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2000-02-18 第147回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月十八日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 久間 章生君 理事 自見庄三郎君    理事 高橋 一郎君 理事 萩山 教嚴君    理事 町村 信孝君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 西田  猛君       甘利  明君    伊藤 公介君       飯島 忠義君    石川 要三君       稲垣 実男君    小澤  潔君       大野 松茂君    大原 一三君       亀井 善之君    倉成 正和君       栗原 博久君    小島 敏男君       桜田 義孝君    杉浦 正健君       高鳥  修君    津島 雄二君       中川 昭一君    中野 正志君       葉梨 信行君    萩野 浩基君       村田 吉隆君    村山 達雄君       森山 眞弓君    山口 俊一君       石井 紘基君    岩國 哲人君       生方 幸夫君    古賀 一成君       五島 正規君    原口 一博君       日野 市朗君    肥田美代子君       松沢 成文君    横路 孝弘君       青山 二三君    石田 勝之君       旭道山和泰君    佐藤 茂樹君       並木 正芳君    桝屋 敬悟君       青山  丘君    加藤 六月君       鈴木 淑夫君    石井 郁子君       木島日出夫君    瀬古由起子君       春名 直章君    平賀 高成君       中川 智子君    濱田 健一君       保坂 展人君     …………………………………    法務大臣         臼井日出男君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    文部大臣    国務大臣    (科学技術庁長官)    中曽根弘文君    厚生大臣         丹羽 雄哉君    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    通商産業大臣       深谷 隆司君    労働大臣         牧野 隆守君    建設大臣         中山 正暉君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    国務大臣    (内閣官房長官)     青木 幹雄君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    国務大臣    (環境庁長官)      清水嘉与子君    総務政務次官       持永 和見君    経済企画政務次官     小池百合子君    科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君    環境政務次官       柳本 卓治君    法務政務次官       山本 有二君    大蔵政務次官       大野 功統君    文部政務次官       河村 建夫君    厚生政務次官       大野由利子君    農林水産政務次官     谷津 義男君    通商産業政務次官     細田 博之君    建設政務次官       加藤 卓二君    自治政務次官       平林 鴻三君    会計検査院長       金子  晃君    参考人    (宇宙開発事業団理事)  石井 敏弘君    参考人    (日本体育学校健康セン    ター理事長)       逸見 博昌君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   大原 一三君     桜田 義孝君   杉浦 正健君     飯島 忠義君   中川 昭一君     小島 敏男君   中川 秀直君     中野 正志君   船田  元君     倉成 正和君   原口 一博君     石井 紘基君   肥田美代子君     松沢 成文君   石田 勝之君     並木 正芳君   佐藤 茂樹君     旭道山和泰君   志位 和夫君     平賀 高成君   春名 直章君     石井 郁子君   保坂 展人君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     杉浦 正健君   倉成 正和君     船田  元君   小島 敏男君     中川 昭一君   桜田 義孝君     大原 一三君   中野 正志君     大野 松茂君   石井 紘基君     原口 一博君   松沢 成文君     肥田美代子君   旭道山和泰君     佐藤 茂樹君   並木 正芳君     石田 勝之君   石井 郁子君     春名 直章君   平賀 高成君     瀬古由起子君   中川 智子君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     中川 秀直君   瀬古由起子君     志位 和夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  平成十二年度一般会計予算  平成十二年度特別会計予算  平成十二年度政府関係機関予算     午前十時開議      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算平成十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。(発言する者あり)まだ質問時間に入っておりません。日野君に申し上げます。委員長許可を得てから御発言を願いたいと思います。まだ許可をいたしておりませんので、発言は差し控えてください。  この際、公聴会の件についてお諮りいたします。(発言する者あり)  平成十二年度総予算について、議長に対し、公聴会開会承認要求をいたしたいと存じます。  公聴会は来る二十四日とし、公述人選定等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。(発言する者あり)皆様、席にお戻りください。日野市朗君は質問を開始してください。(発言する者あり)日野市朗君は質疑を行ってください。日野市朗君は質疑を行ってください。(発言する者あり)まず、ひとまず下がってください。(発言する者あり)日野君。
  3. 日野市朗

    日野委員 私、実はこの予算委員会発言表、これを見て、十時から十二時まで、こうなっておりまして、十時きっかりに質問を始める、これは私の持ち時間でございますから。ところが、何だかんだありまして、では日野市朗君と委員長が言われるまでに、私はじっと時計を見ていました。あの時計ですから、何秒まではわからない。しかし、三分以上たっていたことは間違いないので、この分は、時間はちゃんと確保していただかなくちゃいかぬ。よろしいな、これは。  それからもう一つ、こういうことになったのも、結局、当予算委員会公聴会を開いて、そしてきちんと国民意見を聞く、その公聴会を今までは少なくとも二日間やっていたんだ、一日やったというのは、あの細川内閣のときに、一月予算編成ということをやって、それで時間がなくなってしまって一日ということになっちゃった。  そこで、私は、この二日というのは、これは委員会の慣例であるということだけではなくて、国民皆さん意見を聞く、ここにポイントがあると思う。ところが、何だか一日。何だか、さっき委員長発言、私は聞き取れないし、何だか、がやがやと言ったのが、あれが賛成意思表示だ、こういう話ですが、私はそういうことは本当はいかぬと思っています。  できるだけ国民から多くの意見をくみ取る、このことが当委員会としての貴重な責務だと私は思っている。何でこれを一日にするのか、委員長、ちょっと教えてください。これは、この委員会の取り仕切りに関する問題であります。なぜか、その理由を私も聞きたい。
  4. 島村宜伸

    島村委員長 その点については、理事会でいろいろ御協議申し上げておりますので、御党の理事の方から御聴取ください。
  5. 日野市朗

    日野委員 やはりこれは委員長が、正式に委員長として、委員に納得できるような説明をすべきです。  私は、理事からも聞いているのですが、どうも理事説明もよくわからない。理事もわからないと。理事がわからないから、わからない人が私に言うから、私もわからない。わかる人は委員長なんですよ。私のこの発言は、今マスコミ人たちも聞いています。それから全国民も注目しているだろうと思いますよ。ひとつ、どうぞわかるようにおっしゃってください。
  6. 島村宜伸

    島村委員長 各党から選ばれた理事方々の御協議によって結論を今お願いしたところであります。(発言する者あり)
  7. 日野市朗

    日野委員 さっき私が提起した問題について、まだ委員長から御説明がないんですよ。それは理事同士で決めた話だと言うけれども、私の承知しているところでは、我が党の理事公聴会を一日でオーケーだと言うはずがない、大体。はずがない。そして、そう言ってきた、こう言っています、彼らも。  しかし、こうやって採決ということになっちゃって、私も、これは納得がいく説明が伺えないと、私からみんなに、国民皆さん説明すべきすべもないということでございますので、ちょっと委員長の、そうやって決めた、それはいろいろな理由の開陳があったと思いますよ。採決ででもお決めになったのですかね、これは。理事会採決なさったのか、それらも含めて、手続面と、それから現実の議事、それを聞かせてください。  私も、国会議員としてここに出てきていて、しょっちゅう選挙民皆さんと接触があります。何でこうなっているんだと言われて説明に窮するようじゃ、これは私のこけんにもかかわるし、国会議員の職責を果たすことにもならない。ぜひお願いします。
  8. 島村宜伸

    島村委員長 公聴会については、理事会の都度、何度か与党の側からお諮りをして、与野党でいろいろ協議をしたところでございます。昨日もかなり時間をかけていろいろお話し合いをいたしまして、最終的にこういう判断に立ちました。
  9. 日野市朗

    日野委員 何ですか。こっちはもう反対反対だ、さっきからこう言っているわけだ。理由を言え、理由を言え、こう言っているわけですな。採決をなさった、理事会採決をなさった、いかがですか。
  10. 島村宜伸

    島村委員長 私の参考にさせていただくために、皆さんの御意思を伺いました。
  11. 日野市朗

    日野委員 それでは、これは採決という手段ではなくて、委員長の決断で決定した、こういうことになりますか。
  12. 島村宜伸

    島村委員長 お答えいたします。  これは、私が勝手に皆さんの顔色をうかがって判断したのではなくて、それぞれの御意見を一応私は形をもってお示し願いました。
  13. 日野市朗

    日野委員 わかったような、わからないようななんですな、これも。結局わからないんですな。  それから、その理由の方はどうなんですか。今まで二日というのはずっと決まってきていたんですよね、ずうっとなっていた。それが何で一日でいいとするのか、ひとつ聞かせてください、それを。  仄聞するところというか、マスコミあたりが言うところでは、予算の成立を二月中ということでえらく与党さんが、予算衆議院通過は二月中ということでえらく焦っている、こういうお話だが、何もそんなに焦らなくたっていいじゃないですか。公聴会をもう一日ふやすぐらい、これはどうということじゃないでしょう。それなのに、何でそうやってやるんですか。  あれですか、国民の声は必要ない、自自公で七五%の議席は持っているわ、余計なものは聞く耳は持たない、こういうことなのかな。まことに私としては、議会人として残念な態度だと思いますが、委員長、どうお考えですか。私の今の考えに反論があったら、してください。
  14. 島村宜伸

    島村委員長 可能な限り時間をかけて、民主的にいわば結論を得るための努力を、最善を尽くしたつもりであります。
  15. 日野市朗

    日野委員 水かけ論は避けましょう。  では、私、別の論点から質問をいたします。  小渕総理の席、何もそれは総理の席でなくたっていいんだろうと思うのですが、どなたもそこにはやはりお座りにならない。それがやはり総理の持つ重みなんでございましょうね。きょうは総理のかわりに、どなたが置いたか、そこにメモのようなものが置いてありますがね。総理の権威も軽くなったのかな、こんな思いがいたします。  私は、出てこいと言いたい。なぜなら、今、二十世紀が終わろうとしている、二十一世紀に入ろうとしているというようなことばかりじゃなくて、多くの問題が山積しておりますよ。しかも、日本が今抱えている問題というのは、私は大変重い問題だと思います。  我々は、今まで幸せな時代を生きてきたんだと思うんですよ。ここにいる同僚議員の多くも、閣僚皆さんも、一応、夢を持って、目的を持って国政に携わってきた。そして、経済的にもまあまあ恵まれてきた。しかし、今それが、いわゆる先進国に対するキャッチアップと言われるものは終わって、さあ、これからどうするんだ、我が国はこれからどうするんだ、何を見詰めながら行けばいいのか。若い人たち生きざまを見てまゆをひそめる人はいる。しかし、その人たちに、そういう生きざまではなく、もっとしっかりした目標を見据えて生きろという、その目標皆さん、提示できていますか。私は、できていないと思う。  これが現在の経済の不振にもつながるであろうし、日本が抱えている多くの問題につながっていると私は思います。綱紀の乱れ、それから、公の仕事に携わる人たちの無気力、ミスの頻発、こういったものは全部そこから出てきているような気すら私はしているんであって、今、大事なんです。  しかも、この時期、私は、小渕総理にぜひ論戦を挑まなければならないことがある。小渕総理は、富国有徳という四文字熟語をつくられた。どこかの学者に頼んでつくってもらったらしいんだが、私は、その内容をずうっとフォローしているんです、追っかけているんです。  小渕総理総裁選挙に立候補をするときにつくった文書があるんですね。「「日本新生」 富国有徳国づくり 元気で渡ろう「二十一世紀への架け橋」 小渕恵三」、こう書いてある。まあ、これは選挙用につくったんだからそんな立派なものじゃないんでございますとはおっしゃらないだろうと思うんですが、この内容も見てみた。しかし、富国有徳にふさわしい内容であるとは私には到底思えない。富国有徳というこの四文字熟語の意味するところ、これが何であるかということは私もよくわかりません。  ただし、ある貴重な文献が出ました。「二十一世紀日本の構想 日本のフロンティアは日本の中にある」。私もこれを読ませていただいた。労作である。かなりいい点をついておりますし、かなりすばらしい問題意識に貫かれていると私は思う。後でけちもつけるんですがね。私は、これを受け取られたときの総理反応というものをいろいろな新聞で拝見したんですが、これはすぐにはできないことだ、ずっと先のことだというような反応総理は示しておられたような印象を持っております。  ところが、施政方針を拝見しました。私、これは本会議場で聞いたわけじゃありませんので、後で拝見したと言わせていただきます。そうしたら、何、これはずっと先のことで、中長期的な課題だというようなことを言われた小渕総理が、施政方針演説の中にはこれを引いて、褒めたたえているわけですな。そして、その用語までそのまま引き写しにしておりますね。そして、その考え方、これが随所にちりばめられているわけで、私は、ほう、小渕総理も随分変わられたなと思うのです。  ところが、私は、この二十一世紀懇談会のこの問題意識、これは十分に注意していた人でなければしっかりと受けとめることはできない問題意識だ、こう思っております。  よく引かれる話ですが、アイザック・ニュートン万有引力の法則を発見した、こう言われます。しかし、彼はリンゴが落ちるのを見て万有引力思いが及んだというのですが、まさかリンゴが、私は万有引力に引かれて落ちたとニュートンに言ったわけじゃないんです。それから、フレミングペニシリンを発見した、こう言われますね。あのペニシリンをシャーレの中で見たときに、ペニシリンは、私がペニシリンなんだ、ほかの雑菌の繁殖を食いとめる力があるんだとフレミングに語ったわけでも何でもない。  フレミングにしたってニュートンにしたって、この起きている現象をきちんと受けとめて、自分の中でそれを整理していくだけの精神的な鍛錬があった、訓練があったからそういうことができたわけなんで、私は、今まで公表されてきたような、マスコミに告げられているような小渕総理態度から見て、この二十一世紀懇レポート、これをきちんと問題点を理解して、そして施政方針演説に書き込んだのではないのだろうと実は思っています。  小渕総理真空総理だなんて言われるので、真空だからどんどん入っていくのかな、そんなことを思ったりもするんですが、何度かこの二十一世紀懇出席をされた小渕総理は寡黙であった、その二十一世紀懇のメンバーの一人がこう書いておりますね。そして、いたずらに富国有徳という言葉を繰り返していた、そんなふうに言っているんです。  私は、この全部について、今その問題点小渕総理と議論をしようとは思わない。それは無理なことだし、むだな部分もかなりあるでしょう。しかし、この施政方針演説の中に小渕総理がとっておられる言葉、それについて、その問題点について、私は小渕総理意見を聞きたい。どうしてもこれは小渕総理でなければ答えられない事柄でありましょう。ほかの閣僚皆さん、これは優秀な方々がきら星のごとくに居並んでおられますけれども、まさか、小渕総理の語っておられるこの中身、それを皆さんが解明できるとは思わない。  それで、要するに個人と公との関係について小渕総理はこの施政方針演説の中で語っておられる。そして、レポートとこれから言いますが、この二十一世紀懇談会レポート、これの中でも、その部分については非常に多くのスペースを割いて説明をしておられるところです。私は、個がその質を高めて、そして公に参加をする、公と並んで一つの新しい公をつくるという考え方、これは私も賛成なんです。  さっき、小渕総理ニュートンフレミングのような精神的な準備があったかというようなことを言いましたが、実は私はあるんです。この問題について検討をしたことがあるんです。そして、私の名前は出ませんでしたけれども、本に書いたこともある。これは、今ここでちょっと明らかにしておきますが、昔、社会党が新宣言というものを出した。そのときの仕事はこれだったんですよ。あのとき社会党がそれをちゃんと生かしていればという思いはあるけれども、歴史にもしはないというから今そんなことは言いませんが、私もそれだけの準備があって発言をしているんだということで、小渕総理にはこれはあだやおろそかには聞いてもらいたくないという思いを込めて、私はこれから小渕総理に対する質問をします。どこかで答えてもらいたい、必ずしっかりと。今、本当はそこの席から立って答えてもらいたいのです。  これは大事なことなんだ。これからの日本国家をどのようにつくっていくか、社会をどのように組み立てていくか、今、日本の国にとって、これほど大事な問題はほかにないと言っていいくらい大事な問題です。だから私は、小渕総理に出てこいと言いたい。私がこんな発言をして、小渕総理はこれに答えないとしたら、敵前逃亡だ、これは。私はあえてそう言いますよ。(発言する者あり)敵と思っていないとすれば、国民を軽んじている行動にほかならない、私はそう思いますね。  それで、私もこのレポートを読みました。それはわかるんですよ、今私もちょっとお話ししましたが、その内容はわかるんだ。しかし、大事なキーワードが二つ抜けている。私も同じような結論に達しているんです。国民が質を高める、それから、ボランティア団体にしてもいろいろなグループにしても、それが質を高めて、そして参加をして、そこで新しい公なるものをつくっていく、この考え方には賛成です。そういうことができれば非常にいい、だが、それが果たしてうまくいくのかどうか、こういうことについて、私はいろいろな事象について頭の中でシミュレーションをしてみているんです。しかし、なかなかこれはうまくいくものじゃない。これは、言うはやすく、現実はもっと厳しいというべきことなのでありましょう。  大事なキーワード、私は、その中で二つあると思います。  このレポートには抜けているキーワード、それは、一つ責任です。特にリーダー責任。結局、国民参加をするといっても、一人一人が裸のままで参加できるわけではない。何かのグループをつくる、何かの会をつくる、組織をつくる、そうやって参加をしていきます。そのときの、参加をする側のリーダー責任、それから、それを受けとめる側の主として政治の責任、行政の責任、これが一つキーワードであろう。  もう一つ理念でございます。そうやってみんなが参加をしてくる、それを統率していく、統合していく、そのときには、責任を持ったリーダーがその人たちを説得しなければなりません。何をもって説得するのか。多くの利害関係もある人たちが集まってくるでしょう、理想もそれぞれに違うでしょう、そういった人たちをきちんと統合して一つの新たなる公をつくっていく、そのときに必要なのは理念なんです。  しかし、この理念、このレポートはここまで迫れなかったと私は見ているんですよ。これは迫るべきだった。この中には、国家目標という言葉はあります。しかし、それは遊離した形で使われているといううらみがありまして、どのような理念を持って小渕総理はこの日本をどこに導こうとしているのか、今これを聞かなければならない、私はこう思います。  その前に、もう一つ大事な前提について、私、言うのを忘れておりました。  このレポートは、個人、これの質を高めて完璧な個人となることを期待しているんです、完璧な個人。しかし、完璧な個人というものはあり得ないのでありまして、完璧な個人ではない、やはりいろいろな雑多な人たちがいる、高まってはいるが雑多な人たちがいる、そういう人たちをどのような理念を持って、どのような責任を持って導いていくかということが本当は大事なんでしょう。  私は、完璧な個人はないが、日本人というのは非常に高いレベルにはもう既に達していると思っているんです。まず、それはやはり行き渡った教育でしょうね、それから民主主義の中での訓練、それから日本の文化、こういったものが日本人レベルをかなり高いものに押し上げている、レベルをアップしていると私は思います。  ですから、そういった意味からは、私は、こういう公と個との関係、これを進めていくためには、やはり理念をまず先行させていくということが必要だろうと思うんです。我々が抱くべき理想理念というものはいっぱいあると思う。まず平和ということが大前提でなくてはいけません。これは、日本は平和ということがなければ生きていけない国でありますから、そういう平和を世界的に創造していくというのは大前提です。  それから、今や問題は日本ということだけではなくて、日本生存というだけではなくて、全人類の生存というところに我々は視点を持っていかなければならないと思う。非常に多くの理想があるが、その全部を同時並行的に追い求めろといったってこれは無理なのでありまして、私は、その中で最も大事なものを一つ選んで、それに全精力を傾けていくという方法論、これも大事なことではないかというふうに思っているのであります。  私は、自分自身では、これは今の日本にとって非常に重い問いかけだなと思っていることを今問題点として提起をいたしました。そして、一応私なりの考え方も申し上げました。これについて、私は、小渕総理にぜひ出てきて答えてもらいたい。これは総理がやるべき当然の職務だと私は思う。  クエスチョンタイムができたんだからいいんじゃないかなんと言う人もいるんですが、問題はそうじゃないと思うんですね。クエスチョンタイムというのは党首間の論争です。しかし、今ここで私が問いかけたこと、これは総理がこの衆議院の予算委員会に対して答えるべき事柄であろうというふうに思います。それに、議員というのも、これはいろいろなものでございまして、党にまとまってはいるが、皆さん決して党の決めたことに全面的に服従してやっているわけでも何でもない。これは自民党だって、まあ共産党さんはどうだかわかりません、公明党さんもどうだかわかりませんが、民主党だって右から左までいる、そしてその中で激しい議論をやる、とてもいい党ですよ。それが本来あるべき姿なんであって、ここで、総理がこの衆議院の予算委員会の場において我々の問いに答える、これはぜひとも私は小渕総理に出てきて答えてもらいたい。  私も、実は小渕総理のきのうの日程見ましたよ。余り大した人と会っているわけでもない。太宰府天満宮の梅娘さんたちと会ったり、それは結構です、会ったっていい。しかし、それより前にやはり予算委員会、きのうも総理に対する質問にふさわしい質問が随分出ておりましたよ。きょうはどういう予定なのかわかりませんがね。きょうどんな予定になっていますか、官房長官、総理の予定。僕の持ち時間は午前中ですから午前中だけでもいいが、ちょっと言ってみてください。
  16. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 総理の予定についてということでございますが、予定を申し上げれば、恐らく議員は、こんな予定なら予算委員会へ出るべきだとおっしゃると思いますし、また申し上げなければ、きのうのように、官房長官の能がないとおっしゃると思いますが、私は、この委員会総理が出る出ないは、恐らく総理が決めるべきことじゃなくて、予算委員会皆さんがお決めになることだ、そういうふうに解釈をいたしております。
  17. 日野市朗

    日野委員 この間からそう言っておられますね。あなたの方で決めたことじゃないか、こう言われるが、しかし、今僕いろいろなことを言ったでしょう。失礼なことも言いましたよ。そして大事な問題点を指摘した。恐らく総理、三十何年か在籍しておられるわけです。そして長い経験を持ち、その間に多くの施策を練られたことでありましょう。私が言ったことに答えたいという意欲はあるはずだ、必ず。そして私もそれを聞きたい。国民皆さんも、今我々はどっちの方向に導かれようとしているのか、どっちの方向に一歩を進み出そうとしているのか聞きたいと思う、これは。  どうぞ出てきてくれ、まだ時間ありますから。官房長官、ちょっと総理に連絡とって、こんなこと言っているよ、出てきたらどう、こう言ってよ。どうですか。まあこんなこと言ったって、官房長官は、はあそうですかと言って電話に走るほどの方ではないと思いますから、私がこんなことを言っていた、出てきて議論をしろと。  私は、立派なレポートをもらったり自分で沈思黙考をやったからといってそれがうまくいくとは思わぬ。自分に立ち向かってくるものを乗り越えてこそ、それを乗り越えてこそ本当の正しい結論というのは出てくるものでして、これは何も私が言うまでもなく、もう総理だってよくおわかりのはずだ、官房長官だっておわかりのはずだ、並みいる皆さんもみんなおわかりのはずなんで、私はそのことを強く強く希望する。  そして、今取り上げた問題と同じ文脈にある中で教育立国という言葉を使っておられる。私は、教育ということの重要さ、これは非常に大事なものなのであって、これを軽んじようなどと言うつもりは全くありません。どうぞどうぞこの教育の問題については一生懸命やってもらいたい。我々も、協力するところは協力する、できないところは反対する、反対のところは反対する、そういう立場でいるんですが、どうも私気になるのは、教育の問題というのを非常に大事だと言いながら、教育改革国民会議へお諮りします、こういうことになっているわけですね。  さてそこで、文部大臣、こうやって教育改革国民会議へ、こういうことになったんですが、文部大臣としてはこの問題をどのように取り扱っていかれるおつもりなのか。丸投げをそのまま受けるのかどうなのか。大体、この教育の問題は、今大事な時期ですから、何年もかけて議論していくなんという余裕は今の日本にはないと私は見ているんですよ。この問題についてどのように文部大臣としては取り組んでいかれるおつもりか。
  18. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 教育改革は、この内閣の最重要課題の一つとして位置づけられておりますし、また、委員も御承知のとおり、さきの総理施政方針演説におきましても教育立国を掲げまして、そして、広く国民各界各層の皆さんの御意見を伺い、また幅広い議論をするためにということで、この教育改革国民会議の設立をすることとしているところでございます。  今委員がおっしゃいましたけれども、これに丸投げするのではなくてというお話でございますが、教育の問題は大変に幅も広く奥行きもあり、いろいろな問題があるわけでありまして、この国民会議だけが議論をしていればいいというふうには毛頭私どもも考えておるものではありません。学校現場での問題や教育制度の問題やいろいろな問題があるわけでありまして、そういう意味では、あらゆる手だて、あらゆる知恵を絞ってこの解決、改革に努力していかなければならないのは言うまでもないわけであります。しかし、戦後五十年たちまして時代の大きな変換期になりましたので、国民各界各層の御意見も伺いながら幅広い議論をしようということでこの会議が設立されるわけでございます。  私といたしましては、総理リーダーシップをとられて、この会議の発足に向けて今有識者の方々からの御意見も伺うべく総理と連名でお手紙を出させていただいたり、あるいは国民皆さんからの御意見もいただいているところでございますが、文部大臣といたしましては、総理と一体となってこれに取り組むのは当然でありますけれども、喫緊のいろいろな教育の問題について解決に努力をしていくのは当然と思っております。  例えば、二年後の学習指導要領の改訂があるわけでありますけれども、英語教育について申し上げれば、今まで必須となっていなかったものが、この英語教育が必須となってまいります。そういうことによりまして、ますます初等中等教育レベルを中心に英語教育が広まるものと思いますけれども、一方で、なかなかこの教育は、英語を勉強しても実用的に身についていないというようなお話もありまして、それでは、問題の指導の方法をどうしたらいいんだろう、そういうことも考えるべきではないかということから、先日、大臣の私的懇談会ではありますが、英語教育の指導方法等についての勉強会を発足させたところでございます。  そのように、同時並行的にいろいろな課題の解決にこれからも努めていきたいと思っておりますし、私もリーダーシップを持ってやっていきたいと思っておるところでございます。
  19. 日野市朗

    日野委員 各界各層の意見を聞いてと。結構なんですよ、それは結構なんです。  しかし、現在、教育をめぐる問題点というのは非常に多い。そして、それをどのように解決するのかという教育論、これが非常に混迷しているように私には思える。私は、この教育論における混迷というもの、これを整理していかなくちゃいかぬと思う。そのリーダーシップをとるのは、今文部大臣総理と一緒に、こういうお考えを示された。どのような教育にしていくのか、その教育論についての混迷を脱することが、一つ我が国においては大事なことだろうというふうに私は思っております。そこでリーダーシップというものが非常に大事になってくる。  ところで、では、どのような教育をしていくのかということでありますが、私も一つ考え方は持っております。ややもすると、人々は今の若い人たちの生き方に対して、不平不満をこぼしておられる。そういう人たちから発せられる教育論もあります。しかし、自由な個性の発露というものを大事にしようとする教育論もあります。私は今、どっちをということを文部大臣に注文するつもりはありません。  そこで、認識を確かめておくために、ちょっと聞いておきたいことがあります。  文部大臣、ガングロというのは知っていますか。ちょっと説明してください。
  20. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 正確な定義があるとは思われませんけれども、私の知っている範囲では、髪がやや白く、顔が黒く、目の辺が白いお化粧をした少女のことを言うことではないかと思っております。
  21. 日野市朗

    日野委員 茶髪は知っているね。
  22. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 はい、存じております。
  23. 日野市朗

    日野委員 厚底ももちろん知っていますか。
  24. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 はい、知っております。
  25. 日野市朗

