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2000-02-24 第147回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十四日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 前田 武志君    理事 浅野 勝人君 理事 荒井 広幸君    理事 遠藤 利明君 理事 佐藤 剛男君    理事 伊藤 忠治君 理事 中沢 健次君    理事 福留 泰蔵君 理事 西田  猛君       石崎  岳君    江渡 聡徳君       大石 秀政君    河井 克行君       小坂 憲次君    佐藤  勉君       坂井 隆憲君    園田 修光君       虎島 和夫君    野中 広務君       山口 俊一君    吉川 貴盛君      吉田左エ門君    石橋 大吉君       岩田 順介君    小沢 鋭仁君       中田  宏君    富田 茂之君       前田  正君    武山百合子君       西村 眞悟君    矢島 恒夫君       横光 克彦君     …………………………………    郵政大臣         八代 英太君    郵政政務次官       小坂 憲次君    郵政政務次官       前田  正君    政府参考人    (郵政省郵務局長)    濱田 弘二君    政府参考人    (郵政省電気通信局長)  天野 定功君    政府参考人    (郵政省放送行政局長)  金澤  薫君    逓信委員会専門員     大久保 晄君     ————————————— 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     吉川 貴盛君   岩田 順介君     石橋 大吉君   中井  洽君     武山百合子君 同日  辞任         補欠選任   吉川 貴盛君     河井 克行君   石橋 大吉君     岩田 順介君   武山百合子君     西村 眞悟君 同日  辞任         補欠選任   河井 克行君     今村 雅弘君   西村 眞悟君     中井  洽君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 前田武志

    前田委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として郵政省郵務局長濱田弘二君、電気通信局長天野定功君及び放送行政局長金澤薫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田武志

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 前田武志

    前田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浅野勝人君。
  5. 浅野勝人

    浅野委員 郵政大臣は、所信表明の中で、「国民共有生活インフラである郵便局ネットワークを活用するとともに、情報通信高度化を一層推進し、日本経済の新生と国民一人一人が豊かで幸せに安心して暮らせる社会の構築に貢献していきたいと考えております。」とお述べでございます。私も共感をいたします。言葉だけで終わらないように、改めて決意を伺っておきます。
  6. 八代英太

    八代国務大臣 おはようございます。きょう一日、よろしくお願いいたします。  まさにこれからは地方時代と言われている折に、地方のそれぞれの行政と一番身近で、国民共有財産として存在しているものは郵便局であろう、私はこのように思っております。  そういう意味では、まさに山の中であれ、離島であれ、全国二万四千七百というネットワークをこの郵便局は持っておりますだけに、そういうものがこれから、高齢化した福祉時代を照らしましても、あるいは地域の安心、安全、そういうことを考える上においても、郵便局が身近な行政といろいろな意味で車の両輪のようになっていくことによって、二十一世紀は、まさに向こう三軒両隣福祉、あるいは町ぐるみ人ぐるみの防災、あるいは防犯、青少年の育成、こういうものに役立つだろうというふうに思っておりますし、そこにまた情報通信というものが絡み合って、より豊かな私たちの暮らしが保障できる、こういう思いから、そういう発言をさせていただきました。
  7. 浅野勝人

    浅野委員 先日、地元特定郵便局長会に来賓として招かれまして、出席をさせていただきましたけれども郵政省という名前のもとでの最後の定期総会ということで、皆さん感慨深いものがあるようでございました。この人たちが、今大臣のおっしゃる、国民共有生活インフラである郵便局ネットワークを支えている、いわば中核部隊なわけですね。  去年の夏に、郵便局形態に関する行政監察が、一万八千余りの特定局をできるだけ簡易局にするよう勧告をしましたね。一見、経営の効率化という側面からはもっともな指摘というふうに映らないでもありませんけれども特定局が抱えているかなり多様なサービスを安定して提供していくには、そう簡単なことでもあるまいという気もいたします。それに、民営化への一里塚とも受け取れますけれども、あの行監勧告大臣はどのように受けとめておいででございますか。
  8. 八代英太

    八代国務大臣 勧告でございますから、それはしっかり受けとめなければならないと思っておりますが、郵政事業は、高度の公共性普遍性を有しておりますし、郵便事業あるいは為替貯金事業及び簡易生命保険事業の各サービス全国津々浦々、あまねく公平にサービスを提供する必要があるために、国家公務員による国の直轄郵便局において郵政事業サービスを提供するということ、これが原則でございます。  簡易郵便局は、主に山間辺地、あるいは離島などであって、取扱業務量が極めて少ない限られた地域においては、国の直轄郵便局を設置することは著しく非効率となる場合等がある、こういう勧告になっておりまして、例外的に、委託によって、基礎的で簡易なサービスを提供しているということをそれに沿った形でやっておるわけでございますが、これは、国も行革、いろいろなことを考えていきますと、この勧告もわからないでもございません。  しかし、このような無集配特定郵便局簡易郵便局というものは、やはり設置地域サービス内容等において差異があるようなことになってもいけないという思いを持ちますと、やはり郵政事業サービスをあまねく公平に提供していくには、私たちは、国家公務員として、国民共有財産として、地域に根差してやっていくという、全国のそういう郵便局皆さんの心というものをしっかり体して、それを評価して、できるだけ現状方向で、さらに充実した郵政事業というものを推し進めていくことが大切だというような思いを持っております。  したがって、簡易郵便局というのは、あくまで補完的な役割でございますので、国の直轄郵便局というものの意識というものはしっかり踏まえていくことが大切だ、このように考えているところでございます。
  9. 浅野勝人

    浅野委員 地上波デジタル化テーマになってきた折に、デジタル用周波数を確保する、いわば空き地をつくるために、まずアナログからアナログへの周波数変更、いわゆるアナアナ変換に伴う玉突き現象が話題になりました。  あのとき、一千万世帯影響を受けるとか、いろいろな数字その他、指摘がございましたけれども、その後の調査研究の結果、実態はどんなことであったようですか。
  10. 小坂憲次

    小坂政務次官 浅野委員指摘のように、地上波デジタル実現のためには、その周波数帯域を確保するために、御指摘のような、現状中継局親局等の使用している周波数調整していく必要がございまして、その関係で、いわゆるアナログからアナログ周波数変換をして移動していただく必要が出ることは、御指摘のとおりでありまして、従来は一千万世帯と確かに言っておりました。  その後、NHK民放等と協力しながら実態調査を進めているところでありまして、現在、その最終的な集計がまだまとまっておりません。しかし、感覚的に申し上げるならば、大幅に、この数は半分以下に減ってきているのではないか、このように思っておりまして、さらに精査をして今後の体制整備に向けて努力をいたしたいと思っております。
  11. 浅野勝人

    浅野委員 そこで、アナアナ変換に伴うコストですけれども、これはマルチメディアのための前向きの投資ではありません。アナアナ変換に関する投資コストということになりますと、これは、放送事業者にとっても、ユーザー、視聴者にとっても、いわば電波行政犠牲者みたいなものですから、それに伴う費用負担をどうするか、大変難しい問題なわけですね。公費の導入を含む何らかの枠組みが必要ではございませんか。
  12. 小坂憲次

    小坂政務次官 この点につきましては、委員の御指摘の中に電波行政犠牲者という言葉もございましたけれども、確かに、いろいろな見方があるわけでございまして、技術の進歩によりましてデジタルによる放送というものが可能になってまいりました。そういう点から考えると、このデジタル放送は、基本的には、利用者視聴者のための利便に供するためにこの変換を行っていこうという観点でございまして、そういう意味で、行政としても、地上波デジタルを含めた放送デジタル化が必要である、こういう認識に立って進めているところでございます。  ただいま御指摘のように、受信形態変更によりまして、ただいまアナアナ変換によりまして、言ってみれば、今まで受信していた周波数帯域が別の周波数に移ると、受信機周波数調整チャンネル変更ということをしなきゃいけない。あるいは、中継局方向が変わればそれに従ってアンテナの向きを変えたりしなきゃいけないという受信調整。また、放送側におきましても、送出施設周波数変換等いろいろな費用が発生してまいります。  そういう意味で、この費用をどこが負担するかという点につきましては、現在、まずは、先ほどの受信変更世帯がどのくらい発生するか、それによって経費を積み重ねていかなければなりませんので、現状では、NHK民放と協力して、詳細にその費用積算を行っている時点でございます。  この分担については、どのようにするか、その積算の経過を見ながら十分に検討してまいりたい。また、放送局側のいろいろな御意見もあります。そういったものも勘案しながら考えてまいりたい、このように考えているところでございます。
  13. 浅野勝人

    浅野委員 きょうのところは、調査研究の段階だということでありますから、そこでおきますけれども、これはアナアナ変換に伴う空き地を打ち出の小づちにしなければいけないでしょうし、そのためのものでもある。トータルとして、一体この問題をどのようにコスト負担を考えていくかというのは、かなり重要なテーマとして、引き続き政府側でも、また政党の側でも真剣に取り組んでいかなきゃならぬ問題だと改めて指摘をさせていただいておきます。  東西NTT接続料の問題ですけれども、ここ数年、かなり引き下げてきたようです。しかし、まだ高いという批判が聞かれます。特に、アメリカサイドからの引き下げ要求がきつく、接続料算定長期増分費用方式導入をかねてから求めてきていると聞いております。また、大臣所信表明の中で、「通信料金引き下げにつながり得るとともに電気通信事業者間の競争が期待される長期増分費用方式東西NTT接続料算定導入する」と明言をしております。この国会にどのように対応するお考えですか。
  14. 八代英太

    八代国務大臣 東西NTTの御努力もこれあって、御指摘のとおり、競争を促進していく観点から、いろいろな意味で、長期増分費用方式事業者間の接続、あわせて、国民一人一人がこれからインターネット時代に対応して接続する部分、これはちょっと分けなくちゃいけないのですが、定額料金導入とか、大きくその方向が今、時の流れだというふうに思っておりまして、現在、長期増分費用方式導入に向けて一生懸命作業を進めているところでございます。  しかしながら、米国政府などが導入を主張している、一般国民電話基本料金の引き上げにつながるような、ケースBケースAとあるのですけれどもケースBというのは、国民社会に与える影響が余りにも大きいことから、その導入につきましては現時点社会的コンセンサスが得られないという選択審議会の方でも答申として出されております。今月の九日には、接続料算定あり方について、専門家によって構成された電気通信審議会からもこういう考え方を支持する答申をいただきました。  今後郵政省としても、その答申を受けて、これはアメリカが言ったとかどうとかじゃなくて、日本の問題ですから、自主的に我々が法案をこの国会に提出をして、それは、国民皆さん方が新しい情報通信時代の中に低廉な形で入っていただくように、そしてまた、事業者間の長期増分費用方式等々を含める接続料は、A案基本にして、審議会答申基本にして、アメリカと粘り強く折衝しながら、何とか理解を得るように今懸命の努力をしているところでございます。
  15. 浅野勝人

    浅野委員 この国会に提出するということでありますし、ケースAケースBモデルについても、今お話がありましたのでおおむねわかりましたけれども、この国会にきちんと法案が出てくるということになると、そこのところをもう一度きちんと詰めておきたいと思います。  今のお答えの確認ですが、郵政省ケースAケースBの二つのモデルアメリカNCCが求めているケースBはAに比べて引き下げ率が大きいわけですから、当然アメリカNCCケースBを求めるだろうと思います。  ただ、今、ケースB内容確認ですけれども交換機コストの一部を利用者末端回線コストにつけかえるということになりますと、ケースBの場合だと、確かに電気通信事業者間の接続料金は大幅に下がるけれども利用者電話基本料を引き上げる、そういう懸念があるようにも聞いておるのですが、もしそれが事実だとしたら、これはちょっとケースBというのは本末転倒じゃないですか。
  16. 小坂憲次

    小坂政務次官 浅野委員指摘のように、私どもは、接続料引き下げ、この接続料という言葉そのものが非常に誤解を招いている部分がございまして、いわゆる事業者間の接続料と申し上げた方がいいと思いますが、事業者間の接続料負担については、ただいまおっしゃったように、接続交換機費用加入者負担に帰して、そして事業者間の接続料引き下げる、こういう方法では、本来アメリカ要求している根本には、インターネット普及によって今日のアメリカ経済の発展があるんだ、したがって日本も同じようにインターネットをもっと普及させるように接続料を下げたらどうだ、こういう指摘がその裏にあると思っておるのですが、そういった目標の達成にはつながらない。  今委員が御指摘のように、それをすれば利用者料金負担を上げざるを得ない。これを上げるということは国民コンセンサスを今のところ得られていない、こう考えて、私どもは、Bという計算方式は、このモデル現時点ではなかなか採用できがたい、こういう状況であるというふうに認識をいたしております。
  17. 浅野勝人

    浅野委員 それなら結構です。事業者間の接続料金引き下げるということは、それは同時に利用者料金引き下げにつながらないと、インターネット普及その他もろもろ、ちょっと意味がなくなってくるわけですから、そこのところの認識は、システムとしてもよくみんなにわかるように今の議論をよく説明をして、何か特定専門家同士の話にならないように広く理解を得る中で、なぜAの選択かというのを、今の小坂総括説明を広く理解させる努力が必要だと思っております。  一言だけ、あと二、三分ありますのでフォローしておきますが、学校インターネット接続高速化、後ろにおいでの野田前大臣の折、随分頑張って、全国、中学校を中心に、私の地元でも十四校が、言ってみれば、せっかく各学校教室の中にパソコンを配備しても、そのネットワークがあぜ道では、一人歩いたらもう通れない、それを高速道路のようにしようということが大切なことで、郵政文部両省努力でかなり進んでいるように聞いております。  私の地元は、十四校、お星様で、CSのトラポンで国の内外をつなぐことになって、今作業を進めているようでありますけれども、その後、どのくらい内容が進んでいるか、ちょっと伺っておきます。
  18. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員地元学校も進んでいるというお話でございますが、現在すべての学校インターネット接続するという目標を掲げまして施策を推進しているところでございます。  平成十年度第三次補正予算におきまして、光ファイバー、衛星、CATV等の多様な高速アクセス回線全国一千五十校に対してインターネット接続を進めておるところでございます。教室において多くの生徒が同時にインターネットにアクセスできるような、そういう場合でも十分な情報量を得られる、そういう回線の確保に努めているところでございます。  この実現をさらに広げたいと思っておりますが、平成十一年度の第二次補正予算におきましても、学校においてインターネットを通じた動画の教材を途切れることなく身近に利用できる、このような高度なインターネット接続を可能にする、そういう施策を推進いたしまして、新たに全国で六百校を接続して研究開発を行うための準備を進めておるところでございます。  なお、平成十二年度予算案におきましても、ミレニアムプロジェクトの中で教育の情報化実現に向けて所要の経費を計上しておるところでございまして、委員指摘のように、高速でそしてより進んだインターネット利用環境というものを全国にあまねく利用していただけるように、今のところすべての目標を達成できるその目標年限平成十三年、二〇〇一年というふうに二年前倒しで実現を考えておるところでございます。
  19. 浅野勝人

    浅野委員 ありがとうございました。終わります。
  20. 前田武志

    前田委員長 次に、吉田左エ門君。
  21. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 おかげさまをもちまして、委員長並びに理事先輩皆さん、こうした質問機会を授かりましたこと、まずありがたく感謝を申し上げます。  春遠からじ、そんな言葉が口をついて出るような時期になりました。しかし、石崎岳君の北海道は猛吹雪、真冬。そして私の新潟もなかなか春いまだ。しかし、お堀の桜はもう咲くのかな、そんな時節になりました。  当選をさせていただいて三年と四カ月四日になります。この間、逓信委員会に籍を置かせていただいて、何も知らなかったのでありますけれども各般の知識を授かって、しかしまだまだ微細であります。いつまでこの機会が続くかわかりませんけれども、精いっぱいの努力をしてみたいな、そんな思いでおります。  大臣は演説の中で、こうした選挙区各般、各地含めて、そして日本国はもちろんのこと世界のすべてにかかわる思いを吐露されている。そして、その中に、それぞれの民族がそれぞれの特異な文化を誇りながら、しかし世界情報、ブロードキャスト・アンド・メルトダウンしていかなければならない、こんな力強い思いを聞かせていただいて、強く感銘をいたしました。  そうした御質問の中で、私が伺うことは余りにも微細かもしれませんが、これもまた民のたつきの中の事案である、こう御理解いただいて、御答弁、御教示が賜れれば幸せ、このように思います。  まず、今ほど先輩浅野委員からも触れられましたけれどもデジタル化に向けてのアナアナ変換のことなんですけれども、これについてやはり弱小な地方局その他が大変に心配をしております。現在使っているアナログチャンネルをかなりの部分変更せざるを得ないんだ。先ほどもお話ありましたとおり、地上デジタル放送開始に先立ってのグラウンド整備、また玉突きというようなお話もありました。したがって、個々の放送局負担に任せてしまうという、同じような質問になりますけれども、これは少しその筋のものではないのでないかなという思いが私はいたします。  結論として、全国を対象とした国の責任による総合的な施策、これをお考えいただき、費用は当然国が負担するということ、これがこれから向かうデジタル化が順調に推移するまず事始め、こんな思いがいたします。  御返事は政務次官から先ほどいただいたように思いますが、言い残し、あるいは政務次官のお言葉になおおれの立場で足してというような部分がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  22. 八代英太

    八代国務大臣 いつも元気な吉田委員、御苦労さまでございます。  実は、新潟にも新潟ローカル局がございますし、私も山梨の放送局にずっと勤めておりました。そうしたローカル局皆さん方も、このアナアナ変換を含め、また地上波デジタル放送化に向けましては神経を使っておられることは事実でございます。  しかし、現実には、スウェーデンもアメリカも、そしてまたイギリスも、もう地上波デジタル化を既に実施している。こういう世界の潮流を考えますと、日本は特に情報通信分野におきましてはそうしたものに早く追いつかなきゃなりませんし、そういう方向を、二〇一〇年度を目指して私たちも一生懸命頑張らなければならないという思いでございます。  その辺は、今民放NHKもそれから郵政省もともにテーブルに着きながら、例えば費用負担あり方については、こうした受信側及び送信側トータル対策費用を固めるということ、まずそういう議論に入ってきておりまして、その後に関係者の意向を配慮しつつ、対策費用負担方法についても私たちは検討していかなければならない、こんなふうに思っているのです。  大変な費用もかかるわけでございますから、その辺は私たち政府は、暖かい春の日差しのような心を持ってこれからいろいろ御意見を伺っていかなければならない、こんなふうに思っておるところでございます。
  23. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 ありがとうございます。  地上放送デジタル化は、好むと好まざるにかかわらず、サイマル放送、これが必要となります。  テレビ放送が始まって、カラーに移行して、そして、色がついた、色がついたと喜んで見たのが私たちが学生の時代。それで、卒業して就職した、東京オリンピック、このときに爆発的にカラーテレビ普及したかなと私の個人的な歴史からすると考えていますが、あのときのことを考えても、それ以上のドラスチックなアナログデジタルの移行だろうと思うのですね。  こうしたことからすると、負担が大変大きい。そして、自分たちの局の施設が、ちょうどデジタルに切りかえてしまうタイミングにサイマルをやめるというような状況になればいいですけれども、ひっかかっていけば両方の整備を手入れしていかなければならないというような重負担もありということで、このことについても、公的資金導入してやるとか、あるいは税制面支援をしてやるとか、そうしたこともこの放送というメディアの持つ公共的な意味合いから必要なのではないかなと考えるのですが、これらについての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  24. 八代英太

    八代国務大臣 百四十五国会で成立させていただきました法案がございまして、それは高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法というものでございます。ここにおきましては、税制、金融上の支援措置を活用して積極的に支援を行ってまいりたい、まずこの法律に照らして私たちはそういう思いでございます。また、アナログ放送を継続するための経費等が必要なことは郵政省としても十分認識しておりまして、事業者の要望を十分伺いながら、どのような支援が可能かを含めて、さらに有効適切な支援策について検討を進めていきたいというふうに思っているところでございます。  まさにこれは視聴者皆さん方の欲求、ニーズというものの高まりも、デジタル放送化になっていきますと当然わき起こってまいります。さりとて、今までのアナログでいいのだ、こういう強情な方もいるわけでありますし、そういうことで、両面を照らしながら、放送局にはまた御苦労もかけなければならないというふうな思いがいたします。  しかし、やはり私たち情報文化への期待というものはどんどん大きく膨らんでいきますし、そういう意味では、私は、こうしたデジタル放送というものが本格的になっていきますと、いろいろな意味放送局もメリットがあるでしょうし、当然国民皆さんも新しいマルチメディアの時代の中で生活をエンジョイできるということでございますから、そういうものに政府がどのような支援策を講じるか、これから我々も真剣に検討をして、その方策を模索していかなければならない、こんなふうに思っているところです。
  25. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 ありがとうございました。  変わりまして、それこそ変わりつつある郵便局、このことについて一言御質問させていただきたいと思うのです。  郵便局情報化、これが今盛んに叫ばれ、議論され、そしてどんどんスピードアップされている、変化していっているわけでありますが、それと同時に、やはり郵便局ネットワークの持つ意味は人と人との関係だ、こう私は理解をしています。  当選してきてわずかの時間しかたたなかったあの年の十一月の二十一日にも、こうした議論を積み重ねながら、実際に働く人たちにとって、郵政事業にかかわる人たちにとって、ティーの字のマークだけあって、あと暮らしが潤沢ならそれでいいのか、それとも日の丸も一緒についていないとだめなのか、このことをぜひ聞きたい、じかに聞きたいという気持ちでお尋ねをしましたところ、みんなやはり国営でいたいんだ。これは労使でありますね。いや、使の方はいいか。労働者、働く方々ですね。  そうした中にあって、これからは町村合併が盛んになります。毎日のように何か町村合併の動きがテレビのメディアで報道されます。おとといも新潟市と黒埼という隣の町が合併の調印をしました。知事さんが仲人、そして町長さんと市長さんがにこにこしながら新聞のニュースとなっていました。  こうしてくると、最後には郵便局が役場の役をするような時代になってくるんだろう、ワンストップサービスというようなことも含めて。そのときに、広範な公のサービスを取り扱うことができるその理由の一番大きなものは、それを取り扱う方々が国家公務員だ、このことだと私は思うのです。幾ら株式会社がでかくたって、信用のある会社だからそこの窓口で印鑑証明をちょっとというわけにはいかないと思うのですね。そうしたことからすると、郵便局に、あるいは特定局に勤める人たち国家公務員である、このことがこれから大きな意味をなしてくると私は思うのです。  そうした意味合いから、新型の公社に移行していくこの議論の中で、立ち働く職員はぜひ間違いなく国家公務員という身分を保ち続けていく、このことを私は強く希望したいのですが、大臣、これらについてどのような御見解をお持ちですか。
  26. 八代英太

    八代国務大臣 大変力強い御支援の御質問、ありがとうございます。  一八八五年から百十五年の長きにわたる逓信省から始まった日本の郵便でございます。ティーの字のマークが、まさに国民の津々浦々への身近なサービス機関として、また安心の拠点として大きく評価されている。国民皆さんも、七割以上の方は郵便局というものに非常に親しみを持っていただいてもおります。  そういう意味では、国家公務員として、来年からは総務省、二〇〇三年からは公社という流れがございますけれども、しかし、基本の、皆さんに誇りを持っていただくためにも、私たち国家公務員として、これからも地域福祉であれ何であれ、郵便局皆さん方三十万人の方々のフットワークを生かしながら、これからの地方時代にふさわしい御活躍を自治体と連携してやっていただきたい、こう思っているところでございます。  先般、郵便局皆さんの集まりがあって発言を求められたものですから、私は、吉田松陰の言葉じゃありませんが、「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂」という有名な辞世の句がございますが、私はこう言ったのです、名はたとえ総務省になろうともとどめ置かまし逓信魂、こう言ったら拍手喝采をいただいた。  そういうことを思いますと、今吉田委員指摘のように、私たちは、いかに共有の財産として、身近な行政郵便局ネットワーク化していくか、ワンストップ行政も含めてそうなんですけれども、いろいろな形で今私たちは新たな国民へのサービスのためのメニューを考えながら、そして、それをまた率先垂範して郵便局皆さんにお願いをしているということを誇りに思っている次第でございます。
  27. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 力強い御方針をお聞かせいただいて、ありがとうございました。  最後になりますが、今、何をめくってみてもIT、ITという言葉があふれているのですね。けさも新聞の資料を見たら、ITパワー、IT革命。そして、ちょっとした若い人たちとの話の中でネットサーフィンなんという言葉が、おじさんはネットサーフィンはなんて言われたって、僕はまだマウスを持つと右手がぶるぶる震える組でありますから。  ですけれども、それほどまでにインターネット時代が来るぞ、すべてがインターネットだぞとかけ声をかけられてから、実際にこうした時代がもう来つつあり、どんどんと啓蒙されている。このスピードには驚く限り。私だけじゃないと思うのですね。  そうした中にあって、これも国会議員になって逓信委員会に籍を置き、そしてその関係の自由民主党の部会その他でいろいろと教わって知り得たことなんですが、アメリカの今の大発展は、ゴア副大統領の時代アメリカ全土をフルネットした光高速ネットワーク、これがなする、あるいはこれがまずその始まりの機動力になったんだ、こう聞かされております。  そうか。しかし、我が日本の国にとってこれらはどんなふうになっているのかな。繁栄するための、発展するためのこれがもしそのツールであったとしたならば、我らももちろん装備するべきだし、持つべきである、そんなふうに私は短絡的に考えているわけです。  実際にこの高速光ファイバー網が、日本では今どの程度整備をなされているのか。あるいは、どんなスピードでこれから完成に向けて計画がなされているのか。この辺をひとつお聞かせいただいて、そして、これから向かう発展の張り合いにさせていただこう、このように思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
  28. 小坂憲次

