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2000-02-03 第147回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月三日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 久間 章生君 理事 自見庄三郎君    理事 高橋 一郎君 理事 萩山 教嚴君    理事 町村 信孝君 理事 太田 昭宏君    理事 青山  丘君       甘利  明君    伊藤 公介君       石川 要三君    稲垣 実男君       衛藤 晟一君    小澤  潔君       大原 一三君    亀井 静香君       亀井 善之君    木村  勉君       栗原 博久君    杉浦 正健君       高鳥  修君    津島 雄二君       中川 昭一君    中川 秀直君       能勢 和子君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    船田  元君       村田 吉隆君    村山 達雄君       森山 眞弓君    山口 俊一君       青山 二三君    赤羽 一嘉君       石田 勝之君    佐藤 茂樹君       並木 正芳君    桝屋 敬悟君       一川 保夫君    加藤 六月君       鈴木 淑夫君    西田  猛君       鰐淵 俊之君     …………………………………    内閣総理大臣       小渕 恵三君    法務大臣         臼井日出男君    外務大臣         河野 洋平君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    文部大臣    国務大臣    (科学技術庁長官)    中曽根弘文君    厚生大臣         丹羽 雄哉君    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    通商産業大臣       深谷 隆司君    運輸大臣    国務大臣    (北海道開発庁長官)   二階 俊博君    郵政大臣         八代 英太君    労働大臣         牧野 隆守君    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    国務大臣    (内閣官房長官)    (沖縄開発庁長官)    青木 幹雄君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    国務大臣    (環境庁長官)      清水嘉与子君    内閣官房長官      額賀福志郎君    総理府政務次官      長峯  基君    総務政務次官       持永 和見君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    経済企画政務次官     小池百合子君    科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君    環境政務次官       柳本 卓治君    沖縄開発政務次官     白保 台一君    国土政務次官       増田 敏男君    法務政務次官       山本 有二君    外務政務次官       東  祥三君    大蔵政務次官       大野 功統君    文部政務次官       河村 建夫君    厚生政務次官       大野由利子君    通商産業政務次官     細田 博之君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    郵政政務次官       小坂 憲次君    郵政政務次官       前田  正君    建設政務次官       加藤 卓二君    建設政務次官       岸田 文雄君    自治政務次官       平林 鴻三君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    津野  修君    参考人    (日本銀行総裁)     速水  優君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 委員の異動 二月三日  辞任         補欠選任   亀井 善之君     木村  勉君   栗原 博久君     亀井 静香君   中川 昭一君     衛藤 晟一君   石田 勝之君     並木 正芳君   佐藤 茂樹君     赤羽 一嘉君   鈴木 淑夫君     一川 保夫君   西田  猛君     鰐淵 俊之君 同日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     能勢 和子君   亀井 静香君     栗原 博久君   木村  勉君     亀井 善之君   赤羽 一嘉君     佐藤 茂樹君   並木 正芳君     石田 勝之君   一川 保夫君     鈴木 淑夫君   鰐淵 俊之君     西田  猛君 同日  辞任         補欠選任   能勢 和子君     中川 昭一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十二年度一般会計予算  平成十二年度特別会計予算  平成十二年度政府関係機関予算     午前九時開議      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ちまして、民主党日本共産党及び社会民主党市民連合所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。  再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。  速記をとめてください。     〔速記中止
  3. 島村宜伸

    島村委員長 速記を起こしてください。  理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党日本共産党及び社会民主党市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  平成十二年度一般会計予算平成十二年度特別会計予算平成十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井静香君。
  4. 亀井静香

    亀井(静)委員 今委員長から御報告がございましたけれども、国民生活にとって一番重要とも言ってもいい予算案審議に、民主党共産党が欠席をしている、極めて遺憾なことだと思います。  定数削減法案は、既に参議院においても成立をして、もう決着を見ておるわけでありまして、その法案についての与党の対応が悪かったというようなことで、新しい段階に国会審議が入ったにもかかわらずこれを欠席するということは、到底、議会制民主主義をもし守るということであれば、理解しがたいことだ、このように思います。極めて残念だ。  また、定数削減法案についての対応についていろいろと野党は言っておられるようでありますが、これは、前臨時国会において粛々と審議をした後、これを採決することについて、自分たちの思うような採決の結果は出ないんだろうということで、議事そのものを、暴力を使ってこれを阻止するというような行動に出たことはまだ記憶に新たなところであります。  そういう状況を受けて、議長におかれましては、二度のあっせんをされ、国会の休会中も鋭意この問題に取り組むようにという、そうした御指示があったにもかかわらず、これに全然応じようとしなかった。そうして、国会開会をされました後、ひどい話だと思うのですが、議長が召集をされておるその国会を欠席して、子供じゃあるまいし、国会の外で模擬国会なんかをやって遊んでおるというような、こういうことですね。  私は、このたびの野党行動というのは、議会に対する国民の信頼を大きく失墜させておるものだ、このように思います。一日も早く、きょうでも結構ですが、直ちにこの重要な予算案審議野党皆さん方が参加され、ともに真剣に議論をしていきたい、このように願っておるわけでございます。  それでは、私の方から質問をさせていただきます。  総理におかれましては、まさに日本にとって、二十一世紀が果たしてあるのかないのか、そういう大変深刻な節目を迎えておるときに重職を担われた、まさに歴史的な、そうした課題を抱えられた総理である、私はこのように思います。  日本歴史を振り返ってみまして、近世史、奇妙なことに、五十年ごとぐらいに大きな節目を経ておるわけでありまして、幕末、御承知のように、欧米の先進諸国によってあわや植民地化されようとした、そういうときに、我々の先人が身命をなげうって、そうしたことを阻止してくれました。  その後、後進国の中から立ち上がって、日清日露戦争を勝ち抜く中で先進国の仲間入りをしていったわけでありますが、これも五十年ちょっといたしますと、残念ながら軍部の力が非常に強くなって、日本政治自体が大きく曲げられていくという危険な過程の中に入っていったことは御承知のとおりであると思います。  その結果の破局が参りまして、そうした敗戦という、我々にとっては本当に歴史上経験をしたことのない大きな悲劇を経験したわけであります。これも、ほぼ五十年であります。  それから、廃墟の中から不死鳥のごとく経済復興の面では日本は立ち上がって、ある意味では成功をいたしたわけでありますけれども、残念ながら、現在の状況というのは、このままの延長線上で輝かしい未来を我々が持つことができるのかどうか、問われておるときだと思います。  こういうときに当たって、我々政治家党利党略に走ることがあってはならない、私はこのように思います。自由民主党のために日本があるわけではありません。また、自由党公明党民主党、社民党あるいは共産党のために日本があるわけでもないと私は思います。  こうしたときは小渕総理総裁のもとに、国民が、また政党が、政治家がやはり小異を捨てて大同につき、そして、この危機を突破していくことでなければならない。そういうときに、総理は、政策、理念等について共通項が多い自由党公明党連立を呼びかけられて、三党連立政権をつくられたわけであります。  自由党公明党におかれましても、総理呼びかけにおこたえをいただいた。私はすばらしい御決断を両党においてされたと思いますが、まず総理自身がそういう御決断をされたということに対して心から敬意を表したい、私はこのように思うわけであります。  まず、総理、二十一世紀へ向けて日本をどういう国家として形成されていかれるのか、基本的なことで結構でございますので、一言決意のほどをお示しいただきたいと思います。
  5. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 新千年紀を迎えることになりました。西暦でありますが、こうした新しい二十一世紀を迎えるときに当たりまして、国政の責任の立場にあることをまことに重責と心得て、誤りなきを期して努力をいたしていきたいと思います。  もとより、国民そしてまた国民を代表する国会議員の各位の御鞭撻と御指導をいただきながら、新しい世紀に当たりまして、我が国の限りない発展のために全力を挙げて努力をいたしていきたいと思っております。  今、亀井委員指摘のように、日本近世史をひもとけば、言うまでもなく、百数十年前に明治維新という大きな大業を我が国民はなし遂げました。しかし、残念ながら、御指摘のように、その後の経過の中で、世界の中に伍して軍事力をもって世界の中で生き抜こうとした時代もありましたが、その失敗によって敗戦を迎えざるを得なくなったわけでありまして、それから五十数年、半世紀を経て、日本として新しい世紀を迎えるに当たりまして、実は第三の改革の時期を迎えておるという認識をいたしております。  この認識に立ちまして、過去二回の大きな日本にとっての改革の時期が、ややもすれば、当時米国を中心にした、開国を迫られる圧力といいますか、そういうもので行われ、また戦後は、最高司令官マッカーサー元帥のもとで多くの改革が断行されてきたという経緯がありますが、今般は、まさにみずから日本人の手で日本改革を行わなきゃならない時期と考えておりまして、そうした意味で、実は昨年来、新しい日本の形というものをどのように考えたらいいかということで、有識者の皆さんにも一年にわたりまして御検討いただきました結果、先般答申をいただきました。  その言われていることは、結局、日本フロンティア日本の中にある。日本のこれから新しい未来を築いていくことは、結局、過去は、外国に学び、外国のある意味で模倣をする中で生きてまいりましたが、まさに日本人日本フロンティアをみずから探し求めていかなきゃならぬ、こういうことでございまして、そういった意味で、ぜひ日本人の力で新しい未来を切り開いていくべきだということでございます。  昨年、私は、やや日本国民が後ろに下がったという印象を持っておりましたので、ここで元気にいこうということで、建設的な楽観主義ということを申し上げましたが、これからはさらに歩を進めて、立ち向かう楽観主義ということで、日本人潜在力を大きく引き出すことによりまして、将来日本の大きな発展のために努力をいたしていくべき時期に来っておるという認識をいたしております。  特に、今まで日本の国につきましては、もちろん国家というものは存在し、国民がその中で生活を享受してきたわけでありますが、戦前におきましては、どちらかというと、国家というものが上に立ち、国民がその中である意味では時に呻吟するようなことがあった。国が、一命をささげろ、こう言って、言われれば俗に赤紙一枚でも身命を賭して国のために尽くしたわけでありますが、そうした縦の関係というよりも、むしろ国民自身がみずからの力で国家を形成するという意味での発露がなきゃならぬ。  そういう意味で、公すなわちすべて国家とは思いませんけれども、いわゆる公のものに対して個々の国民がみずからの認識において公をつくり上げ、そして、その究極は国家が成立していくという形のものとしてこれから進んでいかなきゃならないと思っております。  私は、日ごろから富国有徳ということを申し上げてまいりましたけれども、戦後、みずからその経済的繁栄を求めていかなければならない、これは当然のことでありましたが、そこにウエートがかかりまして、そのためにやや心の問題というものが、おろそかにされたとは言いがたいと思いますけれども、問題がなきにしもあらず、こういうことでございまして、そういう意味で、物と心のバランスのとれたそうした姿、このことは、国際的にも日本が尊敬に値する、まさに憲法の前文に掲げたような国家として存在していく、そういう国家を目指していかなきゃならないのではないかというふうに考えております。  ぜひ、そういう意味で、私自身も新しい日本国づくりのために全力を挙げてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  6. 亀井静香

    亀井(静)委員 今総理から、立ち向かう楽観主義、今の時期において本当に非常にわかりやすいそうした一つ方向といいますか、国民はこれでいくべきだ、我々もこれでいくと、力強い決意を表明していただいた、私はこのように思っております。  総理がおっしゃいますような富国有徳、また物心ともに美しい日本を築いていく、この目標のために我々は頑張らなければならないと思うわけでございますが、ただ、今の現状認識をやはりきっちりとした上で進んでいかなければならない、このように思います。  経済につきましては、大変な不況の中、総理御就任以来、宮澤大蔵大臣にもお出ましをいただいて、本当に全力投球金融システム安定化景気対策を含めて頑張ってこられました。若干トンネルの先に光が見えてきたかなという状況に今なっておると思うわけでありますけれども、しかし今、中小企業零細企業等は、まだまだ水浸しと言ってもいいような状況も続いておるわけであります。  経済的にもそうでありますが、一方、日本列島、北海道から沖縄まで、いてつくような光景が展開されておることもやはり事実であります。金もうけのためなら、金になることであればもう何でもやる。夫婦で保険を掛けて殺し合いもやる、親兄弟、本当にこれが人間の社会かと思われるような状況が、ある意味では一般化するほどの状況になってまいる。また、人さらいがどんどんと起きてくる、またオカルト教団が群発をするというような、そうした状況総理、御承知のとおりであります。  また、日本は、どちらかといいますと、お互いに助け合いながら生きていく、そういういい文化伝統といいますか生活の仕方があったと思うわけでありますが、この十年ばかりは競争競争競争ということで、企業同士も競争して、昔は中小企業経営者同士手形等を融通し合うというような助け合いもやっておったわけでありますが、今はもうそういう状況はほとんど見当たらない、そういう状況でもあろうかと思います。  そうした中で、競争して、確かに価格破壊をされ、安いものが手に入っていくというプラスの面もありますけれども、しかし、忙しくなるばかりで、結局疲れ果ててしまっておるという状況もあらわれていることも事実であります。  また、これはそうした産業界、商売の上だけじゃなくて、家庭の中においてすら、もう家族のきずなというのがだんだんと薄くなって、夫婦でさえ妙な形で競争しているというような、そういう状況が私は生まれておると思います。  こういう状況延長線上において、物が安く手に入る、生活が便利になる、そういうことの中で、果たしてそういうことだけで我々が幸せを感じていけるんであろうかどうか、そういう反省が私は今生まれておるのではないかと思います。  こうした問題をどうやって解決をしていくかということでありますけれども、これについては、総理がいつも我々に対してこういう方向だということでお示しいただいておりますような教育改革、私はこれは当然であろうと思います。抜本的に取り組んでいくべきであろうと思います。また、すばらしい多くの民間の団体が社会教育という形で大変な努力をしておられますが、こういうものがもっともっとやはり盛んになっていくということも私は大事であると思います。  それと同時に、やはり我々の努力方向としても、ただ単に経済的な充足、満足を国民の方にしてもらう、あるいは生活の利便を向上させる、それも大事ですけれども、同時に心の豊かさといいますか、そういうものを求めていく方向にやはり我々は努力しなければならないのではないかなと思います。  例えば、詩吟だとかあるいは民謡、踊り、あるいは俳句だとか、あるいはまたいろいろな広い文化伝統の中のそうした芸能みたいなものがあります。また、総理あるいは文部大臣の御郷里では、かつて群馬交響楽団ですか、ああいうものが戦後生まれたという経緯もあります。  最近、音大を出ても、なかなか自分のそういうものを生かした仕事についていくことができない。オーケストラの運営なんかも大変苦しいようですね。せめて一千億程度でもそうした芸能文化芸術の振興のためにうまく使っていけば、私は、この日本列島、そうした文化芸術というのが花盛りになっていく、そういう二十一世紀を迎えることもできるのではないかな、このようにも思うわけでありますけれども、この点につきまして、一言総理の方からお答えをいただきたいと思います。
  7. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今、亀井委員の申し上げられたいと思うことは、戦後もそうでありますけれども、ひたすらに追いつき追い越せということで努力をする、そういうことの中には、合理的な生活態度とかいうものを追い求めるために、日本古来伝統とか文化というものがやや置き去りにされてきたのではないかということをおっしゃりたいのではないかと一つ受けとめました。  振り返って、第一の改革のとき申し上げましたけれども、明治のときも、西洋化しなければならないというので、ともかく鹿鳴館から始まって、西洋化すればいいということで努力をしまして、そしてそのことがやや行き過ぎになった点もあったのだろうと思います。戦後もやや、アメリカの経済システムとかそういうものを取り入れろということに盛んなるがゆえに、日本本来のよさというものが置き去りにされた点というものもあるのではないか、そういうことを亀井委員はおっしゃりたいのだということを考えれば、まさにそういう反省に立って、これからのまず教育の問題を考えましたときに、戦後のそういった意味での総反省ということも含めまして、なさなければならないのではないかというふうに考えております。  そういった点から申し上げれば、ここ数年、いろいろな意味で、戦後こしらえてまいりました基本的な問題についての見直しといいますか、検討という時期に入ってきておる。その端的な例が、まず日本国憲法についても、衆参両院憲法調査会が設けられて、これから大いに検討していこうと。日本基本法たる憲法についてもしかりでありまして、その他、中小企業基本法を初め、農業基本法を初め、ここ一両年、本当に、戦後の一つの大きな日本方針について、その基となってきた基本法についてもいろいろ検討なされてまいりました。  教育についても二十二年の教育基本法というものがあるわけでございまして、そういった意味で、これから国会での御議論も待たなければならぬかと思いますけれども、日本のそうした戦後の大きな方針を打ち立ててきたところの基本法についても、すべからく検討していかなきゃならぬと思っておりまして、最後申し上げました教育の問題につきましても、今御指摘のような点も含めまして大いにひとつ検討し、反省すべきものは反省しながら、新しい時代に向かっていくべきだということを考えておる次第でございます。
  8. 亀井静香

    亀井(静)委員 文部大臣一言お願いします。
  9. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど総理の御答弁にありましたように、私は、富国有徳という言葉、物と心のバランスが大切だ、それを目指すんだと総理がおっしゃいましたけれども、まさにそのとおりだろうと思っております。  教育の問題につきましては、これも御答弁ございましたけれども、戦後我が国教育水準世界トップレベルにまで到達いたしましたけれども、学校現場を初めとしてさまざまな問題が起きているわけでありまして、こういう時期に教育の問題を見直して、そして二十一世紀教育のあり方、理念をここでまた新たに再確認をする、打ち立てる、そしてどういう日本人をつくっていくのか、そういうようなことを議論することは非常に大切なことであろう、そういうふうに思っております。  国が発展するかしないかはまさに教育にかかっていると思っておりまして、先生の御指導をいただきながら、私どもも一生懸命やっていきたいと思っております。
  10. 亀井静香

    亀井(静)委員 次に、これは総理政治姿勢と言ったらおかしいんですけれども、それに関係することをちょっとお尋ねしたいと思います。  総理は、これはみずからを卑下して言っておられると思うんですが、谷間のラーメン屋というようなことも、総理がおっしゃったか、だれがおっしゃったか知りませんけれども、私、何かで読んだことがあるんですけれども、長い政治生活福田先生中曽根先生というすばらしい、また非常に強力な政治家とともに中選挙区制を戦ってこられた。本当に大変だったろうなと思います。私も宮澤大蔵大臣と同じ選挙区で、しかし宮澤大蔵大臣は優しいですから、別に、福田先生中曽根先生は優しくないという意味ではございませんが、あれなんですけれども、大変だと思いますね。  恐らく、私は、総理の場合も、支援者といいますか後援会の方というのは、大きな企業だとかそういうことじゃなくて、中小零細企業あるいはお百姓さんとか、そうした方々が非常に多いんではないかなと推察申し上げるわけでありますが、そういうことの中で、総理は、ある面では非常に我慢強いといいますか忍耐強いあれが形成され、また非常に、弱者といいますか、それに対しての気配り、配慮、それをまた大事にするというような総理の御姿勢というのが私はずうっと見えておるわけです。  これは、もちろん総理の生まれつきのお人柄ということもあると思うんですけれども、やはり総理には、そうした庶民の気持ちといいますか声というのが非常に長い間届いてきた。今も、しょっちゅう電話を、余り名もない方に対しても、自分に対していい助言をしてくれたなと思われる方にはどんどんされていくという、歴代の総理にはない、直接にそうした名もない、地位もない方との話の中で政治をやっていこうという、私は大変すばらしい姿勢を持っておられると思います。  私は、政治はいろいろやることがあるとは思いますけれども、人間、生まれたときに平等に生まれるわけじゃありません。体が不自由な方もいらっしゃいますし、いろいろな意味で大変なハンディをしょって、このつらい人生を生きていかなければならない。そのハンディを少しでもならすといいますか軽減をしていくのが私は政治の一つの大きな務めだ、このように思います。  私は、総理はそういうお気持ちでやっておられると思うわけでありますが、一言政治姿勢についてお答えを願いたいと思います。
  11. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 内閣総理大臣というまことに重き責務を負っておりますが、これは歴代すばらしい大先輩に恵まれておると思いますが、政治の手法というのにはいろいろの方法があるのではないか。  一般的に、リーダーシップを非常に中心に、簡単に言えば、おれについてこい、そういう形もあるかと思います。また同時に、多くの方々の御意見をできる限り吸い上げるといいますか、お聞きをすることによって物の考え方を形成するというスタイルもあろうかと思います。強いて言えば、私はそういう形をとりたい。  そのことは、ある意味では、私自身が大きくみずからの力というものの限界を心得て、そしてやはり衆知というものは国民の中にある、野に遺賢なからしむという言葉がありますけれども、やはり世の中にこそ多くの賢なる者があるという認識に立ちましていたしておるわけでございます。  そういったことの一つのあらわれとしていろいろの審議会とかそういうものをたくさんつくっておるものですから、この間、やや、やゆされた点もありますけれども、私は、それぞれの分野におきまして大いに国民の衆知を集めるという方法も一つの姿だと思います。究極は、その集約されたものが国会議員であり国会であるという認識に立っておるわけでございます。  そういった意味で、私の場合、言葉がいささか適切かどうかわかりませんが、ボトムアップといいますか、大いに世の中の広く衆知を集めてという形をとりたいな、こういうことでございまして、そういった意味で、あらゆる審議会等も大いに活用させていただきますといいますか、お考えをまとめさせていただいて、これを集約し、そしてこれを政策にまで高めて実行していきたい、こういうことでいたしておりますので、御理解と御協力をいただければありがたいと思っております。
  12. 亀井静香

    亀井(静)委員 次に、経済政策についてちょっと御質問を申し上げたいと思います。  先ほども申し上げましたけれども、金融システムが大変危機的な状況に立ち至る中で、経済自体も、戦後初めてと言ってもいい大不況を経験した中から、宮澤大蔵大臣という、すばらしい伴侶と言ったらおかしいんですけれども、お力をおかりされながら、非常に思い切った政策をどんどん展開され、今は経済も、安心できませんけれども、このまま手を抜かないでいけば、この危機は突破し、安定成長への道筋がつけられるのではないかなという状況に差しかかりつつあるところではないかなと思うわけであります。そのために、昨年の臨時国会の十八兆の補正、このたびの八十五兆に近い予算と、小手、面と、次から次と積極的な取り組みを今いただいておる、これはまさに当然の処方せんである、このように私は思うわけであります。  今後、こうした手を打たれた結果、大体どういう状況が期待できるのか、神様じゃございませんからぴたっと全部当たるとは限りませんけれども、どういう方向に行くんだろうかというようなことを、国民の皆様方に一度ちょっとここでお話をいただければありがたいと思います。これは大蔵大臣、よろしくお願いします。
  13. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おっしゃいますように、我が国経済は確かに最悪の時点を過ぎたと思っております。一年半マイナス成長が続きましたわけでございますが、昨年の一—三月期、引き続いて四—六月期とプラスに転じまして、最悪を過ぎたことは確かでございます。  ただ、御承知のように、いかにも内需が弱いということでございまして、殊に国民消費がどうも盛り上がってまいりません。それは、直接には私はやはりリストラの結果であろうと思っております。リストラが本格化しまして、意外にも雇用の数字としてはそんなに悪くなっておりませんで、五%に失業率は達しておりませんが、しかし、実際には常雇用がパートタイムに移っているという現象が大変に見られまして、したがいまして、雇用の数字は落ちておりませんが、収入としてはやはりどうしても落ちているということが昨年の秋ごろから見られるようになりました。  ただいまでも恐らく、毎月家計調査が出ておりますのでそれを見ておりますと、収入はやや減でございます。したがって、支出もやや減という月が多うございまして、この暮れのボーナスもよくなかったと思いますので、ただいま自身、まだ国民消費というのはやや低下しているのではないかと思われます。  それから、設備投資でございますが、これも、最近になりまして機械の受注が少し回復したということはございますけれども、全体としては設備投資はやはりマイナスでございます。  これを合わせますとGDPの七〇から八〇ございますので、政府がどれだけ公共事業をいたしましても一〇にはなりませんので、したがいまして、そのような民需の弱い状況の中で、財政がやはりもう一度最大限の努力をしなければならないと思いまして、せんだっての補正予算、ただいま御審議いただいております予算でも、思い切ったことをいたしております。  それは、公共投資も昨年と同じ、昨年は相当大きいものでございましたので、同額、及び五千億円の予備費をつけております。それから、先ほどお話しになりました金融関連でも、いよいよ、預金あるいは金融債の保証をいたしておりますから、それについての現金化を必要といたしますので、四兆五千億円国債整理基金に投入いたしました。そのほかに、NTTの株の売上代金をほぼ一兆五千億円見ておりますので、これで、先ほどお話しになりました金融関係のいわば政府負担分は、まず全部終わったと思う程度の措置をいたしております。  そこで、そういうことでもう一度財政が最大限の努力をするというのがこのたびの予算の大きな方向でございますが、私自身、こういう予算はもう二度と組まなくてもいいのではないか、できるならばそうありたいということを時々申しておりますのは、ただいまの国民消費の減退というものが、これは私の見通しでございますけれども、今労使間で賃金、雇用についての交渉が始まっております。その結果について政府は云々すべきものでないことはもとよりでございますが、その交渉を通じまして、お互いの間の問題の理解というのがかなり実は進んでいるように思います。  そういう意味では、リストラというものは長くかかりますけれども、それがある程度軌道に乗っていく、そういう結果が期待できるのではないかと考えますと、今の消費の減退、いわゆる家計簿の減退というのは、統計的には四—六の統計がわかるのは九月でございますので、そのときまでには恐らく回復をして、四—六にははっきりそれが出てくるのではないか。そして設備投資ももう、少しずつは出てくるかもしれないといったようなことになりますと、日本経済が自力で、民需で歩いていけるようになる。そうしますと、予算としてはこのような大きなものは再度必要がないのではないかという、個人的な見解で申しわけございませんが、そういうことを期待いたしております。
  14. 亀井静香

    亀井(静)委員 今大蔵大臣からも、将来について極めて希望の持てるそうしたお話をいただいたわけでありますが、今大臣もおっしゃいましたように、手を抜く時期でないということもまた当然であろうか、このように思います。  今若干、いろいろなところで、ブレーキをそろそろ踏んだらどうだというような意見もあるわけでありますけれども、総理が言っておられますように、二兎を追う者一兎を得ずという、私どもとしてはやはり過去の苦い経験をきっちりと踏まえて、この際、ある意味では浴びせ倒すような、そうしたてこ入れをして、早く、今大臣がおっしゃいましたような、今後補正予算を組んでいくとか、そういう事態を招かないような、そういう処置をやるべきときは思い切ってやるということが必要なんではないかと私は思います。ぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。  このことに関連しまして、国、地方を合わせて累積赤字が六百兆を超えるという大変な事態になっておることについて、いろいろ警鐘が鳴らされております。当然のことでありますが、財政再建は、これは時間はかかりますけれども、必ずなし遂げなければならないことであることは間違いがないことだと私も思います。  ただ、先ほども申し上げましたように、両方とも同時にやろうなんて、そんな手品みたいなことができるわけじゃございませんので、やはり財政再建は、長期の安定成長という前提がなければ、どんなことをやったってできない、その軌道に乗せていくということで御苦労いただいておるわけでありますから、当面は、とにかく景気対策全力を挙げていただきたいと思います。  なお、これは余談になるかもしれませんが、日本の場合は、アメリカや外国と違いまして、よその国から金を借りておるわけじゃありませんので、例えて申しますと、お父さんがちょっと体が悪くて稼ぎが悪くなった、お母さんがこれでは家計が切り盛りできないので、同居の長男や次男からちょっと金を貸せやと言って金を借りてやっておる状況だと思います。そうした状況の中で、お父さん、もう晩酌もだめよ、肉も魚もだめよ、これ以上息子から金を借りるわけにいかぬという、そんなことをやるべきではない。やはり晩酌もやって、お父さん元気出してくださいよ、そしてうんと稼いでくださいよ、そして稼いで子供に借りを返すというのが私はやるべきことであろうと思います。  ちょっと例えが適切かどうか知りませんけれども、やはり財政赤字の解消というのは、御承知のように、日本の場合は、特に財政赤字の倍以上の国民の預金があるわけでありまして、そのこともやはり勘定に入れながらこの対応をいたしませんと、財政赤字だけ見て震えまくって、将来そうした国民の貯金まで減っていく、あるいはよその国に持っていかれるというような愚を犯してはならぬのではないかな、私はこのように思うわけであります。  また、経済が活力を持っていくためには、ではどうしたらいいか。財政出動もそのための呼び水であり下支えであると思いますけれども、それには、やはり経済の構造そのものも変えていくということは当然必要だと思います。  ただ、どの新聞を見ましても、またいろいろな各党の発言なんかを見ましても、経済構造改革をやるべきだやるべきだ、そのとおりだと思うのですが、中身が国民の方にもわからないのですね。経済構造改革といったら一体何なんだろうかということですね。ある人に言えばそれはリストラだと言う人もおりますし、あるいは規制緩和だと言う人もおりますけれども、もちろん必要なリストラは思い切ってやらなければなりませんし、ベンチャービジネスを初め、チャレンジ精神を損なうような規制、役人のためにあるような手続はもうとにかく一切取っ払ってしまうぐらいな規制緩和、改革は、私は必要だと思います。  しかし、問題は、そういうことだけでどんどんニュービジネスが出てくるのか、経済に活力が生まれてくるのかという基本的な問題があると私は思うのです。これについては、うちの政調の桜井代理あるいは久世副会長なんかも、しょっちゅう勉強しながら主張しておるわけでありますが、最終需要を喚起しない限りは、やはりこれは基本的には解決できないのではないか。そういう意味では、我々の生活そのものを変えていく、生活構造そのものを変えていくという取り組みをしなければならぬのではないかということが私はあろうかと思います。  桜井構想と言われますが、例えばみんなセカンドハウスを持って、そうして年に一月ぐらいずつ長期の休みをとって、都会から農村に家族ぐるみ出かけていって、そこで生活をしていく、そういうようなことを含めての我々の生活自体を変えていく。簡単に言いますと、量から質への転換みたいなことを思い切ってやっていくという政策が行われなければ、ただ規制緩和をやれば内需が自然に出てくるというものでは私はもうないのではないかなという感じがいたします。  また、先ほど大蔵大臣からリストラについてのお話がございましたが、私は、はっきり申し上げまして、最近はリストラという名前がつけば、マスコミも、その会社は経営努力をしておるという形で持ち上げます。また、株も上がっちゃいます。これはいい意味の、正しいリストラをやってならいいのでありますが、経営者の中にはそうじゃなくて、もう黙っていてももうかる黒字部分だけ残して、他の必死の経営努力が必要な部分は切って捨ててしまう、それで従業員を解雇する、あるいは下請を整理していくという、今そういう首切りをやっても、労働組合も御承知のように全然反発をしません。  私はこの前、労働組合の連合体の幹部に、このリストラの時世にスト権を確立した組合があなた方の傘下にありますかと言ったら、ないとおっしゃるのですね。スト権を確立しないでどうやって経営者とあなた方は渡り合うのですか、本気で働く者を守るという気持ちがあるのですかという極めて言いにくいことを私は言った覚えがありますけれども、どうもそうした解雇にしても下請切りにいたしましても、安易に流れ過ぎているのではないか。  やはり資本主義経済というのは基本的に、シュンペーターじゃありませんけれども、創業者利益を追い求めるというチャレンジ精神、少々のリスクは乗り越えてチャレンジしていくという面がなければもたない制度だと私は思います。私は、日本経済も、そうした起業家がどんどん出てくるということでなければ、後ろ向きの、リストラだけやってどうにか黒字決算をするというようなことが続いていった場合は、大変な事態になるのではないかなということを恐れておる一人でもあります。  誤解があってはなりませんけれども、私はリストラがいかぬと言っておるわけではありません。また、規制緩和にいたしましても、どんどんやるべきことをやる。しかし、商店街がシャッター街になっていってしまっておるような今の状況が、果たして経済の面から見ても、これがいいことなのかどうかという、そうした反省もこの際きっちりとしていくべきではないだろうか、このように私は思っておるわけであります。  この問題につきまして、経済企画庁長官一言
  15. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員指摘のように、今日本は大変大きな変革期でございまして、それは金融、産業のみならず、労働界から人々の生活あるいは社会の価値観まで変わるべき時代だと思います。  御指摘のように、やはり古い産業が整理をされて、同時に新しい産業が生まれなければなりません。一方的に古い産業を整理するだけでは、委員指摘のとおり、日本は新しくならないと思います。  そういう意味で、人々の考え方、社会の評価、そういったこと全体が変わって経済を立て直す。今日本は、そういう戦後ずっと続けてきました規格大量生産の工業社会を多様な知恵の時代の構造に変える、そういう体質改善の重いコストを払っている。これが成功いたしますれば、今日のアメリカに見られるような繁栄がやってくるのじゃないか、そう考えております。
  16. 亀井静香

