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2000-04-21 第147回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月二十一日(金曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 佐々木憲昭君       石原 伸晃君    今井  宏君       大石 秀政君    大野 功統君       嘉数 知賢君    河井 克行君       木村  勉君    栗原 博久君       桜井  新君    桜田 義孝君       塩谷  立君    下村 博文君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       高市 早苗君    高橋 一郎君       西川 公也君    林  幹雄君       桧田  仁君    宮本 一三君       村井  仁君    村上誠一郎君       渡辺 博道君    石毛えい子君       岩國 哲人君    岡田 克也君       河村たかし君    渋谷  修君       末松 義規君    中川 正春君       坂口  力君    並木 正芳君       若松 謙維君    矢島 恒夫君       安倍 基雄君    西田  猛君       鈴木 淑夫君    二見 伸明君       横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    金融再生政務次官     村井  仁君    大蔵政務次官       大野 功統君    郵政政務次官       前田  正君    建設政務次官       加藤 卓二君    政府参考人    (総務庁行政監察局長)  塚本 壽雄君    政府参考人    (大蔵省理財局長)    中川 雅治君    政府参考人    (文化庁次長)      近藤 信司君    政府参考人    (厚生省年金局長)    矢野 朝水君    政府参考人    (郵政省貯金局長)    團  宏明君    政府参考人    (郵政省簡易保険局長)  足立盛二郎君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    政府参考人    (住宅金融公庫総裁)  伊藤 博行君    政府参考人    (国民生活金融公庫総裁) 尾崎  護君    政府参考人    (日本政策投資銀行総裁) 小粥 正巳君    参考人    (日本道路公団総裁)   緒方信一郎君    参考人    (石油公団総裁)     鎌田 吉郎君    参考人    (石油公団理事)     齊藤 眞人君    参考人    (本州四国連絡橋公団総裁    )            藤原 良一君    参考人    (都市基盤整備公団総裁) 牧野  徹君    参考人    (雇用能力開発機構理事    長)           七瀬 時雄君    参考人    (電源開発株式会社代表取    締役社長)        杉山  弘君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   河井 克行君     嘉数 知賢君   桜井  新君     栗原 博久君   下村 博文君     木村  勉君   高市 早苗君     桧田  仁君   宮本 一三君     今井  宏君   村井  仁君     高橋 一郎君   仙谷 由人君     渋谷  修君   中川 正春君     石毛えい子君   谷口 隆義君     坂口  力君 同日  辞任         補欠選任   今井  宏君     宮本 一三君   嘉数 知賢君     田中 和徳君   木村  勉君     下村 博文君   栗原 博久君     桜井  新君   高橋 一郎君     村井  仁君   桧田  仁君     高市 早苗君   石毛えい子君     中川 正春君   渋谷  修君     仙谷 由人君   坂口  力君     谷口 隆義君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     河井 克行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  資金運用部資金法等の一部を改正する法律案内閣提出第五八号)     午後二時開議      ————◇—————
  2. 金子一義

  3. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 金子一義

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
  5. 上田清司

    上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。  参考人方々には、御多忙のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。時々、退席をされても自由です。どうぞということを申し上げますので、その時点で御退席いただいて結構でございますので、よろしくお願いします。  それでは早速ですが、今回の財投改革に関連するこの法案は、極めて意欲的で、あるいは五十年に一度の改革かなというように私個人としても大変高く評価しているところであります。方向性において基本的に間違っていない、そういう思いもございますが、今までの議論の中で、市場原理に任せるだけで本当にいいのだろうか、政治の判断というのも必要ではないか、そんな思いもいろいろございまして基準を求めておりましたが、まだ十分出ておりませんので、きょうは、出口の財投機関のそれぞれの責任者方々においでいただきまして、率直な御感想や率直な意見を賜りたいというふうに思っております。  くれぐれも、あいまいな、あるいは答弁にならないような答弁はなさらないようにお願いしたいと思います。審議がストップしてしまいまして、きょうは金曜日でございますので、同僚国会議員皆さんに御迷惑をかけますので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは早速ですが、私から見ますと、市場原理が余り働かないのではないか、こんな思いがございます。財投機関債発行して、そして本当に資金調達ができるのだろうか、そういう思いがございますので、まず雇用能力開発機構七瀬理事長にお伺いしたいと思います。  ここには既に、いろいろ債務残高について物の考え方がございますが、これまで、平成十年度末で、数字として七千四十億の債務残高があり、税金投入額が三千八十五億ございます。この債務残高償還しながら、なおかつ資金調達市場に求めて現に運営できるような体制が検討をされているかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  6. 七瀬時雄

    七瀬参考人 お答え申し上げます。  雇用能力開発機構は、雇用問題あるいは能力開発問題について、国のいわば指示を受けまして、あらゆる角度から緊急雇用対策等々を通じて事業をやっておりまして、それにあわせて、これまで福祉施設関係についてもいろいろと投資してまいっております。  そういう雇用問題の一環の中で、私どもが行っております中に雇用促進融資というのがございまして、この雇用促進融資財投資金を賄っております。  この雇用促進融資は、本来の趣旨として、中小企業皆さん長期低利資金を提供するという趣旨でございますので、仮に、調達コストを通じて貸付金利民間の、市場金融機関金利より高いというようなことになりますと、本来の政策目的を達することができませんので、そういった制度本来の趣旨を達成するために調達金利が高くならないようなやり方でやっていかなければいかぬ、そういう視点から関係当局と協議してまいりたいというふうに思っております。
  7. 上田清司

    上田(清)委員 理事長大蔵委員会での論議の中身についてよく知っておられるかどうかはわかりませんが、ここでの議論は、原則財投機関債でいこう、そして過渡的に政府保証債もあり得る、そして、そういうことも絶対的に不可能な場合にやむを得なく財投債、つまり特会の方から融資を受ける、この三つ選択肢だということを大蔵大臣は御答弁されておられます。雇用能力開発機構、旧雇用促進事業団でありますが、理事長のところではどのパターンだったらきちっと運営できるのでしょうか、今申し上げました三つ選択肢でありますが。
  8. 七瀬時雄

    七瀬参考人 三つパターンについて国会で重要な論議が行われていることは承知いたしておりますが、私ども、そういう政策目的長期低利という融資制度を担うことを実務としてやらせていただいている立場からすれば、ともかく調達コストが高くならずに、それが貸付金利に響かないような形であってほしい、こういうふうに考えております。
  9. 上田清司

    上田(清)委員 そういうのが長くなってくると、どうしても審議ストップして御同僚皆さんに迷惑をかけちゃうんですが。  私も思います、多分、利子補給なりなんなりを政策的にやっていかなければ不可能な形になるのかなと。調達の格付なりなんなりを高い金利できちっと応対しなければ債券を購入してくれる人もいませんから、そういう形でいく。そうすると、調達金利が高いですから、当然、長期、低金利融資することは不可能だと思いますので、ここは難しいかなというふうに思いますが、率直に、雇用能力開発機構では、今回の財投改革が行われた後、この法案が通るということを前提にしたときに、どのように考えておられるのか、もう少し明確にお答えしていただきたいと思います。
  10. 七瀬時雄

    七瀬参考人 ちょっと繰り返しになって恐縮でございますけれども調達金利というものが高くならないという形を申し上げておりますので、いろいろな分類の中で、調達コストが安い形というのが私どもの求める姿でございます。
  11. 上田清司

    上田(清)委員 要するに、財投機関債は無理ですねということを言っておられるのと同じだというふうに私は思いますが、それでよろしいですか。
  12. 七瀬時雄

    七瀬参考人 いろいろと議論していくと、どうしても、実際に雇用促進融資を続けていくときに、そういう形でお願いしていく必要があるのかなとは思っております。
  13. 上田清司

    上田(清)委員 ぜひ最初からそのような御答弁をいただきたいと思います。  理事長、恐縮です。御都合がありましたら、どうぞ御退席されても結構でございます。  それでは次に、公的金融機関関係仕組み等々について確認をさせていただきたいと思います。  私が資料をそれぞれ要求しましたところ、日本公的金融市場は、全体の市場の中で約三割ぐらいを政府部門公的セクターが担っているわけでありまして、ますますこの傾向が強くなっておりまして、まさに金融部門は社会主義化しているのかと思われるような状況になってきております。もちろん、先般来の大変な金融危機の中で、公的金融機関の見直し、改めて見直されたというのでしょうか、高い評価もいただいたところもございますが、いずれにしても、公的金融機関がこのような形で大きく拡大することが果たしていいことかどうかという議論も当然しなければならないという意味で、過去の債務状況を確認いたしました。  例えば、ほとんどこれは十年度末でありますが、農林漁業金融公庫一千百三億、社会福祉・医療事業団百三十七億、沖縄開発公庫三百三十六億、国民生活金融公庫、これは環衛分を含めて三千八十一億、中小企業金融公庫二千六百三十八億、商工組合中央金庫四千五百五十七億、中小企業総合事業団一千三百八十二億、住宅金融公庫三千三百七十二億、このように日本を代表する公的金融機関債務残高が大変ふえております。俗に言う延滞債権というふうな定義が行われておりますが、これも私から見れば債務残高ではなかろうか。  いろいろ御判断、反論はあるかと思いますが、とりあえず聞いていただきたいと思います。  そこで、きょうお呼びしておりますところの、まず国民生活金融公庫総裁お尋ねをしたいと思いますが、国民生活金融公庫は、過去に債券発行やそういうことはなさっていなかったというふうに思っておりますが、今度、財投機関債中心にお願いをするという形を基本的に政府原案の中で表明されておりますが、総裁のお立場ではどのように考えておられるか、率直な御意見を賜りたいと思います。
  14. 尾崎護

    尾崎政府参考人 国民生活金融公庫は昨年の十月一日に発足したわけでございますが、その際に、国民生活債券発行する能力が与えられまして、債券発行能力を初めて持ったわけでございます。  十二年度におきまして一千億円、これは政府保証債として、国民生活債券発行する予定となっております。私ども、これは初めてのことでございますので、これまで全然経験がございません、一生懸命勉強して、つつがなく発行していきたいというように思っております。  先生よく御承知のとおり、国民生活金融公庫一般金融機関から資金の融通を受けられないような国民大衆対象にいたしまして資金供給することを役割といたしております。これまで、低利かつ固定長期ということで資金供給をして、中小企業方々のお求めに応じてきているわけでございます。政策面はそういう意味で非常に政策的な金利決定になっているわけでございます。これまで全面的に財投資金におんぶした形で運営してまいりましたが、それでも補給金をちょうだいしているというのが現実でございます。  したがいまして、今度の新しい試みであります新しい資金調達の仕方と、それから私どもに課されております、中小企業者低利で、長期で、そして固定という金利、そういうようなことで資金供給をしていくという役割、それから補給金の問題、それらのことを一体どういうように組み合わせて考えていったらいいのか。来年度の財投要求については、その点をよく御相談を申し上げて決めていただくようお願いいたしたいと考えております。
  15. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。基本的に、私は、この国民金融公庫も、何らかの形でいわば政府補給金補助金税金投入がないと難しいところかなというふうに思っておりますが、この点については、今後、外に向かって資金調達していくという過程の中で、税金投入は要らないというような方向になっていくのでしょうか。この点についてお伺いしたいと思います。
  16. 尾崎護

    尾崎政府参考人 もしも補給金がいただけないというような方向に進んでいくということになりますと、これは貸出金利を上げなくてはならないということになるわけでございます。そこを中小企業対策という政策目的との関係でどのようにお考えになるのか、それは政府の御決定になることと思っております。
  17. 上田清司

    上田(清)委員 お聞き及びだと思いますが、かなり政策的な、政治的な判断が、基本的にこういう国民金融公庫を、特別な零細中小向け融資をしなければならないときに、市場原理だけで決めていく仕掛けが本当にできるのだろうかというふうな懸念を私は感じ取ったわけでありますが、同じような御答弁を繰り返していただいても仕方がありませんので、もうひと方、住宅金融公庫伊藤総裁お尋ねをいたします。  住宅金融公庫も、平成五年当時の延滞債権率などから比べますと、平成十年度はもう十倍にふえております。もちろん、ゆとりローン償還の時期と重なり、あるいは不況と重なり、不良債権化をする率が大変高くなってきておりまして、さる外資系のアナリストの分析で、これはエコノミストの九八年二月十七日号ですが、不良債権が潜在的に二十七兆だ、こんな論文などもございまして、今この議論をする時間はございませんが、私も、住宅金融公庫の果たしてきた役割というのは大変大きいのですが、反面、これから少子化社会とか客観的情勢からすると、その役割というものが相当小さくなっていくのではなかろうかというふうに思っております。  そういう意味では、市場に聞くことがまさしく可能な、そういう分野の一つであるかなというふうに思っておりますが、財投機関債という形の中で新しい仕組みをつくられることについてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  18. 伊藤博行

    伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のように、延滞債権が近日少しふえておるという点につきましては、仰せのとおりでございます。  ちなみに、平成十年度で見てまいりますと、約三千三百億強になっております。これが少し前に比べますと、仰せのようにかなりの率で伸びておりますが、ただ幸いなことに、私ども融資残高が約七十二兆円ございます。そういう貸出残高との対比で申し上げますと〇・四七%というところで、先ほどお話にありましたどなたかが試算されたというような額とは大きな差がございます。  実質的に私ども融資をいたします対象といいましょうか、物の考え方といたしまして、比較的所得の中あるいは低の人を中心にしてお貸しするわけでございますけれども、やはり返していただくということが前提のものでございます。したがって、お貸しする場合にも、ただ貸せばいいということではなくて、お貸しするときに、その方の事情あるいはライフサイクル等々もいろいろ御相談に応じながら、適当な額をお貸しするということでやってきておるつもりでございますし、今後ともそのようにやってまいりたいというふうに思います。  ただ、住宅金融特殊性といいましょうか、非常に多額のお金がかかります。年収の何倍というお金が要る。それからまた、それだけに長期にわたって返済をしていただくといいましょうか、返済期間が長くなってまいります。そういうときに、返済の計画を立てやすくするというためには、長期固定かつ低利というのがやはりこういった融資の大原則になっていくだろうと思います。  現在もそういう前提で必要な方にお貸ししておりますけれども、御案内のような非常に金利変動が大きい中で、例えて申しますと、繰り上げ償還が、今のような金利の非常に低いときになりますと、かつてのお貸ししたものが戻ってくるというようなこともございます。  しかし、私どもといたしましては、だからといって融資制度変動にするというわけにはまいりません。やはり一人一人の生活設計という点からいきますと、将来の、長期にわたるお金をお貸しするという点からいけば、長期固定というのはぜひとも維持していかなければいかぬ。そういうようなことの結果といたしまして、現在でも一般会計から補給金等をちょうだいしておりますけれども、こういう本質的なところはやはり将来においても基本的には変わらないという感じでおります。  私ども公庫として、融資対象を今と全く同じでいいかどうかという問題はございますけれども、いろいろなアンケート調査等を調べてみましても、基本的に現在の住宅に対する不満度といいましょうか、そういった問題、それから住宅の質の向上といった問題、あるいは最近の大きな流れといいましょうか、町づくりそのものに対してどう考えていくかといったような、そういう政策課題考えていきますと、住宅融資という問題は今後ともなおざりにできない課題であるというふうに考えております。  そういう意味で、そういう目的を達成するためのお金といたしましては、やはり長期固定低利というのに見合った資金調達ができるようなことを考えていかなきゃならない。具体的には、財投機関債も含めまして、いろいろな手段の中で、可能な限り低くするという前提のもとに、しかし従来いただいておりますような補給金等の交付も十分、ミニマムにする努力はいたしますけれども、そういうものも念頭に置きながら政策目的の達成に努めてまいりたいというふうに考えております。
  19. 上田清司

    上田(清)委員 尾崎総裁、どうぞ、お忙しいことであれば御退席されても結構でございます。  伊藤総裁お尋ねしますが、資金需要は毎年十兆円程度ですね。ところが、御承知のとおり、任意繰り上げ償還額が年々ふえておりまして、平成十年度で六兆七千億を超えております。実質的に、こんなに資金需要がない状態になっているのじゃないでしょうか。  つまり、別の言葉で言えば、住宅金融公庫ローンというものが必ずしも国民にとっていいものではなくて、負担になっている、したがって民間金融機関等々と借りかえをやっておる、こういう実態が如実に出てきているのではないでしょうか。この件について、どうでしょうか。
  20. 伊藤博行

    伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  繰り上げ償還かなりの額ふえておることは、先生指摘のとおりでございます。ただ、これは、近時における市場金利が相当の程度で低下しておる、このこと自体かなり異常であろうかと思います。  任意繰り上げ償還そのこと自体は、金利が一定の水準、リーズナブルな水準にある場合でも生じております。具体的には、例えばボーナスが入れば、予定しておりましたときの償還期間を少しでも縮めるとか、あるいは将来の返済額を少なくするために償還するというようなことで、任意繰り上げが生ずることはどんな場合にもあり得るわけですけれども、近時の任意繰り上げの額というのは、先生指摘のようにかなり異常でございます。これは、専らと言っていいかと思いますけれども、最近の異常低金利というものを反映してのものであろうというふうに考えております。  これが、経済が正常化したもとにおきましては、本来のところに戻っていくのではないだろうか。そう申します根拠は、住宅金融本質、先ほど申し上げましたように、かなり大きなまとまった額が要るということと、それを長期にわたって返済しなきゃならぬというこの本質はやはり今後とも変わらないだろうという意味で、将来におきましても住宅金融というのは必要であるというふうに考えております。
  21. 上田清司

    上田(清)委員 その原因やよしということですので、これは財投機関債で勝負ができるという仕組みでしょうか。
  22. 伊藤博行

    伊藤政府参考人 財投機関債資金の一部になり得るとは思いますけれども、やはり我々としましては、長期という部分、それから政策目的でいろいろ考えておりますところを実現していくためには低利という部分の要請も満たしていかないとまずいと思います。  そうしましたときに、これまでですと政府借り入れのみでやっておりましたけれども、これからの方向としては、財投機関債を含めていろいろな手段の中でコストミニマムにする、私どもの運営のコストミニマムにするという方向考えていくということになろうと思います。
  23. 上田清司