    小坂政務次官 ありがとうございます。  吉田委員も、マウスを持つ手が震えるとおっしゃいましたが、実際には毎日マウスを駆使して、インターネットを御利用であるというふうに伺っておりまして、そういった意味で、御熱心にお取り組みをいただいているところに感謝を申し上げている次第でございます。  光ファイバー網につきましては、これまで民間を主体として整備するという方針を貫いてきておりまして、いわゆるバックボーンと呼ばれます幹線系のネットワークにつきましてはおおむね整備されてきていると考えております。  また、加入者系の光ファイバー網につきましても、電気通信基盤充実臨時措置法におきまして、これに基づいた特別融資、それから民間事業者投資負担軽減のための各種支援措置を講じてきたところでありまして、平成十年度末、これが現在の統計のあるところでございますが、全国の約二七%の地域をカバーする。これは、いわゆる饋線点というそれぞれの幹線から枝分かれするその点をとっての統計上の率でございますが、順調に整備が進んでいると認識をいたしております。これは、十一年度のまだ確定をしていない数字に置きかえますと三六%ぐらいいくのだろう、こういうことで、順調に伸びてきているということがおわかりいただけるかと思います。  郵政省としましては、インターネット時代の到来を踏まえまして、今後とも幹線系ネットワークのさらなる高速大容量化のための研究開発を推進するとともに、加入者系光ファイバー網の全国整備を積極的に推進することを基本といたしまして、デジタル加入者線、いわゆるDSLと呼ばれる方式や、あるいは加入者系の無線アクセスシステムなど、多様な高速アクセス技術も積極的に活用するなどして、各家庭における高速アクセス回線を用いたインターネット利用環境が早期に実現するように、さらに努力を重ねてまいりたいと存じます。委員の御協力をよろしくお願い申し上げる次第であります。
  29. 吉田六左エ門

    吉田(六)委員 大変丁寧なよい御答弁をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。終わります。
  30. 前田武志

    前田委員長 次に、園田修光君。
  31. 園田修光

    ○園田(修)委員 私は、郵政事業について集中的にちょっと質問させていただきます。  質問に入る前に、実は、ちょうど日曜日の、あれはフジテレビでしたか、うちの政党の大臣をされていた方が出演しておられて、きょうは、そのときに私はずっと見ていて、あの人が掲げた、これは信書になるのか書籍になるのか、いろいろなことを言われて、これはまず大臣、この番組を見ておられましたか。
  32. 八代英太

    八代国務大臣 七時半から、たまたまあのテレビを見ておりました。
  33. 園田修光

    ○園田(修)委員 ちょうど見ておられれば、私も質問がしやすいわけなんですが、私どもは、まさにちょうど上げていただいて、今吉田先生も一緒でありますけれども三年四カ月余りであります。ただ、地元にあって、まさに選挙民の皆さん郵便局とは、本当にその土地土地ですばらしいコミュニケーションをとって、いろいろなことについて郵便局を頼りにされているのですよ。そういう立場から、まさしく民営化論が出たときには、民営化になったらこれは大変だなという思いで見て、我々もそういう形で運動をしてきたわけであります。  この前のテレビを見ておりますと、これはいろいろなことを、今書籍の問題一つ、ちょっと私は書き上げてきましたけれども、本のチラシについて郵政大臣が、これは本であり、信書ではなく、郵便法違反ではないかと言っている。民間が送れば違反だと言い、私が出せば違反ではない。そして、郵政省は、民間は一律料金にできないと言うが、民間ではできると言っている。最近は、郵便局が届かないところも民間は届けてやっているとか、これはテレビを見ておられる方は、本当に郵便局というのはお国のためにはならないのではないかというふうにしか受け取れないのですよ。ですから、機会があったら、ああいう番組にもしっかり出て、反論をすべきことだろうと私は思っております。  ただ、これは国会の場ですから、あの番組よりは格式もずっと高いわけですから、ちょっと反論を、あの部分に対して、今私が言いましたチラシの部分、そして一律料金部分とか、郵便局にクレジットカードの配達を頼むと一割ぐらいは届かないとか、郵便局は不在なら戻してしまうというようなこと、これについて、ちょっと大臣からしっかりとした答弁ができますか。
  34. 八代英太

    八代国務大臣 あのテレビを私も見ておったのですが、テレビのテロップに暴論と出ていました、暴論と。視聴者の方も割引率を掛けてごらんになっていると思ったのですけれども、私の名前なども引用されて、余りにも事実関係を御存じないのに私は率直に驚いた次第でございます。  したがって、チラシなんですけれども、まさにこれはチラシ風の印刷物でございまして、本件の印刷物は、つまり本の中の抜粋をして掲げているものですから、これは言ってみれば、書籍の内容を要約、抜粋したものであるということになりますので、これは信書に当たるとは言えないのではないか、こういう私が記者会見をしたような次第でございます。  したがって、信書とは、通信文を包括する文書なり、しかして通信とは、特定の人に対し、自己の意思を表示し、もしくはある事実を通知する、こういう思いに立って、これはもう判例でも信書というものはしっかり述べられているということを考えますと、私も早速小泉さんのところにお手紙を書きまして、実は間違いはこうこうございましたよということで、昨日、もちろん信書としてお届けをしたような次第でございます。  それで、最近は郵便局が配達できないところまで民間がやっているとか、民間は一律料金で配達できるとか、郵便局の配達は一割ぐらいは届かないとか、留守ならすぐ郵便物を戻してしまうとかというような御発言がありまして、私が見たところでも、七つ八つ間違ったことをおっしゃっておりましたので、そういうものを一覧表をつくって、こことここがあなたは間違っているということで、このような表にまとめ上げまして、小泉先輩にしっかりとお届けをしたような次第でございます。  ですから、そういう意味でも、私は大変残念に思ったことでございましたので、郵政大臣、出てこいとかいうふうなこともありましたので、私は電話番号もお知らせして、ひょっとしたら電話がかかってくるのかな、こんなふうに思って、自宅で待機しておりましたが、テレビ局からは電話はございませんでした。
  35. 園田修光

    ○園田(修)委員 これは一方的なことですよね。郵政省というのは、まさにメディアの部類、放送局の部類もしっかり所管の省庁ですから、そういう面では、一方的サイドだけのことを言っては、まさに国民の皆様は間違いをされてしまうというような状態もあります。  ただ一つだけ、私の選挙区は、離島を抱えて、南北六百キロあるのです。有人離島が八つあって、高齢化が高くなり、過疎化が進んでというところで、公的機関というのはまさしく郵便局しかないわけであります。そして、今私が一番悩んでいるのは、規制緩和が進んだり、まさしく市場原理を導入するという形のものでは、まさにそういう離島では、国家が保障する最低水準、ナショナルミニマムというのを守れなくなってきているんですよ。  私は、民間の事業に対して云々言うのじゃないんです。ただ、一つだけ例を言わせてもらうと、国内航空路、これは需給調整の廃止というもので、まさしく民間企業独自で路線を決定していいんですよ。もうそうなったんです。そして、民間企業は今どういうことをしているかというと、採算に合わないところは飛ばさないんです。採算に合わないところは飛ばさない。  その規制を撤廃したらどういうことになるのかと運輸省に尋ねたら、いや、そういうことはありません、生活路線だけは守りますよというようなことを言っていましたけれども、現実には、採算に合わないから五便あるところを二つ減らしてくれとか、そして、使う路線は料金がぼんぼん下がっていくんですよ、民間というのは。それは当たり前なんです。使う、もうけの路線はぼんぼん料金を下げていくんです。しかし、使わない路線、客がいない路線は上げていかざるを得ないんですよ。  そして、僕が一番心配しているのは、今、東京—沖縄間というのは、沖縄と本土とのはざまが私の奄美大島というところですけれども、沖縄の方が距離は遠くて料金はずっと安いんですよ。もちろん、いろいろな税制の優遇もありますけれども、それを足してでも、観光客が多いからどんどんダンピングしてしまう。そして、距離的には近いのに料金は高く、まさしく生活をする路線であっても料金を下げられないんですよ。  今、資本主義の原理と言われる。しかし、国では守らなければならない最低限度というのがあるんですよ。生活路線なんというのはどんなことがあっても守ってあげなければ、島に住む人なんかいないんですから、島で生活なんかできないんですから。そういうことを思えば、この郵政郵便局というのは、まさに我々のそういう離島、僻地にとっては、みんな一緒にやっているからできることなんです。国全体が、東京でもうけがあるところがあるから離島もしっかり五十円で支えられているんですよ。それは間違いないです。ですから、こういうものについてはしっかりとやっていかなきゃならないと思っております、後でゆっくり話をしますけれども。  そういうことで、ただ、あの番組を見て、民営化論と増税論と二つ出てきますよ、最後の締めくくりはそうだったんです。見ていましたでしょう。増税するか民営化にするかどっちを選択するか、とどのつまりはそこなんですよ。行革を阻止するのが郵政省郵政事業を国営化するのは行革の守旧派だ、改革する派じゃないんだよというようなことで締めくくっておりましたけれども、あれも何ということかなと私は聞いておりました。  ただ、そうはいっても、いろいろな規制緩和とかずっと進んできて、いろいろなことをやられる。日本の国もまさに国際化の中でどうのこうの言いますけれども、では、アメリカなんかどういう仕組みをとっているのか。郵便一つとってみても、ちゃんと何グラム以下は国でしっかりあれしますよ。そういうものをつくるべきだと私は思っておりますから、その辺もしっかりとこれから郵政省でもやっていただかなきゃならない。  そして、平成十五年にはまさしく国営公社となります。先ほど、特定局から簡易局に、それが民営化の一里塚なんだという話がちょっと出てきておりましたけれども、私は、そういう言い方ではなくて、やはりしっかりと国でこの郵便局制度というものをやらなければならない。これからどういう事業を持ってしっかりと地域皆さんが欲しい、要求にいかにこたえていくかというメニューをつくっていかなきゃならない。  そういうメニューの中に、きょうは、ひまわりサービスでありますとか、そしてハイブリッドめーるサービスあるいはまた郵貯のインターネットホームサービスなんというのがありますけれども、この部類について、ちょっと大臣に教えていただきたいのです。
  36. 八代英太

    八代国務大臣 いろいろと力強いお力添えの質問ありがとうございます。  ひまわりサービス、最近はまた、建設省とタイアップしまして、道路の陥没とかあるいは風水害によって橋が流出しそうなときにも、まさに郵便局のフットワークを生かしながら、これを通称私は地回りサービスと言っているのですが、こういうものを踏まえまして、とにかく身近な中で郵便局皆さん方が本当にいろいろなあまねくサービスを展開するということは、これからの日本、八割が山間地域であり、二割に国民が、一億二千数百万が住んでいる、こういう日本の国土形成の状況を考えましても、大変重要な役割だというふうに思っております。  世界の国を見渡しましても、郵便というものはしっかり国営にほぼ近い、独占という形で、あまねく同じ料金サービスするということでございますから、これがまさに、園田先生のところにも離島があるだろうと思いますが、そういうところにも二万四千七百、あまねくこういうものが拠点として存在するということが、まさに国民の安心、安全ということにつながっていくだろうと思っております。そういう意味からも、平成九年度からは全国の過疎地域を対象に展開を図っているものでございまして、平成十二年一月末日現在、全国百八十一の市町村でこのひまわりサービスというものは実施いたしております。  このサービスは、そもそも鳥取県の智頭町が平成七年四月から始めたひまわりシステムというのが好評でありまして、いいものはどんどん取り入れていくというのが郵政省の考え方でございますので、そういう意味ではそれからどんどんふえてまいりました。そして、平成十二年度予算案におきましても百地域追加をいたしまして、今後とも、地方自治体や社会福祉協議会あるいは警察署、協力店と連携を図りながらこのサービスの拡大を図って、まさに国営事業ならでは、このサービスはできない。  そして、確かに規制改革という言葉だけが先行していきますけれども、山間からあるいは離島から、そこは住めません、みんな町の中に全員が引っ越しなさい、こんなことがいいわけはないわけでございますので、そういう点からも、私たちは、高齢者の皆さん、いろいろな方々から、これからますます高齢化時代を迎えていきますと、郵便局のこうしたひまわりサービスやあるいはまた地域のいろいろな警察や自治体との協力体制というものが国民の共有の財産としてまことに重要なものだというふうに思っております。  日本は、日本型の国土形成があり、日本型の福祉があり、日本型の郵政事業というものがあるわけでございますので、余り時の流れにたやすく流されるようなことにはなってほしくない、このように私は個人的には思っておるところでございます。
  37. 園田修光

    ○園田(修)委員 実は、今私がいろいろなことを言いましたけれども、ちょっと最後にお願いをしておきます。  ちょうどこの委員会でNTTの民営化というのがありました。西、東に分かれてやると。それの設立に当たって、当初、西は赤字からスタートしたのです。西の方の設立は三千億ぐらいの赤字でした。どうして赤字会社を最初からつくるのだろうと、私はここに社長が来られたときも質問いたしました。そして、その赤字の部類が利用者負担増を強いるのじゃないでしょうね、これは電話料金のことですよ、使う人がいないから離島は高くなりますよ、そういうことが必ず民営化して出てくるのじゃないか、いや、そういうことは一切ありませんということを言われた。  そうしたら、今回のインターネット接続料金、これはまず最初に利用者の多い東京都と大阪は安くしますというような状態が出てきたのですね。東京と大阪だけか。離島は、まさに交通の手段と、今郵政省が進めているIT、インターネットであるとかこういう放送網によって、こういう通信分野によって産業を起こしていけるんですよ。そういう部類についてはしっかりと、東京で四千円だったら離島も四千円でしかるべき話。これが民間でなければ、国でやっていれば、違う料金なんかを土地によって設定することは絶対ないと思いますよ。  ですから、郵政大臣、このことについては、インターネット普及の問題とかいろいろありますでしょうけれども、やはり民間というのはそういう立場でしか物事を考えられないのです。ですけれども、これからインターネット、我々もいけなかったと思いますよ、光ファイバーケーブルを国家予算によって、公共事業でやろうという形で一生懸命やったけれども、大蔵省は許さなかったわけですから、あのときに。そのインフラ整備をしっかり国でやっていれば、そんな東京だけ四千円というのはおかしいよと民間に言えたはずなんです。そういう部類は、我々の非力もあったと思いますけれども、この部類については、やはりしっかりと、これから早い時点で、日本のくまなく、インターネット料金なんというのは安く、そしてどこに住んでいても同じ料金というのは当たり前だと思います。  ですから、それは要望として、きょうは質問を閉じたいと思います。
  38. 八代英太

    八代国務大臣 いい御指摘をいただいたと思っております。今、東西NTTの試験サービスの段階でございますから、東京、大阪だけが将来にわたってということではございません。東京、大阪の一部で試験サービスとして今始めておりまして、試験サービスとして地域を限って提供することを認めましたのは、本サービスが一般の電話網に与える影響とか、このサービス全国あまねくやる場合の需要動向の調査とか、こういうものは必要が認められたわけでございまして、NTTから、国民の要望の強いインターネットの定額サービスに関しましても新たな提案が行われました。  こういうことを考えていきますと、できるだけ早く試験サービスを終わって早期に本サービスを開始する、本サービスの段階になったら全国においてインターネット定額料金導入する、これがまさにインターネットのあまねくサービス、こういう思いで私たち努力していきたいと思っております。いい御提案をいただきました。
  39. 園田修光

    ○園田(修)委員 では、終わります。
  40. 前田武志

    前田委員長 これにて園田修光君の質疑は終わりました。  次に、小沢鋭仁君。
  41. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。  この後、二人の仲間と一緒に民主党としての質問をさせていただきますが、私はその中で情報通信の政策に限って御質問をさせていただきたいと思います。  大臣所信に対しての一般質疑、こういうことでありますから、そういった意味では、いわゆる通常の法案審査、審議とは違って、大くくりの話を御質問させていただきたい、こういうふうに思っておりますので、どうか大臣におかれましても思う存分所見をおっしゃっていただきたい、そんなお願いを改めて申し上げておきたい、こういうふうに思います。  それでは、最初に、前の委員会のときも御質問をさせていただいたように思っておりますが、我が国の情報通信政策に関して、いわゆる国家的ビジョン、そういったものがない、こういう指摘をさせていただいたと思います。  諸外国の例を出すまでもなく、米国は、御承知のように、先ほども話が出ておりましたが、NII構想とか、あるいはシンガポールはシンガポール・ワン計画だとか、あるいはマレーシアはマルチメディア・スーパーコリドール計画だとか、こういった、ある意味では固有名詞のついた情報通信政策についてのいわゆる国家的ビジョンともいうべきものを持っているわけであります。  それに対して、我が国はそれがない、恐らく高度情報通信社会推進本部の答申があるよ、こういうお話もあるかもしれませんが、私は、それは政治的意味としても不十分だ、今申し上げたように、国民に対してきちっとした周知徹底、まさにそういう関心喚起、そういったものが政治の役割ではないか、こう一貫して言ってまいりました。  そして同時に、今や情報通信というのは、ある意味では情報通信の分野だけではなくて、まさに情報通信というのはあらゆる分野、産業、経済だけではなく、社会生活のあり方、それから、それによって都市のあり方すべてに関係する話であるから、当然国の政治家のトップである、我が国でいえば総理のもとにきちっとそうした国家的ビジョンをつくるべきだ、こういうふうに申し上げてまいりました。依然として、まだできておりません。ことしの中ほどに向けてそういったものを準備するやにも若干報道がありましたが、大臣、必要だと思いませんか。
  42. 八代英太

    八代国務大臣 ことしの半ばごろ、そういうものを発表するやにという御質問がございましたが、私は、実は二十一世紀への情報通信かけ橋ビジョンというビジョン構想をいろいろな角度から今まとめ上げておりまして、内外にこのことはしっかりとアピールをしていかなければというふうに思っております。  また、高度情報通信社会推進本部基本方針というものは平成十年十一月九日に改定されまして、そこには電子商取引の本格的普及とか、あるいは公共分野の情報化とか、人材育成と情報リテラシーの向上とか、高度な情報通信インフラの整備とかというような四項目が主体になっておりますが、それにさらに膨らみをつけまして、枝葉をつけまして、また特に情報バリアフリーというような、情報格差が生じないような形をも一方では考えて、今私もそのビジョンづくりのために情報バリアフリー懇談会というものを設けさせていただいて、障害者や高齢者の代表や、あるいはメーカーさんや、あるいは事業者や、いろいろな方に集まっていただきながら、月二、三回のペースで、今一生懸命勉強をしている最中でございます。  そういうものを踏まえながら、これからまさに情報通信技術、IT革命と言われるような時代でありますし、これはまた時間との闘いにもなりますし、あるいは日本競争力がアメリカあるいはヨーロッパ等々に比べまして若干おくれをとっているということもございますので、一日も早く追いつかなければならないと考えますし、やがては追い抜かなければならないという意気に燃えているところでもございます。  こういうもろもろのことを考えながら、私たちも新しい基本方針に示されたものを一つの骨格としながら、そこに枝葉をつけながら、着実に諸施策を推進し、ビジョンの発表を内外に提示したい、こういうふうに考えているところでございます。
  43. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 意欲に燃えてお取り組みいただいているところは敬意を表したいと思います。  しかし、大臣、今私が申し上げたポイントを二つに絞って、改めてこの問題をお聞きするのですが、一つは、総理のもとに、国全体のビジョンとして、そういうビジョンを持つ必要があると思いませんかというのが一点。  それから、そのビジョンは、やはり国民に浸透するような、まさにスーパーコリドーとか、これはある意味ではパフォーマンスというか、そういうのに見られるかもしれませんが、私は、そうではなくて、政治の役割というのは、具体的、細かい行政の積み上げではなくて、まさに国民に向かってそれがきちっと伝わる、それが大事だ、こう思っておるものですから、そういったまさに国民に浸透するような形でそれを発表していただけないか、こう申し上げたわけであります。  ですから、もう一回繰り返しますと、総理のもとに国家的ビジョンとして情報通信政策の体系をまとめ、それを国民に向かってアピールする必要はないでしょうか。
  44. 八代英太

    八代国務大臣 当然、推進本部長は総理でございますし、私は副本部長という立場でございますので、小渕総理がしっかりと二十一世紀へのかけ橋となるような情報通信ビジョンというものを内外にアピールするということは、国民へもしっかりメッセージとしてお届けする。  ネーミングの問題がございましたが、ネーミングは、これはまた小沢委員からもアイデアをお寄せいただければいいと思います。先般も予算委員会で福留委員からも、こういうアイデアでこのIT革命に対応する一つの戦略は考えた方がいいではないかという御提言をいただきましたので、私も、それぞれのいろいろな方々のネーミングをもとに、やはり総理大臣に力強くこれはアピールをしていただく、それは当然のことだと思っております。
  45. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 この質問の中では民主党の考え方もできるだけ申し上げて、また政府の皆さん意見も聞かせていただきたいと思っておりますが、民主党も近いうちに、IT革命チャンス・アンド・チャレンジ、これは仮称でありますけれども、そこはまだネーミングも含めてこれから考えますが、こういうものを今用意をしているところであります。  御承知のように、我が党の鳩山由紀夫代表は先般の代表選の中で、まさにIT政策を大変重要な柱として打ち出してきているわけでありまして、そういった意味では、もし民主党が政権を担うことができるのであれば、IT政策、情報通信政策は国の最も重要な政策の柱として、しっかりとまさに総理のもとで打ち出させていただきたい、こういうふうに思っておりますので、そんなところもお伝えをしておきたいと思います。  今、大臣の御答弁は、ぜひやりたいというふうに聞かせていただきました。期待をさせていただきたい、こういうふうに思います。  続きまして、それに関連もしますけれども、予算の話に入らせていただきたいと思います。平成十二年度予算の質問を若干させていただきます。  それに先立ちまして、先ほど大臣の御発言の中で、我が国のこの分野、若干米国にもおくれをとっている、こういう御発言もございました。私は基本的に、おくれをとっている、だからさらにより一層予算も、例えば米国におくれをとっているのであれば米国以上に予算の配分もふやしていかなければいけない、こう思っておりまして、その観点から御質問させていただきます。平成十二年度予算はそうなっていないというところを私は申し上げたい、こう思うんです。  まず、全体としておくれをとっているというのは大臣もお認めいただいたから言うまでもないんですが、例えばこれは郵政省がつくった十二年度の情報通信政策大綱の最初の冒頭のページであります。ここのところで、「情報通信関連分野における大きな日米格差」、こういうものがあります。若干ではなくて大きな、こう表示してあるわけです。電子商取引市場は米国の十五分の一、インターネット人口普及率は米国の二分の一以下、インターネット学校普及率は米国の二分の一以下、政府の情報化予算は米国の二分の一以下。こういう資料は郵政省で実際におまとめになっているわけです。これは今までのことであります。  それでは、これから先のことについて、ではどうかということに関して、これは私の資料でありますが、郵政省各種施策目標年次というのを私まとめさせていただきました。これをまとめて、そして各国の比較をさせていただきました。これは将来のことです。  放送デジタル化について、例えば幾つか挙げますが、これはことしの秋、初めて衛星デジタル放送が始まります。アメリカは、衛星放送デジタル化を最初に行ったのは一九九四年であります。それから、イギリスも九八年には行われております。あるいは地上放送も、アメリカは九八年にはデジタル化になっています。イギリスも九八年、スウェーデンが九九年云々と、こういう表があるわけです。目標そのものもおくれているのです、まず例えば放送デジタル化。  それから、インターネット普及というのは二分の一以下、先ほどこうありましたが、料金というのはよく言われている話でありますが、現在これも大きな格差があります。  そして、先ほど来お話があった東京と大阪の料金を見ても、依然として、プロバイダー接続料金基本料金、通信料を加えると、恐らくアメリカの四〇%増し、二倍近くになるんじゃないでしょうか、それが実際に施行されてもですよ。  それから、学校インターネット学校インターネットは、先ほど、二〇〇一年に全学校インターネット接続を行うと小坂総括からお話がありましたが、先進的地域は、アメリカは少なくとも全教室です。全学校じゃないのですね、全教室ですよね。  等々、これは言い出したら切りがなくて、若干日本の名誉のために申し上げておくと、携帯電話に関してはまあまあいいところをいっているかな、私はこう思いますけれども、いわゆる情報通信分野、多くの分野をとって考えたときに、放送デジタル化、アプリケーションのいわゆる開発普及の問題、衛星通信の問題、それから先ほど大臣がおっしゃられましたが、バリアフリー、まさに情報バリアフリー、障害者対策の問題等々を見ても、郵政省目標年次が既におくれている、こういう現状だと私は思う。現状でもおくれている、目標自体もおくれている、大臣、これをお認めになりますか。
  46. 八代英太

