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2000-02-14 第147回国会 衆議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月十四日(月曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 久間 章生君 理事 自見庄三郎君    理事 高橋 一郎君 理事 萩山 教嚴君    理事 町村 信孝君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 青山  丘君 理事 西田  猛君       甘利  明君    伊藤 公介君       石川 要三君    稲垣 実男君       小澤  潔君    大原 一三君       亀井 善之君    木村  勉君       栗原 博久君    阪上 善秀君       桜井 郁三君    杉浦 正健君       高鳥  修君    津島 雄二君       中川 秀直君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    船田  元君       村田 吉隆君    村山 達雄君       森山 眞弓君    山口 俊一君       岩國 哲人君    生方 幸夫君       菅  直人君    古賀 一成君       五島 正規君    原口 一博君       日野 市朗君    肥田美代子君       横路 孝弘君    青山 二三君       石田 勝之君    久保 哲司君       佐藤 茂樹君    桝屋 敬悟君       一川 保夫君    加藤 六月君       鈴木 淑夫君    木島日出夫君       志位 和夫君    春名 直章君       矢島 恒夫君    濱田 健一君       保坂 展人君     …………………………………    内閣総理大臣       小渕 恵三君    法務大臣         臼井日出男君    外務大臣         河野 洋平君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    文部大臣    国務大臣    (科学技術庁長官)    中曽根弘文君    厚生大臣         丹羽 雄哉君    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    通商産業大臣       深谷 隆司君    運輸大臣    国務大臣    (北海道開発庁長官)   二階 俊博君    郵政大臣         八代 英太君    労働大臣         牧野 隆守君    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    国務大臣    (内閣官房長官)    (沖縄開発庁長官)    青木 幹雄君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    国務大臣    (環境庁長官)      清水嘉与子君    内閣官房長官      額賀福志郎君    北海道開発政務次官    米田 建三君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    経済企画政務次官     小池百合子君    科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君    沖縄開発政務次官     白保 台一君    法務政務次官       山本 有二君    外務政務次官       東  祥三君    大蔵政務次官       大野 功統君    文部政務次官       河村 建夫君    厚生政務次官       大野由利子君    農林水産政務次官     谷津 義男君    通商産業政務次官     細田 博之君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    運輸政務次官       鈴木 政二君    郵政政務次官       小坂 憲次君    郵政政務次官       前田  正君    労働政務次官       長勢 甚遠君    建設政務次官       加藤 卓二君    建設政務次官       岸田 文雄君    自治政務次官       平林 鴻三君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    津野  修君    参考人    (日本銀行総裁)     速水  優君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   亀井 善之君     木村  勉君   中川 昭一君     阪上 善秀君   山口 俊一君     桜井 郁三君   原口 一博君     菅  直人君   佐藤 茂樹君     久保 哲司君   鈴木 淑夫君     一川 保夫君   志位 和夫君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   木村  勉君     亀井 善之君   阪上 善秀君     中川 昭一君   桜井 郁三君     山口 俊一君   菅  直人君     原口 一博君   久保 哲司君     佐藤 茂樹君   一川 保夫君     鈴木 淑夫君   矢島 恒夫君     志位 和夫君 同日  理事青山丘君同日理事辞任につき、その補欠として西田猛君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  平成十二年度一般会計予算  平成十二年度特別会計予算  平成十二年度政府関係機関予算     午前九時開議      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事青山丘君から、理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事西田猛君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 島村宜伸

    島村委員長 平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算平成十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。菅直人君。
  6. 菅直人

    ○菅(直)委員 大変異常な形で始まりましたこの通常国会も、幸いにしてといいましょうか、こういう形で予算委員会が野党の私たちも出席をして開かれることになりました。  私は、このような異常な国会冒頭からなったことの最大原因あるいは責任は、与党が、定数是正法案というものを自由党政権離脱を回避するためにこの国会冒頭成立をさせる、そういう方針を決めて、つまりは二十八日の予算案を提出するまでに衆議院を通すんだ、あるいは二日までに参議院を通すんだ、そういうあらかじめ日程を決めた上で強行したところに最大原因があり、また、そうしたことを推し進めた責任はすべて与党三党にあると思っております。  そういう中で、与党姿勢そのものにも大変問題がありますが、それでは、総理官房長官を含む官邸がそれに対してどういうかかわりを持ったのか、これが本会議でも大変問題になりました。そこで、まず青木官房長官お尋ねをしたいと思います。  青木官房長官参議院議長に対して、たしか二十八日ですか、電話を入れられたという報道があります。そして、その電話において、参議院議長対応にかかっている、あんたはもう議長を五年やったわね、ひょっとしてあと一年のために内閣倒すんかねと。まあこれはある大手の新聞の中に入っているわけですね。  青木官房長官、こういう趣旨の発言を参議院斎藤議長にされたんですか。
  7. 青木幹雄

    青木国務大臣 お答えをいたします。  私が議会への介入を行ったとの一部新聞報道に基づいての御指摘かと思いますけれども、私は、国会が始まってから、たしか一度斎藤議長電話をいたしました。その電話は、国会が始まりましたので何とぞよろしくお願いをしますという電話でありました。それに対して斎藤議長は、あなたも大変だろうけれどもしっかり頑張ってということで、それ以外のことは一切ございません。
  8. 菅直人

    ○菅(直)委員 一月の二十八日ですか。
  9. 青木幹雄

    青木国務大臣 正確な日にちは覚えておりませんが、二十八日前後であったろうと思っております。
  10. 菅直人

    ○菅(直)委員 国会が始まったのは二十日ですよね。一般的に話をされるには、二十八日というのはもう一週間もたっていますよね。  青木官房長官、では、その前の日に、衆議院議長伊藤議長に対しても、どうしても本会議のベルを押してくれという趣旨のことを言われて、そしてそれに対してなかなかうんと言われないので、自由民主党幹事長室に乗り込まれて、そして伊藤議長裁断をされた案を、森さんを議長のところに行かせて、それは受け入れられない、撤回しろということを言われたというふうに伝えられておりますが、青木さん、そういうことをされたのですか。
  11. 青木幹雄

    青木国務大臣 お答えをいたします。  私は、この国会が始まってから、伊藤衆議院議長には一度もお会いしたことも、一回の電話をしたこともございません。伊藤衆議院議長斎藤参議院議長は、私にとっては非常に長い間温かく御指導いただいた二人の先輩でございまして、私がこのお二人に対し、そういう採決の強要や、そういうことをすることは一切ないと考えております。誤解のないようにお願いいたします。
  12. 菅直人

    ○菅(直)委員 額賀さん、あなたが青木さんに電話をつないだと言われていますが、どうですか。
  13. 額賀福志郎

    額賀内閣官房長官 何かのことで議運の委員長等電話をしたことはありますけれども、直接的に議長お話ししたことはありません。
  14. 菅直人

    ○菅(直)委員 では、もう一度聞きますが、青木官房長官は、この二十七日の夕方、自由民主党幹事長室に行かれて、幹事長に対して何らかの要請をされたというのは、それは認められるのですか。
  15. 青木幹雄

    青木国務大臣 私どもは、自自公三党で内閣を組んでおります。また、森さんは私ども与党幹事長でございます。国会が始まればいろいろな打ち合わせをすることは当然のことでございまして、今の問題とは一切関係ありません。
  16. 菅直人

    ○菅(直)委員 どうも青木官房長官は自分の立場をよく理解されていないと思うのですよ。つまり、その二十七日の夕方というのは、先ほど申し上げたように、伊藤衆議院議長の方から、一定の裁定というか裁断案が出されたわけです。私ども民主党国対委員長も呼ばれて、そこでその話を聞いたわけです。しかし、与党皆さんはそこに出てこられなくて、その話を聞いたものを持ち帰って検討しているときに、議長の方から、いや、与党がどうしても受け入れられないので裁断は撤回したい、こういうふうに言われたわけです。  それで、その撤回に至る過程として、これもその後の検証された新聞の中で、今のように青木官房長官が、官邸からわざわざまさに渦中国会内の自由民主党幹事長室に出かけて、幹事長に対して、そういういわば要請なのか、そういうことをされた。もちろんそのことが全部悪いと言っているんじゃないですよ、打ち合わせをされることが。しかし、議長裁定案に対して、官房長官幹事長に対して、あの裁定はのめない、こういう趣旨のことを伝えられたことが大きな原因になっているんじゃないか。まさにみんなそういうふうに伝えているわけですよ。では、全部この報道が間違っているのですか。一連の報道が全部間違っているのですか、官房長官
  17. 青木幹雄

    青木国務大臣 どういう時期であれ、私と森幹事長お話をすることは何ら間違いでないと私は考えておりますし、ああいう混乱の時期でございますから、いろいろな誤解があることも私も十分承知いたしておりますが、再三申し上げますように、私は、議長にお会いしたことも、議長にそういう趣旨電話を一回もしたこともございません。
  18. 菅直人

    ○菅(直)委員 森さんに対して、議長のあっせんの裁断は受け入れられないということは言われたのですか。
  19. 青木幹雄

    青木国務大臣 森さんと私が話した内容について、この場で議員に一々お答えする必要はないと思います。私も常識に従ったお話をした、そういうふうに理解をいたしております。
  20. 菅直人

    ○菅(直)委員 この水かけ論を余り繰り返しても仕方ないかもしれません。  しかし、私は、国民皆さんにぜひ理解していただきたいのは、今回の場合、定数是正法案の処理の問題と同時に、今私が申し上げましたように、官房長官が、総理の意向を受けたと思われますけれども、少なくとも国会に、その渦中に乗り込んできて、私どもの受けとめ方では、伊藤衆議院議長裁断に対して、それは受け入れられないということを与党として言えということを言われて、それが第一の大混乱の要因になり、そして参議院においては、委員会で審議をすることについて、与党理事と我が党から出ている委員長が話をしよう、与党との理事懇談会をしようということを言ったにもかかわらず、その理事会あるいは理事懇談会には与党は出てこないで、一切の質疑を、趣旨説明すら参議院委員会で出さない、やらないままに本会議中間報告として報告をして採決をした。  つまりは、そういうやり方を押し込んだのは、実は官邸ではなかったのか。もしそうだとすると、私は、国会というものが国権の最高機関であるというものに対して……(発言する者あり)ちょっと委員長、うるさいのですけれども、隣が。
  21. 島村宜伸

    島村委員長 御静粛に願います。
  22. 菅直人

    ○菅(直)委員 私は大変大きな問題だと思うわけです。  そこで、総理に一言だけお尋ねをしておきたいと思います。  私は、総理与党皆さんと話をされるのはもちろん構わないと思います。しかし、少なくとも総理官房長官が、国会の運営に関して議長に対して、間違っても、いわば官邸議長に対して圧力をかけるとか指示をするとか、そういうふうなことがたくさん報道されておりますから、そういうことについては少なくとも今後ないようにするということについてどうお考えか、まずお聞きしておきたいと思います。
  23. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 少なくとも、今までもこうしたことは行われたことがありませんし、今お話しのように圧力とか指導とか、こういうものが内閣のサイドから議会に対してなされたということはないかと思います。  昨日、私、バンコクでNHKの放送討論会を、そのままに見られる大変いい時代になりまして拝見しておりましたけれども、前の官房長官である野中現幹事長代理におかれましても、いろいろと議会との接触は行うということは、これは役目柄必要でいたしてきたけれども、少なくとも、今申し上げたように圧力をかけるとか指導するということはありませんし、またそのことは、両議長さんにおかれましても、そのようなことをお受けになられるということは、恐らくは議長さんの権威から考えましてもあり得べからざることでありまして、重ねて申し上げれば、内閣としてそのような対応をとったことはありませんし、今後もとる必要はないかと考えております。
  24. 菅直人

    ○菅(直)委員 これはある種の水かけ論でありますが、ただ、多くの報道が今私が申し上げたようなことを報道しておりまして、それに対して官房長官異議を申し立てられたとかいう話も聞いておりませんから、私は、国民皆さんは今の話を聞いて、果たして、それは斎藤参議院議長と、青木さんは長年参議院におられるわけですから、大変親しいことはわかりますから、まあその話はこういう話であったことにしておこうかというふうに言われたかどうかわかりません。  しかし、総理の方から、今後についてもそういうことはあり得ない、しないという話がありましたので、この話はこの程度にしておきたいと思います。  そこで、総理、今の日本の置かれた状態について、幾つかの数字をちょっと挙げてみたいと思います。  今、日本では、ホームレスになった人が二万人を超えたと言われております。失業率は四・七%、昨年ですね。これはアメリカの四・二%を大きく上回った。日米で逆転したのは初めてだそうであります。三百万人以上の人が失業をしている。そして、この春卒業する卒業生が二十四万人以上就職が決まっていない。生活保護を受けている人が百十万人を超え、一兆五千億円の支給を受けている。過去最高であるわけです。そういう中で、予算は約八十五兆円、税収は四十八兆円あるいは四十九兆円、国債発行が三十三兆円、今や国債残高が三百六十四兆円、こんな状況になっているわけです。  総理は、こういう状況を生み出している行政の責任者として、どのようにお感じになっておりますか。
  25. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今菅委員の御指摘数字は、そのとおりだろうと思っております。  こうした状況を一日も早く解消いたしたいということで、内閣を発足以来、何よりもその根底になりますのは、日本経済再生をしなければ、そうした失業率を抑える、あるいはまた、その他もろもろの問題についての解決のまず第一歩であるということで、今日まで努力をいたしてまいりました。  いい数字もあらわれてはきておりますけれども、今御指摘のような点について、失業率を初めとして、問題なしといたしておりません。一日も早く景気を回復して、そうした環境を改善する努力を最善を尽くしていたしていくのが今日の私の立場であろう、こう考えておる次第でございます。
  26. 菅直人

    ○菅(直)委員 昨年、自自公政権が生まれました。実質的には、十月に生まれる前から自自公枠組み国会ではできつつありました。総理は、口を開けば、政権の安定がいろいろな政策を遂行する上で重要だから自自公政権をつくったんだと言われております。  それでは、この自自公という枠組みでこの一年間やられたことをちょっと検証してみたいと思うんですね。  昨年、まだこれは政権ができる前ですが、公明党がそれまで反対をしていた盗聴法案、これが自自公賛成通過をいたしました。つまりこの法案は、その後、神奈川県警のあの事件で見られるように、捜査において得た写真などを材料にして、現職警察官が、そうした捜査の対象であった人なんでしょうか、関係者の女性に対していろいろと、お金を要求したり、そういうことをしたということが言われております。実はこの事件は、盗聴法が審議されていたときにはもう既に起きていた事件ですが、その時点では全く表に出されないまま、そして自自公でこの盗聴法通過をしております。  その次には住民基本台帳、いわゆる総背番号制法案です。  これも、本来は四つの情報しか入れないんだ、四情報しか盛り込まれないんだと言われながら、実はもっとたくさんの情報が盛り込まれることがその後の質疑でわかっております。これも自自公賛成をし、強引に成立をさせられたものであります。  そしてその後、その前後でしょうか、地域振興券というのもありましたね。果たして、これがどれだけ景気対策になったんでしょうか。これも自自公のまさに政策です。  そして、昨年の国会で、年金給付を切り下げる法案が、やはり自自公によって衆議院通過され、今参議院にかかっているわけです。  つまりは、自自公が昨年以来やったことというのは、盗聴法を強引に通し、そして総背番号制を強引に通し、とても経済効果があったとは思えない地域振興券ばらまき、そして年金の切り下げを衆議院で強行した、これが自自公の中身じゃないですか。総理はこれについてどう思われるんですか。
  27. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 成立をさせていただきました法案に対する評価というものはおのずと異なると思いますが、私ども政府といたしましては、今挙げられました、盗聴法と言っておられますが、通信傍受法でございますけれども、こうしたものも国民生活にとって欠くことのできない法律案であるというふうに考えておりますし、地域振興券発行につきましても、全国各地から、これが成果を得ているということのそれぞれの評価もあるわけでございますから、政府といたしましては、自自公党連立によりまして、国民生活にとって最も必要な法律を適宜適切に対応して通過させたという評価は、これは我々としては国民の御理解を得られるもの、このように考えておるところでございます。
  28. 菅直人

    ○菅(直)委員 全く見方が違うんですよね。  盗聴法、まあそれは正式には通信傍受法神奈川県警の不祥事も隠しながら押し通した。もともとは公明党は反対していたはずなんですが、いつの間にか、政権に入るためには仕方がないと一緒になったわけです。  ですから、こういう法案を通して、今総理が言われるように、国民皆さんが、いや、これはよかったと思われるのなら、もうちょっと自自公支持率が上がるんじゃないでしょうかね。とてもじゃないけれども、自自公一緒になったら何をやるかわからない、これが自自公政権に対する国民世論調査の結果じゃないでしょうか。  そこで、これからのことを言いましょう。まさに今、この場で議論されております平成十二年度の予算案です。  私は、この予算案には三つの特徴があると思っています。一つばらまき二つ目先送り三つ目延命。すべて合わせて無責任予算だと思うんです。  まず、ばらまきの方から申し上げましょう。残念ながらここには亀井政調会長がおられませんが、亀井政調会長が、介護保険について、半年間だけ保険料の徴収を凍結する、その後、一年間半分にする。そのために、約一兆円の予算がそれの穴埋めに使われました。  私がテレビ番組で、なぜ半年間だけ凍結するんですかと言ったら、自由党幹事長の藤井さんは、いや、衆議院の任期がちょうど十月までだから、四月から考えると半年なんだ、ああ、じゃ、選挙が確実にあるまでの間は取らないということですかという議論をやったことがあります。まさにばらまきの骨頂じゃないでしょうか。  そして、先ほど、もう地域振興券のことは重ねては申し上げません。  あるいは、先送りの典型がまさにペイオフ延期です。  ペイオフというのは、別にきのうおととい決めた話じゃないんですね。金融再生法をつくり、あるいは皆さんの方で健全化法を推し進め、そういうことをやることを前提に金融体制を、まさに構造改革を進める。いわばそれのある意味での、仕上がりとまでは言いませんけれども一つの大きな通過点ペイオフだった。しかし、それも延期をする。  そして、三百六十四兆円の残高に対して、私は世界の借金王だ、こういうふうに言っている。これは、聞きようによれば、後は野となれ山となれ、後のことは私の後の人が考えてくれ、まさに無責任じゃないですか。  そして、そういうペイオフ先送りなど、あるいは公共事業の積み増しなどによって、本来なら経済構造をもっと大きく変えなきゃいけないのに、従来まさに市場に任せれば淘汰されるようないろいろな仕組みが延命を続けている。その最高延命が、もしかしたら小渕政権延命かもしれませんけれどもね。そういう無責任予算がこの平成十二年度の予算だと私は思いますが、総理はどう見られていますか。
  29. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 御指摘は御指摘でございますけれども、我々が編成をいたしました十二年度予算におきましては、国民生活を安定させることを旨としながら日本経済を発展させるという意味で、必要な予算を必要なところに配分をし、これが執行のできるように編成したものと確信をいたしておる次第でございます。
  30. 菅直人

    ○菅(直)委員 余り自信のない答弁ですね、内容もないし。  そこで、少し話を進めます。  本会議において我が党の鳩山代表岡田克也議員が、総理に対して、景気対策ということと財政構造改革ということは、これは二つの目標をともに目指すべきではないか、必ずしも財政構造改革というのは、景気対策にマイナスになるのではなくて、中長期で見ればプラスになるのだ、二兎を追わなければ二兎をも、両方ともうまくいかないんだ、こういうことを指摘したわけですが、総理は、破れたレコードではありませんけれども二兎を追う者は一兎をも得ず、それの繰り返しでかみ合っておりません。  そこで、財政構造改革ということについて、総理はもしかしたら勘違いをされているんじゃないだろうか。財政構造改革というのは、単純な意味での緊縮財政ということではありません。まさに構造を変えるということです。例えばどういう構造を変えるのか。私は、まず今の予算の編成の仕方そのものの仕組みを変えるべきだと思うんです。  私も一時与党に籍を置き、予算編成に携わりました。毎年毎年八月ごろになると概算要求が出てきます。だれがつくっているのか。各役所が下から積み上げているんですね。そして、それをトータルして大蔵省主計が調整をして、そしてそれを最終的に閣議決定する。十二月の終わりです。もう閣議決定する段階ではほとんどの中身は固まっているわけです。  私が数年前イギリスに行ったときに、イギリスでの予算編成を聞きました。イギリスではどうしているか。  まずは来年度の税収見通しなどをしっかり持って、まず来年度のトータルの予算を幾らにするか。例えば、平成十二年度は税収見通しは五十兆ほどだ、景気も悪いしいろいろな要素もあるから、ここは三十兆ほど国債を出して八十兆にしよう。トータルな議論をまずして、閣議決定をしております。その段階では、どの役所のどの事業がどうなっているかなんという話はありません、閣議決定の段階では。  そして、そのトータルなものをやった中で、次の段階として、ではその八十兆をどの役所にするのか。場合によっては、公共事業でも、今問題になっている農業土木のようなものは見直す余地がたくさんある、しかし介護の施設整備がおくれているからもっとこちらに思い切ってそれを移そう、それならこちらの分を大幅に切ってこちらを大幅にふやす。役所別の予算をまず枠組みで決めていく、それが第二段階。  そして、第三段階が、今最初にやっている各役所の、去年が幾らだからことしは幾らにしよう。  大体一〇〇の数字なんですよ、常に。去年を一〇〇パーとして五パーふやしてくれ、一〇パーふやしてくれ、まあここは少し減っても仕方ないから五パー減してもいいですよ。そういう積み上げをやっている限りは、大きな財政構造なんか変わるはずがない。まさに財政構造改革なんてできるはずがない。  逆に言えば、そういうことをやっているから、今の財政、これだけの大借金をしながらも、それは借金をしてばらまいている間はカンフル剤として効果があるかもしれないけれども、構造が変わっていないのですから、その先には、カンフル剤が切れたときには、また経済ががたがたっといく危険性が大きい。  どうですか、総理。これは総理にお聞きしますよ、本会議で答えられているのですからね。  総理は、財政構造改革ということが今の時点でも、つまり景気対策を行っている時点でも必要だと思われないのですか。相変わらず二兎を追う者は一兎をも得ずで、財政構造改革景気がよくなってからやればいいんだ、構造は今までのままでいいんだ、こういうふうに言われるのか。まずその見解を伺っておきます。
  31. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財政改革と今日の景気回復のためのこの予算、これは二兎を追ってはいけないと申し上げておるのでありまして、委員指摘のように、財政構造改革について、これを単年度予算といえども無視していこうというようなことはあり得ないわけでございます。  以下、お許しをいただければ、先ほど予算について十分な説明がないとおっしゃられるから、これから説明をさせていただきたいと思いますが……(菅(直)委員「結構です、結構です」と呼ぶ)結構ですといっても、御質問があって、私に対して十分な説明がないとおっしゃられれば、国民に対して明らかにさせていただきたいと私は思います。  まず、先ほどの財政構造改革につきましては、財政を考えるに当たりましては、幅広い視野を持って歳出項目の構造にまで踏み込んで取り組み、すなわち質的な側面から不断の見直しが重要であると考えております。その予算の中身について野党がおっしゃられるなら、どの点がどうなっていないかということを言われるものであって、私ども財政構造改革も十分視野に入れながら単年度の予算も編成しておる、こう考えておるわけであります。  例えば、財政制度審議会において、予算編成過程の透明性の向上を図る観点から、予算編成上の問題点を二十項目にわたって具体的に取り上げて集中的に審議をいただき、その財政審の指摘を踏まえまして、一に公共事業につきましては、我が国経済の発展、国民生活の向上に向けた社会資本の整備の面から、緊急かつ優先的に取り組むべき課題は何かという見地から、新たな発展基盤の構築を目指し、物流効率化による経済構造改革の推進、環境対策、少子高齢化対策、情報通信の高度化といった我が国の直面する政策課題に対応した重点化を図っておるわけであります。右四分野に該当する施策、事業に対する予算額は約二兆六百億円でありまして、公共事業関係費の全体の約九兆四千三百億のうち二兆六百億であります。前年度当初予算に比して七・四%増をいたしておるわけでありまして、そういう意味で、財政構造改革につきましては、その年度年度におきましても十分配慮しながら対応しておるわけでございます。  それと、いわゆる六百四十五兆、国、地方を合わせての財政赤字につきまして、そのことをすべてこの機会に解消することも目指していくということにつきましては、これは二兎を追ってしまう結果になりますから、財政改革については今後の経済の状況を見ながら判断していく、こういうことでありまして、何ら矛盾していると考えておりません。
  32. 菅直人

    ○菅(直)委員 どうもやはり総理財政構造改革というものの考え方が、少なくとも私とは違っていますね。毎年毎年財政構造改革をやると。毎年毎年予算を組むのはわかりますよ。構造改革というのは、まさに構造なんですよ。  ちょっと話が変わるかもしれませんが、私の亡くなったおやじが、私が学生時代にアルバイトをしたいと言ったら、おもしろいことを言いました。アルバイトをして、おまえ、その金で何をするんだ。いや少し酒でも飲んで遊びたいと言ったら、それは二重の損だと。つまり、アルバイトをする時間と遊ぶ時間と、二重の損だと。そのぐらいなら小遣いをやるから半分だけでも勉強しろと。それに近いことを言ってくれたかどうか、そこまでは覚えておりません。  つまり、どういうことなのか、何が言いたいかといいますと、景気対策というのは、言ってみればアルバイトをして、そのときそのときお金がたくさん入れば、その時点では裕福ですよ、その時点では景気はいいですよ。しかし、五年先、十年先、十五年先、構造的には、遊びほうけていたものだから余り成績もよくなくて、余りいい仕事ができなかったとしたら、目先はいいけれども、その先の私自身の人間の構造が余り進歩していなかったとしたら、それは余りプラスにならないわけですね。  ですから、財政構造改革というのは、毎年毎年の予算を少しこっちに振り向ける、あっちに振り向ける、そんなことは当たり前の話であって、それは、私から言わせれば、構造じゃなくて予算の調整なんですよ。今最初に申し上げたように、予算編成の仕方とかあるいは今のような国と地方の問題とか、そういう根本的な構造を変えなければいけないというのが構造なんですよ。  ちょっと、一つこういうパネルをつくってみました。大変抽象的なパネルなんですけれどもね。特別なことは書いてありません。つまり国民がここにあって、どういう主体があるのか。マーケットがあります、市場がありますね。NPOがあります。そして、ここに国会内閣、いわゆる中央省庁があります。ここに自治体があります。  どうも日本の今までの政府がやってきたことは、本来マーケットやNPOに任せることを逆に中央省庁がやってきた部分がたくさんある。典型が銀行ですよね。銀行の護送船団なんというのは、本来は一定のルールのもとマーケットに任せればよかった。しかし、それを中央省庁が天下りを含めてやっている。公共事業の多くもそうです。実際、談合を認めているのはどこですか。実質上は中央省庁が認めているんですよ、談合を。自治体もかもしれません。  本来ならマーケットに任せればもっと安くなるものが、この民と官で言えば官の自治体やあるいは中央省庁が、これまた天下り先をたくさんつくってやっている。本来市場に任せるべきところを、政府やいわゆる官の部門が手を出している。逆に言えば、政府や自治体がやるべきことの中で、きちんとやられていないところがたくさんあるんじゃないですか。  例えば年金制度、今国民年金をかけていない人が四分の一近くになっています。制度があるけれども、国を信用しないから、もうかけたって自分たちのころにはもらえないんじゃないかと、若い人は大変たくさんの人がかけていません。医療保険、これも私が厚生大臣のころから根本的な改革をやろうと当時の自社さの与党は決めたはずですけれども、結局のところは骨抜き骨抜きで、進んでいません。介護についてはいよいよ始まるわけですが、始まる前から骨抜きをやろうというような政調会長が自民党にいたりして、わけがわからない。  つまり、本来この公的部門というのか、民と官で言えば官が責任を持つべきところを責任を持たないで、本来は手を離してマーケットに任せるべきところを、相変わらずペイオフもまだやめましょう、何とかもしましょうと言って手を離さない。この大きな構造が、この大きな間違いが、今の財政構造改革の根本のところが進んでいない構造と一致しているんじゃないですか。総理、どうお考えですか。
  33. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 本会議で御質問がありまして、十分お答えできませんでした。今この機会に政府の考えておりますことをお聞き取りをいただきたいと思います。  基本的に、財政をやっておる立場として、今の景気回復と財政構造改革、これは必ずしも背反しないではないかということは、私もそう思っております。  基本的に考えまして、第一は規制の緩和、これは恐らく景気の回復のためにもいいし、財政改革にも役立ちます。補助金の整理も、かなりのものはそうではないかと思います。それから、官から民へ移管する、このことも多くの場合、財政にもいいし、景気回復にもいいんではないか。それから、最後におっしゃいました中央、地方、この関係にもそういうものが恐らくあると思います。全部が一度にできませんが、基本的には私どもそういうふうに考えておりますことは、御指摘の点とそんなに基本的に違っておりません。  もう一つは、しかし、政府のやっておる公共事業が旧態依然であるという御批判は、謙虚に反省をしなければならないと長く考えてまいりましたから、昨年の秋でございますが、新しい方針を決めましたのが、先ほど総理の言われたことでございます。  つまり公共事業というものを重点化しよう、その重点の目的は四つある。一つは、経済構造改革するためのインフラの整備、これは例えばハブ空港であるとか高速道路であります。それから環境対策、これは地球温暖化とかダイオキシンとかいうものが例であります。第三は少子高齢化対策、これはバリアフリーとかいろいろございます。それから第四に、情報通信関係でございます。  第一が五千億円、第二が三千億円、第三は一兆余り、情報通信が千三百億で、それが総理の言われました二兆を超える金額でございますから、これに基づいて公共事業が一般的に編成されている。その総額は二兆を超えます。それは九兆億円と言われる公共事業の二二%に当たる。これは政府が、昨年の補正からことしの予算編成、来年に向かって続けていきます公共事業の基本でございます。恐らく、こういう部分が在来の公共事業より大きくなってまいると思います。  それともう一つ大事なことは、これと全然別にミレニアムプロジェクトというものをいたしました。これは菅委員がかねておっしゃっていらっしゃいますように、あるいは岡田委員が本会議で御質問がありましたように、省庁別のスタンスというものが新しいものへ入らない基本的な理由であるという御批判は、私どももそう思っておりますから、このたびは、これも同じ環境、高齢化、情報化、三つに従いまして、各省庁を横断して予算編成をいたしました。そして、それに産、学も加えまして、プロジェクトチームを八つ組みまして、それを単年度でなく、これがさっき総理の言われたことですが、実は五年ぐらいのレンジでこういう八つの課題に取り組もうというのが、今のミレニアムプロジェクトと言われるものであります。  それは、環境対策について言えば、多少長期のものですから、地球温暖化だとか燃料電池だとか、あるいは高齢化対策については、ヒトゲノムというようなものでございます。情報化については、これはいろいろございますが、電子政府であるとか、あるいは国立学校全部をインターネットでLANで結ぼうとか、こういったような長期を要する幾つかの、大項目としては三つ、分野としては八つですが、これを各省庁一緒にしてチームを組んでいたさせることになりまして、その中心は内閣の内政審議室が計画を立てたものでございますが、大蔵省としては、これらの予算は多年度にわたるということを実際上は合意をいたしております。  ただいまの制度ではかなりの改革でございますが、政府としては、こういうことを今年度の予算に実はかなり大きな規模で始めておりますので、このことはぜひ御理解をいただき、御支援をちょうだいしたいと思っております。
  34. 菅直人

    ○菅(直)委員 総理二兎を追う者は一兎をも得ずという繰り返しの答弁よりは、宮澤大蔵大臣は、場合によっては両立もあるという意味では、半歩前へ出られていると思います。ただ、しかし今の話は、結局は予算編成の範疇なんですよ。私が言う意味で言えば、構造ではなくて、体で体質改善をしなければいけないときに洋服を少しかえているような話じゃないですか、全部。  例えば、環境と言われました、公共事業と言われました。いろいろな公共事業のむだが指摘をされております。この間、吉野川の河口堰の問題があります。あるいは川辺川ダムの問題があります。  例えば、構造改革と私がイメージするのはどういうことか。川の問題がある。なぜ川の治水を考えるときに、川の堤防やダムや河口堰やそういうものしか考えないのか。川に水が入ってくるのは山なんですよ。今、山が物すごく荒れています。橋本内閣のときの省庁再編、いよいよ来年から始まりますが、私は、例えば農林省の林野庁と、場合によったら建設省の河川局と環境庁を一緒にして、河川行政というのは山から川から海までが本来の制度なんで、それをぶつ切りにして、河川局はまだ金があるからどんどんダムをつくりましょう、山は金がないからほっておきましょう、これじゃだめじゃないか。  こういうものを、まさに構造を変えるというのが構造改革なんですよ。今、宮澤さんが言われたのは、せいぜい予算の編成でそういうことを念頭に置きましょうという話じゃないですか。  先ほど私が予算編成のあり方を言いました。河川局の予算は河川局なんですよ。間違っても河川局の予算は林野庁の森林整備に行かない。それが総合調整できるのはどこかといえば、内閣がチームとして行政権を握っているんだから、まずは内閣全体がどうあるべきかということを考えて、その基本構造を考えたらどうですか。予算編成をしている構造そのものが間違っているんだから、出てくるものもせいぜい微調整しかできない。ミレニアム予算、結構ですよ。それは全部予算の話じゃないですか、単年度の予算をちょっぴりこうした、ちょっぴりこうした。この十年間の失敗というのはこんなことで、これが反省なんですか。  では一つだけ、構造改革のもう一つの例で、問題指摘を今受けていますね、国は。だれから問題指摘を受けたか、それは石原都知事からですよ。つまりは、外形標準課税で、五兆円以上の資金量を持つ銀行に対して地方税をかけたい。  これは、国の財政と地方の財政がどう分担するか。私ども民主党は、基本的には、国の権限は外交、防衛とか、あるいは福祉の基準づくりとか町づくりの基準づくりにとどめて、実際の川の管理とか、実際は全部自治体に権限そのものを、国の権限を限定して、ほかは全部自治体がやるべきだ、財源もそちらに全部移すべきだ、このように基本的な考え方を提示しております。  これもまさに構造改革なんですよ。財政構造の一番大きな改革は、あえて言えば、国と地方の財政配分の問題なんですよ。こういうものを構造改革というのですよ。  この都知事の言われている銀行の外形標準課税、確かにいろいろな議論があることは私もわかっています。しかし、そういう問題提起は、今の国のまさに財政構造改革から国の構造を変える一つの問題提起として、私は大変重要な指摘だと受けとめていますが、総理はこの問題についてどうお考えですか。
  35. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 東京都で検討されている銀行業等に対する外形標準課税の導入は、地方税法を根拠に条例に基づいて行うと承知をいたしております。この場合、国との協議等を要しないこととされております。  しかしながら、地方税法では、このような条例に基づいて外形標準課税を実施する場合には、所得による課税の場合における負担と著しく均衡を失することのないようにしなければならないと規定しており、この点について慎重に検討がなされる必要があると考えておりまして、現下、政府部内におきまして検討を進めておるところでございます。  菅委員指摘のように、東京都石原知事の今回のお考えにつきましては、一つの考え方として従来から外形標準課税については存在していることは事実でありますし、各地方自治団体におきましても、特に最近の財源不足を考えますと、赤字企業に対してもこれを行うべきだという主張がかねて来されておったことは十分承知をいたしておりますが、その一部として、東京都において一定の水準以上の金融機関に対してこれを適用するということを条例において行うということでありまして、申し上げましたように、この条例制定の権限を有しておる地方自治団体としては、その一つの方向として御判断をされることだろうというふうに思っております。  先ほど、大変菅議員はこれを評価されるようにお聞きをいたしましたが、我々としては、一部銀行関係でなくして、本当にこれを中小企業の分野にまで及ぼすということにおける大きな影響ということも十分考慮しなければ、最終的な判断に至らないということでございまして、そういう意味で、今政府としては、この問題から派生して、その後にどのような問題が惹起されるかということも、日本全国の状況を勘案しなければ最終的な判断ができかねるというのが現在の政府立場でございます。
  36. 菅直人

