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2000-02-17 第147回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月十七日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 久間 章生君 理事 自見庄三郎君    理事 高橋 一郎君 理事 萩山 教嚴君    理事 町村 信孝君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 西田  猛君       甘利  明君    伊藤 公介君       石川 要三君    稲垣 実男君       小澤  潔君    大野 松茂君       大原 一三君    亀井 善之君       栗原 博久君    杉浦 正健君       高鳥  修君    津島 雄二君       中川 昭一君    中川 秀直君       能勢 和子君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    船田  元君       村田 吉隆君    村山 達雄君       森山 眞弓君    山口 俊一君       石毛えい子君    岩國 哲人君       生方 幸夫君    古賀 一成君       五島 正規君    原口 一博君       日野 市朗君    肥田美代子君       横路 孝弘君    青山 二三君       石田 勝之君    佐藤 茂樹君       並木 正芳君    桝屋 敬悟君       青山  丘君    加藤 六月君       鈴木 淑夫君    木島日出夫君       春名 直章君    平賀 高成君       矢島 恒夫君    吉井 英勝君       濱田 健一君    保坂 展人君     …………………………………    法務大臣         臼井日出男君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    厚生大臣         丹羽 雄哉君    通商産業大臣       深谷 隆司君    労働大臣         牧野 隆守君    建設大臣         中山 正暉君    国務大臣    (内閣官房長官)     青木 幹雄君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    大蔵政務次官       大野 功統君    厚生政務次官       大野由利子君    労働政務次官       長勢 甚遠君    建設政務次官       岸田 文雄君    政府参考人    (警察庁刑事局長)    林  則清君    政府参考人    (法務省刑事局長)    古田 佑紀君    参考人    (日本銀行総裁)     速水  優君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   杉浦 正健君     大野 松茂君   中川 昭一君     能勢 和子君   原口 一博君     石毛えい子君   佐藤 茂樹君     並木 正芳君   志位 和夫君     矢島 恒夫君   春名 直章君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     杉浦 正健君   能勢 和子君     中川 昭一君   石毛えい子君     原口 一博君   並木 正芳君     佐藤 茂樹君   矢島 恒夫君     平賀 高成君   吉井 英勝君     春名 直章君 同日  辞任         補欠選任   平賀 高成君     志位 和夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  平成十二年度一般会計予算  平成十二年度特別会計予算  平成十二年度政府関係機関予算     午前十時開議      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算平成十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長林則清君及び法務省刑事局長古田佑紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 島村宜伸

    島村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五島正規君。
  5. 五島正規

    五島委員 民主党の五島でございます。  私は、主として社会保障関係について質問したいと思うわけでございますが、基本的に社会保障というのは、出産から老後までの国民の安心をどう保障するかという制度でございまして、これについては、国家が国民に約束したことは間違いなく果たしていく、変更を加えるときにはそれについて十分に国民にその事情を納得していただく、そうした説明をしていくということがまず基本になるというふうに思うわけでございます。  その意味におきまして、最近の我が国の社会保障制度に関するさまざまな変更、行き当たりばったり、とても国民にとって納得できるものではございません。例えば年金制度につきましても、現在参議院で審議されておりますが、五年前の法律の改定に際して国会において附帯決議でもって定められたことが実施されないままに、例えば公費の五〇%の基礎年金に対する投入というものもそのまま延期されている。これについても、ただ財政が悪いだけ。  あるいは、こうした極めて厳しい雇用状況の中において、六十五歳現役社会ということも言われてきたわけでございますが、それに至る見通しも何もつけないままに年金開始年齢を引き上げていく、こうした状況国民に対して大変な不安を起こしているというふうに考えます。  そういう意味におきまして、こうした社会保障について総理自身がどのようにお考えになっているのかということを実は私もどうしてもお聞きしたかった。しかし、おいでになりません。この問題については、昨日も各委員指摘なさっておりましたが、大変遺憾であることをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、まず、四月から実施されます介護保険制度の問題についてお伺いしたいと思います。  この介護保険制度につきまして、四月から実施されるわけでございますが、さまざまな政治的な変更がございました。しかし、その中でもとりわけ大きな変更を加えられた部分というのは、実は昨年の、来年度予算概算要求試算段階におきまして、二号保険者保険料がどうなるのかということについてお示しがございました。  その段階におきまして、介護保険の掛金を負担する二号保険者、すなわち四十歳から六十五歳の労働者でございますが、その方々の保険料は、政管健保で千分の九・三、組合健保で千分の八・九、市町村国保で千三百円、国保組合で千四百円。しかし、介護保険ができることによって、医療費負担医療においては減ってまいります。これは、その結果として、政管健保においては千分の四・二、健保において千分の四・三、市町村国保において四百円、国保組合においても四百円、これが減ってまいります。結果として、二号保険者保険料介護保険導入による負担増は、それぞれ、千分の五・一、千分の四・六、あるいは市町村国保における九百円、国保組合における千円という数字が、この概算要求ベース試算段階において出されました。この情報は、既に、全国のさまざまなこうした介護労働にかかわっている人たち施設において流布されている内容でございます。  それが、今回、介護保険の二号保険者保険料は、あくまで医療保険の上乗せで取るのだけれども、その保険料だけは別枠である。そして、やはり政管健保においては千分の九・五取るんだ、健保では八・八取るんだ、すなわち、概算時に比べて千分の四・四、千分の四・二、市町村国保において三百八十円、国保組合において月四百十円、概算時よりも負担がふえるんだということが出されました。  しかも、この別建て介護保険徴収については、上限枠を一切設けない、青天井であります。将来、介護保険がふえていくとすれば、ここのところがどんどんふえていく。あるいは、医療保険から介護保険に移行する数がどんどんふえていくとすれば、介護保険のところは青天井でどんどんふやせる、そういう内容に修正されようとしています。  これは、例えば年間六百万の所得のある労働者をとって見てみますと、概算要求時に比して、政管健保では、労使がそれぞれ一年間に一万三千二百円負担がふえる。そして、年収七百万円の健保組合に入っている労働者にとっては、それぞれ労使が一年間に一万四千七百円負担がふえるという内容意味しています。なぜ、このような大きな変化が何の説明もないままに出ているのか、疑問に思うところでございます。  しかも、介護保険ができる段階においては、二兆三千億の医療費が削減できる、その分がこの医療費負担減少分であるというふうにお話をされていた。それがこのようになった理由について、まず厚生大臣にお伺いしたいと思います。
  6. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員指摘のように、介護保険導入によりまして、いわゆる医療保険では総額二兆円余りの医療費の減というものが見込まれておるわけでございます。その一方で、委員も御指摘いただきましたけれども介護保険料は、政管健保で千分の九・五、組合健保で千分の八・八、この保険料が見込まれておるわけでございます。  本来、この介護保険料導入することによりまして医療保険料の低下を期待いたしておったわけでございますが、率直に申し上げまして、現在、赤字の保険者が少なくなくて、やっと切り崩しながらやっておる、これが現状でございます。さらに、現在の経済情勢であるとか、ここ半年間でございますけれども、お年寄りの老人医療費が何と八%も伸びておる、こういうような、私どもが想像する以上に増大をいたしております。こういうようなことを考えますと、引き下げるということは大変難しい状況にあるわけでございまして、現実的には、大変残念なことではございますけれども、引き下げる状況にないということでございます。  さらに、政管健保を初め、多くの保険者が、介護保険料を上乗せすることによりまして、保険料上限を、政管健保の場合は千分の九十一、組合健保の場合は千分の九十五でございますけれども、超えることになるわけでございます。したがいまして、これでは事業そのものに支障を来す、こういうことが懸念される。そういう中で、これまでの医療介護を合わせた現行の保険料率上限ではどうしてもおのずと限界があるわけでございますので、医療保険制度の安定的な運営を確保する、こういうような観点から、医療保険料上限とは別建て介護保険料というものの徴収お願いする、こういうようになった次第でございます。
  7. 五島正規

    五島委員 老人医療費の伸びがとまらない、それどころか大変大きく伸びてきている。その結果、当初決められましたようにそれぞれ保険料上限枠の中で介護保険徴収していくとするならば上限枠を超えてしまう、そういう状況になった、だから介護保険外枠に出した、こうおっしゃるわけでございます。しかも、その外枠に出したことに対して、これについては上限枠を設けない。  実は、介護保険の問題は、まだ一体どれだけの費用が要るかはっきりしていない部分がございます。とりわけ厚生省が当初からおっしゃっておりました介護療養型病床の問題、これは、当初十九万床は介護療養型病床に移していくというお話でございました。そして、これは二十一万床ぐらいまでになるのではないかという議論があったのも経過としてございます。ところが、現実には、介護報酬がどう決まるのか、あるいは診療報酬がどう決まるのかということがまだはっきりしていないという状況の中において、介護療養型病床というのは、現在においてもまだ十万床ぐらいしか決まっていない。四月からの移行期に対して、約十万床ほど現在の医療病床から介護病床に移っていない状況がございます。言いかえれば、介護保険全体から見ますと約五千億程度が少なくて済む、そして、それに対して医療の方では約五千五百億ぐらい余分にお金がかかるという状況が現時点では生じています。  問題は、そうした問題をどう解決するかということをきちっとやらないで、そして、なぜ別枠にして上限枠を外す、そういう乱暴な政策をおとりになっているのか。しかも、政管健保あるいは組合健保の二号保険者の場合は、それぞれ事業主から徴収したものを、プール的にオールジャパンでもって処理をしていきます。そうなりますと、これはまさに健康保険と同じ扱いでございます。法的にもそうでございます。それで、健康保険には上限枠があるにもかかわらず、介護保険には上限枠がない。そのようなことについて、これは国民の納得を得られるのか。  その前に、国民からいわば強制的に徴収するお金について、その上限枠も何も決めないままに、保険の原理に基づいて、必要なものは加入者から本人の了解なしに徴収していきますよというようなことを青天井でやることが認められるのかどうか。  その点についてもう一度厚生大臣にお伺いするとともに、組合健保等々につきましては、保険制度ではございますが、いわば租税にも近い存在のものでございます。そうしたものに対して、何の上限枠も規定も設けないままに、それぞれの予算立てようもないままに、青天井でもって保険料を、その料率だけを徴収していく。すなわち、介護保険の中における本人負担を除く保険給付の三三%だけはここから強制的に取っていく、その限度額も何もわからないという、予算としての枠組みもできないような状況徴収することについて、大蔵大臣、どうお考えになっているのか。  この二点についてお伺いします。
  8. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 専門家である五島委員に今さら御説明を申し上げるまでもないわけでございますが、介護保険制度というのは、御案内のように、市町村ごと供給量が定められまして、これを積み上げまして全体の給付について、半分を公費で持って、そして残り半分を六十五歳以上の高齢者と四十歳から六十四歳までのいわゆる第二号被保険者、こういうようないわゆる社会的な連帯のもとで公平に負担をする、こういう仕組みでございます。  それで、四十歳から六十四歳までの第二号被保険者につきましては、各医療保険者がこの年齢に該当する加入者数に応じて、まとめて納付していく。これは非常に事務的なことからこういうふうになされておるわけでございます。  各医療保険者介護納付金を納付するために、これまでの保険料に上乗せして介護保険料徴収するということは、実はこれは事務効率化、こういう観点から、いろいろな議論があったわけでございますけれども、要するに介護保険者にかわって徴収する、こうなったわけでございまして、介護保険料の額は、当然のことながら介護給付サービスによって決まっていくんだ。つまり、給付サービスが少なければそれだけ介護保険料というものも少なくて済むのだ、こういう仕組みである、こういうことでございますし、介護給付需要が拡大した場合にどういう対応をしていくのかということであります。  私もドイツへ行ってみて感じましたことは、ドイツは一・七%と決まっている。すべて所得の一・七%だ。それ以上は絶対にやりません。こういうような介護保険制度というものをつくるのであるならば、そういうような、今のような話が成り立つわけでございますけれども国民の間で介護給付サービスに対する要望が非常に強いところでありますし、まだまだ、この予算委員会においても、基盤整備が十分じゃないじゃないかとか、こういうことがあるということも先生十分に御承知のことと思います。  そういうことから、今直ちに上限を設けるということは、私はこの性格からなじまないと思ってはおりますけれども、一方で、先生のもう一方の話にございましたけれども国保においては、これは率直に申し上げまして、七万円という上限があるのですが、国保というのは御案内のようにいわゆる調整ができるんですね。要するに、限度額があってもそれ以下の間でまた賦課ができる。先生もよく御存じであります。そういうことができるわけでありますけれども組合健保の場合にはそういうような調整ができないんだ、不足してしまった場合どうするんだ、こういうことがございます。そういう観点から、組合健保については上限は設けないということでございますけれども、さまざまな御意見がありますので今後の検討課題にさせていただきたい、こう考えています。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 基本的には厚生大臣の御意見に従っておるわけですが、つまり、介護の場合は、サービスがまだまだこれから需要が大きくなるだろうという現実の中で上限を設けるということはどうなのか、そういう厚生大臣のお考えだと思います。将来の問題としてはともかく、現実にそれが一番妥当ではないかという御判断を私どもも尊重いたしておるわけでございます。
  10. 五島正規

    五島委員 これは、介護保険をどのように実施していくかという問題、一つはシステムの問題と、それぞれの市町村における自主的な介護サービスの量の問題と、両方の側面を持っています。一方、支払い状況からいいますと、一号保険者に関しては、それぞれの地域の中におけるサービス量によってみずからの保険料が変わってくるという前提に立ちながら、残りの分については公費と二号保険者負担する。それはその二号保険者の居住している地域関係なしに、オールジャパンでもって算定されたものをそこに出していくという中身になっておりますから、ここに影響してくる費用というのは、主として日本全体で介護基盤整備がどのようにされていくかとかいうことによって変わってくる部分でございます。  その部分について今お答えがなかったわけでございますが、現実に五千億を超す大きな部分であります介護療養型というものが、十万床もまだ移行していないじゃないか。これを一体どうするのか。そういうふうなことがきちっとできないまま、逆に今度は老人医療改革はようしない。  だから、介護療養型に対して、私は今回の介護報酬中身を見てみましても、非常に問題もあるなと思っているわけですが、介護療養型に誘導したい、だから、そこに厚生省の方で非常に経営的には楽になるような介護報酬点数をつけて、そしてどんどん療養型おいでなさいとやった。  確かに、老人医療増大は抑えられるかもしらないけれども、その部分は全部介護保険の方に負担が行ってまいります。それを青天井負担していくとするならば、私は、おっしゃっている内容からいって、この介護保険青天井ということに対して、そこにこれまでの老人医療抜本改革を、後ほど申し上げますが、ようしなかったということのツケが全部これを通して国民負担に回っていくのではないか、そう心配するわけでございますが、その点についてもう一度お伺いしておきます。
  11. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 五島委員指摘介護療養型の施設が、当初私どもは十九万床というのを予定しておりました。委員指摘のように、それが十万程度ではないかということでございまして、確かに、私が承知している限り、昨年の十二月現在においては十万床ぐらいである、こういうことが言われておりました。  その後、それぞれの市町村もさることながら、これは都道府県が指導しておりますが、都道府県が指導しておりまして、ここに参りまして大変転換するところがふえておりまして、私どもは、最終的にはその予定の数に、十分に賄えるだけのものに達する、こう感じておるような次第でございます。  ですから、基本的に申し上げさせていただきますならば、いわゆる介護給付サービスの四兆三千億そのものには変更がない、こういうような考え方に立っているものでございます。
  12. 五島正規

    五島委員 この問題は、私は、厚生省がこの間医療保険制度抜本改革国民に約束しておきながらまたまた二年間先送りした、老人保健制度の問題についても、結果として、案をきちっと示して合意を得る、そういうことができていないという状況の中において、国民への負担の転嫁の一つの手段としてこれが使われる心配が非常にあるということを指摘して、次に進めたいと思います。  この間の医療保険抜本改革あるいは医療制度抜本改革大臣は大変熱心にこの問題についても取り組んでこられたと思っています。しかしながら、現状を見てみると、この間のこうした医療制度改革について、厚生省の果たしている役割は何か。あるいは、さまざまな審議会、嫌というほどございます、審議会の果たしている役割は何か。いつの間にか、それらはそれぞれの利害団体調整機関と化している。それも、調整できるのなら結構。その調整もできないというふうな状態に陥ったというのが現状ではないか。そして、そのことのツケ国民に来ている、これが現状だろうというふうに考えます。一体、医療制度抜本改革、どういう形で二年後に実施されようとしているのか、全く未定でございます。  例えば、私どもも決して賛成ではなかったが、薬剤支払い方法について、多剤投与を抑えていこう、そのことによって薬依存医療を変えていくという意味において、やむなく煩雑性を十分に認識した上で例の薬剤の外出しという制度導入が行われました。しかしながら、これについては結果として取りやめられた。  薬剤の外出しによる医療抑制効果は一体どれぐらいあったのかということを厚生省にお伺いしたところ、厚生省としては一・数%の抑制効果があったというふうにおっしゃっています。一・七%の医療費抑制効果があったのだというふうに厚生省はおっしゃっています。  では、医療抑制効果が、主として薬剤抑制効果でしょうが、あったにもかかわらず、それを政治主導でもって廃止された。廃止されてそれをどのような制度に変えようとされているのか。私は、なぜそれを廃止したのかという理由をまずお伺いしたいと思います。
  13. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは委員経緯を十分に御承知と思いますが、抜本改革までの暫定的措置として一部別途徴収、こういう形でお願いをしました。これによる薬剤抑制効果というものもそれなりの効果を上げてきたところでございますけれども、これに対しまして、現場の事務が非常に煩雑である、こういうような御意見であるとか、それから医療費部分において、当然のことながら二割、三割の部分において薬の部分についても御負担をいただいておる。その上でまたさらにお願いをするということは、一部の間でいわば二重の負担お願いするのではないか、こういうようなことがございまして、今回の健保法の改正でこれを定率負担導入することによって、別途負担の分も吸収した形で定率負担お願いする、こういうような経緯でございます。
  14. 五島正規

    五島委員 この暫定措置がとられる前ととられた後とで、老人外来医療費が一・六%、約千六百億ぐらいがふえている、それがあの制度導入の実際上の抑制効果であったということがはっきりしているわけでございます。それをあえて目をつぶって廃止をした最大の理由は、今大臣が言われた、余りにも煩雑であり、医療提供側からも患者の側からも非常に不満があったということに尽きるだろうというふうに思います。  それじゃ、今回どういう制度にされようとしているのか。昨日、我が同僚議員でございます肥田議員から御指摘ございまして、どうもここの議員の皆さんにもよく御理解できなかったようでございますので、資料を配付させていただきました。  今回の制度でどうなろうとしているのか。今、病院の中には、院内投薬をしている病院と、それから院外処方をしている病院がございます。しかし、多くの場合は、患者さんが希望されるならば院外処方しますという病院、すなわち、患者の選択に任せている医療機関もたくさんございます。  それを厚生省は、主として院内投薬をしている病院医療機関、主として院外投薬をしている医療機関に分けています。主として院内、院外というのはどういう比率かというと、おおよそ五〇%というふうに言っています。すなわち、院外処方が五〇%を超えるところは主として院外投薬です。そして、五〇%以下のところは主として院内投薬でございます。そして、主として院外投薬をやっている医療機関における患者さんの一割負担の中におけるいわゆる上限枠、別個に設けました上限枠、例えば二百床以上の病院ですと本来なら五千円でございますが、主として院外投薬をやっているところは、病院は二千五百円、そして薬局が二千五百円を上限として払うということになっています。  言いかえれば、東大病院で五万円の外来、検査その他をやった、本来なら一割でございますから五千円払わないといけませんが、しかしこの場合、東大病院院外処方でございますから二千五百円で結構でございます。そして、東大病院から薬を五千円分もらったということになりますと、それは薬局へ行って五百円お支払いになります。その患者さんは、五万五千円の外来診療に対して、トータルの負担は三千円でございます。病院の方に二千五百円、それから処方薬局の方で五百円でございます。  一方、虎の門病院、昨日肥田さんが例に出されたのは、主として院内投薬をやっている病院でございますが、院外処方も出しております。そういうところは薬局での負担はないということになっています。したがいまして、虎の門病院で五万円の医療を受けて、そして薬を五千円もらった場合は、病院で五千円の自己負担を払わなければいけない。  しかし、きのうの肥田さんの例のように、どちらも一万円の医療をして、どちらも五千円相当の薬をもらったという場合どうなるかといいますと、これは、東大病院では千五百円払わないといけないのに対して、虎の門病院では千円の自己負担になるということになってまいります。非常にこれは煩雑でございます。  これは確かに、お年寄りも、どこの病院で処方せんをもらって行っても、そこの病院でもらった処方せんと隣の病院でもらった処方せんと違う。大きい病院で精密検査を受けて、診療所にかかりなさいということで診療所で薬をもらう。もうさまざまな状態によって自己負担が全部変わってくる。これでは外出しよりも煩雑ではないんですか。  私は、これはきのう肥田さんが非常に具体的な例で説明されて、聞いていて、どうもそれはそうじゃないのと思ったのは私だけだったんじゃないか。皆さん方、与党の皆さん方も何かわかったかわかっていないか、わからないような顔をされていたし、どうも大臣も余りはっきりしていなかったような気がする。それほど今回の制度は複雑なんです。それほど煩雑な制度に変えるという理由は何なんですか。
  15. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 昨日肥田委員から御指摘がございましたことは、お年寄りの一部負担上限の問題である、こういうふうに私は承ったわけであります。  それで、院外処方の場合において、つまり医薬分業がなされている場合におきましては、院内処方の場合、つまり医薬分業がされていない場合との上限の取り扱いに関して、この御質問でございますけれども、私がお答えいたしましたのは、あくまでも、院外処方の場合に医療機関と薬局でかかるお年寄りの割合が、今先生も御指摘がございましたように、今までのお年寄りの実績から見て一対一になる、こういうことを申し上げたわけでありますし、それから、医療機関と薬局との上限額、これは三千円の場合と五千円の場合があるわけでございますけれども、このことを申し上げたわけでございます。  肥田委員の御質問の具体的なことにつきまして、私もちょっと、大変失礼な言い方でございますが、突然通告もなく来たもので、わかりにくい面もあったんですが、ただ、私が申し上げたいのは、お年寄りの上限額というのは、例えば同じ病院に行って、常に上限額は三千円ですよ、五千円ですよということを申し上げて、その場合に、要するに院外処方と院内処方との割合が半分半分であるということを申し上げたわけでございます。  いずれにいたしましても、お年寄りの負担という立場に立てば、例えばどの病院に行っても、今申し上げましたように、負担額というのは変わらないわけです。三千円であり、あるいは場合によっては五千円であるということにおいては混乱はない、私はこう考えておりますし、きのうもちょっと、大変失礼でありますが申し上げたのですが、まだこの問題については、お許しいただければいつでも趣旨説明をいたしますけれども、趣旨説明もしておりませんし、審議もしておりませんし、そして、当然のことながら、これは法律事項ではなくて政令事項の問題でございまして、まだこれからいろいろなケースが正直申し上げてあるかと思います。そういう問題については、いずれにいたしましても、お年寄りの皆さん方が混乱が生じないようにしていく。  いずれにいたしましても、負担という点においては、昨日私が申し上げましたように、一対一の実績に基づいてやって、上限額はあくまでも三千円なり五千円であるということを繰り返し申し上げたいと思います。
  16. 五島正規

    五島委員 上限額三千円、五千円という枠をお決めになった、そのことについてとやかく申しているわけではありません。  問題は、大臣がおっしゃっているように、院外処方をやっている病院は全部そうなんだ、院内処方をやっている病院は全部こうなんだというふうに分けられない。すなわち、院内処方をやっている病院であっても、患者の希望によって院外処方をしますという医療機関はふえてきている。そのときの問題を言っているわけで、まさに例えば高知の医科大学は患者の要望に応じて院外処方せんを切っています。そういうところを利用した場合に、確かにその限度枠の中ではあるんだけれども、非常に大きな不公平が患者さんの負担の中に出てくる。そのことを医療提供側として配慮せざるを得ない。  しかもこれは二百床という、非常に今は病院経営としては一番厳しい微妙なところを境にしておられる。そのことが結果として、医療経営からそうした問題へのシフトがえが起こってくる可能性もあるということを申し上げているわけでございます。そのことがより一層煩雑な制度にするでしょう。  院外処方せんを、すべて大臣が言われているように薬局とあえて分けていく、どんな場合でも分けていくということであれば、そういう問題は起こらないのはよくわかります。しかし、これはそうはなっていない。五〇%を処方しているか、していないかによって分けるということになっている。  もちろん、こういうふうなものが試案であるという、その大臣のおっしゃり方はよくわかります。大臣が、日医や日薬との間において、これが仮に厚生省と一たん合意されていたとしても、国民の立場に立って、こんな不公平な、こんな混乱が起こるものはやはり採用できないよということで見直していただけるということであれば、私は大歓迎したいと思っておりますが、どうも昨今の状況からいうと、もう既にこういうふうな状況で決まってくる。厚生省はあとこれをどう法律に書き込むのかな、あるいは政令に書き込むのかなというふうにみんな見ている。そこまでやはり行政や政治に対する信頼感というものが失われているのが、この医療制度にかかわる現状ではないだろうかというふうに思います。  この問題は、きのうの肥田さんの御指摘に対するフォローということで、この辺でとどめさせていただきます。  次に、医療抜本改革あるいは医療保険制度抜本改革を進めていくに当たって、今日本は、医療保険制度は被用者の保険制度国保保険制度、大きく分けてこの二本立てでございます。これは名称が違うだけではない。  保険制度は、公費の投入その他はいろいろあります。だけれども、被用者の保険制度所得比例的な保険料徴収になっている、千分の何ぼと。もちろん健保組合と政管では違いますが、千分の何ぼという形で所得比例型の徴収になっています。一方、国保は、市町村が主体者でございますが、基本的に何段階かは設けておりますが、定額的な保険制度になっています。言いかえれば、メンバーフィー的な保険料の設定になっています。  この保険というものの、構成するファイナンスの仕組みが基本的に違う。だけれども、ファイナンスの違った保険の間に、雇用状況やあるいは高齢化ということで、加入者はどんどん異動していく。そこに非常に大きなひずみが生じています。  例えば、平成十年度の一年間でどれぐらいの保険者の異動があったのかということを見てみますと、組合健保やあるいは政管健保平成十年度だけで新規の加入者と脱退者、それぞれ五十万人ずついます。すなわち、被用者保険からは約百万人脱退したことになります。そして、国保には平成十年度だけで百十万人、加入者がふえたことになります。すなわち、所得比例的な被用者保険から百万減って、メンバーフィー的な国保に対して百十万ふえている。しかも、これに投入している公費の額は違ってくるから、国保がふえれば公費負担がふえてくるのは当たり前でございます。まさに現在の雇用状況と高齢化の状況の中でこうした問題が生まれてきています。  この問題を厚生省は、これまで保険制度の組み合わせや、そういうところだけでやろうとしてきたんだけれども、基本的に考えないといけないのは、国保というものがこうしたメンバーフィー的な保険仕組みである、なぜそうなっているのかということについては、一言で言うならば、自営業者の所得の捕捉率が非常に悪いためにこうせざるを得なかった、それに尽きると思います。  しかし、今の保険の非常な危機的状況から見れば、私は、これは大蔵省も、厚生省の問題だと済ましておいてもらったら困る。いかにこの自営業者の所得捕捉を確実なものにするか。そのことによって、それぞれの保険間の異動を行ったとしても、それによる大きな医療財政上の変動が来ないというシステムをまず考えないと、そこをおいたままで、もう小手先の処理によって解決できるという状況ではないと考えるわけでございますが、その点について、大蔵大臣並びに厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  17. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 国民健康保険所得の問題というのは、税制上の問題と密接な関連があるわけでございます。  私ども国民健康保険のいわゆる保険料徴収、算定の立場から考えますと、先生が御指摘のような問題にも十分に対応できるために、いわゆるフローの所得のみに着目するのではなくて、被保険者数の数に応じて計算するいわゆる均等割であるとか、それから家屋など固定資産の保有状況に応じて計算する資産割であるとか、こういうこと等を組み合わせることによって、いわゆる自営業者を中心といたしますこういう方々、被保険者間における公平が図られるようにこれまで努めてきておるわけでございます。  これは非常に問題が大きな問題でございまして、今先生は二面から御追及がありました。一つはこういうような国民健康保険保険料徴収の問題と、保険制度全体の問題だ、こういう両面を抱えておるわけでございますが、私どもといたしましては、この国民健康保険の問題につきましては、今後どういうふうにしたら少しでも徴収ができるかという点から、この問題についてさらに研究を進めていきたい、こう考えているような次第であります。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私へのお尋ねは、したがって、所得の捕捉について、給与所得というものは捕捉が非常に易しいけれども、自営業者の所得についてはそれとはなかなか比較ができないということをおっしゃっていまして、そのことは実際そうであろうと思います。  これは税務にとっても課題でございますから、税務当局としてもいろいろな所得源についての情報の収集あるいは御本人に対する記帳義務等々、もう長いこと努力をしてまいりまして、かなり向上しておりますけれども所得源のはっきりいたしました給与所得とは、なかなか問題が完全に解消しないということはおっしゃるとおりで、それが今お話しの医療保険につきましても問題を及ぼしておるということはそのとおりだと思います。  それで、例えば納税者番号をすればもう少し問題が解決するんではないかということは長いこと言われております。今日も言われております。ただ、納税者番号につきましては、戦後ずっとの間、戦争が遠ざかっていない時代には、これは徴兵制度につながるというようなまじめな反対論がありました。今そういうことは無論ございません。  したがって、その次の段階では納税者番号についての社会的な支持はかなりふえておったんだろうと思いますが、最近はまた別の意味でのプライバシーというもの、徴兵という話はもうございませんけれども、別の意味でのプライバシーということについての国民の関心が強うございまして、むしろ納税者として、タックスコンプライアンスというんですか、そういうことの自覚に訴えることの方がいいのではないかというような議論がまたあったりいたしまして、税制調査会でもこの問題は長いこと議論をしておられて、最近現在でもなお慎重に検討を積み重ねていくべきであるというようなことが一応のコンセンサスになっております。  問題の御指摘は私は当たっておると思いますし、また、税務は税務、医療保険の話を離れまして、税務として改善していかなければならない問題が多いということも自覚をいたしております。
  19. 五島正規

