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2000-04-26 第147回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十六日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 植竹 繁雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 虎島 和夫君    理事 萩野 浩基君 理事 松本  純君    理事 岩田 順介君 理事 山元  勉君    理事 河合 正智君 理事 瀬古由起子君       小泉純一郎君    坂本 剛二君       七条  明君    関谷 勝嗣君       谷川 和穗君    近岡理一郎君       西川 公也君    桧田  仁君       堀内 光雄君    持永 和見君       米田 建三君    北村 哲男君       仙谷 由人君    中沢 健次君       中田  宏君    堀込 征雄君       赤松 正雄君    白保 台一君       春名 直章君    三沢  淳君       武山百合子君    畠山健治郎君     …………………………………    国務大臣    (内閣官房長官)     青木 幹雄君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    総務政務次官       持永 和見君    北海道開発政務次官    米田 建三君    沖縄開発政務次官     白保 台一君    自治政務次官       平林 鴻三君    政府特別補佐人    (人事院総裁)      中島 忠能君    政府参考人    (内閣法制局第一部長)  阪田 雅裕君    政府参考人    (地方分権推進委員会事務    局長)          保坂 榮次君    内閣委員会専門員     新倉 紀一君     ————————————— 委員異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   佐藤 信二君     坂本 剛二君   武藤 嘉文君     西川 公也君   北村 哲男君     仙谷 由人君   中田  宏君     中沢 健次君   中路 雅弘君     春名 直章君   権藤 恒夫君     武山百合子君   深田  肇君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   坂本 剛二君     佐藤 信二君   西川 公也君     武藤 嘉文君   仙谷 由人君     北村 哲男君   中沢 健次君     中田  宏君   春名 直章君     中路 雅弘君   武山百合子君     権藤 恒夫君   畠山健治郎君     深田  肇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  地方分権推進法の一部を改正する法律案内閣提出第九三号)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 植竹繁雄

    植竹委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方分権推進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として地方分権推進委員会事務局長保坂榮次君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植竹繁雄

    植竹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、本案審査のため、本日、先ほど政府参考人として保坂榮次君の出席を求めましたが、さらに政府参考人として内閣法制局第一部長阪田雅裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 植竹繁雄

    植竹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 植竹繁雄

    植竹委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。
  6. 仙谷由人

    仙谷委員 それでは、内閣総理大臣交代に関する事実経過及び法律問題について、前回の決算委員会に引き続いてお伺いをいたします。  法制局の方にちょっとお伺いするのですが、内閣総理大臣臨時代理をあらかじめ指定するという行為がございますね。これは、法律上の根拠規定というのは、あるいは憲法上の根拠規定というのはどこにあるんですか。
  7. 阪田雅裕

    阪田政府参考人 今お尋ねの内閣総理大臣のあらかじめの指定根拠でありますけれども、憲法にはございません。内閣法第九条でございます。「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣職務を行う。」という規定であります。
  8. 仙谷由人

    仙谷委員 素直に読みますと、この規定は、指定をされた国務大臣内閣総理大臣職務執行する要件記載規定してある、そういう条文のように読めますね。つまり、指定そのもの根拠を書いてあるようには読めないわけなんですよ。だけれども、この条文を使って根拠規定にするという解釈ならば、それはそれで結構なんですが、そういう解釈なのかどうなのかが一つ。  それから、この行為主体はだれかというのが二つ目。  この行為講学上の性格は何なのか。行政処分とか行政行為とか。  四つ目質問は、公定力というふうなものはあるのかないのか。  この点にちょっとお答えください。
  9. 阪田雅裕

    阪田政府参考人 お答えします。  御指摘のように、どういうときに指定された臨時代理職務を行うかという要件を直接的には規定したものであると思います。  ただ、ほかにどういう場合に指定をするとか、だれが指定をするとかいうことを具体的に書いたもの、あるいはどういう方法で指定するかという要件についても定めた規定が全くございませんので、この規定によって、特段の要式行為としてではなく指定することができるというふうに解しております。  それから、この指定講学上の性質ということであろうかと思いますけれども、これは先日も別の委員会お答えしたことがあるわけですけれども、特定の国務大臣を一定の場合に内閣総理大臣職務を行うという立場、いわゆる法定代理者という立場に置くという、我々が教わった行政法概念でいいますと形成行為に当たるというふうに解されております。  それからもう一つ……(仙谷委員主体」と呼ぶ)これは、その指定するという字句からして、指定をする主体内閣総理大臣であるというふうに理解しております。(仙谷委員公定力の方は」と呼ぶ)多分推定は働く、公定力といいますか、適法に指定された者という推定は働くということだろうと思います。
  10. 仙谷由人

    仙谷委員 そこで、お伺いするわけですが、官房長官も今の解釈にのっとって、御両者からお答えいただきたいんですが、そうすると、今回の場合、臨時代理指定行為というのは四月三日になされた、あるいは何時何分になされたという理解をすればいいのか。この点なんですが、いかがですか。
  11. 阪田雅裕

    阪田政府参考人 具体的な事実関係を詳しくは承知していないわけですけれども、今までお聞きしているところでは、官房長官小渕総理にお目にかかられたときに、万事よろしく頼むという旨の御指示を受けられたというふうに承知しております。それは四月二日の夜であるというふうに聞いております。二日のたしか夜だというふうに承知しております。
  12. 青木幹雄

    青木国務大臣 私が臨時代理就任した正確な時間は、法的には三日の午前九時、そういうふうに私も理解をいたしております。
  13. 仙谷由人

    仙谷委員 官房長官、失礼ですが、就任のことを聞いていないんですよ。まだ就任のことを聞いていないんです。指定をされたのがいつかと聞いているんです。つまり、法律上は、指定代理者への就任というか職務執行を始めるというのは全然別の概念なんですよ。  それで、いいですか、四月三日の十一時に官房長官記者会見をされて、九時に就任いたしました、こういうことをおっしゃっているんですよね。九時に。だからさっきの法制局の方にもあえて聞いたんですが。そうすると、官房長官、あらかじめ指定というのはあったんですか、なかったんですか。つまり、職務代理者としての職務を始められたのが九時なら九時でいいですよ。だけれども、あらかじめ指定というのはそもそもあったのかなかったのかということを聞いているんですよ。
  14. 青木幹雄

    青木国務大臣 私が今申し上げたのは、法的に就任したのは九時と申し上げましたが、指定ということになりますと、二日の七時ごろ総理にお会いをし、総理から何かあったときにはよろしく頼むと言われたのが指定された時期であろう、そういうふうに解釈をいたしております。
  15. 仙谷由人

    仙谷委員 では何で官報に、「人事異動」「内閣総理大臣小渕恵三病気につき内閣法第九条の規定により臨時内閣総理大臣職務を行う国務大臣指定する(四月三日)」、四月五日付の官報に四月三日に指定したということが書かれておるじゃないですか。官報うそですか。
  16. 阪田雅裕

    阪田政府参考人 そこは、ちょっと官報を見ていなかったので申しわけないのですけれども、現実に職務を開始されたという日に着目して、その「指定」を受けた旨の公告はなされたものだというふうに承知しております。
  17. 仙谷由人

    仙谷委員 いやいや、だから、そんないいかげんな話じゃないでしょう。つまり、指定就職といいましょうか職務代理者としての職務開始が同じだという解釈をとっていらっしゃるんでしょう。これはもともとそうだったんじゃないんですか。だから四月三日と書いてあるんでしょう。  つまり、官房長官のこの間の時系列を追ったお話をずっと聞いておりましても、ふわっとした話はあるけれども、臨時代理になるかどうかはいろいろ考えていたんだ、次の日によみがえってまた出てこられるかもわからないから、確定的に職務代理になったという意識はないし、そういう指定を受けたという意識も流動的、揺れ動いていたんだというふうな事実関係しか私には読めないんですよ。  それで、それに符節を合わせたかのごとく、四月三日付で人事異動が発令をされている、それが官報に載ったのは四月五日だ、そうであればそれなりの説明はつくんですよ。そうでしょう。だって、今までのどの例を見ても、内閣総理大臣臨時代理辞令が出て、例えば海外へ行かれるときには、行かれる前に辞令が出て、海外へ飛び立った瞬間に、そこから臨時代理としての職務が始まるんでしょう。だから「予め指定」なんじゃないですか。  だから、本件の場合は「予め指定」はなくて、四月三日午前九時に、指定就職開始といいましょうか、職務執行開始が同時期だったという解釈のもとにこういう官報がつくられているんじゃないんですか。今おっしゃられたのだと、官報と食い違いますよ、官報うそだという話になる。
  18. 青木幹雄

    青木国務大臣 私が申し上げているのは、法的に正式に就任したのは、三日の十一時の記者会見で申し上げたように、午前九時でございます。  この指定を受けたか受けないかということは、議員と私と多少違っておりまして、私は七時に総理にお会いした時点に、いろいろなことがあれば任すと言われたことを「指定」と、議員の今のお言葉ですと、恐らくこれが「指定」に当たると思います。  それから、七時から朝の九時まで私が就任しなかったのは、再三申し上げておりますけれども、総理病状がまだ不確定である、二、三日すれば総理がもとの体に返られて政権に復帰されるということを私は非常に強く望んでおりましたので、真夜中でもあるし、私は法的な就任は次の日の朝にやったわけでありますけれども、その間においても、既に指定は受けておりましたので、それを、いつでも緊急の場合があれば就任をして事態対応する用意をしておったというのが私の考えでございます。
  19. 仙谷由人

    仙谷委員 いいですか、あなたのおっしゃったような、内閣総理大臣行政行為で、何かあったらよろしく頼むなんという言い方が、この内閣法九条の規定に基づく確定的な行為臨時代理指定と読みかえられるんですか。こんなでたらめな行政行為というのはないですよ。今までも、かつてなかったし、これからもあり得てはならないことですよ。どうですか、これは。そのために日にちまで刻した官報に告示するんじゃないんですか。官房長官、だめですよ、そういういいかげんな、ゆるがせにするような、何でもありみたいな話じゃだめなんですよ、法律というのは。だから官報に告示するんでしょう。  だから、官報に告示したのが四月三日になっているのは、確定的にそういうふうに解釈できるのはこのときだと、それが正しいかどうかまた後でやりますけれども。どうですか。
  20. 阪田雅裕

    阪田政府参考人 官報が四月三日付になっているという経緯はちょっと、内閣官房にまた確認をしてみたいと思いますけれども、官房長官が、今お話がありましたように四月三日の午前九時に就任された、職務を開始されたということをたしか発表されたと思いますので、それを受けての措置であろうかというふうに思っております。  それから、何かあればよろしく頼むという意思表示の件でありますけれども、これは昨日予算委員会において私ども、長官からもお答えをしておるところでありますけれども、一般的に、法律行為といいますか意思表示の効力というのは、意思表示者が現に発した具体的な言葉だけではなくて、その行為が行われた、意思表示が行われた客観的な状況であるとか、あるいは意思表示者と相手方との関係であるといったようなことを総合的に判断して定められるということでありまして、何かあればよろしく頼むとだけ述べられた場合においても、その意思表示の行われた客観的状況等に照らして、その意味内容が双方に明確であれば有効なものであるというふうに理解しておりますし、その意味内容を最も正確に知り得る立場にあるのは両当事者であるというふうに解しております。
  21. 仙谷由人