    亀井(静)委員 それでは、ちょっと時間がなくなりましたので、最後に総理にお伺いしたいと思います。  今、御承知のように、大阪、京都で府長選、市長選が行われております。自民党等の推薦する候補と共産党の推薦する候補が今激烈なデッドヒートを御承知のように繰り返しておるわけでありますが、これはただ単なる地方の選挙だと言っておるわけにはいかないと私は思います。日本国のまさにど真ん中、大阪と京都であります。  特に、大阪の場合は、関西経済圏の中心でありますし、日本経済にとっても極めて重要なところである。また、日本文化にとっても、あらゆる面にとって極めて重要なところだと私は思います。  ここが、共産党が推薦する首長が生まれるのか生まれないのか、京都も同じでございますけれども、これは極めて、ある意味では国家的な意味を持つものであろうと私は思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  17. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 現下選挙のさなかでございますから、コメントは慎重にしなきゃならぬと思いますが、要は、日本を代表する大阪府、これは、オランダの国とほぼ同じ経済規模を持つという、国家として考えましても、世界の大きな国々と匹敵するようなところでございます。  京都は、言うまでもありませんが、日本の古都として、西暦二〇〇〇年を迎えましたが、一千年前はまさに平安の世、全くすばらしい文化の発祥の地でありまして、要は、府民並びに市民が御選択されることだろうと思います。  過去、人間は学ぶことがあったかと思いますが、それぞれの地域におきましても、いろいろの政党を中心にしての府政、市政が行われてまいりました。そのときどうであったかということをやはり府民並びに市民が十分理解を深めて、そして賢明な御判断をされることを願っておる次第でございます。
  18. 亀井静香

    亀井(静)委員 それではちょっと、大阪御出身の中山建設大臣、お願いします。
  19. 中山正暉

    ○中山国務大臣 私は、昭和三十八年に大阪市議会から政界に入りまして、市議を二期やりましたが、私が昭和三十八年に出たときは、革新市長のもとで、私は、野党自由民主党野党議員でございますので、大勢の自民党の方々とはちょっと経歴が違うと思います。  そのときに、いろいろな問題がございました。よど号を乗っ取って、大阪市大の田宮高麿以下九名の人たちが北朝鮮へ行きましたり。そのときに、私は、全国の有為な学生を、大阪市民の負担によって、商都大阪の商大の伝統を継ぐ、そういう大学が、当時の灘尾弘吉文部大臣の懇談会に、全国五十八の公立大学がありましたが、東京都立大学、神奈川県立大学、愛知大学それから大阪府立大学、大阪市立大学、この五校の役員校のうちで、大阪市大の渡瀬譲学長だけが、前夜に全学連と協議をして、文部大臣懇談会を拒否したことがございました。  そのとき、そういう大学を調査する必要はないかということを言いましたら、昭和四十二年十二月二日の新聞で、中山正暉の大学の自治を侵す行為だとやられたことがありました。しかし、その二年後に、日本じゅうの大学が火の海になりました。そんなことを、大阪の市民、府民は大きな経験を持っていると思います。  それからまた、黒田了一という共産党の知事が出たときに、私は、この方は細胞会議にしょっちゅう出ている人だということを言ったために特捜部に呼び出されて、左翼大学教授名鑑というのを持って特捜部に行ったことがございました。私を起訴してくれと頼みましたが、起訴してもらえませんでした。それでまた、起訴にならなかったということを私に通告がありませんでしたので、なぜ私を起訴してくれませんでしたか、私はそういうことを裁判所ではっきりさせたい、こう言いましたら、被告訴人に通告の義務なし、訴えてきた人には知らせる必要はあるけれども、訴えられた者になぜ知らせる必要があるかと。これじゃ民主主義の闘いというのはできないなと思った。そんな大阪でございますが、その結果、昔は大阪財界というのはすばらしい財界だったのですが、今は漫才界の方で強くなってしまいまして。  そういう結果から、私は、今度は、大阪府民、市民はちゃんとした判断をするんではないか、長い間の教育の期間でございましたが、これは民主主義としてやはり必要な教育であったと。  ですから、民主主義に目覚めていただいて、どういう人を選んだらいいのかというのは、直接府民、市民の不幸につながるということをちゃんと理解してもらった、その結果を私は出していただきたい。大阪市民の一人として、それから日本政治家の一人として、心から念願をいたしております。
  20. 亀井静香

    亀井(静)委員 それでは、自由民主党の党員じゃございませんけれども、堺屋長官にお願いします。
  21. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私は議員でございませんけれども、大阪生まれの者として申し上げますと、やはり、委員指摘のように、我々青年時代には、社会主義というのは一つの理想の主義だということで燃えた時代がございました。そのころ、私が青年時代にあこがれたというか、私は余りあこがれませんでしたけれども、多くの人があこがれた主義が、結果として見ますと、キューバでも北朝鮮でもその他の国々でも決して成功しなかった、このことは重い歴史として、大阪府民の方々も日本国民全体も忘れられないことではないかと思っております。
  22. 亀井静香

    亀井(静)委員 どうも、いろいろと丁重なお答えをいただきまして、ありがとうございました。
  23. 島村宜伸

    島村委員長 この際、衛藤晟一君から関連質疑の申し出があります。亀井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。衛藤晟一君。
  24. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 衛藤晟一でございます。亀井政調会長の後を受けまして質疑をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  きょう実は宿舎を出るときに、宿舎の庭に紅梅が咲いていまして、ああ、きょうは本当に節分なんだな、いよいよあしたは立春か、ぜひこの国も、この十年間ぐらい、非常に経済を見ましてもきつい時代を経てきました、また、ある意味では混乱の時代でもなかったかというぐあいに思いますが、そんな冬を抜け出して、すばらしい花が咲く、また春が来るということを私どもも信じているわけでございますが、そういうことを感じながらこの委員会室にやってまいりました。  ぜひこの国の将来も、すばらしい春を迎える、そういう状況になってもらいたい。総理も、立ち向かう楽観主義、そして、日本フロンティア日本の中にあるということを申されましたけれども、ぜひ、二十一世紀に向けて大きな節目の年でございまして、そんな日であってもらいたいなというぐあいに考えておりますので、そのことをまず申し添えまして、質問に入らせていただきます。  先ほど、経済の現状についての御認識宮澤大蔵大臣からいただきました。大変力強い御認識をいただきました。  私ども見ておりますと、九九年の暮れは若干成長率が落ちているようでございますけれども、そのために大きな公共事業の投資をやるということになりまして、この景気の引き上げの真っただ中でございます。ですから、もう景気が再び落ち込むような状況ではない、輸出も堅調ですし、そういう状況で、雇用調整だとか設備調整の一番激しい時期は過ぎたんじゃないのかというように思っております。  アメリカの景気回復も、設備投資が回復をしながら、それが先行した形で一般消費が起こっていくという形態をとりました。日本も、設備投資がふえるような環境が徐々に来ている、そういうような傾向ははっきりあるようでございまして、過剰設備投資が縮小したような感じがいたしますし、また企業の収益率も一部回復いたしておりますし、そして、何よりも投資先行指標が回復中だというふうに聞き及んでおります。  ぜひ、今年度の後半以降には自律的な回復が大臣は見込めるのではないかという話でございましたが、改めて宮澤大蔵大臣と経企庁長官に、この見通しについて、力強くお願い申し上げたいというように思っておるところであります。
  25. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま設備投資についてお話がございまして、昨年の末に、機械受注、これはおっしゃいますように設備投資の先行指標でございますが、これが少しよくなったということを聞いております。それから、今までずっと減り続けておりますが、その減り方も減ってきているということ、老朽の処理もかなりできているということまでは聞いておりますが、どうも私は、一部の情報関係を除きまして、設備投資が日本経済を主導するのにはもう少し時間がかかるのではないかと思っております。  それは、一つは、今設備投資をいたしますと、二十一世紀のこれからに対応することになりますので、どのような需要があるか、どのような設備が必要かということについて経営者はかなり慎重に見ておられるような気がいたしますし、また海外への投資ということもあり得ますので、これはかつてはなかったことでございますが、少し設備投資には私は慎重に見た方がいいと思います。  消費の方は、先ほども申し上げましたように、いわゆる毎月の全国の家計調査、八千世帯でございますが、これは今のところマイナスの傾向ですが、一定の時期を過ぎまして、これが少しでもプラスに転じますと、これはGDPの六十幾つございますから、それで、先ほど申しましたように、実は一—三と申し上げたいのですが、今、現に一—三でございますので、まだ家計の収入が上がっている傾向はございません。  ですから、やはり労使のいろいろな話し合いがあって、その間に、事態の正常化と申しますか、リストラというものをお互いにわかってきて、それが出てきますのは多分四—六であって、それがわかるのは九月になるのではないか、こういうことを考えておるわけでございます。
  26. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員指摘のように、日本経済は、最悪の事態は脱したと思いますけれども、依然として民間の需要の回復は非常に弱い状態でございます。  特に、今大蔵大臣の御指摘がございましたように、消費支出は、この十二月、ちょっとへこみました、下がりました。それはボーナスが悪かったという所得要因もございますし、月の初めが非常に暖かくて、冬物、暖房器具が売れないというようなこともございました。それから、恐らく、これは私の私見でございますけれども、コンピューター二〇〇〇年問題などが言われたものですから、ある程度旅行などは抑えられた。そういうようなこともございまして、家計調査の中の勤労者世帯については、かなり下がっています。  それからもう一つ、ちょうど公共事業の端境期になりまして、御審議いただき、可決していただきました補正予算がまだ発現しておりませんで、前倒ししましたものとの間にちょっとすき間ができている、これもマイナス要因になっているかと思います。  輸出はかなり好調でございますが、輸入もふえておるというような状態でございます。  これからの見通しでございますが、これは一部聞き取り調査でございますけれども、一月の消費は順調なようでございますし、自動車の売り上げも増加、これは普通車も軽自動車も両方とも増加いたしました。  設備投資につきましては、今大蔵大臣が御説明になりましたように、去年の九月から機械受注がふえております。大体六カ月から九カ月、先行指標でございますので、大蔵大臣が申されたように、今年度の後半になりますとこれが出てくるだろう。  一方で、過剰設備は解消しておりませんが、在庫は相当減ってまいりましたし、新しいIT、情報技術などが生まれてまいりまして、かなりそういう点では、年の後半には明るい予想ができるのではないかと考えております。
  27. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございました。  年度後半の自律的な回復に大いに夢を持ち、期待をさせていただきたいというように思っております。  さて、そうなりますと、その状況の中で、私ども、どうしても気になることが一、二ございます。土地のデフレ傾向がとまっていないということと、不良債権の処理が実質的にちゃんと進んでいるのだろうかというまず二点、そして三点目は、もっともっと政府のできる需要喚起策があるのではないのかというこの三点でございます。  まず、私どもは、不良債権処理が終わっていない段階で財政構造改革に手をつけるということで、大変手痛いエラーをいたしたような感じがいたしますけれども、この不良債権処理がどうなっているのかということについて、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  28. 越智通雄

    ○越智国務大臣 衛藤委員にお答えさせていただきます。  不良債権は今幾らぐらいあるかということをまず申し上げますと、全国銀行と申しまして都市銀行から第二地銀までの分で、自己査定でございますと六十兆という数字が出るんですが、銀行法二十一条に基づいてリスク管理債権という概念も通常使われておりまして、これですと約三十兆。その差は第二分類をどこまで入れるかということでございますが、その三十兆のケースでいきますと、九月の中間決算では実はとんとん、三月と一緒でございます。全然減っていないかといいますと、実は二兆ほど減ったのですが、基準をきつくしたものですから、それでふえた分と相殺になりまして三十兆同士。  では、その三十兆というのはどの程度で処理できるかというと、全国銀行は、今のベースでございますと、約五百三十兆貸し出しがございますので、そのうちの三十兆でございますが、担保で手当てしてありますのが約十三兆、三十兆に対しまして。それから、あと引当金が当ててあるのは十三兆。二十六兆ぐらいは手当てがしてある。  そのほかに、銀行の有価証券の最近は含み益が出てまいりまして、九月末は日経平均が一万七千六百円ぐらいでございましたけれども、その段階で既に約十兆、全国銀行の有価証券は含み益を持っております。そして、年間に約五兆ぐらいの収益が上げられると思いますので、現状での三十兆は、その意味では完全に、完全にというか大体カバーできる、こう思っておりますが、今申し上げましたような収益も、あるいはその評価益の方も、担保力の方も、先生指摘の土地がもし今後も相当に下がっていくと、減少傾向になります。株価の方は、もちろんそのときの動きでございますが、現状では、九月以来の四カ月で約二千円上がっておりますので、今申し上げた数字はさらに膨らんでいるのじゃないか。  全国銀行ベースでは、今までに約六十兆ぐらい整理してまいりましたけれども、平成四年からやってまいりましたけれども、今度の三月決算でその整理をさらに一段と進められるのじゃないかな、このように考えております。
  29. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 不良債権処理、どしどし進めていただきたいと思います。  そして、先ほどからお話がございましたように、まず金融政策についてちょっとお尋ねをしたいのですが、御承知のとおり、英国等では、二けたインフレをとめるためにインフレーションターゲティングをやっております。日本においては、議論をされ始めたところでございますけれども、暴論だという意見もあれば、いや、もう既に五十五カ国程度採用されている、むしろ考えるべきだ。その意味は、日本においてはインフレではありませんで、インフレ懸念はないわけでございますから、むしろデフレをはっきりととめるという形で、一定の範囲内で物価を持っていくという形でそれを導入すべきではないのかという大変強い意見がございます。  そしてまた、今この時点において金利上昇を恐らくさせられないであろうと思いますので、そのことも考えますと、今むしろ積極的に、今のうちにとるべきではないのかというぐあいに考えます。そして、一刻も早くこのデフレをストップさせるべきではないのか、不良債権処理も入れまして。  きょうの株価は、何と今時点で一万九千八百三十円になっているそうでございますが、いい状況が出つつありますので、そこも入れて、ぜひ大蔵大臣に御見解、個人的見解でも結構でございますので、お願いをいたします。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 インフレターゲティングという議論をいろいろに伺いますけれども、おっしゃる方によって、言っておられる内容が必ずしも一様でございません。今委員の言われましたような目的を達する方法として議論されておるようでございます。  どうも私には、実は具体的にどういう手段を用いるのかということについての自分なりの納得がなかなかできずにおりますが、実際にはしかし日本銀行、これは基本的には日本銀行の方針でございますが、今のような非常に低い金利、なきに近いような金利を維持していること自身が、かなり通貨当局としてもその点を苦労しておられるのではないか。  そういう意味で、通貨の供給をこういう状況に置いておられるということ、短期金利はもとよりでございますが、長期金利も一・七とか一・八、国債金利がそのぐらいでございますので、そういうことをなお日本銀行ができるだけ維持していこうとしておられる、そういう努力は、結果としてはおっしゃるような効果を持つのではないかというふうに思っております。
  31. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それでは最後に、この数年間、私どもは不良債権処理のためにあらゆる法整備等をやって進んでまいりました。いよいよ最終的には、例えば特定調整法だとか、いろいろなものがこの春ぐらいから具体的に本気で動き出すと思うのですね、今準備をいろいろされているようですから。不良債権処理についても、いろいろな形で損切り等も行われていくのではないかというふうに期待をいたしております。そのような整備をこの二年間の間、非常に私は力強くやってきたと思うのですね。リチャード・クー氏が言うように、アメリカでは八年かかったけれども日本では二年でやり上げた。まさに反転攻勢の時期が来た、そういうような感じを持っております。  そういう中で、同時に産業競争力の強化ということについても、みんなで、国を挙げて頑張ってきました。競争力の強化策としていろいろなことをやってまいりました。また、産業再編成や企業リストラも予想以上に進んできたというように感じています。また、改めて日本の持っている競争力を再発見したというか、やはり物づくり技術だとか、あるいは通信技術、携帯電話等大変な勢いであるという、それも自信を回復しつつあるのではないのかというふうに思っております。また、金融も再編成の方向をとっております。そして、そういう状況の中で、財政支出でやはり支えてきたと思います。  あと、さて残っているのは何であろうか。やはり先ほどからお話ありましたように、私は、設備投資に火がつくことと、それから一般消費に火がつくことだと思うのですね。それで、国としてやはりすべきことがまだ残っているのではないのかという感じがいたします。  先ほど亀井政調会長からも、本当に美しい国をつくるためにもっと投資をしようじゃないか、生活を量から質に転換しようではないかとお話がありましたけれども、たくさんのことがあるのではないのかと思うのですね。  例えば、今我々もみんなで手をつけておりますけれども、技術革新の加速によるところの市場をもっと大きくできるのではないか。ミレニアム事業で入れていますけれども、思い切ってもっとやっていいのではないのか。  例えば、ヒトゲノムをアメリカで解析されたといいますけれども、応用は今からでございますから、ここにこのままほっといて、製薬会社だけで、あなた方やりなさいというのでは無理だと思うのですね。国を挙げてやっていいのではないのか。あるいは、研究開発投資減税をもっと徹底していいのではないのかとか、あるいはイネゲノムなんかは日本の得意分野ですから、これも入れていますけれども、もっと思い切ってやっていいのではないのか。そういうところに新たな市場ができるのではないのか。  あるいは、規制緩和によって、私は、タクシーだけで規制緩和をやっても、これはもうほとんど人件費ですから、価格引き下げのための効果はないと思うのですけれども、需要創出のための規制緩和、例えば、これは携帯電話等において起こりましたが、そういう分野があるのではないのかとか、あるいは、まだまだ行革が半ばでございまして、もっと政府の仕事を民営化していく、外部化していく、アウトソーシングしていくということはもっとたくさんできるのではないのか。そうしますと、そこに、民営化することによって、その周りにいろいろな産業が興っていくのではないのかというようなこともあろうかと思うのですね。  あるいは、政府によるいろいろな戦略投資も可能ではないのか。政府の電子化だとかあるいは教育の情報化、我が国においては、各学校にコンピューターを配っていますけれども、教室に配っているのであって、一人一台というところまでいっていない。これは思い切ってやったらどうなんだろうか。アメリカはこのことが一気に生徒に普及することによって家庭に普及するというようなことをやりましたが、そういうことも可能ではないのか。  あるいは、都市インフラはまだまだおくれております。この整備をやる部分がたくさんあるのではないのかというふうに思うのですね。  例えば、東京だけ見ましても、本当に災害に強い町づくりに変えなければいけないのではないか。あるいは、阪神・淡路大震災でたくさんの住宅が倒れましたけれども、これのために国も補助金を出しながら地震等に強い住宅につくりかえるという必要があるのではないのか。あるいは、もっともっと美しい町づくりをするために、もちろん電線の地下化等いろいろなことをやっておりますけれども、やることはたくさんあるのではないのか。あるいは、交通インフラの整備もやることがある、あるいは高齢者対策のために町をつくりかえる必要があるのではないのか。  そうしますと、このようないろいろな形での都市インフラの整備も可能性がある。  あるいは、私の方は、九州は大分県という地方の方に住んでおりまして、片や、新幹線に乗りますと三百キロで走れるところがある、私どものところは特急でも百キロいかない。八十何キロというところですね。これは時間を共有できないということで、大変なことだと思っているのですね。少なくともここに百七、八十キロなりの、もっと速い列車を走らせる。フリーゲージトレーンを導入するとか、あるいはミニ新幹線を入れるとか、いろいろなことをやっていくことで、もっともっと政府がやらなきゃいけないこともあるのじゃないのかというぐあいに考えます。  あるいは、金融市場や税制改革等による金融資産の運用の多様化等、あるのではないのかと思うのですね。もちろん、こういうことに対する、定量化による比較だとか順位づけというのが問題になる、あるいは実行力が大きなかぎになってくるとは思うのでありますが、ぜひそういう方面において改めて、暮れの補正予算の中でも気を使いました、そしてまた今回、新年度予算についてもそういう配慮がなされていると思いますけれども、まだまだそこのところは行き届いていないのじゃないかと思うのですね。そういう意味におきまして、総理のお気持ちというか、それから大蔵大臣のお気持ちをぜひお伺いさせていただきたいと思います。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 総理がお答えなされます前に、私から具体的に御説明を申し上げたいと思います。  政府の公共事業投資が旧態依然であるという批評は何年か続いておりまして、今もそういう批評がございますが、実は、御承知のように、実態の方はかなり変わってまいっております。  昨年、政府が緊急対策を秋にいたしましたときに、いわゆる新生対策として、四つの項目に重点的に分類をいたしました。それはもう御承知のことでございますが、ちょうどいい機会でございますので御説明をさせていただきたいと思います。  一つ経済構造改革。これは物流を中心にいたしまして、例えば空港であるとか幹線道路とか。第二は環境に関する対策。これはダイオキシン等々が例でございます。第三は、少子高齢化に対応する、いわゆるバリアフリーでありますとかそういう種類のもの。第四は情報通信関係。これは光ファイバーの空間とかいうものでございます。  こういう四つを、総理にお預かりいただきました二千五百億円を四つの方面に予算化したわけでございますが、実はそれだけでは小さいので、申し上げたいのは、それに従いまして従来の予算を全部この四つに分類いたしまして、どうなっているかを検証いたしております。そのトータルは、御審議いただいております予算で二兆円余りでございます。それは、全体が九兆四千億でございますので、そのうち二兆円余りがそのような四つの、いわゆる将来への問題に対応するための予算として使われておりまして、公共事業の二二%、対前年比で七・四%の増でございますから、かなり大きな重点化が行われております。  他方で、これも御承知のことでございますが、これは非公共で、いわゆるミレニアム予算。これは、従来いたしておりませんでした、総理府の内政審議室が中心になりまして、各省庁を全部横断しまして、民間も加わってもらいまして、八つのプロジェクトを新しく定めました。  それは、今申しました四つの分類のうち、公共はございませんから三つになりますが、環境と高齢化と情報化。今おっしゃいましたヒトゲノムの問題は高齢化の中に入れておりますが、情報化では公共学校をネットワークで結ぶといったようなこと。光ファイバーの方は先ほどの公共の方にございますので、そういったようなことで八つのプロジェクトを、一年ではできませんので、実は単年度の予算としては少し苦しいところがございますけれども、しかし、五年ぐらいを実際上保障する形で、八つの分野でこれをやろうとしております。これは今までやらなかったことでございますが、こういう努力をいたしまして、今委員のおっしゃいますような、将来の問題を公共あるいは非公共の施策の中で積極的につかまえていこうという努力をいたしておりますことを御報告いたします。
  33. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございました。  もっと積極的にこれを進めながら、必ずやこの需要の拡大を私どもも期待をさせていただきたい。そして、将来における成長産業というものが大いに日本の中において伸びていくことを期待いたしている次第でございます。  最後に、今大蔵大臣から、物流、環境、少子高齢化そして情報という四つの重点を決めたというお答えがありました。これをもっともっと大きな声で発信をしていただきたいなというぐあいに思います。  市場と政府の役割というものがあると思うのですね。昔は政府が何でもかんでも決めました。最近を見ますと、一応規制緩和はやるけれども、あとは民間が全部やれよ、市場ですよという感じをちょっと受けます。しかし、経済再生というぐあいにこの国の戦略を決めてから、非常に立ち直りが早かったというぐあいに思うのですね。これもやはり国が明確な戦略を持ったからだというように思うのですね、戦略を発表し。  そういう意味におきまして、金融あるいは情報技術だとか、あるいは遺伝子の方は少子高齢化の方に入れたようでございますけれども、そういういろいろな分野における戦略というものをぜひ外に向かって発信をして明確にしていくということが、おのずとその後、それを実現するために、効率的に、市場もついてくるのではないのかという感じがするところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  ちょっと話は飛ぶかもしれませんけれども、まさにこの十年間の経済状況を見て、一年ほど前には第二の敗戦というぐあいに言われました。  アメリカは、一九八五年にレーガン大統領が、新通商政策によって知的所有権、情報を世界戦略の支柱にするというぐあいに宣言し、それがまたクリントン大統領に引き継がれまして、金融と情報が世界戦略となり、まさにそれによって一九八〇年代の停滞していたアメリカ経済というものが大いなる成功をおさめたというぐあいに感じるものでございます。  そういう状況を、改めて国の戦略の必要性ということを私はこの十年間を通じながら感じたところでございますけれども、総理一言どうでしょうか。
  34. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 いわゆるバブルが崩壊いたしましてからの十年、ここは大きな反省の材料になっているのだろうと思います。  一たん事を決すれば、日本の場合にはかなり急速に大きく進展をするわけでございますが、その間に至る間については、なかなか国民的コンセンサスも得られない。  例を申し上げれば、いわゆる金融の不良債権の処理につきましても、住専の問題一つを処理するためにも、国からの資金を入れるということにつきましてはなかなかもってコンセンサスが得られなかったということでございますが、その後、市中銀行も含めまして、先ほど越智大臣がお話しされていましたように、大きな不良債権を処理するということにおいて、いざやろうと試みれば、昨年来の二法をつくっていただいたと同じように急速に大きく変化できるというのが、日本人の持つといいますか、そういう姿だろうと思います。  そういった意味で、ここ十年間の間、問題がかなり意識はされておるもののなかなか実行に至らなかったという点につきましては、ここ一両年相当大きく変化しておると思いますので、問題の諸点をさらに十分把握しながら積極的に対処していくべきものというふうに考えておる次第でございます。
  35. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それでは、ちょっと教育の問題につきまして質問させていただきたいと思います。  代表質問におきまして森幹事長、そして、ただいま亀井政調会長からも質問がございました。改めて、確認的な意味になるかもしれませんけれども、質問をさせていただきたいと思います。  総理も今お話がございまして、最近の教育の荒廃とか、あるいは学校の崩壊とか青少年犯罪の激増とか、あるいは学級崩壊とかいじめだとか、そういうようなことが言われておりまして、大変深刻な状況だというように思います。そういう中で、総理は本当に何が一番問題だというように思われているのでしょうか。  いわゆる施政方針演説の中では、教育立国を目指すということが掲げられておりました。そして、世界に貢献していくためには創造性の高い人材を育成することであるということが強く出ましたが、片っ方で、今国民的な議論になっておりますのはそのような問題とはちょっと違ったところ、いわゆるこの国が将来本当に、産業界から見たら創造性の高い人材をということかもしれませんけれども、しかし、今いろいろな議論をされております教育の問題につきましては、現実のこの教育の荒廃だとかあるいは学級崩壊、いじめだとか非行だとか、そういう問題が激増しているという状況の中で、先ほど総理は、むしろ戦前戦後の価値観の転換の中で守るべきものを失ったのではないのかというような御意見がございましたけれども、どういうぐあいにとらえているのか、そこについてお答えをいただければと思います。
  36. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 かねて教育改革につきましては主張されてきておるところでございますけれども、この際、戦後の教育歴史をいま一度たどりながら、今委員が御指摘のような現象面での学級崩壊やいじめの問題やその他万般にわたる問題がございます。  こうした問題のよってもって来るところの原因は何かということをやはりこの際総合的に判断をし、検討するべき時期に来ているのじゃないかということでございまして、この点につきましては、与党三党からも、教育改革国民会議を開催して総合的に戦後の教育を洗いざらい検討すべき、こういうことの御指摘をちょうだいいたしておるわけでございます。  もとより、この間、教育制度のあり方を含めましてそれぞれの内閣におきましても検討を進めてきたことでございますし、また中曽根内閣時代におきましては、臨教審という形の中で、大きく日本教育を見直そうということで答申をいただいておるわけでございますけれども、さりながら、これを具現化するということになりますと、なかなかその実行がすべて行われたと言いがたい点もあるわけでございます。  そういった意味で、総合的な教育のあるべき姿ということを真摯に、また素直に立ち戻って考える、その時期が来た、こう考えまして、その会議を開き、そしてこれは、単に政府が審議会をつくってそこに答申を求めるということの以前の問題として、今御指摘されたような個々の問題について、国民全体の中で何をなすべきかという考え方、すなわち国民的な、ある意味での運動と申し上げますか国民の要望、こういうものを受けとめる中でそうしたものをつくり上げていく必要があるのじゃないか、こう考えておるわけでございます。
  37. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございます。私もそのとおりだと思います。施政方針演説の中におきまして、それがちょっとこう、正面にもっと出ていただきたいなという感じが実はいたしております。  いじめの問題だとか学級崩壊、例えば学級崩壊一つとりましても、実際は我慢の訓練ができていない、それから席に着かないあるいは人の話を聞かないということがありまして、やはり人間教育というか道徳とかモラルの問題というのは極めて大きな問題になってきている。いじめの問題もそうだと思うんですね。最近、ですから、それらの問題について、そういう状況をクリアしないで、ただ創造性の高い人材を育成することが教育のすべてだということになってしまうと、また同じことを繰り返してしまうんではないのかということを私は思います。  ですから、今私どもにとりまして一番大事なのは、さきに述べましたような教育の混乱を正すことであり、先ほど総理からもお話がありましたように、教育歴史をたどって、戦後の教育を洗いざらい一回総括をすることではないのかなというぐあいに思います。そのために、思い切ってはっきりと、人間教育や道徳教育というものが必要でないのかということの視点の中からやはり見直さなければいけないんではないのか。  どうも我々は、長い間、奥歯に物が挟まったような言い方をして、そこにできるだけ触れまいとしてきました。しかしながら、まさに総理も言われましたように、第三の改革と言われるのを控えながら、戦後のアメリカ化された、アメリカ教にというかアメリカ化された、アメリカによって基礎をつくられてきた教育だとか憲法だとかいろいろなものがございましたけれども、いよいよアメリカ自身日本に向かって自立を求めているという時代の中で、まさに第三の改革というのは、日本フロンティア日本の中にあると総理が宣言したように、まさにそういう状況だというふうに思うんですね。  そういう意味におきましては、改めて、この人間教育や道徳教育というものをちゃんと据えながら教育の見直しをするんだということをやはり宣言する必要があるんではないのかという感じがします。このままでは、例えば家庭教育が大事だといったって、何を家庭教育するのかというところが全然はっきりしていない。  今まで、知育、徳育、体育が大事ですよといっても、一体どんな徳育をするのかということがはっきりわからない。それから、学校教育社会教育と家庭教育が大事だよといっても、何をどう教育するというのがはっきりわかっていない状況で、外側の体制の議論ばかりしてきたような感じがいたします。思い切ってこの教育問題の一番の根幹の問題に迫るような形で、ぜひ教育基本法の改正をしていただきたいと思うんですね。  やはり教育というのは文化の継承であると思うんですね。人類や日本人がずっと蓄えてきたところの文化をちゃんと次の世代に継承していく、そしてその上に創造が乗っかるんだということがはっきりされていかなきゃいけない。その文化等の、あるいは生活様式等の継承がなされないまま全部幾ら上を乗せてもなかなかうまくいかないんではないのか、それが実は現在の教育混乱の原因ではないのかなという感じが私はいたしています。  そういう中で、総理は、教育基本法の見直しもやる時期かもしれないということを先ほど亀井政調会長にもお話をされました。農業基本法の見直し、そして中小企業基本法の見直しもありました。あらゆる基本法の見直しの段階に来ております。ぜひともこれを積極的に見直されますよう心から希望する次第でございます。  ところで、教育改革国民会議というのを進められようとしておりますけれども、改めてこの教育改革国民会議の中で、人間教育ということをぜひはっきりと位置づけていただきたい、やはり文化の継承が大事なんだということを位置づけていただきたい、そして日本人を育ててきた価値観というもの、アイデンティティーというものを大事にするということをちゃんとやっていただきたい、そんな感じがするところでございますが、総理文部大臣の御見解を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
  38. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 大変貴重な御意見を拝聴いたしまして、感謝を申し上げる次第でございます。  お話しのように、人間教育、これは極めて大切なことでございますし、また、日本人としてのアイデンティティーということを申されましたけれども、これまた極めて重要なことだろうと思っております。そうした意味合いにおきまして、御案内のような基本法たる教育基本法をいま一度、戦後、二十二年にこれが制定されておることにかんがみまして、その後の教育の中で生涯教育社会教育、その他いろいろな問題もございますし、今申し上げました日本人としてのアイデンティティーの問題等がどのように織り込まれておるべきものかどうかということも含めまして検討させていただきたいと思っております。     〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
  39. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど委員から、学級崩壊、いじめ等の現場での問題のお話もありました。教育の問題は非常に幅が広く、奥行きもありまして、制度の問題あるいは学力の問題、道徳の問題、いろいろありますけれども、私は、一番大切なことは、委員も御指摘のいわゆる徳育的な面ではないかと思っております。  学力も大事でありますけれども、まず、日本人としてしっかりとした人間であるということが大事でありまして、そういう意味では、戦後の教育も、非常に日本教育水準が上がりましたけれども、一番欠けているのはこの徳育面ではないかと思っておりまして、いわゆる知育、徳育、体育、この三つのバランスがとれた教育をこれから心がけていかなければならない、そういうふうに思っております。  それから、教育基本法の改正につきましては、あるいは議論につきましては、今総理からお話があったとおりでございます。いろいろな戦後制定されました基本法等も昨年改正もされました。戦後五十年余たったわけでありまして、これが時代に合ったものかどうか、そして、日本人に合った教育基本法かどうかということをここで議論することは非常に重要なことだと思っておりまして、教育改革国民会議の動向を見ながら、私どももこの問題に取り組んでいきたい、そういうふうに思っているところでございます。  なお、伝統文化等のお話もありました。これも特に大変なことでありまして、日本人としてのアイデンティティーをしっかりと持つ、そして立派な国際人になるというためには、これも大事なことでありまして、これらの振興、促進にも努めていきたいと思っております。
  40. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございました。  それで、社会保障について質問をさせていただきたいと思います。  総理は、今回の施政方針演説の中で、安心への挑戦ということを挙げられております。まさに人々が生き生きと、そして安心して過ごせる社会を築くことは政治の重要な責任であります。そのためにも、国民生活の基礎である社会保障制度について国民の間の不安を早急に払拭する必要があるというぐあいに思います。  私どもも、この社会保障制度の整備に向けて、与党といたしましても、国民の理解をいただきながら果敢に制度の見直しに取り組んでいく決意でございます。  やはり二十一世紀社会福祉としては、自立と共生という哲学のもとに、自立した個人観のある社会、そして、高齢者も含め、障害者も、各個人が持てる能力を最大限生かしていくことのできる社会ということが望ましいと思います。そしてまた、これからは自助、公助に加えて共助、支え合いという仕組みを適切に組み合わせなければならないのではないのかというぐあいに考えている次第でございます。  そういう中で、まだ国民皆さんからは、社会保障が大丈夫なのか、少子高齢化の中で負担がふえて耐えられるのか、あるいは、将来まで社会保障がもつのかなというような心配をされている向きもあります。また、その姿がどうも見えないというような御批判も寄せられているところでございます。  我々、自自公の連立政権を発足されるに当たりまして、政策課題合意を結びました。「高齢化社会での生活の安心を実現するため、まず、二〇〇五年を目途に、年金、介護、後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築する。それに必要な財源の概ね二分の一を公費負担とする。」などとしているところであります。  総理は、このような形で決まったわけでございますが、このたびまた、社会保障構造のあり方について考える有識者会議を設けられました。少子高齢化の進行によりまして、社会保障の給付と負担が増大する中で、新しい社会保障制度全体の給付と負担をどうするのかということは大変意義深いというぐあいに思っております。  そのような国民の安心を確保するためのセーフティーネットと言われます社会保障制度を構築していくに当たっての、私は、総理決意をお聞かせいただきたいというぐあいに思います。よろしくお願いします。
  41. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 社会保障制度につきましては、衛藤委員は最もこれを詳しく勉強もされますし、また政策の提言も行ってきていただいておるところでございます。  私は、この社会保障制度につきまして、年金とか医療とか介護とか、それぞれの分野におきまして、これを解決するために、いろいろの手段をとられて努力されてこられたことにつきましては高く評価するところでございますが、しかし、同時に考えてみますると、こうした問題を総合的にすべて考えていかなければならない、本当にその時期が来ておるのではないかというふうに考えております。  そうした意味で、社会保障制度の改革につきましては、総合的にぜひこれを取り組んでいかなければならないということを考えておるわけでございまして、従来、制度ごとに縦割りに検討いたしてきた点がありまして、そういうことで、実際にこれから費用負担し、サービスを受ける国民の視点から、総合的な検討が必要な時期に来ておるのではないか。  ちょうど団塊の世代の方々が高齢世代に仲間入りする、こういう時期を迎えておりますので、そういった意味で、ある意味では最後の検討の機会だ、こういう思いをいたしまして、社会保障構造のあり方について考える有識者会議を設置いたしまして、まさに横断的な観点から検討をお願いを始めたところでございます。  今後とも、将来にわたり安定的で効率的な社会保障制度の構築に全力を挙げていきたいというふうに考えておる次第でございます。     〔町村委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ただいま、社会保障の見直しを進める第一歩として、年金の改革案が国会に出されております。  言うまでもなく、年金制度が高齢者の老後生活に果たす役割はますます増大をいたしております。高齢者世帯のうち、公的年金を受給されている世帯は九七%と言われております。また、高齢者世帯の所得に占める年金の割合は六十数%、そしてまた、そのうち公的年金のみの世帯が六〇%いるということでございまして、年金の安定ということは、極めて将来のセーフティーネットにとって大きな影響を与えるわけでございます。  しかしながら、少子高齢化の進展とともに、年金制度をこのまま放置すれば大変なことになるということは、だれもが承知をいたしております。現行の給付を維持しようと思えば、現在の年金給付の六割までしか賄えません。将来世代に大きな負担を先送りするということになります。  そして、今の給付水準を維持しようと思えば、現在若い方々の負担は、年収ベースで一三・五%でありますが、放置すると、何と倍の二六%を超すということになるわけでございまして、いずれにいたしましても、この年金改正は先送りをしないように、早急に改革しなければいけないということで、この改正案を出されているところでございます。  そういう中で、若い方々の負担も、年収ベースで二六%から一九・六%、二〇%以内に抑えよう、そして給付水準もできるだけ下げることのないように、上げ幅について若干考えさせていただくけれども、これを下げることのないようにという形での改革案が提出をされています。  また、その中におきましても、学生の保険料の追納制度だとか、あるいは育児休業期間中の厚生年金保険料の事業主負担の免除など、いろいろな工夫もしているところであります。老後に対する国民の不安を解消して、制度に対する信頼を確保するには、一日も早く将来の姿をここに示すことが私は大切だというように思っております。  現在、参議院において年金改正法案審議されていますけれども、我々も政治家として、その審議を一刻も早く進めることができ、一日も早い成立を図ることが必要だというように考えております。  厚生大臣の年金改正に取り組む基本的な考え方をぜひお聞かせいただきたいというように思います。
  43. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 総理からも御発言がございましたけれども、衛藤委員におかれましては、この社会保障の問題に大変若手のリーダー格として御尽力をいただいております。心からまず敬意を表したいと思います。  今、参議院におきまして年金法の改正案が審議中でございます。御案内のように、私どもが想像する以上の少子高齢化の波が押し寄せてきております。そして、先ほどから御指摘経済のいわゆる低成長、こういったような環境もございまして、年金を取り巻く環境というのは極めて厳しくなっておるわけでございます。  こういうことを踏まえながら、いわゆる将来世代が、まさに御指摘がありましたような将来世代が、現役世代が過重な負担とならないように、そしてさらに、確実な給付を約束する、こういうような考え方に立ちまして今回の制度全般にわたる見直しというものを行ったような次第でございます。  具体的には、先ほど来御指摘もございますけれども、高齢化のピーク時におきましても、保険料を二割負担、そして無理のない範囲に抑えていく、それとともに、現役世代の手取りというものをおおむね六割程度の給付水準にする、こういうことをねらいといたしておりまして、いずれにいたしましても、長期的、安定的なシステムを確立して、国民皆さん方にそのビジョンをお示しすることが私どもに課せられた使命であり役割である、このように考えているような次第でございます。  そういった観点から、現在参議院で審議中の年金法改正案を一日も早く可決成立させていただきますことを心からお願い申し上げる次第でございます。
  44. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 次に、医療保険制度改革についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  昨年の予算編成におきましても、まさにこの医療制度改革ということにつきましては政治主導によって進められてまいったというように思います。このような政治主導改革の案が進められてきたわけでございますけれども、このような改正等によりまして、医療制度の抜本改革に向けて大きな私は第一歩を踏み出したというぐあいに認識をいたしております。  薬価差益の問題もほぼ解消する方向に近づけたというように認識をさせていただいております。また、出来高払いから包括払いにも大きく前進しようといたしております。さらには、お年寄りの通院の定率負担ということも導入されるようになりました。さらには、診療報酬改定の中で、医療の中におきましても、新技術への保険導入や、あるいは小児医療、救急医療の充実だとか、あるいは寝たきりにしないリハビリテーションだとか、在宅医療の充実等への対応をやろうということになってきているわけでございますが、ただ、まだ残った問題も幾つかあります。  もう半分近い方向ができたというように思いますけれども、あともう一つ残っている問題は、高齢者医療制度の見直しと医療機関の機能分担の推進を初めとするところの医療供給体制の見直しの問題でございます。この見直しについて、何とか私どもは果敢に進めてまいらなければいけないというように思っています。大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  45. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず、昨年の予算編成におかれましては、衛藤議員を初め自民党の方々、そして与党の皆様方の大変な御努力によりましてこのような医療改革の第一歩を踏み出すことができたことに対しまして、心から感謝と敬意を申し上げる次第でございます。  御案内のように、医療改革というのは、薬価制度の問題、診療報酬の問題、そして高齢者の医療制度の創設の問題、さらに医療提供と多岐にわたっておるわけでございますが、その中でも特に私どもが、率直に申し上げまして、大変関係者の間で意見の隔たりも多くてなかなか集約しにくいのが高齢者、つまりお年寄りの医療制度のあり方でございます。  これにつきましては、私はかねがね、この四月から介護保険制度がスタートする、その一方で現実問題としてなかなか難しいのではないか、こういうような認識を持っていたことは衛藤委員も御承知のことと存じます。  さらに、いわゆる高齢者の医療制度をどういう形にするかによって、大変財政的に深刻な国保の問題、この問題も考えていかなければならない。つまり、保険者全体のあり方ということも含めて考えていかなければならない。さらに、運営主体の問題であるとか財源の問題であるとか、こういう問題を抱えておりますけれども、いずれにいたしましても、私どもはこのまま放置しておくわけにはいかないわけでございます。  そういう観点から、平成十四年度を目途にいたしまして、一つの集約した意見に取りまとめ、実施していきたい、このように考えているような次第でございます。  それから、もう一点でございますが、医療提供体制でございます。  これにつきましては、昨年の七月の医療審議会においていわゆる中間報告がなされているところでございます。これを受けまして、入院医療を提供する体制の整備、医療における情報提供の推進、医師、歯科医師の臨床研修の必修化などの課題につきまして、平成十二年度から順次実施するため引き続き検討を行っております。  なお関係者の間でまだ若干の意見の隔たりがございますが、できるものから順次進めていきたい、このように考えているような次第でございます。
  46. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 次に、少子化対策についてお尋ねをしたいと思います。  最近の出生率は低下の一途をたどっております。平成十年には何と一・三八になりました。人口規模を維持するのに必要な数字は二・〇八と言われておりますので、大変な状況でございます。人口は、二〇〇七年を頂点に減少に転じまして、二〇五〇年には一億人、二一〇〇年には現在の半分の約六千七百万人にまで減少するというぐあいに言われております。  このような少子化の進行は、国民生活やあるいは社会保障制度そのものにも大変大きな影響を与えるわけであります。もちろん結婚や出産は当事者の選択により行われるわけでございますけれども、急速な少子化の進行ということは、我が国の存立にかかわる極めて憂慮すべき事態でもございます。  政府は、従来から、とにかく子供を産み育てやすい環境をつくろうということから各種対策に取り組んでまいりました。しかしながら、私は、もうそろそろこれを一歩さらに推し進めて、少子化の進展に歯どめをかけるという方針を明確にする必要があるのではないのかというぐあいに思っています。  諸外国の家族政策を見ますと、それぞれ文化的、歴史的な背景のもとに、フランスのような出生促進型モデル、ドイツのような伝統主義モデル、北欧のような平等主義的モデルというのがありますけれども、日本の場合は、これらを手本にしつつ、総合的な少子化対策に取り組まなければいけないというぐあいに私どもは考えています。  現在、少子化社会対策基本法案が、このような危機感を共有する超党派の議員連盟により、そしてまた三党により提出をされているところでございます。三党連立政権の発足に当たりましては、少子化対策の推進を三党の政策合意に盛り込みました。そして、少子化対策検討会で精力的な論議が行われまして、総合的少子化対策の推進に関する提言を取りまとめました。私も座長をさせていただいたわけでございますが、前の座長は丹羽厚生大臣でございまして、みんな懸命に取り組んでいるところであります。  総理も、少子化対策推進関係閣僚会議国民会議をみずから主宰されるなどして精力的に取り組んでおられます。総理決意国民皆さんに向かってわかりやすく語っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  47. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 近年の急速な少子化の進展は、社会を支える働き手の減少や市場規模の縮小、子供の健やかな成長への悪影響など、我が国社会経済全体に広く深刻な影響を与えることが懸念されており、社会全体で取り組むべき重要な課題と考えております。  結婚や出産は当事者の自由な選択にゆだねられるべきものでありますが、政府としては、仕事と子育ての両立を支援し、安心して子育てができるような環境整備を進めることにより、二十一世紀我が国を、若い男女が明るい家庭をつくり、子育てに夢や希望を持つことができる社会づくりを進めることといたしております。  このため、政府としては、昨年末に策定した少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランなどに沿って、保育、雇用、教育、住宅などの分野における環境整備や児童手当の拡充など総合的な少子化対策を実施することといたしております。  また、国民的な理解と広がりのある取り組みを推進するため、私が主宰いたしております少子化対応を推進する国民会議において、各界各層における取り組みを進めることといたしておりますが、今、衛藤委員が、三党としてこの問題に本格的に取り組むための基本的な法律を提出されたというお話をされておりました。  実は、申し上げましたように、環境整備をいろいろやられるということは、これは当然のことだろうと思いますが、果たしてそれだけでよろしいかという問題意識も実はあるのでありまして、数日前にNHKの「クローズアップ現代」で、「増える三十五歳からの出産・育児」という大変興味のある番組を私も見させていただきました。  実は、先ほどのお話のように、日本の出生率が一・三八という話がありまして、たまたまこれが、デンマークがかつて六〇年代に最低の水準になりました。それが今、時がたって一・八〇ぐらいにまで上がってきておるのです。なぜかということを、いろいろ実はお話を、昨年、北欧のサミットというのがありまして、アイスランドに行きましたときに大統領からお聞きしましたら、三十五から四十になった婦人が、最終的には家庭の楽しみというものはやはり子供を育てることだということで、いろいろな環境がもちろんでき上がったという上ではありますけれども、そうしたある種の年齢層になって子供を産み育てるという気持ちが、北欧におきましても出生率を高めたということなんですね。これは非常に精神的ないろいろな問題が私はあるんだろうと思います。  そういう意味で、環境の整備は政府としては最善を尽くしていきますけれども、それと同時に、そうした考え方にのっとって精神的な問題のことにつきましても取り組まなきゃならぬ、こういうことで、今、先ほど申し上げました政府としての懇談会をつくりまして、いろいろと貴重な意見をお聞かせいただいておりまして、例えば紺野美沙子さんとか鈴木光司さんとか、そういうみずから子供を育てながら仕事にも専念しているような方々の貴重な体験談も承らせていただきまして、この問題についてのこれからの問題解決のために努力をしていかなきゃならぬ、こういう視点もあるのではないか、こう考えておる次第でございます。
  48. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 まことにありがとうございました。  私どももそのとおりだというふうに思っております。まず、政治でできる環境整備をやっていく、そして、やはりその後は、家族や子育てが価値あるものとしてお互いに認め合っていく、そういうことができなければこの問題は解決しないのではなかろうかというふうに思っております。  また、少子化のもう一つの柱の中に、働き方の問題もございます。  今回、そういう中で、育児休業の給付が二五%から四〇%に引き上げられるというふうに決まりました。私は、これは非常に大きな前進であろうというぐあいに考えております。改めて、これは自自公連立政権の大きな成果だというふうに思いますので、評価をさせていただきたいというように考えています。  さて、最後になりますが、介護保険制度について一つだけ質問させていただきたいと思います。  介護保険制度は、まさに世紀の大事業でございます。今までどちらかというとお年寄りは受ける側でございましたが、みんなで広く、薄く支え合っていかなければいけない。国民の二人に一人が最後は介護のお世話になる、そして高齢化は毎年十万人の規模で進んでいく、そしてまた最終的にはこの高齢化率が三人に一人というところまで上がっていく。そういう状況の中で、介護の心配はますますふえていくという状況の中で、この介護保険制度というものをスタートしました。  この基本的な考え方は、やはり私は、大きく社会保障制度の仕組みを変えるあり方としてスタートしたというように思っています。一定程度のお年寄りの自己負担と、そして残りの二分の一は税から、そして残りはすべての四十歳以上の日本人によって、みんなで支え合おうという思想によってつくられた制度でもございます。そういう意味では、自助、公助、共助というこの組み合わせの中で、何とかこの介護をクリアしていこうというぐあいにしてやっているわけでございます。  いよいよこの介護保険制度の実施も間近でございます。円滑な実施、施行に向けまして、総理決意一言お願いを申し上げます。
  49. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 介護保険法は、社会の最も基本である家族が長期の介護のため疲れ果てて崩壊してしまわないように、介護の負担を国民皆で支え合う制度として制定されたものであります。  昨年秋に、与党三党の合意を重く受けとめて、介護保険法を円滑に実施するという観点から、高齢者保険料の特別措置を初めとする諸対策を決定したところであります。  施政方針演説で申し述べましたとおり、安心への挑戦に取り組むことといたしておりますが、老後を暮らす人々も健康で豊かで安心して生活のできる社会を築く上で、この制度を本年四月から円滑にスタートさせることが重要と考えておりまして、万全を期して政府としてやってまいりたいと思っております。
  50. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 改めまして、総理初め閣僚の皆さんの積極的な発言について感謝申し上げたいと思います。  まさに小渕政権になりまして大きく時代が動き始めた。金融の問題にしてもこのようないろいろな問題にしても、それは過去の積み重ねもあったと思いますけれども、それがいよいよ表に出て、これまた二〇〇〇年を節目に大きく、新しい日本をつくるために動き始めるんじゃないのかという期待が持てるというふうに私ども考えております。大いにこれからの政治に期待と自信を持ちながら頑張らせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  51. 島村宜伸

