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2000-02-07 第147回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月七日(月曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 久間 章生君 理事 自見庄三郎君    理事 高橋 一郎君 理事 萩山 教嚴君    理事 町村 信孝君 理事 太田 昭宏君    理事 青山  丘君       甘利  明君    伊藤 公介君       石川 要三君    稲垣 実男君       小澤  潔君    大石 秀政君       亀井 善之君    栗原 博久君       杉浦 正健君    高鳥  修君       津島 雄二君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    船田  元君       穂積 良行君    御法川英文君       村田 吉隆君    村山 達雄君       山口 俊一君    青山 二三君       石田 勝之君    佐藤 茂樹君       桝屋 敬悟君    加藤 六月君       鈴木 淑夫君    武山百合子君       西田  猛君            …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    厚生大臣         丹羽 雄哉君    建設大臣         中山 正暉君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    国務大臣    (内閣官房長官)     青木 幹雄君    国務大臣    (環境庁長官)      清水嘉与子君    内閣官房長官      額賀福志郎君    総理府政務次官      長峯  基君    環境政務次官       柳本 卓治君    大蔵政務次官       大野 功統君    厚生政務次官       大野由利子君    運輸政務次官       鈴木 政二君    建設政務次官       加藤 卓二君    建設政務次官       岸田 文雄君    自治政務次官       平林 鴻三君    参考人    (日本銀行総裁)    藤原 作彌君    参考人    (日本道路公団総裁)   緒方信一郎君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 委員の異動 二月七日  辞任         補欠選任   大原 一三君     大石 秀政君   中川 秀直君     御法川英文君   森山 眞弓君     穂積 良行君   鈴木 淑夫君     武山百合子君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     大原 一三君   穂積 良行君     森山 眞弓君   御法川英文君     中川 秀直君   武山百合子君     鈴木 淑夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十二年度一般会計予算  平成十二年度特別会計予算  平成十二年度政府関係機関予算     午後一時開議      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ちまして、民主党日本共産党及び社会民主党市民連合所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。  再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。  速記をとめてください。     〔速記中止
  3. 島村宜伸

    島村委員長 速記を起こしてください。  理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党日本共産党及び社会民主党市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算平成十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。
  4. 杉浦正健

    杉浦委員 自民党の杉浦正健でございます。  本日も野党の御出席が得られない状態でございますが、まことに残念至極に存ずる次第でございます。漏れ聞くところによりますと、正常化の機運が盛り上がっているというふうにも伺うところでございますので、一刻も早く国会が正常化することを願いながら質問に入らせていただきます。  きょうは、一般質問の初めでございますので、時間も限られております関係上、当面の財政金融政策についてと、それから後半の一部分を、私のふるさとで開かれます万国博覧会の交通アクセス、大変心配しておるわけですが、その問題について質問をさせていただきます。  まず、財政金融政策の問題についてですが、去る一月二十二日に開催されましたG7、蔵相・中央銀行総裁会議中身議論内容結論等を切り口にして、大蔵大臣日銀総裁からお伺いさせていただきたいと存じます。  まず、あの会議の後、二月二日でございますか、アメリカ連邦準備会利上げを行いました。翌日、ヨーロッパ中央銀行協調利上げを行っております。この利上げが行われた背景理由についてですが、一月二十二日のG7議論結論とかかわりがあると存じますが、この点につきまして、日銀藤原総裁でございますか、御説明を願いたいと存じます。
  5. 藤原作彌

    藤原参考人 お答えいたします。  御承知のとおり、アメリカのFRB、連邦準備制度理事会は、今月の二日の、FOMCといいますが、連邦公開市場委員会で〇・二五%の利上げ決定いたしました。  アメリカ経済では力強い需要の拡大が続いておりまして、労働市場も逼迫しているといったようなことから、インフレ圧力が高まる可能性懸念されておりまして、グリーンスパン議長などもたびたび警告を発しておりました。それで、今回のFOMC決定は、こうした情勢を踏まえまして、インフレのない持続的な成長を達成するため実施されたというふうに了解しております。  また、続いてヨーロッパですが、欧州経済景気回復が明確になってきておりまして、こうした中で、欧州中銀、ECBは、ユーロ安原油価格上昇なども勘案しますと、インフレを未然に防ぐためには利上げが適当と判断したというふうに私どもは受けとめております。
  6. 杉浦正健

    杉浦委員 そういった利上げの直前に、一月二十二日、会議があったわけなんですが、その会議の場でも、例えば日銀からそういうことをなさるべきじゃないかというような議論を提起されるとか、この利上げについて、それが世界経済に与える影響等についてどんな議論がなされたんでしょうか。
  7. 藤原作彌

    藤原参考人 お答えします。  私自身は出席しておりませんが、G7の席上では、世界経済全般、それからアメリカ経済ヨーロッパ経済日本経済等々について議論がなされたというふうに伺っております。そこで政策について議論されたかどうかは、私はつまびらかにいたしておりません。
  8. 杉浦正健

    杉浦委員 宮澤先生、御出席でございましたね。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 会議の討議それから雑談等々を含めまして申し上げますと、アメリカ金利が次のFEDの会議で引き上げられるだろうということは何となく織り込み済みのような雰囲気がございまして、殊に昨年の最終四半期経済成長が非常に高かったということがございましたので、余計そうであろう。ただ、引き上げの幅が〇・二五であるのか〇・五であるのかというようなことは、そこまではだれも話をいたしませんでしたけれども、その辺のところまでの何となく雰囲気はございました。  それから、ユーロについては、むしろユーロ人たちは、ユーロが安くなるということを実は余り自分たち懸念していない、むしろヨーロッパ物価安定の方が大事だ、終始そういう態度でございましたので、したがって、ユーロについての議論はございませんでした。今度のことは、恐らくその物価観点といいますか、インフレ観点から決定をされたものではなかろうかと思いますが、それについてはほとんど議論はございませんでした。
  10. 杉浦正健

    杉浦委員 アメリカヨーロッパ金利高ということになりますと国際的な資金の移動も起こると思うんですが、それと我が国金融政策我が国経済状況をにらみながらどういうふうにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  11. 藤原作彌

    藤原参考人 お答えいたします。  我が国景気情勢を見ますと、足元は持ち直しに転じておりますけれども、個人消費設備投資といったいわゆる民間需要の側面の自律的回復のはっきりとした動きは、残念ながら依然として見られておりません。このため、物価面でも潜在的な低下圧力に引き続き注目していかなければならない情勢であります。  したがいまして、それらの事情を勘案して、日本銀行としましては、現時点ではゼロ金利政策を継続していくことが適当というふうに判断しております。
  12. 杉浦正健

    杉浦委員 一月二十二日の後、注目すべきと申しますか、ある意味ではうれしいニュースでございますが、日本の株が上昇傾向になって、先週末は、瞬間風速ですが二万円を超えたという事態が起こりました。  専門家によって見方がいろいろありますが、これから相当株高に動くのではないかという意見が多いようにも見受けられるわけなんですが、この日本株式高理由背景、また、それが国際的な今申し上げた利上げ動きとか全体の取り組みとのかかわりとかいう中でどんなものか、日銀当局の御見解を伺いたいと思います。
  13. 藤原作彌

    藤原参考人 お答えいたします。  株価は、先生今おっしゃいましたように、先週末の金曜日には、一時ですが二万円台に乗せるという局面も見られまして、このところ堅調に推移しております。バブル崩壊後のボトムであります九八年秋の一万二千円台の水準から見ますと、五割以上上昇していることになります。先ほど、午前の段階では一万九千八百円台でございました。  これらの背景としては、まず政府景気対策日本銀行金融緩和などの効果があって景気が持ち直してきたということ、そして景況感も改善してきたということが指摘できると思います。また、民間企業リストラ努力や、その収益面への効果市場評価されているということも言えると思います。加えまして、ハイテク関連分野などの今後の成長性がマーケットに高く評価され、それがこうした分野株価を大きく押し上げているように見えます。  御指摘アメリカヨーロッパ利上げについては、それ自体が直接日本株価を押し上げる要因になっているとは考えにくいと思います。
  14. 杉浦正健

    杉浦委員 今、後ろからメモが回ってきたわけですが、十三時十六分現在一万九千八百九十四円だそうでございます。  私はエコノミストではございませんし、あれでございますが、相当二万円を挟んでもみ合いが続いて、上向くんじゃないかと思っております。四月から郵貯金利の高い集中満期が始まって、百兆円を超えるお金預金者のところに戻ってくる。そのお金が、郵便貯金へ一〇〇%戻るとは到底考えられませんで、今金利が安いですから、市場関係者の話だと、五割ぐらい株式市場に入るんじゃないかと言う方もいらっしゃるわけなんですが、それやこれやあり、今おっしゃったようなさまざまな背景ありで、株高に向かうんじゃないかというふうな感じがしております。  この株高日本経済に与える影響についてお考えをお伺いしたいと思うんですけれども、素人考えで、金融システム銀行とか保険会社の株の含み益がよくなりますね。それから不良債権処理もしやすくなるというようなことはすぐ思いつくんですが、株高傾向が続くとした場合、日本経済の現状、将来にどんな影響があるとお考えか、日銀の御見解をお伺いしたいと思います。
  15. 藤原作彌

    藤原参考人 お答えいたします。  先生ただいまおっしゃいました郵貯資金とかそのほかの資金が、どういうふうにこれから株式市場に流れていくかどうかは即断できないわけですけれども、今の株高傾向が続きますと、景気の持ち直しにさらに一層のいい影響が与えられるということは想像にかたくありません。今、日本企業は必死にリストラを続けておりますけれども、企業の生産や収益の向上にも資すると考えます。要は、実体面でもそれから心理面でもさまざまな影響が相乗的にあらわれてくると思います。
  16. 杉浦正健

    杉浦委員 宮澤先生にお伺いするとおしかりを受けるかもしれませんが、株の高くなるのがわかるようだったら、議員なんかやってなくて金もうけするよと皮肉られそうな感じがいたしますが、先生、この株高見通し、どんなお考えか御感想を。それから、もし続くとすれば、越智委員長にお伺いするのがいいかもしれませんが、不良債権処理とかいろいろいい影響があると思いますが、御意見をお伺いできればありがたいと思います。
  17. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いずれにしても、見通しのようなことは私から申し上げるのは御遠慮すべきだと思いますけれども、先ほどからお尋ねのように、あるいは日銀総裁がお答えのように、一昨年の十月には一万二千円台までございましたから、回復をしてきたことは確かでございます。  やはり、今の段階政府が、なるべく早く官需から民需経済の担い手が移っていきたいと言っておりますことは、これからの民間企業経済活動を促しているわけでございますので、そういう意味での一般的な期待感というのは、ごくごく自然にあるのではないかと思っております。
  18. 杉浦正健

