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2000-04-26 第147回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十六日(水曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 前田 武志君    理事 浅野 勝人君 理事 荒井 広幸君    理事 遠藤 利明君 理事 佐藤 剛男君    理事 伊藤 忠治君 理事 中沢 健次君    理事 福留 泰蔵君 理事 矢島 恒夫君       石崎  岳君    今村 雅弘君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       熊谷 市雄君    小坂 憲次君       小島 敏男君    佐藤  勉君       坂井 隆憲君    桜井 郁三君       虎島 和夫君    野田 聖子君       水野 賢一君    山口 俊一君       山口 泰明君   吉田六左エ門君       小沢 鋭仁君    渋谷  修君       中田  宏君    富田 茂之君       前田  正君    西田  猛君       中井  洽君    横光 克彦君     …………………………………    郵政大臣         八代 英太君    法務政務次官       山本 有二君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    郵政政務次官       小坂 憲次君    郵政政務次官       前田  正君    政府参考人    (経済企画庁国民生活局長    )            金子 孝文君    政府参考人    (法務省民事局長)    細川  清君    政府参考人    (通商産業大臣官房商務流    通審議官)        杉山 秀二君    政府参考人    (通商産業省機械情報産業    局長)          太田信一郎君    政府参考人    (郵政省電気通信局長)  天野 定功君    参考人    (東日本電信電話株式会社    代表取締役社長)     井上 秀一君    逓信委員会専門員     大久保 晄君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   園田 修光君     桜井 郁三君   虎島 和夫君     熊谷 市雄君   中尾 栄一君     水野 賢一君   野中 広務君     野田 聖子君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     虎島 和夫君   桜井 郁三君     山口 泰明君   野田 聖子君     野中 広務君   水野 賢一君     小島 敏男君 同日  辞任         補欠選任   小島 敏男君     中尾 栄一君   山口 泰明君     園田 修光君     ————————————— 四月二十六日  インターネット上の情報流通ルールに関する請願(第四三五号)は、「小坂憲次紹介」を「村井仁紹介」に訂正された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣提出第九一号)  電子署名及び認証業務に関する法律案内閣提出第九六号)     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 前田武志

    前田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気通信事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として郵政省電気通信局長天野定功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 前田武志

    前田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠治君。
  5. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 おはようございます。御苦労さまでございます。  私の質問時間は四十分でございますので、非常に時間が限られております。効率的に質問させていただきます。  まず初めに、東会社井上社長さん、お越しをいただいているわけでございますが、お忙しいところを御都合つけていただきまして、ありがとうございます。  まず、井上社長さんにNTT経営努力現状についてお伺いをさせていただきます。  随分合理化も進められておりまして、ユーザー料金低廉化あるいは接続料金低廉化に努めてまいられた、私たちは事実としてそのように確認をいたしているわけでございますが、今日まで、一連低廉化についてどのように実現をなさっているのか。まず、そのあたりを手短にお話をいただければありがたい、このように思います。
  6. 井上秀一

    井上参考人 NTT民営化して以降、我々は経営改善をいろいろ進めてきておりまして、先ほど言われました、いわゆる低廉化等を行うためには経営合理化をしていかなきゃいかぬということで、人については、端的に人だけの話をしますと、民営化時点、三十一万四千名いました人を、十年末で、グループ全体で二十二万四千、いわゆるNTT本体では十三万八千という数字にしております。  これらを背景にして、お客さんに直接いただくユーザー料金につきましては、長距離市外料金中心にした値下げを行っておりまして、民営化時、三分四百円だった最遠距離の料金を現在は四分の一以下にするということで、その他のサービスについても、割引サービスなども入れながら低廉化を図ってきているところでございます。  それから、接続料金につきましては、これも合理化をバックに毎年値下げしておりまして、いわゆる中継交換機ZC接続料金につきましては、平成六年度から平成十一年度の五カ年間で、四六%の接続料金値下げを行ってきたところであります。  以上、簡単ですが。
  7. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 次にお伺いをいたしますが、九九年の十一月に発表なさいました東西会社中期経営改善施策、この中身が二万一千名の、先ほどお話がございました一連合理化人減らし。それに加えて、さらに二万一千名の削減を初めといたします一連リストラ計画が出されておりますが、絞れば絞るほど、タオルの話じゃありませんが、そんなに際限なくやれるのかなという職場の声なども私は聞かせていただいておりますので、心配をしているわけです。  経営立場からしますと、さらに加えて二万一千名の削減合理化ということが計画をされているわけですが、実際に考えて、それは可能なのかな、こんな疑問を持ちますが、社長さん、どうでございましょうか。そのあたりについて、忌憚のないところをお話しいただきたいと思います。
  8. 井上秀一

    井上参考人 昨年の十一月に発表しました中期改善計画というのは、今後のNTT地域会社IT革命時代にきちっとした役割を果たせるように、そういう体制をきちっとつくっていくための体制づくりでございまして、そのために、今先生のおっしゃったように、十二万八千という東西地域会社人員をさらに二万一千名減らして、両方で十万人台にしようということでございます。  それの具体的なやり方でございますが、グループの中で四千名ほど引き受けてもらおうという形で一つは進めておりますし、こういう雇用情勢の中でございますが、二年間は新規採用をストップするという形をとろう。残りはいわゆる退職という形になるわけですが、そういうような形で、何とか将来に向けての体制づくりというのをこの際やろうということで、今、労働組合との間でも鋭意交渉しておりまして、企業の果たすべき役割として、トータル的な、基本的な考え方については組合の方も理解していただいているというふうに考えております。  交渉自体はこれから、人に絡まる問題でございますので、具体的な展開をしたいということで、今厳しい交渉をやっているところでございます。
  9. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 数字の点から見ましても、人員に関することでございますが、民営化時点が三十一万四千名、平成十年で二十二万四千名、約十万減っていますよね。それで、さらにそれを、グループ全体ではございませんで、東西でいうと十二万八千名。これを二万一千名減らすと、もう十万名ですよね。大変な速度で合理化が進んでいるわけですね。それで、必ずそういう状態を伴うし、そういうリストラをやらないとコスト削減はできないし、言うならば、身軽な経営展開ができないという考え方施策が打ち出されていると思うんです。  加えて、ことしの春闘は、ドコモを含めて賃上げゼロですよね。ドコモというのは、あるいはNTTデータもそうですが、これは常識で皆さんも御承知のとおり、株式市場全体を牽引しています、言うならば中心的な企業の株なんです。そういうところに働いている職員も、NTTグループの一員だということで賃上げはゼロなんです。賃上げゼロだけではございませんで、一時金もたしかカットされているという厳しい状況に置かれているわけです。  そうすると、これは外から見てわからない話なんですが、現場へ行きますと、ドコモの諸君は、春闘賃金も上がらぬわ一時金も削られるわで、ぶうぶう言っていますが、しかし、事業の内容ですか、仕事の方は非常にどんどん広がっていますから、まだ仕事のやりがいという点では、あります。  ところが、東西職場へ行くと、人は減らされるわ賃金は削られるわ、おまけに仕事範囲は広がらないわ、頑張れと言われてもどこで頑張ればいいのか。働きがいが全然出てまいりません。  有名な経営者が言われておりますが、企業は人なり、人を大切にしない企業は将来がない。大切にしたいと思うけれども、枠にはめられて自由度がなかなか広がらないという中では、やりたくても仕事ができない。働きがいがそこからは生まれてまいりません。  そういう元気のない実態をそのままにして、この日本情報化社会を、先端を牽引していただきたいと社会や政治の場では注文を受けても、なかなかそうはいかないと思うのですが、その点について、経営側皆さんも厳しいかじ取りを迫られていると思うのですが、今後の抱負について言いたいことがあったら言ってほしいと思うのです。郵政省もいますので、こういう点をこういうふうにしていただければ私たちも社員にもっと働きがいを与えることができるんだという思いをどうぞお述べいただきたいと思うのですが、社長さん、どうでしょうか。
  10. 井上秀一

    井上参考人 我々の東西地域会社は、やはり日本情報通信、特にIT革命の中で基盤的な部分を持って、日本全体の情報通信の発展に役立っていくということは、もう我々経営陣だけじゃなくて、職員みんなそう思ってやっているところでございます。  いずれにしても、地域会社市場というのは、皆さん、端的に言って、独占じゃないかというふうに思われている方が、マスコミその他いろいろいらっしゃるのですが、我々は、仕事自身やっている中で、この市場はもう独占じゃなくて競争市場である。そういう中で、今言ったようなIT革命に向けてのいろいろなことをやっていくんだ。しかもユニバーサルサービスみたいなものもあわせてやっていくということで、厳しいけれども生きがいがある職場だと思っております。  将来に向けて言えば、このインフラサービスの上にいろいろなものを咲かせていくということが非常に大切でございまして、大都市にはもう大変厳しい市内競争もありますし、大手のいわゆるお客さんに対しては、長距離事業者それから外国からの参入企業は直接みずから直収サービスというような形で、NTTネットワークをバイパスしながら入ってくるというような厳しい環境もございます。  こういう中で、我々としてやるべきことは、やはり安くていいサービスをタイムリーに出していってお客さんの要望にこたえていくということが一番大切だと思っております。これは単にネットワークサービスだけじゃなくて、今のサービス実態でございますと、いろいろなサービストータルで動いていく、システムで動いていく、エンドからエンドまで動いていくという時代でございますので、我々として、メーンは市内のコアのネットワークサービスでございますが、それらをベースにしてお客さんにトータルでいろいろなサービスがタイムリーに出せるような仕組み、こういうものが今後とも必要だということで、関係方面にもいろいろ御理解を賜るように、今やっているところでございます。  そういうことを通じまして生き生きした企業にしていけば、ここ二、三年は大変厳しい状況でございますが、我々は乗り切っていけるというふうに考えておりますので、そういうような全体的な仕組みも含めまして、ぜひ御理解を賜ればというふうに思っております。  簡単でございますが。
  11. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 もう一点お伺いいたします。  NTT東西は、定額制サービスエリア拡大や、光アクセスによりますインターネットサービス計画なさっていると聞いております。インターネットを普及していくためには定額制料金値下げということが焦点になるわけですが、これらのサービスの開発を今後どのように進めていこうとお考えなのか、その点にとりあえず絞ってお話しをいただきたいと思います。
  12. 井上秀一

    井上参考人 いわゆるIT革命中心であるインターネットサービスをどうやって発展させていくかということ、これも、我々のアクセス部分サービス拡充というのは非常に大切だと思っておりまして、今までもいわゆるINSサービス、それからそれをベースにした、i・アイプランという名前なんですが、定額プラス従量サービスをやってきましたが、それだけではインターネットサービスがさらに大きく爆発しないということで、定額制IP接続サービスを本年五月から、従来八千円だったものを四千五百円に下げて、東京、大阪を中心にやろうということでございます。これを、需要動向も当然勘案するわけですが、サービスエリアを今年度末までには県庁所在地級都市へ拡大し、さらに全国的に展開をしていきたいというふうに思っております。  そのほかにも、いわゆるADSLサービスというものを今試験的にやっておりますが、これを、技術的それから制度的な検討も踏まえながら試験サービスとしてやっておりますが、これらもそれらの状況を踏まえながらサービスエリアを拡大していきたいと思っていますし、さらにキーポイントは、長期的には、光のブロードバンドサービスだと思っております。したがって、今年度から光サービス拡充ということもやっていきたいということで、いわゆる品ぞろえをしてインターネット需要にこたえていくということで、我々としてこれについて全力を挙げていきたいというふうに思っています。
  13. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 最後にお尋ねいたしますが、今回の長期増分費用方式の導入、四年間で二二・五%、これは御社にしてみれば、当然こういう状況になるだろうというので今の中期経営改善施策考えられてきまして、スリム化をしようといろいろな合理化施策を出されてきたわけですから、それでやっとそれに対応できるかなという体制をしかれてきていると思うのです。したがって、二二・五%、四年間という条件は、これはつついっぱいの、言うならば許容限度である、これ以上のことは、とてもじゃないが、経営基盤財政基盤考えると無理であるということで、そういう立場に立って受けとめられていると考えていいのかどうなのか。そのあたりを、率直なところをお聞かせください。
  14. 井上秀一

    井上参考人 先ほども御説明しましたように、接続料金値下げというのは従来もやってきましたし、これからもということで、いろいろ経営改善をやっていかなければいかぬということで、中期改善計画も、もうできる最大の計画ということで取り組んできたわけでございまして、この二二・五%というのは、こういう中で吸収できるぎりぎりの線だというふうに考えておりますので、いろいろな方に、そういう面について御理解を今お願いしているところでございます。
  15. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ありがとうございました。  それでは、郵政省にお伺いいたします。  まず郵政大臣に、日米交渉のことについて、基本的な話ですので、政府を代表してはっきりお答えをいただきたいと思います。  森総理クリントン大統領と、サミットを展望して、一連先進諸国トップ外交の締めくくりとして五月五日に日程が決められたとお聞きをしております。新聞報道によりますと、今回のこの長期増分費用方式業者間接続料金の問題が、日米間交渉ではただ一つ対立点として残っているテーマだ、こう聞かされているわけです。五月五日、森・クリントン会談までに、高官あるいは事務レベル日米間協議で最終的に決着を図る、森・クリントン会談決着を図るのではなくて、そこに報告できるように、これは次週から始まりますが、事前に行われるのか。その位置づけについて、まず一点お伺いしたい。  大臣にお伺いしたいのは、事前決着を図るということになれば、アメリカの方も、最後のチャンスですから相当切り込んでくると思うのですが、日本政府方針は、今、国会でこの法案審議をやっておりまして、四年間で二二・五%の線で議論をし、各党もこれでいこうというので足並みはそろっておりますから、国内では、法律でそのことを縛るわけでございますが、その決定を超えて、両国間で交渉をやった結果、いやいや、それはその程度じゃ少ないから、さらにもっと大幅な譲歩を相手に迫られた場合に、やむを得ないなというような態度はまさかおとりにならないと思います。それは国益に反することでございますから。  我が国を代表して交渉に当たられるわけですし、五月五日のトップ会談は、まさしく国益を代表して、両国間の首脳が、平和的に、友好的に会談をやられるわけでございますから、その基本方針は従来と変わらない、このように私は判断をいたしますし、そのことの確認を求めたいと思うのですが、大臣、どうでございますか。
  16. 八代英太

    八代国務大臣 先ほど来、伊藤委員、まさにNTTにみずから籍を置かれて、また現状をつぶさに、体験を通して、今お述べになられた切々たる思いも、今私も聞き入っていたところでございます。  さて、五月連休には、九州・沖縄サミットを踏まえまして、森総理アメリカを訪問するということは御案内のとおりであろうと思います。しかし、その中で、日米首脳会談がこのことをもってしてすべてだというわけではありませんで、さて、このことが取り上げられるかどうかは、今のところ私が情報を得ているわけではございません。  しかし、日米規制緩和対話共同現状報告が三月末の取りまとめ期限を過ぎておりますので、外務省の方では、日米間で、来週前半にもワシントン協議を行うかどうかも含めて調整中であるという報告だけは受けております。  東西NTT接続に関しましては、日米間で主張の隔たりが大きいということを踏まえまして、現時点では、NTT接続料について、ワシントンでの協議のために職員を派遣するか否かは私どもは決めてはおりません。  なお、仮に郵政省からワシントンに行くといたしましても、私たち考え方は、今伊藤委員がおっしゃったように、大変な経営努力をしながら、しばらくは赤字も覚悟でというような思いに立った三カ年計画等々を見ましても、まさにこの辺は、私たちは、ぎりぎりであるという社長さんのお話を今伺いましても、従来からの日本政府提案である二二・五%引き下げを四年間で実施する、こういう考え方を崩すことはなく、また、きょうもこうして国会で御審議いただいているわけでございますので、そういうことも踏まえながら、私たちも対処する考えでおることを申し上げておきたいと思います。
  17. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そういう立場交渉に当たっていただきますように、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  実は、外務省田中経済局長が帰国いたしまして、すぐ私のところへ飛んできまして、こういうふうに言うのですね。外務省というのは調整役で、実際は何もやっていない。それは私が素人だと思ってそういう言い方をするんだと思いますが、ただ顔つなぎだとか、いろいろな交渉の場をコーディネートするのが私の役割で、実際の交渉郵政省さんが当たるんだから、郵政省さんの腹一つ日米交渉も大体決まると言うのですからね。  それなら外務省は要らぬじゃないか、あなた、要らぬのじゃない、ではあなた、やめればよろしい、外務省なんて要らぬのじゃないかと言ったら、いやいや、大体そういうものですなんて言って、お役人というのはなかなかうまいんですな。結局、自分が責任をとらなくていいように、避けて通るわけです。そんなことを言って帰っていきましたので、それは田中さん、だめよ、あなた、そんなことを言ったって、日本外務省を代表して行くんだから、そんないいかげんなことを私たちに言って、アメリカにまた同じようないいかげんなことを言ったら、これは矛盾が出るのですから、どこかでばれますよ。そんなことは通用せぬというので、私は言ったのです。  ですから、大臣、おっしゃったように、彼らに言わせれば、郵政省の陰に隠れて、言うならば交渉がうまくいくようになというような立場らしいですから、ひとつ大臣方針を踏まえて、これはどなたが交渉に参加なさるんでしょうか、恐らく天野局長さんかその周辺の皆さんなんでしょうか、ちょっとその辺。
  18. 八代英太

    八代国務大臣 先ほど申し上げましたように、今、日米間で、来週前半ワシントン協議を行うかどうかということを調整中ということを申し上げました。  今伊藤委員がおっしゃいましたように、外務省は決してマネジメントするところじゃありませんし、国益を代表する日本の最先端にいるわけですから、その辺はしっかりしてもらわないとならないけれども、最近の外務省はちょっと評論家っぽいところがありまして、これは私も、実は党の外交部会長なんかを経験しながら、その部会でいつも外務省を指摘した経験もあるのです。  そういう意味では、外務省においても、日米規制緩和対話全体の運びとして、五月の第一週に協議の場を持つべく話し合いを行ったと聞いておるのですが、さてそこへ我々郵政省からどうしてほしいという状況の打ち合わせの段階にはまだ至っておりません。
  19. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ということでございまして、方針がはっきりしておれば対応はできると思いますので、その点を確認させていただいて、次に移ります。  これは専門的だと思いますので、天野局長にお伺いした方がいいような気がいたします。  つまり、インターネットの普及という点では、高速、高帯域、そういうネットワークが張られないことには実際には不可能なんでございまして、光のアクセスサービスということの提供が大きな影響を与えるということは、みんな知るところでございます。  そこで、局長にお尋ねいたしますが、一点目として、電話を前提とした県内、県間という区分、これが従来のあれだと思うのです。従来の規制なんですね。インターネット時代には、そういう区分をそのまま適用するというのはもう時代おくれ、実際にユーザー要望を全うしようと思いますとそういうのは不可能だ、私はそう思います。  そこで郵政省に、東西会社事業範囲県内に限定するという現在の規制措置、これを早急に見直すというお考えはあるのかないのか。これが非常に障害になっておりますので、お伺いをいたします。
  20. 天野定功

    天野政府参考人 お答え申し上げます。  現在のNTT体制は、地域通信市場競争を現実に起こさせるというねらいで昨年の七月に再編成を実施して、ことしの七月ようやく一年に達しようかというような、再編してまだ間もない時期でございます。  御承知のように、現在いろいろなサービスが出てきておりますけれども、やはり電話サービス国民の基本的なサービスという形で、いわゆるユニバーサルサービスとして位置づけられておりまして、NTTの収入に占める比重も依然として大きい状況でございます。この電話サービスの基本的な位置づけから、東西に再編成したこの状況を今直ちに変えるのはいかがかと思っております。  しかしながら、今後競争が進展していきまして、またインターネットというような、IPベースとした新しい通信というものが広く国民に普及しましたといったような場合には、NTTのあり方も再検討の余地があるのかもしれませんけれども、現状においては、今ここでこれを見直すということは適当でないだろうというふうに考えております。
  21. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 個別のサービス内容に限ってそういう規制を緩和していくという方法はとらない、少しでもそういうことを緩和するということは、全体の、言うならば再編成しました事業範囲の枠組みにかかわるから、全体の枠組みをどう見直すかというときまでは一切それは個別でやることはだめ、こう理解していいんですか。
  22. 天野定功

    天野政府参考人 NTTが提供するサービスの比重といったものが重要なポイントになろうかと思います。  現在、NTT通信全体に占める電話収入、あるいは電話トラフィックといった状況から見ますと、現在インターネットが普及しているといいましても、やはり圧倒的に電話実態が大きいわけでございまして、そういう中で、NTTが事実上地域において独占に近い実態を占めている以上は、これのあり方を今直ちに見直すというのは適当ではないという考えでございます。
  23. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 よく郵政省がこういう言い方をされますよね。厳しい厳しい、制約を外せ、苦しい苦しいと言うと、あんたたちの努力が足らぬからや、もっとやる気を出したら幾らでも仕事をやれるじゃないかということをよく言われます。局長さんはそんなことは言われませんけれども、ほかの方は、私はよく聞くんです。あんただからはっきり言うけどというので、意外と言いにくいことを言われますよ。何ができるんですか、何をどのようにやれば仕事は新たな領域が生まれるんですか、商品が生まれるんですかと聞くと、その答えはあんたらが考えろと言うんですね。だから私はお聞きしておるわけです。  何をやれば新たな領域で新たなサービスを開始できるのか、やっちゃいかぬという中では目いっぱいやっているわけで、それをやるだけでは、だんだんだんだんアリ地獄で、暗いところへ入っていくから、とにかく頑張って発想したらこういう商品だって出せるじゃないのか、しかも低廉で質のいいサービスを打ち出せたら、当然そこにはお客さんが集まるから収益構造もよくなるということで、教えてくださいと言うんですが、その答えがないんです。それならどうやればいいんでしょうか。そこのところを聞かせてください。
  24. 天野定功

    天野政府参考人 今現実には電話サービスがまだまだ国民の基本的なサービスということでございますが、電気通信の世界には、いろいろな技術革新に支えられまして、新しいサービスが次から次と出てきているわけであります。  NTTでも、今度のグループ内における三カ年計画でも、先ほど井上社長が申されていますように、新しい取り組み、具体的に申しますと、IPベースの定額のサービスとか、光の普及も進んでおりますので光の高速サービスをおやりになる、あるいはDSLサービスだとか、いろいろなサービスを工夫されておりますので、新しいそういった技術を取り込んだサービスは可能かと思っております。
  25. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 どうも堂々めぐりの感もございますのでやめますが、それではお聞きします。  こういうことはやはり必要だと思うのですよ。今の技術開発がございました。それでNTTサイドにしてみれば、東西の場合には、この新サービスの開発をやる場合には、そのインセンティブを働かすために、よく民間経営で言いますが、創業者利益というのですか、おわかりだと思いますが、一定期間に限って、まあまあ御苦労さんでしたという意味だと思うのですが、この創業者利益が確保されるというようなやり方、方式と言うと何かきちっとし過ぎますが、そういうものも検討が必要じゃないのか、結局私はそんなふうに思うのです。  それはもちろん、だらだらいっては、今の話でそれを正式に認めれば市場競争の関係が出てまいりますからそこまではいかないが、創業者利益を確保するということで、そういうことが限定的にもし認められるといいますか、そういうことになるんだったら、これはもう大いに力がつく、励みが出るわけですが、そのことの検討はどうなんでしょう。  郵政省としてそういうことはいいのか、もう一切だめだと言われるのか、その点はどうでございましょうか。
  26. 天野定功

    天野政府参考人 税制などではそういった利益の還元方式としていろいろな工夫がございますけれども、電気通信サービス分野におきましては、先行してやるということがある意味では利益を生むことだろうと思います。  NTTの場合は、長年蓄積されましたいろいろな技術力、あるいはまた資金力につきましても、ほかの事業者よりもより大きな力を持っているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、新しい情報通信技術を活用していろいろなサービスに取り組む機会にも恵まれております。また地域のネットワークも十分張りめぐらされておりますので、NTT内部におきましていろいろな研究部門等に力も入れながら、いろいろ工夫を凝らすことによって、先行のサービスをおやりになって新しい領域を開拓するのは十分可能であろうというふうに思っております。
  27. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 最後に移ります。  このLRIC方式の導入に当たって、まず一点お聞きしておかなきゃいけないのは、事業者が郵政省に申請する、それを受け付けて決める、こういう手続になるわけですね。そのあたりについて。
  28. 天野定功

    天野政府参考人 現在の接続料の決め方は、事業者でありますNTTの方から料金を申請してくるということでございまして、先生のおっしゃるとおりでございます。
  29. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そういうことは省令で細かく決めるのですか。どういう仕組みになるのでしょう。
  30. 天野定功

    天野政府参考人 現在の実際費用方式におきましても、基本的な考え方しか法律で決めておりませんで、具体的な接続関係の算定の方式は省令で決めております。今度新しく御提案申し上げている長期増分費用方式においても、その基本的な考え方法律で定めておりますが、具体的な算定方式は実際費用方式と同じように省令で決めることにいたしております。
  31. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 省令というのは公開されましたですか、それとも私たちが知ることは当然できましたですか、そのあたり
  32. 天野定功

    天野政府参考人 省令改正に当たりましては、電気通信審議会に諮問もいたしますし、またその答申を得て大臣が決定されました後には、郵政省告示という形で広く国民の皆様方に周知することになっております。
  33. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 よくわかりました。そういう手続になって、中身を知ればいいわけで、具体的には省令で決められるということでございます。具体的に決めていただかないと、裁量行政の余地がございますので、それはそれで私は理解ができます。  問題なのは、この二二・五%を定額で四年間ならして実施をしていきたい、このように経営側は言っているわけでございまして、私たちもそのことを前提に一連リストラ策をやってきているんだから、その方法がベターであるな、あるいはベストであるな、このように思っておりますから、そういう立場に立って、事業者が申請をしたときに、郵政省というのはそれを受けまして決めていただければ結構かな、こんなふうに思います。  再度、その点について、局長さんの御回答をいただきたいと思います。
  34. 天野定功

    天野政府参考人 現在、長期増分費用方式アメリカにも提案しておる案は、NTTの方でも、これまで検討してきた経営を維持する上、あるいはまたユニバーサルサービスを確保していく上におきましてもぎりぎりの案ということで、私どももこの案をベース長期増分費用方式の導入を検討してまいりたいというふうに考えております。
  35. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 終わります。ありがとうございました。
  36. 前田武志

    前田委員長 中井洽君。
  37. 中井洽

    ○中井委員 法案の中身に入ります前に、昨日も参議院の予算委員会で少し論議があったようでございますが、誘拐犯罪にプリペイド式の携帯電話が使われたということで大変騒がれております。無事に子供さんが保護されましたから、私どももほっといたしているところでありますが、このごろいろいろな犯罪にこのプリペイド式の携帯電話あるいは携帯電話そのものが使われることが圧倒的に多くなってまいりました。  国会におきましては、昨年、二年にわたる論議の末に、通信傍受の法案を通過いたしたわけでございます。大臣も私もお互いにいろいろな思いをしてこの法案の成立に向かって走り回ったわけでございますが、そのとき既に、固定の通信傍受をしたってという議論も随分あったわけで、犯罪者側はどんどん携帯あるいはこの新しい通信網を使って犯罪等の相談をするじゃないかという議論もありましたが、世界の中で一番通信傍受ということに関しておくれている日本がという思いで、反対のある中、あの法案を御審議いただき、成立をさせました。  しかし、今日、現実にこのプリペイド式の携帯等が使われて凶悪な犯罪が行われるということに関して、やはり私どももこれを論議していかざるを得ない、このように考えております。  特に、この犯罪で、犯人側が自分の持っている携帯電話の番号まで親御さんに教えている。にもかかわらず、地域ぐらいは、基地ぐらいは絞り込めるようでありますが、たどり着けないということは、従来の犯罪捜査等における通信網の利用ということと全く違う面が出てきているわけでございます。  プリペイド式携帯というのは当然そういう便利性があって売れるわけでございますが、ここら辺と犯罪ということに関して、大臣は、法務委員長等の経験も含めて、どういうふうに対応をされることがいいとお考えか、基本的なところをお伺いいたします。
  38. 八代英太

    八代国務大臣 昨年、中井委員と御一緒に組織犯罪三法について、特に通信傍受法につきまして大変なお力添えをいただき、また厳しい国会審議ではございましたけれども、私たちは、子供や孫の二十一世紀を展望したときに、麻薬がどんどん子供や主婦のところまでむしばんでいる状況、そしてまた暴力団対策、いろいろなことを考えると、今の状況ではどうしても通信傍受というものが必要であるという思いに立って審議に臨んだことをきのうのことのように思い返しております。  そういう中にあって、相変わらず、この誘拐犯のようなものが、しかもその時代の先端を行く携帯電話によって行われている。しかも、そのプリペイド式携帯電話というものが昨今大変普及して、コンビニでも気楽に手に入るというような状況で、本人確認も不要であるというようなことで、これが暮らしの中の利便性としては評価できても、犯罪の中で利便性が出てきてしまうということはまことにゆゆしき問題であるという思いを持っております。  今三十九万人ぐらいの方がこのプリペイド式携帯電話、使い捨て電話をお使いになっているというようなことでございまして、私ども、昨年大阪でありました、そのことを受けまして、電気通信事業者協会に、関係事業者とともに、検討を指示したのですが、まだまとまった報告が来ておりませんで、しかもそういうやさきに、この神奈川の問題が起きましただけに、これはもう喫緊にやらなければならない。そして、何とか本人確認ぐらいはできるような状況を、私はこれからの携帯電話、今や決して高価なものではなく、イージーに使えるものであるだけに、本人確認ぐらいは何らかの形でできるようなことも可能ではないか。  そして、犯罪防止のためにも、そういう考え方はこれから検討しなければならないという思いに私は立っておりますが、いずれにしましても、電気通信事業者協会からその調査報告を待ちまして、私たちも早急に取り組むという思いでいるところでございます。
  39. 中井洽