    ○菅(直)委員 政府立場政府立場で結構でしょう。ただ、申し上げたかったのは、財政構造改革というのはそういうことだということの一つの大きな例示として申し上げたんですよ。  もう一つ、ちょっと具体的になりますが、今、農林省の構造改善局をめぐっていろいろな問題が出ていますよね。一説には、これは、ウルグアイ・ラウンドの対策のために一兆百億の予算を、予算といいましょうか枠組みを決めたものが、いわば農林省からの天下り先などを使った配分になって、それが過剰接待等を招いている。いろいろ、第一次、第二次の調査などをやられているようです。  こういうものに関連して、全国に土地改良事業団体というものがありますよね。各都道府県には土地改良事業団体の連合会がある。広い意味で、この構造改善局の事業はそういう土地改良事業団体がいろいろと仕切っているとも言われています。  青木官房長官、こういう団体の会長というものは閣僚が務めるべきものかどうか、どう思われますか。
  37. 青木幹雄

    青木国務大臣 お答えをいたします。  土地改良事業団体連合会の役員は、土地改良法及び定款によって、総会で選ばれるものだと承知をいたしております。  私を含めまして、国会議員で役員となっている場合があるのは事実でありますが、それがそのまま議員が心配なさるような癒着に通じるものとは私は考えておりません。当然、そうした立場にある者は、私を含めて、そのようなことがないように十分みずからを律していかなければならないと考えております。  なお、私につきましては、現在、島根県土地改良事業団体連合会の会長に無報酬で就任をいたしておりますが、官房長官就任後は、その職は代行に行わせているところでございます。
  38. 菅直人

    ○菅(直)委員 私はまだ心配の話までしていないんですよ。青木さんの話も、本人が言われましたが、閣僚がそういうポストになるのが適切だと思われますかという質問をしたんですよ。まさに、今の話を聞いていて、国民皆さんは心配じゃないですかね。  もともと土地改良事業というのは、農林省の、これも問題なんですけれども、いわゆる各省庁が持っている長期計画に基づいて毎年数兆の単位のお金がこの事業に費やされているわけですよ。そういうものの受け皿としてそれぞれの地域に土地改良のための組合があり、そういうものの団体があり、一般には、そういうところがいろいろな配分を決めている。  つまり予算を、閣議決定で案を決めて、もちろん最終的には国会での議決が要るわけですが、案を決める当事者が各県でそれの受け皿になる団体の長をやっていて、そんなことは心配されなくて結構と国民皆さんが思うんでしょうかね。これだけのいろいろな問題が農林省から出ているときに、そういうところに政治家がごろごろいて大丈夫なんですか。たくさん書いてありますよ、ここに。いろいろな問題点が指摘をされている。  私は、単に無報酬だから、単に代行を置いたからそれでいいという話では済まない。まさに構造改革というのはこういうところなんですよ。政財官の癒着構造というものがあるから、お金がおかしなところに使われているんじゃないか。下からのボトムアップで、ここには何とか予算をつけてくれ。官房長官、あなたも島根県の土地改良の連合会の会長じゃないか。そういうところで、従来型の予算を変えようにも変えようがない。これが構造なんですよ、現在の。  どうですか、官房長官構造改革のためにもまずみずから、そんな心配なんかないと言われないで、心配がないように、みずからこの職は辞するとこの場で言ってもらえませんか。
  39. 青木幹雄

    青木国務大臣 ただいま私がそういう癒着の心配がないと申し上げたのは、冒頭議員が農林省で起きているいろいろな不祥事件を取り上げられたので、私は、現在私が務めております会長とその問題とは別個な問題でありますと申し上げたわけであります。  また、現在私も会長をいたしておりますけれども、私自身もそういうことがないように十分身を律して今日まで務めたつもりでございまして、就任をいたしましたのは当然、官房長官になる以前のことでございます。  今後の問題については、いろいろ御意見があろうと思いますが、そういうことも勘案して考えていかなければいかぬ問題であろう、そのように考えております。
  40. 菅直人

    ○菅(直)委員 まあ、閣僚になると一般的には営利団体の役員などはやめるというのが、少なくとも私が厚生大臣のときの申し合わせでありました。もちろん、これが営利団体かどうかは知りません。もっと政治的な予算を……(発言する者あり)配分にかかわる問題でしょう。  この問題はまた予算委員会で我が党のこの問題に大変詳しい議員がすることになっておりますが、一言だけ、農林大臣、この間の不祥事についての農林大臣としての責任はどう自覚されているのですか。これも財政構造にかかわることですよ。  つまり予算を、いわばいろいろな丸投げをして天下っているところで、そして逆にそこからいろいろと、タクシー券や何とかを農林省の官僚がツケ回しやそれで使っていたという指摘が農林省の調査でも出ているじゃないですか。どう考えているのですか、責任を。
  41. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 お答えを申し上げます。  まず、農林構造改善事業をめぐる問題に関しましては、平成十一年一月六日に前大臣からの訓令に基づきまして設置した調査委員会において、職員の自己申告を基本としつつ、でき得る限りの調査を行いまして、二月十九日に中間報告を取りまとめました。  その後、私が就任をいたしたわけでございますが、前国会等におきまして、まだこの処置は甘いのではないか、こういう御指摘がございまして、私としましては、責任を持って対応する、こういうように申し上げました。  その趣旨は、同じ省内に調査委員会を持つという趣旨は、まず倫理を高めるためにはみずからの身を省みて厳粛にみずからを律する、これが倫理の本質であると考えます。したがいまして、私は、調査を厳密に行った結果、十二月の末に、この不適切な行為についての問題等におきまして、職員倫理規程に基づきまして処分を行ったところでございます。  この処分におきましては十分調査をいたしたわけでございますけれども、まだ足りないところがあるとするならば、引き続きこれは検討していく、こういう趣旨でございまして、なおまた、このような不適切な行為が二度と起こらないように万全を期していくということが私の責任の、対応の一環であります。  以上です。
  42. 菅直人

    ○菅(直)委員 勢いというか気持ちは多としたいと思いますが、まだまだ、中を詳しい議員から聞きますと、これからも農林大臣、相当頑張らないと、今もみずから言われていましたが、自己申告に基づく調査なんというので物事が解決するはずはないわけですよ。そんな甘いことでは、また大臣も後になって、いやこんなことは知らなかったという話になりますから、くれぐれも、今の、国民皆さんに対して、相当の疑惑を持たれていますから、現実に調査の中でいろいろなことが出ているわけですから、きちんとやっていただきたい。  そこで、もう一つの例を挙げましょう。  今回、MVでしたか、ロケットが失敗をいたしました。先日はHIIのロケットが失敗をいたしました。  日本の宇宙開発というのは、もちろん効果的に財政運営がされているはずですが、科学技術庁の担当しているものと文部省の担当している、二つの部局によって相変わらずロケット開発といいましょうか宇宙開発が行われています。中曽根大臣はちょうど両所管を兼ねられているわけですが、こういうあり方も、まさに、広く言えば財政構造の問題につながっているわけですよ。行政構造の問題が財政構造につながっているなんというのは当たり前の話じゃないですか。  今のような、二度にわたるといいましょうか、それぞれの部門の失敗について、大臣として、それをやはり一元化していく必要があるんじゃないかと私などは思いますが、どのような見解を持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  43. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 まず、去る二月十日の午前十時三十分でございましたけれども、鹿児島の宇宙空間観測所から打ち上げられましたミューVロケット四号機、これはエックス線の天文衛星を搭載したものでありますが、これが所期の軌道に乗らず、失敗に至りましたことを大変に残念に思っております。  昨年のHIIロケットの打ち上げの失敗を反省いたしまして、事故原因の究明を注視しながら、万全を期して今回の打ち上げに臨んだわけでありますが、このようなことになり大変残念でございます。国民皆さんの期待に沿うこともできず、また多くの関係者の皆様にも御迷惑をおかけして、申しわけなく思っているところでございます。  今回の失敗を私ども非常に深刻に受けとめておりまして、私といたしましては、事故後、直ちに宇宙科学研究所に対して早急な原因究明を指示したところでありますし、同研究所におきましても鋭意調査が進められているところでございます。  今委員お尋ねの、文部省の方の宇宙科学研究所のロケットとそれから科学技術庁の所管の宇宙開発事業団のロケット打ち上げ、二つあるけれどもというお話でございましたけれども、我が国の宇宙開発は、一つは天文研究、太陽系の研究等、これを行います天文衛星を打ち上げる、そういうロケットの実験などの基礎科学研究の分野については、この宇宙科学研究所が行っておるわけでございます。これは大学共同利用機関でございますけれども、こちらで行っております。  もう一つは、御案内のとおり、今お話ありましたけれども、国の施策としての人工衛星の打ち上げ。これは気象衛星とか通信衛星等でございますけれども、これの技術開発の分野について宇宙開発事業団がそれぞれ分担しているわけでありまして、実用と科学研究の分野を効率的に整合性をとってやっているところでございます。  平成十三年一月から省庁再編になるわけでありますけれども、文部科学省のもとで両機関が連携協力をして、一層この協力関係を深めていくということは当然でございます。それぞれの特徴や機能を十分に生かして研究開発に推進してまいりたい、そういうふうに思っております。  しかし、いずれにいたしましても、宇宙開発体制のあり方というようなことにつきましては、この間失敗したばかりでありまして、まず今回の失敗の原因の徹底的な究明を行うことが第一である、そういうふうに考えております。  また、学術研究機関としての宇宙科学研究所と国の施策に基づいて開発を実施する機関としての宇宙開発事業団、こういう両機関の目的や性格の違いも十分に慎重に考慮しなければならない、そういうふうに思っておるところでございます。
  44. 菅直人

    ○菅(直)委員 大臣、余り持ってきたものばかり読まれると、総理も時々ありますけれども、やはり国民皆さんから見ると、大臣としての政治的な判断というものが見えないですよね。  つまりは、二つの機構がやっている、失敗した原因を調べてからどうしようか考えると言うけれども、なぜ二つの機構がやっているかなんというような話は、従来の歴史的経緯があることはよく承知していますけれども、例えば他の国を見ても必ずしもそういう形にはなっていないわけでありまして、一つの方向性を出していくのが大臣の役目で、そのためにここで議論をしているんですから、余りお役人が書いたメモをそのまま読まれたのでは、政治家同士の議論になってこないんですよね。これは、閣僚の皆さん全体にお願いをしておきたいと思います。  それで、もう一つ、次の問題に移りたいと思いますが、先ほど私が申し上げたことの中で大変重要な問題で、総理は、ではあなた方はどういうふうに予算を考えるんだということを言われました。私は、一つは、今の四・七%の失業率というものをどう考えるかということだと思うんです。  一方で、確かにいろいろな産業のいわば構造改革をしていくために、マーケットに任せればリストラが起きてくるわけです。だから、無条件に認める、認めないは別として、リストラそのものを抑えることは、これはマーケットのある程度の自律的な動きですから、これはできないと思います。しかし、そこから離職した人に対してどういう手当てをするかというのは、これはマーケットに任せていて大丈夫か。もちろんマーケットに任せていて離職した人のことがうまくいくはずは、必ずしも自動的にうまくいくはずはありません。  そこで、我が党は、例えば、今リストラに遭う人の多くは四十代あるいは五十代といった比較的中高年層です。アメリカでは、リンドン・ジョンソン大統領のころに雇用における年齢差別禁止法というものが制定され、その後だんだん内容が充実をしてきております。例えば、ある会社で外国との仕事をやっていた人が、何らかの事情で会社をやめなきゃいけなくなった。では中学の英語の先生なら自分の力なら十分できると思って試験を受けようにも、いろいろな公務員の受験の年齢の制限があって受けられない。つまりは、こういうところにも一方で規制があり、一方で離職した人に対する手当てが弱いわけです。  あるいは住宅ローンがある。企業は公的資金でいろいろやってもらっているけれども、せめて住宅ローンの中で、ではしばらく次の仕事につくまでは保障をしましょうとか、そういう離職した人に対する住宅とか年金とかあるいは再雇用の問題とか、そういうことについて、私はこの来年度の予算の中で、いろいろ言われておりますけれども、構造的な問題が入っていない。どう思われますか、総理
  45. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 先般、フランスのジョスパン首相が日本に見えられたとき非常に誇らかに私に申し上げられたことは、失業率が一三%から一一%に下がった、この成果を見てくれ、こういうことでございました。一一%の失業率をもってしても、各種の法律でその失業者に対しての恩恵が与えられればこそそれだけの数字になっているという反面もあるだろうと思っております。  そういう意味で、今民主党菅委員が御指摘のような雇用年齢差別禁止法、詳細は私もまだ十分承知をいたしておりませんが、いろいろな法律をつくればまた構造改革につながるかという問題についても、これは率直に勉強はしていかなきゃならぬとは思いますけれども、すべての雇用を、率を高めてしまったという結果になってもまたいけないことになるわけでありまして、そういう意味で、御指摘でもございますので私自身も勉強いたしたいと思いますが、労働省としてどのようなことを検討し、構造改革経済構造改革としてこの問題を取り組んできておるかということにつきましては、労働大臣から御答弁をさせていただきたいと思います。
  46. 菅直人

    ○菅(直)委員 総理がこれから大いに勉強したいと言われるのでそれで結構ですが、先ほど申し上げましたように、ちょっとパネルでも申し上げましたが、本来、マーケットに任せるべきことと、マーケットに任せていたのではきちんといかないことがあるわけです。そこを、どうも政府がこれまでやっていたこと、特に自民党を中心にやっていたことは、マーケットに任せるべきことに、さっき宮澤さん自身がたくさん言われました、規制の問題、補助金の問題、そういう問題でがんじがらめにして、天下り先をつくり、族議員をつくって、そこをベースにして選挙構造ができている。だから、口では改革改革だと言いながら一向に進まない。  一方、今の雇用の問題とか年金、医療の問題、これは、どちらかといえば、何といいましょうか、同じ税金の使い方でも、どの事業をだれにやらせるなんということはできないわけです。ある失業した人には全部に給付をするとか、ある病気になった人には全部給付をする。こういう分野については、政府が本来自治体と一緒になって責任を持たなきゃいけない分野でありながら、今の話のように、今から大いに勉強してみたい、その程度でありまして、私は、どうもそういうところが、先ほど来申し上げているように、今の来年度予算というものが国民に対して安心できるものになっていない一つの例示だと思っております。  そこで、たくさん話がありますので、少し話を進めたいと思います。  総理大臣——では、いいですよ、労働大臣
  47. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 先生御指摘の件につきましては、私ども、果たしてこの制度がいいかどうか。いろいろ問題がございまして、今一番私どもが関心を持っておりますのは、実は定年制との関係でございます。一応、六十歳定年、この年までは無理に解雇その他のことはしてはいけませんよということで、一つのセーフティーネットはちゃんとでき上がっております。  そこで、気にしておりますのは、六十歳定年の方が、社会保障関係の年金が六十五歳に延びますので、その間をどうするか。雇用不安が出てくるのではないか。当然出てくるわけでございまして、私どもは、仕事を継続する人のために給与の一部を補てんする、六十歳のときの給与が六十一歳のときどうなるか、最低限八五%の給与を何とか保障できないか、こういうことで、再雇用された方の給与の四分の一を補助する、こういう制度が確立されておりまして、今大企業ベースで、いろいろな定年との関係、再雇用をどうするか、これに関して賃金の調整が行われておりまして、この制度によって六十五までの方々の雇用不安というものは一掃される、このように考えております。  その定年との関係をこれから十二分に調整しなければいけない、こう考えております。
  48. 菅直人

    ○菅(直)委員 どうも、私が申し上げた雇用年齢差別禁止法の問題とちょっと別な話ではないかと思いますが、まあこの問題は、いろいろと総理労働大臣も検討していただくということで、宿題ということにしておきたいと思います。  そこで、ちょっと話を変えたいと思います。  昨年の暮れの予算委員会で、十二月六日でしたか、総理に私の方から申し上げたら、「十分調査の上、適切に対処いたします。」という答弁をいただいた問題があります。  つまりは、長銀が平成九年に債務超過ということが指摘をされて、今、現経営陣から裁判を受けているわけですが、この同じ年に千八百四十八万、自由民主党が長銀から献金を受けている、これはおかしいじゃないかと言ったら、総理は、今言ったように、「十分調査の上、適切に対処いたします。」と言われました。  つまりは、私が、これは返還すべきじゃないか、その後公的資金も受けているわけですから、返還すべきではないかということに対してこういう答弁をいただいております。これについては、十分調査をされた結果、どうなりましたか。返還されますか。
  49. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 自民党が御指摘の銀行から寄附を受けた時点では、現在のような状況は予想できず、当時は、寄附には何らの問題はなかったと承知をいたしております。  現在、長銀、日債銀については粉飾決算について裁判が行われておりますが、政治資金規正法では、三期連続赤字の法人からの政治献金は禁止されておりまして、裁判の結果などにより、そうした事態であったことが明確になれば返却が必要になると考えております。  ただし、長銀と日債銀につきましては、現在裁判中ではあるものの、経営破綻前に公的資金が注入され、平成十年三月、自己資金充実のためのものでありますが、破綻後も特別公的管理という形で、いわば国有化という事態となったことを考慮いたしまして、道義的な観点から既に返却をいたしておるところであります。
  50. 菅直人

    ○菅(直)委員 確認しますが、この千八百四十八万は返却されたのですね。今最後に、既に返却しているということを言うなら、確認しますが、返却されたのですね。確認してください。
  51. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 そのとおりでございます。
  52. 菅直人

    ○菅(直)委員 同じような問題が日債銀にもありますが、日債銀にはどうされましたか。
  53. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 先ほど長銀、日債銀と第三項目でお答えいたしておりまして、その結果として、国有化という事態になったことを考慮し、道義的な観点から既に返却したということでございますので、両金融機関に対して、こういうことで御理解いただきたいと思います。
  54. 菅直人

    ○菅(直)委員 これは、今後、初めての答弁でありますので、それはそれとして前進だと思います、そのとおりであれば。しかし、その前の年の問題とかいろいろありますので、それはそれとして、もう一つ申し上げます。  横浜銀行、北陸銀行、足利銀行などが、たしか平成十年に、いわゆる佐々波委員会当時、公的資金投入をたくさん受けたわけですが、そのうちの、受けている銀行の中に入っておりますが、これらの銀行から自由民主党は献金を国民政治協会の方で受けておられます。これについても、これは公的資金導入が、つまり佐々波委員会段階ですが、あった後に献金を受けているのですよね。これも同じ趣旨からして当然返すべきだと思いますが、総理、どうですか。
  55. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 その日時、その他について、私、十分承知をいたしておりますが、その点については、どのような処理になっておるか、調べさせていただきます。
  56. 菅直人

    ○菅(直)委員 いいですか。国有化にはなっていませんよ、この銀行は。しかし、公的資金が導入された後にまでもしもらっていたら、私の調査ではもらっているのです、もしもらっていれば、それがはっきりすれば返却されますか、はっきりすれば。
  57. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 調査を十分いたした上で対処いたします。
  58. 菅直人

    ○菅(直)委員 前回は適切に対処するという言葉が入りましたが、どうですか、十分調査された上で適切に対処されますか。
  59. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 適切に対処いたします。
  60. 菅直人

    ○菅(直)委員 そこで、まだあるのですね。  我が党の中には銀行監視プロジェクトチームというものがありまして、各銀行に対して自由民主党から政治献金ないしは自由民主党関係の新聞などに広告掲載要請があったという報道があったことについて、問い合わせを出しました、各銀行に。  そうしたところ、各銀行からは、そういうことはなかったという答弁がほとんど来たのですが、ただ一つ、回答を差し控えると言われた銀行がありました。これは、第一勧業銀行の頭取、杉田さんからの返事です。この方は銀行協会のたしか会長ですよね。  ということは、一番責任にある立場の人が、回答を差し控えたい。私どもがいろいろとマスコミ関係者から聞いたところでは、いろんなレベルではやはり自民党は要請をしていたはずだ、だからあちこちからそういう報道が出たんだと。しかし、正式な我々の質問に対しては、ほとんどの銀行はそういうことはなかったと言われていますが、第一勧銀の方は回答を保留されております。  総理にもう一回お尋ねしておきますが、自由民主党からこういう銀行に対して、改めての政治献金の要請を、あるいは政治献金ないしはそういう広告料等によって支援をしてもらうというような要請をされたことはありませんか。
  61. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 たしか幹事長から報告がありまして、そのような要請はしておらないということをお聞きいたしております。
  62. 菅直人

    ○菅(直)委員 これは、場合によっては、この全銀協会長にお出ましをいただいて、ちゃんとお聞きをしたいと我々は思っております。  そこで、もう一つだけ聞いておきます。  自由民主党は、銀行協会というか、銀行からどのくらい借金をお持ちなんでしょうか。
  63. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 自治省に届け出られております収支報告書から計算をいたしますと、平成十年末で七十三億四千万円となっております。
  64. 菅直人

    ○菅(直)委員 総裁として、自民党総裁として、総理、そういう数字でいいのですか。
  65. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 届け出には遺漏がないと思っております。
  66. 菅直人

    ○菅(直)委員 なぜこういうことを聞くかというと、自民党の歴代総裁・総理の発言というのが、私から見ても、多分国民皆さんから見ても、よくわかりにくいと思うのです、この問題では。  橋本総理の段階で、こういう公的資金などを導入している、そういう状況だから、自由民主党は銀行からの献金は自粛したいという、国会でもそういう答弁がありました。しかし、よく読んでみると、自粛はするけれども、前の借金を返すためにいただいている献金はそのまま続けるなんという、こういうようなことが読めるのですね。  ということは、借金がたくさんあれば、七十三億あれば、七十三億まではもらいますと。さらに借金を加えていって常に借金を持っていれば、永久に、借金返しという理由だったらもらいますと。これじゃ、献金を受けないという自粛という話と、いや、借金返しは受けていますというその話が全くわからない。いわばだましですよね、これは。  まさか小渕さん、そういうことはないと思いますが、自由民主党は借金返しなら献金を受けるのですか、これからも銀行協会から。それとも、そうではなくて、こういう公的資金などを入れている今の状況では、借金返しであろうがなかろうが献金は受けない、はっきり言われますか。
  67. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 事実関係だけ、簡単に申し上げます。  平成八年末の借金残高が百十一億六千万円でありまして、平成九年が九十一億四千万円、それから平成十年が七十三億四千万円、これは返済が行われているということを示していると考えております。
  68. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 自由民主党の金融機関からの借り入れや返済についての詳細については、自由民主党の経理局が詳細に行っていることであり、私がここで内閣総理大臣として御答弁申し上げる立場にはありません。  ただし、あえて申し上げれば、自由民主党においては、平成八年度以降、過去の借入金返済に充当するものを除き、金融機関からの寄附は自粛しており、また、十年十月、公的資金が投入される銀行からの寄附は、今後、過去の借入金返済に充当するものを含め、当分の間自主的に辞退するとの方針を決定し、その方針で臨んでいると承知をいたしております。
  69. 菅直人

    ○菅(直)委員 今の答弁は、少なくとも従来よりは少し前に向いていますよね。やっと少しはっきりしましたね。  過去の借入金の返済についてはもらいますと、平成八年ごろまでは。九年も十年も。さすがに平成十年十月になって、公的資金などの投入があったところからは当面自粛をしますと。当面というのが一カ月なのか十年なのか、これも一々聞かなきゃいけないようですが。そして、先ほどは、国有化になった長銀、日債銀については、一たん受け取ったものを返却する、こういう言い方であります。  ここまで来るにも、私も大分何回も、同僚議員を含めて質問しましたし、この予算委員会でも時間を使いましたが、国民皆さんから見れば、多額の税金を使って公的資金を投入しているところから、返済であろうが何であろうが、自由民主党がそこからどんどん献金をもらっているなんということ自体がおかしいし、まさに護送船団方式といったようなことが行われるのもそういう構造があるからで、先ほど来申し上げているように、財政構造改革というのを言われれば、まさにそういう部分に対してもきちんとみずからにメスを入れなければ変えられないんじゃないかと思っております。  そこで、少し話を進めたいと思います。  総理にちょっとひとつお見せしたいものがありますが、これ、よろしいでしょうか、委員長
  70. 島村宜伸

    島村委員長 どうぞ。
  71. 菅直人

    ○菅(直)委員 今お渡ししたものは、総理の秘書官の古川秘書官が警視庁に出された告訴状ということでありますが、この告訴状の存在を御存じですか。
  72. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 承知をいたしております。
  73. 菅直人

    ○菅(直)委員 総理は、本会議においての我が党鳩山代表岡田克也議員の質問に対して、国民皆さんに、その後いろいろ指摘があれば、ちゃんと説明したいという趣旨の答弁をされております。その答弁の前には、疑惑疑惑と言うけれども、その疑惑の中身がはっきりしないじゃないかという趣旨の話もされております。  しかし、私は、一般国民の気持ちからすれば、九八年ですか、NTTドコモ株が、株式が上場されたときに、もちろん親会社のNTTが大株主であることは当然でしょう。あるいは、いろいろな関係企業が株を持っていることも、それは理解できないことはありません。  その中に、ドコモ株を未上場の段階で持っていた九名の個人が存在をしたわけです。その九名の中に、小渕総理に大変近い関係の人が二人入っておられます。そして、そのお二人が持っている株の総数は、九名の個人の人たちが持っている株の総数の三分の一を超えているわけですね。そのお一人は、小渕総理のお兄さんの小渕光平さん。そしてそのもう一人が、この告訴状を出されている、今の総理秘書官の古川さん。しかも、これは上場して、その後の値上がりもありましたが、古川さんが持っておられるという株は、時価総額、きょうの相場は知りませんけれども、二十億とも二十五億とも言われています。小渕光平さんが持っておられる株はちょうどその倍ですから、四十億とも五十億とも現在の時価総額で言われているわけです。  国民皆さんからすると、小渕さんの兄弟や秘書官が九人の中に入ってそんな株が持てたのは、まあ宝くじでも当たったというのならそれは本当に幸運だったと言うけれども、そんなことが偶然なんだろうか。小渕さんは若いときから郵政省の政務次官もやられたり、自民党の中での郵政関係のいろいろな仕事をされていて、いわゆる郵政族議員とも目されているわけです。そういう御本人の御兄弟や、長年の秘書でもあり現在の秘書官でもある人が未公開の段階の株をそれだけ持っていた。やはり国民皆さんからしたら、ちょっとそんなことがうまいことあるのかな、少なくとも、疑惑かどうかは別として、疑問に思うことは当然じゃないでしょうか。  総理はそういう国民の疑問にきちんと答えられる用意はありますか。
  74. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 本会議場で、お二人から疑惑と述べられました。今、疑問、こういうふうに変えられておりますが、せっかくの機会であり、国会において、この問題について誠実にお答えすると申し上げましたし、ぜひ国民理解を得たいというふうに思っております。特に、野党第一党の有力議員からあえて国会で御指摘をいただきました以上は、このことを明らかにしていきたい。  私の兄並びに私の秘書に関してのことでございますが、これは私個人では全くありません。ありませんけれども、私の秘書官に関する限りは、それこそ大学時代、詰め襟をしておるときから、私の家に寄宿をしながら、三十数年間務めて、身を粉にしてやっていただいてまいりました。  ところが、今般、日本の有名な出版社である講談社、私も大変、そこで出版される書物については、例えば最近の乙武さんの「五体不満足」等、ベストセラーその他立派な出版物をされておる信頼ある出版社から、そこが出版しておる週刊現代なる雑誌によりまして、私の持つその株が、少なくとも盗み取ったものである、あるいはまただまし取ったものである、そのような大きな見出しのもとにこれが公開されておるということについて、これはいわば、我々政治家には時において有名税なるものがある、あったように思います。菅さんにも何かいろいろ従来そういうものがあったように記憶しますが、私はそういうことであってはならぬと思いまして、あえてこれは、秘書は刑事告訴をさせていただいたということであります。  今、これはまだ未処理ということのようでありますけれども、少なくとも、この国会で野党第一党の有力な議員が取り上げられたということであるとすれば、必ずそれはお取り上げいただき、十分な捜査をされ、それで最終的には司法、すなわち裁判所において判断をいただかない限りにおいては、私のことではありませんが、私の秘書に関する名誉に関して、これを明らかにする必要があるということでございまして、もしその疑念があるということであるとすれば、ここに先ほどちょうだいいたしましたのは本人の告訴状の写しでありまして、恐らくこれは御党においても、というよりも、これは、これを提出いたしました段階において記者団にも発表しておることですから、公開されておるわけですから。ですから、このことについての、中で問題があるとすれば、御指摘いただければ、十分私は誠意を持ってお答えをしてまいりたいと思っております。  ただ、念のため申し上げれば、兄についても、私は血を分けた仲ではあります。ありますけれども、既に財産その他みんな分与しておるわけでございまして、そのことについて私自身がどのように関与したかということを明らかにしていただければ、私もそれに対して十分お答えできますが、疑惑だとか疑念だとか言われておったんでは説明のしようがありません。  もし必要とあらば、私は秘書官の同意を得ておりますから、どうぞこれを、先ほど私はちょうだいしましたが、この委員会にも提出をいたしまして御論議をいただいて、国会で御審議をいただくことも結構だと思いますし、ここでいただいたということは、当然のことながら、これは捜査当局におきましても、そして司法当局においても最終判断をしていただけるものと確信をいたしておりますので、どうぞ、御懸念がある点がありましたら御指摘をいただきたいと思います。
  75. 菅直人

    ○菅(直)委員 総理として、覚悟というか、しっかり言われました。  私も、週刊誌が言うことが全部正しいとは全く思いません。ですから、私もきょうの質疑は、週刊誌に基づく質疑ではなくて、基本的にはこの古川さん本人が出された告訴状、あるいは私が直接に何らかの形で入手ないしは聞いた形の中でお尋ねをしたいと思いますから。決して週刊誌の孫引きで質問するのではないということをまず申し上げておきます。  そこで、小渕総理小渕総理は石井康元さん、そしてその奥さんの石井洋子さん、御存じですか。
  76. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 全くよく存じております。私が二十六歳で国会に出ましたときに、選挙区の中心地域は高崎というところでございまして、それは、福田、中曽根両大先輩の金城湯池でありまして、私がそこに事務所を設けることもできなかった。事務所を設けましたら家主から追い出されまして、その看板を今でも持っておりますけれども、その二度目の事務所をこの方が提供していただいたということでございまして、私にとりましては大変な恩人だというふうに今でも思っております。
  77. 菅直人

    ○菅(直)委員 一昨年、九八年の十月一日にこの予算委員会で我が同僚委員、海江田議員がこの同じ問題について総理に質問をいたしました。その日の夜、この石井さんの未亡人である石井洋子さんのお宅に古川さんが訪ねられた。これは総理は御存じですか。
  78. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 すべて秘書の行動を私は把握しているわけでありませんが、あるいはそういうことがあったかもしれませんが、私、そのことについての状況についてはすべて報告を受けておるということではありません。
  79. 菅直人

    ○菅(直)委員 ということは、これは当日ですからね。この当時は金融再生問題で大変忙しい時期でもあった。私もそうでした。総理の指示で秘書官が石井さんのお宅に伺われたということですか。そうでないんですか。
  80. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 そのようなことはございません。
  81. 菅直人

    ○菅(直)委員 古川秘書官がこの告訴状で主張されていることをちょっとパネルにしてみました。これは私の主張じゃありませんよ。これは、今総理自身が手に持っておられる告訴状の中で古川秘書官が主張しておられることですよ。  つまり、簡単に申し上げますと、鈴木弘さんという人が上毛通信サービスの発足のときに四千株を名義人としてなり、平方さんという人が二万株をやはり株主になっていた。しかし、この平方さんの二万株のうちの一万二千株は鈴木さんへの名義貸しであった。この二万株のうち、この名義貸しであった一万二千株を、翌年の四十八年十月に、うち八千株は小渕光平さん、総理のお兄さんに譲渡を鈴木さんがした、名義は平方さんのものですが。同じときに、四千株を石井康元さんに名義が変わっている。しかし、これは名義貸しである。そして、この小渕光平さんには株券もお渡しした、鈴木さんが。このように述べられております。  総理には事前に質問通告しているんですが、お兄さんの小渕光平さんは、この八千株の株の譲渡を受けられたんですか。そして株券を持っておられるわけですか。そのときに受け渡しをされたんですか。これは秘書官が言われていることですからね。
  82. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 若干、そもそものことを申し上げないと誤解をされると思いますが、最初にこの会社が設立をいたしました段階におきまして、群馬県内の有力な方々を株主としてこの会社は設立されたという記録が残っております。その後、会社が何回か合併その他を通じまして今日のような状況になっており、それが先ほどの御指摘をいただいた現在のドコモ株までになっておるんだろうと思います。  当時、これを取得した段階におきまして、今日のような状況というのは全く想像しがたいことであって、何ら疑惑に及ぶことではないと思いますが、私の兄についての質問につきましては、まず、兄弟とはいえ、第三者のプライバシー、個人の資産関係にかかわる問題であり、国会で答弁することは一般的には民法上、法律上許されないところでありますが、しかし、あえて議員がということでお尋ねでございますので、これをお答えいたしたいというふうに思っております。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕  と申し上げますのは、私は兄弟、別に仲が悪いわけではありません。しかし、仮に財産その他において相争っているような場合に、第三者のことにつきまして、私が公の立場で、内閣総理大臣として、そうするわけではありませんが、調査権を行使したというようなことがかりそめにもあるとすればまことにゆゆしきことでありますので、そういった意味で念のため私が申し上げた上で御質問にお答えをしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、調査に当たりました弁護士によりますと、私の兄は、昭和四十八年十月に、現在の会社の前身のそのまた前身に当たる会社の役員をしていた方、故人鈴木弘氏から、その方が別の方の名義、平方昭氏にしていた株式を譲り受け、株券の引き渡しを受け、これを以後保管しておったということでありまして、まさかこのような株価になるなどということはやまやま承知をしませんで、田舎の会社の金庫に眠っておった、こういうことでございまして、今も恐らくそれは保持されておるもの、このように考えております。
  83. 菅直人

    ○菅(直)委員 御本人に確かめられたんですね、光平さんに。つまりは、そのときにちゃんとお金を払って株を受けて、株券もその時点で受け取られた、少なくとも古川さんはそういうことをこの中で言われているんですよね。そのことを確認したいんです。弁護士とかなんとかじゃなくて、お兄さんのことですから、お兄さんとの関係でお兄さんに聞かれればわかることですから。
  84. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 それはいつの予算委員会でしたか、あるいは参議院だったかと思いますけれども、そのようなことを答弁しておりますので、その時点で恐らく確かめた結果であるというふうに思っております。
  85. 菅直人

