宅、業務、商業機能、文化・交流機能、公共・公益的機能を備えた利用を図ってまいりたいという、これが第一点でございます。それから第二点、全体で七・八ヘクタールあるわけでございますが、これを分割するのではなく、一体として売却したいと考えております。それから第三点といたしまして、あらかじめ再開発地区計画の都市計画決定を経た上で売却をしたい、この三点を基本方針といたしたいと考えております。  この方針のもと、現在、再開発地区計画の都市計画決定につきまして、大蔵省、東京都及び港区の間で協議を進めておるところでございます。
  71. 益田洋介

    益田洋介君 市ケ谷に移転された場合、この敷地面積は二十二万八千平方メートル、六万九千坪ということで広大な敷地でございます。これは靖国通りに面して今建築中でございますが、もうほぼ竣工に近い状態じゃないかと思います。大変立派な建物が五棟建っております。このD棟というところに調達本部、防衛施設庁が入る予定になっているといいますが、非常に場所的にもいいということなんでしょうか、地の利を得ているということでしょうか、景観もすばらしい建物が、東京都庁の庁舎が建ったときにもびっくりしたんですけれども、非常にカラフルな驚くべき豪華な建物が建っている。  長官、今、四千億円もお金をかけて、檜町の跡地利用はそれは結構なんですよ、十分にまた都民の憩いの場も一部兼ねていると、今、理財局の御説明でしたけれども、本庁の庁舎がこんなものを建ててよろしいんですか。  私は前にも一回申し上げたけれども、今非常にリストラで中小企業の経営者の方は苦しんでおられる。自分のところの企業の経営が苦しくなったら、やっぱり企業主というのは自分の住んでおるところをまず整理するんですよ。だから、自宅に住んでおられれば借家に住まわれるとか、そういうまず身辺の整理からされるんですよ。これだけ累次にわたってたびたび問題を起こしていながら、国民の皆さんの批判を受けながら、佐藤先生は後ほどまたNECのことを御下問なさるようですけれども、何にも解決がついていない。  それから今度は、これは私、きょうは質問いたしませんけれども、違法射撃事件なんというようなことが発覚して、さらにそれが五年も六年も前に実際はあったのに隠ぺい工作でもみ消されようとしていた。事実、もみ消されていた。そんな事件を繰り返し引き起こしながら、長官、こんなところにお住まいになれるんですか、どのように説明されますか。あそこまで建てたものを今から壊すということは、そんなことは不合理なことだと思いますけれども、例えば、全部そんなもの防衛庁で使う必要ないでしょう、一部民間の方に貸しビルやなんかでお貸しになったらどうですか。こんなことは許されませんよ。どうお考えですか。  政治家であるということはもうもちろんですけれども、一般的な社会人として、人間としての常識から、これは長官、お答えいただきたいと思います。
  72. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 益田委員にお答えいたしますが、今ほどそれぞれ説明がありましたように、防衛庁の本庁庁舎の移転計画につきましては、有効な機能発揮が可能となるようないわゆる配置、そういったものが求められておりまして、それに基づき計画的に防衛庁本庁の設置並びに中央組織等々が配置され、決定を見たわけでございます。  防衛庁の役割、任務については、高邁な御見識をお持ちの益田委員にはよく御了解いただけると思うわけでございますが、これからますます国土の安全、あるいは周辺問題につきまして機能的な組織でならねばならぬわけでございますから、そういう要請に的確に私どもはこたえてまいる、そういう謙虚な姿勢で取り組んでまいりたいと思っております。  また、昨今の景気情勢との比較におきましては、これまた経済問題に精通しておられる益田先生でございますからあれこれ申し上げませんが、私はそこに住まいをするということではなくて、本来の機能が発揮し得る、そういうものであるべきだと思いますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。  檜町地区の庁舎に比べ市ヶ谷地区の個々の庁舎ごとの規模が大きくなっていることは事実でございますが、今後業務を遂行する上で適切な規模、仕様のものであるということを考え、私どもも効率的にこれらの施設が機能するよう努力してまいりたいと思います。また、益田委員からの御指摘を甘んじていろいろお受けさせていただきたいと思っております。
  73. 益田洋介

    益田洋介君 終わります。
  74. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、自衛隊射撃事件の組織ぐるみの隠ぺい事件について質問をいたします。  やはりこの問題というのは、この前、青木官房長官が、事実を隠ぺいするのは論外で、警察、自衛隊と続いて非常に遺憾だというような発言をされたということでありますけれども、この問題は、いわゆるこの前起きました防衛庁の背任事件と大変性質を同じくする問題だと。例えば、この問題は一九九四年に起きているのに実際は外部から通報があって発覚した。しかもこの問題では、背任事件では組織ぐるみの証拠隠滅事件というのがありましたけれども、同じようにこの事案をめぐって組織ぐるみで隠ぺいするという事件だったと。やはり問題の根っこは大変同じで、これに対して防衛庁が厳正に今対処しなければ国民に対して非常に問題だというふうに思います。  私、防衛庁長官の冒頭の発言をお聞きして、大変不満であります。その理由は何かというと、防衛庁長官発言は極めて周辺の問題だけで、問題の本質に迫っていない。実際に、例えばこの問題は武器管理だと、それは自衛隊側からすれば武器管理の問題だけれども、一番重大な問題というのは、この事案が組織的に隠ぺいされたのかどうかという問題なんです。その点については具体的に何にも触れられていない。言っておられるのは、これを組織的に隠ぺいするようなことがあってはならないことは言うまでもありません、そんなことは当たり前のことで、あったから問題になっているわけなんですよ。  ところが、私、今まで同僚議員発言したように、この問題というのは防衛庁が一体どこまで調査が行っているのかということについて、この長官の発言でも何ら具体的じゃないと思います。実際にマスコミが先行して、防衛庁国民的に、事態の到達点は一体どこなのか。私、論点は明確だと思うんです。まず一つは、東部方面総監、陸上幕僚長ないしは陸上幕僚監部がこれにどのように組織的に関与して、隠ぺい工作があったのかなかったのかということ。二つ目には、これに関して陸上幕僚長のさまざまな発言があるけれども、それに対してどうなのか。三つ目は、民間人がこれに絡んだということで、この民間人の関与についてはどう評価しておられるのか、どういう事実経過だったのか。こういう論点を明確にしない限り、この問題の、私、解決をどういうふうに進めるかということはないと思います。  その点で、先ほど同僚議員からも発言がありましたように、当委員会でまずこの論点というのは、私だけがつくった論点ではなくて、実際に今巷間伝えられている論点でありますから、この論点についてどういう事実の調査が、経過があって、現在の到達点は一体どこまで来ているのか、この点をまず初めに防衛庁長官、明確にしていただきたいと思います。
  75. 瓦力

    国務大臣瓦力君) ただいま小泉委員から幾つかの問題について御質問でございます。  論点で申し上げれば経過も申し上げなければならない感がいたしますが、これは平成六年十一月十六日、当時の第一空挺団普通科群長秀島一佐ライフル銃を借り受け射撃実施した事案に関しまして、本年一月中旬、部外から処分疑義があるのではとの問い合わせがあり、直ちに調査に着手いたしました。
  76. 小泉親司

    ○小泉親司君 ちょっと済みません。それはここに書いてあることだから、ここに書いておられることを言っておられるんだから。
  77. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 先ほど申し上げました経過について、今改めて委員から質問がありましたから、冒頭報告いたしましたことに加えて、また重ねて申し上げさせていただいたわけであります。それは要らないんですか。
  78. 小泉親司

