運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-05-11 第147回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十一日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 松岡 利勝君    理事 金田 英行君 理事 岸本 光造君    理事 松下 忠洋君 理事 宮本 一三君    理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君    理事 宮地 正介君 理事 藤田 スミ君       赤城 徳彦君    麻生 太郎君       稲葉 大和君    今村 雅弘君       大石 秀政君    河井 克行君       木村 太郎君    北村 直人君       熊谷 市雄君    栗原 博久君       塩谷  立君    鈴木 俊一君       砂田 圭佑君    園田 修光君       野呂田芳成君    二田 孝治君       矢上 雅義君    谷津 義男君       石橋 大吉君    大石 正光君       川内 博史君    桑原  豊君       木幡 弘道君    漆原 良夫君       丸谷 佳織君    中林よし子君       井上 喜一君    加藤 六月君       一川 保夫君    米津 等史君       菊地  董君     …………………………………    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    農林水産政務次官     谷津 義男君    政府参考人    (農林水産大臣官房長)  竹中 美晴君    政府参考人    (農林水産省構造改善局長    )            渡辺 好明君    政府参考人    (林野庁長官)      伴  次雄君    政府参考人    (水産庁長官)      中須 勇雄君    政府参考人    (運輸省海上技術安全局長    )            谷野龍一郎君    農林水産委員会専門員   外山 文雄君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   木部 佳昭君     大石 秀政君   藤本 孝雄君     砂田 圭佑君   御法川英文君     鈴木 俊一君   安住  淳君     川内 博史君   佐藤謙一郎君     桑原  豊君   長内 順一君     丸谷 佳織君   佐々木洋平君     米津 等史君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     木部 佳昭君   鈴木 俊一君     御法川英文君   砂田 圭佑君     藤本 孝雄君   川内 博史君     安住  淳君   桑原  豊君     佐藤謙一郎君   丸谷 佳織君     長内 順一君   米津 等史君     佐々木洋平君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  漁港法の一部を改正する法律案内閣提出第五三号)(参議院送付)     午前十時三分開議      ————◇—————
  2. 松岡利勝

    松岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付漁港法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産大臣官房長竹中美晴君、農林水産省構造改善局長渡辺好明君、林野庁長官伴次雄君、水産庁長官中須勇雄君及び運輸省海上技術安全局長谷野龍一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 松岡利勝

    松岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本光造君。
  5. 岸本光造

    岸本委員 自由民主党岸本光造でございます。  きのう矢上議員質問しました林野庁所管公益法人林野弘済会閣議決定に反しての株取得の問題に関して、民主党羽田孜議員とのかかわりについては、きのう林野庁長官が御不在で答弁漏れがあったように思いますので、答弁をお願いします。よろしゅうございますか。
  6. 伴次雄

    伴政府参考人 本事案につきましては、昭和六十年十月に羽田孜先生秋田を訪問されまして、当時の秋田営林局長現地を御案内申し上げております。それ以降、当該温泉開発につきまして、林野関係で受けとめろというようなことまで、重ねて要請があった次第であります。  林野弘済会からは、こうした経緯もあり、また、当該温泉国有林内にあったということから、本国有林活用というものは地域振興につながるということから、林野弘済会開発に参加したというふうに聞いております。
  7. 岸本光造

    岸本委員 御苦労さまです。  きのう矢上議員から、羽田孜議員を本委員会参考人としてお呼びして論議を進めるようにという要望があったようでございますが、今の林野庁長官お話を聞きますと、やはり公の場所で、政官癒着が言われているときでありますから、論議をした方がいいのではないか、こう思います。  私の方からも、委員長に、精査するようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、漁港法の一部を改正する法律について質問をいたしますが、よろしいか。
  8. 松岡利勝

    松岡委員長 ただいまの申し入れの点につきましては、理事会で協議してまいりたいと思います。
  9. 岸本光造

    岸本委員 それでは、質問を続けます。  漁港法の一部を改正する法律……(発言する者あり)要求はもちろんしました。要求をして、委員長に善処を求めたわけです。きのうの矢上さんと同じことであります。
  10. 松岡利勝

    松岡委員長 理事会で協議して、整理してまいりたいと思います。
  11. 岸本光造

    岸本委員 委員長に一任します。  それでは、漁港法の一部を改正する法律について、二点だけ、お伺いいたします。一点は大臣に、一点は水産庁長官にお伺いをします。質問を先に二つ言います、それからお二人に答弁をいただきたい、こう思います。  一つは、漁港は、日本水産業の中で拠点の位置を占めております、漁獲の集約する場所、あるいは農山漁村の人々が漁港に出てきて空間で触れ合いをするような場所、いろいろな意味を持っておりまして、これは日本の食料の上から、あるいは水産業という産業の上からも、漁港というのは非常に重要な問題であるというふうに私は考えております。  今度の法律改正によりますと、地方自治体漁港指定整備、それから維持管理などに積極的に参加できるということになっております。これは今の地方分権時代からいいますと、まことに結構なことなんですが、漁港整備は特別にお金がたくさんかかります。普通の道路整備などとは比べ物にならないほどの予算がかかりますから、権限地方へやるから、全部、地方でやりなさいと言うても、これはできない、こういうふうに私は思うわけでございまして、二十一世紀に向かっての漁港整備に国が今後どう対応していくのか、大臣にお伺いをしたい、これが一点でございます。  それからもう一点、水産庁長官にお伺いをしたいのですが、五月八日の毎日新聞の和歌山版に、たまたま今週の月曜日でありますが、放置プレジャーボート二千五百そう、和歌山下津港という非常に大きな記事が載っておりました。この和歌山下津港というのは、大阪、神戸に入る、日本の水路の中でも非常に通航量の多い場所でございまして、瀬戸内海にもつながっていく入り口の点でございます。  そこで、この二千五百三十そうの放置プレジャーボートがあるということで、これは漁業にとりましても、生活者そのほかにとりましても、非常に危険な状態であります。今度の法改正によって、プレジャーボート係留それから保管場所が確保できるというふうに思いますけれども、どのような考えでこれは具体的に対応していくのか、お伺いをしたいと思います。  以上、大臣水産庁長官答弁を求めます。
  12. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 我が国水産業は、本格的な二百海里時代の到来を迎えておるわけでございますが、しかし、漁業資源減少あるいは担い手の減少漁村の活力の低下というような非常に厳しい状況を迎えているのは御承知のとおりかと思います。  こうした状況に対処しまして、何としても水産業を振興していくという観点から、昨年十二月に水産基本政策大綱・プログラムを策定したところでありまして、平成十三年の通常国会に向けまして、水産基本法案を取りまとめていきたいと考えております。  こうした中におきまして、漁港整備に当たりましては、水産基本政策大綱にも盛り込まれておりますように、沿岸漁場との総合的、一体的な整備我が国二百海里水域内水産資源持続的利用と安全で効率的な水産物供給体制整備、また漁村生活環境改善という基本方向に即して、今後重点的に進めていきたい、このように考えているところでございます。
  13. 松岡利勝

    松岡委員長 中須水産庁長官。時間が来ておりますので、簡潔に。
  14. 中須勇雄

    中須政府参考人 プレジャーボートに関するお尋ねでございますが、海洋性レクリエーションの進展に伴い、漁港利用が増大してくるということで、いろいろなトラブルが生じております。  こうしたトラブルを防止して、漁港における円滑な漁業活動を維持していく、そういう観点から、今回の改正案におきましても一定の規制放置艇について行う、こういうことを盛り込んでおりますが、そういう規制と同時に、やはりプレジャーボート等係留する施設整備ということも重要でございます。この両方を進めていかなければならない、こういうことでございまして、私ども、今後とも、漁業活動支障のない範囲において、漁港における漁船以外の船舶の受け入れという方向でいろいろ努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  15. 岸本光造

    岸本委員 御検討いただきたいと思います。終わります。
  16. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、石橋大吉君。
  17. 石橋大吉

    石橋委員 きのうの質問の通告の段階では予定をしておりませんでしたが、今、岸本議員発言もあるし、きのうの矢上雅義議員発言も我が党にとっては見過ごすことのできない重要な内容を持っていますので、冒頭に緊急にこの話をちょっとさせていただきたいと思います。林野庁長官、来ていますね。  きのうの質問矢上雅義君は、秋田県の玉川温泉開発に関連して、我が党の羽田孜幹事長の十年以上にわたる強力な働きかけがあり、このような中で、林野弘済会として出資を行い、株を取得して開発に参加した、この二件の株取得の問題のうち一件が、総理大臣農林大臣を務められた羽田孜先生が強力に働きかけて行われたのではないかという事実が調査の中で明らかになっておる、政官業癒着ということで、羽田幹事長自由民主党に対して相当な攻撃をされておりますが、果たして、御自身の政治的立場をお考えになった場合、私は、この委員会の場で、参考人として、公の場で事情を説明していただければ、それが政治家の務めだと思っております、こう発言されておるわけであります。  どうも、全体の言い回しをよく読んでみると、明確な根拠に基づいての発言ではなく、民主党羽田幹事長などに対するためにする発言ではないか、こういうふうに思われるわけであります。しかし、羽田幹事長があたかも玉川温泉開発に関して、株を取得して私腹を肥やしたかのように受け取れる発言であります。微妙なだけに極めて卑劣な発言であり、我が党と羽田幹事長個人の名誉を著しく傷つける不当な発言だと私は考えるのであります。  そこで、今、岸本さんの質問にもありましたが、林野庁として、羽田さんがこの件に関連して、株を取得して私腹を肥やすような、利権に絡むような、そういう行為を行ったのかどうか、明確にしていただきたいと思うのであります。  岸本さんは、さっきの質問で、参考人招致をする、こう言われましたが、先ほどの林野庁長官答弁を聞いていると、利権に絡んで羽田さんが私腹を肥やすような行為をした、こういうふうには言っていない、答弁していない。この辺が非常に大事なところですから、ぜひひとつこの点を、林野庁長官として明確にしていただきたいと思うのであります。  私も羽田幹事長から少し話を聞きましたが、羽田幹事長は、温泉議連の会長か何かをしておられるようでありまして、赤字に苦しむ林野庁財政事情なども考え国有林内にある温泉などを開発してもう少し財政を豊かにするというか、そういう立場から開発をすべきだということは言ったけれども、みずからの私腹を肥やすような、利権に絡むような行為は断じてしていない、こういうふうに言っているわけであります。林野庁長官にこの点を明確にしていただきたい、こう思います。
  18. 伴次雄

    伴政府参考人 今ほども申し上げましたが、昭和六十年十月に羽田孜先生秋田に行かれまして、当時の営林局長現地を案内いたしました。それ以降、温泉開発につきまして、今お話もありましたが、有効資源ということもありまして、これを林野関係で受けとめるように重ねて要請があったことはありました。林野弘済会は、このような経緯がありましたし、また、温泉国有林内にありまして、国有林活用というものが非常に地域振興にもなるということから、開発に参加したというふうに聞いております。  なお、後段の云々の問題につきましては承知していないところであります。
  19. 石橋大吉