    上田(清)委員 ちょっと含みのある御答弁でしたので、また改めてお聞きしたいと思います。  ところで、次に、過去に債券発行したことがある、あるいはまた発行し続けている関係特殊法人方々もおいでになっております。  住宅金融公庫も、実は今お話にちょっとございましたように担保証券を第四・四半期に発行される予定で、五百億でございますね。それから、政府保証債発行も六千億される予定になっていると聞いておりますが、これは、特に六千億に関しては政府保証債ということですが、この次にさまざまな形で政府保証債なしでやられるということは考えておられますか。
  24. 伊藤博行

    伊藤政府参考人 私ども公庫の財務の特質といたしまして、公庫といういわば一つの経営体そのもののトータル資産をどう考えるかという問題と、それから個々のローン中心とする資産をどう考えるかという問題とございます。  我々の率直な感じといたしましては、いわば資産を担保にするという部分が一つの可能性としてあり得る。そうでないものにつきましては、やはり政府保証がないとなかなか消化できないだろうし、調達するコストもべらぼうに高くなるのじゃないかという感じはしております。  その資産担保証券につきましても、先生御案内のように、これまでのところ日本市場にはほとんど例がございません。民間金融機関で若干例はございますけれども、額は限られております。言うなれば市場のない世界でございまして、今年度の予算で五百億円という予算が計上されておりますけれども、私ども、ある意味では非常な緊張感を持って中で勉強しております。  今までにない、十兆というオーダーの中からいきますと、五百億というのはいかにも小さいような印象を与えますけれども、やはり市場そのものがないところへそういうものを出していくということについては、いろいろな形の課題がございます。そういうのを中でいろいろ勉強しておりますが、率直に申し上げまして、非常に真剣にといいましょうか、ある種の緊張感を持って勉強しておるというのが実態でございます。
  25. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  担保の部分に関していえば、資産ということで、あるいは政府保証なしでも可能かなというようなお話で、それ以外はなかなか難しいかなというふうに私は受けとめました。  そこで、日ごろから、旧開銀時代、開銀と北東公庫が一緒になって日本政策投資銀行という形になりまして、いわば資産はそれこそ道路公団や住都公団とかに比べれば薄いというふうに思いますが、一方では、バランスシートのすばらしさというのでしょうか、極めて優良な経営をなさっておられますし、内部留保金もたくさん持っておられるがゆえに、北東公庫の債務を引き受けて合併されたという経緯を持っております。  日本政策投資銀行は外債も発行されておられますが、まさにそういう意味では外に向かって、市場に向かって資金調達するということに関しては先達でございますので、代表してお呼びしたような次第であります。  日本政策投資銀行は、今後、財投融資なしで市場だけで、もちろん融資されるわけですから営業の中で利益を得ていかれるわけですけれども、そういう中でも資金調達もできるわけですけれども、そうじゃなくて、まさに融資がなくても、財投機関債のみでできる極めて有力なところではないかなというふうに私は思っておりますが、この考え方でよろしいでしょうか。
  26. 小粥正巳

    ○小粥政府参考人 お答え申し上げます。  まず、私ども日本政策投資銀行はこれまでに債券発行の経験があるというお尋ねでございます。  確かにございますが、簡単に申し上げますと、北東公庫と合わせまして外債及び国内債をある程度発行しております。ただし、これはすべて政府保証つきでございました。なお、今年度、十二年度につきましても、政府保証つきで外債千九百億、国内債二千億という発行のいわば枠をいただいておる、そういう状況でございます。  そこで、ただいまのお尋ねでございますけれどもお尋ね財投機関債政府保証なし、こういう前提と理解をいたしまして申し上げますが、まず、今次の財投改革趣旨というものは、財投機関の運営効率化へのインセンティブを高めるために財投機関債を積極的に発行すべし、各機関は最大限の努力を行うとされていること、これをよく私ども承知をしております。したがいまして、私ども、このような財投改革趣旨を踏まえまして、財投機関債発行前提といたしまして現在鋭意準備を進めております。まず最初にこのことを申し上げたいと思います。  ところで、私ども、先ほど申し上げましたように、政府保証つきの債券発行の経験はございますが、政府保証なしの債券の経験は実はございません。そこで、先ほどもちょっとお話がございましたけれども、現在の債券市場を見ておりますと、政府保証なしの機関債の市場というものはほんのわずかな例を除いてはまだございませんから、私ども発行を今考えておりますけれども、恐らく、これに対して応募をする投資家の立場から申しますと、第二次市場がほとんどできていない、その点が大変問題であり、今後十分育成をしていただきたいというところが一つございます。  それから、私どもは、業務の性格上、政策的に必要な、特に非常に期間の長い長期のプロジェクトに対しまして、長期原則は現在固定でございますし、民間に比べて相対的に低利資金供給を行うことを業務としておりますから、当然、資金調達もそれに見合ってできるだけ長期資金調達が必要でございます。ただ、現在の債券市場を見ますと、国債、政府保証債、この二つの債券を除きますと、長期債の市場というものはやはり現在のところはかなり限界があるな、そういうふうに感じております。  それから、当然、市場のことでございますから、金融経済情勢いかんによって市場の受け入れ方がその時々でかなり違ってくると思います。したがいまして、私ども財投改革趣旨に従いまして、財投機関債発行する前提で現在一生懸命準備をしていると申し上げました。  そういうことでございますが、何分未経験ということでもありまして、今申し上げました、現在の債券市場で我々がどうやって効率的な資金調達をしていけるか、これはやはり市場といわば折り合いをつけながら、市場にできるだけなじんでいきながらできるだけの努力をしていきたい、私どもとしては現在まずそういうスタンスでございます。  ただ、財投機関債発行する前提と申し上げたわけですが、お尋ねにございましたように、しからば、私どもが行っております社会的に有用な、政策上必要な、原則として長期のプロジェクトに安定的な低利資金供給しなければいけない、その資金調達市場状況にかかわらず安定的に常に財投機関債によるということは、これはやはり私は当然限界があるだろうと思っております。  したがいまして、今後、あくまで財投改革趣旨を踏まえながら財投機関債を私どもとしてできるだけ実現していく。しかし、それ以外の資金調達手段についてもやはり幅広く検討させていただかないと、私どもの業務は十分に達成できないだろうと思います。  ただし、繰り返しますが、財投改革趣旨を十分踏まえてやらなければいけないことはよく承知をしておりますし、資金調達手段の検討につきましては、これも当然でございますが、当局とも十分相談をし、かつ、市場関係者の意向も十分踏まえながら私どもとしてはこれから市場に入っていく、そういう努力を現在かなり進めつつある、こういうことをお答え申し上げたいと思います。
  27. 上田清司

    上田(清)委員 通告はしておりませんが、現在、日本政策投資銀行が必要とする資金需要の中で、市場に求められた外債あるいは政府保証債のパーセンテージは、雑駁で結構でございますが、どのぐらいなんでしょうか。
  28. 小粥正巳

    ○小粥政府参考人 これまでの債券発行実績でございますが、今手元にございます数字を便宜申し上げます。平成七年度から十一年度まで……(上田(清)委員「一番新しいところのシェアを」と呼ぶ)一番最近ですと、私ども日本政策投資銀行になりましてから外債を一本だけ、約八百億出しております。  私ども資金需要は、現在精算中ですが、統合後、平成十一年度になりまして一兆六千億ぐらいでございましょうか、貸し渋り対策需要がかなり落ちましたので。そういたしますと、例えばフローで年間一兆六千億の資金供給をしている、その中で日本政策投資銀行としましては外債が一本、約八百億でございます。十一年度は実は前半が北東公庫と分かれておりますので、大変恐縮ですが正確ではございません。  ただ、平成十二年度予算におきましては、政府保証外債千九百億、それから政府保証国内債二千億、合計三千九百億の枠をいただいておりますが、十二年度の私ども財投計画上の予算は二兆三千億でございますから、二兆三千億のうち三千九百億、こういうオーダーでございますので、概算で全体の一五%程度になりましょうか、現在はその程度の、しかも政府保証つきの発行を計画している、そんな状況でございます。
  29. 上田清司

    上田(清)委員 仮定の話で恐縮ですが、実はその三千九百億、私も数字は押さえておりましたけれども財投機関債前提にできるだけの努力をしたいという強い意思を感じたところでもありますが、どのぐらいまでのパーセンテージを可能とするか、そういう御検討というのは内部でされたのでしょうか。
  30. 小粥正巳

    ○小粥政府参考人 先ほど申し上げましたような状況でございますから、私ども、具体的に発行するとしますと、来年の四月から始まる新年度で、あと約一年ございます。今私どもが努力をしておりますのは、一つは、証券会社を含む市場関係者の意向をよく聞きながら、政府保証なしの我々のような性格の財投機関債市場でどのように評価をされるか、そこが一つの大きなポイントであろうと思います。したがいまして、先生お尋ねでございますけれども政府保証債発行実績はこの場合には直ちにどうも参考にはならないように思います。  したがいまして、繰り返しになりますけれども、やはり初めての経験でございますので、市場に何とか受け入れてもらうための慎重な、しかし積極的なアプローチをしていく。具体的に市場がどのぐらい受け取ってくれるだろうか、申しわけございませんが、今はそういう市場の評価というものを私どもは非常に大事なポイントと考えまして、したがいまして、いやが上にも、私ども、昨年、日本政策投資銀行法によって新たにスタートしたわけでございますが、財務内容の健全性を一層高める、それを対外的にディスクローズする、その点にとりわけ力を入れまして、市場からの評価を高める努力をこれまで以上にしなければいけない。  申しわけございませんが、どうも量的な検討は、いかにも申し上げる用意がございませんが、その点はひとつお察しいただきまして、私どもの今後の努力をひとつ見守っていただければと思います。
  31. 上田清司

    上田(清)委員 極めて誠実な対応をありがとうございました。  伊藤総裁と小粥総裁、お急ぎでありましたら、どうぞ御退席いただいても結構でございます。  それでは、石油公団の鎌田総裁にお伺いいたしますが、こちらの方もまた債務の償還の問題についてはいろいろ見方がございますが、金額では二兆四千七十九億、十年度で債務残高がある。そして、一般部分と備蓄の部分と分かれておりますが、合計で税金が三千六百三十六億投入されております。一般会計部分では七百二十二億、こういう数字をいただいております。  まさしく石油政策、この部分も国策でございますので、市場に必ずしもなじむものかどうかということに関して若干私は疑念を持っておりまして、同じように債券発行している日本政策投資銀行、あるいはこれからすぐにでも債券発行しようとしている住宅金融公庫と、ちょっとまた担保とかそういう部分で事情が違うのではなかろうかということで、あえてきょうお越しいただいたような経緯がございますが、ずばり聞きますと、これから政府から補給金なしできちっと公団の運営というのはやっていけるのかどうか、まずこの点を。
  32. 鎌田吉郎

    鎌田参考人 石油公団につきましては、国から二つの任務を与えられております。一つは石油の探鉱開発の促進でございまして、もう一つが石油備蓄の実施でございます。先生の御指摘は後者の点であるという理解でよろしゅうございますでしょうか。  備蓄部門におきましては、現在、十一年三月末の債務残高で約二五%、五千九百五十六億円を財投資金にお願いいたしております。用途といたしましては、国家備蓄原油の購入資金や国家備蓄基地の建設資金等の一部に充当しているということでございます。  私どもの現在の状況についての評価でございますが、低利かつ長期財投資金でございます。国家備蓄というのは継続性及び安定性を絶対に必要とする事業でございますので、財投資金というのは大変ありがたい存在だというふうに考えておる次第でございます。  そういった中で、今後の資金調達のあり方ということでお話ししてよろしゅうございましょうか。  特に今、財投機関債の話がいろいろと出ておるようでございますので、その面でちょっとお話しさせていただきますと、確かに、先生今御指摘ございましたように、石油公団が行っております備蓄事業は、国民生活の安定に資するためのエネルギーの安全保障を目的といたしておりまして、いわゆる収益目的のものではございません。そういった意味で、事業の収益性に着目して行われます市場の評価を資金調達の面において受けると、相当厳しい面があるというふうに考えております。  仮に政府の信用を背景とせずに、石油公団が石油公団の力だけで債券発行した場合に、必要な額の資金調達できるかどうか、あるいは金利も相当高くなるのではないかとか、いろいろ私どもとしては困難な事態が予想されるわけでございます。そういった意味で、これは慎重に考える必要があると思いますが、ただ、そういいましても、全体の資金調達の中で、どういう資金源にどの程度依存していくかということとか、金利負担が上がることによる備蓄コストの増大をどう考えるか、今私どもは備蓄コストの低減に一生懸命努力しているところでございますけれども、そういった流れの中で、そういう問題との兼ね合いをどう考えるかという、いろいろ多面的な検討も必要だと思いますので、現在、そういった意味で慎重な検討を進めているところでございます。  以上でございます。
  33. 上田清司

    上田(清)委員 その検討の内容をお知らせしていただくわけにはいかないでしょうか。財投機関債でもやっていける、あるいはやっていけないとか、政府保証がないと苦しいとか、基本的な方向性だけでも教えていただければありがたいのですが。  極めて大事な議論なもので、そういう方向性をぜひ教えていただきたいということできょうお越しいただいておりますので、確かでなくても結構ですが、まさしく先ほど政策投資銀行の総裁が述べられたように、そちらの方向で検討はしているとか、そういうことが実は参考になる意見で、まさにきょうは参考人としておいでいただいておりますので、ぜひ教えていただきたいのですが。
  34. 鎌田吉郎

    鎌田参考人 現在、まだ慎重に検討中でございまして、結論が出ておりません。そういった意味で、機関債を含めて検討しているという言い方になるのかもわかりませんけれども、ただ、私どもの現段階における印象といたしましては、ただいま申し上げましたように、国家備蓄事業の実施という事業の性格からいいまして、財投機関債の導入には公団の場合、大きな限界があるのではないかというふうに考えております。
  35. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。鎌田総裁、お帰りになっても結構でございますので、どうぞ御自由にしていただきたいと思います。  それでは建設政務次官、大変お待たせをいたしまして申しわけありません。所管の関係のところからまたお伺いをいたしますので、ぜひお聞きをしていただきたいのですが、まず都市基盤整備公団の方からおいででしょうか。申しわけありません、どうぞ近場の方に。体調不十分なところをわざわざお越しいただきまして、ありがとうございます。申しわけありません。  日本住宅政策を支えてきた有力な事業体として、これまで大変な努力をなさってこられたことを高く評価するところでありますが、住宅賃貸、建物の部分を今度は削減というのでしょうか、外して、いわば再開発事業等々を中心に衣がえをされるという仕組みになってまいりました。まさに大変リスキーな仕事かなというふうに私は思っております。  もちろん地べたや物がございますので、そういう意味では担保がしっかりしている。そういう点で、今回の財投機関債の問題については比較的クリアできるような仕組みがあるのかなというふうにも思ったりもしておりますが、都市基盤整備公団として今回の法案についてどのように受けとめて、どのような御検討をされて方向性が出てきているのか、率直に語っていただければありがたいと思います。
  36. 牧野徹

    牧野参考人 ちょっと見苦しい格好で失礼いたします。  ただいま委員指摘の、昨年の法律改正で住都公団が廃止され、当公団が都市基盤整備公団になったところの御認識について、若干私なりに申し上げさせていただきたいのは、ただいま先生は、住宅は、俗語で言いますとさようならで、後はいわゆる都市基盤整備に転身される、リスキーだというふうな御発言だったかと思いますが、実は住宅にも二通りございまして、分譲住宅と賃貸住宅がございます。  私どもは、昭和三十年、日本住宅公団の発足以来、全部で百五十万戸ぐらいの住宅供給しておりますが、その中で分譲住宅は大体三十万戸だと思います。それから、民間の方に賃貸にしてくださいよという意味で分譲する住宅がある。最後に、私どもが直接、公的賃貸住宅として管理している住宅が現在約七十四万戸あって、二百万人の方が居住になっている。こういう姿の中で、昨年の法律改正で私どもが撤退すると決めましたのは、分譲住宅部分でございます。  それで、分譲住宅も、いわば駅前一等地を買って戸建てを建てて、民間と競争して売り抜ける、これは絶対にやらない。ただし、今おっしゃられたような市街地再開発ですとか、七十四万戸の賃貸住宅の中にも、大変老朽化しているので今建てかえを進めております。建てかえますと、今までは私どもの賃貸住宅にお住まいの方が、ついの住みかは自分のうちで住みたいというので、何%かは持ち家を希望されます。という意味で、分譲も、全面と言いますが、それは今申し上げたようなケースなんで、再開発とか建てかえに伴っては若干ございます。  それと、賃貸住宅も、今までは、言ってみれば昭和三十年以来どんどんつくってまいりました、俗語で恐縮ですが。ただ、今後は、やはり日本の人口動態等を考えれば、一言で言えば都市に戻る、都市の再開発を進める中で、例えば都心居住等の賃貸住宅供給していく、こういう仕事になったというふうにぜひ御理解を賜りたいと思います。  そういう、今くどくどと恐縮でしたが申し上げたような仕事を遂行していく中で、私どもは、事柄の性格上——といいますのは、賃貸住宅は七十年で元利を償還する、それから面的整備事業は、これは平均値で恐縮ですが、二十九年数カ月、アバウトで言うと事業の終結まで三十年かかります。ということでございますので、当然ながら、必要とする資金調達については、今まで長期安定的な、かつ低利のものとしてまいりました。ただ、その中でもいろいろな御指導がございまして、もちろん政府保証債ですとか、あるいは単純な民間借り入れも行ってまいって、若干ふやしております。  そこで、おただしの、今回の財投のいわば抜本改革に当たって財投機関債というお話がございますので、私どもも今、十三年度の当公団の資金調達をどうしたらいいか、大変幅広く真剣に検討を行っております。その際に、個別にどこが幾らというほどまでは申し上げる段階にはございませんが、ぜひ私どもも、今申し上げました、残額でいうとたしか八千億弱の政府保証債もございますし、民間借り入れもアバウトで言うと三千億ぐらいございます、全体で資金スケールは十四兆幾らでございますが、そういう経験も生かしながら、財投機関債についても、その一環として十分検討をしてまいりたい、かように考えております。
  37. 上田清司

