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2000-04-19 第147回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十九日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 鴨下 一郎君 理事 根本  匠君    理事 渡辺 喜美君 理事 上田 清司君    理事 北橋 健治君 理事 石井 啓一君    理事 佐々木憲昭君       石原 伸晃君    大石 秀政君       大野 功統君    河井 克行君       栗原 博久君    桜井  新君       桜田 義孝君    塩谷  立君       下村 博文君    砂田 圭佑君       高市 早苗君    西川 公也君       林  幹雄君    宮本 一三君       村上誠一郎君    渡辺 博道君       岩國 哲人君    岡田 克也君       河村たかし君    桑原  豊君       末松 義規君    中川 正春君       久保 哲司君    谷口 隆義君       並木 正芳君    若松 謙維君       矢島 恒夫君    安倍 基雄君       西田  猛君    鈴木 淑夫君       二見 伸明君    横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    総務政務次官       持永 和見君    大蔵政務次官       大野 功統君    厚生政務次官       大野由利子君    郵政政務次官       前田  正君    政府参考人    (大蔵省理財局長)    中川 雅治君    政府参考人    (厚生省年金局長)    矢野 朝水君    政府参考人    (郵政省貯金局長)    團  宏明君    政府参考人    (建設大臣官房総務審議官    )            林  桂一君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   桜井  新君     栗原 博久君   岩國 哲人君     桑原  豊君   若松 謙維君     久保 哲司君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     桜井  新君   桑原  豊君     岩國 哲人君   久保 哲司君     若松 謙維君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  資金運用部資金法等の一部を改正する法律案内閣提出第五八号)     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  内閣提出資金運用部資金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として郵政省貯金局長團宏明君、建設大臣官房総務審議官林桂一君、厚生省年金局長矢野朝水君、大蔵省理財局長中川雅治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 金子一義

    金子委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺喜美君。
  5. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 大臣におかれましては、まだ時差ぼけもとれないのに、連日の委員会出席、まことに御苦労さまでございます。  今、アメリカの株価はジェットコースターに乗っているようなものでございまして、日本の方も過剰反応が出ているということだろうと思うのですね。日経平均の銘柄を三十種類ぐらい入れかえる、こういうことがあって、日本の方はさらに下げ圧力みたいなものが加わっているわけです。大臣がきちっとおっしゃってくださっているように、これはそんなメルトダウンシナリオに行くような大暴落では全くないわけでありますから、こんなことで解散が先送りされないように、ぜひ森総理にも大蔵大臣からよくお伝えをいただきたいと思うのでございます。  また、G7において、マクロ政策の調整ということでお話があったんだろうと思います。今回の声明に盛り込まれた一つのキーワードは、潜在成長率の向上、こういうことなんですね。日本は、経企庁によれば、二%ぐらいの潜在成長率があるんだ、こういうことなんですけれども、実際は、この間、日銀植田教授どもおっしゃっておられるように、二%もないかもしれないということなんですね。そういたしますと、では短期金利適正水準というのは一体どれくらいになるんだ、こういうことなんですよ。  また、今アメリカの赤字のファイナンスを日本人とヨーロッパ人アジア人がつけてあげている、こういうことがありまして、それで、ユーロが安い、円は円高圧力がかかっている、そういういわば三すくみ状態であろうと思うのですね。  お手元に、量的緩和長期金利と為替に与える影響という二枚のグラフをお配りしてございます。時間がないので詳しい説明はいたしませんけれども、明らかに、量的緩和をやったときには円は安い方向に働いているんですね。長期金利はこれまた低下傾向に働くというトレンドがございまして、日本のように金利がゼロという水準のもとでは量的緩和をやるしかないのですね。  ところが、速水総裁が、先週のことでありますけれども、大いなる波紋を投げかけたわけでございます。ある人に言わせれば、マーケット関係者でございますけれども日銀リスクとか速水リスクとかいうのがあるんだそうでございまして、中には、速水さんはセスナのパイロットだと思っているんじゃないですかと。ところが、我々が乗っているのは747のジャンボジェットなんですね。ですから、セスナ曲芸飛行みたいなことをやられてしまったら、とてもじゃないがジャンボジェットはクラッシュしちゃう、そういう危うさがあるわけでございます。  そのあたりG7で何らかグリーンスパンさんとお話しされたことはあるのでしょうか。大臣、いかがでございましょうか。     〔委員長退席鴨下委員長代理着席
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今渡辺委員のおっしゃいました量的緩和についての観察というのは、まさにアメリカサマーズあたりが言っている考え方は大体そういう背景に立っておるというふうに私も思っていますので、おっしゃっていますことは、まさにしばしばG7なんかで議論になることの背景でございます。したがって、アメリカとしてはなるべく量的な十分の緩和をすべきである、こういうことでございますし、日本通貨当局中央銀行は結構量的には緩和されておるという考え方、そういうやりとりがしばしばあるわけでございます。おっしゃるとおりです。  それで、最近速水総裁が言われましたのは、四月の十日に政策委員会があって、これは従来のゼロ金利を継続するということを確認しておるわけですが、速水さん御自身は、それはそれでいいのだが、確かに経済は好転しつつある、したがって、一年でありますかどういう期間でありますか、やがてはゼロ金利というものも改めるべきものであろう、ただ、ある日突然それを言うようなことになれば市場も驚くだろうし、自分としてはできるだけ前広に市場コミュニケーションをしておきたい、そういう意味で、あしたやると言っておるのではないので、経済の動向というものが改善していくにつれてそういうこともあり得る、これを言っておきたかった、そういうことにとどまるというお話でありました。  したがって、混乱を招かないためにも、今回のG7日銀総裁からそういうお話というものはむしろありませんで、四月十日の決定が当面の中央銀行考え方であるという御説明に終始をされました。それは確かにそれでよかったのだと思いますし、同時にまた、できるだけコミュニケーションをしておきたいという総裁のお考えもそれも理解のできないことではありません。大体そういうことでございました。
  7. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 とにかく、潜在成長率が一%ぐらいだと短期金利はマイナスにならざるを得ないかもしれない、そういうことも考えられるわけであって、結局これは、我々がかねて言ってきたように、お金の量をふやすという政策をとるしかないのですね。ですから、日本銀行にはぜひそのミスジャッジメントが世界に甚大な影響を与えないように再度お願いをしておきたいと思っております。  また、来年からG7に行くときに、今度は財務大臣として行くことになるのですが、財務省というのは英語で言ったらどういうことになるんですかね。デパートメント・オブ・ザ・トレジャリーというのがアメリカ財務省なんですけれども日本の場合はMOFと言っておりまして、そのあたり英語の達人である大臣はどういう英訳をされるのでございましょうか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは役所で議論したこともございませんのでもっと慎重にお答えをすべきなのかもしれませんが、私は何となくミニストリー・オブ・ファイナンスという言葉が、ずっと続けて慣用的に各国もそういうふうに思っていますし、私どもも言っていますし、特にそれを改める必要もないんではないかなと。ミニストリー・オブ・ファイナンスと言われるのがごく自然だというふうに実は今まで思っておりましたし、改めてお尋ねがありましても、私も何も権威を持ってお答えすることはできませんけれども、ごくごく自然にはそのままでいいのではないかと考えます。
  9. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 英語名前はそのままということでも別に差し支えはないのだろうと思うのですね。ただ、相当頭の中は変えていかなければいけません。要するに、財務省という名前に変わると同時に、例えば、今我々がこれから審議しようとしている財投改革などということは、これはもうとんでもない大改革なんですね。  我々、今から三年前でありますけれども自民党行革本部の中に財投改革チームというのをつくりまして、七人の若手議員が集まりまして、財投改革骨格を練り上げたわけでございます。我々の討論は理財局の皆さんにも全面公開をしておりましたので、その当時の状況はよくおわかりになっておられると思うのです。  これからの公共政策とか行政とかいうものは、アナログ型からデジタル型にやはり変わっていかなきゃいかぬと思うのですね。ニュージーランドあたりではニューパブリックマネジメントなどと言っておりますが、新しい行政三種神器というのがあるのですね。一つコスト分析二つ目はバランスシート、三つ目事後評価なんですね。ですから、こういう三種神器の中で、今回コスト分析というものをきちんと取り入れて改革をしていこうというのは大変すばらしいことだと思っております。  入り口、中間、出口を切り離して、市場を通して、市場テストにさらす、なおかつ透明性を確保していくということは本当に大英断であって、まないたのコイが、よく包丁も持たずに我々のつくった案に全面的に決断をしたというのは非常に立派なことであると思います。  大野政務次官、どうですか、今回の政府案自民党案とどこか違うところがあるのでしょうか。
  10. 大野功統

    大野(功)政務次官 骨組み、骨格におきましては自民党の案に沿ったものでございます。  ただ、自民党案では、例えば国会において行政監視委員会を設けて常時財投機関の活動を監視する、こういうのが入っておりましたけれども、それは国会の方でもう先取りされておりますので、そこは今回の法案にはない、こういう違いはございます。
  11. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 いずれにしても、これは行政改革とセットの話でございます。したがって、我々が自民党案の中で考えましたことは、まず財投機関債を出してもらおう。ですから、余りにもべらぼうな金利がついちゃうとかそういうところは、一体この機関は本当に必要な機関なんだろうか、その必要性というのは最終的には政治過程を通して判断されるわけでありますけれども、とりあえずマーケットテストにさらしてみよう、そういう試みでございます。また、いきなり機関債を出せと言われてもなかなか難しいわけであって、そういうところは政府保証をつけてあげましょうということでございます。  どうしてもそういった機関債では無理だというところは財投債というところに行くわけでございますけれども、全部、機関債政保債も出せない、財投債におんぶにだっこというのではこの改革意味合いが薄れてしまうわけであって、そのあたりはどうですか、原則主客転倒になる心配はございませんか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いかに営利目的としていないとはいいましても、それでもコストというものの考え方はあるはずではないかということが渡辺委員のおっしゃっています改革の基本的な考え方でありました。  まことにそのとおりであって、営利目的としていないからといって、コストという感覚はなくてもいいか、そんなはずはない。コストという感覚があれば、それならコストベネフィットという関係は、コストの方が余り高くてベネフィットがそれより少ないのでは、本当にそういうことをいかに非営利といえどもやっていいのか、ほっておいていいのか、そういう考え方がずっと、この改革等で、お考えになられました改革を私どもはそのままいただいて、考え方に流れているわけでございますから、それをそのまま言いましたら、まず機関債を出してみろ、おまえのところで機関債も出せないような仕事というのはどこかおかしくないかねというふうに、まず一つなければいけない。しかし、そうでも、それはやはりやらないわけにもいかないというあたり政保債になったり、一番意気地がないと言ったら言葉が悪うございますが、最後の場合にはもう財投債で面倒を見てもらう。そういう順序になるではないかというのは、私はおっしゃるとおりであると思います。  ですから、機関債が出せないのを当たり前だというような顔をしてもらっては困るわけでございまして、ぎりぎり合理化努力をしてもらう。場合によっては、そんな仕事は本当に必要なのかねというところまで、合理化努力がそういう目から行われるということは大事なことだと思います。  ただ、その行く末で、どうしても機関債は無理だ、しかし、この特殊法人のやっている仕事は何かの形で助けなければならないだろうということになりますと、渡辺委員の言われるような順序になってまいると思いますが、初めからもう甘えて助けてやろうというような話では困るよというのがこのたびの改革だと思います。
  13. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 ぜひそういう方向お願いをしたいと思います。  以上、質問を終わります。ありがとうございました。
  14. 鴨下一郎

  15. 石井啓一

    石井(啓)委員 公明党・改革クラブ石井啓一でございます。  今回の財政投融資制度改革は、大変大胆な構造改革でございまして、私どもも大いに評価をするところでございます。  郵貯、年金積立金の預託を廃止しまして、今までは、特殊法人等がどちらかといえば受動的にみずから努力をせずとも資金を受けることができた。こういう制度から、みずから必要な資金マーケットを通じて能動的に調達していく。このことによって、特殊法人等改革または財政投融資制度マーケットメカニズムとも調和をさせる。こういうことでございますから、非常に大きな構造改革である、こういうふうに評価をしているところでございます。  その上で、幾つか確認をいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。  まず、財投機関債でございますけれども特殊法人等はみずから資金を調達する努力を行う、したがって、財投機関債発行に向けて最大限の努力を行う、こういうことになっておるわけでありますけれども特殊法人に対して財投機関債発行努力をどのようにして促していくのか、この点についてまず確認をいたしたいと存じます。
  16. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず原則は、今おっしゃったように、とにかく自分お金を調達して、貴重なお金でございますから、必要な事業だけに絞っていこう、それからその仕事も効率的にやっていこう、こういうインセンティブが働くことは言うまでもありません。それをどのようにして促していくかという問題でございます。  それはもう、今申し上げたような原則を十分理解していただいて、そして各機関がまず自己努力をやるのだ、こういうふうに考えてもらう。その上でないと、例えば、政府保証へいくとか、あるいは財投債財政融資資金特別会計からの借り入れもないよ。まず、自分で徹底的に努力をする、そして市場評価を受ける、そういう自覚が必要だ。そうでないと仕事はできませんよ。そこから始まるのは、先ほども出ておりましたけれども、例えば政策コストの問題、コストベネフィット・アナリシスの問題、こういうことを各財投機関できちっとやってもらって、まず自分の足で立つのだ、こういうことから始めてもらうということでございます。
  17. 石井啓一

    石井(啓)委員 まず、財投機関債発行努力をきちんとチェックして、その上で政府保証債あるいは財投債資金の受け入れを認める、こういう方向だということでございました。いずれにしましても、これはまた毎年度財投計画というのを立てるわけですから、その中で恐らくチェックをしていく方向になるとは思いますけれども、まず、この大原則をきちんと守れるようによろしく御指導のほどをお願いしたいと思います。  今出ました政府保証債でございますけれども、これが安易に政府保証をつけるということになりますと、せっかく財投機関マーケットを通じてみずからの評価を確かめる、そういう機能が果たせなくなりますので、これは限定的にやるということでございますけれども、どういうふうに具体的に発行の対象を限定するのか、あるいは、その年限といいますか、暫定的にということでございますから、その発行年限をどう限定していくのか。あるいは、そういった原則からしますと、将来的には政府保証債というのは無用といいますか、ない方向に向かう、こういうことの理解でよろしいのか、この点について確認をいたしたいと存じます。
  18. 大野功統

    大野(功)政務次官 大きく分けまして、財投債政府保証債、それから財投機関債、こうなるわけでございますけれども、同じことを言っているのかもしれませんが、我々は、財投機関債政府保証債は、どちらかというと分けて考えたい。財投機関債の中で、政府保証がある財投機関債と、政府保証がない財投機関債、こういう区分けではなくて、むしろ、政府保証債というのは限定的に、過渡的に使っていくのだという意味で、三つを分けて考えたい、まずこのことを申し上げたいと思います。  それで、資金運用審議会懇談会の結論でも書かれておりますように、これは過渡的にやるのだ、あるいは限定的にやるのだ、こういう考え方でございますから、そのような考え方でやっていきたいと思っております。  具体的に申し上げますと、例えば民営化が予定されております電源開発などにつきましては、それまでの間過渡的にやりましょう、こういう考え方一つあると思います。  それから二つ目に、外債を出す財投機関があれば、やはり外国ではその機関についてよくわかっていないとすれば、これはやはり政府保証をつけてあげましょう、こういう話が出てくるのではないか。  それからもう一つは、公営企業金融公庫のように、財政融資資金特別会計からの借り入れができない、そういうところが出す債券については政府保証をしてあげなければいけないではないか、こういう問題があると思います。  もう一つ四つ目カテゴリーとしては、資金運用は各財投機関でいろいろな形が出てまいりますので、五年未満の短期、五年ということではないかと思いますが、短期のものについてはつなぎで政府保証をしてあげよう、こういう考え方があろうかと思います。  いずれにいたしましても、それぞれの財投機関がみずから厳格に政策コスト分析をやって、そして、きちっとみずからやるべきことを効率的にやる、こういうことを見きわめた上で政府保証債を出すことは当然でございます。個別に厳格な審査を経た上で発行される、こういうふうに考えております。  それでは、将来ともこの政府保証債を続けるのかどうか、こういう問題でございます。今申し上げました三つ目カテゴリーでございましたか、要するに、制度上、財政融資が受けられない機関がございます。そういうところをどう考えていくか、これは根本に残ってきますので、今の段階で将来やめるということは言えません。いろいろなことを検討しながら、しかしながら、限定的、過渡的に政府保証をやっていこう、こういうことでございます。
  19. 石井啓一

    石井(啓)委員 ゼロということはないかもしれないけれども、だんだん少なくなる方向には間違いないというふうに理解をさせていただきました。  ところで、財投債でございますけれども、これは先日の本会議代表質問でもやりとりがございましたが、基本的には財投機関債を出していただく、財投機関債がなかなか出せない機関については財投債による資金の貸し付けを受けることを認める、こういうふうにしておるわけでございますけれども、そういう原則からしますと、財投機関債の方が財投債より重点がある、こういうふうに理解していいのかどうか。  どういうことかといいますと、なるべく財投機関債発行努力をするということでございますから、徐々にそれぞれの特殊法人等調達資金シェアが、財投機関債シェアがどんどん多くなり、財投債シェアがどんどん少なくなっていくという方向に推移をしていく、こういうことの理解でよろしいのかどうか、その点について確認をいたしたいと存じます。
  20. 大野功統

    大野(功)政務次官 理想を申し上げれば、そのとおりでございます。ただし、現実の問題がございますので、その辺は十分検討していかなければいけないと思っております。
  21. 石井啓一

    石井(啓)委員 理想方向で頑張っていただく、こういうことになるかと思います。  ところで、財投機関債財投債調達金利考えますと、これは当然のことながら、財投債といいますか、国債の金利の方が、それは国の信用ということもあるし、あるいは、発行量とか流通量考えると、財投債金利の方が低くなるだろうということが容易に予想されるわけでございます。  そうしますと、それぞれの特殊法人にとっては、財投機関債で調達するよりは、金利の低い財投債の方が資金調達面では有利になるということになりますから、なかなか、みずから財投機関債発行しようとする意欲が薄まるのではないか、そういう懸念もございます。したがいまして、一つアイデアとして、財投機関債発行を促すような何か仕組みといいますか、そういうものを導入してはどうかと考えるのです。  例えば、財投機関債最低発行義務額を設けるだとか、財投機関債発行額に応じてその何倍までの財投債を受けることが可能にするとか、何か、財投機関債を一生懸命出せばそれだけのメリットがありますよ、あるいは、最低これだけはやらなければいけませんよ、そういうことを設けて、なるべく財投機関債発行努力を促すような仕組みを導入してはいかがだろうか、こういうふうに考えるわけでございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  22. 大野功統

    大野(功)政務次官 石井先生一つアイデアだと思います。しかしながら、財投スキーム全体の中で考えていただきたい。  と申しますのは、単に金利の差だけを議論するのではなくて、財投機関それぞれやはり国庫補助をもらいながらやっているわけでございます。したがいまして、財投機関が効率化する、本当に必要な仕事だけやっていく、これが一番大事なことでございます。したがいまして、とにかく財投機関債でできる限りやってほしい。そして、スリム化して本当に必要な仕事を効率的にやっていく、このことによって受けるベネフィット金利に比べてどうかという問題が一つあると思います。これは国全体の問題、財投機関スキーム全体の問題だと思います。  それから二番目に、コンビネーションで、財投機関債財投債を組み合わせてやる、これもアイデアかと思いますが、そうなりますと、甘えが出てくるのではないでしょうか。それから、何となく市場も、財投機関債背景財投債があるから安心かなと、市場の本当の評価が得られなくなるのではないか。そういうことを考えますと、私はやはりそこは切り離して、子供と親とに例えると悪いんですが、なかなか親離れしない、子離れしないというような感じじゃなくて、本当にそれぞれが独立してきちっとした市場原理で運営していくべきではないか、このように思います。
  23. 石井啓一

    石井(啓)委員 いずれにいたしましても、実際にやってみないとわからないところもあろうかと存じます。今の一連の御答弁の中でも、原則をきちんと守って、まずそれぞれの特殊法人等がみずから財投機関債発行努力をきちんとやる、自覚をしてやる、そういう方向に政府としても促していく、ちゃんとチェックをしていくんだ、こういうことを私は確認させていただいたと思いますので、そういう方向でしっかりお願いをいたしたいと存じます。  きょうは郵政省からお越しをいただいておりまして、今回、郵貯資金、簡保資金の自主運用ということで、これも大変な改革になるわけでございますけれども機関投資家としては、郵便貯金の資金というのは世界最大のファンドになるわけでございまして、簡保資金も世界有数の規模のファンドになるということですから、これがどういうふうに市場で運用を行うか、このことによって債券市場あるいは株式市場に与える影響は非常に多大なものがあるわけでございます。  当然そういうことは自覚をしていただきながら運用していただくこととは思いますが、民間のマーケットを攪乱しないような運用をどういうふうに心がけられるのか、この点について確認をいたしたいと存じます。
  24. 團宏明

    ○團政府参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、財投改革のもう一つの法案としまして、郵貯の全額自主運用法案というものを現在提出させていただいております。簡保につきましては、既に全額自主運用ということになっておりますが、郵貯につきましては、現在、残高二百六十兆のうち、金融対策資金ということで六十兆円の自主運用をやっておりますけれども、これがだんだんと自主運用になっていくというふうな法案になっているわけでございます。そこで、御指摘のとおり、こういう大きな資金量になりますので、これが市場を攪乱させてはいけないということは、そのとおりだと考えております。  そこで、郵貯、簡保の運用スタンスでございますが、各運用資産の市場規模を十分配意して運用を行うというのが一つ、それから、従来ともそうでございますけれども、長期安定的な運用を行う、つまり、日々売買を行うような格好ではなくて、長期に保有するという格好で、バイ・アンド・ホールドというふうな運用スタンスをとるということを大きな柱として、その攪乱を避けていきたいというふうに考えているところでございます。  このことにつきましては、法律案の中でも、毎年運用計画を策定するということにしておりまして、その中で、基本方針として、いわば分散投資であるとかバイ・アンド・ホールドを基本とするというふうなことにつきましても明記する方向で検討していきたいというふうに考えている次第でございます。
  25. 石井啓一

    石井(啓)委員 続いて、郵貯、簡保の運用で、運用利回りの目標というのはどういうふうに設定をされるのか。そして、損失が出た場合の損失の補てんというのをどういうふうに行うのか。あわせて、損失が出た場合、その責任というのはだれがどういうふうにおとりになるのか。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  26. 團宏明

    ○團政府参考人 お答えいたします。  御質問は、運用の目標ということが一点だと思います。  これは、郵貯と簡保はそれぞれ事業の成り立ちが違いますので、郵貯につきましては預金者に元利金をお払いする、簡保につきましては保険金の支払いを適切に行うようにするというふうなことを目的として運用するわけでございまして、そのときの預金の金利であるとか、簡保の保険金の条件とか、こういうものが支払えるようなことを目的として収益を確保するというふうなことを計画してやっていきたいというふうに考えている次第でございます。  また、運用の責任の問題ということでございますが、これは総括して、来年一月から総務省ということになりますので、この運用の責任は総務大臣ということになってまいるわけでございますが、損失が発生しまして元利金、保険金の支払いができないということでは困りますので、そういう事態を避けるために、まずは運用対象として、この法律の中で元本保証のある債券を中心に運用対象を法定する。それから社債等、一部リスクのある債券も対象としておりますけれども、それにつきましては運用制限、例えば資産総額の百分の二十以下にするというふうなものを法律上明記しております。それから、バイ・アンド・ホールドとか分散投資ということによってリスクを低減するというふうなことによりまして、そういう事態にならないように確実、安全な運用に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  27. 石井啓一

