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2000-03-31 第147回国会 衆議院 文教委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月三十一日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 鈴木 恒夫君    理事 飯島 忠義君 理事 小川  元君    理事 奥山 茂彦君 理事 栗原 裕康君    理事 肥田美代子君 理事 藤村  修君    理事 西  博義君 理事 松浪健四郎君       岩下 栄一君    岩永 峯一君       小此木八郎君    河村 建夫君       倉成 正和君    小島 敏男君       下村 博文君    平沢 勝栄君       柳沢 伯夫君    渡辺 博道君       田中  甲君    松沢 成文君       山元  勉君    池坊 保子君       旭道山和泰君    並木 正芳君       笹山 登生君    石井 郁子君       藤木 洋子君    濱田 健一君       粟屋 敏信君     …………………………………    文部大臣         中曽根弘文君    文部政務次官       河村 建夫君    文部政務次官       小此木八郎君    政府参考人    (文部省教育助成局長)  矢野 重典君    政府参考人    (文部省高等教育局長)  佐々木正峰君    文教委員会専門員     岡村  豊君     ————————————— 委員の異動 三月三十一日  辞任         補欠選任   旭道山和泰君     並木 正芳君   山原健二郎君     藤木 洋子君 同日  辞任         補欠選任   並木 正芳君     旭道山和泰君   藤木 洋子君     山原健二郎君     ————————————— 三月三十一日  私学助成の拡充と三十人学級の実現に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一〇二八号)  同(福岡宗也君紹介)(第一〇二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  教育公務員特例法等の一部を改正する法律案内閣提出第七四号)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出教育公務員特例法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として文部省教育助成局長矢野重典君及び高等教育局長佐々木正峰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺博道君。
  5. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 おはようございます。私は、自由民主党の渡辺博道でございます。与党を代表いたしましての質問の機会をいただきました。与党の各党の皆様方に改めて感謝を申し上げる次第であります。ありがとうございます。  まずは、質問に先立ちまして、連日来、テレビ新聞で報道されております北海道の有珠山状況について、地元では皆さん大変心配をしております。そうした中で、新学期がそろそろ始まります。文部省におかれましてこの対策はどんなふうにとられているか、まずお伺いをしたいと思います。
  6. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 文部省におきましては、この有珠山火山活動に伴いまして、三月二十九日十七時三十分、省内に文部省災害応急対策本部を設置いたしました。児童生徒等安全確保を第一として、まず関係機関との情報連絡体制の確立、それから、これはもしものことでございますけれども、火山噴火時における迅速かつ的確な情報の収集などの緊急の体制を今とっているところでございます。  有珠山周辺市町村に所在する公私立の幼稚園や学校は、今ちょうど春休みということでございまして、学校等に今直接の問題はないものと思っております。  また、北海道大学があちらにありますが、その北海道大学有珠火山観測所を中心にいたしまして、関係研究者が今、気象庁の監視観測等火山活動監視体制への協力に努めているところでございます。  今後とも、内閣、それから関係機関と連携を十分に図りつつ、緊急対応等一層の充実を図って万全を期すよう努めていきたい、そういうふうに思っております。
  7. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。  また、質問に先立ちまして、先般三月十八日から二十日まで、中曽根文部大臣は、戦後初めて文部大臣として韓国訪問されました。中曽根文部大臣のお父様であります中曽根元首相も、韓国訪問されました。親子二代にわたる訪問であります。この訪問の結果については、新聞でいろいろと書かれております。「日韓交流前進へ」とか、教員交流の促進も行う等、さまざまな報道があります。  この際でありますから、じかに文部大臣からそのときの状況についてお話をいただきたい、そのように思っております。よろしくお願いいたします。
  8. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 お話のように、三月の十八日から二十日まで、私は、韓国教育部のお招きによりましてソウル訪問いたしました。  韓国日本に一番近いお隣の国でありますが、残念ながら、戦後、今まで教育担当大臣同士交流会談は、公式的なものが行われておりませんでした。私は、就任直後から、一日も早く訪韓をし、あちらの担当大臣教育の問題についていろいろ話し合いをしたいと思っていたわけでございます。  ちょうど、二〇〇二年にはワールドカップサッカーが共催で行われるということもありますし、また、一昨年は金大中大統領が来日されまして、小渕総理との間で日韓共同宣言も発表され、未来志向的な両国友好親善関係がまた新たにスタートしているわけでございます。  そういう中で、今回訪韓が実現したわけでありますけれども、今回は、金鐘泌前総理朴泰俊総理文教育部長官、また徐科学技術部長官等政府の要人と会談をすることができました。また、慶熙大学というところも訪問し、あるいはまた、ソウル小学校訪問いたしました。  会談内容につきましては、今委員新聞等で御承知のとおりでございますけれども、文化教育問題、学術、スポーツ全般にわたって、本当にいろいろな話し合いができて、建設的な意見交換ができてよかったと思っております。  その中で、日本理工系大学韓国学生さんを千人お招きしよう、勉強してもらうよう留学の受け入れをしよう、そういう計画が、小渕総理金大中大統領の間で、共同宣言を受けて話し合いが合意されていたわけでありますが、今回参りまして、来年の春から日本に参ります予定で、今慶熙大学で事前の研修を受けている学生さんが百人、来年四月から百人こちらに招くわけですが、その方たちとも懇談をし、また、正式にこのプログラムの合意書に両文化文部担当相でサインをしてきたところでございます。  また、学生交流も大事ですけれども、私は、教員同士交流も大切だと思いまして、韓国小中高校教員先生方五十人を、日本においでいただいて、二、三週間日本学校を見ていただいたり、日本のこともいろいろ知っていただこうということで、招待の提案をしましたところ、快諾をされました。あちら側も、日本先生を私の方も呼んでみようというようなお話もあり、今後検討をされるということでございました。  今後ともいろいろな側面で日韓が、教育面でも、情報交換やお互いのいい面を参考にしながら、教育の発展のためにやっていければいいと思います。お話ありましたように、私の訪韓文部大臣としては戦後初めてということでございます。たまたまでございますけれども、父の話が出ましたけれども、総理大臣として初めての訪韓でございました。今回の会談教育分野での両国の新しい扉を開いたことになると私は確信しておりまして、今後、韓国中国等近隣諸国とは教育面でもどんどん交流を深めていくということが大変大事だ、そういうふうに思っているところでございます。
  9. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 大臣、本当に御苦労さまでした。まさに二十一世紀に向かって日韓新時代の幕あけの礎を築いたのではないか、そのように私も評価をさせていただきたい、そのように思っております。  今国会、小渕総理は、施政方針演説の中で、まさに教育改革が今内閣における重要課題だということを表明しております。その中に表明してありますけれども、「私は内閣の最重要課題として教育改革に全力で取り組むことをお誓いするものであります。」ということであります。  したがいまして、中曽根文部大臣役割はまさに重要だというふうに思っております。現実的に、いじめや不登校学級崩壊とか、いろいろな事象が出ております。そうした中で、やはり教育あり方もおのずと変わっていかなければならない。それは、心の教育や生きる力をはぐくむ教育、こういったものについてのいわゆる人間教育重要性がこれから増してくるのではないか、そのように思っております。  そうした中で、要するに教えるのは教師であります。この教師役割は、まさに知識を教えるだけではなく、全人格的なものも教師から受け継ぐ、子供たち影響を与えるこの教師役割というのは、大変重要な役割を担っていることは申すまでもありません。  したがいまして、研修制度というものの充実は当然必要なことでありますけれども、この研修の中身については、かつての研修制度は、どちらかというと知識偏重的な研修が多かったのではないかな、そのように思うわけであります。新たに今回、法案提出によって、大学院修学のための休業制度が創設されるということであります。これによって、ある面では、知識がさらに高まる、専門性が高まるという部分がありますが、学校を離れてもう一度学生になって学ぶ、その環境でもまたいろいろな影響が得られるのではないかというふうに思います。  そういった意味において、今回の法改正内容は大変重要な役割を担っているんじゃないか、そのように思っております。  やはり教師は、魅力ある教師であることが必要であります。能力だけがあって、それでいいわけではありません。子供たちにとって魅力のある教師とはどんな教師なんだろうかということであります。  実は昨日、「三年B組金先生」のテレビをたまたま見ておりました。そうしたら、その金八先生が、卒業式のシーンでありましたけれども、教室に入りまして、自分生徒名前を全部黒板に書いておりまして、そして一人一人、その名前の由来、そしてこれからの生きる姿というものを個々に話しておりました。そういった中で子供たちがその先生から受けた印象というのは、まさに自分たちのために一生懸命考えてくれているんだな、そういった思いを抱いたのではないかというふうに思っております。そういった意味においては、学校先生役割はこれからますます重要になってまいります。  そこで、本法案関係についての質問に移らせていただきたいと思います。  先ほども申しましたように、現在、研修制度として、基本研修から専門研修、そしてまた長期研修校内研修など、いろいろな形で研修制度が行われております。このたびの教育公務員特例法改正におきまして、大学院修学に伴う休業制度というものが新たに設けられたわけでありますが、従来の研修制度とこの新たに設けられる休業制度とのかかわりについて、まずお伺いしたいと思います。  そしてまた、これによってどのような教員像を求めているのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
  10. 河村建夫