    上田(清)委員 申しわけありません、もう一点。  今、意欲的なお話をお伺いしましたが、ここもいわば最高に近いぐらい税金を投入している機関であります、住宅整備公団以来。今、委員の皆様方、閣僚の皆様方にはお手元に、税金投入額ランキングというので二位になっておりまして、九八年度末で五千二百八十八億、こういう数字、これは日経ビジネスの九九年の九月二十七日号に出ていた数字、資料でございますが、多分これはそんなに間違っていると思いません。  この政策的な意味合いを持つ住都公団に税金を投入しなければやっていけないのか、こういう批判が常にあります。もっとうまくできるのではなかろうかと。民間と同じように都市再開発をし、あるいは民間と同じように住宅を分譲し、あるいは賃貸をし、では、民間に税金が投入されているかという話になってくると、されていない。いろいろな形での、住宅金融公庫なんかの事実上の利子補給だとかそういうのはありますが、そうじゃないということを考えれば、この部分に関して取っ払っても今後やっていけるのかどうかという御認識について、お伺いしたいと思います。
  38. 牧野徹

    牧野参考人 先ほど長々しく申し上げた中で、新公団になるときの基本哲学の一つは、日本の人口問題を考えて都市に戻る、外延的拡大をしないということを申し上げましたが、実は基本セオリーは二つございまして、もう一つは、民間で完全にできるものからは手を引く。その具体的な例が、例えば分譲住宅撤退、三十万戸を供給してきましたがやめる、こういうことでございますので、ただいまの先生の御質問に即してお答えすれば、民間でできるものを私どもの公団で競争してやる気はございません。ですから、賃貸住宅に即していえば、やはり都心にお住まいになりたい、通勤難を避けたい、こういう御要望が中堅層等にある場合に、土地を取得してまでもやはり適正な優良賃貸住宅を確保するという意味からいいますと、実はその土地を確保する際にも無利子の資金政府の方から出資金という形でちょうだいしたい。  それから、先ほどお挙げになった数千億の中には、実は平成十年の経済対策の中で、焦げついているというか、地上げ地がどうも動かない、おまえのところでいろいろノウハウもあるから、お金を渡すから、それを買った上で大いに敷地整序を苦労してくれと。その上で、民間にもちろん原則売り渡します。そういうものの出資金も二千億、その後二百と百五十で二千三百五十億、出資金の中では私どもはちょうだいをしております。  それから、賃貸住宅と同時に並ぶ面的整備の方でございますが、実は、先生もおっしゃるとおり、民間の名立たるディベロッパーでもある程度同じようなお仕事はやっていると思いますが、私どもが厳に戒めているのは、競争してというか、バッティングしてまでやる気は全くございません。口幅ったいようですが、むしろ民間の方から、どうぞ都市公団に入ってもらって、例えば共同で仕事をやるとか、そういう仕事をやってくれと。それから、もっと俗に言いますと、一番手間暇、時間のかかる基盤整備はぜひ都市公団でやってほしい、その上で、民間が十分に活躍できる、言ってみれば上物整備のところ、それはむしろおれたちの方が得意だよとおっしゃるものですから、そういう手間暇、金、ちょっと俗語で恐縮ですが、そういうところについては、及ばずながら、公的資金の助成も受けながら、私どもが懸命の努力をしたい、かように考えております。
  39. 上田清司

    上田(清)委員 申しわけありません、もう一点。  今のお話だと、手間暇のかかるところ、お金のかかるところ、まさしくその公的な部門は、準公的セクターである基盤公団が活躍されるということであります。そうなってくると、やはり利益ということに関して、どうしても格付が悪くなるんじゃないか、そういう意味財投機関債というものが果たして有効に市場で評価されるだろうか、そういう懸念を持ちますが、その点についてはどのようにお考えですか。
  40. 牧野徹

    牧野参考人 先生がおっしゃられるようなこともございますが、実は私の方も多種多様の事業をやっております。一種類の事業じゃなくて、がっと計算すれば多分七つ、八つの仕事をやっておりますが、それを総体として評価していただく形の財投機関債もありますし、そうでないものもあるように、勉強の過程でございますが、承知しております。ですから、そういうものについて、自分らのか細い経験と、それから世に言うコーポレート型、非コーポレート型、いろいろございますが、そういうものについて今幅広く、何かできないかという精神で検討しているというのが実態でございます。
  41. 上田清司

    上田(清)委員 どうもありがとうございました。お聞きしたい点もまだまだ多々とありますが、きょうは体調が悪い中わざわざお越しいただきまして、ありがとうございました。非常に気迫のある御答弁、高く評価をさせていただきたいと思います。  それでは、日本道路公団の緒方総裁に確認をさせていただきます。  どうも、やや住都公団と異なるところがあるような気がいたします。住都公団は、その自主性の中でそれ相応の事業展開ができているわけでありますが、日本道路公団の場合には、いわば国土政策の中で政治が路線を決める、そして事業主体として道路公団がやっていくという形になりますので、性格上、かつての国鉄と同じように、政治が路線を決める、そして運営は国鉄がやるということでありますから、そこにはどうしても経営主体的なものが入らずに赤字がずっと募っていく、こういう仕組みになりがちではないかというようなことで、私は非常に危惧をしております。  この日経ビジネスの中で図がございますが、お手元に渡っているかどうかちょっとわかりませんが、委員の皆様方には渡っていると思います。道路公団の債務はひたすら膨張を続けて、実は、国鉄がちょうど二十八兆あたりで破綻したという形になっておりますが、日本道路公団の累積債務も二十六兆を超えていたのではなかろうかというふうに私は思います。もちろん、いろいろな考え方がございまして、この二十六兆も平成何年かにはちゃんと償還できるというようなことを伺っておりますが、ただ、この道路公団に関して言えば、大変難しい部分がある。今後つくられていく道路がどう考えても黒になるような感じがいたしません。  そういう意味で、必ず破綻するのではなかろうかというふうに思っておりますが、まだ財投機関債の話ではなくて、道路公団のあり方として基本的に矛盾があるのではなかろうかというふうに私は思っております。どうしても政治的な決定の方が先行するので、経営体としてはなり得ないのじゃないかというふうなことを考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  42. 緒方信一郎

    ○緒方参考人 道路公団の仕事の仕組み本質的なことについてお尋ねがございました。  国鉄との対比の話がありましたので、御参考までに道路公団の現在の経営状況をちょっと簡単にお話をさせていただきたいと思います。  道路公団の決算状況平成十年の決算を見ますと、収入から管理費と金利を引きました収支差額が七千五百七十四億円の黒字でございます。収入から必要経費を引いたものがそれだけ余っておりまして、その分を償還準備金繰入金、つまり借入金の返済に充当しておるという状況でございます。収支率五九%。収支率五九%というのは、簡単に言いますと、百円の収入を得るために五十九円の支出で賄っておる、こういうことでございます。国鉄の場合には、破綻をしました最後の年には収支率が一〇〇をも軽く超えておったということでありまして、これは本質的に違うということをまず御認識をいただきたいというふうに思います。  過去の償還の累積額でございますけれども、営業中の高速道路の資産総額が二十六兆二千五百八十五億円あるわけでございまして、これがいわゆる未償還残高になるわけでございます。これが債務があるというふうに非常に誤解をされるところなんですけれども、これは毎年償還をして減らしていっているわけでございまして、現に、先ほど申し上げたように、平成十年では七千五百七十四億円それを減らしているわけでございます。  今まで幾ら減らしてきたかといいますと、七兆五千六百九十四億円を償還しておるということでございまして、償還率は二九%。これは年々償還率がふえてまいっておりますので、順調に償還をしておるということでございまして、経年的に見まして経営が順調に進んでおる、こういうふうに御理解いただいてよろしいかと思います。  この公団の事業のやり方ですけれども、そもそも高速道路というのは国道をつくっているわけでございまして、本来国において整備をするべきものなんだと思いますが、それを財政事情でありますとか整備促進の観点から借入金でまず建設を行いまして、料金収入でそれを返していく、それを返しました後は国に全部それを引き継ぐ、道路そのものは公団が管理していく、こういうやり方をやっているわけでございます。  そういうやり方でございますので、もともと営利の事業ではありませんので、国といたしましても一定の責任をお感じいただいておるというふうに申し上げていいかと思いますけれども、国費をいただいております。どういうことかといいますと、利用者が負担する限度、資金コストというものを設けまして、料金が余りべらぼうに高くならないようにということで、資金コストを薄めるということで、現在、三%を超えるものを政府が見ていただくということでやっております。そういうようなことで、適正な料金水準のもとで計画的かつ安定的な事業運営を行うことができるようにしよう、こういう運営をしているわけです。  それで、我々の道路公団としましては、そういう一定の公的負担というものを前提にいたしまして、そのもとで健全な採算性を確保して、健全な運営ができるように効率化に努力しておる、これが道路公団の経営の一つのパターンであるというふうに御理解いただきたいと思いまして、いわゆる第二の国鉄になるのではないかという問題については、かなり状況が違うということをまず第一に御理解いただきたいと存じます。
  43. 上田清司

    上田(清)委員 この議論をしているともう時間がなくなってしまいますので、また機会があったらやりたいと思いますが、償還が順調に進んでいるというふうには理解しておりません。極めて高い高速料金、極めて高い経費率、極めて高いそれぞれ子会社に分散した資産が、本来なら国民に還元されるものが全然還元されない、そういう仕掛けができ上がっていることに関して反省が足りない、このように私は申し上げます。  それで、極めて順調に経営されている日本道路公団では、財投機関債ということで大丈夫ですね。
  44. 緒方信一郎

    ○緒方参考人 現在、財政投融資制度の抜本的な改革について御審議をいただいているところでございまして、日本道路公団としましては、その改革方向を踏まえつつ、平成十三年度以降の資金調達のあり方について現在も幅広く検討を行っているところでございます。  具体的な資金調達計画につきましてはお答えできる段階ではございませんけれども財投機関債発行につきましても、その一環として検討しておるというところでございます。
  45. 上田清司

    上田(清)委員 先ほどから申し上げておりますが、検討の方向性というのはどのようになっているのかということを聞いております。
  46. 緒方信一郎

    ○緒方参考人 当然、財投機関債というものを発行するについて、どういう条件が必要かというようなことを、いろいろ条件整備を研究している、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  47. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  それぞれ独立した有料道路がございますが、これも特に質問要項に入れておりませんので、十分お答えになれなくても別に構いもしませんが、こちらも総額で四兆数千億、私の定義によれば債務残高がございます。また、料金収入が昨年度初めて減少しております。これは単に景気の問題だけなのかどうか、そんなことも含めて、必ずしもこれから順調に伸びていくかどうかということに関しては大変懸念がありますので、その辺について十分認識されておられるのかどうか。極めて楽観的なお話がありましたので、最後にそのことだけ確認させてください。
  48. 緒方信一郎

    ○緒方参考人 最初に国鉄の話がありましたものですから対比をしまして、従来順調に推移をしてきた、現在は順調であるということを強調して申し上げましたけれども、今後も手放しで楽観をしているわけでは決してございませんで、だんだんコストの高い道路というものに手をつけていきますし、それから、自動車の交通量もこれまでのように伸びていくとは期待はできないという面があることはもちろん我々も十分承知をしております。日本の経済の状況等もいろいろ勘案しまして、慎重に今、将来のこれからのかじ取りについてはいろいろな面から研究をしておるというところでございます。
  49. 上田清司

    上田(清)委員 多分、これまでの償還計画に変更を加える必要が出てくるのではなかろうかというふうに思っております。  加藤建設政務次官にお伺いしますけれども、先ほど申し上げましたように、ちょっと住都公団と道路公団の違いがございまして、路線やそういったものは国土開発幹線自動車道建設審議会、首相が会長をやっておられるわけですが、そちらで決めて、そして建設大臣が原案を出して、いわばそれを請け負うような形で道路公団がやっていきます。そういう点においては、建設省の特別な指導というのがありますので、今回の財投改革について、建設政務次官として日本道路公団の債券発行に関してはどのようにお考えになっておられるか、承りたいと思います。
  50. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 上田理事さんのお話を聞きながら、私も建設省の総括政務次官を拝命したときに同じような質問をさせていただきました。そして、意外と私が考えていたよりははるかに、まあまあだなというような感じだったので、きょうは、その旨を一言申し上げながらお答えしたいと思います。  建設省の所管財投機関には、都市基盤整備公団のような基本的に自主的な経営を行っている機関から、日本道路公団のように、本来なら国が行うべき仕事の高速道路の整備を国にかわってしているような機関などがありますが、各機関とも自主性を発揮し、経営努力に努めなければいかぬということは、理事のおっしゃられるとおりでございます。  例えば、日本道路公団について言えば、高速道路の整備は日本全国の交通網整備の視点から行われるべきことでありますために国による計画の策定等が必要不可欠でありますため、経営上の観点から、計画調整段階、計画策定段階及び施行命令段階において公団の意見が述べられるようにしていかなければいかぬなと、可能になるよう努力しているところでございます。また、公団の創意工夫に基づく取り組みを支援するため、一定の範囲における料金割引等、規制緩和の観点からも認可でなく届け出の制度とするなど、制度の運用の改善を行っているところでございます。  今後とも、各機関が効率的な事業の実施のため自主性を発揮し、責任を持って経営努力を行うことは、重要なことだと考えております。
  51. 上田清司

    上田(清)委員 質問の意図がよく伝わらなかったと思いますが、財投機関債について所管の副大臣としてどのようにお考えになっておられるかということをお聞きしましたので、一言で、財投機関債中心にやっていける、そういう立派な経営をしているんだ、このような御認識なのかどうかということを確認したのです。
  52. 加藤卓二

    ○加藤政務次官 上田理事の質問にお答えしたいと思います。  財投機関債政府保証債財投債との振り分けは、理事がおっしゃっているとおり、本当に財投機関債だけでうまくいくんでしょうかなというのは、特に国道なんかの場合には嫌でもつくらなければならない道路をつくるわけですから、そのとき、高い金利でなければできないのだったらつくらないですよということを言明するようになってしまうので、言うなればこの三つの中を上手に組み合わせる。  過疎過密を直すということも国政の中では大事だと。その政治の大きな力、大きな考え方、政治というのは、私たちは国民に選ばれた代表ですから、代表の意見というのが道路の中に反映するようにするためには、先生がおっしゃっているように、そんな財投機関債で大丈夫ですよなんて安易な考え方でなく、もっと真剣に取り組むべきだと私は思っております。
  53. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  本四架橋公団という総務庁の監察局が出しました十一年四月の調査報告書で、ずばり、負債総額が資産総額を上回り七千億円を超える債務超過になっているとか、百円の収入を得るのに二百十一円の経費がかかっている、平成五十六年度には神戸・鳴門ルートの収支率が現在の三五四から一一に、それから児島・坂出ルートのそれが一七〇から一九になるといって、いわば平成五十六年度は東名あるいは名神並みに収支率が好転するんだ、このようなことを言っておられることに関しては、それは無理だろうという逆の立場での報告が出ておりまして、極めて興味深い報告書でございました。  それで、早速申し上げますが、この本四公団、こういう形でもし財投機関債ということになると、これは本当に勝負ができるのでしょうか。
  54. 藤原良一

    藤原参考人 御指摘のとおり、本四架橋事業というのは非常に長期間、また多額の事業費を投入しながらやってきた事業でありますし、また、その架橋効果の発現もこれから長期にわたって徐々に拡大していく、そういう性格の事業であります。  私どもとしましては、そういう性格ですから、当面の間はやはり、出資金という形で現在公的支援を受けておりますが、そういった公的支援を継続していただくとともに、何といっても、長期低利、安定資金を確保しながら円滑に償還していくということが非常に大切なことだと思っております。  そういう中で、御指摘のとおり、現在、利払いのウエートが高いものですから一八〇といったような収支率になっておりますけれども、有利子負債を軽減していきますと、現在でも、九百億近くの料金収入に対しまして道路維持管理費あるいは一般管理費合わせまして三百億に満たないという程度ですから、利子さえ軽減していけば非常に収支率もよくなる、そういうふうな期待が持てる事業ではないかというふうに考えております。  それと、財投機関債お話がございましたけれども、あくまでも我々としては、これから先も長期、安定した低利資金を確保していきたい、これがこれから非常に重要な仕事だと思っております。そういうことですので、財投改革趣旨も体しまして、建設省あるいは財政御当局ともいろいろ協議させていただき、御指導も受けながら、慎重、適切に対応していかなければならない、そんなふうに考えております。
  55. 上田清司

    上田(清)委員 今、経費のところを削減していけばと言われましたけれども、この償還計画の基礎は交通量なんですね。まさに料金収入をもとに償還計画をされておられますので、今の答弁は間違った答弁になるというふうに思います。  また、ちょっと時間もありませんので省略させていただきますけれども、先ほどの総務庁の報告書から見ればなかなか償還計画に無理がある、このように思わざるを得ませんし、やはり内部の問題として、関連公益法人の独占的受託の問題だとか、こういうものも解決していかなければいけないと思います。給与も、職員の方が平均三十八歳で月額四十六万などというのは言語道断。大変な赤字企業ですから、当然内部をスリム化するような仕組みをつくっていただきたいということを、あえて申し上げておきます。  反論があるかもしれませんが、申しわけありません、時間がありませんので、また改めて機会をいただきたいと思います。  そこで、電源開発の杉山社長にもお越しをいただいて、大変恐縮なんですが、これは先行事例として二〇〇三年に民営化が決定して、株式も上場されるということで、これは特殊法人改革のあり方として一つの先行事例だというふうに私、理解をしておりますので、一体今、過渡的な段階としてどのように進んでおられるかということで参考意見を聞きたかったのですが、ちょっと時間がなくなりましたので、まことに申しわけないということをおわび申し上げます。  それぞれ、参考人方々、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  そこで最後に、時間が迫ってまいりまして恐縮ですが、宮澤大蔵大臣、きょう貴重な御意見を承る機会をいただきまして、現場の責任者方々からのお話を大方お聞きしたわけでありますが、私も、先日の質疑の中で、どんなふうにして本当に分けるんだろう、そして現場の方はどんなふうに考えているんだろうということをお聞きしましたので、法案の採決の前には、そうした基準的なものを出さなきゃいかぬだろうというようなことをたしか言っておられたように記憶をしておりますので、整理をどのような形でされておられるのか。ぜひその点についてお尋ねしたいと思います。
  56. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 前回の当委員会で御議論のありました財投機関債財投債発行規模等々につきましては、現段階で定量的に申し上げることは困難でございますが、今後、この法律の実施、運用に当たって、事務当局に基本的に考えておいてもらいたいというようなことをまとめましたので、御披露をいたします。  まず改革後の各財投機関資金調達に関しては、次のように考えております。  一つ、特殊法人等については、まず、その資金財投機関債発行によって自己調達する。そのために、最大限の努力、検討を行うこととする。  第二に、財投機関債による資金調達では必要な資金需要を満たすことが困難な機関については、一つ、その業務が民業補完のために実際に必要なものか、二つ、将来の国民負担を推計した政策のコスト分析、三つ償還確実性等を精査して、当該法人等の業務そのものについてゼロベースからの徹底した見直しを行ってもらいたい。その上で、真に政策的に必要と判断される場合、部門において、財投債により調達した資金の貸し付けを受ける、そういう方式を認める。  三、財投債による調達についても、郵貯、年金が自主運用に移りました場合に、十分に財政投融資を行うため必要な財投債を買ってくれるとは限らない。また、市場の規模による制約も働きますから、各財投機関は、おのずから事業を厳しく取捨選択せざるを得ない状況考えなければならない。また、各年度の財投債発行額については、これは法律に基づいて、国会の議決を受けた範囲内で発行することとなる。  なお、政府保証債の話も出ましたが、これについては、財政規律の確保等の観点から、個別に厳格な審査を経た上で限定的に発行を認める。  以上の基本的考え方に基づきまして、各年度の財投編成に臨んでまいらなければなりませんが、今年の場合、ただいま申し上げましたような、財投改革後の財投機関資金調達に関するこの考え方は、当法案が成立後、速やかに各機関、所管省庁など関係者に周知をいたします。本年八月末の十三年度財投要求までに十分な検討が各省庁、各機関において行われるよう徹底をしてまいりたいと思います。  以上であります。
  57. 上田清司