    石橋委員 今、どうも林野庁長官答弁は非常に微妙な言い方というか、あいまいな答弁をしておるわけですね。こういうことは明確に答えられる話じゃないですか。羽田さんが、国会議員として玉川温泉開発に絡んで不当な利益を得るような行為をしたかどうか、こんなことは簡単に、事実問題があるかどうかということですから、答弁できる話じゃないですか。もう一遍ちゃんとした明確な答えをお願いしたい。
  20. 伴次雄

    伴政府参考人 開発経緯につきまして、今申し上げました次第でございますけれども、それによりまして、いわゆる利権とかなんとかというような指摘があったわけでございますが、そういうようなことにつきましては、言及するような立場にもないわけでありまして、承知もしておりません。
  21. 石橋大吉

    石橋委員 言及するような立場にないということは、どういうことですか。林野庁長官は責任持たないということですか。きのうの矢上議員発言の中では、調査の結果はっきりしておる、こう言っているわけですよ。ですから、どこかにちゃんとした根拠があるはずでしょうが。林野庁長官がそういうことを知らないで長官の仕事が務められますか。職責を果たせないですよ、そんなことでは。もう一遍、はっきりしてください。
  22. 伴次雄

    伴政府参考人 また繰り返しになるわけでございますけれども、開発等経緯の事実については先ほど申し上げた次第であります。  それで、後段の方で質問がありました利権がどうのこうのというような話につきましては、承知もしておりませんし、言及するような立場にないと思っております。
  23. 石橋大吉

    石橋委員 承知をしていないということは、なかったということですか。それとも、言及するという立場にないということは、どういうことですか。林野庁長官としての責任は持たないということですか。  ちょっと、僕も余りこの問題、長くやりたくないのです。本題に入りたいのですが、もう一遍だけ、念のために、長官答弁を明確にしていただきたい。
  24. 伴次雄

    伴政府参考人 繰り返しになるわけでございますけれども、いわゆるうちとしては、温泉開発というものがこのような形で国有林で行われたということは承知しておるわけでございますけれども、それによって、今お話がありましたような、利権がどうだったとかこうだったとかというようなお話につきましては、承知もしていないし、それにつきまして云々するような立場にないと思っています。
  25. 石橋大吉

    石橋委員 林野庁長官は、これ以上踏み込むことは何としても避けよう、どうもこういう姿勢のようですから、これ以上は言いませんが、しかし、私どもの解釈としては、承知をしていないとか言及する立場にないということは、そういう事実はなかった、こういうふうに私は受けとめたい。  こういうことだけ申し上げて、さっきも言ったとおり、余りこの問題にかかわっていることはできませんから、あとまた必要があれば理事会ででも議論して、参考人招致の問題も要求があっているわけですから、ちゃんと始末してください。  それでは、この問題はそれぐらいにして、もうこれで十分以上たちました、本題に入ります。  まず、漁港法の一部改正に関連をして、漁港指定権限の一部を市町村長及び都道府県知事移譲する、こういうことがこの改正によって行われるわけであります。  うたい文句としては、地方分権推進を図るため、漁港指定権限の一部を市町村長及び都道府県知事移譲する等の措置を講ずる、こういうふうにされているわけですが、その実態は、従来、農林水産大臣により指定されてきたものの指定権限市町村長または都道府県知事移譲する、すなわち、権限を移しかえただけで極めて形式的な権限移譲ではないか、こういうふうに受けとめられるわけであります。  地方分権推進うたい文句にするとすれば、もっと積極的な意義がなければいかぬ、こう私は思っているわけですが、この辺について、大臣、どういうふうに考えておられるか、ちょっと承りたいと思います。
  26. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今回の漁港法改正では、地方分権推進観点から、漁港指定管理権限の一部を地方公共団体移譲いたしますとともに、漁港整備計画を策定する際に、地方公共団体から意見の聴取等を講ずることといたしておるわけでございます。  つまり、漁港指定管理において地元の意向を十分反映して、より積極的、主体的にやっていこう、こういう趣旨でございますので、やはりこれは大事なことだと思っております。
  27. 石橋大吉

    石橋委員 そういうことであれば、漁港整備あるいは維持管理などの具体的な業務についても、この際、権限と同時に、よく言われておりますように、金もセットにして地方移譲すべきだ、こういうふうに思うのです。全部が全部国から地方自治体にというわけにはいかない面があることはあるかもしれませんが、できるだけそういう実体を伴う、権限財政の面も含めて権限移譲を行うべきだ、こういうふうに考えるのですが、その辺、大臣はどういうふうにお考えですか。承りたいと思います。
  28. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 地方分権を進める場合におきましては、当然、財政的な措置もあわせてやっていくということが最も大事なことだとは思いますが、漁港問題等におきましては、国と地方がともどもにやっていく、こういう趣旨でございますので、決して委員のおっしゃられることにすべて反しているということではないと思います。
  29. 石橋大吉

    石橋委員 地方分権地方に対する権限移譲実体を持たせるためには、やはり銭金の裏打ちがなしには私は意味がないと思いますから、将来的にひとつそういうことを念頭に置いた対処をお願いしておきたい、こう思います。  次に、これもさっき岸本議員からも話がありましたが、漁港区域内における放置艇等対策について、運輸省の所轄のようですが、伺いたいと思います。  水産庁運輸省港湾局及び建設省河川局によるプレジャーボートによる海洋性レクリエーション活用した地域振興方策調査によりますと、放置艇隻数は十三万八千隻、うち漁港区域内に約三分の一に当たる四万二千隻の放置が確認をされており、登録漁船隻数が二十七万六千四百四十四隻であるから、プレジャーボート等船舶が一三・二%漁港内に存在している、そういう調査結果になっているわけであります。  こういう実態を受けて、水産庁としては、昭和六十二年度から、漁船プレジャーボート等利用を調整するための漁港利用調整事業を実施したり、平成九年度においては、漁港施設等プレジャーボート等係留施設として許可するなど、適切な使用が図られるよう指導してきた。しかし、なかなかうまくいかないので、今回の改正案において、漁港管理者があらかじめ告示した上で代執行できるようにすること、その代執行の結果、除去等の対象となった物件に関する保管義務を定め、さらに、当該物件が返還できない場合等には売却廃棄売却代金保管等を行うことができるようにされているわけであります。  河川については、既に平成九年の河川法改正によってそういう措置が行われているようでありますが、それらの実績等も踏まえて、以下の点について具体的なことを伺いたいと思います。  一つは、漁港区域内に放置されている四万二千隻の膨大な数の放置艇処理とは、一体、具体的にどういうふうに処理をするのか。単に係留場所をつくってそこにつないでおくだけでは始末がつかないのじゃないか、こういう感じもするわけであります。  しかも、さっきの調査結果によりますと、プレジャーボートについては地域的な偏在性が非常に強くて、三大湾、東京湾、大阪湾、伊勢湾と瀬戸内海に集中しておる、こういうふうに言われているわけであります。そういう海域は、いろいろな意味で過密な海域でもあるわけであります。膨大な放置艇をちゃんと係留して保管するような場所を確保するという点からいえば、そう簡単ではないのではないか、こういうふうにも思われるわけですが、そういう点をまず一つ。  時間がありませんからまとめて言いますが、二つ目は、代執行した物件が返還できない場合に売却廃棄売却代金保管等を行うことができる、こういうふうにされているわけですが、常識的に言って、そもそも売却できるようなものは放置をされていないのではないか、こういうふうにも思われるのですが、四万二千隻あるうち、大体どれぐらいが売れるようなものと見られているのか。本当に、その辺の実態はどうなのか。  三つ目は、売却できないものについては、やがてどこかで解体したり破砕処理をしたりしなければならぬような状態が出てくると思うのですね。さっき言ったように、河川関係については実績が多少あるようですから、そういう実績も踏まえながら、どういうふうな処理をされるのか。特に、最近ボートというか船はプラスチック製などが非常に多いというふうに私は思っているわけですが、そういう意味で、処理にかなり問題があるのじゃないかなというような感じもしている。  これらの点、以上三つまとめてお答えをいただきたいと思います。
  30. 中須勇雄

    中須政府参考人 初めに、プレジャーボートに関する今回の法改正の具体的な内容につきましては、先ほど先生からお話のあったとおりでありまして、漁港内に勝手に放置されているというものを、少なくとも秩序正しく漁船活動支障のないように整理をする、そういう権限漁港管理者に与える、これが今回の改正の一番の眼目であります。  ただ、そういうことが今回の措置法改正によって可能になるわけでありますが、それによってプレジャーボート問題がすべて解決するわけではない、それは御指摘のとおりでございます。基本的にプレジャーボートを収容する施設が足りない、これはもう明らかでありまして、やはり規制の面と、施設整備していくという両面を進めなければならない。そういう意味で、先生から御指摘がございましたような利用調整事業等で我々も努力をしていかなければならない、両々相まって進めていく、こういうことだろうと思っております。  しかも、プレジャーボートの本質的な問題については、三省庁共同の議論の中で出てきておりますように、やはりより抜本的な保管係留対策考える必要があるのじゃないか、こういうことも指摘されておりますので、この点も三省庁で取り組んでまいりたいというふうに思うわけであります。  それから、放置艇、現実に漁港区域内で四万隻というふうに言われているわけでありますが、これらはいずれも実際にまだ使える船、それが漁港管理者に無断で係留されている、放置されている、そういう状況であります。ですから、これ自体は、売ろうと思えば、幾らで売れるかということはありますけれども、価値のあるもの、そういうものが四万隻あるということであります。どうしても所有者が確認できなければ、やはりかわって売ってしまうということも当然、権限として与えて、処理が確実に行えるようにしていきたい、こういうふうに思っているわけであります。  ただ、お話にありましたように、今、漁船につきましても約九割がFRP漁船、強化プラスチックのようなグラスファイバー、そういう形になっております。将来、一定の耐用年数を過ぎた時期にこれをどう処理していくかが、やはり大変大きな課題であります。これにつきましては、運輸省を中心としながら、技術開発の問題、どういうふうに低いコストで処理ができるかという問題を含めて取り組んでいただいておりますし、我々も運輸省と協力しながらその課題に取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
  31. 谷野龍一郎

