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2000-02-15 第147回国会 衆議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月十五日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 久間 章生君 理事 自見庄三郎君    理事 高橋 一郎君 理事 萩山 教嚴君    理事 町村 信孝君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 西田  猛君       甘利  明君    伊藤 公介君       石川 要三君    稲垣 実男君       小澤  潔君    大原 一三君       亀井 善之君    栗原 博久君       小島 敏男君    坂本 剛二君       杉浦 正健君    高鳥  修君       津島 雄二君    中川 秀直君       葉梨 信行君    萩野 浩基君       船田  元君    水野 賢一君       村田 吉隆君    村山 達雄君       望月 義夫君    森山 眞弓君       山口 俊一君    安住  淳君       岩國 哲人君    生方 幸夫君       桑原  豊君    古賀 一成君       五島 正規君    葉山  峻君       原口 一博君    肥田美代子君       横路 孝弘君    青山 二三君       石田 勝之君    佐藤 茂樹君       西川 知雄君    桝屋 敬悟君       安倍 基雄君    青山  丘君       一川 保夫君    加藤 六月君       大森  猛君    木島日出夫君       児玉 健次君    平賀 高成君       矢島 恒夫君    濱田 健一君       保坂 展人君     …………………………………    法務大臣         臼井日出男君    外務大臣         河野 洋平君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    文部大臣         中曽根弘文君    厚生大臣         丹羽 雄哉君    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    通商産業大臣       深谷 隆司君    運輸大臣         二階 俊博君    労働大臣         牧野 隆守君    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    国務大臣    (内閣官房長官)    (沖縄開発庁長官)    青木 幹雄君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    国務大臣    (環境庁長官)      清水嘉与子君    総理府政務次官      長峯  基君    総務政務次官       持永 和見君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    経済企画政務次官     小池百合子君    沖縄開発政務次官     白保 台一君    法務政務次官       山本 有二君    外務政務次官       東  祥三君    大蔵政務次官       大野 功統君    文部政務次官       河村 建夫君    厚生政務次官       大野由利子君    農林水産政務次官     谷津 義男君    農林水産政務次官     金田 勝年君    通商産業政務次官     細田 博之君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    労働政務次官       長勢 甚遠君    建設政務次官       岸田 文雄君    自治政務次官       平林 鴻三君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    津野  修君    政府参考人    (警察庁長官)      田中 節夫君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長)森  昭治君    政府参考人    (大蔵省主計局長)    武藤 敏郎君    政府参考人    (大蔵省金融企画局長)  福田  誠君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 委員異動 二月十五日  辞任         補欠選任   中川 昭一君     小島 敏男君   中川 秀直君     坂本 剛二君   山口 俊一君     望月 義夫君   岩國 哲人君     桑原  豊君   日野 市朗君     葉山  峻君   石田 勝之君     西川 知雄君   青山  丘君     一川 保夫君   鈴木 淑夫君     安倍 基雄君   志位 和夫君     矢島 恒夫君   春名 直章君     大森  猛君 同日  辞任         補欠選任   小島 敏男君     水野 賢一君   坂本 剛二君     中川 秀直君   望月 義夫君     山口 俊一君   桑原  豊君     岩國 哲人君   葉山  峻君     安住  淳君   西川 知雄君     石田 勝之君   安倍 基雄君     鈴木 淑夫君   一川 保夫君     青山  丘君   大森  猛君     児玉 健次君   矢島 恒夫君     平賀 高成君 同日  辞任         補欠選任   水野 賢一君     中川 昭一君   安住  淳君     日野 市朗君   児玉 健次君     春名 直章君   平賀 高成君     志位 和夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  平成十二年度一般会計予算  平成十二年度特別会計予算  平成十二年度政府関係機関予算     午前十時一分開議      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算平成十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官田中節夫君、金融再生委員会事務局長森昭治君、大蔵省主計局長武藤敏郎君及び大蔵省金融企画局長福田誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 島村宜伸

    島村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  5. 栗原博久

    栗原(博)委員 自民党の栗原博久でございますが、きょう、私に発言のお許しをいただきました委員長並びに委員各位に御礼申し上げたいと思います。  我が国経済は、まさしく確かに好転の兆しが感じられます。先日の株価を見ましても二万台に入ったということで、このことは、平成年度の第三次補正と合わせまして本年度の十五カ月予算のその成果が出てきているものと思っております。特にまた、この間に九兆四千億円の減税を実施したり、あるいはまた、景気が上向くために一〇%に及びます公共投資を確保するなど、そういう成果でもあろうかと思っております。  また、金融システムを何としても安定させねばならぬということで、六十兆円の枠組みを組むことによって金融機関国民も安堵をいたしておりますし、また、中小企業におきましても、我が党を中心といたしまして連立三党で、今までにない、中小企業に対しますきめ細かな対策、例えば三十から四十兆に及びます政府保証債務等保証協会のものなど、そういうものの成果も徐々に出てきていると思っております。  また、減税につきましても、今まで世界一高いと言われました法人税等について実効税率を五〇から四〇%に下げるなど、そういうものについても国民からの評価はいただいているのではなかろうかと思っております。  そういうことで、来年度予算、そして本年度の二次補正予算、これがリンクしまして、私は、今後、ことしの六月ごろを大きな山としてその効果が出てくるということを確信している次第であります。これも、小渕総理が唱えます富国有徳政治理念と、そしてまた、宮澤大蔵大臣が進めます金融財政政策のその効果があらわれたものである、そのように評価をしておると同時に、我が党を中心といたします自自公連立政権のその成果があらわれているものだと思っております。  さて、私は、最近マスコミを騒がしております、学校現場をめぐる不幸な問題についてきょう取り上げさせていただきます。  平成九年、神戸市の小学校で起きました事件、中学三年生の男子生徒が、小学校四年生の女子の生徒と六年生の生徒を殺害したという事件、あるいはまた、昨年の十一月、文京区の幼稚園におきまして、二歳のお子さんがそのお子さんの親御さんと友達である三十六歳の主婦によって殺害されたという、あるいはまた、昨年の十二月、京都市の小学校校庭で、その小学校の二年生の男子生徒学校への恨みと称するメモを残して自殺した二十一歳の男によって殺害されたという事件、かつまた、私は実は新潟県の三条選挙区といたしておりますが、私の地元小学校の四年生が、今から九年二カ月前に誘拐されまして、そして九年二カ月以上にわたりまして監禁されて、先月の二十八日に三条市から近い五十キロ先の柏崎市で発見されたという事件であります。  この当時小学校四年生のお嬢さん、今は十九歳のお子さんになったということでございますが、私、実は今まで、選挙区が新しい選挙区でございまして、今から五年前に三条市に初めて行きました。私にとっては未知の選挙区でございましたが、そのときに、道路端にこのお嬢さんの写真が張ってございまして、何かと思って実は私も大変注目をいたしました。  その間また、私について、このおじいさんなどに御後援賜りまして、せんだってもこのお孫さんおじいさんと私は古峯神社に参拝に行くことになっておりまして、恐らくお孫さんの安泰を願いながらの、そういうことも含めて、私ども一緒に古峯神社に参拝しようというお気持ちだったと思っております。  こういうことで、全く純情無垢なこのようなお子さんが九年二カ月も監禁された、それも男の全く生まれたままのような、全く暴君のようなわがままの中でこの小学校四年生のお子さんが今日まで監禁されたことについて、大変私は憤りを感じております。  こういうことで、実は一つちょっとお聞きしたいのでございますが、今私が申し上げたことは、学校教育現場校庭あるいはまた幼稚園などのそういうところで起きておるわけであります。これが私はすべてとは申しませんが、しかしながら、今私ども日本の国の教育現場荒廃しているというような話もありますが、またあわせて、教育現場でそのような痛ましい殺人事件が起きている。こういうことについて、私は、今の教育で相手に対する思いやりとかあるいは命の大切さ、あるいはまた、悩める子供に対します学校先生方が積極的にそこに入っていってその話に乗ってやるとか、そういうものが欠落しているのじゃなかろうかと思っておるわけであります。  文部大臣にお聞きしたいのでありますが、このような事件を踏まえながら、教育についてどのようにお考えであるかということについて御答弁をお願いいたします。
  6. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 新潟県の柏崎市におきまして、九年以上も少女が監禁されたという事件につきましては、今委員からも御説明ございましたけれども、一日に一食しか食事を与えられないとか、あるいは暴力を振るわれたとか、栄養失調状態になっていたとか、本当にそのお嬢さん気持ち、さぞつらかったであろうと思いますけれども、そういうことを考えますと、本当にお気の毒でならない事件でございます。  こういう事件早期発見のためには、私は、日ごろから地域皆さん方が、地域のコミュニティーといいますか、連帯的なそういう気持ちを持って、自分のことのみならず他人の子供のことやあるいは人と助け合うこととか、そういうようなおつき合いをしていくということが非常に大切ではないかと今回感じた次第でございます。  同時に、学校教育におきましても、そういう思いやりの心、助け合いの心、あるいは命の大切さ等々について指導するということは当然大事なことでありまして、文部省といたしましても、学校現場におきまして、小学校発達段階に応じましてそういうような子供たち気持ちを植えつけさせる指導をしているところでございます。  おっしゃいますとおり、子供の時期というのは大変に大事な時期ですから、そういう時期にこういう気持ちを養う心を植えつけさせるということが大事であるわけでございます。同時に、ボランティア活動とか、あるいは自然体験とか社会体験とか、こういうものが道徳心の向上に非常に役立っている、そういうような統計的なデータもありますけれども、今後、地域皆さんの御協力をいただきながら、こういうような方法も踏まえまして指導をやっていきたい、そういうふうに思っているところでございます。
  7. 栗原博久

    栗原(博)委員 文部大臣、もう一つお願いでございますが、こうして九年二カ月も拘束されて、そしてまた、義務教育も終わっていないわけであります。これは、今の十九歳のお嬢さんに対して、やはり教育の面で社会的な支援も私は必要だと思うのです。そういう点について、文部大臣といたしまして、新潟県の教育長あるいはまた三条市の教育委員会等について、適切な御指導をされていくことをひとつお願いしたいと思っております。  次に、私は、先ほど文部大臣がおっしゃいましたが、やはり教育の問題につきまして、地域との連帯がもともと大変必要だと思っております。  私どもは、小さいころ、夜になりますと、宿直室がありまして、学校先生方が宿直すると、その宿直室へ行って先生と授業の間に話ができなかったことを話し合いしたり、そういうことで、先生方もその学校との密接な連携もあったと思うのですね。  もう一つは、最近、学校のいろいろの教育の中でひずみは、やはり学校先生方赴任地学校そばに住んでいらっしゃらない、一時間も一時間半も通って、車で通っているのが大半です。いろいろ、人事異動をお聞きしますと、なるべく学校そばに住みたくないというような先生も多いようでございますが、私は、やはり教育地域に溶けての教育だと思っておりまして、そういう中で、この地域教育についてどのようにお考えになるかということについて、河村総括政務次官からお聞きしたいと思います。
  8. 河村建夫

    河村政務次官 先ほど委員も御指摘のように、また大臣答弁申し上げましたが、今回のこのような事件が起きてみますと、地域がもっと連携を持って、ネットワークを持っていたらという思いがみんなしたわけでございます。  今委員指摘のように、学校現場でいろいろな問題が起きている。それは、総じて言われるのは、学校教育力も言われます。それから、特にまた家庭の教育力の問題、しつけの問題等もありまして、そしてもう一つは、やはり言われるのは地域教育力の低下の問題、これが非常に言われておるわけでありまして、この問題をどうするかということはこれからの一つの大きな課題でありまして、文部省も行政の方の立場としていろいろなプログラムを出して、地域で……(発言する者あり)私は指定を受けたんですから。——地域教育力をいかにどうするかということは非常な課題でありまして……(発言する者あり)
  9. 島村宜伸

    島村委員長 ちょっと静かにしてください。
  10. 河村建夫

    河村政務次官 文部省としても、プログラムをいろいろ出しまして、子供たち地域一緒に活動できるような仕組みをつくっていこうということで、全国子どもプラン、緊急三カ年戦略というのをつくりまして、例えば子供が身近な商店街でさまざまな職業に触れる機会をつくるような子どもインターンシップ制度をつくるとか、いろいろなプログラムを出しておりますから、それに基づいて、地域が大いにひとつ子供たち一緒になって地域づくりをやっていくということが私は非常に必要なことではないかというふうに思っておりまして、これからの一つの大きな課題であろうというふうに思います。  いかに地域教育力を増すかということが……(発言する者あり)
  11. 島村宜伸

    島村委員長 質疑を続行いたします。
  12. 河村建夫

    河村政務次官 今委員指摘のように、我々に課せられた大きな課題でありまして、これに向けて積極的に取り組んでいくことが必要だというふうに感じております。(発言する者あり)
  13. 島村宜伸

    島村委員長 御静粛に願います。
  14. 栗原博久

    栗原(博)委員 さすが、中曽根文部大臣、そしてまた、ただいま御発言いただきました河村総括政務次官教育に大変熱心でございまして、的を射た答弁でございまして、お話をしまして感無量でございます。  さて、私ども新潟では、誇るべき米百俵という精神の運動がございます。これは、戊辰戦争の戦禍で、約二百五十年の間に築き上げました長岡藩という藩がありますが、その藩が戊辰戦争で敗れまして、わずか一年の間でこの長岡の町が荒廃いたしました。そして、荒廃をすると同時に、やはりそこに住んでおります武士あるいはまた一般方々は飢えておったわけでありますが、そこに近くの支藩から米百俵が送られてまいりました。この米百俵は、本来、当時の長岡の方は、それを一刻も早く食べたい。しかしながら、当時の小林虎三郎という偉い方が、その米の百俵は食べないで教育に使おう、教育の施設を、あるいはまた本とかを買うということで、長岡藩が見事に復興したわけであります。  その中で、私は、教育というものは何物にもかえがたいものだと思っています。今、中曽根大臣並びに河村総括政務次官お話を聞きまして、そういうお気持ちで今度教育を改革していただきまして、このような事件が再び起きないように、また教育現場でも御努力願いたいと思っております。  さて、その中で、この三条事件について少しお聞きしたいと思います。  この事件は、平成二年の十一月十三日、このお子さんが通っております小学校でこの子供さんが野球を見て、その帰りに、この学校から御自宅までは田んぼ道であります、そこを帰る途中にいなくなったということで、その日の七時四十五分に地元警察に、駐在所子供が帰ってこないということで届けられ、それから八十人以上の方が集まり、そして翌日にはどんどん捜索が続きまして、延べ二千八百人近い方々がその捜索に加わっておるわけであります。その中で、この一月二十八日に柏崎病院でこの子が発見された。そしてこの事件というものが発覚したわけであります。  そこで、私は、お聞きしたい点につきましてでございますが、このお子さんが九年以上も部屋の中で食事をとらされ、排せつもその部屋でやらせた、大変やせ細ったお体であったと私は思っております。この中で、こういう事件がやはり見過ごされたという社会の環境も私は反省せねばならぬ点もあると思うのであります。  そこで、この事件につきまして、私は警察を最も信頼しております。今でも信頼しておる。  日本警察の生みの親であります川路利良さんという方がおられます。大先輩、明治時代の方。この川路先生は、一国は一家なり、政府父母であり、人民は子であり、警察保傅なり、子が父母の教えは嫌っても、子供に教えるのは父母義務であると言っておるのです。これはまさしく、今教育荒廃の中で、教育が悪いわけでなくて、やはり子供をしつけできない親にもこれは原因があると思うんでありますが、この子供を育てる保傅の役目であると言っているわけであります。我が国の民はまだ開化されていない子供だから、警察がそれを守ってやらねばならぬということで、この明治時代川路先生警察はこうあるべきだと説いております。  私は、その中で、今この事件を見ますると、この九年前の一年半前に、この柏崎でやはりこのような女の子を誘拐する事件があって、逮捕されました佐藤容疑者は、当時、逮捕されて、起訴されているということであります。私は、またこの事件の中で、九年二カ月にもわたって一つ部屋に閉じ込められた、幾ら部屋の中で閉じ込められても、そこのうちの佐藤容疑者がどのような生活をしていたかわかりませんが、社会がやはりその異変に気づくというのが大事だと思っております。やはりそういう異変に気づかなかった点もあろうと思う。  そこで、私は、今いろいろ事件が刻々とマスコミ新聞等を通じて報道されておりますが、この事件について国家公安委員長並び警察庁長官にひとつお聞きしたいと思っております。  それは、私は、今我が国犯罪検挙率は世界一であると思っております。殺人検挙率は九七・七%である。その中で、警察に対して国民は一番信頼をしておる。また、私どもの村にも駐在所がございますが、駐在所巡査は今でも、私どもの部落で会合がありますといつも上座に座って、それだけ尊敬されておる、それからまた信頼されておる。そういう警察に対する尊敬と信頼というものが、今回の事件を通じまして、やや揺らいでいるというふうに私は思うわけであります。  そういう中で、その捜査の過程を見まして、私は新聞報道しか物はわかりませんが、きょうのニュースでもまた出ておりました。例えば、この三条の行方不明の子供さんに対して、先ほど私申し上げましたけれども、失踪しましたその三十分後から約二千何百人も動員されて捜索した、しかし見つからなかったと。そして、話をお伺いしますと、初動ミスがあったのではなかろうかという御指摘もございます。  今現地の新聞を見ますると、この事件について、身内巡査が、警察官がその事件に関与していたのではないかというような、そういう疑念があったと。そういうところに捜査が集中して、本当に、県央地域じゃなくてよその地域に対してもちゃんと、それだけの手当てを怠っていたのではなかろうかということも言われている。  あるいは、その犯人が一年半前に柏崎でそのような女性の誘拐事件を起こしている。当然、その事件はコンピューターにインプットされていると思うのであります。ですから、当然それに対する捜査というものもあったろうと思う。しかしながら、後に聞きますと、インプットされていなかったというようなことも伺っております。  私は、今まで、警察のいろいろの最近の事例を見ましても、やはり身内に対し、身内に何か事件が起きますとそれを何とか隠そうとする、このような感じを受けてならない。この三条事件につきましても、その警察署員誘拐犯人であったというようなことでもし捜査を怠ったとしたならば、私はこれは大変な問題だと思っておるわけであります。そういうことを踏まえながら、ひとつお聞きしたい。  かつまた、関連しまして、きょうの新聞にもテレビにも報道されておりましたけれども、例えば、柏崎病院に運ばれてこの子が実は発覚したと言われておりますが、県の保健所等の話によりますと、保健所職員がその加害者自宅に行って、そして暴れている加害者と今のこのお子さんを保護した。保護して警察に電話を、すぐ来るように言っても警察は来なかったというような報道もきょうされておりました。  あるいはまた、これもあってはならぬと思うのでありますが、私ども新潟県におきまして、せんだって豊栄市で長岡警察職員がある事件で逮捕されました。そうしましたら、その翌日、逮捕された長岡の署長が、豊栄署員が同じことをしたら徹底的に逮捕しろと、このような何かわからないような話が新聞にも載っておりました。  私はこれは事実ではないと思っておりますが、しかしながら、こうして新聞にどんどん載る以上は、私はやはりこれは大いに反省すべき点があると思っております。  そこで、私は国家公安委員長にお聞きしたいと思います。  まず、この事件につきまして、捜査についていろいろ手違いがあったというようなことになっておりますが、私が申し上げました、警察は最も国民から信頼されるべきものであります。これについて、国家公安委員長としてどのようにこの事件考えながら、例えば京都の事件もそうでございますが、犯人を拘束しながら逃がして自殺してしまったということ、こういうものを国家公安委員長としてどのようにお考えであるか。  もう一つは、私はもう一つお聞きしたいのでありますが、最近、全国の県警の本部長を見ますると、四、五人ぐらいの方が警察出身じゃなくて、ほかの、外務省とか自治省の出身の方がおられるようであります。私は、警察は命をかけて捜索活動をするものである、やはりその警察の経験者上がりが最高の地位につけて、あるいは自分の身をかけての立場であらねばならぬと思う。  もう一つは、こういう新潟事件だけじゃございませんで、今まで神奈川県とかいろいろの事件を見ましても、キャリアとノンキャリアの問題。もっとノンキャリアの方々現場で苦労されている方々、そういう方々も大いに登用して、願わくば県警本部長ぐらいに一人ぐらい登用する、ほかの省庁から連れてくるんじゃなくて。私は、やはりそういう中で、我が国警察機構はすばらしい警察機構でありますが、願わくは、末端の捜査の前線であるいは地域で活動している方々、こういった方々に対してもっと目を向けた任用制度というものもあろうかと思います。  そういうことも含めて国家公安委員長にお聞きしたいと思います。
  15. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 御指摘三条市におきます事件というのは大変痛ましい事件だと私も思っております。ちょうど私も小学校に行っております女の孫を持っておりますものですから、もし自分の孫がそういう状態で十年近くも監禁をされたときの心情たるやいかなるものかというようなことを考えるにつけ、今までの犯罪史上にはないような大変悪質な事件であったと思っております。  それに対応する警察、発見をするについては多くの警察官が鋭意努力をしたのでありますけれども、その苦労は私も警察官に対して敬意を表さなければならぬと思っておりますが、しかし、いろいろな情報がありながら、それを詳細に分析するということについて問題点がなかったかどうかというようなことは、過日行われました警察本部長の皆様方の会合でも、思いつく点があったのではないかというようなことで厳しく申し上げて、今後の反省にしていただかなければならない、こう思っておるわけであります。  今後とも、私は、警察庁を督励しまして、こうしたいろいろなひっかかりのあるものについては徹底的に洗って、やはり捜査に全面的に頑張っていただいて、国民信頼を得ていただかなければならない、そういう観点から警察庁を今後とも督励をしてまいりたいと思っております。  なお、警察本部長の問題でありますが、現在、ノンキャリアの警察本部長は二名おります。今後ともできるだけ人材を幅広く登用するという方向性はやはり維持をしてまいりたい、こう思っております。  しかし、御承知のように、県警本部というのは県の組織でありますし、県警本部長はその県の組織の最高トップということになるわけでありまして、いわば最終の責任者、最高の責任者ということになりますから、それに適応する人材というのは、よくよくやはり学識経験も勘案しながら十分選考を重ねていかなければならない。それで、幅広く登用していくということについて警察庁を督励してまいりたい、このように思っておるところであります。
  16. 栗原博久

    栗原(博)委員 警察庁長官にお聞きしますが、私先ほど申し上げたように、日本警察の生みの親であります川路先生は、警察国民を守ってやるんだということを申されているわけでありますが、今、地域の連帯が薄くなっている中で、私は地域警察、要するに交番、駐在所などのこういう役目は大変大きくなっていると思うのであります。今、全警察官の四割が駐在所署員であるというふうに伺っております。  こういうことで長官にお聞きしますが、今後、住民の生命財産を守る立場での地域警察の活動をどのようにお考えであるかということを一つお聞きしたい。  もう一点は、この三条事件でございますが、やはり組織内の連携の不十分さがあったと思います。私は、これがやはり捜査の進展を妨げたのではなかろうかと思っておるわけですが、こういうものを反省した意味で、今後警察庁として、どのようにこのような事件の再発を防止し、かつまた、万が一そのような事件が起きた場合どのような態度で対応するかという、かたい決意を田中長官にひとつお聞きしたいと思います。
  17. 田中節夫

    田中政府参考人 お答えいたします。  最初の御質問でございますけれども地域警察の問題でございますが、交番、駐在所を拠点として活動を行っております地域警察は、地域の実態を把握いたしますとともに、住民の方々の意見、要望にこたえて、例えば通学路におきますところのパトロールを強化する、身近な犯罪の予防とかあるいは検挙活動を推進することによりまして、まさに地域の生活安全センターとして住民の安全で平穏な生活を確保することを任務としております。  今回明らかになりました、御指摘がございました新潟県の少女監禁事件につきましては、結果としてその発生を防止することができなかったわけでございますし、また、容疑者宅及びその周辺の住民に対します巡回連絡等の諸活動を行っていたにもかかわりませず、監禁されているということを把握できなかったものでございまして、まことに残念であると思っております。  警察庁といたしましては、ただいま、先ほど来御指摘のありました、川路大警視のお話がございましたけれども地域警察官が地域住民に愛情と奉仕の気持ちを持って接することにより、良好な関係を保つ、それとともに地域を担当する自覚と責任を持ってその任務に当たることにより、住民の期待する成果を上げ、警察に対する信頼を獲得することができるよう都道府県警察指導してまいりたいと考えております。  それから、二点目の新潟三条市の事件につきまして具体的なお話がございましたけれども、これは委員指摘のとおり、平成二年の十一月に新潟三条市内で行方不明になった当時小学校四年生の少女が、九年余の長期間にわたり一室に監禁されており、その間、この女性を発見、保護し、犯人を検挙できなかったということは余りにも痛ましく、言葉もございません。国民の生命、身体の保護に任じる警察といたしましては、まことに残念に思っております。  新潟警察におきましては、去る二月十一日に被疑者を逮捕し、現在全力を挙げて捜査中でありますが、これとあわせて、なぜもっと早く犯人を割り出すことができなかったのか、あるいはこの女性をもっと早く救出できなかったのかにつきましても十分検証し、反省、教訓とすべき点につきまして今後の同種事案に対する捜査に生かしていくものと承知しておりますし、また、全国警察に対しましてもそこで得られた教訓を徹底してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  18. 栗原博久

    栗原(博)委員 田中長官、ぜひこのような事件が再び起きないように警察が毅然たる態度をとって、やはりこういうものの予防もまた警察の任務と思いますから、ひとつよろしくお願いいたします。  次に、年金問題についてお聞きしたいと思います。とりわけ農業者年金の件でございます。  参議院の国民福祉委員会でも今、厚生年金あるいはまたほかの関連法案が審議されておりますが、高齢化社会の中におきまして、やはり我が国の年金というものは大変な時代を迎えるわけだと思っております。そのためにまた、経済成長が今とまっておりますから、当然、国際競争力を高めるためにも、やはり企業の社会保障負担についての軽減というような、そういう要請もあることは事実でございます。  これを踏まえてこのような年金の改正に至っていると思うのでありますが、今このような中で、現行の制度をそのまま維持しますと、現在一七・三五%であります年金の掛け率が、二〇二五年には三四・五%にまで高まるだろうという中で、年金の改正が求められていることも、これまた事実であります。諸外国で総収入の二〇%を超す国は、ヨーロッパではないわけでありまして、我が国が今のまま進みますと、二〇二五年には収入の二六・七%までいくということでありますから、当然やはりそれに対しての手当ても必要で、真剣に今議論、審議されているものと思っております。  厚生年金の報酬比例部分の給付水準が来年の新規受給者から減るというようなことではないわけであります。ところが、農業者年金という制度がありますが、約百十万人の給付そして掛金の方あるいは待機組の方がおられるわけですが、この年金が最高限度、来年から三五%も年金を下げる、そういう話が出ておる。  厚生年金でも今このように参議院で論議されております。にもかかわらず、農業者年金が、それは政策年金はわかりますが、その中の経営移譲年金などを含めると、それが最高三五%も下げられる、これはゆゆしき問題でございまして、特にこの農業者年金につきましては、きょうは地方の新聞社も出ておりますが、農業者年金と農林年金をごっちゃにしている新聞社もあり、マスコミもあります。それだけやはり農業者年金に対する理解がマスコミにもないと私は思うのです。  我が国の、戦後の荒廃から立ち上がりまして、今日の繁栄を築いたものは、国民のたゆまぬ英知と努力、そしてまた、戦争から引き揚げてまいりました多くの方々を農村が抱え込んだ、それによって、余剰労働者を農村に抱え込んで、治安の安定にもつながり、かつまた農村から多くの子供たちが都会に出てまいりまして、そしてこの工業国家としての日本を支えたわけであります。そして、残された方々が農業をされて、昭和四十四年にこの農業者年金が発足して、農業者年金を掛けていれば老後は安定すると言われて掛けてまいった。  これが今日、突如として、来年の年金の財政再計算の中において、最高でありますが、たとえ最高の方であっても三五%も引き下げるということは、皆さん、だれが考えても常識的にこれは許しがたいということで、これにつきまして、農林大臣から、この農業者年金が今日に至るまでの経緯、そしてその問題点について御所見を伺いたいと思います。
  19. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 農業者年金制度は、農業者にも他産業並みの年金をという農業者の強い要望を踏まえまして、各方面での御議論を経まして、昭和四十五年に、農業者の老後生活の安定とともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化を目的として創設をされました。  本制度は、制度発足時の積立方式から賦課方式へと移行という財政方式の変更を経まして、今日まで、九十六万人に対して三兆六千億円の年金を支給するなど、農業者の老後生活の安定、また三十歳代前半の後継者を中心に八十五万件の経営移譲が行われるなど、農業経営の若返り、さらに百五十四万ヘクタールの農地が細分化されずに後継者に継承され、また十五万ヘクタールの農地が第三者に移譲されるなど、農地の細分化の防止、規模拡大に寄与したのが今日までの経過でございます。  また、現在、委員が御指摘をされたわけでございますが、今日の状況につきましては、保険料水準と給付水準について、政策年金であることを踏まえ、年金財政の長期的な安定の観点、農業者の負担能力、他産業との比較の観点から、どのような水準とすべきかという点を中心に今御議論をいただいておるわけであります。また、加入要件、年金支給要件の緩和、遺族年金の創設の可能性等についても、さまざまな観点から御議論をいただいているところであります。
  20. 栗原博久

    栗原(博)委員 大臣、ありがとうございました。  議論されているという段階でありますが、ただ、私が懸念しているいろいろのペーパーを見ますると、やはり厚生年金と農業者年金を比較しますと、確かに農業者年金は政策年金でございますから、要するに、農家の方に農業をやめてもらう、規模拡大する、そのかわり、あなたたちにひとつほかの年金にないものを差し上げるということで、そういう年金であったわけです。だから、政策的には成功してきたわけですよ。成功してきたけれども、必ず年金が破綻することは目に見えていた、だから国庫負担を、国庫の支援、負担をして、最高一千億ぐらい出したときもございますが、今、七百か八百億出しておる。  時間がございませんから端的に申し上げますが、現在、農業者年金は、夫が月二万四千円掛けまして、それから夫が国民年金に月一万三千七百円掛けて、そして奥さんが一万三千三百円掛ける。これはモデルとしては、昭和十四年生まれで約二十八年間農業者年金に入ったというモデルであります。そういう場合、最高で十九万八千円、最高でなくて老齢で十六万七千円です。要するに、四万七千四百四十円を掛けまして、最高で十九万八千円、老齢で十六万七千円です。  では、同じような規模、同じような年数でやった場合、厚生年金の場合、半分は企業負担でありますが、掛ける側とした場合、今厚生年金は、一カ月二万八百二十円掛けた場合、幾らもらえるか。二十一万二千円です。たしか企業が半分負担しますが。  ここで、大臣方おられるので御注目していただきたいのですが、会社勤めの方よりも二倍の年金の掛金を掛けて、そしてそれであってもサラリーマンよりも三万も四万も少ない。こういう農業者年金を全国約百万人以上の方々が、今、農業厳しい中であります。特に農業者の方々の収入は年金に依存しております。生産調整というものが三年に一回なされる。生産調整のそのお金、もらいたくないお金をもらいながら、しかしながら最悪の場合、最後の場合は農業者年金でもって何とか救ってもらおう、そういう方がおられる。  こういう農業者年金をどのような方向に持っていくかについて、ひとつ御専門であります谷津総務政務次官からお聞きしたいと思います。
  21. 谷津義男

    ○谷津政務次官 ただいまの栗原先生の御質問でございますけれども、農業者年金と厚生年金とでは、農業者年金が定額の保険料であることは、先生も御存じのとおりです。  厚生年金は、ただいま先生のおっしゃいましたとおり所得に比例した保険料でありまして、本人負担のほかに同額の事業主負担があるなどの仕組みが異なっておりますから、ちょっと単純に両制度の保険料、年金額を比較することは困難ではないかと思うのです。  仮に、農業者年金の年額の算定基礎である平均農業所得、これは二十三万八千円、同程度の所得として厚生年金の本人負担分を計算しますと、今先生がおっしゃったように、厚生年金の保険料は二万八百二十円となるのに対しまして、農業者年金加入世帯では、国民年金、夫婦二人分合わせて、月額で四万七千四百四十円の保険料となります。  また、受給額についても、ただいま先生おっしゃいましたように、農業者年金加入者世帯では、加入期間が二十八年となる昭和十四年生まれの方が六十五歳、経営移譲年金の加算つきを受給した場合で、夫婦二人分の国民年金を合わせると、月額十九万六千二百五十円、先生の数字とはちょっと私どもの試算、違いますが、なります。また、厚生年金加入世帯では、加入期間等について農業者年金世帯と同様の仮定をしますと、試算しますと、二十一万三千百二十六円というふうになります。  なお、農業者年金の保険料負担額は厚生年金よりも高くなっておりますが、これは、農業者年金は、加入者の減少が著しくなっております。また、厚生年金等に比べ、成熟度が二五〇%、一人で二・五人を扶養しているということになりまして、農業者の場合、みずから事業主であり、厚生年金の事業主負担もない等となっております。  そこで、先生おっしゃいましたどのように改正を考えているのかということですが、農業者年金の改革の方向ですが、これは三つあるのではなかろうかと思うのですね。  一つは、現行制度を継続する案であります。この場合は、保険料は平成十七年に現行の二倍の月額四万三千円まで引き上げる必要がありまして、農家の負担能力を超えるのではなかろうかと思います。二番目には、本制度を廃止する案があります。第三には、本制度を抜本的に改革した上で継続する案です。この場合、政策目的を新しい基本法に沿ったものに改めなければなりません。また、財政方式を賦課方式から積立方式に切りかえて、年金財政の安定を図らなければならないと思います。それから、制度改革に当たっては、必要となる経費は受給者、加入者と国で折半するということが考えられます。  どのような案を選択するかについては、現在関係者の間に真剣な議論が行われていると承知しておりますが、改革案につきましては検討していきたいと思っております。  以上です。
  22. 栗原博久

    栗原(博)委員 きょう厚生大臣お越しでございますので、年金問題また医療の問題で大変御苦労されておりますが、ちょっとお聞きしたいのであります。  厚生年金に鉄道年金が平成九年四月に統合されました。この間、約三千億円ですか、鉄道共済の赤字部分、一番高いときで三千億円ですね、ずっと三千億円の負担を、制度間調整なり、いろいろやってまいったわけでありますが、今度は、今俎上に上っておりますのは農林年金です。農業者の団体、農協とか土地改良区とか、そういう方々が、これも成熟度が高くなってまいりましたので、厚生年金に統合してもらいたいという動きもございます。  そこでお聞きしたいことは、鉄道年金が厚生年金に統合された経緯、それからまたその意義について、ひとつ厚生大臣からお聞きしたいと思います。
  23. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず、御案内のように、我が国の年金制度におきましては、一階部分と言われる基礎年金というものがすべてに共通をしておる、こういう中でございまして、問題は二階建てと言われております厚生年金でございますけれども、近年の産業構造の変化によりまして、いわゆる現役の被保険者が減少した、こういうことで制度の運営というものが非常に不安定になってきておる。  こういうことで、これを解消するために、昭和六十一年には船員保険と厚生年金が統合いたしました。それから、平成九年の四月には日本鉄道、日本たばこ産業、日本電信電話の各共済と厚生年金の統合が行われたわけであります。  今委員が御指摘の農林共済でございますけれども、この問題につきましても、今関係団体から統合に向けて御要望を受けていることは事実でございます。  私どもといたしましては、平成八年の閣議におきまして、公的年金制度の再編成を進めるに当たっては、財政再計算時に将来の財政の見通しなどについて分析を行う、こういうことが決定をいたしておるわけでございます。こういうことに従いまして、農林共済を含む各被用者年金制度のあり方につきましても、まずは、それぞれの被用者年金制度における今回の財政再計算というものを踏まえまして、関係省庁あるいは関係団体、特に、厚生年金でございますので、サラリーマンの団体でございます、こういう関係団体と協議を行いながら具体的な検討に入っていく、こういうような手順でございます。
  24. 栗原博久