    杉浦委員 ありがとうございました。  現時点において金融政策が非常に大事だ、金融政策かじ取りは、非常に微妙ではあるけれども大事だという点は、素人の私でもひしひしと思うわけでございます。  宮澤先生が、一昨年でしたか、大蔵大臣になられた後の本予算を組まれる際に、ハマの大魔神が初回に登板したようだとおっしゃった。財政出動としては、ありとあらゆる面で最大限の努力をこの二年ぐらい宮澤大臣のもとでやっていただいている。ハマの大魔神続投に次ぐ続投という状態でございますので、景気回復基調の兆しの中にも大きな影響は与えておると思うんですが、この際、金融政策というのが補完——補完と言うと失礼になるかもしれませんが、非常に重要だという感じがいたすわけでございます。  前回、同僚太田議員質問に対して、日銀総裁が非常に優等生の答弁をなさいました。流動性の供与という点について、まあ聞いておりまして、素人としては歯がゆいという感じがいたしますものですから、さらに突っ込んだそのG7における議論内容結論についてお伺いしたいと存じます。  G7結論の中には、この二ページ目に、「彼ら」というのは日本当局者ですが、「ゼロ金利政策との関連デフレ懸念払拭を確かなものとするよう、十分な流動性を供給する意図を改めて表明した。」こうございます。そのとおりですね。  太田議員質問に対しまして総裁は、わかりやすく言うと、短期市場について、十分にやっておる、翌日物金利がゼロになるようにやっておるからということを説明して御理解いただいた、こういうふうになっておるわけですが、私の同僚で、私が尊敬する山本幸三議員に聞きましたら、非常に不十分なんだ、もっともっと積極的に、短期市場のみならず、流動性を供給するように日銀がやらないからいかぬのだ、正健さん、出たら大いに藤原さんにハッパをかけてくれ、尊敬する山本幸三議員からこう御指示を受けまして、ここに立っておるわけでございます。  私は山本先生のようなエキスパートでもございませんし、山本先生はかなりいろいろパンフレットを書いておられるのは日銀も御存じだと思うんですが、マネタリーベースをふやせということを強調しておられるわけで、私は先生のように理路整然といくわけにはまいらないんですが、このG7の論議の中で、例えばポール・クルーグマン教授という方がいらっしゃいますね。サマーズさんと非常に親しくて、日本のことについてもいろいろ書いておられるんですが、あのクルーグマン流の、日本流動性をふやせ、民需消費投資とも需要が低いのは流動性が少ないせいだと。クルーグマンさんは、あの書かれた時点で、三倍にふやせ、そうすれば需要がふえて、日本が立ち直るんだというようなことをおっしゃっていますね。  そういうクルーグマン流意見が、ほかの、例えばサマーズさんも出ておられたのですが、サマーズさんとかそういう方々から出て、日本よしっかりしろというような御議論がなされたのかどうか、その議論中身をお伺いしたいと思うのです。これは宮澤先生の方がよろしいですか。
  19. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お時間が限られていると思いますので、その範囲で申し上げますが、この間のG7の、今杉浦議員の言われました叙述の部分は、要するに、日本にあるデフレ懸念というものを払拭することが大事である、この点については異論のないところでございます。それを払拭するのにどこまでやることがいいのか、あるいは、どこから先はむしろ用心しなければならないかというようなことについては、昨年の十月のときにもG7でいろいろ議論がございました。  クルーグマンになりますと、これはいろいろなことを言っておりますので簡単には申し上げられないのですが、要するに、日本経済インフレ感というものが生まれれば、すべての人が近くインフレであるというような状況をつくり出すことが大事である、そのためには、言葉だけではいかないだろうから、流動性をふやして、そして、間もなく何%のインフレになる、そういうことがわかれば、みんながそういうふうに、消費も、恐らくは投資もそういう行動をするであろうからというのが、一言で言うと、クルーグマンの言っていることのように思われます。  それで、G7の中にも、殊に昨年の十月あたりはいろいろな議論がございまして、流動性が本当に十分なのか、それならば、こういうデフレートした感じはないではないかというような議論もございました。  しかし、日銀総裁は昨年の二月から、ほぼ一年になりますが、とられたこの政策で結構意識的に流動性というものをふやしている、短期については。それはレートにもあらわれておることではないかという議論をしておられまして、結局今年の、せんだっては、今お話しになられましたような、デフレ懸念払拭を確かなものにするように十分な流動性を供給しなければならない、その意図日銀総裁は表明されたということで、これで全員が満足したということでございます。  ただ、おっしゃいますように、それがいわば公式の政府間、中央銀行間の議論でございますが、いわゆるエコノミストの間にはいろいろな議論がございます。クルーグマンもその一人でございますし、あるいは、ラテンアメリカのブラジルやメキシコ、チリなどでやっておりますように、これは高いところから為替が安くなったのを今静めようとして、インフレターゲットとしてインフレの率を下げていこうとする、そういうことをやっている国もございますし、日本の場合は逆になるわけでございますから話が違うと思いますけれども、いろいろな議論があることはおっしゃいますとおりでございますけれども、結局今回は、先ほどおっしゃいましたようなステートメントで全員が一致したということでございます。
  20. 杉浦正健

    杉浦委員 速水総裁がお見えになりませんので、こんなことを言って失礼になるかとも思うのですが、速水総裁のお話を伺っておって、私よりも先輩なんですけれども、速水総裁日銀当局者方々の中に、インフレというと拒絶反応が起こるといいますか、私も戦後の悪性インフレの中で育ちましたのであれですし、結婚してすぐ子育てのときにオイルショックがあってあたふたしましたり、この間のバブルなんというのは大資産インフレでございますね。あの悪夢を見ておりますから、インフレという言葉が来ると本能的に拒絶反応が起こるわけなんですが、そういう懸念を強く潜在的に、顕在的にお持ちになり過ぎているのじゃないかなという印象を正直に受けました。  宮澤先生から今御指摘ございましたが、クルーグマンも、調整インフレをやれと日本に言っているのですが、彼の中では括弧がついているのですね。何もインフレをやれとは、いわゆる悪性インフレまで持っていくようなことをしろとは言っておりません。むしろ、インフレ傾向よりもデフレの方が扱いにくいぞということは口をきわめて言っておられると思うのですね。  きょう二冊本を持ってきたのですが、クルーグマンさんが言っている、これは「グローバル経済を動かす愚かな人々」というところなんですが、最後に、過去の経験を繰り返すのを恐れてマネーサプライをふやせない、日本銀行と大蔵省の官僚の皆さんがいまだバブル経済の記憶に縛られているという説があるのだがということで言っておるのです。  そして、わかりやすいことを言っているのです。「ここにいい教訓を与えてくれる古い冗談がある。運転手歩行者をひいてしまい、被害者は車の後方の道路に横たわっている。運転手は「ごめんなさい。元に戻します」と言いつつ、車をバックさせ、もう一度ひいてしまう。」ような事態にならないでほしいという趣旨で、この古い冗談クルーグマンが言っておるのです。  確かに、この間のバブル経済に絶対戻らないという保証は何もないとは思うのですが、例えば不動産、今、株は上がってきましたけれども、不動産は上がっていません。不動産の売買とかいろいろ見ておりますと、収益還元価格方向に収れんしていますね。ですから、仮にバブルと同じように過剰流動性をどんとやったとしても、恐らく今度は、株が上がるだけで不動産は余り上がらないのじゃないかという感じがするのです。日本国民はあのバブルのひどい経験で傷んでいますから、不動産神話は崩壊しておりますし、ああいう事態にはならないとも思うのですね。  ですから、あのバブルというのは過剰流動性のゆえに起こったわけですけれども、その過剰というものを括弧つきで、過剰にならない限り流動性をもっともっと供給して、クルーグマンの話によると、需要というのはお金を供給すれば出てくるんだと、わかりやすい言い方をしているのですけれども、もっと積極的に誘導される方がいいのではないか。素人考えを申し上げたいためにお聞きしたわけでございます。御回答は要りません。  先週の新聞に、何か日銀勉強会をつくられる、インフレターゲティングインフレターゲティングというと、あれはヨーロッパ世界で、何となく嫌な感じがする。インフレという言葉がとにかく嫌になるのですが、要するに、流動性をふやす、クルーグマンさん流の正しい意味流動性をふやすことが民需回復に資するならば、大分ふやしていただいていることは知っていますが、もう少し、もう一歩ふやして景気を刺激するという、微妙な金利政策かじ取りがあればさらによくなるのじゃないだろうかという感じもいたしますので、御検討を願いたいと存じます。藤原さん、私の関係ではお引き取りいただいて結構でございます。  最後に、宮澤先生に一問だけG7との関係でお伺いします。  広範な議論がなされております。その中で、G7の中で、コミュニケの後半でありますが、国際金融システム強化とか、あるいはグローバルな金融システム乱用に対する行動、これを一致してやろうという方向G7は御努力なさっており、いろいろ目標に向けてなさっているということを伺いました。  宮澤先生は、アジア経済危機に際しまして、一昨年ですか、新宮澤構想を打ち出されまして、中長期百五十億ドル、短期百五十億ドル、三百億ドルの構想を打ち出され、政府として推進なさった。国際社会でも大変な評価を受けております。アジア地域から感謝されておりますし、高い評価があるわけなんですが、そういう国際協力日本国際貢献のあり方を含めまして、G7で、国際金融システム強化とか、あるいは私が法務委員長のときにやりましたマネーロンダリングの防止のようなことも含めてですが、国際通貨システム乱用といったような問題について、どんな議論が行われて、どういう方向になっているか、簡潔に御説明願えればありがたいと思います。
  21. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 グローバリゼーションということからいろいろなことが起こってまいりまして、一昨年、G7で殊に議論になりましたのは、ヘッジファンドのことでございました。これは、ちょっと失敗もありましたので、ヘッジファンドというものを、そして東南アジアの経済がああやって激変に遭ったことについて、長期資本のあり方について、殊に、何をやってもいいというわけにはいかぬではないかという議論がございまして、これはその後、委員会の検討というところに発展をいたしております。  その後に、確かに法務委員長としてお世話いただきましたマネーロンダリングの話、それからタックスヘーブン、こういったような話がグローバライズしますとどうしても出てくるので、それらに対してどのように対応したらいいか、これは、論争といいますよりは各国が共通に持っております問題意識でございますが、そういうものをG7としてもさらに具体的に検討しなければならないというのが、ただいまの問題意識でございます。
  22. 杉浦正健

    杉浦委員 時間がございませんので、最後宮澤大臣に一点御要望だけ申し上げて終わりたいと思います。  ハマの大魔神アメリカへ行ってしまいましたので、次の投手をどうするか、松坂がいいのか上原がいいのか、真剣に御検討いただいておりますが、適切な中継ぎ投手を、若い活力のあるピッチャーを御起用いただいて、日本経済を前進させていただくようにお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。お願いだけでございます。  それでは次に、我がふるさとで開催されます、これはナショナルプロジェクトですが、万国博覧会に関連いたしまして、会場への交通アクセス、これがうまくいくかどうか、非常に心配しております。また、地元のみならず、心配する方が多いわけでございます。その点に絞りまして、建設、運輸、きょう両政務次官お見えいただいておりますが、現状はどうなっているのか、見通しはどうなのか、お伺いしたいと存じます。  まず、運輸の関係からお伺いしますが、中部国際空港は万博の前に完成するんでしょうね。いかがでしょうか。
  23. 鈴木政二