    八代国務大臣 私が先ほど申し上げましたように、まさにインターネット、横文字文化と言ってもいいかもしれません、なかなか日本にはなじみがなかった時代でもございました。  しかし、この四、五年のインターネット、パソコンに関する国民の関心もウナギ登りという表現がいいかもわかりませんけれども、そういう状況になっておりまして、あるいはパソコン減税等々もさらに一年延長をしようというふうな話にもなってまいりますと、だんだんまさにアメリカに追いつく。そしてまた、まだまだ追い越すという状況にはないにしましても、これは世界の潮流でありますから、そういう意味で私たちはしっかり風を送らなければならないというふうに思っております。  学校も、教育の情報化等々も含めて、全国四万ぐらいの小中高校があるでしょうか、あるいは五十万学級ぐらいあるでしょうか、それらの教室すべてへも二年ぐらいは前倒しをしてやろうとか、あるいはまた、これからワンストップ行政あるいは電子政府化、あるいはまたインターネットビジネスへのいろいろな方策等々も含めて、私たちも別にアメリカを模倣し、ヨーロッパを模倣しているわけじゃありませんけれども日本の技術というものは、例えばパソコン一つをとっても、横文字から日本語に変換させるあの技術も三年前と今では雲泥の差がありますし、天と地のような開きがありますし、そういう意味では、日本の技術力というものは、必ずや力を持ってアメリカを追い抜くような状況になっていくだろう。  これはもうグローバル化されていますから、好むと好まざるとにかかわらず、この問題というのは、私たちの二十一世紀には避けられないということを考えますと、同じふるさとでありますから風林火山でいうならば、まさにここのところは火のごとくやらなきゃだめだ、こんな思いに立って一生懸命やっているところでございます。  まだまだ不十分な点があるというのは十分承知しながら、おくれをとっているというのも承知しながら、私たちは一生懸命頑張るという思いでいるところでございます。     〔委員長退席、中沢委員長代理着席〕
  47. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 十分御認識もいただいているようでありますし、風林火山を例えに、火のごとしと、こういう話がありました。風林火山を私も使わせていただきますと、静かなること林のごとしくらいで、ずっと立ちどまっていてもらっては困るのでありまして、まさに火のごとく駆け抜けていただきたい、これもお願いを申し上げたいと思います。  さて、その意欲は評価します。しかし、では実際にどうやっていくのかといったときに必要なのは、まさに予算じゃないでしょうか、最も大事な話が。そのために予算をしっかりと、国民皆さんからいただいた税金を使うんだ、一番まず政治としてやらなければいけないのは予算だと私は思うわけでありますが、そう思いながら平成十二年度予算、情報通信関連予算を見てまいりました。  野党でございますので、すべてをチェックするというわけにはいかなかったので、もし数字に誤りがあったら御訂正もいただいて結構かと思いますが、少なくても、簡単に計算ができる話でいっても、郵政省、通産省の関係予算は、一般歳出に占める割合は〇・三五%でございます。公共事業予算を見ても、情報関係予算のシェアは一・四%しかありません。米国は、政府予算の一・七%が情報関係予算、こういうふうに言われているわけであります。  米国にあれだけおくれをとっていると、先ほど現状の話がありました。にもかかわらず、予算でもおくれをとっていたらどうやって追いついていくんですか。ちょっと所感をお聞かせいただきたいと思います。
  48. 八代英太

    八代国務大臣 平成十二年度の郵政省情報通信関係予算がおくれをとっているという御指摘でございましたが、千百八十一億円を計上いたしております。  具体的な施策といたしましては、次世代情報通信インフラの構築、先進的研究開発の充実の強化、高度情報通信社会に向けた利用環境整備、それから地域情報化による経済の活性化、グローバルネットワーク社会への貢献というのがこの柱になっているわけでございますが、昨年度が千三十一億円、百五十億円の増ということになりまして、私たちは私たちなりの努力はさせていただいておりますが、まさに八十五兆円という国家予算の中におきましては占める割合は小さいかもしれません。しかし、小さいのは小さいなりに魂を込めながら、風を送りながら、産官学一緒になって、また企業は企業として、それぞれ研究に力を入れていく。  そういう一つの情報通信というのは、私は、気持ちの中には、すべてにわたってこれから大きなリーディング産業として育っていくという素地は十分にあるように思いますので、ただ、予算を幾らであればどうということには、私は直接は結びつかないのではないかというふうに思います。もし小沢委員のお考えの中で、このくらいは必要だったがという御指摘でもあれば、お伺いすれば参考になるかと思います。
  49. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 少なくても、私は、予算のシェアが米国を超えるという話は、米国に追いついていくためには不可欠だ、こういうふうにまず思います。いわゆる長崎・諫早湾、民主党は一貫して反対をしてきておりますが、いわゆるむだな公共事業、そういうものにお金を費やすことがあれば、使ったらいいんじゃないでしょうか。私は、民主党は、むだだ、こう思っております。  そこで、大臣にもう一点、この点をお聞かせいただきたいんですが、一千百億円だった、去年一千三十一億円から伸びた、そして精いっぱいやったと。恐らく郵政省大臣としてはそうだと思う。私がお聞かせいただきたいのは、この国、先ほど言った八十五兆円の予算の中で、今の情報通信分野がこれだけでいいとお考えなのかということをもう一回お聞かせいただきたい。
  50. 八代英太

    八代国務大臣 点数はつけがたいところではございますが、自信を持って国会へ提出させていただいている国家予算でございます。その中には当然郵政省の予算も入っております。ぜひ賛成をしていただければありがたい、このように思っているところでございます。
  51. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 これで満足、こういうことだと思いますが、少なくても民主党として申し上げておきますが、私たち民主党は、不足をしている、不十分だ、こう思っています。  少なくても、先ほど来申し上げているように、おくれを取り戻すためにはそれ以上の予算をきちっと使うべきだし、国民皆さんたちは恐らくそれを支持していただける、こう私たちは考えておりますことを申し上げておきたいと思います。  さて、そこで、もう一つ予算関連ということで若干お聞かせをいただきたいんですが、「日経コミュニケーションズ」の二〇〇〇年二月二十一日号というところに、こういう記事がありました。  先ほどもお話が出ておりました光ファイバーの話なんですが、兵庫県の阪急日生ニュータウンというところがあるんだそうです、私もこの記事でしかわかりませんから。ここは、いわゆる住宅分譲費に光ファイバーの敷設コストを入れてある、事前に組み込んでおくという仕組みでこの分譲を行った。こういうことがあって、NTT—MEとNTTテレコムエンジニアリング関西は、ここを、光ファイバーのアクセス回線の最大速度は十メガビット・パー・秒、月額五千円でやれる、こういう話でやっている。これは、やればできるんだと思うんです。  例えば、こういうよく話が出ている光ファイバーは、さっきもありましたが、バックボーン、幹線部分は大体できている、残りはラストワンマイル、まさに家庭までのところなんですね。そういうところをこうやって民間がやったら、特別償却するとか、そういう話をお考えになったらどうかと思う。いかがですか。
  52. 八代英太

    八代国務大臣 光ファイバー網も、全国整備に向けまして私たちも一生懸命頑張っているところでもございます。  それからまた、事業者間の接続料とは別に、定額制の導入等々、いろいろなプロバイダーを初めとして、各事業者間の、あるいはいろいろな方々の、五千円とか四千五百円とか、二千九百円になるだろうとか、いろいろな記事も出ておりますけれども、まさしくこれからは定額料体制に全体が移行していくだろうと思いますね。交換機を通さず直接地域の中にネットを張りめぐらせることによって、かなり低廉な定額制というものは考えられる。  まさに、そこから日本の本格的なインターネット時代の黎明かなというような思いもございまして、こういうことを考えますと、いろいろな形の工夫をしながら、事業者間の競争、そしてまた民間の活力、そういうものを駆使しながら、これは、これからの対応を私たちも一生懸命風を送っていきたい、こんなふうに思っております。
  53. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 個別具体な話でありますから、今ここでということはなかなかはっきり言えないというのはわかります。でありますから、民主党としては、このラストワンマイルに関しての減税対応、これを真剣に考えるべきだ、こういう提案をこの場で申し上げておきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つ、新聞記事ですが、昨年の十一月二十五日の読売のようですが、富山・山田村、岡山市、これも超高速ネット網を自治体主導で安く、こういう記事が出ております。それを見ますと、これは、独自の光ファイバーを下水道管に敷設するというところがこの工夫の余地のようなんですね。  ですから、ことしの予算の中でも光ファイバーを通す管をつくる、こういうのが予算の中にありますけれども、もちろんそういうものを新設していくというのも大事かもしれませんが、現在あるそういう下水道管みたいな話を活用していく、そういう話も十分あっていいわけですね。まさにそういう話を高度情報化推進本部の中で、建設省に、あるいは厚生省に、あるいは自治省に働きかけをなさってやっていったらいいと思います。この提案を申し上げますが、いかがですか。
  54. 八代英太

    八代国務大臣 まさに国民共有のインフラ整備は、これは建設省であれ何であれ、私たちもともども、それは共用できるような形がこれからの町づくりでは大変重要になっていくだろうと思っております。  あるいはまた、無線によるこれからのインターネット政策ということも考えられましょうし、あるいは東電を初めとする電力会社の一つの電柱的な空中ケーブルというようなこともありましょうし、いろいろなものを絡み合わせながらこれから考えていくことは小沢委員のおっしゃるとおりだ、このように思います。
  55. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 これも民主党の提案として申し上げておきたいと思います。  それでは、ちょっと話題を変えさせていただいて、放送デジタル化について御質問をさせていただきたいと思います。  これは先ほど他の委員からも何度かお話が出ておりましたし、コストをどうするのか、こういう話に関しては既にもう御質問が出ておりましたから、そこは割愛をさせていただいて。  ことしの秋に衛星放送デジタル化放送が始まるわけであります。その中には映像と同時にBSのデータ放送、こういうのがあるわけですね。そのBSのデータ放送に当然のことながらインターネットのコンテンツも乗ってくるんだろうと私は思っております。いかがですか。     〔中沢委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 小坂憲次

    小坂政務次官 BS放送デジタル化に伴ってインターネットのコンテンツが乗ってくるか、こういう点だけで申し上げるならば、当初スタートいたしますBS放送は、BS放送のコンテンツが流れる。しかし、将来的に、今委員の御質問の趣旨は、放送、通信の融合化というようなことも起こってくるんだろうと。こういうところまで申し上げるならば、将来的には、同じようなデジタルとしてのコンテンツは相互に利用が可能な状況をつくっていく必要があるだろう、こういうふうには申し上げられると思います。
  57. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 小坂総括がすばらしいタイミングで出てこられて、それはそれで結構かと思います。中身を深めたい、こういうふうに思います。  それで、当然のことながら、データ放送があればそれにインターネットのウエブが乗る。当然ユーザーは期待しますし、それが便利ですよね。しかし、現状そうじゃないんですよね、今次官がおっしゃられたように。何でなんですか、ここは。どうしてそういうふうにやらなかったんですかね。  それで、先ほど来、地方放送局は大変だという話がありました。大変なんです、本当に。これは、もしそういうインターネットのウエブを乗せていけたら、まさに地方放送局は通信業に参入していけるんですよ。そうしたら、国がまた税金からコストをかけなくても、まさに自立的にそういうことをやっていく道というのが生まれるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  58. 小坂憲次

    小坂政務次官 若干、委員の御質問の中に、細かいことを言えばなかなか難しい部分だなと思うのは、BS放送の中になぜインターネットのコンテンツが乗ってこないのかというお話ですが、やはりBS放送放送としてやっているわけでありますので、インターネットのコンテンツを利用するということと、それがBS放送の中に組み込まれるということは若干違うように思うんですね。  確かに、これから、家庭で見るテレビのスクリーンの部分、いわゆるブラウン管に相当するようなディスプレーの部分に、BS放送の画面と、それからケーブルテレビ等いろいろなアクセス経路を通ってインターネットのコンテンツが同時に出てくる、あるいはそれが融合する形で相互に関連をし合ってくる、こういう状況は今でもつくれるような方向を目指して整備を進めておりますので、今御指摘のところで、別にできない方式をとっているとかそういうことではないというふうに申し上げられると思うんですが。
  59. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 そこのところをちょっと、僕も余り技術のことは細かくわからないんですが、技術的にも今は違うんですね。ただ、技術的に違うから乗らないということなんですが、しかし、それはそもそも技術が難しくてできないわけじゃなくて、今まさに次官がおっしゃられたように、放送と通信という別分野のものだからもともとが違う発想で来た、こういうことなんだろうと思うんですね。それに対して私は、もうそんな時代じゃないんじゃないですか、こういう質問を申し上げていて、そして小坂さんも、将来的にはそうかもしれない、こういうニュアンスの発言があった。現実、郵政省もガイドラインというものを出しながら、放送と通信の融合の問題、いろいろやっていますね。  具体的に言いますと、例えばNHKの話、これは毎日新聞の二月の五日でありますが、「NHK、通信事業に参入」、こういう見出しですよ。これは子会社を使っていわゆる空き回線を再販していく、こういう話でありますが、現実的にこういう分野というのは物すごく出てきているんですね。先ほど来お話があるように、ユーザーは、とにかく国民は、ブラウン管から出てくれば通信だろうと放送だろうと関係ないんですよ。両方見られればそれが一番いいんですよ。これはまさに政治の決断だと僕は思っているんですよ、ここをやるかどうかは。  大臣、ここで政治のリーダーシップなんですよ。日本というのは意外とやりやすいんです。なぜかというと、諸外国は放送と通信を所管する役所というのは結構違うんですよ。日本大臣が決断すればできるんです。放送行政局、通信もあるわけですよ。電通局も。これはまさに政治の決断として考えていきませんか。
  60. 八代英太

    八代国務大臣 大変、アイデアとしては伺ってはおきたいと思っているんですけれども、いずれにしましても、通信と放送の融合という一つの論点だろうと思うんですが、デジタル技術が発展して、一つのコンテンツをさまざまな伝達手段を通じて送られる、いわゆるマルチメディア化が進展しつつある、これはわかっているわけですね。この動きは今後ますます加速していくだろう、こういうことも私も意識をしております。  例えば、ケーブルテレビ回線を利用したインターネットは、いわゆる通信と放送の融合の一つかもしれません。しかしそれは、私たちは、あくまでも今はユーザーの選択の中にあるだろう、そういう方向はこれはもう早い形で実現していくだろうということで適宜対応をしていかなければならないというふうに思っているんですが、通信・放送サービスを規律している現行の法制度というものがございます。法制度があって、通信の秘密の保護の必要性とか、あるいは社会的な影響力の大きさとか、あるいは周波数の有限希少性とか、こういう点に着目して、放送放送法、あるいは通信には通信という二つの線が、今のところ交わった形にはなかなか置きかえられないという状況なんです。  しかし、今後の二十一世紀を考えていきますと、これから二〇一〇年にはデジタル放送というようなことも考えますと、放送の大半がデジタル化されているということと、光ファイバー網も既に全国整備されているものと想定していきますと、通信と放送あり方もおのずと変化していくだろうと私は思うのです。そういうところへこれから私たちも視点を置きながらいろいろ努力をしていかなきゃならぬ、こんなふうに思っております。
  61. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 大臣おっしゃられたユーザーの選択、こういうお話がありましたね。ですから、それが大事だというのは全くそのとおりなんだけれども、ユーザーが選択できないのですよ。要は、まさにBSのデジタル放送から、ウエブも乗っていればそれは見られますけれども、見られないのですから。ですから、それを阻んでいるのが法の規制だ、こういうことを申し上げているんですね。  そして、確かに、大臣の御説明があった電気通信事業法、それから放送法、その二つの法のある意味では違いというか、今あるものがこうだ、こういう御説明がありました。だから、政治が決断をして新しい時代をつくっていくためにそこは変えたらどうですかということを申し上げているんですね。  私は、これは民主党の正式提案でありません、これからまだそれをつくっていっている最中でありますから、個人的な私の提案として申し上げますが、これは融合法をつくる、もしくは、それがそのままあるとすればその上に情報基本法といったようなさらに上位の法律をつくって、そして両方の法益をある意味ではきちんと守れるような法体系にすべきだ。当然、その情報基本法のところには個人情報保護法というのがある。個人情報保護法をうまく活用する形で通信の秘密というものを何とか考えることはできないか。  通信の秘密というのは憲法二十一条です。私は、憲法二十一条の改正もあっていいと思う。今までの法益は変えない、しかし時代の変化でこれだけ現実が変わってきてしまった。まさに憲法が今の世の中に合わないことの一つだと思う。  いいですか、ここは誤解しないように申し上げておきますが、通信の秘密、今までのその法益は守るべきだ、しかし通信と放送が融合していく時代にこの条文は合わない、こう私は個人的に思っています。いかがですか。
  62. 八代英太

    八代国務大臣 先ほど申し上げましたが、確かに、これからは放送と通信の言ってみれば壁というものもだんだん薄れつつあることは事実だろうと思います。また、そういう方向になっていくだろうと私も予感をするんですが、現行の法制度の枠内でこの辺は現段階におきましては十分対応できる、こう思うのですね。  それから、これからインターネット等々になっていって、通信というものが非常にいい意味での啓蒙になっていく。危ないというセキュリティーの問題、プライバシー保護の問題とかというのもございますけれども、そういうものはそういうものとして、いろいろな法整備ももろもろ考えながら、二〇一〇年あたりはデジタル化されていろいろな形がこれから出てくるだろうということで、今そこにおいて現行の放送法、通信事業法、そういうものが別にぱちぱちとお互いに拒絶反応しているというような状況にないものですから、また、では新しく融合して政治決断でやれということは新たな規制をつくるということにもこれまたなっていくだろうと思いますので、使えるものは使える形の中でやりながら、そしてそういう未来を見詰めて対応していくというのも政治決断ではないか、私はそう思っております。
  63. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 そういう政治決断もあるかと思いますが、私は、そこはまさに一歩進む形での政治のリーダーシップが必要だということを申し上げておきたいと思います。  最後に、同じく電波ということで、一点だけ簡潔に御質問します。  いわゆるデジタル化が進むと、あく電波の帯域が生じますね。まさに国民の有効資源でありますから、これをどういうふうに大事にしていくかというのがこれからの観点で必要だと思います。  私はオークションをやるべきだと提案申し上げます。これは、電波法制の在り方に関する懇談会というのを郵政省もお持ちのようでありますが、そういう考え方もちょっと見られますが、決断をするべきだと。国民のまさに大事な、貴重な資源である電波を、きちっとそれはみんなでオークションをして、透明な中で電波の割り当てを行っていくべきだ、こう提案を申し上げますが、いかがですか。
  64. 小坂憲次

    小坂政務次官 若干私の方からまずお答えさせていただきたいと思います。  オークションについては、一つの考え方だと思って、これを排除するものではないと思っております。しかしながら、オークションをやった結果がどういうふうになっていくかということもあわせて考えおく必要がある。  そういう意味からいたしますと、オークションをいたしまして、落札しました企業が、その後その電波を有効活用できるだけの継続性、資金的な裏づけ、それから計画の現実性、こういったものがどこまであるかということは、やはり見ていかなきゃいけないことだと思うのですね。そうしないと逆に、有効な国民の資源である電波が活用されないということになりかねない。したがって、そういった面の検証と、もう一つは、資金力のあるところが電波を独占するということにならないようにすることが必要だと思うのですよ、これは同じ国民の有効な資源でございますから。  そういった、大きく言えば二つの観点から、このオークションというのは十分に検討しながら見ていく必要がある。現状では、これを導入することが直ちに電波の有効利用につながるかという点においてはまだ疑義がある、また国民的なコンセンサスも必ずしも得られないのではないか、さらに研究を進める必要がある、こう考えております。  それから、憲法二十一条ということをおっしゃいましたが、憲法二十一条の「通信の秘密は、これを侵してはならない。」という点を変えていくのは、これは通信、放送のというふうにおっしゃりたいのか、あるいはどういう点なのか。またもしお時間があって教えていただけるならば、さらに勉強させていただきたいと思っております。
  65. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 時間ですからこれで終わります。  インターネット時代の政治というのをお話をしたかったのですが、時間でありますのできょうは割愛をさせていただきますが、今の小坂次官のお話等々、いわゆるあり方に関しては、私も十分工夫があってしかるべきだと思っておりますし、意見交換、できればこういう場だけではなくて、お互いのホームページでやれるような時代かもしれません。お互いのホームページでの意見交換等々、それを皆さん国民に見ていただけますから、ぜひそんなこともあわせてやっていきたいなと申し上げて、終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  66. 前田武志

    前田委員長 小沢鋭仁君の質疑はこれにて終わりました。  午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  67. 前田武志

    前田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中田宏君。
  68. 中田宏

    ○中田委員 今、各同僚委員先輩方から、きょうは思う存分やれ、こういうふうに言っていただきましたが、時間の件は本当に感謝をいたしておりまして、今回から多少多目にさせていただくことに感謝をし、そして思う存分というのは、本当に議論そのものはやらせていただきたいと思いますけれども、午前中の園田先生の質疑の途中で茶々を入れていましたけれども、ちょっとそこら辺の話も含めて、ひとつ考え方の御説明をして議論に入らせていただければと思うんです。  まず、私、ちょっと冒頭、最初にきょうの本題に入る前に、ひとつ先にお聞きをしておきたいというふうに思っているのは、お聞きをしておきたいというよりも、ある意味では私の感想でありますけれども、今回の大臣所信表明をお聞かせいただきまして、大臣の取り組む姿勢、これは大変よく理解をさせていただきましたし、とりわけ四分の一ほど割いているこれから先の情報化ということについて、放送並びに通信、両方ありますけれども、とにかく情報化社会をより日本が進展させていかなければいけない、ここに並々ならぬ決意を、これは敬意を表して聞かせていただきました。  とりわけインターネット関連で、まずは定額制、これが何よりもインターネットをどれだけ普及させていくか、このことに、非常に大きい具体論でありますし、あるいは学校におけるインターネットの推進、また電子商取引をもっともっと推進していくための署名等の整備、こういったことについて大変意欲ある所信をお聞かせいただきまして、若輩でありますが、この点、本当にまずは評価をさせていただいた上で、ぜひお二人の政務次官もあわせて、大いに前進をしていただきたいというふうにお願い申し上げます。  さて、まず大臣にお聞きをしたいのは、郵便料金の問題をお聞かせいただきたいと思います。  昨年大臣が就任をされて、私、国会のこの場でまだ大臣には直接お聞きをしたことはないわけでありますが、たしか就任をされた直後の大臣の御発言では、郵便料金については、郵便事業の赤字は続いているけれども二〇〇五年まで郵便料金を据え置く方向は守っていくべきである、こう考えておるということを、大臣は決意を述べられたはずであります。  私は、この件は去年も短い時間の中でも何回か前野田大臣に聞かせていただいたわけですけれども、二〇〇五年まで据え置くというのは、ある意味ではやはり郵政省の公約だというふうに思っています。  現下の厳しい経済状況というのはもちろんのことながら、これは民間も当然同じ大変な厳しさを求められている時期であります。そういうことの背景を考えると、ここで公共料金だけが上がってしまえば、ましてや民間の足を引っ張ることにもなりかねないわけでありまして、民間が一生懸命利益を出しているところは、売り上げが伸びて利益を出しているという経済状況よりは、むしろいろいろな経費を切り詰めて利益をやっと出しているという経営環境が続いている中、当然のことながら郵便事業についてもそのことの同じ使命が求められているというふうに考えるからであります。  そういう観点に立ったとき、昨年十月の大臣の見解というのは私は大いに評価をしますが、現在もそのことにはお変わりないことをぜひ確認させていただきたいと思います。
  69. 八代英太

    八代国務大臣 中田委員、御質問ありがとうございます。  まず、平成十二年度予算における郵便事業の損益をちょっと御説明させていただきますが、十一年度予算の六百八十九億円の赤字に比べまして約三百億円の改善をいたしておりますが、なお四百三億円の赤字計上となっておりまして、平成十二年度、これは累積利益は七百八十七億円となる見込みでございます。  今後とも良質な郵便サービスを提供することを前提として、増収と経費の削減、これは民間も当然の時代でございますが、そういう両面から損益改善に一層努めるということを目指しつつ、できる限り長く現行料金を維持していくというのは私たちの考え方でございます。  そういう点を思いますと、実は経済の動向と郵便というのは割合相関関係がありまして、ことしは景気がよくなる、こういう前提に立ちますと、そういうまた郵便における事業の活性化ということも望めるのではないかというふうな期待を私たちは持っておりますし、選挙の年も結構郵便は広く使われておりまして、ことしは遅かれ早かれ選挙の年だということを考えますと、そこに郵便事業という点でいきますといいことかなというふうにも思っているわけです。  いずれにしましても、民間もそうですが、いろいろなことの経費の削減、また人員の削減等ともあわせながら、いろいろな方策をとりながら、現行料金、二〇〇五年までは私たち現状のままに推移することを祈っている、そういうまた目標を持っているということだけは申し上げておきたいと思っております。  昨年の十月の考え方と変わってはおりません。
  70. 中田宏