    仙谷委員 当事者解釈にそんなことを任せたり、あなたみたいに、意思表示解釈を、民法の意思表示解釈のように真意の状況を勘案しながら考えるなんという、そういう一義的じゃない解釈行政法の世界で行われるとなったら大変なことですよ。権力の恣意的乱用を許すということになるじゃないですか。だから確定的に辞令というものがあるんでしょう。処分ということはちゃんと確定的に書くんでしょう。そのぐらいは法律学のイロハじゃないですか。  例えば、では話題を変えますけれども、この指定条件つきなんですか、条件つきじゃないんですか。官房長官は、一回目の記者会見では、検査結果によればおまえが内閣総理大臣臨時代理をやれと言われたということを言った。そもそも、検査結果によればという条件がついているような、こういう指定行為というのはあるんですか。そしてこれは、そんなことを言われておりませんと撤回された。今度、万事よろしく頼むだ。もう一つ抽象性の階段を上っていますよ。こんな抽象的な話が何で行政行為になるんですか。
  22. 青木幹雄

    青木国務大臣 議員は今、私が訂正をしたということをおっしゃいますが、私は、気持ちの上で何ら訂正はいたしておりません。  私が申し上げたのは、万事よろしく頼むというそ時点での総理お話を受けて、私は、万一のときには、それは内閣総理大臣臨時代理をせよという意思である、そういうふうに受けとめておりましたので、そのことを表現しただけでございまして、ここのところは見解が非常に違うんですが、私が総理にお会いをしたときに指示を受けたという判断を私はしっかりといたしております。  議員の場合は、それが指示を受けたことになららぬじゃないか、一対一じゃないか、おまえしか何にも知らぬじゃないかとおっしゃいますけれども、病人を目の前にしていろいろな人、証人を立てたり、病状がわからない時点で、そういうことは人道的にもできることじゃありません。  しかも、総理官房長官というのは一心同体であります。ですから、二人で話したことがすべてである。それは私の判断で、後をよろしく頼むと言われたことを、臨時代理も含めて私が解釈するのは、これは当然のことだと私は考えております。
  23. 仙谷由人

    仙谷委員 その明確でなければならないというのは、これは私の法解釈によれば自明の前提なんですが、そこは、では問題としておきましょう。  では、何かあればとか万一のときにはと、よくおっしゃいますね。どういう事態を指しているんですか。
  24. 青木幹雄

    青木国務大臣 万一のときというのは、その後、総理病状が変わって、総理自分意識で国政を担当することができない状態に陥った、それを万一のとき、私はそういうふうに解釈をいたしております。
  25. 仙谷由人

    仙谷委員 それは、職務執行上、執行条件といいましょうか要件であると同時に、大臣のおっしゃる万一のときは、実は内閣の総辞職でもあるのですよね、総辞職でも。欠けたるときはというふうにこの間からおっしゃっていますよね。欠けたと同視される状態になったときは総辞職ですよね、これは。  だから、臨時代理があらかじめ指定されていないときは、職務代理をするまでもなく、これはもう総辞職、自動的総辞職になってしまうわけですね、憲法上の規定から。いや、欠けたときは総辞職ですよ。だって、そうでしょう。それで、万一のときはというのは、欠けたと同視すべき状況だ、こういうことになっているんじゃないですか。どうですか。
  26. 青木幹雄

    青木国務大臣 私もその点の詳しい法的なことはわかりませんが、私は、七時にお会いをし、その後、総理病状が非常に急変をしたということを聞きまして、直ちにいろいろな問題が法的にあるだろう、私が対応する上で法的に間違いがあってはいかぬと思いましたので、その時点古川官房長官指示をいたしまして、こういう事態が起きたときにはどういう対応をすべきか、しかも対応によって法的に間違いがないかどうか、そういうことをよく調べさせた上で今度の行動をとったわけでございます。
  27. 仙谷由人

    仙谷委員 それでは、この点についてはもう一点だけ確認しておきます。  これは四月三日に指定がなされたような官報が出ていますよね。そうすると、四月三日の段階においては、内閣総理大臣小渕恵三さんは既に何らかの行政的な行為をすることのできる状態ではなかった。つまり、前夜の九時五十分から昏睡状態に入っている、こういうことをおっしゃっているわけですから、この三日の段階では、こういう行為をすることはできる状態になかった、これは御確認いただけますか。
  28. 青木幹雄

    青木国務大臣 私も詳しい、いわゆる専門的なことはよくわかりませんが、私は、直ちに総理として国務にすぐに従事できない状態だな、そういう判断のもとに臨時代理就任をいたしたわけでございまして、これが第一段階でございます。  今の総辞職の問題は、これは正式に欠けたときという認定がなければ総辞職ができませんので、その総辞職に至るまでの経過は、私も病院に参りまして、医師団ともきっちりした話をして、総理が欠けたときという認定をはっきりさせた上でその後の総辞職に至っておるわけでございます。
  29. 仙谷由人

    仙谷委員 私が聞いているのは、職務を始められた、その話を聞いているのじゃないのですよ。四月三日に指定行為があったということを官報に書いてあるけれども、四月三日には、小渕総理大臣は、あなたを内閣総理大臣臨時代理にあらかじめ指定をするという内閣法九条に基づく行為ができるような状態ではなかったですよねと、そこだけ確認してください、事実を。どうですか。
  30. 青木幹雄

    青木国務大臣 私もよく専門的なことはわかりませんが、私は、七時の時点総理からよろしく頼むと言われたことは、自分に万一のことがあったときには総理大臣臨時代理をせよということであるという受け取り方をした上で、その後の行動をとったわけでございます。
  31. 仙谷由人

    仙谷委員 それは、青木さんのお答えを善意に解釈しても四月二日の話ですよね。だから、三日はもう既に、そんなこともおっしゃれる状態でもなければ考えられる状態でもなければ、青木さんに直接会ってそのことを言うとかだれかを介して言うとかすることのできる状態でもなかったでしょうということを、事実として確認してくださいと言っているのです。
  32. 青木幹雄

    青木国務大臣 二日に私と総理が会った後、私が帰ったのが八時過ぎでございます。その後急変して、総理集中治療室にお入りになっておりますので、議員おっしゃるとおり、私と総理とが直接話し合ったり連絡するようなことは既にその時点で不可能であった。それだけは私も承知をいたしております。
  33. 仙谷由人

    仙谷委員 そうすると、この官報記載は間違いだということになりますよ。もっともらしく官報に告示したって、でたらめになるじゃないですか。ということは、もっと言えば、内閣官房でも、青木さんがおっしゃっている四月二日の万が一のときはよろしく頼むとかそういうのは行政行為と見ていないから、こういうふうに記載しているのじゃないですか、反対に言えば。  それで、議論を変えます、話題を変えます。  森さんの発言が百八十度一日のうちにぶれて変わられた。これがまた国民の不信を呼んでいるのですね。この点について官房長官の御記憶を聞きますので、お答えください。  まず、二日の記者会見の前に、森さんと官房長官がお会いをなさって、そして前総理大臣病状について話した記憶はあるのでしょうか。それで、その場は森さんと一対一だったのでしょうか。どうでしょうか。
  34. 青木幹雄

    青木国務大臣 私も再三答弁をいたしておりますように、あの日は前日に、議員も御承知のように、自自公三党が事実上解消をいたしまして、二日の日曜日はみんながそろっていろいろなその後の対策を全力を挙げて取り組んでおられた日でございます。私は、十二時前後の時点で皆さんと一緒にお会いをしたことは事実でありますが、その後はいろいろな方がいろいろな動きをしておられまして、その動きの中で私のところへ来られたときには、現在病状はこういうふうですよということを話したこともあると思うし、またその後、総理はどうだと言って来られた人もあるだろうし、私も一々だれと何時にお会いをしてどういう発言をしたかということは正確には覚えておりません。  ただ、予算委員会において森総理が、これは本人自身が間違いであるということを訂正されましたが、それはおたくの党の代表の質問の中で、私がいかにも総理をだまして臨時代理就任をした、いわば天一坊みたいなものじゃないかというような、非常にこれは私は不謹慎な発言だと思っておりますが、そういう発言を繰り返しされました。  総理としては、私をかばう意味で、そんなことはありませんよ、官房長官就任のときにいろいろ頼んだけれども本人はなかなかうんと言わなかった、そういう立場の者が、いわゆる臨時代理自分から、総理をだましたりしてなるようなことはないじゃないですかということを、総理は私をかばう意味で言おうとしておっしゃった発言が、今の臨時代理のことと結びついたわけでございまして、あとは総理訂正されたとおりでございます。
  35. 仙谷由人

    仙谷委員 菅政調会長質問した中に、官房長官総理をだましたなんということは全然言っていないですよ。言っているとすれば、国民をだましてという話ですよ、天一坊というのは。そうでしょう。  それで、このくだりを改めて速記録を拝見しますと、官房長官がおっしゃるような、そんな単純な話じゃないですよ、これは。我々のように、証言をどう聞くか、どう読むかということを仕事にしてきた人間でなくても、いわば素人さんでも、青木官房長官をかばうためであったとしても、これだけの迫真性のあるリアルな話を、これが全部間違いだったとかでっち上げだったとかうそだったとか、そうはいきません、これだけの答弁は。  いいですか。もう一遍読んでみましょうか。  「そういう立場の中で、」そういう立場というのは官房長官ですね、「青木さん、従来の経緯からいえば、総理は必ず外遊のときはあなたにお任せをされた、そういう意味から、ここはあなたがしばらくきちっとそこを受けて、」つまり、総理の穴があいている、日本国内に、総理の席にだれも座っていない。それを受けて、「後のことを大切にされた方がいいですよと申し上げたときに、彼はかたく固辞しました。」こういうくだりなんですよ。  これはまさか、内閣改造の、官房長官のいすがどうのこうのという話とは全然違います。外遊のときに今までもずっと総理はあなたに臨時代理を命じてきたじゃないか、だから今度も臨時代理はあなたがやるのがふさわしいよと私が申し上げた、私の方から勧めたんだ、そして青木さんがそれをかたく固辞されたというくだりなんですよ。  それは当然のことのように、菅政調会長が言った、私もさっきから、あらかじめの臨時代理への指定なんというのは法律上ないんじゃないかということを申し上げておる、菅政調会長もその観点からお伺いした。  つまり、これは臨時代理の話なんですよ、テーマが。それについて、わざわざ、外遊のときずっとやってきたじゃないかという、それはまさに臨時代理の話ですよ。話はつながっているんです、こっちの方が。ところがあなたが固辞したということをおっしゃっている。それも多分そのとおり、事実ではないかという気もするんでありまして、これは森さんのおっしゃっていることの方が迫真性がある、リアリスティックだと私は思います。  こういう発言はなかったんですか、どうですか。
  36. 青木幹雄

    青木国務大臣 たとえ総理発言であろうとも、私が聞いていないことは聞いていないということでございます。  ただ、私も当日同じ席におりましたので、総理は何でこんな間違った発言をされるのかなと思ったんです。それで、僕はすぐその後総理へ、総理、それはちょっと違うんじゃないと言ったら、いや、おれもそう思う、ついあんたをかばおうと思ってということでありまして、私は、事実そういうことはありませんので、これはだれにどうと言われようと、ないことは、私が総理発言に合わせて、それはそうでしたと言うわけにいきません。
  37. 仙谷由人

    仙谷委員 続いて、「天一坊とまでおっしゃって、」、森さんがですよ、「再三再四、何度申し上げても、自分は嫌だとお断りになっておられたということも事実として申し上げておきます。」こう言っているんですよ。再三再四勧めたと、臨時代理になれというのを。ところがあなたが、自分は嫌だと、再三再四、何度申し上げてもあなたがお断りになった。では、この事実もないんですか。
  38. 青木幹雄