    鈴木政務次官 御案内のように、二〇〇五年開港に向けまして鋭意十分な努力をしております。完成したいと思っております。
  24. 杉浦正健

    杉浦委員 ぜひ、これが完成しませんと、万博、外国からお客さんを迎えられませんので、自民党も我々も地元も頑張りますが、ひとつよろしくお願いをいたします。後ほどまとめて決意表明を伺います。  次に、鉄道の関係ですね。一つは、今、愛知環状鉄道というのが近くを通ることになっておるのですが、この複線化が計画されております。これがどの程度いくのかどうか。それから、東部丘陵線という、新交通ですか、計画があります。今会場のところを通っているのは単線の愛環鉄道だけなんですが、それを複線化して、さらに一本新交通を敷こうということになっているんですが、この完成のめどはどうでしょうか。現状と完成のめど。
  25. 鈴木政二

    鈴木政務次官 今、愛知環状鉄道と東部丘陵線の御質問でございましたけれども、御案内のように、委員、御地元でありますので非常によくおわかりだと思いますけれども、特に環状鉄道につきましては、サービスの改善と、将来に向けまして沿線の開発もあるわけでありまして、旅客の増大を踏まえ、御案内のように、平成十年度から、幹線鉄道の活性化事業とそしてその補助によりまして、一部区間の複線化、それと専用線の整備による高速化、スピード化を今行っております。  今回の来年度予算におきましても、同補助によりまして、新たに高蔵寺駅、JR中央線と相互直通そして乗り継ぎを十分するような予算を計上いたしました。したがいまして、二〇〇五年の愛知万博の開催の前年、平成十六年、いわゆる二〇〇四年に完成するように、運輸省としても万全を期していきたいと考えております。  続きまして、御質問の東部丘陵線でありますけれども、御案内のように、これは建設省さんと一緒に今やっておりまして、たまたまきょうでございますけれども、事業主体になります愛知高速交通株式会社が愛知県等によりまして設立されて、平成十七年開業を前提とします軌道事業の特許の申請に向けて努力しているようでございます。運輸省といたしましても、申請が出されましたら、建設省とよく協議をいたしまして、来年の夏ごろには特許をしていきたい、かように考えております。間に合わせるように努力しております。
  26. 杉浦正健

    杉浦委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。  それでは次に、建設省の方に道路の関係をお伺いしたいと思いますが、現在の会場には主要道路は面しておりません。計画されておりますものに、一つは東海環状道路というのがあるわけでございます。それから、第二東名は、従来ずっと進めて、万博までに主要部分を整備しようということで進んでおるわけですが、高速道路としてその次にお伺いしたいのは、空港から万博会場への高速道路、これは完成するかどうか。この三点について建設省からまずお伺いしたいと思います。必要であれば、第二東名は道路公団総裁から、現状と見通しについてお伺いしたい。
  27. 加藤卓二

    加藤政務次官 地元をよく御存じの杉浦先生質問でございますので、私も、この万博をやるときに、初め、どうしてもモナコという国へ、理事国なんだけれども、総理が官房長官のときどうしても行けなかったところなので、委員会の旅行というか視察のときに必ず寄ってくれというので、非常に関心を持っているだけに、今度運輸省も今、一生懸命頑張っておりますが、空港はぜひ私たちも協力しようということで、かねて関西の財界人、それと特に中部地域の、東京の財界の方から要請があって、空港が間に合わないようなことがあったら、外国へ行ってきている総理や国の恥になるから頑張ってよということで、そのお手伝いもいたしました、漁業問題の完成も急ごうということで。  それから、やはり空港からその会場まで行く交通をどうしてもつくらなきゃならないというのは当然のことでございまして、これに関しては、知多半島道路というのがあるんだそうですが、この有料道路に、ぜひひとつ空港からの高速道路、地域高速道路並みの大きないいものを、恥ずかしくないものをつくろうということで、これはもうできるようになっておりますから、よろしくひとつお願いしたいと思います。  それと、道路の問題は、今先生から大変出ていますが、東海環状自動車道路というのは、大変これは大事な道路で、これに関しては、建設省ももうほとんど、みんなで総力を挙げてやっておりますので、間に合うようになるだろう。美濃関ジャンクションから豊田東ジャンクションまでの間はもう当然開場に間に合うように、これと同時に中央自動車道路との土岐のジャンクション、この辺のところもやりましょう。  それから、いま一つ、名古屋瀬戸道路というのをぜひつくりましょうということで頑張っておりますし、いずれにしても、空港をつくっても、道路問題はその予算の二倍か三倍かかるはずでございますので、それは建設省挙げて一生懸命、この国際的な催し物にぜひひとつ協力しようということで頑張っておりますので、よろしくひとつお願いいたします。
  28. 杉浦正健

    杉浦委員 第二東名については道路公団の方からお伺いしたいと思いますが、特に私心配しておりますのは——まず現状をお答えください、第二東名、いつごろ、どこまでできるのか、現状はどうか。
  29. 緒方信一郎

    ○緒方参考人 愛知県内の第二東名高速道路のうち、愛知万博開催までの完成供用の非常に強い御要望のございます第二東名の名古屋南から豊田東ジャンクションの間、二十五キロでございますけれども、ここで東海環状と接続するわけでございますが、これにつきましては、現在工事の全面着工を図っておりまして、地元の御理解と御協力を得て愛知万博の開催時に間に合わせるべく、鋭意完成に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  30. 杉浦正健

    杉浦委員 公団総裁、どうぞもう一回。いや、どうぞおかけください。  そういう御説明は前から再三お伺いしているところなんですが、私は、大変心配しておりますのは、仮にそこまでしかできないといたしますと、東から今の第一東名を使って来るお客さん、これは豊田ジャンクションでおりて、第二東名へ入って、東海環状へ入って会場へ行くということになりますね。あの豊田ジャンクションには、新しい第二東名からどっと来る車と、今までの名神、第一東名から来る車が押し寄せるわけですよ。そうしますと、東から来る車は、今でも慢性渋滞に陥っている部分でございますので、もう長蛇の渋滞になってパンクしちゃうんじゃないかということを大変心配して、機会あるごとに強調しておるわけであります。  第二東名は、まだ五年もあるわけですから、豊田東インターからもっと東へ延ばして、少なくとも三ケ日、三ケ日から乗り移るようになっていますね、三ケ日までつくって三ケ日から第二東名へ乗り移れる、そこまでぜひこれから頑張って完成してほしい。つまり、会場へ行く車は、東からの車はどうぞ三ケ日で第二東名へ移って豊田東へ行ってください、そういうふうにしないと収拾がつかないんじゃないかということを心配しておるわけですが、公団総裁、頑張ってほしいので、御回答をお願いしたい。
  31. 緒方信一郎

    ○緒方参考人 ただいまお話のございました、もう少し東の方へ延ばせないかということでございまして、せめて豊田東ジャンクションから三ケ日ジャンクションぐらいまで延ばしてほしい、こういうことで、まことに当然のお話でございますけれども、当該地域は大変地形が悪いところでありまして、中央構造線を主としました日本有数の断層地帯を通過することになっております。  これまで、そういうわけで、測量調査等を進めてまいりまして、先般、全線の中心ぐいの設置が完了したところでございます。今後、順次設計協議を進めてまいりたいというように考えております。ただ、愛知万博の開催時までの供用というのは、正直言いまして大変難しい、厳しいというふうに現在考えております。  今後とも、地元の御理解と御協力を得ながら事業推進に鋭意努めてまいりたいというふうに考えております。
  32. 杉浦正健

    杉浦委員 三ケ日まで無理とすれば、額田。岡崎インター、知っているでしょう。もう一つ東のインターまで完成できれば、東の車は、インターの名前は何といいましたか、岡崎のもう一つ手前のインターでおりて、一般道路を通って額田インターへ行って入れるんですよ。だから、もう一つ、額田インターまでだけでも完成してもらえば大変楽になると思うのです。言っておきますよ。そこまでやらないと第一東名はえらいことになりますよ、六カ月間麻痺しちゃいますから。  常識のある人だったらすぐわかることで、地元のためを思って言っているわけじゃございませんので、よく御理解もいただいて、日本人はお祭り事が大好きですから、五年あれば、難しい工事であろうと、みんな優秀な人がいるんだから、よし、やれというふうになればできちゃうんじゃないですか。ひとつ頑張っていただきたいと思います。  まだ二分ございますね。では、一般道路について伺いたいと思いますが、空港と会場の関係、今、高速道路についてお伺いしたんですが、三本ほどございます。一本は、知多半島を北上する百五十五号線。それからもう一本は、衣浦豊田線と言っていますが、四百十九号ですか。それからもう一本は、衣浦岡崎線。一般道路も大事だろうと思います、高速道路は渋滞することが考えられますので。これは、県の当局としては、万博までに間に合わせるように一生懸命頑張っておるというふうに伺っておるところでありますが、国のお立場でぜひ推し進めていただきたいわけですが、御見解をお伺いしたいと思います。
  33. 加藤卓二

    加藤政務次官 地域高規格道路のことだと思いますが、衣浦豊田線について、知立バイパスというんですか、これは四・九キロが今はもう実施されておりますが、平成十四年度に供用が予定されております。ですから、今までよりもずっと早目に予算はつけておりますので、先生のおっしゃられるような方向で極めて順調に進んでおると思います。  それと、国道百五十五号のうちの豊田南バイパスについては、現在六・五キロが供用中でございますが、平成十四年度までにさらに一・五キロが供用できるようになる。極力、地元の御要望にこたえられるように一生懸命やっておりますので、ひとつよろしくお願いします。
  34. 杉浦正健

    杉浦委員 私の選挙区を通ります衣浦岡崎線もお忘れなくお願いしたいと思いますが、時間が参りましたので、終わらせていただきます。  最後に、両政務次官から一言だけ決意表明を。時間がありませんか、二人出てきて決意表明を。
  35. 鈴木政二

