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2000-02-28 第147回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十八日(月曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 町村 信孝君       島村 宜伸君    杉浦 正健君       葉梨 信行君    高木 義明君       原口 一博君    山元  勉君       辻  第一君    平賀 高成君    兼務 小島 敏男君 兼務 小沢 鋭仁君    兼務 大畠 章宏君 兼務 川内 博史君    兼務 青山 二三君 兼務 知久馬二三子君    兼務 中川 智子君     …………………………………    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    国務大臣            (環境庁長官)      清水嘉与子君    環境政務次官       柳本 卓治君    農林水産政務次官     谷津 義男君    農林水産政務次官     金田 勝年君    政府参考人    (警察庁生活安全局生活環    境課長)         佐藤 正夫君    政府参考人    (環境庁企画調整局地球環    境部長)         浜中 裕徳君    政府参考人    (環境庁自然保護局長)  松本 省藏君    政府参考人    (環境庁大気保全局長)  廣瀬  省君    政府参考人    (環境庁水質保全局長)  遠藤 保雄君    政府参考人    (法務省入国管理局長)  町田 幸雄君    政府参考人    (厚生省生活衛生局長)  西本  至君    政府参考人    (農林水産省農産園芸局長    )            木下 寛之君    政府参考人    (農林水産省食品流通局長    )            福島啓史郎君    政府参考人    (農林水産技術会議事務局    長)           三輪睿太郎君    政府参考人    (林野庁長官)      伴  次雄君    政府参考人    (通商産業省環境立地局長    )            中島 一郎君    政府参考人    (建設省住宅局長)    那珂  正君    農林水産委員会専門員   外山 文雄君    環境委員会専門員     鳥越 善弘君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   原口 一博君     高木 義明君   平賀 高成君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   高木 義明君     渋谷  修君   辻  第一君     大森  猛君 同日  辞任         補欠選任   渋谷  修君     山元  勉君   大森  猛君     平賀 高成君 同日  辞任         補欠選任   山元  勉君     松崎 公昭君 同日  辞任         補欠選任   松崎 公昭君     原口 一博君 同日  第一分科員知久馬二三子君、中川智子君、第二分科員川内博史君、第四分科員大畠章宏君、第六分科員青山二三君、第七分科員小沢鋭仁君及び第八分科員小島敏男君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十二年度一般会計予算  平成十二年度特別会計予算  平成十二年度政府関係機関予算  〔総理府(環境庁)及び農林水産省所管〕     午前十時開議      ————◇—————
  2. 町村信孝

    町村主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算及び平成十二年度政府関係機関予算農林水産省所管について、前回に引き続き質疑を行います。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木義明君。
  3. 高木義明

    高木分科員 おはようございます。民主党の高木義明でございます。  きょうは、日中漁業交渉に関係するテーマについて、大臣にお伺いをいたしたいと思います。  まず、玉沢農林水産大臣におかれましては、一昨日、昨日、中国におきまして、閣僚級協議、大変お疲れでございました。多くの問題を抱えながら、みずからお運びをいただきまして、懸案協定解決に向けて努力をしていただいたことについては、これを多としたいと思っております。  既に御案内のとおりに、日韓におきましては操業ルールが決められておる中でありますが、日中については、新漁業協定平成九年、一九九七年十一月に署名されておりましたが、二年が過ぎてようやく、今回六月めど発効する見通しになったわけであります。  この間に、旧協定に基づく十二海里より外では、フリーゾーンという中国漁船の無秩序操業が続いておりました。中国漁船による我が国漁業への影響、また漁具の被害、資源枯渇懸念は主に西の海でありましたが、最近では東太平洋北海道沖合にも進出をして、漁業者の怒りは頂点に達しておったのであります。日中漁業協定では、将来に禍根を残すことがないよう、資源管理が確実に実行できる枠組みで妥結を図ることが我が国漁業者の強い要望であったわけでございます。  今回の玉沢農林水産大臣陳耀邦中国農業大臣閣僚級協議報告をまずお願いしたいと思います。また、我が国漁業者要望であります資源管理観点からの今回の協議につきまして、その認識をお伺いしてみたいと思います。
  4. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 新しい日中漁業協定は、平成九年十一月に署名されましてから二年以上が経過したにもかかわらず、発効していないという異常な状態が続いておりました。このたび私が訪中し、発効に向けて最大懸案となっておりました東海暫定措置水域の北側の水域における操業条件等につき、二十六日、中国陳耀邦農業部長協議を行った結果、新協定を本年六月一日に発効させることで意見の一致を見たところであります。  暫定措置水域に接する両国主張する排他的経済水域が重複する水域の扱いにつき、双方主張に開きがあり、協議は難航いたしたところでありますが、今回、この水域東経百二十四度四十五分から東経百二十七度三十分の水域にいわば中間水域というものを設けまして、その水域では日中両国漁船はそれぞれ相手国許可証を取得しなくても操業できるように措置することにより、解決を図ることとなりました。  中間水域の外側の操業条件についてでありますが、日本側水域における中国漁船許可隻数を、底びき網とまき網で九百隻、また、同時に操業できる隻数を六百隻とすること、中国側水域における日本漁船許可隻数を底びき網、まき網はえ縄ひき縄と釣りの許可隻数で三百十七隻とすることで合意をいたしたところであります。  このように、懸案となっておりました主要な問題を決着させたわけでございますが、まだ残された具体的な操業条件等につきましては、今後、事務レベル協議により解決をしていくということとなった次第でございます。  新日中漁業協定におきましては、国連海洋法条約趣旨に沿った新しい漁業秩序両国の間に確立しまして、海洋生物資源保存合理的利用並びに正常な操業秩序維持することを目的としたものでございます。二年にわたりましてこれが発効されないという状況であったわけでございますけれども、両国お互いに譲り合うことによりまして、資源共通維持しともどもに利用していく、こういう観点から合意を見たわけでございまして、今後もそういう精神に基づいて両国操業することができるような体制をつくってまいりたい、このように考えております。
  5. 高木義明

    高木分科員 言うまでもありませんが、この際、改めて国連海洋法条約というものの趣旨についてひもといてまいりました。この条約は、「すべての国の主権に妥当な考慮を払いつつ、国際交通を促進し、かつ、海洋平和的利用海洋資源の衡平かつ効果的な利用海洋生物資源保存並びに海洋環境研究保護及び保全を促進するような海洋法的秩序を確立すること」、こういうことにあるわけであります。  今お話がありましたように、二年の間新協定発効できていないという状況が続いておりました。私が先ほど述べましたように、我が国漁業関係者からは、この間、中国漁船操業状況に強い批判があったのは事実でございます。これ以上現状を容認することができない、日本海と太平洋にぜひ排他的経済水域を設定して現協定を終了通告すべきだ、こういう強い姿勢もあったのは事実であります。そういう意味で、今回、幸いにも日中友好が損なわれない形で、閣僚級の会談で六月をめど発効が決まったということは、私は一つ安心をした、こういう思いであります。  しかし、この二年間の間に我が国漁業に与えた影響というのは、私は大変なものがあろうと思っております。辛抱辛抱を続けておった漁業者、そういった漁業者に対する支援措置を講ずべきであろう、私はこのように考えるわけですが、その点について御所見を賜りたい。
  6. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 この二年間の間に、中国側我が国の十二海里の外の海域におきまして自由に操業しまして、その結果かなり資源にも大きな影響を与えた、こういうふうに認識をいたしておるわけであります。  したがいまして、今後、この東海地域の問題ばかりでなく、全体の海域における操業条件等も決めていくわけでございますけれども、そういう過程におきまして、漁業者に与えた影響等も十分配慮しまして、できるだけ国内の漁業者に対する支援措置、そうしたことも検討して対応してまいりたい、このように思います。
  7. 高木義明

    高木分科員 この件につきましては、過去のことでございますけれども、現実的に大変な死活問題ということでございます。ぜひ御検討いただいて、しかるべき対応をお願いしておきたいと思います。  さて、この漁業協定でありますけれども、今回の閣僚級協議の焦点は、東海、いわゆる東シナ海でありますけれども、この東海に設定された暫定措置水域以北北緯三十度四十分以北漁業協定水域ラインの画定と双方水域における操業条件でございました。  我が国は日中の中間線主張しておりましたが、なおも日本側に近いライン主張する中国との隔たりが余りにも大きく、新聞報道によりますと、今回、東経百二十七度三十分がその水域ラインとなったとされております。  これによって、例えば、東経百二十八度三十分以西漁場とする以西底びき網漁業、これは、その好漁場、一番豊富な漁業資源があるとされておるこの海域がほぼ全部我が国管理水域外になる、こういうことに私はなると思うんですが、その事実経過について、交渉過程を教えていただければと思っております。  なお、この水域は、言うならば許可なし水域とか中間水域、新水域、それほど報道機関によっては呼称も違うわけでございますけれども、結局、相手国許可なしに操業ができる範囲というところであります。そういう中に以西底びき網漁業の好漁場がすべて失われていくことになる、我が国管理水域から。このことによって我が国漁業に与える影響をどのように考えておるのか、また、こういう影響に対してどのような対応をなされようとしておるのか、この点について明らかにしていただきたい。
  8. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今回の交渉におきましては、暫定措置水域北限線以北東海水域委員もおっしゃられましたように、いわゆる以北水域でありますが、そのうち東経百二十四度四十五分から東経百二十七度三十分の水域におきまして、両国漁船が、それぞれの相手方許可証を取得することなく操業できるよう措置するところとしたところであります。  これは、一番議論になりましたのは、東経百二十七度を主張する我が国東経百二十八度を主張する中国側意見の対立がございまして、結果的には、両方の歩み寄りということで、東経百二十七度三十分ということで決まりました。  そこで、一応相手方許可証を取得することなく操業できるということでございますけれども、しかしながら、両国共同委員会を持ちまして、資源状況その他を判断しながら操業条件等につきましてはこれから協議する、こういうことになろうかと思います。  この以北水域は、韓国を含めた三カ国の排他的経済水域の境界が画定していないことから、そのような現実を踏まえて協議した結果、中間水域と称する、そのような形でこれを設定したところであります。  中間水域やその周辺水域は、我が国以西底びき網漁業、大中型まき網漁業アマダイはえ縄漁業等の重要な漁場でありまして、今回の合意の中で、中間水域として我が国許可証を得ることなく操業を認める水域を設けたことや、底びき網漁船操業を一定程度認めたことについては、漁業者に不満も残るものと考えます。  このため、今後、底びき網漁業操業条件等について、本年六月一日の協定発効日に向けまして、漁業者要望を踏まえて中国側協議することとしており、漁業者影響については、その協議の結果を踏まえ、対応してまいりたいと考えております。
  9. 高木義明

    高木分科員 この水域は、まさに許可なしで操業できる水域でありますが、先ほどは、共同委員会をつくって協議をしていくということでございます。しかし、これまでの日中漁業交渉経過を見ると、大筋は決まったけれども、その内容、まさに操業条件が大変な問題になろうと私は推測をするわけです。しかも、これは自主規制でございまして強制力はありません。  中国に与えた計九百隻という文字が先ほど報告の中にもございましたけれども、これは、現地では余り多過ぎるんじゃないかということなんですが、この九百隻というのはどういう根拠で交渉を通して出てきたのか、この点についてさらに御見解を聞いておきたいと思います。
  10. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 交渉経過等におきましては、この水域中国側は、三千六百隻から四千隻ぐらいの操業実績がある、こういうことを申した経過がございます。我々の方は、いろいろとあの地域を見ておりまして、千二百隻ぐらいではないかというような見解相違等があったわけでございますけれども、資源を大事にして操業していくということが一番大事なことでございますから、我が国としては、さらに隻数を絞るということを主張してこの数字になったものと考えます。  しかしながら、同時操業隻数最高隻数六百隻ということも明確にいたしておるわけでございますし、今まで資源相当影響を与えたと思われます底刺し網、これは全面禁止、こういうことで合意したところでございますので、この点御理解を賜りたいと思います。
  11. 高木義明

    高木分科員 先ほどから議論があっておるのは、この黄色い部分ですね、いわゆる中間水域。これが中国東経百二十八度、我が国の百二十七度の主張点妥協部分だということですが、以前から設定されておりましたいわゆる暫定措置水域、これは東海のうちに北緯三十度四十分、北緯二十七度線の間の日中両国から距岸五十二海里の各緯度線を結ぶという広い範囲暫定措置水域が設定をされておるわけですが、この好漁場のほとんどに及ぶ暫定措置水域は、日中両国共同資源管理のもと、旗国主義操業をすることになっております。  しかし、これまでの漁獲量維持を求めながら、それでは漁獲量はというと、中国においてはデータ不足で示せない、こういう対応で、事務レベル話し合いも進まぬで、協定発効しなければ資源管理に手がつけられない。現状は、暫定水域に二万隻が出漁すると言われておりまして、中国漁船日本漁船が片隅に追いやられておる、そういう状況が指摘をされております。  中国漁船漁法は、底刺し網や底流し刺し網が主流で、いわゆる幼魚など含め根こそぎとるやり方。これを放置すれば今後の海洋資源に重要な影響を及ぼすであろう、こういうことでございますけれども、この暫定措置水域においての日中共同管理認識、そして操業条件をめぐる対応等について大臣の御所見をいただいておきたいと思います。
  12. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 日中暫定措置水域におきまして、両国とも海洋生物資源保存合理的利用を図ることでは共通認識を持っておるわけであります。これらの水域海洋生物資源維持が過度の開発によって脅かされることがないよう、適切な措置をとるということが大事であります。したがいまして、六月一日の協定発効までに中国側と十分に協議していく所存でございます。  先ほども言いましたように、日本側の方の水域におきましては、底刺し網全面禁止ということになりました。資源双方で大事にしていくという観点からいいますならば、この中間水域におきましても一定の制限というものがあってよろしいのではないか、そういう点については今後の協議を行う必要がある、このように考えております。
  13. 高木義明

    高木分科員 暫定措置水域の中でも今後段階的に中国漁獲量を制限していかなければならないのでないか、私はそのように思うわけですが、その点についていかがお考えなのか。  それから、今回の協議の中でも、暫定措置水域規制というのは、今まだ明確になっていない、まだこれからですね。それから、大半の我が国排他的経済水域内の漁獲割り当てについてもまだこれからの課題、だから、多くの課題が残っておるわけであります。したがって、特に漁業関係者、地元は非常に懸念をしておるところでございます。  先ほども申し上げましたように、特に長崎県にとりましては、以西底びき網漁業の存続さえ、もう危ぶまれておる、こういう非常に深刻な段階です。長崎県にとっては、今回の経過から見て極めて不利な内容になっておるんではないか、こういう認識なんですよ。その点、大臣としてはどのように認識をされて、今後長崎県、あるいは西日本もそうでありますけれども、関係者とどのような調整をして協議をして理解を求めるのか、この点について改めてその御対応をただしておきたい。
  14. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 第一に、長崎県におきましては、一番の対象の地域でございますので、私も今週末は四日の日に長崎県に参りまして、いろいろと関係者とお会いしましてお話し合いをして、今後の対応等についても理解を求めるつもりであります。  大事なことは、今までの状態をこのまま放置していきますならば、やはり無秩序状況が続くわけでありますから、資源がどんどん枯渇していく。以西底びき網の問題等につきましても、立ち行かなくなったというのは、これは当然資源が減少しておるからでございます。  したがいまして、今回、中間水域というものを設けてそこで自由に一応操業するということにはなったわけでありますけれども、日本側海域におきましては、資源影響を与えるような漁法禁止をする、こういうこともありますし、また中国側の方においての我が国以西まき網等につきましても、我が国操業中国側も認めるということになっております。  したがいまして、大事なことは、海洋法精神に基づきまして両国資源をいかに回復させまして、その資源を大事にして今後漁業をやっていくかということが一番大事なところだと思いますので、この精神に基づいて話し合いを行いながらやっていくということが大事なことだと考えまして、我が国主張を全部相手側理解していただくということにはなりませんでしたけれども、しかし、お互い海洋法精神にのっとって共存共栄を図っていく、資源を大事にしてやっていくという点については合意したわけでありますから、ここを中心として努力していくということが大事なことだと考えております。
  15. 高木義明

    高木分科員 時間も限られておりますので。  これまで二年間の我が国漁業への影響、それから今回の取り決めによって影響が甚大で漁業者の死活問題につながる点につきましては、ぜひ何らかの対応措置をとっていただきたい、この点が一つ。  それから、まさに今経済回復に対して国を挙げてやっておる時期に、長崎県、長崎市におきましても水産というのは非常に大きなインパクトを持っております。そこで、国際マリン都市構想というのが既に、水産庁の協力をいただきながら今進められております。  日韓漁業協定日中漁業協定、そういった協定を通じて資源管理型の戦略的な、いわゆる今後の漁業資源の確保という取り組みが必要になってくるわけでありますけれども、長崎県では、国際マリン都市構想ということを掲げて新長崎漁港国際交流拠点にしていきたい、こういう構想があっておりますが、その点について対応を、大臣に、それから次官にちょっとお伺いします。
  16. 谷津義男

    谷津政務次官 先生から今お話がありました、長崎県が、国際マリン都市構想の中核といたしまして、新長崎漁港に、水産海洋技術の発展により、東海、黄海の水産資源に長期的に寄与するとともに、水産海洋に関する国際交流を推進することを目的といたしまして、国際海洋総合研究ゾーンという拠点づくりを目指していることは承知をしております。  農水省といたしましても、現在、二百海里体制という新たな海洋秩序対応して、我が国周辺水域における水産資源回復とその持続的利用を図る観点から、資源評価のための調査の充実や増養殖に関する技術開発試験研究の推進に努めているところでありまして、長崎県の構想はその方向に沿っているものであると考えておるところであります。  長崎県の構想についてどのような支援が可能であるかという点につきましても、県の関係者とさらに連携を強めまして、検討してまいりたいというふうに考えております。
  17. 高木義明

    高木分科員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございます。
  18. 町村信孝

    町村主査 これにて高木義明君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  19. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私は、我が国林業をいかに活性化させるかと同時に、国産材を使った住宅をふやし、大工、工務店など住宅関連中小建設業者の振興をいかに図るか、この問題についてお尋ねをいたします。  我が国は、国土の三分の二が森林であります。一九九五年の林野庁森林資源現況調査によりますと、森林面積は二千五百万ヘクタールで、終戦後、植林された人工林が伐採可能な時期を迎えています。そして、人工林中心に、毎年七千万立米ずつ増加しています。これは木造住宅で百五十万戸分に当たる大変な資源であります。林業白書九八年度でも、活用に本格的に取り組むべき時期に来ていると指摘しています。  言うまでもなく、林業は、森林を基盤とした木材等を生産し、その木材を原材料とした製材工場を初め多くの関連産業を発展させ、その地域基幹産業として農山村を支えてきました。ところが、林業現状は非常に厳しいというのが実態です。奈良県の吉野地方全国有数の杉の産地でありますが、村長さんや森林組合など林業関係者の皆さんにお話を聞いても、伐採しても赤字林業の将来に展望が持てないなど、悲観的な声ばかりであります。  これは奈良県川上村森林組合でお聞きしたことですが、六十年物の杉で、一立米当たり一万円以上の赤字が出る。一ヘクタールの伐採で約二百五十立米になるそうですが、二百五十万以上の赤字になります。それに、皆伐した後、植林しなければなりませんので、これに三百万もかかるようであります。  また、製材工場等関連産業の倒産や転業も激増しています。一九七〇年に全国で約二十五万人であった林業就業者が、九五年には九万人に、九九年は七万人と推計されています。製材工場も、八五年の約二万が九七年には一万三千になっています。  林業危機最大の原因は私は外材依存政策にあると思うんですが、我が国木材自給率は二〇%を切るまでに落ち込んでいます。このことは、林業関係者の多くも指摘しているところでございます。そして、この林業の衰退が何をもたらすかといえば、農山村の過疎の進行はもちろん、水資源の涵養、土砂の流出防止酸素供給大気浄化野生生物保護など、森林が持つ環境効果の減退であります。ちなみに、森林のこれらの公益的価値は、八五年度の林野庁の計算でも、年間三十一兆五千九百億に上る、このように試算がされています。  そこで、玉沢農水大臣にお尋ねをいたします。  林業の活性化というのは本当に喫緊の重要な課題でございます。それは、豊かな森林の育成や山村の活性化、国土を守る、地球環境を守る問題など極めて重大な問題でございます。いろいろな対策があろうかと思いますが、外材依存政策の抜本的な転換など、抜本的な対策が必要であると考えますが、大臣の御所見を伺います。
  20. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 国土の三分の二を森林が占める我が国林業は、人と環境に優しい素材である木材を安定的に供給するだけでなく、健全な森林を育成し、国土の保全水資源の涵養等の公益的機能の発揮を通じて、豊かで安全な国民生活の実現に貢献をしておる、このように考えております。特に、近年、こうした森林の公益的機能に対する要請はこれまでにも増して高まってきておると考えております。  しかしながら、安価な外材輸入の増大に伴う木材価格の低迷や、林業経営コストの増嵩等によりまして採算性が低下していること、また、山村の過疎化などに伴う林業就業者の減少、高齢化等、林業を取り巻く状況は厳しさを増しておりまして、このままでは、林業生産活動の停滞により、森林の公益的機能の発揮に支障が生ずることも懸念をされているところであります。こうした中におきまして、木材の自給率が二〇%というような状況になっておるわけであります。  したがいまして、国としましては、何としても公益的な機能を維持していく、こういう観点から、国が中心となりまして、森林の造成、育成等、力を入れなければならぬ、こう考えておるところでございまして、間伐の緊急五カ年対策も本年から実施をすることといたしておるわけでございます。  公益的な機能の増進のためには、公益的観点に立ちまして森林の育成、発展を目指して努力していくことが大事である、このように考えております。
  21. 辻第一

    ○辻(第)分科員 いろいろ御対応いただいているようでございますが、事態は深刻でございます。殊に外材依存政策の転換を重ねて要求をして、次に移りたいと思います。  林野庁では、これまでの事業を前進をさせ、地域住宅資材利用促進事業を二〇〇〇年度から進める予定であります。この事業は、地域材の利用の大部分を占める住宅分野での利用の拡大を図っていくために、木材関連業者、住宅設計者、大工、工務店の一体的な取り組みを推進するというものでありますね。  そこで、お尋ねをいたします。  地域利用のこれまでの事業では大都市に限定されていますが、新たな促進事業にはそのような限定はないと思うのですが、いかがですか。簡単にお答えをいただきたいと思います。
  22. 谷津義男

    谷津政務次官 先生御指摘の点でありますが、木造住宅への地域利用の促進のためには、木材供給、それから大工、工務店までが一体となって高性能な住宅の供給や木造住宅のよさの普及を進めているところであります。これまた重要であると考えております。  このために、消費者に対する普及活動、木材供給者と設計者、大工、工務店等が一体となった地域利用のモデル住宅の展示、それから、地域の気候、風土に合った木材住宅のよさを普及する推進員の活動の実施などを行う、また、木材利用森林整備や地球温暖化防止に役立つこと等に関する普及啓発等を積極的に支援をしていきたいと思っております。
  23. 辻第一

    ○辻(第)分科員 先ほどお尋ねしたのは、地域利用のこれまでの事業では大都市に限定されておりましたが、新たな促進事業はその限定はないのですねと、この問題であります。
  24. 谷津義男

    谷津政務次官 失礼しました。大都市だけに地域的に推進されているということではありませんで……(辻(第)分科員「簡便に答えてください」と呼ぶ)はい。今この件につきましては、特にこういう方法でやっておるのです。都道府県に対しまして地方財政措置を講じておりまして、これが、例えばこんなことをやっておるのですね……(辻(第)分科員「いや、もう時間がありませんので」と呼ぶ)
  25. 町村信孝

    町村主査 発言の許可を得ないで発言をしないでください。
  26. 谷津義男

    谷津政務次官 都道府県にもそういう地方財政措置をやっております。では、そのポイントにつきましては、後で先生に資料をお届けしておきます。
  27. 辻第一

    ○辻(第)分科員 きちっと答えてくださいよ。時間がないですし、聞いていないことまで答えていただいているような気がするのです。またそれは後でなにをいたします。  それで私は、次に、国産材利用をふやす、木造日本住宅の建設をふやす問題でお尋ねをいたします。  今の市場価格で、吉野の杉は切り出せない状態なんですね。林業関係者工務店も知恵を絞って、流通の改善や地場の産地から工務店直通の産直にするなど、採算がとれるようにと各地で取り組みが始まっています。  建設省が一昨年秋に、木造住宅を建築している工務店を対象に行った「国産材活用に関するアンケート調査」によりますと、国産材を使わない理由として、回答者の三八%が外材に比べて高いと答えています。価格など外材と同じ要件なら、九〇%が国産材利用すると回答しています。  産地でも努力が始まっています。例えば、奈良県の川上村森林組合では、これまでは売りに行くという意識が弱かった、つくったものは売る、そのためにも効率化を進める。東吉野村森林組合では、国産材を使ってもらう努力が必要と、これまでの待ちの姿勢から攻勢的な方向へ転換することを強調されています。また、大阪の河内長野市森林組合では、製材所を運営し、大阪府内の工務店と連携して販路拡大に取り組んでいます。  そこで、この河内長野市森林組合に代表されるようないわゆる産直住宅の取り組みを、国としても積極的に支援をしていただきたい。  それから、林野庁地域住宅資材利用促進事業もその一つですが、日本の気候や風土にマッチした、人体によい影響を与えるなどの国産材住宅のよさをもっと国民にPRをしていただきたい。総理府の調査でも、国民の八割が家を建てる際には木造を希望しているという状況でございますので、消費者のニーズはあるわけです。ですから、農水省としても国民へのPRを進めていただきたい。この二点、いかがですか。
  28. 谷津義男

    谷津政務次官 これは、先生おっしゃるとおり、いろいろな今対策を打っておるところでありますが、そういったPR、それと同時に、やはり先ほど申し上げましたとおり、設計者、大工さんあるいは施工をする人たちも含めて、PRを進めていかなければならぬと思います。積極的にやっていきたいと思っております。
  29. 辻第一

    ○辻(第)分科員 次に、日本の林業活性化は、林業の振興や山村の過疎化対策にとどまらず、森林が持つ水資源の涵養や土砂の流出防止、洪水や渇水の緩和、酸素の供給や大気の浄化などの公益的機能を守る点からも大事であります。そういう意味からも、省庁間の連携が大変重要ではないかと思うわけであります。  林野庁としても大変努力をされているようでありますが、公共事業、特に学校や公営住宅、各種の福祉施設などに国産材を使用するよう、各省庁や地方自治体に積極的に働きかけていただきたい。また、住宅を建設するという点では、建設省がもちろん関係をいたしますし、森林の持つ多面的、公益的機能では、建設省と環境庁が関係をいたします。この点について、農水省ではどのような対策を考えていられるのか、お伺いをいたします。
  30. 谷津義男

    谷津政務次官 これは、実は推進協議会を各省庁との間にとっておりまして、例えば文部省、厚生省、郵政省、建設省、自治省、環境庁、国土庁とともにこの対策に当たっているところであります。  特に、学校の木材使用につきましては、何校もできましたね、もう既に。六百五十九だそうですが、そういうふうにつくっておったりします。それから、実は知的障害者施設だとか特老なんかも、木造でつくりますと、やわらかい雰囲気ができまして、非常にいい状況にあるということで、そういうところにも進めておりまして、今積極的にその対策に当たっているというところであります。
  31. 辻第一

