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2000-02-22 第147回国会 参議院 外交・防衛委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         矢野 哲朗君     理 事         鈴木 正孝君     理 事         武見 敬三君     理 事         小山 峰男君     理 事         益田 洋介君     理 事         小泉 親司君                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 山崎  力君                 山本 一太君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 浅尾慶一郎君                 海野  徹君                 松前 達郎君                 荒木 清寛君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君     ─────────────    委員異動  二月十七日     辞任         補欠選任      佐々木知子君     南野知惠子君      浅尾慶一郎君     柳田  稔君  二月十八日     辞任         補欠選任      南野知惠子君     佐々木知子君      柳田  稔君     浅尾慶一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢野 哲朗君     理 事                 鈴木 正孝君                 武見 敬三君                 小山 峰男君                 益田 洋介君                 小泉 親司君     委 員                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 山崎  力君                 山本 一太君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 浅尾慶一郎君                 海野  徹君                 松前 達郎君                 荒木 清寛君                 立木  洋君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        特命全権大使ペ        ルー国駐箚    木谷  隆君        特命全権大使サ        ウディ・アラビ        ア国駐箚     大島正太郎君        特命全権大使軍        縮会議日本政府        代表部在勤    登 誠一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (派遣委員報告に関する件)  (外交に関する件)     ─────────────
  2. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二月十五日、森田次夫君が委員辞任され、その補欠として佐々木知子君が選任されました。  また、去る一月十九日、吉田之久君が委員辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、外交防衛等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会ペルー国駐箚特命全権大使木谷隆君、サウジアラビア国駐箚特命全権大使大島正太郎君、軍縮会議日本政府代表部在勤特命全権大使登誠一郎君を政府参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 外交防衛等に関する調査議題といたします。  まず、先般本委員会が行いました国の安全保障、日中・日韓漁業協定出入国問題等に関する実情調査につきまして、派遣委員から報告を聴取します。鈴木正孝君。
  8. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 御報告を申し上げます。  本委員会矢野委員長武見理事小山理事益田理事小泉理事山崎委員田委員田村委員佐藤委員及び私、鈴木の十名は、去る一月十七日及び十八日の二日間、国の安全保障、日中・日韓漁業協定出入国問題等に関する実情調査のため、長崎県に派遣されました。  以下に調査概要を御報告いたします。  第一日目は、まず、長崎市の原爆落下中心地公園におきまして献花をし、死没者の御冥福をお祈りした後、長崎原爆資料館を見学いたしました。  次に、金子長崎県知事及び光武佐世保市長から、日中・日韓漁業協定の現状及び米軍基地問題について説明を聴取した後、意見交換を行いました。その際、日中漁業協定早期発効佐世保市の立神岸壁における米海軍海上自衛隊及び佐世保重工業とのすみ分け問題等要望が出されました。  次に、三菱重工業株式会社長崎造船所を訪問し、同社から同造船所概要及び建造中の護衛艦「いなづま」の概要について説明を聴取した後、意見交換を行い、護衛艦「いなづま」及び史料館の視察を行いました。  第二日目は、まず、米海軍佐世保基地を訪問し、同基地沿革任務所在部隊配備艦艇等概要について説明を聴取した後、ダンスコム基地司令官意見交換を行い、同基地内のジュリエット・ベイスン地区及び立神港区、いわゆるインディア・ベイスン地区を視察いたしました。  次に、佐世保重工業株式会社佐世保造船所を訪問し、船上から同造船所及び米軍施設を視察した後、同社から、同造船所が抱える米軍基地をめぐる諸問題について説明を聴取いたしました。その際、佐世保港におけるすみ分けを強く要望されました。  次に、海上自衛隊佐世保地区を訪問し、まず、護衛艦「ゆうだち」において、第二護衛隊群及び同護衛艦概要について同群司令から説明を聴取した後、同護衛艦を視察いたしました。その後、佐世保地方総監部におきまして、佐世保地方総監から佐世保地方隊沿革主要任務、編成・在籍艦艇、定員、災害派遣等概要について、また、福岡防衛施設局長から佐世保地区における米軍基地問題の概要について、それぞれ説明を聴取した後、意見交換を行いました。  最後に、大村入国管理センターを訪問し、所長から、同センター沿革、組織、配置人員施設業務内容等について説明を聴取した後、意見交換を行い、同センターを視察いたしました。  以上が今回の調査概要であります。  なお、調査の詳細につきましては、別途、文書による報告書を提出いたしますので、これを本日の会議録に掲載されますよう、お取り計らいをお願いいたします。  以上でございます。
  9. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  ただいま御報告にありましたように、別途、詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  11. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 次に、外交に関する件を議題といたします。  本日は、特命全権大使として発令され、これから各国に赴任される新任大使方々の御出席をいただきまして、外交関係等に関する質疑を行いたいと存じます。  それでは、一言ごあいさつ申し上げます。  大使各位には、大変御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。  本委員会では、特命全権大使の発令を受け、赴任国へ向かわれる直前大使から直接所信表明をお聞きする機会を設け、あわせて我が国外交に対する国民的な理解を深める一助にしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でありますけれども、本日出席いただきました三名の大使方々から各十分以内で順次赴任に当たっての所信を聴取し、おおむね一時間程度質疑を行いますので、よろしくお願い申し上げます。  この際、各新任大使からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。ペルー国駐箚特命全権大使木谷隆君。
  12. 木谷隆

    政府参考人木谷隆君) ただいま御紹介にあずかりましたペルー赴任いたします木谷でございます。  本日は、当委員会におきましてこのような機会を設けていただきまして感謝申し上げます。  ペルー赴任するに当たりまして所信を述べるようにとの御指示でございますので、まことに僣越ながら、赴任前の現時点において私が感じております点につきまして二、三申し述べさせていただきます。  ペルーは、中南米において日本最初外交関係を樹立した国でございます。明治政府発足後の間もない一八七三年に外交関係を樹立いたしまして、以来、百二十七年間にわたる二国間関係歴史がございます。この間、一八九九年から一九二三年まで、計二万一千四百人の日本人ペルーに移住しております。他方、その後時を経まして、現在、我が国には四万一千名のペルー方々が滞在しております。  このことは、日本ペルー関係が、海を隔てた遠い移民の国あるいは遠い資源供給国という関係から、お互い国民双方の国に移り住みまして生活をしているという、より広いかつより深まった関係に発展しつつあるということではなかろうかと感じております。  ペルー赴任するに当たりまして、私といたしましては、この長い歴史の重みと先人たち努力して築き上げてきた友好協力関係の実績の上に立ちまして、両国間の関係のさらなる増進に努めるべきであろうと考えている次第でございます。  ペルーでは、四月九日に大統領選挙が行われようとしております。ペルーの内政上微妙な時期に赴任するわけでございまして、緊張感もございます。  現在、フジモリ大統領は第三期目を目指して立候補しております。一九九〇年に初当選されて以来、混乱した経済の立て直し、国際金融社会への復帰、テロと麻薬との戦い、エクアドルとの国境紛争解決、APECへの加盟など目覚ましい成果を上げてこられました。しかし、雇用創出貧困削減という第二期政権の公約にした課題につきましては、引き続き課題として残っていると聞いております。  どなたを大統領に選ぶかはペルー国民御自身が決めることで、私が意見を述べるべきことではございませんが、我が国といたしましては、いかなる政権が誕生しようと、百二十七年にわたる現在まで続いた日本ペルーとの関係、今後も続くであろう長い両国間の関係という長期的な視野に立って、民生の安定と民主主義の定着に努力する政権に対しては積極的に支援していくべきものと考えます。  ところで、ペルー日本との関係につきましての大きな問題はテロの問題でございます。一九八〇年代の後半から一九九六年の日本大使公邸占拠事件に至るまでの日本企業あるいは日本政府が標的となった一連事件は、日本国民の心に深い傷を残しております。このために、民間方々の活動にもブレーキがかかり、JICAの専門家青年海外協力隊派遣も著しく難しくなっており、日本ペルーとの間の長い交流歴史の中において極めて不幸な十年間であったと言えると思います。  フジモリ大統領の御努力ペルー治安情勢は大幅に改善され、またペルーにおける世論調査でも、日本は米国に続いて友好国第二位、最も称賛すべき国として第一位と言われているそうでございますが、そうはいってもテロに対する私ども不安感が払拭されるわけではなく、民間企業関係者、学生、研究者など、在留邦人皆様方安全確保は私どもにとりましては依然大きな課題でございます。  日本大使公邸占拠事件解決した一九九七年から三年が経過しようとしております。この間、ペルー政府による安全対策日本政府による自助努力など、テロ防止に直接関係する措置ばかりでなく、貧困対策などテロの温床になるような社会問題への取り組み、経済技術援助文化交流など両国民間相互理解努力も行われてまいりました。これらの幅広い努力によってテロの危険が徐々に消滅して、ペルーにおいて日本人が安心して活動できる環境が整備されることが期待されるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、テロに対する不安感が払拭されるためには長い時間と忍耐強い努力が必要と考えられますので、私といたしましてもさらにどのようなことをすればよいのか、現地に赴いて鋭意考えてみたいと思っております。  最後に、昨年末に当委員会において御決議いただいた早稲田大学探検部員殺害事件につきまして一言触れさせていただきます。  外務省は、ペルー政府に対しまして、御遺族の御意向を踏まえた誠意ある対応円満解決を申し入れてまいりました。当委員会の御決議の趣旨を踏まえて、遺族代理人と在本邦ペルー大使館話し合いに際しましては外務省担当者が陪席し、必要な支援を行っております。ペルー政府は、賠償につき、話し合いによる円満解決に同意し、御遺族からの御要望に対して現在具体的な対応を検討中であると聞いております。私といたしましても、御遺族にとって満足のできる解決が図られるよう、現地において努力していく所存でございます。  以上で私の発言を終わらせていただきます。引き続き当委員会の御支援と御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
  13. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ありがとうございました。  続きまして、サウジアラビア国駐箚特命全権大使大島正太郎君。
  14. 大島正太郎