    青木国務大臣 それは官房長官就任のときのことでありまして、そういう事実はありません。  なぜそういう事実がないかといいますと、七時に総理と話した後で私はそういう決意をいたしておりましたので、十一時の記者会見の前にそのことを宮澤大蔵大臣にも電話をし、これはほかの閣僚に私は一本の電話も、当日から次の日にかけてやっておりません。再三お答えいたしておりますように、総理をやられた大先輩であり、当然私が事前に連絡をとって御了解をいただくことが礼儀だと思って、宮澤大蔵大臣にだけは電話をいたしました。  ですから、私はその時点で、臨時代理はおまえがすべきだとか、いや、すべきではないだとか、そういう議論は一切いたしておりません。
  39. 仙谷由人

    仙谷委員 では、話を変えますが、その時点官房長官就任の話はあったんですか、四月二日の時点で。
  40. 青木幹雄

    青木国務大臣 そういう話はありません。私が総理から官房長官就任の要請を受けたのは、総理が自民党の総会において自民党総裁に就任され、総理就任されることがはっきりした時点からでございます。  私、今でも覚えておりますが、総理官房長官就任をしてくれと言われ、私が断りながらいる最中に衆議院の首班指名の本会議のベルが鳴りまして、総理も、ベルが鳴ったからもう行かなければいかぬが、それはもう一回頼むから後の話にしようやと言って、総理と私と、総裁室で二人で会ったんですが、ベルが鳴った時点で別れたことを今も覚えております。  ただ、総理発言から議員が今おっしゃったようなとり方をなさるのは、私も十分理解ができますが、事実と反していることは、私もあくまでも私の考えで申し上げるしかございません。
  41. 植竹繁雄

    植竹委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  42. 植竹繁雄

    植竹委員長 速記を起こしてください。仙谷君。
  43. 仙谷由人

    仙谷委員 そうすると、要するに、四月二日じゃなくて、いつの話ですか。四月五日ですか、官房長官、要請されて断ったという話は。
  44. 青木幹雄

    青木国務大臣 いわゆる官房長官就任をするかしないかという問題は、これは森現総理と私との個人的な問題でございますので、私も一々その内容について申し上げることは差し控えたいと思いますが、少なくとも、二日や三日の話ではございません。
  45. 仙谷由人

    仙谷委員 いやいや、だから、内閣総理大臣に衆議院で選ばれたのが五日だから聞いておるんですよ、その後でしょうと。当然、内閣を組織するのはその後ですからね。当然その後でしょうと聞いている。  そうしますと、二日も三日もたった後の話とその前段階の話を森さんが混同しておる。混乱し、混同していると。それで、私から言えば、ここでおっしゃっていることは、森さんがいかに口がうまいのか知らぬけれども、こんなものは、講釈師見てきたようなうそを言いという話そのものじゃないですか、もしあなたがおっしゃるとおりであれば。総理大臣の言をあなたの方でそういうふうにひっくり返すと、総理大臣そのものの言動が講釈師の言動みたいになってしまいますよ、そうじゃないですか。
  46. 青木幹雄

    青木国務大臣 私が総理大臣の言動をひっくり返したんじゃなくて、総理自身が間違いであったことを気がつかれ、総理自身の口から、この発言自分の間違いであったという発言をなさっているわけでございます。  それから、つけ加えて申し上げますと、再三申し上げておりますように、その日は自自公連立が事実上壊れた翌日でありますので、みんながそのことで一生懸命になっておった、その上に総理が入院をした、いろいろなことが全部かみ合っておりましたので、皆さんは、全部が過ぎた時点でそれを振り返ってみて、いろいろなアナウンスをしておられます。本当に、私が考えられないようなアナウンスも、いろいろなことをしておられます。  そういうことで、すべてが混乱して、いろいろな誤解を生じていることは私も非常に残念だと思っておりますが、私が今まで議員のお問いに対して答えている、これが本当の真実でございます。
  47. 仙谷由人

    仙谷委員 いや、だけれども、官房長官がおっしゃっているのは否定されておるだけであって、この森総理予算委員会での答弁迫真性には全く太刀打ちできていませんよ。こちらの方がずっとリアルですよ。信憑性がありますよ。いいですね。  あくまでもそういうふうに否定されるのは、やはり私が言っているように、官報記載されているように、四月三日までは代理をつくろうかどうか迷っていた、そういうことだったんじゃないんですか。それで、当然のことながら、四月二日の段階では、あなたが臨時代理指定を受けたという意識もなかったんじゃないんですか。  これは、森さんと話をする前に内閣の中で話すべきことを、全く内閣の中では、あなたが臨時代理就任するという記者会見の後の臨時閣議まで、全く閣僚と話していない。それで党の方とは話している。そのときに、臨時代理をやるべきだやるべきでないとかという話が党の幹事長との話であったとかないとかということを、総理大臣が言われる。非常にこの辺は、政府と内閣は一体だというものの、つけなきゃいかぬけじめがついていない。そしてまた、なぜあなたがこの時点就任をされたというふうに言われるのか、それももう一つはっきりしない。  つまり、ここだけ確認しますが、総辞職をされる前の段階では、医師団とお会いして、ちゃんと小渕さん御本人のそのときの能力の現状について問いただしていますよね。その行為は、あなたがお見舞いに二日の夜の七時に行かれて帰ってきてから次の日に記者会見するまでに、それと同種の行為はしていませんよね。お医者さんからは一切話を聞いていませんよね。どうですか。
  48. 青木幹雄

    青木国務大臣 私が七時に総理にお会いをしてから、次の日の十一時の記者会見で九時に臨時代理就任をしたということをはっきりさせる、その間の時間のいろいろな行為についてのお尋ねでございます。  私の気持ちにあったのは、総理病状がはっきりしない中で私がこれを各閣僚に連絡すれば、十数人の閣僚の皆さんに、真夜中でありますから、いろいろな誤解が生じたり、いろいろな混乱が起きることも想像されますし、また、夜中に私が記者会見をすれば、恐らく、国内はもとより、対外的にも大変な騒動になると思います。病状のわからない時点でそういうことをすることによって、何日かたって総理がもとの体に、回復がはっきりした場合に、果たして総理としてそのまま職務にとどまることができるかどうか、そういうふうなことも私としては当然考えてやった行為でございます。  皆さんは、結果が出た時点で、総理がそういう状態が今でも続いている状態を前提にしておっしゃいますからいろいろなことが言えると思いますけれども、私が考えたのは、もう一回、総理が全快してくれて、このまま総理の座に、そのまま国政を担当してくれることを官房長官として願っておりましたので、真夜中のいろいろな行動や皆さんに対する連絡はしなかった、そういうことでございます。
  49. 仙谷由人

    仙谷委員 事情が変わったことを確認しないで臨時代理就任するということをされたということになるわけですね。その前の七時に会われたときの医師団の方から聞いた中身というのが、もう一つはっきりしない。そして、その時点で、小渕さんが果たして万事君に任せると言える状態だったのかどうか。ここが核心ですよね、僕がさっき申し上げたように。  この点についてはどうですか。お医者さんの記者会見を開くとか、ちゃんとした文書の回答を寄せさせるとか、そこをはっきりさせないと、官房長官、やはり僕は官房長官が一生懸命なさればなさるほど変なところに入っていくんじゃないか、そういう心配をして申し上げているんですよ。ここだけはクリアにした方がいい。けじめをつけた方がいい。
  50. 青木幹雄

    青木国務大臣 確かに議員のおっしゃること、私もよくわかります。私も医師団に一回は、私は十一時と四時に記者会見しなきゃいけませんから、医師団としても病状がわかれば発表していただけますかということを、私、直接聞きました。しかし、医師団がおっしゃるのは、一刻一刻病状が変わっていく中で、いろいろなまた誤解も生ずることもあるし、それには基本的に、本人がこういう状態にあり、家族も本当に寝食忘れて看病を続けておられる中で、やはり家族の了解を得ないことには、一々変わっていく病状について医師団として発表することができません、そういうことでございました。  私は、医師団の家族に対するそういう思いやりからされた判断、そういうものを現状においてはまだ守るべきだ、いずれ将来において医師団がどういう態度をとられるか、これは私が現状においてとやかく言うべきことじゃない、そういうふうに理解をいたしております。
  51. 仙谷由人

    仙谷委員 これは……
  52. 植竹繁雄

    植竹委員長 お約束の時間を……
  53. 仙谷由人

    仙谷委員 最後に、終わりますから。いいですか。  これ、一遍は依頼されたことがある、要請されたことがあると言うんであれば、これは国会の権威にかけて、あるいは内閣の名誉のためにも、ぜひ、文書で取り寄せるなり、あるいは診断書を出させるなり、これをひとつやってください。委員長もやってください。
  54. 植竹繁雄

    植竹委員長 ただいま時間も参りましたので、今仙谷君の御要望につきましては、後刻理事会でまた検討いたして善処したいと思います。  なお、ここで委員長から一言申し上げますが、本日は、地方分権推進法の一部を改正する法律案を案件としておりますので、この法案に関係する御質問をお願いするよう委員長からお願い申し上げます。  次に、瀬古由起子君。
  55. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  地方分権推進法の一部を改正する法律案の審議に際しまして、我が党の持ち時間の範囲内で、森新内閣についての本会議委員会審議で明らかになったこの間の内閣の成立過程の問題について、質問をさせていただきます。  小渕前首相が病に倒れる事態が発生して以来、首相臨時代理官房長官就任して森新内閣が誕生するまで、小渕首相の病状が、いつ、どういう状態で変化してきたのか、その正確な時間を述べていただきたいと思います。入院の時間、検査の結果脳梗塞と診断された時間、集中治療室に入った時間、昏睡状態になった時間、人工呼吸器をつけた時間を御報告いただきたいと思います。
  56. 青木幹雄

    青木国務大臣 お答えをいたします。  ただいまは、小渕総理病状の変化について時間をきっちりして答えよということだと理解いたしております。  まず、私が小渕総理の入院の第一報を古川政務秘書官から受けたのは、四月二日の午前二時ごろでありました。その報告の内容は、過労のため入院、検査中です、心配するほどのことはありません、そういうことでありました。  それから、その次には、午前六時ごろ、主治医より私が直接報告を受けました。その内容は、検査の結果は正式には本日、二日でございます、午後十一時ごろにはっきりしてくると思われるということでありました。正式に病状を見きわめてからいろいろな問題に対応すべきだなと考えました。  午後六時ごろ、古川政務秘書官より中間的な検査の様子をお伝えしたいとの連絡を受けまして、私は午後七時ごろ病院へ参りました。そして短時間総理とお会いをしました。それから帰りまして、総理とお会いをして私が帰ったのが大体八時ごろでございます。それを私が非常に鮮明に覚えておりますのは、私が帰ったときにちょうどNHKの大河ドラマの始まったときでありましたので、私が総理にお会いして帰った時間は八時過ぎというように理解をいたしております。  それから、午後十一時半の記者会見の後、総理が午後十一時三十分ごろ昏睡状態になられたという連絡を受けました。  それから、三日の午後四時の記者会見において、医師団から聞いた病状、治療状況等について私が発表をいたしております。意識レベルは昏睡状態、人工呼吸器による呼吸管理等、そういうことを報告いたしております。  翌日、すなわち四月四日になりまして、引き続き予断を許さない状態が続いている。午後二時半、私自身が順天堂に出向きまして、総辞職要件である総理が欠けたとき、そういうお話医師団と、これは正式な形でやっております。そのときの様子につきましては、それも話した方がいいですか。(瀬古委員「いいです」と呼ぶ)いいですか。  大体そういうような時間からする私の行動でございます。
  57. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 官房長官が医師から聞いた場合とか、そのときの状況なんかもお話しされたんですが、正確に医師団が、何時何分に入院、検査の結果、いつ脳梗塞だというように診断されたのかとか、それから集中治療室に入った時間が何時何分だとか、昏睡状態に入ったのが、入ったと聞いたというんじゃなくて、何時何分、そういう御報告は一切受けておられませんか。一定部分聞いたという部分はございましたけれども、そういう細かいきちっとした時間は医師団からは聞かれていませんか。
  58. 青木幹雄