    石井(啓)委員 安全確実な運用をして損失を出さないようにする、それはよくわかるのですけれども、仮に損失が出た場合の補てんはどういう仕組みになっているのかについて今御答弁がございませんでしたので、もう一度確認いたしたいと思います。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 團宏明

    ○團政府参考人 失礼いたしました。  まず、一部損失が発生した場合ということに備えましては、現在はございませんが準備金というものを価格変動に応じて積んでいくというふうな対応をしてまいりたい。現在は郵貯の場合はございません。簡保の場合は一部、準備金がありますが、郵貯についても準備金の制度を設けていきたいというふうに考えております。  さらに、それを上回る損失が発生した場合につきましては、積立金ないし繰越剰余金というものがございますので、これにより対応するということになってまいります。  さらにそれを超えた場合には、一般会計からの繰り入れ等というふうなことに制度的にはなってまいりますけれども、そのようなことにはならないような制度仕組み、運用に努めてまいりたいという趣旨でございます。
  29. 石井啓一

    石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
  30. 金子一義

    金子委員長 次に、中川正春君。
  31. 中川正春

    中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。  先般は、本会議代表質問をさせていただきましたが、後でいろいろ読み返してみましても、余りはっきりとした流れが出てこなかったものですから、もう一回それを確認する意味も込めまして、中身は先般の話と相当重複をしますが、一つ一つ確認をさせていただく、そんな質問をさせていただきたいと思っております。  財投というのは、基本的には、行政改革、省庁再編の基本法を審議していく過程の中ではっきりとした方向性が出てきた、こういう経緯でありますが、そのことから考えると、特に特殊法人をどう整理していくかということ、それから、公的資金をいかにこれから先、これもまた整理をしていくか、これは財源といいますか、郵貯あるいは簡保のあり方、あるいはそれの公社化、民営化ということも含めて、そんな観点が非常に前に出ていって、一つの議論というのがワンステップ進んだということだろうと思うのです。  それはそれとしてあるのですが、もう一つ私の懸念しますのは、どっちにしたって全体の規模からいって四百四十三兆円という、それがすべて行く行かないはともかくとして、それだけの規模のものを市場原理の中で運用していこうじゃないかということですね。それがどういう形で市場影響を及ぼしてくるか。そして、仮に一つ一つの組み合わせの中で形の上だけ市場に転嫁しても、そこで売ったり買ったりするのは結局これまでと変わらないじゃないかという話ももう一つあります。しかし、それを構造的に変えていこうというのが行政改革の流れでありまして、最終的に大枠の民間市場がどこでバランスをとっていくのか。最終的な落ちつきどころというのは、日本の全体の資金需給というものをどういうふうに変化させていくのかということですね。この観点が余り議論の俎上に上ってきていないということがあるかと思うのですね。  それをはっきりさせるためには、もう一つその前の段階として、それぞれどういうシェアで国としてバランスをとっていくのか。こちらが、差し出す方が、それぞれ機関債財投債、あるいは国の保証をその中にどれぐらい入れていくか。さっきから議論が出ていますが、それを最終的にはどれぐらいのところでバランスをしていくのかということをしっかりとメッセージを出してやらないと、その次、いろいろな思惑が出てくるんだろうというふうに思うのです。  そういう意味合いで、これはどう公的な部分が縮小していきながら、最終的にはさっきの三つシェアの中でどういうふうにおさまっていくのかという、この大枠をまずは説明をしていただきたいということであります。そういう観点からひとつ答弁をいただきたいと思います。
  32. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず第一に、行政改革の観点から、特殊法人の整理にどうつながっていくかというポイントでございます。  今回の財投改革というのは、特殊法人を整理する、統廃合する、こういうような観点ではなくて、むしろ、特殊法人仕事、これを効率化していく、対象を絞っていく、こういう観点からのものでございます。したがいまして、特殊法人の整理統合等の話はまた別の観点からなされるべきことだと思っております。例えばそれは、官民の負担の問題、それから官業の民業補完の問題、こういう観点からなされるべき問題であると思っております。  それから、もう一つの問題である四百四十兆円に上る規模の資金市場の問題でございますが、ここは、先ほど来議論させていただいておりますとおり、まず財投機関債でやってもらいたい。そして、それができない場合は政府保証。しかしながら、これは限定的に考えていこう、過渡的に考えていこう。そして最後のよりどころが財投債である。思想的に言いますと、そういうことでございます。  しかしながら、そのシェアとしてのメッセージが全然出ていないじゃないか、こういう御指摘は、まあそのとおりだと思います。  そこで、物事の考え方でございますが、いきなり今のいわゆる預託方式を廃止して、全部市場原理でやる、こういった場合に、二つの問題点があるのではないか。  第一の問題点は、財投として、これまで活動しております、事業をやっております。その貸付金というのは二十年も三十年もかけているわけでございます。しかしながら、預託されている郵貯あるいは年金積立金の方は大体七年ということでございます。三十年かかって貸しているものが一方にあると同時に、七年で回収されるものがある。そのギャップをどうしていくか、こういう問題が一つございます。  それからもう一つは、新しい事業、毎年大体四十兆程度、上下ありますけれども、と考えまして、その四十兆程度のものをいきなり市場へ出したらどういう影響があるんだろうか、こういう問題があろうかと思います。  したがいまして、問題をもう一度整理しますと、一つは今までやっている事業をどうやって継続していくかという問題であり、もう一つは大量の財投機関債なり財投債市場がどう受けとめるか。それはもう市場評価をまたざるを得ません。大変厳しい評価を受けることもあろうかと思います。  そこで、過渡期間の問題をひとつ御理解いただきたいのでありますが、七年間に限っては、先ほど申し上げました、事業を継続する部分、これは財政融資資金特別会計から出していこう。つまり、主として財投債になるわけでございますけれども、直接に郵貯なり年金積立金に引き受けていただく、あるいは簡保資金にも少し協力していただこう、こういう思想でございます。  それからもう一つ、新規の事業の二分の一も同じように直接引き受けていただこう、こういうことによって、市場に対する影響緩和すると同時に、今までやっております企業の貸し付けについても影響が出ないようにする、ここまでが今出せるメッセージでございます。
  33. 中川正春

    中川(正)委員 最初の特殊法人の整理については、これはまた後ほど議論をさせていただきたいと思うのですが、この特殊法人の整理を財投の見直しの中でやっていくというその思想というのは、確かにこの中にあるんですよ、法案の中に。だから、別のものだというふうに割り切ったさっきの答弁というのは私はやはり間違っているというふうに思います。それは後ほど、またその話に返って議論をしていきたいというふうに思うのですね。  二番目のシェアについてなんですが、だから、トータルでどうなるんですか。それがさっぱりわからないんですよね。見えないんですよ。
  34. 大野功統

    大野(功)政務次官 トータルというのは非常に難しい議論になります。今申し上げたような目に見える直近の問題として考えさせていただきたいのでありますが、直近の問題としてもなかなか予想困難ということになります。  と申しますのは、まず既往の貸し付けのところでございますが、これは本当におぼろげながらでございますが、平成十年度末の郵貯並びに年金積立額総額が大体三百八十兆ぐらい借りておりますから、それを七年間で回収というかお払いしていきますと、これは一年間に五十兆円ぐらいかな。それから、貸し付けしている先から返ってくるお金、これが三十兆円ぐらいになるわけでございますから、残り二十兆円ぐらいかなということは一つ想像がつくわけでございます。  それから、新規事業につきましては、先ほどからるる申し上げておりますとおり、まずとにかく本当に必要な仕事だけやっていこう、スリム化の問題があります。そして、それを効率化するという問題がありますけれども、スリム化して本当に必要な仕事だけやっていこう、こういうことになりますし、その内訳も財投機関債でやっていこう、これが主体でございます。  したがいまして、財投債ということだけに限りますと、どの程度になるか。しかも、産業投資特別会計はもう別枠になってきます。金額としては小さなことですが、そういうことを考えていきますと、新規のところはよくわからない。少なくとも、今の平成十二年度の規模でいいますと四十三兆円ございますが、四十三兆円から資金運用事業、これを六兆円ぐらい引きまして三十七兆、三十七兆から例えば一千一百億円の産業投資特別会計を引いて、そしてさらにスリム化するいろいろなことを引いて、その二分の一めど、こういうふうな感覚になりますので、ちょっとそこだけを予測するのは御勘弁いただきたいと思います。
  35. 中川正春

    中川(正)委員 現実問題として、この法案を議論していくのに行き着く先がわからない、やってみないとわからないというふうな形で進めていくというのは実質無理なんですよね。そのことを一つ指摘しておきたいと思うのです。恐らく、このまま何回も何回も言ったって、同じような話が過渡的な話を含めて出てくるんだろうと思うのですが、それがまず一点。  では、ちょっと方向を変えて聞きますが、仮に、百歩も譲って、やってみないとわからないということをやったとして、お話ですと、まず財投機関債発行することに努力しなさいとそれぞれの特殊法人、財投法人に言うんだ、こういうことですね。それで、その特殊法人から、発行できないんだ、やっても買ってもらえないんだという話が出てきたら、それに対して改めて国の保証をつけるとか、あるいは、では財投債でやろうとかというふうな判断を、これはだれがするのですか。
  36. 金子一義

    金子委員長 先ほどの、前者の食い違い等も含めて、大野政務次官
  37. 大野功統

    大野(功)政務次官 中川先生の御指摘は、最終行き着く先の規模がわからないとこれは無意味なんじゃないかというふうに私は受けとめたのでありますけれども、私は全くそう思いません。その行き着く先はもうわかっているんです。方向性が一番大事なんです。  今までは、お金がふんだんにあるから何に使ってもいいよという感覚は、今の財投機関の人にはないと思いますけれども、そういうことになりがちだった。財投事業の肥大化につながっていた。これをまず改めるというのが大変大きな改革であり、改革方向はきちっと出ているわけでございます。それがまさに大事なので、そのために、では来年幾らお金がかかるんだ、財投債を出すんだ、これはちょっと予測できません。それはスリム化が一番大事なので、そのスリム化というインセンティブを与える、市場の目にさらしていく、その市場の目にさらすためにはディスクロージャーもやってくださいよ、こういうことが一番大事なのでありまして、その方向評価していただきたい、このように思う次第でございます。  それから、資金調達手段のところでございますけれども資金調達につきましては、例えば財投機関債につきましては、もう既に、例えば帝都高速度交通営団が発行しておりますし、それから住宅金融公庫も既に本年度中に発行をする予定になっておりますし、また、日本政策投資銀行や国際協力銀行等も今検討いたしておるところでございます。  したがいまして、財投改革の趣旨を踏まえつつ、具体的な発行方法について今検討が行われておりますけれども財投機関債に限って申し上げますと、各機関において検討しておって、その検討の結果、これは予算の決議事項ではありません、国会の決議事項ではありません、もちろん参考資料として出てきますが、それは各機関に任せる、こういう事柄でございます。そういうことで、最終的にはこれは財投機関がみずから判断し、市場が決定する問題だ、こういうことでございます。  それから次に、政府保証債なり財政融資資金特別会計からの融資、これをだれが判断するんだ、こういう問題でございます。  これは、まず概算要求が八月末にございますが、どういう仕事をやるんだ、そして、その仕事財投機関債に加えて政府保証あるいは財投債で補足していくことが本当に政策効果に有効に働いていくかどうか、これは予算編成過程で決めていく話でございますから、十二月末までに決まっていく。そしてそれは、財投債並びに政府保証債につきましては国会の承認をいただく、決議事項になる、こういうことでございますから、最終的には国会の御判断でございます。
  38. 中川正春

    中川(正)委員 最初の話ですが、私は、今回の財投改革そのものの流れ、市場へ持っていくという話は、これはそういう時期でもあるな、大いに知恵を絞ってやっていきましょうというその方向性を否定するわけじゃない。これは賛成なんですよ。  だけれども、例えば、単純に国民から見ても、財投債発行というのは国債の発行なんですよね。その国債のボリュームがぐっとふえていく中で、片方、必ずその分は買わせますよ、郵貯の方で買わせますよ、あるいは簡保の方で買わせますよ、こういう話であっても、外から見える全体の日本の国の将来というものはやはりちゃんと説明をしていく必要があるであろう。当面は財投債をそんな形で膨らましますけれども、あと何年ぐらいたったらこれはこんな形で整理ができますよ、最終落ちつくところはこうしたものですよ、そういうメッセージをはっきり出していかないと、これは立場変わって答弁しているような感じになりましたが、しかし、本当にこの国の今の置かれている立場からいうと、その辺のメッセージをはっきりさせないと、これはやはりマーケットにも混乱をもたらすんじゃないか。だからそこまで話を詰めてしっかり方向性を出してくださいよ、こういう意味から言っているのですよ。  だから、やってみないとわからないというような話をこの場でし続ける限りは、我々は、ではそれを出すまで話に乗らないよというようなことになりますから。その点を言っているわけです。
  39. 金子一義

    金子委員長 もう一遍聞いてください。
  40. 中川正春

    中川(正)委員 それをまたやるんですか。出てこないでしょう、どうせ。
  41. 金子一義

    金子委員長 大事な問題だから、もう一遍、大野政務次官
  42. 大野功統

    大野(功)政務次官 かわりまして御答弁いただきまして、ありがとうございました。  大事なことは方向性であり、その方向は、言うまでもなく、財投機関がみずからの手でやっていく、そして財政融資資金特別会計からの融資はなるべく少なくなっていく。それはなぜかというと、財投機関の事業が本当に必要な仕事だけに絞られてくる、しかもそれが効率的に行われていく。ですから、方向性はもうそこで決まっているわけです。  先生が先ほど、規模でどのぐらいになるかというふうにおっしゃったと私は思いまして、規模では申し上げられないな、金額で申し上げられないなということを申し上げたので、思いは全く同じでございます。
  43. 中川正春

    中川(正)委員 やはり答弁になっていないですよ。これは、この法案が採決されるまでにやはり出すべきだと思います、数字で。最終のおさまりどころ、こんなふうになるんだというところ、これが一つです。  それから、財投機関債、それぞれの機関でまず判断するんだ、こういうことでありますが、先ほどからも議論が出ていましたように、そうすると、これは調達コストが上がるんだと思うのですよね。それはどの機関でもできるだけこれまでどおり安いコストで借りるにこしたことはないし、それの方が市場のいろいろな難しさというものを避けられるしというインセンティブがやはり働くというふうに思うのですね。だから、私は、これはその財投機関に任せるにしても、とにかく全部を一遍市場にほうり出しなさいと。  それで、いみじくもさっき言われましたが、最終的には市場が判断するんだということでありますから、その中で市場に否定されたものというのは——その以前の組み立て方はありますよ。例えば、一〇〇%そうした借入資金でやるのじゃなくて、税金を半分入れましょう、あとの半分がこれですよ、こういう組み立てはいろいろあると思うのです。その中で、組み立てた上で全部市場に出して、これは政府の思惑どおり、あるいは特殊法人の思惑どおりに採算の合っていく、あるいはコストの合っていく事業かそうでないかというのは市場が判断していくべきじゃないか、私はこれが理想だったと思うのですよ。  ところが、さっきからお話を聞いていると、そうじゃなくて、これだったらちょっと格好つけていくのにこれぐらいのところだろう、あとはできないという話を政府の方にして、できるだけこれまでどおりの資金調達をしていこうじゃないかということを、できる枠組みで進めようとしているのではないか。それをやれば、市場メカニズムで一つ一つプロジェクトを評価していくんだという話にはなっていかないじゃないか、こういうことだと思うのですね。  それについてはどのような基準をつくっていかれるのか、やはり基準が要るのだろうと思うのです。勝手にやってくださいよと——これはちょうど行政改革の議論をしていたときに、独立行政法人というのをどういうふうに入れていくかということがあったのですが、あのときの議論と一緒で、あのときも、そんな基準がないものですから、お互いが話し合いの中でいきましょうということでやっていった。その結果、非常に中途半端に、格好だけつけるような独立行政法人がいっぱいでき上がったわけですが、そういうことと同じような中途半端さがこの中に仕組まれているというふうに私は読み取っていくのですが、その点についてのもっと具体的な基準というのが必要だと思うのですね。これについてはどうですか。
  44. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず第一点の、もう少し安易に流れずにゼロから出発したらどうか、こういう点でございます。  基本的に、考え方としては、そのぐらいの考え方で臨まなければいけない問題だと思います。しかしながら、大枠としては、過渡期間、経過期間七年に限っておりますけれども、七年に限っては、今申し上げました既往の貸し付け並びに新規事業の二分の一プラス簡易保険からの協力、こういうことを考えている。  しかし、二分の一といっても、二分の一に必ずしなければいけないというのではなくて、二分の一以下でいいんです。七年終わる前にゼロになったっていいんです。それぐらいの気持ちで進んでいく。しかし、大枠として、初めからゼロだよ、こうなりますと大変市場も不安ですし、既往の貸し付けも、うまく事業が運営できるのかどうか、こういう問題があるために、そのような過渡期間の激変を緩和する措置を考えている、こういうことでございます。  それから二番目の、勝手にやれといったってどういう基準があるんだ、こういう御指摘だと思いますが、そこは政策評価システムをどんどんこれから取り入れていかなきゃいけない、これは大変難しい問題だと思います。  まず政策コストの面は、これは国の補助金ということで、将来にわたって国民にどのぐらいの負担が生じるんだ、これは計算できると思うのです。しかしながら、その際に一つ注意しなければいけないのは、これだけのお金を入れるなら他の選択肢はないんだろうか、これはやはり国として判断していかなきゃいけない、こういう問題が一つあろうかと思います。  ただし、一番難しいのは、先ほど大臣からも御発言ございましたけれどもコストベネフィット・アナリシス、ベネフィットをどう考えていくか、こういう問題だと思います。先生御存じのとおり、昨年の八月に五つの特殊法人等政策評価自分でやっていただいた、大蔵省もそれに協力したということでございますけれども、そのベネフィットの分析というのはどう考えていったらいいのだろうか。  五つの問題につきましては、詳しくは申し上げませんけれども、例えば道路をつくった場合に、所要時間が短縮される、これをどういうふうに量で把握していくのだろうか。あるいは、事故が減った、これをいかに量の問題として把握していくんだろうか、こういうことを十分研究してやっていかなきゃいけない。私どもは、今年のそういう政策コスト分析というのは、五つじゃなくて、もう少し数多く政策コスト分析がやっていけるようにしたいなと思っておりますし、時期も八月以前、概算要求の前に仕上げたいなと思っております。  いずれにいたしましても、ベネフィットの、便益の定量化、同じような物差しでどうはかっていくか、このところはこれから一生懸命検討し、勉強し、進めていく。もう少し具体的に基準を示せということでございますが、そういうコストベネフィット・アナリシス、政策コスト分析、これをこれから進めていく、これが一番大事なことだと思います。
  45. 中川正春

    中川(正)委員 それは以前にも聞かせていただいたのですが、政策コスト分析ということと、その事業自体を財投債でやるのか、財投機関債でやるのか、あるいは国の保証をつけるのかということとはちょっと違うというふうに思うのですね。機関債でやったりあるいは国の保証をつけるということは、マーケットへ出したときに、それがマーケットとしての評価、ということは、リターンが少ないから、あるいはその事業自体のリスクが大きいからということでしょうね。いわゆる採算ということですね。採算に合わないからマーケットで買っていただくことはできないのですよ、だからそのリスクを国が肩がわりしてやりましょう、こういうことですね。  その問題と、さっきのコスト分析というのは、これは税がいかに生かされるかという話ですね。これとはまた別個なんだというふうに私は理解しているのです。だから、実際にリスクが大きいかどうか、これはもう事業として成り立たないというマーケット評価というのは、これは、そういう評価があったら、そういう手法ではその事業はやらない、もしマーケット評価を言うのであれば。だから、この特殊法人でやるような事業ではないんだよと。もしそれを税でやるんだとすれば、特殊法人は要らないんだ、そうじゃなくて直接国がやるべき事業じゃないか、こういう整理をやっていくというのが今回の財投の改革の中に含まれているんだという理解が私たちの理解なんです。  ところが、それを何やかや言いながら、何もかもひっくるめて、成り立っていかないのはこれまでどおり財投債でやろうじゃないかというふうな話にしてしまったら、一つ一つの事業が整理ができないでしょう、あるいは特殊法人自体が整理ができないでしょう、こういうことを主張しているのです。だから、それだけに、はっきりとしたそれの基準というのを事前につくっておいて、それぞれの基準に合わせた形で、もし仮にやるとしても、国の保証なりあるいは当面財投債という形でやらないというような、いわゆる説明責任があるというふうに思うのです。さっきの説明を聞いていると、ここのところが全くわからないのですよ。
  46. 大野功統

    大野(功)政務次官 例えば、市場で受け入れられない特殊法人の事業は廃止すべきだという結論にまで行くかどうか、こういう問題でございます。  この問題は、私はこのように考えます。つまり、財政投融資というのは金融的手段を用いて行う財政政策でございますから、資源の配分の問題、あるいは景気対策の問題、こういうことを含めて、その政策として有効であれば、市場で拒否される場合においても政府として金融的手段を用いて行う財政政策として遂行していくべきである、これは判断の問題でございます。したがって、そういう要素を入れないと、この財政投融資の問題はよくわからなくなってくる。つまり、実行に当たる財投機関というのは、徹底的にそれがスリム化し、効率化していく、当たり前でございます。しかし、そこに財政資金が入ってくる、一般会計、特別会計からお金が入ってきて成り立っている部分もあります。なぜお金が入ってきているか。それは、政策として遂行すべきものであるから、景気対策としてもやるべきものであるから、中小企業対策としてもやるべきものであるからそういう形になっているわけでございます。  したがいまして、そこのところを二つに完全に分けて考えると、それでは市場から受け付けられないものはみんな財政投融資の世界から退場しろ、こういうことになってしまう。そういうことで日本の国の政策が実行できるのかどうか、私は、そのところを考えていただきたい。もし市場ではねつけられても、その財投機関が実行している事業が金融的手段を用いて行う財政政策として有効なものであれば、そこは政府保証債をつける、そして財投債をつける、こういう形で実行していくのは当然ではないでしょうか。
  47. 中川正春

    中川(正)委員 論理矛盾というか、議論の混乱があるように思うのですね。  今回の財政投融資改革というのは、これは一番最初の省庁再編の基本法の中に、財政投融資という制度はやめましょうとはっきり書いてあるのです。だから、さっき言われたような考え方で財政投融資というのを使うことはもうやめましょうという前提でこれが始まっているのが、また議論の蒸し返しのような話で、その分はやっていきましょうということで、だからそういった話を聞いていると、恐らく全体の整理ができないままに何か走り出しちゃったような気がしまして、これは運用していく中では相当問題が出てくるのじゃないかなという感じが一ついたします。  それからもう一つは、さっき申し上げたように、特殊法人のあり方そのものをこれから議論していく中で、基本的には財投機関債ですよとはっきりと言っているのであれば、それはマーケットメカニズムでこれからは特殊法人というのは運用していってくださいよと。それに乗ってこないものは、これは特殊法人がする必要はないんです。そうじゃなくて政府が直接やったらいい、そういうことなんです。  そこを中途半端にするとだめなんで、もし仮に中途半端があるとすれば、我々の理解は、さっきのは理想型、最終行き着くところですが、その行き着くところへ向いて大きな混乱をもたらすといけないから、自分自身でもおっしゃったと思うのですが、過渡的にとりあえずのところ政府が国債で直接それを賄っていきましょうとか、あるいは国の保証をやりましょうとかというような形ですよ、しかしそれは過渡的なんですよということをはっきりさせること、こんなメッセージをしっかりと整理をして出していかなきゃいけないんだと思うのですが、それがどうも混乱されておるようなことだと思うのです。  大臣、手が挙がりましたから、大臣から整理してください。
  48. 金子一義