    政府参考人大島正太郎君) 御紹介にあずかりました大島でございます。失礼して座らせていただきます。  この一月十一日に駐サウジアラビア大使を拝命いたしました大島でございます。それまでは経済局長としてこの委員会皆様方に御指導をいただいておりまして、御支援もいただきまして、どうもありがとうございました。引き続き新しい任に当たりましても御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。また、今回このような機会をつくっていただきまして、まだ勉強中ではございますけれども、私の今回の新しい任地に向かうに当たっての抱負を述べさせていただく機会をつくっていただきましてありがとうございました。  私の若干の経歴を申し述べさせていただきますと、直前までは経済局長でございましたが、その前には在米大使館公使あるいはロシアにおける公使等をさせていただいておりました。さらにさかのぼりますと、八〇年代の半ばでございますが、イスラエル大使館の参事官、次席でございましたけれども、させていただいておりました。したがいまして、中東方面、広くとれば今回二度目の在勤ということで期待させていただいております。確かにイスラエルアラブでは大分違いますので、アラブというのは初めてではございますけれども、また再び中東方面に戻っていけるという感じで期待しております。  さてそこで、サウジアラビアでございますけれども先生方重々御承知のことではございますが、いま一度簡単にサウジアラビアの国際的な地位というのを振り返りながら、私のこれから与えられた任務相手方がどんなところか考えているところでございますが、その二、三の事実関係を申し述べさせていただきたいと思います。  もちろんサウジアラビア湾岸の中での大きな地域を占めたところでございます。国として、古くからあの地帯にある王族がサウジアラビア王国と銘打ったのが一九三二年でございます。その後、日本との関係で言えば五四年に国交樹立、こういう形でございます。そして、三〇年代に石油が発見されて、かなり石油が重要になったわけでございますけれども、御承知のような国際経済情勢石油情勢の中で、サウジアラビアの持っている埋蔵量世界最大であるということ等も含めて、大きな地位を占めているわけでございます。湾岸地域、広くは世界全体にとって政治的にも重要な地域、国だと認識しておりますし、石油という観点から経済面でも国際経済に対して重要な役割を果たしている国でございます。  さらに加えて申せば、サウジアラビア王国はイスラム教の二大聖地、メッカとメディナでございますけれども、メディーナと言うんでしょうか、その二大聖地守護者役割を担っていますので、イスラム世界全体に対しても大きな影響力を有していることは御承知のとおりでございます。  それから、繰り返しますけれども湾岸地域ということについて見れば、湾岸地域にございます六カ国の君主制首長制の国、具体的に言えばクウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、オマーン、それからサウジで構成される湾岸協力理事会GCC諸国の盟主として同地域の安定に貢献しておりまして、ここの面からも重要だということでございます。  それから、産油国という地位では、埋蔵量生産量、一位でございますので、石油輸出国機構OPECでございますけれども最大発言力を有する国として、石油エネルギーを通じて世界経済の安定にとって極めて重要な役割を果たしているということでございます。その政治経済両面から我が国にとっても極めて重要な国だと認識しております。それから、彼らは基本的には穏健な安定勢力であるということから、日本としての相手として極めて重要だと思っております。  そこで、大使として、日サ関係について、基本的には日本にとっての安定的な石油輸入確保ということを一つ重要な要素として念頭に置きながら、また民間レベルでの経済関係強化を含む友好関係の一層の強化拡大に努めるということを旨としながら、政治的な対話促進、幅広い経済協力を含む先方への協力ということを図っていきたいと思っております。  それから、経済面でございますけれども、さらに敷衍させていただければ、えてしてサウジアラビアと申せば石油ということで、石油安定供給あるいは国際石油情勢に対するサウジアラビア役割という観点に注目されがちでございますけれどもサウジアラビアは最近人口もかなりふえております。特に若年層人口がふえておりまして、同国においては産業の高度化構造改革を進めたいとしております。そういうこともありまして、日本からの直接投資促進に対する期待が大変強うございます。  こういった観点からも、私どもとしても民間方々努力を側面支援させていただきたいと思っております。そういった形で日サ関係を幅広いもの、単に石油だけではない、より広い形での関係にしていきたいと思っております。  さらに、政治面での対話強化は当然のことでございますけれども、あるいは経済協力投資促進という形での経済面での関係強化だけではなくて、より幅広い、一層幅広い形での関係の深化を進めるべく、一連努力が既に行われております。  具体的に申しますと、去る九七年十一月でございますが、当時の橋本総理サウジアラビアを訪問されました。その際に、サウジアラビアとの関係を、今申し上げましたとおり石油中心とした経済関係に限定してはならない、より幅広い経済以外の分野にも関係を拡大したいという意向先方に伝えて、新たな分野として、例えば人づくり環境、医療・科学技術文化・スポーツ、そして先ほど来申しております投資、この五分野念頭に置いて、日本サウジ協力アジェンダという形で具体的な課題として進めていくことを決めております。そういった形の中で両国関係が深められているわけでございます。その一環として、例えば九八年の秋には先方アブドラ皇太子が訪日されております。  そのような中で、今一つ大きな話題になっておりますのが、アラビア石油採掘権更新問題でございます。  御承知のとおり、アラビア石油OPECができる前、あるいは石油危機が起こる前の一九五七年に既に我が国の先達が石油重要性に注目し、サウジアラビア交渉しその採掘権を得ていたものでございます。そして、今現在のアラビア石油の採掘しております場所はサウジアラビアクウェート中立地帯というところにございますので、それぞれサウジアラビア及びクウェート側から権限を半分ずつ得ているところでございまして、双方との協定のもとに作業を行っているものでございます。  サウジとの採掘権が実は期限四十年ということで、六〇年に油が出てきていましたので、そこから時計が始まりまして、ことしの二月二十七日に四十年が切れます。そのために現在アラビア石油サウジ側と、具体的には石油省でございますけれども、更新のための交渉を行っているわけでございます。なかなか難しい交渉になっているところでございまして、去年の四月からは政府としても、アラビア石油先方石油省とのいわば民間企業としての交渉環境を改善するために政府間でも協議を行っております。  その過程で環境づくりのために日本政府としても一連提案等をしながら環境の改善に努めているわけでございますけれども、今のところ、あと数日残しつつも交渉は妥結しておりません。まだ数日残されていますので、現段階で最終的にどうなるか、アラビア石油石油省との間の交渉、予断するわけにはいかないと思いますけれども、なかなか難しい交渉だと承知しております。  願わくはこの交渉が妥結して、四十年間にわたり日本自主開発石油の中でも歴史と伝統を持って重要な役割を果たしていたアラビア石油が、引き続き現在の操業を継続できることが望ましいと思っておりますけれども、なかなか難しいという状況であるようではございます。  そこで、私、具体的にはこの二月二十七日の期限は、高野大使として現地におりますけれども高野大使が見届けてその後で交代するということでございます。その二十七日の期限時点でこの交渉がどういったことになっていようが、そこの時点での状況最初のスタートとして、私としては今後の日サ関係の一層の発展のために最大限の努力をさせていただきたいと思っております。  もちろん、まだ結論は出ていませんので、予断するわけにいきませんけれども、今のところ若干気になりますのが、双方報道等承知しております限り、お互い相手に対してやや悲観的な感じでこの交渉報道しているとの印象を持っております。例えば、日本側報道を見ておりますと、サウジ側要求が極めて難しいものだというようなことを言っています。  私はできるだけ相互の正しい理解を基礎に両国関係が進むことが大事だと思いまして、最大の仕事として双方の正しい理解を進めるということに最大努力をいたしたいと思っております。つきましては、皆様方からよろしく御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  15. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ありがとうございました。  続きまして、軍縮会議日本政府代表部在勤特命全権大使登誠一郎君。
  16. 登誠一郎

