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2000-04-21 第147回国会 衆議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十一日(金曜日)     午前九時三十六分開議  出席委員    委員長 武部  勤君    理事 笹川  堯君 理事 杉浦 正健君    理事 与謝野 馨君 理事 横内 正明君    理事 北村 哲男君 理事 日野 市朗君    理事 倉田 栄喜君 理事 木島日出夫君       太田 誠一君    奥野 誠亮君       金田 英行君    左藤  恵君       佐藤  勉君    菅  義偉君       鈴木 俊一君    園田 博之君       中野 正志君    藤井 孝男君       保岡 興治君    山口 泰明君       山本 公一君    山本 有二君       伊藤 英成君    枝野 幸男君       坂上 富男君    漆原 良夫君       安倍 基雄君    青木 宏之君       一川 保夫君    西村 眞悟君       保坂 展人君     …………………………………    議員           北村 哲男君    法務大臣         臼井日出男君    法務政務次官       山本 有二君    政府参考人    (警察庁長官官房長)   石川 重明君    政府参考人    (警察庁交通局長)    坂東 自朗君    政府参考人    (法務省民事局長)    細川  清君    政府参考人    (法務省刑事局長)    古田 佑紀君    政府参考人    (建設省河川局長)    竹村公太郎君    政府参考人    (自治大臣官房長)    香山 充弘君    法務委員会専門員     井上 隆久君     ————————————— 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     山本 公一君   熊谷 市雄君     中野 正志君   古賀  誠君     鈴木 俊一君   渡辺 喜美君     佐藤  勉君   坂上 富男君     伊藤 英成君   西村 眞悟君     一川 保夫君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  勉君     山口 泰明君   鈴木 俊一君     古賀  誠君   中野 正志君     熊谷 市雄君   山本 公一君     加藤 紘一君   伊藤 英成君     坂上 富男君   一川 保夫君     西村 眞悟君 同日  辞任         補欠選任   山口 泰明君     渡辺 喜美君     ————————————— 四月二十日  商法等の一部を改正する法律案内閣提出第六〇号)  商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案内閣提出第八八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案内閣提出第七二号)  犯罪被害者等保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案内閣提出第七三号)  犯罪被害者基本法案北村哲男君外三名提出衆法第一九号)  商法等の一部を改正する法律案内閣提出第六〇号)  商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案内閣提出第八八号)     午前九時三十六分開議      ————◇—————
  2. 武部勤

    武部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案犯罪被害者等保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案及び北村哲男君外三名提出犯罪被害者基本法案の各案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長石川重明君、警察庁交通局長坂東自朗君、法務省民事局長細川清君、法務省刑事局長古田佑紀君、建設省河川局長竹村公太郎君、自治大臣官房長香山充弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武部勤

    武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 武部勤

    武部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  5. 坂上富男

    坂上委員 坂上富男でございます。  まず最初に、国の危機管理内閣危機管理等について御質問を申し上げたいと思います。  小渕総理にお見舞いを申し上げ、一日も早い御回復をお祈りいたしております。  我が鳩山代表がお見舞いを申し上げると申し上げましたところが、野中幹事長が、白々しい、また、危機管理検証等のために総理としての病状質問いたしますと、思いやりがないと森総理非難をいたしております。私は単なる平の党員でありますが、以下のような質問をいたしますと、私にも同じ非難の言葉が返ってくるのでありましょうか。  中央紙にこのようなことが報道されております。  首相としての小渕氏は、もちろん公人だった。党首討論の場で首相疑問点をただすのは何の不思議もない。首相病状について事実を知ろうとするのも当然のことだ。しかし、森総理野中幹事長も、私人小渕の部分だけを強調し、公人小渕を隠ぺいしようとする。家人が病気に、ましてや総理大臣ならなどと、専ら情緒に訴え、疑問を呈する相手を逆に攻撃をする。記者たちは再三、医師団による病状説明を求めたが、青木官房長官家族の了解などを盾に応じようとしない。入院先病院要請にこたえない。密室の談合という鳩山氏の疑念も無視して、志半ばで倒れた首相悲劇性が言い立てられている。おかわいそうに、おかわいそうにと同情を引いて、前首相の政治的な功罪を検証させないというような空気を醸し出そうとしておる。間近な総選挙への備えにほかならない。  まあ、こう書いてあるわけであります。  以下、私は、このような状況下において法務大臣としてのお立場に御質問をいたしたいのであります。  小渕総理病院入院されたことを知ったのは、大臣、いつでございますか。また、官邸からこのことについての連絡はなかったのでございましょうか。閣議はいつ招集されたのでございましょうか。閣議で何を決められたのでございましょうか。医師団発表は、公人としての小渕氏であれば当然国民のために発表されるべきだと私は思っておりますが、この点、いかがでございますか。最初にいつ大臣はお見舞いに出かけられましたか。この辺について、まとめて簡単で結構ですからお答えいただきたい。
  6. 臼井日出男

    臼井国務大臣 私が小渕総理入院のことを知りましたのは、四月二日日曜日午後十一時過ぎに事務秘書官から電話で連絡を受けたのでございます。官邸からは、小渕総理入院に関しましての連絡はございませんでした。  入院したことに伴いまして、四月二日の日曜日に入院された後、翌三日月曜日午後零時四十分ごろから閣議が行われました。この閣議におきましては、小渕総理病状等につきまして青木官房長官からの御説明をいただいたのでございます。  病状に関してのいろいろな御発言がございましたけれども、私も、総理大臣と同様に、小渕総理の治療に当たっておられる医師団として、その病状を見ながら、適宜御家族と御相談をして官房長官連絡をとっていただいたというふうに聞いておりまして、そのことについては問題ないと考えております。  以上でございます。
  7. 坂上富男

    坂上委員 余りこのことには触れたくありませんが、お見舞いにいつ行かれましたか。  それから、公人としての立場であれば、私はやはり医師団発表があってしかるべきだと思っておるわけでございます。御指摘だけしておきたいと思います。
  8. 臼井日出男

    臼井国務大臣 前総理大臣が御入院されて以来、閣僚全員小渕総理の御容体を大変心配いたしておりまして、何らかの形でその気持ちをお伝えしたいという気持ちがあったわけでございますが、大勢で病院に押しかけるということはかえって御迷惑になるというふうなこともございまして、四月五日水曜日に新閣僚が集まった際に、全閣僚を代表いたしまして丹羽厚生大臣にお見舞いをしていただくということに決めまして、翌六日、丹羽大臣小渕総理のお見舞いをしていただいたのでございます。
  9. 坂上富男

    坂上委員 次に、組織犯罪対策法についてお聞きをいたしたいと思います。  組織犯罪対策法を抜本的に改正する方向で準備作業に着手したという報道がなされております。その中心的なことは、捜査協力者には刑事免責をする、二番目に、共謀だけで処罰対象にするという共謀罪をつくりたい、年内に国連国際組織犯罪対策強化条約が成立する見込みである、日本も批准の予定である、こう言われておりますが、いかがですか。法制審議会に諮りまして、二〇〇二年に国会に提出を目指すと言われております。刑事免責共謀など、どの範囲の組織犯罪に限定をするのか。いわゆる盗聴法においては四つの罪名に限定したのでございますが、これが広がるのでございますか。  それから、報道ですが、ロッキード事件嘱託尋問調書は、刑事訴訟法規定がなくて、違法と最高裁は判断をいたしました。しかしまた、最高裁は、憲法はこのような制度の導入を否定はしていない、こんなようなことも言っておるようでございます。こういう観点から、法務省はこれに対する対応をどの程度検討なさっておるか、簡略に御答弁いただきたいと思います。
  10. 古田佑紀

    古田政府参考人 御指摘報道は、ただいま国連で議論されております国際組織犯罪対策条約に関することであると思われますが、この国際組織犯罪対策条約は、現在国連刑事司法及び犯罪防止委員会で各国で検討中でございまして、その内容が現在のところ固まっているわけではございません。  したがいまして、これを前提に何らかの立法措置を講ずるとか、そういう方針を決めたことは全くございません。
  11. 坂上富男

    坂上委員 そういたしますと、新聞報道誤報でございますか。私が見た限りにおいても、これは共同通信かどこかの新聞でございます。それから読売新聞にもありました。これは全く誤報なのでございましょうか。断言してください。
  12. 古田佑紀