    ○菅(直)委員 ということは、今回は確かめられていないということですか。
  86. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 確かめるといいましても、その事実についてそこの告訴状にきちんと示されていることは、私の信頼する秘書がそのように告訴状を提起しており、その中で記載されておるということであれば、それを私は信用する、こういうことだろうと思います。
  87. 菅直人

    ○菅(直)委員 いや、ですから、その記載されている中身がお兄さんに関することだから、お兄さんに確かめられたのですかと聞いているんです。
  88. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、前回そのようなこととして、どうなっておるんだということを、前回問題になりましたときに、私も全然そんなことは存知しませんし、記憶にもありませんでしたから、そういう話が出てきて国会で話題になるから、どうなっているんだと言いましたら、先ほど御答弁申し上げたこととしてお聞きをした、こういうことでございます。
  89. 菅直人

    ○菅(直)委員 どうもはっきりしませんが、結局は、今回私は、一昨日この質問通告をしたときに、来た方に、よくこの中について、特にお兄さんのことについても聞いておくように申し上げておきましたが、今回は確認されていないということですね、今の答弁は。  先に進みましょう。  そこで、この古川さんの告訴状によると、同じときに、平方さん名義の株のうちの名義貸しをしたものの残りの四千株を石井康元さんに名義を変えた、譲った。このことについて未亡人の洋子さんは、主人が生前にこういうふうに言われていたと、先生から分けてもらったと、先生というのは小渕総理のことであります。先生から主人が分けてもらったと喜んでいた、このように言われておりました。総理、御存じ、覚えありますか。
  90. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ただいまの発言は、引用しない、しないと言われましたが、週刊現代の中で書かれておる発言だろうと思います。  私は、石井夫人、またその御主人であった石井康元氏は、私にとりまして数少ない高崎市における支持者として、今日私がある礎を築いていただいたものだと思っております。  が、しかし、もしそういうことであるとすれば、この石井夫人に相確かめて、先ほど申し上げましたように、捜査当局からはっきりしていただきたいと思いますが、人情としますと、私としては、私を支えてくれた方でありまして、もしそういうように本人の、主人の意思、すなわち占有者たる鈴木弘の資産の株でないということであるとすれば、そのときに、遺産相続その他、あるいは株券をどのように所持しておったかということについても明らかにしていただきませんと、このことは証明できないことになりかねると思っております。  私は、そういう意味で、御本人に対しましても、この週刊誌の発言について、その是非について秘書官からそのことを聞き取るべきだと言われましたけれども、なかなか本人が、行方が定かでなかったという点もありますし、それ以上に、私を支えてくれた方とそういった形で法廷で相争うというようなことは避けたいという心情があってのことでございますので、今の御指摘は、菅さんがお調べになって、そのようなことということであるとすれば、いま一度確かめてみたいと思いますけれども、週刊誌にはそのように書いてあったことは承知をしております。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 菅直人

    ○菅(直)委員 私、冒頭に申し上げたでしょう、週刊誌の孫引きをしないと。総理は何で私が言っていることが週刊誌の言っていることだというふうに言われるんですか、私はこの耳で聞いたのですけれどもね。(発言する者あり)私は、同僚議員と石井洋子未亡人にお会いをして、石井未亡人の口から話をされたことを聞いたのですけれどもね。何だったらテープでもかけましょうか、同僚議員一緒に聞いていますから。何で勝手に週刊誌の孫引きだと決めつけるんですか。そこだけはまず謝ってください。
  92. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ですから、私がそういった熱心な御調査をしたということまで承知をしておりませんから、週刊誌にのっとったことについてのことと理解したわけでございますが、しかし、そういうことの証拠がありますれば、それはぜひ明らかにしていただいて、裁判においてでも、適切な当局においての調査、あるいはそうした方についての恐らく正式な答弁書が出てまいりますから、それを司法において御判断をいただくより私としては何とも申し上げられない、こうだと思います。
  93. 菅直人

    ○菅(直)委員 総理は最初に、国民皆さんの疑問には答えると、だから、私の言うことで、直接のことだったらできるだけ答えたいと最初に言われました。  そこで、私はもう一回聞きます。  石井未亡人のお話では、先ほど申し上げたように、昭和四十八年の十月に、一万二千株の平方さんの名義のものの中で八千株を小渕光平さんに譲った、これは古川さんが言われていることです。それで四千株が石井康元さんの方に移っている。これに関連して、奥さんは、当時御主人が先生から分けてもらったというふうに言われていた、こう言われていました。先生というのはどなたですかと聞きましたら、小渕総理だということであります。  普通考えますと、小渕総理の指示でだれかの株を譲り受けられたのか、そんなふうに受け取られますが、この石井夫人の発言について、どうですか、総理の見解を伺います。
  94. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ですから、私、石井夫人と直接面談したわけでもありませんし、古川秘書官がそのことをお聞きをしてきてお話をしたわけではございませんで、石井夫人がそういうことをお話しされたとすれば、申し上げておりますように、このことの是非は明らかに、十分な捜査当局の捜査の結果これが起訴され、そして、それは法廷において明らかにしていただく以外に、言った言わない、あるいはまた、言ったことの事実関係も定かでないということであるとすれば、そのことについて私がこれ以上申し上げることは甚だ難しいことではないかというふうに思っております。  申し上げましたように、私がそういうことを言われたと言われましても、石井氏は既に昭和四十九年にお亡くなりになっておられまして、これはなかなか微妙な人間の心理状態かもしれませんけれども、隣の家に蔵が建つと自分に腹が立つということをよく、ことわざとしてありますけれども、全く無価値であり、当時とすれば全く配当もない株を、よき支持者の株式であるということで、副社長からこれを引き取ってほしいということに善意でこれを引き取って、それは株で売買してもうけようとか配当を得ようとかいう気持ちが全くない、もとよりドコモの株がこんなになるなどということは全く承知をしない時点で六十三年に受けておるわけでございます。  そういうことが今日いろいろ報道されるに従って、これに取り巻く多くの方々がかなりいろいろな形で自分の所有権を主張しておるやに聞いておりますが、そのことを一々私が、この状況を調べ、かつそのことを報告するということは、内閣総理大臣としてそれぞれの事案に対して私がある種の捜査権を行使するような誤解をいただいては全くならぬということでありますから、第三者にお任せしようということであります。  そして、その告訴状につきましても、そちらさんでも持っておられますけれども、これは記者会見で申し上げたことであります。しかし、冒頭申し上げましたように、国会であえて野党第一党からこうして御指摘をいただいた以上は、これは捜査当局も必ずこれを取り上げていただきまして、その真実を明らかにしていただくものだ、こう考えておりますので、私といたしましては、これ以上申し上げることは何もございません。
  95. 菅直人

    ○菅(直)委員 どうも何か捜査当局、捜査当局とよく言われますが、私が聞いているのは、単に、小渕さん御自身が認められたよく御存じの、石井康元さんは残念ながら亡くなられておりますが、その奥さんがこういうふうに言われていましたよ、総理から亡くなった主人は分けてもらったと言われていましたよと。それについて総理、どうなんですかと。総理が言われたという話を直接聞いているのであって、それを捜査当局にまちたいという話はよくわかりませんね。  ただ、ちょっと話を進めたいと思います。  そこで、古川さんの告訴状では、石井康元さんに四千株は一たん渡ったと言っているのです、名義は。しかし、これは名義貸しであったのだと。奥さんは、そうじゃない、自分の御主人が受け取ったものだと言われています。その後、この石井さんが亡くなられた後に増資があって、だれの手続かで五百株ほど増資になっていて、そしてそれの合わせて四千五百株を、六十三年六月に古川さんは、名義でいえば石井さんの名義のものが古川さんに変わった。  しかし御本人は、いや、これはもともと鈴木さんが当初平方さんに名義借りをしたもののその一部をもう一回石井さんに名義貸しをしてもらっていたのを、今度は自分がお金を払って譲渡したんだ、譲渡を受けたんだ、こういうふうに言われているんですよ。古川さん、いろいろ御存じですよね。小渕光平さんへの譲渡は譲渡で、石井康元さんへの名義の書きかえはこれは名義貸しで、自分の場合は今度はまた譲渡だと。これはどういうことですか。古川さんがこう言っているんですよ。  つまりは、株主名簿でいえば、平方さんから石井さんに行き、石井さんから古川さんに行っているんだけれども、ここは譲渡ではなくて、名義を単に鈴木さんが借りただけなんだ、こんなことを古川さん言われていますが、古川さんにこのことは本当に事実だったか確かめられましたか。石井さんの奥さんは、そうではないと言われているんですけれども
  96. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 告訴状を、公権力にこれを提出するということにつきましては、うそ偽りないことを明らかにするべきことだと思います。  特に、民事訴訟においてはいろいろたくさんこういった問題が起こってまいりますけれども、あえて今日刑事訴訟に踏み切ったゆえんのものは、まことに石井夫人の発言、すなわちそれは、今お聞きすると菅代表もみずからお聞きされてきたそうでありますが、その発言そのものの真実性と、また古川秘書官、すなわち私に三十数年尽くしていただいた方に対しての発言は、その告訴人が少なくともこの告訴によって私自身に累を及ぼし、そしてかつまた問題を、誤りを来すということであれば、よほどの覚悟を持っていたしたものと私は考えておりますので、ぜひそれは、もし国政調査権の名において行っていただくのなら、それまた私は、ここに秘書官からその資料については、先ほど来お手元にも渡っておりますが、委員長にもお渡しをいたして御論議をいただいても結構でありますし、捜査当局、捜査当局ばかり申し上げているんじゃありません。国民の中に明らかにしていきたい。  今日、この会社ができてから数十年、そして、たまたまこれは世の中の動きでありましょうけれども、ここ数年において携帯電話が五、六千万台になったということにおいての株価がありまして、そのことを数十年前あるいはまた六十三年、こういう時点で明らかにできるほど、私はそのことを想定できる人というのはそう数あったものではない。私自身はそのことは全くそこまでの考えは及んでおりませんし、また、先ほどのお尋ねの石井夫人に対してはさようなことは全く記憶しておりませんので、改めて出るところに出ましたら明らかにいたします。
  97. 菅直人

    ○菅(直)委員 どうも総理は、本会議で言われたり冒頭言われたことと大分話が違いますよね。国会では、誠実に私としては国民理解を求める努力をいたしていきたいと申し上げておきますと言っています。  そこで、もう一回言いますよ。古川さんが言われているのは、今言いましたように、この平方名義の二万のうちの一万二千株のうちの四千株が石井さんに移った、これは名義貸しだったと。今度はもう一回、石井さんが亡くなった後に古川さんが譲ってもらったと。これはどうやって譲ってもらったんでしょうか。名義変更を普通する場合は、相続人の承諾が要りますよね。(発言する者あり)  いや、総理に聞いていけないんだったら、だれに聞けばいいのかも教えてください。古川さんに聞けというのですか。古川さんに聞けというのであれば、それはそういう手続をとりますが。総理がちゃんと、自分の秘書官が正式に出した文書で言っていることについて聞いているんですよ。だから、御本人に聞けと言うんだったらそうしますが、どうですか、総理
  98. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 予算委員会で、こうしたことで御論議をいただくことは残念でありますけれども、ぜひ真実を明らかにするという意味で、御指摘があれば、この告訴状によって朗読することをお許しいただければ、今の経過についてはお話をいたします。  簡単に申し上げますと、六十三年の段階で、この会社をもともと設立した鈴木さんが、企業としてもなかなか成り立たない、それから各県のとの合併その他で、みずからが、副社長でございますけれども、地位が失われるという段階で、そして、いよいよもって大企業に合併をさせられるということであるとすれば、そもそもこの会社を設立した段階で県内の有力な方々に株主となっていただいたことにかんがみまして、その中で、みずからが、鈴木さんが株式を持ち、名義、すなわちここに書いてある平方さんの株自身も、本人の株以外には、私の兄に譲られた点も鈴木さん自身の持っておる株式でございまして、それを、だんだん年月を経て、ついに自分自身でも、もう手元に置きたくない、ついては、石井さんは、私自身との関係も含めて、みずからが名義として持っておった株でありますから、関係者に当たる私の秘書に持っていただくことが望ましいのではないかということで、このお話をいただいた。  あえてそのときに、これをどうしても取得しなければならぬというような、今の想定されるような状況の株式ではありませんので、お断りしてもよかったかもしれませんけれども、そうした経緯にかんがみまして、あえてきちんとした手続を踏んで、それで株主総会でも決定していただき、所要の費用を支払ってこれを取得し、そしてそのまま、実はこれを売却することもなくみずから手元に置いておいたというのが真実だ、このように私は聞いております。
  99. 菅直人

    ○菅(直)委員 そういう趣旨のことが確かに告訴状に出ていますね。今総理はわざわざそのことを繰り返されたというのは、総理の認識もそういうことだと。  そうすると、県内の有力な方々にもともと株の配分を鈴木さんがしようとした、あるいはしてきた。その有力な方々が、一人は小渕光平さんだった。一人は石井さんだったのですか。一番有力なのはだれですか。今も言われましたように、私自身との関係を含めてとか、関係者に当たる私の秘書、これは古川さんのことでしょうが。ということは、これは私が推測をし過ぎか、あるいはあれかもしれませんが、小渕総理そのものに対する、一番有力な方に対する、持ってもらいたいというのを、もしかしたら、かわりにだれかの名義でやられたということを今言われたのかなと、総理がですよ。  そうでないのだったら、なぜ二段階も名義借りをしなければいけないのでしょうね。一段階目は平方さん、ここはスタートのところだからいろいろあるでしょう。二段階目に、小渕光平さんには譲渡をして、石井さんには名義借りをした。しかし、奥さんはそうは言われていませんよ。奥さんは分けてもらったんだと。しかし、そうしてこれが、亡くなられた後、今度は古川さんに移った。ここは今度は譲渡だと。  どうですか。総理が言われているように、私自身に関係があるということは、私自身に関係があるという意味は、石井さんも関係がある。古川さんはもちろん、ある意味では小渕総理の金庫番とも言われている。ということは、考えられるものとしては、まさに古川さん自身が言うように、二段階に名義を、鈴木さんが平方さんに名義借りをし、石井さんに名義借りをし、そして古川さんにこれは譲渡したと言われるとおりなのか。それとも、石井未亡人が言われるように、石井さん本人が譲渡を受けたものなのか。場合によったら、それとも小渕総理のかわりに名義借りをどなたかがされて、だから石井さんが亡くなられた後に一番近い関係の古川さんに譲られたのか。こういう疑念が出ますよね、どうしても今の話を聞いていると。どうですか。
  100. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 会社を設立しました鈴木さん、なかなか、当時群馬県におきましてもいろいろ新しい仕事に取り組まれた方であることは、これも私、承知をしております。  その後の経過について、今菅議員は、私の、何といいますか、実質的なものであるというようなお話をされておりますが、全くそのようなことはありません。事実、私がこれを掌握しているわけじゃございませんし、そのように御推測のたぐいは大いに結構でございますけれども、したがって、これを明らかにする場所については、どこでも幾らでもお話を申し上げる、こう申し上げておるところでございます。
  101. 菅直人

    ○菅(直)委員 これは総理自身が、私の関係を持った人というふうに言われたから。その前には県内の有力な方と。県内の有力な方はたくさんおられるでしょう、そして小渕さんも有力な方でありますから。その有力な方に関連がある人に鈴木さんが譲ったとすれば、あるいは二段階も、名義貸しをするときにそういうこともあるのかなと。決して無理な推測をして申し上げたんじゃなくて、否定されるのなら、どうぞ否定されればいいのです。  どうでしょう、総理。やはりこれは総理に気の毒だと私は思うのです。こんな議論、本当は予算委員会総理にはしたくなかったんですよ。ただ、総理が本会議で、すべては告訴してあるからその中でと言われるものですから、告訴状に書かれていることについてと、私が直接耳に、直接お聞きしたことについてだけ今お尋ねしているのです。だから、これ以上お答えにならないというのであれば、告訴状を出した本人からお話を聞くのがいいんじゃないですか。総理、どう思われますか。
  102. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 一般的に、告訴して事犯になっておらないことは、先ほど申し上げました。しかし、あえて菅さんがこうして国会の場で取り上げられたということについては、恐らく捜査当局も必ずこれを受理されて、今後の捜査並びに法廷においての判断が下されるものだというふうに思っております。  そこで、私としては、当時のことから考えまして、そのようなことはないということは先ほどきっぱり申し上げておきましたけれども、菅さんも御承知のように、この鈴木さん、実は既に物故されておられるわけでございまして、死人に口なしと言えばそれまででありますが、私どもとしては、ぜひ出てきていただいてはっきりしていただければ、今いろいろなお言葉を使って、疑念、疑念、疑惑、疑惑、みんな私に関連する、こう言っておられますが、そのことを完全に否定していただけるものと考えておりますが、これはせんないことだろうと思っております。  どうぞ、いつでも結構でございます。幾らでも誠実にお答えするものはお答えしている。私はそう思っていますけれども、これ以上、私は予算委員会で今まではいつも書き物を読んでいるというおしかりをちょうだいしておりますが、これほど理解をしてよく話しておるというのはそんなになかったと思っていますので、この誠実さは買っていただきたいと思いますよ。
  103. 菅直人

    ○菅(直)委員 本当に小渕さんがみずからの口でよく答弁されていると思いますよ。  しかし、私が申し上げたのは、鈴木さんに来てもらおうといっても、まさに今総理自身の口から出た死人に口なしで、亡くなられているのですから無理です。しかし、告訴状を書いた御本人はぴんぴんされているのでしょう。何だったら、今国会にもおられるのじゃないですか、秘書官なんだから。  その秘書官が全部言ったのでしょう。鈴木さんが言った話じゃないですよ、これは。秘書官が告訴状で言っているのですよ。鈴木さんが名義を借りて、石井さんの名義を借りて、自分は譲渡を受けたんだと本人が言っているのですよ、本人が。だから、本人から話を聞いた方がいいのでしょう。だって、総理は直接じゃないと言われるのだから。どうですか。
  104. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 大体そこへ持っていこうと思ってずっとお話しだったように、私は長い国会議員の経験から承知をしておりますけれども……(発言する者あり)私はそう思っているということを申し上げているのです。したがって、そのことは、もし必要とあらば国会で御判断いただく、こういうことだろうと思います。
  105. 菅直人

    ○菅(直)委員 いや、総理はよく理解されていますよね。  私はだから、本会議総理がみずから国民に対して、その理解を求める努力をすると言われたから、あるいはこの委員会でもそう言われたから、あえてお聞きしているんであって、いや、これは秘書が勝手に言ったことであって、それは秘書に聞いてくれと言われれば、それは当然当事者に聞くのが一番いいでしょう。  委員長、古川さんをこの委員会で、やはり証人として来てもらう必要が私はあると思いますが、今の総理の話だと。いかがでしょうか。
  106. 島村宜伸

    島村委員長 理事会で協議いたします。
  107. 菅直人

    ○菅(直)委員 この問題については、後ほど同僚議員からもさらに重ねての質疑があろうかと思っております。(発言する者あり)
  108. 島村宜伸

    島村委員長 御静粛に願います。
  109. 菅直人

    ○菅(直)委員 私は冒頭に申し上げたように、小渕さん本人は、私は世界の借金王だと。三百六十四兆円もの借金を国がする、しかも、この小渕政権になってからそのうちの四分の一近くはふえたものであるわけです。一方で、それは小渕さん本人の名義にはなっていない、しかし、お兄さんやまさに学生時代から小渕さんのそばにいた今の総理秘書官が、いわばぬれ手にアワの株長者になっている。大借金を政府はしながら、小渕ファミリーはある意味では株で、しかも未公開株でその大きな利益を得ている。やはり国民からすれば、そのことが疑問でなくて何でしょうか。  その中で、今申し上げたように、当事者の間でも、いや、これは名義借りだったんだ、いや、名義借りではないんだという話になっているわけですから、捜査当局、捜査当局と、口を開けば言われますが、秘書官が告訴状を出しているのは警視庁ですよ。警視庁に対して出しているんであって、しかもそれは、名誉毀損について出しているんであって、この株の名義が本当に正当に異動したのか、それともそうでないのかという、石井夫人が言われている問題について焦点になっているわけじゃないんですよ。  ですから、そういう意味では私は、総理国民に対して答えるというのであれば、最後に言われましたが、どうぞと言われましたから、総理の方からもぜひ進んで、秘書官にこの国会に出て説明をするように言われるべきだ、こう思います。
  110. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私も法の専門家じゃありませんけれども、刑事告訴をされたということで、もし御不服あるとすれば、一般的には、それに対しての誣告罪を刑事告訴されて法廷に争うというのが一般的法治国家における姿ではないかと私は思います。もし、そういうことで、刑事告訴に対しての誣告罪その他の法律によって対応するということであれば、それに対しても誠実に、真実を明らかにして対応させていくということは、これは必要なことだというふうに思っております。  それから、念のため、私の借金王の話が出ましたけれども、これは自民党の県連大会でたまたま、これだけの借金を背負っておる、その責任者たる者の重要性を考えて、何とかしなければならないというお話をいたしましたし、またあるときには、実は一昨日バンコクに行きまして、いわゆる宮澤構想八百億ドルについて、ASEAN各国の皆さんがこれを非常に多としておりました。しかし、私自身も、今これだけ財政に対しての大きな重荷を背負いながらも、アジアの皆さんと行をともにして、アジアの発展なくしては日本の国の発展はないということで、これだけをしょっておる、そういう意味で、ある種の借金王的な立場になっておるということを説明として申し上げておるわけであって、得々として、私が借金王だからよろしいようなことを言われていることは、全く私の真意ではありません。  これを一日も早く解消していくために努力をし、経済を回復し、景気をよくしていくということが私の責務である、こう心得ておりますので、誤解をいただかないようにぜひお願いいたしたいと思います。
  111. 菅直人

    ○菅(直)委員 この問題をとりあえず終わるに当たって、委員長にお願いをしておきます。  先ほど申し上げた古川秘書官に対する証人喚問に加えて、これに関連したいろいろな資料があります。上毛通信サービスの取締役会のいろいろな時期の議事録とか、株式の譲渡承認請求書とか株主の名義変更請求書とか、あるいは株主名簿とか、あるいは、この中に書かれているのは、鈴木弘さんが代金を領収したときの何か名刺があると書かれていますが、そういうものとか、そういうことについて、あるいは小渕光平さん名義の売買代金の領収書関係とか、こういうものについて資料請求をいたしたいと思います。委員長、よしなに諮っていただきたいと思います。
  112. 島村宜伸

    島村委員長 理事会で協議をいたします。
  113. 菅直人

    ○菅(直)委員 それでは、持ち時間が少なくなってまいりましたが、大変重要な問題、幾つか残っております。  一つは、外務大臣が先日アメリカに行かれたときに、沖縄の普天間の問題についてアメリカの何人かの方と話をされたという報道が出ておりました。——失礼しました、防衛庁長官でありましたが、ちょっと勘違いいたしました。防衛庁長官が向こうの方と話をされたと出ておりました。  長官にお聞きいたしますが、この問題、沖縄知事は、十五年間の期限で返還をしてもらうという条件でなら軍民両用空港、いいんではないか、そういう公約で当選されたと思いますが、この十五年という問題について、防衛庁長官はアメリカの政府当局者と話をされた結果、理解を得られたんでしょうか、どうでしょうか。
  114. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま私に対しましての御質問でございますが、代替施設の使用期限につきまして、私から、先般ワシントンを訪ねまして、国防長官に経緯はお話をしたところであります。  閣議決定にありますとおり、国際情勢もございまして、厳しい問題がありますことはよく認識をいたしております。稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを、いわゆる十五年の期間でございますが、私は重く受けとめておりますことを先般、コーエン米国防長官お話を申し上げた。また、その会談の以降、今まで国防長官の職にありました方々等々、旧知の方々にお会いをしたこともございますが、その席は、今申し上げたようなことよりも、日米安保体制の必要性についてお話を申し上げたということが経緯でございます。
  115. 菅直人

    ○菅(直)委員 話をされてみて、例えばアメリカの国防長官が、稲嶺知事の言う、あるいはそれを政府としても重く受けとめておられると答えておられますが、十五年の期限というものについてアメリカの反応というか、見解はいかがでしたか。
  116. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいまその経緯を申し上げさせていただきましたが、このコーエン長官との会談におきまして、日米安保共同宣言を念頭に置きつつ、日米両国政府は、国際安全保障環境の変化に対応して、両国政府の必要性を最もよく満たすような防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事体制について緊密に協議を続けるべき旨の発言がございました。  といいますのは、私は、御高承のとおり、昨年暮れの閣議におきまして、普天間問題を取りまとめさせていただきました閣議、これらについて間断なき対話が日米防衛当局者において行われることが必要であり、また、こうしたことが沖縄の知事及び市長からの要請でもございました。これらについて率直に経緯を伝える。  そしてまた、十五年の問題といいますのは、今申し上げたように、我が国の問題といたしまして、問題処理につきましては、沖縄のSACOの実施というものが粛々と行われて県民の理解を得ることが目下重要だと考え、また、この十五年間の問題については重く受けとめておるわけでございますが、アジアにおける軍事情勢につきましては極めてまだ行く先、問題も多いところでございますから、これらの問題も踏まえながら、日米間で今後の会議におきまして折々相談をする、協議をしていく課題である、かように認識をいたしております。
  117. 菅直人

    ○菅(直)委員 私も、アメリカの関係者が、この十五年の使用期限ということを、わかりましたということはこれまでの発言からしてそうないだろう。防衛庁長官もそういう感触を持たれた感じですよね、今の話を聞いていますと。  そうすると、総理総理は沖縄県あるいは名護市に対して、この十五年の使用期限ということをアメリカに対して説得する、いわばそういうことを前提として了解を取りつけた、こういうことじゃないんですか、総理
  118. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 その経過は沖縄開発庁長官が一番よく承知しておりますが、今おりませんので、私が承知いたしておりますことを申し上げますが、代替施設の使用期限につきましては、政府としては、閣議決定により、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受けとめ、先般これを、先ほどお話ありましたが、瓦防衛庁長官がコーエン国防長官に対し取り上げたことに続き、河野外務大臣からフォーリー駐日米国大使に対し取り上げたところであります。  政府としては、閣議決定にあるとおり、今後、国際情勢の変化に対応して、本代替施設も含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事体制につき、米国政府と協議していくことといたしております。  また、政府としては、あわせて、国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねてまいりたい、このように考えております。
  119. 菅直人

    ○菅(直)委員 外務大臣、今名前が出ましたので。外務大臣はフォーリー大使なり、あるいはいろいろなパイプでアメリカの感触を探っておられると思いますが、外務大臣から見られて、この問題、どんなふうな見解をお持ちですか。
  120. 河野洋平

    ○河野国務大臣 今、総理御答弁になりましたように、国際情勢というものを我々はどう見るかという点では、大変厳しいものがございます。そういう状況を踏まえて、これからいろいろ考えていかなければならない、そういうふうに私どもは思っているわけでございます。  今、議員お話しのように、私は先般、フォーリー在京アメリカ大使とお話を申し上げましたが、その際にもこの問題を取り上げたわけでございますし、日米間には御指摘のようにさまざまなレベルでさまざまなパイプがございまして、そのパイプを通して日本状況等についてはしかるべく説明をし、日米間の意思の疎通というものを図っているところでございます。
  121. 菅直人

    ○菅(直)委員 私は、この問題、二重の意味で心配しているんですね。  一つは、今も言われましたように、日米間で、国際状況の将来を見通したときに、十五年ということについて、そう簡単に合意は得られないのではないか。一方で、総理は、沖縄に対しては、そのことが何か実現といいましょうか、その約束が守れるかのようないわば感触を与えて、それで進めていくと。そうすると、必ずどこかで矛盾が起きるわけですよね。しかも、この七月の沖縄サミット、サミットの前のあたりでその問題が、いわば言葉は悪いですが、沖縄の皆さんから、二枚舌じゃないかなんということをまた言われるようになったら、これは私は大変重大なことになると。  総理は、この矛盾を、特にサミット前までにきちんと一つの結論にすることの自信がおありなんですか。それとも、つまりは、その矛盾を玉虫のままでサミットを迎えようというんですか。これは総理からお聞きしたいんですがね。
  122. 河野洋平

    ○河野国務大臣 御指名でございますので私から申し上げたいと思いますが、総理初め私どもは、沖縄県あるいは名護市の市長の非常に苦渋に満ちた御判断であったと思いますが、こうした御判断を重く受けとめる、これはもう当然のことだと思います。  今日の沖縄の状況を考えれば、日本にございます米軍基地の四分の三が沖縄に集中している、大変な御負担を沖縄県民におかけしている、こういうことを考えれば、沖縄県知事あるいは名護市長の御判断というものは、これは重く受けとめるというのは当然のことでございます。  そうした御判断を重く受けとめながら、しかし一方で、先ほど申し上げましたように、国際情勢を考えればこれはなかなか厳しいところもあるということでございまして、その点について私どもとしても慎重に考えなければならぬというふうには思っているわけでございます。  今議員がサミット前云々というお話をされましたけれども、私どもといたしましては、普天間基地の移転につきましては、普天間基地周辺住民の皆さん方が安全のために非常に不安を感じているので、安全のためにも一日も早くこの普天間基地は移転してほしいという強い要請が、もうこれはかなり前からあるわけでございまして、そうした住民の皆様方の要請にこたえるということから、米軍との間に、普天間基地の移転についてかなり長い期間話し合い、この普天間基地の移転について話が進みつつあるわけでございまして、これは沖縄にサミットを誘致したときに始まった話でもなければ、いつまでにどうするということを考えてやっているのではない。一日も早く普天間基地の移転ができることが望ましい、そういう気持ちで私どもこの問題に取り組んでいるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  123. 菅直人

    ○菅(直)委員 冒頭にも申し上げましたように、私は、この自自公政権、特に小渕政権三つのキーワードだと。ばらまき先送り、無責任。ですから、この普天間の問題も、大変重要な問題だという認識は全く同じですが、いわば玉虫のまま最終的なことを先送りしながらやっていくというやり方が果たしていいのか、私はそういう意味で大変疑問に思っております。  最後に一言だけ。  総理は、どこかに出かけられたときに、予算が停滞するならば解散もと言われていましたが、予算の審議が始まる前に本来解散すればよかったと思うのですよ。もう政権ができて二年近くになろうとしていますが、総理はまだ衆議院の選挙、国民の審判を受けておられません。たしか参議院では国会の指名も受けていないまま、衆議院の多数で政権をとられ、その後、自由党公明党政権参加をする中で、国民の意思とは全く無関係に政権を維持されている。  どうですか、この予算審議を一たん後に回してでも、まずはこんな無責任予算がいいのかどうか、国民に信を問われるつもりはありませんか。
  124. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ぜひ、この十二年度予算を一日も早く成立政府としてはお願いしておるということでございます。  機中の懇談で、いささか誤解があってはいけませんが、予算案というものが、政府で出し、これを否決されたということは、これは大きな解散の、国民に信を問う最大の機会であるということは、これはもう当然のことでありまして、そのことをそのままに申し上げたということであります。必要なときには、国民に信を問うべきときには、これは断行していかなければならない、この覚悟でおりますが、現時点は、ぜひ予算成立をお願いいたしたいと思っておる次第でございます。
  125. 菅直人

    ○菅(直)委員 それでは、私はこれで終わります。
  126. 島村宜伸

    島村委員長 この際、海江田万里君から関連質疑申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。海江田万里君。
  127. 海江田万里

    ○海江田委員 民主党の海江田でございます。  きょうは、大変大事な予算の審議ということで、日銀総裁にもお越しをいただいておりますが、私は、ただいま菅委員から小渕総理周辺の株の取引の問題につきましてお尋ねがありまして、このお尋ねの中で小渕総理が私どもに本当に得心のいくようなお答えがあれば、まず速水総裁へのお尋ねからスタートをしようと思っておりましたのですが、やはり先ほどの小渕総理お答えでは私は納得がいきませんので、まことに貴重な時間でございますけれども菅委員の質問に引き続きまして、総理周辺の株取引の問題から話を進めさせていただきたいと思います。  先ほどの菅委員の質問で、二年前、一九九八年の十月の一日でございます、当予算委員会で私は小渕総理に、ちょうどNTTドコモの株の上場の直前でございましたから、そしていろいろな記事が週刊誌等に書かれておりますので、一体どういうことですかということでお尋ねをしました。もちろん、私がお尋ねをする前に、参議院公明党の方がやはりお尋ねをしておる。そのときお答えになったことと私にお答えになったことで一番大きな違いというのは、古川さんの株の取得の時期が十年間、違っていたということなんです。最初の参議院の段階ではおよそ三十年ぐらい前というお話をしておりまして、それから私の質問に対しては十年前というお答えをしたということであります。  まあ、小渕総理も六十を過ぎていらっしゃいます、私も実は五十を過ぎたわけでございますが、二年、三年ぐらいの時間差というのは、いろいろな記憶違いもありますから、そういうことはあるんです。ところが、十年の差というのは、例えば古川さんにとってみれば、それが三十代のことであったのか四十代のことであったのか、あるいは四十代のことであったのか五十代のことであったのか、この十年の差というのはいかにも不自然なんです。  ですから、私はそのことをお尋ねしました。そうしましたときに、総理は最後に何と言って私の質問に対してお答えになったかというと、この問題につきましては、すべからく調査をして報告をします、あるいは、どういうことになっておるかについては誠実に調査をしますと。調査をするあるいは報告をするということを、実は九八年、今から二年前の十月一日にお答えになっているんです。  そして、先ほどの菅委員の質問によれば、その日の夜に、実は古川秘書官が、これは総理の秘書官でありますから大変多忙なわけでございますが、わざわざ高崎まで出向いていって、そして高崎で石井夫人、石井洋子夫人に面談をしているということであります。  そして、その古川秘書官の行動について、先ほど総理は、一切自分の知らないことだ、一切自分の関知しないことだというお話がございまして、本当にそうでしょうか。総理秘書官が、しかもこの日は、十月の一日でウイークデーでございますから、総理の夜の日程も入っているわけでございます。そういうときに、総理の秘書官が高崎まで行って帰ってくる。どんなにトンボ返りをやりましても、やはり三時間ぐらいはかかるわけでございます。  しかも、私もこの石井洋子夫人からはっきり聴取をいたしましたけれども、石井洋子夫人は、およそ一時間弱ぐらい、夕食が終わったころに突然お見えになったということをおっしゃっている。しかも、そのときにお土産を置いていかれた。四角い形のもので、後であけてみたらスカーフだった。古川さんは、これは総理がアメリカに行ったときのお土産で、総理からですということを言って置いていかれたというようなことを私に話をしているんですね。  こういうような事情があるわけでございますから、私はむしろ、どう考えても、総理が、これは海江田からも質問をされたから早く行って調査をしてこい、そしておれに報告をしろというのが当たり前ではないだろうか、こういうふうに思うわけでございます。にもかかわらず総理は、この日の夜、この大事な総理の片腕ともいうべき古川秘書官が行方不明になったということについて、全く意識を持っておらなかったのか、いかがでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
  128. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、私の答弁に関して衆参でのお話がありました。この件について、先生、衆議院においてお話がありましたが、参議院において答弁いたしましたときに、質問が、議事録にありましたように、会社の設立時期あるいはまた名義を借りていた故人の死亡等に触れられておりまして、これがいずれも昭和四十年代末であったのでそのように申し上げたわけでありまして、株式の取得時期については、まさに委員が御指摘の、委員の質問についてお答えをしたことが、正確を期して答弁せよ、こういうことでしたので、調べた上でいたしたということでございます。  それから、秘書が石井方を訪問したことについて、私の指示によるかということでございますが、そのようなことはありません。ただ、まずもって申し上げれば、この株式が私自身に所属しないことは先ほどしばしば申し上げて、あたかもそうであるがごときいろいろと御発言がるるありましたが、かかって、そのようなことがないことは改めて申し上げたいと思います。  ただ、本院でこの問題を取り上げられたということであり、かつ自分自身の株式についてそのようなことであるとすれば、私が国会で答弁することの資料として確実を期しておった方がいい、こういうことでございまして、この辺は石井夫人の聴取された、そこに録画、録音がなしかどうかわかりませんが、私の方の秘書は、私自身が国会でこの株についての問題に関し質問を受けたので、今後の答弁のより正確さを期するため、事実裏づけの確認に赴いたものであり、その結果、石井夫人は古川秘書に、私はその株のことは何も知りません、夫の遺産にもそんなものはなかったと話してくれたという報告を受けておるわけでございまして、これは、先ほど来いろいろ議論されておるように、本人が、本人の株の、自分のものであるということであれば、それは当然、それに対する所有権の行使というものはあり得ることだと思います。  ただ、これもしばしば申し上げておりますが、この御主人、また夫人ともに私にかけがえのない方でございまして、私は、率直なところを申し上げますと、お金というものは大変な魔力を持っているのだということを正直思います。これが、ドコモ株がこのような価値を生んできたということによって、何十年も前にこの所有権についてそのことを存知しない、あるいはまた遺産相続も正確にされておらなかった方が、どなたかの使嗾か知りませんけれども、自分のものだと改めて言われて所有権を行使するということであるとすれば、それはそれなりに御主張ですから、先ほどしばしば申し上げているように、ぜひそのことの真実は明らかにして、そして私の秘書の言っていることについても、これが真実と私は長年の経験で理解をしておりますけれども、そのことも、名誉を明らかにしませんと、週刊誌に書かれ、泥棒だ、だまし取った、こう言われておって、この公職を賄うことはできないという意思でありますので、私としても、これは秘書官の意思ではありますけれども、私にかかわることにもつながるという意味で私はその告訴を理解しておる、こういうことでありますので、改めて御理解いただきたいと思います。
  129. 海江田万里