    政府参考人登誠一郎君) ただいま御紹介いただきました軍縮担当大使の登でございます。  実は、私、外務省に入りまして一番初めに配属された部署が当時の国連局軍縮室というところでございまして、私の外務省の人生は軍縮に始まったということでございます。このたび三十年ぶりに今度は大使として軍縮問題を担当させていただくということになりまして、大変感慨深いものを覚えております。  一月の末に発令になりまして、いろいろな友人に、今度軍縮担当の大使赴任するという話をしましたら、今は軍縮というのは何が動いているのかね、何をやっているんだということを聞かれることが多かったわけです。この軍縮問題というのはその重要性に比して国民の間で理解が薄いと言わざるを得ませんので、そういう観点からも今回、参議院の外交防衛委員会でこの問題を取り上げていただくということは大変私にとってもありがたいことだというふうに考えております。  御承知のとおり、現小渕内閣は総理あるいは河野外務大臣もこの軍縮問題を大変重視しております。  総理は今国会の施政方針演説におきまして、「私は二十一世紀を平和の世紀と位置づけ、二十世紀に繰り返された」「戦争の廃絶に向け、我が国として力を尽くしていきたいと考えるものであります。」というふうに言われまして、これを受けまして、外交演説におきまして河野外務大臣から、  国際の平和と安定のためには、軍備管理・軍縮、不拡散の分野における努力も重要であります。我が国は二十世紀において広島と長崎の被爆により核の悲惨さを体験した国家として、包括的核実験禁止条約の早期発効、米ロ核軍縮交渉の進展の働きかけを強化するとともに、本年四月の核兵器不拡散条約の再検討会議において核不拡散・核軍縮の追加的目標につき合意が得られるよう最大努力をいたします。 というふうに、河野外務大臣も述べておられます。  したがいまして、当面のこの軍縮問題におきます我が国課題は、ことしの四月にニューヨークで行われます核不拡散条約、NPTの再検討会議にどう取り組むかということでございます。私自身も着任いたしてから一カ月ぐらいでニューヨークに出張いたしまして、この会議日本政府代表として尽力させていただくというふうに承知いたしております。  そこで現在、核軍縮、不拡散問題を取り巻く環境でございますけれども、これは残念ながら大変厳しいと言わざるを得ないと思います。  御承知のとおり、インドとパキスタンが一昨年核実験を行いましたし、それからアメリカの上院におきましては、包括的な核実験禁止条約、CTBTの批准が失敗に終わりましたし、またロシアはアメリカとの間の戦略兵器削減交渉、STARTⅡの批准をまだ行っておりません。そういう中において、アメリカの国家ミサイル防衛計画との関係で、アメリカとロシアの間にきしみ、ひずみが生じているということでございます。こういう中において、今回の核不拡散条約の再検討会議をどういうふうにして意味のあるものにするかということは大変重要な問題だろうというふうに考えております。  この条約、NPTでございますけれども、これは一九七〇年に発効いたしまして、五年前、九五年に無期延期という決定が行われました。それを受けて、ことしは五年ごとに行われる初めての会議でございます。外務省といたしましても、私が承知しておりますところでは、この会議を成功させるためにいろいろな対応をいたしております。  例えば、この会議までに包括的核実験禁止条約、CTBTでございます、これの署名国、批准国をできるだけふやす。署名していない国で重要な国はインドとパキスタンでございます。この両国に対しては繰り返し働きかけております。それ以外に、署名はしたけれども批准していないという国が、先ほどのアメリカを初め中国、ロシア、それからそれ以外の国でもエジプトであるとかインドネシア、トルコ等多々ございます。こういう国に対して特使を派遣する等働きかけを行いまして、この四月の再検討会議までに一国でも多くの国が包括的核実験禁止条約の締約国になるということに側面から努力をしております。  この再検討会議自身でございますけれども、これについての成果がどういうことかといいますと、これはやはり今後のNPT、不拡散体制を維持発展させるために、世界各国が全会一致で五年前の成果を基礎にして追加的な目標を打ち立てていく。先ほどの河野外務大臣の国会演説にもございましたけれども、追加的な目標について合意するということが極めて大事であるというふうに考えております。  例えば、今問題になっております包括的な核実験禁止条約、これを早期に発効させる、あるいはその次の交渉のテーマとなっております兵器用の核分裂性物質の生産禁止条約、いわゆるカットオフ条約、このカットオフ条約の交渉期限と申しますか、交渉の目標を設定していく。さらには、その条約ができるまでは現在保存している国がその生産を自発的に中止するといういわゆるモラトリアムについて合意を求めていく。さらには、アメリカとロシアの間の戦略兵器削減条約でございますSTART、これの進展を強化していく。こういうようなことを四月のNPTの再検討会議でぜひ合意にこぎつけたいというふうに考えております。  ふだんの軍縮の会議は、私はジュネーブに在勤いたしますけれども、ジュネーブで軍縮会議というのが年三期、三つの期間に分かれて開催されております。そこにおきまして、今後の軍縮の交渉の基礎となるような合意の作成、あるいは交渉が始まりますれば、多くのものはそこで交渉が行われるということになると思います。  現在、今は第一期、最初の会期がそろそろ終わりに近づいておりますけれども、ここで今申し上げましたようなカットオフ条約をどうやって進めていくのかという問題。さらには、核軍縮について核兵器国に核軍縮をどう求めていくのか。さらには、新たな分野として宇宙における軍縮ということで、宇宙関連の軍縮の促進。こういう問題が今後課題として取り上げられるというふうに承知しております。  それからさらに、ジュネーブにおきます交渉以外にも、毎年国連総会の際には第一委員会で軍縮問題が中心課題として取り上げられております。そこでは何十という決議を通しております。日本も毎年軍縮に関して多くのイニシアチブを発揮して重要な決議を通しております。またことしもそれに引き続いて行っていきたいというように考えております。  軍縮は幅広い分野でございまして、今中心になるのは核兵器、核不拡散の分野でございますけれども、それ以外の通常兵器の分野でも重要な進展を遂げなくてはならないと思っております。これはいわゆる小型武器、小火器でございます、これに関する条約、将来の条約締結に向けて今いろいろな準備作業が行われているという状況でございます。  こういう中におきまして、私は今度軍縮担当の大使として多くの国際会議日本の主張を行う立場にあるわけでございますけれども、非核三原則を国是として、みずからの判断で核を持たない、そういうことを決定している我が国でございますので、この我が国の政策を全世界に向けて、いかなる国に対しても正々堂々と主張して、世界が究極的に核のない世界になる。さらには、通常兵器の分野でも人類の平和と福祉に貢献できるような形で軍備がどんどん削減されていく。そういう世界をつくるということは、まさに日本にとっての国益であろうというふうに私も確信いたしております。  これからますます国会の先生方の御指導、御鞭撻を得ながら、また国民の声をよく聞いた上で、軍縮を通じて我が国の国益を増進させるというために全力を尽くしていく所存でございますので、今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  17. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ありがとうございました。  以上で所信の聴取は終了し、質疑を行いたいと思います。  本日は、あらかじめ質疑者を定めず、委員各位に自由に質疑を行っていただきたいと思います。質疑を希望される方は挙手をし、私の指名を待って御発言をいただきたいと思います。  なお、多くの委員の方が発言機会を得られますよう、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。
  18. 武見敬三

    武見敬三君 本日のように、着任前の新任大使の方に外交防衛委員会においでいただいて、そして実際に国民がそれぞれ任地国に対してどのような考え方を持っているのか十分に御理解をいただいた上で赴任していただくというのは、二十一世紀における、まさに民主主義国家における国民とともに歩む外交の一つの具体的な方策であろうと考えております。したがって、こうした形での意見の交換というものが、さらに今後より定着していくことを期待しております。  その上で、サウジアラビア大使赴任される大島大使にお伺いをいたしますが、アラビア石油による自主開発というものができなくなる場合における石油安定供給の問題であります。  我が国は、大平内閣のときからこうした石油安定供給という問題を、総合安全保障という観点から我が国にとって極めて重大な課題というふうに受けとめるようになりました。その上で、安定供給というものを確保するために、サウジアラビア等との二国間関係をより幅広く、その友好的基盤を確立しながら強化してきたという経緯があったように思います。  そういう過程において、我が国のこうしたアラビア石油等が直接自主的に開発をするということが、こうした安定供給をより堅固に維持していく上でどのような役割を担ってきたのか。そしてまた、その自主開発というものが我が国の企業によってできなくなった場合に、我が国安定供給にどのような影響をもたらすことになるのか。どういうふうに、こうした問題についての御認識を大使としてお持ちになっておられるのかを伺いたい。  それから、登大使に軍縮に関してお伺いしたいことは、このNPT体制というものが現実にはインド、パキスタンの核実験等によって大きくほころびを生じてしまった。なおかつCTBTに関してのアメリカ議会の批准ができなかった。そして、御指摘のとおり、STARTⅡの批准はロシアは行っていない。極めて実はこのNPT体制というものが根底から今揺さぶられ、その再構築を求められているという、そういう時局に入っているように思います。  こういうときに、我が国として一体どのような役割をその中で確立して、こうした核保有国をふやさずに、むしろその核の危険というものを人類社会の中から縮小していくためにどのような本当に具体的な役割が担え得るのか、この点についての御所見をいただきたいと思います。  以上です。
  19. 大島正太郎

    政府参考人大島正太郎君) 今、武見先生からいただきました御質問、大変重要であり、かつなかなか難しい御質問ではないかと思っております。  まず、安定供給について、自主開発、アラビア石油に代表されます自主開発がどういう役割を果たしてきたかというのは、いろいろな角度からいろいろな評価があるのではないかと思いますけれども、私自身、率直に申してまだ固まった評価を持っておりません。もちろん、極めて、特に石油危機以前からあったものでございますので、石油危機当時等、何回もございましたけれども、極めて重要な役割を果たしたことは疑いもないことだと思います。  ただ、現在、いろいろな方々のいろいろな話を伺っておりまして勉強中でございますけれども石油市場がその後二度の大きな危機を経て、国際石油市場の性質がかなり変わってきているんではないか。かつてほどOPEC中心とした産油国の力が現段階においては圧倒的ではないんではないか。つまり、供給側、消費側、それぞれ一定のバランスがあるのではないかという認識がございます。そうであれば、より市場を通じた供給の確保ということが今までの供給国側の力が強かったときに比べてできるようになっているんではないかという認識があるようでございます。それは確かに、現在の市場を私なりに素人ではございますけれども見ておりますと、なるほどそうかなという感じがしないわけではございません。  したがいまして、現時点アラビア石油採掘権交渉が、もちろん今の段階で油断するわけにはいきませんけれども、仮定の問題として不幸にして延長できなかったという場合に、直ちに日本の供給に大きな影響があるとは認識されておりません。今現在、日本アラビア石油を通じて十五万バレル・毎日、パー・デーですか、輸入してございますけれども、その規模は日本の全体からしても三%ぐらいということでございましょうか、そうであれば市場で十分調達できるということでございます。  それから、アラビア石油によって象徴される日本サウジ関係、それを通じたサウジ側からの安定供給、このことについては、いろんな場ではございますけれどもサウジアラビア側の関係者は内々の話として常に日本に対する安定供給を確約しているので、その点はこの交渉が万が一不幸なことになったとしても変わらないと私は確信しております。問題は、当面、要するに市場によって十分確保できるということが、それが、今後の石油をめぐる国際市場というのは大きく変わり得るわけでございますから、どうなっていくのかという課題があって、やはりある程度の自主的な開発努力というのを引き続きしていく必要があるということは言えるのかなという気もしております。  したがいまして、やはり基本的には、当面の国際市場においてどういうことが起こるのかということと、当面という期間をさらに超えた、若干不可測的な将来に備えてどういうことをしておくべきかと、こういう両面から臨む必要がある、そういうことで、本来やっぱりできる限りはそれなりの自主開発努力をする必要があるかとは思っておりますけれども、他方、このアラビア石油そのものがうまくいかなくなれば直ちに事態がかなり深刻化するということではないのではないかとも認識しております。
  20. 登誠一郎