    河村政務次官 お答えいたします。  渡辺委員指摘のとおり、教員資質向上ということが非常に叫ばれるようになりまして、教育改革の視点にもそういうことが当然入ってくるわけでございます。  これまで文部省も、先ほど指摘のような研修制度、まず初任者研修、そして、ある程度して、五年あるいは十年ということで、その教員レベルに合わせた研修を続けてきたわけであります。これは、いわゆる職務研修といいますか、文部省側計画に従ってやっていただいている。もちろんその中には、今御指摘のような生徒との向き合い方とか、単なる知的な問題だけではなくて、そういう精神的な教育も当然やってきておるわけでございますが、今回新たに設けようとしているこの法案に基づきます研修制度というのは、制度といいますか、むしろ教員側の方からみずから自発的に勉強していく、こういうものをさらに進めようというものでございまして、これが特例法の形で改正によって出てくるわけでございます。  目的は、一種免許を持っておられる教員が十五単位さらに勉強研修されることによって専修免許が得られる、こういう目的があるわけであります。そのためには、まず、みずからこれまで先生として体験をされたことに加えて、自分にとってどういうことが必要であるかということをみずから体験をして、それを修士課程においてさらに学んでいただくという大きな目的があるわけでございまして、今までの職務研修から自発的な研修へと、研修あり方がそういうふうにさらに深まるということで今回の改正が求められるわけであります。そういう意味で、教員資質能力向上が求められるということで期待をいたしておるところでございます。
  11. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 河村総括政務次官からのお話でありました。その中に、この目的として、専修免許状取得というものがありました。  この専修免許状取得については、もちろん大学院課程を修了して高度の専門的な能力を身につけ、専修免許状取得することの重要性はまさに理解するわけでありますけれども、今、現職の教員のうち専修免許状保有者状況は、小学校で〇・九%、中学校で一・七%、高校で二八%と、現実的にはまだまだ少ないわけであります。  このような状況の中で、専修免許状取得促進することによって具体的には学校教育にどのような効果が生ずるのか、生ずることを望んでおられるのか、この点について改めてお伺いしたいと思います。
  12. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 現在、大学院におきましては、教育学とかそれから教育心理学、また教科教育学、あるいは文学、理学等々さまざまな専門領域において非常に高度な研究が行われているわけでございますけれども、この大学院修学休業制度によりまして期待される効果具体例といたしましては、例えば一つは、修士課程修了を基礎として臨床心理士資格を得るなどカウンセリングに関する高度な専門的技術、こういうものを修得することにより、いじめとか不登校とか学校で起こっているさまざまな問題、また生徒指導上の問題に対する指導力向上というものが考えられると思います。  それから、理工系教科教員児童生徒に対して、各分野における最先端理論とかあるいは技術大学院勉強してくることによりまして、それらをまた子供たちに教えることも可能となりますし、今度は子供たち科学的関心を高めるなど、そういうような魅力ある授業展開をすることが可能になってくるのではないか。  またさらに、教員担当教科かかわりのある学際的な領域を学ぶ、そういうことによりまして、例えば総合的な学習の時間などに、教科横断的、また総合的な課題に関する指導について新たな視野を開くことができることなど、非常に多岐にわたる点について効果があるのではないかと期待をされているところでございます。  文部省といたしましては、可能な限り、できるだけ多くの教員方々にこの制度を活用いただきまして、非常に多様な専門分野のさらなる修得とか、あるいは得意分野を持つ教員がまたふえるようにと、そういうようなことに努力をし、そういう教員が結果として集まって学校全体が活力ある学校教育が展開できる、そういうことを期待しているところでございます。
  13. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 当然、大学院でありますから国内が主体となると思いますけれども、ここの中では、海外においても適用されるかなというふうに理解するわけであります。  海外においては、例えば今国際化が叫ばれております、進んでおります。そうした中で、例えばの話でありますが、英語教師が新たに生の英語体験して、そしてそれを教えるということもまた大切なことだというふうに思いますし、IT革命と言われるように、情報化社会がどんどん進んでいっています。今大臣がおっしゃったように、最先端技術理論を学ぶことも、これまた大事なことであります。  また、先ほど大臣韓国との交流に関しての共同声明文というもので、今手元にあるんですけれども、その中で、「双方は、相互間で理解を広め、親近感を深めるために両国学生教員教育関係者相互交流を増進させることが必要である」という点で認識が一致したということであります。そうしたことを考えますと、例えば、こういった形で交流を深めるためにどんどん教員がみずから進んで韓国大学大学院に行くとか、そういった誘発も必要じゃないかな、そのように思っております。  そのように、海外においてのさまざまな勉強の場も与えられる可能性が出てきたわけでありますけれども、実際に海外大学院に在学しまして単位取得した結果、専修免許状が本当にもらえるのだろうか。その辺はどのように評価されるのか、ちょっとその辺をお知らせいただきたいと思います。
  14. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘のとおり、今回の法案は、基本的には国内大学院ということでありますけれども、当然、特に英語等を含めて海外大学院にお進みになる方もあるわけであります。また、そういうことも期待される。そこで、そういう方々についても専修免許状を上げるというのが、これは当然のことだろうというふうに思っております。  ただ、大学レベルの問題がございますから、日本は六・三・三・四制の上に大学院を置いておりますから、大体それと同等なものと見られるかどうかということは検討すべきであろうと思いますけれども、そういうことで、そのレベルに達していると思われれば、当然、大学院で学んでこられたということと見て専修免許状を上げる。  外国大学等を卒業して日本教員をやっておられる方は、全体で百六十七人いらっしゃる。そして、そのうち日本人が二十四名いらっしゃるんですが、そのうち専修免許状を持っている方が既に十名おられるわけでございますので、今回のこの制度を利用されて外国大学院勉強されてきた方々専修免許状を上げる、今おっしゃった韓国大学院は問題ないというふうに思っておりますし、また期待をいたしておるところであります。
  15. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 次に、本休業制度内容に移りますけれども、今回、休業制度が実施されて、ただ、休業は認める、ただし給料は与えないということでありますね。したがって、自発的に進んで行くということがこの制度の本来的な目的かなというふうに思うわけであります。しからば、このように、本来勤めている人が休業して、いわばみずから生活する場を一たん離れて勉強するわけですが、その場合、実際に生活の糧はどうするのでしょうかということが疑問なわけです。  そういったことを考えますと、それでは、その環境づくりとしてどのようなものを文部省では考えていらっしゃるのか。それとまた、実際に長期にわたって大学院に学ぶわけでありますから、その後の欠員に対する考え方、その代替教員確保についてはどのように考えているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  16. 河村建夫

    河村政務次官 今回の制度は、みずから大学に学んでいこうという意欲のある先生方対象にしております。したがって、その間は無給ではあるけれども、しかし、帰ってきたときの身分はちゃんと保障しますよという制度。今まではそれがなかったものでありますから、夜間に行くとか、さっき御指摘のように、非常に低かったわけですね。休んで行くと職を失うということもあったもので、それを認めていきましょうということであります。  そこで、その間の問題については、奨学金制度大学院にもきちっとあるわけでございますから、それを活用していただく。あるいは、皆さんが加入しておられます共済組合、そういう緊急な場合にはそこから貸付金等も出るわけでございます。さらに、大学院に進まれるわけでありますから、大学院の中には、大学の教授を補佐するティーチングアシスタントという制度がございますが、これも月額四、五万のものでございましょうが、そういう制度を利用して、一緒に学部の生徒指導するという立場にお立ちになれば給料をもらえる。それから、奨学金も、無利子であれば月額八万四千円。有利子となりますと五万、八万、十万、十三万というコースが選べるわけでございます。今、有利子でも一・九%と聞いておりますが、そういう制度をひとつ活用していただきたいということであります。  それから、もちろん当然その間は欠員になるわけでありますから、その補充については十分、これまでも産休とかなんとかの対応をいたしておりますが、それに応じた加配等はきちっとやる。そのために授業等に弊害が起きるようでは、その先生も安心して勉学にいそしむことができませんから、そういうことはきちっと対応した上で行っていただく、こういうことであります。
  17. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 ありがとうございます。新しい制度ですから、そういった環境づくり皆さんにお知らせして、できるだけ多くの方が利用できる環境づくりをぜひともしていただきたい、そのように思っております。  ちょっと話はそれますけれども、今、どちらかというと知識関係の話がありましたけれども、やはり先ほども申しましたとおり、教師の質というのは何も知識能力だけではなくて、いろいろな全人格的なものを備えていくことが大事でありますから、一方ではいろいろな体験を実行していくことが必要だと思います。  その中で、中曽根文部大臣大変関心を持っておられるのは、社会体験研修重要性を常日ごろからお訴えになっております。この問題について、私自身、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。  実は、この社会体験研修そのものはまだまだできて間もないわけでありますけれども、一番最初に社会体験研修をやっていたのは千葉県なんです。全国に先駆けて実施したのが平成元年であります。平成元年に実施したときの内容としては、研修先にはデパート、ホテル、小売業情報通信業製造業社会福祉施設、こういったところを対象にして社会体験研修というものを実施しておりました。こういった社会体験研修というものは、いわゆる教師の狭い枠から社会のいろいろな体験をしていくために重要なことだというふうに思いますので、この部分についてぜひともさらに推進していただきたい、そのように思っておりますが、ぜひとも文部大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  18. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 教員社会構成員として、その視野を広げて、非常に幅の広い、人間性豊かな人であるということは大変大事なことであります。  そういう意味で、私よく申し上げるのですけれども、先生というのは、小学校に入学してから大学を卒業するまで十六年間学校勉強して、教員資格を取って、また別のところではありますが、学校に残って、そしてまた今度は、逆に教える立場でずっと学校で勤務をされるということ、それ自体は大変にとうといことでありますし、大切なことでありますが、一般的に、社会で一般の企業等で勤めている方々に比べると、多少、社会的な視野といいますか、そういうものがなかなか限られてくるのではないかと思うわけでございます。  そういうところから、私自身も、平成元年、二年ごろから、予算委員会で時の文部大臣総理によく質問して、先生方長期校外体験研修をぜひ実現してくださいということでお願いをしてまいりました。  今、渡辺委員おっしゃいましたように、平成元年、二年は、千葉県で高校先生がお一人研修に行っていただけでありますが、ありがたいことに、昨年あたりは四十六都道府県市ですか、八百人くらいの先生研修していただいておるわけであります。私は、全員というわけにいきませんから、できれば当初は、小学校の児童を教える先生方にそういう体験をしてもらって、自分が教えている子どものお父さん、お母さんが社会でどういう苦労をしているか、そういうものを知った上で、小学校の一、二年生の先生というのはある意味では父親がわり、母親がわり的なところもありますから、そういうバランス感覚のとれた先生であってほしいというところから、そういう制度お願いをしてきたところでございます。  幸い、そういう体験をされた先生方のその後の御感想を伺いますと、貴重な体験をしたとか、視野が広がったとか、学校に戻ってきてからも学校改革の意欲がさらに向上したとか、皆さん、その効果については非常に評価されておりますので、今後もぜひこの制度充実に努めていきたいと思っていますし、年末の教育職員養成審議会の答申におきましても、このような考えのもとに、これの充実を図っていくということで答申をいただきましたので、引き続いて努力をしていきたいと思っております。また御指導をよろしくお願い申し上げます。
  19. 渡辺博道