    古田政府参考人 ただいま申し上げたような事情でございまして、私どもとしては、その報道は事実に反すると認識しております。
  13. 坂上富男

    坂上委員 その点はこの程度でおさめておきます。  それから、きのうからきょうにかけて、またショッキングな報道がなされておるわけでございます。沖縄県警に起きましたところの、交通事犯に関連する証拠変造事件でございます。  沖縄県警警察官が、検知器使用に当たってスプレーをかけて数値を上げて証拠を変造した、こういうことが報道されておりまして、警察としては、直ちに逮捕されまして処分をする、そして懲戒免職というようなお話でございますが、まさに当然の措置と私も思っております。  ただ、私は、これによりまして、大変愕然としたことがあるわけでございます。そして、やはりそうかというふうにも思ったわけでございます。  その一つは、交通事犯だけではないのだろうと思うのでございますが、犯罪検挙率が高い、そういうようなことが成績に十分影響しているんじゃなかろうか。でありまするから、いかにして犯罪検挙数を上げるかということに警察官は腐心をされておるのでなかろうかと思いますが、この点はいかがかと思います。  その次に、これはまさにこのまま知らないで通りますと冤罪になるおそれがあるわけであります。いろいろの冤罪問題が議論をされ、冤罪の叫びを獄中から言い続けておる諸君も相当数あると言っても過言でないと思うのであります。このような証拠変造というような、あるいは証拠偽造というような行為が警察の内部で行われていることが端的に出てきたのも珍しいことでございます。報道されているところによりますと、あっちこっちであったようでございますが、一番新しい、全く明白なこういう犯罪証拠変造ということになったわけでございますが、このことが私は結果的に冤罪者をつくり出しているんじゃなかろうか。冤罪を叫んでいる人たちの声をいま一度聞き直す必要があるんじゃなかろうか。  と申し上げますのは、例えば私は時々言うのでございますが、狭山事件、これなども冤罪の主張をしているわけでございまして、そのことのために証拠開示が欲しい、証拠開示すれば無罪を証明する証拠があるはずである、こんなようなことを言われておるわけでございまして、私は、この事件によりまして、二つのことが指摘できると思うのであります。  まさに警察点数主義、それから冤罪のおそれ、そのことによって冤罪がつくられていたのじゃなかろうか、こんなようなことを危惧いたしておるわけであります。  さて、発見されたことはまあまあよかったと思いますが、発見の端緒は何だったんでございましょうか。これらもお聞きをいたしたいと思います。
  14. 石川重明

    石川政府参考人 御指摘事案、全国の警察職員が信頼の回復に努めている中で、証拠品を変造したというものでございまして、まことに遺憾のきわみでございます。  そこで、いわゆる検挙重点主義とかあるいは点数主義というものがこういう事案の発生の根底にあるんではないかというお尋ねでございますが、現在、沖縄県警察におきまして交通違反の取り締まりというものを強力に推進中である、そのことによって交通事故を減らしていきたい、そしてまたそれが結びつくんだということで取り組んでおったことは確かでございますけれども、個々の警察官にあるノルマを課すといったようなことはなかったというふうに報告を受けておるところでございます。  それから、こうしたことが冤罪温床になることではないかといった観点からの御質問でございますけれども、本件につきましてこの経緯を見ておりますと、三月二十七日の午前二時半ごろに不審車両を停止させまして職務質問を行った警察本部自動車警ら隊の二名の警察官でございますけれども、運転者飲酒をして運転したことを認めたということで、酒気帯び運転禁止義務違反の疑いがあったということで運転者呼気検査を行ったわけであります。その結果が違反値に達していたと認めまして、運転者飲酒検知管を確認させた上で、午前二時五十五分ごろに交通切符を作成して、同人もそれに署名、指印をしているわけでございます。  しかしながら、その後になって確認をしたところ、飲酒検知管数値がぎりぎりで、違反値に達していないというふうに判定されるおそれもあるということをともども語り合いまして、午前三時三十分ごろに、その飲酒検知管を、先ほど御指摘のあったような形で数値というものを変造した、こういうことでございまして、そうした結果、検知管着色域というのがあるわけでございますが、それが、もともとの数値交通切符に書かれておる数値よりも高い数値を示している。その証拠あるいは書類というものが警察本部の方に署を通じて送られてまいりまして、そこで担当の警察官書類上の数値検知管数値の違いというものを発見した、そしてきちっとした処理をとった、こういう結果になっておりまして、このこと自体が、チェックシステムがきいておりますので、冤罪温床ということにはならないであろう。  また、一般的に申しまして、警察といたしましては、法と証拠に基づきまして捜査をきちっとやるんだということで対応しているというところでございます。  そういうことでございます。
  15. 坂上富男

    坂上委員 ぜひ答弁どおり警察行政をしていただきたいと思ってはいるわけです。  ただ問題は、アルコールを含んだスプレーがその交番にあったというんですね。悪く解釈しますと、あらゆる場所にそういうのが置いてあるんじゃないの、こう心配をするわけでございます。何か、それを口に含んで吹きつけたなどといって報道されておりますが、この辺は、ひとつ厳重な調査と厳重な今後の捜査を期待したいと思っております。結構です、ありませんとおっしゃらぬでもいいですから。そういうことを私たちはすっと見ると思うのであります。でありますから、指摘だけいたしたいと思います。  それから、証拠開示でございますが、これも、きょうはこのことのための質問ではありませんので、どうぞひとつ、最終申し立て処分に対する証拠開示はできるだけ広く門戸をあけていただきますことも私は要請をしておきたいと思うのであります。でありまするから、警察でもやはりこういうことがあるんだということを、最終処分権者である検察庁にも十分ひとつ認識を新たにしていただきたいことを私は指摘をしておきたいと思っております。  警察庁、お帰りで結構でございます、質問を変えますから。  国有財産管理に関連して質問をいたします。  新潟県荒川町にあります荒川ゴルフ場問題につきまして、先般、私は法務委員会質問をいたしました。河川敷交換する、こういう契約ができ、交換に基づきまして、その会社現物出資をするという決議があったわけでございます。しかしながら、調査の結果、河川敷交換国有財産法第十八条によりできないことになっているにかかわらず、そういう交換契約をした、現物出資決議をした、無効である、こういうことがこの間指摘になりまして、そして、所有権移転をした国有財産は抹消して国が取り戻した、こういう報告をいただきました。  その後、私が調査いたしましたところ、私は、相当な問題点が依然として前以上に残っていることを指摘をしながら質問をしたいと思っております。  平成元年二月二十八日、建設省荒川ゴルフ場契約をいたしました。その契約書によりますと、工事許可するに当たって、その工事に必要な土地工事するゴルフ場開発会社所有権取得するとあるわけであります。だから、工事が始まる前とあるわけであります。そういう意味です。工事に必要なんだ、所有権取得してから工事をしなさい、こういう契約でございます。  これに基づいて、建設省河川法に基づく工事申請をいたしました。しかし、実際上は所有権を移転しなくてゴルフ場工事をいたしました。第五条に、工事が終わったら、その年度ごとに国にこれを引き渡して、国の財産権所有権とする、こう書いてあるにかかわらず、いまだもって引き渡しがしてありません。工事の完成は三年の四月二十二日であります。工作物受領書というのがあることによってそれが証明をできるわけであります。そしてそれを、国の所有として、国のゴルフ場としてゴルフ会社に貸与して地代を取って今日に来たわけであります。  したがいまして、まず第一点で、こういう約束に反しまして工事許可を与えること、これが一つ建設省責任でなかろうかと思っております。  それから今度は、工事が終わって引き渡しができたら所有権移転登記をすべきなのに、平成三年から平成十二年の今日まで移転登記がなされておりません。これもまたどんなことでこんなような事態になったのか、簡単に御答弁をいただきたいと思っております。  そして、登記簿謄本、七つありますけれども、相当の面積であります。数町歩という面積でなかろうかと思いますが、七筆、これがことしになって現物出資登記がしてあります。国の財産なんですね。ゴルフ場なんですね。だから、国に引き渡したものなんですね。それが民間会社現物出資をしてあるなどということは、一体これはどういうことなんでございましょうか。とんでもないことでございます。現物出資は無効なんじゃなかろうかと思いますが、いかがでございますか。  その次、この物件について、二筆だけ一億円の担保に入っておるわけであります。これがことしになって担保に入れられて、登記がなされました。これは一体、法務省横領罪に当たるんじゃなかろうかと思いますが、いかがですか。  まずこの点、建設省法務民刑のひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  16. 竹村公太郎

    竹村政府参考人 さまざまな質問がございましたが、お答えいたします。  まず、日本海側にあります一級河川荒川におきまして、荒川リゾートという開発会社ゴルフ場整備するに当たりまして、その事業の一部を、河川工事に該当する低水護岸整備高水敷整正NTT—A型事業として実施したところでございます。平成元年二月、今御指摘の締結された協定書は、NTT—A型事業として行う河川事業についての協定書でございます。  御承知のように、NTT—A型事業は、NTT株式売却収入を活用して、民間事業者が参加して行う公共事業に対して無利子貸し付けを行うことによって、民間事業者資金面から支援していこうという制度でございます。この制度につきまして、河川事業については、河川敷スポーツ施設整備とあわせて行う治水施設整備等をその対象としておるわけでございます。  そういう意味協定を結んだわけでございますが、その協定の、今御指摘の第四条のところでございますが、「工事施行するために必要となる土地は、乙の責任において取得するもの」とされておりますが、当初、この荒川リゾート用地を買収する計画であったわけで、そういう用地取得するという、前提となった協定書となっておりました。  その後、用地取得せずに土地所有者から承諾を得て工事を実施したと聞いておりまして、河川管理者としては、荒川リゾート開発工事を行うことについては、土地所有者承諾があれば特に問題にすべきものはないと考えたものでございます。そのために、土地取得しないこととなったため、公的なNTT資金用地取得に充当されなかったわけでして、協定書第四条の条項が事実上適用されなかったという実態になってございます。  用地取得はしなかったということに引き続きまして、用地引き渡しも当然行っていないわけでございますが、NTT—A型事業としましては、資金計画用地を計上して護岸及び高水敷用地取得することとしておりましたが、結果的に用地取得しなかったために、NTT—A型資金用地取得への使用前提とした第五条の用地引き渡しに関する規定も事実上発動されなかったと認識してございます。
  17. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと待って、法務省。ちょっとよく聞いて。これは動機なんですよ。NTT資金を導入してやるというのは単なる動機なんですよ。したがって、あとはこれは契約なんです。契約履行なんですから。この履行に基づいてゴルフ場は、今だれが所有しているのですか。御答弁、どうぞ。
  18. 竹村公太郎