    政府参考人登誠一郎君) ただいまの武見先生からの御質問でございます。これはまさに私も辞令をいただいてから毎日考えて悩んでいるところでございまして、実は名案はございません。  いかにしてこの現在の厳しい、核不拡散体制がほころびている、根底が揺さぶられているという中で日本として何ができるかということでございますけれども、とりあえず現時点までに私の頭の中にある点で三つだけ申し上げたいと思います。一部は既に先ほどの冒頭の発言でも触れました。  まず第一点目は、四月のNPTの再検討会議において将来に向けた合意をつくる、その合意が基礎となって今後日本が引き続き関係国に働きかけていく、そういう基礎をつくるということが大変大事だと思います。既に相当のイニシアチブを日本政府としてもとっておりますが、これを引き続き増進させて、この会議の成功に向けて全力を挙げることが必要だというふうに考えております。  二番目は、核の分野におきまして何よりも大事なのは、既に核を持っている国、五つの核保有国でございますが、ここに対していかなる説得を行い、働きかけを行って核軍縮を実現していくかということでございます。  核問題は、これらの五カ国にとってみれば安全保障そのものということでございましょう。したがいまして、こういう国に対して可能な範囲で最大限核軍縮の努力をしてもらうというためには、それを説得するためには日本側としてもこの問題を最高レベル、首脳レベルに上げて常に話をしていく。こういう五カ国の首脳と日本の首脳が協議をするときには必ず核軍縮についての日本の考えも、核軍縮と申しますか核不拡散についての、不拡散体制の維持発展のための考えを日本の首脳から直接説明し披瀝して働きかけを行っていくということが大事であろうと思います。  私も過去二年間、橋本総理及び小渕総理のもとで内閣外政審議室長としてすべての首脳会談に同席させていただきましたけれども、その中でこういう問題が取り上げられた機会もございました。そうじゃない機会もございました。今後ともますます、現地へ参りましたら現地からいろいろな意見を東京の方へ打ちまして、できる限りハイレベルでこの問題を関係国に直接働きかけていくということを実施していただきたいというふうに考えております。  それから三番目は、今の核保有国に対する働きかけと同時に大事なのは、潜在的な核能力を持っている国、既にインド、パキスタンは潜在というよりもこれが顕在化しているわけでございますけれども、こういう国がふえない、あるいはそういう能力があってもやはり核の道を選択しないという決定をしてもらうということが極めて大事であります。そのためには、潜在的なこういう核保有国との間にふだんから緊密な二国間関係外交関係経済関係、これは民間も含めて、を築いて、いざというときにはそういう力を背景に日本が説得すればその説得に応じてもらえるような雰囲気と申しますか、そういう基礎をふだんからつくっておく、そういうことが大変重要であろうと思います。  以上、とりあえず思いつきでございますけれども、そういうような多くの観点から日本努力をしなければ国民の悲願であります核のない世界の達成ということは困難であろうと思いますので、その観点からも引き続き御指導をお願いいたしたいというふうに思っております。
  21. 益田洋介

    益田洋介君 三大使、御苦労さまでございます。  最初に、木谷ペルー大使にお尋ねしたいんですが、まだ詳しい現状については掌握されていらっしゃらないかもしれませんが、特に経済問題について、失業率が非常に高いという点、七・九%、これは一九九八年ということでございますが、過去十年間の、過去における動向、それから将来的な大使の見通しですね。アメリカの場合は四%を割ろうとしている反面、日本の場合は五%になんなんとしているという現状で、この失業状態というのは経済動向を将来見通す上において非常に重要な要素であると思います。この点についての御所見を伺いたい。  もう一点。先ほど、大使自身が言及されました早稲田大学の学生二人殺害事件に関して、特に佐藤先生を中心に当委員会委員長も非常に熱心でございまして、我々といたしましては決議までいたしたという関心の深さ、高さというものを熱心に議論した末、示したわけでございますが、一つ気になっておりましたのは国際法とお国、お国といいますか新任地の考え方の違いで、新憲法は九三年の十二月二十九日に公布されたというふうにお話しでございました。この憲法の中で、例えば、国際司法警察の介入の問題、それからヘーグの国際裁判所の審判が下った場合に、国として憲法上あるいは憲法下においてどのような処遇をされるような仕組みになっていらっしゃるのか、わかる範囲で結構でございますので、御披瀝願いたいと思います。  次に、大島大使でございますが、サウジアラビア、非常に日本にとっても影響力が大きい国でございますが、特に私が関心を持って今お話を伺っておりましたのは、九七年に橋本総理が往訪された際にも議題になったといいます石油、原油産国一辺倒ということから、国のこれからの経済的な、あるいは立国の構築のし直しということが議論され始めていると。その中で幅広い分野、具体的には人づくり、医療、環境という三点、非常にこれは大きな命題であると思います、どこの国におきましても。  具体的なアジェンダについてこれから討論されるということでございまして、この今の変革期、サウジアラビアのですね、一皮脱皮されようというお考えではないかというふうに考えておりますが、国際社会の中でこうした観点からバックアップを我が国としてする場合は、資金面の援助よりは技術的な協力という観点によりウエートが置かれてくると思いますが、具体的にどういうふうな道筋をこれから新任の大使としてお考えでいらっしゃるか、概略で結構だと思いますが、抱負といったようなものをお聞かせ願いたいと思います。  次に、軍縮の問題でございます。これは登大使外交官になられてすぐのお仕事がこうした軍縮関係ということで、本当に専門家で、また内閣の外政審議室長もされていたということでございますが、先ほどの武見先生の御意見と若干重複するかと思いますが、私は非常にこのカットオフの議論に興味を持っておりまして、プルトニウムとか高濃縮ウラン生産禁止に関して、非常に残念でございますが、九九年の八月の時点委員会の再設置のめどが全く立っていなかったという現状を踏まえて、今回、四月にニューヨークでNPTの再検討会議が開かれると。当然、大使はその中核として活躍されるわけでございますが、この会議において、我が国としてカットオフに関してNPTでどの程度の踏み込み方をされるおつもりなのか。これは機会としては逃しがたい非常にいい機会だというふうに私は思いますので、その辺の抱負になるかもしれません、あらあらのお考えを伺いたいと思います。  同時にCTBT、これはどうしても、きょうは山本次官もお見えですけれども、未批准のアメリカ、特にその後の上院の動きはどういうふうになっているのかということと、同時に未批准国の中でのエジプト、インドネシア、トルコ、この三国の批准に向けての動きは今どうなっているのかという点についてもお教え願いたい。  ちょっとしつこくなりますけれども最後の一問でございますが、旧ソ連軍の核兵器の破棄支援の問題でございますけれども我が国は二億ドル相当のプロジェクトの支援を資金協力していると。しかし、これは九九年、昨年六月のケルン・サミットで決められたことだと思いますが、このほかに技術的あるいは人的な協力というのを考えていらっしゃるのかどうか、お伺いします。
  22. 木谷隆

    政府参考人木谷隆君) ただいまの益田先生の御質問、二点であろうかと思います。まず失業の傾向と、二番目は、仮に早稲田大学探検部事件の関連について法律論が行われ、国際法上の問題になった場合に、九三年の改正憲法がどのような受容体制になっているか、二点だろうと思います。  まず、失業状況でございます。  実は、私の手元には先生と同じ数字がございません。一般に私が説明を受けましたのは、大体今は七%ぐらい、ただしこれは公の話でございます。ただし、ああいう国でございます。潜在的には四〇%を超えるような失業があるんではなかろうかというふうに言われております。いずれにいたしましても、正確な統計の調査というのはまことに難しいのではなかろうかと、赴任前でございますけれども、推察しております。  なぜかと申しますと、人口の四七%ぐらいがいわゆるインディヘナという方々でございます。この人口の半分、先住民と呼ばれておりますが、この方々が大体貧困というものの主体をなしている、もちろん混血の方の中にも貧困が相当いると思いますが、そういう人たちの雇用状況をどういうふうに把握するかということは恐らく難しいことではなかろうかと。私は、九四年から九六年までグアテマラの大使をしておりましたが、人口構成はまことにペルーとよく似ております。グアテマラの場合のインディヘナ、五〇%を超える超えない、それも正確ではございません。正確に把握するのは難しゅうございますが、そのインディヘナの生活改善あるいは雇用問題というのは大変大きな問題でございます。  それから、これから先、その失業がどういうふうにトレンドを描いていくかということ、これも私は手元には資料がございません。それで、今後ともそれを、先生の御指摘を念頭に置いて、現地に行ったら探すべく努力をいたしたいと思いますが、どの程度信頼できる統計が集まるかどうか、若干心もとない気持ちでございます。  二番目は、早稲田大学の事件でございますが、現在、私の理解するところでは、法律論ではなく、より円満解決のために当事者の間で粛々とした努力が行われていると聞いております。したがいまして、この円満解決のための努力を私どもは見守っているというのが現状でございまして、仮定の話といたしまして、九三年改正憲法との関連でこれが国際法廷に行った場合、そしてそこで判決が出た場合、そしてそれが九三年憲法でどういうように受容されるかどうかということにつきましては、現在、私不勉強な点もございますが、まだ研究はしておりません。  私といたしましては、当委員会の決議を踏まえまして、できるだけ迅速に円満に解決されることを願って、そのために私としての努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  23. 大島正太郎