    ○小泉親司君 私が言っておりますのは、この防衛庁長官のことを今、私、防衛庁長官のことを全部お聞きしまして、言っていることはさっき冒頭で言ったことを、ただ防衛庁長官の今度はお言葉で言っておられるだけなんです。  よろしいですか。私のお聞きしているのは、事実がどこまで行っているかということを、それぞれ三点の論点に基づいてどういう経過なのかということを説明してほしいということを言っているんです。つまり、あなたがおっしゃっているのは組織的隠ぺい事件があってはならないことだと思うと言っているだけの話で、組織的隠ぺいがあったかなかったかという事実調査の経過はどこまで到達しておるのかと質問しているわけでございます。
  79. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 実は、私が申し上げたかったことは、これらの疑義に基づいて、さようなことであっては国民信頼が得られないということで、私が陸上幕僚長に対しまして当時の処分、これらにも触れて、徹底的に調査するよう命じたことからこの問題が整理されておるわけでございまして、報道云々という問題がありますが、私はこれらを通じて自浄努力といいますか、そういう情報に基づいて私どもがどう取り組むべきかということにつきまして、マスコミ報道もさることながら、私どもは着手したことをまず申し上げたかったわけでございます。  なお、当時の事案処理に当たりまして組織的な隠ぺいが行われたのではないか、こういう疑いもございますことは十分承知をいたしております。もちろん一般論でございますが、刑事事件に該当するような服務規律違反について、これを組織的に隠ぺいするようなことがあってはならないことは申すまでもありません。  よって、私はこれらの事実を、状況を今明確にすべく解明を急いでいるわけでございますが、これは地検等にも既にこの問題、進められておるわけでございますから、それはそれとし、内部は内部としての調査も含めてこれらを精査し、改めて信用を得られるような体制をとりたい、かように考えております。
  80. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、報告は大変具体的ではないと思います。  そこで、幾つかお聞きをいたします。  報道によりますと、九四年十二月中旬に、第一空挺団はこの事件について供述調書を作成した、十二月下旬には東部方面総監部の人事部は幹部の民間銃使用による射撃事案についてという報告書を作成して、その翌日、陸上幕僚監部服務班は事件の概要を報告した文書をつくり陸上幕僚長報告したというふうに言われておりますが、このような文書は防衛庁に存在するんですね。
  81. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 人事局長に答弁させたいと思います。
  82. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 報道にありますように、その当時内部文書というようなものは存在するということでございます。
  83. 小泉親司

    ○小泉親司君 存在する。
  84. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 存在いたします。
  85. 小泉親司

    ○小泉親司君 どういうことが書かれているんですか。例えば、この事案が外部に漏れ自衛隊の威信失墜となることを懸念していたが、発生から一カ月経過した現在、当日関係した隊員の一部が疑念を持っている以外は部隊内での風評もなく、厳正に処理すれば隊員から告発もないものと思われる、民間人三名についての背景調査及び過去の自衛隊との関係から、民間人自身から事案が表面化するおそれはないものと推測される、こういうことも明記されているんですね。
  86. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 内部文書にはそういったことが、それに類似したことが書かれておるところでありますが、ともかくその内部文書がどういうふうな性格を持つものか、そういうことがまだ明確でございませんので、さらにその調査を進めておるところでございます。
  87. 小泉親司

    ○小泉親司君 じゃ、例えば、民間人三名についての背景調査と言っておられるわけだけれども、実際に背景調査をしたわけでしょう。自衛隊が民間人に対して背景調査をしたわけだ。どういう調査をそういうときにはするんですか。
  88. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 民間人について、そういった具体的な背景調査ということをどこまでやったかということについては定かではありません。
  89. 小泉親司

    ○小泉親司君 実際にこの幹部の民間銃使用による射撃事案についてということは、ここでもさっきお認めになりましたように、実際に当日関係した隊員の一部が疑念を持っている以外は部隊での風評もないから厳正に処理すれば隊員からの告発もないということがあったということであれば、この事実そのものが大変組織ぐるみの工作を一つは示しているんじゃないですか。
  90. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) ちょっと補足的に説明させていただきたいんですけれども、当時にありましては民間人が小銃を撃ったというふうなことについては承知をしていなかったわけであります。そういった意味で、民間人がいわゆる小銃を撃ったということが前提で考慮されていたわけではございません。
  91. 小泉親司

    ○小泉親司君 報道では、この報告書には、東部方面総監のほか総監部のいわゆる幹部の八人のサインがすべてあったというふうに報道されておりますけれども、そういう事実も間違いないんですか。
  92. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) その報道にある内部文書がどういうものか我々はよくわからないんですけれども、我が方の内部文書の中にはそういったサインのあるものというものはございます。
  93. 小泉親司

    ○小泉親司君 その報告書がつくられた翌日に服務班が陸上幕僚長報告した、これは陸上幕僚長も知っていた、そういう事実を。それは間違いないんですね。
  94. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 陸上幕僚監部の方における内部文書についても、この猟銃事案についてはございます。したがって、当時において何らかの意味で知っていたと思われます。
  95. 小泉親司

    ○小泉親司君 ところが、当時の冨澤陸幕長は、さまざまなマスコミのところで、記憶がなく自分のサインじゃないかもしれない、報告書については全く記憶がない、当時見ていれば厳重に調査を命じていたはずだと、サインも自分でないような気がすると言っておられるというふうな報道がありますが、そういう点ももう調査されているんでしょう。
  96. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 陸幕長に報告されていたのは事実と思われますが、当時陸幕長が具体的にどのようにかかわっていたか等につきまして引き続き調査中でございます。
  97. 小泉親司

    ○小泉親司君 今の磯島陸幕長は、三月十六日の記者会見でマスコミ事件をもみ消そうとしたのかというふうなことを聞かれて、そういう可能性が強いのではないかという認識をしていると答えておる。ところが、その逆に、一方で冨澤元陸幕長は、隠ぺい工作のようなものは記憶にないということを言っておられる。その点では非常に食い違っているわけです。その点は、実際にこの事件当時の元陸幕長の発言としては大変重大だと思いますが、この点については防衛庁はどういう見解を持っているんですか。どういう事実調査をしたんですか。
  98. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 防衛庁としましては、当時の関係者、陸幕長を含めて多数の方々からの聞き取り等を含めて現在実施をいたしておるところであります。
  99. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、この問題というのは大変重大で、実際に現在の陸幕長と元陸幕長の状況が違うという点では、私は元陸幕長を当委員会でもきちんと招致して真相を徹底解明すべきだということを委員長にお願いいたしておきます。
  100. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) ちょっと一言補足を。今、委員の御発言ですと、当時の陸幕長がみずからそういった押さえるといいますか、隠ぺいといいますか、そういうことに関与したというふうなことが前提になっているようでございますが、実は、そういうところがまだはっきりはしていないんです。むしろ、そうでない可能性の方が強いということがあるわけでございます。
  101. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、だから私は国会でもその問題について招致をして、きちんと国会でも事態の解明をすべきだということを要求したいわけであります。  その点、委員長、御配慮をお願いいたします。
  102. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 後日、理事会で協議をさせていただきます。
  103. 小泉親司

