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2000-04-19 第147回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十九日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 松岡 利勝君    理事 金田 英行君 理事 岸本 光造君    理事 松下 忠洋君 理事 宮本 一三君    理事 小平 忠正君 理事 宮地 正介君    理事 藤田 スミ君       赤城 徳彦君    稲葉 大和君       今村 雅弘君    河井 克行君       木村 太郎君    北村 直人君       熊谷 市雄君    栗原 博久君       塩谷  立君    園田 修光君       野呂田芳成君    二田 孝治君       御法川英文君    矢上 雅義君       谷津 義男君    安住  淳君       石井 紘基君    石橋 大吉君       大石 正光君    佐藤謙一郎君       漆原 良夫君    中林よし子君       井上 喜一君    加藤 六月君       一川 保夫君    佐々木洋平君       菊地  董君     …………………………………    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    農林水産政務次官     谷津 義男君    会計検査院事務総局第四局    長            渡辺 孝至君    政府参考人    (内閣官房内閣内政審議室    長)           竹島 一彦君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局    審査局長)        平林 英勝君    政府参考人     (警察庁刑事局長)    林  則清君    政府参考人    (法務省刑事局長)    古田 佑紀君    政府参考人    (農林水産大臣官房長)  竹中 美晴君    政府参考人    (農林水産省構造改善局長    )            渡辺 好明君    政府参考人    (農林水産省農産園芸局長    )            木下 寛之君    政府参考人    (農林水産省畜産局長)  樋口 久俊君    政府参考人    (農林水産省食品流通局長    )            福島啓史郎君    政府参考人    (食糧庁長官)      高木  賢君    政府参考人    (林野庁長官)      伴  次雄君    政府参考人    (自治省行政局選挙部長) 片木  淳君    農林水産委員会専門員   外山 文雄君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   木幡 弘道君     石井 紘基君 同日  辞任         補欠選任   石井 紘基君     木幡 弘道君     ————————————— 四月十八日  農産物検査法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)(参議院送付) 同月十九日  農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第六八号)  農水産業協同組合再生手続特例等に関する法律案内閣提出第六九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  会計検査院当局者出頭要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  農産物検査法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)(参議院送付)  農林水産業振興に関する件     午前十時一分開議      ————◇—————
  2. 松岡利勝

  3. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、会計検査院事務総局第四局長渡辺孝至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 松岡利勝

    松岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今村雅弘君。
  6. 今村雅弘

    今村委員 おはようございます。自由民主党の今村雅弘でございます。  大臣、御苦労さまでございます。いよいよ解散・総選挙という空気が強くなってきたようでございますが、私も地元の方では、緑の大地に豊かな実りということで、緑と黄色をベースにしたポスターをつくって、今、農業のために頑張っているつもりでございます。  きょうは、先般の農業の新しい基本法を受けた食料農業農村基本計画といったものにつきまして、去る三月、閣議決定されたわけでございますが、いろいろお伺いしたいと思っております。  早速でございますが、この新しい基本法の理念、幾つかあるわけでございます。その中で大切なことは、農業というものが単に食料生産する産業であるというだけではなくて、やはりこれからの国土、環境を守り、そして食料安保等を含めて、国民暮らしと健康を守っていく大切な産業であるという位置づけのもとに、いろいろな施策を展開するということになっているわけでございます。  しかしながら、ここに挙げてあることと現実の姿、あるいは現場の農家皆さん方の感覚といったものと、いま一つそぐわないのじゃないかなというような気もしているわけでございます。これは、今後の施策をきちんと遂行して実効を上げていくことでその乖離を埋めていくということで、本当にこれから、政府当局含めまして、いろいろな方の御努力を願わなきゃいけないと思っているわけでございます。  そういう中で、幾つかの目標があると思いますが、やはり何といっても食料安全保障、いざというときに最低限の食料は自前で生産できるということがいろいろな意味で一番大事じゃないか。いざというときに、胃袋の中が空っぽだという、恐怖感というものはあるわけでございますから、何といってもここをぜひ大切にしていただきたいと思っているわけでございます。  国際情勢も、さきに台湾の総選挙があって非常に厳しくなってきておりますし、そういう意味では、この食料安保ということが大変大事だと思っておりますが、これはやはり農地がないとできない。そしてまた、農地があってもそれを守って農産物生産していただく農家の方がしっかりしていかないと、だめだということになるわけでございます。また、農家の方が農業を続けていくためには、やはりきちんとした所得確保といいますか、農業でこうやって暮らしができるんだということをやっていかなきゃいけない。その暮らしができるためには、いろいろな意味で、農産物価格でありますとかあるいはコストをもっと下げる、そういったことが必要でありますし、価格の面でいくと、消費者皆さん方にも御協力願わなきゃいけない。そしてまた、中間を取り持つ流通業界関係あるいは食品業界関係の方にも協力をいただかなきゃいけない。まさに国民的な取り組みが欠かすことができないわけでございます。  そういう意味で、まず基本的な認識をぜひお伺いしたいわけでございますが、こういったものについて、今言った、各方面の方から御努力いただかなきゃいけないというふうに思っておりますが、この計画を遂行する上で、政府としてどのように考えるのか、そして、具体的な取り組みをどういうふうにこれから進めていくのかといったことについて、ぜひ玉沢農水大臣の所信、そして決意のほどを伺いたいと思います。
  7. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員お話のように、この食料農業農村基本法は、国民全体が取り組むべき課題を明確にいたしまして、基本計画を策定いたしておるわけでございます。したがいまして、この目標達成のためには、政府はもとより、生産者食品産業事業者消費者等関係者が一体となって取り組んでいくことが大事である、このように思います。  政府といたしましては、これらの取り組みの先頭に立ちまして、責任を持って諸施策推進していくことが重要であります。基本計画が閣議決定されました三月二十四日に、総理を本部長官房長官と私を副本部長といたしまして、関係大臣本部員とする食料農業農村政策推進本部を設置し、政府一丸となって基本計画の着実な推進実現を図ることとしたところであります。今後、この推進本部中心といたしまして、実効性ある施策推進を図っていく決意であります。
  8. 今村雅弘

    今村委員 今、政府関係取り組みはわかりました。ぜひこれは本当に、形だけじゃなくて、実効あるものにしていただきたいというふうに思うわけでございます。  つきましては、先ほども申しましたが、これは政府だけではなくて、ほかの農家の方とか食品産業の方あるいは消費者の方とか流通関係者の方、そういった方もぜひ参画いたしていただいて、いろいろな取り組みに協力していってもらわぬといかぬわけでございますが、その辺の取り組み、もし何かありましたら教えていただきたいと思います。
  9. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 御承知のとおりに、この基本法におきましては、農業者農業団体食品産業がどのような役割を果たしていくか、自主的に努力するものに対しまして、国、地方公共団体はその努力支援する、これが第九条、十条、十一条に明確にされているところであります。  また、消費者につきましては、この食料農業農村に関する理解を深め、食料消費生活向上に積極的な役割を果たすものとされまして、国は情報提供等を通じて国民理解を深めるよう努めることとされておるところでございまして、これは第十二条、第七条第二項に明確になっておるところであります。  こうした規定に基づきまして、政府といたしまして、基本計画に即し、農業者の自主的な努力支援するため、農地担い手確保創意工夫を生かした農業経営推進技術開発普及等を図ってまいります。  また、食品産業事業者に対しましては、技術力向上等による事業基盤強化販路開拓や新製品開発取り組みを通じた農業との連携強化等推進してまいります。  また、消費者に対しましては、日本型食生活普及、定着や、地域の産物の活用等中心とする食生活指針普及啓発や、食料消費に関する積極的な情報提供等を行うことといたしておるところであります。
  10. 今村雅弘

    今村委員 ありがとうございました。  地についた議論と言いますが、まさに農業土地を相手にした産業でありますから、この名のとおり、建前とかなんとかでなくて、本当に本音でこういった議論をして、いろいろな意見を交わして実のあるものにぜひしていただきたいなというふうにお願いを申し上げます。今、大臣決意のほどはわかりました。  それでは次に、先ほどちょっと問題提起をいたしたわけでございますが、この計画等生産目標とか消費見込みといったものの数字を見ますと、正直言って、本当にこんなに大丈夫なのかなという感じがいたしております。そういった個別のことについてちょっと確認して、質問をしていきたいというふうに思うわけでございます。  まず、表の十ページとか付表等でありますが、いわゆる望ましい農産物消費の量とか、参考付表に出ている農産物生産趨勢、こういったものを見ますと、平成十年度から平成二十二年度にかけても、この中に出ております二十二品目のうち十六もしくは十七、八は、二十二年度は十年度よりもむしろふえるということに実はなっているわけでございます。  しかし、これは食生活の変化といいますか、いろいろあるでしょうが、正直言って、今、時代トレンドとしては、まさに少子高齢化と言われている中で、いろいろなことにこれは影響を与えるわけでございまして、こういったものが、今言われておりますこの見込みと、果たして本当に合うのか。これは非常に大事な話でありまして、なぜかというと、この辺の生産目標を誤りますと、やはりこれは増産といいますか、農産物が余り過ぎる、余ると価格が下がるということになります。そうすると、やはり農家の懐に直接打撃を与えるということで、これは非常に大事なことなので、この辺の見込みは本当にこういうことでいいのかどうなのか、もうちょっとこの辺の話を聞いてみたい。  ちなみに、私が調べたところによりますと、あるいは資料によると、例えば平成十二年度でいくと六十五歳以上が今現在一千八百九十万人いる。これが平成二十二年度には二千八百七万と、約一千万人ぐらい六十五歳以上がふえるわけですよ。ですから、年をとってもそんなに若いころと同じように飯を食う人が本当にいるのかなといったことを素朴に疑問を感じざるを得ないので、そういったものについて御説明を願いたいと思います。
  11. 竹中美晴

    竹中政府参考人 御指摘のとおり、今後我が国の本格的な少子高齢化社会実現してまいります中で、生活習慣病の予防を図りまして、健康で充実した長寿社会を目指すといったような観点から、国民食生活の見直しに向けまして、農林水産省厚生省、文部省の三省で食生活指針を取りまとめ、また、厚生省では健康日本21計画が策定されております。  今後の食料消費の見通しに当たりましては、これらを踏まえまして、食料自給率目標におきます食料消費につきまして、これまでの食生活トレンドが継続した場合の趨勢を見通しました上で、食生活指針なり健康日本21計画において示されております適正な栄養バランス実現等食料消費改善に関する課題が解決された場合に実現する姿を望ましい食料消費の姿として設定するものでございます。  なお、厚生省国民栄養調査の結果によりますと、年齢階層別に見まして、一歳から六歳の層と七十歳以上の層を除きますと、年齢階級別摂取熱量に大きな違いはございませんで、おおむね二千キロカロリーとなっております。  また、年齢階級別適正摂取量を示しております厚生省日本人栄養所要量をもとにいたしまして、高齢化が今後進展いたしました平成二十二年の人口構成によりまして適正摂取熱量を試算いたしましても、ほぼ現状と同程度であるといったことになっておるわけでございます。  これらを踏まえまして、望ましい食料消費の姿を設定するに当たりましては、国民一人当たりの平均摂取熱量現状とほぼ同水準の二千キロカロリーと見込んでおるところでございます。  望ましい食料消費の姿において見込んでおります供給熱量減少は、そういうことで、専ら食品の廃棄や食べ残しの減少の効果を見込んだ結果となっているところでございます。
  12. 今村雅弘

    今村委員 ここでこういう議論をしてもしようがないと思いますが、私の経験から言っても、昔ほどにはもうそんなに食べないし、最近は飢えて死ぬ人が日本人ではいない。むしろごちそうを食べ過ぎて死ぬ人が多いというようなこともありますから、小食化といいますか健康維持といった定性的な議論もやはり真剣に取り込んで、もう少しこの辺についてはまたさらに精査を深めてもらえればなというふうにお願いする次第でございます。  続きまして、そういう中で、農家担い手の姿でありますけれども、担い手農家戸数なんかは今後一体どういうふうになっていくのか。そしてまた、この担い手をやはりきちっと維持できるには、当初申しましたように、これで農家が飯を食っていけなければいけない。そういう意味では、やはり何といっても所得確保といったことが必須条件であるわけでございまして、その点について、今後、価格対策あるいは経営安定対策といったものが極めて重要だと思うわけでございます。  これには、価格をどういうふうに維持するか、あるいはアップするか、そういったものと、コストをどう下げるかといったものがあるかと思いますが、この価格対策あるいは経営安定対策について、お考えをぜひ聞かせていただきたいと思います。
  13. 竹中美晴

    竹中政府参考人 まず、将来の農業構造の姿、その中での担い手農家戸数等についてでございますが、基本計画の決定とあわせまして公表いたしました農業構造の展望では、平成二十二年におきまして、他産業従事者遜色のない生涯所得確保し得る効率的、安定的な農業経営農業生産相当部分を担う望ましい農業構造の姿を明らかにいたしております。  この中で、平成二十二年の農家戸数につきましては二百三十万ないし二百七十万戸程度というふうに見込みまして、また、農業労働力につきましては、基幹的農業従事者が百八十万人程度というふうに見込んでいるところでございます。また、平成二十二年におきます効率的、安定的な農業経営といたしましては、家族農業経営で三十三万ないし三十七万戸、法人経営生産組織で三、四万程度というふうに見込んでいるところでございます。  それから、担い手農家所得確保のための価格経営安定対策についてのお尋ねでございますが、ただいま申し上げましたとおり、基本計画におきましては、他産業従事者遜色のない生涯所得確保し得る効率的、安定的な農業経営を育成することにいたしておりまして、農業者自身経営努力基本にすることは当然でありますが、経営全般にわたる支援策を総合的、計画的に講じていくことにいたしております。そうした中で、需給事情を適切に反映した価格形成が図られますように、価格政策を見直すこととあわせまして、価格変動が、育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するための経営安定対策も実施することにいたしております。  今後、需要に応じた農業生産が促進されますとともに、農業者経営の安定と発展が図られますよう、価格経営安定対策を着実に進めてまいりたいと考えております。
  14. 今村雅弘

    今村委員 これは非常に大きな問題でありますし、いろいろなケースがあるかと思いますので、今後、作物ごとに、またいろいろなケースごとに細かい対応をぜひしていただくようにお願いしておきます。  特に、きょうはもう時間がないから今申しておきますが、農産物においてもやはり強いもの弱いもの、これはどういうことかというと、国際的な競争力という面もありますし、それから、どうしても国民皆さんが、これは必要だという作物と嗜好品的なもの、そういったものもある。  そしてまた、野菜のように、ことしだめだったら来年は違う作物を植えるとか、そういった弾力的な対応ができる、そういう面もあるわけでございますが、例えば、ここで一例を言いますと、果樹ですね。私のところは特に温州ミカンの産地でございますが、この温州ミカンなんかは、平成十一年度は大変な価格下落に見舞われて、農家は本当に今苦しい目に遭っているわけでございます。これは、表作、裏作とか、そういった関係もあるでしょうが、単に需要供給だけではなかなか価格が上がらないというような要素も最近呈してきているような感じがいたしているわけでございます。果樹は、では、ことしだめだったから来年はやめるかということで木を引っこ抜くというわけにもいかないわけでありますので、非常に弱い立場にある作物じゃないかなという気もいたしております。こういったものについても、ぜひ特段の配慮をいただきたいなというように思うわけでございます。  それでは、時間の関係もありますので、次に、コストを下げるという話で二、三点お伺いしたいと思います。農家生産コストの中で、いろいろございますが、特に、いわゆる構造改善事業といいますか、土地改良といいますか、そういった中での負担の問題が実はあるわけでございます。かつては農業所得が大きくて、これで十分飯を食っていけるという時代は、まさにそれなりの負担もあってよかったわけでございますが、最近はなかなか苦しくて、そうもいかない。  例えばクリーク等の、要するに水路、こういったものは、単に農業用水だけの問題ではなくて、まさに集落をしっかり守っていく防災機能あるいは景観機能といったことも果たしているということでございます。まさに総合的な見地から、農地整備といったものはとらえなきゃいけないのじゃないか。そうなってくると、当然のことながら、農家にだけこういった整備コストを負わせる、あるいは負担能力以上に負わせるということは、やはり非常に酷な気がいたします。  この点について、今後どういう対応をしていただけるのか、ぜひお考えを伺いたいと思います。
  15. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 土地改良負担金、特に農家負担お話でございました。これまで、随分いろいろな積み重ねの中で農家負担を軽減するような対策を講じてきております。  まず、新しい事業をしますときには、整備水準がどの程度ならいいかという整備水準の問題やコスト、例えば具体的に言いますと、この三カ年で一〇%は下げるというふうな目標を立てております。  さらに、望ましい農業構造の方に誘導する場合には、無利子資金を貸し付けたり、あるいは促進費を交付するというふうなこともやっております。  加えまして、過去の負担償還金の問題でありますけれども、これらにつきましても、例えば土地を高度利用するような、麦や大豆作に集積をしていくような、そういうものにつきましては、助成の水準を高める、負担を軽減する、さらに償還が困難なものについては平準化をするというふうなことも行ってきております。  そういったことの積み重ね農家負担を軽減したいと考えておりますが、今お話がございましたクリークの問題、これは先生御指摘のように、農業用水としての機能のほかに、多面的機能といいますか、洪水時における貯留機能も果たしているわけでございますので、通常、この種の補助率というのは五〇%でございますけれども、特に受益地が広い場合には五五%に上げるということで地元負担を減らすようなこともしておりますし、ガイドラインも出しております。今後、さらにどのような支援が可能か、中で議論したいと思っております。
  16. 今村雅弘