    ○中井委員 この通信傍受の法案の原案そのものはかなりの犯罪を対象にいたしたものでありましたが、どうしても成立をさせなければならないと言って、最終的には四つぐらいの犯罪に絞り込んだわけでございます。その中に誘拐犯を入れるかどうかで随分な議論もいたしました。そんなことを思うと、犯罪とか、そっちの方がどんどん進んで、取り締まるとかいうところが人権であるとか通信のどうだとかいうような形でなかなか難しい、この現状をどうするかということも含めて、お互い法律をつくる責任ある国会議員として、現実を見詰めながら、また技術の進歩に追いつきながら立法というものをやっていかなきゃならないんだろう、こんなふうに考えております。  私は、本人確認をやるのがいいのかどうかというよりも、携帯電話全体を使った犯罪の発信場所を早くつかまえられる方法の研究をもっと進めるべきである、これは技術的に幾らでも可能なんだろう、こんなふうに思っております。固定した電話では、四十秒ぐらいあるいは二十秒ぐらいしゃべれば発信源がつかまる、番号がわかるようでございますが、携帯の場合ですから、どこからかけているかという地域の絞り込み、これに対する時間短縮、あるいは地域限定、ここら辺に精いっぱい技術的な御努力を郵政省としても要請をしていただきますように、ぜひ御努力のほどお願いを申し上げます。  それからもう一つNTTのいろいろな電話料金に関してこの機会にお尋ねを申し上げたいと思います。  お互い、間もなく選挙を戦う身でございます。私、四年前といいますか三年半前の選挙のときに、かなり数多くの臨時電話を引きました。臨時電話を引いた後、精算したときにびっくりしましたことは、一台臨時電話の工事をするのも二十台工事をするのも、割引なし、全部一台ずつの料金なんですね。それじゃ、二十台引いて二十人の人が来て工事するのかといったら、一人が来てぱっぱっと工事をやっちゃう。しかし、一台の工事も五台も十台も二十台も、臨時電話料金を加算していく、珍しい料金体系じゃないかとびっくりいたしました。臨時電話代よりも臨時電話を引く工賃の方が高いというふうにびっくりいたしまして、随分言いましたが、まけてくれるわけではなかったわけで、泣く泣く払ったわけでございます。  そのときに、郵政省にもNTTさんにも、この料金体系は現実とそぐわない、こう言いましたら、選挙のときにどかんと何十台も引くのがたまたまであって、めったに何十台と引く人はおりません、こう言うから、そんなことはないだろう、日本はしょっちゅう選挙をやっているじゃないかなんということを申し上げて検討方をお願いいたしました。  三年半たちまして、御検討いただいて、当然割引等があるんだろうと思いますが、いかがですか。
  40. 小坂憲次

    小坂政務次官 確かに、三年ほど前に委員から御指摘をいただいたということでございますが、御質問通告をいただいたのが三十分前ぐらいでございまして、今鋭意努力してその後の回答を確認させておるんですが、まだこちらの方に資料が参っておりません。しばらく御猶予をいただきたいと思います。  基本的な考え方として、おっしゃるように何十台も入れる場合に、簡易の交換機を設置するとかという方法もありますけれども、一台一台違う番号で設置をすれば、今のところそういうような方向になっているのかもしれません。しかし、御指摘のような立場は私どもも同じでございますので、もっと何か安くならぬか、こういう気持ちはありますので、その辺をまた確認させていただきたいと思います。
  41. 中井洽

    ○中井委員 そういうことをほっておくからNTTはもうけ過ぎだとあちこちから思われるのだろうとついでに申し上げます。  質問通告がなかったというお話でございました。私も、四年ぶりか五年ぶりに逓信委員に戻ってまいりまして、忙しくて、一日二回の質問なんて準備できるわけじゃありませんで、三十分前に考えたばかりで通告しただけですから、私のせいにしないでいただきたい、このことを申し上げて、昼からもまた質問時間がありますから、そのときでも御答弁いただきますようお願いをいたします。  今回のこの法律、私どもは賛成をいたしますし、かなりの交渉、御議論の中で長年にわたる懸案を国会に御提案いただいて決着をされる、これはこれで結構なことだと思っておりますが、アメリカというのはなかなか日本の役所みたいに理路整然というわけにいかない。また、すさまじいハードネゴシエートの国でもありますから、本当にこれで交渉が落着するのかと心配をいたしております。国会へ出して法案が成立したということでアメリカと間がうまくいく、これなら大いに結構だという思い、同時にまた、それ以外のほかの分野での交渉通信分野での交渉が始まるのか、こんな思い情報がなかなか入らない中で、私もいろいろ心配をいたしております。  郵政省側としては現在どういう感触をお持ちなのか、これらについて、言える範囲で結構ですから、お答えをいただきます。
  42. 八代英太

    八代国務大臣 いろいろ御心配をいただき、ありがとうございます。  私たちは、昨年来、電通審等々にもお諮りをしながら、A案、B案二つあったわけでございますが、日本ユニバーサルサービス考え、また東西NTT経営状況考え、あるいはまたユーザーに基本料としてはね返るような仕組みはどうしても受け入れることはできないということで、A案を中心として日米間の交渉を続けてまいりました。しかしながら、その隔たりは非常に日米間にあるわけでございます。  私は、よく言うんですけれども、赤字の会社に頑張って黒字になってくれということは簡単に言えても、黒字が若干あるからといって赤字になるために努力しろなんということは我々として言うべきことではないし、やってはならない、そういう思いでは大変ぎりぎりの厳しい状況で、この二二・五%、四年間というものが私たち一つのトーンでございますから、これは私たちはしっかり守っていかなければならない。  こういう思いで、総理も日米首脳会談に臨まれるわけですけれども、それとは別として、日米間、しかし窓は閉ざさず、ドアは閉ざさず、お互いにいろいろな説明をし合ってお互いの理解を深めるということは、日米のお互いの関係上、それは至極当然なことである、こんな思いで私たちは引き続き努力したいと思っております。
  43. 中井洽

    ○中井委員 心配いたしておりますのは、金融、証券、保険、ここら辺も、私どもはかつて、日本の業界は世界一だ、こう思っておりましたところ、オープンにした途端に、バブルの崩壊もありましたけれども、一遍に中身が違うということが暴露されて、今、大変な苦しみの中で、国民の犠牲のもとに再編等が行われているわけでございます。この間も、アメリカ日本との交渉で私どもはいろいろ聞かせていただきましたけれども、役所の把握も含めて、業界の認識も含めて随分世界の流れからおくれておった、こういう反省があるわけでございます。  情報通信の分野というのは、もっとすさまじい国際競争の中にあるんだろう、こう思っております。その中で、NTTNTTの御努力を賜っておりますが、実際、国境なき時代ですから、そういう中で、本当に国際競争力にさらされたときにどのぐらいの競争力があるんだろう、ここら辺を心配するわけでございます。逆に、NTTがどうして海外へ進出するということができないんだろうということを含めて、私どもは民営化のときから関心を持ち、論議をし、あるいは提案もしてまいったところであります。  現在、そういう国際的な競争力ということに関して、会社の基盤を含めて、あるいは従業員の給料体系等を含めて、郵政省としてはどういうふうにごらんになっていらっしゃるのか、あるいは、NTTそのものが海外進出をしようとしたときにどういう法規制がかかっているんだろう、こんなことを含めて、大臣のお考え、認識をお尋ねいたします。
  44. 八代英太

    八代国務大臣 当然、NTTも海外展開ができる仕組みになっておりまして、昨年七月に実施されたNTT再編成によりまして、長距離とか国際通信を伴うNTTコミュニケーションズを中心として、NTTグループ事業の海外展開を今も図っているところでございます。  そうしたときに、アメリカ日本に対しての障壁をとやかく言いますが、こちら側も、アメリカの障壁が九つも十もあるわけですから、それはお互いに事業展開ができるようにという道筋は、我々行政としてやらなければならないというふうに思っております。  NTTグループの海外展開につきましては、我が国の国内法上特段の制限もございませんし、事業展開するそれぞれの国の制度に従って積極的に活動していただきたい、このように思っております。  また、情報通信分野のグローバル化ということもございますけれども、国際的大競争時代を迎える中で、やはり日本を代表するNTTグループがその技術力あるいはまた経験等をフルに発揮して、特に、アメリカ日本に割合接続料でしつこくターゲットを絞っているのも、向こうの背景にアジアという全体の大きな市場を見据えてのものだというふうに、こんなことを言っていいかどうかわかりませんが、そんな思いを持ちますと、やはり日本も、これからの二十一世紀はアジアの市場ということを考えれば、日本の国策としての情報通信国益ということを思いますと、NTTに積極的に海外進出はしてもらいたい、そしてまた、我々はその道を通りやすくする努力をしていきたい、こんなふうに思っております。
  45. 中井洽

    ○中井委員 十数年前にも、日本が盛んに海外援助あるいは東南アジアのいろいろな社会資本の整備等を援助するときに、私どもはこのことを申し上げたことがございます。しかし、残念なことに、そのころはまだ公社という問題等がありまして、なかなかそういったことに直接手を出せない時代、そういったところで立ちおくれをさせたのではないかということを考えておりまして、そういった意味で、障害というものを取り除く努力を、内部に持っているのならこれはこれで自分たちで解決を、外部にあるのならば積極的に政府が口を出してでもこういった障壁を取り除いていくという努力をしていただきたいと思います。  その中で一つ申し上げたいことは、国内的に、例えばNTTさんが地域のケーブルテレビに出資する、これなんかはまだ依然として三%の出資規制、こういった枠は残っているんじゃないかと思いますが、こういった問題等も、光ファイバーの設置を含め、あるいはインターネットの問題を含め、もっとNTTみずから自由にできる、こういったことを考えるべきじゃないか。NCC業者はたしかケーブルテレビ会社に幾ら出資してもいいんだ、こういう仕組みになっておって、NTTはだめだ、こういうことであろうかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  46. 小坂憲次

    小坂政務次官 おっしゃる趣旨はわかるわけでありますが、まだ東西NTTはそれぞれの地域におきまして事実上の独占的な地位にあることも事実でございまして、その意味から、株主の関係の規制につきまして、ケーブルテレビ等への出資に際しまして一応三%という規制を設けておりますのは、——御質問の趣旨をもう一度確認させていただきますが、ケーブルテレビに対してNTTが出資することの三%……(中井委員「ケーブルテレビの資本金の三%以内になっておるんですが、それを枠を広げろと言っているんです」と呼ぶ)広げろということですね。三%というのは、いわゆる少数株主の経営参加の権利を限定する最小の単位でございます。三%以上になりますと少数株主権が発生いたしますので、それ以内ということにとどめますのは、地域的な影響力の非常に強い東西NTTがケーブルテレビの経営に直接的な影響を及ぼすことを避けるために現在設けているわけでございます。
  47. 中井洽

    ○中井委員 NTTみたいな巨大な会社にとりまして、地域地域のケーブルテレビ云々ということで大して影響はないかもしれません。しかし、ケーブルテレビのネットワークというものは大変重要なものだと私どもは考えております。こういったところに対して資本投資が自由にできないというところはやはり制約と私どもは考えざるを得ないと考えています。  ケーブルテレビが始まりましたときから比べれば、ケーブルテレビ同士の合併も含めてかなり自由に、法改正を重ねてきているわけでございます。通信と放送の業者が両方兼ねてはならないなんという日本独特の法規制もありますから、それはそれでやりにくいところはあると思いますが、私はそれは一種の規制だろうと考えております。  こういったことを含めて、どんどん見直していく、そして競争させる、そしてNTTNTTなりに利益を上げて料金を下げていく、そういうことが方向としては間違いないんだろう、こう考えておりますので、これからも論議をしていきますが、郵政側におかれましても御検討をいただきますようお願いを申し上げます。  それからもう一つは、素人でわかりにくいところがあるんですが、過日、私どもの郷里のある電線のメーカーをお訪ねをいたしました。景気の方、心配いたしましたら、余り大きな声で言えないけれども非常に好調だ、なぜかというと自分のところは光ファイバーをやっているからだ、ただ、心配しているのは、忙しいのはアメリカへ出していくところ、アメリカへ輸出する部署だけだ、日本国内はほとんど光ファイバーが出ていかない、代議士、こんなことでいいんですか、こういう心配もいただいたわけであります。  光ファイバーの設置のおくれというものは、アメリカとの間で、またヨーロッパ各国との間で大変なものがある。この点をどういうふうに認識されて、どう対応されようとしているのか、郵政省側の考えを承ります。
  48. 小坂憲次

    小坂政務次官 光ファイバーの敷設に関しましては、いわゆるファイバー・ツー・ザ・ホームという形で家庭まで最終的には引きたい、こういうことでございます。  ただいま、NTTの各局舎、交換機のあります局舎間の接続は光ケーブルでなされております。また、公的な機関の間も大分光ファイバーが進んでまいりました。そういった意味で、光ファイバー敷設に関しましては、当初十年ぐらいをかけて実現していこう、こう考えておりましたが、前倒しをいたしまして五年ぐらいでこれを実現したい、こういうことでただいま取り組んでいるところでございます。  いわゆるブロードバンド、広帯域の通信を可能にするのはやはり光でございますので、そういう意味で、光ファイバーの敷設に関しては、例えば東京都の場合には、下水道の管路を使ってファイバー・ツー・ザ・ホームというか、ビルまでも一足飛びにできるようにするとか、そういった施策を講じ、またこのための助成施策も現在講じているところでございまして、そういった認識は十分に持っているところでございます。
  49. 中井洽

    ○中井委員 インターネット接続料金の引き下げやら、あるいはまた立ち上がりのスピードアップやらを含めまして、光ファイバー敷設が必要欠くべからざるものだと認識をいたしております。かねてから公共事業として、景気対策としていつでもこれは出てくるんですが、なかなか日本は、こういう線を埋設していく、あるいは引いていくというのに手間暇かかる国ですから、時間がかかるのでありましょうが、この点はやはり思い切って投資をしていくということでなければIT革命の中で生き残れない、このことをお互いが認識をして御努力いただきますよう要請をいたしておきます。  最後に、この法案の問題に関して二つだけお尋ねをいたします。  一つは、この四年間で二二・五%接続料金を引き下げる、こういうことでありますが、利用者にとって実際通話料といいますか通信料がどのぐらい下がるのかということが最大の関心事でございます。郵政省としては、接続料引き下げによりまして、末端のユーザーでの料金の引き下げがどのぐらい期待できるとお考えか、お聞かせをいただきます。
  50. 小坂憲次

    小坂政務次官 御指摘の事業者間の接続料の引き下げが利用者に還元されるという点につきましては、平成十二年二月九日の電気通信審議会の答申にもこのようなことが書いてございまして、東西NTTの地域通信網に接続する事業者には、事業者間の接続料金の引き下げを受けて、通信料金の引き下げや新サービスの推進に確実に取り組むことを期待するとしているところでございます。  この東西NTT事業者間接続料低廉化されれば、いわゆる新規参入事業者、NCCはその支払いが軽減されることになりますから、経営に余裕が生じることになります。その余裕を生じた財源を利用者料金の引き下げに使うのか、あるいは新たな設備投資を行い新サービスの方に振り向けるのかということは、これは新規参入事業者の経営の判断に任されているところでございまして、いわゆる料金規制の自由化によってこれは最終的には経営者に任されているところでございますが、郵政省といたしましては、新規参入事業者が電気通信事業者として社会的責務を認識していただきまして、御指摘のように通信料金の引き下げや、事業者間の接続料の引き下げのメリットを国民の利用者に対して直接還元をするような方向にぜひともしていただきたい、このように期待をし、またそのように申し上げているところでございます。
  51. 中井洽

    ○中井委員 今回のこの改正の中で、あるいはアメリカとの交渉の中で、幾つかの方法論が論議をされたと聞かせていただいております。  その中で、利用者にとって、料金引き下げ、しかし片一方で基本料金全体が三百円ぐらい上がる、こういう方法も議論がされた、あるいは検討がされたと聞いております。それも一つの方法だ、利用者全体の基本料金が上がるということと、引き下げになる方が全体じゃないということとあるんだろうと思いますけれども、それは一つのやり方から見て理論的方法だろう、私はこう考えております。  月々三百円ぐらいの基本料金の引き上げというところに踏み切れなかった最大の理由、原因、ここら辺を率直にひとつ郵政省の方から御説明をいただきます。
  52. 小坂憲次

    小坂政務次官 御指摘のいわゆるケースBと呼ばれるモデルの計算は、いわゆる饋線点RTという装置のコストをどちらが、事業者間の負担に帰すか、それとも加入者系の方の経費に算入するかということで変わってくるわけでございますが、御指摘のように、三百円程度、利用者料金にはね返るであろう、こう言われております。  この利用者の料金は、すなわち使っても使わなくてもこの基本料というのは払っていただくわけでございますので、生活保護世帯、あるいは経済的に非常に厳しい状況にあられる、そういうような家庭にとりましては、この基本料のアップというものは、すなわち家計に響いてくるということになります。そういう意味で、加入者の基本料金を引き上げるということは、世間一般のコンセンサスが得られていなければ、これはやるべきではないと思うわけでございます。  そんな意味におきまして、この三百円という金額がどうかということも含めて、まだいわゆる利用者のコンセンサスに至っているとは認識をいたしておりませんで、そういった点で、このように基本料に直接的にはね返るような方式はとり得ない、このように考えておりまして、いわゆるケースAという方式で対米折衝も行っているところでございますし、この姿勢を崩すつもりはございません。
  53. 中井洽

    ○中井委員 先般、委員会で少し申し上げましたが、例えば、携帯電話の利用ということで、小さなお子さんまで含めて世界で一番幅広く使っているのは日本だと思っています。  ある化粧品会社の容器の会社へお訪ねしまして、ここら辺は不景気でも化粧品ですから調子がいいのでしょう、こう言ったら、ここ四、五年大変なんです、なぜかといったら、若い人がまず携帯料金の支払いに一番お金が行く、ほかは節約するんだ、そうすると化粧品のランクが下がるんだ、はあ、そんなところまで携帯の料金が、固定式だとどうも親が払うけれども、携帯は預金通帳差し引きですから自分で払うというようなところもあるのか、こう思いますが、小坂さんのおっしゃるとおり、通信料金というのは国民生活全般にとって非常にいろいろな影響がある料金だと思います。  しかし、毎年毎年幅広く、また分野も拡大して、しかもサービスもふえて、かなり料金体系というものを見直さないと利用体系に合わなくなってきている、ここら辺もあるんだろうと私は思います。許可のところと届け出のところと、いろいろこの料金もあることは承知いたしておりますが、基本的な料金体系を含めて、柔軟な発想でお互い考えていきたい、こんなことをあえて申し上げて、質問を終わります。
  54. 前田武志

    前田委員長 横光克彦君。
  55. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  私も、まず冒頭、プリペイドカード式の携帯電話の件についてちょっとお尋ねいたしますが、誘拐事件で徹君が無事保護されて本当によかったと思っているんですが、やはり大きな問題点、問題提起を出された。  犯罪で、身の代金を要求する誘拐事件ほど卑劣な犯罪はないと私は思っておるんですが、この中で、いわゆる交渉する唯一の武器であります通信、ここが新たな形で、プリペイドカード式というものが使われ始めた。昨年十二月に、大阪の摂津市で小学生誘拐事件があったんですが、そのときに初めて使われた。そのとき、正直申しまして、私は、すごいところに目をつけるのがいるなという思いを持ったのですね。しかし、一回そういうふうに使用されたので、もう二度とないだろうという安易な思いもあった。警察当局は、それに対応してそれなりに事業者と協議をしていたようですが、結局、何の対策も成立しない間に今回の事件が起きてしまった。やはり文明の利器が凶器に変えられた。その文明の利器を、犯罪で家族や捜査を翻弄するような事態が起きてしまったわけですね。  となりますと、これはもうこれで終わりということは恐らくないでしょう。恐らく、これにさらにいろいろな知恵を働かせて、私は、これを中心にした新たな犯罪がふえる可能性は否定できない。となりますと、ここで何らかの対策が必要になってくることはもう申すまでもない。先ほど大臣からもそういうお話がございました。  しかし、このプリペイドカード式の携帯電話というのは、お話がございましたように、これは大変便利なんですね。これだけ便利なものはないなという思いを私は正直持っておるんです。身分確認は要らない、基本料がないので料金も安い、また、あらかじめ購入した分だけ通話できるわけですから、先ほどお話がございましたように、子供たちが今大変携帯電話を持っている中で、親が安心して使わせることができますよね。過分な超過料金なんか要らないのですから。そのカードの分だけしか通話できないのですから。  そういった意味で、これからますますこういった方式の携帯電話国民に利用されていくであろうというやさきの問題だと思うんです。そういった、片やプラスのいい面がある。そして、今お話がございましたように、マイナスの面が今度は出てきた。これは、誘拐事件だけでなくて、いろいろなお話がございましたように、麻薬取引等に使われているのであろうという警察当局の意見は非常に強いわけでございます。  それで、どういう対応をとるか。それは一番いいのは身分確認することでしょう。しかし、それをやってしまえばこの利便性というのはなくなってしまう。利用者は、何で証明書が要るのか、自分たちも犯罪者の対象として見るのかとか、いろいろな声が噴き上がる可能性、また事業者にとっても、これは大変なデメリットにつながる。非常に難しい問題ではあろうと思います。  あろうと思いますが、いま一度郵政大臣として何らかの対応をこれから考えないことには、もし後手後手になったときにはこれは示しがつかない、国民に対して申しわけが立たない、そこのところのお考えをいま一度お聞かせください。
  56. 八代英太

    八代国務大臣 昨年十二月の大阪といい、今回の神奈川といい、幼い子供を誘拐して、そして身の代金をという卑劣な行為、今度の神奈川の小学校二年生のお子さんも無事で大変よかったなというのがまず率直な感想でございます。  まさに今おっしゃられましたように、新しい技術がそうした犯罪の方向にも同じような形で利便を供しているという状況で、そういう影の部分というものが実は情報通信時代の最も懸念すべきことだというふうに私たちも思っておりまして、この意味でも、プリペイド式の携帯電話というものは非常に利便なものでございます。実は携帯電話を子供に与えたいけれども、支払いが親となると、知らない間に自動引き落としで、ほかの商品には一銭もお金が回らずに、携帯電話でやりくりするのが大変だという親御さんの気持ちなんかを思うと、二千円なら二千円、三千円なら三千円、これ以上は使えない、したがってこういうものが利便性を伴っているものだというふうに思います。  しかし、事は事、麻薬なんかにもこういうものが、あるいは廃棄物の不法投棄なんかにもこのプリペイドの携帯電話が利用されているなんというふうなことも仄聞いたしますと、やはり何らかの、探知する方法といいますか、使用者が特定できる、そうした場合に特定できる方策等々を踏まえて、電気通信事業者協会に研究調査を私たちも依頼しておったところでございます。  しかし、だんだん犯罪が増発していくような状況を見ますと、看過できない問題でございますので、もちろん事業者協会とも連携を密にしながら、プライバシーの問題等々も考えながら、何らかの形、技術でまずカバーできる方策はないものかということをまず前段に置きながら、私たちも早急にこれは検討しなければならないという思いでおります。
  57. 横光克彦

    ○横光委員 今お話ございましたように、利用者の利便性、そしてまた事業者のメリット、さらに犯罪の防止、この三つを一挙に解消するというのは本当に難しい、悩ましい問題点であろうと私は思いますが、事命にかかわる事件につながる可能性もあるわけですので、郵政省としても、事業者と鋭意協力し合いながら何らかの方策を導き出していただきたい、このように思います。  実は、私、大蔵委員会でも質問したことがあるのですが、この一、二年、五百円硬貨の変造事件が多発して、大変な被害が出たのですね。そのときに、変造集団がいろいろな知恵を絞って変造したことに対して、自動販売機会社あるいは警察当局がそれに対応して、使えないようにする。ところが、その上を、今度はまたさらに新たな変造の知恵を絞ってくるのですね。そうしたイタチごっこで、とうとう自動販売機の自営業者が、結局、変造して金を、五百円玉とられるのならば、使えないようにした方がまだいいということで、ほとんどの東京の、大都市圏の自動販売機は今五百円硬貨が使えません。入れたらすっと出てきます。そういうような時代なんです。  それで、せっかくの五百円硬貨が意味ないではないかということで、実は私質問してこの問題の対応を迫ったのですね。そうしたら、結局最後行き着くところは、新たな五百円硬貨をつくるしかないというところになったんですね。ことしの八月から、今の五百円硬貨と違った、新たな五百円硬貨に改鋳されて、犯罪の防止に対応するということにまで結局最後いかざるを得なかったというような事例がございました。  それとこれとは違いましょうが、何らかの形でそういった防止をしていかなければならないのではないかということを強く感じております。  それで、この法案についてお尋ねをいたしますが、今回のこの電気通信事業法ですね、問題点、ほとんどの方たちが取り上げて、それに対するお答えもいただきました。今回議論になっております接続料、これは新規事業者、NCCが東西NTTに支払う事業者間の接続料金ですね。お話ございますように、卸売料金である。いわゆる小売料金ではないわけですね。ですから、一般の国民にとっては、何が問題なのか、またこの議論の結末が自分たちの生活にどのように影響するのかというのがほとんど理解できていないと思うのですね。ですから、そういったことから、改めて問題点を確認させていただきたいと思うわけでございます。  まず最初に、NTT地域会社への影響です。質問がダブるかと思いますが、よろしくお願いします。  NTT地域会社は、昨年十一月に中期改善施策を発表しております。大変な合理化に取り組むということでございますが、今回のこの長期増分費用方式が導入されれば、さらに合理化を迫られるのではなかろうかという気がしているわけでございます。NTT西日本の経常利益の予測では、十二年度から十四年度までの三年間、合理化しない場合は大変な赤字が続くわけですね。そして、中期改善施策を実施した場合でも、ようやく十四年度に二百五十億の黒字につながる。その上に今回の長期増分費用分が加えられて、それを導入した場合は、その十四年度の三年後もまた赤字に転落するという予測が出されております。  こうしますと、いわゆる合理化等で、改善施策NTT西日本人員を約一万一千人削減する予定であるとなっておりますが、これに長期増分費用方式の導入が加われば、NTT社員の雇用はどうなるのか、あるいは地域経済、これに与える影響はどうなるのか。国鉄が民営化されたときに、いろいろな地域に混乱を来しました。こういったことの影響についてまずお聞かせいただきたいと思います。
  58. 天野定功

    天野政府参考人 先生今御指摘のとおり、現在、NTT東西は、長期増分費用方式を導入することとは別に、競争も非常に進展しているとともに、特に新しい携帯電話の進出によりまして、固定電話、いわゆる加入電話と昔から言っておりますが、そのシェアが低下しているということで、収入は非常に厳しくなっているわけです。そこに加えて、この長期増分費用方式による減収が予想されているということで、早期に経営を改善するために、昨年の十一月に中期改善施策を発表しました。その内容は、御指摘のとおり、東西NTTの社員を三カ年で二万一千人の削減、そして設備投資等、約一兆円の削減を図るというものでございます。  この影響というものを具体的に分析はいたしておりませんけれども、私どもがいろいろ経済界の皆様方から聞くところによりますれば、現在、景気が非常に厳しい中で、あるいはまた雇用情勢が厳しい中で、非常な痛手になっているということは聞いておりますので、これ以上の削減に追い込まれることは極めて問題であろうというふうに認識いたしております。
  59. 横光克彦

    ○横光委員 人員あるいは設備あるいは各種経費の削減に懸命に取り組んでおるわけですね。  今、そういったNTTサイドの問題点をちょっとお聞きしたのですが、そのことによって、今度、ユーザーの方の問題ですね。営業拠点を三分の一程度に削減する計画である。こういった方向が進むと、地方のユーザーに対するサービス、つまり、営業窓口の減少あるいは故障したときの対応等、こういったいわゆるユーザーに対する質の低下というものも心配されるわけですが、その点はいかがでしょう。
  60. 天野定功

    天野政府参考人 先ほど御説明申し上げました中期改善施策によりますと、営業拠点を統廃合しまして、現在の三分の一程度に縮減する計画になっております。  これによるサービスの低下を極力避けなきゃならないわけでありますが、一つには、営業拠点の統廃合は、NTTの必要なサービスを維持していく上でのどうしても必要な効率化施策の一環ということで、やらざるを得ないわけであります。それによるお客様の不便を軽減するために、電話あるいはISDN、専用その他のサービスの新規申し込み、あるいは、電話等の端末機の販売につきましては一一六番、それからまた、故障への対応につきましては一一三番の電話窓口機能を活用するということをNTTの方は考えております。  そういうことによりまして、極力サービスの低下がもたらされることのないよう、NTTとしても、効率化の実施とサービスの確保、両方を確保すべく、中期施策に取り組んでいくということにいたしているところでございます。
  61. 横光克彦

    ○横光委員 次に、外交問題についてちょっとお聞きしたいのです。  アメリカの通商代表部のフィッシャー次席代表が記者のインタビューに答えておるのですが、私どもから見ると、非常に的を外れた主張をしておるのですね。米国は、日本情報化を推進するために接続料の引き下げが必要なんだとか、あるいは、NTT接続料が高いから日本ではインターネットの利用料金が高いんだと主張しておりますが、今回の接続料インターネットの利用料金とは関係があるんでしょうか。要するに、接続料は定額サービスには何ら効果がないわけですが、その点はいかがなんですか。
  62. 小坂憲次

    小坂政務次官 インターネットを利用している者の意見は、私も含めてですが、常時接続をすることがだんだん必要になってくる、こういう環境にあることは事実でございます。  そういった意味で、日本でも常時接続がこれから普及してくると思うわけでありますが、日本における常時接続は、主配電盤といいますか、MDF接続という方式を主にとっておりまして、いわゆる交換機を経ないで、その前の部分で、インターネットネットワーク接続していく方式をとっております。  この意味におきまして、ただいま御指摘のように、フィッシャーさんがおっしゃっている、接続料が高いからインターネットが普及しないんだ、こういう点をとっていえば、これは必ずしも当たっていない。すなわち、事業者間の接続料を経ない部分インターネットを利用している方はどんどんふえているわけでございますので、そういった意味で、今後、日本は、常時接続がそういう方向で普及していくのではないかと考えております。
  63. 横光克彦

    ○横光委員 今のお話、よくわかりました。  そしてさらに、アメリカは、接続料が高いから日本の学校のインターネット普及率が低いなんと言っている。これもまた関係のない、関連性はそんなに強くないと私は思っていますし、学校にパソコンが少ないことや、あるいはパソコンを使える先生がまだまだ少ないということの方が問題点であって、これは今文部省が一生懸命努力しているわけですが、こういったふうに、全く関係がないとは言いませんが、非常に的を外れた意見をアメリカの代表部の次席代表が言う。いわゆる私たち国民からすると誤解を招くようなアメリカの不正確な主張に対しては、政府は、国民に本質を説明すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  64. 小坂憲次