    ○中田委員 揚げ足をとるようで恐縮ですが、祈っているでは困るわけでありまして、大臣ですから、そこに関しては、祈ることよりもリーダーシップを発揮していただいた上で、本当にこれはお願いをしておきたい。なぜならば、今申し上げたように民間も苦しい中ですから、そういう中、公共料金が上がることによって足を引っ張りかねないということが一点。  それからもう一つは、前提条件として経済が安定的な状態が続けば二〇〇五年までというふうな表現にどんなにこだわっても、その安定的な経済状態というのは果たして何を意味しているのか、また、それを運営しているのはだれかというところに話は下手したら戻りかねませんから、経済をよくしたらと言ったときに、よくするのはだれですかという話になりかねないわけでありまして、そういう意味では、これはぜひしっかりと堅持をできるように、むしろいろいろな改善をしていっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  選挙は負けないように、私もいっぱい郵便物をなるべく多用して、しっかりとまた戻ってきたい、こう思っております。  さて次に、ある意味ではちょっときょうの本題の部分を、私、前から気になって消化不良を起こしている件ですので、お聞かせをいただきたいというふうに思っております。穏やかに進めるつもりでございます。  私は、先生方御案内の、好む好まざるとにかかわらず、郵政民営化研究会という超党派の研究会がございます。自民党の先生方も、小泉先生以外の方もいらっしゃいますし、民主党の方もいる、あるいはそのほかの政党もおります。  そんな中で、私はこのメンバーなんですが、私は、単純に民営化をただ押しつける、あるいはやれということを申し上げるつもりは、ある意味ではなくて、やはりこのことを真摯にとらえて、郵政がもっともっと三事業、脱皮をさせていかないと、このままだと、余りにも民間との競合の問題や、これからの我が国の一つの哲学の問題としてこのまま放置するわけにはいかない、私はそう思っている。そして、その延長線上に民営化ということも、もちろんある意味では念頭に置いて議論を進めていくべきであるというふうに思ってもいるのは、私も確かなところであります。  郵政族でもなければ、先生方もそう言われることは心外だと思いますが、私は郵政族だと自分も思わないし、また郵政否定族でもございません。要は、日本にとってどちらが活力ある社会になるか、また、国民にとってどちらの方が、利便性を含めた、国民にとって享受できるプラスがあるのかという観点から、私は常にこの議論をしているつもりであります。  自分の支持者の皆さんにも、また広く有権者の皆さんにも、そしてある意味ではこの議論をする専門家皆さんにもいつも私が申し上げているのは、郵便局の局員さん、三事業を扱っている局員さんは極めて勤勉で、本当にまじめな公務員の方だということを私はいつも申し上げています。これは日本で一番勤勉な公務員だというふうに私は思っています。衆議院の事務局の方もここにいますから、日本で一番勤勉だと言われると、私たちも一生懸命やっている、こう思われるかもしれませんが、でも、私はお世辞じゃなくて本当にそう思っている。  なぜかというと、営業努力をやっているからですよ、いずれの三事業とも。一生懸命営業努力し、お客様に頭を下げて、そしてセールスをきちっと磨いて、その上で公務をやっているわけですから、これはあまたいる公務員とはそういう意味では全然違うわけです。その意味において極めて勤勉な、私は一番だと言ってもいいと思っていつも言っています。  ただし、勤勉であるがゆえに、かじ取りを国は間違ってはいけないというふうにも思っているわけであります。例えば、先ほどの午前中の園田先生がおっしゃっているときに私が時々発言をしておったのは何かというと、決して離島だとか過疎地だとかに郵便サービスが行かなくなっても民営化をすべきだという話をしているんじゃなくて、仮に、ユニバーサルサービスや郵便の定額、全国均一料金というものを維持できるという前提のもとに民間が参入をしたい、あるいは法整備としても、我々も、民間が参入をしてくる条件として、それは条件なんですよということを言った上で、民間がそれをのみ込んで、そしてそれでもぜひやりたいんだという民間がある以上は、私は決してそれを閉ざすべきではない、こう思っているわけであります。  すなわち、国がやるべき事業というのはやはり、民間ができるところは大いに民間にやってもらう、その上で、民間ができないことに関して国が第一義的にやっていくべきである。  ただ、私は、郵便の問題、貯金の問題あるいは保険の問題にしても、今までの歴史的使命としての役割は十分に果たしてきたと思うんですよ。その上で、時代とともに民間が育ってきたということであれば、それを民間に任せるというのも、これから先の二十一世紀の我が国が真剣に考えていかなければならないことであり、任せるというのは、決してそれを丸投げしろということではなく、ある意味では郵政事業もそうした道の模索を始めるべきである、このバランスに立って私は発言をさせていただいているつもりでありますから、きょうのところ、これからお聞きをさせていただくのも、私はそういう論者であるということをぜひ先生方にも前提として申し上げた上で、今から核心の部分をちょっと触れさせていただきたいと思います。  きょう、私がお聞きをさせていただきたいのは、いわゆる信書問題ということについてであります。  郵便法の第五条に、「何人も、他人の信書の送達を業としてはならない。」こういうふうに書かれているわけであります。  さて、信書とは何ぞやという話をぜひお伺いをしたい。ここは立法府、逓信委員会であります。そういう意味では法律についての神聖な議論の場でありますから、八代大臣に、信書ということについての率直な議論をきょうは闘わせていただきたいというふうに私は思っています。  まず、私の見解を逆質問される前に先に申し上げておきますと、信書といったときに、まず最近の現状を私は分析するに、どうも郵政省の見解というのは、郵政省が独占したいと思うものは信書と言い、郵政省がこれはいいやと思っているものに関しては信書とは無理強いはしないといった程度の定義にしか見えないんですね、私には。どうもそこら辺、これまでの信書議論というのがしっかりとした明確なものがないままに進んできたようにしか思えないんですが、大臣、この点いかがでしょうか。
  71. 前田正

    前田政務次官 中田先生が前々から民営化についてのそういう研究会でいろいろと勉強されていること、私もよく承知をさせていただいておるところでございます。政治家として、一つの主義主張を述べられるということは大変すばらしいことだと思っておるわけでございますが、今先生の御質問をいただきました、信書とは一体何なのかというところについてお答えをさせていただきたいと思います。  郵便は国民の基礎的通信手段でございまして、不採算地域を含め、全国あまねく公平にユニバーサルサービスを提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とするものでございます。これを財政面から担保するために、信書の送達の独占が法律で定められておるところでございます。  この信書の定義につきましては、信書とは、特定の人に対し自己の意思を表示し、あるいは事実を通知する文書を総称するものであり、戦前戦後を通じまして一貫した、いろいろ判例ともなっておるところでございます。  以上です。
  72. 中田宏

    ○中田委員 さて、その定義の中でありますけれども、例えば、去年地域振興券、これを発送する際に一つの問題が生じました。地域振興券は商品券ではないか、商品券は民間が送達することが今や十分に許されている中において、なぜ地域振興券はだめなのかという議論であります。  当時、各地方自治体も、このことについては商品券と同じであるという考えのもとに、既に手配をしていたところも山ほどありました。そして民間も、その引き受けを受けて契約をしていたところまで、これが信書であるということによって最後は送達をできないということになったわけでありました。  商品券はよくてなぜ地域振興券はだめなんですか。
  73. 前田正

    前田政務次官 先生の、商品券と地域振興券、この問題につきましては、たびたびこの逓信委員会でも取り上げられておるところでございます。  まず一つ、地域振興券には、使用者は、交付された本人、その代理人及び使者に限られている旨の通信文が記載されておりました。また、市区町村から封筒のあて名の特定の人、交付対象者に対して送付されるものであることから、特定人に対する意思表示あるいは事実の通知であることが明確であり、これを我々は信書に該当すると理解しております。  一方、これに対しまして、一般の商品券は、それに記載された通信文、例えば使用上の注意事項等は一般の人に対するものでございまして、特定性がなく信書には該当しない。簡単に申し上げれば、地域振興券は使用者が限定をされており特定性がありますけれども、一般に商品券はだれでも使用できる点が異なる、こういうことでございます。
  74. 中田宏

    ○中田委員 そうはいっても、商品券は最後はだれでも使えるというだけの話であって、もしもそれ、本人が受け取らないでほかへ行ったらこれは大変な話ですね。そういう意味においての価値は全く変わりがないし、また、その人に受け取ってもらうために出しているんですよ、これ。  お歳暮なんというのは特定の人に向かって出しているわけであって、どこかのデパートのお歳暮やお中元として商品券を発送した場合、これは明らかに特定の人ですよ。ある意味では、その人の権限において家族に使わせるとか友人に贈与するということはあり得ても、これは本人に向かって発送していることには何にも違いはないですよ。ちょっと御感想いただきたいな。
  75. 前田正

    前田政務次官 それは先生の解釈の問題でございまして、私どもとしても、商品券というものは、あくまでも一般の人に対するものであり特定性がないというふうに理解をしております。一方の地域振興券につきましては、その対象者たる者は御老人だったり、あるいは子供さん、あるいは子供さんの親、こういう者に特定されたものでございますので、そういう点につきまして、もちろん、先生、この地域振興券の紙にもちゃんと書いてありますけれども、本券は、交付された本人及びその代理人、使者に限り使用ができます、こういうものが入っておるところが信書というものに当たるわけでございます。
  76. 中田宏

    ○中田委員 解釈の問題と言われても、これは今申し上げたとおりでありまして、前田さんのところに送った商品券が前田さんをスルーしてどこか別のところへ行ったら、これ、前田さんに対して送った方は全然意味がないわけですよ。明らかに前田さんに特定をして送っているんですよ。  そういう意味においては、今言っていることは今までの郵政省の見解ともちろん変わらないんだけれども、ちょっと話ずれますけれども、今国会からやはり政治家対政治家の議論になっているわけですから、ある意味では、私は前田先生も大臣も、そして小坂政務次官も今までどおりの答弁をやっていると厳しいと思うんですよ。だって、論理矛盾甚だしいもの。その論理矛盾をこちらはついているわけですから、その論理矛盾をいつまでもかたくなに守っていると、政治家として大変だと私は思いますよ。むしろリーダーシップを持って、ある意味では見解を変えていくぐらいの気概が欲しいなとも思っています。  さて、今申し上げた件ですけれども、では、特定の人に対して事実あるいは意思表示ということは、何をもってそれは判断するのですか。このことがよくわからない。今の商品券と地域振興券でもそうです。特定の人に対して自己の意思表示、事実を通知する、これは何をもってそこを判断するのですか。
  77. 前田正

    前田政務次官 何をもってというわけではありませんが、もちろんそのあて名といいますか、その御本人に対する名前が入っているわけでありますから、その名前の入っている者に対する、使用者というものが、その人に行くといいますか、配られるといいますか、こういうものであります。中田先生なら中田先生という方にだけ、そういう使用者を限定、特定するというところのものでございますから、普通の商品券とは若干やはり違うということになるかと思います。
  78. 中田宏

    ○中田委員 あて名論といいますか、あて名が記載をされているから特定の人なんだという話になれば、これはある意味で、他の書籍を送ろうとも信書ではないかという話にもなりかねませんよね。そうすると中身は、中身にあて名が書いてあるからですか。
  79. 前田正

    前田政務次官 要するに、いわば信書とは特定の人に対して、どういう御説明をしたらよく理解いただけるかわかりませんが、特定の人に対して自己の表示、その方だけだということのみに、例えば地域振興券を例に挙げますと、その方だけにしかこの商品券は差し上げられない、送る、こういうことになるわけであります。もちろんあて名というのも一つの手段でございますが、あて名は、相手さんになければ届かないことにもなります。ただ、それではなしに、要するに、こちらの方から相手さんに対する、特定の人だ、この人だけだということがきちっと意思として発揮できるものが信書だということの理解をいただきたいと思います。
  80. 中田宏

    ○中田委員 そこは理解できます。  ということは、中身が問われますよね。単にあて名だけではなく、中身が問われるということですね。中身が特定の人向けなのかどうかということは、信書を定義する上で非常に重要な部分ですね。  そうすると、中身が一般的、だれにでも見せてもいいもの、だれにでも呼びかけていいものならば、信書ではなくなりますね。
  81. 前田正

    前田政務次官 中身の問題よりも、むしろどちらかというと、特定の人に対しての自己表示ということでありますから、その中身を人に見せようとも何しようとも、御本人がもらった場合は、他人にそれを見せようとどうしようと御本人の意思でありますけれども、こちらの特定の者から相手さんに自己表示をするというところに信書という意味があるわけであります。
  82. 中田宏

    ○中田委員 それであるならば何でも信書になってしまうんです。何でも信書になってしまう。カタログを送っても、ちょっとしたパンフレットを送っても、それは全部信書になってしまう。その方に読んでもらいたいと思っている、そういう定義をするのだったらば、それはもう全部信書になってしまいますね。そうなると、やはりこれは具体的な信書の定義とは言えない。  今まで民間のいわゆる運送業者が、送り主から依頼をされてカタログ類やパンフレット類を送って、郵政省から信書だ、郵便法第五条違反だということで注意をされて、そして以降泣く泣く取りやめざるを得なかったりといったケースがたびたび発生をしていました。  さて、そんな中、実は一つ大臣自身に今度はお答えをいただきたいことがあります。  先ほど私がメンバーだと申し上げた郵政民営化研究会で、先般、先生方もお目通しいただいたかもしれませんが、郵政民営化論という本を出しました。この完成間近なときに、実は、私が小泉会長に発言を求めて一つ言ったことがあります。それは何かといいますと、この郵政民営化論が出たときチラシをつくる、そのチラシは民間業者を使ったらいいんじゃないですかと、実は私が提案をしました。皆さんからしたら迷惑な話だったかと思いますが。  大臣はあのときの記者会見で、小泉先生は民間宅配業者からのバックアップを受けてパフォーマンスをやっている、こういうふうに述べられたそうでありますが、実は、後ろで民間業者がやれやれ、ぜひうちを使ってくれ、こう言ったわけじゃなくて、私のアイデアで実はあれをやることになりました。そういう意味では、この場所で私もきちっとその結論を出したいなというふうに思っているわけです。  どういうことか。  これがその現物のチラシであります。郵政民営化論という、このチラシです。  さて、このチラシが、今回は信書ではない、こういう結論であります。十五日の閣議後の記者会見の発言を見ますと、大臣は、小泉純一郎氏から届いたものは書籍である、書籍なので宅配便でも郵便法違反にはならない、こういうふうにコメントをされているようですが、その真偽は間違いございませんか。
  83. 八代英太

    八代国務大臣 私の家にもヤマト便で届きました。  それで、私もそれについていろいろ見出しを見てみますと、「このチラシを信書といい、ヤマト運輸で配達してはならないと郵便局は言うでしょう。」というような文があって、これは全般を見てみましたら、すべからく、拝啓もなければ、その後お変わりございませんもなければ、単に、言ってみれば、その本の、正式な書籍とは言えないにいたしましても、ダイジェスト版的に要約、抜粋したものしかこれには載っていないわけです。中田さんの発言もまさに本のそのまま載っかっているということですから、これは書籍のたぐいにならざるを得ないといいますか、私は気分的には、もっとわかりやすくお一人お一人に私信を載せてやっていただくと、これは五条違反ですよというのを声高に言えるわけでありますが、これは言ってみれば、私どもの判断とすれば、要するに、本の要約、抜粋したものを宅配便を使って不特定多数の方々に、宅配業者と料金の契約をして届けたというものであるから、したがってこれは信書には該当しない、こういう旨の発言をしたわけでございます。
  84. 中田宏

    ○中田委員 今、コメントをさらに詳しく大臣から、いわば国会における公式見解をいただいたわけであります。  これがいわば書籍であるということになると、揚げ足をとると、自動車のチラシを送れば自動車だ、あるいはマンションのチラシを送ればマンションだという見解になりかねないわけであります。  この件に関してで結構でありますが、仮説の話をするとまた仮定の話はとなってお答えをいただけないと困るので、今後こういった書籍の案内のチラシは書籍ということでよろしいわけですね。
  85. 前田正

    前田政務次官 中田先生、その内容を見てみなければ、我々もそれが信書に当たるかどうかというのは、今先生がおっしゃったように、ここで一概にどうこうであるということはやはりお答えするわけにはいかぬわけであります。  今大臣がおっしゃったように、確かにこのチラシといいますか印刷物に関しては、これはやはり信書ではないと、我々もいろいろ内容を十二分に検討いたしました結果、本の中からの、今お話がありました、要約をしておったり抜粋をしておった部分がほとんどでございますので、我々はこの印刷物は信書でないと。  ただ、ではこれからは、今度はほかのものも全部そうか、こうなりますと、その内容を見てみなければ、我々としても今ここでお答えするわけにはいきません。
  86. 中田宏

    ○中田委員 これと同じように項目をまとめたり、第一章何々、第二章何々と、いわばこれと同じものをつくれば、もはや内容を見たときにもこれは書籍であるという解釈にしていただけるのだろうと、今の話だとなってしまいますね。  私、思うのですけれども、こうした不毛の議論をあえて郵政省皆さんはやっているような気がしてならない。  むしろ、しっかりときちっとした、ある意味では定義をつくるべきだった。内容を見てみなければということになれば、これは常に裁量行政ですよ。交通違反だって何だって、しっかりとルールが先にあって、そのことをみんながわかるようにしているから初めてルールを守るわけだし、ある意味では、ルールが守られなかったときに違反ですよという話になる。  ところが、内容を見てみなければということにすべてなるのであるならば、これは民間を使うのか、あるいは郵便を使うのかといったときに、常に利用者郵政省確認をしに行かなければいけない。それは裁量行政ですね。そうであるならばいけない。しっかりと一つの客観的な基準というものを設けなければならない。それがないと、ますます郵政省は、ある意味では袋小路に入っていってしまいます。  私は、先ほども申し上げたように、確かに郵便の問題を含めたこの郵政の問題というのは、これからの日本、民間の活力ということを考えたときに、大いに、皆さん、これまでの歴史的使命をさらにこれから先、形態はどうであれ、引き継いでやっていくためには、しっかりとしたビジョンとそういうルールというものを明確にしていかなければいけないというふうに思います。  国の活力は民にあり、私は本当にそう思います。そこを考えるのが、まさに、今の不況下における日本に、私たちが政治家としてやっている使命だと思います。その意味において、これから先、郵政皆さんには、とりわけ大臣を初めとした政治家として郵政省のトップでリーダーシップをとっていただく皆さんには、積極的にここら辺の改善をいただかないと、今の議論はますます国民にはわからない。だれも反論できないと思います。郵政省に中身を一々見せに行って、それこそ信書の秘密というものも一方にありながら、中身を見せに行って、それでこれは信書ですか信書じゃないのですかとお伺いをして出さなければいけないのならば、これは法治国家としてのていをなしていないというふうに思います。  大臣、ここら辺をぜひ、私は大臣のリーダーシップを求めたいと思うし、これから先、二〇〇三年に郵便事業に対する民間参入の一つの節目を迎えます。そこにおいてしっかりとした定義をしないと私はだめだと思いますが、最後にコメントをいただきたいと思います。
  87. 八代英太

    八代国務大臣 私があの記者会見では、今前田政務次官が申し上げましたように、書籍の内容を要約、抜粋したものであるということですから、これは信書に当たらない、こう言ったわけです。  この間、テレビで小泉さんは、おれが出したら信書じゃないと言い、ほかの人たちが出すと信書であると言う、これも大変間違った御発言でございまして、だれだからどうだとかということで私たちが判断基準を置いているわけではございません。  そこで、今地域振興券と商品券の違い等々もございました。これは、最高裁の判例の中で、我々も郵便法に基づきながら、その業を、国民皆さんへのサービスを提供しているということを考えてみますと、これから煩雑な、またそうした通信販売とかいろいろなことがございますので、基本的な中において、信書とそうでないものとの区分けは、もし国民の皆様が誤解をしているとしたら、その区分けはすべきだと思いますけれども、ただそういう意味では、やはり私たちの信書の考え方というのも、あくまでも法律にのっとってやっておりますし、まだその法律を改正する云々の機運はないわけでございますし、それはそれとして、その法律を守っていくということが私たちの務めでもございます。  そういう意味では、ぜひ誤解のないように、そしてその区分けの方法、これもすべて同じように、私たちは政治家だからどうだとか、おれがやったからそうではないとかというようなことは全くございませんので、公平な立場に立ってやっているということをぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  88. 中田宏

    ○中田委員 終わります。
  89. 前田武志

    前田委員長 これにて中田宏君の質疑は終了しました。  伊藤忠治君。(発言する者あり)お静かに願います。
  90. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 今から私の時間でございますから、計算を間違えぬように、どうぞよろしくお願いいたします。  民主党の伊藤忠治でございます。  私は与えられた時間を長期増分費用方式とそれに関連をします日米交渉問題等について質問をさせていただきたいと思います。  長期増分費用方式というのは、私もこのようにすらすら言うまでには随分時間がかかりました。なぜこんなに難しい日本語を使うのかなと思ったら、これは英語の日本語訳なんですね。つまりLRICと言うんですか、それを直せば長期増分費用方式、難しい言い方なんだなと。問題は、新たなコスト算定方式なんですね。時代が変わりますと、難しい問題が出てまいります、やっとうまく言えるようになりましたが。  これは、二月の電通審の答申を私も読ませていただきました。非常に御苦労をなさった答申の中身でございまして、言いたいことがにじみ出ているわけですね。審議会委員皆さん方の言いたいことがにじみ出ているわけでございます。  しかも、特徴なのは、これまでは総括原価主義とよく、こう言いましたね。ところが、民営化になりまして、本当に市場原理に基づいて効率よく事業をやっていく。そのときに、業者間の接続料あり方を研究すると、今回のこの答申の中身といいますのは仮想モデルで、これもさらに言いかえますと、つまり極限にまで安い値段、効率のよい組み合わせによっていいとこ取りをして仮想モデルをつくり上げて、それに要する費用はこれだけだという原価計算方式なのでございます。したがって、そのことを答申はこういう表現をしております。「長期増分費用方式は、ネットワーク現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技術を利用する前提でコスト算定する」、こういうふうに意義を位置づけているわけでございます。  これは仮想モデルですから、実際にこれが機能するのかどうかということを考えますと、現実のネットワークといいますのは、もう皆さんも御承知のように、交換機があり、それから回線、ラインがあり、その間にはいろいろな附属設備がついているわけですが、しかもそれを収容する局があり、言うならば、そういうことでございます。  これをいいとこ取りで、現実とは違うんですから、いいとこ取りでもって安く上げるというふうにやっていきますと、そのシステムというのは現実には機能しない。いろいろな障害が出てまいります。これは当然だと思うんです。  しかし、そのことは考慮をせずに、とにかくコスト算定の新たな方式として実用化する場合には、問題はさまざま想定できるのだけれども、とりあえずそれは切断をした格好で、仮想モデルで計算をした、言うならば、そういうコスト算定方式をこれからは採用すべきであると答申は述べているわけでございます。  しかも、同じ長期増分費用方式ではあっても、ケースAケースBがございまして、今回はケースAが妥当であって、つまりケースBは饋線点RTを含めるか含めないかということにかかわりますから、それを含めないとするならば、業者間の接続料は安くなりますが、その負担は定額か定率かはともかくとして、加入者負担に上積みになりますから、政策上ケースBをとることは適当ではない、こういうことを言っているわけなんでございます。  これは私が理解をいたしました解釈でございますが、まず大臣に、そういう解釈でほぼいいのかどうか、お伺いをいたします。どちらさんでも結構でございます。
  91. 八代英太

    八代国務大臣 大変的確な解釈だと思っております。
  92. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 お褒めをいただいてありがとうございます。  それで、問題は、投資が回収できないような、そういう厳しい条件の新算定方式を採用いたしますと、新たなネットワークを引くなんという業者はますます出てこないようになるんじゃないか。たまたまNTTがしょっているものですからNTTと言いますが、これはどの会社でも、そういう状況になれば、恐らく設備投資をやってもその元が取れないようなネットワークだとしたら、これは実際に長続きしないと思うんですね。  投資というのは、新たな設備投資をやりましてネットワークが機能する、しかも、それは絶えず再投資をやることによってネットワークが安定的に維持できるということがあって初めてこれは事業が成り立つわけです、一番基礎でございますから。そのことの回収ができないような算定方式を採用するということは、これはもう事業そのものが成り立たないということをNTTサイドに対して私は心配いたします。  もう一つは、NCCサイドに対しては、郵政省からいただきました資料がございます。私は疑問に思っていたんですが、今NTTが持っている回線数、ISDNも含めまして、これはどれぐらいあるんでしょうかと。NCCはどれぐらい参入しているんでしょうかと、回線に。このように疑問を抱きましてお聞きしましたら、何とNTTに対比しましてNCC回線敷設分は〇・四%なんです。とてもじゃないけれども、これは象にアリというんですか、よく言われましたね、かつてのNTTの分割のときによく出たんですが、象にアリ、まさしくそうだと思うんですね。  しかも、この新算定方式を適用いたしますと、一種事業者というのは、これは自前で回線を引いて商売をやるのを一種事業者といいますが、NCCの一種事業者は成り立たなくなりますよ。とても引けません。引いたって、今日では皆さん御承知のとおり、私が前回例え話に申し上げたら品がないと怒られましてというか注意を受けまして、私は速記録を直しましたが、公衆電話にお嬢さんなんかが入りまして、公衆電話にはおしりを向けて携帯電話で話しているというんですが、そういう風景をよく見ますよね。  携帯電話は爆発的に普及するわ、CATVもどんどんふえてくるわという中で、テレコムだとかDDIだとかいろいろございますが、新規参入の一種業者は、では自分たちも自前の回線をどんどんふやしていこうなんという意欲が出るでしょうか。僕は、ますますしぼむと思うのですね。これは目をそらすことのできない冷厳な事実でございまして、このことをぜひとも留意をいただかなきゃいけないな、こんなふうに私は思っているわけでございます。  次に、新算定方式は、答申もこれは非常に心配をされまして指摘をされているわけでございますが、財務に与える影響が非常に大きいということでございます。このことについて、こういう議論が出ます、そんなのグループでやっていったらいいと。ドコモもうかっているんじゃないのか、それからデータもうかっているんじゃないのか。そういうところの収益を、もうかった分を、赤字がどうしたって出てくる東西の会社にそれを送り込めばいいじゃないかと。  トータルで何とかやっていけという議論が出るんですが、これは非常に乱暴な議論ですね。そんな議論というのは、素人がなさる議論ならわかりますが、経理を御存じの皆さん、経営を御存じの皆さん、経営というのは株主への責任を持ってやらなきゃいかぬという、そのことの理解がおありの皆さんだったら、とてもそんな乱暴な議論は出ないと思うんですが、答申はその点を指摘しておりますね。  グループ全体でのやりくりは内部の相互補助につながり、公正競争上、独立してそれぞれが株主に責任を負っている立場から不適当であり、そういうどんぶりでまぜ合わせてやっていくというようなやり方については、これは採用できませんということを答申ははっきり言われているわけでございまして、私はまさしくそのとおりだと思うわけでございます。  もう一つ、ユニバーサルサービスという義務をしょっています。利用者料金影響を受けます。インフラに悪影響を及ぼすというのは、当然これは答申にも、ある行間に指摘がございますが、そういう受けとめ方。  新たな算定方式を採用しますと、そういう言うならば影響が起きますよという理解については、内閣と私どもと気持ちが合うのかどうか。どうでしょう。
  93. 小坂憲次