    上田(清)委員 期待をしておりましたが、余りクリアじゃありませんでした。  まさにペイオフの延期がありましたけれども、これこそ延期してもう少し詰めた方がいいのかなというふうな感じを、私はきょうの参考人の質疑を通じて感じました。  そこで、最後になりますが、同僚議員がたしか質疑していたような気もしますが、確認の意味で、貸し付け条件の金利でありますが、これは国債の金利と同じというふうに理解をしておりますが、これは間違いないのでしょうか。
  58. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 財投債金利は、さようになろうと思います。財投機関債は別でございます。
  59. 上田清司

    上田(清)委員 そうすると、国債ベースと同じだという形になってくると、大半の場合が、財投機関債ではなくて、どうしてもやはり財投債の方に逃げ込むかなという仕組みを最初から持っているかなというふうに考えざるを得ません。さりとて、では、おまえはどうすればいいんだと言われると、まだ私のところにもそういう具体的なイメージが十分わかないのですけれども、やはり相当これは仕分けをする。  まさに、先ほど政策コスト分析ということがありましたが、五つ事例を出されていただいておりますけれども、すべての財投機関の政策コスト分析をしてから本当は仕分けをして、それから財投機関債発行原則とするということで、政治的に統廃合をそこそこした後に市場にほうり出す、それが本当じゃないかなというふうなことを私は考えておりますが、大蔵大臣、私の考え方は間違っておるでしょうか。
  60. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 本来であれば、それが合理的な物の考え方だと思います。  私が思いますのに、ことしは初めの予算要求になりますが、こうやって毎年毎年こういうことを続けていくことになるわけでございますから、特殊法人によっては、全部ではありませんでも、ある部分、どうしてもこの仕事はやはりちょっと無理だ、だんだんそういうことになってくる、そういうふうな運用をすべきなのではないだろうかと私は考えています。  申し上げるまでもないことですが、ある特殊法人が、これはもうやむを得ないからやめるというようなことになりますと、恐らく国会においても非常に大きな問題になってまいりますでしょう。しかし、それがやむを得なければ、どうもやむを得ないということでございますが、そこに至るまでにその法人としていろいろ考えることもまたあるだろうと思いますので、一遍限りでできませんでも、これは永遠にこれから続く制度考えておりますから、やはりこういうことから合理化を図ってもらいたい、こういくべきものではなかろうかと思います。
  61. 上田清司

    上田(清)委員 具体的な名前を出して恐縮ですが、例えば、本四架橋公団が財投機関債発行する。しかし、必ずこれは国策として大事なことなんだということできちっと政府が言うからこそ、その財投機関債は回るのですが、しかし、政府がもし国策上の必要性を強調しなくなったり、あるいは財政政策で補給金等々を出さなくなったら、即座にこれは格付が下がってジャンク債になっていく可能性が高いのではないかということが大体予想されますので、どうしても財投債政府保証債のいずれかに逃げ込まざるを得ないかなという感じを、きょうは参考人の皆様方の意見も含めて感じました。  なお一考、再考されますことを望みまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  62. 金子一義

    金子委員長 次に、河村たかし君。
  63. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしでございます。  冒頭、五分か十分ほどですけれども、今回の財投とは、関係ないということはないんですが、文化庁をお呼びしておりますので、お話を聞いていただきたいと思います。  「失うことに歯止めを」ということでお手元に資料を配付させていただいております。これは、文化庁の文化財登録制度の御案内ということでございまして、ここで見ていただきますと、「国が保護している文化財建造物の数の比較」ということで、これはまあ本当にびっくりこきますね。どえらい驚くというんですかね、イギリス四十四万一千、アメリカ五万一千、フランス三万六千、日本は二千百四十四、こんな現状なんですね。  それで、次のページをちょっと見ていただきますと、これが愛知県の旭丘高校というのの校舎でございます。昭和十三年づくりでございまして、この校舎、私ごとで恐縮ですが、私の母校ということでございます。大蔵にも何人かお見えになりますけれども。これを、コンクリが危ないので壊すというようなことになっていまして、耐震診断がやっていないんですよね。一方、おとついですか、きのうでしたか、文教委員会で、次のページに出ておりますけれども、中曽根文部大臣も、こういうようなことで県の意見も聞くが、地元の意見も十分聞いていくと。それから、河村総括政務次官とか文化庁は、これは登録有形文化財という制度なんですが、要件を備えている、ということは残してほしいということだと。ですから、その旨を県に伝えていく、こんなふうに話をしておるんですが、スクラップ・アンド・ビルドの時代でございますので、壊してしまう、こういうようなのが非常に残念なことでございまして……。  冒頭文化庁にちょっと聞いて、後はすぐ帰っていっていただけばいいんだけれども、宮澤大臣は通告してございませんが、感想でいいんですが、要は、きょうの財投の話でも、物すごい金が、これは税金も含め、税金が多いんですが、金融機関に流れていく。あたかも社会主義国のような様相を呈している。そういう中で、特に宮澤大臣は、本当に健全な保守主義者、本来の意味のですね、国の管理というよりも、やはり家庭だとか地域だとか伝統だとか文化とかそういうものを大事にしておられる方だというふうに私はかねがね思っておりますけれども、こういうところにもやはりしっかりしたお金が流れていくということに早く目をつけないと、日本は何か本当に、できたものを壊して、それでいいんじゃないか、それで損したら、全部税金で補てんすればいいじゃないか、そんなようなことになると思いますので、ぜひそのことについて、まず文化庁の方に、こういうのを残していこうという制度が五、六年前にできたんですけれども、これは登録有形文化財制度というんですが、登録有形文化財制度における国の財政措置について、今後、設計監理料に対する補助制度の拡充や税制上の優遇措置を拡大する予定はないのか、お伺いしたいと思います。
  64. 近藤信司

    近藤政府参考人 お答えをいたします。  登録有形文化財制度は、平成八年の文化財保護法の改正により創設された制度でございまして、委員御案内のとおり、届け出制と指導、助言、勧告を基本とする緩やかな保護措置を講じる制度であり、従来のいわゆる指定文化財、指定制度を補完する制度として設けたわけでございます。そして、この登録有形文化財に対しましては、保存、修理の際の設計監理に要する経費の二分の一を国庫補助をしている、こういう状況にあるわけでございます。  また、税制優遇措置につきましては、登録された建造物に係る土地等につきまして、地価税の二分の一の軽減でありますとか、登録有形文化財であります家屋につきまして固定資産税の二分の一以内を適宜軽減することができる、このような制度になっておるわけでございます。このように、登録有形文化財につきましては、国として各種の施策を講じているところであります。  また、この制度におきます国の関与のあり方、先ほど来申し上げております指定制度との違いをどう考えていくのか、あるいは、文化財の維持管理は原則として所有者が行うものである、こういったようなことから、補助制度の拡充等はなかなか難しい問題がある、このように考えておりまして、慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
  65. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それからもう一つ、登録有形文化財の修理に当たる専門家養成のための財政措置ですね、そういうものを講じられたらいかがでございましょうか。
  66. 近藤信司

    近藤政府参考人 お答えをいたします。  登録有形文化財建造物の修理におきましては、設計監理は一般の建築士が当たることになっておるわけでありますが、設計監理費の国庫補助を受ける場合には、文化庁が定めております補助金の交付要綱におきまして、「文化庁の承認を受けた主任技術者に技術的な指導を申し込まなければならない」、現在このように定めておるわけでございまして、この主任技術者の養成、研修等につきましては、現在、その経費の一部を国が補助をする、こういう制度があるわけでございまして、私どもといたしましては、引き続き、そのカリキュラム等研修内容の充実に努めてまいりたいと考えております。
  67. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ありがとうございます。文化庁さんは結構でございますが、これは余り通告してございませんが、御感想でいいんですけれども、宮澤大臣に、こういう文化財というのをやはり大事にしていくように、お金を銀行に数十兆使うならという変な話ですけれども、やはり今こそこういう本当の意味での健全な、保守という言葉を使っていいかどうか余りわかりませんけれども、それが必要な時代になってきておるのではないか。ちょっと御感想をお伺いできませんでしょうか。
  68. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 自分としましては本来関心を持っておる種類のことでございますけれども、実は、何か申し上げるためにはほとんど予備知識がございませんので、関心を持ってお伺いをいたしたと申し上げます。
  69. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ありがとうございます。  では、本来の財投の話に入りますので、文化庁、どうもありがとうございました。御苦労さまでした。  まず、総務大臣の運用責任というのがございますわね。総務大臣と言うのはちょっと早いですけれども、とりあえずは総務大臣と言いますけれども、この二百五十兆円の郵便貯金運営失敗の責任、これはどうおとりになるんですかね。
  70. 前田正

    ○前田政務次官 お答えさせていただきたいと思います。  先生も御承知のとおり、現在の郵貯の金融自由化対策資金につきましては、郵政大臣が運用するとされておりまして、全額自主運用後の郵貯資金の運用につきましても、同様に総務大臣が運用する旨郵便貯金法等の一部を改正する法律案に規定しておりまして、総務大臣が自主運用後の運用責任を負うということになっております。  総務大臣といたしましては、適切な資金の運用を行って、毎年度預金者への元利金の支払いを適切に行えるよう安定的な収入を確保するという責務を負うこととなっておると考えております。  仮に、予定した運用実績を下回りまして預金者への元利金の支払いができない場合には、恐らく、一般会計からの繰り入れで補てんすることが一つとして考えられると思いますが、その場合のその運用担当者とか総務大臣がどのような責任をとるかというのは、そのときのその事態の経過とかあるいはまた態様によって異なるものと考えておりますが、いずれにいたしましても、このような事態を回避するための仕組みや方策をとることとしておるものでございます。
  71. 河村たかし

    ○河村(た)委員 総務大臣の運用責任と言いますが、運用責任とは何かわからぬようなことを言いましたけれども、一体これはどういうことなんですかね。失敗したときには解任されるのか、腹を切られるのか、これは一体どういう責任なんですか。
  72. 前田正

    ○前田政務次官 要するに、先生のおっしゃる失敗というものがどういうところのを称して失敗と、恐らく、今私が申し上げましたように、予定した運用実績を下回って元利金が払えない、これが先生の言われる失敗というものなのか、その辺の失敗というのもいろいろあるだろうと思いますけれども、その時々の失敗というものが、失態というものが、その事態、例えば世界恐慌に陥って、全体的な経済の流れが非常に急に悪くなるという場合は、我々としても全く予想ができない場合もございますし、あるいはまた、運用での、我々も大体のところの予想というものも立てながら確実に有利に運用はするわけでありますけれども、しかし、どういう事態が発生するかというのは、そのときの経済の状況等々によるわけでございますので、そういう意味での責任のとり方というものは非常に微妙なものがあると思いますので、腹を切るとかあるいはやめるとかいうふうなことは、その時々の状況判断でなければならないと思っております。
  73. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そんなことで、しかしこれは、普通の会社の場合は、いろいろなことを言いますけれども、例えば倒産して私財をなげうつとか、株主だったら権利がなくなるとかありますよね、当然。今みたいなわけのわからぬ話で、自主運用といって、責任だなんて言えるんですか。これはどういうことですか、一体。責任がないのと同じじゃないですか。そんないい話があるんですか、世の中に。  だから、配置転換なのか、腹を切るのか、最後は税金を投入するのか、それはちゃんと言わなきゃ、こんな大法案を出しておいて、めちゃくちゃじゃないですか。
  74. 前田正

    ○前田政務次官 今先生に申し上げましたとおり、責任をとるというふうなことに関しましては、我々、会社の場合と違いまして、確かに全国の郵便貯金で預かる大変なお金を運用するという責任は我々もひしひし感じておるわけであります。しかし、その運用等については、我々も慎重を期しながら、その時々の情勢判断をし、そしてまた、郵政審議会というところでの諮問というものもまた踏まえながら、我々は慎重にその運用を考えてまいりますので、民間会社のように、先生おっしゃるように、責任、責任と申されましても、そのときの事情をかんがみた上での判断であろう、私はそのように思います。
  75. 河村たかし

    ○河村(た)委員 何にも基準はないということで、では、預金者に対しては具体的にどういう責任をとりますか。
  76. 前田正

    ○前田政務次官 預金者への責任というものは、もちろん約束どおりの利息あるいは元金、こういうものは恐らく、私ども考えますには、一般会計からの繰り入れということによって補てんをされるものであると考えております。
  77. 河村たかし

    ○河村(た)委員 では、はっきり言ってほしいんだけれども税金投入をするということですね。
  78. 前田正

    ○前田政務次官 税金を投入するということになるかどうか、その辺はそのときの国会状況の御判断にお任せをしなければならないというふうに思っております。
  79. 河村たかし

    ○河村(た)委員 国会状況を見るといって、それはひどいんじゃないですか。やはりこれだけのお金を運用するときに、一つの仕組みを最後どうやって持っていくのかということがないのに、それは企業でも、一つの株式会社の法律、制度をつくるときには、最後まで、倒産法制までつくりますよ、当然のことながら。最後をわけがわからぬ状況にしておいて、それはないですよ。  だから、はっきりそれは税金を投入するんだ、それでいいじゃないですか。それが承認されるかどうかは別ですね、国会で。政府としてはそうすると。国会ではまた別論である、そういうふうでいいんじゃないですか。
  80. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 具体的なケースとか、あるいはその場合にどういう責任の処罰等々を行うかということは、これは別としまして、国民が国に預けた郵便貯金が返ってこない、もらえないというようなことは絶対にあってはなりませんから、あらゆる措置をしてそれはお払いします。
  81. 河村たかし

    ○河村(た)委員 大蔵大臣の方からであれだったのですけれども、あらゆる措置をしてと言われましたけれども、しなければ民間銀行と同じになっちゃうのですね。民間銀行にも税金投入されておるから、わけがわからぬ世界になっていますけれども。  いずれにしろ、またちょっとその後詰めるとしまして、まず、運用については、どういう表現でしたか、安全確実な運用をするということでございましたね。前田さん、お願いします。
  82. 前田正

    ○前田政務次官 全額自主運用後の郵貯資金の運用につきましては、申し上げましたように、安全で確実な債券中心とした市場運用を行うことという基本的な考え方でございます。  それでは具体的にどういうものかということになりますが、公的部門において発行される国債あるいは地方債、財投債あるいは財投機関債等でございます。それから、民間部門において発行される優良な社債、あるいは外国政府発行するいわゆる外国債の債券を運用対象といたしまして、これらを原則として市場において運用することといたしております。  なお、このほかに、運用対象としては、地方公共団体の貸し付けとかあるいは預金者の貸し付け、あるいは簡保事業団を通じての指定単がございますが、これらの運用はそれぞれの目的において行うものでございまして、あくまでも基本は市場における債券の運用という考え方でございます。
  83. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今言いました、安全確実ということでございますので、かといって、国債だけではないということですね、当然。ポートフォリオ上もそうだ。一般の社債等も買うことになるということですね。一般の社債なんか、安全確実というのをどうやって見分けますか。安全確実な社債かどうかというのをどうやって御判断されますか。
  84. 前田正

    ○前田政務次官 社債でも、先生承知のとおり、いろいろ社債があるわけでありますけれども、まず元本保証の社債ということに限定をさせていただいております。
  85. 河村たかし

    ○河村(た)委員 元本保証の、それはそういうふうに決まっていますか。——そうですか。しかし、そうすると、運用には失敗はないというふうに考えていいですか。そうじゃないでしょう。格付で判断する部分もあるんじゃないですか、債券
  86. 前田正

    ○前田政務次官 元本保証の社債ということですけれども、元本保証の中でも、会社という立場ですから、中にはそれは倒産をするという会社があるかもわかりません。  したがって、私ども、社債に対しましては、純資産で約十五億円以上である上場会社の発行するものというふうにして限定をいたしております。そしてまた、私ども、その債券発行体の格付というものも参考にさせていただいております。  それからまた、今日まで私ども、いろいろと自主運用をやってまいりました部分におきましては、実績としてそのように社債が全然回収ができなかったというふうな経験は、今日まで一切ありません。
  87. 河村たかし

    ○河村(た)委員 失敗はないと。あるんですか、やはり。なぜかというと、責任と関係しますのでね。どういうふうですか、これは。
  88. 前田正

    ○前田政務次官 今までやってきた中で、そういう失敗はありません。
  89. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今後はどうですか。
  90. 前田正

    ○前田政務次官 今後のこと、こう申されますと、ここで絶対ないとはっきり言えるのかということになりますと、私どももここではっきりないと言うわけにはいかないと思いますし、それはこれからの経済状況等がいろいろとこの中で関与されることになりますので、私どもとしても、ここで、じゃ絶対にないのか、こう言われますと、そこでありませんという答えは言うことができません。
  91. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それでいいですよ、もし失敗がないというのだったら。失敗があるからマーケットになるので、失敗をする可能性があるから、これを買っていいかどうか、これは金利の高いものであっても、果たしてこれは大丈夫かというリスクの感覚があるからマーケットになるんですよ。私は失敗しませんと言ったら、これはもう全然マーケットになりませんよね。  では、それは失敗する可能性はあるということですね。失敗する可能性はある、マーケット的な判断でいえば当然そういうことです。そういうことでいいですね。
  92. 前田正