    小坂政務次官 おっしゃるとおりでございます。  学校インターネットにおきましても、米国は確かに、学校の教室という点でいいますと、非常に普及しております。八九%の接続率を持っております。日本は、そういう点でいえば、四万三千校の小中高の接続率でいいますと、これは九八年度末でございますけれども、一昨年の統計でございますが、三六%という形になっておりまして、確かに差があることは事実でございます。しかしながら、日本も、二〇〇一年度までに全校インターネット接続をするという計画を文部省の方も立てておりまして、私どもも協力してやっております。  そういった中で、御指摘のように、日本はどんどんおくれているという認識を持っているようでありますが、学校に関しては、いろいろな補助施策をもって普及を促進しておりますし、また、郵便局の窓口におきましてパソコン教室を開いたり、いろいろな形で、インターネットの浸透というものを日本も今進めているところでございます。  そういった認識をアメリカ側にもしっかり持っていただく。そのためには、日本の中でも、インターネット接続はこういう形で定額制というのが行われている、いわゆるMDF接続という、先ほど申し上げたような定額制はそういう形で実現できてまいります。  そしてまた、先ほど井上NTT東の社長の答弁がございましたけれども、これから順次、県庁所在地、そして全国に定額制サービスを広げてまいりまして、すなわち、今東京では、八千円で昨年からスタートしておりましたが、本年五月から四千五百円、そしてまた、同じ交換機の中では二千九百円という非常に安いISDNの定額制がスタートいたします。こういったものを普及していく。こういうようになっているという事実を米国側にもしっかり説明して、その認識を高めていきたい、このように思っております。
  65. 横光克彦

    ○横光委員 どうかよろしくお願いします。国民に誤解を与えるような、そういった主張をもしアメリカがするのであれば、それが正しくなければ、本当に強く日本の主張を訴えていっていただきたいと思っております。  次に、接続料を引き下げれば、長距離電話、国際電話、携帯電話料金を下げることができると言われております。しかし、これまでの経緯を振り返ると、長距離系の新規事業者、DDI等、この新規事業者は、NTT値下げをしたとき、これに追随して、NTTより安くなるように値下げをしてきただけだと思うのですね。電力会社やガス会社が、原油が値下がりしたから料金を下げるというような発表をしておりますが、今回、新規事業者が、接続料が安くなったから値下げをする、そういうふうに発表したのはまだ聞いたことがございません。  先ほどもちょっとお話ございましたが、今回のメリットを受ける新規事業者、要するに、接続料金が下げられた分をユーザー料金を引き下げるという方向、そういった予定はあるのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  66. 小坂憲次

    小坂政務次官 先ほども関連の御質問がございました。  電気通信審議会答申におきましても、本年二月九日に、東西NTTの地域通信網に接続する事業者には、事業者間接続料金の引き下げを受けて、通信料金の引き下げや新サービスの推進に確実に取り組むことを期待するとしているところでございまして、私どもも期待しておるわけでありますが、現在のところ、事業者間接続料が下がったならばこのように引き下げるというようなことを新規事業者側の方から明確に表示をしているところではございませんが、そのような方向になるように私どもも期待しておりますし、そのような経営的な余裕が生じるものと理解をいたしております。
  67. 横光克彦

    ○横光委員 新規事業者の通信料金は、平成十年の規制緩和により届け出制となったわけです。国が認可する仕組みでは確かにございません。しかし、先ほどから各委員が言われておりますように、NTTがまさに、中期改善施策を初め血のにじむような努力をしているわけですよ。そういった中で、やはり郵政省としても、新規事業者に通信料金を引き下げるよう何らかの措置を講ずるべきではないか、期待するだけでいいのかという気がいたしておりますが、いま一度お聞かせいただきたいと思います。
  68. 八代英太

    八代国務大臣 もちろんNTTの大変な努力によって四年間二二・五%という、事業者間の接続料はそういう方向で行くわけでございますが、それによってNCCを含めて事業者が、それがやはりユーザーに還元する方策。しかし、おのずとこれは競争原理に基づきまして、いろいろなところで今値下げの、CATV等々も踏まえて、地域の情報通信分野における独自の料金設定等々も公表されておりますので、私は必ずやそれはユーザーに還元されていくだろうと思いますし、私たちも、おまえ、ここはこれだけ接続料が安くなったんだからこれだけ引き下げろなどということは行政側が指示するわけにはまいりませんけれども、それがすなわち一つのインセンティブを与えまして、全体が競争原理に基づいて、値下げ競争と言うと語弊があるかもしれませんが、そういういい方向になることを私たちは望んでもいるところです。だんだんインターネットユーザーもふえていくと思いますので、おのずとこれは伴った競争が大きく進展していく、このように期待もしているところでございます。
  69. 横光克彦

    ○横光委員 期待が本当に形になることを期待しております。  新規事業者は都会のサービスに力を入れておりますが、採算性の低い地方のサービスには熱心ではない。これはもう当然といえば当然かもしれません。また、外国系の新規事業者もふえているといいますが、これも東京の中心地で企業向けのサービスを行っているだけで、地方の一般ユーザーに対するサービスはほとんど行われていない。今回の接続料引き下げの恩恵は、こうして見ますと地方の一般国民にはこの恩恵が及ぶのかどうか、いわゆる長距離電話をかけることも少ない、あるいは携帯を持っていない人もまだまだ多い、そういった一般の国民には、何ら恩恵がないのではないか、東京の企業ユーザーだけが恩恵を受けるのではないかという気がしております。  また、接続料が引き下げられても、地方では通信料金値下げが起きなければ、地方の利用者にとってはメリットがないどころかむしろNTTサービスの質が落ちるといいますか、営業拠点が減ったりして、そういっただけで都会の企業ユーザーの負担軽減分が地方の一般国民に転嫁されているだけではないのかという気がいたしますが、そこのところのお考えはいかがですか。
  70. 天野定功

    天野政府参考人 東西NTT事業者間接続料につきましては、地域による区別は設けられておりませんし、今回の長期増分費用方式によっても全国を対象に引き下げられるものでございます。  この事業者間接続料の引き下げによるメリットについてでありますが、各地域でどのように還元されるかにつきましては、それぞれの地域における事業者の参入状況、あるいは競争状況にもよるわけでありますけれども、全国で事業展開している長距離系の事業者におきましては、これまでも全国を対象に値下げを行ってきております。  したがいまして、今回の長期増分費用方式の導入に当たりましても、この事業者間接続料の引き下げの恩恵が全国各地の国民利用者の皆様にひとしく還元されるよう、NCC各社に対して促してまいりたいと考えております。
  71. 横光克彦

    ○横光委員 インターネット向け通信サービスの動向を見れば、今お話しいたしましたように、通信の自由競争がいろいろな弊害を生むということもあるわけですね。インターネットの世界で生じている自由競争の弊害、いわゆる地域間格差、これはやはりこれから固定電話の世界にも及んでくるのではなかろうか、いわゆるユニバーサルサービスの分野にもこういった格差が出てくるのではないか、そういった心配があるわけでございます。インターネットや携帯電話が主流になってきたわけです。もう携帯が五千五百万台を突破したという話もございます。  そうしますと、固定電話市場はますます縮小していくと伝えられております。しかし、小さくなればなるほど、いわゆる国民生活の基本インフラである通信、この問題はユニバーサルサービスという範囲の中にあるわけですので、ここでインターネットのような地域格差を生じてはならないと思うのですね。  ですから、この長期増分費用方式の導入後、電話ユニバーサルサービスをどのように確保していくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  72. 八代英太

    八代国務大臣 実は、先週の金曜日と土曜日に、私沖縄へ行ってまいりました。名護市へ行きまして、コールセンターがございました。そこはNTTの一〇四を、そこに大勢の皆さん方が一〇四でやっておられるのですが、つまり、世田谷と大田区の人が一〇四にかけると沖縄のコールセンターで番号案内をするというようになっているわけですね。  そういう意味でも、もはやユニバーサルサービスというのも、かつて考えたほど、大分県と東京という、そういう格差の時代ではなくて、まさに永田町の隣が大分県であるというような、そういう一つの大きなメリットも私はあると思いますし、光ファイバー網なども二〇一〇年にはあまねく全国に敷設するという私たち計画もございますから、いろいろな意味でこれからインターネットといわゆる固定電話通信の基本的なサービスというものの地域間格差というものは、この小さな日本でございますから、ますます解消されていくだろう、私たちはそんな期待感も一方では持っているような次第でございます。
  73. 横光克彦

    ○横光委員 いろいろな競争の進展に対応した新しい状況が起きているわけでございます。そういった中で、ユニバーサルサービスの概念そのものもやはり変わっていくであろうという気がいたしておりますが、引き続きNTT地域会社ユニバーサルサービス義務を課していくのか、それが一つ。そしてまた、ユニバーサルサービス基金を導入したり、不採算地域のコストを新規事業者にも負担させるというような案も考えておられるのか、これが二つ目。そしてさらに、国や地方自治体が税金で一部を負担するような方法も考えておるのか。いわゆるユニバーサルサービスを確保していくためにこれからいろいろな問題点が出てくるかと思いますが、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  74. 八代英太

    八代国務大臣 東西NTTは、NTT法によりましてユニバーサルサービスの提供の責務が課せられておるわけですが、これは東西NTT地域通信市場において事実上独占的な事業者であり、実質上ユニバーサルサービスを提供できる唯一の事業者であり、日本の基幹産業の一つという私たちも期待感がございますし、それによるものでございます。  現時点では、地域通信分野においては東西NTT独占的な状況がいまだに続いているために、引き続き東西NTTユニバーサルサービスの提供の責務を課すことが私どもは適当と考えておるわけでございますが、しかしながら、今後地域通信分野における競争の進展、あるいはまた、移動体通信との競争の本格化によりまして、ユニバーサルサービスの提供を東西NTTのみに全部やれ、こういうことが通るのかどうか。責務を位置づけ、あるいは東西NTT経営努力によって対応するだけの、また構造的に対応できなくなるおそれもあるのではないかという、いろいろなことを包含しておりますので、私どもは、今後、長期増分費用方式の導入の状況及び地域通信市場競争の進展の状況を注視しながら、ユニバーサルサービス範囲や費用負担の方法等について検討していくことが必要だと考えております。  その検討に際しましても、今横光委員がおっしゃいましたように、その費用を通信事業者の拠出によって賄うのか、あるいは公的な資金によって賄うのかということもこれから当然検討しなければならないし、議論をしなければならないだろう、このように思っているところでございます。
  75. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。どうもありがとうございました。
  76. 前田武志

    前田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  77. 前田武志

    前田委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。
  78. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、日本共産党を代表して、電気通信事業法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対の理由は、長期増分費用方式によってNTT接続料金が算定されれば、NTT地域網ネットワーク設備が現実のコスト以下に算定され、その結果、接続事業者を優遇した分、NTT一般利用者への料金値上げや労働条件の悪化によるサービス低下など、その不利益が広く国民に及ぶからであります。  実際、郵政省がこれに向けて算定した接続料金のうち、選択肢の一つとされたケースBでは、コスト割れ部分を基本料金等を数百円値上げするなど利用者料金値上げでカバーするか、それができなければNTT地域会社への破壊的影響を与えることになることを電気通信審議会も認めています。現在、この長期増分費用方式の導入を前提とした日米交渉が行われ、外圧に屈しないという郵政大臣の言明に反して、現実に、接続料金の引き下げ幅は交渉のたびに拡大され、限りなくこのケースBに近づきつつあります。  長期増分費用方式導入は、こうした際限のない接続料金の引き下げ要求に対する歯どめを失わせるものであり、日本の基幹的電気通信インフラを提供する唯一の事業者であるNTT経営を破綻させることが許されない以上、郵政省が、その導入に当たって、ユニバーサルサービスの確保、利用者料金に適切に配慮するとの言明も守られる保証がありません。実際に、電気通信審議会の答申も、今後、この方式による接続料金のさらなる引き下げによって、現行の利用者料金ユニバーサルサービスの見直しが必要となると答申しています。  NTTは、昨年十一月に、二万一千人の人員削減、営業窓口を三分の一に統合することなどを柱とするリストラサービス切り捨ての中期経営改善施策を発表し、その具体化に取りかかっていますが、接続料金引き下げは、労働者へのさらなるリストラや利用者サービスのさらなる切り捨ての契機となるものです。  なお、接続料金の引き下げとユーザー料金の関係について言えば、携帯電話事業者の売り上げに占める接続料金の割合は五%であるのに対して、例えばNTTドコモグループの経常利益は、総収入の一二%に上ります。ユーザー料金の引き下げ余力は十分あります。  その携帯電話を初めとして、他の接続事業者も、NTTネットワーク接続して初めて事業が成り立つのであり、このネットワークの維持発展及びこのネットワーク本来の利用者である国民を犠牲にして、みずからの利益を追求することには道理がありません。  日本の電気通信インフラの維持発展及び国民利用者サービスに重大な懸念を及ぼしかねない長期増分費用モデルの導入をするとする本電気通信事業法の改正に反対であることを述べ、討論を終わります。
  79. 前田武志

    前田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  80. 前田武志

    前田委員長 これより採決に入ります。  電気通信事業法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 前田武志

    前田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  82. 前田武志

    前田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、荒井広幸君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。伊藤忠治君。
  83. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文につきましては、当委員会における質疑の過程等を参酌して作成されたものでありますので、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。     電気通信事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 長期増分費用方式の導入に際しては、ユニバーサル・サービスの確保及び東・西NTT経営・利用者料金に悪影響を及ぼすことがないことに留意し、効率的な投下コストの適正な回収が図られるよう、モデルの選択、適用、実施を慎重に行うこと。  一 長期増分費用方式は、諸外国においても一部において導入されているに過ぎない方式であり、この規制方式自体の有効性については、今後十分な検証を行い、必要な見直しを行うこと。  一 移動体・インターネットの急速な普及等の市場構造の変化と地域通信市場での競争が急速に進展する中で、東・西NTTが自主的に日本IT革命の推進に貢献できるように、事業範囲サービス規制の在り方について早期に検討すること。  一 移動体・インターネットの急速な普及、CATV、NCCの急速な市場参入、放送のディジタル化等、マルチメディア化の進展に伴い、市場構造の変化が進む中で、ユニバーサル・サービスの在り方が問われており、具体的な検討を行うこと。  一 東・西NTTが、ユーザ向け料金の引下げを図るよう経営努力を行うとともに、東・西NTT接続する事業者が事業者間接続料の引下げをユーザ向け料金の引下げに還元するよう促進すること。  一 インターネット時代に的確に対応できるよう、東・西NTTの定額料金サービスの低廉な料金でのエリア拡大を促進すること。  一 NTT株式の政府持株に対する配当金の使途、政府持株売却益の使途について、IT革命推進の立場から見直しについて検討を行うこと。  一 連結納税制度の早期導入について、その実現のため能動的な努力を行うこと。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
  84. 前田武志

    前田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  85. 前田武志

    前田委員長 起立多数。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、八代郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。八代郵政大臣
  86. 八代英太

    八代国務大臣 ただいま電気通信事業法の一部を改正する法律案を御可決いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  87. 前田武志

    前田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  89. 前田武志

    前田委員長 次に、内閣提出電子署名及び認証業務に関する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として経済企画庁国民生活局長金子孝文君、法務省民事局長細川清君、通商産業大臣官房商務流通審議官杉山秀二君、通商産業省機械情報産業局長太田信一郎君、郵政省電気通信局長天野定功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  91. 前田武志

    前田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  92. 荒井広幸

    ○荒井委員 一九九一年に三人の方が始めた運動が、一九九七年、ノーベル平和賞を受賞しました。これは地雷禁止国際キャンペーンでございます。こうした平和運動が可能になった最大の理由は、世界じゅうの方々と連絡をとり合う、そのとり合いがEメールを使ったことにあったと言われているわけです。それによりまして、およそ一日に百五十ほどのレターを送り、そして五十五カ国、一千の非政府組織との連携によってこうした人類に貢献する活動が展開され、その成果を着々と上げつつある、こういうことでございます。  まさにIT革命社会革命ということになっているわけですが、その一つの大きな柱にインターネットということがあるわけでございまして、インターネットセキュリティーの問題が光と影というような問題と歩を一にしまして大きな課題になってまいったわけでございます。  本法律案の内容について、確認的に質問をさせていただきたいと思います。この法律案は、通産、法務そして郵政、三省共管になっておりますので、通産省からもきょうはお越しをいただいております。ありがとうございます。  それでは、早速確認の意味で質問をさせていただきたいと思いますが、インターネット上で商取引などを行う場合、ネットワークのセキュリティーが極めて問題になります。九九年の通信白書によれば、今、日本は千六百六十五億円の電子商取引を行っておりますが、アメリカは何と二兆五千八百億円という数字です。OECDの二〇〇三年から二〇〇五年の予測によれば、およそ世界で百十五兆から百二十兆ぐらいになるのではないか、こう言われている市場でありますが、まさに安全、信頼が問われています。  インターネット上での商取引のセキュリティーの問題、この法律案はどういうところを問題として取り上げているのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  93. 天野定功

    天野政府参考人 電子商取引などは相手方と対面せずにネットワークを通じて行われるわけでありますが、送信者が本人自身なのかどうか、あるいは内容が通信の途中で変更されていないかどうかを簡単に確認することはできません。したがいまして、例えば電子商取引の場合ですと、成り済ましや契約の金額等の書きかえなどの懸念がございまして、安心して情報のやりとりができないといった問題が指摘されております。
  94. 荒井広幸

    ○荒井委員 また、この法律の対象となっております電子署名そして認証業務、これらは今ほどお話がありました成り済ましなどの問題についてどのように対応するものなんでしょうか。
  95. 天野定功

    天野政府参考人 この法律電子署名という概念が導入されているわけでございますけれども、電子署名といいますものは、送信者本人しか知らない秘密かぎを用いまして電子文書に暗号化処理を行った上で送信しまして、受信者側においてその秘密かぎに対応する公開かぎを用いて暗号を解く、復号するという一連の作業を通じまして、送信者が間違いなく本人であること、そして電子文書が途中で書きかえられていないことを確認するための技術的な手段でございます。  この場合、受信者が復号のために使用する公開かぎが送信者本人のものであることを確認する必要があるわけでありますけれども、これを信頼できる第三者が証明する事務をこの法律案の中では認証業務と呼んでおります。  このような電子署名認証業務を組み合わせることによりまして、受信者は安心して、電子文書が本人から間違いなく送信され、かつ、通信の途中で書きかえられていないことを確認することが可能になり、成り済ましなどのセキュリティー問題を克服することが可能になるわけであります。
  96. 荒井広幸

    ○荒井委員 では、そのような電子署名認証業務、それによってどのような役割が期待されているのか、果たすというふうに考えているんでしょうか。
  97. 小坂憲次

    小坂政務次官 お答えを申し上げます。  我が国では、電子署名の法的な位置づけが手書きの署名や押印のように明文で規定されておりません。民事訴訟法の第二百二十八条第四項におきましてこれが規定されているわけであります。したがって、本法案において、手書き署名や押印と同等に通用するための法的基盤を定める必要がございます。そのために、本人による一定の電子署名が行われた電磁的記録の真正な成立の推定、そして二番目に、認証業務の信頼性の目安としての認定制度の導入等を定めることといたしております。  これらによりまして、電子署名認証業務国民が安心して円滑に利用できる環境を整備し、電子商取引等のネットワークを利用した諸活動のさらなる促進に資することを期待するものでございます。
  98. 荒井広幸

    ○荒井委員 まさに、先ほどの電子商取引、そしてイギリスもアメリカも、あるいは東南アジアではシンガポールもそうですが、それぞれ日本でいう電子政府、そういったものも既に提案をしておりまして、我が小渕政権、そして森政権と同じように電子政府を進めていこう、こういうことでございます。  そこにはもうなくてはならない存在なんですが、先ほどの説明をお聞かせいただきましても、説明を聞くよりも実際にやった方が簡単だ、こういうことでございまして、なかなか言葉で言うことの方が難しいわけですが、こうした電子署名というものが浸透していくというのが非常に重要なポイントだというふうに思いますので、各省とも政府と、特に高度情報社会推進本部というのが総理を本部長としてあるわけですから、そういう時代に、電子署名というものは必ず必要なんですよ、それがないとまた困ったことになりますよというような社会通念ができ上がることが非常に重要だというふうに考えております。その辺の啓蒙もお願いをしたいと思うわけです。  さて、今ほどのお話は、国内に目を向けているというような中身にも聞き取れるんですが、ネットは世界を結びます、そして時間を超え、距離を超えます、そういう意味で、国際的なものでなければこの法律案も意味をなさないというふうに思っております。これからもある意味で確認的に質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、まさに電子商取引は世界を行ったり来たりするわけでございますから、当然電子署名認証業務は国内だけの利用を想定したものではなくて海外も想定しているというふうに思いますが、その点、改めていかがでしょうか。
  99. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 荒井委員は、自民党の中におきましても、インターネットネットワーク利用環境整備小委員会の委員等もお務めでございまして、党内でもインターネットについては大変お詳しい、そのようにお聞きをいたしております。  委員御案内のとおり、インターネットはそもそもグローバルな、国境のないネットワークでございまして、これを利用した商取引などのシステムを考えましても、最初から国際的な市場からのアクセスを前提として構築されているわけでございます。こうした中で、我が国だけに閉じた電子署名であったりとか認証業務を想定する方がかえって不自然であり、難しい、そういう認識を我々も持っているところでございます。  したがいまして、今回の法制度の整備を行うに当たりましても、電子署名認証業務に関して、海外との取引に用いられることを基本的に視野に入れまして、国際的に通用し、またほかの諸国の制度とも整合性を維持する、こういう観点から制度の設計を進めてきております。
  100. 荒井広幸

    ○荒井委員 諸外国との整合性というところがまさにポイントだというふうに思うんですけれども、それでは、この法案は、国際性に対応し具体的にどういうふうに考えておられるのか、その点をお願いしたいと思います。
  101. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 具体的に申し上げますと、二段階を想定しているわけでございますけれども、まず、海外において特定の認証業務を行う業者、人に対しましても本制度の認定を受けることが可能になる、こういう形でございます。また、その事業者が存在する国が認証業務に関しまして我が国と条約その他の国際的な約束を締結している場合には、より簡単な方法、例えばそっちで認証した書類を提出してもらうだけ、こういったより簡便な方法で認定を受けることも可能なようなことを想定いたしております。
  102. 荒井広幸

    ○荒井委員 そうしますと、茂木通産政務次官、一つは、我が国はそういう意味で国際的に受け入れるといいますか、国際的に日本としては開放していく、これは非常に積極的な姿勢だと思うんですね。また、当然だと思うんです。  では逆に、海外では日本認証業務業者等はどのように扱われるのか、外国法で日本の認証事業者が認知を受けることはできるんでしょうか。
  103. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 大変重要な御指摘でございまして、一般的に申し上げますと、既にこの電子認証業務を導入している国もあるわけでございまして、そういった国におきましては、本法案のように、自国の事業者と同様に自国以外の事業者が認定を受けることが可能な制度になっている、このように承知をしております。したがいまして、我が国の事業者が所定の手続を経て認知を受けることは可能だ、このように考えております。  なお、この法案に基づきまして、我が国が海外諸国と条約その他の国際的な約束を締結いたしまして、相手国の事業者が簡単な方法で我が国の認定を受けることができるようにする際にも、当然、相手国に対しましても同様の扱いを求めていくこととしております。  こうしたいわゆる相互認証を通じまして、我が国の事業者が負担感なく諸外国でも認知を受けられるよう国際的な環境を整備することによりまして、電子的な取引が国際的に拡大し、我が国の経済活性化にも貢献していくものと考えております。  そんな中で、委員は多分アメリカのことなんかも御想定されているんじゃないか、州によりまして制度が違ったり、こういうことも含めて積極的な働きかけをこれから行ってまいりたいと思っております。
  104. 荒井広幸

    ○荒井委員 そういう意味で、相互に承認という環境ができませんとネットの持つ意味というのが十分生かされないわけでございますが、こういうことを一つ一つ調整していくといいますか、あるいはネット時代に、デジタル時代に、一つ一つ課題が生まれたら、それをまた一つ一つグローバルな視点でそれらを共有の問題として認識し、また解決していく。物によってはお互いに、先ほどのように相互認証のような方向でやっていく。  こういうようなことを考えますと、私は、そろそろネット上でサイバー国連というような存在が必要なのではないか。さまざまなことが起きてまいります。そういう意味で、サイバー国連というものを一つ提唱させていただいておるわけでございますけれども、引き続き、先ほどの話に続きましてお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、相互に承認をする、日本で受け入れられるときには、あなたの国でもお願いしますよ、こういうような御説明であったかと思いますけれども、それでは、相互認証のために何をどのように進めていくのでしょうか。お尋ねをいたしたいと思います。これは局長にお願いします。
  105. 太田信一郎

    ○太田政府参考人 お答え申し上げます。  荒井先生御質問のように、相互承認、大変重要な課題だと思っております。ただ、相互承認を進めるに当たっては、まず、各国が認証業務の認定に際して求める例えば設備のセキュリティー基準等の要件や義務について、国際的な整合性を確保していくことがどうしても必要でございます。  ということで、我が国としても、二国間の協議、あるいはOECD、APEC等の多国間協議の場など、あらゆる場を活用いたしまして、認定要件等の整合性を確保すべく努力し、国際的な相互承認が推進されるような環境づくりを目指していきたいというように考えておるところでございます。
  106. 荒井広幸

    ○荒井委員 今、太田局長から説明がございまして、いろいろ課題、手続というのが具体的にあるな、こういうふうに思うんですが、この間、国内で活動しておられます認証事業者のところに行ってまいりました。  その事業者はアメリカでも当然やっておられるんですけれども、当然アメリカというとちょっと残念な気持ちがいたします。日本もそれに追いつき追い越せ、こういう気持ちでございますが、アメリカでやっておる事業者でございますが、認証する際、アメリカとどれぐらい厳しさに違いがありますかと聞いてみましたら、日本では印鑑証明という手続を商慣行上も社会的にも組んでおりますが、アメリカではそういうものはありませんので、免許証とか、そういうもので要するに本人確認をするんですね、第一段階として。ところが、日本は印鑑証明、場合によってそういうことで、きちんと印鑑証明まで求めるんだそうです。  そうすると、本人確認というのは非常に日本の方が厳格なんですね。アメリカや世界の方でも今までにこうした電子かぎ、電子署名を破られたことはないというような話ですけれども、むしろ日本は、煩雑であったかもしれませんけれども、逆に、本人確認なんという意味では、二重三重のチェックという意味では非常に充実していると思うんです。  そういうところも、その事業者は、逆に、マイナスであったように我々も思っていたけれども、本人確認という意味では非常にいい点が日本にあるなというようなことで、アメリカについても、本人確認であれば幾つものチェックの手段みたいなものを考えたいと言っておりましたけれども、こういうネットの時代に、マイナスがプラスになり、プラスがまたマイナスになる、こういうものがあるんだなというふうに痛感をいたしたんです。  局長お話にもありましたが、環境の整備に努めてまいりたい、その気持ちは非常によくわかるんですが、郵政省、ITUがあるじゃないですか。内海さんが、言ってみればITUの事務総局長ですか、最高責任者です。そこを使わない手はないと思うんですが、どういうふうになっておりますでしょう。
  107. 天野定功

    天野政府参考人 国際相互承認を進めていきますには、先ほど太田局長からも御答弁ございましたように、諸外国との間におきまして、例えば、認定に際しての認証業務の要件の国際的な整合性を確保するとか、あるいは認証業務で用いられる認証技術や方法の共通化を可能な限り進めていくことが非常に重要でございます。  この点、ただいま御指摘のありました電気通信分野の国際標準化を行うITU、国際電気通信連合におきましては、既に、認証事業者が発行する電子証明書のフォーマットにつきまして国際標準を定めているところでございます。したがいまして、国際相互承認の推進に当たりましては、ITUによるこうした標準化の実用も踏まえつつ、国際的に整合性のとれた制度の整備を引き続き推進していくことが重要であろうと認識しているところでございます。
  108. 荒井広幸

    ○荒井委員 X.五〇九とか、読み方はちょっとわかりませんが、そういうフォーマットがあるということでございますが、そういうことをやっていく中で、さらに環境整備というのがやはりどうしても必要になるということになれば、一つは、サミットという場が当然我が国を会場としてあるわけです。そういう場を使うべきだなというふうに私は思っておるんですが、それでは、そのサミット参加国で我が国と同様の趣旨の法律は整っているんでしょうか。どのような状況になっているんでしょう。お尋ねをいたします。
  109. 太田信一郎

    ○太田政府参考人 お答えいたします。  サミット参加国に関しましては、既に、フランス、ドイツ、イタリアなどで電子署名認証業務に関する法律が成立しているところでございます。また、アメリカにおきましては、全五十州のうち四十六州において同様の州法が成立しております。また、サミット参加国ではございませんが、韓国、マレーシア、シンガポールなどでも既に立法が行われているところでございます。  他方、電子商取引のグローバル性を考慮いたしまして、ヨーロッパにおきましては、域内の制度を調和させるべく、統一的な電子署名指令がことし一月に示されているほか、アメリカでも連邦統一法案の検討が進められており、また、カナダでも統一電子商取引法案の検討が行われているところでございます。  今回の法案でございますが、こうした各国での制度整備の内容と整合性を保った形で設計されております。今国会で本法案がお認めいただければ、国際的にもおくれることなく、むしろ、荒井委員言われましたように、セキュリティー等々の面でいろいろな進んだ工夫がされていると思います。ということで、世界に通用する制度が構築できるのではないかというふうに考えているところでございます。
  110. 荒井広幸