    竹村政府参考人 ゴルフ場用地は、民間の方々の土地と国の建設省用地でございまして、国の建設省河川敷におきましては、河川法二十四条の占用許可という形で許可を与えてございます。  以上でございます。
  19. 坂上富男

    坂上委員 民間はだれですか。
  20. 竹村公太郎

    竹村政府参考人 民間は、荒川リゾート所有と聞いております。
  21. 坂上富男

    坂上委員 そうでしょう。  民事局長にお尋ねいたしますが、こういう資金を入れてこういう工事をいたします、こういう工事前提になってこういう契約履行いたしましょう、こういう約束をした場合、これは無効になりますか。
  22. 細川清

    細川政府参考人 大変恐縮ですが、先ほどから伺っておりますが、ちょっと事実関係がよくわからないもので一概には御答弁できないのですが、詳しい事情をお教えいただければそれなりの考え方をお示しできるとは思いますが。申しわけございません。
  23. 坂上富男

    坂上委員 事実関係がわからぬからといって答弁を差し控えられました。一般的に、動機の無効というのは、契約は無効になりますか。
  24. 細川清

    細川政府参考人 ただいまの御質問は、民法の錯誤の問題だと思いますが、動機が片側にだけあったというだけでは、そのことだけでは錯誤で無効になるということはございません。動機が表示されて相手方も知っているということが条件となるわけでございます。
  25. 坂上富男

    坂上委員 建設省、これはどうお聞きしていますか。NTT資金が入らぬからといって、この契約は無効になるわけじゃないのですよ。もしもこれが入らなければ無効とするという契約があればいいのだけれども、この契約に基づいて工事をやってきているのだから。建設省、これはどう答弁するの。ごまかしだよ、あなたの答弁
  26. 竹村公太郎

    竹村政府参考人 河川敷の中の工事河川法のさまざまな条項によって申請という手続がございますが、今回のこの協定書は、公的なNTT資金を導入するという河川工事に関する協定書でございます。協定書の一条目に、「NTT—A型事業に伴う河川工事(以下「工事」という。)の施行」ということで、NTT—A型を投入する工事についての条項がずっと書いてございます。  そういうことでございますので、特にこのNTT—A型の公的資金を導入するかしないか、そこにこの協定書が大きな性格を持ったものと認識しております。
  27. 坂上富男

    坂上委員 それだったらどうして契約改定しないの。どうですか。改定書はあるかね。
  28. 竹村公太郎

    竹村政府参考人 このNTT—A型に関します工事につきましては、平成三年三月十八日、荒川リゾート開発から河川法二十条工事の変更申請が出されております。そして、同月二十日に、北陸地方建設局長より承認されております。荒川リゾート開発からのその変更申請においては、当初の計画していた用地取得はないという申請が添付されております。平成三年の三月二十日時点には、建設省並びに荒川リゾート開発両者とも合意の上、用地引き渡し協定対象外となったことを確認していると考えております。
  29. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと見せてください。ちょっと写しを出してくださいよ。  そうすると、改定になった、こういうことですか。きちっと答えてください。
  30. 竹村公太郎

    竹村政府参考人 今私がお答え申し上げましたのは、三月十八日に河川法二十条工事の変更申請が出されております。それの添付資料に書いてあるというお答えを申し上げました。
  31. 坂上富男

    坂上委員 契約は改定されていないでしょう。工事手続の変更だけじゃないですか。この内容は改定されていないのじゃないですか。この内容に基づいて工事ができているのじゃないですか。いかがです。
  32. 竹村公太郎

    竹村政府参考人 この協定書の第六条に、「この協定に定めのない事項又は疑義が生じた事項については、その都度、甲、乙協議して定めるもの」ということで、両者信頼関係に基づいて河川工事を実施しているものでございまして、事実上両者で、この工事建設省が受託して工事をやっておりますし、両者ともに実質上さまざまな段階で話し合い、そして調整が行われながらこの事業が進んできたと私は考えております。
  33. 坂上富男

    坂上委員 建設省、これは単に工事手続の変更なんですよ。協議なんですよ。この第一条から第五条までの規定は、根本的に何ら変更されていないじゃないですか。ちゃんと契約に基づいて履行してもらわなきゃいかぬじゃないですか。いわゆるNTTから金を借りるのかもらったのかわかりませんけれども、これが入らぬからといっても、単に資金を導入する方法でしかないんですよ。だから、別に金を借りてやれば幾らでもできることなんですよ。しかも、これは建設省がやった工事なんだから。建設省は、単に、資金NTTに借りるか、国の予算でやるか、それだけの違いじゃないですか。借り入れによってやれるか、そういうことだけじゃないですか。したがって、この契約は何ら変更になっていない。こんなものは、この解釈に疑義があった場合だ。定めのない事項または解釈に疑義があった場合、協議して決めるというんです。これが契約の内容です。わかっていますか。
  34. 竹村公太郎

    竹村政府参考人 先ほど申しましたように、この工事と申しますのは、「NTT—A型事業に伴う河川工事(以下「工事」という。)」のことでございまして、「工事施行するために必要となる土地は、乙の責任において取得する」と書いてございますが、あくまでもNTT—A型事業資金計画に基づく用地取得という認識で、両者は当初協定をしております。
  35. 坂上富男

    坂上委員 民事局長、今の話を聞いておわかりだと思うのでございますが、資金の導入方法が変わった、そうした場合は契約は無効になりますか。
  36. 細川清

    細川政府参考人 それは、当事者間の契約締結に至る事情あるいは合意の前提事情、さまざまな事情によるわけでございますので、一概にどっちだということをお答えするというのはちょっと難しいと思っております。
  37. 坂上富男

    坂上委員 では、これはこの次もう一度質問を続けることにして、時間がないそうですから。  やはり民法原則によって、この工事費を、どのような金をもって工事をするかということがポイントなんですね。NTTの金が借りられなかったからこれは無効にしましょうというなら、それはまたいいんですよ。だけれども、NTTの金は借りられなかったけれども、建設省工事をいたしましょう、工事をした結果は必ず建設省のものにするという約束事があるわけです。だから、ゴルフ場を貸してもよろしい、そして地代を取ってもよろしい、こうなっていると思うのでございますが、この点については、建設省、どう思っていますか。
  38. 竹村公太郎

    竹村政府参考人 河川の歴史的な特性からいいまして、江戸時代から明治にかけまして、土地所有がはっきりしていない段階で、近代国家になりまして、強い行政権力でもって堤防をかなり強制的に築堤をしました。結果的に、川の中に多くの民地が取り残されております。現在でも多数取り残されております。  そういう民地が取り残されている中で、私ども、さまざまな工事をやったり、または、その土地を持っている方々がその土地の中で自分の、河川管理上影響ない範囲で何か工事をやろうというときは、私どもそれは認めておりますし、そして、今回のような工事におきましても、用地取得を全面的に国のもの、またはそのものにしなきゃいけないというような河川工事の性格ではないと私ども認識しております。
  39. 坂上富男

    坂上委員 終わります。ありがとうございました。
  40. 武部勤

  41. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。四月十八日に続きまして質問をしたいと思います。  犯罪被害者保護法の第三条、公判記録の閲覧及び謄写の問題です。  こういう規定をつくること自体は結構なことだと思うんですが、被害者の閲覧、謄写の申し出を裁判所が認めなかったときに被害者は不服申し立てができるのか、まずそれをお聞きします。
  42. 古田佑紀

    古田政府参考人 結論的に申し上げますと、不服申し立ては予定しておりません。
  43. 木島日出夫

    ○木島委員 予定していないというのはどういうことなんでしょうか、できないということなんでしょうか。できないとすれば、被害者としては閲覧、謄写請求権がないということだと思うんです。何でそんな法律にしたんですか。
  44. 古田佑紀