    栗原(博)委員 大変成熟度が高くなっている農林年金についてもひとつよろしくお願いしたいと思いますが、私が質問したかったのは、先ほど、冒頭私が申し上げたとおり、戦後、敗戦によりまして多くの方々が農村に帰ってまいりまして、そして労働供給力としての農村であり、かつまた食糧生産の農村でありました。  また、私は新潟県の新津というところでございまして、これは裏日本最大の鉄道の町であります。新津にも、どの地区もそうだと思いますが、戦争で引き揚げてきた方、多くの方を国鉄は受け入れたわけですね。だから国鉄は、やはりそういう戦後、敗戦で職を失った方々を受け入れた、そういうところにまた国鉄の債務負担というものも大変膨大な点もあったと思うのであります。  ちなみに、この年金統合、厚生年金に鉄道年金が統合するころ、いろいろ議論した資料を見ますると、約五十六万人の旧国鉄の方々に対して、年間約三千億円近い財政支援をしなきゃならぬ。制度間調整もありますし、また先般、二十七兆円の中における三・五兆円の、これは年金に対する負担を決定したわけであります。ところが、農業者年金は、五十六万人の二倍、約百十万人、二倍であっても、年八百億円の財政支援をしている。  私は、農業者年金は政策年金ですから、これは厚生年金の鉄道年金と同じように見てはならないことは重々承知しております。しかしながら、年金をもらって生活をしている方にとっては、その年金がどういう年金であろうと年金は年金だというお考えを持っていると思う。経営移譲部分が三五%も下がれば、もう農村においてはとんでもない問題だというふうに騒いでおるわけであります。  その中で、私は今単純な比較だけしてみましたけれども、農業者百十万人、農業者はもっとたくさんおられます、年金の関係者約百十万人。それは鉄道の一人当たりの七分の一の財政支援であるというふうに、私は、単純計算でありますが、これは当たるか当たらないかわかりません。しかし、同じ戦争という経緯を経ながら、国民はみんな努力しました。努力しましたが、しかしながら、私は鉄道年金と農業者年金を同じような角度から見ておるんですよ。そして農業者年金は七分の一の財政支援である、そして、これからさらに減額されるならばどういうことだろうというふうに私は単純に思うわけでありまして、これについて、大臣からもう一度ひとつ、厚生大臣と農林大臣から御所見を承ります。
  25. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず委員にちょっとお尋ねしたいのは、農林共済年金、つまり農協の職員などを対象にするものと、今先ほどからお話しになっております農業者年金制度、いわゆる農業従事者とは全く性格的に異なるんだということでありまして、今谷津政務次官の方からも答弁があったわけでございますが、ここを一応分けてお話しいただきたいと思います。  今私にお聞きしたいのは農業者年金の方でございますでしょうか。
  26. 栗原博久

    栗原(博)委員 鉄道年金が厚生年金と統合しましたね。その経緯を先ほど御説明いただいたわけであります。私は、農林年金は別問題ですが、ただ農林年金が今統合の方向へ行っておりますから、ぜひ農林年金は統合をお願いしたいんですが、きょうの質問は、農業者年金に視点を当てて今御質問させていただいておるわけでありまして、御答弁でわかりました、厚生年金との統合の経緯についてはわかりましたから。  私、願わくは、やはり鉄道年金と厚生年金が統合するときの経緯というものがあります。例えば三千億円の財政支援があったわけですから。それで、それと同じように、戦後やはり同じような環境であった農業者に対する農業者年金、これについて農林大臣から、どのように対処するかということをひとつお聞きしたいと思います。厚生大臣、よろしゅうございます、先ほどのお話で。
  27. 島村宜伸

    島村委員長 どちらに質問されますか。
  28. 栗原博久

    栗原(博)委員 農林大臣です。
  29. 島村宜伸

    島村委員長 厚生大臣は終わりですか。
  30. 栗原博久

    栗原(博)委員 はい、終わります。
  31. 島村宜伸

  32. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 農業者年金制度は、制度発足以来、農業者の老後生活の安定及び農業経営の若返り、農地の細分化防止と規模拡大に寄与してきたところであります。  一方、農業をめぐる情勢は大きく変化をしまして、農業者年金制度の政策面及び財政面の問題が顕在化しておるところであります。このため、本農業者年金制度の改革に当たりましては、食料・農業・農村基本法の理念に即した形で、関係者の理解と納得及び年金財政面での長期的安定が得られる制度にしていきたいと考えております。
  33. 栗原博久

    栗原(博)委員 時間がございませんので、私、そのほか外形標準課税についてあるいはまたお聞きしたかったんですが、ちょっと時間がありませんから省略しまして、せっかく大蔵大臣おられますので、もう一つ御質問したいと思います。外形標準課税の点は省略させていただきます。  大蔵大臣、きのうも予算委員会で、国債発行の問題、いろいろここで議論されておりましたけれども、私素人ながら、ひとつ大蔵大臣にお聞きしてみたいと思うんです。  我が国の公債依存度は、十一年度の二次補正を含めまして四三・四%と言われております。来年度は当初予算で三八・四%というふうに聞いております。その中で、中央政府も地方公共団体も、リースというものがあります、今、コンピューターについてはリース契約で購入しているようですが、まだまだ。今民間ではリースによって購入して、会計法上のいろいろの利便を利用している点もあると思っています。  我が国は、財政法、会計法上は、政策の中立と国民負担の軽減をうたっておるわけなので、リースはどうも高いというようなお考えを、財政当局、お考えのような方もおられますが、私やはり、リースは単年度でございますから、財政上、単年度契約でやるわけですから、リースを利用すれば、五年、六年後には総体的に額は多くなるけれども、当初、単年度でやるならば五分の一とかあるいは七分の一ぐらいの経費でもって契約できると思うのであります。  ということで、国も地方公共団体も、余り機材の購入とかあるいは物品の大道具等の、コンピューターは一、二年は購入しているようですが、そういうリース契約というものをもっと奨励できないものかどうかと思うので、時間の関係で、この点だけひとつ大蔵大臣から御所見を伺いたいと思います。
  34. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、御質問のお考えの中にございますように、財政はリースというものを一概に排除したいという考えを持っているものではございません。品物によりまして非常に陳腐化しやすいものもございましょうし、それから基本論で申せば、そのときはリースで払った方が楽でございますが、長期的には負担がふえてしまうというようなことはどこでもあることでございますけれども、したがって、できればそういうことは避けたいというのが普通の常識でございます。  しかし、だれでもちょっと懐ぐあいのいいときと悪いときというのはやはりございますから、買っちゃえば得なんだが、ちょっと今苦しいのでリースでという問題は、私経済にあるように公経済にも私は実際はあるだろうと思います。そこを、何もトータルで損だからリースはいけませんというようなことばかり言っていられないことというのが財政にも私はあると思いますので、御質問の御趣旨は、決して財政は一概にリースというものは排除しないというふうにお考えくださって結構だと思うのです。
  35. 栗原博久

    栗原(博)委員 ありがとうございました。  大変質問の仕方が悪くて、混同して申しわけありませんが、農業者年金だけは農林大臣、ひとつよろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  36. 島村宜伸

    島村委員長 これにて栗原君の質疑は終了いたしました。  次に、西川知雄君。
  37. 西川知雄

    西川(知)委員 西川知雄でございます。  きょうは、いろいろな観点から、国民がもう一つよく理解できていない、または理解できない、そんな幾つかの問題点、これを誤解のないように解明をいたしたいという見地からいろいろなことを御質問させていただきたいと思いますが、まず、ペイオフの一年延期についてお尋ねをいたしたいと思います。  たしか私が去年、何月かちょっと忘れましたが、大蔵大臣に二度ほど、この件で予算委員会と大蔵委員会で質問をいたしました。二〇〇一年四月一日をもってペイオフをやりますね、こういう質問を私がいたしましたら、大蔵大臣は、これはやりますというふうにお答えになりました。  その後、いろいろな経緯がございまして、昨年の十二月末に、まず与党のプロジェクトチームでこの問題が論議をされて、両論があったようでございます。そこで、私も参加させていただいております与党の政策責任者会議で、この問題を十二月の末に議論をいたしました。結論としては一年延長ということになったわけですが、私は、個人的には、これは二〇〇一年の四月一日から約束どおりにペイオフをやるべきであるというふうに主張をいたしました。  これは理由は幾つかあるんですが、一つは、国際公約的なものであるということ。また二つ目には、他の方法でもいわゆるこの問題点を解決する止血剤がある。すなわち、信金とか信組にも実質的に公的資金を導入しやすいように法律を改正するとか、また危機的な事態における特例措置を充実させるとか等々によって、問題点は解決できるだろう。  また、信組の国による検査、これが平成十三年の一月から三月ぐらいじゃないと終わらないというお話もございました。しかしながら、それは、終わらないからそれを待ってからやるというのは理由にならないというようなことを考えておりまして、私は反対を主張したんですが、二年延長ということを主張する方もいらっしゃって、最終的には一年ということになったようでございます。  そこで、きょうは大蔵大臣か、または金融再生委員会委員長のどちらかにお尋ねしたいんですけれども、初めはちょっと大蔵大臣にお伺いしたいんです。  というのは、この間の、昨年私が申し上げたときに延長はしないとおっしゃっていて、今度延長するということでございますから、与党の政策責任者とか、また与党全体で決めたということで、これを議員立法で議員提案するのであればちょっと話はわからないでもないんですけれども、これを今度の預保法の改正とか、そういうことの改正によって政府提案するというのは、ちょっと前の方針と違うんじゃないかというような疑問もございますので、この辺はどういうふうに御説明を願えるのか、ちょっとその点をお尋ねしたいと思います。
  38. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題は、最終結論が出ましたのが昨年の暮れの御用納めを過ぎたころであったものでございますから、必ずしも報道等々が詳細でもありませんでしたので、ちょうどお尋ねをいただいてお答えをするいい機会だと思っておりますが、金融審議会がずっとこの問題を詰めてまいりまして、かなりいろいろ問題の要素は排除したりしまして、対策を考えたりしまして、ほぼ最終的な法案が提出できる状況まで問題を整理してまいりました。その段階で残りましたのが、信用組合の問題であったわけでございます。  当時も今も、恐らく三百内外のものが残っておりますが、御承知のように、これは従来、都道府県の監督にございましたために、政府として、金融監督庁としてその内容を全く承知していないという状況にございました。しかも、年に平均して十とか二十とかいうものは倒産したりいたしておりますので、この三百のみんながどうも必ず健全だとは恐らく申しにくい、これは常識であったと思います。  ただ、信用組合が一つつぶれても国の金融秩序に影響があるほどの問題ではない、そういう常識が片っ方にないわけではなかったと思いますけれども、三百近いと申しますと、地方にとっては相当な影響のあることであるし、また、信用組合そのものが地方にとってはやはり一つの存在でございますから、金融だけといって放置するわけにもいかない部分もある、そういう現実はあったと思います。  そこで、国の管理に移りますのが四月でございますので、金融監督庁が、おかげさまでかなり増員をしていただきましたものの、四月から調べに入って、そして、破綻すべきものは破綻をさせなければ仕方がない、それから早期是正をすべきものは早期是正をさせる、それから場合によっては公的資金の援助が必要なものがあるかもしれない。最後の場合には法的措置が新たに必要なわけでございますけれども、それだけのことを考えますと、四月から始めて翌年の三月に全部ペイオフ、信用組合は問題ございませんというのにはやはりなかなか問題があるなというのが各党の御意見でございまして、西川委員の御意見も私はよく承っておりました、国際的な面等もお考えのことも承っておりましたが、結局、越智さんと私とで考えまして、やはりここは、いかに信用組合といえども危ない橋は渡らない方がいいし、改善すべきものは法律をつくってでもやはり改善して残ってもらおう。  一年ということは永久に延ばすということではもちろんありませんし、公的資金の導入等は予定どおりで終わってしまいますので、この問題だけが延びましても、まあ国内的に大きな問題があろうとは思わないし、国際的に誤解を受けることもないであろう。そういう判断から、これは各党の御協議ではありましたものの、私ども、越智さんと私と考えまして、これは政府の責任において延ばすことを決心する方が本来ではないか、こう考えまして、私どものイニシアチブでいたしました。  したがって、このことは、前に私が西川委員に予定どおり実行いたしますと申し上げたことは、この限りにおきまして私が不正確なことを申し上げたことになります。この点はおわびを申し上げますが、理由はそのような理由でございました。
  39. 西川知雄

    西川(知)委員 それで、もう少しこの点についてお尋ねをしておきたいのですけれども、実は前は、新聞とかマスコミでは、このペイオフを二〇〇一年の四月一日から行うというのは国際公約であるというようなことが言われておりました。それで、国際公約であったら、それを破るというのはこれはおかしいということに当然なるわけですが、具体的に、前回はそもそもそういう国際公約というのがあったのかどうかということをひとつ御説明願いたいのと、今回、一年延期をするということを決定された、これを国際的に説明して納得を得られたのかどうか。  そして、この問題についてもう一つだけお尋ねしますけれども、これは一年間延期するということでございますが、一年でこの不良債権の問題というものが思っているように解決をできないといったときに、どういうふうなことを考えられているか、この点についてちょっとお尋ねしたいと思います。
  40. 越智通雄

    ○越智国務大臣 まず、西川委員のおっしゃいました、従前国際公約だったかということにつきましては、別に契約書にサインしたとかなんとか、そういう話じゃございませんけれども、各国際会議におきまして、日本もそのようにいたしますと、殊に二年半ほど前は非常に日本の金融に対する不信感が募っている、国際的に募っているときでしたから、そのようにいたしますということを申し上げてまいりましたから、それをもってすれば、国際的には公約したと言えるかと思います。  しかし、では現状はどうかというと、私ども早速手をいろいろ打ちまして、将来の、ペイオフ後の分も含めた法律案を作成してこの国会に出させていただきますが、同時に、私から各金融機関の団体に対しましては書簡を送りまして、銀行と名のついているところは、要するに第二地銀以上でございますが、一年延期ということではなくて、従来どおりのペースできちんと不良債権の処理とそれから経営の健全化をやってくれと。私どもの方は経営健全化計画というのをとっておりますから、このようにやっていきますというのを計画をとりまして、かつ、それを一年に二回、実行状況をチェックしているという状況でございます。  リーディングセブンティーンと申しますか、そこら辺のところはきちっとやってくれる。そして第一地銀、第二地銀の方も、それぞれ皆さん、業界の会長さんから私あてにお手紙が返ってきまして、手紙の趣旨に沿って必ずそういたします、こういうことでございます。  外国の方も、それを信用していただきまして、国内でも株価は全然あのときには下がっておりません。最近下がっているのは石原発言の結果でありまして、銀行の株は全然当時下がっておりません。それから、ジャパン・プレミアムはずっとありません。ほとんどないという状態であります。それから格付も、ムーディーズもSPも全部変えないということで、変わっておりません。  ただ、今、ちょっとお時間をいただいて恐縮ですが、宮澤蔵相から申し上げたように、信用金庫と信用組合は、協同組合組織金融のゆえをもって、いまだ健全化勘定からの資本の注入は行われておりません。劣後債ならばいいということですが、実際にやったものはありません。ですから、その点は今度は変えます、出資法を。  それから、一年間でできるかということにつきましては、私ども、信用組合を中心に検査をやるのに、七月からやります、三月決算が決まったときから。三百一斉にやるには大体一年半ぐらいかかるのですね、全部やるのに。それを詰めて、九カ月間に全部やらせます。そして、処理をするのに、その後一年間でやれと言われると大変厳しいですけれども、何とか破綻が懸念される先をそうじゃないように持っていく。先生のお生まれの滋賀県の隣で京都では、全部京都中央金庫に集中するように手を打っていくのにも相当時間と手間がかかっておりますが、そういう作業をやり通そう、こう思っております。
  41. 西川知雄

    西川(知)委員 ちょっと宮澤大蔵大臣にお尋ねしたいのですけれども、ペイオフ延期の一つの理由が、五年前にペイオフを二〇〇一年四月一日からやるということを決めたときには、その間のいろいろな金融破綻、この問題が予想し得なかったということでございます。それで、まだ不良債権の問題というものが解決になっていない、こんなようなことが理由として一つ述べられているのですけれども、金融というのは、経済というのはどんどん変わっていく。一年後のことも予測できないようなことでございますから、五年前に予測できなかったというのは当然のことなんですけれども一つ、要するに不良債権問題の解決というふうにいうのは、一体どういうことなのか。  というのは、国民が心配しているのは、これは一年間延ばしますというのですけれども、また例えば与党の会議で、これはちょっとまだ金融が不安だ、もうちょっとそれを延ばした方がいいのじゃないかといったときに、また今度政府提案で、与党から延期申請が出たからまた延ばしましょうというのでは、ちょっといつになったら不良債権問題が解決するのかということがわからないということで、ここははっきりと、こういう方向で行くということを言っていただいた方がみんなにわかりやすいと思うのですが、大蔵大臣、その点を御説明願いたいのですけれども
  42. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまのペイオフ自身の問題は、今越智大臣も言われましたし、私も申し上げておりますけれども、今のような理由で、一年延ばしていただきますと、信用組合の問題まで処理される。これ以上延ばす理由というものが別にございませんし、今の我が国経済が、この調子でございますと、信用不安が新たに生ずる、深まるということも恐らく考える必要がない状況と考えますので、その点については、従来申し上げたとおりでございます。  そこで、今のお尋ねは、非常に難しいお尋ねでございます。どこになったら不良債権というものは済むのかねというお話でございますが、今ここに主要金融機関の決算状況、十五行ございますけれども、それは十一年末期決算でございますが、十五行の業務純益三兆円——むしろこういうふうに申し上げましょう。十五行の中で、当期利益を出して税金を払っておりますのは東京三菱銀行だけでございます。その他は全部、当期利益はマイナスでございます。そこで、この期に処理いたしました不良債権の処理額は九兆三千億でございますが、その九兆三千億は、まず業務純益三兆をつぶし、それから株式等の売却益一兆四千億、不動産の処分益四千億余り、これだけをつぶしまして、経常利益を五兆七千億円マイナスにしております。  そういう計算をしておりますから、仮にいつまでとおっしゃいましたら、一番安全と申しますか完全なお答えとしては、各行が当期利益を出す段階、こう申し上げるべきだと思います。その後にいろいろな状況がいろいろな銀行に起こってくるかもしれませんが、それは何も経済のトレンドとして起こってくる心配はないと思いますので、そう申し上げるのが十五行に関しましてはいいのかと思います。
  43. 西川知雄

    西川(知)委員 ペイオフのことについては、また機会があれば、大蔵委員会とか何かで詳しいことをお聞きしたいと思います。  きょうは、ちょっと先ほど申し上げましたように、国民がもう一つよく理解できないことをいろいろと御説明を願うということでございますが、一つは、言っていることとやっていることが違うというと、これはちょっとおかしいということになるわけでございまして、実は、今度の連立政権ができるときに、自民党のある一部で、この連立内閣というものは憲法に定める政教分離の原則に照らして疑義があるということで、憲法違反の疑い、これを主張した人がいるわけでございます、名前は言いませんが。  しかし、その憲法違反の疑いがあるということを主張した人が、閣僚にはいらっしゃってないんですけれども、例えば政務次官に入っているという人がおります。これはちょっと常識からするとおかしいんじゃないかと思うのですが、いわゆる憲法六十六条の「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と。一体の原則とかそういうこと等どういうふうに考えたらいいのか、その辺を官房長官の方から御回答願いたいと思います。
  44. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 お答えをいたします。  宗教団体が支持している政党の政権参加と憲法第二十条の定める政教分離の原則との関係につきましては、昭和四十五年の質問主意書に対する内閣の答弁書以来、累次にわたって明らかにされているとおりであります。すなわち、宗教団体が推薦し、または支持した公職の候補者が閣僚に就任し、国政を担当するに至る場合において、当該宗教団体と国政を担当することとなった者とは法律的には別個の存在であり、宗教団体が政治上の権力を行使していることにはならないのであるから、憲法第二十条第一項後段違反の問題は生じない、そういうふうに解釈をいたしております。  また、この点について、小渕内閣の国務大臣はいずれも国務大臣の立場においてこうした内閣の見解に従うとされており、閣内不統一の問題はないと考えております。  なお、仮に国務大臣がこうした内閣の見解と異なる発言をすることがもしあったとしても、それが一政治家である、また政党の一員としての立場から個人的見解を述べたものである限り、国務大臣の立場においては内閣の方針に従うということである場合には、憲法第六十六条第三項との関係でいわゆる閣内不統一の問題が生ずることはない、そのように考えております。
  45. 西川知雄

    西川(知)委員 もう少し詳しく教えていただきたいのですけれども、私の申し上げているのは、憲法違反かどうかということについての解釈をお尋ねしているのではなくて、これは、例えば、憲法違反の疑いがあると言っている人がいる、その人が内閣、閣僚の一員または政務次官になっている、これはどういうことですか。これはいいんですか、言っていることとやっていることが違うというのはいいんですかという質問をしているわけです。
  46. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 ただいまも申し上げましたように、その人が一個人としての立場でのいろいろな発言をされる場合は、内閣の方針に従うという前提がある場合、憲法に違反しない、そういうふうに解釈をいたしております。
  47. 西川知雄

    西川(知)委員 私の申し上げたかったことは、要するに、憲法解釈というのを私は聞いているわけではなくて、これは憲法違反の疑いが強いと言っている人が例えば閣僚とか政務次官とかいうのにいるということは国民としてちょっと理解できないんじゃないかということで、その趣旨をお伺いしたわけでございます。  そこで、ちょっと経企庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  今いろいろな景気の問題が出ておりまして、今度の月例報告でも前と余り変わってなさそうでございますが、いろいろなところで個々に聞かれるのは、指標はよくわかった、しかし、自分たちが肌身で景気はよくなったというふうに感じられるのは一体いつですか、こういうのが単純な質問としていろいろなミニ集会なんかやると出てくるのですね。そうすると私は、経企庁の長官の言われたこと、大蔵大臣の言われたこと、これが真実に近いんじゃないかということで、大体秋ごろから、また秋から後にかけてよくなっていくんじゃないですか、そう言うのですが、いやいや、民間の方はまだまだ悪くなっている、むしろこれから悪くなりそうだと言うような人もいないではないわけです。  そこで、肌身で国民が、市民が、景気がよくなりそうだな、また、なったなと思うのはいつごろか、こういう単純な質問でございますが、これをちょっとお答え願いたいと思います。
  48. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員のお尋ねでございますけれども国民の中にもいろいろな立場の人、いろいろな職種の人がおりまして、ある部分では、例えば兜町あたりでは、もう大分よくなったというようなことを実感として感じている人も多いようでございますし、また、特に百貨店とかスーパーマーケット、そういう大型小売店では、まだまだよくなっていないというようなことを言われる方もおられます。  全体としてよくなったなということが浸透してくるのは、一つには消費がふえること、そして所得がふえること、雇用が安定すること、そして究極的といいますか、とどめといいますか、一番最後に出てくるのは設備投資がふえること。このあたりまでそろうと、皆さんが、景気がよくなったな、回復したなというのを納得していただけると思います。  暮れのボーナス、去年のボーナスは非常に低かった。これは、去年の三月決算で春闘が決まっておりまして、それの一番の調整が最後に来ますから、年末調整に来ますから、一番悪いときの業績が年末に反映された。国家公務員も、平均いたしますと十二月の現金所得は八・六%下がっております。こういう実感で十二月は非常に消費が冷え込んだのでございますけれども、この次の三月期には幾らか企業の業績も好転してまいります。したがいまして、これから消費は、既に一—三月ぐらいから向上してくるのじゃないかという気がしております。そういたしますと、恐らく一般的に少しよくなったという感じが出てくる。  それから、設備投資でございますが、これはだんだんと下げ幅が減ってきているという状態でございますけれども、それの先行指標となります機械受注が十—十二月にはプラスになってきています。大体これが六カ月から九カ月の先行指標と言われておりますので、大体六月ぐらいになると、七—九月期には設備投資が向上するのじゃないか。  そういうことを勘案いたしますと、今年度の後半には、皆様方に、確かに景気が回復したという実感を大部分の方々に持っていただけると思っております。
  49. 西川知雄

    西川(知)委員 ありがとうございます。  ぜひそういうふうになってほしいというふうにみんな期待しておりますので、我々も頑張っていきたいと思います。  そこで、ちょっと通産大臣に簡単にお尋ねをいたしたいのですが、景気回復に向けて、やはり中小企業の資金繰り、これも大変重要なことになっているわけでございます。ところが、一時はいろいろな特別保証枠等々で中小企業に対する貸し渋りというものがある程度解消したというか、緩和されたということでございますが、最近また銀行が全然貸してくれない。特に大手なんか行ったら、どういうことかというと、私は不動産業をやっているのですけれどもと電話をかけただけで、それはだめです、お会いもしません、そんな話が実はたくさん出ているわけです。  それで、以前は、いろいろなところで中小企業に対する金融の問題についてフォローアップ体制をとられて、そういうことをやっては中小企業庁からいろいろ注意されたり通産大臣が注意されたりしておったのですが、ちょっとそれが今どうなっているのかなというふうに思わざるを得ない状況でございますので、その点についてのフォローアップ体制と監視強化についての通産大臣の対応、御意見をお聞かせください。
  50. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 委員の御質問にお答えいたします。  貸し渋り問題については、御案内のとおり、一昨年、二十兆の信用保証協会による貸し渋り対策、中小企業ですね、これをやりましてからかなり好転をしてまいりました。実態調査でまいりますと、一昨年の十一月とことしの一月とを比べますと、非常に改善されてきているという答えが出てきております。すなわち、平成十年十月は、貸し渋りを受けているといいましょうか、厳しいというのが三五%でございました。それが本年の一月は二四・八%まで減少しています。  ただ、それは比較論でありまして、減少しているといってもまだ四分の一が貸し渋りに遭っているという実態でありますから、これは非常に重要な問題だと思います。  私どもとしましては、これらを踏まえて、さらに十兆円の信用保証協会の貸し渋り対策の一年延長ということを決めさせていただいたわけでありますが、中小企業金融公庫を初めとして、特に政府系の金融機関は十分に相談窓口として対応できるようにきちっと指示していきたいと思いますし、御指摘のありました銀行協会等に関しましても、我々は、通産省として中小企業が活力を持つことが大事だということをさらに主張して、貸し渋りのないように指導してまいりたいというふうに考えます。
  51. 西川知雄

    西川(知)委員 では、その点、ぜひよろしくお願い申し上げます。  ちょっと総務庁長官にも来ていただいておりますので。  今、公共工事のことについていろいろな論議がされております。そこで、公共事業について、効率的な公共事業が行われるようにということで行政評価というものが今言われているところでございますが、予算が成立した後、箇所づけをする前に行政評価をして、どういう経済的な効果があるか、費用はこれぐらいかかって効果はこういう経済効果がある、そしてそれを国民に公開して、それが目的どおりにならなかった場合には中止したり変更したりする、こういう基本的な考え方がいいのじゃないか。そして、その中にやはり経済性、費用対効果というところもぜひ入れた方がいいのじゃないかと私は思うのですが、長官の御意見をお尋ねします。
  52. 続訓弘

    ○続国務大臣 お答えいたします。  西川委員は、専門的な立場でもございます。今御指摘がございましたように、まさに国民の皆様は、今述べられたような手法で公共工事に立ち向かってほしいという要望がございます。衆参両院の特別委員会でも実はその問題が取り上げられまして、法制化しなさいという要望が出ております。  私どもとしましては、七人の委員先生方に、実は今御指摘のような手法について英知をいただいております。この七月に大体まとめの答申をいただける。その前に、実はきょう、あしたにも中間的に、こういう手法で、費用対効果等々について客観的な評定の仕方について、答申といいますか、それをいただく予定でございます。それを一般に公開いたしまして、そして七月のまとめの段階で整理をして、直ちに法制化できるものは法制化をしたい、このように考えております。御指導を願います。
  53. 西川知雄

    西川(知)委員 よくわかりました。  そこで、これはちょっと質問の時間がないので、ちょっと大蔵大臣の方でも、また皆さんにも考えていただきたいのですけれども、やはりこれは予算のあり方ということにも関連してくるんじゃないかと思っております。  きのう、民主党の菅代表がイギリスの例を引かれていろいろな予算のあり方をおっしゃっていましたが、ちょっと肝心なところが抜けておりまして、要するに、今のところ憲法八十六条の制約があって単年度予算になっているわけですけれども、イギリスの場合ですと、複数年度予算、これをやってよろしいということに憲法上もなっております。  ですから、それを複数年度やって、そして毎年毎年、これは状況が変わりますから、そのたびに予算を見直すというような方法じゃないと、中長期的になかなか公共工事の能率性とかまた将来の財政の構造改革なんというのはできにくいのじゃないか、こういうふうに思います。  それで、厚生大臣にもちょっと来ていただいておりますのでお尋ねをしたいのですけれども社会保障の問題、これは公正とか公平感、これがいろいろな国民の間で確保されない限り、なかなかみんなに納得してもらえないというようでございます。  私もいろいろなミニ集会をやっておりまして、例えば年金の問題でも、奥さんの方から、共働きをしている人の奥さんと無職でいる奥さん、それで夫が死亡した場合にその取り扱いが違う、不公平だとか、また保育園に行くときにも、既に働いている人がいる、そして子供がいる、保育園に預けたい、こういうときは割合預かってくれるらしいのですけれども、逆に、今働いていない、これから働きたいんだけれども子供を預かってくれるかというと、なかなか預かってくれない、そんな問題があったり、いろいろな問題があります。  例えば小児科に行っても、ちょっと保育園から小児科に行って、病気になっている、そうしたら、その子がまた帰ろうと思っても帰してくれない、小児科で預かるような施設もなかなかないということで困っているとか、そういう不公平感とか、ほかの人はうまくいっているのに自分の方はうまくいかないな、こんなようなことがいろいろなところから聞こえてくるわけでございます。  きょうは、私、その個々具体的な回答を必要としているわけではなくて、こういうようないろいろな声があるわけですね。これをどういうふうな方法で、どんなようにして吸収していって、それを公平感のあるような政策にしていくのか、その辺の基本的な姿勢を、ちょっと厚生大臣からお尋ねしたいと思います。
  54. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 社会保障において一番大切なことは、要するに何人も均等なサービスを受けることができる、まさに委員指摘の公平感であると思います。  ただ、今委員指摘の中で、いわゆる制度的に公平が保たれていないのか、あるいは今、その保育園の場合であるとか、要するに小児医療所の場合であるとか、個々の場合であるとか、さまざまなケースがあると思います。  その辺は分けて考えていかなければならないと思いますが、私ども、例えば女性の年金の場合は、実際問題としていわゆる女性の賃金というのはまだまだ低いのである、それから加入の年数、期間というものは短いんだ、こういう観点から、いわゆる女性の遺族年金といわゆる本人の年金と、あるいは夫と妻と、要するに合わせた二分の一にする、こういうような選択肢を設けておるわけでございますけれども、こういった問題につきましても、今後さらに、いわゆる公平性というものを保ちながら、要するに追求しながら検討していきたい、このように考えているような次第でございます。
  55. 西川知雄

    西川(知)委員 今のような公平感、こういうことが保たれるように、実質的にも法律的にも、ぜひ厚生省としてお願いをいたしたいと思います。  そこで、文部大臣にも来ていただいておりますので、今非常に教育問題ということについていろいろなところから問題が指摘をされているところでございます。ちょっと私、さっき青木官房長官にも申し上げた点でございますが、こういうふうにやはり政治家が範を示すべきである、言っていることとやっていることがなかなか理解できないようでは、これはやはり国民から信を得られないというふうに私は思うんですが、そういうふうにするためには教育問題というのはとても大切な問題だと思うんです。  非常に抽象的な話で申しわけないんですが、文部大臣の御所見、この点についてお伺いしたいと思います。
  56. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど委員が官房長官に御質問されたことに関連しての私に対する質問であろうと思います。つまり、政治家は言動を一貫していなければいけないのではないか、そういうような趣旨ではないかと思います。  近年、教育に関しましてはさまざまな問題が生じているわけでありますが、これらは、大人を含む社会全体のモラルが大きく低下しているということが原因の一つではないか、そういうふうに思っておりまして、したがいまして、まず大人それから社会全体がモラルを回復して、議員が御発言のように子供たちの模範となることが大事だ、そういうふうに思っております。  特に、国会議員は、主義主張あるいは政策によって選挙国民から選ばれるわけでありますから、国民の代表としてきちんとした立場、言動をとるということが私は最も大事なことではないか、そういうふうに思っております。しかし、政治、経済等は刻々と変化をしておるわけでありまして、そういう変化の激しい現代社会におきましては、政策などで個々の課題に対処するために柔軟な対応をしなければならないこともあるのではないか、そういうふうにも思っております。  いずれにいたしましても、政治家としては、きちんとした、国民皆さんに理解をしていただけるような言動をとるということが大事であり、これは子供教育上も最も大切なことである、そういうふうに思っております。
  57. 西川知雄

    西川(知)委員 時間が来ましたので終わりますが、通産大臣には、あとリサイクルの定義の問題とか、また、ストックオプションというときに、外国の会社は商法上株式会社でないということで、そのストックオプションに対していろいろな税法上の不便があるということもございますので、これをぜひ考慮に入れて改正をしていただきたいというふうに思います。  以上でございます。
  58. 島村宜伸