    ○荒井委員 今の局長の御指摘が本当だなというふうに私は思うのです。むしろ世界の中でも進んでいるわけです、きょう議論をさせていただくということを含めまして。そういう意味で、日本は非常に治安についても安心な国である。今いろいろな問題が起きていますが、比較すれば本当に安心な国でございます。そういう意味で、やはりネット上も安心である、安心な国日本だということになれば、またそこが一つの基地になりますから、いわゆるネット上での、いろいろ、今我々が考えていないようなサイバービジネスも、この拠点を日本に持ってこようということにもなるわけでございますから。こういう審議の過程を含めながら、この法案をつくっていく、これが世界にきちんと発信されなければ、やはり日本の評価というのはなかなか正当に評価されないのだろうというふうに思うのです。  そういう意味で、サミットというのがあるわけでございますので、後ほどそれについてはお話をさせていただくことにいたしまして、あとこれに関連いたしまして、我が愛すべき郵政三事業についてお話を聞かせていただきたいわけなんです。  三事業の中でも、まさに電子化、デジタル化、あるいはインターネット利用、こういうようないろいろな呼び方で進められておりますけれども、郵便貯金についてもいろいろなものも用意されているわけです。郵貯では郵貯インターネットホームサービスというのでしょうか、いろいろと言っております。デビット決済サービスなんというのもあるわけでございます。  郵便事業においてハイブリッドめーるというのが今度つくられているわけですけれども、どのような形でハイブリッドめーるでは本人を確認していますか。その本人確認方法についてお尋ねをさせていただきます。
  111. 前田正

    前田政務次官 お答えを申し上げたいと思います。  先生御承知のとおり、ハイブリッドめーるはことしの二月一日からサービスを開始いたしました。サービス提供の都度、本人の利用者番号とパスワードを入力していただくことによりまして、登録者本人のみによる利用というものを確認させていただいております。  さらに、架空の名前あるいは他人の名義での登録、利用を防止するために、利用登録後、郵便局から本人確認のための郵便、すなわちハイブリッドめーるを送付することとしておりまして、また、利用者番号やパスワードについての照会等につきましては一切応じないというふうな、こういう措置をとらせていただいておるところでございます。
  112. 荒井広幸

    ○荒井委員 今政務次官の御指摘で、非常に私取り上げたかったところがあるのです。郵送において本人を確認するのです。実は、最高裁判所を含めて、裁判所からの本人に対する通知も、当然ながら、信書ですから、これは郵便なんです。郵便というのは、これは最も確度の高い、郵便局員さんたちが配達する信書というものは、本人確認するに、世界でもまれなくらい極めて確度の高いものなんです。こういうところを組み合わせながら、実は電子の世界、ネットの世界あるいはサイバーの世界にやはりやっていかなくてはいけない、こういうことも私たち考えていかなくてはいけないと思うのです。  そこで、国営公社を迎えようとしております。国営公社の中で、こうした電子化の取り組み、これを戦略的に当然やっていかなくてはいけないのです。きちんとやっておられるのでしょうか。
  113. 前田正

    前田政務次官 お答えを申し上げたいと思います。  今先生御指摘のとおり、社会の電子化、デジタル化の流れの中で、郵便局サービスについてどういうことができるのか、こういうものにこれからやはり対応しながら積極的に取り組んでいかなければならない、このように考えております。  第一には、電子技術を利用した新しいサービス開発などについて、例えば郵便分野では、今申し上げましたハイブリッドめーるサービス、それから貯金分野ではインターネットホームサービスとか、あるいはICカードの実証実験、あるいは簡易保険の分野におきましてはインターネットで住所の変更届の受け付けなどを行っております。  また、電子政府の実現に向けた取り組みの一環といたしましては、国民に最も身近な郵便局でのワンストップ行政サービスの実証実験を平成九年度から実施させていただいております。  郵政省といたしましても、二万四千七百の郵便局を通じまして、デジタル化のメリットを国民の利用者に還元できるように、IT技術の郵政事業への活用などについて戦略的観点から引き続き研究をしてまいりたい、かように思っております。
  114. 荒井広幸

    ○荒井委員 そこで、二つ、少し私の頭にありますことを申し上げさせていただきますと、今お話がありましたように、電子化のメリットを生かすというのは非常にいいことなんです。きのうも自民党の通信部会で、セブンイレブンの電子部長さんでしょうか、お話を聞きましたけれども、結果的には、セブンイレブンでさえ、商品勝負であるけれども、サービス勝負であるが、やはり人というところに行き着くというお話をされているのです。  ですから、郵便局がすべて電子化してやってしまうのであれば、郵便局でないんです。人と人との触れ合いがあるから郵便局なんです。行き過ぎた電子化戦略をとらないように、私は御注文を申し上げたい。人と人が触れ合うからこそ、初めてツールとしてのITというものが生きてくるわけでございまして、手段と目的というものを、あるいは過剰な過信というものはいけないのではないかというふうに思うわけでございます。その意味で、少し、デジタルバブルと呼ばれているのも私はわかるような気がします。ちょっと期待し過ぎているところもあるのではないかというふうに思うのです。  私のふるさとの福島県の五百戸の村、全部テレビ電話がございます。そして、そのテレビ電話で、学校の授業参観も使うのです。そうしたらば、テレビ電話で見られるからと思って一生懸命お勤めしていましたお母さんが、テレビ電話で見ながら、そうしたら、社長さん、やはりうちの子供いるからかわいそうですからと言って、軽自動車で飛んで学校に行って、子供をじかに見るのです。やはりテレビ電話ではかわれないが、テレビ電話があったからこそ、行ってあげたい、行くべきだといって休んで、結局行ったのです。  やはりこういう、人というものが当然中心のデジタル化ということを考えていかなければならないというふうに思っておりますので、最後に、先ほどからのお話に関連してお話をさせていただきたいと思いますが、光と影の部分がある。その意味での、電子認証というものは、安全というものを問うているわけでございますが、今度のサミットでは、まさにこうしたセキュリティーの部分、そしてデジタルディバイドのものをきちんと議論すべきではないか。  この二つを日本が世界に先駆けて解決していく、そういう問題に取り組んでいくということで、まさに世界のITのトップランナー日本としての位置づけが不動になると思うのですが、その点、郵政大臣、いかがお考えになっていますでしょう。
  115. 八代英太

    八代国務大臣 元気の出る御質問、ありがとうございます。  まさにIT革命を推進していく上では、ネットワークの高度化や技術開発の推進等に加えて、委員が御指摘のとおり、セキュリティー対策やデジタルディバイドの対策といった、いわゆる影の部分への対策をあわせて行うことが大変重要だというふうに思っております。これからは国境を越えた不正アクセスへの対応も考えなければなりませんし、あるいは先進国と途上国とのデジタルディバイドの克服等、先ほど述べた我が国の取り組みに加えて、国際的に協調するということは大変重要だというふうに思っておりまして、この分野が九州・沖縄サミットにおける議題の中で、前小渕総理も、これはしっかりと取り上げなければならないということをおっしゃっておられたわけでありますが、IT革命は、その重要性にかんがみまして、取り上げられる方向にあると私どもも聞いております。  郵政省としては、セキュリティーやデジタルディバイドといった影の部分への対応の重要性も十分認識して、そして関係省庁とも協力をして、IT革命のために、今後とも、サミットを初めとして、国際社会に積極的に協調、貢献してまいりたいと思っております。  また、先般、「IT JAPAN for ALL」、万人のためのIT日本チャチャチャとでも申しましょうか、こんな思いでビジョンを発表させていただいたところでございますので、これから、私たちもそういう時代に向けて、IT革命の推進のために頑張りたいと思います。  しかし、それを動かすのはまさに、郵政三事業のあのフットワークに見られる郵便局の皆さんの汗と涙のように、人間が動かすものである、人間が基本になければならない、この思いは絶えず心にとどめおきながら頑張りたいと思っております。  ありがとうございました。
  116. 荒井広幸

    ○荒井委員 終わります。
  117. 前田武志

    前田委員長 福留泰蔵君。
  118. 福留泰蔵

    ○福留委員 公明党・改革クラブの福留泰蔵でございます。  電子署名及び認証業務に関する法律案について質疑をさせていただくわけでございますけれども、当然、もう今さら申し上げるまでもなく、我が国の経済発展のためにITの進歩を活用した新たなビジネスサービス展開などを一層推進していくことが重要であります。そして、その上で今大事なことは、この情報化を阻害するような諸制度を見直していくことが日本経済の発展にとって不可欠だと思うわけでございます。  このITを利用したビジネスサービス展開という観点から、今後大きな期待をされているインターネットを利用した電子商取引をどのように安心して利用できるようにするかということが課題でありまして、いわゆる成り済ましやしらばくれ、電子文書の改ざんを防止する必要がある。そして、このために暗号技術を利用した電子署名、電子認証が有効であるということで、今回の法律はこの電子署名また認証の法的位置づけを明確にしたという法律であるというふうに理解をしているわけでございます。  また、この法律に関係する質疑に入らせていただく前に、こういったIT社会における日本経済の発展のためにさまざま解決をしなければならない諸制度があるというふうに私は思っておりまして、そういった観点からまず質問をさせていただきたいと思います。  まず、経団連が本年の三月に、IT時代にふさわしい新しい情報通信法の制定を求めて、IT革命推進に向けた情報通信法制の再構築に関する第一次提言を発表しております。この中で、経団連は、通信と放送は個別の法律により許認可、登録などの規制が設けられており、このままの状態で制度面の整備がおくれれば、事業者の創造的な事業展開が阻害され、利用者が技術革新の成果を享受できないと指摘しており、現行の各種情報通信関連法を公正競争ルールに基づいた総合的な新情報通信法に吸収し、整理統合を行うべきといった思い切った提言を行っております。  このような情報時代を見据えた通信・放送法制度の抜本的見直しにつきましては、既にアメリカにおいて九二年に行っておりまして、我が国はこれに対しては大変おくれているという現状でございます。今回、ある意味で言えば事業者サイドの代表である経団連からこのような提言が出たということは、積極的にこれを考えていかなければならないと私も思うわけでございます。  まず、郵政大臣に、経団連が提言しておりますけれども、新情報通信法という形で、通信と放送の融合という観点からの法制度を行っていくということについての御見解を伺いたいと思います。
  119. 八代英太

    八代国務大臣 福留委員からは、特に公明党からも、電子政府の実現の推進に関する法律案のたたき台もいただいておるわけでありますが、今御質問いただきましたように、通信・放送に関する現在の法制というものは、他人の通信を媒介する通信事業と、みずから編集した情報を直接公衆に送信して言論報道機関としての性格を持つ放送と二極になっているわけでございます。こういう事業の特性に応じた規律となっておりますが、憲法上の要請も、それぞれ、通信の秘密の保護と表現の自由の確保というふうに異なっているところでもございます。  近年の情報通信技術の発展に伴いまして、通信と放送の伝送路の融合化及びサービスの多様化が進展しておりますが、通信事業と放送の基本的な特性には変化はなく、少なくとも現時点では、現行法制度の枠内で対応できていると考えております。  私はこんなふうに、昨年の十月五日は思っていたんです。思っておりましたが、しかし、時代のテンポは速い。そしてまた、まさに技術の競争時代がこれから本当に分進秒歩、日進月歩をそんなふうに表現する人がいるわけですが、そういう状況を見ながら、先生御指摘のような意見が各界から出ておりまして、こうした意見をしっかりと受けとめまして、私たち郵政省としても、国際的な動向や長期的な観点から放送のデジタル化等の動きも踏まえながら、この問題については的確に、また早急に対応していかなければならない。また、経団連を含めて内外からいろいろな形で私たちに寄せられているということも参考にしなければならない、こんなふうに思っているところでございます。
  120. 福留泰蔵

    ○福留委員 認識を変えて、前向きに考えていくという御答弁でございました。  前回の私の当委員会における質問でも取り上げさせていただきましたけれども、二十一世紀の情報通信ビジョンというものを三月に出されました。このビジョンの中でも、通信と放送の融合化ということに関して、融合事例に対する現行制度の適切な対応、現行法制度に関する評価検討の場の設置、技術的環境整備の推進というのを、基本的政策としてもうここにしてあるわけでございます。  恐らくこのレポートを受ける形だと思いますけれども、郵政省は、本年の五月から、大手民放、家電メーカー、NHK、NTTなどの社長クラスで構成する研究会を設置し、通信・放送融合に向けた法整備を行うという発表もされております。この研究会では、法整備の具体的な見直し時期や方法について検討を行い、本年度末には提言をまとめる方針とのことのようですが、それにしてもアメリカに比べて遅いなという感じがするわけでございます。  研究会がこれから立ち上がるということですから、研究会で審議をしていただいてという答弁になるかもしれませんけれども、私は、何かしら具体的な、この法制度の見直しの時期や方法についての郵政省としてのお考えがあってしかるべきだというふうに思うわけでございますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
  121. 小坂憲次

    小坂政務次官 御指摘の研究会ということでございますが、これは新聞には研究会と書いてございますけれども、私どもの方ではまだ、検討の場ということで解釈をいたしております。  いわゆる通信と放送の融合につきまして、先月二十九日に電気通信審議会において取りまとめされました最終答申、二十一世紀の情報通信ビジョンの中におきまして、「今後の通信と放送の融合化の一層の進展に伴い、両分野において個別に規制を行っていくことの評価、問題点の抽出、当該問題点に対する対応等に関する検討の場を設けるべき」との提言をなされております。  私どもにおきましても、今具体的なという御指摘ではございますけれども、本答申を踏まえまして、通信と放送の融合に関する検討の場を、研究をされていらっしゃいます学者の皆さんあるいは事業者の方、あるいはこういった方面に詳しい、研究をされておられますメーカーの関係の方も踏まえて、郵政関係等のさまざまな知識を集めて、検討する場を早急に設けたいということでございまして、具体的な時期につきましては御勘弁をいただきたいと思います。
  122. 福留泰蔵

    ○福留委員 先ほど来の審議で、実は事業法の審議をしておりましたけれども、それに関連してくることになると思いますが、八代郵政大臣が四月二十一日の閣議後の記者会見で、情報時代を踏まえて、NTT法はいろんな意味で再検討する必要はあるというふうに述べられたと新聞で報道されております。  これは恐らく接続料問題に関連している話かもしれませんけれども、このNTT法の見直しというのは、第一種通信事業者の市場シェアで六八%、地域通信市場で九九%、移動体通信市場で五三%のシェアを保有するNTTグループであるわけでございまして、かえって、この見直しの結果として市場支配力が増してくるのではないか、そして通信市場の健全な発展を阻害する要因になりかねないのではないかという心配もあるわけでございます。  私は、このNTT法の見直しが今後どのようになされるかということもはっきりわかりませんけれども、NTT法の見直しに関連して、これは独占禁止法の適用のあり方ということでいえば御答弁できないかもしれませんけれども、公正競争確保のあり方ということも、あわせてこれは検討していく必要があると思うわけでございますけれども、そういった観点から御答弁をお願いしたいと思います。
  123. 八代英太

    八代国務大臣 先般、記者会見場で私が述べましたことは、検討課題だが、今すぐ改正を考えているわけではないということを最後に申し上げておったところでもございますが、NTT法の見直しにつきましては、NTTの再編成が実施されたのは昨年の七月でございます。そういう東西NTTが今中期経営改善施策を推進中でもあるということを考えますと、再編成後の市場の動向やNTT経営改善状況を見きわめながら慎重に検討すべきものと私自身は考えております。  したがいまして、NTT法の見直しは、これは中長期的な視野で検討すべき今後の課題というふうにとらえておりまして、検討に当たっては、ユニバーサルサービスというものをNTTに私たちは依存しているところも非常に大きいわけであります。また一方、NTTのもろもろの経営状況等々を考えていきますと、厳しさもある、ぎりぎりである、いろいろなことを考える中において、中長期的にはユニバーサルサービスを、一体、公的資金等々も導入する道筋もあるや否や、こういうことも含めたいろいろな角度からの展望というぐあいにとらえておりまして、今すぐNTT法を見直すということでのコメントではないことをぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  124. 福留泰蔵

    ○福留委員 いずれにしても、いわゆるIT社会の到来に当たって、通信市場をいかに健全に発展させていくかということが大変重要だと思っておりますので、そういった意味で、今までのすべての法律、制度というものをまた見直していくことは大変必要なことだと思いますので、そういった観点から積極的に検討をしていただきたいと思う次第でございます。  この法律案に関連して、引き続き質問をさせていただきたいと思います。  この電子認証、電子署名の国際相互認証については、先ほど荒井理事の方から御質問がありましたので、簡単で結構でございますけれども、確認の意味でもう一回答弁をいただきたいと思います。  基本的には、国内でこういう制度ができたときに、それを外国と相互認証できるようにするということは大変重要なことだろうと思います。先ほどお話があったとおり、インターネットというのはグローバルな社会でございますので、これまでの商取引というものが、物理的な商取引の環境と異なるという側面が出てくるわけでございますので、この国際相互認証というのは大変重要だと思っているわけでございます。これをどのように推進していくかということが大変これからの課題だと思っておりますけれども、その推進をどのように図っていくのかということについて御答弁をお願いしたいと思います。
  125. 太田信一郎

    ○太田政府参考人 委員御指摘のように、国際的な相互承認のスキームがない限り、十分な機能は発揮されないというところはまさに御指摘のとおりでございます。私どもも、関係省庁力を合わせて、この法案が成立を見れば、ぜひとも二国間協議あるいはOECDあるいはAPEC等のあらゆる場を通じまして各国に働きかけて、お互い国際的な相互承認のスキームができるようにできる限りの努力をしていきたい、環境整備に努めていきたいというように考えているところでございます。
  126. 福留泰蔵

    ○福留委員 このインターネット社会のグローバル性という観点から、今回の法律の中で私は一番注目をしたことがございます。実はこのことは質問通告をしてございませんので、御答弁があれば御答弁をいただきたいのですけれども、この法律の中で、やはり確かにこの法律というのは重い法律だなというふうに感じた点でございます。  それは罰則規定でありまして、罰則の第四十一条に、「認定認証事業者又は認定外国認証事業者に対し、その認定に係る認証業務に関し、虚偽の申込みをして、利用者について不実の証明をさせた者は、三年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。」これはどういうことかというと、つまり認定事業者が何か悪さをするとそれは処罰する規定はあるんだけれども、認定事業者に対して利用者の方が虚偽の何か申し込みをして、虚偽の何か結果が出てきたときにそれを処罰する法律がないからこの法律ができたということを聞いております。  そこで大事なことは、ここに認定外国認証事業者もこの罰則の中に入っているわけですね。ですから、外国人が外国の認定事業者に対して虚偽の何かをやったときには、その外国人を国内法で罰することができるという法律なわけです。これは、こういった処罰ができるという項目はほかにたくさんないはずなんですね。ですから、そういった意味で、この法律の重みというのを私は感じたわけでございます。  きょうは法務省がお見えでございますので、質問通告をしてございませんでしたけれども、その点について何か御答弁があれば、御答弁いただきたいと思います。
  127. 細川清

    ○細川政府参考人 委員御指摘のとおり、本法案の第四十一条では、認定認証事業者だけではなくて、認定外国事業者に対して、その認証業務に関して虚偽の申し込みをして不実の証明をさせたときには、刑罰に処するということになっております。これは、例えば役所でつくる文書、例えば登記簿とか戸籍に虚偽の申請をして虚偽の記載をさせると、これは刑法上の公正証書原本不実記載罪となるわけです。  この署名につきましては、やはり非常に重要なもので、権利義務の発生にかかわるものですから、やはり民間事業者のやるものであっても、国が認定する以上は信用を確保するものでなければならない、こういう趣旨で罰則を設けているわけでございます。  そして、先ほど来御説明がありますように、こういった電子認証の世界は世界的な広がりを持っておりまして、我が国だけで閉じこもるということはできないものですから、そういった世界的な問題を考えますと、我が国の認定を受けた外国の認証事業者に対して、そのようなことを行ったときはやはり日本の刑罰法規も適用して罰則をかけなければならない、そうでなければ適正は保てないということになるわけでございます。  これらは国外犯という規定でございますが、やはりこの罰則によって守られる法益の重さによって、国外犯になっていたり、あるいは国内犯に限ったりいたしているわけでございます。したがいまして、本法案では、そういったところの重要性にかんがみて、これを国外犯の適用といたしたわけでございます。
  128. 福留泰蔵

    ○福留委員 今御答弁がありましたけれども、まさしくこういった仕組みというのはIT社会における社会の基盤をなすものでありまして、グローバル化する社会の中でこういった処罰規定を、罰則規定を設けるということはまさに重要なことだろうと私は認識しているわけでございます。  続きまして、電子認証、電子署名という観点については、基本的には個人を認証する一つ仕組みでありますけれども、先ほど大臣からも御答弁の中で御紹介していただきましたけれども、我々は、電子政府ということを推進しようということで今一生懸命取り組んでいるわけでございます。こういったIT社会を推進していく上で、政府役割というものは大変大きいというふうに思っておりまして、IT社会の最大のユーザーとなるということを宣言することが電子政府であり、そしてそのユーザーとなっていくということが電子政府の推進だろうと思っております。  政府国民との申請手続だとか、調達だとかいった手続の際にもこういった電子認証、電子署名という手法が必要になってくるんだろうと思うわけでありますけれども、そういった観点から、こういった電子署名、電子認証についても、私は政府が最大規模のユーザーになるのではないかと思うわけでございます。そういった観点からの政府役割をどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  129. 八代英太

    八代国務大臣 情報通信の活用は、我が国経済の構造改革を推進する原動力として重要な役割を果たすものでもございます。大きなユーザーでもある国や地方公共団体の情報化を推進して、そして電子政府を実現していくことは、行政の効率化、それからまたサービスの向上のためにも大変重要であるとともに、経済社会全体の情報化の起爆剤として大きく期待されるところでもございますし、日本経済の発展にとっても極めて重要でございます。  このため政府としては、昨年十二月に、電子政府の実現をミレニアムプロジェクトとして取り組むと決定いたしまして、二〇〇三年度までには、民間から政府政府から民間へと、行政手続をインターネットを利用してペーパーレスで行える電子政府の基盤を構築することとしておるわけでございます。  私自身も高度情報通信社会推進本部の副本部長という立場でございますので、関係省庁との連携を図りながら、電子政府の早期実現に積極的に取り組んでいきたいと思っております。  御党の中に、電子政府実現本部を設置する、こういう文言がありまして、なるほどな、そのくらいの取り組みでないと、言ってみれば、これからの安心、安全の電子政府というものは構築はできないのではないかというような思いも抱きながら、これから積極的に推進をしていくように努めたいと思っているところでございます。
  130. 福留泰蔵

    ○福留委員 大変ありがたい答弁をいただきました。  政府役割という観点からいうと、これは当然この中にも入っていますけれども、私は、問題意識として、電子署名だとか電子認証の基盤となっている暗号技術というのはこれからの世界経済を支配するかぎになっていくんじゃないかという認識をしております。  既に、アメリカ政府は、アメリカ政府が採用する暗号技術について、今選考段階に入っているというふうに伺っておりまして、ことしじゅうにそれを決定するということを伺っております。アメリカ政府がある暗号技術を決定したときに、もし、アメリカ企業はすべてそれを使わなければアメリカ政府と取引ができないということになると、アメリカ企業は全部をそれを採用する。アメリカ企業日本企業が何か商売をするときに、そうすると、その技術を使わざるを得ない。そうすると、今度アメリカが採用する暗号技術というのは世界を制覇する。ある人が言うには、二十一世紀のIT社会というのは、これまでドルが世界経済を支配していたけれども、二十一世紀はアメリカの暗号技術が世界の経済のかぎを握って、支配をしていくのではないかというふうなことまで言うような人がいます。  私はそういった観点からも、日本政府としても、暗号技術の重要性というものを当然認識していらっしゃると思いますけれども、その開発を含めて、やはり積極的に国家戦略としてこれは取り組んでいくべきだと考えております。これは質問通告していませんので、私の意見だけ申し上げさせていただきたいと思います。  そういった観点から、具体的には電子認証、電子署名は民間の事業者を認定するということになるわけでございますけれども、このとき、電子署名、電子認証する際に、利用者は利用料金を払うわけですね。利用料金というのは民間が商売ベース料金を設定するはずです。  例えば、国に国民が何か申請をするといったときには民間の認証機関を利用して、利用料を払って手続をするということになってくると、こういった認証事業者に支払う利用料金というのはある意味で社会的な公共性のある料金になってくるのじゃないかなと思っているわけでありまして、こういった利用料金について、市場原理だけにゆだねていて果たしていいのか。あるいは、ひょっとしたら高過ぎる料金国民として支払う羽目になってしまうのじゃないかなという懸念もあるわけでございまして、利用料金といった観点から、今後どうなっていくと予測されているのか、それを含めて御答弁をいただければと思います。
  131. 天野定功

    天野政府参考人 今回、認証ビジネスにつきまして、御審議いただいている法律におきましては民間のビジネスとして展開していくことが前提になっております。したがいまして、認証事業者の料金設定につきましては認定の基準の対象とはせず、認証事業者が自由に設定できることといたしております。  それで果たして適切な料金になるのだろうかという御疑問でございますが、これにつきましては、認証事業者として複数の事業者の参入が見込まれまして、認証サービスの多様化や需要の増大によりまして、市場原理のもとでコストに見合った適正な水準に料金が設定されていくものと考えているところでございます。
  132. 福留泰蔵

    ○福留委員 複数の事業者が参入して適正な料金になればいいと思うのですけれども、こういった世界での、これは公開かぎと秘密かぎを使うという方法ですから、いろいろな事業者が参入できるのかもしれませんけれども、今後の技術進展の方向性によってはさまざまな認証業務のあり方というのが考えられるわけですね。  今回の法律というのは、現状の技術で、中立的な技術という観点からこの法制度がなされたというふうに伺っているわけでございまして、技術はこれからどんどん進展をしていくわけでございます。そういった中で、あるところが特許をとってこの分野における大変な市場支配力を持ったときにはある意味で大きな社会的影響を与える状況になるのだというふうな危惧というか、ないかもしれませんけれども、そんな心配もしたりして、こういった観点もちょっと考えておく必要があるのかなという感じがしているわけでございます。  いずれにしても、今回の電子認証、電子署名というのはIT社会の実現に当たっての第一歩だろうと私は思っておりますし、国際的には、さまざまな国においてこの法制度がもうなされている。サミットをこれから日本が迎えるに当たって、日本だけができていないという状況はまことにお恥ずかしい限りでございますので、しかし、これは第一歩だという認識をしながら、今後ともIT社会の実現に向けて全力で取り組んでいく必要があるということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  133. 前田武志

    前田委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  134. 前田武志

    前田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渋谷修君。
  135. 渋谷修

    ○渋谷委員 民主党の渋谷修でございます。  先ほど来から、この新しい法律電子署名及び認証業務に関する法律案についての審議を行っているわけでありますが、情報通信の急激なと言うよりは爆発的な発展と言った方が何か雰囲気は合うんじゃないかと思うんですが、先ほど来の御指摘のように、国内のみならず、もちろん国際的なネットワーク化が急速に進んでいるという状況の中で、今私どもが審議をいたしますこの電子署名の制度については、既に幾つかの国あるいは地域においてそれぞれ具体化されているわけでありますけれども、これからのこういう時代にとってこれは大変大事な制度になるということは、多分共通の認識であろうと思います。  前文の部分は省きまして、この制度について、それにいたしましても、日本情報通信産業、別途時間があれば、アメリカに幾分かおくれをとっている部分について、なぜそうなっているのかということを幾つか検証しておきませんと、これは大事な問題だなというぐあいに思っているんですが、電子署名にかかわる制度についてもっと早い時点で取り組んでもよかったのではないかというぐあいに思うんですね。この間の審議、それぞれ研究された努力というのはもちろんあろうかと思いますが、若干この間の経過について御説明をいただけますでしょうか。
  136. 小坂憲次

    小坂政務次官 電子認証を法律で定めるに至った経過ということでございますが、近年の急速な情報通信の発達によりまして、また、インターネットによる商取引を初めとしたビジネスというものも爆発的な進展を見ているわけであります。そういう中で、各種のインターネット利用技術が進展をいたしておりますので、それに伴い、我が国の情報通信の安定的な発展のためには、どうしても商取引を行う上で安定的な情報通信基盤というものを整備していかなければいけない。それはハードウエアの部分もそうでありますが、同時にソフトウエアの部分でもこれを整備していく必要性がある。  このような認識に立ちまして、通信の相手方が本当に本人であるのかどうか、これが確認できなければ契約等の重要通信の安定が図られない、また、通信の内容が途中で改変されていないかどうか、こういったことを電子的に確認する方法を整備する必要がある、このような基本的な認識に立ちまして、昨年四月の高度情報通信社会推進本部におきまして決定されたアクションプラン等におきましても、我が国における電子署名・認証に関する法制度整備が求められているところでございまして、そんな意味で、諸外国の状況を踏まえながら、できるだけ速やかにこのような体制を整備したいということで、本国会において成立を期して提出をさせていただいたところでございます。
  137. 渋谷修

    ○渋谷委員 実は今の政務次官の言葉の中にも一部あったんですが、諸外国の状況を見ながら、またそれを踏まえながらというようなことがあるわけですが、実は政府の方は、行政情報化推進基本計画、これは平成六年の閣議決定でありますけれども、それ以降、もちろんこうしたことについて想定をしながら、作業として取り組んできたわけですね。今度のことは、細かいことの過去の経過をいろいろ話をしても仕方がありませんので、いずれにせよ、そういう作業としての研究作業をやってきたんです。電子証明ということも具体的に取り組まなきゃいけないという認識もあったんですね。  これは何も日本政府だけの話ではありませんで、国連の中に国際商取引法委員会という委員会がありまして、その中に電子商取引作業部会という部会があって、それは年に二回と聞いておりますが、そこに各国のそれぞれの作業状況報告するというようなことになっておりまして、この間、もちろん日本からも参加をしているわけなんですが、各国のそれぞれ進展状況を見ながら、実は日本もまだ検討中、研究中、そういう報告が繰り返されてきたんですね。  これは一体どういうことなんだろうか。話を縮めて言えば、もう既に九七年ごろにはほかの国では法律ができていますし、あるいは、後ほどまた指摘をいたしますが、認証のためのそういう事業者なども早い段階で設立もされているわけですね。どうしてこれだけ重大な問題についてもっと早い対応ができないんだろうかという根本的なところ、これは後ほどの議論ともかかわってまいりますので、いかがでしょうか。
  138. 八代英太