    ○海江田委員 まず、昭和四十七年に上毛通信という会社が設立をされたということはよくわかっておるわけでございますが、その四十七年、つまり、この時点から、去年、おととしの時点から三十年ぐらい前だと言ったのは、実は、古川さんが最初にマスコミに、週刊誌等にそういうことをはっきりと御自分の言葉で言っておられるわけですよ。そして、それを受けて総理が、国会の場でもって、参議院の場でもって、かなり昔、最初の、この会社が設立をされたときに取得したのではないですかというような認識を持っていた、私はそういうふうに伺っているわけですから。これは古川さん自身が、最初は今を去る昭和四十七年だということを言っているのですよ、証拠は幾らでもありますが。  だから、それは、先ほど来お話を聞いておりますと、総理の言い方は、本当に昔のことなんだ、それから当時は、頼まれて持ったことであって、そんな、まさか一地方のポケットベルの会社がそういうふうに大化けをするようなことは夢だに考えていなかったということ、これはだから全くの偶然なんだ、こういうような一つの大きな枠をつくっておって、私は、一つこれは正確に総理にお伝えをしておかなければいけないのですが、石井洋子夫人が私どもに会ったとき、先ほど菅委員も紹介がありましたけれども小渕総理のことを先生、先生と言っておるのですよ。先生、先生と言って、ではその先生というのはどなたですかということを言って初めて、それは小渕総理ですということを言って、そして小渕総理に対する非難がましいことなんというのはこれっぽっちも言っていないのですよ。それこそ本当に、最初のときから、だれも手伝う人がいなくて、そのときに二階を貸して、新しい家を建てて、新しい家を建てたときにお礼を持ってきてくれた、そして二階に上がって一緒にお茶を飲んだり、下のこの居間のところで一緒にお茶を飲んだりと言って、昔の、本当に総理が純真な、総理が本当にこれから政治の世界で一生懸命頑張っていかなきゃいけなかったというときのことをしっかりと心に刻んでいるのですよ。  それを総理は、先ほどから、私どもが聞いてもいないのに、これはだれかに唆されたんじゃないか、それから、蔵が建てば腹が立つとか、そんな気持ちで言っているんじゃないということですよ。このことだけはひとつしっかりと心に刻んでいただきたい。  この番組というのは、このテレビというのは全国に中継をされているわけですから、これは石井夫人の人柄を大変おとしめることになりはしないだろうか、このことだけは言っておきます。
  130. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 一般論として申し上げたわけでありまして、石井夫人がさようなものだということは、私は思っておりません。  それは、事務所を新築されたかどうかわかりませんが、お店をやっておられまして、自転車の販売をやっておられました。その二階を貸していただけるということになりました。そうしているうちに、わずか一年の間に御主人は亡くなられました。私にとりましてもこれほど驚愕したことはなかったわけでありまして、その後、できる限り、当時ですから私の力もありませんでしたが、せっかく事務所を貸していただいたその御好意に、できれば、わずかながらもずっと家賃は払うべきではないかと申し上げて、どこまで続けたかわかりませんが、誠意を示してきたつもりであります。しかも、その石井夫人は、現在も私のために、婦人部の役員として、私の会合があるたびに受付その他をしていただいておりまして、私は彼女に対しての恨みつらみなんというものはさらさらありません。  ただ、真実として、真実が二つあると言われれば、これを明らかにするのは、先ほど来申し上げておるように、きちんとした法的な処置を講じて明らかにしていきませんと、私の秘書も、三十数年、本当に、それこそ蓄財をするとか株の操作をするとか、そういうことは、ひたむきに務めてきていただいたわけでありまして、それが、泥棒だ、盗んだものだ、こう天下の講談社の発刊する雑誌で毎日これが電車にもつるされて広告されれば、その名誉は回復しなければならぬということで、その後の経緯について、その時系列的な問題については、委員も御自身持っておられるような告訴状にしかとこれが定められておることですから、これがもし誤りであるとすれば、誤りであるということを法的に考慮されて対応していただく以外に私としては対応の仕方はない。  私は、誠実にこの問題についてはお答えしておりますし、それから、蔵が建つ話は、一般論として、そういうことがないとは言いがたいことは、お互い政治家をしておって、それは、今まで全く無価値のものが価値を生んでくる、そうなると、それはどうだったんだということを言われることは人間の心情としてあり得るけれども、不法な手段によってそれが取得されたものでないということだけはしかと確かめないと、これは個人の名誉のみならず、私のことにかかわることでもございますので、先ほど申し上げたように、秘書官としては、こうした法的処置を講ずることなしに事を済ませたいという気持ちは持っておりましたけれども、万やむを得ずそのようにいたしましたので、これは法治国家によって、法によってお裁きをいただきたい、こう思っておるわけです。
  131. 海江田万里

    ○海江田委員 では、少し角度を変えますが、今、古川秘書官でございますが、本当に三十年来陰ひなたなくよく尽くしてくれた方だと思いますが、その古川さんが会計責任者になりまして、そして小渕総理が代表者になっています政治資金団体、昭和五十一年に未来産業研究会というものをおつくりになっておりますが、この未来産業というのは何ですか、教えてください。
  132. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私の政治資金団体ではないかと理解しておりますが、当初それが発足したときには法的なそういう団体になっておったかどうか、今、急なことで定かでありませんけれども、いろいろ、当時のことですから、政治団体といいますか、あるいは研究団体とかというものは、我々政治家にとって、幾つかこれをつくって対処したということの一つではないかと思いますが、この未来産業についてだけは、私が国会に出て以降、将来、未来産業という、当時はそういう言葉を聞きましたら何か小説をつくる会みたいに思われましたけれども、やはり今日考えますと、今日の時代が通信を含めたこれだけのIT革命の時代を迎えると、命名が必ずしもいいかげんなものでなかった、そういうふうに思っております。
  133. 海江田万里

    ○海江田委員 総理、ではもう一度お尋ねしますが、今になってみると、この未来産業は通信の問題であったんだ、その当時はそんなことはからっきし考えていなかった、昭和五十一年でございますが、そうおっしゃるのですか。
  134. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 未来産業というのが、当時、これは何の会ですかと。一般的に、政治家の団体といえば、政治経済研究会だとかそういうことが一般的でございましたが、日本の将来、知的産業、インフォメーションインダストリーの時代を迎えてくるということについては、やはり、ちょっととっぴだったかもしれませんけれども、そういう命名をいたしたわけでありまして、今日顧みてそのことに誤りがなかったというふうには思っています。
  135. 海江田万里

    ○海江田委員 私の見るところ、総理は大変先見性のある方でありまして、実は、この昭和五十一年の段階で、未来産業というのは情報通信産業であるということを非常に明確に意識していた、私はこういうふうに思うわけでございます。  総理は一九九〇年の七月で、お話をしましたのは一九九〇年の六月十四日でございますが、情報通信研究会というところがございます。この会、よく御存じでいらっしゃいますね。まず、この情報通信研究会という、これは任意の団体でございますが、御存じかどうかお答えください。
  136. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 同様の研究会その他にもいろいろとお招きをいただいたことがありますので、具体的にお話をいただきませんと、直ちにどういう会であったかということを思い起こすことはちょっとできませんですが。
  137. 海江田万里

    ○海江田委員 ちょっと私はその機関誌を持っておりますので、写真も出ておりますので、お示しをいたします。よろしゅうございますか。
  138. 島村宜伸

    島村委員長 どうぞ。
  139. 海江田万里

    ○海江田委員 ごらんになっている間に、そこで総理が「情報化社会における政治の役割」ということで講演をされております。私が読み上げます。   情報化と政治ということですが、まず、私がどうして情報通信に係わるようになったかお話しします。   私は、昭和三十八年に国会に入りました。今は、なにか逓信のボスみたいなことを言われるようになっていますが。入った時に、委員会を選別して所属しなければならないのです。私は、これからまさに情報化社会が到来するのではないか、産業をみてもインフォーメーション・インダストリーの時代が来るということで、その問題を勉強できるのは逓信委員会ではないか。こう思ってそれを選別したことは事実なんです。 これは昭和三十八年の段階ですからね。いいですか。「ところが、生臭く言うと」、ここが生臭いところなんですね。  私の選挙区は群馬三区で、福田先生と中曽根先生が、大御所でおられて、私が一年坊主で入りましても、政治的な影響力は二人に抑えられていて米ソ間の小国のような立場であるわけです。   二人が、大蔵、通産、農林(大臣)とほとんどやっておられ、やっていないのを見ますれば、郵政大臣だったんです。二人のやらないところに目をつけたわけです。   将来の情報化社会のことを考えたのが政治家として基本なんですよ。そこを忘れてもらってはこまるが。そうしているうちに橋本登美三郎先生が官房長官になられまして、当時私は、大変、親しくさせていただいていたものですから「君、さらに勉強しろ」と、今日に至っているわけであります。   そして、今、延長線で電気通信問題調査会長をおおせつかっており、先般のNTTの見直し問題につきましても党としての立場での責任を果たさしていただきました。   橋本先生が、お作りになりました情報産業振興議員連盟、これも創設当時は、笑い話ですが、情報産業と国会議員に案内したところが、多くの人が、スパイ防止法を作る議員連盟だろうと、思ったということであります。私は今、幹事長として運営にあたらさせていただいております。ほかにも、CATV議員連盟会長、ハイビジョン議員連盟の会長もいたしております。さらに言うならば国会アマチュアハムクラブ議員連盟の会長もおおせつかっております。  ここで大事なのは、昭和三十八年の段階から、まさにこれからの時代は情報通信産業である、インフォメーションインダストリー、今で言うIT革命であるということをいち早くおっしゃっているんですよ。そして、昭和五十一年にこの未来産業研究会というものをつくるときに、明確に、これは情報産業だということをはっきりとわかっておられたわけですよ。これはむしろ誇るに足りる御自分の先見性であるわけでございます。なのに、どうしてそれを、いやそんなことは考えてもみなかったというような発言をなさるんですか。私は解せません。いかがでしょうか。
  140. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 考えていないといいますか、未来産業というものの名称の命名について申し上げたわけでありまして、今は情報通信のことでありますが、もっとこの事態で言っておくべきことがあったとすれば、ヒトゲノムの話や遺伝子のことも言っておけばもっと先見性があったととられたんじゃないかと思っております。
  141. 海江田万里

    ○海江田委員 それは御本人が発言したとおりですね。  では、ちょっとお返しをいただかなければいけませんので……。  ヒトゲノムとか遺伝子とかの話もありましたけれども、実は本当に小渕さんは、まさにここでも御自分で「今は、なにか逓信のボスみたいな」、逓信というのは国会だけの用語でございますが、「逓信のボスみたいなことを言われるようになっていますが。」とありますけれども、先ほどもお話がありました、昭和三十八年に初当選をされて、それから、やはり議員というのは、まず一番喜ぶことは、まず常任委員会に所属をして、その常任委員会理事になることでございますね。私は、本当におかげさまをもちまして予算委員会理事をやらせていただいておりますが、これはもちろん小渕総理は逓信委員会理事を昭和四十四年、一九六九年の一月におやりになった。逓信委員会理事をお務めになった。そして、翌年の昭和四十五年、一九七〇年の一月に郵政政務次官をお務めになった。  よく族議員というようなことを言いますが、これは、私どもは野党でございますので政務次官という立場はないわけでございますが、まず常任委員会に所属をして、そしてその常任委員会理事になって、そしてその常任委員会理事を何年か務めて、政務次官になって、これで国会の常識では一人前の族議員ができ上がった、こういうふうに言うわけでございます。総理は、昭和四十四年から昭和四十五年の間に、四十四年が逓信委員会理事でありまして、そして四十五年がまさに郵政政務次官でございますから、このときに、逓信族の一員として自他ともに認められる存在になったということ、このことをやはりまず第一に押さえておかなければいけないと思います。  それから、今度はいよいよ逓信のボスになる過程でございますが、これはやはり先ほども通信ジャーナルのみずからの御講演の中にもありましたけれども、自民党電気通信問題調査会会長という、自民党の中には、御党の中には税制調査会ですとかいろいろな調査会がございますけれども、この電気通信問題調査会会長。かつては金丸さんもこの会長をお務めになりましたけれども、大変逓信族の中では格調の高い調査会でございまして、そして、そこの調査会の会長におなりになった。これは平成元年、一九八九年におなりになった。  そして、平成三年の四月に小渕さんは自民党の幹事長になられる。幹事長というのは調査会の会長をやるわけにいきませんから、幹事長をやっている間は一たんこの自民党の電気通信問題調査会の会長の肩書を外れますが、幹事長をおやめになったらまた再びこの自民党電気通信問題調査会の会長をお務めになっています。  いかに小渕さんがこの電気通信の問題に真剣に、あるいは執拗に取り組んでおられたかということが、実はこの一言をもって明らかになるだろうと私は思うわけでございますが、いかがでしょうか。私が今お話をしました経歴等について、間違いがあるとか、あるいはそんなつもりじゃないんだというようなことがおありか、ありましたらお聞かせください。
  142. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 時系列的に私の経歴を御紹介いただければ、そういうことになるんだろうと思います。その与えられた任務の中で、日本の将来の情報通信のあり方というものについては、それなりにまじめに取り組ませていただいておるわけでございます。まだまだ取り組まなければならない課題はあるかと思いますが、御指摘の経歴は、精査しておりませんが、そのとおりだと申し上げざるを得ないと思います。
  143. 海江田万里

    ○海江田委員 これから本題に入るところでございますが、時間もちょっと中途半端なところでございますので、もしよかったら、これでひとまずお休みにしたいと思います。午後も引き続きよろしくお願い申し上げます。
  144. 島村宜伸

    島村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  145. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。海江田万里君。
  146. 海江田万里

    ○海江田委員 午前中に引き続きまして、総理周辺の株取引についてお尋ねをさせていただきます。  総理、大城宗憲さんという方を御存じでしょうか。いつごろからどんなおつき合いがあったか、教えていただきたいと思います。
  147. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 沖縄県で現在事業をされておられる方ですが、もともと、私が学生時代に、まだ復帰以前の沖縄県に参りましたときに、たしか平和通りかと思いますけれども、書店をやっておられまして、自来いろいろと親交をいただいておると思っております。
  148. 海江田万里

    ○海江田委員 これは総理が先ほど来お話をしております講談社のフライデーという雑誌が、この大城宗憲さんの問題といいますか、取り上げたわけですが、もちろん私も自分なりに幾つか調べをしてみました。総理、大城宗憲さんという方、平和通りで書店をやっておられたということですが、先ほど私がお話をした、総理が郵政の政務次官になられた、あるいは逓信委員会理事になられた昭和四十年代、昭和四十四年、四十五年、このころ大城さんはどういうお仕事をされておりましたですか。
  149. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 資料がありませんから正確に記憶しておりませんけれども、当時お互い若かったわけですが、自来御地元でいろいろなお仕事を起こされて、実業の道を歩まれておると承知しております。
  150. 海江田万里

    ○海江田委員 これは、私どもの調べでは、昭和四十六年に玉泉洞観光株式会社というのをやっております。これは沖縄の、総理も行かれたことがあるんじゃないですかね。那覇から車で大体五十分ぐらいのところですけれども、まさに玉泉洞という洞穴ができまして、これの観光開発をやろうということで、この観光開発の会社を設立された。あるいは、この前にケーブランドという観光会社をやっておられたということで、観光業をやっておられたということなんですが、この大城さん、昭和四十年代に観光会社をやっておりましたけれども、昭和五十七年になりますと沖縄通信サービスという会社をつくっているのですね。これは御存じですか。
  151. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ちょっとそこまで記憶しておりません。
  152. 海江田万里

    ○海江田委員 それでは、実は沖縄通信サービスという会社の名前も、これは総理、お聞きになれば上毛通信サービスと非常に似ているなということはおわかりになるだろうと思いますが、この大城さんが、会社の名前は正確に沖縄通信サービスでなくてもよろしゅうございますけれども、それまで観光業をやっていた方が、昭和五十七年でございますから五十年代の後半に入って、そういう通信の会社を設立された、あるいは通信の仕事に携わっておられた、そういう認識はおありじゃないですか。
  153. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 先ほども御紹介ありましたように、玉泉洞ということで、本土から行かれました観光客も含めて、かなり大勢のツーリストがそこに参加しておる、専らそちらの方面で活躍していると承知をしておりますが、今の会社そのものについては私十分な知識はありません。
  154. 海江田万里

    ○海江田委員 では、総理は、玉泉洞観光という会社が、実は片一方で大城さんという方、今もお話をしましたけれども、沖縄通信サービスという会社をやっておるということですが、玉泉洞観光という観光会社、これが後に南都ワールドという会社に名義がえをするわけでございますね。この南都ワールドという会社に、それこそ総理の秘書官の古川さんが役員として名を連ねているということは御存じでしたか。
  155. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 あるいはそういう関係になっておるかとも思いますけれども、先ほど申し上げました私の沖縄県における後援会のメンバーでもございまして、そういう意味で、秘書官とも平素からいろいろな形でおつき合いがあったということを考えれば、そのような役割を依頼されて就任しておったかと思いますけれども、どのような待遇、どのような処遇になっておるかその他につきましては、存知しておりません。
  156. 海江田万里

    ○海江田委員 この大城さんという方ですけれども、先ほど来お話をしておりますように、本業はといいますと、もともとは書店であって、それから、観光客が何人も沖縄に行くようになって、それで観光サービスの会社を始められたということです。そして、今もお話をしましたけれども、五十年代、五十七年になったらこれは電気通信サービスに移られたということですが、この大城さんという人の動きを見ておりますと、もう片一方で、私はどうしても、先ほど来問題になっております群馬での例えば鈴木さんの動きと非常に似通ったところがあるのではないだろうか。  鈴木さんの問題についてはこの後もこれからいろいろお尋ねをさせていただきますけれども、最初は汚水処理のような仕事をやっていた。そして、鈴木さんは小渕さんより年が大体一回りぐらい上だろうと思いますが、ただ、それほど群馬の地では、有名な経済人としてはまだまだそういう立場になかった。  大城さんもその意味におきましては、いわゆる沖縄の経済界の中で決して、例えば、沖縄通信サービスという会社をつくりますと、国場建設の国場幸一郎さんですとかああいう方たちが、そうそうたるメンバーが名を連ねるわけですが、その中にこの大城宗憲さんという人も入るわけです。だけれども、地元の経済界でいうとそれほど、いわゆる確固たる地位をその時点ではまだ築いていなかった。やっている仕事も、電気通信とかいうものとは別個のことをやっていた。だけれども、昭和五十七年になると、まさにそういう形で沖縄通信サービスという会社をつくって、そして、この沖縄通信サービスは、御案内だろうと思いますけれども、ポケベルの、ちょうど上毛通信と同じような形で、この場合はNTT九州ドコモという会社の中に包摂をされていく。そして、この大城さんという方は、NTTドコモ九州の役員の中に名を連ねているわけですね。  古川さんはこのNTT九州ドコモの株をお持ちになっているかどうかということは、それはおわかりですか。
  157. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 承知いたしておりません。保有か保有していないかということも含めまして、今存知しておりません。
  158. 海江田万里

    ○海江田委員 この大城さんと古川さん、先ほどもお話ししましたけれども、会社の、これは玉泉洞観光の時点から実は古川さんは監査役に入っているわけでございますけれども、そして南都ワールドになってもそのまま監査役に残っておりまして、平成十年の七月三十一日に離任をされるわけでございますが、最初は小渕さんが、先ほどもお話ありました学生時代に沖縄をお訪ねになって、小渕総理は沖縄に対する大変深い思い入れがあるわけですから、そこで知り合いになって、それからずっと続いている。だけれども、その続いている関係の中で、古川さんもそういう形で非常に緊密な関係をこの大城さんとつながっているということでございますから、大城さんがNTT九州ドコモの株を持っているかどうかということをやはり、これはちょっと確認をしていただきたいと思うんですよ、これは非常に重要な点でございますので。そういう調査をしていただけますか。
  159. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 調べろとおっしゃれば調べてみますが、私が調べなくても、そちらでもお調べになられるんじゃないかと思いますが。  この大城さんとは、先ほどもお話し申し上げておりましたように、私は学生時代から何度も当地を訪問しておりまして、当時青年活動をともにいたしておりまして、復帰運動その他で一緒に同志としてやってきたという経緯がありまして、自後今日までお互い裏切ることなくこの関係を続けておられるということは大変うれしく思っておりますが、今お話しの株式を持っておるかどうかということにつきましては、それは調べればすぐわかることだと思いますけれども、調べろとおっしゃれば調べます。
  160. 海江田万里

    ○海江田委員 この総理の秘書官であります古川さん、大変政務にも精励をされておるということでございます。しかも、総理にとりましては本当に早稲田の雄弁会のときからの三十年来の同志であるというふうには承っておりますが、私、今回のこの会社、総理が関係をしております、あるいは総理の周辺の人との会社のいろいろな登記簿謄本などをとってみますと、古川さんという方は、いろいろな会社の監査役でありますとか取締役でありますとか役員になっておるケースが非常に多いのですね。これは、その意味では少し希有な存在ではないかなというふうに思うわけでございます。  総理は、この古川さんが、秘書官であります古川さんが、そういう形でいろいろな企業の、これは総理の全く知らない会社ではなくて、みんな総理が知っておる会社でございます、そういう会社の役員になっているということについては、どういうふうにお考えなのか。一々そういうときは許可を受けておるのか、あるいは御自分でやっておられて黙っておるのか、知らないのもたくさんあるのか、いかがでしょうか。
  161. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 古川秘書については、当時ですから、今のように政策秘書がありませんでしたから、二人の秘書で、次席の秘書をやり、それから首席の国会議員の秘書をいたしましたが、その後、後輩の秘書がたくさん参られましたので、みずから身を引かれまして、国会議員の秘書という公の立場はこれを去られておるわけですが、いろいろ仕事の関係上多くの企業家の皆さんともおつき合いもあるでしょう。  したがって、今は資産が形成された株式について問題になっておりますが、恐らく随分、正直なことを言えば、紙くずになった株券もたくさん、仕事の関係で依頼を受けて、それを取得しておって、かなりそういう意味では、必ずしも利益を求めるという意味で株売買をするというようなことでなくて、依頼された友人や知己やあるいはまた仕事の関係で後援者の皆さんと、そういう方々のそういうものを引き受けてこられたということはあったかと思います。  ただ私も、もう長年のおつき合いですから、逐一私に報告をされて、それに対して私が許可をするというような、そういう作業はもうほとんど皆無と言っていい。まさにその人間を信頼して、そのおつき合いをされたらよろしいということで任せておったわけでございますので、今お話しのように、一つ一つの会社との関係についてその報告を私が求めるというようなことは、ほとんどいたしておらなかった、こう記憶しております。
  162. 海江田万里

    ○海江田委員 古川さんの問題はこの後も出てまいりますので、またそのときに質問させていただきます。  この古川さんの上毛通信、そしてドコモ株に至る経緯でございますけれども、古川さんが直接譲り受けをしたと言っております鈴木弘さんですが、この鈴木弘さんと総理の関係は、いつごろ、どんなきっかけで親交を結ばれるようになりましたか。
  163. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 これも記憶を思い起こしても、いつごろからと言われても定かではありませんけれども、昭和四十年代でしょうか、今お話しのような御経歴を持っておられますが、なかなか事業に対する取り組みが非常に熱心で、今で申されれば、やはり新しい企業に挑戦していく、そういうような方であったし、また、私に対しての選挙の応援等もそれなりに、私の選挙区のことですから、いろいろ御関係があったかと思いますけれども、私に対しましても支援をしていただいておる面もあったのではないか、こう思っています。
  164. 海江田万里

    ○海江田委員 今、この鈴木さんは選挙で応援をしてくれた、しかも私の選挙区のことでありますからということですが、私、調べてみましたら、この鈴木さんという方は伊勢崎の方でありますね。高崎の総理の選挙区ではございませんね、住所あるいは活動の基盤というのは。これはどうなんですか。  私が知っておる範囲では、この鈴木さんにはお兄さんがいらっしゃいました、春山さんでございますが。NTTの前身の電電公社というところにお勤めだった方ですが、この春山さんを通してお知り合いになったんじゃないですか。  それから、厳密に言うとやはり選挙区の方ではありませんよね、これは。どうですか、その二点。
  165. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 戸籍上の出身地が何市何町何番地にあったかということは承知をしておりませんけれども、県内において、今でいうベンチャーというような形でいろいろな事業を心がけておる若手の方だということを当時承知をしておったことは間違いないことでございますが、それがどのような経緯でその関係になっていったかということを今からさかのぼってちょっと記憶を思い起こしましても、正確にこのことを申し上げることはちょっと不可能だろうと思います。
  166. 海江田万里

    ○海江田委員 今もう一つお尋ねをしましたお兄さんの春山さんの方ですが、この方とは御親交はおありでしたか。
  167. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 お名前を出されたので、私も春山さんという方がおられたということは思い起こしましたが、今実はどのような形になっておられるかということについては、承知をいたしておりません。
  168. 海江田万里

    ○海江田委員 御親交はあったわけでございますが、先ほどもお話をしましたけれども、春山さんは電電公社の職員であったということ。それから総理自身もお答えいただきましたけれども、昭和四十年代に、この鈴木さんという方はグンセイという、群馬の清掃ではないだろうかということでございますが、昭和三十四年に汚水処理の会社をつくりまして、そしてそういう仕事を中心に行っていたということでございますが、新しい電気通信ですとかそういう方面に関心を持たれて、そして、まさにこの鈴木さんが中心になって昭和四十七年に、先ほど来お話をしております上毛通信サービスという会社を設立するわけでございますね。  そこに入ってくるのが、小渕総理の経歴は先ほどもお話をしましたけれども、四十四年が逓信委員会理事、そして四十五年が郵政政務次官ということで、まさに小渕総理の逓信族あるいは電気通信事業に対する大変関心がある点、このことがやはり鈴木さんに上毛通信サービスという会社を立ち上げるに当たっての大きなインパクトといいますか、そういうふうになっていると見るのが私は普通だと思うんですが、この鈴木さんとそういうことでお話をしたような記憶はありますか、どうですか。
  169. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 当時のことですから、記憶を呼び起こしておりますが、なかったという証明もありませんし、あったということもありませんが、この方がそういう新しい事業に取り組むということについては承知をしておったと思います。
  170. 海江田万里

    ○海江田委員 そして、いよいよ昭和四十七年の上毛通信サービスの設立でございますけれども、先ほど来お話をしておりますように、この鈴木さんという方は、いわゆるまだ群馬の地域の経済界の本当に重鎮とかあるいはだれもが知っておるというような存在ではなかった。この上毛通信サービスの会社、九人で発起人会になっておりますが、ほかの方々は、例えば群馬銀行の頭取でありますとか群馬県医師会の副会長でありますとか、先ほどお名前の出ました平方さんという方も寿運輸という会社をおやりになっておるということでございます。やはり鈴木さんを除いたほかの方々というのは、皆さんそれぞれに、名前を聞けば、ああ、あの人だということがわかるくらいそれなりの実力者であったわけですね。実力者でない鈴木さんが何でこの上毛通信サービスの発起人の九人のうちの一人になれたのか。  私は、これはやはり小渕総理の、当時は小渕代議士でございますが、小渕代議士の後ろ盾というものがあったのではないだろうかというふうに考えるわけでございますが、これは邪推でございますか。どうですか。
  171. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 この会社は、結局この方が副社長になられて実質的な運営を図ってきたという経緯から考えますると、他の方々の役員は、今御指摘のように、県内を代表するような方々が株主に相なっておりますが、それを取りまとめられてこの会社の設立に寄与したのがこの鈴木さんではなかったか、そういうふうに思っております。
  172. 海江田万里

    ○海江田委員 この告訴状を見ますと、この鈴木さんという方は、やはり余り目立ってはいけないから、その意味では株数も自分の名義にするのは四千株にして、その分この平方さんにふやしておいた、こんなようなことを言っているのです。私は、それも確かに、鈴木さんという方が、ほかの発起人の方たち、あるいはこの告訴状にも載っております十八名の方々と比べるとやはり、その意味ではまだまだ、ひとり立ちといいますか、確固たる地位を占めるというわけにはいきませんので、そこでやはりこういう株数にしたのかなというようなことは、理解がそれなりにできるわけでございます。  ただ、この上毛通信サービスが設立をしまして、そして一年たった時点で、先ほどもお話が出ましたけれども、昭和四十八年の十月で名義がえを行っておるわけでございますよね。私は、何で一年たったところで、四十八年の十月のところで名義がえをしたのかなということが、本当に私自身もわかりません、正直申し上げまして。小渕総理に教えていただきたいところでございますが、小渕総理も、それはわからぬということに恐らくなるのだろうと思います。  ただ、石井夫人からも話を聞きまして、石井夫人は、先ほど菅政調会長も話をしておりましたけれども、とにかく先生からいただいたものだというふうに、亡くなった御主人から聞かされたということで、大変うれしかったということを言っておるわけでございますね。それはやはり先生に認めてもらったと。この前の年の暮れに総選挙がございますから、恐らく石井さんも一生懸命になって働いたのだろうと思いますが、よくやってくれてありがとうという気持ちが入っていたのかなというふうに私は思うわけでございます。ただ、これは確たる裏づけのある話ではございません。  問題は、そういう場で石井さんの名義四千株ということになるわけでございますが、石井さんに四千株を、名義を平方さんの株から——一万二千株あって、その一万二千株のうち、平方さん御本人の名義が八千株ありますから、残りの一万二千株というのが、これが名義借りをしていたということで、このうち八千株を小渕光平さん、お兄様にこれは譲渡をした。そして残りの四千株を、石井さんの名義を借りた、この告訴状には名義を借りたということになっておりますけれども、この残り四千株については、石井さんについて、鈴木さんが何で石井さんにしたのかと。何で石井さんにしたのかということで、これは、「かねて知り合いで、気安く頼める石井の名義を借りることにし、石井の承諾を得た。」ということを書いてあるわけですね。  つまり、この鈴木さんと石井さんというのは非常に、かねて知り合いで、しかも気安く頼める関係にあるということが前提になっているわけです。だから、その気安く頼める石井さんに名義借りをしたのだということになっているのですが、どうですか、私が石井夫人から聞いたところでは、鈴木さんと石井さんというのは、そんな、かねてからじっこんの間柄で、しかも気楽にいろいろなお願い事をしたり受けたりするような関係ではないと。石井夫人は、鈴木さんの名前などはほとんど聞いたことがない、しょっちゅう出る名前ではない。ただ一つ御自分が覚えているのは、この鈴木さんという人が、自分の、石井さんの御主人が名義になったということで株主総会か何かに出ていったら、何でおまえが来ているのかといぶかしがった、あるいは石井さんの御主人を非常に見下すような態度をとられたと。だから、自分が聞いておる鈴木像というのは非常に嫌みな、露骨に嫌みをあらわす嫌な男としてこの鈴木弘さんという人の印象を受けているということなんですよ。  となりますと、ここで言っているような、本当に石井さんと鈴木さんが気安く株の名義の貸し借りをするような間柄であったのかどうなのかということ、これは私は大変疑問なんですが、小渕総理は御両人を御存じのはずでございますから、どうですか、その二人の関係というものは。
  173. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今でこそこういう大役を仰せつかっておりますが、当時においてはまだ駆け出しの国会議員だっただろうと思います。それにしても、その関係者自身の関係について深々と、好き嫌いだとか、どういう態度をしたとかというようなことを、私自身がそれは承知をする立場にもありませんし、そういうことを今言われましても、まあ言われた方がおられる以上そう思ったのかもしれませんが、私は一切そんなことについて、今思い出すことは何もありません。
  174. 海江田万里

    ○海江田委員 私が言いたいのは、これはもちろん推測でしかないわけでございますけれども、やはり総理が間に立って、当時は代議士、今も代議士でございますが、当時は衆議院議員でございますが、その小渕衆議院議員が間に入って、それで初めて鈴木さんと石井さんの関係というものが成り立ってくるわけでありまして、それは、やはりこの小渕総理という立場がなければ、この二人というものは非常にぎくしゃくをしておったということになってくる。  そうなってくると、要するに、つまり小渕代議士の依頼があって、それで初めて名義人が石井さんになって、それで鈴木さんは納得をする、こういうような話が、当然そこの流れ、論理の組み立てというところからいくとそういうふうになると私は思うわけでございます。ただ、これはこれ以上総理自身の口からお答えはいただかないでいいと思います。  ただ、私はもう一つ、どうしてもこれは総理の口からお尋ねをしておかなきゃいけないというのは、これは総理自身何度もお話をされておりますけれども、当時は会社も、上毛通信ですけれども、無配であってもうかる会社じゃなかったと。だから、先ほどこの鈴木さんも、昭和六十三年の段階ですか、もうやめようと思って、それで鈴木さん自身が持っている株も、今まで石井さんの名義を借りていたのを古川さんの名義に書きかえをしたということを言っています。  ただ、当時の昭和五十年代、あるいは、四十七年に会社をつくるわけでございますが、会社をつくってからのポケベルの会社というのは、そんなに、どうしても経営が立ち行かなくなるような厳しい状況ではなかったのではないだろうか。これは、まさに総理が一番そういう情報通信のことをよく御存じなわけでございますから、お尋ねをするわけでございます。  何か、本当にもう立ち行かなくなって、もうやめたい、やめたいというようなつもりでいっぱいであったというようなことを最前からおっしゃっておるようでございますが、私は、もう少しこのポケベルの仕事というのが前向きに可能性があるというような状況であったのではないだろうかというふうに思うわけでございますが、それはどういうふうに認識をされておりますか。
  175. 八代英太