    ○谷野政府参考人 お答えを申し上げます。  プレジャーボートの廃船処理技術、それから、将来の技術開発に向かって今どういう努力をしているかということを御報告申し上げます。  まず、廃船処理実態でございますが、制度的には、プレジャーボート廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく一般廃棄物としまして、所有者地方自治体により処理されるのが原則でございます。そして、その処理費用の負担については、廃棄物の排出者であります所有者が負担をするというのが原則となっております。  一方、プレジャーボートは、通常、廃船処理する場合には焼却処分とか埋設処分が考えられるんですが、低温で焼却をいたしますと、ダイオキシン等が出てしまうということで、今は粉砕をしまして埋設するというのが一般的な方法でございます。ただ、いかにも先生指摘のように、プレジャーボートは偏在をしておりますし、一カ所に集めてそれを集約的に処理していくというのがなかなか難しゅうございます。したがって、結果としては処理費用が大変高くなりまして、これを何とかしなければなかなか事業化できないということでございます。  こういったことから、私どもとしては、将来の循環型社会に向かって、リサイクルとかリデュースとか廃棄物を少なくする仕組み、あるいは廃棄物を出さない仕組みを何とか技術的に開発したいということで、具体的には、FRP廃材をセメント等の原材料として再利用する技術でありますとか、船をそのまま全部捨ててしまうわけではなくて、活用できる部品は新たな船として再生するといったようなことで、平成十二年度に一億三千万円の予算措置をいただきまして、二年計画でこの処理技術を確立し、事業化を検討していきたい、こう考えております。
  32. 石橋大吉

    石橋委員 自動車もそうですが、港や海岸で船の残骸が朽ち果てるともなく放置をされているというのは非常に景観も損ねますし、漁村のためにもよくないと思いますから、ぜひひとつ、今運輸省が言われているような再利用の技術開発などを急いでいただきますように、お願いをしておきたいと思います。  次に、水産関係公共事業の事業評価制度について伺いたいと思います。  水産関係公共事業における事業評価制度は、水産関係公共事業、漁港整備事業、漁場整備開発事業、漁港海岸事業などにおいて、事前評価、再評価及び事後評価を導入し、事業採択前から事業完了に至るまで、事業の実施過程の透明性及び客観性を確保してより効率的、効果的な事業の執行を図ることを目的として、平成十二年度に実施される事業から適用される、こういうことになるわけであります。  このことに関連して、平成十二年度新規採択事業の件数を見ましても、相当な数に上っているわけですね。例えば、沿岸漁場整備開発事業で三百八十八カ所、漁港漁村整備事業で百二十二カ所、漁港海岸事業で十二カ所、こういうふうになっているわけですね。相当な件数について評価を行わなければいけない。そういう意味でいうと、水産庁にそういう評価をできるようなシステム、スタッフが整っているのかどうか、若干無理があるのじゃないかというような感じもしているわけですが、この辺はどうかということ。  もう一つは、せっかく評価をするわけですから、その評価の結果についてできるだけ公表して客観的、透明性のある合理的な評価が行われるようにしなきゃいかぬと思います。そのためにはやはり情報公開制度がどうしても必要だというふうに考えていますが、その辺についてどういうふうに考えているか、説明を伺いたいと思います。
  33. 谷津義男

    谷津政務次官 先生の御指摘になりました事業評価にかかわる情報公開について、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。  水産関係公共事業につきましては、これまででも、計画の検討段階から、その内容や効果等につきまして広く関係者及び住民に説明をいたしまして、調整を図ってきているところであります。  また、昨年八月に作成しました事業評価実施要領に基づきまして、評価内容及びその結果については広く公表を行っているところでありまして、特に農水省におきましては、記者発表やインターネットを通じて公表を行っているところであります。先生も御案内かと思いますが、この評価実施要領の中に、「結果の公表」というところで、「水産庁及び事業実施主体は、事業評価内容及び評価結果等を公表するものとする。」と明記されておりまして、その件について積極的に公表しているところであります。  今後とも、事業の効率性及び実施過程の透明性、客観性の確保に努めてまいりたいと思っているところであります。
  34. 中須勇雄

    中須政府参考人 水産関係公共事業における事業評価制度については、ようやく全体がこの十二年度から動くようになったということでございまして、一部、例えば平成十年度からは、再評価システム、五年程度経過した事業について再評価をするということが始まりました。昨年八月に統一的な実施要領を策定いたしまして、再評価のほか、事前評価、事後評価を含めて実施していく、こういう体制を整えたところでございます。  ただ、率直に言って、まだ経験が浅い分野もございますし、かなりの数の事業がございます。そういう意味で、これを円滑かつ効果的に実施していくという意味では、国あるいは事業主体としての地方公共団体、そこにおける職員の養成を含めた体制の整備が課題であるというふうに認識をしております。引き続き努力をしてまいります。
  35. 石橋大吉

    石橋委員 いろいろと公共事業をめぐっては議論のあるところでありますから、せっかく再評価制度を導入されるわけですから、ひとつ万全を期して国民の期待にこたえていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。  次に、余り時間がありませんが、せっかく水産関係質問の機会を得ましたので、この際、国連海洋法施行あるいは日韓の新漁業協定が締結をされた後、余り実績をどうこう言うのには少し時間が足りないかなという感じもしないことはないんですが、現状を踏まえながら、二、三質問をしておきたいと思います。  まず一つ、少なくとも私の出身の山陰沖などでは、EEZ内の漁業秩序は、国並びに県による集中的な特段の取り締まりなどもあり、当然その前提には海洋法があるわけですが、おおむね非常に良好な状態になっておる、こういう評価のようでありますが、全国的な、全体的な評価は一体どういうふうになっているか、まずその点をひとつ明らかにしていただきたいということ。  まとめて言います。二つ目は、EEZ内においては非常に良好な状態になっているけれども、問題は暫定水域の中の話ですね、暫定水域を非常に広くとられたということ、実効性のある資源管理措置が講じられなかったこと。操業の取り締まりについては旗国主義をとっているわけですから、韓国漁船については日本側が規制する権限を持たない、こういうようなこともあるわけですが、そういうことから、島根県のベニズワイガニかご漁業は韓国漁船との漁場競合が激化をして重大な打撃をこうむっているように、関係者から聞いているわけであります。特に、EEZ内の韓国漁船の入漁規制の結果、EEZに近接した暫定水域に韓国の底刺し網、バイかご、カニかごなどが集中しており、乱獲による資源の枯渇が心配をされる、こういう状況になっているわけであります。  暫定水域内のことですから、取り締まり権限を行使してそれをどうこうする、こういうことにはならないわけですが、それにしても、双方の政府レベルあるいは民間レベルの協議の場において、事態の改善だとか合理的な操業のありようなどについて協議をして改善を求めることは可能ではないかと考えるわけであります。水産庁はこの辺をどういうふうに受けとめ、対応しておられるのか、承りたいと思います。  もう一つ、いよいよ六月一日から日中の漁業協定が発効するわけであります。今準備交渉中のようでありますが、島根県沖合における中国の多数のイカ釣り漁船、山口県沖まで進出してきている百隻近い中国の底びき網漁船、こういうものの規制が図られなければ沿岸漁業に重大な打撃を与えるおそれがある。日中交渉でこういう問題についてどういうふうな対応がされているのか、まとめて伺いたいと思います。  以上です。
  36. 中須勇雄

    中須政府参考人 初めに、日韓漁業協定後の全般的な状況でございますが、今山陰について先生からお話がありましたが、我が国全域にわたって基本的には同様の認識を持っております。我が国のEEZについては、かなり秩序正しい操業が定着しつつある、こういうふうに思っております。  ただ、しかしながら、ちょっと不安というか懸念材料は、ことしの四月末時点で既に韓国漁船を九隻拿捕しております。かなり悪質なものも含めて違反船が見られる。これはやはり対馬から山口県にかけてのその辺の水域が多いわけでありますが、これについては、今後とも海上保安庁と連携しながら、集中的な取り締まりが必要ではないか、こういうふうに思っております。  それから、暫定水域の問題でございますが、ただいま御指摘がございましたとおり、韓国の底刺し網漁船あるいはかご漁船等の操業隻数が増加をしておりまして、我が国漁船との漁場競合ということが生ずるとともに、資源に与える影響も大変懸念されるというのが率直な状況であります。このため、暫定水域の資源管理の問題については、昨年、玉沢大臣に韓国の担当大臣との大臣間協議がございました際に、強く日本側の主張を申し入れていただきまして、その結果、昨年暮れにはようやく暫定水域について、まだ緒についたところではありますが、一定の資源管理措置を行う、こういうことを合意いたしました。  さらに、特に操業上のいろいろトラブル防止という意味では、漁業者間での話し合いをやろうではないか、こういうところも合意をしたわけで、今そういう話し合いが民間レベルでも続いております。これを我々は積極的に支援していきたいし、先生から御指摘がありましたように、さらに、暫定水域におけるしっかりした資源管理措置が政府ベースでも強化されるように引き続き取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。  新しい日中漁業協定につきましては、ことし二月の玉沢大臣の訪中によりまして、この六月一日から発効ということでの合意がなされたわけであります。それに向けて、今、鋭意操業条件の協議を実施しているわけであります。  そういうさなかに、お話がございましたように、対馬周辺水域等を中心としてかなりの数の中国漁船が進出をしてくる、これは漁場競合の問題もありますし、資源上の問題もあるということで、我々も強い懸念を有しているわけであります。  基本的には、我々、新しい操業秩序のもとでは資源の保存を確保するというのがやはり第一、それと、我が国漁船自体が安定して操業できる秩序をつくり出す、これを二つの眼目として今中国との間で協議を鋭意進めているところであります。  本来でございますと、六月一日かなり近づいているわけで、早急に結論を得なければなりません。まだ双方にかなりの差がございますが、先ほど申しました観点に立って、引き続き努力をしていきたい、こう考えております。
  37. 石橋大吉