    小坂政務次官 幾つもの点を御指摘いただきまして、その中にも若干御説明をしておいた方がいいのではないかという点もございますので、それも踏まえながら若干の答弁をさせていただきたいと存じます。  まずもって、長期増分費用という方式をなぜ採用するのかという点についても意見を述べられましたが、この長期増分費用は、おっしゃるように、現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技術を利用する前提でネットワークコスト算定するいわゆる仮想モデルであることはそのとおりでございます。  この方式は、現実の独占的な地域通信ネットワークの提供における不効率性というものがあるとするならば、それを排除した場合に、その競争価格の水準を示す経済理論上のモデルをどういうふうに構築したらいいか、そういう意味で、これは経済理論上、そういう指標として何か持たなければならないという点から各国において検討がなされ、既に英米、そして欧州各国で、この方式に基づいてそういった標準的なコスト算出をしていこうではないか、こういうことで採用されたわけでございます。  その経緯は、これはちょっと余計なことに感じるかもしれませんが、後ほど生きてまいりますので、お聞きいただければ幸いでございます。  平成八年の電気通信審議会に、「接続基本的ルールの在り方について」という諮問をいたしまして、その九月から十一月に……(伊藤(忠)委員「わかっております、簡潔に。その部分はわかっていますから」と呼ぶ)はい、わかりました。ここで、その長期増分費用について早期導入が望ましいと言われ、そして九年、十年とたって、十年の段階で、米国との合意の中でこういうものを検討するというふうにしたところでございます。  その中で、先ほどおっしゃったいろいろな問題がありますが、地域分割をしましたNTTがそれぞれ独立した企業として成り立っていくということのためにグループの中でお金をやりとりすればいいではないか、こういう議論があるが、それについて、それをどんぶり勘定でやったらどうか、こういう意見もあるようだ、これはそうではないではないか、こういうお話でございます。  それはそのとおりでございまして、それでは分割した意味がないわけでありますので、それは、それぞれ株主を持つ独立した企業としての採算性を考えながら、ユニバーサルサービスが提供できる経営基盤というものも確保していかなきゃいけない、このように私ども基本的には考えております。
  94. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 ということなんですよね。  いずれにしたって、相互補助はできないし、東西に分かれグループ経営で各会社の役割は決まっている。しかもそれは、法的に特殊法人というふうに縛られていて、ユニバーサルサービスを義務づけられている。だから、にっちもさっちもいかないところへはまり込むわけですよ。  つまり、これは一つの指標ではなくて、最終的には法律改正で政府はこれをきちっと縛ろうというわけですから、事業者はそれに納得していないわけですから。NCCといいますが、第二種通信事業者は業者間の接続料金が安い方がいいに決まっているわけですよ。ところが、これはNTTでもNCCでもそうですが、第一種の通信事業者というのは回線を貸すという貸し業でございますから、その皆さんというのは、これは大変きつい、そういうことじゃ経営がもたないということをはっきり言っているにもかかわらず、なぜこれを押しつけようとするのか。  もし内閣、政府がそれを押しつけられるというならば、では、一種事業が成り立たないところに情報通信の発展はありませんから私は申し上げるんですが、つまり通信事業の将来展望、このようにやればこのように御心配なくアメリカに比肩をして我が国の情報通信事業は発展をいたしますということを明示するのが答申であるし、答申で明示がなかったにしても、内閣や政府はそのことを明示されないことには答えにならぬと思うんですね。だから、全くワンサイドゲームで押し切るというようなやり方に基本的な問題がある、私はこのように考えているわけでございます。  日米交渉もそうですが、日米交渉ではまだ結論はついていないというんですが、ケースAケースBがございまして、中をとったような格好で、言うならば、日米交渉の日本の案的なものが郵政省から出されまして、そのことが、今、交渉の大きな決着点にしようかしないかという大変重要なポイントになっているじゃないですか。なぜ郵政省はそのことを日米交渉で先に出されたんでしょうか。答申ではそこまで言っていないにもかかわらず、日米交渉ではこれは先取りした格好で両国間の交渉に出ているわけですね。これはいかがなものでしょうか。  結局、国民というか、我々の受けとめ方というのは、アメリカの外圧に屈して、日本の政府というのは答申にも明らかにしていない足して二で割る式のものを俎上にのせて、それでもって決着を図る。決着を図ったその中身も、これは非常に基本的な新しい計算方式ですから、なかなか納得ができていない中で、それを引っ張った格好で先行的にやるということになると、だれがこれの責任をとられるんですか。そのことによって、業者はパンクするんですからね。  リストラやったって限界がありますよ。二万一千名、人を動かすわけでしょう。新採だったら、一千名の新採がストップしているわけですからね。ソフトランディングをやらせるとしても、その期間はどうにかクリアができたとしても、十年の展望は立たぬと思うんですね。だんだん一種事業者が細るということは、我が国の基本的なベースの言うならネットワークにひびが入るわけですから。だから、アメリカだって一部しかやっていないんでしょう。ヨーロッパだってなかなか踏み切れないわけでしょう。  何で日本が全面的にそれを先んじてやらなきゃいけないのかということが、もともとこれは私自身が疑問に感じているところでございまして、どうしても市場原理にこれは任せる、市場原理が大事だとするならば、これは市場原理に任せて、せいぜい郵政省というか政府がとり得る範囲というのはガイドラインだと思うんですよ。  法律を改正してそれできちっとくぎづけにしてしまうというのは、硬直行政の最たるものだ、私はこう思いますから、何でガイドラインでクリアができないのか、こんなふうに思いまして、総括的に私は問題点を申し上げましたので、どうぞお答えください。
  95. 小坂憲次

    小坂政務次官 伊藤委員も大変お詳しいので、次から次へと質問に該当するようなお話を述べられまして、若干のお時間をいただかないと、今言われたことに対して私どもとしての回答を申し上げるわけにいかないんでございます。  まず、最後の方でおっしゃった点から先に端的に申し上げますと、交渉において、答申が出る前に米国に対して日本が提案を行ったのはおかしいではないか、こういう御指摘がありました。この点につきましては、本年の一月の十八、十九の二日間に、日米間の上級者での意見交換が行われた、これは確かにそのとおりでございます。  答申が出されたのは二月九日で、時系列的に言うと確かに前後しているように見えますけれども、実際は、日本政府としての提案は、それまでに電気通信審議会で審議をされましてほぼコンセンサスが得られていた考え方に従ったものであります。  また、先ほど若干御説明申し上げたように、長期増分費用方式の検討におきましても、平成九年に長期増分費用モデル研究会を設置した際には、NTTも含めた事業者にも参加をしていただき、あるいは学識経験者の方々にも参加をしていただいて、この長期増分費用導入についての議論をしていただき、最終的にその方式を導入するというふうにしたわけでございますので、そういった中での経緯があるということをまず御説明をさせていただきます。  その上で、この長期増分費用の枠組みについて法律で規定しなければならないというのは行き過ぎではないか、本来もっと緩いガイド的なものでよろしいんではないか、こういう御指摘でございますけれども、今電気通信事業法に規定されております内容は、あくまでも現状コストをベースにして算出したモデルが採用されているわけでありまして、その計算方式そのものを長期増分費用というモデル変換をするわけですね。その計算根拠を変える以上は、やはり法律で変えていかなければこれは明確になっていかない。こういうことで法律の中に規定をするというふうにしておりまして、それ全体をガイドラインというような採用されるかどうかわからないような基準で競争させるということでは、これは成り立たないんではないか、こう思うところでございます。  また同時に、もう一つだけ言わせていただければありがたいんですが、東西NTTは五千万を超える加入者に対して電気通信サービスを提供している我が国の基幹的な通信事業者であることから、その経営が適正かつ効率的に行われ、国民生活に不可欠な電話サービスのあまねく、いわゆるユニバーサルサービスですね、安定的な提供やその確保ができるようにすることが必要であり、電気通信技術の研究開発の推進、成果の普及という責務を同時に果たしていただくことを期待して特殊法人としてNTT法が規定されておるわけでありまして、現状において基幹的通信事業者であることには変わりはないわけでございますので、そういった意味で、このNTT法による枠を課してやっているところであります。  今委員の御指摘を聞きますと、これはもっと自由にやらせた方がいいではないか、今すぐそういう状態にした方がというふうにも聞こえるものですから若干説明させていただきますが、それは将来的にはいろいろな検討をしていく必要がありますが、現状においては、こういった枠組みで競争の参入を容易にして市場の活性化を図っていくことが我が国の通信全体の発展に必要である、こういう考え方で行わせていただいているところでございます。
  96. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 NTTが新たな算定方式にたまたま研究会とかそういうところで首を出しているからそれは賛成しているんだというんだったら、それはNTTさんは賛成しているんでしょうけれども国会は別ですからね。私は国会議員でやっておるわけですから、たまたまNTTの出身だというだけであって、会社がどう言っておるかは余り関係ございませんので、私ははっきり自分の立場で物を言いますが、常識的に考えて、余り賛成するところはないと思いますね。  今申し上げたように、これは将来を決める本当に重要なターニングポイントだと思うんですよ。  それで、東西分けたのは、これは郵政省の責任でやったわけですよ。それで、すぐ赤が出るんですね。赤が出ますと、これは会社としては経営責任が問われますよね。会社は経営責任を問われるんですが、割った郵政省はだれも経営責任をとらない。だれも責任をとらない、内閣もとらない。そんなばかなことはないので、だから、必ず、こういう厳しいことがあればこのようにやりなさい、そうしたら、特殊会社だから言っているんですよ、民間にはそんなこと関係ありませんから。こういうふうにやればクリアができるでしょうということを、必ずこれは対案として提起をするのが責任ある者の立場の解決法じゃないですか。そのことを僕は言っているわけですよ。  時系列的に言ったら、答申がああいうものを出してから日米交渉はこう出したというのですけれども、足して二で割ったような格好で、僕は、アメリカの圧力で結局日本は屈するんじゃないかということを前回の質問でも申し上げました。はっきり言いました。今はそんな気がないと言っても必ずそうなるよと。アメリカの経済は、これは次官が言われたように、そういうアメリカの経済戦略なんですよ。  ですから、アメリカはもともと輸出の国ではないんです、生産しませんから。消費の国なんですよね。ですから、これから輸出できるなというのは、情報通信分野というのは二十一世紀の目玉なんですから、そうすると、それができるような条件を日本につくっておきたいという戦略が背景にどうしたってあるわけで、アメリカが日米交渉の中でやはり米よりもこのことを重視してくるのというのはだれが考えたってわかっているわけですよね。  だから、その中で結論を出すということは、これはどうしたって外圧に屈したような格好にならざるを得ないと私は思うんです。そういう交渉というのはよくない。やはりもっと、ノーと言える日本、ノーと言える政府、ノーと言える逓信委員会を、私はきちっとしないと、何でもアメリカに言われたらというんじゃこれはよくないと思いますよ。  ですから、そういう立場で、むしろ郵政省にお願いしたいのは、それでは配当益はどうするのか、ユニバーサルサービスの義務はどういうふうにするのか、CATVの拡大がどういう影響をもたらすのか、そういうことについて総合的にあるべき、これをやっていけばこの難問題をクリアできるという、そういうものを提起していただくように強く要請を申し上げたいと思います。
  97. 八代英太

    八代国務大臣 この長期増分費用方式の問題は、日米の規制緩和委員会で取り上げられてから議論になっているわけでございますが、伊藤委員のお考え、私とは全く相通じている思いで聞いておりますし、この前からもそのことは伊藤委員とやりとりをさせていただきました。決して私たちは外圧に屈しているわけじゃありません。私たちは国益を考えて行動をしなければなりません。  しかし、やはりインターネットというグローバル化された中にあって、高い、遅い、危ないというこの三つは、私たち国民ユーザーの視点に立っても変えていかなきゃならない。それには低廉な方式が起こっていかなければ、それは国内でも、NTTもかなり踏み込んだ今試験的な方向を目指しておりますけれども、やがては、あまねく非常に低廉な定額制というものの導入によって、国民はさらにパソコンを初めインターネットに対する関心が高まっていく、それがまた日本のリーディング産業として経済を引っ張ってくれるだろうと私たちもそう思っているんです。  そういう中にあって、長期増分費用方式事業者間の接続料の問題はケースAケースBがありました。答申は、ケースAという形で答申をいただきました。この計算も、一六・七というのは平成九年の、言ってみればNTT全体のそういう経営基盤に立った数字の中から出てまいりました。  それが二二・五になったということを私たちは考えると、これはまた平成十年の試算の中にあるわけですけれども、しかし、今おっしゃったように、NTTも二万一千の人員削減というような努力をする。そして、これがまた、いろいろな意味日本のインフラには基盤的な役割をNTTにやってもらわなければならないという思いに立っていきますと、私たちアメリカに何回でも何回でも説明して、アメリカもちょっと日本の経営努力というのを理解していないところもあるものですから、先般、バシェフスキーさんが、ちょっと放送の中で日本のNTTは何もしていないみたいな発言をしたものですから、私もかちんときましてその反論をいたしました。  そういう意味では、何もアメリカの外圧によって私たちが新たな事業者間の接続料算定を考えているのではなくて、国民皆さんにとって、これからのグローバル化したインターネットの中において、やはりNTTにも努力をしてもらわなきゃならない。  あわせて、我々は、国の責任において、日米交渉においてはしっかりと説明をして、アメリカの言いなりになるというような形で決着を図ろうなどとは毛頭思っておりません。それは私たちも責任を持ってしっかりと、まあ三拝九拝はすることはないんですけれどもアメリカへ通って、何回もワシントンでそれぞれの会議を積み重ねておりますが、ひたすら日本の事情を説明し、そして、日本はまず国民一人一人の人たちがパソコンとかインターネットに興味を持つことによって、今はリスクがあってもやがてはリターンがあるんだということで、アメリカ意見も参考にしつつではありますけれども、私たちは独自の考え方でこの算定方式を考えているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  98. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 もう終わりますが、大臣は饒舌ですから時間がどうしたって長引くんで、大臣のお考えはわかりました。  しかし、交渉というのは、一たん上ったら、テーブルに上がったらこれはやはり結論を出さぬわけにいかぬわけですよね。そういう雰囲気じゃないですか。だから、決裂して帰ってきて、そのままだったらいいですよ。私はそうならないと思っていますよ。そのように大臣が腹をくくってやられるんだったら私はお目にかかりたい。恐らくそうはならぬでしょう。だから、そういうことが非常に残念でございます。  いずれにしても、引き続きこれは議論いたしますが、こうやれば現状解決がしていけるということについて、郵政省も責任を持ってそういうものをお出しください。答申が明らかにしていないのは、恐らくそういうことを諮問しなかったから、審議会も研究していてもなかなか出せないんだと私は思いますよ。だから、その点を出して委員会でも議論しようじゃありませんか。  最後に、天野電気通信局長ですが、わざわざお見えいただいて申しわけありません。ちょっと議論関係で答弁をいただく機会がなくて申しわけないと思っております。  以上で終わりますが、そういうことでございます。
  99. 前田武志

    前田委員長 次に、福留泰蔵君。
  100. 福留泰蔵

    ○福留委員 公明党・改革クラブの福留泰蔵でございます。  本日は、郵政大臣の所信に関連いたしまして質問をさせていただきます。  午前中から各党の委員のさまざまな質疑をずっと聞かせていただきながら、今これは郵政行政だけではないと思うんですけれども、大変難しいかじ取りの時代に入ってきているなという感じがしてなりません。それはまさしく今時代が大きな変革のときにある、変革というよりも革命、激変という時代にあるんだろうと思います。  一つは、やはりこの郵政行政、特にその関連が強いですけれども、IT革命の真っただ中にあるというのが一つだろうと思いますし、またもう一つは、それとも関連するんですけれども、いわば市場原理に経済をすべてゆだねる形で社会の活性化を図っていく、規制緩和をどんどん推し進めていくという流れと、先ほど来のいろいろな議論の中で、ユニバーサルサービスをどうするかという、社会政策をどうやっていくのかという問題と、これが何か対立しながら議論がなされている感じがしてなりません。  私はどちらも大切だと思いますし、行政の立場としては、それをうまく調和させながら、知恵を出して、日本も、過去ずっと歴史的には外国の諸文化を取り入れながら、そして知恵を出して、日本なりにうまく国の運営というのをやってきたように私は思っておりますけれども、そういった知恵を出しながら、それを調和させていくことが今必要なんではないかなというふうに思いながらいろいろ議論を聞かせていただきました。  私もきょう、限られた時間でございますけれども大臣の所信に関連して何点か質問を用意しております。中には今後の法案提出の際の議論の中身も若干ありますので、用意した質問が全部できるかどうかわかりませんけれども、できる範囲で質問をさせていただきたいと思います。  ちょっと順番を変えまして、今民主党の伊藤委員の方から接続料問題についての質疑が行われましたので、まずこれを先に、今の議論を引き継ぐ形で私なりに質疑をさせていただきたいと思います。  それで、今質疑の中でもあったのですけれども、私、この接続料問題というのは、接続料算定方式を見直すということで、日米交渉が発端で、日米交渉の今大きな課題の一つになっていることを承知しておりますけれども、もうちょっと明らかにしてほしいのは、今の議論の中にもあったのですが、まずこの日米交渉に当たってのアメリカの目的は何なのかということと、それからあわせて、今大臣も、これはアメリカから押しつけられるのじゃないのだ、国益のためにやっているのだというお話がありました。果たして、では国益とは何だろう、接続料問題というのは国民の利益にはどうつながっていくのだろうかということを明らかにしていかないと、国民皆さん理解は得られないのじゃないかなと思っておりまして、郵政省としての、接続料問題の国益、国民の利益は何なのだということをわかりやすくまず御答弁をいただきたいと思います。
  101. 八代英太

    八代国務大臣 国民の利益ということでございますが、これはもう国境のボーダーレス化された現状の中におきましては、インターネットを通じたインターネットビジネス、新しいベンチャー企業の創出等々を考えていきますと、これからはまさにいろいろな意味で、低廉な接続料であり低廉な定額制の導入等々によってそういうものが、会社であれ何であれ、あるいはまた電子政府というようなものを考えたときには、今内閣も国家公務員の削減を計画で実行中ですけれども、そういうところを、足らざるところはこうした新たな情報通信というものがフォローアップをしていくというようなことをもろもろ考えていきますと、それもまた国民の利益につながっていくでしょう。  あるいは、これから日本の二十一世紀ということを考えたときにも、子供たちも新たな情報のリテラシー、読み書きそろばんというような視点に立った教育の中で、もっともっとインターネットに二十一世紀は地球そのものが振り回されていくだろうと思いますので、そういう意味でも、教育の中にもその問題は取り入れたいとも考えておりますし、教育であれ家庭生活であれ社会であれ国であれ、こういうことをしっかりと享受するということは、これがすべからく私は国民の利益になるであろうという思いでそういうことを申し上げているところでございます。
  102. 福留泰蔵

    ○福留委員 今大臣から御答弁をいただきました。確かに、IT革命を推進して情報通信社会を推進していくということ、これは国民の利益にかなうことなのですが、実は私は、接続料問題というのが果たしてインターネットの低廉化と関係あるのだろうかという思いがしているのです。そこが国民の大きな誤解になっているのだと思うのですね。  接続料問題というのは、余り専門的な話になるとあれですが、いわゆるGC接続だとかZC接続という、交換機の外でどうやって接続するかという問題であります。今、NTT等で新たなインターネット定額料金サービスをするのは、交換機に入る前のMDFというところでインターネットへつなげようというサービスを、接続料問題と別の技術をもってインターネット普及のための推進をやっているわけです。  ですから、接続料問題というのは、インターネット普及には、私は間接的には大きな効果は及ぼすと思うのですけれども基本的には通話の問題だと思っているのですよ。その通話の問題において国民の利益は何なのかということをはっきりさせなければいけないと思っているのですけれども、いかがでしょうか。
  103. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員指摘のように、最近のインターネットの定額あるいは安い料金導入に際しては、MDF、メーン・ディストリビューション・フレームという主配電盤に相当する部分ですが、ここの接続導入する、こういうことでありますので、今日米間で議論しておる事業者間の接続という問題とは別の次元で実現をされておるわけでございます。  そういう意味で、事業者間の接続料の低減がそのままインターネット料金が安くなることに直結しないというのは御指摘のとおりでありまして、そういう点からすると、むしろ事業者接続料の問題は、長距離電話とかそういった通話の引き下げに関する部分であるというふうに申し上げることができるかと思います。
  104. 福留泰蔵

    ○福留委員 午前中の議論の中でも、MDFのところからのADSLという技術を利用した新しいサービスとか、それからISDNの定額制の問題も、東京、大阪だけで始めているのじゃないかという話がありましたけれども基本的にこれはやはりもうかるところでやることになると思うのですね。地方に行くと、やはり通話回線を使ってインターネットを利用するということはあると思いますので、それは、この接続料問題が全然インターネット関係ないことではないというのは私は理解しているつもりでございますけれども基本的には、これは通話の問題だというふうに考えた方がいいのじゃないかと思います。  アメリカは、恐らくアメリカの通信会社が日本に参入したいということでこれを主張してきたのだろうと思っております。それは、アメリカの主張がどうあれ、私たち国民の利益にかなうのであれば、私はこれは前向きにとらえていかなければならないと思いますし、通信業界にあっても、ある意味で、ある一定の競争原理というのを働かせていかなきゃならない。現状の通信の世界は、ある意味でいえばラストワンマイルという各家庭に行くところの最終的な回線というのはほぼNTTが独占している状況なわけですね。この独占状況をある程度開放することによって競争を促進していくのだという政策に基づいて、今回の接続料問題というのは国内的にはとらえるべきだろうと私は思っているわけです。  そこで、実は最後の市内網の回線網について競争がないんだ、そこに競争導入しようということが今回の接続料問題の国内的な本質だろうと私は思いますが、その点について御意見があれば伺いたいと思います。
  105. 小坂憲次

    小坂政務次官 いわゆる加入者系のネットワーク部分をどのようにしていくか、これは御指摘のように、今はNTTが独占の状態にあるわけでありますが、最近では、無線による接続とか、あるいはCATVによる接続とか、いろいろな新たなパターンが増加をしておりまして、こういったものも加入者線の競争状況を変化させていくことに大きく影響を与えることになっていると思っております。  そういう意味で、今委員が御指摘になりましたMDF接続という問題も、この部分を開放していく方向にあるわけでございまして、NTTが今回新たな安い料金導入いたしましたけれども、同時に、NCC等に対しても、同じような方式で低廉な定額料金インターネット接続実現していただく、こういうこともぜひとも努力をしていただきたい、こういうふうに考えているところでございますので、そういった面でこの加入者線の問題は変化をしていくというふうに認識をいたしております。
  106. 福留泰蔵

    ○福留委員 今またインターネットお話をされましたけれども、ここではちょっと私は通話という観点に絞って競争ということで議論したいと思っているのです。MDF接続とそれはまた別に置いておいて。  基本的には、ラストワンマイルが独占状態にあるところを競争政策を導入しようということだろうと思うのです。先ほどの伊藤委員議論を聞きながら、まさしくその点は伊藤委員も主張されたのだと思いますけれども競争政策といっても、実は二つあるのじゃないかなと思っておるのですよ。一つの政策というのは、インフラを競争させる、つまり、今NTTが単独で持っているところをほかの事業者もどんどんインフラを整備させようという競争にするのか、既にもうインフラはNTTのものだけでいいのだ、そこにサービスはさまざまな会社を競争させるのだ、これは大きな違いがあるのだろうと思うのですよ。  今我が国の通信政策がどちらの方向を向いているかというのは、接続料問題を考えるに当たって大変重要な問題だと思うのです。つまり、もう一回繰り返しますけれども、もうラストワンマイルは、有線はNTTのメタルだけでいいのだ、そして、そこを借りてさまざまなサービス事業体を自由に参入させてサービスの多様化を図っていくんだという考え方なのか、メタルの回線もどんどんそこは競争させていくんだ、これは大きな違いだと思うんですよね。その点の郵政省の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  107. 小坂憲次

    小坂政務次官 端的な答えからいえば、それは両方とも絡み合っている。一つは、御指摘のようにNTTの持っている加入者線を開放させて、そこでサービス競争をさせていく、これが基本的な方向としてももちろんございます。しかし同時に、インターネット電話とかあるいはCATVによるそういった電話サービスというものもスタートいたしておりますので、こういったものもそこのサービスの一形態としてはあるわけでございますので、それも競争に関連をしてくる。  その両方相まって利用者料金が引き下がっていく、これが最終目的でありますので、ユニバーサルサービスを維持しつつも、そういった競争関係導入して利用者料金の低減につながるような政策誘導をしてまいりたい、このように考えております。
  108. 福留泰蔵

    ○福留委員 少し議論がかみ合っていないんですけれども。無線を使うとかさまざまな形態競争というのは当然あるべきだ。私が今限定して言っているのは、最後のラストワンマイルのメタルの部分はNTTのままでいいと思っているのか、メタルもほかの事業者にも引かせるような競争政策をとるのかという問題なんですね。これはちょっとさておきましょう。  実は、この考え方は非常に対立してくるんですよ。それから、接続料算定の仕方にも対立してきます。というのは、さっき伊藤委員がおっしゃったことにつながっていくんですけれども、ここのところをうんと徹底的に安くしてしまえば、ほかの事業者はもうメタルを引いて事業をやろうとは考えないわけです。NTTのものを借りてしまおう、ほかのいろいろなサービスをやろうという考え方です。ところが、ここがある程度利益が出るとなれば、ほかの事業者もそこに入ってくるわけです。ですから、接続料問題は、まさしく私は、そのラストワンマイルをどうするかという国家の郵政行政の根幹にかかわる考え方がそこに出てくるんだろうと思って、あえて聞いているわけです。  ですから、メタルの部分はNTTのものを借りるんだ、あるいは赤字が出た分は別のファンドなりをつくってそこは賄っていくんだ、それでサービスだけ多様に、自由に競争させよう、国民共通の一つの社会資本としてそれは活用していこうとするのか、そこもどんどんメタルの線も引き合わせて競争していくのかという考え方によって、私は接続料問題というのは変わってくると思うんですけれども、この点についてもう一回御意見を。
  109. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員もおわかりだと思うんですが、メタルが将来にわたって加入者線の基本であるかどうかということも、これは今変化をしている状況ですね。すなわち、最終的にはファイバー・ツー・ザ・ホームという形でファイバーを引きたいというのが私どもの将来のビジョンでございます。それによる大量、広帯域の通信を確保していろいろなサービス導入したい。  ですので、今メタルがある、メタルの加入者線をNTTだけに任せるのかどうかとか、そういった明確な政策という形でそれを打ち出すわけにいかないんですね。すなわち、先ほど話したことと若干かみ合っていないように見えるかもしれませんが、ケーブルテレビのファイバーが入ったり、同軸ケーブルが入ったり、そういう形で加入者の家に対してそういうものが入って、その上での電話サービスというものが導入されてくるということを拒否するわけではないわけです。  したがって、NTTの回線だけを使ってやるというふうにしますと、これは政策的には誘導しないということになってしまいますが、その必要もないんですね。そうやって決め打ちする必要はない。ですから、両方とも市場の中で、借りて使うよりも引いた方が安ければ引くと思いますし、また引くのがファイバーの方が安いということであれば借りないで自前のファイバーを引く業者が当然出てくるわけでありますので、それを政策的にどちらかに決め打ってしまうというのは、今日の状況でそれをむしろ決めるべきではないんだろうと思って、今市場の状況を見ながら政策的にその方向を探っているというのが私ども現状だと私は認識をいたしております。
  110. 福留泰蔵