    五島委員 医療保険制度の中で最も大きな問題点は、老人医療です。先ほど大臣も御指摘になっておりましたが、毎年八%というような、年間一兆円近い医療費の増というものが続いているという状況の中で、この老人医療制度をどういうふうにきちっと整理していくか、これが一つの大きな医療抜本改革の根幹であることは言うまでもありません。  今大蔵大臣もおっしゃったわけですが、もし国保における加入者所得の捕捉がきちっとできて、そして所得定率的な保険制度にもし仮にできるとすれば、老人保険制度は極めて簡単です。これは現在厚生省がやっておりますいわゆるリスク構造調整、このことによって非常に公平に処理ができるわけです。  ところが、国保そのものがそういうふうな構造になっていない。しかも、フローでもって医療を賄うという我が国の合意がございます。そういう状況の中においては、この問題でリスク構造を調整していく、すなわち、言いかえれば、拠出制度という言い方を今しておりますが、それでもってやっていくということにはもうできない、それをやるならば医療保険保険制度全体が破壊してしまうというところまで来ているということは明らかだと思うのですが、大臣、そこまではいかがですか。
  20. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 五島委員の御指摘は、大変その分野で精通なさっていらっしゃる五島委員が、国民の皆保険制度を堅持していくためにはそれまで思い切った改革をしていかなければならない、こう受けとめて、私は、私に対する激励と受けとめさせていただいておるような次第でございます。  問題は、高齢者医療制度の問題でございますが、これは率直に申し上げて、この国会の議論を通じましても、今一番大きな問題は、委員指摘のように、これから皆保険制度を堅持していくためには、要するに世代間の負担の割合をどう考えていくのか、こういう連帯の意識の問題でございますが、一面においては、これはもうすべてお年寄りに対するしわ寄せだ、こういうようなお考えの方もいらっしゃる。  しかし、もうそんなような状態じゃないんだ。今の時代はいいかもしれないけれども、私たちの子供や私たちの孫の代になってしまうと今の世界に冠たる皆保険制度そのものがなくなってしまう、こういうような危機意識が極めて希薄な方と、先生のように長年医療の現場に従事なさっていらっしゃって、大変この問題について精通なさっていらっしゃる方、率直に申し上げて非常に温度差があるわけであります。  ですから、私は、昨日でしたか一昨日でしたか申し上げましたけれども、こういった社会保障の問題は、これはこれから、財源の問題を含めて根本的に議論をしていかなければならない問題でありますし、また総理が御提唱なさいました社会構造改革会議の中で議論をすることになっておりますが、国民に対する何かおいしいことを申し上げるということではなくて、やはり率直に、現状を明らかにして、そういう中においてどういうような御負担お願いできるのか、そして、そういう中において、どういうような給付サービスというものが保険制度の中でできるのかということを考えていただきたい、このように考える次第でございます。
  21. 五島正規

    五島委員 大臣を激励していると受け取っていただいても批判していると受け取っていただいても結構なのですが、問題は、どういうふうにこれが変わっていくかという問題だと思います。  基本的に、大臣おっしゃいますが、国民全体は世代間の負担をこれまで受け入れてきたから、拠出制度という形でもって老人保健制度が今まで続いてきた。だけれども老人医療費が余りにも急激にふえていき、そして、この拠出制度という形を続ける限りにおいては、その本体の保険制度そのものが財政的に成り立たなくなってきているという状況の中から起こってきている問題であると私は受け取っておりまして、今国民がこの世代間の負担に対して後ろ向きになっている、あるいは非常に利己的になっているというふうには私自身は受け取っておりません。  そのことはおきまして、そういたしますと、どういうふうにこの老人医療の問題を仕組んでいくのか。今も申しましたように、国保の中におけるこうした問題点を解決し、それを前提としてリスク構造を強化して、いわゆるリスク構造の調整によってやっていくのか、そうでなければ、そこから離れて別の方法をとるか、二つしかありません。  ところが厚生省は、この間、その支払い側と医療側との間において例の突き抜け論あるいは独立論というものを、その試案にこだわって、そして、それを積極的に調整するわけでもなく、この制度改革について実施することについて失敗してこられました。  私は、介護保険の例があるじゃないですかと言いたい。  特に国保に対しては、事業主がいないということで、五〇%の税の投入をやっているわけですね。老人医療に対しては公費の投入は五〇%ではなく三分の一しかしていません。これも世代間の連帯ということをおっしゃるのであれば、現役世代も含めて国保に五〇%やっているのなら、お年寄りの医療費も五〇%、介護保険と同じように入れたらどうですか。その上で、介護保険と同じような割合になるのか、あるいは、医療費というのはだれがメリットを得るというものでもないということで、お年寄りの保険料負担をもう少し下げるのか、そこのところは工夫でございましょうが、基本的な構造として、介護保険仕組みと同じような老人医療制度というのは、そう難しくなく組めるはずだ。  加えまして、現在、七十歳の高齢者を対象に老人医療というのは実施されておりますが、これは医療の担当側からも出ておりますが、やはり今の健康状況からいえば後期高齢者でいいのであろう。それまでは老人医療の対象にしなくてもいいのではないか。そうしますと、七十五歳ぐらいを対象とした介護保険型の医療保険制度というものをつくるということであれば、それほど難しくないはずだ。  そこまでの間をとってみると、国保が持っております構造的な、古い世代の非常に大きな頭でっかちの部分というのが消えますから、各保険が、支払い者側がおっしゃっておられます部分については、退職者医療制度と同じように、各保険の突き抜けでそこまでを維持するという方法が簡単にとれる。  僕は、こういう結論を得るのに、半年もかかればとれるだろうと思っていたわけですね。ところが、結果としては、何か話が行ったり戻ったりして、そこに要らぬ声が聞こえたりして、結局、二年間先延ばしになってしまった。だけれども、出てくる結論は、まじめに解決しようとすれば、この二つしかないはずです。ほかに抜本的な考え方があるとすれば、全額、医療費公費ぐらいしかない。  どういうふうな方向で、今厚生大臣としては改革の方向を進めようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  22. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 高齢者医療制度の問題につきましては、現在、審議会で御議論をいただいているところでございます。先生が御指摘のように、審議会の中でも、それぞれの立場ということもさることながら、余りにも国民医療費の中の、要するに三十兆の中の三分の一を占める十一兆を超える高齢者医療制度の与える国保への影響であるとか、さまざまな点からなかなか集約できない状況でございます。  私は私なりの考え方を持っておりますが、今、厚生大臣という立場で私見を申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、問題意識として申し上げさせていただきますならば、一つの大きな問題といたしましては、若人の拠出金によって賄われている、この拠出金が年々年々ふえておりまして、今や七〇%から八〇%近くになってきているんだ、こういう問題をどうとらえるのかという問題。それから、お年寄りの保険料を、先ほど先生は定率で、こういうようなお話がございました。この問題も、例えばサラリーマンの被扶養者の場合には、実際問題として保険料徴収されておらない、こういう問題もございます。  しかし、こういう問題で、早く結論を出さなければならない問題でございますが、委員も御指摘のように、この四月から介護保険制度がスタートする。介護保険制度というのは世紀の大事業でございまして、私も先ほども申し上げましたけれどもドイツで見てまいりましたが、五年たってもまだ試行錯誤している状態である。  しかし、私どもは、いろいろな困難を克服しながらこの介護というものを充実させていかなくちゃならぬ、こういう観点でこの四月から介護保険制度をスタートして、そして、その上でまた高齢者医療保険制度というものを同時期にすることは、現実問題として大変不可能ではないかということでありまして、私どもは、決して先送りしているわけではありません。  長年の懸案でございますいわゆる高齢者定率負担も、これも、やっとという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、今回の法改正の中に織り込まさせていただいておるわけでございますし、また、話は変わりますけれども、薬価の問題につきましても、これまでのR幅を縮小するという方向を打ち出させていただいておりますし、それから、医療提供体制の問題につきましても、いろいろ御議論はあるようでございますが、厚生省としての考え方をお示しして、諮問させていただいておりますし、さまざまな形でなかなかこれ、三十六年から皆保険制度が定着して、一気にこれを解決するということが、私は、国民の皆さん方、利用者の立場に立って必ずしもプラスにならないのじゃないか、こう思っております。  やはり私は、粘り強く一歩一歩、世界に冠たる皆保険制度を維持しながら、良質な医療というものを今後この場において十分に議論をしながら進めていくことが真の国民の国益にかなうものである、このように考えているような次第でございます。
  23. 五島正規

    五島委員 介護保険についてはおっしゃるとおりだと思うのですが、しかし、一方において、先ほども申しましたように、介護保険医療保険との区別というものが、結局、財源の問題でもって介護保険の方に医療保険がどんどん流れてしまう、医療部分が流れてしまう。そこの部分青天井という危険性があるということを考えますと、やはり医療保険制度全体をきちっと整理する必要があるだろうと思っています。  ところで、今回、診療報酬の改定の時期になるわけですが、今回、診療報酬の改定を、改定幅〇・二%ということで自民党さんと日医との方で合意された、支払い側は大変不満を持っているという状況が報道されています。問題は、この診療報酬の改定枠〇・二%というのが国民にはよくわからないのですね。  大臣、この〇・二%の診療枠、すなわち年間、通年に直しまして五百六十七億です。厚生省は十一カ月計算で五百二十億という数字を出しておられますが、この五百二十億あるいは五百六十七億というお金は、保険からの給付上限をそういうふうに抑えたという意味ですか、それとも医療費トータルをそれだけの増に抑えたという意味ですか。  医療費総額を抑えるということではないはずですね。これはあくまで現時点における診療報酬の改定ですから、保険給付の枠を〇・二%の増で抑えた、すなわち五百六十七億で抑えたということであるというふうに解釈していいですね。
  24. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ちょっと、率直に申し上げて、御通告を受けておりませんし、間違った回答をしては申しわけございませんので、もしお許しいただければ政府委員から、よろしゅうございますでしょうか。
  25. 五島正規

    五島委員 要求してないといいますか、それをしゃべれとは言うてないけれども、そのことにかかわる資料もお渡ししてお話をしていました。しかし、そんなことを言っても仕方がない。  そこで、局長もいますが、この医療費の改定〇・二%というのはあくまで診療報酬の改定枠でございますから、結論的に言えば、保険診療のトータルな増額というものを〇・二%で抑えたという意味のはずですね、これまでもそうですから。もし違うのなら、今のうちに、大臣に違うと教えておいてあげて下さい。  そうしますと、今回の診療報酬の改定はそうなんですが、もう一方で、制度の改定あるいは制度の合理化というものがございます。これは例えば、老人患者負担増というのが二千百七十三億、食事の負担が五十三億、高額医療費変更によって四百三十九億というお金が出てまいります。これはすべて個人負担に、個人負担といいますか御本人負担として行くお金で、保険給付からは減ります。保険給付からは減りますが、その分は医療から消えるわけではなくて、個人負担としてそこへ入ってきます。  そして、薬価の引き下げが四千八百二十億あります。これが診療報酬の振りかえとして、これも技術料に振りかえるということですから、薬価の引き下げ分は診療報酬の改定になってきます。  そうしますと、お手元に資料をお配りしておりますが、院外処方分一五%、七百二十三億という分について除いて計算いたしますと、お手元に配ったような数字が今回の診療報酬の改定財源になってくる。  すなわち、なぜ院外処方分一五%と言っているかといいますと、院外処方をしている医療機関は、薬価を引き下げられても経営原資は減らない。おわかりですね。しかし、それが技術料に変わってきますと、間違いなくそのことが増益としてなってきます。  その分が現状において約一五%ということで計算しますと、トータルな保険給付としては、私の計算では六百二十五億となりますが、恐らく、この院外処方分のところを少し抑えて五百六十七億にされるのでしょう。しかし、医療費トータルとして見ますと、三千億を超えるトータルな診療報酬の改定財源、それに薬価の既振りかえ分を計算しますと、約八千億での診療報酬の改定部分が出てまいります。この計算に間違いないですね、これは厚生省にお渡ししておきましたが。
  26. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、先ほどの前段の御質問でございますが、これは診療報酬の見直しでございますので、それに伴いまして公費負担の分は当然ふえる、こういうような解釈をとっております。  それから、この問題につきましては、今現在、中医協で御議論をいただいている段階でございまして、そういう段階において私が一つ考え方というものをお示しするということは適切ではない、こういうふうに考えておりますけれども、中医協におきましては、具体的な内容につきましては、医療機関の機能分担と連携であるとか、あるいは医療技術の適正な評価、それから、出来高払いと包括の組み合わせを基本としながら、これまでどちらかというと大変不採算部門と一部に言われておりました小児医療であるとか、それから、これからまさに大変重要な問題になってくる新しい高齢者増という観点からも、リハビリの問題であるとかこういう問題、あるいは救急。  こんなようなことを含めまして、国民にとりましてこれまでややもすると医療全体の中で必ずしも十分に満たされていなかった部分につきまして、良質な、そしてかつ効率的なサービスを提供するという観点から検討をしていただきたい、このように考えているような次第であります。
  27. 五島正規

    五島委員 診療報酬の改定については中医協で議論中であるということは承知しております。したがいまして、ここにお示ししました資料は、診療報酬がどうなったかという、その結果の分については申し上げておりません。これまでに既に厚生省がお出しになった資料に基づいて私の方で計算させていただいた。  それで見ますと、二千六百六十五億円という個人負担増というものと、五百六十七億という医療費の改定に伴うところの診療報酬の増というものが一つの財源。もう一つは、薬価の引き下げによるところの四千八百二十億というお金。これをもって今大臣がおっしゃっているような診療報酬の改定を結果的には——私は、ある自民党の議員さんから十二月ぐらいに聞きましたが、八千億ぐらいの改定財源でもって医療保険の改定をやるんだと。えらい大きなことを言う、そんな金どこにあるんだという話をした覚えがありますが、結論的には、見事にそれをやられたなという感じを持っています。  この八千億の診療報酬の改定の中で、これもまた、これまで毎年毎年薬価を引き下げた、それによって医療費が、振りかえた、ではどうなったか、振りかえたことによって医療費がもっとふえたということを繰り返している。当たり前です。薬に対して、薬価を引き下げても高薬価にシフトがえが起こるということが、かつて薬価制度議論の中でよくやられていました。同じように、診療行為についてもそれは起こってきます。この問題について中医協で議論されている。  中医協というのは、利害団体とそれから中立側との間の、言いかえれば今日の段階では利害の調整団体、調整がつかないときはこの間のようなことが起こるという状況になっていることはもう国民がはっきり知っているわけです。  そうしますと、この大きな費用でもって例えば老人医療費給付を甘くしていく、あるいは、それに類するところにこの費用を主として使うと、結果的には非常に大きな医療費の増として、当初の予定の計算が狂うということが今まで再三続いてまいりました。  私は、今回の厚生省が改定検討されている中において、例えば小児救急の問題、小児入院の問題について改定されるというふうにされていることについては、それは賛成です。  しかし、例えば支払い側も文句を言っておりますが、薬価の引き下げ四千八百二十億もあるじゃないか。これも資料にお示ししておきましたが、お年寄りが医療費は一割負担で診てもらえるのなら、同じく所得のない子供に対しても保険給付を九割にしたらどうだ。何かむちゃを言っているようにお考えかもわかりませんが、ゼロ歳から九歳の子供の医療費総額は一兆二千百億円、保険給付は九千百億円です。ゼロ歳から十四歳の医療費総額は一兆五千七百億円、保険給付総額は一兆一千八百億円です。  この子供の保険給付を九割に改定するためにどれぐらいお金が要るか。ゼロ歳から九歳を九割に保険給付を改正したときに必要なお金は、千七百九十億円です。ゼロ歳から十四歳の子供を保険給付を九割にした場合、二千三百三十億円。それぞれ、ゼロ歳児その他について、自治体において減免措置をしておられるところがあります。その財源はもっと有効に使えるということになってまいります。  そういう意味では、こうした部分にこの費用を使っていくということの方が、はるかに国民にとってわかりやすいし納得できる。子育て中の大変なお母さんたちに対して、せめて子供が病気になったときに、三割の保険料医療費、大変だ、これを保険から九割見てあげよう、おじいちゃんに対して自己負担がふえた、しかし、それは孫たちの費用に今度は譲ってくれという議論というのは非常にわかりやすい。しかも、その金は薬価を引き下げた金の半分もあったら足りる。  そういうようなことを全く中医協に対して政治の側からも厚生省の側からも示さずに、利害の調整の場でそれぞれ自由にやってくれと言っている限りは、診療報酬を中心とした二年ごとの改定の中において医療がなかなか正常化していかないというのは当たり前ではないかというふうに思います。  同時に、時間がございませんので申し上げておきますが、なぜ老人医療に対して、ターミナルの医療に対する措置をおとりにならないのか。  厚生省に出していただきました、一月に百万円以上かかっている医療レセプト、何人おるんだ。平成十年度で見てみますと、トータルで五十六万件、一兆二百億円ある。そのうち、大学病院が六万件、国公立病院が二十七万件、民間病院が二十四万件。いわゆるお年寄りの高額医療あるいはターミナル医療に関しては、お亡くなりになった人となっていない人とを比較してみると、お亡くなりになった人の医療費というのは助かった人の四倍かかっているというのが厚生省の資料でも出ています。  そうしたものにどう手をつけるのか、そういう基本的なことを何もやらないで中医協にこうした問題を任せたって、案が出るはずがない。それについてどうお考えでしょうか。
  28. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、いわゆる乳幼児医療の問題だと思います。これにつきましては、それぞれの市町村が政策的判断でこれを実施しているところもあることを私も十分に承知をいたしております。  医療費全体が大変逼迫している中において、医療費の原則、医療の原則というのは、御案内のように負担給付、こういうことでございますし、受診者に一定の負担をいただくというのが大原則であるということを先生も十分に御理解いただけたと思います。  そういう観点から、あくまで所得のある親御さんに御負担をしていただく、こういうことでございますし、負担能力が実際に、人によっても違うと思いますけれども、あるにもかかわらず一律に給付率を引き上げるということは、私は、率直に申し上げて、この現在の状況もかんがみて困難である、こう考えているような次第でございます。
  29. 五島正規

    五島委員 私は、薬価の引き下げ分の半分もあったらできるじゃないかと言っているわけです。しかも、厚生省はよく心配されるわけですが、子供の医療で、医療費の自己負担が減った、だから病院をサロンがわりに頻回受診する子供なんてあるはずがない。だから、一体どの部分に手厚くすることが医療費の大きな自然増というものを抑制するのかということを考えた場合でも、国民が納得できるような、そういう措置をとるべきでないかというふうに申し上げているわけでございます。  時間がございませんので、最後に、児童手当の改定問題についてお伺いします。  現行の制度では、もう言うまでもございませんが、満三歳まで、年収四百八十万までのサラリーマン家庭では、事業主が七〇%、国が二〇%、地方一〇%の負担でもって児童手当が給付されています。そして、自営業者の場合は、国が三分の二、地方が三分の一負担をして、年収四百八十万までの自営業者に対しても児童手当が出されています。そして、四百八十万から七百十二万までのサラリーマンに対しては、特例給付として、事業主が一〇〇%負担して児童手当が満三歳まで出されています。  それが今回、この児童手当が満六歳まで、年収七百十二万以下については拡大しますよ、給付額は一緒のあれですが拡大しますよ、こうなったわけですね。  そうであれば、これは制度の上から見て、本当にこんなばかなことあるのか。言いかえれば、満三歳までの子供については、年収四百八十万までのサラリーマンは事業主が七〇%、七百十二万までは事業主が一〇〇%負担します、満三歳を超えて満六歳までは公費で一〇〇%持ちます、こんなばかげた制度はあるんですか。もし、この手当が少ないとか、財源で年少扶養控除が十万引き下がる、小学生以上の子供を持っている家庭にとっては増税になる等々の問題もありましょうが、それをすべて捨象して、置いておいたとしても、子供が三歳までは事業主負担が中心です、三歳を超えたら公費です、これは木に竹を接ぐという言葉がありますが、竹に木を接ぐ制度じゃないですか。なぜこんなばかげた制度が拙速に出てきたのか、お伺いしたいと思います。
  30. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私も、この問題につきましては五島委員と同じ認識でございます。  現行制度では、総給付費千八百億円の三分の二に当たります千二百億円を事業主の拠出によって賄われている、こういうことでございます。私も、この児童手当の導入経緯について詳しく実はよくわかりませんけれども、恐らく、どちらかというといわゆる事業主の福利政策、こういうことから入ってきたのかな、私はこういうふうに考えておりますけれども、少子化対策の中におきまして、もっとこれが大変重要な柱だというふうに位置づけるならば、国、地方がもっと責任を負うべきではないか、こういうふうに考えておるような次第でございます。  今回の予算におきましては、これまでは三歳未満でございましたけれども、これを就学前まで引き上げた、こういうことでございます。  それと同時に、ぜひともこの委員会でお願いを申し上げたいのは、この児童手当のあり方について、一部においては、これは福祉ばらまきだ、こういうような新聞の論調もございます。それから、民主党の委員の方の中にも、福祉ばらまきだということで言われて、委員長から、手を挙げたのですけれども、これについて私はお答えする機会がなかったのですが、その一方で民主党さんは、児童手当について十八歳ですか、十八歳まででやっている。ですから、おたくの党、どうなっているんですかと。要するに、福祉ばらまきなんですか。私どもの案よりもはるかに手厚いような案を党としてお示しになって、その一方でこの委員会で、名前は申し上げませんけれども、福祉ばらまきでけしからぬ、こういうことでございまして、私も率直に申し上げて、これは難しい問題だな。新聞の論調の中には福祉ばらまきだという声もあります。  しかし、これは扶養控除を考えれば、父兄の負担の軽減というものをより明確にするためには児童手当の方がいいという考え方のような意見もありますし、基本的に私は児童手当を充実する立場でございますが、非常に各議員ありようによってもさまざまであるということも十分に御承知いただきまして、党内においても十分に御議論をいただければ大変幸いだ、このように考えております。
  31. 五島正規

    五島委員 えらく話は、ずれた御答弁なんですね。  というのは、児童手当の給付の年数を満六歳にするのか、十五歳にするのか、十八歳にするのか。どの程度給付をするのか。これは、我が国は世界に比べて非常に児童手当の給付の支給年数は短いし、金額も少ない、私はそう思います。だから私は、福祉のばらまきというのが、そこに児童手当をふやしているということに対して言っているわけではない。問題は、いかにもこの経過は、もう制度そのものについて私と同じだと言われると質問する気もせぬのですが、なぜこんなわけのわからない、満三歳までは事業主がほとんどですよ、三歳から六歳は国が持ちますよ、そんなばかな制度としてこれを出してきたのか。出すのなら、事業主負担も含めて、もう少し整合性のとれた制度として出してくるのが当たり前でしょう。  公明党さんとの三党協議の中において、公明党さんは、はるかに大きなことをおっしゃっていた。だけれども、結果的にはここへ値切られたのでしょうね。だけれども、これを見ておったら、どうも自自公の政権が崩壊したら、ここのところだけぱっと消えるのかなとか、そういうふうに疑っても仕方ないような構造になっている。こういう竹に木を接ぐような形で金をばらまいていく、それをもってばらまきの福祉政策と言っているわけです。  根性を据えて、子供の手当をどうするのか、児童手当がいいのか、あるいは児童よりも高校生以上の学生に対する家庭の負担が大きい、そこのところに対して別の制度を設けるのか、そういうふうな問題を含めた議論の中で、子育て世代に対して福祉の面においてきちっとやっていくということを決してばらまきと言っているわけじゃない。そこのところをやはり大臣、混同しておられると思います。  そういう意味では、こういういいかげんな制度でもって二千億に相当する税収を、これは満年度で二千二百億要るそうですが、こういうふうに振りかえていく、それが果たして本当に子育て世代に対する支援になるのか。しかも、子育て世代からの収入を引っぱがしてこういうばかげた制度へ持ってきている。そのことについてどうお考えなのか。私は、この問題については関連あったと思いますので、続総務庁長官にお伺いしたいと思います。
  32. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の改正案は、政治的状況もございますけれども、昨年のいわゆる与党合意に基づきまして、あくまでも経過的な措置で位置づけられている。そういう中におきまして、扶養控除を廃止しても児童手当をするべきだというのが公明党さんの御意見でありました。  そういう中で、御案内のように、扶養控除を取り外して、その中におさまっているんだということで、二千二百億ですか、持ち出しは、ことしは満年度になりませんけれども、ということでありまして、決してこれによって、一部に言われているような赤字国債がどうのこうのということとは全く違うんだということを御理解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、費用のあり方につきましては今後、検討課題として十分に議論をしていかなければならない、こういうふうに考えているような次第であります。
  33. 続訓弘

    ○続国務大臣 五島委員にお答えいたします。  ただいま厚生大臣からも御答弁申し上げましたけれども、ばらまきとは考えておりません。近年の少子化の進行は、五島委員も御案内のように、我が国の社会経済に広く深刻な影響を与えているものであり、少子化対策は重要かつ緊急の課題であると考えております。  政府としては、このような基本認識のもと、昨年末に策定した少子化対策推進基本方針に基づき、総合的な少子化対策を推進しております。児童手当につきましては、その一環として拡充を図ることとしたものであり、これらの少子化対策全体として、若い男女が子育てに夢や希望を持つことができる社会づくりに資するものと考えております。  また、今回の児童手当の拡充のための財源につきましては、ただいま厚生大臣も御答弁されましたように、特例公債の増発によることなく、所得税の年少扶養控除の見直しや一般財源による財源を確保することとしております。  議論の過程におきましては、公明党としていろいろ御提案申し上げたことは事実でございますけれども、与党三党で真剣に議論をした結果、今回の改正案を御提案しているところであり、決してばらまきとは考えておりません。御理解を賜りたいと存じます。
  34. 五島正規

    五島委員 これで石毛委員と交代しますが、再度申し上げておきます。  私は、こういう仕組みでもって対応している、すなわち、これから先この制度がどういうふうに育っていくのかという見通しも何も立たない、こういうふうなところで、選挙も近いということで急がれたのかもわからないけれども、余りにも構成が粗雑である。もし仮にここのところでやれるとしても、やはりきちっと、六年間について事業主、地方、国の負担というものをバランスをとって出してこられない限り、こんな竹に木を接いだような制度に対して国民が安心を持たれるはずがないということを指摘して、私の質問を終わります。
  35. 島村宜伸

    島村委員長 これにて五島君の質疑は終了いたしました。  次に、石毛えい子君。
  36. 石毛えい子

    ○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。  本日は、介護保険を中心に、引き続き厚生大臣には御苦労をおかけしますが、よろしくお願いいたします。大蔵大臣にも、少しですが質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  けさ、新聞を見ておりまして非常に驚いたんですけれども、これは五島委員もきっとお触れになられたことと思いますが、四十歳から六十四歳の国保加入者介護保険料下げ容認ということで、昨年の臨時国会で特別対策として決定されました財源投入というその規模、国保六百六十億円、これを保険料の引き下げに使っていいということで、高知市の例では、四十歳から六十四歳の国保加入者、本来ですと一カ月千二百円が、軽減後は三百円になるというような報道がされておりました。これは、質問通告はしていないことでございますので、お答えをいただこうという気持ちはございませんけれども。  この間、数日前でしょうか一週間ぐらい前でしょうか、介護報酬がようやく決まって、これで全部決まって、介護保険四月一日のスタートに向けてこれでほぼ準備完了というような報道がされておりましたら、またこういう報道が出てきてというようなことで、国民、とりわけ四十歳以上の被保険者の方は、一体、スタートするまでに、どこでどうなっていくんだろうという思いが非常に強いんだろうと思います。  そういう意味では、介護保険、大きな期待と信頼感を寄せていただいてスタートを切るというような状況には、残念ながらないと言わざるを得ないのではないかというふうに、私は介護保険を積極的に推進すべきという立場に立っている方ですが、残念ながらそういう気持ちをこの間強くしておりますということを、最初に少しお伝えさせていただきたいと思います。  さて、質問に入らせていただきます。  ただいまも申し上げましたように、四月一日から介護保険がスタートを切ります。予算書を見ておりますと、この四月からスタートを切ります介護保険の財政規模、このうちの国庫負担分として、介護給付負担金約七千六百億円ぐらい、調整交付金が千九百億円、トータルで約九千五百億円ぐらいの国庫負担金が計上されております。介護保険の規模を二五%で換算しますと約三兆八千億円。厚生省の担当の方にお伺いしますと、これに利用者の方の利用料負担が約五千億円加わって、四兆三千億円が二〇〇〇年度の介護保険の規模だというふうにお聞きをいたしました。  平成七年度価格で二〇〇〇年度スタートのときには、四兆二千億円というような概説書のようなものが、図解がたくさん出ていたと思います。それで、四兆二千億円と四兆三千億円、若干ですが金額が変わっております。本当に若干、これは誤差の範囲なのかもしれませんけれども、金額が変わっているようなところも含めて、この四兆三千億円というスタート時の介護保険の規模につきまして、厚生大臣から、この妥当性というようなところで少し御説明をいただきたいと思います。お願いいたします。
  37. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず最初に、きょうの新聞に載っておりました高知市の問題でございます。  答弁は結構だということでございますが、これは私どもが高知市に対してこのようにしなさいという御指導を申し上げたのではないのだ、あくまでもこれは高知市の独自の判断において国保の二号保険者に対して要するに軽減をするのだ、こういうことでありまして、先生案内のように、地方分権ということでありまして、今回の介護保険というのは、それぞれの市町村において独自の負担給付ということが基本的に設定される、こういう中において決められたということであります。  私どもは、あくまでも、高知市のこういうような、一年限りときょう新聞で見たところでありますけれども国保関係について要するに軽減を行っていきたい、私は新聞報道でけさ見ただけでございますけれども、こういうことについて、それぞれの地方自治を尊重するという立場から容認ということでありまして、決して私ども考え方がくるくるまた変わったとか、そういう問題でないということをまず御理解いただきたいと思っておるような次第であります。  それから、四兆三千億円でございますけれども、先ほど五島委員からの御指摘の中にもございました。この中で、特に療養型の介護施設への、要するに医療機関からの手を挙げる人が少ないのではないか。  確かに、昨年の十月現在におきましては、十九万床に対しまして十万床ぐらいだということであります。医療機関がどういうような考え方なのか、あるいは経営的な考え方なのか、その辺のところも、私もまだ、この席で申し上げることは大変僣越でございますから申し上げようもございませんけれども、しかし、都道府県がこの問題につきましては御指導いただきまして、最終的にはほぼ満足できるものになるのではないか、こういうような見通しが立っておるわけでございますので、基本的に、委員が御指摘がありました介護保険の総費用の四兆三千億円ということに変化はございません。
  38. 石毛えい子