    政府参考人大島正太郎君) 益田先生からの御質問、特に日本サウジ関係を、石油中心とした経済、さらに幅を広げるに当たってどういう取り組み姿勢で臨むのかという御下問でございました。  今既に、先ほどちょっと申し上げましたとおり、そういった方向でいろんな努力が行われておりまして、日本サウジアラビア協力アジェンダという大きな枠組みの中で先ほど申し上げた幾つかの分野努力が行われております。それぞれの分野においてかなり具体的な計画、特に技術協力中心とした専門家派遣等が行われております。これから今まで以上に関係を深めるに当たって、私の個人的な感じとしては、人と人の接触局面を拡大していくということ、これが一番大事じゃないかと思います。  それにはいろんなやり方があると思いますが、一つは普通の経済分野であるかもしれませんけれども投資でもできるだけ多く、かつ人と人の接触が多くなるような形の投資、例えばアメリカのサウジに対する投資日本サウジに対する投資の額はそう違わないと。つまり、もちろんアメリカの方が大きいんですけれども、そう大きく違いません。ただ、その件数ははるかにアメリカの方が多いと承知しております。つまり、より小さなというか額的には小さな投資が大きいと。ということは、いろいろな形で人の接触局面が多くなっているのではないかと思います。  一つの例として、ある数字でございますけれどもサウジにおける在留のアメリカ人というのは三万五千人もいるという数字がございました。日本は千人弱でございます。そのような感じで、より多くの方々がいろんな形で接触する局面をふやしていく必要があるのではないかと思います。まさに先生がおっしゃいました技術協力がその一つの手段でございまして、既に人づくり環境、いろんな形で行われております。一例を挙げれば、自動車技術研修所の設立計画というのを推進しております。そのような形で、いろんな形での技術協力を行っております。  これからの分野として、技術協力そのものにとどまりませんけれども、例えば水資源の開発、既にもちろんいろいろ現地状況に応じて海水の淡水化プラントはあるわけでございますけれども、更新期に来ているわけでございまして、そういった問題についての日本に対する期待が高いようでございます。こういったことを通じての人と人との接触局面をふやしていければと思っております。
  24. 登誠一郎

    政府参考人登誠一郎君) 三点の御質問がございましたのでお答えします。  まず、カットオフ条約についてでございますが、これは既に先生の御指摘がございましたとおり、委員会を再設置するということについてはまだめどが立っていないというのはまさにそのとおりでございまして、これを打開するためにやはり四月のNPT再検討会議が最も適切なタイミングだろう、そういう機会であろうというふうに考えております。したがいまして、そこでカットオフ条約の開始、いつまでに開始するか、それから何年間で交渉を終了するかというような点についてできれば具体的な目標を掲げたい、そのために努力をしたいというふうに考えております。  御承知のとおり、このカットオフ条約は、今までの条約と違いまして、その既存のストック、核分裂性物質のストックの廃棄をどうするのかというような問題、それからそれの検証をどうするのかというような形で、今までの条約とはかなり違った困難さを有しているという点がございますので、またその帰趨については予断を許しませんが、これは次の軍縮交渉における最重要課題でございますので、我が国としても頑張っていきたいというふうに考えております。  それから、CTBT、包括的核実験禁止条約の方でございますが、アメリカは、上院で否決されたときも、現政府はこの問題について決してあきらめているのでなくて、引き続き働きかけを行っていくというふうに言っておりますが、いかんせんこの問題は、この事の本質というよりもむしろ民主党対共和党のいわば政争の具にされてしまったという色彩がかなり強うございました。  そういう観点からしますと、御承知のとおりことしは大統領選挙の年でございますので、このCTBTの批准というような安全保障面にかかわる非常に重要な問題を大統領選挙をまたにしながら行うというのは、現実問題としてかなり難しいのではないかなということを言わざるを得ないと思っております。  それから、それ以外の、インドネシアとかトルコとかアルジェリアとか幾つかございます、中堅国家でこれに署名したけれどもまだ批准していないという国は周りの国の動向を見ている。例えばエジプトの場合は、イスラエルが批准しなければなかなか自分も批准しないと言っておりますし、それ以外の国もそういうような理由で様子見だということでございますので、そういう観点からも、一つでも多くの国が批准に向かえばそこを足がかりとしてどんどん網を拡大していくということは可能だと思っておりますので、外務省の方が中心になって、ここにきょうもおいでいただいている山本政務次官にも中国それからその他の国にも行っていただきましたけれども、一国でも多くこの網の中に手繰り寄せていく、それを通じてその周辺国もだんだん締約国になっていく、そういうプロセスを続ける必要があるというふうに考えております。  最後に、旧ソ連の核兵器の解体でございますが、これは二億ドル、去年のケルン・サミットのときに日本政府としてこれをコミットいたしました。その後どういう状況にあるのか私は詳しいことは存じませんけれども、やはりことしのサミットでも引き続きこの問題は取り上げられるということになりますので、この二億ドルの実際のディスバース、利用の状況も勘案しながら引き続き必要なイニシアチブを日本はとっていくべきだというふうに考えております。
  25. 小泉親司

    小泉親司君 発言機会を与えていただきましてありがとうございます。日本共産党の小泉親司でございます。  各大使におかれましては、赴任前の大変お忙しい中、当委員会に御参加いただきまして本当にありがとうございます。  私、二つの点について御質問させていただきまして、あとのことは同僚委員にお任せをさせていただきたいと思います。  まず、ペルー大使にお聞きするというより、もう既に同僚委員からお話がありましたけれども、当委員会では、ペルー国軍による日本人学生の殺害事件に対する十分な補償をすべきだという決議を上げましたので、その点先ほどお答えいただきましたが、御尽力を一層いただきたいということをつけ加えさせていただきたいと思います。  私、時間もありませんので、主に登軍縮大使に幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。先ほどもお話がありましたように、核兵器の廃絶というのは人類の緊急の重要な課題であって、やはり一日も早い核兵器廃絶というのはどこの国でも大変大きな願いだというふうに思います。  そこで、私、まとめて四つの問題について質問をしたいと思います。  一つは、先ほど同僚委員からもお話がありましたように、九五年にいわゆるNPT体制ができた。そのときに無期限延長が合意されたわけですが、同時に、核保有国は軍縮に誠意を持って交渉すべしという合意も与えられた、出された。ところが、この現状を見ますと、核保有国による軍縮の取り組みは極めて遅々としていて大きな進展がないと。よって、先ほどお話がありましたようなNPT体制が根底から揺らいでいるというようなことなんだろうというふうに思います。  問題は、その原因が一体どこにあるんだろうか、その主要な要因というのは何なんだろうか。世界の軍縮を進める上で、この現状をどう認識するかというのは大変大事なことなんじゃないかというふうに思います。  私は、やはり超核保有大国が核軍縮に熱心じゃないというところに一般的にはあると思いますが、その最も、超々というんですか、核保有大国であるアメリカがやはり核抑止力という立場に立って核兵器の開発を、実際に新たな開発を進めている、CTBTの否決はもちろんのこと、臨界前核実験の開発などを進めているわけです。こういうところにやっぱり大きな原因が私はあると思うんです。  だから、その辺でぜひお聞きしたいのは、今、大使としてこれから赴任される上で、核軍縮に大きな進展が見られない主な要因というのは一体どの辺に所在があるんだろうかというところをまず一つお聞かせいただきたいなというのが一点目の問題であります。  二点目は、昨年の朝日新聞で、「揺らぐ核軍縮 同盟が抱えるジレンマ 超大国をどう説得」という記事が載っておりまして、この記事の中で、いわゆる新アジェンダ連合の核兵器廃絶案の決議について、例えば来日した米国のマクナマラ元国防長官ですとかバトラー元戦略軍司令官が外務省を回って、この新アジェンダ連合の決議案を決議すべしということを説得したと。この記事によりますと、河野外務大臣は、日本の究極的核廃絶の決議案だけではなく、この新アジェンダ連合の決議案にも賛成できないかどうか事務当局に検討を命じたというわけです。  そのやりとりが出ているんだけれども日本側は、「「新アジェンダ連合」案に賛成する可能性も含めて、検討している」と。それに対してアメリカ側は、「日本が賛成すると、これまで核の傘を提供してきた米国民としては、日本に裏切られたとの感じを抱きかねない」ということで、外相は結局、新アジェンダ連合案には賛成できないと判断した。核廃絶の道を探る一方で、核の傘を含む日米同盟で安全保障政策を組み立てている日本のジレンマが露呈したという記事なんだけれども、こういうジレンマは私は存在すると思っておるんですが、この点ひとつこの記事に対する大使の御感想をお聞かせ願えればというふうに思います。  最後に、この新アジェンダ連合の決議案を初め非同盟諸国は、核大国がなかなか軍縮交渉に踏み出さないということを理由にして、核廃絶の期限を切った核廃絶案を国連では提案しているわけです。アイルランドのアンドリュース外相などは、核保有国が新たな核軍縮の約束をするために、核兵器廃絶を究極の目的ではなく緊急の課題にするという案を提案しているんだというふうな趣旨を述べておられます。  ところが、こうした期限つきの核兵器廃絶案については、核保有国と敵対して核軍縮を困難にするから日本政府は賛成しないんだというふうな御見解があるんだけれども、私も当委員会で外務大臣に御質問をしたらそういう御見解なんだけれども、実際に今の現状を見ると、核保有国は、その提案が実際には決議されたんだけれども、実際に敵対関係というよりは核軍縮自体が困難になってしまっているという現状があるわけで、もう一つのこれは私もジレンマじゃないかというふうに考えているんですが、こういう期限つきの、期限を切った核兵器廃絶の国連決議のようなものに対してこれからどう対応していくのかというのは、今後日本政府に課せられた大変大事な課題だと思うんです。  その辺についての大使の御意見をお聞きして、質問とさせていただきます。
  26. 登誠一郎