    島村委員長 この際、久間章生君から関連質疑の申し出があります。亀井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。久間章生君。
  52. 久間章生

    ○久間委員 補足して、二、三、具体的な例を述べながら質問をさせていただきたいと思います。  ただ、非常に残念なのは、野党皆さん方がこうして審議出席しておられないことであります。  また、国会における予算というのは、法律と違いまして、与党、野党の対立ということではなくて、政府対国会という、非常に厳粛な中での質疑が行われるはずのものでございまして、法案でございますと修正ができますけれども、予算の場合は編成権は政府にあるわけでございまして、国会ではそれを、組み替え動議は可決することができても、修正はみずからできないぐらいの問題でございますから、この予算の質疑というのは非常に厳粛なものでございます。  また、それだけ、国会議員として与党も野党もこの政府に対する質疑というのが国民に対する義務なわけでございまして、そういうような義務を放棄する形になるわけでございますから、大変残念でございますけれども、国民皆さん方がそれをどう評価するか。選挙も近まっておりますから、いろいろなビヘービアがあろうかと思いますけれども、それは、余りよその党のことを言いたくはないわけでございまして、ただ、非常に残念だなという気がいたしております。  ところで、まず、質問通告しておりましたODAの問題から入りたいと思います。  外務大臣にお願いしたいわけでございますけれども、先般、総理府が世論調査をした結果が新聞等で報告されておりました。それを見ながら、政府はせっかくODA、後進国に対する経済援助をやっているけれども、国民皆さん方からはまだまだ理解されてないなと、非常に残念な気がいたしました。  来年度の予算におきましても、金額としてはやや減っているようでございますけれども、昨年と比べて円高だというようなことも考えますと、実質的には余り変わっていないんじゃないかと思います。  そのODAについての理解がないのは何でだろうかと考えるのですけれども、一つには、ODAがどういう形で決められていくのか。何か外務大臣とか総理大臣が外国に行ったときに手土産みたいにやっているみたいな、そういう印象をどうも国民皆さんに与えているのじゃないか、そういう気がしてならないわけでございます。  我が国も国際的ないろいろな一員としても重きをなしてきたわけでございまして、発展途上国あるいは特に後進国に対しては、やはりそういう意味で、先進国としての、しかも主要国としての責務を果たしていかなければならないわけでございます。  しかしながら、ODAがどういう形で毎年具体的に箇所づけなりなんなりが決まっていくのか、その辺がどうもよく皆さん方はわからないんじゃないかと思っているわけですけれども、私自身も具体的なことになるとなかなかわかりません。というのは、各省庁にまたがっておりまして、それをどういう形で選択して決定されるのか。外務大臣が細かく、世界の各国の大使から上がってきて、各省庁にどういうふうに割り振って決めていかれるのか、その辺についてちょっと具体的にまた教えていただければ幸いと思います。
  53. 河野洋平

    ○河野国務大臣 ODA、すなわち政府開発援助についてのお尋ねでございますが、この政府開発援助は国際社会が非常に注目しているものでございます。これは先進国もそうでございますし、開発途上国あるいは最貧国の人たちも、政府開発援助が一体どういうふうに振り分けられるか、あるいはどのぐらいの額が予算化されているかということを、これはもう大変な関心を持って見ておられる。先進国先進国で、日本が国際社会の中でどういう貢献をするだろうかという意味で、これまた注目をしておられると思います。  今議員お話しのように、政府開発援助をどういうふうに、例えばどこの国にどういう形で提供するかということについてでございますが、いろいろな考え方がございます。  我が国がこれまでとってまいりましたのは、要請主義と申しますか、途上国、最貧国の人たちからぜひこういうプロジェクトをやりたいので応援してくれということを要請される、その要請を受けて政府はそれに支出をする、こういう要請主義、これがこれまで我が国がとってきた主流でございます。  しかし、世界各国を見てみますと、必ずしもこの要請主義ばかりをとっているわけではございません。国によっては、当該の国の政府とも十分相談をして、メニューを示して、こういうプログラムがあるよ、メニューがあるよ、どれか欲しいものがあるかというようなことを言って、相互の相談の上で開発援助を行うというやり方もございます。  それから、政府開発援助について国民の皆様から御理解を得にくいのは、どうも目に見えないではないかという御指摘も一方であるわけです。相当な額を出しているんだけれども、どれが日本の援助か目に見えないではないか、援助をするなら目に見える援助をやるべきだ、こういう強い御意見もございます。  こうした御意見にこたえて、例えば何か物資の供与をいたしますときには、ステッカーを張って、これは日本から来ているんだよということが現地の人にわかるようにしようとか、そういうことも考えております。あるいは、非常に目に見える援助としては、思い切って橋を一本かける。この橋は日本がかけた橋ですよと。中には、日本橋なんという名前をつけて、明らかに日本の援助によってできた橋だということが非常によくわかるというものもございます。  しかし、他方、国際社会の中では、そういう援助ではなくて、むしろ開発途上国あるいは最貧国に対する援助は、例えばアフリカの地域を考えますと、識字率をもっと上げる努力、あるいは妊産婦の死亡率を下げる努力、あるいは乳幼児の死亡率をもっと下げる努力、そういうものを先進国がみんなで一緒になってやってはどうかという考え方もあるわけです。しかし、この場合には、どこの国が幾ら出したかというのは全くわからなくなってしまって、まさに目に見える援助というわけにいかないものでもあるわけです。  しかし、大きな地域、そして長い目で見るとこうした援助の方式も、実は、一本それぞれの国が、この橋は私がかけました、この橋は私がかけましたというよりは、そうした大きなプロジェクトあるいは大きなプランに基づいて、みんながそれに応援をしていくというやり方もあるだろう。  さまざまな援助の仕方がございますが、今議員からのお尋ねでございますけれども、我が国はこれまで要請主義をとってきた。しかし今度、これからは、要請主義ということもやってまいりますけれども、幾つかの国をまずピックアップいたしまして、その国との間で十分話をして、三年計画とか五年計画、計画を立てて、その国と、必要なものは何か、そのためには我が国はこういう援助ができるよということで、国別援助方式と申しますか、そういう方式もとっていってはどうかということで、今、そうした考え方に沿った準備をいたしているところでございます。
  54. 久間章生

    ○久間委員 要請主義ということになりますと、各国から上がってくる、そうすると広く薄くというような、そういうことになりがちでございます。今まで、我が国は国連に遅く入って、国連加盟の各国から支持を得なければならない、そういうためにはODAの果たした役割も非常に大きかった。そういうときには、世界にできるだけ広くというような、そういう方針があったんだろうと思います。  私は、正月明けの連休のときに、その合間を利用しまして実はバングラデシュに行ってきたんです。バングラデシュへ行って、向こうの国務大臣と会って、ODAのことも話しましたし、いろいろなことを話しましたが、帰り際になって向こうの方が、クリントンさんが来月は来るんだという話で、一月ですから今月ですね、来るんだという話でございました。そうかな、こんなところにクリントン大統領が来るのかな、この時期に、アメリカの大統領選の予備選等があっておるときに来るのかなと思って帰ってきまして、外務省の方に、こんな話を聞いたけれども本当ですかと聞きましたら、いや、どうも本当のようですと。表向きは、ガス田が開発されて、その工場の落成式の調印式か何かに来るということですけれども、どうも本音はやはり石油のようだという話なんですね。そして、その話を聞きまして、なるほどなという話をしましたら、アメリカは国益となったらすぐ飛んでいきますからねという話でございました。  その当時、通産大臣がアラビア石油で非常に苦労しておられたのがちょうどダブっておりましたために、その話を聞きまして、なるほど、アメリカというところは企業のために出かけていくことというのは別に何ともないけれども、日本の場合は、メジャーのためにもし動いたら非常に非難をされるんじゃないか。そういうような何かちゅうちょがありますけれども、よその国ではそういうことはないんじゃないか、国益となったらなりふり構わず行くんじゃないかななんて思いながら実は帰ってきたわけです。  そこで通産省に聞きましたら、通産省の方は、いや、実はうちの方も、たまたまですけれども、前のエネルギー庁長官を団長にして、先月、一月の二十九日にミッションをバングラデシュに出すことになっているんですよという話でしたから、これは非常にタイミングな話だなということで、その向こうで会いました大臣を紹介しましたら、一昨日ですか、会ったようでございます。  やはり、ODA等をてこにしながら、アラビアじゃありませんけれども、将来の我が国の国益につながるという問題についてはもっと積極的に絡んでいく、そういうようなことを、少しえげつないかもしれないけれども我が国もやっていいんじゃないか。そういうことをどんどんやれば、国民も、ODAというのはやはり広い意味我が国の国益のためにやっているんだということが見える形で出てくるんじゃないかな、そういうふうな気がしたんですね。  だから、向こうでは、日本から援助を受けた橋はありますけれども、高速道路はない。バンコクと二時間で行くそうですけれども、バンコクは日本からの援助で高速道路ができたらしいけれども、うちは一本もないと。しかし、有償で借款でやっても、その高速道路の通行料金は、バンコクぐらいの高速道路の通行料金なら払えるんですよ、ましてや石油が出れば、あるいはガスが出ればそれぐらいの経済力はついてきますよというような話を聞きますと、有償の借款はもっとどんどんやっていいんじゃないかなというような、そういう思いをしたものでございます。  そこで、やはりこれから先は、要請主義もいいわけですけれども、先ほど外務大臣おっしゃられましたように、政治が主導して、この国はこれから先日本にとっては非常に大事だと。例えば今のバングラもそうです。インドとパキスタンは核実験までやっているけれども、そこから独立して、しかも親日で、イスラムでありながら原理主義はとらないで、非常に治安もいい。そういう国を経済的に発展させることができたとするならば、日本は東南アジアでもよくやってくれた、この地域も安定させてくれたということになってくるんじゃないかな。そういう思いをして、そのためにはやはり政治が主導して、各国から、大使館から上がってくるものを各省庁に割り振りながらも、外務省が主導しながら各省庁と協力して、ことしはこうしよう、これから向こう五年間はこうしようというようなことを、むしろ方針を先に決めて、その方針に沿ってやっていく、これが非常に大事なことじゃないかなと思いましたので、どうかひとつ、今おっしゃられたように、要請主義だけではなくて、これから先、戦略的にODAをやっていっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  55. 河野洋平

    ○河野国務大臣 御指導いただきまして、まことにありがとうございました。  先ほど申し上げましたように、国別で考えて九カ国をまず選び出しておりますけれども、これから毎年、十分我々の能力で先方と話し合えるような数、大体十カ国ぐらいを考えて、少しずつ、十カ国ずつふやしてまいりたいというふうに考えておりまして、それらの国々とは双方で相談をしながら、何が最も効果的であるか、そしてまた今議員お話しのように、我が国の考え方に合致した、我が国の将来ビジョンにプラスになるような、そうしたことも考えながら、さらには、我々が申します国益というのは、国際社会がやはり安定していく、貧困をなくしていく、そういう方向で考えなきゃならぬとも思っておりますから、十分研究をしたいと思っております。
  56. 久間章生