    ○前田政務次官 失敗の可能性といいますと、私どもは、そうあってはならないというふうに考えておるところでございます。
  93. 河村たかし

    ○河村(た)委員 あってはならないのは当然、その気持ちがあるのは結構でございますけれども、そういうつもりでやると。  さて、先ほどのにまたちょっと戻りますけれども、そうなりますと、失敗した場合にどうするかということなんですよ。やはりここははっきりしていかないといかぬと思いますよ、これは非常にベーシックな話ですけれども。  運用を任されたら失敗したと。一般的に言う失敗というのは、いろいろな失敗があると思いますけれども、まあ常識的にこれは失敗だというのがありますね。では、その場合にどういう責任をとられるのか。これをもう一回御答弁願います。
  94. 前田正

    ○前田政務次官 失敗、失敗、こう先生はおっしゃいますが、それはそれぞれのケース・バイ・ケースがあるというふうに私どもは思っております。  私どもは、やはり預かったものを安全でかつ有利に運用するということを主体として考えておりまして、そのためには、一ところに固まってその運用というものを考えておりません。ある程度それぞれ広く分散をしてそれぞれの運用というものを考えておりますので、ただ、社債だけがだめになったというふうなことでもありませんし、社債も御承知のとおりいろいろなところに分散をしておるわけでございますので、単にその一つだけをとらえて失敗したということが果たして全体的な失敗というものにつながるのか、あるいは全体的な、長い目で見て結果的に利益が出ておるならそれはそれでよしとするのか、そこのあたりの判断があろうかと思います。
  95. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そんなことは当たり前でございまして、何か社会主義者と話しておるようなものですけれども、何か商売をやっておって、もうかったり失敗したりしてどうなるかわからぬ、だけれども失敗して、例えば債権者に御迷惑をおかけするときにはどうどうしますよというのはきちっとしているでしょう。これは私財をなげうってどうどうするとか、そこははっきりしていますよ、世の中は。  それで、最後のところは、もし万が一、万が一でもいいですよ、万が一まで考えていくのがやはり政治でしょう、万が一のことがあったんじゃないですか、長銀問題にしても。そのときはどうするんですか。やはりそのときは税金でお願いする、そういうふうにはっきり言われればそれでいいんですよ。
  96. 前田正

    ○前田政務次官 その失敗の補てんではなしに、先生は責任の問題をおっしゃっておられるわけだと思いますが、先ほどと同じことを何遍も答弁いたしますけれども、そのときのその責任のとり方というものは、そのときの状況判断というものが大きく加味されるものだというふうに思っております。
  97. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それは当然いろいろな責任があると思いますけれども、先ほどちょっと冒頭に言われましたね、税金の投入も責任のとり方の一つとしてあり得ると。これはいいですね。
  98. 前田正

    ○前田政務次官 はい、そのとおりでございます。
  99. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これははっきりしましたね。  銀行が今ああいう仕組みになって、あたかも当たり前のようになっておりますけれども、あれは結果論としてそうなったのでして、やはり今度始めるこういう仕組みについて、税金投入があり得るということがはっきりされた意味は大きいし、それはそれではっきりしておいた方がいいと思いますね。  しかし、問題は、責任のとり方というのは結局税金投入しかないのかということですね。あとの話は何もないのですから、結局そういうことですね。失敗したら、別に破産するわけでも何でもございませんから、最後は税金でお願いをいたしたいというところが自主運用するということですね。
  100. 前田正

    ○前田政務次官 郵便貯金はあくまでも国営ということでございますから、最終的には国がその責任を負うということで結構だと思います。
  101. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今の問題はそういうことでわかりました。自主運用といいましても税金が投入される、そういうことでございます。役所の言う責任はそういうことだ。民間でいいますと、全部破産して大変なことになるのですけれども、そういうことじゃなくて、税金の投入による責任のとり方であるということだと思います。  それから、これは大蔵大臣の方にお願いしたいと思います。  もうからない機関のモラルハザード問題というのですか、もうからない機関は国が面倒を見る、もうからないといいますか機関債が出せないようなところですね。先ほどから上田議員も何遍も言っておりましたけれども。そういうことになりますと、債券の価値というのは、一応外形的には国の保証がありますから、やはりそっちの方が上ですよねということになって、資金調達の場合、かえってもうからない機関の方が格付が安定してしまうというモラルハザードに陥るのではないか、そんなふうな気がしますが、どうでしょうか、大臣。
  102. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 せんだってもその話がございましたが、一生懸命財投機関債で高い金利を払ってやる人と、何かでどうもそれだけの力がないから財投債で面倒を見てやるということだったら、それは財投債で面倒を見てもらったら得だ、そうじゃないかというお話は前からありました。  それを、この間申し上げましたように、あなたのところは本当に財投機関債を出せないのかということを、会社挙げて、特殊法人挙げて分析したり、そして、それならこの仕事はやめたらいいじゃないかとか、そういうようなプロセスを経て最後のところに至ろうというのは先ほど申しましたことで、それも一年だけやるのではありません、毎年そういうふうにやっていくことで合理化を達成していこうというのでございますから、確かに、経過的には意気地のない方が、体の弱い方が親がかりになっちゃうみたいな話はないわけではないかもしれませんけれども、それが本意ではありません。
  103. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それで、見ておって、これはだめだというのか、万が一の場合というのですか、面倒を見ない、それはやはりだめだよという場合も政府保証をつけることはあり得るのですか。
  104. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実態としましては、その当該会社と、それからこの場合でいえば大蔵省でございますか、いろいろ協議をして、協議でというよりむしろ討議でございますね、実際どれぐらいの信用度があるのかとかいうことを詰めていきまして、その上で、やはりどうしてもこれはペイしないといったようなものは、それではそれだけはやめてもらうかとかなんとか、そういうような形が起こっていくのが、恐らくは、短い時間の間だったら実際的だと思いますね。  あなたのところはもうだめだから、全部店じまいしなさいなんという話は、おのおの特殊法人としての使命を持っておりますでしょうから、そんなに簡単にいかないかもしれない。しかし、そうであるといって、やはりきちんとするところは、コストコストできちんとしてもらわないと困るという話は成り立っていきますから、そういう形の中で合理化が行われていくというのが実際の姿ではないかと思います。
  105. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ということは、これは大蔵省のホームページにもちょっと出ておりましたけれども資金運用審議会の懇談会か何かにも出ておりましたけれども、これはだめだなとなったときに、その本体を倒産させるというのか、破綻というのか、これは悩ましいのですけれども、そうさせることはないということなんですね。その部門だけにとどめる、こうなるんですか。
  106. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、倒産の問題は、民間の場合の倒産と必ずしも概念が一致しないかもしれません。と申しますのは、政策目的の遂行でございますから、やはり政府の財政資金が入ってくる、こういう意味で、大変ここはいろいろ検討しなきゃいけない問題でございます。倒産法制を適用すべきじゃないかという議論が一方にありますから、これは法制審議会の方で御検討いただいている、これが現状でございます。  それから、一方において、そうじゃなくて、やはり政策目的と照らして考えていくべきだ。つまり、政策コスト分析という言葉がたびたび出てきておりますけれども、政策コスト分析をやって、その見返りのベネフィットがどのぐらいあるのか。ベネフィットが全くないとすれば、別の政策手段に切りかえていくべきでありますから、そのときは解散ということになろうかと思います。  それで、各特殊法人の設置法それぞれに解散の規定がございますので、その解散は別途の法律でまた措置するということになりますから、それは所管官庁が判断し、最終的には国会の御判断でお願いする、こういうことになるかと思います。
  107. 河村たかし

    ○河村(た)委員 いずれにしろ、破綻という名前でも結構ですけれども、機関債の対象部分でも破綻はしない、財投機関は破綻はしないということですか。
  108. 大野功統

    大野(功)政務次官 何度も申し上げますけれども、それは、政策コストと、それからこれだけの政策コストを払うことによってどれだけ国民にサービスができるか、この比較の問題でございます。その比較をした上で、随分とコストをかけているのに、ベネフィット、便益の方がないとすれば、そういう特殊法人はない方がいいわけですから、それは所管官庁の方で判断をして、そして解散をしていく、当然のことだと思います。
  109. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それは解散をしていくんですね、所管官庁で。国会の審議は要らぬのですか。
  110. 大野功統

    大野(功)政務次官 先ほど御説明申し上げましたけれども、所管官庁の方でそういうコストベネフィット分析をきちっとやる、これはもう続けても仕方がないとなれば、各特殊法人の設置法に解散規定、別途法律を講じて解散をするということが書いてございますので、その別途法律を講じて解散をするという定義をしてもらって、国会で御判断いただく、こういうことでございます。
  111. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それもちょっと後にやりますけれども、もう一つ、やはりこれも話に出たと思いますけれども、ディスクロージャーの問題がありまして、郵貯の方で、例えば郵貯を自主運用するわけだけれども、ディスクロとしては、どういうことを、運用機関といいますか、財投機関に要求されますか。
  112. 前田正

    ○前田政務次官 財投機関債のことでございますね。政府保証については、私ども政府保証がついておるものは安心して買えるわけでありますが、ただ、政府保証のない財投機関債についてのディスクロージャーというものでございますけれども、私ども考えますには、私ども市場であくまでも求めるわけでございますので、市場で求めるためには、恐らく財投機関というものも、自分のところがどういう計画で、どういうもので、採算性はどうだというふうなことは当然お示しになるだろうと思いますし、私どもは、その示されたものを十分検討した上で、市場でそれを求めるか、あるいは求めないかということの判断を決めたいというふうに考えております。
  113. 河村たかし

    ○河村(た)委員 問題は、計画より、多分だれに幾ら貸しているかという話だと思うんですね。問題は、民間金融機関の場合はやはり難しいですよね、それを教えてくれなんというのは。だけれども、一方、これは公的資金でやる場合ですよね。それから、最後だめな場合は税金でやるという場合は、やはり郵便貯金側としては、先様の財務状況、それをグロスじゃなくて、その安全性というのはやはり知らなきゃだめなんじゃないですか。ディスクロージャーの程度民間とやはり違うようになるんですか、どうですか。
  114. 前田正

    ○前田政務次官 今申し上げましたとおり、政府保証のない財投機関債に関しましてのディスクロージャー等につきましては、我々もやはり、安全で確実で有利なものの運用という観点から考えますと、非常に確率の高い安全なものを中心として私どもは運用したいと思っておりますので、それが例えば、その内容、あるいはまたそのディスクロージャーが余りされていないようなものにつきましては、私どもはそれを運用することは差し控えるかもわかりません。
  115. 大野功統

    大野(功)政務次官 前田政務次官のおっしゃるとおりでございますが、若干補足させていただきます。  財投機関債を出す場合には、やはり格付会社の格付が必要だと思います。格付がないと、やはり投資家の保護にもなりませんし、それから投資家から信頼もされない、こういうことで格付があると思います。その格付会社に対しましては、それぞれの財投機関からどのような融資をやっているかということは当然ディスクローズされると思います。しかし、一般的に、財投機関がどこの企業に幾ら貸している、このようなディスクローズをいたしますと、借りている方の企業経営に大変大きな影響を与える、こういうことで、それは財投機関としてやるべきでないと思っております。
  116. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ですから、どうもやはり何か不自然さを感じますね。税金でやっているんだから、全然わからぬかったら、民間金融機関でいいじゃないのか。税金を使ってこれだけどうですかというんだから、最後また税金で補てんするんですから、やはり一定以上のディスクロの程度があって当然のような気がしますよね。ディスクロ、ディスクロと言いますけれども、それは、そんな計画よりも、ずばり言えば、その先が、だれがどこへ貸しているか、そのことでしょう、欲しいのは。だから、そうなりますとまたこれはプライバシーとか言うんですが、プライバシーはちょっと変な言い方ですけれども、そんな問題もあって、非常にややこしい、わけのわからぬとは言いませんけれども制度だなという感じがするわけでございます。  ちょっと時間がありませんから先へ進みまして、今言った話で、財投機関債をやった場合は、市場ではいわゆる破綻させない。これも、破綻ですから、倒産と破綻は日本語では違うけれども、実際これも上手にやられまして、破綻の場合は倒産しない、看板がかわるだけというのを破綻と多分言うんだろうと思いますけれども。  そうなりますと、これは議論であったらしいんだけれども、すべて、結局、破綻しないんですよね、財投機関債対象のところも、財投債のところも。これは結局同じじゃないんですか。これは暗黙の政府保証というような言い方をどうもしておるようですけれども、結局は同じなんだろうということじゃないかと思いますわね。ないし、もしきちっとマーケットメカニズムに乗せるというなら、どなたかも質問されたかわかりませんが、いわゆる倒産の仕組み、それがないとやはりおかしいのではないかと思いますね。この辺はどうですか。
  117. 大野功統

    大野(功)政務次官 一つの御意見だと思います。そういう意見に従いまして、法務省の方で検討してもらっている。ただし、今の道筋というのは、先ほどから何度か申し上げておりますけれどもコストベネフィットで、コストと便益がうんとかけ離れてしまうという場合には当然解散の道を選べる、こういう形になっておるところでございます。  それから、市場原理という問題を考える場合に、やはり私は、二つに分けて考えていただきたい。その一つは、入り口の方で、これは、物すごく大きな今回の改革の反省というのは、例えば郵貯、年金積立金の預託義務がありましたから、財投が肥大化してしまっている。そこを、市場原理で、すべて市場を通じて資金調達する、こういうことを市場原理でやりましょうと……
  118. 金子一義

    金子委員長 時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。
  119. 大野功統

    大野(功)政務次官 それからもう一つの、出口のところの市場原理のところは効率化していこう、必要な政策を遂行していこう、こういう意味でやっておるわけでございます。
  120. 河村たかし

    ○河村(た)委員 最後に、締めだけやらせてください。  ですから、入り口と出口を、何とか入り口に、マーケットにして、行政改革をしていこうと思ったのだけれども、しかし、やはり倒産法制というか、マーケットの中で整理されていくのができなかったということで、これは何か法務省との関係があると言っていますけれども、やはり役所の分厚い壁があったのではないかというような気がするのですね。そうなれば、これは何かようわかりませんね、えらい金融社会主義みたいなもので。結局は日本のマーケットというのは、こんな何か社会主義的なものが入ってきた、また外人がそういうものを買うわけでしょうね、債券を。そうなれば、何か膨大な含み損があるような債券を買って、マーケットが逆襲する、一気にたたかれる、そういう可能性もあるので、日本というのはこういう国かどうかわかりませんけれども、私は、金融というのがやはり社会主義化してきたなということで、非常に恐れおののいておるというような感じがしております。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  121. 金子一義

    金子委員長 次に、矢島恒夫君。
  122. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ずっと、この財投のシステムについて、いろいろ論議がされてまいりました。この財政投融資システムというものについては、やはり入り口というのと出口の問題がそれぞれあると思うのです。  まず、私は、入り口の問題から幾つかお聞きしたいと思うのです。  今回の法改正の中心的なものは、郵便貯金と、それから年金積立金の資金運用部への預託義務を廃止する。それぞれについて、平成十三年の四月一日からですが、総務大臣それから年金資金運用基金、これを通じて運用することになる、こういうことになるわけだと思います。ただし、二〇〇一年度以降、経過措置がありますので、それぞれの運用資金が一挙にふえるわけではないと思うのです。  そこで、厚生省、郵政省に来ていただいておりますので、それぞれの資金規模についてまずお尋ねしたいわけです。  年金資金の場合、平成十年度について言いますと、資金確保事業で七兆五千六百七十億円、それから年金財源強化事業で十八兆一千八百六十億円、合計しますと二十五兆七千五百三十億円が運用されているわけです。おおよそ二十六兆円規模としておきましょう。これは二〇〇一年になると、どの程度の規模の金額を運用することができるようになるのか、矢野年金局長にお願いします。     〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
  123. 矢野朝水

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  現在、年金積立金総額で百四十兆ございます。これは資金運用部に全額預託されておるわけでございます。この中から年金福祉事業団がただいまのような資金を借り受けて運用しておるわけでございます。これが約二十六、七兆円あるわけでございます。したがって、平成十三年度の自主運用の規模といいますと、この年金福祉事業団から引き継ぎますところの約二十七兆円のほかに、七年間で預託をしておりますので、満期償還金といたしまして約十六兆円返ってくる、こういうことになるわけでございます。それからまた、平成十二年度の決算で新規積立金が生じるということでございまして、これは約二、三兆円と見積もっております。したがって、二十七プラス十六プラス二、三兆円、これが自主運用の額ということになるわけでございます。
  124. 矢島恒夫

    ○矢島委員 合計いたしますと四十六兆円ぐらいの額が新たに運用できるようになる。  次に、郵政省にお聞きしたいのですが、まず貯金の方でお聞きしたいのですが、現在、資金運用されているのは金融自由化対策特別勘定というのになるわけで、その金額が平成十年度で多分五十五兆八千五百六十四億円になっていると思います。約五十六兆円規模ということになると思います。これが郵便貯金資金ということになって、そして二〇〇一年度から始まるわけですが、二〇〇一年度は大体どの程度の規模になりますか、お答えいただきたい。
  125. 團宏明

    ○團政府参考人 お答えいたします。  平成十三年度に預託金の償還額が約三十六兆円ございますが、このうち、金融自由化対策資金の借り入れの返済というのは四兆円ございます。  さらに、ちょっと特殊な事情がございますが、いわゆる定額貯金の満期貯金の流出ということが今の見込みで大体十五兆円かなというふうに見ております。したがいまして、平成十三年度中に実質十七兆円程度が増加するというふうに考えております。  十二年度末のいわゆる自主運用額が五十九兆円、預金者貸し付け等が約二兆円でございます。六十一兆円と大体見ておりますので、これを合計しますと、平成十三年度末が七十八兆円、この中には経過措置の分も含むということでございます。
  126. 矢島恒夫

    ○矢島委員 約七十八兆円の運用をできる規模になっていくということになると思います。  次に、簡保資金ですけれども、これは平成十年度末ベースでいいますと、百十一兆七千三百六十八億円。簡保の場合はほとんど自主運用されているので、余り変わらないと思うのですけれども、二〇〇一年度、どの程度自主運用できる見込みなのか、その辺をお答えいただきたい。
  127. 足立盛二郎