    日野委員 私は、こういう風俗についてまゆをひそめる人がいることはよく知っているのですね。ただ、こういうもの、私は一概にこれを悪、悪いと決めつけるつもりは毛頭ないんです。全然ない。  ただ、私、恥ずかしいと思ったことがあるのでちょっと御報告しておきますが、テレビの番組で、外国人と日本人が討論をする番組、そこが変だよ何とかというのがありまして、私はそんなもの今までに一度しか見たことがないのですが、たまたま見たとき、コギャルはもちろん御存じですな、コギャルと外国人の婦人が討論をしたことがある。そうしたら、そのとき、その外国人の女性がコギャルたちに向かって言うんです。議論をするのはいいが、その前に、あんたたちパンツ見えないようにしてよ、目のやり場がない、こう言っていた。私は、そこまで行くと、何かもう、ちょっと、そういうことまで、そういう風俗を肯定するところまで私の理解度は到底及ばないなというふうにも思っている。  しかし、こういう若い人たちに、ただ単にまゆをひそめているだけではいけないと思うのですね。何でこの人たちはこうなっているんだ。私は、自分たちの生き方、この若い人たちですよ、その人たちが、自分たちが若さをぶつけていくべきものをだれも教えてくれない、自分でももちろん見つからない、そういうところから、こういう自己をアピールするという形になっているんじゃないかと思うのですね。  私、この問題については、ある歌手の方と話をしたことがあります。そうしたら、その人は言っていた。何か変わったことをして自分を目立たせないと今は生きていけない時代なんですね、こう言っていたのです。私は、これからの教育をする場合、この若い人たちに何か目標を与えるような、目標というものは、我々がやはり先輩として、それから、今までの日本のこのような状況をつくってきた責任者としても、その方向を指し示してやるということをしなければいけないのではないかと思うのですね。  その場合、私は、この人たちを一概に悪いと決めつけるのじゃなくて、何でこのようになっているのかということ、それから、自分たちの持ってきた日本の文化とか、自分たちの持ってきた生き方、それをきちんとこういう人たちにも教え込んでいくということが必要なんだと思います。私は、そんな道学者のようなことを言っているんじゃない。日本人には日本人の生き方がありました。  私は、しばらく前ですけれども、宮澤大蔵大臣総理だったころに、これに似たような問題でちょっと議論をしたことがある。もう宮澤大蔵大臣はお忘れになっているかもしれません。しかし、私、そのとき宮澤総理が、当時の総理ですよ、こう言われたのをまだよく覚えているんです。我々のアイデンティティー、生き方というものは親から教わっている、貧しくても分かち与えよということを教わった、しかし今、豊かな世界になって、豊かな世界での身の処し方というものは自分もわからぬのだ、こんなことを言われた。  そのときの、貧しくても分かち与えよという言葉、今でも私、何か頭の中にひっかかっているんです。やはりこれが日本の文化なんでございましょうね。私は、こういった日本の文化というようなもの、これはやはり後の世代にもきちんと伝えていくべき価値のあるものなんであろう、こういうふうに思います。  それで、私は、日本の若者の発展可能性といったものについて、決して悲観なんかしていないんですね。もし、彼らがちゃんとした、何の疑いもなくこれはやるべきだと思う、そういうものを見つけたら、彼らは必死になってその若さをぶつけていくわけですね。  阪神・淡路大震災のときにボランティアがいっぱい集まりましたね。それから、ナホトカ号の油流出事故のときもいっぱい集まりました。我々はああいうときにそういう姿を見るが、今でも青年海外協力隊や何かで海外に展開して、すばらしい仕事をやっている人がいるし、そのほかに、砂漠緑化運動なんかで、それこそ身銭を切って出かけていって一生懸命自分の若さをぶつけている、そういう若者の姿をいっぱい私は見ているわけですね。  ですから、私は、そういう可能性を引き出すような教育というものをぜひ進めてもらいたい。これは私の注文であります。  日本の文化ということを私言いましたけれども、私は、日本の文化というのはやはりすぐれたものをいっぱい持っていると思いますね。あの関東大震災のとき、日本人の整然とした行動について外国人の特派員が、日本人を尊敬せざるを得ないということをレポートとして書いているようでありますが、私は、そういった日本の昔から持っている助け合っていくような文化、それから、お互いに相手を思いやる文化、治安のよさ、こういったものというのは、ぜひとも守っていく、守り育て、後の世代に引き継いでいくべきものだと思います。そういう中から若者たちは、自分たちのエネルギーをぶつけていく、自己を表現していく、そういう場をみずからも発見していくんだろう、こう思うのであります。  随分演説が長くなって恐縮ですが、文部大臣、ちょっと感想を述べてください。
  26. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 若者たちは、日本の未来を担っていく人たちでありますし、また、大きな可能性を秘めているわけでありまして、その可能性、将来性というものを私たちはどんどん引き出していかなければならない、そういうふうに思っております。  委員がお話ありましたように、最近の若者の風俗、言動等、いろいろございますけれども、これは、その時期の一時的な流行にあこがれたりするというようなこともあろうかと思いますし、個性をアピールしたいということもあろうかと思いますし、それから、ぶつけるところがないというような社会的な問題もまたあろうかと思っております。  しかし、大切なことは、委員がお話しになりましたように、日本人として立派な人間となっていくこと、このために日本の歴史とか文化とか、そういうものを十分に理解させて、また尊重する気持ちを養う、あるいは思いやりの心とか正義感とか倫理観とか、生きていく上での基本をきっちりと教えていくということではないかと思っております。そういうふうに考えているところでございます。
  27. 日野市朗

    日野委員 二十一世紀懇レポートの中に、教育について非常に参考になることが書いてありますね。教育というのは、まず第一の段階として、社会の中できちんと生きていく個人としてのあり方、これをきちんと教育すべきだ、これが第一段階なんだ。個性とか才能の発揮とか、さらに高度の教育というのはそれから後に来る、こういうふうなことが書いてあります。  私は、これは正しいと思う。こんな演説をすると、いや、そんなことないという意見がその辺から飛んでくるかもしれませんけれども、私はそう思う。ぜひそれは参考にしていただきたい、こう思います。  次に、科学技術立国ということを言っておられますね。私は、科学技術立国というのは非常に大事なことだというふうに思っています。日本は、何といっても、科学技術大国としてその誇りを持ってやってまいりました。  そこで、科学技術庁長官に今度はお伺いをいたしますが、ターゲットは何ですか、科学技術立国をやっていこうとするときのターゲット。科学技術というのは、あらゆる広い範囲に及びます。その全部をすべて同じように引っ張り上げていくなんということはできるものではない。何をターゲットにやっていきますか。
  28. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 一言で申し上げれば、我が国の発展のためでもあり、また、世界の平和と繁栄に貢献するためということになろうかと思います。  具体的にちょっと三点ほど申し上げさせていただきますけれども、高齢化社会を迎える中で、この科学技術というものを生かして、人々が健康で、そして安心して生活ができるようになるため、また、環境問題、エネルギー問題を克服して、安全で快適な生活ができる国にするため。それからもう一つは、絶え間ない知の創造と技術革新によりまして、高い国際競争力を保持して、持続的な経済発展をなし得る国とするため。そして三点目は、自国の発展のみに用いるのではなくて、それによりまして、人類の未来に寄与できる発信能力の高い知的存在感のある国、こういう国にするために科学技術を発展させなければならない、そういうふうに考えております。
  29. 日野市朗

    日野委員 科学技術といっても、ビジネスにこれは結びつくわけでありますね。それで、情報通信、これはビジネスの世界で非常に大きなシェアを持っているわけでありますから、ややもすれば、コンピューター関連、情報通信、それをめぐっての科学技術の発展、進歩、こういうことが言われます。  だが、私は、これはツールにすぎない、道具なんだ、それ自体が目的とはならぬのだ、こういうふうに思っているんですね。私は、それよりは、むしろ環境をめぐる技術、これの重要さというものを訴えたいと思います。  環境というのは、これは全人類の生存にかかわる問題です。それ自体が一つの目的たり得るんですね、これは。そして、それを目的にしていかなければならない。幸いなことに、日本の環境技術というのは、今、情報通信関係の技術の発達、それからビジネスの世界での取り上げられ方、それの陰に隠れたような感があるけれども、日本の科学技術の環境面における発展というものは、非常にこれはすぐれたものがあります。  ひとつ私は、科学技術庁長官に夢を見てもらいたいと思うな。日本のすぐれた環境技術を生かして、そして石油エネルギーと絶縁するぐらいの夢を見てもらいたいですよ。  例えば太陽電池なんというのがあるでしょう。そうすると、人はよく言うんだ、雨の日も曇る日もありますよというようなことを言う。しかし、日本列島を見てごらんなさい。北から南までこれだけ長い、そして気象の変化も千変万化。太陽光発電、これを各地に幅広く置いて、このごろは超電導が余りもてはやされないけれども、超電導でずっとつないで、そうすれば、北海道がだめなときは九州の方から超電導でずっと電力を運べるじゃないですか。これを何で電力各社が協力をしてやらないんだろう、私はそんなふうに思いますよ。  それから、そのほかにいろいろなすばらしい環境関係の技術はあります。そういう夢を見られるような環境技術にもっと力を注ぐべきだと私は思う。一応言うんですよ。どんな技術と言うと、情報通信が出てきて、次に環境とみんな言うんだけれども、日本の科学技術庁の予算をことしも見てみれば、宇宙開発とそれから原子力、それに圧倒的に割かれているんじゃないですか。いかがですか。  私はぜひ、環境関係を大きく発展させていく、そういう一つの方向性を出してもらいたい。私は、今さっき日本人生存から世界の全人類の生存に向けて、理念を、国家の目的を広げなくちゃいかぬのだ、しかし、まず当面、何かやれることをやっていく、こういうことが必要じゃないかということを言いましたが、私は、この環境面での国内的整備、国際貢献、これは非常にすばらしい国家目標として定立できるものだと思っています。そして、その中心を担うのはやはり科学技術、これが、環境面での科学技術の発展、これをどんどん進めていくこと、そしてそれをビジネスに乗せていくこと。  まず、科学技術庁長官としてはどう考えますか、私の今の発言について。
  30. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 よりよい環境を維持し、また、これを世界に貢献していくということは大変大事なことであります。  そういうことから、科学技術が、先ほどおっしゃいましたように、環境の面で大きく貢献をしなければならないと思っておりまして、私どもも、宇宙、原子力等に予算的には大きな額を占めておりますけれども、この環境技術の開発に努力をしているところでございます。
  31. 日野市朗

    日野委員 私は、今きれいごとばかりを言っているんじゃないんですよ、実は。情報通信なんかはもうアメリカと日本の間にかなり大きな格差があって、それは何に反映しているかというと、これは特許に関連しているわけですね。もう情報通信関係は、随分特許をアメリカに押さえられて、日本でこの仕事をビジネスとして伸ばせば伸ばすほど、特許料としてお金がアメリカにアメリカにと流れていく、こういう構図になっている。私は、こういうことじゃいかぬのだと思う。  アメリカは、情報通信、これはもう随分前からどんどん伸ばした。そして後は、特許をめぐるビジネス、これについて非常な力を注いできた。何か最近では、バイオ関係の特許までどんどん押さえてきた。クローンの技術、あれなんかについてもどんどん特許をとっておる。それから、最近は、ビジネスのマネジメントの面にまで特許を持ち込もうとしている。私は、これはアメリカの大きな戦略だと思いますよ。  現在の日米間の特許収支、これはどうなっていますか。
  32. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 日本の特許収支自体の統計というのは残念ながらございませんで、これに関連するデータとしては、日本銀行の国際収支統計月報とか、あるいは総務庁統計局の科学技術研究調査報告の技術貿易収支の二種類がございますから、これを参考にして申し上げさせていただきたい。  まず、日本銀行によれば、技術貿易収支というのは三千億円程度の赤字だ、ところが一方、総務庁では約四千億円程度の黒字だと、全く逆の答えが出ております。  これはどういうことかというので精査してみましたら、総務庁のデータには商標やファッションデザインの利用料が含まれていないといったような、そういう相違がある。例えばマクドナルドだとかケンタッキー・フライド・チキン等のこの種のものも実際には計算に入れなきゃならないんですが、そういうことなどがございますから、特許収支の絶対水準をはかるということはなかなか難しいとは思います。  ただ、この収支は全体的には次第に改善されている、そういうような傾向がございますので、これを一層高めていくことが私どもの役割ではないだろうかというふうに思います。  委員御指摘のように、科学技術の創造立国としての特許の重要性というのは非常にございますから、私どもはこれらの改善等も含めてきちっと対応していくべきだと思います。
  33. 日野市朗

    日野委員 日本の特許は、まず申請の段階から規制が多い、審査に時間がかかる、そういういろいろな問題点が指摘されておりますから、ぜひこの点は改善をきちんとやってもらいたいものだというふうに思います。そうでなければ、幾ら科学技術立国にしようといったって伸びませんよ、この点がきちんと押さえられていないと。このことはもう深谷さんの方がよく御存じだろうと思うから私は多くを言いませんが、しかしそこは、きちんと注文をつけておきたいというふうに思います。  それで、私は、さっきから理念の問題と責任の問題ということを申し上げました。私は本当はこういう質問は嫌いなんですが、人の責任を追及するとかなんとかいうことは嫌いなんですが、今回はやらぬといかぬかなという感じがしますので、あえてやります。  まず、警察の関係です。随分検挙率が高いというのは、かつては日本の警察の誇りであった、それは日本の誇りであった。ところが、この間は、かい人二十一面相なんというのが時効にかかったり、それから重大事犯、その前は三億円の事件がありましたね、現金強奪。強奪なんですか、あれは。現金をとったやつが時効にかかったなんというのがある。それからまた、警察の不祥事が実に頻発をしているわけでございますよ。  私は、こういう事態に立ち至った原因というものは、もう細かなことは聞きません。ただ、これを正していくためには、責任を持つ人たちがきちんとした責任をとることが必要だと思う。これは、きょうは保利国家公安委員長においでをいただいているが、きょうは、その下に警察庁という組織がありまして、第一次責任というのはそこが非常に重いんだと思うんですが、これを正していくためにどうしたらいいか、簡単でいいですから、ひとつ。日本の警察もこんなにぐちゃぐちゃになっちゃったなという感想を私は持ちます。これを正すとしたらどうしたらいいのか、ぜひ聞かせてください。
  34. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 大変恐縮でございますが、少し時間をいただきまして、いろいろお話を申し上げてみたいと思うのであります。  現在、日本の治安が昔と比べて乱れてきた。いろいろな原因が考えられるのでありますけれども、昔から言いならわされた言葉でありますが、「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」という言葉があるのでありますが、その種がこのところふえてきているように思います。  強盗殺人、あるいは窃盗でありますとか密輸入でありますとか昔からやられている犯罪のほかに、最近では特に薬物に対する犯罪がふえてきている。それから外国人の犯罪がふえてきた。あるいは組織犯罪が顕著になってきている。そのほか交通事故等も増加をしておるというようなこと。さらには最近、きょうの新聞にも出ておりますが、ハイテク犯罪と言われるコンピューター関係の犯罪もふえてきている。全面的に警察はそういうものに対応しながら、日本の治安を維持していかなければならないという非常に大事な役割を持っているわけであります。  そういうことからいいますと、警察に対しても人を余りふやしてはいけないとかいうようなこともありますし、それでいて警察官に対しては、聖人君子とは言いませんが、日常生活においても厳しく規律を課せられているという状態の中で、やはり私は、警察官に対してはそれ相応の待遇を考えてあげる必要があるんではないかというふうに常日ごろ考えているわけであります。  責任という問題でありますが、このところ県警本部長の会議がよくございまして、そのときにも私は常に申し上げるのでありますし、また県警本部長を国家公安委員会として任命いたしますときに、一人一人呼びまして、あなたは県警察、国家警察では現在ない、県警察の中でトップになる人間である、そのトップの人が判断を間違えたらば警察が全部判断を間違えてしまうということになる、そういう意味で考えるとあなたの責任は非常に重いと言って、一人一人の本部長にそう私は諭して赴任をさせているのが、赴任をさせていると言ってはおこがましいのでありますが、赴任していただいているのが現状であります。  そういう意味で、県警本部長並びに県警の幹部の責任あるいは管理者の責任というのは非常に重いものがあって、そこで判断を間違えてはいかぬということで、もし判断を間違えるようなことがあれば、それはやはりしかるべく責任体制をきちんと確立していかなければならないんだということを、私は常日ごろ申し上げておるところでございます。  少々余計なことを申し上げたかもしれませんけれども、現在の警察の実情、なかなか大変でございますし、第一線の二十六万と言われております警察関係者、本当に日夜努力をしておりまして、日本の治安を維持していくように努力をいたしますけれども、なお責任という問題については、私は今の観点から厳しく警察庁を督励してまいりたいと思っております。
  35. 日野市朗

    日野委員 きょうのニュースでも、何だかまた新潟県三条市の女性の監禁事件をめぐって虚偽の報告があったとか、本当にこれはきちんとしてもらわぬといかぬですよ。  私は保利公安委員長の性格もよく存じ上げておりますし、昔からいろいろつき合ってみて、あなたのすばらしい個性というのをよく知っているから、抜かりはないとは思いますが、責任感の強い方だとも思うし。しかし、このようなことが頻発するようでは、それこそ、国家公安委員長責任、政治的責任ということにもなりかねない事態であるというふうに私は思います。  では、次に銀行関係、金融関係について伺いたいと思いますが、これも、去年ですか、信組何ぼつぶれたとか、もう数字を思い出すのも嫌なくらいかなり破綻をしております。これからも破綻をするかもしれない。かつてはここも、日本の銀行は世界の十大銀行を全部独占したんですな、かつては。日本人もそれを誇りに思いながらいたわけですよ。しかし、今十大銀行の中に一つぐらい入っているのかな。そんな状態でしょう。しかも、破綻ということがどんどんこれからもあるかもしれないなんということで、国民も非常に不安がっている。そして、日本経済にこれは非常に大きな影響があります。  そこで伺いたいんですが、これはもういろいろな過程がありますけれども、越智委員長としてはどのように責任をとられるか。これは、やはり最終的にはその政治的なトップにある者の責任というのは必ず問われます。いかがですか。
  36. 越智通雄

    ○越智国務大臣 昔、住専の処理をするために一緒に御苦労していただきました日野先生でございますので、事情をよく御存じの上での御質問思いますが、民間金融機関の監督をいたしておりますが、民間金融機関の破綻について、行政当局が何ら違法なこともなく、一々責任をとらなきゃならぬということは考えておりません。  現在、民間の金融機関が破綻した場合には、特別公的管理の二銀行についても既に調査委員会ができて、また刑事事件になっておりますので二、三名ずつ今刑事訴追を受けているところでございますし、その他を含めまして今刑事事件は金融機関を相手にして二十件ございまして、そのうちの八件までが平成十一年に訴追になっておりまして、そういう意味では、民間経営者の責任追及をきちんとするようにということが行政庁としての今再生法その他に決められた私どもの仕事だと思って、その点できっちりとしたことをやっております。
  37. 日野市朗

    日野委員 私は、政治家の責任を語るとき、刑法の何条に当たるとか、その構成要件該当性がどうかとか、そんなことではないと思うんです。つまり、政治家として政治的な責任、これをきちんと国民の目の前に、このように責任をとるんだということを示すことによって、その自分責任を持っている分野、これを引き締めることにもなるんだろうし、国民も、ではお任せしましょうかと、こうなるんだと思うんですな。私は、ですから、今の越智委員長のお話、これは、あなたとは一緒に仕事をやった仲ですから、私も今問題にしているような問題についての仕事をやった仲ですから、よくあなたの言うことも一方ではわかるんだ。しかし、さらにもっと厳しいものが政治家には要求されるんじゃないかということを今私は言っているわけですな。  では、次に科学技術庁長官に伺いますが、あのジェー・シー・オーの事件がありましたね、臨界事故。あんなもの、本当はどこからどう見たって起きるはずがないものが、ああやって起きてしまっている。ここにはやはり大きな士気の緩みというか、原子力というものを扱う者にあってはならない利益の追求だとか、仕事を楽にしようという思いだとか、そんなのがあったと思う。  それから、ロケットがどうもうまくないですな。HII、MV、何か連続して落っこって、その後ですぐにスペースシャトルがばんばん上がっていくものだから、余計目につくわけだ。本当は私は言いたいですよ。落ちるようなロケットを上げるな。落ちちゃいかぬのです、これは。設計の段階から最終的な点検の段階まで、どこかで手抜かりがあったんだ、これは。  私は、ちょっと厳しい言い方をさせていただくと、科学技術庁長官、これは、一つは科技庁のロケット、一つは文部省のロケットだ。しかし、あなたは宇宙開発委員長でしょう。これ、昔の誇り高い侍だったら腹切ったんじゃないかな。それほどの私は問題だと思う。これによって科学技術大国日本の誇りは地に落ちた。その責任はどうとる。まさに、これは刑法に触れるからという問題ではないですよ。政治家の責任、どうお考えになる。やはり責任というのはきちんとしておかなくちゃいかぬ。
  38. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 昨年のHII八号機に続きまして先日のミューVロケットの打ち上げが失敗したことは、大変に国民の皆様方の期待を大きく裏切りまして、また、関係者の皆さんにも大変な御迷惑、御心配をおかけいたしまして、大変残念に思うとともに、大変申しわけなく思っております。また、ジェー・シー・オーの事故も昨年ありましたけれども、それぞれ原因、性格は違うものではありますけれども、委員がおっしゃいましたように、日本の科学技術に対する信頼というものがもうどん底まで落ちているのではないか、そういうふうに心配もしておりますし、責任も感じ、反省もしているところでございます。  ジェー・シー・オーの事故の方は、御案内のとおり、昨年の臨時国会におきまして法律を二本改正、また成立をさせていただきました。私どもとしては、このような臨界事故はもとより、原子力関係の事故が二度と起きないように、今後の再発防止、安全対策、住民の皆さんの対策等を全力を挙げてやっているところでありますし、これに取り組むことが私のまた立場ではないかとも思っております。  また、ロケットにつきましては、私は宇宙開発委員会委員長でありまして、ある意味では総責任者に当たるわけでありますが、これにつきましても、まず第一に原因究明が大切であるということでございまして、両方の事故の原因究明に当たっているところでございます。これも国民皆さんの大きな税金をむだにしたということでありますが、宇宙開発は、日本の発展のみならず、世界の平和と繁栄にも大変に重要なものでありますので、私どもは、この原因を究明し、そして次回から必ず成功できるように、そういう目標に向かって再出発をしたいと考えておりまして、現在は原因究明に当たっているところでございます。もちろん、責任者として深く反省をしておるところでございます。
  39. 日野市朗

    日野委員 政治家の責任というのは、今中曽根長官の言われたこと、これはずうっと今までそういう答えになっているんです、何か責任を追及されると。しかし私は、政治家の責任というのはそれで済むものだろうかと思っているんです。ひとつ、私の言ったこと、玩味いただきたい。  それから法務大臣ですな。まず四点ほどちょっと伺わせていただきます。  秘書はその当時何人おられましたか。現在何人おられますか。元秘書の勤続年数は何年ぐらいでしたか。それから、あなたの事務所の中でどういう職務を分担しておられましたか。ちなみに、給料はどのくらいあげておられましたか。
  40. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 当時は、本人を入れまして男子が九名、女子が六名、十五名でございました。現在は、男子が八名、女子が六名の十四名在籍をいたしております。本人は、昭和六十二年から平成十一年の三月末まで在籍をいたしておりました。  仕事内容につきましては、出席代理あるいは党のいろいろな部会等の出席等の仕事をいたしておりました。  以上です。(日野委員「給料は」と呼ぶ)給料は、申し上げられません。恐縮でございます。
  41. 日野市朗

    日野委員 私、この法務大臣の元秘書の問題について、その内容を詳しく今ここで言いません。しかし、週刊誌ですか、あの写真は私も見ました。ページの間からすえたにおいがしてくるような嫌な写真でございます。よくあんなもの撮られたものだなと思っているんですが、私はあれを見て、それから報道されるところをいろいろ読んで、それから今大臣の秘書の人数とかなんかも聞きました。こんなに秘書を十五人も使っておられるという状況というのは、これは大臣のいわゆる歳費と、それからいろいろな寄附金等があったでありましょう、その当時ですから。しかし、それにしても私は大変だと思うんです。  私は、ある議員さんの秘書のありようというものを知っています。その方は、事務所からは、つまり議員から給料をもらわないんですね。そして、何かその秘書が仕事をしてきた、そうしたら、その謝礼をもって自分の給料に充てる、こういうパターンがあるんですが、この方はそれじゃなかったの、あなたの元秘書は。
  42. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 そういう認識は持っておりません。
  43. 日野市朗

    日野委員 議員会館に出入りする人もさまざまであります。また、議員の秘書という肩書で会う人々もさまざまであります。私は、あのような問題が起きるような土壌、これは確かに我々の周囲にもある、厳しく我々がそれに対処しなくてはいかぬ、こう思っているんですね。  これは、先ほどから私何度も言っているように、本人が何かの犯罪の構成要件に触れるか触れないかというような問題を離れて、私は、特にあなたは法務大臣ですから、その責任を痛感し、とるべき措置があったらとる、これは大事なことではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  44. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 報道関係からすべて情報は出ておりまして、現状を正確に把握しているわけではございませんので、その点は、詳細については御勘弁いただきたいと思います。  先般、私は、私どもの秘書をして本人にその時期の状況等について聞かせました。その結果、必ずしも新聞報道とは同じではない、こういうことを現在思っておりまして、したがいまして、真実は一つしかないわけでありますから、その真実追求というのは、本来、権限を持っておられる税務当局にお任せするのが一番である、こういうふうに私は思っております。  しかしながら、私どもに在籍したときに仮にそういうことをした秘書がいたとするならば、私の責任は大変重いと思って反省をしつつ、今後、そういうことのないように心がけてまいりたい、このように思っております。
  45. 日野市朗

    日野委員 この問題については、別の機会にもまたお話しすることもありましょう。  時間がどんどん過ぎてしまいますので、ちょっと今度は、財政と景気の関係について大蔵大臣と経企庁長官に伺います。  これは、皆さんも随分お話ししたから、もう余り細かい話をする時間もありませんし、するつもりもありません。ただ、私は、大蔵大臣も経企庁長官も、景気が大事なんだ景気が大事なんだ、こう言われる。何度も聞きました。そして、エコノミストの中にも、かなり多くの方が景気の動向に神経質になって、財政再建の話はできるだけ避けたいという雰囲気がずっとあります。これは実業家にもありましょう。だが、私はそうは思わない。景気がどうしても上向いていかないという陰には、やはりこの財政の問題がずっとわだかまっていると思うのです。  まず、財政の硬直化なんという非常につらい現実、それから実質金利の上昇、リスクプレミアムなんというのがついてきますから。それに競争を抑制しているというようなこともありまして、今きちんと財政再建の手段を講ずるべきだというふうに私は思っております。  ここについては、恐らく大蔵大臣はうなずかれないだろうと思いますね、経企庁長官もうなずかれないだろうと思う。だが、ここで私は、今財政再建に着手をしなければいかぬと思っているのですよ。それは私の信念です。  では、このことだけ伺っておきましょう。  もし財政再建を、いずれやらなくてはいかぬわけです、これは。いずれやらなくてはいかぬ。その場合の手法はどういうものですか。お二人に伺いたい。特に、経企庁長官は、経済の再建なくして財政再建なし、こうおっしゃられた。そこまで言われる根拠を企画庁長官にちょっと伺いたい。
  46. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 現在、日本の景気は依然として軟弱な状態にございまして、年末には消費需要などはやや後退いたしました。しかしながら、全体といたしまして見ますと、かなり明るい様相も出てきております。これが、景気がよくなり、かつ経済構造の面でも改善されてまいりますと、やはり税収も増加いたしますし、また景気対策に伴う支出も減少してまいります。これがどのような形になるか。  例えば、十年前のアメリカ、あるいはイタリアやカナダのことを思い浮かべますと、かなり予測し得ないような状況も出てまいります。現在で考えますと、例えば財政支出を切りますと大変深刻な不況が起こる。けれども、民需が出てまいりますとそういうような面での可能性も今よりは広がってくる。そういったことを全体的に考えて、財政の支出、それから税制面の収入、あるいは財産その他の面も含めて幅広く議論していくべきだと考えております。
  47. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 小渕内閣が成立いたしまして、財政再建の道を一遍棚上げをしまして、総力を挙げて不況脱出を図ってまいりました。多少好転をいたしましたが、まだまだ民需が主導するに至りませんので、ただいま御審議中の予算そのものも、相当景気刺激的にできるだけの手助けをする、金融についてもそういう政策をとってまいりました。  ただ、この点は、私はある意味で、日野委員のおっしゃること、同感でございまして、つまり、財政再建を口にすることが景気正常化に逆効果があるんではないかというふうには、私はそういうふうには考えておりません。むしろ、強いて言えば、財政再建の道がはっきりしたときの方が、国民としては全体の自分の置かれている状況を明確に認識し得るんではないかとすら思いますから、仮にそれが将来への負担増加を含むにしても、漠然として先がわからないという状況よりは、日本国民はその程度に私は聡明だろうと思っています。  ですから、景気に害があるから財政再建の話をしないということを私は考えたことはありませんで、私が思いますのは、いずれにしても、財政再建というのはもう大変にスケールの大きな、財政だけの話にとどまらない、二十一世紀の初頭における日本経済社会のあり方全体を決定するような問題だと思っておりますので、そのためには、日本経済が正常な成長の軌道に乗りませんと、いかなるプランも実はきちんとは立てられないと考えますので、経済が正常化しましたら、そういうフレームワークのもとに財政再建の計画を立てたい。  ただし、それは恐らく財政だけにはとどまりませんで、税制とか中央、地方の関係はもちろんですけれども、日本の二十一世紀の、日本人といいますか、経済社会のあり方全体にかかわるような出来事でありますので、財政当局だけが手法を考えるという問題では恐らくありませんで、どうなりますでしょうか、やはり、従来のやり方でいえば、何年間かの日本経済社会というもののあり方を考えまして、そういうモデルをつくったりもいたしながらフレームワークをつくって、そしてそれは、何度も申し上げますが、財政だけの範囲にとどまらない大きな計画をつくらざるを得ない。  しかし、その計画は、やはり、現状から見まして、もう心配ない状況になったというまでには大変な長い時間と長い国民的な努力を積み重ねなければならない。しかし、それで初めて二十一世紀に生きていける日本社会ができる、そういう性格のものになるのではないかということを思っておりまして、それだけに、今そういう計画をつくれる段階ではありませんが、しかし、問題の難しさというのはやはり今からいろいろに考えておく必要がある、正直申しますとそういう気持ちでおります。
  48. 日野市朗