    青木国務大臣 詳しい、何時何分治療室に入った、何時何分どうということは聞いておりませんが、大体、今申し上げましたように、八時ごろ病状が急変、そして集中治療室に入られました。それが……(瀬古委員「大体ですね」と呼ぶ)ええ、そういうふうな形で私は聞いております。
  59. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 小渕さんが入院されてから臨時代理官房長官就任するまでの三十二時間、集中治療室に入って十二時間、昏睡状態に入って大体九時間半の空白がある。  国民の安全に全責任を負っている総理に緊急な事態が発生した場合は、一刻も早く代理を決めていくというのは当然だと思うんですね。そういう場合に、国民の安全に責任を負うべき一国の責任者が責任がとれないという空白の事態、これは許されないものだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  60. 青木幹雄

    青木国務大臣 私も、議員のおっしゃるとおり、そういうふうに考えております。  ただ、いろいろ議論がありますように、総理が入院されてから、朝の私が就任しますまで、その間を空白と見るのか、それとも空白と見ないのか、それは議論の分かれるところだと思っておりまして、私は、七時の時点までは総理は健全であった、七時に私がお会いをした直後から病態が急変をした、これははっきりいたしておりますが、事態が急変したのが八時ごろでありますので、もし事態が私が行っている間に急変したら、私が悠々と、総理、まあ元気出してくださいと言って帰るはずはありません。  ですから、七時ごろまでは総理がそういう状態にあった。その後、総理からそういう話を聞いて、私が就任したのが明日の九時でありますので、その間が空白と言われますけれども、その間も私は、万一のことがあれば臨時代理就任をして、もし国家がどうかなるような危機があれば直ちに就任することも十分可能でありましたが、やはりそういうことをしてしまえば総理自身をいわゆる取り返しのつかないことにしてしまう、病状がわからない間はもう少し見守ろうというので、次の日の朝まで混乱を避けて待ったわけでございます。
  61. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 官房長官自身が、これは空白と見ないと。しかし、空白と見る方もいらっしゃるわけですね。  それで、意識がなくなる、昏睡状態に入って、しかしひょっとしてまたよくなるかもしれない、その間はちょっと様子を見よう、そういうものを空白といえば空白というんですけれども、国の責任者がどうなるかというか、ある意味では責任がとれない事態は事実上発生しているわけですね。  そういう場合に、様子を見ようかとか、夜中だからちょっと混乱を与えるといけないので待っておこうかとか、国の政治のあり方、一国の責任者が、あるいは国の安全に責任を持たなきゃいかぬ総理がそういう事態になったときに、それはたまたま官房長官が、どういう状態だったのかはわかりませんが、総理お話をされて、まあもう少し様子を見ようかという形で、ある意味では個人の判断で、こんな一国の全体の空白をどうするかという問題を判断していいのかどうか。それは、そういうあり方がいろいろ憶測を呼んでいるわけですね。  そういう点では、そういう空白のあけ方といいますか、空白と見られるのか見ないのかと、いろいろ意見があるような出方は、国の本来のあり方としてはやはり問題があるんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでしょう。
  62. 青木幹雄

    青木国務大臣 私の、様子を見ようかという言葉は、非常に誤解を招く言葉だと思いますので、これは取り消させていただきますけれども。  私が申し上げたいのは、総理病状が定かでない時点で私が直ちに臨時代理就任をするということは、非常に大きな混乱を夜中に起こす、そういうことは、結果として今こういう状態が続いておりますから、皆さん、なぜ早くしなかったかとおっしゃいますけれども、私が官房長官という立場で、その気持ちでは、病状がよくなれば総理はいずれ復帰できる、そのためにはできるだけ静かな対応をしなきゃいかぬというのが私の気持ちでございまして、万一のことがあれば、これは危機管理ですから、当然私は臨時代理就任をしなければいけないということは考えておりました。  それから、次の日の朝、臨時代理就任しますのは、やはりこういう状態がこれは続くな、しかしこういうままでずるずるいってはいけない、いっときもやはり空白があってはいけないというので、人情的には私は、本当はそのときは、就任することをまだ何日か延ばしたかったんですよ。しかし、やはり総理官房長官という責任上、次の日の朝を待ってそういう決断をしたわけでございます。
  63. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 そうしたら、官房長官によっては、もう一日延ばしたいなとか、やはりもうちょっと、気持ちの上では二日ぐらいとか一週間ぐらい見ようじゃないかという場合はそのまま続くということもあり得るわけで、それはやはり個人の判断で、一国の総理がそういう重大な事態に陥っているときにその個人の判断なんかに任されるというのは、私は問題だと思うんですね。  同時に、総理の症状が、もうこれ以上復帰するのは難しいとか、今の時点判断できないというのは、それは官房長官医師団から聞かれてそういう御判断をされたと思うんですけれども、実際には、小渕総理が入院されてから医師団の正式な症状についての発表、説明が全くないわけですね。  ですから、私が聞いたから私の判断が正しいと言われても、それは国民や私たち国会でいいましても、本当にそうだったのか、あの七時に会ったときは意識がありましたと言っても、本当にあったのかと、ある意味では事実がわからないわけですから、官房長官の御意見だけ聞いて判断するというわけにはいかないわけですね。  先ほどの、医師団の正式な、病状についてどうだったかということは、やはり今いろいろ家族の関係だとかあると思うのです。しかし、少なくとも総理が在任中は、どういう症状でどういう判断をそのときに官房長官がしなければならなかったのかということは、家族のそういう御判断とはやはり違った、正式な判断をしなきゃならないというように思うわけですね。  そういう点では、総理の在任中の御判断は、医師団の正式な発表というのは要請できるんじゃないでしょうか。その点いかがですか。
  64. 青木幹雄

    青木国務大臣 確かに、先生がおっしゃることも私は一つの考え方だと思います。私も医師団に、私も記者会見を十一時よりやりますから、医師団の方でもやっていただけませんかということをお願いいたしました。しかし、それに対して、医師団の皆さんは、病状が一刻一刻変化することを、いわゆる家族の了解なしに、今の時点でそういうことを……(瀬古委員「今のことを言っているんじゃないのです。過去のことについてどうかというのです」と呼ぶ)ええ。過去は、その時点での話でございます。(瀬古委員「改めて要請できないかということです」と呼ぶ)私は、そういうことは、やはりこれから先医師団と家族の意思に、恐らく医師団も家族の皆さんも、こういう議論が国会の中で毎日行われていることは十分御承知だと思います。そういうことも踏まえて、将来、医師団と家族の皆さんが御判断できることで。  この際、私は、家族や医師団に対して、私から、私が国会でこういうことを追及されていろいろ困っておりますから、発表してくださいというような気持ちは一切ありません。
  65. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 やはり家族の気持ちというのは、それは当然今大変な状態ですから、私は配慮しなければならないと思うのです。しかし、一国の総理が、やはりそれをめぐっていろいろな論議があったときに、過去、それこそ総辞職されるまでは最高の責任者だったわけですから、そのときの病状の変化はどうだったのかということは、それは官房長官としても、きちっと正式に要請するというのは当然のことじゃないでしょうか。
  66. 青木幹雄

    青木国務大臣 今の時点では、私は、やはり医師団、家族の皆さんの判断にお任せしようという気持ちでおります。  ただ、今申し上げましたように、医師団の皆さんも、これは専門的な方々ですから、いずれ疑惑のないような形はとられると思いますし、家族の皆さんも恐らくこの議論は毎日聞いておられると思いますので、私は、あくまでも現時点においては医師団と家族の御判断にお任せをしたい、そういうふうに考えております。
  67. 植竹繁雄

    植竹委員長 なお、時間が来ておりますので、結論をお急ぎください。瀬古由起子君。
  68. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 やはり医師団任せではなくて、政府の責任で、これだけのいろいろな意見の違い、考え方の違いというものが出てきておりますので、実際に事実関係はどうだったのかということも含めて、ぜひ御検討いただきたいというように思います。  最後ですけれども、今回森新内閣の誕生をどういうように見ているかということなんですけれども、その大きな特徴はやはり舞台裏の不透明なやり方じゃないかとか、これはドイツのシュピーゲルという本なんですけれども、書いていますし、ヨシロー・モリは不明朗の中から日本の首相になった、彼は指導できるのか、これはアメリカのタイム誌です。こういう点では、今回のやり方が、やはり密室の政治のあり方というものについて、国際的な批判も随分強いわけですね。  同時に、国民立場からいっても、一国の総理がこういう事態になっているのに、やはり正確に国民に知らされない。言ったことは実は違ったんだということで、言うと混乱するので後々訂正なさったりしているわけですけれども、やはり国民にはきちっと事実関係も含めて正確に知らせていくというのが一つの時代の流れじゃないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  69. 青木幹雄

    青木国務大臣 議員の意見、十分私も聞かせていただきました。
  70. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 終わります。
  71. 植竹繁雄

    植竹委員長 次に、畠山健治郎君。
  72. 畠山健治郎

    ○畠山委員 私は、本法案に賛成の立場から、幾つかの問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  この四月から関係法案が施行されまして、地方分権もようやく第一歩を踏み出した、こういうことになろうかと思っております。そこで、まず官房長官にお伺いをいたしますが、森内閣にかわっても、地方分権というのは政府にとっては最も大事な施策というふうに考えるわけでございますが、延長するに当たって、政府の基本的な認識と決意のほどをお伺いいたしたいというふうに思います。
  73. 青木幹雄

    青木国務大臣 議員ただいまおっしゃいましたように、たとえ内閣がかわりましても基本的な方針はなお変わってはならないものだと私も認識をいたしておりまして、今回の地方分権の改革は、御承知のように、明治以来形成されてきた中央集権型の行政システムを改革いたしまして、国、地方を対等・協力の横の関係とするものでありまして、地方分権法の一括成立によってこの形が整ったものと考えております。この整った形を、私どもは、森内閣としても全力を挙げて進めていきたい、そのように考えております。
  74. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そこで、諸井委員長のもとで主導的な役割を果たしてまいりました、あえてある委員というふうに申し上げておきたいというふうに思いますが、都道府県と市町村との関係、あるいは税財源の再編成の問題、あるいは地方分権と行政改革との関係、そしていま一つには、地方自治の自己制御システムの問題、この四点を挙げまして未完の課題、こういうふうなとらえ方をなさっておるわけでありますし、このことは一括法の審議の過程の中でもいろいろとあったことでございました。  こうした指摘されておる点について、どう受けとめていらっしゃるのか、官房長官総務庁長官から一言お伺いいたしたいと思います。
  75. 青木幹雄

    青木国務大臣 私もこれをもって地方分権が完成したとは決して考えておりません。今後とも、地方分権推進計画を踏まえまして、国から地方公共団体への事務、権限の移譲や、地方税財源の充実確保及び国庫補助金の整理統合等、地方分権の一層の推進に向けて積極的に取り組んでいかなければならない、そのように考えております。
  76. 続訓弘

    ○続国務大臣 今御指摘の先生はいわば学者の先生であります。同時に、熱心に自分の御主張をずっと委員会でお述べになった方でもございます。したがいまして、今御指摘のような四点について、これからまだまだ検討する課題が残っているという御指摘、私も、今官房長官が御答弁申し上げましたように、これから引き続いて問題解決のために懸命な努力をしなければならないテーマだ、こんなふうに存じております。
  77. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今指摘をした問題等については、推進法の六条、七条にもそれぞれ述べられておるわけでございまして、今回の法延長は、監視業務とあわせてこうした未完の課題を達成することが最小限の措置ではないだろうかというふうに受けとめたいと思っておるわけであります。とすれば、内閣は新たな決意を持って、今後も着実かつ実効のある改革を間断なくやっていかなきゃいけないという義務があるだろうというふうに思うわけであります。  特に、法延長によって地方分権は第二段階に踏み込む、こういうことになろうかと思います。ここで特に大事なことは、税財源問題にほとんど手がついていないというふうに言ってもいいぐらいなわけでありまして、これは一にも二にも内閣の熱意一つにかかっておると言ってもいいことだというふうに考えます。  そういう立場から、官房長官の決意のほどをお伺いいたしたいというふうに思います。
  78. 青木幹雄