    今村委員 ありがとうございました。  ぜひこういったものについて、特にクリークというのは大変私も力を入れていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  次いで、最近、中山間地整備ということで、ここもぜひ、非常に条件不利地でありますが、ここできちっと農地を守ってもらおうということでいろいろな施策を今講じているところであるわけです。その中で、ちょっと機械関係でお伺いしたいことがあるんですが、農水省、新しい機械省力化ということで入れて、それについて補助もやっていただいているわけでございます。  こういった観点で、中山間地についてまず申しますが、中山間地の狭い農地で働けるような小型の機械といったものがこの補助対象にはなっていない、もう少しこの辺を地域の実情に合った補助をやってもらいたいなということですね。  それからもう一つは、今度は、平地の広いところでも、今、私のところでも思い切った麦、大豆への転換といったことでやっているわけでございます。大型機械についても補助を受けてはいるわけですが、大豆なんかをやる機械はまた米を扱うのとちょっと違うわけでございまして、こういう機械を入れようとすると、いや、まだ償却が進んでいないとかそういうことで、なかなかそれは補助対象になりませんよということです。  常識的には、同じものをつくっていれば当然まだ使えるのに、新しいのを入れるのはいけないということでしょうが、今、大きく麦、大豆転換といったことを、国の政策として転換しようとしているわけでありますから、その補助政策についても、そういった観点から少し思い切った前向きの取り組みをぜひしていただきたい。  この機械関係について、二点お伺いいたします。
  17. 木下寛之

    木下政府参考人 農業機械につきまして二点ほど御質問がございましたので、お答えしたいと思います。  まず第一点の、地域の実情に合った補助をすべきでないかという御質問でございます。農業機械につきましては、新しい技術革新を伴うもの、私ども、先駆性というふうに呼んでおりますけれども、あるいはモデル性の高いものにつきまして補助対象にしているということで、ある程度普及の進んだ機械につきましては融資の対象とするという考え方で対応しているところでございます。  また、補助事業の運用に当たりましては、これまでも地域の実情に即した事業内容となるよう努めているところでございます。例えば収穫用コンバインの実績について見ますと、北海道では百二十馬力程度機械補助対象となっているわけでございますけれども、都府県ではその半分の六十馬力程度機械補助対象になっているというような実情にございます。なお、特定農山村地域などの急傾斜地におきましては、地域の実情を踏まえまして、より小型の自脱型コンバインも補助対象にしているところでございます。  また、二つ目の、補助事業で導入した機械の償却を終了していない時点でありましても、より高性能な機械を導入すべきではないかというお尋ねでございます。私ども、同一の事業主体が同じ事業目的で再度機械を導入する、いわゆる更新は困難だというふうに考えておりますけれども、補助事業で導入した機械の償却が終了していない時点でございましても、以前の補助事業事業目的が異なり、新しい事業補助条件を満たす場合には、より高性能な機械補助対象とすることは可能というふうに考えておりますので、こういう点につきまして、現場にも十分周知徹底を図りたいというふうに考えているところでございます。
  18. 今村雅弘

    今村委員 その辺、今お言葉がありましたように、ぜひ指導の方を強く、周知していただけるようにお願いいたします。  それでは、時間がないので次に参ります。  今、中山間地のことでちょっと申しましたが、実は、この間私の地元を回って話を聞いたので、これは全国にもあるのじゃないかなと思ったわけでございますが、私のところに江里山という部落がありまして、そこは日本の棚田百選に選ばれたところでございます。ここは観音様も祭ってあって、秋には、彼岸花をあぜ道にきれいに植えて、その彼岸花がよく見えるようにということで雑草等もきれいに取ってある。ちょうど秋口になりますと、稲穂の黄色と彼岸花がマッチしてすばらしい景観になるわけでございます。観音様の信仰といい農村の風景といい、まさに日本の社会のよき原点を見る思いでございまして、本当にいいところを棚田百選ということで選んでもらったなと思っているわけでございます。  そういうことで、ここは最近見学者が非常に多い、中には大型の観光バスで乗りつけるような人も来まして、それはいいのですが、ここにちょっとした農村公園みたいなのをつくってあって、たしかそこにトイレ等もつくってあるはずでございます。実は、この維持管理費が全部地元任せというようなことになっていまして、確かに棚田百選ということで大変名誉なことでございますが、ひとつこういうところには、できれば名ばかりでなくて実の方もつけてもらえないだろうかということで、県当局にもいろいろ話はしているわけでございますが、棚田を守っていくというのがある意味では日本の農業の心を守っていく大切なことだと思っておりますので、その辺等への取り組みについてひとつお考えを伺いたいと思います。
  19. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 昨年、初めて棚田百選の認定をいたしました。そのとき皆さんが一様におっしゃっていたことは、認定をされたことはいいけれども、もっと難しいのはこれを将来に向かって維持していくことだということでございました。今、都市との交流の問題も含めて大事な機能を果たしているわけでございますので、私どももこれに向けて各種の施策を講じていきたいと思っております。  小回りのきくセミハード事業が総事業費ベースで三百億円でありますし、それから、基金の造成額二百四十億円ということでございます。それに加えまして、十二年度からは中山間地域への直接支払い、これは棚田はずばり当選確実でありますので、そういったものも使いまして、多面的機能が十分に果たされますよう推進をしてまいりたいと考えております。
  20. 今村雅弘

    今村委員 よろしくお願いいたします。  それでは、時間が参りましたのでこれでやめますが、まだまだこの問題、消費者との関係の問題とか、いろいろあるわけでございます。  特に最後に、これは問題提起だけしておきますけれども、何といっても農産物価格、特に生産者価格と小売価格の格差といいますか、乖離がちょっと大き過ぎるなと。やはりこの辺は今後の大きな課題ということで、流通関係の合理化といいますか、そういった流通関係の経費を減らして、それが生産者の懐に入るような仕組みといったものをぜひ構築していただきたいというふうに思っておりますが、これは問題提起だけにとどめまして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  21. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、小平忠正君。
  22. 小平忠正

    ○小平委員 おはようございます。民主党の小平でございます。  きょうは、先般公表されました自給率基本計画中心にしての質疑でありますが、その前に、北海道有珠山の噴火、このことに関して冒頭に御質問をしたいと思います。  三月三十一日ですか、噴火いたしまして、四月六日ですか、早速大臣も現地に入られまして現況を調査された。その後、十五日ですか、総理も現地に入られている、そういう経緯でございます。  また、ごらんのように、まず皆さんだれもが知っていますことは、洞爺湖温泉は北海道の観光のメッカでございます。さらに、あの地帯は北海道としては非常に温暖な地帯でありまして、既に被災者は一万六千人以上になろうとしておるわけであります。あわせて、あそこは農業、水産業も盛んな地帯であります。特に、あそこは、私は、かつて中選挙時代には選挙区でありました。今は制度が変わって変わりましたけれども、そんなこともあって非常に思い出の深い地帯でありますので、非常に私も気になっております。  私自身も、噴火がありまして、早速現地に入りまして調査に行ったのでありますが、いかんせん、伊達市ぐらいで、あとは隣接町村が全部立入禁止で、この目で実態を見ることはできませんでした。しかし、あの地帯は、私の後援会を含めて、関係者、知人、友人含めて支持者も大勢いるものですから、今携帯電話という便利な機器がありますので、状況等はいろいろとお聞きしたりして、その実態を私なりにできる限り把握をいたしております。  特に今回は、道も先頭に立って、各般にわたる被災の救済措置についての要請が国に向かって発せられております。もちろん、観光地の問題、あるいはそれらに伴うあの地帯の商店を含めた雇用の問題等々ありますが、生活支援ということも大きな問題であります。被災地、被災民の方の中には、友人、知己を頼って別な地に一時仮住まいという方もおりましたが、やはり遠慮もありますし、最終的には自治体が用意する体育館や公民館等々に分散をして仮住まいという状況が続いております。私自身、一番感じますことは、ふだんの生活環境から大きく変わって、ああいう雑居生活的なことは限度がある、したがって、一日も早くそういう状況を解消しなきゃならない。  しかし、噴火というのは神のみぞ知るであって、予断を許しません。特に最近は、少しく状況も変化してちょっと鎮静化した様相もありますが、それは噴火の状況であって、では全員が我が家に帰っていいかというと、それは不可能でありますし、また、帰ろうと思っても帰れない、そういう状況もあります、これはもう繰り返しになりますが。  これらについては、大臣も前回の農水委員会、この場で、それについての御報告が基本計画にあわせておありになりましたが、きょうはそういう経緯を踏まえる中において、この席は農水委員会ですから、農業、水産業等に関して、少しく、大臣の今の取り組み等々に当たって、国の姿勢、何か激甚指定という方向も早急にと、そういうことにもなっておるようですが、お聞きしておきたいと思うんです。そこのところ、いかがでしょうか。
  23. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 有珠山の噴火以降の対策といたしましては、まず第一に、こういう状況の中におきましても、農林水産業が引き続き継続できるようにしていくということが対策の一つだと思うわけでございます。  まず、避難地域から家畜の移動を希望される農家の家畜の円滑な移動が一つ行われました。また、私が現地に赴いた際に、漁業者からホタテ養殖の管理作業を早急に行いたいという強い要望を伺いまして、私からも対策本部に要請した結果、関係省庁との連携のもとに、人命の安全を確保しつつ、九日以降、管理作業が実施されておるところでございます。  さらにまた、資金面におきましては、被害農林漁業者に対しまして、自作農維持資金などの低利の制度資金の融通を行うとともに、既貸付金の償還猶予等が図られるよう関係機関に要請を行うなど、各般の対策を講じてきているところでございます。  具体的に申し上げますと、水稲、野菜等の種苗確保や緊急避難家畜の飼料費等への支援でございますが、これは当面の営農資金として、今言いました自作農維持資金等の低利の資金制度を融通するということが一つあります。また、水稲、野菜等の種苗確保は、道庁、農協等におきまして、必要な種苗の種類及び量について農家の要望を踏まえ調整をいたしておるところであります。家畜の飼料につきましては、道庁等との連携を密にし、家畜改良センターからの粗飼料の活用も含めて行っておるところであります。  営農継続に向けたビニールハウス等の補修、再建に係る経費への支援でありますが、共済の加入農家に対して共済金の支払いが早期かつ円滑に行われるよう団体を指導します。また、ハウス等の復旧には、自作農維持資金、農林漁業施設資金、災害復旧施設などに対しましての低利の制度資金を融通することが大事であると考えております。  ホタテガイ養殖管理に係る経費への支援についてでありますが、漁網の綱、浮き玉等資材購入や、ホタテガイ種苗の育成に対して、農林漁業金融公庫資金や漁業近代化資金の利用が可能でございますので、そうした点についての紹介を行い、使っていただくようにしてまいりたい、こう考えておるところでございます。  今後の噴火活動の状況によりまして、農林水産業への被害及び対策も異なってくると考えられますが、農林水産省といたしましては、今後とも被害状況の迅速な把握に努めますとともに、これまでの災害に対する措置状況を踏まえつつ、遅滞なく必要な対策を講じてまいりたいと考えておるところであります。
  24. 小平忠正

    ○小平委員 大臣、今、道の要請等に沿って、るる御報告がございました。ぜひ果敢に取り組んで、おっしゃるとおり、迅速な措置が大事ですから、お願いしたいと思います。特に、私から、今、春耕期といいますか、農業は春がスタートでありまして、これから秋に向かって農民が気力を持って農作業にいそしむためのスタートのときなので、大事なときにこういう大きな打撃がありましたので、精神的なダメージも大きいと思いますから、ぜひそこのところをよろしくお願いしたいと思います。  また、融資条件の緩和ですとか、いろいろな制度の新設等もあるでしょうけれども、問題は、そういう貸し付けの場合は幾ら低利であっても償還ということが出てきますので、こういう場合は、また後でそれにがんじがらめにならないように、本当に効果ある措置を迅速にとっていただきたい、このことは重ねてお願いをしておきたいと思います。よろしいですね。  それでは次に、今回の基本計画について何点か御質問をいたします。私もこの基本計画のペーパーを手元にいただきましたので、時間があればそれぞれの項目ごとに質問をしていきたいと思うのですが、限られた時間でありますので、何点か質問いたします。  まず最初に、「食料自給率の目標」というところがありまして、六ページに書いてあることなのですけれども、その中でいろいろとうたっております、食料自給率の目標を掲げるということは、「国民参加型の農業生産及び食料消費の両面にわたる取組の指針として重要な意義を有する。」こういうことが入ってきていますが、そういう状況がある中において、さらに政府は、同じく六ページのところでも、五割以上の国内生産を目指す方向を打ち出しております。大事なところなので読み上げますと、「基本的には、食料として国民に供給される熱量の五割以上を国内生産で賄うことを目指すことが適当である。」と、「適当である。」という表現はちょっと私は抵抗があるのですが、はっきりずばっと言い切る、目指すとなぜ堂々と言えないのか。「目指すことが適当である。」なんというのは、何となくあいまいもことした表現に受け取られますが、それで当面、四五%、十年後に向かって自給率の目標を達成したい、こういうことをうたっております。  いろいろと文章を読んでいきますと、関係者等々のいろいろな協議の中で進めていきたいと、しかし、どこを見渡しても、こういう目標値を掲げました、これに向かって農水省は進みます、政府は進みますと言っておきながら、そこに国の責務というか、国の責任というか、そこが明確に見えてきていないのですが、またその記述もないのです。どうしてそこのところをはっきり打ち出して言っていただけないのか。それが、この基本計画の大きな柱の中でそれをまずきちっと打ち出して、それで入っていけば、政府も本当に責任を持って本腰で入っていくのだなということを感じ取れるのですけれども、入り口が何となくあいまいな感があります。そこについては、大臣はどう御説明いただけるのでしょうか。
  25. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 すべての基本計画がそうだと思いますけれども、当然、政府が策定をして進めていくわけでございますから、これは政府が責任を持ってやっていかなければならない、これはもう明確であるわけであります。文言にあるからとかないとかということではなくて、取り組む以上は責任を持って取り組むのが当然のことだと思うわけでございます。  それから同時に、この基本計画におきまして、自給率の目標は高い方がいいことは当然のことでございます。五割以上、こういう数字もそれぞれの、国民皆さん議論の中で示されてきたことであるわけでありますから、高い方がいいことはそのとおりであります。しかし、実現性ということを検討した場合におきまして、これは十年後の目標でありますから、その場合におきましては、現実的な諸要素、一つ一つ課題を克服しまして、カロリーベースで四五%、こういう数字を策定したわけでございます。これは政府が先頭に立って責任を持って進めていくと同時に、生産者消費者あるいは食品産業の方々、こういう方々の御理解と御協力を得て実現するものである、このように考えておるわけでございますので、委員におかれましても御理解をいただき、御協力を賜りますようにお願いを申し上げたいと存じます。
  26. 小平忠正

    ○小平委員 大臣、おっしゃっていることに間違いはないのですよね。関係者の御努力や御理解を得て、これは当然です。そのことをうたうのであるならば、その前にまず政府みずからがきちんと責任を持ってこれに対処します、そういうことが明確にうたわれているならば、そこは評価できるんですが、そんなことを言わぬでもやるんだと言っているんでしたら、書かなくたってすべてができるわけですから、私は、どうもそこに逃げの姿勢が見え隠れしてならないところであります。  あわせて、そういう努力目標ということなんでありますが、これをずっと拝見していきますと、十二ページあたりから「農業生産に関する課題」の中で、努力目標ですか、これを見ますと、例えば小麦の場合は生産コストを三割程度削減、低減する、大豆になると、これも生産コストの三割程度の低減、野菜は二割、それから、牛肉に至っては生産コストを二割程度の低減、こういうことをうたっていますが、もう既に生産農家は、しっかりとコストの低減化に向かって努力はしているんですよ、今まで。これをさらにコストの低減化を図れということは、その意味するところは、農民よ、おまえたちが自分で努力せい、そうしたら四五%という数字が出てくるよ、そういうことになっていくんですね。いや、委員長は首を横に振っているけれども、既に生産者はもう十分過ぎるほどコストダウンの努力はし尽くしちゃったんですよ。そういう中でさらにコストの低減化がなければできないなんというのは、これではまた絵にかいたもちに終わってしまうな、私はこう思うんです。  時間がないので続けて質問いたしますが、そういう意味でいいますと、三十ページをちょっとごらんになっていただきたいんです。  今のことに一応つながっていることでもあるんですけれども、大臣、今回こううたっていますね。「農業の持続的な発展に関する施策」という中で「農業経営者(主たる従事者が他産業従事者と同等の年間労働時間で地域における他産業従事者とそん色ない水準の生涯所得確保し得る農業経営)を育成し、」こうありますね、それはおっしゃるとおりなんです。  ところが、このことはまだ御記憶に新しいと思いますが、平成四年に政府は新政策を発表しましたね。そのときも同じことをうたっているんですよ。あのときは、特にいろいろなことがありますけれども、その中の一つを申し上げますと、農業経営を安定化するために、また国際競争に伍していけるために、例えば北海道なんかは約三十ヘクタールですか、そういう規模の個別経営体というものをつくっていけ、こう政府から指導がありました。それに従って規模拡大しましたら、結局今こういう状況になって、それが大きな足かせ、おもしになって、生産者、農民は、農地を取得したいわゆる借り入れの負債償還にきゅうきゅうとしている。ところが、それについては何ら政府は責任なしに、そのしりぬぐいは農民みずからせい、そう言っていますね。言っているんでなくて、そうなっていますね。  ところが、今回はまた、審議会がいろいろと検討して、今回のこれに合わせて発表された「農業経営の展望」ですか、これによりますと、これは北海道のことで今例として言っているんですけれども、今度は二十一・六ヘクタールで、そういう規模にせいと。いつの間に三十ヘクタール規模のものが二十一・六に、八ヘクタールも規模が下がっちゃったんですか。そういう変化、転換するんでしたら、前に、平成四年に出した新政策施策に対し、きちんとそれに対する反省、分析、総括が成った上、そして、それについて与えた被害のきちんとした救済措置がなされて、こういう新しい方向を打ち出すんでしたら農民は粛々とそれに従っていけると思うんですが、また今回もこういうことを出して、これがうまくいかぬかったら、また次に別のことをやるというのでは、農政不信は永久に解消されない、こういうふうに指摘をせざるを得ないと思うんです。  そういうことを含めて、大臣、今、三割、二割のコスト低減のことをうたっています。これらを含めて、どのように進められていくのか。
  27. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 我が国の農業の一つの弱点といいますか、一戸当たりの耕地面積が少ない、やはりこれを拡大していくということは、いつの時代におきましても追求していかなければならない課題だと私は思います。  そういう中におきまして、十年間のこれからのコストの話を今されたわけでございますけれども、これはいろいろな要素があるわけでございます。例えば技術開発等も行いながら、農地は四百七十万ないし八十万ぐらいを確保しながら、やはり反当収量をふやすという努力もうたっておるわけでございます。また、飼料とか肥料とか、こういうところにおきましても、リサイクルを通じまして購入するという道等も講じておる、さらにはまた経営安定対策とか、支援策も行っておる、こういうようなことを行いまして消費の拡大等を図っていきますならば、必ずこの目標は達成し得るという形で挙げておるわけでございます。  また、委員は北海道御出身であるわけでございますけれども、北海道におきましては、昨日、同じように北海道選出の参議院の方から、例えば、北海道において非常に成功している例としましては士幌町の例を挙げられました。食品加工等を消費地の近くに展開いたしまして、一戸当たり持っておる貯金の量だけでも一億二千万を超えておる、こういうような事例も挙げられました。  したがいまして、いろいろな方法があるわけでございますけれども、北海道農業において果たしてきた役割等も見ながら、消極的な面ばかり見ないで、積極的な評価もしながら進んでいくということが大事じゃないか、私はこう思います。
  28. 小平忠正