    八代国務大臣 この問題は国際的にも大変取り組みは早く、しかし、ここ四、五年がそういう意味では急ピッチに進んできたところでございます。  私も、実は党の法務部会等々で、いろいろ電子認証、電子署名についての議論がありましたとき、日本の文化として、実印主義である。実印主義の判こ文化というものはなかなか難しいんじゃないか。外国のように、サインですべて相手に真意が伝わるという長い文化の国民性、そして私たちのように、判こが物を言う、また書類が物を言うという一つの文化、こういうもののギャップが、なかなかそこに急ピッチで進むという状況にはないような感じが私自身はいたしました。  しかし、ミレニアムプロジェクトの中におきましても電子政府の構築ということがいち早く掲げられまして、そういう中で作業も急ピッチに進んでまいりまして、今日の法案提出、また御議論をお願いするという経過があった。私は、そういう意味では、かなり文化的な歴史の背景がそこにはブレーキとなっていた、障壁になっていたところもぬぐい切れないのではないかという思いを持っております。
  139. 渋谷修

    ○渋谷委員 時間を節約する意味で申し上げますと、先ほど言いました国連の電子商取引作業部会に日本側から参加している方の中に、もちろん学者もいるようであります。その方の論文などもありまして、この間、実は作業がおくれてきたところは、今大臣がおっしゃった日本文化という点で、この新しい問題に率先してリーダーシップをとって取り組もうという姿勢がどうしても欠けるんですね。  周りの国々が一体どういうぐあいにこの問題に取り組むだろうか、その様子を見ながら、その法制を見ながら、それを参考にして、大体落ちついてきた、そうなれば、問題のないような形で法律をつくり上げていこうということで、そういう周りを見ていくという姿勢が、結局は国連の中で日本が、これだけの大きな経済力を持っていて、いろいろな意味での影響力を持っている国が率先して実は提起をしなければならないのに、繰り返しまだ検討中、研究中ということでやってきた、じくじたる思いをとある論文に語っているんですね。  私は、このことが非常に実は重大な問題だというぐあいに思っていまして、そのことを反省しながら、これを変えていかなければならない。それは、文化という意味でいえば、我々も含めた体質というものを変えていかないと、とてもじゃないけれども、取り返しのつかないおくれをとることになる。  実は、このことに対応がおくれているために、既に、アメリカの例えば認証の会社などに日本の関係者がそれなりの金額のお金を払って登録をしたり、もうしているわけですね。これがやはり日本でもっと早く行われていれば、実はもっと違った対応がそれぞれの組織なりでできていた部分があるわけでありまして、今回これで法案を審議いたしますが、今申し上げました電子商取引作業部会、国連の中のこの組織に対しましては、これは一番近い段階ではいつごろ開かれて、それに対して、例えば政府の方から報告するなどということになりましょうか。
  140. 小坂憲次

    小坂政務次官 ごく最近では、本年の二月でございます。  国際的な統一ルールをつくる、御指摘の国連国際商取引法委員会、UNCITRALというふうに略されておりますが、統一電子署名規則の検討作業を行っておるわけであります。その進展状況は今御指摘のとおりでありまして、最終の会合はことし二月でございます。
  141. 渋谷修

    ○渋谷委員 これからまた開かれる予定というのはありますか。
  142. 小坂憲次

    小坂政務次官 この辺につきましては、質問通告がなかったので、事務方から資料をとりながら答弁をさせていただきますが、ことしの六月から七月というふうに了解をいたしております。
  143. 渋谷修

    ○渋谷委員 そういうわけでありまして、当たり前のことでありますが、これは国内だけで、ここで議論して、ここで済む話じゃありませんで、当然のことながら、これは国際的に、あるいはそういう場で、つまり、日本語では理解されませんから、これを訳文をいたしまして、翻訳をしまして、それで各国の方々に披瀝をされ、それぞれこれから取り組もうと思っている国にとっても、ある意味ではモデルとなる法律なんですね。そういう意味では、非常に重要な法律ということの認識はいただけるのではないかというぐあいに思います。  それだけ重要な法律なので、少し逐条的にこのことは幾つか確認をしていかなければならないというぐあいに思っております。  実は、この法律をざっと見て、また各条項ごと、少し調べてみたんですが、この法律の中に、いわゆる署名をする者、電子署名の登録者についての資格要件というのは一切書いていないんです。ということは、電子署名をする、つまり印鑑登録と同じですね。この制度というのは非常に似ています。印鑑登録をする人は、子供でも禁治産者でも、例えば犯罪歴があるとか云々、いろいろな条件が出てくるでしょうけれども、例えばそういうケースについて、この電子署名の登録というのはだれでもできるんでしょうか。本法の中には一切そのことについては、資格要件等々は出てこないんですが、いかがでしょうか。
  144. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員御指摘のように、法令、条文の中には書いてございません。  それは、一つは本法による認定基準としております利用者が、申請に際し、目的としているところは、印鑑証明等の場合には、重要な財産の処分等を予定して、あるいはそういう契約行為の中で必要とされる、そういうようなものが一般的であろうと思いますが、社会情報化の進展によりまして、今日このような、今回制定される認証事業者が発行した電子証明書を必要とする事例というのは、今まで印鑑等が予定していたものより非常に広範なものになるんではないか。  すなわち、利用者は年齢的にも、あるいはその置かれた社会環境の中でも、一体どのようなものがこの認証を必要とするかという点が、まだ想定される範囲が非常に広いというふうに考えられますので、したがって、その認証業務における、未成年者かどうかというようなことは、海外の状況等も参考にしながら、今後法律の専門家等の意見を聞いて、慎重に検討していく必要があるんじゃないか。  すなわち、海外でどうなっているかというのは、この認証制度は、単に日本国のみの制度ではございませんで、先ほどもう既にお話があったとおりでございますが、海外との国際的な整合性というものもある一定の水準で保っていかなきゃいけない。そういう意味で、今後、この情報通信社会の多様なビジネスの進展とか、それから利用範囲の拡大というものを制約するようなことにならないように、今回の認定では、その状況を見る上で、何歳未満とか、印鑑証明の場合は十五歳未満は請求できなくなっておりますが、そういった年齢的な制限を設けていないところでございます。  これらにつきましては、先ほど申し上げましたように、今後十分に、慎重に検討して定めてまいりたい、このように考えております。
  145. 渋谷修

    ○渋谷委員 小坂さん、役所の答弁資料をお読みになるのはもちろんよくわかるんですが、政治家として、やはり政務次官ということで、皆さん、これは何でこういう制度を、議会の改革を行ったかといえば、政治家のリーダーシップということが必要だということが前提になっているわけですから、私も限られた時間の中でのやりとりなので、法文全体についてのやりとりをちょっとしたいと思っていますから、できる限り、役所が書いてよくわからないというところは飛ばしていただいて、結論部分でやっていただくようにぜひお願いします。  それで、いいですか、これは大事な部分を含んでいるんですよ。この法律を審議しているけれども、この法律の対象となる者の資格要件がないんです。しかも、それについては、これから他の国の法律のいわば状況を精査して、それから幾つかの条件を見ながら、言ってみれば役所のまたその判断で、例えば主務省令等で定めていこうという話になるんですが、我々が議会の中で責任を持って法律を審議するということでいえば、果たしてそれでいいんでしょうか。もう一度、政務次官。
  146. 小坂憲次

    小坂政務次官 むしろ役所の答弁があれば、それを読めば簡単にお答えできるわけですが、必ずしも委員の御質問は想定されたとおりに出てまいりませんものですから私なりの答弁をしておるわけでございまして、時間がかかって申しわけございません。  さて、今御指摘のように、私は、この分野は非常に急速に進展をしておりますし、そういう意味で、何歳ぐらいで要件が出てくるとか、そういったものを、我が国は諸外国と一緒にこれは今発展途上にあると思っているんですね、このビジネス全体が。しかしながら、一日も早くこういった制度を確定して、そして安定した基盤をつくっていかなきゃいけない、こういうことで、これからの先を見通しながら、現時点における整合性というものを保っていこうということでこの法律を出しておりますので、そういう意味で、諸外国の事例も見ながら十分に検討させていただくということをしているところでございます。
  147. 渋谷修

    ○渋谷委員 自治体のレベルで、印鑑登録などは条例でそれぞれやはり制限があるんですね。例えば、私も正確にはちょっと今わかりませんが、十五歳とか十六歳とかいうことで年齢制限などもたしかある記憶があります。  今のお話、実際に、この認証、電子署名という問題については、例えばその署名の登録については、技術的に言うと段階があるわけですよね。例えば、Eメールアドレスについてのいわば登録を行って、そのEメールアドレスが確実にそこに存在するという証明の仕方もあるし、それから、本人をきちんと、本人の存在、本人がそこにいるということでの登録もあります。そういう意味でいえば、幾つかの証明のレベル、基準というのがあって当たり前の話でありますし、ほかの国では、例えばほかの国の法律でこの利用者の資格要件というのは、それぞれのほかの国の法律というのは私ちょっと手に入らなかったものですから、それはどんなふうになっているんでしょうか。
  148. 小坂憲次

    小坂政務次官 この利用する者の資格要件ですか。それにつきましては私も詳しくは調べておりませんので、後ほど調べまして答弁させていただきたいと思います。
  149. 渋谷修

    ○渋谷委員 これは大事なことで、この法律を審議しているのに、実際に法律が成立をいたしますと、この電子署名を利用できる人と利用できない人が出てくるということですよ。そういうことがまだ不明確なままこの法案の審議をしなければならない。少なくとも一定の基準、こういうことになるんだということぐらいは、いずれこれは主務省令で落とすんですよ、主務省令でやるということになっているんですが、その主務省令で落とすことについて、議会で我々議論する側がその内容がわからないで法案審議していくというのは、私はどうかなと。  非常に重要な部分ですから、単に役所の判断に恣意的に任せればいいということではないのではないかというぐあいに思います。多分、後ろの方で、そのあたりは一定の見解があるんですよ。それはだから、この議論の中で後でまたもう一回聞きますから、それまでにちょっと整理しておいてください。  そこで、法文に参りますけれども、今申し上げました利用する者、つまり、電子署名日本語で言いますと、日本語というか我々がわかりやすく言えば、印鑑の証明をいただくという側ですね、それについては今申し上げたところが非常に重要ですよということ。  それから、この証明を与える側、これは第四条で、「特定認証業務を行おうとする者は、主務大臣の認定を受けることができる。」ということになっているんですね。認定を受ける、認可制であります。諸外国の例では、例えば認可制をとっているところ、許可制をとっているところ、それぞれの違いが当然あると思うんですね。我が国がそういうことの例示を見ながら認可制をとるとしたその理由は一体何でしょうか。他の国で許可制をとっている国の例ももしわかったら教えてください。
  150. 小坂憲次

    小坂政務次官 情報通信分野におきまして、民間活力を自由に引き出し、自由なビジネス展開が可能となる環境を整備するという観点から、行政の関与を必要最小限とすべきである、このようなことは高度情報通信社会推進本部においても同様の趣旨を規定しているところでありまして、また、国際的にも、認証業務について許可制を採用している国はイタリアのみでございます。本年一月のEU指令に基づきまして、このイタリアも二〇〇一年七月までに任意制に移行する予定でございまして、そういった意味では、なくなるという方向にあるわけであります。  任意的な認定制度とすることがすなわち国際的な流れとなっておりますので、このような状況を勘案して、本法案においては、利用者の本人確認方法等について一定の基準を満たす認証業務について任意的な認定制度を導入するというふうに規定したところでございます。
  151. 渋谷修

    ○渋谷委員 それで、第四条の二項に参りまして、特定認証業務を行おうとする者がその認定を受けようとする場合は、「主務省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書その他主務省令で定める書類を主務大臣に提出しなければならない。」というくだりがあるわけですね。  私、ここを見まして、もしかしたらこれは冗談ではないかというぐあいに思ったんですが、こういう性格の電子署名という法律、しかもそれを電子化していこう、できる限りペーパーレスにして、電子政府もこれから追求していこうという時代に、そのための法律が、その申請書を出すときに書類で出さなければならないということになっているんですね。もちろん、役所とのやりとりの中で、その書類の中には、実はフロッピーディスクだとかあるいはそういう電磁的なもの、この法律にはその前の方に、第二条の定義のところに、電磁的記録という、これは造語ですけれども、こういう言葉もきちんと出てまいります。  ところが、皆さん、ぜひ常識的に考えていただいて、書類といえばこれは紙ですよ、基本的に。したがって、前にあるこの条文の電磁的記録というのは、わざわざここに指摘をしているわけでありますから、当然、他の国から例えば我が国の大臣の認定を受けたいという者も含めて、この手続を得ようとすればそれなりの書類の量になるんでしょうけれども、それを一々紙で出さなければならないのか。なぜもっと、フロッピーディスクとか、あるいはCDとか、あるいはDVDなんということだってこれから出てくるわけですね、そういうもので許されるということに、明確に、これを見たときになるほどそうだということに、なぜそういう表現にならなかったのかということを御説明いただければありがたい。
  152. 小坂憲次

    小坂政務次官 御指摘のように、認定の申請書等、あるいは認定認証事業者の帳簿書類の様式につきましては、通常の文書のみならず、フロッピーディスクあるいは光ディスク等の電磁的記録により申請や保存が可能になるよう、申請手続や帳簿書類の保存方法を定める主務省令を具体的に規定する予定でございます。  しかし、御指摘のように、これが書類という中に電磁的記録を含むというふうにいたしておりますのは、現在、書類という用語のもとに電磁的記録も含むとしている他の法令があるわけでございます。従来は、書類といえば必ず書いたものということでありましたが、電子的な合理化の中で、その申請を電磁的なものでも認めるようにしようということに拡大をしてまいりましたので、その歴史的経過からして、他の法令において同じように書類という用語の中に電磁的記録を含むとしている部分があるわけでございまして、その意味で、法律体系全体のバランスということを配慮しながら、本法案における書類という記述が電磁的なものも含む、このようにしているところでございます。
  153. 渋谷修

    ○渋谷委員 法律の解釈を行政側が、例えば書類ということについて、多分十年ぐらいの間の話でありましょう、その中にこういう電磁的なものがいわゆる記録の手段としては出てまいりましたから、したがってそれを含むということで、いわゆる法律用語の解釈でやってきているんですね。だけれども、厳密に言えば、書類の中にはフロッピーディスクとかいったものは含まれない。  例えば、書類ということについて、先ほど言いましたように、いずれ例えば国連のそういったところに報告書を出しますでしょう。そういうときに、これを訳文して出さなきゃなりませんね。そうすると、書類は英訳して何という訳文で出すんですか。
  154. 小坂憲次

    小坂政務次官 英訳をどのようにするかはまだ決めておりません。しかし、通常で言えばドキュメントというような形になってくるのかと思いますが、そのドキュメントというものが、リトゥンドキュメントなのかあるいはフロッピー等に記録されたレコーデッドドキュメントというふうに言うのか、その辺がどうなるかはよくわかりません。
  155. 渋谷修

    ○渋谷委員 言葉の遊びをしているわけではなくて、法文を英文に訳して、それが他の国の方々に渡ったときにはドキュメントあるいはドキュメンツということになるわけですね。これはもちろん、その意味を見ますと、文書、重要な事項を記載してある文書ということでありまして、そこには今言ったフロッピーディスクなどは入ってこないのですよ。我々がここで議論しているものが訳文されて他の国のあるいは国連などに行って説明されるときに、そこには、実は今どきのこの時代でフロッピーディスクなどが対象にならない。それで、その内容を、実は主務省令、役人がつくった解説文書を見て初めてわかるなどという、これは我々議会の側が一体何をやっているのかというぐあいに問われかねない。  簡単なことですよ、一事が万事でありますけれども、先ほど来申し上げているように、こういうことは、役所の判断としてはわかりますよ、十年間それをやってきた、拡大解釈をしてそれも入れるようにしてやってきた、便宜的な対応をしてきたというのはわかりますけれども、これはやはりこれだけの新しい時代に対応した法律をつくろうというわけですから、少なくともこれに合わせて他の法律の、いわばきちんとした定義もそういう形で変えるということで準備をしてこなければいけなったのではないかというぐあいに思うのですね。  ここから先はもうこんなことで長い時間とっているわけにはいきませんから——伊藤理事、お休みのようですが、大事なところでありますので。この書類という用語については、別に対立するというような話ではないのです。議会の能力が問われる、議会の、言ってみれば法律を審議するという意味での責任が問われる話なんですね。これはぜひ理解してください。  そういう意味で、政治家のリーダーシップが問われる。役人がいろいろ書くのは、それはできないという理由を並べろと言ったら私だって百ぐらいは並べますよ。そのときに政治家がリーダーシップをとってこれをやらなければいけないというのが政治家の任務なんですよね、私が言うまでもなく。そういう意味で言うと、せっかくの機会ですから、各政務次官から、今の議論を聞いて、感想を一人ずつちょっと言っていただけませんか、この書類の問題。
  156. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 感想で結構だということで、自由な見解を言わせていただきますが、この書類、ドキュメント、今は紙でありますけれども、歴史的にさかのぼれば、それがパピルスであったりとかそれから粘土板に書いたり、こういった形で時代による記録の残し方によって変わってくるのだ、そんな意味で、電磁的な記録、これがドキュメントとして認められるのではないか。  現実に外国との問題ということでお話しいただきましたが、今、外為法上の申請の手続におきましては既に電磁的な書類が認められておりまして、数を数えてみましたら既に百件以上超えております。日本から出たこういう書類、ドキュメントの中で、いわゆるフロッピーに入っているものも正式なものとして認める、こういった形で海外の方も受け入れている、このように理解をいたしております。
  157. 八代英太

    八代国務大臣 渋谷委員の御主張は私もよくわかりますし、そうだろうなと思っておるわけでありますが、まさに今緒についたこの電子認証制度、こういう状況でもございますし、他のいろいろな法令との整合性等をも考えていきますと、一般に法律は我が国の法体系全体の中で統一的な秩序を保ちつつ作成されるのが習いで、これもけしからぬといえばけしからぬかもしれません。  それはそれとして、そういう一つの、慣習と言うほどでもないけれども、これを日本の政治の文化、法律の文化と言ってもいいかもしれませんが、現在、書類の用語で電磁的記録を含むとしている他の法令に多大な影響を及ぼすことになりますので、本法案についてのみ特別の規定を設けることはできないものと私は現段階ではいたしております。  なお、法案に関心を持つ内外の人に電磁的記録による申請等が可能であることがわかるようにこれは周知徹底をすると同時に、茂木政務次官がおっしゃったように、既に現実には書類という形で、ドキュメントという形でそれはとり行われているという状況でございますから、だんだんこれが定着していって、いろいろな約束事の中において窮屈になってくれば、当然これは法令全体を見直すこともやぶさかでないのではないか、このように思っております。
  158. 渋谷修

    ○渋谷委員 この書類という問題についてだけの話ではなくて、法律でありますから、だれが読んでも、あるいは外国の方々が読んでも、法律を読んでわかったということにならなければいけないのですね。ところが、実際よくわからないからということでさらに調べてみたら、実は行政側、役所の側のいろいろな解釈の余地があるということが一番困るのです。それが実はアンフェアという主張、指摘にもなってくるわけですね。  その意味で、何でこんなことにこだわっているのかという嫌いもあるかもしれませんが、この書類については、私の方からはできれば、これはもう対決する、対立する話ではありませんから、与野党の理事のところで御相談いただいて、書類及び電磁的記録とすれば別にそれで足りる話でありますから、この法律に関して言えばですよ、他の法律に与える影響とかなんとかということは別にしまして、それはそういうことでひとつ御相談をしてみていただいて、他の法律もそのままになっているということ自体の方が不思議でありまして、それは護送船団方式みたいな話なんですよ。  ですから、やはりそういうことを政治の側がリーダーシップをとって改めていくということを我々はしなければいけないということで今問題提起をしているわけでありますので、ぜひ、委員長の方でお取り計らいをしていただけるとありがたいのですが。
  159. 前田武志

    前田委員長 ただいまの渋谷修君の指摘の点につきましては、理事間で協議を願います。
  160. 渋谷修

    ○渋谷委員 法律の第五条なんですが、欠格条項がございます。この欠格条項が入りました理由を御説明ください。
  161. 小坂憲次

    小坂政務次官 第五条には「次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の認定を受けることができない。」としておりまして、「禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、又はこの法律の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」、そしてまた「第十四条第一項又は第十六条第一項の規定により認定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者」、三番目に「法人であって、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの」、以上の三つの規定を第五条においては欠格としております。
  162. 渋谷修

    ○渋谷委員 これはもう認証を与える者でありますから、当然のことながら、こういう資格要件といいますか制限が入ってくるわけですね。利用者の方には、できる限り広くこれを利用してもらわなければならないということで、この法文の中には、先ほど申し上げました資格要件というのが入ってこない。しかし、いずれにせよ、これは議論をして必ず主務省令で、それぞれの認証業務を行う者がそれぞれの利用者から登録の申し出があったときに幾つか基準を設けてチェックをしていくという作業になるだろうと思うのですが、この第五条というのがその意味では一つの参考にもなっているのかなというぐあいに思います。  第六条の認定の基準というのがありまして、先ほど申し上げようと思ったのですが、この法律は主務省令に落とす部分が非常に多過ぎて、この法律をそのままつらっと読んでも、実は細かい内容、これから将来私が認証業務をやりたいといった場合に、一体これでどういうことを準備していけば果たしてそれに申請ができるのかということが本当によくわからないのです。こういう法律のつくり方は、別にこの法律に限った話ではありませんが、実は日本のお役所の非常に得意わざでありまして、主務省令の部分で自分たちのいわば仕事の分野を確保しておくということになるんですね。やはりこういう法律のつくり方というのは基本的に考えるべきだというぐあいに私は思います。  特に、第六条の、そういう認証業務を行う者に対しまして、例えば設備についても主務省令で定める基準、利用者の真偽の確認が主務省令で定める方法、申請に係る業務が主務省令で定める基準、言ってみればほとんど黒塗りでつぶしてあるような、そういう法文体系になっているのですね。これは幾ら文句を言ってもなかなかこのあたりの癖は抜けないのかもしれませんが、これは国際社会に行って、こういう法文を示して、法文では理解されずに、役所が用意をした解説文書を見なければ法律理解されないということになると、日本の議会というのは一体何をやっているのかなということに実はなるわけでありまして、ここの主務省令のところをわかりやすく説明していただけますか。     〔委員長退席、福留委員長代理着席〕
  163. 八代英太

    八代国務大臣 この法律におきまして、高度に技術的な部分について省令で定めることにいたしておるわけでありますが、何でもかんでも省令で定めていいのか、こういう御指摘もございます。なお、省令を定めるに当たっては、その案を一般にパブリックコメントに付しまして、それを踏まえた上で決定するわけでありまして、そのような文言になっているからといって行政が恣意的に裁量を行うというものではございません。  そこで、「真偽の確認が主務省令で定める方法」とは何か、こういうお尋ねでございますけれども、認証事業者の利用者の真偽の確認というのは、電子署名に用いられる暗号がだれのものかを証明する場合において最も重要な業務でありまして、この業務が適切に行われなければ国民が信頼して認証事業者のサービスを受けることができなくなるということがございます。  そこで、本号では、認定の基準として利用者の真偽の確認方法を定めるものでありまして、具体的には主務省令において、運転免許証とか旅券等の公的機関が発行する証明書による確認等、信頼性の高い方法を諸外国の状況などを見ながら定めることにするべきではないか、こういうことでございます。
  164. 渋谷修

    ○渋谷委員 特に、「申請に係る業務の用に供する設備」の部分ですね、具体的にこのあたりはどういうことを想定しているのか、もう一回説明をいただけますか。
  165. 小坂憲次

    小坂政務次官 第六条の認定の基準、第一項一号に挙げております「業務の用に供する設備が主務省令で定める基準」というのは、認証事業者は、その証明の業務を、通常、利用者の電子証明書を発行する設備を用いて行うために、電子証明書の発行に係る設備のセキュリティーを確保することが認証業務の信頼性を図る観点からは極めて重要である、このように考えております。  そこで、その認定に係る設備の基準として、具体的には、不正アクセスからの防御措置、すなわちファイアウオールと言われるような部分や、あるいはこの業務に携わる者の入退室を管理する措置が十分に講じられているかどうか、あるいはコンピューターのバックアップ機能を備えているかどうか、あるいは防災対策が適切に行われているかどうか、これらを主務省令で定めることといたしております。  また、委員の御指摘によりますと、この法律が施行されても諸外国の人には何が何だかわからない、こういうようなお話でございましたが、実際に法律が施行されますのは来年四月でございますが、その四月までの間に省令を全部整備いたしまして、そしてこれを外国に提示するときには法令と省令一括して英語訳になって出てまいりますので、そういう意味では外国の方も具体的な基準について明確にわかると思うわけであります。  また、今回の政府委員廃止に伴い、政務次官、できるだけ答弁せよという先ほどお話がありましたので、この制度改革の観点にはもう一つございまして、反対に質問をしてもよろしいということがございます。  その中で、私の考え委員考え方の若干の相違を一つ考えますと、私は法律にすべて定めることは非常に明確であると思いますが、今回の認証業務のように技術革新の非常に激しい分野、そして今回は、公開かぎ、暗号かぎ方式というものを一応の想定はいたしておりますが、法案そのものは必ずしも公開かぎ、暗号かぎ方式によらない認証方式も将来出てくるだろうということも想定しながら、そういった部分も包括する意味でこの法令の枠組みがつくられております。  そういう意味で、そういった各条にわたって細部にわたった技術的なものを明確に記述いたしますと、逆にこのような進展の激しい場合には法律の対応がおくれてしまうという逆の現象も起こると考えますので、私はある程度省令に依存する部分があってもむしろ迅速な対応ができていいんではないかと思う部分がありますので、この点につきまして、もし御意見がありましたらお聞かせをいただければ幸いであります。
  166. 渋谷修

    ○渋谷委員 それは、お互いに意見交換という意味で申し上げると、先ほど来申し上げたように、この制度ができるのも他の国と比較すればおくれてできているわけです。他の国のいろいろな例を我々は見ることができたわけです。どんな法律でもそうですが、大体一つの事件とか現象とかが起こってから法律ができるんですね。法律というのはいつも、常に後追いです、その意味では。  しかし、この法律自体は若干の後追いであり、なおかつ将来を見ていこうということでありまして、これだけのスピードの時代ですから、それは何が起こってくるかわからない、いろいろなトラブルとか、そういう想定していなかったことが起こるかわからない、それはそのときにきちんと議会で審議をしてそれで変えていけばいいんです。解釈の余地を残しておいて、役所がその解釈論でやろうというのは誤りなんです、議会の任務ということでいえば誤りなんですね。  だから、この政省令ということについては、細々としたところまで全部やれとは言いませんけれども、少なくとも、これから例えば来年四月に施行するまで、この重要な部分について、皆さんの、実は役所の方々の頭の中にもあるし、三者で議論してきた経過の中にもそれなりの具体的なものはあるわけです。それらを示していただければ、法案のよく見える形、理解できる形での審議ができるわけですけれども、それなしの議論だと何の議論をしているのかわからなくなっちゃうわけですよ。結局は、先ほどの方も一生懸命まじめな質問をしておりましたけれども、抽象論の審議しかできなくなっちゃう。これがやはり一番よくないというぐあいに私は申し上げているわけです。だから、状況変化があれば当然それに変えなければならない、変えなければならないけれども、少なくとも立法府は立法府の任務があるということの認識を私も持っています。  なぜそう言ったかといいますと、来年四月から施行ということであれば、それに向けてそれぞれの機関が認定を得ようということでこれから取り組んでいくことになりますが、もう既に例えば海外のそういう認証業者からノウハウをいただいて作業としては取り組んでいるところもあるわけですね。具体的に言うと、例えば行政書士会といったような組織は、士業の中では一番先行して既にそういう認証業務をやっているわけですね。今現在あるそういう設備がこれに合致するかどうかというのは非常に重要な部分でありまして、当然のことながらその準備を、施行されて内容がわかったからそれからやるというのではこれは遅いわけですよ、今既にやっていることでもありますから。そういう意味で、やはりある程度の内容を示しておく必要があるのではないかということ。  ついでに、行政書士会というお話をしましたから、ここでは「特定認証業務を行おうとする者」ということになっていますが、この行おうとする者の中には、つまり、利益を追求しない公的な団体、行政書士会でありますとか、税理士会でありますとか、弁護士会でありますとか、そういう団体でもそういう認証業務を行おうとする者ということで大臣の認定を受けることができるでしょうか、そのあたりの判断はどうなっていますか。     〔福留委員長代理退席、委員長着席〕
  167. 小坂憲次

    小坂政務次官 今の最終的な御質問のポイントだけ申し上げますと、できますというのがお答えなんですが、その前段の部分で、省令を定める場合にも、これは省の中で単に検討していきなり決めてしまうというわけではございませんで、いろいろな各方面の意見を聞いた後に、必ずこれは公表してパブリックコメントを聴取いたします。ですから、既にその事業を始めている者を初めとして、これに関心のおありの方の幅広い意見を踏まえまして、その後に省令を定めてこれを公表するわけでございます。ですので、いきなり、ある日突然、省が、役所が決めたものが出て、それに従わなきゃいけないというような形ではないということを付記させていただきたいと思います。
  168. 渋谷修

    ○渋谷委員 その意味では、非常に関心を持っている者もいますので、できる限り早くその内容を明らかにするように、またその主務省令で落ちている部分が非常に多いので、そのことについての内容がわかり次第やはり議会の方にもこれは報告をしてもらう。  例えばアメリカ議会などだと、必ず行政調査小委員会というのが各常任委員会の下にありまして、法律をつくりましてもその法律がどのように運用されているか、実際その法律が本法の想定された法律どおり運用されているかどうかというのを、ある意味では日常的にチェックするような機関を議会の中にも持っているんです、各常任委員会の中に。我々はつい、ここで議論をして法律を通してしまうと、その後に実は関心がなくなってしまうという癖があるわけですけれども、本来立法府の任務というのはそこまでの任務を負わなければならないというぐあいに私は考えております。  行政書士会のお話を申し上げましたので、それにかかわる部分一つ御質問しておきたいと思うんですが、いわゆる代理制度ということがございます。つまり、こういう形で今爆発的に情報通信の分野がどんどん進展をしておりますけれども、しかし、コンピューターを使いパソコンを使いインターネットを使うというのは、まだまだそれにいたしましても、ふえてはいるといっても全体では決してない、そこから取り残される方は必ずいるわけですね。  また、こういう仕組みを使って、例えば政府に対してインターネットで申請書を出す、そのこともやれるようなシステムもだんだん取り入れてまいりました。例えば五年に一回建築許可の申請書を出す、書類も結構なものになりますが、これを例えばワープロで打って情報を電磁的に処理をして、それで政府に出すというときに、今であれば、例えば行政書士さんが作業をして、それで、もちろん本人の名前、署名を入れますけれども、実際に作成して作業するのは行政書士さん。最後部分に行政書士の方の名前等を入れて、それで代理人が行って役所に提出してそれが受理されるということになっているわけです。  こういう形のシステム、電子署名というシステムで、これは一応本人の確認ということになっていますので、例えばこういうシステムを使って役所にいろいろな書類を出すときに、やはり代理人が作業をするというような部分は出てくるわけですね。例えば、やはりパソコンも活用したことがない、ワープロなんて打ったことがない人たちが専門家のところに相談に行けば、そこではまずその作業、パソコンに入れてある例えばいろいろな表だとか、そういうものに全部打ち込んでいって、それでぽんとやれば一番簡単に済むわけだし、そのために電子政府ということを追求しているわけですね。利用者にとって、一々役所に行かなければならないとか、あるいはいろいろな書類をたくさんつくらなければいけないとかということを省くために電子政府ということを追求しようという話になっているわけですが、このいわゆる代理制度というものを、電子署名あるいは電子的なこういうシステムの中でどういうぐあいに位置づけ考えていこうとするのか、そのあたりのことはいかがでしょうか。
  169. 山本有二