    ○八代国務大臣 海江田さん、NTTは昭和六十年、民営化するんですよ、昭和六十年民営化。六十二年、一九八七年、第一次株は三百十八万円。ちょっと、今これは全体の経緯を説明しますが、六十二年十一月に二次、それから六十三年の第三次の売却をいたしましたけれども、もう下落の一途をたどりまして、これが百五十五万円となったんです、百五十五万円。  そして、NTTは当時電話と移動体通信を一体としてやっておりましたが、移動体を分離する方針を決めたのは一九九〇年、平成二年なんですね。さらに、委託会社と地域会社とを合併するのは平成五年ということになっているわけです。  株は下がるし、NTTが全部を抱え込むという——分離すべきだという声が多くて、当時は、特にポケベルとか移動体通信というものは大変経営が、どこも赤字、赤字、赤字だったわけですね。それで、NTT以外でもポケベルが——いや、そのころの背景を申し上げているんです。十五社あったんです、昭和六十二年、当時は十五社あって、六十三年には新たに九社が参入しております。ほとんどの事業者は赤字経営。全部で三百万加入ぐらいだったんですね。  ポケベルが急成長したのは平成七年、ベル友ブームによるもので、ピーク時には一千万台ぐらいになるわけです。自動車電話の方はというと、自動車電話というのはNTT以外もあったんですが、これまたどこも赤字なんですよ、赤字なんです。昭和六十二年、六十三年ごろは二十万ぐらいの加入しかなかった、二十万人ぐらい。  当時、二〇〇〇年ごろにはそれがどうなるだろうかというのを審議会が予測した。これはお恥ずかしい話なんですが、審議会が予測しましたら、実は昭和六十一年の電気通信技術審議会が予測答申を出している、ここに今データがあるんですが、西暦二〇〇〇年度の需要予測は四百五十万台と予測したんです。
  176. 島村宜伸

    島村委員長 答弁を簡潔にお願いいたします。
  177. 八代英太

    ○八代国務大臣 これが大外れをいたしまして、今はこれが五千万台。五千万台ということでありますから、そのくらい、当時のポケベルであれ移動体通信であれ、非常に経営は苦しかったという背景だけ海江田さんにお知らせしておきます。
  178. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私への質問は、最初の、会社の経営状態について承知をしておったか、こういうお尋ねでしたが、私みずからその株式を有しているわけでもございませんし、その会社の監査役でもないですから、私はその状況について承知をすることはあり得ません。今郵政大臣が客観的なお立場からお話ししましたが、そういうような状況の中で、随時、経営が困難になったので、だんだん、合併やあるいは買収というような形の中で会社が変わってきたということについては、今回起訴するに当たりまして、先ほど委員からもいただきましたが、この告訴状を拝見している中で、そういう形の、会社としての進展をしてきたということについては改めて認識をいたしましたが、当時その会社がどのようであったかというようなことを私に尋ねられても、その状況については存知しないということ以外に申し上げられません。
  179. 海江田万里

    ○海江田委員 総理はその意味では、先ほど来、午前の部でお話をしましたけれども、やはり党内きっての情報通信の一番のプロと申しますか、一番先見性もあって、そういうことに大きな関心を持っていたわけですから、当然どういう動きになったのか、それから郵政政務次官もおやりになりましたし、どうなっているのかという関心を持ってもいいわけです。  私が入手をしております資料では、これはNTTの皆さんがおつくりになりました「「二〇一〇年」NTTドコモの未来ビジョン」という本でございます。NTT出版の本でございますが、ここにはちょっと違うような書き方をしておりまして、日本では六八年七月から電電公社が、自動ダイヤル交換方式のポケットベルサービスとして、東京二十三区でサービスを開始した。このサービス開始に対しては予想を大きく上回る反応があり、開始の年度末には一万を超える申し込みがあった。  この当時のポケットベルの利用はビジネス分野が主であった。例えばオフィスを離れて行動する営業マンへの連絡など、それまでの固定電話利用では得られない利便性を持った画期的なサービスであった。現在の携帯電話などのビジネス利用の原型がここにあると言ってよいだろう。  その後、ポケットベルは、ビジネスだけではなくパーソナルな利用にもすそ野を広げ、加入者はウナギ登りに増加した。一九七八年には百五十メガヘルツ帯では対応できなくなり、二百五十メガヘルツ帯を用いた新システムが導入された。これによって、一波当たりの収容可能人数を大幅にふやすことができたということが書いてありまして、ここにちゃんと、ずっと右肩上がりのポケベルの契約の、特に、この関東甲信越の場合はこっちですけれども、ちゃんとやはり右肩上がりになっている。  確かに、会社を設立して間もないころですから、帳簿上は赤字になっても、これはすぐそれでもってやめなきゃいけないとか、そういうような状況ではなかったわけですよ。それから群馬県では、たしかその後ももう一つポケベルの会社が新規参入をしているはずでございますから、これは。  そういうことからいうと、決して当時のポケベルの事業自体が大赤字で、もう将来の見通しも立たなかったというようなものではないということは、やはり言っておかなければいけないというふうに私は思うわけでございます。  それから、先ほど、鈴木さんとの関係、あるいは春山さんとの関係も余り御存じないということですけれども、春山さんはたしか鈴木さんと一緒になって会社を経営されておって、そして小渕さんはそこの会社の株主になって、株を持っておられるんじゃないですか。  これは小渕さんの閣僚の資産公開の表でございますけれども、この株の中で、株式会社上武六百株。額面でございますから三百万円と書いてございますけれども、この上武というのは、昔は上武電話通信株式会社といって、昭和五十三年の五月二十六日に設立をされて、そして取締役に鈴木弘さん、それから代表取締役に春山正雄さん、これがお兄さんですね、この株じゃないんですか。これが後に、上武電話通信株式会社という会社が上武になったんじゃないですか。どうですか。そこの株をお持ちになっていますよね、これは。
  180. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 資産公開をきちんとやっているということは、やましい点がまことにないということと御理解をいただきたいと思いますが、多くの友人、知己がおりますから、いろいろ御依頼をいただいて、株式を所有することによって企業にも何らかの意味での利益というものがあるとすれば、友人としてお手伝いをしてあげたいということは、これは世の常識としてあって、そういう意味で、その株式を保持しているということはあり得ると思います。  ただ、正直に申し上げて、どのような配当をされて、どのような経営状態になっているかということは、申しわけないですが、十分承知をしておりませんが、御指摘は御指摘だというふうに思っております。  それから、お話しのように、東京におけるポケットベルの経営状態について、さすがにエコノミストでよくお調べですが、東京でたしか、言われました、改めて何十年間を思い出したんですが、余りに東京のポケベルの経営がうまくいったものですから、全国各地でもう何とかのタケノコみたいに会社が設立された経緯がありまして、したがって、それらの会社は、非常に経営的には東京のようにこれだけの販路があって、すばらしい利益を出すというようなことでなかったわけであります。今委員は、東京の例だけをとらえて、ほかのところの経営状態については御指摘ありませんでしたが、私、思い出させていただければ、東京とほかの地域とは相当、経営状態は雲泥の差があったということだったというように記憶しております。
  181. 海江田万里

    ○海江田委員 東京ではやるものは、それこそ時間差、タイムラグは若干あるかもしれないけれども、それはちょっと最初の設立をした当初は苦しいかもしれないけれども、やはり将来性というのはあるんですよ。その意味では、やはり期待を持っておってよかったわけでございますが、先ほどの上武の話でございますが、これは古川さんも株をお持ちになっています。たしか六百株だろうと思います。それは御存じですか、御存じないか。  それから、やはり記憶をたどってくださいよ。そんなにたくさんの株をお持ちということでもないんですよ。銘柄でいきますと、それはやはり奥様の方が若干多いくらいで、しかも昔からの光山社でありますとか、光山倉庫だとか電気だとか、そんなに幾つもお持ちじゃないわけですよ。一、二、三、四、五、六、NTTも一株お持ちでございますけれども。  この上武というのはいつごろお持ちになったのかということ、どういう経緯でお持ちになったのかということと、例えば鈴木さんに頼まれたのか、春山さんに頼まれたのか、それから、古川さんが持っておられるかということ、そのことだけでもちょっとお教えください。
  182. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 具体的には、調べろと言えば調べてまいりますけれども、その経営をされておられる方とも日ごろゴルフとかあるいはマージャンとかいろいろ友達づき合いをして、私は余りやっていませんが、古川秘書はそういう形でやっておられまして、そういういきさつの中で、持っておってほしいというようなことではなかったかと思い起こしておりますが、今、何年何月と言われても、調べればすぐ調べてまいりますけれども、記憶はありません。どのくらいの株を有しておるかも実は十分承知をしておらないようなことで、申しわけないと思っております。
  183. 海江田万里

    ○海江田委員 それからもう一つ、秘書の古川さんは、この会社にも役員として名前を連ねているわけでございますが、エヌ・ティ・ティ・システム開発という会社でございます。  ただ、この会社、エヌ・ティ・ティ・システム開発という会社ができましたのは、これは昭和五十九年六月でございまして、片仮名で書くわけでございますが、これは実はNTTの本体とは資本関係はない。そういう資本関係もないところはNTTという名前が実はつけられないわけでございますけれども、これは、要するに、先ほど郵政大臣からお話がありましたけれども、NTTが発足しますのは昭和六十年の四月でございまして、そのおよそ一年前にこのエヌ・ティ・ティ・システム開発という会社を設立している。  ここの代表取締役になりますのは、実は上武にも登場する方なわけですが、これは、NTT、電電のOBの方でございますけれども、これは中に随分総理の御存じの方がたくさんいるんですね。例えば、高山さんという早稲田の群馬県人会の方でありますとか、それから、もちろん取締役に古川さんが入っております。それから、監査役におば様が入っておりますね、これは。それから、もう今お亡くなりになりましたけれども青木伊平さんも実はこの会社の取締役の中に名前を連ねております。  これは、古川さん、どうなんですかね。本当に先ほどからお話をしただけでも四つぐらいの会社のこういう役員になっておるということでございますが、ある時期というのは、まさにこのエヌ・ティ・ティ・システム開発の役員になっている期間というのは、総理官房長官をやっているときでもあるわけですね。そういう官房長官をやっておるときに、秘書官が民間会社の役員になるということはどういうことなんでしょうか、これは。総理の、当時官房長官のきちっとした承認といいますか、それを得ているんでしょうか、どうなんでしょうか。
  184. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 竹下内閣官房長官はいたしましたが、その当時の秘書官としての仕事というよりも、むしろ同じ選挙区の友人やあるいは学校の先輩後輩、そういうふうに依頼をされて、名義を貸したり、あるいは株式を取得させていただいたというケースはあるかと思います。(発言する者あり)やじに答えるつもりはありませんが……
  185. 島村宜伸

    島村委員長 御静粛に願います。
  186. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 それは、秘書として依頼を受けてされました。それはそれとして本人が受けられたわけですから、協力を依頼されてこれを否定するということでない、やはりこの世界のお互い助け合いというようなことの中でそのような立場になられたんだろうと思います。が、いずれにしても、それぞれ指摘をされました株式その他についてが、少なくとも、そのことによって利益を得ようというようなことでなくて、かなりそれぞれの方から依頼を受けながら対処したということが、私はそういう経過ではなかったかというふうに承知をいたしております。
  187. 海江田万里

    ○海江田委員 もう持ち時間が少なくなりましたので最後のまとめなんですが、ちょっとこれは総理に見ていただいて、いわゆる今私が話に挙げましてここで総理お尋ねをしました会社ですとか、人名をずっと書き上げたものなんですけれども、やはり非常に交錯をしております。そして登場するのは、特定の方でありまして、だけれどもそれはまさに総理の周りにいる皆さん方で、この皆さん方が非常に複雑な動きをして、株式を持ったりあるいは役員になったり、そういう動きをしておりまして、そして情報通信産業というものに非常に深く食い込みをしておるということが、私はやはり明らかになったのではないだろうか。この問題は、意外と、その意味では根の深い問題ではないだろうかというふうに思うわけでございます。  きょうは時間もありませんから、もう最後の質問になりますが、やはり総理、どう考えましても、冷静にどう考えましても、昭和六十三年、まあ話がありましたのは昭和六十二年の秋に、古川さんが、どうですかということを、株を持ってくれませんか、四千株を持ってくれませんかということを鈴木さんから持ちかけられるわけでございますけれども、この六十二年というのは、先ほど郵政大臣からも話がありましたけれども、NTT株の公開の話で、まあ株ですから高くなったり下がったりはしますけれども、やはりこの六十二年というのは、十大ニュースで見ますとちゃんと株式フィーバーというのが、NTT株フィーバーというのが入っておるときであります。  その年の秋に、わざわざ鈴木さんが、自分の持っている株ではなしに、自分は四千株持っているわけですけれども自分の持っている株ではなしに、石井さん名義になっている株を古川さんの名義に買ってくれないかということを言って、では自分の四千株はどうしたのかというと、実はこれは、この告発状の中では行方不明になっていますけれども、これはNTTに買い戻しをさせているわけですよ。  当時NTTは、額面五百円だけれども八百円でもって買おうと言って、ほかの株主の人たちは八百円で出しちゃっている。最後に記念に持っておこうという人たち、あの発起人の人たち、個人株主の九人の中でも、ちゃんと当たってみると、実は本当に少しだけ持っているんだ、これはもう記念のために持っていたんだと。ほかはあのときに、まさにNTTがこれから合併をするわけですから、自動車と一緒になってドコモという株に合併をしていくわけですから、なるべく個人株主をつくらないでいこうといったときに、そのときに古川さんは新たに株を取得したということ。  それから小渕光平さんは、以前からでありますけれども、そのときほかの人たちはみんな手放して、そして、法人名義で残っている人はそのまま残しているケースもあるんですけれども、あの二人だけがやはり個人の名義で残していたということ。十八人いたり、あるいは九人いた、ずっとそういう中でみんな落ちていって、最後に二人だけ残っていた。そして、その株が今になってこういうふうに大変高い値段になっているということ。  このことは、どうしてもやはり私は、総理の話を、今、きょうのお話を聞いただけでは納得できませんので、どうしてそういうことになったのか、全くの偶然なのかどうなのか、最後にそれだけお聞かせください。
  188. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まずその相関図、なかなか、何か皆NTTと関係あるように書かれておりますけれども、どうぞひとつお調べいただいて、それがどの程度の利益を上げて、どういうふうになっておられるかということについて、それほどの大きな影響力は私はないと思いますけれども、あたかもすべて私自身がそのようなことにかかわりがあるようにお示しをされておることについては、まあいずれまたこれは明らかになるでありましょうけれども、私がそうしたことを企図してやっておるということは、まず全くないということをここで断言させていただきたいと思う次第でございます。
  189. 海江田万里

    ○海江田委員 ありがとうございました。
  190. 島村宜伸

    島村委員長 この際、池田元久君から関連質疑申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。池田元久君。
  191. 池田元久

    ○池田(元)委員 民主党の池田元久です。  質疑に先立って、この委員会の審議について申し上げたいことがございます。  総理と各閣僚の出席する審議は従来一週間程度行われてまいりましたが、与党にこの審議をわずか二日間に抑える動きがございます。総予算を審議する最も重要な審議を形骸化すべきではありません。委員長も十分な審議を確保するよう取り計らっていただきたい。また、自民党総裁であります小渕総理大臣も、この予算委員会の場で十分に説明責任を果たされるようにお願いをいたします。  今、同僚議員の質問を聞いておりまして、今出ている問題は、一国の総理の信頼性、信用にかかわる問題でございますから、総理も積極的にこの問題について説明責任を果たされるように、私からもお願いをしておきたいと思います。  私はこの後、財政と金融問題について若干の質問をしたいと思います。  御承知のように、現在の日本は世界で最も巨額の財政赤字を抱えております。国民は、経済や社会保障初めこの国の将来について大きな不安を持っております。  まず小渕総理大臣にお尋ねいたしますが、小渕内閣ができてからこれまで一年半の間に、国の借金であります国債をどれだけ出されたか、お答えをいただきたいと思います。
  192. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今委員の資料が回ってまいりましたが、間違いない数字だと思います。
  193. 池田元久

    ○池田(元)委員 資料のコピーが行っておりますので、間違いないということであります。  小渕内閣国債発行額は、九八年度は三次補正で十二・三兆円、九九年度は当初予算で三十一兆円、二次補正で七・六兆円、二〇〇〇年度当初で三十二・六兆円、合わせて八十三・五兆円余りとなっております。  戦後初めて国債が発行された一九六五年以降の歴代内閣国債発行額を見ますと、ここにパネルをつくってまいりましたが、中曽根内閣が約五年間で六十五兆円、橋本内閣が二年半で六十四兆円、小渕内閣は一年半で八十四兆円となっております。小渕内閣が突出しております。また、急ピッチで国債の発行を続けていると言ってよいと思います。  小渕総理の御感想をお聞きしたいと思います。
  194. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 残念ながら国債発行額が多額になっておりますことについては、しばしば申し上げておりますように、深く責任を感じておるわけでございますが、ぜひこれから現下の景気を何とか押しとどめて上に上げてこなければならない。しばしば申し上げておりますように、九年、十年、日本にとりましてはマイナス成長という経済成長をこのまま続けていくということは、ひとり日本のみならず、世界に対する責任を負いかねないということでありますので、財政出動も行いながら、何とか下支えをしながら、将来に対する景気を上昇せしめていく手段として、万やむを得ないことだと思っております。  念のために申し上げれば、昭和六十四年、竹下内閣のときにおきまして、私、官房長官でございましたが、そのときには赤字公債ゼロということになりましたが、それはいわゆるバブル景気によってかなり歳入が増加したというような点もございます。今、そのようなことはあり得ない中で、財政出動の中で何としても今の経済状況を上昇せしめていかないとということで、そのために、貴重な国債を発行することによってそれをなし遂げていくというのが今の私の政治判断である、こういうことでさせていただいておるわけでございます。
  195. 池田元久

    ○池田(元)委員 大蔵省の涌井洋治前主計局長が雑誌の論文でこのように述べております。これまでの自民党政権では、国債の発行をふやしたときでも、必ず翌年以降国債を減らすなどの努力をして、とんでもない借金財政にならないようなルールが暗黙のうちにあった、ところが、これは名指しで、小渕首相となり、このルールの歯どめが崩れたと論文で述べているわけです。  つい最近まで主計局長をやっていたんですが、これは大変率直な見方だと思うんですが、総理が財政の歯どめを崩したと言われて、反論ございますか。
  196. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 涌井君の論文、読んでおりませんけれども、大きな不況の中にありまして、そういう対応しかどうもする方法がなかったというのが現実であったろうと思います。  涌井君が言いたいことは、きっといつかこういう状況が改まるようにという、それを言おうとしておられるんだと思います。
  197. 池田元久

    ○池田(元)委員 小渕首相のことが言われているわけですから、小渕首相に反論いただきたかったんですが。  午前中から出ておりますが、借金王発言というのがございます。総理も先ほど説明されておりましたが、世界一の借金王になってしまった、借金を六百兆円も持っているのは日本の首相しかいないということを言われたそうです。  また、去年の予算委員会の総括で私が質問したときに取り上げたんですが、小渕総理が一年前、自民党の加藤幹事長、山崎前政調会長と会談した際に、自分は九九年度の予算編成、税制改正を通じて、大罪、大きな罪を犯したかもしれない、いずれ自分の後の人に財政再建をやってほしいと述べたということを山崎さんが明らかにしているわけですね。私は無責任な発言だと思ったんですが、あのとき総理は、大罪という言葉を使った記憶がないとおっしゃいました。  しかし、今度の世界一の借金王という発言はリーダーとして理解に苦しむわけです。総理の発言というのは大事ですから、やはり総理という立場を自覚されて、この発言は、政府への信頼、コンフィデンスにかかわり、総理責任をどう考えているかという点からいいますと無責任のそしりは免れないと私は思うんですが、いかがでしょうか。端的にお答えいただきたいと思います。
  198. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 先ほどもこの問題についていささか御答弁をさせていただきました。  経過を申し上げますと、愛媛県の自民党の政経パーティーでお話を申し上げたことですが、この数字というものを本当に重く受けとめて、いずれ景気を回復して日本の経済を安定させることによって、こうした負っておる財政赤字というものを何とか乗り越えなきゃならぬ、これは不断に忘れてはいけない、そういう意味で、言葉があるいは適切でなかったかもしれませんけれども、その借金を大きく背負っているということを一心に、その思いを持ちつつ、この責任あるものはいたさなければならない、したがって御協力もいただきたいという趣旨を申し上げました。  時々私、実は外国の首脳とお話をするときに、先ほど申し上げましたけれども、今日、ODAにおきましても、一兆四百億海外に対する協力もいたしております。国内におきましても、日本の経済の状況、国債を発行してまで予算を組まなきゃならない状況の中で、そうした援助というものはいかがかという議論も、実は自民党党内にもあることは承知をいたしております。  しかしながら、やはりこれから国際社会、特にアジアにおける日本立場を強力にいたしていくためには、一昨日もUNCTADでASEAN十カ国の皆さんお話ししましたが、そのときに一言言われるのは、日本として、宮澤構想を含め八百億ドルに対する、そうした援助、協力というものを、初めて日本というものが真の困ったときのよき友であるということが一様に言われたわけでありますが、そういう場面で、私自身も、これだけの財政赤字を背負っておる中で、日本国民皆さんも御協力をしていただくという意味で、話の組み立てとしてその話をしておるわけでありまして、無責任に、それをしょっておるから、ただ名前を名づけていただければよろしいというものでない、本当にこれを一日も早く解消していくということを一分一秒忘れてはならぬという意味でその言葉を使ったわけでありまして、御指摘があればこれはやめますけれども、気持ちだけはそういうことであるとぜひ国民皆さんにも御理解いただくとともに、御協力いただきたいと願っています。
  199. 池田元久

    ○池田(元)委員 ちょっと表現からいって、私は、そんな真剣さがあっての発言と思われないような印象を受けました。  次の問題、財政にかかわる問題ですが、最近次のような投書が毎日新聞に出ておりました。投稿者は新潟県長岡市の三十二歳の主婦です。   地域振興券が配布されて、一年になる。政府国民も、すっかり忘れているようだが、振興券によって、世の中の景気に何らかの変化はあったのだろうか。   わが家は六万円の振興券を配布されたが、結局、食料品や日用品の支払いに充てただけで、特に大きな買い物もせず、なくなってしまった。周りを見渡しても、みな似たり寄ったりのようだ。   あれだけの大金をバラまいておいて、その結果については、何の論議も反省もなされないのだろうか。効果があったか、はなはだ疑問である。   政府は、政策責任を持つと同時に、どれだけの効果があったのかをくわしく調査、公表する義務を怠らないでもらいたい。  そのとおりだと思うのです。  地域振興券公明党の強い要求を自民党が入れて実施されたのは御存じのとおりです。交付総額は七千億円、市町村などの事務費は七百億円となっております。この主婦の投書に対して、小渕総理はどのようにお答えになりますか。端的に答えていただきたい。
  200. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 地域振興券経済効果につきましては、経済企画庁で調査をいたしまして、GDPの〇・〇六%ないし〇・一%、押し上げる効果があった。その点では減税とほぼ似たようなことでございますが、地域別に見ますと、地域社会を振興した効果は、場所によっては違いますけれども、かなりあったんじゃないか、こういう結論になっております。
  201. 池田元久

    ○池田(元)委員 せっかく出てこられたので、経済企画庁長官の話を聞きましたが、経済企画庁の途中の調査といいますか、後半段階の調査では、七千億円近く使ったのですが、二千億円余りの消費が押し上がった計算になるという推計をしております。七千七百億円を使って二千億円余りの消費がふえた。それであれば、七千七百億円も使わずに、二千億円を直接使えばいいんですよ。教育機関にパソコンなどを買ったり、ホームヘルパーをふやすなど、現代のニーズに合った政策をやればいいわけです。  いずれにせよ、地域振興券については、事後の政策評価をやっていません。  地域振興券の売り上げへの影響について、全国の信用金庫が中小企業一万六千社を対象に聞き取り調査をした。売り上げに影響がない、また、ほとんど影響がないと答えたのは合わせて八三%になるわけです。また、新聞二社の調査でも、地域振興券景気への効果がないと見るのは八〇%前後あるわけです。政策効果がほとんどなかったと。けじめをつけるべきじゃないんですか、総理
  202. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 地方にどの程度影響があったかということにつきましては、あるいは自治大臣かもしれませんが、また総務庁としても調査はいろいろしておると思いますから、御答弁をお聞きいただきたいと思いますが、これは政策判断でございまして、その効果というものは、それは今御指摘をいただき、こうして議論をするということは大変結構なことだと思います。少なくとも、七千億という大変大きな金額が全国に支払われていることでございますので、それは大いに、その効果その他につきましては検討いたしておりますが、それぞれの立場で、大臣の立場で調査をいたしておりますので、お聞きをいただければありがたいと思います。
  203. 池田元久

    ○池田(元)委員 政策と言える政策であるかわかりませんが、発想は、多くの人が喜ぶだろうから金券を配ろうというのは、経済政策でも何でもない。人気取りの、文字どおりのばらまきなんです。人々、特に子供たちがただでお金をもらえると考えるようになったらどうなるのか、まさに大変なモラルハザードですよ。破綻に瀕している財政からいっても、七千七百億円は貴重な財産ですよ。貴重なお金ですよ。そのお金をいたずらにむだ遣いをしたと言って言い過ぎではないと私は思います。  宮澤大蔵大臣、常識では考えられないことを考えなければならないなどと言って七千七百億円を支出したわけです。公明党などの要求に屈して、常識的には考えられないこと、常識的には考えられないことはつまり非常識なことなんですよ。初めから非常識だと思って巨額の国費を投じた責任は、財政当局の責任者である宮澤さんにあると思うのですが、あなたの責任は極めて重いと思います。いかがでしょうか。
  204. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 財政当局として決心をした責任は、まさに私にございます。  私は、ああいう非常な不況のどん底で、どうやって立ち上がろうかとお互いが一生懸命考えていたときでございますから、こういうことも一つの役に立つであろう、少なくとも数千億の消費をつくり上げるわけでございますから、それに、一つ国民の間の話題としても、あるいは地域の商店街の振興と申しますか、こういうことからいっても、効果というのは経済効果だけにはとどまらないと考えなければなりませんから、これだけのことをする価値がある、こう思って決心をいたしました。その責任は私にございます。
  205. 池田元久

    ○池田(元)委員 先ほどのちょっと有名になった宮澤さんの発言は、本音がにじんでいるのではないかと私は思いますけれども。  公明党から閣僚として出ていらっしゃる続総務長官お尋ねしたいと思います。  あなたは、地域振興券の出発点となった公明党の四兆円の戻し税減税について、おととしの春の参議院予算委員会の質問で、国民の切なる願いだと言って、時の橋本総理大臣に、これを読むと、本当に執拗に食い下がったこともありますね。それが結局、地域振興券という形に流れとしてなってきた。今回の地域振興券の大変なむだ遣いについて、反省はありませんか。  もう一つある。あわせて、二〇〇〇年度予算案で、児童手当について、年少扶養控除の特例を廃止するかわりに、支給年齢を小学校入学前までに引き上げられることで決着しましたが、この財政危機の中で、公明党は、当初、二兆九千億円もの予算が必要な児童手当の拡充を主張したわけですね。財政悪化の中で二兆九千億円もの要求を出すこと自体、理解を超えている、論外ではないかと思うんですが、続さん、いかがですか。
  206. 続訓弘

    ○続国務大臣 まず第一に、御党もそうでありましたけれども平成十年の参議院選挙のときを思い起こしていただきたい。国民の皆様は、一刻も早く経済不況から脱出して、何としても経済が、要するに不況から脱出したいという願いがございました。  たまたま政府が九兆五千億の、国民に負担増をかけられました。それは、消費税の三%から五%への値上げ、さらには医療や年金等の改定がございました。合わせて九兆五千億の負担増でございました。せっかく経済が浮揚しかかった、そういうやさきの政策でありました。  私どもは、それを厳しく批判をいたしました。何としても経済を浮揚するためには、今三%から五%への消費税の値上げ分四兆円を戻し減税に、あわせて六兆円の恒久減税をと主張いたしました。それは御党も同じなんだ。そこで……(池田(元)委員「二年前の話は聞いていない」と呼ぶ)いやいや、それが重要なんだ。そういう中で、私ども地域振興券を発想したり、地域振興券責任者でもあります、私は。当時は公明の政策議会長だった。したがって……(池田(元)委員「端的に」と呼ぶ)私の答弁を聞いてください。したがって、私は、国民の声として、この地域振興券に真剣に取り組みました。  おかげさまで、マスコミから取り上げられて、大変ないわば宣伝をしていただきました。どうでしょうか。八百万の票をいただきたい、そうすることによって私どもはキャスチングボートを握るんだ、こういうことをお願いをいたしました。どうでしょう。七百七十五万票の票をいただきました。結果は、キャスチングボートをいただいたわけです。そのことが地域振興券に私はつながったと思います。  そういう意味では、先ほど大蔵大臣も経企庁長官も答弁をされました。この中身は、国民の願いをかなえた、心理的にも経済効果が上がった。それで、同時に、地域の振興に役立ったことは御存じでしょう。菅議員の地元でも、ぜひ商店街でスクラムを組んでほしいという要望がございました。そういう意味では、私はこの地域振興券は大変な効果があった、こう自負しております。  あわせて、例の児童手当の問題がございました。児童手当の問題については、私どもは……(池田(元)委員ばらまきだ」と呼ぶ)ばらまきじゃありません。今、国連の経済調査を御存じでしょうか。二〇五〇年までに年間六十万人の労働者を雇い入れざるを得ない状況にある、それが日本の今の状況だ。そうだとすれば、少子化は、我が日本の重要な政策一つである。そのためにこそ児童手当が必要だということを我々は年来主張しておりました。  そういう意味で、今回、児童手当の創設を自民党と自由党公明党がスクラムを組みながら、三歳から六歳までの児童手当の創設は膨らんだわけですから、この次はさらにこれを拡充するという三党の申し合わせがございますことを御理解いただきたいと思います。
  207. 池田元久

    ○池田(元)委員 今の話を聞いておりまして、国民の皆様も本当にあきれたと思うのですね。一つは、まだ拡充したいと今最後に述べられた。この財政危機の中でどうするんだという感じがいたします。  とりわけ、今本当にあきれたのは、地域振興券は八百万の票を獲得するためだとはっきりおっしゃいました。まさに正体見たりです。自自公政権、とりわけ公明党、その出身の続総務長官、この予算委員会の場で、八百万の票を確保するためにこの政策をやったということは、私ははっきりと皆さん一緒に記憶しておきたいと思います。  本当にあきれました。国民にお金をばらまけば喜ぶという政治、いいかげんにしなければならないと私は思います。それは、税金を食いつぶす、まさにタックスイーターの政治じゃないですか。我々は、納税者、市民の、タックスペイヤーの立場に立った政治をしなければならないと考えております。今改めて感じました。  自自公政権は、確かに、自自のときに、自自公へ至る過程で地域振興券をやりました。七千七百億円の国対費だと我々の代表は言いました。地域振興券、児童手当ばかりではなく、後を絶たないむだな公共事業介護保険料の徴収延期など、大変な借金をしながらばらまきをしております。そして、まさに今、選挙目当てであることが明確になったわけです。  自民党の加藤幹事長は、予算そのものがばらまきで、将来より今のことを考えている予算とのイメージになってしまう。そして、おもしろいことを言っております。孫のキャッシュカードを乱発してサインして歩いているような状況だ。それから、梶山静六氏の発言はもう説明するまでもないでしょう。小渕内閣政策は、政策ではなくて神仏に祈るのと同じだと。あといろいろなことを言っております。  総理、一言で、これに対してどうなんでしょうか、自民党の領袖として、総裁としてお答えをいただきたいと思います。
  208. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 間違っておったらお許しいただきたいと思いますが、梶山氏の発言について御紹介ありまして、考え方を問う、そうお聞きをいたしたとすれば、いつも折に触れまして貴重な意見を提言されておられまして、今回の提言の内容につきましても参考にさせていただきたいと思っております。
  209. 池田元久

    ○池田(元)委員 自民党の元幹部の発言についての感想を今聞きましたが、私はここで今国会の焦点の一つであります財政再建と景気回復について、時間が余りありません、お尋ねをしたいと思います。  小渕総理は施政方針演説で、景気を本格軌道に乗せるという目的と財政再建に取り組むという重要な問題の双方を同時に追い求めることはできないとおっしゃって、景気対策を最優先させていますが、では、景気がよくなったら日本の財政が好転する見通しはあるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  210. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま御審議中の予算の中には、いわゆる信用秩序の回復のための、あるいは景気回復は、失業手当等もとよりでございますが、この予算限りで、平常時の予算からは落ちる経費、例えて申しますと、預金保証のための四兆五千億円を国債整理基金に計上してございます。それから失業対策費等々、景気が回復いたしますと、将来の予算から必要のない経費をかなり計上いたしてございます。したがって、この点は将来の財政についてはプラスの事情でございます。  ただ、恐らく御質問の中に、まだおっしゃいませんけれども景気がよくなれば金利が上がるだろう、そうすると、国債の経費が大きくなりはしないか。景気がよくなれば税はふえるはずでございますけれども、そのふえ方がどのぐらいのものであろうか、あるいはまた、介護であるとか医療であるとか年金であるとかいうものについての国民の負担と給付というものの関連が国家的にはまだ未定の状況であるというようなこともあるではないかと。いろいろ不安な要因はございます。  しかし、とりあえず、御審議中の予算に計上してございますかなりのものは、平常時になりますと経費から落ちてまいるということは申し上げられると思います。
  211. 池田元久