    島村委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍基雄君。
  59. 安倍基雄

    安倍(基)委員 久しぶりに予算委員会で質問をすることでございますが、私も、時間の関係もございまして、当初三十分の予定の質問が二十分になったものですから、物によっては聞かないでしまうというものもあるかと思いますけれども、ただ、主要閣僚の方に聞いていただきたいことがございますので。  最初に、越智大臣になられてから、私は、非常によいやり方が出てきたと思っておるんですよ。というのは、いわゆるハードランディングという言葉が随分はやりました、あれにしなくちゃいかぬと。ただしかし、ハードランディングという言葉はいいけれども、やはりそれはおかしい。というのは、一遍ハードランディングしてつぶしちゃうと、そいつをまた買ってくれるのがなかなかおらぬ。経費もかかってくる。借り手も貸し手も大きな損害をこうむる、山一、いわば北拓の場合がそうでございますけれども。その点を若干、いわばソフトランディングを中心としてきた、正しい動きである。  第二は、やはりペイオフを一年延期したということです。さっきペイオフのことについて反論がございましたけれども、私は、去年の十一月十七日に大蔵委員会に提出した資料をそのまま実は出しました。その中に、ペイオフは延期すべきだと、去年の七月くらいに「エコノミスト」に書いてございますが。ある意味からいうと、ペイオフの延期論は、私の主張がむしろ早かったのではないかと思っております。この問題につきましては、ひとつその論文を読んでいただいたらいいと思います。  私は、時間も少ないものですから、二つのいいことをしたんだけれども一つ非常に大きな問題がある。長銀のリップルウッドに対する売却である。これは、今まで資本注入というのが兆の単位で行きますものですから、みんな若干兆という単位になれちゃっている。ここの長銀の売却は、いわば三・六兆円プラスアルファというのがまずあるわけです。マスコミも非常にこれについて不勉強でございまして、例えば文芸春秋で、シティグループのリードという人の対談で、こちら側の質問者が、もう三・六兆円要するに注入しちゃっている、出しちゃっている、だから仕方がないんだと言わんばかりの言い方をしているんです。実はこれから出るわけですね。  これは官房長官に、総理がおられたら総理に聞きたいと思ったんですけれども、このお金は戻ってこないお金なんですね。通常の、要するに銀行に対する資金注入は戻ってくるんです。これは戻ってこない。かつて我々は六千八百五十億ということで、もう大騒ぎをして、まあまあ最終的にそれを認めた。今度は兆という単位のものが戻ってこないんですよね。  非常に私疑問に思っていますのは、内閣においてどの程度この点を議論したのか、自民党においてどの程度議論したのか、その点を明らかにしていただいて、これは国民にとっては、例えば四兆円となれば消費税二%分ですから、これは単に再生委員会が決めた云々で済む話じゃない。  その点、まず官房長官に、党の話はあるいは総裁としての小渕さんにお聞きすべきかと思いますけれども、党と内閣でこの問題をどの程度議論したのかということをはっきりお聞かせ願いたい。
  60. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 お答えをいたします。  議員お尋ねの内容は、これだけ大事な問題を委員会だけに任せずに、内閣においてどれだけの議論をしたかということであろうと思います。  長銀の問題につきましては、先般、議員が今御指摘のとおり、パートナーズ社との最終契約の締結を踏まえまして、その結果、約三兆六千億程度の公的資金の投入という結果になったわけでございますが、これはあくまでも預金者の保護、我が国金融システムの安定及びその再生を図る上で不可欠なものと考えております。  また、閣議での議論や国会等への相談がなぜなかったのか、議論しなかったのか、そういうことが必要ではないかということでございますけれども、金融再生法上、長銀の譲渡にかかわる決定は金融再生委員会の判断と責任において行うことができるとされております。ただ、行うことができるとされておるからそれでいいのかということになりますけれども、金融再生委員会においては、長銀の譲渡について十分な検討が行われた結果、金融再生委員会において長銀譲渡にかかわる最終契約書の締結が承認されたものと考えております。  議員の言われる趣旨については、今後いろいろな問題が生じたときに十分考えなきゃいかぬ問題ではないかと考えております。
  61. 安倍基雄

    安倍(基)委員 時間が短いものですから、余りたくさん聞けないのであれですけれども、これは、ともかく法的にできるといっても、これだけの大問題を内閣で本当に論議すべきなんですよ。党においても論議すべきなんですよ。法的にできるから仕方がないんだと。  しかも、この場合に、いわば債務超過額というのが非常に不透明なんです。というのは、例えば日債銀の検査のときに、当局が検査したものと日債銀が言ってきたものと、八千億差があるんです。こっちは厳しいんです。厳しい査定でもって債務超過額を考えているわけです。  ここをまず、こういった一番基本的な議論を十分しないでおいて、預金者の保護とか、あるいは預金者とおっしゃいますけれども、いわば長銀は金融債なんですよ。本当の預金よりは、金融債ですから、いわばもうちょっとリスクを考えながら買っている連中が多いんです。その点、金融債を保護するために国民の税金を三・六兆円以上出す、こういうのがいわば再生委員会の決定であるからということでやったら、大変な話ですよ。  それとともに、一つ私は言っておきますけれども、債務超過額というときに、実は有価証券評価益が既に四千億くらい出ているんです。本来、これは債務超過額から引くべきものです。これを引かないでおいて、二千五百億については、買い手が要するに要望するから資本準備金に繰り入れる、準備金にすると。これも本来は、国民の税金のいわば四千億分くらい助かるわけですよ。それを、買い手が要するに要望するからそれを準備金に充てるなんて、とんでもない話なんです。  そういう詳しい検討を言っている。私はずっと前から、国会の審議が終わるまで契約を待ってくれということを何回も言ったんです。これは、国会でもって本当に論議した後、契約すべきなんです。実は私、前回の予算委員会で質問予定だったのですが、その翌日に契約しちゃったんです。  私は、この問題につきまして、自由党の方から、たしか越智さんが閣議で、この問題をよく、十分連絡をこれからするというような発言をしたと聞いておりますけれども、そういった事実はございますか。
  62. 越智通雄

    ○越智国務大臣 リップルウッド・ホールディング・カンパニーの……(安倍(基)委員「短くしてください、いろいろ聞きますから」と呼ぶ)はい。でも、要点だけは申し上げさせていただきたいと思いますが、カンパニーに決めましたのは、九月の二十八日でございます。それから、再生法が通りまして再生委員会が発足したのは一昨年の十二月ですが、そのときに、再生委員会に議員でも役人でもない人を四人、国会の承認人事として入れまして、この方に全権を委任して、その方々が昨年のちょうど今時分、一月から三月ごろにかけて、日本長期信用銀行の中身を公認会計士等と一緒になって詳細にチェックしたわけでありまして、そのすべてを国会から委託されたというか任されて、再生委員会としてはしたものでございますので。  それから、今お話がございました閣議における発言は、再生委員会が、破綻した事態につきましては半年に一遍報告しろというので報告させていただきました。その分のときに、たしか九月末現在の分でございますが、御党の方々から、与党の各党には、三党にはこういう破綻の問題についてはできるだけ事前に相談をするようにというお話がありまして、そのように心得ていたしますと申しましたが、日長銀の問題につきましては、相手先を決めた後のことでございまして、あとは条件の問題でやってまいりました。  なお、三・六兆プラスアルファとおっしゃいましたが、私ども、この五カ月間の交渉で、アルファは出さないで決着させるように最終合意書をつくりました。
  63. 安倍基雄

    安倍(基)委員 この三・六兆というのはすごい数字なんですよ。返ってこない数字なんです。これは、やはり国会の審議が十分された後に契約をすべきなんです。私は、事務当局を通じまして、国会の審議を待ってくれ、審議が終わってから契約してくれと何回も言ったはずです。私は、これは、再生委員会という四、五人のわけのわからないと言っては悪いですけれども、そんな人間が国費の、それだけの負担を決定できるのですか。  これは、民主党の出した案も悪いのですよ。大体、再生委員会を特別の委員会にしてしまって、それを丸のみしたからこうなっているわけ。これは最も……(発言する者あり)まあ、いずれにせよ、こういう、ちょっと時間が短いからやめておきましょう。  要するに、これは、再生委員会が決めたからといって、それでもって閣議がこれは委員会の権限ですよということを言えますか。本当は政治責任になるんですよ。私は、本当にこの問題は何で取り上げないのか。しかも、マスコミは全然これについて書かないんです。本当に、私は昔野党だったものだからついつい野党的な発言になるけれども、これは何でこういうことになったのか、もう少し国民に胸を張って言える契約であるべきです。  もう一つ言いましょう。今度は、二千五百億の準備金、これは向こうが要望したからと言っている。向こうが出すお金は、二十四億株を十億円で買うんですよ。それに千二百億円出すんです。我が方は二千四百億円、別に出すんです。その結果、どういう株主構成になるかというと、いろいろ細工はあるようですけれども、向こうが三分の二を持って、こっちが三分の一を持つんです。  本来、債務超過額を消したときに、旧株が二十四億株あって、それがほとんど値段がゼロで、新しい株が四百円。本来は、金をたくさん出した者が多くの株を持つべきですよ。債務超過額の計算そのものがおかしいだけじゃなくて、株式の構成は、こちらがたくさん出せばたくさん株を持つのが当たり前じゃないですか。それを、優先株がどうの、それで最終的には三分の二になります、民間の要するに発言権を持たせるために三分の二渡しますと。それならそれで、もっとたくさん金を持ってくればいいですよ。こっちがたくさん金を出しておいて、こちらは倍に相当する、例えば二千四百億プラス今の準備金、最終的に約五千億ですわな、債務超過は別にして。向こうは千二百億じゃないですか。それで何でこちらが三分の一なんですか。これはあくまで、買い手に足元を見られているわけです。  それとともに聞きたいけれども、越智さんが海外に行ったときに、私は、アメリカから全然圧力がなかったと聞いています。けれども、前任者のときにどういう話があったのか、この点、森事務局長に聞きたいと思います。  この二点、お願いします。
  64. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  前大臣の在任中におきましても、長銀の譲渡先選定等につきまして、米国政府から金融再生委員会に対しまして特段の要請が行われたことは全くございませんでした。また、前大臣が昨年九月の訪米時における米国政府要人との面会におきましても、本件について先方から特段の要請等はなかったと聞いております。
  65. 安倍基雄

    安倍(基)委員 本人じゃないからわからないと思いますけれども、しかし、じゃ本人に聞いてみてもいいですよ。  さっきの、前段の返事を。
  66. 越智通雄

    ○越智国務大臣 決められました手続によりまして旧日長銀の評価をいたしました。そして、結果的には、これまた国会で承認を受けました人事によりまして評価委員会ができておりまして、その評価委員会で日長銀の旧株はゼロとなったわけであります。したがいまして、十億はいわばのれん代みたいな格好で出されたわけでありまして、十億と二十四億株というのは、一株幾らという計算で積み上がった数字ではございません。  なお、最後に残りました買い取り希望のアメリカ側のリップルの方と、日本側に実は二つの銀行の連合体があったのでございますが、その申し出の金額は非常にかけ離れておりまして、したがいまして、この日長銀を引き取ってもらうのに、先方との話し合いの結果、今のような数字が決定になったわけであります。
  67. 安倍基雄

    安倍(基)委員 いいですか。株価をゼロとしたのは、それだけの債務超過があったからゼロになっているんですよ。債務超過を解消したときに果たしてゼロなんですか、それが問題ですよ。もともと債務超過が何兆円もあるからゼロになったんでしょう。そいつを全部解消した途端に、それがまたゼロがそのまま続くんですか。おかしいですよ、はっきり言って。これは、旧株と新株というのはほとんど同じでなくちゃいけない。確かに、新株の場合には新しい資金注入があるでしょう。しかし、ゼロと四百ではないですよ。こういったのを国民の前に明らかにした上で契約をすべきです。  あなたは一番最初の責任者じゃないから、前任者のものをそのまま踏襲したかもしれないけれども、前任者のやったことを改めるのがあなたじゃないですか。小渕内閣、どうなんですか。  私は、小渕さんを呼んで質問しようと思ったんだけれども、これを聞くのに随分ちゅうちょしたのです、我々は小渕内閣を支える立場ですから。それでもって、契約の前に一応この議論をしようと言ったら、契約しちゃったじゃないですか。私は、自由党としてはあくまでこれは待て待てと言ったはずなんです、自由党の立場を言いますと。どうなんですか。ちょっとこの点を答えてください。
  68. 越智通雄

    ○越智国務大臣 最優先交渉先を決めた九月二十八日から当初十一月末までに基本合意書をつくるということで、むしろ大蔵委員会等ではおくれているではないか、急げという御質問を再三受けてまいりました。  実態は、先方が、リップル・ホールディング・カンパニーズが、出資者の団体と申しますか、グループをつくるのに手間取ったのだと思いますが、一月延びまして十二月末に基本合意書をつくりました。  その間にいろいろな御意見はすべて伺いながら、既定路線で、今までの行政の一貫性として進めてきたわけでありまして、それから二カ月かかりまして、この間、最終合意書に決定いたしましたのは、クロージングと申しますが、これは株式の譲渡でございますから、株式と現金との受け渡しをする日を三月一日と定めまして、それに合わせてすべての手続をとっておりまして、今……(発言する者あり)予算は、七兆円の交付公債ということを予算上認められておりまして、七兆円の交付公債の中での権限を持ってこれで支出させていただくわけであります。
  69. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私は、契約をする前に、国会が非常に強硬意見があるから、契約条項を少し変えてくれということまで本当に準備しておったのですよ。それが、実は数日前の委員会で言うはずなのが、翌日に契約しちゃったという、寝耳に水だった。私は、その前からずっと、予算審議が終わるまでこのまま待てと。それが正論だ、正しいと思っている。  何でその契約を予算審議が終わる前にやっちゃったんですか。そこが一番問題なんですよ。例えば、今の細かい条項をあなたは知らないでしょう、官房長官。議論していますか。再生委員会のような、前に決めたという話をそのまま踏襲して、これは向こうに権限がございますなんて逃げられますか。消費税の二%分ですよ。
  70. 越智通雄

    ○越智国務大臣 本来、基本合意書と最終合意書との間は非常に事務的な細目を決める時間でございまして、基本合意書をつくるまでに三カ月間、皆様の御意見も十分伺いながら路線を決めてきたわけでございまして、その間に手続的な手落ちは全くない。  また、御意見は、今おっしゃっているのは二月のお話だと思うのですけれども、二月の最終合意書というのはむしろ、今申し上げました最終手続をとる関係上、あなたのその御質問の日との関係はなく、前から決めてやっていたことでございまして、そういう点を御了承いただきたいと思います。
  71. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私が今提出した資料では、去年の十月でしたか、「エコノミスト」に論文を書いているのです。待て待てと前から言っているのです。私は、十一月中に決着がつくものを一カ月延ばしてもらったのです。  そういうことで、これは重大な問題なんですよ。むしろこの契約はやり直してもらいたいところなんですよ。これは本当に、当時は日本からいろいろな候補者がいなかったと言うけれども、ほかの大銀行はみんな資金注入でもっていっぱいで、合併問題でもってそういう暇がなかったのです。出てきたのは二つしかないのです。その中でどっちが要するに条件がいいかというそんな程度の話で、いかにも、ずっと同じ一つのレールの上で決まっちゃいましたという話じゃないのですよ。  だから、あなたが柳沢君からこれを引き継いだときに、前のものを修正しなさいと最初から言っておったのです。柳沢君が退任する前に、私は言ったのですよ。この問題は大事な問題だから、あなたがやめた後、次の者にバトンタッチしろと。ところが、皆さんが総裁選でもって一生懸命やっている間に彼は決めちゃったのです。それで、私は大慌てでその論文を出したのです。私は、選挙になったとき、こういったことはたたかれるよということを何回も言っていたのです。はっきり言っている。  私は本当に、自由党としては、最後までこの問題について待て待てと言ったのです。それが、どうしてこういうことになったのか、まことに残念です。
  72. 島村宜伸

    島村委員長 これにて安倍君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  73. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安住淳君。
  74. 安住淳

    安住委員 民主党の安住でございます。  私は、きょう一時間半の時間をいただきましたが、この中で、農林水産省で起きている、るるの不祥事の問題を中心に質問させていただき、またそれに関連して公益法人のあり方、これは公務員の天下りの問題とも少しかかわりますので、この点についても質問をさせていただきたいと思います。  実は、農林水産省の構造改善局の不祥事については、私も玉沢農林大臣とは農水委員会の席で再三やり合っていると言ったら変ですけれども、かなり議論を交わしております。ですから、重複するところもあると思いますが、きょうは予算委員会でございますから、御容赦をいただいて、質問させていただきたいと思います。  きょうの新聞にこういう川柳が載っていました。これはまず大蔵大臣、「介護より解雇が先に来て寝込み」というのがあるのですよ。(発言する者あり)野党という声もありますけれども。これはやはり、今相当な失業時代、なおかつ将来に対する不安があるからこそ、るるの問題が起きているわけです。経済問題だって、私たちの世代からいいますと、大臣、将来、年金の問題だって、これはなかなかもらえないんじゃないかというようなことを率直に言う私の大学の仲間もいるぐらいですよ。  つまり、私がきょうやりたいのは、こういう世情をまず認識してもらわないと困るという話なんですよ。こういう世情でありながら、では一方で、国民から高い倫理観と、そして責任を負わされている国家公務員が一体何をやってきたか、いや、何をやっているのが問題かということをこれから実は問うていきたいと思います。  農林水産大臣、これまで調査委員会を何度も設けました。これはきのう我が党の菅政調会長が言いましたが、実は、もう少し丁寧に言うと、こういうことです。  一昨年の三月に農水省の構造改善局、構造改善事業のことについては後で触れますが、構造改善局の中の非公共、つまり圃場整備なんかをやるのとは違うセクションで起きたいろいろな不祥事の問題が怪文書で流れてまいりました。それが事の発端であります。その後、週刊誌からテレビから新聞から、出るわ出るわ。つけ届け、職員のツケ回しですか、それから過重な負担、何といいますか、接待を受けていた。なおかつ、いろいろな物品の供与まで受けていたという種類の報道がなされて、農水省は去年の一月に調査委員会を設けました。これは、当時の中川農林大臣のもとに、構造改善局長を中心とした調査委員会ですね、二月の十九日にいわゆる中間答申を出します。この中間報告の中で、実はるるの話がありました。  その中では、職員を数人厳重注意という形で終わらせておりましたが、農水省はここでは全くこのときの不祥事のことを公には公表しませんでした。一部の政党の機関紙がこのことを七月に取り上げて出したので、慌てて発表をした。そしてまた、十月になって玉沢大臣が就任なさってから、この問題は再度起きて、本格的な調査委員会を設けた。つまり、きのう、玉沢大臣は調査委員会を設けたことを誇らしげに申していますが、実際は後追い後追いで調査委員会を設けた。十二月の二十七日に最終答申を一応出したんです。それまでに調査をした職員の数は百六人、処分対象者は十八人。  宮澤大蔵大臣にまず伺いますが、大臣は入省は戦前ですね、六十年近くいると思いますが、中央省庁、霞が関の一つの役所の局で百六人もの調査をして、十八人もが処分の対象になったという事案というのを御記憶ありますか。いかがですか。
  75. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昔はなかったように思います。このごろは時々ニュースなどで読みますけれども
  76. 安住淳

    安住委員 大蔵省も、そうはいっても、数は少ないけれども、どぎついことをやって随分処分されたのはおりますから、個々の事例はわかりませんが。  農林大臣、構造改善局の職員百六人に及ぶ調査、そして十八人を処分している。しかし、実はこれは後があるんです。その後にさらに新たな事実が出て、結局、さらに追加で二人を処分しているんです。つまり、調査の仕方が果たしてどうだったのかということを私はこれから問い詰めていきますが、これまでの調査委員会のあり方については、これはいかがに思っていらっしゃいますか、農林大臣
  77. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 まず、委員も今お話をされたわけでございますけれども、調査委員会はたびたび設けられたわけではございませんで、平成十一年の一月六日に前大臣の訓令に基づきまして設置されまして、そして二月の十九日に中間報告を取りまとめまして、処分をする者は処分をする、今後の方向についても報告をする、こういうことでございました。  私が就任をいたしました昨年の十月の五日以降でございますけれども、さらに事実が出てきた。こういうような中におきまして、より一層の調査をすべきではないか。また、委員からも農林水産委員会等におきまして、この処分については極めて甘いんじゃないか、誤りじゃないか、こういうような御指摘をいただきまして、私は、数の問題はともかくとしまして、やはりこれは厳正なる調査を行い、責任を持って対応する、こういうことで調査委員会は、鋭意、五年間にさかのぼりまして、関係をした者百六名を対象にしまして十分な調査を行い、そして、そのもとにおきまして、職員の倫理規程に反する者につきましては厳正なる処分を行い、今後このようなことがないようにするために万全を期して努力してきた。しかし、そういう既に処分した者の中におきましても、自己申告におきまして不明な者がございましたので、再度調査をした上で追加において処分を行ったということでございます。  なおまた、調査等におきましても鋭意努力したわけでございますが、強制的な捜査権とかそういうものはございませんので、あくまでも幅広い調査を行いまして、そして自己申告をもととしまして、いろいろな形で最善を、最善といいますか、でき得る限りの調査を行ってやった、こういうことでございまして、この点について御理解をいただきたいと思います。
  78. 安住淳

    安住委員 今の話の続きをします。  十分な調査を本当にしたというふうに確信を持っていらっしゃいますか。いかがですか。一言で結構です。
  79. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 私も十分この報告を受けておるわけでございますので、その過程におきましてよくここまで調査をした、こういうふうに見ております。
  80. 安住淳

    安住委員 事件が起きたというか、不祥事は実は根の深い問題でありまして、私も民主党のこの疑惑解明プロジェクトの調査の委員長をやっておりますが、実は、OBの国会議員を含む政治家の絡んだ大きな勢力同士の争いという構図があります。普通、こういう話をすると、与党からやじが飛んでくるかと思いましたが、しんとしていらっしゃるので続けて質問しますと、実は、調査委員会の中間報告書で二大勢力があることをちゃんと認めているのです。それ同士が激しい争いをして、ちょっと言い方は雑ですけれども、お互いに怪文書の指し合いをしたというのがもともとのスタートなんですよ。  大臣、伺いますけれども、構造改善局で起きて、構造改善事業課ともう一つの課で起きている不祥事、私、一般的に考えますと、こういうことで不祥事が起きた場合は、調査をするときの調査委員というのは、そういう直接の関係のある課の職員や局の人間というのは外さないといけないと思いませんか、いかがですか。実際どうなっていますか。だれが調査委員長で、どういうメンバーが調査をしましたか。これは大臣、見なくたってわかりますよ、大臣が命令してつくった調査委員会ですから。どうぞ答えてください。
  81. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 命令したときの大臣ではございませんが、これを引き継いでやったわけでございますから、構造改善局長を委員長とする調査委員会を設置し、職員倫理規程等に関係するという観点から、官房からは秘書課長等が調査委員として参加しております。
  82. 安住淳

    安住委員 お聞きになったとおり、構造改善局で起きている問題を構造改善局長が調査委員長でやった。私は、予算委員会に来る前、この問題というのはもう半年ぐらい農水省の皆さんからもいろいろなお話を聞いているし、農水委員会では再三やっていますからわかるんですが、調査委員会のメンバーが、この事件が起きている担当の課の仲間や同僚ということも実はあるんです。大臣、過去一緒に机を並べてやった人間とかがいるんです。  つまり、率直にその調査委員が私に言っているんですよ。何と言っているかといいますと、私どもは同僚ですから、自己申告に基づいたものをある意味では信じざるを得ません、当然限界がありますと。それはそうだと思いますよ。私だって多分そうなると思いますよ。そんな人を調査委員に任命するということ自体がおかしいんじゃないかと思いますよ。
  83. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 これは、担当課は入っておりません。明確に申し上げますと、委員長は構造改善局長、委員長代理が構造改善局農政部長、委員は構造改善局の総務課長、大臣官房の秘書課長、大臣官房経理課長でございまして、担当課がいるという今の委員の話でありましたが、そういうことはございません。  なおかつまた、これは大臣がみずからの姿勢を正すということでやったわけでございますから、それは、きのうまでは同僚であった者がおっても、みずからの姿勢を正す、みずからを厳しく律する、こういう観点から調査委員会を設けておるわけでございますから、それを否定するということはおかしい、こういうことです。
  84. 安住淳

    安住委員 いやいや、そうじゃない。つまり大臣、それは上に立つ人の名前を言っただけ。  では大臣、あなたの知らない人たちが実際の百六人の聴取に当たっていると思いますよ。その人たち全部のメンバーを知っていますか。百六人の事情聴取をした、事情聴取というか自己申告に基づいて調査をしたのはそういう方々だけではないのです。二月十九日の中間報告を出したときも、渡辺構造改善局長が委員長に就任なさいました。倫理規程に基づく調査委員会ですか、これは。つまり、大臣、私が言いたいのは、本当にやるつもりだったら、大臣のもとに直属に置いて、少なくとも担当部局の構造改善局にいた人は外すとか、そこまで徹底したことをやらないと、身内に甘いというそしりをやはり受けると思いますよ。  では、聞きます。保利国家公安委員長、恐縮ですけれども、去年、神奈川県警で不祥事がありました。特に麻薬の問題に関して、外事課の職員が最終的には起訴をされるわけです。そうですね。そのときの調査というのは、神奈川県警でも、外事課やそれに属する職員はこの神奈川県警の中の調査のプロジェクトチームに入っていましたか、入っていませんでしたか。一般論として伺いたいんですけれども
  85. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 この事件につきましては、監察官室長を長といたします特別調査チームによる調査を開始したのであります。その後、警察庁としては、早急に事実関係を解明して厳正に対処するという指導を行い、これを受けまして、同県警内に刑事部長以下三十名による刑事部特別捜査班を発足させて、十一月四日に当該一名を逮捕し、十一月十四日に九名を送検するということに立ち至っております。  今御指摘の当該者が入っていたかということについては、私はよくは承知しませんが、当然これは除外をされて三十名から成る特別捜査班ができたものと承知をいたしております。
  86. 安住淳

    安住委員 今国家公安委員長おっしゃいましたが、私は事前にこれは聞きましたからもう少し詳しく言いますと、事案が発生したのは、神奈川県警は九月二十二日、このときに、当時外事課に勤めていた警察官が麻薬の所持をしていたおそれがあるということで新聞に書かれて、実は、もうその次の日に特別捜査チームをつくります。その中で、特別捜査チームは十一月三日にこの警部補の逮捕に至るわけですけれども、この外事課に関係ある人間やそれの属するいわゆる上司、全部これは外しているんですね。これは当たり前の話だと思うんですよ、僕は。  つまり、大臣、いや、強制捜査権がないのはわかっています、それは。警察じゃないですから。ただし、今度の問題というのは、これは非常に構造的な問題に起因をしているんではないかと私は思います。この話は農水委員会で言いました。個人の倫理観の問題もさることながら、いわゆる構造改善局から仕事をもらう、また、その仕事をもらうために公益法人があって、大臣は否定されていますけれども、いわば丸投げを業者にしていたという実態があって、公益法人に中央官庁から天下っている。こういう構図の中で生まれてきたことだから、非常に根が深くて、特定の個人の問題というよりは、局が抱えているいわば構造的な問題ということだと私は思うんです。  これは、そうだとすれば、むしろ事務次官なり大臣が直接委員長になって、徹底的に調査をするという姿勢があってしかるべきだったと私は思っているんですけれども、いかがですか。
  87. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 これは大臣が任命をいたしましてつくった委員会でございますから、そのもとで調査を徹底して行った。それで、先ほど挙げた名前の中に担当課が具体的な調査をする場合に入っておったんではないかという話がありましたが、今調査主任の名簿をずっと見ておりますけれども、担当課は入っておりません。  したがいまして、みずからを厳しく調査する、こういう趣旨は私は徹底をしたと思っております。
  88. 安住淳

    安住委員 それだけ厳しい調査をして、私が十一月に農林水産委員会で質問したときは、最終報告が出て、それがすべてである、その後新たなことが出たらば責任をとる云々というようなことを私に対して農林大臣はお答えになりました。  しかし、その後新たな問題は出ております。一月の十一日ですか、新聞にもこれは出まして、私も二十五日の農水委員会で事実確認をしましたが、四国のある農協がつくった組合と特定の課長補佐をしていた人間の過剰接待の問題が浮かび上がってまいりました。その問題は、新たな事案として発生したということで再調査をなさっていますね。
  89. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 既に処分を決定した者二名につきまして事実関係を調査いたしまして、自己申告というものが明確になされておらなかったわけでございますので、追加の処分をした、こういうことでございます。
  90. 安住淳

    安住委員 十一月二十四日の時点では、最終報告だというふうなことを言っていない……(玉沢国務大臣「言ってない」と呼ぶ)では、捜査は継続しているのですか、今も。
  91. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 明確に言えることは、新しい事実が出たりした場合におきましては、調査委員会は継続しておるわけでございますから、責任ある対応をとる、こういうことを申し上げておるわけでありまして、現在も、なおかつこの調査委員会は継続をいたしておるわけでございまして、もし新しい事実等が我々の調査によって漏れておったような場合におきましては、事実を明らかにした上で新しい措置をとる、こういうことはたびたび明言をしておるところであります。
  92. 安住淳

    安住委員 これから三点ばかり、この調査委員会のやった調査が本当に厳正を期して徹底的にやったかやらないか、国民皆さんにもはっきり聞いてもらいたいんで、具体的な例を挙げてちょっと説明をします。農林水産委員会でもやった話でありますが、いかにこの調査が私から見たらずさんかということを申し上げます。  まず第一点、ある会社、名前を言いますとファームインという会社は、みずからここに勤めている役員が、実は、大変恐縮ですけれども、内部文書を出しています。これは、農水省の調査委員会にも出している書類です。この中で、私は、あるSという農林水産省の課長補佐に過剰接待をやっていましたと、領収書までつけて私のところにもよこしたし、農水省の調査委員会もこれを持っています。そうですね、大臣。農水委員会で認めているじゃないですか。調査委員会で言っていますよ。いいですか。  つまり、この延長線上でこういう話がありました。この会社、架空の領収書をつくって、講演料という名目で、この職員にお金を渡しました、実際、講演はしていませんということをこの会社に勤めていた会計係の女性が認めて、その女性の証言と、その架空領収書のコピーも実は私、持っています。しかしこれは、渡辺調査委員長委員会で認めているように持っていらっしゃいます。  農水省の調査委員会は、このことを実は調査しました。調査したんです。報告は御存じだと思いますけれども、その報告の内容をこれからかいつまんでお話しします。もし間違っていれば言ってください。  そのときの調査の内容はこうでした。私たちの証言に対して事実を認めている人もいました、ところが、職員はそのことを否定しております、だから、事実関係がわからなくて実態の解明に至りませんでしたというのが、調査報告書じゃないですか。いかがですか。
  93. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 要するに、明確なる証拠がありまして、本人も認めて、客観的にそれが事実である、こういうように確定された場合は明確に処分をしておると思います。
  94. 安住淳

    安住委員 つまり、倫理規程に基づいてあくまでも良心的な自己申告に基づいた調査だったから、業者の側が認めているにもかかわらず、職員がもし認めていなければこれは事実として証明できなかったというたぐいの調査なんですよ。こういうのは調査と呼ぶんでしょうか。いかがですか。  例えばこういうこともありましたね。私、農水委員会で聞きました。  この職員は大変ゴルフ好きでした。私もゴルフは好きです。だから、ここの先生方にもゴルフ好きな方がいるとわかるんですが、官房長官、よく聞いてくださいよ、官房長官もゴルフをおやりになると思いますから。六本木のゴルフクラブで、この人は、好きなゴルフクラブがあって、買うんですよ、もらうんですよ。金銭の授受は農水省の中でやったと書いてあるんです。その六本木の、ゴルフのクラブを売った会社があるんです、ちゃんと。ところが、事実関係はわからなかったというんです、調査報告書は、そのことについては。ところが、我が方の調査では、ゴルフのクラブを売った会社は覚えているんですよ、その事案があったことを。なぜかというと、ゴルフをやっている人はわかるけれども、ちょっと聞きますよ、官房長官はゴルフをやりますか。もしやるとすれば、官房長官は二番アイアンを使いますか。
  95. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 たまにはゴルフをやりますが、二番アイアンは使いません。
  96. 安住淳

    安住委員 多分、素人で二番アイアンを使う人なんかいるはずないんですよ。私も五番アイアンでさえ大変な、使えないぐらいですから。ところが、この職員はおもしろいことに、二番アイアンが欲しいと言って、二番アイアンを特注で頼んでいるんですよ。だから、ゴルフ販売店の人間は覚えているんですよ。  つまり、私が言いたいのは、事実関係は自己申告に基づいてクロスチェックをしたといっても、本当にチェックをすれば、こんなことは簡単にわかる話じゃないかと言っているんですよ。ところが、それについて農水省は、あくまでも職員の自己申告に基づいてやってきたからわからないという話でしょう。こういうのは調査と言わないんじゃないですかということなんです。
  97. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 確かに委員のおっしゃるように、ゴルフをやる人が二番アイアンを使ったからといって、それが証拠になるかどうか。要するに、二番アイアンは難しいアイアンでありますけれども、使う人はいっぱいいるわけです。  ですから、調査が不徹底だと言っておりますけれども、この調査はゴルフショップにも出向いて調査をしております。そういう形でやっておるわけでございますが、これがなかなか特定できなかった、こういう事実がありますので、調査はずさんだったということにはならない。努力はしましたけれども、証拠が明確にならないものを、何でも処分すればいいというものではないと思います。
  98. 安住淳

    安住委員 余り気色ばまなくてもよろしいと思います。そうじゃないでしょう。(発言する者あり)では、冷静に議論します。  タクシーチケットの問題もあったはずですよね。タクシーチケットを、特定の公益法人やそれぞれの公益法人から、お世話になっている業者から、農水省の職員は使ったんじゃないか。しかし、これについても特定できなかったということですね、大臣
  99. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 タクシーチケットも調査の対象にしまして、これは過去五年間にわたることでございますので、会社の方にも聞き、あるいは当該団体にも聞いておるわけでございますけれども、要するに、資料がなくなったりしているものがあるわけでございます。  それから委員は、出席等もチェックすべきではないかというようなことも……(安住委員「まだそこまで聞いていません」と呼ぶ)聞いていないですね。先回って私の方から言いますが、そこまでチェックをすべきだというのが趣旨ではないかと思いますけれども、数字だけを書いたものもあるわけでございまして、やはりなかなか調査がそこまでは、やってはおりますけれども難しかったということです。
  100. 安住淳

    安住委員 これは、実は私も職員の人何人かから聞きました。難しいのは当たり前なんですよ。やり過ぎているぐらい毎日みんなが使っていたというのですから。どこの会社の、どこの公益法人からもらっていたか全然わからない、私も使ったことがありますよというのが何人もいるのですよ。  しかし、大臣、さっき私は冗談半分で川柳を言いましたけれども、世間の方、今本当にリストラや何かでみんな大変な思いをしているのですよ。そういう中で、飲ませ食わせさせてもらって、役所の職務権限をいわば最大限に利用してやっているわけで、私はるる今から公益法人の問題もやりますけれども、襟を正さないといけないのはまさに農林省そのもの。だとすれば、大臣、その後もぼろぼろこういう問題が、実は聞いている方々だって嫌になってくると思うのですよ。不愉快な話ですから、これは。  そういう問題に対してちゃんと厳正に調査をしたと。では、やったのかと具体的に聞くと、どうですか。いや、クロスチェックをやりました、でも、あくまでも自己申告に基づくものですからと。しかし、私は、危機管理ということからいうと、また役所の構造改革ということからいうと、構造改善局ですから、もっと厳しくやはりこれは調査をして、もう徹底的にうみを出さないと、全国でまじめに働いて出先機関でやっている農林省の職員皆さん、農業関係の皆さん、うんと不愉快な思いをしているんじゃないですか。  いかがですか。もう少し、ある意味では、構造改善局長を委員長にするという仕組みの問題を改めて、大臣なり事務次官が中心になって、本当に徹底的に身内とはいえ調査ができるような体制をおつくりになった方がいいんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  101. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 処分が少ないと処分が少ないといっておしかりをこうむるわけでございますが、今回の場合におきましては十八名も処分をしまして、要するに、いかにこれは調査をしまして厳正に行ってきたかという証拠であると思うわけでございます。  同時に、ただ処分をすればいいというだけのものではないと私は思いますよ。今後そういう事案がないようにする、こういうことでこれを徹底していくということが大事だと思いますので、したがいまして、今後におきましても調査委員会を存続せしめておるという趣旨はそういうことでございます。
  102. 安住淳