    青木国務大臣 お答えいたします。  地方分権の進展に応じて地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営を行えるようにするのは、地方公共団体の財政基盤を充実強化していくことが極めて重要と考えておりまして、今後とも真剣に政府としても取り組んでいきたい、そのように考えております。
  79. 植竹繁雄

    植竹委員長 なお、畠山委員に申し上げます。  官房長官は定例記者会見の時間でございますが、退席してよろしゅうございましょうか。
  80. 畠山健治郎

    ○畠山委員 いや、まだちょっと待ってください。時間はよくわかっていますから。  そこで、地方分権一括法の審議の過程でも、大蔵大臣ともいろいろ議論をした経緯がありました。そこで財源配分の問題の議論を特に私が中心的にさせていただきました。大蔵大臣答弁は、今まさに国も地方も税財源異常の事態である、正常化するまでこの問題については待ってくれ、結論めいたことからすると、こんなことであったわけであります。  ところが、小渕内閣から森内閣にかわって、いわゆる財政再建問題、それから二兎を追う者云々の問題で、どうも先がよく見えない。そういうことになると、一年延長で果たしてこの問題に決着がつくのかどうか、そういう思いが今深くあるわけであります。  そういう意味で、この思いは私一人だけの思いじゃないというふうに思うので、どうお考えでしょうか。
  81. 青木幹雄

    青木国務大臣 私も確かに同感でございまして、小渕総理が二兎を追う者一兎を得ずと言っている問題はこの問題として、やはり地方の財源を含めた問題は私どもが真剣に今後とも取り組んでいかなきゃいかぬ一番大きな課題であろう、そういうふうに考えております。
  82. 畠山健治郎

    ○畠山委員 同じく一括法審議に当たって、欠員の委員がいらっしゃるのに、なぜ補充をしないのかという議論をいたしました。どうも答弁があいまいでありました。  そこで、一年延長をして現委員がそのまま任期が一年延びるということになるわけでありますから、早急に欠員を補充しなきゃいけないというふうに思うんです。一年も延びてきたわけですから、今度こそ、いつかわかりませんなんということじゃなくて、いつまでにはやらなきゃいけないというお気持ちを次にお聞かせいただきたいと思います。
  83. 青木幹雄

    青木国務大臣 議員確かに御指摘のとおり、一年延長した上で地方分権推進委員会による監視や審議が十分に行われるためには、御指摘のとおり委員の補充が必要なものと私も考えております。  したがいまして、国会における改正法案の審議状況を踏まえつつ、できるだけ速やかに国会同意などの補充のための作業を進めていく考えでございます。
  84. 畠山健治郎

    ○畠山委員 推進委員会の任務は、指針勧告とあわせて新地方自治法に基づく国の新規立法や法改正の監視であろうかと思うんですね。  そこで、まず自治省にお尋ねをいたしたいというふうに思いますが、一括法成立後の自治事務、法定受託事務、国の直接執行事務とされたものはそれぞれ幾つあるのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  85. 平林鴻三

    ○平林政務次官 地方分権一括法の施行後にどのような事務ができたかというお話でございますが、一括法の施行日であります平成十二年四月一日以降において、法定受託事務を新たに創設する法令及び国の直接執行事務を自治事務とする法令の制定または改正は現時点においてはございません。詳しく必要でございましたらまた申し上げますが。
  86. 畠山健治郎

    ○畠山委員 官房長官、急いでおるようでございますので、後先にして、一つだけお尋ねをしておきたいというふうに思います。  国営四事業に対する有額回答をこの間十四日になさいましたようですね。中身をよく見てみますと、わずかではございますが、〇・〇四%、額にして百二十円という回答が出されておるわけでありますが、これに対する官房長官の真意のほどをお伺いさせていただきたいというふうに思います。
  87. 青木幹雄

    青木国務大臣 議員御指摘のように、〇・〇四%。百二十円とおっしゃいましたが、これは平均した金額が百二十円でございます。  その後組合側が調停申請をいたしまして、現在調停が行われているところでございまして、私がこれについてとやかく申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、議員も御承知のように、こうして失業率が四・九%、民間の皆様も非常にお困りになっている現状、しかもやはり消費が伸びなきゃいかぬという現実、そういうものも踏まえて、これからの交渉がきっちり行われる、そういうことを私は期待いたしております。
  88. 畠山健治郎

    ○畠山委員 官房長官、ありがとうございました。お引きとめしまして、申しわけございません。  それでは、人事院総裁にお尋ねをいたしたいというふうに思います。  有額回答が出されたということ、それからただいま官房長官がかなり控え目に、どうこうを直接申し上げかねますというようなお話がありましたけれども、これを受けて総裁はどのようにお考えでおられるのか。一番私ども心配することは、ことしの人勧はどうなるのかという配慮があるから、あえて今この時期に総裁の決意のほどを率直にお伺いいたしたいというふうに思います。
  89. 中島忠能

    ○中島政府特別補佐人 勧告に向けての私たちの考え方を決める場合に、いろいろな要素というものを把握した上で態度を決めてまいりますけれども、この際二つのことを特に重要だということで申し上げたいと思います。  一つは、春季の賃金改定交渉というのが行われまして、その結果民間企業で働く労働者の賃金水準がどのようになったかということを正確に把握するということが第一点でございます。  第二点は、一般職国家公務員のおおむね四〇%を占める、先ほど御質問がございましたけれども、現業職員に係るベースアップがどのように取り扱われるかということにやはり注目しなければならないというふうに思います。先ほどお話がございましたように、〇・〇四%、平均で百二十円という有額回答がなされたということでございますが、この有額回答を契機にして、労働委員会の方でいろいろな議論があり、推移していくというふうに思います、その結果も把握いたしたい。  この二つの要素を私たちは主として注目しておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、冷静に事実を把握した上で、厳正、公平、中立な立場できちっと判断をいたしたいというふうに思います。
  90. 畠山健治郎

    ○畠山委員 総裁に一言だけ御要望しておきたいというふうに思うんです。というのは、厳正公平の立場で調査をなさって比較をする、当然といえば当然の話でございますけれども、ただ言えることは、最近の労働市場はこのとおり開放になっておるわけで、労働の多様化というのが民間はどんどん進んでいるわけです。そういう立場からすると、公務員とは違った要素がますます拡大してきているわけでありますから、これが調査の中にどう反映をするのかというのは大変興味を持っておる部分でございますので、ここの部分にも十分ひとつ配慮した対応をしていただきますように特にお願いをしておきたいというふうに思っております。  何か話が途中に、気が抜けてしまったような気がいたしますけれども、あえて申し上げたいというふうに思いますが、新規立法あるいは改正法の中で、事務の割り振りや国の関与にかかわるものについては、当然地方分権推進委員会の審議、承認を受けたと考えたいというふうに思いますが、推進委員会からお願いいたします。
  91. 保坂榮次

    保坂政府参考人 お答えいたします。  地方分権推進委員会は、地方分権推進計画に基づきます施策の実施状況について監視活動を行うこととされておりまして、この計画に個別に記載された事項の措置状況につきましては、調査を行い、関係省庁から資料の提出を受けて、地方分権推進計画の趣旨に従って実施されているかどうかという監視活動を行ってきたところでございます。  また、地方分権推進一括法成立後に制定されました新たな法律及び一部改正法律につきましても、必要に応じて監視を行っているところでございます。
  92. 畠山健治郎

    ○畠山委員 私の知る限りでも、労働省の所管する法律の取り扱いをめぐって議論があったというふうに承っておるのですが、ほかにもそうした具体的な事例があるのかどうか、総務庁長官
  93. 続訓弘

    ○続国務大臣 御指摘以外の問題については、私はまだ報告を受けておりません。
  94. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そうしたことが起きるのは、関係省庁における推進委員会の指針軽視なのか、あるいは政府全体がもはや推進委員会の役割は終わったというふうに考えておるから起こったのか、その辺の見解をちょっとお聞かせいただきたいというふうに思うのです。
  95. 平林鴻三

    ○平林政務次官 自治省といたしましても、推進委員会の監視活動に、地方自治の観点からよく監視をしていただくようにお願いをする立場でございますが、今日まで推進委員会の方で実に熱心に綿密に監視の仕事をしていただいておりまして、今畠山委員が、労働関係のことで若干問題があったというようなことで御質問になっておるものと思いますけれども、これとても、地方自治側の観点から、地方分権推進委員会の方で関係省に注意を促されて、その結果、自治事務としての取り扱いをお決めになった、このように拝聴いたしておりまして、私は、その分権委員会の取り扱いに遺漏はないものと考えております。
  96. 畠山健治郎

    ○畠山委員 具体の問題としては、その地方事務官、言ってみれば直轄事務にしたのですね。ところが、介護労働法では自治事務という格好で残している部分があるわけですよね。この部分でもろにぶつかったという具体的な事例ができてしまったのですね。具体的にできてしまったのです。都合のいい部分は直轄にして、都合の悪い部分は自治事務だ、こんな現象が現実問題として今起こっているわけなのですね。県は、直接事務になりましたから、受け皿としての部分というのはなくしてしまいました。こういう具体的な問題が起こっているわけで、言ってみれば都道府県が大変困っておるというような現実の姿があるわけです。  改めて、このことについて政務次官、どうお考えでしょうか。
  97. 平林鴻三

    ○平林政務次官 これはかねてからのいきさつがございまして、地方事務官問題の整理に関連をして、自治事務への配分とそれから国の直接処理事務への配分というものを整理なさったときのそのいきさつが、畠山委員がおっしゃいますような考え方の若干の相違があったのだろうと思いますが、分権委員会側としては、自治事務の方に分類するということでむしろ筋がはっきりするのではないかということで整理をされた、そのように私は伺っておるわけでございまして、これに関しては適切な判断をなされたものだと私は考えております。
  98. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間になりましたので、地方分権改革は、言ってみれば、登山に例えればようやくベースキャンプに着いたというようなことだと思うのですね。したがって、立法府も当然これからどうするというようなことも監視の目をしっかりやっていかなければいけないというふうに思いますし、行政府もやはりこのことをしっかりとやってもらわなければいけない。当然推進委員会もちゃんとやってもらわなければいけない。  改めてこのことを確認して、特に強く要望を申し上げて、時間でございますから、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  99. 植竹繁雄

    植竹委員長 次に、中沢健次君。
  100. 中沢健次

    中沢委員 民主党の中沢でございます。  地方行政委員会に所属をしておりますが、本法案の審議に当たりまして、内閣委員会質問の機会を与えていただきました。ありがとうございます。わずか二十分でありますから、できるだけ単刀直入にお尋ねを申し上げたいと思います。  まず最初に、総務庁の長官にお尋ねをいたします。  法案の趣旨説明の中で、この法案は、地方分権のそれぞれの関係、とりわけ推進委員会として分権についての監視の必要がある、同時に、多くの重要な課題が検討事項として残っている、こういう趣旨説明、提案説明がございました。私も全く同感です。  しかし、残念ながら、この法案の延長がわずか一年。過去五年間にわたりまして、数次にわたって、分権推進委員会、評価が一〇〇%かどうかは別にいたしまして、やはり地方分権について非常に高い見識で、全体的には一歩、二歩前に進んでいる、そういう評価をしたいところでございます。  しかし、いよいよこの四月から本格的に政治や行政のペースで分権が具体的に作業として始まったばかり。同僚議員からも指摘がありましたように、とりわけ地方と国の役割分担あるいは権限について、一定程度、国の権限から地方に移された、こういう内容がありますが、やはり分権に伴う税財源の問題にほとんど手がついていない。こういう現実を考えますと、率直に言いまして、一年という延期そのものは私は否定をしません。しかし、どう考えましても、一年間ぐらいの自動延長で果たしてこの重要な内容について十分な成果が上がるのかどうか。私は大変疑問に感じているところでございます。  その点について、率直に主管大臣としての続総務長官の見解をまずお尋ねをしておきたいと思います。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着    席〕
  101. 続訓弘