    ○石毛委員 高知市の実践例につきましてお答えいただきましたので、私もちょっと触れさせていただこうと思いますが、保険料を減額するというのも、収納率低下に、徴収体制強化という解釈をしていいというふうな、そういうやりとりがあったやに新聞では書かれております。ですから、そういう意味でいえば、厚生省と自治体とのかかわりがあったのだろうというふうに私は解しましたということを申し上げさせてください。  それから、四兆三千億円は、今大臣は、要するに療養型病床群が介護療養施設に最終的に十九万床かわっていくという、その実効性を都道府県の指導によって実現できる、ゆえに財政規模の計算とサービス供給の実態との間にそごはないものと解する、こういう御回答をいただいたと思います。  この療養型病床の問題についてはまた後に戻らせていただきたいと思いますけれども、もう一点、在宅サービスの供給状況は、これは担当の方にお伺いしますと、二〇〇〇年でニーズの四〇%は実現していくというのが最初から厚生省が進めてこられていたプランだったそうですが、現状では三三%ほどではないかと言われております。  ここも、この七%の開差を大きいと見るか小さいと見るかというのは、それぞれ意見のあるところかと思いますけれども、この部分でも私は差があって、どうも四兆三千億円という規模は実態と少し離れて大きいのではないか、もしかしたら一割ぐらい、あるいは五%ぐらい大きいのではないか、そういう感想を持っているわけですけれども、いかがでございましょうか。
  39. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 在宅介護、その中心をなすホームヘルパーでございますが、当初、私どもは新ゴールドプランの中で十七万人という計画を立てておりました。この目標は達成したわけでございますが、介護保険導入を契機にいたしまして、大変急激に需要がふえております。そういう中で、この倍に当たります三十五万人、これを要するにゴールドプラン21、新ゴールドプラン21という中で見込んでおるわけでございまして、五年間でこの需要にこたえていきたい、こう考えているような次第であります。  先ほどから先生いろいろ御指摘になっております、もしも四兆三千億円が、剰余が出た場合どうなのか、こういう話でございますが、基本的な考え方を申し上げさせていただきますならば、当然これは、それぞれの市町村が基金というものを持っておるわけでございますので、次年度以降の要するに保険料の軽減といいますか、そういうものに充てることが適当ではないか、このように考えております。
  40. 石毛えい子

    ○石毛委員 もし剰余が出たらばそれは基金に積み立てていって次の展開に回していくという、そこのところは理解をいたしました。ただ、私はもうちょっとこだわっているわけですけれども。  それで、療養型病床群の問題に戻りますが、新聞報道などを拝見しておりますと、医療関係者の方の御発言で、診療報酬点数と介護報酬の方の点数といいますか、単価の相違によってそんなにうまく移行が進むかどうか、いっても十四、五万床ではないかというような談話がしばらく前の新聞で報道されておりました。この点は非常に重要なポイントですので、大臣もお受けとめになられておられると思いますけれども。  仮に十四万床ぐらいでとどまったとしますと、厚生省がずっと今までプランにのせてこられました十九万床に対しては五万床、移行が未完というふうになりますですね、仮にそうだとしますと。そうしますと、幾らでそれを計算するかということになりますけれども、先ほど五島委員、十万床、もし移行がスムーズにいかなければ、ほぼ五千億ぐらいの金額というふうにおっしゃられましたので、その半分ぐらいだとすれば二千五百億ぐらいでしょうか。そうすると、四兆三千億円の総額の介護保険の規模に対しましては、二千五百億円という金額は五%ぐらいに当たるんでしょうか。そうしますと、その分、保険料も下がるはずですし、国庫負担金も下がるはずですし、それから都道府県市町村負担金も下がるという、当然そういう仕組みになるわけです。  ですから、介護サービスの供給がどれだけ実効性があるか、実態がきちっとといいますか、計画により近似するかというのは非常に重要な問題で、そこで利用者、被保険者の方は幾ら保険料負担するのかということとかかわってくるわけですから、そこの信頼性が、きちっと情報として国民の皆様に伝わっていかなければ、やはり介護保険って何だかわからないわという声の方がまさってしまって、私は今そういう状況国民が置かれていると言っても言い過ぎではないというふうに思っているわけです。  大臣は、スタートまでにはきちっと十九万床、都道府県の指導でいくというふうに思っておられるというふうにおっしゃられたわけですけれども、もう一度そこの、要するに計画としての規模と、それからその規模の実態を実現する実効性の上で、今課題になっているところというようなところで、もう一回大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
  41. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これはあくまでも、率直に申し上げて、一つの計画でございます。そういう見込みの中で若干の誤差が出てくるということも、これは率直に認めざるを得ないわけでございます。  例えば、ちょっと話の次元が変わりますけれども、ゴールドプランの中でもケアハウスというのは思ったよりも少なかったんじゃないか、こういう話もあります。それと同じように、要するに、この療養型につきましては、当初の十九万よりも、今先生がおっしゃったような、あるいは五島委員がおっしゃったような十万床じゃないか、こういうようなことがございましたけれども、その後、ことしに入りましてから、県の指導もございましておおむね、すべてとは申しませんけれども、大体それに近くまで、これから指導も兼ねまして満たされていくのではないかということでございます。  と申しますと、裏を返しますと、先ほど私はあくまでも仮と申しましたけれども、この四兆三千億円という介護保険に要する全体の総費用は大きく変化しないということでございまして、これによって何か、要するに三千億が余るとか四千億が余るということは、今の時点では全く把握しておりません。若干の誤差は当然のことながら出るということはお許しをいただきたいと思いますけれども、そういう中において、順調に進んでおるということを御理解賜りたいと思います。  と同時に、先ほど先生からお話がございまして私が御答弁申し上げましたように、ホームヘルパーなどは急激に増加しているということも事実としてあることも、紛れもない事実でございます。
  42. 石毛えい子

    ○石毛委員 若干の誤差という表現の中に何を含意しているのかというのは、大変重要かと思いますけれども。  サービスのいろいろな種類に、価値からいって、高いとか低いとかというふうに判断すべきことでもないと思いますが、介護保険全体のシステムを考えていく上でこの療養型病床群の問題が非常に重要であるというのは、改めて申し上げるまでもないと思います。金額の大きさにしても重要ですし、それから、医療制度介護制度をどういうふうに仕分けるのかという意味でも非常に重要であるわけです。  ですから、ここのあたりは、お言葉をとらえるようで恐縮ですけれども、若干の誤差のうちには入れていただきたくないといいましょうか、あるいは、若干の誤差というのは何万床ぐらいを大臣は指しておっしゃられているのか。別にそれは御答弁を求めるつもりはございませんけれども大臣の表現のされ方については、私はいささかの思いを抱きますということを申し上げます。  私は、結局、事のスタートは、これは介護保険の審議のときでも随分議論になった点だと思いますけれども、要するに、介護保険における入所施設の特別養護老人ホームと老人保健施設、それから療養型病床群、この三つの施設種の方向性をどう持っていくかというところがきちっと出され切れず、あるいは議論をされ切れずに、今そこに幾らの報酬が払われていて、幾らだったらばシフトしていくのかという、その現実論といいますか、現状シフトに、そこにウエートが置かれ過ぎたがために、なかなかうまく整理がつかないでいるのではないかという思いがしております。  私は思いますのは、今、特別養護老人ホームでも、例えば医療職、とりわけ医師の配置は一人でいいわけです。これは、百人単位に対してですけれども、一人でよくて非常勤も可ということですから、ここをベースに考えていくのでしたらば、医療の方のいわゆる老人医療部分を、急性期医療に対応できるような医療の機能と、それから思い切って介護施設に転換していくという、その医療介護の仕分けがなかなか論議としてきちっとされてこなかった。現実対応は、私は、それはそれとしていろいろ移行論というのはあるんだと思いますけれども、論議としてきちっとされてこなかったというところに、一番ウエートとしてはある意味で大きな分野を占める、それから考え方としても、医療から介護制度への転換という意味でも重要であるという、そこのところで、今最後の最後のところになってきてやはり、ウイークポイントと私はそういう表現をさせていただきますけれども、出てきているというような考えが私にはございます。  この医療介護の仕分けについて、これはどうお答えいただきますかという質問通告はしておりませんので、大臣の御所感で結構でございますので、お聞かせいただければと存じます。
  43. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員案内のように、療養型の病床群あるいは老人保健施設というのは、これまでは医療保険制度の中でなされていたものであります。それから、特別養護老人ホームというのは措置制度の中でなされていた。これを一体にして介護保険にしようということでございまして、過渡的な中でいろいろな議論をしてきました。議論をしてこなかったのではなくて、さんざん議論をしてまいりました。私は、もうこの問題、何やかんや四、五年かかわっております。  しかし、率直に申し上げて非常に、人間の体の問題でございますので、一概に割り切れない問題というものがあるということと、それからやはりお年寄りなり、それからお年寄りだけではなく、特に療養型の病床群の場合若い人の場合もある、こういうこともございましてこのような仕分けをさせていただいたような次第でございます。  それで、要するに介護保険医療保険でどうかということであります。私なりに整理させていただいておるわけでございますけれども医療保険の対象となる病床というのは、これまで同様に、例えば腎不全で、要するに慢性疾患の患者であるとか、それから、今申し上げましたけれども、若い患者の中には介護よりもどちらかというと医療サービスを必要とする方が大変多いということがございまして、この辺をすべてクローズするということはいかがかな、こういう問題がございます。  それから、介護保険の対象となる病床は、要するに、要介護認定で介護が必要とされた、どちらかというとお年寄りでございます。こういう方を対象にしていくということでございますが、その性格の違いを明確にしながら、今後十分に利用者の声も聞きながら、これは当然のことながら、今申し上げましたように、若い方あるいはお年寄りの方、両方の考え方を考えながら、地域によって、また地域のニーズを踏まえましてバランスよく配置されるということが何よりも必要なことではないか、このように考えているような次第でございます。
  44. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の介護施設についてですけれども地域のニーズと兼ね合わせて、介護療養施設、それから老人保健施設、それから介護福祉施設でしょうか、その三種をこれからどのようにしていくのかというのは、三種を、それぞれの機能を持たせるように整理をしていくのか、あるいは一元化の方向で整理をしていくのか、そこのあたりはいかがでしょうか。これはいかがでしょうか。
  45. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 大変難しい御質問でございますが、私は、基本的には、やはりそれぞれのこれまでの長い歴史がありまして、特別老人ホームには特別老人ホームのこれまでの運営の方法がございました。特別養護老人ホームの場合には常勤の医者は必要としておらないわけでございます。それから、いわゆる老人保健施設というのは、どちらかというと、これは要するに急性病院から自宅に入るまでの中間的な位置づけとして生まれたものでございます。それから療養型病床群ということでございます。その辺のところを十分に整理しながらやっていかなければならない問題だ、このように考えているような次第であります。  今ここで直ちにどちらの方に持っていくのかということを申し上げることは、よく十分に利用者の声を聞きながら考えていきたい、こういう課題だと考えております。
  46. 石毛えい子

    ○石毛委員 済みません。もう少しそこをお聞かせいただきたいわけですけれども。  そうしますと、利用者の声を聞きながらその三種の施設の機能の相違、むしろ機能の相違に注目して整理をしていく、あるいは利用者の声によってはもしかしたら一元化ということもないわけではないかもしれませんけれども、相違に注目していくということになりますと、一定のエリア、そのエリアをどうとるかはそれは議論のあるところだと思いますけれども、機能の違いに注目していきますと、三つの施設種が地域にそろっていないと、地域全体としては、介護サービスの中で入所施設サービスはトータルとしては十分ではないということになってまいりますけれども、そういう方向もあり得るというふうに大臣はお考えになっていらっしゃるということですね。
  47. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは、介護施設だけではなくて医療機関の場合もそうなんです。例えば離れ小島、要するに離島であるとか僻地であるとか常にそういう問題を抱えておるわけでございますが、私は、基本的には、その地域、とりわけ広域的にこういう問題というものは考えていただいてお決めいただくことが何よりも大切なことではないか、このように考えているような次第でございます。
  48. 石毛えい子

    ○石毛委員 それでは次の質問に移りますけれども、これも五島委員が質問されたこととちょっと重なって恐縮ですが、これから審議に入っていく問題だと思いますけれども医療保険保険料率の設定についての問題でございます。  介護保険導入に伴う保険料率変更ということで、現行の法定上限政管健保九一パーミル、健保組合九五パーミル、この上限の範囲全部医療に特定をして介護保険保険料別枠にする、そういう方向にこれから変わっていく論議がされるのだと思いますけれども、これが出てきた理由について御説明ください。
  49. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど五島委員にも申し上げたわけでございます。重複する部分がありましたらお許しいただきたいと思いますが、各医療保険者は、介護納付金を納付するため従来の保険料に上乗せして介護保険料をいただく、徴収する、こういうことでございまして、この事務的な、要するに効率的な問題から、介護保険者にかわりまして徴収をいただく、こういうことでございます。  このような介護納付金の額につきましては、介護給付によって決まっていくんだ、こういうことがまず大前提でありまして、余り保険料は上がっちゃ困るんだからもうこの程度で抑えるんだというのも一つ考え方でございますし、その辺のところにつきましては、今後、国民の皆さん方のこの介護保険に対する理解と、そして国民の皆さん方の間における定着、こういうものを踏まえながら十分に検討していく課題ではないか、このように考えているような次第でございます。
  50. 島村宜伸

    島村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時開議
  51. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石毛えい子君。
  52. 石毛えい子

    ○石毛委員 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。  午前中最後の時間のときに、健康保険料の法定上限の中に含まれていた、二号被保険者に関してでございますが、介護保険料別枠になるということについてのいきさつ、理由厚生大臣にお尋ねいたしました。これから先介護サービス給付の拡大等の課題があり、別枠というふうにお答えいただいたと存じますが、そういう私の受けとめさせていただいたことでよろしいでしょうか。まず、ちょっと御確認をしていただきたいと思います。
  53. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、そういった面と、それから国保医療保険徴収の仕方が違う、こういったおのずのそういう性格からそのような面にしたわけでございます。
  54. 石毛えい子

    ○石毛委員 国保につきましては、介護保険料につきましては上限七万円枠の範囲でというような決まり方もございますけれども医療費については五十三万円でしたでしょうか、上限とするというような内容に、このたび通知でしょうか、そういうものが出されたと思っていますけれども、それはおきまして、私は、この二号被保険者の、とりわけ政管健保組合健保の被保険者の皆様にとりまして、保険料が法定されているというのは非常に重要な意味を持っているんだと思います。政管は九一パーミル、組合健保九五パーミル、その枠の中で医療保険料介護保険料を上乗せして徴収して、それで三三%分を全国的な拠出に回転させていく、こういう決まりだったと思います。  この介護保険の全体のシステムを考えますときに、介護保険の全体の財政規模ですとか、それから第一号被保険者、第二号被保険者の方々の保険料ですね、このことにつきまして、法定されている部分といいますのは、第一号被保険者の方の、六十五歳以上の方の保険料は条例で定めるということですから、法定されているという認識ができると思います。あと、一号被保険者保険料を法定して、それが基本的には全体の一七%分ですから、あとの八三%分のうちの三三%ということになるわけですけれども、この三三%を決めるときに、実は第二号被保険者の皆さんの保険料上限という、そこの部分が、そこに介護保険料がおさまるかどうかというのが私は法定の意味を持っているんだと思うのですよね。  それで、法定上限医療に限定していってそこから介護保険料を外すということは、五島委員の御質問ともかかわりますけれども、その部分青天井になってしまう、こういう課題を抱えることになったという理解になると思います。  そうしますと、この青天井になる介護保険の全体の財政規模の規律と申しましょうか、そこを規定するというのは何になるんだと。では、介護保険保険料別枠として、第二号保険者部分ですけれども、改めて法定していくのかどうか。いかないと、介護保険の規模と保険料がどのぐらいになっていくかということの見通しがつかないのではないかというふうに考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  55. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員指摘のように、医療保険につきましては、政管健保が千分の九・五、それから組合健保が今度の介護料によりまして介護保険料は八・八が見込まれている。  本来ならば、要するに医療保険から介護部分を除いたということで二兆円前後が減るじゃなかったかということが、実際問題としては、現状は既に非常に赤字であって、そして大変な医療費の伸びで別建てをつくった、こういう経過を申し上げたわけであります。  それで、問題は介護保険のあり方でございますけれども、これはあくまでも、先ほどから申し上げておりますように、給付に応じて保険料というのは決まっていくんだ、こういうことでございます。  その中において、特に私が申し上げたいのは、国保においては上限が七万円と決まっておりますけれども、ほかに回すことが、調整することができるわけであります。ところが、組合健保の場合には、その性格上、ほかに回すわけにはいかないということでありまして、何か青天井というとめちゃくちゃに上がるような感じでありますけれども、そういう意味において組合健保において上限を設定するということがなじまないのではないかな。要するに、あらかじめ給付サービスというものを抑えてしまうということが果たしてなじむかどうか、今後の議論をするべきところではないか、こういうことでございます。
  56. 石毛えい子

    ○石毛委員 そうしますと、今回の介護保険の第二号被保険者保険料を設定していくときに典型的にあらわれてきたといいますか、当然そういう事象が起こってくるわけですけれども介護保険法を制定しましてから、その後、具体的なプログラムにつきましては全部厚生省の方で、事務方で検討されて、医療保険福祉審議会議論をされて、そして諮問をして答申を得て、それで告示とか通知とか、こういう仕組みで運営されるわけですけれども、では、実際に二号被保険者の方の介護保険料が幾らになるのかというようなことについては、国会の場での審議は全くないわけですね。  とても大事な保険料負担につきまして、それを確定していくという仕組みがきちっと介護保険料の設定の仕方で法定化されないというふうになるのだったら、これはやはり立法府の責任としても、それから手続のあり方としてもおかしいのではないかと思いますけれども、そのあたりはいかがなんでしょうか。
  57. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから繰り返し申し上げているところでございますが、保険料というのはあくまでも給付に応じて決まるものであるということでありまして、それぞれの市町村によって、当然おのずと違うわけであります。そういう意味において、それぞれの地方議会なり、あるいはそれを決めた広域なりで十分に御議論をしていただきたい、こう考えております。
  58. 石毛えい子

    ○石毛委員 私もそこは理解をいたします。実施主体である区市町村介護保険の事業計画を立てて、その事業計画の中でサービスの種類や量等々を決めて、それが全体で幾らになるか、その総枠を、一七%分を、調整はありますけれども、六十五歳以上の方の人数で割り返して、基本的に一人当たりの保険料を決めていくという、そこはわかります。  でも、その介護保険事業計画の中身を決めていくときのサービスの種類とか量とか介護報酬の単価というのは、これは全部医療保険福祉審議会で審議をされて、要介護認定についてもそうでございますけれども、具体的な内容は、枠組みといいますか事項は法定化されていますけれども、どういう中身でどういう規模でするかというのは、全部医療保険福祉審議会の審議を経て、先ほど申し上げましたけれども審議会での諮問答申という形で決定していくというわけですよね。そうしますと、一応と申しましょうか、第一号被保険者の方に関しましては条例で決めるというそのルールはありますけれども、そのあとは全部、認定にしましても、サービスの質、量にしましても、介護報酬にしましても、これは法定されないで審議会事項で決まっていって、あと自動的に二号被保険者保険料は決まっていく、こういう仕組みにこれからなっていくわけですよね。  今までは一応医療保険保険料の範囲内でという、そういう前法律を審議しているときの議論の経過もあってそうなりましたから、一応一号被保険者の方の保険料は条例で、それから二号被保険者の方の保険料医療に上乗せして集めるけれども、法定された上限の枠の中でといいますか枠を参照しつつという、ある意味では、歯どめといったら表現が適切かどうかわかりませんけれども、要するにシステムを決定していくときの立法事項がきちっと据わっていたというふうに私申し上げたいのですけれども、その片方が外れていきますと、二号被保険者の方の部分が、青天井ではないというふうには申されますけれども、この部分がどういうふうに動いていくかというのが国会の場できちっと審議されなくてもいいのですかということを私は申し上げたいということです。
  59. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 国会の場で審議されるべきものだと思っておりますし、きょうも十時からずっとその問題について御審議をいただいているところであります。
  60. 石毛えい子

    ○石毛委員 それは私は、どういう形で、この通常国会であわせて介護保険料の方の上限規定をどうするかということを介護保険法改正として上程すべきかどうかというのは、これは論のあるところだと思いますけれども大臣は、ドイツで一・七%と決めたがゆえにその枠が、むしろある意味では今枠の中でのサービス提供では間に合わなくなっているというような御趣旨を五島委員の御発言に対しておっしゃられたと思いますけれども、足りなくなれば、それはまさに一・七%をどういうふうに変えるかという、保険料率をめぐっての立法府での議論になるわけですから、私はそういうふうに持っていくべきではないかという考え方を持っておりますということです。
  61. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ほかの国のことでございますのでとやかく申し上げませんが、率直に申し上げて、我が国の方が介護問題について大変熱心に取り組んでおりますし、また認定であるとかそのほかの問題においてはるかに精密に組み立てられておる、こういうことでございますし、要は国民の皆さん方がこの介護に対してどれだけの給付負担をしていただくか、こういう問題に尽きるのではないか、こう考えております。
  62. 石毛えい子

    ○石毛委員 私は、ドイツか日本か、どちらが熱心かというのは別にお聞きしたわけではないのでして、要するに、一・七%という介護保険料率は法定化されていて、サービスを変えるというときにはその審議もあるのではないでしょうかというような質問を申し上げたわけです。  それはおきまして、日本でもこの法定上限九一、九五、政管と組合健保のパーミルの上限率ですけれども、そこから介護保険を外すというのであれば、やはり二号被保険者介護保険料率の決め方は、大臣がおっしゃられたように、給付サービスをどれぐらいの質、量にするかによって変化をしますという、その決め方の中身はそうだと思いますけれども、最終の決定というのは、やはりこれは法定できちっと上限を押さえていくべきではないか。そうしないと、これは審議会議論だけでどんどん中身が決まっていきますと、恐らく今の審議会議論の中では、必ずしも国民の意向を正確に反映するというふうには言い切れないのではないか。  例えば、今でも私は、介護療養型病床群の特定診療費というようなものの考え方というのはもっときちっと議論されるべきだというふうに思っておりますし、そういうことも含めまして、もっときちっと立法府において議論を尽くして、そして最終的な決定はしていくべきではないか、そういうことを申し上げております。
  63. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 審議会審議会なりの立派な役割は持っておるわけでございますし、また、当然のことながら、立法府というものは国民の代表として十分に反映していかなければならない、車の両輪として大変重要なものだ、このように考えているような次第であります。
  64. 石毛えい子

    ○石毛委員 これ以上繰り返しましても、多分御回答は同じ御回答をいただくことだと思いますので、私は、二号被保険者介護保険料についてもやはり何らかの法的な決定の仕組みというものを考えるべきだと思いますということを申し上げたいと思います。  次の質問に移らせていただきます。  昨年の十月から準備要介護認定が進められております。新聞の投稿欄ですとかいろいろなところで、どうも要介護認定は必ずしも要介護認定を申請した方の実情を反映していないのではないか、とりわけ痴呆をお持ちの状態の方につきましては今のスケールというのは適切であるとは言い切れない部分があるのではないかというようなことが随分議論に上っておりますけれども、実施に責任を持たれますお立場ではどういうふうに評価をされていらっしゃるか、どんな問題点を今つかんでいらっしゃるかというようなことを御紹介いただきたいと思います。
  65. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、実施状況でございますが、要介護認定の実施状況につきましては、平成十一年十二月末現在で、全国でおよそ百五十万人の方から申請がございました。市町村が申請を見込んだ数のこれは大体五五%に相当いたしております。認定をいたしましたその結果の通知も、既に八十万人、見込み数の三〇%にもう既に行っているところでございまして、おおむね順調に進んでおります。四月のスタートまでには、ほぼ当初の目的でございます、予定でございます二百七十万人前後の申請の方々が見込まれておるわけでございますし、全体として、要するに万全の体制で取り組んでいきたい、このように考えています。  それからもう一点でございますが、痴呆の方々が必ずしもこの認定で十分に、特にコンピューターですか、把握できないのではないかという御指摘でございますけれども、確かに痴呆の方というのはそのときによって状況が変わります。私も何人かの方にお目にかかりました。この方は本当に正常な御判断をなさる方だというときもありますし、その御家族の方に聞きますと、時にはそうじゃないんだ、こういうようなことも聞きますし、非常に難しい問題があるわけでございます。要するに、すべてそのひとときを経てどうのこうのと決めつけることは非常に難しいわけでございますが、この要介護認定につきましては、御案内のように、一次判定におきましては八十五項目についてコンピューターで判断を仰ぎまして、これに、大切なことは、主治医の意見であるとか、それから、実際にその八十五項目についてお聞き取りいただきました調査員のいわゆる特記事項というのがありまして、そういう中で要するに痴呆症の方々についても特別な何かそういうようなものを付すことができれば幸いだと思っております。  その上に、御案内のように、この認定制度におきましては、大体五人ぐらいの認定委員の方々で、そういう状況を踏まえて総合的に判断をいたしておるわけでございます。そういう意味において、私は、またドイツの例を挙げて恐縮でございますが、ドイツの場合は、お聞きしましたら、疾病金庫の医者一人が決める、こういう状態でございますので、はるかに精密に認定作業というのは行われている、こういうふうに自信を持ったような次第であります。
  66. 石毛えい子

    ○石毛委員 確かに、ドイツの場合には、介護を必要とするに至った理由の種類を問わないというふうにはなっていたと思いますけれども、しかしながら、実際の場面では、痴呆の方ですとか知的障害をお持ちの方はなかなか介護にアクセスできない、そういう問題があるというのは私も承知をしております。  恐らくドイツに比べて日本の方が精緻にシステムをつくっているのは、それはそうだと思いますけれども、では、日本のシステムがベターであるか、ベストであるかといえば、私は、被保険者、申請をなさったその方の実情に照らしていかがですかという質問をとりわけ痴呆の方についてさせていただいたということです。  それで、具体的な例で大臣も御存じだと思いますけれども、我孫子市での認定が、痴呆の方の場合には要介護度三からスタートをするというような、実際には第一次判定では一とか二に該当するような方がいらっしゃったとしても、三からスタートをするというようなことで、これは新聞をにぎわしておりましたけれども、これについては大臣はお知りおいていただいていますでしょうか。いかがでしょうか。
  67. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから私が申し上げておりますように、個々の一市町村の問題につきまして言及は避けたいと思いますが、あくまでもこの認定につきましては全国の平準化ということが最も望まれるところでございますので、第一次判定、その中において、先ほどから申し上げておりますような主治医の意見書であるとか、それから調査員、その中においてそういうような、要するにつかみにくいような問題というものを把握、最終的に、総合的にこの認定委員会の中で決められるもの、このように考えておるわけでございます。
  68. 石毛えい子

    ○石毛委員 第一次判定を踏まえて第二次判定を、認定審査会できちっと議論を尽くして最終決定していくという、そのシステムをきちっと運営していることが大事だというお答えをいただいたと思いますけれども、ただ、しかしながら、これからもそれでずっといかれるんでしょうか。  例えば、私は、現地を訪ねさせていただいたわけではございませんけれども、島根県の出雲市では、認定審査会を、特別に精神班というような、精神科のドクターもお入りになって、痴呆の状態などがおありになる方の審査をするのにいわば理解が、経験が多いといいますか、そういう特別な審査会構成をされて、そして痴呆の方等々の審査をされているというような記事を拝見したんです。要介護認定は、よく言われますように、施設での実態調査をスケールにしてつくっていて、在宅にはまだなじみにくいような点も多々あるとか、そしてまた痴呆の方に伴う課題とかあると思いますけれども、今のシステムを前提にして、これをこれからも続けていこうとされているのか、あるいは一定の期間を経て総括をされて、痴呆の方等々にもっといいスケールを準備していこうとされるのか、そのあたりの方向性をお伺いしたいと思います。
  69. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員案内のように、介護保険制度というのは、給付の面において、そしてまた一号保険者の面なんかにおきましては、それぞれの地方自治体の、地方分権の中で行われていることも事実でありますけれども、その反面で公費というものが投入されている。それから、二号保険の中におきまして、いわゆるサラリーマンの方々からの御支援も、要するにお年寄りによって、人数によって細分されていることも事実でございます。ですから、私は、基本的には平準化ということが望ましい、こう考えておるわけでございます。  ただ、これは先ほどから申し上げておりますけれども、とにかくドイツにおいても五年たっても試行錯誤をしていることを、これから国民の要望に応じて始める世紀の大事業でございますから、すべてが正しいということを今私が申し上げることは適当ではない、こう考えております。  当然のことながら、私のもとに、より良い介護保険に育てる会、こういうような有識者の御意見も聞く機会をつくりましたし、また、ファクス等を通じまして、全国の国民の皆さん方からさまざまな御意見を承っております。そういうことも含めながら考えていかなければならない、こういうような基本的考え方を持っておりますけれども、この認定作業につきまして、現時点において、今直ちに変えるような考え方は持っておりません。
  70. 石毛えい子