    金子委員長 その前に、大野政務次官
  49. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず事実関係だけ申し上げて、その後、大臣から御発言いただきたいと思います。  まず、財投というものを将来どうするかという問題提起がありましたけれども、中央省庁等改革基本法の第二十条、「財務省の編成方針」でございますが、ここには「財務省は、次に掲げる機能及び政策の在り方を踏まえて編成するものとする。」こう書いてありまして、「財政投融資制度を抜本的に改革することとし、郵便貯金として受け入れた資金及び年金積立金に係る資金運用資金法第二条に基づく資金運用部への預託を廃止し、並びに資金調達について、既往の貸付けの継続にかかわる資金繰りに配慮しつつ、」これが第二点、「市場原理にのっとったものとし、並びにその新たな機能にふさわしい仕組みを構築すること。」こういうふうに書いてございます。  問題は、財投を廃止するとは書いていません。財投については、預託を廃止する、市場原理でやります、過渡期間については十分配慮しなさい、こういうふうに書いてあるわけでございます。したがいまして、経過措置と先ほど申し上げましたのは、そういう過渡的な期間のことを私は申し上げているつもりでございます。  あとは大臣から御発言いただきたいと思います。
  50. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今の御質問それから答弁をずっと伺っていましたが、確かに、これからどういう見通しになっていくのかということについて、十分なことがお示しできないわけであります。  中川委員の言われるように、これによっていわゆる特殊法人というものを、その業績によっては整理してしまう、あるいは直接政府の仕事にする、そういう目的をこれは確かに持っておるわけで、今まで親から金をもらっておったものを自分で金を調達してこい、できなければという部分が確かにあるわけです。  それはつまり、一言で言ってしまえば、政府が財投機関債というものはなかなか出せない、出そうとすれば非常にコストリーになる。どの程度までコストリーになってもいいのかというようなことを言えとおっしゃるのは無理もないと私は思いますが、それを計数的に今、そうすると実際はこの財投機関はなくなる、これは生きそうだとかいうようなことを一つ一つやって、そしてなくなったら、どれだけ今度は本当に、そういう特殊法人のやっている仕事をもうしなくてもいいという、それでいいのかどうかという判断をしなければならぬとかいう大変難しい問題を含んでいますが、それにもかかわらず、おっしゃることはごもっともだなと私は思うところがあるわけです。そこを何も申し上げていませんから、非常に甘く運用すれば何でもないことになってしまいます。  しかし、そうでない保証もないということでありますと、どうも私は思いますが、現実的な方法としては、財投債というものをできるだけ辛くするということにならざるを得ないのかなと思っています。つまり、みんながそこへ逃げ込もうとするわけですから、そんなに逃げ込めないという状況をだんだんにつくっていくということではないだろうか。消化については今総括政務次官が言われましたように、消化のことは経過的な措置をいろいろ郵政省ともお話をして、そのやりようはございましょうけれども、また郵政省も、自主運用といっても、そんなに安全有利というものがたくさんあるわけではありませんから、そういう経過的な話が成り立つ余地は大きいと思うのですが、しかし、そこを大きくしますと、今度はみんな財投機関債なんかはやらないです。財投債にみんな頼ってくるということになるじゃないかというのは、どうも私はそういうふうになるのだろうなと。  これは、実は今大蔵省が、どれだけ財投機関債ができるのかねということについて、どれだけ厳しい方針を持っているかということにも関係があると私は思います。まあいいよ、あなたのところは無理だろうから、それなら財投債で拾ってあげるよと、言ってはいないのだろうと思いますけれども、お互いにそういうことはシステムとしてはあるわけですから、君のところはやはり財投機関債さえ出せないのではちょっと難しいねとかなんとかいうことをぎりぎりまでやらないと、これは今と余り違わないことになってしまう。おっしゃっていることは、どうも私は自分もそういう疑問を持ちます。  そこで、お答えとしては、まずこれからの行政の問題として財投機関債というものを、ぎりぎりやはり各財投機関と交渉するということが一つ。がしかし、そのバックアップには財投債というものがそう無限には出せないのですよというところで一つ。そういうふうな行政をやっていって、中川委員のおっしゃっているような方向に全体を向けていくということしかないのかなと。  本当は、計数的に言えとおっしゃるのは、私は、筋道としてはそうかなと思いますが、それを計数的に出すことは恐らく非常に難しいわけでございましょうから、そういう運用のところで我々が考えていかなきゃならないのではないか。  政務次官がお答えしていることは、そのお答えは一つも間違っていないのですけれども、しかし結果として、法律が指向しているところ、あるいは政府が指向しているところは、そっちの方へ物事が動くギャランティーというものがないじゃないかということになりますから、したがって、運用についての今申し上げたような方針というものをはっきり申し上げておくということが、おっしゃっている方向へ物を向けていくための最小必要なことではないかというふうに考えております。
  51. 中川正春

    中川(正)委員 いつも、大臣のやわらかい、例えをまぜ込んだ答弁でごまかされるのですけれども、趣旨はわかっていただいたなというふうに思います。  しかし、さっきの抽象的なお話の中で、しっかりと財投債発行していく条件を厳しくするということの中でコントロールしていこうじゃないかということ。実は、こういう表現でこれまで日本行政というか政治が動いてきて、いつの間にかその中にモラルハザードを起こしてしまった。宮澤大臣がずっとこれから何年もそのポストにおっていただいて、そういう目でいけばいいのですが、恐らくは、そういう国会答弁があっても、現実問題としては、それぞれ特殊法人の思惑の中で、これまでと余り変わらない自己増殖を図っていくんだろうという想像がされるのですね。やはり、それを担保するにはそれなりの書いたものが要るんだろうと思うのですよ。具体的にそのルールづくりというのが要るんだろうと思うのです。だから、この法案が本当にその趣旨のとおりに運用されるかどうかというのは、そのルールによって担保されるんだというふうに思っていまして、それがやはり必要だというふうに思います。  そのルールをどんなふうにつくっていくか。ここのところをもう一歩踏み込んで、こんな形でつくります、この法案が通るまでにということを、あるいはその基本ルールはこうですよということだけでも表明をしますというふうな、一歩具体的に進んだ答弁をいただきたいなと思うのです。これは大臣に。
  52. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、押し詰まりますところは、しょせん、これは大変なことなんだと考えるか、いや、何とかなし崩しにできちゃうと考えるかということに尽きますから。したがって、法の期待しているところをなし崩しにしないような法の施行というのはどういうふうにすればいいかということ、そのことについて、計数的にこうやるということは私は実際上難しいんだと思いますから、人がかわったら変わるということでないような、もう少しきちんとした御答弁ができるかどうか、検討いたしてみます。
  53. 大野功統

    大野(功)政務次官 大方針を大臣から御発言いただきましたので。運用面ですごく厳しい態度でやっていかなきゃいけない、こういう観点から若干、監視の問題について御説明させていただければなと思います。  それで、国会の監視。もちろん、財投機関自己努力の問題、それから各省庁の見直し、それから財務省による審査、与党による審査、それにあわせて国会審査、先ほどもちょっと触れましたけれども、決算行政監視委員会とか決算委員会。それから、各省、総務省政策評価委員会等がございます。また、会計検査院の検査もございます。総務省による行政監察の問題もございます。一方、外部監査の問題がある。特殊法人の情報公開法制、まだまだ検討中でございますが、そういう問題もある。それから、ディスクロージャーの問題として、現金主義から発生主義、こういう問題もあります。  そういうことで、みんなで監視していこうという体制だけはつくる方向でやっておりますことを付言させていただきます。
  54. 中川正春

    中川(正)委員 聞かせていただいておきます。ただし、いつも論点がぼけるんですよ。違うんですよ、それは。マーケットを使ってその機能を出していくというのがこの法律の趣旨ですから、監視だとか何だとかというのは、これまでいろいろやってきて、特殊法人があれだけ焦げつきをためたわけですから。だから今回はマーケットを使おう、市場原理を使おう、こういう発想なんだということを早く頭の中を切りかえてください。お願いします。そういうことを申し上げておきたいというふうに思います。  だから、整理をすると、私の希望としては、さっき一つ大臣に、ルールづくりについてはこれから議論をしていくという答弁をいただきました。もう一つは、全体の行き着く先ですね。過渡的にと言われます。過渡的にどれぐらいのシェア財投債や国の保証が入っていくのか、それがどんな形で消えていきながら何年ぐらい先にはどういう形になるのかという、本当に全体の具体的なビジョン、これをやはり示す必要があるだろう。特に、この法案を説明するのに、国民に説明できないですよ。これで具体的にどう変わっていくんだと言えないんです。やってみないとわからないですよ、これではやはり説得力がない、理解をしてもらえないということです。これはぜひ成功させたいという気持ちの中でそれを申し上げておるので、これをひとつ考えていただきたいというふうに思います。  それから、郵政省の方から来ていただきました。これで郵便貯金が自主運用という形になってくるわけでありますが、本会議でも申し上げたのですけれども、財投から切り離した形で郵政が貯金と簡易保険を運営していくということになると、それなりのまた説明のし直しというのが要るだろうと思うのですよ。これはさっきの過渡的なという部分の中でまだその資金が残っていきますから、それはいいです。七年サイクルの中で清算していくというその過渡的な話はいいですけれども、最終的には、なぜ郵便局がこういう貯金の事業と簡易保険の事業をやっていくのか。これは自主運用ですから自分のところで完結する形でやっていくということですが、これに対する定義の見直し、説明のし直しというのがもう一回要るんじゃないかという問いをしたわけですけれども、本会議場での答弁を聞いていると、これもまた何かちんぷんかんぷんな話しか出てきていないので、もう一回このところを確認させていただきたいというふうに思います。
  55. 前田正

    ○前田政務次官 お答えをさせていただきたいと思います。  郵便貯金、簡易生命保険事業につきましては、専ら小口の個人を対象として、簡単で確実な郵貯や生命保険のサービスをあまねく公平に提供することを目的といたしております。必ずしも我々は、財投資金の調達を目的に当初は設定されたものではございません。  また、財投改革、全額自主運用後においても、郵貯・簡保資金につきましては、公営事業らしい運用を行うため、確実、有利という原則に加えて、公共の利益に配慮する仕組みをつくることとしておりまして、資金運用面におきましてもその役割を果たしていくことが大事であると考えております。
  56. 中川正春

    中川(正)委員 金融ビッグバンでいろいろなレベルの資金運用というのがこれからどんどん出てきて可能になってくるわけですね。その中で、どういう位置づけになるんですか。何が特徴になっていくんですか。ということは、国の保証があるからこれだけは大丈夫だろうということだけにすがってこれからも商売していくのかということになると、もうそれは要らないんじゃないか。いわゆる自己責任という、片方、民間のサイドでしっかりそこを強調しながら改革が進んでいく中で、一点ここだけが何か古典的に安全だ、これは国の保証があるから安全だ、こういう形でやっていくようなものが本当に必要なのかどうか、そんなことなんだろうと思うのです。  それと同時に、財投のときは金利の設定というのが一つ有利な形で進めていけた、こういうことですね。それが自主運用になると、全くそういった意味ではほかの民間の金融機関と競争になる。そうなると、最終的に国民のサイドから見てメリットがあるとすれば、それは国が保証しているからだということだと思うのですね。それだけで事業が成り立っていくかというと、どうも民間の頑張っている人たちに対して説明ができないというふうになってくるんじゃないかということだと思うのですね。  そういう議論をした上で今回の財投というのはあるんだろうと思うのですが、さっきのお話では、ちょっとそこの説得力が出てこないんです。困った話だと思うのですけれども、どうでしょう。
  57. 前田正

    ○前田政務次官 御承知のとおり、いずれ公社化に移るわけでございまして、来年は総務庁と一緒になり自治省と一緒になって総務省という名前に入ってまいります。そのときに郵政三事業は郵政事業庁という新しい形になっていくわけであります。その後、公社化という形に移行していくことは先生御承知のとおりでございます。  郵貯と簡保事業ということは、我々は、国民経済上非常に必要なサービスとして、国営事業として今度は郵政事業庁が担う、こういう目的になることになります。  その中で、中央省庁等改革基本法は、平成十五年、二〇〇三年に、郵政事業庁の事務を引き継ぐ国営の新たな公社が発足することになっておりますけれども、同法の第三十三条におきましては、「独立採算制の下、自律的かつ弾力的な経営を可能とすること。」それから、予算、決算は、企業会計原則に基づいて処理をすること、経営目的、経営計画等に基づく業績評価を実施することなど、その他いろいろと具体的な事項につきましてはさらにまた検討する、こういうことになっております。  そこで、先生のおっしゃる国家保証という点でございますが、これは公社ということになりましても、現行の国家保証を同様に取り扱うべきであると我々は考えておるわけであります。  そこで、先生今御指摘にありました民業圧迫ということになる、あるいはまた民間との協力ということにつきまして、国家の保証というものをなくして民間と同じようにという感じではどうかという話でありますけれども、郵便貯金というものは、民間企業に比べまして税金というものは全然払っていないわけでございます。そうすると、民間金融機関と郵便貯金というものは、おのずと郵便貯金の方が有利になるんではないか、こういうことが考えられるわけでありますけれども、我々は、両者の違いというものは全体的な大きなバランスの中で考えていかなければならないというふうに思っております。  我々の郵便貯金は、税金は負担はしていませんけれども、全国あまねく公平サービス、約二万四千七百という郵便局がございまして、例えば過疎地のところでは、銀行がないところでも郵便局というものは採算性を度外視して郵貯とかそういうものを扱っておるわけでございます。  それからまた、民間は法人も対象とするものですけれども、我々はあくまでも預金というものは一千万という限度を抱えておるわけでございますので、そういう点では、ただ単に民間と我々の郵便貯金あるいは簡保というものに関して、有利か不利かというところは比べられるものではないというふうに考えておるところであります。
  58. 中川正春

    中川(正)委員 恐らくその問題というのは、これからもまだ延々と議論を積み重ねていかなきゃいけないんだろうと思います。  とにかく資金量が莫大だ、二百四十兆円というのは、これは日本のこれからの資金運用をどうしていくか、さっきの全体の姿を見ていった場合にも、本当にそれが郵便局に集まっていって自主運用をされていく、その形態でいいのかどうかというのは、この財投の改革の中でやはりもう一回考えなきゃいけないんだろうというふうに思うのです。  ここのところを大臣、大蔵省の立場で、全体の資金運用の流れの中で、郵便局、いわゆる公営事業の中で自主運用をされていく、そういうのが全体のマクロに見てあるべき姿なのかどうかということについて、ちょっと御意見を聞かせておいてください。
  59. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどからのお話を伺っていて、それは実は半分の話であって、最初にちょっとおっしゃいましたように、非常に大きな金が自主運用される、それが国の経済における金の流れにどれだけの影響を与えるかということは同じぐらい実は大きな問題でございますね。  今までは、ある意味で、預託を受けておりましたから、そこでまとまっていたというか散らない効果があったかと思います。ですから、言ってみれば、安全有利にという中で、より有利ではなくてより安全の方にきっと運用されるんだろうと思っていまして、そうである限り余りあれはないかもしれない。しかし、これだけ大きな金を動かせるということは大変なことでございますので、大蔵省が何ができるという話ではないと思いますけれども、運用計画のようなものは恐らく政府としても郵政省としてもきっと持たれるのでありましょうし、それについての意見なりあるいはなんなりは申し上げることができるのか、具体的にではございませんが、大きな金の流れといたしましてですね。そういうようなことは思っておりますが、これも大きな問題だと思います。
  60. 中川正春

    中川(正)委員 このままだと国が関与をしてマーケットをゆがめる結果になるということだけをちょっと指摘をさせていただいて、その分野からもやはり郵政省の中では議論すべきだと思うのです。  今の、安全だ、安全だと言っているだけで商売が続いていくかというと、そんな時代じゃなくなったということを指摘させていただいて、時間が来たようでありますので、私の質問を終わります。
  61. 金子一義

    金子委員長 次に、鈴木淑夫君。
  62. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。  私は、戦後の日本経済において、財政投融資の仕組みというのが一定の役割を果たしたことは疑いのない事実だと思っております。戦後、経済が荒廃したころから全国津々浦々に張った郵便局のネットワークで、零細な貯蓄資金を貯金あるいは簡保の形で吸い上げてくる、あるいは年金の基金を活用するという形で、ほっておけば民間の融資がつかない、あるいは民間が投資をしない、しかし日本経済にとって大事だというところに吸い上げてきたお金を回したわけでありますから、この財政投融資の仕組み日本経済の発展、特に高度成長期において大きな役割を果たしたことは疑いのないところだと思っております。  しかし、高度成長期が終わった後、七〇年代後半、八〇年代と過ぎるうちに、識者の間で、この財政投融資の仕組みの問題点がいろいろと指摘をされ始めたわけであります。私自身も、著書の中などにおいて、八〇年代からはっきりとその問題点を指摘する立場に立ちました。大蔵省の理財局の方も問題意識をお持ちになりまして、実は私は、九六年十月の総選挙の公示日の前日まで、大蔵省の理財局長さんの諮問機関のメンバーとして、一緒になって財投改革を議論したものでございます。  それから、この法案につきましても、自由党の中で財政や金融の責任者として、あるいは与党の政策責任者会議のメンバーとして審査した立場でございますから、ここに出てきた財投改革というものについては、私は個人的には非常な思い入れがございます。特に、この大改革を決意した理財局を中心とした大蔵省の決断に対しては大きな評価を与えたいと思いますし、それなりに尊敬申し上げたいと思っております。  ただ、私のこの思い入れと政府・自民党さんが考えていることと、ひょっとして食い違っていると、私のひとりよがりということになりかねませんので、この場をおかりいたしまして、政府に対して、今度の財投改革意味、ねらい等についてお伺いをしたいと思います。  まず最初に宮澤大先輩、大蔵大臣にお伺いいたしますが、さっき申し上げましたように、財政投融資の仕組みというのが大きな役割を果たしたことは疑いはないが、その問題点が次第に指摘されるようになってきた、それがこの大改革につながったと私は思いますが、宮澤大臣は、どういう点に問題が出てきた、その原因は何だ、したがってここをこう直すんだ、こういう形で頭の中を整理されておられると思いますが、まずその点をお聞かせいただきたいと思います。  何がまずいことになってきたか、そしてその原因は何だと考えた、だからこう直すということをお聞かせいただきたいと思います。
  63. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろな考え方があると思います。要するに、非常に膨大な資金量、それは貯蓄でありますけれども、それが国の意思によって使われてきたということの功罪ということになるのではないかと思います。  先ほど鈴木委員が言われましたように、戦後、荒廃から立ち上がった我が国にとって、これだけ大きな国民の貯金が政府の意思によって運用できたということは、大変に大きなメリットであると申し上げても間違いがないのだと思いますが、我が国がここまででき上がってまいりましてなおそういうことが続いていることの可否というのは、再検討されるべきときに来ておったんだと思います。  もちろん、メリットが大きいことは間違っていないと思いますけれども、いろいろな意味でのデメリットが考えられる。例えば、それはマーケットエコノミーに任せてもいい仕事への投資であるとか、あるいは、そうでなくてもそれがコストの非常に安い、しかも調達容易な金で行われるということからくる、考えられるいろいろな弊害、競争というものが除外されるということも含めまして、そういうことが目についてきた。  それは、スキャンダルというようなのは一番わかりやすい形でございますけれども、そうでなくて、もっともっと、市場経済でない機能というものがかなり大きなボリュームで行われていたということのデメリットと申し上げていいんでしょうか、そういうことが目立ってまいったと思います。  恐らく他方で、貯蓄をされる方の立場からいえば、こういう方法は必ずしも問題であったのではないだろう。貯蓄者には自由な意思がありますから、こういう形で貯蓄が運用されてきたということそのものは、そんなに差し支えがなかったのかもしれません。何もそこへ貯蓄しなければならないあれはございませんし、安全であるということは間違いありませんから。そっちの方には余り問題がなかったのかもしれませんが、前段に申したようなところの問題が非常に大きい。  むしろ、貯蓄の立場からいえば、一つ機関が自主運用をするということもよほど気をつけなければなりませんが、安全であるということからいえばいいのかもしれません。したがいまして、そっちの方よりは、これだけの大きな金が市場で政府の意思によって動くということについての反省ということになろうかと思います。
  64. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 おっしゃいますように、現状を見ますれば、これだけの膨大なお金を民間市場経済の外で政府の意思で動かすこと、それがいいのか。そのことからくる弊害というのはおっしゃるとおりだと思うのですが、そうなったのは割と最近十数年間なんだと私は思いますよ。つまり、膨大な金を政府の意思で市場の外で動かすことが問題というよりも、肥大化してきてそうなっちゃったのが問題だと私は思うのですよ。  大臣はよく御存じだと思います。私も社会人になりまして金融の勉強を始めましたころ、郵貯のシェアというのは一〇%に満たなかったですよ。民間が九割強です。融資の方を見ましても、公的融資というのは一五%前後ですね。そのころは決して問題はなかったと私は思うのですよ。その程度の公的な金融というものが、ほっておいたら民間の金融ではつかない、あるいは民間は投資しない、しかし日本経済にとって大事だというところに、その程度のお金が回ったことは全然問題なかったというふうに思います。  開発銀行の役割、輸出入銀行の役割、中小公庫等の役割、あるいは住宅金融公庫等々もそうですが、どれをとりましても肥大化はしていなかったと私は思うのです。それが肥大化してきちゃったところに問題があると思うのですね。  いかに肥大化したかは、もう大臣よく御存じだと思いますが、最近の数字を見れば、一割にも満たなかった郵貯というものが全体で三分の一ぐらいになっちゃった。個人貯金だけ見れば、もう半分ぐらいになっちゃった。大変な肥大化をしておるわけですね。したがって、融資の方も四割近くのシェアになってきちゃった。  さあ、一体、戦後今日までの間に、こういう公的投融資の肥大化を正当化する理由があったんだろうかということなんですよ。私はないと思いますよ。というのは、敗戦直後の方がはるかに、民間の金融や投資がつかないが日本経済にとって大事な分野はたくさんあったというふうに思うのですね。基礎的なインフラ関係の長期投資の話、あるいはインフラじゃなくたって、産業についても、非常に長期投資であるために、電力等々、民間ではちょっと怖くて融資できないというようなところとか、あるいは中小企業に対する融資であるとか、実にさまざまな分野があったと思うのです。  それに比べれば、これだけ日本経済が発展してきたわけですし、それから、特に最近は情報通信技術が発達して、うまくリスクを分散する技術だってできてきていますし。だから、民間で投融資できる分野は拡大こそすれ縮小しているはずはないんですね。逆に言えば、政府が公的な融資、投資をしなければいけない分野というのは縮小しているはずだと思うのです。にもかかわらず、逆に拡大しているところに最大の問題がある。それをとめるというところに今回の改革の一番大きなねらいがあると私は考えております。  どうしてとまるのか。それは、今までは入るをはかって、入ってくる方に規定されて出す方の投融資の額を決めるというのが原則だった。なぜなら、預託制度をとっているからです。郵貯、簡保に集まってくるお金は自動的に来ます。それから、少子高齢化が今進んでいますが、戦後しばらくの間は、むしろ終生積立方式の年金では積み立てはどんどんふえる時期でありましたから、入る方はどんどん入ってきてしまうのですね。しかも、入る方をはかって、さあこれを財政投融資にどうやって分けようかというふうにやったから、はっきり言って不必要なところまで、官業の民業圧迫を起こすようなところまで、民間でやれるようなところまで投融資が出ていった。私は、それが現在の財政投融資の最大の欠陥だと思います。  逆に言って、今度の改革で私が一番評価していること、よくぞ決断したというのは、そういう入るをはかって出るを制するのじゃなくて、入るところをぱんと切っておいて、まず出る方をはかろう、どれだけ政府の公的な投融資が必要なんだろうかという方から発想してこようとしていること、これが今回の改革の一番大事なところであり、私が評価するところなんですが、宮澤大臣、いかがでございましょうか。
  65. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 表現は違ったかもしれませんが、ほとんど同じことを申し上げたつもりでございます。税金ならばともかく、座っていても金が入ってきて、それが政府の思うとおりあっちこっちへやれるといったようなシステムは、いつまでも続いていいものではないだろうと思います。
  66. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 その点で意見が一致いたしましたことは非常にうれしく思います。  そうなると、自動的に入ってくるのじゃなくて、ここは預託制度を断ち切ってしまうのだ、本当に必要な投融資の先を考え、額を考え、それに必要な資金財投債財投機関債で調達するのだということになってくるわけです。そうすると、自動的な預託じゃなくて財投債あるいは財投機関債を出すわけですが、今度はその性格いかんということになります。  先ほどから中川委員質問なんかでも出ておりましたが、これはうっかりすると頭が間違った整理をしかねないと私は思っておりますが、そもそも財投機関というのは、民間でやれる投融資をやっているのだったら財投機関である必要はないのです。日本経済にとって必要だけれども民間では融資や投資ができない、そこを補うのが財投機関であるはずです。  ということは、民間ではできないということは、市場経済の中ではもしかしたらペイしないのかもしれない。そういう機関財投機関債を出して、これでうまく消化できたら、だんだんと特殊法人の整理の中で民営化考えていいのだと私は思います。  しかし、そうはうまく財投機関債を出せない。なぜなら、これはそもそも民間でペイしない仕事をしているのだと。当然、こういう機関がたくさんあってしかるべきだ。そうなったときは、私は、財投債で調達した金を入れるべきだと思うのです。私はそういうふうに考えているものですから、政保債を出すかもしれぬというのが入っているのが一番気に食わない。これは何だと。  もし財投機関債を出そうと思っても、市場がうまく受け付けてくれない、政府保証がつけば大丈夫なんだけれどもというと、そこで市場にチェックさせるという機能がゆがんでしまうと思うのですね。保証をつけなければやっていけないのだったら、最初から財投債で調達した金を受け入れてやったらいいのですよ。繰り返しますが、僕はそういうところがあるのはちっともおかしくないと思いますよ、民間でペイしなくて日本経済にとって大事なところだけに公的な投融資をすべきなんですから。  そこで、お伺いいたしますが、政府保証債なんというこんな中途半端な、性格をゆがめるもの、市場のチェックをゆがめるもの、こんなものはやらない方がいいと私は思います。保証をつけなければだめなら財投債お金を回してもらったらいい。その点、いかがでございますか。
  67. 大野功統