    ○小泉親司君 続いて、部隊見学の問題でありますが、この問題というのは、民間人三名が部隊見学をした、しかもそこで自衛隊の小銃を撃ったという事件だという報告防衛庁長官から先ほどありました。一部報道では機関銃も撃ったと、こういう報道もありますが、その事実はいかがですか。
  104. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 機関銃の件につきましては、そういった情報がございます。
  105. 小泉親司

    ○小泉親司君 ございます、ですか。
  106. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) そういった情報がございます。
  107. 小泉親司

    ○小泉親司君 ちょっと語尾がいつも聞こえないものですから。  いわゆる民間人はライフル銃を携帯していただけじゃなくて撃っていた、戦闘服やヘルメットをつけていたという情報もありますが、その点も確認しているんですか。
  108. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 本件につきましては、もともと猟銃を秀島一佐が撃ったということについて、そのことについては当時調査をしておるわけでございます。したがって、猟銃事案として当時の記録はあるわけでございます。その中においては、当時迷彩服、それから鉄帽といいますかヘルメット、そういうものをその民間人の方は着用していたということが記録にあります。
  109. 小泉親司

    ○小泉親司君 自衛隊というのは民間人を部隊に呼んだときにそういうことをさせるものなんですか。
  110. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) 演習場等におきましては、安全性の観点等から、そういうふうに迷彩服等あるいは靴をお貸しして、そして安全上問題がないようにということでお貸しすることは当然ございます。
  111. 小泉親司

    ○小泉親司君 戦闘服もつけてヘルメットもつけて小銃も撃って機関銃も撃ったという情報もある。こういうものであれば、事実上、民間人をこの訓練場にわざわざ招致して事実上の訓練をやっていたというのとほぼ匹敵しちゃうじゃないですか。何でそんなことが許されるのか。これ防衛庁長官、この点でも私、非常にこの問題というのは重大だというふうに思いますが、長官いかがでございますか。
  112. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 小泉委員からの御質問にお答えしますが、今これらのことをそれぞれ調査究明をいたしておるわけでございます。もちろん警務隊におきましても、あとうところ自衛隊の秩序管理をしなければなりませんから、ここにおきましても調査を命じておるところでございます。  でありますが、小泉委員からの御質問は御質問として、御意見の方に迷彩服も銃も持ちということになりますと、すべて決定的なお話でございますので、今それらについて私は答弁する立場にはございませんが、今それらを含めて調査をし、そしてしかるべき措置を厳正にとってまいりたいということで指示をいたしておるところであります。
  113. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、冒頭申し上げましたように、防衛庁長官が事実関係の段階について国会に報告しない、事実上報告していない、だから私は聞きただしているだけの話で、私は別にこうだと断定したということはございません。どうだと人事局長に私はお聞きしているんですよ。こういう事実すらあなたの冒頭の報告にないじゃないですか。先ほど同僚委員も言いましたが、NECの事件のときもそうだったんですよ。マスコミだけがどんどん先行して、マスコミ調査で国会がくるくると振り回されている。こんな道理のないことは私はないと思います。防衛庁長官が真摯に真相を究明するというのであれば、今私が質問した内容については既に巷間伝えられていることを私は聞いているんですよ。だから、そういうことを国会に明確に報告すべきじゃないんですか。  私、手続的なことを言いますが、その点について防衛庁長官、いかがですか。
  114. 瓦力

    国務大臣瓦力君) この問題はあってはならないことでありますから、慎重に取り組んでまいらなければならないと思っておりますし、私は究明すべきものは明確にしておかなければならない、かような姿勢で臨んでおります。  国会に対します報告につきましても、既に質問等には誠意を持って答えさせていただいておりますが、私が掌理する問題と実務として今整理をしておる問題で、担当者では答えの深度におきまして委員が納得するかしないかという問題があるといたしましても、私どもはそういう姿勢で臨んでおることは間違いございません。  なおかつ、検察並びに警察等との関連がありますので、その問題については留保させていただく問題も整理させていただく問題もありますということを申し上げさせていただいておるわけでございまして、何も包み隠して申さないというような事柄ではないことは十二分に承知をし、なおかつ自浄努力をこの際発揮することが、国民から信頼される自衛隊を私は育てる大事なことであるということをたび重ねてお答えしておるわけであります。
  115. 小泉親司

    ○小泉親司君 そうしたら、近々中間報告を出すということは御了解いただけますね。中間報告を出すと、国会に、当委員会に。
  116. 瓦力

    国務大臣瓦力君) これは当委員会のお指図にもよりますが、私は中間報告を出すかどうかということを申し上げる立場よりも、今真摯に解明をすることに全力を挙げることが私に与えられた責務であると考えております。
  117. 小泉親司

    ○小泉親司君 しかし私、この間の予算委員会等の議論を見ていまして、全部読みまして、今私が質問したような中身についてはまだ当委員会ないしは予算委員会、国会などについては何ら明確になっていないと思いますよ。だから、そういう問題について現在わかっている事実関係を、それぞれ到達したものを明らかにしてほしいと、私はそういうことを主張しているんです。  だから、その意味では私、ぜひ委員長にも、当委員会に一定の段階での報告をきちんと防衛庁から聴取すべきだということをお願いしたいと思います。
  118. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 後刻理事会で協議をさせていただきます。
  119. 小泉親司

    ○小泉親司君 これをやっていますと切りがないので、私は防衛庁のもう一つNECの問題だけ最後に触れさせていただきます。  今度のNECの問題では、この前、装備局長返還請求の報告をいただきました。ところが、この一番の問題というのは、NECの問題でもその他の問題でも、一番最後に問題になりました電波機器エンジニアリングの問題でも、実際に一番の大きな問題は、返還請求額が何ぼかということじゃなくて、このNECに係る事案がどういう背景でどういう手口で、二重帳簿をめぐる問題を含めて、なぜこのような事態が起きてしまったのか、それに対して防衛庁が具体的にどういうふうに関与した、その結果どうだったのかということをやはりきちんと国会に報告しないと、私はこの問題での徹底解明というものはないというふうに思います。  例えば、このエンジニアリングの一番最後に、きょういただいた報告書によると、その原因について書いているのは、二重帳簿を作成するなどして同社が過大に代金の支払いを受けていた事実を把握するとともに、真の原価元表の信憑性を確認し、というだけのたった三行で、私はこれでは一体これからのこの過払い事件、いわゆる背任事件防衛庁は過払い事件と言っているんだけれども、この問題の本当に教訓をつかむことができるだろうかと私は思います。  その点で、これまで私たちが国会でも質問してまいりまして、防衛庁長官は私の質問でも何と答えられているかというと、特別調査に基づいて真正な狂いのないものをできるだけ速やかに出したい、何とか将来これには国会にも国民にも報告できることであります、そういうことをきちんとやってまいりたい、これは野呂田防衛庁長官の私に対する答弁でもありますけれども、こういう報告書は出されるんですか。それとも、このいわゆる過払いを幾ら国に返還しましたということでこの問題というのは終わりなんですか。防衛庁長官、その点お尋ねをしたいと思います。
  120. 瓦力

    国務大臣瓦力君) この過大請求事案につきまして、資料の保存等の関係調査できなかった場合もありますが、現時点でできる限りのことを行いまして、事案状況に関し判明したものについて可能な限り明らかにするなど、万全を尽くしたことについて御理解をいただきたい、今日まで御報告させていただきましたことを踏まえて申し上げますと、かように申し上げて御理解を賜りたいと存じます。
  121. 小泉親司