    鈴木政務次官 二〇〇五年には開港できるように一生懸命頑張ります。  以上であります。
  36. 加藤卓二

    加藤政務次官 地元の先生の希望によく沿えられるように努力いたしますから、よろしくお願いします。
  37. 杉浦正健

    杉浦委員 どうもありがとうございました。終わります。
  38. 島村宜伸

    島村委員長 これにて杉浦君の質疑は終了いたしました。  次に、桝屋敬悟君。
  39. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 公明党・改革クラブの桝屋敬悟でございます。  引き続き、野党の皆さんの御出席がないのはまことに残念でありますけれども、質疑をさせていただきたいと思います。  昨日の大阪府知事選挙、さらには京都市長選挙、官房長官の顔を見ますと何か感想を聞いてみたくなるわけでありますが、野党の皆さんもいらっしゃいませんので、きな臭い話は避けたいと思いますが、政府におかれても、次の大きな目標に向かってぜひとも頑張っていただきたい、そういう思いで、私は本日はネクタイは沖縄サミットのネクタイをしてまいりまして、別に何の意味もないわけでありますが、質疑に入りたいと思います。  きょうは三点ほどテーマを持ってまいりましたけれども、一点目は、個人情報保護と住民基本台帳ネットワークシステムの話であります。  政府におきましては、総理を本部長とされます高度情報通信社会推進本部におきまして、昨年の十二月三日だったと思いますけれども、さまざまな経緯はありましたけれども、個人情報保護に関する基本法を作成する、こういう方向をお決めいただいた、そしてただいま法案の準備作業に入っている、このように私どもは理解をさせていただいております。  今回予算委員会でこの問題を取り上げますのは、実は昨年の通常国会、私ども公明党は当時野党でございましたけれども、この個人情報保護法のテーマが出てくるまで、発端は住民基本台帳法の改正でありましたけれども、どうしても新しい仕組みを導入するのであれば、今こそ個人情報保護に関する仕組みづくりを、システムづくりをぜひともやらなければいかぬという党内、野党ではありましたけれども、大変苦渋の選択をした経緯があります。そういう思いで、これから政府において進められる個人情報保護の基本法の策定作業については特段強い関心を持っているわけでございます。  私ども公明党といたしましては、この基本法を単なる宣言法にしてはならない、法案作成作業に当たりましては、個別法との整理、あるいは罰則等の担保措置、さらにはどういう実効性を担保するのかというさまざまな問題がまだまだ私は法案の策定作業の中であるのではないかというふうに思っております。  私どもは、異例ではありましたけれども、昨年の通常国会、総理に地方行政委員会にお出ましをいただきまして、そこで、総理は民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を速やかに整える、法整備を含めたシステムというふうにおっしゃいましたけれども、私どもはまさに基本法というふうに考えているわけでありますけれども、こういう決意を表明されました。  こうした総理の御決意を受けまして、恐らくさまざまな抵抗が今から出てくるのではないかというふうに思っているわけでありますけれども、政府として法案作成にどのような姿勢で臨まれるのか、最初に、官房長官にお伺いしたいと思います。
  40. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 お答えをいたします。  その前に、冒頭、議員が大阪の府知事選挙にお触れになりましたが、大阪、京都で勝利をおさめたということは、ここに御出席の皆さんの御努力のたまものでありまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。私は女性担当大臣も兼ねておりますので、大阪において日本で初めて女性の知事が誕生したということは、男女共同参画法が成立した今日、あらゆる分野で女性の皆さんが進出される一つの大きなスタートじゃないかと考えて、非常に喜んでおる次第でございます。  現在、我が国では、公的部門、民間部門を通じて、情報化が急速に進展をいたしております。そういう状況の中で、個人情報の利用、流通に対応して、民間部門をも対象とした個人情報保護システムを整備するということは喫緊の課題であると認識をいたしております。  このため、政府においては、先ほど議員がおっしゃいましたように、平成十一年の十二月三日、高度情報通信社会推進本部におきまして、我が国における個人情報保護システムの中核となる基本的な法制の確立に向けて、具体的な検討を進めるとの方針を決定をいたしたところでございます。  これを受けて、先週四日、本部のもとに個人情報保護法制化専門委員会、委員長は園部前最高裁判所判事でございますが、第一回の会合を開催いたしました。法制的な観点からの専門的な検討を開始したところでございます。  私は、実効性の担保は重要な問題であるということを強く認識をいたしております。このような問題については同委員会において十分御審議をいただきたいと考えております。政府といたしましては、同委員会の検討結果をいただきましたならば、速やかにその法制化に取り組む覚悟でございます。
  41. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  一点、確認ですけれども、私どもの理解としては、マスコミ等の報道等によりまして、十三年度の通常国会に法案が提出されるのではないかという強い期待を持つわけですが、そういう理解で結構ですか。
  42. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 現在予定いたしておりますのは、今の審議会で、できれば四月中に成案を得ていただきたいと思っておりまして、それを受けまして、議員今おっしゃったとおり、十三年の通常国会に提出をさせていただく予定で作業を進めていく考えでございます。
  43. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 わかりました。  官房長官から力強いお話をいただきましたけれども、実は今お話を伺いながら、感慨ひとしおの思いがあったわけであります。  と申しますのは、今当然のように、喫緊の課題という評価をいただきましたけれども、政府においては、長い間この個人情報保護の問題については検討を重ねてきた経緯があるわけですけれども、さまざまな環境がありまして、法整備をするということにはなかなか簡単にはいかなかったというふうに私は思っております。ある意味では、十年ぐらいの積み重ねの結果、たまたま住民基本台帳法という大きな経過がありましたのでこういうことになりましたけれども、ぜひとも私は、内容としては三分野、信用情報、それから医療情報、さらには電気通信分野、こういう個別法との整理をしっかりやる、個別法の整備もするというようなことも伺っておりますけれども、こうした作業をきっちりとやっていただきたい。  それからもう一点、これはお願いで申し上げているわけでありますが、特にマスコミの皆さんが関心を持っておられまして、中間報告が出ましてから、さまざまに反応もされているようです。特に私が気になりますのは、例えば日本雑誌協会の皆さんが意見書をお出しになっていますけれども、今政府が取り組んでおられる個人情報保護、これはあくまでも個人データの保護法なんだ、プライバシーと表現の自由ということと一緒に議論してもらいたくないというような声も、多分私は出る声だと思っておりましたけれども、そういう意見も寄せられているというふうに理解をしております。もちろん特例の扱いをする分野もあるでありましょうけれども、私は簡単にこういう議論にそうですかというわけにはいきません。  今回の個人情報保護法、基本法をつくるということは、今までの経緯からしますと、まさにプライバシーを守る、こういうことから議論が始まったわけでありますから、どうぞそういうことも踏まえて、内政審議室において作業をされると思いますが、官房長官におかれましてもぜひとも御指導をいただきたい、心からお願いを申し上げておきたいと思います。では、官房長官、結構でございます。ありがとうございます。  それからもう一点でありますが、住民基本台帳ネットワークシステム、どうもまだ国会に、あの住民基本台帳法の改正をもとに戻せというような声があるやに聞いておりますけれども、ある意味ではちょっと残念な気持ちもしているわけでありますけれども、本年度も法改正に基づいて作業が進められておるというふうに理解をしておりますが、今あるいは平成十二年度どういう作業を予定されておられるのか、概要で結構でございます、お聞きしたいと思います。  その上で、私はつくづく、昨年と今のときを比較するわけでありますが、昨年のあの地方行政委員会でさまざまに議論した中で、今回のように、例えば政府各省庁がハッカーにやられるというような事態が今起きているわけであります、これが去年だったならば、あの住民基本台帳法の改正も簡単にはいかなかっただろうというぐらいに思うわけであります。  今思い出しても、当時野党の皆さんから、私も野党でありましたけれども、どんなシステムをつくろうとも必ず壊される、必ずハッカーは入ってきますよ、こういう厳しい指摘もありまして、そのときはファイアウオールがあるから絶対大丈夫なんだという答弁もあったりしまして、そんなことを今考えるわけでありまして、本当に今の事態というのは、そういう意味では逆に大変な事態だなというふうに理解をしているわけであります。  そういう意味で、あわせてお聞きするわけでありますが、地方自治体の作業も含めまして、ハッカー対策等はこの住基システムの構築ということではきちっと対応がなされているのかどうか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
  44. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 昨年来、高度情報通信化社会の問題として、この住民基本台帳、地方行政委員会でもいろいろと御論議をいただきましたし、また、臨時国会の予算委員会でもちょっと出たような経過がございました。  現在、住民基本台帳は、御協力を得まして、ネットワークシステム構築に向けて着々と準備を片方では進めております。昨年の十一月一日には指定情報処理機関というようなものもつくられて指定をしたところでございますし、また、全国都道府県から成ります住民基本台帳ネットワークシステム推進協議会ができまして、それで、各都道府県の知事から指定情報機関あてに委任をするということについても作業が進められておりまして、大方委任が済んでおります。そういうことで、平成十二年度におきましては、このシステム全体の基本設計、それから詳細設計等が予定をされておるわけでございます。  御指摘の個人情報保護につきましては、昨年の法案審議におきましても、制度面はもとよりでありますが、技術面、運用面において万全の対策をとってやるべきだということでその準備をいたしているところであります。  今御指摘のハッカー対策につきましては、これは大変重要な問題だと私も考えておりまして、私、国家公安委員長という立場もございまして、このハッカー対策、あるいはもう少し大きく言ってサイバーテロに対してどう対応していくかという問題について、法制面の整備もしなければいけませんけれども、技術面のことにつきましては、警察庁の中に技術センターを設けまして細かい技術の検討をいたしております。  しかし、ハッカー側もさる者でありまして、我々が到達しております技術の水準が、あるところまで行きますとそのまた上を行くという形でありまして、これはよほど技術面でしっかりしておかないと、個人情報保護というものに漏れが出てくる可能性があるということを考えて、その辺の技術面を含めて警察庁とも十分話し合いながらこのシステムの構築を進めていきたい、こういうふうに考えております。  地方におきましても、そうした問題を意識していただきながら御協力をいただいて、どういうふうにやって個人情報を保護しつつ、IT革命と言われておりますこのインフォメーションテクノロジーの、いわゆる電子政府、高度情報通信化社会というのを構築していくか、慎重かつ至急に検討しなければならぬというふうに考えております。
  45. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 私ども公明党も、情報通信立国というようなテーマを掲げまして現在さまざまな検討もさせていただいておりますが、やはり個人情報保護ということは極めて大きなポイントだろうと思っております。  住基ネットワークの構築に当たりまして、既に形はでき上がっておるということではなくて、技術は日々革新されるという観点で、特に地方自治体、今のところハッカーは中央省庁を、事件はそんな形でありますが、恐らくこれから地方自治体もねらわれる可能性もあるわけでありますから、ぜひとも地方自治体を含めまして対応をがっちりお願いを申し上げておきたい、このように思います。  続きまして、介護保険制度の問題に移りたいと思います。  私ども公明党といたしましては、政権に参画させていただきまして、今一番考えておりますことは、介護保険制度の円滑な導入ということが何よりも大きな課題であろう、このように思っているわけであります。そういう意味では、この新しい自自公体制ができまして、介護保険制度に係ります特別措置がとられたということは、確かに私どもも現場を回りますと、多くの自治体職員の皆さん、地方自治体の方から、でき上がったものをまた途中で変えたなんといって厳しい批判もいただいているわけでありますが、恐らくこの四月を境に、私たちの判断はよかったんだ、こういう評価もいただけるのではなかろうか、こんなふうに思いながら私も現場を回らせていただいている次第でございます。  そこで、きょうは厚生大臣にもお越しいただいておりますから、何点かお話をさせていただきたいのですが、まず一点目は、今介護保険制度の円滑な導入ということを申し上げましたけれども、そういうことからいいますと、介護保険の本体といいますか介護保険の中身、介護保険の対象になる方はまだいいわけでありまして、この四月からまさにチャンネルが切りかわるわけでありまして、四月一日から介護保険法が施行されますと、にわかに、介護保険の認定で漏れる方、いわゆる自立とされるような方々、こうした認定漏れあるいは介護保険の外側の問題が極めて私は重要ではないか。特に、円滑に導入するという観点では極めて大事な視点ではなかろうかというふうに思っております。  私は、保険料徴収の問題は、六カ月間は保険料を取らないということだけで結構批判されておりますけれども、半年間、まさにソフトランディングをするという、既存の制度から、いわゆる今までの措置制度から介護保険制度へ円滑に移行する極めて重要な準備期間だろう、準備期間といいますか移行期間だろう、このように思っているわけであります。  そこで、私の理解では、十一年度の補正予算あるいは十二年度の当初予算で仕組まれておりますさまざまな施策、こうした観点での施策、例えば介護予防拠点の整備でありますとか、あるいは介護予防生活支援対策などは、本当に市町村で順調にうまく転がっているんだろうかという心配をしております。  と申しますのは、昨年の臨時国会で急遽さまざまな形を仕込んだわけでありまして、恐らく現場は、私も幾つか見て回りましたけれども、いつも言いますが、目を覆うような混乱の中で、介護保険の本体の仕組みそのものも多少我々も手を入れたわけでありますから、その対応もありますし、今申し上げましたように介護保険の認定漏れ、外側の部分、これの対策というのは、補正予算がぎりぎり昨年の、恐らく十二月ぐらいから現場で動き出しているんではなかろうかと思いますが、これがこの一月、二月、三月、四月の実施までに果たしてうまくいくのか。あるいは四月一日以降も同時進行で進めていかなくてはいけない。そういう補正予算になっているのか、あるいは十二年度の当初予算がそうした仕組みになっているのか、私は大変に実は心配をしております。  大臣におかれましては、いろいろ現場の声もお聞きになっていると思いますが、この辺は大丈夫でしょうか。改めてお伺いをしたいと思います。
  46. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 委員指摘のように、介護認定から外れた、いわゆる自立とされた方々の自立支援、これは大変、実は大きな重要な問題である、こう認識をいたしておるような次第でございます。お年寄りの中には、一人一人のニーズに応じまして、例えば閉じこもりの防止であるとか、それから介護予防であるとか、さらに生活支援を行っていくということは大変重要なことである、こう考えているような次第でございます。  私も、昨年、大臣に就任いたしまして間もなくでございますが、愛知県の高浜市にございます宅老所の「あっぽ」というところへ行ってまいりました。大勢のお年寄りの皆さん方のいわば寄り合い場であります。お元気な方もいらっしゃるわけでございますが、こういうような場というのは大変すばらしいことではないか、こう考えているような次第でございます。  これらの活動には、何も立派な建物をつくるということではなくて、要するに学校の空き教室やあるいは民家など、こういうものを利用いたしまして、そして自治体のさまざまな取り組みを支援できるように、御案内のように十一年度の補正予算で総額三百億円の予算をつけさせていただきました。大変人気がございまして、市町村の取り組みは極めて積極的でございます。これはいわばハードの面でございます。  それと同時に、こういう宅老所などへの支援といたしまして、今度はソフトの面でございますけれども、介護予防、こういうようなものの市町村への助成につきまして、十二年度では四百億円に大幅に拡充をいたしました。  いずれにいたしましても、委員指摘のように、お年寄りのさまざまな問題というのは、私は介護保険によってすべて問題が解決するのではなくて、すべての、市町村の御意見であるとか、あるいはボランティアであるとか、公的サービスであるとか、そういうものを総合的に合わせることによって、真の意味でお年寄りの皆さん方が老後を豊かに過ごすことができる、こう考えているような次第でございます。