    古田政府参考人 刑事裁判における記録につきまして、記録の閲覧、謄写を認め、あるいはこれを認めないということとする措置は、司法行政上の措置と考えられるわけでございます。そういう性質の問題が一点ございます。  それからまた、実質的な問題でございますけれども、公判記録の取り扱いは、その公判の係属しております裁判所の審理に重大な影響を与えるものでございます。したがいまして、その閲覧、謄写の可否は審理の状況とも大変深く関連するわけでございまして、実際にその訴訟を担当している裁判所の判断が尊重されるべき性質のものであり、上級審の審査になじむものとは考えられないということがございます。  さらに、仮に上級審に対して不服申し立てを認めますと、審理の状況等も含めた判断が必要となるわけでございまして、そうすると、審理の状況が一体どういうものであったかというふうなことのいわば点検みたいなこともせざるを得なくなる、また、そのためには一件記録の送付が必要となるわけでございます。そういたしますと、その間訴訟の係属しております裁判所におきます事件の審理が困難になるなど、係属中の公判の遅延が生じるおそれがあるというふうな問題もございます。  以上のようなことを勘案いたしまして、不服申し立ては認めないこととしたわけでございます。
  45. 木島日出夫

    ○木島委員 本当に説得力がないと思うんですね。司法行政上の措置だからだめなんだというのはまことにおかしな話で、だからこそ、被害者の権利としてしっかり閲覧、謄写を認めるべきだということが先日の参考人からもここでるる述べられているわけです。  それから、二番目の理由の、実質的に公判、裁判に重大な影響を与える、それはそうでしょう。だからこそ、この法案の第三条は、被害者が閲覧、謄写を求める、「その他正当な理由がある場合」に限り、なおかつ、裁判官は「犯罪の性質、審理の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、」閲覧、謄写できると非常に絞りをかけているわけで、この条文そのものが今答弁にあったような裁判、公判への影響を考えた上で認めましょうという構造になっているんですから、そういうのが正しく判断できないで、客観的に相当だと認められても不当にその裁判官が閲覧、謄写を認めないという場合には、当然被害者の権利として上級審に対する抗告を認め、その限りで上級審が原審の裁判官の行為について当否を下す、判断を下すというのは、私は、全然差し支えないんじゃないか、むしろそういうことをこの法律のつくり方そのものが想定しているんじゃないかと思うんですね。まことに今の答弁では、私は納得できません。  では、続いて民事局長に聞きましょう。  こういう法案を出してきたことによって、今別途出ている民事訴訟法二百二十条の文書提出義務、現在政府から出されているものによりますと、公文書について刑事記録はもう文書提出義務からはなから排除してしまうという建前になっているようでありますが、この考えは変更しますか、民事局長
  46. 細川清

    細川政府参考人 御提案中の文書提出命令に関する民事訴訟法の一部を改正する法律でございますが、これは御指摘のとおり、刑事事件に係る訴訟に関する書類を除外対象としております。  まず、御質問に端的にお答えいたしますと、閣議決定を経て提出された法案でございますし、私どもとしては現在これを変更する必要はないというふうに考えております。
  47. 木島日出夫

    ○木島委員 まことにおかしいのですね。民訴法二百二十条の文書提出義務も、刑事記録は一切出さなくていいのだというのを出しております。そして、今度この法案が出されてきて、被害者の権利を前進させるという立場から、正当な理由があって、相当と認めるときには閲覧、謄写させることができるというところまで来ているのですから、私は、民訴法の方を見直しすることが求められているのではないかと思います。  しかし、今の答弁から見ても、少なくとも公判記録の閲覧、謄写に関しては全く、国、法務省は被害者の権利という立場で物を考えていないということが明らかになりました。それは、政府が既に賛成をしている国連の被害者の権利を前進させるための諸約束に反している。そういう古臭い態度は是正してもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。  次に、法務省にお伺いしますが、今回、刑事公判記録についてはこういう条文をつくったのに、不起訴記録、未提出記録、これらについての規定を全く盛り込まなかったのはなぜでしょうか。
  48. 古田佑紀

    古田政府参考人 まず、不起訴記録について申し上げますと、これは委員御案内のとおり、現在、刑事訴訟法四十七条で原則としてその公開は禁止されておりますが、ただし書きにより、公益のため必要があって、相当と認めるときは、これを一定限度でいわば開示することができるということとされております。したがいまして、不起訴記録につきましては、既に、ある一定限度では、そういう開示がその保管者の健全な裁量権の行使によってできることとされておりますので、このただし書きの規定があることから、特段、立法措置は必要がないというふうに考えたものでございます。  なお、申し上げますと、この不起訴記録の開示につきましても、代替性のない客観的な証拠を中心といたしまして、被害者などから、その権利の行使などのために必要があるということで御申請があれば、開示をするということで運用を図っているところでございます。  それから次に、不提出記録の問題でございますが、これも委員御案内のとおり、刑事訴訟法四十七条の対象にはなるわけでございます。したがいまして、基本的な取り扱いの考え方は同じようなことになろうかと思いますが、なお、実際問題として申し上げますと、不提出記録は、公判立証上必要とされないというふうに判断されたもの、あるいは関係証拠に照らして信用性に疑義がある証拠なども含まれるわけでございます。したがって、このような証拠は、おおむね民事裁判等においても特段の意義を有するものではないと思われる場合が通常であろうということが考えられます。したがって、その開示を認める必要性、相当性というのも一般的にはそう高くはないように考えられます。  しかしながら、仮に、刑事裁判におきましては重要性が低いといたしましても民事裁判等で重要な意義を有する、そういうものがございますれば、そのような証拠については、先ほど申し上げました刑事訴訟法四十七条ただし書きの規定によりまして、関係者のプライバシー等の侵害のおそれや係属中の公判及び将来の捜査に対する支障のおそれなどが認められないという場合、代替性の有無などを考慮してその開示をすることは可能でございます。
  49. 木島日出夫

    ○木島委員 刑訴法第四十七条の規定は、被害者の権利としての位置づけでは全くないのですね。公益上の理由があるときには便宜を図ってやるという立場でつくられている条文なんですね。それではやはりいかぬと思うのです。被害者もめったやたら請求するのじゃなくて、当該被害者等の損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合その他正当な理由がある場合にこそまさに請求するのであって、この法律もそういう組み立てになっているわけですから、そういう場合には、不起訴記録であろうと未提出、不提出記録であろうと同じなんです。検察官が公判の維持のために提出の必要はないと思った記録でも、被害者の立場からすると、損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合は幾らでもあるのですから、やはりそういう組み立ての法律にすべきだったのではないかということを指摘だけして、次に進みます。  同法の第四条、民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解の問題です。  民事上の合意がなされてこれを当該刑事裁判の公判調書に記載するについて、刑事被告事件の裁判所はどういう審査をするのでしょうか。合意に至る経緯、真意によってつくられたかどうか、あるいは損害賠償の額の多い少ない、具体的な内容についてまで立ち入った審査をした上で調書をつくるのでしょうか。それとも、そういうことは一切やらずに、そっくりそのまま、出されてきた和解は認めて公判調書に記載するのでしょうか。簡潔に答弁をお願いします。
  50. 古田佑紀

    古田政府参考人 この和解は既に私人間でなされている合意を取り扱うものでございますので、裁判所といたしましては、まず、申し立てが適法になされているかどうか、これは、身がわりとか人違いとかそういうことがないかというような点、あるいは申し立てが真意に基づいて行われているものであるかどうかの確認、それから申し立ての方式違背の有無、さらには内容といたしまして、これが強制執行力を付与することができるような性質の合意になっているのかどうかという点でございます。  したがいまして、その合意内容の当不当という点についての、そこまでの踏み込んでの審査ということは予定しておりません。
  51. 木島日出夫

    ○木島委員 そうしますと、この法律によって、調書に記載された和解調書は裁判上の和解と同一の効力を持つと規定されておりますが、これは当然執行力を持つという意味だと思うのです。  では立ち入ってさらに、この和解調書は既判力を持つのでしょうか。要するに、こういう私的和解が公判調書に載せられますと、もう既に被害者からも加害者からもその問題については争うことができない、金額が小さ過ぎたといってさらに追加の裁判は起こせないということになるのでしょうか。既判力の存否、その既判力の範囲、お答えいただきたいと思います。
  52. 古田佑紀

    古田政府参考人 この和解は民事上の和解と同じことでございますので、その既判力につきましても、通常これまであります民事手続における和解と同様に取り扱われることとなるわけでございます。  この和解の効力、既判力の及ぶ範囲は、私どもの理解しております限りは、一般的には、学説はいろいろ分かれているようでございますけれども、全般的に既判力を認めるという立場と制限的に既判力を認める立場、あるいは既判力そのものを否定するという立場もあるようでございますが、多数は、和解が実体上無効な場合にはこれは和解の無効が主張できる、逆に言えば、実体法上も和解が有効なときに限り既判力を有するという考え方が多数であるように承知しております。
  53. 木島日出夫