    政府参考人登誠一郎君) なかなか小泉先生、御専門家だけに難しい御質問をいただきまして、私もお答えにとまどっているところでございます。  まず初めの、今の核軍縮が進まない原因はどこにあるのかということでございますが、これはおっしゃいますとおり、核保有国の対応が核非保有国が望んでいるほどのスピードで進んでいないということはそれはもうはっきりしていると思います。なぜ核保有国をしてそういう対応をとらしめるのかというのはまたいろいろと原因があると思います。核保有国の中でも、アメリカの立場、ロシアの立場、それから中国の立場、それとまた英、仏、それぞれ微妙に違っております。そういう違いが今ジュネーブの軍縮委員会において核軍縮をどう進めるのかという議論の中でもそれがあらわれてきてなかなか進まないということでございます。  御指摘のございました臨界前核実験、これはアメリカのみならずロシアも最近行いましたけれども、これは確かに条約には反していないということでございますので、直ちにこれの中止を求めるという立場には日本もないと思いますけれども、これは核軍縮全体の中で取り上げていく必要があるんだろうと思います。  いずれにしましても、いかにして核保有国に対してもっと核軍縮に熱心にさせるかというのは、さっきも触れましたけれども、非保有国の方がそれのプライオリティーを高めてより高いレベルで働きかけを行っていくということが非常に重要だと思います。  それから、ジレンマ、次の御質問にも関係しますけれども、アメリカの核の傘とそれからそういう国に核軍縮を求めていくというところのジレンマがあるんじゃないかと。それは確かにジレンマはあるんだろうと思いますが、日本安全保障に相当大きな責任を持ってくれているアメリカの対応というのはこれは日本にとっても決定的に重要であるわけですが、そのアメリカから見た安全保障が損なわれない形で核軍縮が進むのであればそれは問題はないはずなんです。  それから、日本もそういう観点でいかにしてアメリカが自国の安全保障を危険にさらさないで核軍縮ができるかという方法をやっぱり一緒になって考えていくということが重要だと思っております。そういう意味からも首脳レベルでの対話ということを申し上げているところでございますので、今後ともそういうことを政府に対してお願いしていきたいというふうに考えています。  それから、二番目の新アジェンダ連合、去年の国連総会の決議でございますけれども、私は直接担当しておりませんでしたので、具体的なことはよくわかりません。先ほどの新聞はもちろん読みました。多少のことは外務省から聞いております。去年のあの時点では、新アジェンダ連合の提案の内容が、やはり核軍縮を進めるに当たって余りにも急激的で現実的じゃない部分が入っていたということから、そのままこれに同調するということはむしろ核保有国の立場をかたくなに追いやって、進む可能性があるものも進まなくなる、そういう要素があるということから、日本はぎりぎりの判断としてこれを賛成できなかったわけでございます。  ことしの国連総会で、また同様の決議あるいはそれを多少修正を加えた決議が出てくると思いますが、その時点における状況、特に四月のNPT再検討会議ではどういう進展があったか。それからその後のジュネーブの軍縮会議、その他における、あるいは米ロのSTART交渉、アメリカの大統領選挙後、それからロシアも大統領選挙がことしございます。その後であれば、来年であればまた新たな展開も可能かなというふうに考えておりますので、そういう状況を見つつ、ことしの国連総会において軍縮関連の決議を真剣に慎重に対応したいというふうに思っております。  最後の、核兵器の廃棄の期限つきの問題でございます。  これは河野外務大臣が国会でもお答えになられた点、今御説明がございましたけれども期限というのは、これはほかの問題もそうでございますけれども、国際情勢がどう発展していくのかというのはなかなか読めない。特にこの核の問題につきましては相当長期的に物を考えていかなくちゃいけない。五年先、十年先じゃなくてさらにその先の問題も含めて、その先の状況も含めてだと思います。そういう状況において最初から期限、何年までに全廃、米ロのSTART交渉のように何年までに核弾頭を何発、二千五百発から三千発にしていくと、そういうようなことは可能だと思いますけれども、何年までに廃絶ということは、これはそういうことが可能な国際情勢がいつ訪れるのかということもなかなか読み切れないわけでございますので、全廃の期限というのはなかなか現実的じゃないんじゃないかと考えます。  しかしながら、その点も、こういう提案も今の現状に対する不満というんですか、いらいらから出てきた提案だろうというふうに思いますので、非保有国の方がそういう感情を持たないためにもやはり核保有国の方が真剣に対応を示すということが大事だと思いますので、日本としてもそういう観点から真剣にこの五カ国とは対話を進めていくことが非常に重要だというふうに考えています。
  27. 小山峰男

    小山峰男君 三人の大使の皆さんには、大変お忙しいところ御苦労さまでございます。  私は二点ほどお聞きしたいと思いますが、まず木谷大使にお聞きしたいと思います。  日本のODAの関係につきましては、今大変いろいろ問題がある、あるいは課題があるということで、大きく見直しが迫られているというふうに思っているわけでございます。日本ペルー関係においても、ODAというのはかなり重要な役割を果たしているだろうというふうに思うわけでございますが、私は、基本的にはODAというかいろんな援助関係につきましては、その国の自立を促すような施策を基本的にやるべきだというふうに思っておるわけでございます。  したがって、教育に対する支援だとか、あるいは技術関係、そういうものを主体に考えていく必要があるんじゃないかなと思うわけでございますが、先ほど国内の治安の状況から青年海外協力隊の活動なんかも随分制限されているというようなお話をちょっとされたというふうに思っておりますが、今後の、いわゆる日本ペルーとのそういう関係についてどういうようにお考えかということをお聞きしたいと思います。  それから、二点目としては、大島大使にちょっとお聞きしたいわけですが、今大変原油価格がじわじわと上昇してきているという状況で、この原因についてはいわゆる採掘の制限というような問題もあるだろうと思いますし、また一部にはある資本による買い占めみたいな話もちらちら出ているというふうにお聞きするわけでございますが、産油国としてサウジというのは大変大きな力を持っているわけでございますが、全体的な問題として原油の値上げ等に対する対応策、サウジ中心として日本政府としても当然働きかけていかなければならないだろうというふうに思うわけでございますが、その辺についてのお考え方、まあ場合によれば赴任する時点では案外解決しているかもわかりませんが、お聞きしたいと思います。  以上でございます。
  28. 木谷隆

    政府参考人木谷隆君) ただいま御指摘のODAの使い方でございますけれども、私、今回の発令の前はJICAの理事をしておりまして、青年協力隊と無償資金協力を担当しておりました。  それで、ODA、この問題につきましては、事ペルーに限らずあらゆる国に対しても、基本的には先生御指摘のとおり自助努力を助けるということが基本でございます。  そこで、ペルーについて若干お話しさせていただきます。  先ほど私が申し上げました日本のODAを使ってのいろいろな協力というのは、通常ですと相手国に専門家派遣し、協力隊員を派遣しという、向こうに行って顔の見える援助というのがございます。それから、相手国から研修員を受け入れて日本でトレーニングするというプログラムもございます。こういうふうに、向こうから人を受け入れ、また日本から派遣する、そしてさらにはそのプロジェクトの関連で必要な機材を供与する、あるいは病院をつくったり学校をつくったりする、そういうような総合的なものが日本のODAでございます。  ところが、ペルーにつきましては、一九九一年のJICA専門家三人、大変不幸な目に遭いました。それ以来、日本からの専門家派遣あるいは協力隊員の派遣というのはほとんどゼロに近いものでございました。途中九五、六年のころ、治安状況が大変よくなったということで、国際協力事業団としてもそろそろ派遣の再開を検討しようかといった時期がございました。ところが、九六年に日本大使公邸占拠事件というのが起こってしまい、また人の派遣ということができなくなってしまった。  というわけで、先ほど私が申し上げましたが、ここ十年近く青年協力隊員はゼロでございます。それから、専門家につきましてはごく、去年から極めて慎重な形で三名ほど長期の専門家派遣を試み始めているというところでございます。  こういうように、日本の援助と申しますのは、本来は日本の顔が見える形でペルーに対して実施されるのが望ましいわけでございますが、テロ関係がございますので人が行けない。そのかわりどういう形でペルー日本政府として協力させていただいているかと申しますと、円借款というのをかなり優遇的に配慮してつけている、それからペルーの研修員のJICAによる受け入れということもかなり優先的に考えております。  そういうようないわば本来のあるべき双方向の技術・経済協力というのがなかなかできないでいるという不幸な状況にございます。これから先、何とかテロに対する懸念の払拭ということをいろいろな、先ほど申しましたような直接的なテロに対する防御策あるいは取り締まりばかりでなく幅広く、経済・技術協力あるいは文化交流も加えまして、ペルー国民一人一人に日本の善意というのをわかってもらう、そういう環境づくりをしながら人の派遣というのを慎重に考えていかなければならないのではなかろうか、そういうふうに考えております。
  29. 大島正太郎