    ○池田(元)委員 直接お答えいただけないので、では、大蔵省が出した中期的な財政事情についての試算、これについて、これは提案理由の説明のときに配られた資料ですが、ここでは二〇〇〇年度予算案を前提に経済が名目で三・五%と高目に成長した場合、国債費と地方交付税を除く一般歳出を横ばいに置いたとしても、国債の新規発行額は、二〇〇一年度の二十九・七兆円から二〇〇五年度の三十二・九兆円まで、毎年度三十兆円ずつふえ続けます。一方、低目の一・七五%成長の場合もほぼ同様に、二〇〇一年度の二十九・三兆円から二〇〇五年度の三十一・八兆円までふえ続けるわけですね。毎年三十兆円もの国債を増発すること自体、大変驚くべきことです。  それとともに、この試算は、国債残高が二〇〇五年度末には高目の三・五%成長の場合四百九十六兆円、この右下の数字です。それから、低目の一・七五%の成長の場合は四百九十一兆円となり、高目の成長の方が国債発行残高がかえって膨らむ結果となっているわけです。これは、税収が少しふえたとしても、金利の上昇で国債の利払いに充てる国債費が増加するためです。  仮定金利の四・五%、三・五%の場合は金利を四・五%というふうに見ているわけですが、恐らく高過ぎるという意見もあるかもしれませんが、それを三%に落としたとしても、三十兆円台の国債発行で利払い費は毎年一兆円もふえ続けることになるわけですね。二〇〇五年度末の国債残高はほとんど変わらない。いずれにせよ、景気がよくなっても、今の歳出、税制のままだと財政赤字は減りません。財政は好転しないということです。  これは涌井さんも言っております。私も前に委員会でこれに言及したことがございますが、景気がよくなったからといって財政赤字が解消できるというのは間違い、ごまかしにすぎない、涌井さんのワードをかりれば。私もそのように思いますが、宮澤大蔵大臣、いかがでしょうか。
  212. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま御紹介になられました資料は、政府が先般提出いたしました、昭和五十年代から毎年当委員会に御審議の参考に差し上げてあるものでございますが、当時の形式をそのまま踏襲しておりますので、名目成長率にしても三・五%というような、ちょっと今としては現実的でない部分を含んでおりますが、考え方は同じような考え方で試算をごらんいただいておるわけでございます。  したがいまして、この中には新しい政策努力というようなものは含まれておりませんで、一種のプロジェクション、統計的なプロジェクションをやっておるものとお考えいただきますと、答えとしては、今池田委員の言われましたように、経済成長率が高くなりましても、国債の金利が恐らく上がりますので、四・五という金利は高いとおっしゃいますが、今一・七の方が低いのであって、むしろこういうことはありそうである。あるいは、成長率が一・七五のときには金利はたしか三%と見てありますが、そういうようなこと。  それから、景気がよくなって税収がふえても、仮に税収の弾性値を一・一とすれば、三%の成長のときの税収のふえは三・三でございますから、五十兆といたしますと、一兆余り、余り大きくはふえないではないかというようなこと。  それからもう一つは、いわゆるこの中でごらんのように一般歳出がふえております根本的な一番の原因は、恐らく社会保障関係費である、こういう人口動態でございますから。そういったようなことは、みんな池田委員の御指摘のとおりでございます。  そこで、これをごらんいただきますと、最後の公債金収入のところが十三年度だけ前年度より減っております。これは、先ほど申しましたことを申し上げておるわけですが、まただんだんふえ始める。したがいまして、これが申そうとしておりますことは、根本的な財政改革をする、税制改革をする、そして社会保障関係費について給付と負担の将来にわたる水準を国民的な合意でお決めいただくことがどうしても財政としては必要に思います、そうでありませんと一般歳出というものはとめどもなく伸びる感じがございますということを、強いて申せば申し上げようとしておると思います。  したがいまして、将来国債発行額を減らしていくためには非常に大きな行財政全体についての改革がどうしても必要になるのではないかということをお読み取りいただければという、申し上げようとしているわけではございませんが、この資料からそういうことをお読み取りになるのかと思います。
  213. 池田元久

    ○池田(元)委員 この一枚の資料からでも、今おっしゃったように大変な状況がここに出ておりますので、そんな悠長なことは言っていられない、早く取り組めというサインがもう出ているわけです。  今四・五%の仮定金利はそんな高過ぎないと、私も本当はそう思うんですよ。これから景気が上向いてきて、資金の需給がどうなるかもありますが、金利が上昇する懸念が大変強い。今は長期金利はゼロ金利政策や金利抑制策によって何とか安定をしておりますが、国債と公共債、つまり政府保証債だけでなくて来年からは財投債も出てくる、そういう公共債などの大量発行が続く中、ゼロ金利政策、本当はお聞きしたいんですが、時間がありませんので、これまでの総裁の記者会見の発言などもお伺いしておりますが、ゼロ金利解除が視野に入ってくると、もう金利の上昇は避けられなくなると思われます。一挙に国債需給の悪化が懸念されまして、長期金利が急騰する事態も予想されるわけです。  それはちょうど一年前、大蔵省の資金運用部が二千億円の国債の購入停止の発表をしたのを受けて一気に二・五%まで急騰したことを見ても、急激な長期金利の上昇が懸念をされるわけです。  そうすると、一たん長期金利が上昇すれば、国債の利払い費が激増いたします。企業の設備投資が抑制されます。また、銀行に多額の含み損が発生します。景気の足を引っ張るわけです。景気回復、長期金利の上昇、景気低迷という悪循環に陥ることになります。  財政赤字は後世代にツケを回すと批判をしておりますが、それだけではありません。長期金利の上昇によって、目の前の経済に危機を招きかねないと私は思います。財政赤字が拡大しても民間の設備投資や消費が伸びないという非ケインズ効果が既にあらわれているのではないかと私は思います。財政再建は、財政赤字の削減は、もう差し迫った問題であるわけです。  しかし、自民党の亀井静香政調会長の先月十九日の党大会での政策報告、党大会での政策報告ですよ、一部で財政再建路線に戻るべきだという意見があるが、不見識きわまると言わざるを得ないと述べております。  総理、あなたも同様に考えているのですか。
  214. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 党大会での我が党政調会長の御発言は今池田委員指摘のとおりであると思いますけれども、私自身は、しばしば申し上げておりますように、財政再建と景気の回復ということは、二兎を追えないと申し上げておるわけでございますが、先ほど来菅委員から財政構造改革という点を御指摘いただきました。これは、私ども、単年度の予算におきましても心得ておるつもりではございますけれども、先ほど来幾つかの指摘もございました。  いずれにいたしましても、財政構造改革というものは常々考えていかなければなりませんが、何といっても、六百四十五兆になんなんとするものを、一挙にこれをニュートラルにするということはなかなか難しい問題だろうと思っております。  したがいまして、繰り返しになりますが、政府としては、景気を回復し、そしてGNPを拡大し、そしてまた税収入が確保できるというオーソドックスな形でこれから努めていくということが政府の考え方でございます。
  215. 池田元久

    ○池田(元)委員 財政再建、財政赤字の削減は、中長期に取り組む課題ではないと私は思います。  しかし、小渕総理大臣は施政方針の中で、経済が低迷を脱し、名実ともに国力の回復が図られ、それにより財政、税制上の諸問題について議論に取り組む環境を整え、その上で財政構造改革という大きな課題に立ち向かっていきたいと述べているわけです。  国力の回復が図られ、議論に取り組む環境を整え、その上で課題に立ち向かう、こんな悠長なことを言っていられますか。僕は、あなたの危機感を疑わざるを得ません。  小渕総理大臣は橋本内閣の重要閣僚でいらっしゃいました。あの財政構造改革法にかかわったことがあります。小渕総理は財政再建の道筋、方途についてどのような考えをお持ちか、示していただきたいと思います。
  216. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 池田委員、非常に悠長な考え方だ、こうおっしゃられますけれども、やはり、先ほど申し上げましたように、オーソドックスには、これだけの大きな日本経済というものを大きく発展させていくということでございまして、マイナス一%になっただけでも六十兆を超えるような大きなマイナス要因を行ってくるわけでございますから、そういう意味で、着実に経済を回復して、そしてしっかりとした足固めをし、環境を整えていくという方向を着実に進めていくということだろうと思っております。  しからば、短兵急に財政をどう改革したらいいかと言われれば、言うまでもなく、何らかの意味で、国民の持てる資産の中から税という形で政府がこれを活用できるようにしていただければ、それはある意味での改善になるかと思いますが、そうした手法をとるということは前回の轍を踏まざるを得ないということでありますので、そうしない形の中でやっていかなきゃならぬというふうに思っております。  そこで、橋本内閣における閣僚としての問題に触れられました。  なるほど、あのときは財政構造改革について法律を提案し、またこれを通過させたわけでありますが、参議院選挙の結果、また同時に、大変不幸なことにアジア経済というものが、あの金融危機によって一足飛びにマイナス一〇%程度の各国の成長率になってしまいました。  そういうことの影響もこれあり、御指摘をいただきましたように、この際は、財政改革そのものにつきましては、これは法律を凍結いたしましても経済を再生させるということにおいて、この内閣としては出発をいたしておるわけでございますので、いま少しくこの政策遂行について御理解をいただき、基本的に、日本経済が民需も含めて大きく成長のできるようにいたしていく諸政策をとっていくことがオーソドックスでないか、こう考えておる次第でございます。
  217. 池田元久

    ○池田(元)委員 やはり政策運営にはスピードが必要だと私は思います。財政再建というのは、あるときに言ってそこから再建できるものじゃないのですよ。助走期間もあるし、その一つの行動計画というものがあってしかるべきなんです。  私は、財政を立て直すため、今できることがあると思います。  それは、財政支出や経済対策の内容を、費用対効果の点から厳しくチェックをしていくということです。そうすれば、八百万の票を獲得、確保するためだというのは別としても、ばらまきでありますいろいろな事業、利用価値の乏しい公共事業をやめることができると私は思います。  それとともに、財政危機が深まっていることに対応して、新しい財政構造改革法を早急にまとめるべきだと思います。現行法の凍結解除というよりも、新しい法律として、歳出歳入から国債費と国債収入を除いたいわゆるプライマリーバランス、税収の範囲内で歳出を賄う、そういうプライマリーバランスを確保する年次をまずはっきりさせる。そして、財政赤字の削減の目標を掲げるのは当然のことだと私は思います。  また、現行法のように、補正予算でのばらまきを許さない、包括的で長期間にわたる縛りをかけなければならない、そして、予想外のショックのときには柔軟に対応できるものとすべきだと思います。また、当然、政策評価ということも重要な柱として入れる必要があると思いますが、これは宮澤大蔵大臣お答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
  218. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 けさほど菅委員にもお尋ねがあって、サジェスチョンもいただきましたし、申し上げたことでもありますが、公共事業そのものについて、いわゆる旧態依然たるものでない新しい物の考え方、それは昨年の補正から取り上げつつあるということを申し上げました。現在の公共事業の九兆のほぼ二割以上がそういうものになっておるということを申し上げましたし、また、費用対効果の分析につきましても、政府としてはもとよりやっております。  それで、池田委員が非常に現在の事態について焦燥を感じておられますことは私はよくわかるわけでございますが、そういうこれからの財政構造改革あるいは税制も含めまして、中央、地方も入ると思います、そのためには、やはり日本の経済がある程度落ちついた成長軌道に入るということを確かめませんと、全体の作業のフレームワークができません。  何年かのうちに財政構造改革をしようとするのであれば、その何年間かの国民経済の計算はどのぐらいになるかということがわかりませんと、したがって、税収がどれだけとれるかもわかりませんし、歳出をどれだけ削れるかもわかりません。公債と民間資金需要の競合関係がわかりませんと利子率がわからないという、現実に作業の手はずを考えてまいりますと、一つの、心構えとしては今おっしゃいましたようにたくさんのことが必要ですけれども、それだけの大きな作業は、やはりまずはっきりした見通しと、それから全体のフレーム、国民経済の計算がありませんと、これはおわかりいただくことでございますけれども、実際にはなかなか作業が進められません。  それなくしてつくりますと、それは信憑力のないものにならざるを得ませんので、私どもも焦っておりますけれども、しかし、まず、そういう計画が可能な経済状況というものを日本経済につくりませんと信頼できる計画が立てられないというのが、私どもの悩んでおるところでございます。
  219. 池田元久

    ○池田(元)委員 大蔵大臣のおっしゃることは、事務的には一部そうかもしれません。だけれども、下書きの一部もあるわけですから。そして、中身ももちろん大事ですが、財政構造改革法をつくるんだ、このメッセージが僕は非常に大事だと思うのですよ。  もう大蔵大臣はおわかりだと思いますが、今、金利抑制策で何とか長期金利は抑えている、これはいつ上がるかわからない、こういう状況ですから、これはやはりスピードが必要だと私は思います。  小渕総理大臣は、同じ施政方針の初めの方で、大事なことは、嘆き続けることではなく、一歩力強く踏み出すことだとおっしゃっています。後の方の財政再建のくだりは回りくどい、三段階とか四段階とか、そんな感じでありますが、ここは明確に言っている。まさに財政再建について、総理大臣が施政方針の初めの方で言っているとおり、一歩力強く踏み出すことではありませんか。     〔町村委員長代理退席、委員長着席〕
  220. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 池田委員の財政再建に対しての幾つかの、プライマリーバランスその他のお話がありまして、傾聴いたしました。  いずれの時期にその財政再建としての法律を進めていくかということは極めて慎重を要すべきことでありまして、そのタイミングを誤りますと、生きた経済の中で、再びやはりかつてのような状況になってはならぬということでございますので、いつも申し上げておりますけれども、常々財政再建については、これは重い責任を負っているという中で、具体的に法律をいつの段階で発動していくか、その中身についても、先ほど委員委員なりのお考えを示されましたけれども政府としても考えていかなければならないことはそのとおりだと思います。その時期その他については、慎重の上にも慎重を期して対応していきたいというふうに思っております。
  221. 池田元久

    ○池田(元)委員 今聞いておりますと、すぐに財政再建の方途については着手できないんだ、そういうお考えのようでありますが、このままいったら、先ほどから申し上げておりますように、単に将来世代に赤字のツケを回すのではなくて、それ自体が大変な経済の危機を招くおそれがあるという状況になっております。  このまま自民党政権小渕自公政権が続いて、今のようなことであれば、つまり財政規律はない、つまりばらまき体質、そして先送り、すぐには着手しない、それは同時に非常に緩慢な政策運営だと思いますが、これでは、かつて経済審議会が言ったように、日本は、特に財政は、破局のシナリオに陥るものではないか。私は深刻に心配しているということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  222. 島村宜伸

    島村委員長 これにて菅君、海江田君、池田君の質疑は終了いたしました。  次に、志位和夫君。
  223. 志位和夫

    志位委員 日本共産党を代表して、小渕総理に質問いたします。  まず、今度の国会冒頭での異常事態の原因責任がどこにあるかについてであります。私は、端的に三つの問題をただしたいと思います。  第一に、強行された定数削減法とはどういう性格の問題かという点であります。  総理は答弁で、民間もリストラをやっているから議員もリストラをやるのは当然だという趣旨のことを述べられました。私たちは大企業のリストラ万能論にもちろん異議を持っておりますが、問われている問題は全く次元を異にする問題だと考えております。  憲法にあるように、国会議員というのは国民の代表者であって、国民国会議員を通して政治に参加いたします。その定数を削減するというのは国民の参政権の切り縮めとなります。まして、現行の並立制のもとで民意を反映する唯一の部分である比例代表の定数をのみ削減するというやり方は、二重に国民の参政権を切り縮めることになると考えます。  この問題についての総理の御見解を伺いたいんですが、問われた問題が、これは議員の身分とかそういう問題ではなく、国民の参政権が問われたんだというこの認識はおありになりますか。総理、どうぞ。
  224. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 施政方針演説でも申し上げましたが、定数削減につきましては、国家公務員の削減、地方議会の定数削減、民間の経営合理化への取り組みなどを踏まえ、また国民の世論の声も十分勘案して、国会においてもまず改革を進めることが大切であるということで、三党でお話し合いをされまして、定数削減につきましての法律案が提案され、これが通過いたしたということでございます。  数が多ければ参政権が十分反映されるか、少なければ反映されないかということを、数の上で論ずることはなかなか難しいと思います。世界じゅうの国々のそれぞれ議会における議員の数を見ましても、アメリカが、二億五千万おられましても、上院は百人、下院は四百三十五人ということでございまして、それで民意が反映されないということでもありません。  したがって、それぞれの国においてはそれぞれの国の状況がございますけれども、今回の定員削減につきましては、冒頭申し上げました各種の問題を総合的に判断して、必要なことであると判断させていただいた、こう思っております。
  225. 志位和夫

    志位委員 この問題についてさまざまな意見がおありでしょう。ただ、この問題の性格が、つまり選挙制度を変えるということが国民の参政権にかかわる問題になるかどうかということを聞いたんです。  これは、実は与野党では決着済みの問題なんですよ。二月八日の衆議院議長の見解が出されました。私たち、これは原因責任が明瞭でありませんでしたから受けることはできませんでしたが、しかしその中で、現行選挙制度にかかわる諸問題については、国民の参政権にかかわる重要問題であるので、慎重にやっていくんだ。これは与野党も認めて、つまり選挙制度の問題というのは、それはリストラの問題とかそういう問題とは違うんだ、身分の問題とかそういう問題と違うんだ、国民の権利の問題なんだということは、これは自民党も認めたんですよ。与党もみんな認めて、議長見解になっているんです。ですから、そういう性格の問題だということはお認めになりますね、この議長見解は。
  226. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 参政権の問題といいますか、国民が政治に参画するということを適切に反映させていくということについては、これは民主主義の基本でありますから、当然と心得ております。
  227. 志位和夫

    志位委員 選挙制度の問題が国民の参政権にかかわるかどうか聞いているんです。イエスかノーか。
  228. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 民主主義において、議員を選任するということは国民の参政権の大きな問題でございます。
  229. 志位和夫

    志位委員 お認めになりました。結局、選挙制度の問題について、これは国民の参政権にかかわる問題だということをお認めになりました。  したがって、次の問題に進みます。  第二に、そういう重大な性格を持つ問題を、与党だけで冒頭処理という方針を決めて、国会に無理やり押しつけるというやり方が許されるのかという問題です。  野党が一致して要求したのは簡単なことでありまして、こういう国民の参政権にかかわる重大な問題である以上、国民の意見をよく聞き、各党の協議を尽くし、そして国会の審議も十分に保障して事を進めるべきであって、冒頭処理のようなやり方を押しつけるべきでない、この一点を野党側は要求したわけです。ところが、与党の側は、一顧だにせず強行を図った。  衆議院では議長裁断が出されました。本会議での採決を六日待ってほしいという、これすら与党はけって、何が何でも一月二十七日に衆議院の本会議は通すのだと、この強行をやりました。参議院は、今度は中間報告という制度を悪用して、国会法を踏みにじるやり方で強行がやられました。  自分たちが日程を決めたら、野党が何と反対しようと、議長さんがちょっと延ばしてくれと言おうと、あるいは国会法に何と書いてあろうと、何が何でも衆議院は一月二十七日、参議院は二月二日に強行するんだ、こういうやり方を国民の参政権にかかわる重要な問題でやっていいものかどうかが問われている。  総理に伺いますが、選挙制度の問題について、かつてこういう乱暴なやり方がとられたことがありますか。つまり与党だけで選挙制度の改変が行われたことがありますか。また、こういう日程を決めて、出口を決めてこれを押しつけるというやり方をかつてやったことがありますか。そういう記憶があったら言ってみてください。
  230. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 内閣といたしましては、国会での御議論を、先ほど来いろいろ言われておりますように制肘をしたり圧力をかけたりということはあり得ないことでございますので、本件については、国会において十分御審議をいただいた結果このような結論を得たものと理解いたしております。
  231. 志位和夫

    志位委員 答えてください。これまでそういう乱暴なことをやったことがありますか。
  232. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今回の結論を得るに至りましたことは、私自身は初めての経験でございました。
  233. 志位和夫

    志位委員 初めてなんですよ。これまでの自民党政権も、保守政権も、一度として与党単独で選挙制度をいじったことはないんです。それは、与党が勝手に選挙制度を自分有利にいじるならば、永久政権になるからですよ。最小限のルール、最小限の良識としてあなた方の先輩が守ってきたんですよ。これを踏み破ったのが今度のやり方なんです。  第三に私は進みたい。  そういう議会のルール破りをただ与党だけがやったのではない。官邸国会とその議長に直接圧力をかけるという形で行ったというのがとりわけ重要であります。  毎日新聞が二月五日付の特集記事を出しております。「検証 定数削減 議長の仲裁失敗」というものであります。この中で、衆議院の本会議での強行が問題になった二十七日夕方、青木官房長官衆議院議長電話をして、本会議開会のベルをどうしても頼みます、こう言った。青木長官はベルを押せの一点張りであった。  そしてもう一つ。  法案が二十七日衆議院通過し、参院での扱いに焦点が移った二十八日正午、青木長官は今度は、参院議長室の斎藤議長電話を入れた。参院も議長対応にかかっている。あんたはもう議長を五年やったわね。ひょっとして、あと一年のために内閣倒すんかね。  これは記事であります。  もう一つ、これは読売新聞です。読売新聞の一月二十九日付。青木官房長官は同日、二十八日のことでありますが、斎藤議長電話で、自自両党が合意している冒頭処理は二月二日までのことだと伝え、二月二日までの法案成立努力するよう求めた。極めて明瞭であります。  そこで私は官房長官に伺いたい。衆院議長、参院議長に、法案の扱いについて、二十七日、二十八日と電話をしたという事実はありますか。
  234. 青木幹雄

    青木国務大臣 そういう事実は一切ありません。
  235. 志位和夫

    志位委員 法案の扱いについてそういうことをやったことはないというお話でした。  では、もう一つの事実を示しましょう。斎藤参議院議長が二月八日に記者会見をされています。これはその全文を起こしたものであります。それで、最後に、官房長官から電話がかかってきたことは認めておられます、二十八日に電話がかかってきたと。何という電話か。そちらに厄介なものが行ったので、ひとつよろしくお願いします。厄介なもの、二十七日、二十八日に行った厄介なものといったら法案のことじゃありませんか。法案に関して電話しているじゃありませんか。参議院議長が認めているじゃありませんか。  今の発言、どうですか、偽りじゃないですか。
  236. 青木幹雄

    青木国務大臣 私は、議長には一回もお会いしたことも、電話したことは、衆議院議長にはありません。参議院議長には、二十八日かどうか覚えてはおりませんが、電話は間違いなくいたしました。私がした電話内容は、これから国会が始まりますので、いろいろな面でお世話になりますという電話をいたしました。それに対して議長は、あんたも大変だろうけれども頑張りましょう、そういうことでございました。ほかにありません。
  237. 志位和夫

    志位委員 全くこれは参議院議長の記者会見と異なっておりますね。国会が始まったのでよろしくという電話じゃありませんよ。そちらに厄介なものが行ったのでよろしく、全然違うじゃありませんか。厄介なものといったら法案じゃありませんか。  この問題については、官房長官の公式の発言、これを見ても明らかであります。一月十二日の定例会見で、二十八日に予算書を提出いたしますので、それまでに二十名削減の問題は片づけていただきたい、処理をしていただきたい、成立することによって処理をしていただきたいと、はっきり申されています。  それから一月三十一日の定例会見で、私は二日ごろには成立するんじゃないか、させなきゃいかぬじゃないか、そのように考えておりますと。二日には成立させなきゃいかぬ、こう言って、ひとつそちらに厄介なものが行くのでよろしく、こう電話をすれば、立派な圧力じゃありませんか。  まさに、参議院圧力をかけて、厄介なものが行った、二日までにこれは成立させなきゃいかぬと圧力をかけたのはあなた自身じゃないですか。
  238. 青木幹雄

    青木国務大臣 厄介なもの、厄介なものとしきりにおっしゃいますけれども、私は、少なくとも、私の議員の身分にかけて、議長に対して厄介なものというようなことを言ったことは一度もありません。  また、三十一日の私が発言したことはこういう内容でございます。私も小渕内閣の一員として、この国会平成十二年度の予算成立さすことが一番大事な内閣の仕事だという考えを持っております。そういう前提に立って、いつまでに成立することが望ましいか、こういう質問がございましたので、私といたしましてはできるだけ早く成立することが望ましいと、私が言うのは当然のことでありまして、それが介入をしたという御指摘は当たらない、そういうふうに考えております。
  239. 志位和夫

    志位委員 できるだけ早くでなくて、二日までにはさせなきゃならない、こう言っております、あなたは言っております。  それから、この問題は、あなたは厄介なものということは言わなかったとおっしゃられましたけれども斎藤議長ははっきりそうあなたから聞いたと言っておられるわけですから、これは事実が食い違っているわけですね。そうなりますと、あなたがどうしても言っていないと言うのであれば、これは重大な事態になるんですよ。これは事柄の性格が大変重大なんです。これは三権分立にかかわる問題です。  憲法は、この三権分立の大原則の中で、憲法第四十一条で、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と明確に規定しています。「唯一の立法機関」というのは国会だけが立法できるという意味じゃありません。国会は他の国家機関の干渉や介入を受けずに排他的に立法権を行使できるというのが、この条文の意味であります。  ですから、あなたが仮に報道のような行為をしたとしたら、あるいは斎藤議長が言っているような行為をしたとしたら、三権分立に違反する重大な問題になってくる。こういう重大な問題なんです。  しかも、今度の問われている問題というのは、内閣の行政権とかかわりありません。内閣が出した法案でもありません、予算案でもありません、条約でもありません。行政権とかかわりない、国会の構成の問題だからこそ、議員立法という形で国会に提起されたわけであります。これを仮に報道のとおりあなたが発言していた、あるいは参院議長の言うとおり言っていたとしたら、まさに三権分立のじゅうりんになるわけですから、もしも事実と違うというのならば、その是正の措置を、いいですか、是正の措置をきちんとこれはとる必要が出てきます。これはとったのですか。とったのですか。
  240. 青木幹雄

    青木国務大臣 私が発言をした覚えがないと責任を持ってこの場で申し上げていることを、それを前提にしていろいろな議論をされるのは非常に迷惑でございます。
  241. 志位和夫

    志位委員 この問題の性格は三権分立にかかわる問題だから、もしもこれは違うというのならば、マスコミに対してこれは事実と違うと是正の措置を求めるべきですよ。参院議長に対しても求めるべきですよ。これをやったのか、やっていないのかと聞いているんです。事実を答えてください。
  242. 青木幹雄

    青木国務大臣 もし、私が言っていることが疑問だとされるならば、斎藤議長に直接お確かめになる方が一番いいと思います。斎藤議長が言ったとおりが新聞報道されたかどうか、そういうことも含めて、お確かめ願いたいと思います。
  243. 志位和夫

    志位委員 私たちは確かめた上で斎藤議長の発言を紹介いたしました。斎藤議長の発言は新聞でも報道されましたし、私たちも直接伺いました。ですから、これは明瞭な問題なんです。  ですから、この問題について私が聞いているのは、これだけの重大な問題なのだから、もしもこれが事実だとしたら大変なことになるわけですよ、三権分立のじゅうりんなんですから。あなた自身も大変なことになるわけですよ。だったら、その是正の措置を求めるのが当たり前でしょうということを言っているんです。やったのかやらないのかと聞いているんです。イエスかノーか、答えてください。
  244. 青木幹雄

    青木国務大臣 私は、予算委員会という公の場で、そういう発言はいたしておりませんと責任を持って申し上げているところでございます。
  245. 志位和夫

    志位委員 要するに、是正の措置を求めるつもりはないということですか。
  246. 青木幹雄

    青木国務大臣 言った覚えのない者が、是正の措置を求める気持ちはありません。
  247. 志位和夫

    志位委員 覚えのない者だからこそ、あなたが覚えがないと言うからこそ、是正を求めなきゃならないのじゃないですか。是正の措置をとるのか、とらないのか。
  248. 島村宜伸

    島村委員長 志位君、質問あるならば、ちゃんと言葉で言ってください。
  249. 志位和夫

    志位委員 私は簡単なことを言っているんです。私は官房長官に、そういう圧力をかけてきたのですかということを聞いたのですね。官房長官圧力をかけていないとおっしゃった、圧力をかけていないと。しかし、この問題というのは三権分立にかかわる重大問題だから、もしあなたの言うのが本当だったら、是正の措置が必要でしょうということを私は聞いているわけです、マスコミでみんな報道しているわけですから。マスコミに是正を求めることは必要でしょう。
  250. 青木幹雄

    青木国務大臣 圧力をかけていない者が、今議員がおっしゃるようなことをすべきじゃないと私も考えております。  圧力をかけた覚えは一切ありません。覚えがない者が、議員がおっしゃるような是正の措置をする余地もありません。
  251. 志位和夫

    志位委員 官房長官、論理が逆なんですよ。覚えがないんでしょう、あなたは。覚えがないのに、新聞は、あなたが覚えがないことを……(発言する者あり)
  252. 島村宜伸

    島村委員長 御静粛に願います。
  253. 志位和夫

    志位委員 静かにしてください。静かにさせてください。  覚えがないとあなたはおっしゃっている。しかし、新聞にはみんな圧力をかけたと書いてある。だから、もしその覚えがないというのだったら、ちゃんとこれは、三権分立にかかわる大問題だから、是正してくださいと言うのが当たり前じゃないですか、その措置をとらないのですかと聞いているのですよ。何でこんな簡単な理屈に答えられないのですか。(発言する者あり)——では、もう一度質問をいたします。  この問題について、官房長官は、衆参の議長圧力をかけた覚えはないということをおっしゃいました。しかし、報道の方は、その圧力の事実を生々しく伝えております。そして、この問題は、三権分立にかかわる重大な問題です。したがって、もし圧力をかけたことがないというのであれば、マスコミに対して是正の措置を求めるということが当然ではないかと私は聞いているのです。これに対してお答えください。
  254. 青木幹雄

    青木国務大臣 マスコミに対して是正の措置をとれということでございますが、私は、毎日の記事は見ませんでした。読売の記事は見ました。見ましたので、その次の朝で、こういう間違った記事を書いてもらっては迷惑ですということは読売には申し上げました。毎日の記事は見ていなかったので、そういうことは申し上げませんでした。
  255. 志位和夫

    志位委員 毎日新聞にはどうするのですか。読売新聞に迷惑だと言われて、読売新聞は撤回しましたか。記事を撤回しましたか。毎日新聞は撤回しましたか。
  256. 青木幹雄

    青木国務大臣 皆さんは単独審議だと言われ、また我々三党は審議拒否だと言う、そういう非常に難しい雰囲気の中で新聞、テレビがいろいろな報道をされることは、私は、時には間違いもあろう、そういうふうに日ごろ解釈をいたしておりまして、余り難しく考えてはおりませんでした。三権分立というものは非常に重いものであるということは、私も議員の一人として十分承知をいたしておるつもりであります。
  257. 志位和夫

    志位委員 全体のきょうのやりとりを通じて、どっちかの事実ですよ。報道が真実であるか、報道どおり圧力をかけたのが真実であるか。私はそうだと思います、この全体の経過を見れば。  もう一つは、あなたが三権分立という重大性を理解していないかということですよ。理解していないからきちんと是正の措置もとっていない、これだけ報道されているのにまともな是正の措置をとろうともしない、こういう問題だということを最後に私は申し上げておきたい。  私は、今度の事態は、本当に議会のルールを壊した大きな汚点を与党は残したと思いますよ。このことに対する厳しい反省を求めて、次の議題に移ります。  次に、財政再建の問題です。  来年度予算が執行されますと、二〇〇〇年度の国と地方の長期債務残高は六百四十五兆円、GDP比一・三倍に上ります。首相一人の代で百一兆円もの借金をふやしたという計算です。  これがどんなに異常なものか。第二次大戦の敗戦末期の一九四三年の国と地方の借金が当時のGDP比一・三倍ですから、まさに敗戦末期という深刻な事態です。このときの解決法というのは、直後に敗戦が起こり、三百倍という悪性インフレが起こり、国民の財産を帳消しにする形での括弧つきの解決を図られたわけです。  総理にまず伺いますが、総理は、二兎を追う者は一兎をも得ずということを繰り返されておりますが、これは、景気が回復するまでは財政再建の計画と展望は示せなくてもやむを得ないということをおっしゃっているのでしょうか。景気が回復するまでは財政再建の計画は示さなくてもしようがない、こういう考えでしょうか。
  258. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 せっかく国会成立をさせていただきました財政改革法案をも凍結せざるを得ない状況でございますので、まずは景気を回復して安定的な経済回復ができるよう全力を挙げていくことが現下の重要な諸点と考えております。
  259. 志位和夫

    志位委員 それでは次に伺います。  経済が回復軌道に乗った場合、財政状況が好転する見通しがあるんでしょうか。総理の諮問機関である経済戦略会議では、「二〇〇一年度には二%の潜在成長力軌道に復帰する。」ということを述べておられますが、それでは、仮に二%程度の経済成長の回復に復帰したとすれば、税金の入りがふえて財政再建の展望が開かれる、財政赤字の解消の道が開かれる、こういう状況になるんでしょうか。
  260. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そんなに簡単なことではないと思いますね、この財政再建は。ただ、先ほども申し上げましたように、経済がちゃんとした軌道に乗らなければやりようがありません。
  261. 志位和夫

    志位委員 だから私、乗った場合にどのぐらいの税金が入ってくるんですかと聞いているんです。二%の場合、どのぐらいの税金。
  262. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 普通に考えましたら、経済成長率が形式、ノミナルで二%ならその一・一倍……(志位委員「弾性値で」と呼ぶ)弾性値は一・一と考えるのが常識でございますね。非常にいいことがあるかもしれませんけれども、余りそういうことは予定しない方がいいと思います。
  263. 志位和夫

    志位委員 要するに、税収弾性値が一・一ということになりますと、二%掛ける一・一で大体二・二%。そうしますと、税収が五十兆ぐらいですから一兆円余りということですか。それでよろしいですか。
  264. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そう考えるのがまあ安全だと思います。
  265. 志位和夫

    志位委員 これが現状なんですよ。つまり政府の言うような二%回復軌道に乗ったとしても、国の税収の伸びは一兆円余り。ところが、今の国の歳出入のギャップ、国債の発行というのは三十二・六兆円でしょう。ですから、そのわずか三十分の一しか税収は出てこないのですよ。これは、今の財政赤字というのはそういう性格を持っている。  経済企画庁が、平成十一年経済の回顧と課題という、ミニ経済白書というのを出しました。私、興味深く読みました。これを見ても、一九九一年度から九六年度の財政赤字の拡大、GDP比で七・六%拡大しているのですが、そのうち景気によるものは一割、〇・七%。残りの九割の、六・九%は構造的要因、構造的な財政のゆがみが要因になって起こっている。これは統計からも出てまいります。ですからこの文書では、「累積した政府債務は単に景気の回復によってもたらされる税収等の増加のみでは解消し得ない」。これは共通の認識だと思うのです。  そうであるならば、つまり今の財政破綻というのが単に景気悪化でもたらされたのじゃない。その要素は一割程度だ、この試算では。残りの九割は財政のゆがみで起こっている。とするならば、経済回復が軌道に乗ったら、その暁には財政再建の計画を立てるというのはおかしい議論になるのじゃないか。そうであるならば、景気が回復してから財政再建の計画を立てましょうというんじゃなくて、景気回復のために真に有効な手だてをとりながら、同時に、財政再建を先送りにせずに、国民に対してこういう方向で財政を再建していく、その展望と計画を示すのが政府責任じゃないか。  これで景気が回復して財政がずっと好転するんだったら、まず景気を回復してその先で考えましょうという理屈も成り立つかもしれない。そうじゃないのですから、そうじゃないとお認めになったのですから、そういう段階論じゃなくて、まさに景気回復のための手だてをとりながら財政再建の道をちゃんと示す必要がある。これは政府責任です。いかがでしょう、総理
  266. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 けさほども菅委員に申し上げましたとおり、現在でもいろいろなことをして、なるべく景気回復に向かわせよう、あるいは財政を悪くしないようにということはやっております。  やっておりますが、まさに志位委員のおっしゃるように、これだけ財政が悪いわけでございますから、これを立て直すとすれば大変な長い時間がかかるのみならず、実は、財政ばかりではなくて税制も、中央、地方の関係も、それから恐らく二十一世紀における日本、その経済社会のあり方までしませんと本当の解決はできないのだろうと私は思っております。  しかも、しかしそれなら、どうせそうなら、何かできるだけ早くやったらいいかと申しましても、数字のない計画は恐らく国民に信用していただけませんから、何年間にここまでやりますということを申し上げなければ、第一、共産党が国会でこれでよしとはおっしゃらぬでしょう。そういう性格のものなのですから。それはやはり、そのときが来なければやれないじゃないですか。
  267. 志位和夫