    ○小泉親司君 やはりこの問題というのは、幾ら国に返還したかという問題じゃなくて、この問題の本質が一体どこにあって、防衛庁として反省すべき点がどこにあってということをきちんと国会に報告して、その教訓をやはり国会でも明確にさせて、これからの再発防止ということがそれによって私は可能になるということを指摘して、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
  122. 田英夫

    ○田英夫君 質問通告をしておりませんけれども外務大臣の先ほどの御報告の中に台湾総統選挙の問題について触れておられますので、このことを最初に意見を交えて御質問したいと思います。  最初に確認をしておきたいんですが、先ほど、同僚委員の質問に対しての当面の政府の対応として、慎重に対応したいという意味の答弁をされたと思いますが、確認をしたいのは、当面、中国あるいはアメリカ、そして新しい台湾総統、そうした人たちの動きを慎重に見きわめていこうということで受け取ってよろしいでしょうか。
  123. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 従来から我々が述べてきているこの問題と申しますか、中国日本関係、あるいは中国動向に対する我が国基本的な考え方は今すぐに変える必要はないと思っておりまして、そういうことを前提に注意深くなお見たいというふうに思っているわけです。
  124. 田英夫

    ○田英夫君 もちろん、さまざまな点を検討し対応されると思いますけれども一つ御注文をしたいといいますか、これは台湾の今までの歴史といいましょうか、これをやはりさかのぼって、日本が日清戦争の結果として植民地支配した経緯から始まって、第二次世界大戦後、蒋介石国民党が台湾に移って、そしてそこでどういうことがあったかといういわば歴史を十二分に検討する必要があるんじゃないだろうか。今回、国民党が今までの五十年の歴史を破って、破れて民主進歩党という政党の人が総統になったということは大激変でありますけれども、その根底は一体何なのかということをぜひ政府として、今、民間の対応という外務大臣の御報告にもあったように、対応が事実上そういうことですから、しかし情報は十二分にとり得る状況ですから、そこをぜひ御配慮いただきたい。  と申しますのは、例えば今回副総統になることになっている呂秀蓮女史、この人は美麗島事件関係して投獄されたという人でありますが、また総統に当選をした陳水扁氏はこの美麗島事件の弁護士であったということであります。  この美麗島事件というのは、私も実はその犠牲者を救援したことがありまして若干知っておりますが、今回の問題のかなり根底にあると見ていいのではないか。ああいう事件が起きた、つまり国民党の治政に対して台湾出身のいわゆる本省人と言われる人たちの中で非常に強い反発があった。これに対して、当時の国民党政権はいわば弾圧と言っていい強い態度で臨んで、私が救出したという人は実は二十年投獄されていた人ですが、幸いに釈放をされて現在元気にしておりますが。この人も、今回の表に出ておりませんけれども台湾労働党という全く一般に知られていない小さな党の指導者でありますが、そういう動きが今回の結果の根底にあるということを若干知っておりますので、ただ中国の動きとかアメリカの対応とかいうところに情報の収集が偏りがちになるかもしれませんが、台湾本体の動きをぜひ重視していただきたい。  もう一つ注文したいことは、アメリカの動き、これはもう先ほど外務大臣が言われましたから十二分に御配慮をされていることと思いますけれども、議会の動きと政府の動きはずっと違ってきている。台湾関係法ができたいきさつもそのとおりでありますが、実は民主進歩党の中に独立派がいることは事実でしょうが、その独立派の後ろにFAPAというアメリカの親台湾派の組織があるということであります。実はそのFAPAの組織人員のかなりの部分は台湾出身の台湾アメリカ人であります。そういうこともあってその人たちのグループの動きはアメリカにおいて非常に活発です。そういうことも情報の中に入れて御配慮をいただきたいということを申し上げておきます。  もう一つ確認をしておきますが、日本政府の態度は従来と変わらないという御答弁がありましたけれども、特に今回の事態が起こったことに対して何らかの態度表明を日本政府がされるというようなことはありませんね。
  125. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 台湾総統選挙の結果を受けまして、私は談話を発表いたしました。  もうお目にとまっているかと思いますが、その談話では、このたび台湾において陳水扁氏が新たな指導者に選ばれました。我が国としては、このような新たな状況のもとで、台湾をめぐる問題が海峡両岸の直接の当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されること、またそのために両岸間の対話早期に再開されることを期待しております。我が国として、日中共同声明に基づき、日中間で安定的な協力関係発展させる一方、日台関係については非政府間の実務関係として民間及び地域的な往来を維持していくとの方針は不変であります。こういう談話を発表したところでございます。
  126. 田英夫

    ○田英夫君 この問題はあさって当委員会でまた勉強をすることになっておりますので、この辺で終わりたいと思います。  通告に従って一つ防衛庁に質問をしたいんですが、交戦規則というのを防衛庁で作成されるということが言われておりますけれども、事実でしょうか。
  127. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 田先生御案内のとおり、昨年、不審船事案がございましたり、また原子力災害のような多様な事態に迅速かつ適切に対応しなければなりません。そのために平素から自衛隊運用をめぐるさまざまな課題につきまして研究を進めることが重要である、かように考えております。  このため、自衛隊運用に関する諸課題につきまして常日ごろから検討状況報告を受けるとともに、関係幹部が集まりまして議論をして、認識を統一しておくというようなことが私は効果的である、かように考えておるものでございまして、かような意味で私のもとで運用の重要問題に対する研究を実施したい、こういうことで指示をさせていただきました。  本研究におきまして自衛隊運用をめぐるさまざまな基本的な諸課題について幅広く研究することといたしておりまして、現時点で想定される主要な研究テーマといたしましては、武器使用基準等の措置基準いわゆるROEでございますとか、情報、指揮、通信機能の強化いわゆるC4ISR、運用上の観点から見たいわゆる軍事における革命、RMAでいわゆる領域警備等を考えているところでございまして、これらの問題について幹部が認識を持ち合わせるということが必要だと、こういうことの勉強でございます。
  128. 田英夫

    ○田英夫君 この問題は、言うまでもないことですけれども、憲法で交戦権を否定している、武器使用を否定しているという大前提がある上での研究ということでなければならないと。  一つ具体的なことで、昨年のいわゆる不審船の問題のときに、海上警備行動、自衛隊法八十二条が初めて発動をされたということでありますが、これは一つの法律としての規定でありますけれども、もう一つ、八十四条のいわゆるスクランブル、航空自衛隊のスクランブルの規定、これに海を加えようということが、今研究と言われましたが、その研究の課題の中に出てくるんでしょうか。  つまり、今、自衛隊法では空に対してはこのスクランブルで対応するということが決まっていますが、海に対してはないと。これを加えようという、昨年の不審船の事態からこういうことが言われていますが、これは事実でしょうか。
  129. 依田智治