    ○辻(第)分科員 ぜひ関係省庁と連携を強めて、十分な対応をしていただきたい。殊に公共事業という点には力を入れていただきたい。要請をしておきます。  次に、建設省にお尋ねをいたします。  奈良県では、大和の家推進事業というのがございます。これは、県産材を活用した良質な住宅の供給と木造住宅関連産業の振興を図ることを目的にした事業であります。この事業は、建設省の公営住宅等関連事業推進事業制度に基づいて行われ、奈良県の木材協同組合連合会や奈良県建築労働協同組合などでつくる奈良木造住宅建設推進協議会が事業主体で、九八、九九年度にそれぞれモデル住宅を一棟ずつ建設、展示しております。この事業に、建設省と奈良県が三分の一ずつ補助をいたしております。これは先ほど林野庁の事業とよく似ているわけであります。  そこで、建設省にお尋ねをいたしますが、地域住宅の振興は、我が国の文化とも言える木造軸組みの建築様式を守ることにもつながります。この国産材を使った木造住宅というのは、いろいろな面ですぐれた点を持っていると思うわけであります。もう時間がありませんので、詳しく申し上げられませんが、どうかこの分野の制度をもっと拡大する必要があると思うのですが、所見を伺います。
  32. 那珂正

    ○那珂政府参考人 お答えいたします。  ただいま辻先生から、木造住宅の振興、とりわけ地域材を活用した木造住宅の振興についてお話がございました。私どもといたしましても、先生が先ほど来るるおっしゃっていたいろいろな、環境問題とかいうようなことも踏まえ、あるいはもともと住宅政策としては、国民の強いニーズが木造住宅にあるというようなことも踏まえて、おっしゃるような対策を続けてきたわけでございます。  そのうち、特に木造住宅総合対策事業につきましては、御案内のとおり、林野庁との連携のもとで、例えば木造住宅工法の開発、あるいは今モデル住宅を御指摘でしたが、そういうモデル住宅の建設とか、地域で一定の団地を開発して、フォレストタウンと称して、実際にそこで開発も一緒にやるというようなこと等を支援しております。  また、住宅金融公庫におきましては、これは広く一般にですが、地域の良質な木材利用した場合には五百万円の割り増しをするということを一昨年から続けております。昨年十一月の新生対策においてもさらにこれを充実して、金利面でも考慮した充実策を講じてきているところでございます。  いずれにしても、具体に、それぞれの地元で、大工さん、工務店林業関係の方々、そして行政とが三者一体となって、個別の地域材の振興といいますか、そういう観点からもお話し合いをよくして、考えを一にして進めていかなければいけませんので、そういうことに腐心してぜひ進めてまいりたいと思います。
  33. 辻第一

    ○辻(第)分科員 さらに建設省にお尋ねをいたします。  もう御存じのように、この深刻な不況の中で、大工、工務店などの中小建設業者は本当に厳しい状況でございます。そんな中で、零細な工務店などの建設業関係団体が森林組合木材組合などと連携して、地場材を使った木造軸組み住宅の販路拡大の努力がされております。大阪では、工務店が集まって協同組合をつくって、そこが主体になって地場産材を使った住宅建設に取り組んでおられます。このような事業に対して建設省として何らかの援助があればな、こういうふうに考えるわけであります。いかがなものか。それが一点。  それから、日本の木造軸組み住宅というのは、私はいろいろな意味ですばらしいものだと思うんですが、阪神大震災以後、殊に、プレハブ系といいますか、ツーバイフォー系というんですか、ああいう大手の方が耐震性その他がすぐれて、あるいは価格でもすぐれているというふうな印象で、わっと広がっているのが現状ではないかと思うんです。しかし、国民の八割が家を建てる際には木造住宅を希望されている、ニーズはあると思うんですね。  一方、大手メーカーのカラー刷りの大量広告宣伝がどんどんやられているので、そういうことに比べますと、地域工務店や大工さんは、この分野、宣伝広告などでは限界があると思うんですね。この辺への支援も大事ではないかと思うんですが、この二点についてお尋ねをいたします。
  34. 那珂正

    ○那珂政府参考人 今、具体の例でモデル住宅の建設についてお触れになりましたけれども、これにつきましても、先ほど申し上げました木造住宅総合対策事業の中で、県を通じて一定の助成、補助でございますが、モデル住宅の建設費、設計費等について一定の補助をしているところでございます。各地で、全国津々浦々、至るところでというまでにはまだ至っていませんが、結構そういうモデル住宅建設というのは進んできているように思います。  また、二つ目にお尋ねの件でございますが、おっしゃるように、震災以降そういうことがいっときありました。木造軸組みは震災に弱いんじゃないか、地震に弱いんじゃないかというようなことがございましたが、直ちに私どもも、また林野庁も関係団体もいろいろ協力し合って、かなり大がかりな実験等もいたして、木造軸組み工法も何ら問題はない、むしろ強いものもあるというぐらいの実験データを得まして、それを相当程度PRしてきているつもりですが、なおまだ十分ではない、こういう点もあります。  御案内のとおり、この春から施行いたします住宅性能表示制度、春ではなく、夏以降になると思いますが、住宅性能表示制度に地域の中小工務店が円滑に参加できるように、これにつきましても、そういう制度の中で木造住宅のよさをPRできるように何とか支援策を具体的に講じていきたい、こういうふうに思っております。
  35. 辻第一

    ○辻(第)分科員 いろいろ御努力をいただいておるということもよくわかるわけでありますが、さらに御尽力をいただきたいことをお願いして、次に移ります。  次に、環境庁さん、お願いをいたします。  林業白書が指摘していることですが、木材住宅は、長期間にわたって炭素を貯蔵し、標準的な木造住宅一軒の炭素貯蔵量は、日本人一人当たりの年間の二酸化炭素排出量の二年分に相当する。また、林業が活性化されて、伐採可能な木を切り、若木を植林するなどの森林の整備が進めば、森林木造住宅の持つ二酸化炭素の吸収、貯蔵効果と木材利用による二酸化炭素排出抑制効果とが相まって、大気、森林木材、大気という炭素の循環を形成することにつながり、地球温暖化防止に役立つということでございます。  日本の環境、地球規模の温暖化問題、そして限られた資源の再利用、再生産を含めて、日本で高度な循環型社会を築いていく上でも、林業の活性化、国産材木造住宅建設の振興にもっと力を尽くすべきである、このように考えるわけでございます。環境庁の御所見と、そのための具体的な対応を進めていただきたいと考えるのですが、いかがでございますか。
  36. 浜中裕徳

    ○浜中政府参考人 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、木材資源の有効利用は地球温暖化対策としても有効というふうに私どもも認識をしております。このため、内閣に設けられております地球温暖化対策推進本部におきまして、平成十年六月に決定をいたしました地球温暖化対策推進大綱におきまして、地球温暖化対策として、木材資源の有効利用の推進あるいは森林整備の推進を位置づけているところでございます。  具体的に申し上げますと、木材、木質材料の利用加工技術などの向上、木材の需要拡大を図るとともに、長期利用に関する普及啓発等を行うこと、それから、森林を持続的に経営することなどにより木材資源を持続的、安定的に利用する新たな循環型の仕組みづくりを図ることが盛り込まれているわけでございます。環境庁といたしましても、関係省庁と連携してこのような対策を進めているところでございますし、今後さらにこれを推進してまいりたい、このように考えているところでございます。
  37. 辻第一

    ○辻(第)分科員 自然環境を守る、地球環境を守る問題はもう本当に待ったのない問題でございますので、そういう点も含めて御尽力をいただきたい、お願いをいたします。  最後に、農水大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。  一番最初と同じようなことを聞いて恐縮ですが、国産材を普及する効果というのは、林業や中小建設業の活性化にとどまらず、農山村の過疎対策、治山、利水といった水源の涵養や砂防、土砂流出防止といった防災などの国土保全、さらに地球温暖化防止などの環境対策にもなります。非常に重要な役割を果たします。  そのような観点から、間伐材の利用促進対策や流通、価格対策をさらに進めることは重要であり、林業関係者の強い要望であります。林業者が採算がとれる国産材価格の安定、価格面での政策的支援対策を大きく進める必要があります。政府の重要施策として総合的に、十二分に取り組んでいただきたいということを重ねてお願いするわけでございます。  最後に玉沢農水大臣の御所見を伺って、終わります。
  38. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今委員がおっしゃられた御趣旨に基づきまして、我々としましても、林業の活性化に向けまして、平成十二年度の政府予算案におきましては、間伐対策としまして、対象面積を二十万町歩から三十万町歩に拡大をする、一・五倍の予算措置を講じておるところであります。  また、間伐したものを有効利用するという観点から、川下対策としましては、今まで六十億であった予算を八十億まで伸ばしまして、有効にこれが利用できるように同時に対策を講じておるところでございます。  さらにまた、林業構造改善事業の見直し、新規林業就業者等の確保、育成対策の強化、木材産業の構造改革や地域材の利用促進等を講じ、さらにまた、基本政策の見直しを含めて、今後、広く国民の皆様の御意見を聞きつつ、平成十二年中をめどに具体的な対応方向を大綱としてまとめて、取り組んでまいりたい、このように考えております。
  39. 辻第一

    ○辻(第)分科員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。
  40. 町村信孝

    町村主査 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。     〔主査退席、杉浦主査代理着席〕
  41. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 次に、大畠章宏君。
  42. 大畠章宏

    大畠分科員 民主党の大畠章宏でございます。  林業問題、林業政策と食料政策等々について、質問をさせていただきたいと思います。  最初に、林業政策といいますか山林政策についてでありますが、今、辻委員からもお話がいろいろございましたけれども、山をどうするか、これが非常に重要な問題であります。  一時、戦後の山は、大変もうかる山だったということで、林業が大変盛んになりました。山持ちというのはまさにお金持ちというものとほぼ同等の響きを持っておりまして、ああ、山を私も持ちたいなとか、そういう話がちまたにもあったわけですが、今、山というのはどちらかというと厄介者になってきている。山を持っていてもなかなかお金にならないという話がたくさん聞こえてきまして、いわゆる山が荒れ始めました。これは、単に経済問題で終わるのではなく、環境問題にまで大変大きな影響を与え始めていると思います。  私ども民主党は、基本的に、森林の有する、水資源を涵養し、二酸化炭素を吸収固定化するという公益的な機能をもっと見直すべきだろうというような視点で、森林維持管理強化を図ろうという考えを持っているわけであります。従来の、単に林業としての独立採算的発想のみでなく、公益的機能の保全から適切な国家予算を投ずるべきだと考えておるわけでありますが、森林に対する御認識を農林大臣にお伺いしたいと思います。
  43. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今、委員がおっしゃられたことを戦後の歴史の中で見てまいりますと、日本の森林木材資源は戦後の経済復興に大きな役割を果たした、そのためにかなりの森林が伐採をされております。この五十年の間にその伐採された森林資源回復すべく植林をした面積が一千万町歩に上るわけであります。しかし、これはまだ若齢林がほとんどである、相当のパーセンテージを占める、こういうことがあります。一方においては、昭和三十年代の後半に木材を完全に自由化しちゃった。こういうことから、外国から外材が非常に安い価格で入ってまいりまして、このため競争力を我が国木材産業は失いました。現在、自給率二〇%という状況で、林業家はなかなか森林の手当てができない、育林から除間伐その他できない、こういうことから森林の荒廃が叫ばれておるところでございます。  しかしながら、日本の国土の三分の二が山岳地帯であるという観点と、さらにまた、森林が果たす役割は極めて大きな公益的機能を持っておることから、これを現在のままで放置しておくということは許されないと思います。したがいまして、公益的な機能を維持するという観点から、政策を展開をしていくという必要があるのではないか。  そういう観点から、国が中心となりまして、森林資源維持を図るために全力を尽くす必要がある。こういう観点から、十二年度の予算におきましては、緊急間伐五カ年対策を設けまして、一年間に三十万町歩を対象としまして間伐を進めていく、こういう予算を計上したところでございます。  それと同時に、川下対策といたしましても、間伐材が十分利用できるような体制も進めていかなければならないという観点から、八十億の予算を計上しておるところでございまして、これらの政策を展開をしながら、森林の育成、保存、管理を徹底してまいりたい、このように考えております。
  44. 大畠章宏

    大畠分科員 ただいま玉沢農林水産大臣から、農水省としての森林に対する御見識、御見解を賜ったわけであります。  実は、私の手元に私の地元から一通の要請書が来ております。高萩営林署で働く方々の組合でありますが、このたび高萩営林署は茨城森林管理署高萩事務所に組織を再編しました、しかし、この事務所は暫定組織であるため、平成十一年度から平成十五年度までの間に廃止することになっていますと。  この高萩というのは、ちょうど茨城県の北の方の山、八溝多賀流域といいますか山系のところにあるんですが、本当に山なんですね。山と海に面したところなんですが、その地域も、山を愛する人といいますか、まさに中山間地農業地帯でありますけれども、その中で一生懸命山を管理してきたんです。この事務所が、営林署が今度なくなるというので、地域の方も大変残念に思っていますし、本当にそういうのをなくしちゃって山の管理ができるんだろうかという心配もしております。今回、高萩事務所と、大子というのもあるんですが、これが存在する八溝多賀流域の事業量のウエートは茨城県の中でも大変大きいのですが、こういうところの事務所を廃止してしまって本当に大丈夫なのか。地元の方では、何とかこの組織体の事務所を残してほしいという要請書が私に来ております。  実は、今、玉沢大臣からお話しいただきましたけれども、玉沢大臣は元ラグビーの選手だと思いましたが、ゴールに向かって走るという姿は私は見ていても非常にいいんですが、農水省が今どっちのゴールに走っているのか、ちょっと見えない。要するに、バブルが崩壊しまして、収支を重視しなければいけない、したがって、山の事業も、損するか得するか、そういうことを考えてやらなければいかぬという話になってきたのはわかるのですが、では、収支が合えばいいのか。要するに、収支均衡型の縮小に入っているんじゃないか。将来的に山はどうするんだというのが私、どうも見えないのです。  というのは、この間もお見えになった方と私はかなり論争しましたが、茨城県の水戸営林署と大子営林署、それから高萩営林署と三つあるのですが、それを統合して水戸営林署にしますというのですが、確かにもとは水戸市にも平地林というのがたくさんあったのです。山というか林というか、平地林がたくさんあった。だから、水戸営林署は水戸の町の中にありました、端っこの方に。そこのところには育種場、木を育てて、十年後はどうなるかとか、二十年後はどうなるかとか、いろいろな木を植えて研究していた施設があったのですね。これは、市街化が進んできたので十王町というところに移転しました。  そういう市街化が進む真ん中に水戸営林署があるのですが、水戸営林署のところに、大子と高萩を統合してそこに事務所を設置しますというのですが、その新しい森林管理署というところからは山が全然見えないんですよ。言ってみれば、町の真ん中なんですね。そんなところに森林管理署なんかつくったって意味ないじゃないかと私は言ったんですよ。どうせ森林管理署というんだったら、窓をあければ山が見える、そういうところに森林管理署をつくるんだったらわかるけれども、何で、交通の便がいいから、あるいは茨城県の中枢を占めているからというけれども、町に森林管理署なんかつくったって意味ないじゃないかと、私はかなりやったのです。できれば、山を管理するというところは、確かに交通的には真ん中かもしれませんが、いずれにしても、大子なり御前山あるいは石岡あたり、こっちの方にも山がありますが、どこでもいいから、やはり山が見えるところに管理署をつくって初めて森林管理署だと思うのです。  そういうことからしても、私は、どうも大臣、今おっしゃったように、農水省の山の管理はこうするという方針が見えないんですね。要するに、何とか赤字をなくして収入に見合うだけの管理をしようというので、縮小しているようにしか見えないのですよ。山をやっている人は非常に今心配しています。そこで林業の担い手なんかができるのかとか、あるいはまた、今後どうするのか、そういう方針を示してほしいという話。  もう一つ先ほど委員からもお話がありましたが、木をどうするか。日本から切り出された木をどうするか。若い木じゃないとCO2をなかなか吸収しづらいのですね。百年たった、あるいは二百年たったというのは、もうこれは大変名木ですが、やはり若い木の方がCO2を吸収するという意味では、木を切らなければならない。そうすると、切った木を使うかどうかなんだけれども、外材とのコスト価格で負けてしまってなかなか使う道がないという話になっています。  いろいろ私も聞いたのですが、バイオマス発電、いわゆる中山間地はなかなか産業がないんですね。農業も非常に今元気をなくしています。やはりある程度の広い畑でやらないと、コスト競争に勝てません。そういう意味では、中山間地をどうするかという話になっているのですが、このバイオマス発電というのはどうだろうか。  要するに、木を切ったものを燃やして発電をする、あるいは熱を利用する、そういうことで、中山間地に小規模な発電所とか何かをつくって、木を切ってはそれを燃やす、そして、そこからCO2が出るだろうというのですが、それを若い木を植えてそこで吸収する。いわゆるCO2のリサイクルを中山間地でやる。そういうものを、日本各地の山と谷合いというか、畑のところあたりにそういう事業を興して、その地域もある程度元気が出る、あるいは山の木を切ったものもそういうところで、輸送距離も短いですから、そこで燃やして発電をする、そういうことも一つの視野に入れた形でやってもいいんじゃないかという声があるのです。  この問題についての農林省のお考えを伺いたいと思います。
  45. 伴次雄

    ○伴政府参考人 一点目の、営林署の統廃合の考え方でございます。  従来は、木材生産を中心とした国有林ということでありました。そういうような視点から、事業量、切ったり植えたりの量の多いところに、まさに営林署を置いた次第でございます。今回の抜本的な改革では、いわゆる公益的な森林経営ということで、八〇%は公益林にしたわけでございます。そういう意味で、従来のように切ったり植えたりが多いかということでなくて、森林の管理を中心とした国有林にしていきたいというのが今回の改革であります。  そういう意味で、茨城県の問題なんですけれども、今御指摘があったところで、三つ営林署があったわけでございます。それで、県全体から考えますと、従来のような作業を主体とした配置ではなくて、全体をいかに管理していくかという視点からいきますと、やはり水戸というものが一番中心的な問題でもありますし、今後は国有林というのは、それだけではなくて地域林業なり林産業との連携が非常に必要であります。そういうような視点等々考えまして、営林署につきまして、新しい森林管理署として水戸に置いたわけでございます。  なお、森林管理そのものは、森林管理署の下に森林事務所というのがあるわけでございますが、そこが実際の森林の管理経営をするという意味であるということから、その森林事務所につきましては、廃止をしないでそのままの現状維持ということで考えております。森林の管理というものは今後森林事務所が中心となって、従来もしておるわけでございますけれども、そのような仕組みで考えておりまして、以前の営林署は廃止するわけでございますけれども、森林事務所は従来の延長線でいきたいと思っております。  それから、二つ目の林業労働力の問題でございます。  今後、森林施業を行うに当たりましては、林業就業者の問題というものは極めて重要な問題だと意識しております。そういう意味で、まず、林業への就業の円滑化を図る、いわゆる入ってくるような仕組みをつくるということが一つ、それから、それを雇用する林業事業体の経営をしっかりしていく、この二つの視点が重要かと思っております。  そういう意味で、現在、林業労働力支援センターということで、人の募集、それから就業に当たっての林業就業資金の貸し付け等を進めまして、就業の円滑化を推進しております。一方では、林業事業体の経営の安定ということで、高性能の林業機械の貸付とか、その運転手さんの養成というものをしております。  なお、平成十二年度は、林業就業者が就業した後の、アフターといいますか、そういうものまで含めて定着化を図るまでの支援策をしたいということで、新規の事業を計上しているような状況にあります。  それから、三つ目のバイオマスの問題であります。  森林はCO2を吸収する、そして、木材はそれをストックするというようなこと、最終的にはCO2を空気へ返すというような基本的な状態であります。そういう意味で、地球温暖化の視点からいいますと、森林の産物を新しいエネルギーとして使うということは非常に必要だと思っています。  それで、まず今、先進国で、あるいは北欧でどんな仕組みでうまくやっているのかという仕組みの調査をしております。それから、もう一つ技術開発でございます。今の形状のあの姿では、そのままでは非常に難しいものですから、あれをある加工をして、液化するとかガス化する、そのような技術開発を進めております。そのほかに、製材工場等の廃材を発電に使うというような施設につきましては、既に支援をしているような次第でございます。  いずれにしても、これは非常に重要なものというふうに考えておる次第でございまして、そのような技術開発と一緒に、仕組みの拡充をしていきたいと思っております。
  46. 大畠章宏

    大畠分科員 今お話しいただきましたけれども、遅いですよ。今から研究するなんて話じゃないじゃないですか。困っていないからそういう話なんですね。もっと真剣に、日本の山の問題、あるいは地域の問題を考えてもらわなければ、今から北欧の方に調査に行きますなんという話じゃないじゃないですか、これは。  それはよく検討してもらうことはいいですが、もっとスピードを上げてくださいよ。最近の時代のキーワードはスピードという話でありますが、スピードと決断ですよ。もっと早くやってください。  それからもう一つは、先ほど大臣、八割ぐらいは管理型といって、管理するのには一番都合のいいところで水戸にしましたという話なんだけれども、これを二〇三高地に例えると、戦場から全然違うところに陣地を置いて、戦場の実態がわからないで監督所を置いているような話ですよ。  やはり私は、基本的に、先ほど言いましたように、こういう森林管理署なんというのは、やはり山が見えるところ、木のにおいがするところに管理署を置いて、管理するにしてもやらないと、管理する機能だから水戸に置きましたというのだけれども、それで本当にいいのですか。管理するための管理署、何が目的だかだんだんわからなくなるのじゃないですか。  単なる均衡縮小型で、八割は管理型ですというのだけれども、やはり私は、少なくとも森林管理署と名前がつくのであれば、木のにおいがするところ、木が見えるところじゃないと、どんなに管理がしやすいからというけれども、それでいいとは思えないのですよ。そんな考えだから、要するに、林業といいますか、山林の管理関係がどんどんおかしくなってくるのですよ。やっている人もだんだん疑心暗鬼になってくる。  先ほど玉沢大臣のラグビーに例えましたが、ゴールはどこに向かって走っているんだかわからなくなっちゃうのです。単に球が来たときに群がるだけじゃなくて、ちゃんと我々は日本の森林管理というものを、こうやって、このゴールに向かって走るんだ、そういう気迫が見えないんだ。  今度は九十八ぐらいに絞りますね。その絞り方はいろいろあるんでしょうけれども、今回の茨城県の絞り方についてもどうも本音がわからない。本気になって日本の山をどうするかという気迫が見えないのですよ、今の話を聞いていても。  この問題は、また再答弁いただくというよりも、ぜひここら辺、大臣から、山の管理のあり方について、ゴールを目指した答弁をちょっと一言お願いします。
  47. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 ラグビーの精神でいいますと、一人の選手がボールを持って走るのは邪道でございます。ワン・オブ・オールといいまして、一人が十五人、一緒になってやっていかなければなりません。  したがいまして、今のお話は営林署の話でございますけれども、営林署、国有林だけやっても日本の森林全体を維持していくことはできません。残念ながら国有林の会計は非常に赤字が多くなりまして、今立て直しの状況にあるわけでございます。そういう中におきまして、管理体制というものを整えるという観点から、都市部においてほかの事務所を縮小せざるを得ない、こういうことだと思うのです。  御趣旨は、管理事務所におきましては、委員のおっしゃるとおり山に近ければそれでいいわけでございますけれども、しかし、山を大事にするという観点を忘れなければ、都市に事務所を置きましても、見回りはいつも山を回っている、こういうことであれば趣旨を徹底することができると思いますし、国有林ばかりでなく民有林も大事でありますから、民有林も含めて、ゴールに向かって、国民全体の御理解をいただいて進んでいくというふうに御理解を賜りたいと思います。
  48. 大畠章宏

    大畠分科員 民有林もやはり山の方しかなくて、水戸にはないのですよね。もうとにかく国有林も民有林も大体、当たり前なんですけれども、山の方といえば山の方しかないのですよ。町場にはないのですよ。  確かに、一人でボールを持って走ればいいというわけではないけれども、方向としてどっちのゴールに走るんだという、それだけはみんな意思統一して走っているわけですよね、球を持って、こうやって。それをぜひ林野庁の方でも、国民が、あるいは山に関心のある人が受けとめられるような方向性をもっと出してほしいと思うのです。単にもうかる、もうからない、赤字だ、黒字だばかりやっていると、方向を間違ってしまうときがありますから、それだけはぜひ、地元の方のそういう声も聞きながらきちっとやってもらいたいということを申し上げたいと思います。  二つ目の問題ですが、食糧の自給率の問題と減反問題についてお伺いしたいと思うのです。  自給率問題では、今四〇%に落ちてしまっていますが、私どもとしては、五〇%ぐらいは自給率を確保すべきではないか。先進国あるいは一般の国でも大体そういうところを保っているのですね。特に、経済大国と言われておりますアメリカでなぜ自給率一五〇%なのか、私は非常に不思議な感じがするのですが、これはもちろん、大規模だということもあるでしょうし、いろいろ理由があると思うのです。  日本の独特の農業の土地政策あるいは農家の方の土地に対する執着心、いろいろあるのですが、子供たちが全部町に行ってしまって、お父さんとお母さんでやっていたんだけれどもと、この間、新聞の投書欄に出ていましたよ。お父さんが倒れましたと、七十過ぎていましたかね、お父さんは頑張ったけれども、あの畑と田んぼはもう維持することができないでしょう、これからどうなるんでしょうかという奥さんの投書が出ていました。多分そういうたぐいのお話全国各所であると思うのですね。これからどうなるんだろうか。一方では、アメリカとか世界から、WTO問題で輸入自由化という問題が起こっています。  そこで、いろいろなことがありますが、何でもそうなんですが、さっきのゴールの話、あそこに行こうとか、目標値をきちっとすることが私は必要だと思うのですね。民主党がカロリーベースで五〇%の自給率を確保しようという目標を示すべきじゃないかということは、私は賛成でありますが、この問題、政府はどういうふうに数値問題を考えておられるのかということと、それから、食糧の安定供給というのは安全保障上の問題からも非常に重要ですね。これから多分、二〇一〇年、二〇三〇年、二〇五〇年、中国の人口あるいは世界の人口がふえてきますと、日本は本当に安定して輸入できるのだろうか、そういうふうな心配もあるところであります。  ここら辺、食糧安保論という話じゃありませんが、自給率の問題と安定供給に関する基本的な戦略をお伺いしたいと思います。
  49. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今アメリカのことを委員は申されましたが、アメリカと日本がどこが違うかといいますと、アメリカは日本の二倍の人口を持っておりますけれども、国土は三十倍近い。日本は、国土がその三十分の一の国土で、二分の一の人口だ。その国土が、三十分の一の国土の三分の二が山岳地帯である。だから、三分の一の平地は農地ばかりではなくして、工場用地も住宅用地もあるわけですから、五百万ヘクタールが限度であるというところに、現在のカロリーベースで四〇%という一つの条件がある。これを御認識を賜りたいと思います。  そういう中におきまして、四〇%を五〇%に上げる可能性でありますけれども、農地がどれほど確保されるかということがまず第一点、考えられなければなりません。  それから同時に、食生活がどうしても、例えば穀物の自給率が三〇%とよく言われるわけでありますが、なぜ三〇%かといいますと、米は大体一千万トンとれます。それに穀物の、例えば小麦等、転作その他でいろいろ合わせますと、百万トンぐらいでしょうか。そういう中におきまして、日本の畜産はほとんど外国からの飼料作物を輸入しなければいかぬ。これは千五百万トン輸入している。このほかに、食用に供する小麦を含めまして、あるいはビールその他に使う大麦、飼料の大麦も含めまして、五百万トンぐらい入れていますから、二千万対一千万ということになりますと、穀物ベースでいえば三〇%の自給率ということにならざるを得ないのです。  しかも、仮に千五百万トンあるいはプラス五百万トンの穀物を国内で自給するということになりますと、当然千二百万町歩の農地面積が必要になる。しかし、国土の三分の二が山岳地帯である我が国において、千二百万町歩といいますと、現在の農地の二倍半です。そのくらいの面積をどこから確保できるか。こういうことを考えてまいりますと、現在の食糧の自給率を一%上げるだけでも大変な農地及び条件の整備が必要だということにお考えが至ると思うのです。  食生活が日本型食生活で、みんなが三食とも御飯を食べて、かつてのように百キロも百二十キロも食べるという昭和三十年代でありましたならば、それは国土の十分な利用、米の消費が上がりますから、自給率も上がります。  しかしながら、年間一人当たり六十キロ食べるか食べないか、農村地帯では七十キロというふうな、それが、日本型の食生活というものから、あえて言えば欧米型の食生活、つまり、油脂あるいは畜産物を食べるようになってきますと、その分だけ、今度は、国内で畜産を振興しようと思ったら、飼料作物を入れなきゃいかぬわけですから、この辺の食生活の性向、それから国土の持っておる我が国の制約というものを考えて、実行可能な自給率というものを設定していかなきゃいかぬじゃないか。  だから、最初から五〇%だという目標を掲げるのは大事でありますが、五〇%というのを全く砂上の楼閣でやって、実行できなかったらどうなるか。全くこれは現実的じゃない政策ということになりますから、今積み重ねを考えて、条件を考えながら、勘案して検討しておるというところでございます。
  50. 大畠章宏