    渡辺(博)委員 今大臣がおっしゃったように、やはり全人格的に完成することが教育基本法の目標でもあります。子供たちをそういうふうに指導する以上は、やはり本人自身も人格的に完成を目指して頑張っていかなければならないと思います。そうした中で、社会体験研修並びに本法案目的としております大学院の修学休業制度、こういった新しい制度と相まって、すばらしい学校先生ができることを心から期待しております。  そしてもう一点、最後に申し上げたいと思いますけれども、先ほども申し上げたとおり、専修免許状ができたときには、やはり何らかの優遇措置を考えた方がいいんじゃないかなというふうに私は思っているのです。  例えば、アメリカの例でありますけれども、アメリカでは、優秀教員に対して認定し資格を付与する全国的な制度として、全米教員スタンダード委員会、これは一九八七年に設立されておりますが、こういったスタンダード委員会では、優秀教員を認定し、その認定をした場合はこれから少し給与面でも待遇を与えていこうというような検討もしているのですね。  これは、聞いた話でございますので、実際に今の段階でやっているかどうかは私はわかりません。この辺は事実を確認しておりませんけれども、このような形で、新しい制度ですから、これからどんどん利用をしていかなければならない、利用されなければならないというふうに思います。そのためのインセンティブもやはりある程度与えていくことが必要じゃないかというふうに思っておりますので、給与面、そしてまた退職通算の関係についても、改めてその辺の御検討もしていただきたい。そして、より多くの先生が利用して、すばらしい先生になっていただくことを心からお願い申し上げ、期待して、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、山元勉君。
  21. 山元勉

    ○山元委員 民主党の山元でございます。  今回の法律改正について質問させていただきます。  基本的に言って私も賛成です。異存がありません。先日の大臣の提案理由の説明の中では、たった一言「資質向上を図るため、」という説明でした。私は、大変物足りなく思いました。もっと今の状況なりあるいはその意義というものを強調してほしかった、そういう思いがいたしましたけれども、今申し上げましたように、基本的には賛成です。  それは時代の要請といいますか、本当に日進月歩、科学の面でも、社会の面でも変わってきています。教師が免許状を取って、二十二歳新卒で、それから定年まで四十年間、四十年一日のごとく教えていればいいというものじゃありませんから、大変難しい状況になっていますから、そういう現場の教職員が、今の社会のありよう、あるいは新しい課題環境や福祉の問題、そういうことについてもしっかりと勉強するということの機会をつくることは大変大事だというふうに思っています。  そこで、そういうことの認識がありましたから、今までも、例えば長期派遣研修というのがありまして、そういうものが今までずっと国の段階で、あるいは任命権者の段階で行われてきたんですけれども、改めてこういうことをしなければならない目的、あるいは状況というものをどういうふうに認識してこれをつくろうとされているのか。この意義と将来的なメリットといいますか、どのようにお考えになっているか、まずお尋ねをしたいと思います。
  22. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 教員方々が日常的に解決していかなければならない課題といいますか、仕事は、仕事といいますか、それは質の高い授業を行うということ、それから円滑な学校運営、学級運営、こういうものを行う、そういういわば従来からのものに加えまして、最近は、時代の変化等により、また新しい教育課程対応して、国際理解とかあるいは情報など、横断的また総合的なそういう課題があるわけでございます。また、いじめとか不登校とか、それからいわゆる学級崩壊とか、そういうものへの対応など、最近極めて多様なものになってきておりますし、非常に難しくなってきていると思います。  このような教員に求められる資質能力、これが非常に高度化、多様化している。そういう状況を踏まえまして、教員がみずからの課題、意識等に基づき、大学院課程等で勉強を行い、また専修免許状取得することができるよう、そういうことから新たな休業制度を設けることとしたところでございます。  従来から、委員御承知のとおり、都道府県等の教育委員会においては、教員を三教育大学を初めとする大学大学院等に派遣をしてきたところでございますけれども、これは職務研修の一環として、研修を受ける者、また内容あるいは派遣先等の決定も含めまして、任命権者である教育委員会等が、教員行政上必要との判断に基づいて行われてきたものでございます。  一方、今回新たに創設することといたしましたこの休業制度は、あくまで本人の自発的な意思に基づくものであります。学習の内容とかあるいは就学先、そういうことにつきましては本人の意思により決定できるものであるわけでございまして、この制度を大いに活用していただきたい、そういうふうに思っております。
  23. 山元勉

    ○山元委員 少し具体的になりますけれども、この制度のイメージをちょっとはっきりしたいのです。  研修が必要だというのは、すべての教職員に言えると思うんですね。けれども、その中で特定の人、今大臣がおっしゃったように、任意的な意思で勉強を二年なり三年なりしたいという制度ですけれども、一体どれほどの規模で行われるのか。多過ぎても、職場というか、学校現場が混乱するだろうと思うんです。臨時講師がどっと入ってきて、帰ってきたらアウトになる、こういう状況になるし、少なければ、ねらった意義というのが認められない、生かされないということになるわけですが、どのくらいの規模を考えていらっしゃるのですか。
  24. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げました、現在各都道府県の教育委員会等で実施されております、職務命令によります現職教員大学院への派遣につきましては、全国で毎年新たに約千人が派遣されているところでございます。  こちらの制度につきましては、まだこれからで未知数ではございますけれども、できるだけ多くの方に参加していただきたい。そのためにはこれから、もしこの法律を成立させていただきますれば、PR、周知徹底等を行っていきたいと思っていますが、千人以上申し出があるのではないか、そういうふうに思っております。
  25. 山元勉

    ○山元委員 千人といいますと、例えば、実感的に言いますと、私の県は、人口は一%です。そうすると、滋賀県では十人ほどと、こうなるわけですね。これだと少ないのかな、多いのかな、これから本当にいい制度として生きていくのであればふえていくだろうというふうには思いますけれども、そこのところは、これから申し出が多くなるように、先ほど大臣がおっしゃったように、任意的な意思をしっかりと持つ人がふえるような制度にしていかないといけないだろうと思います。  そこで、自発的意思というふうに言っています。確かに教特法の中で、「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」これは自主的な研修を求めているんだというふうに思いますけれども、これが押しつけ研修とならないように。あなた行ってきなさいよ、二年しっかり勉強してきなさいというようなことになると、私が心配するのは、心配し過ぎかもわかりませんけれども、中堅の教員に、あなた、早く教頭だと、行ってきなさいということなどが入ってくると、不純なもの、不純というのは言い方が悪いですけれども、そうなっていくだろうと思うんですね。そういう恣意が入らないように、本当に個人個人の自発的な意思を引き出していくようなことにならないといけないというふうに思うんです。  その点についてはしっかりと、この法が成立した段階で、文部省としてきちっと努力をしてほしいというのですか、注意をしてほしいと思うんですが、その点はどうですか。
  26. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 御指摘のとおり、この制度は、現在の制度とまた違いまして、みずからの意思でさらなる学習をしたい、そういう意欲のある教員が申し出をし、またこれが適用されるわけであります。  私は教員でありませんので、実際の先生方の現場での日常のいろいろな問題とか、御苦労とか、あるいはお気持ちは十分理解できないかもしれませんが、想像いたしますに、教員方々も、できればさらに学習をしたい、時間的な余裕も欲しいでしょうし、そういうお気持ちの方が大勢おられるのではないか、そういうふうに思っているところでございます。  ですから、押しつけというお話がありましたけれども、一方で現行制度もございますし、この制度は、御自分で、一年から三年の期間内で一年単位で御自分大学を選べる、また行く先等も選べるということでございますし、そういう意味では多くの先生方に喜んで受け入れていただけるもの、私はそういうふうに期待をしております。
  27. 山元勉

    ○山元委員 研修については、今教特法で自発的な研修を求めているんですが、一般の公務員と少し違うというふうに私も認識をしています。一般公務員の皆さんと教職員の研修の違いということについてこの際はっきりとして、より自発的なものを保障していくというような施策を講じてほしいと思うんです。  研究と修養、研修というのはそういう意味だというふうに思いますけれども、とりわけ教職員の場合には、修養といいますか、幅広いものが要る。先ほど大臣がおっしゃったように、社会体験ということも含めてですけれども、必要なんだろうというふうに思います。  私も経験がありますけれども、教師が新しい体験をしてきたときには、生き生きと授業ができる。教科書が五年変わらないと五年同じような授業をしている。私も五年六年、五年六年というふうに高学年を持ちましたけれども、同じような教育ではなしに、授業ではなしに、自分が新しい体験をしてきた、あるいは新しい、変わった本を読んだ、生き生きと授業ができるわけですね。そういう意味では、教師が自発的に研修をすることがより一般の公務員の皆さんよりも大事なんだろうというふうに思っています。  そこで、第二次の教養審の答申の中で言っていますけれども、教師には、今の専修免許状取得のための研修制度だけではなしに、幅広い研修制度が必要だというふうに思うんですね。第二次教養審の中では幾つか、大学院の整備によってあらゆる面で、六つ挙げてありますけれども、研修が可能になってくる。そういうふうに言っているんです。  それで、任意の研修を保障していく、あるいは進めていく受け皿というのが大事になるわけです。例えば通信制の問題もあるだろうし、定時制の問題もあるだろうし、あるいは大学院だけではなしに、国外もこれは想定されていますけれども、任意の自発的な研修を保障していく、引き出していくというための努力、ちょっと抽象的な質問になりますけれども、そういうものについて文部省は一体どのようにこれから進めようとされているのか、お伺いしたいと思います。
  28. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘のように、教員の公務員としてのあり方と、いわゆる一般の公務員のあり方というのは、私はやはり、教員の持っている職能の特殊性からいって、少し違わなければいかぬというふうに思っておるわけでございます。  委員も御指摘のように、教育公務員特例法においても、職責を遂行するために絶えず研究と修養に努めなければいかぬ、こう言っておるわけでございます。そして、教員においては、研修を受ける機会も与えられなければいかぬし、さらに、支障のない限りは、承認を得て勤務場所を離れてでも研修をやらなければいかぬ、行うことができるというふうにうたっておるわけでございます。  教員というのは、子供と、児童生徒とまさに真正面に向き合って、人格的なといいますか、人格をかけて触れ合う、そういうことですし、また、単なる知識の伝授だけじゃなくて、まさに心と心の触れ合いをしなければならぬという立場がございます。また、それが児童生徒に与える影響も非常に大きい。まさにその職務と、それにそうした責任が伴うという特殊な一面を持っているということにかんがみて、教員の自主性といいますか、それが特に研修に求められているというふうに私は思うわけでございます。  今回、そういうことで、自発的にさらにみずから学びたいという先生方にはその道を開いて、今まではそれができなかったということでありますから、私はこれが大きな進展になると思います。  さらに、今御指摘のように、それだけではなくて、いろいろな体験やいろいろな勉強ができる機会を設けるべきだと。おっしゃるとおりでございまして、この大学院の修学休業制度というのは、いわゆる昼間のフルタイムの大学に限らず、夜間の大学院、あるいは昼夜開講制、通信制の大学院等も今ふえておるわけでございます。そういうものも当然その対象として、また、大学院で学ぶという範囲もふえておりますから、当面、今この法律においては大学院ということを対象にして、海外も含めて考えておるわけでございますが、これに伴って、いろいろな形で教員がいろいろな研修をする、みずから教養を積んでいく、体験を積んでいくということについて、広くそれが活動できる場を考えていくことが非常に大事なことでございますし、文部省としてもそういうことを大いに進めていかなければいかぬというふうに考えております。
  29. 山元勉