    日野委員 非常に明晰な宮澤大蔵大臣にしては、なかなかわかりにくいお答えをいただいたような感じもいたします。  財政の再建ということになりますと、その手法というのは、いろいろなソフトにわたる部門があるのはわかりますよ。しかし、そんなに多くの選択肢が実はあるわけじゃないんですが、選挙の前ということになるとそういうおっしゃり方になるのかな、そんな感じも私は持つわけでございます。これについては、各国の経験もございますし、いろいろでございます。  経企庁長官、何かおっしゃることがございますか、その手法に関して。財政再建の手法ということではいかがでしょう。
  49. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 例えば、アメリカがどうやって財政が改善されたか。八〇年代には大きな赤字がずっと出続けておりまして、その間にグラム・ラドマン法とかいろいろなことが行われましたが、結果として効果が上がったのは九二年から九八年、この間に、GDP比率で見まして約六%強改善しております。日本もそれぐらい改善すれば、ほぼいいような数字になるわけでございます。  これがどういう要素で改善されているかと見ますと、まず、歳出削減と歳入増加、これが五一対四九、ほぼ半々だということでございます。そして、歳出削減の方で、構造要因、ばさっと切ったものですね。それから、景気がよくなったら自動的に失業手当とか減る部分があります。それで見ますと、やはり切った方がほとんどでございまして四八%、景気要因が三%。歳入の方の増加を見ますと、景気要因で百七カ月景気がよくなったことで三〇%、それから増税その他構造的なもので二〇%、こういう形になっているんですね。  それで、歳出削減が約五割あるわけですが、その中で一番大きいのはまず軍事費、国防費でございます。これが冷戦構造が終わったというようなこともございまして削減されましたが、同時に、軍需産業から民需への転換が非常にうまくいった、これも構造改革のせいだと思います。  それからもう一つ、やはり百七カ月に及ぶ増加、この中で、この間のここでも議論になりました大蔵省の試算と比べますと、ある段階では名目成長率がかなり高くて長期金利との差がぐっと詰まっているとかいろいろ、そういう今から予測してできないような事態、予測しても不正確になるような事態がいろいろとやはり起こってまいります。それが経済はやはり生き物というところでございますので、この財政、景気、そして何よりも経済構造の改革が進んだ段階で、日本もその都度、大胆に、おくれることなくやっていかなきゃいかぬ、その覚悟は必要でございますけれども、今どこをどうということをこの段階で申し上げることは困難だと思っております。
  50. 日野市朗

    日野委員 各国の例を私も少しは勉強もさせていただいております。やはり、税の問題に触れなくちゃいかぬのです。  税収の問題に触れさせていただきますが、大蔵大臣、イタリアで徴税警察官なんという制度があるのを御存じかと思います。日本は国税の職員の数を減らしているというのが納得いかないのですな。大蔵大臣は御経験ないかもしれませんが、税務署の方が来られると、彼らは非常に礼儀正しくやってきて、応接間に座って、いや、先生、お手すきのときで結構ですから、こう言って、きょうお忙しいようですから、ではまた後日なんといって帰っていかれるわけですね。これだけでも納税者としては、これはちゃんとした申告をしなくちゃいかぬ、こう思うわけです。これは、ごあいさつをして歩くだけでも違うんだ。これだけでも税収はばあんと上がりますよ。  ところが、国税の職員を減らすのですから、私はこれはちょっとおかしいなと思うのです。国税庁の職員をふやすお考えはありませんか。
  51. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私にも、昔、戦前、経験がありまして、やはり殊に営業者に対しては、個人調査と申しましたけれども、税務署員がちょっと顔を出して、どうだという話をするだけで随分違いましたから、今おっしゃるようなことは、人情は今でも同じだろうと思いますが、ただ、機械化しますとどうしても足で歩く度合いが少なくなっています。おっしゃるようなことは資料を収集すればできるはずだといっても、そうもまいらぬところがございます。  できるだけふやしたいと思っておりますが、かなり資料の収集もできるようになったし、機械化もできるようになりましたから、そういう中でやってもらっているということでございまして、直接歳入に響きますので、できるならば増強したいという気持ちはございますが、ただいまのところ、なかなかここばかりをふやすというわけにもいかない。しかし、昔と違いまして、仕事内容はかなり機械化といいますか効率化してまいりましたので、昔よりはいわゆる生産性は大分上がってまいったことは事実でございます。
  52. 日野市朗

    日野委員 大急ぎで聞きます。  労働大臣と法務大臣にお伺いするんですが、このごろ、企業再編とかそういったことがどんどん商法典をいじることによって行われているわけですよ、特別法もありますけれども。商法典をいじる。そうすると、合併だの会社分割だのということになると、当然、そこに働いている労働者の人たちはどうなるんだという問題が出てきますわな。これは、労働省と法務省と別々にやっていられたんじゃ、なかなか大変なんですな。  それで、商法典の中に労働問題も取り込むということが、今ヨーロッパでは、EU諸国の中ではしきりに行われています。我が国もそういうふうに変えていくつもりはありませんか。どちらからでも結構です。
  53. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 労働保護という考え方がありますが、私ども、こういうことに備えまして、実は昨年十二月、学識経験者にお集まりいただきまして、企業組織変更に係る労働関係法制等研究会、ここで勉強していただきましておおよその報告をいただきまして、これに基づいて法律を出しまして御審議いただこうと。  先生のお気持ちはほとんど法案に取り上げられていると思いますが、要するに、分割した場合には、ちゃんとそのとおり、一応労働契約等は全部オートマチックにいきますよと。これが第一点。  第二点は、AとBに分かれるんですから、Aの方の人をBの方にいらっしゃい、その場合に、私は行きたくないという方には異議申し立ての機会をきちっとお与えします。また、BからAへ行きなさい、当然Bと思ったところが片方の会社の方に行きなさい、こう言われる場合もありますので、この場合も異議申し立てをして保護する手段を講じさせていただく、こういうことで今考えております。  以上です。
  54. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 我が国の法体系におきましては、商法は会社組織の基本的なものにつきまして定めているわけでございまして、労働者の保護につきましては、別途、労働関係法規によって手当てがされておるわけでございます。それは委員御指摘のとおりでございます。  現在、会社分割法の創設に関する商法改正の検討をいたしているわけでございますが、今後とも、労働者の問題についても、先生御指摘の御心配のないように、労働省とも十分協議をしながら対応してまいりたいと考えております。
  55. 日野市朗

    日野委員 では、今度は着眼を変えて、さっきから私は、環境問題に取り組むことが非常に大事だ、こう言っています。特に地球温暖化現象、これは、我々はもう待ったなしですな、地球温暖化を阻止していくということは。しかし、それを阻止する歩みというのはまことに遅い。本当にこっちがこんなことでいいのかと思うくらい遅いわけで、非常に焦りを感じています。  それで、私は、京都議定書での取り組み、これは日本は一九九〇年レベルから六%のマイナスにする、こういう話なんですが、はて、こんな状況でやっていてそういうのができるのかな、こう思います。  まず地球温暖化対策推進大綱、ここでは数値目標を決めていたんですよね。ところが、地球温暖化に関する基本方針という閣議決定、これでは数値目標が消えちゃった。何で数値目標を消したんですか。
  56. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 先生御指摘の地球温暖化対策推進大綱でございますけれども、これは、京都議定書の採択を受けまして、我が国として二〇一〇年に向けての緊急に推進すべき地球温暖化対策を取りまとめたものでございまして、ここには我が国の六%削減目標の達成に向けた当面の方針について数値を書いたところでございます。  一方、今先生御指摘の、閣議決定をいたしました地球温暖化対策に関する基本方針でございますけれども、これは、議定書の約束期間以降も視野に置きまして、温室効果ガスの長期的、継続的な排出削減を目指すものでございますので、議定書の目標の達成に関しましては、この基本方針のもとで当面大綱に盛り込まれた対策を実施するというふうにされているわけでございます。  政府といたしましては、この基本方針を踏まえまして、まず大綱に定められた目標を実現するべく全力を挙げてまいるところでございます。
  57. 日野市朗

    日野委員 我が国の長期のエネルギー需給見通し、これを見ますと、原発に非常に大きく依存をするわけですね。ちょっと今もう時間がないから数字、大体、原発二十基ぐらいこれから建てなくちゃいかぬ、そういう計算になっていますね。通産大臣どうですか、これは事実上不可能だと私は判断しています、二十基原発をつくるなんということは。そうすると、この目標は大幅に削減しなくちゃいかぬ。その上に立って、エネルギーの長期見通し、これをつくらなくちゃいかぬ。この作業、できますか。
  58. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 COP3の会議に基づきまして地球温暖化を防止するためのさまざまな計画がなされたことは、委員御指摘のとおりであります。  CO2の排出量の削減目標を達成する、そのためには、二〇一〇年までに原子力による総発電電力量四千八百億キロワットアワーの確保が必要なんだと。それに基づいて、今二十基とおっしゃいましたが、十六基から二十基を目標として立てているわけでございます。  現在、何といいましても、安全性の問題や国民の信頼の問題等もございますので、さきの事故等の後、法律を改正したり新規の法律をつくったりいたしまして、その国民の信頼を回復すると同時に、この目標に向けては一層努力をしなければならないと考えています。
  59. 日野市朗

    日野委員 私は、これから十年、二十年かけて原発は一体何基できるんだと。私は見通しは暗いと思う。  そうしたら、どういうふうにこれからのエネルギーの需給構造を変えていくかということになると、石油に今偏っているものからガスにかえなくちゃいかぬですわな。それから、自然エネルギーのウエートを高めなくちゃいかぬ。これはもう嫌でもやらなくちゃいかぬ仕事です。こういう備えはありますか、どうですか。
  60. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 おっしゃるとおり、新エネルギーの開発あるいはガスについては、この開発を進めていくということはもうおっしゃるとおりであります。  ただ、現状では、御案内のように、経済性、安定供給その他、いろいろ考えてまいりますと、原子力発電に負うところが非常に多いと思います。したがって、原子力発電所の安全性というものを一層高めながらこれを進めると同時に、一方においては、ただいま委員御指摘のようなガスの開発及び新エネルギーの開発には全力を挙げていかなければならないと思います。
  61. 日野市朗

    日野委員 エネルギー安保という観点からいうと、これは、サウジとの関係なんか、きちんとやっておかなくちゃ、もともとこの段階になる前からきちんとした経済的な交流がなくちゃいけなかったのですな。そういうことの反省も踏まえながら、あの辺の国々とのこれからの関係はきちんとしてもらいたいものだというふうに私は思います。  それから、環境庁長官、環境庁の中でも実はCO2削減のためにいろいろな方法を考えている。中で環境税の考え方というものを取り入れるような研究は既に進んでいるはずだ。しかし、いつの国会の論議や白書なんかを見ても、経済的手法については目下検討中と。いつも同じ、十年一日のごとくにやっている。この環境税というのは有効だということは、環境庁の研究会の中でもこれはちゃんと出ているんですが、これに踏み切るつもりはないか。  これは単にCO2の話ばかりじゃなくて廃棄物の問題についても、きちんとした経済的手法、つまり環境税を用いることによってエネルギーの問題、廃棄物の問題、動脈的な部分も静脈的な部分も全部市場の内部に取り込むことによってこの問題を解決しなければ、私はこの問題は解決できないと思うんです。  ごらんになってください。いかにPETボトルを集めるために家庭の主婦たちが苦労をして集め、そして、それを収集し、それを今処理し切れなくて各自治体が悩みに悩んでいる、メーカーはそれを受け取ろうとしない。だから、しようがなくて不法な輸出を図ったりする。こういう非常に悪い循環になっています。  今は、廃棄物について言えば、容器包装について、これはまだいいですよ。来年からは、今度は家電がそれに入ってくるわけですね。こうなったら、恐らく手も足もつけられないという状態になりやしないかと私は非常に心配します。  今度は循環社会の基本法をつくるというんでしょう。ここにはEPRの原則——EPR、拡大生産者責任と訳すのですかな、これを取り入れない限り、私は問題の根本解決にはならないと思います。環境庁長官考え方を聞かせてください。これはCO2の問題も廃棄物の問題も。
  62. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 初めに、環境税についてのお尋ねがございましたけれども、環境庁も、先生御指摘のように、かねてから地球温暖化対策でありますとか大気汚染対策などについて大変有効な手段であるという認識を持っているわけでございます。  ただ、環境税を新税として導入するに当たりましては、やはり経済状況でありますとか国民の理解を勘案しまして、もう少し国民的な議論を進めていかなきゃいけないだろうというふうに思っておりますし、また、既存の税体系の中で環境に優しいものに改革していくというようなことも重要なことではないかというふうに思っております。  なお、平成十二年の税制改正に関します政府税調の答申の中におきましても、環境関連税制の検討も今後の課題というふうに言われておりますので、環境庁としても、こうした動きと連携しながら、ぜひ検討を進めていきたいというふうに思っております。  それからなお、循環型社会基本法でございますが、今政府部内におきまして検討を進めているわけでございますが、先生御指摘のEPRの考え方は非常に重要なことだというふうに思っておりますので、ぜひ今国会に出したいと思っているわけでございますが、その中にそうした拡大生産者責任考え方あるいは排出者責任考え方をあわせて入れてまいりたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  63. 日野市朗

    日野委員 いや、この問題は、我が国だけではなくて、既にOECDの閣僚理事会なんかでも、もう採用しなさい、こういう議論の方向に進んでいるわけですな。  ところが、政府から出たこの文書、これはどこでつくったのだろう、政府から来た文書の中に入っていたけれども、恐らく環境庁だと思いますが、ここの中ではすべての分野において一律に生産者に責任を負わせれば効率的なリサイクルが実践できるという考え方をとるのは適切でないなんて書いてある。  私は、これは市場の内部に全部押し込めなければこの問題は解決しないと思う。今そちらからコストは随分かかるだろうな、こういう話、やじのようなものが飛んだのですが、コストがかかるのは当たり前なんです。そのコストを全部市場の中で消化すればいいのであって、市場の問題で解決すればいいのであって、それに公的資金なんかを入れてしまって、自治体がそこに金なんか入れてしまうから市場がゆがんでしまうんですよ。  これは、EPRの原則を循環社会基本法の中にぜひとも盛り込まなければならないと私は思う。この時点で盛り込むべきだと思う。しかも、それは日本型なんという変な表現をとらないで、きちんとした形で盛り込んでください。どうですか。
  64. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 もう少し丁寧に御説明申し上げなきゃいけないと思いますけれども、一応一月の二十一日に政府の素案をつくりました。この中に拡大生産者責任の問題あるいは排出者責任の問題、こういうことを明確にしたいというふうに思っているわけでございますけれども、政府素案の中では、まず物品の耐久性、リサイクルの容易性、環境負荷の低減等の自己評価を通じた発生抑制・リサイクル・適正処理の確保、あるいは使用済み製品等の引き取り、あるいは引き渡しルートの整備及びリサイクルの実施、あるいは物品等に関します情報の提供、こういったような拡大生産者責任の措置を、個々の物品の性状だとか処理あるいはリサイクルの実態等を考慮しつつ、また関係者の適切な役割分担のもとで実施していくという考えをぜひ方向づけてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  65. 日野市朗

    日野委員 委員長時計をごらんになるまでもなく、私も見ておりますから、これで終わります。閣僚皆さん、どうも長時間おつき合いをいただいてありがとうございました。
  66. 島村宜伸

    島村委員長 これにて日野君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  67. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石井紘基君。
  68. 石井紘基

    石井(紘)委員 官房長官にお尋ねをいたします。  最近の政治体制というか日本の政治のあり方、私は相当変質をしてきているだろうと思うわけであります。  かつて我が国には、院政の時代だとかあるいは枢密院時代だとか執権政治だとか、そういうのがあった時代がありましたね。権力というものは、ほっておくとこれは独裁の方を好むものでありますので、そういう方向に行きがちである。だから、それゆえに、戦後我が国では、議会制民主主義という政治体制をとって、権力が独裁の方向に行くことを防いできた。しかしそれでも、そういうものが日がたちますと、例えば、あるときには国対政治などというようなことになって国民の大きな批判を浴びる、こういうこともあったわけですね。  したがって、議会制民主主義というものは非常にもろいものでありますから、崩れやすいものだから、権力にある者はよほど心して取り組んでいかないと、議会制民主主義というものが崩壊するというふうに思うわけでございます。  失礼しました。今官房長官と申し上げましたが、この後で官房長官に伺いますが、総理大臣をやられた宮澤大蔵大臣、今私が述べましたこの議会制民主主義というものは、権力にある者がよほど心してその健全性を保持する努力をしなければ崩れやすいものだという点については、総理をやられたお立場から、そういうことを心がけて当時はやられてこられたかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  69. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのとおり考えておりますし、またそういうふうに心がけております。小渕総理ももとよりそういうふうに心がけてやっていらっしゃると存じますが、しからずんば選挙を失う、そういう罰を受けるのがシステムだと思います。
  70. 石井紘基

    石井(紘)委員 今、図らずも小渕総理もそういうことを心がけておられると言われましたけれども、しかし、我が国の最近の政治は、やはり議会が軽視されている。国会よりも党だ、党よりも党の役員、党の役員の中でも幹事長あるいは総裁だ、あるいは与党同士の三党合意だ、あるいは自自合意だということが優先されている。そういう与党の合意さえあればそれで事実上決まりだ、議会というのは後でもって手続さえ踏めばいいというような方向になってきているのではないかというふうに感じられて仕方がないわけであります。  一切の審議をけ飛ばして、そうしたものを、小小会談、自自合意というようなものをしゃにむに、審議もしないでやってしまう。物事を決める場所というのが国会ではなくて、どこか国会の外に移ってしまった。これはそういうことの証拠ではないかというふうに思うわけであります。  ところで、総理予算委員会にというよりも国会に出てこないので、私は総理の動静というのをちょっとここ数日見ているわけですが、総理は何をやっているのですか。いろいろ考えているのでしょうね。新聞によると、自民党の選対の責任者を野中幹事長代理がやっておって、しばしば二人だけで官邸で会っておると。十五日も十六日も、十六日はまた小渕派の綿貫民輔会長とか西田選対本部長が相次いで官邸に入った。これは、国会というものをそうやってよそへ置いておいて、それで官邸でもって選挙対策だとかあるいは選挙協力だとか、そういうような仕事もやっておるんですか。
  71. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 総理が本委員会出席をしておりませんのは、当委員会の決定に従って欠席をいたしておるわけでありまして、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  72. 石井紘基

    石井(紘)委員 葬式に行ったとか、あるいは青木官房長官もしばしば訪れておって、何を話しているか知りませんが、この予算委員会のやりとりなんというようなものは、恐らく聞いていないでしょうね。だから、どういう議論があったなんということはわからないのでしょう。国の予算を審議する過程でどういうことがあったというのはわかっていないのでしょう。しかも、重大な問題、例えばドコモの問題なんというのが出てくるものだから、なるべく来たくないのでしょう。  やはり総理の役目というのは、国会、議会の中で議会制民主主義は動いていくものでありますから、しかも、最も重要な予算の審議、こういうものに出てこないのは、人の党のことをとやかく言っておいて、本人が、自分のところの総理・総裁が出てこないということはいかがなものか。これはよく、きょうもまたお会いになるでしょうから、総理に伺っていただいて、出る気がないのか、出たくないのか、それだけ聞いて、後日返事をしていただきたいと思います。  さてそこで、私が今申し上げました、最近は物事がどうも国会の中ではなくて、国会というのは形骸化しておいて、手続だけの場にしておいて、外で決まるのではないか。この一つの例をこれからるる申し上げたい。  それは厚生行政、つまり医療抜本改革の問題、これが数年前からずっと動いてきたわけでありますが、この中での経過、厚生大臣にちょっと伺いたいと思います。医療の抜本改革の中で、薬剤の一部負担の制度だとか、あるいは参照価格制度の導入というものを厚生省は真剣に検討しておられて、それを推進するというか法制化するという動きを進めておったときが相当長期間にわたってあったと思いますが、いかがですか。
  73. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 ございました。
  74. 石井紘基

    石井(紘)委員 私の認識では、丹羽現厚生大臣はその推進のためにかなりの努力をしておられた方だというふうに思っております。  そこで、日本医師連盟というものの政治献金がございます。これは大体九〇%は党の関係でいえば自民党、それから、議員の関係でいえば八〇%がやはり自民党ということになっております。  自民党に対しては、平成十年だけを申し上げましょうか、平成九年が、党に対して、日本医師連盟、これは地方にも医師連盟はありますけれども、それは別ですね、日本医師連盟だけで一億七千七百万円というふうに記載されております。それから平成十年が三億五百万円です。どういうわけかこの平成九年から平成十年まではどおんとはね上がっておりました。それから、自民党議員の方々への献金は、同じく平成九年が二億六千万円、それから十年が二億九千万円で、若干ふえております。党に対する献金と議員個人に対する献金とですね。  それからまた、日本医師連盟は、地方の医師連盟、各都道府県の医師連盟に対しても、その政治団体に出しますから、その政治団体からそれぞれの議員にまた地方からも献金がなされているわけであります。そこで、都道府県から自民党の政治家に渡ったものが、平成九年で約六億円強、平成十年で同じく約六億円強ということであろうと思います。  そうすると、合わせて医師会関係からの献金というのは年間どれくらいになるか。大体ざっと計算すると、少なくとも十五億円ぐらいにはなります。地方の分で独自で出すものは別です。それを入れると、二十億以上になるだろうと思います。こういうお金はどこから来るのでしょうか。これはどういうふうに官房長官、お考えですか。感想を聞かせてください。
  75. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 私にお聞きになっても、私は一切わかりません。
  76. 石井紘基

    石井(紘)委員 結局は、国の医療費は今、単年度で、ことしなんかはもう三十兆になるだろうと言われているわけですね。そういう中で、この医療費からもちろんもとは出ていくわけです。それは、医師の先生方が一生懸命仕事をされてということももちろん私は否定はいたしませんが、そういう医療費がもとになっておるわけであります。それで、地方の所得番付なんかを見ますと、大概お医者さんの先生方が上位に並んでいるということはだれでも知っていることでありますね。  そこで、この二つの制度、薬剤費の一部負担と参照価格制度、先ほど厚生大臣が答弁されたように、政府はこれを推進しておった。それがいつの間にかつぶされていくその過程を若干お話をさせていただきたい。  そもそも、平成九年の九月に厚生省がこの抜本改革という方向を打ち出したわけですね。それで、平成十年三月十九日に私はこの予算委員会の分科会においても質問をいたしました。それに対して小泉厚生大臣は、審議会、審議会というのは医療保険福祉審議会ですね、ここで議論していただいておりますので、この趣旨が生かされるような制度にぜひともしたいという答弁をされておりますし、また、平成十年の十一月十七日には、現厚生大臣、当時の自民党政調会長代理、丹羽雄哉先生が、次の通常国会で法案を提出するというふうなことも表明をされておりました。そして、平成十一年の一月七日、昨年の今ごろよりちょっと前の時期に、医療保険福祉審議会の意見書が、その二つの制度導入という圧倒的多数の意見を載せた意見書を答申したわけであります。  一方、これに対して、どうやって医師会の攻勢がかかってこれが阻止されたかということについて申し上げますと、大体平成十年の春ごろからこの制度の導入を阻止しようという医師会の大攻勢が開始されてきたわけですね。自民党内も大変大揺れに揺れてきた。別の表現をすれば、医師会の猛烈な巻き返し、医師会と厚生省との戦争のような状態がずっと続いてきた。それで、医師会は、例によって自民党三役を初めとする厚生族などの切り崩しにかかってきたわけですね。その様子を後で日本医師会の糸氏副会長が振り返って、東京新聞のインタビューに答えて、こういうふうに言っております。丹羽さんは日本医師会の、日医の反対を押し切り、官僚と一体でやろうとした、間違っているよと言っても彼は絶対に頑固にやる人だ、だから丹羽さんを取り巻くその周辺の厚生族やら三役、そういうものを、周辺を落としていかぬと仕方がない、こういうふうに言っておるわけですね。  丹羽厚生大臣にちょっとここで伺いましょうか。当時、厚生大臣は医療基本問題調査会長をやっておられましたけれども、この薬剤費の一部負担と参照価格制度の導入を実現したい、ずっとこういうふうに思っておられたと思いますが、それでよろしいですか。
  77. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず、日本型の参照価格制度の問題でございますけれども、これは御案内のような、要するに国民の医療費にむだはないか、効率的かどうか、こういう中で薬剤の占める割合というのが大変高い、これを何とかしていかないと皆保険制度というのはなくなるんじゃないか、こういうことで、実はこれは自社さ政権でございますけれども、その時代に与党内でこの導入について議論、検討をいたしたところであります。そして、その具体的な案をまとめるべく、医療現場に携わっている医師会のメンバー、関係者の皆さん方にも意見を聞いた、こういう経緯がございます。  その中で、これは審議会であっても、それから実は党内でも、この参照価格制度をめぐりまして、いわゆる参照価格という価格を決めた上の負担について反対する意見であるとか、それから、参照価格制度に全部張りつくんじゃないか、こういうようなことがございまして、率直に申し上げて、大勢に至らなかったということでありまして、要するに白紙に戻した、こういうことでございます。  いずれにいたしましても……(石井(紘)委員「御自身はどうだったんですか、御自身は」と呼ぶ)私としては、この問題については、薬剤の占める割合というものを低くしていくということが先決である、こういうことでありまして、何とか第三の道を探っていかなければならない、こういう中で、今回の予算の中におきましても、いわゆる薬価差の解消であるとか、こういうことに努めておるということでございます。  それから、あともう一つの薬剤の一部負担の問題につきましては、これも実はいろいろ、非常に事務が煩雑であるとか、それから、率直に申し上げて、二割とか三割とか医療費の部分に薬剤が含まれていて、さらにまた別途徴収するということはいわゆる二重取りになるんじゃないか、二重負担になるんじゃないか、こういうような御批判がございまして、そういう経緯から、また大変景気が悪いという状況において、お年寄りの皆さん方に対する免除というものを決めた、こういうことでございます。
  78. 石井紘基

    石井(紘)委員 内容についての議論は私もしたいわけですが、私は、そういう問題ではなくて経過について申し上げておりますので、時間をとりますので、何とぞ簡単にお願いしたいと思います。  そこで、この日医、日本医師会、医師連盟というのは、平成十年の八月二十七日に、当時の自民党の政調会長の池田行彦さんと日本医師会の坪井栄孝会長との間の覚書を取り交わすわけであります。その中に、薬剤一部負担については早急に再検討する、つまり、これは撤回の方向でやりたいという医師会の主張が取り入れられたようなものがここにできて、これを幹事長とまた坪井会長の間で裏書きをしたということがあったわけですね。  当時は、ちょうど石川一区と富山二区でもって衆議院の補欠選挙があって、なかなか自民党は候補者が見つからない、そこで、もう公示の数日前になってようやく医師会を口説き落として、岡部雅夫という病院長が出た。結局、これは我が党の奥田氏が勝たせていただいたわけでありますが、それと同時に、沖縄で医師会が全面支援をしておった稲嶺恵一氏がここに名乗りを上げてくる、そういう時期に重なっていたわけですね。  それで、丹羽厚生大臣は、この覚書の締結について、当時政調会長代理であったわけですから、何らかのやはり相談なりを受けたのじゃないか、あるいはこういうことをやりますよということを言われたのじゃないかと思いますが、どういう話を受けたのでしょうか。簡単で結構です。
  79. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 選挙云々のくだりは存じておりませんが、この覚書を交わす経緯につきましては承知いたしております。
  80. 石井紘基

    石井(紘)委員 承知しているのは承知しているのだろうけれども、あなたはそういうことには反対だったわけですから、それをどういうふうな形で言われたのかということなんですよ。時間がかかりますからもう結構です。  それから、その一カ月後の九月二十四日には、自民党本部で、これは前々からあった議員連盟、二十一世紀の社会保障制度を考える議員連盟というものが開かれまして、新たに役員の交代があって、木村義雄氏が事務局長になった、事務局長代理には長勢甚遠氏が就任した、こういうことがあったと思います。  それから、その翌月、十月二十七日には、今度は日本医師会の臨時代議員会が開かれました。それで、ここでもって初めて自民党との間の覚書を坪井会長が公表したわけですね。そして、どう言ったか。今までの経緯の中でああいう形の覚書はなかった、あれを担保として政府・与党との間で強烈な議論を展開したい、こう宣言をしたわけです。  そして、三日後の十月の三十日、坪井会長は、神戸で開かれた全日本病院学会で講演をして、こう言っております。これは、みんな医師会の医事新報というのに載っておりますね。これは、参照価格制度を一番一生懸命おやりになっている政治家がこの間来て、そして参照価格制度に賛成してくれと言ったけれども、はっきり断った、こういうふうに述べられております。これは、参照価格制度を一番一生懸命おやりになっている政治家といったら、丹羽雄哉さんだったのじゃないかと思いますが、厚生大臣、これはあなたのことだと思われませんか。
  81. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 恐らく私のことを指しているのではないかと思っております。  参照価格制度、先ほどから申し上げておりますように、大変国民医療費が増大する中において、医療のあり方というものを考えていかなければならないということで、この問題について意見を交わした記憶はございます。
  82. 石井紘基