    政府参考人大島正太郎君) 原油価格の高騰という現状についての御質問でございます。  御承知のとおり、原油価格は去年の初めぐらいまでは、どの基準価格をとるかによりますけれども一バレル十ドルぐらいまでは下がったということでございまして、この価格では産油国側は大変厳しい状況に置かれていたことも御承知だと思います。  そういった中で、OPECサウジがその中でも盟主であること、御承知のとおりでございますけれども、去年の三月、OPECが供給の削減ということで、減産ということで対応すると。それを受けて価格がだんだん上がってきて、今例えばテキサス何とかという標準をとれば三十ドルというような形でかなり上がっているということでございます。  そしてまた、ことしの三月にOPECの総会がございます。そこでどのような体制がとられるかということでございますけれども、もちろん、余り価格がこのように高くなっておりますと世界経済全体に対して不安定材料になるということで、日本にとっても好ましいことではないわけでございます。  それから同時に、サウジ産油国にとりましても、余り価格が高値で張りつきますといろんな形で消費国側が対応策をとってくる、例えば代替エネルギーとかそういった話になりますので、より長期安定的な収入が確保できることが望ましいという観点から、価格が高いまま動く、推移することに対する慎重な対応も十分あり得る。もう一つ重要なのは、価格が高過ぎて、それが主要国の景気に影響して結局需要が落ち込むという形になっても産油国側としても困るということでございます。  したがいまして、今度の三月のOPEC総会で基本的には今の体制は維持されるんではないかなという気はしますけれども、ただ、余り価格が高くなるような形で産油国側としても対応していくだけではないんではないか、もう少し慎重に世界経済全体の動きも読みながら、自分たちとしても、産油国側としても妥当なところということを目指していくんではないかと思っておりますし、そういったことになるよう心がけていきたいと思っております。
  30. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 木谷大使大島大使にお伺いいたします。  最初木谷大使、これは質問というよりはむしろ要望です。  例の早稲田大学学生殺害事件解決に向かって進みつつあると、大変結構なことだと思います。先ほどの話ですと、日本国内に今ペルー人が四万数千人居住しておると。その中の何人かが日本の警察官あるいは自衛隊員によって虐殺されて所持金品一切を奪われたといえば、これはペルー国挙げての大問題になろうかと思います。それと全く同じことですから、この件をペルーフジモリ大統領以下の関係者が重く厳しく受けとめて、せっかく解決に乗り出しているということなので、速やかにしかるべき方法で解決するように、機会をとらえて、駐日ペルー大使あるいはフジモリ大統領に直接でもいいですけれども、強硬に申し入れていただきたい、こう思います。  それから、ついででありますけれども、これからフジモリ大統領とお会いになることも多いと思いますけれども、昨年五月彼が訪日しておるわけでありますけれども、この件については一切我関せず、知らぬ顔で、遺族に会って謝罪するでもない、何もない。会わせるということをやらなかった日本外務省の責任でもあろうかと思うんですけれども、それにしてもちょっとひどいんじゃないかと。  日本は侍の国ですから、礼節をとうとぶ国ですからと言われているんですよ、実際は違いますけれども。いずれにしろ、そういうことは日本人は大変気にするわけですね、あいつ全然おわびをしないとか、知らぬ顔をしているとかいうことを。ですから、フジモリ大統領にもまだ一片の日本人の心が残っておるとすれば、これからもいろんなことがあるでありましょうから、そういうことはくれぐれも大切に考えていただきたいということを、これもまた折を見て申し入れていただければと思います。  それから、サウジアラビアの件であります。  これは、実は二年ほど前に採掘権の延長の問題と絡んで、サウジアラビア側からだと思いますけれども鉄道建設の話が持ち出されてきた。二千二百億ぐらいですか、かかるのは。それに対してアラビア石油の小長社長は、任せておけ、善処する、何とかすると。これは当時のマスコミの報道だと余りにも軽率過ぎるんじゃないかと。それから、最近では何か鉄道建設を私のライフワークとして取り組みたいというようなことも言っておる。大見えを切ったとマスコミはもうやゆしておりましたけれどもね。  いずれにしろ、彼がポケットマネーで鉄道をつくる、何する、それは彼の勝手ですけれども、だれも何にも言いませんけれども、いずれにしろ、これは結局は国家の金、国民の金が出ていくことになるわけですから、果たしてそれでいいのかどうか。石油日本に輸出しているのは別にサウジアラビア一国じゃないわけでありまして、ほかにもたくさんある。これだって同じように、じゃ我々も何かアパートでもつくらせるか、船でもつくらせるか、飛行機ぐらいつくらせたらどうだとか、そんな要望が出てこないとも限らない。  それから、資源を輸出している国だって同じことですよね。食糧を輸出している国だって同じことで、日本の商社は現地法人をつくってそこで食糧をつくりまして日本に逆輸入している。これだって向こうから見れば権益を与えているのと同じことだと。じゃ、何かつくらせろということにもなりかねない。  よほど慎重にも慎重にこの問題については対応をしてほしいと思うので、少なくとも小長社長なるものはこんな勝手なことを言う立場に私はないと思うんですよね。政府と十分に打ち合わせをした上できちっとした応対をしていくべきではないか。そういうことで、これもまた要望になるかと思いますけれども、できる限り慎重に扱ってもらいたいことと、もし小長社長なるものと会う機会がありましたら、あなた軽率過ぎるぞ、国会の評判がよくないぞということぐらいはぜひとも言っていただきたいと思います。  以上です。
  31. 木谷隆

    政府参考人木谷隆君) 先ほどの小泉先生の御要望、それからただいまの佐藤先生の御要望、真摯に受けとめまして、当委員会の決議の趣旨に沿いましてできる限りのことをやりたいと思います。  よろしくお願いいたします。
  32. 大島正太郎

    政府参考人大島正太郎君) 今、佐藤先生からのアラビア石油採掘権更新問題についての特定の問題についての御指摘でございましたけれども、先ほどちょっと私申し上げたところでございますが、基本的にはアラビア石油という民間会社とサウジ政府の一部局である石油省との、それが担当部局でございますけれども、契約の更新交渉だということでございます。その過程の中で、アラビア石油という一民間企業がどういったことを提案等されているか、建前の話としては政府として正式に協議を受けるというような話ではないと思います。  他方、先ほどちょっとまた同時に申し上げたことでありますけれども、さはさりながらアラビア石油日サ関係の中における重要性ということもございますし、石油という問題もございますので、交渉環境をよくするという観点から政府間の協議を行ってきたことも事実でございます。その過程の中で御指摘のような問題、つまり鉄道建設についての先方サウジ政府側の関心に対して、政府として国民の税金を使うということを念頭に置きながらどこまでできるかということを考えてそれなりの提案をしたということも事実でございます。ただ、それは環境の改善ということでございまして、不幸にして率直に申してそれだけでは今のところ話は妥結していないということでございます。  したがいまして、今後最終的にアラビア石油の方がどういった交渉をされ、それが最終的にどういうふうに妥結するかしないかということは我々としても見守ってまいりたいと思いますけれども、一応民間会社としての交渉と、環境づくりに臨んでいる政府ということは二つ分かれて考えているということを基本として臨んでいきたいと思っております。  よろしくお願いいたします。
  33. 立木洋