    ○山本(有)政務次官 一般的に、代理人によって何らかの行為をする場合には、代理人が本人からその行為をする権限を与えられていることが前提となるところ、従来の書面による行為の場合には、本人が作成した委任状によって代理人の権限を証明するのが一般でございます。書面を用いない電子申請等の場合には、電子的な手続によって代理権を証明する必要がございます。  その方法といたしましては、本人の電子署名を付した電子文書を用いて、いわば電子的な委任状を作成し、これを代理人作成の申請書等に添付するということを考えておる次第でございます。
  170. 渋谷修

    ○渋谷委員 わかりやすくなりました。ありがとうございます。  ただし、その場合は、申請者本人も電子署名としてやはり登録していなければならないということになりますか。もう一度確認しておきます。
  171. 山本有二

    ○山本(有)政務次官 もし本人が電子署名を利用していない場合には、このような電子的な委任状を作成することはできないわけでございます。そのような場合の代理権の確認手段につきましては、例えば書面の委任状を別途郵送するということなど、今後検討していくべき問題がございます。
  172. 渋谷修

    ○渋谷委員 そういうことでいいと思うのですね。書面の部分を送って、あと本体の部分は電子的な処理で送信をする、申請をするということですね。あるいは役所の方も、電子的に例えば委任状がそれに載っかっていたとしても、本当かどうかというのはわからない部分がありますから、必ず役所の方から何らかの形で問い合わせをする、照会をするということで本人の意思確認をするということで実は処理ができるわけです。そういう形で、今現在実際に行われていることがこういう新しいシステムに過渡的に変わっていくときに、その部分が実際に対応できない、壊れていくようなことではなくて、それに柔軟に対応できるようなシステムづくりということをぜひお願いを申し上げておきたいというぐあいに思います。  それでは、調査機関のところへ行きましょうか、第十七条。  その前に第十一条の「業務に関する帳簿書類」ですね。「を作成し、これを保存しなければならない。」ということになっていますが、これも先ほどの議論と同じだというぐあいに理解していいですか。つまり、この帳簿書類というのは、紙によるいわゆる書類ではなくて、フロッピーディスクなども含むというぐあいに理解していいのかということ。  それから、「これを保存しなければならない。」例えば会社などで、いわゆる税金の申告の書類等を段ボールで何年間も保管しておかなければいけない、そのためにトランクルームを借りなければいけないとか、いろいろなことがあるのですね、これは現実の問題として。したがいまして、これについては、その保存方法あるいは保存の期間というものについてはどんなふうにお考えでしょうか。
  173. 小坂憲次

    小坂政務次官 御指摘の書類というものには、この十一条におきましても、電磁的記録を含むものと解釈をしていただいて結構でございます。  また、保存期間等につきましては、法令に定めた期間ということになりますので、その場合には、今後、主務省令の中で定めてまいります。
  174. 渋谷修

    ○渋谷委員 やはり主務省令になってしまいますか。大体何年という想定はあるのでしょう。
  175. 小坂憲次

    小坂政務次官 まだ事務方の方でも決まっていないようでございますので、これは広く意見を求める中で定めてまいります。
  176. 渋谷修

    ○渋谷委員 だんだん元気が出なくなってしまう。  だけれども、それはいろいろな事例の中でもう具体的に三年とか五年とか、この程度の話が皆さんから御意見いただいて決めますなんという話ではないのでしょう。事務方が一つ考え方を持っているのじゃないのですか。いかがですか。
  177. 小坂憲次

    小坂政務次官 いずれにしても、検討するに当たりましては、検討する場に関係の事業者あるいは学者の皆さん、有識者の方々に入っていただいて決める、こういう方向であるということまででございます。
  178. 渋谷修

    ○渋谷委員 そのあたりで何度もやりとりをしているわけにはいきません。ただ、こういうこともあらかじめ、やはりこういう法律を出すわけですから、それが相当難しい検討がいろいろな方々から聞かなければならないほどの実は内容でもないのではないかというぐあいにも思うのですね。そういう意味でいうと、やはりこの法律を準備してくる過程というのが一体どうだったのかなというような感じもいたします。ぜひ、やはりこのことも早急に出していただきますようにお願いを申し上げます。  第十七条の指定調査機関というのがございます。これは認証業者、認証業務を行う者についてその内容等を、先ほど来から指摘をしてまいりました点をチェックいたしまして、それで調査を行って具体的に主務大臣の認定ということになっていくわけなんですが、先ほど指摘をちょっと忘れました。  第六条の二項のところで実地の調査というのが出てまいります。これも「主務省令で定めるところにより、申請に係る業務の実施に係る体制について実地の調査を行うものとする。」この実地の調査というのはどういう内容を想定しているのかということと、その調査を行う指定調査機関というのはどういう想定になっているのか。
  179. 小坂憲次

    小坂政務次官 まず、実地の調査でございますけれども、特定認証業務の認定に当たりましては、認証事業者の設備や実際の業務の運営体制が認定の基準に適合しているかどうかについて、これは見なければわからないという世界が大きいわけであります。したがって、具体的には、認証事業者の事業場に立ち入り、そしてまた認証事業者の設備の試験運転をする、あるいは役員や従業員へ質問をしてその確認をする、または帳簿書類の検査を行う、このようなものを含めて実地の調査に当たるということにしております。  なお、このような実地の調査は、設備のセキュリティー等に関する高度な専門的知識を必要とするので、指定調査機関の制度を設けることといたしておりまして、特定認証業務の認定を受けようとする者はこの指定調査機関の調査を受けることとなるわけでございます。
  180. 渋谷修

    ○渋谷委員 調査機関については。
  181. 小坂憲次

    小坂政務次官 指定調査機関につきましては、専門的な技術的な側面が非常に大きいわけで、事務量も非常に多く、また行政機関にとってかなりの負担になってまいります。その意味から、行政事務の簡素合理化、民間能力の積極的活用の観点から、秘密保持義務等の所要の、ただいま申し上げました十七条以降の規定でございますが、監督規定を設けた上で民間の第三者機関に国の事務を代行させる、このようにしたところでございます。
  182. 渋谷修

    ○渋谷委員 やはりこの指定調査機関については具体的に何か、例えば財団法人とかあるいは社団法人とか、現在ある何らかの団体、組織というものを想定しているのでありましょうか。
  183. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 今の段階では具体的に想定はしておりませんが、少なくとも、新たに財団法人等を設定する、こういうことは考えておりませんで、既存のもの、もしくは民間主体でやっていただく、こんなことを考えております。
  184. 渋谷修

    ○渋谷委員 民間のものというと、例示的に言うとどういうものが想定されるでしょうか。
  185. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 要件といいますか、一つ、経理的にしっかりした基礎を持っていること、それから技術的な能力を持っていること、そして公平中立性を保てるところ、こういう基準でございまして、新しい指定調査機関になりたい、こういう要望が出てきた段階で判断をしたいと考えております。     〔委員長退席、福留委員長代理着席〕
  186. 渋谷修

    ○渋谷委員 若干、危惧ということで申し上げますと、こういう指定調査機関ということになりますと、これは三者共同でやっていますので、そういう役所の影響力のあるところという形で、何といいますか、言葉で言いますと、ついついそういう天下り先みたいなものをつくってしまうとか、あるいは、専門的にそれぞれこれまでノウハウを蓄積してきたので、それを生かすためにそういったところに実は関係者が行くとかいうことになりかねないんですね。調査機関を含めてですけれども、私の言っていることはまるっきり危惧であって、そんなことにはならないようにするということなのか、そのことはよくわからぬということなのか、いかがですか。
  187. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 指定調査機関の制度でありますけれども、基本的には民間の能力を活用していきたい、こんなふうに考えております。  それから、先ほどの答弁の中でも申し上げましたように、新しい指定のための機関をつくりましてそこに対して省庁の人間が天下りする、こういうことは厳に慎むべきだと考えております。
  188. 渋谷修

    ○渋谷委員 現在、例えば、直接に当たらないのかもしれませんが、通産にはNEDOという組織がありますし、あるいは郵政省にはTAOといった組織もありますね。その設立の経過、背景というのはそれぞれ違うわけでありますけれども、こういう新しい時代の中でそういう新しい任務を持たせるということを考えても当然いいわけでありますし、あるいは技術的なこと、その他が合わないのかもしれませんが、ほかのところでもいいですけれども、やはり既存の組織を余りコストをかけずに活用できるようなスタイルが一番いいのではないかというぐあいに思います。なぜかというと、それはいずれ利用者のコストにはね返っていくことになりますので。そのことを忘れていました。  署名登録をする方は、ほかの国との比較でいいますと、先ほども言いましたEメールアドレスの登録、あるいは本人確認の登録、それぞれ違いがあると思いますが、一人の方が登録をするのに大体幾らぐらいということが想定をされるのか。
  189. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 利用料の方は各認定事業者の方で決めていくということで、国として、幾らでなけりゃいけない、こういう基準があるわけでありませんが、認定事業者の方で、例えば本人確認を行っていくとか、セキュリティーのためのしっかりした設備を整えていく、こういう段階で判断をしていくものだと思っております。当然、国際的にもっと安いところが出てきたり、こういうことも経営的な判断の中に入ってくるのではないかな、こんなふうに思っております。  ちなみに、一つの例示として申し上げますと、日本ベリサインという会社が既にございます。認証事業者でありますが、ここでやっております個人向けのもの、これは本人確認を伴わないような認証でありますので、非常に簡易なものと考えていただいていいかと思うんですが、ここで年間大体千五百円ぐらいだった、こんなふうに記憶をいたしております。
  190. 渋谷修

    ○渋谷委員 私も、政府の方でこの基準を決めるべきなんということを言っているわけじゃないんです。たまたま最後に言った、一人の方が少なくともそういう認証の業務を行っている者に自分の電子署名を登録するのにコストが大体幾ら普通はかかっているか、例示的にということで申し上げましたので、それはそういう意味での質問の趣旨でした。  大臣、あと二分ぐらいしか時間がないんですけれども、このことを含めて、情報通信分野について、まさに日進月歩というよりは秒進分歩というような状況でどんどん事態が新しく進んでいく。それにスピードを上げて追いついていくというのは、これはえらい大変な話でありますけれども、実は、アメリカ日本がおくれをとっているということが随分指摘されまして、その幾つかの原因については、これは商工委員会で何度か取り上げてやってきたところでありまして、それでもまだまだ基本的な認識がちょっと足らないんではないかなという感じがしています。  と申しますのは、アメリカとの関係において、先ほどのこの制度を具体化する上でも、他の国々の様子を見ながら、幾つかの国が先行していったら、おもむろにこれについて取り組むという今度の法律の審議になるとかいうようなこと、これは結局は、日本が対応がおくれる分、国益を損なっていっているんですね。したがって、情報通信産業についても、ある意味では、非常に戦略目標をはっきり決めて、そこに対しては基本的にはお金と人、そういう研究者なども適宜投入をしながら、きちんとしたネットワークを組みながらやっていけるような体制づくりということがどうしても必要だろうと思うんです。  大臣自身が、たしか科学技術何とかかんとかの副本部長ですよね。そういう意味でいいますと、つい最近も会合等あったように聞いていますけれども、この問題に対する基本的な姿勢というのを最後にお伺いをしておきたいと思います。
  191. 八代英太

    八代国務大臣 日米格差というのは、確かに日本のおくれをとっている部分、特にインターネット分野におきましては、人口の普及率はアメリカは三〇%、日本は一三・四%、電子商取引の市場規模も、アメリカは二兆六千億、日本ではまだ千七百億、こういう状況でございますから、インターネット関連分野においては米国が優位な状況にあるのは間違いございません。  また、米国は、国防総省も含めた国家的戦略でこのインターネットというものの普及に、いわば今日のアメリカの再生のような状況が見られるわけでございますが、日本は何よりも、一時期はアメリカをリードしておりましたが、今は追い抜かれ、追い越されて、日本が今逆に、追いつきたい、追い越さなければという思いに立っております。しかし、分野においては、光ファイバーとかあるいは携帯電話とかあるいは衛星放送の普及率とか、こういうものは日本がかなり先んじておりますので、そういう点でも、そんなに大きな開きがあるというふうには思っておりません。  しかし、やはりこれは時間との闘いであり、技術力、競争力がますます日本でも重要と思っておりますので、いろいろな分野におきまして、私たちも「IT JAPAN for ALL」という新しいビジョンも発表しましたので、そのIT革命を目指してインターネット関連分野の発展に資する施策に取り組むことが我が国の国際情報通信社会における全体の国際競争力の一層の強化につながるものだ、こういう思いに立って、私がいつまで大臣をやっているかわかりませんけれども、やっている間じゅうは一日一生の思いで、情報通信二十一世紀を目指して頑張りたいと思っておりまして、隣町でございますのでよろしく御指導のほど、お願い申し上げます。
  192. 渋谷修

    ○渋谷委員 終わります。ありがとうございます。
  193. 福留泰蔵

    ○福留委員長代理 中田宏君。
  194. 中田宏

    ○中田委員 中田宏でございます。  渋谷さんの厳しい質問の後で私も和やかに進めてまいりたいと思いますが、でも、余談ですけれども、政務次官が逆質問をするというのは、私はいいと思うんですよね。議論を政治家同士でやろうというのが今回の国会改革の本旨でありますから、そういう意味では、時として私も厳しく逆質問いただくこともあると思いますし、その分、持論をしっかりと持って国のために議論をするということが有効であろうと思いますので、先ほどの議論はいいなというふうに思って見ておりました。  また、一方では、渋谷さんの言っていることも正論だなと思って、実は見ておりました。きょうの議論とは関係ないですけれども、やはり私も、今までの委員会の議論をやっていて、どうも抽象論に終始しちゃうということが非常に多いんですよね。本来は想定されているはずなのに、そのことが何度聞いても、今の状況ではまだ想定されていないという答えであり、これから検討していくというような答えであったりというようなことで、先ほど渋谷さんがおっしゃっていた、主務省令で後で後で後で、こういう議論は極めて抽象的な議論になりやすいのも事実で、確かに、立法府、行政府のあり方を考えたときに、私はこれは渋谷さんのおっしゃっていることも正論だなというふうに思っておりました。  そういう意味でも、今議論を傍らで聞いておりまして、非常にいい議論だったのかなというふうに思っておりますので、私も、中身のある、質のあるものを皆さんとさせていただきたいというふうに思っております。  さて、本題に入りますけれども、ITと呼ばれる言葉も大分多くの国民に認識をされるようになってきましたし、とにかくインターネット、ホームページなんという言葉は大体多くの人が意識をする言葉であります。そんな中で、確かにここ近年、近年といっても去年、ことしあたりですが、急速にいろいろな意味でトラブルなども発生をしている。ことしになってからすぐには、我が国政府の中央省庁にもハッカーが入り込んでホームページの改ざんなどもありましたし、こんなものは個人レベルにおいてはいろいろな形で発生をしていることでもあるし、いわゆるウイルスが送り込まれたりとかもあったり、そうしたプライバシーの問題やらもまた抱えているわけであります。  それに加えて、そんなところで今やトラブっている場合ではなくて、何よりももっと重要なのは、我が国がこのITを生かして、情報通信技術を生かしてもっと国の発展につなげていかなければならないし、また、他国との経済取引、インターネットはグローバルで電子的にさまざまな商取引ができますから、そういう意味で日本がおくれをとってはならないということは間違いないわけです。  いわゆる企業のEコマースあるいは消費者との間のやりとりということを発展させていくためには、例えば、取引をしている相手がしっかりと本人なのかという疑問を払拭できるようにしなければならない、あるいは取引をしている最中にその中身が改ざんをされるとかいうことがあってはならない、あるいは取引をして成立したはずなのに、後で私はしていませんという逃れ方ができるようになっているのでは仕方がないということにおいて、今回の電子署名、電子認証ということは極めて重要なものでありますから、積極的に推進をしていかなければならない。  そして、これはこれから先の話でありますから、やってみてだめなところはどんどん大臣を筆頭に改めていくという、実に臨機応変な対応が求められていくものだ、私は、まず大前提の認識を申し上げておきたいと思います。  その上で、まずお伺いをしたいと思うのは、この電子認証の業務をしていくことに関しては、これは民間がいろいろと自由な形でやっていいですよ、認証機関については自由ですという形に今回法律上なっているわけでありまして、いろいろなところが想定されてくると思うのですね。例えば大きな監査法人とか、こういったところもまずやるでしょう。それから、もう既に立ち上がっているところもありますね。当然のことながら、先ほど来具体名が出ているように、日本ベリサインとか、もう既に立ち上がっているところも幾つかあるし、今申し上げたような監査法人なんかも入ってくるし、あるいは行政書士会なんかも、もう既に自分たちの傘下にある行政書士の認定は私たちがやりますという形になっているということを考えると、それこそ業界ごとにできたり、あるいは日本にある慣行でいうならば、各グループごと、企業グループごとにそれができたりとか、さまざまな形態が考えられると思うわけであります。  そういう意味では、これから先幾つくらいできるのか、これもまた想定はできません。できませんが、その中から、今回の法律の中にある政府の認定を受ける機関が果たして今度はどれぐらいあるのかということも気になりますが、これも恐らくは数もわからないでしょう。ただ、具体的に認定を受けるそうした認証機関というものを、今申し上げたような業態やらさまざまな個別、もっと小さくまで想定をされておられるのか、ここら辺の想定ぐあいというものを、今の現状をおわかりになるところをお教えいただきたいと思います。
  195. 小坂憲次

    小坂政務次官 中田委員も、この情報通信分野におきましては大変個人的にもエキスパートでいらっしゃいます。質問にも、できる限り私の言葉で答弁を申し上げたいと思うわけであります。  ただいまの御質問の答えになりますか、一般に、認証業務の提供には、適切な本人確認の手段とセキュリティー技術が必要とされるわけでありまして、したがって、個人や法人との直接の接点を有する、今おっしゃったように、銀行とか証券会社とかいろいろな企業別にとか、そういったことが考えられるわけであります。また、十分なセキュリティー技術を有する企業が、社内あるいはグループ企業間の社員の認証や、あるいは顧客に対する認証業務の提供者として認証業務に参入するということも想定されるわけでありまして、既にサービスを開始しているところも御指摘のようにあります。  このような認証業務を行っている者のうち、国の認定を受ける者がどういうものか、また、どのくらいあるかということについては、認定の要件とかあるいはサービスのニーズ等によって決まってくると思うわけでありますが、既に電子証明書発行業務を行う企業としては、先ほど名前が出ておりました日本ベリサインとかあるいは日本認証サービスとかサイバートラストとかセコムさんとか、いろいろな名前が挙がっております。具体的にと言えば、ただいま名前を挙げたようなところがもう既に入っておりまして、大体こういった形の延長線で広がってくるのかな、こう考えているところでございます。
  196. 中田宏

    ○中田委員 各企業グループごとだとか各業界ごとだとか、例えば地域地域の農協ごとだとか県単位とか、そういうぐあいになってきたりとか、それこそ中小企業でも一つグループ群を持っている場合はその中でとかいうことになってくると、相当これは数が出てくることもあり得る。ないかもしれないですよ、そこはわからないですけれども。あり得るということになると、今度は、それにいわばお墨をつける、つけないが認定ですね。いわば認定と認証というのは、これはどうも言葉として面倒なので、僕は公認というふうに自分で最近整理をしておりますが、公認、お墨をつけるかつけないかという二つのいわば認証機関がこれから先存在をしてくるということになります。  僕はそれでいいと思うのです。すべてが、いわば公認機関になるということもおかしいし、イタリアのように免許制というのもどうも違うと思うし、より濶達に、IT、通信技術を生かしてどんどん日本が飛躍していくためには、認証機関も大いに自由であっていい。そこに今度は、公認認証機関と未公認認証機関が二種類これから出てくるということになる。  日本人は、御承知のとおり、個人レベルにおいてもまた日本の文化においても、お墨つきという言葉が非常に好きであります。このお墨つきというのが、今回はよくよく整理をしてみるとお墨がつくかつかないかの違いですよ、公認されるかしないかというのは。だって、そこに例えば法的な完全な効力の違いがあるわけでもないですね。未公認認証機関が出した証明書だからといって、あるいは署名だからといって、それによって法的効果がないとかいう話でもないわけですね。だから、そういう意味では、お墨がついているかついていないかというのが一番表現としては適切な部分だと思うのです。そのお墨がつくかつかないというのが日本人は非常に好きなわけです。  さて、ではいろいろと想定をされる認証機関に対して、どの程度のレベルで公認を、お墨を与えていくのかということが、まさにこれから先そこは検討するのですという話になってしまうところですが、これは、私は結論からいうと厳しくやるべきだというふうに思うのです。  日本ベリサインという会社の場合だと、何やら三段階になっているというふうに私は聞きました。レベルが一番高いケースの場合で本人確認、それはしっかりと対面調査をするというようなケースがレベル一だと。それから、レベル三の一番低いケースの場合で、Eメールが来たら確認オーケーだ。Eメールが、申請が来た、返事を出した、もう一回返事が来た、ああこれは本人は存在しているなという程度のレベル三というのが一番軽いレベルだというような三段階に分かれているというふうに聞いています。  これから先、いっぱい出てくる認証機関は、ある程度一定のレベルに保ってお墨を与えていくということが重要であって、その意味では、これはかなり私はハードルを高目に設定していくべきではないかというふうに思っているというのを先ほど結論として申し上げましたけれども、ここら辺についての郵政省の御見解はいかがでございますか。
  197. 小坂憲次

    小坂政務次官 中田委員御指摘のように、今ベリサインの例をお引きになりましたが、私の理解するところでは、一の方が低くて三が高いのだと思うのですが、レベル三という場合には本人確認を非常に厳しくやるということで、それだけその認証の確実性というか信頼性が高い、こういうことになるわけであります。契約の規模とかそういうものによってより高い料金を払って認証を受ける方がいいのか、あるいは政府認定をとっていない認証機関でも十分に自分の軽微な商取引には通用するので、わざわざそういう、今委員のお言葉を借りれば、お墨つきのあるものでなくてもいいということもあるわけであります。  しかし同時に、市場の原理からして政府の認定をとっている方がより信頼性が高いということから、比較的頻繁に商取引を行う場合にはそういったところに依存してくる、若干高いものを払ってでも信頼性の高い方がいいという方もふえてくるわけでして、高い料金が取れるということから、逆に政府の認定をとろうというところもふえてくる。したがって、そういう方向に誘導されてくるということも出てくるのかと思っております。  そんな意味で、今のお答えになるかどうかわかりませんが、お墨つきがあるかないかというのは市場の中で一つの分化をしてくるだろう。認定のあるものはより大きな企業に、また高額な取引に利用される、政府認定を受けないものはより軽微な、もっと日常的な取引に使われるだろう。  同じように、そういった意味では外国との整合性も保っていくわけでありまして、そういう意味でその後に承認調査機関というものがまた出てきたりするわけでありますが、そういったように外国の機関が調査をして、そして認定をするというような、事業者に対しても厳しく行われる、余り低いところにしてしまうと全体の信頼性が薄れますので、御指摘のようにレベルをできるだけ高くするという必要もあるのかもしれません。その辺は外国の事例と利用者のパブリックコメント等を見まして、そして最終的に省令で定めていく、こういう形になっていくと思います。
  198. 中田宏

    ○中田委員 今政務次官最後におっしゃったところだと思うのですね。いっぱいこれから認証機関が民間も含めて出てきた場合に、余りレベルが低いところで公認していっちゃうと、全体の信頼性が疑わしくなってくるという意味において、私はある程度ハードルは高目に設定しておく必要があるのかな、こう申し上げたわけであります。  さて、インターネットの何よりの特徴というのは、とにかく場所を選ばずでありまして、地理的な概念というのが本当に取っ払われて、それこそグローバル化が一気に進むというのがこのインターネットのまさに特徴である。そうなりますと、これから先ちょっと幾つかお聞きをしたいのは、この電子認証等における国際間における共通認識ですよね。共通認識というのはある程度必要になってくるだろうと私は思うのです。  そこで、例えば国際機関においては今どんな議論が行われているのかということを私はちょっとお聞きをしたい。例えば、九八年の十月にカナダでOECDの電子商取引閣僚会議が開かれた。この中で、電子認証制度を今後どうするかということについて議論が行われたというふうにも聞いています。あるいは、国連の国際商取引委員会、こんなところでも議論が既に行われていると聞きますね。一説によると、先進国と開発途上国間で意見の対立などもあるやに聞いておりますけれども、今こうした国際的な全体の統一ルールというものについての議論はいかようになっているのか、ここをお聞きしたいと思います。
  199. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 私、ことしの一月にスイスのダボスに行ってまいりまして、世界経済フォーラムに出てきたのですが、そこでも一番の中心はITの分野の話でございまして、きょうの午前中も議論になったデジタルディバイドの問題、それから今委員御指摘のような、例えばサイバースペースにおいてどういうルール設定をしていくのか、これが大変重要な議論になっておりまして、国際機関におきますハーモナイゼーションに向けての努力、これが大変重要であると基本的に考えております。  その中で、委員御指摘のように、OECDにおきましては九八年秋の閣僚宣言の中で、電子署名及び認証業務が国際間で差別的な取り扱いを受けることなしに通用することが必要だ、このように述べられたわけであります。これを受けて、現在、各国の法制度についての調査をOECDの事務局において行っているところであります。ただ、国際相互認証の具体的な進め方につきましては今後の検討課題とされておりまして、まだ十分な議論は進んでおりません。  一方、もう一つ御指摘ありました国連の機関でありますけれども、国連の中にUNCITRAL、これは国連国際商取引委員会、こういう形になるのですが、ここにおきましては、電子署名に関するモデル法の策定に向けた議論を行っている、こういう形でございます。  さらにつけ加えさせていただきますと、国際的な産業界の集まりでありますGBDe、これは電子商取引に関するグローバル・ビジネス・ダイアログ、ここにおきましては、電子署名・認証に関する各国における制度整備の必要性について、昨年の秋に提案がなされたところであります。  何にいたしましても、今回の我が国の法案は、これらすべての場におきまして十分通用する内容だ、こういうふうに考えておりますが、今後とも、例えば二国間協議の場であったり、OECD、APEC等々できちんとした主張をしてまいりたいと考えております。
  200. 中田宏

    ○中田委員 私、電子署名認証業務というのは、これはグローバルに通用していくものじゃないと意味がないと思うのですね。国による認定制度で相互主義をしっかりと国際的に確立をしていくということは、私重要だと思うのです。せっかく日本で公認認証機関になって、電子署名も含めて一つの信頼が確立されても、それが他国で有効性がなければ、活発な商取引を日本人が外へ出てやっていくことというのはできなくなってしまいますよね。ですから、その意味でしっかりと相互主義を確立する必要があると思うのです。  国際運転免許証、運転する場合、自動車の運転免許証というのは、日本で運転の免許を取って、各県の申請場所で申請して、それで国際免許を持っていったら、相互主義ですよね。先進国間においては、先方に行ってそれで運転できるわけです。向こうで一々取り直しはないですよね。一々取り直ししていたら、それはえらいコストもかかるわ言葉の問題もあるわとかなんとか、いろいろな話になってしまうわけであって、日本で取ったものは向こうでも有効であるし、向こうで取ってきたものは日本でもどうぞ運転してくださいよという相互主義がちゃんとでき上がっている。  この今回の認証業務なんかも、相互主義は僕は推進をすべきだと思うのですね、日本立場は。日本は推進をしなきゃいけないという立場だと思うのですが、ここはいかがでございますか。
  201. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 委員御指摘のとおりであると思っております。我が国としても、相互承認に向けての努力をしてまいりたいと考えておりますし、まずこの法律の中でも、海外の機関でも申請してくれば認める、さらに、我が国と海外との間で条約等を結んだ場合はより簡易なプロセスでその認証が認められる、こういう形にもなってきております。  例示として挙げられた国際ライセンスという話でありますけれども、基本的には私はそんなモデルでいいのかなと思っておりますけれども、日本と米国の間の国際ライセンス、こういうことになりますと、多少モデルが変わってくるのかもしれません。もし御質問がありましたらお答えいたします。
  202. 中田宏