    安住委員 今の顔は、何か記者会見でやめた神奈川県の本部長のように、目つきが似てきたような気がして私は残念ですけれども大臣、そういう問題じゃないんですよ、私が言っているのは。もっと構造的な問題を言っているんです、私は。  いいですか、タクシーチケットの問題にしたって、架空の領収書、講演料の問題だって、つまり講演料の問題なんか、私もう一回言いますけれども、事実関係を認めている人がこっちにいて、しかし一方で職員は認めない、だから事実関係を解明できなかったというのは、本当の調査かどうかということなんですよ。世間から見たら、こういうのは調査と言わないんですよ。調査と言わないと思いますよ。いかがですか。
  103. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 やはり、人が人を裁いて処分する場合におきましては、明確なる事実を確実にした上でやるというのが当然ではないでしょうか。確かにそういう事実はあったかもしれませんけれども、全体としての確実な証拠がないのに処分だけをするという趣旨はいかがかと思います。
  104. 安住淳

    安住委員 つまり、そうなってくれば、この構造改善局長を中心とした調査委員会というのはやはり限度がある、大臣、そうお認めになりますね。
  105. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 調査とかそういうことにつきまして、一〇〇%あるいは一〇〇%以上ということはないと思いますよ。やはり、それは人間が調査することでありますし、いろいろな点において不備な点もあると思いますよ。しかし、委員がおっしゃられるように、何でもかんでも調査が不十分だからけしからぬ、こういうことだけを言っておると、何にもできないということになります。
  106. 安住淳

    安住委員 いやいや、私が言っているのは単純な話で、私も前の職で似たようなことをやっていましたからわかるのですが、右にそういうことを認めている人がいて、もう一人の人が認めていないというのであれば、これの真実をつかんでいくために調査委員会というのはやるわけですよ。  つまり、職員の方はそんなことありませんと言っている。しかしもう一方、やった方の、接待をした会社の方では、会計係の女性までがそれを例えば認めている、そういう架空の領収書を切りましたと認めている。そこにも実際調査委員会は行って、お話をどうも聞いているようでありますが、一部に認めているということを言っているのですね。  ということは、大臣、これはまだ未調査ということになるんじゃないですか。いかがですか、例えば今の例でいうと。だって、事実が解明されていなければ未調査ということになると思うんですよ。しかし、実際、農水省の報告書は事実がわからなかったということになっているのが、私はおかしいんじゃないかと言っているんです。大臣、いかがですか。
  107. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 いろいろな言い方はあるかと思いますけれども、正確に事実を確認できないものは、やはりそれはできない、こういうことなんですね。
  108. 安住淳

    安住委員 いや、国民皆さん見ていますから、疑惑を隠すとか、審議未了と言っていますけれども、私はそういう問題じゃないと思うんですよ。  なぜかというと、玉沢大臣になって、農林水産省を、与党としてしっかりコントロールしてやっていく、そういう中で就任になって最初に起きた問題ですよ。これは役所の中で、構造改善局のこういう問題を同じ構造改善局に調べさせるという手法がもともとおかしいと私が言うのは、やはり政治が、こういうことが起きれば積極的に役所の実態解明をするということ、それで新たな事実が出てくることをいとわずやるということが、国民皆さんから見て、やはり透明性の高い行政運営ということになると思うんですね。  しかし、今回のことでいいますと、どんどん後から、この種のたぐいの不祥事の事案がもう新聞報道等で出てきているわけですよ。つまり、後を絶たないということですね。このことに対しては、大臣、やはり反省をしてもらわないといけないし、捜査のやり方というか調査の仕方についても、少し冷静に考えていただきたいというのが私の趣旨なんですよ。
  109. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 不十分な調査と指摘されれば、それを調査するということについてはやぶさかではございませんが、いろいろ報道のことを言っておられるわけでございますが、報道の中にも、確かに新しい事実に基づいて報道するという場合もありますが、それ前の、既に処分を決定したことを改めて報道するというケースもあるわけでございまして、報道がたくさんあるからほかにも事実がいっぱいあるんじゃないかということばかりにはならないという点は委員も御理解いただけると思います。  それからもう一つ。私が就任してから起きた事件だと言いましたが、これは五年間にさかのぼっての問題を調査しているということでございまして、私が就任してから起きた事案ではございませんので、御訂正願います。
  110. 安住淳

    安住委員 大臣が就任されてから再調査を命じて、大規模な事情聴取が始まったということです。だから、やはり役所の中でも、少し違う系統の方々が調査委員会を構成すればもっと違ったものになった可能性があるんじゃないかと思う、私はそういうことを申し上げておる。  ところで、個別の事案をもう一つ言いますけれども、全国構造改善事業協会、これはどういうことをやっている法人ですか。  これは、実は何を聞くかというと、きのう事務次官も会見をなさっていますね。その中で、事実関係がなかったというふうな会見をしていますが、この協会について、大臣、情報ありますか。
  111. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 農業構造改善事業に関し、その実施の円滑かつ適正化を図ることによる農業の発展を目指すという協会であります。
  112. 安住淳

    安住委員 定款にはそう書いてあるんですけれども。  実は、接待のツケ回しをしていたという情報があって、農水省でもこの協会についてお調べになったと聞いておりますけれども、いかがでございますか。
  113. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 調査委員会は、新聞報道を受け、社団法人全国農業構造改善協会に対し、再度事実関係の確認を行いました。その結果、同協会が帳簿類をチェックし、元幹部も含め関係者に対する聞き取りを行ったが、協会が農林水産省の職員からのツケ回しの処理を行ったという事実は見当たらないとの報告を受けており、報道されているような事実は確認できませんでした。
  114. 安住淳

    安住委員 この協会には、農構社という子会社が実はありました。過去形でございます。なぜ過去形かというと、この農構社をつくった方は故人であります。そうですね。この方は、構造改善局のOBであり、農林省のOBですね。事実関係だけ。
  115. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 そうです。
  116. 安住淳

    安住委員 法務大臣に伺いますが、東京地検は、この事案について、亡くなられた方から事情聴取をなさっていらっしゃいませんか、去年の秋。
  117. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 お答えを申し上げます。  検察がどのような捜査を行いまして、どのような資料を入手したか、収集したか等については、捜査機関の活動内容にかかわる事柄でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  118. 安住淳

    安住委員 実は私どもでも、この亡くなった方の身辺や、またこの協会について独自の調査を行いました。  故人のことでございますので、私どもも調査をするときに大変難しい問題がございましたが、率直に申し上げまして、会計帳簿係を長く担当していた方で、実は去年お亡くなりになっております。どうも捜査機関から事情聴取を数度受けて、またある日にちを指定されて来てくださいと言われて、その後間もなく実は自殺をしているという事案であります。  事実関係について、ここで認めるということはまず難しいと思いますけれども、実はこの中で問題になっているのは、公益法人が、帳簿について全くそういうふうになっていても、今度は公益法人がOBなりその職員を退職させていわば子会社をつくる、その子会社が政治家のパーティー券やツケ回しをやる、こういう構造が一つ出てきた。それに対して、ある種、捜査機関は突破口になるのではないかと思って実は非常に重要な関心を持っていたやさきに、そういう事件が起きてしまったのではないか、そう推測するわけでありますが、大臣の方の調査ではいかがなっておりますか。
  119. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 この全国農業構造改善協会からの聞き取りでは、報道されているような事実は確認されず、職員も特定できないことから、職員に対する調査は行っておりません。
  120. 安住淳

    安住委員 いろいろな関係者に事情を聞くと、お亡くなりになった方に聞かないとわからないという答えが圧倒的に多うございまして、私も非常にそういう意味では残念でなりません。  しかし、私は今から公益法人の問題等々に入っていきますけれども、仕組みの問題として、やはり役所自身が特定の個人のプライバシーに基づく不祥事というか、そういう問題でこの問題を片づけられない構造的な問題を抱えておるから、それは多分、調査委員会のやることではなくて、むしろ大臣が行政の最高責任者としてこれから構造改善事業についてやはりるるの改善をしていかなきゃいけない、今回の事件というのは、私はそういう立脚点というかスタート点だと思いますけれども、いかがでございますか。そういう認識はございますか。
  121. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 こういうようなことが起こらないということを前提にいろいろと改善措置を講じてまいりたい、こう考えております。
  122. 安住淳

    安住委員 これからちょっと趣向を変えまして、趣向というか、違う角度から。  渡り鳥の話をさせていただきたいと思います。  農林水産大臣、渡り鳥というのは、大変恐縮ですが、どういう鳥でございますか。渡り鳥。
  123. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 渡り鳥は、字のとおりの渡り鳥だと思います。
  124. 安住淳

    安住委員 広辞苑を読ませてもらいます。「繁殖地と越冬地とを異にし、毎年定まった季節に移動をくりかえす鳥類。」というのが最初。三番目にこういうふうに書いてあるんですよ。「渡り稼ぎする人。」つまり、渡り鳥というのは鳥だけではありません、人間も渡り鳥というのがいるということであります。政界にも渡り鳥はいるかもしれませんが、それは今の問題ではございませんので。  ある渡り鳥の一生といいますか、ある渡り鳥の経歴について、私の方で今から説明をさせていただきます。  この方は農業構造改善局の次長、典型ですから、あえて名前は申し上げません。この人が悪いわけではありませんから。  この人は、昭和五十年代後半に、昭和五十七年ですが、構造改善局の次長を退官します。そのときに、まず退職金をいただきます。退職金のお金のことについては、後で総額だけ言います。そして、この方は、その年に水資源公団理事になります。昭和六十一年までお勤めになります。そして、間もなく、今度は公益法人の日本農業土木総合研究所の理事長に就任をし、平成九年五月にここをおやめになります。ここでもまた退職金をもらいました。間もなく——ここで終わればまだいいのですけれども、さらにこの渡り鳥は続きます。社団法人農村環境整備センター理事長に現在ただいま就任をしている。名前はまずいから言いません、申しわけないけれども。  私どもの計算では、この方は農水省をやめてからも一億数千万円の退職金、さらに——典型で言いますからね、典型例。これは給与体系だけ申し上げます。月収平均が、大体公益法人で百万前後のお金を実はもらっている。国会議員は百三十万円の給料でございますけれども。高いか安いかは、国民皆さんに判断してもらわなければならない。つまり、この方は、構造改善局を退官なさってから約二十年の間に、我が方の計算では三億円ぐらい収入としてある予定になっているのです。  官房長官、公益法人の問題は内閣としての問題ですから、言います。今、リストラで厳しい中で、民間企業の平均的な退職金は二千万いかないんですからね。まして中小企業は、一千万いかないんですよ。局長じゃありません、構造改善局の次長さん。例えばの話でやっていますから。(発言する者あり)偉い、それはそう、わかります。率直な感想として、こういう制度で公務員の方、国民皆さんはどういうふうな感想を持っていらっしゃるか。まず長官、いかがですか、こういう例について。
  125. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 今議員が申された例は、私は、すべての公務員の退職後の例じゃない、ある特殊な一つの例をお取り上げになったものと考えております。その例のとおりであるとするならば、これは一般国民から見たら非常に理解しがたい問題だ、そういうふうに感じております。
  126. 安住淳

    安住委員 常識外といいますか、私これは、例外的なと言いますけれども、私は区々、個々調べたんです。  これは構造改善局を私は評価をしますが、公益法人についての退職者の給与から退職金は全部出してくれました。これはもう率直に私は、ほかの役所の局も全部見習ってもらいたい、構造改善局を。公益法人に出向した職員から何から全部出してくれたから。それぐらい、ある意味ではこの事件を契機に、私は、構造改善局というのはもっとオープンにやろうということで出してくれたと思います。(発言する者あり)甘いかもしれません。しかし、それは評価しますよ、だってほかの役所は全然出さないんだから。  でも、その中で、官房長官、もう一つ言いますよ。これは、ある中四国地方の農政局の部長でやめた方なんですが、この方はある公益法人におりました。名前は日本農業土木総合研究所というところです。十八年弱お勤めになって、退職金は五千八百万円。月々の給与を幾らもらっていたかというと、月々にならすと百十万円ですよ。これは常識の範囲だと私は言われたんです、きのう電話で。常識の範囲でしょうか、これが。  この法人は、七千万円から八千万円の補助金をもらっているんです、大臣。これは確認しています、きのう。失礼、この法人は海外開発コンサルタンツ協会です。どうも失礼。それで、月額が百十二万五千円ですよ。退職金五千八百万。  事業は海外のいろいろなものをコンサルタントする話で、営利を公益法人はしないわけだから、積み残し金は毎年百八十万ぐらいしか残らないんですよ、お話を聞くと。  職員三人。専務理事をやっていて百十二万、退職金五千万。国民皆さんが聞いていると思いますが、高いですか、安いですか。これは常識としていかがですか。
  127. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 常識としては高いと思いますが、すべての公務員退職者がそういう境遇にはないと思っております。
  128. 安住淳

    安住委員 私は、率直に言って、公務員をおやめになって公益法人に天下るというか、それはそれでまた違う次元の問題ですからね。退職公務員の雇用問題にもなるし。  しかし、農林大臣、私は、これは別に農林省に限ったことではなくて全体の話ですから、むしろ構造改善局だけ責めるわけにはいかないけれども、こういう渡り鳥、そしてなおかつ数億円ものお金をやめた後にもらえる、こういう制度を温存するというのは、今の世の中で、当たり前で仕方ないと国民皆さんが思うかというと、私は必ずしもそうでないと思いますよ。これは非常識じゃないですか。こういうことを直すのが実は構造改革だと思いますよ、私。  官房長官、いかがですか。構造改革をやらないといけないんじゃないですか。
  129. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 公益法人の問題については、議員御指摘のように、できるだけいろいろな制限を設けて数が少なくなるように、私どもも今後努力していかなきゃいかぬと思っておりますけれども、これは民間の発意によっていわゆる役所が許可をする、そういう形をとっておりますので、議員がおっしゃるように、ただ数を減らせばいい、それだけの問題でもない、そういうふうに考えております。
  130. 安住淳

    安住委員 平成八年に、公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用方針についてということで指針が出ております。この中でるる厳しいことが書いてあって、文章はいいんです。閣議決定もしております。しかし、この中でこういうことが書いてあるんですよ。常勤の理事の報酬及び退職金は当該法人の資産及び収支の状況並びに民間の給与水準と比べて不当に高額で高過ぎないものにすると、ちゃんと書いてあるじゃないですか。橋本内閣のですよ、これは。  今の例は特異な例ではございません、実は。もっともっといっぱいもらっている人がいます。役所のことを国民皆さんに言うとあれですが、次長や何かでやめてもそうで、局長になれば、もっといろいろなところでお金をもらえる人がいる。しかし逆に言えば、課長さんや補佐のところでおやめになって、こんなにもらえない人もいる。  しかし、官房長官、一つ、この運用指針の閣議決定に、これは反するのじゃないですか。いかがでございますか。
  131. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 議員のおっしゃるとおりであれば、非常に高いものだ、そういうふうに考えます。
  132. 安住淳

    安住委員 構造改善局からいただいた資料では、三十三近くある公益法人の中で、常勤九十四、非常勤二百八、計三百二人の公務員の方が、構造改善局のOBの方がお仕事をなさっておられます。つまりこれは、公務員の退職制度が裏の問題としてあるわけでありますから、そっちの問題を全く片づけないままでこの問題だけ取り上げてもだめだということは、常識からいってやはりどうかと思います。  しかし長官、私は思いますけれども、小渕内閣は構造改革もやるんだというお話をしているわけですよ。ということは、これは規制緩和の問題からいっても、こういう公益法人が実はいろいろな意味で事業を独占しているという実態もありまして、弊害も非常にあるんですよ。このことは報告書の中でも認めているわけですよ。  続長官、続長官のところは平成四年にも公益法人のことを調査なさっていますね。簡単で結構でございますから、そのときにどういうふうに行政監察局は答申を出しているか、御説明いただけますか。
  133. 続訓弘

    ○続国務大臣 公益法人等の指導監督に関する行政監察結果に基づく平成四年六月二十九日の勧告において、公益法人の業務運営の適正化を図る観点から、所管大臣に対し、事業運営、財務内容等の実態を的確に把握し、これらが不適正な公益法人に対して指導監督を徹底すること、二番目には、収益事業の規模、役員構成のあり方など設立審査基準及び指導監督基準において判断基準等が抽象的となっている事項について運用マニュアルを作成することなどについて指摘しております。  この勧告を受けて、所管省庁における不適正な公益法人に対する指導監督を徹底するとともに、各省庁の連絡会議において、平成五年六月に、公益法人の設立及び指導監督基準の運用について申し合わせが行われたところでございます。  さらにその後、平成八年九月に、公益法人に対する指導監督基準の明確化を推進していく観点から、新たに、公益法人の設立許可及び指導監督基準が閣議決定され、所管省庁は原則として三年以内にこれらの基準に適合するよう指導することとされたところでございます。  現在、各省庁において本基準に基づく指導監督がなされているものと理解しております。
  134. 安住淳

    安住委員 指導監督がなされていれば、公益法人の数はもう少し減って、天下りの数も減って、給与もこんなに高いという話にはなりません。  いただいた資料の統計は長官も持っていらっしゃると思いますが、平成四年当時で二万四千あった公益法人は、実は減るどころかふえております。平成十年で二万六千三百八十。国の所管だけでも六千六百九十一が六千八百六十九、そういう実態であります。  つまり長官、これまでの歴代内閣で、課題としてはわかるけれども実態としては全く何もしていないということですよ。どういうふうに認識なさっていますか。
  135. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 政府といたしましても、法人の設立については厳に抑制をしているところでございます。  しかしながら、この問題は、やはり公務員のいわゆる早期の退職の問題、それから高齢化社会への対応の問題、そういうものが非常に私は絡んだ問題であろうと考えておりまして、現在でも、この公益法人に天下る場合には、その理事の人数におきまして三分の一以下と、そういうふうな厳しい規定も設けておりまして、その問題については現状においてもかなり実行に移されている、そういう現状もございます。  私は、この問題は、退職年齢の問題、それから高齢化の問題、そういうものとあわせてやはり考えていかなきゃいかぬ問題だろう、そういうふうに考えております。
  136. 安住淳

    安住委員 いや、考えていかないといけない問題なのも十分わかるし、ですから、例えば六十五歳までの公務員の定年延長とか、つまり何かしらメスを入れないと、二万六千ある公益法人のうち、その中には都道府県の例えば教育委員会が持っている法人とかもるるありますから、それ自体が問題だというよりも、私は、逆に言うと、本省所管、つまり役所が持っている公益法人の実態が問題だと思うんですよ。そこに退職して理事として行っている公務員だけで六千百三十三人いると書いてあるでしょう、平成十年現在で。  つまり、残った三十分で、構造改善事業とこの公益法人がいかに実態として公正でない仕事の受注なんかをしていたかということについて今から少しお話をしますが、規制緩和を最も阻害している要因というのは、こういう公益法人がある種の仕事を局によっては独占をしているという状態がある。だからこそ役所が天下っていくわけです。つまり、こういう実態というものを抜本的に変えるために、本格的にこの国会の中ででもこれは議論をし、もう小渕内閣はこういうことをやった方がよほど私は景気対策になると思いますが、いかがですか。
  137. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 そういうことを考えまして、政府といたしましても、在職期間の長期化が図られるような人事のシステム、そういう見直しに今後真剣に取り組んでいかなければならないと考えております。
  138. 安住淳

    安住委員 どうですか、この場で、その実態調査なさいませんか。退職して、さっき言った渡り鳥、人のことを鳥なんて言ったら悪いけれども、渡って歩いているこの実態をちゃんと調査をして——いや、私のような議員でも、言えばこれは出てくるわけだから、長官が言ったらあしたのうちには出てきますよ。全部の役所で少なくとも課長以上、どういうふうな渡り方をしているか実態を解明して国民皆さんに見せればいいですよ。  いかがですか、内閣として本格的に調査してもらえませんか。これを見過ごすわけには私はいかないと思いますよ。いかがですか。
  139. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 考えてみようと思います。
  140. 安住淳

    安住委員 早急に御検討をいただきたいと思います。  それでは、この公益法人というのが実際今度の農業構造改善局の問題の実は背景にあるので、そのことを説明したいと思います。  構造改善事業というのは、歴史をひもときますと、昭和四十年くらいから圃場整備事業等々が始まります。宮澤大蔵大臣、お休みのところ恐縮でございますが、農業基本法ができたのは池田内閣のときでございます。宮澤大蔵大臣、当時のことを、私もいろいろ実は御党の昭和三十六年当時の「自由民主」、これは自民党の当時の機関紙であります。農業基本法をめぐる当時の問題について国会図書館で資料を調べて読ませていただきました。保利大臣のお父さんは当時総務会長でございまして、全国に遊説で歩いております。農業基本法をこうしてほしい。当時の生存者は、恐縮ですけれどもほとんどいらっしゃらなくて、もう大臣ぐらいにしかお話を聞けませんので、少し御説明をいただければと思います。
  141. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は、三十五年に文部政務次官をしておりまして、三十七年に経済企画庁長官をしておりますので、そのころのことと思いますが、詳しいことを何も申し上げるほどかかわっておったわけではありませんが、当時、所得倍増計画というものが政治の大きな課題になり、また、実行に移ろうとしたところでございます。  この計画に関係をしております者たちが、私もその一人でしたが、一様に感じましたのは、仮にこの計画が実現したときに、日本の近代化といいますか、工業化といいますか、そういう意味ですが、日本の農業、日本の農村というものはどうなるんだろうかということについて、実は何も書いていない。ですから、農業の立場からいってのビジョンとか、農村の方々からいっての将来というものに実はこの計画は本来的には触れておりませんで、したがって、一部から、これは農業の切り捨てであるというふうに批評をされたのでございます。  確かに、この計画にはそういう面についての配慮が払われていないといいますか、実はそこまで発想が展開できないでいたわけでございますので、結果としては、ちょっと言い方は語弊がありますが、経済発展をしましたときに、農村というのはかなり経済発展に関与いたしましたので、生活全体の水準は上がったわけでございますけれども、農業というものはどうなるかということについては長いこと道が示されずに、それで基本法といったような発想に展開をしていったのだ。記憶は定かでございませんが、そういうことが背景であったと思います。
  142. 安住淳

    安住委員 中山伊知郎先生がやはり今のお話と同じようなことを「自由民主」の中で申されている。  実は、簡単な話が、当時の就農人口というのは一千三百万人だったのですよ。平均所有耕地面積が一ヘクタールちょっと、これは北海道を入れてですから、北海道を入れなければ多分〇・五いかなかったのですね。  つまり、当時の大きな目標というのは、今おっしゃったように、池田内閣で所得倍増をやるときに、平たく言うと、農業人口が非常に比重が高かったから、それを都市にある程度移すということと、人が減れば当然農業の、農地の規模拡大が図れる。当時はまだ米の増収をしないといけない、食糧不足という問題があったので。そういう中から実は構造改善事業というのは始まっていくわけです。  当時のことはちょっとこれは数字がないのですが、その後、十年たってからの数字はあります。昭和四十七年に当時の旧農地局と農政局とが一緒になって構造改善局がスタートするのですが、そのときの圃場整備率というのは実は一九%なんですよ。それまでは圃場整備というのはほとんどできていなかったのですね。そういう中で、農業人口は当時どうなったかといいますと、大臣、十年たって、一千三百万が九百万人になっているのですよ。しかし、残念ながら、土地の集約がうまくいかないのですね。一・一ヘクタール、つまり〇・一ヘクタールふえただけ、こういう状況がある。耕作面積が実は減るんですよ。  これが高度成長の光と影といえば私は影の部分になると思うのですが、実は、都市計画と農地の問題というのは、失礼ですけれどもばらばらに動き出したものですから、農地面積が極端に減っていきます。六百万ヘクタールあった農地が、今で四百八十七、当時でも既に五十万ヘクタール分の農地が消えていっているという状況なんですね。こういう時代背景の中で起きました。  当時、四十七年に構造改善局ができたときの予算は、一兆三千億円の農林省予算のうちの三千五百億円、つまり、パーセンテージでいうと二七%であります。平成十一年はどうかというと、これがかなりジャンプします。三兆四千億円の農水予算の中の一兆三千億円、つまり約四〇%が今や構造改善の予算であります。その中で、確かに圃場整備率は五六%にまで上がります。しかし、ここに実は職員の不祥事も巣食うわけですよ。  なぜかというと、昭和五十三年に一つの通達が出ます。その通達は何かといいますと、地方がるるの事業を行う場合に、役所の持っているそれぞれの法人、例えば計画策定のときにそれぞれの法人を使うことができるというふうな通達を全国に出すのです。つまり、ここから実はこの法人をめぐるるるの問題が起きてきているわけであります。  一つの例を出します。これはあしき例だと私は思います。農林漁業体験協会というところがあります。農林大臣、ここはどういうところでございますか。
  143. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 農村休暇法とグリーンツーリズム、つまり都市と農村の人々の交流をできるだけやっていこう、こういうことです。
  144. 安住淳

    安住委員 つまり、どういう話をするかというと、構造改善事業の中で、農業の基盤整備を一方で徹底的にやらないといけない。しかし、もう一つ考えが出てくるのです。これが、農村に住んでいる農家の皆さんのいわばいやしの政策といいますか、それと、都市と農村との交流とかさまざまな文化的な事業もやらないといけないということで、農林省の中で非公共事業の部分というものの比重が非常に高くなっていく時期があります。  その中で、農林漁業体験協会というのが一つの公益法人としてあるのです。この法人そのものがどういう経緯でできたかは今農林大臣お話ししましたが、私が問題にしているのはこういうことなんです。  長官、よく聞いておいてもらいたいのですが、この協会は補助金を交付されています。そして、今みたいな事業をやっています。天下りの職員もいます。そこまでは何も、普通の公益法人です。ところが、この会社はコンサルタント業務をやっているのです。コンサルタント業務ということは今言ったように、それぞれの市町村が事業を採択するときに、本来であれば、護送船団行政、宮澤大臣がよくおっしゃる、全くそのとおりで、つまり、自由にどこかの会社を使うのではなくて、この公益法人にコンサルタントを委託するというかそういうシステムで、シェア率がこの数年だけでも、これは資料で見せてもらいましたが、八〇%近いのですよ。七〇%、七〇%、それで最近になって六十何%になったのですか。  そしてなおかつ、ここが問題なんです。この体験協会には、実は数十社から職員が出向しています。座席を有していない民間企業の社員がです。その数は、平成年度八十二人、平成年度九十二人、平成年度四十三人。つまり補助金を、補助金で人件費をこれらの出向社員のもとの会社に振り込んでいるのです。それで、実際この会社から来ている社員は座席を有しておりません。つまり幽霊社員なんですよ。  そしてなおかつ悪いのは、この体験協会なる協会がとった仕事を、座席を有していないけれども、このメンバーズシップに入れてもらった会社がほとんどいわば丸投げを受けて仕事をとっているのですよ。こういう仕組みは民間の自由競争とは反しませんか。大蔵大臣、ちょっと感想だけお伺いしたいのですけれども、いかがでございますか。
  145. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どうも実情を存じませんから何とも申せませんが、ただいま御説明いただいた限りではそういう感じがいたします。
  146. 安住淳

    安住委員 久間先生から、随分うまくやっているものだなというお話がありました、まさにそうですよ。  まして、私が農水委員会でもさんざん問題にしたのは、いつ、だれが、この民間会社をどういう形で選んだのかということが問題なんです。そうですね、長官。今、私のお話を聞いていただいて、私が言わんとすること、わかりますね。いつ、だれがその会社を選んであげたのか。つまり、談合のメンバーズシップに入っている会社に入れてもらえなかった会社と入れてもらった会社があるんですよ。最初の質問で私がやった不祥事の問題というのは、実はこの公益法人に入っている会社に全部連なる問題なんですよ。そこから不祥事の発信が出ているんですよ。  大臣、農水委員会でも私はこのことを言いましたね。何回も聞いたという方もいらっしゃる。大臣、これはどうですか。場所が変わりますから、また簡単に感想を言ってもらって、これをどうするかということをぜひお伺いしたいと思います。  これはちゃんと農水省からいただいた資料ですよ。平成十年でも、出向している会社は三十社あるんですからね。座席を有していません。幽霊社員です。幽霊社員を出している会社です。こんなことを平気でずっとやってきたんじゃないですか。それも、ウルグアイ・ラウンド予算がついて、予算が大きくなってからなおさらですよ。  農家は苦しんで、非常にみんな、それぞれ皆さん選挙区もそうだと思いますけれども、三割減反やらされて、米でなかなか食えないから、どうやって、減反をしたところで何をつくって飯を食っていくか、みんな考えている。農協だって、金融の再編の中で、厳しい中で、合併をしようと思ってみんな苦しんでいるんですよ。圃場整備だって、長官、会長をやっていらっしゃるそうですけれども、判こをつくのに夜中まで歩いている理事さん、いっぱいいるんですよ、今でも。主管の農水省は何ですか。特定の業者と一緒になって甘い汁を吸っているという話じゃないですか、簡単な話が。大臣、いかがでございますか。
  147. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 農林水産委員会でも申し上げたわけでありますけれども、あえて明確を期すために申し上げておきます。  農林漁業体験協会等の関係公益法人におきましては、希望する企業からの自薦や市町村の評判から得た情報に基づき、その企業の専門とする分野、従来の実績等を勘案し、当該公益法人の業務の質的向上を図る観点に立って出向企業を選定していたものと聞いております。  また、近年は、コンサルタント業務の減少に伴い、出向企業も減少してきております。平成十一年度には、発注先業者の選定を客観化するため、農林漁業体験協会におきまして、学識経験者から成る選定委員会を設置して、これに諮って選定を行っております。  また、今後におきましては、経営構造対策につきコンサルタント業務を廃止する、業者の選定基準を国において定める、公募等の透明な手続を踏む、座席がある等の場合を除き出向契約を禁止するなどにより、厳しく指導してまいることといたしました。
  148. 安住淳

    安住委員 総務庁長官、時間がないので私の方から簡単に言いますから、当たっているかどうかだけ。  総務庁では、この農林省の公益法人のあり方について答申を出していますよね。その中で、実はコンサルタントのことについても言っているんです。  ところが、長官はもしかして聞いていないので私が言いますけれども、私はその担当の方に聞いたんですよ。そうしたら、ここまでだとは思いませんでしたと言うんですよ。なぜかというと、このコンサルタントの民間会社の幽霊社員は、現地のコンサルタントに行くときに、農林漁業体験協会の名刺を使って歩いているんですよ。ですから、体験協会の人だと思っていたら実は民間会社の人だった。  だから、総務庁のコンサルタントをめぐる答申も、実は非常に踏み込んだ話は書いていないんですよ。だけれども指摘はしていることは事実ですね。
  149. 続訓弘

    ○続国務大臣 平成九年の九月に、農業構造の改善対策に関する行政監察、農業構造改善事業を中心としてという中に、農林水産省に対して勧告を行っております。
  150. 安住淳

    安住委員 逆に言うと、構造改善局がそれを無視していたという話になるんじゃないでしょうか。こういうふうに民間の出向会社を役員会でどうのこうの言っているけれども、それは形はそうかもしれないけれども、実態は違うんじゃないですか、大臣。つまり、この問題がすべての構造的な今回の問題のもとになっているわけですよ、この業者が入った、入らなかったが。  例えばの話、これは全部の会社が同じような仕組みですから、全部の協会、法人に、同じようにコンサルタントをやっているところが入っているんですよ。具体的な会社の名前まで農水省は出してくれたから、それは評価しますが。  しかし、問題は、さっき言った指し合いと言ったらあれだけれども職員同士の対立で指し合っているのは、この業者はこの中に入れてもらった、仲が悪い、そういう話から出てきているんです。だから私は聞いているんですよ。どういう資格でこの会社はメンバーズシップに入れたんだということなんですよ。  しかし、再三この質問をしても、全然らちが明かないんです。私に対して農水委員会で大臣はこう言ったんですよ。なりたてですから私がわかるわけがありませんと。言いましたよね。正直です。(玉沢国務大臣「いや、そんなに言っていない」と呼ぶ)言いました。——では、一言だけですよ。私がしゃべっている。
  151. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 こう言っているのですね。  一般的には常勤の役職員が協議し、選定していたものと聞いております。また、発注額が大きい等の場合には理事長の判断を仰いで決めていたと聞いております。  なお、十一年度においては、発注先企業の選定に関して、学識経験者から成る選定委員会に諮って行ったものと聞いております。
  152. 安住淳

    安住委員 いや、それはそうでないんですよ。そうであれば問題なんか起きやしないし、今だって怪文書がいろいろ出回っているんですからね。しつこいようですけれども、この会社に入れてもらったときにOBの議員の先生のお世話になりましたと私に言っている会社もあるんですよ。  大臣、構造の問題だから、あえて個人の問題というよりも、私は、どう考えたってこれは、ことしからやめるのは当たり前だと思います。こんなのは、今までやっていたこと自体がおかしいんだから。つまり特定のメンバーで、言い方は悪いですけれども、協会が、官房長官、談合の巣になっているわけですから。この時代にこんなことをずっと続けていたというのは……(発言する者あり)昔からわからなかったから今聞いているんだけれども。つまり、こんなことが世間の皆さんに通るんですかということですよね。  それで、ここにはいっぱい会社の名前が書いてあるんです、もらった資料には。ふるさと情報センターだって、いっぱい入っていますよ。新聞社の名前も何も入っている。なぜこういう会社が、どういう資格で入ったかが、本当に不明朗なんですよ。この不明朗さに、政治家やOBの声がかかって、特定の人間がこれを入れてやったんじゃないかといううわさがいっぱい広がっているわけですよ。そこに実は、与党の中にも二つの流れがあって、激しくそれについて文句を言い合ったりなんかしているというのが今度の事件の実態じゃないですか。  ですから、私は、委員長、農林漁業体験協会の理事長を、今の話でいえば、なぜこの会社を三十社入れたか、きちっとやはり説明を私は受けた方がいいと思うんですよ。そのために、ぜひこの委員会に呼んでいただくように私の方からお願いを申し上げます。
  153. 島村宜伸

    島村委員長 理事会で協議いたします。
  154. 安住淳

    安住委員 ぜひ、来年以降というよりも、これは、長官、内閣全体の問題ですよ。つまり、農水省の構造改善局で今回出たからこういう話になっているけれども、多分調べればほかの役所だってこういうことがあるんじゃないですか。特に事業官庁、お調べになったらどうですか。いかがですか。さっきの公益法人の天下りの問題とは別に、本当にこういうふうな、言ってみれば民間参入を阻害して独占状態で公益法人が仕事をとっていることがあるかどうか、お調べになったらいかがですか。
  155. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 調べてみる必要はあると考えております。
  156. 安住淳

    安住委員 それは調べていただけるということでよろしいですか。
  157. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 どの役所もそういうことをやっておると私は考えておりません。しかし、万一そういうことがあってはならないので、前向きで調べてみたいと考えております。
  158. 安住淳

    安住委員 例えば、もう一つの問題として、我々自身の問題でもありますが、橋本内閣のときに、公益法人の政治団体に対する寄附というのは、自治大臣、禁止されていますね。しかし一方で、公益法人のパーティー券の購入については、自治大臣、いかがでございますか。
  159. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 寄附ということと、それからパーティーというのは分けて考えなければならない性格のものだと思います。  パーティーの場合には、対価の支払いという性格を持っておりますので、公益法人が政治資金パーティーの対価の支払いをすることについては、公益法人によるための制限はない、このように解釈しております。
  160. 安住淳

    安住委員 しかし、これはいかがでございますか。例えば、玉沢大臣にちょっと伺いますが、大臣御自身パーティーをやられて、こういう公益法人からパーティー券の購入をしてもらったことというのはございますか。
  161. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 こうしたパーティーは、政治家の活動を維持する、こういう趣旨で対価を支払ってこれをやっていただいておる、こういうことでございます。  大臣に就任して以降、こういうパーティーは開催しておりません。(安住委員「いや、過去」と呼ぶ)過去におきましては、幅広くいろいろと国民皆さんの御理解をいただいてパーティーをやってきております。(安住委員「買ってもらっていますか」と呼ぶ)買ってもらってないと思います、公益法人には。
  162. 安住淳

