○佐藤道夫君 私は前回に引き続いてNECの水増し請求問題を取り上げたいと思います。
私は、小さいころからお前の長所は粘り強いことだ、欠陥は執念深いことだとこう言われておりましたので、その性格は今も変わっておりません。やっぱり納得するまではこの問題、三回でも五回でも十回でも取り上げたいというふうに考えております。
そこで、一連の
防衛庁をめぐる水増し請求
事件、一昨年にそれが発覚いたしまして大騒ぎになって、幾つかの会社に司直の手が入って起訴もされておると。これは水増し請求をして、それを返納させるときに
防衛庁が手かげんをした、まけさせてやったということが背任だということで問題になって、会社
関係者と
防衛庁関係者、
防衛庁の中には調達
実施本部長とかの相当な高官も含まれておりまして、起訴されておると。
その一連の騒ぎの中で本体とも言うべきNECが浮上してまいりまして、NECがみずから記者会見をして、五年間で五十億の水増し請求をしていた、まことに申し訳ないというふうな発表をしておりました。それを受けて当
委員会でもこれを何回も取り上げて、
防衛庁から事実
関係の
説明を聞く、あるいは追及もするということでありまして、これに対する
防衛庁サイドの答えは一貫して一生懸命やっております、年内までには何とか目鼻をつけてきちっと国会に
報告したいと思います、こう言っていたわけであります。
先ほど、小泉
議員の
質疑の中にもそのことが出ております。私も聞いておりますし、私自身もそういう質問をした記憶があります。
そこで、
防衛庁の国会
報告、国会と言うからには当
委員会に
報告をして、資料か何かを配って、それを長官またはこれにかわる人がきちっと
説明をして、我々がまた
質疑をする、その上で
防衛庁のその
調査結果が評価されるかどうかということが決まるんだろうと思いますが、どういうわけか、去年の十二月二十三日か何かに
防衛庁がいきなり記者会見をしまして、NECの不正請求問題、水増し請求問題は三百十八億である、しかしこれは返納すると言っているから問題はこれでおしまいという趣旨の発表でありました。
先ほど
武見議員が、今回の陸上自衛官の銃器不正使用問題について、
防衛庁は何かというとすぐ記者発表をする、報道が先行している、国会軽視も甚だしいと、与党ですからこんなきつくはなかったと思いますけれ
ども、そういう趣旨のことを言っておられました。
私も全く同感なんです。なぜ国会に
報告する前に記者発表などをしてあれでおしまいということなのか。それはそれで仕方がないのかもしれませんけれ
ども、きちっと国会に
報告することが何よりも大事なことではないかと、我々も勝手にこんなことを言っているんじゃなくて、
国民の代表者、国権の最高機関として行政についてわからないことを質問しているわけでありますから、こんなにまである意味じゃばかにされると怒らざるを得ないという気もしてくるわけであります。
確かに、長官の所信表明の中ではこの問題を取り上げておりましたけれ
ども、記者発表と同じように何か二、三行だけで、三百十八億わかった、返納したと、それだけの触れ方なのであります。
国民サイドから見ましたら、三百十八億、NECは五年間で五十億と言っていた。あれはうそ発表だったのか。なぜそれが三百十八億に膨れ上がったのか。この三百十八億の積算根拠は一体どうなっているんだと。いつから始まって、各年度ごとにどれだけの水増しがあったのか。
それから、NEC、これは一種の組織犯罪だと見てもいいわけですから、下っ端の者がやったなんてそんなばかなことはないわけで、NECの社長や会長あるいは取締役がどの程度関与していたのか。彼らの
責任はどういうふうになっているのか。彼らはその非を認めているのかどうか。ちょっと聞いておいてくださいよ。いろいろな問題があろうかと思うわけであります。
それと
調査の結果を
報告する際は、
調査期間、いつから始まっていつごろ終了した、それから
調査方法、
防衛庁の中の部署のこれとこれとこれ、何十人、何百人を動員して一生懸命やらしたと。それから
防衛庁には、これは前の大臣であれですけれ
ども、何しろ帳簿が読めないんだ、うちのやつらはという言い方をしておったと思うんですけれ
ども、帳簿が読めない、工数計算ができない、原価計算もできない、それで外部の人の力を借りざるを得ない、そういうことで大変時間がかかって申しわけないということも言っておりました、はっきりと。いずれにしろ外部のどういう人たちの助力を求めたのか。
それとこれまた大事なことですけれ
ども、肝心のNECが一番最初にちょっと頭を下げただけですけれ
ども、これが三百十八億まで膨れ上がって、一体どう思っているのか。
防衛庁に対してしようがない、運が悪かったんだとこう言っているのか、いや本当に申しわけなかったというふうに謝っているのか。
防衛庁を通じて
国民に謝罪したのかしないのか。それだって我々はわからないわけですよ。
それから、これが一番大事な、最初にいっぱい申し上げますけれ
ども、一番大事なことですけれ
ども、何か
防衛庁はNECの取引停止
処分を解除したと新聞に出ております、解除したと。これだっておかしいと思いませんか。
国会にきちっと
報告をして我々がNEC、この問題を議論して最後に、場合によったらNECの担当者を証人喚問してもいいわけですから、来てもらって本当に反省しているのかどうなのか、その辺を問いただした上で、そういうことに基づいて
防衛庁がこれほど反省しているんですからもう勘弁してやってもよろしいんじゃないでしょうかと言うならわかるけれ
ども、こそこそと新聞に発表してこそこそと取引停止
処分を解除して、国会には、所信表明ですから、これは将来のことを見通して言うわけであって、所信表明、過去のこの
事件のことを所信表明の中で織り込むということ自身、私は余り
賛成しないんですよ。泥棒を捕まえましたなんということを長官の所信表明で言うこと。やっぱりきちっと
事件の概要を
報告して、別な機会に
報告をして、我々がそれについて一生懸命みんなで議論をして、その上で取引停止
処分を解除してよろしいかというような感触の打診もそちらからありまして、そこまでいったらいいだろうということになるのが、これは常識というものじゃないでしょうか。
それやこれやでいっぱい質問いたしましたけれ
ども、最初に国会に
報告するおつもりはないんですか。もうこれで終わりだと思っておられるんですか、この件については。