    ○中田委員 まさにそこなんですよ。米国がある意味ではEコマースが進めば進むほど日本にとっては恐らく第一の取引相手になってくる可能性が高いと思うのですね。この米国との相互主義というのを私しっかりと念頭に置いてこれから先政府は対応していく必要がある。このことは極めて重要だと思うのですね。  例えば、アメリカの場合は各州ごとに今認証業務等についてはそれぞれルールが異なっているわけですね。そういう意味では、日本政府と各州単位で相互主義をとるというのは考えにくいわけでありますね。そういうことを考えたときに、大体午前中議論をやっていた電気通信事業法の一部改正にしたって、これはいろいろ異論があった中で可決をしたのだけれども、むしろ長期増分費用方式だって、ちょっと話はずれるけれども、これだってさっき最後の附帯決議で出ておったように、日本が一国として一つの長期増分方式を導入しても、アメリカの場合は、やれやれと言っている割には自分のところは一体どうなっているんだという意味において、彼らの場合はむしろ州全体で数えてみたら、長期増分方式を採用している州の方が少ないわけじゃないですか。一方で、日本にはせいせい、こういう話になってくるというのは、実にある意味では日本側としては心外な話であって、ここは附帯決議も出て、みんな賛成をして今回法律は可決をしたということですね。  そういう意味では、今度認証業務なんかを我々が国際的に、グローバル化という中でITをどんどん積極的に進めるんだといっても、アメリカがまた州ごとに全然違った対応をしているのでは、私たち日本の側にとってみたらむしろデメリットだということが想定されると思うのですね。このデメリットの想定というのはいかがですか。ちょっと思いつくこととか、今現状において議論はなされていますか。
  203. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 デメリットにつきまして、具体的に我が国の企業が例えばどれだけのコストがかかるとか、それぞれの州によって例えば申請をした場合どうなるかとか、この段階で具体的な数として想定するということはなかなか難しいわけでありますが、しかし、一国として対応できた方がいいにこしたことはないわけでありまして、そういった努力はしていかなきゃならない。  何といたしましても、委員御指摘のように、我が国と米国のそれぞれの州が相互認証協定を結ぶ、これは基本的に困難だと思っております。これは我が国だけの認識ではなくて、EU等々でも同じような指摘が行われている、米国の国内におきましてもそういった認識を持ちながら、連邦政府におきましても、各州における電子署名及び認証業務の取り扱いについての整合性の確保に向けて現在努力が進んでいる、このように認識をいたしております。  我が国といたしましても、例えばヨーロッパやアジアの各国とも協調しつつ、アメリカの連邦政府に対しまして働きかけをしてまいりたいと思っております。
  204. 中田宏

    ○中田委員 ここは極めて、本当に重要なところだと思っていまして、今、大がかりな、我が国企業やあるいは国としてのデメリットは、まだまだそこには議論は至っていないというお話でありました。大がかりなものは今のところ想定されていなくても、こういうことなら簡単に想定できると私は思うのですよ。  すなわち、日本でお墨がついたものが、アメリカでそれぞれの州ごとにお墨をもらわなければいけないというのだったら、まずは、それぞれビジネスをやっていく上で非常に煩雑な、これはビジネスをしていくそもそもの足場をつくるのに、それぞれの州ごとに対応しなければいけないということは、労力の問題、それからコストですね。これはただじゃないですものね、認証を受けるのは。電子署名についてお墨をもらうのはただじゃないわけですから、それぞれアメリカの全部の州ごとにやって、そのたびにコストを払いなさい、それで、当然のことながらランニングコストをずっと払い続けていかなければいけないという話になったら、これはばかばかしい話ですね。  日本は、いつもアメリカに適当な御都合主義で言われるんだけれども、逆にここはEUなどとも組んで、むしろ、しっかりとアメリカに対して、おたくらちゃんとした基準を一国でつくれということは僕は言っていくべきだと思いますね。それを言っていかないと、あそこはすぐに御都合主義だから、また日本は逆に、さっきの長期増分方式じゃないけれども、向こうの論理だけにこちらが合わせなければいけないという姿になると実にみっともないと思います。  大臣、どうですか。
  205. 八代英太

    八代国務大臣 確かに、アメリカの要求に対して私たちは受け身の立場が多いわけでありますけれども、日米規制緩和委員会でも、接続料を含めて、アメリカのそうしたもろもろの障壁に対して、日本日本としてアメリカに強い要望を出しております。  電子認証、電子商取引というものも、まさにこれから二十一世紀のネットビジネスには欠かせないものでございますから、これを、言ってみれば日本の戦略を十分意識しながら、これからアメリカと取引するにつきましても、各州ごとにそんな認証をとるような方策ではなくて、今度はむしろアメリカを指導するような、せめて一つや二つ、日本アメリカを教えてやるぐらいの気概を持たなければいけないと思っております。  さらにまた、今度は目を見開けばアジアという、二十一世紀の市場ということもございますから、これもしっかり、各国間、二国間協議等々を通じながら、電子認証、電子商取引というものが円滑に進んでいくように、そして新しいビジネスの時代を構築するために、私たちもいろいろな角度から検討していきたいと思っております。
  206. 中田宏

    ○中田委員 長期増分方式の問題にしても、アメリカ日本と二国間でやっているから、ある意味ではへ理屈に対応しなければいけないのですね。それに対して、やはりEUだって、このままアメリカ側がああいうふうに州単位でやっているということに恐らく異論があるでしょうし、そこら辺としっかりと日本が連携をとること。あるいはOECD等、先ほど出てきたような国際機関を通じて、共通のルールをちゃんとつくることを日本は今から提唱すべきですよ。  通産大臣にもよろしくお伝えください、茂木政務次官。答弁は結構ですから。何かありますか。     〔福留委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 ちゃんと伝えるようにいたします。  ただ、アメリカの場合、州によっていろいろ法律が違っている。これは、日本から進出する企業だけではなくてアメリカの国内においても、今、企業においていろいろな負担が起こる、こういう議論が出ているわけであります。これは連邦政府と州政府の関係であったりとか、中央と地方の関係という、非常に大きな議論の中での問題でありまして、そういった議論も見詰めたいと思いますが、委員御指摘のように、日本だけではなくて、EUであったりとかアジアとも協調しながら、我が国の立場をしっかりと主張してまいりたいと思っております。
  208. 中田宏

    ○中田委員 そのとおりなんですね。それで別にアメリカ立場の、中央政府と地方なんというのは、そんなのは日本人が全然、こっちがアメリカに一々肩を持ってやる必要はないわけであって、いつも理不尽なことを逆に言われているわけだから、ここは、あなたたちしっかりと国で統一基準をつくれということを言うべきだということであって、茂木さんの場合は、アメリカに対して精通していますから思わずそういうふうに、アメリカの気持ちもまた考えながらという答弁だったかもしれないけれども、徹底的にこれはやらないとね。言われっ放しのところに対して、ひとつ日本のイニシアチブを国際的にとっていくべき分野だと僕は思いますね。  最後ですけれども、とにかくこういうふうに電子署名、電子認証業務というものがしっかりと確立されれば、今までいろいろな形で不安だった電子商取引だけではなく、例えば行政におけるさまざまな手続、既に政府が打ち出している二〇〇三年からの電子政府ということについて、これは飛躍的に進むと思うんです。今までやはり、本人確認の作業だとか信頼性の部分がきちっと確立されていなかったから、なかなか今までは、せいぜいフロッピーディスクで電子化ですよと言っていた部分でしょう、これをしっかりと今回のもので飛躍的に進めていくべきだと思うのです。  そういう意味では郵政大臣郵政大臣は高度情報通信社会推進本部の副本部長でありますね、こういうお立場で、二〇〇三年電子政府に向けて、もう障害は取り除かれたと私は思うわけですけれども、積極的に推進をしていくことの御見解をひとつお伺いしたいと思います。
  209. 八代英太

    八代国務大臣 いろいろ、いい提案もいただきまして、ありがとうございました。  この法律は、電子署名及び認証業務を利用できる環境の整備を図るものでございまして、政府への申請、届け出のオンライン化に際して、申請者等が電子署名を用いることが促進されると考えております。  これがいわば突破口になりまして、電子政府につきましては昨年十二月に決定されたミレニアムプロジェクトにおきましても、二〇〇三年度までには、各省庁において、原則として行政手続がインターネット等を経由して行えるように努めるとされております。私も、今副本部長ということの御紹介をいただきましたが、通産大臣も副本部長でございますから、これからもしっかりと連携を密にいたしまして、電子政府の実現に向けて積極的に取り組んでいきたいと思っております。  引き続きまた、いい提案を、いいお知恵を御提示くださいますようお願いいたします。
  210. 中田宏

    ○中田委員 最後に一言申し上げて終わりたいと思います。  私は、電子政府を実現する条件はこれで飛躍的に改善された、整ったというふうに言える、そう思って今御見解をお伺いしたわけです。本当に日本の将来を考えたときに、IT技術を生かして商取引が行われるということは、企業における競争力の問題だけじゃなくて、当然のことながら、その集大成としての国益に絡んできます。その意味でしっかりとこれを、ある意味では、半ば政府は強引にでも進めていかなければいけない、そう思うんですね。  ですから、例えば二〇〇三年以降は、そうはいったってまだあと二年ちょっとあるわけですから、二年ちょっと以降すなわち二〇〇三年以降においては、役所の例えば許認可の申請にしても何にしても、本当にこういう電子的な申請しか受け付けないぐらいの政府のリーダーシップというか強制力が必要だと私は思うのです。それが逆に民間企業を育てるんですね。  民間企業も結局、やらないままでいいのなら、あえてコストをかけてやらないというところもいっぱいあるわけですよ。大企業はすぐに対応すると思いますよ。しかし、もちろんこれは当然のことながら各地方自治体の協力も得て、地方自治体の電子自治体化もしていかなければいけない。その上で、中小企業などもどんどん積極的に、電子化をしていかないと生き残れないのだという環境をある程度整えていくこと、このことは僕はすごく国にとって重要なことだと思いますね。  だから、その意味では、ペーパーはもう受け付けませんよといきなりするわけにはいかないと思います、多分できないと思う。できないと思うけれども、しかし、例えば手数料に差をつける。デジタルディバイドの問題は一方にはあるけれども、それは個人のベースなどでは考える必要はあるかもしれないけれども、企業の取引などにおいてはある程度半強制的に、多少の格差はつけたっていいじゃないですか。それが、企業にとってはやがてもっと大きな競争力の差になっていくんだという意味においては、国益考えた上では、今回大きな障害は取り除かれたと思って、二〇〇三年以降そういう対応ができることなどもぜひ検討を、通産、郵政それぞれでしてもらいたいなというふうに思っています。  大臣の御答弁等は、もう時間が来たから結構でありますから、御要望申し上げて、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
  211. 前田武志

    前田委員長 次に、矢島恒夫君。
  212. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、まず最初に、電子商取引の実態、規模などについてお尋ねしたいと思います。通産省に質問通告したときの一と二の順序を変えて質問しますので、二の方から入っていきたいと思います。  二の方というのは、企業間取引、いわゆるBツーB、それから企業対消費者、いわゆるBツーC、それぞれの取引高がどれくらいになっているかということと、それからまた、これからの見通しがあったらお答えいただきたい。
  213. 太田信一郎

    ○太田政府参考人 お答えいたします。  電子商取引の市場規模調査についてでございますが、私どもと民間の調査機関、アンダーセンというところでございますが、一緒に行いまして、昨年の三月にその結果を発表いたしました。  この調査では、日本企業間取引、いわゆるBツーBの市場規模は、一九九八年八兆六千二百億円でございますが、これが、今から三年後でございますが、二〇〇三年の予測では六十八兆四千億程度になる。それから、日本企業と消費者間、いわゆるBツーCでございますが、市場規模は、一九九八年六百五十億円に対して、二〇〇三年の予測では三兆一千六百億円という結果が出ておるところでございます。
  214. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今お答えいただいたわけですが、商取引の圧倒的部分はいわゆる企業間取引が占めている。これは取引量あるいは一つ一つの取引のオーダーが違いますから当然と思います。一方、企業対消費者、こういう電子商取引というのは、六百五十億円、それが二〇〇三年三兆一千六百億円ぐらい、確かに規模では及びませんけれども、その拡大のスピードというのは企業間のそれを上回るということも予測されているわけです。九九年版の通信白書によりますと、アメリカでは、BツーC市場は、九六年十三億ドル、九七年四十三億ドル、九八年になりますと九十三億ドルと急成長している、こう出ておりました。  ネット上で商品を販売するいわゆる仮想店舗というのは、例えば書籍のネット販売でアメリカのアマゾン・ドット・コムというのがありますが、そういうようないわゆる仮想店舗、直近の数年間でいいんですけれども、日本ではこういう店舗はどれくらいあるのか、また、もし今後の見通しについての調査でもあればお答えいただきたい。
  215. 太田信一郎

    ○太田政府参考人 先生御指摘のありましたように、ネット上で消費者向けに電子商取引を行う店舗数でございますが、残念ながら、公式な統計はございません。民間の調査機関のデータによりますと、九五年四月、今から五年前ですが、わずか六十五店舗だったものが、九八年には一万店舗を突破しまして、九九年四月一万五千店舗、本年三月には約二万三千店舗と大幅に増加しているところでございます。  残念ながら、今後の見通しについては数字を持ち合わせておりません。
  216. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今お答えいただいたように、急激に店舗数も増加しておりますし、今後の見通しについて特に調査はしていないということですけれども、そういう今までの推移から考えますと、恐らく相当急速な拡大をしていくのではないかな、こんなふうに考えられます。  そこで、私、きょうは、とりわけ電子商取引における消費者保護の問題、あるいはそれぞれの個人情報をどのようにきちんと保護していくか、こういうような問題を中心にお聞きしたいわけです。  そこで、企画庁に来ていただいていると思いますが、これは新聞報道ですけれども、九五年度から九九年十一月末までに国民生活センターへ寄せられたネット販売に関する相談件数は千百五十件余りに達し、年々増加している。内容は、代金を前払いしたのに商品が届かないとか、あるいはコンサート券を申し込んだらボール紙が入った封筒が届いたとか、さまざまだと思います。  訪問販売法で、一般のいわゆる通販と同様に、事業者の住所や電話番号、代表者、こういうものを表示することを義務づけられておりますけれども、ネット上の実際のトラブルでは相手の手がかりさえつかめないということも多い、このように書いてありました。さらに、申し込みボタンをうっかり二回クリックしちゃって、二つの契約をしたことになって二つ届いちゃったというようなのも例として挙げられていました。ネット販売ならではのトラブルもありまして、欧米ではクレジットカードの番号を悪用されるといったケースも社会問題化しているようです。  そこで、経企庁の方にお聞きしたいんですが、電子商取引に関して、この間消費者からどんな苦情が寄せられているか、その内容で主なものあるいは件数などわかれば、お答えいただきたいと思います。
  217. 金子孝文

    ○金子政府参考人 お答えいたします。  国民生活センターでは、全国の消費生活センターとオンラインで結ぶ全国消費生活情報ネットワーク、PIO—NETと言っておりますけれども、それでいろいろ消費者苦情に対する情報を集めております。  相談と苦情に分かれるわけですけれども、苦情だけを見ますと、苦情は平成七年度ではわずか五件だったんですが、それがどんどん、先生先ほど千百五十とおっしゃったんですけれども、苦情だけで見ますと平成十一年度は七百十件ということで、件数はまだ少ないですけれども、非常に大きな伸び率を示しているということです。  それで、代表的な事例はどういうことかということなんですけれども、いろいろありますが、主なものとしては、インターネット利用中に知らないうちに有料サービスにつながってしまったらしくて、二万一千円の情報料の請求を受けた、有料サービスを利用したつもりはなく、払いたくないということ。あるいは、インターネットを利用している最中に知らないうちに外国につながるソフトがダウンロードされてしまい、高額な請求書が届いた。あるいは、インターネットで携帯電話機の購入を申し込みして現金を振り込んだんだけれども商品が送付されない、しかしながら、業者がいなくなっちゃって、ホームページ上から消えてしまって連絡もつかない。それから、インターネットを利用して外国からスーツケースを購入したが、来たものが壊れたというので返送したけれども、連絡が途絶えてしまった、クレジットカードでもう払ってしまっているけれども、どうしたらいいのか。さらには、息子がインターネットによる映像サービスを利用した際にクレジットカードを入力したけれども、その後で毎月カード会社から二十四ドルの請求が来るようになった。先ほど先生がおっしゃったように、クリックを二回やってしまうと二重に注文をしてしまう、そういうこともありますけれども、大体そんなようなところであります。
  218. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろと苦情相談があるようでございますけれども、昨年の二月十一日に、これは日本経済新聞ですけれども、「電子商取引の消費者保護策 官民共同で検討 通産省 新法も視野」、こういう見出しの記事がございました。それを見てみますと、「通産省は産官学共同で電子商取引の消費者保護ルールを検討する。インターネットを使った通信販売や情報提供で代金決済や契約を巡るトラブルが相次いでいるため、電子商取引の普及にはルール作りを急ぐ必要があると判断した。勉強会は月一回程度開き、契約法、電子署名・認証、消費者保護など分野別に議論する。」こういう報道がございました。  通産省が昨年の八月十九日に出した「電子商取引の環境整備の一環としての法的課題の検討について」という冊子がございますけれども、それによりますと、「多くの課題はあるが、本資料では、当省において開催した勉強会での議論も踏まえて、焦点を契約ルールの総則部分紹介及び電子署名・認証の問題に絞って、現時点での当省としての考え方を示している。」「この他、電子商取引に関してどのような消費者保護対策を講じることが適切かという議論も行ったが、取引の実態を踏まえつつ更に議論を深めるべきであるとの指摘も多く、更なる検討に委ねることとした。」  これを私読みまして、当初は、恐らくこの契約の問題も、それから電子署名や認証の問題も、同じくあわせてこの消費者保護と三つ並びでいこうということが、当初の月一回の勉強会の中で出てきた。ところが、だんだんやっているうちに、結局のところ、今法案はここに出ております、いわゆる電子署名の問題と認証の問題は。ところが、消費者保護がどうも後回しにされてしまった。  なぜそういう事態になったのか、その辺について、通産省、お答えいただきたい。
  219. 太田信一郎

    ○太田政府参考人 先生が御指摘のように、電子商取引を円滑に進めるためにはいろいろな配慮をしていく必要がある。今回御提案させていただいている電子署名・認証的な、まさに基盤を整備することも大事ですし、当然のことながら、電子商取引にかかわる消費者等の保護も重要な問題であるということで、私ども前々からいろいろな角度から勉強を進めてまいりまして、先ほど御指摘の報告書は、まず、できるもの、準備の整ったものということで、署名法、認証法の点を中心報告をしたものでございまして、消費者保護等の問題についてないがしろにしているわけではございません。まさに今産業構造審議会の消費経済部会で議論をしているところでございまして、私どもの担当の審議官が参っておりますので、状況を御報告させていただきたいと思います。
  220. 杉山秀二

    ○杉山政府参考人 消費者向けの電子商取引につきまして、どのように消費者の保護を図っていくかという点につきまして、昨年の十二月からでございますが、産構審の消費経済部会の中にインターネット通信販売小委員会というものを設置いたしておりまして、そこで、まず、トラブルあるいは苦情の実態というものはどういうものかということを、消費者団体あるいは事業者あるいは学識経験者等から今ヒアリングを順次しているところでございます。  そういった実態調査の結果を踏まえまして、ネットと消費者とのかかわりがこれからどう変わっていくのか、その中で取引がどういうふうに進むのか、その中で技術的な発展性を阻害しない形で、あるいは柔軟な形でどのように規制をしていったらいいのかというような点について、議論をこれから進めていきたいと考えているところでございます。
  221. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほど来当委員会で論議されているように、この分野は非常に大きく拡大しているわけですね。日進月歩じゃなくて分進秒歩、そういう状況だ。ですから、この問題も急いでもらわなきゃ困るのですよ、私は。  つまり、なるほど、契約法やそのほかについて順次やっている、それから目下検討している、苦情の実態などについても小委員会等で検討しているというようなことですが、本来ならば、こういう法案が出るときには、消費者の問題もこういうようにやっていきますよというのが出されて当然だと私は思っていたのですが、どうも少し遅くなりそうですね。小委員会やそのほかの結論が出るまでどのくらいですか。
  222. 杉山秀二

    ○杉山政府参考人 少し補足させてお話をさせていただきたいと思います。  現在、消費者向けの電子商取引につきましては、訪問販売法という法律の中で通信販売の一形態として規制が行われております。インターネットの広告上に価格だとかあるいは取引条件を明示するという義務がかかっております。そういったことに対応しまして、通産省もインターネット広告を集中的に調査しまして、問題のある事業者に対して警告のメールを発するといったような措置も講じておりますし、また、民間でも、日本通信販売協会等が自主ガイドラインというものをつくりまして対応している。さらに、消費者が信頼できます事業者を識別する際に役立つ、いわゆるオンライン・トラスト・マーク制度というものも準備を進めておりまして、こういったものについて私どもも支援をしていきたいと考えております。  さらに、今先生お話がございましたような、それにさらにプラスするような格好での規制のあり方というものはどういうものかというのを検討しておりまして、ことしの夏ぐらいには議論の取りまとめをしたいというふうな段取りで考えているところでございます。
  223. 矢島恒夫

    ○矢島委員 夏をめどにということですが、ひとつぜひ急いでもらいたいと思います。  実は、消費者に対する保護ということが非常に重要だという問題は、いろいろなところで論議されているのですね。ことしの二月二十日付の日経ですけれども、ネット上の消費者保護の問題について、東京大学の須藤教授の発言を載せております。教授はこういうふうに言っているのですね。「日本法律制定でネットの消費者保護が一歩前進したのは確かです。ただ、いざとなったら懲罰的な損害賠償請求訴訟の可能な米国に比べ日本の消費者の立場はまだまだ弱いのも否めません。」「現状では消費者の自己責任の部分が多いことをユーザーはきちんと自覚した方がいいかも知れませんね」、こういう発言を載せておりました。  今回の法律提案理由の説明の中で、「電子署名及び認証業務については、その法的な位置付けについて明文の規定がなく、電子商取引等の普及の妨げになっているのではないかとの指摘」を受けたと。つまり、いわば電子商取引を発展させるための法的基盤整備という性格を持っていると思うのですね。現実の商取引を前提とした法体系がそもそもネット上での商取引を想定していなかった、そのために今回の法整備が必要になったわけだと思うのです。  こうした法整備というのは、やはりネット上で行われる商取引が秩序立ったものとして発展していくためには必要だと私たち考えております。それと同時に、消費者保護の問題についても昨年十二月、OECDの理事会勧告というのが出されておりまして、そこで電子商取引に関する消費者保護ガイドラインというのが採択されております。その中の非常に重要な部分といいますか、このガイドラインの第二部の一般原則の冒頭に書かれているのですね。「電子商取引に参加する消費者には、他の形式の商取引で与えられるレベル以上の透明で効果的な消費者保護を与えるべきである。」これはOECDの理事会で採択されたものですね。  そこで、通産大臣はいらっしゃいませんので、もし郵政大臣にお答えしていただければということで、消費者保護問題なんです。  つまり、電子商取引発展のための法整備を図るんだったら、このOECDの理事会勧告が言っているように、「他の形式の商取引で与えられるレベル以上の透明で効果的な消費者保護を与えるべき」だ、こう言っているのですが、私もそうだと思うのです。そういう点で、もし、電子商取引における消費者保護に対する大臣の基本的な考えがあればお聞かせいただければと思います。
  224. 八代英太

    八代国務大臣 電子商取引は、消費者に対しまして多彩な商品・サービスの提供を容易に可能にするものとして今後とも発展が期待されている、これは矢島委員も御理解いただいているところでございます。  私ども、ことしの一月に、実は、千名を対象にアンケートをとったのですね。それはどういうアンケートかといいますと、インターネットショッピングを利用したくない理由、つまり利用したくない理由は何だろうと。これも法案の中に実はこういう気持ちをしっかり入れるようにというところも指示したわけでございます。  消費者が電子商取引にちゅうちょする理由を調査したところ、まず、取引の相手方が本人であるか確認できない点、やはりこういう点が不安である。それから、品質に不安があり、実際に商品を確かめて購入したいからというような、やはり日本人は対相手と実際にお金を払ってというのが一つの歴史的なものですから、そういうちゅうちょ、これは七三%ありました。クレジットカード番号など個人情報が漏れているといった不安がある、これが六七%ございました。あるいは、代金の誤請求など代金決済方法に不安があるからというのが五〇%ぐらいありました。購入した商品が届くかどうか不安があるから、三五・一%。通信内容が途中で改ざんされる不安があるからというような、やはり不安の答えが寄せられてまいりました。そういうわけで、電子商取引の一層の発展のためには、これらの不安を取り除くということが大変重要であるという認識に私たちは立ったわけですね。  この点、本法案は、ネットワーク上で非対面で行われる電子商取引につきまして、これらの問題点を解決する電子署名及び認証業務に関しての制度整備を行うということでございますから、日本の歴史的な実印という印鑑文化というものから転換する一つの過渡期でございますので、いろいろな難しさ、省令でとかいうような言葉が幾つか出てまいりますが、一つの形になったときには、わかりやすい形で、しかも消費者の保護ということにも力点を置いた、そういう制度に育てなければならない、こういう思いでいるところでございます。
  225. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今、大臣が述べられたアンケートの中にも、個人情報が漏れているというお話がありました。この個人情報保護というのも、これまたこの中で十分考えていかなきゃならない重要な問題だと思うのです。  そこで、時間がありませんので、一つだけお聞きします。  認定事業者が、この法律でいいますと第十二条ですね、これに違反した場合は、十四条で認定取り消し処分、その旨の公示という手続がとられて、社会的な信用を失うというサンクションを受けることになるわけであります。今回の法的スキームは、認定事業者だけが事業を行うのじゃなくて、認定を受けなくて事業を行うということももちろん想定されるわけですね。こうした事業者、つまり認定を受けないで事業を行うという事業者にはどう個人情報保護を徹底させていくのかということが問題になってくると思うのです。つまり、認定事業者だけではなくて、認証事業を行う事業者全体、これに個人情報保護規定というものをかぶせる、こういうことはできないのか。こうすべきだと私は思うのですが、この辺はいかがですか。
  226. 天野定功

    天野政府参考人 先生おっしゃいますように、この法案では、認定を受けた認証事業者を対象に制度をつくっておりますので、個人情報保護の規定に違反したペナルティーにつきましては、その認定認証事業者の認定を取り消すというものが規定されているだけでございます。  それで、認定を受けていない認証事業者も含めた広く認証事業者一般の個人情報保護につきましては、現在、政府部内で行われております個人情報保護に関する法制の検討対象になりますものでありまして、その法制の中で罰則の可否を含めて検討されることになろうかと思っております。
  227. 矢島恒夫

    ○矢島委員 前にも当委員会で同僚委員も言いましたけれども、いろいろな、省令等でこれから決まっていく部分がある。実際にやってみないとわからない部分というのは、これからの問題がたくさんありますから、あります。ですから、もし実際にこれを施行し、やっていく段階で何かこれが問題だというときには早速見直す、こういう姿勢をぜひ貫いてもらいたい、このことを要望いたしまして、質問を終わります。
  228. 前田武志

    前田委員長 西田猛君。
  229. 西田猛

    ○西田(猛)委員 保守党の西田猛でございます。  八代郵政大臣、それから小坂前田両政務次官、政府の関係者の皆様方、また前田委員長初め委員皆さん方、本当にお疲れさまでございます。  朝方には、電気通信事業法の一部改正法案を本委員会で可決したわけでございました。今は電子認証等に係る法律案の審議にかかっているわけでございますけれども、電気通信事業法の改正に当たりまして本委員会で附帯決議を付したように、これはいろいろな考え方思いもあるかと存じます。確かに、NTT東西会社経営状況もしっかりとしていってもらわなければいけません。そこで働く人たちのことも当然考えていかなければなりません。しかし、今審議しておりますこの電子認証など、電気通信事業分野におけるこれからの世界の潮流には、まことに速い、そして深いものがあるのでございまして、我が国日本においても、この電気通信事業分野において決しておくれをとることのないように、NTT及びNCCなど関係の事業会社、またはその利用者、そして関係の皆は、努力をして、我が国がグローバルなスタンダードにおくれをとらないようにしていかなければならない、そのような思いで朝方、電気通信事業法の一部改正法案がこの委員会を通過したものと思っております。そのことが今後とも我が国で推進されるよう切に祈るものでございます。  さて、そのような中で、この今回の電子署名認証業務に関する法律案でもございます。最初に罰則についての話を少しお伺いをしたいと思うのでありますけれども、これは政府参考人の方から御答弁いただければ結構でございます。  例えば、認定を受けて認証を行う認証事業者の信用を悪用して人をだますとか、そういう行為に出てくる者がいるおそれがございます。本法においては、それらの違法行為を抑止するための十分な措置がなされておりますでしょうか。お聞かせ願えますでしょうか。
  230. 天野定功

    天野政府参考人 認定認証事業者の証明に関連しました不正行為としましては、二通りの形態があろうかと思います。一つは、認定認証事業者の従業員が故意に虚偽の電子証明書を発行する場合、それから、今先生御指摘の、利用者が認定認証事業者に氏名等を偽って申し込みをして虚偽の電子証明書を発行させる場合、こういった形態が想定されます。  このうち、認定認証事業者の従業員が故意に虚偽の電子証明書を発行する場合は、既に刑法第百六十一条の二の電磁的記録不正作出罪という刑罰が用意されておりまして、これに該当しますけれども、利用者が認定認証事業者に虚偽の電子証明書を発行させる場合には、現行法では規定がございません。そこで、この法律では、それに対する罰則を設けたものでございます。
  231. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それから、そのような認証事業者を認定する、これは政府役割ですけれども、その認定を行うに当たって実地検査を行うこととなっております。この実地検査を指定調査機関に行わしめることができる、このようになっているわけですね。  先ほど来議論になっております、このような電子署名及び認証業務に関しての各国の世界的な法制度の概要の一覧表などを見せていただきますと、我が国の場合は、電子署名について、いわゆる公開かぎ方式だけでなくて技術中立的な定義を行っている。それと、法的効果について言えば、法手続上の証拠力を与えるものである。これは民事訴訟法上の特例と申しますか、民事訴訟法でも定められているように、人の署名ないしは捺印と同じような効果を与えるということであって、契約の成立の要件とは当然なっていない。これは我が国の契約法からくることですね。  それと、認証機関の位置づけですけれども、これは任意的なものであると先ほど来も議論がありましたけれども、そんな中で認証機関を認定するに当たって、実地検査を行わしめることのできる指定調査機関というものを設ける理由、それから、どのような機関が予想されるのか、幾つぐらい指定をされるお考えなのかというふうなことをお聞かせいただけますでしょうか。
  232. 天野定功

    天野政府参考人 特定認証業務の認定に当たりましては、認証事業者の設備や実際の業務の運営体制が認定の基準に適合しているかどうかについて実地に調査をすることといたしておりまして、具体的に申しますと、認証事業者の事業場に立ち入りまして、認証事業者の設備の試験運転、あるいは帳簿書類の検査等を行うことにいたしております。  このような業務は極めて専門技術的でありまして、かつその事務量も多く、行政機関にとってはかなりの負担となりますから、行政事務の簡素合理化、民間能力の積極的な活用の観点から、民間の第三者機関に国の事務を代行させるということといたしております。  それで、指定調査機関の指定についてでございますけれども、主務大臣は、法律上の要件としまして、この法律に定められております経理的基礎、技術的能力、公平中立性などを満たす者であれば、公益法人、民間企業を問わずだれでも指定することとなっておりまして、調査業務の競争原理を導入する観点から、指定する機関の数も法律上は一つに限定いたしておりません。
  233. 西田猛