    石橋委員 沿岸漁業者の死活にかかわるような問題でもありますので、日中交渉で適切なまとめをしていただきますように、関係漁民の皆さんにかわってぜひお願いをしておきたいと思います。  もう余り時間がないんですが、最後に、平成十一年度の漁業白書に関連をして、予定の質問は全部できないかもしれませんが、時間の範囲内で聞いておきたいと思います。  まず一つは、先般、農業については担い手問題、青年就農者問題を中心に一時間半にわたって質問をさせていただきましたが、漁業について漁業の担い手あるいは後継者対策について質問をしておきたいと思います。  私、この間、八日の月曜日に、お互い選挙を前にしておりまして、島根半島の日本海沿岸をずっと一日歩いたんですが、あるところで網の修理をしている漁師の皆さんが二、三人おりまして、そこでいろいろ話したんです。  玉沢大臣はどう思っているか知りませんが、漁民の立場からすると、農林水産省は農林業はあるけれども、水産はないという言い方をするわけです。これは、何もしてもらっていないというわけではないですよ、農林業に比べて水産がそれほど手厚い措置をされていない、こういう意味ですよ。  一瞬、僕もこれはどういうことかなと思ったんですが、考えてみると、例えば、新規の青年就農者と漁業に就業する人との扱いなどを政策的に見ても、農業についていえば、就農準備のための研修費用の融資あるいは就農に当たっての施設、機械、機具を購入するための融資だとか、かなりそういう措置がされているけれども、抽象的にはいろいろ考えられているが、水産業の場合は農業に比べてそういう措置が少し弱いのじゃないかという感じが、言われてみると、私もするわけです。  ちなみに、今度の白書を見ると、平成十年の男子漁業就業者の年齢構成を見ると、大臣、御承知だと思いますが、六十歳以上でもう四十何%ですよね、四二%。六十五歳以上が二七・四%、六十歳から六十四歳が一四・八%、四十歳から五十九歳では四〇・九%、もう三十九歳以下の若手は微々たるものです、全体からいえば。  特に、六十歳以上が四〇%を超えるという状況は、もう十年したら消えるわけですから、よっぽどしっかりした手を打っておかないと、これから御承知のとおり、一方で少子化が進む、少子化が進むということは若手の良質な労働力が全体としては少なくなるということですから、労働力の確保をめぐって産業間の競争は激烈をきわめるような状況になってくる。これはもう必至だ。そのときに、現状のまま放置していくと、私は、漁業の担い手はいなくなってしまうのではないか、こう心配しているわけであります。  そういう意味では、ちょっと言い方は悪いのですが、ありきたりの対策ではもうだめだ、よほど思い切って集中的な若手の漁業の担い手を養成し確保するための手だてを講じないと、だめなところに来ている、こう思うのですよ。もう時間がありませんから、このことについてだけひとつきちっと、水産庁なり大臣の、うん、これからやるぞ、こういう答弁をひとつお願いしたいと思います。
  38. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員も出身は漁業県でございますが、私も漁業県で、小学校の二年生からさんぱ舟に乗ってやってきた、今、六十歳以上の私の同級生の皆さんが沿岸漁業をやっている。  私が感じますことは、資源が枯渇してまいりまして、漁業をやっておってもなかなか所得が得られない。したがいまして、魚がたくさんおって、豊漁が続いて高い値段で売れていけば、やる気のある漁業者はどんどん出てくると思います。まず第一に、そこをしっかりやるということが大事だと思います。  なおかつまた、これから青年の方々で漁業に従事したいという方々に対しましては、求人情報の提供や、漁業経営をこれから開始するために必要な無利子資金の融資制度等の支援策を講じてまいりたい。いろいろな観点から、後継者、担い手を確保するために努力していきたい、こう思っております。
  39. 石橋大吉

    石橋委員 確かに大臣が言われるとおり、資源が激減をしておりまして、遠洋漁業が厳しく規制されるようになった、公海の漁業も同じく規制されるようになった、そういうこともありましょうし、資源の減少、特にイワシなんかは物すごく激減をしているわけですから、そういう点はあると思います。同時に、漁業従事者、漁業経営体も大幅に減っているわけですから、そういう意味では、ある程度所得が確保できるような状況も、従事者や経営体の減少の中であるのじゃないかという感じもしないことはないのです。  どっちにしても、担い手問題は深刻でありますから、ひとつそれを十分念頭に置いて、手を打っていただきたいことを重ねてお願いして、私の質問を終わります。
  40. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、漆原良夫君。
  41. 漆原良夫

    ○漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。私の方から若干お尋ねをしたいと思います。  今回の法律改正は、地方分権推進し、地方公共団体による主体的かつ効率的な漁港整備及び維持管理を可能にするため、第一種漁港指定については市町村、第二種漁港については都道府県が指定を行うということとして、権限がそれぞれ移譲されているところでございます。  そこで、二点についてお伺いしたい。  今回の法改正において、第一種漁港、第二種漁港地方自治体移譲されておりますけれども、改正以降の指定はどの程度あるというふうに想定されているのか、その見通しをお尋ねしたい。  もう一点は、この改正によって地方自治体の主体性がどのように発揮されるのか、この二点について、あわせてお尋ねしたいと思います。     〔委員長退席、松下委員長代理着席〕
  42. 中須勇雄

    中須政府参考人 最初の点でございますが、実は、漁港指定は、二十五年に法律ができて以来順次進めてまいりまして、平成五年度末に一応ピークの二千九百五十三港、その後徐々に減っておりまして、今、二千九百三十七港という状態でございます。全体として見れば、指定自体は一巡している、こういう状態だと思います。  したがいまして、今後、権限移譲されることによってどういうふうな動向になるか、なかなか現時点では的確な判断は私どももしにくいというのが率直な状況でございます。  それから、二点目の趣旨ということでございますが、何といっても、第一種、第二種漁港というのは市町村なり都道府県の地先での利用が主ということでございますので、その指定権限あるいは管理権限ということについて、地元の地方公共団体が地域の実情に十分即した形で自分で御判断ができる、こういう体制をとることによって、漁港の運用、整備を含めまして、より地域に密着した効果が期待できるのではないか、そういうふうに考えている次第であります。
  43. 漆原良夫

    ○漆原委員 続いて、漁港法による指定は、法律上、その漁港漁業根拠地として認定し、その漁港整備維持管理がなされておりますが、そのため、漁港整備計画では、他の公共事業に例を見ない国会の承認という手続を踏むことになっております。国が十分その責任を果たし得るような制度が規定されているわけでございますけれども、ある意味では、指定漁港整備は一体のものとしてこれまでは取り扱われてきた、こう考えております。  そこで、今回の指定権限移譲について、漁港整備についての地方負担のあり方や、今後、地方自治団体が漁港維持管理していく上において、負担増につながっていくのではないかという不安があります。今後、漁港整備に対する国の助成のあり方について変更があるのかないのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  44. 谷津義男

    谷津政務次官 漁港整備につきましては、地方公共団体等は整備計画等に基づきまして事業を着実に進めてまいりました。そしてまた、国はそのための所要の予算を確保してきたところであります。  また、今回の漁港法改正では、地方公共団体に国の指定及び管理権限移譲されることになりますけれども、地方公共団体等が漁港修築事業を実施する場合の国の負担割合あるいは補助率につきましては、従前どおり、変更するものではございません。  したがって、地方の発意によりまして、より主体的な漁港指定整備及びその管理が可能になりますが、このことによって従来の整備考え方が変更されることはございません。
  45. 漆原良夫

    ○漆原委員 はい、よくわかりました。  続いて、現行法では、たとえ一種の漁港であっても、漁港審議会の審議を経て、関係地方自治団体の意見を聞いて、指定内容の変更または取り消しを行ってきております。しかし、今回の改正において、新たな漁港指定や、従来の既存の漁港であっても、その変更や取り消しについては漁港審議会の審議が不要となっております。  従来この審議会が果たしてきたような第三者機関は必要ではなくなったのか、その理由についてお尋ねしたいと思います。
  46. 谷津義男

    谷津政務次官 今回の漁港法改正では、地方分権推進観点から、漁港指定制度について、第一種漁港指定権限市町村長に、そして、第二種漁港指定権限都道府県知事移譲することとしておるところであります。これによりまして、第一種及び第二種漁港については、地方公共団体の発意によりまして漁港の取り消しが可能となったものでございます。  しかしながら、これまでの漁港の取り消しが行われた実績といたしましては、利用漁船がなくなった場合や他の漁港と合併した場合に限られておりまして、指定権限地方公共団体移譲された後におきましても、漁船利用があって漁業根拠地として利用されている漁港につきましては、漁港の取り消しが行われることは実態上ないものと考えておりまして、問題はないものと思っております。
  47. 漆原良夫

    ○漆原委員 それでは、続いてプレジャーボートについてお伺いしたいと思います。  プレジャーボートをめぐる問題につきましては、国民生活における余暇の時間や余暇活動の増大に伴って、海上レジャーであるマリンスポーツも盛んになってきております。しかし、マリンスポーツが大変増加して盛んになっていることに相反して、地域の漁業者との間で、船の係留をめぐるいろいろな問題、不法駐車とか不法駐艇あるいはまたごみの投棄など、トラブルが発生しております。  漁港は、漁船以外の船舶利用について、特にプレジャーボートについてはどのような位置づけになっているのか、お尋ねしたい、こう思います。
  48. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 漁港は、基本的には漁船利用を目的として整備され、管理されるものでありますけれども、この本来の目的に支障が生じない範囲において、遊漁船プレジャーボート等漁船以外の船舶利用を排除するものではないと考えております。  農林水産省といたしましては、今後とも、漁業活動支障のない範囲内において必要な収容施設整備を支援していく考えであります。
  49. 漆原良夫

    ○漆原委員 昨今の海洋レジャーとしてのプレジャーボートの増加について、大臣はどのように評価をされているか、お尋ねしたいと思います。
  50. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 これは先ほども申し上げたように、漁業活動支障のない範囲で調整を図っていくということだと思いますが、同時にまた、遊漁船等におきましても資源の管理の問題があると思います。これは、国が金を出し、あるいは漁業者が金を出して、いろいろ資源を培養していくというような経過があるわけでございますが、それに対して、全部ただでとっていいのかということにおいてはいろいろと考えがあるところだと思いますので、今後、こういう点についてはよく調整をしていかなきゃいかぬ、こう思います。
  51. 漆原良夫

    ○漆原委員 今回の改正で、漁港区域内において、みだりに船舶、自動車等を放置すること等を禁止することとして、区域というのは、漁港の保全上特に必要があると認めて漁港管理者指定した区域に限る、こうなっております。こうした制度を円滑に行うためには、放置禁止等指定区域の周知徹底、監視体制の強化が必要であり、あるいはまた、プレジャーボートの場合に所有者が特定できない場合が多くてその徹底が懸念されるところでございますが、今後、その周知徹底に対してどのような対応をおとりになるのか、お考えをお尋ねしたいと思います。
  52. 中須勇雄

    中須政府参考人 やはり放置禁止区域等を定めた場合には、省令で具体的に周知の方法を定めることになっております。例えば、見やすい場所に看板を設置して、だれでも利用する人がここはいけないところだというふうにわかるように、そういうことを含めて、御指摘のとおり、周知を図ることが重要でありますので、的確な周知対策が図られるように各漁港管理者を指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
  53. 漆原良夫

    ○漆原委員 この改正案では、放置された船舶、自動車等の除去命令等漁港管理者が監督処分をしようとする場合においては、相手を確知できないときであっても、当該措置漁港管理者みずから行うことができるようにする、そういうふうに規定されておりますが、プレジャーボート等放置艇については、本来、所有者がその処分や処分費用に困って放置している場合が多くて、結局、それは漁港管理者の負担となるのではないかというふうに懸念されていますが、その辺はいかがでしょうか。
  54. 谷津義男

    谷津政務次官 今回の改正によりまして、漁港管理者が必要に応じて放置艇を処分することを可能とすることにしておりますが、これに要する費用につきましては、漁港管理者が一義的に負担することとなっておるところであります。  しかしながら、当該処分にかかる費用につきましては所有者に負担させることが原則でございまして、その後所有者が判明した場合、その費用を所有者が負担する義務を負うことにつきましても、あわせて法律上明確化したところであります。  そのために、今回の放置艇対策の導入は、直ちに新たな財政負担を伴うものではないというふうに考えているところであります。
  55. 漆原良夫

    ○漆原委員 ただ、所有者が最終的にもうわからないという場合については、結局、管理者の負担になるのではないかというふうに思いますが、この点はどうなんでしょうか。
  56. 谷津義男