    ○木島委員 よくわかりません。私的な和解が合意できたので、これを刑事裁判手続にのせて刑事裁判の調書に記載する、それが執行力を持つ、それはいいのです、わかるのです。  しかし、こういう場合は、片や刑事被告人としてまさに裁判中の身柄、そして間もなく重大な判決も受ける立場、片や被害者、そういう二人の間での私的和解なんですね。ですから、いろいろなことが想定できるんです。被告人の方から見れば、金もないのに、支払い能力もないのに、いい判決、寛大な判決が欲しいというので支払い能力もないような過大な和解をして、いい判決をもらおうとする。被害者の方は、どうせ被告人は実刑判決が下るから金がないだろうからというので、少しでもいいから和解調書をとっておこう。いろいろなことが想定されて、実態に合った、相当なる損害賠償額とかけ離れたような和解ができる可能性が大いにあるんですね、こういう場合は。  そんなものに対して刑事裁判所が和解調書でお墨つきをつけるということは、大変後で問題が起きるんじゃないかと私は思うので、今聞いたわけなんです。しかも、審査しないわけですね。額が多過ぎるか少な過ぎるか、実態に立ち入って刑事裁判官は介入しないわけですから、なおさら後になって紛争の火種が大きくなるんじゃないかということを心配するわけです。  そこで聞くんですが、なぜ今回、戦前のような附帯私訴制度にしなかったのか。それはどうなんですか。
  54. 古田佑紀

    古田政府参考人 附帯私訴を導入すべきではないかという御意見は前からございますが、まず、附帯私訴制度を導入するとなりますと、刑事裁判所で損害額の認定その他民事上のいろいろな問題を解決しなければならない。こういうことになりますと、刑事裁判に対する遅延とかそういうような問題が生じるおそれがあって、その影響が非常に大きいことが懸念される。さらに、現在、民事と刑事の訴訟構造が非常に相違しておりまして、そういう点からも、直ちにそういうふうな制度を現在導入することについては、訴訟構造等の関係からも種々検討を要する問題がある。こういうふうなことがございまして、附帯私訴については慎重な検討を要すると考えたものでございます。
  55. 木島日出夫

    ○木島委員 それはわかりました。  しかし、私的な和解が、民事裁判ではないけれども、刑事裁判、国家の裁判ですよね、裁判官が関与して、裁判所のつくる和解調書に載って執行力がつく、公的なお墨がつくんですね。ですから、やはり私は既判力をどう考えるかについても大きな影響を与えると思うんですよ。刑事裁判所が関与した和解調書なんだ、だから金額が多い少ないについては文句言うなという考えに大きく傾きかねないと思うんです。しかし、実際、この法律は、刑事裁判官は、裁判所は内容に立ち入れないというわけですから、そこは非常に心配だなということだけ指摘しておきたいと思うんです。  もう一つ、逆の面から。  せっかく和解調書に載って執行力がついた、国が担保してくれた、しかし現実に履行が確保できるかどうかは別ですね。執行力があるというだけであります。刑事被告人ですから、大体実刑判決を受ければ刑務所に行く。また、大体財産がない人が多いでしょう。だから、履行の確保というのは非常に大事なことだと思うんです。せっかくこういう制度ができて、被害者側からは期待するところが大きいんですが、しかし実際には履行が確保できなかったとなると、かえって被害者や国民の司法そのものに対する信頼が損なわれる、そういう逆の心配も出てくると思うんです。ですから、私は、履行確保は非常に大事だ。  そこで、法務省にお尋ねしたいんですが、履行確保について特段の措置は、国として、法務省として、刑事裁判所として考えるんでしょうか。
  56. 古田佑紀

    古田政府参考人 この制度の目的は、今まで、示談ができましてもそれが履行されなかったときに、改めて訴訟を起こして債務名義を取得しなければならないということに対する、その問題を解決するために、民事上の和解と同一に扱って執行力を持たせようということで、そういう意味で被害の回復に資するということを目的としているものでございます。  したがいまして、この制度によっての後の履行は、通常の民事執行の手続と同様に、強制執行に移った場合には、それによって対応することになるわけでございます。
  57. 木島日出夫

    ○木島委員 法制度としてはそうなんでしょう。ですから、一歩前進の仕組みを今回つくることになるとは思うんですが、やはり履行確保ができないと、逆に被害者の司法に対する信頼は失墜してしまいはせぬかということを私は指摘しているわけで、それだけに、やはり国は、改めて被害者の被害回復のためにしかるべき措置をとるということがあわせ必要なんではないでしょうか。そのことについては、当委員会へ来られた参考人からも厳しく指摘されたところだと思うんです。  そのために、やはり基本は、犯罪被害者給付金制度の抜本的充実、予算をしっかりつけるということ、資力のない加害者、被告人にかわって、国がまずこの制度の発動を広げて被害者に対する損害回復をきちっとやる。そして、やった後、国は求償権を持つわけですから、加害者、被告人から求償すればいいわけだと思うんです。  そのために、先日この委員会に参考人としておいで願った常磐大学の諸澤英道学長から、犯罪被害者基金を国でつくったらどうかという指摘、要望が出されたんですが、これについて法務省の考えをお聞きしたいと思うんです。法務大臣、できますか。
  58. 古田佑紀

    古田政府参考人 犯罪被害給付金の制度及びこれに関連する問題は、現在警察庁において所管されており、警察当局におきまして必要に応じて諸般の角度から検討をしているものと考えておりますが、今御指摘のありました、例えば犯罪被害者給付のいわば補償金を確保するためのファンドみたいな、こういうふうなものも、国というよりは、私の承知しておりますところでは警察庁の方で、いわばある団体を、そういう基金を何か御用意されているというふうな話も聞いております。  いずれにいたしましても、この問題につきましては、委員指摘のように、いろいろな角度から被害者の救済について、これをできるだけ手厚くしていくという方向で物事は考えるべきものだろうと思っております。
  59. 木島日出夫

    ○木島委員 時間ですから終わりますが、政府から出された被害者対策関連法案は、犯罪被害者対策として賛成です。しかし、第一歩にすぎない、やるべきことはたくさんあるということを指摘し、また、我が党としては民主党から出された犯罪被害者基本法は賛成であるということを最後に申し述べまして、質問を終わらせていただきます。
  60. 武部勤

  61. 保坂展人

    ○保坂委員 犯罪被害者の保護と救済に当たるこの二法案に対して、いろいろ、もっとこうしてほしい、ああしてほしいとありますけれども、基本的には第一歩ということで評価をする立場から、冒頭、法務大臣に、最近起こった事態について一問だけまずお聞きしたいと思います。  先日この委員会で日野委員から、例の松山で起きた誤認起訴、真犯人が供述によって出てきてしまったということで、一年余りのいわば根拠なき勾留、拘置をされた件について、古田刑事局長が先月末の答弁で、残念に思うが、自白があって、その時点で検察の判断は合理的と言えてやむを得なかったという答弁をされた。  その後、記者会見で臼井法務大臣は、やはりこの答弁はまずいんじゃないか、もっと率直に謝るべきは謝ったらどうかという趣旨の御発言をなさったというふうに、これは新聞紙上ですから、この会見の場にいたわけではないのでわかりませんが、このあたり、まず真意を大臣にお聞きをしたいと思います。
  62. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今委員指摘いただきましたこのような事態というものは、あってはならないということでございますが、残念ながら、こうした事態になったということは極めて遺憾だと思っております。  一方、一般的に言いまして、どのような形で御本人の立場というものを立証するかというのは、これはいろいろな形があろうかと思っております。
  63. 保坂展人

    ○保坂委員 大臣にもう一度伺いますが、結果的に誤ったことについて、誤認起訴をした検察当局は、やはりこれは誤っていたという反省の意思、あるいはその誤認起訴した男性に対する明快な謝罪ということをするべきではないか、こういうふうにおっしゃったというふうに報道されているのですが、どうですか、報道はさておき、今大臣のお気持ちとして率直なところをお聞かせいただきたいと思います。
  64. 臼井日出男

    臼井国務大臣 こうした事件につきましては、それぞれ現場の検察においては、証拠あるいは状況等、しっかりと判断をして全力を尽くして対処いたしているところでございます。しかしながら、結果としてこういう形になったということは大変残念なことでございます。  このことにつきましては、それぞれの個々の事件につきまして経緯のあることでございますから、その結果は、その裁判の結論において御本人の有罪、無罪をはっきりさせるということが、それでよろしいというふうに考えております。
  65. 保坂展人

    ○保坂委員 大臣、個々具体的な事件について、この事件はああだこうだということを法務大臣が言うべきでない、そういう一種の制限が答弁にあるのは存じ上げておりますが、しかし、まさに一般論として、いろいろ数多い事件の中には全くのミスというのも現実にあるわけです。そのミスを認めるところから、今回の片山隼君の事件のあの検察の窓口についても、これはよくなかったということで下稲葉法務大臣がはっきりお認めになった、そこからこの議論はかなり拍車がかかって進んでいったように思うのです。  ですから、これは一般論でもいいです。こういう誤認起訴、明らかに間違った別人を勾留してしまったというときには、それがわかった段階で率直にきっちり謝罪をする、そういう転換を示すべきではないでしょうか。いかがですか。
  66. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今お話しのような事態、どういう形でそれをお示しすべきかということはいろいろ考える点があろうかと思いますが、一般論として、全くの検察側の過ちでもってもしそういうことがあったとするならば、それはそれなりの対応が必要であると思います。
  67. 保坂展人

    ○保坂委員 では刑事局長、現在のところ、結局その裁判の結果を待つということで、起訴も取り下げないということだそうですが、もう一度伺いますけれども、数多い事件を処理していく中でやはりこれはミスであるということも生じるだろうと思います。そういうときに、これは自白偏重の体質が非常に濃いんじゃないかという指摘も受けている件ですけれども、今、この男性に対して申しわけない、こういう気持ちはございますか。
  68. 古田佑紀