    ○小平委員 大臣、確かにそういうよいケースもあります。別に私は消極論を言っているんではなくて、一般論を言っているんです。農業の今置かれた状況の一般論を申し上げているのであって、もちろん、中にはそういういいケースもありますよ。でも、そのことだけを言ったのだったら、これは何もせぬでもいいことですから、一般論ということで話しているので、大臣、厳しさの認識をぜひ持っていただきたいと思います。これは冗談なしに、厳しいということは本当に思っていただきたいと思います。厳しさはもう持っていらっしゃるでしょう。  ちょっと時間がないので、次にもう一点お聞きしたいものですから、大臣もさらに答弁をやりたいでしょうけれども、畜産局長見えていますね。先週、九州の口蹄疫、大変な事件、事故が起きました。私もかつては肉牛を経営する畜産農家の一人でありましたので、人ごとではありません。  我が国は幸いにこの口蹄疫の汚染圏ではなく、ヨーロッパを含めて、あるいは豪州や中国を含め、非常に神経過敏にこれに対応してきた、検疫を。ところが、これが、稲わらの輸入というとんでもないところから破綻したわけですね。確かに稲わらというのは、肉牛を肥育する場合には、青草では肉が白くならない、脂のサシが。したがって、稲わらは肉の品質を高める上で非常に効果がある、配合飼料にまぜて。ですから、肉牛畜産農家は貴重な飼料としてこれを使用していますね。  ところが、今回、いろいろなルート、中国産か台湾産か、あるいは北朝鮮を経由するとか、そういうことで入ってきています。私はこれを見て思ったことは、日本の水田農家、稲作農家の大宗というのは、今稲わらは、すき込むか焼却しちゃっているんですよ。昔は稲わらは、きちんとそれを集めて、冬場に俵をつくる、縄を編むという来春に向けての作業に使っていた。でも今はこういう時代で、さっきも言ったコストの低減化をするにはとてもそんな稲わらなんか集めておれない、早く、田んぼの後、稲わらをすき込んで、焼却して、出稼ぎなりしなきゃならない、こういうせっぱ詰まった状況があります。  そのときに、これは今大きな社会問題なんですよ。言うならば、焼却ということは薫煙です。煙幕を張った状況になりまして、その地帯一帯が、秋も収穫が終わりますと、道路も走行できない、日中でもライトをつけても走りづらい。また、町の中においても煙が充満して、今ダイオキシンという大きな公害問題も叫ばれている。  こういうことが今社会問題化しつつある中に、一方でこういうことが行われてきたという、これは新聞の記事等で私もわかったことなんですが、何か、見ますと、昨年は二十二万トン稲わら、また麦わらも中国などから一万数千トン輸入、こうなっているのですが、私は、これを見ると、実態はもっとあるように思えてならないのですね。なぜならば、肉牛、あの大きな動物が食べる量というのは、肉牛の総量からするとそんなものではないですから、隠れたものがあるように思えてなりません。  そこで、局長、こういう状況なら、やはり安全な国内の稲わらを使うように政府がしっかり指導する。ということは、そこにきちんとした補助、助成体制をつくる。そうすれば、稲わらが有効に利用されますし、また農家も、生産者も、いわゆる副産物の収入源が大きくできるわけですね。そして一方では、国民に安全な食料を提供するという観点からも、この口蹄疫という大きな、これは牛とか豚の世界では大変な病気です、これが解消されますね。  そういうことを思うと、この機会にこれを大きな教訓にして、こういう輸入体制はもうこれですっぱりやめる、そして新たに国内の稲わらを使用する、そういうことに取り組んでいくことを、もう既に何かある程度着手はしているのでしょう、そこを具体的に進めるそれなりの決意をぜひこの際、お聞きしておきたいと思います。
  29. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  現在、国産の稲わらがどのように使われているか、お話もございましたけれども、年間約九百万トン生産をされているわけでございますけれども、そのうち、飼料用に利用されておりますのは百万トン強でございまして、約六割程度がすき込みや焼却処分をされている、これはおっしゃるとおりでございます。  その中で、輸入をしておりますものが、今お話しのように二十二万トン、昨年でございますとございまして、数字の上でははるかに国産のものが利用できるわけでございます。  その片方で、今般の口蹄疫の感染経路につきましては、外国産の稲わらあるいは麦わらが原因であることを否定できない状況にございますので、とりあえずはその輸入規制の措置は講じておりますが、国産をやはり利用するということが大変大事なことじゃないかと思っておりまして、今後、国産稲わらを円滑に供給してもらうということで、二つのことを早急に講じたわけでございます。  一つは、生産者団体が長期的な約束のもとに飼料用の稲わらを生産して安定的な供給を行ってもらうためには、現在も事業がございますけれども、それを大幅に拡充をして、端的に言いますと、細かい額は別にしまして、倍額にするというような措置を一つ講じております。  それからもう一つは、水田農業経営確立対策というのがございますけれども、その中での取り扱いで、わらの専用稲をおつくりになる場合には飼料用作物として位置づけるということを決めたことでございます。  しかし、こういうことをやりましても、現実に動きますためには、物理的にも離れております畜産地帯あるいは耕種の地帯を結びつけないといけないということがございますので、こういう手法は用意をいたしましたが、やはり関係者が同じ意思のもとにきちんと動いていくということが大事じゃなかろうかということで、行政から農業団体関係者が一体となりまして、国産稲わらの飼料用の利用の推進をするということで具体的な対策を協議する、まさに本日、国産稲わら緊急確保対策協議会が開催されまして、具体的にどうやっていくかという対策、ちょうど先ほど始まって、こういうことを詰めていくということになっているところでございます。  今後、お話がございましたように、こういう施策を積極的に推進しますとともに、国産稲わらを利用していただく、そういう利用が進むということに取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
  30. 小平忠正

    ○小平委員 ぜひよろしく取り組んでいただきたいと思います。  時間がありませんでしたので、官房長を初め御案内しましたが、当たりませんで、失礼しました。終わります。
  31. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、石井紘基君。
  32. 石井紘基

    石井(紘)委員 自治省に伺いたいと思いますが、きのう、どこかの政治団体から平成九年度の収支報告についての訂正が行われましたでしょうか。
  33. 片木淳

    片木政府参考人 お答えいたします。  昨日、訂正願いが提出され、訂正が行われました。
  34. 石井紘基

    石井(紘)委員 私は、具体的に、選挙も近いことだし、だれがどうということを申し上げたくないし、また個人的に陥れるというつもりもないので、ある雑誌でちょっとほのめかすようなことをお書きしておいたのですが、訂正をされたということでございます。  私は、それはたまたま一つの事例にぶつかって出しただけでございまして、私が言いたいのはもっと大きな話なんですね。それについて、これから農水省関係、特に林業土木の関係について、その外郭、天下り団体を中心にちょっと幾つか、大臣を初め聞いていきたいというふうに思います。  余り具体的なことを申し上げる前に、例えば、補助金なんかが出ている団体というものは、政治献金というものをその年度はしてはいかぬということになっているわけですが、仕事、事業を大量に発注している、そういう公益法人がたくさんございます。これは、私に言わせれば、天下りや利権のためにつくられている側面が大変強いのでたくさんあるわけなんですが、国の予算が行っている、そういうところから政治献金を集めるということについて、一般論で結構でございますし、大臣のお考えあるいは印象を聞かせていただきたいと思います。
  35. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 政治資金規正法の問題でございますが、国からの補助金をもらった場合に、その団体が政治献金をやるかどうか、こういう趣旨だったと思います。(石井(紘)委員「では、もう一回言い直しましょうか」と呼ぶ)ええ。
  36. 石井紘基

    石井(紘)委員 先に玉沢大臣を指名しておりませんでしたので、質問をお聞きいただけなかったかと思いますので、もう一回言い直します。  補助金だけに限らず、事業を国から発注している、そういう公益法人がたくさんあるわけです。例えば日林協だとか林野弘済会あるいは林業土木コンサルタントだとか、あるいはまた特殊法人、これは補助金が出ておりますが、そういう団体がたくさんあるわけですね。そういうところから回り回って政治献金ということが行われているということについては、大臣、これは大変いいことだと思われるのか、よくないことだと思うのか。
  37. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今挙げられました三団体、林野弘済会、林業土木コンサルタンツ、日本林業技術協会でございますが、この三団体から事業を受注し、または出資を受けている企業は株式会社や有限会社でありまして、農水省が一般的な指導監督を行う立場にはないと考えております。  政治献金については、政治資金規正法による規制が行われておりますが、これは自治省の主管でありまして、我が方からコメントする立場にはないと考えております。
  38. 石井紘基

    石井(紘)委員 どうぞ、私が申し上げていることは余り具体的なことじゃありませんので、お顔をお上げになって聞いていただいて答弁をしていただいた方が的確なんじゃないかと思うんですね。具体的なことを聞いているわけじゃなくて、そういう、国の予算が回っていった先々から政治家がお金を集めるというのはいかがなものかなということを、一般的にどう思いますかという質問です。
  39. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 補助金を受けている団体から政治献金を行われるということは、規正法においては禁止しておると思います。
  40. 石井紘基

    石井(紘)委員 少し具体的に申し上げます。  先ほど申し上げました林業土木コンサルタンツというのは、農水省や地方公共団体から約五十七億円の仕事を受注しております。それを約十四億四千万円で発注をし、多少手を加えてその発注にこたえておる、受注にこたえておるということですね。それから、林野弘済会というのは、都道府県や国から二十五億円の受注を受けまして、それを約七十八社に二十一億四千万円で流していくわけですね。それは一〇〇%丸投げとは私は申し上げませんが、そういう関係になっておる、ごめんなさい、四十六億六千万円で受注したものを二十一億四千万円で発注し、プラスアルファの何か事業もやっておるということであります。それから、日林協は、補助金を大体年に三億数千万から四億円を受け取って、これを三十七社に発注をしておる、四十六億円ぐらい払って発注しておる。  子会社は、グリーン航業という子会社を持っておる、あるいは興林コンサルタンツという子会社を持っておる。それからまたもとへ戻りますと、林業土木コンサルタンツの場合も子会社を、旭友林業株式会社等々の子会社を持っておる。あるいは、林野弘済会も子会社を持っておる。  こういうふうになっておりまして、この仕事が回っていく先々は一般の株式会社でございます、当然のことながら。しかし、そこに直接何で発注されないのかな、何で財団法人やら日林協やらというようなものを通して、かなり今度は発注金額も縮小されて、そしてたくさんの企業に発注されていくのかな、そのギャップが大変大きいものですから、非常に奇妙な印象を受けるわけであります。  子細に見ていきますと、それぞれの発注先の企業や出資してできた企業が政治献金を行っておる。こうした企業連中の全国的な団体である全国森林土木建設業政治連盟だとか全国木材産業政治連盟だとか林業政治連盟だとか林業経営者林政会等々の業界ごとの政治連盟がまた相当莫大な政治献金を行っておる。  これらは、もとの金はどうか。もちろん、それはそれぞれの、株式会社ですから、方々が働いてそれは生み出された金だと言えないことはありませんが、発注元はやはり国なり都道府県、公的な団体、したがって、それは公的な資金、税金ということなんですね。こういうものがいろいろに加工されて政治献金に回っていく、あるいは膨大な量の天下りの皆さんを食わせているという構造になっているわけです。これは林業だけじゃありません。たまたま林業の問題を持ち出しましたが、構造改善局あるいは土地改良等についても同様なわけですね。  ですから、自民党の幹事長かだれかが最近、何か、国会議員も歳費を少し、こういう御時世だから減らしたらどうかなんて、カットしたらどうかなんというようなことをおっしゃっている方がいますけれども、政治資金の関係なんかを見ていきますと、例えば私なんか企業からは一社ももらってないんですね、私の政治団体は。こういうところは、たくさんの先生方がいろいろな団体をお持ちでやっておられるけれども、大体こう見ていくと、建設会社が百や二百はずらっと書いてあるわけですね。地方の土木関係の企業です。地方のそうした土木企業というものは、公共事業をやってないところはないでしょう、ほとんど。ですから、結局はそういうふうに税金が回っていって、それを政治家あるいは政党が集めてくるという仕掛けになっているわけです。  そういうことについて、玉沢先生は補助金のことしかおっしゃいませんけれども、全くこれはおかしくないと思われておるのか。あるいは林野庁長官、よく……。
  41. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員が雑誌に書いておられるところを見ますと、ちょっと事実と違うところがございます。それは例えば、日本林業技術協会は農水省から、平成八年、九年の二年間に、四百十億円もの補助金を受けていると書かれてあるわけでございますけれども、実際のところは、平成八年には三億八千万、九年には三億九千万、こういうことで、ちょっと数字がかなり違っておるところがございますので、したがいまして、四百数十億、実際のところは七億台のもの、こういう……(石井(紘)委員「単純なミスですので、そういうのじゃなくて質問をしたところに答えてください」と呼ぶ)とりあえず、正確に議論をするという意味におきまして、ここで明らかにした上で、これは何か補助金をばらまいて、それを政治資金として受け取るというようなことだけではないということで、それぞれの三つの団体がどういう事業をやっているかということも見ながらひとつ御議論を賜ればと思うわけでございまして、あとは林野庁長官から答弁をさせていただきます。
  42. 石井紘基

    石井(紘)委員 では、関連して、それぞれの団体がどういうことをやっているかということですが、例えば、日林協だとか林野弘済会なんというのは保安林の解除なんかも一つの目的になっているわけですよ。  ところが、それらの団体がそれぞれ出資して、保安林解除をする興林コンサルタントなんという会社をつくってやっているわけです。そこには、みんな歴代の社長は林野庁のOBですよ。そうやって、しかもこの発注高を見ますと、飛び抜けて数字が大きいのです。林野庁長官、先ほどから答弁をしたがっておられますけれども、これはどういうわけですか。
  43. 伴次雄

    ○伴政府参考人 興林コンサルの問題でありますが、この会社につきましては、昭和四十五年に、森林に関します調査とか、測量とか治山、林道それから緑化の設計調査ということを行うような会社で実は出発しております。  それで、林野弘済会なり林業土木コンサルの方で全体的な企画の立案なり最後の取りまとめ等は既に行っておる次第でございますけれども、いわゆる単純な作業といいますか、製図とか測量、そのような部分を受け負っておるというふうに承知しております。
  44. 石井紘基

    石井(紘)委員 こういう実例を見ても、林野弘済会を見ても、あるいは日林協を見ても、林業土木コンサルタンツを見ても、あるいはそれぞれのつくった子会社を見ても、目的は似たり寄ったりのことをやっているじゃないですか。同じようなことをやっているのです。それで、財団をつくってみて、これはもうかりそうな仕事がたくさんあるからというので子会社をつくっているのじゃないですか。  興林コンサルタンツなんというのは、ほかの受注件数、林野弘済会からの受注件数ですよ、これが全部で六十社以上ありますけれども、断トツの、トップですよね。これも保安林解除だとかその他のそうした事業もやる、日林協と似たり寄ったりのことをやる、あるいは林野弘済会と同じようなことをやっている会社ですよ。職員だってそんなにたくさんいるわけじゃない。  ここだけでも言ってみましょうか。約二億二千万、断トツですよ。こういうことを、私は、農林大臣、やはりもっと真剣に取り組んでいただいて、国民から見てこれはおかしいというようなことを少しでも減らしていくようにしてもらいたい。  松岡委員長、私、雑誌の中でお名前を触れさせていただいたので、何か言いたいことがおありのようでございますから、どうですか。
  45. 松岡利勝