    谷津政務次官 この辺につきまして、今、漁港内に四万隻ぐらいのものが放置されているということでありますけれども、この船につきましては、かなりまだ再利用できるようなものも実際にあるということでありますから、もしそういう場合には売買もできるということになっておりますので、当然、その負担につきましては何とか確保できるものと思うわけであります。
  57. 漆原良夫

    ○漆原委員 プレジャーボート廃棄については、一般の廃棄物と同じような取り扱いを受けていると聞いておりますが、その実態についてはどのようになっているのか。  また、先ほどちょっと話がありましたが、FRPのボートについては破棄するのが大変困難であるというふうに聞いておりますが、その処分の実態についてお伺いしたいと思います。
  58. 谷野龍一郎

    ○谷野政府参考人 プレジャーボート処理の問題につきましては、先生の御認識のとおりでありまして、原則は一般の廃棄物と同じような方法で処理をするということにはなっておりますが、大変物が大きいものですから、実態上はなかなかそうはいかないということでございます。また、廃棄をするときの技術も、ある種特殊な技術が必要となってまいりますので、これも対応できる事業者がかなり少のうございまして、なかなか難しゅうございます。  したがいまして、私どもとしては、まず、その処理する技術を確立する必要があるということで、平成十二年度の予算で一・三億円の処理技術開発のための費用をいただいております。そして、ちょうど今週の月曜日に委員会をスタートさせまして、二年間の目標で処理技術を確立し、その処理技術をもって処理の実用化を図っていくということで、経済的な仕組みの中にその実用化を組み込んでいきたい、こういうふうに考えております。
  59. 漆原良夫

    ○漆原委員 水産庁運輸省港湾局建設省河川局の三省によるプレジャーボート係留保管対策に関する提言では、五トン未満の小型プレジャーボート所有者を明確に把握できる新たな制度の創設や、保管場所の確保を義務づける制度を検討しているというふうに聞いておりますが、その内容について御説明いただきたいと思います。
  60. 中須勇雄

    中須政府参考人 御指摘のとおり、三省庁共同プレジャーボート等係留保管対策ということで、平成九年度に調査を行うと同時に、学識経験者の皆様にお集まりいただいて、この問題にどう対処していけばいいか御議論をいただき、提言を平成十年に取りまとめていただいたということであります。  その中では、やはりプレジャーボートに対して適切な規制措置を講ずるということと、一方で、やはりプレジャーボートを受け入れる施設をつくっていく、これを車の両輪として進めないと、問題の解決が図られないということがポイントであります。その中での一つの大きな話としては、車であると車庫証明というのが現在、必要でございますが、それと同じようにプレジャーボート保管場所の確保を義務づける、こういう制度を導入してはどうか。それから、ただいまお話がございましたように、五トン未満の船についてだれが所有者かということがわかるような制度を導入すべきではないか。そういうことを検討する必要があるという提言をいただいております。  五トン以上の船については、船舶法その他関連する法律によりまして、一応その船の登録番号等によって所有者がだれかということがわかることになっております。ただ、五トン未満だけは、名乗り出てこない限り、だれが所有者か全くわからないという状況でありまして、そういう制度の創設が必要なのではないか、こういうことが提言されているわけであります。  この提言を受けまして、今、三省庁を中心にいたしまして、プレジャーボート係留保管対策、これは先ほど申しました両輪の話を含めて、連絡会議を設置して、円滑な推進方策をどう進めていくかということの議論を進めているところでありまして、その中で効果的な方策を見出し、共同で取り組んでまいりたい、こういうふうに思っているわけであります。
  61. 漆原良夫

    ○漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  62. 松下忠洋

    ○松下委員長代理 次に、中林よし子君。
  63. 中林よし子

    ○中林委員 法案質疑に先立ちまして、九日の北海道の談合問題での藤田議員の質問に関連して、再度ただしたいと思います。  私は、談合問題に北海道農政部次長ポストにいた農林水産省の職員がかかわっていたのではないか、調査すべきではないかという藤田議員の質問に対して、公正取引委員会調査結果ができてから判断したい、こういう答弁大臣も構造改善局長もされて、ちょっと耳を疑うような状況でございました。この件では、北海道庁自身が独自の調査で、談合していたということを三月にもう公表をしているのです。だから、公正取引委員会調査結果が出る前に、みずから違法行為をしていたことを北海道庁は明らかにしているわけで、北海道自身は自浄能力を持っていたというふうに私は思います。  しかし、農林水産省は、みずからの職員が国家公務員法九十九条違反の可能性があるにもかかわらず、直ちに調査に着手しない、こんなばかな話はないというふうに私は思います。しかも、北海道で談合疑惑があるのは農業農村整備事業等についての問題で、まさに農業公共事業の談合問題であります。  国家公務員の倫理の問題で、倫理法が制定されて、こういう国家公務員倫理教本まで出して、今、国民から厳しい目が注がれている中で、ちゃんと倫理を守っていこう、こういう状況の中で違法行為に手を染めていたのか、こういうことが疑われているときに調査をしようともしない、これは許されることではないというふうに思います。  農水大臣、農業公共事業の談合問題に対する農水省の姿勢が問われている重大問題だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。大臣大臣答弁に関してですから。
  64. 松下忠洋

    ○松下委員長代理 では、事実関係を、まず渡辺構造改善局長、それから大臣にお願いします。
  65. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 済みません。大臣から答弁をいたします前に、事実関係をちょっと確認させていただきたいと思います。  九日の委員会におきまして、藤田議員より、今ございましたような受注調整への関与、あるいは道職員の再就職時の覚書署名に農林水産省からの出向職員が立ち会っていたのではないかとの指摘がなされました。この点につきまして、二点、事実関係を申し上げたいと思います。  まず部長でありますが、そもそも農林水産省からの出向職員は工事を担当する部長職には就任をいたしておりません。  それから、次長でございます。北海道農政部には三名の次長職がございます。出向職員は工事等を担当する次長職にはついておりませんので、覚書交換に立ち会う立場にはございませんでした。  なお、念のため、私どもの方でそれぞれの次長経験者に確認をいたしましたところ、覚書署名の立ち会いを行っていないとの回答を得ております。
  66. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 公正取引委員会調査結果が出れば、補助金を所掌している立場から、農林水産省といたしましても、北海道に対し正式の報告を求めますとともに、必要な指導を行うことを考えているところであります。
  67. 中林よし子

    ○中林委員 まず局長の答弁ですけれども、次長に転出していた人たちに問いただしたのだけれども、そういうものに立ち会ってはいない、こういう御答弁でしたけれども、この二十年間、八人が次長へ転出をしていますね。このお一人お一人すべてにお聞きになったことでしょうか。
  68. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 恐縮でございますが、道庁の農政組織、これは、確かに今八人とおっしゃられましたけれども、昭和六十三年四月までは農業農村整備事業等を行う農地開発部と農務部に分かれております。農務部には工事を担当する権限はございません。したがいまして、農務部時代に出向しておりました部長、次長経験者には、事情を聞いた方は一名おりますけれども、その確認はとっておりません。  農政部になりましてからは、旧農地開発部がこの部の中に含まれておりますので、それ以降の出向者一人を除きまして三名になりますけれども、確認をいたしました。その中で、農林水産省からの出向職員はこの工事関係の事案、それから、人事関係の事案には、そういった所掌にございませんので、権限もございませんし、実際上の覚書の交換への立ち会いも行っていないという回答を得ております。
  69. 中林よし子

    ○中林委員 九日の質問のときに藤田議員も指摘をしておりましたけれども、北海道議会では、次長も立ち会っているケースもあったと答弁を部長がされております。これは会議録がちゃんとあるわけです。  だから、そういう意味では、局長が三名に問いただした、その事実はなかったとおっしゃるんですけれども、その三名とはだれとだれとだれですか。
  70. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 藤田先生、中林先生の御指摘は次長ということでありまして、次長は三名いらっしゃいますから、そのうち、例えば農地開発系の方であったり、あるいは人事関係を担当する事務系の次長さんが立ち会ったということは推測はされます。しかし、今私が申し上げましたように、農林水産省からの出向者につきましては、そういう所掌にもございませんでしたし、事実としてなかったということでございます。  念のため申し上げますと、六車、松本、高橋博、この三名には私の方から、立ち会っていない旨について確認をとっております。
  71. 中林よし子

    ○中林委員 立ち会っていなかったという確認はいつなさいましたか。
  72. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 昨日、念のために確認をさせていただきました。
  73. 中林よし子

    ○中林委員 そうすると、北海道議会の答弁と食い違いをするわけです。  それで私は、少なくともこの二十年の間、役職柄そういう立場になかったのではないかという一つの判断が局長の間で働いているということと、それから、三名に聞いたんだけれども、立ち会っていなかったという確認をとったということで、この二十年の間、部長にもなっている高橋氏もいるわけです。だから、そういう意味では、この談合問題というのは、倫理の問題よりも違法行為でありますから、当然調査をすべきだ、だから、公取の調査の結果を待ってというような非常に消極的な姿勢ではなくして、ちゃんとした調査をし、その報告をこの委員会に出すべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  74. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。
  75. 中林よし子

    ○中林委員 先ほどの大臣答弁は、調査をしないとはおっしゃらなかったわけで、強くこの問題でも引き続き私たちは事実関係を明らかにしながら、農水省の農業公共事業にまつわる談合の問題で、北海道庁としてはちゃんと自浄能力を今発揮しつつあるというところです。そこに出向していた農水省の役人、これは出世コースとも言われていた出向の立場にあった人たちが、ここにかかわった疑惑というのはいまだに晴れてはおりませんので、引き続きただしたいと思っております。  そこで、法案の問題に移るもう一つ前に、漁業問題でちょっとお話をお伺いしたいというふうに思います。  先ほども、新しい日韓漁業協定の問題の質問がございました。この問題は、私どもも非常に重要な問題だというふうに思っているんです。この協定が結ばれて二年までいきませんが、一年半ぐらいたっているわけですが、暫定水域内でのルールづくりというのがなかなか進まなかったという問題がございます。やっとことし、三月三日から三月四日に、第一回日韓民間漁業者団体協議会というのが開かれました。これはよかったというふうに思っているんですが、そのときに、日本側の代表がごあいさつをされているわけです。  新協定発効後一年、我が国のEEZ内漁場はようやく秩序ある操業が定着しつつあり、将来に明るい希望を抱けるようになった、しかし、暫定水域においては、操業ルールの確立についての問題解決の機会は先送りされ、以前にも増して無秩序な操業が続いており、資源保護や漁業管理の上で憂慮すべき状態となっているという実情をお述べになって、だからこそ、双方の話し合いが必要だということを述べておられます。そして、無秩序な操業は、我が国漁業者の操業を妨害し、我が国の操業水準は協定発効前に比べて大幅に減少し、漁業経営に深刻な影響を与えているが、我々が恐れるのは、このことによってこの水域の資源が早急に枯渇してしまうだろうという懸念を述べておられます。遅くなったとはいえ、ようやく暫定水域内における秩序ある操業の確立に向けて第一歩を踏み出すことになったということで、この民間の話し合いに対する大変な期待が述べられております。  率直に、この第一回では、カニの問題を初め、いろいろな漁種についての、こういうふうにしてほしい、ああいうふうにしてほしいという要望が出され、そしてまた、第二回目の民間の漁業者同士の話し合いが行われ、一定の合意事項も達せられました。  第三回目も五月に行われるというふうに伺っているんですが、その中で、島根県沖の独自の漁でありますシイラつけ漁、これが暫定水域内に仕掛けがされる、今のままでいくと、韓国漁船がたくさん入ってなかなか安心して漁業ができないんだ、こういう問題も含めてですけれども、一層民間同士の話し合いを水産庁としても促進を図る、その努力をしてほしいということ。  そして、この日韓漁業協定が本当に日本の漁民にとってよかったんだ、日本漁業振興に貢献したんだと、こういうことになるように、合意事項がちゃんと実効担保できるように、水産庁としても責任をとっていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  76. 中須勇雄