    大畠分科員 有言実行と無言実行と二つありまして、今は有言実行の時代なんだ、無言実行というのはやらなくてもわからないからという話もあるのです。やはり私は、ある程度、困難かもしらぬが、こういうぐらいは食糧安保論から日本としてはやるんだ、一日のうち半分ぐらい食えば何とかなりますから、三食のうち一・五食ぐらい食えば何とかなりますから、そのくらいはやるんだというのが、私は五〇%を目標にすべきかなと思います。  時間ですから終わりますが、あと、減反政策についての不安、あるいは、いわゆる転作を本作とするものに対する農家の方の不安、それから残飯問題について質問しようと思ったんですが、残飯も、供給熱量は一人一日二千六百三十八キロカロリーあるんだけれども、摂取熱量は二〇〇七キロカロリーというので、大体三分の一は捨てているんですね。この残飯をどう再利用するかというのも大変大きな課題だと思って、質問をしようと思ったんですが、時間でありますから、また来年質問させていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  51. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢鋭仁君。
  52. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 民主党の小沢鋭仁です。  今、たまたま同じ党の大畠議員が残飯の話をして、時間切れで終わりました。私は、御通告申し上げておりますように、まさにその食品リサイクルの問題を最初に取り上げさせていただきますので、そういう意味では、継続して質問をさせていただく、そんなことになろうかと思います。  そこで、今のお話の中にもありましたが、本当に、残飯といいますか、いわゆる台所のごみ、これは、私、今手元に日本農業新聞の昨年の十一月二十九日のものを持っておりますけれども、それによりますと、三六%が捨てられている、こういう話であります。三六%といいますと、一日三食、そのうちの一食分が本当に全く捨てられている、こういう話ですよね。ですから、まず、これが極めて資源のむだだな、私なんかの感覚からすると、もったいない、こう思うわけであります。  同時に、これまた御承知のとおり、先ほど大臣お話にもありましたが、世界から食糧を輸入していて、そしてこれだけ捨てている、こういうことでありますから、そういう意味では、国際的に見ても大変な資源のむだをしているんだな、こういうことであります。  同時に、これは一方で、環境的な観点で考えますと、それを捨てるところ、食糧の場合には大部分が焼却をされるようでありますけれども、その焼却といったって、これは当然エネルギーを使って焼却をするわけだし、燃せないものに関しては、例えば埋設するということになれば、埋設の場所というのがもう本当に年々少なくなる、こういうことであります。ですから、そういう問題意識の中で、ここは何とかそこを打開していくためのリサイクル、そういったものを真剣に考えなきゃいかぬ、こういうことだろうと思います。  そういうことの中で、農水としてもことし、食品廃棄物再商品化法案でしょうか、仮称とまだなっているようでありますが、検討中ということを聞いております。大変結構な方向だというふうに思うわけでありますが、そういう法案の中身もまた後ほど聞かせていただければと思います。  まず、現実の食品廃棄物のリサイクル事業といったようなもの、どういうことがあり得て、現在の日本では例えばどんな事例というのがあるんだろう。私なんかも一、二実は個別にお話も聞いたりしているのでありますが、全体的な調査をおやりになっているかどうか、そして、その中からどういう事例があるか、ちょっとお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  53. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 食品廃棄物でございますが、トータルとしましては約二千万トンでございます。そのうち、家庭系が約一千万トン、要するに家庭から出るものでございますね。それから事業系、つまり、食品流通業、外食産業あるいは食品製造業から出るものが約一千万トンでございます。  そのリサイクルの状況でございますが、いわゆる一般廃棄物と言われております食品流通業、外食産業あるいは家庭系から出るものにつきましては、非常に低くて〇・三%でございます。産業廃棄物、つまり製造業から出るものにつきましては約半分の四八%となっております。  最近、環境問題に対する社会的関心も高いわけでございまして、食品関係の事業者におきましてもリサイクルの動きが見られます。例えば、ホテル業者でございますが、都内のホテルにおきまして、レストラン、宴会場から出ます生ごみを、そのホテルの敷地内の施設で一次処理をしまして、それを農家に運搬しまして、熟成して利用する、また、その農家の生産します野菜を購入するという事例が見られます。また、コンビニエンスストアでございますが、県内の約三百の店舗から出ます弁当、総菜等の期限切れのものが中心でございますが、これを中間処理業者に委託をしまして、収集し、コンポスト化する、それを契約農家に供給している事例がございます。また、菓子メーカーにおきましても、工場内で発生しますカカオシェルを粉砕しまして配合飼料メーカーに販売する、あるいは、菓子の不良品を近隣の養豚、養鶏農家に無償で提供している事例、こういう事例に見られますように、リサイクルにつきましても動きは最近ふえているというふうに考えております。
  54. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 今幾つか事例もお聞かせいただきました。  そこで、いよいよ予定されております法案の中身についてもお聞かせをいただきたいのですが、恐らくリサイクルを推進していくということに関してはもう皆さん、農水さんも私どもも気持ちは同じだろうと思いますが、具体的にどういう形で推進をしていくのか、助成措置というようなものをどのように今の時点でお考えになっているのか。たまたま私の手元にあるのは、何もないのですよ、促進のための措置ということで特例措置等を講ずるという資料しかないものですから、若干それに関して、現在予定であってもお聞かせをいただければ、こういうふうに思います。  それからもう一点、それにつけ加えて、恐らくそういったものを推進していくためには、やはりそれなりの意識を持った、あるいはまた、そういう知識を持った人材の養成といいますか、そういったものも必要になるのかな、こういうふうに思っておるのですが、そんな観点ももし御検討があればお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  55. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 まず、今現在検討しておりますリサイクル法案の内容でございますが、基本的には、一つは基本方針を定める、主務大臣が食品廃棄物の排出の抑制、それから、再資源化を総合的、計画的に推進するための基本方針を定めるというのが一つでございます。  この基本方針に即しまして、製造事業者なり、消費者なり、あるいは国、地方公共団体の責務といたしまして、抑制なり再資源化に努めてもらうことが二番目でございます。  それから三番目に、製造業者等、これはもちろん食品産業事業者でございまして、製造業なり外食事業あるいは流通業といった方々でございますけれども、そういった人たちに対しまして、必要な場合には指導助言等を行うということでございます。  また、再資源化を実施するための支援措置といたしましては、廃棄物の処理業者に対しまして、そういったところに委託した場合に、リサイクルを推進するというシステムであるとか、あるいは、先ほど事例がございましたように、食品製造業者等と農林漁業者とがいわば共同で再資源化を促進する計画をつくるとか、そういったことを含めまして、現在、法制度化に向けて検討しているところでございます。  また、必要な予算措置につきましては、施設整備を支援します食品廃棄物総合リサイクル処理施設整備事業、あるいは技術開発支援します食品廃棄物リサイクルシステム実証事業等があります。これは十二年度予算なり十一年度の補正予算でございますが、そういったものを活用いたしまして、今先生が言われました人材育成も含めまして、リサイクル促進に対します支援措置の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  56. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ありがとうございました。ぜひ頑張ってやっていただきたいと思いますし、私どもも一生懸命応援をさせていただきたいというふうに思います。  大臣に、改めてこの問題についての推進の決意を聞かせていただきたいのですが、一点だけその前に、私は、今聞かせていただいて、正直に言って、もっとエネルギッシュに取り組んでいただきたい、こういう気がいたしました。基本方針をつくる、それは、ごみの処理を責務にする、それなりの指導助言をする、あるいは一緒に計画をつくる等々、こういうふうなお話を御説明いただいたのですが、これは、大臣、ある意味でいうと、一つの物すごく大きな産業としてもなり得るんですね。ですから、そういった意味の、農水省が本当に新しい産業の柱をこれで起こすのだというくらいの気構えでやってもらいたい、僕はこう思うんですが、それを含めて、大臣、お願いします。
  57. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 私は声が大きいものですから、決意を込めて申し上げます。  食品廃棄物は、約二千万トン、そのうち再資源化されているものは九%でありまして、全く再資源化が進んでおりません。したがいまして、そのリサイクルの推進のための具体的な方策を検討することがただいまは強く要請をされておると存じております。  この問題は、循環型社会を構築する上で極めて重要であるとともに、食品産業にとりましても重要な課題であります。農林水産省といたしましては、食品産業によるリサイクルの取り組みを助長するための各種施策を講じているところではありますけれども、今後、飼料や肥料等へのリサイクルを念頭に置いた新たなシステムの構築について、法制度を含めた幅広い角度から検討を行いまして、必ずその方向に向けて第一歩を踏み出す、こういう決意でやってまいりたいと存じます。
  58. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 本当に声も大きく中身もしっかりお答えいただきましたので、ぜひよろしくお願いしたい、こういうふうに思います。  それでは、次の論点に移らせていただきたいと思います。  私は、二年前になるんでしょうか、やはりここの分科会で御質問をさせていただいたことがあります、一九九八年ですから三年前になるんですか。そのときの継続なんですけれども、そのときは、いわゆる高付加価値型農業育成事業、こういうものがありまして、それについて質問をさせてもらったのです。今回、質問に当たって、少し勉強をさせていただいたらば、若干これが今は変わった、こういう話で、農業生産総合対策事業、こういう話に衣がえをしました、その中に含まれております、こういう話であります。  農業生産総合対策事業の創設という説明の紙もいただいたのですが、確かに、入っていると言われると、入っているのかなと事業の内容を見ますと思うんですけれども、かなり違うというよりも、大体、この農業生産総合対策事業というのが、ねらいというものを読んでもよくわからない、私、素人ですから、恐縮でありますが、そんな気がしております。  いわゆる高付加価値型、こう言われますと、それだけで物すごくわかる気がするんですね。農業を高付加価値型のものにしていくのだよ、そのためのいろいろな政策なのだよ、こういう話でありますけれども、今回のこの農業生産総合対策事業というのは、どういう内容で、どのぐらいの予算規模を持ってお考えになっているんですか。
  59. 木下寛之

    ○木下政府参考人 農業生産総合対策事業の内容でございますけれども、米、麦、大豆あるいは果樹、野菜、花卉等の各作物ごとの生産、流通等に係ります課題対応するということで、全体として総額二百八十一億円の予算を計上しているところでございます。  中身でございますけれども、低コストや高品質化の推進に必要な新技術、新品種の導入、実証、また担い手を中心とした生産から流通までの一貫した産地体制の構築、また消費者あるいは実需者との連携体制の整備や特色ある産品の開発、生産などを推進することとしているところでございます。
  60. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 今あんな言い方の質問をしたものですから、お答えの方もうまく、一番最初に低コストや高品質化の推進に必要な新技術、新品種、こういうところからお答えをいただいたようでありますが、そうなんです、ここのところに入ってはいるんですけれども、しかし、今お話がありましたように、麦、大豆等の云々かんぬん、こういうような話とか、幅広くなったといえば、それはそれで結構です。ですから、そういう中で、私は、従来でいうと高付加価値型農業的な観点から質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。  さてそこで、私の選挙区は山梨県でありまして、山梨県の一区というところなんですが、勝沼町という町を選挙区の中に持っているんですね。この勝沼町というのは、御承知のように、勝沼町だけではないのですけれども、その近隣一帯はブドウの生産、あるいはまたそれから生まれるワインの製造ということで、日本一の生産地ということになっているのであります。  そのワインに関してなんですけれども、ワインは大蔵省だ、こういうふうに言われておりますから、そのワインをつくるもとのブドウの話としてさせていただくのですが、大臣は、私が聞くところによると、酒は日本酒の方だ、こういうお話で、日本酒も最近物すごくいろいろ種類も、大吟醸なりなんなり、こういうのが出てきました。  ワインは、まさに同じワインの中でもブドウの種類も違いますし、それぞれの味わいも違いますし、ある意味ではそのこと自体が大変楽しみなんですね。ワイン通なんというと、何か少しスノッブな感じもしますけれども、そういう話を楽しみながらいろいろなワインを楽しんでいく、こういうのが喜びでありまして、私もこの質問をしたその後、実はワインクラブというのをつくって毎月ワインを飲む会をやっているんですね。一生懸命飲んできました。そういうワイン生産地の選出議員ですから、ある意味では趣味と実益といいますか、半分仕事半分楽しみ、喜び、こういうような気持ちでずっと飲んできて、農水の若手の人にも入っていただいたりもしているんですけれども、飲んでまいりました。  さてそこで、我が選挙区のワインというのは大変よくなってきました。特に、白の方なんかは恐らく私は世界水準にまで来ているな、こういうふうに十分胸を張って言える、こう思っているのですが、赤の方にいきますと、いわゆる香り、深み等々、まだちょっと手が届かないかな、こういう感じがあるのですね。  そういう中で、若手の二代目、三代目の皆さんたちは一生懸命取り組んでいるのですね。いいブドウ、いいブドウというか醸造用、食べる話ではなくてお酒用のブドウをどうやったらうまくつくれるか、そして、それをどうやったら、本当に世界に負けない、あるいは世界を凌駕するような、例えば特にフランスのボルドーだとか、そういったところを凌駕するようなものをつくれるか、こういう話で一生懸命やっている。こういう農業がまさに高付加価値型農業と呼べるのだろうと思いますし、そういう取り組みを私はもっともっと支援をしていただいていいように思うのですね。  ですから、そういったものに関して、どうですか、まさに高付加価値型農業という形の中で、もっと真剣に、これはワインだけではなくていいのです、ほかのいろいろな、やはりそういうものもあるでしょうが、たまたま私は選挙区のことですから、その話を申し上げているわけでありますが、もっと積極的に取り組んでいただいて、その予算もつけてもらう、こういう話はできないものでしょうか。
  61. 木下寛之

    ○木下政府参考人 私どもも、先生御指摘のように、地域の特性を生かした国産ならではの高品質な農産物の生産や農産加工を大いに推進していきたいというふうに考えているところでございます。  また、山梨県につきましても、県の方で開発いたしました甲斐ノワールだとか甲斐ブランとかというような醸造用のブドウ品種でいいのがございます。こういうような優良品種への改植あるいはワイン加工施設の整備ということについても、私ども十分今後推進していく必要があろうかと思います。  いずれにいたしましても、地域で、総意として具体的な計画をつくっていただくということがまず先決だろうと思いますので、そういうような地域での総意を踏まえながら検討していきたいというふうに考えております。
  62. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 今の御答弁は、今お話があった甲斐ノワールとか甲斐ブラン、まさにそういう品種をつくってやっているのですが、地域としてしっかりそれを提案していけばもう十分やってもらえる、こういう答弁だと思っていいのですか。  例えば、もし資料があったらお答えいただければいいのですが、今までそういうことに関して支援をいただいていた、そういうデータはございますか。
  63. 木下寛之

    ○木下政府参考人 私ども、先生の御質問については、近年では助成実績はございません。
  64. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 そうなんですよ。ないのですよ。  そこで、高付加価値型農業育成事業という話、農業生産総合対策事業という観点でもまたぜひお願いをしたい。これはこの場をかりて、必ずやりますなんというわけにはいかないでしょうから、お願いをしますと、かなり前向きの答弁をいただいた、こういうふうに思っておりますので、お願いをしておきます。  同時に、まさに生産と同時に、今度研究開発の話も必要なんですね。三年前のときにも、いわゆる研究開発費ということで、ただ単にワインだけの話ではなくて農業全体の、ある意味ではいわゆるバイオを含めた研究開発というのは重要ではないですか、こういう話をして、当時八百億円でしたと、こういう話をいただいたのですが、ことし、平成十二年度予算はどのくらいの額をお持ちなんですか。それから、過去三年間、どういう推移をしてきたのですか。
  65. 三輪睿太郎

    ○三輪政府参考人 御説明申し上げます。  平成十二年度の予算案では、現在御審議をいただいておるわけでございますが、一千二十六億円でございます。  過去三年間の推移というお尋ねでございますので、平成十年度は対前年比四%、十一年度が五・九%でありまして、平成十二年度では七・六%の増加。三年間通算でということになりますと、今の係数を掛け合わせますと一八・五%の伸び率になります。
  66. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ありがとうございました。  これは、普通の予算の作成といいますか、予算全体の伸びのことを考えますと、極めて高率、こういう話になるのでしょうね。四%、五・九%、七・六で、そうすると全体が一八・五になる、こういう話でございました。これは大変結構かと思います。  ただ、前回も申し上げたのですけれども、一千二十六億円、この実額、今度は額ですね、伸び率じゃなくて実額で考えたときに、ある意味では一千二十六億円で日本のバイオを支えていくのか、こういう話で考えますと、大臣、私は少ないような気がするのですね。  そのときも申し上げましたが、今まさにインターネット、コンピューターネットワークの時代、こういう話で、新しい産業の柱が一つあります。私は、もう一つの柱というのはバイオだ、こう思っているのですね。これも、例えば、まさにコンピューターネットワークもアメリカにおくれて、困ったな、すぐ頑張らにゃ、こういうことで最近ようやっと動き出した。やはり世界に先駆けてこういう話に取り組んでいくというのは必要だと私は思う。  ですから、そういった意味で言うと、伸び率一八・五というのは大変高率だとは思いますが、ただ、それを高率だと思うその既存の発想を変えて、もっと大胆にやるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。もしよろしければ。
  67. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今までも、例えばUR対策費としまして、五年間に限りまして五十億円、今回これは一応廃止することになるわけですが、しかし、五十億円も投じましてかなりの成果を上げている、こういうこともございます。  それから、世界に先駆けての技術開発といいますと、イネゲノムの解析等におきましては世界で第一等をいっているわけでありまして、これをできるだけ急ぐべきだということで、予算の増額等も行っておるわけであります。  委員のおっしゃられるとおり、やはり遺伝子の解析等を今度はどのように利用していくかということも含めまして、研究開発等におきましては大変な、産業にいろいろ育成していくたくさんの要素がある、こういうふうに考えるわけでありまして、研究開発は一番大事であると思います。  ワインの方でございますけれども、これは山梨県の果樹試験場を国の指定試験地に選定して委託研究をやっておるわけであります。私のところのことを若干申し上げますけれども、ワインクラブの小沢先生でございますが、岩手県で、今から十五年ぐらい前ですが、林業構造改善事業の一環としまして、ヤマブドウでワインをつくるということでやりました。これは日本でもないし、世界でもないものでありますので、非常に成功しまして、うまくいっているわけですね。そういう点では、山村における特産物に高付加価値をかけた大きな一例ではないかと思いまして、今度ぜひ試飲もしていただきたい、こう思っております。
  68. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ぜひ、それは飲ませていただければな、こういうふうに思います。  それで、今ワインの話も大臣から触れていただいたのですが、先ほど来の流れの中で申し上げているように、ワインをつくっていく上での醸造用品種の育成、こういう話になるのだろうと思いますが、ぜひそういう研究開発費もいただきたい、こういうふうに思います。  質問をした当時は大体一千万くらいなんですね。一千万ですと、そのうちの半分が人件費でもう終わってしまうんですね。最近少しふえたんですか、もしデータがありましたら教えていただきたい。  それと、やはりそこはもっとびしっと、山梨だからというよりも、これだけワインが日本の中でも人気が出て普及してきています。それを、まさに世界に負けないものをつくっていくというのは、国全体の目標としても、私は郷土びいきを差し引いても決しておかしくないと思うのですが、それも含めて、最後にお答えをいただければと思います。
  69. 三輪睿太郎

    ○三輪政府参考人 醸造用ブドウの育種試験の予算ですが、平成十一年度の予算は、これは実行予算ですが、千五十万円であります。
  70. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 今後はどうですか。
  71. 三輪睿太郎

    ○三輪政府参考人 ブドウの育種試験は昭和二十五年からやっておるのですが、年々の変動なく安定的に粘り強くやっていくということが大変必要で、私ども作物育種基本計画というのをつくりまして、その計画にのっとりまして、先ほど言われたように、西欧、欧米の品種にまさるところを目指しながら品種改良に努めていきたいというふうに思っているところでございます。
  72. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ありがとうございました。  もう時間ですからこれで終わりますが、今は果樹試験場への委託研究お話をいただいたのですけれども、さっき申し上げましたように、本当に若い担い手の皆さん方はいろいろ自分の事業の中で工夫をしてやっております。ですから、単に試験場だけではなくて、そういう皆さんたちを応援していただく、御承知のように、若い人が農業に入ってくるというのは本当に貴重でして、まさにこういう分野でも頑張って若い人たちがやっているのですね。ですから、ぜひ大臣、前向きに大胆に推進をしていただくようにお願いを申し上げて、私の質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  73. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今委員のおっしゃられたことは極めて大事なことでございまして、意欲を持って取り組む農業青年に対しまして、その思いにこたえるように頑張っていかなければならない、このように思います。
  74. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 どうもありがとうございました。
  75. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 これにて小沢鋭仁君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  76. 町村信孝

    町村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川内博史君。
  77. 川内博史

    川内分科員 民主党の川内博史と申します。  本日は、国士玉沢農水大臣に質問させていただける栄をいただきましたことを、心から感謝申し上げたいというふうに思っております。  それでは、質問に入らせていただきます。本日は、畜産の廃棄物処理というか、家畜のふん尿処理の問題に関して質問をさせていただきたいというふうに思っております。  私はずっと、家畜のふん尿処理については、平成八年の当選以来幾度となく取り上げさせていただいてきているわけでございますが、昨年の七月に家畜排せつ物処理法というのが成立をし、十一月から施行をされているわけでございます。  このこと自体は大変に喜ばしいことであるというふうに思っているわけでございますけれども、家畜のふん尿というものに関しては、厚生省さんの方では産業廃棄物というくくりになっておりますし、また、環境庁さんの方では水質汚濁防止法というものの規制の対象になっているわけでございます。  この法律をつくった農林水産省として、今まで行政上の措置としていろいろな事業で補助をしていただいていたわけでございますが、それを、法律をつくって、予算もこの緊縮財政の中でふやして、畜産のふん尿処置についてはしっかりやっていこうという御決意、認識は高く評価をしたいというふうに思うわけでございますが、私などはもう一度ここで、家畜のふん尿というものを産業廃棄物などというくくりからは外して、もう農水省が責任を持って処理をしていくのだというような決意をお聞かせいただきたいというふうに思うわけでございます。どのように認識をされていらっしゃるのかということを、まずお尋ねをさせていただきたいと思います。
  78. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律におきましては、家畜排せつ物を貴重な有機質資源であるととらえまして、その適正な管理を確保し、堆肥として土づくりに活用するなど、その有効利用を積極的に推進をすることといたしております。有用な資源としてできるだけ使う、こういうことでございます。  しかしながら、これが使われなければ、いわゆる廃棄物、こういうような形にならざるを得ないような状況であるわけでございます。
  79. 川内博史

    川内分科員 今大臣から御答弁をいただきましたけれども、産業廃棄物ではあるけれども、一般の産業廃棄物等とは違って、若干性質を異にして、リサイクルをしていけば有用な資源にもなり得るものであるという御説明であったかというふうに思うわけでございます。その認識は、私もそうなのかなというふうに思うわけでございますが、大臣、この家畜のふん尿処理というのは、豚が特に大変なんですね、豚が。  豚がおしっこするところをごらんになられたこと、大臣も当然おありになると思うのですが、これはもう物すごい。太いホースからじゃあじゃあ水が出るというような感じですね。豚一頭で大体人間十人分のふん尿をするわけでございます。平均的な養豚農家というのは、母豚が百頭、その母豚百頭が毎年大体十頭ずつ子供を産むのですね。そうしますと、母豚百頭に対して千頭というのが平均的な養豚農家、千頭を肥育しているというのが平均的な養豚農家でございまして、豚が千頭いるということは、人間にすれば、掛ける十ですから一万人分ですね。一万人分のふん尿を毎日毎日処理をしなきゃいかぬ。  養豚農家というのは、私は、父ちゃん母ちゃんと大体二人でやっているんじゃないかなと思うわけです。昔、三ちゃん農業という言葉がありましたけれども、三ちゃんどころか、今は農家の後を継ぐという御子息もなかなかいらっしゃらない中で、父ちゃん母ちゃんと二人でやっているというような状況です。  ちなみに、人間一万人分のふん尿を処理するとすれば、これは下水の処理施設というか、それを処理する施設を建設するのに約六億円かかるそうです、人間の場合は。人間の場合に六億円かかるということは、豚のふん尿も、本当に完璧に処理しようとすればそのくらいのものはかかる。これは建設の資金でございまして、ランニングコストはさらにかかるわけでございます。  ただいま現在、畜産の中でも特に大変な養豚の分野においていろいろな施設が補助の対象にはなっておりますけれども、これは何せふん尿のことですから、アンモニアがきつかったりすると、機械がすぐさびついて故障する、動かなくなるというようなことが間々あるわけでございます。修理の費用もばかにならないというところで、半分ぐらい補助を受けてもとてもとても立ち行かぬという声を、鹿児島は畜産県でございますから、農家の方々から承るわけでございます。  新しい農業基本法の中においても、農業というのは、歴史とか伝統とか文化、日本を支えてきた産業である、日本そのものだと言ってもいい分野ではないかというふうに私は思っているわけでございまして、これを次の時代にしっかりと伝えていくというためには、そういうふん尿処理などの分野をもっともっと行政として下支えをする、サポートするという姿勢が必要なのではないかというふうに思うわけでございます。  今後、財政が非常に厳しい状況ではありますけれども、ふん尿処理についてしっかり農水省として取り組んでいくんだという、農水省としての御決意というものを大臣からいただきたいというふうに思います。
  80. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 一番大事なお話でございます。  家畜の排せつ物を、つまりどう処理するか。農林水産省として考えておりますのは、これを土づくりにできるだけ還元していくということが一番大事である。これは、環境の面からも、それからまた環境に優しい農業というものを振興していくという上においてもですね。  したがいまして、今後五年間にわたりまして進めていくということでございますが、できるならばこれを循環して、つまり堆肥をつくるためのプラントとかそういうもので処理していくとか、あるいはまた、今技術研究等もやっておるわけでございますが、いろいろな微生物を利用しまして、そして、においとかそういうものを消して無害なものに変えていくとか、いろいろ方法はあると思うわけでございますが、いずれにしましても、排せつ物を有用なる資源としてとらえまして、できるだけその処理に万全を期してやってまいりたいと考えております。
  81. 川内博史