    ○足立政府参考人 現在の簡保資金でございますが、平成十三年度末になりますと、およそ百二十三兆円というふうに見込んでございます。
  128. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そうしますと、今のそれぞれの御答弁をお聞きいたしますと、年金資金が四十六兆円、それから郵貯関係でその資金が七十八兆円、それから簡保の方が百二十三兆円、こういう額になろうかと思うのです。そうしますと、平成十二年度の一般会計予算が約五十八兆円ということですから、計算しますと四倍超、それくらいの資金が運用できるようになっていく、こういうことになろうかと思うのです。つまり、私がお聞きしたいのは、この運用資金がこれだけ増額されますと、やはりリスクマネーも拡大する可能性がある、可能性の問題ですけれども。ですから、一つ一つについて少しお聞きしたいわけです。  まず、年金資金についてお尋ねします。  現在、年金資金資金確保事業とそれから年金財源強化事業、ここで運用されておりますが、平成十一年三月末つまり平成十年度末ということになりますが、そのところの時価総額と、それから簿価の残高で資産別にこの金額をあらわしたものを持ってきたのですが、両方の勘定の合計額でいいますと、国内株式は千九百八十二億円、それから外国債券の方は三百三十二億円、それから短期資産は三百二億円、評価損になっていると思いますが、まずそこは間違いありませんか。
  129. 矢野朝水

    矢野政府参考人 平成十年度末の年金福祉事業団の運用実績でございますけれども、ただいま御指摘ございましたように、外国債券では五百五十九億円の評価損、それから国内株式につきましては二千二百五十八億円の評価損、それから短期資金については八十四億円の評価損でございます。  ただ一方で、国内債券につきましては千三百九十九億円の評価益がございます。それから転換社債につきましては三百八十九億円の評価益がございます。外国株式につきましては七千二百十八億円の評価益がございます。したがって、プラス、マイナス足し合わせますとプラス六千百五億円の評価益になっておるわけでございます。
  130. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私の聞いたので数字が間違っていたらしいので、そこだけもう一度確かめます。私の聞いたのは、国内の株式、外国債券、それから短期資産、この三つをお聞きしたので、ほかがどうなっているか、その結果、足し算したり引き算したりすればこうなるのだというのは質問の中に入っておりませんから、その部分だけきちんと答えていただきたいのです。  そうすると、外債については、そこだけ確かめましょう、プラスになっているということですね。ちょっとプラスの金額を教えてください。
  131. 矢野朝水

    矢野政府参考人 外国債券につきましては五百五十九億円の評価損でございます。しかし、外国株式につきましては七千二百十八億円の評価益ということでございます。
  132. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そうすると、国内の株式についての時価評価額から簿価を引いた千九百八十二億円、これと先ほどの答えとのかかわり合いについてちょっと説明してください。
  133. 矢野朝水

    矢野政府参考人 これは、国内株式につきましては時価総額が六兆七千六百九十八億円、これに対しましての簿価残高が六兆九千六百八十億円でございますので、評価損が二千二百五十八億円となっておるということでございます。
  134. 矢島恒夫

    ○矢島委員 その三つのほかにもいろいろと運用はしているわけで、その結果どうなっているかということについてはおいおい尋ねていきたいとは思うのですけれども。  その評価損の問題で、特に国内株式の評価損の問題でお尋ねしますが、結局、バブルが崩壊して受けた株価の低落、このことによるところの評価損がまだ解消していないという結果だ、こう考えていいですか。
  135. 矢野朝水

    矢野政府参考人 そのとおりでございます。  株式市場が非常に低迷をしたということでございまして、時価と簿価との間に評価損が発生したということでございます。
  136. 矢島恒夫

    ○矢島委員 それから、各勘定の決算状況、これは、厚生省からいただいた平成十年度の財務諸表を見てみますと、資金確保事業も年金財源強化事業も、それから一般勘定までずっと赤字が続いている。それで、資金確保事業については、平成十年度八百六十億円の欠損、累積欠損は五千七百七十億円。それから年金財源強化事業の方は、平成十年度の欠損二千七百五十二億円、累積欠損になりますと一兆二千七百二十億円。一般事業勘定を見ますと、欠損二百五十八億円、累積欠損千三百二十六億円。こういう額になっているわけですが、この欠損をどのようにして解消していくつもりなんですか。いわゆる年金資金の自主運用ということで変わっていくわけですが、このことによって事態打開の展望は開けるかどうか。
  137. 矢野朝水

    矢野政府参考人 御指摘のとおり、年金福祉事業団の市場運用事業平成十年度末現在で見ますと、時価ベースで一兆二千億の累積欠損が出ております。それから、簿価ベースで見ますと、約一兆八千億の累積欠損が出ているわけでございます。ただ、これは平成十一年度になりましてから運用環境が非常によくなったということでございまして、現在、これは速報値の段階でございますけれども、十一年度末の時価ベースで見ますと、これまでの累積欠損が解消できる見通しでございます。ただ、簿価ベースで見ますと、引き続き累積欠損を解消できない、こういう状況でございます。  この問題につきましては、私どもは非常に深刻に受けとめておりますし、いろいろな形でこれまで運用の努力をやってきたわけでございます。こういった欠損につきましては、長期的観点に立って、これからも引き続き努力をしてその解消に努めていきたいと考えておるところでございます。
  138. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今の答弁では、結局、十一年度末、速報値ということですけれども、株が上がっているから幾らかよくなってきたということだろうと思うのです。しかし、累積欠損というのは解消されずに来ている。もちろん簿価ベースでは到底解消するわけはありませんが。  株が上がったからある瞬間赤字が解消して、簿価は、もちろん今御答弁があったように取得原価で表示されておりますから、株式などを売却して収益を実現させないと黒字にはならないわけですね。評価しているだけの段階では、もちろんまだ実現していない利益である。だから問題は解消しない。したがって、帳簿上には依然として二兆円近い累積欠損があるということを指摘しておきたいと思います。  さて、そこで、資金運用の利回りが低くて逆ざやになっているということもあるけれども、バブルの崩壊の影響がまだ解消できない、これが年金資金の重荷になっているということは事実のことであります。厚生省が幾ら株価が一時的に上がったと言っても喜べる状況じゃないのですね。今速報値でこうなったとおっしゃられましたが、株なんというのはいつ下がるかもわからないし、先週末、週末から週明けにかけて、アメリカを初めとして株ががあっと下がるというような事態だってあるのだから、余り堂々と、株が上がったので黒字になった、速報値はこうなっていますと言えるようなものではないのですよ。年金資金の運用赤字、累積赤字というものが非常に重大な状況にあるということは事実のことです。  そこで、やはり運用金額がふえるとリスクもそれなりにふえる可能性を伴ってくるものだと私は思うのです。そういうところからいくと、年金資金を株式で運用するというのは問題があるのじゃないかと。  これは、三月二十四日の厚生委員会ですね。丹羽厚生大臣が質問に対してこう答えました。上田議員の質問だったと思うのですが、答弁は丹羽厚生大臣です。「国民皆さん方が心配なさることは、何か株にたくさん、要するに乱高下の激しい株を買うのではないかということでございますが、私どもの勉強会の段階でございますが、自主運用に当たりましては、国債などの債券を七、八割、それを中心にしながら、国内株式を一割程度、国外株式を一割程度、こういうふうに組み合わせて、あくまでも分散投資を行うことによって長期的により安全で有利な運用が可能になる。こういうことを十分に配慮しながら、」「新しい形でスタートをさせたい、このような決意でございます。」こういう答弁があるわけです。  二〇〇一年度から基金で運用するようになるわけですけれども、厚生大臣のこの答弁、この決意、こういうように運用される、こう考えてよろしいですか。
  139. 矢野朝水

    矢野政府参考人 厚生大臣の答弁は、検討段階、途中段階のことを申し上げたわけでございます。  法律上は、新しい年金資金運用基金で運用する場合には、運用の基本方針を定めるということになっております。これは、保険料拠出者の代表あるいは経済金融の専門家を集めて、そこの御意見を踏まえてその運用の基本方針を定める。その一番メーンが資産構成割合、こういうことになろうかと思います。  そしてこの運用の基本方針につきましては、法律では、内外の経済動向を考慮し、市場民間活動に及ぼす影響などに留意するとともに、安全確実を基本として分散投資をする、こういう基本的な考え方があるわけでございまして、これにのっとって基本方針を定めるということでございます。  この基本方針は平成十三年四月までに定めることにしておりますけれども、私どもとしましては、民間の研究者を中心に研究チームを結成いたしまして、そこでいろいろな検討をお願いしてきたわけでございます。その状況が、国債などの債券が七、八割、国内株式が一割程度、国外株式が一割程度ということでございまして、こういったことも念頭に置きつつ、最終的には、審議会の意見をお聞きして十三年四月までに厚生大臣が定める、こういうことになるわけでございます。
  140. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろと申されましたが、大臣が述べたことなんですね、最終的にはこれを頭に置きながらと言うが。  新しい基本方針はこれから決めるのだ、それはわかっていますよ。しかし、大臣が委員会の中で答弁されたのがこれなんですよ。それを、今度は委員会で何かごちゃごちゃやりながらと、いろいろ言っているうちにこれは違ってしまうのかなと思っていたら、最後に局長は、それを念頭に置きながらと言ったから、多分そうなんだろうなと思いますけれども、私の方はその一番最後のところだけ言っていただければよろしいんですよ。  というのは、今まで年金福祉事業団の資金運用というのは、債券などが五割以上、それから株式三割以下、外貨建ての資産で三割以下、不動産二割以下、いわゆる五・三・三・二、こういう規制で行われてきたわけですよ。こういう中であの累積欠損をどんどんつくってきたのですから、私は、まさに厚生大臣のこの答弁のとおり七ないし八とそれから一、一、この割合でいいとは思いませんけれども、しかし、比べてみれば若干前進かなと私は思っているのですよ。ところが、今局長が答弁すると、違う方向へ行ってしまうのかなと思って心配したんですがね。  そこで、私が申し上げたいのは、資金運用を有利に、かつ安全で確実ということを言っているわけですが、しかし、なかなか専門家でもこれは難しいのですよ。だれもがそれをきちんとできれば、みんなもうかってしまうんですから、損する人がいなくなるわけです。特にこの年金基金の場合は、今後、保険料が伸びないかもしれないというようなことも言われているのです。ですから慎重な運用が求められるのです。  ひとつこの問題で大蔵大臣にお考えをお聞きしたいのですが、リスクの高い、こういうマネーゲームの世界にゆだねるということじゃなくて、本当に安全、有利、確実という点では、こういう公的資金の株式運用というものは私はやめるべきだと思うのですけれども財投全体を見ておられる大蔵大臣として、この考え方についてはどんなお考えか、お聞きしたい。
  141. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 基本的には運用者が、安全有利とかいろいろございますけれども、そういう方針に従って運用されるということに尽きるのだと私は思います。  その場合に、株式が入ることもあるのかもしれない。それはしかし、直接に運用されるのか委託運用のようなことをされるのか、安全のことは当然のことですが、いろいろ考えておやりになっておると思いますので、特に私が何かを申すべきだというふうには思っておりません。
  142. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今まで財投全般を見ながら、また今後もそういう面では大蔵大臣、いろいろとお考えがあろうかと思いますが、ここで言うわけにいかない、こういうことだろうと思いますけれども国民の財産を株式で運用するようなことがないように、ぜひひとつ、それぞれの自主運用の中で考えてもらいたい、このことだけ申し上げます。  矢野年金局長、私の厚生省に対する質問はこれで終わりです。お忙しいでしょうから。  そこで、今度は簡保資金と郵貯資金の問題で郵政省にお聞きしていきたいと思います。  現在の簡易生命保険の積立金の運用に関する法律の第一条「目的」のところですが、「この法律は、簡易生命保険特別会計の積立金を確実で有利な方法により、かつ、公共の利益になるように運用することによつて、簡易生命保険事業の経営を健全ならしめることを目的とする。」こうなっているのですね。  そこで、改正法案の第一条の方を見ますと、「この法律は、」以下ずっと同じで、「確実で有利な方法により、かつ、」ここのところが違っていて、「公共の利益の確保にも配意しつつ運用する」、こういうふうになっているのですね。あと以下は同じ文章です。  それから、郵便貯金法の方も簡保と同じようなトーンで書いてあります。第六十八条の二「(資金の運用)」というところで、「郵便貯金特別会計の郵便貯金資金の運用は、確実で有利な方法により、かつ、公共の利益の確保にも配意しつつ行うことによつて、郵便貯金事業の健全な経営を確保することを目的として、総務大臣が行う。」こうなっているのですね。  今までの法律の目的と今度新しく自主運用へいくに当たっての目的部分で違うところというと、公共の利益になるように運用するのか、公共の利益にも配意しつつ運用するのか、これは私は意味が違うと思うのですよ。  そこで、二つの点からこの問題でただしていきたいのですが、その一つは有価証券等への資金運用についてでございます。  郵貯・簡保資金運用研究会中間報告というのが出されております。そこでこういうふうに述べているのですね。   従前から、ほぼ全額自主運用で事業運営を行ってきた簡易生命保険については、運用に対して、法律により「確実」・「有利」な運用を行い、かつ、「公共の利益」に資するという原則が定められている。新しい制度への移行に伴い、郵便貯金・簡易生命保険の運用に関して、使命、原則、制約を再確認することは、健全な事業運営のために不可欠である。 こう書かれているのですが、このことは従来の運用と変わらないことだなと私は思うのですが、そう思ってよろしいかどうか、簡易保険局長それから貯金局長、ひとつお答えいただきたい。
  143. 足立盛二郎

    ○足立政府参考人 これまで第一条では「公共の利益になるよう」というふうになっていたところでございますが、今度「公共の利益の確保にも配意しつつ」ということにいたしましたのは、基本的に、郵貯、簡保ともそうでございますが、集めた資金というものを公的部門に活用していくというこれまでやってきたことは、恐らく今後ともそういう機能は果たしていく必要があるだろうというふうに思うわけでございますが、今回の財投改革等の趣旨を踏まえまして、自主運用ということで、いわゆる市場運用していくという姿勢を示すことでございますので、そのようなことなどを総合的に勘案しましてこのような表現になったものでございます。     〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  144. 團宏明

    ○團政府参考人 郵便貯金の運用関係につきましては、昭和六十二年以降金融自由化対策資金ということでやっております。その資金運用の根拠につきましては、金融自由化に適切に対応した健全な郵便貯金事業の経営の確保に資するため運用する、こういうふうになっておるわけでございますが、今回、金融自由化対策ということではなくて、全面的に自主運用を行うということにいたしましたので、今の簡易保険局長の答弁と同じような趣旨で、同文の自主運用の資金運用の方針を定めているというところでございます。
  145. 矢島恒夫

    ○矢島委員 その部分の違いというのが、市場原理というものとのかかわり合いで説明をされたわけです。その部分については、後ほどもう一つお聞きしたいのです。なぜ、この目的というものが変わったか。その理由は今両局長が述べられたわけですが、その問題点についてはこれから後で質問いたします。  一応今までの運用について確かめておきたいのですが、郵便貯金、つまり郵貯資金と簡保資金の運用について見てみましたら、簡保事業団の運用事業特別勘定で、平成四年度に四百四十六億円の経常損失を出しました。そしてその後、平成八年までずっと赤字が続いていきます。平成九年度という単年度では黒字に転じましたが、結局のところ、平成十一年度までを見ますと、多分三千四十二億円の欠損になっていると思うのですよ。  簡保事業団のこの運用事業特別勘定の運用状況というのは、今私が申し上げたような状況なのですが、平成九年度が、その当期だけの利益で四百四十一億円、平成十年度は当期利益が百九十六億円となっています。その単年度での黒字になっているのです。しかし、全体として累積は十一年度で三千四十二億円の欠損ですから、簡単にはこれは欠損をなくすということにはなりそうもない。この欠損の解消には何年かかるのか、こういうことが言えるわけです。  この原因というのは、いわゆる利差が大きい。運用寄託金の利息を簡保特会に支払わなければならないからということもありますけれども、結局その利息を上回る運用ができないということもありますけれども、簡保事業団の指定単自身、バブル崩壊後の株式の評価損、こういうのもあるだろう、あるいは外貨運用の失敗もあるのだろうと思うのですが、この点を明らかにしていただきたい。
  146. 足立盛二郎

    ○足立政府参考人 現在の簡保事業団を通じて行っております指定単でございますが、平成十年度末で資金が十四兆二千億、そして損益で見ますと、十年度末が三千四十一億円の累積欠損金を抱えておるということでございます。  これにつきましては、先生指摘のように、平成九年度四百四十一億の黒字、それから十年度が百九十六億円の黒字というふうになってきておりまして、これは近年におきます株式市況の状況等を踏まえて、一方で私ども簡保事業団に寄託いたします金利をなるべく低くするようにいたしております。そういった資金コストの入れかえ等もありまして、近年こういう黒字を計上してきておりますので、このままいきますと、三、四年ぐらいのうちには、現在の三千億ほどの累積欠損金も解消できるのではないかというふうに私ども考えておるところでございます。
  147. 矢島恒夫

    ○矢島委員 結局、平成十年で三千四十一億円の欠損が出ている、それが一番新しいものですか。十一年度というのは出ていないのですか、欠損額。
  148. 足立盛二郎

    ○足立政府参考人 十一年度の決算につきましては、現在簡保事業団で取りまとめ中でありますが、現在のところ、九年度、十年度に引き続きまして一定の利益が出るのではないかというふうに考えておるところでございます。
  149. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この点につきましては、さらに逓信委員会でこれから論議することになろうかと思うので、もう一点、先ほどのいわゆる目的のところで、公共の利益になるよう運用するということと、公共の利益に配意しつつ運用する、その部分の二つ目の質問ということで聞きたいと思います。  政府保証債や地方公共団体に対する貸し付けができるようになっているけれども、先ほどの郵貯・簡保資金運用研究会中間報告によりますと、「運用対象としての確実性や長期・安定的な運用という観点から、引き続き、公的分野への資金供給は重要である。」としているのですが、「ただし」と、こうなっていくのですね。そこが私もどうも腑に落ちないところなんです。「公共性という名目の下で、市場原理に反した投資行動を行うことは、預金者・加入者の利益を確保するという観点、事業の健全経営を確保する観点のいずれからも、到底是認できるものではない。」これは明らかに、公共性より市場原理が優先だということを述べていて、先ほどの目的の、公共の利益にも配意しつつ、こういうようにした理由もここにはっきりと出ているのだろうと思うのです。  そこで、これは大蔵大臣にお聞きした方がいいかと思うのですが、財投は国の政策目的実現のために行われるところの政府の投融資活動だと思うのです。地方公共団体への投融資原資としての郵貯資金や簡保資金、これについては、私が今読み上げた文章でおわかりのように、相当制約されるということが今後出てくると思うのですが、大臣、この点どのようにお考えになっていらっしゃいますか。これから地方公共団体が困るのではないかということを私は思うのですけれども
  150. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今お読みになったのを伺った限りでは、どうして制約されているとおっしゃいましたのですか。ちょっと、そのつなぎがわかりませんでした。
  151. 矢島恒夫