    政務次官依田智治君) 先生、この交戦権ですね、当然、防衛庁、憲法の禁ずる「交戦権は、これを認めない。」ということについて何か定めようという考えじゃ全くありません。  ただ、交戦権の議論につきましても、自衛権の行使として必要な範囲の、交戦するために必要な、行使として必要なことはこれは当然やらなきゃならないという前提に立って、いろいろ今日不審船事件以来考えてみますと、やはり戦後初めて八十二条の海上警備行動が発令されたと。  しかし、初めてでございますし、ある程度大筋は基本的には考えがあるものの、シビリアンコントロールという視点に立った場合には、やはりシビリアンコントロールの本当に基本に立ってしっかりとしたルールというものをつくっておく必要があるんじゃないかということで、この問題についても、海上保安庁とまずどういう手順でこれをやろうかという取り決めもしたわけですが、それに基づいて防衛庁としても細部のルールというものもつくらにゃいかぬと。  また、先生御指摘の八十四条に基づく、領空侵犯、これも必要な措置をとることができるということになっておりますが、じゃ、その細部について、ある程度の規制はありますが、それをどういう形で規定するか。  その他いろいろ、防衛庁自衛隊に課された行動等でも、基本は警備計画その他で策定されているものの、細部についての詰めがもうちょっと我々としても考えにゃならぬ問題があるというようなことで、今回そういう、もちろん自衛隊法、憲法の範囲内においてシビリアンコントロールの視点に立ってもう少し詰めておくべきじゃないかと、こんな反省に立って今検討会を始めたということでございます。
  130. 田英夫

    ○田英夫君 この問題は、また時間を少しとって私も勉強させていただきたいと思います。  もう余り時間がないんで一つだけ、今度は外務省へ戻りますが、一九九九年の十月二十三日にラオスのビエンチャンでベトナムとラオスとカンボジアの三つの国の首相が会談をしているということ、これは外務省は把握しておられるでしょうか。
  131. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) そのことは把握しております。
  132. 田英夫

    ○田英夫君 これはベトナムのファン・バン・カイから、ラオスのシサワット、カンボジアのフン・セン、三首相が、この顔ぶれになっては初めてと思いますが、会談をしたということが、ほとんど日本では報道されておりませんけれども、今確認をしたとおりでありますが、これはどういう動きだと考えておられるのか。一部のマスコミの解説では、その地域の経済的な強化を話し合ったと、また別の解説では、ASEANの中でこの動きを非常に警戒していると、こういうことも言われておりますけれども日本政府はどういうふうに受け取っておられますか。
  133. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員指摘の、昨年十月に行われましたラオス、ベトナム及びカンボジアの三カ国による非公式首脳会議につきまして、タイでございますとか中国でございますとかいう近隣地域がこの会議はASEANを分断するものではないかという警戒感を表明しているという今の御指摘ですが、そういうふうに我々は聞いておりません。  本年二月にタイで行われました日・ASEAN首脳会議におきましては、ASEAN域内の格差是正の問題が議論されておりまして、我が国としては、今申し上げた三カ国を含むASEAN新規加盟国と他のASEAN諸国の協力関係が一層緊密にならなければならないというふうに思っておりまして、今言われたインドシナ三カ国の首脳会議が、ASEANを分断するといいますか、ASEANの中で新たなコアをつくるというふうに動くだろうという、そういう受けとめ方をしておりません。
  134. 田英夫

    ○田英夫君 それは結構なんですが、ただ、あの地域のその動きが三つ目の、つまり朝鮮半島台湾、それに続く三つ目のアジアの不安定要因になるということがあってはならないということなんですが。  先ほどまさに中国、タイと言われましたが、その方面からの情報によると警戒をしていることは事実ですね。特に、タイは非常に不快感を持ってこの動きを見ているというふうに私も聞いております。ということは、ベトナムが実は、やった場所はラオスですが、中心はベトナムの動きだということで、もう時間が来ましたからこれ以上申しませんが、ベトナムを中心としたいわゆるインドシナ三国が新たな動きをするのではないかと警戒をしているということ、ベトナムの今までのカンボジアやラオスに対する対応ということからすると、決して私はタイや中国の懸念は空想だけではないような気がいたしますので取り上げました。  終わります。
  135. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 外務大臣に二点御質問をさせていただきます。  先日の委員会防衛庁の国防省への昇格問題を御質問いたしましたが、大臣は、国際情勢を勘案してというような御説明をされた記憶がございます。私は、この問題は国家の基本を整えることであって、普通、独立国、独立した国はみずからの通貨とみずからの民族の軍を持つことが独立国の基本的な要件であります。どこの国でも自分の通貨と自分の民族の軍隊を持つと。  近隣諸国が不信感を持つゆえんは、九〇式戦車やイージス艦やF15という近代戦を遂行し得る装備を防衛庁は持ちながら、軍隊でないとかエージェンシーという言い方をとっている方がはるかに近隣諸国の信頼を得られないのではないかと私は考えますが、いかがですか。
  136. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 平成九年十二月の行革会議の最終報告及び平成十年六月の中央省庁等改革基本法におきまして、防衛庁平成十三年一月の中央省庁再編に際して現状どおりとするということになっているわけです。その最終報告には、新たな国際情勢の下におけるわが国の防衛基本問題云々ということが書かれておるものですから、私はそれを引用して御答弁を申し上げたわけでございます。
  137. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私はその報告が間違っているというふうに思っております。したがって、国家の基本を整えることは国際情勢とは全く無関係だと私は申し上げているわけです。また御質問いたしますが。  次に、本日の外務大臣による御報告を見まして、一番最後に、「日台関係については非政府間の実務関係として民間及び地域的な往来を維持していくとの方針は不変であります。」と述べられておりますが、どうして台湾責任ある政府の要員が行かないのか、行けないようにしているのか。中国に遠慮しているのかどうか知りませんが、どうして行けないのですか。理由をお聞かせください。
  138. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) これは、議員は十分御承知の上での御質問だと思いますけれども我が国中国との関係の正常化に当たりまして日中共同声明が発出されているわけでございます。この日中共同声明の発出に至りますまでの日中間のやりとりの中で、台湾につきましては、非政府間の実務関係として民間及び地域的な往来の維持ということにとどめるという理解、了解がございます。  したがいまして、我が国は、先ほど私申し上げましたように、日中共同声明基本としてこの問題に対応するということになれば、台湾との関係については非政府間の実務関係とし、民間及び地域的な往来を維持していくという方針を引き続き持っていくということが、この方針を変える今状況でないということでございます。
  139. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 それは日中共同声明の中に書かれているんですか。
  140. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日中共同声明の中に今私が申し上げたことが具体的に書かれているわけではございませんが、日中共同声明におきまして、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重すると、こう書いてあるわけでございます。この立場を我が国としては堅持していくというのが現在の状況でございます。
  141. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 国交がないわけですから、国交がある国の相互に行う儀式等はやれませんけれども政府の要員が、責任のある人が行くのは何にも反しないことだと私は思いますけれども、いかがなんですか。  新しい総統が選出され、我が国安全保障上極めて重要な地政学的位置にある台湾責任ある政府の要人が行かないというのはおかしいと私は思うんですが、ほかの国は行っていますね。例えば今度の新幹線にしても、よその国は運輸大臣が行っている、行かないのは我が国だけだと。それで、関係のない議員が行かれたように聞いておりますけれども、ちょっと私おかしいと思うんですね。経済大国、世界の第二位なんて言いながら、どうしてそういうことをきちっとしないのか、私はわからないんですが、もう一度御質問いたします。
  142. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほど来申し上げましたように、経済的な実務にわたります交流は日本で現在行われているわけでございます。議員が御指摘のように、他国との比較というのはこれはなかなか難しいことでございまして、日本中国との長い歴史的な経過その他にかんがみ、またさらに繰り返しになりますが、日中共同声明によって日中の国交の正常化を行ったときのいきさつ、やりとり等を考えれば、我々がこの点については従来どおりの方針を堅持するということになるというのが御説明でございます。  したがって、政府関係者の台湾出張は実務関係処理において必要な実務レベルのものに限られるべき、こう考えておりまして、日台間の民間人の交流についてのみ我々としては考えられるという状況にございます。
  143. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛庁の西川政務次官お尋ねいたします。  三月十六日の日米防衛首脳会談に御出席されたと承っておりますが、特に神環保問題、ダイオキシンの問題、厚木の問題で今後防衛庁はどのように取り組む決意か、お伺いいたします。
  144. 西川太一郎