    ○石毛委員 それでは、次の質問なのですが、介護保険介護保険に基づくサービスを提供する事業主体、とりわけNPO法人についてお伺いしたいと思います。  まず最初に大蔵大臣にお尋ねする中身ですけれども介護保険事業を行うNPO法人ですけれども、このNPO法人は、法人税上の取り扱いとしましては、介護保険からの介護報酬にかかわる収入に関しましては非課税、そういう理解でよろしいわけでございますよね。そこをちょっとお教えいただきたいと思います。
  71. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今お話しのことは、公益法人がしております仕事の中で、何が法人税法の課税の対象となる収益事業か、何がそうでないかということでございますけれども、収益事業というのは、一応法人税法で三十三という項目を定めておりまして、例えば請負業、医療保健業、物品賃貸業等々が挙げられておりますけれども介護保険事業とそれらの事業とがどういう関係に立つか、その中に入るか入らないかということは、実はこれから決めなければならない問題でございます。  これから、介護保険法の施行に伴いまして、介護保険事業、どういうものが行われていくかということは、実は行政の側で、具体的には厚生省と課税当局との間でこれから決めていかなければならない問題でございます。  まだ多少時間がございますので、関係方面ともよく接触をしながら、お尋ねのまさにその問題について、国としての方針を決定しなければならないと思っております。
  72. 石毛えい子

    ○石毛委員 今大蔵大臣の御答弁をお伺いしまして、私は大変驚きましたんですが、いただきましたこの三十三業種の中に介護サービス事業というのは入っておりませんので、当然非課税かというふうに私は理解をしておりましたということですけれども、四月からの施行に向かってこれから決めなければならないという、今そういう段階でおられるのかということに大変驚きましたので、いつごろそれは決まるのでしょうか、お決めになるおつもりなのでしょうか、そこのあたりを教えてください。
  73. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 当然この中に入らないとおっしゃいますと、私の方も少し驚く点がございますけれども、具体的に考えまして、例えば医療保健業なんということはございますので、しかしそうではないだろうとお思いになられる方もありましょうし、新しく介護保険事業が実施されることになりますから、それを今までの扱いとどう関係づけていくかということは行政にとりましては新しい問題だというふうに承知をいたしまして、それについての決定をいたさなければならない、行政としてはそういう問題として考えております。  今までの範疇で、この三十三の中に当然入らないと即断できませんものですから、そこは行政でよく協議をして決めてまいりたい。課税にはまだ一年あるといえばあるわけですが、しかし、仕事をおやりになる方にそんなことは先にならなきゃわからないというのは御不便なことだと確かに思いますので、できるだけ早く関係方面と協議を完結いたしたいと思っています。
  74. 石毛えい子

    ○石毛委員 できるだけ早くと言われましたけれども、見通しとすれば、大臣とすれば、いつごろまでにはこういうことは決めていくものなのだというのが、長年の御経験の中でおありになると思いますので、そのあたりをもう少しお示しいただければと思いますが。
  75. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わかりませんけれども、税というのは、これは取る方に決めることは早いわけでございますが、そうでない、やはりここはそうしなきゃならないだろうといったような議論になりますと多少時間がかかるかもしれませんけれども、御不便のないように決めていかなきゃならぬと思っています。
  76. 石毛えい子

    ○石毛委員 実は、介護保険法の審議がなされておりますときに、介護保険の非常に大きなメリットといいますか特徴としまして、今までのように、福祉法に基づくサービスの提供といいますのは行政的には措置の行政としてされておりますし、事業の実施主体といいますのは公的な、具体的に言えば自治体ですとか社会福祉法人ですとか、そういう制約があった。制約と理解するかどうかというのは状況認識をどうするかともかかわると思いますけれども介護保険は、従来のそうした狭義の社会福祉サービスからは抜け出たところで、広く国民のすべての皆様を対象にしていく措置というような概念で利用者を限定するというようなことはしない、そのためには急速にサービスの提供主体をふやす必要がある、そういう論議のもとで事業主体の参入が大幅に拡大したという経緯があると思います。これは、一方では規制緩和の流れとも一体となったものだというふうに理解をいたしますけれども。  そうした中で、福祉の中では余り今まで考えられてこなかったような営利法人もサービスの種類によっては担うことができる、それから、NPO法人も法律が成立しまして以降は参入ができるということで、御存じでおられると思いますけれども、特定非営利活動促進法人が成立してから、この登録団体のかなりの多くの部分が保健福祉関連の活動にかかわるところで参入をしてきている。具体的には、介護保険法に基づく指定事業者としての指定も受けて、今一生懸命準備をしているところであるわけですね。  そういう状況まで今来ているわけですけれども、実は、同じ介護保険という枠の中でサービスを提供していく事業主体で、例えば、一方で社会福祉法人とNPO法人というその二つを比較してみますと、営利法人を比較するということもあると思いますけれども、ここはさておきまして、比較をしてみますと、社会福祉法人は、従来の歴史過程からいいましてさまざまなメリットがあるということですね。例えば、社会福祉法人が営利事業を行ったとしてもその法人税率は営利企業の法人税率に対して低いというような特徴、あえて言えば特典だと思いますけれども、そういうことがある。  それでは、NPO法人は、今NPO議連も結成されて課題になっているところではありますけれども、認証はされるという仕組みはできましたけれども税制上のメリットというのは今のところはない。それから、介護保険に参入する場合にではどういう扱いになるのかということも、今大臣が御答弁くださいましたように、まだ確定はしていないということになりますと、競争条件が非常に違っているというのが今の実情だ思います。  そして、違ったままでこれからいくというときに、伝統ある、歴史ある社会福祉法人と、それから、資金の都合をつける、そういう力量をシステムとして持っている営利法人との間に挟まって、一生懸命地域で活動を進め、介護保険にも参入してサービスを提供して、市民力としての福祉をこれから生かしていきたい、広げていきたいというそこの皆さんに何か先行きがまだよく見えないという不安があるわけですね。  同じ事業の範囲の中で医療法人、営利法人、NPO法人の条件がさまざまに違うという、まあ税法上の条件が違うのが大きいかと思いますし、それからさまざまな、資金調達についても優遇策があるかないか等の違いがありますけれども、そうした差につきまして、厚生大臣介護保険は世紀の大事業だとおっしゃっているわけですから、世紀の大事業でしたらもっと参入者が元気よくやれる方向を早く出していただきたいというふうに思うわけですけれども、いかがでいらっしゃいますか。
  77. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おっしゃることはよくわかっておりまして、その辺のことが議論されている問題点でございますけれども、いずれにいたしましても、せっかくこの仕事をしていただくのでございますから、四月にお始めになるのに御不便になりませんように、それまでに方針を決定させていただきます。
  78. 石毛えい子

    ○石毛委員 ぜひ、NPO法人で地域で活動されている諸団体、それぞれの方々が元気が出るような方向で御検討をいただきたいと思います。  今の質問を繰り返させていただくことはいたしませんけれども厚生大臣に、今の中身について、所管されているお立場でどういうふうにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
  79. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 詳しくは大蔵大臣の方からいろいろ御答弁がございました。  私は、このNPOの税制上の問題につきまして、かねてから大変関心を持っております。介護保険サービスの重要な担い手としてその活躍が、大蔵大臣もおっしゃいましたけれども、期待されているところでございますので、その環境の整備につきまして、十分に活動しやすいような体制をぜひともつくっていただくよう願っているものでございます。
  80. 石毛えい子

    ○石毛委員 関連して、介護保険事業主体としての法人につきまして、厚生大臣にもう少しお尋ねさせていただきたいのです。  去年の特別対策で、社会福祉法人が実施する介護サービスの提供につきましては、低所得の利用者の方々について利用料を減免するという仕組みができました。これは、利用者の方の立場から見れば、提供主体によりまして、所得という限定があるにしろ、利用料に差が出てくるわけですから、利用者にとってはある意味では選択の自由を左右することにもなりかねない。利用料が安い方に選択の方向を向けていくというのは、事柄の一面としては否定できないことですから、NPO法人、営利法人、社会福祉法人、それぞれがデイサービスを提供されていたとして、所得の非常に低い方が社会福祉法人のサービスを利用すれば、その社会福祉法人が当面は負担するとしたとしても利用料の減免がある、その減免に対して都道府県が補助をすれば国も補助をするという仕組みだったと思います。  お伺いしたいのは、厚生大臣は、NPOにつきまして、税制上については大変御関心をお持ちくださって、早急に検討されるという御答弁を今いただいたと思いますけれども、利用料をめぐりましても、社会福祉法人かそうではないかという間で差がある、そのことについては大臣はどういう御感想をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
  81. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この問題につきまして、NPOがどのような活動をしておるかということをまず十分に把握しなくちゃいけない、こういうふうに考えておるわけでございますし、これは、あくまでも社会福祉法人という公益性というものに着目してこういうような低減策をとらせていただいたということでございまして、この問題が、利用料が直ちにNPOの問題に連動する問題とは考えておりません。
  82. 石毛えい子

    ○石毛委員 今の御答弁、何か言葉をつかまえるようで恐縮ですけれども、それではNPO法人は公益性はないのでしょうか。公益法人ではないかもしれませんけれども、公益法人でなければ公益性はないというふうに法律上は解釈するということになるのでしょうか。
  83. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 NPOにおきます公益性そのものを否定するものではありませんけれども、社会福祉法人という法人格とは、おのずとNPOの法人とは違う、こう考えております。
  84. 石毛えい子

    ○石毛委員 社会福祉法人の法人性とNPO法人の法人性はどう違うかということは御説明はいただけますでしょうか。私は、そこのあたりはよく理解できないですが。今大臣はそういうふうにお答えいただいたと思いますけれども、もう少し御説明いただければと存じますが、いかがでしょうか。
  85. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私の認識が間違っていたならば訂正させていただかなければなりませんけれども、社会福祉法人というのは長い歴史がございまして、我が国の社会福祉事業に対しまして多大なる貢献をしてきた、こういうようなことがございます。  NPO活動というものは、最近のこういう世相の中で大変活発になってきたということ自身については私は高く評価するわけでございますが、その活動実態であるとかそういうものについて十分に把握をしなければならない、こう考えているような次第でございます。
  86. 石毛えい子

    ○石毛委員 大臣に向かって少し細かい議論をさせていただくのは恐縮な思いもございますけれども、NPO法人の実情を把握しなければならないというふうにおっしゃっていただきましたのは、ある意味では、私は、大変有効な御答弁をいただいたという思いもいたしますけれども、私の理解では、社会福祉法人は、第二次世界戦争の後、要するに公のお金が個人に流れるというのを、その問題を整理するために、社会福祉分野に参画する活動団体に、さまざまな法人組織化の、中身等々についての条件をつけて、社会福祉法人を制度化してきたというのが歴史だと思います。  ですから、歴史があるというのは、大臣がおっしゃるのはそのとおりだと私も思います。でも、その歴史と、それから、NPO法人等々がこの数年間活動を続けてきて、これから活動をしていくというときに、例えば社会福祉法人がデイサービスセンターを建てようというときには、公費補助がきちっと、国が二分の一、都道府県が四分の一でしょうか、ある。NPO法人には、医療福祉事業団による融資はあるというふうにはお伺いしましたけれども、ストックの部分に対する補助はないわけですね。  介護保険のときに、基盤整備というのは国の責任で、税を投入していきますというのは、これは新ゴールドプランの推進にかかわってずっと議論されてきたところで、確かにランニングコストの部分保険料に転換していきますけれども、ストックの部分に対しては税をきちっと投入していきます、そういう基本的な考え方がずっと貫かれてきて、その予算は今回もきちっと計上されているわけですね、基盤整備に関する部分は。だけれども、その基盤整備に関して、では補助金がどのように投入されるかというのは、投入先は、ちょっと極論すれば、社会福祉法人に限定されて、NPO法人とか営利法人にはされない。  NPO法人、営利法人を同列に扱っていいかどうかというのは、これはまた議論のあるところだと思いますけれども、少なくとも、資金の準備から、それから税制から、NPO法人、社会福祉法人は非常に違う、それから利用料についても違う。違う状況で、しかも、歴史のある社会福祉法人と、それから、スケールはいろいろありますけれども、決してみんな大きい団体だとは言えない、地域に密着したNPO法人が一生懸命活動していても、それに対してはまるで裸で活動するという、これは私は、やはり公正さを欠いているのではないかというふうに考えるわけです。  そういうふうに考えておりますので、大臣が、NPO法人につきましても実情がどういうことかということは把握してとおっしゃっていただきました、その御回答には大いなる期待を寄せさせていただきたいと思うわけですけれども、少なくともそこのところはこれから十分に検討されて、解決策を明らかにしていっていただきたいというふうに思います。
  87. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私もNPO法人で御活躍なさっている方を何人か知っておりますが、どちらかというと、行政の規制などを敬遠して、ボランティアという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、自分たちの自発的な意思によって活動していくという方々が多いわけでございます。  それから、社会福祉法人につきましては、先生も特養なんかで御存じのように、大変規制が厳しくなっておるわけでございますし、財産そのものが国に帰属するんだ、こういうことで、そもそもの成り立ちが違うんだということをぜひとも御理解いただきたいと思っております。
  88. 石毛えい子

    ○石毛委員 時間がありませんので、それでは、介護保険における規制と、それから社会福祉事業法に基づく規制、何がどう違うのかという整理が恐らく必要なのかなというふうに思いましたということを私は申し上げさせていただきまして、この議論はこれからもぜひ積極的に受けとめて、それぞれの活動をされる方が元気が出るような方向性を明らかにしていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので最後の質問になると思いますけれども厚生省の方が大臣告示で決めておられますサービス給付の仕方ということです。これにかかわりまして、通告をしていなくて大変恐縮なんですけれども介護報酬のカウントの上で、居宅療養管理指導といいますのは、訪問、通所の単位とは別枠だという理解でよろしゅうございますね。
  89. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 そのとおりであります。
  90. 石毛えい子

    ○石毛委員 わかりました。別枠だということは、私は、介護サービス給付の仕方を考えていく上で、システムを考え意味があることだろうというふうに思っていますので、ちょっとそこを確認させていただきました。  実は、厚生省の担当の方にはデータがきっと紹介されていると思いますけれども、私のところに、ショートステイの利用をめぐりまして、こういう実態があるのだけれどもというお話をいただきました。  それはどういうことかと申しますと、今その地域はショートステイの準備状況がかなり進んでいる地域だと思うのですけれども、進んでいる地域で、厚生省の告示に基づく基準、それに従ってショートを活用するようにケアプログラムを組む。例えば、要支援の方は六カ月に一遍というのが標準的なプログラムでございますから、こういうのを組みますと、ショートステイの利用頻度の高い要介護度五というような方が少なくて、現状では、要支援の方とか要介護一とか二の方がかなりの頻度でショートステイを利用しておられる。ですから、ある意味では告示とは逆転した現象でしょうかしら。告示は介護度が重いほどショートステイが多くなる。ここの場合には、それぞれがフラットといいましょうか、それぞれがそれぞれにショートステイを利用されていらっしゃる。  確かに、伺ってみますと、高齢御夫妻お二人暮らしで、どちらかが介護者の立場に立っていらっしゃるときに、仮に、要支援といいますか、要介護一、二ぐらいでも、パートナーの方が月に一回ショートステイを利用してくださって、それで自分が一週間は介護からは離れて全く違った気分で生活できて、それでまた帰ってこられたときにいい関係で迎えられるというような。  ですから、ショートの利用の仕方というのが個別的な暮らし方によってかなり違っているということを私も教えられたわけですね。私が現実に存じ上げている方で、おひとり暮らしの要支援の方ですけれども、一生懸命頑張って、疲れてくるとショートを利用して、また頑張ってあとの三週間暮らす。そうしますと、もっと柔軟に考えられていいのかなということを率直に私は思うんです。  今のことでいろいろとあると思いますから、大臣にお尋ねしたいのは、そういうミスマッチが出てくる地域で、私の計算によりますと、この地域でもし厚生省告示どおりに使うとすると、延べのベッド数で月に四百八十ベッドぐらいがエンプティー、あいてしまう、それほど進んでいる地域がある。そういうミスマッチが起こっている状況というのも、大臣、きょうは随分分権とおっしゃっていらっしゃいますので、分権を大事にすれば、もうちょっとこれからいろいろな工夫がされてもいいのではないかというふうに思います。  ここは、ある意味ではオーバーフローになってしまうミスマッチですね。一般的には足りない。足りないというそのミスマッチが問題にされるわけですけれども、そうではない。ある意味では喜ぶべきところで、あと介護報酬の枠組みをきちっとしていれば、全体的な影響というのはそれほど心配する話ではないと思いますし、このあたりにつきまして、大臣の御感想だけでもよろしいんですが、お伺いさせてください。
  91. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ショートステイというのは、本当に家族で介護をなさっている方にとりまして大変大きな役割を果たしまして、こういうような制限を設けましたのは、要するに幅広くさまざまな方に御利用いただきたい、こういうのも目的の一つでございます。  今先生お話しになりましたような例の場合、要するに余っている、こういうことでしょうね、一言で言えば。こういうことでございますので、要するに、家族が介護などをすることによってホームヘルパーなどを六割未満しか利用しない場合につきましては、ショートステイの利用日数というものを告示より二倍ぐらい拡大するなど、ショートステイの柔軟的な利用というものを配慮していかなければならない、こう考えておるような次第であります。  いずれにいたしましても、ショートステイの利用希望の状況であるとか、それからショートステイにおきます施設の整備状況、こういうものを十分に勘案しながら、市町村の実態というものをよく調べて検討してみたい、こう考えているような次第でございます。
  92. 石毛えい子

    ○石毛委員 これは恐らく告示の中身をどう検討するかという範囲のことだと私は理解しておりますので、ぜひとも、地域のニーズに合って利用者の方が元気が出るような、非常に日常的な会話で恐縮ですけれども、四月から保険料を納めていただいて、今ショートを利用されている方がその回数が仮に減るようなことがあって、片方で、いつも利用しているショートのベッドが恒常的にあいているというような実情に出会えば、介護保険というのはサービスを選択できるはずではなかったか、そういう介護保険に対する期待感あるいは理解を逆なでしてしまうようなといいますか、理解を妨げることになってしまうと思いますので、ぜひ積極的に御検討いただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  長時間にわたりまして、ありがとうございました。
  93. 島村宜伸

    島村委員長 これにて石毛君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  94. 海江田万里

    ○海江田委員 民主党の海江田でございます。よろしくお願いを申し上げます。  前回、この予算委員会に速水日銀総裁にお越しをいただきまして、質問の時間が足りませんで、質問をしませんで申しわけございませんでした。きょうは、真っ先に質問をさせていただきたいと思います。  速水日銀総裁は、現在のゼロ金利でございますが、これは異常事態だというようなお話もされておりますが、このゼロ金利、私も大変ゆゆしき状態だと思っておる次第でございます。  特に、銀行に預金を預けておるような預金者の立場からすれば、これは当然のことながら預金の金利が低くなって大変困っているということ。それから、もう少し構造的に考えますと、やはりこのゼロ金利が続くことによって日本の構造改革というものが進んでいかないのじゃないだろうか。  確かに、設備の廃棄率なんかも見ておりますと、日銀がゼロ金利政策をとる前でございますから、九八年は四%ぐらい何とかあったということが、ゼロ金利政策をとり出しましてから廃棄率も三%台になった、しかもその三%の前の方になったというふうなこともありまして、やはりこのゼロ金利というのはそういつまでもほっておくわけにはいかないと思うわけでございます。日銀総裁は、このゼロ金利政策を一体いつごろになったら放棄することができるのか、もちろん、このいつごろという時間的な区切りというのは大変言いにくいわけでございますから、どんな条件が整えばこのゼロ金利政策をやめることができるのか、お答えをいただきたいと思います。
  95. 速水優

    ○速水参考人 お答えいたします。  日本の景気は、足元は持ち直しに転じておるわけでございますけれども、それによって生産も伸び、企業収益もよくなってきております。ただ、将来に向かって見てみますと、設備投資とか個人消費とか、そういったいわゆる民間の需要が自律的に回復していくのかどうか、その辺はまだはっきりした判断ができないでおります。  おっしゃるように異常金利でありますし、それは異常事態のもとでそういうことをやったわけでございますが、一年たってみて、株価が上がったり企業に潤沢に資金が回ったり、いろいろいい効果も出ていますけれども、御指摘のように副作用も出始めております。モラルハザードとか、そういうようなことがあるわけです。  いつになったらという御質問ですが、民間需要状況とか賃金の軟化傾向が続いておることなどから見まして、物価の方はこのところ横ばいで推移しておりますけれども、先行きについては潜在的な低下圧力がまだ出てくるかもしれない、引き続き注意をする必要があると考えております。  日本銀行としては、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでゼロ金利政策を続けるということを言ってまいっておるわけでございまして、先週木曜日に開かれました金融政策の決定会合におきましても、いろいろな資料を材料にして討議をいたしました結果、景気、物価の見通しを踏まえて、現段階ではゼロ金利政策を継続することが適当であるというふうに判断いたした次第でございます。
  96. 海江田万里

    ○海江田委員 今のお答えの中で、一つは民需が自律的な回復を達成したとき、もう一つはデフレ懸念が払拭をされたときということだろうと思いますが、一昨日ですか、堺屋経済企画庁長官は、我が党の原口委員の質問に対して、菊の花が咲くころ景気が回復をするのではないだろうかというお話がありましたが、桜の花とか菊の花とか、花で例えるのはどうも、前例もありまして、私は余りよろしくないのではないだろうかというふうに思うわけでございます。  やはり、速水日銀総裁のお話が、一つの民需の自律的な回復ということでございますが、当然のことながら、景気の回復が感じられるということは、民需の自律的な回復が大きな条件でございますから、その意味では、この秋口ぐらいには、ことしのですよ、ことしの秋口ぐらいには何とかなるのではないだろうか、今、日銀の総裁がこのゼロ金利政策を解除するに当たって懸念をされておるような要素のかなりの部分というものは大丈夫だ、こういうことでございますか。
  97. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 菊の花と申しましたのは、原口議員が花でということをおっしゃったので申し上げたのでございますけれども、今、日銀総裁のおっしゃいました特に設備投資、これがやはり景気回復の一つの基本になると思うのですが、昨今の機械受注の状況から見まして、十—十二月の機械受注が伸びておりますので、九月、十月になりますと、大体先行日数が六カ月から九カ月ぐらいでございますから、回復してくるのじゃないかと思っております。  それで果たしてゼロ金利を解除するのに十分な条件かどうか、これはまたそのときのいろいろな方面を見ないと言い切れないことだと思いますが、設備投資の回復はそのころには期待できると思っております。
  98. 海江田万里

    ○海江田委員 まさに今、堺屋長官は私の質問を先取りしてお答えをいただいたわけでございますが、ゼロ金利が解除できるというのは、おっしゃるように、本当に設備投資が回復をしまして、そして民需が自律的に回復をしてきたということだけじゃありませんで、幾つかの要素がございますね。  一つは、せんだってG7がございましたけれども、あのG7の共同声明の中に、円高懸念というものを各国が共有をするという文言が入ったわけでございますが、この円高懸念を各国が共有するということを共同の宣言の中に、あるいは共通の認識にする前に、やはりこのゼロ金利政策の継続といったものが一つの条件になった。特にG7Dですね、前の段階でそういう会議がございますが、そういう会議でやはりこのゼロ金利の継続とセットになって入ったのだという説がございますが、これは速水総裁、そのとおりでございますか。
  99. 速水優

    ○速水参考人 G7のコミュニケの各国の状況という中で、日本のところに、デフレ懸念の解消をするまでゼロ金利は継続するということが書かれております。その次に、エクスチェンジレート、為替レートのところで、円高が日本経済や世界経済に与えるかもしれないインパクトについて共通の関心を持ちますという表現が入っておるわけで、これが新聞等では、両方が条件になったんだろうとか、あるいはコミットをしたんだろうとかいうお話が出ておるわけでございますが、これはただいま申し上げましたように、日本銀行はデフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでゼロ金利政策を継続しますという考え方について、私から説明をいたしまして各国の理解を得た次第でございます。それがステートメントに取り入れられたということでございます。  また、為替相場の動向につきましては、私からは、円高が日本経済に悪影響を及ぼす懸念を政府と共有しているというふうに申しました。各国も同様の認識でありましたので、御指摘のような今申し上げた文言がステートメントに盛り込まれたわけでございますが、この点について席上では全く議論が出ておりません。そのまま通ったというふうに御理解いただいて結構だと思います。
  100. 海江田万里

    ○海江田委員 あと速水総裁にもう一つだけお尋ねをしておきたいのです。  今速水総裁の答弁の中にございましたけれども、円高懸念と申しますか円高に対する危機感でございますが、これまで、これは無理のないことでございますが、どちらかというと日銀は、円高に対する危機感と申しますか懸念と申しますか、これがそれほど強くないのではないだろうかということが言われておったわけでございますが、やはりこの円高に対する懸念というものを政府と共有するということでございますが、そういう懸念を強くお持ちになっているというふうに理解してよろしいわけでございますか。
  101. 速水優

    ○速水参考人 日本銀行では、かねてから為替相場については、これは金融政策の一つの大事な項目として、為替の動きを考えるということを言ってきております。  円高になるかどうかということ、少なくともこれまでの円高というのは、日本の経常収支が黒字である上に経済が底をついて上がってきている、それに加えて、海外から日本の株買いが昨年だけでも十兆円ぐらいの買い超になっておるわけで、一方、出ていく資金はそれほどないといったような状況があって、いわゆる日本買いというような形で円が強くなっていったんだというふうに理解しております。その辺につきましては、大分ここへ来て、株の動きあるいはアメリカの動き、いずれも変わってきておりますので、これは一概に円高の方向に行くというふうには言えないと思っております。  この点につきましては、水準等につきましては何とも申し上げかねますので、これで御勘弁いただきたいと思います。
  102. 海江田万里

    ○海江田委員 今度は宮澤大蔵大臣にお尋ねをしますが、一つは、きょうのニュースで、ムーディーズでございますが、日本の国債をダブルA1から格下げをするというニュースが入ってまいりました。これは、もちろん大臣御存じのことだろうと思いますが。  ただ、これは、予算の審議の最中の格下げというのは極めて異例なことでありまして、この異例な格下げが行われたということについてどのようにお考えになっておられるか、お聞かせください。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども新聞記者諸君に聞かれましたので、別段コメントする値打ちのない話だと申しておきました。  先ほど、二時ごろですが、市場は一ドル百十円、日経平均は百十円高といったあたりでございますから、別段市場が影響を受けているようにも見えません。
  104. 海江田万里

    ○海江田委員 百十円というのは、いっときの円高水準からいえば円安になっています。きのう、おとといぐらいが大体百八円から百九円ぐらいで動いておりましたけれども、ただやはり、これで円が一層円安の方向に動いたということは確かだろうと思います。  それから、別段コメントするほどのことでもないというのは、私には強がりのように思えるわけでございますが、これは、市場が国債の大量発行というものに対して、赤信号あるいはその一歩手前の黄色の信号かもしれませんけれども、やはり警告を発しているということではないだろうか。つまり、今度の予算を通して財政の悪化がさらに促進をするということが一つと、それから、それだけ公債を大量発行することによる金利の上昇ということについても、やはりこれは警告を発している、こういうふうに私は考えるわけでございますが、そのような心配は全く要らないということでございますか。
  105. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それらのことは、国会におきまして現に海江田議員御自身も指摘をしておられることでございますし、政府側もそれにお答えをいたしておりまして、別にムーディーズが今それをどうという何か新しいことがあっているわけではないと思います。
  106. 海江田万里

    ○海江田委員 政府側もそういう心配はもちろん持っておるということだろうと思いますが、ただ、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、極めて異例なことは事実でございます。  本当に、まさにこれから予算の大事な議論、まだまだ恐らく長い日にちをかけて議論しなければいけないと思うわけでございますが、そういう審議の最中にこういうような格下げを行ったということ、やはり、このことの意味を私たちはもう一回改めて考えてみなければいけないと思うわけでございます。  これは、大臣も以前にもこの委員会でもお話ございましたし、それから本会議などでもございました。それから、その前の予算の編成の過程で折に触れてお話がございましたけれども、いわゆる積極財政というのは、この二〇〇〇年度の予算をもって終わりにしたい、二〇〇〇年度の予算をもって打ちどめにしたい、こういうお考えがあることは確かでございますね。
  107. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、先ほど経済企画庁長官も言われましたように、現象としてはそれより早いかもしれませんが、統計的に見ますと、多分九月ごろにはかなり日本の経済はよくなっているという指標が出てくるのではないかと思っていまして、そういう想定に立ちますならば、今御審議中の予算をもって、こういう景気刺激的な部分は入り用がなくなるのではないだろうか。殊に、ごらんのように、金融秩序等々につきましては四兆五千億円もの金を組み込んでおりまして、もうこういうことはこれで手じまいができるという準備にもなっておりまして、そのようなことから、おっしゃいますように考えております。
  108. 海江田万里

    ○海江田委員 今大蔵大臣は、審議中の予算をもって終わりにしたいというふうな御発言がありましたけれども、従来は、二〇〇〇年度をもって終わりというような御発言だったのではないだろうかなと。  二〇〇〇年度をもってということは、まさにこれは審議中の予算だけではありませんで、例えばその後の、どうしてもというときのカンフル剤の補正予算でありますとか、そういうものの含みは当然その中に入るわけですよ。また市場も、その意味では二〇〇〇年度中ということで大体いろいろな予測なども立ててきているわけでございますが、本当にこの審議中の予算だけでよろしいんですか、どうなんですか。二〇〇〇年度中じゃないんですか、どうですか。
  109. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、ある意味で大変御念の入ったことを言っていただいておるわけですけれども、私は、今年また大きな補正予算お願いするつもりはただいまございません。つまり、経済の状況は、そういうことは入り用がないふうに展開していくのではないかと思っています。
  110. 海江田万里