    大野(功)政務次官 先ほどの議論の中でも触れさせていただきましたけれども、仕分けとしては財投債財投機関債があって、そして通常の考え方ですと、財投機関債政府保証があるもの、ないもの、こういう仕分けをしがちなのですが、私は、そこは同じことを言っているのかもしれませんが、政府保証債というのは特別のカテゴリーとして考えていただきたい。それは、まさに先生がおっしゃったような流れの考え方でございます。  しかしながら、政府保証債がどうしても必要だということを御理解いただきたいのでございますが、それは、資金運用審議会懇談会の議論の整理の中でも、一つは、限定的にやらなければいけないのではなかろうか、それからもう一つは、過渡的にやっていかなければいけないのじゃないか、こういう問題指摘がされております。  どういう場合かといいますと、まず、先ほども申し上げましたけれども、電発のような民営化が決まっているものに対して過渡的に政府保証をつけてあげる、こういうケースが一つ。それから、外債の発行でございますけれども、外債といいますと、日本財投機関が外国へ行ってどこまで市場評価を受けるか、こういうものを政府として補ってあげるのは当然ではなかろうか。それから三番目の問題として、公営企業金融公庫のように、財政融資資金からお金を借りられない、自分お金を調達しなければいけないときに、政府保証をつけてあげて、地方の公営企業の円滑な運用に資していく、こういう問題がやはりあると思います。それからあともう一つは、短期資金の場合に、即座に流動性を確保していくというようなことでどうしても政府保証をつけなければいけない問題がある。しかし、それは、先ほど冒頭に申し上げましたように、極めて限定的、過渡的に考えていく性格のものである、このように理解しております。
  68. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 限定的、過渡的ということでございますが、私は過渡的の方は賛成しますよ。限定的にどうしても政保債を出さなければいけない分野というのが最終的に残るのかどうかは疑問に思います。それは財投債という名の国債に切りかえていけるはずだし、いつまでも政府保証機関債でなければやれないよというのはどうでしょうか。それから、短期のことをちらっとおっしゃいましたが、短期の方も一般のTBと一緒になって出すわけですね。別に特別のものを出すわけじゃない。それは一種の財投債短期なのだと思いますから。これも僕は要らないなというふうに思います。ぜひ、ちょこっと性格をゆがめかねない、改革のポイントをゆがめかねない政府保証債というものは、過渡的にしていただきたいと思います。限定的と言っていつまでも残さないようにしていただきたいというふうに思います。  さて、そういう形でまず出る方から考える、大変結構だと思います。そうすると、今まで自動的に入ってきていた方の郵貯、簡保、それから厚生省の年金でございますけれども、さあこれは自主運用だということになりますので、郵政省の方にお伺いいたしますが、先ほど来出ておりまして、抽象的には安全な運用とか言っておられますが、改めて、自主運用の方針、つまり具体的にどういうものに運用しようとしているのか。一番僕が質問をしたいのは株式投資と融資です。これをどう考えていますか、将来展望で。     〔委員長退席根本委員長代理着席〕
  69. 前田正

    ○前田政務次官 お答えをいたします。  全額自主運用後の郵貯資金の運用につきましては、事業の健全経営の確保を目的といたしまして、安全で確実な債券を中心とした市場運用を行うことをまず基本とさせていただいております。  具体的に申しますと、公的部門において発行される国債とか地方債、財投債財投機関債など、それから民間部門において発行される優良な社債、あるいは外国政府等が発行するいわゆる外国債の債券を運用対象としております。これらを原則として市場において運用する、こういうことになります。  なお、このほかに運用対象としては、地方公共団体への貸し付け、それから預金者への貸し付け、自分の預けた範囲内での貸し付けということになりますが、こういうもの。それから簡保事業団を通じた指定単がございますが、これらの運用は、それぞれの目的において行うものでございまして、あくまでも基本は市場における債券の運用とする考え方をしております。  それからまた、郵貯資金については平成十三年四月から自主運用を開始いたしますけれども、御承知のとおり、郵便貯金資金の全額が一気に自主運用になるわけではなく、資金運用部預託金が返還されるに合わせまして順次自主運用額が増加してきまして、それで七年後にほぼ全額自主運用をする、こういうことになっております。  それからあと、自主運用に移行するまでの運用に当たりましては、御承知のとおり、財投改革を円滑に実施するために、平成十三年度以降七年間の経過措置として、年金資金とともに、資金運用部の既往の貸し付けを継続するために必要な財投債について引き受けること。それから、その引き受けのほかに、年金資金とともに、新規財投債のおおむね二分の一程度について引き受け、その割合は漸次低下していくこと、これは大蔵省からの要請がございました。  これらに対して郵政省はどうするのかということになりますけれども、我々は、財投改革の円滑な実施協力に伴う観点から、郵貯資金の状況等を踏まえまして、最大限協力をしていきたいと思っております。  市場における債券等の購入のほか、財投債の引き受けも行うこととなりますが、先ほど申し上げましたとおり、市場運用の例外となりますけれども、あくまでもこれは時限的なものだ、私どもはそう考えておるところでございます。
  70. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 過渡期におきまして財投債への運用を多額に行おう、それでだんだん絞っていく。これは、市場への改革に伴う混乱を最小限にする上で大変結構だと思います。  さて運用ですが、市場における債券の運用を基本とするとおっしゃいましたが、実は、債券の運用の中にも安全でないものが当然あります。今おっしゃった中で、社債については当然信用リスクがある、倒産するかもしれないのですから。それから外国債に至っては、極めて変動の大きい為替変動のリスクがあります。こういうリスクのある債券に、本来安全な運用に心がけるべき郵貯が、そういう性格のお金を扱っているわけですが、運用して大丈夫ですか。
  71. 前田正

    ○前田政務次官 大丈夫ですか、こう言われますと、そのときの世界的ないろいろとした経済状況等も踏まえることも考えなければなりませんが、私どもも自主運用実績というものが過去にございまして、今現在五十五兆ぐらいを運用させていただいております。そういう過去のいろいろとした経験、ノウハウというものも踏まえまして、私どももそういったものにも慎重に取り組んでやってまいりたい、かように思っております。
  72. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 率直に言って私は反対ですね。信用リスクのあるもの、特に為替変動リスクがあるもの、こんなものに運用すべきではない。もっと安全な市場での運用に限定すべきだというふうに考えております。  先ほど私は、財政投融資の仕組みを、戦後、発展を振り返ったときに、どんどん肥大化したことが問題だと申し上げました。肥大化の原動力はやはり郵貯の発展です、よく言えば。全預貯金の一割にも達していなかったシェアが三割以上になっちゃった。これはなぜかというのは長い論争があるわけですよね。  定額貯金という、民間ではまねのできないような有利なものがあったからだよと、これは直しましたけれども。それから、人件費が、民間の金融機関はぜいたくをして高いが、郵貯はもっと質素だよとか、郵政事業と郵便貯金の事業の二つを一つの店舗でやっていることに伴うスコープメリット、業務多様化のメリットがあるんだよとか、それから税金を納めていないから有利だよと。  今、僕は四つずらずらっと並べましたが、五つ目に挙げるのは、運用を自分でやっていないからだということなんですね。金融機関にとって運用のコストというのは非常に高いんですよ。特に、リスクのあるものに運用すると、リスク管理のためのコストというのは非常に高いんですね。だから、特に融資なんてしようと思ったら、審査部を持ってやるわけですね。これなんか、すごい金がかかっちゃう。私は、外国債に投資するといったら、これは大変な話だと思いますよ、為替についてのリスク管理が。それから、社債だって、信用の置ける格付や何かを使うんでしょうが、その辺のところもやはりコストがかかりますよ。  だから、採算面、コストの面で郵貯の有利性が失われていく危険性もあると私は思うのですね。だから、危険だということのほかに、コストの面からいってもそういうリスクを含んだ運用はおやめなさい、こう申し上げたいのですが、いかがでしょうか。
  73. 前田正

    ○前田政務次官 確かに、先生は民間と郵貯というものを比べられまして、税金も払っていない、いろいろとしたメリットもある、しかも国が保証するという一つの大きなものがございますが、そういうものだけで一部をとらえて見られると、我々も大変困るわけであります。  我々としては、民間のないところの郵便局、二万四千七百と全国にあるわけでありますけれども、どちらかというと、銀行はある程度営利目的としますから、やはり、預金者あるいは法人の取引者、そういうところを中心としたところに支店とかをつくっていくわけですけれども、私どもは、山間地域の僻地にも郵便局というのはございまして、そういうところにお金を預けてもらったり、あるいはまた、そういう便宜を供するというところも出てくるわけでございます。  そういうところはどうしてもやはりコスト的には非常にウエートがかかるわけでございますから、そういうところを突き詰めていきますと、我々は、あくまでも営利目的とする郵便貯金ではなしに、ある程度、あまねく国民のサービスというものを中心として経営をするというやり方でございますので、そういう点では、なかなか民間と比べるというわけにはいかないだろうというふうに私ども考えております。  それから、運用対象については、私ども、安全確実な債券を中心とするということでございますが、社債等のリスクのある債券につきましては、それぞれ、ある程度、必要最低限の運用制限というものを期しておりまして、資産総額の大体百分の二十以下に設ける、こういうことになっております。  さらにいろいろとした制約等々もございまして、我々としてもできるだけ、先生がおっしゃるように、リスクのないもの、安全なもの、これを中心としてやってまいりたいというふうに考えております。
  74. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 今おっしゃった営利目的にしてやっているわけではないという点は私も理解しております。ただ、問題として残るのは、そういうシステムが戦後の荒廃した日本経済、高度成長期、中進国時代は必要だったかもしらぬが今日ただいま本当に必要かねという議論は依然として残っていると思いますが、これまでの郵貯の果たされた役割が単なる営利目的でないというところは、私も評価するにやぶさかではございません。  ただ、そうであればあるほど、営利目的にしていないでとらの子の大事な零細貯蓄を集めているのであればあるほど、社債運用とか外債運用というのは営利目的にしているのだから、そんなことをやっちゃいけませんよ。百分の二十だって結構高いじゃないですか。百分の二十という上限を設けておりますと言うけれども、二割は高いですぞ。二割の中で劣化が起きたら大変だし、ましてや外債なんというのは、あっという間に大変な価格変動をしますからね。  ですから、営利目的にしているのじゃない、大事な国民のお金を預かって安全に運用する貯蓄金融機関だとおっしゃるなら、営利目的としか思えない、ハイリスク・ハイリターンをねらっているとしか思えないところに金を出してはいけないと思うのですね。いかがですか。
  75. 前田正

    ○前田政務次官 社債につきましては、資産総額の最高百分の二十ということでございますが、これはあくまでもそういう制限の数字でございます。実際、そこまではとてもとても我々社債には運用しておりませんで、今占める割合は、外国債に対しては運用の五十五兆円のうちの八・一%程度ということになっております。  それから、社債とかはリスクが非常に多いとは言いますけれども、できるだけ広く浅くある程度分散して投資をするということにしなければ、指定単にぼこっとするとかいうふうにすると非常に危険度が高いものですから、できるだけ広く、リスクも少ないような方法で私どもはやっておるということでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  76. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 くれぐれも注意していただきたいと思います。  ただ、リスク管理を注意深くやるということは、すなわちコストがかさむことにもつながっていくのですね。ですから、最初からリスクの高いものには運用しない。その意味で、特に外債については私は反対でございます。さっき、もし損が発生したらどうするんだというどなたかの質問に対して、積立金があるとかなんとか言った。これはやはりコストとしてかぶっちゃうのですから、積立金があればいいというものじゃないですね。(発言する者あり)だれのお金だという声が出ていますが、そのとおりなんですね。  ですから、この点の運用については、ハイリスク・ハイリターンをねらわないで、本当に安全なところに運用していただきたい。そのことによってコストの上昇も避け、リスクも避けていただきたいと思います。  時間も迫ってまいりました。最後に、大蔵省さんと郵政省さん両方にお伺いしたいのですが、さっきは郵政省さんの方がちょっとお答えになりましたが、やはりこれは大改革でございます。大改革でございますから、郵貯が自主運用するということの市場へのインパクトもあれば、大量の財投債あるいは財投機関債を出すということに伴う市場へのインパクトもあります。マクロ的に見れば、金の流れがスイッチするだけで、これで需給が逼迫するのどうのこうのという話はない。しかし、マーケットにはセグメンテーションがある程度ありますから、マーケットごとにちょっとしたヒッチが起きるということは十分あり得るわけですね。  ですから、そういう混乱を避けるためにいろいろ考えておられると思いますが、最後に大蔵省さん、それから郵政省さん、過渡期の混乱を避けるためにどういう手を打とうとしておられるか、お答えいただきたいと思います。
  77. 大野功統

    大野(功)政務次官 過渡期の対応の方策につきましては、先ほど郵政政務次官からお答えになったとおりでございます。  まさに問題点は二つありまして、一つは、既往の貸し付けをどうしていくか、こういう問題。それからもう一つは、新規の需要に対して市場にどれだけ要求するか、こういう問題でございます。その過渡期の解決策は先ほど郵政政務次官からお答えしたとおりでございます。  でも、それだけでもなおかつまだ市場に対して影響を与える場合があるかもしれない。そういうときにはやはり国債を多様化していくことも考えていかなきゃいけないのじゃないか、いろいろな工夫をして市場への影響をできる限り和らげていきたい、このように考えております。
  78. 前田正

    ○前田政務次官 鈴木先生にさらに先ほどの追加で申し上げたいのは、運用につきましては、資金運用部につきましては、全額自主運用する中で、実は平成十三年度以降七年間の経過措置として、年金資金とともに、資金運用部の既往の貸し付けを継続するために必要な財投債について引き受けることと、それからあと、新規財投債のおおむね二分の一程度について引き受ける、その割合は漸次低下していく、こういうことが大蔵省の要請でございました。  こういったことも踏まえながら我々は運用をしてまいりたいと思っております。
  79. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 それぞれに攪乱を極小化する方法をお考えいただいているというお答えで結構でございますが、非常に極端なことを言いますと、一番最初に預託を廃止したその瞬間に、同額の財投債を出してぽんと買わせれば何の影響もないわけですが、それは非常に極端な話、そうはいかないと思います。ややそれに近いところからそろりと始めていくというのが混乱を極小化する上での基本じゃないかなと私は思っております。自主運用の方で急激に財投債という名の国債以外のウエートを上げないように、そろそろといくのがよろしいのじゃないかというふうに思います。  それから、大蔵省さんの方も、さっきおっしゃいましたように、これは財投債の問題に限らず国債管理政策一般の問題になりますが、これだけ大量の国債残高がある、そこに財投債という名の長期国債あるいは財投が扱う短期国債が出てくるわけでございますから、大原則として、国債発行の多様化を図っていく、そして市場のイールドカーブなどを見ながら上手に出していくということをこれまで以上に御努力いただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  80. 根本匠

    根本委員長代理 次に、上田清司君。
  81. 上田清司

    ○上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。  今回の財投改革、大変大きな改革でありまして、日本のこれまでの行政仕組みやあり方そのものも問われるような大きな改革で、大変注目をしているところでありますが、その前に、国家の一大事がつい先ごろ小渕総理の入院という形の中で出てまいりましたので、若干、青木官房長官の言葉の違いとかがありましたので、これは質問の要項には入れておりませんでしたけれども大蔵大臣にちょっと一点だけ確認させていただきたいのです。  小渕総理の入院の事実を聞かれたのはいつでございますか。一日、二日、事態が変化したわけでございますが、宮澤大蔵大臣として入院を聞いたのはいつの何時ごろであったか、御記憶にあれば。なければないで結構でございますけれども
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 時間はかなり遅い時間でございました。十時より遅かったか、そのころだと思います。それは、ですから四月二日でございますか。
  83. 上田清司

    ○上田(清)委員 どうもありがとうございます。  実は官房長官の国会答弁で、二十三時三十分、午後十一時半の記者会見の前に宮澤大蔵大臣には電話で、私が総理の指示に基づいて臨時代理を受けることになった、このようなことを述べておられますが、一方で参議院の会長の村上正邦先生は、記者会見後、河野外務大臣宮澤大蔵大臣に電話をしたと。若干意見が食い違っておるのですけれども宮澤大蔵大臣の御記憶では、この日の十一時半に官房長官が記者会見をされたのですが、記者会見の前に私が臨時代理を受けることになったという御連絡があったのか、記者会見後に連絡があったのか、これだけちょっとお聞きしたいのですけれども
  84. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は私、休んでおりましたので、記者会見そのもののあることを存じませんでしたのですが、したがって、前か後かということを申し上げることができませんが、たしか十時過ぎであったと思いますが、そして、その中で、臨時代理は自分が務めることになりますということを言われました。私は、それは大変御苦労さまでございますがということを申し上げた記憶がございます。  それが、記者会見というのをちょっと私は見ていなかったものですから、前、後が申しかねますけれども、そういうことはございました。
  85. 上田清司

    ○上田(清)委員 どうもありがとうございます。  一応、森政権下における大蔵大臣としての正統性の確認ということを含めて議論の前に確認をさせていただきました。大変突然の質問で御無礼をお許しいただきたいと思います。  それでは、本題に入らせていただきます。  まず、ずっと議論になっているところでありますが、そもそも自主運用の問題でありますが、せっかくですので、特別に出演していただいています前田次官の方から先にお伺いしますけれども、先ほど鈴木委員から極めて鋭い御指摘がありましたが、そもそもこういうお話が実はアメリカの事例で、グリーンスパンの議会証言で、九九年の一月二十日と一月二十八日と三月三日、昨年のことでございますが、同じ趣旨でこういう議論をされておられます。  財政黒字を社会保障に充当することは支持するが、社会保障信託基金の株式投資についての提案には反対だ。理由の一つとして、政治的思惑が排除できない。二番目に、アメリカ経済の効率を阻害し、生活水準の低下につながる。そして、三、国債運用を減らして株式を買うと金利が上昇するので、株価が上がるとは言えない。このことが一つであります。もう一つの部分で、民間であれば自主運用は当然だが、国が強制徴収する公的年金保険料を国会による統制も受けずに運用するのは問題だというような、こういう御指摘がありました。  郵貯と年金はまた違いますが、先ほど言われましたように、まさに国営事業として国が基本的に保護している、そのことに関して、国家の信用という名のもとにお金を集めているわけでございますから、相当国民はそのことを信用して、無条件に近い形で、リスクも考えずに、あるいはいわば商品の説明も十分聞かないままに、あるいはそれを認識しないままに商品を買ったり預けたりしておりますから、そういう意味において、自主運用については相当真剣に考えなければならないのですが、先ほど、もう私の質問を先にされてしまったのですが、外債、あるいは地方自治体といえどもこれから本当に安全なのかどうか、どこの地方自治体に貸すかという問題も出てくるでしょうけれども、地方自治体についても、例えば赤字のところには貸さないとか、そういうことも含めて考えておられるのか。  まず、本当に外債は大丈夫なのか、そして地方自治体についての基準があるのかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  86. 前田正

    ○前田政務次官 議員にお答えいたしたいと思います。  まず、郵便貯金と、それから今の簡保でございますが、国が保証する、国がやっておる、こういうことを武器として私どもは勧誘しているわけではありませんし、また、それによって何でもかんでも利用者から、とりあえず金を預かります、それじゃ運用しましょう、やりましょうというわけでは全くありません。やはり全国の郵便局員の皆さん方が、それぞれの御家庭を訪問したりして、郵便貯金にぜひお入りくださいという理由をきちっと述べながら、御理解をいただきながら我々は預かってまいるものでございまして、ただ先生の言うように何でもかんでも国のバックを有利にできるような形で私どもやっておるというものではありませんので、ひとつその辺の御理解をまずいただきたい、かように思っています。  預金される方がそういうことを思われるかどうかというのは我々はよくわかりませんけれども、しかし、やはり局員の皆さん方がきっちり苦労しながら一軒一軒回ってお願いをして、民間の金融機関と同様の立場で一生懸命お願いして預金なり簡保の保険の契約をされておられるわけでございますから、その点をひとつまず冒頭に御理解いただきたいと思います。  それから、今、地方債とかあるいは外国債の話でございますが、私ども、先ほど申し上げましたとおり、あくまでも外国債にはある程度制限を課されて、全体のうちの百分の二十までという制限もしておりますし、また、今の運用の中で八・一%程度ということにしておるわけでございますので、そういうリスクという問題については、私どもはそのような理解をしておるところでございます。  それから、あと地方債についても、それぞれいろいろな地方団体があるわけでありますが、地方債を買うにいたしましても運用するにいたしましても、私どもは、その運用につきましては、きちんとした手続に基づいてそれを運用するという手続をとっておるわけでございますので、地方団体それぞれの、まあ自治省になりますけれども、それと相談をしながら、地方債の運用については的確に判断をし、やっておるところでございます。
  87. 上田清司