    ○西田(猛)委員 わかりました。  今申し上げましたように、今回の認証業務によって、今審議している法案の第三条にもあるわけですけれども、民事訴訟の推定の規定が設けられている。したがって、電子署名・認証等が行われたものについては、真正に成立した文書、電磁的記録というふうに認定されるわけですから、取引における効果が非常に強まってくる。  これもいろいろと議論が既に行われているところでございますけれども、その意味で非常に強い推定力を与えることになるわけですね。当然、先ほども申しましたが、日本の契約法制というのは、これは要式行為ではありません。諾成ですから、やるよ、やるよでこれも契約ですという形ですが、こういう今度のネットの時代においては、認証が非常に大きな役割を持ってくる。  そういう大きな役割を持つ今回の認証事業なんですけれども、その事業が原則自由に行えるということに今回の我が国の法律の立て方はなっているんですけれども、八代大臣、そのようなことで大丈夫でございましょうか。
  234. 八代英太

    八代国務大臣 御指摘をいただきましたが、情報通信関連分野においては、民間活力を自由に引き出して、自由なビジネス展開が可能な環境とする観点から、行政の関与というのは必要最小限とするべきであるとの基本的な考え方に立っております。これも、高度情報通信社会推進本部においてもこのような趣旨を決定したところでございますので、できるだけ自由にという思いでおるところでございます。  また、国際的にも、認証業務について許可制を採用している国はイタリアしか存在しておりませんけれども、これもEU指令に基づいて、二〇〇一年七月までには任意制に移行をするというようなことも伺っております。任意的な認定制度とすることが、言ってみれば国際的な流れとなっているようでございます。  こういう状況を勘案しまして、この法律では、国民が取引等の実態に応じて安心して認証業務をできるように、その信頼性の目安として任意的な認定制度を導入するものでございまして、むしろ、自由なビジネスの発展を図る、自由にこのビジネスに参入できるというような思いの中から、それが望ましいという気持ちから、こういう形になっているということを御理解いただきたいと思います。
  235. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大臣今おっしゃったように、私もそこは大賛成ですね。この認証事業そのものは、そういう意味で、自由に参入できるものであっていいと思います。  ただ、これを契機といたしまして、ネットの上での契約というものに認証が果たす役割は非常に大きいわけでありますから、私もこの法律案を読んでいるときに思い出したのですけれども、例えば、アメリカの契約法なんというのは、よく我々、頭文字をとってMYLEGと覚えたんですが、結婚に関する契約というのは書面でなきゃならないわけですね、署名が入っていなきゃいけない。それから、一年以上を超えての契約というのも書面でなきゃいけない。それから、土地に関する契約も書面でなきゃいけない。それから、後見人に関する契約も書面でなきゃいけない。それから、たしか五百ドルだったと思いますけれども、五百ドルを超えるものの売買に関する取引の契約も要式行為だ、書面でなきゃいけないというのがアメリカの契約法上は定められているんですね。  ところが、日本はもう御存じのように、今申し上げましたけれども、諾成、非要式ですから、AさんとBさん、私と大臣が、では大臣の何々を私が十円で買うよ、この言葉だけでOKでありますというふうなところから、どうも我が国においては契約が軽いと言うと言葉が変ですけれども、約束ということに重きを置かなきゃいけないんですけれども、契約ということに対する概念が我が国においてはどうしても欧米に比べて希薄と言ってはなんでございますけれども、もっと重要視をしていかなければいけないのではないかなと私などは常に思っているわけですね。  ですから、インターネット時代における契約というものに認証事業が果たす役割は非常に大きいと思いますので、これは我々期待をしているというところでございます。  そのような中で、きょうはわざわざ通産政務次官の茂木次官にも来ていただいていますので、あえて国際経験も豊かな、小坂次官も前田次官も大変国際経験豊かですが、さらに茂木次官から、今私の申し上げたようなことも含めて、今回の我が国の電子認証に係るこの法制が、各国の制度に比べても遜色なくグローバルスタンダードにたえていけるものかどうかについて、お話をいただけますでしょうか。
  236. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 西田委員とはハーバードで同窓でございまして、今回質問者、答弁者ということで議論できるというのは、本当に感慨深く思っております。  それから、委員アメリカでも弁護士資格をお持ちでありまして、そういった意味からもこの分野は大変お詳しいということで、今後ともいろいろ忌憚のない御意見をお寄せいただければと思っております。  例えばEコマースの分野等々でいいますと、委員御案内のとおり、アメリカの方が圧倒的に進んでいる。BツーBで日本の二倍以上、BツーCでは十倍ぐらい、こういう形でありまして、こういった新しい流れに対応するための法案だ、こういうふうに考えているわけであります。  諸外国におきまして、この分野で主流になっておりますのは、電子署名に関する技術中立性への配慮の問題、それから、認証事業者に対する任意的な認定制度の導入等に留意するなど、国際的な整合性を視野に入れまして今回の制度設計を行ったところでございまして、国際的に十分電子商取引の基盤として機能し得る、このように考えております。
  237. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ぜひ、この事業のこれからの発展を期したいと存じます。  以上で私の質問を終わりたいと思います。
  238. 前田武志

    前田委員長 次に、中井洽君。
  239. 中井洽

    ○中井委員 二十分の時間ですので、本来、法務省や通産省にお尋ねもしなきゃならないかと思いますが、郵政省だけで質疑をいたしますので、郵政省大臣、次官の範囲内でお答えをいただければ結構だと考えております。  先ほど大臣の御議論の中で、印鑑証明のあり方の過渡期的な法案の一つだというようなお話がございました。実印の方ですね。私は、本当にあの印鑑の文化というのは大事でありますし、印鑑屋さんというのは、本当に伝統的に家業を各地区でやってこられたこと、そのとおりだと思います。本当に実印がなければ何かいろいろな本人確認ができないという今のやり方をいつまで続けるのだろうと時々思うわけでございます。  去年の暮れに郷里に帰りまして、なかなか平日帰れないものですから、いつも使っている銀行へ行きまして、いろいろな、判を押したりお金を納めたり、たまっているものをやっておりまして、そうしたら、代議士、これは実印が要るのですと言うのですね。僕は実印を持っていないものですから、理事長やら部長に、昔から知っていますから、冗談半分に、実印というのは何のために要るのだ、こう言ったら、本人確認だ、こう言うから、長いつき合いの衆議院議員中井洽を知らぬのかと僕は言ったわけでございます。秘書が実印を持っていったらそれでいいのですね。ここらを含めて、本当にどうなんだろうと思わざるを得ません。しかし、漢字文化の中で育った我々として、印鑑というものをなくするというわけにもいかぬでしょう。大臣がさっきどういうことであそこまで踏み込まれたのかわかりませんが、率直な大臣のお考えを承ります。
  240. 八代英太

    八代国務大臣 実印を本人確認に用いることは、本人確認の有効な方法の一つでもあると思います。当然、認証事業者が本人確認方法として利用する選択肢の一つとなり得るものと考えておりまして、まだまだこの文化は、電子署名、電子認証という法律がつくられましても、まだ日本においては主流であろう、しばらくはそんな思いを持っているところでございます。また、電子署名と印鑑は、その利用実態に応じて使い分けがなされるものと考えられまして、例えば、迅速性かつ効率性が求められる日々の電子商取引では電子署名が用いられる一方、高額な取引とか、あるいは遺言とか、今後も文書形式が日本では維持されると思っております。したがって、従来どおり印鑑が用いられることになるのではないかと考えているわけです。  私も、実は実印というものを持っておるわけでありますが、めったに私がついたことはなくて、かみさんがほとんどついているわけでございます。しかし、子供たちに実印という話をして、印鑑証明という話をしましても、子供たちはわかりませんね。印鑑証明とは何だ、やはりそんな年齢のギャップ等々を感じていきますと、まさに二十一世紀の子供や孫たち時代には、この電子商取引といいますか、電子署名あるいは認証制度というものがまた主流になっていって、我々は過去の一つ考え方の中であえぐのかな、こんな思いを率直に感じてもいるところでございます。
  241. 中井洽

    ○中井委員 率直なお考え、ありがとうございました。  インターネット銀行とか、あるいはインターネットの証券取引、インターネット銀行はまだ非常にこれからだという感がいたしますが、インターネットを使っての証券取引というのは、株式の取引というのはかなり行われている。そういうときに、大体もう暗証番号で処理をされているのだろう、こう思うわけであります。  暗証番号ではなしに、あえてこういう大変複雑な形式の今回の電子署名あるいは認証、こういう制度を導入した。どういう利用方法を具体的にお考えなのか。あるいは、どのぐらいの利用件数というのを想定されているのか。あるいは、認証証明、自由競争でありましょうが、こういったことについてどのくらいの費用というものが想像されるのか。これらについて、郵政省のお考えを承ります。
  242. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員が、通常いろいろな銀行でカードを使うとか、そういうときに使う暗証番号というのは四けたとか五けたぐらいのものである、あるいは、もう少し複雑な金庫等でも八けたぐらいの数字を羅列するものであろうと思います。  今回の電子署名というのは、いろいろな方式もこれから出てくると思いますが、現在この法案で議論しているときにその主流を占めておりますのが、公開かぎ、秘密かぎという方式でございます。これは電子文書を送信するに当たりまして、本人しか知らない秘密かぎ、これは数字の羅列でございますけれども、数百けたのレベルの数字を用いて、この電子的な文書を暗号化するわけでございます。この暗号文を復号化するには、これは公開かぎというものがないとできない。この二つのかぎを使ってやるわけでございます。  これは数学的な論理でございますので、私も説明を受けてもなかなかわからない。実際には、十七世紀のフランスのピエール・ド・フェルマーという数学者が考え出したフェルマーの定理というのを使ってやるのだそうでございます。素因数分解をするというような話でございますが、これを説明していますと、えらく長くなって、私もわからなくなります。  そういった方式を使ってやるものですから、では、ものすごく難しくて、頭をひねらないと使えないのかといいますと、実際にはこれはソフトウエアに組み込まれていて、パソコンの上でかぎをかけろと言えばすぐに一瞬にかかってしまう。また、認証を申請するにも、電子的にその文書を送るのは非常に簡単な方法でそれをつくることができる、こういうような内容になっておるわけでありまして、使い方が簡単なものですから利用頻度も非常に多くなってくると思います。  ですから、電子商取引の上でも、何か買い物をする、Eコマースということで買い物をするというような場合には、みんなこれを使ってくることになるかもしれません。そのレベルが、金額によって認証を必要とするような契約のものになるのか、政府の認定を受けた認証事業者の認証を使うのか、あるいは、一般にもっと普及型といいますか、もっと利用料金が安い形のものを使うのか。利用料金というお話もございましたが、利用料金も、言ってみれば、数円かあるいは一たん定額を払えばもう幾らでも使い放題というようなものから、一件一件料金を取るとか、あるいは認定をするたびに料金を取るとか、いろいろな料金形態が考えられるわけでありますが、これも数千円からもっと上というものもあるのかもしれません。  その辺につきましては、まだ事業者の方の話でございますので、私どもが詳細にまだ申し上げるわけにはいきませんが、そういった幅のある料金体系のものであって、また利用範囲も、今申し上げたように、非常に簡易なものから高額の契約等に使われる非常にセキュリティーレベルの高いものまで、いろいろなバリエーションがあるというふうに理解していただければいいかと思っております。
  243. 中井洽

    ○中井委員 今のお話を承りますと、要するにインターネットの取引において、ほとんどこういう形のものが、印鑑であったり実印であったり、いろいろとレベルの高さによっては違うのでしょうが使われる、こう御判断をなさっているようであります。  それで、先ほどから御議論がありましたが、こういうやり方を法的に制度としてつくっていく、これが、インターネットのことでありますから、本当に将来も国際的にこういうやり方でインターネット上いけるのかどうか、これが心配なわけであります。  郵政省の今日まで歩んできた歴史を見ますと、残念なことに、いろいろなやり方、テレビだとかビデオだとかの世界で、時々独自のことをやりながら、それが世界の主流にならずに後から直さなければならない、こういうことが間々あったわけでございます。今回の電子署名・認証の制度というのは、先ほどからお話を聞いていると、大体こういう方向で世界の中でやっていけるのだというようなお話でありましたが、そういう確信のもとに今回法案をお出しになっているのでしょうか。
  244. 八代英太

    八代国務大臣 まさにアメリカでも、インターネットビジネスが既にもう三兆円に迫ろうという状況日本でも実際千七百億とかそういう状況ではございますけれども、日本の経済の全体を見ますと、アメリカが三兆なら日本も二兆くらいの取引がインターネット上であってもしかるべきという状況だというふうに思いますし、まさに世界の潮流は、これから、電子署名・認証という形のネット取引になっていくだろうと思うのですね。  私テレビを見ていまして、IBMでしたか、梅津栄というタレントさんが酒屋さんの主人で、はっぴを着て、フランスから買い物に来て、それはねと言うコマーシャルがありますけれども、まさにあんなふうに町の中で、これから私たちインターネットを通じてのそうしたビジネスというものは本当に活発になっていくでしょうし、対外国へのセールスということがいわば日本社会の大きな力になっているということを考えますと、世界の対応の中にやはりおくれてはならない、そのためには、世界に先駆けてというよりも、私たちがリーダーシップをとるような思いで、この電子署名というものをしっかりと国際的にも位置づけていく、日本の未来のかぎである、こんなふうにも思っているところでございます。
  245. 中井洽

    ○中井委員 結局この方式、これはすべてそのままというわけではないのでしょうが、こういう方式で世界の中でインターネットで取引というものが進んでいくという、方向性も確信も余りなさそうなお話でありましたが、ここら辺を含めて柔軟に対応されて、世界の流れの中でおくれることのないようにお願いをいたします。  こういうことを私はこんな席で申し上げるのは恐縮なんですが、かつてNTTのプリペイドカードあるいはパチンコのプリペイドカード、ああいう研究を日本がしたときに、一年、二年と法的なことを積み上げて、結局にせものをつくられないかという議論が随分あったのだそうであります、研究会で。しかし、日本の技術屋さんは、いや、絶対にそんな簡単ににせものができるようなものではありません、こう言って豪語されたのだそうでありますが、一万円のパチンコのプリペイドカードやそういうものが出ると、あっという間ににせものをつくられた、こういう事件があったわけでありまして、コンピューターの世界でも、すさまじいいろいろなことを私どもは聞いております。  今回のこういう署名制度だって、非常に中身は難しいけれども、小坂さんのお話では、使うのは簡単である。使うのが簡単だったら、例えば私どもの事務所でやっても、秘書が勝手にやったときどうなるのだとか、あるいは会社関係でも、それを使える人が決まっておっても、日本の会社ですから、簡単に部下の者が使ってしまう、そのときどうするのだ、こういったことを含めて、ありとあらゆることを考えていかないとなかなか対応できない複雑な社会になっているのだろう、こんなふうに考えております。そういう意味で、柔軟な、また十分な対応をこれからもしていただきますことをお願いいたします。  最後に、小坂さんでも大臣でも結構でありますが、率直な感想というか考えをお聞かせいただきたいと思います。  こういうインターネットでの国際的な取引、国内的な取引、ふえればふえるほど税金というのはどういうふうに考えていくのだろう、インターネット上の取引に対する課税のあり方あるいは消費税のあり方、こんなことを含めて、非常に難しいものがこれから提起されるのだろうと思っております。当委員会での役割ではないかもしれませんが、インターネット等のことに大変お詳しい小坂次官のお話考えとを承って、質問を終わりたいと思います。
  246. 小坂憲次

    小坂政務次官 中井委員の御指摘は本当に難しい問題でして、これは今世界的な議論になっている問題でございます。インターネットの取引に対しての課税を一体どのようにして行うのか、その点につきまして、我が国においてもこれは考え方がまだ十分に煮詰まりませんし、諸外国においてもこれはなかなか難しい問題であります。実際には、インターネットを通じて商品を注文して、形になった物が輸入される形をとれば税関において輸入時に関税を課すことができるわけでありますが、音楽とか著作物のように、電子的にこれが送られる場合にはなかなか把握できない、そんな意味で、これはこれからのまだ十分な課題と認識いたしております。  ただいまの質問に対するお答えはその程度でございますが、今回の認証全体につきましての御意見ということであれば、大臣から御答弁をお願いいたしたいと思っております。
  247. 中井洽

    ○中井委員 それでは、時間もまだ四、五分ありますので、大臣にお尋ねをいたします。  税金のことでなしに、過般から各党間で公職選挙法の改正がございます。このときに、インターネットを使った選挙運動、これについて少し議論があったわけでございます。ある党は、自由にやらすべきだという御意見でありましたし、複雑過ぎるし、お金と人を入れれば幾らでもできるではないか、不公平ではないか、こういう意見もございました。また、インターネットを使った将来の投票というものもどうだという議論もあり、実際に実験等も始まっているわけでございます。結局、インターネットを使った選挙運動あるいは事前運動、ここら辺はできないことにしようということで決着はついたわけでございます。  私なんかは、現行、なかなか難しいけれども、例えば選挙公報、こういったものなんかは、各地の選管がどんどん出していけばいいではないかというようなこと、例えば北海道の人が、東京の知人が立候補したときの選挙公報、どうなんだ、なかなか見られない、見られるような仕組み、そんなことを含めてやればいいではないか、こういう意見を申したことを覚えておりますが、大臣自身はこういったことについて、あるいは方向性についてどうお考えか、この際、お聞きをいたします。
  248. 八代英太

    八代国務大臣 まさに時代インターネット時代。したがって、我々政治を志す者、政治は暮らしのすべてでありますから、そういう意味でもインターネットにおけるいろいろな政治活動ということも避けて通ることはできないだろうと思います。  私も実は郵政省大臣のホームページというものを開設しておりまして、毎週、私の個人的な意見を述べさせていただいて、皆さんから御意見を伺っているわけでございますが、しかし、そんなにたくさん意見があるものでもないんですね。それほどインターネットもはんらんしております。そしてまた、私の政治活動に対して、いろいろな誹謗中傷もインターネット上にございます。ございますが、それをまた見ている人もそんなに大勢いるわけではないというところを見ますと、これからのいろいろな展望を考えて、セキュリティーの問題も含めまして、これは自治省で、また、それぞれの各党各会派で真剣に議論していただかなければならない問題だろうとは思います。  しかし、そういう問題も、電子投票等々も踏まえて、いろいろこれから、時代に即した、政治とインターネットの問題、かかわり合い、また選挙公報とインターネットのあるべき姿、いろいろな問題が議論されていく時代が到来しつつあるなという予感を持っている次第でございます。
  249. 小坂憲次

    小坂政務次官 最後に、中井委員から午前中に御質問ございました仮設電話の件でございますが、資料を用意しておりますので、お手元に後ほどお届けすることで答弁にかえさせていただきます。
  250. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  251. 前田武志

    前田委員長 次に、横光克彦君。
  252. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  大臣、両政務次官、きょうは朝から長時間本当に御苦労さまでございます。私が最後でございますので、もうちょっとひとつよろしくお願いいたします。  この電子署名また認証業務の審議、私が聞いておりますと、非常にレベルの高い審議だったなという気がいたしております。  社会活動、経済活動ともにIT化する中で、国民は好むと好まざるにかかわらず、電子商取引あるいは電子政府、こういったものを利用せざるを得なくなってきた、そういった時代の到来であろうと思っております。新卒者の就職とかあるいは航空券の割引等、こういったのもそういった一つの事例でございますが、とりわけ国際的な流れであり、これからの国際化あるいは企業間の取引の主流はこういった電子の時代が始まるであろう。  そういった意味から、今回こういった法的に位置づけを明確にするということは非常に必要であり、かつ重要である、このように感じてはおります。しかし、やはり紙の世界から電子の世界への大転換でございますので、なかなか理解できない人もまだまだ多い。そして、そういった人たちにいかに大きな転換を理解させて、そして浸透させていくかということが、これまた重要であろうかと思っております。私は、どっちかというと、そっちの、まだ理解できない方のところにおるものですから、そういった質問をさせていただきたい、このように考えております。  まず、イメージなんですけれども、大臣から先ほどお話ございましたように、紙に印鑑を押すという、取引関係あるいは自分の証明の場合のそういった文化とも言える形が日本に定着していたわけですね。これが電子の世界に変わる。この電子署名という言葉は、いわゆる紙の文書においてはこれは手書きの署名であり、印鑑なわけですね、押印なわけですね。そして、電子署名に利用するこの暗号キー、これがいわゆる実印ですね。そして、認証業務、これがいわゆる印鑑証明業務であり、電子証明書が印鑑証明書である、こういった位置づけであろうと思うのです。  先ほど大臣から、印鑑証明と言ってもわからない若い人がふえているというような話もありますが、そういったことを一挙に吹き飛ばして、私は、一挙に電子証明書というのが若い人たちの中ではこれから位置づけられていくのじゃないかと思うのです。とりもなおさずそういったことを、この法案にも書かれておりますが、国民への教育活動、広報活動、これにかなり力を入れて、しばらくはやはりまだまだ印鑑の時代が続くであろう、主流であろうというお話でございましたが、こういった活動はどのような方法で国民に広く浸透させていくお考えなのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  253. 八代英太

    八代国務大臣 窓口は、地方公共団体が一番の行政の窓口でありますし、国は国としての窓口もございますが、しかし、これからのインターネットの急速な普及やあるいは電子商取引の実用化の動き等が、社会経済が大きく変わっていくという時代になってまいりますと、電子政府の実現を図って行政手続の電子申請が可能になるようにすることは、やはり行政の効率化、人員削減という一つの目標もありますけれども、人の足らざるところはこうした情報通信によってカバーできるという一つのメリットもあるわけでございますので、いろいろな意味で効率化やサービスの向上のためにも大変重要だというふうに思っております。  このために、私たちは、インターネットを利用してペーパーレスで行える電子政府の基盤を構築しようということで、昨年十二月に、電子政府の実現をミレニアムプロジェクトという政策の中に位置づけたわけです。そして、ただいま議論していただいておりますこういう電子署名、申請等の基盤の整備を図っていくことによって、これからいよいよ平成十五年度までには各省庁において原則として行政手続がインターネット等のネットワークを経由して行えるようにしていきたい、こんなふうに思っております。  なお、これは通商産業省、運輸省とともに、郵政省は先導的な取り組みとして、平成十五年度までには、電気通信行政関係分野への申請、届け出等の全行政手続、約三百件郵政省にはございますけれども、これについてはインターネット等を利用したペーパーレス申請システムを構築して運用を開始する予定でおります。  そうしますと、当然これは地方公共団体ということになってまいりますが、地方公共団体については、自治省において本年度に国の認証システムとの整合性の検討を行っていただきまして、そして都道府県及び政令指定都市に対しては平成十三年度までの、その他の市町村に対しては平成十五年度までにはこの認証システムの整備を要請することになっております。  また、郵政省としては、自治省と連携しながら、さきに成立いたしました公共電気通信システム法によって地方公共団体の電子申請化の研究開発を積極的に進めながら、できるだけ十五年にはこうした電子政府というものが、国そして都道府県、市町村へと連携を持っていくような、そういう取り組みをしていきたいというふうに思っておりますので、広報もそれに沿って多くの国民の皆様にお知らせしていかなければならないという一方の責任もあるように私は痛感いたしております。
  254. 横光克彦

    ○横光委員 今回の法案は、こういった電子署名に手書きの署名や印鑑、実印と同じ法的効力を与えようとするものでございますが、手書きの署名や印鑑の場合、国民は、法的な意味を理解しているにもかかわらず、どうしても実際にはいろいろなトラブルが発生しているわけでございます。  私たちの国は、まだまだ契約社会とは言えないわけで、契約書をよく読まずに安易にサインをしたり印鑑を押してしまうケースも多いわけでございます。それが今度こういった電子署名時代になってきますと、パソコンの画面をクリックするだけで実印を押してしまうことになるわけでございます。しかし、とはいえ、パソコンの操作に精いっぱいで、電子署名することの法的意味、これをなかなか理解しないまま安易に電子署名してしまうというユーザーもあるんじゃないか、また、そういったユーザーも続出するんじゃないか。こういったのが杞憂に終わればいいのですが、そういった実態であるにもかかわらず、実印をついたのと同じ法的責任を一般ユーザーがこれから負うわけでございますが、ちょっと酷かなというような気もしないでもないのです。  インターネットそのものに関する相談窓口、これさえもまだまだ不十分な現状の中、今度インターネットを利用した契約上のトラブルの相談に乗ってくれる相談窓口はあるのか、また、こうした問題に、分野に詳しい弁護士は待機しているのかとか、いろいろな心配事が出てくるわけですね。  電子署名や電子認証の利用に当たって国民が何らかのトラブルに巻き込まれた場合、つまり民事紛争等に巻き込まれた場合、法的にはどのように取り扱われるのか、弁護士の問題等も含めてお答えいただければと思います。
  255. 細川清

    ○細川政府参考人 一般的に、契約の当事者が契約に関して民事紛争に巻き込まれた場合には、通常は法律専門家である弁護士等の助言を受けることが考えられますし、また、訴訟については、またこれについても弁護士さんを頼むということになると思います。  電子署名を行った方が電子取引に関して民事紛争に巻き込まれた場合も同じことになるわけでございましょうと考えております。  この点につきまして、日本弁護士連合会では、長らく禁止しておりました弁護士の広告を本年十月一日から解禁することといたしております。したがいまして、この電子署名等を得意の分野とする弁護士さんを探すということも従来よりはずっと容易になるんではないかというふうに考えているわけでございます。  次に、民事訴訟の際の電子署名の取り扱いについてでございますが、電子署名がされた電磁的記録に関する民事訴訟の特例につきまして本法案の三条が定めているところでございます。  現在の民事訴訟法では、ある者の意思、観念等をあらわしたフロッピーディスク等の電磁的記録をその意思、観念を証明するために証拠として用いる場合には、その電磁的記録がその者の意思に基づいて作成されたものであること、すなわち、成立の真正を証明しなければならないこととされております。  本法案の第三条は、電磁的記録に記録された情報について、本人による一定の電子署名がされているときは「真正に成立したものと推定する。」というものでございまして、推定の要件が満たされているときは、反証がない限り、本人の意思に基づいて作成されたものとして証拠として用いることができるということになるわけでございます。  最後に、こういった法的効力があるものですから、やはり電子署名について国民皆さん方の知識の普及をすることが大事でございます。  この点につきましては、本法案の第三十四条は、「国は、教育活動、広報活動等を通じて電子署名及び認証業務に関する国民理解を深めるよう努めなければならない。」と定めておりますので、電子署名の法的効力を含めまして、電子署名仕組みや、電子署名に用いられる秘密かぎの管理の重要性について、政府といたしまして、広報で周知徹底に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  256. 横光克彦

    ○横光委員 電子署名や電子認証が電子政府を実現するためにこれから重要であるわけですが、政府や地方公共団体がこれから電子申請サービスを実用化していくというお話でございました。電子申請システムが普及すれば、これは、市役所から離れた地域の住民にとっては大変メリットがあるわけでございますが、しかし、過疎地の高齢者等は、なかなかこの新しいシステムに、先ほどからお話ししていますように、なじむことが時間がかかる、あるいはできない、電子署名を正しく使うのが難しいような状況でもあるわけです。  こういったメリットと現実のギャップを埋めるためには、身近な場所で人手が介在する仕組みが重要であり、そうなりますと、やはり郵便局のワンストップ行政というのが非常に重要であり、効果を発揮すると思うわけでございます。  電子政府の推進とともに、郵便局のワンストップ行政サービスも大いに推進すべきであると思うんですが、来年からは郵政省と自治省が総務省に統合されて一緒になるわけですから、従来以上に推進しやすくなると思うわけでございますが、このことに対するお取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
  257. 前田正

    前田政務次官 お答えいたします。  御指摘のとおり、電子政府のメリットをあまねく国民に享受いただくために、国民に最も身近な郵便局におけるワンストップ行政サービスの実現が有効であると私どもは考えております。昨年の十一月の経済新生対策でも、政府全体の取り組みの一環として推進することとされておることでございます。  このため、郵政省では、郵便局に設置をいたしました情報端末によりまして、公共施設の予約とかあるいは行政情報の提供などのサービスを提供する実証実験を平成九年度から実施させていただいています。また、本年二月からは、地方公共団体の住民票の写しの自動交付機を郵便局に設置することも始まっております。  今後も、郵便局におけるワンストップ行政サービスを一層推進していくために、郵便局における行政サービスの提供のための各省庁と地方公共団体との連携協力が不可欠となるものと考えております。  このために、四月の二十七日からは自治省とのまず共同研究会というものを開催させていただきまして、地方公共団体の代表者にも御参加をいただいて、地方公共団体と郵便局の協力体制のあり方、どういうことができるのかということを今検討の段階に入っております。  さらに、今おっしゃいましたとおり、来年の一月から両省が統合され総務省が発足するわけでございますが、なお、この共同研究会に当たりましては、その点も見据えながら、また利用者という立場も、十二分に意見を聞きながらさらに推進していきたい、かように思っておるところでございます。
  258. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。どうもありがとうございました。
  259. 前田武志

    前田委員長 この際、先刻の理事間における協議に基づきまして、委員長から政府に対し申し上げます。  今日では、電磁的な記録が従来の紙としての書類と同等に扱われるようになってきているが、現在、法律上で用いられている「書類」には、電磁的記録を含むものと解釈して運用されている場合のものと、字義どおり紙として書類に限定して運用されている場合のものが混在しており、一般国民はもとより、海外から見てもわかりにくい状況となっている。このような状況を改善するため、政府においても、法令全体を統一的視点から検証し、「書類」等の用語について明確化を図るよう早急に検討されたい。  この際、八代郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。八代郵政大臣
  260. 八代英太

    八代国務大臣 ただいま委員長の御発言を真剣に受けとめまして、政府部内におきましても、情報時代に即応した法令用語の明確化を図れるよう、関係省庁と協力しつつ積極的に検討してまいりたいと存じます。
  261. 前田武志

    前田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  262. 前田武志

    前田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  電子署名及び認証業務に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  263. 前田武志

    前田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  265. 前田武志

    前田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十七分散会