    ○山元委員 そういう機会を多くつくることと、もう一つは、研修をしたいという人が公平にチャンスが受けられるという保障ですね。例えば、これは海外まで出ていくわけですから、そのことは小さなことかもしれませんけれども、地理的によって、近くに大学院がある人とない人では大変公平さを欠くといいますか、チャンスの公平さを欠くわけですけれども、そういう公平さの保障ということでの努力はどういうふうに配慮されているんですか。  私は、それはやはり、たとえ離島の教員であろうと、大学院のない地域であろうと、きちっと保障されなければいけないと思うんですが、例えば公平ということでいうと、地域的な公平さを欠く、そのことへの配慮があるのか。その他、公平さについて配慮をしたという点はこの中にあるわけですか。いかがですか。
  30. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては、できるだけ多くの教員の方にこの制度を活用して、そして、みずからの課題、意識等に基づいて、大学院での課程で修学をし、専修免許状取得していただきたいと考えているところであります。  そのためには、公平性というものが大変大事でありますが、この制度は、すべての都道府県に設置されております国立の教員養成系の大学院のほか、専修免許取得のためのふさわしい教育内容確保されている限りにおきましては、すべての大学院をその対象としているところでございます。  それから、地域的なお話もありましたけれども、また経済的な支援の充実も私は必要と思っておりまして、御質問にありませんでしたけれども、大学院修学休業中の教員に対しましても、日本育英会等の奨学金とか、または共済組合からの貸し付けを受けることも一般にはこれは可能でございますし、また、大学院で修学中、いわゆるティーチングアシスタントとして大学における教育の補助を行うことによりまして手当の支給を受けることも可能であるわけであります。  こういうことについて、各都道府県の教育委員会等にもこれから周知をして、そして多くの教員先生に知っていただき、また安心して大学院での修学休業取得することができるように、そういうふうな配慮をしていきたいと思っております。
  31. 山元勉

    ○山元委員 私は、その公平ということでいうと、意欲はあってもその機会を生かせないという人のことを心配するわけです。それは、今大臣がおっしゃいました経済的な負担能力の問題ですね。きっちりと、給与は支給しない、こう切ってある。けれども、二年間勉強しようという意欲、本当に必要を感じるし意欲がある、けれども、二年間無給で共済の掛金は払いなさいよということになるわけですね。それは持ってきなさいよということになる。先ほど政務次官もおっしゃいました、育英資金だとかあるいは貸付金がある。これは自分が返さなければならぬわけですね。生活費、そして研修のための費用、あるいは旅費とかそういうもの。よほどの豊かさがないと、これは受けられぬでしょう。  この制度教育上必要だからつくるんですけれども、例えば、例が適切かどうかわかりませんけれども、育児休業給については、少子社会になっていきます、安心して産んでください、育ててください、そういう意味で育児休業制度をつくって手当が、給付金が出ている。この場合もやはり、そういう大事な事業であれば最低限の給付金があってもいいのではないか。そのことについての検討、努力というのはできないものですか。  そうでなければ、二年間かすみ食って、鉛筆なめて生きていくわけにいきませんから、生活費がきちっと要る。そしてまた、ある程度の中年になっておれば家族、子供もいるというような人、これはとてもじゃない、行けません。言い方は悪いけれども、そういうためには借金しなさいよ、それではいかぬだろうというふうに思うんですが、検討の意思はあるんですか、方向は出ているんですか。
  32. 河村建夫

    河村政務次官 育児休業については今御指摘のとおりでございまして、育児休業手当金の給付等も行われてまいるようになったわけでございますが、育児休業者の条件、少子化対策というのは非常に大きなテーマでございますから、その一環としてそういう制度が、公的年金、また医療保険制度全般の中で考えられてきたわけでございます。今回のこの大学院休業制度の中では、教員のみを対象にいたしておるわけでございます。  一方では奨励をしながら、さてその方は抜けているじゃないかという御指摘があることも承知をいたしております。ただ、これを導入するについて、こういう制度を開いていきたいと、教員方々にもアンケートをとったりしたものがあるわけでございます。そういうものを見ますと、無給ではあるけれども、この制度を利用するのはいかがであろうか、こういうことに対しては、大体過半数の教員方々が、参加したい、ぜひ参加したい、それからできたら参加したいと言われる方を含めますと五割に達するアンケートも出ておりますので、当面の対応としては、この制度を開くことによって、ある程度無給であるけれども、本当に意欲を持った、これは自分でどうしてもやっていこうという強い意欲を持った方々にまず利用していただこうということで考えたわけでございます。  この制度を導入してこれからやっていくわけでございますから、今後、希望者が予想より非常に少なかったとか、それから、いろいろなことを考えてみて、そういうことも含めていかないと今の教員資質向上が成り立っていかないということであれば、今後の課題としては当然頭の中に置いていかなければいけない問題だと考えておりますので、御指摘があることは十分踏まえた上で、今後の動向を見てということになるのではないかと思います。  当面この制度は無給であるけれども、身分をきちっと保障しますからやってきてくださいということを主眼にして上がったものでありますから、その点、御理解をいただきたいというふうに思います。
  33. 山元勉

    ○山元委員 先ほど渡辺委員から出ましたけれども、復職後優遇という言葉がありました。私は、復職後優遇する必要はないと思っているんです。それは、しっかり勉強してきていい教育をしてくださいよ、そして同僚、仲間の皆さんにもいい雰囲気を与えてください、影響を与えてください、こういうことは言えても、優遇をする必要はない。それよりも、そのチャンスを保障する方が大事だというふうに思うんです。  そこで、帰ってきてからのことです。復職をしたときですね。一体、例えば三年行ってくると給与がダウンするのかダウンしないのか。これは検討中だというふうに聞きました。こういうのはちゃんと準備をして、こうしますよといって法案を出してくるのが本当だと思いますけれども。  もし給与が、三年行って帰ってきたら格付が一号落ちています、これは過酷過ぎるというふうに思うんですよ。優遇どころか、そういうことになる。だから、帰ってきて一定期間、雰囲気になれるまで一年間ちょっとということだったらまだわかるけれども、一号下に格付をしてずっと一生涯、これでは若い人は、とてもじゃないがこれは大変なことになります。年金にも退職金にも全部影響してくるわけですね。  ですから、復職をしてきたときにどういうふうにその人を処遇するのか、そのことによって参加をする意欲というのが膨らむかしぼむかということになるだろうと思うんですね。このことについては十分に配慮をする必要があると思うんですが、いかがですか。
  34. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘のとおりでございまして、せっかく意欲を持って学んできて、帰ってみたら給与が下がっておったというようなことでは意欲を失う、そういうことがあってはならない、こういうふうに私は感じております。  ただ、復職時における給与調整のあり方については、他の休職のケースもあるわけでございまして、これは人事院規則あるいはまた地方公共団体の給与に関する条例において対応されるものだというふうに理解をしておりまして、人事院とも折衝を今いたしておるようなわけでございます。  御指摘のように、専修免許状を取ることによって、休業中頑張ってきた、そして後の、帰ってこられたときの職場に大きないい影響をもたらしていただくという面もあるわけでございますので、そういう面ではやはり適切な対応が必要であろうというふうに思っております。そういう観点に立って今人事院と詰めをやっておるわけでございまして、それによって不利になるということはできるだけ避けなければならぬというふうに思っておるわけであります。
  35. 山元勉

    ○山元委員 休業中の処遇、復職後の処遇というのがこの制度の質を大きく変えるだろうと思うんですね。帰ってきて一生涯一号ダウンで大変な影響を生涯賃金に及ぼすようなことであれば、これは魅力あるものにならないし、膨らんでいかぬだろうというふうに思うんです。  けれども、優遇をする必要はないと私は思います。例えば、これは先ほどちょっと言いましたけれども、自分の処遇や自分の身分というのですか、早う教頭に、校長にというようなことでこの制度が使われるようになってくるとゆがんでくるだろうと思うんです。  教育の中身を変えていかなければならぬ、高めていかなければならぬ、だから勉強をしたいんだ、たとえ二年現場を離れても勉強し直したいんだという人の意欲を本当に大事にするということであれば、このことについてはきちっと、人事院と詰めるといいますか、先ほど言いましたように、これは詰めてから、こういう制度ですといって出してもらうのが本当だろうというふうに私は思うんですね。そうでなければ、これはすぐに、現場の皆さんにこういう制度ができましたよという説明、あるいはできるだけ勉強をしてください、生かしてくださいよということにはならないというふうに思うんです。  例えば退職のときに一号ダウンだったら、年金にもかかわるでしょう。少なくともそういう意識、生涯にわたってマイナスになるということにならないように。文部省の人に聞いたら、そういう人は早く教頭になるかもしれぬ、校長になるかもしれぬ、ラインが変わってくるという話がありましたけれども、私は、そうとは違う。たとえそうであっても、同年の者が同じ教頭になって教頭職の給料表に乗っていたとしても、一号ダウンやったら一号ダウンで、直近上位で格付していくわけですから、そこのところはよほどきちっとした、こういうものです、自発的な勉強をしてください、教育によき影響を与えてくださいということを皆さんに勧める、その立場での検討をお願いしたいと思うんですが、重ねて。
  36. 河村建夫