    ○上田(清)委員 資料をいただいたもので、平成十年度末で、今、外債が八・一%、金融債、社債が七・二%、そしていわゆる指定単の寄託金が一六・九と、ぱあっと見ますと、結構リスクのある部分が三〇%ぐらいあるというふうに考えてもおかしくないし、地方債だってこれからどういう形になっていくかわからない。そういうことも含めて、自主運用に関して従来と同じような運用状態で本当に、この金融自由化対策資金の部分だけでもちょっとリスクがあるんじゃないかと。それを今度は大きく膨らますわけですから、全体になるわけですから、当然そのパーセンテージは大きくなるわけですよ。金額が大きくなるわけですね。だから、同じ八%でもそれだけぐっとリスクが大きくなっていくわけですから、そこのところも含めれば、もっとしっかりした基準があってしかるべきじゃないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  88. 前田正

    ○前田政務次官 これからの自主運用につきましては、では全体的にパイが大きくなるから、その部分でその全体的なものが大きくなるかどうかというのはこれからの考え方いかんによるわけですが、ただ、現在の割合というものは、確かに先生お手持ちの資料のとおりでございますが、これからふえてくるからといって、全体的な割合がそのままの状況で膨れるかどうかというのは、我々は今のいろいろとした市場経済の状況も判断した上で運用に努めてまいりたいと思っておりますので、一概にそれが大きくふえてくるものではないというふうに考えております。
  89. 上田清司

    ○上田(清)委員 だから一概に大きくふえるものだとは言っていないわけで、当然ふえることは間違いないと。したがって、どういうふえ方をするのかができているのかと聞いたんですね、その運用の基準が。それをお聞きしたいんですよ。この法案のポイントは、そこに一つあるんですよ。
  90. 前田正

    ○前田政務次官 基準といいますか、御承知のとおり、私どもはやはりあくまでも安全で確実な運用というものを考えておりますので、そういう点を踏まえて我々は運用いたしたいと思っておりますので、その辺の基準というものはまだ今のところ考えていないということでございます。
  91. 上田清司

    ○上田(清)委員 その基準を出して法案を出してください。また後日改めて、内部検討メモでもいいからぜひ出してください。  それでは、また外部、外部と言っては恐縮ですが、お客様の方から先に帰させていただくために、厚生省の年金局長おいでですね。  それでは、同じように、グリーンスパンが議会で証言したように、極めて限定的な安全な運用をすべきだというようなことを言っておられますが、もう既に年金の部分に関しては、年福を通じて元本割れを行っているという現実もございます。やたらと時価の部分でふえた部分を強調されて、あたかも問題が解決したようなイメージを振りまいておられまして、極めて不可解な、不快感のある発言をしばしばされておられまして、この間わざわざ本会議場で、失礼ながらよくわかっておられない森総理によくもああいう答弁をさせたなと。何のために厚生委員会で問題点を厳しく私が指摘し、あなた自身も、何らかの形で誤解を与えたのだったら謝りますと言ってちゃんと謝ったじゃないですか。にもかかわらず、そういうことを言うことは大変問題だということを、ただ、きょうはその議論じゃないもので、改めてそれはやりますけれども。  とにかく、今グリーンスパンのお話をさせていただきましたけれども、これから自主運用の部分について基本的にどんなふうに考えておられるのか、基本姿勢について伺いたいと思います。
  92. 矢野朝水

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  ただいまグリーンスパン議長の御意見を御披露いただいたわけですけれども、私ども年金積立金の自主運用に当たりましても、こういった批判にこたえ得る体制、仕組みを講じなきゃいけない、こういう考え方で法律をつくり、それに基づいて今準備を進めているわけでございます。  これは、一つは、運用の基本方針、これを厚生大臣が決めるということでございます。ただ、その際には、保険料拠出者の代表あるいは経済金融の専門家の御意見、これを聞いた上で、資産構成割合などの運用の基本方針を決めるということでございます。  それからもう一つは、株式を国が持つことの危険性についても今御紹介がございましたけれども、私どもは、こういった問題をクリアするためには、国みずからが運用するのではない、民間金融機関を通じて運用する、こういう仕組みにしておるわけでございます。つまり、国の方で運用の基本方針を決め、それに基づいて民間金融機関に運用していただく、こういうことでございます。  それから、運用関係者の責任体制を明確にする、それから徹底した情報公開をするということで運用についても透明性を確保する、こういった仕組みを構築していきたいということで、現在、法律に基づいて準備作業を進めておるところでございます。
  93. 上田清司

    ○上田(清)委員 先ほど、担当大臣であります宮澤大蔵大臣が、計数的に明らかにできればいいんだけれども、それが筋道だけれども、しかし今の段階では出しにくい、こういう御答弁をされておられまして、極めて率直な意見で感銘を受けたわけでありますが、今、自主運用をする側の、預託を廃止する部分に関しての、ここにおられる中でのそれぞれの責任者の方にお伺いをしたわけですが、やはりこの預託廃止、自主運用ということに関して大変難しい部分があるのですが、この難しい部分について政府の方で、これも中川委員がしつこく言っていたんですけれども、基本方針としてここはどうするんだということに関して明確な議論はなされたのでしょうか。大蔵や郵政や厚生とどういうふうな打ち合わせをなされたか。  例えば、今申し上げましたように、一切株式には使わないとか、先ほど年金局長が言われたように、それなりの形の中で民間に委託する部分が出てくるわけですから、民間の委託の部分では本当に勝ち負けいろいろございまして、ここのところは正直言って、単年度別でいけば年福の運用などは負けの方が多いという結果が出ているわけですね。もちろん、財投金利の高い部分だとか、そういう問題点はありますけれども、それにしてもやはり現実には負けているという。これがまさしく、負けという言葉が適切かどうかはわかりませんが、損失を出しても、公の機関ですから、給料が減らされたり急に首になったりすることはない一種の安全弁というのがありますので。  そういうことも含めると、やはりここの自主運用の部分に関しては相当明確な基準をあらかじめ出しておく必要がある。法案の中に出せれば一番いいのですが、出せなければ大臣答弁の中できちっと出した方がいいというふうに思っておりますので、改めてこの問題について大蔵大臣の御見解を聞きたいと思います。
  94. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この話は、ちょうど十五年ぐらい前から大変に激しくなりまして、と申しますのは、資金運用部が全部預託を受けているということにつきまして、預託者からいわゆる自主運用をしたいというお話があって、それも無理でもない話でありますから、全部というわけにはなかなかまいりませんがと言って、少しずつ自主運用ということが行われるようになったと思います。  そのときに、当然のことでございますけれども資金運用部でございますと、運用先がああいうふうに限られておりますが、自主運用ということになると、それはまず安全、次に有利ということであっても、なかなか玄人でも大きな金を運用するということは難しいのであるから、郵政が、厚生がというのではなくて、やはり自主運用ということについては、おのずから一つの規制、規則というものがなければならないだろうということは、当然関係省庁間で議論をいたしてまいりました。  したがいまして、私、今どういう自主運用の規則になっているのか具体的に存じませんが、その点は十分に、いわば玄人、素人という話はちょっと言葉が砕け過ぎますが、玄人でも難しいことなので、ぜひ安全ということを中心に考えたいというような役所間の合意はあったように思っております。
  95. 上田清司

    ○上田(清)委員 大変恐縮ですが、過去のことを何度も思い出させて申しわけありませんが、やはりなみはやのときも特定合併ということで新しい試みでした。不良銀行同士をくっつける、そして、くっつけてよくするんだ、てこ入れをしてよくするんだということで、じゃ、どういう基準なんだということを再三再四求めたわけですが、検討メモすらも出せないままに、とにかくよろしくということで、時の総理までわざわざこの大蔵委員会に来ていただきまして御答弁をされていました。  それとちょっと似通っておりまして、とにかくよろしく、まじめにきちっとやりますからという話では、我々はやはり国民に対して責任が持てないんですね。三者間の合意なり検討メモというのでしょうか、そういうのは一体どういうものなのか。文書でいただければそれが一番いいし、文書を読み上げていただければそれでも結構ですし、たしか幾つかの原則とか、そういう基本的なものを決めるはずだと思うのですね。そういうものは明らかにできないんでしょうか。
  96. 大野功統

    大野(功)政務次官 資金運用審議会懇談会の取りまとめにございます基本方針を、今まとめて要約をお読みいたします。  一番、安全確実な運用を基本とすること。二番、運用責任の明確化による責任体制の確立、リスク管理のための仕組みの整備、自主運用の結果としての納税者の負担が発生しない。大事なことです、納税者の負担が発生しない。三番、公的資金の運用が民間の金融市場影響を与えないこと、これも大事なことでございます。四番、特殊法人等への市場を通さない形での資金供給は行わないこと、市場原則でやれ、こういうことでございます。五番、資金運用の状況が不透明にならないようディスクロージャー、これも大事なことです。六番、民間金融市場に悪影響を与えることのないように適切な経過措置を講じる、こういうことでございまして、このような基本的な考え方に沿って運用されるべきものだと考えております。
  97. 上田清司

    ○上田(清)委員 資料を十分以前からいただいておりましたので読んでおりますし、そのことはわかっているつもりであります。したがって、例えば最後の六番目に言われた民間の金融市場に悪影響を与えない、徐々に出していくとか、そういうことも含めてどういうシミュレーションを内部で検討されたのか、そういう資料を出してください。  そういうのがわからないと——今までずっと失敗されてきたんですよ。成功されているんだったらいいですよ、まだしも。特に、大蔵省の金融行政に関しては失敗だらけなんですから。あなた方の説明をまともに聞いていて、おかしい、おかしいと言いながら、しかし、そう言われるんだったらというような部分でも言ってきたんですけれども、ほとんど間違ってきたんですよ。ろくろくだれか責任をとったという話も聞かないし。  そういう意味で、私たちは責任を持つために、例えば検討メモだとかシミュレーションの数字だとか、そういうのを出してください。当然あると思うんですよ、そういうのもなしにこういう法案を出されるとしたら無責任だと思いますから。そういう検討資料があるんでしょうか、ないんでしょうか。
  98. 中川雅治

    中川政府参考人 大蔵省の方におきまして、そういった定量的な資料はございません。
  99. 上田清司

    ○上田(清)委員 年福のときもそうでございました。運用の基準はあるのかと言ったら、内部で基準の正式な意味での文書はないと。しかし、方針のいわば確認書的な、メモ的なものはあるということでいただいたことがございます。それこそ、宮澤大蔵大臣が率直に言われました、苫東の新しい試みの二枚の事業計画書と同じですよ。民間だったらとてもこんなものじゃ許されませんと大臣そのものが答えていただきました。そういう話になりかねないんですね。巨額の運用をするにもかかわらず、具体的な話はなくて抽象的な原則論だけがずっと論議されるというのには、ちょっと耐えられない。  例えば、私はこういうケースを申し上げますよ。ある投資家が、どこでも結構です、それでは大野総括次官がおられます本四架橋公団で結構でございます、本四架橋公団が財投機関債発行したとします。そうしたら、国のやっていることだから大丈夫だろうと思う人もいます。しかし、これはもうずっと累積で赤字だ。将来にわたっても可能性がない。大体、四国には人数は少ないし、通行料が高いから、あそこは真ん中で帰っちゃう人が多いんですね、調べたら。高いもので、行って帰ってくるのが嫌だから、真ん中に行って景色を見て帰られる人が多い。四国まで入っていかない。四国は大変苦しんでいる、通行料をもっと安くできないのかとか。  それはそれとして、しかし、もし補給金だとか政府の補助金を削減するというような話になったら、多分、一遍に格付が下がるでしょう。したがって、そういう意味で、財投機関債の持つ意味も本当にこれは難しい話。簡単に、徐々に財投機関債の方にせり上げていくんだ、そうじゃないところは、しようがないから財投債、いわば特会の方で面倒を見るんだ、その中間的な、過渡的なものだけは政府保証するんだ、そういうことでありますけれども、例えば今のケースなんかで、投資家は私は悩むと思うのですけれども、もしそういう形で補給金を削減できないという形になれば、この財投改革意味もなくなってくるわけですね。そうでしょう。  もし削減すれば投資家が逃げてしまう。だから、削減しないでくれという陳情団がわっと行って、特に四国、中国選出の国会議員がわっと行って、削減計画をけっ飛ばすというようなことにもなりかねない、そういうこともあり得るわけですね。そういう点についての御検討はいかがですか。
  100. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、本四架橋、瀬戸大橋の中途で本州から来た人が帰らないように、魅力ある四国をつくってまいりたいと思います。  それから、財投機関債を本四架橋が出したら、それはいろいろな評価があるだろうと。恐らく上田先生がおっしゃりたいのは、市場からは評価されない、財投機関債など出せないんじゃないか、こういうことではなかろうかと思います。私も大変危なっかしいなと思っております。  しかし、財投機関仕事というのは、非常に長期的な貸し付けを受けて、長期的にどのような償還可能性が出てくるのか、有償資金をもってする財政政策でありますから、やはり償還可能性というのは大事なことであろうかと思います。  その背景にあるのが、例えば、先生が今おっしゃいました出資金等の話でございます。その出資金は、御存じのとおり毎年ついていて、平成二十四年には切れることになっておりますけれども、そういう条件の中で、もし将来この橋が本当に便益を生み出すものであるという評価を受ければ、それなりに市場からも評価されるのではないか。したがって、私は、今の本四架橋公団の財政状況だけを見てそのことを云々するというよりも、むしろ非常に長期的に見て便益を考えていただきたいな、これが第一点でございます。  そういう便益を考えた上でどうするのか。もし仮に市場から財投機関債が拒否されたとすれば、本当にそこから新しく物事が始まるのではないか。つまり、ゼロベースから、本当に瀬戸大橋は必要なのかどうか、国民にとって四国あるいは本州を結ぶ橋として必要なのかどうなのか、こういう検討を始めていかなきゃいけない。そして、やはり必要なんだ、全国の調和ある発展のためには必要なんだということになれば、そこでまた財政融資資金特別会計からの借り入れになる、こういう形になっていく。  ゼロベースから考え直す、これが非常に大事なことだと思っております。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 上田清司

    ○上田(清)委員 もう本当に、官僚OBであります大野政務次官お話を聞いていますと、クリアでありますが、まさしく官僚答弁でございまして、政治家の方針としての演説がなされていないような気がいたします、大変御無礼な言い方で恐縮でございますが。  大蔵大臣、大変急いで大蔵省の方に御苦労かけたんですが、出口の財投機関のそれぞれの累積欠損というのはどんな状態になっているかというようなことで、ちょっと確認をぱっとしていただきました。ただし、まさしく資本金だとか出資金だとか、そういうのを捨象して累積欠損だけですので、やはりこれは資本金も含めて債務超過の状況を確認したかったんですが、そこまで出ておりません。  とりあえず今債務超過になっているのが、住宅・都市公団、年金福祉事業団、それから今お話が出てきました本州四国連絡橋公団、この三つが資本を除いて債務超過になっているということでありますが、私なんかのイメージだと、こういう債務超過のところとかはやはり財投機関債というのは難しいのかな、こう勝手に思ったりしておりまして、種別というのはどんなふうに本当に考えておられるのか。先ほどから議論が出ております財投機関債政府保証をくっつけた形、そして財投債、特会という形の中で、今までと仕組みそのものは変わらない。この三つ仕組みは本当にどこに基準をされているのか。一度もまだ正確に答えておられていません。むにゃむにゃむにゃです、はっきり言って。当然これは一番検討課題になるわけですから。  例えば、私はなかなか、市場原理の中で、この財投の出口になっています特殊法人の改廃ができるような気はいたしません、基本的に。そんなことができるのだったら最初から民間でやっていたでしょうから。民間でやらないでわざわざやっているところは、こういう事業をしているのは、何らかの形で民主主義のコストだとか生活のコストとしてやむを得ないというような判断もあって、こういう特殊法人も出てきたはずだと私は思っております。  そういう意味で、特殊法人の中でも民営化が可能なものあるいはそうじゃないもの、まさに財投機関債発行して十分やっていけるところとそうじゃないものがあるはずですが、そういう分析を本当にされたのかどうか。とにかくやらせてみよう、何かそんなニュアンスを感じてどうにもならないのですね。本当にこんなに無責任でいいのだろうかと私は思っております。  ペイオフ凍結解除の延期こそがしなくてもよかったのに、これこそ本当に延期すべき問題じゃないかなというふうに私は思いますね。内部の検討が十分なされないままになされていくということを大変私は危惧しておりますから、せめて我々が納得できるように、基準についてどんな検討をされているのか、検討メモを文書でいただきたいですね、口頭だけじゃなくて。それを明らかにしていただかない限りとても審議できない、こんなふうに思っておるぐらいです。  大臣、今私が申し上げましたように、私なりに問題意識をずっとこの問題で持っておりました。相当早い時期から資料を集めておったのですけれども、何せそれ以上に、急に佐々波委員会が出てきたり、急にまた日債銀、長銀の話が出てきたりして、そっちの大問題に追われて、この財投の問題について十分研究する時間が私自身なかったのですが、問題意識はもうかなり前から持っておりまして、資料だけは山ほど用意をしておりました。そういう意味で、まず質問の内容を整理させていただきます。  基本的に市場原理で財投機関、出口の部分を整理できるのかどうかというのが一点であります。それから、基本的には整理していこうということでこの話が出てきているわけですから、そうであるとすれば、どういう基準、この三つに分ける基準も含めて、どういう手だての中で本当にその改廃を求めていくのかということについて、改めて伺いたいと思います。
  102. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは本質的に、先ほど中川委員が提起された問題と同じ種類の問題でございます。  この法律案が成立をいたしますと、来年からこれは施行されなければなりませんので、したがって、おのおのの特殊法人において、自分たちがどのように処すべきかということを考えてもらわなければならない。当然、今からぼつぼつとは考えているに違いありませんが。そのときに、基本的には、財投債というものが比較的たやすく得られるのだというふうに印象を与えますと、恐らく、機関債というものの努力はいい加減になってしまうだろう、ごく常識的に考えまして。という問題と、いや、機関債でもいいが、非常に機関債が悪い条件になる、コストリーになる。悪い条件なら機関債発行できるということはございますから、そういうコストリーな機関債発行してもいいのか、それはまた特殊法人の経営にどういう影響を与えるかといったような判断があろうと思います。  それから、国から補助金等々をもらっているという問題もございますから、恐らく、この法律が成立いたしますと、各特殊法人は真剣にそこのところを考えることになると思います。そのときに大事なのは、これは先ほど申し上げましたことですが、財投債というものに逃げ込めるよという印象を与えることは、やはり努力をなしにいたしますから、そういうところは現実に、予算折衝とは違うようなものの、具体的な折衝にならざるを得ないだろうと私は考えておりまして、その中から、一年で無理ではあっても、もうこの特殊法人はしょせんやっていけないとか、あるいは国が取り上げた方がいいとか、そういう決断が生まれてくることになるというふうに思っています。  それで、委員のお尋ねは、今政府はどういうもくろみを持っておるのかということで、これが先ほど申し上げましたように、問題はよくわかっておりますけれども、計数的に申し上げることがなかなか難しい。恐らくこれから、一つ一つ特殊法人と大蔵省との間でその辺の厳しいやりとりが行われることになるであろう。それにしても、苦しければ財投債へいらっしゃいというような方針でやりましたのでは、これは法律の目的そのものを達しないことになりますから、それで、私どもとしてどういう法の運用を心がけることが大事かということを計数的に申し上げられないにしても、何か方針として御答弁できないか検討いたしますということを先ほど中川委員にも申し上げたわけでございます。
  103. 上田清司

    ○上田(清)委員 中川委員に対する答弁あるいは私との関連の中で答弁するというのは、いつ答弁されるということですか。
  104. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、実は事務当局あるいはさらには各特殊法人ですが、一遍当たってみないと何とも申し上げられませんし、また、何だ、こんなものかというようなことになってしまうかもしれませんが、しかし、少なくともそういう問題について当委員会で御指摘のあったことは私は大変意義のあることだと思いますから、私どもとしてでき得るベストを、もちろん本案御審議中に私から申し上げたいと思っています。
  105. 上田清司

    ○上田(清)委員 私も苫東のことを思い出すのですが、日本政策投資銀行に合併するときに審議をさせていただいて、北東公庫のロスの部分を含めて、新しい会社が、意欲は買うのですけれども、過去に非常に不良、例えば所有している土地が全然売れないにもかかわらず、今度新しい会社ではそのペース以上に売ることが計画で出されて、それが平気で法案で通ってしまうようなところがございまして、絶対それは常識的に考えてできない話でありまして、それはもう大蔵大臣も認められた。それでも法案だけは通してくれというようなお話でございました、結果的には通ってしまったのですけれども。そこまでひどくありませんが、私は、やや先行きについての十分な検討をしないままに法案として出てきた感じがしてならないのです。  これは理財局長にお伺いしたいのですけれども、この出口のいろいろな、四十八ですか、正確に数えておりませんが、何となく四十八という数字を思い出して、違っているかもしれませんが、それはお許しをいただきたいと思いますが、このさまざまな機関の部分を、これはまさに過去の単年度の赤や黒、あるいは累積、それから、これからの事業の見通しだとかそういうのは、大蔵省の方で一つの事業体ごとに一回検討されたことはあるのでしょうか。
  106. 中川雅治

    中川政府参考人 今まで財政投融資の対象として資金運用部からの融資をしてまいりました機関につきましては、毎年毎年の財投編成の過程で、それぞれの財投機関が行っております事業の収支見通し、事業計画等につきまして十分審査をして必要な資金を供給している。そういった形でやっておりまして、今御指摘ございました、現在、国の特別会計等を含めた四十八の機関につきまして財政投融資の対象になっているわけでございますけれども、年々の編成の過程で、毎年きちんとそういった点については審査をしているところでございます。
  107. 上田清司

    ○上田(清)委員 極めて頼もしい答弁でありますから、そこで当然、どこが財投機関債発行できて、どこが無理だろうということで、いわば財投債、特会の部分だ、あと中間地帯がここかな、グレーゾーンがここかなというその種別を我々に発表してくださいよ。我々から見たらどうなのかということを確認いたしますから。
  108. 中川雅治

    中川政府参考人 財投機関債につきましては、今回の改革の趣旨が、それぞれの財投機関において、まず資金を自己調達する、市場評価を受けて、さらにディスクロージャーを推進するといったようなことで、経営の効率化へのインセンティブを働かせる、これをまず基本に据えるということでございます。  したがいまして、現在各財投機関において、財投機関債発行の可能性、あるいはどういった形で、つまりコーポレート型にするのか、アセットバック方式にするのかといったような点を含めまして検討が進められているところでございます。  ただ、この財投機関債がどういう条件であるいはどのくらい発行できるかということは、最終的には市場が決めることでございますので、今現実に、現在でも既に帝都高速度交通営団は財投機関債を出しておりますし、平成十二年度の予算におきましても、住宅金融公庫は証券化という形で財投機関債発行する予定でございますし、先ほど大野総括政務次官から御答弁申し上げましたように、政策投資銀行とか国際協力銀行におきましても検討いたしておりますけれども、どういった機関発行できるのかということにつきましては、最終的には市場が決めるということで、今ここでどことどこが財投機関債が出せるということを申し上げることはできないことを御理解いただきたいと思います。
  109. 上田清司