    ○海江田委員 それから、大蔵大臣がそういう形で、今審議中のこの予算をもって積極財政は打ちどめにしたいというふうな意思をお示しになりますと、ここでまた金融政策の方に、本当におっしゃるような形で景気が順調な回復の足取りをとらなかったときに、やはり出てくるだろう。日銀総裁もうお帰りになりましたから、総裁にはお尋ねをしませんけれども。  あともう一つ、ゼロ金利が外れるときに大変大きな問題になってまいりますのは、この間、金融機関が非常に大量に国債を購入しておりますね。もちろん、国債が大量発行しておって、そして、これは後でまた議論も少しさせていただきたいと思いますが、なかなかまだ個人の投資家、家計などで国債を買うというところまで至っていないわけでございますから、どうしてもやはり金融機関が買わざるを得ない。そして、もちろん片一方で金融機関は貸し出しというものが伸びていないわけでございますから、非常に大量に国債を買っている。  そうすると、これは実は、かつてバブル経済が崩壊をしまして、不良債権の処理をやらなければいけないときに、国債を金融機関が購入をしまして、そして金利が低下をしていく一つの過程で、九六年、九七年、九八年ぐらいですか、あの過程では、金融機関が大量に国債を買って、そして金利が低下をしていきますから、買った国債が上がって、その買った国債を適宜適切に売却をして、そこで実は業務純益を上げていた、こういう仕組みがあったわけでございますよね。  もちろんそれは、そのやり方だけでは十分でなかったわけでございます。本当は、最初はそれで何とかやっていこうとしたわけでございますが、もうここまで金利が下がってしまって、むしろこれからは金利のさらなる低下というのは見込めない。そして、これから上昇していくという過程になりますと、まさに、これまで九〇年代の後半にかけてそういう形で金融機関が業務純益を出してきたものが、今度は全くその逆でございまして、むしろ、そこでもって大量の損失が出てくるのではないだろうかという懸念が非常にあるわけですよ。  これに対して、やはり今金融機関が大量に持ってしまっている国債というものをどういう形で処理していけばいいのか、あるいは、その意味からでも、このゼロ金利というのはなかなか外せない状況になってきた、そういうような認識はおありかどうか、お尋ねいたします。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど日銀総裁が言われましたことに私は全面的に賛成でございますので、日銀が今の政策を続けていただくことが国の経済のためによろしいことだと判断しております。  ただ、今金融機関が国債を持っておりますことについて、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、これは商品として持っておるわけでございまして、愛国心で持っているわけではもとよりございません。金融機関には国債を持つだけの理由があって持っておるわけだと思います。  そして、今海江田委員の言われますようなことは、今の金融状況ならむしろ持つのが当たり前だと思いますが、やがて民間の資金需要が出てきたときに、さあ、そこをどう展開するかというのは、これは確かに日銀としてもいろいろに工夫をされる問題だろうと思っていますが、そのくらいのことは金融機関ももう恐らく読んでおりますから、民間の資金需要が出てくるときはやはり我が国の経済が多少動き始めるとき、こういうこととして考えてはいかがかと思います。
  112. 海江田万里

    ○海江田委員 政府も、国債市場の改革と申しますか、これは、これだけ国債を大量発行しておるわけでございますから着手しているということでございますが、外から見ておりまして、国債市場の改革ということでいいますと、まだやはり決め手に欠くというか、あるいは国債市場の改革の動きというものがどうもはっきり見えてこない。  結局、先ほどもお話をしましたけれども、金融機関は独自の判断で買っているわけでございますが、もし金融機関が買うことをやめれば、これはやはりこれだけの国債というものがさらに市場にだぶついてしまって、あるいは金利はもっと上がらなければいけない。比較的、最近は入札は非常に順調にいっておりますけれども、これが順調にいかなかったときの状態ということを考えたら、やはり非常に恐ろしくなるわけですよ。  やはり一番考えなければいけないのは、その意味では家計部門ですよね。一千二百兆から一千三百兆あると言われる家計部門がどういうふうに国債を買ってくれるかということ、やはりこのことに今一番腐心をしなければいけないんではないだろうか。とりわけ、いよいよこれから郵便局の定額貯金の満期もやってくるわけでございますから、その意味では、どうもこの国債の改革というものが遅過ぎるのじゃないだろうか、五年債を出すようになったとか、幾つかそういうことはありますけれども。  例えば、今言われておりますのは、非市場性の国債を出してはどうかという議論がありますね。これは実は財投の改革の話とも絡んでくる話でありますが、やはり金融機関のようなプロならば、まさに債券というものは、中途の換金のときには、先ほどもお話をしましたけれども、額面割れが起きるよということは、当然のことながらこれは覚悟をしているわけでございますが、一般の家計部門の資金ということになりますと、国が出す債券だから、もちろん満期になれば額面で償還というのは、これは当たり前、わかります。だけれども、例えば中途のときに市場でそれを売却して、金利動向によってその売却代金が大きく額面金額を割り込むというようなことについては、なかなかこれは理解がいかないんです。しかも国債でございますから、国が出した債券でございますから。  そうなってきますと、これは非市場性、市場を通さない、あるいは、もっとありていに言えば、中途換金をする場合でも額面割れの起きない国債というものの発行も、当然あってしかるべきだと私は思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはもう少しいろいろなことが正常化しましたら考えられることであるかもしれないと思っておりますけれども、今としては、確かに、おっしゃいますように国債の発行は大きいわけでございますから、まずいろいろ券面を工夫する、今おっしゃいましたようなことでございます。いろいろ、発行の額面を工夫したり、あるいは、クーポンレートをつけますときに、市場の動向というのを比較的丁寧に見てクーポンレートをつけるとか、そういうことはいろいろ苦労をいたしておりますが、おかげで、一昨年の暮れから昨年の初めにありましたような高い金利にはなっておらずに、おっしゃいますように比較的平穏にここのところ推移していると思います。願わくば、家計がやがて国債を買ってくれるといいと思っていますが。  今、海江田委員の言われましたことは、今すぐに考えられない、考えにくいと思いますのは、そういう国債を考えますと、どうも政府が国債を売るためにいろいろなことをやっているということになりかねませんので、つまり、政府にとってのモラルリスクがあってはなりませんから、今のところそういうことは考えずに、まともにコマーシャルベースでやはり売ったり買ったりしてもらうのがいいんじゃないかと思います。
  114. 海江田万里

    ○海江田委員 日銀引き受けとかいう話になれば、これはモラルハザードという言葉もあっていいんですけれども、もしそんな、政府が国債を一般の国民に買ってもらう、家計部門でこれを消化してもらうということがモラルハザードだなんということをおっしゃるのならば、これだけ大量発行していることの方がさらにモラルハザードでありまして、そこのところの責任をおいておいて、ここのところがモラルハザードだというのは、どこでどういうふうに大蔵大臣の回路がつながっておるのかということが、ちょっと私には解せないところでございます。  ただ、やはり私は、これは経済企画庁長官にもお尋ねをしますが、一つ、ここ一週間ぐらいでかなり大きな変化が起きてきたんじゃないだろうか。  例えば、これはまさに堺屋経済企画庁長官のお得意の油断の部分でございますが、原油価格ですよ。バレル三十ドルを超えておりますよ。  実は、あの原油危機のときよりも、今違う動きというのは、例えばニューヨークの株は株高で高所恐怖症ですから、そういう資金がオイルにどんどん入っていっているんですよ。金もそうなんですよ、実はもう早い段階から。そういう、いわゆる国境を越えた資金が、これはもう本当にオイル危機のときと大きな違いでございますから。あのとき、確かにアラブマネーというのがありましたけれども、今のようなヘッジファンドとかそういう規模じゃないわけですよ。  今そういう規模のお金がどんどんここの原油のところに入っていっていますから、そうなると、そんなにこれは簡単な——私はどうも、きょうはほかの閣僚の方、いらっしゃいませんが、意外とこの原油高の問題を軽く見ておるんじゃないだろうかと思っているんですけれども堺屋長官、これはいかがですか。
  115. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 原油の価格は去年の三月ぐらいからじりじりと上がっておりまして、その原因が、委員のおっしゃるようなファンドマネーが流入したというような市場的なものか、あるいは減産による需給の問題か、いろいろ意見が、見方は分かれると思いますけれども、去年の三月からことしの初めまでは、原油は上がりましたけれども、他のコモディティーは上がっておりません。それが、ことしになってから、トウモロコシとか金とかほかのコモディティーが上がってきた。その辺は、あるいは委員のおっしゃるような影響もあるのかと思います。  しかし、現在のところ、この原油価格の上昇が日本の物価に与えている影響はわずかでございまして、ガソリンの方はほぼ転嫁されておりますけれども、そんなに値上がりしておりません。灯油、軽油は需給が緩んでおりますので、国内では下がっております。  さらに申し上げますと、原油の値上がりが日本経済に与える影響、これは八〇年モデルで計算いたしますと、一〇%上がりますと、一・二%ぐらい卸売物価に影響する。それが今は〇・二%ぐらいに、一・二%ですか、一・二%ぐらいが〇・二%ぐらいになっている。そういう影響力の小ささもございまして、日本経済全体を揺るがすあのオイルショックのとき、あるいは「油断!」に描いたようなことは起こりにくいと考えております。
  116. 海江田万里

    ○海江田委員 その意味では安心していていいということをおっしゃりたいのか。  それから、私は、先ほどもお話ございましたけれども、九月、十月の時点で特に民需が自律的な足取りになると、個人消費というのはなかなか、これはまだ足取りは重いと思いますが、設備投資が先に行くだろうというお話でございますが、私は、その前に、九九年度の成長率の〇・六%というものが本当に達成できるんだろうかということも、やはりもう一度検証してみなければいけない。  特に、十—十二月というのは、これは実際に出ますのは三月の上旬だろうと思いますけれども、もう早々と堺屋長官、これは去年の十—十二月というのはマイナスの、幾つだという数字は言いませんけれども、恐らく一・五とか、二、三、四、五と、その辺の数字になるんじゃないだろうかというようなことを言っておる。そこまで数字は言っておりませんけれども、うかがえるような発言もある。それから、民間の調査機関も、大体これはほとんどマイナスの一・二、三ぐらいを出しているわけでございますが、この十—十二月がマイナスということになると、その前の七—九もこれはもちろんマイナスなわけでございますから、そうすると、一—三がかなりの、プラス一・六。一・二の平均で計算をしますと、一・六成長をしないと実は〇・六成長にならないということになるわけでございまして、その意味で、この一—三月、果たして本当に一・六成長が見込めるんだろうかどうなんだろうかということ。  正月、若干これは、ハッピーマンデー、月曜も休みになったりして、そういう効果もあるようでございますが、ただ、やはり私なんかも町に出てみまして、若い人だとか単身者でありますとか、そういう人たちは確かに物を買っていますけれども、本当に中高年の人たちというのは全く物を買っていないわけでございますから、そういうところから見て、本当にこれは、この一—三月で一・五とか一・六とかの成長になって、トータルで九九年が〇・六%の成長になるのか、満々たる自信がおありなのかどうなのか、改めてお尋ねをしたいと思います。
  117. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 海江田委員にずっと先の話までしていただいたのでございますけれども、まず十—十二月でございますけれども、これはおっしゃるように、三月の中旬になるかと思いますが、まだ出ておりません。ただ、消費動向を家計調査から見ますと、前年に比べてマイナス四・〇ぐらいの大きなマイナスになっておりますから、かなり低く出てくるんじゃないか。これは、ボーナスの関係、それからコンピューターの二〇〇〇年問題なんかも影響したと思います。それで、それがある程度、一%を超えるようなマイナスになりますと、委員指摘のような問題になります。  それで、一月になってからの動向でございますが、自動車なんかは一二%ぐらい伸びております。小売の方もかなり改善しているという感じを得ておりますが、まだ二月、三月ございますから、これはどう動くかわかりません。予測のことでございますから、〇・六%が一〇〇%当たるとは申し上げられませんけれども、私どもは、これは達成可能な数字、範囲にあると考えております。
  118. 海江田万里

    ○海江田委員 これは総理に本当はお聞きをしなきゃいけないわけでございますが、どうしたものか、総理がこの予算委員会にお出ましにならない。  昨日も古賀委員からも質問がございましたけれども、総理の日程というのが、本当だったら恐らくこれは、総理の日程見ていますと、非常にお役人の皆さん方とお会いになっている、あるいは政治家の皆さん方とお会いになっているということでございますから、本当だったら予算委員会のためにあけておいたわけでございますが、これが予算委員会に出てこないで済んだということでございますので、そこで一生懸命役所の方ですとかあるいは内輪の政治家の方だとか、そういう方にお会いになっているんだろうと思いますが、官房長官、きょうの総理の日程というのは、官房長官が御存じになっている範囲でよろしゅうございますが、どういうふうに把握しておられますか。
  119. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 私も詳しい日程はよく存じておりませんが、毛利宇宙飛行士と電話で対談をするような予定が午後から組まれておるように承知いたしております。  その他の細かい予定について、私も十分承知しておりません。
  120. 海江田万里

    ○海江田委員 内閣の官房長官が毛利宇宙飛行士との電話の日程だけ知っていて、あとは知らぬというのは、そんなことはあり得ない話でありまして、もう少し正直にお話しをいただいていいんじゃないですか。もしそれしか知らないんだったら、申しわけありませんが官房長官失格でございますよ。いかがですか、ほかにもう少し総理の予定は御存じありませんか。
  121. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、詳しい日程については承知いたしておりません。これから十分心がけていかなければならない問題だろう、そういうふうに考えております。
  122. 海江田万里

    ○海江田委員 私がなぜ突然そんなことを聞いたかというと、この〇・六%というのは、もう言うまでもありませんけれども、最初は〇・五%だったわけですよ。それをわざわざ上方修正をしたわけでございますから、わずか〇・一とはいえ。〇・五じゃなくて〇・六%の成長だよということをおっしゃったわけでございますから、やはりそれが本当に達成できなかったことの政治責任というものを、どのように総理はお考えになっておるのかということをお尋ねしたかったわけでございますが、今この場におられませんので、官房長官、総理はどのようにお考えになっておるとお考えになるか、どのようにそんたくをされるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  123. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 これは見通しでございまして、今までもぴたりと当たったことは余りないんですね。一年も前に出しておりますものをことしの一月二十八日の閣議で見直したのでございますけれども、全く〇・六から少しも狂っちゃいかぬというわけにはまいらないかと思います。だけれども、大体今の感じではプラスの実績は上げられると見ております。
  124. 海江田万里

    ○海江田委員 堺屋長官、私は何も、本当にぴたりと当てなきゃいかぬなんというようなことを言っていませんで、そんなことを言ったら本当に務まらないわけですから、今までぴたりと当たったためしなんかないわけでございますから。  ただ、まさにおっしゃるように、一月二十八日でしたか、わざわざ〇・一刻んで上方修正したわけですよ。だったら、最初のまま〇・五でいいじゃないですか。僕は、不思議なことをやるなというふうに思ったわけでございますよ。  時々、新聞を読んでいますと、何か鉄道事故があった、一時四十二分ごろなんて書いてあるんですよ。四十分ごろならいいんだけれども、四十二分ごろなんというのはおかしな話で、それと同じような話で、〇・五じゃちょっとこれは、まあ何とかクリアできるだろうから、それならプラス〇・一上乗せをして〇・六だなんというようなことをやった以上、やはりぴたりと当ててもらわなければ。〇・五のままで、ああよかった、〇・五をちゃんとクリアして結果的に〇・六になったよとかいう話ならいいんですが、わざわざ〇・一いじった真意というんですか、何があったんですか。
  125. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 トータルの数字は〇・一動いているだけでございますけれども、去年まで、一回決めたものをずっと動かさなかったんです。それで、実態とうんと離れた予測になっても、何か理屈づけて、桜が咲いたらいいとかなんとか言って言い張っていた。それを、去年から、中間で一回見直すということにいたしました。  それで、結果は〇・一%でございますけれども、中の状態は、消費の伸びが幾らかよくなって、公共投資は幾らか減る、そういう入れかえをして足した結果〇・一でございまして、決して、ちょっとよくなったから〇・一足しておこうとか、そんなことをしたわけじゃございません。
  126. 海江田万里

    ○海江田委員 あと、これは大蔵大臣にお尋ねをしておきたいんですが、先ほどは国債の市場の改革という話でございましたけれども、私は、前からの持論でございますが、これは橋本総理のときにお尋ねもさせていただきまして、赤字公債と建設公債の区別の問題でございますね。  御案内のように、たしか日本とドイツでしたか、この両者の区別があるのが。実際に、その償還の過程では、赤字も建設もなしに一緒にして六十年償還でやっている。しかも、赤字の量というのは大量にふえてきておりますから。そうすると、本当にまだここで赤字と建設公債の区別をしておくことに、どれだけの意味があるんだろうか。  私どもはやはり、今度の予算の中で随分公共事業のむだ遣いがあるというような認識を持っております。そうすると、赤字公債悪玉論、建設公債善玉論という話になりますと、まさに公共事業に対してきちっとした歯どめがかからなくて、結果的に税金のむだ遣いにつながっていくんじゃないだろうか、むしろ私は、赤字、建設、両者を分けておくことによってそういうむだ遣いが発生をするんじゃないだろうか、そんなような考え方も持っておるわけでございますから、やはりこの赤字、建設公債の区別というものをもうなくしてもいいんじゃないだろうか、その時期に来ているんじゃないだろうかと思うわけでございますが、これはいかがでございましょうか。
  127. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう御見解はエコノミストや財政学者の中にもかなり多うございますし、海江田委員の御意見も前から存じておりますけれども、実は現場をやっております方から申しますと、やはり赤字国債というものは普通のことでないのだという意識を持っておることが大事でございまして、そのゆえに国会の御議決を必要としているわけでございます。  そのけじめすらなくしますと——おっしゃることの意味はよくわかっていて、両方の経済的な機能というのはもう全くあれがないわけでございますから、事実上。意味がないようであって、しかしこのけじめだけは、やはり財政のディシプリン、それから国会の御監督という立場からは、まあ残しておいた方がいいかなと私は考えておりますけれども、そういう御意見は確かに十分あちこちにございます。気がついております。
  128. 海江田万里

    ○海江田委員 片一方で区別は意味がないということをおっしゃりながら、もう片一方でやはりそれは一つの歯どめとして、戒めとして区別があった方がいいんじゃないだろうかというお話でございますが、先ほどのモラルハザードのお話と何か同じようなロジックだなという気が私はするわけでございますね。  そこはやはりどこかで思い切って一歩前に出て、これは別に弊害はないわけですから、両方の区別をなくして、まあ財政法を変えなければいけないわけでございますが、そしてそこで国会での議論を両方とも通してやればいい話でございます。  実は今回のこの予算でも、五千億の公共事業の特別の積み増しがあるわけでございますが、これも一体どういうふうになっているんだ、ああいう形で、予備費という形で積まれてしまいますと。一部は、本当は、詳しく調べると、あの五千億がここの公共事業が切れたところで出てきたということは私はわかっているのです。だけれども、それは何もそういう形でやらなくたって、予備費で五千億積むのではなくて、きちんとした補正の中に積み込めばいい、あるいは本予算の中できちっと積み込めばいい話でありまして、どうもこの五千億の公共事業の予備費の問題とも絡まって、やはりここのところも含めた国債の改革というものをやることによって、そういう問題も私は解決をするんじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。  ちょっと区別をして考えなければいけないのですが、やはり国債の区別をなくすことによって、そこからまず財政赤字の削減の第一歩というか、そういう決意を示すということも、私は一つ考え方じゃないだろうかな。あるいは、建設国債が善玉ではないのだよ、建設国債の中でもむだなところに建設国債を使ってむだな公共事業をやったら、これは大変なことなんだというような姿勢を示す意味でも、この区別をなくすということは大変大事だと思います。  世の中一般の人が、赤字は悪くて建設はいいんだ、悪いのは赤字国債だ赤字国債だ、こういうようなことを、結構テレビなんかを見ておりましても、評論家の方なんてわかったようなことを言っておるような人でもわかっていないというようなこともありますものですから、私は、これはこの際ですからもう一歩進んでなくすべきだ、そのように思っておりますが、再度お答えをいただきたいと思います。
  129. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう有益な御議論もございますので、検討をさせていただきます。
  130. 海江田万里

    ○海江田委員 もう大分時間がなくなってしまいました。厚生大臣にもお尋ねをしなければいけないのですが、まだもうちょっと後ですから、向こうを向いておっていただいてもいいです。  越智長官でございます。  きのうの岩國委員とのやりとりの中で、私、これは訂正をしておいた方がいいんじゃないかなという話がありまして、あの例の、キャピタルゲインが出たときに、おわかりになりますか、持っておる株を売って、三分の二とか三分の一とかいう議論がありましたけれども、あそこでキャピタルゲインが出たときに、日本側としてはアメリカの投資家が得たキャピタルゲインに税金をかけることもできないはずですね、その点、確認していただきたいと思いますということですが、越智大臣はこれを確認していないんですね。出るとも出ないとも、アメリカの投資家が得たキャピタルゲインに日本側としてかけることができないんだということを、そうだとも違うとも言っていないわけですけれども、これは本当にどうなんですか、ここのところは。
  131. 越智通雄

    ○越智国務大臣 海江田議員はきのうの私どものやりとりをお聞きいただいたのでおわかりと思いますが、かからないのではないかという御質問に対しまして、私の方から、かからないという根拠は何かお持ちですかとお尋ねしたんですが、私の方は調べますということになりましたところ、大蔵大臣の方に問いが回りまして、大蔵大臣からは、アメリカ人の方がアメリカにおいて売った場合はかからないと思われるということで、質問者はそれを聞かれて納得というか、それで質問が終わったわけであります。  私の方では、実はこれは個別の問題ですから、大変わかりにくいんですけれども、まず、当該日長銀の場合には、買い主のパートナーズ社というのは、実は法人格のないオランダの団体みたいなものでございまして、そういう場合には、当該売られる方、パートナーズ社に出資している方のもとに戻ってかかるかかからないかの議論をしなきゃいけない。そして、その方々が日本に支店を持っているか持っていないかで違うわけでありまして、たとえ支店を持っていなくても、非常に大量の株を、支配的な大量の株を出したときにはかかるとか、個別ないろいろのケースがあるものですから、それで、私の方は、いずれ、きょうでも御質問いただけるということなものですから、もし詳しく申し上げるならば、大蔵省の方から、あえて言えば国税庁なりなんなりから申し上げるべきかもしれませんが、かなり日長銀に関しては想定例がいろいろございますので、原則的にいえば、大蔵大臣がお答えしたとおり、外国人がお持ちになったものはお売りになったときにかからないような国際的な一般的なルールがございますから、それが適用されるものと考えてよろしいかと思いますが、個々のケースについてはちょっと確定的に申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
  132. 海江田万里

    ○海江田委員 ちょっと、大変残念なんでありますが、この問題、いずれまた本当に日にちを改めましてきちっと、そのときは、この税務の問題も大変重要なポイントでございますので、少し時間をかけて議論させていただきたいと思います。  私どもはやはり、まさにこの調印が行われましたときが、この国会の不正常な状態が終わって、そして、これから私どもが国会で議論をしようというそのときに調印をしてしまったということで、本当に議論の機会を奪うようなことになっているということで、これは大変ゆゆしき問題であるということ。法律にのっとってやっているということでありますが、一昨日、与党の側からも、何で一日、二日待てなかったんだということがあるわけでございますが、やはりこれは大変大きな問題である、これはもう本当に、これからもしっかりとこの予算委員会の中で議論していかなければいけない問題であるということを話をさせていただきます。  そこで、厚生大臣にわざわざお越しいただきましたので、実は、いよいよ参議院の方でも年金の、私どもあえて改悪案と言わせていただきますけれども、この議論がスタートをして、そして、どうもテレビの報道などでは、もう間もなく、ごく短い審議でもってこの法案が成立をするんじゃないだろうかということが言われております。  私、いろいろな厚生省が出しております、例えばこの「二十一世紀の年金を「構築」する」という厚生省年金局が出しております本で大変いろいろ勉強させてもらったんですが、一つだけどうしても腑に落ちないのが、今の年金給付水準の問題でございます。  これからもちろん手をかえ品をかえ年金給付水準を引き下げをしていく。これはいわば、少子高齢化がますます進んでいくわけだから、もちろん、支給開始の年齢は後ろに送りをしていくよ、それから支給の水準も引き下げをしていくよ、切り下げをしていくよと。とりあえず、支給の水準の切り下げのやり方としては、例の五年ごとの見直しの、賃金スライドの部分をもうやめますよという話と、それから報酬比例の部分の五%をカットしますよというところからまずスタートをさせるわけでございます。  私は、厚生省が出しております、サラリーマンの世帯で奥さんが国民年金加入者である、四十年間加入してと、よく二十三万円とか二十四万円とかいう金額が出てきますね。あれはどういう根拠に基づいている数字なのかということをお教えいただきたいと思います。
  133. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員指摘のサラリーマン世帯の標準的な年金額は、今回の改正によりまして二十三万八千円となっておるわけでございます。これは、四十年間夫が働いて、要するに、サラリーマンのOBの夫婦をまず前提にして考えて、こういうものの合計額は、勤労者の平均賃金、いわゆる現役世代の手取りの六割、こういうことを根拠にいたして算定しておるわけでございます。  ちなみに、高齢者の方々の生活費でございますけれども、食糧、住居、それから被服、これで十二万一千円程度になってほぼ生活費を賄える、こういうことになっております。
  134. 海江田万里

    ○海江田委員 まさに衣食住のところについては十二万一千円だよと。それで、おっしゃるサラリーマンで六十歳まで四十年間勤め上げた、奥さんも国民年金に四十年間入った場合ということで二十三万八千円だから、随分まだまだ余裕があるじゃないかということだろうと思うのです。  ただ、二十三万八千円を本当にフルでもらうためには、奥さんの年齢は何歳でなきゃいけないのですか。
  135. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 妻の年齢は、六十歳です。
  136. 海江田万里

    ○海江田委員 違いますよ、六十五歳ですよ。厚生大臣、そんなことも知らないのですか、本当に。
  137. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 失礼いたしました。私が申し上げましたのは、妻の加入は六十歳までで、それで支給は六十五歳からです。
  138. 海江田万里

    ○海江田委員 いやいや、そんなこと言い逃れしちゃだめですよ。(発言する者あり)いや、そんなことはないですよ。一番基本の問題ですよ。いいですか。ここが大事なポイントなんですよ。妻の年齢は六十五歳なんですよ、これは。  では、六十歳からだったら幾らになりますか。幾らもらえるんですか、妻は。六十歳のとき幾らもらえるのですか、この人は。答えてください、わかっているのなら。基本ですよ、こんなのは。常識ですよ、大臣なんだから、主管大臣なんだから。ちょっと、時間とめてくださいよ。だから、わからないのならわからないと言えばいいんだよ、言い逃れだけして。
  139. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 失礼いたしました。そこまで私どもの方の質問が十分にとれておりませんでした。  つまり、奥さんの収入は六万七千円でございます。
  140. 海江田万里

    ○海江田委員 いやいや、ちょっと待ってください。いいですか。私が聞いているのは、今の二十三万八千円というのは、御主人も六十五歳になっていて、御主人がサラリーマンを定年退職して、そしてこれまでの厚生年金基礎年金が満額でもらえたときなんですよ。しかもそれに、奥さんが六十五歳になって、これまでの四十年間の——四十年間というのは実は空期間なんですけれども、三分の一の国庫の支出がありますから。基礎年金をそっくりもらえたときの金額が、はっきり言えば、大体こういうふうになっているのですよ。  基礎年金部分が、本人も大体七万円なんですよ。それから、奥さんも七万円なんですよ。この二つを足して十四万円で、報酬比例部分が十万円なんですよ、大体の計算ですけれども。それで二十三万円とか二十四万円とかいう金額になっているのですよ。だけれども、これは、奥さんが六十五歳にならなければこの満額はもらえないのですよ。そうでしょう。  では、奥さんは六十五歳未満、若いときがあるんだから。サラリーマンは六十歳で定年になる、奥さんは五十八、五十九、こういうときは幾らもらえるのですか、サラリーマンは。教えてください。これは簡単にわかるでしょう。(丹羽国務大臣「ちょっともう一回言ってください」と呼ぶ)  先ほど大臣が言ったのは、二十三万八千円というのは、御本人が平均的なサラリーマンで、四十年間厚生年金に加入して、しかもその標準報酬月額の平均額もおおよそ平均的なところ、いわゆる平均的なサラリーマンが六十年間厚生年金に入りますと、いいですか、基礎年金が七万円、その上に報酬比例部分、いわゆる……(丹羽国務大臣「四十年間」と呼ぶ)四十年間、そうですよ。言いましたよ。(丹羽国務大臣「六十年間と聞こえたから」と呼ぶ)いや、だからそんなことを言わぬで、そんなことを聞いておるからあれなんですよ。  では、そこまで言うのなら、いいですか、四十年間働いて報酬比例部分が大体十万円なんですよ。それで、自分の基礎年金部分の七万円と報酬比例部分の十万円と奥さんの基礎年金部分の七万円、全部これがトータルになってさっきおっしゃった二十三万八千円、およそ二十四万円という金額になっているのですよ。  だから、これは、奥さんが六十五歳でなきゃこれだけの額をもらえないから、奥さんが例えば五十八だとか六十歳だとかのときは幾らもらえるのですかということを聞いているのですよ。
  141. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ちょっと十分正確でなくて、失礼と存じますけれども、まず、基礎年金でございますが、これは十七万じゃなくて、もうちょっと低いですね。全部合わせまして、要するに十三万でありますから。  それで、先ほどから申し上げておりますように、妻の加入は六十歳でありまして、実際にいただくのは、基礎年金について二〇〇一年から六十五歳、こういうことであります。
  142. 海江田万里

    ○海江田委員 じゃ、もう一回端的に聞きますけれども、御主人が六十五歳、奥さんが六十歳、この家庭でもらうのは幾らですか。わかりやすいでしょう、これは。
  143. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 もうちょっとそれだったら具体的に、十七万一千円でございます。
  144. 海江田万里

    ○海江田委員 じゃ、その根拠はどういうふうになっている。どういう計算、十七万一千円というのは。
  145. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 要するに、老齢基礎年金が六万七千円でございます。それに報酬比例部分の十万四千九十二円を足す、こういうことであります。
  146. 海江田万里