    松岡委員長 石井委員からお尋ねをいただいて、私に発言をということでありますからちょっと言わせていただきますと、私は、文春の記事を見まして我が目を疑ったわけであります。なぜかといいますと、「農水省汚染」と書いてある。そして、小見出し的に逮捕された最近の事件のことが触れてある。だから、汚染ということは、恐らく今逮捕されている一連の事件のことを言っておられるのだろうと思うのです。  その元凶が天下りコンサルタント、石井紘基議員の全責任で書いたと今言われて、きのう私も電話で確かめて言われたわけでありますが、そういうことになっておる。そして、私の顔写真が出ておる。こうなると、農水汚染、具体的にこれは何なのか、やはり国会議員として氏名を明らかにして書かれる以上、怪文書的な、無責任な記事じゃないわけですから、当然そのタイトルと私の写真との因果関係、必然的な結びつきが事実関係として説明されない限り、これは私は無責任きわまりないものだと思う。  したがって、そういう意味で、私は、一切関係ないのに、あなたは今の農林省の汚職と何か関係あるのですか、こういうふうに聞かれるわけです。したがって、これは国会議員としての石井議員の立場で責任を持って書かれたと言うのならば、あのタイトルと私の写真との関係は何なのか。やはりこういった点については、法的にどうこうということももちろん一つあると思う。ところが、うまく逃れられるように書いていまして、だから法的にどこまでやれるかというのは今詰めておりますが、こういう国会の場でお互いやはりきちっとするべきだと思う。  そういう意味で、石井議員が私にどうぞ発言はということで求められたと思うので言いますが、きのう確認をさせてもらったことを幾つか言いますと、これはあなたが全部記事を自分で書きましたかと聞いたら、いや、一部は手伝ってもらった、こういうやりとりでありました。(石井(紘)委員「そういう言い方はしていない」と呼ぶ)いやいや、それはもうきのう、幾ら言われても、そういうやりとりでありました。では、その一部手伝ってもらった人の名前を明らかにしろと私が言ったら、それはできないとおっしゃる。人の重大な名誉に関することをそうやって書くのならば、当然どういう立場の人か氏名を明らかにして正々堂々と私はやるべきだと言ったら、答えはなかった。そしてまた、原稿料は幾らかとも聞いたけれども、それもなかった。昨年お書きになっているようだから、原稿料は、昨年の分はもらっておられるのだから多分同じぐらいだろうと思う。  国政調査権で資料を要求し、そして、それで原稿をお書きになって、利益につながる。これまた、今いろいろおっしゃっている内容と相反することではないかなと思う。だから、国政調査権で得た資料が怪文書的なものに使われることになるとなれば、私は、そのような国政調査権のあり方は国会でその是非を議論していただきたいものだという問題提起をしたいと思う。  それと……(石井(紘)委員「一応私の時間だから……」と呼ぶ)いやいや、あなたの時間の中で私も答えさせてもらっているのです。  だから、いずれにいたしましても、私どもは政治家ですから、政治資金規正法というものに基づいて、それにのっとってすべての政治資金を処理いたしております。あなたは企業から一銭ももらっていないと言われた、それはお互い政治家の一つの考え方でそういう対応をとっておられるわけであります。  だから、例えば、もし国民の税金がもとになってとおっしゃるなら、個人献金も、これは国民の税金が仕事になって、回り回っていっていることはいっぱいあると思う。現に国家公務員なんかはみんなそうです。そういったようなことからすれば、仕事だって、例えば、税金が景気対策で民間の会社の仕事になって、それから個人が献金している場合もあると思う。だから、それを言うなら、やはり政治資金規正法にのっとっているか、のっとっていないかということが一つの大きな問題であって、そこに何かもし問題があれば、その点についてただして、それでどうかということなら、私はあり得ることだと思います。  それと、もう一点言っておきます。  日林協の問題を言われました。当時は、複数の政治家が補助金を受けた団体から献金をもらっているのじゃないかということがあって、返したわけです。それで、解釈が二つあって、営利につながらない補助ならばいいという解釈だったのですが、やはりそれもあえて返そうということで、平成九年に返したわけであります。  そういったようなことでありますから、どうかひとつ、政治資金規正法できちっと整理されておるということに照らしておかしいか、おかしくないかという議論をしていただきたい、石井議員に対するこれは答えです。
  46. 石井紘基

    石井(紘)委員 大分委員長も言いたいことをおっしゃったようですので、私は、一つ一つ反論はいたしません。  ただ、さっき大臣が言われたように、数字が間違っているのが一つありました。これは単純な間違いでございました。私は、大臣に、原稿の、論文のことを質問した覚えは全然ないのですが、そういうことを言われましたので、言っておきます。  松岡委員長はそういうふうにおっしゃいました。私は、私がとった行動については全く問題ないし、むしろ今、最後に言われた、政治資金規正法に照らして違法であるか違法でないのかという問題でまさにこれは違法であったので、私はあそこにちょろっとほのめかす程度に書かせてもらった。いつ訂正されるかなと思って毎日見ておったら、きのう訂正されました。
  47. 松岡利勝

    松岡委員長 返したのは、もっと前に返した。
  48. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは、平成九年に実はあるところから聞かれて、委員長のところの事務所がこれは答えたのじゃないかと思うんですが、日林協からの献金は違法性があり、直ちに返却したい、こういうふうに述べておられます。ところが、それが、その手続がなされていなかった。したがって、これは違法性のある問題だったのです、きのうまでは。  ですから、私は、選挙も近いし、また何も個人的に攻撃をするのが目的でもないから、だからこういう態度をとってきているわけですから、そこは、私の思うところは、先ほど来言っているように、個人個人がどうしたこうしたということも重要だけれども、さらに重要なのは、国民の税金がいかに正しく使われるかという問題なんだということであります。ですから、そういう観点から、いろいろまだ問題がありますので、別の件ですけれどもありますので、今後もそうしたことは引き続き厳しく究明をしていきたい、こういうふうに思っておりますので、それを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  49. 松岡利勝

    松岡委員長 ちょっと石井君、いいですか。  国民の税金が正しく使われるということについては私も全く同感でありますし、また、そうなきゃならぬと思っています。  それと、違法性の云々がございました。これは解釈がありまして、解釈的には、営利につながらない、例えば調査とか、そういう補助金である場合はいいという当時の解釈でありました。でありますが、あえて返したということでありました。平成九年九月十八日にちゃんと返却しております。だけれども、手続がちょっとミスっておった、こういうことでございますので、その点はひとつ十分御理解をいただきたい。  以上であります。
  50. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。
  51. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、宮地正介君。
  52. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは基本計画中心とした一般質疑でございますので、まず基本計画中心に質問をさせていただきたいと思います。  一昨日、この基本計画推進するために、食料農業農村政策推進本部、新総理の森総理が本部長になられ、玉沢農林水産大臣は官房長と同じように副本部長、こういう立場で推進本部が発足をいたしました。  昨年、新しい農業基本法の審議の中で、この新農業基本法は二十一世紀の日本の農林水産業再生のための重要なスタートを切る法律である、こういうことで、一つは自給率の向上を第十五条に明記しよう、そして、この自給率の向上を具体化するために、基本計画の指針、また具体的な自給率の数値目標を達成するための施策を当初、政府案は計画を策定しましたら直ちに国民に公表する、こういうふうになっておったわけでございますが、国会も責任を持とう、こういうことで、国会報告を十五条の中に修正として入れさせたわけでございます。  また、今後の自給率の向上を目指すためには、具体的に、第二条で、国内生産基本としてというところを、国内生産の増大を基本としてというふうに修正をさせたわけでございまして、まさに魂を入れた修正であった。この点については、自民党では現松岡委員長が大変汗をかかれ、私は当時野党でございましたが、公明党を代表して汗をかかせていただいたわけでございます。  それを、さらに本物の施策推進をするためには、この十五条の頭にありますところの「政府は、」というところについては、ともすると、農林水産省はと、このように読んだのでは施策の具体化、目標達成は大変難しいのではないか。というのは、食料自給率というのは、生産段階マターの問題だけではない、消費の問題、流通の問題あるいは最も重要な食生活の多様化、あるいはそれに伴う大きな変化、しっかりと国民のニーズをとらえて政府が取り組んでいかなくてはならない。  こういう立場から、この法律案が衆議院で可決をされるその当日、今病床に伏せっております小渕前総理大臣出席をいただきまして、私から小渕総理に対して、これは農林水産省マターだけの問題ではない、内閣総力を挙げてこの達成に取り組んでいく必要があるのではないか、そのためには、具体的に、内閣の中に閣僚懇なり閣僚会議あるいは対策本部を設置して取り組む用意はありませんか、こういう提言を申し上げたところでございました。これに対しまして小渕当時の総理大臣は、真摯に、全く同感でございます、内閣総力を挙げて、日本の農林水産業の再生のために、基本計画の達成に向けて努力をしてまいりたい、こういう明確な答弁が出されまして、私は大変心強くしてきたところでございます。  そうした小渕総理の思いの中で、残念ながら、総理のいらっしゃるときに設置はできませんでしたが、去る三月二十四日閣議が行われ、後継の森新総理大臣のもとにこの推進本部が設置されたことは、私にとりましてはまことに感慨深いものがあるわけでございます。  そこで、まず副本部長に就任された玉沢農林水産大臣、森総理のもとに、こうした小渕前総理大臣の思いを体して、今後、この推進本部をどのように運営し、目標達成に向けてどのように具体的な施策の実行に努力されんと考えておられるのか、まず、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  53. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員の御発議によりまして、当委員会におきまして小渕総理がお約束をしたこと、決意を示されたことが森内閣におきましても十分継承をされまして、この基本計画政策推進本部が設置をされたわけでございます。基本計画に基づく施策の着実な推進を図っていくためには、国民各位の御理解、御協力を得ながら、政府を挙げて取り組むことはもとより、関係者が一体となって取り組んでいくことが必要であると考えるわけであります。  したがいまして、政府といたしましては、これらの取り組みの先頭に立ちまして、責任を持って諸施策推進していくことが重要でありまして、このため、総理を本部長官房長官と私を副本部長とする食料農業農村政策推進本部が設置されたところであります。  昨日開催されました第一回会合におきましては、総理から、基本計画に基づく施策の着実な推進について、関係閣僚に対し、協力をお願いする旨の指示が行われ、また、私からも御協力をお願いいたしたところでございます。  したがいまして、今後、幹事会等を含めたこの推進本部の枠組みを活用し、内閣官房と連携し、関係省庁の協力を得ながら、政府を挙げて実効性のある施策の着実な推進に全力を尽くす決意であります。
  54. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで、きょうは、内閣内政審議室長の竹島室長にもお越しをいただいております。竹島室長におかれましては、私が大蔵委員長時代、大蔵省総務審議官をされまして、大変な御活躍に私も期待している官僚のお一人でございます。私の提言に対して、幹事会の中心的幹事役を仰せつけられておると思いますが、竹島室長が就任していることに、何か私は因縁も感じているところでございます。  そこで、竹島室長にお伺いしたいんですが、この幹事会の今後の運営、また今後の計画推進についてはまずどのような取り決めをされようとお考えになっているか、伺っておきたいと思います。
  55. 竹島一彦

    竹島政府参考人 お答え申し上げます。  食料農業農村政策推進本部が発足をいたしまして、昨日、第一回の会合が行われたわけでございます。そこにおきまして、改めて基本計画説明され、これを総合的に内閣挙げて推進していこうということになっております。  私ども、そのもとに置かれた幹事会のメンバーでございまして、農林水産省その他関係行政機関が一致協力して基本計画推進していく、それのお世話役をさせていただくという立場に内政審議室としてはあると思っております。これからは、予算、それからいろいろな制度改正等もあろうかと思いますけれども、それらの節目節目に幹事会を必要に応じて開催をいたしまして、まさに内閣挙げてという体制の実が上がりますように頑張ってまいりたいというふうに思っております。  基本計画ができたばかりでございまして、十二年度予算の執行ということになりますが、いずれ基本計画は、ここにありますように、五年後には見直すというようなことになっておりますが、その五年後の見直しということに限らず、やはり、適切なフォローアップといいますか、評価も交えたフォローアップというのは行われていくことになると思いますので、そういうことに応じまして幹事会においても検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  56. 宮地正介

    ○宮地委員 竹島室長、今回の食料農業農村政策推進本部の設置について、平成十二年三月二十四日に閣議決定をされました。その閣議決定されたときに、六項目にわたって今後の対応について示されているわけでございます。まず、この第四項目に、「本部の庶務は、農林水産省その他の関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理する。」こういうふうに、庶務的な事項でまさか終わるわけではない、私はこう見ているんですが、この点については、あなたの方がこれをおやりになるんではないかと思っておりますが、この四項目を見ると、要するに「本部の庶務」、この庶務というのは具体的にどのような業務内容なのか、ちょっとお示しいただきたいと思います。
  57. 竹島一彦

    竹島政府参考人 お答え申し上げます。  この庶務というのは、ただ単に、何月何日会議をやりますよという、いわゆる純粋の庶務だけではございませんで、事務方として調整すべき作業について、関係省庁が集まって検討したり準備したりする、そういう場合も幹事会でそれを行うわけでございますが、その関係の事務、要するに、中身にかかわることについてもこの幹事会はタッチをする、こういうことでございます。  これは何も、この本部だけでなくて、もろもろの本部がございますけれども、これは一つの、「本部の庶務は、」という言い方になっておりまして、その庶務の意味は、そういうふうに使われている言葉でございます。
  58. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしますと、庶務というのは、単なる連絡役だとか、いわゆるその他の部署に属さない仕事というのは一般に庶務、こう言うんですけれども、そうじゃないんだと。三項目に、「本部に幹事を置く。幹事は、関係行政機関の職員で本部長の指名した官職にある者とする。」と。これは、そうすると、内閣総理大臣本部長でございますから、法務省を除いた関係省庁の官房長クラスが指名されたんではないか、私はこう理解しておりますが、具体的に、もう指名された氏名は公表できますか。
  59. 竹島一彦

    竹島政府参考人 法務大臣を除く全閣僚がこの本部の構成員になっておられるわけでございますが、それに応じまして、それぞれ幹事がもう既に指名をされております。  具体的には、私以外は、建制順で申し上げますと、総務庁の場合は官房長、北海道開発庁は総務監理官、防衛庁は官房長、経済企画庁は総合計画局長、科学技術庁は官房長、環境庁は企画調整局長、沖縄開発庁は総務局長、国土庁は地方振興局長、金融監督庁は監督部長、外務省は経済局長、大蔵省は官房長、文部省は大臣官房総務審議官、厚生省大臣官房総務審議官、農水省は官房長、通産省は環境立地局長、運輸省は運輸政策局長、郵政省は大臣官房総務審議官、労働省は職業安定局長、建設省は大臣官房総務審議官、自治省も同じく大臣官房総務審議官ということでそれぞれ指定をされております。
  60. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしますと、この幹事会のいわゆる中枢で、仕切り役は竹島室長、こう理解してよろしいですか。
  61. 竹島一彦

    竹島政府参考人 幹事会の座長というのは指定されておりませんが、農水省を初め関係行政機関の協力を得て、内閣官房が庶務をするということになっておりますので、その内閣官房というのは具体的に内政審議室でございますから、実質上、私、内政審議室長のポストにある者がこの幹事会の調整役をする、司会進行をする、こういうことになると思います。
  62. 宮地正介

    ○宮地委員 まさに竹島室長が事務方のいわゆる座長であるということが、ここではっきりしたわけでございます。  そこで、四番目のこの「庶務」というのは、特に、「農林水産省その他の関係機関の協力を得て、」と、ここで竹中官房長が、まさに竹島室長のもとにしっかりとフォローしながら、具体的な食料農業農村政策推進本部のいわゆるスクリュー役をやらなくてはならない、こういう重要な立場にある、単なる庶務ではない。  こうなりますと、竹島室長、先ほど私が農林水産大臣に申し上げ、今病床にありますあの小渕総理が、新しい農業基本法を衆議院可決直前にこの委員会で決議したことを体して、ぜひ日本の二十一世紀の農林水産業、これは農業基本法となっておりますが、中には林業の問題も水産業の問題も入っているんです。まさに農林水産業の二十一世紀の再生に向けての重要な法律が国会で成立をし、その具体的な基本計画が今後五年間を目標としてつくられ、五年後には見直しをされる、しかし、食料自給率は当面、十年を目標にして四五%、こういう数値目標が出されたわけでございますので、竹島室長のお立場はまことに重要なお立場、また役割にあられる、私はこう考えておりますので、今後のそうした取り組みについての室長の御決意をまず伺っておきたいと思います。
  63. 竹島一彦

    竹島政府参考人 身に余るといいますか、役不足でございますけれども、しかし難しい問題ではございますが、大変大事な問題であることは間違いございませんので、「国民課題」というふうにも書かれているわけでございまして、内閣挙げてやっていく上で、私どもは、今宮地委員から御指摘いただきましたような意味合いを十分に心得て頑張らせていただきたいと思います。
  64. 宮地正介