    中須政府参考人 御指摘のございました日韓の暫定水域における操業秩序なり資源管理の問題につきましては、協定発効当初、合意ができないという不正常な状態が続いていたわけであります。  先ほどもちょっと触れましたように、昨年、玉沢大臣が訪韓されまして、閣僚間で強く日本側の主張を申し上げ、最終的には、こういう事態を放置していけば日韓両国の漁民にとって不幸なことになる、こういうことでありますから、両国漁業者の利益のためにもちゃんとした秩序正しい、資源に配慮した操業が行われるようにしなければならない、そういう旨を強く申し入れていただきました。  それを受けた年末の漁業共同委員会で一定の合意が行われ、今先生が御指摘になりました民間漁業者間での話し合いが実現をしたわけであります。これはちゃんと政府間の共同委員会の合意文書に明記されておりますが、単なる協議だけではなくて、民間で取り決めまで行う、そして、その取り決めを履行することを両国政府がしっかりと支援していこうということまで、文書の中で確認をいたしております。  そのため、これまで二回行われた協議に、我が方も政府職員がその会議に出ておりますし、今後とも、少しずつ話は進んでいるようでありますが、できるだけ早く、資源保護と操業秩序の維持という面で合意がなされ、そして、両国政府がそれを支援して実効あらしめていく、そういうふうに取り組んでいかなければならない、そういう課題だということで、我々も力を入れて取り組んでいきたいと思っております。
  77. 中林よし子

    ○中林委員 組合長などから、民間の話し合いというのは大変有効に働いていると、相手と心の交流もできて、韓国側の人からもお手紙が来たり、非常にいい方向に向かっているというふうに私は思いますので、今長官がおっしゃった方向で、水産庁としてもぜひ進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  今度の法案の問題ですけれども、全国三千近い漁港のうち大部分を占める一種、二種漁港指定権限が国から地方に移る。これは、地方の裁量を拡大するということで、住民の実情に応じた漁港をつくる上では一定の条件になるというふうに思っております。ただ、国民への水産物の安定供給だとか水産資源の適正な管理の責任を持つのは、やはり国だというふうに思います。その点で、漁港区域の範囲を農水大臣が許可の上、市町村長あるいは知事が指定するのは当然だというふうに思います。  ただ、懸念されることがあります。指定権限地方移譲されることによって、地方の意向で漁港指定の解除、つまり、老齢化などで寂れた漁港を安易に見捨てるということも地方権限でできるということにもなりかねない。今でも一種漁港は、九〇年に二千二百二十五から、九九年には二千二百十一港というふうに若干減る傾向にあると思うんですね。だから、安易にこういうことで切り捨てにならないようにすべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  78. 中須勇雄

    中須政府参考人 今回、御提案申し上げております法律案の中においては、御指摘のとおり、第一種及び第二種漁港については、基本的に地方公共団体の発意により指定取り消しが可能、こういうふうに制度的には変わるわけであります。  ただ、これまでの、農林大臣指定をする、あるいは取り消しをする、長年の経験の中で、現実に指定が取り消されたと申しますのは、全く使う漁船がなくなってしまった、ゼロになってしまった、あるいは、すぐ近くの漁港区域を含めて合併をする、そういう場合に限られておりまして、これは現実に管理をしております各地方公共団体が、そういう場合に私どもの方に取り消しということを申し出ていただいてやってきた、こういう経験がございます。  そういう立場から見ますと、やはり、利用する漁船があり、漁業根拠地として利用されている漁港については漁港の取り消しが行われることはない、実態的には出てこない、こういうふうに私ども、考えて今回の改正をしたものでありまして、そういう点では支障が生じないものというふうに考えております。
  79. 中林よし子

    ○中林委員 先ほどから、プレジャーボート放置問題が論議されているわけです。  これは随分前から問題になっていて、だんだんふえ続けて全国で約三十万隻ということで、漁船にほぼ並ぶ数になっております。このうち、許可なしの放置艇が十三万八千隻ということで、全国の漁港漁業活動支障を与えて、漁船器具破損あるいは航路妨害、環境問題などで、漁民との間でトラブルも発生し続けております。  今回の改正で、区域指定して、放置の禁止、所有者が確認できない場合でも監督処分ができるようにしたということは一定の改善があるというふうに思うんです。しかし、本当にそれで実際に効果が上がるのかという点が問われているというふうに私は思うのです。その点で、この効果が上がる改善のために、一つ保管場所の確保。これはまだまだ十分でないと思うんですが、漁港利用調整事業が行われておりますけれども、法改正があっているわけですから、今までどおりの予算じゃなくて、ここはぜひ拡充をするべきだというふうに思います。その点についてどうなのか。  さらに、持ち主不明の場合の処理費用、これが自治体負担になると、なかなか大変だろうというふうに思うので、その軽減策、国として助成ができないのか、あるいはメーカー側に一定の負担を要求できないのか、この点についての水産庁考えをお聞きしたいと思います。
  80. 中須勇雄

    中須政府参考人 第一点目の保管場所の確保、これは、御指摘のとおり、ただ規制をすることのみによってこの問題は根本的には解決しない。そういう意味で、今回の改正案、もちろん、秩序正しい漁港利用ということに向けての重要な一歩だというふうに私どもは思っておりますが、それをもってすべて終わっているということではございません。  もちろん、漁港としては漁港の一定の限りがあるわけでありますが、その範囲内において、プレジャーボート等保管場所の確保については、利用調整事業なり、あるいは、もう少し簡易な形で受け入れることが可能な施設をつくる漁港高度利用活性化対策事業、こういうものを含めまして、予算の範囲内でございますが、できる限り対応をしてまいりたいというふうに思います。  それから、処理費用の問題につきましては、やはり私ども基本的には、今四万隻放置されているといっても、これはみんな使える船でございます。決してもう捨てるしかないということではないわけでありまして、新しい手段を使って所有者をしっかりと把握して、そういう方々に秩序正しい利用をしていただくという方向に向けての取り組みをしていただくことが、まず重要だというふうに思っております。  ただ、もちろん、どうしても所有者が判明しない場合に、放置ができないということで処理しなければならないという場合は出てくるかと思います。そういうことにつきましては、一定の費用は、一義的には漁港管理者の負担ということにそこはならざるを得ないわけでありますが、総体として、こういう事業、プレジャーボート対策の今後の全体の進展状況、どういうような状況がこれから出てくるのかということを踏まえながら、より基本的な話を含めて対策を検討していく、そういう課題だと思っております。
  81. 中林よし子

    ○中林委員 先ほどから、廃棄する、処分の技術の確立の問題を運輸省の方もおっしゃっているわけですが、ただ、これはメーカー側にも一定の責任があるというふうに思いますので、メーカー側との協力関係はどのようにされているのか、その点について運輸省の方に答弁を求めたいと思います。
  82. 谷野龍一郎

    ○谷野政府参考人 お答え申し上げます。  処理技術の確立とその実用化にかかわってメーカーがどういう役割を果たしていくかという問題でありますが、三つほど考えられると思います。  まず、技術開発をする際の、処理技術について技術を供与するという観点からの協力であります。  それからもう一つは、費用が高いことを少なくするためにどうするか。その一つの大きな原因は、全国に散在しておりますボートをどうやって集約してくるかという問題であります。これにつきましては、ボートの販売経路その他を活用いたしまして、処理しやすいように集約をするシステムをつくり上げていく、そこで協力をしていただく、こういう問題だと思います。  最後は事業化のところでありますが、この事業化につきましては、望むべくは、経済原理の中で事業化できるのが一番よろしいわけでありますが、それができないときには、事業者も含めましてその応分の負担の一員として参加をさせたい、こういうふうに思っております。
  83. 中林よし子

    ○中林委員 メーカー側にも責任があるわけですので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。  最後に、水産物の自給率の問題で基本計画が出されました。これを見ますと、二〇一〇年には現在の六六%から七七%、一一ポイントふやすということになっているのですが、消費は横ばいということになると、当然輸入量を百万トンぐらい減らすことにならなければいけないというふうに思うのですね。それを確認したいということ。  それと、では、どうやって輸入量を減らすのかということなんですけれども、輸入規制はなさらないのか。私たちは、サケ・マスの価格大暴落の問題のときに、自治体からも強い要求が出たにもかかわらず、WTOでセーフガードができるということになっているにもかかわらず調査もしなかったという問題は重要で、この水産物、魚介類の食料自給率を上げる上でも、国内生産をふやし、輸入規制をするなど、セーフガードの発動も検討して、やはり国内生産がうんと上がるようにすべきだというふうに思うのですけれども、二点、お答えいただきたいと思います。
  84. 中須勇雄

    中須政府参考人 先般、国会にも御報告を申し上げました食料・農業・農村基本計画におきましては、食料自給率の目標を設定したわけでございます。その一部分として、水産物については、今御指摘がありましたように、平成十年度五七%の水準にございますものを十年後六六%の自給率、こういうことを計画の中で見込んでいるところでございます。  御承知のとおり、現在、我が国の周辺水域においては水産資源の状況が悪化をしておりまして、それを反映して漁獲量、国内生産量が減少している、それを埋める形で輸入が増大をしている。ここ三年ばかりやや横ばいになっておりますが、そういう状況が続いております。  したがいまして、こういう状況の中で、私ども、まず政策的に取り組まなければならないのは、国内漁業生産が持続的な形で拡大をしていく、増大をしていく、そのためには資源の回復にとにかく取り組むのがまず第一の課題である、こういうことでありまして、基本計画の中でも若干触れているわけでありますが、減船、休漁、あるいは漁具、漁法の制限等を含めて、資源の計画的な回復への取り組みをとにかく進めていく、それによって国内生産を増大させる、それが自給率の向上につながる、これが基本的な私どもの考え方であります。もちろん、そのほか、つくり育てる漁業による資源の培養とか、漁場の再生、藻場の再生とか造成、こういうような課題も当然ながら大きな課題としてあるわけであります。  一方、貿易問題に関しまして、今、率直に申しまして、APECあるいはWTOの場でも、水産物についても一層の自由化を求める圧力が強いというのが率直な状況だと私ども、思っております。  これに対して私どもは、やはり水産物については、有限な資源をどう持続的に利用していくかという視点を無視して、ただ自由化ということでは事柄は解決しない、かえって資源に悪影響を与えるということで、資源の持続的利用に配慮をした新しい貿易ルールをつくるべきであるという提唱をしているわけであります。現在、沿岸性の魚介類について設けられておりますIQ制度についても、そういう考え方で運用していくことを含めまして、我が国の主張が各国に理解されるように努力をしていく、こういう形が現在の私どもの基本的な取り組みの方針でございます。     〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
  85. 中林よし子