    石井(紘)委員 ここまで押されてきても、あなたは頑張られましたね。平成十年の十一月の十七日には会見で、やはりこの参照価格制度を次の通常国会で提出したい、こういうふうに言われたと思います。これに対して、二十四日に坪井会長は日医で記者会見をして、ファッショ以外の何物でもない、こういうふうに批判をした。  そこで、宮澤大蔵大臣にお伺いしたいのですが、そのころ、つまり平成十年の十二月初旬のころだと思いますが、何人かの自民党の議員さんが大蔵大臣のところにおいでになって、例えばこの覚書を履行しなければならないとか、あるいは参照価格制度の問題とか一部負担の問題、こういうことで意見を言われたり陳情をされたりしたことがあったと思いますが、御記憶ございませんか。
  83. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 国会議員にお目にかかりますのは私の仕事でございますので、そういうことはしょっちゅうございます。ただいまのことを特には記憶いたしておりませんけれども、そういうことはしょっちゅう日常にございます。
  84. 石井紘基

    石井(紘)委員 それで、その中に木村義雄さんとか長勢甚遠さんとかはいらっしゃいましたか。
  85. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ちょっと定かでございませんが、特には記憶ございません。
  86. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは自見庄三郎さんもおいでになったはずですね。記憶ございませんか。  それで、そういう医師会のいろいろな運動が続いてまいりましたね。そこで、平成十一年の一月七日、昨年の一月七日には、先ほど申し上げましたように、審議会はこの制度を導入すべしという方向で宮下厚生大臣に答申を提出したのです。ところが、二月の四日になると、木村義雄さんは、この参照価格制度に反対だ。これは、自民党の医療基本問題・社会部会、こういうところで言われたというふうに言われております。経過は、非常にこれは複雑なんですが、こういう……(発言する者あり)そうですね。だから、そこで聞きましょう。  そこで、こういう国の法律とか政策というものは、ある日あるとき突然ぽんと決まるものじゃなくて、いろいろ、長い期間かかって準備してくるわけですね。この間の定数は別ですけれども、あれはぽんと。こういう政策立案過程というものは、民主主義の中で非常に重要なことです。そういう中で、医師会長が言っているように、政治決着したのだというような手法で外部からねじ曲げられる、ゆがめられる、それでついに葬り去られる、こういうことが行われたわけです。  そこで、今度は政治献金の問題に戻ります。  ところで、大体医師会の献金は、六、七月ごろと十二月ごろに、二つに分けて出されるケースが通常であります。これは、お中元、お歳暮という意味なのか、あるいは会計処理の都合があるのか、あるいはちょうど八月と十二月というのは予算の時期ですから、それにぶつかっているのか。これはどういうわけで、そういう七、八月ごろと十二月、こういうふうになっているのか。医師会から献金をいただいた大臣に伺いたいと思うのでありますが、どなたかおわかりになる方はいらっしゃいませんか。
  87. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 医師会がお決めになることでありまして、献金を受領した議員がもしいらっしゃるとすれば、その方がお決めになったのではないと思っております。
  88. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうしますと、これは、自分からくれと言ってもらったのじゃなくて、向こうから勝手に持ってこられる、こういうものでございますか。玉沢先生、いかがでしょうか。
  89. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 私の政治団体にもいただいております。
  90. 石井紘基

    石井(紘)委員 今伺ったのは、自分から下さいと言ったのか、あるいは向こうから持ってきたのか。あるいは振り込まれたのか、あるいは現金で持ってこられるのか。
  91. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 私の政治活動を支援する、こういう趣旨であると思います。
  92. 石井紘基

    石井(紘)委員 どういう形でということはお答えいただけないわけでしょうか。  これは明らかに、彼らの政策要求の実現のためですよね。そうはお思いになりませんか。
  93. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 私がお答えすることが適当なのかどうかわかりませんけれども、玉沢農林大臣の話ですと、自分から要求したことは一度もない、向こうの方から、医師会の方から受領したということを、今、私に教えていただきました。  いずれにいたしましても、献金によって政策が左右されることはあってならず、政治家としてそういうことは現にありませんけれども、襟を正していかなければならない問題だ、このように考えております。
  94. 石井紘基

    石井(紘)委員 襟を正していかなければならない問題だということは、つまり、政策の実現と何らかの関係をお認めになったということだと思います。  これまた、年によって違いがあるんですよ。例えば、恐縮ですけれどもお名前を出させていただきますと、大体ほかの方は、例えば夏に二百万円、冬にも二百万円とか、あるいは、九七年にトータルで五百万円だったら九八年も大体五百万か六百万となっているのですが、先ほどのことに、この政策をつぶすのに大変活躍をされた木村義雄さんという方は、平成九年は四百万円だったのですね。夏が百万、冬が三百万。ところが十年になりますと、これがどおんと倍増して八百万円になっているわけですね。これは夏が三百万、冬が十二月七日、五百万。まさにこの十二月七日という日が——十二月七日には何人かの方がもらっております。平成十年の十二月七日、八日、このあたりですね。これはまさに歴史的なといいますか、宮澤大臣に陳情に大勢の方が行かれたとか、二十一世紀の社会保障制度の議員連盟の臨時総会が五項目の決議をした、これが十年の十二月八日です。宮澤大臣に陳情に行かれたのが、自見先生も行かれた、十二月八日です。そういうふうになっているわけであります。  そこで、法務省にお伺いしたいと思いますが、常任委員会、だれがどうだと言いませんけれども、例えば今私が名前を挙げた方々は、厚生委員会委員長をやっておられたり、あるいはまた理事をやっておられたり、そういう最中ですね。それからまた、自民党の部会長、調査会長というものをやっておられる。議会の常任委員長や何かも、あるいは大臣や何かもそうですが、事実上、先ほど冒頭に申し上げたように、自民党の部会とか三役とか調査会とか、そういうところの決定というものが事実上の決定という重い意味を持っているわけですね。だから医師会なんかも、自民党で決めさせれば、もう勝った、万歳だ、こういうふうになるわけですね。  ですから、そういう意味でいきますと、法務省に伺いますが、受託収賄というような問題を構成する要件として職務権限、こういうようなものは、常任委員会委員長とか理事とかあるいは委員で、その職務に関して特定の団体から金銭を授受したという場合、収賄の罪に問われるのではないか。そういう事例があるかということも含めてお伺いをしたいと思います。
  95. 山本有二

    ○山本(有)政務次官 具体的な事案における犯罪の成否は、収集された証拠に基づいて個別に判断すべき事柄でありますが、あくまでも一般論として申し上げれば、国会議員がその職務に関して不正な報酬としての利益を収受した場合には刑法の収賄罪が成立することがございます。  過去において収賄罪に問われた事例はあるかという御質問でございますが、過去におきましては、例えば衆議院議員で同院商工委員会委員でもあった者が、特定の団体理事長から同団体に有利な質問をしてもらいたいとの請託を受け、現金を収受したとして受託収賄罪に問われた事件で、被告人を有罪とした判決が確定しているものなどがあると承知しております。  そしてさらに、与党の部会長等の役員がその地位を利用して報酬を得た場合、収賄罪が成立するかというお尋ねでございますが、一般論として申し上げれば、収賄罪は、第一に公務員が、第二にその職務に関し、第三にわいろを収受等した場合に成立するものとされておりまして、お尋ねのような場合が収賄罪に該当するか否かは、国会議員の公務員としての職務に関して収受されたものと認められるか否かについて、収集された証拠に基づき個別具体的に判断されるべきものでございますが、ちなみに、与党の部会長は公務員ではございません。  以上でございます。
  96. 石井紘基

    石井(紘)委員 今最後におっしゃられた、与党の部会長は公務員ではないと言ったのですか。  今ずっとるる言われた中に、職務、議員としての職務と。これは大体、与党の部会長等も議員がやっておられますよね。しかもそれが通常の議員と比べると、やはりそういう意味では政策決定権における重み、決定過程における重みというものが強いわけでありますね。それは常任委員会理事や常任委員長、あるいは政務次官、大臣というものも同様の意味で重いだろうと思いますが、公務員でないということはどうなんですか。これはやはり国会議員ですからね。議員がやっている職務でありますよ。
  97. 山本有二

    ○山本(有)政務次官 公務員と非公務員という概念、これは御理解いただけると思いますし、あくまで政党というのは、政策集団等というようなことでございましょうが、民間人の代表者としての典型例でございます、政党は。したがいまして、その役員等を公務員と擬制することは極めて難しいことだろうというように考えております。
  98. 石井紘基

    石井(紘)委員 それはちょっとおかしいので、検討してもらわなくちゃいけないのですが。  国会議員がやっているわけですね。職務に密接に関連する行為ということがあると思うのですけれども、職務というのは国会議員としてつき得る職務、職務と密接に関連する行為というのは、ほかの国会議員に働きかけたり、あるいはいろいろな会議等々でそういう主張をしたり、そういうことも当然含まれるのじゃないでしょうか。
  99. 山本有二

    ○山本(有)政務次官 政党と申しましても、国会議員を擁しない政党もございます。その意味におきましては、国会議員が必ずしもその政党の役員になると決まっておるものではございません。したがいまして、政党役員でも国会議員でない者もつけるという意味では、これは非公務員であるということが断定できますし、また、たとえ国会議員がその役員につきましても、その立場だけを取り上げて公務員とすることは極めて難しい解釈であろうというように思っています。
  100. 石井紘基

    石井(紘)委員 政務次官の答弁はちょっとだめですね、これは。ちょっと、もっとやはり……(発言する者あり)そうそう、弁護士さんなんだけれども、やっぱりこれはちょっとだめですね。もっとよく検討してください。  その点については改めて、きょう大臣が出られないようですので、大臣に聞きたいと思います。  そこで、次に、宮澤大蔵大臣、先刻G7が初めて日本で開催されました。それは二十二日だったと思いますが、そのときのスケジュールをお示しいただきたい。それから、日本側でどなたが出席なさったかということもお教えいただきたい。
  101. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御要求がございましたので、スケジュールを持ってきております。  これは平成十二年一月二十一日土曜日でございます。午前中は各国の大臣が私のところへ見えたりしていまして、会議そのものが始まりましたのは十二時からでございます。場所は、東京の三田の会議所でございます。その日の十二時十五分、ワーキングランチから始まりまして、午後ずっと会議が十六時半までございまして、十七時から各国の代表がおのおの記者会見、また、今度それが終わりましたところでロシアの大蔵大臣が私のところに見えました。そして、夕方十九時から全員、大蔵大臣、中央銀行総裁が集まりまして、ディナーをやっております。以上でございます。  集まりましたのは、G7の蔵相、中央銀行総裁、それからIMFの専務理事とか、そういう人々でございます。
  102. 石井紘基

    石井(紘)委員 今二十一日とおっしゃいましたけれども、これは土曜日ですから二十二日だと思いますね。
  103. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 失礼いたしました。一月二十二日土曜日でございます。
  104. 石井紘基

    石井(紘)委員 そこで、その主要なテーマというものは、このレポートを見ますと、会議の声明というのがございますが、七カ国蔵相及び中央銀行総裁は、国際金融システムの強化及び重債務貧困国イニシアチブの実施に向けた進展状況をレビューした。だから、これは要するに、発展途上国なんかの重債務貧困国ということの問題を別にしていえば、国際金融システムの強化ということが主要なテーマであった、こういうふうに思うわけであります。  そこで、我が国にはほかの国と違って金融再生委員長という国務大臣がいるわけでありますが、越智金融再生委員長はこのG7に出席をされたのでしょうか。
  105. 越智通雄

    ○越智国務大臣 いたしておりません。
  106. 石井紘基

    石井(紘)委員 国際金融システムの強化というものが主要なテーマであった。我が国の金融再生委員長の立場というのは、当然のことながらこの担当は、金融ビッグバンというような、世界の金融体制の中で重要な役割を占めるところの日本の銀行あるいは金融体制の改革ということであるわけですよ。その中で、銀行の救済だとか公的資金の投入だとかそういうことがるる行われておるわけですね。さらにはペイオフの問題、こういったことも国際金融体制の中での問題でしょう。現下の極めて重要なシリアスな問題があるわけですよ。そこに全然参加していないとおっしゃるけれども、少なくともオブザーバーで参加するとか、あるいはその成り行きをきちっとどこか連携のとれるところにいて注目しているとか、そういう努力をされたのですか。
  107. 越智通雄

    ○越智国務大臣 金融再生委員会は金融再生法に基づいてできておりまして、破綻した金融機関の再生と申しますか、そういう処理をすることが中心でございまして、その外局として金融監督庁もございますが、これも検査を中心とした監督業務でございます。  今おっしゃいましたような仕事に関しましては、大蔵省に今でも金融企画局が残っておりまして、大蔵大臣の所管業務として宮澤大蔵大臣が全部取り計らわれた、このように理解しております。
  108. 石井紘基

    石井(紘)委員 金融問題というのは、今我が国の最大の課題の一つですね。その金融担当の大臣というものがそういう姿勢でいいのか。これはまさしく職務怠慢以外の何物でもない。そのときに、あなたは何をやっていましたか。  いいですか。あなたは私と同じ選挙区でありますので、これまでも私は個人的に追及はしたくない、こういうふうに思っておりました。私は、地元の問題、地域の発展、そういった問題で、それは党派を超えて協力をし合わなければならないこともあろうかと思うし、また相談をしなければならないこともあるわけですから、だから私は、あなたのことについて人前で誹謗をしたりしたというようなことは一度もありませんよ。いいですか。  そういう中で、あえて私は、あなた今大臣だからそういうことを言うわけですが、あなたは、フジテレビの二月四日の番組の中で、インタビューに答えてこう言っている。私についてですよ。解散風が吹いて選挙区を一生懸命歩いているって、これは国会議員じゃない、ただ選挙屋さんだな、まあ土曜日曜ぐらいだね、地元にいられるのは、こういうふうに言いましたね。どうですか。言いましたか。
  109. 越智通雄

    ○越智国務大臣 まず、職務怠慢ということは大変遺憾な発言でありまして、私は宮澤大蔵大臣に、G7につきましては、G8と申しますか、私も行かなきゃいけませんでしょうかとお伺いを事前に立てましたところ、君は結構だ、私の方で全部やるからと宮澤大臣から言われておりますのです。  それから、テレビに関しましては、皆さんが、国会が始まったにもかかわらずお出ましになっていない。日ははっきり覚えておりませんが、たしかここら辺の廊下に、いわば番記者といいますか、いらっしゃいます、その方々が、いわゆるぶら下がりというのでしょうか、待ち受けていて、いや越智さん、選挙区回っている人も多いけれども、あなたはどう思いますかと言うから、あなたのおっしゃったとおり、国会議員は国会開会中は国会に来て委員会に出るのが責任だと思っておりますから、その時期に地元を回っていらっしゃる方は、これは国政よりも自分の選挙のことしか考えていないという意味で、選挙屋さんと言うべきだということをはっきり申し上げました。今でもそう思っております。
  110. 石井紘基

    石井(紘)委員 私は、あなたは謝罪をするなり、あなたの発言を取り消すんだと思ったら、あなたは今でもそうだと開き直った。  では言いましょう。あなたは、宮澤大蔵大臣に君は結構だと言われたんですか。そういう大臣でいいんですか、君は結構だと。  しかも、あなたはこのG7が行われた当日、地元を回っているじゃないですか。あなたは、いいですか……(発言する者あり)土曜日だって言うでしょう、そうなんです、土曜日だったらこういう国際的な重大な問題があっても何でも回ってもいい。土曜日はあなたも毎週回っているでしょう。  それから、現に、ほとんどあなたは連日のように、この一月になってから、土日はもとより平日回っているんですよ。言いましょうか、いつといつ回っているか。全部回っているんですよ。あなたはそれでも、地元を回るのは土曜日曜ぐらいだね、そういうことを言えますか。あなたは地元を連日のように回っていないというふうに断言できますか。
  111. 越智通雄

    ○越智国務大臣 各議員お聞きのとおりでございまして、国会が始まる前はちょうど新年会が多いときに、そのときにどうしても回らなきゃならないから回っているのでございまして、さりとて、閣僚として、閣議のあった会議とか、そのときをサボったことは全くございません。  それから、土曜日曜のときに、たまたまそういう日を利用してG8が行われている。それに対しての対応は、宮澤先生と私とが日本の金融問題についての責任者ですから、どういたしましょうかと申し上げたところ、大丈夫だと。慣例的にも二人出ていることはないんですね。ですから、宮澤大臣が、議長でもあるし、自分で全部取り仕切るからということで、何でしたら大臣にも聞いてください、そのとおりおっしゃいましたので。  私は、土曜日曜は回っているというのは、国会開会中の話を聞かれたから言っただけの話でございます。全く変わりありません。
  112. 石井紘基

    石井(紘)委員 まあまあ、余りうそをつかないようにしていただきたい。(発言する者あり)いや、重大じゃないですか、これは事実だから。それは幾らでも証明はあるんだけれども、こんなことを長くやっていたくないから。  それで、あなたは、外形標準課税を導入するという石原知事に対して、よく問題を起こす人だ、そういうことをやはり言った。石原知事の起こした問題というのはどういうふうな問題ですか。
  113. 越智通雄

    ○越智国務大臣 私はうそを申しておりません。閉会中にウイークデーに回って何が悪いんでしょうか。そういうことでございます。  第二に、石原さんの騒ぎとはどういうことか。  地方税については、税制調査会で皆さん議論をしてやるわけです。たまたま地方税法七十二条の十九ですか、あそこで外形標準をとれることにはなっておりますけれども、当然、ああいうことをお考えになるならば、都庁の中のお役人にも相談し、あるいはそういう審議会等にもお話をかけて、そして時間をかけてやるべきじゃないでしょうか。  あなたは、たった今、政策を突然ぱあっと言うはずはないとおっしゃったじゃないですか。ぱあっとおっしゃったわけですよ、実際には石原さんは。だから騒ぎと申し上げたんです。あれが二カ月、三カ月前から提案されて、議論をされた上でのことならば騒ぎとは申しません。突然テレビで発表するのを騒ぎと言ってどこが悪いんでしょうか。
  114. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは、あなたが知っているのか知らないか知らないけれども、外形標準課税の導入というのはもう何年も議論されている問題なんですよ。そんな突然出てきた問題じゃない。あなたは、騒ぎを起こす人だなんという、そういう人格を問題にするんじゃなしに、やはり政策でもって、内容をもっと論理的に大臣なんだからおっしゃったらどうですか。  次に移ります。  この間、文部省のJOCに対する補助金の問題で会計検査院の指摘が出て、今JOC、文部省というのが大変注目されているわけですが、これについて会計検査院が検査をしたのは平成七年、八年、九年と、九年度までの検査をされたわけですね。しかし、この問題が出てまいりましたときには、もう十年度の補助金の配分も終わっておって、十年度の決算が間もなく終了しようというときだったために、十年度の決算の検査が行われておらなかった。  ですから、私は、これは先日、月刊文芸春秋に大きく取り上げられている問題なんですが、会計検査院に、ぜひひとつ平成十年度の検査を行うべきだというふうに思いますし、また同時に、これまでの検査というのはどういう検査であったかということも含めてお伺いをしたいと思います。
  115. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 昨年行われました会計検査院の検査によりまして、平成七年度から九年度の間に一部の競技団体が実施した事業におきまして、スポーツ振興基金からの助成金とJOCを通じて交付される国庫補助金を重複して受給していたり、それから事業の一部を実施していなかった等の事例があることが明らかとなったわけでございます。  これを受けまして、文部省と日本体育学校健康センターでは、不正受給相当額を返還させるとともに、文部省からセンターとJOCに対して、関係団体に対する適正な申請事務についての周知徹底を図るよう指導を行い、そしてさらに、文部省、JOCそれからセンターが協力いたしまして、助成金等の受給団体に対して、助成金、補助金の適正な執行についての研修会を開催するほか、また関係規定の見直しを行うなどの対応をしてきたところでございます。  さらに、センター及びJOCは、今後の補助金等の適正な執行を行うため、各競技団体に対し、平成十年度の助成事業、国庫補助事業の実施につきまして実態調査を行っているところでございまして、関係団体への実地調査を昨年十月末から十二月にかけて行い、現在、実地調査によって得られた資料をもとにして、さらなる詳しい調査を行っていると聞いているところでございます。  したがいまして、この調査はまだ継続中であると聞いておりますが、文部省に対しまして現時点ではセンター及びJOCから報告がなされておりませんけれども、調査結果がまとまりましたら、文部省に対して報告があるものと思っております。
  116. 金子晃

    ○金子会計検査院長 会計検査院では、昨年の検査において、文部省が財団法人日本オリンピック委員会に交付しております民間スポーツ振興費等補助金及び日本体育学校健康センターがスポーツ団体等に交付しているスポーツ振興基金助成金に関し、交付先のスポーツ団体等について抽出検査を行い、その結果、平成十年度決算検査報告において、それぞれ四団体及び三団体に係る不適正な経理を指摘し、JOC及び日本体育学校健康センターにおいて補助金等の経理の適正化を図るよう掲記をいたしました。  現在、本院の指摘を受けまして、文部省等において調査が行われておりますが、会計検査院としても引き続き検査に当たってまいりたいと考えております。
  117. 石井紘基

    石井(紘)委員 確認をいたしますが、この検査というのは、平成九年度までのものはあくまで抽出検査であったと。もちろん、会計検査院、これは自分で発見をされた事案、事件でございますが、検査院の職員の数というのは非常に少ないわけで、たくさんのものを検査しなきゃならないということはわかりますので、申し上げるのですが、そういう細かい補助金がたくさん種類がある、そういう中で、全部を精査したというものではなくて、あくまでも抽出検査であったということでよろしいですか。
  118. 金子晃

    ○金子会計検査院長 平成十年度の……(石井(紘)委員「いやいや、九年まで」と呼ぶ)九年まで、十年度に掲記した分については抽出検査の結果である、おっしゃるとおりでございます。
  119. 石井紘基

    石井(紘)委員 もう一問、検査院に。  私は、引き続き検査に当たる所存だ、今こう言われましたので、それでいいんですが、十年度の経理についてもやはり会計検査院がきちっと検査をすべきだ。これは、文部省とかJOCとかあるいはスポーツ健康センター、こういうものの中で補助金の不正使用があったということですから、そこに調査をさせればいいというものじゃなくて、やはり会計検査院が十年度についても当然、これはこぼれておった、間に合わなくてできなかったわけですから、検査をしなきゃいけない、こう思いますが、それでよろしいですか。
  120. 金子晃

    ○金子会計検査院長 平成十年度分につきましても検査をしてまいりたいというふうに思っております。
  121. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。  そういたしますと、JOCでは既に処分をして一件落着というような形をとっているわけでありますけれども、指摘をされたのは、問題があると言われたのは平成十年度までの補助金の使用でありますから、平成十年度の検査もまだされておらない、これから検査院がやると言っている、そして、平成九年度までの分についても、ただ単なる、たくさん何十団体かある中の抽出検査であったということでありますから、この処分というものは時期尚早であった。文部大臣、一件落着ではない。ですから、さらに最終的な検査の結果を待って対応をするのが適当ではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  122. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、平成九年度分までにつきましては判明いたしましたので、返還をしてもらったところでございまして、そのような処分が行われたわけでございます。十年度につきましては、お話ありましたように、現在実地調査中でございます。調査結果を見て、今後のまた判断が行われるものだと思います。
  123. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございます。  次に、宇宙開発事業団。  この間も、つい先日は文部省のMV、その前は宇宙開発事業団のHII、一昨年もまた宇宙開発事業団のHII、失敗を繰り返してきたわけでありますが、やはり宇宙開発のあり方ということを若干議論させてもらいたいと思うんです。  その前に、宇宙開発事業団の、NECとか、これは前に防衛庁の問題がありましたが、それと同様に、やはり工数計算のごまかしによるところの過払い、払い過ぎという問題があって、宇宙開発事業団は一応過去五年分についてのみ返還をさせたと思うわけでありますが、しかし、過去五年よりもっと前の分もやはりあるのではないかということは、この宇宙開発事業団の報告書にもにおってくる文言があるわけですね。  会計検査院はさらに検査をする予定ですか、どうですか。
  124. 金子晃

    ○金子会計検査院長 どこまでさかのぼって検査できるかということはわかりませんけれども、特に除外をして考えているということはしておりません。
  125. 石井紘基

    石井(紘)委員 検査をぜひ進めてもらいたい。  それからまた、宇宙開発事業団、出向社員だとかがめちゃくちゃ多い。それから、補助金だとか天下りというものが圧倒的ですね。また、関連企業、私いろいろ資料を要求していたんですが、きょうまで十分そろっておりませんが、関連の団体というものが非常にたくさんあります。これは基本的には、そういう役所、科学技術庁や通産省というような役所と、ロケット建設に当たるそれぞれの部門部門を担当する企業、業界全体、そういうものとのやはり癒着といいますか、役所がそういうものを統括して仕切っているというあり方、そこに大きな問題があるんではないかと私は思いますが、中曽根大臣、いかがですか。
  126. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 事業団等への当庁関係者の出向の人数につきましては、法律の範囲内で出向、出向ではありませんね、そちらで勤務しているということになっておりまして、問題はないものと思っております。やはりそれぞれの専門的な知識、能力を生かしてその職場で活躍をしていただいているわけでありますし、またそういうような能力も必要としているわけでありまして、私は、過度の人数にならないというような、法律の範囲内で適正に行われていれば何ら問題はないもの、そういうふうに思っております。
  127. 石井紘基

    石井(紘)委員 大臣そうおっしゃるけれども、アメリカなんかでは宇宙開発というようなものはほとんど、スペースシャトルとか軍事用以外は全部民間でやっているわけですね。  やはり日本で問題なのは、どこに責任体制があるということがわからぬような状態になっている。お互いに、役所がやっているわけだけれども、宇宙開発事業団というようなものを使ってやっているわけだけれども、そこも技術的に、専門家という、あるいは専門の専門の部分というものは民間に発注したり何かしてやっているわけなんで、やはりこれは基本的には民間で、気候観測とかあるいは商業衛星というようなものは特に民間独自でやれる体制という方向に持っていくべきだというふうに思いますが、いかがですかね。
  128. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 二十一世紀には本格的な宇宙利用時代の到来が予測されているわけであります。そういうことから、宇宙輸送の手段の開発は極めて重要でございます。  現在、宇宙開発事業団は、将来の打ち上げ需要に柔軟に対応し、大幅な輸送コストの低減が可能なHIIAロケットの開発を進めていますが、将来はこのロケットにより民間における商業打ち上げが予定されているところであります。このロケットの開発につきましては、必要な資金規模が非常に大きく、またリスクも伴うことなどから、民間企業が独自に進められるようなものではなく、宇宙開発事業団が中心となって開発を進めるべきものと私は考えております。なお、開発が終了した段階では民間企業へ適切に技術移転することが必要であるとも思っております。
  129. 島村宜伸

    島村委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。  次に、松沢成文君。
  130. 松沢成文

    松沢委員 民主党の松沢成文でございます。  私は、科学技術の問題、特にジェー・シー・オーの事故の総括とロケット打ち上げの失敗の問題に絞って、中曽根科学技術庁長官に見解を伺って議論していきたいというふうに思います。  委員長、ちょっと質問があるのですけれども、中曽根長官、随分遠いので、出たり入ったりするのに時間がかかるので、もし必要であれば、総理の席でも大蔵大臣の席でもいいのですけれども、その方が近くて。ほとんど中曽根大臣との質問ですので、よろしいですか。
  131. 島村宜伸

    島村委員長 中曽根文部大臣、席をお移りください。
  132. 松沢成文

    松沢委員 それでは質問を始めます。  ジェー・シー・オーの事故が九月の三十日に起きて、約四カ月以上が経過をするわけであります。この間、私は、中曽根長官と十月、十一月、二回にわたって科学技術委員会でさまざまな議論をさせていただきました。きょうは三回目で、ある意味でジェー・シー・オーの事故の総括をしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  まず、長官、十二月二十一日の日に、ジェー・シー・オーの臨界事故で大量被曝をされて治療をしていた大内久さんが亡くなられました。事故から八十三日目で亡くなったわけでありますけれども、中曽根長官は通夜に参列されたというふうに聞いておりますけれども、科学技術庁長官として、ジェー・シー・オーという施設の監督権者の長として、このお通夜に参列されて大内さんの死を目の当たりに見たわけですが、そのときにこの大内さんの死をどのように受けとめたか、どう感じられたか、まず感想をお聞きしたいと思います。
  133. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 昨年、事故が発生いたしまして、三人の方が重篤な被曝を受けたわけでありますが、委員お話しの大内さんにつきましては、本郷の東大病院に入院をされて治療を受けておられました。御家族の皆様方も病院にお詰めになり、また医師団の皆様方も最善の努力を尽くして治療に当たっていただいていたわけであります。  私もお見舞いにも伺いまして、一日も早い回復をお祈りしていたわけでございますけれども、お話しのように、大変残念ながら、昨年大内さんがお亡くなりになりました。御家族の皆さんのお気持ちを思いますと、何ともお声のかけようもなかった。大変に残念なことでございますし、大内さんもさぞ残念であったと思います。心から御冥福をお祈りしているところでございます。  臨界事故、原因は委員も御承知のような状況からでございますけれども、二度とこのような事故があってはならない、犠牲者を出してはならない、また、周辺住民の皆さんに対しましてもこのような御迷惑また被害が及ぶようなことがあってはならない、そういうふうに強く認識をした次第でありまして、この事故原因の調査と再発防止に全力で取り組むべき、そういうふうに思い、国会でも御審議をお願いし、現在も被害の損害賠償問題あるいは健康管理問題に全力で取り組んでいるところでございます。本当にお気の毒なことでございました。
  134. 松沢成文