    川内分科員 ぜひこの分野、日本の畜産業というものを守り、そしてまた育て、後継者がしっかりとその伝統を引き継いでいけるように、いろいろな意味でサポートをしていく必要があるというふうに思うのです。  大臣、政務次官、これは肥料にして土に還元する、口で言うのは非常に簡単なんですけれども、例えば鹿児島みたいに、たくさんの牛とか豚あるいは鶏がいるところですと、肥料をつくってももう買ってくれる人はいないわけです。流通経路がまだそれほど確立されているわけではないので、高額な堆肥施設をつくって堆肥をつくっても、結局どうにもならない。付近の耕種農家が足元を見てただ同然で買いたたいて持っていくみたいなことが現状でございます。  有機質の堆肥ですから、本当は最高の品質のもので最高の値段で売れなければならないのですけれども、結局、それが売れない。では、もうその堆肥施設を整備するのも大変だから、ちょっとふん尿を寝かせておいて、バキュームカーでくみ取って田畑にまくというようなことがある。あるいは、もうそれさえもせずに、バキュームカーですぐさまくみ取って、素掘りと申しまして、山の中に穴を掘ってその中に廃棄するというようなこと、これは農家の方々も生きていかなければいかぬですから、なるべくお金のかかることは避けたいということです。お金がかからないように、コストがかからないように、もうけが手元に残るようにということで頑張っている。そこで、法律ができて、規制は厳しくなったけれどもなかなかお金は出ないということでは大変だと思うのです。  そこで、具体的にお伺いをしたいと思うのですけれども、畜産環境整備リース事業、現在、この事業においては、ふん尿処理施設の整備に国から五〇%補助をさせていただきましょうという事業になっているわけでございますが、このリース事業の予算を大幅に拡充をする、あるいは補助率をもう思い切って一〇〇%にするとか、これはただでやるということなんですけれども、そのくらいの思い切った施策が必要なのではないか。  また、リースにかけられるかどうかという審査をもっと迅速にしていただくために、現地の県など、あるいは市町村にその審査を任せるとかいうようにどんどんしていただきたいというふうに思うわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  82. 谷津義男

    谷津政務次官 先生御案内かと思いますが、農畜産業振興事業団が指定助成事業としてこれを実施しております。そういう中で、補助つきリース事業については、ちょっと年度から申し上げますと、平成十年度で八十一億円を措置しております。十一年度におきましての予算は百五十億円で、前年額の約二倍ということで今やっておりますが、農林水産省の関係施設整備に係る国の補助というのは二分の一が基本でございまして、補助つきリース事業についても、残りの部分は地元の自治体である都道府県及び市町村が畜産環境対策の推進や地域振興の観点から上乗せをして、農家負担等の軽減を図るのが適当ではなかろうかと。  ちなみに、例えば北海道なんかは四分の一上乗せされておりますし、あるいはまた、埼玉県とか神奈川県とか兵庫県というのはリース料を、いわゆる一・九%を無利子にしているというようなこともやっているわけであります。  また、先生から一〇〇%を全額国で補助すべきではないかというお話がありましたが、これはなかなか困難ではなかろうかと思うのです。ですから、国庫補助の残りについては、実施事業主体である地元自治体が、畜産環境対策の推進や地方振興の観点から負担することが適当ではないかなというふうに思っております。
  83. 川内博史

    川内分科員 今、政務次官の方から補助率は二分の一が基本であるというお話がございました。私も、それを理解していないというか、わからぬことを言うつもりはないわけでございますが、食糧の自給率をどうしていくのかという議論もありますし、また二十一世紀、日本はもしかしたら人口が減っていくのかもしれないですけれども、世界的には人口がますますふえていくという中で、私たち日本人が安全な、安心な食料をどう摂取していくかということに関して、農業というものをもっともっと大切にしていかなければならないし、農業がもうかる産業にならなければならぬ、優秀な人材が農業に入ってこなければならないというふうに思うのです。  私たちが大学を出るときは、銀行とか商社あるいは役所に就職する人が優秀な人だなというふうに言われていたわけですけれども、これからの時代は、農業に従事する、おれは農業をやるんだという人がみんなからうらやましがられる、選ばれた人が農業をやるというような時代になっていかなければならぬのじゃないかというふうに思うわけです。  そこを過渡的に、農業がもうかる産業なんだというふうにしていくためには、農業にかかるコストをいかに行政が持っていくかというところだと思うのです。そうなれば、補助率を、ほかの補助事業というのは二分の一が基本なのかもしれませんけれども、農業の分野についてはもっと考えてもいいのではないか、それがひいては日本の国民の皆さんに、安全安心な食料を供給することにつながっていくのではないかというふうに思うわけでございます。  百歩譲って、いや補助は二分の一だということであれば、例えばふん尿処理に関しては、行政が共同施設を、中小の畜産農家の持ち寄るふん尿を共同で処理する施設を整備するのが今ぼつぼつと出てきているわけでございますが、これも、地方も今財政的には大変に苦しい状況でございますから、運営コストは地方がしっかりとしていかなければいかぬと思いますが、施設の整備自体は国がしっかりとやるということをおっしゃったらどうかというふうに思うわけでございます。市町村等が整備する共同施設について、その整備を国がやるよというようなことをお考えいただけないかどうかということに関しては、いかがでございますでしょうか。
  84. 谷津義男

    谷津政務次官 先生、補助率の取り扱いについてのお話から共同でという話がございましたが、まさに家畜排せつ物は共同処理施設が非常に大事だろうというふうに思うのです。特に農家は個々にして見れば小さいですから、施設を個人個人でつくっていくというのは、非常に負担も大きくなりますし、また経営面から見ても非常にマイナスな面が出てくるだろうと思うのです。そういうところから、共同でやるということは非常に大事なことでありますから、そういう点は進めていかなければならぬと思うのです。  特に今、農協とか、あるいはまた、そういった新たな企業みたいなものができてもいいと思うのです。そういう中でやっていくということは非常に大事であると思いますので、そういうものを推進していきたいというふうに考えております。
  85. 川内博史

    川内分科員 私がいろいろ申し上げたとしても、今ある方針をこの場で変更していただくというのはなかなか難しいことでしょうけれども、二十一世紀の農業というものは、アメリカでは農業をアグリビジネス、ビジネスでございますけれども、日本はあくまでもアグリカルチャーであって、文化だと思うのですね。そのすばらしい、日本の歴史をつくってきた、日本人の精神の柱というものの中に農業というものがあったわけですから、それを私たちがしっかりと守っていくということは日本人の心を守ることだというふうに思いますし、ふん尿処理の分野についても、土地改良事業や、あるいはその他のたくさんの予算を使っている農業の分野と同様に、物すごく大事な分野だと。  人間一万人分の豚のふん尿を農家の父ちゃん母ちゃんが二人で毎日毎日処理をしているという状況を、何とか改善してさしあげたいというふうに私自身は強く強く思っておりますので、ぜひ大臣、それから政務次官、事務当局の皆さんを督励していただいて、この問題のますますの解決につなげていただくようにお願いをしたいと思っております。  先ほど大臣からも一部御答弁ございましたけれども、ふん尿処理の技術の研究開発、これについてもいろいろな大学の先生方がいろいろな研究をされていらっしゃるのですけれども、しかし、このふん尿というのは、その日その日のそれぞれの個体の体調によってふんも尿も微妙に成分が違いますから、一律的にそれを解決していくというのは、これはもう物すごく難しいらしいのですね。だから、難しい研究開発をするには、優秀な研究者が研究資金をふんだんに使って研究するということが必要なんだと思うのです。  先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、秘密の粉をぱらぱらとかければ一瞬にして無害になる、川に流しても大丈夫だというような、そういう専門的な研究というものをさらに予算をかけて、特定の機関、農水省が持っていらっしゃる機関でどんどんやっていただきたいというふうに思うわけですけれども、そのあたりの具体的な今の進行状況、それから、これからの予定、見込みといったところについてちょっと言及をしていただきたいと思います。
  86. 谷津義男

    谷津政務次官 家畜排せつ物の処理技術、これは非常に重要な課題だというふうに考えております。  先生、今、具体的にとおっしゃいましたのでちょっと申し上げますと、能力の高い微生物等を利用した悪臭防止技術、それから新素材等を利用した畜舎汚水の高度浄化処理技術、それから窒素、燐酸の排出の少ない飼料及び給与技術等の革新的な技術開発を推進しているところであります。  ちなみに、どんなことをやっているかということなんですが、悪臭防止技術、これは、高能力の微生物、脱臭資材を利用した悪臭防止技術の開発とか、具体的にかなりいろいろやっている。例えば、エネルギーの回収技術、そういうようなものもやっておりますし、高品質堆肥化の技術、こういうようなものを今やっているところであります。  特に、十二年度からは、これまでの研究成果を踏まえまして、現場に対応した家畜排せつ物等の有機性資源の適正処理や、先ほどから話が出ておりますが、新たなリサイクル技術の開発、実用化を加速化するための実証研究に取り組もうとしておるところであります。
  87. 川内博史

    川内分科員 ぜひそのあたりの研究をますます進めていただきたいというふうに思います。  質疑の時間もあと五分ということでございますので、最後の質問にさせていただきます。  私は、平成八年に当選をさせていただいて、またことし必ず選挙があるわけで、また必ず戻ってこようというふうに思っておりますが、国会でいろいろな議論に参加をしておりまして思うところがございました。  というのは、政治家というのは、例えば、教育が大切だ、教育は国づくりだ、国づくりは人づくりだと一生懸命議論をしたりするわけですけれども、これは文教委員会でも私は申し上げたのですけれども、では、公立の学校に自分の子供を通わせて、義務教育を自分の子供の体験を通して考えているかというと、偉い先生方は、お子さんはみんな私立の学校に入れていたりとかするわけでございます。  農業についても、農業が大事だ、農業を守るんだと言いながら、実際に農業をやっている議員というのはいないわけでございます。私は、国会議員になって、実は私はサラリーマンの息子なものですから、農家のことは何もわからなかったのですが、でも、農業が大事だなというふうに思ったものですから、自分で米をつくろうとまず思いまして、平成九年から田んぼを二反、たった二反ですけれども借りまして、米づくりをしているのでございます。  去年は台風で稲が倒れて、ちょっと不作だったのですけれども、その前の年は大変にいい米がたくさんとれたりしました。稲刈りの時期に、ちょうど十月十日の体育の日あたりに、途中でお茶など飲みながら、あぜ道で空を見上げていたりするといい風が吹いてきたりしまして、ああこれが日本人の過ごし方なのかなということをちらっと思ったりするわけで、それはそれで非常にすばらしい体験なんです。  私は、国会も超党派で、大臣あたりが音頭をとって、国会農場みたいなものをおつくりいただいて、みんなが分担で米をつくるとか、あるいは豚を飼うとか、あるいは牛を飼うとか、実際に自分たちでそういう体験をする必要がある、そのことを通して、農業というものがどういうものなのかということをみずからの体験として体得していくということが必要なんじゃないかと思うのです。  もちろん、ベテランの先生方の中には、おれは農家の出身だから農業のことは知っているんだと言う先生方もたくさんいらっしゃると思うのですけれども、しかし、今やるということが非常に必要なことなんじゃないかというふうに思います。  私は、今米をつくっていると申し上げましたが、次の選挙後はとりあえず豚を飼おうというふうに思いまして、現地の、私の選挙区の養豚農家の方々にも公約としてお約束をさせていただいているのですが、ぜひ玉沢大臣も私と一緒に豚を飼ってみませんかということを、最後に質問させていただきたいと思います。
  88. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員の非常に進取的な精神によりまして、実践をされて農業に取り組んでおられる、大変すばらしいことであると思います。  私も農林水産業のところで生まれた者でありますから、小学校の三年生のころから漁船に乗りまして沿岸漁業をやり、あるいは畜産も盛んなところでございますので、牛を山に放牧させてやる、豚も飼ったこともありますし、今も、例えば林業におきましても森林組合にも入っておる、こういうことで、委員とは生活してきたところがちょっと違うわけでございまして、私の方は、農林水産業に全く丸々と浸ってやってきたところでございます。  新たな御提案で、養豚もしたらいいのじゃないかという話でございます。委員精神には賛同するところがありますが、実践におきましては、いささか時間がないということでございまして、委員の経験等、後で十分聞かせていただければ大変ありがたいと思っております。  今後とも、農業をめぐる情勢は厳しいわけでございますが、委員のような情熱的な取り組みを持って農業発展のために御努力いただきますことを、私の方からもお願いを申し上げたいと存じます。
  89. 川内博史

    川内分科員 終わります。ありがとうございました。
  90. 町村信孝

    町村主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。  次に、中川智子君。
  91. 中川智子

    中川(智)分科員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  きょうは、三十分お時間をいただいて質問をさせていただきます。  まず最初に、今の川内議員の御質問にも多々ございましたけれども、私もやはり、日本というのはいろいろな土の恵みを受けて、そして自分たちの食べるものは自分の国でという思いが以前より強いものがございました。  私は、宝塚なので土地が狭いものですから、十坪ぐらいのところを家庭菜園で借りて、そこで紅玉などのリンゴなども植えたりして、スイカは食べる寸前にスイカ泥棒にとられて、もう二十年近く前ですが、いまだに悔しいのが残っておりますが、そういう経験もございます。  特に、私はずっと消費者問題特別委員会、今国会はなくなってしまったわけですが、消費者問題特別委員会では当初より遺伝子組み換え食品を、それが広い国民の関心も呼び、そしてさまざまな人たち、市民の声が本当に国に届き、来年度からは一部食品が表示されることになりました。これはとてもうれしいことで、農水省の大きな一歩を築いたことになると思います。  とてもそれには感謝しているのですが、やはりこの議論の中でつらかったのは、自給率が大豆の場合などは三%ぐらい。それで、ともかく海外から輸入しなければいけない、輸入したものを食べなければいけない。そこで非常に、偉そうなことが言えないというか、弱い立場。これだけ自給を高くできる農地とかもあって、それが現実として輸入に頼らざるを得ないということがとても悔しいという思いをいたしました。  特に大豆などは、みそ、しょうゆ、豆腐、納豆、いろいろなもの、日本人が大好きな、そして日々食する、そのような加工品をつくる大豆の自給率がこんなに低くては、それはとても恥ずかしいのではないかということを思っております。  特別委員会の小委員会でずっと議論していました中で、いろいろな勉強をさせていただいたのですが、特に大豆食品というのは女性の更年期症状に、国際的に見ても日本は割と、大変な方もいらっしゃいますが、総じて割と更年期症状が諸外国から比べて軽い、それは大豆食品の摂取によるものではないかというようなことも言われました。それは学会とかいろいろなところで定説とはなっていないようですが、学者の方のそういう意見もございます。大豆というのはそういうふうに日常的に食べるもの、それが三%では非常に悲しい。  特に大豆ということだけではなくて、日本の自給率のアップに向けての玉沢大臣の取り組みの決意をお伺いしたいと思います。
  92. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今、自給率をどのように向上せしめるかということについて検討しておるところでございますが、基本的な考え方を若干申し述べさせていただきたいと思います。  例えば穀物の自給率が三〇%に下がる、これは日本の食生活の構造上からくるものであるとお考えをいただきたいと思います。  例えば、米を中心とする日本型食生活というのは従来からあるわけですが、これに対しまして、畜産物を多くとる欧米型の食生活というのがあります。この畜産関係の生産は、牛、豚、鶏、また鶏の卵、こういうものをかなり生産しております。しかし、これは、飼料としまして、外国から飼料作物としてトウモロコシ等も含めまして千五百万トン輸入しております。そのほかに、パンとかめんとか、そういうものに使う小麦ですが、大体五百万トン輸入しています。そうしますと、外国から輸入する穀物は、それだけで二千万トンになるわけです。米は約一千万トン生産しますから、穀物全体で見ますと、要するに三〇%そこそこの自給率ということになるのです。  そこで、仮に二千万トンの穀物を国内で生産するということになりますと、千二百万町歩の農地が必要である。ところが、どんなに頑張っても今は五百万町歩が限界である。だから、委員は日本でかなりの土地があると言われましたが、日本は一億二千万人、アメリカの二分の一の人口で三十分の一の面積のところに住んでおる、そういう制約があるということをお考えいただきまして、その中で自給率をどう上げるかという非常に難しい問題があります。  ですから、食生活に中心を置いて考えていきますと、主食としての穀物というのはどのくらいか。あるいは大豆も、主食としての大豆の自給率というのは、主食といいますか、毎日食べているものですね、例えば納豆とか豆腐とかみそとかしょうゆ、こういうものに使うのはどのくらいか。こういうところで計算していった方が国民の皆さんにはよくおわかりではないかと思うわけでございまして、できればそういう観点での自給率も検討してみたい、このように考えております。
  93. 中川智子

    中川(智)分科員 ぜひともよろしくお取り組みの方をお願いいたします。徐々に徐々にでも上げていっていただきたいと思います。  ちょっときょうは新聞を、これは外国の新聞なんですが、続いて大臣に、冒頭私申しました遺伝子組み換え食品のことでの御見解を伺いたいのです。昨日の、これはイギリスの新聞ですが、インディペンデント・オン・サンデー紙に、ブレア首相が寄稿いたしました記事が大きく載っています。  これは、ブレアさんというのは一年前に、遺伝子組み換え食品、GM食品は私は安全性に自信を持っており、喜んでGM食品を食べるというふうに発言したのですね。それに対してチャールズ皇太子が、私はブレアさんの発言に対しては異を唱える、私は遺伝子組み換え食品は食べないみたいな感じで、チャールズ、ブレアという感じでイギリスでは一大論争が巻き起こりました。  ちょうど一年たったわけなんですけれども、きのうのこの新聞では、ブレアさんはこのように政策、思いを転換したのです。GM食品が人間の健康にダメージを与えるおそれがありということで、これは国民から非常に拍手喝采をもって迎えられた発言だというふうに、私のイギリスの友人がすぐにファクスを送ってくれて、このような記事に対して大臣にぜひとも見解を伺ってほしいと。私もそう思うのですが、よろしくお願いします。ブレアさんと同じような感じで、どうぞよろしくお願いします。
  94. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 遺伝子組み換え食品ではございませんが、イギリスは狂牛病という病気を持った牛を生産しておりました。この牛が安全であるということを常に主張しておりました。同時にまた、人間には全く影響しないという科学者等の発言等もありました。ところが、最近になりましてからは、狂牛病は人間に伝染するというようなことがわかってまいりました。  ですから、そういう観点からいいますと、遺伝子組み換え食品は科学的に全く人間に影響はない、こう言っても、どこかで影響があるかもしれないということは今後も十分検討していかなければならぬことだと思います。  そういう中におきまして、ブレア首相は、遺伝子組み換え食品につきましては、委員のおっしゃられたような考えを持ってこられたわけですが、EU全体としましては、やはり遺伝子組み換え食品というものに対しては非常に厳しい態度をとっておるわけでございます。あえて言いますならば、ブレア首相はEU全体の考え方に一歩近づいたのかなという感じでございます。
  95. 中川智子

    中川(智)分科員 ブレア首相のその発言じゃなくて、大臣の御見解を。
  96. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 我が国としましては、遺伝子組み換え食品につきましては、できるだけ安全性を確認しまして、そして消費者の皆さんにも明確なる表示をいたしまして、その選択でやっていただくという考えでございますが、今後とも、科学的にも、安全性ということにつきましてはできるだけ厳密に検討して、安全な食品の提供に努めてまいりたい、このように思います。
  97. 中川智子

    中川(智)分科員 消費者問題特別委員会でも、その安全性の議論というのはやはりきっちりと研究していただくというのを一方置きながら、消費者の要望は、表示をして、食べたくない人は食べなくてもいいようにということでございます。  それで、今回その表示が決まりまして、二十九品目、来年の四月から実施されるわけなのですが、農水省がマニュアルをつくられまして、そのマニュアルに基づいてということになったわけです。そのマニュアルの中で、次は局長の方に御答弁をいただきたいと思いますが、いわゆる混入率の問題です。大豆のみ目安として、大豆の遺伝子組み換えが五%くらいという、混入率のことについて書いているのですが、五%くらい、全体の五%くらいという非常にあいまいな表現になっています。  EUでは一%ということできっちり明示して、一%以下ということでチェックしているのですが、日本は、表示ができると喜んでいたにもかかわらず、その中身が五%ぐらいが望ましいというような発表を、一月七日でしたか、いたしましたね。これだと、規制ではなくて目安なので、守らなくてもいい、そのような不心得者が中にはいるというふうに考えた方がいいと思うし、もしも不心得がなくても、アメリカの方で、何%かどうか日本はあいまいだから、こうやってやっているよということで売ればいいというふうになる可能性があるわけなんですね。  消費者問題特別委員会の小委員会でも、混入率はきっちりと定めるべきという小委員会報告を出させていただいたところです。ですから、このようなあいまいな表現ではなく、きっちりと混入率を定め、それに対して罰則なり法律的な縛りをかけるということが大事だと思うのですが、御見解を伺いたいと思います。
  98. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 今先生御質問の遺伝子組み換え食品の表示でございますが、改正JAS法に基づきます品質表示基準を定めて、それによって対応していくということでございます。  その場合に、表示の前提となります分別生産流通管理に関しまして、分別生産流通管理の確認が適切に行われている場合には、意図せざる混入がありましても分別生産流通管理が行われた非遺伝子組み換え農産物であるというふうに考えております。  本年一月に、先生今言われましたように、分別生産流通管理のマニュアルを作成し公表したわけでございますが、このマニュアルでは、農家段階、それから輸出国のカントリーエレベーター、リバーエレベーター、それから輸出積み出し港といったような段階、日本に来た段階での船への船積みなり船倉のクリーニング状況、あるいは国内での輸送状況、そういった厳しいチェックを各段階で行う。そのチェック状況を各段階で証明書を添付する等によりまして明らかにする。これはIPハンドリングマニュアルに書かれていることでございます。  このマニュアルどおりにやれば、大豆の場合、混入率五%以下を目安とした取引が可能であるというふうにしているわけでございます。五%以下を目安とした取引というこの水準は、我が国で消費されます大豆の現実の取引実態を十分に踏まえました現実的かつ対応可能なものでありまして、マニュアルに従った分別生産流通管理が適切に行われている場合には、遺伝子組み換えの原材料が五%を超えて混入することは想定できないというふうに考えております。  したがいまして、仮に五%を超えた場合には、そもそも適切な分別生産流通管理が実施されていないおそれがあるわけでございます。このため、必要に応じまして、生産、流通の過程をさかのぼりまして、証明書であるとかあるいは伝票であるとか、あるいは分別流通の実際の取り扱いなどをチェックいたしまして、分別生産流通管理が適切に実施されたかどうかを確認した上で、その結果に基づきまして、指示、公表、さらには改善措置命令等、JAS法に基づきます所要の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  99. 中川智子

    中川(智)分科員 そのチェック体制というのは、大体どれぐらいのものかおわかりですか、今の段階でつかんでいるあれでいいのですが。  それと、公表とか改善命令というのはかなりきついものですか。
  100. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 分別生産流通管理が適切に行われていないことが判明した場合でございますが、まず、改正JAS法に基づきまして、品質表示基準を遵守しない製造業者や販売業者に対しましては、農林水産大臣による指示が出ます。それで、その指示に従わない場合には、農林水産大臣がその旨を公表する。公表しても正当な理由がなく指示に従わない場合には改善措置命令を出す。それでも改善しない場合には五十万円以下の罰金ということになります。  それから、どうやって監視をしていくかということでございますが、いわゆるJAS規定によります品質表示基準の遵守状況を、消費技術センター等の巡回指導なりあるいは買い上げ調査によりましてチェックして、十分監視が行き届くように対応してまいりたい、その手続は、先ほど具体的に言いました改正JAS法に基づきます手続でございます。
  101. 中川智子

    中川(智)分科員 大豆の場合は、そのように五%の努力義務、まあ努力義務になるのですが、それがあるのです。  トウモロコシは一切混入限度を設定していないわけですね、混入率の設定がしてないのです。トウモロコシは混入限度が設定できないほどまじっているというのでしたら、米国産のトウモロコシには不使用表示はできないというふうに最初からするべきだと思うのです。もう米国産のトウモロコシはかなりの率でまじっているおそれがあるというふうに、こちらの方は認識していいのかどうか。  EUが決定したGM表示対象は、食品の各原料の一%以上にGMOを含む場合、表示義務となりました。ですから、トウモロコシなんかはもう全く、では信頼がどこで担保できるのかと思うのですが、いかがでしょう。
  102. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 先生御案内のように、トウモロコシといいますのは、風で花粉が飛ぶ作目、そういう作目でございますので、その特性上、農場で他の品種との交雑が見られるわけでございます。また、定量的な分析は、技術的制約もありまして困難であるというような事情から、現時点では、IPハンドリングマニュアルに則しました分別生産流通管理を行った場合に達成し得る混入率の目安を示すことは困難であるというふうに考えております。  こういうことを踏まえまして、バルク輸送をされる北米産トウモロコシに関しまして、一定の混入の可能性の具体的な内容を数値で示すことは考えていないわけでございます。  しかしながら、このIPハンドリングマニュアルにおきましては、先ほど大豆で申し上げましたように、トウモロコシにおきましても同様に、農場段階から各種エレベーターの段階、また輸出港の段階、輸入港の段階、また国内輸送と、大豆と同じように、いわば厳密な管理を行うようにしております。また、そのそれぞれの段階で証明書の発給等を要求しているわけでございまして、このマニュアルに則しました分別生産流通管理が実施された場合には、消費者にとって相当程度の信頼性が確保されるものというふうに考えております。  今後、こうしたIPハンドリングされましたトウモロコシのサンプル検査等を行って、さらに実態の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
  103. 中川智子

    中川(智)分科員 それでは、トウモロコシに混入率設定ができる、大体目安といいますか、ございますか。
  104. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 何年ということを具体的には申し上げられませんが、一つは、先ほど申しましたように、サンプル検査等によりまして実態の把握を積み重ねていくということが一つと、それからもう一つ、定量分析の手法を開発しまして確実な定量分析ができるようになるという、この二つの実現を目指して全力を挙げていきたいというふうに思っております。
  105. 中川智子

