○伊藤(忠)
委員 民主党の伊藤忠治でございます。よろしく
お願いをいたします。
時間は九十分いただきました。それで、きょう私が
質問をいたしたい点は、まず第一点、条文ですね。長期増分費用方式、LRIC方式と言った方が早いんですが、これが条文の中でどのように決められようとしておるのか。条文を読みましても、非常に長くて、読んでいる間に、何を言われているのかさっぱり、迷い込むというような表現もありまして、これを
一つ一つチェックさせていただきますが、これが一点目。
二点目は規制緩和策、これは、森内閣にかわりましたが、政府の大方針でございまして、この流れを一層強めようということですから、規制緩和策について
質問をしたいと思っております。
最後、三点目は、外務省にお越しをいただいておりますが、日米交渉、この問題について
質問をさせていただきます。
それで、まず、
情報化
社会が本格化しているわけですが、実は私、電気通信省の一番最後に入省した一人でございます。辞令を下さいましたのが、当時の
佐藤栄作電気通信
大臣でございました。これは私、生涯この辞令は宝物として保存をしておりまして、それから私の人生が始まりました。ですから、電通省というのは国営の
時代ですね。それで、二十七年のたしか八月に電電公社に、半官半民というんでしょうね、そういうコーポレーションに経営形態が変わりました。それから現在のNTTと名称を変えておりますが、いわゆる民間ですか、でもこれは特殊会社ですから、純然たる民間じゃないんです。恐らく、何年か先には完全民間になるでしょうね。これは逆流はないと思うんです。逆の方向はあり得ない。つまり、市場原理、この経済法則を基本に、
日本は資本主義国ですから、その中で高度
情報社会の中核体として使命を果たすということになれば、そういう流れにこれから
発展をしていくと私は思っているわけです。非常にうまく、国営
時代、コーポレーション、準民間、まだ完全に民間に行っていませんが。
それで、私は四つの経営形態を自分の一生の中で経験をすることになりますから、神様に感謝をしているわけですが、生涯を通じて形態がずっと変わっていくことを身をもって体験をした人間というのは余りいないと思うんですね。ですから、よくわかるわけです。国営
時代はどういう体質であったのか、公社
時代になったらどのように変わったのか、NTTになったらさらにどう変わったのかというのがよくわかります。
それは
時代背景がそれぞれ違いまして、国営
時代というのは
電話がなかなかつかない
時代でございますから、呼び出し
電話というのがございまして、八百屋さんとか魚屋さんは御商売で
電話を引いているわけですね。ところが我々の家庭にはそういう
電話がないものですから、官員さんの御家庭には
電話がございましたので、
電話が鳴ると、子供心にうちも
電話が欲しいなと思ったような少年
時代でしたから、呼び出しを受けて走っていって、それで
電話通信をやる、こういう
時代から始まったわけですね。そういう昔を思い起こしますと、全く今昔の感がございまして、もう我々の頭ではついていけないようなそういう
情報化
社会に今は
進展を見ているわけでございます。
何が言いたいかといいますと、今はNTTという経営形態を、これはみずから進んで選択したというのか押しつけられたというのか、そこのところ、あいまいなことの方がかえっていい、中井さんの発言じゃないですが、そういうところはあると思うんですが、いずれにしても、これではやっていけないなという、さまざまな矛盾が今噴き出しているような気が私はいたします。
どういう矛盾かといいますと、フラッグキャリアとして使命は果たさなきゃいかぬわ、
料金は安くしなきゃいかぬわ、インターネットの、あるいはモバイルのiモードじゃないが、
固定電話を上回るような速度で
情報化は大きな変化を遂げているわ、その波に洗われて、一体どのように切り抜ければいいのかということが、恐らくNTTの諸君らにしてみたら、もう日
ごと寝てもおれない。
一方で合理化はやれと言うわ、二万一千名もリストラ
計画を出した。その結果、東西では新採がゼロなんですね。ドコモだとかコミュニケーションズはそれなりの新採を一応予定しておりますが、東西はゼロなんですね。大学へ行きますと、こういう声が広がっています。何たって、NTTに就職したいと思っていた、ところが、一生懸命に勉強していたら、そこは新採がゼロだと。そうすると、余計狭き門に大卒者はなるわけでございます。
私はそれだけじゃなくて思うんですが、今は準民間というふうに言った方がいいんでしょうか、特殊会社の株式会社でございますから、そういうところこそ高卒の採用なんかはやはり必要だと思うんですね。ところが、高卒の採用も一切ないわけです。これは、兵隊さんは将校ばかりだったら戦争はできませんよね、皆さん御承知のように。ところが、将校ばかり採用されて兵隊さんが採用されてこないものですから、どうしたって仮分数になる。将来はそうなりますよ。これではやはり企業の活力は出ないし、後でまた別の機会がございましたら実態の話もお聞きしたいと思っておりますが、加えて二万一千名のリストラということになれば、出口のない中でリストラをやられますと、そこに働いている
人たちの意気は上がるでしょうか。私は全然上がらないと思っています。
とりわけ、私は西の職場へ行きましたけれども、東と西と比べますと、東の方は西よりも東京だとかあるいは神奈川だとかそういう都会圏を持っていますのでまだちょっといいんですね。西の方は、経営がどうにか黒字になるというのは、六つの都市、六つの支社だけですね。あとは全部赤字。
あなた赤字だというふうに言われると、一生懸命に働いていてもそこからは元気が出てこない。これは皆さんも御心情はよくおわかりだと思うんです。これは特殊会社の恐らく、官公庁のセクターですか、ありますが、そういうところで働いてみえる皆さんでも恐らく、あなた、一生懸命に働いたって赤字よ、だからリストラやるんだと言われたら、そこで一生懸命に仕事をしておる人というのはもうあすが見えない。全然労働に対する働きがいがなくなっちゃう。これぐらい寂しいことはないと思いますね。
だから、そういう
部分も要請をされて、みずからそういう施策も打ち出して努力しているけれども、なかなかアリ地獄からははい出せない、これが状況だと思うんです。
外務省の幹部の皆さんもお見えなので、よくお聞きいただきたいと思います。日米交渉でやるのは確かに華やかです。アメリカも言いたいことを言います。大体皆国益に従って交渉しているんですから言いたいことを言うと思うんですが、そのときに、ここまで言うと交渉がパンクするのかな、それなら少し譲ろうかなといいますが、結局引きずっている問題というのは、そういう深刻な問題が背景にあって今回のLRIC問題というのは焦点に座っているんだということ。しかも、これがうまくいかないと国策として大きな失敗、誤りを繰り返すんじゃないのかなという気が私はしてならないわけで、そのことをまず前提に強調をいたしたいと思っているわけでございます。余り先の話をしても、
大臣にイエスかノーか答えていただきたいといっても余りすかっといかないでしょうから、ここのところは自分の
主張でとどめます。
そこで、長期増分費用方式というモデル、これはLRICというふうに私は省略をさせていただきますが、LRIC方式というのは、これは経営する者の立場に立って見れば、最新型の設備を安く購入できる、そういういいとこ取りでもって、言うならば仮想モデルでつくり上げる方式でございますから、企業経営というのは現実にやっていくわけですから、これを原価計算のコスト方式でくくられちゃうと、コストも回収できないわけですから、実際に経営そのものが成り立たないと思うんです。一般的にはこれは常識的な話だと思うんですが、その点について、
小坂総括
政務次官、どうぞお聞かせください。
〔中沢
委員長代理退席、
委員長着席〕