    ○中林委員 時間が参りましたので終わりますけれども、魚介類においても、やはり漁民の人たちは輸入が増大していることに大変懸念を抱いております。輸入量は減らないわけですので、政府の強い姿勢を要求し、自給率向上を目指すことを要望して、質問を終わります。
  86. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、一川保夫君。
  87. 一川保夫

    ○一川委員 私の方からは、今回の漁港法の一部改正は、今日的な課題に対処しようということで、基本的にはそれなりに評価をいたしているわけでございますけれども、数点につきまして確認の意味大臣ほか農水省に御質問をしたい、そのように思っております。  まず大臣に、全体の流れの中でのお伺いでございます。昨年暮れだと思いますけれども、水産庁を中心にしまして、水産の基本的な施策というものを、今後どうあるべきかということで、相当長期的な展望に立ってもろもろのことを検討して取りまとめたことがあろうかと思うのです。当然、流れは、水産業を取り巻く今日的ないろいろな課題を踏まえながら現行の制度を抜本的に見直していこうという中で、いろいろな制度の検討に入っているというふうにお聞きしているわけでございます。  そういう一連の見直し作業の中では、今ほどの答弁でも触れられておりましたけれども、基本的には、我が国の水産資源というものを適切に保存管理していく中で持続的に利活用をしていくということがそのベースにあろうと思います。そういう中にあって、水産物を当然ながら国民に安定的に供給しながら、一方では、漁港を中心とした漁業地域の活性化といいますか、地域の振興にしっかりと寄与していこうというのがその基本になっていようかと思うのです。幾つかの検討課題の中で、私の記憶しているところによると、大体地域振興と水産基盤の整備みたいなところは、漁港という問題は相当大きな役割を果たすのじゃないかという感じがいたします。  今、水産関係にかかわるいろいろな法制度というのは幾つかあろうと思うのですね。基本的な法律は、漁業法とか漁船法とか、そのほかにもいろいろとあろうかと思いますけれども、そういう中の一つとして今回の漁港法もあるわけです。当面はこの漁港法の一部改正ということで対応されているわけですけれども、今後、中長期的には、水産基本法的なものも含めて制度的に完備したいというのが、農水省の意向だというふうにお聞きしております。  全体の大きな流れの中で、今回の漁港法の一部改正というのはどういう役割を担っていこうとしているのか、また、全体の水産施策の改革の中で、今回の一部改正はどういう位置づけにあるのかというところを、大臣の方からまず基本的な所見をお伺いしたい、そのように思います。
  88. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員の御指摘のとおり、やはり二百海里体制を迎えまして、それに向けて水産政策を遂行していく、こういうことが今求められておるわけでございます。したがいまして、昨年十二月には、今後の水産政策の指針として、水産基本政策大綱・プログラムを取りまとめたところでありますが、これに従いまして、今後、水産基本法を取りまとめていくという考えでございます。  今後の方向におきましては、日韓、日中漁業協定もいよいよ発効することでございますし、そういう中におきまして、資源を回復し、持続的にこれを利用していく、こういうことが大事であると思うわけでございます。  今回の漁港法改正でございますけれども、漁港は、二百海里体制の中において水産業を振興せしめていく上でまさに母港の役割を果たす、こういうことでございますから、漁業地域の活性化と水産基盤の整備、さらに水産資源の適正な管理持続的利用、担い手の育成、確保、こういうことを柱としまして、漁港法改正も、大綱の中で実施すべき施策の一つとして位置づけて進めてまいりたいと考えております。
  89. 一川保夫

    ○一川委員 では、もう一点大臣にお伺いしたいのは、先ほどの説明にもちょっとありましたが、漁港整備というのは当然大事なわけでございますけれども、一方では、漁港というものも若干減ってきておるというお話もございます。  そういうことであれば、漁港というものを、当然、有効に活用しながら地域の振興に役立たせていくということであれば、漁港整備とあわせて、その漁港が受け持つ漁場の整備、そういったようなものを一体的にしっかりと整備していく施策を展開していく必要があるというふうに私は思うわけですけれども、そのあたり、大臣の基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
  90. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 やはり基本法というものを目指していく場合におきましては、漁場の整備漁港と同時にしっかりやっていかなきゃいかぬということでございます。つまり、漁業も継続的に資源を大事にしながら進めていくわけでございますから、この点が最も大事である、こういうふうに思うわけでございます。  いろいろな関係の問題がありますけれども、個別に申し上げてみたいと思います。水産資源の持続的利用と安全で効率的な水産物供給体制整備、水産資源の生育環境となる漁場等の積極的な保全と創造、また、良好な生活環境の形成を含めた漁村の総合的な振興を図ることを基本方向として、漁港漁村整備事業と沿岸漁場整備開発事業を一体的に実施するということが大事である、このように考えております。
  91. 一川保夫

    ○一川委員 それでは、ちょっと今回の法律改正の中での、地方分権とのいろいろな関連といいますか、地方分権推進するという観点からも、今回の漁港法の一部改正によりまして権限移譲するという一つの流れになっているわけですけれども、そのあたりの件について確認しておきたいのです。  基本的には、各市町村とか県に一種漁港、二種漁港指定をゆだねるというのは、私は、それはそれで、今の各地域のいろいろな実情なり、またいろいろな人材の活用、それから、地方分権ということからしましても、非常に大事なことだと思っております。  ただ、一方で、漁港整備計画というものを国が策定するということに一応なっておるわけですね。しかし、従来になかった、なかったのかあったのかよくわかりませんけれども、地方公共団体の意見をあらかじめ聞くというのが明文化されてきておるということです、これまた当然といえば当然のことなんでしょうけれども。  漁港というのは、ほかの施設と違いまして、確かに公の海を対象としていろいろな水産物を漁獲するということでありますから、余り勝手にいろいろな動きをされては困るという中で、漁港の位置とか漁港の規模、能力、そういうものは国レベルで点検したいということは、私もある程度理解できるわけですけれども、ただ、漁港という規模を考えれば、そんなのは県で当然、整備計画ぐらいできるのじゃないかというような考え方も一方ではあると思うのです。もっと大きなプロジェクトを県でやっておるケースもあるわけです。  そのあたり、ちょっと特殊事情がいろいろあろうかと思いますけれども、なぜ整備計画を県なり市町村におろさないで国で依然として策定していくのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  92. 中須勇雄

    中須政府参考人 現在、農林水産大臣が定めております漁港整備計画の具体的な内容は、計画方針、これは漁港整備の基本的な方向を示す、そういう部分と、具体的な計画という二部構成になっております。  やはり考え方としては、漁港整備の国としての基本方針を示すと同時に、全国の漁港のうちで、その配置等も考えた上で、重点的に整備する漁港はどこなのかということを明確にし、そこにおける漁港整備の大まかな姿を示す、いわば国全体としての漁港整備のグランドデザインを示すというのが、漁港整備計画の性格ではないかというふうに私ども、思っているわけであります。  具体的に防波堤をどうつくるか、係留岸壁をどこにどの程度つくるか、こういうことは、一つ一つ漁港整備事業を行う際の個別計画ということで、それにはもちろん地方公共団体管理者の意見がまず第一に反映されなければならないわけでありますが、そういう意味で、国全体としてのグランドデザイン、大きな方向を示す、そういうものはやはり農林大臣が定め、国会の御承認もいただくということになっておりますが、それに基づいて補助あるいは負担を国の制度として実施していく、これが必要ではないかと思っているわけであります。
  93. 一川保夫

    ○一川委員 これも先ほどちょっと話題が出ておりましたけれども、今、プレジャーボートに関したようなことも一つの課題であることは間違いないわけです。  総括政務次官にお尋ねしたいわけですけれども、プレジャーボートの問題も当然関連するわけですが、先ほどの話のように、漁港指定を解除せざるを得ないように寂れてしまった漁港もだんだんふえてきているということですね。一方では、漁港というものを、単なる漁業だけに使うのじゃなくて、もっと多目的に活用したらどうかとかいうことも当然、地域の要望として出てくる可能性というのはあると思うのですね。  それからまた一方では、余り利活用されないがために、環境面で地域がだんだん悪化してくるということもあり得ることですし、それが景観的にも、漁港というのは景勝の地にあるケースも割とあるわけですから、漁港が余り手を加えられない格好で、放置された格好にあれば、景観上も非常に悪いということもあると思うのです。  そういう環境対策、それから多目的利用という観点から見て、これからの漁港に関する施策をどういう基本的な考え方で対応しようとしておられるのか、そのあたりを私は積極的に対応していただきたいと思いますけれども、政務次官の方から見解をお伺いしたいと思います。
  94. 谷津義男

    谷津政務次官 先生指摘のとおり、今漁港は、単なる国民への水産物の安定供給や防災上の役割だけではなくして、海洋性レクリエーション等の国民への豊かな余暇空間の提供の場でもあると思います。また、良好な自然環境、景観や海の文化を継承する場でもあるというふうに思っておりまして、多面的な役割を発揮しておりますので、その整備は、豊かな漁村づくりに貢献をしてきているのではなかろうかというふうに思っております。  こうした漁港の役割と環境や景観に対する関心の高まりに対応いたしまして、漁港整備におきましては、周辺の地形、波や流れ、あるいは漁場、藻場の分布等を十分に調査いたしておりまして、その地域の実情に応じて、水産動植物等が生息しやすいような防波堤や自然石を用いた防波堤、あるいは護岸等、環境保全や景観に配慮した整備にも努めているところであります。  今先生が御指摘をされましたように、そういった面で、漁港等が非常に荒れておると言ってはなんですが、そういうような状況に当たりましては、漁港利用実態等や地元の要望を踏まえながら、昨年の十二月に作成いたしました水産基本政策大綱に基づきまして、環境や景観と調和した豊かな漁港漁村づくりを総合的に重点的に推進をしているところでございます。この漁港を一般市民に開放いたしまして、多面的に利用していただくというのは非常に大事なことと思いますので、それは積極的に進めていきたいというふうに考えているところであります。
  95. 一川保夫