    中川(智)分科員 今回二十九品目ということですが、やはりそれはもっともっとその表示対象を広げていくというお考えは、積極的に農水省の方としてはお持ちでしょうか。これはわかる範囲でいいです。
  106. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 遺伝子組み換え食品の対象の拡大につきましては、御案内のように、最近の科学的、技術的な観点から毎年見直しを行いまして、新しい遺伝子組み換え食品や新しい知見に基づいて適宜追加するというふうにしております。  現在の考え方は、要するにその食品に、加工工程後も組み換えられたDNAやそれによって生じたたんぱく質が存在するかしないかによって分けているわけでございまして、そうした科学的に差があることを理由といたします情報提供という表示の原則からいきましても、合理的であるというふうに考えております。  引き続き、新しい遺伝子組み換え食品なり、あるいは新しい知見に基づきまして適宜追加することは考えてまいりたいというふうに思っております。
  107. 中川智子

    中川(智)分科員 イギリス同様、日本でも国民の関心というのが非常に高まってまいりまして、最近はマスコミでも大きく取り上げられるようになってまいりました。ぜひとも、表示が実効性のある、信頼が担保できるような表示となりますように、これからも御努力をお願いしたいと思います。  いま一つ、JAS法の改正のところでお伺いしたいのですが、JAS法の有機認証制度、有機認証において、堆肥など土壌投入資材について遺伝子組み換えを禁止するべきだと私は思うのです。  と申しますのは、一月二十日に公示されたJAS規格の有機基準で、堆肥に遺伝子組み換え禁止が入っていません。そのため、遺伝子組み換えの菜種や大豆の油かす、また、遺伝子組み換えの飼料を食べた家畜の排せつ物を原料とする堆肥の使用が可能となっています。結局こういうふうに、一部ではきっちりと表示が実現しながら、飼料というのは家畜のえさになりますし、またそれを食べた豚や牛やらいろいろな動物たち、それをまた人間が食べていくというふうに回っていくわけですね。そのときに、堆肥などのいわゆる土壌投入資材というのも遺伝子組み換えを禁止するべきだと思うのです。  これは、国際的な有機の原則の一つに、国際有機農業連盟の基準でも、遺伝子操作のものはすべて排除するという規定になっています。有機というならば、やはり遺伝子組み換えの堆肥などの土壌投入資材についても禁止するべきだと思うのですが、このことについて一点伺いたい。  いま一つ、海外からこの内容に対して、クレームなど意見が来ていると思うのですが、来ているならば紹介をしていただきたいと思います。
  108. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 まず、先月、一月二十日に制定しました有機農産物のJAS規格におきましては、その生産の方法としまして、認定を受けた圃場、具体的に言えば、原則三年間化学肥料あるいは化学農薬を使用していない圃場におきまして生産された農産物の残渣に由来する堆肥を施用するということを原則としております。ただし、そのような方法のみによっては土壌の性質に由来する農地の生産力の維持増進を図ることができない場合にあっては、それ以外の堆肥であって化学的に合成された物質を添加しないものを使用することができるというふうにしているわけでございます。  この基準は、現在のコーデックスの国際基準に合致したものでありまして、また、現在我が国におきまして認証を行っております民間団体の基準にも沿ったものであります。したがいまして、適切かつ適用可能なものであるというふうに考えておりますし、また、消費者の信頼も得られるというふうに考えております。  また、御質問のございました海外からのクレームでございますが、この点につきましては、特段のクレームはいただいておりません。
  109. 中川智子

    中川(智)分科員 そうですか。イギリスの有機食品団体から来ているはずだというふうに伺ったのですが、別にないということなので……
  110. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 今のところはございません。
  111. 中川智子

    中川(智)分科員 コーデックス委員会は、まだこの問題については近い将来検討することになっていると思うのですが、コーデックス委員会でこのことについての結論が出た暁には、日本でそこのところを見直すということはございますか。
  112. 福島啓史郎

    ○福島政府参考人 コーデックスの国際基準が制定された段階におきましては、当然のことながら我が国の有機の基準との整合性を図っていかなければならない、また同時に、我が国の特別な事情というものも考慮しなければいけないというふうに思っております。双方よく勘案しまして対応してまいりたいというふうに思っております。
  113. 中川智子

    中川(智)分科員 やはりいろいろな方たちとお話をしていますと、豆腐とか大豆とかみそとかという心配と同時に、家畜のえさにこれがまじると、かなり広範囲に、卵も何も、すべてに影響してくるということがございます。ぜひともコーデックスの報告を待つ前に、日本でも独自のこれに対する対応をお願いしたいということを最後に御要望申し上げまして、稲について質問しようと思ったのですが、もう結構です。  ありがとうございました。大臣、次官も、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
  114. 町村信孝

    町村主査 これにて中川智子君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。     〔主査退席、杉浦主査代理着席〕     —————————————
  115. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 次に、総理府所管環境庁について、前回に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山元勉君。
  116. 山元勉

    山元分科員 民主党の山元でございます。久しぶりに環境問題で質問させていただきます。  きょうは、フロン問題についてお伺いしようと思うのですが、その前に、長官にお伺いしたいのですが、四月の七日から私の地元の滋賀・大津で環境サミットが開かれます。新しい千年紀を迎えて、宇宙船地球号とよく言われますけれども、これからどういうふうに地球を守るのかという大事な会議だというふうに私も思っています。そして、ことし十一月にはハーグでCOP6が開かれる、一昨年でしたか、京都でのCOP3の仕上げをしよう。こういうときに開かれる環境サミットですから、大変意味があるのだろうというふうに思っていますし、ぜひ成功させていただきたいというふうに思っています。  長官は、去年十一月に、ばたばたと大変お忙しい中でしたけれども、ドイツのボンにも行っていただきましたし、北京のモントリオール議定書の締約国会議ですか、それぞれ温暖化の問題あるいはフロンの問題で会議に出ていただいた。私は、そういうところでしっかりと経験も積んでいただいてというのは言い方が悪いですけれども、ぜひこの環境サミットを成功させる、そういう準備をしていただきたいというふうに願っておりまして、大変慌ただしい日程でしたけれども、二つとも出ていただいたことを大変よかったというふうに思っていますし、期待をしています。  私の地元の滋賀でも、あのときに幾つかの開催立候補の市がありましたから、その中から琵琶湖の滋賀が選ばれたということで、本当にしっかりとしたお手伝いもしなきゃならぬということで、今盛んに努力をしています。  そういう環境サミットですけれども、先ほども申し上げましたように、大きな意味を持っているサミットですからぜひ成功させていただきたい、このことについてはもう長官も十分御認識いただいているだろうと思うのですが、改めて長官の御決意といいますか、今の思いをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  117. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 先生の御指摘のように、四月の七日から九日まで、大津におきましてG8環境大臣会合が開かれるわけでございまして、日本の中では環境先進県でございます滋賀県がお引き受けいただいたことは、大変うれしく思っているわけでございます。  御存じのように、G8の環境大臣会合というのは、サミットに環境政策の面から貢献するということを目標にして開催されている重要な会議でございます。特に、ことしは地球温暖化問題等が非常に大きな節目を迎える年でもございまして、この会合の成果が世界の環境政策の飛躍にも大いに役立つというふうに考えております。  この大津で行われます会合の討議の議題でございますけれども、G8に参加されます各国の御意見もいただきまして、主要議題としては、気候変動、並びに二十一世紀の持続可能な開発とリオ・プラス10、さらに、それに次ぐテーマといたしまして環境と健康の問題を取り上げようということで、今参加国と調整中でございます。  私は、本会合に議長として参加させていただくわけでございまして、国際社会が直面しております主要な課題につきまして、G8の各国の環境大臣による率直かつ有意義な議論が行われ、そして成果を上げることができますように、滋賀県並びに大津市も大変御協力いただいているわけでございますので、今しっかりと準備をしているところでございます。  どうぞよろしくお願いいたします。
  118. 山元勉

    山元分科員 COP3も議長国として大きな役割を果たしたというふうに思っております。ですから、今度の場合も、議長国、議長として大きな仕事です、ぜひ成功さすように御努力をいただきたい、お願いをしておきたいと思います。  それでは、時間がきょうは短うございますから、主題のフロンについてお伺いをしたいと思います。  特定フロンについては、もう十五年前、モントリオール議定書ができて、それは、オゾン層が破壊をされて、生態系、皮膚がんの問題だとか遺伝子への悪影響だとか、いろいろなことが指摘されて、やっと十年たって、五年前ですか、生産は中止をされて、特定フロンでいえば、何としてでも大気中に放出をしない、回収するということが大きな仕事になっているわけですけれども、しかし、この廃棄量というのは、今いろいろなものには、年間五千トン廃棄されている、こう出ていますけれども、その回収の状況というのは大変惨たんたるものといいますか、ひどい状況になっている。  これは十年度の環境庁と通産省の調査でも出ていますけれども、家庭用の冷蔵庫で二九%、三割弱しか回収はできていない。カーエアコンにおいては一二%、一番放出量というのですか、使用量が多いカーエアコンで一二%しか回収できていないわけです。そして、業務用冷凍庫も五六、これはやはり一つ一つが個体が大きいから回収しやすいのだろうとは思いますけれども、カーエアコンや冷蔵庫、二九%、一二%というのは、オゾン層を守ろうという精神からいうと大変な状況になっているのだろうというふうに思います。  このことについては、今まで何回も環境委員会等でも論議をされました。環境庁として、今この状況、やはり調べてみたら一二%であったという状況について、どういうふうに認識していらっしゃるのか、これからの方策についてもいろいろあろうと思いますけれども、まずその現状認識をどういうふうにしていらっしゃるのか、お尋ねをしたい。
  119. 廣瀬省

    ○廣瀬政府参考人 先生のおっしゃるとおり、フロンの回収問題というのが現在の重要問題でございます。  このために、平成九年九月に、関係十八省庁から成るオゾン層保護対策推進会議において、フロンの回収及び破壊の促進方策を取りまとめまして、関係業界に対して所管省庁より、特定フロン回収に関する自主行動計画を策定し、回収に取り組むよう協力要請をいたしました。  また、環境庁においては、地域における回収から破壊までのシステム構築を促進するためのモデル事業の実施、地方自治体や関係業界から成るフロン回収等推進協議会の活動の支援等を通じて、地域における取り組みを促進してきたところでございます。  このような取り組みによって、業界独自のフロン回収システムを構築したり、回収協力店を認定し、住民等に周知を図る制度を導入した地域など、取り組みの進展が見られる関係業界及び地域があるものの、環境庁及び通産省の共同調査によると、先ほど先生が申したとおり、平成十年度においては、家庭用冷蔵庫は二九%、カーエアコンは一二%、業務用冷凍空調機は五六%ということで、全般的に低い水準ということで認識しております。  家庭用冷蔵庫については、家電リサイクル法において平成十三年四月よりフロン回収が義務づけられますが、カーエアコン、業務用冷凍空調機については、一層の取り組みが必要という認識でございます。
  120. 山元勉

    山元分科員 今もおっしゃったように、業界の努力だとかあるいは自治体の努力というのは確かに行われてきたし、支援ということもありました。けれども、現実に今充てんされていると思われるのは、例えばカーエアコンで三万トン、フロンで三万トンというのは想像できないくらい大きいのだと私は思いますけれども、あるいは業務用冷凍庫も一万一千、家庭用も七千、合計五万トン近いものがあるわけです。そして、先ほども言いましたように、五千トンは毎年廃棄されていく。それが一二%だ、こういう状況になっているわけでしょう。  何回もこのことについては通産の場でも環境の場でも論議をされてきたわけですけれども、今既にもう廃棄というのがピーク時になっているわけです。それが惨たんたる状況だというわけですから、急いで一二%を一〇〇%に近づけていく努力というのは、業界や自治体に、頑張ってください、応援しますよと言うだけではもうだめなんです。事がすべて、これから十年か何年かの間に、全部わっとどこかへ行ってしまいましたよ、宇宙の上へ行っています、温暖化の役割を果たしていますということになってしまうわけでしょう。  そこで、新たな法規制が必要だというふうに私どもは何回も繰り返して言ってきたのです。一昨年に私ども民主党も議員立法で出しました、廃案になってしまいましたけれども。これは、今おっしゃるような業界の努力だとか自治体の努力というのではだめで、新しい法整備をしないとだめだということにはならぬですか、あるいは環境庁がそのことについてのイニシアチブを発揮するということにはならないのですか、どうですか。
  121. 廣瀬省

    ○廣瀬政府参考人 先生のおっしゃいますとおり、どのくらいストックがありますかという形で調査をし、それから年間にどのくらい出ているかという調査をして、具体的に回収可能量と回収量というのを絶えずチェックをするようなことを頭に置きながら、しております。  具体的にどこまで回収率を上げるかという問題が残っておりまして、その問題についてとりあえず真剣に取り組むという気持ちは持っております。  それから、具体的に今後の形で、今具体的に十八省庁に対して、この回収率が改善されないときにはしかるべき措置をとっていかなきゃいけないということは、それぞれ十八省庁との会議で厳しく申し渡しているという段階でございます。
  122. 山元勉

    山元分科員 改善されなければしかるべき措置をというのが遅いんですよ、実際に。  例えば、私は、土曜日、地元へ帰って、たまたま出席できる時間でしたから、ストップ・フロン滋賀というものの総会に出たのです。そこで、六年間頑張ってきた、初めは、こんなものは製造禁止になってすぐに取り組まなきゃだめだし、ストップ・フロンというような仕事は、一番頑張ってくれましたのは電器屋さん、小売店の人ですけれども、寝食忘れてやっていらっしゃる。一年ほどでこれはもうやめられるだろうと思ってストップ・フロン滋賀というのをしたけれども、六年たっても全然見えない。そして、盛んに出てくる言葉というのは、政治と行政への不信と不満ですよ。  どうにもならないときにはしかるべき措置というのはもう既に遅いんだという認識環境庁が持たないと、法規制というのは、率直に言って、この問題、いつも建設省の壁だとか通産省の壁だとかいろいろな壁があって、なかなか環境庁が思うようにならないということは承知をしています。けれども、やはりここまで来ているときには、思い切ったしかるべき措置というのが考えられなきゃいけないんだろうというふうに思います。  応援団はたくさんいるだろうと思います。今申し上げましたように、ストップ・フロンの全国連絡会というのがありますが、木曜日になりますか、二十四日にこういう会ができたのです。フロンガス回収・放出禁止の法制化に向けた市民のネットワーク、フロンネットというのが初めて二十四日にできたのですね。もうほっておけぬということで、法制化に向けた市民のネットワークというのをつくられた。ストップ・フロンも気候ネットワークもみんな入って十四団体、そして個人とあわせて、この間つくられて、私も会員になったのですけれどもね。  これは、こういう思い、例えば私の地元で言っている、もう行政や政治というのは信用できぬという不信感がわっと出てきている。そしてまた、こういう会ができて、市民団体が私たちで法制化しようというのが出てきたのですね。だから、今局長がおっしゃるように、どうしてもだめだったらしかるべき措置をというのはもう遅いと思うのですね。  長官、これは、この間の北京の会議でも、来年七月にですか、計画書を出そうということになりましたけれども、具体的に日本でもこういうふうに施策を講じてということになるような、そういう手だてが必要だと思うのですが、いかがですか。
  123. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 今先生御指摘のように、フロンの回収状況が一向に進められていないということに対して、私どもも大変心配しているわけでございます。  そういう状況のもとで、先生今御指摘のように、市民ネットワークでこういった回収について法制化を進めようというような会ができたということを大変力強く思っているわけでございますけれども、環境庁としましても、今確かに関係業界も努力しようとしているわけですから、その進捗状況も見なきゃいけませんけれども、広く国民各層の御意見もちょうだいしながら、積極的にフロン回収の義務化あるいは放出禁止ということについても前向きに検討してまいりたいというふうに思います。
  124. 山元勉

    山元分科員 いらいらと申し上げて申しわけないのですけれども、ぜひこのことについてはしっかりとした法整備をする。ストップ・フロンの皆さんも、今度できたネットワークの皆さんも、けしからぬと怒っているだけと違う、やる気になってもらったら、強い応援団といいますか、それは全国各地で頑張ってくれている人たちはすべて応援団ですから、応援団を裏切るとそれはもう大変なことになるというふうにお考えをいただきたいと思います。  時間が余りないのですが、その次は、今特定フロンについて言ってきましたけれども、残念ながら、特定フロンがオゾン層だ、代替フロンにしたら温暖化だ、こうなってきて大変な仕事になっているわけですけれども、先ほど申し上げたCOP3で六%削減という目標が決められていて、さあ日本は約束が果たせるのか、あるいは目標が完遂できるのかというと、甚だ心もとない状況だというふうに率直に思います。  家電リサイクル法ができて、これも来年四月施行だ。実質的にはもっと早う前倒しをして施策を進めてもらえるんだろうというふうに期待をしますけれども、来年四月にしか施行されない家電リサイクル法ですけれども、一定のことがありました、冷蔵庫やあるいはルームエアコンのフロンを回収するということについて含まれましたから。ですけれども、例えば業務用冷凍庫については除外されているというようなこともあって、これも遅々としていると思うのですけれども、代替フロンの回収や破壊についての現状環境庁はどういうふうに認識していらっしゃいますか。
  125. 浜中裕徳

    ○浜中政府参考人 御説明申し上げます。  先生御指摘のとおり、私ども、京都議定書の六%削減目標の達成に当たりまして、六つのガスに代替フロンが含まれておりますので、この削減対策には重大な関心を持っているところでございます。  実際問題といたしまして、この代替フロンはフロンの代替物質として九〇年代から使用が開始されたところでございますので、現在、例えば冷媒としてカーエアコン、冷蔵庫等に使用されておりますけれども、まだ使用中でございまして、まだほとんど廃棄されるに至っていない段階だというふうに認識をしております。ただ、今後これらの機器が廃棄の時期を迎えるわけでございますので、それに伴って廃棄量が増加をするというふうに考えております。  そこで、昨年四月に地球温暖化対策推進法の施行に伴いまして基本方針というものを閣議決定したわけでございますが、そこでHFC等の回収、再利用、破壊等の対策を推進するというふうにされたところでございます。  ただいま御指摘の家電リサイクル法が来年四月から施行され、回収、破壊が義務づけられるわけでございますけれども、そこに含まれておりませんカーエアコンあるいは業務用冷凍空調機器、これらにつきましても、現在、関係の事業者団体が行動計画を策定して、回収、破壊等に取り組んでいるところでございます。  また、環境庁といたしましても、回収しましたHFCの破壊について適切な処理を確保する必要があると考えておりまして、昨年十一月に破壊処理方法を自治体に通知をしたところでございますが、今後、HFCの廃棄量がいずれにしても増加することが予測されますので、この回収、破壊等を一層確実に推進していきたい。  そういう中で、ただいま大臣から御答弁申し上げましたようなフロンの方の回収の義務化、放出禁止の検討、こういうものも注視をいたしまして、その中に代替フロンも含めていただくようにということで取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  126. 山元勉

    山元分科員 これも、先ほど特定フロンのところで申し上げましたように、何としても法的な強制力のある仕組みをつくらないとなかなか難しいのだろうというふうに思います。  廃棄量のカーブを見ますと、早く特定フロンが終わって、後は、代替フロンは大きな山がこれから来るわけですから、これについてはやはりフロン全体としての規制をつくって網をかけるということが必要なのだろうというふうに思います。  そして一方で、ヨーロッパなんかで今進んでいるようですけれども、先ほど言いましたように、オゾン層はだめだから代替をやったら温暖化だ、こうなってきたわけで、ヨーロッパではイソブタンだとかシクロペンタンですか、炭化水素の使用が開発されている。人間がつくったものですから、かわりのものもまたつくれるという知恵があるのかもわかりませんけれども、ヨーロッパではそのことがもう既に取り組まれているわけですね。  そういうことでいうと、日本の科学や技術からいったら決して負けないわけですから、どんどんとこういう開発をして、その切りかえがしやすくなっていくような手だてというのは国として必要なのだろうというふうに思いますね。その点の技術の開発とか、そういう研究はどうなっているんですか。
  127. 浜中裕徳

    ○浜中政府参考人 御説明申し上げます。  我が国では、先生御指摘の代替物質の利用、例えば冷蔵庫等でございますが、メーカーの対応が確かにヨーロッパのメーカーに比べると若干おくれているということは御指摘のとおりだと思います。  そこで、率先して、環境庁もそういうメーカー開発努力を促したいということで、実は環境庁大臣室に置いております冷蔵庫にも代替物質を使用したものを入れさせていただいているということでございますが、いずれにいたしましても、我が国のメーカーもそういった代替物質を使った製品の開発に今力を入れているところだというふうに考えておりますので、今後とも、環境庁といたしましても、そうした事業者の努力を側面から支援をし、一日も早く日本の市場にもそうした製品が出てくるように努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  128. 山元勉

    山元分科員 先ほども少し触れましたけれども、この中で、カーエアコンの問題と、もう一つは断熱材の問題があるわけですね。冷蔵庫に使われている断熱材は冷媒の三倍も四倍ものフロンがあって、これが家電リサイクル法でも除外をされた、それで野放しになっているわけですね。  技術的にもなかなか難しいようですけれども、時間がありませんから一言ですが、この断熱材の回収、破壊の技術というのですかシステムというのですか、両方ともきっちりとしないと、これは今言いましたように、一台の冷蔵庫のフロンガスだけは吸い出したけれども、あと断熱材は三倍も四倍も野放しになって廃棄されてしまう状況というのは大変なことだと思うんですね。家電の皆さんもそのことをおっしゃっています。一生懸命になってポンプを持って歩いてやるけれども、断熱材についてはほったらかしなのだという気持ちがあるわけです。  そこのところは、これは技術的にもあるいはシステムとしても全国で三つしかないということを聞きましたけれども、これはやはり上手な知恵があろうというふうに思うんですが、それはどうなっていますか。
  129. 廣瀬省

    ○廣瀬政府参考人 先生のおっしゃるとおり、断熱材のところでございますが、断熱材に入っているフロンの量は大変多くございます。そして、素材からフロンを分離、回収して、その後に破壊する方法、それからフロンを素材とともに燃焼する方法というのがございますが、現時点で技術的、経済的にいまだ困難性があるということで、国それから業界団体で破壊処理技術の検討を行っております。  そして、平成十三年四月より施行される家電リサイクル法において、断熱材フロンについては、基本方針において、適正かつ能率的な回収及び再利用及び破壊のための技術開発及び施設整備に努めることが盛り込まれております。  今後においても、具体的に処理技術の確立を早急に進めるということと、先ほど大臣の言われました義務化ということを進めていく過程の中で、その技術開発を早急に進めるという考え方でいかなければいけないというふうに思っております。  また、具体的にモデル事業の中で破砕し焼却するという実験はしていただいておりますが、まだまだその辺のところについてはもっと研究を続ける必要があるというふうに思っております。
  130. 山元勉

    山元分科員 時間がありませんが、カーエアコンのことについても少しだけ触れておきたいのです。  カーエアコンは、例えば自動車工業会の御努力もあります。この間も聞かせていただきました。ヒアリングをさせていただきましたし、通産省からも聞かせてもらいました。それぞれの努力があるんですけれども、これはやはり大きい問題だというふうに思うんですね。大きな抜け穴になるんだろうというふうに思います。  実際に、そのフロンの量もそうですし、先ほどの回収率もそう、一番大きいところで一番悪いわけです。そして、全国どこに行っても見られる光景、山の中、野山に廃車がどんと山積みになっているわけですね。これはフロンだけではなしに、あの廃車の再生といいますか、あるいは処理というのは、環境政策としても通産の政策としてもきちっとしなければならぬ、本当に、どこに行っても、日本じゅうにあるわけですから。  そういう全体のこともそうですが、フロンについて言えば、やはり工業会に頑張ってくださいよと言うだけではこれもだめだろうというふうに思うんですね。今度の循環型社会のための法を環境庁はおつくりをいただいて、努力していただいている。基本理念を立派につくっても、個別については各省庁がやるわけですから、通産が腰を上げてくれなければだめなのだろうと思います。けれども、その腰を上げさせる仕事というのは、環境庁は大きな声で、大きな力で動かぬことにはだめなのだろうというふうに思いますね。  ですから、この問題についても、例えばストップ・フロンの全国連絡会から、早速環境庁が発表した案について意見書が私のところへ来ました。その中に、余りたくさん書いていないのですけれども、やはり法的に回収の義務を課すべきだ、明記すべきだということ、これは今言いました個別法の中になるかもしれぬけれども、この基本法をつくるときにきちっとすべきだということが、カーエアコンとか、あるいは断熱材というのは名指しできちっとこのところに組み込んでもらいたいという意見書が来ているんですね。だから、そういう今のカーエアコンにしろ断熱材にしろ大変だということはわかっていて、法的な枠組みができない、あるいは強制的にさせられないということについては非常におくれているというふうに思うんです。  今度の省庁再編でも、環境庁だけは環境省に、だれからも異存がなかったというふうに私は思っております。だれからも異存を聞いたことがありません。それはみんなの認識として、環境庁が環境省になって力も金もしっかり持ってほしい、持つ必要があるという気持ちがあって、ですから、ほかのところはどんどんと一緒にしてしまうけれども、環境庁だけはきちっとこれからの仕事をやってもらおうという期待を込めて、皆異存がなかったのだというふうに思いますね。  だから、そのことについては、先ほどから申し上げておりますように、特定フロンも代替フロンも、カーも、それから断熱材もきちっとしなければ、失礼な言い方になるけれども、基本法をつくってお題目にしたのではだめだ。個別法のところで、通産省が無理なのだと言ったらだめ、建設省が無理なのだと言ったらだめだというようなことではだめだというふうに思うんですね。これは期待外れで、省にした値打ちがなかったかなと将来言われかねないというふうに思うんです。  そういう点でいうと、もう一回カーエアコンについても、自動車工業会とどういう話になっているのか、そこのところは詳しくわかりません、この間聞いたのでは、私たちは努力していますということは聞きましたけれども、実際に、それを義務化するようなシステムをつくりますよということでつくらなければだめなのだということを、環境庁が大声を出してもらう必要があると思うんですが、いかがですか。
  131. 廣瀬省

    ○廣瀬政府参考人 先生のおっしゃるとおり、ストックとして持っているフロンは六割を超えているものがカーエアコンでございます。  そういう中で、特に今回、昨年の北京会議で管理戦略を出すということになって、二〇〇一年の七月までに出さなければいけません。そういう中で、カーエアコンの問題をいいかげんな形にしておくということはできない状況になっております。先生のおっしゃることを踏まえまして、厳しい状況で臨んでまいりたいというふうに思っております。
  132. 山元勉

    山元分科員 時間が来ましたから終わりますけれども、長官、これは、COP3のときにも、各国が温暖化の問題でも目標を設定して頑張ろうというふうに、知恵も力も金も出そう、そういう痛みがあっても、やはり目標を定めて地球を守ろうという合意をしていて、これの具体的詰めを今している段階ですけれども、しかし、これはやはり、事は、先ほども言いましたように将来の地球の問題ですから、自分たちが今快適な生活をしたいとかおもしろい目をしたいというんではないわけでして、本当に子供や孫に地球をきちっと、きれいな地球を譲っていこうと思うと、今やはり頑張らなきゃならぬと思います。千年紀とか二十一世紀とかいう言葉だけではなしに、地球の状況がそういうところに来ているんだという認識が要るだろうと思うんですね。ですから、何ぼでも応援団はいるということで、環境庁がたくましくなってほしいし、そういうイニシアチブを発揮していただきたいという御期待を申し上げ、長官から何か一言あったら。
  133. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 元環境委員長でいらっしゃる山元先生からの大変お励ましをいただきまして、ぜひ、きょうの論議にもございましたけれども、またしっかりと地球環境保全のために努力してまいります。  ありがとうございました。
  134. 山元勉