    河村政務次官 帰ってきてから優遇する必要はない、こうおっしゃいますが、結果的に非常に優秀な成果を上げられたということによって教頭になられる、校長になられることはあり得るわけで、結果としてそういうことはあるだろうと私も思っておるわけでございます。  おっしゃるとおり、今の復職時の給与調整の問題あるいは退職金への影響、これが、三年間でありますが、一年ぐらいですと、六十歳まで三十何年間の長い期間でありますから、それは調整されていけばほとんど影響ないのでありますが、若干その金額について響くということが、二分の一調整ですとあり得る場合もあるわけでありますが、ほとんど、特に年金については計算上からいっても影響することはまずほとんどない。  おっしゃるように、給与ががたんと下がるようなことであれば別でございますが、ほんの微調整であればほとんど影響ない、こう思っております。おっしゃるとおり、これによって処遇がマイナスになるようなことでは魅力ある制度になりませんから、そこのところは十分な配慮をしながらこの制度を運用していきたいというふうに思っております。
  37. 山元勉

    ○山元委員 政務次官、誤解があってはならぬのですが、優遇というのは、私は、特別にこのことをもってこうしていくということでなしに、力ある人を、あるいは人望のある人をそういうところに持っていくというのは当然だと思いますから、そこのところは、その人をということじゃありませんので。  それで、新しい制度をつくるわけですが、これからのことについて少しお尋ねをしておきたいんです。  中教審答申でも、あるいは人勧でも触れられている問題ですが、例えば中教審答申では、「研究機関等での研修、ボランティア活動への参加などについて、休業扱いとすることにより、教員が教職以外の幅広い活動を通じて自発的にその資質向上を図ることを可能とする研修休業制度」をつくるべきだというのが、これは中教審の答申です。去年の夏の人事院勧告でもそういうことが出ています。これは中教審答申を見てといいますか、その精神を受けてということだろうと思いますが、「内外の大学院への進学や海外でのボランティア活動への参加をはじめとする」一定期間公務を離れることを可能とする休業制度について、多角的な観点から検討すべきだという去年の人勧です。  ところが、今度出てきたのは、これは専修免許状を取るためだけのもの、ぐんと狭まっているわけです。最初に大臣もおっしゃいましたように、体験研修というのは必要だ、その精神だと思いますけれども。今度そういうものを、幅を広くしないで、専修免許状取得のためだけの研修制度ということについて出してこられた意図。なぜそうなったか、重ねて人勧も去年言っている、あるいは中教審答申も言っているものについて受け入れられなかったのか、お尋ねをしたいと思います。
  38. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員指摘のとおり、中教審の答申、また人事院の勧告におきましてもお話のようなことが記されております。教員も公務員の一職種であるわけでございますが、教員対象としたこの研修休業制度を検討するに際しましては、公務員制度全体の中で整合性を持って検討される必要があるわけでございます。  今回、教員対象としたこの制度の創設に当たりましては、教員の職務の特殊性、そういうところから他の職種には認められない必要性があると考えられるこの専修免許状取得のための国の内外での大学院における修学のみを対象活動としたところでございます。  この勧告や答申にはボランティア活動等への参加があるわけでありますけれども、これを、一般の公務員の方とは区別をいたしまして、教員のみに必要であるとすることは困難と考えられるということから、今回、休業事由に含めなかったところでございます。  なお、ボランティア活動への参加などに係る休業等につきましては、中央教育審議会答申において提言されているところでございますけれども、人事院において現在、公務員全体の休業制度、このあり方について検討がなされているところでありますので、文部省といたしましても、教員も含めまして、公務員全体の休業事由にボランティア活動への参加等が含められることになるよう人事院等に今後要請をしていきたい、そういうふうに思っております。
  39. 山元勉

    ○山元委員 中教審答申も人事院勧告も去年出ているわけです。一年を経ているわけですね。私は、やはり急がなければいけないだろうと思う。子供はどんどん成長していって、それができるまで待っていましょうということにはならぬわけですよ。どんどんと卒業していくわけです。だから、今いる子供たちにできるだけいい教育をということになれば、急いでやらなければならぬわけです。  そして、先ほど最初に申し上げましたように、本当に国際化が進んでいる、ITの技術も進んできている、あるいは環境等についての考え方も変わってきている。だから、そういうことについて教師が、たとえ三月でもいい、一年でもいいからそういう体験をすることについて保障するという制度を、これは人勧も中教審も求めているのだろうというふうに思うんですね。  そういう点でいうと、私は、いかにも文部省対応は遅いという感じがするんですよ。出てきたその制度についても、今、十分な処遇のあり方についても詰まっていないということについても大変残念だというふうに私は思います。学校には要るんですよ。教師がボランティアを経験してくるとかあるいはさまざまな分野での経験を積むということ、勉強をするということは今学校で要るわけです。ですから、ぜひそういう点について対応を急いでいただきたいというふうに思います。  そして、処遇面については先ほど申し上げましたけれども、一つ困難な状況で言いますと、一人配置をしているところ。これは養護教員も入るわけですね。養護教員も入る。あるいは障害児学校の教職員も入る。一人しか配置されていない養護教員の方が意欲を持ったら、これは保障するのはなかなか難しいです。養護学校先生も日々、腰痛が出るような状況の中で大変頑張っている。そこのところから経験を持った人が抜けていって勉強すると言ったら、おまえ、勝手なことを言うな、こういうことになる条件が非常に大きいわけですね。そういうところへの配慮が必要だろうというふうに思うんです。  そういうところについては、例えば単なる臨時講師ではなしに、いろいろな配慮が要るのではないかと思うんですが、そういう、これからの考えなければならぬ問題についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかを聞かせてほしい。
  40. 河村建夫

    河村政務次官 今、前段でボランティアのことをおっしゃいました。一昨年、教員免許法の改正法において、教員免許取得の条件として介護体験等を、これは短期間でありますが、一週間以上していかなければ免許状を上げないという法律をつくったのも、そこにねらいはあるわけでございますが、先ほど大臣が答弁されましたように、教員にも早くボランティア休業という形のものも必要であろうというふうに思って、申請をしていくという方向で進めておるわけでございます。  いわゆる大学院休業制度を活用される教員に対する代替教員確保でございますが、これは今、休業者に対しては教職員の定数外として扱うことによって、正規の教員によって確保できるように配慮しておるわけでございます。御指摘のように、とても代替がいないからおまえは無理だ、こう言われることのないようにということで、この制度が利用できやすいようにということで、各教育委員会にも適切な対応を求めてまいりたい。先ほど大臣の答弁にありましたように、通達等を発しながら、この制度がうまく機能するように各教育委員会の協力、理解をしっかり求めてまいりたい、このように思っております。
  41. 山元勉

    ○山元委員 この研修制度というのはどんどんと変えていかなければいけない、広げていかなければなりませんし、そういうチャンスを保障していく、そういう仕組みも必要だと思うんですね。  去年の十二月に三次の教養審答申が出されました。二次も出ていますけれども、去年の十二月に、今度もう一遍見直しなさいということが柱になっている三次答申が出されたわけですね。そこで改めてまた、さまざまなことで見直しについて提言をしていただいているんですが、ちょっと抽象的ですか、この三次答申を受けて、文部省はどのように検討を進めていらっしゃるのか、方向についてお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘のように、第三次答申では、第一に「教員が生涯を通じてこのような資質能力向上を図っていくためには、何より日々の職務に傾注することにより様々な力量を身に付け、それらの職務の遂行を通じて見いだされた課題について研修を行い、その解決を図っていくことが必要である。」「このため、今後は、個々の教員の自発的・主体的な研修意欲に基づいた研修を奨励し、そのための支援体制の整備を図ること」、こう指摘がございますし、また、職務研修についても、それぞれの職務研修の果たしてきた役割を踏まえて提言をいただいておるところでございます。  初任者研修についても、教科指導とか生徒指導とか学級経営等、教職一般について円滑に職務を遂行し得る能力を身につけさせると同時に、新たな教育課題情報化の問題等が出てまいっておりますが、それに適切に対応できるような課題解決能力の伸長を図るようにということが指摘をされております。また、学校が直面をしておるような課題にも適切に対応できるように、今日の社会情勢に対応できるような教員資質能力向上を図っていく、またその課題を精選していけ、こういうことでございます。  文部省としても、こうした教養審の指摘、基本に据えておられる考え方というものを踏まえた上で、今後、教員の自主的、主体的な研修活動を奨励、支援していくと同時に、職務研修についても、今までのように型にはまったものじゃなくて、もっと選択制、幅の広い選択を持たせて、みずからの意思によっていろいろな研修が選べるような形もとっていく必要があろうか、こう考えておりますので、これからそういう教員研修の機会が確保できるようにしっかり対応を考えてまいりたい、このように思っておるところであります。
  43. 山元勉

    ○山元委員 確かに、繰り返しになりますけれども、教養ということでの研修の機会、今までですと、どうしてもそれは現場の状況からいって、学級を離れてというのはなかなか難しいわけですね。例えば短期でもと言うが、その短期がかえって難しいわけです。三月行こうとか一年行こうとかというと、学校に迷惑を大変かけるわけですから、そういう点では積極的に施策として打ち出していく必要があるのだろうというふうに思いますし、ぜひ検討していただきたいと思います。いわゆる拡充する方向での検討をお願いしたいと思います。  それから、最後ですが、先ほどちょっと言いましたけれども、養護学校あるいはいわゆる障害児学級教育に携わっておる先生方の免許なり研修というのは、大変難しい状況になっているわけですね。この三次の教養審の中でも、とりわけそこを項を起こして、養護学校にいる教員研修、あるいは障害児学級を担任している者の例えば養護の免許の取得の問題だとか、そういうことについて配慮しなさいということが出ているわけです。  この点についてはぜひ、すべての子供への教育の保障といいますか、共生の保障ということについて必要だろうというふうに思います。現場はそのことについて非常に苦しんでいる状況がありますから、そこのところに、言い方がまた私は悪いのですけれども、金があるから二年間勉強しておこうというよりも、日々の養護学校指導というものについて、本当に痛切に、研修なりあるいはその技術の修得というのを求めている先生がいるわけですね。そういうことについては、教養審も言っているわけですから、ぜひ工夫をしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  44. 河村建夫