    松沢委員 長官、関連して伺いますけれども、ジェー・シー・オーの事故があった現場に、大内さん以外にもお二人、まあ三人の方が、転換試験棟ですか、その中でお仕事をされていたということですが、ほかのお二人の方の病状、これは病気じゃないですから、この現在の状況、それと、現時点、政府が発表している被曝者の総数ですね。これは新聞報道もありましたけれども、政府として何人であるのか、この件お聞かせいただきたいと思います。
  135. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 残りのお二人の方、篠原さんと横川さんでございますが、横川さんは千葉の放医研に入院されておりましたけれども、退院をいたしております。それから篠原さんでございますが、こちらは東京大学の医科学研究所の附属病院に入院中でございますが、一月末の状況でございますが、遅いながらも少しずつ回復をしつつある、そういうことでございます。(松沢委員「あと何名、総被曝者数はわかりますか」と呼ぶ)ちょっとお待ちください。
  136. 松沢成文

    松沢委員 それは後で結構です。  さて、長官、四カ月があれから経過をいたしました。今回のジェー・シー・オーの事故というのは、日本で初めての原子力施設の臨界事故であった。恐らく四百名以上の被曝者が出たんだと思います。さらに、三十万人近い茨城県の方が核の恐怖におびえた。そして、国民の原子力行政に対する信頼は大きく揺らいで、国際的に見て日本の原子力開発に対する信頼も失墜した、大変大きな事故であったと思うのです。  さて、長官、四カ月たちました。そして、事故調査委員会の最終報告も出ました。そして、再発防止策として原子力防災法も先国会ででき上がりました。今こういう状況でありますが、このジェー・シー・オー事故をどのように総括されるか、お聞かせいただきたいと思います。
  137. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 まず、その前に、先ほどのいわゆる被曝者と言われる方の数でございますが、従業員等防災業務関係者及び周辺住民の方々で、実測で線量が評価された方、こういう言い方をしておりますが、その方が百四十名、それから推定で線量が評価された方二百九十六名の合計四百三十六名でございます。  総括ということでありますけれども、原因につきましては、違法な作業、これが直接的な原因でございます。しかし、当ジェー・シー・オー内における作業のあり方、あるいは従業員の教育のあり方、あるいは経営問題、またさらには、私ども監督官庁、行政官庁の審査体制、検査体制、安全審査体制あるいは事故後の初期動作等々、反省すべき点は数多くございます。  そういうことから、先ほども申し上げましたけれども、二度とこのような事故が起こらないようにという体制づくりのために法案を改正また制定していただきましたし、また、新たな審査体制の強化それから防災体制の強化に取り組んでいるところでございます。  世界に対しまして日本の原子力行政、事業の信頼が大変大きく失墜したということは大変に残念であり、また私自身も反省をしているところでございますが、原子力の現在の電力供給の中での役割というものを考えますと、安全性について、さらにこれを確立し、確立といいますか、安全強化を行って、また住民の皆さんに十分御説明をして、新エネルギー等がさらに育つまでといいますか、代替エネルギーが育つまでは、やはり原子力で私どもこの電力供給をやっていかなければならないと思っています。  そういう意味から、今回、いろいろな点反省いたしましたけれども、さらに努力をしていきたいと思っているところでございます。
  138. 松沢成文

    松沢委員 今長官の方から総括をいただきました。これを乗り越えて、今後もエネルギー源としての原子力が重要だから、頑張って取り組んでいきたいということだと思います。  さて、この事故がどういう原因で起きて、今お触れになりましたけれども、この事故の責任はどこにあるのか、これを総括しておくことは、私は、今後の日本の原子力の行政を考える上でも大変重要だと思います。  私も、当然、事業者であるジェー・シー・オーがずさんな運営管理でこの事故を招いたというのは第一義的な責任、直接的な責任であると思います。しかし私は、それと同時に、この事業所を許可するあるいは安全審査をするあるいは立入検査をする権限を持つ、保安規定を守っているか十分見ておく義務を持つ科学技術庁、行政、この責任も絶対に免れるわけではないというふうに考えております。  私は、これまでの質問の中で、長官に行政責任をどう考えるかと再三にわたって質問をさせていただきました。ただ、十月、十一月の時点でありましたので、長官からのお返事は、ほとんどすべてにわたって事故の原因究明、そして再発防止に取り組んでいくのがまず最大の今の課題である、したがって責任問題については今後判断をしていくというお答えでありました。当時としては、それも私としてはわかったわけであります。  しかし、今、四カ月たって、事故調査委員会の最終報告も十二月に出て、そして先日、科学技術庁はこのジェー・シー・オーの事業許可を取り下げる処分をしたわけですね。ジェー・シー・オーについて最終的な処分を行ったわけであります。こういう状況の現在、これを総括する意味で、長官が科学技術庁並びに行政の責任というのをきちっとお認めになるべきだと私は思っておりますけれども、長官はいかがでしょうか。
  139. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 確かに昨年の委員会等でも、委員のそのような御質問に対し、原因究明が最優先である、再発防止策が最優先であると申し上げてまいりました。そのような処置は行われつつあるわけでありますが、また、先日は、科学技術庁から当ジェー・シー・オーに対しまして行政処分の方向づけが行われ、三月十三日には聴聞会が開催されるというところまで来ているところでございます。  まだ、しかし、警察の捜査は行われておりますし、またジェー・シー・オーの沈殿槽にありました放射性を帯びた物質の処理等もありますし、それから安全体制等の整備、体制の整備というものもまだございますし、私といたしましては先頭に立って、去年と同じような答弁になるかもしれませんけれども、再発防止、今後の体制づくりに全力で取り組むのが私の今の仕事、そういうふうに思っております。
  140. 松沢成文

    松沢委員 この責任論の問題、私は科学技術庁だけを責めるのでこれをやっているのじゃなくて、やはり一度きちっと総括をしないと、今後の原子力の行政の上で、私は、日本の行政というのはこんなものなのかと。これだけの事故を起こしておきながら、なあなあにして済ませてしまって、責任者もだれも責任をとらない、あるいは何の処分もされない。私は、このモラルハザードが今の日本の社会の中に蔓延してしまっている。  金融機関の経営者の話がよく出ますけれども、私は、今回の事故を見ていても、ずっとそうやって長官が、失礼な言葉ですが、逃げ続けている。ずっと聞いても、あるとき原因究明ができて、そして今後の再発防止策がある程度できたら、そのときに私は判断しますと言われていますけれども、事故調査委員会の答申というのはもう十二月にきちっと出たわけであります。そして、再発防止のための原子力防災法は去年の国会で、きちっと与野党の議論の末、成立したわけであります。まだ補償が続いている、あるいは警察の捜査が続いている、警察の捜査は警察に任せればいいわけであって、政治がそれを待つ必要は全然ありません。  私は、行政として科学技術庁がきちっとジェー・シー・オーを行政処分した、そのときに、同時に行政としての責任のあり方もきちっと国民説明するのが責任ある行政の態度、政治家の態度だと思っているんですね。この場に至っても、まだまだこれからいろいろ考えなければいけないことがたくさんありますと、ずっと延ばされていたのでは、私は、いつになってもこの問題は総括ができないというふうに思っているところでございます。
  141. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 再三申し上げましたけれども、この事故、大変重く受けとめております。  それから、責任問題等につきましては、まだ行政処分は聴聞会が決まったところでございまして、これが確定したわけではありません。言いわけをするわけではありませんが、手続的にはそういうことであります。  委員のただいまの御発言、重く受けとめさせていただきたいと思います。
  142. 松沢成文

    松沢委員 去年の十一月に岡崎科学技術庁の事務次官が辞任をされています。そのとき、中曽根長官は、御本人の意思を尊重すると表明しているんですね。それで、科学技術行政を抜本的に立て直すため組織の刷新が必要と判断されたのだと受けとめている、こういうコメントも残しているんですね。  さて、長官はこの辞表を受理して認めたわけでありますが、この岡崎事務次官の御本人の意思とは何ですか。
  143. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 一連の、ジェー・シー・オーの事故、それからロケット打ち上げも失敗を、当時十一月十五日でございましたか、ございました。そういう事故等を踏まえて、科学技術行政の抜本的な立て直しを図る上から、岡崎次官は、新しい事務体制のもとでこれを行うことが適当であろう、みずからそういう御判断をされて辞任をされたわけでございます。その中には、辞任理由には、当時のこの事故の責任を感じられたものも含まれていると私は思っているわけでございます。
  144. 松沢成文

    松沢委員 ジェー・シー・オーの事故、そしてHIIロケットの失敗、こういうものなんでしょう。としますと、今の長官の説明では、これは引責辞任ですね。その二つの事故が起きてしまった、科学技術庁の事務次官としてその責任をとるために辞任をする、そしてそれを長官は認めた、こういうことですね。
  145. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 申し上げましたように、次官がみずから御判断をされて、私に申し出がありましたので、適切、適当と考えて、辞職を、辞任を認めたわけでございます。
  146. 松沢成文

    松沢委員 ここで長官に伺いたいんですが、長官は今回のジェー・シー・オーの事故、ここまで四カ月たっていろいろなことが判明してきて、私はもう結論は出ていると思うんですが、では、ジェー・シー・オーの事故に対して、長官は、行政責任はある、しかし、まだ長官としてやらなければいけないことがあるので、それをきちっと処理した上で自分としてはきちっとした形にする、こういうことなんですか。行政責任があるということは認めるか、認めないか、そこをまずお答えいただきたいと思います。
  147. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 結論から申し上げますと、行政責任はないと思っております。  それで、法律に基づいてジェー・シー・オーに対する現地での調査等を行っておりました。しかし、これは法律に反したり、あるいは義務を履行しなかったというものではございません。それから、安全審査体制等につきましても、二重の審査体制という形でやっておりました。  ただ、事故が起きたわけでございますから、これを本当に重く受けとめて、私どもも反省すべき点があるということで、法律の改正をお願いしたところでございます。
  148. 松沢成文

    松沢委員 長官、これは大変重要な問題だと思いますよ、発言だと思います。  科学技術庁として行政責任がない、ないのであれば、なぜ岡崎次官の辞任を認めたんですか。岡崎次官は、ジェー・シー・オーの事故とロケットの事故、この引責辞任をしたいと言ったわけですね。自分責任をとって身を処したいと言ったわけです。それで、中曽根大臣は御本人の意思を尊重すると言ったわけです。そうしたら、これは行政責任を認めたことじゃないんですか。  もし行政責任がないとおっしゃるのであれば、なぜそんなことを言うんだ、科学技術庁に行政責任はないんだ、そんなことでやめるんじゃない、職務を全うせよ、こう言うのが当たり前でしょう。絶対これはおかしいですよ、認めたということは。
  149. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、次官がみずから、新しい事務体制のもとで出直すということが必要だ、適切だ、そういう御判断で辞任を申し出られたわけであります。その次官のお気持ち、次官のこの事故に対する認識、それから今後の立て直し、あるいは行政官庁内でのいろいろなことをお考えの上での御判断ということでございますので、私はそれを受理したわけであります。
  150. 松沢成文

    松沢委員 行政責任がないのに次官が責任をとりたいと言って、その辞表を認めたわけですよね。大変失礼な言い方ですけれども、これはもうトカゲのしっぽ切りじゃないですか。自分はそれはないと思っている、でも自分の部下があると言っている、世間の批判も厳しい、だから、おまえ、やめとけ。責任回避じゃないですか。次官はその責任をとってやめると言っている。もし行政責任がないのであれば、長官として、絶対にやめるな、ここでやめたらおれらの負けだ、そう言うのが当然でしょう。そうであれば、岡崎さん、本当にかわいそうですよ。どうですか、大臣。
  151. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 人が自分の身の処し方を考えるときには、いろいろなお考えがあって対処されることだと思います。ですから、今申し上げましたように、辞任理由の中には事故の責任をお感じになったものも含まれるであろうと私は申し上げました。行政責任があるからとかないからということではなくて、私は、次官みずからが今後のことを考えて御判断されたもので、こういうこともあろうかと思います。
  152. 松沢成文

    松沢委員 私は長官の意見と真っ向から反対で、私は、科学技術庁の行政責任は確実にあるというふうに思っております。  以下、ちょっと幾つかの理由を申し述べますので、議論を進めていきたいと思います。  科学技術庁の今回の事故の調査について、原子力安全委員会の中に事故調査委員会というのができました。事故調査委員会で、先ほど言ったように、中間報告、最終報告と十二月に出たわけであります。その事故調査委員会の第一回目の会合だと思いますが、そのときに科学技術庁の方が呼ばれて、今回の事故についての報告をしております。私は、だれかはわかりません。そのときにこういう報告をしているのですね。  高濃度ウランの加工施設、すなわちジェー・シー・オーの転換試験棟であります。そこに、設置の許可のときの安全審査の話ですが、一般ウラン加工施設の指針を適用してしまった。これが、今回の事故で臨界があるという判断にはならなかった。中性子線をはかるのがおくれたのも、一般加工ウラン用の審査をやっていますから、高濃度ウランの審査になっていませんから、まさかこの施設でこれが起きるとは思わなかった、これが一つ理由だと言っているのです。  二つ目、技術的能力の審査が最初の申請時だけで、能力の維持を確認できなかった。要するに、立入検査や性質検査がずっときっちり行われていればそれは確認できたのに、できなかったと言っているのです。  三つ目は、保安規定の遵守調査、これも任意調査だったので、あんな裏マニュアルがはびこっていたとはわからなかった。任意調査だったので、立入検査を七年間もやらなかった。だから、今回こういう事故になった責任は科学技術庁にもあるという報告をしているのです。最後の言葉は私がつけました。  ウラン加工工場での臨界が想定できずに、中性子線が放出される事故に対応できなかったと科学技術庁は事故調査委員会に報告しているのですね。これは科学技術庁の落ち度じゃないのですか。これは科学技術庁のミスじゃないのですか。だから事故につながっているんじゃないのですか。長官、どうでしょう。
  153. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 科学技術庁の事故調査委員会での先ほどの発言を、私ちょっと正確に記憶しておりません。委員から今御説明いただきましたけれども、一つ一つ発言は、私はそのとおりであろうと思います。法の不備があったことも事実であろうと思います。  ただ、最善の努力ができていたかどうかということにつきましては、これは議論のあるところであろうと思います。立入検査はしたけれども、当時、当日操業はしていなかったとか、いろいろな、また、あるいは法律で決められて検査をしなければならない箇所がたくさんあって、そちらを、この法律を守るために、あるいは履行するために最優先でやっていたというために、ジェー・シー・オーに対してそのような検査は頻度は少なくなっていたということもあろうかと思います。  まあ言いわけみたいになりますけれども、結果としてそういう事故が起きたということ、私たちはいろいろ反省をしているところで、再発防止のための整備をやっているところでございます。
  154. 松沢成文

    松沢委員 この件も、私は以前にも長官にただしましたけれども、もう一度あえてここで取り上げざるを得ません。  有馬前長官が事故後に、中央公論という月刊誌でインタビューをしているのですね。ここでも有馬前長官、有馬前長官というのは事故のときの科学技術庁長官であります。完全に行政の責任、御自身の責任を認めております。まず、こういうことを言っているのですね。  事故現場では当然、中性子は測定してあるだろうと思い込んでいた。中性子をはかれと言わなかったことは科学者としても残念である。そしてジェー・シー・オーに、もっと回数を多く検査を厳しく行っていたら、今回の事故は起こらなかったかもしれない。要するに、自分たちがきちっと審査をやっていなかったから今回この事故につながったんだという言い方ですね。そして、首相にもいち早く事態の深刻さを認識してもらって、内閣全体が動かなければいけない問題だとお願いすべきだった。  この有馬長官は、科学技術庁の中の、こういう中性子の測定の判断がおくれたり臨界が続いているということをきちっと把握できなかった。できるのに時間がかかってしまったので、有馬長官は何と、事故が発生してから十時間ぐらいたってようやくこの事件の重大さに気づいて、御自身の口から総理に大変なことなんですよと伝えたのですね。でも、それは初動態勢としては極めてまずかったんだと長官自身が認めているのですよ。  これはやはりどう見ても行政責任、内閣の初動態勢のおくれが事故につながっている。そして、科学技術庁の長官として、科学者としては中性子線のことに気づくのも遅かったし、そして、検査をやっていればこの事故にはつながっていなかった、だから有馬大臣としては、この事故はあくまでも行政責任もある、そして、初動態勢をきちっととれなかった政治の責任もあるということを言っているんじゃないのですか。  事故の当事者である有馬長官が、きちっと雑誌でこうやって国民に対して謝罪しているのですよ。それで、その後を受けた中曽根長官は、今回のジェー・シー・オーの事故は行政の責任はないと言い放つ。信じられない思いでありますけれども、この有馬長官の発言を中曽根長官は否定されるのでしょうか。
  155. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 有馬長官は、事故当日の責任者であるわけであります科学技術庁長官でありました。御自分は科学者としても日本でも世界的にもトップレベルの方でおられるわけで、そういう御自分の経験とかそういうことからそのような御発言をされたものと思います。  しかし、確認をしなければならないことは、何よりも今回の事故は、臨界についての十分な知識とか経験を持たない作業者の方が、安全審査で確認された条件を著しく逸脱したこの操作を行ったことによってまず引き起こされたということでございます。  ジェー・シー・オーのようなこの事態の把握に重要な役割を果たすべき国の調査等は、先ほど申し上げましたけれども、これまで行政指導に基づく任意のものでありましたために、別の法令上必須な審査、検査等の条件が優先された面がありました。また、対象となるジェー・シー・オーの施設の運転、操業が不定期であったことによって、施設が運転、操業していない時期に調査を行う結果になるなど、その点検が必ずしも有効に行われていなかったということがあります。  こういう点については、先ほどから申し上げておりますように、私ども何も責任逃れをすることではなくて、もっともっと最善の方法はとれなかったか、そういうふうに謙虚に反省をしているところでもございます。  このようなことから、今回の事故の教訓を踏まえて法律の改正をお願いし、改正していただき、また今後の検査体制等も、抜き打ち検査が実施できるように、あのようなことがないように、そういう検査体制もできるようにしていただいたところでありまして、行政責任がない、私はない、有馬大臣があるとおっしゃっているという、一概にそういうような言い方で処理できることではないと思っております。  いずれにいたしましても、いろいろな問題点が露呈いたしましたので、法律改正、それから再発防止に全力で取り組んでいるところでございます。
  156. 松沢成文

    松沢委員 私も、一義的な責任は、これはもうジェー・シー・オーのずさんな管理運営だったことは認めているし、それはわかり切ったことなのです。ただ、この事故が起きてしまった、あるいはここまで被害が広がってしまったその背景には、やはり行政の不備、法的には違反はなかったかもしれないけれども、やはり行政として的確に動いていたか、そうではなかった。だから、したがって行政の責任もあるのではないですかというふうに聞いているわけなのです。  さて、昨年の審議の中で、斉藤政務次官が、我が党の辻議員の質問に答えて、ジェー・シー・オーの裏マニュアルを見抜けなかった科学技術庁にも責任はある、政務次官はきちっとこのように認めておられるわけなのです。政務次官、これは正しいことですよね。もしあれでしたら、お答えいただいても結構ですけれども。
  157. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 昨年の科学技術委員会でそのような発言をいたしました。しかし、これはすなわち、科学技術庁の行政責任をそのまま認めたものではなく、いわゆる任意の検査の中において、その裏マニュアルが見つけられなかったことに対して、我々の検査の中に十分でなかったところがあった、そういう趣旨の発言でございます。
  158. 松沢成文

    松沢委員 ただ、きちっと言葉としては、裏マニュアルを見抜けなかった科学技術庁にも責任はあるということは申しているのですね。  そこで、当日の初動態勢のおくれが、私は被曝者の被曝量というか、数というか、これを広げたというふうに思っているのです。といいますのは、核分裂反応、臨界というのは、最初にわっと起きてそれが継続していくのですね。今回の場合は、約二十時間続いてようやく収束したのですが、その臨界の度合いと比例して放射線量というのも出ていくわけですね。ですから、特に中性子線なんかが出た場合には、一刻も早くその場から離れるというのが、避難することが基本なわけですね。  ところが、今回の事故の場合に、事故が起きたのが九時半でしたか。東海村の村長が避難命令を出したのが午後三時だったのですね。ですから、もうそのときに五時間近くたっていたわけなのです。それで、もし政府に臨界の可能性ありというファクスが上がってきて、これは十一時ごろだったと思いますが、そこからきちっと、これは臨界かもしれない、もしかしたら放射線が出ているかもしれない、大変なことになるかもしれない、早く地域住民を避難させなければいけない、こういうふうにきちっと初動態勢ができていたら、私は午後三時よりももっと前に避難命令が出せた可能性もあると思うのです。  私は、科学技術庁の中でその認識、判断がおくれた。そして、科学技術庁が相談した原子力安全委員会の中でもその認識ができなかった。まさかああいう施設で臨界が起きるとは思わなかったわけですね。この判断がおくれているのです。ですから、最高被曝をした方が二十一ミリシーベルト浴びたのですね。この方は、午後三時の避難命令が出たけれども、避難するのがおくれて、一時間ぐらいその地にとどまってしまった方なのです。ですから、その地に長くいたことによって被曝量がふえているのですね。今回の初動態勢のおくれが招いた、私は、これは完全に行政責任、政治の責任だと思うのですけれども、長官はいかがですか。
  159. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 当日のいろいろ時間的なことにつきまして、ちょっと正確に記憶しておりませんけれども、第一報の連絡を受けた当初から、臨界事故の可能性については認識をしていたわけでありますが、五時ごろのジェー・シー・オーの敷地境界での中性子線量率の連絡を受けるまで、臨界が継続している、そう確認するには至らなかったわけでございます。  また、中性子モニタリングポストにおきましては、事故発生からの中性子の線量率が測定されておるわけでございますが、午後一時二十二分には那珂研で中性子が検出との連絡が、原研から科学技術庁になされておりましたけれども、その後、ノイズである可能性が高い、そういうような連絡がありましたことや、その後また有意な値と判断された後も、先ほど委員おっしゃったバースト時のピーク値が臨界の瞬間をとらえたものであることは認識されておりましたけれども、ピークの前後における低いレベルの値については差異を認めることが困難であったことから、臨界継続の認識には至らなかった、そういう経緯がございます。  現地からの情報不足、それから状況把握が十分でなかった中で、関係省庁それから茨城県への連絡も十分できなかった面もあるわけでございます。この背景として、事業者からの情報連絡が遅く、不十分であったこと、また誤操作があったとしても臨界事故は起こり得ない、そういうふうにされておったこと等、臨界事故に対する認識が薄く、それに備えた中性子線モニターがなかったこと、情報の収集分析体制が十分でなかった等、そういう結果として、臨界が継続していることの把握がおくれて、初動態勢におくれが生じ、十分な助言が県や村に対してできなかった、こういう点は十分に反省をしているところでございます。
  160. 松沢成文

    松沢委員 十分に反省をしているということですが、これこそ政府の政治責任じゃないのですか。被害が、その認識のおくれ、発見のおくれによって大きくなっているのですね。今、間宮原子力安全局長が、きょうもそちらに座っておりますけれども、もうこれは、日本の将来の原子力政策のためにあえて苦言を申し上げますが、私は、間宮原子力安全局長の責任は極めて重いというふうに思っておりますよ。  やはり現場の担当官として、臨界の継続をきちっと把握できなかった、それが中性子線の観測を物すごくおくらせてしまった。そして、ガンマ線のデータはあった、ガンマ線は大分落ちてきた。もうそこで、間宮さんは野中官房長官に、事態は落ちついてきていますというような報告をしているんですね、午後三時に。それで野中官房長官は、それならばということで、あえて緊急に政府対策本部をつくったりする行動に出なかった。したがって、政府の対策本部ができたのは午後九時になってしまった。有馬さんがようやくこれは大変なことだと気づいて、総理に報告をしたのが午後六時台。  臨界の継続の把握のおくれ、中性子線の観測のおくれ、大した事故ではないと野中官房長官に報告している、これは完全に現場の担当者としての判断ミスであります。私はこれは正当化は絶対できないと思うのですね。こういう完全に現場の担当官のミスもあった、そしてこれだけの被害につながってしまった、これだけの事故になってしまった。それで行政責任はありません、だれも処分はしないというのでは、私は世間から許されないと思うのです。大変な重要な問題だと思います。  高速増殖炉の「もんじゅ」のナトリウム漏れの事故があった。そのときも科学技術庁は監督責任を問われました。このときは、先日おやめになられた岡崎さんが原子力局長でありまして、そのときに厳重注意という処分を受けております。岡崎さんが厳重注意という処分を受けた。私は、間宮原子力安全局長に何の処分もないというのは考えられないのですね。もし私は、長官がきちっとこういう対応のおくれを反省して、責任という言葉は絶対使いたくないそうですから、それは結構ですが、反省して、今後二度と起こさないようにする、そして世間に対しても、もうこういうことは絶対ないようにするというのであれば、この現場の担当官、そして、大きな判断ミスを起こした担当官に対してきちっと処分をすべきであります。  それも何にもしないで、事故の原因究明だ、真相解明だ、それが出るまで判断を待とう、これじゃ何の示しもつかないのじゃないですか。国民に対してどう説明するのでしょうか。  私は、間宮局長初め、直接かかわってかなりの大きな判断ミスがあった方は、長官の責任で処分をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  161. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 たびたび申し上げますけれども、再発防止と今後の体制づくりがまず最優先と考えまして、今日まで国会にも御審議をお願いし、現地の皆さん方ともいろいろ御相談をし、また、住民の皆さんの健康問題、損害賠償問題等々に全力で当たってきたところでございます。そして、先ほどまたこれも申し上げましたけれども、行政処分についての方向性も出てきたわけでありまして、私ども、責任といいますか、感じていないわけではなくて、本当に重くこれを受けとめて、厳しく受けとめておるわけであります。  委員のおっしゃる趣旨、よく理解しておりますが、委員の御発言を重く受けとめさせていただきたいと思っております。
  162. 松沢成文

    松沢委員 重く受けとめてというのは大変ありがたいんですけれども、行政責任はないとおっしゃいましたが、では今後、例えば今おっしゃったのは補償の問題ですとか、あるいは被害者のそういう問題、こういう問題がきちっと結論が出たのであれば、そこでもう一度科学技術庁長官として判断をし、重く受けとめているのであれば、責任をとるところはとる、また、処分をするところはしっかり処分をして、国民に対しておわびをし、新しい体制で科学技術庁をやり直す、こういうおつもりはあるのですか。それとも、もう行政責任はないんだからこれ以上の処分も何も一切しません、これで終わりなんです、どちらなんでしょうか。重く受けとめているというのが私わからないのです。
  163. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 今後の日本の原子力行政の再スタートといいますか、国民皆さんの信頼回復を初め、新しい体制づくり、それらに全力で取り組み、そして適切な時期にまた適切な判断をしていこう、そういうふうに私は思っております。
  164. 松沢成文