    ○宮地委員 どうか室長、六項目めに「「緊急農業農村対策本部」(平成五年十二月十七日閣議決定)は、廃止し、その機能は、食料農業農村政策推進本部に引き継ぐものとする。」ということで、これはウルグアイ・ラウンド対策として設置をされたものであります。単なるスクラップ・アンド・ビルドではない、この事業は継続をされる、まさに新設の、小渕総理に提言した推進本部である、私はこういうふうに考えているわけであります。  私は、この緊急対策本部が約六年三カ月にどのくらい行われて、どのような推進役になっていたのかはきょうは問いません。しかし、これからのこの食料農業農村推進本部はどうか新しい決意で、先ほど私が申し上げましたように、日本の農林水産業再生の生命線であるんだ、ぜひこういう重要な御理解をいただきたいと思います。今私は、水産庁にも林野庁にも申し上げております。この新しい農業基本法が昨年七月制定され、具体的に基本計画が閣議決定され、国会に報告され、この四月からスタートされた。  来年の通常国会では、いよいよ来年の四月からは、今度は新しい林業基本法をつくって、先日、国有林野事業については思い切った改革をしました。既に昨年三月からスタートしています。これからの日本の国有林野事業は、八割方公益化し、二割方が林産物収入、そして新しい環境保全型国有林野事業に移行、こういうことで、国有林野事業部門は抜本改革を終えています。しかし、一兆円の長期債務があるので、この辺はまだ負担があるのではないかという心配はあります。これは五年後の見直しということで今後検討していかなくてはならない、今度は民有林や公有林を含んだ日本の森林全体の抜本的な改革のスタートを、来年の通常国会で新林業基本法としてスタートさせたい、しっかり頑張ってくれや、こういうことで、今、伴長官を中心にその方向で研究、検討していただいております。  また、漁業部門においても、新しい二百海里時代、沿岸振興法を中心として今まで御努力されてきましたが、やはり日中、日韓のああした漁業交渉の問題等、新しい資源管理時代に入った。今の沿岸振興法だけではやはり難しい面が多々ある。時代のニーズに沿って、新漁業基本法、今、新水産基本法ということでこれも大綱がつくられて、来年の通常国会、そして四月からこれもゴーしよう。  こうなりますと、三本柱が来年の四月には全部そろうわけです、農業、林業、水産業。こうなりましたら、まさに二十一世紀の新しい日本の農林水産業の再生のスタートが、本格的に二十一世紀から始まるわけです。そのとき、農林水産省も、中央省庁再編で新しい農林水産省に来年一月から生まれ変わるわけです。まずその前段の、まさに弾頭ミサイルに当たるのがこの農業基本法であり、具体的に推進する基本計画なのでございます。  どうか、そういう点を意識して、そういうバックグラウンドのある中での推進本部の設置でございますので、小渕前総理大臣の思いを受けて、竹島室長も大変なお立場で、内閣のかなめで御苦労が多いし、多忙な状況にあろうかと思いますが、今申し上げたことをぜひ魂として胸中に入れていただいて、私は、この推進本部幹事会座長として大変重要な立場にあるんだということをぜひ御理解いただいて、もう一度御決意を伺っておきたいと思います。
  65. 竹島一彦

    竹島政府参考人 宮地委員お話、よく承りました。そういう御指摘をいただいたことを十分に踏まえまして頑張らせていただきたいと思っております。
  66. 宮地正介

    ○宮地委員 農林水産大臣、私は、事務方のスクリューがやはりあって、今度は関係閣僚会議推進本部が重大な決断をしていく、今こういう状況にあろうかと思います。大臣、今のお話を伺っておりましてどのような御決意を持たれたのか、再度伺っておきたいと思います。
  67. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員が野党のときに提言をされたことがこの推進本部に実っておるわけでございます。その後、委員は与党になったわけでございます。したがいまして、ともどもに同じ目的に向かって頑張ろうではないか、こういう決意であります。
  68. 宮地正介

    ○宮地委員 わかりました。ともどもに、ぜひ、日本の農林水産業の二十一世紀の再生に向けて公明党も大いに汗をかかせていただきたいと思いますので、頑張っていきたいと思います。  竹島室長、お忙しいでしょうから、どうもありがとうございました。  そこで、時間がございませんが、先ほども少し出ましたが、有珠山の噴火に伴う農林水産業の被害の状況と、これに伴う対策については先ほど大臣から御報告がございましたので、私、大臣にちょっと提案させていただきたいと思います。  今回の災害において、一つは、やはり人命優先、こういうことで、国土庁あるいは建設省を中心に、内閣を挙げて非常に努力されていることには心から敬意を表したいと思います。また、洞爺温泉等の地域では、観光客、特にゴールデンウイークを前にしてキャンセルが今出て、それが、洞爺温泉地域だけでなくて、北海道全域に大変な影響が出て、北海道は、御存じのように、拓銀のああした破綻問題、経済的な危機あるいは農林水産業も今厳しい状況、さらにここで有珠山噴火に伴う災害というトリプルパンチで、大変な状況にあることはもう大臣御存じのとおりです。  そういう中で、農業においても、今ホウレンソウなどの出荷の時期ですけれども、先日伺いましたら、水をやるのに、避難しておって、十日ぐらいなかなか帰れなかった、その間にホウレンソウが大きくなっちゃってもう売り物にならない、こういうような状況もあるということも聞きました。  また、先ほどお話がありましたように、ホタテガイについては、これはフォローしたことによって大分被害が、最小限になって、ヒトデに食われないで、浮きをつけて何とかと。これも実は私、再三水産庁に、時間を見て少しでも出動して、漁連をフォローできるような時間を、よく災害対策本部と研究してやれよと。あるいは海上保安庁の船が行っているけれども、魚のことなんか海上保安庁はわからないんだから、水産庁の調査船を出動させて、ちゃんと情報を、虻田の漁連とか関係漁連に情報提供してフォローしなさいよ、そういうことも後方支援で私、再三水産庁には申し上げました。  林野庁についても、自衛隊のヘリコプターで撮った写真をもらって、それで被害状況がどうだなんて、そんなけちくさいことはだめだよと。この際、思い切ってヘリをチャーターして、みずからが乗ってみずからが写真を撮って、どういう被害状況になっているかをチェックして、それで国民にきちっと報告するぐらいの気概がなきゃだめだぞ、こういうことも今ハッパをかけておりますが、どうもこの点はちょっと予算の関係があるので、北海道の道警のヘリコプターとか自衛隊のヘリコプターで撮ったものを借りていろいろやっているようです。こうしたところも思い切って大臣から予算措置をしてあげて、本当に積極的に、自前でやはり災害状況を調査して、先手を打っていくぐらいの気概が必要ではなかろうか。  そこで、私は、やはり与党ですから、この平成十二年度予算の中に、五千億円のいわゆる公共事業予備費、予備費の中の公共事業対策の景気対策としての五千億があるわけです。これを今後どうやって景気対策のために使うかということも既に議論が始まっているわけです。その中から有珠山対策として、優先して数百億ぐらいの予算を、農林水産対策も含めて、やはりここは閣議で、どんといこうじゃないかというぐらいな玉沢大臣のパワーで総理に申し上げるぐらいの気概があっていいのではないか、そこにやはり与党としての即効性がある。  まして鳩山さんの選挙区で、鳩山さんは公共事業費を批判しているんだから、むしろ逆にこちらがその中から先手を打って、公共事業費の予備費から取って皆さん対応しているんですよ、このくらいのぜひ提言を、私はしますから、次の閣議あたりでしっかりと農水大臣、それを提言して実現させてもらいたい。  先日も与党三党首が行ってきましたけれども、激励はいいですよ、激励は。しかし、具体的に与党の、本当に国民を思っている姿を、そうした予算を提言することによって、私は、国民に本気で与党は取り組んでいるんだというのを示してもらいたい。その点について、もう時間が参りましたので、最後に大臣の御決意を伺って終わりたいと思います。
  69. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今後、被害の状況等十分に把握をしまして、万全の対策をとりたい、そういう決意で臨んでまいります。
  70. 宮地正介

    ○宮地委員 私の提言についてちょっと、一言コメントしてくださいよ。
  71. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 気持ちはその気持ちでございます。  ですから、どんと、どんとという話なんですが、歌のようなことでございますけれども、それは全力を挙げて取り組むという中にすべて含まれておる、これを御理解いただきたいと思います。与党であろうが何であろうが、やはりやるべきことをちゃんと筋道をつけてやることが大事であると考えるわけでございまして、委員のおっしゃることは十分含んで、これから対策に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  72. 宮地正介

    ○宮地委員 玉沢農林水産大臣のバイタリティーとパワーと今の御決意を期待申し上げて、終わります。ありがとうございました。
  73. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、中林よし子君。
  74. 中林よし子

    ○中林委員 私も、まず最初に、有珠山噴火災害対策の問題から。  先ほどから農水大臣決意も聞かせてはいただいております。しかし、現地の農家の方あるいは水産業の方々は、問題が、大変要求が具体的になっているというふうに思います。  北海道、それから北海道議会が十五日に総理にあてて緊急の要求をされております。この中で、特に農水省に関係するのが、「融資条件の緩和措置など農林漁業被害の実態を十分に踏まえた制度資金の適時・円滑な融通」、「水稲・野菜等の種苗確保や緊急避難家畜の飼料費等への支援」、それから「営農継続に向けたビニールハウス等の補修・再建に係る経費への支援」、さらに「ホタテガイ養殖管理に係る経費への支援」というぐあいに、極めて具体的にまとめられております。  私は、全力を挙げてという決意は何度もきょうお聞きはしましたけれども、問題は非常に具体的なんですね。だから、細部にわたって、実情に応じた、道ともよく協議をして、農水省としての、本当に、前倒し前倒しといいましょうか、先手先手の対策を打っていただきますように要求したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  75. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 御要請の趣旨は伺っておりまして、それに対する対応も行っておるわけでございまして、先ほども申し上げたところでございます。  つまり、産業対策につきましては、融資条件の緩和などについて、低利の制度資金を融通する、既貸付金の償還猶予等も図られるように今やっておるところでございます。  水稲、野菜等の種苗確保につきましても、農家の要望を踏まえまして、道庁、農協等と調整をしながら対応しておるところでございます。  家畜の飼料につきましては、これも道庁と連携を密にしまして、家畜改良センターからの粗飼料の活用も含めて今行っておるところであるわけでございます。  それから、ビニールハウス等の補修等におきましても、共済の加入農家に対しましては、共済金の支払いが早期かつ円滑に行われるよう団体を指導してまいります。  ハウス等の復旧には自作農維持資金、農林漁業施設資金などの低利の制度資金を融通いたしておるところでございます。  ホタテガイ養殖管理に係る経費への支援につきましては、漁網の綱、浮き玉等資材購入やホタテガイ種苗の育成に対して、農林漁業金融公庫資金や漁業近代化資金の利用が可能でありますので、それに対する申し込みをされるように、こういうことでやっておるところでございます。  それから、海洋環境調査におきましては、北海道庁が行う海洋環境調査の経費負担につきましては、漁場環境監視等強化対策の活用により支援を今検討いたしておるところでございます。  洞爺湖の環境調査に係る経費の支援につきましては、北海道庁が行う調査につきましては、漁場環境監視等強化対策の活用により支援を今検討いたしておるところでございます。  以上のような具体的な御要請に対しましては、前向きに、個々に対応をいたしておるところでございます。
  76. 中林よし子

    ○中林委員 被害が長期化してまいりますので、私たちが予測する以上の大変な問題が出てくると思いますので、引き続き政府として国の責任を果たしていただきたいというふうに思います。  そこで、私は、食料農業農村基本計画について質問をいたします。基本計画を拝見いたしました。大変いろいろな問題があるのですけれども、時間が限られておりますので、まず、目標数値の問題でお尋ねしたいと思います。  平成二十二年、二〇一〇年に四五%という食料自給率を掲げているわけです。十年間で達成する数字としているわけですが、国民の方は、少なくとも五〇%台というのが共通した願いでございました。そこからいうと、今度の目標数値というのは、かけ離れた目標だと言わざるを得ません。  しかも、私が大変問題だと思っているのは、この四五%に、「消費者その他の関係者食生活の見直し等に積極的に取り組むことを前提として定める」ということとして、二〇一〇年に食生活供給熱量二千五百四十キロカロリー、脂質熱量割合が現在の二九%から二七%に、それから、炭水化物熱量割合が五八%から六〇%に変化していることが盛り込まれております。  もし、国民食生活が変わらなかったらどうなるのかといえば、食料自給率はこの部分だけで二・二ポイント実は下がるということになります。そうすると、四五%という目標数値が四二・八%になるわけです。これでは、食料自給率目標が達成しなかったならば、消費者がまじめに食生活の見直しをしなかったからだ、こういうふうになりかねません。  消費者食生活を見直すのは、食料自給率を上げるためではなくて、家族だとか本人の健康を守るためであって、そのために政府が啓蒙することは当然必要なことだというふうに思います。しかし、そのことを食料自給率目標に組み込むということは、私は筋違いだというふうに思います。  あくまでも、食生活の見直しによる食料自給率に与える影響というのはプラスアルファだ、国民皆さんが協力してくれたということのプラスアルファ部分とするべきであって、本来、食料自給率引き上げの本筋は、飼料自給率の抜本的引き上げとともに、大豆や小麦など輸入に依存している作物の国内生産の抜本的引き上げが本筋であって、これらの措置で初めて食料自給率目標を据えるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣
  77. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 自給率を高めるべきである、こういう国民の願いあるいは不安、これはやはり、食料安全保障に関連しまして、国民皆さんも、このままでは不測の事態に対応できない、こういうような気持ちがあるものと思われます。したがいまして、食料自給率を一般的には五〇%以上というような希望が、希望といいますか国民の願いがあった、これは委員がおっしゃられるとおりでございます。  さすれば、食料自給率といいますのは、高いことが食料安全保障上も大事なことでございます。したがいまして、国民皆さんも、食料安全保障の大事さというものを考えた場合におきましては、やはり健康にもいい、また同時に、バランスのとれた栄養をとっていく、こういう件におきましては、一番わかりやすいのは日本型食生活を続けていくことがいいですよと。こういう点についての御理解をいただきながら進めていくということが大事だと思うわけでございまして、消費者皆さんにだけ、自給率が達成できなかった場合に、これを押しつけるという考えは全くないわけでございます。  我が国は自由国でございますから、何回も言いますように、独裁国家ではございませんので、消費を押しつけて、それがだめだから実現できなかった、そんな逃げ口上を考えてやるわけじゃございません。あくまでも、納得と理解と御協力をいただいて進めていくということが大事であると考えておるわけでございます。
  78. 中林よし子

    ○中林委員 逃げ口上ではないというふうにおっしゃるんですけれども、しかし、目標数値の中に消費者食生活改善が二・二ポイント含まれている。押しつけではないんだけれどもとおっしゃっているんだったならば、これは外して、本筋で目標数値を決めるべきではないのか、こういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  79. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 あえて反論するわけではございませんが、生産だけ伸ばして達成するという委員の御意見でございましたが、生産は、消費があって生産が成り立つわけでございます。つまり、消費のない生産は幾ら伸ばしても、かつての社会主義国家と同じように、要らないものがたくさんありまして、チェコスロバキアの経済学者が言ったように、計画経済で伸ばせ、伸ばせでやってきたところが、要らない資材がいっぱい出てきまして、GNP、国民にとって同じような要らないものがごろごろしている。こういうことでは、全く経済的にもむだなものをつくることになるわけでございまして、あくまでも生産消費は一体のものとして進んでいかなければ、必ず政策は行き詰まる、こういうことを申し上げたいと思います。
  80. 中林よし子

    ○中林委員 かつての社会主義国のと、こういう話をお出しになりました。私どもは、今チェコの例をお出しになりましたけれども、これらの国がよかったという評価は与えておりません、国有化万能論もとっておりません。  ただし、計画経済というのは、今この数値目標そのものが計画経済なんです。だから、今の資本主義の日本においても計画しながら進めていくというのは当然のことであるし、そこに政府が責任を持つというのは当然のことだというふうに思います。  そこで、責任論、この問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、食料自給率目標に対する責任の問題については、基本法の審議の際に中川前農水大臣に質問したところ、前中川大臣は、我々は責任は転嫁しません、最終責任は政府、そして、政府の中でだれといえば農林水産大臣たるこの私であります、こう明確に答えています。  念のために玉沢大臣にお聞きしますけれども、この責任論は間違いありませんね。
  81. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 責任を持って、先頭に立って頑張ってまいります、これが私の決意であります。
  82. 中林よし子

    ○中林委員 これは前の農業基本法第八条に基づいて、これまでも需要及び生産の長期見通しをつくってきたわけです。この見通しが狂った場合の政府の責任について見れば、農林法規解説全集においても明確に、見通しが狂った場合、政府として政治責任は逃れられないものと考えると明記されております。だから、政府が責任を持って決めた食料自給率目標について、政府の責任がないということはとても言えないというふうに思います。今、大臣も明確に、責任を持って努力をするというふうにお話しになりました。  そこで、それならば、本筋の生産の問題、ここを読んで、私はこれを読んだ生産者はどういうふうに思われるのだろうかと思いました。農産物価格を市場原理を導入してどんどん下落させ、高齢化した生産者は希望も展望も失っている中で、この中で具体的に小麦だとか大豆だとかをどうするということが書いてあるわけですが、小麦は生産コストの三割程度の低減、カンショでは機械化一貫体系で担い手層の労働時間を七割程度減少、それから、バレイショは供給コストの一割程度の低減、大豆生産コストの三割程度の低減、露地野菜は生産規模を二倍にし、生産コストを二割削減、こういう記述が延々と続いております。  大臣、御存じだと思うんですが、今、認定農家の再登録作業が行われております。米を初めとする農産物価格の下落の中で、今、認定農家経営が成り立たなくなって、もう認定農家をやめたい、こういう動きが広がっております。ですから再登録作業もなかなか進んでいない、こういう実態も出ております。政府が責任を持って食料自給率を引き上げる、本当にこういうふうにおっしゃるならば、農産物の輸入を制限し、農産物価格を保障し、農家が安心して増産を取り組める条件、ここにこそ全力を挙げるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  83. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 基本的には全く同じでございますね。要するに、農家の皆様の所得向上等を通じまして、意欲を持って取り組める、こういうことが大事だと思うわけでございます。  ただ、申し上げたいと思いますが、認定農家がやめたい、やめたいと、一部だけをとって全体を評価しないように私はお願いを申し上げたいと思うわけでございます。認定農家にならんとする方々はたくさんおられるわけでございまして、そういうところも評価しなければ、最初から、できません、だめです、こんなことを言っていますと、目標そのものを達成できないということだけは申し上げておきたいと思うわけでございます。  具体的に申し上げますと、今後やるべきことは、やはり優良農地確保と流動化の促進、生産基盤の整備等を通じた生産性の向上技術開発普及による単収や品質の向上消費者食品加工業者のニーズに即応した生産推進等を図ることを基本として、食料自給率の向上に向けて努力していくことが重要であると考えております。
  84. 中林よし子