  47. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  若干私の質問意味が理解できなかったのかもしれませんが、大体今の大臣の答弁で趣旨はよくわかりましたが、私が心配しておりますのは、十一年度の臨時国会の補正予算あるいはこの四月からの当初予算で、本当に現場は四月からうまく回るだろうかというようなことを私は心配しているのです。恐らく、混乱の上に混乱をしているという状況もあるだろうと思います。  それで、三百億の話もありましたが、恐らく私は今年度で消化できないだろうと思うのですね。それはむしろ四月以降でも——私は、予算はまた別の機会にやりたいのです。予算は単年度主義はやめて二年、三年単位ぐらいでやった方がいいと思っているのでありますが、それを私に思わせるぐらい現場は何年度の予算かわからないような状況で動いているのが一つあるだろう。そういうときには、私は、お役所が、中央が余りうるさいことを言わずに、しっかり現場に、取り任すのはまずいですけれども、現場の主体性にしっかりお任せになった方がいいのではないか、こういうこともお願いをしておきたいと思います。  それで、大臣の先ほどの説明の中で気になりますのが、認定漏れなんかで一番気になるのはやはりデイサービスなんですね。  先ほど愛知県の例がありましたけれども、私も現場を見に行きました。小さな島にデイサービスセンターが一つあります。どう考えてみてもそのデイサービスセンターに通う要介護者はその島にいらっしゃらないのです。絶対いらっしゃらない。絶対とは言い切れませんけれども、一人か二人だろうというぐらいのところにもデイサービスセンターがある。それぐらい基盤整備はある意味では先行した部分もありまして、ではそれをどう使うのかということは、なかなか介護保険の本体部分ではその地域で機能しないのではないか。しかし、私は、今までも大事な役割を果たしてきておりますし、これからも大事な役割を果たしていただかなければいかぬ、こう思っております。  そういう意味で、デイサービスについては、今説明がありました、さまざまな四百億の介護予防とか生活支援対策、これは恐らく新しいメニュー補助事業というふうな組み立てになるのだろうと思いますけれども、メニューの中の一つにするのではなくて、特出しして、特にデイサービスについては、通所介護については問題があるから別枠にしてもらって事業化してもらいたい、そして事業費を確保してもらいたいという、そうした老人施設協会の声も私どもは聞いているところであります。  そうした対応でありますとか、それからもう一点はヘルパーでありまして、ヘルパーは、今もそうでありますけれども、要介護という介護性だけに着目をするならばヘルパーは必要ないけれども、どう考えてみても週に一度ないし二度ヘルパーさんが行かないと、その方はその地域で生活ができない、生活の支援が必要だという方が現にいらっしゃるわけであります。こうした方々に対して、今大臣が御説明になりました四百億については十分機能するのかどうか、ここを重ねてお伺いしたいと思います。
  48. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 委員も御専門家でありますので十分に御理解いただけていると思いますが、介護保険という制度はあくまでも、要するに要支援から要介護度五までの六段階に分かれまして、いわゆる介護が必要な方だ、こういうもとになされているわけであります。  ところが、実際問題として、自立と認定された中には、要するにひとりきりのお年寄りであって、いわゆる生活の相談を受けたり、あるいはさまざまな形でひとりぼっちで閉じこもりがちになる、こういう方々に対してどういうような支援をしていくか、こういう観点から考えれば、これを介護保険制度の中に取り入れるということは、私は、率直に申し上げてちょっと理念が違うのじゃないか、その点をまずお断りを申し上げる次第でございます。  それで、いわゆる生きがいの対応型のデイサービスでございますけれども、これにつきましても、それぞれの市町村が大変御熱心に取り組んでおるわけでございます。これにつきましても、私どもも、積極的にそれぞれの市町村が、いわゆる自立の方々であって、そして要するにデイサービスを受けたい方々に対して、これまでと同様にこういうようなことに取り組んでいただくことを強く期待いたしておるような次第でございます。  それから、ヘルパーのことでございますけれども、このヘルパーというのも、これもまた率直に申し上げて、介護サービスの中におけるヘルパーという位置づけでございます。  問題は、いわゆるヘルパーとはちょっと違うわけでございますけれども、基本的な生活習慣が維持できなくなったひとり暮らしの方々など、あるいは日常生活上さまざまな支援が必要な場合、こういうような方々に対しまして、来年度新たに、日常生活の相談であるとか、指導に当たります役割をしていただく方々として生活管理指導員派遣事業、こういうものを設けました。生活管理指導員派遣事業、こういうものを設けまして、介護保険の対象にはならないけれども、自立の方々に対して、先ほど先生からも御指摘がありましたような問題でございますけれども、こういうものに対しまして積極的に御支援をしていく、こういう立場から、自立の方々に対する手助けであるとか、あるいは相談については今後とも積極的に支援していく、こういうようなことに私どもも取り組んでいきたい、こう考えているような次第でございます。  そのほか、ボランティアの方々なども、こういうような問題について、それぞれの地域で大変積極的にこれまで御協力いただいておるわけでございます。ですから、私どもは、国あるいは市町村として、要するに、支援事業メニューの一つとして、そういうような公費によるサービスであるとか、地域のボランティアのサービスだとか、そういうものを複合的にやることによって、新しい、高齢者の皆さん方に対して優しい町づくりというものをつくっていくことが、まさにこの介護保険制度を契機にいたしまして大変重要なことである、このように考えているような次第でございます。
  49. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大臣のお答えはよく理解できます。 私もただいま与党の一員ですから、大臣の言葉をしっかりと理解をしたいと思います。  それはそれで結構なんですが、大臣のおっしゃる意味はよくわかりました。よくわかるんですが、大臣、これはお願いでありますけれども、この四月から、四月、五月、六月あたりの現場の状況というのは、大臣が私に御説明いただいたように、例えばヘルパーでも、介護保険の対応の部分と、それからそうじゃない、今何と申しましたか、生活管理派遣、これは言葉が難しいですね。現場では生活管理何とかというんじゃ、まずわかりません、お年寄りの方は。  そういう意味言葉も研究してもらいたいのですが、四月から介護保険が始まった直後というのは、それぞれの全国三千二百の市町村長さんは何が悩みかというと、きのうまで私はあのデイサービスに行きよった、あのデイサービスセンターがいい。大臣、さっき説明されたように、何もそこでなくても、老人憩いの家とかいろいろなところも使えるじゃないか、自立となった人でもそういうところでサービスをしてもらえばいい、こういうお気持ちも、説明もわかるのですが、お年寄りの方にはそんなことわかりません。私がいつも行っているあのデイサービスセンターに行きたいんだ、あそこはサービスもいい、お食事もいい、職員もよくなれている、何であしたから行っちゃいけないんだと。  この説明を、いや、あなたは認定を受けたら自立になったんだ、あなたは要介護性がないんだという説明をしなければならぬわけでありまして、それはだれがやられるのか私はなかなかわかりませんが、そういう意味で、六カ月間はまあならし運転の期間でありますから、私は、余り厚生省でうるさいことを言わずに現場の知恵に任して、上手にお年寄りの方がなるほどと理解をして、そして新しい用意をされたそういう基盤がもしできれば、そういうところでまたサービスを受けていただく、こういう配慮もお願いしておきたいなと、これはお願いであります。大臣の御説明もよく理解をいたしましたので、どうぞお願い申し上げたいと思います。  もう一点、介護報酬はやっと今決まりつつありまして、やっと決まったかという感じで、現場はいよいよそれで介護サービス提供事業者あたりも動いているわけでありますけれども、特にこの介護報酬も実態把握をされて設定されているということで、私も内容を見させていただきましたけれども、おおむね評価していいのではないかと思っているのでありますが、介護サービスの提供事業者あたりから、大臣、どうでしょうか、これだったら大丈夫だというような声になっておりますでしょうか。どんな声が厚生省に届いているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  50. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず、介護報酬の設定に当たりましては、現行制度からの円滑な移行という立場でございますので、施設や在宅サービス事業者の収入が余り変わらないように、その点は十分に配慮いたしております。設定に当たりましても、実態調査を踏まえました上で、事業者の代表の方々にも加わっていただきました審議会で御議論をいただきまして、具体的な、いわゆる単位数などについて既に答申をいただいております。  民間参入を推進するということは大変重要なことであって、まさにこの保険制度の一つの目玉でございますが、私は、最も大切なことは、要するに、利用者に良質なサービスが安定的に提供されるということを考えております。事業者の方々も十分そのことは、当然民間でございますので、これはボランティアではないということも私もよくわかっておるわけでございますが、とにかく、世紀の大事業を皆さんで力を合わせてやっていくんだ、いわゆる介護サービスに民間事業者も入っていただくということを十分に自覚していただいて、いや、これじゃ単価が低過ぎるから総退陣だとか、そんなような発想では、私は率直に申し上げて、介護サービスをやっていただく方の、事業者の自覚としては非常に不満を持っておるような次第であります。  これは当然のことながら、私どもも、いわゆる民間の事業者が参入できるような環境づくりというものは考えていかなければならないわけでございますけれども、あくまでも初めてのことでありまして、私どもが一番考えなければならないことは、お年寄りの介護をこれまで以上により円滑に進めていくことではないか、このように考えているような次第であります。
  51. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の大臣のお話を伺いまして、介護報酬についてもさまざまなお声が届いているのかなということを推察させていただくわけであります。私も今計算、いろいろ縦に横に分析をしておるところでありますけれども、よくできていますが、なお、例えば東京都のホームヘルパーさん、特に交通渋滞のところで移動に大変困っておる、そういうものがどう評価されるのかとか、あるいは各種加算がついておりますけれども、加算はすなわち一般的には利用者負担にはね返ってくるわけでありまして、その辺の整理を、これからも引き続き検討しなければならぬ課題がたくさんあるな、こんなふうに感じさせていただいているところでございます。  大臣にもう一点だけ課題が残っておりますのは、参議院の本会議でもお答えになったようでありますけれども、例のオンブズマンの話であります。  これは、私も現場を回りまして、さまざまな声があります。要介護の認定、この客観的な評価が私はこの介護保険制度を多くの国民の方に理解をいただく一番大事な部分だと思っているんですけれども、やはり現場に行きますと、例えばこのサービス機関で自立と言われた人が、それこそ利用者の奪い合いで、隣に行きましたら要支援になるということがあるのではないか。いやいや、コンピューターでやるんだからまずそういうことはないだろうと私は思っておるのでありますが、そういうことがあるという話も仄聞をしておりまして、あるのではないかと。ある、のではなくて、あるのではないか、こういうことも聞いておるわけであります。  やはり私は、オンブズマン制度というのは極めて大事なポイントだろうというふうに思っております。もちろん国保連合会においてその辺の苦情処理をするということはよく理解をしておりますけれども、大臣が新しく最近おっしゃっているオンブズマンのこの話について、どんなふうなイメージを持っておられるのか。  私、一言私の思いを申し上げますと、市民社会というのはまだそんなに成熟をしていないという点もあります。もちろん、地域によって極めてうまくいっているところもありますけれども、市民社会というのは簡単に成熟していない。そういう中にあって、私は、このオンブズマン制度をどういうイメージで大臣が四月までに用意されようとしているのか、もう一回教えていただきたいと思います。
  52. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 一月の国会が始まる前を利用いたしまして、私は、駆け足でございましたけれども、寒い寒いドイツとデンマークを見てまいりました。そこで問題となりましたのは、やはりお年寄りに対する虐待であるとか、それから、新聞紙上でもいろいろ問題になっております、お年寄りを縛っておくとか、こういうような人道的な問題というものが、特に施設の場合は閉ざされておるわけでございまして、場合によっては、外界、要するに外との交流がない場合そういう嫌いがあるな、こういう感じがいたしました。  それで、ヨーロッパにおきましては、量の面もさることながら、そういうきちんとしたサービスが行われているだろうか、お年寄りの尊厳、人権というものがきちんと守られているかどうかということに大変力を入れているということを私なりに認識したような次第でございます。  今委員から御指摘がありましたように、なかなかいわゆる我が国の土壌と、何かすごい要するに摘発や監視が行われているんじゃないかということで、正直申し上げて、いろいろなリアクションがあるわけでございますけれども、私の考えといたしましては、そういうことではなくて、いわゆるサービス内容の改善であるとか、それから円滑なサービスの利用を目指すものとして、例えば元気なお年寄りであるとか、それから私の地元では退職公務員の先生方なんか大変お元気で、いろいろボランティアに参加しているんです。  こういうような地域で大変活躍されている方々が、そういうような、いわゆる行政を信頼しないということではないんですが、行政とは離れた立場で、要するになかなかお年寄りというのは言えないんです。言いたくても、何か言うと出されるんじゃないかとか怒られるんじゃないか、こういうような問題がありますので、私は、そういうことではなくて、やはりみんなが、こういうところはこういうふうにしてもらいたいんだということをお互いに意見を交換しながらよりよい介護をしていくような、いわゆる行政とは切り離した第三者的なサービスの観点からこういうものを設けたらどうかということで、今具体的な方向で検討を進めているような次第でございます。  いずれにいたしましても、量の面、基盤整備というものは十分になされているか、それと同時に、今申し上げたような、真の意味での介護がきちんとなされているかどうかということが大変重要なことでありまして、ドイツで聞いたことでございますけれども、例えば在宅サービスなんかでも、約束した時間よりも三時間も四時間もおくれてくるとか、こんなようないろいろな問題がありまして、それは五分、十分おくれるという話とちょっとわけが違いまして、そのために出かけるにも出かけられないんだ、こういう話も聞きました。  こういうような問題を、いろいろな意味で、ドイツでは五年前に導入されたわけでございまして、まだ試行錯誤の段階でございますけれども、みんなでよりよい介護制度というものをつくっていくということが、まさにこの介護保険制度を国民の皆さん方の間で御理解をしていただいて定着をしていく、こういうような観点から、早急に考え方を、今のような考え方に立ってまとめていきたい、こう考えているような次第でございます。
  53. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  大体大臣のお考えはわかりましたけれども、大臣、一つ大事なポイントがありまして、介護保険は制度導入時期、四月以降は、みずからの保険でありますから、まずは一義的に市町村長がどうするかということが極めて大事だろう、市町村の主体性というものが極めて大事だろうというふうに私は思います。  今、大臣が例でおっしゃった、三時間も四時間もおくれてくるようなサービスを提供するような市町村であれば、その保険であれば、私は、まず首長さんは住民の批判に耐えられないだろうというふうに思うわけでありまして、あるいはサービス提供者も競争には打ちかてないわけでありまして、私は、そういう意味では市町村の主体性をまず大事に考えて、その中から出てくる知恵があるだろう、そういうものも十分活用できるように。  もっと言いますと、今厚生省において、大臣の思いで、余り大がかりな枠組みを全国的な枠組みをがちっとつくってしまいますと、にっちもさっちもいかなくなりますので、どうぞその辺は御配慮賜りたい、このように思います。  最後になりましたけれども、ゴールドプラン21ができました。平成十六年に向かって進みます。今までのゴールドプランと違います。市町村の介護保険事業計画等、そうしたものがベースにあると思いますが、少なくともこれからの介護保険、介護サービスの基盤整備は、さらに慎重に、計画的に進んでいくのだろうというふうに私は思っておりますが、これは三大臣合意のもとにできたプランだというふうに思っておりますが、十六年に向かいまして、毎年の予算大蔵大臣におかれましては、この介護基盤の整備もなお大事な問題として取り組んでいただきたいと思いますが、大蔵大臣の御決意を伺いまして、終わりたいと思います。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 新ゴールドプランが十一年度で終了いたしますので、昨年末、十二月の十九日でございますが、三大臣で合意をいたしました。平成十六年度における介護サービス見込み量に関し、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護利用型軽費老人ホーム、ケアハウス及び高齢者生活福祉センターについて、今後の財政事情等を踏まえ、所要の施設整備に対する支援に努めるという合意をいたしました。これに従いまして、今後とも行政をやってまいります。
  55. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 では、次の十六年に向かって、介護保険、今から始まるわけでありますから、引き続き基盤整備も全力で我が党もしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  56. 島村宜伸