    ○福留委員 大体考え方は同じで理解しているつもりでございますが、あえてこういう委員会で議論をさせていただいていることをお許しいただきたいと思うんです。  それで、今の議論はちょっとここら辺で一区切りつけまして、そもそも長期増分費用方式というのは恐らくアメリカあたりで考えられた。これは市内回線網でこれを適用されている。これは基本的には、先ほど私は二つの競争というのを申し上げましたけれども、インフラベースの競争を促進するためにこの方式が導入されたというふうに理解をしているわけですね。そのインフラベースの競争というのを前提に考えれば、安ければいいというものではないということを私は確認したかったわけです。要するに、インフラベースの競争を放棄してしまえば徹底的に安くすればいいわけです、そこはもうだれも入ってきませんから。ところが、やはりインフラベースの競争ということを考えたときには、そこはある一定の限度があるというふうに私は理解しているものですから、その点を実はずっと確認してきたところでございます。  日米交渉、なかなか難しいと思いますけれども、これに関連してあともう少し御質問させていただければ、今議論させていただきましたけれども、この間テレビで、アメリカのバシェフスキーがニュースで何かアメリカの主張を繰り返しながら日本国民に訴えかける形で、この問題は日本国民の利益にかなうんだみたいな趣旨だったと思いますけれども、そんなことを言っていました。  私は、この問題というのが、接続料という言葉国民にとってみれば自分たちの使用料そのものじゃないかというふうに誤解している部分があると思います。事業者間の接続料なんだ、これは事業者事業者の間の接続料問題ということまでなかなか理解されていない方もいらっしゃいますでしょうし、そしてこの問題が実際国民の利益にはどうかなうかということを、アメリカアメリカの言い分があると思いますけれども、ある程度正確に国民の方々にも、言葉の使い方を含めて理解をしていただくことが必要なんじゃないかと思いますけれども、お考えがあれば伺いたいと思います。
  111. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員指摘のとおり、混同されていると思うんですね。ですから、事業者間の接続料金が下がれば即そのまま加入者インターネット接続料金とかそういうものが安くなるんだろう、こういう誤解を招いているようでございますので、通話料金の低廉、あるいは事業者間の接続料金加入者が使う電話料金接続という問題、インターネットへの接続とか、そういった接続という言葉の使い分けをしっかりとマスコミの方に御説明を申し上げたりいろいろな機会をとらえて私ども説明をして、委員指摘のような誤解のないように、アメリカが言っているのはそういうことであって、アメリカの言うとおりにやれば何でも安くなるというものではないですよ、やはり一番の国民の利益につながるのはユニバーサルサービスを維持しながら同時にインターネット時代の利便性を享受していただくことだ、その両方を達成する方向を私どもは日米交渉で主張しているんだ、こういうことを明確に述べてまいりたい、このように思います。
  112. 福留泰蔵

    ○福留委員 ぜひとも国民皆さんに正確にこのことを理解していただけるよう、また引き続きの御努力をお願いしたいと思います。  先ほど伊藤委員の方からも御紹介ありましたけれども電気通信審議会答申に関して私一言だけ確認をさせていただきたいと思います。  この接続料問題というのは今事業者間の接続であるということであります。NTTの方へほかの事業者から年間に支払われる接続料が約一兆二千億というふうに伺っておりますけれども接続料引き下げ率によって、一兆二千億の、例えば二〇%削減、その二〇%がどこかへ行くわけですね。どこへ行くかというと、今国民のところには来ない、利用者のところには来なくて、事業者間の移転が行われるわけですね、基本的には。国民の利益ということから考えると、NTTに納められた接続料がほかの事業者のところへ行くわけですから、それは当然利用者に還元なされるべきだというふうに考えるのが素直だと思います。  この電気通信審議会の中でも利用者への還元という項目が明記されていますけれども、私はこれは大変いいことだと思います。今回の接続料問題に関係して、事業者接続料金引き下げを受けて通信料金引き下げや新サービスの推進に確実に取り組むことを期待する、NTTに接続する事業者に対してこういう意見が付されているわけです。  これは民間の問題ですから、自分のところで収入がふえた分をどう使おうと民間の勝手だと言われるとどうしようもないのですけれども審議会でもこういうふうな声が出ていますし、私どもとしても、それは、NTTに入っていたお金が今度はほかの事業者へ行ったものは、ぜひ利用者に還元してもらいたいと思っているのですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  113. 八代英太

    八代国務大臣 東西NTT事業者接続料が低廉化されれば、NCCはその支払いが軽減されることから経営に余裕が生じることとなりまして、それをそのままぽっぽに入れられてしまっては困るわけで、この財源をひとつNCCにおいては利用者料金引き下げや、新たな設備投資を行うことによる新サービスの提供に振り向けてもらいたいと思いますけれども、それはやはりそれぞれの経営の判断ということにまたざるを得ないと思っております。  郵政省としては、NCC電気通信事業者として社会的責務を認識して、通信料金引き下げや新サービスの提供によって、事業者間の接続料引き下げのメリットを国民利用者に還元することを心から期待をいたしておりますし、そのように促してまいりたいともいうふうに考えております。先般の審議会答申でもそういう期待が述べられておりまして、まことにそのとおりだ、このように思っているところでございます。
  114. 福留泰蔵

    ○福留委員 私どもとしてはひたすら注目をするしかありませんけれども、ほかの事業者の方々がどういうふうな対応をされるか、じっと注目をしていきたいと思っております。  ちょっと質問を変えさせていただきます。続きまして、郵便貯金のことについて若干御質問をさせていただきたいと思います。  大臣も所信の中で、平成十二年度、十三年度においては、平年に比べ大量の定額貯金が満期を迎えますが、適切な対応を図ってまいりますと述べていらっしゃいます。十年前のバブル崩壊が表面化し始めたときに、不動産投機を抑制するため、年五から六%の高金利定額貯金にリスク回避資金が集中したわけでございまして、それがこのたび満期を迎えるということであります。本年の四月から二年間で百六兆円に達する貯金が満期を迎えるということでございますけれども、適切な対応とは郵政省として今どのようなことを考えていらっしゃるか、まずお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、荒井委員長代理着席〕
  115. 前田正

    前田政務次官 今議員御指摘のとおり、十二年、十三年度における高金利時代に預入された定額貯金が満期を迎えるわけでございます。その元利合計金額は、平成十二年度で五十八兆円、十三年度で四十八兆円、合わせて約百六兆円というふうに見込んでおります。  このうち、平成十二年度においては、満期の元利合計金額から利子課税金額、大体四・五兆円ぐらい、及びその限度額、一千万円しか貯金が再預入することができませんので、その分のための超過の部分でございますが、これができない部分の利子分九・五兆円を除いた約四十四兆円の七割ぐらい、三十一兆円の再預入を見込んでおるところでございます。結果としては、平成十二年度で大体二十七兆円ぐらいの流出を見込んでおる。同じように、平成十二年度と同様の考え方をいたしますと、平成十三年度は大体二十二兆円の流出が見込まれておる、こういうことでございます。  これら定額貯金の満期が到来することは、郵便貯金にとりましてはむしろ、高金利の貯金が払い戻され、支払い利子の負担が減少するということになり、経営的にはプラスの要因ということにもなります。  しかしまた、資金の流出によって、一部に長期金利が上昇するのではないかという懸念もございまして、一方では、流出することによって市場における資金の総量が変わらないことから、大きな影響を与えるものではない、我々はそう考えております。  いずれにいたしましても、郵便貯金としては、金利市場の動向に最大限注意を払いつつ、これに大きな影響を与えないようなためにも、永年郵便局を御利用いただいているお客様の御家庭をできるだけ訪問するなどして、ニーズに沿った商品の極力再預入をしていただけるようなきめ細かい対応をしてまいっておるところでございます。
  116. 福留泰蔵

    ○福留委員 再預入率を七〇%と見込んで、約四十九兆円が流出するだろうという予測を立てていらっしゃる。四十九兆円がほかの投資に回るということは、日本全体の経済から見るとさまざまなプラス効果も出てくるでしょうし、それが消費に回るということであれば、また経済の活性につながるのかなと前向きに受けとめることができると思うのですが、郵便局のお客さんがいなくなるということは、またこれは別の問題として考えなくてはいけない問題だろうと私は思っております。  平成十一年度、郵便貯金の純増減額、そういう数値があるようでございますけれども、これをちょっとここ二、三年で比較してみました。資料をいただいて比較してみますと、これはまだ本年度終わっていませんから、一月末段階での郵便貯金の純増減額。これは、平成八年が三兆三千五百六十二億円、三兆円台ですね。平成九年度が六兆四千五百三十一億円。昨年の平成十年度が四兆四千二百四十七億円。つまり、ここ三年、三兆円台、六兆円台、四兆円台だったわけです。本年度の一月末の現在の数値を聞きましたら、本年度は二千二百三十六億円。一兆円いっていないというか、もう大変な落ち込みだというふうな数字であります。これは満期の話とまた別の話でありますけれども。  これは要するに、郵便貯金がかなりほかへ流れているということを意味しているのか。郵政省としては、これをどのように考えていらっしゃるのか。そうしたときに、さっきの七〇%歩どまりも怪しいのではないかなというふうな気もするのですけれども、御見解があれば伺いたいと思います。
  117. 前田正

    前田政務次官 議員御指摘のとおり、まだ全部が出ていませんが、平成十二年の一月の末時点で二千二百三十六億円という数字になっております。  それから、御承知のとおり、この要因として考えられるのはやはり超低金利の継続で、定期性の貯金の魅力の低下に加え、非常に景気が低迷しており、勤労者の世帯の実収入の伸びが非常にマイナスであること、あるいはまた非常に失業率が高い水準であることなどから、今のところ、余裕の資金の減少によるこういう低実績ではないかというふうに考えておりますし、我々も、満期を迎えるに当たり、精力を投入しながら一生懸命再預入に努力してまいりたい、かように思っております。
  118. 福留泰蔵

    ○福留委員 非常に金融も自由化になりまして、さまざまなサービスが出てきましたし、今の低金利時代を迎えて、郵便貯金の魅力というのもどうなのかというようなこともあるのだろうと思いますが、そういう時代の中で恐らく今後、郵便局がどうあるべきかということが一つの大きな課題になっているのだろうと思います。  ユニバーサルサービスを確保するために、国民の利便性という意味で、郵便局はある一定の役割を果たしていかなければなりませんし、その規模が小さくなってしまえば、そのユニバーサルサービスの確保もできなくなっていくということでありますから、本当に営業努力も一生懸命やっていかなくてはいけない。お客さんもたくさん獲得していく努力をしていかなくてはいけない。しかし、今やIT時代に、さまざまな電子決済のシステムとかさまざまなサービスも展開をし始めているわけですね。世の中は大変便利になってきている。郵便局としてもその努力をされているというふうに伺いました。  例えば、これは昨年の秋なのでしょうか、全国の主な郵便局にふるさと小包振替端末機というのを設置されて、これはまだ百カ所程度だというふうに聞いていますけれども、そこの端末に行って、郵便貯金カードをそこに差し込んで、端末の画面からふるさと小包のメニューを選んで、そこで商品を購入してカードで決済をできるという端末を設置された。その端末で取り扱っているのが今や航空券、それから三越のギフト商品とか東京ディズニーランドのパスポート、携帯電話まで買える。それからセガのドリームキャストも買える。カシオのGショックとか西武ライオンズの松坂大輔グッズまで郵便局の端末で買える。何かコンビニが大変な勢いで今拡大をしているわけでありますけれども、それに対抗するような形で郵便局のコンビニ化がいよいよ始まったのかなという感じがしているわけであります。  ユニバーサルサービスを確保するために国民の利便性という観点からそういったサービスを展開しながらお客様を郵便局へという流れをつくっていくことも大事ですけれども、なかなか郵政省というか、郵便局として難しいのは、余りやり過ぎると民業圧迫じゃないかという議論が出てくる。  決済サービスも三月からデビットカードサービスの利用可能店舗数を十万にふやすとか、それから野村証券などとネット決済の実験サービスをこのたびは開始するとか、郵貯のICカード実験サービスを開始するとか、主要郵便局のATMの稼働時間を二月から延長されたとか、さまざまな新しい、世の中におくれまいという努力をされているんですけれども、いつも何か民業圧迫じゃないかというまた議論がかかってくるわけです。  そこら辺の議論をやはり整理していかないと、この大きな流れの中でおくれてしまいかねないし、さりとてこのままでいいのかという感じがありますので、その点について郵政省のお考えがあれば伺いたいと思います。     〔荒井委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 八代英太

    八代国務大臣 御指摘のとおり、別に郵便局、コンビニという発想ではございませんけれども、いずれにいたしましても、郵便貯金のネットワーク効率的な活用を図るということは、これが言ってみればあまねくサービスへの大きな気持ちでなければならないというふうに思っておりますので、経済社会全体の効率性を向上させるという視点からも、いろいろなことを私どもはアイデアとして出させていただいております。  ネットワークを活用したサービスとして、昨年一月からはATM・CD提携サービスやデビットカードサービスの取り扱いも開始をしております。こうしたサービスを提携しようという民業もたくさんふえてまいりまして、ATM・CD提携サービスについては、本日現在で四百九十九社との提携ができております。それから、郵便貯金のATM・CD約二万台と民間金融機関のATMやCDと五万台が相互に利用できるというようなこともやっておりまして、一方デビットカードサービスについては、現在九金融機関のキャッシュカードで利用されておるんですが、さらに本年三月からは六百十八金融機関のキャッシュカードで全国百五十七の加盟店、約十万カ所ということになって利用が可能となるわけですね。これも国民へのむしろ利便性という視点からぜひ御理解いただきたいと思うんです。  また、昨年五月からはふるさと小包などをやっておりまして、これも注文と決済、委員おっしゃったように、そういうサービス全国百局で試行を開始するなどいたしておりまして、いずれにいたしましても、こうしたサービスが郵便貯金の利用者だけでなく民間の金融機関の利用者にも郵便局ネットワークを、これは国民共有財産ですから、使っていただこうということでの、国民利用者への便宜を図っていくということが私たちの心でございます。  そういう意味におきまして、なお今後とも金融のネットワークビジネスの展開に当たりましては、引き続き民間機関とも協調しつつ進めていきたいと思っておりまして、私は、民業とともに仲よく美しく、こういう考え方でまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。
  120. 福留泰蔵

    ○福留委員 大変にありがとうございました。  やはり、冒頭申し上げましたとおり、今時代の大変大きな移り目の中で難しいかじ取りを迫られている。IT革命が進行していて、ニュービジネスがどんどん展開されている。その上でユニバーサルサービスをどうやって確保していくのか、この社会政策をどう考えていくのかという問題。大変難しい中で、郵便局として一生懸命今やっていらっしゃるんだろうと思います。  郵便局は二万四千七百の本当に有数のネットワーク日本一と言ってもいいかもしれません。また、電子ネットワークも大変優秀なネットワークを持っているというふうに聞いております。これを国民共通の財産として、民間とどう協調させながら今後やっていくかというのはまた今後の課題の一つだろうと思っておりますし、引き続きここは議論をさせていただきたいと思います。  本日予定していましたほかの質問については、今後、逓信委員会の中で法案の提出が予定されていることに関連しておりますので、その際にまた改めて御質問させていただくということでお許しをいただきたいと思います。  大変にありがとうございました。
  121. 前田武志

    前田委員長 次に、西田猛君。
  122. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  きょうは、朝早くから、委員各位また大臣政務次官またお役所の皆様方におかれましてはお疲れさまでございます。  本二十四日は、平成十二年度、来年二〇〇〇年度の総予算の公聴会が予算委員会で行われておりまして、これまで予算委員会で答弁に立っておられた大臣政務次官の皆様方が各委員会で御答弁ができるということで、きょうは一斉に各委員会が行われております。したがいまして、各委員の皆様方、あの委員会、この委員会といろいろと忙しく立ち働いておられます。そういうお姿を拝見しておりますと、一日も早く平成十二年度の総予算案そしてまた予算に絡む各省庁所管の予算関連法案を仕上げて、国民生活と福祉の向上のためにさらに国政を推進していかなければならないという決意を新たにするところでございます。  そのような意味でも、本逓信委員会において、通信行政に関する大臣の所信の表明に対します私たちの御質疑が実の多いものであって、そしてまた予算及び予算に関連せずとも関連の法案が粛々と進められていくことをこいねがう次第でございます。  そのような中で、きょう予算委員会の公聴会の公述人のお一人であられます慶応義塾大学の吉野教授がこのような意見陳述をされました。  その中で吉野教授はいわく、二〇〇〇年度の予算は非常によくできた予算である、中には公共投資などのばらまき予算ではないかという批判もあるようだが、今の日本の経済状況を見てみれば、やはり公共投資を有効に活用して日本の経済を上昇せしめるための効果を期待しなければならないというふうに言っておられるのであります。  さらに、その中で、特に公共投資の経済効果としての供給サイドで見れば、北関東から関西の地域にかけて公共投資を行う方が他の地域よりも生産拡大効果は大きい、これはいろいろ他の御意見もおありでしょうが、先生のおっしゃった意見です。それから、第二次産業と第三次産業に対する公共投資の効果の方が他の産業分野に対するものよりは相対的には高くなるという御意見を言っておられるわけです。  これはなぜそうなるかといえば、公共投資による社会資本の整備が民間の投資や消費を刺激する度合いがそれぞれ、地域的にあるいは産業分野別に今申し述べたところが高いからだという御意見でございました。  もちろん、国政全般にかかわる我々としては、日本全国のことを当然のこととして考えていかなければなりません。しかしながら、我々通信行政に携わる逓信委員会としては、この御意見は非常に意を強くする意見でございます。我々、通信分野それから郵便事業分野にかかわる公共投資がこれからも引き続き我が国経済を上昇せしめるために大きな役割を担っていくのではないかなというふうに思った次第でございました。  それと、これは追加して言わせていただきますれば、私ども関西の方が投資効果が大きいよと言ってくださったのは大変うれしいことだなというふうに思った次第でございました。  そのような中で、一つ、本当に小さなことでございますけれども、通信に関する部分のささやかな投資が大きな温かさとそして大きな経済効果を生みつつあるよという一例をちょっと大臣政務次官に御紹介申し上げたいと思うんです。  それは、私のふるさとであります大阪府の池田市で、通信機能をビルトインした、組み込んだ動物の縫いぐるみ、特に池田市は姉妹提携を行っております都市との関係でウオンバットというネズミの親戚の動物をマスコットとしておるんですけれども、それらの縫いぐるみをひとり暮らしのお年寄りにお配りをいたしまして、そしていわば遠隔で安全を見させていただくシステムを実験的に導入することといたしました。これは池田市と、それから郵政省の通信・放送機構、TAOが共同で運用する予定でございます。  このように、非常にささやかな試みではございますけれども、こういうものが地域の住民の皆様にとっては大きな温かさとなり、そしてまたそれらが、いろいろな市の行政、そしてまた地域社会に対する各方面からの注目を呼んで、こういうことが地域からの経済効果として沸き上がってくるのではないかなというふうに私は思っております。  その意味で、新聞でも紹介された大阪府の池田市での縫いぐるみひとり暮らしお年寄り体調チェックシステムなどなど、今後とも、高度な電気通信システムを国民生活に身近な福祉や教育などのサービスに有効利用できるように、郵政省としてどのような研究開発を推進しておられるか、大臣にお考えをお聞かせいただけますでしょうか。政務次官でも結構でございます。
  123. 小坂憲次

    小坂政務次官 ありがとうございます。  ただいま、本当にほのぼのとするような、池田市のウオンバットの縫いぐるみ施策について御説明をいただきました。私どもも研究をさせていただいて、これはなかなかいいことだな、こう考えているところでございます。  御指摘のように、私どもも、これからの高齢化そして福祉の面で、ハイテク、高度情報通信分野が貢献できる、そういう分野を広くしていきたい。そのためには、全国に先駆け意欲のある地方公共団体等に、教育、行政、医療等の研究開発のフィールドを提供していただいて、そのフィールドの上に通信・放送機構が通信・放送分野の基盤的な要素技術を組み合わせて、より高度な機能を持つ電気通信のシステムの構築をすることができるような、そういった研究開発を推進したい、このように考えて、マルチメディア・パイロットタウン構想などを推進しているところでございます。  郵政省といたしましては、今後とも、引き続き、このような地方公共団体等の協力をいただきまして研究開発を推進していきたい、そして国民生活に身近な福祉行政等のサービス情報通信システムが有効に活用されるような成果を上げてまいりたいと考えているところでございまして、ぜひともそういったおもしろいアイデア、また皆さんがこれはいいなと思われるようなアイデアを育てていきたいと考えております。
  124. 西田猛

    ○西田(猛)委員 小坂総括政務次官、ありがとうございました。  ちなみに、このシステムは、その縫いぐるみとひとり暮らしのお年寄りの会話ができるということでございまして、その内容からお年寄りの体調を把握し、異常をキャッチする、そしてまた一朝緊急時には、市の職員が直接スピーカーで呼びかけて、その声が縫いぐるみから出てくる、あるいは応答がないときなどには救急隊に直行してもらうというような非常にすばらしいシステムが開発できたことを私も喜んでおる次第でございます。  このような中で、平成十一年度の郵政省関連の補正予算の中で、広域的地域ネットワークづくり事業というものがございました。これは皆様よく御存じだと思いますけれども、複数の地方公共団体の連携の中で、すぐれた広域的な情報通信ネットワークの構築を促進していこうというモデル構築事業でございました。これについては、平成十年度の補正予算において十一億円、そして平成十一年度の第二次補正予算においても十億円の広域委託費が措置されたところなのでございますが、今審議されております平成十二年度の総予算の中では、この位置づけはどうなっているのか、そして郵政省として、このようなすばらしい事業だと思いますけれども、今後、どのように推進していかれるお考えなのかをお聞かせいただけますでしょうか。
  125. 小坂憲次

    小坂政務次官 委員の御指摘をいただきました広域的地域ネットワークづくりモデル事業でございますけれどもお話しのように、平成十一年度の第二次補正におきまして、平成十年度に引き続き、他の地方公共団体のモデルとなるようなシステム構築を複数の地方公共団体の連携主体に委託するという形で進めまして、全国で十六のモデルを構築することとしているところでございます。  お問い合わせの平成十二年度予算においてはどうなっているのかという点でございますが、これまでの委託事業により構築いたしましたモデル全国普及させて、他の地域において定着をさせるために、地方公共団体による広域的ネットワーク整備支援する補助事業、広域的地域情報通信ネットワーク基盤整備事業という長い名前でございますが、この事業の創設を計上いたしております。  ちなみに、予算額は二億五千万円でございますけれども、今後新しい形で地域ネットワーク整備の促進を考えてまいりたいと思っておりますので、委員の御協力をお願い申し上げる次第であります。
  126. 西田猛

    ○西田(猛)委員 政務次官、ありがとうございました。  今小坂総括政務次官から御説明いただきましたように、平成十年度、十一年度の補正では委託の事業として誕生したのでありますけれども平成十二年度の当初総予算の中では、今おっしゃられたように、格差是正の補助金の一つのメニューとして二億五千万円が措置されているところなんですね。  これはいろいろな議論があろうかとは存じますが、こういうすばらしい、地域の高度情報通信化を推進する事業ですから、従来の補助事業あるいは従来の委託事業というふうな概念で縛られることなく、こういうことを行っていきたいと考える地方団体があれば、それは地域住民の皆さんの気持ちでございますから、国の方としては、たとえ一〇〇%補助という形になろうと、いろいろな形でこれを推進し、支援していくのが、冒頭申しましたが、高度情報通信などなどに対する国の公共投資が国の経済にとっても一番効果があるわけですから、これから我々がやるべきことなのではないかなというふうに考えております。そういうところを変えていくこと、そういう予算の仕組みを変えていくことこそが経済構造あるいは財政構造の改革になっていくのではないかなというふうに私は思っております。  したがって、郵政省当局におかれても、財政当局と粘り強く話をしながら、こういう事業を推進していけるような総予算が組めるようにしていっていただきたいというふうに思います。  そのような中で、今も申し上げておりますけれども、これから日本世界の国々と伍していくためには高度情報通信化がどうしても必要なのだと思います。世の中では、IT、インフォメーションテクノロジーというふうにも言われております。  ただ、このIT化を進めればいいだけではありませんで、どうしても、こういう高度情報通信化というものは、それにアクセスできる人間とそうでない人間というものを非常に厳しく現実的には峻別してまいります。いわばコンピューターリテラシーとコンピューターイリテラシーと申しますか、こういうIT化が世の中の階層をさらに分化していく面も否めないのでありまして、IT化を進めるとともに、そういうものになじむことができるような教育、それから学校教育におけるだけではなくして、卒業した我々にでも、さらに成人に対する再教育も行っていって、こういう新しい流れについていける、あるいは引っ張っていけるようにしていかなければならないと思いますので、これから郵政省に課された課題は非常に大きなものがあると思います。高度情報通信化だとかインフォメーションテクノロジー化に公共投資をしていけばいいだけではなくて、そういうものに人々が乗っていけるような、そういう教育的な面の投資それから施策も行っていかれなければいけないと思っております。  そういう中で、世上よく言われておりますのが、これからはいわゆるコンピューターなどなどを使ったインターネット時代だ、ネットでいろいろなことができてしまう、例えば物の売り買いも、Eコマースと呼ばれているように、ネットでできるという時代なんですが、さあ、そこで問題になりますのが、これは皆様よく御存じのように、NTTだけがいわば基幹線のみならず、ローカルインフラも持っておりますので、NTTのそういうインフラに対する各種業者の接続料金が高いがゆえに、どうしてもネット時代への対応が我が国ではおくれているのではないかというふうなことが指摘されております。  そこで、これまたお聞きしたいのでありますけれども、今申し上げたような接続料金を初めとして、接続料金だけに限りませんけれども、いろいろな意味での通信料金をこれから下げていくことが我が国の高度情報化あるいはインターネットによるビジネス、福祉それから経済の高度化等を推進する上で必要なのではないかなというふうに考えるのですけれども大臣、お考えはいかがでしょうか。
  127. 八代英太