    政務次官西川太一郎君) 先生お尋ねの本問題でございますけれどもアメリカ側が深く懸念の意思を表示している問題でありますことは常々承知をいたしておりましたが、本年一月初旬のワシントンにおける我が瓦長官とコーエン長官のトップ会談に陪席、出席を許されましたときにも、このことにつきましては、基地周辺の住民の皆さんも含めて米軍関係者、また米軍基地内で働く日本人労働者、従業員の皆さん、こういう方々の健康を損ねるという重大問題であるという認識で、アメリカ側から場合によっては民事訴訟をやるというような強い姿勢が示唆されていたことを今思い起こします。  そして、今回二回目のその席に同じく出席をさせていただきまして、この問題がただいま段々の経緯を踏まえて、我が防衛庁としては五つの原則をアメリカ側に提示をし、それによって翌日の共同記者会見等にもあらわれておりますように、報道されておりますように、アメリカ側が我が方の対応に対して感謝をしているというような評価をいただいてまいりました。  したがいまして、当委員会の御議論も踏まえ、私どもとしてはやはりそうしたことをしっかりと実現していくことが両国間の信頼の醸成にさらに寄与するものだと思っております。
  145. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 西川政務次官はもう三十年近い政治活動をされた方でありまして、長官は二回目、依田先生は防衛庁の御出身でありますので、西川次官は非常に新鮮な目で防衛庁自衛隊をごらんになっていると思います。その新鮮な目で見られたところというのは非常に重要だと私は思っておりますので、防衛庁もいろんな不祥事件を起こしておりますし、どのような御所感をお持ちか、お伺いさせていただきます。
  146. 西川太一郎