    松沢委員 適切な時期というのがいつかわかりませんが、私はそれに期待をしたいと思います。  ジェー・シー・オーの事業許可取り消しを決めたときに、何人かの識者からコメントが出されております。  一人は、これは反原発の市民団体の方でありますけれども、事故の重大性から考えると、ジェー・シー・オーの処分自体は妥当である、当然である、しかし、なぜそんな危険な事業が続けられていたのかという疑問が残ると。そして、許可した側の科学技術庁や原子力安全委員会責任は全く明確になっていない、本来なら、今回の処分に合わせて、自分たちはこう責任をとると表明するのが普通の人間の感覚だと。もっともなコメントだと思います。  そして、京都大学の小出教授も、ジェー・シー・オーの親会社の住友金属鉱山も処分は予想していただろうし、企業の倫理として核燃料サイクル事業からは撤退する方向だろう、それはいたし方ない、当然だと言っています。一番責任がある科学技術庁や原子力安全委員会が今回の処分で幕引きにしようとするなら不愉快きわまりない、こういう体質が日本の原子力をだめにしている、こういうコメントを出しています。全くそのとおりだと思います。  これだけの事故であります。もちろんジェー・シー・オーですよ、一番の元凶は。ところが、それを監督する立場にあった科学技術庁においても、やはりさまざまな十分でないところ、不手際があって、そして初動態勢もおくれてしまって、被害も大きくなってしまったんです。やはり、ジェー・シー・オーの事業許可取り消しというのをきちっと行政処分として判断したならば、そこで科学技術庁としても責任を明らかにすべきであった。私はそれを本当に心から期待をしておりました。しかし、何の政治家としてのお言葉もなかったわけであります。  私は、世界も見ています、日本国民も、今後科学技術庁はどう立ち直ってくれるのだろう、日本の原子力はどうなっていくのだろうか、非常に心配で見守っていると思います。私は、いつの時期かと長官申されましたけれども、可及的速やかにこの総括をしていただいて、きちっととるべき責任はとっていただく、これなくして日本の科学技術行政、原子力行政への信頼は回復し得ないということを強く申し上げたいというふうに思います。  さて、次の質問に移りますが、安全規制のあり方。  これまでは、科学技術庁の原子力安全局と通産省資源エネルギー庁ですね、安全規制する分野、それと原子力安全委員会というのがあって、ここで安全規制をトライアングルをつくってやってきたわけですね。しかし、こういうやり方でやってきて、今回のジェー・シー・オーの事故が起きてしまったわけであります。  長官は今後、原子力防災法というのはできましたが、この安全規制に向けて、今の体制のままでいいという回答はないと思うんですね、今のままのやり方で今回の事故を招いてしまったのですから。どういうふうにこの安全規制のあり方を変えていくというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
  165. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 安全規制については、私も、十分でなかったというふうに思っております。そういうところから、再三申し上げておりますように、さきの国会で法律の改正、また整備をお願いしたところでございます。  その中の一つの原子炉等規制法を改正していただきましたけれども、これによりまして、具体的には、ジェー・シー・オー施設のような加工施設に対する定期検査制度を追加いたしました。それから、加工施設のみならず原子炉それから再処理施設等、全施設において事業者及び従業員が守らなければならない保安規定の遵守状況に係る検査制度の創設、さらに原子力保安検査官の主要施設への配置などによりまして、安全規制の抜本的強化を図ることとしているところでございます。  それから、原子力安全委員会のウラン加工工場臨界事故調査委員会でございますが、これの最終報告におきまして、改正後の原子炉等規制法の実効的な運用とともに、今後の安全規制の基本的な方向として、一つは、安全規制体制の充実強化は当然であります。それから二番目が原子力安全委員会の独立性の強化、三番目が審査指針類の総合的な整備、そして、時代、社会の要請への対応と自己点検などについて、政府の取り組みの必要性が指摘されているところでございます。  これを受けまして、平成十二年度における原子力保安検査官を創設することによる人員を充実いたしました。また、平成十二年度当初からの原子力安全委員会の事務局機能の総理府本府への移管等の作業を進めているところでありまして、安全規制体制の強化を図ることによって、安全確保対策の一層の向上に今努力をしているところでございます。
  166. 松沢成文

    松沢委員 私が見るに、現行の安全規制、特に原子力安全委員会にはさまざまな問題があると思っています。  まず一つ目は、これは国家行政組織法の八条の委員会ですから、行政官庁に勧告することはできても、具体的にそれを執行する権限を持っていませんから、やはり権限の面で十分でないと思います。そしてまた、合議制ですから意思統一までに時間がかかってしまう。今回もそういう面が見られました。また、さまざま専門委員とかあるいは緊急助言組織とか置いていますけれども、これは法的な裏づけがないんですね。  それで、国の体制としては、まず行政がやって、チェックをして、もう一回安全委員会でチェックをするから、ダブルチェックになっていて非常にいいのだと言いますけれども、これは本来の意味でのダブルチェックじゃないと思います。二つのチェックが厳しく審査をしていくというのじゃなくて、まず行政のチェックをやって、その審査がちゃんと行われているかどうかを安全委員会でチェックするような仕組みで、きちっとしたダブルチェックになっていない。  そしてまた、日本の体制は今、科技庁が研究炉、そして通産省が実用炉の安全規制を行うということになっていて、この科技庁と通産省、これが今度、経済産業省で一緒になるということでありますけれども、今は分割されていて非常にわかりにくい、スタッフも少ない、こういう問題点があると思うのです。  そこで、私たち民主党は、この原子力安全委員会、今のままじゃ機能しないという結論に立って、原子力安全規制委員会という、より強い権限を持った、国家行政組織法の三条での行政組織をつくるべきだという法案を今準備しているところであります。第三者的に安全対策を監視して、安全規制に対するすべての責任と権限をこの原子力安全規制委員会に集中をさせる、強制的な権限も持たせる、そして、原子力の推進と規制をきちっと行政組織として分けて、規制は物すごい強い権限を持ってやっていただく、こういう法案を今民主党でつくっておりまして、近々国会の方に提案できるというふうに思います。  ぜひとも科学技術庁の方でも、この民主党の提案の原子力安全規制委員会設置法、興味を持っていただいて、それを国会でも審議して、ぜひとも厳しい安全チェック体制をつくっていきたいというふうに思いますが、長官はこういう考え方についてはいかがお考えでしょうか。
  167. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 日本におきましては、原子力の規制と推進の機能を効果的に分離しつつ、科学技術庁または通産省が法令に基づく安全審査を行い、さらに原子力安全委員会がダブルチェックをする仕組みになっている、委員も御承知のとおりでございますが、なっておるわけでございます。  原子力安全委員会は、みずから擁する二百名に及ぶ専門家を動員して安全審査等に厳正に臨んできたところでございます。この体制は、いわば安全規制における多重防護の考え方、これの適用でありまして、我が国の原子力利用の安全確保のためにふさわしい規制体系であると考えておるわけです。今後も、この体制のもとで一層安全規制の実効性を高めることが重要と認識をしております。  なお、御承知のとおり、安全委員会、事務局体制も強化をしなければならないということで、中央省庁再編、来年の一月でございますが、再編後はこの事務局は内閣府に移行することになっておりますが、これを前倒しいたしまして、平成十二年度当初から、つまり、ことしの四月から総理府に移管をし、人員も強化して、安全審査体制それから事務局体制の強化を図ろうとしているところでございます。  民主党さんの準備されております安全規制委員会のことについては、承知をしておるところでございます。
  168. 松沢成文

    松沢委員 今回のジェー・シー・オー事故のあった東海村の村長さんがこういうことを言われています。安全の確保が原子力と共存できる最低条件だ、原子力防災法がつくられるというけれども、現実には原子力安全委員会という手薄な組織があるだけで、原子力の推進と規制が明確に区分されていない、そういう組織のもとで果たして安全が保てるのか、ぜひ第三者機関の安全規制委員会というのをつくってほしい、こういうふうに言われているのですね。  私も、今の原子力安全委員会のスタッフをふやして充実させるというだけでは解決にならないと思います。むしろ、この原子力安全委員会に強力な原子力安全規制に対する責任と権限を与える、そして、行政府が推進をするとしたら、この規制委員会で厳しいチェックを行っていく。アメリカの体制なんかもそうなっているようでありますが、こういう大きな組織改革をしていかなければいけないと思っておりまして、今後民主党で法案を提案をさせていただきますので、ぜひとも長官においても御理解をいただき、御賛同いただければというふうに思っています。  さて、最後に、今後の原子力行政のあり方、大きな問題でありますが、長官の見解を伺いたいと思います。  ジェー・シー・オーの事故以来、さまざまな原子力の推進の体制にいろいろな現象が起きております。例えば、今進めておりますプルサーマルの計画、さまざまな原発でプルサーマル計画が進もうとしていましたが、今回の事故によっていろいろなところでおくれが出ている、住民からの反対が強まってきている、こういう状況だと思います。  そこで、原子力委員会、これは委員長は中曽根長官でありますけれども、ここが進めております原子力のいわゆる長期計画、原子力研究開発利用長期計画の見直し作業を行っているわけであります。ここで、今までにないような、原子力行政、原子力発電推進の是非まで含めた根本的な議論から今日本はやり直さなければならないんじゃないか、こういう意見も出始めているということでありまして、新聞報道でありますけれども、その委員の中には、原子力発電を進めるかどうか原点から議論しないと国民理解は得られない、こういう意見も出てきているようでありますし、あるいは、原子力なしで何とかなるかどうかがかぎ、基本的な立場を決めることから議論をというような意見もあるようであります。  これまでこの原子力委員会の長期計画というと、原子力の推進の立場で、それをどうやって環境の面にも注意をしながら原子力発電の推進の計画を決めていくか、この路線の上にあったわけでありますけれども、このジェー・シー・オーの事故以来、識者の中から、根本に立ち入っての是非をきちっと議論しなければいけない、こういうふうになってきているようであります。  中曽根長官はこの委員会委員長であります。恐らく出席もされていると思います。こういう議論の様子を踏まえて、科学技術庁長官、原子力委員会委員長として、今後の原子力発電推進のあり方についてはどのように考えているか。今までの長期計画の路線の上であくまでもいくのか、それとも、ここで原点に立ち返って、原子力発電のあり方そのものの是非から議論をしておく、そういう方向の見直しにも入っていくのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  169. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 原子力の重要性、それから現在、現時点での必要性については、委員も十分御承知のことと思います。省エネを進めるとともに、新エネルギーの開発に努力もしなければなりませんし、先ほども申し上げましたけれども、それらの新しいエネルギー、特に環境に優しいエネルギーが育つまでは、原子力の安全を確保して、これを運転していかなければならないわけでございます。  原子力委員会において現在審議をしております原子力の長期計画は、二十一世紀の原子力の全体像とそれから長期的展望を示すためのものでございまして、単に従来の原子力長期計画の改定ではなくて、例えば新エネルギーでどれだけのエネルギーを賄えるか、他のエネルギーの特徴等もよく検討した上で、エネルギーとしての原子力の必要性や位置づけについて広く国民に明らかにしていく、そういう基本的立場に立って審議を行っているところでございます。  こういうような議論を積み重ねまして、原子力に対する国民皆さんの信頼回復に努めるとともに、安全の確保を大前提に、原子力のさらに研究開発利用を進めていきたい、そういうふうに思っております。従来以上に幅広く検討をしていこう、そういう気持ちでございます。
  170. 松沢成文

    松沢委員 最後の質問でありますが、時間がなくて聞けませんでしたが、一点だけ、ロケットの関係で、宇宙開発体制について一問、最後にお聞きします。  御承知のとおり、NASDA、宇宙開発事業団が科技庁のもとにある。ここでは実用衛星を打ち上げるために頑張っておられる。かなり大きな、年間予算二千億ぐらいの特殊法人ですが、それと、この前MVで失敗してしまいましたが、文部省の方で宇宙科学研究所というのがあって、これは天文観測などの科学衛星が目的だということです。  この二つで日本の宇宙開発はやってきたわけですが、今回HIIの相次ぐ失敗、そしてMVの失敗も受けて、日本の宇宙開発体制、二重投資になっているのじゃないか、果たして二本立ての体制でこれからもいいのかという疑問が、疑念が上がってきています。  例えば、二本立てでやりますと、費用も多額になると思いますし、研究者も両方にたくさんつくっていかなきゃいけない、そして現場の熟練技術者なんかでも足りなくなってくるのではないか、あるいは発射台も二つつくらなくてはいけないということもあります。要するに、二本立ての体制が開発体制として余裕のない状況をつくり出してしまっていて、相互の情報の交換も不足しているのではないか。  そこで、この宇宙開発の体制を一本化すべきではないかという意見がさまざま出てきていますが、長官、最後にこの宇宙開発体制、二本立てを一本立てにすべしという意見については、長官はどのようにお考えでしょうか。
  171. 島村宜伸

    島村委員長 中曽根科学技術庁長官。  長官、既に時間になっていますので、簡潔にお願いいたします。
  172. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 はい。  HIIロケットの失敗に続きまして、今度は文部省所管のミューVロケットが打ち上げに失敗いたしました。大変に国民の皆様にも申しわけなく思っているところでございます。  今委員質問の今後の宇宙開発体制でございますけれども、御案内のとおり、それぞれ、事業団と宇宙科学研究所は、目的、性格がまた異なりますし、その生い立ちも違います。しかし、ロケットを打ち上げて、宇宙開発それから人類の発展に貢献するという大きな意味では同じでございます。  今後私どもといたしましては、来年からは文部科学省ということになりまして、そうなりますと一つの局のもとでこの二つの事業が行われることになるわけで、ある意味ではもう当然連携し、一体的な形で効率化を考えてやっていくということでありまして、そういう体制の中で私どもはこの宇宙開発体制をやっていきたいと思っております。  個別の問題のみならず、今後は、共通した問題があるかどうか、この両事業についてあるいは事故の原因について、そういう点もよく見きわめながら事業展開をしていきたいと思っております。
  173. 島村宜伸

    島村委員長 これにて松沢君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬古由起子君。
  174. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。私は、きょうは愛知万博問題について各大臣に伺いたいと思います。  昨年秋に博覧会国際事務局でありますBIEが来日した際に、跡地利用を含め現在の愛知万博計画に厳しい指摘がされていたことが報道されておりました。  指摘の第一は、愛知万博の会場計画が自然破壊の計画であり、観客輸送や資金計画など問題のある不十分な計画であるということです。  私はきょう、BIEが指摘した言葉をパネルにして持ってまいりました。  まず第一の指摘なんですけれども、「われわれは当初、丘陵地帯での博覧会開催計画だと聞かされていた。それが実際にみてみると、山のなかでの開催計画だった」、こういうふうに指摘をしているわけです。  それから第二の指摘なんですけれども、万博の会場計画と跡地利用の新住事業が一体のものになっていまして、従来型の宅地開発で自然破壊の計画になっていることです。BIEはこういうふうに言っているのですね。「簡単に聞かせてもらおう。この不動産開発はよいことか。わるいことか。」こういうふうに言っています。  それから指摘の第三なんですけれども、国際的な自然保護団体より国際博覧会が環境破壊をしているという抗議を受けており、万博計画が市民団体の理解を得ていないということです。BIEはこのように言っているのですね。「愛知博は自然破壊につながる大規模な開発の隠れみの」だ、ここまで厳しく言っているわけです。  というのがWWFを初めとする世界的な環境団体の主張なんだ、この主張は我々BIEの活動について大変危険なものだ、このようにBIEが指摘しています。  最後のパネルなんですけれども、BIEはこういうふうに言っています。「二十世紀型の開発至上主義」、これは「BIEの哲学、モラルに完全に反するもの」だ、「あなた方は地雷の上に乗っていることをよく自覚すべきだ。たとえ登録ができても二〜三年後には爆発するぞ。」ここまで厳しい指摘をしているわけです。  そして、五月の万博開催登録を延期するように求めたということが報道されております。  通産大臣に伺いますけれども、こういう指摘があったということは事実でしょうか。
  175. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 ただいま御質問にございましたBIEの議長さんたちがおいでになったのは、去年の十一月のことであります。その後、私にも表敬訪問されて、時間の関係で詳しい話は私は余りしておりません。その前に、通産省の職員の担当者と非公式の会合がありましたそうです。  その中身については、いろいろなあちらからの質問や御意見がありまして、そのたびごとに当省の担当者が説明をしたり反論をしたりというような、非公式の会合であったと聞いています。  BIEがその当時そこまで指摘して指導するという立場にはありません。いろいろなうわさを聞いているけれどもこれはどうなんだということについて、詳しくそれの説明を行う、そういうことの繰り返しでございました。  ただ、私としては、それらのサジェスチョンについては、必要なものは大事に受けとめて、自然の叡智あるいは自然との共生というテーマにふさわしいものにしなければならないというふうには受けとめて、当省の担当者にもその旨は申し上げております。
  176. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 そうしますと、自然の叡智にふさわしくないじゃないかという指摘もこの中にやはりあったということですし、また、それはその後通産省がBIEとの討議内容のポイントを記者会見で発表されているのです。それを見ますと、やはりなかなか厳しい指摘があったなというふうに私は思うわけです。  こういうときに、単なる担当者とのやりとりというか、非公式の会談というだけじゃなくて、これはある意味では今の環境万博そのものに、一体どうなのか、こういう環境万博というのがあり得るのかというかなり厳しい指摘なわけですから、それはそれで、こういう指摘があったというのを公表されるとか、こういう検討もやらなきゃいかぬというふうに、率直にその後対応すべきだったと私は思うのですが、何だか新聞でセンセーショナルにばっと出てから慌てて、いや実はこうだったんだというコメントが発表されている。この点は、態度としてはもう少し考えなければならないというふうに思っています。  実は、このBIEの指摘というのは突然出てきたという指摘じゃないと私は思っているのです。実は、自然保護団体や私たち日本共産党も、市民団体の皆さんや環境団体の皆さんと一緒に、この万博問題についていろいろ主張してまいりました。その主張してきたことが世界的な世論に反映したというふうに私たちは思っています。  日本共産党は、万博の抜本的な見直しと新住事業、道路事業の中止、それから海上の森を会場から外して、海上の森は公園化などで保全する、県民投票の実施で計画に県民の意見を反映させることを求めて、五月登録見送りを政府や博覧会協会や愛知県に働きかけてまいりました。そして、市民団体とともに私たちはBIEにも直接行ってまいりました。そして、昨年の十二月には、日本共産党が参加しています革新県政の会が英文のパンフレットをつくったのです。こういうパンフレットでございます。これを大きく拡大して持ってまいりました。こういうパンフレットなんですね。もちろん英文で書かれております。こっちがオオタカで、これが海上の森、これが新住計画や道路建設のイメージで書いているパンフレットでございます。  この中身なんですけれども、「自然の叡智? 環境万博?」そして、事実は自然環境を破壊する愛知万博です。BIEの皆さんは、愛知万博が巨大開発、新住宅市街地開発事業を強行するために利用しているのは御存じですかと。今回、BIEの批判と同様の指摘をしております。現在も革新県政の会は、BIEなど世界の環境団体に働きかけています。  突然BIEが指摘したわけじゃない、前々から、万博のあり方、あれでいいのかという、ずっと一貫して私たちも指摘してきたわけですよ。そういう点で、政府は、そのときにきちっと真剣に、もっと早くから受けとめる、こういう姿勢が私は大事だったんじゃないかと思うのですけれども、その辺は率直に、通産大臣の御意見はいかがでしょうか。
  177. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 若干事実関係だけ申し上げますと、昨年の十一月にBIEの議長さんたちがお見えになったときの非公式の会合でございましたが、そのときに一緒に案内をしてきた方が一人おられまして、日本人ですが、全部英会話でなされたのですけれども、そのとき克明にメモをとっていたというのですね。だけれども、非公式の会合でございますから、当省といたしましては、正確な事細かなメモをとるという状況にはないわけで、そのときに主なポイントをまとめまして、それをプリントにして、関係各方面に通産省としては配っているわけであります。  ところが、その随行した方が自分でメモをとったものが後に新聞等にそのまま出まして、事実確認とかそういうことは関係なしに、その人がその人の受けとめ方で書かれたメモがそのまま出されて、かなり雰囲気の違ったものになって伝わっているなという印象を私ども持っております。  ですから、その後の記者会見で、私は、そのときに、非公式な会合であっても、アウトラインをまとめたものが当省にあって、関係方面に配られておりますから、それを記者会見でお配りしたということでありまして、そのときまで隠していたものをその場で出したということとは全く関係がないことでありまして、その点はぜひ御理解をいただきたい。  それから、博覧会の事業の実施に当たりましては、従来から、環境問題については特に配慮を重視する。そこで、オオタカの営巣がありましたときも、あの営巣一つで場所を変えて、青少年公園に、思い切った位置まで構想を変えるといったようなこともしたわけでありまして、私は、この大きな変化というのは、環境保全について関係者が一生懸命考えていることのあらわれだというふうに理解しております。  それから、自然保護団体との幅広い対話につきましては、この一年間で、通産省としては、アセス市民の会ほかと五回、愛知県は、日本野鳥の会等と二十七回、博覧会協会は、万博とくらしを考える長久手町民の会などで十七回の意見交換を行っているというようなことでございます。  また、私どもといたしましては、今日までの動きの中に、省の担当者あるいは万博協会、県に対しまして、自然の叡智ということにふさわしい中身をしっかりつくろうではないか、そして、将来とも、日本のあの万博はすばらしいものであったと言われるようなものにしていこうではないかということについては、何度も指示を与えているところでございます。
  178. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、十一月のBIEとの話し合いの中身について、かなり厳しい指摘があったんじゃないか。その十一月の時点で、こういう指摘があったということをもっときちっと国民の中にでも明らかにしてやるべきだったということを言っているのですね。  そして、あなたが言われたように、じゃ、個人的にメモをされた方と正式に通産省が発表された文章がかなりニュアンスが違っているのかというと、私は、きょう、発表されたBIE議長の主要指摘ポイントのメモを持ってきましたけれども、そのメモも、例えば、跡地利用として住宅建設を予定するのはかなりの旧タイプの開発なんだ、これが本当によい考えだと思っているのか、こういう指摘だとか、それから、住宅開発の隠れみのとして博覧会が開催される、こういううわさが立つようなことは世界的に見ても問題だ、もっと環境団体とうまくやってもらいたい、こういう指摘があって、この文章といいますか、新聞で発表された文章が全くでたらめなものを言っているということではないと思うのですね。ですから、基調は、指摘が、それを正当化するような中身があなたたちの発表の文章の中にもあるということなんです。  そういう意味では、この中身は、決してそのままおいておくという問題ではない。かなりこれは、国民皆さんにも、こういう指摘がされたんだけれどもどうだろうという形でやらなければならない内容のものだというふうに思っています。  そして、さらに通産大臣に伺うのですけれども、通産大臣は二月の十六日に愛知県知事と協議をして、記者会見されていますけれども、これで愛知万博の開催登録申請を五月でなく十二月に先送りした、こういうふうに報道がされていますが、この点は事実でしょうか。
  179. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 先ほど私が申し上げたことに関しておっしゃいましたから、あえてもう一回申し上げますと、私の方は、BIEの方たちが言ったサジェスチョンを全く無視して、ないがしろにしろというふうなことをやったということを言っているわけじゃなくて、そのときのメモは関係当局の方々にちゃんと配って、こういう意見があるんだよということを伝えるようにしているわけでございます。(瀬古委員国民になぜ知らせなかったのですか」と呼ぶ)しかし、非公式の会合でこういうような意見が出ましたと一々国民に伝えることは難しい。そして同時に、大事なことは、言われたままでなくて、それに対しての説明をしているわけなんですね。そういうやりとりをまとめたものを関係方面に出しているわけで、そのたびごとにこういう話があったと記者会見で国民に知らせるというのは、それはなかなか不可能なことだろうと私は思っています。  それから、二月十六日に愛知県の知事がお見えになりまして、会談をいたしました。それはそのとおりであります。
  180. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 中身が、関係方面にと言われたんだけれども、実際には、関係方面に出されたものが、国民の間で、こういう問題の指摘があったということは一つも出ていなかったわけです。  突然新聞で発表されて、もう今、御存じのように、地元の新聞では毎日一面のトップ記事になっているぐらいの大問題になっている。こんな事態であったのか。実際には、中身は、それは知らせるものじゃないといっても、その跡地利用は環境破壊になるのではないかと聞かれて、そうなるということまで答えているという、こういうものまで出されたのでは、本当にどうだったのか。いろいろ説明していると言うけれども、「……。」と書いて、全然説明もできていない。沈黙の言葉まで物すごいリアルに書かれているので、こういうメモだけれども、物すごく、それは通産省の文章を読むよりも、ああ、これが事実だろうななんて、それぐらいのリアルなメモになっているわけですよ。  そういう点で、全体のメモのあり方もそうですけれども、やはり一つ一つの中身も、これはあなたたちが問題意識として受けとめられた、そして関係方面に流したと言われるなら、それの中身の、大変重い指摘もあるということも事実だと思うのですね。そういうものがあるからこそ出されたと思うのですよ。  そういう中で、今回、開催登録の申請は五月ではなくて十二月に先送りした、これはもうはっきり決まったんですね。
  181. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 愛知県の知事が二月の十六日においでになりまして、その前に私は現地視察を御案内のようにしておりまして、そのときに、反対団体の方ともお会いをしたり、いろいろな意見を聞いているわけですね。そこで、みんなが納得して、地元の人が理解して協力できるような、そういう形で持っていきましょう、知事さんを中心として十分検討してください、そのことについて国としても協力できることがありましたら協力申し上げましょう、こういうことを言って帰ってきたわけですね。  その後、いろいろな角度から検討なさっておられるようです。その検討の状況、進みぐあいを見ると、五月の申請にはちょっと時間的に間に合わないという話でありましたから、それならば、十分な対応をする意味で、とりあえず五月の申請はその次の申請にいたしましょうかということで合意をし合った、こういうことでございます。
  182. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 この五月の申請に当たっての内容についても、ともかく五月の申請をやらなきゃならぬということが、ある意味で、括弧つきなんですけれども、公約のように、これは世界に対する公約なんだということをずっと進めてみえたわけです。  実際にはこの公約は守られない、延期した。そのために、今まで、早く、この期日までに間に合わさなきゃならないために、アセスをある意味では本来やらなきゃならないのもすっ飛ばしてやるとか、これは専門家から厳しい指摘があって、しかし、なおかつこの五月に間に合わさないといけないからということで無理した経過もあるわけです。それを今合意で延期するということを決めたと。この責任というのはないんでしょうか、この責任はだれがとるということになるんですか。
  183. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 皆さん方の御理解、御協力をいただくために、十分な対応をして、責任のある万博を行おうということを決めたのであって、その申請をそのためにおくらすことについて責任をとる、そういう状況にはないと私は思います。
  184. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 実際には、自然保護団体も含めて、市民団体も含めて、いろいろな意見があったけれども、ともかく間に合わすんだといってやってきた。しかし、これからもっとよりよいものにするといっても、今までのこういう指摘をある意味では聞く耳持たずという形でやった結果が、厳しい指摘が、世界的なこういう機関から批判をされたという状況なんです。  そういう点では、通産大臣と知事が合意をしたという点では、もちろん今までの経過と、今後の問題、これからどうするかという問題も含めて、そこはお二人に責任を持ってやっていただくということは当然あるわけですね。
  185. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 おっしゃるとおり、責任を持って万博を本当に世界から評価されるようなものにつくり上げて実現をするという点においては、当然のことながら我々は責任を負っております。(瀬古委員「今までの公約について」と呼ぶ)今までの公約といっても、五月に申請する予定であるというだけのことですから、何が何でも五月までにするといって、いわゆる公約という形ではありませんから、五月を目標にして準備を進めてきた。しかし、私が大臣になりましてからまだ四カ月ちょっとでありますが、その間に現地に行ったりいろいろな御意見を聞いたり、そしてできる限りとにかく地元の声を聞いて理想的なものにしようではないかというふうな示唆を与えながら今日の状態に来ているわけでありますから、そういう意味では、まさに責任を果たしつつあると申し上げて言い過ぎではないと思います。
  186. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 公約でないなんて今ごろ言われると、この間かかわってきた人たちの御苦労は一体何だったのかという問題があるわけです。  実は、これは原科さんという通産省の環境影響評価委員を務められている方なんですけれども、新聞で「論壇」に書かれているわけです。実際には、ともかく通産省は、ここに書いているんですよ。  BIEへの登録申請を急がねばならないとして、評価書の審査に入り、今年一月十三日に検討会の報告書をまとめた。   翌十四日以降、とんでもないことが新聞報道された。登録申請期限まで、まだ二年もあり、環境に十分配慮した計画とするよう登録申請は遅らせろと、BIEが助言していた、というのである。   このことは、検討会のメンバーには何ら伝えられていなかった。時間の制約がこのように異なっていれば検討会での議論は大きく変わっていたはずだ。 通産省はなぜ検討会に伝えなかったのかということで、そして、まだ時間があるなら、もう一度再アセスをやってもらいたいということまで厳しく言われているわけです。  そういう点では、もう時間がないから、ないからと言って、一番大事な、こういう通産省の環境影響評価委員皆さん仕事まで繰り上げしなきゃならぬくらい追い詰めていったわけです。そういう点では、公約でもないとかそんなことはどうでもいいという問題ではない、その責任は私は大きいというように思います。  それから、もう一点お聞きしたいと思うのですけれども、通産大臣は、昨年十一月にBIEの批判がマスコミで報道された後、BIEが五月登録の延期を求めていたわけですけれども、五月登録を堅持するんだとそのときにも言ってみえましたよね。これは、その後認識は変わられたというふうに考えていいですか。
  187. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 昨年十一月にBIEの方々がおいでになったときに、五月の申請登録を延期しろという話があったということは、私の方は聞いておりません。  そして、私が視察をいたしたりいたして、全体の状況をきちっと把握して、自然の叡智、自然との共生ということを実現するために、知事さんを中心として十分な意見を聞きなさい、また、BIEの理解を得るためにも、その真意を伺うためにも、当省からだれかを現地に派遣してしっかり勉強させましょう、こういうことは申し上げたわけでございます。しかし、その今あなたの御指摘の時点では、五月に向けての申請の予定というのは変える状況にはありませんでした。  そして、それらの私どもが指示した動きで、知事がおいでになったときに、そういうことを背景にして今プランをいろいろつくっている最中だ、そのプランの作成に当たっては、五月の申請にはどうも間に合わないんだということをおっしゃったものですから、そんな間に合わないものを慌ててやる必要はありません、むしろ十分な対応をして、そして国際的にもあるいは地元でも理解に足るような内容にしましょう、そういう意味では申請を五月の次の総会目指して行うということにいたしましょうということで合意したのであります。
  188. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 そうしますと、通産省としては、あなたとしては、認識は変わっていないけれども、愛知県がどうしようもない、とても間に合わないので、それならそうしましょう、こういう話で、あくまでもあなたの認識そのものは、登録をやれるものならやりたいという認識は変わっていなかったのですか。(深谷国務大臣「今はもう五月にやらないことにした」と呼ぶ)それは、愛知県の知事がたってのお願いをしたというか、できないという状況なんですか。
  189. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 私が申し上げていることをそのまま受けとめてほしいんですが、知事がたっての願いで、私は不本意だけれども結構ですと言ったわけじゃありません。二人でお互いに話をしながら合意をしたのが、五月の申請を一回待とうではないかという答えであったということでございます。
  190. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 先ほど、BIEの指摘が五月登録の延期を別に求めていなかったと言われるんですけれども、はっきりとそういうようにはなっていないけれども、あなた方の出しているペーパー、この中にははっきりと登録の時期等に書かれております。登録を急ぐ必要はない、十分に時間をかけてしっかりしたものを作成して申請すべきだ、ターゲットを六月とする必要はない、登録申請をしたものの結局否決されるというような時間のロスをしたくない、これは暗にもう延期しなさいと言っているのと同じことじゃありませんか。それを、まだなおかつBIEにそんな指摘はされていないと言うなんというのはとんでもないことなんですね。そういう点でも、私は、もうちょっとBIEの指摘にきちっと謙虚に耳を傾けるという姿勢がないと、今後の取り組みでも大変問題になってくるというふうに思います。  それで、五月に登録が難しいというように愛知県からお話があった理由は何だったのでしょうか。
  191. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 私が申し上げてきたように、地元の皆さんの理解を得て、また協力を得る、そして自然団体その他、世界に発信する内容等々を考えていろいろなプランを今練っています、そういうプランを練る時間も含めて五月の申請には間に合いそうもない、そういう趣旨の話をしておられました。
  192. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 万博というのは、本来国がやる事業なんですよね。それを、愛知県が今後プランをつくっていくという、もちろん愛知県が一定それはつくらなければいけませんよ。しかし、少なくとも今までプランづくりについては、通産省も一緒になってつくってきたわけですよね。それが今回もう一回見直せということになって、改めて見直すということになれば、それは、県の皆さんがやってきても、どうぞまだ持っていらっしゃいという姿勢ではなくて、やはりそのBIEの指摘をしっかり受けとめて、通産省も一緒になって、ある意味では汗を流して、苦労して考えようじゃないかと。いろいろな団体や市民の皆さん、自然保護団体との関連も、通産省も率先してそれについて対応するというのが当然だと思うのですよね。  それを何だか、県が困っている、県がつくるために、それを見守るといいますか、もうちょっと私は、通産省としての責任というのがあるのではないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。     〔委員長退席、自見委員長代理着席〕
  193. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 通産省として、これは当然協力しなければならない話でございます。  しかし、例えば愛知県の将来計画も含めた問題等があるわけでありますから、まず愛知県の方で幾つかのプランを練って、そして相談に応ずるということが適切だと思っています。したがって、ただいま愛知県を中心として検討している状況を見守って、そして、いずれにしても、相談を受け、協力できることは協力をしていこう、そう考えています。
  194. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 その愛知県の将来計画はあるんですけれども、それが、実際には何でそんな将来計画、今度のBIEから、二十世紀型の、ある意味ではもう本当に環境破壊の産物だと言われるような、厳しい指摘を受けた開発計画だったわけですよ。何で愛知県がそういう計画をつくったのか、そして今回指摘されたあの新住事業、ああいうやり方をとったのかというのは、では本当に愛知県だけの責任なのかということを、私は率直に言いたいと思うんです。  例えば、愛知県は、もともと中部財界が望んでいます三大プロジェクトというのがありました。中部国際空港、それからリニア中央新幹線、第二東名・名神高速道路、これを起爆剤、加速剤に位置づけて、これをつくっていくために万博を大いに活用したい、起爆剤にしたい、こういう財界の今までの計画というのは確かにあるわけですよ。  しかし同時に、これは日本の政府です、一九九五年の十二月なんですけれども、閣議了解というのが行われました。この閣議了解で、この万博をやるに当たっては、「会場建設事業については、長期的地域整備との整合性を十分図ることとし、長期的地域整備により行われるべき土地造成、施設整備等は会場建設事業から除外することにより、会場建設費は極力圧縮したものとすること。」こういうふうに閣議で決めたんですね。これははっきり言いますと、国は万博の会場建設費には余りお金は出せないけれども、ある意味では、いろいろな建設事業、整備事業をやれば、その関連で補助が出てくる、こういう仕組みがこの閣議了解の中で出されたわけですね。  それで、愛知県は考えて、それはもともとこの三大プロジェクトのための起爆剤にするというのは動機が不純だと私は思いますよ。しかし同時に、その事業をやるためにある意味で財政的な国の厳しい枠組みがかけられて、そして、開発をやらないとお金が入ってこない、万博の会場建設費などがつくれない、こういう仕組みにがんじがらめにされた結果、愛知県は、新住事業といって二千戸の住宅、六千人も住むような団地計画を考えざるを得ない。今度の愛知の万博計画はこういうことになってきて、これがBIEの厳しい指摘を受けたわけですね。  これは決して、もちろん愛知県も安易にそれに飛びついて、ともかくそれでお金をつくるんだというやり方は私は安易だと思いますけれども、本来万博というのは国がやる事業ですから、国にも責任がある。だから、愛知県知事が通産大臣に会ったときに、今三つから五つぐらいですか、それなりの計画を持っていると言われているんだけれども、その計画だって全部新住計画を軸にした計画になっているんですよ。そうなっていないのかどうかわかりません、一応、知事さんはそういうふうに言っておられます。  そうすると、いろいろ手直ししたけれども、結局また開発をともかくやらないと、新住事業そのものをやらないと万博というのはやれないというところにがんじがらめになっていれば、それは幾ら考えようといっても、やはりまた国際的に厳しい批判を受ける、そういうものの万博しか提案できなくなる。  こういうところに、この前知事さんがいらっしゃったわけですから、大臣が、どうなんだ、こういう開発の仕方というのはやはり問題だなということで、お互いにアドバイスもし合い、意見交換する。そして、あなたたちが考えてきなさいよというのじゃなくて、思い切って新住事業、これはもうやめて、新しい、環境を大事にした、そういう取り組みというのはどういうものなんだろうか、話し合おうじゃないかというようにアドバイスされるというのが当然じゃないか。アドバイスどころか、一緒になって考えるというのは当たり前じゃないかと思うのですが、その点いかがでしょう。
  195. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 大変難しい議論なんですね。というのは、地方自治体がその地域の将来の計画を立てていくというわけでございまして、そこを国がこうしろ、ああしろと言うのは極めて大きな問題だろうと私は思っていますから、そこらに言及するというのはむしろ避けなきゃいけないな。愛知県が地方自治体として独自に自分の地域の将来を考えていくということは、これはきちっと重視していかなければならないというふうに思います。  ただ、我々としては、自然の叡智ということで万博を行うのだから、将来像も含めましてこの名前にふさわしいようなものを考えてほしい、そのことで国が協力できることはやりますよということを申し上げてきたわけでございます。  それから、最初の動きというのは、六十三年に愛知県で大きな運動が起こりまして、八十八市町村がぜひ実現をしてくれということで立ち上がられて、関係団体が二百三十七団体ですか、決議なさって、そして国に働きかけ、やがて国が内閣で了解をすることにして、そして万博協会に提案をする。それが平成九年にモナコで行われた採決で、劇的な形で日本にということになって、そのときの地域の盛り上がりというのは大層なものだったというふうに私どもは聞いておりますけれども、もともとはその地域の皆さん方から出されてきたテーマであったわけであります。  ですから、私たちが責任がないとか、そんなことを言おうと思うのではありませんで、そういう地域の皆さん意思も大事にしながら、今いろいろな角度から検討を加えておられるその状況をよく見させていただいて、よく相談をして結論を出していきたいと考えているのが現状です。
  196. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 地域でというものも考え方なんですけれども、万博そのものは、国が責任を持って開催する博覧会なんですよね。それを、私ははっきり言って、もうちょっと大臣は責任持たなあかんと思うのです。これだけ厳しい批判を受けて、それはもともと愛知県が、住民の皆さんが、本当に住民がどこまでそれをやりたいと思ったのかどうかわかりませんよ。これはもともと財界の、私が先ほど御紹介しました意図的なものがはっきりと財界の文書なんかにも出ていますから、これを起爆剤にしたいというのははっきりしているのですが、しかし、これは地域の方がもともと望んでやられたことだから、今これだけ厳しい批判があったら、それはあなたたちが考えなさいというのは、それは私はやはり逃げている態度だと思うのですよ。国としてきちんと責任を持つということが大事なんです。  この新住事業の問題、二十世紀型の開発至上主義と言われたのは、それはもちろん愛知がやる新住事業の問題ですが、しかし新住事業だけじゃなくて、先ほど私が冒頭に言いましたように、あの万博そのもののあり方もこれでいいのかというのがBIEから問われたわけですよね。そういう点では、大事な海上の森を壊してまで、環境万博、自然の叡智というものにふさわしいのかどうかということが、今回BIEからも指摘されたわけです。  かつて、二十世紀型の開発至上主義といいますか、プロジェクト推進のためにともかくやろうと言ったんだけれども、それが環境万博に変わったんですね。環境万博に名前は変わったんだけれども、中身はそのままずっと引き継いでいるわけですよ。これがやはり厳しい指摘をされて、矛盾を今激化させているという問題だと思うのですね。  そういう点では、一つ一つ解きほぐして、これはもともと地方が要求したことだからなんて逃げないで、やはりこの万博のあり方そのものも国が責任を持って、見直しということも含めて考える必要があるというふうに思うのです。  そこで、きょう建設大臣にも来ていただいているんですけれども、二十世紀型の開発至上主義の産物と名指しされて批判された跡地利用計画の新住事業なんですが、新住事業はBIEに非常に大規模な二十世紀型の土地開発だと指摘された。大臣はこの指摘をお認めになりますでしょうか。
  197. 中山正暉