    ○続国務大臣 今中沢委員から、委員の五年間にわたる献身的な御努力に対する評価をいただきまして、委員の諸先生方も感謝をしておられると存じます。  しかし、この問題については、先ほど畠山委員も御指摘されましたように、まだまだ課題がたくさん残されております。今回お願いをいたしました一年の延長は、せっかく四月一日に一括法が施行される。しかし、七月に期限が切れる。わずか三カ月の監視期間ではどうにもならない。同時に、今御指摘のような検討すべき課題も残っている、そういうことで一年間の延長をお願いしているわけでございます。  今委員も御指摘ございましたように、五年間議論を尽くされた、尽くされた結果なお残っている課題がある、そういう意味では六年間にわたる議論がこれから展開をされる、こういうことだと存じますけれども、いずれにいたしましても、地方分権に魂を入れるためには、何といっても税財源の問題の解決が必要である。そういう意味では、残された課題に対して一年間懸命な努力をお願い申し上げたい、こんなふうに私としてはお願いをしたいというところでございます。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着    席〕
  102. 中沢健次

    中沢委員 今度の法改正を提案されました責任大臣としては、一年では短過ぎる、こういう御答弁は現状においてはなかなか難しいと思いますが、重ねて私は申し上げたい。どう考えましても、一年間という期限つきの延長そのものには、先ほど言いましたように否定はしませんけれども、やはり物理的に考えましても非常に時間不足は否めない。事態の推移をいろいろ分析し、検証して、また改めてこの問題について、委員会を別にいたしまして議論もしたいと思っているところでございます。  さて、同じ質問を、自治大臣にかわりまして出席をいただいております自治省の平林政務次官にお尋ねしたいと思うんです。  その前に、一つお礼と要望を申し上げたいと思います。  地方行政委員会の機会に、自治大臣から、有珠山の噴火で被災をされている皆さんのお見舞いと現地視察を行いたい、こういうお話でございました。幸いにして、二十三日の日曜日、非常に多忙な中、保利自治大臣が現地にお見えになりました。しかも、私の方は直接にお願いをしたのでありますが、被災をされている直接の伊達市あるいは虻田町、壮瞥町、これ以外に被災をされた方を受け入れているたくさんの関係の自治体がある、したがって、この際自治大臣としてはそういうことに着目をしていただきまして、例えば交付税の前払いの問題、あるいはこれからさまざまな行政需要が急速に出てくると思うのでありますが、そういう意味では、客観的に事実を含めて把握をされて、広域的に特別交付税の配分をお願いしたい、こういう要望を行いました。  ほぼ同じような趣旨で、現地で自治大臣のごあいさつがあったようでありますが、改めてこの点につきまして、私の方からこの委員会を通じまして、自治大臣にお礼と、今後の課題のぜひ積極的な前向きな検討を改めて要望させていただきたいと思うんです。  そこで、平林政務次官、地方行政委員会でもこの問題をいろいろ議論してまいりました。率直に言いまして、地方行政委員会関係する党派を超えた院のレベルで、非公式でありましたけれども、意見交換を何回かやりました。私は、今指摘をいたしましたように、せっかく自動延長するのであれば、一年じゃなくてせめて三年ぐらいどうでしょう、こんな話をした具体的な経緯がございます。  しかし、これはあくまでも非公式の、しかも意見交換の場なのでありますが、地方行政委員会でも重ねていろいろな議論をしてまいりましたけれども、率直に言いまして、やはりあの分権推進委員会の権威、もっと言うと法六条の趣旨からいうと、やはり税財源の問題をよほどしっかり議論をしていただかなければいけない、法の六条はそのことを明文的に規定しているわけでありますから。分権推進委員会のいわゆる義務的な、あるいは権利的な、大変責任の重たい六条の条文でもあるのではないか、改めて一年間ぐらいの延長で本当にいいんだろうか。  率直な私の疑問について、平林さんとしてはどのような御認識を持っていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  103. 平林鴻三

    ○平林政務次官 中沢委員の有珠山の噴火のことにつきまして、大臣が地方交付税の措置等につきまして財源措置をしっかりやらせていただくということを方針としておっしゃった、現に、地方交付税を、六月に配分いたしますものを繰り上げ交付を決定いたしておりますが、さようなことで努力をしておりますことについて御発言がございました。私からも大臣に伝えまして、これからの措置に遺漏のないようにいたしたいと考えております。  お話のありました地方分権の、特に税財源の配分のことにつきまして、一年の延長では時間が足りないのではないかというお話でございます。  私も、五年前に分権推進法ができましたときに自民党としてかかわりを持っておりましたので、そのときに感じましたことを申し上げますと、いつまでもだらだらと期限なしにやっておりますと、いつになったらできるかわからないという気持ちと、それから、五年で期限を切った場合に、果たしてそれで全部ができ上がるだろうかという危惧と、さまざまに私も気持ちが交錯をいたしましたが、やはりかような問題は期限を切ってきちんとやるのが一番よかろうと思いまして、五年間ということで法案をつくって成立をさせていただいたわけでございます。  五年たってみますと、なるほど時間が少し足りなかったかなと、そういうところに今来ておりますので、一年間延長して、監視業務ももちろんございますけれども、残された問題の審議もしっかりとお願いをしたい。できますれば一年で片をつけていただきたいものと思っておりますけれども、そこらのところは、私が五年前に抱きました危惧と同じような心配が今もございますので、中沢委員がここでおっしゃいましたような御疑問というものも、今後の、この法案が成立しました後の状況に応じて、強く意識されてくる場合とそうでない場合があろうかと思います。その事態に応じながら、今委員がおっしゃったような御意見が反映される時期もあるかもしれないな、そう思っておるところでございます。  現在は、やはり一年間で処理をしていただきたい、そういう気持ちでおるわけでございます。
  104. 中沢健次

    中沢委員 そこで、重ねて平林政務次官にお尋ねをしておきたいと思います。  率直に言って、今度の法改正、一年自動延長、私は極めて不十分だ、こう指摘をいたしました。政務次官も鳥取で知事をされている、つまりは地方の政治哲学や現状をしっかり踏まえていらっしゃって今のようなお答えになったと思うのです。  余り時間がありませんから多くを申し上げませんが、法の第六条に、先ほど指摘をいたしましたように、国と地方の役割分担を明確にして、地方における税財源についての見直し、充実を行う、これは法律上明確になっている。しかし、残念ながら、今日まで五年間、いろいろ努力をいただきましたけれども、この問題については、私なりに考えましても全く手がついていない、もっと言うと、国のレベルで関係省庁の縦割りの抵抗が極めて強い、もっと率直に言うと、大蔵省を中心にした財政当局の抵抗が極めて強い。したがって、諸井委員長以下いろいろ御苦労をされたけれども、具体的な勧告や意見という形ではまとまって出てこない。そういう現状を考えますと、政権がかわったとはいいながら、大蔵省を中心にした財政当局の壁というのは極めて厚い。もっと言うと、自民党の税調やあるいは政府税調やそういう壁というのは極めて大きくて厚いんではないか。  ですから、一年間ですべてのことが完結をすれば私はそれで結構だと思うんでありますが、まだまだ、来年のことを言えば鬼が笑うという話が常識的にはあるかもしれませんが、やはり政治の世界というのはよほど中長期にわたって、大事な、法律で明定をしている、明文化をしているこの種の内容について、お互いに政治家として責任を持っていかなければいけない。  そんな思いで、一年間の問題とやはり税財源の問題のきちっとした結末が出るように、総務長官もそうでありますが、特に、今日まで地方行政委員会で議論をしてまいりました私としては、自治大臣にかわって出席をされた平林さんの方から改めて決意のほどを、認識のほどを聞いておきたいと思います。
  105. 平林鴻三

    ○平林政務次官 委員も御承知のところでございますが、地方分権一括法を審議いたしましたときに、たしか衆議院で附則を一つつけ加えまして、政府の検討義務というものをはっきりと書いてございます。「政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と一括法に附則をつけ加えて、さようなことをはっきりとさせておるわけでございますので、今後の政府の対応といたしましては、今申しました点に十分配慮をして努力をするものと考えております。  当時、また、一括法の成立に関係しまして、附帯決議等も出ておりますわけでございますから、その趣旨をさらに推し進めていくということは、政府として当然なすべき義務だと思っております。  この推進委員会の機構を一年さらに続ける、分権推進法を一年延長するということに関しましても、今まで中沢委員がおっしゃいましたような、一年で大丈夫か、こういうお話があるわけでございますから、今後のしかるべき時点におきまして、推進委員会の検討状況や諸情勢を勘案して、さらに延長する必要があるというようなことが認められた場合には、国会を含め、各方面と相談をしていくということになろうかと思っておりますが、これは先のことでございますので、その時点になっての御判断、そういうことで御了解をいただきたいと思います。
  106. 中沢健次

    中沢委員 今お答えがありましたように、分権法の六条の問題、あるいは一括法の議論の際の附帯決議、しかもきょうの委員会質疑等々を含めて、しっかり受けとめて、間違いのない、行政府としての責任を全うしていただきたいと思います。  時間がありませんから、最後に一つだけ、総務庁長官にお尋ねをいたします。  十一条が改正になりました。率直に言いまして、今まで地方分権推進委員会に限らず、この種の審議会、委員会が出された意見、勧告は尊重する、十一条ではそのように明文規定がございました。今度、これが削除になっているんでありますが、意地悪く見ると、意見や勧告が出ても尊重しないつもりなんだろうかと、そうではないと思いますが。  改めて、大事な問題ですから、明確にお答えをいただいておきたいと思います。
  107. 続訓弘

    ○続国務大臣 御指摘の件につきましては、中央省庁等改革関連法の議論に際しまして、整理を申し上げました。そういう勧告を尊重するということの規定が二十二ございました。それを一括して廃止をいたしました。  その理由はといえば、今御指摘のように、勧告等は当然のことながら尊重を前提として勧告を受けるということでございますので、言わずもがなの規定だということで削除をさせていただきました。  本件についても同じでございます。御理解を賜りたいと存じます。
  108. 中沢健次

    中沢委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  109. 植竹繁雄

    植竹委員長 次に、岩田順介君。
  110. 岩田順介

    ○岩田委員 今、地方分権の問題についてさまざま議論がございまして、聞かせていただきましたが、戦後、京都の市長さんであられました神戸さん、俗に神戸委員会と言われておった委員会ができまして、もう五十何年か前ですけれども、趣旨と内容は基本的にはほとんど違わないものが既にあのときできて、五十年の歳月が流れてきたのは一体何だろうというふうに実感をいたしました。どうかその任にあられる続長官につきましては、省庁のこの進みぐあいを監視するとかどうとかというお話もありましたけれども、断固たる姿勢で、日本の未来を築くためにも御尽力を賜りたいと思います。  十八日の委員会で、人権問題に関する質問をさせていただきました。その質問に対しまして、長官は、現状と今後進めなければならない課題につきましては理解を示していただきました。しかし、いざ、どういうことをやっていくかという国の責務のより積極的な方向について、私としてはやや不満な回答をいただきまして、あえてきょう、短時間質問させていただきます。  同和問題の解決に向けた議論をさせていただきましたが、特にこの人権行政が、国際的に高く評価されているという実態ではない、それから国連人権委員会からも、いろいろな形で厳しい勧告を受けているという実態もこれあり、まだ政府全体の課題として課題は山積をしているという認識を申し上げましたが、それについてはまあ御理解を示していただいたと思います。  その際にも、いわゆる教育、啓発に関する法律がやや棚上げになっているではないか、これは人権施策推進法で私は約束をされたと思っておるんですが、長官の認識がちょっと違っておりました、非常に残念でありますが。その後、どういうふうに展開をしていくのか、与党での協議は果たして前進するものであるかどうか、長官の御見解をお示しいただきたいと思います。
  111. 続訓弘