    政務次官西川太一郎君) 御指摘のとおり、私が公の形で、または個別的にも防衛庁に接触を持った経験はそう多くはございませんけれども、しかし、私も議員の端くれとして、国防の問題、安全保障の問題につきましてはそれなりの勉強をしてきたつもりでおります。  そういう目で防衛庁に参りましたところ、一つは非常によく働く人々だということを率直に思いました。ごらんいただければわかりますが、檜町の庁舎は、どこのお役所もそうかもしれませんが、絶えず夜遅くまで若い役人の方々も含めて本当によく働くなという印象が一つございます。  それから、国際貢献、もう時間に限りがありますから簡単に申しますと、トルコの仮設住宅でありますとか、また東チモールからの難民に対する輸送支援でありますとか、そのほかいろいろありますが、こういうことにもとっても熱心にやっている。  それから、過日起こりました入間におけるあのとうとい崇高な精神を発揮された殉職事故については、涙をとめることができないほど感動いたしました。そのほか枚挙にいとまはありませんが、各部隊を回って、大方の方々は非常に真剣に日本を守るために努力している。  率直に言って残念ながら、このたび、大体私は五カ月になるのでありますが、不祥事というものが結構ありました。最初のうちは数が多いから、三十万人近くいればこういうようなこともあり得るのかと、こう思いましたけれども、決してそうではない。したがって、我々としてはこの問題に対して真摯に取り組み、特に現場に対しては国会でのこのまじめな御議論、厳しい防衛庁に対する御意見、こういうものを、この緊張関係を現場の方々に伝えることも政務次官としての仕事ではないかと考えまして、再発防止のためにそういう努力もしていきたいというふうに思っております。  そして、最後に申し上げれば、防衛庁自衛隊はこの国を守るために実力を発揮したいのに、まだ例えば有事法制のように法律的に未整備なものがかなりあるということを率直に実感として感じております。  しかし、これは与党三党を初め、国会の御議論、政治の場でのいろいろな方針を決めていただくことなかりせば、なかなか思うように進まないのだなということもよく承知をいたしているつもりでございます。
  147. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 終わります。ありがとうございました。
  148. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私は前回に引き続いてNECの水増し請求問題を取り上げたいと思います。  私は、小さいころからお前の長所は粘り強いことだ、欠陥は執念深いことだとこう言われておりましたので、その性格は今も変わっておりません。やっぱり納得するまではこの問題、三回でも五回でも十回でも取り上げたいというふうに考えております。  そこで、一連の防衛庁をめぐる水増し請求事件、一昨年にそれが発覚いたしまして大騒ぎになって、幾つかの会社に司直の手が入って起訴もされておると。これは水増し請求をして、それを返納させるときに防衛庁が手かげんをした、まけさせてやったということが背任だということで問題になって、会社関係者と防衛庁関係者、防衛庁の中には調達実施本部長とかの相当な高官も含まれておりまして、起訴されておると。  その一連の騒ぎの中で本体とも言うべきNECが浮上してまいりまして、NECがみずから記者会見をして、五年間で五十億の水増し請求をしていた、まことに申し訳ないというふうな発表をしておりました。それを受けて当委員会でもこれを何回も取り上げて、防衛庁から事実関係説明を聞く、あるいは追及もするということでありまして、これに対する防衛庁サイドの答えは一貫して一生懸命やっております、年内までには何とか目鼻をつけてきちっと国会に報告したいと思います、こう言っていたわけであります。  先ほど、小泉議員質疑の中にもそのことが出ております。私も聞いておりますし、私自身もそういう質問をした記憶があります。  そこで、防衛庁の国会報告、国会と言うからには当委員会報告をして、資料か何かを配って、それを長官またはこれにかわる人がきちっと説明をして、我々がまた質疑をする、その上で防衛庁のその調査結果が評価されるかどうかということが決まるんだろうと思いますが、どういうわけか、去年の十二月二十三日か何かに防衛庁がいきなり記者会見をしまして、NECの不正請求問題、水増し請求問題は三百十八億である、しかしこれは返納すると言っているから問題はこれでおしまいという趣旨の発表でありました。  先ほど武見議員が、今回の陸上自衛官の銃器不正使用問題について、防衛庁は何かというとすぐ記者発表をする、報道が先行している、国会軽視も甚だしいと、与党ですからこんなきつくはなかったと思いますけれども、そういう趣旨のことを言っておられました。  私も全く同感なんです。なぜ国会に報告する前に記者発表などをしてあれでおしまいということなのか。それはそれで仕方がないのかもしれませんけれども、きちっと国会に報告することが何よりも大事なことではないかと、我々も勝手にこんなことを言っているんじゃなくて、国民の代表者、国権の最高機関として行政についてわからないことを質問しているわけでありますから、こんなにまである意味じゃばかにされると怒らざるを得ないという気もしてくるわけであります。  確かに、長官の所信表明の中ではこの問題を取り上げておりましたけれども、記者発表と同じように何か二、三行だけで、三百十八億わかった、返納したと、それだけの触れ方なのであります。  国民サイドから見ましたら、三百十八億、NECは五年間で五十億と言っていた。あれはうそ発表だったのか。なぜそれが三百十八億に膨れ上がったのか。この三百十八億の積算根拠は一体どうなっているんだと。いつから始まって、各年度ごとにどれだけの水増しがあったのか。  それから、NEC、これは一種の組織犯罪だと見てもいいわけですから、下っ端の者がやったなんてそんなばかなことはないわけで、NECの社長や会長あるいは取締役がどの程度関与していたのか。彼らの責任はどういうふうになっているのか。彼らはその非を認めているのかどうか。ちょっと聞いておいてくださいよ。いろいろな問題があろうかと思うわけであります。  それと調査の結果を報告する際は、調査期間、いつから始まっていつごろ終了した、それから調査方法、防衛庁の中の部署のこれとこれとこれ、何十人、何百人を動員して一生懸命やらしたと。それから防衛庁には、これは前の大臣であれですけれども、何しろ帳簿が読めないんだ、うちのやつらはという言い方をしておったと思うんですけれども、帳簿が読めない、工数計算ができない、原価計算もできない、それで外部の人の力を借りざるを得ない、そういうことで大変時間がかかって申しわけないということも言っておりました、はっきりと。いずれにしろ外部のどういう人たちの助力を求めたのか。  それとこれまた大事なことですけれども、肝心のNECが一番最初にちょっと頭を下げただけですけれども、これが三百十八億まで膨れ上がって、一体どう思っているのか。防衛庁に対してしようがない、運が悪かったんだとこう言っているのか、いや本当に申しわけなかったというふうに謝っているのか。防衛庁を通じて国民に謝罪したのかしないのか。それだって我々はわからないわけですよ。  それから、これが一番大事な、最初にいっぱい申し上げますけれども、一番大事なことですけれども、何か防衛庁はNECの取引停止処分を解除したと新聞に出ております、解除したと。これだっておかしいと思いませんか。  国会にきちっと報告をして我々がNEC、この問題を議論して最後に、場合によったらNECの担当者を証人喚問してもいいわけですから、来てもらって本当に反省しているのかどうなのか、その辺を問いただした上で、そういうことに基づいて防衛庁がこれほど反省しているんですからもう勘弁してやってもよろしいんじゃないでしょうかと言うならわかるけれども、こそこそと新聞に発表してこそこそと取引停止処分を解除して、国会には、所信表明ですから、これは将来のことを見通して言うわけであって、所信表明、過去のこの事件のことを所信表明の中で織り込むということ自身、私は余り賛成しないんですよ。泥棒を捕まえましたなんということを長官の所信表明で言うこと。やっぱりきちっと事件の概要を報告して、別な機会に報告をして、我々がそれについて一生懸命みんなで議論をして、その上で取引停止処分を解除してよろしいかというような感触の打診もそちらからありまして、そこまでいったらいいだろうということになるのが、これは常識というものじゃないでしょうか。  それやこれやでいっぱい質問いたしましたけれども、最初に国会に報告するおつもりはないんですか。もうこれで終わりだと思っておられるんですか、この件については。
  149. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 佐藤先生から多岐にわたる御質問、御意見をちょうだいいたしました。  まず、初めに日本電気の過大請求事案につきまして、年内に結論を得るとの方針のもとで全力で取り組んできたところでございまして、昨年十二月二十二日、事案の概要及び過払い額を取りまとめることができまして公表したものでございます。  御指摘のように、国会が閉会中でございましたので当委員会には御報告できず、佐藤先生を初め当委員会本件事案について御質問された国会議員の方々には御説明申し上げたところでございます。第百四十七回国会の本委員会の私の所信表明におきましても、公表後の昨年十二月二十四日、損害額を三百十八億円と確定し返還請求を行い、全額が返還された旨御報告をさせていただきました。前国会会期中に御報告できなかったことは残念ではございますが、何よりも昨年中の返還請求を実現すべく努力し、その結果につきまして逐次公表してまいったことは御理解をいただきたいと思います。  なお、当委員会につきましての、それぞれの事案につきましての報告等につきまして、恐らく理事会等で報告をするようにとか、あるいは院で議運等を通じましてそういう案件がありますれば、それらの時点に立ってもちろん国会に誠実にお答えしなければならならぬということを考えるわけでございますが、いろいろ国会と政府との関係から申し上げますと、どのような案件をどのような形で報告すればいいかという技術的なこともございますので、またこれは私どものあとうところではございませんので、委員長におきましてしかるべくお取り計らいいただければありがたい、私どもはその方針に従って努力はしていかなければならない、かように考えております。
  150. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 今の答弁をお聞きしておりまして、私、はしなくも公安委員長の持ち回り決裁の弁解を聞いているような気がしてしようがない、その暇がなかったとか閉会中であったとか。  しかし、閉会中だって審査をすることは可能なわけでありますし、これだけ重大な問題ですから、まず防衛庁から委員長のもとに赴きまして、今度ようやく調査結果がまとまりました、これをいかがいたしましょうかと。委員長がそんなものはほうっておけと言えば、それは仕方がないのかもしれませんけれども、やはり真剣な議論をして、それなら閉会中にやろうとか、あるいは年があけたら早々にやろうとか、いろんなアイデアが出てくるわけでございましょう。  それから、何か委員会で質問した委員のところには書面を持って説明に上がったと。これ、こういうのを持ち回りと言って、議論をする暇も何もないんですよ。国会を軽視しているとしか思えない。なぜなんでしょうか。どうしてきちっと委員長のところに赴いて、いかがいたしましょうか、あれだけ委員の方々が熱心に議論していただいたあの問題がようやく調査結果がまとまったんです、その扱いをどうしますかと。今この場でお聞きしているようなことじゃない。どうしてそんなことをあなたは最初に気がつかなかったんですか。その時点で、閉会中審査その他があるんだから、そこで議論したらどうだろうか、そこで報告したらどうだろうか、その上で新聞に発表するあるいは取引停止処分を解除する、それが筋道だろうというのは、政治家である以上はだれでもこんなことを考えるでしょう。私、プロの政治家かどうかわかりませんけれども、私だってすぐこんなことを考えるんですから、あなたのようなプロの政治家がどうしてこんなことを考えられなかったんですか。
  151. 瓦力

    国務大臣瓦力君) これは、すぐれて私と佐藤先生の問題とかではなくて、本院にとりまして、本委員会にとりましてどう扱うべき問題かということにつきまして、各党理事でありますとか委員の方で御協議いただく中で消化しなければならない問題かと思いますし、加えて申し上げれば、国会閉会中審査に付すかどうかも含めて私どもが関与すべき問題ではございませんので、でき得る限りの協力はもちろん行政府としてしなければならないことでございますから、改めて申し上げて、ぜひ各党間で御協議を賜りたい。  佐藤先生に私は別に腰を引いておるわけではございませんので、誠意を持ってお答えをさせていただくために先般も資料を配付させていただきましたということを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
  152. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 わかりました。積極的な姿勢取り組みたいということでございますね。  先ほど、私は幾つかの疑問点を並べました。一体その三百十八億の積算根拠はどうだとか、それから国会に報告して国会の一応の了承、納得をとる前に取引停止処分を解除してしまったことが妥当なのかどうなのか、いろいろあろうかと思います。それから、NECの上層部の関与の度合いはどうなのか。こんなものは水増し請求をして多分に、余分にもらったけれども、返しておけばいいんだろうと、そんな甘い気持ちでいるのかどうか、本当に真剣に反省してもう五年でも十年でも取引停止は結構でございますと、それぐらいもうきちっと反省しているのかどうなのか。その辺のところも実は防衛庁側からきちっと報告していただいて、それに基づいて議論をして、何度も言いますけれども、その上でのことだということもおわかりでございましょうか。大事なことだと思いますけれども
  153. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 大変失礼いたしました。佐藤委員からの御質問が実は多岐にわたりましたので、私、十分にフォローできませんでした。  本日、装備局長も帯同いたしておりますので、装備局長から御質問の諸点についてお答えをさせていただきたいと思います。
  154. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 それは、私どもが当委員会防衛庁から詳しい報告を聞いて議論をした上でのことだというふうにしてください。細かいというのかいろんな問題点についての質疑は。
  155. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 総括政務次官より答えさせていただきたいと思います。
  156. 依田智治