    ○中山国務大臣 私はBIEにちょっと誤解を招いたんじゃないかと思いますのは、御承知のように、万博というのは条約で決まっていまして、建物を建てますと、六カ月終わりましたら全部取り壊す、万博のイメージというのが壊れないようにというので取り壊すことになっておりますから。それに、先ほどお見せになったパンフレットの中には、もう住宅が建っている形でパンフレットができ上がってしまっています。これが大変な誤解でございまして、この万博をするために、今新住事業、新住宅市街地開発事業というものでございますが、これは四十八カ所でやっておりまして、六千人から一万人が住む町という、これは何も愛知万博のためにあるわけではございません。今まで例えば多摩のニュータウンがそうでございますし、大阪の千里ニュータウン、これがそうでございますし、そのほか四十八カ所で全国やっておりますので、これは誤解を与えるようなパンフレットづくりをしたことに私は問題がありますよということを地元の皆さんに申し上げたのでございます。  パリも昔は森の中だったそうでございます。今は鉄のエッフェル塔が建ちまして、あの美しいパリの町というのは、自然との調和の中から生まれた近代都市。だからこそBIEの本部というのはパリにあるわけでございますから。  私も、先生も瀬戸の市会議員を四期なさいまして、瀬戸の唐沢俊二郎さん、砂防の会長さんからもらったのですが、瀬戸というのは明治三十九年には砂山のはげ山なんですね。それが砂防事業の成功でこういうふうになったという日本人の英知、その自然の中にこれからの博覧会というのはどうあるべきかということを進展させるために、新住事業のいわゆる基盤整備みたいなものが利用されて、そこで万博が行われて、そしてその後、千八百億ぐらいかかる事業なものでございますから、それをどんなふうに地域に御迷惑をおかけしないように、国もいい、国も財政的な負担が少ない、そして自治体も財政的な負担が少なくて、そして後々には地域の活性化に大変な起爆剤になる。  私も国会議員に出ました翌年、昭和四十四年に出ましたが、四十五年が万博でございまして、大阪の吹田万博、これは大変な効果を持っておりまして、百八十五億ぐらいの基金ができておりますし、大阪の花の博覧会も百億の基金ができておりまして、環境で御功績のありました方々に、ことしも中国の呉先生に四千万円の奨励金を出しております。  ですから、万国博というものを地域の活性化に……(瀬古委員「BIEの指摘を認めますかと聞いているのです」と呼ぶ)BIEの指摘は、私は、今通産大臣から御指摘がありましたように、これは情報が漏れたということで、いろいろな情報の調整をした結果が出たのではありませんので、それは議論をするときにはいろいろな議論があると思います。ですから、その途中経過でどうということではなしに、これから着実に、特にBIEの指摘は指摘として受けとめますが、これはいたし方ございませんで、御指摘は御指摘として受けますが、まだ二〇〇五年の話でございますから、これもいろいろな選択肢があると思いますので、みんなのいいように、これが最大の目標でございます。
  198. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 指摘は指摘として受けとめるということで、指摘は認められたわけです。しかし、情報が漏れたのはまずかった、こういうお話なので、これはもう少し率直にお認めになるということが大事だと思います。  それから、先ほど新住計画の問題も、私もいろいろ言えば、幾つか回ってまいりましたから、決して全国的には成功しておりません。  そして、先ほど瀬戸のお話がされました。私も瀬戸に二十三年間、本当にこの海上の森のすぐ、車で五分ぐらいのところに住んでおりましたから、あの美しい自然を見てまいりました。  確かに瀬戸は陶器の町で、ある意味ではそこから土をとり、まきをとり、そして陶器をつくってきたところでもあります。だからこそ、里山は時々人が入り、手を入れて、そしてあのような里山を今の財産として持ってきたところなんですね。だからこそあれを守りたいという多くの人たちの願いがあるし、それは瀬戸市民だけではなくて、全国民の声になっているということなんです。  さらに、先ほど、パンフレットをつくったのが悪いと。県が、新住計画といえば住宅がいっぱい建ち並んでいるというのをつくったのが悪い、あのパンフレットをつくらなければ誤解を招かなかった、こういうような……(中山国務大臣「住宅はないのです、住宅は現在ないのです」と呼ぶ)わかりますよ。しかし、新住宅市街地開発法というのは、これは宅地開発事業でしょう。これはお認めになりますよね。それはいいですか。宅地の開発事業ですよね、これはお認めになりますか。お認めになりました。立ってちょっと答えてください。それだけ、一点だけ。
  199. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先ほどから申しておりますように、それは四十八カ所今まで各地で皆さんに良好な住宅を提供するためにしてきた事業でございまして、だから、望遠鏡を逆さまにのぞき込むような話になっていますけれども、それは万博のためにあるのではないし、万博の期間の中にはそんな住宅なんかあるわけないのでございます。  これは博覧会協会から許可を得ませんと、永久建造物というのは、例えば大阪の花の博覧会でいえば、ナショナルが寄附した建物と水の館、これだけは許可を得て建てたものだけしか建てられませんから、その御心配はありません。
  200. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 宅地開発事業ですね、答弁、それを聞いているのです。委員長、聞いてください。宅地開発事業ですか。
  201. 中山正暉

    ○中山国務大臣 最終目的はさようでございます。
  202. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 そうしましたら、宅地開発した後、愛知県は住宅が建てられるなと。なぜ建てる住宅をパンフレットに載せたかというと、住宅をつくらないと採算が合わないという問題があるわけです。しかし、あなたから言わせれば宅地開発事業ですから、後、別に住宅を建てなくていいといえばいいわけですよ。  しかし、この新住事業というのは、民間会社がその土地を買って、後どうするかというのは、買った民間会社が二十階建てを建てるとか十階建てを建てるとか、住宅がずっと建つということだってあり得るわけですよ。もともとこの新住事業は、採算性を問題にされて、これで稼がないかぬわけだから、住宅をつくって、二千戸、六千人の住宅にして、何とか県がこの財政を脱したいといってやっているわけですよ。確かに、住宅をどんどんつくっていくというのは問題だけれども、もともとこの新住事業というのはそういうものだと。そして、愛知県議会で、この問題を将来どうするのだと、研究施設を最初はつくると言っていたけれども、研究施設だって誘致のめどは立っていませんと、そしてこれは構想段階で、できたらいいな、こういう程度だと、これは議会で答弁しているんですね。そして、環境に配慮した住宅だとか研究施設だとか文化施設で、そんなめちゃくちゃな使い方はしませんよと言ったって、これは構想ですという程度で、後を民間会社に任せたら、それはどうなるかわからないですよ。やはり住宅がどんどんできちゃう。県が出しているパンフレットよりは、もっとすさまじい住宅が、採算を合わそうと思ったらつくらなきゃいかぬという問題も出てくるわけですね。  そういう点では、この宅地開発事業、そして新住事業そのものが、二十世紀型の本当に自然破壊の事業なんだということを指摘されたというのを、私は、建設大臣もこの機会に、いろいろ漏れたのがまずい、こういう発想ではなくて、ちゃんと真摯に受けとめるということが大事だというふうに思います。  そこで、先ほどから私が述べておりますように、この新住事業がきちっと閣議決定で決められているわけです。それで、今、この閣議決定の問題でも、本当に、これを外さないと愛知県がやはり自由に新住にとらわれずに考えることができないということになっているということを、もう一度通産大臣も建設大臣も、ぜひお考えいただきたいというふうに思います。  それから、新住事業の見直しや中止というのは、BIEだけが言っているわけじゃなくて、環境団体も言っているわけです。特にWWFなどの環境五団体が第二回世界自然保護会議に提出した決議案があります。私はこれを持っているんですけれども、「海上の森の保全について」という決議案なんですね。「日本政府が、国際博覧会の精神とは相容れない、この地域での住宅市街地開発事業および道路建設をとりやめることにより、現行計画を根本的に変更し、海上の森の自然を将来にわたって保全するため、国営里山公園の設置を含む具体的な措置を講じること」と。  このように、自然保護団体も一致して、そして今度、世界会議にもこれをかけたいというんですね、これを決議にしたいと。ここまで進んでいるわけですよ。だから、いつまでも新住にしがみついているのじゃなくて、そして、やはりもっとここは、新住の中止ということをはっきりさせていくということが大変大事だというふうに思います。  そこで、建設省にお伺いします。  愛知県から今新住事業などの都市計画決定の申請が建設省に出されていると思いますけれども、万博の跡地利用をめぐって、今、その見直しの問題、どうしていくのかという検討が行われている真っ最中ですから、そういう点では、この申請というのは保留されると考えていいでしょうか。
  203. 中山正暉

    ○中山国務大臣 おとといでございましたか、神田知事さんもお越しになりまして、少し、いろいろなBIEとの相談で、計画の見直しをするような話がありました。  新住計画は、私どもとしては申請を今受けつけているところでございますから、認可というところまで至りますまでにいろいろな検討がなされるということでございますので、今のところは検討中ということでございます。(瀬古委員「都市計画決定、都市計画の申請です。新住じゃなくて、新住はまだ出ていませんから、都市計画の決定の申請です」と呼ぶ)そういうものはまだ聞いておりません。(瀬古委員「いえ、都市計画の決定は出ているんです」と呼ぶ)
  204. 自見庄三郎

    ○自見委員長代理 手を挙げて。  瀬古君。
  205. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 都市計画の決定の申請はもう出ているんですね。それを認可した上でまた新住事業の申請が出てきますから、新住のあり方が今問われていますから、都市計画決定の申請そのものは保留になるというのは当然のことですね。
  206. 中山正暉

    ○中山国務大臣 愛知県からは、これらの道路の設計に必要なボーリング調査を地元の関係者に説明をして、周知の上これを行ったものと聞いておりまして、建設省といたしましては、ボーリング調査は、愛知県が道路整備のために必要な調査を必要な時期に実施しているものということでございます。(瀬古委員「そのことを言っているのではありません、都市計画の決定の申請です」と呼ぶ)ですから、都市計画手続中ということでございますが、これはまだ調査中でございますので……(瀬古委員「もうそれは出されているんです、今」と呼ぶ)出されていると私は聞いておりませんが。
  207. 自見庄三郎

    ○自見委員長代理 瀬古君、挙手をして発言してください。
  208. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 出されているんです。前もってちゃんと通告してあります。
  209. 中山正暉

    ○中山国務大臣 瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業の都市計画認可についてのことでございますが、その新住宅市街地開発事業の都市計画については、十一年の十二月二十七日、愛知県知事から建設大臣あてに都市計画認可の申請がなされているそうでございます。  本事業は二〇〇五年の日本国際博覧会会場計画と密接な関係を持っておりますので、愛知県知事より、現在、BIEとの協議を踏まえ、必要な検討を行っているところと聞いておりますので、したがって、建設省としては、その検討の推移を見守りつつ、都市計画の認可に当たっては慎重に判断をしているところということでございます。慎重に判断をするということでございますので、まだ私どもの方では手の届かない、名古屋の方で、愛知の方で考えているというところでございます。     〔自見委員長代理退席、委員長着席〕
  210. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今出されているこの申請を慎重に扱う、愛知県が態度をはっきりするまで保留するということでいいですかということを聞いているんです。
  211. 中山正暉

    ○中山国務大臣 保留という言葉ではございませんで、慎重に検討中ということでございますから、これは保留とはちょっと中身が、意味が違うと思います。
  212. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 きちっと愛知県の態度が出るまでは当然出されないという内容だと思います。  そこで、オオタカの問題について述べたいと思うんです。  新住事業は、今国際的にも批判をされて、会場計画の再検討が大きく求められているわけなんですけれども、今オオタカは、御存じのように、子育てをいよいよこれからするという大変大事な時期に入っております。こういう中で、建設大臣、まだこの新住事業が批判されている中で、まさか道路工事だけは先行するとか、そういうことはあり得ないでしょうか。
  213. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先生のお話は名古屋瀬戸道路ということであろうと思いますが、愛知県からは、これらの道路の設計に必要なボーリング調査を地元の関係者に説明して、今周知徹底を行っていると聞いております。  建設省としては、愛知県が道路整備のために必要な調査を必要な時期に実施しているものと理解をしておりますので、この道路の建設ということは博覧会とは切っても切れない関係でもありますが、しかし、名古屋自体の環状道路としてこれはもう着々と、名古屋の都市全体のための、また愛知県の全体のための道路交通のためにこれは必要な道路でございますので、直接この問題とつながるとは思っておりません。
  214. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今、私は瀬戸の地元で出している回覧板を持ってきたんですけれども、「山口地区における国際博覧会関連事業に係る工事用道路等説明会のご案内」。いよいよことしから関連の事業、工事を着工する予定だというふうにはっきり書かれて、これは回覧板で回されて、そして今大臣が言われたように、ボーリング調査という名前でどんどんそれはやられていく、それが今環境団体から厳しい批判を受けているわけですよ。  新住事業そのものももちろん問題ですし、それから万博そのものも大きな問題なんですけれども、万博とは関係ない事業だとか調査だとか言いながら、どんどん道路の建設や土地をめくったりしていくわけですね。それでも事実上オオタカの生育にも重大な影響を与えているわけです。  少なくとも、今改めて愛知県も、愛知県任せというのは私は問題だと思っているんですが、見直しをどうするか、万博の跡地利用をどうするかという検討をされている中ですから、当然それにかかわる。だから、ある意味では、万博といったって道路と住宅の建設の地域と一体のものなんですね。そういう点では、一方では新住事業は見直すぞ、検討しなきゃあかんと言いながら、一方では道路なんかは別だといってじゃんじゃん進めていく、こういうやり方が環境団体から厳しい批判を浴びて、事実上これは万博を進めているやり方なんだと。そして、オオタカなどがこれによって物すごい影響を受けているわけですね。きのうも、調査のためのいろいろな工事が行われるということで、もう直ちにやめてもらいたいと野鳥の会からもすぐ申し入れが入るという事態も起きて、現場、現場で物すごいトラブルが起きているわけです。  だから、こんな中で、本当に今、環境団体とももう一回話し合いたいとかいうお話が出ているようですけれども、一方では、毎日、これは万博と関係ないんだ、関係ないんだと、これは回覧板ではちゃんと万博関連事業と書いてあるんですよね、こういうものがじゃんじゃん進められていく。こういうやり方はいかがなものかと思うんですけれども、通産大臣、どうですか、こういうやり方というのは。
  215. 中山正暉

    ○中山国務大臣 これは愛知県の環境影響評価条例というものとボーリングの調査との関係のことだと思いますが、同条例の二十五条には、事業者は公告を行うまでは対象事業を実施してはならないとの規定があるが、愛知県環境部長通知によれば、工事の調査のためのボーリング等の事前調査の一環として行われる工事については、これは対象事業の実施に該当しないということになっておるようでございまして、調査ボーリングは、これは全く、先ほど申しました愛知県それから名古屋周辺環状道路、これを実施していくための必要な調査ということでございまして、今の先生のお話はそういう形になっております。  私も、この間、ヘリコプターに乗りまして海上の上、オオタカが営巣しているというのでそこを避けて、現地も見てまいりましたが、確かに交通渋滞その他、名古屋の道路というのはいろいろな問題がありまして、これはおくれていると思いますので、御協力を申し上げたい、道路行政を進展するように図ってまいりたい、かように考えております。
  216. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ヘリコプターで行かれたこと自身が地元では問題になったんですよ、はっきり言って。今一番大事な時期に、たとえ避けたといったって、オオタカの距離は物すごく広いですからね。そして、今真っ最中の、子育てをやるというときに、大臣がヘリコプターで行くということ自身が厳しい指摘を受けたんですよ。こういうところに反省がないんです。  一方では道路の建設事業は、万博でこんなに問題になっているのに進めていく。しかし、先ほど私が問題にしました国際的な世界自然保護会議の決議案、自然保護団体から出されているのは、住宅開発事業及び道路建設も取りやめよと言っているんですよ、はっきり言って。  だから、こういう問題について、今少なくとも検討中の場合に、今自然保護団体がこれをやめてくれと言うところに、配慮もなしに、決められたことはどんどんやってもいいなんという、こんなことをやったらもう自然環境団体なんかとは全然話もできないぐらいの、そういう踏み込み方をあなたは答弁でなさっているということなんです。——いいです、さっきからもう伺っているので。こういうやり方では本当に話し合いにもならないというか、今BIEから指摘されたことや自然保護団体から問題になっていることについても全く反省がない、こういうような姿勢だというように思います。  そこで、オオタカの保護の問題についてなんですけれども、環境庁にお伺いしたいと思うんですけれども、長官にお伺いいたします。  私は、本当にここの問題では環境庁に頑張っていただきたいというふうに、痛切に思っているわけです。といいますのは、御存じのように、藤前干潟のときに世界的な大きな世論も沸いたわけですが、実際には、環境庁の権限を乗り越えてと言うとあれですけれども、かなり踏み込んで藤前干潟を守るために頑張っていただいたんです。  今回は、確かに環境影響評価で、環境庁長官意見、通産大臣の意見もありますけれども、若干これは意見はつけられているんだけれども、新住事業そのものを認めるという立場なんですね。ここからやはりいろいろ問題が生じているわけですけれども、少なくとも、海上の森を開発することと万博は相入れないというのをBIEや環境団体から批判されている。そういう点では、環境庁長官の今姿勢というのは大変大事ではないか。  はっきりとこの海上の森での開発はノーだという立場をとっていただきたいと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  217. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 先生御指摘でございますけれども、先ほど御指摘ございましたように、平成七年に政府としては閣議了解いたしまして、愛知万博をやることを決めているわけでございます。  しかし、その際にも、やはりこれが自然との共生あるいは自然の叡智を考えるというような万博でございますので、私どもといたしましても環境保全の立場からいろいろと協議いたしまして、この際にも、自然環境の保全上重要な場所から万博事業の対象地域を少し減らしたわけですね。そういうことでありますとか、その後、またオオタカが出てきたというようなことで、海上の森地域だけでなくて、愛知青少年公園を活用するというふうな、分散をするなり、そういう意味では環境保全の取り組みを進めてきたというふうに思っております。  さっき御指摘のように、昨年十二月八日の環境アセスメントに際しましては、海上の森への環境負荷の一層の低減あるいはオオタカ保護への十分な取り組みについて指摘したところでございまして、ただいま、今までずっと御議論ございましたように、いろいろとこれからのあり方について検討されているところでございますので、事業者におきまして自然の叡智というテーマにふさわしい内容について御検討いただけるものと期待をしているところでございます。
  218. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 もともと環境保護団体はこの海上の森ではもうやらないでほしいという厳しい指摘をしているということを踏まえて、意見を言っていただきたいと思うんです。  国際博会場関連オオタカ調査検討会というのがありまして、これは環境庁の意見が出ているわけですけれども、この検討会における検討内容を確実に反映した保護対策を具体的に示しているわけですけれども、この環境庁の意見の中で、保護対策が示されるまでは工事の着工は控える、こういうふうにはっきりと述べられているんですね。環境庁長官、それは間違いありませんか。  それと、今、そういう対策がとられるまでは控えるということになっているのに、一方では違う事業だという名目でどんどん開発をやる、これについていかがでしょうか。
  219. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 御指摘のように、環境庁長官意見といたしましては、このオオタカの調査検討会での結論を十分踏まえるというようなことを指摘しているわけでございまして、今、この検討会、国際博覧会協会が設けましたオオタカ調査検討会がもう既に第六回の会合を済まされまして、三月に暫定的なオオタカ保護策の基本方針を策定するというふうに伺っております。  そういうところでございますので、十分そういった意見がこれから反映されまして、十分適切な保護対策が講じられるものというふうに考えております。
  220. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 現在どうですか。現在、一定のそれができるまでは、保護対策が示されるまでは工事の着工を控えるようにというふうになっているわけですが、今、万博工事じゃないという理由でどんどん開発がやられている。これは、環境庁としては一言言わなきゃいかぬのじゃないですか、この趣旨からいって。いかがですか。
  221. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 今やっている事業につきましては、営巣に支障が生ずるおそれがあると見込まれる区域内における工事等については、その保護対策が具体的に示されるまで着工を控えることというふうにしてきております。
  222. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 そうしますと、今のどんどん事業の進行が進んでいるという問題では、はっきりとノーといいますか、問題だという、着工を控えるということでいいですか。
  223. 島村宜伸