    ○矢島委員 こういう文章があるのですね。「ただし、公共性という名目の下で、市場原理に反した投資行動を行うことは、預金者・加入者の利益を確保するという観点、事業の健全経営を確保する観点のいずれからも、到底是認できるものではない。」つまり、公共性よりも市場原理を優先するんだと。先ほど局長の答弁でも、いわゆる市場原理というものでやっていこう、このことと、関係なければ関係ないでいいですよ、地方公共団体への、つまり公共性というものよりもむしろ市場原理を優先するのだから、だから今までのように郵貯資金やあるいは簡保資金を地方公共団体へ投資するということが、制約を受けるのではないだろうかと心配しているわけです。
  152. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私は、今伺っていまして、公共性という名のもとにという部分は、株式投資なんかしちゃいけないよ、こう言ったのではなかったのですか。よく公共性と言いますね。だから、あれはいかぬので、確実、有利でなきゃいかぬ、私はそういう文章かと思いましたが、先生のお読みになったのは、公共性というのは、地方団体なんかに貸すと余り有利でないというか、何かそういうふうにお読みに……(矢島委員「そういう意味じゃなくて、もう一度よろしいですか、整理します」と呼ぶ)
  153. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほど実は團局長も足立局長も、目的というところからずっとつながっている質問で、大分離れちゃったのでわかりにくかったかと思うのですが、目的が公共の利益に配意しつつと変わった。その意味は何かと聞いたら、市場原理というものをこれからは入れていくんだという答弁だったわけです。  そうなりますと、私の公共性というのは、地方公共団体などに今まで郵貯や簡保の資金を投入していったというものが制約されちゃうんじゃないかなという心配なんです、簡単に言えば少なくなるんじゃないか。むしろ市場の方でそれが運用されていく、こういう事態を想定した目的ではないのか。そのことを実は郵貯・簡保資金運用研究会の中間報告が言っているので、そういう心配はないのかなと思ってお聞きしたわけですが、そういう私の意見だということだけでとどめておいていただいて結構です。  またこの問題は、逓信委員会で郵貯法の改正問題がありますから、そのときにしっかりと聞きますので、ひとつ局長二人、考えておいていただければと思います。そういうわけで、私としては、そういう方向へ行くと地方公共団体にとっては相当な打撃になるんじゃないかなという観点ですから、後でまた逓信委員会でお聞きします。結構でございます。これで郵政省関係は質問を終わります。  時間が少なくなってまいりましたが、今度は出口の方の問題で、建設省に来ていただいておりますので、お尋ねしたいと思います。  一般会計の公共事業関係費、私たちは、五十兆円、二十兆円の問題で何回も予算委員会やそのほかで取り上げてきたのですが、一般会計の公共事業関係費の金額を見ますと、大体いつもその中でも道路整備の金額が一番大きいわけですね。今年度も二兆七千七百七十億円ですか、こういうことになっています。  今度は財投の方を見ますと、政府金融機関を除きますと、やはり最右翼が日本道路公団なんですよね。今年度、日本道路公団には、資金運用部から一兆五百四十八億円、簡保資金から七千二百八十二億円、こうなっているわけですね。首都高速道路公団や阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団などをずっと含めていきますと、今年度の財投資金計画書では、これらに行きますのが二兆九千五百十億円ということになっているのですね。  他方、政府特殊法人改革論議を受けて、またさらに、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律というのが成立いたしましたが、そういうものを受けて総務庁の行政監察局が、特殊法人の経営内容を把握、分析する、こういう調査を行ったわけです。昨年四月、特殊法人に関する調査結果報告書というのを出しているわけです。  この総務庁の行政監察局のまとめによりますと、高速道路事業についてこんな評価をしているのですね。新規路線ほど収支率が悪い。交通量の推計に基づき収入見通しを立てる償還計画は、実績との乖離の発生が不可避的である。収入が見込みを下回った場合、管理費の抑制等の経営努力だけで補うのは相当に困難だ。新規路線の建設費は増嵩。資産効率が低下しており、高速道路全体の収支基盤へ与える影響が懸念される。こういう報告書を出しているのですが、建設省、このことについて道路公団にどういう指導をしたか、教えていただきたい。
  154. 大石久和

    大石政府参考人 お答え申し上げます。  日本道路公団におきましては、かねてから、公共工事のコスト縮減行動計画等に基づきまして、建設費や管理費の削減、節減等の経営合理化に努めてきたところでございますが、建設省におきましても、高速自動車国道等におきまして資金コストの引き下げや償還期間の延長、これは四十年から五十年にするというものでございますが、これを行うなど、適正な料金水準のもとで採算性を確保するための条件整備に努めてまいりました。  さらに、今先生から御指摘がございました調査報告も踏まえまして、機会をとらえ、さらなる経営合理化に努めるよう公団を指導しているほか、事業実施後一定期間が経過した事業等について適切に再評価を行う等により、必要に応じ見直しを行うよう指導しておるところでございます。
  155. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今局長が言われたようなやり方で、この報告書に書いてある、大変な内容、もうどう見たってこれは簡単にはいきませんという報告書ですよ、その程度のことで道路公団の今までの累積している赤字や採算の合わない問題が解消するとは私は到底思えませんが、これはそういう方向でやらざるを得ないのですから、この行政監察局の報告の一つ一つをよく吟味し、精査して、それに見合ったきちんとした指導を行うべきだ。  実は、今高速でお聞きしたんですが、一般の有料道路の事業についても大変厳しいことが書かれていますよね。個別採算性のもと、償還期間が満了し、無料開放された道路の五割強は自力で償還ができない。それから、営業中の四十六道路中三十道路が回収率マイナス。さらに、東京湾横断道路についても書いてありますね。利用実績は償還計画で見込んでいる交通量の五割程度で、収支見通しは楽観許さず、こんな指摘がなされているわけですね。  そのほか、首都高速、阪神高速、本州四国連絡橋のそれぞれの公団の問題も聞きたいのですが、時間がなくなりました。こういう問題についても、やはり道路公団に対してこれを改善していく道筋をきちんと示す。ただ、おまえたち、頑張ってリストラをもっとやって、合理化を進めてやりなよということを言っていただけでは、なかなかこれだけの大問題になっていることを解消するわけにいかない。建設省は責任を持ってやることが必要だと私は思います。  そこで、二つ目の問題です。  今回資金運用部資金法の改正が行われます、賛成多数で成立すればということですね。この法律の改正というものの道路公団への影響を、建設省としてはどのように受けとめていますか。
  156. 大石久和

    大石政府参考人 日本道路公団は、平成九年十二月二十六日の閣議決定特殊法人等の整理合理化について」におきまして、財投機関債発行し、自力で資金調達の拡大を図るとされたところでございます。このため、現在、日本道路公団におきまして、市場での資金調達を行うため、必要な情報開示、ディスクロージャー等の検討、また調達コストの変化等、その影響分析を行っております。  建設省といたしましては、これらの検討状況を踏まえ、全体として資金調達コストを極力抑制しつつ、財投機関債による市場での資金調達の拡大が図られるよう、日本道路公団を指導してまいりたいと考えております。
  157. 矢島恒夫

    ○矢島委員 法律が変わっていって、今度の新しい資金運用部資金法の改正という中で、やはり建設省として取り組むべき方向というのもこの法律に基づいて変わっていく、これは変わらざるを得ないと思うのですよ。そのときに、今私が指摘したようないろいろな部分があるんだ、そういうのを踏まえて、それが解決できる方向というのをぜひ見出していくということが重要だろうと思うのです。  そこで、高速道路の問題にちょっと戻って、償還計画上の未償還残高がどうなっているのかというのがわかりますか。私、これは質問通告していなかったので、今そこでわからなければ仕方がありませんけれども、後で資料をいただければと思います。償還計画をつくっていらっしゃるわけですけれども、いわゆる未償還残高が今どのぐらいになっているか、わかりますか。
  158. 大石久和

    大石政府参考人 平成十年度末の償還準備金の積み立て状況等について御説明申し上げますと、まず建設費の償還分の累計額が七兆五千六百九十四億円、営業中道路の借入金残高が十八兆六千八百九十一億円でございます。
  159. 矢島恒夫

    ○矢島委員 その償還状況ですが、高速道路全体の収支率というのですか、それはどのぐらいになっていますか。
  160. 大石久和

    大石政府参考人 直近の公表いたしております収支率は、全体の路線をならしまして五九でございます。
  161. 矢島恒夫

    ○矢島委員 まだ半分ちょっとということで、結局、百円の収入を上げるのに要する費用が五十九円だ、こういうことですね。  いずれにいたしましても、一般有料道路も含めましてまだまだ厳しい状況の中で、今後の道路公団をどうやっていくのかというあたりは、ぜひ局長、真剣に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、最後になりますが、道路公団の問題は、やはり公共事業全体の問題の中で象徴的に浮かび上がらせていると思うのですね。そのほかにも公共事業の中で実際に大変な事態になっているところもありますが、きょうは道路公団の問題でお聞きしたわけです。  景気対策だということで、あるいは産業基盤整備だということで、道路をどんどん拡張してまいりました。もちろん私たちは、道路全部が悪いとは言いません、やはり必要な道路というのはあるわけですし、必要な道路だと思って建設省も道路公団と一緒になってつくったのかもしれませんが、道路によっては、なぜこんなところにこういう立派な道路をつくるんだろうと思われるようなものもある。それは便利を受けている人もいますよ、そのことによって。ただ、生活に密着したものあるいは国民がこれは必要なんだというところは進めていくとしても、どうも必ずしもそういう状況じゃなくて、財投資金があるからひとつ道路をつくろう、高速道路やあるいは有料道路をつくっていこう、場合によっては政治家がそれに介入するなんということもないわけではない。こういう状態で進めてきた結果が、今局長がいろいろと言われたような状況をつくってきたのです。  そこで、大蔵大臣、最後の質問なのでお答えいただければと思いますが、私は、今回の法改正をまつまでもなくて、先ほど読み上げました総務庁の行政監察局が指摘したいろいろな問題点を真っ正面から受けとめて十分見直すべきだ、法が改正されてから、新しい制度になってからひとつやりましょうなんて悠長なことを言っていられない、このように思うのですが、道路公団の問題を含めて道路のことについての公共事業、これらの関連で大臣のお考えがありましたら。
  162. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨年の暮れに、国幹審といいますか、審議会がございましたときに、私もそういうことを聞いておりまして、償還期間がほぼ五十年という状況は非常に危機的な状況にあって、何か新しい方法を考えなければならないんじゃないんでしょうかということを申し上げたときに、建設大臣も当然そのことはよく御存じでございました。建設省の方々も今お話しのように適切な対応をしなきゃいけないということをお考えのようでございます。  ですから、今度こういうことになりますが、まさにその機会にかなりいろいろなことについて再検討していただいて、新しい方向を発見するなり、また新しいコンセプトを考えるなりということがあちこちで必要になっているのではないかというふうに私も承知をいたしております。そうお願いしたい、かように思っております。
  163. 矢島恒夫

    ○矢島委員 年金資金とかあるいは郵貯資金それから簡保資金、これを中心にお聞きしてきたわけですけれども、それらの資金の性格というのは、もちろん、強制的に集められたものと、それから任意の資金という意味では違った面があると思うのです。しかし、これらの資金というのは国民の財産であることは変わりがないのですね。そういう意味で、国民の利益に反するような結果を招きかねないリスキーな運用はすべきでないということで株の運用の問題についてずっとお尋ねしてまいりました。一度莫大な損失が生じちゃいますと、これは取り返しがつかない重大な問題になるわけですから、やはりそういう面でも十分今後考えていかなきゃならない問題だと思います。  この点と、特殊法人へのいわゆる、道路公団を例に挙げてお聞きしたわけですけれども、ここへ投融資する場合にも、大企業本位の景気対策だとか、あるいは産業基盤整備中心ではなくて、やはり国民のための公共事業というものを進めるべきだと私は思います。  この法律の改正ということが提起されているわけですが、ぜひそういう方向で今後進むべきだということを強く申し上げて、時間が参りましたので、終わります。
  164. 金子一義

    金子委員長 次に、横光克彦君。
  165. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  資金運用部資金法の改正案、最後の質疑でございます。よろしくお願いいたします。  この法案につきまして、各委員から問題点あるいはそれに対する対応、また、実施後の展望、逆に不安、いろいろな問題が審議されたわけでございますが、私、最後にまとめといいますか、そういった形で、重複するところがあろうかと思いますが、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  まず、今般の財投改革、先ほどからお話ございますように私は大変な大改革だと思うわけでございます。郵便貯金、年金積立金の全額が資金運用部に預託される制度から、特殊法人の施策に必要な資金だけを市場から調達する、そういった仕組みへ転換を図ることになるわけでございます。そのことによって資金調達について市場原理を導入させる、このことによって余りにも肥大化し過ぎた財政投融資のスリム化を図る、またスリム化を促進していく、そういったものであると理解をいたしているわけでございますが、一番の変革である市場原理を導入する、つまり市場のチェックの必要性、これを論ずる前に確認しておきたいことがあるわけでございます。  それは、財投機関一般特殊法人のディスクローズが徹底されているのか。そしてまた、効率的、効果的な運営、さらに業務遂行がなされているのか。つまり、国民から見て容易に理解できる形で開示されているかどうかが、私は何といっても第一義的には問われねばならないことだと思っておりますが、そのことに対する御認識をまずお伺いいたしたいと思います。
  166. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはまことにごもっともなことでございまして、財投機関のディスクロージャーというのは随分前から言われております。平成九年に、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律、これでディスクロージャーが行われております。貸借対照表、損益計算書等の財務諸表でございます。かなり広く行われるようになりました。  特殊法人の情報公開制度そのものは、昨年の行政機関情報公開法附則二項で、二年をめどに法制上の措置を講ずることになっておりますので、それが本年七月ごろに報告をまとめるべく、情報公開検討委員会というので作業が進んでおります。  したがいまして、御指摘の点はかなり制度的には整備が進むようになってまいりまして、今後もそうしていきたいと思っております。
  167. 横光克彦

    ○横光委員 市場のチェックを受けるわけでございます。市場の評価を高めるためにも、まずもって財投機関のディスクローズというのが大前提であろう、このような気持ちでいっぱいでございます。  資金調達の方法としては、財投債政府保証債、そして財投機関債、この三種類があるわけですが、この三種類の性格といいますか、おのおのの位置づけ、役割というものを改めて御説明いただきたいと思います。
  168. 大野功統

    大野(功)政務次官 ごく大ざっぱに申し上げます。  まず、財投機関債役割は、各財投機関がみずからの足で立っていただく、自立していただく、こういう趣旨でございます。  それから、財投債の方は、政策目的に照らして財投機関債が出せない財投機関においては、その財投機関がやっている政策を徹底的に洗い直す、ゼロベースで洗い直して、やはり本当に必要な政策なら遂行していかなきゃいけない、こういうことで財投債から融資するわけでございます。  それから、政府保証債の方は、限定的、過渡的に政府保証をつける、こういう考え方でございます。
  169. 横光克彦

    ○横光委員 今、それぞれの三つ調達手段を御説明いただきましたが、特殊法人などの資金調達手段としては、まず財投機関債によって行うことが原則であろうと思っております。政府保証債あるいは財投債による資金調達は限定的に行うべきで、いわば例外措置という位置づけであると考えているわけでございます。  それゆえに、政府財投改革の本旨を貫きたいのであれば、私は、原則論としてまず申し上げますが、すべての財投機関が、たとえ少額であろうとも機関債を発行して、そして健全な市場のチェックを受ける必要がある、このようにまず思うわけでございますが、このことに対しての御意見はいかがでしょうか。
  170. 大野功統

    大野(功)政務次官 財投機関債を出す場合には、やはり市場に評価されなきゃいけない。そのために市場の格付というのが必要かと思います。したがいまして、ミニマムどのぐらいの財投機関債を出すこと、これを義務づけるということ自体市場原理に反することではないか、このように考えます。
  171. 横光克彦

    ○横光委員 まあ、今私が言ったのは原則論でございますが。  また、この原則からちょっと外れますが、従来から、いわゆる市場原理のみでは対応できない政策的な要請がございます。つまり、市場原理というのはあくまでも利潤の追求でございますし、収益性が薄いとはいえ、国民にとっては必要ないわゆる政策的な目的、そういった要請に関しては、政府系機関が果たさねばならない役割の重要性、これは私もこの委員会で質問したことがございますが、この必要性は大臣もお認めになってきたところでございます。  市場原理の一定の利用によって財投機関の効率性等をチェックするとはいえ、市場というのは必ずしも万能ではないわけでございます。先ほど各特殊法人の代表者の皆様方の御意見の中でも、市場経済が大きく変動することによる不安というものを大変感じているというお話もございました。ですから、財投機関債という形での調達手法にのみ固執してしまうならば、逆に調達コストが上昇したり、あるいは資金調達が不安定になる、そういった副作用も起きかねないわけでございます。ですから、結果的には、真に必要な事業の達成に支障を来しかねない。ですから、本当に政策的な要請に基づく真に必要な事業の達成のためには、やはり政府の信用力をいかに活用するか、これも選択肢として十二分に整備される必要があるのではなかろうかと思っております。  例えば、政策金融機関、これについては同じような機関が諸外国にもあろうかと思いますが、政策を行うに当たって、政府の信用あるいは財政措置などをうまく組み合わせることによって、総体としてのコストの削減、そしてまた国民負担の軽減に役立っている、そういうこともあるのではなかろうかと思いますが、海外における政府の信用のかませ方や、あるいは財政措置のあり方などを具体的に説明いただきながら、このことについての御見解を伺いたいと思います。
  172. 中川雅治