    山元分科員 ありがとうございました。終わります。
  135. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 これにて山元勉君の質疑は終了いたしました。  次に、青山二三君。
  136. 青山二三

    青山(二)分科員 公明党・改革クラブの青山二三でございます。  私の住んでおります栃木県で、このたび大変不名誉な、国際的にもひんしゅくを買うような、大変な事件が起こりましたので、きょうは、日本の産業廃棄物の適正処理への取り組みにつきまして、順次お伺いをしてまいりたいと思います。  昨年、フィリピンに輸出されましたコンテナから医療廃棄物が見つかりまして、本年一月十一日、日本に送り返されてまいりました。この廃棄物は、有害廃棄物の国境を越える移動や処分を規制するバーゼル条約に明らかに違反するものでございまして、国際的にも本当に不名誉きわまりないごみの強制送還となったわけでございまして、栃木県に住んでおります私といたしましては、大変に残念な思いがいたしております。  このごみを輸出いたしましたのは、栃木県小山市の産業廃棄物中間処理業者のニッソーが古紙の再生などと偽って輸出をしていたものであると聞いておりますけれども、この事件につきまして、事実関係についてまず御説明いただきたいと思います。
  137. 佐藤正夫

    ○佐藤政府参考人 お尋ねの事件につきましては、昨年の十二月二十四日に通産省貿易局輸出課長から栃木県警察に対しまして、有限会社ニッソーを被告発人とする外国為替及び外国貿易法違反容疑の告発がなされたものでございます。告発事実につきましては、いわゆるバーゼル法で輸出が規制されております有害廃棄物を通産大臣の承認なくフィリピンへ不正輸出したというものでございます。  これを受けまして、栃木及び長野県警察の合同捜査本部におきましては、同告発に係る容疑で関係箇所を捜索するとともに、関係者から事情聴取するほか、フィリピンから回収された輸出貨物について検証を実施し、事実関係の解明に向け鋭意捜査中でございます。
  138. 青山二三

    青山(二)分科員 この今回の事件につきまして、本当に捜査当局は、排出事業者そして産廃中間処理業者からフィリピンに至るまで、廃棄物がどのようなルートでどのように移動していったかというようなこと、本当に全容を解明していただきたいと思っております。  この事件は、ニッソーと現地の輸入業者との間にトラブルがあったことがきっかけで発覚したと伺っておりますけれども、もしこの輸入業者とトラブルがなければ、事件はやみに葬られた可能性が高いのではないかと思っております。  東南アジアではごみの処理費が日本より安く、公害の規制が緩いために、輸出は日常的に行われていると見た方がいい、こういう専門家の指摘もございますけれども、このようなごみの輸出の実態を掌握されているのでしょうか。また、途上国の弱みにつけ込んでの不法投棄はほかにも行われている可能性が高いとの指摘がございますけれども、政府は徹底的に調査をいたしまして、廃棄物排出から輸出までの経緯や責任の所在の解明とともに、排出事業者や中間処理業者を含めて公表していただきたいと思いますけれども、御見解を伺います。
  139. 佐藤正夫

    ○佐藤政府参考人 本件につきましては、国際的、社会的関心が大変高い事件であるということを十分踏まえまして、合同捜査本部におきまして、これまで捜査の節目節目で必要な発表を行ってきたところございますけれども、今後とも、捜査の進展に応じまして、関係被疑者の氏名を含めた捜査状況について適切に公表していくものと考えております。
  140. 青山二三

    青山(二)分科員 ぜひお願いいたしたいと思います。  二月の七日に、政府はこのニッソーの代執行でフィリピンから回収いたしました廃棄物二千二百八十四トンの焼却処理をすべて終えたという発表がございました。東京都、それから横浜市、川崎市の三自治体と民間の廃棄物処理業者に委託をいたしまして焼却処分した費用が合わせて一億九千八百万円、そしてコンテナの返却費用に二千二百万円、総額で二億八千万円もの費用がかかったということでございます。この代執行費用は当然ニッソーに請求することになろうかと思いますけれども、事実上倒産状態になっているということで、実際には国費が使われることになるとの報道でございました。  この事実に間違いがないのかどうか、また、この費用につきましては、国民の大切な税金で肩がわりが行われるということになるわけですけれども、なぜ国費が使われなければいけないのかという国民の素朴な疑問や怒りもございますので、御説明いただきたいと思います。
  141. 柳本卓治

    ○柳本政務次官 お答えいたします。  おおむね先生の御指摘のとおりでございます。不法輸出に伴う廃棄物の回収及び処理は、本来、原因者たる輸出者の責任で行うべきものでございます。したがって、今回の事件につきましても、環境庁長官、厚生大臣及び通商産業大臣の連名で、輸出者である産業廃棄物処理業者に対しまして、日本への回収、処理等を適正に行うよう命令したところでございます。  しかしながら、バーゼル条約に違反する有害廃棄物の自国への回収を輸出先国から通報があってから三十日以内に行い、適正に処理することは、バーゼル条約に基づく輸出国の国際的な義務であること、第二に、実際、フィリピン政府からは早期解決を求められ、我が国として迅速な対応が不可欠となったこと、三番目に、輸出者である産業廃棄物処理業者が期限までに回収等に着手しなかったことから、国が行政代執行を行ったものでございます。  今回、国が実施した行政代執行に要した費用の合計は、御指摘のとおり約二億七千六百万円でございます。当該費用につきましては、行政代執行法に基づき、廃棄物を違法に輸出した産業廃棄物処理業者から徴収することとしておりまして、今後、義務者から徴収するために最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
  142. 青山二三

    青山(二)分科員 最大限の努力をしていただきたいことは当然でございますけれども、このように倒産状態になっているということで、それは可能なのでしょうか。
  143. 柳本卓治

    ○柳本政務次官 最大限努力してまいりたいと思っております。
  144. 青山二三

    青山(二)分科員 では、よろしくお願いいたします。  私の認識では、有害廃棄物の輸出には、まず外為法に基づく承認、これは通産省でございますね、バーゼル条約対応する国内法に照らしての確認、これは環境庁でございますか、そして関税法に基づく許可などが必要であるということで、幾重にも輸出につきましてはハードルが設けられておりますが、今回の業者は、条約の対象外の再生用古紙として輸出申請し、この三つの関門をやすやすとくぐり抜けているわけでございますけれども、なぜこのように簡単にすり抜けることができたのでしょうか。  今回のように内容を偽れば、書類審査だけで見抜くのは難しいことは承知をいたしております。しかし、有害物質の届け出がなければチェックできないというのもおかしな話でございます。いわゆる悪徳業者がみずから申請するとはとても思われないわけでございます。  現行の制度では、バーゼル条約の対象となる貨物を輸出する事業者に通産大臣の承認の義務を課しているものと認識をしておりますけれども、この規制品目に該当するかどうかの判断は一体どのようにされているのでしょうか。
  145. 中島一郎

    ○中島政府参考人 お答え申し上げます。  特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律、いわゆるバーゼル法でございますが、そこに規定しております特定有害廃棄物等を輸出する場合は、今先生が御指摘のように、外国為替及び外国貿易法に定める輸出承認が必要となっております。  輸出しようとしている物品が特定有害廃棄物等に該当するのかどうかというのが輸出者において判断が難しい場合、通産省、環境庁、厚生省の三省庁はバーゼル法の運用の一環といたしまして相談というものを受け付けております。今回の案件につきましてはその相談がございまして、先方の説明、書類等によれば、フィリピン向けリサイクル用の原料である古紙及び廃プラスチックとのことでございました。この内容でございますれば、特定有害廃棄物には該当しないということを判断いたしまして、その旨回答いたしております。  しかしながら、これは、輸出承認を受けて判断をし、輸出承認をするあるいはそれを拒否するというものではございませんで、事前に輸出者がバーゼル法にこれは該当するものかどうか、承認を申請すべきものかどうかという判断ができないときに参ります事前の相談という性格のものでございます。  なお、本件フィリピン向けに違法輸出された貨物は、相談時の説明内容とは全く異なるものでございまして、特定有害廃棄物に該当するということは先生の御指摘のとおりでございます。
  146. 青山二三

    青山(二)分科員 輸出されるのが規制外の資源ごみで、本来は輸出できない廃棄物が紛れ込んでいないかどうかというチェックをする方法といたしましては、実際には関税法に基づく税関の検査だけという現状のようでございます。ですから、今回、税関で抜き打ち検査をするなど水際でのチェックができなかったのかどうかと思うわけでございます。  このような事件は、日本に対する不信感を強めまして、バーゼル条約の存在意義さえも損なうことになりかねません。  今回、通産省は、事実上不法輸出を書類上認めたとの批判を受けまして、文書が悪用される可能性もあるとして、この輸出確認の文書化を中止するなどという改善策をとった、そんな報道もございましたが、さらなる厳正な検査が望まれているわけでございます。  そこで、今回の事件を契機といたしまして、事件の再発防止のため、輸出のときのチェック強化など輸出手続を全面的に見直すべきであると考えますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  147. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 先生の御指摘のように、今、あの事件が起きましてから、どうしてこの事件が防げなかったのか、どうしたら防げるのかということにつきまして、関係省庁、特にバーゼル法の主務官庁でございます環境庁、厚生省、通産省、さらに外務省、大蔵省、警察庁及び運輸省、こうした関係七省庁におきまして再発防止策の検討を行っておるところでございます。  具体的中身につきましては、まだ検討中でございまして、近く結論が出るかと思っておりますけれども、考えておりますのは、一つには、国内における適正処理の推進の問題、二つ目には、輸出管理の強化の問題、三番目には、問題発生時における迅速な対応のための措置、こんな三本立てにいたしまして、個々の省庁が実施する対策のみならず、関係各省庁が連携して取り組むべき課題について整理を進めているところでございます。  しかし、こういった問題につきましては、ごみが出たらどう処理するかというような問題だけでなくて、やはり基本的な問題の解決にはごみを出さないということが大事なわけでございまして、循環型社会の構築に向けまして、廃棄物の減量あるいはリサイクルの推進あるいは廃棄物の不適正処理の防止など廃棄物・リサイクル対策の充実強化を進めるということが大事だというふうに考えておりまして、今国会におきましても、そういった面に関しまして、循環型社会基本法といった法律を今環境庁中心になってまとめているところでございまして、各省庁連携しながら対策を練っているところでございます。
  148. 青山二三

    青山(二)分科員 本当にこの問題は一つの省庁で解決できるという問題ではございませんので、連携を密にして、今大臣がおっしゃられましたように、対策をしていただきまして、二度とこんな不名誉な、また恥ずかしい事件が起こらないようにと心から切望する次第でございます。  問題の業者、ニッソーでございますけれども、この事件以外にも、茨城県あるいは長野県など国内のあちこちに産業廃棄物を不法投棄した疑いがございます。この業者は、九八年のあのダイオキシン規制強化に対しまして、焼却施設の改善ができずに、施設を廃止した後に不法投棄を拡大した、このように見られております。  こうしたことからわかりますように、ごみの規制強化で不法投棄がふえますと、さらに規制強化が後追いをするという悪循環、こういう循環の結果が今回の海外不法投棄にまで拡大していったと言える、このように考えるわけでございます。  現在の廃棄物処理法では、資格を持つ業者に処理を委託すれば、その後不法投棄がされても排出企業の責任を問えないものとなっておりまして、今回のごみの委託事業者がわかったとしても、この処分の責任は問われないわけです。ですから、処理業者は安い価格で請負競争に走り、また排出者は少しでも安い処理業者に、たとえ不法投棄をするようないい加減な処理業者であったとしても、委託してしまう、こういうことが起こるわけでございますね。  この悪循環を断ち切るためには、排出者は、処理業者に委託すればその後の法的な責任がなくなるのではなくて、排出者に処理を最後まで見届け、責任を負わせる以外にないのではないか、このように思うわけでございます。すなわち、排出者の責任を強化することがどうしても必要ではなかろうかと考えております。そうすれば、排出者はきちんと業者を選んで処理をする、こういうことになるのではないかと思うわけでございます。  排出事業者の責任を強めて、廃棄物の適正処理を確認する義務や、また不法投棄など、不正な処理の場合の原状回復にも排出事業者の責任を求めるべきであると考えておりますけれども、いかがでございましょうか。
  149. 西本至

    ○西本政府参考人 お答えをいたします。  悪質な不法投棄の増大によりまして、廃棄物の適正な処理に支障が生じておりまして、御指摘のとおりでございます。  今通常国会におきまして提出させていただく予定の廃棄物処理法の改正法案におきましては、排出事業者責任の徹底と、そのための規制を強化するということがこの主な内容でございます。  具体的に申し上げますと、第一点は、産業廃棄物管理票、マニフェストと呼んでおりますが、これを活用いたしまして、排出事業者が最後まで適正に産業廃棄物の処理が行われたことを確認する、これが第一点でございます。  第二点は、不法投棄等の原状回復を命ずる措置命令につきまして、投棄を行った実行者のみならず、不法投棄に関与した土地所有者やブローカーなども対象といたしますとともに、明らかにきちんと処理がされていないことを認識しながら排出事業者に委任した場合におきましては、その事業者に排出者責任を問うことができるようにすることなどを内容といたしておりまして、このようなことから、不法投棄等の不適正処理を防止することができるというふうに考えておるわけでございます。
  150. 青山二三

    青山(二)分科員 やはりこういうことをいたしますと、産業界からの反発もいろいろと出てくるかと思います。また、今までにも強かったのではないかと思いますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  151. 西本至

    ○西本政府参考人 確かに、御指摘のような向きがないとは申せませんが、最近はいろいろ産業廃棄物処理場をめぐる逼迫状況について、各方面での御理解が随分と進んでおりまして、我々も業界にも随分説明に参りまして、なるたけ御理解をいただくように努めておる次第でございます。
  152. 青山二三

    青山(二)分科員 今回のこの事件の中で、医療廃棄物が含まれていたということも大きな問題になっております。  医療廃棄物の中でも、感染の可能性を持った感染症廃棄物は、特別な管理、そして処分が義務づけられておりまして、一般の廃棄物の約十倍のコストがかかる、このように言われております。そのために、ダンピング受注が横行して、適正に処理されないまま捨てられている、こういう指摘もあるわけでございます。さらに、感染症の廃棄物を実際に扱える業者かどうか、病院関係者なども知らずに委託してしまう、こういうこともあるということが指摘をされているわけでございます。  厚生省は、感染症廃棄物を処理できる業者の実態を早急に調査をしていただきまして、公表をして、病院関係者が適正な業者を選べるような情報を公開すべきであると考えております。そして、業者の許可要件の厳正化とともに、指導監督の強化など、徹底して悪徳業者を排除すべきであると考えております。  それとともに、感染症廃棄物などの有害な産業廃棄物につきましては、事業者に申告の義務を負わせるということも必要ではなかろうかと思います。  医療廃棄物の適正処理のための方策について、厚生省のお考えをお伺いしたいと思います。
  153. 西本至

    ○西本政府参考人 御指摘のように、医療廃棄物の中には、感染性を有するものがございますために、その適正処理は厳しく確保されなければならないという認識を私どもも持っております。  平成三年の廃棄物処理法改正の際にも、既に感染のおそれのある医療廃棄物を特別管理廃棄物として位置づけまして、特別な管理のもとで処理を義務づけてまいったところでございます。また、感染性廃棄物処理マニュアルを作成いたしまして、病院などの排出事業者や処理業者に対して周知を図るなど、その適正処理に努めているところでございます。  今後とも、このような施策の充実を図ることによりまして、医療廃棄物の適正処理の推進に努めてまいりたいと考えておりますが、先ほど申し上げましたように、今国会に、排出事業者責任の徹底などを含めた不適正処理対策等を内容とする廃棄物処理法等の改正法案を提出することといたしております。これによりましても、医療廃棄物を含む産業廃棄物全般の適正処理のより一層の確保に努めてまいりたいと考えております。
  154. 青山二三

    青山(二)分科員 通告はしておりませんでしたけれども、今回の廃棄物の中に医療廃棄物がまじっていた、これはどういうことが原因だとお考えになっておられるのでしょうか。
  155. 西本至

    ○西本政府参考人 その件につきましては、警察当局もかなり調査をされたようでございますし、また現実にごみの中から一部の医療機関のカルテ等のようなものも出てまいったということもございますけれども、それ以上の詳しいことについては、現実では把握していないという状況でございます。
  156. 青山二三

    青山(二)分科員 この問題は、本当に大変な問題でございまして、腹を据えて各省庁が取り組まなければならない問題だということが、今御答弁を聞いておりましてもわかるような次第でございます。  それで、最後になりますけれども、廃棄物規制につきまして、二〇〇一年から環境省が担当することになりまして、環境行政を抜本的に転換することが期待をされております。ですから、大臣の責任も今以上に重くなってまいりますけれども、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄という産業構造を変えること、また、ごみの焼却、埋め立てという廃棄物行政を大きく転換していくことが重要であると考えております。  我が党は、ごみゼロ社会の実現を目指しまして、循環型社会への道を切り開く循環型社会推進のための法整備を提唱するなど、積極的に取り組んでまいりました。そして、我が党の主張が実を結びまして、与党三党の連立政権合意におきましても、二〇〇〇年度を循環型社会元年と位置づけることになったわけでございます。  循環型社会への流れはもう時代の要請でございまして、循環型社会元年こそ政治主導による本格的なごみ、環境対策をスタートさせる絶好のチャンスであると思います。循環型社会基本法の提出も予定されておりますが、循環型社会の実現に向けて、大臣の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  157. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 先生の御指摘のように、御党におきましても、大変この問題について御関心が高く、今与党三党におきまして、この法案を着実なものにしようということで準備が進められているところでございます。  御指摘のように、今までのように、たくさんのごみをつくって、そして資源をむだにしていたこの生活の仕方、経済社会のあり方を大きく転換しなければならないという意識が非常に盛り上がってきているところでございまして、製造から流通、消費、廃棄に至るまでの過程で、物質の効率的な利用、あるいはリサイクルを進め、途切れのない物質循環の輪を構築することがどうしても必要ではないかという意識を持っております。  このため、政府といたしまして、廃棄物・リサイクル対策につきましての施策の総合的、計画的な推進の基盤を確立するために、今、環境庁中心になりまして、循環型社会の構築に関する基本的枠組みとなる法案を今国会に提出すべく準備を進めているところでございまして、与党三党ともよく十分御意見をすり合わせながら法案をつくりたいと思っているわけでございます。  当然、この法案は、あくまでもこの基本的枠組みとなる法案でございますので、先ほど厚生省からもございましたけれども、各省庁でつくられる、あるいは検討されております廃棄物・リサイクル関係の法案と一体化して整備するということが大事なことでございまして、そういうことによりまして、循環型社会の構築に向けた取り組みを実効あるものにしたい、こんなふうに考えているところでございます。よろしくお願いいたします。
  158. 青山二三

    青山(二)分科員 長官におかれましては、唯一の女性大臣でございますので、私どもも一生懸命後押しをしてまいりますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。  大変ありがとうございました。
  159. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 これにて青山二三君の質疑は終了いたしました。  次に、平賀高成君。
  160. 平賀高成

    平賀分科員 日本共産党の平賀高成でございます。  私は比例の東海ブロック選出の議員でありますので、今の東海地方には、岐阜県の徳山ダムだとか愛知県の愛知万博とか静岡県の静岡空港というように、本当に大きな公共事業がメジロ押しになっております。ところが、こうした大規模な公共事業を進めるに当たりまして、絶滅危惧種になっていますオオタカが発見されているにもかかわらず、十分なアセスメントや、またその保護対策が行われていない、そういう実態にあることは、私は大変重大だと思います。  特に、静岡空港の建設予定地には、絶滅危惧種のオオタカを初めとして、貴重な植生でありますタコノアシなどが生息しているにもかかわらず、静岡県は、二月二十二日の早朝七時過ぎから、突如約百四十名の職員や作業員を動員しまして抜き打ち的に、しかもオオタカの営巣木から伐採をするというとんでもない暴挙を行いました。こんなやり方はかつてなかった異常な事態であります。  静岡県は、新幹線や東名高速、こういうものがありますから、なぜこの静岡県に空港建設が必要なのか、また、そのために貴重な自然環境を壊すのか、こういう怒りが急速に今広がりつつあるわけです。  私は、きょう長官に見ていただくために写真を持ってきました。これがオオタカの営巣木です。巣が乗っている写真です。これがその写真です。  それから、今現地はどういう状況かといいますと、これが、山が削られてどんどん造成されていく写真です。  私は、静岡空港の建設に当たって、オオタカの保護のあり方についてきょうは質問したいと思います。  最初にまず、私たちの生活とのかかわりの中で、オオタカの保護や、これを守っていく重要性、位置づけについて種の保存法ではどういうふうにそれが位置づけられているのか、このことを伺いたいと思います。  長官に。
  161. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 先生御指摘のように、オオタカは、絶滅のおそれのある野生生物保護を進めるための科学的基礎資料でありますレッドリストにおいて、絶滅危惧2種に位置づけられております。そして、種の保存法におきましても国内希少野生動植物種に指定されているところでございます。  したがいまして、環境庁といたしましても、オオタカは特に保護の配慮が必要な種というふうに認識しているところでございます。
  162. 平賀高成

    平賀分科員 法律に基づいてしっかり保護されるべき動物だ、そういうふうに答弁があったと思います。  それで、今オオタカが多くいるところ、人里に比較的近い場所を営巣地域にしてオオタカがいるわけですね、それを保護する場合、各地でいろいろな公共事業と衝突をするといいますか、そういう状況にあります。そういうケースは全国で五十四カ所にも上る、こういう新聞報道もあるわけです。  それで、これまでオオタカが発見されてその生育が確認された場合、具体的にどういうふうな保護対策が講じられてきたのかという点についていいますと、例えば、常磐新線の建設に伴って、オオタカが生育している流山市の市野谷の森を保護目的で県立都市公園とする整備計画が策定されるとか、それから中部国際空港の土砂取りの対象となっていた南知多町、ここではオオタカの営巣が確認されたら事実上土砂取りを中止する、こういうふうな状況全国の実態だと思います。そういう形でオオタカの保護が具体的に進められてきたと思います。  そこで、長官に伺うわけですが、オオタカ保護のガイドラインがあります。このガイドラインの中で営巣中心域はどういうふうに書いてあるかといいますと、これは、営巣木及び古巣周辺で営巣に適した林相を持つ一まとめの区域、給餌物の解体場所、ねぐら、監視のためのとまり場所、巣外育雛期に幼鳥が利用する場所を含む、広義の営巣地として一体的に取り扱われるべき区域だ、そういう重要なところだということが書いてあります。そして、生育地域で最も重要な区域が、今書いてあったように営巣中心域だと。  その営巣中心域の中にあるのが営巣木だと私は認識しているわけですが、この認識で間違いありませんね。
  163. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 そのとおりでございます。
  164. 平賀高成

    平賀分科員 それで、実際にそういうふうな営巣木を守ることがやはり大変重要な問題だということなんですが、それにもかかわらず、静岡県の空港建設の問題では、先ほどお話ししましたように、二月二十二日の早朝七時過ぎから一気に百四十名も職員や作業員を動員して、しかもオオタカが巣をつくった営巣木から最初に切っていく、これで二ヘクタールの森林が伐採されました。  そもそもこういう営巣木を切るということは、種の保存法が制定されて以後初めての事例だと私は思いますが、この点についてはどうでしょうか。
  165. 松本省藏

    ○松本政府参考人 いろいろな地域開発行為とオオタカなどの猛禽類の保護をめぐる問題が起きているのは御指摘のとおりでございますが、私ども環境庁において承知している範囲内では、オオタカの保護課題となっているこのようなケースで営巣木を伐採した例は把握しておりません。
  166. 平賀高成

    平賀分科員 やはりこの問題でも、営巣木を切ったというのは多分環境庁もつかんでおられないぐらい初めての事態だと私は思います。  このような、営巣木を伐採するというとんでもない暴挙は、開発を優先させていく静岡県の特有な姿勢だと私は思うのです。  このような暴挙が行われた背景には、環境庁の指導によって静岡県では静岡空港オオタカ保護対策検討委員会が設置をされまして、これは九六年に設置をされておりますけれども、そこのところが検討をやって、そして広域保護だという提案がされて、その中で起こっていった事態なんですね。  私は、この広域保護論でオオタカが保護されるというのも種の保存法が制定されて初めてのことだと思うのです。こういうふうな事態が起きていった原因は、やはり何といっても静岡県の環境影響調査が非常にずさんなものであったということが原因だと私は思っているわけです。  ここでちょっと資料を長官にお渡ししたいのですが、委員長、いいですか。
  167. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 どうぞ。
  168. 平賀高成

    平賀分科員 そこで、静岡空港の建設計画というのは、一九八七年に静岡県空港建設検討専門委員会の審議結果を受けて、島田市の榛原地区に建設地が決定されまして、一九八九年に空港の位置と規模を示した静岡空港基本計画案が発表されました。同時に、静岡県の方は、それに先駆けまして一九八八年の十一月から九四年の六月まで、民間の調査機関に委託をしまして鳥類の調査を行ってきたわけです。  しかし、この五年半にわたる調査で大問題なのは、今長官のところにもお渡ししましたね、空港の本体がつくられるIという地域があるんですけれども、このIという地域は一貫して繁殖調査が行われてこなかったことなんです。  そのために、九五年の一月に静岡県が発表した静岡空港整備に係る環境影響評価書、これではどういうふうな評価になっているかといいますと、繁殖期の確認地点は地形改変区域外の南西部に集中しており、営巣地も地形改変区域外で確認されました、このことから、オオタカへの影響としては、越冬時の採餌環境の減少が考えられますが、次の保全対策の実施により、オオタカのえさとなる小型から中型の鳥類や小型哺乳類、爬虫類等の生息環境の代償、保全を図りますと。  ですから、繁殖期に確認されたところが、空港本体の地域以外のところでそれが確認され、営巣地も空港本体以外のところにあったんだ、だから冬のえさの問題などで代償措置をとればいいんだ、そういうふうな趣旨の環境影響評価書が出ているわけです。  要は、静岡県のその環境影響評価というのは、一つは、今お話ししたように、本体以外のところで見つかったし、営巣地があったんだと。同時に、本体部分について営巣地があるかどうかについては一切言及はないのです。ですから、静岡県がつくったこの環境影響評価書というのは、まさに空港本体の部分の繁殖調査をやっていないものだということになるわけですが、これで間違いありませんね、長官。
  169. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 今先生の御指摘のように、静岡県が環境影響評価のための調査として、六十三年から平成六年にかけて空港予定地周辺で鳥類全般の調査をしている、そのときの調査では、空港予定地内ではオオタカの営巣が確認されなかったということでございまして、しかし隣接区域でその営巣が確認されていることから、この影響評価におきましては知事の意見がつけられました。  知事の意見というのは、計画地に隣接する区域にオオタカの営巣が確認されていることから今後とも継続的な調査を実施することという意見が出されて、それが一つの契機になって、また、アセスの手続終了後も事業者が平成七年から八年にかけてさらに追加調査をやった、そしてその結果、空港予定地の中でオオタカの営巣が発見されたというふうに聞いております。  以上の経過を見ましても、県としてはかなり長い間調査を実施しているわけですよね。そして確かに、先生御指摘のように、その調査の精度が十分であったかどうかという議論はあるにいたしましても、一概にこの県の調査が不十分とは言い切れないのではないかというふうに理解しております。
  170. 平賀高成