    島村委員長 これにて桝屋君の質疑は終了いたしました。  次に、武山百合子君。
  57. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。  早速、厚生大臣にお聞きしたいと思います。  平成九年十月十六日、念願の臓器移植法案が成立しまして、ことしで三年目を迎えるわけですけれども、まだ子供の臓器移植は相変わらず海外でという状態なわけですね。法律では、臓器提供の意思表示は遺言を残すことが可能な十五歳以上でないと認められないとなっておりまして、事実上閉ざされているわけです。ことしこそ法律を見直して移植のチャンスをつくってあげたいと願っております。これは、私たち政治の責任と同時に大人の責任だと思いますけれども、厚生大臣、どう思われておりますでしょうか。
  58. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 現在、臓器提供できますのは、武山委員指摘のように、十五歳以上となっておるわけであります。体の小さな子供に対する心臓移植などは事実上不可能でございまして、移植を受けるために、皆さん方の御協力であるとか大変なお金を使って海外に行かれるなど、御家族を含めまして大変な思い、御苦労をなさっているということは十分に承知をいたしております。  十五歳未満の子供からの臓器提供につきましては、いろいろ議論の過程で、いわゆる子供の意思についてどう考えるのか、それから親の意思表示のみをもって臓器提供していただくのがよろしいのかどうか、こういうようなさまざまな意見が分かれたわけでございまして、御案内のように、議員立法の中でこのような措置になったわけでございます。  今後、施行後、ことしの十月、三年を迎えるわけでございます。三年を目途にいたしまして、制度の検討に向けて、要するにこの問題も含めまして、御議論をいただきたいと思います。  率直のところ、大変意見が分かれておりまして、まだまだ一つの方向に集約されつつあるという状況でありませんけれども、この問題を、私自身、個人といたしましては、要するに実態というものを十分に勘案して一つの方向性というものを出していただければ大変ありがたいかな、こう思っておるような次第でございます。
  59. 武山百合子