    安住委員 パーティー券購入が現行法では確かに違反ではありませんから、それは与党、野党にかかわらず、買ってもらっている方がいらっしゃると思います。  私は自分で直接お話を聞かせていただいて、ある公益法人、これも今名前が出てきた公益法人の一つなんですが、こういう話を伺いました。年間五十万から六十万、やはりパーティー券は政治家の先生から頼まれるとおつき合いで購入をしております。非常に経営が苦しくて大変な中だけれども、頼まれればやはり買わざるを得ないというところがあると言うのですよ。  しかし、これはパーティーの性質にもよりますが、税金の還流システムの一環だと思われてもおかしくないというか、そういう意味からいうと、少なくとも、どうでしょうか、これはそれぞれの個人、議員議員の問題でもあるし、しかし同時に内閣として、官房長官、これは自粛をするなりやめるなり、何らかの方法を考えた方が私はいいと思うのですけれども、いかがでございますか。
  163. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 今自治大臣から、パーティー券の購入については、それが対価として認められるものだという発言がございましたが、この問題につきましては、やはり私は、各党各会派において十分議論をいただいた上で皆さんがお出しになる結論じゃないか、そういうふうに考えております。
  164. 安住淳

    安住委員 やはり李下に冠を正さずというか、私は、大蔵大臣、長く金融も護送船団行政ということでやってきて、それが変わる変わり目であるからこれだけのいろいろな意味での混乱も起きているということだと思うのです。  しかし、実はこれは金融だけでないわけですよ。農業土木だって、ある意味で護送船団でずっと今までやってきて、悪く言えば、もしかしたらそれの一番古い部分をしょっている世界かもしれないと私は思うのです。だからこそ、コンサルタント業務なんか、市場経済と全く逆のことをついこの間までやっていた。  これはやはり今後のことを考え、またUR対策等々、今からの農業というのは本当に大変ですよ。就業者の数を見ても、それから今後の経営の内容を見たって、農家の中で希望を持っている方なんて全国で本当にいるかどうかと思うぐらいなんです。ということは、これは、私は、戦後続いてきた一つの行政の大きな境目に今来ているのではないかという認識に立って、こういう質問を今までしてまいりました。  大蔵大臣、どういう感想を持ってお聞きになったか、最後に伺いたいと思います。
  165. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 我が国は、殊に戦前、貧しい国でありましたから、乏しい物をみんなで分けなければ生きていけないということがあって、したがって、なるべくけんかをせずに、乏しい物でもみんなで分けて、とにかくやっていこう、そういう人の気持ち、国のでき方がやはりあったんだと思うんです。  しかし、まあここへ来まして、行政は生産者のためでない、消費者のためだということになり、また国際規模の競争というものが起こってまいりますと、それではやっていけなくなったというのが今日の日本ではないかと思います。
  166. 安住淳

    安住委員 では終わります。ありがとうございました。
  167. 島村宜伸

    島村委員長 これにて安住君の質疑は終了いたしました。  次に、生方幸夫君。
  168. 生方幸夫

    ○生方委員 民主党の生方でございます。  まず最初に、きょう委員部の方に私は総理大臣出席をお願いしておるんですが、総理はきょういらしておらないんですけれども、どういう理由できょう総理は出席していないのか、青木官房長官にお伺いしたいと思います。
  169. 島村宜伸

    島村委員長 これは委員長からお答えいたします。  昨日の理事会におきまして、本日の委員会は、平成十二年度予算について、大蔵大臣プラス要求大臣質疑を行うことになっておりますので、質疑をお続けください。
  170. 生方幸夫

    ○生方委員 憲法には、憲法六十三条、   内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。 こうなっているわけですね。——委員長、今しゃべったんですけれども、憲法六十三条に規定をされておりまして、内閣総理大臣その他の国務大臣は、答弁または説明のために出席を求められたときは、出席しなければならないというふうになっているわけです。  私も、有権者から選ばれて国会に議席を得ておるわけですから、総理大臣に質問をする義務と権利を有しているというふうに思います。  今回、国会活性化ということでクエスチョンタイムを導入するなど、予算委員会も大分さま変わりをしたのは私もよく存じております。しかし、私もずっと新人の議員になってから予算委員会の委員を務めさせていただきまして、これまで予算委員会の場で総理大臣に質問をする機会があったわけでございます。それが、さきの臨時国会から急に総理が出席をなさらず、総理の質問というものがなくなってしまったわけです。  私は、実際、総理大臣に質問をしたい項目を持っておりまして、これは後ほど質問しようとは思っているんですけれども、総理に質問をしなければならない質問があるわけです。総理大臣出席を求められるのは、ほかの委員会でも求められることは求められるんですけれども、ここ、全部の国民が注目している予算委員会の場に、これまでの慣例でいえば、一週間程度、総理は出席になったわけです。その場におきまして、私たちは総理に対して質問をすることができたわけです。私は議席をお預かりしておりまして、私は有権者の代表として総理に質問をする権利があると思います。  したがって、なぜきょう総理が出席しないのか、総理大臣の意向。この憲法に基づいて、答弁または説明のために出席を求められたときは、出席しなければならない。ここには国対委員会がどうのとか院の構成とかというのは書いていないわけですね。ここの憲法の条文どおり見れば、答弁または説明のために出席を求められたときは、出席しなければならない。したがって、出席をしない理由を明らかにしていただきたいと思います。
  171. 島村宜伸

    島村委員長 要するに、それらの条文もあることは承知をいたしておりますが、どなたも総理にじかに質問をしたいという方は多いわけです、はっきり申しまして。これを全部やりますと総理の肝心な執務に影響があるというようなことから、国会改革の一環として、御党の国対委員長も含めていろいろ御協議願って、今回そのようになっている、私はそう承知いたしております。
  172. 生方幸夫

    ○生方委員 私は、憲法の規定に基づいて——総理がお忙しいのはよくわかっています。しかし、私たちも有権者から議席をお預かりして、総理に質問をしなければいけないことは質問をしたいわけでございます。これは、今私の用意している質問の中に、総理の政治資金団体の中に総理に対する献金の不明な部分があるわけで、これは総理大臣に質問をしないとわからないことがあるわけでございます。したがって、やはり予算委員会の場というのは総理大臣が出てきて初めて予算委員会の場になるのでありまして、国会の議論の活性化ということに明らかに私は反していると思います。
  173. 島村宜伸

    島村委員長 この委員会の運営につきましては、あらかじめ理事会でよく検討の結果、このような形をとっております。
  174. 生方幸夫

    ○生方委員 しかし、実際問題としては、憲法にこう書いてある以外、ここに国対がどうのとか議院運営委員会がどうのということは書いていないわけです。私は議員として選ばれて、議員として私の後ろにも有権者の方がいらっしゃるわけですから、その方たちへの責任と義務において、やはり総理大臣出席をしていただかなければ、たった、今回の場合でいったら、与党の質問が一日あって野党の質問が一日しかない、こんなばかなことがあり得るかというふうに私は思うわけです。私は国対の委員でもないし、そんなものに縛られるわけでも何でもない。私は、六十三条のこの規定に基づいて総理大臣に質問をする権利を有している。  今までは総理大臣に質問をすることができた。何で、国会活性化というふうに言っておきながら、今回に限って国会、総理大臣に質問ができないのか、非常に私は疑問に思うんですけれども
  175. 島村宜伸

    島村委員長 やはり総理のいわばいろいろな所管の事項というのはすべてに及ぶわけでありますから、やはり、すべてを総理ということで、この席にずっと座ったことが国政の運営上好ましくないという判断から、各党で協議の結果、今のような結論になっておりますので、審議を続けてください。
  176. 生方幸夫

    ○生方委員 私は、総理が欠席した正当な理由というのがあればいいですよ。では、例えば今の時間、総理大臣は何をおやりになっているんですか。何でここへ出てこられないのかを官房長官にお伺いしたいと思います。
  177. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 今の時間に総理が何をしているかという問題とこの問題とは別個な問題であると考えております。
  178. 生方幸夫

    ○生方委員 だけれども、この六十三条には「出席を求められたときは、出席しなければならない。」と書いてあるわけですから、出席をしない理由をきちんと述べていただかない限り、私は質問できません。
  179. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 今委員長が申されたとおりが理由だと考えております。
  180. 生方幸夫

    ○生方委員 いや、委員長が述べられたとおりが理由というのはどういうことですか。出席をなさらないわけですね。出席をしない。  私は質問をしたいわけですよ。私が質問をする権利というのは、ここに、憲法に保障された権利だと思うんですよ。それを総理が出てこないというのであれば、それなりのきちんとした理由がはっきりしなければ、私も個人でここへ出てきているわけじゃなくて、有権者のお力でここへ出てきているわけですからね。正式なきちんとした説明がないと、私もこれ以上質問を続けることができないですね。  憲法に基づいて私は主張しているわけで、憲法にはそこに何のほかの条文もないわけですよ。国対で決めろとか議運で決めろとかということはないわけです。  私を選んでくれた方たちは、私が国会で活動するもともとの根拠というのは、この憲法に基づいて、この六十三条に基づいて国務大臣出席を求めることができるというふうに思っているわけでございますから、有権者の方たちは。  何で総理がきょうここへ出てこられないのかの理由をきちっと言っていただいて、私が納得しない限り、私は総理大臣に対して質問があるわけでございますから、総理に対して質問ができなければ私は義務を行使することができない、したがって質問することができないということになるので、いかがでございましょうか。  官房長官に聞いているんですけれども
  181. 島村宜伸

    島村委員長 生方君に申し上げます。  委員会の運営に関しましては各党合意のもとに決定を見ているのでありますから、総予算について質疑を行ってください。
  182. 生方幸夫

    ○生方委員 では、重ねて質問させていただきます。官房長官にお伺いしたいのです。  私は、今申し上げましたように、六十三条の権利に基づき総理大臣に質問要求をいたしました。きょう質問要求をしたところ、総理大臣がお出にならなかった。お出になる、お出にならないというのは、私は、議運でどう決められたということは、それは直接知っているわけじゃございません。私は少なくともこの六十三条の権利に基づいて、私は有権者の皆様方から議席をお預かりしているわけですから、その権利として私は総理大臣に質問をしたいというふうに要求したわけでございます。  そこで、総理が出てこない。これはもともと、理事が云々というより、国会の活性化ということにそもそも反するんじゃないですか。活性化のためには総理が出てくることがぜひとも私は必要だと思うわけです。
  183. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 六十三条があるということは承知の上で、委員会の総意において決定されたことだと私は理解をいたしております。
  184. 生方幸夫

    ○生方委員 委員会の総意といっても、私は委員の一人でございますけれども、こういうことで諮られたことはございませんですからね。  私は、委員長、国会の活性化ということに対してこれは明らかに反していると思いますよ。国会と私たちは、私も三年ちょっとしかまだ議員をやらせていただいていないですけれども、ずっと予算委員会にいたわけです。その予算委員会の中で、総理が出てくることによってやはり、マスコミの注目度なんということを言っちゃいけないんでしょうけれどもマスコミの注目度も高まりますし、やはり緊張感も違うわけですよ。その総理が、大事な大事な予算委員会、しかも通常国会の予算委員会にたった二日しか出ないということであると、本当に予算に対して議論ができるかといったら、できないですよ。  私は、やはり断固これは総理に、今までよりたくさん出るというのなら国会の活性化につながりますけれども、今までより少ない。クエスチョンタイムというのがあったとしても、クエスチョンタイムは党首対党首で、総理という立場ではございませんからね。党首対党首だし、それは私に関係したことではございませんから。やはり予算委員会の活性化ということも国会の活性化の大事な一部分であると思うんですね。総理が出ないということは、総括質問から基本的な質問に移ったということ自体が、私は、この国会の活性化ということに対して非常に反するものだというふうに思うんですけれども。  今の、私は委員長に対して、委員長に質問できるのかどうか知りませんけれども委員長は、今度の国会の活性化法というのが、活性化が本当に予算委員会の活性化につながっていると思いますか、この状態で。  私は全く納得はいきませんけれども、これは非常に貴重な時間でございますから。  では私は、きょう総理に質問したい質問を、総理がお出にならないですから、総理の女房役である官房長官に質問させていただきたいと思います。  ここに告発状がございます。この告発状は、総理大臣の政治資金管理団体である未来産業研究会というところが政治資金規正法違反で告発をされているものでございます。「告発の趣旨」というのは、「被告発人団体(未来産業研究会)」これは総理が代表を務めている総理の資金管理団体でございますね。「の行為は政治資金規正法第二二条の二、同二六条三号、同二八条の三に左記のとおり違反するので、早急に捜査を遂げ、厳重に処罰されたく告発する。」これは、去年の十二月になされたものでございます。  端的に申しますと、簡単に言うと、未来産業研究会というところに会社役員七人からそれぞれ二百万円から五百万円の政治献金がなされた、これは平成十年の話でございます。これが政治資金規正法の二十二条の一項「政治活動に関する寄附は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の者に対しては、百五十万円を超えることができない。」としている条文に反しているというものでございます。  まず官房長官、この告発がなされたということを御存じでございますか。
  185. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 国会の審議を通じて、私も告発がなされたということだけは承知しております。
  186. 生方幸夫

    ○生方委員 告発状によりますと、これらの資金は、一たん恵山会、恵友会、恵和会、それから国際政治経済研究会という四つの政治団体を通してそのまま未来産業研究会に献金をされているわけでございます。  例えば、あるTさんという方を通してみますと、この平成十年に、今申し上げました未来産業研究会も含めまして五つの団体にすべて寄附し、総額が六百万円になっているわけでございます。これは、一人の方が百五十万円を超えてはならないという政治資金規正法の精神に全く私は反しているというか、違反していると思うのですけれども、いかがでございますか。
  187. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 総理が出席をしておりませんので、私も総理の政治団体における金の動きについては十分承知をいたしておりませんし、それが法的に正しいか間違っておるかということは、私も専門家じゃないので、その内容について知らない限りはこの場で申し上げる考えはございません。
  188. 生方幸夫

    ○生方委員 だから、総理大臣が本当は出てこなきゃいけないのです。  自治大臣にお伺いいたしますが、政治資金規正法で言えば、一人百五十万円という規定があるのは、それ以上の額が献金をされれば、政治家との間に特定の関係ができたり癒着関係が発生したりするから、これは規制されているわけでございますよね。  ここに平成十年の政治資金の収支報告書がございます。これでいうと、恵友会というところは、これは平成十一年の三月二十九日に報告を出しているのでございますが、恵友会の支出の部分を見ますと、政治活動費で、寄附・交付金が二千二百五十万円寄附をされている。それから、恵和会というところの支出を見ますと、やはり寄附として四百万円が出ている。それから恵山会も、支出として寄附三百万円が出ております。それから国際政治経済研究会というところも、支出として寄附七百万円というのが出ております。それで、今度は総理の資金管理団体である未来産業研究会というところに、ここを見ますと、今申し上げた金額がそっくり入っているわけでございます。  すなわち、何を言いたいのかというと、この恵友会というところとか恵和会あるいは恵山会、それから国際政治経済研究会というところは、すべて全額の支出をこの未来産業研究会にしているわけでございます。  私も、この恵友会とか恵山会とか行ってまいりました。実際にこれは、例えば恵友会と恵和会というところは同じ事務所にございまして、事務の方が二人ぐらいいる。そこには、関東ミネラル工業という看板がかかっていて、恵友会も恵和会という看板もかかっていない。  それからもう一つ、国際政治経済研究会というところにも行ってまいりましたが、そこも、看板こそ出ているのですけれども、屋根裏部屋のような状態で、電気もついていないという状態になっている。  こうなりますと、この団体が独自の活動というのをしていないというのは、支出の項目がそれ以外に一切ないということを見ても明らかだと思うのです。  こうなりますと、要するに架空の政治団体を利用した形で、個人が百五十万円の寄附金を超える寄附を小渕総理の資金管理団体である未来産業研究会に行ったというふうにみなして、これは明らかに政治資金規正法に違反しているというふうに私は思うのですが、自治大臣、いかがでございましょうか。
  189. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 御指摘の恵山会、恵友会、恵和会、国際政治経済研究会、そういったものは実際存在をいたしますし、さらに、政治資金規正法に基づきまして収支報告書が提出をされております。それを自治省は受理をし、管理をし、閲覧に供するという仕事をいたしております。  その実態等について、自治省は、さらに突っ込んで調べるという権限を有しておりませんので、こうしたものについての活動状況等については、私どもとしては、届け出を受け付ける、そして閲覧に供するという仕事だけが我々に与えられている権能であるというふうに理解をいたしております。  なお、四つの政治団体から未来産業研究会に全部流れているではないかという御指摘でありますが、これは違法とは言えないわけであります。
  190. 生方幸夫

    ○生方委員 これは、自治省選挙部がお出しになっている「政治活動の手引」というものでございます。この中に、政治団体について、どういう団体を政治団体にするのかということが書いてございまして、その中に、「自らは政治的キャンペーン等の活動をすることは、およそ目的とせず、また実際にも何らの活動をしないで、政治家のために資金上の援助をすることのみを目的とし、かつ、これのみをする団体は、「政治団体」に該当するか。」という問いがあって、それに対して自治省の答えは、「該当しない。」というふうになっているわけです。  今ここに、恵山会それから恵友会、恵和会、国際政治経済研究会、この四団体の平成八年分から九年、十年、十一年分の収支報告書というのがございます。これを見ますと、恵山会で見ると、ここを見ていただければわかるのですけれども、それ以外の支出は皆ゼロになっているわけですね。  正当に活動していれば、電話をするとか手紙を出すとか、それから人件費は当然かかりますよね。そうしたものがあって初めて、活動している、まさにここで言う政治団体になるのであって、これは、支出もゼロだし、収入は個人からの寄附があるだけである。まさに今問題になっている方の寄附金がここに入っているわけです。  そうなりますと、これは、一人百五十万円を超えてはいけないという規定を何とかクリアするためのトンネルの政治団体であるというふうに私はみなさざるを得ないと思うのですが、いかがでございますか。
  191. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 委員がそのようにお考えになることは御自由だろうと思います。しかし、法律を管轄いたしております自治省の立場から申し上げますれば、特段の違法性はない。  それからもう一つ、経費の面については、これは推定になりますけれども、恐らくは手弁当ないしはボランティア活動に基づいて政治活動をしておられるのであろう、そういう推定をいたしておりまして、その実態調査というのは、私どもは調べる権限を持っておりません。
  192. 生方幸夫

    ○生方委員 そうした自治大臣答弁は、我が党の櫻井議員に対して参議院で行われたことは、私もよく承知をしております。したがって、どういうような活動をしているのかということを見に行ってきたわけでございます。  そのところ、今申し上げました、ここの恵友会、恵和会というところは、関東ミネラル工業という看板と、それから光山電化工業という看板が二つかかっているだけで、私どもが中へ入って、恵友会、恵和会について伺いたいと言ったら、そこにいた方たちは出ていってしまって、何もお答えをしなかった。それから、さっきの国際政治経済研究会というところにも行ってまいりましたが、ビルの六階で、もう既に五階まではいろいろな事務所が入っているんですけれども、六階は階段に電気もついていない、その奥に辛うじて看板だけはかかっておったという状態なんですよね。とても、今自治大臣がおっしゃるように、ボランティアの方が手弁当で何かの政治活動をやっているというようなところではないのは、これは一目見れば明らかなわけですね。  これはもちろん、自治省が政治団体について一々活動のチェックをしないというのはよく存じております。しかし、今これだけ新聞報道されていて、事は総理大臣の献金に関する疑惑ということでございまして、私が行ったって、これはすぐわかるわけですよ、どういうところであるのかというのは。したがって、これは違法性がないとはいえ、違法性は私はあるというふうに思うんですけれども、自治省が調べる必要はあるんだと思うんですが、いかがでございますか。
  193. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 ここは非常に大事な問題でございまして、政治活動の自由をできるだけ阻害をしないという立場に立っているのが自治省でございますから、届け出要件が満たされておればそれを受理し、そして、言葉を忘れましたが、閲覧に供するということをいたしておるということであります。
  194. 生方幸夫

    ○生方委員 では、もう一回最初のところでお伺いいたしますが、個人の献金を百五十万円に限っているという趣旨は何でございますか。
  195. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 それは、国会で政治資金規正法ができましたときに、政治家といろいろな経済団体との癒着関係が生じないように一定の限度を設けた、そういうふうに理解をいたしております。
  196. 生方幸夫

    ○生方委員 そうしますと、今申し上げましたように、全く、この恵山会、恵友会、恵和会というのを経由しただけで総理のところにまとめて、ある個人からお金が入っているということは違反にならないんですか。  これは、百五十万円を限度とするというのは、癒着が生じちゃいけないからということですよね。これは、一年間だけこの方がそういう処置をしているんじゃなくて、何年間にもわたって、恵山会、恵友会、恵和会、ここを見ていただければ、お名前を出すわけにはいかないんですけれども、この一人の方しか献金はないわけですね。それは、そのまま総理の政治資金管理団体に入っているということは、これはトンネルとして利用されたということ以外の何物でもないと思うんですね。法の趣旨に照らしていえば、百五十万円以上はしたら癒着関係が生じますよというふうに言っているわけでございまして、この方は年間六百万円もしているわけです。  もっと言いますと、きょうの新聞に出ておったんですけれども、この方が、まさに三年間で千三百万円総理の資金団体に献金をされた方が、昨年の園遊会に内閣推薦でお出になっているということなんですね。これは便宜を図ってあげたというかお礼というか、そういうこと以外に考えられないと思うんですけれども、いかがでございますか。
  197. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 先ほどからお答えを申し上げておりますとおり、自治省といたしましては、政治家の政治活動の自由を束縛してはならない、そういう精神にのっとってやっておりますので、届け出が適正であればそれを受理しているということでございまして、それ以上のコメントを自治省の立場で申し上げるということについては差し控えさせていただきます。
  198. 生方幸夫

    ○生方委員 ここに告発状補充書というのがございまして、この告発をされた方たちが、ほかの政治家についてもこういう団体を持っておるかどうかお調べになったわけです。今これは名前を別に一々言う必要はないんですけれども、例えば宮澤大蔵大臣であればそういうものは持っていらっしゃらないわけですね、そういういわば幽霊団体のようなものは。これは亀井さんも持っていませんし、竹下さんも持っていないし、山崎さんも持っていないし、中曽根先生も持っていないし、加藤さんも持っていないという形で、みんな持っていないわけですよ。持っていないにもかかわらず、総理がこういう、たびたび指摘された政治団体をいまだに持っているというのは、総理大臣として、国民に対してこういうことをしてはいけないと、脱法行為に似たような行為を総理がしていたんじゃ、国民に対して法を守れとは言えないんじゃないですか。官房長官、いかがでございますか。
  199. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 総理と官房長官という非常に緊密な関係にありますけれども、総理の政治団体、政治資金団体については、私は一切存じておりません。
  200. 生方幸夫

    ○生方委員 いや、政治資金団体についてじゃなくて、総理大臣がこうした団体を経由して百五十万円を超える献金を受けていることはいかがですかというふうに聞いているわけです。
  201. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 法に反するかどうかということが一番問題だと私は考えておりまして、これが法に反するなら総理大臣といえどもこれは間違ったことだし、法に反しないならこの場でとやかく言われる筋合いのものじゃない、そういうふうに考えております。
  202. 生方幸夫

    ○生方委員 例えば、恵山会というところは未来産業研究会と住所が一緒なんですね。事務所も一緒なんです。四〇四というところで一緒なんですね。だから、これは関係がない団体とは言えないわけですよ。官房長官がおっしゃれないというのであれば、まさに私は総理大臣出席をしていただかなければしようがない。だから、どうしたって総理大臣出席をいただかないと、総理大臣のまさに資金管理団体でございますから、限界があるわけですよ。  今申し上げましたように、法の趣旨は、一人、個人からの献金は、年間一人の政治家に対しては百五十万円を超えてはならないという規定があるわけですね。その規定は、それを超えて献金がなされれば、その政治家と個人が結びついてしまう、癒着してしまう危険性があるからそういう規定を設けているわけですね。  そういう規定があるにもかかわらず、実態としては、どこを経由しようが、ある個人から未来産業研究会に年間六百万円あるいは五百万円というお金が行っている。それも単発ではなく何年もにわたって行っているということは、政治資金規正法の趣旨に明らかに反しているのではないですか、私はこう言っているわけですよ。いかがでございますか。
  203. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 ただいまお答えしましたように、もしそれが法に反するものならば、内閣総理大臣であろうとも間違っておると思います。しかし、これが法に反しないものなら、この場でとやかく言われる筋合いのものじゃない、そういうふうに私は考えております。
  204. 生方幸夫

    ○生方委員 法に反しないか反しているかは司法が決めることでございます。私は、今言っているのは法の趣旨です。何で政治資金規正法というのをつくったのかという趣旨からすれば、今再三申し上げているように、一人から百五十万円を超えて寄附をしてはならないというのが事実ですね。ところが、実際問題としては、一人から最終的に、途中どう経由しようが、未来産業研究会に一人で六百万円という政治資金が行っている。これは明らかに政治資金法に違反しているんじゃないですか。自治大臣、いかがですか。
  205. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 政治団体から政治団体へ寄附をするということについては、法に反しておりません。
  206. 生方幸夫

    ○生方委員 だから、再三申し上げているように、ここがたくさんの活動をしているならいいですよ。いろいろな活動をしている中でそうであればいいのですけれども、ここを見ていただければわかると思いますが、一人の個人からの献金をそのまま未来産業研究会に送っているんですよ。保利大臣、聞いていますか。何にもやっていないんですよ。明らかに、ここを通した意味は、政治資金法をすり抜けようという、まさに官房長官おっしゃったように、法に反していなければいいじゃないかと。法に反していないようにしながら実態は法に反しているというような行為を総理たるものがやっていいのかという問題ですよ。いかがですか、官房長官。
  207. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 再三お答えしたとおりでございます。
  208. 生方幸夫

    ○生方委員 これはやはり、当人ではないですから官房長官お答えになれないので、私はどうすればいいのかわかりませんけれども、総理の出席を再度求めるしかないと思うのです。やはりこれは、総理大臣でございますから、こうした行為、これは、仮に百歩譲って脱法ではないとしても、違法性が極めて強いと言わざるを得ないと思うんですよ。  今言いましたように、一人から百五十万円を超えちゃいけないといって、結果的には、どこを通ろうが、最終的に一人から六百万行ったり一人から二百万円行ったりして。これは私、確認はできなかったんですけれども、ある方は、私は未来産業研究会というところに寄附をしたと思っていた、それが二つに分けられていましたよと。これは新聞報道でございますので、私、電話をしたんですけれども、その方がいらっしゃらなくて確認ができなかったから、それは新聞報道だということは言いますけれども、ただ、実態問題としては、そこにそういうふうに書かれている方もいらっしゃるわけですよ。  経理上の処理で、これを見ますと、会計責任者は、恵山会、恵友会、恵和会、みんな同じ方がやっているわけです。そういう分散をすることができるわけですね、常識的に考えれば。可能なわけですよ。そういうことを一国の総理たるものがやっていいのか。  今、再度申し上げますが、ほかの政治家でもうそういう団体を持っている方はいらっしゃらないわけですよ、重立った政治家で。そうなのに、なぜ総理がそういうものをいつまでも持っていて、再三指摘されているにもかかわらず、それをなくそうともしないのか。いかがでございますか。
  209. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 総理大臣個人の政治団体のことでございますので、私がその内容についてわかりませんと答えるのは当然だと思います。  ただ、私がわからないからといって、そのことと、この委員会に総理大臣がきょう出席すべきだ、その議論とは別な議論だと私は考えております。
  210. 生方幸夫

    ○生方委員 きょう出席しろというふうに言ってはいないですよ、今は。今の件では官房長官に聞いても仕方がないから、これはやはり総理に出席していただくしかないですねと言ったんであって、今出てこいというふうに、これはさっき言いましたので、それは繰り返しはいたしません。やはり総理に聞かなければしようがないということを申し上げているわけです。  では、もう一回自治大臣に聞きますけれども、もうこれで最後にいたしますが、政治資金規正法の趣旨は、あくまでもやはり百五十万円を超えて個人から献金がなされちゃいけないということですよね。そこだけちょっと確認をしたいと思います。
  211. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 一つの政治団体に対して百五十万を超えてはならない、これが政治資金規正法の規定であります。
  212. 生方幸夫

    ○生方委員 だから、政治資金法の改正で政治家個人が持てる政治資金管理団体は一つにするという意図は、一つに対して一人から百五十万円だということにするためにまさに一つにしたんじゃないんですか。それなのに、こういう、そうじゃない政治団体を経由させることによってそれをすり抜けるというのは、違法じゃないとしても非常に脱法に近いんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、いかがでございますか。
  213. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 自治省は政治資金に関する収支報告書を受け付けておりまして、それに形式上問題がなければ、それで私どもは受理をいたしております。そして、それを閲覧に供しているというところでございまして、違法であるとかあるいは間違いであるとかというようなことを私の方から申し上げることは差し控えさせていただきます。
  214. 生方幸夫

    ○生方委員 私は、違法であるか違法でないかというのを聞いているんじゃなくて、法の趣旨に反しているでしょうと。政治家が一人で一つしか資金管理団体を持てなくしたというのは、まさにそうしたことをやめようという意図から一つにしたわけでしょう。それにもかかわらず、こういう団体を通して結果的に今までと同じように一人から百五十万円を超えるような献金がなされるとすれば、これは限りなく違法行為に近いんじゃないか、私はこういうふうに申し上げているわけです。いかがでございますか。
  215. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 委員の解釈は解釈といたしまして、自治省としては、形式上整っていればその書類を受け付けるということでございまして、その先のコメントはいたさないことにいたしております。
  216. 生方幸夫

    ○生方委員 そういう意図であれば、何で自治省はこういういろいろな、「政治活動の手引」とかそういうものを出さなきゃいけないんですか。出すということは、政治資金法をきちんと守ってくださいよというために出しているわけでしょう、お金をかけて。(発言する者あり)私は守っていますよ、言っておきますけれども、そんなの。  だから、法がこうであってからこうだということじゃなくて、自治省が存在するというのは、政治資金規正法という法があるのをきちんと守らせて、守ってもらわなきゃいけない、大臣たるもの、それは全員が守ってもらわなきゃいけないということを指導する立場にあるわけでしょう。それが、総理大臣が脱法行為に近いことをやっていたら、注意をするのか何をするのか知りませんけれども、それは何かしなきゃいかぬという……(発言する者あり)いや、権力の介入ということではなくて。  だから、今、再度申し上げますけれども、法の趣旨に照らして、これは全く正しいことなのかどうか、そういうふうに思っているのかどうか、その一点だけお答えください。
  217. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 再三お答えをいたしておりますとおり、違法性はございません。したがいまして、それ以上のコメントは自治省としてはいたしません。
  218. 生方幸夫

    ○生方委員 だから、自治省が存在する意味というのは、政治資金規正法というのがあったら、それをきちんと守らせなきゃいけないということに意味があるわけでしょう。そうじゃないのですか。それなのに、違法行為がないからそれは関係ないというのであれば、だから、今申し上げましたように、こういうようなものもいっぱいいろいろ出して、政治活動が適法に行われるように自治省は指導しているわけですね。その指導の趣旨に明らかに反しているじゃないですか、日本語で読めば。  百五十万円を超えてはならないということは、一人の個人から一人の政治家に百五十万円を超えてはならないということなんですよ。現実には百五十万円を超えて六百万円も行って、その前の年は五百万円も行っているわけですよ。だから、これは普通じゃないわけですよ。(発言する者あり)団体ですよ。だから、最終的に行っているのは、総理の政治資金管理団体に個人から六百万円行っているわけですよ。それはきちんとここでトレースできるわけですよ。ここで入ったお金がそのまま、いいですか、恵山会なり恵和会なり恵友会なりに入ったお金がそのまま、さっき申し上げましたように、未来産業研究会に入っているわけですよ。どこにも行っていないわけですよ。  だから、これは明らかにトンネルで利用されたとしか、これはどう間違えたって考えられないのですよ、これは各団体みんなそうなんですから。個人の献金があって、その献金額と同額、さっき一番最初に読み上げましたように、同じ額が未来産業研究会に入っているわけですから、どう考えたって、ここをすり抜けて総理の政治資金管理団体に入ったということは明らかじゃないですか。  だから、それは、一人の個人から百五十万円を超えて政治家に献金をしてはいけないという趣旨に反するのじゃないですかということを聞いているわけです。趣旨です。いかがでございますか。
  219. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 国会の御審議を得てつくられました政治資金規正法に違反はしていないということでありますれば、それ以上のコメントを自治省としてはいたしません。  仮にいろいろなことを申し上げますとすれば、いろいろな団体について調べなきゃならないということになります。それは不当な政治干渉になる可能性がありますから、そこは厳に差し控えているところであります。
  220. 生方幸夫

    ○生方委員 私は、全部の政治団体について調べろなんて言っていません。総理大臣の資金管理団体に行っているから問題だと言っているわけですよ。そんなもの、別にほかの政治団体を全部調べなさいなんて言っていません。総理大臣に行っている、そういう総理大臣でいいのですかということを言っているわけです。そういう、法を守らなきゃいけないのに、こういういわばペーパーカンパニーみたいな、ペーパー政治団体を設けて、そこを通すことによって、限りなく違法行為に近いようなことを総理大臣たるものがやっていいのかどうかということを私は問うているわけです。  あらゆる政治団体の政治活動を調べろなんということを言っていません。そんなことは政治活動に対する干渉になるし、それは厳に戒めなきゃいけないですけれども、現実にこうやって新聞にも出て、ここで明らかになっていて、だれが見ても、これはここを通しただけで、実際には総理に献金をしている。この方に聞いてみればわかると思うんですけれども、では、あなたはこういう恵山会とか恵友会というところに献金をしたのですかと言えば、いや、そうじゃありません、小渕総理に献金をしたのですと言うに決まっているわけですよ。だから、法の趣旨から照らせば、百五十万円を超えた政治献金をしていると。  これ以上言ってもしようがないのですけれども、官房長官、最後に聞きますけれども、こういう限りなく、今私が質問したことを聞いていただいて、これはどう見ても政治資金法を切り抜けるためだけの団体であるというふうに言わざるを得ないのですよ。これは本当は、平成八年の前はきちんと活動していたわけです。それが八年で、まさに一つになったときからペーパーになったわけです。だから、法の趣旨からいえば、八年の段階で、私はそのときに政治家じゃございませんからわかりませんけれども、普通の政治家の方たちはこういうものをなくしたわけでしょう、恐らく。なくしてやってきたにもかかわらず、総理が残しているということは問題じゃないか。さっき申し上げましたように、ほかの政治家の方たちは持っていないわけですね。この方たちが調べたわけですよ。調べたのだけれども、いかがでございますか、官房長官。
  221. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 今自治大臣がお答えしたとおりでありまして、自治大臣のお答えは、法的には何ら間違っていないということでございますので、それをどういうふうなとり方をするかは、それぞれいろいろ見解の相違があろうと思っております。
  222. 生方幸夫