    ○久間委員 それでは次に、法務大臣にお尋ねいたしたいと思います。  実は、前に甲山事件というのがございました。いろいろと行ったり来たりしながら、最終的には無罪判決が最高裁で出たわけですね。ところが、数日前でしたか、もうちょっと前になるのか知りませんけれども、新聞で記事を見ておりましたら、その被告であった方が、その間にかかった弁護士費用等について、民事訴訟ですか、要するに国を相手に訴訟を起こして、損害賠償を訴えられるという記事が出ておりました。  私は、その記事を見ながら、これまでの刑事被告人、被告人でずっとあった方が無罪判決が確定したときに、確かに、何か法律で、収監されている、要するに拘束されている期間の日当相当分が払われるということは知っておりましたけれども、今日、慰謝料といいますか、そういう精神的な苦痛、こういうのに対しては、制度として何ら補償されていないということを思ったものでございます。  しかしながら、これは、そういう制度が我が国でできたのはいつごろできたのか。恐らく戦後の間もないときからずっと続いていると思うんですけれども、今日、それだけで果たしていいのだろうかという素朴な疑問を持っておったわけです。ましてや、弁護士費用等も、裁判を起こさなければ、自分が払いっ放しになってしまっているというのはいかがなものか。  これは、あの事件そのものについて、私なりにはまた別途のいろいろな気持ちも持っております。今もまだ持ち続けておりますし、判決が終わった後でも、そうかな、ううんというような気持ちもあるわけです。しかし、少なくとも、起訴という行政行為を行って、それに対して最高裁が、無罪である、その起訴は起訴相当でなかったんだという決定を下した以上は、相手に対するそういう心理的な慰謝料も含めて、あるいは弁護士費用も含めて、制度としてやはりそれは償ってやるのが当たり前のことじゃないかな、そういう気がしますけれども、それらについてどうなっているのか、その辺、ちょっと教えていただきたいと思います。
  57. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 裁判の判決というものが厳格適正でなければならないというのは当然のことでございますが、その上で、現行の刑事補償につきましては、裁判所が抑留または拘禁による補償金の額を定めるに当たりまして、拘束の種類及びその期間の長短、本人が受けた財産上の損失等のほかに、「精神上の苦痛その他一切の事情を考慮しなければならない。」というふうにされており、財産上の損失を補てんするばかりではなくて、精神的損害に対する慰謝料の性質も有しているのでございます。  現行の刑事補償制度では不十分であるとの御指摘につきましては、従来、数次にわたりまして補償額の引き上げを行ってきたところでございまして、今後とも経済情勢の変動等を見守りながら、実情に即して賠償額の水準を検討するなどして、刑事補償に万全を期してまいりたいと考えております。  なお、抑留または拘禁による損害が刑事補償による補償額を上回る場合におきましては、その抑留または拘禁が国家機関の故意または過失に基づくときにおきましては、国家賠償法によりまして、その差額を国家賠償により請求できることになっておりますし、最初から刑事補償によらず国家賠償を請求するということも可能になっておるのでございます。
  58. 久間章生

    ○久間委員 故意または過失により——別に故意または過失はなかったと思うんですよ、検察庁にしても。これは起訴相当だと思って起訴して、そしてまたその後の拘禁その他も、裁判所にしてもまた検察庁にしても、拘禁が相当だということでそれは釈放しないでおる場合もあると思うんですね。  しかしまた、釈放されたとしても、かなりやはり職種によっては大変だと思うんです。しかも、二十年、三十年たったら、もうとにかく青春時代は戻ってこない。青春どころか、もう老人になってしまっていることだってあるわけですね。また、いつか、宮崎の知事でした黒木さんですか、あの方は、たしかあれは無罪だったんじゃないですか、最後は。しかし、そのときにはもう知事の職も失ってしまっているわけですね。  しかしながら、今の裁判が非常に長いという問題との関係もあるのかもしれませんが、そういうときに、行政側としては、裁判所の決断が出たとしても、自分は間違っておりましたとか、自分の責任というのは、一切責任をとったケースというのはないわけですね。ましてや金銭的なものについては、十分それはやってやるべきじゃないかという気がいたしております。  今言った弁護士費用等も、かかった費用が本当にかかっているのならば、私は、それ相当ないしはそれの金利相当までも入れてやるのが国としては当然のことではないか。ましてや、法務省は人権を担当する省でもあるのですから、相手の人権ということに注目するならば、それは十分なことをやはりしなけりゃいけないんじゃないかなと、立場はちょっと違いますけれども、私はそういうふうな感じを受けました。  その点については、この間のは、弁護士費用等については含まれていなかったから訴訟を起こされたんだと思うんですけれども、その辺はどうなっているんでしょうか。
  59. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、刑事補償の中には精神的な苦痛等も含めた慰謝料の性質も含まれているというふうなことでございまして、随時そのときの経済情勢等を勘案しながら更新をいたしております。  最近では平成四年六月の二十六日付で更新をいたしておりまして、今委員指摘の点も今後考慮しながら配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  60. 久間章生

    ○久間委員 わかりました。よろしくお願いいたします。  それから、次は、防衛庁長官にこれをお尋ねするのは非常に私自身も内心じくじたるものがあるわけでございます。私のときにきちんとやっておけばよかったのになと思いますし、また、ここには歴代防衛庁長官がたくさんおられます。そういう意味では、今の長官に御迷惑をかけたという意味では非常に申しわけない気持ちでございます。  ここでひとつ議論をさせていただきたいのは、今問題になっております自衛艦の修理の発注の仕方が、結局、入札形式をとるけれども実際はみんながやめてしまって一社だけが残る、まあ随契みたいなものじゃないかという指摘を受けたというケースが一つと、もう一つは、いわゆるジェット燃料、これについても、入札形式をとるけれども話し合いが行われて、そして一社に決まってそこがずっと引き続きやる、これは談合だということで公正取引委員会の方から指摘を受けているという、この二つのケースがあるわけでございます。  若干ちょっとケースが違いますけれども、自衛艦の場合は、私も知りませんでしたが、そういうふうにするよりも、むしろ、まあもともとつくったところしかわからない船がたくさんあるわけでございますから、そういったところと随意契約をやるのがごく当たり前だったんじゃないかなと思うんです。例えば、道路公団とかそういうところに聞いてみましても、トンネルをつくった場合に、そこが傷んだときにはつくった業者にやはり修繕はさせて、これは随契でやっていると言うんですね。だから、自衛艦等の設計図書を持っているのは、そのつくったところか、防衛庁か自衛隊か、どっちかしか持っていないわけですから、そういう意味では、やはりそういう修理は本来つくったところにさせる。  ところが、つくったところが非常に離れておって、例えば、長崎の造船所でつくったけれども大湊に配属されておって、そこで修繕を要する場合には、あの近くのどこかの造船所とジョイントベンチャーを組んででも随契するとか、そういう形で随契で決めていくのが合理的で、価格はもちろん厳正にやらなければなりませんけれども、契約のあり方については入札になじまないんじゃないかな、そういう気がしておるんですけれども、その辺についてはもうきちっと改められたのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  61. 瓦力

    ○瓦国務大臣 久間委員からのお尋ねでございますが、まさに多年にわたって私どもが蓄積してきたいろいろな問題につきまして、整理をしていかなければならない課題を含めて、御質問でございます。  自衛艦の修理の契約につきましては、既に委員御案内、御指摘のとおり、平成十一年十一月、会計検査院から、競争性が確保されていないこと等につきまして改善措置を求められました。これにつきまして、本年一月十四日に、自衛艦の修理契約問題につきまして公表させていただきました。また、取り組みも、従来のことに触れながら改善策を講じてまいりたい、こういうことを含めて公表させていただいておるところであります。  指名競争入札制度の機能を発揮させるための所要の改善措置を、今申し上げましたようにとらせていただいておるわけでございますが、自衛艦の修理は母港近傍の造船所において実施するのが最も適切なことであるという基本的な考え方を持っておるわけでございまして、ほとんどの場合、自衛艦が在籍する地方総監部の警備区内の造船所が受注をいたしておりますこと、また、潜水艦につきましては建造所以外の造船所が技術上の問題を理由に入札を辞退しておりますこと、これが明らかにされましたことを踏まえまして、契約方式のあり方について検討いたしました結果、当初から随意契約を行う場合についても明確化することといたしまして、これらの措置につきましては迅速かつ的確に実施をしてまいる、自衛艦の修理契約におけるより一層の透明性、公正性を確保してまいりたい、こう考えております。  委員指摘の課題も、さらに、透明性でありますとかそういったことは、原則としてきちんと明確にしながらやってまいらなければならぬことだと思っております。
  62. 久間章生

    ○久間委員 次に、さっき言いかけましたジェット燃料ですけれども、この問題は若干ややこしいので、ほかの方々にも御理解してもらいたいなと思いますが、実は、ジェット機の燃料だったら民間も使っておりますから、これは一般に市販されているわけです。これは競争でもいいわけですけれども、F15の戦闘機等が使う、いわゆるスクランブルをかけるジェット燃料というのは、非常に純度の高いものなんですね。これはほかの人たちは、民間ではほとんど買わないものですから、防衛庁、航空自衛隊が発注する、それに限ってやるわけです。  ところが、これを入札で毎年毎年あるいは毎期毎期で落として、次の期はわからぬぞということになりますと、安定供給が実はできないわけなんですね。だから、航空自衛隊としても、ずっとこれは安定供給してもらわなければ機能が麻痺するという問題がある。一方では、会計法でやはり入札制度ということになっております。そこの問題があるものですから、入札制度をとりながら、現実にはどこかが、ここはどこ、ここはどこという形で決まるような格好でこれまで決まってきておったというところが今度の問題だろうと思うのです。  ところが、これをもし入札制度でこれから先もやっていこうとすると、仮に一年は通じてやったとしても、単年度の会計、今の予算制度が単年度主義でございますから、数年にわたっては確保してやることはできない。やろうとすれば、それはもう債務負担行為できちっと決めなきゃならぬわけですけれども、債務負担行為でやったとしても五年で切られちゃうわけですね。だから、そういうような問題がこれにはあるんじゃないか。  そうすると、会計法の特例なのか、会計法上読めるのか、あるいは現在の予算制度との関係はどうなるのか。これをやはり真剣に考えていかないと、この問題についてはなかなか解決できないわけでございます。  したがって、これはこれから先、いろいろな公取の関係での審判等があっているようでございますけれども、かなり尾を引くんじゃないか、そういうふうに思いますが、防衛庁として、自衛隊としては、やはり安定供給を確保する、そういう形にしないと、今度でも、指名停止しました、いわゆる営業停止といいますか、要するに取引停止しましたけれども、そこしかないわけですから、そこと契約を結ばざるを得ないような状態になって、君のところは停止しているのに何だというようなことをまた言われかねない。  だから、そういうようなことも踏まえて、これから先は、オープンにしながら、国会に対してオープンにしてもいいんですよ。これはもう随契でやるんだということでやっていかなければならない問題じゃないかな、そういうふうに思いますけれども、長官に本当に申しわけないんですけれども、これについてはどういうふうに処置しようとしておられるのか、また、そういうような動き等について教えていただければありがたいと思います。
  63. 瓦力

    ○瓦国務大臣 久間委員から既に、JP4の問題につきましても詳細に内容についてお触れでございますので、私は結論だけ申し上げまして、今回の取引停止措置によりまして得た教訓を十分に踏まえまして、さらに航空タービン燃料等の安定的確保のためにどうあるべきか検討を、さらに、今いろいろ調査も進んでおるところでございますから、検討をしてまいりたい。  我が国の安全にかかわる問題でございますから、安定的に確保してまいるという手法につきまして、どういう方法がいいのか、これは広く国民の理解もいただかなければなりません。国会において議論がされて結構な問題でございますが、全力を挙げて、これらの安定供給、その姿がどうあるべきかをさらに追求してまいりたいと考えております。
  64. 久間章生

    ○久間委員 大蔵大臣にも、これは要望でございますけれども、お願いしておきたいのは、会計法も、たしか昭和三十五年ごろに改正されて、それから今の仕組みがずっと続いているような法律だと思いますし、財政法なんかそれよりも前のスタイルで来ているわけですね。最近では、これだけ世の中が目まぐるしく、しかも長期的にいろいろなものをやらなきゃならない。こういうときに、今みたいな単年度主義でいろいろなことを律していっていいのか、少し検討する時期に来ているんじゃないか。  やはり各省庁は、大蔵省に関する法律だと、これは変えてもらいたいというようなことは言わないわけですよ。大蔵省みずからがやるか国会がやるか以外には、大蔵省に対して、この法律変えてくださいよというようなことは言わない。言わないと、その法律の枠内でどういう泳ぎ方があるか、一生懸命泳ごうとする。そうすると、それが会計検査院やほかの関係機関から指摘されて、どうもおかしいじゃないか、実際はこれは随契でやっているじゃないかというようなことになりかねないんです。  これは、建設大臣、そこにおられますけれども、例えば市町村なんかが道路を、県でも一緒ですけれども、県道をずっとやっていくときに、予算が限られますから、ことしはここまで、ことしはここまでとやる。そうすると、ここまでやった業者がその次のときは継続してやりたいというのはやまやまですから、ほかのところは遠慮しておりるわけですね。それはもうやむを得ぬというか、また、そこでいろいろ災害が起きたときには、やっている業者がその辺を全部片づけたりなんかするわけですから、それは当たり前みたいになっているわけですよ。  だから、そういうような現実、そういう継続性のあるものについて毎年毎年入札制度でやることが合理的なのかどうか、やはりその辺は本当に、もう戦後ここまで来たら、開き直って議論をしてみる必要があるんじゃないか。ところが、大蔵省の法律であると、各省庁は、建設省だって大蔵省に対しては物を言わないですから、そういうことについて。だから、そういうものについては、大蔵省みずからが、やはり制度が少し疲弊しているんじゃないかというような観点も入れながら、そういうものについての契約のあり方についてはどうするのか。  例えば、今は、十年、二十年かかるダムでも、五年の債務負担行為しかできないですから、五年ごとに入札をしているという形になるわけでしょう。ところが、人がつくっているものに入札したって入っていかないというのは、入っていこうと思ったらいけるんですよ、本当にたたき合いになったら、単価も違ってくるわけですから。ところが、それは遠慮してやっていない、そういう現実。  だから、その現実を見ていると、談合だというふうに言ってみても、国民自体も見えていますから、継続性のあるものについては談合はされても、利益調整といいますか、そういう調整がされてもそれはしようがないじゃないかという一方があるから、そういうものを指摘しようとしても拍手喝采が起きてこないという問題が片一方にあるわけですので、その辺はもう、やはり大蔵省みずからがいろいろと研究してもらったら大変ありがたいと思うわけです。これは要望にとめておきます。  それから、まだちょっと時間がありますので、これはまた具体的な例に入って恐縮ですけれども、通産大臣にちょっとお尋ねしたいと思います。  実は、先日うちの秘書のところに、何か商工中金に言ってくれということで頼まれたんだと思います。内容は私も聞いておりました。何か商工中金の支店の方に話をしたそうでございます。それで、その商工中金から私のところに、間違って私の宿舎の方に電話があったのです。私がとったものですから向こうもびっくりして、実は秘書さんに報告しようと思いましてと言って、何のことかと言ったらそのことだと言うので、ああ、それは僕も知っているよ、どうですかと言ったら、いや、担保が足らないものですからそれはちょっと応じかねますという話だったので、ちょっと待ってよ、私は十数年前も同じようなことを実は支店長から言われた。それはこういうケースだった。  石山を持っている人が石山を開発して、大分順調にその石が売れて、非常にいい。ところが、大型機械を入れようと思って商工中金に行ったわけです。私も一緒に行ってやりました。そうしたら、ずっと売れているからいい、ところがその山は担保価値がないと言うのです。山としての価値だと言うのですね。大型機械を入れるには、一千万か二千万か知りませんけれども、足らないと言うのですよ。何か山としての価値しか評価ができないと言うから、それはおかしいのではないか、これだけ山の石を売っているのだから、その山の財産価値としてはあるでしょうと言ったら、いや、担保の評価の仕方がそうなっていないのですよという話でした。それで、結局あきらめたのです。  ところが、そのときはほかの小さな銀行が、他県でしたけれども、熊本の銀行が貸してくれたのです。それで、その人はそれで機械を買って、どんどん売ったから大金持ちになって、その後は家も建てて、今なら担保もちゃんとその家を担保に入れたら借りられますよとなったわけですね。だから、そのときにも私は、担保、担保と言うけれども、担保の評価の仕方もさることながら、何かもっとほかの方法があるのではないかと思っておりおました。  今回のときも、結局、県の産業廃棄物の許可はもらった、そして一年間やってきて銀行にもどんどん収入が入るようになった。プラスチックを壊す機械を買いたいからということで商工中金に申し込んだ。ところが、産業廃棄物を埋める場所の土地は、これは買うために農協から金を借りているから、先順位の担保が設定されているから担保余力がないんですという話だったのですよ。それも結果はどうなったかはわかりませんけれども、多分だめだと思います。  しかし、そういう場合に、その許可をもらうまでが産業廃棄物の場合も大変なので、もらってしまうと大体金は、みんなが捨てに来るわけです、今場所が少ないですからね。しかも、そのときのその方は、どういうポストか知りませんけれども、電話で言ったのは、しかし、収入があっているのは銀行にちゃんと入っているからわかるでしょう、収益性はあるのでしょうと言ったら、いや、それはわかっております、ちゃんと入っています、しかし担保が足らないんですという話でしたから。  やはりこれは、十年前も今も、あれだけいろいろ商工中金を残す運動があったときに、私なんかは残すべきだということで、商工組合等のために、中小企業のために商工中金の果たしている役割は大きいということで、残すべきだということで一緒に言った者としては、何かしら非常に釈然としない、残念だなという気持ちがあるのですよ。  だから、そういうときには、商工中金がいわゆる信用保証協会の方の関連に入るのか入らないのかは知りませんけれども、普通の銀行だったら信用保証協会の保証で、あるいは連帯保証でそのぐらいならカバーできるとか、いろいろな方法があるんじゃないかと思うのですけれども、そういう問題について、これはたまたま長崎の支店だけの問題なのか、やはり全国的にも担保主義を強く主張しておられるのか、その辺について御所見をお聞きしたいと思います。
  65. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今、久間委員の御指摘の個々の問題について直接知っているわけではありませんからお答えのしようがございませんが、恐らく担保だけではなく他の条件もまだあったのではないのかな、そこいらはよく調べていく必要があるかなと思います。ただ、一般論として、今、久間委員指摘されたことは極めて大事だと受けとめています。  今日の金融機関は、民間も公的な金融機関も含めて、どうも担保主義に走り過ぎてきた。そのピークはバブルの時代でございまして、不動産の担保がなければ貸さない、あれば何でもかんでも貸してしまう。そして不動産の神話は崩れていった。そういうことを考えますと、やはりその事業が生み出す将来のキャッシュフローに着目して融資を行うとか、新たな視点から融資の判断をしていく必要があることは間違いのないことだと思います。今御指摘の国の機関も、返済ということにより確実性を持たすために、担保であるとか保証人ということを大原則にしている嫌いがございます。  私は、これからは、例えば経営者の資質であるとか経営基盤であるとか将来性とか、そういうものを広く見ながら判断をしていくということはとても大事なことで、きちっとそういう指導は引き続いてしていかなければならないというふうに思っています。  なお、最近の傾向としては、担保だけでなくて、民間でもそうですが、第三者保証にだんだん移行しているようでございます。信用貸しというのはまだまだ十分ではありませんが、そういう面を大事にしていかないと、新しい企業、ないしはこれから伸びる企業を伸ばしていけないという状況になりますから、ただいまの御指摘は大事に受けとめながら、そのような指導を引き続いてしていきたいというふうに思います。
  66. 久間章生

    ○久間委員 金融の問題については、また機会を見て各委員会等でも議論をしたいと思います。  次に、建設大臣に、吉野川の河口堰の話について、ちょっと私の考えも述べながらお聞きしたいと思うんです。  実は、吉野川のあの河口堰は非常に昔からある古い堰でございまして、幸いに洪水等が起きていないからいいわけですけれども、私の地元であります諫早大水害みたいな、長崎水害みたいなああいう雨が降った場合には、これは間違いなくはんらんを起こして洪水が起こるところなんですね。  ところが、この間住民投票が行われた徳島市というのは、その中では、いわゆる受益地としては小さい方なんですよ。しかも、徳島市の中でもそこは小さいんですね。それ以外の町村の被害を受けられる区域の方が広いわけですよ。そういうときに、そういう受益が狭い地域での住民投票で、さも住民投票で反対が多かったからこれはやるべきでないというような、そういうことを言われるならば、これは非常に、もし洪水が起きたときの責任はではだれがとるのか、そういう問題になると思うんです。これは、つくるところはたまたま徳島市かもしれません。しかしながら、そのはんらんが起きたところは別のところですからね。諫早干拓が、民主党の菅さんがあれだけいろいろ言いますけれども、みんなが支持しているのは、洪水が起きたときの受益地とつくられるところが同じ行政区域なものですから、だれも反対運動をしないんですよ。恐らく、選挙の争点にしたとしても、反対する人の方が圧倒的に負けるでしょう。それは受益者が一緒だからなんです。  不幸なことに、徳島の場合は、利益を受ける人とつくるところの住民とがちぐはぐだったからああいう結果になってきたという点もあるんです。まあ、それは、建設省の説明の仕方も下手だったという点もあるかもしれません。しかし、いずれにしても、そういうとき、その住民投票を大事にしてつくらなかったら、建設省が将来は責任を問われることになりかねないですので、これはやはり大臣、ひとつ非常に慎重にやってもらいたいと思いますけれども、御意見を承りたいと思います。
  67. 中山正暉

    ○中山国務大臣 御質問をいただいてありがとうございます。  全くおっしゃるとおりでございまして、私も先週の土曜日の日にヘリコプターで二時間、奥の祖谷まで行ってまいりました。日本には大きな河川、百九ぐらいあります。フランスあたりとよく比べられるんですが、フランスは平らな国でございますから十本ほどしかありませんが、日本は、滝を見て喜ぶ国民性というのは、いかに急峻な山から水が海に流れ出すかということだと思いますので、日本一の活断層、いわゆる吉野川流域が、この間の阪神・淡路大震災につながる活断層の上を真っすぐ県庁所在地の徳島に流れ込むというのはここだけなんですね。  それで、私は、まだこれから二十年先の話ですと、大体平成三十一年が完成予定でございますから。きのうも大勢お越しになりました。私がお目にかかりたいと、テレビの番組で住民投票の代表者の方と会いましょうということを言いましたものですから、きのう大勢来られましたが、私はその方々に同じようなことを申しました。一八六六年、慶応二年に大災害が起こって三万人ぐらい死んでおられますし、大正年間にも洪水がありましたりして、これは、流域全体四十七市町村の皆さんは、三十二万の促進の署名をしておられます。  だから、一月二十三日、一・二三運動とおっしゃるのですが、私はその先に四が見えますよと。もし災害で亡くなられる方があったら、財産は、それは国が補てんしなければならない場合もあるでしょうけれども、ただ、徳島で、投票が終わったら消えてしまうような条例で、この川というもの、中国の王様は川を竜に例えて、王様のマークというのは後ろが竜ですね。あれは、黄河の河と書くのは、これは曲がりくねった大きな川。それから、揚子江の江と書くのは幅の広い川。日本の川は簡単な三本川ですから、そういうわけにいきません。これは、そういう竜に例えられる川を、この災害にどんなふうに備えるか、あした来るかもわかりません、だから大震災には備えてくれと言う。  私は国土庁長官もしておりますから、防災というものに対する責任者は私でございますので、皆さん方ひとつ冷静に考えてください、ある地域のことを科学的、それから工学的な専門家が考えたことを住民投票で左右するというのは、私は、いわゆる投票制度というものの、民主主義のちょっと逸脱をした問題ではありませんかということを申し上げて、これから徳島へも入ることにしておりまして、地元で一生懸命にそういう説得をしたい。  川を治める者は国を治める。私は木曽三川の治水神社までこの間お参りしてきまして、どこかに治水のお守りが入っておりますが、国民を守るために、川というものは国の直轄の川でございますから、特に建設省の責任は重い、かように考えております。
  68. 久間章生

    ○久間委員 民主主義というのはよく専制君主の過酷な税の取り立てとか使役から逃れるためだというふうなことを言われますけれども、それだけじゃないのですよ。それと、いわゆるあの当時のヨーロッパで巻き起こった魔女狩り、これに対する、とにかく両方から守るための制度として民主主義は発展してきたのです。  ところが、前者だけが強調されて、魔女狩り的な怖さというものに対するそれが忘れられているのですね。魔女狩りから逃れるために、いわゆるアメリカでの例えばリンチとかいろいろなことがありまして、それから逃れるために間接民主主義というのが定着して、直接民主主義をとるのは法律でも憲法でもある部分、限られたところしかやらない仕組みになっている。そこが最近はどうもすっかり忘れられて、住民投票でやったものがすべて善みたいな、マスコミも含めて民主主義の原点が忘れられているような気がして、その辺については私は非常に危惧しております。  どうか今度の問題を契機に、住民投票のあり方と同時に、建設省は建設省の責任として住民の福祉を守るという観点から、十分に説得をしながらもやはりやるところはやってもらうというふうな、そういう決意で臨んでいただきたいと思います。  なお、総理に最後にいろいろ聞きたかったのですけれども、時間が来ましたので、またの機会にします。  ただ、総理にも言いたかったのは、やはりこれから先の新しい二〇〇〇年あるいはまた二十一世紀を見られるときに、今までの制度がかなり古くなってきて制度疲労が起きているという面もあります。それについては、なかなか役所というのは勇気を持って発言しない点がございますので、政治の力でどうかひとつ先頭に立って、そういう古いところについては改めながら、新しい制度に合ったようなものにつくり直していくようなことも考えていただきたいということを最後にお願いして、終わります。
  69. 島村宜伸

    島村委員長 これにて亀井君、衛藤君、久間君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  70. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  民主党日本共産党及び社会民主党市民連合所属委員出席しておられませんので、再度理事をして御出席を要請いたさせます。しばらくお待ちください。  速記をとめてください。     〔速記中止
  71. 島村宜伸

    島村委員長 速記を起こしてください。  再度御出席を要請いたしましたが、民主党日本共産党及び社会民主党市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  質疑を続行いたします。太田昭宏君。
  72. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 公明党改革クラブの太田昭宏です。  ただいま委員長からも話のありましたとおり、出席要請をしたわけでありますけれども、民主党共産党、社民党がこのように出席をされていない、非常に残念だというふうに思っております。  政党は言論で闘うことが鉄則である。また、私たちは野党時代もありましたから、野党というのは特に論議をしなさいと先輩からも教えられてきて、私たちは、論議を尽くす、そしてどれだけ実のある論議をするかということが野党として大事なことだということを教えられ、今日までその気持ちで来ました。  また、それが国民に託された国会議員としての責務であり、特に今回の国会は、経済いまだ予断許さず、あるいはまた国の形をどのようにしていくか、あるいはまた国家の中にも、家族の中にも、心の中にも空洞が目立つというような中で、どのような二十一世紀の国の形をつくり、そして日本のあり方というのを模索するかという、大事な今回の予算委員会であろうというふうに思っております。  ましてや、定数削減問題については、昨年の通常国会、特に臨時国会を通じての案件であり、総選挙を前にして決断をしなければならない案件であるとともに、特に民主党は、削減自体ということについては賛成であったというふうに思っております。  さらにもう一言言わせていただきますと、今国会は大きな特徴があると思います。それは、国会改革ということです。  きょうも国民の皆様がごらんになっていただいていると思いますけれども、全閣僚がここにそろい、そして、通例でありますと、今まではそちら側には官僚の皆さん方が座っているけれども、国会議員同士の議論をしっかりやろうということで、国会改革のまず出発をしようとしたのが、今回の通常国会であろうというふうに思っております。  言論の府の機能を高めようということで、私は、その意味でも、民主、共産、社民の三党が出席をなされないということを非常に残念に思うとともに、参加を呼びかけたいというふうに思っております。  小渕総理小渕総理のやるべき、また内閣のやるべき最重要の課題は、まず何といっても景気回復であるということだと思います。景気回復を決定づける。私たちも連立政権に参加して、まずこの一年間で景気回復は間違いないなというところまで持っていきたい、全力を尽くしたいというふうに思っております。  そして今、景気回復か財政再建か、あるいは構造改革という言葉が、頭に財政がついたり経済という言葉がついたりして、経済構造改革かということが言われているんですが、私は、三年前あるいは二年前の国会と同じような論議が、レッテルというようなことだけで行われているというのはいけないと思います。  総理がおっしゃるように、二兎を追う者は一兎も得ず、景気回復なくして財政再建なし。これは、きょうは来ておりませんが、一緒に戦って今民主党にいる人の当時の新進党の仲間も同じことを主張していたわけでございます。しかも、今景気の現状はどうかといいますと、景気回復への兆しありとは言いながら、財政そして特に経済、いまだ予断許さずという状況であろうというふうに思います。  まず、こうした景況認識、そして、まず景気回復をする、そして財政再建へ当然向かっていく、その間には構造改革をなし遂げていくという、そうした手順が必要であろうというふうに思いますが、景況認識、またそれらの道筋についてお伺いをしたいと思います。
  73. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 健全なる財政がもとより重要であることは言をまたないことでございまして、そういう意味では、十二年度末の債務残高が六百四十五兆になるという厳しい財政状況は、これを重く受けとめておりまして、財政構造改革という重要な課題、これはいっときも忘れるものではありません。  しかしながら、今、太田委員指摘のように、現下、景気を回復し、日本経済を回復させるというところに焦点を絞りまして、この内閣が発足以来、経済再生内閣ということで、あらゆる手法を講じて努力をしてきたわけでございます。したがいまして、財政再建ということは必須の課題ではありますけれども、今日はやはり何といっても、景気を回復し、そして税収を確保し、日本経済を安定的成長に持っていくというところにすべての政策課題があると認識をいたしております。  本会議で申し上げたかと思いますけれども、アメリカ経済が今非常に、百七カ月の好況を保っておるわけでございまして、やはりそうしたことの中で、かつてのアメリカが大変な財政赤字を抱えてにっちもさっちもいかなかったわけでありますが、今日は、景気回復によりまして、その財政黒字をいかに配分するかということが議会の大きな問題になっておる、まことにうらやましい状況であります。  いずれ我が国も、国民努力によりましてそうした形が起こってくると思いますが、今はただ、やはり五四半期のマイナス成長をようやくプラス成長にこの十一年度持っていくことになり、そして、わずかではありますが、来年度は一%の経済成長を目指し、そして着実にこのことを安定させていくことが、今の政府の最大の課題だと心得ておる次第でございます。  そういう意味におきまして、我々といたしましては、今次予算を一日も早く成立させていただくことによりまして、この流れを確実なものにしていきたいということで、全力を挙げさせていただいておる、こういうことでございます。
  74. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 今総理がおっしゃったように、一九八〇年代、太平洋を挟んで、東のアメリカは非常に苦しんでいた、日本は輝いていた。それが逆転をした九〇年代。失われた九〇年代、あるいは十年、こう言われるのですが、そのアメリカ経済の驚くべき復興というものの、復権の原動力は一体何であったか。  それは幾つかあると思いますが、第一には、IT革命の起爆力、これは非常に大きかったと思うのですね。第二には、金融システム不安に対する対処というのを八〇年代に完了した、これは非常にまた大きな要素であったと思います。もう一つは、よく言われるのですが、一番大事なのは、景気回復だ、回復軌道に乗せるんだという姿勢自体に揺るぎがなかった、揺らがなかった、微動だにしなかった。  ここが非常に大事で、ある意味では私たちは反省しなくてはいけないのですが、それは、この九〇年代の政策ということに少しぶれがあったり、あるいは迷走という言葉が当たっているかもしれないけれども、そういうことがあったと思います。  しかし、やっと、小渕総理になって内閣が形成されてから積極的な景気回復への流れというものができてきて、そして、上向きの兆しまで持ってきたというふうに思います。その意味で、ことしは上向きのこの兆しを確たるものにするか、ここに勝負どころがあろうというふうに思います。  そのためには、景気回復、そして景気対策優先の財政、金融政策、金融システム不安への油断なき対応、さらにまた三つ目に、言わせていただくと、IT革命への積極策と、モバイル通信、あるいはまたバイオなどを中心とした成長分野への反転攻勢、こういうものが必要だというふうに思っております。  いずれも私たち公明党はそれらについて主張してきたわけでありますけれども、その構造改革が重要であることは言うまでもないわけでありますが、しかし、デフレ効果が発生するので、あわせて財政金融政策ということをやらなくてはいけない。市場主義ということで、それを強調する人がいるわけですが、リストラ等が行われる、そして、だめになればいいというわけではない。  そういう意味では、そこをセーフティーネット、例えば個人個人の体が少し骨がずれたりということがあったとするならば、それをバックアップするような、体を温めるというようなことがあってこそ初めてリストラとか構造改革ということができるわけですから、そういう意味では、揺るぎない、微動だにしない財政金融政策というのをとるべきだ、このように思っておりますが、この点についていかがでしょうか。
  75. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まさに御指摘のとおりと考えておりまして、失われた十年かどうかわかりませんが、あのバブル崩壊後、やはり金融システムというものが、この両三年、本当にぎりぎりのところまで来なければこれに手をつけられなかったということは、大変遅きに失したことは言うまでもありません。しかし、でありましても、やはりなお正すべきことは正すべきだということで金融システム改革のための法律を通していただきまして、おかげさまで、今日世界的には日本金融システム、このリスクは解消されつつあるという評価をいただいておるわけでありますから、それはそれなりに一つの安定の道を向かっておるだろうと思います。  と同時に、経済構造も改革をしていかなければならない。これまたバブル後なかなか、実体経済の中で企業も悩みはしながらも、そういうことを行うことがおくれてきた、こういうことでありますが、今やこれも最後の一線に差しかかって、これをなし遂げなければおのおの企業も成り立たないという状況の中でありますので、これも真剣に考えてきておるだろうと思います。  そこで、委員指摘のように、経済を再生させるということと同時に、IT革命のお話がありました。やはりアメリカが今日大きな成果を上げておるものの最大のものがそこにあることはたれしも承知しておるわけでありまして、これまた若干おくれをとっておるとは思いますけれども、こうしたIT革命を含めまして、新しい経済にどのように臨んでいくかということでございます。  したがいまして、言葉は一字かもしれませんが、経済再生内閣から経済新生内閣というふうに銘打たせていただいたものは、やはりITも含めまして、あるいは先ほどのお話にありました新しいバイオその他、これからの二十一世紀を目指しての、日本の持つ能力を最も発揮できるこの分野で追いつき追い越せという速度を一層速めていかなきゃならない、こういうものがこれから実を結んでいくという過程の中で日本経済も大きく伸展できるもの、こう確信をいたしておる次第でございます。
  76. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 金融政策も非常に大事なんですが、日銀のかじ取りについてお尋ねをしたいと思います。  ゼロ金利政策からちょうど一年、これによって景気に薄日が差した。去年の二月だったと思いますが、これは非常にきいたと思うんですね。三月の資本注入、これもきいたと思うんですね。そういうことがあって今日まで来ているわけですが、景気回復の実態がまだまだ伴っていない状態で政策の転換、ゼロ金利政策の転換は慎重にすべきだ、このように思っておりますし、また、G7の共同声明でもそういうことが確認をされたりしております。この点についてはお伺いをまず一つしておきます。  同時に、日銀の流動性供給について確認をしたいんですが、余り報道されておりませんが、今回の共同声明で、その金利の問題の前のところに、前段に、日本当局は、デフレ懸念の払拭を確かなものとするよう、十分な流動性を供給するという言葉が、文言が入っているんですね、なかなか報道されていないようでありますが。  私は、この流動性供給というのは非常に大事だと思います。わざわざ声明に入っているということは、いまだ流動性が十分でないということなのか、ゼロ金利とともに量的緩和、流動性の確保について、日銀総裁、これはなかなか際どいところかもしれませんが、答弁をお願いしたいというふうに思います。
  77. 速水優