    ○武山委員 丹羽厚生大臣は子供の移植をぜひ進めたいと思っていらっしゃいますか、早期に。
  60. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 今、これから御議論をいただくという前に、私が一定の方向について申し上げることは適当でございませんので、この点については差し控えさせていただきます。
  61. 武山百合子

    ○武山委員 経済大国と言われている日本ですので、厚生大臣の一言で、移植の道を開くんだと言えるような政治状態を私たち政治家はつくりたいと思います。ぜひ、ともに努力していただきたいと思います。  次は、建設大臣自治大臣にぜひお聞きしたいと思います。  まず、吉野川の河口堰の住民投票についてですけれども、正直言いまして、国民の側から見ていますと、あの住民投票の結果について、河口堰建設に反対だというあちらのリーダーの方のお話を、つい私はふらふらっと何か、あの話を聞いていましたら、一瞬、えらく説得力があるなと正直思いました。しかし、よく考えてみますと、彼らは責任という問題では欠けていると思うんですね。しかし、マスコミも非常に住民投票について、よきにし、あしきにし、センセーショナルに大変大きく報道しておりました。  いろいろこれは歴史的に見ますと、もう明治時代から大変問題の多い川だということで、明治の時代に徳島の県議会がやはり改修を中止するということで、もちろんそれは何か地域住民の反対に遭ってそれで中止したということですけれども、中止しなかったら今まさに完全な治水事業が行われていたという、これは産経新聞の、ことしの一月二十五日の社説なんです。  そして、二市六町がその吉野川流域にあるわけですね。しかし、実際に住民投票が行われたのは一市だけだった。その地域の、一市だけの住民投票であれば、その地域だけにかかわる問題であれば一市でやってもいいかなと思うんですけれども、二市六町にかかわる問題をこのように住民投票で行っていいのかなということを私は感じたと同時に、建設省の説明を聞いておりまして、何か全然ぴんとこなかったんですね。それで、むしろ河口堰建設に反対のリーダーの方の方が国民に説得していたような気が一瞬したわけなんです。  そうしますと、建設省の説明責任が非常に欠けているんじゃないか。あちらのリーダーの方があの手この手で説明したようにやはり説明すべきじゃないか。あの手この手で十分説明した上で、それで住民投票をするというのであれば理解できますけれども、その辺、建設大臣、どう思われておりますでしょうか。
  62. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  吉野川というのは、この前もこの委員会で申し上げましたかわかりませんが、坂東太郎というのが利根川でございまして、筑後川がいわゆる筑紫二郎と言われて、それから三番目が吉野川の四国三郎、これは百九十三キロあります、川の長さが。  それで、日本の中央活断層、中央構造線といいますか、吉野川から、この間の阪神・淡路の地震の起こりましたところから、これは伏見の城も、ちょうど一五九六年に伏見桃山の城が崩落して、これは歌舞伎の題材にもなっておりますが、「地震加藤」、加藤清正がおっ取り刀で駆けつけて太閤秀吉から大変お褒めをいただくというような、その活断層につながって、新潟から間宮海峡へ抜けるという大活断層が、ユーラシア大陸の、ユーラシアの地盤、動かない地盤でございますが、その中央構造線の上にありまして、今二市六町というお話がありましたが、正確には四十七市町村に関係があるわけでございます。  それから、明治三十六年まで三十年間日本におりまして、内務省で河川改修に努力をしておりましたヨハネス・デ・レーケ、これが明治十七年に吉野川に行きまして、六つの提案をしておりますが、そのうちで、今、そのヨハネス・デ・レーケの言いましたことで一つだけ残っているのが、この固定堰はよけた方がいいんじゃないかという話を言っております。  先生の今お話にありました、明治十七年から十八年、十九年と、そのころに反対運動が起こりましたためにその工事は中止になりましたが、その後、大はんらんが起こっております。  そんなことで、今お話のございましたように、これは河川法の十六条の二の四というもので、もう少し住民の意思を聞くようにという、その河川法の改正がなされておりますが、その意味で私は、今まで対話が少なかった。  特に、これはこれから二十年ぐらい先の話でございまして、今何かすぐにでも可動堰ができるような話でございますが、これは千三十億のお金がかかるという話だけで、それも、可動堰の上にいわゆる徳島の回遊道路をつけますとこれが千三十億、可動堰だけつけると九百五十億という、これもまだ調査費がついておりますだけでございまして、まだ二十年先の計画が今こういう住民投票の対象になったわけでございます。  住民投票、私も民主主義で民衆の意思を聞くというのは大変結構だと思うのですが、日本は間接民主主義といいますか、代議制度によっていろいろ専門的に考える。私は直接選挙を否定するものではございませんが、そういうものに至ったということは、確かに説明が不足したのかなと。  ですから、住民投票の前に地元へ入るかという話がありましたが、私はそれを、否定的な形で地元に入るのを快しとしませんでしたので、この間もテレビで対談をしました姫野さんに、建設省の大臣室にこれはもう二十数人来られまして、地元の代議士の先生方の御紹介で私もお話をしまして、今度は地元へ行きますというお話をいたしました。  私は、そういう説明をする必要が大いにあるのではないかという感じを持っておりますものでございますから、これからまだ二十年かかり、それから四十七市町村で、徳島というのは、この間、私は先々週の土曜日にヘリコプターで、二時間ばかり、神戸から立ちまして祖谷というところまでずっと入りまして、高知の奥の方ですね、平家の落人が住んでおりました祖谷渓というところから急激に南から北に流れて、今度は東西に流れていきますが、そこへ行ってまいりました。  そういうことで、説得をしに現地に入る所存でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  63. 武山百合子

    ○武山委員 中山建設大臣もそうなんですけれども、私は正直言いまして、建設省の説明を聞いていて、非常にワンパターンに感じました。ですから、ぜひ、ワンパターンじゃなくて、あの手この手で十分説明するということが一番求められておりますので、今やはり政治の説明責任というものが一番大事なわけですよね。ですから、それを十分やはりあの手この手でするということ、その上に立って住民に判断してもらうというのが一つの選択肢であろうと思います。  それから、国の重要な問題と住民投票で、自治大臣に聞きたいのですけれども、このように、住民投票は間接民主主義を補完するものだと今大臣が言ったわけですけれども、いろいろな機能を果たすのは、その結果の責任がその地域にとどまる問題に限定すべきじゃないかと思います。この法的拘束力を持ったものを検討すべきじゃないかな、対象となる住民投票のテーマを地域の問題に限定するといった検討もまず必要じゃなかろうか。そして、その住民投票による行政の混乱を避け、今おっしゃいましたように、間接民主主義の補完としての役割や機能を高めるためにも、法の整備が早急に急がれるのではないかと思いますけれども、法の整備の方はいかがでしょうか、自治大臣
  64. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 御指摘の住民投票の問題につきましては、現在、総理の諮問機関であります第二十六次の地方制度調査会で、自己決定、自己責任の原則を踏まえた地方分権時代の住民自治制度というテーマで幅広く御審議をいただいております。住民投票につきましても、今後この調査会の中で御検討いただくということになっておりまして、鋭意検討をされている最中であるというふうに認識をいたしております。ここの中で、今委員から御指摘のとおり、住民投票といわゆる間接民主主義、代表民主主義とどうかみ合わせていくのかという非常に政治学上の問題があろうかと思います。  それからもう一つは、今委員からも御指摘でありますが、どういった事項が住民投票になじむのかという、その選択の問題もあろうかと思います。  例えば、町名変更なんというのは一番住民投票になじむのかもしれません。しかし、今御指摘の吉野川にかかわる問題が果たして適切なのかどうか、これはいろいろ問題があると思います。その意味で申しますならば、住民投票がその効果を発揮します範囲、地域的な範囲というのをどう見るのかという問題もあわせて検討をしていかなければならないかと思います。  また同時に、委員が御指摘いただきました説明責任、それもいろいろ技術的な問題が入っておりますれば、なおさら技術的な問題について正しく理解をされた上で投票が行われるという制度でなければならぬ。そういった問題をあわせて今地方制度調査会の中で論議をいたしております。  私も、今申し上げましたいろいろな要素を加味しながら、こうした問題についての法整備が必要であれば、法の検討についても考えていかなければならない、こんなふうに考えております。
  65. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひスピーディーにやっていただきたいと思います。  次に、公共投資の有効性の見直しということで、今回の吉野川の住民投票は公共事業のあり方にも一石を投じたと思います。公共投資を本当に必要な社会基盤整備に重点投入し、時代や社会の変化に対応できるように、一定期間ごとに有効性を見直すというルールの確立が必要じゃないかと思いますけれども、中山建設大臣、どう思いますか。
  66. 中山正暉

    ○中山国務大臣 私は、公共投資というものは、やはりこれから社会福祉を徹底的に充実させていくということにするためには、日本の機能というものをもっと高めていかなければならないと思います。  英国では、一六六三年にもうターンパイクといって馬車用の高速道路ができておりますし、いつも言うのでございますが、一七〇二年、大石内蔵助が討ち入りしたころには、もうパリでは下水ができておりました。  ですから、私は簡単に、いつもサミット会議に出ますと、日本の総理大臣が日本はインフラストラクチャー、いわゆる社会資本が充実していないと言われる理由というのは、例えば、パリでももう環状道路は全部できております。それからロンドンもできております。ところが、東京は、この間も石原慎太郎知事に言われて圏央道の現地を視察してまいりました。まだ東京は本当にお粗末な道路しかありません。特に、高規格幹線道路にいたしましても、これは一万四千キロの計画を立てておりますが、七千七百三十七キロしかまだありませんで、五三%の進捗率しかありません。やはり道をつけないと社会資本というのは充実されてきませんし、私はいつも妙な例えを言うのですが、道という字はしんにゅうがないとさらし首になる、道という字はうまくできていると思います。それにつながる道路。  尼崎の公害訴訟もあったわけでございますが、あれも、道路がうまくつながっていれば、大体平均時速八十キロで走りますと、CO2もNOxもなくなる、その速度の問題があります。渋滞をして、特に、年に五十三億時間の渋滞時間、それから経済効果としてはマイナスの効果が十二兆円と言われますから、私は、その辺をよく考えて、民衆に迷惑をかけないような道路。それから、その他の社会基盤整備というのをやるためには、この日本、今まだ国民の金融資産というのは千三百三十三兆以上あると言われております。そのときに、いつも大蔵大臣がおっしゃいますように、今日本のそういう過去の蓄積を使ってこの不況をいかに切り抜けていくかというとき、一番大きな牽引力があるのは、私は、やはり民衆に好まれる公共事業ではないかと。  反対というのは、エネルギーは賛成というのの十分の一で済みますから、それに対して説明のエネルギーというのは十倍かかります。しかし、これをしっかりやるのが政府の責任だと私は思っております。
  67. 武山百合子