    ○生方委員 これは、いずれ総理においでいただく機会がどこかでつくれたら、私は再度総理に直接伺わせていただきたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移らせていただきます。中山建設大臣にお伺いいたします。  私も、先週の土曜日に吉野川の河口堰を見てまいりまして、そこで、県の方たちとか徳島市の方たちとか、それから住民投票を実行した方たちとか、いろいろなお話を聞いてまいりました。  それで、中山建設大臣の意見が、投票の前と投票の後で非常にぶれているわけです。新聞報道から拾ってみますと、投票前は、住民投票というのは民主主義の履き違えだ、あるいは、住民投票は民主主義における投票行動の誤作動だというふうに言っていた。それが、投票が実際に行われて、五〇%という変な規定があったのですけれども、五五%投票をして九〇%が反対という結果が出た二十四日には、ほかにいいものがあったら転換したらいい、何のこだわりもないというふうに、可動堰計画そのものを見直すような発言に変化をし、その後、住民投票の結果についても、私も数で生きてきた、票は神の啓示だというようなコメントをなさった。まさに投票結果を受け入れるような発言をなさった。しかし、二十八日になると、今度はまた発言が変わりまして、白紙撤回をしたら賛成署名を持ってきてくれた人がずっこけてしまう、それから、可動堰について工学的に専門家が考えたことを住民投票で左右するのは民主主義の逸脱だと、また変化したわけでございます。  それで、今度は、二月二日に住民投票の会の方たちと会ったときには、ゼロから話し合いましょうというふうになって、いろいろ、ころころ変わっておりまして、本当に建設大臣はこの河口堰の問題について、住民投票の問題については後で伺いますが、どのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  223. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  私は、ぶれているわけでも何でもございませんで、この吉野川という暴れ川に対して建設省の専門家が一生懸命に考えていることをちゃんと実施がしていけるようにということで、会う方々に説得をしているのがいろいろな場面で出るものですから、それがぶれているように聞こえるのかもわかりませんが、私は、姫野さんという代表者の方々、建設省も初めてのことだと言っていましたが、大臣室へ大勢来ていただいて、そして、仙谷先生、前原先生の御紹介のもとにお目にかかって話をしたことでございまして、治水を担当する建設省としては、住民の生命とかそれから財産を守ることは大きな責務でございますので、事業を進める際に関係住民の意見を聞いていくことは大切でございます。  吉野川第十堰については、この両者の満足することが重要でございまして、建設大臣として一貫して、いわゆる治山治水というのは、これは、国を治むる者は山を治む、国を治むる者は川を治む。治山治水というのは、これは国家の一にかかった重要な責務でございますから、私は、兼職しております国土庁長官としても、自然災害に対応するのが国土庁で、事故災害は各省庁がやりますが、その際でも、事故災害の際でも国土庁が総括的なそれの取りまとめをするという災害の最大の責任を持っております国土庁長官としても、これは一貫して、私はぶれたつもりはございません。  きのうも志位先生にもお答えしましたけれども、白紙撤回というのはありませんということを申し上げております。
  224. 生方幸夫

    ○生方委員 ということは、可動堰をおつくりになる方針というものに何ら変化がないということでございますか。
  225. 中山正暉

    ○中山国務大臣 これは、可動堰というのは、まだ予算がついたわけでも何でもございませんし、今まで調査をずっと昭和六十何年から、六十二年か何かから続けておりますということでございますから。これは、何か固定観念があるようでございます。固定堰よりも、何かみんなの固定観念の方が強いような感じがいたします。  これは、いわゆる起伏式といいまして、つい立て式で水が出たときにぱたっと倒れるようにするもの。それから、ゴムのようなものを入れて、それを膨らませておいて、水が出たらそれをしゅっとへこませてその上を水を通過させるとか、それからもう一つが、水が出たときにはそれを引き上げる。ただし、その上には道路がつきます。そういうものをつくるかどうかということと、それから堤防を上げたらどうですかという話もありますが、これは、堤防をかさ上げしますと、水が出たときに水圧が一遍に変わるそうでございます。  それから、固定堰をなくしますと一メートル二十センチ水位がどんと下がるそうでございます。これが一番安全だというような話が根底にありますので、それは、これから私も、予算委員会が済みまして、参議院を予算が通りましたら、地元皆さんのところへ行って、私も専門家と地元方々の間をとる。政というのは、人の心と神の心の真ん中をつる、間をつる、祭りというのはそういうことだと思います。ですから、そういう政の精神に徹したいと思っております。
  226. 生方幸夫

    ○生方委員 住民投票をした方たちも、それは自分たちの生命や財産にかかわることですから、ただ反対をしたいということで反対をしたわけじゃないわけですね。私も行ってよくお話を聞いてまいりました。そうしたら、反対というか住民投票をしろと言った方たちも、専門家の方たちを招いて、じゃどういうふうにしたら一番安全になるのかという調査をいろいろ行っているわけです。  私も固定堰に行って、あそこを通ってまいりました。あの堰そのものはもう二百何十年ももっていて、何回か改修はされたそうなんですけれども、それだけもってきたことは事実なんですね。その中を水が通ってしまうような形になっている堰であるから、非常に自然物に近いものである。私もあそこに行っていた、一時間半ぐらいあそこにいましたか、そうすると、やはり近所の方たちが堰に散歩に来たり、いろいろな形で自然を楽しんでいるわけです。  大臣も御存じのとおり、吉野川というのは暴れ川でもありますけれども、非常に自然が残された川ですよね。あの護岸を見ても非常に自然が残されたその川に、建設省の写真を見ると、橋と一緒に、橋というか道路と一緒に可動堰がつきますから、その道路も片側二車線というような道路でございますと四車線になるから、非常に大きなものがそこへ通ってしまうと自然の景観を非常に大きく破壊してしまうのではないかというのが一点あったわけですね。  それから、建設省も非常に、私もいっぱい見ましたけれども、たくさんの資料をつくって何十回も住民に対する説明を行った。その努力は多といたすのですけれども説明をするたびに、やはり建設省のもともと可動堰ありきという態度がどんどん浸透していってしまって、逆に反対派の方たちがふえたということもあるようなんですよ。  私は、やはり五〇%ルールというのも、そもそもこれは——きょうは時間がもうなくなっちゃったので、本当は住民投票ということについても論議をしたかったのですが、それはまたの機会にいたしますが、いずれにせよ、その五五%の方たちが、投票に行くなというキャンペーンがあったにもかかわらず投票し、その中の九〇%が反対という意思表示をしたわけですから、新河川法の精神からいっても、やはり流域住民の方たちの意思というものは大事にしなければいかぬ。  それから、徳島の市長さんも見直すべきだというような発言をなさっておりますので、やはりゼロからということは本当にゼロからもう一度、これまでの過去の経過、何十年かかっているのもよく承知をしておりますけれども、そういうものを排して、やはり住民の意思を尊重した形で話し合いを始めてほしいというふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  227. 中山正暉

    ○中山国務大臣 これは委員長に許可を得てちょっとお見せしたいと思いますが、固定堰をなくしますと、この赤い部分、これが、水が出ますと、この赤い部分が盛り上がって一メートル二十センチになるそうなんですね、これをどけますとどんと水位が下がる。それから、ここにも、端に私が書いていますが、二百年に一遍はんらんする川が、利根川、荒川、多摩川、庄内川、大和川、淀川、太田川、こんなことになっておりますが、今お話のございましたように、いろいろなことを考えております。  この堤防のかさ上げをする図面はこういうことでございますが、ちょっと上げますと、これがガマといいまして、周りに水が噴き出すのですね。ですから、私もこういうものを見せられて、専門家の方々からお話を伺いますと、ガマというのは、横の田んぼにこういうふうに地下から水が噴き出して、まるで火山の噴火口のようになります。私なんかも淀川のすぐそばに住んでおりますが、お天気の日でも淀川の周りがびしょぬれにぬれています。自動車で走ると水をはねる。何でかと思ったら、堤防の下をくぐって水が来る。  本当に水というものは、なかなか便利なものでもございますが、岩をも砕くという恐ろしい性質がございますものですから、今のお話のように、徳島の市長さんも関東地建の水政課長をしておられた方でございますから、私は市長さんともお目にかかって、そしてそういう市民の方々、それからまた知事さんの方からは、県会議員さんも大勢、早くやってくれという御陳情がございますし、県会議員の方々から三十二万の促進の署名もいただいております。  いろいろなことを参酌しながら、また先生とも御相談させていただきますが、新聞記者の前身でいらっしゃるからよく調べていらっしゃるので、またいろいろ御示唆をいただきたい、お願いしておきます。
  228. 生方幸夫

    ○生方委員 きのうも志位さんの質問に対して三十二万人の署名ということをおっしゃいましたですけれども、あれは、特にこの間の住民投票にかけたものは選挙管理委員会がきちんと一人一人チェックをしたんだ、ところがあれだと、住民の、人口よりも多い署名が集まったりしているとか、確実なものではない。  私ここに持ってまいりましたのですけれども、いろいろな世論調査を実施すると、今おっしゃったように、三十二万人というふうに言ったら大多数が賛成だというふうに思われるかもしれませんけれども、テレビや新聞が流域住民に対して行った世論調査でも反対の方が多いのですね。もちろん、わからないという方がたくさんいるんですけれども、反対の方も多いわけです。  今申し上げましたように、建設省は建設省でいろいろな試算をなさって、川もつくって実験をしたのもよく承知しておりますけれども、それはそれとして、またこちらにはこちらで、やはり計算をしているわけです。その方たちはそこへ住んでいるわけでございますから、何もしなくて自分たちが洪水に遭っていいというふうに思っている方はもちろん一人もいないわけでございますから、ぜひとも、その辺は固定概念を持たないで話をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  229. 島村宜伸

    島村委員長 これにて生方君の質疑は終了いたしました。  次に、原口一博君。
  230. 原口一博

    ○原口委員 民主党の原口一博でございます。  きょうは、沖縄普天間基地返還等の外交・安全保障問題について、それから財政金融問題について、政治倫理問題について、三点に絞って関係大臣に御質問申し上げたいと思います。  まず、命を守る、国民の生命財産がどのように守られているか、そして国益がどのように守られているか、このことを検証していきたいというふうに思っています。  まず二階運輸大臣にお尋ねをしますが、去る平成十二年二月七日、エアーニッポン七三五便の機長から、航空法七十六条の二の規定に基づく機長報告、異常接近報告が提出されておりますが、その内容はいかがなものでございますでしょうか。
  231. 二階俊博

    ○二階国務大臣 原口委員にお答えをいたします。  平成十二年二月七日、エアーニッポン七三五便の機長から、航空法に基づき、今お尋ねのように、平成十二年二月四日十三時五十分ごろ、那覇市の北西約四十マイル、約七十四キロメートルの海上上空を高度二万八千フィート、約八千五百メートルで飛行中に、ジェット戦闘機と思われる航空機と二百フィート、約六十メートルの高度差で接近した旨の機長報告が提出されました。  機長報告の提出を受け、運輸省で該当機について調査を実施したところ、該当機は、米海軍空母艦載機であるFA18であることが判明いたしました。したがって、今後は、エアーニッポン、米軍及び関係機関等に対し事情を聴取するなど、異常接近であるかどうかの調査を開始し、可能な限り早期にその結果を公表することにいたしたいと思っております。  約六カ月ぐらい要するようでありますが、私は、できるだけ早くその調査結果を公表し、こうしたことが再び起こらないように十分注意をしてまいりたい、このように考えております。
  232. 原口一博

    ○原口委員 今運輸大臣からお話をいただきましたが、二百フィート、六十メートルですから、それこそ目の前を、この機長の報告によると米軍機が、今米軍機であろうというふうに思われますが、これが横切っている。本当に大変な惨事になるところでございます。  私は、今運輸大臣が六カ月という期限、具体的な期限をお示しになって、それよりも早く原因究明と、そしてこういったことが再発をしないようなその措置をとられる、そういうお話をされたことを多とするものであります。  さて、これは本当にアメリカ軍の飛行機であったのか。米軍からは何と言ってきているのか。嘉手納を中心とするRAPCON、この空域は米軍の航空管制に、米軍がコントロールをしている空域であるというふうに思われますが、そうであるとすれば、どのような航路をとっているか、あるいはその飛行機が何であったかということは同盟関係を結ぶ米軍からも誠実なる報告があってしかるべきだというふうに思いますが、今大臣はホーネット、FA18の名前をお示しになりましたけれども、在日米軍司令部としてはこのことについて何と述べているか、さらにお尋ねを申し上げます。
  233. 二階俊博

    ○二階国務大臣 目下、関係者の事情、当時の資料等の提出を求めており、先ほど申し上げましたように、できるだけ早い機会に結論を得るようにいたしたいということでやっておりますので、今米軍から詳細な内容がすべて届いておるわけではありませんが、目下事情を聴取しておる最中であるということを申し上げておきたいと思います。
  234. 原口一博

    ○原口委員 私が運輸省からいただいた資料によると、関連機、これが当該航空機であるか、それはこれからの調査によるというふうに思いますが、所属は米空母ステニスの搭載機、呼出名称ショーグン201、機種FA18ホーネット、有視界飛行方式で飛んでいたということがわかって、報告として上がっている。ただ、これが当該飛行機かどうかというのはまだわからないわけであります。  私は、官房長官にお尋ねをしたいのは、こういう事態がずっと繰り返される。この一年間でも外務大臣や官房長官とも随分いろいろな議論をしてきました。一年前、高校生が米兵によりひき逃げをされた。二回ひかれているのですね。そのときに救助をしていれば、次なる車からひかれることもなかった。あるいは、ハリアーが墜落をした。また、さきの沖北の委員会では、セスナ機が墜落をした。そして、RAPCONが故障をして那覇の空港が何時間も麻痺をした。  そして、つい先日もまたRAPCONの初歩的な報告ミスという形が起こったというふうに承知していますが、このRAPCONの事故、日にちは何日に起こったのか、そしてどのような事故だったのか、重ねて運輸大臣にお尋ねをしたいと思います。
  235. 二階俊博

    ○二階国務大臣 お答えいたします。  平成十二年二月十三日午前六時五十六分から八時五十七分の間、米軍の嘉手納基地空港監視レーダーが定期保守のために停波をいたしました。停波期間中においては、那覇航空交通管制部と嘉手納進入管制機関は、基準に従ってレーダーを用いない方式、いわゆるノンレーダーによる方式に移行して、航空機の安全確保を図りました。この方式により出発機六機に対し最大七分の遅延が生じましたが、航空機の安全については十分確保されたものと考えております。  なお、今回の停波に際し、米軍からは事前の航空情報の発行手続がなされておらず、運輸省として直ちに抗議し、遺憾である旨伝えたところでありますが、米軍もミスを認めております。しかし、今原口委員指摘のとおり、単純なミスであるだけに、私はまことに残念だと思っております。  したがいまして、これらの点につきまして、米軍からきちっと、再びこういうことのないように書面でもって米軍側の決意をきちっと確認をしておくということが大事だということで、今運輸省航空局を通じて米軍にそのことを申し入れをしておるところであります。
  236. 原口一博

    ○原口委員 書面をもってということは、大変強い決意のあらわれというふうに受けとめたいと思います。  私は委員会でも、今度の事故やあるいは事件に限らず、本当に何か事件、事故があれば、今大臣お話しになりましたように、原因究明をお願いする、抗議をお願いする、再発防止を申し入れる、そしてこれをまた繰り返す、ずっとこれを繰り返してきている。私たちの、国民の生命財産が常にこのような形で侵害あるいは危険な状況にある。これは、私は、この沖縄サミットを機に、今までは日米地位協定の改善、その改善方で随分努力をされている、それは多とするものでありますが、地位協定の改善だけではもう追いつけないものがあるのではないかと私は思っています。  沖縄を総括される官房長官、あと記者会見があられるそうでございますので、所感をお伺いしたいと思います。
  237. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 議員も御承知のとおり、日米の地位協定は日米安保条約の目的達成のために我が国に駐留する米軍の円滑な活動を確保するため、米国の駐留に関するさまざまな側面について規定をしたものでございます。  御指摘のような、地位協定を双務的な協定に改正するとの意味は必ずしも明らかではございませんけれども政府といたしましては、これまでも日米地位協定の運用の改善に取り組んでまいっておりまして、特にSACOの最終報告に盛り込まれた九項目の運用改善については、すべて実施に移しております。  今後とも、御指摘のように、運用について全力を挙げて取り組んでいかなければいけない問題だ、そのように考えております。
  238. 原口一博

    ○原口委員 一つ訂正をさせていただきますが、双務的な協定に変えるべきだというのは、私は今質問していませんので、後でやろうと思っていたことでございます。  私は、このRAPCONの問題についても外務大臣に昨年強く申し入れをして、そしてそれを共同委員会の席で述べていただいたわけですが、私は、もうここまで来ると、早急に我が国がこの日米地位協定第六条、この部分のRAPCONについては日本の管制に移す、その具体的なプログラムとスケジュールを米側に示すべきだというふうに思うのですが、外務大臣の御所見をお伺いします。
  239. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先般来お申し出がございまして、日米合同委員会におきましてそういう提言を私どもから正式にいたしました。その後、小委員会におきましても、本年一月、先月のことでございますけれども、再びこうした問題提起をいたしておりまして、米側と話し合いをいたしておるところでございます。  先方の考え方もございますし、我が方としては、かねてからお話しのように、今当分の間と言われていたものがこれだけ長期になってしまったわけでございますから、ここでもう話をきちっと進めたいと考えておるわけでございます。先方との話し合いがどういうふうに進みますか、ここでまだ申し上げられる段階ではございませんけれども、申し上げられますことは、ぜひこの話し合いを進めていきたいという気持ちを強く持っておりますことだけは申し上げたいと思います。
  240. 原口一博

    ○原口委員 協議の場を設ける、そしてそれを正式議題として米側に提示するということで理解してよろしいですか。  私は、きょうここに一つの資料を持ってきたんですが、やはり戦後長く放置されてきた日本の安全や防衛をめぐる問題、これはRAPCONの問題に象徴されるんですが、これだけではありません。  これは、昨年防衛庁からいただいた我が国の防衛識別圏という資料でございます。外務大臣防衛庁長官、これをごらんいただきたいんですが、我が国の、去年の今ごろ、いわゆる不審船の問題で国民に大変な不安が広がりました。そして、防衛識別圏なるもの、私たちの耳なれない言葉を聞きました。防衛識別圏が今日本はどうなっているかということで調べてみました。  そうすると、これはもともと米軍が我が国の防空及び航空管制を実施していたころに設定されたものだということが判明いたしました。昭和四十四年に防衛庁は、米軍の防空識別圏を踏襲する形で、訓令により現在の防空識別圏を設定していますが、この識別圏そのものについてもきょう明確な御答弁をいただければと思うんですが、例えば与那国島の真上をこの識別圏が通ってしまっている。私は、この一つをとってみても、私たちの国が、外交、防衛について真摯に議論をし、そして改善すべきところがまだまだ残っているということの一例としてきょう予算委員会の席でお示しをしたいというふうに思います。  沖縄の問題にまた戻りたいと思いますが、防衛庁長官、一月六日にアメリカで協議をされています。その内容がどういう内容であったのか、特に十五年の使用期限の問題、こういう要望があるということを先方にお伝えになったということでありますが、これは協議であったのか、協議のテーブルに着いて、そして米側に、我が国もやはりこの十五年の期限についてどのような考えを持っているということをお伝えになったのか、いや、そうではないのか、あるいはホスト・ネーション・サポート、思いやり予算についてもその場でお出しになったのか、その会談の概要についてお尋ねを申し上げます。
  241. 瓦力

    ○瓦国務大臣 原口委員にお答えをいたします。  年初早々でございますが、間断なき対話が日米間に必要でございますし、安全保障の問題につきましてもまさにそのようなことが求められておりますので、前長官が訪米いたしましてから一年半の期間もあいておりましたから、その間、委員指摘のように、沖縄の問題、普天間の問題、大きな問題もございましたので、訪米をいたしました。  まず、普天間飛行場移設の問題についてでございますが、昨年十二月二十八日、暮れでございますが、閣議決定がなされました。また、沖縄の負担を軽減するため、日米両国としても引き続き努力していく必要があることを、これは説明をするということは大事なことでございますので、私からそれらにつきましても申し述べさせていただきました。  また、代替施設の使用期間の問題について、今委員から十五年問題ということで御指摘もございましたが、稲嶺県知事から使用期間を強く主張されましたことをこれは重く受けとめておるわけでございまして、一方また、考えてまいりますと、将来の国際情勢の推移、これは予測することは極めて困難でもございます。このことは使用期間の問題を考える場合に考えておかなければならないことを十分承知しておるわけでございますが、いずれにいたしましても、日米安保共同宣言に従いまして、国際情勢の変化に対応して日米間で協議してまいりたい、こういったことを申し上げたところでございます。  これに対しまして、コーエン国防長官から、九六年の日米安保共同宣言を念頭に置きつつ、日米両国政府は国際安全保障環境の変化に対応して、両国政府の必要性を最もよく満たすような防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事体制につきまして緊密に協議を続ける旨の御発言がございました。  そのほか、日米間にございます懸案の事項につきまして、数次にわたりまして協議をしてまいったものでございます。
  242. 原口一博

    ○原口委員 いわゆる思いやり予算については、その場でお出しになったのか。来年の三月三十一日で特別協定の期限が切れるわけですけれども、それまでに我が国がどういう態度でこの在日米軍の駐留軍経費について取り組むのか。これはことしの予算にも大変大きくかかわる問題であります。私は、いわゆる特別協定に基づく部分、地位協定に基づく部分、あるいはそのどれにも基づかない予算、これを国会の中でしっかり総括をすべきときに来ているのではないかというふうに思います。  アメリカの軍隊が世界に展開をしている中で、その駐留軍経費の一体幾らぐらいを我が国が占めているのか、この駐留軍に対する費用。いろいろな資料を見てみると、大変大きな数字が出てきます。きょうは具体的な数字についてお尋ねする気はありません。七〇とか七五、これは非公式な数字ですから間違っているかもわかりませんが、それだけ大きなものを我が国だけが負担をしている。このことも現在の国民感情からすると、そしていよいよ普天間の返還に向けて動き出そうとしている沖縄の県民感情からしても、なかなか理解を得にくいものがあるのではないかというふうに思います。この辺のスタンスをどのようにお考えなのか。  さらに、外務大臣にお尋ねをしますが、これもまた事故で恐縮なんですが、昨年に起こりました嘉手納飛行クラブのセスナ機の墜落事故。このときには、原因究明まで飛行クラブの飛行を停止するなどの措置をとるということをアメリカ側は回答をしてきています。私は、そのときの質疑については甚だ不満なものがございます。  御自身で答弁をされていますから、河野外務大臣はこんなふうにおっしゃっています。そのまま読ませていただきますが、「主として空軍に属する人たちがこのセスナ機を使って飛行を行うということは、一方で技術の修練、習得という側面もございましょうし、また、飛行機を操縦する、あるいは空中を飛ぶということで、精神的あるいは心理的なストレス、そういったものに対する解消への方法もあるのだろうと思います。こうしたことをやはり十分な点検の上に行うということについてまで我々がとめるということは、なかなか難しい状況にあることを御理解をいただきたい」。  少し飛ばしますが、「日米地位協定につきましては、米軍側は、米軍関係者の福利厚生を図るため、歳出外の資金による機関を施設・区域内に設けて運営することが認められておるわけでございまして、米軍飛行クラブについても、このような根拠に基づいて設営、運営するということは認められている」というふうに理解をされています。  私たちは、アメリカと安全保障のためにさまざまな信頼関係を培ってきています。しかし、地位協定のどこを読んでもこの外務大臣の御答弁にかかわるもの、これは恐らく十五条を根拠におっしゃっていると思うんですが、私は拡大解釈でしかないというふうに思います。本当に米軍のライセンスを持っている人も、あるいはライセンスを持っていない人も飛んでいる、そういうことを指摘する声もございます。  私たちは、地位協定というものは一体何なのか、ここでしっかりと議論をしておきたいというふうに思います。外務大臣、地位協定とはそもそも何なのか、お尋ねをいたします。
  243. 河野洋平

    ○河野国務大臣 いろいろお話がございましたが、最終的には地位協定とは何かというお尋ねと理解をして、御答弁申し上げたいと思います。  日米地位協定は、日米安保条約の目的達成のため、我が国に駐留する米軍の円滑な活動を確保するために、米軍の駐留に関するさまざまな側面について規定したものであります。
  244. 原口一博

    ○原口委員 私は、外国の軍隊が日本に駐留をする、これは我が国の歴史の中で今まであったことか、ないわけであります。その中で、外国軍隊の権利、あえて言うと治外法権と、そして派遣国軍隊の治外法権と接受国の領域主権との調整を定めたもの、これが地位協定だというふうに理解をしていますが、これで正しい理解でございましょうか。     〔委員長退席、自見委員長代理着席〕
  245. 河野洋平

    ○河野国務大臣 およそ外国の軍隊が接受国に駐留をする場合に、本来その外国の軍隊の行動というものは接受国側によって制約ができないというふうに思います。その制約を、あえて外国と接受国との間に話し合って規定をする、そういうものだろうというふうに理解しております。
  246. 原口一博

    ○原口委員 私は、その中で、日本のこの地位協定は、いわゆる派遣国軍側の権利、このことが制定当時、非常に前に出てきている。その分、我が国国民のさまざまな安全保障上の権利、これが後ろに来ているのではないか。  そのために、例えば外国の軍隊の移動一つをとってみても、この地位協定には明確な規定がございませんし、この地位協定が結ばれたときには予定をしていなかった環境の問題、この環境の問題についても、もう他国では、しっかりと結び直す、ボン特別協定のようなものも出てきています。  もちろん、米側も大変な努力をしていただいていて、例えば環境基準についてはJEGSという、一九九五年以降に起こった環境汚染については責任を持って米側がこれに対処する、そういうガイドラインもできています。しかし、一九九五年以前についてはどうなのか。あるいは普天間の基地、これが撤去されたときに、そのクリーニングはだれが、どの責任を持ってやるのか、こういったことについても規定は明確ではございません。  日米地位協定を云々することはいわゆる日米安保体制を損なうか、私はそうではないというふうに思います。日米安保体制を、国民の、そして特に七五%が集中している沖縄の県民の皆さんの要望、そしてその理解をしっかり得てさらに改善をし、見直すことが、日米安保体制のさらなる信頼の上での強化になるというふうに考えていますが、外務大臣の御所見を伺います。
  247. 河野洋平

    ○河野国務大臣 日米安保体制が円滑にその本来の機能を果たすというためには、もちろん議員おっしゃるように、周辺住民の理解というものが必要であることは言うをまたないところだと思います。  しかし、その一方で、日米安保条約の目的を達成するために米軍がその機能を果たそうとすれば、それだけの米軍に対する安保条約上の、いわゆる地位協定によってその行動というものが認められるということでなければ、また米軍はその本来の目的を達成することが難しくなると思います。  私は、考えてみれば、そもそも日米安保条約とは何かといえば、理解はいろいろありますけれども、まず基本的に日本の国の安全というものを安保条約によって果たすということがあるわけですから、その我が国の安全を守る米軍というものがその機能、目的を達成するための作業ができるようにしておかなければ、これは意味がないわけでございます。冒頭申し上げましたように、それと周辺住民の理解、協力というものが得られるという、双方を考えて議論をすべきだというふうに思っております。
  248. 原口一博

    ○原口委員 抽象的に言うのであれば、今の外務大臣のお答え、私も抽象的に聞きましたからそういうお答えだというふうに思いますが、しかし、今の地位協定の中でさまざまなそごが起こっている。  冒頭、何でANKのニアミスの事件を申し上げたか、またRAPCONの返還を強く求めたか。私は、もう行動を起こさなければいけない。米側に運用の改善を求めます、あるいは綱紀の粛正を求めます、ずうっと言われ続けてきた。そしてまた、新たな基地が沖縄に、普天間の移設という形ではありますが、決定をされようとしている。この機に、今までの運用だけでは沖縄の県民や多くの基地周辺住民の皆さんの心配が晴れなかったことについても、真摯に検討すべきときに来ている、私はそのように思います。  私たち民主党は、この地位協定の見直しの素案を今作成しようとしています。これは、先ほど申し上げたように、日米安全保障条約、これを私たちは認めている。そして、平和と安全を両国で、特にこの極東地域、まだまだ不安定な要素がたくさんあります。そのことを否定するものではありませんが、余りにも現在の状況とこの地位協定がかけ離れている、あるいは日本の主権が制限をされている。二五%条項なんというのもある。そういった中で、私は、日本外務大臣としての河野大臣の決意を伺いたいものだというふうに思います。
  249. 河野洋平

    ○河野国務大臣 議員御指摘のように、私は日本の国の外務大臣として、日本国民の生命財産というものを守るために最善を尽くしたい、こう考えて職務に精励しているつもりでございます。  今、議員がお話しになりました日米地位協定の運用の改善ということを、私はかねてから申しております。私は、日本にございます米軍基地の四分の三というものが沖縄に集中し、その結果、沖縄県民に大きな負担をおかけしている、そのことが精神的にも、また直接経済的にもいろいろな問題を沖縄県民の皆様方にお与えしているということを十分理解して、その上に立って仕事はしなければならぬ、こう考えておりますが、地位協定の運用の改善ということを私申し上げて、SACOの最終報告にございますように、運用の改善についてはもうその項目の数はかなり多岐にわたり、それは現実に合意がなされて、運用は改善されてきているわけでございます。  私は、こうしたことを考えますと、できるだけ早急に、県民にとって、あるいは我が国にとってやらなければならない作業を実現するために、最もいい方法として運用の改善ということを考えているわけでございまして、県民の皆様方からさらにいろいろ御要望があれば、そうした御要望に真摯に耳を傾けるという気持ちでございます。
  250. 原口一博

    ○原口委員 きょうは運用の改善というところから一歩もお出にならないようでありますが、なぜこんなことを申し上げるかというと、逐条できょう申し上げる気はありません、ただ、一つだけ、さっき環境の話をしましたが第九条、これはいわゆる人及び動物、植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関しての条文であります。  二十年、三十年、四十年前には想像もつかないようなグローバルな世界になっています。そして、人が動くことによって想像もつかないような病気、それも多く入ってきている。こういうことについても日本の国内法が適用されるように明記すべきだ。いろいろな争いが起こったときに、いや運用の改善でやっています。しかし、では、何に基づいて沖縄県民は、あるいは何に基づいて我が国民はその権利の侵害が起こったときにそれを回復すればいいのか。私は、そこは国と国との関係でありますから、明記をすべきだし、改善でできないところがあるということは、もう外務大臣百も御承知じゃないか。  ボンの特別協定、ドイツにおいて、ドイツの国内法の適用が大幅に前に進んだのもそういう時流を受けたものだと私は理解をしているんですが、もう一回お尋ねを申し上げます。     〔自見委員長代理退席、委員長着席〕
  251. 河野洋平

    ○河野国務大臣 ボンの特別協定のことをお話しになりましたけれども、ボンの特別協定は、まさに東西ドイツの統合という全く新しい状況を受けて、それまでベルリンを中心として非常に厳しい状況の中にあって、とりわけ厳しい地位協定がなされていた、その状況があのボンの特別協定によって、つまり、東西ドイツの統合によっていわゆる一般のNATO協定に近いものに改定をされたというふうに私は理解をしているわけでございます。  議員は地位協定について御熱心に御議論をなさいます。私も、地位協定について、議員がおっしゃるように、全く耳をかさないではないかというつもりはございません。しかし、何が一番県民にとって不安を、あるいは県民の主張を早く具体的に実現することができるかということの一つの方法として、私は地位協定の運用の改善ということを提案して、それは現実、具体的なものになっているわけです。それは根拠のない話ではありません。運用の改善とて、これまた紙に書いた、はっきりとした根拠を持つものでございますから、その根拠に基づいて十分に我々の主張は主張できるわけでございます。  環境の問題についても御指摘になりましたけれども、これも、確かに環境という言葉にはなっておりませんけれども、しかし、公共の福祉あるいは公共の安全という意味でこれは十分読めるというふうに私は実は思っているわけでございます。  しかし、環境問題というのが、今議員がお話しのように、かつて想定されていたかどうかということになりますと、それはやはり昨今の環境問題の指摘というものは全く新しい指摘だというふうに私は思います。現在の地位協定で読めると私は思いますけれども、これを、よりはっきりと明確に読む、あるいは明確に指摘をするということが必要ではないかという気持ちも私の心の中にはございます。  この問題については、私自身さらに検討をさせていただきたい、研究をさせていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
  252. 原口一博

    ○原口委員 普天間の返還に向けて四つの審議会をつくって、そして跡地利用やさまざまな問題について今前進をしています。  その中でも、跡地を利用するにしても何にしても、その基地には大変な汚染、これもつきものであります。その汚染というのは、やはりその原因となった人たちでないとわからない。だから、だれがだれの責任においてその跡地をクリーニングするか、こういったことも明記をしておかなければいけない。それを、地位協定の見直しではなくて、また別の形でやるということをお約束になるのであれば、またそれも一つの見解だというふうに思います。  きょう、またちょっと別の問題を指摘しておきたいと思います。  これは、いよいよ沖縄サミットに向けてさまざまな問題が、さまざまな課題が浮き彫りになってきていますが、一つ総括をしておかなければいけないのは、ドイツで昨年開催されたケルン・サミット、このサミットの総括について、特に、重債務貧困国、HIPCに対するODA債権の一〇〇%削減、救済対象国の拡大等がケルン債権イニシアチブとして合意されたということが報じられております。  私たちは外務大臣経験者の総理を総理に抱き、そして、今回の所信表明演説でも沖縄の部分に大変な大きな力が注がれています。それは多とするものでありますが、しかし、本当にこの二年間、小渕政権が国益を、ナショナルインタレストを極大化する、そういったことについて成功してきたかどうか、むしろ後退したのか、そのことについても明らかにしておかなければいけないというふうに思います。  きょうは触れることはできませんが、北方四島の返還についても、私たちは、昨年、ロシアのサンクトペテルブルクを訪れました。そしてそこで、四島の帰属についてはしっかりと日本のものであるという資料をロシアの歴史資料館の中で私たち国会議員に見せていただく。大変民主化が進んだんだ、そして両国の関係も進んだんだ、そのように思います。しかし、エリツィンさんが辞任をされて、そして、今世紀中に起こったことは今世紀中にということについては大きな懸念も出てきている。  これはきょうここでお尋ねする気はありませんが、ケルン・サミットでのケルン債権イニシアチブ、これは一体どういうものなのか、外務大臣にお尋ねをします。
  253. 河野洋平

    ○河野国務大臣 大蔵大臣もいらっしゃいますけれども、お尋ねでございますから、ケルン・サミットでの話し合い、あるいはそれをフォローしたものについて、私から申し上げておきたいと思います。  御指摘のように、昨年のケルン・サミットにおきまして、重債務貧困国に対します従来の債務救済の国際的枠組みを改善し、拡充をし、二国間ODA債権の一〇〇%削減を含む、より早く、深く、広範な救済を行うということなどについて合意がなされたわけでございます。その後、世銀・IMF合同総会などにおきまして、右合意の実施のための具体的な枠組みが策定をされております。  我が国といたしましては、このケルン・サミット合意の早期実施が急務であると認識しておりまして、ことしのサミット議長国として、他のG7諸国とともに、この合意の迅速な実施に向け一層の努力を行っていく考えでございます。  なお、債務救済のみが貧困問題解決の万能薬であるというわけではございません。途上国の中長期的な発展の観点からは、開発問題全般への取り組みを強化していくことも重要であるというふうに考えておりまして、こうしたことに向けまして、我が国として引き続き積極的に取り組んでいく所存でございます。
  254. 原口一博