    ○中林委員 大臣基本的には同じでございますと言われて、私は、価格保障をやっていただける、農産物の輸入制限をしていただけるものだというふうに思ったんですが、具体的施策になるとちょっと違ってきたということで、ただ基盤整備だとかそういうことだけでは、何割減、何割減という農家努力目標自体もとてもやれないということを申し上げておきたいと思うのですね。  私は、前回の質問のときに、スイスの自給率が向上した例を申し上げました。このときは、国境措置をちゃんととって、価格保障もし、所得補償もする、そのようにすれば自給率は上がると思うというふうに大臣はお答えになったんですが、ただそのときに、大臣は、そのためにスイスの財政は大変赤字を出したんだ、このようにおっしゃいました。  私は、スイスの財政状況も調べてみました。確かに赤字にはなっているけれども、今日本が抱えているような破綻状態ではございません。スイスの赤字というのは、全体の規模がふえていて、連邦財政支出に占める割合は、一九八〇年から今日まで、農林水産業にかかわる予算は八%ないし九%の割合で、ずっと割合は変わっていないんですよ。だから、スイスの農業予算が赤字の圧迫要件ではないということは申し上げておきたいというふうに思います。  この問題は、引き続き私は議論をやっていきたいとは思いますけれども、きょうはほかにも重要な問題がありますので、次の問題に行きたいというふうに思います。  こういう基本計画を発表して、消費者皆さんに、農家皆さんに、国民そろって自給率向上に頑張っていただきたいということを農水省はおっしゃっているわけです。そうであるならば、私は、農水省を信頼するというこの立場、それは襟を正して不正がないようにしていくということが当然だというふうに思います。  しかし、北海道農政部次長として出向していた溝上容疑者の収賄容疑での逮捕は、農林水産省がどこまで腐っているのか、そういう不信感を国民全体に広げてまいりました。問題は大臣の責任が問われるところまで来ているのではないかというふうに私は思われます。構造改善事業をめぐる汚職で、あれほど綱紀粛正や自主申告、そういう調査をやられたのだけれども、この溝上容疑者はちょうどその時期に四国大川農協にツケ回ししていた。この一つをとってみても、私は、調査をやっているその最中にやっているということであれば、責任者たる大臣の責任は非常に重大だというふうに思います。  さらに、溝上容疑者はいわゆるキャリア組で、補助金支給に絡んだ農林水産省職員と農業関係団体の癒着が農水省の構造的なものである実態を浮き彫りにされたと言ってもいいと思います。以前から農林水産省と農協と自民党は三位一体だ、このようにずっと言い続けてこられました。そういう点にも私は構造的癒着の温床があるのではないか、このように思います。  そこで、大臣の責任をこの事件に絡んでどう感じていらっしゃるのか、まずお答えいただきたいと思います。
  85. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 お答えする前に、先ほど委員が国際的な国境措置あるいは価格保障ということを言われたわけでございますが、国境措置はスイスのような形ではございませんで、やはりこれは国際的な規律の中でやっていく、こういう趣旨でありますし、価格保障という観点はとりませんで、所得向上を目指していく、こういう趣旨でございますが、方向におきましては、決して全然別だというわけではないという趣旨でございます。  今お尋ねの件でございますけれども、構造改善事業等の問題につきましては、昨年の一月に大臣訓令に基づく調査委員会を設置し、最大限の調査を行い、処分すべき者は厳正に処分した上で、事業の透明性を高めるとともに、倫理体制の強化を図ってきたところであります。今回、この調査対象となっていなかった職員が収賄容疑で逮捕、起訴されましたことは、公務員の倫理が厳しく問われている中、まことに遺憾であり、残念に思っているところであります。  今後、農林水産省の仕事のあり方全体を見直し、事業実施の適正化を図るとともに、職員一人一人に公務員としての自覚を促し、国民の信頼を回復すべく全力を尽くすことが私に課せられた責務であり、責任であると考えており、これに向けた取り組みを進めてまいりたいと存じます。
  86. 中林よし子

    ○中林委員 言葉の決意はよろしいのですけれども、具体的にどうするかという問題が問われているというふうに思います。  十七日に、今回の事件が、農産園芸局だとか畜産局にも広がっているということで、調査の拡大ということで、前に出していた大臣訓令を廃止して、新たな訓令が出ましたね。私は、この調査対象を広げられたというのは当然のことだというふうに思います。まだまだこの調査対象が畜産局と農産園芸局、それから今までの構造改善局ということもあるわけですけれども、そこまで広がったというのは当然過ぎることだと思います。問題は農水省全体にむしろ広げるべきではないかというふうにさえ思っております。  そこで、一月二十五日に私がこの問題で質問したときに、大臣は、起訴されたら農水省としては何か考えるということで、今回の調査の拡大になったというふうに思うのです。一月二十五日の私の質問に対して、収賄罪に値するようなことがあったらどうするのかという質問に、大臣は「私どもは司法機関ではないわけです。」ということで、そこのところを司法機関にゆだねる、農水省としてはそこはしないんだというような御答弁をされております。  しかし、今回、それから前回の訓令でも、こういうくだりがあるんですね。「調査の結果」というところに、「調査の結果は、農林水産大臣、政務次官及び事務次官に報告するものとする。この場合において、事業の執行に関して不適切な事実があったと判断される場合には、その是正、処分、刑事告発等必要な措置を講ずるものとする。」つまり、司法にすべてゆだねるんじゃなくて、農水省自身、そういう事実があれば刑事告発もやるんだ、こういうことをおっしゃっているし、刑事訴訟法でも、官吏、公吏は告発をしなければならない、こういう法律上の規定になっているわけですね。だから今回、調査対象を広げられた。  こういう告発も含めて、厳格におやりになる決意があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  87. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今言われましたことは、刑事告発等もやるかと、事実がそういうふうな形で明確になった場合は当然しなければならぬことだと思います。  今回、職員が起訴されたことを受けまして、これまで構造改善事業に関して行ってきた調査につきまして、その対象を拡大し、旧農林水産省職員倫理規程に抵触する事実の有無を確認するとともに、事務の執行体制の適正化を図ることとしたところであります。  具体的には、農林水産省訓令により、官房長を委員長とする調査委員会を新たに官房に設置し、これまでの農業構造改善事業に係る調査委員会を新調査委員会に吸収することといたしました。  調査対象事業につきましては、農業構造改善事業のほか、四国大川農協に関係した農業生産体制強化総合推進対策事業、畜産振興総合対策事業等に拡大することといたしました。  また、調査対象職員につきましては、平成七年四月から平成十二年三月までの五年間に、これらの事業を担当する部局に在籍していた者を対象調査を行うことといたしております。
  88. 中林よし子

    ○中林委員 私が指摘したように、厳重な、農水省として、司法当局は司法当局でおやりになる部分があると思うんですけれども、省として自浄能力というものを発揮しなければ、もう国民の信頼は得られないというふうに思います。  そこで、具体的な問題に移りたいと思います。溝上容疑者が出向していた北海道農政部の農業農村整備事業に関する談合問題が今重大問題になっているわけですが、北海道庁では、入札手続等調査第二次報告書を三月二十七日に発表しており、私も手に入れました。これを読んで私は驚きの連続だったわけですけれども、報告書は、農業農村整備事業に関し、本庁農政部及び各支庁において、長年にわたり組織的かつ構造的に受注調整が行われていたものと認めるに至ったとして、その受注調整の手口を明らかにしております。  それによりますと、受注調整の仕方は、業者に関して毎年度の発注目標額を設定するとともに、その目標額を達成するため、工事を受注させようとする業者を指名業者に加え、予定業者名や予定価格関係者に示唆するというもので、受注調整については、本庁、支庁とも職場内では一切秘密とされていたが、本庁農政部及び支庁農業振興部の特定の職員のみが関与をしており、本庁農政部においては技監が統括し、設計課の参事組織が実務を担当し、農政部長には技監から適宜報告を行っていた、こういうものです。そして、この報告書のきわめつけは、本庁において目標額を設定する際にOBの在籍状況を配慮していたとして、調整表の内容が明らかになっております。これを見ますと、会社名、所在地の次にOB欄があって、三名まで連記するようになっております。  まさに、天下りを受け入れた企業に農業農村整備事業を受注させる、それも受注調整というさじかげんでやるというとんでもない手口がここに明らかにされているんですが、大臣の感想はいかがでしょうか。
  89. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 今御指摘がございましたように、昨年十月の公正取引委員会の立入調査を受けまして、道みずからが調査委員会を設置して、その結果を取りまとめたというふうに聞いております。  報告書の内容を北海道から説明を受けているわけではないわけですが、今先生が引用されましたように、北海道の行う農業農村整備事業の工事発注に関して、組織的かつ構造的な受注調整が行われていたというくだりがございます。  今回、このような組織的な受注調整という、あってはならないことが行われていたということは、私ども、極めて遺憾であると考えております。公共工事の執行手続に関しましては、既に自治省や建設省から指導が行われているところでございますけれども、農林水産省といたしましても、補助事業を所管するものとして、事業執行手続について、その公正性、透明性が確保されるように指導していきたいと考えております。
  90. 中林よし子

    ○中林委員 だからこれは事前に、私はこれで質問します、よく読んでいていただきたい、感想を求めたいというふうに思って、これは延び延びになっていた質問ですから、もうかなり大臣にもお読みいただける、そういうものですが、では、あえて感想は求めません。  今、あってはならないことだとおっしゃった。私がなぜこの北海道の例を持ち出したかというと、もちろん、溝上容疑者がそこに出向していたという重大な問題を含んでいるんだけれども、これは北海道で行われた特殊な問題ではなくて、農林水産省の構造改善局、各農政局で行われているというふうに思うからです。  なぜなら、第一に、農林水産省職員の、特に構造改善局や農政局からゼネコンに天下りするすさまじいものがあります。それも技監が中心で、ゼネコンに天下ると、それぞれの地方の営業部長に配属されるというやり口で、この天下りには、我が党の指摘に対して当時の橋本元総理も、幾ら何でも度が過ぎるという思いをしている、こういう答えをしておられます。  それから第二に、農水省の発注する大型公共事業がゼネコンに独占発注をされており、落札価格も、予定価格の九八%になっている事態が明らかになっています。例えば、関東農政局が九五年度、九六年度に発注した二億円以上の公共事業は合計六十八件、二百二十五億円余です。このすべての事業を、農水省の職員が天下ったゼネコンに独占させていたのです。そして、天下った農水省幹部のOBは、しんぶん赤旗で、地方農政局が工事を発注するゼネコンなどには必ずOBが天下り、本命企業、落札予定企業だけに事前に入札予定価格を教えているんです、OBはそれで飯を食っているから、OBを受け入れた企業は、談合で公共事業を確実に受注できますと明確に述べております。まさに北海道と同じ手口ではありませんか。  私は直ちに調査すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  91. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 職員の再就職につきましては、国家公務員法等に基づきまして適切に対処をしているところでございます。  また、農林水産省における公共工事の発注は、会計法等に基づきまして、一般競争入札、公募型指名競争入札の導入によって透明性の確保を図るとともに、第三者から構成される入札監視委員会によりまして、指名業者の選定結果等の妥当性について審議を行うなど、適正かつ厳正に執行しているところでございます。  このように、公共工事は透明性や客観性を十分に確保して適正に執行されており、職員の再就職との関連によって発注がゆがめられているという事実はないと考えております。
  92. 中林よし子

    ○中林委員 もう余りにも、私は事実を突きつけているんですよ。これで公正だなどとあなた方はおっしゃっているけれども、とんでもないというふうに思います。だからこそ、この北海道の報告書から農水省は学ばなければならないというふうに思います。  関東農政局の問題は赤旗だけが報道したのじゃなくて、ほかの新聞にも全部出ておりますから、よく見てください。  関東農政局だけの問題に限ったわけではありません。我が党の同僚議員が明らかにした吉野川農地防災事業の談合疑惑、長崎・諫早湾干拓事業で落札価格が予定価格の九八・三%と異常に高い水準になっております。ゼネコン談合の疑惑が高まっているわけですね。  公正取引委員会に来ていただいているので伺いたいのですけれども、北海道で明確に受注調整の手口がはっきりした以上、公正取引委員会としても、こういう談合疑惑だとか受注調整、農水省の中にもあるということで積極的な調査をすべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  93. 平林英勝

    平林政府参考人 個別具体的な事案についてのお尋ねでございますが、私どもは従来から個別の事案につきましての答弁は差し控えさせていただいておりますので、御容赦願いたいと思います。  一般論として申し上げれば、私どもは常々独占禁止法違反に関する情報収集には努めているわけでございまして、もしその疑いがあれば、必要な調査をしているところでございます。
  94. 中林よし子

    ○中林委員 北海道のこの調査は、公正取引委員会指摘がやはりあってこそ、ここまで調査ができた、よくぞ調査をやられたというふうに私は思います。  そこで、この報告書では、公共工事に関しては外部からの働きかけがあったことは否定できない、外部からの働きかけにはさまざまな形態があり、一概に言えないが、担当者に対する業者の紹介や地場業者相対への配慮の要請という事例も多いものの、特定の事業者名を挙げ、その受注実績が低調であると指摘する場合もあった、これを受けて、本庁農政部から支庁に対して、特定の業者の受注状況等について照会する例もあり、発注業務を行う支庁への影響が全くなかったとは言い切れない、こう指摘しております。  それで、記者会見で、道庁は、外部とは政治家だと明らかにしております。要するに、政治家がゼネコン談合に関与し、受注要請をしていたことが明らかになったわけです。これは極めて重大な問題で、仮にそれによって対価を得ていたとすれば収賄罪になる、こういう問題ですね。  そうなれば、警察として、あるいは法務省としても無関心では到底いられないというふうに思いますけれども、警察庁、法務省、それぞれ来ていただいておりますけれども、いかがでしょうか。
  95. 林則清

    ○林政府参考人 ただいまお話がありましたように、北海道発注の農業土木工事に関して政治家が口ききをしたのではないかというような報道があったことは承知しておりますが、個別の事案に関しましては、警察がそれを現在捜査しておるかどうか、あるいは捜査するかどうかといった具体的な点については、答弁を差し控えさせていただきたい。  ただ、一般論として申し上げれば、警察としましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて厳正に対処していくということでございます。
  96. 古田佑紀

    古田政府参考人 どのような事項について捜査をするかということは、捜査機関の個別の判断によることでございまして、活動内容にかかわることでございますので、私どもとしても答弁を差し控えたいと存じます。  しかし、一般論として申し上げますれば、ただいま警察庁刑事局長からも御答弁がありましたとおり、検察といたしましても、刑事事件として取り上げるべきものがあると考えた場合には、警察当局とも連携を密にして所要の捜査を遂げ、適切に対処するものと承知しております。
  97. 中林よし子

    ○中林委員 農業農村整備事業をめぐる疑惑というのは、農政全体の信頼を揺るがすような問題だというふうに私は思います。  これまで農水省の独自の調査が何回も行われました。その都度、私どもは裏切られてまいりました。今回、改めて訓令が出て、対象も広げるというのは、その自浄努力の第一歩だとは受け取りますけれども、しかし、構造改善局長の答弁などを聞いていると、まだまだ私は調査の手ぬるさというものを予測せざるを得ないのです。  ここは、当委員会で、やはりこの疑惑問題というのはずっと後を引きますので、集中論議をしていただくよう委員長に強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  98. 松岡利勝

    松岡委員長 ただいまの中林議員の申し出につきましては、理事会でお諮りをしたいと思います。  午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後一時四十二分開議
  99. 松岡利勝

    松岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐々木洋平君。
  100. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 質問をいたします。去る三月二十五日に宮崎県で確認された口蹄疫のことについて質問をいたします。  この問題は、全国の畜産農家の不安は大変なものだったろうと思料するわけでございます。私も聞いたとき大変ショックを受け、そしてまた、その後の情報が、明確な情報源がなかったということを非常に残念に思っておったわけです。まず最初に、現在までの口蹄疫の発生状況、そしてまた、農林省がこれまでどのような防疫措置を講じてきたか、お伺いいたします。
  101. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  お話がございましたように、三月の二十五日、宮崎市に所在します肉用牛の肥育農家一戸で口蹄疫の疑似患畜が確認されたわけでございます。その後、その発生原因の究明のため調査に入りまして、その調査の中で、新たに四月の三日と四月の九日に疑似患畜と診断されるものがあったわけでございます。その後さらに検査、調査等続けました結果、最初に確認をされました三月二十五日の一件と、三例目といいますか、四月の九日に確認をされたものは、疑似患畜からさらに患畜ということで確認をされております。  そういう経過の中で、三月二十五日に宮崎市で口蹄疫の発生を確認した後、蔓延防止というのが最初の課題でございます。これに全力を注ぐ必要があるということで、直ちに、家畜伝染病予防法に基づきまして四つほどの措置がとられております。一つは、疑似患畜の殺処分、さらに埋却、つまり埋めるということでございます。その後、発生農場や、そこに出入りをします車両等の消毒というのがとられております。そして移動制限地域、これは半径二十キロメーターでございます。それから搬出制限地域の設定、これは半径が五十キロメーターを基準にしておりますが、これらの措置を講じてございますほか、海外からの口蹄疫の侵入防止のための措置を強化する等々の措置をとっておるわけでございます。  その間、原因究明のためということで、周辺の農家あるいは関連の農家へ立入検査を実施いたしますとともに、先ほどお話をしました移動制限の地域を初め、相当広範囲な地域対象に血液検査を実施いたしておりまして、これでどのくらい冒されているか、ウイルスに対する抗体があるかないか等々の調査を実施いたしております。  今後とも、蔓延の防止と原因の究明ということで、私どもは最大限の努力を注ぐということで対応をしているところでございます。
  102. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今すぐ回答が出ないかもしれませんが、この口蹄疫の発生について、いつごろ終息するのか、大体の予測がついたらお示しをいただきたいと思います。
  103. 樋口久俊