    ○武山委員 私の質問は、一定期間ごとに有効性を見直すというルールの確立が必要ではないかという質問なんですけれども、それにお答えいただきたいと思います。
  68. 中山正暉

    ○中山国務大臣 失礼しました。  もう当然のことでございまして、時代が進んでいくときには昔の常識すら変わることがあるわけでございますから、これが常識だと思わないことが、これから先に進めていく、今先生のお話、公共投資その他の見直しをしていって、昔正しいと思ったことが今の常識に合わないことがありますから、それは努めて努力をいたしたい、かように思います。  結論を忘れましたこと、おわびを申し上げておきます。
  69. 武山百合子

    ○武山委員 私、頭が悪いものですから、今のお話ではわからないのですけれども、ルールの確立、ルールをつくる気がないかどうかということを聞きたいのです、一定期間の有効性の。
  70. 中山正暉

    ○中山国務大臣 お言葉を返すようでございますが、ルールというのはルールで、それに固執してはいけませんので、私は、そこは柔軟にひとつ対応していくような頭の中のルールをつくるべきじゃないだろうか、かように考えております。
  71. 武山百合子

    ○武山委員 いや、非常に高度なお答えで私には理解できませんけれども、もっとわかりやすくぜひ、説明責任ですので、していただきたいと思います。  環境庁長官に次にお伺いいたします。  尼崎公害訴訟についてなんですけれども、これは国の責任を問われたわけですけれども、東京都ではディーゼル自動車の通行規制も考えているということで、しかし、ディーゼル自動車の販売台数はますますふえていっているというのが現状なんですね。ディーゼル自動車からは非常に発がん性のある物質が多く排出されて、環境ホルモンも、そういう物質もあると言われているわけですけれども、今、この物質による大気汚染の実態、こういうもの、それから自動車からの排出量の把握、それから規制強化、今後どのようにしようと考えているのかお聞きしたいと思います。
  72. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 今、先生から、まず、発がん性物質あるいは環境ホルモン物質について、大気汚染がどうなっているかという御質問でございましたけれども、平成八年に大気汚染防止法が改正されまして、その後、地方公共団体とも連携しつつ、有害な物質にかかわります大気環境のモニタリング調査をしているところでございます。  調査の結果につきましては、定期的に取りまとめ、公表しているところでございまして、平成十年度におきましては、ベンゼン等十九種類の有害大気汚染物質につきまして調査を実施し、結果を公表したところでございます。  また、いわゆる環境ホルモンでございますけれども、これは平成十年度に、十種類についてモニタリング調査をいたしまして、結果を公表したところでございます。  また、ディーゼル自動車からの汚染物質の排出の実態、状況でございますけれども、ディーゼル自動車につきましては、平成十年度の環境庁の調査によりますと、保有台数は自動車全体の一八%なのでございますけれども、窒素酸化物の排出量でいきますと自動車全体の七五%を、そしてまた粒子状物質につきましては一〇〇%を占めているというような状況が出てきております。  ディーゼル初め自動車からの排出ガスの削減というのは、特に大都市部におきます大気汚染を改善する上では非常に大きな問題ではないかというふうに承知しているところでございます。  また、それに対する対策についてもお尋ねでございましたけれども、特にディーゼル自動車から排出されます粒子状物質につきましては、除去装置の性能を調査するための実証調査を来月初めから開始いたします。さらに、ディーゼル排気微粒子、DEPにつきましては、発がん性でありますとか、あるいは気管支ぜんそく、あるいは花粉症等、健康影響との関連が非常に懸念されているところでございますので、今後、科学的知見を整理いたしまして、DEPに関しますリスク評価に着手する予定にしております。  また、自動車の単体対策といたしましては、平成十四年から十六年にかけまして、ディーゼル自動車から排出されます窒素酸化物及び粒子状物質を現在の状況から三割削減する、そしてまた平成十九年ごろをめどにさらにそれをまた半分にするというような目標を掲げて、今政策を進めているところでございます。  また、ちょうど今自動車NOxの総量削減計画の点検、評価を行っているところでございまして、その結果も踏まえまして、車両規制によりますディーゼル車のガソリン車への代替義務づけ、あるいはディーゼル乗用車のより実効ある抑制方策、あるいは低公害車の一層の普及を図っていくというような制度的な普及方策、あるいは交通量の適切な抑制方策等、いわゆる自動車NOx対策の充実強化について検討を今しているところでございます。  なお、自動車税制の活用につきましても、非常に有効な手段とは考えますけれども、これは自民党の税制改正大綱でありますとか政府の税調答申も踏まえまして実効ある検討を進めていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
  73. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。やはり待ったなしの対策、規制強化をしていかなければいけないわけですので、ぜひスピーディーにやっていただきたいと思います。  もう一つ環境庁長官に、フィリピンへの有害廃棄物、これは医療廃棄物も含まれているわけですけれども、この輸出や不法投棄が大変大きな問題になっているわけですけれども、今国際的にOECDで検討されている政策があるわけですね。これは拡大生産者責任という政策なんですけれども、実はこれ、与党の三党のプロジェクトチームで議論しております循環型社会基本法と社会形成の推進法ということで、今私もそのメンバーで、推進しようとする動きがもちろんあるわけです。この拡大生産者責任政策、これは生産者が製品の原料採掘から生産、使用、廃棄まですべての過程、すべてライフサイクルにおける安全や環境負荷に責任を負うようにしようとするものなんですけれども、この政策の推進に対する日本政府としての対応はどのようになっていますでしょうか。そして、今後どのようにしようと考えているのか、お願いします。
  74. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 生産者がみずからの生産する製品につきまして今おっしゃるような責任を持つ、そういった拡大生産者責任の考え方というのは、先生指摘のように、循環型社会の構築に極めて重要であるというふうに認識しているところでございます。したがいまして、政府が今検討しております循環型社会の構築に向けた基本的な枠組み法案におきまして、排出者責任の明確化にあわせまして、この拡大生産者責任の考え方をぜひ位置づけたいというふうに考えているところでございます。  具体的には、今後、法案の取りまとめに際しまして、物品の耐久性、リサイクルの容易性、環境負荷の低減等の自己評価を通じた発生抑制、リサイクル、適正処理の確保、あるいは使用済み製品等の引き取り、引き渡しルートの整備及びリサイクルの実施、あるいは物品等に関する情報提供といった拡大生産者責任の措置を、個々の物品の性状だとか処理あるいはリサイクルの実態等を考慮しつつ、また関係者の皆様方の適切な役割分担のもとで実現していくという考え方をぜひ位置づけてまいりたいというふうに考えているところでございます。  先生は今の三党のプロジェクトの中での大変重要なメンバーというふうに伺っております。いろいろ御提案をいただいていると思いますので、ただいまの私どもの考え方もぜひ御理解いただきまして、よろしくお願いしたいと存じます。
  75. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、OECDと同じように日本も歩調を合わせて進めていくというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  76. 清水嘉与子

    ○清水国務大臣 今申し上げたとおりに、これからの御検討もおありでございますので、どういう方向になるかわかりませんけれども、私どもとしては、この問題を十分考えていきたい、対処していきたいというふうに考えているところでございます。
  77. 武山百合子

    ○武山委員 環境先進国という名にふさわしい、やはり歩調を合わせていただきたいと思います。  それから、オゾン層破壊とフロン回収の促進についてということで、政務次官の柳本さんにお聞きしたいと思います。  昨年も南極のオゾンホールは最大規模になっているという状態なんですね。成層圏のオゾン層破壊はずっと続いておりまして、日本はフロン類の大量使用国であります。今後十年間以上、毎年二万トン程度も廃棄され続けると言われているわけですけれども、これに対して、回収と分解、無害化を義務づけている国が多いわけですけれども、日本では業界等の自主的取り組みで行われ、カーエアコンなどからの回収率が非常に低くなっているわけです。今後、フロン回収を大幅に促進するために、回収義務の法制化を含めた検討をする気はあるかどうか、ぜひお答えいただきたいと思います。  また、法制化しない場合、どのように回収、無害化の大幅な改善に取り組むのか、お答えいただきたいと思います。
  78. 柳本卓治

    ○柳本政務次官 お答えいたします。  フロンの回収、破壊は、フロン等のオゾン層破壊物質の生産規制とともに、オゾン層を保護するための重要な対策と認識をいたしております。  このため、平成九年九月に、関係十八省庁から成るオゾン層保護対策推進会議におきまして、フロンの回収及び破壊の促進方法を取りまとめまして、関係業界に対して所管省庁より、特定フロン回収に関する自主行動計画を策定し、回収に取り組むよう協力要請を実施したところであります。  また、環境庁におきましては、地域における回収から破壊までのシステム構築を促進するためのモデル事業の実施、地方自治体や関係業界等から成るフロン回収等推進協議会の活動の支援等を通して、地域における取り組みを促進してきたところでございます。  このような取り組みによりまして、業界独自のフロン回収システムを構築したり、回収協力店を認定し住民等に周知を図る制度を導入した地域など、取り組みの進展が見られる関係業界及び地域があるものの、環境庁及び通産省の共同調査によりますと、平成十年度におけるフロンの回収実績は、家庭用冷蔵庫からの回収率が約二九%、カーエアコンからの回収率が約一二%、業務用冷凍空調機器からの回収率が約五六%、武山委員指摘のとおり、全般的に低い水準であると認識をいたしております。  また同時に、諸外国におきましても、アメリカ、ドイツ、フランス、デンマーク、スウェーデン等でフロン回収の義務づけがなされていることも承知をいたしております。  環境庁といたしましては、昨年十二月に北京で開かれましたモントリオール議定書第十一回締約国会合で、先進国に対して二〇〇一年七月までにCFC管理戦略を提出することを求める決定がなされたことを機に、関係省庁と協力して、関係業界に対して一層の強い要請を行うこと等により、取り組みを進めていく所存でございます。  これらの対策の状況を見詰めまして、必要に応じ、回収、破壊の義務化についても検討してまいる所存でございます。
  79. 武山百合子

    ○武山委員 自主的取り組みということで、今お話しのように、皆さんがお聞きしておりましたように、低い回収率なわけですよね。それはやはり甘いと思いますね。  やはり義務ということじゃないと、今いろいろな社会情勢を見ますと、非常に国民の権利と義務を履き違えておりまして、権利ばかり主張しておりまして、義務なんてほとんど忘れているというのが社会の実態ですよね。まさに回収率もイコールだと思います。ぜひ、やはり甘い考えを捨てていただいて、義務ということでお話し合いをしていただきたいと思います。  以上です。どうもありがとうございました。
  80. 島村宜伸

    島村委員長 これにて武山君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後三時九分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