    ○続国務大臣 政府としては、同和問題はすなわち人権問題だ、憲法に保障する人権問題だ、こんなふうに認識しておりますし、今、国連の問題も御指摘ございました。世界的な重要課題だと私どもは受けとめているわけであります。そのためにこそいろいろな施策を展開している、これからも展開をさせていただきたい、こんな認識を持っているわけであります。
  112. 岩田順介

    ○岩田委員 施策の展開をする上で法律の制定ということが必要だろうというふうに申し上げてきたんですが、前回と同じ回答でございますけれども。  さまざま動きがあることも御承知ですね。前回のこの委員会の翌々日に、法制化へ積極的な対応をするということで、自民党、公明党・改革クラブ、それから保守、この三党の国対委員長も入っておられます。関係者も入っておりますね。いわゆる法的措置は必要である、法制化へ向けて積極的に協力しようじゃないか、これは御存じでしょう。この動きにつきましては、どういう御見解でしょうか。
  113. 続訓弘

    ○続国務大臣 その問題につきましても、前回岩田委員の御質問に対して私は、与党三党で今真剣な議論がされております、それを踏まえて対処させていただきます、こういうお話を申し上げました。国権の最高機関であるこの国会でいろいろな議論をしていただく、そして同時に、我々行政当局に対して、法律をつくるべし、こういう御示唆があれば、それは十分受けますというお答えを申し上げました。そのお答えでは変わりません。
  114. 岩田順介

    ○岩田委員 与党がどういうふうに動くかというのは喫緊の課題になっておりますが、どうか、大臣が御尽力いただいてできる環境の整備は、ぜひ行っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、実態調査のことを前回も申し上げました。これはちょっと前向きの答弁ではございませんでした。私の方から、三重県が行いました悉皆調査、それから大阪の泉南市も行っておりますが、いわゆる失業率、雇用の状況なんというのは一一ポイントも悪いということを申し上げました。詳しいことはもう申し上げませんが、既に御承知のことだろうというふうに思います。  政府は九三年に調査を行っておりますけれども、九六年の地対協の意見具申にもそれは反映されております。それは長官もおっしゃいました。前進をした面が大いにあるということは私も評価をいたしておりますが、同時に、反面、結婚とか教育だとか福祉だとか産業振興等々、広く文化の問題もありますけれども、こういった点では非常に多くの課題が残っているということも、この調査をもとに意見具申で指摘をしていることも御承知のとおりだろうというふうに思います。  一般対策への移行ということを言われておりますが、何度も私どもも聞いております。しかし、一般移行にするということは、特別対策をしないで一般に対策をするということであって、同和行政全般を終了させるということではないわけですね。これはもうこの前に申し上げましたように、課題については認識されているわけですから、何とかしなきゃならぬということだろうと思うんですね。  したがって、特別対策での同和行政から、いわゆる通常の行政施策の中に、人権という視点を、また同和問題解決の視点ということを根底に、さまざまな施策が展開をされていくということが必要であるし、そのことも意見具申で指摘をされていると思いますね。  しかし、その後の状況の変化は、これは言うまでもなく相当に変化をしておりますね。経済の落ち込みが各般の社会現象、目を覆うような現象を呈しているわけであります。  個人的なことですけれども、私の娘の一人が部落出身の青年と縁がありまして、結婚をいたしまして、当然子供ができますね。この子たちがあと十四、五年たちますと青年になりますが、おおよそこの世代の子供たちに、このいわれなき差別、いわゆる出生地を理由に差別があって結婚や就職に大きな障壁があるという、この障壁を取らなきゃならぬという意味では、前回も申し上げましたように、現役の政治家である私も長官も同じ立場に立たなければならないのは当然でありますね。したがって、二十一世紀のそう遠くない時期に日本を見違えるような人権国家にしたいという願いは、私も大臣も変わらないというふうに思います。  激変したこの十年間、七、八年でしょうか、経済社会情勢、日本における変化の中で、効果的、有効的な人権行政を進めるためには、何らかの形での実態調査が必要だと私は思います。前回行いましたような態勢でやれるかどうかという、財政の問題もありましょう、時期の問題もありましょうが、ぜひこれは前向きに検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  115. 続訓弘

    ○続国務大臣 岩田委員からは、前回もこの問題に対して厳しく問われました。  調査なくして発言なし、調査なくして政策なしという立場の君ではないか、したがってこの問題に対して真剣に検討せよ、こういう御質問がございました。それに対しまして、現時点ではと私はあえて申し上げました。それは、今委員御指摘のように、予算の問題もありますし、同時に時間的な制約の問題もございますので、あえて申し上げました。  しかし、私どもは、今御指摘のように、人権問題を一番大切にしなければならないこれから、人権国家を目指す日本であってほしい、これが私の、そしてまた岩田委員の願いでもあると思います。  そういう意味では、私ども総務庁は政策評価というセクションを、いわば仕事を持っております。したがって、同和行政の推進がどのように進行しているのか、そしてまたどういう手だてが必要なのかという政策評価、それは同時に調査に結びつくわけでありますけれども、そういうことを通じて、今までの同和行政の政策評価を検証し、あわせて、これからいかに同和行政を進めていくべきかの具体的な政策を立案するためにも、そういうことをやらせていただきたい。重く受けとめて、そのような基本的な姿勢で臨ませていただきたい、このように思います。
  116. 岩田順介

    ○岩田委員 終わります。
  117. 植竹繁雄

    植竹委員長 次に、春名直章君。
  118. 春名直章

    春名委員 日本共産党の春名直章です。  私も地方行政委員会に所属しておりまして、この数年間、地方分権の問題と向き合って議論をしてきた者の一人ですので、この一年延長問題について大変関心も持っている者の一人です。その点で質疑をさせていただきたいと思います。  先ほどからの議論もありますけれども、まず第一に、分権推進委員会が引き続き設置される、その理由の一つに、法案の概要などによりましても、監視とともに、引き続き検討を要する課題があるということが明確にされています。  先ほどの議論もありましたけれども、総務庁長官、また自治省代表として平林政務次官、引き続き検討する課題というのはこういう問題だということを改めて明言していただきたいと思っておりますので、どうぞ。
  119. 続訓弘

    ○続国務大臣 一番大きな問題は、私は税財源配分の問題ではなかろうかと存じます。  この問題が解決しない限り地方分権のあしたはない、こんなふうに、私自身も春名委員と同じように長年地方行政に携わってきた一人であります。かつて美濃部知事時代には、私は、起債の許可は憲法に違反する、こういう訴訟を提起した一人でもございました。  そういう意味で、まさに課題はたくさんございますけれども、その中で一番重要なものは税財源の配分の問題だ、そんなふうに思います。
  120. 平林鴻三

    ○平林政務次官 今のお尋ねの引き続き検討を要する課題でございますが、地方税財源の充実強化や、さらなる権限移譲などが各方面から指摘をされております。  例えば、分権一括法の国会審議で、衆議院で附則を、修正してつけ加えたということは、先ほど中沢委員の御質問お答えをいたしました。これは、税財源の充実確保や権限の移譲など地方分権を一層推進する必要を踏まえ、「地方分権推進法失効後の地方分権を推進する体制を検討する」という附帯決議もなされておるということとあわせてお考えを願えればと思っております。  それからまた、今国会の地方行政委員会で、地方財政の拡充強化に関する決議、これは衆議院では二月二十九日、参議院では三月二十一日に行われておりますが、この決議の中でも、「地方税財源の充実強化等地方分権の更なる進展を図るための体制整備について検討すること。」というふうに決議をされております。  また、例の地方六団体、全国知事会その他でありますが、かねてから地方税財源の充実強化、さらに地方への権限移譲の実現を図ることと、要望がなされております。推進委員会でもいろいろな問題点を今御研究中だと思っております。
  121. 春名直章

    春名委員 平林政務次官にもう一度。その充実強化ということは当然なんですけれども、その中の大きな柱は税財源の移譲という問題が大きな柱であるということで、御認識は一致しているかどうか。
  122. 平林鴻三

    ○平林政務次官 やはり基本になります課題は税財源を移譲するということになろうかと思いますが、そのほかにも、地方交付税の問題とか、あるいは地方独自の税を新たに求めるとか、いろいろなことが考えられるわけでございますから、一番基本は税財源ということだろうと思っております。
  123. 春名直章

    春名委員 きょうは諸井委員長にぜひおいでいただけたらと思っていたんですが、残念ながら来られませんので、事務局長にそういう御権限があるかどうかはわかりませんけれども、推進委員会全体としても、引き続き検討を要する課題の中の重要な柱は税財源の充実強化、なかんずく税財源の配分、移譲という問題、こういう問題が共通のテーマである、重要な課題であるということは一致しているかどうか。事務局長
  124. 保坂榮次

    保坂政府参考人 お答えいたします。  地方分権推進委員会の今後の活動内容につきましては、国会において本法案を認めていただければ、地方分権推進委員会において、今回の改正の趣旨を十分踏まえ、また過去の経緯、諸般の状況等を勘案しながら議論されることになると考えております。
  125. 春名直章

    春名委員 それで、政府としては、続長官にもう一回聞いておきますけれども、この一年間に具体的な税財源の配分問題について、移譲問題について、改革案を勧告として出してほしい、そういう意向でこの延長という問題をとらえておられるのか、そこまで行くかどうかわからないというふうにお考えなのか。一年間の延長ということをあえて出していただいた以上、そういう具体的な改革案を勧告として出すということの意向を持っていらっしゃるのかどうか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  126. 続訓弘

    ○続国務大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、五年間の時限立法、平林政務次官からのお話もございましたように、期限をつけてとにかく結論を出してほしいという思いを込めて五年間であった、しかし結果として結論は出なかった、それを一年延長してさらに議論を尽くしていただく、そして一定の方向を見出していただきたいというのが私どもの願いであります。
  127. 春名直章

    春名委員 一定の方向を出していただきたいというのが願いであるということですので、そういう方向、意向だということで認識を一致させておきたいと思うのです。  ただ、先月の二十七日だったと記憶しているのですが、諸井委員長自身は、記者会見で、税財源の移譲の問題は分権推進委員会が単独で改革案を出すことは非常に難しい、こういう御認識を披瀝されているのですね。確かにこの間の第二次勧告とか第五次勧告の経過を見ますと、そう単純なものではない。そういう期待を皆さん込められるのは当然ですけれども、そうはなかなかならないということを御当人がおっしゃっているわけですから、したがって、政府の姿勢、とりわけ総務庁や自治省のその問題に対する執念といいますか、姿勢が本当に後押ししなければ、これは成功しないというふうに私は断言したいと思うのですね。  そういう角度から少しお聞きしたいのですが、その前にもう一度事務局長にお聞きしたいのですけれども、報道の中では、一年間延長されることになるけれども、当面は監視活動で手いっぱいだという意見が出されております。三月二十一日の読売新聞の報道です。一年延長はそういうことだけれども、法施行後の運用監視、第一の課題、このことで手いっぱいでその先までは行けそうにない、こういう議論があるというふうに聞いております。  そうなりますと、随分政府の期待と違うことになるので、その辺はどうでしょうか。
  128. 保坂榮次