    樋口政府参考人 いわゆる終息の時期の見込みについてのお尋ねではなかろうかと思います。先ほどお話を申し上げましたように、現在、発生農家の周辺、それから人や車の交流がある等々、疫学的に関連がございます農家への立入検査を中心に実施をいたしておりまして、移動制限地域初め広範な地域の農場を対象に、抗体検査を実施した状況を御報告したわけでございますが、まだ検査の実施中なので何ともこれは確定的なことを申し上げられません。今後仮に新たな発生等がございませんでした場合には、四月九日に最後の三例目の発生を確認いたしておりますので、三週間の移動制限の期間、これは潜伏の期間を前提にして設定をされている期間でございますが、これらの期間の経過と、この間に私ども、臨床検査それから血液検査を実施いたしております。この血液検査も若干の日にちを要するわけでございますけれども、これによりウイルスが存在しないということを確認されました、こういう手続が終わりましたならば終息ということになろうかと考えております。
  104. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 はい、わかりました。  それでは、感染経路の解明についてはどのような進捗状況か、お示しを賜りたいと思います。
  105. 樋口久俊

    樋口政府参考人 先ほどもお話を申し上げたわけでございますが、感染経路の解明は大変大事なことだと思っておりますが、これまで、農場としては大体四つぐらいの農場を念頭に置きながら調査をいたしております。  一つは、これらの家畜がどこから導入されてきたかという、導入元といいますか、そういう農場でございます。それから、その近くにございます農場、伝播をしているのではないかということでございます。それから、人や車が運んだという可能性もございますので、人や車の交流があった農場というのが一つございます。それから、そういう確認をされた農場等と同一の飼料、主として粗飼料を念頭に置きながら、こういう農場、これらを重点的に調査をしているということが一つございます。  それから、既にウイルスが、一例だけでございますが、分離をされております。これの分析等々を行っているところでございます。  こういう調査の中で、先ほどもお話をいたしましたが、最初の農場からそれほど遠くないところで二件出ているというところでございますけれども、今のところ侵入源がどこだったか、どういう順番で感染していったかということはまだ判明をしていないというのが実情でございます。  ただ、せっかくのお尋ねでございますので、あえて若干の推測をまぜて申し上げますと、当初の農場を含めまして、空気伝播によるものではないんじゃなかろうか。これは一〇〇%ではございませんが、この三例、それから、これまでの調査の結果から、空気伝播ではないんじゃなかろうかということは、私どもとしては言えるかなという状況ではございます。  いずれにしましても、これまで確認されました患畜あるいは疑似患畜の発生農場等々を中心に、疫学的な関連を含めて、今後とも原因究明に向けた情報の収集、分析等々に鋭意取り組んでまいりたいということでございます。
  106. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今感染経路についての御答弁があったんですが、そういう今の判断の中で、可能性があると思われるのはやはり飼料だろうと思うんですね。稲わら、これは中国、台湾、韓国、北朝鮮から二十万トン以上入っておるというようなことで、もちろんここは、台湾、中国は汚染地域、韓国も汚染地域なわけでございますが、我々は、発生当時に、自由党として、即時輸入禁止をせいという申し入れをした経緯がございます。  いろいろな業界の人の話を聞きますと、今は韓国は汚染地域になっていますが、当時は、韓国、北朝鮮は、許可要件なしということで簡単な書類審査ということになる。中国、台湾については、植物防疫もあり、あるいは口蹄疫の可能性があるということで高熱処理をする、そういうふうな取り決めになっておるわけです。実は、中国にしても台湾にしても、輸入業者の話によりますと、稲わらは非常に利益幅が少ないんで、できれば消毒をしないで、高熱処理をしないで輸出をすれば利潤が大きくなるというようなことで、半分ぐらいは、大体、稲わらは無条件輸出できる北朝鮮と韓国経由で日本に入ってきた。輸入業者が実は言っているわけですから間違いないでしょうが、そういうことがあったんですね。  そこで、そういうことがもし仮にあったとして、動物検疫所では原産国というのはわかるものなんですか、どうですか。これは通告していないので、ちょっとわかりにくいと思いますが、どうでしょう。わかりますか。
  107. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お話がございましたように、原因が確定するまでに至っていないという実情は申し上げましたけれども、その中で、私ども、輸入された麦わら、こういうものが原因である可能性も完全に否定し切っていない状況でございます。  一つ一つはちょっとたくさんあるんであれでございますが、現在は、口蹄疫の発生地域から輸入される稲わら等については動物検疫の対象とするということで、これは先生からお話がございましたとおりでございますが、輸入時に家畜防疫官がチェックをいたします。そういう地域から来ている場合には、必要に応じてホルマリン消毒をするということでございますが、ホルマリン消毒をしましたら、率直に申し上げますと、動物は食べないものですから商品価値がないということで、事実上とまっております。  その場合に、チェックをするときに、輸出国ですか、積み出し港がわかるかというお話ではなかろうかと思いますので、輸入する場合に申告がされるものですから、その中にどこの港から来たかということは明確に記載をされているということは、私どももチェックをいたします。
  108. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今、結果として、ホルマリン消毒したら実際は売れないんで、輸入ストップということなんでしょう。少し問題があるなと思いますけれども、やはり、こういう状況が出たとするならば、速やかに輸入を禁止するというぐらいの強い姿勢で、大変恐縮なんですが、北朝鮮という国は、実際に麻薬の問題とかいろいろな問題があるわけですよ、にせ札をつくったり。それを、ただ証明書だけで信用するということ自体が問題なんで、証明書がついているから大丈夫だということにはならないと思うんですね。特に北朝鮮の場合はそういう部分があると思いますので、これからの動物防疫については、植物防疫はきちっとしている部分があります、動物防疫については非常にその辺は緩い部分がございますので、なお一層のチェック機能強化してもらいたい、このように思います。  次に、国内の稲わらの利用なんですが、実は、九百万トン近い稲わらがとれておるわけですけれども、これを輸入に頼っておるということ自体が異常な状況なんですが、農林省はどう考えているのか。せっかくの安全な国内産の稲わらを飼料として利用する、これをやはり一つの政策として、支援措置も含めてやるべきだと思いますが、この辺のお考えをひとつお示しいただきたいと思います。
  109. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お話がございましたとおり、現在、国内で稲わらが年間約九百万トンほど生産をされておりまして、そのうち飼料に使われているものは百万トン強程度でございます。残ります中で、六割程度、六百万トン弱がすき込みや焼却という処理をされておりまして、有効に活用されているかどうかというのは、私どもとしては、もうちょっといい方法があるんじゃないかなという気はいたしております。全くおっしゃるとおりでございまして、輸入されております稲わらが大体二十万トンでございますから、十分これはカバーできるんじゃないかと思っているわけでございます。  そういうこともございまして、飼料の自給率を向上する観点からも、国産の稲わらの飼料への利用率を高める、これは大事なことじゃなかろうかと思っております。  したがいまして、今後、国産稲わらを円滑に供給する対策といたしまして、一つは、生産者団体がかなり長期にわたり約束をされまして、飼料用稲わらを耕種農家から畜産農家へ渡されるというような事業が既にあったわけでございますが、なかなか有効にワークしない面もございますので、それを大幅に拡充しまして、一例で言いますと、その中の一つのものを単価を倍額にするとか、そういう措置を講じたというのが一つございます。  それから、水田農業経営確立対策という、いわゆる転作の措置がございますが、この取り扱いについて、わらの専用稲というものを飼料作物として位置づけることで、これはもう決めたわけでございます。  こういうこともございますが、いずれにしましても、仕組みはつくりましても、やはりワークしないといかぬ。そのためには、私ども、いろいろ学習効果といいますか、これまでの御議論を踏まえて、やはり行政から、特に農業団体皆さんに相当一生懸命取り組んでもらう必要があるんじゃなかろうかということでございまして、関係者が一体となりまして飼料用の利用の推進を進めようじゃないかということで、ちょうど本日から、国産稲わら緊急確保対策協議会というのが発足し、現に、先ほど会議が動き始めまして、ぜひこれで有効な結論を出しながら、先ほど申し上げましたような対策が効果を上げていくようにと、私ども、考えているところでございます。
  110. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 ひとつ、せっかくある稲わらですから、有意義に使うよう一層の努力をお願いしたいと思います。  次に、今回の口蹄疫の発生によって、宮崎県の畜産農家あるいは食肉業界等に非常に大きな影響を与えたわけでございますが、主な対策を、もう時間がないので簡単にお願いします。
  111. 樋口久俊

    樋口政府参考人 それでは、三つほど御紹介をしたいと思います。  一つは、とりあえず運転資金が必要であろうということでございます。金融機関に対しまして、畜産経営への影響を緩和するということで、経営に必要な資金の円滑な融通と、既に貸し付けられている金の償還猶予ということを依頼したということが一つございます。  それから、養豚農家におきましては、この移動制限の期間の間にもどんどん豚が生まれてくるわけでございますので、豚舎の収容能力を超えてくるということになりますと、適切な飼養環境を維持できない、なかなか難しいということでございますので、家畜防疫員の指導に基づいて子豚の淘汰をしている、つまり、殺してしまうということでございますが、そういうことに対する助成が一つでございます。  それから、出荷の適齢期に出荷できないということで、一定の、適齢期を超えて出荷をせざるを得ないという場合の肉質の低下による販売収入の減少に対する助成、これが養豚農家。  それから、肉牛農家につきましても、市場に、まだ取引に今出せないわけでございますので、一定の、例えば肉用子牛補給金制度の対象には月齢の制限がございますから、二月内に取引をしないといけないのを六月までいいよ、そういう要件を緩和する等々の措置を既にとっているところでございます。
  112. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今、農家への対策というのを聞いたのですが、非常に背筋が寒くなるような、はっきり言って、ちょっとまだまだという感じがします。  本当に、手塩にかけた牛、豚が屠殺されたり焼却されるわけです。あるいはまた、今おっしゃったとおり、出荷時期が過ぎて価格が下がる、こういったいろいろな状況があるわけでございます。二十キロ圏内に、監視区域といいますか、そこには、牛が六万五千頭、乳牛が四千三百頭、豚が十六万頭、これだけいるのですね。  実は、EUでは、こういう法定伝染病になった場合は、発生農家、感染する可能性がある農場、ここでいえば二十キロ圏内、そこに飼われている家畜全頭数を国家の財産にするのですね。そういう制度までつくってやっているわけです。もちろん、淘汰をしたり焼却したり、そういう部分も全部国の責任でやっているわけです。  それらを聞くと、はっきり言って、日本の法定伝染病に対する対応というものはまだまだ非常に低いなという感じが、私はしてならないわけでございます。ぜひ、ヨーロッパのそういう状況もしっかり見て、この法定伝染病も必ず来ないとは限らないわけですから、それと同時に、アジア地域も含めて、口蹄疫や豚コレラが発生する地域は輸入規制を一層強めていくとか、そういったいろいろな対策をひとつ要望しておきます。  もう時間が来ましたので、最後にちょっと大臣決意のほどをお伺いしたいのですが、今回の口蹄疫の発生によって畜産農家の心がどれほど痛んだのか、そしてまた、これがいつ終息するのかという不安が今募っておるわけでございます。この再発防止のためにどのような予防対策を講じようとしているのか、その決意のほどを大臣からお聞きして、質問を終わります。
  113. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 口蹄疫は極めて悪性の家畜伝染病でありまして、その蔓延を防止し、清浄化を図ることは、我が国畜産の将来のみならず、国民生活にとっても極めて重要と考えているところであります。  口蹄疫の再発防止のためには、水際における各種の侵入防止に加え、国内における蔓延防止措置を的確に実施していくとともに、今般の発生の原因を解明することが重要と考えております。引き続き、関係県とも連携しつつ最大限の努力を注いでいくことといたしておりますので、関係者の御理解と御協力をいただくようにお願いを申し上げたいと存じます。  なお、今検体等を一生懸命検査いたしておるわけでございますが、間もなく、できるだけ早く安全宣言が出されるように万全を期して努力しておるところでございます。
  114. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 以上で質問を終わります。
  115. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、菊地董君。
  116. 菊地董

    ○菊地委員 社民党・市民連合の菊地でございます。  私は、学生時代、今からちょうど四十年前になるわけでありますけれども、東海道の三島から大学のあった原宿まで、片道三時間をかけて遠距離通学をしておりました。当時の東海道沿線の風景は、車窓に美しい田園風景が広がっておりました。私の家の周りの農家は一町歩に満たない農家が主でございましたけれども、あぜ道で一、二頭の牛や馬を飼い、大豆を植え、非農家の子供だった私も畑の麦踏みを手伝った覚えがございます。しかし、このような田園風景は今では名古屋を過ぎても見ることはできません。太平洋ベルト地帯は、経済の高度成長政策の中で一番初めに農業と美しい田園風景が失われていったからでございます。  私の子供のころのことでありますけれども、米を食べるとばかになるとか、米を主食とする日本人は短命だというような誤った栄養学といいますか、言いかえればちまたの食生活の指針が流布されておりまして、パン食こそが文化生活のごとく喧伝され、文化パンなる名称さえありました。  やがて、アメリカの余剰農畜産物という名の脱脂粉乳や小麦粉が大量に入ってきまして、パンと牛乳による学校給食が始まりました。米を主食とし、地場でとれた野菜や根菜を副食とする、おばあちゃんの知恵のいっぱい詰まったおふくろの味である日本型食生活にかわりまして、食の洋風化が始まっていったと思います。経済の成長に伴う所得の増大と外食産業、加工食品業の発展は、食の洋風化をさらに加速させました。輸入農畜産物がふえて、主食である米の消費が減り、肉や副食物をより多く食べるようになったわけであります。それをお役所の文章では食の高度化、多様化と称しておるようでありますが、何をもって食の高度化と言うのか、お聞きしたいものでございます。  いずれにしましても、食の洋風化というか、日本型食生活離れに伴い、畜産物並びに油脂分のとり過ぎや飽食による肥満や生活習慣病が蔓延し、国民医療費は今や三十兆円に達しようとしています。医者にかかる人がふえ、国民医療費が年々天井知らずのようにふえていく国が、果たして文化先進国と言えるでありましょうか。健康で文化的な生活が、量的にはともかく、質的に満たされていると言えるでしょうか。今回の基本計画の中で食生活の指針が示されているということは私は評価いたしますが、いずれにしましても、日本の農業が今日置かれている困難な状況は、こうした日本人食生活の変化と、無原則的に拡大された輸入農畜産物によってもたらされたものだと言っても過言ではないと私は思います。  旧農業基本法は、日本の農業の規模の拡大や効率化を追求してまいりましたが、十分な成果を上げられませんでした。この間も食料の自給率は減り、農業の困難は一層増し、減反や耕作地の放棄など、中山間地を初めとする農村は過疎化が進んで、田園は荒れたわけであります。農政の貧困、不十分さというのも、今日の日本の農業の困難を招いたいま一つの要因であったと言わなければなりません。  さて、新しい基本法は、食料農業農村基本法と名を変え、農業の持続的な発展と農村振興を図り、将来にわたり食料の安定供給及び多面的機能の発揮を確保していくということが基本理念としてうたわれ、安全で良質な食料を安定的に供給していくとしていることは、私は大いに評価するものであります。  しかしながら、このたび出された基本計画を見ていきますと、新基本法の理念に基づいて出されているとは思いますが、具体的施策を見ていきますと、規模拡大、効率化ということによる生産向上に重点が置かれておる。私は、規模拡大、効率化を否定するものではありませんが、それを追求して結果的に十分な成果を得ることができなかったのが旧農基法だったわけですが、その反省が十分ではないのではないか。日本の地理的、自然的条件のもとで、家族経営地域農業という特色を生かすという視点から、きめの細かい基本計画がつくられるべきだったと思いますが、大臣、いかが考えますか。
  117. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員の長い質問でございますので、長く答えさせていただきたいと思います。  委員とは同じ世代でございます。三十年代におきましては、食が非常に乏しい時代でございまして、いかに栄養をとるかということが大事でございました。例えば、田舎におきましては、鶏の卵は非常に貴重なものでありましたし、肉食というものもそう簡単にはとれない、そういう状況であったと思います。したがいまして、旧基本法におきましては、生産性を向上せしめて、いかにして豊富な食材を確保するか、こういうことにウエートを置いて形成されたと思うわけでございます。  そういう中におきまして、日本の経済は非常に成長を遂げてまいりました。これは、貿易立国であるということと、太平洋ベルト地帯は工業地帯に変わりまして、田園風景がなくなった。そういう中におきまして、国力がついてまいりまして家計が豊かになってまいりますと、やはり従来の食生活とは変わるんですね。豊富な食材でいろいろ豊かな食事ができるようになった、こう思うわけでございます。そして、今では逆に、いかに栄養を制限するか、こういうようなことになってきたわけでございまして、国民皆さんの最大の関心といいますのは、安全で安定的な食材を、いかに質の高いものを求めるか、こういうことが要請されてきておると思うわけでございます。そういう中におきまして、やはり消費者のニーズにこたえるような食料政策ということが大事であると。  そこで、食料安全保障ということになるわけでありますが、一戸当たりの耕地面積、平均は大体一町歩ないしは一・七町歩、農用地まで含めますと。やはりこれは、中核的な農業、他産業に負けないような農業をやっていくということにおきましては、規模の拡大を図っていく、専業農家、中核農家でありますから、そういうことが大事じゃないかと。  したがって、旧基本法におきましても新基本法におきましても、効率的かつ安定的な農業経営ということは、中核的な農家は規模の拡大を図って所得もふやしていく、こういうことが要請されるんではないか、こういうふうに考えております。
  118. 菊地董