    立木洋君 最初に、大島大使にお尋ねしたいと思うんですが、大使の経歴を見させていただきますと、イスラエルから始まってソ連、ロシア、そしてアメリカと、中東和平にかかわる重要な国は大体外交問題で携わってこられたというので、中東和平の問題について、感想でも結構なんですがお尋ねしたいんです。  御承知のように、マドリードの和平会議が九一年に開かれてもう十年の年月が流れたわけですが、この間に二国間交渉イスラエルとPLOとの間での暫定自治合意というのがオスロの合意としてなされました。さらにその後、今では最終地域交渉が問題になって進んでおりますけれども、いろいろイスラエルの選挙等々の影響もあったりして中断したり等々の経過がありました。  また、ヨルダンとイスラエルとの間での和平条約が調印されましたし、現在ではゴラン高原の問題が三年九カ月ぶりに去年の十二月から再開されて進行中であるというふうに承知しております。  この流れ、今の中東和平がマドリード・プロセスという形でずっと進んできているわけですが、中東和平の今の到達点を大使はどのようにお考えになっておられるのか。それから今後の展望と、二つ目は、あわせて日本としてどういうことがなし得るんだろうかということについて、感想でもあるいは大使自身の今考えている問題でも結構ですが答えていただければありがたいと思います。  次に、登大使にお願いしたいんですが、先ほど同僚議員からも出されましたけれども、今の軍縮の環境というのが非常に厳しいというふうに大使はおっしゃいました。  これは去年行われたNPTの再検討会議の準備会、これも何らまとまった文書を発行することができない状態で終わっております。それから、ことしの一月十七日からはジュネーブの軍縮会議がいわゆる二〇〇〇年の第一期会期として始まっておりますけれども、なかなかこれも目に見えるような状況が進展しているというふうには思われない。そういうことで、極めて厳しい軍縮の環境が今存在しているというふうに言えるだろうと思うんですけれども、これは私も非常に関心があるのはNPTの第六条の問題です。  大使、もう御承知のように、いわゆる核保有国の核軍縮の義務がこのNPT条約ではどういう法的な位置づけになっているのか。この問題については、アメリカの国内でもこれが義務だというふうに明確に主張している方もおられるし、いやそういうものではないというふうに述べられていることがアメリカの内部でも議論があるように聞いております。  日本としては第六条の核保有国の核軍縮に対する法的な位置、これをどういうふうに位置づけておられるのか。それと同時に、今の第六条の核保有国の核軍縮に対する進行状況日本政府としてはどのように考えているのか。それに対して批判的な見解があるのか、今の状況は当然順調に進んでいるというふうにお考えになっているのか、これが一つの問題です。  それから次の問題、これは新アジェンダの問題に対することも同僚議員から質問が出ましたけれども、この問題について私は参議院の本会議でも小渕総理に質問しましたし、また、この間の国連の第一委員会で林大使がこれに対して棄権をするという問題に対しての説明を行っております。  その林大使説明は、核廃絶、この目標を達成するためには現実的で具体的な措置を通じてステップ・バイ・ステップに進んでいくほかはない。この意味で私たちは核兵器保有国から協力を得る必要があり、核兵器保有国に対して対立的な姿勢をとることは必ずしも建設的ではない。もちろん、我々は核兵器の廃絶ということを究極的な目標としては大いにこれに賛成する立場を明確にしているものではあるがというふうな内容のことが述べられております。  これについて今井元軍縮大使は、これは提案国による一種のデモンストレーションにすぎないというふうに述べておられます。これはどういう意味で述べられておるのか、登大使が御承知だったら答えていただきたいんです。  河野外相は、衆議院でのこの問題に対しての質問で、正直言って日本から毎日同じものが出て同じように採択されて一体意味があるかを私自身自問自答している、これは衆議院の外務委員会での河野外相の答弁なんです。これをどういうふうに解釈するのか。  それで外国からのいろいろな、新アジェンダの問題が国連の第一委員会で議論された中では、核不拡散の促進であって、日本の提案というのは真の核軍縮の内容が追求されていないというふうな指摘もあります。また、核の傘のもとにあって果たして廃棄が追求できるのか、日本が究極的な核廃絶の提案をなしたのについて、そういう指摘もなされているというふうな記録も見ました。  そういう点からいうならば、今アメリカの、核兵器を保有している国に対して対立的な見解を持つことなしに、いわゆる核保有国の同意を得るということを前提にして本当に核廃絶ということが現実の問題として交渉の俎上にのるんだろうかという疑問を私は持っているんです。そうではなくて、いわゆるそういうふうな核保有国の同意を得るというようなことを前提にするということでは現実に核兵器廃絶の道を切り開くことができないだろうと。  だとするならば、その点についてのお考えと、それから、先ほどおっしゃった核兵器保有国に対して説得を強めて理解してもらって核兵器廃絶の道を切り開くように努力をしたいというふうに登大使は先ほど答弁されておりましたけれども、どのようにしてこのような核兵器保有国を説得して核兵器廃絶の道に、同意に導くことが可能なのか。今アメリカは、ブッシュのときもクリントンのときも、これは核兵器の廃絶の選択肢は我々は持っていないということを明確に核兵器の見直しの場合に述べております。記録があります。  そういうふうな国を本当に説得して、核兵器廃絶の道に導くということが説得によって可能なのだろうか。つまり、話し合い以外の道ということではありませんよ、私も話し合い解決するということに賛成なんですけれども、これに対しては明確に核兵器保有国の間違った核廃絶に対する義務を履行しないという点についてはきちっとやっぱり批判的な見解も対置し、そして国際的な世論の多くの支持と理解を得る中で、核兵器を、最初に被爆国となった日本としての地位を明確にさせることが非常に重要ではないかというふうに考えるんですが、その幾つかの点、いろいろ述べてみましたけれども、登大使の御見解をお聞かせいただければありがたいと思います。
  34. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 時間が迫っております。まだ数人の方の質問も予定されているようでありますから、答弁は簡潔にひとつお願いをしたいと思います。
  35. 大島正太郎

    政府参考人大島正太郎君) 中東和平についての御質問でございました。簡単に申し述べさせていただきます。  私がイスラエルにおりましたのは八三年から八五年まででございましたので、十五年前でございます。その当時に比べましても隔世の感がございます。やはり冷戦の終結、湾岸戦争等いろんな大きな要因があるかと思います。それに当事者の努力も当然あるかと思います。  今シリア・トラックが動いております。この問題、いろいろ問題がありましたので若干停滞しておりますけれども、これが近々妥結するかどうかはもちろん見通しの問題でわかりませんが、ここまで来ているということ自体は大きな進展でございまして、私はその大きな歴史の流れの中でいずれは望ましい展開が出てくるのではないかという期待を強くしております。  その関連で、日本としての役割でございますが、既に日本としても中東和平プロセスの中において環境作業部会における議長を占める等、積極的にかかわってきております。また、例えばゴラン高原におけるUNDOFにPKOとして出させていただいております。  こういったいろんな形を通じてこの和平に側面支援あるいはできるだけ直接的な支援、いろんな形が行えると思います。また、そうするべきだと思っております。そうする形によってこの大きな問題の和平に向けての大きな貢献ができるのではないかと思っております。
  36. 登誠一郎

    政府参考人登誠一郎君) まず、NPT第六条の解釈につきましては、ちょっと私、今その条文も解釈ノートも持っておりませんので差し控えさせていただきたいと思いますけれども、そういう法律論ではなくて、やはり条約にああいう六条で核軍縮についての核保有国の責任というものが書いてございますので、それをやはり非保有国としても前進するように強く求めていくということは、これは当然必要だろうとは思っております。  現在の進捗状況をどう見るかということでございますけれども、これについてはさっきも申し上げましたけれども、これは非常に残念ながら進捗状況ははかばかしくないということは認めざるを得ないと思います。したがって、これを打開するために四月のNPT再検討会議も重要になりますし、それから秋の国連総会においてまたこの新アジェンダの決議あるいは日本が毎年出しております究極的核廃絶決議、これをどう発展させていくのかということが大事だろうと思っております。  今井大使の御発言について、私はちょっと記憶しておりませんのでコメントできませんけれども、河野大臣の国会における御発言、これは毎年同じものを採択するということについて自問自答というのは、私もそのお気持ちはよくわかります。しかしながら、やっぱり国際連合の、特に総会というのはそういうところでございます。安保理ではございませんで、総会というのはやっぱり国際世論を盛り上げていく。拘束力のある決議を通すだけではございません。したがって、そういうことを、地道な努力もやっぱり必要なので、それがまさに、過去四十年以上にわたって軍縮関係の決議を積み上げてきたわけでございます。その努力は決して怠ってはいけないと思いますので、そういう観点から我が国もことしの総会で従来以上にやはり努力をする必要があるというふうに考えております。  アメリカとの対立なしに、対決なくして核廃絶ができるかという点でございますけれども、これは、立木先生もまさに御指摘されましたとおり、対決だけでは物事は動かないことはもうそれは非常にはっきりしております。やはり重要なのは説得であって、その説得の材料、中身がどうかということでございます。それは日本自身が考えなくちゃいけない点もございますし、国際世論に乗ったやはり非核三原則を国是とする日本の主張、それから相手安全保障の立場にも十分理解をしながら議論を進めていく、そういう観点から議論をするということが必要だと思っております。  そういう中で、やはり国際世論というものは今の社会では決定的に重要ですので、日本もそういう核軍縮が進むような国際世論をつくるように努力することは当然重要だ、それはやるべきだというふうに考えております。
  37. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 時間も経過しておりますけれども、各会派一巡ということで、田村秀昭君からも意見が求められておりますので、許したいと思います。どうぞ。
  38. 田村秀昭

    田村秀昭君 私は、質問というよりもちょっと、登大使に代表してお答えいただいて結構だと思うんですが、私は自衛隊の出身なので、普通これは十二月一日に発令されるともう直ちに指揮権が移行して、常識的に一週間以内に赴任すると、大使に発令されたのは十二月一日ですね、皆さん三人とも。  ところが、まだおられて、いつごろいらっしゃるのかよくわからないし、これは国際的にもこういうふうな慣例になっているのか、ちょっと外務省特命全権大使というのは特別なのか、どういうのかよくわかりませんが、これは大体いつごろ現地に行かれるんですか。
  39. 登誠一郎

    政府参考人登誠一郎君) まず、事実関係でございますが、十二月一日というのは、それは正しくないわけで、我々が発令になったのは一月でございます。私につきましては一月三十一日に発令になりました。  これは、外交の国際慣例でございますけれども現地でその国の大使は、要するに自分の国の元首の代表ということでございますので、一人しかいないというのが過去からの慣例でございます。ダブらないと。  そういうことから見ますと、大体大使の発令と前任者の帰国命令あるいは転勤命令と同時に出ます。前任者が大体四十日の間に動くということでございますので、発令になってからその四十日間は我々も準備、まさにこういうような機会とかその他の準備がございますので、それの準備に費やすということで、大体四十日、規定では発令になってから四十日で赴任するということになっております。私の場合には三月の中旬に前任者が、赴任しまして公邸に住むことになりますけれども、公邸の掃除とかその他のもろもろの物理的な公邸の中の整備等もございますので、前任者が離任してから一週間後ぐらいに着任するということで考えております。それが大体、今外務省でほかの大使の方もそういうような形で赴任のプランを立てているんだろうというふうに考えております。
  40. 田村秀昭

    田村秀昭君 ありがとうございました。
  41. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 以上で本調査に対する本日の質疑はこの程度にさせていただきたいと存じます。  本日は、どうもありがとうございました。  大使各位には、各赴任国におきまして、大変問題山積している中での赴任であられると思います。ただいまの質疑を十分生かされまして、使命を全うされんことを心から御期待申し上げまして、御礼にかえさせていただきたいと存じます。頑張っていただきたいと存じます。  ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十九分散会