    政務次官依田智治君) 大分多数の点が含まれておるわけですが、取引一つ……
  157. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 ちょっと、委員長、この回答は報告を受けて議論してからのことにしてもらいたいと思うんです、前提を欠いていますから。全然報告のない状態でこんな議論をしても始まりませんので。よろしいですか。
  158. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) そうしますと、佐藤道夫君……
  159. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 だから、そうしてくださいと今、委員長にお願いしているんです。後で結構ですから。
  160. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) わかりました。しからば、この取り扱いについては、後刻理事会で協議をさせていただきます。
  161. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 法務省は来ておりますか。法務省にお尋ねいたします。  この件について法務省は重大な関心を持って見守ってきたと思います。防衛庁が昨年十二月ああいう発表をする、そして一件落着というふうな感じになった。それについて、防衛庁から法務省に何か相談めいたことがあったんでしょうか。
  162. 古田佑紀

    政府参考人古田佑紀君) お答えいたします。  ただいまのお尋ねにつきましては、このような報告をするというその点についてはお話がございました。
  163. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 その話があったのはいつごろで、もう少し具体的にどういうことでしたか。
  164. 古田佑紀

    政府参考人古田佑紀君) 日付の何日というところまでちょっと記憶しておりませんけれども、昨年の十二月であったと思います。その要旨につきましては、防衛庁としてこの件に関して調査を行い、過大な代金を同社が受けていたというふうな内容が要点でございます。
  165. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 水増し請求が詐欺罪であると。請求する権利、根拠がないのに、例えば百円しか請求できないのに二百円請求すれば差額の百円については詐欺罪が成立することは、これ大学法学部の一年生でも皆知っていることなのでありまして、この三百十八億については一応詐欺の容疑をもって調べるのが普通の常識だろうと思いますけれども、法務省はいかがでしょうか、この件については。
  166. 古田佑紀

    政府参考人古田佑紀君) 何を捜査の対象とするか、そういうことについては、委員御案内のとおり捜査当局の御判断でございますので、法務当局としてはお答えすることは御容赦いただきたいと思います。  もちろん、一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正公平に対処をすると考えております。
  167. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 もう一点。防衛庁サイドの答弁によりますれば、何しろ犯人がわからないので告訴、告発ができなかった、こういう答弁でありまして、私、それはもしわからないとすれば、告訴、告発をして捜査当局に調べていただければいいだけの話なんで、犯人がわからないから告訴できないなんてそんなばかな話は聞いたことがない、氏名不詳者というのは幾らでも告訴の対象になっているわけですから。その点についてはどうでしょうか。  一番の疑問は、防衛庁から相談、話があった際に、法務省の方から、当然水増し請求は詐欺である、これはどうして捜査当局に告訴、告発をしないのだ、こういうことは当然のこととして質問したと思いますけれども、質問しておるでしょうか。
  168. 古田佑紀

    政府参考人古田佑紀君) 委員御案内のとおり、法務当局といたしましては、個々の事件について具体的に告訴、告発をするか、あるいはそういうふうな問題につきましては、これは告訴、告発を捜査当局にされるわけでございますので、告訴、告発をする側の御判断と捜査当局との間の問題になりますので、個別のことについては差し控えたいということでございます。
  169. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 余りしつこくなるのは大変嫌いなんですけれども、やむを得ません。  それなら、どうして検察当局あるいは警察当局に言ったらどうだと、具体的なケースのことはあなた方からそういうことを聞いてもこちらは答える立場にないと言って、どこかに相談に行かせりゃよかったんじゃないですか。  しかし、いずれにしろ法律問題ですから、法務省としても、一般論とすればこういうことになる、犯罪ありと思料すれば告訴せざるを得ないんだ、それが公務員の義務なんだ、三百十八億といえば相当な額である、それを放置するというのはなかなか許されない。一般論として、もう少し弁護士の意見ども聞いてきちっとした対応をするようにというぐらいのことは言ってもいいと思うんですけれども、その程度の話は当然したんでしょうね。
  170. 古田佑紀

    政府参考人古田佑紀君) 先ほどの繰り返しのようになりましてまことに恐縮ではございますけれども、告訴、告発を現にされるかどうかということは、告訴、告発をされる側の御判断でございますし、また、そのあて先となりますのは捜査当局でございますので、法務当局としては、そこまで立ち入るということは相当でないと考えております。
  171. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 最後になりますけれども、一昨年のケースでは、防衛庁の高官まで巻き込んで返還の返納額をまけてやった、不当に減額したと、それが犯罪となって大騒ぎになっている。今度の三百十八億にしたって、やっぱりこれは本当は五百億ぐらいあるんじゃないか、それをインチキして三百十八億にまけたんじゃないかなんて、国民はすぐそういうふうに考える。これも無理からぬことなんです、何しろ前例があるわけですから。  そういう意味で、きちっとした資料を添えて、法務省に行くと何かごまかされちゃうようですから、捜査当局にきちっと資料を提出して、氏名はわからないけれども調べてください、そして一切不当な減額などはしておりませんと、そのことで防衛庁の身のあかしも立つわけですから。どうか司法判断を加えていただきたいというようなことを申し出るおつもりはあるのかないのか、結論だけでも結構ですけれども
  172. 依田智治

    政務次官依田智治君) この前に先生にお答えしましたが、私どもとしては、公務員が職務でやはり犯罪ありと思料したら、当然告発なりなんなりすべきであるとは考えておりますが、犯罪ありというためには、明確な犯罪事実についての、ある必要があるという視点に立っておりますので、前回と同様の回答で申しわけありませんが、告発するということは適当でないと考えております。
  173. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 最後に、告発すべきにかかわらずしなかった場合には、重大なこれは任務違背、懈怠ですから、その点はやめたぐらいじゃ済まないかもしれませんよ。了承しておいてください。  いずれにいたしましても、それだけの疑惑をこうむっている以上は、やっぱり客観的な第三者、裁判所なり検察なりの判断を仰ぐのがこれは常識、筋道だと思いますけれども。水増し請求をすれば詐欺だということは、もう先ほど言ったでしょう、大学一年生だって知っていることですから、それをぐじゃぐじゃ言って告発をしないということ自身がもう任務懈怠としか言いようがないと思います。  以上で終わります。
  174. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  175. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 次に、著作権に関する世界知的所有権機関条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。河野外務大臣
  176. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ただいま議題となりました著作権に関する世界知的所有権機関条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成八年十二月にジュネーブで開催された国際会議において採択されたものであります。  この条約は、情報関連技術の発達等に対応して、著作権を一層効果的に保護することを目的とするものであります。  我が国がこの条約締結してその早期発効に寄与することは、我が国のみならず世界の著作物についての国際的な保護の強化に資するものであり、著作権の分野における国際協力を促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  177. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会