    ○上田(清)委員 その部分はよくわかるんです。しかし、先ほど言われたように、民間の金融市場を圧迫しない、あるいはそちらに悪い影響を与えない、そのことも含めて検討されているわけですから、その答弁だけだとわかりづらい、というよりも一方的な話になります。  ただ、時間が参りました。この問題は、とにかく特殊法人改革はしなければならない、そして効率化をしていかなければならないという、民主主義のコストをどう持つのかということと、まさに経済コストをどうするのかという二つの問題を同時に解決するような話でございますので、時と場合によっては分けなければならないものを、ちょっとごちゃまぜにして、かえっておかしくなるんではないかというような問題意識を持っております。その点について、またたっぷり時間をかけて審議させていただきたいと思います。  きょうはありがとうございました。
  110. 金子一義

    金子委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  111. 金子一義

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田克也君。
  112. 岡田克也

    ○岡田委員 財投改革について、午前中の同僚議員に引き続いて幾つか御質問したいと思います。  いろいろ議論が混乱しているように私には思えますけれども、混乱したときには、やはり基本に立ち返って、この財投改革というものがどういう理念に基づいて行われるのかということをもう一度きちんと確認した上で議論をさせていただきたい、こういうふうに思っております。  大臣の方から、恐縮ですけれども、この財投改革の基本的な理念についてお話をいただきたいというふうに思います。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、中央省庁等改革基本法の二十条の二号に掲げられておりますが、結局、今までのように、運用部が黙っていると金が入ってきまして、それを財投機関に分けているというようなことは、本来、国が税金でない金をかなり多量に、その行政あるいは行政目的、あるいは中には事業的なものも当然ございますけれども、それに使うということが、日本がここまで興隆してきた現在、再検討を要するのではないか、そういう基本から出ておると思います。  すなわち、そういうこと自身が市場原理に、国がそれだけの大きな力を持って市場に臨むということに問題があるし、また、この資金を受けた方は、いわば黙っていれば金が自然に来るということでございますから、事業内容そのものもそういう意味では乱に流れやすい、コスト意識も明確を欠くことになりやすい。いろいろな意味で、資金的に厳しくするならば、そういう資金を受けている特殊法人も合理化に努めざるを得ない。  よろずそういう意味で、長いことこの制度は貢献をしてきたことは確かですが、今行政改革に当たって、市場原理にのっとって新しいものにしたい、こういうことであると思っております。
  114. 岡田克也

    ○岡田委員 今大臣お話しになりました中央省庁等改革基本法の二十条の二号の中には、一つは預託の廃止、そしてもう一つ資金調達面における市場原理にのっとった改革、こういう二つがあると思います。  預託の廃止の方は、きょうの本来の問題ではないので触れませんけれども、少なくとも自主運用というところについては、例えば郵貯の自主運用であれば、それはやはり公社になるということが大前提としてあって初めて自主運用にするということの意味が出てくるのだろう、そういうふうに私は思います。  もし、そういうことなく、単なる自主運用ということになりますと、非常に責任関係があいまいになってしまう可能性がある。自主運用の結果、失敗したものについて郵貯の預金者がその影響を受ける、そういうシステムができ上がって初めて完結する問題なのだろう、そういうふうに思っております。  今大臣がおっしゃった資金調達の面における市場原理ということでありますけれども、このことは、先般この場でお読みになりました提案理由説明の中にも、資金調達について市場原理にのっとったものにするという表現が出てまいります。ただ、私は、非常に不思議に思っておりますのは、今回の法案の中で、そういった市場原理という言葉が出てこない。本来、一番のキーワードであるはずのこの言葉が出てこないというのは、これは何か理由があるのでしょうか。
  115. 大野功統

    大野(功)政務次官 市場原理が精神としてあることは事実でございますけれども、法律用語として入っていないということでございます。  したがいまして、具体的に、例えば、いわゆる財投債というものを市場から調達する、こういうことは財政融資資金特別会計法十一条に新しくつくられている。こういうふうに、市場原理という言葉自体は使われておりませんが、その気持ち、精神は盛られている、こういうふうに思っております。
  116. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、この制度の一番のポイントが財投機関債だと思うのですね。市場原理といっても二つの意味があって、財投債の場合の市場原理と財投機関債の場合の市場原理とはかなり意味が違う。財投機関債の場合は、それぞれの当該財投機関がその市場の中で個別に出していく話でありますから、より市場原理というものが生きてくるといいますか、基準になってくるわけですね。財投債の場合は、もう全体ひっくるめてということでありますから、同じ市場原理といってもかなり意味合いが違う。  その財投機関が出す財投機関債について、市場原理という考え方がどこにも出てこないのはなぜなのでしょうか。
  117. 大野功統

    大野(功)政務次官 財投機関債につきましては、もとよりその根本をなしますのは、市場原理に照らす場合には、どうしてもその財投機関の内容がはっきりしていなきゃいけない。  そういうことで、例えば財政融資資金特別会計のBSあるいはPLというものを、きちっと予算、決算に添付して国会に提出する、こういうふうにディスクロージャーを非常に重んじている。ディスクロージャーがなければ絶対に市場評価しません。評価の基準がないわけですから、評価できないわけであります。  そういう意味では、長期運用法第六条の新設あるいは財政融資資金特別会計法第六条、十条、こういうところを改正して、ディスクロージャー、そしてそれが市場原理ということを重んじているのだということをあらわしているところでございます。
  118. 岡田克也

    ○岡田委員 午前中の議論もそうなのですが、基本的には財投機関債だ、だめなときに財投債だ、こういうことであれば、恐らくこれは、今回の法律というよりは、それぞれの財投機関、つまり特殊法人の根拠法の中に、資金調達は財投機関債をもって主とする、こういう根拠規定が私は要るのではないかと思うのですが、私の知る限り、そういうものはないと思うのですが、いかがでしょう。
  119. 大野功統

    大野(功)政務次官 各財投機関設置法の中に、財投機関債発行できる、こういうふうに書いているようでございます。
  120. 岡田克也

    ○岡田委員 ですから、私が申し上げているのは、財投機関債発行できるのは当然なんですが、その当該財投機関にとって資金調達は、まず第一義的には財投機関債資金調達するんだ、それで足らない場合には財投債を経由して調達してくるんだ、そういうプライオリティーが、今回こういう考え方で、先ほど来大臣政務次官もおっしゃっているように、まず機関債で調達をして、だめなときに財投債だとおっしゃるのであれば、そのことが明確にそれぞれの財投機関の根拠法に、あるいはもっと一般的な形でもいいのかもしれませんが、どこかにきちんと書いていなければいけないのではないか、そういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  121. 大野功統

    大野(功)政務次官 岡田先生のおっしゃっていることは十分わかります。  ただし、今の法律の立て方として、いわゆる財投機関設置法には財投機関債発行できると書いてあるわけでございまして、その運用のやり方として、とにかく自己責任でやってほしい、こういうふうになっておりますので、先生のおっしゃることとちょっとちぐはぐになるかもしれませんが、法律の立て方はそういうふうになっております。
  122. 岡田克也

    ○岡田委員 この問題はまた後でもう一度最後に触れたいと思いますが、個別の問題に行きたいと思います。  きょうの中川委員の話などにも出てまいりましたが、特殊法人財投機関にとって、財投機関債というのは、財投債を通じた資金調達よりもコストがかかるということになりますね、金利が高いですから。ですから、当該特殊法人から見れば、より有利な調達という意味では、財投機関債よりも財投債を通じた資金調達の方が有利である、こういうことに当然なると思います。  それからもう一つは、財投機関債をどんどんふやしていった場合に、最終的に行き着く先は何かといえば、民営化だと思います。もし、財投機関債で全部できるのであれば、別にそれは国の特殊法人である必要はなくて、電発とかそういった民営化された特殊法人のように、民営化されるということに最終的にはなるんだと思います。  ですから、民営化したい特殊法人であればいいのですが、それは困るということであれば、財投機関債を出すことについて二重の意味でのブロックがかかっている。つまり、資金調達面金利は高いし、しかも行き着く先は民営化である。ここをどうやって制度的に突破するかという工夫がなければ、私は、財投機関債というのは絵にかいたもちだ、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  123. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、財投債の方が財投機関債より有利でないか、そのとおりでございます。しかしながら、金利だけの比較ではなくて、財投スキーム全体の中で我々は考えていかなければいけない。  そのことは何を意味するかといいますと、財投機関債をみずから出してもらうことによって、本当に必要な仕事に絞ってもらう、そして効率的な運営をやってもらう。こういうふうに、国庫補助も受けてやっておる財投機関でございますから、全体として非常にスリム化していくという意味で、意味はある。  しかし、それをどうやって押し込んでいくかというところが抜けているんじゃないか。それはまさにけさも大蔵大臣から御発言いただいておりますけれども、そういうところはこれから工夫していこうじゃないか、きちっと考えられることを考えよう、こういうことで今考えているところでございます。  それからもう一点は、朝も申し上げましたが、いろいろな監視体制がある。その監視体制でよくウオッチしていこう、こういうことではないかと思います。  それからもう一つの問題点の、最終的な民営化の問題でございます。  これは特殊法人の整理合理化という流れの中でとりあえず一段落はいたしておりますけれども、これで終わったというものじゃありません。これからも続けていかなきゃいけない問題でございます。  その問題につきましては、両面から考えていかなきゃいけない。そして基本的には、第一に、この財投機関というのは、財投機関債を出したとか出さないとかということだけで見るのではなくて、財投機関債を出しながら、当然国庫補助も受けております、国庫補助を受けて、財投機関債を出して、そして仕事をしている、その仕事が有償資金をもってやる政策手段としていいのか悪いのか、政策評価の問題を含めて考えていくべき問題、こういうふうに考えているわけでございます。  したがいまして、基本的には、そういうふうに政策として必要なものかどうかということが一番の問題であって、財投機関債を出したから、出せるから民営化ということは少しせっかちに過ぎるのではないか、私はこのように思っております。  それからあと一つの問題は、かといって、特殊法人を整理できるものは整理していこう、そして本当に自立できるものであれば自立させよう、この流れは決して忘れてはいけない。したがって、そういう流れを当然念頭に置きながら考えるべき問題でありますけれども財投機関債を出せるから、あるいは出したから民営化というのはちょっと短絡的過ぎるのではないか、このように思っております。
  124. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、出せる出せないというより、もし全額財投機関債ということになったときにはもう民営化ですねということを先ほど申し上げたわけです。ですから、財投機関債をふやしていこう、そういうインセンティブが当該財投機関にはないだろう、だんだん危険に迫っていくわけですから、むしろできるだけそういうものは少なくしようというのが普通、財投機関の経営責任者の考えることじゃないか、そういういうふうに申し上げているわけであります。  そしてもう一つ、先ほどの金利の問題、そういったことがありますから、だからだめだと言っているのじゃなくて、財投機関債を出すことに何か違う別の意味でのインセンティブをつけるか、あるいは逆に、財投債に頼ることにディスインセンティブをつける。例えば、財投債を経由して資金調達した場合には、本来は金利は安いのですが、それに何%か金利を上乗せするとか、何らかのマーケットメカニズムが働くような仕組みをビルトインしておかないとこの制度は動かないと私は思いますが、いかがですか。
  125. 大野功統

    大野(功)政務次官 金利でやるというよりも、何らかのルールづくりをして、そういう方向財投機関機関債を出せる、こういうインセンティブが起こるようなことを工夫していかなきゃいけない。そこは少しゆとりをいただいて考えさせていただきたいと思います。  それから、そのメリットは、これもけさ議論させていただいたところでございますけれども、まず、財投機関自身が市場評価を浴びるわけですから、財投機関債を出すということについてよっぽど事業対象を絞っていく、効率的に運用していく、こういう努力をするということもひとつ市場評価を受けることではないか。  ですから、どっちが鶏で卵かは別といたしまして、その自覚を持ってやっていく、これはそういうふうなインセンティブになるという意味で申し上げているのじゃないですけれども、そのことを大いに財投機関の皆様に御認識をいただきたい。これはちょっと先生のポイントからずれるかもしれませんけれども、そのことをまず認識してもらいたい、このように思っております。
  126. 岡田克也

    ○岡田委員 今政務次官がおっしゃったことはよくわかるのですが、結局、マクロで見た場合とそれぞれの財投機関で見た場合と、大分状況が違うのだろうと思います。例えば、今回財投機関債などというものを認めて、わざわざ金利の高い資金を調達する。それは国から見れば財投債で調達した方が、全体としてのコストが安いわけですから、むしろその方がいいという結論だってあると思うのですね。  しかし、やはり市場財投機関債を出すためには大変な努力が要る。相当透明度も上げなきゃいけない、効率化もしなきゃいけない。マーケットを通じて評価される、そのことを通じて当該財投機関が効率化される、透明度が上がるというメリットが、多少の高い金利を乗り越えるだけのメリットがあるという前提に立って、今の考え方が出てきている、私はそういうふうに思うのですね。  しかし、当該財投機関から見れば、マーケットから評価されるというのはそんなに大したことではなくて、やはり国全体で見たときに、そういうメリットがあるということだと私は思いますので、そこのミスマッチをどうやって解決していくか、そういう視点が要るんだろう。それが、これから考えるというふうに政務次官おっしゃいましたけれども、本来はこの法律の中にきちんとビルトインされていなければならないんじゃないか、こういうことを申し上げているのですが、いかがでしょう。
  127. 大野功統

    大野(功)政務次官 財投機関債発行することについてのインセンティブを法律で書くということは非常に難しいことだと思います。  今の仕組みの中で、一つは、さっき財投機関債の方を申し上げたのですが、それでは先生おっしゃるように財投債を出して、それを財政融資資金運用特別会計から各財投機関に融資していく、こういうことになりますと、一体何をベースに融資をするのかな、こういう問題に突き当たるのではないか、こう思います。  まず、財投機関債を出して、そして出せない、市場評価されない財投機関が出れば、もうそこはゼロベースから、それではこの政策は本当に必要なんでしょうか、こういうことを考えるゆとりが出てくると思うのです。そういうことを考えるチャンスが出てくると思うのです。  したがって、一遍市場評価にさらしてもらって、そして、できなければ、これはやはり本当にその仕事が必要なのかゼロから考え直す、こういう問題意識は我々は持っております。それが一つのインセンティブになるのかどうか、それは私はわかりませんけれども、少しはインセンティブになるのだろう、こういうふうに考えております。
  128. 岡田克也

    ○岡田委員 ちょっと視点を変えますと、今おっしゃったのは、まずは財投機関債発行するという自己努力をした上で、足らざる部分を財投債を通じた資金調達で補う、そこできちんと見るから効率化される、こういうお話だと思うのですが、本当にそうなるんだろうかということですね。  今まで特殊法人の中で、もちろん国会もそうかもしれませんが、ほとんど国の監督が行き届かないような、かなりひどい実態も一部にはある。勝手に子会社をつくったり、株式会社をつくったりして、そこにどんどん利益をためたり、目に余るようなことがかなりありました。そういうことが結局国としてはチェックできなかった。国会で指摘されて、それで少し直った部分もありますけれども、直っていない部分もたくさんある。  今回、恐らく順序としては、例えば、ある財投機関、住宅金融公庫なら住宅金融公庫が、年間これだけの貸し出しをしたいという事業計画を立てて、そしてその上で財投機関債でその部分の何割かを賄う、足りませんから、残りの部分は財投債で補ってください、こういう物事の順番になると思うのですね。  そのときに、いやいやそれはそうじゃなくて、そんなに出せませんよということを恐らく大蔵省が交渉されるんだと思いますが、大前提として、これだけの需要がありますから必要なんですというところがまず決まっているといいますか、それがまずあるときに、それをいやこれだけしか原資がないから出せないとか、そういうことで本当に制限できるんだろうか、私はかなり現実は難しいんじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  129. 大野功統

    大野(功)政務次官 いきなりそういう作業に入るのか、それとも一度市場にさらしていくのか、これが先ほどのポイントでございました。  今度は、そういう作業に入ったときに、どういうことになるんだろうかという話になります。そういう作業に入ったときに、例えば、大蔵省とその財投機関を所掌する官庁との間でいろいろな話し合いが起こる。そのときに、今までなら、お金はたっぷりありますから、仕事の方のチェックは怠っていたということがあるいは言えるのかもしれません。しかし、今度はお金がないから、本当に必要なことをやろうという力が双方に働いてくる、このように私は思います。少なくとも、大蔵省サイドの物の見方はそういうふうな物の見方で見ていく。  だから、現実の問題ですから、どういうふうに展開していくのか、それははっきりとしたことは言えませんけれども方向としては、やはりそういうようなゼロベースからの見直し、本当に必要な政策ですか、国庫補助も入れてやるべき話ですか、財投機関債だけでできないものにプラスアルファしてやることが効率的なんですか、こういうような疑問を交えながら、そこは検討されていくものと私は期待しております。
  130. 岡田克也

    ○岡田委員 私も期待はするのですが、本当にそんなにうまくいくだろうか。少なくとも、法律上何らかのきちんとした、制度的なビルトインがされたものがなければ、それは結局、絵にかいたもちになるのじゃないか、そういう気がしてならないわけであります。  ちょっと視点を変えますが、午前中の議論で、中川委員と鈴木委員で、財投制度というか特殊法人についての考え方がやや違う、そういう見解が示されたと思います。私は、特殊法人といいますか財投機関の存在というものを、基本的に必要だという立場に立っておりますので、もちろん今あるものがすべて必要だということではありませんが、全部マーケットに任せてできるのであれば、それこそ特殊法人というのは要らないわけで全部民営化すればいいわけですが、やはりそうじゃない、政策目的というものがあって存在している財投機関特殊法人というものは当然ある、こういうふうに思います。  ただ、問題は、そういった特定の政策目的を持って一般のマーケットではできないことをやる、そういう役割を持った財投機関を他方でマーケット評価しようとしているところのそこの矛盾というのは、どうしても私は残るのだろうと思うのですね。それは具体的に言えば、財投機関債発行するときに、マーケットもこれを評価する。しかし、それは一般の会社を評価するのとは違う。つまり、予算を一定程度入れて、そして特定の公益目的のために本来マーケットではやらないことをやる、そういった財投機関特殊法人を、マーケットでどうやって格付をするというか、財投機関債に値段をつけるのか。ここは私、かなり本質的な矛盾がある点だと思うのですが、いかがでしょうか。うまくこれは回っていくのでしょうか。
  131. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず初めに、その財投機関財投機関債発行できれば民営化すべきであるということでございますけれども政策でやっておりますから、いずれも国庫から補助を受けております。したがいまして、国からの補助がなくて自分お金だけ、つまり財投機関債だけでやれるようになれば、当然これは民営化、これはもう間違いない。ちょっとこれは置いておきます。  それで、補助金を受けながら財投機関債を出して、そして財投機関債でやれるものはどうするのだ、それは物事の考え方としておかしいのではないか、この問題点でございますけれども、そこは私は、第一にディスクロージャーの問題があると思います。そういう補助金をもらっているようなところが市場評価できるかということに対しては、補助金はここまでもらっています、財投機関債ではこの程度調達いたしております、そしてこういう仕事をやっております。つまり、すべて透明化していく、ディスクロージャーをやっていけば、そのディスクロージャーの結果、データを見た上で市場評価していく。したがって、そこは民営化の論議と少し違って、まさにディスクロージャーでやっていくということにポイントがあるのではないか、このように思っております。
  132. 岡田克也

    ○岡田委員 私も基本的にそういうことだと思うのですが、そこで大事なのは、単なるディスクロージャーではなくて、予算を入れるときのルールなんですね。それが明確でないと、マーケット評価できないと思うのです。どういう基準に基づいて、どれだけの予算を入れるのかということがあらかじめ予想可能でなければ、将来にわたってですよ、毎年毎年じゃなくて、でなければ、私は、マーケットというのはきちんと評価できないだろう、そういうふうに思うのですが、そういうことが今回の改革の中できちんと予定されていますか。
  133. 大野功統

    大野(功)政務次官 岡田先生がおっしゃること、全くそのとおりだと思います。したがって、これから一番大事なこと、つまり、今回改革に至ったのは、けさも鈴木先生から御指摘がありましたけれども、まず財投の肥大化だ、これが一つはございます。それは預託金を断ち切ることによって解決する。  それからもう一つは、将来にわたって国民の負担がどうなるのだ。つまり、先生のおっしゃる、幾ら税金をつぎ込むのだ、この点がはっきりしない。それは、政策コスト分析をきちっとしていかなければいけない。そして、その政策コストに見合うベネフィット、便益をどう評価していくか、これを勉強してやっていかなければいけない。この問題点だと思います。  そこで、政策コストを投入する場合に、例えば、その政策コストに見合って、これだけのお金をかければ、これだけの税金を使えば、もっと別の手段で、有償資金という手段じゃなくて、税金を使うということで同じような目的が達成されるならば、それはやめるべきであるという結論もあり得ると思います。  したがって、その政策コストコスト評価ということをきちっとやって、それが将来、例えば三十年間見ていけばどの程度の国民負担になるのか、このところをきちっと評価して、そしてそれをディスクローズして市場評価に身をゆだねるべきである、このように思います。
  134. 岡田克也

    ○岡田委員 ちょっと私の言っていることとずれがあるのかもしれませんが、例えば予算の出し方として、当該財投機関が例えば金融機関だとして、貸し出しに失敗をして、そしてかなり穴をあけちゃった、その当該金融機関の経営がかなり厳しくなったときに、事後的に予算を出資金なり補助金の形で入れて穴埋めをする。こういうやり方をもしするのであれば、これはやはりマーケットとしては評価できないだろうと思うのですね。あらかじめ何らかのルールがあって、そしてそのルールに基づいて予算が入っていくということでないと、私はマーケット評価というのはできないだろうと思うのです。  それは、すべての特殊法人について、そういうことがきちんと今ルール化されているかといえば、それはないと思うのですね。そこの特殊法人改革が同時になされていないと、私はこの制度は動かないと思うのですが、いかがでしょうか。
  135. 大野功統

    大野(功)政務次官 大変貴重な御意見だと思います。  したがいまして、そういうことを今から、運用に当たりまして、どういう視点で物事を見ていくか、どういう視点から先ほど申し上げました政策評価をやっていくのか、検討課題が多いのです。本当に、政策コストをどう見るか、コストベネフィットをどうやって考えていくか、課題は非常に多いのですが、そういうことをきちっとやってスタートすべきであると思っております。大変貴重な意見だと思います。
  136. 岡田克也

    ○岡田委員 今のお話は、そうすると、政策コスト分析、それで私は十分かどうかは自信がありませんが、政策コスト分析を、これからこの法律が施行されるまでにすべての財投機関についてやるというお約束と受け取ってよろしいですか。
  137. 大野功統

    大野(功)政務次官 政策コスト分析は、岡田先生御存じのとおり、既に昨年の八月に五つの財投機関でやっております。それで、今度も、八月の前にはそういう政策コスト分析を、五つではなくてもうちょっと数多い数でやらせていただきたいとは思っているのですが、全部についてやれというと大変な仕事でございますので、一生懸命努力しますということでございます。
  138. 岡田克也

    ○岡田委員 結局、財投機関債発行する前提の話として私はしているわけで、そういうものがないと、財投機関債を出すといっても、結局マーケット評価ができませんから出せないのだろう、こういう趣旨で申し上げているわけで、今のお答えですと、結局財投機関債コスト分析が終わったもの以外は出せないということになりそうな気がいたします。  それで、もう一つ問題は、政策コスト分析をしたとしても、予算は単年度主義ですね。だから、予算の出す仕組みというのは毎年変わり得るわけで、そこを本当にマーケットが織り込んできちんと評価できるのか、こういう問題も当然あると思います。つまり、今の制度のもとでいった場合にこれだけというのが政策コスト分析であって、制度はもちろん変わり得るわけですから、そういう意味でも、私はなかなか、マーケット財投機関債評価するというのはかなり無理があるように思うのですが、もう一度、何かありましたらおっしゃってください。
  139. 大野功統