    河村政務次官 おっしゃるとおり、養護学校等では、まさに生徒と一対一で向き合ってやっておりますから、それを途中で抜けてというのは非常に難しい面もあろうというふうに思います。思いますが、これはある程度の年限が来れば、また異動の時期とかそういうときがありますから、恐らくそういうことも配慮して本人の希望がかなえられるようにということで、おっしゃるような点は十分配慮しなければいけない大事な点だ、このように考えます。文部省としても対応していきたいと思います。
  45. 山元勉

    ○山元委員 これから始まるということですから、いろいろ問題があろうと思いますけれども、積極的に、本当に現場の教職員が喜んで勉強ができるという制度に仕上げていっていただきたいとお願い申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  46. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、石井郁子さん。
  47. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  今回の法案で、大学院修学休業制度が創設されるということで、学校を取り巻く急速な変化、そしてさまざまな抱える問題等々にかんがみまして、現場からの期待感も大きいものがあるだろうというふうに思うわけであります。  そこで、幾つかの点について、質問をしたいと思います。  既に現在、現職教員への研修制度として定着を見ている長期研修制度の扱い、派遣研修と言われたりもしますけれども、二年間または一年間、教育大学初め国立の教員養成系の修士課程に修学して行われている形態があるわけでございまして、もう二十年来というふうに言われているわけですね。初めに、この研修制度について、文部省としてどのような評価をされていらっしゃるか、また、改善すべき点など、もしお考えがございましたら伺っておきたいというふうに思います。
  48. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 大学院におきましては、教育学とか教育心理学、また教科教育学とか、理学あるいは文学等々のいろいろな専門領域において高度な研究が行われているわけでございますが、こういう専門分野などに応じまして、専門的、体系的に研究することが可能であるわけであります。  これまで各都道府県の教育委員会などにおいて実施されてまいりました現職の教員大学院への派遣また研修の成果につきましては、個々の教員資質能力向上、それから特に教科指導とか生徒指導とか、あるいは学級経営など、各都道府県が個別に抱えております学校現場における教育課題の解決に大きく役立っているもの、そういうふうに思っております。
  49. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それでは、少し具体的なことで伺っておきたいのですけれども、先ほどもこの点では御質問がございましたけれども、毎年千人ぐらい大学院へ行って学んでいるということですが、どのようにして選ばれているのか、これが一点。それをまず伺っておきたいと思います。
  50. 矢野重典

    矢野政府参考人 現在実施されております現職教員大学院への派遣研修制度でございますが、これは、任命権者でございますそれぞれの都道府県の教育委員会等が、派遣する大学院において研究を行うのにふさわしい教員を、その勤務実績、学力あるいは意欲等を適切に判断して選んでいるというふうに私どもとしては理解をいたしているところでございます。
  51. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 伺いましたのは、そこをどういうふうに透明性を持って選ばれているのかというのが、やはりちょっと確かめてみたい点だったわけでございますが。  それに関連いたしまして、これも質問がございましたけれども、専修免許取得者に対する待遇です。例えば、管理職になるには専修免許でなければならないというような、そういう形での運用というか、これはされているのでしょうか。あるいは、そういうことはルールとしては持っていないということなのか。ちょっとその辺、伺っておきます。
  52. 矢野重典

    矢野政府参考人 正確には、私ども調査をして把握しているわけではございませんけれども、私どもが承知している限りにおいては、ルールとして持っているところは少なくともないように、そういうふうに受け取っております。
  53. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 さてそれで、今回の法案ですけれども、現職の小中高の教員皆さんが身分を有したまま一年から三年間研修休業できるということでございますけれども、研修ということの服務上の取り扱いについて、ちょっと最初にお尋ねしていきたいのです。  これは、調査室からいただいた資料によりますと、三つありまして、職務命令に基づく研修職務研修)、二つ目には、勤務時間中の職務専念義務が免除され、給与を受けつつ自主的に行う研修(職専免研修)、それから三つ目に、勤務時間外に自主的に行う研修(自主研修)と、括弧づけで書いてありますが、三つあるというふうになっています。今回の研修というのは、この三つのどれに当たるというふうに考えていいのでしょうか。
  54. 矢野重典

    矢野政府参考人 先ほどおっしゃいました範疇ですと、最初の自主研修というふうに理解しております。
  55. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 最初のというか、三つ目の自主研修ですね、この順序で言うと。  いずれも、この研修というのは、教特法の十九条に基づく研修というふうに考えていいのですか。つまり、教特法の十九条というのは「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」と。職務遂行上、こういう研修が必要だという規定ですね。そのほかもあるわけですけれども、この十九条に基づく研修だというふうに考えていいですね。
  56. 矢野重典

    矢野政府参考人 結構でございます。
  57. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そうしますと、私はちょっといろいろ問題が出てくるようにも感じているのです。  今回創設されるこの研修制度では、大変希望者が多いことが期待されるわけですね、先ほどの御答弁にもございましたけれども。しかし、実際には年間千人ぐらいだろうというふうに文部省はおっしゃっておられるわけです。そうすると、この現行の現職の派遣の研修と、こちらの新しく創設される研修とが、何か、どちらも千人ぐらいだと。何かこういうふうにうまく合わせたのかなという気もしますけれども、今後ともこういう二本立てで研修は進んでいくというふうに、ほかにももっと研修はありますけれども、それは将来的にそう見ていいのでしょうか。いかがでしょうか、これは文部大臣からお答えいただいた方がいいでしょうか。
  58. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 この制度は、先ほどからお話ありますように、意欲のある教員方々大学院勉強し、またそういう専修免許取得するというものでありまして、どれぐらいの人数の方が希望されるか、現時点ではなかなか予測することは難しゅうございますが、千人以上二千人ぐらいまでの方が当初希望していただければというふうに思っているところでございます。  仮に申請が殺到した場合など、また将来の教職員定数の管理に支障が生ずるようなことが明らかな場合、そういう場合は、やはり一定数の申請者を一時的に不許可とせざるを得ないのではないかとも思っております。この場合、任命権者は、本人の課題、意識あるいは修学意欲、そういうものの程度などを適切に勘案しながら、それぞれの申請に対し許可不許可を決することになるものと考えております。  なお、その一定数の申請を不許可とせざるを得ない、仮にそういう場合でありましても、任命権者は適宜、申請者に対しまして、大学院への修学休業の時期などの変更、そういうものを求めまして、可能な限り多くの教員の方が大学院修学休業取得できるように、そういうように配慮していくということが大変大切であるというふうに思っております。
  59. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 少し確かめましたのは、やはり専修免許取得ということが今推奨されているわけですね。できるだけ多くの方に専修免許をというのが文部省の意向だというふうに伺いまして、一方では、派遣という制度大学院に行く。しかし、その方々は給与もある、それから出張扱いで、いろいろな交通費もあるし、手当もある。これは都道府県によってもかなり差は、違いは出てくるかもしれませんけれども、いずれにしてもそういう条件だということ。  しかし一方は、自主研修という名のもとに、非常に待遇上はそういう条件の保障がないという点で、ちょっと余りにも差が開き過ぎているのじゃないかということが一つあるのですね。  私は、研修という点でいうと、研修重要性というのは教特法の十九条にあるとおりでありますから、やはりその点での条件の保障ということは大事だということが前提にあるのです。  これは、たまたま日本教育大学協会が昨年大がかりなアンケート調査をいたしました。教育大学の側として、大学院がどういう役割を果たしているのか、あるいはどういう改善をしなければいけないかというためにとったアンケートと言われているのですけれども、その調査によりますと、大学院研修を受けていない現職教員に聞いたアンケートによりますと、実に八六%の人が、給与を保障してくれる現行の長期派遣制度を利用して大学院で「ぜひ学びたい」「できれば学びたい」と答えていらっしゃる。しかし、給与が支給されない場合、これは四一%になっているのですね。つまり、半減しているわけであります。  ですから、今本当に研修を受けたいという現場の希望からすると、やはりこのままではいけないだろうということになるわけです。  この点、先ほどももう質疑に一点出ていましたけれども、教養審の第二次答申でも、「育児休業制度等既存の休業制度等とのバランスに留意しつつ、所要の検討を進める必要がある。」という点がございましたので、そういう検討をどう進めたのか、今後このままでいいのかという点で伺っておきたいのです。  育児休業の場合ですと、共済組合から現行で給与の二五%、これは二〇〇一年一月から四〇%支給されるということになっているのですね。それから、また新たに介護休業の場合でもそういう支給が考えられるということでありますから、やはりこれに準じた考え方がぜひとれないものかどうかということなんですね。それを、先ほどちょっと御答弁ありましたけれども、重ねて伺っておきたいというふうに思います。
  60. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 育児休業につきましては、休業期間中の共済掛金、これの免除とか、また育児休業手当金の給付等の措置がなされているわけでございます。この共済掛金の免除につきましては、その期間中の掛金免除を行うことによりまして、育児休業取得しやすい環境を整えて、そしてこれは少子化対策の一助となればと、将来的な掛金率の軽減化等をも考えまして、みずからの制度の安定的な運営につながるとの観点から、公的年金、医療保険制度全般を通じて行われているものでございます。  また、育児休業手当金の給付につきましては、民間における育児休業期間中の労働者に対して雇用保険制度から育児休業給付が支給されることに対応してとられている措置でもございます。  今回創設いたします大学院修学休業につきましては、特に教員に対してのみ実施する制度であるということでございまして、今申し上げました、育児休業において認められるような特段の事由がないためにこのような措置をとることができないものでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  61. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 もう一点、退職手当の算定なんですけれども、この法案の中に、休業した教員に対しましては、休業中の期間の二分の一を在職期間に通算するということがございますけれども、やはり二分の一だといろいろな不利益が出るのじゃないかという点です。休職中であっても、現場に復帰するわけですから、退職金はやはり休業中フルカウントで行うという考え方をとるべきだというふうに思うのですけれども、この点、いかがでしょうか。
  62. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 退職手当は勤続報償的な性格があるわけでございますけれども、そういう性格にかんがみまして、在職中に現実に職務をとることを要しない期間があった場合には、その期間の二分の一の期間を在職年数から除算することが原則となっているわけでございます。  このため、今回のこの大学院修学休業の期間の制度の取り扱いにつきましても、育児休業等現実に職務を要しない期間の取り扱いの例に準じまして、休業期間中の二分の一の期間を在職期間から除算することとしているわけでございます。同じようにやっているわけでございます。  現行法令上、退職手当の算出に当たり、現実に職務をとることを要しない期間でありましても在職年数に全期間通算されることとなっているのは、公務災害あるいは通勤災害による休職など、本人の責めに帰することのできない休職等に限られているところでございまして、この制度は、いわば自己都合ということになりますので、自己都合による大学院修学休業の期間について、その全期間を在職年数に通算する扱いを講ずることは困難なわけでございます。
  63. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 本当にいろいろあるのですけれども、時間もありませんので、私はもう一点、あえて、これもいい答弁は決してないわけで、無理なことを言うなという話に聞こえるかもしれませんけれども、大学院に行くわけですから、今大学院の授業料は結構高いですよ、この授業料というのはどうなるんだろうという問題なんです。  先ほど奨学金の話もございましたけれども、これは同じ文部省の中で行う施策じゃないかという点で考えますと、やはり授業料ぐらい、ぐらいと言ったら大変怒られるかもしれませんけれども、何らかの形での免除あるいは減免ということを考えていいんじゃないかというふうに思うのです。そういう点で、こういうことも検討されたのかどうか、そういう気はないのかどうかということで伺っておきたいと思います。
  64. 矢野重典