    保坂政府参考人 お答えいたします。  地方分権推進委員会は、当初、ことしの七月二日までの任期という前提で、任期前に何らかのコメントを出すという作業の一環として、現在、関係の団体あるいは有識者、関係省庁からヒアリングを行っております。今後、それの取り扱いをどうするかというのが当面の課題でございまして、その後の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、委員会の中で改めて議論をされる問題だというふうに理解しております。
  129. 春名直章

    春名委員 それでは、これから新しい局面に入りますので、そういう議論を正面からしていただくということを期待申し上げておきたいと思うのです。  そこで、いかにこの問題が急がれているかといいますか、喫緊の課題かということについて私自身の認識も申し上げますので、その点について率直な議論を交わした上でこの一年間立ち向かっていただきたいということで、そういう角度から議論をしたいと思います。  地方をめぐる今の実態からいって、待ったなしになったなというのが私の認識であります。例えば、これは平林政務次官との議論になると思いますけれども、二〇〇〇年度の地方財政の財源不足額が、通常収支で九兆八千六百七十三億円、減税の影響分で三兆五千二十六億円、合計十三兆三千六百九十九億円なんですね。これは驚くことに、いわゆる法定五税の、地方交付税に入っていくあの例の国税五税の法定額十三兆二千六百六十三億円を上回る額になっている。財源不足額が法定五税の分を上回る額になっているという事態です。  七年連続して巨額の財源不足、そして地方交付税法の六条の三の二、これに該当する事態というのは五年連続。不足額というのは一割、二割程度というのが想定なのですけれども、その程度じゃありませんので、もっと大きな不足額です。それは五年連続。そして、昨年度の財源不足も国税五税の法定額を上回って、通常収支分の不足額だけでも法定額の八四%に達するという、二年連続こういう異常な事態に地方は落ち込んでいるわけなんですね。これは本当に異常な事態だと私は思うのですね。  そこで、端的に私は聞きたいのですけれども、平林政務次官はこれが異常事態だという認識はもちろんおありだと思うんですが、同時に、急がれていた国から地方への税財源の移譲が先送りをされてきている結果、マクロで見ればこういう事態が生まれてきているというふうに物事をとらえないと、やはり問題は解決しないというふうに私は思っているんですね。そういう点では、次官、いかがでしょう。
  130. 平林鴻三

    ○平林政務次官 税財源の問題につきましては委員も御懸念がおありかと思いますが、地方分権推進委員会という附属機関だけではなかなか調整がつかない面があるかもしれないと私も思っております。例えて言えば、政府には税制調査会とか地方制度調査会とか財政制度審議会とか、いろいろな税財政を検討する他の附属機関もございますから、今すぐに地方分権推進委員会だけではっきりした結論を出して、それが直ちに政府の政策になるというわけにはいかぬのかなという懸念を私も持っておりまして、やはり十分慎重に検討し、調整する期間が必要かなと思っております。  委員のお尋ねの地方財政の現状でございますが、確かに今は借金だらけの財政になってきたと思います。ただし、これは国もそうでありますし、地方もそうであります。その原因は、やはり不景気、あるいはその対策としての減税、あるいは歳出の問題、いろいろなことが絡んでまいっておりまして、やむを得ず国も借金、地方も借金、国から地方に出します交付税も一部借金、こういう格好になっておるわけでございます。  やはりタイミングの問題として、いろいろな政策によって景気をよくして、そうして適切な時期に税財源の改革をやっていくという必要があろうかと思いますし、タイミングを失ってはならないな、そういう感じもいたしております。  やはり当面、安定的な地方財源の、特に税源の確保につきましては、例の法人事業税への外形標準課税の導入について精力的に検討するというようなことが大事かと思っておりますが、今後、国と地方との税財源の配分の見直しなども含めて、地方税あるいは地方財源の充実確保について、経済の安定が回復された段階で、将来の税制の抜本的改革の方向も見きわめながら取り組むということでやっていきたいと思っておるわけでございます。
  131. 春名直章

    春名委員 今の平林さんのお話にはなかなか同意できかねるところがありまして、今のお話をトータルに言いますと、財源不足がたくさんある、だから地方税の充実が必要なので、中小企業をえらい目に遭わせることになる外形標準課税の導入が先だという話になるんですね。景気の回復を見計らって、大分先になったどこかの段階で、税財源の移譲はそこで議論をする。こういうことをおっしゃっているような感じなのです。  今まで私が十数分間話をしてきた、この一年間に勧告を出すという姿勢があるのかどうかという話もしてきた、そういうことに向けていろいろな問題をクリアしなきゃならない、そういう決意や意欲を見せていただきたいという話もしてきたんだが、それが水泡に帰すような話に聞こえてしようがないので、だから政務次官ともう少し話をしなきゃいけないと思うんです。  要するに、先ほど私がお聞きしたのは、二年連続で法定五税の分を上回るような財源不足額が出てきて、地方交付税制度そのものが形骸化するようなところまで来ている事態なんですよね。だから、交付税の税率を引き上げるだけでは解決できないぐらいのところまで今地方の事態は深刻化しているわけですね。  だから、そういうことになってきたマクロで見た原因は、国と地方の財源配分が二対一で、しかし仕事量は一対二になっている。これは一貫して議論されてきたことであって、そこに今の事態の本質があるんだ、そこに今立ち向かわなければならないときに、この二年間の実態を見たときに来ているんだということを本当に見なければならない。今のお話を聞いていれば、税財源移譲の問題については随分先の方の話だなというように私は思えてならないわけであります。  政務次官、そういう御認識では、私の印象ですけれども非常にまずいのではないかと思うんですが、その点、どうでしょう。
  132. 平林鴻三

    ○平林政務次官 御指摘を受けまして、もう少し私の方も申し上げたいと思います。  タイミングが大事だと申し上げましたのは、今からそういう検討をしておいて、景気がよくなってきた、国も同様のことがあろうかと思いますが、やはり財政あるいは税制の制度を改革していくという一番いい時期が来る、そのタイミングをはかる必要があろう、その時期が来るまでにきちんとした検討をしておく必要がある、私はそのように思っておるわけでございます。  なお申し上げますと、交付税の話まで御質問が及びましたので申し上げますが、やはり将来の税制の抜本的改革の方向を見きわめながらやっていく。その際に、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小する、そして受益と負担の関係を明確化するという観点に立って、しかも税源の偏在性が少なくて税収の安定性を備えた地方税体系の構築ということをやっていかなきゃいかぬ。なかなか面倒な問題を中に含んでおりますけれども、今申し上げましたような望ましい地方税制を構築する、そして国と地方を通ずる財政構造の改革にも役立つというようなことを目指していかなきゃいかぬと思っております。  したがって、地方税財源のあり方を考える場合に、地方の行財政運営の自立性をより高める観点から、基本的には地方税の拡充に努めながら、一方でその財源保障に支障が生じないように地方交付税の総額について適正な水準の確保を図る、税と交付税と両方で考えていかなきゃいかぬということでございます。  タイミングをはかると申しましたけれども、やはりできるだけ早くそういう政策をつくり上げていくために議論をし、努力をしていかなきゃいかぬ、各方面の意見も十分にお伺いしていかなきゃいかぬ、そう思っております。
  133. 春名直章

    春名委員 今度は長官にお聞きします。  今の議論を聞いていただいて、私長官の意欲というのは非常に伝わってきたわけですが、実際、例えば四月の十日、第二百十五回の地方分権推進委員会の審議の概要を私いただいているんですけれども、税財源の問題が議論になって、恐らく答弁は全部大蔵省だと思うんですけれども、財政構造改革を凍結している現状では財源移譲は議論できる状況ではない、その時期について国会でも議論をしているが結論は出ていない、国の財政状況がよくなるとの見通しがつかない段階では難しい、はっきりこういうふうに言っているわけなんですね。  ですから、タイミングということを考えていけば、タイミングというのはどういうタイミングのことをおっしゃっているのかよくわからないんだけれども、こういう姿勢の中で、こちらが、こちらがという言い方は変ですけれども、本当に今の問題、この税財源の移譲という問題については声を大きくして問題提起をしていかないと、しかも一年間延長し、そこで勧告を出していただくということを想定したときに、そういう政府部内での努力、進言も必要でしょう、総理への進言も必要でしょうし、そういう立場に立たないと、もう永久に先送りされるような懸念を私は非常に感じているわけなんです。だから、一年延長したって監視活動が精いっぱいで、そんなことは難しいというようになりかねぬなという危惧があるわけなんです。  ですから、続長官のその意欲を本当に生かすためには、そういう構えで取り組まなければ成功しないというふうに私は非常に危惧をしておりまして、今の平林政務次官との議論も聞いていただいた上で、改めてどのようにお考えか、どうぞ。
  134. 続訓弘

    ○続国務大臣 春名委員と平林総括政務次官とのやりとりを聞きながら、私は、両方とも議論は正しい、こんなふうに思いました。それは、将来のあるべき姿は春名委員のまさに御指摘のとおりだ、しかし、現実の問題としては平林政務次官が今るるお述べになったのが現実の問題である、こんなふうに思います。  ただ、私は、示唆に富む一定の結論は、四年前の七月だったと存じますけれども、六年がかりで青年会議所の人たちが真剣に議論をされた、その結論が公にされました。全体を三百二十七の地方に分けます。そして一層制の社会にいたします。二層制で、今は国があり、都道府県があり、市町村がある。そういうものを国と地方団体にしてしまおう。三百二十七、そうすることによって、まさに今春名委員が御指摘のような理想の地方自治が実現するんだという示唆に富む提言を真剣に議論された。本当に、将来我々が生き残るためにどうすればよろしいのか、そういう議論の中で組み立てられたのが青年会議所の結論でありました。  これは、これから拳々服膺し、国民の皆様が意識改革をすることによって理想の地方自治が実現するものだ、こんなふうに思います。
  135. 春名直章

    春名委員 その結論には私はくみすることができないので、一言申し上げておきます。  分権推進委員会事務局長さんに、もう一度最後にお聞きしておきます。  要するに、省庁が納得した案を分権推進委員会は勧告をするという枠が率直に言ってはめられて、それも一つの方法ということでやられてきたわけです。しかし、さっき話の中で出たように、例えば、一年間では、国から地方への税財源移譲の問題で省庁の納得が得られずに勧告が難しい、そういう状態になる可能性があります。そのときに、地方分権推進委員会自身としてあるべき具体案を一つ問題提起をして出す、いろいろなしがらみを除いてあるべき姿を問題提起する、具体案を出すということも一つ判断です。  私は、その点は政治判断ですから諸井委員長に聞きたかったのですが、事務局長さんですから政治的にそういう判断ができるかどうかあれですけれども、そういうことも選択肢に考えて検討すべきではないかということを伝えていただきたいのと、こういう御認識はどうかということを最後に聞いておきたいと思います。
  136. 保坂榮次

    保坂政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、今後の委員会の活動につきましては、今後この法案をお認めいただいた後、委員会の方で議論されるというふうに考えておりますので、今私は、どのような方向で議論されるかという点については、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  137. 春名直章

    春名委員 では、私の思いを酌み取っていただいて、総務庁、自治省、ぜひそういう姿勢で頑張っていただきたいということを申し述べまして、私の質問を終わります。
  138. 植竹繁雄

    植竹委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  139. 植竹繁雄

    植竹委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方分権推進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 植竹繁雄

    植竹委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 植竹繁雄

    植竹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  142. 植竹繁雄

    植竹委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会