    大野(功)政務次官 直接その財投機関債マーケット評価する場合には、予算は単年度主義ですから、先生のおっしゃるような問題があるいは出てくるのかもしれません。  しかし、政策の継続性という問題があります。例えば中小企業対策、中小企業に対してはこういう金利でこういうふうに運営していく、こういう政策の継続を財投機関がやるのだ、こういうように考えていただければ、やはり一つの内閣の方針としてそれは市場が織り込んでくれるのではないかというふうに考えます。
  140. 岡田克也

    ○岡田委員 財投機関債というのは一つの内閣よりは恐らく長い期間のものだと思いますので、なかなか無理があるのではないかと思いますが。  もう一つ、これに関連してお聞きしておきますが、財投機関債発行するとかえって将来民営化がやりにくくなるという議論があるのですね。これは、商工中金が商中債を発行している。ところが、民営化の議論が出てきた途端に商中債の価格が下落した。つまり、民営化されるということはリスクがあるということで下落したと。それは商中債を持っている人にとっては損害が出るわけですね。つまり、いろいろなことを言って恐縮ですが、どんどん財投機関債発行する中で、かえって将来の民営化への道を妨げることになるのではないか。つまり、民営化の議論をするだけで債券の価格が下がってしまうわけですから、なかなかそういう議論がしにくくなる、こういう議論がありますが、これは杞憂だと考えていいのでしょうか。
  141. 大野功統

    大野(功)政務次官 今先生、商工中金の例をお出しになりました。それで、私の方から営団地下鉄の例を出させていただきたいのですが、こちらの方は全然影響がなかった。いろいろな物事の考え方があると思います。民営化の問題というのは、我々引き続き検討していかなければいけない問題でございますけれども一つの側面としてはもちろん財投機関債を通じてという問題でありますが、もう一つは、哲学的な意味での官民分担のあり方、あるいは官業の民業補完、こういう側面でございます。  したがいまして、財投機関債発行することと民営化の問題は、直ちに直接結びつかないのではないか。営団のケースと商工中金のケースと二つあって、これだけ見ても影響する場合と影響しない場合が出てくるわけでございますが、直接結びつくものではないのではないか、このように思う次第でございます。  財投機関債市場における価格というものは、その時々の債券市場の需給状況の問題、それからもう一つは、特殊法人財投機関の将来の経営など、いろいろな要素によって決定されるのではないでしょうか。そういう意味で、例えば民営化方向が出ると債券の価格が直ちに下がるのかな、こんな疑問も出てくるわけでございます。
  142. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、また別の問題に行きたいと思いますが、特殊法人というか財投機関というものは、先ほど言いましたように、特定の政策目的を持って存在している、そういう意味では一般の市場における株式会社とは違うわけですけれども、この財投機関というものは、将来的にはつぶれるということを想定しているのでしょうか。つまり、財投機関の倒産法制というものをお考えなのかお考えでないのか、いずれなのでしょうか。
  143. 大野功統

    大野(功)政務次官 御質問の趣旨を、つぶれることもあるぐらいの気持ちで冷酷な市場原理の中で運営しろというふうにとらしていただきますと、と申しますのは、財投機関というのは政府補助がありますから、しかも国の管轄下にございますので、常識的に言うとつぶれることはない。しかし、それではいかにも民間の一般の会社と比べておかしい、こういう議論は当然出てくるわけでございまして、倒産のルールがこの財投機関にも適用される、こういうことによりまして、財投機関市場評価をきちっと受けるようにすべきではないか、こういう議論があることは私も存じております。  そういう議論があることにつきましては、我々大蔵省サイドからは、法務省に対しまして、特殊法人等の公法人の破産等の問題について検討してください、こういうお願いをしているところでございます。また、財政投融資対象機関を含む公法人の倒産法制につきましては、今後法制審議会の倒産法部会において検討が行われる、このような予定になっております。  しかしながら、非常に難しい問題は、冒頭申し上げましたように、この財投機関というのはどうしても国の管轄、国の監督権限のもとにある、そういうことでございますので、しかも今先生御みずから御指摘なさいましたように、政策を遂行する特殊な目的、任務を持っております。そういう機関でございますから、つまり換言しますと、特別の法律に基づいて設立されております。したがいまして、破産、倒産、解散、こういうことになりますと、特殊法人等の設置根拠法ということが当然問題になってくるということになるわけでありまして、民間企業と同じような手続、ルールでこれを処理していっていいのか、これを倒産させていっていいのか、こういう問題がまた出てくると思うのです。それは政策としてどうするかという問題にも絡んでくると思います。  いろいろな議論が今あるわけでございますが、こういういろいろな議論を伺いながら、幅広い観点から今後法務省において検討してもらいたい、このように思っております。  また、財投機関債につきましては、その検討、発行を通じまして、まずディスクロージャーが強化される、そしてその後経営効率化、業務の見直しがなされまして、特殊法人が効率化していくことによってそういう目に遭わないように、そういうことが余り問題にならないようにやっていかなければいけないな、このように思っております。
  144. 岡田克也

    ○岡田委員 財投機関の場合に一般の民間企業と違う、破産にしろ、あるいは会社更生というのがあるのかどうか知りませんが、そういう手続規定がそのまま今の法律が適用できないことは事実で、そういう意味で特別な規定が要るのだろうと思うのですが、特別な規定が要る要らないの前に、こういう財投機関について倒産ということを考えるのか考えないのか、ここは私は法務省の判断ではないと思うのですね。むしろ大蔵省の判断だ、こう思うのですが、そこはどういうふうにお考えなんですか。  倒産というのはあるという前提に立てば、では具体的にどういう法制が考えられますかということを法務省に投げかけるのであって、まず最初の判断というのは大蔵省がすべきことなのではないですか。
  145. 大野功統

    大野(功)政務次官 先ほども申し上げましたように、非常に難しい問題ございます。と申しますのは、国が国の金を補助して財投機関には投入しているわけでございます。そしてまた、それを監督しているわけでございます。国が所掌しているわけでございます。そしてもう一つ、ぜひとも今の段階で実行しなければいけない政策を遂行している、この二つの問題をどう考えるか。  私は、倒産させてはいけない、しかしながら問題は、政策評価をした場合に、余りにも政策評価として成り立っていないではないか、これは全部仮定の話として聞いていただかないと困るのでありますが、仮定の話として、もしある財投機関がやっていることがどうもベネフィットを生まない、しかも将来の国民の負担になってくる、こういうことであればそれは特別に整理していく必要がある、そのように判断します。
  146. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、そういう解散の議論をしているのではなくて、倒産の議論をしているわけなんですが、ここは本当に非常に難しいところだと思いますが、特定の政策目的を持った財投機関なんだから倒産などということはないんだ、こういう前提に立つと、倒産させないためには、逆に言いますと、国の信用で最後は全部面倒を見るよ、つまり資本注入じゃありませんが予算をどんどん注入して支えますよ、こういうことだと思うのですね。もしそういう前提に立てば、では、結局、財投機関債というけれども、リスクはないのではないかということに戻ってくると思うのです。  最終的には倒産して返ってこなくなるかもしれないというところに一般のマーケットが債券を評価する最大の基準があると思うのです。しかし、最後、国が全部幾ら予算をつぎ込んででもこれは倒さないよということだとすれば、それはやはり基本的には、財投機関債といっても財投債と実質的にはほとんど変わらないということになってしまうんじゃないのでしょうか。いかがでしょうか。
  147. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、私が先ほど申し上げたことでございますけれども、幾ら金をつぎ込んでも政策目的が実行できない、こういうようなことになれば当然これは整理していかなければいけない。倒産とかそんな法制上の問題ではありません。これは、そういうところにお金をつぎ込むこと自体が間違いですから、国としてそういうことはやめる、これは当然のことでございます。  問題は、そこへ行く前の段階で市場が既に判断するんじゃないか、そこで、そこへ行く以前に倒産ルールを仮に適用すればそういうことが明白に出てくるんじゃないか、国民の目の前に明らかになってくるんじゃないか、そこがポイントじゃないかと思います。  それにつきましては、午前中も申し上げたことでございますが、今回の財投事業の見直しあるいは監視の問題ですけれども、午前中申し上げましたので簡単に申し上げますけれども、あらゆるところでその監視体制をつくっている。国会における審議もそうでございます。自民党の案には、まず行政監視委員会国会でつくって業務を監視しろ、こういう議論がありました。それは国会の方で先取りしております。それから参議院もそうでございますし、また政策評価では政策評価委員会という流れもございます。また会計検査院の検査、そしてまた総務庁による行政監察、それからもう一つは外部の監査、例えば公認会計士等の外部の監査、内部じゃなくて外部の監査、こういうようなことも制度として考えていく。  そういうことでウオッチしていくということでその辺は考えていきたい、このように思っております。
  148. 岡田克也

    ○岡田委員 余り質問にはお答えいただいていないように思いますが、私が申し上げたことは、もう一度だけ繰り返しておきますけれども、最終的に国がいかなる負担をしてでも特定の政策目的を持った当該財投機関をつぶさないというのであれば、それはそもそもマーケット評価しろということに矛盾があるんじゃないか、それを最終的に全部国が見るというなら、それは基本的に財投債と同じような性格になってしまうんではないかということを私は申し上げたわけでございます。  それから、これに付随して今解散の話をされました。解散というのは、そういう財務状況になる前に、政策目的が達せられた、あるいは当該財投機関では達せられないということが明らかであるということで財投機関を国が解散するということは当然考えられると思います。  しかし、そのときに、では、当該財投機関財投機関債を持っている人の保護というのは一体どうなるんだろうか。あるいは財投機関同士が合併する、今回も財投機関の合併というのはかなりやりました。そのときにも、それぞれ財投機関債を持っている人がいるときに、株式会社であればその株式の市場評価額か何かで合併比率というのは出てくるんだと思いますが、そういうものがないときに、恐らく単純合併というような形になるんだと思いますが、そのときに、もし財投機関債で値段が違う、財投機関Aと財投機関Bでマーケット評価が違うというときに、高い評価の方の財投機関債を持っていた債券者の利益はどうやって保護されるんだろうか、そんなことも今質問しながら疑問として出てきたのですが、そういったことの議論というのは中でなされているのでしょうか。
  149. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、政策目的を遂行するためにあくまでも税金をつぎ込むんだということであれば市場評価が違うじゃないか、こういう点についてきちっとしておきたいと思うのです。  これはやはり有償資金をもってやる財政政策でございますから、償還の確実性ということはきちっと考えていかなきゃいけない、こういう問題であります。市場原理に基づいた償還の確実性をきちっとしていく。そういう意味で、全く償還の確実性がなくて財政資金をどんどんつぎ込んでいくというようなことになれば、それは何のためにそういう政策を遂行しているか、そういう議論が当然出てきて、それは、先ほど申し上げた、国会等の監視の世界で結論が出る話だと思います。  その次に、いろいろな、合併したりつぶれた場合の財投機関債はどうなるんだ、こういう問題でございますが、これは一般の社債と同じような扱いになる、しかし、余り深入りした議論はしておりません。
  150. 岡田克也

    ○岡田委員 いろいろ申し上げたのですが、どうもすかっとしたお答えはそれぞれについてなかったように思うのですね。ですから、まだ相当検討しなければいけないことが残っているんじゃないか。そういう中で本当にこれは、たしか一年後だったと思いますが、実施に向けて準備が整っていくのだろうか、かなり疑問に思います。  最初の質問に戻るわけですけれども、これで私は十分だとは思いませんが、少なくとも財投債財投機関債考えたときに、財投機関債が優先して発行されるべきであるということ、これは大臣政務次官も御答弁されているわけですし、また午前中の御答弁の中では、大臣みずから甘く適用すれば何もなくなってしまうかもしれない、財投債をできるだけ減らすという状況をだんだんにつくっていかなければいけないんだ、自分も疑問を持っているんだというような御答弁もありました。  やはりここは一番基本のところでありますので、財投機関資金調達というのはマーケットを通じた財投機関債が基本ですよ、それで足らざるときはその他の調達でやりますということが、今回の改正法の中のどこかかあるいはそれぞれの財投機関の根拠法の中に書いていなければおかしいと私は思うのです。いろいろおっしゃったことがどこにも出てこないですから。中央省庁基本法の中にはそういう趣旨が書いてありますが、今回の改正法の中にはそういうことが明文として出てきませんから。  結局、国会が終わればいつの間にかこれは忘れられてしまって、もう財投債が当たり前みたいなことになるかもしれない。あるいは大蔵省はそういうことはしないとおっしゃるかもしれないけれども、そうしないためにも根拠規定をどこかに置いておかないと、いろいろな意味での圧力に負けてしまうだろう、私にはそう思えるわけです。  今言ったような趣旨で法改正をされる御意向はありませんでしょうか。
  151. 大野功統

    大野(功)政務次官 けさの御答弁でも申し上げたのですけれども財投機関債が大きく伸びていくことは理想でございます。しかし、現実を見るとなかなかそうはいかない。そこで一体インセンティブはどうか、こういう議論の流れになっているわけでございます。そういう点を含めて今後検討させていただきたいと思います。
  152. 岡田克也

    ○岡田委員 今後の検討の話じゃなくて、今回この法律を改正するおつもりはありませんかと聞いているわけです。
  153. 大野功統

    大野(功)政務次官 現実問題を考えて、今のところ改正は考えません。
  154. 岡田克也

    ○岡田委員 結局、この財投改革で、スタートは私はよかったのだと思うのですけれどもマーケットを生かすと、もちろんマーケットを生かすといっても、今るる御質問したようにいろいろな問題は残るのですが、しかし、大きな方向としては私はいいというふうに思うのですね。  しかし、その一番基本のところですら、今回の法案の中では、提案理由の中には出てきますけれども、法案の中には明確には出てこない、あるいはそれぞれの財投機関の根拠法の中にも書いていない、単にそういう公債が発行できるということが書いてあるだけだ。そういう中で、本来の趣旨をきちんと法律の中に位置づけるべきじゃないか、私はこういうふうに思っております。大臣、もし何か御感想がありましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  155. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろ御指摘のことはよくわかりますし、私どももそういうふうに運営しなければならないと思っておりますが、恐らく改正法であるためにそういう幾つかの問題に正面からぶつかって書いていないということではないだろうか。これは、法の性質上、やむを得ないのかもしれません。おっしゃいましたようなことは、私ども、拳々服膺して、そういう運営をやっていきたいというふうに考えております。
  156. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、大蔵省という立場から見ても、何らかのそういう根拠規定があった方が、これからいろいろな財投機関なりあるいは各省庁と交渉していく上でも、一つの力の根拠になるのじゃないか、そういうふうに申し上げておきたいと思います。  それでは次に参りますが、地方公共団体への貸し付けの問題でありますけれども、地方公共団体に貸し付ける際の利率とか金額というものは、これはどういうメカニズムで決まるのか、簡単に御説明いただけませんでしょうか。
  157. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず貸付金利でございますが、これは変わりません。一般の財投機関と変わりません。  それから、金額でございます。金額は、これから、来年度ですから総務省と言うべきなんでしょうか、いや、今年中にやりますから自治省です、自治省それから総務省という流れで、協議して決めます地方債計画の中で十分検討の上決めていく、こういう問題でございますので、今、額については申し上げることはできません。
  158. 岡田克也

    ○岡田委員 私はやはりここで、金利はそれぞれの地方公共団体の財務状況に応じて、財務状況の弱いところは高い金利を取る、そして、そうでないところ、安定しているところは、そういうところはもともとマーケットで取れるから必要ないのかもしれませんが、そういうところは安い金利にする、そういう借り入れ先というか地方公共団体の財務状況というものを反映した形での貸し付けにしなければ、結局、地方分権という流れにさお差してしまうことになるんじゃないか。つまり、マーケットで取れないところがみんなここに来るわけですね。そして、かなりいい条件で貸してもらえる。そこに自己努力ということはなくなってしまうんじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  159. 大野功統

    大野(功)政務次官 物事の考え方の問題じゃないかと思うのですけれども、そういたしますと、財政基盤の弱いところへは高い金利で貸すということをおっしゃっているわけですね。  ただ、地方に対する貸し付けなり融資というのは、政策的な意味合いを持っております。政策的な資源配分でございますので、やはり同じ条件で、そして自治省、大蔵省で協議した地方債計画に基づいて決めていくということでいいのではないか、私はこのように思います。
  160. 岡田克也

    ○岡田委員 それは結局地方の自立を妨げる方向に働く可能性が十分ある、私はそういうふうに申し上げておきたいと思いますし、そこで量的に、つまり貸し付け条件は一緒で量を交渉で決めていくということになれば、そういう意味でも地方公共団体が中央に対して物が言えなくなる、そういう制度として運用されていく可能性はかなり高いと思うのですが、いかがでしょうか。
  161. 大野功統

    大野(功)政務次官 地方分権の問題としてとらえますと、今の制度を相当考え直していかなきゃいけない。今の現存の制度で申し上げますと、交付税とか補助金に頼る、こういう制度になっております。そういうところを根本的に検討して考え直していく、このことが大事だと思います。この問題につきましては、その流れの一環の問題だと思います。
  162. 岡田克也

    ○岡田委員 そういう地方分権の一環としてこの制度があるのであれば、そういう中身にすべきだということを私としては申し上げているわけでございます。ここは平行線かもしれません。  最後に、時間もなくなりましたので、大臣に全く違った問題で一言お聞きしたいと思います。この場でも何回か議論になっておりますが、例の株安に端を発した一兆円の公的資金投入という問題がございます。亀井政調会長の御発言です。  それについて、この場でも大臣も御発言をされていますし、記者会見でもおっしゃっているわけですけれども、例えば記者会見では、郵政なり厚生当局の一種の投資の方針ですから、資金余裕があってやる、あるいはやらないというのはそういう観点からの問題であって、国が株価に何か影響を与えようという観点からの問題ではない、こういうふうにおっしゃっているわけですが、実は、青木官房長官は余り明確に言っておらないのですね。亀井政調会長というか、三党の政調会長の提案を重く受けとめるという言い方で、これがだめだとかよくないことだとかいう、そういう趣旨のことはおっしゃっていないわけであります。大臣の御答弁は、少しそこは官房長官と違うように思うのですが、私は、大変大きな問題のある発言だと思っております。  こういう形で、株価の支えのためにこれから自主運用資金が使われていくとすれば、それは、年金なり郵貯を預けている人の利益というのはますます損なわれてしまう可能性が高い。ですから、ここは大蔵大臣として、今回の一兆円の問題についてどう考えているのかということを、もう一度メッセージとして国民に伝わるようにはっきりとおっしゃっていただきたいと思います。
  163. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 資金の運用として、いわゆる自主的にそのための安全あるいは有利、いろいろございますけれども、そういう自主判断に基づいて資金を運用されることは、それは私はなにかに申し上げるつもりはありませんけれども、そういう公的な金というものが何かの株価の水準を維持するとかあるいは左右するとかいう目的に使われることは適当なことではないというふうに私は申しております。その考えは別に変わりません。  官房長官となりますと、これは万般のことを考えて御答弁をなさらなきゃなりませんから、私ほど簡単な物言いは難しいのかもしれないけれども、私はそう思っております。
  164. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、大蔵大臣というよりは、それを内閣の考え方としてしっかり示していただきたい、そのことを御要望申し上げて、質問を終わります。
  165. 金子一義

    金子委員長 次に、末松義規君。     〔委員長退席根本委員長代理着席〕
  166. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規でございます。  私も、先ほどからずっと議論を聞いておりまして、この財投機関債の問題についてまずお尋ねを申したいわけであります。  先ほどから議論を聞いていまして私が思いましたのは、朝方の議論を聞いたときに、これは大蔵大臣としてもかなりやる気だな、いろいろな財投機関をスリム化して、かなり頑張られるんだなという感じがしていたわけなんですけれども、今、政務次官お話をちょっと聞いたときに、岡田委員の方から、破産あるいは倒産、解散、そういったことが基本的にはこのプログラムの中に入っていないなという感じがしたわけであります。多分、この法案の中で一番欠けている点が、そのプログラムと、時間的なスケジューリングが余り明確になっていないところが大きな問題なんだろうという気がするわけです。  もうちょっと具体的に言えば、例えば最初に、市場の判断を仰ぐという話でありますけれども、これは基本的には、先ほど岡田委員も言っておられましたけれども政策的な必要があるということでこの財投機関というのは成り立っている話ですから、それを市場に任せますと、大半のものがかなり厳しい状況になる、これは多分自明の話になるんだろうと思うのです。  それで、市場の判断をやった、その後に、これは効率的じゃないかもしれないから、では政策的な有効性について議論して、そこでいいか悪いかによってこれをどうしましょうかという話、それに財投債というのをくっつけるという話であれば、ほとんど意味がない。その後に、さらにこれは存続させるか、させないかのきちんとした法的な枠組みができて初めてこのプログラムが完結する話なんだろうと思うのです。それを今法務省に問うている段階であるという話であれば、つまり、入り口はあるけれども出口がないねということなんですが。  そのことについて最初に私がお問いかけをしたいのは、市場の判断というのはどういうことなんですか。まだ具体的にわからないのですよ。市場の判断というのは、市場財投機関債発行できないという判断をするのは、いつ判断をして、実際に発行した後で売れないという話なのか、具体的にはどうなんでしょう。それをお尋ねしたいと思います。
  167. 中川雅治

    中川政府参考人 これは、年々の予算編成、財投編成の過程で、まず要求段階で、各機関財投機関債発行できるかどうかについて、これは市場との関係がございますので、最終的には市場が判断することではございますけれども市場関係者からいろいろヒアリングをしたりする中で、まずそこで自分のところが財投機関債発行できるかどうかを判断していただく。  その段階で、発行できない、あるいは非常に不利な条件を強いられるという場合に、先ほど来総括政務次官が御答弁されていますけれども、ゼロベースでこの事業が必要かどうかを政策コスト分析などを活用して判断をして、政策的に真に必要な事業であると判断されれば財投債の融資を認める。こういった手順で予算編成、財投編成が進むものと考えております。  したがいまして、市場評価というのが、実際に、この機関はとにかく財投機関債でやってみろ、それで結果として発行できなかった、資金繰りに窮して破綻をしていく、こういったことではなくて、やはりその前の段階で、きちっと当該財投機関財投機関債をどこまで発行できるのか、どういう形で発行できるのか、それをきちっと判断して、発行できないということになれば、その仕事をもう一度きちっと政策的に必要かどうかを見直す、こういう作業が必要になるというように考えております。
  168. 末松義規

    ○末松委員 市場市場と言われますけれども、それだったら、その市場は大蔵省の、多分中川局長の一室かそこにある市場じゃないですか、ひょっとしたら。実際どこにその市場があるのですかね。  要は、それで幾つかヒアリングをして、これについてはでは出しましょう、機関債を買いましょう、あるいはこれはもう買いたくないというのは、民間の市場関係者を集めてヒアリングするということですね。それが本当の市場なんですか。何か自由な市場じゃなくて、極めて管理された、市場とも言うに値しないものじゃないですか。ちょっとそこについてコメントいただけますか。
  169. 中川雅治