    矢野政府参考人 私どもも、先ほど大臣が申し上げておりますように、一人でも多くの教員がこの制度を活用していただくという観点に立ちまして、経済的支援等々につきまして検討してまいっております。  先ほど先生が御指摘の授業料の問題につきましても、私どもも強い問題意識を持っているわけでございますが、これは予算を伴うものでございますから、今後の一つの検討課題にさせていただきたいと思っております。
  65. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。みんな同じ大学院に行くわけでしょう、強調していますように一方は派遣の研修制度として、一方は自主研修という名のもとに行くということで。しかし、余りにも待遇が違い過ぎますよ。そうでしょう。一方はありとあらゆる一定の手厚い条件がある、こちらは全くない。これは私はやはり大学の中に、受け入れる方にもそうだけれども、行く側にも、学校の現場にも、いろいろな矛盾を生むのじゃないかと。教員間の矛盾も、学校の中の矛盾も生じますよ。こういう点、いかがですか。  今後そういう二本立てでいくという話ですから、ちょっと余りにも、同じところへ行って、同じ専修免許を取って、同じように学んできて、これは一体どういうことなんだということになりますね。そのことを心配しているわけであります。いかがでしょうか、文部大臣、お考えがありましたら。
  66. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、教員方々には大学院等で、より高度なといいますか、あるいは先進的なと申しますか、そういうような学問を習得していただいて、また教員としての活動に大いに役立てていただく、あるいは人格的な、さらに幅の広い、視野の広い方になっていただいて、また教育に専念していただくという大きな効果があるわけでありまして、できることならば全員をと言いたいぐらいのところです。  いろいろな面を配慮しながら教員方々大学院等で勉強できるようにしたいところでございますが、御案内のとおり、財政面的なものもありますし、そういうことから、今回、自発的な意思で勉強したい、そういう方が、三年以内という制約でありますが、みずから学びたい大学院でみずから学びたい学問を勉強できるという、一つの風穴といいますか、新しい制度を設けるということでございまして、私は、このこと自身大きな前進であろうと思います。  もちろん今、学費の配慮等のお話がありましたけれども、今後の課題として検討させていただきたいと思いますが、まず第一歩だと思っていただいて、御理解いただきたい、そういうふうに思います。
  67. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私も今回の法案には決して反対ではありませんで、賛成の立場からなんですが、その上で、やはり矛盾を解消していくとか、あるいはできるだけ条件整備をしていくということが大事かなという点で質問しているわけであります。  それでは、可能な限り多くの現職教員に修士レベル教育機会をということが言われていますので、あえて伺いますけれども、本当に現場の中では二十代から五十代まで、本当にすべての年代にわたって、やはり行って、今の子供の状況はどうなのか、もう一度確かめてみたいとか、学びたいとか、あるいはリフレッシュもしたいという希望は大変強いと思うのですね。  そういうことで、先ほども、多ければ次の機会にということもあり得るというお話がございましたけれども、あえて私は、今の五十代の教師、私もそうですけれども、四十代、五十代の教師が大変疲れているということもあります。だから、五十代の教師が行きたいと言ったときに、任命権者である教育委員会が、あなたはもう先が余りないのだから若い人に譲りなさいというようなことにならないのかどうか、五十代の方も手を挙げて、本当に機会が与えられるのかどうかということを伺っておきたいと思います。
  68. 河村建夫

    河村政務次官 御指摘のとおり、意欲を持っておられる方にはどなたにも公平にというのが基本的な考え方ですから、現場の状況等いろいろあろうと思いますけれども、そういうことも十分配慮して適用されるべきであろうと思いますが、帰ってきましたら定年になりましたというようなことでは、効果がありません。やはりそれからの効果期待をしながらということを配慮しておりますが、当然、公平にという基本概念はしっかりやっていかなければいけないことだろうと思いますので、意欲のある方にはぜひ参加していただくということであろうと思います。
  69. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 わかりました。  最後に、受け入れの大学院の条件がどうなっているのかという問題で伺っておきたいと思うのです。  これも先ほど御紹介しました教育大学協会のアンケートによりまして、大学院修了者が学校現場でどのように受けとめられているかというのがあるのですね。これはなかなか興味深いものがあるのです。それによりますと、一番望ましい評価として、専門的見識と実践的能力がともに向上している、職場のレベルアップに貢献しているという方は全体の二八%しかないのです。これはどうも少な過ぎますね。  このアンケート調査の分析でも、実践的力量を伴わないとみなされているということは、これからの大学院の理念を見直さなければいけない、あるいは学修内容を大きく改革しなければならないと言っているわけであります。これは、大学側がそういう努力をされるということで大変大事なことだというふうに思うんですけれども、やはり文部省としても、今度こういう、大幅な職場のレベルアップのために教育の力量をつけるために大学院に行かせようということになりますと、本当に大学院がどうなっているのか、そのためにどういうさらなる改善を文部省としても後押ししなければいけないのかという点があるわけですね。  現場の方の一番の要求は、学びたい内容は、子供の見方、発達、教育の本質ということが第一位なんですよ。原理と、実践的なというか、臨床教育学的なあるいは臨床心理学的なものというのが今大変求められているのですね。  そういう点で、大学院のカリキュラムの改善だとか、あるいは新しい講座の開設なんかも含めて、やはり教育大学の学習内容、条件を大いに考えていくということが求められていると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  70. 佐々木正峰

    ○佐々木政府参考人 御指摘のアンケート調査によりますと、子供の見方、発達、教育の本質や生徒指導、カウンセリング、これが、現職教員大学院で学びたい分野として非常に多くを占めておるわけでございます。そういったことを踏まえまして、文部省といたしましても、各大学における検討状況なども踏まえながら、大学院充実を図っておるところでございます。特に、夜間大学院でございますが、これにつきましては、現職教員が在職したまま大学院で学べるということがございます。  そういったことから、平成八年度に大阪教育大学に実践学校教育専攻を設置いたしましたし、また、九年度には東京学芸大学に総合教育開発専攻を設置したところでございます。さらに、平成十一年度から十二年度にかけては千葉大学など四大学学校教育臨床専攻を設置するなど、学校現場において必要とされる実践的な指導力をきちんと大学院で身につけるよう文部省としても対応してまいっておるところでございます。  さらに、現職教員が学びやすいようにするために、学部の設置場所以外でのサテライト教室の設置にも努めておるところでございまして、文部省といたしましても、引き続き専攻コースの増設あるいは教育指導体制充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  71. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大阪教育大の名前も出していただきまして、どうもありがとうございました。本当に大学の側も努力をされていると思いますけれども、やはり文部省としてそういう整備を一層前向きに進めていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  72. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次に、濱田健一君。
  73. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会民主党の濱田健一でございます。  現場におりますときに、教特法の十九条「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」という、職務じゃなくて「職責」というふうに書かれたこの教特法をつくられた精神というものを生かすためには、官製研修もですけれども、自主的な研修というものが非常に大事だというふうに、校長さんとさまざまな論議を重ねたことを今思い出しております。自主研修というときに、ややもすると、長期休業中等でもその中身をチェックして、それはいいとか悪いとか、いろいろなこともあったことも記憶をしておりますけれども、そういう部分を乗り越えての今回のこの改正案、本当に先生たちが自主的に長期大学院に行って専修免許状を取るという、この法律をつくるために工夫をされた一つの部分はありますが、それ以外のところでも、資質を高めてこられるという意味合いにおいて、私は今回のこの新しい取り組みに賛同をいたすところでございます。  そういう中で、まずお聞きしたいことは、別個の法案として、独立行政法人の教員研修センターも新たにつくるという方向性ができてきておりますが、官製研修についてはこれからどのようにしていかれようとしておるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  74. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 教員の自主的な、また主体的な研修というものは非常に大切でございます。そういうところから、文部省といたしましてもこれらを奨励し、また支援をしておるわけでございます。さらにまた、研修内容充実していくということも大変重要であると考えております。  教員職務研修につきましてはこれまでも、委員の御承知のとおり、初任者研修を初めといたしまして、五年目、十年目等の教職の節目ごとに、全教員対象とする研修機会を確保しておるわけでございます。また、教員個々の職能とかあるいは専門に応じた、各教科生徒指導等に係る専門研修の機会が確保されるよう、また教員研修体系の整備にも努めてきたところでございます。  昨年十二月の教育職員養成審議会第三次答申を踏まえまして、初任者研修につきまして、内容また方法の一層の充実を図ること、また教職経験者研修につきましては、現場の課題に適切に対応する上で必要な内容等に精選をすること、それから、先ほどお話ありましたけれども、社会体験研修について一層の充実を図ること、こういうことなどの職務研修の見直しを図っていきたい、そういうふうに考えております。
  75. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございます。  私は、子供たちを見る目というのは、学校の中だけでの子供たちの姿を追い求めていては教員の本当の仕事はできないと思っております。こういう研修制度を使ってどんどん外に出ていって、子どものいろいろな側面を見られるようにするということが必要だと思うんです。今大臣がお答えくださった中で、例えば教員になって十年目ぐらいには、一月なら一月外国に行っておいで、飛行機代だけは国や県が出すが、ほかの生活費等々については自分で面倒見なさい、そういうようなことで、外国から日本教育を眺め、自分のやってきた実践をもう一回振り返ってみるとか、そういうことなんかも、何らかの制度としてあるのかもしれませんけれども、具体的に検討をしていただきたいなというふうに要望申し上げておきたいと思います。  そこで、今、大臣の御答弁の中に初任者研修制度という言葉も出てまいりましたが、始まったときには、靴箱の靴の並べ方がどうだとかいろいろ、本当に三つ子に教えるような研修というような中身が指導教員から行われたという話なんかもいろいろな形で聞いてきたわけでございますけれども、既に相当年数がたったこの初任者研修制度で、初任者の職務遂行能力というものが、これが始まる以前と比べてこのように具体的に変わったんだよという事例等をつかんでおられるのであれば、一点二点、御披露いただきたいと思います。
  76. 河村建夫