    ○菊地委員 いろいろ質問したいので、先に各論に入っていきたいと思います。  まず、自給率の問題についてでありますが、食料自給率向上のために、麦、大豆、飼料作物が戦略作物であると基本計画では位置づけられていると思います。だとするならば、もっと積極的な生産拡大対策をすべきであろうと思います。例えば、大豆需要五百万トンのうち百万トンは食用でありますが、現状は一五%であります。基本計画では二一%まで引き上げるとしておりますが、五〇%自給、五十万トンの生産体制と販売、流通対策を進めるべきであると思います。小麦についても、めん用その他、百万トン生産、自給率二〇%まで引き上げるべきだと考えます。  消費者国民は、国内で生産された安全な大豆や麦を求めております。大豆五〇%、小麦二〇%の自給率アップを目標にすべきだったと思いますが、大臣、いかがでしょうか。  いま一つは、飼料自給率を二五%から三四%まで引き上げることにしておりますが、何をいつまでにどれだけつくるのか。例えば、水田活性化事業の柱の一つであるホールクロップサイレージの生産をどのように進めるか、明らかにしてほしいと思います。
  119. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 現在、小麦の自給率は九%、大豆の自給率は、油脂を含めた全体需要量に対して三%、食品需要量に対しましても一五%と低く、食料自給率の向上を図る上で小麦と大豆は重要な戦略作物であると考えております。  今回の基本計画におきましては、実現可能性や関係者取り組み等を考慮し、平成二十二年度までの計画期間を、関係者努力により食料自給率の低下傾向に歯どめをかけ、その着実な向上を図っていく期間と位置づけ、計画期間内において課題が解決された場合に実現可能な水準として、自給率目標を小麦で一二%、大豆で五%と設定をいたしたところでございます。それで、大豆等におきましても、家庭で食するもの、豆腐、大豆、みそ、しょうゆ、こういうものは、少なくとも国産大豆でやっていくということが大事であると思うわけでございます。  それから、ホールクロップサイレージでございますが、これは飼料作物と位置づけまして、積極的に生産をしていくということが大事じゃないかと思います。
  120. 菊地董

    ○菊地委員 次は、農地確保の問題でお尋ねしたいと思います。  自給率の向上のためには、優良農地確保が前提にならなければなりませんが、基本計画では、平成十一年の四百十九万ヘクタールに対して、二十二年目標では四百十七万ヘクタールと、ごくわずかでありますが減っております。  また、耕地利用率向上対策も不十分ではないかと思います。現状のままの趨勢、数値では、耕作放棄地を二十万ヘクタールと見込み、その回復面積を十九万ヘクタール、減少面積一万ヘクタールとしているのは評価できますが、転用面積の趨勢を二十八万ヘクタールとし、生産条件の是正措置で除外面積をわずか五万ヘクタールとしか見込んでおりません。農業振興制度の厳格な運営とともに、農業振興地域内の優良農地農業外転用は原則禁止すべきであると考えますが、いかがでしょうか。  また、多面的な機能の発揮という視点からは、農用地区域内外を問わず、農地トータルを環境財として保全していくべきであると思います。それと同時に、耕作放棄の防止、定住促進のための直接支払いについては、使い勝手の悪さが指摘されておるようでありまして、地域に即したものにする必要がある、小規模土地改良に対する国の支援、中山間地政策は、地方分権化によって地域に即したものにしていく必要があることを強く要望しておきたいと思います。  いま一つは、耕地利用率の問題でありますが、限られた農地を積極的に活用するためにも、耕地利用率を引き上げていかなければなりません。計画では、九四%を一〇五%まで引き上げることとしているのは評価してよいと思います。しかし、水田を中心とした土地利用型農業活性化対策で、一年二作に対しての助成措置を導入したのを初め、二年三作などの地域複合経営の積極的な推進によって、限られた農地を積極的に活用していくためにも、耕地利用率をさらに引き上げるべきだと考えますが、いかがですか。  以上二点をお伺いしたいと思います。
  121. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 前段の、優良農地確保の点につきましてお答え申し上げます。  今先生から御指摘がありましたように、二つの制度、一つは、ゾーニングであります農業振興地域整備の制度、それから、農地法による個別転用、これを厳正かつ適正に運用することによって優良農地確保する、我々も全く同じ考え方でございます。もちろん、日本のように、国土が限られておりますので、必要最小限の他用途への転用というのは行わなきゃなりませんけれども、やはり極力優良農地確保していくということで、この三月に国としての基本指針を出させていただきました。初めて数字が、四百十七万ヘクタールということで出たわけでございますけれども、これは、自然体といいますかトレンドでいきますと、本当はもっと下がる可能性があるものを、例えば基盤整備、例えば先生がおっしゃられた直接支払い、それから遊休農地の活用、そういうものを通じまして何とか現状を維持するということで、意欲的に見込んだ数字でございます。  これからも、施策強化をいたしまして、優良農地確保をしていきたいと考えております。
  122. 竹中美晴

    竹中政府参考人 後段の、耕地利用率の関係のお尋ねでございますが、御指摘がありましたように、限られた農地を有効利用するという観点から、耕地利用率の向上を図っていくということは極めて重要な課題でございます。  今回の基本計画におきましては、生産努力目標の達成に必要な平成二十二年度の延べ作付面積を四百九十五万ヘクタール、平成二十二年度の農地面積につきましては四百七十万ヘクタールというふうに見込みまして、耕地利用率としましては、現状の九四%を大幅に引き上げた一〇五%というふうに見込んでいるところでございます。  耕地利用率が高ければ高いほど好ましいとは言えるわけでありますけれども、これまで年々耕地利用率が低下してまいりまして、現状では九四%であるといったことを考えますと、今後、この十年間でこの一〇五%の水準実現するためには相当の努力が必要だろうというふうに考えております。今後、不作付地の解消や裏作の作付拡大等に向けまして、積極的な取り組みを促進いたしまして、耕地利用率の向上に努めてまいりたいと考えております。
  123. 菊地董

    ○菊地委員 次は、「農業構造の展望」についてお伺いしたいと思います。  基本計画では、現在、四十八万戸の主業農家、二百七十六万戸のその他の農家、百五万戸の土地持ち非農家、合計三百二十四万戸の農家を、二〇一〇年には、効率的かつ安定的な農業経営群として家族経営三十三万から三十七万戸、法人・生産組織を三万ないし四万組織、その他の農家百九十万戸から二百三十万戸、土地持ち非農家百四十万戸から百七十万戸として、総農家数を二百三十万戸から二百七十万戸にしようとしています。つまり、現在、政策誘導を進めている認定農家群を効率的かつ安定的な農業経営と位置づけ、株式会社などの参入を認めた法人・生産組織をもって農業の中核として位置づけ、その他の農家、兼業農家の撤退、土地持ち非農家の増加を見込んでおります。  そのために、経営規模拡大が至上命題となっており、例えば水田作では、北海道で二十一ヘクタール、一万戸程度を目指す、都府県では十二ヘクタールで六万戸程度を目指す、そういう規模拡大を提起しているわけであります。とりわけこの数字、都府県では基本計画に示すような経営規模の拡大が果たして可能か、集約できる土地があるのかという心配であります。仮に可能だとしても、地域社会では十二ヘクタールの農家がどのくらいつくられるのか、地域社会との関係は大丈夫なのか。  堺屋経済企画庁長官の「「次」はこうなる」という著書の中で、大規模農家が育てば村はどうなるかということを書いてありまして、広島県の北部のMという町を例にとって指摘しております。詳細は堺屋長官の本に譲りますけれども、大要はこうであります。  このM町は、一九五五年には六千三百人の人口があり、七百戸近くの農家があった。平均〇・八ヘクタールの農地を有し、五人余りの家族がいて、全部で五百四十ヘクタールの農地によって三千五百人が養われていた。それが一九九〇年には、農家は兼業を含めて五百戸以下となり、農家人口も一千人になった。堺屋長官は一戸当たり二十ヘクタールと言っているわけですが、この町で二十ヘクタールの大規模農家を育てようとするなら、M町では三十戸以下の農家しかなくなってしまう、農業で養えるM町の人口は九十人であると。これを基本計画が目指す十二ヘクタールで計算しますと四十五戸となり、百三十五人ぐらいしか農業で養えないわけであります。いずれにしましても、九十人や百三十五人では、このM町の小売店も理髪店も郵便局も学校も成り立たない、地域社会が崩壊してしまいますというふうに、本の中で批判しているわけであります。  水田中心の場合、家族経営農家経営の適正規模は六ないし七ヘクタールまでという学者もおるわけであります。経営規模の拡大は、家族労働力だけでは賄い切れず、大型機械の導入、大量施肥、大量農薬散布などを導入せざるを得なくなり、その結果、借金の増大、地力の低下、環境の汚染などの結果をもたらすのではないか。食糧庁の米価に関する資料によっても、作付面積が五ヘクタール以上になると、所得減少するというデータをいただいているわけでありますが、こういった点を政府はどういうふうにお考えでしょうか。
  124. 谷津義男

    谷津政務次官 今回お示ししました「農業構造の展望」における効率的かつ安定的な家族農業経営経営規模は、すべての農家が達成しなくてはならない経営規模の目標ではございませんで、農家における主たる従事者が、農業に専従した場合に、他産業と同等の生涯所得を得るに必要な規模をお示ししたものであります。  その中で、この経営規模に達する効率的かつ安定的な家族農業経営を、先生から今お話がありましたように、三十三万から三十七万戸と見込んでいるほか、いわゆる兼業農家等から成るその他の農家として百九十から二百三十万戸、及びこれらの農家によって形成される集落営農も含めた法人・生産組織三から四万が農村に存在するものと見込んでいるところであります。  また、同展望では、農村に引き続き住むものの、他の農家等に農地の大宗をゆだねる土地持ち非農家も、二十二年に百四十万から百七十万戸存在するものと見込んでおります。  このように、今回の「農業構造の展望」では、農村に引き続き多くの人々が住み続ける姿を描いておりまして、今回の基本計画においても、農村が、農業者を含むすべての地域住民にとって快適な地域社会となるように努める必要があるとの考え方に基づきまして、生活環境の整備や就業機会の確保等を総合的に推進することとしたところでありまして、決して一部の大規模農家だけが農村に住むような姿を想定しているものではございません。
  125. 菊地董

    ○菊地委員 我が国農村の特色として、専業、兼業農家土地持ち非農家を含めまして、村落共同体的な役割を担い、水管理、共同防除や集落道、周辺林などの維持管理を初め、伝統文化の継承などを分担し、農村社会を維持してきた歴史があるわけでございます。  したがって、基本計画に見られるように、規模拡大による限られた専業農家、大規模農業生産法人の出現によって村落共同体的役割を維持することが困難となり、農村社会が崩壊する危険が指摘されているわけであります。  規模拡大を否定するものではありませんけれども、兼業農家農業生産の四〇%を占める現実の中で、健全な農村社会の維持、農業生産力の発展のためにも、家族経営基本に、専業、兼業農家を含めた集落営農が将来の我が国農業の大宗でなければならないだろうと思いますが、お考えを重ねてお聞かせいただきたいと思います。  加えて、農業担い手の問題でありますが、農業後継者の不足、農業担い手高齢化がますます進んでいる中で、基本計画目標実現可能かどうか問題であります。新規就農者、三十九歳以下について、基本計画では、平成十年には一万一千人だったから平成二十二年には一万五千人程度が見込まれるとしていますが、単なる趨勢見込みではなく、積極的な新規就農対策を進めなければ実現しないであろうと思いますが、どうでしょうか。
  126. 谷津義男

    谷津政務次官 私の方から前段についてお答えを申し上げます。  我が国農業の持続的な発展を図っていくためには、先生御指摘のとおり、各地域の特徴に応じながら、効率的、安定的な経営体が生産相当部分を担う農業構造実現していくことが重要であるというふうに考えております。  このために、個別経営自体の支援と並びまして、各地域において意欲ある担い手を核としながら、これらの地域の小規模な兼業農家土地持ち非農家等との間で、土地、水路、労働力等における役割分担と連携を図ることが必要ではないかというふうに考えるところであります。  農水省といたしましては、今後、それぞれの地域におきまして、地域農業の将来像を明確化し、集落内の役割分担を明らかにしながら、地域の実情に応じた多様な担い手の活動が促進されますよう、そしてまた、望ましい農業構造実現されるように推進をしていくつもりでございます。
  127. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 後段の、意欲ある農業担い手の育成、確保の問題でございます。これは、望ましい農業構造にとって極めて重要な課題でございますので、この観点に立ってやるべきことは、着業からリタイアまでの発展段階に応じて多様な担い手に多様なメニューを提供し、選択をしてもらうということだろうと思います。  ですから、青年農業者等の就農に当たっては例えば研修教育、それから、認定農業者等に対しては農地の利用集積の促進、あるいはスーパーL資金等の低利の融資、それから、地域ぐるみの取り組みという中では、施設整備という観点からの経営構造対策、こういったものをやはり発展段階に応じてきちんとやっていくことだろうと思います。  幸い、新規就農青年につきましては平成十年に一万人に達しておりますし、認定農業者も現在約十五万人ということで、それぞれ地域で中核的な役割を果たしつつあります。  加えまして、十二年産からは稲作経営安定対策の中でも、認定農業者対象に補てん割合を八割から九割に引き上げるというふうな措置も講ずることとしております。  こうした経営施策の体系的、総合的な実施を通じて、先ほど総括政務次官から申し上げました、望ましい農業構造実現に努めてまいりたいと考えております。
  128. 菊地董

    ○菊地委員 最後に、食生活の指針についてでありますけれども、基本計画とともに食生活の指針が出されたこと、食料消費趨勢に従うのではなくて、言葉は適切でないかもしれませんが、誘導、教育していこうということに対して私は評価するものであります。  しかし、一言で評すると、どうもお役所的なスローガンであって、間違ってはいないがインパクトがないような気がいたします。国民的な運動として啓蒙普及していくに際しては、広く国民の意見や専門家の知恵を動員して、簡潔でインパクトのあるものにしていくことを要望しておきたいと思います。  日本型食生活を守るかぎは、幼児教育、学校教育、生涯教育のあらゆる場で食と農の教育、なかんずく風土に根差した食文化、身土不二の食生活日本型食生活の問題を常に継続的に啓蒙普及していくことが必要であると思います。  こうした誘導と、誘導というか教育と、国民の自覚による消費者国民の意識変化、食生活の変化が進まない限り、趨勢にゆだねていては日本型食生活と国産自給率の向上は望めないと思います。  今日では、一方に過食と飽食があり、大量の食べ残しがある反面、他方では寡食、少なく食べる方の寡食と偏食、ひとり寂しく食べる孤食による栄養失調が増大しております。オーバーフェッドとアンダーフェッドの二つが併存しているわけであります。  現在あるような学校給食が果たしていいのかどうかという議論も真剣にしていかなければならないと思いますが、学校給食を受けている子供たちの親の世代が既に深刻な日本型食生活離れが進んでいるのであります。  であるからこそ、簡潔でインパクトのある食生活の指針にしていただくとともに、文部省、厚生省その他関係省庁との連携協議を深めていただきまして、身土不二、地場のものを地場で食す、日本型食生活の啓蒙普及国民運動として盛り上げていくよう要望いたしますとともに、この点に関する大臣の御決意を最後にお伺いして終わりたいと思います。
  129. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 非常に重要な指摘であると考えております。  脂質のとり過ぎ等の栄養バランスの偏り、生活習慣病の増加、食料資源の浪費等の食生活の問題点を踏まえ、農林水産省におきましては、健康、栄養面から厚生省、また、子供たちへの食に関する指導の面からは文部省と共同して食生活指針を策定したところであります。  今後、両省とも協力しつつ、食生活指針普及、定着に向けまして、食を考え国民会議の活動、保健所、保健センターを通じた取り組み及び学校教育における食に関する指導など、国民の皆様の理解と実践を働きかけてまいりたいと考えておるところでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  130. 菊地董

    ○菊地委員 ありがとうございました。以上で終わります。      ————◇—————
  131. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、内閣提出参議院送付農産物検査法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣玉沢徳一郎君。     —————————————  農産物検査法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  132. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農産物検査法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  米麦を初めとする農産物につきましては、その公正かつ円滑な取引と品質の改善を助長するため、昭和二十六年に制定された農産物検査法に基づき、国が検査業務を担うことにより、適正な制度運営が確保されてきたところであります。  一方、行政改革をめぐる国民議論の中で、国の事務事業につきましては、官民の役割分担の適正化と民営化による業務の一層の効率化等の観点から、民間でも対応可能なものは、積極的に民間にゆだねていくことが強く求められております。  このような状況を踏まえ、農産物検査につきましても、行政機構の減量と民間能力の積極的活用を図るため、検査の実施主体を国から民間の検査機関に変更するとともに、その業務の適正な運営を確保するために必要な措置を講ずることとし、今回この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、農産物検査の実施主体を、国から、一定の検査能力を有するものとして農林水産大臣の登録を受けた民間の検査機関に改めることとしております。  第二に、登録検査機関の適正な業務運営を確保するため、農林水産大臣が、改善命令、登録の取り消し等の指導監督を行う仕組みを整備することとしております。  第三に、民間の検査体制が整うまでの一定期間においては、国が検査業務を実施できるよう経過措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  133. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明二十日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十七分散会