    八代国務大臣 きょうの逓信委員会におきましては、この接続料の問題が随分午前中から議論がございました。そういう中にあって、いずれにいたしましてもインターネット時代の到来、パソコン時代の到来、これは言えるだろう、このように思っております。  そこで、ユーザー向けの、まず日本定額料金という制度をやはり我が国にも導入することは、私たちの、もちろん経済も活性化していきましょうし、高度情報通信社会実現のためには必要不可欠である。こういう視点を考えていきますと、いろいろな形でこれから定額制の導入ということが、国内のユーザーの皆さんには、いろいろな形の競争の中において低廉化という方向がだんだん生まれてきつつございます。  例えば、NTT東西は、二十四時間常時接続が可能となるいわゆる完全定額サービスを昨年十一月に月額八千円で試験提供を開始してきておりますけれども、本年五月からは試験地域を拡大した上で料金を四千五百円あるいは二千九百円ぐらいに引き下げてみる、こういうふうなことを発表しておりますし、こういう料金引き下げというのはインターネットの利用を一層加速させますし、私たちも大歓迎でございます。  また、NTT以外の事業者においても、既にCATV事業者とかあるいはいろいろなところが、月額五千円とか六千円というような定額制を実現しているところもございまして、昨年末からはデジタル加入者線の技術を用いたサービスも活発になってきております。  こういう形でのいろいろな意味での競争を促進する環境を整備するということも私たちの務めだというふうに思っておりまして、事業者間の接続料金引き下げとまたインターネットの定額制料金の低廉化、これが相まって、その中において、今高いと言われるこの分野の解決をして、より多くの皆さん方インターネット、パソコンという新しい、これが日本の文化になるかどうかは別といたしましても、そういうものが育っていくような環境整備に一生懸命努めていきたいと思っているところでございます。  また、西田委員前段の部分でおっしゃいましたが、それはまた一方、できる人たちだけのインターネット世界じゃいけませんので、高齢者も障害者もすべての人たちが安易に利用できるような、また享受できるような環境をつくるということで、四月からは各郵便局では高齢者や障害者向けのパソコン教室のようなものを開催させていただいて、より多くの皆さん方にこういう新しい流れに対応していただく、またなれ親しんでいただく、そういうまた一方のソフト的な環境整備も一生懸命努めていきたい、こんなふうに思っているところでございます。
  128. 西田猛

    ○西田(猛)委員 八代大臣ありがとうございました。特に大臣が今終わりの部分でおっしゃられたことは、私は非常に大切なことなんだと思います。  私も今申し上げましたように、一部の人たちだけがインフォメーションテクノロジー化されて、そしてますます富んでいく、持つものを持っていくということで、ほかの方たちが取り残されていくということでは、これはもう世の中楽しくないわけであります、単純に考えても。そしてまた、日本世界全体の富や国力あるいは福祉という点から考えても決していいことではございません。  だれしもがこういうものにアクセスできて、そしてだれしもがそういうことが使いこなせる、それを楽しむことができるような時代、底の広い時代、すそ野の広いこういう高度情報通信化された社会でなければ、私は意味が全くないと考えておりますので、今大臣が言われたような施策をどうぞ、どしどし推し進めていっていただいて、皆が手近で身軽にこういうインターネット時代を満喫できるような社会にしていっていただきたいというふうに考えております。  そういう中で、電気通信、放送行政そして郵便事業を所管している郵政省の役割は、大臣初め両政務次官の御奮闘を期するところ大でございまして、この役割は二十一世紀に向けてますます大きくなってまいります。  そんな中で、来年の一月六日を初日といたしまして新しい中央省庁体制になり、この我らが郵政省は自治省それから総務庁などと一緒になって、総務省として新しいスタートを切ります。  これももうきょうの委員会でるるお話があったことでございますけれども、総務省といえば、これは新しい中央省庁の体制の中では、内閣府が一府十二省庁の一つ上にありまして、これはいわゆる国家行政組織法の適用を受けない、内閣法で規定される法律であります。その一府十二省庁の中では総務省は第一順位に、第一番目に位置づけられる、建制順といいますか、非常に重要な役割を担う筆頭官庁になるわけでございます。  そこで、郵政省と現在の自治省それから総務庁というものと合体して総務省という新たな出発をすることで、どういう融合効果、複合効果を編み出していけるというふうにお考えか。あるいは、編み出していかなければいけない、こんなことをしたいんだというふうにお思いになっておられるか。大臣もしくは政務次官のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  129. 小坂憲次

    小坂政務次官 ありがとうございます。御指摘のように、新しい総務省というのは大変重要な官庁だよ、今からしっかり準備して頑張れ、こういう御激励もいただいたかと思うわけであります。  御指摘のように、総務庁、自治省が一緒になることによりまして、私どもの方は、今後とも国営、三事業は一体として新しい省に入っていくわけでございます。  そこで、どのような複合的な効果が得られるのか。現時点では、郵政行政が一体として総務省に移行することによりまして、行政情報化の推進、また地域情報化の推進、さらにはワンストップ行政サービスの推進といったような施策等の一層の充実を図っていくことができるのではないか、このように考えておりますし、また、情報通信の分野は、これは政府全体にかかってくることでございますので、そういった面におきまして、現在総務庁が行っております人事管理、組織管理、行政監察等の機能と、それから自治省が行っております地方自治制度の管理運営といった部分とうまく絡み合わせて、これからの日本情報通信発展のためにも機動的な省庁として生かしていきたい。  現在、来年一月に向けて諸整備の検討を進めているところでございまして、準備を推進しているところでございます。今後とも、御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
  130. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ありがとうございました。  そういう中で、今小坂総括政務次官も御指摘になられましたが、郵便それから貯金、簡易保険といういわゆる郵政事業が国営、一体化のものとして郵政事業庁とし、総務省の外局として位置づけられるのでございます。それらの郵政事業に対しても、今御指摘があったようないろいろな意味でのワンストップ行政サービスの最先端としての役割などなど、これから期待されるところは大でございます。  そういう意味で、郵政事業を国営、一体化として推進していくことについて、大臣の御所信をお伺いしておきたいと存じます。
  131. 八代英太

    八代国務大臣 実は、私の個人的な見解でございますけれども、ちょうど省庁再編のころ議論があったときに、これから郵政省はむしろ厚生省と一緒になった方がいいというのが私の一つの考え方でございました。  と申しますのは、それほど二万四千七百の郵政事業のそれぞれの機関はまさに地域に密着しておりますし、地域行政とまさに車の両輪のような活動を展開し、これからもそういう方向を目指すということを考えていきますと、例えばわからないことがあったら郵便局に聞けというぐらいの、国民共有財産になっていく、私はそういう願いが実はあるわけです。例えばひまわりサービス。郵便物がたまっている、新聞も新聞受けにたまっている、何かあったのじゃないだろうか。そういうことが一番わかるのは郵便局員だ、私はこのようにも思います。  そういう意味でも、地域と密着した国民への奉仕活動というものをやっていただくためには、これからどういう名前になろうと、どういう形で郵政省が総務省という中に入ろうと、三事業は一体である。そして、それが地域への福祉であり、町ぐるみ人ぐるみという新しい時代地方分権のかなめになっていく、拠点になっていくという願いを持っております。  職員の国家公務員としての身分はしっかり維持していかなければならない。そして、国営の新たな公社に移行するということにおいても、郵政事業というものは、しっかりと皆さん方がやっていただくことによって、これからの高齢化時代、これからの地域の活性化、そういう中における役割というものは非常に多岐にわたっていくだろう。  こういうことを思いますと、これから中央省庁の改革基本法に基づくいろいろなことも検討はしていくわけでございますが、今後はさらに、郵政事業庁の国営の新たな公社への移行に際しましても、あるいは二〇〇三年の公社の移行に際しましても、郵政事業に関しては、私はしっかりと、私たちのユニバーサルサービスの基幹として、国営事業として役割を維持しながら、利用者の利便の一層の向上、あわせて、どんな山の中にも、どんな離島にもそういう助け船としての存在感が郵便局にあるんだぞというもののコンセンサスを得るためにも、その推進に努力をしていかなければならない、こんなふうに思っているところでございます。
  132. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大臣、ありがとうございました。  郵政、郵便三事業、それからまた通信・放送という大変広範、重要、そしてまた楽しい所管の大臣であり両政務次官であられますので、今後ますますお役所の皆様方とともに活躍されますことをお祈りいたしまして、私の質問とさせていただきたいと存じます。  ありがとうございました。
  133. 前田武志

    前田委員長 次に、矢島恒夫君。
  134. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大臣、先日大臣の所信をお伺いいたしました。いろいろお聞きしたい点があるのですが、私の持ち時間の関係から、三点ほどに絞ってお尋ねしたいと思います。  まず、所信表明の中で、障害者や高齢者の方々を含む情報弱者にも優しい情報通信社会、だれもが情報通信の利便を享受できる情報バリアフリー環境の整備ということを言われております。その一つに、放送による情報というのがあると思います。  郵政省は、視聴覚障害者がテレビから情報を得る、こういうことの中でどうしても欠かすことができない字幕番組だとか、あるいは解説番組、手話番組、こういうものの制作を促進するという意味から、九七年だったと思いますけれども、補助金によって助成ということを開始したわけであります。  九七年、九八年は補助金額が約一億三千万前後だったわけですけれども、九九年になりますと四億四千万円と大幅にアップしまして、三・三倍に広げた。さらに、二〇〇〇年度、来年度については五億一千万円という予算を計上されている。一六%も昨年よりも伸びるわけでありますが、これは、郵政省一般予算の伸びが一五%ぐらいですから、それを上回る伸びになっていると思います。  放送事業者が、こうした字幕だとか解説放送だとか手話放送、こういうことによって、視聴覚に障害を持つ人々に対して、つまり情報弱者、こういう方々に対して、すべての国民情報を提供していくということは、事業者基本的な責務だと私は思うわけです。また同時に、人権にかかわる問題でもあると私は思います。  そういう意味から、情報弱者の問題、あるいは情報バリアフリー環境という言葉大臣が所信の中で言われたんだと思います。多分、この所信の中の発言は、放送の分野でいえば、私が今言ったようなことを念頭に置いて言われたんだろうと思うのですけれども大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  135. 八代英太

    八代国務大臣 御質問ありがとうございます。  今おっしゃいましたように、年々、この分野におきましての関心の高さ、それからまた郵政省の取り組み、こういうことを考えまして、昨年は四億四千万、ことしは五億一千万、こういうことにおきまして、視聴覚障害者の方々が情報を得る上で、ますますこれがテンポアップしていく御時世でございますから、視覚、聴覚、そうした皆さん方情報弱者のまま置き去りにされては申しわけない、こういう思いの中で、私たちは極めて重要な役割を果たす予算だ、このように思っております。  私も、情報バリアフリー懇談会というものを設けて何回か議論をしておりますが、全日本聾唖連盟の方々や、あるいは日盲連の方や、そういう直接情報バリアフリーの影響を得るであろう皆さん方の御参集をいただいて議論をしておりまして、私も積極的に発言をさせていただいております。そういう中で、今後とも、視聴覚障害者の皆様がより情報にアクセスしやすい環境を実現するために支援策を一層充実していきたいと思っております。  そういう皆さんだけではなくて、今、難聴の高齢者の方々も非常に多いものですから、したがって、NHK等々はことしの三月の末からニュース等々は字幕を入れる、あるいはまた、アダプターも大変いいアダプターが出てまいりまして、そういうものでアダプターをつけると、そのままそのアダプターが翻訳をしてというか言葉にして、自分の持っているテレビにその字幕が表示されるというようなことも、一方では技術の進歩によって可能な時代になってまいりました。  そういうことをあわせながら、これからも推進していきたいと思っているところでございます。
  136. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひそういう御決意で臨んでいただきたいと思いますが、それだけの大臣の決意というものが実際に民放の字幕番組にどうあらわれているか、この間、ちょっと私調べてみたわけです。  もちろん、この補助金というのは全体の視聴覚障害者関係を含めて、手話だとかそのほかも含めますから、字幕番組だけに限定して、この補助金は九八年度には一億二千万円、それから九九年度は二億九千万円、二・四倍にこの字幕放送の分野だけを取り上げてみますとなっております。もちろん、NHKにはこの補助金は適用されません。  ただ、民放の中でも、例えば衛星放送協会だとか、あるいは日本ケーブルテレビ連盟、こういうところにも補助金が行っておりますので、実際に民放が制作する番組への交付ということになりますと、その額は二億二千万円という額になるかと思います。民放での補助金の交付額というのは、この間に、九八年から九九年にかけては約二倍近くになったわけであります。  そうしますと、やはり障害者の皆さん方は、国も頑張って予算を二倍にした、字幕放送も二倍ぐらいになるだろう、こう期待するわけです。これは無理からぬことだと私は思うのです。  そこで、郵政省の方に聞きたいのですが、九八年と九九年度、九九年はあと二月、三月がまだ残っておりますので推計になるかと思いますが、民放の字幕番組がどれだけふえたか、お答えいただきたい。
  137. 金澤薫

    金澤政府参考人 政府参考人金澤でございます。お答え申し上げたいと思います。  郵政省NHK及び地上民放テレビ局に対して、毎年、七月一週間について実態調査を行っておりますが、それによりますと、字幕付与可能な総放送時間に占める字幕放送時間の割合でございますが、民放キー五局平均で、九八年調査時は五・三%ということになっております。それから、九九年調査時は七・一%というふうになっております。  なお、ちなみにNHKは、九八年三五・七%が九九年五五・六%というふうになっております。  以上でございます。
  138. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろな調査の仕方があると思うのです。今おっしゃったように、五・三%だったものが七・一%になっている。  私、実は、九八年度と九九年度の民放の字幕番組について、テレビ欄をずっとチェックして、一週間当たり何本で何時間になっているか、そういうあたりを調べてみたわけです。そうしますと、九八年も九九年もほとんど変わらない。とりわけ、時間数でいきますと、九八年は二百二本で百五十六時間十五分だったのです。九九年になりますと、二百六本ですから四本ほどふえていますけれども、百五十五時間四十分。あと年度末に新しい放送をふやせば別ですが、そうしないと時間数では減少してしまう。  いずれにしろ、先ほどの局長の答弁でも、補助金の方は二倍近くにしたけれども、なかなかどうも字幕番組がふえていないというのが今の現状だと思うわけです。  そこで、もう少し詳しく調べてみますと、例えば日本テレビの字幕放送皆さん方のところに資料を配っておりますので、後で資料の中身は説明いたしますけれども日本テレビの字幕放送なんて見ますと、九九年度は、資料の左側、五つ出ております。右側を見ますと、二〇〇〇年ですが、やはり日本テレビが五つの番組についての字幕放送。このことは、東京放送、TBSでも番組数はふえていないというわけなんですけれども、なぜこうなのかというあたり。  特に郵政省として、局長あたり、それぞれ民放各局から補助金の交付の申請がありますね、そのときに、字幕放送番組がこれだけふえるとか、こういう計画になっているとか、これは一々チェックするのですか。
  139. 金澤薫

    金澤政府参考人 この補助金の助成の仕方でございますけれども、国は通信・放送機構に対して補助を行うということになっております。通信・放送機構が字幕番組とか解説番組を制作する公益法人に補助する、そういう段階を経て放送事業者が番組制作を公益法人に委託するということになっておりまして、当然、通放機構が公益法人に対して助成するときには、どのような番組に対して助成するかということを調査しているところでございます。  また、本件助成については、補助金交付要綱上も、字幕番組であれば本来助成対象となり得るということでございまして、これまで助成金が不足していたため放送事業者が自主的に負担していたという部分について、助成金を交付しないという扱いは困難でございまして、結果として放送事業者の番組はふえないという事態もあろうかというふうに承知しております。
  140. 矢島恒夫

    ○矢島委員 通信・放送機構を通しての補助金の交付ですが、しかし、出どころはいずれにしろ税金、国民のお金ですから、やはり郵政省としても、どういうふうにこの補助金が字幕放送の拡充のために使われているか、ぜひきちんとチェックしてもらいたいと思います。通信・放送機構を通じて、それらはやっていることだろうと思います。  ただ、今局長が言われた問題の中で、番組で全部が補助金ででき上がるわけではないから、自分のところの費用で自主的にやらなければならない部分というのはあるというのは、これはもうわかります。ただ、その部分に使われたのでは、これは何にもならないということなんですね。  例えば、日本テレビ系の字幕放送、これは担当しているのは愛の小鳩事業団ですけれども、九八年度には二千百十一万円の補助金を受け取っているわけです。九九年度になりますと三千百三十三万円ですから、約一千万円以上補助金がふえたわけであります。ところが字幕放送が増加していないということは、少なくとも、今局長が言われたように、自分たちで今までやってきた字幕放送部分について、そちらに投入するから制作費を浮かしたということになりますかね。  ですから、自分たちで今までつくってきた字幕のために支出した費用というものを削減して、それで補助金がそこに入っていってしまったとなったのでは、これは大問題なんですよね。  そういう可能性がないわけじゃないんですよ、これを見ていきますと。例えば、「遠くへ行きたい」という日本テレビの番組について調べてみました。そうしますと、確かに五十本であったものがふえるわけです。しかし字幕番組全体がふえていないということは、少なくとも今までは自分で出していた制作費の部分が、今度は補助金にかわってしまっているというような事態があるのじゃないか。  先ほどチェックの問題をお聞きしたわけですけれども、そういうところも含めてのきちんとしたチェックをしていかないと、せっかくの努力が番組の増加というふうにあらわれない、こういう事態になってしまったら、先ほど大臣が言われたような方向、こういうものが必ずしもいい方向へ行っていないというように考えるわけです。  ですから、郵政大臣、ちょっとお聞きしたいのですが、民放業者が補助金によって字幕がどれだけふえたか、あるいは、字幕制作のための補助金というものを自分たちが出してつくってきた字幕制作費の削減に利用してしまっては困るので、ふえませんから、ひとつそういうことをきちんとチェックしていただく、そういう方向で進めていただけませんか。
  141. 八代英太

    八代国務大臣 いろいろ御意見をいただいておるわけでございますけれども、全体として一定の成果は上げつつある、こういう認識を私は持っております。  そして、日本語というのは平仮名、片仮名、漢字、それで字幕を入れる制作というのは、これはなかなか大変なエネルギーと時間を要します。一本の番組では、徹夜作業も含めて大体一週間ぐらいかかる。私も放送の経験がありますから、そういうことを感ずるのですね。  では、アダプターのような新しい技術開発でそういうものが簡便にできるような時代はというと、そこはもうすぐそこへ来ている、このように思うのです。この間NHKの技術研究所へ行ってまいりました。そして、アナウンスをしますとそれがそのまま字幕になるというようなシステムを見てまいりました。しかし、そこで、わだすは、こうちょっとなまってやるともう全然コンピューターは受け入れないとか、まだこういう状況でもございます。  これから、いろいろな技術革新による低コスト、短時間での字幕制作環境の実現、こういうことが字幕番組の推進にも大きく役立ってまいりますし、今、民間放送に対していろいろ御意見があります。これも経済の低迷の影響かな、あるいは、スポンサーが少なくてということもあるのかななんということを、今質問の中で私もふっと感じ入ったような次第でございます。しかし私たちは、二〇〇七年は、ニュース番組、そうした生放送のようなものはすべて字幕化される方向を目指して各民間放送にも一生懸命指導はしていきたい、こんなふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  142. 矢島恒夫

    ○矢島委員 一つの字幕番組をつくるのに時間、費用とおっしゃられましたが、大分技術的に進歩いたしました。恐らく、大臣がそういうようなことを経験されたときに比べれば、NHKのああいうものもありますけれども、実はこれは業界紙なんですけれども、「一貫作業で字幕作成 時間短縮コストも安く」というのが出ているのです。これはどういうものかといいますと、日本テレビが開発した機械なんですけれども、ノンリニア字幕作成装置、こう名前をつけております。結局、制作時間も短縮できてコストの削減も可能になった、こういう報道内容であります。  ですから、こういう意味からすれば、もっともっと補助金に見合った字幕放送をふやしていくということが可能になってきていると思うんです。ただ、それは可能になりつつある途中だということかもしれませんが、ぜひそういう点をきちんとチェックして、なるほど、補助金に見合う字幕がそれぞれの民放努力してふえているなというあたりが感じられるような方向努力してもらいたいと思うんですね。  先ほどちょっと大臣も触れられましたけれども、いわゆる二〇〇七年字幕放送一〇〇%という目標があるわけであります。これ、実はいわゆる努力義務規定になっているんですね。つまり、今の私の考えでは、これだけ二倍、三倍と一生懸命国民の税金を使いながら弱者のためのいろいろな施策をやっているにもかかわらず、それに見合った方向へ行かないということになりますと、そうすると、果たしてこの二〇〇七年一〇〇%は大丈夫なのか、同時に、やはりこれは努力義務規定じゃなくて義務規定に変えていったらどうか、こういうことを考えるんですが、大臣、その辺のお考えはいかがでしょう。
  143. 八代英太

    八代国務大臣 努力規定ではなくて義務規定、努力義務規定、いろいろな言葉の表現がございますけれども、私たちは、放送事業者努力義務を既に規定をいたしておりますし、それから、この体制で進めてまいりたい、こういう気持ちでございます。  恐らくそのころには、先ほど御紹介いただきましたように、新しい技術革新によって、より簡便な、より安易に字幕ができる時代が到来するのかな、そんな予感も実は感じているところでもございます。
  144. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひひとついろいろな面で研究し、努力していただければと思います。  次の質問に入りたいと思います。  郵政事業あり方ということの基本問題で幾つかお尋ねしたいわけです。  先ほど来、中田委員やあるいは西田委員、それぞれ民営化、国営の問題でいろいろ論議が出ました。私どもは、国民共有財産としての郵便局ネットワークを初めとして、国民のユニバーサルサービスを維持発展させる、そういう立場から、この国民利用者の信頼や支持の上に立って郵政事業を国営事業として発展させていくべきだと考えております。ですから、郵政事業民営化には絶対反対という立場をとっているわけであります。  そこで郵政大臣所信表明の中で、郵便事業については「全国あまねく公平に良質な郵便サービスを提供するという基本理念を堅持する」とこうおっしゃられ、先ほど西田委員にも答弁されましたので重複する部分があるかもしれませんけれども大臣は、郵政事業というのは、国営事業として国民の支持、信頼の上に立って発展させるというお考えだろうと思いますが、もう一度その辺をお聞きしたい。
  145. 八代英太

    八代国務大臣 先ほどもそれぞれお答えをさせていただいたところでございますが、これからはまさに地方分権の時代だ、このように思います。四月からは介護保険も始まってまいります。例えば介護保険、こういうものも含めていろいろ地域の中の自治体のお手伝いをするのには、一・一キロに一カ所ある二万四千七百というこのネットワーク、これを使わずしてまさに地方分権はないぐらいの私は意見を持っておりまして、まさに、向こう三軒両隣福祉から、町ぐるみ人ぐるみ福祉、あるいは防災、あるいは子供たちの一一〇番的な受け入れ、そういうものを含めると、これほどきめ細かな国民共有財産はほかにはないであろうという私たちは自信を持っております。  これから、郵政というよりも、郵便局事業と言った方がわかりやすいかもしれませんが、こういうものをしっかり三十万の皆さんが心に体しながら、これからの二十一世紀に向かっても、北は北海道から南は沖縄、九州まで、どんな山であれ離島であれ、人あるところに郵便局がある、こんな思いでぜひ自信を持って頑張っていただきたいもの、このように思っておるところでございます。
  146. 矢島恒夫