    ○原口委員 大蔵大臣にもお尋ねをしなければいけないのかもわかりませんが、HIPCに対するODA債権、我が国が持っているODA債権の総額は一体幾らなのか、あるいは、HIPCのうち、我が国が最大の債権国となっている国はどこの国なのか、その額はどれぐらいなのか。  そして、私たちは、この厳しい財政事情の中で、その一つ一つを言ってくださいと細かい質問をする気はありません、この一〇〇%削減に合意した理由は何なのか。外務省は、我が国は単なる帳消しをするんじゃないんだということを言っていますが、同等の措置として、債務の超長期の繰り延べ、これを言っていますね。そして、債務救済無償の供与、これも言っています。これは、実質的には、我が国の財政にとっては帳消しや棒引きとほぼ同義のことだ。  我が国がこの債権の一〇〇%削減に合意した理由、政策目的、これは何なのか、明らかにしていただきたいというふうに思います。
  255. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この話は常にサミットではございまして、殊にフランスのようにサブサハラを持っております国が熱心でございました。ある意味で、植民地を持っておりました国は、過去からのそういういきさつがございますので、そういう債権を持っている場合が多いわけですが、そういう意味では、我が国は大変に過去はいわばきれいでありまして、人道的に譲与してまいりました債務というものが積み重なっておった。  それが、いわばミレニアムという、彼らにとってはいろいろ宗教的な意義を持ちます昨年の時期に、この問題を一挙に解決しようということの意気が盛り上がって、我が国はもとより異議はない。ただ、我が国は、それらの国々に比べますとかなり一つ一ついわば犠牲を払って積んでまいりましたものでございますから、免除をいたしますときには、やはり免除を受けた国はそれを本当に人道的な目的に使ってほしい、ただ受けました、受けっ放しというのでは困るということはかなり主張いたしましたので、したがって、どの国が受ける、どの国は受けないということについてはいろいろ議論がございました。まだ議論があるかもしれません。  それから、国際機関も入るべきであるといったようなことがいろいろございまして、一応ケルンでほぼ合意をいたしまして、この間の蔵相サミットで、沖縄を控えましてちょっとチェックをいたしましたが、全体の話としては、まあまあうまく進んでいる。  我が国のこれに熱心なゆえんは、やはり文字どおり、そういう国々に対する我々の同情あるいは我々が今まで払ってきた努力というものが、どうかそういう形で報いていきたい。ただ、我が国の場合には、全免してしまいますと次の援助が与えられないという問題がありますものですから、できるならば一遍返してもらって、もう一遍差し上げるという形をとった方がいいという問題はありますけれども日本はいわば一番の債権者でございますから、そういう意味では、先頭に立って自分の任務を果たす、年間の負担もかなりのものではありますけれども日本の財政として負担し切れない範囲ではないだろう、こう思っています。
  256. 原口一博

    ○原口委員 私は、政策目的をもう少し明確にされるべきだ。先ほどの御答弁では、二〇〇〇年になったからと。カトリック国のいわゆる二〇〇〇年、ミレニアムというのと、今回の債権放棄は、一説によると、ジュビリー二〇〇〇キャンペーン、いわゆる旧約聖書にある五十年置きの特別の安息年というのがジュビリーだそうでありますけれども、それを指して、このときに貧困国の債務帳消しをということを呼びかけをされた方がおられて、それに応じてということでありますが、私はここも、きょうは時間が限られていますが、我が国がこれに同調する、そして今もう大変な財政の負担だがまあ払えなくはない、これではなかなか納得がいかない。  今、この国会では、この予算、どれだけ大きな将来に国民が不安を持った予算、その不安を解消するための予算かということを議論し、あるいは債務の総額が年々ふえている、このことを憂えている中で、なぜ我が国が、例えばイギリスなどという国はODA債権残高ゼロに近い国ですね、そういう国と一緒にこういう一〇〇%削減に同意する、この理由がわからない。負担は公平であるべきだ。  しかも、その理由たるや、ミレニアムのジュビリー二〇〇〇キャンペーンがもし中心だとすると、私は、しっかり一つ一つの外交政策についても、外交成果についても、お金を出したからそれでいいんだ、これではもう済まないというふうに思います。  ODA大綱では、「相手国に対する外交的配慮等を踏まえつつ、政府開発援助の実施状況を取りまとめ、国会を始め広く国民に明らかにする等、政府開発援助に関する情報公開を促進する。」ということを書いてあります。  私は、この政策効果について、日本は何の目的でこの一〇〇%削減をやったのか、このことについてはまた別の機会にただしていきたいというふうに思いますし、政策目的のはっきりしないお金をさまざまなところでもしばらまくようなことがあれば、国民はこれを理解しないということを指摘しておかなければいけません。  さて、時間がわずかになりましたので、経企庁長官にお尋ねをします。  年末にこの予算を手にしたときには、いわゆる概算の段階でございましたけれども、私たちは一つの心配をしていました。つまり、一般会計予算は八十五兆という大きなものでしたけれども、特別会計の予算はたしか一七・八落ちていました。それは財投資金のショートによるものだという説明でございましたが、しかし今度予算書を見てみると、それはしっかり埋まっている。特に特別地方交付税の特別会計についても埋まっていることがわかりました。  まず第一点お尋ねをしたいのは、景気の実感をまだ心から感じていない国民が、一体いつになったらこの実感を感じることができるのか。前々の長官は、桜の花の咲くころとおっしゃいました。日本人が桜の花、花で季節を感じる、これは大変日本の文化としてはいいことだと思います。花で例えると、あれから幾つもの桜を私たちは見送ってきたわけでありますが、一体どの花が咲くころに国民はこの不況からの脱出というのを実感できるのでしょうか。
  257. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 景気の状況はまだら模様でございまして、既に景気がよくなっていると感じている人も職業、地域によってはおられると思いますけれども、全体として見れば、まだ回復力は弱くて、十分ではないと思っております。  特に年末の消費需要が弱かった。これはボーナスが少なかったことが第一でございますが、ボーナスというのは、前年度の、つまり去年の三月期の決算に基づいて春闘が組まれまして、それで決まったものが出るものですから、大体前年度を四・五%ぐらい下回りました。その結果、十二月の消費需要が三・九%マイナスになった。そういうことでちょっと今は低い感じがいたしますが、一月になってからはかなり順調に回復しております。  その他の点を含めて考えますと、恐らく一—三月にはかなり回復してくるんじゃないかと思います。そして、本当に人々が回復を実感できるのは、恐らく二〇〇〇年度の、平成十二年度の中ごろ以降、いわば菊の花でしょうか、あるいは萩の花でしょうか、そのころになろうかと思います。そして、二〇〇一年度になれば、新たな構造に基づいた本格的な新たな成長が期待できると思っております。
  258. 原口一博

    ○原口委員 できるだけ早くその菊の花が咲くのを待ちたいと思うのですが、私は、今のような経済運営をやっていて本当に菊の花の咲くころに実感することができるだろうかというふうに思います。  きょう、手元に一月二十九日のニューヨーク・タイムズのトップに載った記事を持ってきています。  先ほどの特別会計に関してお尋ねをしますが、大蔵大臣大蔵大臣は、特別会計の、いわゆる交付税特別会計の中で、その八兆円の不足分を銀行から借り入れる、こういうことをお考えなんでしょうか。お尋ねを申し上げます。
  259. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そうでございます。地方財政が非常に困っておりますことは御存じのとおりでございますけれども、その中で足りない分を国と地方で折半をいたしますが、その分、二つ分ございますが、合わせまして八兆円は、これは一般から金を借りる予定にしております。
  260. 原口一博

    ○原口委員 今一般からということをお話しになりましたけれども、それは、今までは資金運用部資金、そういったものから借り入れをしている、そういう資金でもってやっているわけですけれども一般の中に資金運用部は入りますか。あるいは、都市銀行からお借りになるんですか。
  261. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来資金運用部から借りております分もございますが、資金運用部の手元が非常に不如意でございますから、この分、八兆円分は一般の市中銀行から借りる、そういうつもりでおります。
  262. 原口一博

    ○原口委員 私は、この問題については、午前中の質疑安倍委員の方から、いわゆる長銀のリップルウッドグループに対する売却についてももっと審議をすべきだというお話がありました。そのとおりだというふうに思います。  集中審議をして、こんなことを日本の財政がやったことは過去ありますか。銀行に公的な資金を投入して、そして、そこからどういう金利で借りるんですか。私は財政法上もただしておかなければいけないことがたくさんあるというふうに思いますが、どんな金利でお借りするんですか。
  263. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 地方財政対策の中で、先ほど申し上げかけましたが、通常収支の不足による分、交付税特別会計の借入金、国と地方と両方ございますが、おのおの三兆二千四百四十六億円、もう一つ、国税の減税から受ける地方への影響、おのおの七千九百九十四億円、これが二本。両方合わせまして八兆ございますが、この分は市中から借りる。  この会計は、もちろん資金運用部から余裕があるときは借りておりますが、市中から借りることももちろん法律には何ら問題ございませんし、ただいま市中の金利が安うございますので、現実にどの金利になりますかはそのときのことでございますけれども、決して高い金利ではない。このことは法律上ももちろん何ら問題ございません。
  264. 原口一博

    ○原口委員 財政法のどこにそんなことが書いてあるのか、あるいは交付税法のどこに、どれを根拠にして今のようなことをおっしゃっているのか。マーケットに対しても、これは越智金融委員長にもお尋ねをしなければいけませんが、我が国は銀行からもお金を借りる。よその国でも調べてみました。一八〇〇年代だったと思いますが、モルガン・スタンレーがアメリカ政府に金を供出する、これぐらいですよ、民間が政府にお金を貸す。  ニューヨーク・タイムズの記事をわざわざお示しする必要もないかもわかりませんけれども、少し読ませていただきます。  日本政府は地方交付税交付金の調達のため、銀行からの直接借り入れする方針を決めた、日本の金融情勢の不安定さを顕著に物語る動きと言える、政府は借金する場合、通常は債券を発行する、この方が銀行から融資を受けるよりも安くて済む、ところが、八兆円もの金額を今借り入れようという正統とは言えない日本政府の手法に市場ウオッチャーらは驚きを隠せないようだ、あと云々という形になります。  八兆円というのは、我が国のGDPの二%。今、銀行を救済するために注入した七兆七千億をも上回る金額であります。私は、きょうここでこういう形になって、マーケットがどのように反応するのか。あるいは、私たち国会がこれをもし認めるとすれば、一般会計のいわゆる赤字国債というものをどうして特例で毎年毎年出しているのか、法律をつくって、そしてこの一年限りだということで出しているのか。財政の規律も壊れてしまう、あるいはマーケットに対する信頼も損ないかねないというふうに思います。  経済企画庁長官と越智金融再生大臣にお伺いしたいのは、私は、今経済がこういう冷え込んでいるのは、不良債権の額が大きい、このことよりもむしろ、政府が言っていること、政府がやること、そのメッセージが一回一回動く。ペイオフについても、政策目的をきょうお尋ねしたいと思いますが、一体何のために一年延長するのか。与党の委員の中からも、自分はこれはおかしいというような話が出ている。ペイオフを一年延長する政策目的について、しっかり言っていただきたい。  そして、経済企画庁長官にお尋ねをしたいのは、ペイオフ一年延期についても、宮澤大蔵大臣は本会議答弁で、先ほどの越智金融再生大臣もそうでありますが、銀行と名のつくものについての公的資金の注入というのは来年で終わるわけですね。来年で終わる。そうすると、国民は、ペイオフの延期というのは一体何なのか、介護保険についてもそうですけれども、直前になってまたいろいろなメッセージが出ることによって、国民が惑う、あるいはマーケットが乱れるのではないかというふうに思います。  私は、財政構造改革についても、単なる歳出のカットを財政構造改革だと思っている人はもういないと思います。財政構造改革をやりながら経済構造の改革をすること。単なる景気予算を積み重ねていても、日本経済の再生は成らないというふうに思います。  質問は、越智金融大臣にはペイオフ延期の政策目的、そして堺屋長官には、こういうマーケットの状況が経済の専門家から見て健全なことなのかどうか、どのような影響を与えるのか、例えば今の銀行から八兆円のお金を借りる、このことについての影響をお尋ねしたいというふうに思います。
  265. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その前に、先ほどの金利のことをどうするかと言われました。  市中から借りるのでございますが、今の状況ですと、競争入札になる。こういうことが市中に影響を与えるだろうかとおっしゃいますが、市中はもちろんこのことはよく知っております。そして、八兆円、何らかの時期に政府から入札があるということは知っておりますし、これは日本全体の経済が異常だとおっしゃればそういうことになりますけれども、市中は非常にこれを歓迎いたしております。  ペイオフの理由は先ほど申し上げました。
  266. 越智通雄

    ○越智国務大臣 お時間さえちょうだいできれば、幾らでも御説明させていただきます。  金融全体では千二、三百兆ございますが、実は、信用組合というのは三百近くございますが、約二十兆、信用金庫が約三百ぐらいございますが、これが約百兆、ですから、全体からいうと一割。  これは協同組合組織でございますから、金融機関の健全化法をつくりましたけれども、資本の注入はできていないのです。協同組合というものは、組合員同士で助け合う組織でございますから、もうけが出たらば分かち合い、損が出たらばしょい合うという仕組みですから、他人からの資本の注入は、今の法制上は劣後債を出す以外には注入できない。しかし、実際に劣後債を出して注入した例はない。したがって、出資証券を出せる法律を優先出資法で直さないとできないから、今度の法案にも出します。  そしてまた、信用組合は、御存じのように都道府県の監督下にありまして、この組織を大蔵省の出先でございます財務局の監督のもとに付するというのは、これは実は地方分権法という法律で昨年の七月に初めてこの国会を通っているわけであります、御存じかと思いますが。  それを、きょうからいえばあと一年の間に、全部調べて、全部手当てをしろと言われましても、私の方では自信がありませんということを申し上げたのです。現実に、今一月に二つずつ信用組合がつぶれているんですよ、皆様、御地元のことは振り返ってみればわかると思いますが。そのときに我々は何をしているかというと、健全なる信用組合に抱いてもらうとか、他の上位金融機関との合併を図ったりしてやっております。そのときに使えるのが、再生勘定と健全化勘定なわけです。ですから、これらのものをぜひ二年は延ばしてもらいたいと私は申し上げましたところ、三党の政策責任者の協議の結果、一年となりました。  しかし、今さっき申し上げましたように、都市銀行十五行、そして地方銀行の第一と第二の範囲では、この一月、私がお手紙を出しまして、従来どおりで全部やってくれと言ったら、そのとおりやりますということになっております。  ですから、これらの金融機関の分、今、繰り返し申し上げますけれども、優先出資法を通していただき、早急にこの信用組合の所管を我が方に移していただいて、一年かかって、といっても九カ月なんですが、七月から三月まで……
  267. 島村宜伸

    島村委員長 簡潔に願います。
  268. 越智通雄

    ○越智国務大臣 はい。検査を完了して、その後の一年で破綻に瀕するかもしれないものを救う措置をとるのが精いっぱいの努力だ、このように思っております。  そういう意味で、ペイオフの、申しましたけれども、中小金融に関係する金融機関、一部金融機関を救うという三党の合意は、その線がはっきり出ているわけであります。
  269. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 簡潔に申し上げます。  ペイオフの延期につきましては、これを行うことによって国際的な信用が落ちるのではないか等々、いろいろな問題がございました。ところが、現在のところジャパン・プレミアムは発生しておりませんし、株価も下がっておりませんし、格付も変わっておりません。そういう意味では、心配したほどの悪影響はなかったと考えております。  また、八兆円の借り入れにつきましては、これによって金利が動いているわけではございません。郵便貯金の流出が予想されるものでございますから、財投資金がショートする可能性がありますので、こういう事態になりましたが、お金はどこかへ入っておりますから、これによって資金が圧倒的に狂って、金利が上がるという傾向は今のところ全く見られておりません。
  270. 島村宜伸

    島村委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。  次に、児玉健次君。
  271. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  島村委員長、恐縮ですが、最初に一言申し上げたいのですが、この政府予算案が審議される予算委員会、とりわけ総括質問の段階がどのくらい重要なものであるか、これは委員長よく御存じのことだと思います。  私は、振り返ってみましても、前回の総選挙以後のことでいいますと、九七年、総括質問を、私は当時の橋本首相と論戦をやりました。そして、九八年は同じく橋本首相、そして去年は、よく覚えていますが、一月二十七日にこの場所で小渕首相と論議をしました。立場は違いますけれども、しかし、日本経済をどうやって再建するか、国民の暮らしをどのように盛り上げるか、この点では大いにかみ合った議論ができるし、この後もしなければならない、こう考えます。  きょうこちらに来て、小渕首相がいらっしゃらないのが非常に残念です。そして、このような形で予算委員会を運ぶことについては、日本共産党は同意をしていない、この点も委員長御存じのことです。  そこで私は、やはりはっきりさせておきますけれども日本国憲法第六十三条「内閣総理大臣その他の国務大臣は、」以下若干続きますが、「答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」このことを私たちは今こそ重視しなければならない、こう考えます。  そこで、島村委員長に対して私は、この後、各党の意見はそれぞれ分かれていますけれども予算委員会の総括質問の場に総理が出席されるように、そのことについて委員長の御努力と、そしてこの後の予算委員理事会での協議を求めたいと思います。いかがでしょうか。
  272. 島村宜伸

    島村委員長 御意見は承りました。
  273. 児玉健次

    児玉委員 理事会で協議をしていただけますか。
  274. 島村宜伸

    島村委員長 実は、理事会では協議をいたしました結果でございます。
  275. 児玉健次

    児玉委員 そのことについては、再度私は強く求めておきます。  さて、まず伺いたい点ですが、十一年前に、一九八九年の年金法審議の際ですが、厚生年金の支給開始年齢六十五歳繰り延べに関連して、衆議院本会議で私は質問に立ちました。そのとき、当時の海部首相は、「六十歳代前半層の雇用の場の確保を図りつつ、支給開始年齢を時間をかけて段階的に六十五歳に引き上げていくことが必要であると考えております。」と答弁されました。  今問われているのは、六十歳代前半層の雇用が確保されているかどうか、そこのところがリアルに問われなければなりません。そのことをまず、私は最初に質問します。  総務庁長官にお尋ねをしますが、昨年の十一月に平成十一年八月労働力調査特別調査というのをお出しになった。興味深く拝見しました。  そこで、次の二点ですね、特に。  完全失業者の失業期間が現在どのようになっているか。そして、そのこととの関連で、年齢層別に見れば、この失業期間にどんな特徴があるか。  それから二点目としては、世帯主が失業した場合の家計の苦しさというのは、あれこれ述べる必要がありません。この点がどうなっているか。そして、そのことと年齢層との関連はどうなっているか。長官にお示しいただきたいと思います。
  276. 続訓弘

    ○続国務大臣 お答えいたします。  平成十一年八月の労働力調査特別調査の結果によりますと、完全失業者三百二十万人のうち、失業期間一年以上の者は七十一万人で、十年二月の五十一万人に比べますと二十万人増加しております。完全失業者に占める失業期間一年以上の者の割合は、年齢五十五歳以上では三一%となっており、若年層に比べ高齢者の層の方が長期失業の割合が高い現状になっております。  続いて、第二問の質問でございます。  同じ調査によりますと、完全失業者のいる世帯二百六十五万世帯のうち、世帯主が完全失業者となっている世帯は百四十四万世帯で、全体の五四%を占めております。この世帯主失業者百四十四万人のうち、年齢五十五歳以上の者は六十一万人で、全体の四二%を占めております。  以上です。
  277. 児玉健次

    児玉委員 統計局は、今の調査の結果を次のように一言で表現されていますね。年齢が高くなるに従い長くなっている失業期間、そして、二点目に関して言えば、完全失業者である世帯主の四割強は五十五歳—六十四歳、ここのところが非常に重要な点だ、私はそのように考えています。  労働省が所管されている特殊法人である日本労働研究機構の調査が実施されたのは、九八年の九月から十一月だと聞いておりますが、求人に対して年齢制限をつけている企業が全体の八三・九%である、そして年齢制限上限の平均は三十七・三歳。  ここに居合わせる私たちの中で、この年齢制限をクリアできるのがどのくらいいるだろうか。そういう形で、私などはもちろん除外されますが、中高年の雇用が非常に困難になっている。特に、さっきの年齢制限が付されているという点。  労働大臣に私はお伺いしたいんですが、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律、そこでは、六十歳未満の定年は許されておりません。にもかかわらず、ある会社員が例えば五十歳とか何歳とか、そういった年齢を理由にして、本人の意に反してリストラの対象となり、職を失う。当然、仕事を探します。そうすると、今度は、あなたの年齢は高過ぎるという理由で、面接と就業を門前払いにされてしまう。こういう中高年齢者の無念さ、労働大臣は当然御理解いただいていると思うし、そしてまた、理解していただけなければ今の厳しい雇用状況のもとで労働行政は進まない、こう思います。労働大臣、いかがでしょうか。
  278. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 先生指摘のとおり、非常に種々問題があることはよく承知いたしております。  まず第一に、年齢制限の問題でありますが、これにつきましては、本来、体力だとか技術だとか経験等を考慮して選考されるというのは、相当の企業で、やはり人様を雇うんですから、その人をじっくり見よう、この人はよく働いてくれるかということで、基本的にはそういう気持ちで選定されるわけでありますが、やはり残念ながら、まだ年齢制限が求人広告等でもはっきり出ていることは事実であります。  それは、御承知のとおり、年功序列という雇用形態が日本にずっと決まっておりました。今直ちにこれを廃止することが適当かどうかということになりますと、雇用情勢全体に非常に大きい影響を与えますので、気持ちはよくわかるんですが、その辺は十二分に検討しなければならない、こういうように考えております。  そして、今先生がおっしゃいました中高年齢層、一番失業でお困りになっているのは、家庭の中心になっておられる人々の失業でございます。御承知のとおり、先ほどデータをお示しいただきましたけれども、四十五歳以上六十五歳未満の中高年齢者の有効求人倍率というのが、残念ながら〇・一九という状況でございまして、これについて、私どもとしてはあらゆる政策を通じて対策を講じなきゃならない。  そこで、一つ申し上げたいのは、今労働組合と経営者との間で、一応法律的には、六十まではきちっと定年を決める、決める場合は六十歳にしなければいけませんよ、こう言っているわけなんですね。それを、社会保険の関係から六十五歳まで一年一年上げていくわけですから、そのギャップをどうやって埋めるか、安心して一定の所得を持って働いていただけるか、ここに実は私どもの政策は重点的に集中させていただいております。  それで、御理解いただいていると思いますが、では今どういう状況になっていて、どういうやり方をやっているか、そして法律の改正案を出しましてどのようなことを御審議願おうかということについて簡単に御説明をさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。  一つは、六十五歳まで希望者全員を雇用する、こういう継続雇用制度の導入を今奨励いたしております。六十から一遍に六十五まで上げていただく場合は、その企業に対して五年間にわたり最高一千万円まで助成いたしますよ、ひとつうんと頑張ってください、これが企業主に対する奨励の制度でございます。  それから、会社の規模によって違いますが、高齢者を多数雇っていただいている事業主に対して、一人当たり月二万円の賃金助成をいたします、こういう制度もやっております。それから、四十五歳以上の中高年齢者を採用する企業への賃金助成といたしまして、一年間でありますが……(児玉委員「短く」と呼ぶ)いいですか——こういう助成をいたしておりまして、今度改正案を出してやらせていただきたいと思っていますのは、定年の引き上げ、今までは五年全部ということだったのですが、これを毎年一年ずつ延ばしていただいても結構ですと。実際、そういう動きが今出てきておりますから、こういうところにもきちっと先ほど申しましたような企業の助成をやるということ。  それから、離職を余儀なくされる中高年齢者の早期再就職の支援をする。これは、在職中に……(児玉委員「わかりました」と呼ぶ)これをやる。こういうことでございまして、私どもとしては、あらゆる施策を講じて中高年齢対策をやろう、こういうように考えておりまして、御審議を賜りたいと思います。
  279. 児玉健次

    児玉委員 労働大臣は、現在の中高年齢層の雇用状況が非常に深刻であるという点については、今率直にお認めになった。  私は、今の答弁に関して二つだけ述べておきたいのは、一つは、年功序列制というのは、日本における雇用の安定とそして働く方たちの暮らしの安定という点で、戦後の日本経済の経過を見てみても非常に重要な役割をしてきている、そのことについては労働省は正当に評価しなくてはならない。これが一点です。  二つ目は、るるお述べになったことに関連して言えば、中高年齢層、特に六十歳以降の方たちの雇用をどうするかというときには、それまでの労働条件、それまでのお仕事その他について、これが引き続く形で充実させられていかなければならないだろう。ところが、今一部に出ているものはどうもそのようになっていない。むしろ、六十歳以降の雇用をどうするかということに藉口して、例えば五十六歳の段階で六十歳定年か雇用延長かを本人に判断させる、そして再雇用のときの給与が大幅に下がる、そういうふうなことについては、私たちはこれは真剣な検討が必要だ、こういうふうに考えています。何しろ本人の同意、そして本人の自由な選択制、これが必要だ。  そこで、大臣がおっしゃった最後の点との関連です。中高年齢層の再雇用をどう進めるか、そのことを私はさっきお伺いしたので、その点でやはり今の日本の状況というのは非常に問題があります。  例えば、これはある全国新聞のこの日曜日、十三日の求人欄です。人材募集と書いてある。それを見てみますと、例えばある企業、財務マネジャー、三十ないし四十三歳と。あれこれ見ていると、少なくともここにある幾つかに関して言えば、一番高いのは四十五歳以下ですよ。これでは、今大臣がいろいろおっしゃったことは、この状況を放置しておいたのでは前に進みませんね。そこを私ははっきりさせておきたい。  その上で言いたいんですが、今外国でこの問題がどうなっているか。もちろん、定年制についての事情の違いはあります。例えばアメリカでは一九七六年に、四十歳以上を対象に、年齢を理由とした雇用差別は禁止するということが既に打ち立てられている。御存じのとおりです。そして欧州連合ではどうか。そっちの方向の準備が進んでいる。先日、共通指令案が出されて、年齢による雇用差別の禁止が勧告されました。あるロンドンに所在する事業所の人事部長の言葉ですが、仕事への適性はその人の能力と経験、資質で判断されるべきだ、年齢を理由にして排除するのは機会均等の原則からいっても正当化できない、こういう主張がぐんと広がっていますね。  このことを今日本で、労働大臣として真剣に検討していただきたいんです。そのことに限ってどうぞお答えいただきたい。
  280. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 今おっしゃった年齢制限の件ですね。これは、現在の賃金の構成を直すということと世の中のコンセンサスをやはり基本的にいただきませんと、いきなり年齢制限ということにいくことは雇用情勢の混乱を招来する、こう考えておりまして、先ほど申しましたとおり、その人の能力だとかあるいは技術だとか等々、いろいろな要素を勘案して、その場合にやはり年齢というものも勘案して実は採用が決められる、これが実情でございまして、そういう点で、今私早くもっと進展してほしいなというのは、職業紹介のあり方なんですね。  政府の安定所だけでは十分とはいきません。いろいろな方がそういう人材をあちこちにあっせんする、いわゆる企業グループがたくさん出てきているということ。また、これらの情勢に応ずるように派遣業者というものも出てきている。アメリカにおいては、派遣業が非常に多うございまして、いわゆる需要のミスマッチを実はなくしているわけであります。そういう点で、片方では、そういう職業紹介のあり方につきましても、ミスマッチがなくなるように私どもとしては最大の努力をさせていただきたい。御趣旨はよく承知いたしました。
  281. 児玉健次

    児玉委員 御趣旨は承知していただいたんですから、私は再度申しますけれども大臣、性による差別、人種、信条による差別などがずっと社会的に排除され、その差別が撤回されていく中で、年齢による就職時における差別、本人の適性や経験や技術力、それらが年齢だけを理由に門前払いになってしまう。このことをどうするかというのは労働省として今重要な検討課題だと思うんですが、どうですか。検討してください。
  282. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 御指摘のように、年齢だけで差別するということは、これは方向としてはあってはならないんではないか。したがって、私どもとして今できますのは、職業安定所におきまして、求人が来た場合には、年齢制限をやっちゃいけませんよ、そこを十二分に考えて、先ほど申しました技能だとかこういうことを参酌してぜひ必要とする方を採っていただきたい、こういうようにやらせていただいております。
  283. 児玉健次

    児玉委員 私は、労働省に今の問題について真剣に検討していただきたいということを述べます。  さて、厚生大臣にお伺いしますが、今幾らかの論議をしたことでも明らかなように、中高年層における雇用の状況の厳しさ、先ほど続長官が御紹介になったあの資料で、年齢が高くなるほど失業期間が長くなっている、そして、年齢が高くなっている部分ほど世帯の中の世帯主が失業しているという比率が高くなっている。この部分を今度の年金の支給開始年齢の繰り延べが直撃をする。そこのところをしっかり見なきゃいけない。  このような雇用状況で年金の支給開始年齢を繰り延べるということは、国民の生存権に対する侵害にもなる。そして、現在の雇用状況をしっかり見れば、ここのところは真剣に再検討されなければならない、私はそう考えます。厚生大臣答弁を求めます。
  284. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 今回、厚生年金のいわゆる二階建ての部分について支給開始年齢を引き上げる、こういうことでございます。  御案内のように、今我が国は、世界の中で最も平均寿命が延びております。男性の平均寿命が七十七・一九歳、それから女性の平均寿命が八十二・八二歳ということでございまして、最も長寿が進んでおるわけでございます。  ちなみに、児玉委員御案内のように、この年金制度が導入されました当時は、男性の平均寿命は六十五歳、女性は七十歳、つまり、男性についても女性についても十歳以上平均寿命が延びてきている。そして、御案内のように、この年金制度というのは賦課方式ということでありまして、若い方々の保険料によって賄われている、こういうことでございますし、欧米の例を見ましても、六十五歳というのが世界的な傾向になっておるわけでございます。  この問題につきましては、五年前、実はこの厚生年金の定額部分について六十五歳に徐々に引き上げるときにも、大変議論を呼んだ問題であります。基本的に私は、児玉委員そして労働大臣からも指摘がありましたように、中高年齢の雇用の問題が大変深刻になっておるということは十分に承知いたしておりますが、あの当時と比べまして、五年前と比べまして、現在は、六十歳以上の定年制の延長の企業は何と九九%に達しております。それから、何らかの形で六十五歳まで勤務延長などを擁する企業がほぼ半分に達している。それから、私の友人なんかの中には、もう六十歳まで働いたから、あとは要するにボランティアであるとか、いわゆる蓄えでいろいろな動きがある。  こういうことを考えますと、いろいろな問題がありますし、労働大臣も、この定年制の延長、中高年齢者の雇用の確保ということにつきましては、ただいま並々ならぬ意欲をお示しになったわけでございますが、そういうことは、当然のことながら私どもは努力をしていかなければならないわけでございますけれども、大方において国民皆さん方の理解を得られるものだ、このように考えているような次第でございます。
  285. 児玉健次

    児玉委員 それが国民の理解を得られていないのが問題なんですよ。  例えば、去年の暮れのミニ経済白書の中で、この後企業で働く年齢が長く残っている方たち、二十代、三十代、四十代の人たちの中で、十分な貯蓄がないから、七二・八%、年金や保険が十分でないから、六七・三%、これは複数回答ですが、貯蓄が十分でないということと年金に対して不安があるということが完全に重なっている。  そこで、私は厚生大臣大蔵大臣と簡潔な議論をしたいのですが、一つは、今丹羽大臣がおっしゃった、定年制云々だけだ、九九%が定年制を施行しているということはよく承知していますが、その定年制がどうなっているかというのが問題ですよ。  労働省の調査で、従業員五千人以上の企業にあっては、定年前退職者が四三・三%じゃありませんか。確かに見かけ上の定年はあるけれども、その前にやめさせられていっているのだから、それがさっきの雇用の厳しさになって出てきているんです。それを見なきゃいけない。ヨーロッパとおっしゃったけれども、この一月九日にドイツでは、政府と経営者団体と労働組合が合意をして、年金開始年齢を六十歳に早めることで合意していますね。  それで、私は、大蔵大臣にこの資料の一と二をちょっと見ていただきたいのです。私が配付した資料の一と二。同僚の委員諸君もよろしければ見てください。  「四十五歳以上の有効求人倍率の推移」、これは予算委員会資料一です。労働省のおつくりになった最新の資料です。問題の六十歳から六十四歳を見ていただくと、去年の一月〇・〇六、ずっといって十二月に〇・〇六。文字どおり動いていないですね。〇・〇六の有効求人倍率がどのくらい厳しいものか、そこをひとつ直視しなきゃいけない。  もう一つ大蔵大臣、配付資料の二を見ていただきたいんです。現行制度のままいった場合の年金支出総額が幾らになるか、そして今提起されている六十五歳繰り延べだとか賃金スライドの凍結、これらが強行されたときにどうなるか。  例えば、二〇〇五年の段階で三十八兆五千億から三十六兆九千億。厚生省が初めて明らかにした資料ですが。そして二〇二五年について言えば、この年は、六十五歳にならなければ年金が一円ももらえない。現在三十八歳の方が二〇二五年に退職されるわけだけれども、その段階で八十一兆七千億が七十兆八千億になる。十兆円減じますね。  これがどんな経済効果をもたらすか。その段階での深刻さはもちろんありますけれども、現時点において、これが老後への不安から消費の冷え込みを加速させ、日本経済の再建を困難にするということは私は明白だと思うんです。基礎年金に対する国庫負担をふやし、そして百四十兆円を上回っている積立金のあり方を思い切って見直して、そしてさっきから続長官、牧野大臣と議論した高齢者と女性の就労を前進させていく、支え手を思い切ってふやす、そのことがあればこのような改悪は必要ありません。その道を選ぶべきではないか。  特に、二〇二五年に十兆円に及ぶ支給減がある、そのことが現瞬間においてどのくらい国民の消費マインドを冷え込ませるか、その点について宮澤大蔵大臣のお考えを聞きたいと思うんです。
  286. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 今回の改正案におきましては、いわゆる将来の少子高齢化社会を迎えまして、世代の過重な負担を防ぐ、こういう観点から制度全般について見直しを行って、将来最も負担が重くなる時点においても、いわゆる年収の保険料率を二割程度に抑える、こういうことでございます。  それで、御指摘の二十五年後でございますけれども、十兆円の給付減額、確かにこれは減ります。これは事実であります。しかし、その一方で、ぜひとも委員御理解いただきたいのは、いわゆる負担の軽減が十兆円、要するに減るわけです。つまり、十兆円の給付は減りますけれども、その一方で、保険料率は十四兆も減る、こういうことでございまして、私どもは、将来世代の負担を減らす、こういう観点から、若年世代に対する年金の信頼を回復する、こういうことを考えておるわけでございますし、今回の改正によりまして、要するに現役世代の手取り収入のおおむね六割は確保する、こういうことでございます。  これは先ほどから申し上げておりますように、今一番心配なのは、不安を持っていらっしゃるのは、現在年金をもらっていらっしゃる方々よりもこれから年金をもらうという若い方々が年金に対する不安を持つ、これを解消する。それから同時に、先生十分御指摘だと思いますけれども、勤労者のいわゆる勤労意欲、このことにも十分に配慮しなければならない、こう考えておるわけでございますし、これによって消費意欲に悪影響を及ぼすとは考えておりません。
  287. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 当然に同じような考え方をいたしておりますけれども。つまり、六割というものが確保されるということが一つの前提ですが、その場合に、若い世代に重い負担をこれ以上、ある程度以上負わせるということで勤労意欲を失わせる、あるいはこういうシステムからもう外れたいという気持ちにさせるということが賢いのか。あるいは、ある程度こういうふうに、おっしゃいましたように給付は十兆円減るわけですけれども、それでも相当な給付でございますから、それならばということで制度そのものを維持してこの人口動態の変化をしのいでいくか。そういうどちらかの選択だろうと私は思っていまして、両方できるということはありませんから、やはり厚生大臣の言われることの方が我々として進むべき道ではないかというふうに私も考えております。
  288. 児玉健次