    古田政府参考人 ただいま大臣からもお答え申し上げましたとおり、結果としていろいろな形で、例えば無罪になったりしていく、そういう場面はさまざまな原因がある場合があるわけでございます。したがいまして、例えば捜査段階で当然検討すべきことを怠っていたとか、こういうふうな話になりますと、今大臣もおっしゃったようなことだろうと思うわけですが、捜査段階、起訴の段階でそれなりの捜査を尽くして、その時点の判断としては、これは通常、当然検察官だったらこういう判断をするであろう、こういうふうな場面での、それが結果的に実は違ったことになっているというような場面ではどうあるべきか、これはまた別な考えがあるのだろうと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、ただ、真犯人が後であらわれて、その間拘置が続いた、勾留が続いた、こういうことについては、それは大変お気の毒だったという気持ちは当然のことだろうと思うわけでございます。  なお、自白偏重というお言葉もございましたけれども、私自身がこの事件について報告を受けております限り、自白についての裏づけもできるだけとるように努めて判断をしたものと承知をしております。したがいまして、そう簡単に自白偏重ということではなかったのではないかというふうに私自身は承知しております。
  69. 保坂展人

    ○保坂委員 一言だけ、もう一度確かめますが、無実の罪で一年以上拘置された男性に対してはお気の毒だったというのがお言葉ということでよろしいですか。お気の毒だったというのは何か当事者じゃないような、やはり、自白にいろいろ証拠を照らしていってそれなりのものがあったというのなら、それは無実じゃないということで、そこもまだ覆る可能性もあるのですか。いかがですか。これはお気の毒だったで済みますか。
  70. 古田佑紀

    古田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、検察官、捜査当局といたしましては、ある事件につきまして起訴、不起訴の判断をする場合には、その証拠関係を十分調査、精査して、その上で判断を下しているわけでございます。  したがいまして、その点につきまして、これはやはり刑事裁判もいろいろな事態があるわけでございまして、その時点の判断といたしまして、先ほども申し上げましたように、これは合理的なものであるというものでありますれば、その結果について、確かにいろいろなお気の毒なことは起こっても、それはそれで御理解をいただかざるを得ないというふうに考えているわけでございます。
  71. 保坂展人

    ○保坂委員 古田局長は立法実務のプロでもあり、また大変多大な経験も積まれていると思うのですけれども、やはり人間の言葉で表現するというのも今日大事だと思うのですね。お気の毒だったと言うと、これはかえって誤解を招きますよ。無実の方を勾留して相済まなかったということがやはり一言あってしかるべきだと僕は思います。後でまた大臣にもお聞きしますが。  それでは、民主党の北村先生、民主党提出の法案について、端的に一問に絞りますが、法務大臣に私ども聞いていったところ、個別救済でとりあえず目についたところをやるということで、やはり基本法だなというところで私は意見は一致しているのですが、あえて個別の積み上げではなくて基本法からスタートすべきだと考えた理由について、お述べいただきたいと思います。
  72. 北村哲男

    北村(哲)議員 なぜ個別施策の積み上げではなくて犯罪被害者の基本法が必要かというふうな御質問だと思います。  犯罪被害者はこれまで大変悲惨な状況に置かれてきたことについては、本委員会委員の皆様の共通の認識だと思います。確かに、警察庁法務省でそれぞれの対策が積み重ねられて、かなりの評価もできます。しかしながら、総合的な意味での真の解決にはほど遠いと考えます。犯罪被害者が少なくとも加害者と同等の権利保障を得るには、まず犯罪被害者の権利の根拠と被害者対策の基本理念を明らかにする必要があると考えます。  私たちは、憲法十三条の個人の尊厳、あるいは二十五条の生存権の保障などの規定に基づいて、国あるいは地方公共団体が犯罪被害者が受けた被害の回復、そして犯罪被害者などの社会復帰を支援する責務を有することを明らかにするために、この法案の第二条で基本理念を定めて、「犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、被害の状況等に応じた適切な処遇を保障される権利を有するものとする。」と規定しました。さらに同二項で、今度は「何人も、犯罪被害者等の名誉及び生活の平穏を害してはならない」として、いわゆる犯罪被害者のプライバシーの尊重、尊厳というものを規定いたしました。  次に、個別の施策では、それぞれ必要ではありますけれども、しょせんちぐはぐというか継ぎはぎの組み立てしかできなくて、計画的あるいは総合的な取り組みにはならないという点が問題であります。個別省庁の縦割り対策では限界があると考えております。  私どもが提起したこの基本法に基づくいわゆる犯罪被害者等支援基本計画のもとに、経済的側面、精神的側面あるいは刑事的側面のいずれも含む総合的な、統一的な対策が必要であると思っております。ここで多くの参考人も述べられたように、これは全省庁にわたる問題であるということで、今ここで論ぜられておる閣法については、その一部分、一つのパート、刑事訴訟の場面だと思います。  そして第三に、最後に、各参考人が多く言われたように、犯罪被害者の支援は国際的な要請でもあるという点であります。国連の被害者人権宣言を通じて、既に欧米を中心とする多くの国々で被害者の権利を確立して、法整備を進めるとともに、民間の被害者支援機関が組織されて、国と社会がともに挙げて総合対策に取り組んでいるということの要請にも基づいていると思います。  以上でございます。
  73. 保坂展人

    ○保坂委員 大変立派な法案で、こういう人権にかかわる法案は、私ども法案提出権のない、悲哀をかみしめている少数野党にも、ぜひ、仲間に入れていただければなおよかったと思います。  法務大臣に率直に伺いますが、民主党のフレーム、基本法でいこう、これは何かいけないところはありますか。民主党案、ここはよくないという。どうですか、評価する点も。短くていいですから、基本法でいくかどうかで。
  74. 臼井日出男

    臼井国務大臣 民主党提出の法案につきましては、立場上所見を述べるということは差し控えさせていただきたいと思いますが、あえて申し上げるとすれば、被害者保護の問題につきましては、まずもって個別具体的な施策を着実に実施していくということが肝要であると考えておりまして、今後省庁連絡会議等の中で、さらに行うべきものがございましたら逐次前進をさせていきたいと考えております。
  75. 保坂展人

    ○保坂委員 刑事局長に伺いますが、先ほどの話とも同質の問題かもしれませんけれども、あの片山隼君の事故、事件があって、検察窓口の扱いの問題あるいは捜査を尽くされたかという問題を振り返られて、東京地検次席検事が異例のコメントを発表されましたね。この捜査については問題があったと。  私は、実はこれは日本の刑事司法の一大転換点だというふうに見ているのですね。やはり検察官も人の子、間違いもあるし判断ミスもある。そこを率直に認めるということが、大変大きな真実の解明あるいは検察の信頼回復にもつながっていくのだと思うのです。  今回こういう法案ができて、あの片山隼君のときのような対応が繰り返されないことを私ども望みます。そしてまた、現場の検察官や検察事務官について、研修、さらに今までやっているものをただ続けるだけじゃなくて、新たに、間違いを率直に認めたり被害者の立場に非常に想像力をめぐらすという部分で御計画がありましたら、簡単にお願いしたいと思います。
  76. 古田佑紀

    古田政府参考人 ただいま委員指摘のような被害者の方々等に対する配慮につきましては、これまで個別的にもいろいろな機会にやってきているわけですが、今後は、検察官あるいは検察事務官に対する研修、これはまとめてやる場合が多いわけですが、そういう機会の中に取り込むというようなことを、実際に今やっておりますが、今後とも検討していきたいと思っております。
  77. 保坂展人

    ○保坂委員 では、大臣最初のやりとりにちょっと戻りたいと思うのですけれども、松山の話なんです。  私は、局長も大変すぐれた方だと思って尊敬しているのですね。ただ、どうもやはり日本語の使い方の中で、お気の毒だったというのは、これは離れて見ている方が使う言葉なんですね。どっちかというと客観的第三者の使用する言葉と言ってよいかと思うのです。  ですから、やはり当事者ですから、一人の社会人を一年以上勾留してしまった、自白があった、あるいはそれを裏づける何がしかがあるように見えた、しかしそれは間違いだということが明らかであれば、公判の判決を待たずともやはりそこを振り返る人間らしい言葉が必要だと私は思うのですね。それが法務行政への信頼回復につながっていくんだということも大臣よくおわかりだと思うのですが、いかがでしょうか。
  78. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今委員指摘のように、無実の方を勾留してしまっておったというふうなことにつきましては、まことに残念なことでございますし、またこういうことはあってはならないことでもございますので、深い反省をしなければならない、こういうふうに考えております。  また一方、一般的に言って、その方の無罪を証明するというやり方にはいろいろなやり方があろうかと思っておりまして、私ども、それはそれとして、それらのことを反省し、今後そういうことのないようにいたすという努力をさらにしていかなければならないと考えております。
  79. 保坂展人