    ○一川委員 最後に、水産庁長官にお尋ねしたいわけですけれども、プレジャーボート関係してのいろいろな対策、連絡調整、関係省庁でのいろいろな対応というのは従来からそれなりになされてきておると思うのです。以前は三省庁ぐらいでスタートしたものを、最近ではそれをもうちょっと拡充して、いろいろな連絡協議会的なものをスタートさせているというふうに聞いておりますけれども、それは今現在、どういう動きをされているのか、そのあたりの状況の御説明をお願いしたいと思います。
  96. 中須勇雄

    中須政府参考人 御指摘のとおり、プレジャーボートの問題については多くの省庁がかかわっておりますので、先ほどからの御答弁の中でも触れておりますように、平成八年度から運輸省の港湾局、水産庁建設省河川局、この三省庁が連携をとって、調査を行ったり、今後の方向についての提言をいただく、こういうような取り組みを始めたところであります。  現在、この三省庁に加えまして、オブザーバーというような形でございますが、警察庁とか海上保安庁、そういうところにも加わっていただきまして、関係省庁の連絡会議というものを設けて、必要に応じ、お会いをしているわけであります。  こういう中で、プレジャーボート保管係留対策、こういうことを含めて、省庁間で合意を見て、それぞれが分担に従って対処をしていく。今回の放置艇に対する新しい法規制の簡易代執行制度の導入というのも、そういう考え方に立って、順次各法律で取り組んできて、形としては私どもが一番最後になりましたが、取り組んだ一つの成果だというふうに考えております。
  97. 一川保夫

    ○一川委員 終わります。ありがとうございました。
  98. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、菊地董君。
  99. 菊地董

    ○菊地委員 社民党・市民連合の菊地でございます。  農林水産省は、来年、二〇〇一年の通常国会に向けまして、水産基本法を取りまとめていく方針と聞いております。従来の政策を抜本的に見直していこうということでありますが、そこで、まずお伺いしたいのでありますけれども、水産基本政策改革プログラムでは、基本法の制定に当たりまして、漁業法や漁船法の改正もあわせて行うとしております。にもかかわらず、漁港法改正のみを今国会で先行して上げようとしているのでありますけれども、その理由はどういうことでございましょうか。
  100. 中須勇雄

    中須政府参考人 御指摘のとおり、水産基本政策大綱及びプログラムにおきましては、平成十三年以降、まず皮切りに水産基本法、仮称でございますが、それと、御指摘がありましたとおり、漁業法あるいは漁船法、こういったものの改正あるいは制定ということから手がけていくというのが基本的な大きな枠組みになっているわけであります。  ただ、今回の漁港法改正は、平成十年五月に閣議決定をされました地方分権推進計画の中で、分権の問題については方向が出され、具体化ができたら、可及的速やかに結論を出して、法改正をしていく、こういうことがあらかじめ決まっていたということもございます。そういうことを受けて、可能な部分については、決してほかのものが遅いからといって待つのではなくて、取りかかれるものから、既に一定の結論の出た部分については取りかかるべきではないか、こういうことで、今回、先行して御審議をお願いしているという状況でございます。
  101. 菊地董

    ○菊地委員 今御説明いただきましたように、今回の漁港法改正は、地方分権推進による漁港指定権限の一部地方移譲と、放置艇対策を織り込んでいるだけと言えるものだと思います。  本来、水産基本法を踏まえて、漁港整備管理制度等についてより幅広い視点から見直しをしていく必要があろうかと思うわけであります。ですから、きょうは、漁港問題に限定せずに、少し広い視点から、大臣及び農水産省の考え方についてお伺いしていきたいと思います。  言うまでもなく、日本は四方を海に囲まれている島国であります。長い海岸線を有しておるわけであります。海岸及び河川の河口流域は、港としての適地でもありますけれども、すばらしい自然景観を有するのみならず、陸上、水中のいずれにおきましても自然の生態系の営みの最も旺盛なエリア、地域であると思います。  したがいまして、漁村振興、漁港整備など、水産政策の策定に当たりましては、できる限り自然の営みをそのまま保全し、かつ資源が縮減、枯渇したり生態系が崩れないよう十分配慮の上に、これらの施策が策定されなければならないと思うわけでございます。そういう意味から、日本漁業は、従来のとる漁業からつくり育てる漁業に向かうべきであると考えます。その場合におきましても、漁港整備を初め、人工的な施設や構築物をつくる場合には、自然の生態系に十分に配慮し、必要最小限のものにすべきであろうと私は思うわけでございます。  そこで、大臣にお伺いするわけでありますが、我が国の各種漁港整備は現状で十分と考えるのか、いやいや、まだ不十分と考えるのか、まず、基本的なお考えを聞かせていただきたいと思います。
  102. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 漁港は今後、十分か不十分か、こういう話でございますが、やはり二百海里体制を迎えるわけでございますから、沿岸漁業と沖合漁業が極めて重要になってくるわけでございまして、その中心をなすのが漁港だ、こういうように位置づける必要があると思います。  その漁港でございますけれども、生産の場とか防災の役割ということのほかにも、今委員指摘されましたように、自然環境あるいは景観や海の文化を継承していく、そういうことも大事であると思いますし、また、海洋のレクリエーションの場ともなっておる。こういうような大きな役割を果たしておるわけでございますので、漁港整備におきましては、周辺の地形や波、流れ、漁場、藻場の分布等を十分調査し、地域の実情に応じて、水産動植物が生息しやすい防波堤や自然石を用いた防波堤、護岸等、環境保全や景観に配慮した整備にも努めていくことが大事であると思います。さらにはまた、漁業推進をしていくという上におきましては、漁村生活環境整備にも十分配慮して、ともども整備を進めていくということが大事であると考えております。
  103. 菊地董

    ○菊地委員 今の御答弁は、これからも必要な漁港整備は自然の保全等にも配慮しつつやっていくというふうに受け取ったわけでありますけれども、ぜひ今御答弁のあったような方向で、慎重にといいますか、おやりいただきたいというふうに思うわけであります。  このたびの法改正は、地方分権の流れに沿って、漁港指定権限の一部を市町村長及び都道府県知事移譲する等の措置を講じようとするものでありますが、それによって、より地域の実情に合った漁港整備漁村振興、自然の環境や景観の保全が図られるであろうということを期待いたしまして、これを評価するものであります。  しかしながら、逆の側面、市町村長漁港指定することによって、漁港整備の名目で国の助成を得て、必要以上の従来型の公共事業を起こすこと、あるいは起こそうとするおそれもあるわけであります。また、今日のような県、市町村の財政事情では、逆に国の方が必要以上に漁港整備を促すこともなきにしもあらずというふうに思わざるを得ません。  したがいまして、漁港指定漁港整備には水産関係公共事業の事業評価制度ができましたが、反面、今度、漁港審議会などを通さなくてもよいことになると思うのでありますけれども、有識者や関係者の十分な理解と監視といいますか、いわゆる歯どめが必要であると思いますが、その辺はどうなっておりますか、御説明いただきたいと思います。
  104. 谷津義男

    谷津政務次官 漁港整備に当たりましては、当該漁港整備の必要性、重要性、そして緊急性等を勘案した上で、全国の漁港のうち、重点的に整備すべきと判断される漁港につきまして、農林水産大臣漁港審議会の意見を聞いた上で整備計画を作成しているところであります。  地方公共団体等は、この漁港整備計画等に基づいて事業を実施していくこととなりますが、漁港事業については、平成十年度より、第三者機関から意見を聞き、評価を行う再評価システムを導入しておりまして、十二年度からは、事前評価や再評価だけではなくて、事後評価も含めた事業評価を進めていくこととしております。今後とも、事業の効率性及び実施過程の透明性の確保に努めてまいりたいと思っております。  今回の改正によりまして、第一種漁港及び第二種漁港指定権限を国から地方公共団体移譲することとしておりますが、このことによって、従来の漁港整備考え方が変更されるものではありません。引き続き重点的かつ効率的な漁港整備がなされるものと考えておりまして、そうした過度の整備が行われるというふうなことはないものと考えておるところであります。
  105. 菊地董

    ○菊地委員 歴史を顧みますと、東南アジアの国家、古代国家でありますけれども、その多くは川港から発展しておりまして、港は交通の要衝であるだけでなくて、物流の拠点であり、文化や情報の受信基地であり、発信基地であったわけであります。港のあるところは、河川や道路を通じて内陸部と通じているほか、海を通じて、江戸時代の北前船やあるいは昔の南蛮船、御朱印船の歴史に見られますように、国内のあらゆる港あるいは世界の港と直接つながっているわけでございます。  私のふるさとの伊豆半島でも、下田港は明治開国の港として有名でありますが、戸田港というのは、今日では小さな漁港で観光港のようなところでございますけれども、かつては君沢型という日本で初めての洋式船を建造し、ロシア使節団がそれに乗って帰国したり、遠洋漁業の基地だったところであります。  つまり、どんなへんぴな港であっても広域性、国際性を有しているのが、内陸部の都市と違う、港のある地域の振興を考えるときの大きな特徴であろうと思います。言いかえれば、港のある海岸の地域は、漁村とか漁業を中心とした地域というように、小さくとらえるべきではないのではないか、広域性、国際性という大きな可能性を持った地域としてとらえるべきであろうと思うわけでございます。  最後に、大臣にお伺いするわけでありますが、来年の通常国会に向けて水産基本法をおつくりになっていくということでありますけれども、農村振興というのは私もイメージがわくのでありますが、漁村振興といったときにどういったイメージをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  106. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員の御指摘のとおり、漁村あるいは漁港は、やはり物資交流の場であると同時に、生産の場でもある、それからまた、地域住民の生活の場でもある、こういう観点から現在の漁村状況を見てまいりますと、ともすれば、資源が減少して漁業生産が低迷しておる、都市部と比べまして生活環境整備がおくれている、あるいは人口の減少、高齢化が進行している、こういう状況にあると思うわけでございます。また、地理的にも非常に不利なところにあることも指摘されているところであります。  そういうことに対しまして、やはり生活の場である漁村の場合におきましては、これから生活環境整備を促進していくということが大事である、こう考えるわけでございます。また、漁業を振興せしめて、活気ある漁村を形成していくことが大事である、このように思います。また、都市と漁村との交流促進を図って、漁村の総合的な振興を図っていくことが重要であると考えております。
  107. 菊地董

    ○菊地委員 ここに漁港施設の配置例、イメージ図だろうと思いますが、あるわけであります。これは一つ一つ必要な施設であろうとは思うのでありますけれども、イメージからいきますと、コンクリートの建造物ばかりであります。  ですから、漁港整備あるいは水産基本法をこれからつくっていくに当たりましては、必要な施設は当然つくっていかなきゃならないわけですけれども、自然の環境の保護というふうなことにも十分に配慮した上でやっていただきたいということを御要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  108. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  109. 松岡利勝

    松岡委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  110. 松岡利勝

    松岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  112. 松岡利勝

    松岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会