    ○速水参考人 簡潔に答えさせていただきます。  ゼロ金利を続けるかどうかという御質問でございますが、御指摘のとおり、景気は持ち直しに転じておることは確かでございます。しかし、民間需要の自律的回復の動きはまだ依然としてはっきりと見えておりません。私どもは、かねてから、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでゼロ金利政策を続けると申し上げてきておりますので、今後もそうした考え方に照らしながら、金融政策運営に誤りのなきよう努めてまいりたいと思っております。  もう一つの、G7のコミュニケに出ております、十分な流動性を供給するということの意味でございますが、日本銀行は、現在行っておりますゼロ金利政策で、短期金融市場に、翌日物金利が事実上ゼロ%で推移していくほど豊富に、弾力的に資金を供給しておりまして、このことを今後も続けていくつもりでございます。その意味では、量的にも十分な緩和を現在のやり方で行っているというふうに確信いたしております。  先日のG7では、私からこうしたゼロ金利政策の考え方を改めて説明しまして、各国の理解を得たと思っております。御指摘の共同声明の表現は、こうした趣旨が盛り込まれていると御理解いただければと存じております。
  78. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 私は、構造改革か景気回復かというような、見出しにつくようなそうした議論というのは、ちょっと今の時代に合わないなというふうに感じておりまして、日本経済の活性化戦略ということについては、いや応なく角度がもうつき始めていると。これは意志の問題もそうです。時代の流れもITとかいうことで、もうこれはとどめようがありません。そうしたことでは、今の時代状況を見ながら、どこに角度をつけてやっていくかという段階であろうというふうに思っております。  実は公明党は、経済活性化戦略「活力と安心の生活大国」、こういうことを連立前に我々は言いました。  それで、堺屋長官にお聞きをしたいのですが、私たちは、まず情報通信革命ということが大事である、ITということは五年ぐらいアメリカにはおくれをとったけれども、これは反転攻勢を特にかけようと。  二番目には、中小そしてベンチャー、ここに本当に活性化のかぎがあるから、ここに力を入れようと。  第四次産業、新しい、三次でなくて四次という言葉を我々は使っているわけですが、福祉とか環境というのも、単なる、福祉は福祉のため、あるいは環境は環境のためというよりも、それを産業的に新しい成長分野としてとらえて持っていこう。  当然、一番と三番には規制緩和というのは伴います。  四番目には、非常に技術水準が低下していると懸念されていますから、科学技術立国へのスタートを切ろう、ダッシュをしよう。  同時に、公共事業論ということが言われますが、五番目には都市再生への重点投資ということが必要であろうというようなことで、私たちは角度をつけてやろう、こういうことで、予算編成に当たってもそういう角度をつけてやろうとしている。  それは、従来型とかあるいはばらまきだとか、あるいはまた構造改革か景気回復かというよりは、既にそういうような動きが始まっているというふうに私たちは思うのですが、まず、こうした戦略について、たしか知価革命というのは、一九八五年ぐらい、私も読ませていただきましたが、いよいよそういう知恵の時代が始まったと思いますけれども、これについていかがでしょうか。
  79. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 まことに委員指摘のとおりでございまして、小渕内閣もほとんど同じ考え方でやっております。  この小渕内閣の重点政策が、情報と少子高齢化、これは公明党さんの第三番目の第四次産業に当たる部分だと思います。それから科学技術、これは環境対応、そういう重点項目をとってやっておりまして、非常にそういう点では共通点が多いと思います。  今、ちまたに構造改革か景気回復かという議論がございますが、これは議論の立て方が全く間違っていると思います。といいますのは、小渕内閣はまず景気の下支えをいたしまして、同時に、金融の問題、中小企業の問題、労働市場の問題、それから情報改革の問題、あらゆる点で構造改革を非常に大胆にやっております。そして、去年は主として景気の下支え、ことしはほとんど両立、だんだんと構造改革の方に体重を移しながら新しい日本経済をつくろうとしておるわけでございます。  おっしゃる方によって、構造改革というのが財政構造の改革であったり、あるいは非常に極端な言葉遣いであったりするときがございまして、一部のマスコミがそれを喜んで書き立てる節がございますけれども、内容においては、小渕内閣は、まず景気を支えて、それで体力をつけると同時に体質改善をやり、やがて新しい新生の経済を生み出そう、十二年度の後半からは本格的な回復軌道にし、そしてその次の年、十三年度には新しいプラスの時代、新しい成長の時代をつくろうと着々と準備をしております。その点では、公明党さんの御意見、まことに心強く思う次第でございます。
  80. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 そこで、全般的に情報通信、ITの革命ということで火がついた。何がポイントか。  私は、はっきり言って、電子政府、このミレニアムプロジェクトで言っている電子政府というもので、日本はなぜIT革命におくれたのか、今何をすればいいのかと考えますと、アメリカでは、政府がかなり強い引きといいますかイニシアチブをとったということが特徴だと思います。ペンタゴンの国防先進研究計画庁、DARPAなどが、インターネットセキュリティーなどの調達基準、これを標準化するということで、政府みずからが情報武装したというようなことでかなり引き上げにかかっているということがアメリカの特徴であろうというふうに思っております。  官から民間への波及の力というのが、これが起爆力、機動力になったわけですが、私はミレニアムプロジェクトを読んでみますと、二十一世紀初頭にも世界の最高水準の電子政府の実現を図ると書いてあります。そして、電子政府実現プロジェクトの目標には、「二〇〇三年度までに、民間から政府、政府から民間への行政手続をインターネットを利用しペーパーレスで行える電子政府の基盤を構築する。」とあります。しかし、二〇〇三年度までに基盤を構築するというけれども、基盤は構築するが、二〇〇三年以降が一体どうなっているかということが見えていない。  むしろ、私は、こういう日本社会になりますよ、電子政府というのはこうですよと国民の前にイメージ化されて、ああ、そういうことが便利になるのか、そういうふうにペーパーレスになっていくのか、そうしたイメージがあって、それを提供して、そして基盤が二〇〇三年までにでき上がる、そういう意味では、基本目標ということと、それを推進する推進本部というようなそうした体制が私は非常に大事なことであろうというふうに思っております。  我々公明党としては、電子政府実現基本計画の策定と、そして、総理みずからを本部長としてそれを推進していくというその推進本部の設置をうたっているという法案を準備しているわけなんですけれども、その辺のリーダーシップ、基本計画、そして推進本部のあり方等について総理の考えをお聞きしたいと思います。
  81. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 大変積極的なお取り組みを公明党としてされておられますが、政府といたしましても、負けずにその方向について具体化し、そして方向を定め、その方針に基づいての方向性について具体的なステップを明らかにしていかなければならないというふうに考えております。  この電子政府につきましては、いわゆるバーチャルエージェンシーということでいろいろ検討させてまいりまして、これを進めてまいりまして、考え方はまとまりました。また、先ほどのお話のように目標年次も定めて、それが推進のために計画の目標を定めました。  しかし、御指摘のように、その目標を定めた以降の進め方については、残念ながらまだ年次計画を十分立て得ておりませんが、御指摘のように、将来方向について具体的な年次を定めていくということは、国民皆さんにもこの電子政府そのものについての理解が深まり、それが実現した暁におきましてはそれが有効利用されるということに相なるわけでございますので、せっかくに我々としては、全力を挙げてそのプログラムといいますか進め方について具体的な年次を考えながらプランニングをしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  82. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 もう一つ、地方自治体の情報化の問題というのが一番身近なところでの電子政府ですから、そういう意味では、政府みずから引っ張るということも大事ですが、地方自治体がどういうふうに情報化されていくかというそこのイメージが私は非常に大事だというふうに思いますが、ここが非常に弱いんですね。  この電子政府の計画の中身を見ますと、地方自治体の情報化については、各地方自治体の自主的な取り組みということやあるいは期待するというような言葉になっておりまして、一気にトーンが下がっているわけです。  私は、ここの地方の自主性、あるいは、そう言われても、地方には、人とか金ということでの国としての支援体制あるいは責任ということが非常に大事ですから、そういう意味では、地方自治体の情報化ということについてもっともっと力を入れるべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
  83. 八代英太

    ○八代国務大臣 どうもありがとうございます。  今総理からもお答えがございましたけれども、まさにIT革命というのは待ったなしでありますし、電子政府につきましても、総理のミレニアムプロジェクトの中におきましても御指示をいただきまして、今度の予算の中でも百億円が、各省庁でこの問題に取り組んでおります。  今太田委員指摘のように、三千二百の市町村がございますけれども、これからは電子政府というものをしっかり育てながら、例えば、先般大阪の羽曳野市なんかでは、郵便局に、住民票なんかはワンストップ行政サービスでやるというような仕組みをつけて、これからだんだん地方分権化していく中に、私たちは、国がペーパーレスの方向で電子政府の構築をしていくと同時に、あわせて三千二百の市町村もインターネットで結ぶような形をつくっていくということが大変重要だというふうに思っております。  特に、そういう意味では、IT革命というのは、これはもうアメリカの経済を今日まで引っ張ったのはそこがかなり大きいものがありますし、日本も情報通信というものがリーディング産業に当然なってまいりますから、その分野における中におきましても、やはり一つは、そうした電子政府の構築を含めて、そしてまた技術力を高めながら私たちもやっていくということで、今学校教育におけるインターネットの利用ということも一つの政策の中にありますし、あるいはまた情報通信インフラ、基盤整備ということをしながら、光ファイバーを敷設して、三千二百の市町村すべてにわたってそういう情報通信化していこうというようなことで、これはもう自治体と協力をし合っていかなければいけないものですから、自治省とも十分協議しながら、この分野は各自治体と協力しながら、電子政府の構築に向かって努力をしていきたい、こんなふうに思っているところでございます。
  84. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 もう一つ、行革の視点というのは非常に大事だと思うのですね。  先ほど総理から話のあったバーチャルエージェンシーということが言われておりますけれども、現状でできるところはこうしますというような姿勢が私は目立つような気がします。今の行政のままで電子化をするということではなくて、新しい時代になったのだから、行政自体が変化する、それに伴って行革が行われる、情報化が行われるということ。国あるいは地方がどういう行政になるのかというものがあって初めてそこにプログラムというのはできるのではないかというふうに思いますが、この辺の行革の観点ということについて、続総務庁長官、いろいろ力を入れてやられていると思いますが、いかがでしょうか。
  85. 続訓弘

    ○続国務大臣 お答え申し上げます。  私の九代前の総務庁長官石田幸四郎長官でありました。実は石田長官が、とにかく官庁においてはペーパーレスが必要なんだ、そのことは、一つは、今お話しのように、住民サービスを高めるということ、もう一つは、何よりも国民が願っているような行政のむだを省くこと、そしてまたさらに、今一番必要な人員の削減を行うこと、こういう諸点から、ペーパーレスが必要だということを提言されました。  そして、今見ますと、約八千八百の行政手続が官庁にございます。その中で、既に十年末までに二千七百のペーパーレスが実現をしております。さらには、二〇〇三年度までに電子政府を構築することによって、ほとんどの八千八百の手続が終わります。そういう具体的な目標を掲げて、私どもは、今電子政府の立ち上げに意を用いているわけでございます。  せっかくの御質問でございますけれども、要は、先ほど石田委員長のお話も申し上げましたように、住民サービスの徹底、さらに行革、さらには他国に比べておくれをとらない、そういうすべての案件がこの中に含まれていると思います。ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  86. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 もう一点、最近大変問題になっております、電子政府の推進に当たっては、ハッカー対策、サイバーテロ対策というのは不可欠だと思います。アメリカの予算はことし二千億円と聞いておりますが、二十億ドル、我が国は五十億円というようなことを聞いているわけですが、ここはかなり取り組みをしないといけない、こう思いますが、いかがでしょうか。
  87. 八代英太

    ○八代国務大臣 お答えいたします。  日本はいよいよインターネット時代に入るんですが、三つ言われておりまして、一つは、まずインターネットが高いという問題、一つは、遅いという問題、それからもう一つが、危ない。この危ないところが、昨今の各役所にもハッカーの侵入等々で大変な事態になっておりまして大騒ぎをしておりますが、これは、ハッカーのことはハッカーに聞けと言うぐらいに、ハッカーはかなりの技術を持って、言ってみれば愉快犯的なところがあるものですね。  ですから、それを私たちは最新の技術、その対策も含めて、サイバーテロ等々も防止するために、国家機密を守るという点においては日本はかなりおくれをとっておりますので、そういう意味では、私たちも各省庁と連携をとりながら、このサイバーテロ対策について特別なプロジェクトチームをつくりながら、今対応に一生懸命取り組んでいるところなんですね。  しかし、彼らのやる技術、そしてそれにまた我々のさらに研究する技術が上を行く、そしてまた彼らの技術が上を行くという追いかけっこ、イタチごっこのところがありますけれども、それがまた、ひいてはIT革命のプラスへの方向にも実は移行していくような気がするんですね。  言ってみれば、別にハッカーのおかげとは言いませんけれども、ハッカーというものに対しては徹底的な取り締まりをするんだけれども、それの上を行くような産官学の協力を得ながらハッカー対策を、これはもう各省庁挙げてやっていこうということで、先般来、きょうも会合を開いておりますが、このハッカー対策については各省庁に協力をお願いしながら、私も閣議ではこのこともお願いをしながら、この対策には細心の注意を払っていかなければならない、こんなふうに思っております。
  88. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 ぜひとも総理、そこに力を入れていただきたいというふうに思っております。  それから、昨年我が党の福留委員が、通信料金の低廉化、引き下げを、私も昨年の七月のこの予算委員会でも質問したことがあるんですが、総理から、民間企業であるので政府が料金を指定することができないけれども、その方向へ向けてリードしたい、こういう答弁がありました。  確かに、競争原理の中での民間での戦いですから、そういう点で政府のできること、できないことというのは当然あるわけですが、リードという言葉はなかなか微妙な、いい言い方だというふうに思ったのですが、その辺の通信料金の低廉化、通信料金の値下げ、この問題についてぜひともリードしていただきたいと思いますが、総理のお考え、そして努力の一端を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  89. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 インターネット時代を迎えた今日、通信料金の引き下げ、とりわけインターネットに向けた低廉な定額制通信料金の実現が重要な課題と認識をいたしております。NTTは既に完全定額制の試験サービスの提供を開始しており、ほかにも定額制を実現したり計画している事業者もございます。  政府としては、このような状況を一層促進すべく、具体的には、例えば無線を利用した加入者系の新しいシステムの実用化を推進したり、新規事業者がインターネット接続に関しNTTアクセス網を利用しやすいようネットワークのオープン化を一層促進するなど、事業者間の競争環境の整備に努め、通信料金の一層の低廉化を促進してまいりたいと存じておりますが、申し上げましたように、NTTが民営化されております。したがって、NTTそのものが、将来、本当の意味でインターネットがアメリカ並みになってくればその使用料だけでも相当のものになるわけですから、できる限り早い機会に定額制を取り入れて、大いに利用させていただけるような形にならなければならないということは当然のことだろうと思っております。  したがいまして、これはなかなか郵政大臣から指示するというわけにもまいりませんけれども、やはり将来の動向を考えれば、当然これは、日本のIT革命が本当に進行するためには、料金問題というのは欠くことのできない問題であるという強い意識を持ちまして、重ねてでありますが、大いにその方向に向けてリードしていきたいというふうに思っております。
  90. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 次に、ITといっても何のことかわからないというようなこともあろうと思います。  中小・ベンチャー対策、こう言って、また中小企業国会ということが前回言われたんですが、私は、中小企業中小企業、ベンチャーはベンチャー。IT、ベンチャーというものは、政府みずからが電子政府を初めとして大いに引っ張る必要がある。しかし同時に、中小企業というものは、もっと下から地熱が上がってくるような形で、むしろ坂道で、総理がよくおっしゃるように、坂道の後ろで我々がサポートして押し上げていく、こういうようなことがイメージとしては大事だと思います。  アメリカは、一九八〇年代、大企業が三百七十万人リストラをした、削減をした。中小・ベンチャーが千九百万人の雇用の増加を図った。これは、一九九〇年代も全く同じ状況にあるわけです。同じように、経済がよくなったというふうに言うようなところがヨーロッパにもあるわけですが、ヨーロッパなどは、どちらかというと失業率がかなり上がっています。大企業がリストラをしたが、しかし雇用というものを拡大するという受け皿に中小企業がなれるかどうかということが非常に大事なポイントになってくるというふうに私は思うんですね。  そうしたことで、オランダの奇跡というようなことが言われたりするんですが、これもどちらかというと、雇用というのをワークシェアリングで考えているということがありますから、私は、むしろアメリカのように中小企業のバックアッパーとして政府がなっていって、背中から押してあげる中で地熱が下から込み上げてくるような形で日本という国は雇用拡大を図っていかなくてはならない、こういうふうに思っております。これは、答弁は、そのとおりかどうかということだけ、短い時間で結構ですから、お願いします。
  91. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 全くそのとおりだと考えております。
  92. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 短過ぎる答弁だったと思いますが、しかし私は、その意味で、昨年の中小企業国会、我々も加えさせていただいて、とにかく中小企業皆さんが、実感としてはとてもじゃないけれども景気なんかが回復したなんて言えないよと。この実感のところが非常に大事で、私たち公明党は、この二月から、中小企業の本当に心痛というか苦しみを聞こうということで二月一日から調査活動を開始しました。もう一遍、これは一カ月やって本当に政策に反映したい、こういうふうに思っているわけですが。  昨年の中小企業国会で、一つ中小企業基本法というのが変化をした。二番目には、特別信用保証制度が十兆円追加をされ、あるいは三月三十一日が一年間延長され、さらにはまた弾力的な運用というのができた。あるいはまた、敗者復活型、再チャレンジ型の法制度が確立をされた。あるいはまた、税制でいうならば、事業承継税制、あるいはまた留保金の課税ということについての中小企業へのバックアップ体制というのはかなりできたと思います。  その中で、ITとか情報通信といってもどうやってやったらいいんだろうという声は、とてもじゃないけれどもついていけない、あるいは、勉強会をやれといったって、勉強会へ行っている間に我が社が倒れちゃうぞというようなところもあって、非常にそこのところは、現実には、体制はつくったけれども生きるかどうかというのが大事で、その中では、三百カ所の中小企業支援センターの設置、これは非常に目玉だというふうに私は思うのです。  本当に困った現状を相談に行く、そして相談をされたら、そこで今の時代に合わせてのアドバイスもできるが、自分たちができなかったネットワークというのをどういうふうにつくってあげるかというような、そうしたステーションというものをつくっていくというようなことが私は大事だというふうに思うわけなんですが、ともするとこれが、人が数少ないんですとか、あるいは役人のOBをすぐ入れるんですとかいうふうになってはならない。民間もこれに入れて、三百カ所というのが本当に中小企業の活性化ということにつながるような、そういうものにしていただきたいと思いますが、通産大臣、いかがでしょうか。
  93. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 太田委員中小企業政策に大変熱心で、特に、昨年御協力いただいたことを感謝いたします。  小渕総理は、中小企業の活性化こそ景気回復、経済安定の原動力だというお考えに基づいて、さきの臨時国会中小企業国会と名づけて協議をいただいたわけであります。  今、そのときの内容については太田委員が詳しく一通りおっしゃっていただきましたが、私は、ことし、これを実践、実行する年だ、メニューはできたが、これからが勝負だというふうに心得て、この一月から三月まで、でき上がりました政策についての徹底したPRと、これを中小企業の方に生かしていただくような一大デモンストレーションを広げていきたいというふうに考えています。  その中で、三百の支援センター、今御指摘のありましたセンターをつくることに相なりましたが、これは考えてみますと、中小企業で一番問題なのは三つあると思います。一つは人材確保、二つは資金面、三つはノウハウでございますが、そのいずれをとっても中小企業は非常に弱いわけでありますが、特にノウハウについて、そこへ行ったらワンストップサービスで万事わかるような仕組みをつくっていきたい。それを全国に三百カ所、支援センターという形で設けていきたい。  そこにはコーディネーターを選んでおいて、さらに、今のIT革命ではありませんが、情報網をインターネットで結びまして、パソコンのモニターでボタンを押したらノウハウが、それらについて答えが出てくるような、そういう状況も全部つくり上げて、そこに行けばあらかたのことの相談に乗れる。あわせて、例えば中小企業診断士とか特別な指導をしていただきたいような場面では、コーディネーターが直ちに連絡をとる、そのための人材を確保しておくということなどを今考えているわけでありますが、特に御指摘の民間の力を活用せよというのは全く同感でございまして、私は、これらの指導的立場に当たるメンバーの公募なども積極的に行っていくようにして、できる限り民間の力を活用させていただきたい、そう考えています。
  94. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 今、通産大臣から資金のことについても触れられましたが、資金繰りというのは非常に苦労しているところなんですね。  それで、信用保証協会の特別保証枠制度というのは、現実には、よく見てもらうと、ばらまきとかそういうことではなくて、倒産をして代位弁済というようなことは非常に少ないです。まじめに日本中小企業の経営者たちは命を張って、本当に、自殺をされる方もあるというところにも象徴されるように、一生懸命返していて、そんなに代位弁済が多いわけでもありませんし、倒産自体が物すごく減ってきた。  今回、十兆を追加するという中で、これは大変喜ばれているわけですが、ここで建設的な要件ということが付加されました。これが私は今の実績からいくと、決してばらまきではない。これは非常に大事なことである。この一年間で景気回復をなし遂げなくちゃいけない、それには地熱のような中小企業の活性化が必要であるということからいきますと、この建設的要件というものがかえって足かせになるようなことにならないよう、ぜひとも、通達を出すかどうかはわかりませんが、御配慮をお願いしたい、こう思います。
  95. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 一昨年、貸し渋りという大変なあらしが起こって、一番その被害を受けたというか、困ったのは中小企業でございます。  そこで、これも小渕総理決断でありましたが、思い切って二十兆の貸し渋り対策を信用保証協会からそれの保証で出そうではないか、その場合に、リスクを余り怖がっては緊急避難的な対応はできない、だから思い切って一〇%ぐらいのリスクを考えようということでスタートしたわけでありますが、現在まで、その二十兆のうち十九兆五千億円貸し出しがございます。そして、五百万を超える中小企業のうち百万を超える方がお借りしていますから、五人に一人が利用した、これは画期的なことだと私は思います。  ばらまきという批判もありますけれども、現在の代位弁済率は〇・六八でございます。私は、本当に一生懸命中小企業皆さん頑張っておられる、その真摯な姿勢を信頼して、大いに活用をいただきたいと思っておるわけですが、まだ必要だというお声が非常に強かったものでありますから、昨年十兆円の追加で一年延長を決断させていただいたわけです。  ただ、できることなら貸し渋りは二十兆で終えたかったという思いがございました。ですから、ただ十兆円を一年延期するということだけでなしに、貸し渋り対策でお貸しはするけれども、一方において、例えばそのことで、人材、つまり雇用の確保だとか経営が少しでも前進できるような、そういう建設的な目標というものをお持ちになっていただきたい。そういうこともあわせ検討していただくことがとても大事ではないかというので建設的な条件というのをつけ足したわけでございますが、本来の貸し渋り対策というのが主眼であることは間違いがありませんから、太田委員の御指摘に沿うた対応をしていきたいと思っています。
  96. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 公共事業についてお伺いをしたいというふうに思っております。  実は私は、昔も今も主張は変わらないのですが、公共事業については、要るものは要る、やらないものは要らない、そういうめり張りをつけてやるということが非常に大事である。従来型とか、公共事業のいたずらな悪玉論とか、あるいはばらまきとか、まくら言葉をつければそれで済むというような論議はもうやめた方がいい。本当に中身をどうするかという冷静な分析をしながらの公共事業論というのを展開しなくてはいけない、こう思っています。  実は、三年前のちょうど二月でありましたが、私ここで質問をさせていただいて、ダムを初めとする公共事業のうち長期間、停滞をしているとかいろいろな問題があって動いていない、こういうところについては結論を出せということを主張させていただいて、賛否両論が渦巻いておりました当時の細川内ダム、これは今話題になっておる徳島ですが、これについて、ずるずるずるずる中途半端な状態はもうやめろということを、私は結論を出せということを言ったのですが、当時の亀井建設大臣から、もう牛のよだれみたいにずるずるやらない、結論を出すと、非常に明確な答弁をいただいた。  そしてその後、ダムとかそういうものについては、中止とか休止ということがかなり行われ始めてきているということ、案外これは知られていないのですが、私は、そういう動きが始まってきたというのは大きいことだというふうに思っております。  例えば、この一年でも三年でも結構ですが、建設省として、この中止とか休止という例がどういうものか、また何を基準にそういうふうに考えられているのかということについてお伺いをしたいと思います。
  97. 中山正暉

    ○中山国務大臣 いろいろと御指摘をいただきまして、そのおかげで、建設省では、平成十年度から取り組んでおります実施中の事業で、再評価において、事業採択後一定期間を経過した事業を対象にしまして、事業の進捗状況、例えば、五年以内に着手をしていないものとか、それから十年で未完成のものとか、それから社会経済情勢等の変化に伴ってどういうふうに考えるかとか、それから費用対効果、BバイCとかいう基準でございますが、そういうものの要因の変化、それからまた、コスト縮減や代替案の立案等の可能性、そういうような視点に基づきまして指標等を設定して評価をいたしました。  今まで大体、平成十年度は約五千七百事業を対象に再評価を行い、その結果、社会情勢変化により事業効果が見込めないとか、それからまた調査の進展に伴って、地質条件等から代替案が有利と判明した等の理由により、白老ダムとか、それからまた丸森ダム等を初め十事業を中止いたしまして、ほかの代替案を検討するために、江戸川総合開発事業の二十六事業、そういうものを休止にいたしております。  また、現在実施中の平成十一年度の再評価においては、現在までに長木ダム等の四事業について休止をいたしました。
  98. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 私は、再評価システムというのは全体的にむだをなくすということから、政策全体の政策評価システムということがこれからは非常に大事だと思います。  同時に、建設省を初め公共事業各官庁においては、この事業評価ということについて、従来はアセスメントで事前ということがよく行われている。事前があり途中があり事後がある、事後も行われていなかったということで、ぜひともこれは事後をやれということを言って、やるようになってきたわけですが、ここの基準というか政策評価、事業評価システムの確立ということは非常に私は大事なことであろうというふうに思います。  今大臣がおっしゃったように、なぜこの公共事業をやるのか、なぜ優先されるのかという事業評価、今言ったようにBバイCということで、ベネフィットとコストというものを割って、例えば道路などでは一・五以上それがないとだめだとか、あるいは河川ということであるならば、この公共事業はなぜやるかというと、そこで被害が起きた場合は幾らの損失、そしてかかるものがどれだけというようなBバイCというものが行われている。  それで、アメリカなんかはヘドニック法ということで、具体的に、建物ができます、あるいは公共事業が行われます、それが地価が値上がりするということに換算されるということで、これは、いろいろなことの事業別ではなかなか評価が同じ基準でできないものですから、そういうことの中から工夫をされたわけですが、総合的なそういうヘドニック法というようなものができていて、かなりこれは進んでいるわけです。  ドイツとかイギリスでは、最近話題の、例えば住民参加というような観点を、そのBバイCの評価あるいはヘドニック法の数値化したものにある係数を掛けるということで住民の意思を入れ込むというような、かなり理論的なそういう評価システムというものができてきている。  私は、こういうような、住民の声が非常に大事であるということを、そして、これも、不毛な対立だけではなくて、むしろ事業評価システムというようなもので国民に納得していただけるような、住民の声も入れるということも含めた、努力をしていることはわかりますけれども、さらに今急速度にそういうことをやっていかなくてはいけない時代になったか、このように思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
  99. 中山正暉