    平賀分科員 今、いろいろ調査もやってきたし、それから、その中で発見もされているというふうな答弁があったと思いますが、そこで、長官に渡した二枚目の資料を見ていただきたいと思います。  これは昨年の十二月に環境庁の指導によってつくられた、オオタカの保護対策検討委員会が出した最終的な提言です。その歴史的な経過に基づいてどういう調査をやってきたのかということが一覧表になって出ているわけです。  これを見ていただきますと、今ちゃんと調査をやってきたんだと言うのですが、このIという地域が一番上に載っています。ところが、全部棒線が引いてありますよね。棒線は何かといいますと、その欄外のところを見ますと、棒線というのは「調査実施せず。」というふうな資料が出ておりますでしょう。長官、ごらんになっておりますか。  ですから、肝心かなめの、空港本体ができる、そこのところの繁殖調査というのは、その調査結果を見ましても、調査をやっていないんですというふうに書いてあるわけですから、県の方はそういうふうなずさんな環境アセスメントをやってきたというのは明白じゃないでしょうか。
  171. 松本省藏

    ○松本政府参考人 先生今御指摘ありましたように、オオタカの繁殖状況そのものに着目しての調査は、確かに、その時点で環境影響評価の中としてやっておられなかったということは事実だろうと思います。ただ、大臣が答弁いたしましたように、全般的な調査をやり、それから環境影響評価の結果を踏まえてさらに継続的な調査をやった結果、オオタカの営巣地が空港の地域の中でも見つかってきた、こういうことであります。  それで、どの程度が望ましい調査かということになるのかと思いますけれども、大臣申しましたように、こういう数次にわたる県の調査を一概に不十分という判断はできないと思いますけれども、一般論として申しますと、計画の早い段階から、できるだけ広い範囲で繁殖の有無を含めたオオタカの生息状況を把握していくことが望ましいということは確かだろうと思います。  ただ、今回の静岡空港の件につきましては、そのスタート時点から、御承知のとおり、現在の環境アセスメント法によります環境庁の関与という機会が基本的にないというような形であったわけでございまして、そのアセスメントの事前調査の段階から積極的に環境庁が関与するというわけにもいかなかったという事情もあったわけでございます。
  172. 平賀高成

    平賀分科員 この問題では、私は、一般的にどの程度まで調査をやる必要があるのかという議論は確かにあるかと思いますよ。しかし、実際に空港本体ができる部分のここのところは、例えば仮にその周辺でオオタカが見つかったにしても、つくるところですから、一番中心的な部分ですから、一般的な調査などということではなくて、十分な調査をやって、例えば空港本体部分の上空で、しかも繁殖時に飛翔などが確認されていない場合についても、その一番中心的な部分についてはちゃんと繁殖調査をやるべきだというぐらいは思いませんか、静岡県の調査結果を見て。  長官、いかがでしょうか。今局長がいろいろ答弁されておりましたけれども、少なくとも空港をつくる一番中心的な部分の繁殖調査ぐらいはやるべきだとは。幾らその資料を見ても、全部、実施せずということになっているわけですから。その点、どうでしょうか。
  173. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 先生の御指摘でございますけれども、今局長が申しましたように、恐らく、今新しい形でこの空港が出てくればかなり広範な調査が行われたかもしれませんけれども、この時点では、県が責任を持って、事業者が責任を持って調査をされたということでございまして、そのときにはとにかく見つからなかったという御報告をいただいているわけでございます。  しかし、その後におきまして、環境庁が関与できましたのが平成八年の八月、これは空港設置法がいよいよ出てくるということで、そこの施行令を改正するときに、環境庁もそれなりの意見を申し上げて、オオタカ等につきましての生息状況調査を実施して、専門家の方々、学識経験者あるいは行政機関の方々、十分協議の上、十分に対応できるようにということを申し上げたところでございます。
  174. 平賀高成

    平賀分科員 見つからなかったと言いますけれども、事実は、その報告書にあるとおり、繁殖調査をやらなかったというのが実態なんです。  それで、空港建設予定地でこのオオタカの営巣が確認されたのが九六年だというのも、それに書いてあると思います。確認したのは静岡県のオオタカ研究員からの聞き取りで、県が確認したものではありませんけれども、いるということがわかりました。翌年の九七年に、検討委員会は、オオタカがふ化した後、消失とその資料に書いてありますよね。九八年、九九年には営巣行動なしとしているわけです。  私は、こういうふうな事態になったのは理由があると思うのです。これは、今までいなかった、どんどんいろいろな調査をやってきた、それで発見されたけれども、その後ひなが消失して、九八年、九九年はいないということになっていくわけですけれども、オオタカ保護のガイドラインで、オオタカは具体的にどういうふうな特性を持っているのかということを見ますと、「この区域においては、住宅、工場、鉄塔などの建造物、リゾート施設および道路の建設、森林開発は避ける必要がある。また営巣期(二月から七月)における人の立ち入りについては、オオタカの生育に支障をきたす恐れがある」、いろいろな問題に対してそれぐらい敏感な鳥類だというふうに書いてあるわけですね。  長官に渡した資料の中にもこれは載っているかと思いますが、こうしたガイドラインから、九八年、九九年には営巣行動なしだということになっていますが、九六年に空港設置許可及び空港整備法に基づく政令告示がなされる以前から、空港予定地域調査の立ち入りがなされているわけです。静岡県の開港までの工程によると、この図面がありまして、それに、そういうふうな調査活動をやる、ボーリング調査などもやるということが出ているわけです。そして、九五年の十二月に運輸省に静岡県が設置申請を出すわけですけれども、その直後からそういう調査が行われているわけです。  結局、そういう調査によって営巣が放棄をされていくということになっていったのではないのか、そういう環境をつくってしまったのではないのかというふうに私は今思うのですが、この点についてどうでしょうか。
  175. 松本省藏

    ○松本政府参考人 今御指摘の工事については、当該営巣地そのもののある谷のところには入っていなかったというのが事実であろうかと思います。  いずれにしろ、先生のおっしゃられるのがその原因だったのかどうか、実は私どもも定かでない、こういうことではないかと思います。
  176. 平賀高成

    平賀分科員 私は、いろいろな全国調査現状からいいましても、やはり音の問題とか立入調査の問題とか、そういう問題が大きく影響していると思います。もともとこれは、本体の部分の中でも営巣などが現に行われていて、それが、言ってみればまともな調査もやられないままいろいろな調査が始まって、それでオオタカが営巣を放棄するということになっていったということを言われても仕方がないのではないかというふうに私は思うのです。幾ら違うというふうに言われましても、いろいろな経過からいっても、そういう可能性が極めて高いと私は思わざるを得ないわけです。  それで、このような疑いが残る調査を前提にして環境影響評価の結果や検討委員会報告が行われることになったのは、先ほど局長が、いろいろな環境庁の責任についてはなかなか、ないと言われる趣旨の答弁がありましたけれども、私は環境庁の責任は非常に重大だと思います。  環境庁は、少なくともこの静岡県の環境影響評価などについて二回発言するチャンスがあったと私は思うのです。  一つは、九五年の十二月十九日に静岡県が空港建設の申請を運輸省に出した時点です。このときに県が提出している環境影響評価は、これは先ほど来問題になっている空港本体の部分の繁殖調査がない、そういう環境影響評価書が出されているわけですよ。  先ほど局長は、これに対してコメントする法制度上の根拠がないんだということを言われました。私もいろいろ説明を受ける中で、確かに環境庁がみずから言葉を言うということじゃなくて、運輸省や県などからその見解を求められたら、どうなんですかと環境庁に求められた場合について環境庁は言うことができるけれども、環境庁がみずから進んで言う、そういう仕組みにはないんだというふうなことを伺いました。けれども、たとえそういうふうな制度上の問題があったにしても、少なくとも、空港本体がつくられる、そこの肝心かなめの部分の繁殖調査がやられないままの環境影響評価書が出てきて、これに対して環境庁が資料をもらっても何も物を言わないというのは、私は大問題だと思うのです。この点についての反省の弁はどうでしょうか。
  177. 松本省藏

    ○松本政府参考人 重ねての話になるかもしれませんけれども、先生おっしゃいますように、当時の閣議アセスによりますれば、このケースでいきますと運輸省、運輸大臣の方から環境庁意見を求めた場合には、環境庁がそれに対して環境庁としての意見を述べられるという形になっているわけでございます。  それで、今回の静岡空港の場合には、運輸省はその必要がないと判断をいたしまして環境庁意見を求めなかったということだったわけでございまして、それは、まずそういう当時の制度の仕組みからしてなかなか限界があったということは、御理解いただきたいと思います。
  178. 平賀高成

    平賀分科員 当時の制度の仕組みからいいましても限界があると言われますけれども、少なくとも、そういう不十分な環境影響評価書が環境庁にも行っているわけですね。それを見て何も意見を言わないというのは、私は、本当にその点では環境庁の責任が問われる問題だと言わざるを得ません。  それから、環境庁意見を言うもう一つのチャンスというのは、実際に空港整備法に基づいて運輸省と環境庁協議をやりますね、その九六年八月十二日の時点のことになるわけなんですが、このときに環境庁がちゃんと発言をしていると思いますが、この点については具体的にどういう対応をされたのでしょうか。
  179. 松本省藏

    ○松本政府参考人 具体的に、平成八年八月の段階でありますけれども、静岡空港の設置許可が正式に出されまして、それを受けた形で空港整備法の施行令、政令でございますけれども、これの改正を運輸省が予定いたしまして、政令でございますから閣議で決定をするということになる。したがって、そこで環境庁も当然、内閣の一員ということで正式の協議を受けたということであります。  そこで、環境庁の方としましては、要約で申しますと、事業の実施に当たっては、事前に生息状況調査を実施し、学識経験者及び関係行政機関と協議の上、適切な保全対策を講じるよう事業者を指導する、これは運輸省に対してでございますけれども、事業者というのは静岡県でございます、事業者を指導すること、こういうことを意見として申し上げたということでございます。
  180. 平賀高成

    平賀分科員 そういうふうな意見をつけた。専門家の意見を聞きなさい、そういうふうな意見をつけたということなんですが、しかし、私は、そういう学識経験者及び関係行政機関などに白紙委任をするものじゃないのかという疑問を持たざるを得ないのです。  それで、九六年のオオタカが発見された時点で、みずから保護対策の検討委員会をつくりなさい、具体的なその対策を講じなさいということを指導してきたわけでしょう。それに基づいて昨年の十二月に具体的な提言ということで、広域保護だ、たとえ空港本体の中の営巣木を切っても、その周辺で守られたらそれでいいんだという、言ってみれば、今まで環境庁がやってきたこととも明確に食い違うようなそういう提言を出したわけですね。  本当にこれで環境庁の責任が果たせるのかどうなのか。是正問題も含めて、私は環境庁長官に、具体的にこの対策をどう講じるのか伺いたいと思います。
  181. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 先生ずっと御指摘でございますけれども、今局長が答弁しましたように、環境庁意見が出されましてから早速に、次の月には静岡空港のオオタカ保護対策検討委員会が設置されて、そして先生の御指摘のように、昨年、その提言書が出されたわけでございます。  確かに先生おっしゃるように、「猛禽類保護の進め方」にありますように、まず、営巣木を中心として、重要な地域では直接改変はしないということが原則でございます。当然のことでございます。御参考に申しますれば「猛禽類保護の進め方」というガイドラインも、平成八年八月にできたものでございますけれども、基本はそんな考え方です。  しかし、一方におきまして、既にもう事業が進行しており、そして立地の変更が不可能である、困難であるというような場合に、真にやむを得ないと判断される事情がある場合におきまして、オオタカ保護対策検討会が一つの提案をしたわけでございますけれども、こうした広域的な観点から地域全体のオオタカの保護を確保しようという、代償措置のような考え方も一つの方策としてあり得るというふうに考えているところでございます。
  182. 平賀高成

    平賀分科員 だとするのでしたら、もう事業が進んでしまっているというのでしたら、集約が上がってきた時点でなぜ環境庁として意見を言わなかったのかという私の指摘のとおりのことが、現に起こっているじゃありませんか。ですから、そういう意味で、環境庁には二つ発言の機会があったけれども、きちっとみずからの責任を果たしてこなかった結果がこういうふうな事態を招いているのだということを、私はしっかり自覚をしてもらいたいと思いますし、みずからの責任を果たしてもらいたいということを強く申し上げておきたいと思います。  静岡県の方は、空港本体の部分の繁殖調査を一切やらないできて、それで空港設置の申請を出して、営巣木の伐採を強行していったのです。そういうことを片方でやりながら、空港設置の土地の買収については、確実にやれるんだと言いながらいまだにちゃんとできていないわけですよ。まさに静岡空港建設ありきのこういう態度に、本当に怒りを持って私は糾弾をしたいと思います。  特に、事態の経過からいいましても、本当に環境庁の負っている責任は大きいわけですから、ぜひこういう広域保護だなどというやり方をやらせないように明確な指導を要求して、私は質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  183. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 これにて平賀高成君の質疑は終了いたしました。  次に、知久馬二三子君。
  184. 知久馬二三子

    ○知久馬分科員 社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。よろしくお願いいたします。  私は、大久野島の毒ガス兵器、遺棄化学兵器の問題についてお伺いしたいと思います。  御案内のように、この大久野島というのは瀬戸内海国立公園のほぼ中央、広島県竹原市忠海町の南方約三キロの沖合に位置する、周囲が四キロの島でございます。島全体が瀬戸内海国立公園の第二種特別地域及び大久野島集団施設地区に指定され、家族連れや修学旅行などが利用する健全なレクリエーションの地でもあり、また旧軍の施設を活用した平和学習の場ともなっております。  私も今回、この問題の調査のために、昨年の十一月二十二日に現地を視察してまいりました。この大久野島というのは、海に囲まれた、風光明媚で国民休暇村として本当にすばらしい島でありますし、環境でもあります。  しかしながら、この美しい島は、二十世紀の負の遺産を人類に対する戒めとして語り継ぐ場所でもあると思うのでございます。大久野島砲台が一九〇一年に設置され、軍事基地となり、その後、毒ガス工場、そして米軍の弾薬庫としてその役目を担わされてきました。この島は、日本の地図からも抹消された島でございます。また、国民休暇村になったのは一九六三年のことです。そして、戦後、この島には、六十五万発の化学兵器が島内に埋設処分されたとされています。  昨年の十二月七日に、私は、市民団体である毒ガス島研究所の皆さんと一緒に環境庁に要請に参りました。それは、九六年の七月に、環境庁が大久野島全域で実施された砒素による環境汚染調査の公表とそれに続く土壌汚染対策で、事実上の安全宣言が出されたにもかかわらず、汚染土壌撤去工事に伴って、次々と砒素が残留する遺棄化学兵器が見つかり、住民の皆さんが極めて不安に陥れられているのでございます。  私どもは、島内の砒素汚染の再調査と、捨てられた兵器の徹底確認、化学兵器処理に関する資料の公開、島内に残る化学兵器の完全廃棄と汚染物質の除去を申し入れました。  そのとき担当された国立公園課の方からの回答は、遺棄兵器の所在確認や廃棄については、戦後の連合軍の指揮による処理は適切だった、埋設物を掘り返すとかえって危険になりかねない、土壌汚染の再調査も、土地の改変する機会をとらえながら調査していくというものでございました。  そこで、環境庁の長官にお尋ねいたしますけれども、長官はこの大久野島の問題についてどのような御認識をお持ちでしょうか、お伺いしたいと思います。
  185. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 環境庁といたしまして、瀬戸内海国立公園にあります旧陸軍の毒ガス工場が存在しておりました大久野島、その土地の管理者として、従来から国立公園の利用者の安全の確保に万全を期してきたところでございます。  平成七年に毒ガス製造に由来いたします土壌汚染が環境庁調査により明らかになったのは、先生御指摘のとおりでございます。そのため、専門家から成ります検討会の中間報告に沿いまして、砒素による汚染程度の高い地域についての汚染土壌を掘削しまして、そして島外の専門工場におきまして洗浄処理をする抜本的な対策工事を、平成十年の九月から開始いたしまして、十一年の六月に完了したところでございます。  さらに、今後、同検討会の最終報告に沿いまして、その他の砒素汚染土壌等対策を実施するとともに、定期的な水質のモニタリングを実施することにしております。  このような対策を講ずることよりまして、今後とも国立公園の利用者の安全の確保に努めていきたいというふうに考えております。
  186. 知久馬二三子

    ○知久馬分科員 昨年の十一月に、大久野島土壌等汚染対策検討会が処理対策について報告書を出されました。汚染地域調査をされ、土壌対策、水質対策を続けておられることはよくわかります。その中の記述に、「島内全域が国立公園に指定されていることから、自然の保護を最優先して自然破壊を伴う大規模な地形改変は極力避けるべきであることなど、大久野島としての特殊性を踏まえ検討を行った」とあります。これは、全面調査をしないという言いわけのようにも私には聞こえるわけなんですが、いかがでしょうか。  そして、地域住民の方々の不安を解消するために全面的な再調査を行うお気持ちはないかどうかということも、お伺いしておきたいと思います。  私が市民団体の方々と話をしていますと、環境庁調査をしているけれども、そもそも調査地点が根本的に間違っているのではないかということをよく言われます。仮に全面調査が無理であっても、もっと当時の毒ガス処理の関係者の話をよくお聞きになり、目撃された住民の方の証言をよく聞いていただいて調査地点を定めるなど、努力されるべきだと思うのです。  さっきも言いましたけれども、地域の住民の方々の声が、非常に調査の的が外れたところの調査じゃないかということを言われますので、その点についてどのように考えておられますか、お聞きしたいと思います。
  187. 松本省藏

    ○松本政府参考人 環境庁といたしましては、大久野島島内の汚染状況の概況を把握するために、いわゆる赤筒と申しますが、赤筒が埋設されている可能性のある横穴ごう周辺、それから、当時の毒ガス製造施設の配置状況を推察いたしまして、大久野島島内に十の区域を設定いたしまして、それぞれの主要地点などについて、平成七年に概況調査をやっております。  それから、その概況調査の結果を踏まえまして、さらに土壌処理対策を行うために必要な詳細調査、そしてその補完調査を、平成八年から平成十年にかけて実施しているわけでございます。  それで、その調査地点などについても、住民の意見もよく聞きながら設定していくべきではないかという御指摘もございましたけれども、今申しましたような土壌調査の検討に当たりましては、毒ガス製造に従事された方々の書物、例えば大久野島毒ガス資料館が発行いたしております「戦争と平和の島」という本、資料がございますが、ここに掲載されている毒ガス製造当時の大久野島、この施設配置なども十分に参考にさせていただいた上で、調査地点を設定しているわけでございます。  こういうことから、環境庁といたしましては、これまでの数次にわたる調査結果から、島内の汚染状況は十分把握できているのではないかと考えているわけでございます。
  188. 知久馬二三子

    ○知久馬分科員 今、十の区域を設定されて調査したということですけれども、今聞きますと、資料等を見ながらしたということでしたけれども、実際に地元の方々の声というか、地元の方々に案内してもらうとかという現場の調査はなされなかったわけなんでしょうか。その十区の地域、そこに当たられた経過ですけれども。
  189. 松本省藏

    ○松本政府参考人 客観的なデータとして、先ほど申しましたような毒ガス製造に従事された方々の書物などを参考にさせていただきましたけれども、住民の方から直接にお話を聞いたということはありません。
  190. 知久馬二三子

    ○知久馬分科員 やはりそこに住む方のしっかりした証言なんかを聞かれるべきだと思います。  昨年の三月に見つかった九個の、さっき赤筒と言われたのですけれども、これは地元の方は大赤筒ということで言っておられます、私も専門的なことはわかりませんけれども。  環境庁から外務省に問い合わせされたところ、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約観点から資料の提出を求められており、現在その準備作業をされていると聞いております。  化学兵器禁止条約国際機関に届けるかどうかの判断は、いつごろどこでされるのか、その点を明らかにしていただけないでしょうか。
  191. 松本省藏

    ○松本政府参考人 大久野島の土壌汚染問題、先ほどいろいろと御指摘のあった問題とはまた別に、新たに昨年の三月に、大赤筒、これが九個ほど発見をされ、現在、環境庁の現地の事務所が保管をしているという状況にございます。  この大久野島で発見されました大赤筒につきましては、化学兵器禁止機関、OPCWと申しますけれども、ここへ届け出が必要かどうかの判断をする必要があり、該当しますと、そのルールにのっとって処理をするということが必要になってくるわけであります。最終的な判断は外務省にお願いをすることになっているわけでございますが、外務省の方から私ども環境庁に対して、いろいろなデータといいますか、状況など、資料請求が参っておるのが現状であります。  私ども、現在外務省から求められております資料の収集、調査をしているところでありまして、それをできるだけ早くまとめて外務省の方に報告をし、外務省はそれを受けて、その資料に基づいて、外務省みずから九つの大赤筒について現物の確認をするという手順を踏むことになろうかと思います。その確認を行った上で、化学兵器の禁止条約に該当するか否かの判断がなされるものと承知しております。
  192. 知久馬二三子

    ○知久馬分科員 大変難しいことだろうとは思いますけれども、よろしくお願いしたいなと思います。  昨年の七月からですけれども、大久野島の砒素汚染土壌の洗浄処理が秋田県の大館市の花岡鉱業で行われたようですが、その特徴や経過について少しお聞かせいただきたいと思います。  私の聞くところによりますと、砒素だけでなく鉛が回収されているようです。また、大館市民の中には、地元住民に対する説明不足や、一度許可したから他の地域からなし崩し的にいろいろなものが持ち込まれてくるのじゃないかということで、汚染土の搬入に随分反対があったということを聞いておりますけれども、その辺はどのようなことだったでしょうか、お聞かせください。
  193. 松本省藏

    ○松本政府参考人 秋田県の大館市の花岡鉱業松峰選鉱場というところで汚染土壌の洗浄事業を行ってもらったわけでございますけれども、それは、鉱山選鉱技術という技術を応用いたしまして、重金属で汚染された土壌を浄化土壌、きれいな土と、重金属を濃縮した土壌に分離をしていく、こういう技術でございます。  そして、浄化された土壌は、きれいなものですから、大久野島に持って帰って使うということでありますが、重金属を濃縮した土壌につきましては、今先生お話がありましたけれども、鉛などが入っておるということでありまして、鉛のリサイクルのための製錬の原料として利用をしたということでございます。  なぜ鉛が入っているかというのは、どうも毒ガスをつくるときに、こういう化学物質でございますから、一般の金属ですと腐食をしやすいということで陶器を使う、その陶器の内側の方に鉛を張りつけてやっている、こういうことのようでありまして、それが出てきたのではないかということであります。  そして、住民の方々の心配ということでございますが、この大館市内の汚染土壌浄化事業に当たりましては、大館市の環境保全条例に基づく手続によりまして、あらかじめ大館市長と協議をし、御同意を得た上で実施をしたところでございます。  なお、花岡鉱業松峰選鉱場へは約六千五百トンの汚染土壌を搬入して処理をしたわけでございますけれども、処理の結果として、セメントの副原料、それから再利用土壌、そして先ほどの鉛などのケースでございますが、製錬原料、こういうようなものに分けて持ち出した、こういうことでございます。
  194. 知久馬二三子

    ○知久馬分科員 いずれにいたしましても、大久野島の周辺住民の遺棄化学兵器に対する不安はまだ解消されていないと思うのです。環境庁としての、この問題の解決に向けて、今後とも私どもの話をよく聞いていただきたいと思います。この件につきましては、一応終わらせていただきます。ありがとうございました。  続きましては、法務省の関係で少しお伺いしたいと思います。  CIQ、税関、出入国管理、検疫などの業務の充実改善についてお伺いいたしたいと思います。  私の地元、鳥取県では、環日本海、東海国際交流を進めるために、米子空港のソウル便の開設を目指している一方、一昨年秋には、隣の島根県や岡山、香川、高知の各県とともに、鳥取県西部地区を中心に、運輸省から国際観光テーマ地区に指定され、外国人観光客を誘致するために広域的な観光ルートの形成を進めておるところでございます。  そこで、今回問題になっておりますのが、CIQ業務ができないために、外国からの観光客の誘致が進められないという問題があるのでございます。  鳥取県内では、現在、貿易港で輸入促進地域にもなっている境港に、CIQ業務にかかわる法務、大蔵、厚生省などの出先機関があるだけです。出入国ができるよう指定されていない鳥取空港、米子空港では、チャーター便が就航する場合には、旅行業者などの要請によって、各機関が個別に係官を派遣して対応しているというような現状でございます。  広島入国管理局境港出張所には、人員がわずか二名配置されております。日本人の出入国の場合とは違い、外国人の入国については特に慎重な対応が求められているために、県内からのチャーター便の出発については協力してきたが、人員や設備、手続などを考えれば、県内の空港での外国人の入国管理業務は難しいのが実情だと言われております。  昨年、十二月十五日から二泊三日の日程で韓国から約百三十人の団体客を鳥取市に誘致した旅行業者が、当初、鳥取空港へのチャーター便での入国を希望したのですけれども、CIQ業務ができないために、直接の乗り入れを断念しております。それで、岡山空港の定期便で入国するということもありました。  そこで、法務省にお伺いいたしたいのは、全体的に出入国管理業務の現状はどうなっているのでしょうか、それが一つ。それと、自治体の国際交流が進む中で、人員の強化や弾力的な対応についてどのように取り組まれているのか、お聞かせ願いたいと思います。  そして、CIQ業務は、税関の大蔵、出入国管理の法務、検疫の厚生、農林省と多岐にわたっていますが、四省庁で、地方自治体の国際交流の増大について連携強化し、具体的な対応策が協議されているかどうかということについて、お聞かせ願いたいと思います。
  195. 町田幸雄

    ○町田政府参考人 まずお尋ねの、出入国管理の実情について御説明いたします。  手元にたまたま、昭和五十五年と平成十年を比較した数字がございますので御紹介いたしますと、外国人の入国者数で見ますと、昭和五十五年を一〇〇といたしますと、平成十年が三五一。それから、日本人の出国者数で見ますと、今、さっき約三・五倍でしたが、日本人だと四倍。それから、国内におきまして、外国人が国内に入ってきますと、在留審査といいまして、いろいろな国内における資格審査等の仕事があるわけですが、それが約二・六倍になっております。それからまた、入管法に違反した人を退去させるというような事務で見ますと、十九倍以上になっております。それから、外国人登録事務で見ますと約一・九倍というように、客観的な業務量が非常に増大いたしております。  それでは、入管の職員がこの間どうなっているかと申しますと、約一・四倍から一・五倍にふえました。そのように、かなり行財政事情の厳しい中で、関係省庁の御理解をいただきながら増員をしていただいているわけですが、その増員と比較いたしますと、客観的な業務量が非常に伸びが激しい。そういうことから、いろいろな意味でなかなか十分対応できていない部分があろうかと思います。  ところで、その関係につきましては、それでは我々としては、今ある職員を業務量の多いところに重点的に配置するというような職員の再配置、あるいは業務全体をコンピューター化して合理化するというような作業、そういったようなことをやりながら、懸命にやってきているわけでございます。  お尋ねの地方空港の国際化の問題でございますが、鳥取県の片山知事、確かに私、昨年もお会いいたしまして、いろいろお話を伺いました。また、広島入国管理局におきましていろいろな陳情を受けているということも、よく承知いたしております。  ところで、私、昨年八月に局長に就任したばかりでございますが、その後、非常に痛感いたしましたのは、鳥取県だけではなくて、広島局の管内で言いますと、岡山空港だとかその他全国の、空港を国際化したいということで各地の知事さん等からCIQの充実について配慮を願いたいという強い要望を受けております。  私どもも、地方空港が国際化すること、そして地方が活性化することは日本の国のためであるとは思っておりますので、できる限り最善の努力を尽くして御協力すべきである、そのように考えております。そのために、我々も努力いたしておるわけですが、先ほど申しましたように、業務量の増大が余りにも激し過ぎて、まだまだ十分対応できていない、そういうところが実情でございますので、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
  196. 知久馬二三子