    ○矢島委員 やはり、国営事業ならではの良質なサービスを提供して、国民の支持と信頼のもとに郵政事業を発展させるということがこの郵政事業基本になければならないと思います。  さてそこで、その立場に立って、私、残り時間がだんだん気になっているところですが、郵便事業、とりわけゆうパック、その中でも頒布会の事業についてこれからお尋ねしたいわけです。  私、この頒布会の問題を昨年取り上げたんです。そのときに、野田前郵政大臣、いわゆるふるさと小包と頒布会との形を混同されたような答弁であったので、ちょっとここでも初めに御説明しておけば、ふるさと小包というのは、基本的には、ふるさと小包の商品提供者の業者、それから、その業者に対してお客さんは、郵便振替でも、最近は便利になりましたので郵便局でできるような装置もありますけれども、そうして業者とお客さんとの間の直接の……。  それで、この頒布会というのはどういうのかといいますと、委員長大臣にちょっと資料を。これは郵政省からもらった資料なので、ひょっとするとお持ちかもしれませんが。  全国にあるいわゆる頒布会の名称、代表者、運営主体、住所、電話、その一覧表であります。これは全国十八カ所あるわけです。一番上の方には北海道グルメ会というようなのがあります。ここでいろいろな商品を掲載したカタログをつくるわけですよ。このカタログを実は会員募集というところで使って、そして、会員となったお客さんから毎月一回商品を選んでもらって、その商品をお届けする。これはゆうパック。こういうサービスを提供している、団体とも言えるし、会社組織のもあります。いわばカタログ販売業者というふうに考えられると思います。一部だけ持ってまいりました。前にも私提示しましたけれども、こういうカタログを使っているわけであります。  私はふるさと小包というのは否定いたしません。これは、適切な周知活動、こういうのも必要だろう。郵便局へ行けば、いろいろな商品があったりカタログがあったり、置いてあります。それぞれお客さんが見て品物を選んで、業者との間での取引が行われます。ところが、私が質問しようとしている中身は、頒布会という組織、それからその事業の問題なんです。  この一覧表を見ますと、頒布会というのは、北は北海道からずっと九州までそれぞれありますけれども、大体各郵政局ごとに一つ。二つ置いてあるところもありますが、二つある場合には、例えば北海道は、グルメ会のように生鮮食品あるいは物産、こういうものを中心とする頒布会、もう一つ、お米を中心とする北海道米頒布会の二つがあるわけです。せいぜい二つですね。つまり、おわかりのように全国的に仕分けされているわけです、そういうような形に。すみ分けされているといいますか、そういう組織になっているわけです。ですから、各郵政局ごとに組織された一つのカタログ販売業者、こんなふうに考えていいかと思うんです。  運営主体の住所、電話番号については、実は会社組織になっていないのがたくさんあります。例えば上から言いますと、東北グルメ会とかあるいは関東ふるさと会だとか、下の方へ行きますと九州・沖縄ゆうパックの会とか、こういうのは会社組織になっていないいわゆる頒布会であります。  これをずっと調べてみますと、住所も電話番号も全部ポスタルサービスセンターになっているんですよ。全く同じになっています、これは。民間調査機関のデータを調べてみましたら、四国ゆうパックの会なんというのは、従業員のところの欄にはゼロと書いてあるんですよね。ゼロでどうやってやっているんだろうと思いましたけれども、この表には四国ゆうパックの会と書いてありますが、やはりここも住所、電話、これが郵政省管轄の財団法人であるところのポスタルサービスセンターの各支部があるわけですね。  頒布会というのは実質どうなんだろう、本当にゆうパックの会という組織があるんだろうか、いわゆるポスタルサービスセンターということではないんだろうか、こういうふうに思うのですが、郵政省、どんなふうに把握していらっしゃいますか。
  147. 濱田弘二

    濱田政府参考人 私から事実関係を申し上げさせていただきます。  冒頭でございますが、ふるさと小包の定義といいますか認識というのが矢島先生と私どもとちょっと違うなということで、一言で言いまして、ふるさと小包といいますのは総称でございまして、その中に頒布会によるものもあれば、施策ゆうパックによるものもあれば、単品チラシによるものもあるという理解をいたしておるところでございます。  それから、地方地方というお話がございましたが、そもそも頒布会、あるいは施策ゆうパックもそうでございますが、地方郵政局がそれぞれに創意工夫を凝らした施策だということで、地方施策になっておるものでございます。  それで、ただいまのお尋ねでございますけれども、もう先生御案内のように、今大臣の方にもお渡しいただいた資料は私どもからお届けした資料だと思いますけれども、頒布会の中に十六の団体がございます。この中には任意団体として十団体ございますし、また株式会社、有限会社としてトータルで五団体ありますし、また農協が一つあるということでございます。  そういう中で、任意団体として組織を持って活動をしておられる。その任意団体というところが事務の委託を財団法人ポスタルサービスセンターにやっておられる、そういう関係で場所的にも同一のところにあるところがあるというふうに私どもの方は理解をいたしております。
  148. 矢島恒夫

    ○矢島委員 最初に、ふるさと小包についての認識、あるいは定義といいますか、そのことが指摘されたわけですけれども、実際の手続上の問題については、郵政省としては、全部ひっくるめて、その中には頒布会というのもあれば、業者と直接というのもあればということかもしれませんが、手続上から見ると二つに分かれる。  それは私に言わせれば、このふるさと小包の中にも、分けると、頒布会系のやり方のゆうパックもあれば、いわゆるその地域の名物を業者と直接、会を通さないで——頒布会というのは、御案内のとおり、会員になって、一つのカタログの中から選んで、それで十二カ月それぞれ注文をとる、こういう会員制なんですね。それから、ふるさと小包、私たちの概念でと局長は言うかもしれませんが、それは一つの、会員制ではないのですよね。いわゆる会員になって一年間のものをとるというのではなくて、この品物についてひとつふるさと小包として送りたいというようなときに利用する。全体の中の仕分けというふうに考えてもいいかと思うのですが。  そういうような状況の中で、実態を私いろいろ見てみますと、財団法人ポスタルサービスセンター、これしかないのですよ、株式会社のはまた後で時間があれば質問いたしますけれども。つまり、理事長は元郵政事務次官だった五十嵐さんですね。そして、そのポスタルセンターの事業目的に、先ほど言われたように、ふるさと小包頒布会の事務受託業務を掲げている。これもあります。それで、九八年度の収支を見てみますと、十二億円の受託業務収入を得ております。電話で受け付けたり、あるいは各八つの地方支部、こういうものが頒布会の実質的な業務を受け持っているというような状況だろうと思うのです。  そこで、昨年五月に私がこの委員会で取り上げた北海道グルメ会ですが、十月に実際現地に行きまして、いろいろと北海道グルメ会の状況をお聞きしたり、あるいは実際に見てまいりました。先ほど示しましたパンフレット、これがその北海道グルメ会のパンフレットなんですね。これを見ますと、何しろ、簡単に言って、カタログ販売をやっているというのがこの組織だ。実は一番私が指摘したいのは、こういうものに郵政省がどうかかわり合っているか、あるいは郵便局がどうかかわり合いを持っているか、そういうことなんです。  いわゆるゆうパックをふやそうというのでいろいろ工夫されていることはわかる。ふるさと小包も、私たち認識のふるさと小包もそうですし、ふるさと小包を一括して頒布会もそうだと言えばそうかもしれませんが、頒布会に対して、例えばこの北海道グルメ会を見ますと、ラーメンや果物や魚など、こういう生鮮食料品を扱うわけです。それで、会員になりますと、この会員の募集そのものにも郵政省はいろいろなかかわり合いを持っているのですが、毎月三千円、ですから一年間三万六千円、こういう商品代を納めてもらって販売する。つまりカタログ販売だ。  こういうことが言えるような状況の中で、例えば北海道グルメ会は、会員数十二万人です。年商は四十億円。これだけの会員の獲得をしなきゃならない。あそこは八人だったのです、私が北海道グルメ会へ行ったときは。八人でやって、それで十二万人を会員に募集して、年商が四十億円だ。一人当たりにしますと一万五千人ぐらいの会員を獲得した。売り上げにしますと、一人当たり五億円からの売り上げをした。  常識的に、どう考えても、この八人でやったのでは到底こうはならないだろうと思うので、北海道の郵政局にも参りまして、いろいろとお聞きしたり、調べたりしました。その結果、郵便、貯金、簡保、郵便局に働いているすべての職員に会員獲得の号令を発しているわけですよ。  いいですか、これを言うと、ゆうパックを拡大するためにはそれは必要なんだとすぐ出てくるのですが、一つのこういう私企業ですよ、私的な企業です、そこのやっている事業に対して、なぜ郵便局に働いている人たちが会員集めをしなきゃならないんだ。しかも、その会員集めも目標が設定されるわけですよ、それぞれの郵政局から。この辺も、私、北海道だけを取り上げましたけれども、それぞれ各地にあるわけです。  その目標というのが大体、北海道の場合には、九九年度、ことしの目標は、郵政に働く職員一人当たり五人の会員を募集すること。そして、郵便局の名前の入った封筒を使ったり、それから郵便局長のあいさつ文が入ったり、推薦文が入ったり、会員の申込書には、いわゆる通信事務依頼信というもの、無料で郵便局に返ってくるわけですね、こういうのが入っているわけですよ。  つまり、全面的に郵便局が行っている一つの商売だ、こう言わざるを得ないのですよ。郵便局は非常に信頼がある。信頼があるから、その郵便局の職員が来て、これひとつどうですかと言うと、大体お客さんは郵便局がやっているんだなと錯覚されるくらいの募集の仕方なんですよ、これが。  この北海道グルメ会というのは、去年の九月から株式会社となったのです。株式会社になって、社長という人は西山さんという人なんです。グルメ会の事務所があります敷地も多分西山製麺の敷地だと思うのですが、すぐ前に西山製麺という、西山ラーメンですか、大変大きな、北海道では有名な会社があります。それも、このグルメ会の頒布する商品に西山ラーメンも入っています。  それで、六人の役員がいました。二人は郵政省のOBです。北海道の郵政労働者に、どんどん勧めろというので、あちこち会員募集をしたり、割り当てまでしてやるというような状況の中で、みずから経営している北海道グルメ会と西山社長あるいは西山製麺、ここがもうかる仕組みになっているんですよ。つまり、郵便局に働く職員を使って株式会社北海道グルメ会がもうかったり、あるいは西山製麺がもうかったりというような仕組みになっているんです。  実際に、会員の獲得を割り当てられて一生懸命奔走している郵便局の職員がおります。みんなやっているんです。こういう頒布会に信用を与えているのが郵便局です、郵便局がやっていることだからと。そのもうけは民間会社にと。どうも納得いかない。しかも郵政省が、特定企業やあるいはほとんどのグルメ会を含めて、頒布会は郵政省のOBが重立った役員や仕事をやっているんですよ。こういうことをどうお考えですか、大臣
  149. 濱田弘二

    濱田政府参考人 事実関係のみ簡単に言っておきます。先生は頒布会とその他と分けられましたけれども、十二カ月方式をとっておるのが頒布会でございまして、生産業者直接以外にも父の日、母の日ゆうパック、施策ゆうパックというのもありますし、またPSセンターのゆうパックもありますので、まず頒布会方式というのはワン・オブ・ゼムだということでございます。  それから北海道ゆうパックの会ですが、もうお時間の関係でポイントだけでございますが、郵便局といたしましては、ゆうパックの利用拡大とイコールの施策だということで、また地場産業にも非常に貢献するということで力を入れておるところでございます。また、利用の拡大に当たりましては、営業でございますので、指標の設定、目標、ターゲット値の設定もやりますが、これはゆうパックを何個設定するかというようなところで設定をいたしておるのが事実関係でございます。
  150. 八代英太

    八代国務大臣 きのう委員から質問の中身をいただきまして、局員にノルマを課してやらせているんじゃないのかというようなことがあったものですからしっかり調べましたら、営業活動に当たり職員に対する御指摘のような押しつけというようなものがあるとは承知いたしておりません。  それで、頒布会というのは、会員の納めた会費によって会員が希望する各地の特産品をいろいろな形でお届けするという会社、団体だということでございますので、ゆうパックの一層の需要の拡大や、あるいは地場産業の振興、私は、いろいろな名産、名品がいろいろなところからこのゆうパックを通じて小包として大変喜ばれていると思いますし、意味あるものだというふうに思います。  ですから、一方では営業活動をしなければなりません。営業活動をするんだけれども、局員にそういうことがあるというのは伺っておらないところでございます。
  151. 矢島恒夫

    ○矢島委員 最後に二点だけ。一つは、大臣が職員にノルマをかけてということはやっていないと言うけれども、ぜひ調べていただきたい、もう一度現場を。私は実際にそれを見てきたんですから。  それからもう一つは、いろいろな商品を売るという営業活動、これは必要だ。私も、設置法や何かで決められた範囲だったらどんどんやるわけですが、果たしてこういうものが法に抵触しないんだろうかというような疑問を持つんです。だけれども、それは法的な解釈の問題ですからさておいて、こういう天下りがいる企業をつくった、それぞれの郵政局がつくった一つの架空の任意団体、こういうものを使ってこういうものをやっていいのか。その二点だけなんで、また後機会がありましたら。
  152. 八代英太

    八代国務大臣 ちょっと最後に。  ノルマというのはラテン語でして、これは標準という意味なんですね。ですから、標準的にサービスをする、そしてそのために営業活動をする、私はいいことだ、このように思っております。
  153. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  154. 前田武志

    前田委員長 ここで一言矢島委員に申し上げますが、資料の提出はあらかじめ委員長に見せて、許可をとっていただくようにお願いいたします。  これにて矢島恒夫君の質疑は終わります。  次に、横光克彦君。
  155. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。大臣、長時間御苦労さまでございます。最後でございますので。  きょうの委員会、多くの委員が、そしてまた大臣政務次官等のお答えもそうですが、いわゆる郵便局が各地域でいかに地域住民に密着しているか、信頼されているか、頼りにされているか、そういったお話がるるございました。  郵政事業に携わる職員の中で、毎日のように各地域で郵便を配達する外務職員の方々がいます。酷寒酷暑の中、大変な御努力をされている。いろいろな地域にそれぞれの公務員の方がいらっしゃる。地域住民と接していられる。そしてそれぞれの職務を全うされている。自治体の職員、あるいは学校の先生、お巡りさん、いろいろございます。しかし、先ほどある議員も申されておりましたが、本当に郵便局の職員ほどその地域の実情に詳しい、そしてまた努力されている国家公務員はないんじゃないかと私は思っているわけでございます。  そしてさらに、郵政事業としてワンストップ行政サービスや、あるいは先ほどからるるお話ございますようにひまわりサービス、こういった事業が展開されている。  そしてまた一方では、大変な少子高齢化社会が到来したわけですね。これはもう地方だけでなく都会地においても高齢過疎といいますか、そういったものが私は如実にあらわれていると思うわけでございます。  厚生省の一九九八年、二年前の統計では、六十五歳以上の高齢者のみの世帯が五百六十万世帯。そして、このうち高齢者単独世帯、いわゆる独居老人が二百七十二万世帯、単独ですから二百七十二万人ですね。そのうち八割の二百十七万人が女性である。そして、こういった傾向はさらにこれから上昇傾向にある、このような統計が出されております。そういった現状である。  さらにもう一つ、先ほどからこれもお話ございますように、来年度から郵政省、自治省、総務庁と、総務省という再編が始まるわけですね。  こういったもろもろの状況を考えて、もちろんひまわりサービスがやられておりますが、私はここで一つ提案をさせていただきたいと思うんですが、郵便局と自治体がもう一歩踏み込んだ形での協力体制、あるいは行政サービス福祉サービス、いろいろなことができないのか。ひまわりサービスは業務の一環としてサービスをしている。ですから、もちろん収支はありませんね。ここの、今私が申し上げたいろいろな状況を勘案して、地域住民との信頼性あるいは利便性、そういったものをさらに確保していくために、公的機関である郵便局と自治体がタイアップをさらに強化することはできないか、このことによって国民の信頼をさらにかち得ることはできないかということを私は考えたわけでございます。  つまり、各自治体から有料で委託を受ける、そして外務職員が配達郵便がなくても訪問するなどして、高齢者の方々と自治体の間のサポートをすることができないかということです。  例えば、各地方自治体からの委託により受け取った訪問世帯リスト、これは、独居老人だけからスタートするとかあるいは八十歳以上の夫婦のみの世帯だけからスタートするとか、いろいろな形で訪問者世帯のリストを自治体がつくり、それに基づいて何日かに一回訪問する。また、訪問した際に万一何らかの異常があれば、高齢者本人が連絡できれば郵便局員が各自治体の担当部局の電話番号などを教えたり、高齢者本人が連絡できない場合は郵便局員が各自治体の担当部局に連絡する、そういった今まで以上に緊密な形がとれないかなということでございます。  もちろんこれは全国一律というわけにもいきませんし、すぐできるということでもないと思っております。しかし、その状況は、各自治体でも高齢化率は違いますし、また人口密度も違いますし、各郵便局管内で郵便配達状況も違うわけですから、さらに職員の意向もありましょう。ですから、事はそう簡単にいくわけではないと思いますが、ひまわりサービスもやはりここに来るまで十年かかっておるんですね。そうなると、やはりここで、それぐらいのことは検討の準備に入るべきではないかという気がしているわけでございます。  かなり難しい問題ではあろうと思いますが、こういったことも将来展望として、これは提案でございますので、質問ではございませんので、今の提案に対してどのような感想をお持ちか、お聞きしたいと思います。
  156. 八代英太

    八代国務大臣 横光議員、大変いい御提案をいただいているわけですが、私は、将来展望とすれば、まさに自治体の足らざるところを補うのは郵便局しかないだろう、こういう思いを持っております。  ひまわりサービスも今や言葉もかなりポピュラーになってまいりましたし、そういう方向もだんだんふえつつある状況、しかも超高齢化時代の到来。今いろいろデータもお示しをいただいたんですが、東京などでも、もう六十五歳以上が二三%を超えたというような区も幾つか二十三区の中にもありますし、そうかと思うと、新興住宅のところでは平均は一一%だというようなところもあるし、百歳以上も一万六千人という時代になってきたということになってきますと、おのずと、ではそこをフォローアップするのは自治体だけでできるだろうかというと、私は、ここに、どの国民共有財産でやり得るところがあるかというと、郵便局に期待する、そのためにまさに郵便局のフットワークを生かしてもらいたい、こういう思いを持っているんですね。  ですから、今後は、今はサービスというボランティア的な発想なんですけれども、これからは委託事業ということになっていきますと、それぞれ地方自治体の意向や地方自治体との役割分担とか、本来の郵政事業というものが、まずここが基本ですから、これをまた妙に逸脱することもできませんし、これを守りながら、かつ地域のフットワークで、いろいろなサービス、お手伝いということに我々は専念することが今日的ではないかなという思いを持っております。
  157. 横光克彦

    ○横光委員 本当にいろいろな難しい課題があろうかと思いますが、いろいろな知恵を絞って、将来に対する対応をやはり今から考えておく必要があるのではなかろうか。  例えば、今お話がございましたように、東京の職員の方は、それはもう膨大な量の配達をしているわけですから、確かに、到底そんなことなんて念頭にもないだろうというお考えだと思います。しかし、現実には、そういった都会ほど独居老人、いわゆる都会過疎、高齢化過疎が多いわけです。田舎の方はまだ声をかけてくれる。ところが、東京、都会地ではそれが非常に少ない。より切実な問題がこれから起き得る可能性があるだけに、このような提案をさせていただきました。  それでは、次に移ります。  これも先ほどから説明質問が出ましたが、郵便事業が非常に厳しい状況に陥っている。平成九年をピークにずっと赤字体質なんですね。平成十二年度も四百三億円と赤字が予想されている。こういう状況が続きますと、いずれ結局累積利益を食いつぶして累積の赤字になる可能性さえも否定できない状況まで来ている。先ほど大臣は、いろいろな努力をされると、もちろんそれは当然でしょうが、その中で、ことしは選挙があるからとかいうお話もございました。確かにこの郵便物の問題というのは経済と相マッチする、非常に経済的に変動されるものだと思います。そういった意味では、経済が上向けば必ず上向くということは予想でき得るわけですが、それだけで乗り切れるというような状況でもないんじゃないかという思いを私は持っておるんですね。  そうしますと、この二〇〇五年までは据え置くという郵便局ビジョン二〇一〇の提案、あるいは、これまでの大臣そして八代大臣、それぞれ皆さん同じ言葉をおっしゃられております、二〇〇五年まではこのままいくんだと。きょうは、大臣は、そうなればいい、祈っているという返答でしたが、祈っているんじゃなくて、これは国民に対する公約ですから、やはり実行していただきたい。  そのためにはいろいろな回避策を考えなきゃいけないわけですね。まず最初に考えられるのは効率化でしょう。これまでも随分といろいろな形で効率化には努力されてきております。しかし、この効率化ということとユニバーサルサービスサービスの低下ということは一対でございますので、余りに効率化することがサービスの低下につながるようなことになってはならない。やはり、郵便局の経営形態あり方サービスというものはユニバーサルサービスが根底に、基本理念でございますので、そこのところを慎重に図りながらやらなければならない。  それから、これは、郵便料金を上げるというあれではなくて、部分的に見直すところはないのかということなんですね。例えば、各種の種類別の収支を見ますと、やはり第三種郵便物というのが非常に収支がよくない。これがほかのところのあれを食いつぶしてといいますか、ほかの分野が犠牲的になっているというぐらいの状況じゃないかと私は思うんですね。  もちろんこの第三種というのは政策料金だと思います。ユニバーサルサービスという観点からの政策料金だと思いますが、身障者団体等の問題は、当然これはこのまま維持しなければなりませんが、それ以外のところは、この第三種郵便物はやはり余りにも低廉過ぎるのではないかという気がしないでもないんですが、このあたりの見直しということにはどのようなお考えをお持ちか、お聞かせいただけますか。
  158. 前田正

    前田政務次官 先生御指摘のとおり、大変今景気状況も悪いし、郵便物も随分少なくなってきておるところであります。郵便物の大体七割ぐらいがほとんど企業関係のダイレクトメールを中心としたものでございまして、それぞれ、封書からはがきにかわったりしたり、あるいはまた新聞折り込みなんかにかわってみたり、いろいろな形で企業もできるだけ経費節減に努力されている。そういうところの中で、私どもも大きく収益が下がっておるということでございます。  それに向かって、私どもも今、合理化という面も、御承知のとおり、あの七けたの番号制を導入し、あるいはまた、それによる大型の機械を導入しながらできるだけコストを少なくし、そして、常勤の方々よりもむしろ非常勤のゆうメイトの方々なんかも導入しながら、できるだけ節減を図っておるところでございます。  また、私どもも、一方では、サービスも低下をさせてはならないということから、新郵便日数表なんというのもつくりまして、いつ何どきに、何時に、何日に着くか、こういうようなことも積極的に進めています。  また、最近パソコンなどが随分はやってまいりまして、ハイブリッドめーるというものもさせていただいておりますし、また、ゆうパックにつきましても、我々も、午前、午後、夜間から、午前、午後、夕方、夜間というふうな四つの区切りをつけまして、サービス努力をいたしております。  ただいま先生の、第三種が収益として非常に足を引っ張っているのではないか、こういうことでございますが、料金改定はあくまでも二〇〇五年まで据え置くというスタンスのもとで、我々も一生懸命省内挙げて努めてまいりたい、かように思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  159. 横光克彦

    ○横光委員 はい、わかりました。  それではもう一問、ちょっとお尋ねいたします。  携帯電話インターネットの急速な普及、携帯電話、PHSは五千万台を超えた、あるいはインターネットプロバイダーは昨年の十二月末で四千社を超えた、これほどに普及しているわけですね。普及すれば、おのずと料金は低廉化する、サービスも多様化する、そういった状況なんですが、その反面、情報通信に詳しくない一般の消費者、こういった方たちが大変なトラブルに結構遭遇しているんですね。  それはなぜかというと、やはりそういった一般の詳しくない消費者に対する情報提供をする場が余りにも少ないのですね。流れに乗ってインターネットにどんどん加入するということがあっても、その後どういう被害が出るかということまで考えている人はいない。ですから、これからさらにこの普及は広がるだろうし、そうなりますと、さらに被害も広がるだろうという懸念があるわけですね。ですから、今のうちにそういった方たちにも少しでも情報提供の場を与えるべきではないかという思いがしているわけです。  携帯電話を解約したら、これは六カ月以上使っていないから違約金をもらうとか、あるいはプロバイダーの契約のときに、オンライン加入手続のときに、よくわからないもので二回もクリックをしてしまう、そうすると二回分取られるとか、いろいろな苦情等が出ているわけです。国際電話への無断接続、いつの間にか国際電話につながれて、結局、膨大な大変な金額を請求されたりしているわけですね。  ですから、こういったトラブルに関する相談窓口として、郵政省もやっています。国民生活センター、警察、あるいは消費者センター、いろいろやっているけれども、どこに相談したらいいか、なかなかわからないような状況ですね。  例えば郵政省インターネットのホームページの通信のところを探すだけでも大変なんですね。そして最後に、電気通信サービスに関する御相談というところ、ずっと各地区の電気通信監理局の名前が出ているけれども、普通の人はこういうところにはなかなかなじみが薄い。ですから、もうちょっと手っ取り早い形で、そういった人たちに、こうしたときは危ないですよ、こういったときには気をつけるんですよというような情報をやる場があると思うんです。  例えばNTTの電話帳のタウンページ、ここにはインターネット利用に関する注意事項やあるいは情報通信に関する相談窓口の連絡先は現在掲載されておりません。こういうところにもかけられる。あるいは、自治体のガイドブック等にもそういうことも説明できる。郵政省の方も、もっともっとわかりやすいホームページをできないことはない。  テレコムサービス協会というのがあるんです。インターネットプロバイダー等の業界団体ですが、ここにはホームページにインターネット自己防衛マニュアル、非常にわかりやすいのが載っているんですが、これも残念ながら一般に余り知られていない。せめてこれぐらいのことはNTTのタウンページに載せるとか、そういったこともして、国の方も率先してこういった被害防止のために取り組むべきではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  160. 八代英太

    八代国務大臣 御指摘のように、これからはまさにインターネット時代情報通信時代になりますと、当然影の部分も膨らんでいくんですね。こういう法整備も一方でやりながら、セキュリティー関係も含めて、私たち努力は日々怠りなくやらなければならない、こんなふうに思っております。  今ここにちょっとデータがあるんですが、平成九年度通信サービス関係の苦情相談等の受け付け件数が千七十一件だったのですね。翌年の十年度にはこれが倍以上、二千三百七十九件、恐らく昨年度はこれがもっとふえてくる、これからもっとふえていくだろうということになっていきますと、電気通信サービス利用者が思わぬトラブルに巻き込まれる事例というのは、これからふえこそすれ減ることはないだろうということになっていきますと、郵政省では、利用者からの苦情相談等の受け付け窓口を明確化していますが、今御質問がありましたように、煩雑であるということであるとすれば、いろいろ受け付け窓口のどうあるべきかも含めてこれから検討していきたい、このように思います。
  161. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。ありがとうございました。
  162. 前田武志

    前田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会