    ○保坂委員 ありがとうございました。  あと一分ぐらいあると思うので、刑事局長、今大臣は、深くこれを反省し、実際の扱いについてはこれはいろいろやり方があるだろうとおっしゃいました。この言葉をやはり受けとめていただきたいのですが、いかがですか。
  80. 古田佑紀

    古田政府参考人 もとより私も、無実の人が長期間勾留されるような結果になるということについては、これはとにかく避けなければならない、これは当然のことだと認識はもちろんしているわけでございます。  そういう意味で、大臣のおっしゃっていることも私も当然のこととして受けとめておりますが、先ほどちょっとお気の毒という言葉が適切ではないのではないかという御指摘を受けまして、おっしゃることも十分理解できますが、私の申し上げたかったことは、そういうことになった事態というのは非常に重く受けとめる必要がある、そういうつもりで申し上げたわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
  81. 保坂展人

    ○保坂委員 刑事局長、大臣がここで反省という言葉を政治家としてはっきり使われたということをぜひ現場は重く受けとめてください。大臣が反省は言うけれども、現場は言わないというのでは困ります。よろしくお願いします。  終わります。
  82. 武部勤

    武部委員長 杉浦正健君。
  83. 杉浦正健

    ○杉浦委員 自由民主党の杉浦でございます。  民主党北村哲男君外三名御提出犯罪被害者基本法案について、若干お伺いさせていただきます。  まず、我々立法府に所属する人間ですから、我々は立法権を専有しているという趣旨で、こういう基本法案を出されたことについては、議員の一人として敬意を表したいと思います。  我々、正直に申して、後ほど何点か御質問しますが、賛成はできないわけなんです。ただ、この問題について国連の宣言がありという状況でございますので、今、基本法案が民主党から提出されてやっておりますが、基本法があってもいいのではないかという点では考えを共有いたしておることだけは申し添えさせていただきたいと思います。  正直言って、北村先生たちも、御提出された基本法案が、成立させたいというお気持ちはあるかもしれないけれども、成立すると思って出されたものでないように拝察しておるのです。  というのは、法務省当局とのすり合わせを十分にやっておられませんし、私どもにも正直言って御相談がなかったわけであります。これは釈迦に説法なんですが、あのオウム二法のときも、まず、政府提出の前に我々は民主党さんとよく御相談して基本構想、こういう方向で行こうということで相当準備したわけですし、大分野党にはおしかりを受けた組織三法につきましても、二年余にわたりまして、自社さの協議から始まり、自・民、自・自、自・公、各党間協議もやり、四党協議も重ねて、十分な修正協議をやった上で大幅修正した、換骨奪胎的な修正をやったという実情は御存じのとおりなんですが、こういう基本法というものを制定するとすればそういう手順を踏んでいただきたかったな、そうすれば、もっと前向きに我々が取り組めたかとも思うわけでございますが、私の言ったことに何か感想があればどうぞ、北村先生。
  84. 北村哲男

    北村(哲)議員 確かにすべての政党に、先ほども社会民主党の方からも一緒にやりたかったというお話がありました。そういう点はやや急いだ感じは否めません。  しかし、法務省と相談しなかったとか、そういう点は私どもは、立法権は国会にありということで、議員同士でお話しすることで十分だと思いますし、また、成立しないことを前提に出したということはありません。私どもはこういうものを、多くのこちらの参考人の、本当に業界のトップの方々に高い評価をいただいているということについては自信を持っております。  ですから、御相談をしてこなかったというのは、確かに今、緊急の問題であるということを踏まえて申し上げなかった点はあります。今後それは戒めていきたいと思っておりますけれども、中身については、私ども自信を持って世に問う、そして国会の皆様に問う法案だと思っております。
  85. 杉浦正健

    ○杉浦委員 この法案、全体を通して見てみますと幾つか問題点があると思うのですが、正直に言って、私は、もっと具体的にいろいろ細かく検討して、詰めなければいけない点があるのではないか。今から申し上げるところはそのうちの一部だと思うのでございますが、あると思います。  まず、基本理念が中心だと思うのですが、第一項に、「保障される権利を有するものとする。」こうございます。その後の方に、国の責務、地方公共団体の責務、国民の責務等々、法制上の措置も講じろというような極めて骨格的な規定があり、そして、政府が支援基本計画を立てなければいかぬとか施策を講じろとか、それから審議会を設けなさいというような規定がずっと続いておるわけでございます。  こういう規定ぶりを拝見しますと、お考えになっている権利というのは、憲法上、社会権の、二十五条の規定ですか、講学上プログラム規定である、つまり、そこにある権利から直接請求権は発生しないという考え方があるわけなんですが、そういう権利としてお考えになるのか、あるいは、これに基づいて、国とか地方自治体とか、被害者から具体的に権利が発生するんだ、少し疑念を生じさせる全体構成だと思うのですが、その点についていかがでございましょうか。
  86. 北村哲男

    北村(哲)議員 まさに委員のおっしゃるとおり、これは直接的権利じゃなくて、私ども講学上言っておるプログラム規定だというふうに思います。  本案は、第一条の目的及び第二条の基本理念で、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものと規定しておる、おっしゃるとおりです。  これは、昨今の犯罪被害者等の悲惨とも言える状況にかんがみて、犯罪被害者が本来有している権利を改めて法文の中で確認したものであって、国及び地方公共団体は、この基本理念にのっとって、犯罪被害者等の支援対策の策定あるいは実施の措置を講ずることになるわけでございます。  こういう抽象的あるいはプログラム的な権利、犯罪被害者の権利は、国及び地方公共団体に対して、本案のこれだけを、この基本法を根拠に何らかの具体的な請求がなされることができるというような性質じゃない、その意味では抽象的、プログラム的であります。したがって、今後、これらの犯罪被害者等の権利を具体化するために、本案を基本法とした各個別法の制定が急がれるということになると存じます。
  87. 杉浦正健

    ○杉浦委員 審議会を設けなければいけないとか基本的施策を講じなければいけない、お考えはわからないわけじゃないのですが、私ども今、政府・与党を挙げて、小さな政府、役所の仕事を減らすということで一生懸命やっておるわけでございまして、今政府の方では省庁連絡会議を設けて調整していこうというお考えなので、スタートとしてはそれで十分じゃないかと私どもは思っておるわけであります。  プログラム規定であるとすれば、被害者の範囲を宣言と同じようなことで広げられるのは別にあれですが、権利性を持ったものだというお考えが若干あるとすれば、全体構成ではそういう感じがしますので、経済事犯や過失犯も入った被害者という構成、第一条の規定も広過ぎるかなと思ったりもしておる次第でございます。  いずれにしても、お考えはよくわかったのですが、これ以上質問はいたしませんが、我々としては、国連の宣言の求めておるのは、司法へのアクセスとか、司法手続の改善が主たるものです。国の責務として強調しているのは、加害者が無資力で万一弁償が受けられない場合、そういう場合の補償は考えなければいけないのじゃないかという措置を、努めろという程度を言っているわけでございまして、やはり自己責任の社会、加害者が違法行為に基づいて被害者に補償するというのは大原則でございますから、将来考えられる基本法にしても、国連の宣言を中心に置いて、では我々の社会においてどう考えるかを検討していくべきだと思っていることだけを申し上げさせていただいて、実は五分縮められてしまったものですから、大変恐縮でございますが、終わらせていただきたいと思います。
  88. 武部勤

    武部委員長 倉田栄喜君。
  89. 倉田栄喜

    ○倉田委員 民主党提案の犯罪被害者基本法案についてお尋ねをいたします。  時間が押しておりまして、私の時間も短くなりましたので、簡潔にお答えいただければと思います。  まず、この民主党提案の立場では、被害者が刑事裁判に参加する立場をどのようにお考えになっておられるのか。先般、本会議でお聞きしましたときに、総則で権利性ということを強く主張されてお答えになっていただきましたけれども、その中で、具体的権利としてはどのようなものをお考えになっておられるのか。  まず、この二点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  90. 北村哲男

    北村(哲)議員 刑事裁判は、国の刑罰権の有無及び限度を確定するための手続でありますけれども、特定の被告人に対する刑罰権の有無が問題になるのは、そこに犯罪行為が存在するからであって、その犯罪行為によって被害を受けた方、すなわち犯罪被害者等の被害感情が国家の刑罰権の発動に対してしんしゃくされなければならない、これは当然のことであります。そのような取り扱いをすることは、刑罰権をゆだねられた国の責務であると考えております。  そして、刑罰権の発動に関して、犯罪被害者等にそのような関与を認めることが、被害者等の精神的被害を中心とする被害の回復にもつながっていると考えております。その意味で、犯罪被害者等が、国による刑罰権の行使に関してその意見を述べる機会や、刑事手続の進捗状況についての情報提供等を受けられることは被害者等であることによる当然の権利であると考え、そのことを本法案に明記したものであります。  以上でございます。
  91. 倉田栄喜

    ○倉田委員 そうしますと、やはり現行の刑事訴訟法にどうしてもかかわらざるを得ない話になってくると思いますけれども、現在の刑事裁判の構造を変更しなければならないということか。そうしますと、現行刑事訴訟法を非常に大きく変更するということをお考えになっておられるのかどうか。これは結論だけお聞かせください。
  92. 北村哲男

