○緒方
参考人 道路公団の仕事の
仕組みの
本質的なことについて
お尋ねがございました。
国鉄との対比の話がありましたので、御参考までに道路公団の現在の経営
状況をちょっと簡単に
お話をさせていただきたいと
思います。
道路公団の決算
状況、
平成十年の決算を見ますと、収入から管理費と
金利を引きました収支差額が七千五百七十四億円の黒字でございます。収入から必要経費を引いたものがそれだけ余っておりまして、その分を
償還準備金繰入金、つまり借入金の
返済に充当しておるという
状況でございます。収支率五九%。収支率五九%というのは、簡単に言いますと、百円の収入を得るために五十九円の支出で賄っておる、こういうことでございます。国鉄の場合には、破綻をしました最後の年には収支率が一〇〇をも軽く超えておったということでありまして、これは
本質的に違うということをまず御認識をいただきたいというふうに
思います。
過去の
償還の累積額でございますけれ
ども、営業中の高速道路の資産総額が二十六兆二千五百八十五億円あるわけでございまして、これがいわゆる未
償還残高になるわけでございます。これが債務があるというふうに非常に誤解をされるところなんですけれ
ども、これは毎年
償還をして減らしていっているわけでございまして、現に、先ほど申し上げたように、
平成十年では七千五百七十四億円それを減らしているわけでございます。
今まで幾ら減らしてきたかといいますと、七兆五千六百九十四億円を
償還しておるということでございまして、
償還率は二九%。これは年々
償還率がふえてまいっておりますので、順調に
償還をしておるということでございまして、経年的に見まして経営が順調に進んでおる、こういうふうに御理解いただいてよろしいかと
思います。
この公団の
事業のやり方ですけれ
ども、そもそも高速道路というのは国道をつくっているわけでございまして、本来国において整備をするべきものなんだと
思いますが、それを財政事情でありますとか整備促進の観点から借入金でまず建設を行いまして、料金収入でそれを返していく、それを返しました後は国に全部それを引き継ぐ、道路そのものは公団が管理していく、こういうやり方をやっているわけでございます。
そういうやり方でございますので、もともと営利の
事業ではありませんので、国といたしましても一定の責任をお感じいただいておるというふうに申し上げていいかと
思いますけれ
ども、国費をいただいております。どういうことかといいますと、利用者が負担する限度、
資金コストというものを設けまして、料金が余りべらぼうに高くならないようにということで、
資金コストを薄めるということで、現在、三%を超えるものを
政府が見ていただくということでやっております。そういうようなことで、適正な料金
水準のもとで計画的かつ安定的な
事業運営を行うことができるようにしよう、こういう運営をしているわけです。
それで、我々の道路公団としましては、そういう一定の公的負担というものを
前提にいたしまして、そのもとで健全な採算性を確保して、健全な運営ができるように効率化に努力しておる、これが道路公団の経営の一つの
パターンであるというふうに御理解いただきたいと
思いまして、いわゆる第二の国鉄になるのではないかという問題については、
かなり状況が違うということをまず第一に御理解いただきたいと存じます。