    児玉委員 両大臣に私、申し上げたいんですが、現役世代の給付云々と御議論なさるのであれば、まず基礎年金を二分の一に直ちにする、そのことをおっしゃってからいろいろ御発言なさった方がいいですね。そのことをなさらない以上、私は無責任だと思う。それが一つ。  それからもう一つは、今、宮澤大臣が言われた、上げるか、それともこの引き上げを認めるか、二つしか道がないとおっしゃったけれども、それで私は具体的に言っているんですよ。  一つは、百四十兆円、五年五カ月分の給付額に相当する分が積み立てられています。一定の役割はするけれども、これについて思い切った見直しをする。  そして、さっき言いましたように、支え手をふやしていく。そのことがあれば、六割の給付を現在の保険料のレベルで完全に維持していくことができるわけですから、その道を行こうというのが私の提起なので、やはり、ここのところは大局的な見地で、今回の改悪については再検討を求める、そのことを強く主張しておきます。  それで、次の問題です。  介護保険がもう目前に迫っています。最初にお聞きしたいのは、介護保険法案の衆議院本会議での趣旨説明、一九九六年の十二月十三日のことでした。小泉前厚生大臣は、「国民の共同連帯の理念に基づき、社会全体で要介護者の介護を支える新たな仕組みを創設するため、今般、本法律案を提出した次第であります。」こう述べた。この理念に変わりはありませんか、大臣
  289. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 私は、たびたび申し上げておるわけでございますが、今、豊かさの中の不安の時代である。その中で、一番国民皆さん方が関心をお持ちなのは、もし自分が寝たきりになった場合にはだれが介護をしてくれるだろうかと。  これまでは、どちらかというと、介護の問題は私的な問題であって、一家庭の問題であった。しかも、女性の皆さん方の犠牲のもとになされていた。これからは、国民皆さん方お一人お一人が支え合っていこう、こういう考え方でございまして、小泉大臣の理念に変更はございません。
  290. 児玉健次

    児玉委員 当然のことです。  公的介護保障の制度は、家族介護依存から公的介護中心に改めていく、そのことで高齢者の人間としての尊厳を支えるものでなければならない、私はそう考えています。  そこで、厚生省は、この二月十日に出された官報の告示の別表、「家事援助が中心である場合」の注3のところで、当該家族等の障害、疾病等により、当該利用者または当該家族等が家事を行うことが困難であるもの、その場合に限って介護報酬が支払われる。  どんな場合なのか、具体的に示していただきたいと思います、厚生大臣
  291. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 今回の介護報酬におきます告示におきましては、いわゆる制度の乱用を防ぐ、こういう観点から、ひとり暮らし世帯などを中心にして介護保険におけるいわゆる家事援助が適用されるべきである、こういう一つ考え方を明らかにしたわけでございます。  高齢者やその家族の介護負担を軽減するために必要なサービスを行うという、介護保険の理念というのは、先ほども申し上げましたように何ら変わらないわけでございまして、問題は、ちょっと例えがよくないのですが、要介護者以外の方々にこういうような家事援助というものが利用されていたり、それからもう一つは、現実問題として、人手が大勢いる場合には当然のことながら要介護者の、時に応じては家事援助も手伝っていただくし、そして家族の皆さん方でも当然のことながらやっていく、お互いにみんなで力を合わせながらやっていく、こういうような趣旨でございます。
  292. 児玉健次

    児玉委員 制度の乱用を防ぐとおっしゃったけれども、そもそも介護保険制度の仕組みというのは、要介護認定が行われて例えば介護度三と認定されたら、その場合に、在宅介護の場合にどのような介護サービスを求めるかというのは、本人の希望を、意思を中心にして直接事業者に申し込むことができるし、そしてケアマネジャーと相談してケアプランをつくる。そこには制度の乱用の余地はありません。まずそこをはっきりさせておきたい。  そして、次の点ですけれども皆さんが言う、当該家族等の障害、疾病等により家事を行うことが困難であるもの。  私は、二月八日の毎日の夕刊で、前高槻市長の江村利雄さんの書かれたお話を見て、物すごく心を打たれましたね。江村さんは、こうおっしゃっている。「介護を全力でやったら地獄になる、腹八分目ぐらいがええ。」「私と長男の嫁、ホームヘルパーさんの三人でローテーションを組んで介護している。」「ゴルフにも行きたい。自分の楽しみをすべて捨てて、介護に打ち込んでいるわけではない。」ごく自然な姿だと思いますよ。  お聞きしますけれども、例えば、長年月に及ぶ介護で、病気にはなっていないけれども心の負担が限度に達している、こういう場合、家事援助は当然のことじゃありませんか。それから、同居の息子さん、お嫁さんが働きに行っている、そういう場合に家事援助は制約されるんですか。大臣、どうです。
  293. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 その告示の中でも述べておりますように、具体的な運用につきましては一律の基準では決められない、あくまでも個々の事情に応じて現場の良識ある判断によるもの、こういうことを明記しておるわけでございます。  これらの考え方につきましては、当然のことながら今後周知徹底をしていかなければならないわけでございますが、今先生の御指摘のような場合におきましても、当然のことながら、要介護者あるいは家族とケアマネジャーあるいは事業者、こういう方々が十分に御相談をしながら決めていただく、こういうことでございまして、先ほどから申し上げておりますように、あくまでも家族の負担を軽減していくんだ、こういうような趣旨には変わりはございません。
  294. 児玉健次

    児玉委員 この問題は、やはり予算委員会の場ではっきりさせておかなきゃいけない重要な問題だから私は申しますけれども、一部の方の主張の中には、家事援助はレベルが低いものだ、軽いものだとおとしめる考え方が根底にあると思う。  ある状況の高齢者にとって、例えば洗濯や掃除やその他がどのくらい心を豊かにし、そしてその家族をどのくらい励ますか、そのことについては大臣はよく理解されていると思う。そういうものは排除されませんね。
  295. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 これまでも、いわゆるホームヘルパー、それぞれの市町村が公費サービスの中で行われていたわけでございます。その中におきます家族の負担の軽減の役割は大変大きいものがあるわけでございます。  ただ、私どもが申し上げたいのは、一部の中に、これはほんの一部だと思います、私はこういうことは余り想像したくないわけでございますが、いわゆる家政婦さんがわりにこういうものを使われては困るんだ、あくまでも要介護者に伴う家事援助だ、その役割は大変大きいものである、このように認識をいたしておるような次第でございます。
  296. 児玉健次

    児玉委員 たまたまその言葉が出たから言わなきゃいけないけれども、およそこれは制度のカテゴリーを理解しない言葉ですね、そういう言葉は。家政婦云々というのは。だって、要介護認定で必要と認定されて、そして介護保険制度の仕組みに従って、あるいは身体介護、そして皆さんが新しく設定された複合型、家事援助、それぞれの御希望で決めていくので、そのとき家政婦が入り込む余地はありません。  それで私はお聞きしたいんだけれども、厚生省は、現場の良識ある判断、市町村のお考え、これを尊重されるのは当然のことですが、しかし、これほど重要なことについて市町村の判断をお求めになったんでしょうか、どうでしょうか。その有無についてお答えいただきたい。
  297. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 当然のことながら、この問題についても諮問をいたしまして、結論、答申を得ておるわけでございますけれども、基本的には、先ほどから私が申し上げておりますように、家事援助の要介護者に対する役割は大変大きい、こういうことでございますけれども、実際問題として、家事援助、ホームヘルパーさんが来ていただくということだけで、やはりみんなでお互いに助け合うということが必要だ。そういうような一つの例としてこういうようなものを挙げさせていただいた、こういうことでございますし、私の責任において、現場の良識に任せる、こういうような告示を出させていただいたような次第でございます。
  298. 児玉健次

    児玉委員 私は、この問題の最後に、理念のことについて厚生大臣にはっきり、できればお考えを聞かせてほしいんです。  介護保険制度が準備される段階で、厚生省にある文書が行っています。訪問介護を一生懸命やっている人たちからです。九五年の十二月。今ここに持ってきていますけれどもね。その中でどう書いているか。「家族には家族にしかできない役割がある。それをきちんと保障するためにも、日々の具体的な介護ケアから家族を解放するシステムを作ることをお願いしたい。」わかるでしょう。  そして、これが現場の声であって、家族が愛情とゆとりを持って高齢者を支えることに役立つことにこそ公的介護制度の意義がある、そう思いませんか。どうぞ。
  299. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、児玉委員の介護保険制度に対する認識と私の認識は違いありません。  そういう意味におきまして、要するに、家族の皆さん方が愛情を持って要介護者を支えて、そして、当然のことながら家族の負担を軽減するためにホームヘルパーさんに対してお願いをする、こういうようなことでございます。
  300. 児玉健次

    児玉委員 もう一つ、四月を目の前にして現場で非常に心配されていることについて触れておきたいと思います。  先月です、一月、ある県の一部の特別養護老人ホームで入所者と家族に対して指定介護福祉施設入所契約書案が提示されました。そして、施設の方から、家族、入所者に対して、入院がおおむね三月になる前のところ——大蔵大臣は覚えていらっしゃると思うけれども、去年の一月二十七日の予算委員会で私はこの問題を議論して、そして、従来どおり三月までは特別養護老人ホームに戻っていただきますと、明確な答弁があって、その方向で進んでいます。そのことについて施設の側から、入院がおおむね三月以内なら、入院している期間、介護保険から施設に支払われる介護報酬をそのまま入所者が負担してくれれば籍は置いておく、こういう説明があった。入所者と家族は驚いた。  介護保険から施設に払われる介護報酬は月に二十数万円ですね、要介護度によって違いますが。その負担は無理だ、そんなことでは、例えば肺炎になったとき安心して入院できない、こういう不安に駆られたと私はお聞きしました。  厚生省は、この入所契約書案を御承知でしょうか。そして、ここで言われた説明というのは、私は、今の介護保険制度についてのこれまでの積み上げとは全く違うと思うけれども、その点はどうでしょうか。
  301. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 個々の入所契約書につきましては、私、把握いたしておりませんけれども、特別養護老人ホームの入所者の中で、例えば病気にかかって入院した場合の取り扱いにつきましては、三カ月以内に退院することが明らかに見込まれる場合には、これは運営基準というのがございます、運営基準の第十九条でございますけれども、その中で、退院後、再入所させるよう施設に義務づけられておりまして、こういう考え方には変わりございません。
  302. 児玉健次

    児玉委員 私は架空のことで話しているのじゃなくて、これがそれなんです。配付されたものですね。どうも私の調査によると、これは全国社会福祉施設経営者協議会、経営協がつくられたものなんです。  このことについては事前に厚生省の担当者とも議論をいたしました。こういう形で入所者、家族の不安を駆り立てるようなことがないように、厚生省として必要な措置を講じていただきたい、これが一点です。  二点目は、施設に対する入院期間中の経済的裏づけが不足しているからこのような説明がされるのではないか、私はこう考える。施設の不安をなくするために、施設に対する必要な経済的支えが今求められていると思うのです。この点はどうでしょうか。  その二点をお答えいただきたい。
  303. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず前段につきましては、調査をさせていただきたいと思います。  それから後段の問題でございますが、入院期間中の、施設に払うお金の問題だと思いますが、これはあくまでも、入院期間中の入所者が介護報酬相当額を施設に払う必要はございません。こうした内容と異なる説明や誤解を与えかねないようなモデル契約書につきましては、改善指導をしていくつもりでございます。
  304. 児玉健次

    児玉委員 施設に対する財政的な裏づけですね、その点を強めていただきたいという点です。
  305. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 十分承っておきます。
  306. 児玉健次

    児玉委員 さて、最後の問題に入りたいと思います。  依然として雇用と経済の問題です。  ちなみに、ちょっと聞いておきたいのですが、ゴールドプラン21というのは、いろいろ検討して、私はどうも不十分なものだと思っている。しかし、これはこの後予算委員会で引き続き議論しましょう。  そのゴールドプラン21、平成十六年度末に完成する。このゴールドプラン21によって新たに創出される雇用者の数はどのくらいであるか。厚生省はどのように推計されていますか。
  307. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 ゴールドプラン21による雇用者数をサービスについて推計いたしますと、ホームヘルパーにつきましては、平成十一年度末の十七万五千人から、平成十六年度には、一定の前提のもとで試算いたしますと三十五万人になる、大変急激に需要もふえておるわけでございますが、こういうことでございますので、十七万五千人の増が見込まれるわけであります。  それから、特別養護老人ホームでございますが、これはいろいろな計算の仕方がございますが、一施設の特養の職員数を、平均的に三十人ちょっと超えるわけでございますが、といたしますと、大体二万九千人増と見込まれます。  それから、老人保健施設でございますが、特養と同様に計算いたしますと、四万八千人増が見込まれます。  これらの三つのサービスについて考えますと、あらあらの数字でございますが、二十五万二千人が見込まれるわけでございます。
  308. 児玉健次

    児玉委員 大蔵大臣、この後は大臣の御意見を聞きたいと思うんですが、今の厚生省のお答えからも明らかなように、ゴールドプラン21で二十五万二千人分の雇用が創出される、それがどのくらいこの厳しい雇用状況のもとで貴重なものであるか、その点は私は繰り返す必要はないと思うんです。  そういう中で、厚生白書によりますと、保健医療と社会福祉の分野、一九八〇年を一つの区切りにして、そして一九九六年までの十六年間で見ますと、百四十七万人雇用がふえています。これは倍率にすれば一・八六倍で、例えば建設業はその十六年間の間に雇用の伸びは一・二倍、運輸、通信は一・二倍です。はるかに高率ですね。そして、時間がないから省きますけれども、全産業の中で占める社会保障の比率、これもぐっと伸びています。  そこで言いたいんですが、このような分野を国が押し上げていく、そのことが雇用を創出し、国民経済に活力を与え、日本経済の再建に確実につながる胎動ではないか、私はそう考えます。宮澤大臣、いかがでしょうか。
  309. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 ただいま私の方で申し上げましたのは、それぞれの地方自治体におきます介護保険事業による見込んだ整備量というものを積み上げたものを基礎としておるわけであります。  それで、この四月からいよいよスタートするわけでございますが、介護保険を円滑に実施して国民皆さん方の老後を真に豊かにするためには、介護サービスの先ほどから先生が御指摘いただいております供給量というものを整備を図っていかなければならない。これは当然のことでございますが、私の立場から申し上げさせていただきますならば、いわゆる雇用創出といった側面、こういうものもございますけれども、あくまでも基盤整備という観点からこれは国が整備するべきものだ、こういう観点で御理解をいただきたい、こう思っているような次第でございます。
  310. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今厚生大臣が言われたとおりだと思いますけれども、今おっしゃられることには私も非常に同感できるところがありまして、つまり、そういう形で国の雇用の中に占めるサービスインダストリー、第三次産業の部門がそういう形でふえていく、それは幾つかの先進国がそうであるように、そういう形に日本経済がなっていくということはある意味で必然だし、どこへも行かなくなるようなことに比べればはるかにそれは健全なことでございます。  二つ、気をつけなければならないのは、その場合に、賃金水準が第二次産業に比べて下がるようなことがないようにということと、第二次産業は何かをつくりますけれども、第三次産業のつくるサービスというものが国の生産性に向かってどれだけの貢献をなし得るかということ、この二つは気をつけておかなければならないことだという意味で申し上げるので、全体の姿としては私はそうなっていくべきものだろうと思っています。
  311. 児玉健次

    児玉委員 終わります。
  312. 島村宜伸

    島村委員長 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。  次に、保坂展人君
  313. 保坂展人

    ○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  実は昨日、この場におきまして、いわゆるNTTドコモ株問題、これを短時間でしたが取り上げたわけなんですが、本日は総理の姿がありませんので、具体的にこの問題には入れない。一刻も早く具体的にまた引き続き伺いたいのですが、青木官房長官に伺いたいと思います。  基本的なことなんですが、私は、きのうのこの場におきましてリクルート事件を挙げました。これは、リクルート事件とドコモ株問題がイコールだ、こういう主張じゃないのです。そうじゃないのです。一九八八年というその時代、まさに竹下内閣が大揺れになって、最後には退陣をされていく。その過程には、リクルート事件というのは大きな衝撃を、政府・与党、自民党にも、また国民世論の中でも忘れ得ない出来事だ、こういう認識をお持ちでしょうか。
  314. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 十分に認識をいたしております。
  315. 保坂展人

    ○保坂委員 官房長官も竹下元総理の秘書をされていたというふうに聞いているわけなんですけれども、あのリクルート事件におきまして、政治家と秘書のありようの問題、そのあり方の問題、とりわけ、政治家がその責任を問われたときに秘書が、秘書がと言うことに対して世論の強い批判があった。したがいまして、政治家みずから政治倫理、襟を正すのはもちろんですけれども、政治家のスタッフである秘書も含めてこの問題は厳しく考えなければならない、こう思うのですが、官房長官、いかがでしょうか。
  316. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 議員おっしゃるように、政治家だけではなくて、秘書もやはり公務に従事しているということについては何ら変わりはないと考えておりまして、政治家と同じ立場だ、そういうふうに理解をいたしております。
  317. 保坂展人

    ○保坂委員 それでは臼井法務大臣に、大臣には大変お答えしにくい事柄になるかと思いますが、極めて大事なことなので伺いたいと思います。  大臣の秘書をされていた方の件で昨夜記者会見をされた、こういうふうに聞いておりますけれども、その会見の内容を全部読まれるのではなくて、この事態を重く受けとめられているかどうか、率直に一言お願いします。
  318. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 休み中でございますが、マスコミの方から電話をちょうだいいたしまして、今新聞に出ておりますような事柄について電話がございました。それによって今回の事件を初めて知ったわけでございます。  昨年の三月末で本人はやめておりますが、今回の事件は、私どもに在籍をしておったときの事件でございます。事実関係は報道だけでございますから正確には把握できておりませんが、もし仮にそうしたことを本人がやったとするならば、そうした者を雇用しておった者として、極めて責任も感じますし、大変遺憾に存じている次第でございます。  今後こういうことのないように、私ども、秘書に対しても改めて厳しく申し渡した次第でございます。
  319. 保坂展人

    ○保坂委員 法務大臣も、今何が起こっているのか、みずからのスタッフだった方、秘書だった方のことなので、少なくとも私よりはいろいろ調べられているんじゃないかと思います。  十年間秘書をされてきた方が、これは脱税口ききシンジケートという疑いがかけられているわけですけれども、国会の、しかも閣僚経験者の秘書だということで社会的な信用がある。そして国会議員の秘書、そして大蔵省の政府委員室という、我々日常的に接点を持っている国家公務員もこの一角に浮上して、二百万円を借りたというようなことが指摘されているわけですけれども、臼井法務大臣の秘書の方が、伝えられているところによると、コンサルタント会社から七百万円を受け取ったと。  この七百万円というのは、きのうも二百二十五万円というのは今でも大金だという話をしたんですが、七百万円は明らかに大金ですよ。この世の中が、汗して働いてそれによって報酬を得るということによって多くの国民が、まさに苦労しながら、この平成不況の中、非常にしんどい思いをしながら生きている中で、この七百万円という収入、これはどうなんでしょうか。もし犯罪にかかわる収益だったとしたら、これはきちっとけじめをつけるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。まだ今調査中ということなんでしょうが、七百万円という数字は出ていますので、その点についての真偽も含めてお願いします。
  320. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 冒頭に申し上げましたとおり、この事実というものは、残念ながら、現在では把握いたしておりません。したがいまして、私どもの事務所の秘書を通じて本人に真偽のほどを確認いたそうといたしております。もしこれが事実であるとするならば、大変残念なことでございます。
  321. 保坂展人

    ○保坂委員 こうしたことがなければ、余りに語るに落ちるので、あえてこういった場で取り上げたくないという問題が昨年週刊誌で報じられたわけです。  その内容というのは、赤坂の日商岩井の前からバスを出して、国会議員の秘書とこのコンサルタント会社の社長、経営者というんですか、コンパニオンの女性たちが温泉に旅行に行ったと。会費制で払ったとは言うんだけれども、多額の金銭をその社長が出していた。これは、大臣の秘書がやめられた後にこの記事が出たというふうにも聞いておりますけれども、このあたりはどういう事情だったんだ、一体これはどういうことなんだということを調べられたのでしょうか。
  322. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 実は、一昨年の十二月ごろから本人は体が悪いというふうに称しておりまして、出られないということもございましたので、体がよくなる間、新しく秘書を一名雇いまして対応いたしておりました。しかし、報道によると二月ということでございますから、正式に話し合いがついてやめましたのが三月末でございますから、当然私どもに在籍中のことでございました。  しかし、報道が出ました時期にはもう既にやめておりましたので、この件については、本人に対して改めて問いただすということはいたしておりません。
  323. 保坂展人

    ○保坂委員 それで、問いただしておらないということならなおさらなんですけれども、今回、いわゆる国税庁などに対して一種のコネクションがあるんだ、顧客になればいわばその分税金を払わなくても済む、そういった顧客を紹介した見返りにかなり大きな金額のお金を受け取る。極めて、これはもうどの閣僚でも、中でも法務大臣であれば法と正義、そして犯罪あるいは犯罪に類すること、厳しくこれはいさめていくという立場ですから、その中に、女性を連れてそういう温泉旅行に行くということ自体、非常に語るに落ちる話ですけれども、しかし、そこにそういった利権あるいは口きき、顔きかせなどの行為があったとしたら、これはもう調べていただかなければいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  324. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 こうした事実関係というのは非常に難しいと実は思っております。どれくらい本人が正確なことを話してもらえるかということもあります。  しかし、ただいまお話しのとおり、私自身は、その社長とは一面識もございませんし、政治献金等ももらったことはないわけでありますが、しかし、いずれにいたしましても、大変重要なことでもございますので、今、事実関係を秘書を通じて調べるようにいたしております。
  325. 保坂展人

    ○保坂委員 臼井法務大臣の、今、その方とは一面識もないし、また政治献金なども受けていないということを再度この場で確かめたいのと、あるいはパーティー券の購入などについてはどうかという点で、いかがでしょうか。
  326. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 ただいま私は、政治献金は受け取ったことがない、一面識も、会ったことはないということをお話しいたしましたが、残念ながら、パーティー券については非常に掌握というのは難しいわけでありまして、事務所の方で調べる努力はいたしますが、果たしてそこで正確なものが出てくるかどうかということは、今までの経験から非常に難しいと思っております。  いずれにいたしましても、御指摘を受けるまでもなく、調べるべく努力をいたしております。
  327. 保坂展人

    ○保坂委員 では、法務大臣に最後の質問になりますが、これはもう言わずもがなのことで、あえて言うべきでもないのかもしれませんけれども、法務大臣は、捜査機関である検察庁も含んだ法務行政全般をつかさどっている、そういう立場ですね。厳正にしてまさに公正な捜査あるいは事態の究明、このことは信頼回復のためにもぜひ遂行していただきたいし、そしてまた、今言われた、一面識もないし、また献金など受け取っていない、パーティー券についてもやはりきちっと調べて、仮にその言葉がもし真実と違うようなら、そのことが明らかになった場合には政治責任をきちっととっていただくということも含めて、決意を述べていただきたいと思います。
  328. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 今お話しのとおり、パーティー券についてはなかなか難しいように思いますが、しかし、本人にも確認をして、努力をいたしたいと思います。  言うまでもなく、検察は、それぞれの事件については、独自の立場で、厳正中立、不偏不党、個々の証拠に基づいて、現場においてしっかりと判断をしていただけるものと思っております。したがいまして、そういう点の御心配は要りません。また、それらの責任についても、私は自分なりに考えております。
  329. 保坂展人

    ○保坂委員 宮澤大蔵大臣に一言伺いたいのですが、今回国税の調査によって明るみに出てきたこの事態が、まだ正確にわかりません、報道を見ても。これが実際上、税務処理に影響がどれだけあったのかというのも、まだわからない状態です。  けれども一つだけはっきりしているのは、一月に大蔵省の方が二百万円という、これは返したということになっておりますけれども、これは借金をつくられて、商品相場に手を出して一千万円の損失を出した、そこがきっかけだったということなんですけれども、その時期が一九九七年、つまり大蔵省全体が金融検査官の接待の問題とか、あるいは大蔵省全体を巻き込んだ接待汚職の渦中でこういう金銭の貸し借りなどが起きていた。このあたりについて、本当に反省が足りたのかなということを思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  330. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 余り懇意でない人から金を借りるなんということは、いつの時代にあってもよろしくないことですが、役所というものが非常に批判を受けているときにそういうことをしたのは、私は実に残念なことだ。多分、商品取引をして苦しかったということがあったんでしょう。そうでなければ、そんな不心得なことをするものでないと思いますが、まことに私は残念に思っています。  ただ、今お話しの点は、本人の関連はどうもその一点だけにあるようでございまして、ほかに何かをしたというようなことは、本人も聞いておりませんし、どこからもそういう話が入っておりませんけれども、もとより私どもも、なお注意をいたしてまいらなきゃならないと思っています。
  331. 保坂展人

    ○保坂委員 官房長官にこの点伺いますが、国家公務員倫理法が前国会で成立をして、今回、国家公務員の株取引、商品相場ですから、よりリスクが大きいと思うんですけれども、こういったことについて、なお政府として引き締めていく必要があるのではないか、先ほど農林省の問題も出ていましたけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  332. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 お答えをいたします。  議員も御承知のように、昨年の十二月に国家公務員倫理審査会が発足をいたしまして、熱心な討議が重ねられた結果、去る二月の四日に、私ども内閣に対して、国家公務員倫理規程の制定に関する意見の申し出がなされたところであります。この内容を十分私どもは踏まえまして対応をしていきたい、そのように考えております。
  333. 保坂展人

    ○保坂委員 こういった不祥事が続々出てくるというこの体質の根をやはりきちっと、これは構造的な問題なのかどうなのかというところを議論していかなければならないと思いますが、きょうは厚生大臣に、年金福祉事業団の解散と新たに発足する年金資金運用基金、この両者の関係について、限られた時間ですが、質問をしたいと思います。  実は、これはたびたび聞いていることなんで、確認的になるかもしれませんけれども、年金福祉事業団は、グリーンピアなどを代表とする、うまくいっていないいわば広大な施設、これを抱えているわけですね。厚生省としてはこれを売却していきますという方針だったわけですが、この売却が何か思うように進んでおりませんよね。  この売却に当たって、購入時の価格を大幅に下回った場合に、損失、評価損が発生すると思うんですね。おわかりですよね。この評価損はどのように処理されるのか、そのツケは国民に回されることはないのか、この点について伺いたいと思うんですが、いかがでしょう。
  334. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 このグリーンピアにつきましては、御案内のように、年金に加入している皆さん方に対するいわゆる還元融資というか、そういう意味でつくったものであります。しかし、率直に申し上げて、時代が大きく変わりまして、要するにこの問題につきましては撤退する、こういう方針を出しておるわけでございます。しかし、雇用の問題を初めとしてさまざまな問題もございますし、今それぞれ、特に地方自治体にこれを譲渡する方向で努力をいたしております。  そういう中で、いわゆる評価損ができた場合どうなのかということでございますが、仮定の問題には、率直に申し上げて、答えにくいわけでございますが、当然二〇〇一年から年金資金運用基金というものが設けられるわけでございますので、それはそういう中において考えていかなければならない、こう考えております。
  335. 保坂展人

    ○保坂委員 仮定の問題といいましても、今天気予報というのもありまして、台風がそこまで来ていれば、あしたは相当あらしだなということはわかるわけですね。  今回のグリーンピアに関しては、これは高値で売れるだろうなんという方はだれもいないんですよね、大臣が一番御存じのように。どうしてもこれはもう割るんです、評価損が出るんです。評価損が出ても買うという人が出てくるかどうかというのは、これは怪しいぐらいなんですね。  そういう意味でいうと、評価損が出た場合も、案外出なかった場合も、ひょっとすると万が一あるかもしれない、その内容は公表されるのかどうか、つまり情報公開されるのかどうか。この点について、国民が拠出した貴重な年金財源でこれは運営されてきていますから、この収支はすべて国民に公表されるべきだ、こういうふうに思うのですが、大臣、その点はいかがですか。
  336. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず還元融資の問題でございますが、要するに、率直に申し上げてグリーンピアの問題、それからあと、当然のことながら住宅の問題であるとか、こういう問題があるわけでございます。そういう中におきまして、いわゆるどこまで情報公開をするか、こういう問題でございますけれども——ちょっと聞いてください、一生懸命答えているんですから。  要するに私どもは、これはあくまでも、年福事業団から引き継ぎましたものにつきましては、これまでは内部監査でございましたけれども、外部監査で行っていく、こういうことでございます。そのほかの問題につきましては、当然のことながら、いわゆる特殊法人、ほかの特殊法人がございます、そういうものも十分に考えなければならないわけでございますけれども、私といたしましては、当然のことながら、これは国民に情報公開するべき筋のものである、このように考えているような次第でございます。
  337. 保坂展人

    ○保坂委員 ちょっと、非常に簡単な質問なので確認だけなんですが、グリーンピアについて聞いたんですね、今。  二問目で聞いたのは、これはなかなか思うどおりには処理できないだろうと。その際に出た損失、こういうものは幾ら損失が出て、幾らそれこそ公金でこれを埋めるのかどうなのか、こういうことについて公表するかどうかということです。大臣の最後の答弁だと、するというふうに聞こえたんですが、それを確認してよろしいですか。
  338. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 基本的に公表させていただきます。
  339. 保坂展人

    ○保坂委員 そうしますと、今回、我々衆議院でもっともっと議論したかったのですが、今参議院で議論されている年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案、この本をよく読んでみると、これらの損失はどうも国民に公表されないということになっているのですね。  この法律案の第十八条二項には、「承継一般業務に係る財務諸表について厚生大臣の承認を受けたときは、同条第三項の規定にかかわらず、同項に規定する公認会計士又は監査法人の監査報告書の事務所への」、事務所にこれを置いて、「一般への縦覧は要しない。」こういうふうに法案にはありますね。一般への縦覧は要しないということは、これは、グリーンピアなどの売却損も国民に公表されないということにはなりませんか。
  340. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、この外部監査につきましては、資金運用事業、こういうような特殊性にかんがみて基金に追加的に義務づける、こういうものでございます。要するに、年福事業団の抱えております財投からのこういう借り入れの問題とグリーンピアの問題というのは切り離して考えていくべきだ、こう考えております。  私は、先ほどから申し上げておりますように、今後の検討課題として、当然のことながら、ほかの、例えば住宅金融公庫など特殊法人との横並びという問題がありますけれども、基本的にはそういうような方向、先生指摘の方向で検討していくものである、このように考えています。
  341. 保坂展人

    ○保坂委員 これは、年福事業団は完全に財テクに失敗して、二十六兆円ですか二十七兆円でしょうか、これを十三年間運用して、時価で一兆二千億という大損失を出しているんですね。これはだれか責任をとっているんでしょうか。この損失を責任とって——これは全然反省が見られない。  しかも、今私が指摘した年福事業団の解散の法案では、年福事業団の財務内容についてはあえて公表しないが、今度発足する年金資金運用基金については財務内容を公表するというふうに法案には書いてあるんですね。ダブルスタンダードなんです。  要するに、悪い方のをもっと公開しなきゃいけないんですよ。一番、問題が発生した年福事業団を公開しなきゃいけないんですね。これはちょっと、きちっとやっていただけますか。
  342. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず年福事業団の運用実績でございますが、これは、御案内のように、そのときの市場に左右されるものでございますし、一時は、先生指摘のような一兆二千億とか四千億とか、こういうような累積赤字がございましたけれども、現在は、株価の高騰に伴いまして七千五百億円の黒字になっておるわけであります。  この話とまたちょっと別でございますが、先ほどからお話しになっておりますように、この年福事業団から承継されるものにつきましては、この借り入れ、こういうものにつきましては、当然のことながら、いわゆる公認会計士など外部において監査する、こういうふうにお答えを申し上げておるところでございます。
  343. 保坂展人

    ○保坂委員 問題があるから解散して新しい特殊法人に生まれ変わるというんですが、だから、問題があるものを、インターネットであれ何であれ、国民にすべからく公開して、こういう問題があったんだと。しかも国民の大事な年金の積立金ですからね。  そして、その百三十四兆を今度は丸々、この新しい特殊法人が丸ごとマーケットで運用する。こんな巨大な資金というのは世界に例を見ないでしょう。しかも、今まで失敗をしてきた人たちが何の責任もとらないとあれば、それこそ確率というか割合でいえば、二十六兆を運用して一兆余りの損失を出したこともあるわけですから、もし一割損失を出したら十三兆じゃないですか。とんでもないことですよ。  そういうことに対して、失敗したときに、じゃ、だれが責任をとるのか。年金福祉事業団も責任をとっていない。今回の法律にも書いていない。ここをやはり本当に情報公開をして、透明化して、大切な年金の積立金は安全に守るということを言っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  344. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先ほどからお答えを申し上げておりますように、年福事業団につきましても、実は、毎年度におきます貸借対照表など財務諸表であるとか、それから業務概要をまとめましたものにつきましては既にディスクロージャーいたしております。  問題は要するに監査の問題でございまして、率直に先ほどから申し上げておりますように、これまでは内部監査であった、しかし、今度の基金を契機にいたしまして外部監査に切りかえるんだと。その中において、年福事業団の借り入れの問題も当然のことながら含まれる、こういうことでございます。  それからあと、先生ぜひとも御理解をいただきたいのは、要するに、あくまでも年金の積立金の問題でございます。百四十兆でございますけれども、現在、年々年々、いわゆる加入者よりも実際に受給する人がふえてきている、実際の保険料だけではもう間に合わなくなってきている、そういう中におきまして、年金の自主運用による利回りといいますか、これが大変大きなものになってきている。  失敗とおっしゃいますけれども、例えば最近直近の五年間を考えましても、いわゆる信託銀行よりはこの年福事業団の方がいいんです。ただ、実際問題は……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。実際問題は、いわゆる国債の利率、現在は一・七でございますが、それに上乗せして〇・二がある。この借り入れの分だけが要するに借金になっておるということでございますが、今後は直接来る、こういうことでございます。  それから、御心配の問題でございますけれども、私どもは、まだこれは研究会の段階でございますけれども、あくまでも分散投資するんです。分散投資というのは、単一の資産よりもはるかにリスクが低いということは世界的常識でありますし、経済をわかっている方はこのことは十分に御理解いただけると思います。  それから、これは期間が長いんです。これまでは例えば七年とか十年とか、こういう中でやっていたわけでございますけれども、今度は長期なタームで考えていく。こういうことを考えれば、国民の年金を安定させるためにもぜひとも必要なことである、このように考えておるわけでございます。  要するに、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、いわゆる何かマネーゲームのようなものでは決してありませんし、あくまでも、株式の割合、国内株式の割合というのは私どもはまだ研究会の段階でございますが、一割程度でございますし、基本的には債券であるとかさまざまな、社債であるとか、こういうものを中心にしてやっていく、こういうことでございます。
  345. 島村宜伸

    島村委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十六日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時散会