    志位委員 確かに、今の財政赤字の解決策というのは一定の段階を追って、一定の長期の展望で取り組まなければならないと思います。これは歳入の面での改革も必要でしょう、歳出の面での改革、両面必要です。私ども近く提案を出すつもりでおりますが、両面の改革が必要です。  しかし、私は、景気の回復にとっても、国民にとって財政のあすが見えないということが非常に大きなマイナス要因になっていると思うんですよ。  これで思い出すのは、一九九五年の十二月に財政制度審議会が出した財政の基本問題に関する報告です。このときに、もう時限爆弾が爆発寸前だというところまで財政はひどくなった、この事態を大変問題にした報告でした。ここで、財政赤字がどういう影響を経済に及ぼすかということをいろいろな角度から述べています。中長期的な影響だけじゃありません。  私、改めて読み直してみてなるほどと思ったのは、膨大な財政赤字は、財政政策に対する国民の信用を失わしめることになる、こう書いてあるんですね。これは非常に深刻な問題だと思います。国民から見れば、六百四十五兆円も借金がある、これはやはり大増税が待っているのか。それとも悪性インフレが待っているのか。それとも社会保障の切り捨てなのか。こういう将来の不安から消費を手控える。これが景気に悪い影響を与える。まさに、財政に対する信頼がないということが景気の問題を深刻にさせるわけですよ。  ですから、私はまず総理に言いたいのですけれども、これは景気回復してからという段階論じゃなくて、やはり景気回復のための手当てをとりながらきちんと財政再建の展望を明らかにする、これは最小限の政府の責務だ、これができなければ、そういう政府政権にいる資格がない、そこもはっきり申し述べておきたいと思います。  次に、それでは今は景気の本格回復に取り組むというのですが、私は、政府の方針では、はっきり言って財政破綻がひどくなるだけではなくて、景気回復の展望も開けないと思います。財政も景気も共倒れの方向だと思います。景気回復というならば、その主役になるのは経済の六割を占める家計消費、個人消費を温めることです。  ところが、来年度予算を見ますと、高齢者世帯で、医療、介護、年金三つで合計二兆円もの給付減、負担増です。また負担増路線です。国民から吸い上げてどこにばらまくかといえば、国と地方で年間五十兆円に上る公共事業に相変わらずばらまく。私は、このばらまき政治、公共事業へのばらまき政治というのは九〇年代に入って本当に異常な姿になったと思うのです。  まず第一に、九〇年に日米構造協議をやられている。その中で、アメリカからの外圧に屈して、十年間で総額四百三十兆円の公共投資基本計画がつくられました。これは九四年には六百三十兆円に膨らんで、総額先にありき、何が何でもこれを使い切るという方式が公共事業の異常膨張に拍車をかけました。  それから、第二に、景気対策の名で公共事業積み増し政策が無規律、無制限にとられるようになったことです。九二年の宮澤内閣以来、合計十一回の経済対策が打たれました。その中で、七十一兆円に上る公共事業の積み増しが行われました。これは異常な形で公共事業が膨張したのですね。  こうして、大体、日本公共事業費を見ますと、八〇年代の前半には国と地方で二十数兆円台の額でした。それが、九三年以降ぐらいから国と地方で年間五十兆円のお金が公共事業に使われる、こういう異常な体制がつくられました。  私が問いたいのは、この公共事業積み増し方式の景気対策というのが果たして景気に役立っているかという問題です。  景気回復というのは、GDPの数値が上がればいいというものじゃありません。民需の回復、民間の需要の回復につながって初めて自律的な回復と言えます。特に、六割を占める家計消費の回復につながって初めて景気の自律的回復と言えます。  ところが、公共事業を幾ら積み増しても、民需にバトンタッチしないわけですよ。私、毎年の経済白書を注意深く読んでおります。九六年版の経済白書ぐらいから、公共事業をずっと積み増してきたけれども、民需にバトンタッチしない、バトンタッチが課題だということをずっと言っています。九六年も言い、九七年も言い、九九年も言い、このミニ白書でも言っています。公需をふやしても民需にバトンタッチしない。確かに民需は、この前の一月の月例経済報告を見ましても、個人消費が冷え込んだままですよ。設備投資もマイナスです。  これは総理にお聞きしたいのですけれども、これだけの公共事業にじゃぶじゃぶお金をつぎ込んで、どうしてバトンタッチしないのでしょう。どうして民需の方にバトンタッチしていかないのか。その原因はどこだとお考えでしょうか。
  268. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 公共事業にいろいろ不能率なところがあるということは、私は事実だと思っていますし、政府もいろいろ改めているのですが、だからといって、日本のインフラストラクチャーはもうこれでいいんだということには、私は絶対ならないと思いますね、今の我が国の現状を見ていますと。そこは一緒になさらないでいただきたいとぜひお願いしたいのです。  それからもう一つ公共事業をやっていて、だんだんこれが、GDP効果がどうも減り始めているということも、私はどうも事実のようにここのところ見ています。一つは、やはり地方にそれだけの財力がなくなっているものですから、単独事業というものがどうしても思うように動いていないということ、これが一つ大きいだろうと思います。  しかし、それは、今の民需が低いのは、だからではなくて、今消費に結びつかないのは、やはり私はインフラが進んでいるからだと思います。これはやむを得ないと思っているのです。ですから、インフラ路線が落ちついたら、そうしたら家計簿の収入がふえて支出がふえるであろうということを期待していますが、その間にはやはり公共事業がその支えをしていかなければならないというのが私どもの考えなので、公共事業をやっているから民需に結びつかないんだということは、ちょっと二つのことが違うことを結んでおっしゃっているような気がいたします。
  269. 志位和夫

    志位委員 インフラの整備といいますけれども、私たちは、下水道とか公園とかそういう生活のためのインフラの整備が必要だと思っています。ただ、この間の公共事業のあり方というのは、余りに巨大開発、目的が定かでない、採算が定かでない、そういう巨大開発にお金をつぎ込んで、その結果、経済効果も上がらない、このことの繰り返しなんですよ。  私、ちょっともう一つ違う角度から、これは総理に伺いたいんですけれども、私は公共事業というものが、あなたはつなぎ役だと言ったけれども、いずれはバトンタッチしなければならないという認識では一致しているでしょう。民需の回復にバトンタッチする上では、この公共事業が雇用をふやすことが不可欠だと思います、これは。  雇用がふえて初めて所得がふえます。そして、所得がふえて初めて消費がふえる。消費がふえれば、その消費財を生産するためのいろいろな諸部門に波及効果が及んで、初めて経済の自律的回復が軌道に乗るというのが、これはケインズの理論ですね。雇用がふえて初めて公共事業は本当に景気対策として効果を上げたことになるのです。  私は、これは総理に伺いたい。率直な認識を伺いたいんですが、総理はこの間の公共事業積み増し政策が雇用をふやす上で役に立ったとお考えでしょうか。
  270. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 建設業の就業者の数だけでも日本は六百六十二万人、全就業者数の一〇・二%、うち従業員千人以上の建設業者には五十万人。ちなみに農業の就業者は三百八万人でございまして、これを見ましても、公共事業を担当しておる建設業における就業者がこれを支えておるという面もあるわけでございまして、そういった意味を考えれば、雇用の面におきましても大きな効果があったということは言えるのだろうと私は思います。
  271. 志位和夫

    志位委員 雇用の面に効果があったというのですけれども、私、ちょっと、一つこういう表をつくってまいりました。これは、建設省が毎年、公共工事着工統計年度報というのを出しています。それをそのままグラフにしたものです。これを見ていただければわかりますように、この調査は、全国の建設業者のうち、年間三千万円以上の工事を請け負っている建設業者を対象にサンプリング調査をした統計資料です。しかし、建設省に問い合わせますと、全体の傾向を反映したものだというお答えでした。それをそのままグラフにすると、こういう数字になります。  これは、赤い棒が公共工事費、青い棒がその公共工事に働く人の数です。一番左は八五年度の数字です。真ん中が九〇年度、一番右が九八年度です。赤い棒を見ていただければわかりますように、公共工事費は、八五年度から九〇年度にかけては十一兆円から十四・六兆円にふえました。この八〇年代後半の時期は、青い棒、就労者数を見ましても、百二十・六万人から百二十九万人にふえております、八〇年代後半は。  ところが、九〇年代をごらんください。九〇年代は公共工事費は、九〇年度が十四・六兆円から九八年度が十六・六兆円にふえました。ところが、就労者数は百二十九万人から八十五・九万人に減りました。これは建設省の数字ですから、私、加工しておりません。そのままグラフにしたものです。  ですから、特に九〇年代に入ってむちゃくちゃなやり方で公共事業を積み増してきたやり方が、就労者の数をふやしていないのです、減らしているのです。これはまさにゼネコンに吸い上げられてしまう。今、巨大型が多いですからね。これはみんな吸い上げられちゃって、ゼネコンの不良債権の処分に使われるかもしれないけれども、中小の建設業者さんには仕事が行かない。だから、就労者数が減っているのです。  これをどうお考えでしょうか。まさにこれは事実じゃありませんか。
  272. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 公共事業と申しましても、やはり生産性の向上が進んでおりますし、いろいろ工夫を凝らして人員は減らしていると思います。けれども、もしここで公共事業を減らしたら、この間、年末に少し前倒しをしたものですから、施行が落ちたらすぐ建設に従事する人の数が減りました。ここで公共事業を減らしたら、雇用の落ちることは間違いないと思います。
  273. 志位和夫

    志位委員 生産性の向上と言われた場合、これは、巨大型のところは本当に生産性は向上しているんですよ。例えば東京湾横断道をかける、深いトンネルを掘ったり大きな橋をかける、これはもうほとんど人は使っていません。こういうところは生産性が向上しているんです。ゼネコン型の、巨大型のものにはまさに雇用効果はないんですよ。ここを改めるべきではないか。  そして、経済企画庁長官が、確かにこの数字はそのとおりだけれども、これをもっと減らしたら就業者がもっと減っちゃうんだという話ですけれども公共事業というのはただでやっているんじゃありませんよ。みんな借金になっているわけじゃありませんか。ですから、私は、こういう今の財政運営のあり方というのは根本から改める必要があると思います。  私は二つの提案をここではしたいと思います。  第一は、財政破綻の要因になっている五十兆円の公共事業の異常膨張というものにメスを入れて、全体の規模は思い切って縮減する、そして、公共事業の中身は、ゼネコン型、巨大型から雇用の拡大に結びつく福祉・生活密着型に転換する、これが第一の提案です。  それから、第二に、社会保障にこそ手厚い財政に切りかえるということです。社会保険の財政危機が今さまざま言われておりますが、この原因は、八〇年以来の公費支出の圧縮政策であります。社会保障の財源の中の公費の負担が占める割合は、八〇年当時三三%であったのが、九七年には二四%に九%減っております。これは、社会保障の財源全体九十兆円ぐらいですから、九%といいますと八兆円ぐらいのお金を公費から引き揚げた。ですから、ここにこそ手厚い財政を使う、これが社会保障の充実にも役に立つし、景気の回復にも役に立つ。  私は、そういうゼネコン型から福祉型に財政を切りかえる中で財政の再建の展望を描いていく、明らかにしていくということが今政治に求められているということを主張したいと思います。この問題はこれからも議論を続けたいと思います。  もう一つの角度から公共事業の問題点を検討したい。  今、日本列島にあふれている、今ゼネコン型と言いました、巨大型と言いましたけれども、その共通する特徴を挙げますと、目的が定かでない、採算性が定かでない、環境保全に配慮がない、これが特徴だと思います。その一つの象徴として吉野川可動堰の問題について聞きたい。  これは、江戸時代からある天然の青石を使った第十堰を取り払って、約一千億円をかけて巨大な可動堰をつくる計画でありますが、これに対しては、住民投票の結果、圧倒的なノーの審判が下りました。  私は、まず総理に伺いたいんですが、まず、なぜそういう審判を住民が下したとお思いでしょうか。総理、どうぞ。
  274. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 第十堰の事業は、一徳島市のみならず、吉野川流域全体の方々にとって重要な施策であると考えております。事業を進めるに当たりましては、地域全体とよく話し合うことが重要であり、その具体的な進め方については、治水を担当する建設大臣責任を持って対処いたしますが、なぜかと問われれば、この第十堰の重要性について十分な理解を求められなかったということであり、必ず、この二市六町にわたる住民の皆さんの御意見もお聞きをするということであれば、またおのずと、その一つの考え方というものも、またそれをいかに反映すべきかという問題になろうかと考えております。
  275. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  これは、高知の本山町から端を発しまして、瓶ケ森水源、そこから百九十三キロありまして、河口は千メートル、それから可動堰からちょっと北の方へ行きますと、これは百五十メートルに大変狭まっておりまして、そして先ほど先生も選挙制度の問題でお触れになりました、いわゆる日本国憲法の前文には、日本国民は正当に選挙をされた国会を通じて行動をするということでございましたので、これは私は国土庁長官も兼ねてございます。ですから、自然災害に備える。これは治水保険も何もありません。ですから、災害が起こったときにどうするのかというと、その責任を持つのが私でございます。  これは、今まだ調査費しかついておりません、何もお金がまだついていない状況で、まだこれから二十年ぐらいかかって実施することでございますので、四国全体の問題でございますし、日本人の命の安全に私ども責任を持っておりますので、これはその一地域の御意見として承りたいと思います。
  276. 志位和夫

    志位委員 徳島市は、一地域と申しますが、吉野川流域全体の人口の圧倒的部分を占めています。そして、その周辺の自治体の世論調査を見ましても、例えば、藍住町では可動堰反対が六六%、堰直下の国府町佐野塚では可動堰反対がほぼ一〇〇%、上板町では住民投票をすべきが六九%、石井町では住民投票をすべきが五五%、やはり流域全体の声なんですよ。これだけの声をなぜ無視するのかということが問題になるわけです。  総理理解が得られなかったと言われました。なぜ理解が得られなかったかといいますと、可動堰先にありき、何が何でも可動堰建設という態度を変えない、この態度こそが私は住民の審判を受けたんだと思います。  私、この問題を幾つかの角度から聞いてみたいと思うんですが、第一に、当初の目的の一つだった利水が目的から撤回された時点で計画を再検討したのかという問題です。  建設省がこの可動堰の具体的計画を策定した九〇年八月の吉野川第十堰建設事業計画書、これが具体的な出発点でありますが、これを見ますと、可動堰建設の目的について、一つは治水を挙げております。高水の安全な流下。もう一つは水道用水を挙げています。徳島市、鳴門市、松茂町及び北島町に対し、水道用水として新たに一日当たり三万立方メートルの取水を可能ならしめる。この二大目的でスタートして、図面も全部引いているわけですね。これがスタートでした。  ところが、この利水の計画は、途中で建設省自身が撤回をしています。それがこの文書です、「第十堰の利水について」。これは一九九七年八月十八日付の建設省の文書ですが、これを見ますと、「第十堰改築事業への都市用水としての依存はなくなる」、もう利水では必要ないんだということになりました。つまり、最初は利水と治水で出発した事業が、途中から利水という大目的がなくなって、二大目的のうち一つなくなったわけですね。  では、なくなった時点で、これは計画を中止することも含めて抜本的再検討をしたんでしょうか。したかしないか、端的にお答えください。時間つぶしはだめですよ。
  277. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答え申し上げますが、これは先般も、住民の代表の方々、市民の代表の方々、いわゆるこの運動をされた方々にお目にかかりまして、また予算委員会でも済んだら現場へ入りたいというお話をしてございますが、当然のことながら、第十堰については、関係住民の意見を聞くために、平成七年から約三年間をかけまして審議委員会、それから平成十一年からこれまで十九回実施してきました対話集会、また平成八年の公開での模型実験等を従来から実施いたしております。しかしながら、洪水時に堰上げを生じてしまう固定堰である現第十堰を可動堰に改築し、洪水位を下げることが最も重要だということが十分理解されなかったことが、今回の住民投票につながったものと思っております。  今後は、従前に増して、御説明申し上げましたように、先ほど申し上げましたように、これからいろいろな現場での知恵を——現在の最良が最良だと思っておりますが、これから未来の最良に合わせて最良というものを築き上げていこう、かように考えております。
  278. 志位和夫

    志位委員 聞いたことに答えないで、長々とやられても困るんですよ。利水という目的がなくなった時点で、中止も含めた再検討を建設省はしっかりやったのかと聞いているんです。やったのか、やっていないのか。
  279. 中山正暉

    ○中山国務大臣 あらゆる問題で検討をいたしております。
  280. 志位和夫

    志位委員 これがやっていないんですよ。そのときの第十堰の建設事業審議委員会第七回に、さっきの、もう利水は要らなくなったという報告書が報告されて、そのまま認められちゃっているんです。だから、何があったって、利水という目的がなくなれば、これは再検討すべきなんです。これは、利水という目的がなくなれば、可動堰がいいのか、あるいは堤防という方法でもやれるじゃないか、いろいろな選択肢はその段階で広がったはずなのにやらないわけですよ。  あなた方、対話集会を何度もやったと言う。しかし、対話集会をやるごとに住民の人は参加しなくなっていったんです。なぜ参加しなくなったかというと、あなた方が、もう可動堰先にありきという結論を変えないからです。  第二に、私、次の問題を伺います。  九七年の五月に抜本的な改正が行われた河川法というのがあります。この精神、理念は、私たち、まだ不十分な点は残されていると思いますが、一歩前進の内容が含まれています。  改正された河川法では、住民の意見の反映を求めるとともに、それまで治水と利水だけで川の問題を考えていたのを、環境の整備と保全、これを目的の中にはっきり書き込んだ、対等のレベルに書き込んだ。そういう河川行政を行うことを改正河川法では求めました。  可動堰の建設というのは、ヘドロがたまるなどの水質の汚染が心配されています。生態系に深刻な悪影響を及ぼすということが心配されています。それから、生活環境という点でも、江戸時代からずっと地域の人たちに親しまれてきたわけですから、これを守ってほしいという願いは切実であります。  ですから、私は、九七年五月に河川法が改正されたら、この改正河川法に、目的の中に環境の保全が書いてあるんですから、ここの時点で立ちどまって、このやり方はいいのかな、再検討してしかるべきだった、こう思いますが、この改正河川法に照らして、中止も含めた再検討をやったんでしょうか。
  281. 中山正暉

    ○中山国務大臣 河川法の十六条二の四というもので、住民の意見を十分に聞くと。当然のことながら、これからまだあと二十年ばかりかかる計画でございますので、今何かすぐにでもやるようなお話でございますが、そうではございませんで、環境保全その他の問題、住民のお気持ち、それからまた四十七市町村にかかわることでございますし、四国全体の問題もございますので、そういう意味で、私どもが慎重に、また大きな幅を持つ計画の検討も加えてこれから対応してまいりたい、かように思っております。
  282. 志位和夫

    志位委員 これも端的にお答え願いたいんですよ。九七年五月に河川法を改正しました。その後、その河川法の改正の精神を踏まえてこの検討をやったのかということなんです。再検討したのか、この事業について。この精神に照らすならば、このまま進み続けていいのか、それともストップして引き返した方がいいのか、この真剣な検討をやったかどうか聞いているのです。
  283. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  私が就任いたしましたのは昨年の十月の三日でございますので、その時点で伺いました話では、十分に検討しておるということでございます。
  284. 志位和夫

    志位委員 これも私、第十堰建設事業審議委員会の議事録を全部読みました。その議事録を読んで、第九回の審議委員会、ここで、これは九八年一月二十二日に開かれているのですけれども、改正河川法の精神を踏まえてちっとも議論していない、これは問題だ、やはりこの審議委員会でも議論が必要じゃないかということをおっしゃった方がいます。  それを受けてどういう議論がされたのかと思って、次の第十回の審議委員会の記録を見てみましたけれども、ほとんど議論らしい議論ないのですよ。可動堰はもう決まったことだからやる、こういうことでずっと進んでいるのですね。これが問題なんです。  私、第三にもう一つ違った角度から聞きたい。  治水という問題が最後に残るわけでありますけれども、百五十年に一度の洪水に備えるという治水でありますが、住民運動は可動堰にかわる対案をしっかり示しておられます。  それは、現にある第十堰を改修して、そして堤防の補強をすればいい、これが住民運動の対案でありますが、建設省はこの対案について真剣な検討を行いましたか。
  285. 中山正暉

    ○中山国務大臣 三十六年間、日本にいらっしゃいましたヨハネス・デ・レーケが明治十七年に吉野川に行きまして、そして、この固定堰は将来禍根を残すという話が、ずっともう百年以上あるわけでございます。明治十七年ごろにも改修の話がありましたが、そのときに反対をなすった後、大洪水が起こっておりますので、今先生がおっしゃったように、これからの問題は、地域の住民の方々に参加していただいて、この間、ゼロから出発を、やり直しましょうという話を私はいたしておきました。住民投票をして運動をされた方々と、これからひとつお互いにゼロから出発し直しましょうという話をしておきましたので、その点よろしくお願いします。
  286. 志位和夫

    志位委員 また私の質問に答えてくれません。私が質問したのは、住民が出している、現十堰を撤去しないで、それを残して補修したらいいじゃないか、そして堤防の補強をすれば済むことじゃないか、その方が安上がりだし、そして長く親しんできたこれを残すことになるじゃないかというこの案を代替案として検討したんですかと聞いているんです。
  287. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  建設省の専門家の連中に話を聞きますと、堤防をかさ上げしただけで水の圧力が変わるそうでございます。それがかえって危険を招くというような専門的な立場もあるようでございまして、今、鮎喰川の両堤防とそれから吉野川の堤防、八メートルございますが、徳島はこの三本の堤防で守られております。  そこで、今先生の御指摘ありましたように、いろいろこれから住民の方々の御意見も聴取して最善の方法を生み出したい、かように申し上げてお答えにいたします。
  288. 志位和夫

    志位委員 幾らあなたに聞いても答えないので、建設省の文書を持ってきました。「第十堰改築事業代替案について」という代替案の検討をした文書です。これを全部読みました。代替案を五つ検討しています、確かに。しかし、この五つとも全部、現にある第十堰は撤去するということが大前提になっていますよ。なぜ撤去するのかと私たちが聞くと、危険だからだとあなたはおっしゃる。しかし、二百五十年にわたってこれは洪水から守ってきたわけですね。  今老朽化が進んでいる、こうおっしゃる。しかし、老朽化が進んでいるのは、コンクリートを張り直せばこれは間に合うではないか。海底にでっかいトンネルを掘ったり大きな橋をかけたりする日本の建築技術をもってして、二百五十年前につくった江戸時代の堰が改修できない道理がないじゃないか。つまり、第十堰はもう初めから撤去だ、そしてもう可動堰を初めからつくる、この姿勢が私は問題だと思うんですよ。  私、建設大臣に言いたい。やはり住民の皆さんとよく話し合う、これをぜひやっていただきたいんですけれども、話し合う際に、可動堰の計画を白紙に戻して話し合う、やはり白紙に戻してというのが大事です。もう結論が先にあって、その結論を押しつけられるだけだったらもうかなわない、これは住民の気持ちなんですよ。だから、白紙に戻して話し合っていただきたい。
  289. 中山正暉

    ○中山国務大臣 一八六六年に水害が起こって以来、七十年周期説とかそれから百五十年周期説がありまして、今の可動堰はちょっと川の流れとははすになっております。あれは、昔吉野川が非常に蛇行しておりましたものを真っすぐにした、そのいがんだままの固定堰が今あるわけでございまして、これは、それこそ先生のおっしゃったように、今の技術で一番最良の道を選びたい、先ほどから何度も申し上げておりますが。  白紙というわけにはいきませんで、この暴れ川、日本で三番目の暴れ川、四国三郎と言われておりますこの暴れ川を私どもはしっかりとこれからの将来の皆さんの安全のために、今、我々同じ世代で事故が起こるかどうかわかりません、だけれども、自然災害というものが必ずこの日本列島には、いろいろな急流がありますものですから、そういうものに対する河川行政の責任者としては、白紙撤回ということはなかなか不可能かと思います。
  290. 志位和夫

    志位委員 洪水が起こったときの堤防の問題をさっき言われて、私一言言い忘れたのでつけ加えておきますが、建設省がやられた洪水の水位のシミュレーションも、大変これは過大なものだという点で、これは専門家の間でも意見が分かれている問題ですね。専門家の間で強い批判があるということは、これは申し上げておきたいと思います。  私、きょう聞いていても、結局、要するに、可動堰はどうしてもつくる、そして何が何でも可動堰だ、利水がなくなっても可動堰だ、新しい河川法ができても可動堰だ、それから治水という問題についても、住民が合理的な代替案を出しても白紙撤回しないという、この何が何でもという姿勢が住民の皆さんから審判を受けた、この反省が必要だと思うんですよ。  では、私、建設大臣にもう一点、白紙撤回できないということを言われたんで、これは平行線になると思うので、私たちは白紙撤回を求めたいけれども、では、住民と話し合う際に、中止ということも選択肢の一つとして話し合ってください。中止という選択肢も持って話し合う、この用意はありますか。
  291. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほど再三申し上げましたように、ゼロの起点に返って話し合いましょうというのが先生のおっしゃる意味でございます。ですから、白紙撤回というのはできません。けれども、いわゆる多摩川の固定堰が、我々テレビで見ました、どんどん堤防が削られていって、真新しい家がどんどん川の中へ倒れていくのを何年か前にテレビで見たことがございます。  ですから、それと同じ効果を持つものがあの固定堰でございますので、岩津から先へ行きますと、私はこの間ヘリコプターで祖谷から全部見てまいりましたが、あの固定堰の上の岩津は百五十メートルしか幅がありません。その先にはもう堤防もありません。ですから、そういう川をどうするかというのは専門家の意見も十分聞きたいと思います。
  292. 志位和夫

    志位委員 だから、話し合う際に、あらかじめ結論を持たないで、いろいろな選択肢を持ちなさいと言っているんです。工事を中止するという選択肢も選択肢の一つとして持って話し合いなさい、最低そのぐらいの姿勢がなければ、住民の皆さんからも本当に信頼をもっと失うことになる、こう言っているんです。この選択肢を持つかどうか、これを聞いているんです。
  293. 中山正暉

    ○中山国務大臣 県のお立場も、それから三十二万の早く改修をしてほしいという促進の署名も私はお預かりしております。この間は、反対をされた方が十万二千六百五十九票ありました。賛成の方も九千三百六十七ございましたから、賛成の方々の御意見も、それから地域、流域の皆さんの御意見もちゃんと聞いて、私どもはそれに対応してまいりたい。(志位委員「選択肢は」と呼ぶ)選択肢は種々あります。
  294. 志位和夫

    志位委員 種々の中に中止が入りますか。
  295. 中山正暉

    ○中山国務大臣 中止というのは、私はこの河川行政を預かる者として、これは責任の放棄だと思いますので、それはできません。
  296. 志位和夫

    志位委員 私は、治水計画を中止しろと言っているのじゃないんです。可動堰計画を中止してほかのものに変えるという代替案を選択肢の一つとして持つかどうか、もう一回答えてください。
  297. 中山正暉

    ○中山国務大臣 すべてが選択肢でございます。
  298. 志位和夫

    志位委員 では、中止も選択肢として考えていいですね。
  299. 中山正暉

    ○中山国務大臣 白紙撤回はいたしませんと申し上げてきました。赤旗にも……(志位委員「中止を選択肢の一つとして話し合いますか」と呼ぶ)いや、中止というのは、これは河川全体に対する我々の責任の放棄でございますから、それはするわけにはまいりません。私どもは何らかの最善の手を打つということでございます。
  300. 志位和夫

    志位委員 これは、どうしてもその姿勢を変えようとしないわけですよ。中止を選択肢として住民と話し合わなければ、私は住民の理解は得られないと思いますよ。  そういう開発至上主義というのが今問題になっているわけです。愛知万博でもそうじゃありませんか。国際的な万博事務局から、結局、この万博というのは隠れみので、大規模開発が目的であったということだと厳しい批判がやられて、もう見直しを余儀なくされている。開発が至上にあって、そのために治水という問題を持ち出すとか、そういうやり方、この開発至上主義はもう世界に通用しない、そういう時代になっているということをしっかり御認識願いたいと思います。  次に、沖縄サミットの問題について伺います。  首相は、サミットの開催地として沖縄を選ばれたわけですが、沖縄から世界に向けてどういうメッセージを日本政府が発信するかが、私は今問われていると思います。  沖縄県民の意思は私は明瞭だと思います。県当局の企画開発部が協力して、時事通信が行った県民対象の意向調査では、サミットに当たって世界に最も訴えたいことの第一位は「米軍基地問題」で四五%、第二位は「県民の平和を愛する心」で三三%です。基地と平和、これがメッセージとして沖縄の県民の皆さんが世界に訴えたいことであります。  沖縄の米軍基地の実態というのは、成り立ちから見ても、現状も、世界に類のない異常さを持っていると思います。あの米軍占領時に、住民を八カ所の収容所に強制的に囲い込んで、米軍は一番いいところを基地にとりました。私は、沖縄の嘉手納基地を視察に行った際、住民の方の一人が基地の中を指さして、あそこが私の家のあった場所なんですということをおっしゃったのが忘れられません。あの嘉手納基地にしても、住民が住んでいたところを全部基地に取り上げて、住民は細々とした狭い場所に追いやられて暮らしている。  そして、五〇年代に入って、いわゆる銃剣とブルドーザーによる基地の拡大が行われました。突如、武装米兵が乗り込んできて、そして鉄砲を突きつけて、そして住民を強制的に外に追い出して、家を全部ブルドーザーで壊す、追い出された住民にあてがわれたのは黒いテントだけだった、こういう状況で基地の拡張をやられました。  そして、今なお、施政権が返還された後も、沖縄県の面積の一一%、沖縄本島の面積の二〇%が米軍基地に占領されております。犯罪、事故、騒音、環境汚染あるいは経済振興の障害等々、基地の重圧にいまだに県民の皆さんは苦しんでいらっしゃる。  ですから、私は、沖縄でサミットを開くというのならば、この異常な事態の実態を世界に知ってもらう、そして、その解決のために努力をしたいということを堂々と世界に訴えるということが首相の責務ではないか、このように考えますが、総理、いかがでしょうか。
  301. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 沖縄県が我が国の基地の七〇プロをその県内に存在をせしめておるわけでございまして、そういう意味で、我々は、常にこの基地の整理、統合、縮小を目指して、SACOの最終報告を実現するために全力を挙げて努力をいたしたい、これが基本的立場であります。  サミットにつきましては、今回、九州、沖縄で開催することとなり、首脳会談が沖縄・名護市で行われることになりましたが、先進八カ国におきましては、広く全世界の問題について話し合い、二十一世紀における世界の平和と安定を目指して、特に経済の面からこの問題を取り上げていくことが趣旨でございます。そういった意味で、沖縄県の抱えている問題を、問題の提起として行うことではありません。  しかし、同時に、沖縄県で行われるということによりまして、各国の首脳も、この状況等、十分理解をする機会になれば望ましいと考えておりますが、沖縄県に多くの基地を持つということは、あくまでも、我が国並びに極東の安全のために必要な日米安保条約に基づいて行うことであって、このことによって日本国の安全を確保していくという趣旨でございますので、その点につきましては、冒頭申し上げましたように、今後とも、県民の理解を求めながら、基地の整理、統合、縮小を目指して全力を挙げていくということだろうと思っております。
  302. 志位和夫

    志位委員 私、今の総理の答弁を聞いて、本当に驚きました。政府は、少なくとも米軍基地の整理縮小という方針を持っている、しかし、サミットでそれを、沖縄県の問題を言うつもりはないということをおっしゃられました。私は、これは本当に総理の言葉として情けない思いで聞きましたよ。これだけの基地の重圧で苦しめられている島でサミットを開きながら、その問題にふたをしよう、これは本当に情けない政府だ、こう思いました。  私、沖縄では名護市での新しい基地建設の問題が問題になっているわけですが、この問題も含めて、次にもう一つ聞きたい。  この名護市の新しい基地の建設というのは、普天間の基地の単なる移設にとどまりません。最新鋭の新しい基地をつくるというのがこのねらい目です。この前の沖縄の県知事選挙で、現知事は、この基地の提供について十五年の期限をつけることを県民に公約しました。選挙で知事を支持、推薦した自民党は、この公約に共同責任を負っているはずであります。  総理は、この十五年の期限について、アメリカ側に堂々と要求し、その実現のために交渉する用意はあるのかどうか、このことを本会議で我が党の不破委員長がただしたのですが、それに対する首相の答弁は、国際情勢の変化に対応して米国政府と協議していきたいというものでした。これは言葉をかえますと、国際情勢の変化が起こるまではこの問題は協議する意思はない、そういうことでしょうか。総理お答えください。十五年期限の問題です。
  303. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 本会議でも御答弁申し上げましたが、代替施設の使用期限につきましては、政府としては、閣議決定にありますとおり、国際情勢もあり厳しい問題であるとの認識を有しておりますが、沖縄県知事及び名護市長からの要請がなされたことを重く受けとめ、先般、これを瓦防衛庁長官及び河野外務大臣から米側に対しそれぞれ取り上げたところでございます。  政府といたしましては、閣議決定にあるとおり、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事体制につき、米国政府と協議していきたいと考えております。  政府といたしましては、あわせて、国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力も積み重ねてまいる、こう答弁申し上げましたが、同様の答弁を今申し上げたところでございます。  それからさらに、先ほど沖縄県の状況についてサミットで取り上げるべきだということのお話がございましたが、サミットそのものは、従来、ケルンでも相談してまいりましたが、その他のテーマについて今検討しておるわけでございまして、書記局長、自分で、自分の考え方でそういうふうに御決定して、そのとおりである、こう言われましても、まだ、今後こうした問題についての議論というものは、これからどのようなテーマでお話しするかということについては決定していないわけでございまして、決めつけられるということは、これはあり得ないことでありますが、沖縄県で行われるという意味からも、世界の首脳がこの状況というものを理解するいい機会であるということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  304. 志位和夫

    志位委員 取り上げる意思がないということをおっしゃられたので、私はさっき言ったんですね。ただ、世界の首脳がこれを理解するいい機会になるように願っているということを今おっしゃられたので、そういう行動を私は求めたいと思います。  私、今の回答の中で、国際情勢の変化するまでは協議するのは先送りにするというのが御答弁だったと思うのですが、ここで、委員長、資料配付をお願いしたいと思います。
  305. 島村宜伸