    ○知久馬分科員 今、御説明がありましたけれども、合理化、合理化という中で、業務量があったにしても人数がいないと。今、国際化ということの中で、外国人の方が来られることに対しても、やはりちゃんとした調査というのは必要ですから、本当に必要なところは必要なように人数をふやしていただくということをしていかなければならない。ここで言っては何かおかしいかもしれませんけれども、本当に、いろいろな不祥事が起きているというのが現実ではないでしょうか。  先がたも、局長さんがおっしゃいましたけれども、この問題について十一月十九日に、鳥取県の片山知事が臼井法務大臣にお会いになり、直接に要望されております。片山知事によれば、大臣は、実情はわかるが総定員の枠が厳しい、しかし地方の国際交流とか観光振興などの取り組みを法務省もできる限り応援したい、そして当面は中国管内全体でやりくりできるよう検討するということを約束なさっておられます。今、中国、広島の管内から、わずか境港に二名だけ来ておるという状況ですので、空港にも本当に何とか人員を配置していただくということを切にお願いしたいと思うのであります。  確かに、御説明があったように、CIQ業務は鳥取県だけではない問題だと思います。我が国の全体について大幅な人員増が望めない中で、地方からの具体的な要望にこたえることは本当に大変だろうとは思います。しかし、私ども、観光鳥取で観光を売り物にしている鳥取県におきましては、韓国などからの団体客に力に入れておりますし、ぜひとも、環日本海、東海時代の国際交流の基盤を整備するためにも、また、先がた申し上げましたが、本当に、過疎地の活性化ということに力を入れていただくためにも、このCIQ業務の改善と拡大を行っていただきたいということを私からも強く要望いたしておきたいと思います。
  197. 町田幸雄

    ○町田政府参考人 今、委員御指摘のありましたことにつきまして、私どもも真摯に努力したいと思っておりますが、先ほども言いましたような実情にも御理解をいただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  198. 知久馬二三子

    ○知久馬分科員 どうもありがとうございました。  何遍も言うようですけれども、本当に過疎地である地ならその地こそ、本当にそこの活性化を図るためにもぜひとも拡大をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。  大変ありがとうございました。
  199. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 これにて知久馬二三子君の質疑は終了いたしました。  次に、小島敏男君。
  200. 小島敏男

    小島分科員 質問の機会を与えていただきましてありがとうございました。入ってくるなり、知久馬二三子議員が質問をしていたわけでありまして、あれっと思ったのです。私と繰り上げで一緒に当選したので、非常にそのときに仲よくさせてもらい、御指導いただいている方であります。その非常に熱心な質問を聞いた後で、これから私が環境行政について質問をさせていただきます。  最初の言葉は、宇宙というものは人工というか、スペースシャトルの中はすべて人工です、帰ってきて、自然の大気、自然の湿り気、そういう感じがやはり私たちが本来住む場所だという感じがしましたというのは、これはもう環境庁長官知ってのとおり、宇宙で仕事を終えた毛利さんの言葉です。  自然の大切さ、環境問題は二十一世紀の重要課題であることは世界の常識であると言っても過言ではありません。オゾンホールの問題、森林の伐採、海洋汚染等々、地球規模で取り組まなければならない問題も数多くあります。世界の国々が、とりわけ一地域、一個人が理解を深め、取り組んでいかなければ、長い時間かかっても実効のある成果が得られないわけであります。東京都が問題提起をしたディーゼル車の排ガス規制も、まさにそのことを言っているのではないかと思います。  ところで、三年前に、私たちが住んでいる、というより私が住んでいる埼玉県の所沢市、所沢に住んでいるわけではありませんけれども、埼玉県の住民でありまして、テレビ朝日の誤報によりまして大きな社会問題となったのは御案内のとおりであります。ホウレンソウを初めとする野菜農家、そして茶畑を経営する農家の方々のショックは、今も精神的にまだ立ち直っていないということが実情であります。マスメディアの恐ろしさを浮き彫りにした事件であります。  今般の東海村臨界事故においても、地域の米や野菜が敬遠されたことも報道されておりますが、地域の住民にとっては、突然降ってわくわけでありますので、大変にショックが大きいと思います。関係地域の土壌はどうなのか、また母乳に与える影響はどうなのかということが、テレビ、新聞等で報道されたわけでありますけれども、環境庁におきましてはそういうデータをいろいろと蓄積されておりますので、その辺を踏まえてひとつ質問をさせていただきたいと思うのです。  そこで、環境庁が、ダイオキシンの所沢問題をきっかけといたしまして、平成十年に入りまして全国一斉にダイオキシン緊急調査を実施したわけでありますが、その結果が新聞で公表されました。私が住んでいる熊谷市が全国で二番目に高い数値が出たということでありまして、発表当時は、市、市議会びっくりして会議を重ねたということでありますけれども、とりわけ、この地域が熊谷市長の住んでいるすぐそばなんです。市長は非常にショックを受けられたようであります。  所沢市にお伺いいたしますと、現在は全国平均値以下になったということであります。所沢の市長の斎藤市長が私と県議会をちょうど一緒にやっていたものですから、先ほど私が電話を入れましたら、もう全国平均値の下になったよというような話もしていました。  その陰には、業者の方々との話し合いを重ねて、四社の方が焼却をやめまして別のリサイクル事業に転身をされたということでありますし、煙突を全部壊すということで、いわゆる産廃業者がやっている煙突をみんな壊した。その壊すことに補助金をやったと言うのですけれども、この補助金で幾らぐらいかかったのと言ったら、補助金で総額が十一億九千万円と言うのですよ。だから、その十一億九千万という金はほかの市町村では出せないよという話をしたのですけれども、調査は国が、環境庁がいろいろと調査をします。  それで、産廃業の許可権限というのは県が行うわけです、市に関係ないんですから。そして出てきた問題処理は市というのでは、財政的に対応できる市はよろしいのですけれども、これが小さな市町村になった場合には対応ができないということでありますので、この辺について質問をさせていただきます。所沢でのダイオキシン問題で、環境庁としてどのように対応したのか、指導してきたのかということです。  市長の話によると、全く環境庁は調べっ放しだということを言っておりますけれども、実態としてこれだけ騒がせて、市長も、去年ですか、市長選があったのですけれども、この問題で相当攻撃を受けたようであります。市長がやったことではないのに、やはり行政の長として責任をとらざるを得ないという実態があるわけですから、環境庁は調べて公表しっ放しということはいけないと思います。  熊谷市の結果は何が原因だったのか、また、今後の行政指導をどのように考えておられるのか、ダイオキシン類対策についての取り組みについてお伺いをします。まず一点は、今言った問題で環境庁の御答弁をいただきたいと思います。
  201. 遠藤保雄

    ○遠藤政府参考人 まず私の方から、所沢の問題についての対応をお答え申し上げます。  所沢周辺の農作物につきましてダイオキシンにより汚染されているという報道を受けまして、風評被害等の問題に早急に対処するために、環境庁といたしましては、農林水産省、厚生省、さらには埼玉県と連携をとりまして、問題となりました地域の農作物あるいは大気、土壌、水などの周辺環境中のダイオキシン類濃度を総合的に調査いたしました。そして、迅速に調査結果を公表したわけでございます。なぜ迅速かといいますと、実は、やはり風評被害がずっと続いておったものですから、それに対して適切に対応するということでございます。  調査の結果、この地域の環境中ダイオキシン類濃度につきましては、従来明らかになっておりました濃度レベルの範囲内でございまして、問題はないという形で発表させていただいたわけでございます。  今後の対応でございますけれども、この調査につきましては今回国が行いましたけれども、ダイオキシン特別措置法が制定されましたので、それに基づきまして常時監視を地方公共団体において実施していただく、それに対しては、国としてもその調査費用について助成していく、こういう手を打ちまして、それで、実態をまずきちんと明らかにして不安をなくしていくということで対応してまいりたい、こう思っております。
  202. 廣瀬省

    ○廣瀬政府参考人 熊谷市の調査についての結果とその対応でございますが、平成十二年の一月十五日に施行された、先ほど水質保全局長も申しましたダイオキシン類対策特別措置法ということを頭に置いて、きちっとした都道府県との連携と同法の的確な施行ということが絶えず頭にあります。  そして、都道府県との関係でございますが、ダイオキシンによる環境の汚染状況についての常時監視ということは、水の関係と大気の関係も同じでございます。常時監視をするということの中で、その費用を見ていくということになります。  それから、法の中で都道府県との関係をより綿密にする、それから地域環境の問題というのを、具体的には、一番は煙突関係から出るところが汚染源になるわけですから、その対策を強化するということにして土壌とか作物に被害が行かないような形をとる。考えられる目標値というのは、平成十四年までに九割削減ということがございます。ですから、今回のようにモニタリングをして濃度の高いところについては発表していくという形をとらざるを得ないというふうに思っております。  というのは、具体的に、環境庁が常時監視をしているということは報道関係すべてが知っているわけでございまして、それから調査をするときには、大気の場合には電気を引いたりいろいろな形がありますので、地元の住民もよくわかるようになってございます。ですから、結果というものについては絶えず報道していくということがないと、やはり不安を招くという形になります。  熊谷市の場合に出た数値でございますが、この数値については、県と関係市町村で、具体的にどういうことが原因になっているのかという調査をしております。そして、その調査をしたときに、個別の施設を具体的にどうするかということですが、その影響度をどう見ていくかということにもかかわります。そして、環境基準を守れるような体制にどのように指導をしていくかということになるかと思っております。  そのときに、先生から先ほどありましたように、市と県との関係を含めて具体的にどう見るかということでございますが、一番は、地域の住民に直ちに影響を与えるということがありますものですから、直ちにその対策をとって、環境濃度を調べて、そしてその濃度が下がってきたことを早く知らせるということをして、周囲の状況の安定を図るということになるかと思っております。そのやり方等については、それぞれ県と相談をしていく形にはなります。  ですから、一番は、基本的にフォローアップをかけて、その指導の効果が具体的に上がっていることを説明していくということになるかと思います。  その過程でいろいろな問題も起こってくるわけですが、その辺のところは、先ほど申したとおり、新しい法律は県と環境庁のかかわりということを強化されておりますので、その辺も含めて具体的に御相談をしていく。例えば、所沢の場合も能勢町の場合もそうでございますが、健康問題に影響するような場合は、環境庁もかかわって、具体的に技術者それから医者等も含めて対応するということを考えておりますが、その前の段階であれば、より、県との関係をどのように考えていくかによって方針が立ってくるかというふうに思っております。  なお、具体的にお金の問題については、調査をするということにおいては、県が行うものに関して、常時監視という形の中で補助を出すということが法律の中でうたわれておりまして、その範囲のところで考えていくということになっております。  以上でございます。
  203. 小島敏男

    小島分科員 今の話を、答弁を聞いていて、やはり環境庁はだめだというのですよ、はっきり言って。そういうやり方をやっているからだめなんです、はっきり言って。  一つの結果が出てきて、所沢のあの大問題が出たでしょう。今もって、JAがテレビ局を訴訟しているでしょう。関係の市町村長に聞いたんですよ、私が。そうしたら、何にも指導がないというのだから、はっきり言って。だから、調査のしっ放しなんというのはだめだというのですよ、はっきり言えば。そこにあなた方が住んでいれば毎日考えるでしょう、全国でワーストツーだと。子供への影響はどうなんだろうか、野菜はどうなんだろうか、三百六十五日考えるのですよ。あなた方は全部調べて、公表して、あとは、補助金を出すのはこうだああだと言っているのでしょう。だから、そういうことじゃだめなんだ、はっきり言って。  もう少し、所沢であれだけ問題になったのだから、所沢でどういう形で住民が納得して——しかもJAは今テレビ朝日を訴えているでしょう。訴訟中でしょう。みんな真剣なんだから。そういうことを考えたときに、わかりましたと、関係市町村、それから業者、もう少しそういうところに話を詰めて、そして、二度とこういうことがないようにしなきゃだめですよ。また起きますよ、これは。モニタリングというよりも、検査すれば、またでかいところは出るよ。そこが、所沢より野菜の産地だったらどうするの。この可能性はないとは言えないですからね。  だから、もう少し適切な指導と、それから、一年たったらまた公表しますじゃなくて、その間に調査をして、大丈夫だ、これだけ下がってきましたよ、あなたの地区は大丈夫だ、市長さん、安心してください、こういうことを言えば、市長が地区に行って、環境庁がやったことで、この数値が出たけれども、現在の数値はこうなので、野菜農家の皆さん、大丈夫だよと。一年も二年もほっておかれたらかなわないですよ、はっきり言って。だから、もう少し前向きにやらなきゃだめ。私は自分が熊谷市に住んでいて思うが、こういうやり方じゃだめですよ。もう少し前向きに取り組んでください。  きょうは時間がないから私は言わないけれども、いずれにしてもさっき言ったように、所沢なら十一億九千万といったって、ほかの市町村じゃ出せませんよ。所沢という、何十万という人口があるから対処できますけれども。  所沢の市長も熊谷の市長も、行政指導はないと言うのですよ。解決方法とすると、国と県、それから関係市町村と業者ですよ。何でそういうところを、環境庁が行けばみんな集まってくるから、集まってきて、それでどうするかということを、やはりひとつ会議を開かなくちゃ。ワーストテンぐらいの間はみんな動揺しているから、それをやらなきゃだめですよ。  では、時間がないから次の問題に移ります。  それでは次に、希少な生き物を保護するための取り組みについてお伺いをいたします。  環境庁、愛知万博がありますね。これが、オオタカなんかで設計を変更せざるを得ないということで、やはり希少動物というものが環境に対して非常に大きくのしかかっているわけであります。これは、だから一つのデータだと思うのですよ、こういうものがすめば自然があるというあかしでありますから。ですから、私は、こういう自然を守るということに対しては最大限の努力をしていただきたいと思います。  人間の生活向上だとか社会の進展、科学技術の進歩により、かけがえのない地球が毎年毎年変貌せざるを得ない状況にあるわけですけれども、こういう不安な気持ちを持っているのは私一人ではないと思うのです。そこで、長官には、希少動物の生態系が破壊をされてきている、絶滅をするような、そんな危険性が、可能性があるわけですけれども、環境庁の取り組みというものをぜひお聞かせをいただきたいと思います。  それから次に、ムサシトミヨの保護に対する取り組みについてお伺いしたいのです。ムサシトミヨというのは、以前は、東京、埼玉に広く生息いたしまして、東京だと井の頭公園、それから石神井公園、そして善福寺、これらに昔は生息していたということが確認をされているわけであります。  ムサシトミヨは、昭和三十八年に国立科学博物館におられた中村守純博士が命名された魚であります。都市化の影響で今ではすべての地点から姿を消し、現在では唯一、熊谷市の元荒川の上流の一部に生息をしているということであります。これは、私が住んでいるすぐそばなんです。ですから、日本でここだけということになると、世界で唯一の場所なんですね。ですから、大切にしなければならないということであります。  たまたまこの場所になぜムサシトミヨが長年にわたって生息していたかということですけれども、これは、県の水産試験場が土手のすぐわきにあったのです。ですから、新しい水がくみ上げられて、マスを飼っていた関係で、本当に絶滅したろうということが言われていたのですけれども、昭和三十年代の後半に高校生が、ムサシトミヨがいたということで、これが大きく新聞に載って、それから保護活動が始まったということであります。  ムサシトミヨというのは、体長が三センチから五センチという魚で一年魚なんですね。長官は見たことはまだないですか。そうですか。特徴というのが非常におもしろいのです。  ムサシトミヨというのは、一年魚なんですけれども、雄が全部、水草を口にこういうふうにくわえてどんどん巣づくりをするのです。ピンポン玉ぐらいの巣をつくるのです。それで、ピンポン玉の巣をつくり終わると、今度は雌を呼び込んで、卵を産んでくれということなんですね。余りちっちゃい家だと雌が逃げちゃうのです。だから、立派なうちをつくらなくちゃいけない。そこのところに、雌が来て卵を産みつける。そうすると、入り口から雌は向かい側の壁をばばばばっと破って出ていくのです。これは、水産試験場で全部ビデオを撮っていますので、それを私も見たのですけれども。  卵が落ちる、そうすると、口にくわえてまた雄がその中に入れる。それで、胸びれで酸素を送りながら、外敵から守ってふ化をするのを待つ。それが雄の仕事なんですよ。ですから、雌は産んじゃうとそのまま行っちゃうのですよ。雄は、ふ化をするまで待つ。ムサシトミヨというのはこういう特徴があるわけです。  平成三年の十一月十四日、埼玉県の魚として指定をされて、さかのぼること昭和五十九年ですけれども、熊谷市では生息地を天然記念物の指定にしたわけです。その後、埼玉県も指定をしてくれました。これは天然記念物といっても、ムサシトミヨを天然記念物の指定にするのじゃなくて、ムサシトミヨが住んでいる生息地をやるわけです。これは後で言いますけれども、まだ学名がはっきりしないというところが問題なわけです。  それで、平成八年のときに、信州大学の高田啓介先生が、魚類学会でムサシトミヨの種の問題を取り上げ、三回にわたって、遺伝子の立場からイバラトミヨという魚とムサシトミヨという魚は違いますよということを発表して、その種の確立をしていただきたいということで発表を重ねたわけであります。  先生の話を伺いますと、イバラトミヨとムサシトミヨが分かれたのは八十万年から百万年前というのですよ。そのくらい前なんです。ですから、とてつもない前に分化されたということが先生方の研究でわかった。これは遺伝子の関係でわかるのですね。そういう長いものなんです。  ムサシトミヨとかトミヨという魚は、冷たい、十八度ぐらいの水にしかすんでいないのです。ですから、南に行くともう全然いません。一番南限が関西地区なんですけれども、これはミナミトミヨという魚がいたのです。ところが、イバラトミヨ、ムサシトミヨ、ミナミトミヨというのがいたのですけれども、これが、都市化の波と、当時は空中散布がはやりまして、全部空中散布でやったために、農薬のために絶滅をしてしまった。今では一匹もいません、ミナミトミヨというのは。ですから、ムサシトミヨの保護活動というものは、これから非常に重要なことになってくるということであります。  私はこの守る会の会長を十何年やっているのです。この問題にかけては非常に地域の人が熱心に取り組んでおられて、熊谷市も、特に教育委員会が非常に熱心に取り上げて、昭和六十年に元荒川の近くの市立東中学校で増殖活動というのを始めました。環境庁は六十一年に手をつけてくれたのです。六十一年に環境庁野生生物保護増殖事業というのを始めまして、そして、沖縄県のヨナグニサンという世界最大のガとムサシトミヨを指定してもらったということであります。  その事業で、その次の年の六十二年から、久下小学校という市立の小学校ですけれども、それから同じく熊谷市立の佐谷田小学校というところで、今度は佐谷田川だとか、学校の中に川をつくって、それで六十二年からずっと保護増殖活動をして、これは、ボランティアで自主的に子供たちが観察をしながらやっているのですけれども、その成果というのは毎年毎年上がっているということであります。  これは、環境庁がそういう事業を始めたということがきっかけとなってやっているのですが、いかんせん、あの場所にも都市化の波が押し寄せているということでありますので、以下の質問、お話をしたいと思うのです。  もう地方の財政ではやっていけない。しかし、世界でここしかすんでいない。分散化を図っても、えさの関係、水温の関係でだめなんですよ、どこへ持っていっても。その元荒川の上流の水産試験場の水がともかく頼りで、そこしかすめないのですね。ですから、何とか、いい環境があったらそちらの方にムサシトミヨを移して、それで分散化を図りたいという気持ちでいるのですけれども、なかなかそれが実行に移せない。  それではどうしたらいいかということになるわけです。どうしたらいいかということになると、ちょうど元荒川の下流に来ますと、武蔵野の面影を残したクヌギ林なんかがあるところを川がずっと流れているのですね。そういうところを何とか公有地に、いわゆる公有地化を図りたいということで働きかけているのですけれども、なかなか財政的に難しいということで、市にも県にも働きかけているのですが、実現ができないんですね。  しかし、いなくなったらどうするのかということになると、大変なことになりますので、この間も環境庁の方が来たわけですが、平成十六年に埼玉国体がある、そのときに天皇、皇后両陛下がお越しになるわけですけれども、ぜひそのときに、世界でここしかいない、日本でここしかいないムサシトミヨのところを訪れて、やはり環境庁が取り組んでいるクヌギ林の中に観察所をつくって、そこで日本じゅうから来た人にムサシトミヨを見てくださいというような場所をつくったらどうですかという話もしたのですけれども、環境庁長官にきょうお話ができて、大変に私はラッキーであります。  ムサシトミヨの保護活動についての取り組みを今後どういうふうに考えているか。また、ムサシトミヨに正式な学名がつくのはいつごろになるのか。そして、一番最後にお話しいたしました、ムサシトミヨのいわゆる生息地の公有地化を図って、何とか、一般の方々にも見せると同時に、皆さんで保護活動に参加をしていただきたい。  大変話が長くなりましたけれども、以上でございます。よろしくお願いします。
  204. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 希少動物についての御質問でございましたけれども、そのお答えをする前に、先ほど先生から、ダイオキシンの問題について、環境庁はただデータを出すだけではだめだという、大変おしかりをいただきました。  確かに、先月の一月十五日からダイオキシン類対策特別措置法が施行されまして、それぞれの環境基準が出されます。そうしますと、またデータが出てまいります。そこで、そこの環境基準をオーバーしたらどうするのかというような問題、たくさん出てくると思いますので、こういったことについては、データだけでなくて、やはり住んでいる人々、国民の皆様方、どうそれを受けとめてどうすればいいのかということも含めて十分対応していきたいというふうに思いますので、まずそれを申し上げたいと思います。  それから、希少動物についての問題につきましては、もう先生御指摘のとおりでございます。環境庁といたしましても、この野生生物の問題につきましては非常に高い認識を持っているわけでございますが、特に絶滅のおそれのある野生動植物を守るということにつきましては、我が国で絶滅のおそれのある野生動植物を環境庁は選定いたしまして、レッドデータブックとして公表しておりますし、また、種の保存法に基づく捕獲、譲渡の規制、あるいは保護増殖事業の実施等を総合的に推進しているところでございます。  今先生から、ムサシトミヨ、初めて先生からお話を伺いまして、絵を見て、こういうのがいるのかということを初めてわかったわけでございますけれども、どこかに土地を、公有地に対する支援ができないかというお話でございました。  環境庁におきましては、身近な自然を回復、整備する事業に対しまして補助を行う自然共生型地域づくり事業というのを推進しております。そこで、地方公共団体によりますムサシトミヨの生息地を守ることを目的とする事業についても、本事業の補助対象になり得るというふうに考えます。これには必要な用地の費用も含まれておりますので、こういったものをお使いいただけるのかという感じがしております。  ムサシトミヨが生息しております地方公共団体におきまして、その検討をお進めいただきまして、もしこの事業に対して御要望がありましたらば、環境庁としても適切に対処したいというふうに思います。  こういう事業を通しまして、今後とも、本当に貴重なムサシトミヨ保護に努めてまいりたいというふうに思っております。  あと、細かいことつきまして、局長の方から御答弁いたします。
  205. 松本省藏

    ○松本政府参考人 先生から学名がついていないという御指摘がございました。御指摘のとおりであります。  ムサシトミヨ、極めて希少な淡水魚でございます。環境庁としても、昨年の二月には淡水魚類のレッドリストに掲載をいたしまして、最も絶滅のおそれの高い絶滅危惧1A類というのに選定をして、それなりの評価をさせていただいているところでございますが、正式な学名がないことから、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種への指定ができないという大変悩ましい状況にあるということであります。  種の保存法に基づく指定ができますと、いろいろな、また次の対応も出てき得るわけでございますが、そんな状況にあるということでございます。  専門家の方からは、ムサシトミヨを含みますトミヨ類全体についての分類学上の整理が、今必ずしもしっかり確立をしていないと聞いておりまして、したがって、現在、その一つでありますムサシトミヨの学名の記載が進まない状況なんだと聞いております。  ただ、ムサシトミヨが独立した種であるということは間違いないわけでありますので、関係学会の専門家の中で学名記載に向けて速やかに結論を出してもらえるように、環境庁としても期待もし、必要があればそれなりのお願いなどをしていきたいと思っております。
  206. 小島敏男

    小島分科員 時間がないので本当にはしょっての質問でありますけれども、一番先にお話しいたしましたように、環境というのは本当にかけがえのない、地球を守るために必要である。しかも、希少動物というのは堂々とこの地球上にすんでいたわけですから、人間が、科学技術が、それから社会が、その生物をすめなくしてしまったということです。これは、ある意味からいうと、やはり動物たちがすめるような社会が望ましいわけであります。  ちょうど埼玉県の熊谷の先に本庄という土地があります。本庄というのは、昔は熊谷と同じようにわき水が出ていて、ムサシトミヨがいっぱいいたのですよ。そこのところ、本庄も絶滅ですね、全部。  下水道の処理場が、今から十五年、二十年前にできたのですけれども、その下水道のところにムサシトミヨの陶板がある。陶で焼いた板に書いてあるのが、「ムサシトミヨのすめる川をつくろう」、これがキャッチフレーズなんですよ。これがすめる川というのは、すばらしい、澄んだきれいな川なんですね。メダカもいなくなってしまったのです。そういうことで、動物はただ単に保護すればいいというのじゃなくて、その動物がいることによって自然のグレードというのが、AかBかが決まるのですよ。  そういう点からして、ぜひムサシトミヨの公有地化も、長官、お力添えをいただいて、もう長年やっているのですけれども、今言ったように種の学名が決まらないので、打てないのです。みんな年をとってしまったのですよ、やっている人が。川へ入って藻刈りしたり、暑い夏、冬の寒いとき、長靴を履いて藻刈りしたりしている人が全部お年寄りになってしまったのですよ。  だから、本当に、ムサシトミヨの危機もあるけれども、手伝っている方々の危機もありますので、できるだけ早くそういう形のことができるような援助をしていただきたい、御支援をいただきたいということであります。  どうも環境のダイオキシンの関係については少し声を大きくしたけれども、二人の市長の話を聞いたら、ついついかっかしてしまったのです。取り組んでください、よろしく。  ありがとうございました。
  207. 杉浦正健

    ○杉浦主査代理 これにて小島敏男君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管中環境庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会