    北村(哲)議員 これは、今は変える必要はないと思っているんです。ぎりぎりの場面では確かに抵触する場面が出てくると思いますけれども、今はそこまで詰めては考えておらないということで、なるべく根幹に触れない。周辺を整備する。確かに、例のつい立ての問題とか、証人尋問権を若干侵害するかもしれないけれども、しかし、その基本構造は変えないという立場でございます。
  93. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今の問題、犯罪被害者等の権利をどういうふうに位置づけるかということについては、本当に大きな課題なんだろうと思いますので、さらに詰めてみなければいけないのではないのか、このように思います。  そこで、犯罪被害者等保護を図る法律案について、少しまだ、この委員会で残っている問題だなと私が認識いたしておりますのは、先般も、犯罪被害者の方々に一般の参考人としておいでをいただき、お話を聞きました。お話の中で、私、これも一つ大きな課題だなと思いましたことは、いわゆる犯罪報道あるいはその二次被害の問題であります。  捜査段階における警察の記者会見、マスコミ等は早く真相を知りたいものですから、記者会見を求める。しかし、この記者会見で発表されたことが必ずしも本当であったのかどうか、あるいは被害者の立場というのを本当に配慮しながらなされたものかどうか、わからないことが結構あって、今、現実にも大きな二次被害を受けておられて、被害者の方々はさらにそれによって大きな被害を受ける。この間も、ある意味では、マスコミに対する不信というものもお示しになっておられたと思うわけであります。  そうすると、結果として被害者が、例えば誤りであった報道等によって二次的に被害、また精神的負担を大きくしてしまうということが現実に起こっている。これについて、やはりこれもなかなか難しい問題だなと思うわけでありますけれども、どう考えればいいか、山本政務次官にお聞きします。
  94. 山本有二

    山本(有)政務次官 犯罪報道による二次的な被害の発生をどう防ぐかということでございますが、報道機関におきまして十分に御配慮をいただきたいと思うと同時に、捜査当局におきましても、犯罪事実等を公にする場合には、犯罪被害者のプライバシーを侵害しないなど、被害者やその家族立場に配慮する必要があり、また、その内容に誤りがあってはならないことは当然でありますので、そのような点に十分配慮しつつ、適切に対応していくべきであろうと考えておる次第でございます。
  95. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大臣にお答えいただければ、こう思うわけでありますけれども、いわゆる報道の自由は、国民の知る権利の保障をしていくという意味で、我が国では根本的な一つの憲法で保障された自由であろう、こういうふうに思います。  しかし、一方で、今次官からもお答えいただいたように、誤った報道によって非常に被害を受けてしまう、さらに非常に苦しい立場に置かれてしまうという方々がおられるのも事実なんですね。  もちろん、報道するについては、報道倫理であるとか一般の規定というのは、各社が自主規制の中でおやりになっていることだと思うんです。それが、やはりきちんと機能していかなければならないな。もちろん、それをがんじがらめに、やはり一つの幅はあるんだろうとは思いますけれども、しかし、これはちょっとひどいんじゃないかなということも現実には起こっています。  そういう意味からすれば、確かに自主規制のルールはあるとしても、報道の自由ということと犯罪報道については、やはり何らかのルールが必要なのではないか。もうちょっと国民の皆さんが、ああ、それならねということが、ルールが各社においてももっと明示されてもいいと思いますし、そういうことが必要なのではないのか、こういうことを一点思います。  それから、これは従来からも問題提起されておりますけれども、明らかに誤った報道があって、それによって名誉が毀損をされる、大きな精神的負担を受ける。そういう場合については、いわゆる懲罰的賠償請求というんですか、懲罰的賠償制度というのをもう考える時期に来ているのではないのか、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、最後に、この二点について、できたら法務大臣に御所見をいただければと思うんですが。
  96. 臼井日出男

    臼井国務大臣 ただいま委員指摘をいただきました報道の自由、報道のあり方につきましては、大変難しい問題があるように思っておりまして、まずは報道機関におきまして自主的に犯罪被害者やその家族立場に十分配慮した適切な対応をとっていただくことが望ましいと考えているのでございます。  また、誤報道等によって被害を受けた場合の被害回復というものは大変重要なものであると認識をいたしておりますが、御指摘の懲罰的な損害賠償の制度につきましては、加害者に対する制裁の制度としての刑事責任と、被害の補てんを目的とする民事責任との区別を混同することにならないかどうか、加害者に制裁を加えることによって被害者が損害の範囲を超えて利益を得るのは合理的であるのかどうか、乱訴のおそれがないだろうか、そういったそれぞれ大変難しい問題もございまして、今後、慎重な検討が必要であると考えております。
  97. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大変難しい問題であるということは承知をいたしているわけであります。しかし、だからといって、いわゆる二次被害での加害者になってはいけないということは報道機関も同じであろうと思います。  ぜひ御検討をお願いして、私の質問を終わります。
  98. 武部勤

    武部委員長 ただいま議題となっております各案中、内閣提出刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案及び犯罪被害者等保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案の両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  99. 武部勤

    武部委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、内閣提出刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  100. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、内閣提出犯罪被害者等保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  101. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  102. 武部勤

    武部委員長 この際、ただいま議決いたしました両法律案に対し、横内正明君外六名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、日本共産党、保守党、自由党、社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。横内正明君。
  103. 横内正明

    ○横内委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案並びに犯罪被害者等保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案に対する附帯決議(案)  一 政府及び国の関係機関は、犯罪被害者等に対する保護及び配慮が喫緊の課題であることにかんがみ、両法律の趣旨を広く周知徹底すること。  二 政府及び国の関係機関は、両法律について、犯罪被害者等保護の趣旨とともに、刑事司法の適正な運営及び反対尋問権の保障を含む被告人の権利に配慮しつつ、適正な運用の確保に努めること。  三 政府は、現行法上採り得る犯罪被害者等保護に資する措置については、両法律施行前においても、両法律の趣旨を踏まえた運用がなされるよう努めること。  四 政府は、犯罪被害者等が、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障されるべき存在であることにかんがみ、関係省庁の密接な連携及び民間支援組織との協力の下に、犯罪被害者等が受けた被害の回復及び社会復帰を支援するため、犯罪被害給付制度の拡充、民間の被害者支援組織等への援助、犯罪被害者等に対する相談・カウンセリング体制の整備等の精神的支援、経済的支援などを含めた総合的な犯罪被害者対策の推進に努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  104. 武部勤

    武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  横内正明君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  105. 武部勤

    武部委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。臼井法務大臣
  106. 臼井日出男

    臼井国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。     —————————————
  107. 武部勤

    武部委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 武部勤

    武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  109. 武部勤

    武部委員長 次に、内閣提出商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。臼井法務大臣。     —————————————  商法等の一部を改正する法律案  商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  110. 臼井日出男

    臼井国務大臣 最初に、商法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  この法律は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、会社分割の制度を創設するため、商法、有限会社法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律を改正しようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。  まず、商法につきましては、第一に、会社分割の形態として、分割によって設立する株式会社に分割をする株式会社の営業を承継させる新設分割の制度及び既に存在する他の株式会社に分割をする株式会社の営業を承継させる吸収分割の制度を創設することとしております。  第二に、分割によって設立する株式会社または分割によって営業を承継する株式会社が分割に際して発行する株式を、分割をする株式会社またはその会社の株主のいずれにも割り当てることができることとしております。  第三に、株式会社が分割を行うには、分割計画書等を作成して株主総会の特別決議による承認を受け、また、事前に分割する株式会社の貸借対照表、分割計画書等を本店に備え置いて株主及び債権者の閲覧等に供すべきこととするとともに、分割に反対した株主に株式買い取り請求権を認め、さらに、債権者に対しては債権者保護手続を経ることとして、株主及び債権者の保護を図ることとしております。  第四に、分割によって設立する株式会社等が分割をする株式会社から承継する財産の価額がその会社の総資産の価額の二十分の一を超えないとき等には、その会社は、分割計画書等につき株主総会の承認を要しないこととし、分割手続の簡素化を図っております。  第五に、分割によって設立した株式会社等は、分割計画書等の記載に従い、分割をした株式会社の権利義務を包括的に承継することとしております。  第六に、分割の手続等に瑕疵があった場合等には、株主、分割を承認しなかった債権者等は、分割無効の訴えを提起することができることとしております。  次に、有限会社法につきましては、分割によって設立する会社を有限会社とする新設分割を有限会社または株式会社が行うこと及び吸収分割を有限会社と他の有限会社または株式会社との間で行うことができることとし、分割計画書等の社員総会の特別決議による承認、分割計画書等の開示、債権者保護手続等について、株式会社の場合と同様の規定を設けることとしております。  最後に、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律につきましては、会社分割の制度の創設に伴い、所要の改正をすることとしております。  続いて、商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、商法等の一部を改正する法律施行に伴い、民法ほか百四十九の関係法律について規定整備を行おうとするものであります。  以上が、これら法律案の趣旨でございます。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  111. 武部勤

    武部委員長 これにて両案に対する趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十六分散会