    ○中山国務大臣 今、道路におきましても、日本は五十三億時間、年間、自動車の中で二日ぐらい泊まっていただいているような形になっているということでございますし、それからまた、経済のマイナス効果は十二兆円なんて言われております。  今御指摘がありましたヘドニック法とかCVM法とかいうことで、ヘドニックというのは何か快楽というような意味が言葉の中にあるようでございますが、欧米においてその両手法を利用していまして、我が国もそれを活用いたしまして、一部事業においてはこれらの手法を採用していますが、これらの方法にこれから着手してまいりたい。御指摘のとおりであると思います。  それから、公共事業に対する国民の理解を得る上で、今後ともさまざまな評価方法の検討に取り組み、評価手法をさらに高度化していくこと、これが重要だ。区画整理とか、それから再開発、環境と地価を計算の中に入れて、どういう環境だとどういう経済効果があるのかとか、総合のインフラ整備の中にそういう対応をこれから取り入れていくことが、どんなふうに再開発をしたり道路をつけたらどんなふうに自分たちが幸せになるのかという全体の評価みたいなものを、イメージをやはり生み出す方法が事業の進捗に役立つということでございまして、私は、御指摘のとおり、そういうものを大いに活用をすることが大切だと思っております。
  100. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 特に、私は、公共事業においても、そうした評価とともにかなり角度をつけるという必要があるということを主張させていただいていたんですが、今審議されている予算の中にも私は変化が見られているというふうに思うんです。  これは自自公三党による連立政権のゆえにできた効果ということであろうと私は思いますが、今回、公共事業に四本の柱が立った。  一つは物流効率化による経済構造改革ということで、幹線道路網等々です。これは、渋滞とかそういうことも全部入るんでしょう、五千百二十八億円。環境調和ということで、ダイオキシン類対策とかあるいは水質改善、騒音対策、地球温暖化対策、かなりシフトされて三千七百五十億円。少子高齢化に対応した町づくりということで、バリアフリーの町づくり、これは運輸省とかそういうところが大変努力をされ、建設省もあわせてそれはやられている。高齢者向けの賃貸住宅や生活支援サービスつきの公営住宅、これは一六・五%増になっている。子育て支援施設を備えた公営住宅の整備、四二・九%増、あかずの踏切や駅前広場等の対策、一七・五%増というような形で、九・四兆のうちの二兆を超えるようなものが、情報通信ということでは昨年の補正予算の中でかなりついているということがありますから、現実にはこういうところに重点的に柱が立って配慮されている。一割ぐらいこれが上がるということは残りが一割ぐらい減るということですから、相当今まで硬直化されたものに角度がついてきた、私はこのように評価をしております。  まず、これについての考え方について大蔵大臣にお聞きし、こうしたことをぜひともさらに進めていただきたいということを総理大臣にお願いをしたいというように思います。
  101. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は、けさほど時間がなくて十分御説明できなかったことを先ほどから大変に鮮明に解明をしていただきまして、どうもお株をとられた感じがいたしますのですが。  実は、今パネルでお示しいただきましたような考え方、先ほど堺屋長官が言われましたように、公明党のお考えを随分拝借しているんですが、昨年の緊急対策をつくりましたときに、今後公共事業関係はこの四つの柱で整理をしようということを決定いたしまして、そうして、予算編成に当たりましては二千五百億円を総理にお預けいたしまして、今までと切れた形でこの四つに予算配分をしていただきました。  それは二千五百億円ですが、と同時に既配付の予算をこの四つの系列に全部整理いたしまして、その上で今委員が言われましたような数字が今度の予算にあらわれたわけでございます。その合計はおっしゃいましたように二兆五百何億円でございますので、九兆何がしの公共事業の二十何%に当たります。前年対比で七・四%でございますので、かなりはっきりきれいに打ち出すことができたと思います。  同時に、先ほどお話にございましたように、非公共ではこの四つの柱のもとにミレニアムの予算を組みました。これは、おっしゃいましたように内閣の内政審議室が中心になりまして、各省庁と——官、学を合わせまして八つのプロジェクトチームを組みまして、八つの分野にわたりまして、これから数年間、実はプロジェクトを完成してほしい。その中には先ほどおっしゃいました電子政府なんかもあるわけでございますが、ただ、最初の一番上だけは公共事業でございますから、これはございません。三つの柱で八つの、ヒトゲノムとかそういうものも入っておりますが、初めて省庁を超えて、しかも事実上単年度の予算を超えて、何年間かの二十一世紀に向かってのプロジェクトを組みました。  そこへもこの三つの柱が入っておりまして、全体として、従来旧態依然だと言われました公共事業及びインフラについて、将来に向かってかなり大きな変革の一歩を踏み出すことができたと考えておりまして、これはこれからの予算編成の一つのレールになっていくことになりますが、そういたしたいと思っておりますので、どうぞ御支援をお願いいたします。
  102. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 公共事業につきましては、もし、この席に出ておらぬ政党の中に、公共事業とはばらまきなりといってばっさり切り捨てされる政党もおりますけれども、今御指摘のように、一方では公共事業といえども休止、中止するものがあるということを先ほど太田委員も御指摘されまして、その実績も上げつつあります。  一方では、これから伸ばさなければならないことにつきましては、今このパネルに指摘されているように、こうした形での予算をつけていくということは、大いにこれは必要なことでありまして、そういう意味で、これからの将来を決定すべき問題についてはなお積極的に、予算がこれから国民の理解を得ながら予算として立てていくことのできるようなことのために政府としても全力を挙げていきたい、こう考えておる次第でございます。
  103. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 私、もうこれで終わりますが、あわせて少子化対策ということで、保育所のことであるとかさまざまなことと同時に児童手当ということについても主張させていただいたんですが、きょうは質問をする時間がございませんのでこれでやめますけれども、そうした少子化対策も含めて、全力を尽くして、安心社会を同時に、景気回復とともにつくりたい、このように思っておりますので、また頑張ります。ひとつよろしくお願い申し上げます。
  104. 島村宜伸

    島村委員長 この際、赤羽一嘉君から関連質疑の申し出があります。太田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。赤羽一嘉君。
  105. 赤羽一嘉

    赤羽委員 公明党赤羽一嘉でございます。  本日は大変限られた時間でございますが、あの悪夢のような阪神・淡路大震災から、発生後、ちょうど五年の月日が経過をしたところでございます。  私自身も、震災当日は、私の町内で百人を超す人たちがとうとい命を失ったという、まさに震度七の激震地に住んでおりました。当日の朝、家を出てから、約一週間、被災地を駆けずり回り、またその格好のまま新大阪までたどり着き、そして新幹線に飛び乗った形で、あの五年前の一月二十六日、初当選以来初めてこの第一委員室で、阪神・淡路大震災の集中審議、予算委員会の場に立たせていただいたわけでございます。  以来五年間、まさに真の復興を、一日も早い神戸の真の復興をという思いで、あの瓦れきの山の中から駆けずり回ってきたわけでございます。そして、この五年の月日の経過の中で、いよいよ政府のもとに置かれました復興本部が解散となる、いわゆる仮設住宅も解消になった。この東京におりますと、いよいよ阪神・淡路大震災の復興も決着がついたな、こういうような雰囲気も強いかとも思いますが、自分の地元を歩いておりますと、まだまだ真の復興と呼ぶにはほど遠い厳しい現状があるというふうに、私自身はそう感じております。  極めて高い失業率、また商店街などは、商売をやめたというのが三割ぐらいあるとか、いわゆる高齢者ばかり集まった災害公営住宅とか等々、かなり見えにくい問題があるわけでございますが、その点について、地元では非常に、復興本部がなくなって、いよいよこれから国の支援というのはどうなるのか、この先どうなるのかというのが大変大きな問題でございます。その点について、きょうは、総理を初め関係大臣の皆様に見解をお伺いしたいと思います。  また、私は、単にこの時間、短い時間でございますが、神戸のことを話す、そういうつもりはございません。例えば高齢社会、高齢者しか集まらない災害公営住宅の状況も、恐らく十年後、二十年後の日本ではあちこちでそういった公営住宅が発生するだろう。その場合の手当てとして、手だてとしてどういう手を打たなければいけないのか。まさに今回の神戸の一面一面は、この将来の日本状況を前倒しにした、今まさに、逆に言うと、この神戸の状況に正しく手を打つことが日本の、高齢社会となる日本の将来の社会についての正しい政策選択につながるという思いで質問をしたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。  まず、こういった私の震災被災地の認識というものに対して、総理自身の、まあ大変お忙しい中、なかなか被災地神戸に来られるときもないと思いますが、先日も一月十七日、来てもいただきましたが、短い時間の御滞在だったと思います。この被災地の現状についての総理の御認識と、また、今回、阪神・淡路大震災の五年間の中での教訓、次なる震災に対しての備えというもの、どういうものが教訓として学ばれたかということを端的にお答えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  106. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 総理になりましてから、昨年に続きまして、五年を迎えた神戸の慰霊祭に参りまして、心から亡くなられた方の御冥福を深くいたした次第でございます。  震災のありました直後に、私も党の代表として、ここにおられる久間さんも御一緒だったと思いますが、参りまして、現地をつぶさに拝見させていただきました。その後、実は直接には足を踏み入れておりません。テレビ、映画、また新聞その他を通じまして、着々として復興のつち音が高く、改善されてきたということは承知をいたしておりますが、まだ都市計画その他につきましては不十分な点が残っておると聞いておりますが、いずれにいたしましても、地元の皆さんの並々ならない御努力と、また地元自治体、さらに言えば国としても全力を挙げてお手伝い申し上げて、神戸市、この地域が復興されつつあるということはうれしいことだと思います。  ただ、そうしたハード面のことは別にいたしましても、震災を受けられた方々の心のケアといいますか、そうしたものにつきましては、まだまだ考えなきゃならない問題も多々あると承っております。本部はなくなることになるかもしれませんが、しかし、政府としてのやるべきことはまだまだ、いろいろな教訓を得ておるわけでございますから、それをもととして、これからもきめ細かく対処していかなければならない、そうした思いでこれから努力をいたしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  107. 赤羽一嘉

    赤羽委員 それでは、具体的に幾つかの問題について御指摘をさせていただき、御質問させていただきたいと思います。  災害公営住宅、これにつきましては、神戸市内で実は一万六千戸の大変な数の災害公営住宅がつくられました。この災害公営住宅は、仮設住宅に入居されている特にお年寄りの皆さんからまず優先的に入っていただこう、こういった状況の中でつくられました。その結果、大変いろいろな問題が起きております。  その一つは、例えば災害公営住宅の入居者、平均年齢を調べてみますと、六十歳以上の方が何と五八%、六十五歳以上で四五%、私の地元の災害公営住宅では、七十歳以上の方が軒並みで自治会をつくることができない、こんな状況でございます。  そして、その人たちの収入、所得ではございません、収入を見てみますと、これも数字として見ていくと驚くのですが、月収八万円以下の方が七五%、四人に三人の方が月収八万円以下の方だということであります。  そんな状況があって、実は、災害公営住宅の家賃を低減させなければいけない、こういった話し合いの中で、当時、橋本総理が被災地神戸に来られて、そして本当につぶさにそういった状況を見られ、恐らく建設省が当時用意されていたであろう特別の家賃よりもさらに減免率を上げて、最高七割の減免、実際、一番最低では六千円ぐらいの、神戸市内でも六千六百円の家賃が設定されたわけであります。  それは、震災当日まで、実はいわゆる下町では長屋みたいなところで毎月五千円ぐらいの家賃で暮らしていた方がすごく多かった。そういった人たちを受け入れることのできる家賃設定というのは、当時の建設省が特段に考えていた安い家賃でもなかなか入居が厳しい。こういったことを私もこの予算委員会で何回も取り上げさせていただき、そして最終的には、政治的な決着ということで、今の特段の安い家賃設定がされたわけでございます。  しかし、これは実は五年間限りの話でございまして、つくられた当時は、五年間で生活復興が成るだろう、そうした場合にはもとの状態に戻れるだろう、だから家賃は、五年以降、六年目からは普通に戻せるだろうと。恐らくこれが、応能負担ですが、それぞれ約四倍の家賃に膨れ上がるということになるわけでございます。  しかし、これは現実、非常に厳しい。六十五歳以上、もう仕事を持たれていない、そして家族を失ったり職を失ったりした人たちが多い状況の中で、いきなり四倍の家賃設定というのは非常に厳しいものがあると言わざるを得ない。これは県も市も国の方にお願いに来られていると思いますが、この点についてどのようにお考えになられているかということをぜひお伺いしたい。
  108. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 実態は赤羽委員指摘のとおりかと思います。五年間としておる期限の延長にかかわる問題だろうと思いますが、被災者の方々の生活再建の状況、地元地方公共団体の財政事情等を総合的に勘案して判断すべき問題と考えており、平成十三年度予算概算要求を目途に方向づけを行ってまいりたいと考えておりますが、詳細につきましては建設大臣から——よろしいですか。はい、そういう方向でいたしていきたいと考えております。
  109. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今総理の御答弁で、平成十三年度の概算要求の中で関係省庁と協議をされて、総理のリーダーシップのもとに協議されるという御答弁がございましたので、今すぐの話ではないわけでありますから、この十三年度の概算要求、しっかり問題意識を持たれて善処をしていただきたいと強くお願いするところでございます。  また、この災害公営住宅について、やはりお年寄りばかりがいる。極端な話、きょうの安否は大丈夫なのか。この安否の確認とか生活一つ一つのテークケアのために、いわゆる生活援助員、また高齢世帯支援員の派遣というのを、国の施策として、国の特別事業として、震災関連の特別事業として財政援助していただいております。それがこの三月末には切れてしまうのではないか、こういった話もありまして、これはなかなかすぐ、これも家賃の問題と同時に、同じぐらいソフトの面で大事な高齢社会に対しての制度だと思います。  今後、一般の公営住宅でもこういうライフサポート・サービスというものもできてくるように聞いておりますが、この件につきましても、引き続き同様の支援員、相談員の派遣が継続されることを、これは担当大臣で結構でございますが、よろしく御答弁のほどをお願いいたします。
  110. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 委員指摘のとおり、神戸市におきましては、災害公営住宅にお住まいの高齢者に対しまして、安否の確認などを行う高齢世帯支援員を派遣する制度を独自に設けており、これに対しまして、厚生省といたしましても特別に財政支援を行っているところでございます。  地元神戸市では、高齢世帯支援員の派遣事業を来年度も引き続き実施する、こう聞いておるわけでございますので、厚生省といたしましても、こうした取り組みに対しまして全面的に御支援を申し上げたい、このように考えております。
  111. 赤羽一嘉

    赤羽委員 大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。どうかよろしくお願いをいたします。  また、厚生大臣に引き続きお願いというか、状況があるのですが、災害援護資金の貸し付けというのが災害弔慰金の法律の中で、一人当たり三百五十万まで、十年償還、ただし五年間は返済を猶予するよ、こういった制度がございました。これもまた大変な数の人たちがこの貸付制度を利用しました。  兵庫県で、約五万七千件、貸付金額としては一千三百億円貸し付けが行われました。神戸市では七百七十億円程度の貸し付けだったと思いますが、これもいよいよ、半年ずつの返済ということがありまして、この五月から利息がつく、そして十一月から第一回目の返済が始まるという状況になるわけでございます。  第一回目の返済は、半年ずつということにしても、三十八万円を超える返済をしなければいけない。まじめに皆さん、返さなければいけない、こう思われている方もたくさんいらっしゃいますが、これを何とか、もうちょっと柔軟にできないだろうか。  返さないということじゃないんだけれども、なかなか生活復興が進まない。最初のこの五年間の猶予というのは、五年間あれば、繰り返しになりますが、生活復興がそれなりに回復する、その上で返済していこうという話だったと思いますが、なかなか今の状況、半年に三十八万円、これを毎月、月賦は認められていないわけですが、月賦にいたしましても六万四千円ぐらいの返済をしていくのかな。かなり厳しい方たちが多いわけでございます。  私自身もそうですが、地元の県会、市会の議員さんのところにも一番多い市民相談が、この返済についてどうなるのだろうかということでございまして、いろいろな法的な制約があると思いますが、今この点について、こういった声は厚生省の方にも届いていると思いますので、どういった状況でお考えになっているのか、御答弁いただきたいと思います。
  112. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 災害援護資金の返済でございます。  委員指摘のように、原則として、据置期間を含めた償還期限は十年以内、こういうふうになっておるわけでございますが、阪神・淡路大震災のような特例的な事例におきましては、最大限で五年と定められております。  ただし、災害、疾病などやむを得ない場合によって償還金の支払いが著しく困難である、こういうような場合には償還金の支払いを猶予できる、こういうこととされておるわけでございますので、市町村によって、個別の事情にも十分に留意しながら、計画的に償還を進めていただきたい、このように考えているような次第でございます。  それから償還の方法でございますが、市町村の事務の負担も考慮いたしまして、現在は、年賦の償還または半年賦の償還となっておりますけれども、貸し付けに当たる市町村からの御要望があった場合には、今委員の御指摘がございましたように、月割りなど柔軟に取り扱う道がないかどうか検討してみたい、このように考えているような次第でございます。
  113. 赤羽一嘉

    赤羽委員 現場の状況に即して、今御答弁にありましたように、ぜひとも柔軟に対応していただけることを強く期待申し上げる次第でございます。  また、震災後随分人口が減少した地域がございます。長田区、兵庫区は人口自体も減りました。その結果、災害公営住宅がそこにでき上がったということもあり、実は、この二つの区では四人に一人が六十五歳以上、まさに二〇二〇年の日本社会の人口分布そのものになっている。  こういった中で、今することは何かといえば、私、運輸委員会に所属しておりますので、やはり高齢者に優しい、また障害者に優しい町づくり、鉄道駅またその周辺のバリアフリーを、これはもう国の施策として、プランを決めて数値目標を決めて行っていくべきだ、かねてよりこう主張してまいりました。  恐らく運輸大臣も、震災当時は新進党の災害対策復興本部長ということで、当時の新進党でも一番現実のことをよくわかっていただいていると思いますので、この点、バリアフリーの町づくりについて、大臣の御所見を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。
  114. 二階俊博

    ○二階国務大臣 赤羽委員にお答えいたします。  ただいま御指摘のバリアフリーの問題につきまして、今度の国会に、高齢者、身体障害者等の交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案、まだ仮称の段階でありますが、ただいま、建設省及び自治省とも御相談をいたしまして、共同提出の準備の作業に鋭意取り組んでおるところであります。  ただいま御指摘のありました阪神・淡路震災の現場における、当時の赤羽議員その人が、いわゆるみずからが被災者の立場にありながら、連日、災害の復旧あるいは人命救助に御努力をされておった姿を今思い起こしているところでありますが、その後、運輸省及び運輸委員会等におきましても、公共交通機関のバリアフリー化に熱心に御主張を続けていただいております。  先般も、赤羽議員の御尽力によりまして、被災地神戸の兵庫駅を初めとするエレベーター、エスカレーターの整備あるいはノンステップバスの導入等、いろいろ御助力をいただいておるわけでありますが、運輸省としましても、人に優しい交通機関、これは単なるキャッチフレーズでなく、真にそのことが実現できるように、今後十年間を目標にして懸命の努力を続けてまいりたいと思っておりますので、一層の御協力をお願い申し上げる次第であります。
  115. 赤羽一嘉

    赤羽委員 どうもありがとうございます。  今言った問題に加え、二階大臣、御答弁は結構でございますが、神戸の経済、非常に厳しい状況をよく御存じだと思います。神戸港関連で支えている神戸の経済、また有馬温泉を初めとする観光業で支えられているこの二つの大きな柱が、震災からまだまだ七割復興の状況でありますので、これもあわせて、大臣、ぜひ御視察に来ていただき、強力な御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。
  116. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま、神戸港の状況あるいは有馬温泉を中心とする神戸周辺の観光地の状況等について御指摘がありましたが、仰せのとおりだと思っております。したがいまして、神戸港の本当の意味での復旧、物流の拠点港湾でもあるわけでありますから、これは、我が国経済の復興の姿を重ね合わせて、神戸港の回復のために運輸省としても努力を重ねてまいりたいと思っております。  観光の問題で御指摘のありました有馬温泉初め周辺の観光地の問題、明石大橋の開通あるいは神戸ルミナリエ等によって、数字の上では相当回復したということになっておりますが、実際は、赤羽委員指摘のとおり、七割方の回復ではないかというふうに認識をいたしておりますので、今後、運輸省におきましても観光の振興に一層努めてまいりたい、このように思っております。  視察は、国会の合間を見て、ぜひ一度お伺いをしたいと思っております。
  117. 赤羽一嘉

    赤羽委員 また、被災児童の心のケアの問題ということが、やはり非常に指摘をされているところでございます。この私でもいまだに、夜行列車に乗りますと、揺られていると、あの被災当日の夢で、悪夢で目が覚めてしまう、こういった状況でございまして、震災で御両親を失った児童は、年がたったからといって、この問題というのは非常に傷跡の深い問題だというふうに思っております。  そのためにも、教育復興担当教員という、震災のために、カウンセリングも含めて、できるだけ数多くの先生で数少ない児童さん、生徒さんを見られる態勢でこの数年間続けておりますが、五年を終えた六年目の本年もこの教育復興担当教員の加配が継続されるであろうかということを、ぜひ文部大臣から明確に御答弁いただきたいと思います。
  118. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 文部省では、阪神・淡路大震災による児童生徒への影響を踏まえまして、委員指摘のとおり、震災直後の平成七年度から、兵庫県に対しまして、通常の定数措置に加えて小中学校のカウンセリング担当教員を配置しているところでございます。平成十一年度におきましても、兵庫県の実情や要望を踏まえまして、児童生徒の心の健康に関する相談等に適切に対応できるよう、二百七名の教員の定数加配を行ったところでございます。  平成十二年度の取り扱いについてでございますけれども、兵庫県からの具体的な御要望、それから実態調査等も行いまして、それらを踏まえながら対応してまいりたいと思っております。
  119. 赤羽一嘉

    赤羽委員 すべて地元の要請にぜひ一〇〇%こたえていただきたい。よろしくお願いいたします。  最後に、この震災の教訓として、私いろいろなことがあると思うんですが、一つには、新長田という一番火災の大きかったあの地域の真南に真陽地区というところがあります。真陽小学校というところは、実は三千名の被災者があふれかえったというような状況でございますが、実はその地域は下町で、日ごろから地域活動を通じて住民の信頼関係があったわけです。ですから、自治会、PTA、消防団、婦人会、共立の会という若手青年会みたいなものが一緒になっていろいろな町づくりをしてきまして、すごい原動力になっていました。  このことが非常に一つのモデルケースとなって、実は神戸市に防災福祉コミュニティーという、今、縦割りの幾つかの組織が、各校区ごとに防災と福祉をやっていこうという地域づくりのコミュニティーが百二結成されたところでございます。今まで隣の人の顔も知らない、しかしこのコミュニティーがあるおかげで、顔を知る、一緒に防災訓練もする、また安全マップといって、どこに消火栓があるのかとか、どこにお医者さんが住んでいるのかとか、お年寄りはここにいるとかという絵もつくって、いろいろなところに地図がかかっている。  非常に効果を発揮しておりますので、備えあれば憂いなし、この阪神・淡路大震災の教訓の一つとして、この防災福祉コミュニティーというものを、ぜひ総理のリーダーシップのもとで全国に組織化をしていただきたい。これをすることが非常に、初期消火という、被害を最小に食いとめる大変大きな決定打だと私は思いますので、その点ぜひ御所見をいただき、最後の御答弁としたいと思います。よろしくお願いします。
  120. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 防災福祉コミュニティーについての御指摘がございました。この大震災を契機に、その地区がそうした形で力を合わせて努力をされておられる、これが他に一つの範となるということであるとすれば、日本のいずれの地域におきましても、防災は、これは大きなテーマでございますので、研究、検討させていただきたいと思います。
  121. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ありがとうございます。終わります。
  122. 島村宜伸

    島村委員長 この際、並木正芳君から関連質疑の申し出があります。太田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。並木正芳君。
  123. 並木正芳

    並木委員 公明党改革クラブの並木正芳でございます。  私たち改革クラブは、政治とは至高の道徳であり、無限の愛郷心であるとの理念に立ち、信頼と希望の政治の旗を掲げ、その実現を目指しております。公明党とのパートナーシップのもとに、連立政権の一端を担い、山積した日本の課題解決に向けてのたゆまぬ努力を通して、国民の期待にこたえていかなければならないと決意をしております。  今日まで、金融システム改革、産業競争力強化、規制緩和などへの試みが続けられてきた結果、日本経済はようやく低迷状態から脱しつつありますが、財政赤字の増大や少子高齢化の進展などにより、国民の将来への不安は募るばかりです。新千年紀の初めに専念すべきは、国民の不安を払拭することにあると思います。そのために、小渕総理がおっしゃるところの立ち向かう楽観主義という、自立的国民意識に支えられた五つの挑戦の成果が一日も早くあらわれることを期待するものです。  野党皆さん国民の代表として議会で代弁すべき立場を放棄する現状は、かつて教員が教壇を離れ校外での政治運動や労働運動に奔走していったように主客転倒であり、まことに残念であります。  総理は、あすの時代を担う子供たちのために何ができるのか、何をしなければならないのか、所信表明で、一人の政治家としてそのことをまず第一に考えると述べられておりますが、私も同感であります。  そこで、大変失礼ながら、総理のお名前は恵三とおっしゃいますが、子供たちのために三つの恵み、プレゼントをということで質問いたします。第一は、子供たちに豊かな心、確かな心をはぐくみたいということ、第二は、子供たちにゆとりの教育を実施していただきたいということ、第三は、子供たちに豊かな環境、特に恵まれた自然を伝えたいということです。  まず第一の、子供たちに豊かな心、確かな心をはぐくみたいということで質問します。  総理も、学校、家庭、地域の三者の共同作業であすの日本を担う人材育成に当たると述べられています。私は、地域において、少年野球やバスケットボール、水泳、剣道、弓道、自然体験スクールなどの会長や顧問を務めています。こうした事業を通して、子供たちが、仲間との努力と助け合いの心、組織、共同体の中での責任感、忍耐力などを養いながら、心身ともに明るくたくましく成長していくのを実感しております。  教育の情報化により、平成十三年度中にはすべての公立小中高等学校等がインターネットに接続でき、平成十七年度を目途にすべての学級でコンピューターを活用できるようにするとの方針が示されましたが、であればこそ、余計に人と人との触れ合いや体験的教育が必要となってきます。  そこで、かつてふるさと創生一億円事業を行われた総理もおられましたが、小渕総理には、子供たちのためのふるさと創生、ふるさと継承事業として、少年少女のための触れ合いと体験の場となるスポーツ施設、自然体験施設を三百小選挙区に整備拡充する施策を構想していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  124. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 並木委員の御指摘をお聞きしておりながら、インターネット社会が来るということは当然想定されるのですが、インターネットで機械を相手に、その向こうには人がおるわけでございますけれども、そういう形で常にインターネットでの交流ということも一方では進んでまいりますが、今御指摘のように、その一方で、やはり自然と親しみながら、また、お友達同士が触れ合うという貴重な体験を失ってまいりますと、人間も、やはり子供たちもへんぱな形にならざるを得ない。そういう意味での御提言でございまして、地域におけるスポーツや自然体験学習の活動拠点の整備をしろ、こういうことでございます。  どのようなものがよろしいかということも含めまして御提言をいただきながら、御趣旨のことはそのとおりであると思いますので、できる限り全国にわたって、自然の中で子供たちが生き生きと生きられるような、そういう拠点づくりに努力をしなければならぬということは御指摘であり、また努力をしていきたいと考えております。
  125. 並木正芳

    並木委員 前向きの御答弁、ありがとうございます。具体化をぜひよろしくお願いしたいと思います。  第二の、子供たちにゆとりの教育を実施していただきたいということで質問いたします。  受験教育の弊害、マル・バツ教育の弊害が言われ、是正も試みられていますが、なかなか思ったような効果があらわれていません。詰め込み教育と言われながら、昨今ではむしろ、少子化による入試競争率の減少により、日本の子供たちの学力と思考力の低下が取りざたされています。  私は、中学校三年、高校三年では時間的に余裕がなく、やはり受験教育中心にならざるを得ないと思います。この多感で人間的にも大きく成長する可能性のある時期に、もっと時間的にも余裕を持って、クラブ活動や社会的ボランティア活動や、思考力を深めアイデアを創造する学習ができるように、中学校と高等学校を一貫し、五年制ぐらいの課程に統合、ゆとりある教育システムを構築してはと考えますが、いかがでしょうか。  また、統合により生じるであろう剰余金を、一方でその設置意義が同一化してきた幼稚園と保育園の一元化を進め、幼児教育、保育の充実や、年代的にも若いということで所得の低い保護者負担を軽減するために用い、少子化対策にも資してはと考えますが、この二つの質問にお答えいただきたいと思います。
  126. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員指摘のとおり、中学校それから高等学校という非常に多感な時期にゆとりの中でボランティア活動等を行うということ、体験活動を行うことは大変に意義のあることであります。総合的な学習の時間を通じまして生徒の個性や創造性をはぐくんでいく、そういう教育を行うことは、みずから学び、みずから考える力などの生きる力を育成する上で極めて重要であると考えております。  平成十一年四月から、これまでの中学校、高等学校に加えまして、委員承知のとおりの、六年間の一貫した学習環境のもとで、特色ある教育活動を幅広く展開できる中高一貫教育を制度化したところでございます。今後、生徒や保護者が実質的に中高一貫教育を選択できるよう、当面、高等学校の通学範囲、全国で五百程度になろうかと思いますけれども、この範囲に少なくとも一校整備されることを目標に、各都道府県等における積極的な取り組みを促進してまいりたいと思っております。  平成十一年度は残念ながら四校でございました。平成十二年度は十四校ぐらいになろうかと思いますが、大変に生徒にとりましていい制度であろうと思いますので、また一生懸命促進に努めていきたいと思っております。
  127. 並木正芳

    並木委員 幼保一元化ということではありますか。丹羽厚生大臣からですか。
  128. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 保育園と幼稚園の連携というのは、大変私は少子化対策の中で重要な位置づけを持っておる、こう考えております。  実は、私自身、与党の少子化対策検討会の座長として、昨年の四月、この幼稚園、保育園の連携強化を含む提言をまとめたものでございますが、厚生省といたしましては、各地区の実情に応じた設置、運営が可能となるように、双方の連携強化、さらに施設の総合化を図る方向で、厚生省と文部省が共同で施設の共用化についてやっていくべきである、こういうような指針を取りまとめました。  それから、両施設とも幼児教育におきまして大変重要な役割を果たしておりますから、幼稚園と保育園の教育内容あるいは保育内容の整合性の確保などの取り組みを行っており、今後とも、子供や家庭の多様なニーズに的確にこたえられるよう、文部省とも十分に連絡をとっていきたいと思っております。  それから、財政支援の問題でございますが、これは、委員御案内のように、保育の場合はいわゆる所得に応じて徴収するという応能負担をとっておるわけでございますが、保育に対する保護者負担の基準につきまして平成十年度から据え置いておりまして、保護者の負担が過大にならないように配慮をいたしておるようなところでございます。
  129. 並木正芳

    並木委員 この点については、時間の関係もあり、さらに改革クラブから、またの場で質問させていただきたいと思います。  第三の、子供たちに豊かな環境を、特に恵まれた自然を伝えたいということで質問をさせていただきます。  時間がもう五分ほどもありませんので、一括してお聞きさせていただきますので、順次簡潔にお答えを賜れればと思います。  日本は山紫水明の国と言われます。しかし、その山紫水明の国も、急激な都市化の中で、緑の山は開発され、河川は家庭排水などの影響も含めて汚濁し、昨今ではさまざまな化学物質による過敏症、ダイオキシン、環境ホルモン汚染の問題など、特に子供たちと人類の未来への影響が大きいと言われる問題も生じています。総理平成十二年度を循環型社会元年と位置づけておられますが、循環型社会の構築はまさに待ったなしです。  この点に関して、まず国の道路、河川などの整備に関し、都市化の中で失われた緑やせせらぎなどを多自然型整備により再生するとともに、子供たちの身近な学校などにビオトープ事業の促進を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
  130. 中山正暉

    ○中山国務大臣 大変結構な御質問をいただいたと思います。  ビオトープといいますか多自然型整備というのは、我が国の山紫水明、特に万葉集の中に、もう千二百年前に、   いにしえの人が植えにし杉が枝にかすみたなびく春の来ぬらし という歌があります。千二百年前に緑のことを考えた、そういうものを今私は取り返さなければいけないと思いますし、その意味で、道路の整備に当たりましては、潜在的な自然植生等を生かしまして、のり面の樹林化とか、それからまた地域の状況に応じてトンネル、それから橋梁なんかを、地形の改変を少なくするような、地形に影響を与えないような構造とか、それから工法を実施してまいりたい。  先般も淡路の花の博覧会を準備しておりますところへ行きましたら、のり面に、安藤忠雄先生が、それに向く植樹をなすっているのを実際に見せていただきました。  そういう河川とか水とか、この美しい国土を保全するために、先生の御提案は、子供の成長に大変影響のあるものと、自然を愛する子供たちを育てるための教育の一環として建設省も大いにそういう面での協力をいたしたいと思っております。
  131. 並木正芳