    島村委員長 どうぞ。
  306. 志位和夫

    志位委員 それでは見ていただきたいのですが、これは、一九九六年十一月二十日に提出された「海上施設に係る技術検討・評価報告書」と題する文書です。  これは、日米両国の代表から成る普天間飛行場代替ヘリポート検討のための特別作業班、これはSACOのすぐもとにある機構ですが、SWGFといいますが、このSWGF、特別作業班のもとにある技術支援グループ、TSGが作成した文書です。TSGは、SWGFの指示を受け、海上基地に関する検討を行い、この報告書を作成し、SWGFの日本側共同議長に提出しています。  この五ページ目をごらんになってください。五ページ目を見ますと、「海上施設の技術的検討のための前提条件」という項目がございます。「海上施設の技術的検討のための前提条件は、米側作成資料及び日米SWGF等の協議に基づき、また情報のないものについては日本側で仮定した上で作成し、あくまで技術的検討のための条件のもとに、日米SWGF等で確認した。その概要は次のとおりである。」として、列記をされております。第一に「システムの大きさ」、第二に「主要施設」、第三に「立地条件」、第四に「設計外力」、次のページをめくっていただきたいのですが、第五に「その他の要求事項」とあります。  この「その他の要求事項」、ア、イ、ウ、エ、オのオのところに「耐用年数は、四十年以上とする。」と明記されております。これはなかなか重大な確認であります。  この文書は注がついておりまして、米印は日本側で仮定したものだということが書いてあります。この「耐用年数は、四十年以上とする。」という項目は米印を振っておりませんから、アメリカ側の要求にこたえて、日米のSWGFで確認したということになります。  私、この報告書は大変重大なものなのですが、我が党独自に入手いたしました。ただ、念のため、防衛庁に文書の所在について確認をいたしました。そうしましたら、もう一枚お手元にあるような文書の回答がやってまいりました。  平成八年十一月二十日に審議したTSGからSWGFへの報告書の中には、米軍の運用所要等の非公開にすべきものも含まれているので、これを公表することは、日米の信頼関係を損ね、円滑な日米安保体制の運営に支障を来すことになるので、公表は差し控えさせていただきたいというのが防衛庁の答えでありました。しかし、文書で明らかなように、この報告書の存在自体は認めたわけですね、報告書の存在自体は。  そこで、私、これは本当に重大だと思うのですが、既に九六年の十一月二十日には、日本側はアメリカ側と、海上基地について耐用年数は四十年以上とするという確認をやっているわけですよ。ところが、その二年後の九八年の沖縄の知事選挙では、あなた方が推薦した知事候補は、十五年以内に返還してもらうというのを公約に掲げて、あなた方はそれを推したわけですよ。日米間で耐用年数四十年以上ということを合意しておきながら、知事選挙では十五年返還ということを平然と口にして、そういう候補を当選させる。皆さん、これは大変な背信じゃありませんか。大変な背信です。総理お答えください。
  307. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま志位委員から御指摘がありましたこのTSG並びにSWGFについてお答えをいたしますが、普天間飛行場の代替へリポート案として、海上施設につきましては、平成八年十月に、関係省庁の技術者等で構成される技術支援グループTSG及び部外有識者によって構成される技術アドバイザリーグループTAGを設置いたしまして、その技術的可能性の検討を行ったものでございます。  これらのグループの会議の場における審議に使用されました資料の中には、米軍の運用所要等の非公開にすべきものも含まれております。かかる資料を公表することは、日米の信頼関係を損ね、円滑な日米安保体制の運営に支障を来すことになりますので、公表は差し控えさせていただいたところであります。  恐らく委員はこの資料につきましては入手されておるであろうという想像のもとでございますが、と思いましたら、きょうは配付されましたから、そのままお持ちでございますが。  これは、以前にもう既にいろいろな、各般の研究はいたします。研究はいたしますが、このたびの事態というのは新たな事態も踏まえておりまして、沖縄の問題というのは新しい出発点を迎えておるわけでございますから、このことにつきましては、私もそれ以上は承知しませんが、公表をすべきものであるかどうかにつきましては、米側の意向もあり、これは公表するにふさわしくないという判断に立っておるものでございます。
  308. 志位和夫

    志位委員 一点だけ伺います。  このときに四十年以上の耐用年数ということを確認したということ、この事実はお認めになりますか、耐用年数四十年以上。
  309. 瓦力

    ○瓦国務大臣 それらも含めまして、私はコメントを差し控えさせていただきます。
  310. 志位和夫

    志位委員 私は、こういうものを隠すことが日米間の信頼を損ねる。私は、この問題について、委員会に資料提出を正式に求めたい。これは、米軍の運用上とか言いましたけれども、米軍の作戦に関係ないですよ、耐用年数の問題なんか。こういう問題について、四十年という確約を結んでおきながらこれとは違う二重外交をやるという恥ずかしい姿勢はない、こう思います。こういう政権には本当に早期の解散で審判を仰ぐことを重ねて私たちは要求して、質問を終わります。
  311. 島村宜伸

    島村委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  312. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会民主党・市民連合を代表いたしまして、総理に質問をさせていただきたいと思います。  総理がよく使われる言葉、ミレニアム、千年紀のスタートという、二〇〇〇年のスタートの年になりました、来年は二十一世紀、当然のことでございますけれども。私は、この新しい時代のスタートに当たっての通常国会の総括質疑、基本的な質疑冒頭で、日本国憲法と教育基本法のことについて総理の基本的なお考えをお聞きしたいというふうに思っているところでございます。  今度の国会から憲法調査会が両院に設置をされて、今、どのような形で論議を進めていくのかということの前段の理事会等々での取り組みがなされているやにお聞きをしているところでございます。また、総理は、教育基本法の見直しということで、私的諮問機関、教育改革国民会議を発足させて幅広い論議をしていただきたいというふうに言っておられるようでございます。  この日本国憲法について、両院で設置された憲法調査会、どのような論議が進んでいくのかまだ未定でございますし、総理が設置される教育改革国民会議での論議も未定でございますけれども、私がお聞きしたいことは、日本国憲法と教育基本法というのは当然不離一体のものでございまして、総理としては、今日的に、また将来的に、この日本国憲法や教育基本法、戦後といいますか、これが施行されて五十四年目に入りましたけれども、どういう点が要らなくなって、どういう点が足りないと。こういうことをこの場で具体的に言っていただくことは多少の問題があるのかもしれませんけれども、こういうところはもう必要でなくなったんだ、こういうところはまだまだこれから今日的に、将来的に必要なんだというような基本的な総理のお考えがありましたら、その御見解を示していただきたいというふうに思います。
  313. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 憲法の基本的理念であります民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重は、憲法が制定されてから今日までの間、一貫して国民から広く支持されてきたものでありまして、これを堅持すべきものであることは言うまでもありません。  他方、私は、憲法は法理的に永久不変なものと考えておらず、かねてから憲法は不磨の大典ではないと申し上げておるところであります。憲法をめぐる議論が行われること自体は何ら制約されるべきものでないということは言うまでもないことで、憲法改正規定が憲法に書かれておることをもってしても、そのことは明らかであります。  欧米の先進諸国におきまして、この半世紀の間多くの改正が行われており、時代の変遷とともに憲法も国民の意思により変化を遂げておりますが、いわば世界の現実と認識をいたしております。  以上のようなことを踏まえまして、今国会から、憲法について広範かつ総合的な調査を行うため、憲政史上初めて国権の最高機関たる国会に憲法調査会が設置されたことは極めて意義深く、将来の我が国の基本的あり方を見据えて、幅広く熱心な議論が行われることが大切であると考えております。  憲法に関しましては、私も自由民主党に所属をすることから始まりまして、当時、自主憲法改正の機運がございましたけれども、その後、憲法問題について触れられることは大変なくなってきておったわけでございますが、今申し上げたように、内閣におきましても、振り返れば、憲法調査会を設けて議論をされましたが、結果的にはそのことをもって国会にお諮りをするということにまで立ち至っておらなかった歴史的な経過があります。  今般、国会という最高の機関におきまして、両院で御議論をされるということでありますので、それを見守ってまいりたいと思いますし、私個人の、いずれの条項についてどう申し述べろとおっしゃられますが、委員の御指摘にありましたように、今私の立場で、憲法のそれぞれの条項について、その改正要件その他について申し上げることはなすべきことではない、こう考えております。  教育基本法につきましては、昭和二十二年に制定されました教育基本法の策定過程におきましても、私も、NHKのテレビのドキュメンタリー、非常によくできておると思いますが、そういうものを拝見いたしまして、当時、教育刷新委員会での議論なども、その経過を承知いたしております。  教育基本法につきましては、制定以来五十年余りを経ており、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、これらにつきまして大いに議論する中で、家族、地域社会、個人と公、さらには生涯学習の観点も含め、幅広く議論を積み重ねていくことが重要であると考えておりまして、前の憲法との関連を申し上げれば、憲法も五十数年経て国会でこうした熱心な御議論を始めるための委員会ができた、と同時に、各種の基本法、農業基本法にも改正が行われ、先般は中小企業基本法も改正をされました。  いずれにいたしましても、基本的政策につきましての基本法が、こうした形で戦後を十分見直しをしていく過程で新しい基本法が制定をされているということを顧みますれば、この昭和二十二年に制定された教育基本法につきましても、見直しをしていくべき時期に来ておると私は感じておる次第でございます。
  314. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 総理の方から細かい、例えば要らなくなった点、今日的に、将来的に必要な点は控えるということでございました。  昭和二十一年の十一月三日に公布記念式典、天皇が「全力をあげ、相携へて、この憲法を正しく運用し、節度と責任とを重んじ、自由と平和とを愛する文化国家を建設するやうに努めたいと思ふ。」と勅語を述べられておられます。私は、まさにそのとおりだと思います。  前文の一番最後に、「この崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」というふうに書かれております。理想と目的を達成するために努力をしていった五十数年間だったと思うんですが、総理は、この憲法の百三条にわたる条文が達成されたとお思いでしょうか。
  315. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 達成と言われましても、国民生活の最低限度の保障をされるとか、いろいろとその認識には差があるかと思いますが、基本的には、今日の日本を考えてみまするときに、やはり先ほど申し上げた憲法の精神にのっとって、それを基本にしながら民主国家として発展をし、その成果を上げてきたものと理解をいたしております。
  316. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 憲法第十四条、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と書かれております。  かつて被差別部落と言われた、そこに生まれ育った人たちが、今は本当に政府の御努力によって、教育そして経済的な立場の改善に努力して、それが向上されていくことは私も認めております。ただ、部落地名総鑑なる出身地を明らかにするものが企業の出版物として出回って、就職差別や結婚差別に、まだまだこの日本の中にいっぱい残っている。憲法第十四条が達成されていないという一つの例としてのこの事実。  また、第二十八条「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」多くの企業や多くの働く場所に労働組合がつくられてはいますけれども、残念ながらどんどん少なくなっていく、または企業家によって団結する権利を奪われていく。  こういう状況の中で、先ほどの身分の問題とこの憲法第二十八条、二つ例を取り上げてみましたけれども総理、これで日本国憲法の目的は、理想は達成されているというふうにお考えでしょうか、いかがでしょうか。二つの例を申し上げました。
  317. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 最高裁判所が憲法判断を行う審査が時に行われることをかんがみましても、この憲法にのっとってどのような行政が行われておるかということについての種々の判断がなお行われていることは、すべてこの判断がトータルとして問題解決になっておらないという証左でもあるかと思います。  今、二つの問題を御指摘されましたが、こうした問題についても、長らく行政の問題として、差別解消とかいう点については懸命の努力をいたしてまいりましたが、時にいろいろな御指摘をいただいておること、あるいは現下なお法律も存在をしておるということを考えますと、全くそうしたものがなくなるような世の中というものを達成するような努力をしていかなければならぬことは、当然だろうというふうに思っております。
  318. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 私たちはやはり、今日的に、また将来的に、五十四年前にできた日本国憲法、そして教育基本法、まだまだその理想が現実になっていない。  私は、たった二つだけ事実をといいますか、私の知っている事実を総理に御披露いたしましたけれども、その中で、今、例えば環境の問題が描かれていない、自然の問題が描かれていない、だから検討するんだという論法も成り立たないとは言いませんけれども、私は、まだまだその理想を現実にするために、今だからこそ、先ほど総理がおっしゃった、いろいろなものは、行政的な、憲法の下にある法律事項、そして役所が出すいろいろな省令、政令等々で現実的に対応できる、そういうことをやるべきであって、社会民主党としては、憲法調査会の中でも、この五十四年間の流れの中で、今だからこそ、この日本国憲法を、そして教育基本法を大事にすべき、世界にこういうものがありますよという形で発信すべきということでの対応をしたいというふうに申し上げておきたいと思います。  次に、今国会の争点といいましょうか、当然スタートに当たっては予算の審議という、まさに今やっていることが中心でございますし、さらなるといいますか、少し光が見えつつあると政府の側はおっしゃる景気状況と雇用の問題、これを政府与党としてどのように対応するのか、野党としては、それに対して批判を加えながら、もっといい方向はないのかということを論議する、まさにそれが中心だということはわかっておりますけれども、私は、ややもすると争点隠しの通常国会になりつつあるのではないかというふうに申し上げてみたいと思うわけでございます。  昨年、自民党と自由党公明党の三党首が署名をされた政治・政策課題合意書というものがございました。  これらをしっかり読ませていただいたときに、小渕内閣のこれまでにとってこられた政治路線、これをずっと追認されたものであって、私にとってみると、何ら新鮮味がございませんでした。  いみじくも表現をしている、今こういう形での政治の、政策の課題があって、それを合意しましたというふうになっていると思うわけです。例えば、先ほどからお話しになっております小選挙区比例代表並立制の比例区の定数削減、これについて、いろいろな国民皆さん方の、いい悪いの判断といいますか、御批判といいますか、意見はございます。私に対してもあります。国会議員の数を減らすのはいいんじゃないかということ、いやいや違う、小選挙区制によって、数の、人口の多いところからだけたくさん衆議院議員が出ていく、人口の少ない広い県の、鹿児島も、久間先生の長崎も、離島があって、そこからしっかりと漁業の問題、農業の問題、山の問題、こういうものをきちんと伝えていく議員が生まれにくいではないかというようなさまざまな課題も言われております。  ですから、こういう問題や、しかし、そのことは直接的に国民の生活に関係はない。デノミネーション、国民は、国の借金がことしの末には地方自治体含めて六百四十何兆円ですか、これをゼロ一けたデノミするとそれだけ借金が減る、そういうことに使うのかという批判もあるし……(発言する者あり)いやいや、そういう話もあるんです。自分たちの持っている財産はそれだけ減るというのもありますが、そういう政治的なパフォーマンスだけが横行をしているのではないかと私は思うわけでございます。  例えば、前の国会、その前の国会でよく出されました有事法制の立法化、そしてPKFの本体業務への参加凍結を解除しようというような、あのさまざまな問題が、今回の国会ではぴたっとやんでいる。これはあくまでも争点隠しではないのか、選挙目当てに物を言わなくなっている状況じゃないのでしょうかというふうに言いたいのでございますけれども、そうではなくて、いやいや、もっともっとこういう争点を野党に突きつけているんだということであれば、総理、それはどういう点でございましょう。
  319. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 最大の争点は、今次、ここで御審議をいただいております十二年度予算でなかろうかと思っておりまして、そのために、こうして熱心な御審議をちょうだいいたしておるんだろうと思っております。  政府みずから争点を隠そうなどということはございませんので、どうぞ野党の方の皆さんから争点をお見つけいただきまして、御指摘をいただき、我々に、それに対する考え方を申し述べる機会が得られれば、ちょうちょうはっしといいますか、与野党とも現下の国内、国外の諸問題についての議論が成り、これがいわば争点と申すべきものではなかろうか、こう考えます。
  320. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 争点を出せということでございました。  歳出総額が八十四兆九千八百億円、過去最大予算案ということでございます。確かにそうです。しかし、その規模にもかかわらず、国民は、その内容が本当に自分たちの生活が回復していくのか、将来の展望が持てるのかということについて不安を抱き続けていると私は申し上げなければなりません。  消費や民間設備投資を活性化しながら、経済を自律的な回復軌道に向けるということがとても大事だと私は思っているわけでございますけれども、相変わらず公共事業。先ほども吉野川の可動堰の問題が触れられました。  私の鹿児島の町でも、人工島という、島をつくるということが去年の暮れにスタートいたしました。フロンティアランド事業と銘打って、桜島の土石流を、捨て場がないから錦江湾を埋め立てるために使う。運輸省のさまざまな御指導によって、捨てる場所がなければそういう場所をつくればいいじゃないですかということで、これは運輸省は御努力いただいたことは事実でございます。十年後にできたときに、その上に国際会議場をつくるとか、ボートの泊まる、あれはマリンタワーですか、とにかく、ボートなんかを泊める場所をつくると言っているわけですが——タワーじゃないですね、ボートを係留する場所です、とにかく。横文字がわかりませんでしたけれども。  隣の宮崎県では、シーガイアがああいう形でなかなか活用できなくて借金をいっぱいつくってきているという状況を、隣で横目でにらみながら、今そういう形で入れ物だけはつくる準備がどんどん進んでいっている。十年後に本当にそこに国際会議場ができるという保証はない。ボートを係留する場所ができないことはないでしょうが、ボートが来るという条件はない、大型客船が来るという条件はない。鹿児島の人たちの心ある人たちが言う、来る条件としては、周辺事態安全確保法による日本がアメリカの軍事行動にバックアップをするときに、鹿児島湾にアメリカの戦艦を泊める停泊地になるのではないかというようなことまで飛び出してくる。目的はどうか、私も現時点ではわかりません。  そういう形での公共事業状況を含めて、ことしの財政の問題というものは本当に大きな課題を抱えていると私は思っているわけでございまして、三八・四%、三十二兆六千百億円は国債によって賄われております。八十五兆円の予算のうち三十二兆円は借金の返済で消えてしまうと言われているわけでございます。  では、このツケ回しは、後世に向かってどうするのかということは、盛んに論議をされている財政構造改革の凍結による財政をどう立て直すかということは、二兎を追う者は一兎も追えない、捕まえることができないという総理の言葉で言うと、全然考えていないわけではないけれども、今はそこにいくと景気の回復基調を弱めてしまうと言われておりますけれども、私は、選挙が終われば、さて、財政構造、税をどうするのかということがすぐに出てくるのではないかというふうに思うわけです。選挙が終わって、総理が再び総理を続けられる、そして、財源が少ないね、足りないね、はい増税よ、消費税五%から一〇%、そういうことにならないのかという危惧感が国民の間にいっぱい詰まっているんですが、その辺は、総理、いかがでしょう。そういうことは絶対今考えていないとおっしゃるんでしょうか。
  321. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 これもしばしば申し上げておりますように、やはり日本経済を何としても安定的に成長せしめる路線を確実なものにしていかなきゃならぬということでございまして、そのために、財政改革ということを、これを実行していこうということでありますれば、しばしば申し上げておりますように、いずれも達成できないという危惧を持たざるを得ないということでありまして、国会におきましての財革法を凍結する段階、あるいはむしろこれを法律として制定する段階からも、特に当時の野党の皆さんからも強い御指摘もございました。  たまたまアジアにおける金融危機を初めとして世界経済が大きく落ち込む中で、日本として経済を再生しなければならない、そういうことでこの内閣は出発をいたしておりますので、そういう意味で、財政改革ということはもう片時も忘れてはなりませんけれども、今、ある意味改革について、右往左往とは申し上げませんが、常々それをいついつと考えておることが、また全体の景気の回復にいろいろな意味で消極的考え方になってしまうことはいけないことでありますので、ここは一気に景気を回復し、経済を安定化せしめる、そのためのあらゆる方策をとるのが、現下、政府の務めである、このように認識しております。
  322. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 選挙が、予算成立した後にあるのか、四月ごろにあるのか、サミットが終わった後にやるのか、選択肢は二つ一つだと思うのですが、私はそう思うのですが、それは総理のお考え次第でございますから。私はそう思うのですが、その選挙が終わった後に、すぐこういうふうにして財政、財源足りない、これは増税だということはないのですね、総理お答えください。
  323. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今の状況で考えまして、私どもが希望しているように、秋になって民需が十分に動き出して、そして経済が回り始めると仮にいたしましても、その次の年にはこれほどの刺激的予算は要りませんものの、それならすぐに今度は税金を取る方に回れるかというと、とても私はそういうことにならぬと思うのです。  ですから、せいぜい中立的な予算が組めるだろうか、そうだったら私はまあいい方だ。それも、その次は取れるか、やはり取れない。中立的な予算みたいな感じがもう二度ほどございませんと、日本の経済というのは本当に民需を中心に回っていくような軌道に乗れないんじゃないかと思いますもので、これはただ財政だけからのことを申しているので、総理はもっと違うお考えがおありかもしれませんけれども、財政だけから申して、やはり経済がちゃんと自力で動くのにはまだまだ時間がかかるのではないかと私は思っています。
  324. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 財政担当の宮澤大蔵大臣はそうお考えだと言われました。では、大蔵大臣は言われましたので、違うお考えとかございましたら、総理、どうぞ。
  325. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 宮澤大蔵大臣がお見通しを申されましたが、そういう中で、そう軽々といいますか、早々に財政改革法を再び提出するということはなかなか困難な見通しだろうと思いますが、できる限り早く、財政全体の改革ができる抜本的な法律が提出できる機会が一日も早く来ることのできるように、最善の努力をしていくということだろうと思います。
  326. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会保障制度の問題についてあと一点触れて終わりたいと思うのですが、先日、総理が主宰される社会保障構造のあり方について考える有識者会議というのがございました。その趣旨で、社会保障制度が将来にわたり安定し効率的なものになるよう、年金、医療、介護など総合的に、かつ給付と負担を一体的にとらえて検討するというふうに言われているわけでございます。  私たちはかねがね、年金、医療、福祉の分野の改革をばらばらじゃなくて、サービスを受ける側に立った公平、公正な立場でのバランスのとれたものにしていくべし、抽象的でございますけれども、そのように申し上げてまいりました。今の年金の審議、医療の問題、介護、これは一体となっておりますか。ばらばらじゃないですか。総理、一体でしょうか。
  327. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 委員指摘のように、今、豊かさの中の不安の時代、こう言われております。そういう中で、国民皆さん方が老後を真に安心して過ごせるような社会保障制度を将来的にも、要するに、安定的なものを築いていくことが何よりの課題だ、こう考えているような次第でございます。  これまで、反省を含めて申しますならば、医療は医療、それから年金年金、介護は介護、こういうような嫌いがなきにしもあらずであったわけでございます。そういう中で、総理の呼びかけによりまして、二十一世紀の社会保障につきまして、年金、医療、介護を制度的、横断的、かつ総合的に検討するために、総理のもとに社会保障構造のあり方について考える有識者会議というものをつくったわけでございます。本年の一月からスタートしておるわけでございます。この会議を通じまして、将来の高齢者像というものを明確にしながら、そして、少子高齢化社会においても長期的、安定的な社会保障制度の確立というものを目指していきたい、このように考えているような次第でございます。
  328. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 丹羽厚生大臣は、自民党の亀井静香政調会長と必死に戦っておられる、この御様子を拝見しながら、私は頼もしく思っているところでございます。  今言われたとおりに、介護の問題も医療も年金も、やはり非常に厳しいけれども、こういう面は国としてきちんと安心と安全のネットワークを広げるための努力をしているんだということを政府与党が発信される。  例えば、年金にしても、前から言っていますけれども、厚生年金国民年金の積立剰余金、平成九年度で百三十四兆円、十一年度ベースの決算でいえば数字がひっくり返って百四十三兆円ぐらいになる。決してそれがあるから私は大丈夫だとは言わない。将来の年金保険料が上がっていくことを抑えるためにも、これは準備金として持っておかなくてはなりませんけれども、あくまでも国民から税金として、保険料として取ったものですから、国の金ではない。簡単に言うと、一人一人の国民のお金でございます。こういうものがあるんだという安心感は、いろいろな問題はあったとしても政府の側から発信しなくちゃいけないと思いますし、介護の問題にしてもしかりです。  鹿児島では、私はテレビでも申し上げましたけれども、都会に出ている子供たちが、一人のお母さん、夫婦二人、高齢者の皆さん方が、もう既に高齢化率二五%を超えているところがいっぱいあって、十万円でチャラにしてくれなんという話はとんでもないと言っております。だけれども、まじめな人がいっぱいいるから、政府がそう言うと、我慢して我慢して、介護保険を受けないように努力しよう、要介護認定を受けるときに、手が上がりますか、上がらなくても上げる努力をしている人がいっぱいいるんです。そういう人たちの思いをしっかり受けとめて対応していただきたいと思います。  私の最後の質問ですが、これは労働大臣で結構だと思うんですけれども、労働者保護法、会社分割法、いろいろ出てきます。これは総理にというふうに聞いておりましたけれども、今労働省、検討の途中だと思うんです。本当に、リストラクチャリングという言葉が日本では労働者を解雇することによって会社を立て直すという言葉に一義的に使われている状況があります。労働者保護法、どういう形で検討し、つくられていこうとされるのか、私の質問の最後にしたいと思います。
  329. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 御承知のとおり、産業構造の変化に対応いたしまして、会社がいろいろな形で合併したり、あるいは営業譲渡したり分社化という傾向が非常に大きく見えてきております。当然のことながら、労働者の権利はきちっと守らなきゃなりませんし、雇用も保護されなければなりません。  こういう状況対応いたしまして、今先生がおっしゃるとおり、共通の労働者保護法というものをつくるかどうか、あるいは個々に対処できないか。私どももこういうことを考えまして、いろいろな検討を進めてまいりました。  その一つが企業組織変更に係る労働関係法制等研究会、こういうことで、学者、有識者にお願いをいたしました。これらの報告も参考にしながら、一応現段階では、分社、分割については商法の改正案が出されることになっておりますので、これとあわせて、労働権の保護あるいは雇用の促進というものができるかどうかということを検討させていただきます。  なお、合併、営業譲渡については、一部問題もありますが、現行法制で権利の確保、雇用の保護は一応図られる、こういう見通しになっておりますので、単独法を出させていただいて御審議を賜りたい、こう思っています。  以上です。
  330. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 あと、保坂議員にかわります。
  331. 島村宜伸

    島村委員長 この際、保坂展人君から関連質疑申し出があります。濱田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。保坂展人君
  332. 保坂展人

    ○保坂委員 私は、NTTドコモ株の問題について、限られた時間ですがお聞きをいたします。  一九八八年、大変激動の年でございました。当時、竹下内閣官房長官小渕総理は、官庁綱紀の粛正の閣議決定を受けて、全官庁に通達を出された。その通達の中で、未公開株の譲渡については特に留意をされたいと。政府の綱紀粛正策に株が登場したというのは、それ以後たくさんありますけれども、この年が初めてと聞いております。  そこでお聞きいたしますけれども、先ほど来の質疑で、一九八八年、まさにこの年の六月に古川秘書官が譲渡をされた株について、官房長官時代の小渕総理報告があったのか、あるいは、その官房長官当時の総理が秘書官に報告を求めたのか、この点について伺います。
  333. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 報告は特にありませんし、求めたこともありません。
  334. 保坂展人

    ○保坂委員 問題の株、上毛通信サービスの株を古川秘書官が取得した八八年の六月、事実上この手続が完了した時点というのは、いわゆるリクルート事件の幕あけというか、もう連日のように報道があったころなんですね。この八八年は、ちょっと思い出すだけで空前の範囲で、未公開株の譲渡をめぐって、株の問題、特に政治家と秘書の問題、これが問題になっていた、こういう時期だろうと思います。ですから、国家公務員に対しても株取引はきちっとこれは留意しろという通達を出している側の小渕総理が、どうしてそういう身近な身辺の問題について確認をされなかったのでしょうか。
  335. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 確かに、思い起こしますと、リクルート未公開株の問題をめぐって、当時揺れ動いたことは承知をいたしております。しかし、古川秘書が受けましたのは未公開株でありませんで既発株でございまして、おのずと、リクルート株は未公開株を手にした者がそれを売却することによって売却益を出したかどうかということでございまして、この古川秘書が受けましたのは、いまだこれは売却もしておりませんで、そういう意味でおのずと性格を異にするものだろうと思いますが、その時点において、そのことについて、私が本人にそのようなことをお聞きしたことはないし、また報告も受けておらないことは冒頭申し上げたとおりであります。
  336. 保坂展人

    ○保坂委員 これは一九八九年五月二十五日の内閣委員会で、現総理が、「リクルート問題をめぐっての政治不信につきましては、事竹下内閣のみならず政治家一人一人大いに反省、考えさせられる問題であることは言うまでもない」と、このリクルート問題についてはたびたび発言されていますよね。もちろん、未公開株ではなかったという今の趣旨はわかりますけれども、しかし、ひときわ世間、そして政治不信の源となったその大事件が進展している渦中で、こういった取引が完了したということなんですが、古川秘書官のその株取引の代金は、どこで何を財源にして支払われたのでしょうか。簡潔にお願いします。
  337. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 当時秘書をしておりましたから、みずから所有しておる所得の中から支払われたものと推測をいたしております。
  338. 保坂展人

    ○保坂委員 二百二十五万円が二十五億円、ぬれ手にアワという言葉は似合わないと思う、ぬれ手に金塊というふうに言ってもいいかと思いますが、この二百二十五万円というのは、私、現在でも大金ですよ。  ところが、この告訴状によると、持ちかけてこられた鈴木さんは地元の選挙でいろいろ世話になっている間柄で、上毛通信自体が地元の会社であるため、この程度の協力はやむを得ないということで、しかも、名刺の裏にさささっと書いていただいて買ったと。おつき合い。  この二百二十五万円がおつき合いという感覚は、小渕事務所の感覚というふうに考えてよろしいですか。
  339. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 個人にはいろいろの所得があろうかと思います。秘書としての仕事で得られた報酬もあろうかと思いますが、本人は早く親を亡くされましたが、その遺産もかなりあることは私も承知をいたしておりまして、いずれのところからどのように調達したかは定かではありませんけれども、適正にその対価を支払ったということについては間違いないものと考えております。
  340. 保坂展人

    ○保坂委員 私、告訴状をつぶさに検討しました。その上で石井夫人ともお会いをして、じっくりと話を伺う機会がございました。  告訴状の特徴的なところは、告訴をしている部分、これは虚偽の創作、でっち上げというふうに、古川秘書官の方がいわば被害を受けたということで告訴をしているところは、石井夫人の発言なんですね。石井夫人が証言した、あるいはインタビューに答えたという部分まで全部でっち上げだと。  先ほどの質疑小渕総理は、故人である石井康元さんについて、高崎市内で事務所を提供していただいた恩人である、あるいは数少ない支援者であり、今なおそういう感情を抱いている、こういう御答弁でした。その石井夫人の発言、これは全部虚偽だという告訴の内容なんですが、ずばり申し上げて、それでは、石井夫人は小渕総理から見て、そういううそがつける人柄だというふうに感じていられるのですか。
  341. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 告訴状で明らかにしておりますが、その発言をとらえて、天下の講談社が責任を持って発刊している週刊現代において、古川秘書をしてその株の取得が盗んだものだとかそういう表現がなされ、広くこれが大きく、発刊日の前には各紙に、除く読売ですが、出されておりまして、そういう意味から考えますと、そういうことは全くあり得ないことだということでございます。  したがって、大変御苦労いただいて石井夫人のお話をおとりになっておられたということですが、先ほど来しばしば申し上げておりますように、この石井夫人、もう大変質素な、しとやかな方でございまして、早く娘さんを亡くされて、私としても大変、御主人も早く、また一人娘さんもそういう形で、本当にかわいそうな方だと思っておりまして、よもやこのことについてこのような御発言をされるとは思っておりません。  本来的にいえば、発言について公式な場で対決と申し上げますか、真実を明らかにする機会があろうかと思います。古川秘書においても、長年のそういういきさつから、そうした対決なり事の是非を明らかにするということを、できれば公の場でなくいたしたいと思っておりましたが、いかにしても、泥棒扱いされ、そしてだまし取ったというようなことを、天下の雑誌に書かれたとすれば、それについて、これは刑事告訴することやむを得ないという考え方であります。  その内容については委員もしっかりお目通しをいただいたそうですから、そういういきさつであるということを改めて申し上げておきたいと思います。
  342. 保坂展人

    ○保坂委員 その石井夫人から言葉を預かってまいりました。先生とお会いできる機会もないので伝えてくださいと。小渕先生が官房長官外務大臣、そして総理へ、いわば上り詰められていくたびに亡き夫の墓前で報告をし、きっと喜んでくれているだろう、そういう気持ちで今なおいますということです。今なおそういう気持ち。  そして、この問題の本質は、告訴されましたよね、では、告訴される前に、どうしてそれでは、石井夫人、小渕地元事務所を、ずっと提供を受けていたわけですよね。八八年ごろまで提供したという証言を得ました。八八年ごろまで提供していた御婦人のところに、この告訴状によると、八七年にこの鈴木という方から古川秘書官が持ちかけられて、名義は亡くなった石井さんのものだ、ところが十三年前にもう死亡しているから何の問題意識も抱かなかったなどの記述があるんですよ。どうしてそのときに一言説明をしなかったんですか。それ以後も、昨年、こうした通知書やあるいは連絡、このことについて説明してほしいと再三言われているんじゃないですか。その作業を怠って、いきなり刑事告訴。しかも、どうして警視庁なんですか。どうして東京地検特捜部じゃないんですか、お答えください。時間がないので簡潔にお願いします。
  343. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私が告訴したわけではございませんで、法的手続は適正な弁護士をもって行ったわけでございますので、私がそのことについてお答えをすることは不可能でございます。
  344. 保坂展人

    ○保坂委員 総理、先ほどのやりとりの中で、もう告訴したんだから後は捜査機関、司直がやってくれるんだ、きっとやってくれるんだ、やってくれるんだとおっしゃっていますが、警察は告訴を受理することもあればしないこともありますよ。少なくとも、総理の秘書官の告訴は総理も相談を受けたんでしょう。相談を受けて御存じなはずです、これだけ重大なことなんですから。警察当局がこれを受理する段階でないときに、捜査機関がきっとやるだろうみたいなことを言うことは圧力じゃないですか。  もう一点言います。週刊誌に対してあるいは講談社あるいはジャーナリストに対して、いろんなことを告訴していますよ。中には、富国有徳と言われている総理の言葉を「不徳亡国」と書いているんですね、最後に。皮肉っているわけです。そのことまで告訴しているんですよ。これは総理の公権力をもって自由な言論を弾圧しているというふうに疑われてもおかしくないですよ。
  345. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 言いがかりというのはこういうことを言われるんじゃないかと思いますですよ。  それは、相談を受けました。それは、今申し上げたように、いかにしても一人の人間として、盗人だとかだまくらかしてこれを取得したとか言われれば、これを看過すれば、そのことを認めることになりかねないということでございまして。  そこで、石井夫人の話も出ました。私はしばしば申し上げておりますように、今日なお私に対して支持をいただいております。したがって、こういう事案になる前には、御本人とお話をした方がいいとは思っておりますけれども、いっとき、いずれかでわかりませんが、私の地元の秘書がお話に参りましても本人不在という状況が長らく続いておりまして、お話ができなかったということは残念だと思いますけれども。  この告訴をそのままいたさないということになりますればそのことを認めるということに相なってはならぬと本人が考えるならば、それは本人が告訴したらよろしいということで、その内容についても私は拝見をいたしております。  しかし同時に、言論に対する弾圧ということを申されますが、言論をもって、このようなことをして誹謗するということについて、私はこれもまた大きな暴力ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  346. 保坂展人

    ○保坂委員 言論をもって誹謗したのかどうかということを、この告訴状を熟読する限り、全く根拠がないわけです。この根拠、例えば名刺の裏の領収書というのは実在するんですか。実在するんならなぜ添付してないんですか。こういうことを一点とってみても、全部この記述は虚偽だというふうに言っているだけで、事の真偽はわからない。  委員長にお願いします。私どもも、古川秘書官の証人喚問、これを当委員会で要求したいと思います。
  347. 島村宜伸

    島村委員長 理事会で協議いたします。
  348. 保坂展人

    ○保坂委員 時間になりましたので、この問題はぜひ、石井夫人の証言と全面的に食い違いますので、このことを指摘して、国会の場できちっと明らかにしていただく、このことを強く要請して私の質問を終わります。
  349. 島村宜伸

    島村委員長 これにて濱田君、保坂君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。  次回は、明十五日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時散会