    中川政府参考人 海外の主要国の、我が国でいう財政投融資類似制度について申し上げます。  それぞれの国にそれぞれの歴史がございますので、我が国と全く同じような制度をとっている国はございませんし、また、国によってそれぞれまちまちな制度になっているようでございます。  例えば、アメリカにおきましては、政府関連機関、これは連邦政府機関、また政府支援企業というものもあるようでございます。こういった政府関連機関が国庫また民間からの資金を原資として、住宅、農業、貿易、教育及び中小企業支援等の分野に対して融資や債務保証等を行っております。この原資につきましてはいろいろございます。国債の発行によるもの、また債券発行というようなさまざまなものがあるようでございます。こうした融資や債務保証等につきましては、行政管理予算局が予算の一部でございます連邦信用計画、フェデラル・クレジット・プログラムとして取りまとめているところでございます。  フランスにおきましては、預金供託公庫というのがございまして、フランスの場合には我が国の郵便貯金に相当する制度がございまして、この郵便貯金に相当する国民貯蓄公庫等からの預託や、市中での債券発行、借り入れ等による資金を統合管理して、民間、国有企業、地方公共団体等への貸し付けを行っているということでございます。  また、ドイツにおきましては、復興開発公庫、KFWといったような特別銀行グループが、市中での債券発行、あるいは欧州復興プログラム、ERP特別財産等からの借り入れ等による資金を原資といたしまして、地方公共団体、民間企業、外国への貸し付けを行っているところでございます。さらに、ドイツでは、公営の貯蓄銀行シュパールカッセ、あるいは州立銀行などが発達しておりまして、住宅、都市開発等に融資を行っております。  イギリスにおきましては、我が国の一般会計にほぼ相当する統合国庫資金勘定の剰余金や国債の発行収入金、年金資金等を統合管理する国家貸付資金勘定がございまして、この国家貸付資金勘定から国有企業、地方公共団体等への貸し付けが行われております。ただし、イギリスの場合には、政策金融としての住宅融資を行っていないこともございまして、これらの貸し付けが占める割合というのは非常に小さいというように聞いております。
  173. 横光克彦

    ○横光委員 財投機関債発行でございますが、これで自力調達ができない機関については業務の整理縮小等を図るわけでございますが、それをして、さらにあらゆる手だてを通じても業務が行き詰まった場合は、先ほど政務次官のお話では、コストとベネフィットの分析をきちっとやった上で解散という方法もあるというお話がございましたが、財投機関債のみで市場から資金調達できる機関、つまり自力調達ができる機関については、将来これは民営化へ移行させるという方針もあるのでしょうか。
  174. 大野功統

    大野(功)政務次官 今回の財投改革の中には、財投機関事業の肥大化の問題を改善していく。この中でどういうふうに考えたらいいかといいますと、もちろん民営化という選択肢もあります。独立行政法人になるという選択肢もあります。それから整理統合していくという選択肢もある。それからスリム化していく。こういういろいろな選択があると思いますけれども財投機関債が自分で発行できるからといって、それが直ちに民営化、こういう短絡的なつながりではなくて、民営化を考える場合には、やはり官業が民業を補完する、官民の役割分担、こういう観点からも考えていく必要があると思います。
  175. 横光克彦

    ○横光委員 財投機関債発行額についてですが、これは制限があるのかどうかということでございます。もしないとすれば、調達した資金が円滑に回ればいいのですが、もし回らなくなった場合は、現在発行している国債のように、発行残高が際限なく拡大することが懸念されるわけでございますが、このことはどうなんですか。
  176. 大野功統

    大野(功)政務次官 お尋ねの件は、一つの財投機関発行する財投機関債発行額の限度があるか、こういう意味だと解釈いたしますが、これはございません。  ございませんけれども、要するに、自前で、自分の足で立てるようになって、どんどん膨らんでいけば、どういう事業を行っているのか、こういうことが問題でございます。それが一つ。それからもう一つは、やはり政策手段でございますから、国庫補助金がございます。この二つの観点から、毎年毎年所管大臣が事業計画あるいは資金計画を見直しておりますし、また、債券発行につきましては、所管大臣並びに大蔵省、大蔵大臣と協議してやっていく、こういうことでございます。もし、どんどん膨張していくとなれば、政府補給金を減らす、こういう選択肢があるわけでございます。いろいろな選択肢とともにチェックしていく、こういうことでございます。
  177. 横光克彦

    ○横光委員 現状の財投計画の編成は、大蔵省が財投機関からの要求を審査、査定して、そして一般会計予算と歩調を合わせて、その時々の経済情勢に応じて編成してきたわけですね。例えば拡大型にするかとかあるいは抑制型にするとか、そういった編成の手法をとってきたわけでございます。しかし、今回の財投改革になりますと、各財投機関が大蔵省の査定の枠外で財投機関債発行して資金調達し、そしてそれを運用する。こうなりますと、これまでの財投の持ついわゆる景気調整機能といいますか、こういったものが揺らいでくるのじゃないかという心配もあるわけでございますが、今後、経済情勢に応じた財投計画を作成するに当たっては、どのようにこのような機動性を保持していくおつもりなのか、お聞かせください。
  178. 大野功統

    大野(功)政務次官 第一の問題点は、国会に資料として財投計画を出します。その中で、財投機関債は各財投機関で幾ら出していくのか、こういうことが参考資料で出てまいりますから、全体の一覧性が確保されます。  それから、政策手段でございますから、例えば資源の配分、先生がおっしゃったような景気対策、こういうことが必要であれば、当然、財投債からの融資、財政融資資金特別会計からの融資、これがあるわけでございまして、景気対策としてやらなきゃいけないところはやる。一例で申し上げますと、例えば中小企業金融公庫国民生活金融公庫、こういうところで低利融資をして、そして中小企業者を助けていく、こういうことは当然、資金を補って、という意味財投債を出してやるべきことでございます。
  179. 横光克彦

    ○横光委員 次に、政府保証債のことでお伺いしますが、これは先ほど御説明いただきましたように、あくまでも過渡的な保証債であるということでございます。これは資金運用審議会での答申でもそのように答申されているわけでございますが、いわゆる経過措置的な役割を持つものと思うわけでございますが、運用していく範囲についてはそれなりの期限を区切るなどの対応をしなければ、やはり現状の財投事業を温存することになりかねないと思うのですね。ずるずるといつまでも保証をつけていくことになれば、非効率な運営が続くおそれがあるわけでございますが、この政府保証債の期限についてはどのようにお考えなんでしょうか。
  180. 大野功統

    大野(功)政務次官 先生がおっしゃること、ごもっともだと思いますけれども。  例えば、考えてみますと、限定的、過渡的というのは、例えば電源開発、当然民営化が予定されております。したがいまして、こういうものに対しては過渡的に政府保証をする。それから、外債の問題があります。外債につきましては、外国でその財投機関が有名で信頼されていればいいのですが、どうもそういうことがどうだろうか、こういう問題点があります。それから三番目に、公営企業金融公庫のように、政府保証をつけてあげないとなかなか融資ができない、地方の発展のためにも大変だなというものがございます。それから、例えば資産、負債の健全な管理のためにやや短期的な資金調達をする、こういう問題がございます。  過渡的な分はいいのでございますが、外債の部分と公営企業金融公庫のような部分というのは、よほどいろいろと検討していかないと、いつまでで終われということは難しいんじゃないかなと今のところ思っていますが、十分検討させていただきたいと思います。
  181. 横光克彦

    ○横光委員 次に、財投債の件でお聞きしたいのです。  財投債発行については、財投債も国債も、国の信用力に変わりはないということから、既存の国債と一体のものとして取り扱う、このようなお話もございました。政務次官から先般、帽子に例えて御説明がございましたが、国の信用力に変わりはないといっても、国民の税金を担保とする国債と、そしてまた特殊法人の運営を担保とする財投債、これは質的にはもう全然違うわけでございます。既存の国債と一体のものとして取り扱うとしますと、仮に財投債発行が巨額になってしまえば、その分ストレートに国債の残高も巨額になるわけでございますよね、一体として取り扱うわけでございますから。  このことが財投債と国債の質が違うにもかかわらず市場をいたずらに混乱させないのか、あるいは国債に対する信認を落とすことにならないのか非常に心配されるわけでございます。信用する対象はどちらも国ではございますが、信用する中身は違うのですから。国民の国債の膨張懸念を払拭するためにも、やはり帽子は変えるべきじゃなかろうか、財投債商品と国債商品とは区別して発行すべきではないかという思いを持っておるのですが、いかがですか。
  182. 大野功統

    大野(功)政務次官 大変難しい御質問なんですけれども、いずれも国の信用力をもって出す債券でございますから、国債ということで一本にする、帽子は同じにする。中身は違いますよというのは、将来の国民負担で払うのと、それから貸し付けということで担保されているものと、これはやはり違うのではなかろうか。したがいまして、国際的に見ましても、国連の考え方を見ましても、やはり財投債の場合は国の借金でなくていいよと。それはなぜかといいますと、貸し付けによって担保されているから、国の債務でなくていいよと。  それで、もう一つの御疑問は、市場が混乱するのではないか、こういうことでございますけれども、それは、市場お金を出す郵貯あるいは簡保、年金積立金、こういうところがどこへどういうふうな行動に出るかということも一つありましょうし、それから市場のそのときの経済情勢による弾力性なり幅なり大きさなり、こういう問題もありましょうし、それによって自然に財投債の取り分も制約される可能性がある。  こういうことを考えますと、私は、帽子は同じでいいのじゃないか。ただ、帽子は同じでも、国民の目にはどうだ、こういうことがありますので、例えば国債でございますと、国債というのは建設国債とか特例公債のことですが、そちらの方は予算の予算総則、一般会計の方できちっと書いていく、それから財投債の方は特別会計の方で書いていく、きちっとそれは予算上はっきりと明示していくわけでございます。
  183. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。ありがとうございました。
  184. 金子一義

    金子委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  185. 金子一義

    金子委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。鴨下一郎君。
  186. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 私は、自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党を代表いたしまして、ただいま議題となっております資金運用部資金法等の一部を改正する法律案について、賛成の討論を行うものであります。  財政投融資制度は、郵便貯金及び年金積立金など国の制度、信用に基づいて集められた公的資金を原資として政策目的実現のために行われる国の投融資活動であり、これまで国内の貯蓄を社会資本整備等に効率的に活用する財政政策手段として我が国の経済発展に貢献してきました。財政投融資は、英米独仏など諸外国においても広く同様の制度が存在するものであり、財政政策の一環として、有償資金の活用が適切な分野に対応するという財政投融資役割は、将来においても必要であると考えております。  しかしながら、現在の財政投融資制度は、郵便貯金及び年金積立金の巨額な資金資金運用部に流入する仕組みとなっており、それによって財投の肥大化といった問題が指摘されるようになってきていることから、財政投融資制度改革する必要があります。  今般の法律案は、平成十年六月に成立した中央省庁等改革基本法第二十条の規定に基づき、現行の財政投融資制度仕組みを転換するものであり、次のような改正を行うこととしています。  第一に、本法律案は、郵便貯金及び年金積立金の資金運用部への預託義務を廃止するとともに、資金運用部資金を財政融資資金に改めることとしています。  第二に、本法律案は、資金運用部特別会計を財政融資資金特別会計に改めるとともに、同特別会計の負担において国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとする等の措置を盛り込んでおります。  第三に、本法律案は、郵便貯金資金及び簡保積立金の地方公共団体への貸し付けについて国会の議決を経ることとする等、所要の措置を講ずることとしています。  第四に、このような改革の実施に当たっては、既往の貸し付けの継続にかかわる資金繰りと市場に与える影響に十分に配慮し、適切な経過措置を講ずることとしています。  こうした改革を行うことにより、二十一世紀において新しい財政投融資制度が適切な役割を果たすこととなるとともに、特殊法人等の改革、効率化の促進にも大きく寄与することが期待されるものであり、今国会において早期に成立することがぜひとも必要であることを指摘し、私の賛成討論といたします。(拍手)
  187. 金子一義

    金子委員長 次に、河村たかし君。
  188. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました資金運用部資金法等の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。  今回の改革案では、預託義務の廃止が盛り込まれました。財投が抱える矛盾の大きな要因が預託義務であることを考えれば、この廃止は当然のこととはいえ、評価すべきものと考えます。また、財投機関は必要な資金市場から調達するという政府の方針も、一応前進と考えています。  しかしながら、今回の法律案を見ても、本当に財投の縮小が実現できるのか、今後国民負担が発生することはないのか、強い疑念が残ります。その最大の要因は、財投機関財投債に依存する道を残したことです。財投債は国債であり、国の信用をバックに発行するものです。国の信用を背景に集めた資金財投機関供給するというのであれば、これは従来の預託と何ら変わることはありません。また、財投債資金調達を依存するということは、市場の評価を通じた財投機関の効率化も機能しないということです。  今回の改革においては、財投機関債発行こそが、財投機関の効率化のためにも、財投の縮小のためにも最も重要な課題です。この最も重要な部分について何ら法的担保がないどころか、法案審議においても明らかにされませんでした。これではこの改正案には賛成することはできません。  もう一つの大きな問題は、今回の改革案から特殊法人そのものの見直しが全く抜け落ちていることです。これでは特殊法人に莫大な資金が流れ、それゆえに財政規律が緩み、そして最終的には国民に負担を押しつけるという構造が今後も残ることになります。民主党が最も懸念する国民負担の発生に対する疑念は、今回の法案では払拭することはできません。  財政投融資改革が必要なことは言うまでもありません。そのための第一歩が預託義務の廃止であることは論をまちません。しかし、政府案は明らかに見かけだけの改革であり、今と何が変わるのか全く不明です。このような改革先送り法案に対しては反対の意を表するとともに、我々民主党が次の総選挙で政権をとった際には、このような見せかけの改革ではなく、真の改革を必ず実現することをお約束いたしまして、私の討論とさせていただきます。(拍手)
  189. 金子一義

    金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
  190. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の資金運用部資金法等の一部改正案に反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、財政投融資制度を民主的に改革するのではなく、事実上解体に導くからであります。  財政投融資制度は金融的手法を使った財政政策の一環であり、予算と並び公共政策の重要な政策手段であります。ところが本法案は、その財源部分と使途とを切り離し、市場原理にゆだねることによってこれを事実上解体に導こうとするものであります。  財政投融資の現状は多くの問題を抱えており、そのあり方が大きく問われております。しかし、問題は制度それ自体にあるのではありません。この制度を利用して、専ら浪費的な大型公共事業や大手企業のための産業基盤整備などに大規模に投融資し、また一般会計の赤字を当面糊塗するために財投資金を利用した結果、本来の姿から大きくゆがめられたことが問題なのであります。したがって、この制度を解体するのではなく、ゆがみにメスを入れ、正すことこそ必要であります。  第二に、郵貯、年金の預託義務廃止と全額自主運用がもたらす問題であります。  本法案によって、従来の自主運用の何倍もの約五百兆円もの巨額の資金が金融市場で自主運用されます。アメリカでも、クリントン大統領が公的年金資金を株式に運用する提案を行いましたが、さまざまな問題があるとして撤回されました。また、年金や簡保事業団等の資金がこの間多大な損失を受けたことは既に明らかになっています。この教訓から学ばず、安全であるべき郵貯、年金などの国民の財産を危険なリスクにさらすことは断じて容認できません。  第三に、国民生活関連の財投機関の縮小整理につながる問題であります。  個々の財投機関が公的な機関として必要かどうか、また、どの程度の国の関与や財政的な援助が必要かは、国の政策判断で決めるものであり、市場が決めるものではありません。本法案により個々の財投機関資金の自己調達を求めるなど市場の評価にさらすことは、もともとその力が弱い国民生活金融公庫住宅金融公庫などの政府金融機関、福祉、教育関係など国民生活関連の財投機関を破綻に追い込む結果を招くのであります。  第四に、ディスクロージャーの重大な後退になるからであります。  今後、財政投融資計画の国会提出は、確かに法律上義務となります。しかし、財投原資の大宗を占める郵貯と年金積立金が預託義務を解除されることなどによって、財投計画の範囲は縮小します。そのため国民から財投の全体像が見えにくくなり、同時に国会への報告や議決の範囲も全体として縮小され、国民によるチェックも困難になるのであります。  第五に、巨額の財投債発行が新たな深刻な問題を引き起こすことであります。  財投債は、従来の国債とその性格を異にするとはいえ、国が最終的に償還責任を有する点では同じものであります。数十兆円を下らない巨額の財投債という新国債の発行は、我が国財政を一層危機に追いやるものであり、その償還国民の負担になります。また、その消化問題をめぐって新たな深刻な問題を引き起こすことは必至であります。  最後に、本改正案は、五十年に一度あるかないかの重大な制度改革法案であるにもかかわらず、短時間の審議で国会を通過させるやり方に遺憾の意を表し、私の討論を終わります。(拍手)
  191. 金子一義

    金子委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  192. 金子一義

    金子委員長 これより採決に入ります。  資金運用部資金法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  193. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  194. 金子一義

    金子委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、渡辺喜美君外四名から、自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。渡辺喜美君。
  195. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     資金運用部資金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 財政投融資対象分野・事業については、民業補完及び償還確実性の徹底、政策コスト分析の活用等を図り、適時適切に見直すこと。また、これを担う特殊法人等についても、一層の整理合理化に努めること。  一 財投機関債については、財政投融資対象となっている特殊法人等が市場の評価にさらされることを通じ、運営効率化へのインセンティブが高まるという財投改革趣旨を踏まえ、その円滑な発行と流通のための環境整備に努めること。  一 財投債については、真に必要な事業に限定し、安易な発行が行われることがないよう留意すること。  一 政府保証債については、財政規律の確保等の観点から厳格な審査を行い、限定的、過渡的に発行を認めることとすること。  一 市場原理だけでは実現できない重要な施策を実施している機関や超長期資金を必要とする事業等については、その業務のあり方等にかかる不断の見直しを行いつつ、必要な業務遂行に支障が生じないよう適切な配慮を行うこと。  一 特殊法人等の業務内容、財務諸表等及び財政投融資全体の情報開示を徹底するとともに、特殊法人等に対する外部監査法人の活用に努めること。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。
  196. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  197. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣宮澤喜一君。
  198. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま御決議にありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。     —————————————
  199. 金子一義

    金子委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  201. 金子一義

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十五分散会