    ○海江田委員 本当はそうじゃなくて、加給年金がつくんですよ、それは。そうでしょう。加給年金がつくんですよ、本当は。加給年金が大体二万円ぐらいつくんです、特別加算だとかあって。  だけれども、私が言いたいのは、こんなの一分で終わるはずだったんだけれども、しきりと厚生大臣も二十三万八千円だと言っているけれども、サラリーマンが定年退職をして、そして奥さんがまだ六十五歳になっていないときに、幾らだっているわけですよ、そのときもらうお金というのは、今もお話があったけれども、十六万円とかそれくらいなんですよ、本当のことを言って。この十六万円だったらどうなんですか。  そこから話をスタートさせなきゃいけないのに、厚生省はとにかく、二十三万円もらえます、二十四万円もらえます、そればかり言っているわけですよ。奥さんが六十五歳になれば二十三万円もらえるんですよ。奥さんが六十五歳になるというときは、御主人の方が大体少し年上ですから、六十七や六十八であったり、五歳離れていたら七十になるんですよ。それじゃだめなんですよ、これは。  そこのところを、もうきょうちょっと時間がないから、こんなの大うそなんですから、そういう、二十三万円だとか。そういうことをわかって使っていただかなければ、今議論の前提をやっているんですから。これ以上やりませんけれども、頼りないですよ。  それから、こんな……(発言する者あり)いや、もういいですよ。だから今度ちょっと議論やりましょう。そういうことじゃ本当に、年金法を出して、まず少なくとも厚生大臣がきちっと、まあいろいろなことをやらなきゃいけないでしょうが、厚生大臣がきちっと、出した法律の中身ぐらい理解するぐらいの時間をとって勉強をやって、それからじゃなきゃだめですよ、これは。  官房長官、行きますよ、いいですか。  小渕総理の秘書官——官房長官は、秘書官、もちろんいらっしゃいますよね。その官房長官の秘書官が民間会社で役員をやっているとか、そういう事実は把握していますか、どうですか。
  147. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 総理大臣秘書官のいわゆる民間企業における役員については、十分に把握いたしておりませんので、本人に、同じ官邸におりますので、そういうことがないかどうか、私からしっかり確かめていきたい、そういうふうに考えております。
  148. 海江田万里

    ○海江田委員 官房長官も余りよく質問を聞いていない。私は、青木官房長官が今秘書官を当然お持ちでしょうけれども、その秘書官はどこか民間会社の役員をおやりになっていますかということを聞いたんですが。
  149. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 私の秘書官は一切やっておりません。
  150. 海江田万里

    ○海江田委員 それは大変、本当によろしいことだろうと思いますけれども、(発言する者あり)まあ当たり前でございます、これは。ところが、今、官房長官が仕えております総理もかつて官房長官のときがありましたけれども、かつて官房長官のときに、古川秘書官という方はエヌ・ティ・ティ・システム開発というところの取締役をやられていたということ、これはもう登記簿上非常にはっきりしているわけでございますが。  そして、私はこの間の当委員会で、秘書官がそういうことをやっておられるということについてきちっと、当時の、官房長官でありますけれども、そういう秘書の動きについては把握をしていたんですかということを聞かせていただきましたけれども、それは、「私も、もう長年のおつき合いですから、逐一私に報告をされて、それに対して私が許可をするというような、そういう作業はもうほとんど皆無と言っていい、」と、つまり、一々許可を得ていないというお話があったわけですよね。  これは、いいんですか、全く許可を得ないでそういう民間の会社の役員になって。構わないんですか、全く。
  151. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 古川秘書官が昭和六十二年十一月から平成元年六月まで官房長官秘書官でありました。その当時、民間企業の役員に名を連ねていたことは事実でありまして、そのことを当時の、今の総理大臣、小渕恵三総理には何ら話しておりません。それは非常に手落ちのあったことでございまして、本人も深く反省をしている、そういうふうに私は伺っております。
  152. 海江田万里

    ○海江田委員 秘書官の服務規律というもの、もちろん一般職の国家公務員であれば、当然国家公務員法で各種の縛りがあるわけでございますが、秘書官の場合、特別職の国家公務員ですね、特別職の国家公務員の場合、秘書官という立場の場合、そういう服務規律、この縛りというか決まりはないわけですか、全くないんですか。
  153. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 当然、法令上も倫理上も問題はあると思いますけれども、この規則というのが、実は私も調べてみて驚いたんですが、明治二十年制定の勅令に、上司の許可をとらなければ営利企業の役員にはなれないという規定がございます。しかし、この規定には違反したときの罰則や処分が定めてない。  ですから、明治二十年以来、いわゆる政務の秘書官についての規定が全然ないということに等しいと思いますので、これは今後、やはり議会の皆さんにも議論をいただいた上できっちりした形にしなければならないんじゃないか、私はそういうふうに考えております。
  154. 海江田万里

    ○海江田委員 全くないわけではありませんで、勅令があって、そしてそれが、法律改正は行われていないけれども、現代でも生きているということでありますから、その意味では、この勅令に違反というか、勅令が引きずっておる服務規律に対する違反ということは非常に明々白々だろうと思うんです。  ただ、もう一つ指摘といいますか、考えてみなければいけないということは、今青木官房長官は、そういう形で、自分の秘書官はそういう民間会社の役員などはやっていないというお話がありましたけれども、これは実は普通やらないのが当たり前ですよ。それぞれ大臣がおられますから、一々聞いてもよろしゅうございますが、ただ、時間がもうありませんので、聞く時間はありませんが、やはりこれはまず異常な、非常に希有なことなわけですね。(発言する者あり)また非常識という声もありますが、そういう問題であるということ。  それから、総理の政治資金については、一昨日も同僚の生方議員から指摘もございました。いわばトンネルのような政治団体をつくって、そして最終的には、私も取り上げました未来産業研究会という、まさに会計責任者が、古川さんがやっております研究団体に献金を集めている。あまつさえ、その献金をしてくれた方を昨年十月の園遊会に、これは内閣・総理府の枠組みで招待をしている。  この方の役職を見ますと、これは実は、余り具体的にわたってはいけませんけれども、運輸関係の社団法人の顧問という肩書きになっておる。運輸関係だったら、これは当然のことながら運輸省枠で、本当に功績があるんなら推薦をしてくればいいわけですけれども、何でこれは内閣枠なんですか、これは。何の功績があったんですか、内閣に対して。総理大臣に多額の献金をしたという功績があったわけですか。そういうように思われても仕方がないと思いますが、いかがでしょうか。
  155. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 私が聞いておるところによりますと、本職は運輸関係でございますけれども、そのほかの芸術関係であるとか郵政関係であるとかいろいろな仕事、多岐にわたっておりましたので内閣において推薦をした、そういうふうに私は伺っております。
  156. 海江田万里

    ○海江田委員 私もその方を全く知らないわけじゃありませんが、芸術関係で貢献をしておると言いますけれども、これはある画家の方の絵をコレクションしておるということなんです、本当のことを言うと。これは有名な美術館があるんですよ、どこと言いませんが、経済企画庁長官もよく御存じだろうと思いますけれども。それが芸術関係に貢献があるんですか。ある画家のあれをコレクションしているのが芸術関係に貢献あるんですか。どうなんですか。
  157. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 芸術関係で、フランス政府よりは、非常に優秀な芸術関係者であるということで賞を受けているということを承知いたしております。
  158. 海江田万里

    ○海江田委員 もう時間がありませんが、レジオン・ドヌール章で、僕は知っているんですけれども、それはたくさん絵を買ってくれればくれるんですよ、これは、本当のことを言えば。私の友人でも、幾らでもレジオン・ドヌールを持っている人がいますよ、本当に。まあ、ひどい。  今度またじっくりやりますから、きょうは以上で終わります。
  159. 島村宜伸

    島村委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次に、春名直章君。
  160. 春名直章

    春名委員 日本共産党の春名直章です。  まず、二月の十五日の朝刊の全国紙、地方紙の深谷さんのこのすてきな笑顔ですけれども、この写真ですね。この新聞。調べてみましたけれども、私の地元の高知新聞とか愛媛新聞とか全部出ております。全国新聞。「あなたの「やる気」を、確かな自信に。」という大臣の大きな顔写真入りの通産省の広告が出て、驚きました。これは、はっきり言って明白な選挙の事前運動じゃないかと思います。大臣はそう思いませんか。また、大臣自身は、この広告はもちろん知っていて許可したかと思いますけれども、どうお考えですか。
  161. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 御案内のように、昨年の臨時国会で、中小企業国会と銘打って、中小企業のあらゆる政策を野党の皆さんも含めて検討して立てたわけであります。  今までは、どちらかというと、いろいろな政策を立てるんですが、国民のところまでなかなか具体的な声が届かない。きちっとしたPRが必要だということもございましたので、せっかくまとめ上げた中小企業対策について、この一月から三月にかけて徹底したPR活動をしていこうではないかという方針を通産省は立てたのであります。全国四十数カ所で千人単位の場合によってはシンポジウムを開いて、私はそこで講師でパネラーとして参加してというようなことも含めて、一月から三月に徹底したキャンペーン運動を起こそうということになりましたが、その一環として新聞、雑誌等の、このようなキャンペーンの中のテーマがこれでございます。  私は、全国区で出るわけでもありませんし、今選挙活動をする必要もありません。中小企業の政策を徹底して国民の方にお伝えし、これを活用して元気を出していただいて景気回復するという大目標に向かって、微力ではありますが、先頭に立って頑張っていきたいと考えています。
  162. 春名直章

    春名委員 もちろん、東京新聞にも出ております。  そこで、大臣、この広告料、全部で幾らでした。
  163. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 この一連の広告に関して申し上げますと、約一億一千三百万円であります。
  164. 春名直章

    春名委員 一億一千万円であります。  通産省として中小企業の政策を、今お話がありましたように新聞広告で知らせるということは場合によってはあると思うんですね、確かに。しかし、その場合に、なぜ大臣のお名前を書き、大きな写真を一緒に載せるのかということが私は問題だろうと思います。公職選挙法百五十二条「あいさつを目的とする有料広告の禁止」、こういう規定がありますけれども、私はこれに抵触するような事態じゃないかと思います。大臣、いかがですか。
  165. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今までも、政策広報等において、大臣が先頭に立ってその写真とメッセージを送っているというケースは幾つもあります。したがいまして、このたびの件は、通産省が行っている中小企業対策を徹底してPRをさせて、その具体化を図っていくということでありまして、委員指摘は当たらないと思っています。
  166. 春名直章

    春名委員 通産省としての政策を知らせるというのは、それは理解しているわけですね。しかし、なぜあなたが出てこの選挙の直前にこういうことをやるのかという話なわけです。  自治省選挙部の課長らの共著で「逐条解説公職選挙法」があります。読んできました。百五十二条というのは、選挙目当ての売名的ないわゆる名刺広告のような広告が行われたり、かつ、それが政治に金のかかる原因となっていることにかんがみて、金のかからない政治の実現と選挙の公正を確保するため、答礼のための自筆によるものを除く年賀状などが禁止されるとともに、それと一緒にこういう広告は禁止をする、そういう趣旨になっているわけですね。御存じのとおり、公職選挙法百五十二条であります。  そもそも、こういう大きな顔写真を載せた新聞広告というのは、まさに売名的というふうに言われても、国民から見られてもしようがないことです。一億一千万円という国費を使っているんです、国民の税金です。ですから、法律をしっかり守るべき大臣の立場としては、李下に冠を正さずという言葉もありますけれども、そういう立場にお立ちになるということが私は大事じゃないかと思いますね。  もし、こういうことが幾らでもできるということになりますと、政務次官の方だって、他省庁の方だって、どんどん大臣さんや政務次官さんが国民の税金でこういうことを出すということが幾らでもできるようになりますね。これはまずいですよ。これは余りにもやり過ぎだと思いますね。私は、こういう点は内閣全体として、やり過ぎだ、きちっと正す必要があろうかと思います。官房長官、どうでしょう、そういう立場に立って正していただきたいと思いますが。
  167. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 広報の実施に当たりましては、広報効果を最大限に出す、それが一番大事なことだと考えております。その一方で、議員今御指摘のように、選挙運動と誤解を与えることがないように注意をすべきであろう、そういうふうに考えております。
  168. 春名直章

    春名委員 ですから、誤解を与えるようなことをしないということを明確にしていただいて、これを教訓に各大臣にも内閣にも徹底していただきたい、このことを言っているわけでありまして、その点についてもう一度御答弁お願いします。
  169. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 ただいま私がお答えいたしましたのは、一般論としてお答えしたわけでございまして、今度の広告がそのままそうであるということは申し上げておりません。  しかし、これに限らず、今後いろいろな広報活動の中で、政府がやるものについては国民の皆さんに誤解を与えないような形でやるべきだということを申し上げておるわけでございまして、十分その点には今後注意していかなければならないと考えております。
  170. 春名直章

    春名委員 大臣が率先してこういう誤解を生むようなことをせずに、法を守り抜くということが本当に大事ですから、おとといの新聞を見まして驚きましたので、あえてきょう私は質問させていただいた次第であります。  次に、総理の秘書官のドコモ株問題についてお聞きをしておきたいと思います。  私は、総理にたくさん聞くことがございました。しかし、おいでになりません。これも私は重大だと思います。先ほどから、野党の方々からの質問でもそのことは言っております。怒りを込めて、そういう点では官房長官に聞く以外にありませんので、お聞きをしておきたいと思います。  先日来の野党の質問でますます疑惑が深まりました。古川氏のドコモ株取得についてですけれども、まず取得時期。とりわけ、小渕総理が郵政、電気通信分野の政府、党の主要ポストを歴任して、なおかつ官房長官在職時に、秘書官であった古川氏がドコモ株を取得している。また、だれの名義の株式を譲り受けたか、こういう問題。さらに、その取得金はどこから調達したかなどなど、余りにも疑問が多過ぎます。  この問題では、今御質問されていた海江田委員が、二年前の当委員会で、九八年の十月、この質問をされております。その際に、小渕総理大臣は、「すべからく調査して報告をいたします。」こういう明確な答弁をされていらっしゃるわけです。その調査報告、調査し報告する内容というのは、役員をやっておった方から直接譲り受けを受けたのか、それとも別の方から譲り受けたのか、その方はどなたか等々についての調査と報告でありました。  ところが、今週の月曜日、同僚議員の質疑に対する総理の答弁は、二年前に約束をした、すべからく調査して報告する、そういうものとはほど遠いものでした。  本来ならば総理に直接聞かなければなりませんけれども出席をしていませんので、補佐する立場の長官にお聞きしますけれども、あの月曜日の答弁をお聞きになって、総理が国会に約束をした、すべからく調査をきちっとやり、報告を国会にするということを果たしたとお考えなのでしょうか。私はとてもそうは思えませんが、いかがでしょう。
  171. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 私の官房長官という役目は、ドコモの株の問題について補佐する役目ではない、そういうふうに基本的には考えております。  この株の件につきましては、これまでの審議において、総理は総理なりにできるだけの明確な説明をしたと私は考えております。  また、本件につきましては、週刊誌の記事に事実に反することが記載されておったということで、秘書官本人が、名誉毀損罪として、週刊誌の編集人とその記者を警視庁に刑事告発をしておりまして、この刑事告発は、一昨日付、二月十五日付で警視庁において受理されておると承知いたしておりますので、その場においてこういう問題が明らかにされていくものと考えております。     〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
  172. 春名直章

    春名委員 告訴状の話をしているわけじゃないのです。国会に対して、すべからく調査をすると。すべからくというのは必ずという意味です。必ず私は調査をし、きちっとみずから報告をする、こういうふうに御答弁をされているんですね。これは広辞苑で調べましたので、すべからくというのは必ずという意味です。  そういう意味ですから、そういう点で見たときに、すべからく調査の調査の中身でいっても、例えば実のお兄さんの小渕光平さんにすら株の譲渡の問題について何も聞いておりませんでした、あれ以降。こういう問題一つとっても、本当にすべからくきちっと調査、報告するという立場に立っているというふうには私はとても思えない。このことを厳しく言わなければなりません。  告訴状の話が出ましたので、ちょっと御報告しておきたいと思うんですけれども、例えば、告訴状は、石井夫人の話は全部つくり話だと、非常に乱暴な告訴状になっているんですね。あの中に出てくる主人が、康元さんが株主であって、そして株主総会のいろいろなあれが来て、案内が来た、それから記念品が送られてくる、そういうことも全部うそだというふうに書いてあるんです、告訴状に。ところが、私は本人からいただいてきましたけれども、こういう現物があるんですよ。これは、上毛通信サービス株式会社、銀のはし置き、週刊現代に出ていたものですけれども、私は御本人から借りてきました、こういうふうに。例えばこういうことがうそだと言っているんですよ、告訴状には。うそじゃないんです、本物なんですよ、これは。こういう問題。  それから、メモ帳の中に株主総会の案内が来たからメモしたというのがありますね。それは、五月の二十四日十一時、記事の中にありますけれども、それもうそだと言っておられるんだが、しかし、そのメモ帳のコピーも私は御本人からいただいてまいりました。ちゃんと書いてあります。ポケットベル株主総会、午前十一時からと書いてあります。  ですから、告訴状を出したからそこで争ったらもういい、そんな話にはならないんです。ここで絶対に明らかにしなければならない、一つ一つの真実を。そういう態度でこの問題に臨まなければならないんです。そういうものではないですか。  古川氏の告訴状では、株式の譲渡を受けた事情が告訴状の二十四ページ以降に詳しく記述をされています。八七年の秋ごろ、鈴木氏が未来産業研究会の事務所を訪問し、以前から石井さんの名義を借りて持っている株があるから、古川さんにぜひ引き受けてもらいたいという申し出をしてきた。古川さんはいいですよと応じて代金を支払った。こういう記述が出てくる。  問題は、このときの古川さんの対応なんですけれども、名義人の石井さんが死亡している中で、鈴木氏は石井名義の株式の真正な保有者なのか、あるいは単に株式の一時の保管者なのか、このようなことをどういう方法で確認をしたのか、全くこれは中身が明らかにされておりません。鈴木氏が石井名義で取得をした七三年十月十六日の四千株、七九年十月一日の増資時の五百株、鈴木氏の代金の支払い証明とか、あるいはそれに対する会社側の領収書あるいは振り込み控え書を古川氏が確認していたのかどうか、そういうことも一切わかりません。それを確認した上で譲り受けをしたのかどうかもわかりません。だから、一番肝心な部分は全くわからない、こういうものになっているわけです。しかも、こういう問題がある。告訴状の中身自身が虚偽だということが証明されているような材料もある。  したがって、警視庁が受理をされたということでありますけれども、それはそれとしてやっていただきましょう、しっかりと。と同時に、政府が、そして小渕総理大臣自身も、すべからく調査をし報告をすると言っているわけですから、そういう態度でお互いに真実を明らかにする、この姿勢が大事なんじゃないですか。したがって、野党三党が証人喚問を既に要求をしております。いよいよこのことが大事になった、私はそのように考えるものであります。その点を委員長に改めて要望をしておきたいと思いますので、いいでしょうか。
  173. 町村信孝

    ○町村委員長代理 理事会で協議中でございます。
  174. 春名直章

    春名委員 こういう問題一つとっても、まともな答弁ではないし議論ではないということを思いますので、こういう点を改めて私は強調しておきたいと思います。  次に、吉野川の可動堰問題について、私は建設大臣にお聞きをしていきたいと思います。  大臣とは、私も交渉もさせていただき、住民投票が終わってから議論もさせていただいていますので、フランクに議論をしていきたいと思っています。  私は四国ブロックの選出議員ですから、この吉野川の可動堰問題に深くかかわってまいりました。今回の住民投票で見事な審判が出されて、私自身も感動しているわけであります。  大臣は、いろいろな場面でいろいろな御答弁をされておられます。私なりにこれをいろいろ見てみましたところ、二つ特徴があるなというふうに思うのですね。それは違うと言っていただければいいんですが。その一つは、住民との対話は重視をする、住民投票は尊重する、これから現地にも話し合いに行く、こういうふうに、住民投票の結果を一見真摯に受けとめられるかのような発言をなさっておられる。と同時に、もう一つは、可動堰計画はベストで、撤回することはない、中止という選択肢は考えていない、こういうふうにも御答弁をされている、私はつぶさに見ておりますので、こういうふうに感じるわけです。  そうしますと、この二つの特徴を組み合わせると一体どうなるかということなんですけれども、あなた方の言うベストであるはずの可動堰の説明が十分住民にわかってもらえなかったという結論になって、だから、これからもっと可動堰計画について詳しく突っ込んでいろいろ説明をしていく、こういう立場に結局立ってしまう。大臣は、こういう立場でこれから臨もうとされているんでしょうか。
  175. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  この間はまた、共産党の幹部の方々おそろいで、先生大臣室までお越しいただきまして、ありがとうございました。お話し合いを始める、いろいろな意味で接点を多く持ちたいと私も思っております。  先生も高知県の御出身で、本川村の瓶ケ森を発しまして、この川は百九十四キロ、その中で徳島に隣接するところは十四キロしかありません。だから、百九十四キロのうちで十四キロだけしか接していない徳島だけの御意思、私は、その徳島市の御意思は尊重したい、こう思っております。  ですから、私も、昨年の十月の五日に大臣に就任したところでございますから、私が今、皆さんにも申し上げたのは、ゼロの位置に戻りましょうと。一・二三運動、一月二十三日運動、私もこういう問題をどう考えたらいいのかということで、ゼロの起点からひとつ、皆さんも一・二三とおっしゃったんですから、ゼロで一緒にスタートしましょう、それがこれからの話し合いでございますということを、お越しいただいたときにも先生にも随分申し上げたはずでございます。五十七年に審議会にかけておるようでございますから、それからいろいろ専門家意見を聞いて、そういうものを、今までの経過は別にして、話し合いはゼロから始めたい。  特に、水害の問題というのは、あした起こるかもわかりませんし百年起こらないかもわかりません。明治四十年から今日まで工事をずっと続けてきておりますその吉野川という暴れ川の護岸をどうするかというのは、これは神様だけが結果を御存じでございますから。それに対しまして、私は、人の心と神の心の間をつる、これが政の基本だとこの間も御答弁申し上げましたが、そういう気持ちでおりますので、何にもこだわりはありませんので、どうぞひとつ春名先生もそういう意味でおつき合いをいただきたいと思います。
  176. 春名直章

    春名委員 ゼロの起点というのは一体何ですか。ゼロというのはどういう意味ですか。
  177. 中山正暉

    ○中山国務大臣 道路元標でいえば、お江戸日本橋の真ん中にある道路元標だ、そこからスタートする、こういうことでございます。
  178. 春名直章

    春名委員 では、今年度の予算も来年度の予算も凍結ですか、調査費は。
  179. 中山正暉

    ○中山国務大臣 調査費は、今日まで四十億くらい、人件費なんかを入れますと五十数億になると思いますが、そういうふうに人が営々と築き上げている、特に、専門的な技術者、土木工学の専門家、そういう人たちが、この川はこういうふうにするのがいいんではないですかという御意見を建設省としていただいて、それの積み上げの上にこれから現地の住民の方々との話し合いもしたい、こう思っておりますが、四十七市町村関係をすることでございますので、特に県会議員の方々が中心になって、私の部屋へ先生同様来られまして、三十二万の促進の署名簿もちょうだいをしておりますから、私はそういう方々のお気持ちも、いわゆるサイレントマジョリティーと申しますか、声なき声、それを聞くのが私の精神でございます。観世音菩薩、世の中の音を見る神様というのがありますが、ですから、音は聞くものではありませんで、音は見るもの、見えないものを見ろというのが観音という意味だそうでございます。
  180. 春名直章

    春名委員 私は本当に怒っております。私は、一年半前から、住民投票条例をつくるという運動や、それが否決をされて、一斉地方選挙で住民投票に賛成される方が過半数を占めるというような流れ、そして今度の住民投票等々のすべての流れや経過を知っています。大臣も、去年の十月ですから、そのことをすべておわかりになるということについて、知らないからだめだとか、そう言うつもりは全然ありませんけれども、しかし、そういう営々とした流れがあるわけです。  そして、住民投票になった経過というのは、そこまでやっても、可動堰計画という計画がまずあるわけです。調査費というのは可動堰計画を推進するための調査費なんですよ。そこをストップしないで、説得をする、そういう立場に立って、その中身一つ一つおかしいといって論破をされていく、また、納得ができない、そういうことの中で、審議委員会の最後の結論が見切り発車したわけです。それに対して住民の側が、住民投票という、最後の手段でしょう、住民の意思でいえば。そういうものを示して、そういう立場に立たないでほしい、可動堰計画をやるという立場から出発したら議論にならないんだということで、住民投票で最後の決着をつけたのです。それが歴史、私はそういうふうに認識をしているわけです。  ですから、ゼロからの出発というのにも中身がありまして、その中身というのは、今あなた方が計画をされているこの計画、今の第十の堰を取っ払って可動堰にしていくという、その計画そのものの是非が問われて、それにノーが下ったのですから、尊重するというのであれば、ゼロからというのであれば、その中身は、当然そのためについている予算は凍結する、一時休止をする、白紙撤回をする、白紙撤回という言葉がお嫌いなようですから、そういう姿勢に立たなければ真摯な住民との討論にこれから入ることができないじゃないか、その経過を私は見てもらいたい、こう言っているわけなんです。これはどうですか。
  181. 中山正暉

    ○中山国務大臣 調査というのは何をしようかというための調査でございまして、御党、共産党の常々の御主張というのは少数の意見を無視するなということでございます。賛成の票も九千三百六十七票入っておりますので、ペケという字をつけに行けという運動が二十二団体を背景にして行われた、その背景の中で大変勇気ある賛成の意見を示した九千三百六十七というその票数に、私はやはりそれは、数字は神の意思だ。ちょうど数字を読んでみますと、クサルナという字になります。九千三百六十七というのは、がっくりするな、そういう意味で、くさるなという意味が出ていると思いますので、御党の主張と一緒に、少数の意見を尊重したいと思います。
  182. 春名直章

    春名委員 少数の意見を尊重するということと、建設省がどういう姿勢と立場に立ってやるかというのは別問題です。  今経過を説明したのをよくのみ込んでいただきたい。三十二万署名と言われましたけれども、違います。ある銀行員の人は、一人で十回署名をさせられた。ある町の教育委員会では、町内七校の小中学校の校長に対して、署名の取りまとめを依頼して、それが批判を受けて教育長が謝る。県の職員から、十月までに署名を提出しなさい、できないのであればその用紙を上司に返還しなさい、命令されて踏み絵にされた、たくさんの告発があります。  三十二万の署名という信憑性はないんです。そういうものと、十万人を超える方々が自分の意思で、自分で学習をし、建設省ともおやりになって議論をし、そして出した結論と同列に扱うようなものじゃないですよ。いいですか、そういう重みのあることをやってきたんですよ。  だから、尊重されるというのであれば、ゼロからというのであれば、例えば、この間志位さんがお話ししましたけれども、中止という選択肢を本当に持つ、そういう姿勢に立つのかどうか、それを注目しているわけですね、住民の方々は。そして、議論はしているけれども、可動堰計画はそのままあって、そのための予算、調査の予算というのはどんどんついている。一体何なんだという話になるじゃないですか。ゼロというのであれば、そこを撤回するということが本当の意味のゼロではないですか。ここを問うているんです、私は。この点をぜひ私はもう一度お聞きしたいと思います。
  183. 中山正暉

    ○中山国務大臣 何度も申しますが、川の流れは一日もとめるわけにいきませんし、エルニーニョとかラニーニャとか、日本の周辺で台風が発生する、フィリピンの周りでできていた台風が最近では日本の周りで何日も停滞するという、地球温暖化の異常気象のときでございますので、特に四国の山々に降る、ことしは、この間ヘリコプターで私、現地、祖谷まで見てまいりましたが、雪が降っておりました。ですから、雪が解けるときのことを考えますと、やはり調査をしていくということは、あらゆる全方向で考えていくことでございますので、まだ予算もついたわけじゃございません。  先ほど申しましたように、可動堰は千三十億とかどうのこうの、堰だけの場合は九百五十億とか、いろいろな話がありますが、これは積算をしたらそのぐらいになるんじゃないかという話でございますので、まだまだ自由な選択肢というものはあります。それを皆さんと御一緒に話し合いましょう、その出発点がゼロということでございます。
  184. 春名直章

    春名委員 同じことを堂々めぐりしているんですけれども、その立場に立つということは、計画の白紙撤回も含めて、そういう選択肢を持って、またはそういう姿勢で臨むということについては、私は、建設省自身がお決めになった、提案した新河川法の理念そのものだと思いますよ。  新河川法の、住民の意見を反映して河川整備計画を策定するというこの改定ですね。この趣旨を簡明に述べてください。
  185. 中山正暉

    ○中山国務大臣 これは十六条の二というものでございまして、「河川管理者は、河川整備基本方針に沿って計画的に河川の整備を実施すべき区間について、当該河川の整備に関する計画(以下「河川整備計画」という。)を定めておかなければならない。」  「河川整備計画は、河川整備基本方針に即し、政令で定めるところにより、当該河川の総合的な管理が確保できるように定められなければならない。この場合において、河川管理者は、降雨量、地形、地質その他の事情によりしばしば洪水による災害が発生している区域につき、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置を講ずるように特に配慮しなければならない。」  三番目には、「河川管理者は、河川整備計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、河川に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。」  次が大事な四番でございます。  「河川管理者は、前項に規定する場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。」(春名委員「条文はいいですから、趣旨を言ってください」と呼ぶ)  このままが趣旨でございまして、災害に備えようと。そのためには、十六条の二の四項は、改正された中で入りましたのが公聴会でございますので、現場へ参りまして、私は賛否両論の方々とお話し合いをしたい。予算委員会が一日も早く、予算が上がりましたら、現地へ行ってまいりたいと思っております。
  186. 春名直章

    春名委員 建設省がおつくりになっている「新しい河川制度の構築」、これはパンフレットですけれども地域意見を反映した河川整備の推進ということの趣旨は、河川環境の整備と保全を求める国民のニーズにこたえる、河川の特性と地域の風土、文化などの実情に応じた河川整備を推進する、この二点なんですよ。意見を反映するということがなぜ必要かと、九七年の改正であなた方が提案をしていることです。  つまり、ニーズにこたえる。徳島の方々の吉野川へのニーズは、この美しい川や原風景を残してくれというニーズだった。地域の風土、文化そのものが第十の堰だった。二百五十年間役割を果たし続けてきた。自然の中に溶け込んできた。お堰と呼んだ。出征のときには堰に向かって手を合わせて、そして出征をされた。ふるさとそのものなんです。  しかも、対案も出しているんです、この堰を残してくれ、そういう整備をしてくれと。これがまさに住民の声じゃないですか。新河川法でこういう内容を入れた理念そのもののことが住民投票で出ているわけでしょうが。  これを守るというのであれば、まず、第十の堰を撤去して可動堰をつくるという計画、それが否定をされたんだから、そのことについて真剣な反省をして、本当の意味でゼロから話し合っていくということが新河川法の理念じゃないんですか。大臣いかがですか、私はそう考えますが。     〔町村委員長代理退席、委員長着席〕
  187. 中山正暉