    島村委員長 清水環境庁長官。簡潔にお願いいたします。
  224. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 今の私が申し上げた、そういう指摘に対しまして、今の調査会が検討しているというふうに考えております。
  225. 島村宜伸

    島村委員長 これにて瀬古君の質疑は終了いたしました。  次に、中川智子君。
  226. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  きょうは、まず最初に、昨年起きました東海村のジェー・シー・オー臨界事故における周辺住民の被曝について、科学技術庁長官にお伺いをいたします。  まず最初に確認をしたいんですけれども、科技庁は、みずから原子力施設の周辺住民の被曝線量限度というのは一ミリシーベルトと定め、これを事業者に遵守させることをみずからの責務としている。そして、職業上の被曝限度は五十ミリシーベルトであるが、これも新しいICRP勧告で二十ミリシーベルトに切り下げられていますね。白血病の労災認定の基準は年間五ミリシーベルトであり、これまでに白血病で労災認定された原発労働者のケースの被曝線量は、発病までの積算線量で四十ないし六十ミリシーベルト、このようなことで、きっちり確認をまずしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  227. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 お答えをいたします。  一般公衆の実効線量限度は、お話ありましたように、年間一ミリシーベルトでございます。それから、職業人年被曝線量限度は五十ミリシーベルトでございます。
  228. 中川智子

    中川(智)委員 そこをまず確認させていただいて、きょう委員の皆様にも資料としてお渡ししておりますけれども、東海村などで、ジェー・シー・オーの事故についてのニュースレターというのを科技庁が昨年の十二月十三日付で出しています。  この中で、ラインを引いておりますけれども、放射線の「がんの増加に代表される確率的影響も、一般的には約二百ミリシーベルト以上の線量でのみ現れるとされており、今回の事故に関連して直ちにがんの増加などの健康影響を懸念する必要はない」というふうに書かれていますけれども、東海村の住民にこうやって新聞折り込みで全戸に配付されたんですが、私たちが一般的にこれをこういうふうに素直に、性格が素直なものですから、素直に読み込みますと、二百ミリシーベルト以下の被曝はがんにならないし安全だと言っているように読めますけれども、そういうふうな意味としてとらえていいんでしょうか。
  229. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 当庁の昨年十二月十三日付の広報資料、これは先ほど皆さんにお配りをしていただいたもののコピーでございますが、これで、そこに書いてございますとおり「がんの増加に代表される確率的影響も、一般的には約二百ミリシーベルト以上の線量でのみ現れる」とされていると記載しておりますのは、国際放射線防護委員会の一九九〇年勧告で「九五%レベルで統計学的に有意ながんの過剰は約〇・二シーベルト以上の線量でのみみられる。」と記述されている部分を、一般にわかりやすくしたものでございます。  当庁は、専門家の意見も踏まえまして、先ほどの広報資料も含めて、地元住民の方々への説明等におきましては、放射線による発がん等の確率的影響は閾値がないと仮定されているという前提の上で対応しているところでございます。  また、この広報資料では「五十ミリシーベルト以上の線量でもごくわずかながらがんの増加が認められたとの報告もあることから、」そこに書いてございますけれども「念のため長期的な健康影響について詳細な検討を行うこと」としている旨をそこにあわせて記載をしておりまして、現在までに得られている科学的知見をできるだけ広く説明しようと試みているものでございます。  このようなことから、この広報資料の表現が地元住民の方々への説明として不適当なものであったとは考えておりません。
  230. 中川智子

    中川(智)委員 今のお話を伺っていますと、一般的にわかりやすく説明したと。本当に被曝した人たちは、わかりやすい説明よりも、自分自身の健康がどうなのか、やはりその不安に対してきっちり答え、正しい情報を出すのが科学技術庁としての責任だと思います。  今長官がおっしゃられた勧告は、きっちり詳しく読み込みますと、がんの過剰は約二百ミリシーベルト以上の線量でのみ見られるという文言がありますが、ちゃんとその後に、もっと低い有意なレベルならば五十ミリシーベルトぐらいの線量で過剰が見られると。そして、忘れてならないことはと、この後すごく大事なことが書かれていまして、これらの、いわゆる広島、長崎の日本人調査集団の線量は、すべて極めて高い線量率で与えられたことで、いまだ研究が不十分というのが後に書いてありますね。急性被曝でも遷延被曝でも、放射線防護の立場から必要とされているのは、ほとんど常にもっとずっと低い線量率での影響に関する情報であると。でも、これに対してはまだ研究が不十分であり、三十年たったり四十年たったりしたときに、もっともっと低い被曝量でもがんになったり白血病になったりするおそれがあるし、そのような心配はきっちりあるのです。そして、閾値というのは限りなくゼロに近い方がいいというのが国際的に認識としてあるわけです。  でも、このパンフレットを読みますと、まず最初に「一般的には約二百ミリシーベルト以上の線量でのみ現れるとされており、今回の事故に関連して直ちにがんの増加などの健康影響を懸念する必要はないと考えられます。」というふうに書いていたら、そこだけ読んでしまって、それに対して、二百ミリシーベルト以下はもうがんの心配がないというふうに普通の市民は読みますよ。  このような誤解を与えるようなのを政府として各戸に配付して、これに一切問題がないと思うというふうに言い切るのは絶対におかしいと思いますが、いかがでしょう。
  231. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 委員も御説明されましたとおり、またこのパンフレットにも書いてございますとおり、まず、「一般的には二百ミリシーベルト以上の線量でのみ現れる」とされている、そして、「今回の事故に関連して直ちにがんの増加などの健康影響を懸念する必要はないと考えられます。」と。これは、ICRP、国際放射線防護委員会一九九〇年勧告の「九五%レベルで統計学的に有意ながんの過剰は約〇・二シーベルト以上の線量でのみみられる。」というものを、わかりやすくミリシーベルトに換算して書いたものでございます。  また、委員御指摘の「もっと低い有意レベルならば、〇・〇五シーベルトぐらいの線量で過剰がみられる。」こういう記述があるわけでございますが、これを同じく、「しかし、五十ミリシーベルト以上の線量でもごくわずかながらがんの増加が認められたとの報告もあることから、念のため長期的な健康影響について詳細な検討を行うこととしています。」というふうに、きちっとこの勧告どおり記載をしているところでございます。  私どもといたしましては、専門家の意見も踏まえまして、この広報資料も含めて、地元の住民の方々への説明におきましては、放射線によるがん等の確率的影響は閾値がないと仮定されているという前提の上で対応をしているところでございます。
  232. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、一番最初に長官に確認いたしましたけれども、二百ミリシーベルトが、言ってみれば、五十ミリシーベルト以上もわずかながらがんの発症があるかもしれないというのはその後でつけ足しのように書いていて、でも、科技庁のみずからの原子力施設の周辺住民の被曝量の限度は一ミリシーベルト、二百分の一ですね、そういうふうに定めて、そしてまたICRPの勧告では二十ミリシーベルト、労災認定では年間五ミリシーベルト、このようなことまできっちり書いて、正しい情報というならこのあたりの情報もきっちり書くべきでしょう。  ただ二百ミリシーベルト以下ならばがんの心配がないというのを表にばんと書いたらば、ここだけを読んでしまいます。それが正しい情報とおっしゃられる、その認識の仕方が私にはもう本当に不可解ですが、もう一度答弁をお願いします。  これは周辺住民の人も、このような誤解を招くようなニュースレターが全戸配付された、これに対しては回収を求めるということを東海村の人たちが言っているんですよ。私も、もし東海村の市民ならば、ここだけ読んでしまったら、ああそうなのか、「二百ミリシーベルト以上の線量でのみ現れるとされており、」と最初に書いていたら、これ以下なら安心というふうに読んでしまう。本当に、誤解を与えるようなこのニュースレターは直ちに回収して、もっときめ細かい情報、先ほどの、最初に確認したそこの部分、そしてICRP勧告の全文もやはりしっかりと載せるべきだし、国際的な基準そのもの、世界共通認識、そこまで書き込むべきだと私は思います。  本当に、このニュースレターの一番最初も野菜とかいろいろなものの安全宣言ばかりで、そして二百ミリシーベルト、これを書いてあるということは、このニュースレターはあくまでも、周辺住民に対して間違った情報を提供して、そして安全だとただ安心させている、またも繰り返す、そういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  233. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 多少繰り返しになるかもしれませんが、まず私どもは、国際放射線防護委員会、ICRP一九九〇年勧告、ここに記載してあります、二百ミリシーベルト以上の線量でのみ有意ながんの過剰が見られるという表現をここへきちっと記載しているわけでございますね。  その後に、やはりこの勧告で「もっと低い有意レベルならば、〇・〇五シーベルトぐらいの線量で過剰がみられる。」と書いてあるものを、きちっとこのニュースレターの方に、二百ミリシーベルト以上だけれども、「しかし、五十ミリシーベルト以上の線量でもごくわずかながらがんの増加が認められたとの報告もあることから、」というふうに、そのまま正直にここへ書いてあるわけであります。「念のため長期的な健康影響について詳細な検討を行うこと」としているわけでありまして、私どもはできるだけ住民の皆さんにわかりやすく、かつ正確に記載をしているつもりであります。  先月の一月二十五日の原子力安全委員会の健康管理検討委員会の取りまとめました中間取りまとめでは、「周辺環境の線量評価からみれば、今回の事故による周辺住民等に対する放射線影響については、現段階で次のように考えられる。」「確定的影響については、影響が発生する線量レベルではない。」それから「確率的影響については、放射線が原因となる影響の発生の可能性は極めて小さく、影響を検出することはできないと考えられる。」こういうふうに報告がなっておりまして、この健康管理検討委員会のメンバーは、広島、長崎でのいろいろな被爆の調査をされた専門家の先生方も入っておられるわけで、私どもは正確に住民の皆さんにこのパンフレットで説明をさせていただいている、そういうふうに思っているところでございます。
  234. 中川智子

    中川(智)委員 これは、科技庁の都合のいいところだけピックアップして書かれている。そして、住民の人たちも、これだと本当に自分たちが誤解を持つと。  ですから、もっときっちりと、この二百と五十、こういうのじゃなくて、最初確認したように、現場でのレベル、そして労災認定ではこうなっている、そして、いわゆる閾値が限りなくゼロに近いということで、その辺の世界的な常識とされる部分に対しての情報をもう少しきっちりとここに記載すべきだ、そのような要望も来ているわけです。  ですから、今長官が、もうこれは絶対間違っていない、誤解など生まないと。そうしたらば、それを読んだ人が、誤解を持つと。そして私たちも、本当に素人がこういうふうに読んで、ああというふうに、都合のいいところで、その後の「しかし、」というふうにつけ足しのように書いていて、私は、このアンダーラインは私自身が書いた部分で、ずっと読んでいったらば、この二百と五十、そしてその中身に対しての詳しい情報もなく、ただ何か安全宣言のように科技庁が都合のいいところでこのニュースレターを書いたというふうに思って、非常に、住民の人たちの声も聞きますと、こういうふうな誤った認識を持つようなニュースレターを全戸配付されたこと自体が問題だと言われて、その要求、要望もありますので、委員長、一度これは回収をしていただきたい。本当に私たちの声なんですよ。  ですから、委員会でこれに対してもう一回精査して、このニュースレターがこのまま正しいということで配付されたままで終わるということに対しては抗議をしたいと思いますので、このニュースレターに対して一度検討していただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。  もう長官、同じことの繰り返しですから、結構です。(中曽根国務大臣「お願いします」と呼ぶ)わかりました。もう結構です。
  235. 島村宜伸

    島村委員長 中川委員に申し上げます。  やはり、それは人それぞれの解釈がありますから、これを委員会あるいは理事会でまた検討するということとはちょっと性格が違うように思います。  では、ひとまず中曽根科学技術庁長官
  236. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、委員が線を引いていただいて、またここにも書いてありますとおり、二百ミリシーベルト以上の線量でのみあらわれるとされている、しかし五十ミリシーベルト以上の線量でもごくわずかながらそういう増加が認められたとの報告があることから云々ということで、きちっとこの下にすぐ「しかし、」ということで書いてあるわけです。  そして、これは国際放射線防護委員会の九〇年勧告という世界で最も権威のある勧告のものを、ここの表現は二百ミリシーベルトじゃなくて〇・二シーベルトとなっていますから、これを二百ミリシーベルトと換算し、〇・〇五シーベルトとなっているものを五十ミリシーベルト、そのまま写したのでありまして、一番信憑性があるものだと思うのですが、委員のお気持ちよくわかりません。
  237. 中川智子

    中川(智)委員 では長官、五十ミリシーベルト以下は一切、被曝の影響、健康影響はないとおっしゃるんですか。
  238. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 ニュースレターを出していただいておりますが、実はこの下にもまだございます。その下にありますのは、今問題になっております確率的影響の閾値についてわかりやすく図示をしたものでございます。この図を見ていただければ、閾値は限りなくゼロにあるということを、一番わかりやすくこのニュースレターの中で表現をしております。
  239. 中川智子

    中川(智)委員 それでは、このような表でやるよりも、大抵文章を読みますよね。市民の人は、こういうふうに配られた文章、よほど専門家とかですと細かい表を見てわかりますけれども、普通はこの文章だけを読みます。その文章でもっとわかりやすく書くべきだと。これを、誤解を生むとかそういうことじゃなくて、ただ文章で二百ミリと五十ミリ。では、五十ミリシーベルト以下は一切健康被害がないというふうに読み取れるし、誤解を生むからもっと正しく、詳しく、わかりやすく書いたものを出すべきだと言っているんです。これが間違った情報とは言っていませんよ。もっとわかりやすく、誤解を生まないようなニュースレターを責任持って出すべきじゃないかと言っているんですよ。
  240. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 今総括政務次官から御答弁いたしましたとおり、閾値がないと仮定されているという前提の上で対応をしているわけであります。  委員がコピーとしてお配りいただきましたこれは、この下に実はもう一つ表がありまして、切れているのですね。その下に確率的影響についての表があります。ここへ載っていますのは確定的影響まででありまして、これには点線でずっと延びていまして、ここからは絶対大丈夫だという閾値がないわけですから、これをごらんいただければ、そしてこれを読んでいただければおわかりになるんだと思うんですけれども。
  241. 中川智子

    中川(智)委員 ですから、私が申しましたのは、大抵文章だけを読んでしまう、市民の人たちは。だから、表が下に書いてあるからというんじゃなくて、文章の中でもっと正確な情報をして、物すごく安易な形の安全宣言みたいなのは非常に問題だと言っているんです。誤解を生むニュースレターを全戸配付するのはおかしい。ですから、文章でもっとわかりやすく、二百ミリ、五十ミリという、これ以下は安全なんだ、がんは発症させないというようなものはやめるべきだと言っているわけです。では、これはほかのところでまたやります。  続きまして、総務庁長官にお伺いいたします。  今回、情報公開法が、政令ができたわけなんですけれども、情報公開法自体は非常にうれしい法律として、本当にたくさんの市民の長年の希望でした。やっと昨年の通常国会で成立してよかったと思っているんですが、今月十日に閣議決定された政令を見ましたら、やはりとても使い勝手が悪いということで、とても批判が出てきています。  その一つには、政令の骨子案を総務庁が公表して、それに対するパブリックコメントを募集しました。パブリックコメントは、全部で延べ七百五十件もあって、関心がとても高いということが示されたんですが、そのパブリックコメントの中でまた意見が集中したのは、手数料の関係であります。この手数料というのは、情報公開を受ける上でネックになることなんですけれども、とても高い。  パブリックコメントを求める、これにしても、手数料の関係で、開示請求手数料、A案、B案、C案というのを最初から意見の求め方で書いてありまして、A案が千二百五十円、B案は六百円、C案は三百円、そういうふうに最初から値段が設定されて、無料なんというのはどこにもないんですよね。コピーも、コピーというのもまたたくさんの資料をとるときは物すごくお金がかかるんですが、A案は五十円、B案は二十円、このどっちかを選べ、そういうふうな形のパブリックコメントの求め方をしました。  ですが、このパブリックコメントのときに、いろいろな方がやはりもっと情報公開をお金が要らないようにすべきだという意見があったのに、全く生かされず、ただガス抜きみたいに意見を聞きおくという程度になったことに対して、市民団体は非常に、自治体の情報公開制度よりも後退しているとか、まるでこの市民団体はこういう考えを持っているのかという思想調査をしたような形と同じだとかいって怒っているわけなんですが、パブリックコメントは一体何のためにとられたのか、それをまず長官に伺いたいと思います。
  242. 続訓弘

    ○続国務大臣 中川委員の御質問にお答えいたします。  確かに、私どもはパブリックコメントを昨年の十一月の十九日から十二月の二十日にかけてやりました。おかげさまで大変関心が高くて、個人が百三十四件、団体が五十件、合わせまして百八十四件の意見が集約されました。今委員がおっしゃいましたように、その中身を分析しますと、延べ七百五十にわたる意見でございました。そして、確かにその意見の中で一番多かったのは手数料の問題でございました。六〇%が手数料の問題でございました。  その手数料の中で、今お示しされましたように、千二百五十円というのは原価でありまして、特定の方に対する特定のサービス、それを原価計算すると千二百五十円かかります、さらに六百円という案は、一定の条件のもとでこうやれば六百円になります、さらに三百円は、こういう条件ならば三百円になりますということをお示しいたしました。その結果、今お話しのように、手数料は低廉、低額にしてほしいという要望がございまして、私どもは、三百円、そしてコピー代は二十円、こういう決定をさせていただきました。  そういう意味では、せっかく七百五十件の意見の申し出がございましたその中の意見を最大限とらせていただいた、こういう経緯でございます。御理解を賜りたいと存じます。
  243. 中川智子

    中川(智)委員 最初から手数料は一番低いところがいいに決まっていて、この三つの案の中で一番安いのを選びましたよというふうに、まず最初に結論ありきみたいなパブリックコメントのとり方というのはおかしいと思うのですね。市民の要望としては三百円以下の声も多かったと思うのに、それに対しては反映されていませんね。設定された一番安いもの、それ以下にしてほしいという意見もたくさんあったと思いますが、どうしてパブリックコメントの意見は取り入れられなかったのですか。
  244. 続訓弘

    ○続国務大臣 委員も御承知だと存じますけれども、この法律案を通していただいたときに、情報公開法では、開示請求手数料及び開示実施手数料を徴収するものとすると定められておる。したがいまして、私どもは、今、法律の趣旨も踏まえながら、そしてまた国民の皆様の御要望も踏まえながら、三百円、そして二十円と決定させていただいたわけであります。
  245. 中川智子

    中川(智)委員 そうしたら、どうして三百円の下に百円というのがなかったのですかね。百円。どうして最低が三百円。それの根拠というのはしっかりありますか。
  246. 続訓弘

    ○続国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、原価計算をすれば千二百五十円かかります。したがって、特定の方に対する特定のサービスをするわけですから、あとは、結果として三百円の場合は千二百五十円マイナス三百円、これが国民の税金の負担ということに相なるわけであります。その辺のことを勘案しながら三百円と決定させていただいたわけであります。
  247. 中川智子

    中川(智)委員 サービスというふうに今長官おっしゃいましたけれども、情報公開というのは世界的な流れで、限りなく本当に安いもの、ゼロに近いものというのは目指すべきだし、私は税金というのはこういうものに使うべきだと思っておりますが、今のパブリックコメントを寄せた多くの方々が、もう最初から結論というのはここにしようというふうな意図が見え見えで、パブリックコメントがどこまで生かされたのか、本当に不満だという声が大きいということはお伝えしておきます。  そして、やはりそれをしっかりと今後に生かしていただきたい。このパブリックコメントというのは、一人一人がしっかりとこれからそれを使おう、この法律を使おうと思って必死で書いた意見でございます。それを四年後の見直しのときには前向きにとらえて、これが生きたコメントとなるようにお願いしたいと思います。  関連しまして、私は厚生委員会所属なんですけれども、薬害ヤコブ病で今いろいろな情報をとっておりますけれども、厚生省の承認した医療用具が汚染されていたためにヤコブ病を発症した患者や家族が国などを相手に訴訟を起こした、第二の薬害エイズと呼ばれるこのヤコブ病の問題が、最近マスコミなどでも注目されていますが、実は、アメリカが一九八七年に第一症例報告を受けてすぐ対処したのに、日本は十年間それからおくれて回収したわけなんですね。それが被害を増大させたんですけれども。その間に、厚生省とアメリカのFDAが厚生省の落ち度を示す内容の重要なやりとりをしていました。そのことを、朝日新聞の記者がアメリカの情報自由法、FOIAを利用してその情報を入手したそうなんですね。日本の記者がその情報公開を利用したときに、アメリカから費用は一切請求されなかった。日本の厚生省は情報公開法がないとか言って、そのときに情報公開しなかったんですが、海を越えてアメリカはすぐに情報公開して、その費用は一切アメリカは請求していなかったんですね。  それで、公益が目的の場合、それに限って手数料は減額や免除にすべきだと思うんですけれども、政令では公益の確認が困難ということで、それが入っていません。公益減免を採用しているアメリカでやっていることがどうして日本でできないのかというのは、素朴な疑問なんですね。  先日も、北海道庁の職員らの不正請求で、返還額が二十六億にも上ったわけなんですが、監査委員も摘発しない庁内の不正を市民が調査するときに、どうして費用負担をしなければいけないのか。当然の疑問だと思うんですが、公益のことに関しての情報公開というのは無料にすべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  248. 続訓弘

    ○続国務大臣 先ほどの御質問の中で、せっかくパブリックコメントをやって、そして意見を七百五十件も寄せられた、そのことに対して総務庁としてどう対応したかというお話もございました。  そこで、寄せられた中には、情報が入手しやすいように手だてを考えてほしいとか、あるいは申請書を簡便にしてほしいとか、そういう要望もございました。したがいまして、七百五十件寄せられた中のそういう要望に対しても、直ちに私どもはこたえるような手だてを考えております。  例えば、私ども総務庁には管区監察局というのがありますし、あるいは四十七都道府県に全部事務所がございます。そこに行っていただければ全省庁の情報が直ちに入手できるような、そういうコーナーを設けることを予定しております。そういう意味では、寄せられた意見の中に、取り入れるべきものは直ちに取り入れるような方策を講じていることを御理解を賜りたいと存じます。  それともう一つは、公益の問題がございました。情報公開の制度は、御案内のように、請求の目的を問わない制度になっております。実際に公益目的による請求かどうかについて、請求時に確認したり、あるいは、今御指摘もございましたけれども、開示したものが目的どおり利用されたかについて事後的に確認することは困難でございます。そういう状況から、一般的な公益減額だとか免除規定は設けておりません。  しかしながら、経済的に困難な方に対しては二千円を限度に減額または免除をする制度になっておりますし、さらには、開示決定した文書を請求者だけでなく一般に公開すべき文書であるとするならば、これは減免をする、こういうことになっておりますので、御理解を賜りたいと存じます。その具体的な条文は、手数料の十四条の一項と第四項でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  249. 中川智子

    中川(智)委員 長い間待っていた情報公開法ですから、本当に市民が手軽に情報公開を請求できるような中身として今後も頑張っていただきたいと思いますし、できれば、パブリックコメントで、ここの部分はきっちり採用して、こういうところは困難だったという理由などをやはり情報公開として出していただきたいと思いますし、今後四年間の検討課題としてぜひとも御検討をお願いしたいと思います。  最後に、経企庁長官にお伺いしたいんですが、私はずっと消費者問題特別委員会委員でもございました。そこで堺屋長官ともいろいろな問題について議論させていただいたわけですが、今回、通常国会から残念なことに消費者問題特別委員会が設置されない、そのようになりました。非常に消費者の方が心配していらっしゃるのは、遺伝子組み換えの問題なんかは今後どことどこがどう責任持ってやってくれるのかということと、消費者契約法が商工委員会の方で、通産省が主管庁でやられるわけですが、やはり消費者行政というのが、消費者契約法が成立した後に責任を持ってフォローするのはどこの省なのかというふうな疑問がございます。そこのところをちょっと、的確に短くお願いします。
  250. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 消費者行政もいろいろと変わってまいりまして、昔は需給の調整、安全制度などでございまして、規格、基準を定めてということが多かったんですが、最近は、まず消費者の選択の自由を広げて事後的にチェックをしていく。そういう意味で、PL法とか、今御指摘の消費者契約法、これからこの国会にかけようと今鋭意努力している最中でございます。これは、今は経済企画庁の所管でございますが、将来省庁再編成が起こりましたら、内閣府の国民生活局というところに所管が移る予定でございます。
  251. 中川智子

    中川(智)委員 国会の決定ですから、消費特がなくなったのは残念ですが、いろいろな団体から、やはり次の国会のときにはまた消費者問題特別委員会を設置してほしいという要望が来ております。日弁連、そして全国の生協連合、それから日消連、いろいろなところから要望が届いておりまして、堺屋長官のところにも行っているかもわかりませんが、消費者問題というのは、非常に地味ですがすごく大事な問題、すべて国民が消費者、消費を拡大していくにはそれを守っていくということがあわせて大事だと思うので、ぜひともよろしくお願いします。  それで、私も、残念なことに遺伝子組み換え食品の表示について質問する場所がなくなったので、農水大臣にお伺いいたします。  一月七日に農水の方から発表された文書の中に、混入率に対して、大豆のみ五%以下までが望ましいというあいまいな表現になっていて、そして、トウモロコシはたくさん遺伝子組み換えのものが入ってきているんですが、トウモロコシの場合は混入率を青天井にしているということがあります。  ぜひとも法律の中に罰則規定を設けて、望ましいというあいまいな表現ではなく、混入率は五%以下と定めると明文化していただきたいのです。いろいろな方たちの要望として、ぜひともお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。
  252. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 遺伝子組み換え食品の表示につきましては、改正JAS法に基づき品質表示基準を定めることとし、現在その準備を進めているところであります。今委員がおっしゃられました、分別生産流通管理のマニュアルを作成したわけでございます。これでございますね。  それで、見ていただければわかると思いますが、このマニュアルは、農家の生産段階における種子及び収穫、種子はどういうものがなされたか、収穫はどういう形でなされたか、農機具はどうであったか。それからまた、カントリーエレベーターの流通段階においてまじるというようなことがないか、ちゃんとそこをクリーニングした証明書を明確にする。それから、リバーエレベーターの流通段階と言っているわけですが、保管、管理及び搬出入の施設において、あらかじめこれもクリーニングをしたものを使う。それからさらに、エクスポートエレベーター及び日本までの輸送段階におきまして、例えば船倉への積み込み等において、十分他のものと混入することがないように明確にする。  それからさらに、この後日本に参りまして、港湾サイロの日本国内流通段階におきましても、あらかじめ港湾のサイロ等をクリーニングしておく、こういうことですね。それから、卸売業者の流通段階におきましても、選別作業とか機具、輸送車、これをあらかじめクリーニングしておく。それから、加工業者の流通段階におきましても、残留物がないことを確認する。それから、食品製造業者の流通段階におきましても、証明書による非遺伝子組み換え農産物の確認を行う。  こういう明確なるマニュアルをつくりまして、これに基づいて行うわけでございます。  そこで、大豆の場合におきましては、五%を目安としておるわけでございまして、これらの過程をやってまいりますと五%以下に抑えられるという趣旨でございます。ただし、意図せざる混入があり得る可能性がありますので、ここのところは、つまり目安としてやりますが、これだけのことをマニュアルとして実行すれば五%以下に抑えることができる、こういう趣旨であります。  しかしながら、トウモロコシの場合は、これは大豆とは違いまして、花粉が遠くまでどんどん飛んでいくという性質がありまして、そのために、圃場をかなり遠くにつくって、非遺伝子組み換えのトウモロコシであるということからまず証明しながら、これらのマニュアルに沿ったものでやってくるということでございますので、まだここのところについては、定量的な意味で、つまり数字を示すことができない、こういうところでございますが、段階を経て厳しくやるということをやれば、これは消費者の皆さんにも十分理解いただけるものと考えております。
  253. 島村宜伸

    島村委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十一日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会