    並木委員 それでは、時間でございますので、最後に、今ごみ焼却大国とも日本は言われているわけですが、環境産業の進展、こういうものに伴って、煙突のない焼却炉までつくれるような時代になりました。こういう補助振興策を図っていただきたい。  また、環境問題、今特にそういう問題が起きているわけでございますけれども、この問題の、ほかの行政評価もそうでございますけれども、第三者による評価組織の拡充、あるいは抜き打ち検査等による環境犯罪取り締まりを、特別に任務を持った、一部警察権を付与した環境Gメンの創設、こういうものをこれから図って、環境問題の一層解決促進に役立てていただきたいというところを総理一言だけお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
  132. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 環境庁も環境省になりますし、我々は、今の御指摘も含めまして、十分検討させていただきたいと存じます。
  133. 並木正芳

    並木委員 どうもありがとうございました。
  134. 島村宜伸

    島村委員長 これにて太田君、赤羽君、並木君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木淑夫君。
  135. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 自由党鈴木淑夫でございます。  まず初めに、この委員会に野党の予算委員の皆様が欠席をしておられるということはまことに遺憾のきわみであるということを申し上げたいと思います。  申すまでもないことでありますが、議会制民主政治の基本というのは、少数意見を尊重しながらも、最後は多数決原理で事を決するということであります。そして、その決した結果を次の選挙国民の審判を仰ぐ。これが議会制民主主義の基本でありまして、自分の意見が少数意見で通らないからといって議会を欠席されるということは、まさにこの議会制民主主義の自殺行為、また国民に対する責務の放棄と言わざるを得ないと思います。  特に残念に思いますのは、この通常国会は、昨年いわゆる国会改革法が成立いたしました後の最初の常会でございます。ここでは、政府・与党が一体となって、そして野党と対面してディベートをしよう、積極的な討論をしよう、こういう形でこの通常国会以降運営していこう。さらに、来年になりますと、与党議員の多くが副大臣あるいは政務官として政府に入っていく。まさに政府・与党一体となって野党と対決していく、そういう国会にしようと言っているそのやさきであります。  きょうはどういうわけか、委員長、この席の配置が与党対野党の対決になっておりませんが、私ども自由党としては、昨年の両院合同協議会の決定を委員長が踏まえられまして、大いにリーダーシップを発揮されて、与野党対面型、そして与党と政府一体となって野党国民皆さんの前で議論する、こういう席の配置にされますことを強く希望いたします。と同時に、その野党席に一日も早く野党皆さんが戻ってきて国会議員としての責務を果たされることを、自由党としては強く希望するものであります。  さて、本論に入らせていただきたいと思います。  私、実は昨年、一昨年、二度とも自由党を代表させていただきまして、当時総括質疑と言っておりました、今の基本的質疑をこの予算委員会でやらせていただいたのであります。一昨年は、私ども自由党野党でございました。そして、橋本内閣と対決をさせていただいたわけでございます。ここに議事録がございます。  私ども自由党は、一昨年、この時期の予算委員会で三つのことを主張いたしました。  まず第一は、当時施行されておりました九七年度の予算、これは九兆円の国民負担増と三兆円の公共投資カット、一挙に十二兆円の財政赤字を削減しようという超デフレ予算でありましたが、これを改めないことには、既に始まっているマイナス成長はとまらないし、既に始まっている大型金融破綻、金融システムの危機は解決することはできないということを申し上げました。  二番目に、そのためには、その前の年の十一月に成立した財政構造改革法、二〇〇三年まで毎年歳出を削減せよ、減税はまかりならぬ、蛇が棒をのみ込んだような一直線の財政再建路線をしいた、財政政策の手足を完全に縛った、これを廃止しないことには、日本経済危機、金融不安を克服することはできないと申し上げました。  そして三番目に、失礼ながら、金融システム対策の無策を指摘させていただいたのでございます。  当時の橋本政権は、住専を処理した後、不良債権問題は峠を越したというお立場でした。したがって、信用組合の破綻処理以外には公的資金を投入しないで済むというお立場でした。そうして、二〇〇一年四月にはペイオフを解禁しても大丈夫だと言っておられた。私どもは、とんでもない話だ、金融システム対策を抜本的に立てなければこの金融危機は克服できないということを申し上げさせていただいたのでございます。  その三つの自由党の主張に対して、残念ながら橋本内閣は一顧だにされませんでしたが、その後間もなく行われた七月の参議院選挙において、賢明なる国民の皆様方が決着をつけてくださいました。橋本内閣は退陣され、ただいまの小渕総理の内閣が成立したのであります。  そして、その直後の十一月には、小渕総理・自民党総裁と私ども自由党の小沢党首との間で合意が成立し、そして翌一月、すなわち昨年の一月から自自連立政権が発足いたしました。その過程で、一昨年私がこの席でるる申し上げました三点が全部小渕内閣によって取り上げられました。政策は見事に転換をしたのであります。  当時、第三次補正予算と本年度予算を合わせて十五カ月予算、私どもも途中から飛び込んで参加させていただきました。ここにおきましては、九・四兆円の減税、そして支払いベースで一〇%の公共投資の伸びが確保されたのであります。そして、財政構造改革法は凍結されました。金融システム対策についても、六十兆円の枠組みによって、破綻金融機関の預金者保護、破綻金融機関の処理、そして健全な金融機関の建て直しを助けるための公的資本注入の枠組みが動き始めました。自自連立内閣が発足した後の昨年の二月には、ついに国際市場におけるジャパン・プレミアムが姿を消しました。国際的にもこの金融システム安定化対策が認知されたのであります。  ですから、昨年のこの席では、小渕内閣によって私ども自由党の主張を取り上げていただいて一緒に政策転換した以上、間違いなく政策の失敗によって引き起こされた政策不況から日本は立ち直ることができるはずだという角度で議論をさせていただいたのでございます。  しかし、当時まだ民間では、九九年度もマイナス成長だという意見が圧倒的に多かった。小渕総理は、〇・五%のプラスという内閣としての目標を掲げられました。私ども自由党は、何が何でも政策の転換によってマイナス成長をプラス成長に変え、金融システムの安定に向かっていくんだということを、ともにこの席で確認させていただいたのでございます。  さて、あれから一年たちました。この三つの政策の転換によってどうなったか。御承知のとおり、小渕内閣が目標としたとおり、本年度の成長率は間違いなくプラスであります。現在、GDP統計が昨年の七—九月まで出ておりますけれども、本年度上期、四月から九月の平均の水準は、前年度に比べてプラス一・〇%の水準にあります。昨年の十—十二、ことしの一—三が横ばいであれば、早くも本年度一・〇%成長になります。若干足元に弱いところがありますから多少下がるにしましても、上方修正された〇・六%の成長率の達成は確実であろうと私は思っております。  しかし、これに対して、この先一体どうなるんだろうかという不安はまだ国民の皆様の間にあると思うのですね。私ども、また十五カ月予算に近いものをつくりました。昨年の第二次補正、そして今ここで審議を始めました来年度予算でもう一回財政面から景気刺激をいたしますので、これは恐らく四—六、七—九、来年度上期までは間違いなくこの効果がありますから、民間の見通しでもみんなそこはいいと言うのでありますが、そこから先にまた政策が息切れを起こしてしまうという悲観的な見方も出ております。しかし、総理、私はそうは思っておりません。  私ども自由党が主張し、また自民党さんもそうだ、そうだと御理解いただいて自自連立内閣でこしらえた、そして昨年秋からは公明党さんにも入っていただいて行っている九八年度の第三次補正から九九年度の当初予算、そして第二次補正、そして二〇〇〇年度のこの予算案は、単に需要面から、公的需要をつけて景気を持ち上げよう、そんな簡単な政策ではございませんね。私どもは、需要面からマイナス成長をプラス成長に引っ張り上げると同時に、供給面、いわゆるサプライサイドに手を打ったわけでございます。レーガノミックスやサッチャーイズムが八〇年代にやって成功したように、私どもも日本経済の供給側に、企業や個人にやる気を起こしてもらうような手を組み込んだはずでございます。それが九・四兆円減税の中身だと思うのですね。  法人税の減税、これはついこの間まで実効税率五〇%で世界一高いと言われていた、これをついに四〇%という国際水準まで下げました。日本国内でも、やれば外国並みにちゃんと内部留保がたまっていくという格好にいたしました。それから投資促進減税、特に情報機器の関係については、百万円未満の情報機器について即時償却を認めました。これは来年度も延期されるわけでございます。中小企業につきましても、中小企業投資の促進減税あるいは技術の基盤強化の減税をやっております。  個人については、限界税率の最高が六五%という大変な高いところから、私どもは五〇%まで下げたわけでございます。  こういう政策というのは、需要政策と違いまして、ずっと効果は続くわけであります。需要政策はつけたらそれで、需要が途切れたら政策が途切れて景気も息切れだということになりますが、このサプライサイドの減税政策は、私は、昨年よりことしの方が効果が大きくなっていくと思うんですね。なぜなら、法人税の減税も投資促進減税も、企業がもうかっていなければきかないわけです。赤字の企業に向かって償却を認めてあげるとかあるいは税率を下げてやると言ったって、きかないわけです。  御承知のように、日本企業は三年ぶりにこの三月期増益になります。そして、来年度は二年目の増益です。増益基調になってくれば、私どもが本年度の予算に仕込み、そして来年度の予算にも続けていくこれらのサプライサイド強化の減税政策というのは、末広がりに効果を広げてくるはずであります。そして私は、堺屋長官、その兆しが最近の設備投資の動向に出ているというふうに思うんですね。  けさほども、総理あるいは宮澤蔵相、堺屋長官、おっしゃられました。そういうふうに私は理解しておりますが、初めに堺屋長官にお伺いいたします。そういうサプライサイドの効果、これが設備投資、個人消費というものにこれからどう出てくるとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  136. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員指摘のとおり、日本経済は最悪の時期を脱しまして、緩やかながら回復に向かっているのは事実だと思います。  ただ、ごく短期的にこの十—十二月を見ますと、個人消費は十二月がかなり悪かった。これは恐らく、ボーナスが低かったこと、それからコンピューターの不安があったことなどが足を引っ張ったのではないかと思っておりますが、一月に入りましてからの聞き取り調査では、順調に消費も回復している、伸びているということでございます。  設備投資の方、これはずっと二けたで下がっておりましたけれども、ここへ来て下げ幅が詰まってまいりまして、その上、九月ぐらいから先行指標でございます機械受注がプラスになってまいりました。委員指摘のように、企業の利益、景状判断と利益が上向いてまいりましたから、恐らく、機械受注の先行性というのは六カ月から九カ月ぐらいございますから、ことしの後半あるいは今年度の後半ぐらいからは設備投資も上向いてくるだろうと思います。  そして、そのときには従来の産業がそのまま回復するのじゃなしに、新しい産業、IT革命とか介護とか、あるいは個人サービス、そういったものが登場いたしますので、日本経済の構造改革が進みながら景気回復があらわれてくるというような形になってきて、新たなプラスの時代に向かうだろうと期待しております。
  137. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 私もおおむねそう思うわけでございまして、今もお話が出ておりましたけれども、設備投資の関連の指標はほとんど昨年中下げどまってきました。法人企業統計季報の設備投資、一般資本財出荷、リース契約、これらはすべて前年比でプラスになりつつあります。つまり、ほぼ下げどまったと言っていいと思うのですね。  長官が御指摘のように、六カ月から九カ月の先行指標である機械受注は、昨年の七—九とそして十—十二、十二がまだ出ていませんが、恐らく十—十二も、二四半期連続で前期比プラスとなりまして、前年同期比でもついに十—十二にはプラスになるという見通しがございます。  個人消費の関係では、私は、この三月期に増益になりますから、この夏のボーナスからは前年を上回ってくると思います。ボーナス期に入るたびに所得が落ちて消費が弱くなっちゃったのですね、これまでは。そのボーナス期、悪いボーナス期はついに通り過ぎました、昨年の十二月で。  ですから、私は、小渕内閣、連立政権がこれまでに打ってきた手が実を結んで、個人消費と設備投資にリードされる本来の自律的な成長が来年度下期に始まることを期待しているわけでありますが、ちょっと気が早いのでありますが、宮澤大蔵大臣、その先の財政運営が私は気になっております。すなわち、そうなった途端に、いや赤字が大きいんだということで、平成十三年度から財政再建最優先の予算でも組まれようものなら、これは九七年度の失敗の繰り返しになりはしないかと思っております。  小渕総理の諮問機関であります経済戦略会議、これがこういう答申を出しておりますね。  九九年度と二〇〇〇年度は財政で景気を刺激しなさい。政策で引っ張らなきゃ景気は上がってこない。しかし、その結果、恐らく二〇〇〇年度中には民需が立ち上がってくるでしょう。そうしたら、二〇〇一年度と二〇〇二年度の二年間、短兵急な財政再建をやりなさんな。この二年間は財政は中立に転じろ、増減税なしに。そして、民間の設備投資や個人消費、自分の足で日本経済が歩き出すのを二年間待てと言っているのですね。その先、二〇〇三年度から六年かけて、国債費を除いた財政の均衡、プライマリーバランスを計画的にとりなさいと言っております。  私ども自自公の政策責任者会議でも、基本的にはこの考えだなということを確認しております。  二年間財政中立といっても、それは当初予算が中立型というだけで、財政赤字は間違いなくもうその時期に縮み始めます。もう宮澤大臣よく御承知のとおり、国税と地方税を合わせた税収というのは、九一年度の九十八兆円が最高で、本年度の補正後は何と八十三兆円までおっこっちゃった。その間に減税をしたかもしれませんが、増税もしているんですよ。ですから、成長しているのにこんなに異常な落ち込み、十五兆円も税収が落ちているということは、景気が一たび上を向いたときはかなりの自然増収が出てくるということだと私は思います。  したがいまして、二年間の財政中立の期間というのは、もう既に赤字は縮み始める期間だと思うのですが、この二年間の中立的期間を置くということにつきまして、宮澤大臣はどのようにお考えでございますか。
  138. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず、願わくば、お話しのように私もそれを祈っておりますが、このような景気刺激型の予算を補正とかいう形でもう二度とやらないで済む程度に内需が回復する時期、願わくば、それを来年度内でございますか、もう次の予算はこういうことをしなくてもいい、仮にことしの九月ごろといたしますか、そういうふうになってほしいと思っていまして、けさほど申し上げました。  消費といいますか所得の上昇の時期に少し懸念を持っておりますけれども、上向いていくことは多分そのころまでには間違いないだろうと思います。そうしますと、その部分は、十二年度は景気回復に努めるという戦略会議のお話は、そのとおりだとは思います。  それから十三年度は、私も財政再建というようなものはやはり成長軌道に乗ったということを確認してと申しておりますのは、一遍しか回らないのは軌道と申しませんので、やはり二度ぐらい回ってくれないとどうも安心ができないという思いがありますから、次に来るのは中立型の予算だろうとおっしゃることは私もそうだろうと思っていまして、それがいつごろ、何回も中立型予算か、そこのところは今何とも私にもよくわかりません。  ただ、これからの財政改革というのは、いろいろ考えてみますと、実は財政だけの問題ではもちろんありませんで、税制もそうでございますし、中央、地方の行政、財政の再編成は避けて通れないと思います。そして、恐らく我が国が二十一世紀の初頭にどういう国のあり方になるか、どういう制度の改正があるかというような全部のものがそこへ巻き込まれてくるだろうと私は思っておりますから、そういうことと無関係に、税制でこれだけといったような形に恐らくそう簡単にならないのだろうと思っておりますので、この作業はかなり規模の大きなといいますか、今までの二十世紀にとらわれないようなことをいろいろ考えなければならないのではないかと思いますので、その準備というのは相当時間がかかるのだろうというふうにも思っております。  それから、もう一言申し上げますならば、確かに過去において税制の弾性値は、普通一・一でございますが、それをかなり超えたことがございます。バブルのはじける前の一番景気のいいときは、たしか弾性値が三を上回ったことがあったと思いますから、一遍ぐらいそういうことはあるかもしれませんが、余りそういうことはない方が今度はいいなという感じがします。  それからもう一つは、多分民間の経済活動がおっしゃいますように上がってきますと、金利が上がってくることは避けられないのではないか。今、国債発行ではある意味で非常に楽をしておりますが、そういう金利ではとても新規発行もやれないし、借りかえもできない、そういう方の財政負担。それから、社会保障関係のやはり給付と負担との関連についてのコンセンサスがなかなか生まれませんし、人口動態がこうでございますから、これはどうも将来の財政負担にネックとなるのではないか、いろいろ取り越し苦労をすれば切りのないことでございますけれども、まあまあともかくもう刺激的な予算はこれでいいといたしまして、次の段階は中立型の予算を組みたい、組めるようにしたいと考えています。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  139. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 民需主導型の成長が軌道に乗るというのは一年ぽっきりではないだろう、したがって、平成十三年度は確かに財政中立型の予算だなというお言葉をいただきまして、大変私も心強く感じたところでございます。テレビでごらんの国民の皆様も、その点安心されたと思います。  言葉は少し極端でございますが、最近、財政再建最優先の亡霊が墓場から出てきている、さまよい始めたかと不安を感じている国民の皆様がいらっしゃると思います。あの九七年度、十二兆円の赤字を一気に解消しようとしたところ、二年連続マイナス成長。その二年の間に、何と公債発行は二十兆円ふえちゃったんですよね。十二兆円カットしようと思ったら、逆です。こういうことを二度と繰り返してはいけないと思っている国民の皆様は、大勢いらっしゃると思います。その方々の不安を取り除くために、ただいまの宮澤大臣のお答え、大変我々を勇気づけるものであったと思います。  もう一つ、亡霊と言っては失礼ですが、国民の皆様が本当かなと思って心配していることに、インフレ政策の亡霊があると思うんですね。これはインフレーションターゲティングというのが正式な経済学の言い方でございます。これは、海外で入ってきたのは、海外の国はインフレでございますので、インフレのターゲットというのはずっと低い、四、五%のインフレの国が何とか二、三%、一、二%に下げたいというところ、それをターゲットにするわけです。  それが、この日本の、物価超安定、インフレどころか下がっているという国でインフレターゲティングというと、逆にインフレを起こすという話になるんですね。二、三%に向かってインフレを上げていく。これを聞いて、私は、一部の国民の皆様はひそかに心配しておられると思います。特に、財政赤字がここまで大きくなっておりますから、さてはインフレを起こして国民から収奪して財政赤字を減らそうなんてとんでもないことを考えているんじゃないか。いや、冗談じゃありませんよ、私のところへ来るジャーナリストが時々そういうことを言います。とんでもないと、我々自由党はそういうことは頭から否定するが、自民党さんだってそんなことを考えているわけないよと私は答えますけれども、しかし、インフレターゲティング、インフレターゲティングと言われるたびに、これは何か心配になる。  お忙しい中、きょう速水日銀総裁にお越しいただいておりますが、このインフレターゲティング論について総裁としてどのようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。
  140. 速水優

    ○速水参考人 御指摘のとおり、調整インフレ論というのは、ある程度高いインフレ率を目標にして、それを達成するためであれば国債を大量に買い入れるとか、何でもやるというような議論であろうかと思います。これは非常に危険な考え方だと私どもも考えております。物価の安定というのは、国民生活企業活動にとってなくてはならない条件であろうというふうに思っております。  一方で、物価の安定という観点からインフレターゲティングを行ってはどうかという議論も、御指摘のように非常に広く伝えられているところでございます。物価の安定という概念を一つの物価指標だけで決めるというのは、今の非常に複雑な経済の中では難しいことだというふうに思います。十分検討をする必要があると思っております。  例えば、物価は、需要バランスだけでなくて、外部的なショックとか技術革新とか海外要因とか、いろいろなことで影響を受けるわけでございまして、これらをどう取り扱っていくかということはかなり難しい問題だと思っております。  そうした問題をよく考えないで、少し高目の目標値を設定しておいて、それを達成するために何でもやるというような仕組みをつくってしまおうとすると、やはり今の大義名分は物価安定でも、実質的な中身は調整インフレ論と同じことになってしまう可能性が十分あるということを懸念いたします。  ただ、こうした議論が出てくる背景には、やはり金融政策の透明性ということももっと高めなきゃいけないという世論も強いわけで、市場や国民からこういう声が出てきているんだというふうに思います。そうした観点からの検討につきましては、各方面の御意見に耳を傾けながら、今後も続けてまいりたいというふうに考えております。
  141. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 総裁、ありがとうございました。  確かに、インフレ率を上げる政策というのは、これは大変難しいことでございまして、インフレ率が上がり始めると、今度はとめられなくなってしまう。アンコントローラブルなインフレーションになりますので、ただいまの総裁のお言葉を聞いて、テレビをごらんの国民の皆様も安心されたと思います。どうもありがとうございます。  総裁、お忙しいと思いますので、どうぞお引き取りくださいませ。  さて、そういうわけで、景気の方、そして今後の政策運営は、今大蔵大臣あるいは日銀総裁から伺ったように、私ども連立政権の考え方はぴたりと一致しているなと思っているところでございますけれども、もう一つ金融システムの安定の問題がございます。  六十兆円の枠、預金者保護のところがちょっと心細くなってきましたので、来年度予算案には、政府保証四兆円、交付国債六兆円ということで十兆円ほど補強する形になっておりますけれども、この関係で、例のペイオフについて、ちょっとここで越智金融再生委員長との間で確認をしたいのでございます。  私は、いわゆるペイオフ解禁の延期ぐらい誤解されていることはないと思うんですね。さっきもちょっと申し上げましたけれども、これを決めたのは、九五年ごろから始まって九六年に決まっていますね。そのときに何と言っていたか。そのときの関係者がおられたら申しわけございません、失礼でございますが、あのころは住専処理をしたら不良債権問題は峠を越したんだと言っていたんですよ。  あの当時の金融三法というのは、信用組合の破綻にだけ公的資金を使うというんですね。それで大丈夫だと言っていたんですよ。それで、二〇〇一年四月にはペイオフ解禁しても大丈夫だと。全く事態の認識を間違っていた。その後に、御承知のように金融不安が噴き出すわけですからね。それで、私ども連立政権で、六十兆円でしっかり守り、今七十兆円にしようとしているわけでありますけれども、ですから、そもそもこれは、出発点での認識がまるっきり間違っている。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、この六十兆円の枠組みで、大手銀行、そして地方銀行、着々と不良債権の処理、それから債務超過のところは、ついに日長銀、日債銀まで整理していくということで整理をしてきました。大丈夫なところには、不良債権を早期処理させて、公的資本をどんと入れた。ですから、大手行、そして地方銀行につきましては、これはもう二〇〇一年四月から解禁して全然大丈夫だと私は思っております。彼らもそう思っております。世界じゅうもそれを知っております。世界的に活動している日本の銀行は大丈夫だということを知っております。  ただ、あの当時のんきなことを言っていたけれども、実は大変な不良債権があって、その処理が終わっていないところが、信用金庫とか信用組合とか、あるいは第二地銀の一部にあるでしょうか、そういう問題が残ってしまった。  特に信用組合については、御承知のように、今まで地方公共団体、県が中心でありますが、都道府県で見ておりました。それをことしの四月から国が見るわけでございます。ふたをあけてみないと、中身がどうなっているかわからぬところがある。その検査に一年かかる。ことしの四月から来年の三月までかけて検査が終わったら、四月からペイオフ解禁だと言われたのでは、検査の結果を踏まえて、大手行や地銀にやったように、倒れるべきものは整理してしまう、そうじゃないものは不良債権を処理させて、資本、この場合出資金ですが、資本を注入して立て直してやる、こんなことを考える暇ないんですよね、ぱっとペイオフ解禁したら。だから一年延ばそうということになった。しかし、これは実際は、私は一年延期ではないと思っております。  なぜなら、金融審議会が答申しましたのは、二〇〇一年四月から解禁といいながら、二〇〇一年四月から二〇〇三年三月までの二年間は流動性預金は全部保護してくださいよ、それから預金貸し出し、借り入れの担保になっている大口の定期預金も相殺を認めてくださいよ、その上、金融債はこれまでどおり保護してください、さらに、公金預金あるいは特殊法人預金まで新たに保護の対象に加えてください、保護、保護、保護ですよ。これをしますと、預金の九割以上保護することになるんです。ですから、金融審議会が言っていたのは、あれは解禁じゃないですね、二年間延期と同じことを言ったんだ。  私どもは、その二年間延期の最初の一年だけをきれいにすぱっと延期しちゃおう、それで次の一年は金融審議会が言っているようにしようと。最終着地、二〇〇三年四月からきれいにペイオフ解禁する、これは、金融審議会が言っていることと私ども与党三党の政策責任者会議で決め政府にお願いしたこととぴたっと一致しているんですよ。一年も延期していないんです。着地は一年も延期していない。二年のプロセスの中の最初の一年のところだけ、解禁、解禁といいながら実は解禁じゃないことをやろうとしていたから、これはきれいに解禁した方が行政としてすっきりするということを言ったわけであります。  こういうことをすると経営のモラルハザードが発生するとか国際的な信用が落ちるとか、わいわい言われましたが、越智大臣は経営のモラルハザードが下がらないように手を打たれました。それから、国際的な信用が下がると言っておられましたが、私はその後、非常に心配だから調べた。日本の金融機関でレーティングが下がったところは一つもないですよ。それから、日本の金融機関の株に対する外資流入は続いていますよ。ジャパン・プレミアムはどこにも発生していませんよ。どこで国際信用が落ちましたか。外国の方がよっぽどよく見ていると思います。  越智大臣、特にモラルハザードの発生防止についてお打ちになった手を御説明いただきたいと思います。
  142. 越智通雄

    ○越智国務大臣 鈴木委員にお答えいたします。  さすが、日銀理事としてまた野村総研の理事長として、長年にわたり日本の金融界を見ていらした方だけあって、本当によく御存じだなと感心しながら伺っておりました。  今お話のありましたように、私ども余り、どこの金融業界が健康状態がどうだというのは、大きく言いにくいものですから、声を高くしておりませんでしたが、せっかく今お話が出ましたので、ざっくばらんに申し上げますと、信用金庫が今預金量で百兆、信用組合が預金量で二十兆、両方足しましても、千二百兆から千三百兆あるという金融資産の中では一割足らずぐらいのものでございます。しかし、そこにそれぞれ三百からの金融機関がございますものですから、そこに不測の事態が起これば、やはり日本の金融は信用を失うおそれがある、国民生活に不安、動揺を与えるおそれがある、それは非常に憂慮いたしておりました。  私どもの知っているところでは、信用金庫のいわゆるリスク管理債権は大体五兆円ぐらい、信用組合で二兆円ぐらいで、先ほど申し上げましたように、全国銀行ベースでは大体、めどはつけておりますけれども、ここら辺の、今の中小企業金融機関と申しますか、あるいは協同組合組織の金融機関については、大変まだ準備が十分でないという心配を持っておりました。  したがいまして、十二月二十九日、先生を含む与党三党の政策責任者の御決定を大変重く受けとめまして、一月七日の閣議にも御報告申し上げ、宮澤大蔵大臣の御指導もいただきながら直ちに手を打ちまして、法案は出します。殊に、今先生のお話の中で、信用組合の検査監督権限がこの四月からやっと来るわけでございまして、これは、それを決めた地方分権法というのは去年の七月にやっとこの国会を通ったのですから、まだ半年前の話でございますので、引き受けましてから直ちに、大体七月になると思いますが、検査を実施いたします。  もう一つ問題がありますのは、資本の注入というのは、実は今まで協同組合組織の金融機関には事実上行っておりません。劣後債なら入れられるんですけれども、優先出資証券は出せない法律になっておりましたものですから、今回、預金保険法その他改正と同時に優先出資法の改正を今国会に出させていただきまして、風邪は引いているけれどもまだ大丈夫だ、そういう協同組合組織へどんどん資本の注入をさせていただきたい。健全化勘定の方にまだ十兆以上の枠がございますので、それを使わせていただきたい。  今お話のございましたモラルハザードにつきましては、直ちに私書簡を出しまして、全銀協、信託協会、地銀協、それから第二地銀協、この四者に対しましては、前どおり、予定どおりペイオフ解禁になったと同じつもりで、経営の合理化と不良債権の処理をするように、絶対緩めないようにということを申しまして、それぞれの協会から、もう書簡のとおり自分たちもそのつもりでやっていますという御返事をいただいております。  それから、信用金庫、信用組合の協会に対しましては、これは一年延びたけれどもそれ以上の再延長は絶対ないんだ、したがって、経費の節減、それから不良債権の処理、そして、殊に自主検査をもっと徹底してやってくれ、こういうことを要請いたしました。これも両協会から、その書簡のとおり頑張りますというのを既に一月半ばにちょうだいいたしておりまして、これからその線に沿ってやっていきたい。  先生おっしゃるとおり、国内外を通じまして、モラルハザードが出ていない、あるいは出さないという格好で頑張らせていただきたいと思っております。
  143. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 頼もしいお言葉をありがとうございました。  さて、こういうわけで、私ども自由党の主張をお取り上げいただき、しっかりした連立を組んで、日本経済を立て直し、そして金融システムの安定を図ってきたわけであります。  しかし、ここにファイナンシャル・タイムズというイギリスの新聞がございます。御承知のように、これはイギリスにおける日経新聞みたいなものでございます。このコメント・アンド・アナリシスの欄、これは一月十四日号に、まあイギリス人らしい、ちょっと皮肉なのが載っております。  それは、日本は景気がしっかり回復し始めた、経済が立ち上がってきた、金融システムも見事に安定化させることに成功した、この二つのことによって、しかしながら日本政治家は安心しちゃって改革を怠るんじゃなかろうか、改革を怠ったら、長い目で見て今の成功はかえってよくないよという何か非常に皮肉なことが書いてあります。私は、小渕総理の所信表明を伺いながら、これは、おっしゃっておることをこの筆者に読ませてやりたいと思いました。しかし、これは単なる皮肉と受けとめるよりも、友人からの警告だと私は思いたいと思います。  景気を立て直すこと、そして金融システム安定化させること、これは大事でありますが、これと並行して日本の構造改革を進めていかないことには、このせっかく立ち上がった景気が、構造改革を伴わなければ二十一世紀の安定的な日本発展にはつながっていかないというふうに思います。もう総理は十分そのことを御存じだと思います。  私ども自由党といたしましては、したがって、この構造改革経済の立て直し、金融システムの安定というのは車の両輪であって、経済が立ち直って初めて痛みをも伴う構造改革もどんどんやれる、そして、構造改革があって初めて経済の立ち直りが単なる景気循環じゃなくて持続的な発展につながる、こう考えておりますので、この後同僚の鰐淵委員から御質問申し上げますが、少子高齢化を踏まえた、二十一世紀になっても微動だにしない社会保障制度を構築する、そして教育基本法を含めた教育改革もやる、日本人改革をやる、それから安全保障については、国内有事法制、領域警備、PKF凍結解除を含む国連の平和活動への協力、あらゆる分野で法整備をきちっとやっていこう、そういった、改革の手を緩めずに実施していって初めて、今始まった経済の回復、金融システムの安定を生かすことになると思います。  私どもは、二十世紀における日本の負の遺産、やり残した問題をそのまま二十一世紀に持ち込んではならないと思います。きれいにその負の遺産を清算し、そして、二十一世紀発展できるような構造改革を、二十一世紀に向かっての助走期間であるこの二〇〇〇年からどんどんやらなければいけないと思うものであります。  その意味で、一つ取り上げたい問題がございます。これは、円を国際化するためにはデノミネーションが必要ではないかということであります。現在、自自公の三与党プロジェクトチームで鋭意検討中でございます。  今の若い国民の方は、生まれたときから一ドルに対して三けたが向かい合っている。三百六十円、今でも百五円だ、百十円だということですから、これが当たり前のような気持ちになっておるかもしれませんが、総理承知のとおり、これは国際的に見て恥ずかしいことであります。第二次大戦前は、一ドルは二円か三円だった。先進国は、単位は一対一で向かい合っていたのです。それが、第二次大戦に敗れた後の物資不足で日本は物価が五百倍にもなっちゃって、その結果、一ドルに対して三けたの円になってしまった。  先進国で同じようなことになってしまった国があと三つあります。フランスとイタリアとフィンランドです。ところが、フランスは一九六〇年、フィンランドは六三年、百分の一のデノミを実行して、一けたと一けたで為替相場が向かい合うように直しました。戦後の大インフレーションに発する負の遺産をきれいに清算したのであります。たった一つ残っていたのがイタリア。ところが、御承知のように、二〇〇二年一月からはユーロが流通します。イタリア・リラは消えます。  そうしますと、先進国の中でただ一国、日本だけが一けた対三けた、ゼロを二つくっつける、そういうみっともない姿をさらしているわけで、こんなままで二十一世紀に入っていっていいものでしょうか。日本は円を国際化しなきゃいけないと言っている。ところが、国際通貨としてドル、ユーロと並んで円だと言っていますが、ドル、ユーロに対してゼロを二つくっつけて向かい合っているものを、どうして国際通貨として他国が使い勝手よく使ってくれるでしょうか。  私の手元には、最近、デノミをぜひやれという手紙その他の声が届いております。これもその一つですが、枚方市の方からいただいた。大変おもしろいことが書いてありました。  それは、日本人は島国根性だから、ゼロが二つついていることがどんなに恥ずかしいこと、あるいは外人から見たらぎょっとすることなのかというのがわからないようだが、自分はいつもこういう例え話をする。一ドルが百円じゃなくて、一円が百ドルだと考えてみろ。それで、アメリカに行った。ホテルに一泊した。日本なら一万五千円だ。一円百ドルだったらどうなるか。アメリカでホテルに一泊したら百五十万ドル請求されるのですよ。これでぎょっとしない日本人はいないだろう。こういうぎょっとする思いを外人が日本に来たときしているんだぞ。日本人は島国根性で平気な顔をしておるが、外人から見たらぎょっとするのですよ、ゼロを二つ余計につけた価格を請求されるということは。  アジア諸国では今、円を国際通貨として使いたがっている。一昨年のあの通貨危機は、大きな原因はドル偏重から起きている。貿易関係、資本取引関係はアメリカよりも日本の方が深い。日本の円を使いたい。だけれども、こんな一ドル、〇・〇〇九五、あるいは一円が百幾つ、こんなものじゃ使い物にならぬ。そのためにドル偏重を起こして通貨危機を起こしたという側面があります。本気になって、二十一世紀、円を国際化するなら、これはデノミを真剣に考えなければいけない。  デノミをするというとコンピューターソフトを変えるのにコストがかかるとおっしゃる。それはそうです。しかし、ユーロを導入するヨーロッパ諸国の企業の方がよっぽどコストが高いですよ。それはそうですよ。百分の一にするのと、全然レートが違うユーロというのを入れてくる、金利の水準も変わる、大変なことです。それをヨーロッパの企業はやり遂げたわけです。何で日本企業がそれにたえられないか。特に、二〇〇二年というユーロが流通し始めるところにこちらのデノミの焦点を合わせると、二〇〇二年というのは、九九年度から増益ですから、増益四年目です。増益四年目の日本企業が何でたえられないでしょうか。  しかも、けさから出ておりますように、IT革命がどんどん進んでいくのですよ。IT革命絡みのソフトの転換、投資、たくさん日本企業はやるのです。その中にデノミに伴うソフトの変更が入ってくるのですから、私は、これは政治の決断の問題であって、経済的にできるとか日本国民が混乱を起こすのじゃないかとか、そういう方の心配はないのではないかと思っておるのです。  いずれにしましても、自自公のプロジェクトチームで今鋭意検討中でございます。少しでも早く答えを出したいと思いますが、今申し上げたような点をできればヨーロッパに行って研究したいし、その他のことをして御報告申し上げたいと思っております。  きょうは、総理、御質問をもう一つ用意していたのですが、時間がなくなってしまいました。構造改革というものが非常に大事だと。特に、二十世紀の負の遺産を二十一世紀に引きずっていってはいけないのだという視点、いつも総理も言っておられます。その観点から、今私が申し上げましたことについて総理の御見解を伺えればありがたいと思います。
  144. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 前段の自自合意以降、連立以降、それぞれの政策が少しずつ効果をあらわしてきているという意味におきまして、連立の効果が発揮され、その後の公明党との連立により、より確実な経済運営が行われることによりまして、当初の目的を達成することができれば幸いだと思っておりますので、その点につきましては今後とも御指導いただきたいと思っております。  最後にお話のありましたデノミの問題につきましては、国民各層にわたり幅広く影響を与えるものでありまして、国民の受けとめ方、経済社会環境、コンピューター、高度に発達した社会における技術的困難等、総合的に判断すべき問題でありまして、政府においても、与党三党の協議を見守りつつ、広範な角度から勉強してまいりたいと考えておりますが、常々先生から膨大な資料もちょうだいをいたしておりまして、勉強させていただいております。  確かに、単位通貨ということを考えますと、最近アメリカの一ドル硬貨が発行された記事などを見ておりますと、かなり立派なものでございますし、それぞれの国の一単位通貨の重みというものを感じておりますが、日本の単位通貨はアルミの一円玉でありまして、そういうことを考えますと、いろいろと思いはいたしておりますが、今後とも御指導をいただきながら、本問題についても勉強させていただきたいと思います。
  145. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 ありがとうございました。  宮澤蔵相、今の点、特に御発言いただけることがございますれば、ちょっと時間でございますので、その御発言だけ伺って終わります。
  146. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変説得力のある御議論を伺いましたが、今私どもがチームにお願いしておりますことは、最近コンピューターの専門家が申しておりますことで、古い円、新しい円、それをコンピューターが読み分けることがほとんど不可能ではないかと。この間のツーサウザンドであれだけ苦労したんだが、今度、両方とも円と呼ばれてしまった場合に、それをどうやってコンピューターが見分けるかということを専門家は心配しております、その点の御検討をお願いしますということを申し上げております。
  147. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 ありがとうございました。  一言申し上げますが、隣の韓国でもインドネシアでもロシアでも、みんなコンピューターを使っておるのでありまして、それがやり遂げておることをもっと進んでいる日本でできないのかというふうに思いますが、それではこの点は十分検討させていただきます。  では、同僚の青山委員に交代させていただきます。ありがとうございました。
  148. 島村宜伸