    ○中山国務大臣 先ほどくどくどと条文を読みましたが、趣旨というのはそれを要約したものでございますから、その要約した趣旨というものの表現ではなしに、私が原文を読んだのはそういう意味でございますので、そこにすべてが入っていると思っております。
  188. 春名直章

    春名委員 まだ新しいこの計画、制度がここには適用されずに来ていますから、このとおりのこと、この条文に沿ってということを言っているわけじゃないんです。理念と趣旨というのは何かというのを私が言ったわけです。それが具体的にあらわれたのが住民投票のその姿じゃないかと私は言ったんです。  私、こういう姿勢で、住民投票の前と基本的には同じような姿勢でやられるということになりますと、非常に危惧を感じまして、これから住民の方々と話し合う際にもぜひともただしておきたいことがございますので、幾つかお聞きします。  私が許せないなと思ったのは、可動堰計画をごり押しするためには手段を選ばないやり方が行われてきました。それが一層住民の不信を駆り立てるということがやられてまいりました。  一例を挙げたいと思います。  建設省が出しておられる「藍より青きよしのがわ」というのがあります。徳島工事事務所の広報資料です。これはずっと何回も出てきています。ちょっとこれ、ひとつ見ていただければと思うんですけれども、よろしいでしょうか。(中山国務大臣「持っております」と呼ぶ)ありますか、はい。  例えば、この二十八号に、九八年九月に、私が住んでおります高知市を襲った集中豪雨の表が出ております。確かに大変な豪雨でして、二日間で九百ミリぐらい降りまして、もう水浸しになりました。大変な事態でした。七名の方がたしか亡くなられました。この写真を使いまして、吉野川の上流でこの集中豪雨が起こればという勝手なシミュレーションを行いまして、大変なことになるという宣伝をやったんですよ。私はびっくりしました。  大臣、これは詳しくきのうレクしましたので、こういうことが今でも起こると思いますか。
  189. 中山正暉

    ○中山国務大臣 委員長の許可をいただいて、これは、吉野川の流域でございますが、これは明治四十年から昭和二年までが第一期改修工事、昭和二十四年から昭和四十年代前半、それから昭和四十年から平成七年。それから、この上の方は、野球で有名な池田高校がこの川岸にありますが、ここはまだ全く無堤地域でございまして、別にこれは、可動堰だけを河川でやっているわけじゃございませんし、そのシミュレーションをするのは当然ではないでしょうか。  私が先ほど申しましたような異常気象が起こって、お年寄り夫婦がお別れぞねと言って、老夫婦が交わした最期の言葉というのが載っております。政治というのは、想像力と空想力を働かせて国民を危機から守るというのが、私は政治家の責務だと思っておりますので、最悪の事態を予想する、これが政治の一番大事なところでございます。
  190. 春名直章

    春名委員 空想で人をおどしたらだめですよ。現地の工事事務所の……(発言する者あり)いいですか、聞いていて。  現地の工事事務所の五藤さんという副所長が、四国の地形を全く無視しており、安直な考えでつくったことは否めない、誤解を招いたと謝っているんですよ。なぜこういう発言をしたかわかりますか。気象の専門家が絶対にこんなことは起こらないと言っているんですよ。  豪雨のメカニズムは各地で違うし、高知の豪雨は南から暖かく湿った空気が四国山地にブロックされて発生したんだ、その要因があるんだ、だから、高知地方気象台の技術課長は、こんなことは起こりません。高知の豪雨は平野部を中心に雨を降らせるのが特徴で、その雨が山間部にまで入っていくことを示した概念図は疑問です、高松地方気象台の松村予報官。だから、誤解を招いて申しわけない、こういうふうに新聞で謝罪をしているんですよ。こういう問題があるんですよ。(中山国務大臣委員長」と呼ぶ)委員長じゃないです。本当に、こういう問題を、私は一般的なことを言ったんじゃないんですよ。こんな事態が、同じことが起こると書いてあるんですから。それは否定されたんですよ。  では、もう一つ聞きます。  吉野川の第十堰の上流に流入する支流の川は、第十の堰の堰上げによって排水が困難で、内水被害に苦しめられている地域となっている、こういうふうに言って、内水被害の問題も可動堰建設の口実に利用されてきました。こういう立場も、これからはお変わりにならないんでしょうか。
  191. 中山正暉

    ○中山国務大臣 情報というのはいいとこ取りをしないでいただきたいと思うのですが、先ほど先生がおっしゃった言葉の後に、その発言をなさった人、これは新聞に載っていないということのようですが、河川管理者としては当然の心配でしょうねと言ってくれております。その前の、前段だけが新聞に載って、ニュースの選択をされる。ニュースというのはいいとこ取りでやられますと、情報というのは確かに必要でございますが、情けに報いると書いて情報でございますから、その辺はちゃんと全情報を収集しませんとだめだと思います。
  192. 春名直章

    春名委員 住民との議論の中でこういう、何が何でもという誇大な宣伝をされて後で引っ込める、そういうぶざまなことをやられるから、それが不信になって住民投票になったんですよ。そうでしょう。その姿勢を、少なくともこういう不安だけをあおるようなやり方ではなくて、冷静な議論をしましょうと。特に、高知市でそういうことを例に使われるから私は腹が立っているわけです。人をおどすことはやめてください、そんなことは。  内水の問題だって、結局可動堰にしなければ内水被害がやまぬみたいなことを言われるけれども、第四回の審議委員会に報告された文書を見たら、第十の堰の撤去の前と撤去の後、結局、建設省のシミュレーションでも、浸水面積ではわずか〇・五%減るだけ、第十の堰を撤去すると。それから浸水家屋数でも二・二%減るだけ。床上浸水家屋数でも一・四%減るだけ。こういうことで、ほとんど効果がないということを第四回審議委員会でみずから明らかにされて、失笑が漏れたというふうにお聞きをしております。  ですから、こういう少なくともまじめな議論をするのであれば、大臣お願いです、過大なあるいは誇大と住民自身が思われるような、そういうやり方はもうやめていただきたい、真摯に、科学的にやっていただきたい、このことを要望しておきたいと思いますが、どうでしょう。
  193. 中山正暉

    ○中山国務大臣 委員長にちょっと図面を提示することをお許しいただきたいと思うのですが、これはアメダスの等高線がずっと書いてございます。本川というところが三千ミリ、先生の高知県に入っていますが、これが源流でございますから……(発言する者あり)今反論権があるという話でございますので、これは皆さんとの話し合いをするときも、こういうやりとりが私は必要だと思っておりますので、先生にそうおっしゃっていただくのは私、大変ありがたいと思います。(春名委員「質問にまず答えてください」と呼ぶ)はい。ですから、話し合いをさせていただきたいと思います。  ずっと、そのための調査費でございますから、これは貴重な、国会で御審議をいただきましたその結果の予算が調査費としてついておりますので、これは与野党ともに、私どもは最悪の事態を予測しながらその情報を提供するというのは、これはおどかしでも何でもありません。おどかしというのは、おどかして何かとろうというのがおどかしでございます。何かを与えようというのはおどかしになりません。
  194. 春名直章

    春名委員 本当にこんなことでいいのですかね。住民が泣いていますよ。まともな答弁してください。  住民投票を受けてゼロベースで話し合う、二十年はかかる、こういうふうに言っておるのです。私は本当に残念ですけれども、まさにゼロベースと言うのであれば、そういう選択肢をお持ちになって、私が言っているような、予算を凍結する問題、一時中止、そういう選択肢を持つ問題、そういうことも含めて真剣な議論をする、話し合うということを私は改めて要望しておきます。またやりましょう。  引き続き建設大臣お話を聞きます。  二月の八日、記者会見を行いました。二月の十九日付の週刊現代と二月七日付の日経新聞などの報道にかかわる記者会見を行われました。五千万円の不透明な入金という問題について釈明をされました。これにかかわって私は質問をさせていただきたいと思います。  私どもは、あなたに五千万円を、まあ渡したのか奪われたのかわかりませんけれども、そういうふうに言われているNさんと直接お会いをしてまいりました。事情を詳しく聞いてまいりました。重大な疑惑がありますのでただしていきたいと思いますので、資料を今お配りいただけますか。——それを配っている最中にも聞いていただければいいんですけれども。  まず第一に、N氏が払った五千万円という大金は、あなたの事務所を素通りして、ある団体の、自由国民会議の党友会費という形で党本部に入った、こういうふうに大臣は御説明をされておられます。それならば、なぜあなたの事務所が、責任もないのに一千万円をこのNさんに返さなければならないのでしょうか。ここをわかるように私は説明していただきたいと思います。
  195. 中山正暉

    ○中山国務大臣 これまた先生に感謝をしなけりゃならないと思います。どなたか聞いていただきたいと思っておりまして、先生にこうして釈明をする機会をお与えいただいたことを心から感謝申し上げたいと思います。  実は、少しお時間をいただきまして説明……(春名委員「短くやってください」と呼ぶ)いや、これは短くできません。十三年前からにさかのぼる話でございますので、これは本当は十三年かかるんでございますが、できるだけ短くいたしたいと思います。  私が実は国民運動本部長をしておりますときに、党本部から、解放同盟の分裂をした同友会という会の総会が福岡の直方であるから行って、それで、党本部から、私は自分の党の役職、先生の御党の規約にも下部は上部に従うと書いてございますから、私も上部の命令に従いまして、直方へ出かけていきました。  そのとき、私はその大会の中身は何も知りませんでした。私は実は控え室におりまして、大会が終わりましたから出てほしいと言われて、自分なりの講演をして帰ってきましたが、大阪へ帰ってきてから、今度は解放同盟の方から、どういうことだというお問い合わせがありました。  何ですかと言ったら、その同友会の機関誌に、地名総鑑を配って何が悪いと。きのうも濱田議員から地名総鑑の話が出ておりましたので、ああ、このことだなと思っておったんですが、それで、そう書いた後に講師中山正暉と、全く私は中身も何も知らないのにそう書いてあって、そのころは上田卓三先生が解放同盟の事務局長をしておられましたが、私に会合に出てくれと。どうぞ、行きますと。行くな、出ろ、いろいろな話がありましたが、私は国会議員が行けない場所があってはいけないというので、大阪西成区の解放会館に出かけていきました。逆の立場でいえば糾弾ということなのかもわかりませんが、私はその場に行きまして、私の心情を全部話をしました。  そうしましたら、そこへ話の途中に、私を呼んだ直方の、福岡の方の同友会の方々が、三、四十名どやどやどやっと入ってこられたので、私は乱闘騒ぎにでもなるんじゃないかなと実は心配をしたんです。心配をしましたが何も起こりませんで、席のあいたところへお座りになって、無事何もかも、大拍手で送られて私は帰ってまいりました。  そうしたら、今度はその同友会の方から、自民党の党友になりたいという御要望がありまして、それで私は、私は国民運動本部長をしておりましたから、それは党友になっていただくのはありがたいことだねということを言っておきましたが、秘書の連中がその後、その党友になる方々の名簿を下さった。その振り込みが杉さんという人からあったようでございます。それは、西山さんという方、それが本名はどうも東山さんとか、よくわからないんですが、そういう人にお金を頼まれて振り込んだ。  私は、それは党費を入れていただいたと思っておりますので、ありがたいことだなと実はそのとき思っていましたが、それが今度は、何年かたちまして、私が総務庁長官になるときにまたこの話が出てきました。  私は、党費を借りた覚えはございません。それで、今おっしゃいましたのは預かり金でございまして、これは銀行——私は、週刊現代の広部という記者にも、ちょっと待ってくれ、私は全くわからないから調べてからにしてくれぬかと言いましたら、ぱっと出してしまいまして、大うそばかり書いてあります。  調べてみましたら、六十二年の七月の三十一日に振り込まれていますが、その同じ七月の三十一日に党の方へ、自民党の方へ送り出しています。私が党費を拝借してそれを踏み倒したことになる、これは私は、正式に法律的な手段をとろうと思っております。  それで、またびっくりしたのは、田中という弁護士が、私は何にも知らないけれども、その後の第二項のところで、政治的道義的責任を感じて一千万円を渡したという、私は全くそんなやりとりは知りません。  この間、その弁護士先生と初めてこの週刊誌が出てからお電話で話をしました。どういうことでございますかと言ったのですが、いや、あなたには全く関係ない、私たちでそういう、それがもし党友の費用を払ったのが杉さんのものなら気の毒なので、それでお金を払ったのじゃないかと思うと。どうしてこれが出てきたのですかと言ったら、いや、自分のところへ、話がついたというので金庫の中へ入れておいたら、文句を言ってきた人から、それでは、話がついているというのならばそれを見せてくれと。見せたら、それでは、これは相手を説得するためにコピーをとらせてください。これが週刊誌に出たのですね。  ですから、あの週刊誌の上にも書いてあります、先ほどから御質問のあった吉野川、それから尼崎公害訴訟の元凶、建設大臣中山正暉、四千万円を踏み倒したと。私は、党に入った金を踏み倒した覚えも何にもありませんし、私がもしその接触に出ていたら、何で私がそれを返さなきゃいけないのですかと私は拒否しているところでございますので、よく本当にお尋ねくださいました。ありがとうございます。
  196. 春名直章

    春名委員 あなたは記者会見で、今、杉さんとおっしゃいましたけれども、会ったことがないかのように言っておられます。(中山国務大臣「全く会ったことはないです」と呼ぶ)では、お聞きします。  まず、これはその杉さんから私どもがもらってきた、五千万円を振り込んだという振り込み用紙の写しであります。これは、御本人の承認を得てコピーをもらってきたものです。渡っていますね。  まさに昭和六十二年七月三十一日付、受取人は中正政治懇話会(中山国務大臣「チュウセイ」と呼ぶ)チュウセイですけれども、こっちにはナカマサとルビを打っていますからね。五千万円と明記されている。報道では、八七年七月三十日に、大阪のある政治団体の幹部A氏から、中山正暉氏の資金管理団体、中正政治懇話会の銀行口座に翌三十一日の午前十時までに五千万円を振り込んでほしいと言われて、振り込んだとなっていますが、その報道と私たちが聞いてきたこととこの用紙は完全に一致するわけですね。  さらに、報道では、九三年五月十日、ホテルプラザの五階であなたと会ったというふうになっております。私も本人と確認をいたしましたが、私が入っていくと、中山氏はいきなり両手で私の手をぎゅっと握り、申しわけありませんでしたと頭を下げた。そして、必ずお返ししますとはっきり言った。そして、中正政治懇話会に確かに入金されていることをその場で確認をし、私の自宅はここですから今度遊びに来てくださいと、名刺にみずからの住所を書き込んで、Nさん、杉さんに渡した、こういうふうに文章がなっていますね。  その名刺の写しが、御本人の承諾を得てコピーしてきたのが二枚目です。資料二です。確かに中山大臣の名刺であり、その右に住所が書き込まれております。私どもが御本人から聞いた話も同様であります。少なくとも二回会っているのじゃないですか。隠しようもない事実だと私は思いますけれども、いかがですか。
  197. 中山正暉

    ○中山国務大臣 ですから、私は言っているでしょう、全くうそを書いてあると。あの週刊誌は小説です。全くの小説で、私はその方に会ったことはありませんし、私は名刺を大事な人に書くときは、下に花押を書きます。ですから、それはどこかのだれかに家の番号を渡したやつはどこからでも手に入ります。それは、パーティーとかそんなのに行ったら幾らでも、ちょっと御住所を書いておいてください、ミカンのおいしいのができたら送りますとか、そんなことをおっしゃっていただきますから、それは、事務所のしか書いていないから渡しますが、全く会ったことはありません。  ですから、本当に……(発言する者あり)これは名誉毀損でありますし、私は公職選挙法二百三十五条違反だと思っております。当選を得さしめないための虚偽の披瀝をして、そしてその名誉を毀損して、選挙妨害をする。私はこれを選挙妨害で訴えたいと思っております。というのは、相手方の、私の相手で立候補を予定されている人たちの配下の人たちがこの週刊誌を一生懸命配っていますから。これは明らかに選挙妨害。ですから、それをはっきりさせますので。  私はその人に会ったことはございませんし、私を脅迫している人に遊びに来なさいなんて、私は言いません。
  198. 春名直章

    春名委員 この合意書、三ページ目です。平成五年の八月十九日。こういうことです。  そこには、第一に、五千万円の振り込み送金について、中山氏は一切関知していないと、それはさっきおっしゃっていましたけれども。二、中山氏は、五千万円の振り込み送金について道義的政治的責任があることを認め、謝罪し、N氏の損害を補てんするため一千万円を交付する。第三、今後、両者の間で債権債務関係が一切存在しないことを確認する、こういうものであります。  私もこの写しをもらってきたわけですけれども、この合意の中の第二項目めに、中山氏は、五千万円振り込み送金について道義的政治的責任があることを認め、謝罪し、N氏の損害を補てんするため一千万円を交付する、こういう中身があるわけですね。中山正暉代理人弁護士田中森一さんですか、という文章になっていますね。道義的政治的責任がある、こんなことが勝手にもし決まっているのだったら、私は大変なことだと思いますけれども、これはどういうことですか。
  199. 中山正暉

    ○中山国務大臣 だから、申し上げておりますように、私はこれは一切知りません。この間弁護士さんに言ったら、私に振ってくださいとおっしゃいました。私は、こんな、先生、どうしてこういうことをお書きになったのを置いておかれたのですかと申し上げたぐらいでございます、この弁護士さんに。私は全くこの存在を知りませんでしたし、この中山正暉というのは私の署名じゃありません。私の署名があって代理人弁護士田中森一と書いてあるのでしたら、私は先生の前で頭を下げますが、これは全く私の署名ではありませんし、それで、上の方では、昭和六十二年七月三十一日、甲が依頼により金五千万円を中山政治、これは、私のところへ入れていただいたんじゃ——単なる一日の、半日ぐらいあったお金が党本部に入っているわけです。党本部の方を調べてください、ちゃんと入っていますから。  ですから、これはもう本当に私の関知しないところでこういう合意書ができてしまったことを、その当時の秘書の畠成章というのがおりましたが、これに私は、どういうことなんだ、こういうことを言いました。もう話がつくのだからこれでいいじゃないですかみたいな話があったのかと思いますが、私にしてみたら、こんなものが存在していることすら、これは本当に、田中弁護士に私がこの間電話して申し上げたことを聞いていただけばいいと思いますが、私は全くこんなものは存在を知りませんでした。
  200. 春名直章

    春名委員 会見では、その方におどされて一千万円を恐らく返したのだろうと発言をされています。これはどういう意味ですか。
  201. 中山正暉

    ○中山国務大臣 ですから、お答えを申し上げますが、そのときにもう一人の秘書がおりまして、これが恐喝事件に加担をしておりまして、その東山さん、西山さんと言われる人におどかされて、ついに、私の大変親しかった人がお育てになった病院の院長、もう本当にお若いときから親しくしていたのですが、その病院に何と、レントゲンで骨の折れたところを見過ごしていたといって五千万円以上の要求をしたのです。それを私どもの不届きな秘書が、それを一千百万円で話をつけたなんという恐喝事件がありました。  そういうことをされていたから、その東山さん、西山さんという人が、最後にその人にお金を貸した人、それがどういう関係なのか、私はその杉さんという人も全く知りませんし、私が謝ったなんというのは、本当によくも、週刊現代の広部潤という男でございますが、この男にも私は、大体途中で経過がわかってきたときに私は電話をかけて、夜遅うございました、もう十二時半でございましたが、講談社に電話をかけて抗議を申し込みました。  これはもう私は承知しないつもりでおりますので、これはもう選挙が近いということ、先ほども先生が公職選挙法のことをおっしゃいましたが、二百三十五条の二項には、「当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。」と書いてございますから、これは公職選挙法、先ほど通産大臣におっしゃったことと裏返しでございますが、私はこれは公職選挙法で選挙妨害だと思っております。
  202. 春名直章

    春名委員 二月八日の釈明会見に戻りますが、その杉さんが払った五千万円のうち、四千七百五十口、四千七百五十万円を党本部に入金というふうになっています。四千七百五十口、これは御本人が言われている。(中山国務大臣委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください。そのまま素通りで党本部に送ったとしたら、二百五十万はどうなったのかという問題があります。これはちゃんとお答えください。
  203. 中山正暉

    ○中山国務大臣 あのときの記者会見の数がちょっと違っておりまして、四千七百八十五口というのが本当の数でございます。  ですから、私はそれを知らないのですから、そのあとのお金がどうなったか、これはもう私はわかりませんし、十三年前の話でございますから、これは政治資金規正法でも三年の時効がございますから、これは調べようがございません。だから、銀行を通過したときのものも、十日ぐらいかかりました、その銀行に調べてもらうのに。  だから、週刊現代にも、ちょっと待ってくれ、銀行で十三年前の資料を出してくるには、コンピューターの時代になっているから、それを取り出すには大変暇がかかるから少し待ってくれないか、ちゃんと説明する、こういうことを言ったのですが、二日の夕方までに返事しろというような大変強圧的な、そして本当にその雑誌を見てみたら、半分ぐらいが女性の裸ばかり載っている本でございまして、男まで裸にするのかと私は言ったのです。
  204. 春名直章

    春名委員 それにしても、二百十五万円、これは明らかになっておりません。さらに、あなたの政治団体に会費が一たん振り込まれた、大きな金庫がなかったから、銀行に一たんは振り込んで、すぐに党本部に入れた、こういうふうに言っておられるようです。そうであれば、政治資金管理団体への入金ですので記載しなければなりませんし、あなたは、自分への政治献金ではない、党友の会費だから記載する必要はない、こういうふうに釈明をされておられるようですが、しかし、政治資金管理団体への入金であります。たとえ一日二日であっても、入りと出をはっきりさせれば何も問題ないわけでありまして、しかも二百十五万円、今の数字でいえば、ずれているということになるわけです。これはどういうことになっているのですか。
  205. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えします。  これは、半日ぐらい、もう本当に銀行の手続を、振り込みがあったわけでございますから、これは振り込まれたものをすぐ党本部に送り返した。だから、党本部に聞いていただいたらこれははっきりしております、私、資料を持っておりますから。ですから、これは預かり金でございます。私がちょうだいしたものではありません。自民党の党友費でございますから、誤解のないようにしてください。私が二重に、党と一緒になって、党に納められたものを私が政治資金規正法のもとでの登録をするはずがございません。預かり金でございますから、入ったものではございません。
  206. 春名直章

    春名委員 しかし、政治資金管理団体に一たん入金をしているわけですから、それは間違いないわけですからね、そうでしょう。それはもう御本人が言っている。(中山国務大臣委員長」と呼ぶ)まあ、ちょっと次も聞きますから。そういう問題は、釈然としない問題があるわけです。  それから、私は、四千七百八十五口というのはどういう口数かを考えてみました。自由国民会議への会費として納入したその会費は、自由国民会議の会費納入総額のどの程度を占めているかというと、八七年度の会費総額は八億九千二百六十七万円、八万九千二百六十七人分。四千七百八十五口、これは、全体の納入額の約六%ぐらいでしょう。八七年度の大阪の党友数を調べてみますと、これは一万二千五百五十三名。ですから、四千七百八十五口というのは恐らく四〇%ぐらいにもなるでしょう、口数でいえば。  さらに、自民党員の場合は、私がお聞きしたところでは、会費が、党員の場合、会費千円組を例にとると、二百円が党本部に納められて、残りを県連その他で配分する仕組みになっている、こういう報道もございます。  自由国民会議という党友ですね、これは自由国民会議は。この仕組みは、私も調べてみましたけれども、ここにパンフレットがありますけれども、一万円の党友会費をどういうふうに配分するのか確かめてみましたら、会費一万円中四千円を紹介者に還元する仕組みになっていますね、これは国民運動本部長もされているので御承知かと思いますけれども。四千七百八十五口、四千七百八十五万円、その金額のうち、一万円で四千円、四〇%というのが還元されるという仕組みだとします。自由国民会議の会報では紹介者にそれを還元するとなっていまして、紹介者というのは、自民党都道府県支部連合会、自民党所属国会議員、都道府県、政令指定都市議員都道府県知事あるいは政令指定都市市長及び職能・職域団体、こういうものが紹介者、こういうふうになっているというふうに書いている、これはもう事実でしょう。  明らかにしていただきたいと思っているのは、報告もしていただきたいと思うのですが、四千七百八十五万円、つまりその四〇%が、恐らく二千万円弱ぐらいになると思いますね、戻ってくるというような仕組みがそのまま実行されているとしたら、これはなかなかのことになると思います。そして、一千万円返しているということについても、その中で、例えば一千万円を、おどされているのかどうか知りませんけれども、その中の分をお返しをし、あとの分はここに残っているというようなことにもしなっているとすれば、それはまた重大な問題ですから、そういう問題として私は調べてみました。  あなたは最初から全く知らないということをおっしゃるので、そのことも、そんなことはわからないというふうに言われると思います。したがって、私は、ここで責任を持って、こういう資料ももらってきましたので、どれが真実なのか、どこに本物の姿があるのか、やはり国政を預かっている建設大臣ですから、非常に大事な要職ですから、その問題についてきちっとした、真実に基づく報告を当委員会にきちっと出していただきたい。このことは強く要望しておきたいと思いますが、いかがですか。
  207. 中山正暉

    ○中山国務大臣 ですから、先ほどから何度も申し上げておりますように、その方々がそういう目的でお集めになって、それを、党友の費用を杉さんなる——あなたがお目にかかられたとおっしゃるのですから、私がもし借用書でも書いているのなら、私に裁判でも何でもしていただいたらいいわけでございまして、私がそのころの、十三年前のそういうやりとりがわからないからこそ、こういうおどかしの材料になったり、それも閣僚になるたびにそういうことが浮上してくる。  それは明らかに私の足を引っ張ってやろう、今度は先生も御執心の、先ほど吉野川の問題で私を悪者に仕上げよう、そういう週刊現代の意図を感じますし、尼崎公害訴訟もついでに書いてございますが、私はそれを今、十三年もたったものをここに、それじゃこれでございますと言って確たるものを先生にお出しする材料を持っておりません。先生がお調べいただく、先生の挙証責任を先生が遂行していただく以外にない。全く私の関知せざるものに対して私が証拠を挙げなきゃならない理由というのは、法律上、私はないと思いますので。それを追及なさる。今お読みになったように、紹介した人に還付されるというのはそういう当時の団体の、行方不明になっておられると聞いておりますが、その方が御存じなんじゃないでしょうか。  だから、私はむしろ脅迫、恐喝されたのを知らなかっただけの話で、それを秘書連中が、私に何とか心配をかけないで解決しようとしたのがこの問題ではないかと私は思っておりますので、私はむしろ被害者でございます。
  208. 春名直章

    春名委員 そうであるならば、畠さんという秘書からお話を聞き、田中森一さんという弁護士からお話を聞き、その結果を、身の潔白を、あなた自身がちゃんとただす。ただすじゃなくて、それをきちっとやる。そういうことをやるのが当然でありまして、そのことをちゃんとやってください、身に覚えがないというのであれば。こういう問題が起こっているのですから、火のないところに煙は立たないといいますけれども、そういう問題が起こっているのですから、そのことの真実をちゃんと明らかにしてください。それはできませんと言う。それじゃだめですよ。やれることは何ぼでもできます、やり方は。
  209. 中山正暉

    ○中山国務大臣 ですから、私は全く身の潔白を、これは信じていただくほかないと思いますが、それでもおまえがだめだとおっしゃるのなら、それをむしろあなたが明らかにしてください。あなたの責任じゃないですか。そういうことはお得意でいらっしゃるはずでございますから、どうぞ、ひとつよろしくお願いします。
  210. 春名直章

    春名委員 そんなことを言っているんじゃないのです。こういう雑誌を、例えば名誉毀損で訴えられたらいいわけでしょう。そういう問題もあるでしょう。そしてこの事実がどうなのかということを、みずからがちゃんと潔白を示すというのが当然、政治家の使命じゃないですか、こう言っているんですよ。  あなたの秘書がやっているのでしょう。代理人と言って、書いてこうなっているわけでしょう、弁護士さんが。だから、そのことについてきちっとあなた自身がお調べになって御報告すればいいわけであって、私はあなたをおとしめようという、そんなつもりは全然ありませんから、真実をちゃんと明らかにしましょうと。その努力をしてください。
  211. 中山正暉

    ○中山国務大臣 だから、あの合意書のサインは、私のサインではなくて弁護士のサインでございますから。私がサインをして、弁護士さんが代理人として署名されるのならわかりますけれども、私のところへサインも何もとりに来られなかった。勝手に、委任状も何も書いていませんし。  ですから、記者会見して日にちがたっておりますのに、一般紙は全く取り上げていらっしゃらないですね。ですから、あなたが私に責任がある、私は責任がないと思っております。私は全く知らない間に、私がむしろ先ほど申し上げたように被害者だと思っておりますから、それはむしろ、私は法律的に手を打って、そして講談社、講談社の社長を訴えようと思っております。講談社の社長と広部潤という人、この人を公職選挙法違反と名誉毀損、両方で訴えますので、それが先生に対するお答えだと思います。
  212. 春名直章

    春名委員 では、ちょっと確認しておきますけれども大臣、この字ですね。資料二、住所。御本人の字ですか。どうですか。
  213. 中山正暉

    ○中山国務大臣 それは当然、私の字でございます。しかし、私はいつも名前の下に花押を書きます。花押を書いて私はお渡しすることにしておりますので。それは、さっき言いましたように、スイカを送ってくださるかミカンを送ってくださるか、あるいはマグロ一本送ってくださるか、そういうときにちょっと住所書いてくださいよと言われたら、パーティーの最中でも書きます。
  214. 春名直章

    春名委員 そういうものをわざわざこういうふうに言っているわけなんですよ。ですから私は、この人があなたをおとしめようとしているとか、そんなふうに、私はわかりませんけれども、そうは言いませんよ。  だから、その事実を、国政を預かっている大事な大臣なんですから、こういう疑惑をかけられているわけですから、みずからがお調べになって、そういうことを一つ一つ調べて、私たちも納得できるように報告をしていただく。それはいいですね。
  215. 中山正暉