    河村政務次官 具体的にこうなりましたというのが特に統計上あるものではありませんが、二十二歳、普通の人が大学を卒業してすぐ現場へおつきになる、そのときは右も左もまだわからない状態です。もちろん学校での研修はありますけれども、いざ自分ですぐ責任を負う立場になったときに、そういうときにやはり初任者研修で、むしろ委員の方が御体験を通じてよく御存じのとおりでありますが、その時点できちっとした、教員としての指導法とか子供たちとの対面の仕方とかを習うということは非常に意義があることでありまして、平成元年小学校から始まって、平成四年から本格的に導入されたわけであります。  文部省として統計上のこういうものはありませんが、一般に、研修後の対談とかそういうものを通じたものをまとめてみますと、やはり、非常に自覚を持つことができた、使命感を持つことができた、それから研修の間には、教員だけに、いろいろな教養講習もありますから、そういう教養も身につけることができたとか、特に学級経営の持ち方あるいは父兄との接し方も一緒に学ぶわけでございますので、そういう意味で、教員としての全体的な資質向上に大いに役に立ったということがこれまで寄せられておるところでございます。
  77. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 仕組みをつくられた文部省ですので、それなりの評価を当然されると思うわけでございますが、やはり子供たちをどう取り扱ったらいいかわからないという若い先生がおられるのも事実でございます。  これは初任者研修と直接関係ないんですが、やはり教員採用のときに似たような人というか、いろいろな経歴かれこれがある方といいますか、そういういろいろな方を学校教員に採用していく、これは都道府県の関係になる、あるいは市町村にもなると思うんですけれども、そういうのがないと、同じような人種が学校にそろい過ぎるがゆえに子供たちの取り扱い方が平板的になってしまうというようなことを私は感じておりますので、ぜひその辺の御指導教員採用のありようというものについても研究を深めていただきたいと思うところでございます。  それから、先ほど山元委員の方から復職後の待遇の問題について少し触れられました。私も優遇をされる必要はないというふうに思うんですけれども、これは御答弁必要ございませんけれども、今どのような復職後の対応の仕方をされようとしておられるのか。  来年から始まる制度でございますので、文部省や人事院で取り組みをされておられると思います。そのときに、一般的に、この法律を知られた先生方が三年行くとしたら、一年に大体一号俸ずつ上がっていく仕組みですから、三年行ったら三号俸おくれるなと。六カ月短縮とか三カ月短縮というふうに、各県の中で、年齢に応じて昇級の道を短くされる仕組みもとられておりますので、場合によっては四号俸ぐらい違ってくるという可能性もあります。  ですから、この取り扱いについては本当に、人事院の規則もそうでございますし、各県レベルの取り扱いというものも、教育委員会部局や知事部局との中でいろいろと論議をしていただいて、自分研修へ行っていいものを身につけるというプラス面と、その間休業して退職金の通算も二分の一になってしまう、そして賃金ももらえない、復職したときの号俸も下がっているというそのマイナス面をどう埋めるかというところの工夫をぜひしていただきたいというふうに思っているところでございます。  四月一日、あしたからG8の教育大臣会合が開かれることになっておりますが、「変容する社会における教育」というのがその主たるテーマだとお聞きしているところでございます。その中には、学生教員研究者、行政官の国際交流も主要な課題となっているようにお聞きしているところでございますけれども、学校教育も一国だけでは考えることのできない時代の始まりだというふうに私は認識をしているところでございます。  そこで、まず、外国から日本に来て国公立の小学校、中学校に学んでいる子供の数は、現在統計的にどのぐらいおられるのか、お聞きしたいと思います。
  78. 矢野重典

    矢野政府参考人 我が国の公立小中学校に在籍する外国児童生徒数でございますが、これは平成十一年五月一日現在で七万九百十一人。内訳は、小学校が四万六千三百人、中学校が二万四千六百十一人でございます。  このうち、海外から日本に来て日本指導の必要な外国児童生徒数は、平成十一年九月の調査の速報値でございますけれども、それによりますれば、一万七千六百三十三人でございまして、内訳は、小学校が一万二千三百八十三人、中学校が五千二百五十人となっております。
  79. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。  この数というのは当然ふえていくというふうに認識をしていいと思うんでございますが、ことしの一月、国連の人口動態推計が発表されまして、日本は、急速に減少する労働力人口に対応するために、今後五十年にわたって平均して毎年六十万人の移民の受け入れが必要と報告をしておられます。この移民という言葉が果たしてどのように受けとめられるのか、外国人労働者ということだろうというふうに思うんですけれども。法務省は、技能研修制度を緩和して海外からの受け入れを拡大する方向で検討をしておられるようでございますけれども、このことは、当然ながら外国籍の子供の数も現在以上に拡大をしていくことを意味しているというふうに私は思います。  そういう場合に、日本の国公立の小学校、中学校ではどのような対応をしていこうとされているのか、その検討されている内容等々がございましたら、御披露いただきたいと思います。
  80. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 委員がおっしゃいますように、今後、外国籍の子供さんの数も増大していくのではないかと思います。日本学校で学ぶ外国人の子供、児童生徒は、いわば異文化の中での生活というものを強いられているといいますか、行っているわけでありまして、日本語の指導はもちろんのこと、日本学校生活、それへの対応、適応というものを促進するという大きな課題もあるわけでございます。また、外国人の児童生徒自分の国の文化を理解する、また、それを保持しながら個性を生かせるような教育の現場にしていくということも、日本子供たち文化の多様性を目の当たりにできることでもありまして、これも重要なことではないかと思っております。  そういうところから、文部省におきましては、外国人子女教育の受け入れ推進地域というものを指定しておりまして、これは平成十一年度で二十地域ございます。また、日本指導教員研修も行っております。日本指導教材及び教師指導資料の作成を行い、配付などを行うとともに、保護者も含めました適応促進のための教育相談員の派遣、これも支援をしているところでございます。また、外国にあります日本学校などに派遣をされて、そういうところで暮らす日本の子供を教育した経験のある教員方々、そういう方々が帰国後国内でまた外国人子女教育の場面で活躍をしていただく、そういうことも都道府県の教育委員会を通じてお願いをしているところでございます。  御指摘のとおり、さらに児童生徒がふえると思われますので、今後とも私どもはこれらの施策の充実に努めていきたいと思っております。
  81. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。  今のようないろいろな仕組みというものを考えておられてありがたいわけでございますが、日本学校で学ぶ外国籍の子供たち日本語をどういうふうに教えていくのか、また、それぞれの民族といいますか、国民性をどのように大事にしていくのか。実際に現場の中では、辞書を片手に教えたり、みずからその子供たちの言語を学びに行ったり、ボランティアを募ったり、さまざまな苦労をしておられるというふうにお聞きをしているところでございます。今大臣がお答えいただきましたさまざまな観点での取り組みは、努力いただいていることは承知しながらも、支援措置はまだまだ足りない部分もいっぱいある、これは財政的な面が大きな要因になっているというふうに思うんですが。  教員外国へNGOの一員として出かけたり、ボランティアの活動などに従事することによって海外の事情や文化を酌み取る、そういうことをできるようにするべきだというふうに思っているところでございます。今回のこの法案専修免許状取得というただし書きが、最初に申し上げましたとおり、ついているところに、長期休業制度というものの足がかりをつくっていかれるためのひとつのスタートラインに立っておられるという認識に私自身も立ちながら、一刻も早く、枠のない長期休業における教員研修制度というものを実現いただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。  その辺について、大臣、いかがでございましょうか。
  82. 中曽根弘文

    中曽根国務大臣 この制度は、先ほども申し上げましたように、新たな、教員方々の自己研修の選択の幅を広げるという意味もあるわけでございます。  委員お話しの長期的な研修でございますけれども、また、先ほどからもお話ありましたけれども、ボランティア活動などへの参加につきましても、今後、ほかの公務員の方々との兼ね合いも考えながら研究をしていかなければならないと思っております。人事院において今検討がなされているところでありますけれども、私どもも、今後こういう面でも参加等が認められるように、含められるように要請もしていきたいと思っております。  そして、この大学院の修学休業制度は、海外大学院における修学も御承知のとおり対象としているわけであります。当面、海外大学院などに多数の教員の方がこの制度を利用して留学をし、海外の言語とか文化とかそういうものに触れて、またそれを酌み取って日本に帰ってくる、そして日本学校で、学校教育においてこれを還元してもらうということは大変意義があることと思っております。そういう意味で、今後この制度充実するように努力をしていきたいと思っております。
  83. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。  終わります。
  84. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  85. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出教育公務員特例法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  88. 鈴木恒夫

    鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     正午散会