    島村委員長 この際、青山丘君から関連質疑の申し出があります。鈴木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青山丘君。
  149. 青山丘

    青山(丘)委員 経済問題の後は、私からは、二〇〇五年、国際博覧会について質問をさせていただきます。  九七年六月十二日、モナコにおけるBIE総会は、総理出席をしていただいておりました。二〇〇五年の開催、これは日本に開催ということで決定いたしましたが、地元からは三百人ぐらいの市民がモナコまで出かけて、誘致運動に進んで参加していただきました。  私は会場の中で実は感激を味わったのでありますが、日本の得票数が過半数を超えたときに、あの会場全体の中で拍手が起きました。演説をされた総理も記憶がまだ新しいところだと思います。実は、私も感激をしておりましたが、率直に申し上げて、うれしかったのは一瞬だけでありまして、さて、これから万博開催まで多くの課題や問題が出てくる、これをしかし何としても乗り越えていかなければならない、私はそう思いました。  総理大臣は、二年半前のあの感激をまだ覚えておられますでしょうか、いかがでしょうか。
  150. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 二〇〇五年の日本国際博覧会の誘致に当たりまして、先生初め地元の方々の多くの熱意が伝わりまして、その努力が実り、誘致が決定をされたわけでございます。私自身も、シラク大統領にも直接お目にかかって、その誘致活動に参加させていただきました。  今、お話は、九七年の六月、モナコの総会で、先生とともに出席をいたしまして、票が一票ずつ入ってまいりまして、そこで過半数を超えた時点において拍手が鳴りやまなかったことを覚えております。しかし、今、この誘致問題以来、決定をされましたが、カナダと開催を争う選挙を行ったときに、我が国は「自然の叡智」というテーマで、その提案が国際的にも高く評価されまして、五十二対二十七という大差で決定をいたしました。  顧みますと、実はかつて名古屋でオリンピックを誘致いたしたことがあります、今は大阪でございますが。そのときに破れましたのが、ちょうど反対の二十七対五十二で破れておりまして、因縁の深さを実は思い起こしておるわけでございます。  今、青山委員おっしゃられますように、いよいよこれから本格的に二〇〇五年のエキスポを開くに当たりまして、幾つかの問題が提起されておるようでございます。こうした困難な問題につきましては、全力を挙げて政府もお手伝いをしながら、最終的には自然を守りながら立派な万博が愛知県で開催をされるように心からこいねがっておりますし、やはりこれから国民的な理解と協力のもとに、せっかく誘致いたしましたエキスポ二〇〇五年でありますので、その成功のためにお互い努力をいたしていきたい、こう考えておる次第でございます。
  151. 青山丘

    青山(丘)委員 総理のあの感激をひとつこれからもぜひ生かしていただきたいと思って質問を申し上げました。  一八七八年、パリにおける万博で、初めて実は自動車と冷蔵庫が展示されました。当時、最も注目されたのが実はエジソンが発明をした蓄音機であったと聞いておりますが、万博はその時代における最も進んだ技術が展示されてくるものでありまして、そういうことによって世界へ情報を発信していくというわけですけれども、明治十年代の日本人があれを見たときに、とても信じられない、そういう思いであったのではないかと思います。  しかし、百年後、今静かに考えてみますと、やはり時代発展させてきた新しい技術、あるいは社会経済を進めてきた、豊かな社会をつくっていこうとして取り組んできた、新しいその時代の最新の技術、そういうものが今、我々の世界、我々の社会、そして世界の人々の生活に大きく貢献してきたこともまた事実でありまして、今回の愛知万博は、新しい地球創造、自然との共生、この大きなテーマで日本から世界へ情報を発信することができる。  そういう意味で、先般、担当大臣であります通産大臣が、開催予定地を視察していただきましたし、記者会見でも前向きな方針を述べていただきました。実は、あそこで一つ話題になっておりましたことが、うんと前から、実はあの地域はあいち学術研究開発ゾーンの一帯でございまして、これは、将来あの地域における大きな、すばらしい知的財産になっていくという期待感が私たちにも強くありました。  ただ、問題は、万博跡地についてそれだけなのかという印象が、やはり今いろいろな方面で問題が出てきておりまして、私は、万博跡地の利用計画はもっとバランスのとれたもの、すなわち、あの地域のことを考えていただいて、万博記念の世界陶芸村構想であるとか、豊かな自然を生かした自然公園構想であるとか、やはりバランスのとれた跡地利用計画を持っていくことが必要ではないか。  それは、登録申請手続における、例えば会場計画なんかでも跡地利用問題は一体のものだという受けとめ方が私は必要ではないかと思っておりまして、これから万博開催に向けていろいろと御苦労いただきますが、通産大臣、ひとつぜひその方針を述べていただきたいと思います。
  152. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 通産大臣は万博担当大臣でございます。小渕総理からも明白に言われておりますことは、必ず実現せよということでございまして、私は、その方向をいささかも変えるつもりはありません。  六十三年に、まさに愛知県八十八市町村、二百三十七団体、地域挙げて万博をやろうではないかと立ち上がって大運動を展開されて、平成七年に閣議決定して、以降、総理大臣を初めとしてあらゆる人たちが大変な運動を展開して、今のお話の、平成九年のモナコでついにこれが決定したときには、大きな感動を皆さんが味わったわけであります。  そして、それに基づいて、いよいよ承認を申請するという具体的な段階になりました。県もいろいろ検討なさって発表されておりましたが、たまたま昨年の暮れにBIEの議長がこちらにその準備の状況視察のためにおいでになって、そのときに、例えば自然との共生とかそういう面にいささか問題があるのではないか、そういうサジェスチョンを与えて、それがマスコミの大きく取り上げるところとなって今連日のように話題になっているわけであります。  私は、そういう騒ぎになったから行ったわけではありませんで、とにかく中小企業国会からWTOからサウジから、全く時間がなかったものですから、おくればせながら過日は訪れてまいりまして、あわせてさまざまな方々からの御意見も伺ったのでございます。  私は、あのBIEの議長の発言について直接聞いているわけではありませんけれども、数々の誤解もあるかな、そんな印象を持ちました。  例えば、海上の森に新住の計画で建物を建てるという場合に、何か環境破壊という感じがありますけれども、海上の森だけで住宅の分を考えてみますと、わずかに三・九%である。それから、オオタカが巣をつくったというので青少年公園に計画変更して広げましたのですが、あれで見たら二・七%の住宅の敷地なんですね。だから、およそ環境破壊というような極端なものではないのでありますが、そこいらの説明、これはBIEに対してのみならず地元の人たち、マスコミに対しても足りなかったのではないかな、そんな思いもあったわけであります。  しかし、いずれにしても多くの問題になっていることは確かでありますから、知事を中心にして愛知県で、地元や関係者の皆さんやBIEも納得できるような幅広い検討をしていただけませんか、そしてそのためには政府はあらゆる角度からお手伝いしましょう、こう言って帰ってまいりました。今、知事を中心にして恐らく検討を続けていると思います。  この間私が参りましたときに、産業界の方から、自然との共生、自然の叡智、このテーマをこの機会にみんなで考えて、日本発の自然との共生、そういう声を世界に送ろうではないかという前向きの御意見もありました。  いずれにしても、どうぞ幅広い御意見をまとめていただいて、愛知県が先頭に立って構想を考え、そして、これが実現するために我々も全力を挙げますから、もう今さら国際的な信頼を失うような取りやめなどということはあり得ないことでありますから、みんなで知恵を出し合いながら、実現に向けて努力していきたいと考えています。
  153. 青山丘

    青山(丘)委員 運輸大臣建設大臣にお尋ねいたしますが、まず運輸大臣、万博会場だけではなくて、実際は、成功させるためには交通アクセスの整備が非常に重要でございまして、私の頭の中には、実は中部国際空港の建設であるとかあるいは愛環鉄道の複線化であるとか、新交通システムの東部丘陵線であるとかというものがあります。ただ、各論についてはきょうは総括ですから余り触れないで運輸大臣の見解だけをまず、これからまた各論については別途詰めていきたいと思いますが、交通アクセスの整備が非常に重要でありますが、運輸大臣としてどのような御見解をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  154. 二階俊博

    ○二階国務大臣 愛知万博に大変御熱心な青山議員からの質問でございますが、まず空港の問題につきましては、御承知のように、中部圏は人口一千万人を超えておりますし、さらに経済規模におきましても約五十兆円に迫ろうといたしております。したがいまして、日本の代表的な都市であります。  現在の名古屋空港の実情等にかんがみましても、中部国際空港の必要性というものは、万博の問題とは別にしても、極めて重要な交通政策として考えていかなくてはならないという認識を常々持っておりましたが、このたびの万博でおよそ六カ月間に二千五百万人を超える人々が往来されるであろうということからいたしますと、これは何としても二〇〇五年の万博に備えてそれまでに開港しなければならないということで、運輸省はそういう面で全力を尽くしておりますが、残念ながら、お地元の御協力をいただきながらも、漁業補償についてまだ解決を見ておりません。私は、この面について、地元の関係者の一層の御努力を期待するとともに、地元選出の議員としてもこれまた御協力をお願いしておきたいと思います。  周辺の鉄道等の整備につきましても、当然愛知万博の成功のために、今総理及び通産大臣から述べられたような方針に従って、運輸省としても地元の関係者と御協議をしながら、成功に向けて全力を尽くすことをお約束したいと思います。
  155. 青山丘

    青山(丘)委員 ぜひお願いします。  建設大臣には、私、二点、簡潔に聞きたいと思います。  相当な交通渋滞が心配されます。この問題、よほど今から準備していかないといけないという問題が一つあります。  それから、跡地利用計画を、今通産大臣にも私は申し上げましたが、新住計画はぜひ必要です。これは地元にとって非常に重要な財産になっていきます。しかし、全体の中から考えますと、万博記念として豊かな自然を残していくという意味でも、放置する自然ではなくて、人が入ることができるような、自然豊かな森林公園構想が私は跡地利用としてどうしても必要ではないかと思いまして、建設大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  156. 中山正暉

    ○中山国務大臣 昭和三十八年にできた法律でございますが、新住宅市街地開発事業という、それが、昨年末、十二月の二十七日に建設省に申請がございましたために、私もぜひ現地を見てみたいと思いまして、先般、日曜日で大変名古屋の皆さんにも御迷惑をかけたのでございますが、これまたヘリコプターで海上の森を避けて、オオタカというのが海上の森に営巣をしているというときでございましたので、その海上の森を避けまして、周辺一帯、特に常滑の空港の工事、今気象観測塔を建ててやっておられるその場も見てまいりました。  千八百億ぐらいのうちの、新住事業を適用したいという地元と自治体、そして国の事業を合わせて千八百億ぐらいの万博を実施したい、こうお考えになっているようでございましたが、それがBIEの批判を受ける。公式に批判を受けたわけではございませんので、現地でも私は県知事さんその他に、よくひとつ外務省にもお願いをして、これは河野外務大臣にも私はお願いをしまして、ちょうど予算運営委員長をやっていらっしゃる方が前のフランスの公使で今日本におられますので、この方々とよく相談をして、BIEがどういう御意向なのか。それから、今先生お話がございました、いわゆる公園のようなものにどうしていくかというのは、これはまた国の負担の問題になってまいりますので、これは非常によく検討をしてみなければならない問題だと思っておりますが、道路その他、この間国幹審でも一部認可をいたしておきましたが、高速道路に関しましてもどんどんこれから工事を進めてまいりたい、そんなふうに今督促をいたしておるところでございます。  大阪も、私も一九六七年のモントリオールの万博以来、大阪の一九七〇年、今でも「こんにちは、こんにちは」という三波春夫さんの歌が聞こえてくるような気がするんですが、一九九〇年には花の博覧会、これはBIEとAIPHという国際造園家協会、二回も大阪は万博をやっております。オリンピックの夢を消されてしまわれました名古屋に私いたく同情をいたしておりますので、ぜひひとつ名古屋、日本の中部地域に、万博が大いに景気を、地域振興になりますように、それからまた交通機関、アクセス、それから国土交通省に来年の一月六日からなりますので、ちょうどいいタイミングで両省一致協力し、通産省とまた外務省との協力で、日本全体の問題として盛り上げてまいりたい、かように思っております。
  157. 青山丘

    青山(丘)委員 ありがとうございました。終わります。
  158. 島村宜伸

    島村委員長 この際、鰐淵俊之君から関連質疑の申し出があります。鈴木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。鰐淵俊之君。
  159. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 自由党鰐淵でございます。  時間が大分過ぎましたので、端的にお話しする前に、ちょっとパネルを使ってお話ししたいと思いますが、皆さんになかなか御理解いただけない面がございますので、資料を添付することを委員長にお許しいただきたいと思います。  実は、私は社会保障一点について質問したいと思っております。これは、今まで委員会では、経済を回復軌道にどう乗せていくか、あるいは雇用の不安をどうするか、そういう意味で真剣な論議をされているわけでありまして、さきの臨時国会中小企業国会と言われました。今度は、私は、経済新生国会だ、こう言っても過言ではないと思う大事な予算の審議だと思います。その審議野党皆さんがいないのはまことに残念であります。  私は、実は、昨年五十カ所ほど集会をやりまして、いろいろ皆さんから端的なお話を聞いたのは、特に介護保険施行という問題でございます。これは三党の合意によりまして、二〇〇五年には新しい一つシステムといいましょうか、スキームをつくる、こういう合意になっております。  そこで、この介護保険につきまして皆さんにお聞きしますと、まず一つ、お年寄りの皆さんは、保険料を払ったら、自分が動かなくなればすべて市役所に行けばやっていただける、端的にそう思っております。皆さんそう思っております。ところが、今度市役所あるいは役場の方が説明に来ると、とてもこの保険料とかシステムは難しくてのみ込めない、何が何だか混乱してわからない、こういうことが現実であります。  そこで、私は私なりにパネルをつくりまして、わかりやすくつくったわけでありますが、この資料は平均的な資料ということで、若干の誤差はあることを御理解いただきたいと思います。  そこで、この介護保険と社会保険料の問題ですが、私は、将来に国民が漠然とした不安を持つというのは、これはやはり、経済の振興に対しても日本の国力の増嵩に対しても大変気がかりなことでございますから、国民皆さんが安心していただかなくてはならないと思います。  そのためには、一体、高齢化、少子化の時代自分の年金は将来どうなるんだろうか、あるいは病気になったときはどうなるんだろうか、あるいは体が動かなくなったときにはどうなるんだろうか、こういったことが明快にされてくると、国民皆さんは、少し自分の財布のひもを解いて、もっともっと消費に回す、私はそのように思うわけであります。  その一環として、社会保障というのは非常に重要な問題だと考えております。  そこで、早口で申しわけございませんが、介護保険のこれまでのいわゆる厚生省等の説明によりまして、ある市におきましての平均的なデータが出ておりますので、これをちょっと御説明申し上げたいと思います。  第一号保険は、御案内のとおり六十五歳以上、これは介護保険料月額三千四百円ですから、約四万円ということになります。これは平均三千四百円でございまして、これは所得五段階になっておりますから、最高は、可処分所得が三百万あれば、もうここは五千百円になります。ですから、年間六万円ということになります。ですから、これは平均でこのくらい。  それから、この方はもう基礎年金の年金支払いはございません。国保料に、これは健保もいろいろありますが、国保というのを一番とりまして、年額平均は十六万円。ただし、三百万円で夫婦二人、これは一般的な公務員やその他の年金に入りますと、少なくとも三百万程度の年収があれば、国保は三十一万でございます。これが三百五十万から四百万になりますと、私どもの市では最高限度額の五十三万をいただく、こういうことになっております。  そこで、その保険の老人保健への拠出率はどのくらいかというと三五%、これはまた年々多くなると思います。高齢者医療がどんどん上がってきますから、この保健に拠出する率が多くなってくる。そうしますと、やはり健康保険もあるいは国民健康保険もやっていけない、やはり料金を上げなくちゃいけない、こうなりますので、この拠出率を考えますと、いわば年約五万六千円は高齢者医療に支払っているという勘定になります。  そこで、AとBを足しますと九万六千円、大体約十万、それから年収三百万の人は十五万、こういうことになります。  それから、第二号保険者は、四十歳から六十四歳でございますが、これは六十歳から定年退職になりますと年金になりますから、これはまたこの上の方になるわけでございますが、とりあえずこの第二号保険者でいいますと、大体介護保険料月額千三百円、これは昨年の十月くらいの実態ですから、もう既にこの千三百円が千五、六百円と伺っております。したがって、これはどうやっても、介護のサービスの向上とかマンパワーが多くなりますと、当然この保険料が上がってくる仕組みになるわけであります。  そこで、年額約一万六千円、しかし、これは事業主がまた同額払っているわけです。そこで、事業主の方々にも聞きました。特に零細企業、小企業の方に聞きましたら、いや、とにかく先生、大変だと。なぜかといいますと、負担が、さあ健康保険だ、年金だ、介護保険だ、雇用保険だ、労災保険だ、これを全部入れますと、人一人を雇うと大変なお金になると。だから、結局リストラをやらざるを得ない。そういう大変な負担にまたこの負担がかかってくるということになります。  それで、基礎年金は、一万三千三百円ですから、年額十六万。これは御案内のとおり、これではもうパンク状態であります。なぜかといいますと、基礎年金の未加入者は三五%に及んでおります。したがって、国民年金に入る方が非常に少ない。どんどん未加入者が多くなっていく。そうすると、もう国民年金の財政は破綻。したがって、政府の方では三分の一の負担を二分の一にしたはずであります。将来やる。ということは、補助金を増すということで、より公的補助が多くなってくるということでございます。  それから、国保料は上の方と同じですから、やはり大体年額五万六千円は老人保健の方に拠出している。そうすると、二号保険者の合計は二十三万二千円となります。  そこで、この市の一人当たりの可処分所得は二百六十万であります。可処分所得二百六十万は一〇〇%消費するということは考えにくいわけでありますが、孫に小遣いをやったりあるいは貯金をしたりすると、これは消費税かかりませんので、そういうことを考えますと非常に複雑になりますので、これはもう一〇〇%使うということを仮定しますと、大体九%の消費税に該当するわけであります。二十三万二千円というのは、社会保険料で納めている額は、消費税に換算すると九%。したがって、現在五%払っておりますので、五足す九で一四%という、社会保険料の支払いを消費税に置きかえるとそうなるわけです。一四%今もらっているのと同じ状態であります。  そこで、私ども自由党といたしましては、やはり、これらの介護、基礎年金、老人医療は、これは何とか消費税を福祉目的税化いたしまして、そしてぜひひとつこの直接負担する社会保険料を低減していく。そうしますと、企業もたしかそれだけ負担が今度は解消されますから。まあ、企業の負担はゼロということにはならないと思います。これは、今後企業の方にどういう負担をしていただくかは考えることにいたしまして、この方がより非常に公平で、広く浅く、しかも所得の少ない人ほどいい制度である、そう私どもは実は考えているわけでございます。  そこで、これを集約しますと、まず介護保険料というのは三年ごとに見直すということであります。今回は九月までは無料、それ以後は二分の一、一年半はそういう形でいきますが、必ず、これだけではとてももちませんので、どうするかは三党合意の中でこれからなるわけでありますが、今の保険のシステムでは三年ごとですから、これはどんどん基礎の単価が上がったりサービスが上がれば高くなる。  それから、介護保険料は四十歳から生涯支払う掛け捨て保険だということが実態です。  三つ目は、私どもの調べた市では、第一号保険者の六十五歳以上が仮に三万人おるとしますと、認定される方というのはほぼ三千人。ですから、一〇%ないし一二、三%が給付を受ける。ですから、皆さん一生懸命四十歳以上の方が納めても、給付を受けられる人というのは一二、三%ということです。ほとんどの方は給付を受けられないわけですね。ですから、一体それがどうなのかという問題。  それから、国民年金は未加入が激増している。そういう中で、どんどん国費の補助が増加していく、こういうことが言えます。いわゆる未加入と未納が多くなると、無保険、介護保険の保険のない人、それから年金のない人がどんどんふえてまいります、高齢者で。その方たちは、最後に、自分が倒れてどうするかといったときには、市町村の窓口に来て、何とかしてくれ、こうなります。所得がない。そうすると、やむを得ずこれは生活保護という形になるわけであります。  そうすると、これはすべて公的扶助、しかも生活保護の中に介護保険を支払うのも算定されているといいますから。そうすると、払う者が一二、三%しか給付がない、払わないで若いうちはそのまま怠慢にしていたのを途中で生活保護で全部国が面倒を見るということになれば、一体、払った者と払わない者との問題が出てきます。  そんなことで、私どもは、ぜひこれは税という形でやることによって、飲食料品とか福祉用品は軽減税率にいたしまして、ぜひこの直接社会保険料を軽減することによって国民の負担を少なくする、それから企業の負担も少なくなる、その中でやはり国民経済の活性化を図っていくということが大事ではないか。  その点、総理大臣には、ぜひ一つは、将来、十年後ですね、二〇五〇年くらいには国民の負担率、いわゆる租税負担と社会保険の負担率というのは一体どの程度見込まれておられるのかが一点。  二点は、今の説明を聞いていただきまして、一体この問題をどう考えればいいだろうかといった感想等について述べていただきたいということと、それから厚生大臣には、ぜひこういった今の説明につきまして所感を述べていただければと思います。  以上です。
  160. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国民負担率の問題について、二〇五〇年、こう言われます。なかなかこれは……(発言する者あり)失礼しました。  いずれにいたしましても、財政構造改革におきましては、財政赤字を含めた国民負担率が五〇%を上回らない、抑制するということに規定をされておるわけでございまして、したがいまして、そうした前提に立ちまして、今先生指摘のような諸問題についてどのようにその財源を求めていくかということでございます。  これは三党でいろいろお話をいただいておるわけでございますので、そのお話し合いを十分受けとめながら、これから政府としては対応していかなければならないというふうに考えております。  それから、どのような感想、こう申されますが、いずれにいたしましても、四月一日から介護保険がスタートいたすわけでございます。今、先生御専門の立場から、またみずからの出身の地域を一つの例にとりながら、この問題点を指摘されております。  数字的に見ますると、まことに、この制度を運営していくということを考えますとなかなか困難な問題も多いと想定せざるを得ないと思いますが、いずれにしても、スタートして始めなければならぬということでございますので、御指摘をいただいた諸点について、これからさらに精査し、この制度がせっかくスタートする以上は継続していけるような体制をつくり上げていかなきゃならぬ、こう考える次第でございます。
  161. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 ただいま総理から御答弁がございましたように、少子高齢化社会を目前にいたしまして、消費税を福祉目的税に限定して、そしていわゆる税方式でやれというのは、一つの貴重な御意見である、こう承っておるような次第でございます。  しかし、現実問題として、高齢者の医療、介護、年金につきましては、平成十二年度現在で、国庫負担は合わせまして九兆円でございます。一方、消費税収は、国分だけで六兆九千億円でございまして、既に二兆一千億円が不足をしておるんだと。先ほど鈴木委員からも御指摘がございましたけれども、現在の経済情勢を考えますと、消費税の引き上げは現実問題として私は大変難しい問題だ、こう考えているような次第でございまして、将来の検討課題としてこの問題は考えさせていただければと思っております。  それから、税方式をとれば、当然のことながらこれは保険料の有無に関係なく、お金のある人もお金のない人も、場合によってはすべての方々に要するに当然のことながら加入権利がある、こういう問題でございます。年金の場合、そうでございます。そういう問題は解消されますけれども、私は、個人的でございますが、この点だけに着目していわゆる社会保障のあり方ということを論じるというのは、いささか現実的ではないのじゃないか、こういうふうに考えております。  これは恐らく釧路市だと思いますが、ちょっと私も今初めて拝見したわけでございますが、そもそも一番大きな問題は、消費税率九%というものを、私なりに、大変失礼なことを申しますけれども、消費税率九%ということは、先生も御指摘のように、要するにすべて消費に使うんだ、こういうことでございますが、我が国の場合は二〇%前後が貯蓄に回ってしまうんだ、アメリカの場合はいわゆる貯蓄率はゼロ%だ、そこに大きな最終消費の問題があるわけでございまして、その辺のところも十分に考えなければならない、こういうことではないかと思います。  それから、先生も御指摘がございました財源の問題、これに対して国民皆さん方がどういう選択をするか。それから、いわゆる社会保険方式と異なりまして、これは要するに、市長さんをおやりになっていたからおわかりですけれども、ある意味において、私どもは、これからはいわゆる押しつけから選択、契約にしよう、こういうような大きな流れの中でこういうものを決定しておるわけでございますけれども、これをどういうふうに考えるかという問題。  それから、市町村みずからがそれぞれのいわゆるサービスによって保険料を決めていくという、いわば介護保険というのは地方分権のシンボル的な問題である、これをどういうふうに考えるかという問題。  それから、先生がいみじくもおっしゃいましたけれども、我が国社会保障は、医療にしても年金にしても、事業主が半分負担していただいている。これをすべて国民皆さん方が負担することが現実的に可能かどうか。  こういったような問題を一つ一つクリアしなければならない問題だ、こう考えているような次第でございます。
  162. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 最後になります。  質問ではありませんが、時間が非常に少ないものですから、まだ理解がお互いに深まらないわけでありまして、私が言いたいのは、消費税が少し上がるともう反対、反対、すぐアレルギーのような現象が起きます。しかし、実際は社会保険料がそれ以上に懐に入っている。それが、そのアレルギーを起こす方たちは、社会保険料は既に取られてこれは戻ってこないものだ、新しく消費税の負担が大きくなるからもう何が何でも反対、こういう間違えた誤作動があるわけでございます。  したがって、ぜひこの辺は国民皆さんに知っていただいて、一番いいのは、やはり何とか国民の理解を得て、我々日本世界に冠たる国家としてなるように、総理にもぜひ頑張っていただきたいと思います。  以上、終わります。
  163. 島村宜伸

    島村委員長 これにて鈴木君、青山君、鰐淵君の質疑は終了いたしました。  次回は、明四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十七分散会