    ○中山国務大臣 ですから、これが私のところの銀行口座に入って党に入っていないとおっしゃるのならば、そうおっしゃってください。そうでない限りはどこまでいっても水かけ論でございまして、先生は当選一回でございます、私は当選十回でございますから、三十年の間にはいろいろなことがありました。先生もこれから御経験なさると思いますから。  そういう意味で、しっかりひとつ、自分がしっかりしていることだ、こう思っておりますので、私は、天地神明に誓ってやましいことはいたしておりません。自分が取り込んでおりませんので、その辺は御理解をいただいて、それを証明して報告を出せなんておっしゃったって、これは無理なこと、ないものねだりというのがそれです。
  216. 春名直章

    春名委員 それでは、この一千万円ですか、これを返した話とか、それは全部、田中さんの話とか、それから畠さんですか、お会いしたという話とか、そういう話はそれはそれとしてここに出ているわけですから、だからその事実を私は確かめたい、そういう思いで、一念で言っているわけなんです。いいですか。  だから、御本人がその近くの、実際にその杉さんという方にお会いしたという方であればその方にお話を聞き、できるわけでしょう。田中さんだってできるわけでしょう。違いますか。だから、それを確かめたらどうですかと言っているのです。
  217. 中山正暉

    ○中山国務大臣 だから、私は、当然のことながら、これは大阪府会議員もしております、公職におります者でございますから、畠成章という男にどうしたんだと聞いても、自分もわかりませんと言うのですから、私はそれ以上調べようがありません。  私の知らないところでその当時の田中弁護士と相談をしていることでございましょうから、私、田中先生にもそれを聞いたのでございますが、いや、自分も本当にわからない、こうおっしゃっていましたので、それ以上私は手のつけようがありませんが、基本的に御信頼いただきたいのは、私のところでとまっていない、党に入っている。そのとき党からもお褒めをいただきました。福田赳夫先生の党友の数と、私が二番目だ、ああ、これで国民運動本部長としての私の責務は果たしたなと思ったことは記憶しております。
  218. 春名直章

    春名委員 それでは私は納得できません。  委員長に、この点改めて、そういう問題として今問題提起をしましたので、理事会としても議論していただいて、提出するかどうかも含めてしていただきたいと思いますけれども、そういう議論をしていただきたいと要望しておきたいと思いますが、いかがですか。
  219. 島村宜伸

    島村委員長 これは理事会で扱う性質のものではないように思います。
  220. 春名直章

    春名委員 私は、本人に会ってやっているのですよ。ですから、本当の真実をちゃんと明らかにすればいいのです。それだけのことなんです。  そういう点を真剣にやりましょうよ。それだけ国民から疑惑がかけられているのであれば、それをきちっと明らかにすればいいのであって、そういう点を委員会として取り上げていただき、報告も出していただくということを議論していただきたい。いいですか。
  221. 島村宜伸

    島村委員長 理事会というのは、委員会の円滑な運営をいわば図るためにお互いに協議をする場でありますから、個別案件を一つ一つ理事会で預かっていたのでは際限がありません。したがって、お受けいたしかねます。  質問時間が終了いたしました。  これにて春名君の質疑は終了いたしました。  次に、保坂展人君
  222. 保坂展人

    ○保坂委員 社民党の保坂展人です。  ただいまの共産党の春名委員の扱い、理事会で協議するぐらいは当然あっていいことと私の方からも言います。理事会で協議するということは、その結論は特に約束していないわけですから。  私の質問に入ります。  総務庁長官にお越しいただきました。のど元過ぎれば熱さを忘るるという言葉がありますが、私は、たびたびリクルート事件を振り返って、果たしてこの反省と教訓を生かして現在の政治があるのかどうかをただしてまいりました。  総務庁長官に伺いたいところなんですが、先般この委員会で問いかけてきました小渕総理の秘書官が譲渡手続を終えたと言われている時期、これは一九八八年六月、リクルート事件のさなかですね。しかも、地元の有力者から、近く合併するので私は引退しなければならない、故人の石井名義の株があるから古川さんに引き受けてもらいたいと勧められて、二百二十五万円で購入したという内容です。これはいわゆる告訴状から引用した内容ですので、私の言葉ではありません。  この件でたくさんの方が発言をされています。未公開株でもうけるという構図が総理の直近の人物とはいかがなものか、十年前のリクルート事件をほうふつさせる、こういう声もあるのですが、総務庁長官、政治家としていかがお感じですか。
  223. 続訓弘

    ○続国務大臣 今のお尋ねではございますけれども、特に選挙で審判を受ける者は厳しく自分を律する必要があると思います。しかし、一般論として、お尋ねのような問題があるとすれば、これは問題であろう。しかし、事実関係を私は知りません。事実関係を知らないでいろいろコメントすることはかえって人権を侵害するということがありますので、コメントは差し控えさせていただきます。
  224. 保坂展人

    ○保坂委員 続長官は、三党連立政権、公明党から閣僚として内閣を構成しておられる立場ですよね。それで、二年前の参議院の本会議におきまして、当時公明の益田洋介さん、参議院議員ですね、これをただしているのですね。NTTドコモのこの株の問題ですね。  この一週間ほど、総理の周辺の人物がNTTドコモの未公開株を保有していることが問題になっています。その人物とは、総理の実兄で群馬県中之条町長でもある小渕光平氏、そして総理秘書官の古川氏であり、小渕光平氏が二百七十株、古川氏が百三十五株と言われています。  この後なんですが、一年半ぐらい前の議事録、参議院本会議。  未公開株でもうけるという構図が総理の直近の直近たる人物であるということはいかがなものでございましょうか。十年前のリクルートコスモス社の未公開株の店頭登録前譲渡事件をほうふつとさせる状況と私は判ぜざるを得ないが、この際、総理に事実関係をきちんと説明していただきたい。  これは公明の立場できちっと筋を通して問いかけられている。三党連立政権、さまざまな価値観あるいは幅がありながらも、続長官御自身もまた公明党も、立党の原点からして、政治腐敗の根絶、そして疑惑があればこれを究明する、こういう立場でおられた。今私が紹介したのは、実はこの方の発言の要旨でした。いかがでしょうか。
  225. 続訓弘

    ○続国務大臣 確かに、益田洋介議員が質問されたことはよく承知しております。そして、その際にお答えになったその事実を私どもは聴取しながら了としたということと私どもは理解をしております。
  226. 保坂展人

    ○保坂委員 了としたかどうかということなんですが、続きましてその年の十月九日、参議院の金融経済特におきまして再びこのことを同議員が総理大臣に質問しております。  これのやりとりは長いので全部紹介できませんけれども、非常にこれは不思議だと。どうして、地元の有力者であるお兄さんの場合は別としてですよ。この委員会でも出ました、お兄さんの場合は別だと。しかし、秘書官である古川さんが何で株を入手して、そしてこのときに有利な条件で個人株主の株を買い取ったにもかかわらず売らなかった、非常に不思議なんですね、この辺はと、これは問いかけているんですね。総理の答弁は、ここで、当委員会で言われたようなことを言ったわけです。  その後、この益田議員の発言、最後はどう終わるかといいますと、総理は郵政通でございます、郵政事業懇話会という会にもお入りになって、そして通信族だと言われている、どうも釈然としない、さらに調査をしたいと思います、こう言っているんです。  どういう調査をされたんですか、その後。了としたというのは、参議院本会議で了としたら、ここで調査するとは言わないじゃないですか。
  227. 続訓弘

    ○続国務大臣 益田洋介議員が確かに今のような御質問をされ、そしてそれに対する答弁がございまして、その答弁も、いろいろな角度から議論をして、それで先ほど申し上げたように了としたということに私は承知しております。
  228. 保坂展人

    ○保坂委員 連立政権というのは、まことにいろいろな苦労が多いことと思います。私どもも二年ほど前から、この政治倫理の問題をめぐって、自由民主党と繰り返し議論をしてまいりました。その結果、どうしても合意を得ることができなかったということでこの連立政権はなしになったわけですけれども、今、公明党が、立党の原点である政治腐敗の問題、こういうことについて、やはりその政権内部で、三党間で厳しくその原点をきちっと忘れずに主張されているのかどうか。例えばリクルート事件でいえば、藤波元官房長官の最高裁判所における有罪判決の確定がございましたね。こういう問題についてきちっと厳しい議論を政権内でやっているんですか。  それから、今ここに出てきたドコモ株の問題もそうです。いささかでも国民から疑念やおかしいなということがあれば、これはきっちりただしていこうよというのが続長官自身政治家としての信念でもあっただろうし、また、現在もそうあるはずだと私どもは思うんですが、いかがでしょうか。
  229. 続訓弘

    ○続国務大臣 私ども公明党の立党の原点は、まさに保坂議員がおっしゃるとおりであります。したがいまして、いろいろな事案に対して、先ほど申し上げましたように、政治家としては厳しく自己を律する、そういうのが私ども考え方であります。  したがいまして、今のような事案に対して、やはり事実関係をはっきりしない限り、人権の問題にもかかわることだし、そういう意味で、いろいろ調査をして、結果、了としたということに私は理解をしております。
  230. 保坂展人

    ○保坂委員 再度確認をいたしますが、もちろん調査は尽くさなければなりません。そうですよね。しかし、こういった問題というのは、ドコモ株の問題でいえば、もう亡くなった方も多いし、関係書類も私どもの手元にはない。非常に壁があります。とすれば、その時点、どこで了としたというふうに言われているかわかりませんが、現在この予算委員会においてたびたび小渕総理自身の答弁からも、後ほど指摘しますけれども、これはどうかなという点が多々あるわけです。そういうことについて、特に問題意識は抱かない、調べる必要、あるいは議論する必要はさほどないことだというふうにお考えですか。
  231. 続訓弘

    ○続国務大臣 益田洋介議員自身がいろいろと調査をした。それで、調査をした結果、質問と答弁との関係で先ほど申し上げたようにやりとり、そしてまた自分自身の調査等々を踏まえて、わかりました、了とします、こういうことですから、したがって私は、議論は尽くした、こんなふうに思います。
  232. 保坂展人

    ○保坂委員 総務庁長官は、公務員倫理について、私どもも当時与党から野党へという移行期でありましたけれども、国家公務員倫理法という立派なものができて、これは、官僚の不祥事、役人さんの不祥事に対しては世間の批判を受けてきちっとしたルールをつくりますよということを、一歩一歩ですが前進した、まさにそこのところにお立ちになっていると思います。そこは厳しくしたけれども政治倫理はほったらかしじゃ、これは困りますよね。  例えば、総務庁長官、藤波元官房長官の議員辞職問題については決着したんですか。御自身、三党の中でどのような議論、厳しくされているんですか。
  233. 続訓弘

    ○続国務大臣 党内でいろいろ議論をされたということを承知しております。
  234. 保坂展人

    ○保坂委員 党内での議論も、続さん自身がもう大臣として就任されてから、公明党は、議運において、最高裁判決で藤波元長官のいわゆる刑が確定した事実は非常に重い、こう答弁していますよね。藤波氏は議員を辞職すべきであると述べております。しかし、採決は、その時期じゃないんだ、本人が出処進退を決めるべきだ、こういう立場から本会議上程には賛成しなかった、こういうことなんですが、基本の、前段の、これは重いということについては変わらないんですか。
  235. 続訓弘

    ○続国務大臣 党内議論の集約の結果でございます。
  236. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、ぜひ立党の原点たる姿勢を、きちっと三党の中でも厳しい議論お願いしたい、我々野党はもちろん野党としての立場でこの問題を続けて考えていきますが。  官房長官、定例の会見ということで、本来は官房長官から聞く予定だったので、順番が総務庁長官になったのは他意はございませんので。  官房長官に伺いたいと思うんですが、実は二年前の九月なんですが、当時、公明の益田議員にこのドコモ問題を本会議で小渕総理が尋ねられまして、こう答弁されているんですね。ちょっと御紹介したいと思います。   私の兄と秘書官からの報告を受けているところによりますれば、本通信会社の株式保有の経緯といたしまして、昭和四十七年に設立をされましたこの会社の前身のまたその前身に当たるポケットベル委託会社の設立の際、地元経済界の皆さんからの御要請もありまして株主になり、いずれも長期間にわたりこれを保有しておった ということであります。  どうでしょうか、この答弁、正確でしょうか。
  237. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 公の場でした発言でございますので、私は正確なものだと解釈をいたしております。
  238. 保坂展人

    ○保坂委員 官房長官、わっと読んだのでお気づきにならなかったかもしれないんですが、この答弁は、実は、昭和四十七年に設立をされた会社のまたその前身、つまり、そのあたりからずっと持っていたんだ、二十数年前から持っていたんだ。これは、実は古川秘書官もそう言っていた。それから、この委員会で海江田委員の質問に対して、この委員会では、実は、総理は六十三年に手続はあったんだということを証言されているんですね。しかし、二十数年前にNTTドコモの今日の姿を想起するのは普通の人はできないんだ、そんなことは想定外だったんだ、だから何の問題もないんですよと答弁されている。  要するに、いつ保有したかという問題について、ここでは昭和四十年代という話になっている。そして、さきの、今週月曜日のやりとりでも、そうは言われていないですよね。一九八八年、リクルート事件のさなかにその手続は終わったと。そこの点では、やはりちょっと正確性に欠けるんじゃないですか。
  239. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 私は、この問題の内容について詳しいことを存じませんので正確な答弁ができませんが、総理が公の場でした発言というものは、総理のした発言を私は信じるべきだ、そういうふうに考えております。
  240. 保坂展人

    ○保坂委員 官房長官、私、やはりこれ、総理じゃないとわからないですね、総理の答弁。ですから、補佐役……(発言する者あり)いや、総理は答弁に対しては責任持てます。要するに、あらゆる交友関係、その他一切答えろと言われても困ることはあるでしょう。しかし、国会における答弁については責任を持たれる、これは当然ですよね。  そういう意味では、これは海江田さんの質問のときには、二十数年前にこんなことを想定するのは不可能だった、こういうふうに言っておられるんですが、前回、今週月曜日は変わっているんですね。月曜日には、これは菅さんの質問でしたけれども、それに対する答弁としては、このことを十数年前あるいはまた六十三年、この時点で明らかにできるほど、想定できるという人はいないですよと。同じ文脈なんですが、二十数年前と十数年前でやはり変わっているわけですよ。  これは、やはり総理みずから出てきていただいて、きちっと明かしていただく以外にないと思いますが、いかがですか。国会答弁は重いものと思いますけれども
  241. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 国会答弁が重いということも、私が今申し上げたとおりでございます。総理が出席しなければ詳しいことはわからない、私も当然だと思います。  しかし、総理がこの場に出席をしておりませんのは、総理が出席するのが嫌で出席していないわけじゃございません。恐らく、委員会において総理の出席の必要がないという決定をされた結果、総理は出席していないものだ、そういうふうに私は解釈をさせていただいております。
  242. 保坂展人

    ○保坂委員 私は委員長に対しても、ぜひこういう問題については、官房長官が代理でお答えをずっと続けても出てこないと思いますので、改めて、やはり総理にきちっと出てきていただいて答弁していただきたいということを委員長にもお願いしたいと思います。委員長、一言お願いします。お返事はないですか。
  243. 島村宜伸

    島村委員長 理事会でもう既に話し合いが済んでいます。
  244. 保坂展人

    ○保坂委員 では、一点だけ、この関係についてはもうこれだけにしますけれども、先日のやりとりで、二百二十五万円という株の取得費用ですね、株の名義をそのとき変えた。そのとき二百二十五万円については、この程度、おつき合い程度という感覚なのかどうかという極めて庶民的な質問をしたわけですね。私から見ればおつき合い程度というのは二万五千円ぐらいかなと。(発言する者あり)いや、本当に、そうです。二百二十五万というのはとんでもない大金だ、こういうことなんですが、それに対する小渕総理の答弁で、これはどこから出したのか、いずれのところからどのように調達したかは定かではありませんが、けれども払いましたというふうに答えられているんですね。  だから、どこから払ったのかということは必ずしも答えられていないんで、そういう点からもさらに総理の出席を求めたいと思います。これはもう答弁要りませんので。  そして、一つ、官房長官、先ほどから、あるいは昨日も、きょうは触れませんけれども、法務大臣の秘書の問題だとかさまざま政治倫理の問題が出てまいりました。私は、今の日本の社会、ある意味で危惧があるとしても、三権がそれぞれの緊張を持ちながらそれなりのバランスを描いて動いてきたというふうに、やはり思っています。  総理の答弁の中で大変気になったのは、これは捜査当局がしかるべくやるんだから法廷で明らかになるということを何度も何度もおっしゃっているんですけれども、これは最高権力者あるいは政権という重職にある、まあ官房長官もそうですけれども、ぜひ謙抑的であっていただきたいということです。つまり、いわば捜査当局が——もちろん、ですから、総理の秘書官にも人権はありますし、あるいは名誉毀損されたことに対して正当に訴える権利はあります。ありますけれども、それは一個人としてであって、政権そのものが捜査当局にあれこれ指図するような疑問を持たれてはならないと思うんです。  それで、一つだけその点で伺いたいと思うんですが、総理大臣の秘書官の中に警察庁から出向されている方がいらっしゃいますか、そして毎日毎日顔を合わせている関係かどうか。先ほどの自戒していただきたいということと、その二点についてお願いします。
  245. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 総理大臣秘書官の中にそういう人が一人入っておられるということは、承知をいたしております。  また、二百万がどうかという問題は、その人の持っている資産、相手との、人の関係、そういうもので、私は、ただ一般論としてだけの判断はできないと思っております。
  246. 保坂展人

    ○保坂委員 その二百万がどうかというのは、私は大金だというふうに言わなければならないし、その大金が二十五億円になっているということについては、まあいろいろな経過があったと言われるんだけれども、その経過の中にいろいろちょっと確認しておきたいことがあるので、本日は法務省の刑事局長さんに来ていただいている予定なんですが、いらっしゃっていますか。  この点について、これは水かけ論的なところというのはあるんです、現物の物証が出てこない限り。また、警視庁が、先ほど御答弁だと、受理をされてこれから調べるということなので、しかし、これは国政全般の、小渕内閣が政治倫理、こういう問題に対してきちっとしている内閣かどうか国民は注視しているわけですから、そういう意味で聞くのですけれども、亡くなった石井さんというのは、十三年間、要するに所有者死亡のままその株券は寝かされていたわけなんですね。告訴状によると、御本人の手元にもなかったと。これを古川さんにチェンジをする、切りかえるというときに、少なくとも譲渡側から提出をされる譲渡承認請求書、そしてまた当事者間で交わされる有価証券取引書などの、いわば印鑑を押して所定の手続をするという書類が必要かと思います。  これらの書類が、御本人は亡くなっているわけですから、御本人の相続人である遺族の全く知らないところでつくられたというと、法的に問題はないのかという点を法務省の刑事局長に。
  247. 古田佑紀

    古田政府参考人 お尋ねの件につきましては、一定の場面を想定して犯罪の成否をお問いになっているというものと思われますが、実際に犯罪が成立するかどうかということにつきましては、それぞれのケースで収集された証拠に基づかなければ判断ができませんので、答弁を差し控えたいと存じます。
  248. 保坂展人

    ○保坂委員 済みません、それは聞き方がちょっと悪かったかもしれないですね。  じゃ、私文書偽造というのはどのような構成要件、簡潔に言って、例えば譲渡の証明をする、今私言いましたよね、一般的に言ってそういうものが、この総理秘書官のNTTドコモのということを外して、一般的に言ってそういうものが、御本人の承諾なく他者が判こついてつくって、それによって名義が変更されたという場合は法的問題は生じますか。
  249. 古田佑紀

    古田政府参考人 ただいまのお尋ねは、私文書偽造罪の一般的な構成要件がどうなっているのかというお尋ねだと理解します。  私文書偽造罪は、これは刑法百五十九条で規定されておりますが、ここで定められておりますことは、第一点として、行使の目的で、つまり真正に成立した文書として使用する目的で、それから、権利義務または事実の証明に関する文書を偽造した、偽造と申しますのは、作成権限を持っていない人が他人の名義を妄用して当該文書をつくるということでございます。
  250. 保坂展人

    ○保坂委員 法務大臣に伺います。  昨日はまことに聞きにくい点で御質問しましたが、今回は、本来の法務大臣としてのお立場で、戦後政治史の中で、法務大臣、その役割が極めて強い注目を集める。残念ながら、幾多の事件の渦中でそういう場面がございました。  法務大臣として、国民の関心も強いし、またこの十年の政治激動を振り返ってみても、やはりこの種の問題ということについて、国が、あるいは捜査機関が、厳正、公正に不偏不党を貫いてきちっとやるんだ、そこに、いわば気兼ねとか、アンダーグラウンドなつながりだとか、そういうものはない、こういう決意でおられるかどうか、一言お願いをします。
  251. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 先ほど委員、リクルート事件等のこともお話がございました。  そうした事件以降、国民の政治に対する厳しい目もございまして、政治側としても、それらに対してしっかりとこたえて、国民の信頼というものを回復していかなければいけない、こういう大きな流れができてまいりまして、自来、政治倫理の確立でありますとか、あるいは選挙制度改革、あるいは政治資金法の改正、逐次、議会の皆さん方の御努力にもよりまして現在まで来ているわけでございまして、今後も、私どもといたしましても、国民の信頼を引き続き得ていくためにも、法務省としても、先ほど委員が申されましたように、不偏不党、厳正な立場でしっかりとこれからも仕事をしていくべきだと思っております。
  252. 保坂展人

    ○保坂委員 ちょっと順序が入れかわりましたけれども、警察庁の刑事局長にもおいでいただいていると思うんですが、質問は簡単でございます。これだけ国民の注目を集めている問題について、本当に公平にして偏ることなく厳正に職務を遂行されるかどうか。これは一言で結構です。
  253. 林則清

    ○林政府参考人 お尋ねのことはまことに当然のことでございまして、警察としましては、犯罪捜査におきましても、犯罪ありと思料するときには、事実と証拠と法に照らして厳正に処断していく、その余の考慮というようなものは入るはずがございません。
  254. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは、法務省の刑事局長に、ちょっと予告はしていませんでしたが、政治資金関連のことで、これは東京地検に何か告発があったと。小渕総理の秘書官が、未来産業研究会ですか、その出入りをめぐって告発があったと聞いているんですが、この件はもう受理されているんでしょうか。
  255. 古田佑紀

    古田政府参考人 まことに恐縮ですが、突然のお尋ねで、ちょっと私、事実関係把握しておりません。
  256. 保坂展人

    ○保坂委員 はい、済みません。予告していなかったので、それはすべて掌握しているというのは無理だと思いますけれども、それじゃ、別の機会にその件は移したいと思います。  厚生大臣にお越しいただいていますので、一昨日ちょっとやりとりがございまして、この一昨日のやりとりに基づいて、少しちょっと、どうしても重大な年金財政の問題でありますので、押さえておきたいと思います。  先日の質疑で、年金福祉事業団のグリーンピアの売却に関する問題で、評価損が出た場合にこれをどう公表するのかということを私は質問をいたしました、大臣に。  その際、大臣は、仮定の問題には、率直に申し上げて、答えにくいんだとしながらも、「私といたしましては、当然のことながら、これは国民に情報公開するべき筋のものである、」というふうにおっしゃった。このように考えている次第でございますと明言されたんですね。  予算委員会での大臣答弁なので、これは重く受けとめたいと思うんですが、よく議事録を何度か読んでみると、大臣の答弁はどうもずるずるずるとその後微妙に修正されていったようにも感じるわけです。  その後には、「基本的に公表させていただきます。」と、「基本的に」が入ったんですね。「基本的に」のその次が、「御指摘の方向で検討していくものである、」こういうふうに変わりまして、公表するということと公表の方向で検討するというのは、やはり日本語として違いますので、これは再度はっきり明言していただきたいというふうに思います。
  257. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 お尋ねのことは、グリーンピアの資産評価損のことだと思いますが、グリーンピア資産のいわゆる評価損につきましては、年金福祉事業団から新基金への資産承継を簿価によって行う、こういうことでございまして、出資金による欠損処理の対象とならないことから、事業団が解散を引き継ぐということは解散時点で明らかにはしません、しかし、新基金が実際に施設を譲渡したときの譲渡価格については公表する、こういうことでございます。
  258. 保坂展人

    ○保坂委員 何か逆の方向で明確になっちゃったみたいですね。  大臣、これはグリーンピアなどの大きな赤字を生んでいる施設、これは貴重な年金財源によってつくられて、最終的に赤が出ればどこで埋めるかという重大関心事なんですね。それらの運営がはかばかしくなかったという点において、この年金福祉事業団もやはり解散するということなんでしょう。  それらの欠損が出た場合、つまりグリーンピアをこの値で売ろうと思ったけれども半額でも売れない、こういうときに、やはりその金額を公表すべきですねと言ったら、前回はそうですとおっしゃった。今回は、もうしないというふうに変わっちゃったんですか。いかがですか。公表してください。
  259. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 要するに、グリーンピアの資産の評価損の問題と、それからグリーンピア譲渡による売却損の問題、こういうふうに分かれておるわけでございまして、私が先ほど申し上げましたことはいわゆる評価損の話でございますけれども、要するにできるだけ売却損を出さないように、例えば地元の地方自治体などへの譲渡によって生じる、実際に全額それで売れない場合、そういう欠損の額につきましては、年福事業団の決算関係処理において明らかにして公表したい、こういうことでございます。
  260. 保坂展人

    ○保坂委員 いや、非常に明確でないのですが、これは新しく発足する年金運用基金ですか、こちらの方ではもう公表すると言っているわけですね。その前の、年福事業団の解散に係る法律では、特に縦覧は要しないんだ、ダブルスタンダードになっていると指摘いたしましたよね。大きな問題なので、これは今からでも変えるべきじゃないですか。同じように、新しく発足する運用基金のように、これを公表するというふうに一緒にきちっと基準をそろえるのに何の支障もないと思うのですが、いかがですか。  さらに前回、ほかの特殊法人がありますと、私といたしましては、そこらも考えつつ、「国民に情報公開するべき筋のものである、」こういうふうに答えられているのですね。こう答えられていると、国民は、これは公表されるんだなというふうに感じるし、受けとめるわけなんですが、まさか公表されるんだろうなという期待を持たせつつ、その場限りの答弁ということはありませんよね。いかがですか。
  261. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 前回申し上げましたことは、ただいま申し上げましたように、いわゆる固定資産の含み損の問題でございますが、これはほかの特殊法人と横並びの関係があるということを申し上げたわけであります。
  262. 保坂展人

    ○保坂委員 時間がないので、これは強く要望しておきます、公表していただきたいということを。  もう一点、いわゆる年福事業団の運用実績について、厚生大臣、一昨日の委員会で私が指摘したように、一兆二千億とか四千億とかこういう累積赤字があったけれども、現在、株が上がっているので、これはくるっとひっくり返って七千五百億円の黒字になっていますというふうにお答えになっているのですね。  幾ら何でも、株は確かに上がったのですが、上がったけれども、一兆二千億赤だったものが七千五百億黒になる。二兆円ぐらいの、いわば急に状況が好転して、年福事業団、これはもう何の問題もないんだというふうに果たしてなるのかどうかというのをいろいろお聞きしましたところ、大臣、この数字というのは昨年十二月ですぱっと切った瞬間風速的な数字でしょう。利払いがあるんですよね。利払いが九千億くらいあるんじゃないですか。この十二月ですぱっと切れば確かに七千五百億の黒だけれども、ちゃんと利払いで充てていかなきゃいけない。差し引きすれば、黒字だ、黒字だというのは、ちょっとこれは正確ではない答弁じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  263. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 昨年の十二月現在のいわゆる時価ベースでございますけれども、それは要するに、一昨日申し上げましたように、今年度だけで二兆七千億円程度の収益を上げております。この間の資金運用部への利払いなどのコスト、これは七千億強でございますけれども、これを差し引いても実は、これまでの累積赤字を解消して、七千五百億円程度の黒字でございます。
  264. 保坂展人

    ○保坂委員 大臣、もう一回確認していいですか。差し引いてもというのは、現在七千五百億黒字だというのは、去年の十二月の末の時点ですぱっと切った場合にそうなるのであって、三月末で決算して、その際に、これは利払いとして、例えば平成十年度だとやはり随分払っているわけですね、一兆円以上。ことしは少し減って、金利がダウンしたので九千億だと。これは払わなきゃいけないんじゃないですか。これは含んでいない数字でしょう、そういうふうに聞いていますよ。どうですか。(丹羽国務大臣「何を払っている」と呼ぶ)ですから、十二月の三十一日で切って、七千五百億黒ですと言われているんですけれども、それは、その時点ですぱっと切ればそうでしょうけれども、三月の末に決算をすればそのときに利払いが発生するわけですよ、一兆円近く。それを出していかなきゃいけないので、七千五百億の黒というふうには言えないでしょうというふうに言っているわけです。
  265. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ですから、今答弁申し上げましたように、これまでの間の資金運用部に対する利払いでありまして、今から三月の時点の問題について言及することは差し控えたいと思います。
  266. 保坂展人

    ○保坂委員 基本的なことなので、もう認めていただいていいんじゃないですかね。これは厚生省の方はもう認めているんですよ、僕の前で。  要するに、三月の末に利払いをするわけ。だから、その利払いをしない段階ですぱっと切れば、七千五百は確かに黒と見えますよ。見えるけれども、それはやはり三月の末で平成十年末、十一年末とそろえていくわけで、それは、予算委員会の席で現在は七千五百億円黒字ですと言い切ったら、これはちょっと正確じゃないんじゃないでしょうか。
  267. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員案内のように、市場は日々変動するわけでございますから、今の時点で三月時点のことについて言及することは適当でないと考えています。
  268. 保坂展人

    ○保坂委員 大臣、では、この利払い等一切勘案しないで、考えないで財務内容をこういう場で報告していいんですか。
  269. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 公表することが適当かどうかということでありますけれども、御質問に答えて申し上げただけでございまして、正式には三月の末で、要するに時価も含めてきちんと発表する予定であります。
  270. 保坂展人

    ○保坂委員 では、終わりますけれども、先ほどから、もう少し内容を進めたいので、ちょっと、率直に答弁していただければ進めるものがずっととまっちゃうんですよね。ですから、これはことしの三月末にちゃんと利払いもあるわけですから、そこもトータルに考えてどうですということをちゃんと今後は言っていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  271. 島村宜伸

    島村委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後四時五十九分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