    中川政府参考人 もちろん、実際に、部分的に財投機関債を現実に発行して、それで市場評価をいただく、もちろん、そのためにはディスクロージャーを一層推進しなければならない等々いろいろなことはございますけれども、そういった形で、現実に財投機関債発行してみて市場評価を受ける、それをもとに、また次の年度の財投機関債発行をどういうふうにしていくかということを考えていく、そういった作業というものも当然に必要になると思います。  そういう場合には、現実の市場というものに評価をされていくわけでございますが、現実に十三年度からの新しい制度のもとでの作業を考えますと、八月末の概算要求、そして十二月末の編成時期をどういうふうに考えていくかということになりますと、まだ実際に発行するのは十三年度からでございますので、そういった十三年度の財投計画の手順を考えますと、今各機関が検討しているというのは、実際に発行した場合どうなるのかということをいろいろな市場関係者からのヒアリング等を踏まえてやっているということでございます。     〔根本委員長代理退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
  170. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、まさしく各機関市場関係者とネゴシエーションしながら、とれるかとれないか。財投機関債なんて発行しないわけですよ、そして、受け取られると判断した範囲内で機関債というものを発行した形をとるという位置づけですね、実際には。そうじゃないと、そういったことを一たんぼんとやって、市場が判断するどうこうと大きく銘打っていますけれども、要はその話し合いの中でやっていくだけということにしか私には見えないのですが、大臣、その辺はいかがですか。
  171. 大野功統

    大野(功)政務次官 では、前座を務めさせていただきます。  市場というのは、まず、現実的に考えますと、格付があると思います。格付が余り低いとジャンクボンドになってしまって、もう発行などできません。だから、まず格付がどうなるかという問題が一つあると思います。  引き受けの場合には、やはり引受団、シ団というものができますので、そういうところの意見を十分聞くということを先ほどから局長は御説明しているものだと思います。  それから、そういうルートじゃなくて、金利を高くすれば当然売れるんだと思いますけれども金利を高くして出すだけの価値があるか、これは判断の問題だと思います。  前座を終わります。
  172. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ということだと思いますのですが、もともと、これはとても商売にならない、しかし国としてしなければいけないということは、国が納税者の金を使わせていただいて、あるいは公債発行していたしますし、他方で、いやこれはやりようによってはプロフィタブルズであるということであれば、それは市場経済に乗るわけでございますから、その間ぐらいのところに特殊法人なんかがしておる仕事があるのだと思います。  それだけが理由じゃございませんけれども、運営いかんによっては、適正な利潤と申しますか、損失をしないで事業の目的を達することができるというエリアがございますので、そこで、そのエリアがこういう特殊法人であるとしまして、だからといって、金はもう財投の方から下がってくるなんというのでは合理化しようというインセンティブは働かないわけでございますから、そこのところはやはり自前で調達してみなさい、こういうのが今回の趣旨であると思います。  それで、自前で調達するということがつまり市場の信認云々ということでございますから、どのくらいなコストで調達できるかということになるわけでして、片っ方では、そんなジャンクボンドみたいなものは到底もともと売れないというエリアがありましょうし、いやそれほどでもないが、この金利では全体がコスト割れになってしまうということの場合もありましょう。その辺の、トータルに国でなきゃいかぬというもの、いや全体として市場でやられておる、その間にあるエリアですから、市場の信認の得られる範囲で借金ができるかできないかということは、もともと両方の兼ね合いの問題だと思うのです。  ですから、全くそういうことはできないということもないし、いや絶対できるということでもない、そういうエリアにおける問題として、市場の信認を、みずからのコスト節減の努力のメルクマールとして持つということは意味がある、こういうふうに申し上げるべきではないでしょうか。
  173. 末松義規

    ○末松委員 何かわかったようなわからないようなお話なんですけれども大野政務次官が、まず格付があると言われましたね。格付というものは、大体その市場である程度名前を上げて、情報公開ができて、それから少しずつ格付がされていくと思うので、最初から格付なんかあるわけないのですね。だから、やっていく間に次第にできていく話だろうと私は思うのですけれども。だから、ちょっとこの話を聞いていて無理があるんですね。  私は、実際、正直に思うのは、市場という理由、これはある意味でのフィクションであって、どうせ多分、私の想像ですよ、ひょっとしていいかげんな想像だったら本当に後でびしばし言っていただきたいんですが、多分引導を渡すための、あなたのところはだめじゃない、合理化しなさいよ、あるいはあなたつぶれなさいと言うための、一つの何か引導を渡すための理由を市場というものに置いて、だめだったじゃないか、あるいは、あらかじめプログラムされていて、ここはいい、ここはだめという話にしておいて、そこでセットで持っていって、だめなところはもうだめだよねと言いやすくするという感じに私は受け取ったわけなんです。  ただ、だめだよねと言ったところが、結局、先ほど中川局長も言われましたが、もし市場で必要ならばいいけれども、必要でないならば財投機関債発行できない、そうすると次の段階に移るという話の場合、結局そこでそれを解散させるとか、政策上、必要ないんだという判断が下されれば、当然そこは解散させなきゃいけない話なんですよね。そこのところの法的な面がそろっていないから、極めてこれはいいかげんな話に映らざるを得ないんです。     〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕  例えば、私、実は、平成九年の十一月の自民党行革推進本部のこの案を見て、いや、これはすごいなと思ったのが、財投機関債発行法人等の破産・整理法を制定する、そこまで書いてあるわけですよ。それであれば、一循環きちんとして、政務次官の言われるスリムという意味が、破産とか解散、これも含めてのスリム、公社公団、そこまでスリムにするんだよというところまで読めていたわけなんですが、今回のこのプログラムを見ますと、それが抜けている。ないというのは、どこでどうなったのかなという気がするのです。  実際、私自身、まず市場にちょっと置いて、もっともらしい理由をつけるということであれば、公社公団改革のいい契機になると思うのですが、そこが最後に抜けてしまった理由あるいは経緯等がわかりましたら、政府参考人の方でも結構ですが、おっしゃってください。
  174. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、市場の判断のところから始めさせていただきます。  これは、投資家保護というのは今の世の中で物すごく大事なことですから、発行する際には必ず格付というのがやられるわけでございます。その格付を出すというところまでは投資家保護の観点から必ずございますので、そこは御理解いただきたいと思います。  それから、もう一つの点につきましては、局長から答えさせていただきます。
  175. 中川雅治

    中川政府参考人 財投機関であります特殊法人の倒産、破産の問題につきまして、これは自民党行革推進本部の改革案、そして資金運用審議会懇談会の取りまとめにも、この問題を検討するようにという指摘があるわけでございます。倒産のルールが示されることにより、財投機関市場評価をきちんと得られることになる、こういった指摘もございまして、大蔵省といたしましては、この問題について検討をいたしたところでございます。  ただ、この問題につきましては、財投機関、つまり財投の対象になっている特殊法人という問題だけでなくて、特殊法人、ひいては公法人全体の破産の問題に関連してくるわけでございまして、法務省にこの問題についての検討もお願いをしたところでございます。現に、法務省と協議をしながらこの問題を研究しているところでございます。  先ほど総括政務次官が御答弁申し上げましたように、この財投対象機関を含む公法人の倒産法制につきましては、法制審議会の倒産法部会において検討をしていただけるというように聞いております。  ただ、この問題を検討していく過程で、特殊法人というのはやはり政策を遂行する上で必要な機関でございまして、特別の法律に基づき設立をされているわけでございます。その解散につきましては、特殊法人等の設置根拠法において、別に法律で定める、こういった規定を置いている例が多いわけでございまして、したがって、解散ということになれば、これは別の法律で、きちっと政策判断としてこの解散というものを定めるということになるわけでございますけれども、倒産とかあるいは破産といったような民間企業と同じような手続、ルールで特殊法人を廃止していくということが、政策を遂行する特殊法人であることとの関係でどうなのかという非常に難しい問題に突き当たったわけでございます。  したがいまして、この特殊法人の性格、それと市場評価をきちっと得るために、やはり倒産というものまで踏み込んできちっと法制化すべきだという両方の要請があるわけでございますので、この二つの要請をどう調和させていくのかといったような問題がございますので、この点、私どもも議論はしておりますけれども、専門的に法務省において検討をお願いしているという状況でございます。
  176. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、解散の法制とかがきちんと整うまではそういう公社公団、財投機関なんかはほとんど、廃止されるといった見通しもなければ何もできないという話になりますか。  先ほど政策の有効性をおっしゃっておられますが、政策がもう歴史的に役割を終えて、この政策はいい、ほかの政策がより重要なんだ、これが政治の判断になるわけですよ。その判断を、貴重な国民のお金を使ってやるわけですから、そこを待ったなしでいつも政治家そのものが立たされているわけですよ。それは当然、役所も立たされているわけなんですけれども。そこを、その法律の制定ができるまで一切さわれませんよという話なのか。私はそれはおかしいと思います。  さらに、政策の有効性を言うのであれば、これはだれが判断するのですか。先ほどから聞いていたら、大蔵省が他の省庁と判断して、パフォーマンスの悪いところは、これはやめさせないんですよね、やめさせないんだけれども、効率化を求める。大野政務次官が最終的には国会だ、それが多分正しい答えなんですけれども、ただ、いかにも何か大蔵省とほかの省庁が話をして、その前に格付というものがあって、格付がありました、今度、政策の有効性について大蔵省とほかの省庁が相談をしました、その後、与党でもみます、あと国会でという話になるかもしれませんけれども、この辺、だれがそういった政策の有効性を判断するのか、しないのか、そこのところをちょっとはっきりしてくれますか。
  177. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず一番目の、破産という法制ができるまでは財投機関というのは存続するのではないか、こういう問題でございます。  これは、まさに財投についての反省点の一つで、何かといいますと、将来にわたる国民の負担がこれだけで、それの見返りの便益がこれだけだ、コストベネフィット・アナリシスが全く今までできていなかった。これは同時に、財投の肥大化という問題と、二つ、大反省点があると私は思っております。そちらの方の反省でございますから、今から鋭意頑張っていかなければいけませんけれども政策コストの分析も、まだ五つの財投機関しかできていませんし、そのベネフィット、便益の評価になりますと、どういう物差しを当てていったらいいのか、こういう問題は当然出てまいります。したがって、そこは今から鋭意コストベネフィット・アナリシスもやっていかなければいけない、こういう状態であります。  そこで、結論まで申しますと、もしそういう評価をして、コストベネフィット・アナリシスをして、それに耐えられないものであれば当然解散をさせる、こういう話が出てくると思います。解散はさせることができます。(末松委員「それは法制上整っていないでしょう」と呼ぶ)解散させることが法制上できます。それが一点。  それから二点目は、要するに、そういうことに至るまでにどういう監視体制があるんだ、一体大蔵省はどういう役割を果たしているんだ、こういう御質問でございますが、まず、一番最初に責任を持つべきは当然財投機関でございます。そこで十分に検討して効率性を求めていく。それから、そこの所管官庁というのがございます。所管官庁において検討をする。それから、これは予算関連でございますから、いろいろな各党での御議論があろうかと思います。それから、その次に、予算でございますから、将来の財務省、大蔵省による審査がございます。そして、与党による審議が出てまいりまして、国会にその政府案を提出する。国会において最終的に審議してもらう。その全体のプロセスについては、あるいは結果については、先ほど来申し上げていますように、国会で再度チェックする、あるいは政策評価委員会等でやる、会計検査院、総務省でやる、あるいは部外の公認会計士でやる、こういうようなシステムでございます。
  178. 末松義規

    ○末松委員 今、私も次に行こうと思ったのですが、政務次官がそこまで言われたので、もうちょっと続けます。  コストベネフィット・アナリシスなんですけれども、私も、それを五つ読ませていただきましたよ。コスト分析評価検討会ですか、その資料もいただきました。これが出て初めて格付が行われるのですね、基本的には。違いますか。何かほかに市場で判断をするようなところというのはあるのですかね。
  179. 大野功統

    大野(功)政務次官 私も、そういう専門家でございませんので、詳細にわたって明確なことは申し上げられませんけれども、例えば財政資金を幾ら使っている、それからこれまでに財投からどれだけのお金を借りている、そして今回はこのぐらいの事業をやっている、そしていわゆるPLなりバランスシートなりをきちっとディスクローズしていけば、それはそれなりの評価ができるというふうに考えます。
  180. 末松義規

    ○末松委員 別に、その手続で政務次官をいろいろと批判をしているのじゃないのですが、この五つのものを見ても、何か急に、最後に財政投融資による政策コスト軽減額とか言って、何千億とどんと出ているわけですよ。まるで神様の御託宣のように出ているわけなんですけれども、何かそういったようなものを考えれば考えるほど、やや無理があるのかというのもあるし、あとはやはり政治が最後はここは必要ないと思ったらどれだけやるか。午前中に、宮澤大蔵大臣の話で、どれだけ厳しい方針を持っているかどうか、あるいは持っていなければなし崩しになることなのかというのは、まさしくそれが政府の方針ですよね。つまり、それは政治家の判断ですよ、腹ですよ。そこがどうなのかというところの腹ができていないのじゃないかというのを私は申し上げたいのです。解散とかそういうところまで含んだ形で厳しくやるんだよというところまであって、初めてこのプログラムが全部生きていくという話だろうと思うのですよ。そのいろいろな過程はいいですよ。  ただ、そこのところがなくて、今法務省と議論していますという話をやられたのでは、これは本気じゃない。要するに、悪いところはもう政策も必要ないのだから、あるいは政策の有効性が崩れてきているのだからつぶすよというところまでいってもらわないと、いろいろの既得権益でやってきた特殊法人財投機関もなかなか合理化できないのじゃないか。私も別につぶすのが目的じゃないのです。ある意味ではつぶすというおそれのもとに、危機感のもとにきちんとやっていくことが国民の財産をきちんと有効に活用していくという話でしょうから、そこをまず御指摘をさせていただきたいと思います。  一応時間が来ましたので、また次の時間でこれをさせていただきます。どうもありがとうございました。
  181. 金子一義

    金子委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時三十五分休憩      ————◇—————     午後四時一分開議
  182. 金子一義

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。末松義規君。
  183. 末松義規

    ○末松委員 引き続き質問させていただきます。  先ほど、財投機関のスリム化といった問題についていろいろと質問させていただいたのですけれども、ちょっと質問をさせていただきたいのは、この前の本会議大臣の答弁で、こういう厳しい経営に経営を追い込んでいくんだ、そして市場ということをかりて、それが財投機関債の大きな意味だという話がありましたけれども、実際に財投機関の経営をスリム化するという中で、大蔵大臣として何か目標をお持ちですか。政務次官もそうですが、何回もスリム化、スリム化と言われておりますけれども、政治的なターゲットとか、そういったものはお持ちでしょうか。
  184. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私はそういう答弁を申し上げたかもしれません。  その意味は、今の状況でございますと、そう申しては悪いかもしれませんけれども、実際、スリムにしようというインセンティブはないわけでございますね。お金自分でつくるわけでなし、場合によっては補助金ももらえるし、もともと利益を上げると期待されている団体ではございませんし。ですから、その気になればかなり気楽にと言ってはまたいけませんが、そういうことだと思いますので、そういう状況をできるだけやはり条件の中から変えていきたい、こういう趣旨でございます。今では、そういう条件がどうも、全くないと言えばおしかりがあるかもしれませんが、極めて少ないように思いますから。
  185. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、この政策をやる上で、責任という問題は多分生じませんね。政治的なターゲットをやって、そこできちんとどれだけ規模を縮小したり、あるいは効率化に資するか、そういった目標的なものがほとんどない。ちょっとインセンティブをそこで上げて、そこでよくなればいいじゃないか、よくならなければまたもうちょっといじくるかというようなところであっては、非常に制度そのものが、改革なさる割には政治責任も別にとられる必要もないというような、私なんかから見れば、やや政治的な甘さが感じられるのですけれども、その辺について、もうちょっと大臣としてきちんとした大号令をかけるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  186. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 財投資金というものも限られておりますし、自分財投機関債もどうもならぬようでは、これはどうかしなければならない、こういうふうに特殊法人の人々が思われるような環境をつくることが大事だ、こう申し上げておるわけです。
  187. 末松義規

    ○末松委員 ここを幾ら話しても、余り私の思うようなことは言っていただけないのかもしれません。  では、ちょっと別の観点からお聞きしますけれども、今回、今の純粋の民間の市場と、従来からの財投、資金運用部の資金が実際に融合合体する、こういうイメージでありますか。そこら辺、市場の問題がよくわからないのですけれども、どなたか、政府参考人の方でも結構ですが、実際の今の純粋の民間の市場というものと、今まで資金運用資金がずっとやってきた市場、これは何か別枠のものなのか、それともこれがもう合体したものなのか、どういう市場のイメージなのか、わかる方がおられたらお願いします。
  188. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、入り口と出口に分けて考えたいと思います。  入り口の方でございますが、今までの財投のやり方でありますと市場原理は全くない。すべて預金として集めてきたもの、年金として積み立てられたもの、これが資金運用部に預託されますので、そこには何の市場原理も働いていない。まず金があります、これだけの話でございます。それから、今回は、お金を調達するのに市場からとってこようということが原則でありますから、そのとり方については、財投機関債でとるか、それとも、財政資金運用特別勘定で財投債発行して特別勘定から財投機関へ貸し付けるか、この違いでございますから、そこには市場原理でお金を調達してくる。こういう市場原理を入れたということは、物すごく大きな改革だと思います。  今度は次の問題として出口のところですが、出口のところで、お金がいっぱいあるなら適当に使っておこうということで肥大化が起こるわけでございます。ここにも市場原理は働かない。ところが、お金をとるときに厳しい市場原理にさらされますと、使うときもやはり効率的に考えていかなければいけない、こういう市場の競争原理が働いてくる。  それで、出口のところで一つ考慮しなければいけないのは、さはさりとて、市場原理だけではなくて、財投機関のところには必ず政策目的があります。その政策目的市場原理が評価するのかしないのか、こういう議論は出てくると思います。  したがいまして、入り口のところは全く市場原理が働いていないものから市場原理そのものにしていく、それから出口のところは、市場原理によってまず仕事自体の規模をスリム化する、次にその仕事を効率的にこなしていく、こういう問題が市場原理で働いてくる、そういうインセンティブが働いてきますし、もう一つは、政策というものを市場がどういう判断をするか、こういう議論は出てきます。  その政策というものについての市場の判断というのは私は両論あると思いますけれども、私自身の個人的な考えを述べよと言われましたら、政策市場は余り判断しないのではないか、このように思います。
  189. 末松義規

    ○末松委員 私の質問に率直に答えていただいていないのですけれども、要するに、民間の市場に、今は全く別の財投という資金プールがある、それを今度は合体させる、そういうふうなことなんですか。それとも、全くそういうことではなくて、市場市場と純粋の民間の市場のように言っていらっしゃるけれども、どうも、別に新しい仕組みができてもまだこちらの市場があって、それで政府保証か何かつくられたらそこへ行く、政府保証を置けば全然こっちは問題ないと。何かいかにも市場市場と言われるけれども市場のレベルが実は違うんじゃないですかね。そこら辺、お答えいただけますか。
  190. 中川雅治

    中川政府参考人 現在、国債を発行している市場があるわけでございますが、これは当然、毎回競争入札によりまして、まさに市場実勢を反映して発行条件が決定され、その結果としての流通利回りも決まってくるということでございます。  そういった、一つ非常に大きな国債市場があるわけでございまして、そこに今回財投債発行するということになりますと、その国債市場において発行するということになりますので、そういう意味では、先ほど大野総括政務次官が答弁されましたように、今まで市場を通さないで流れていたお金市場を通るということになるわけで、そこは市場自体の規模がその分当然膨らんでくる。  と申しますのは、一方で、郵貯それから年金のお金も、今まで市場を通さずに預託されてきたわけですけれども、それもまた市場で運用するということで、今までの、市場を通さなかった部分が両方、つまり運用側、調達側、両方が市場というものを介するわけでございますので、全体の規模は膨らんだ形で市場が形成されてくる。  また、もちろん、民間のいろいろな需給関係等々、市場の規模なりいろいろな要素でそういったものは決まってくると思いますけれども、今回の改革によりまして、今まで市場を通さなかった資金が、今までの市場の上に乗っかって市場原理で運営されてくるというふうに考えております。
  191. 末松義規

    ○末松委員 そうしますと、財投機関が非常に効率的にお金を使って、例えば、さっき言われたように、スリム化という話になった場合には、今まで財投機関が使ってきたお金がもしスリム化されると、そのされた分だけ、スリムになった分だけ余裕ができますね。これは何か自主運用という、逆に、郵貯とかあるいは厚生省が所管する年金資金ですか、これが別のところにいろいろなところで資金を運用していくというふうに自然の流れとしてはなっていきますか。
  192. 中川雅治

    中川政府参考人 例えば、一つ国債市場をとりましてもいろいろな年限の国債が出ておりますし、流通市場におきましては残存期間のさまざまな国債が流通しているわけでございまして、したがいまして、財投規模をスリム化していく、こういった中で、例えば財投債発行あるいは財投機関債発行額が今までの財投額よりも縮まっていく場合には、これは各郵貯や年金の自主運用の対象というものがどういうふうになっていくのか。これは、それぞれの運用主体の投資判断ということになると思いますけれども、同じ国債でも、例えば財投債の場合には、これは比較的長期の年限のものが中心になっていくのだろうと思います。  それに対しまして、今後の債券市場の状況を考えますと、長期の財投債というものはなかなか消化が難しい、そう簡単に幾らでも出せるような状況ではございませんし、また、郵貯のALM管理を考えた場合に、長期の運用がどの程度できるのか、いろいろ問題があろうかと思いますので、そこは、国債市場一つとりましても非常にいろいろな年限のものが流通しておりますので、スリム化していった場合に、それぞれの自主運用する側が、どういった年限のものをまた対象に運用していくかということによって変わってくるのではないかというように考えております。
  193. 末松義規

    ○末松委員 先ほどからいろいろな議員が質問しておりますけれども財投機関債財投債、これのシェアの話ですけれども、先ほどから御説明を聞いていると、シェアはやってみないとわからないという話でしたが、大臣の方から、これは今国会中にできるだけそういったシェアについてのある程度の見通しみたいなものを、先ほど何か、出していただけそうな発言、私の聞き間違いかもしれませんけれども、そのシェアについても一応目標かあるいは見通しを出していただけそうな御発言があったかと思うのですが、それについて御発言いただけますか。
  194. 金子一義

    金子委員長 聞き間違いじゃないです。委員長がちゃんと聞いていますから。方向を出していただくということで、先ほど大臣に答弁いただいています。シェアだけでとどまりません。
  195. 末松義規

    ○末松委員 では、もう一度いいですか。
  196. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 計数的にはなかなか事の性質上難しいと思います、しかし、この法律の行政をする上でどういうことを心がけるべきかというようなことにつきまして、お答えできるものがあればお答え申し上げたい、こういうお約束をいたしたわけでございます。
  197. 末松義規

    ○末松委員 では、シェアも含めて御検討いただけるということを確認したということで、次の質問をさせていただきます。  財投の資金の流れで、仕組みそのもののディスクロージャーというものが重要なことになるかと思いますが、この点についてどういった試みがなされて、あるいは努力がなされているか、それについてお答えいただきたいと思います。
  198. 大野功統

    大野(功)政務次官 財投のディスクロージャーでございますけれども、従来から、例えば「予算及び財政投融資計画の説明」という冊子がございます。これを国会へ提出いたします。それから、これも冊子になっておりますけれども、財政投融資リポート、これを公表いたしております。また、資金運用資金の運用実績の審議会への報告公表がございます。また、ホームページがございまして、大蔵省のホームページに財政投融資リポートを掲げております。また、各財投機関のBSあるいは損益計算書、これが接続できるようになっております。  このように、これまでも積極的に取り組んできておりますけれども、今後は財政投融資計画を法律上位置づける、つまり、これまでは法律上きちっとした位置づけがありませんでした、これを法律上きちっと位置づけて国会に提出いたします。それから、財政融資資金特別会計の貸借対照表、損益計算書について、予算、決算に添付して国会に提出することを法律上やはり規定いたします。それからもう一つは、現在の現金主義、これを企業会計原則にのっとりまして発生主義に転換いたします。  このように、「予算及び財政投融資計画の説明」等、財政投融資云々、こういうものを拡充することによりまして、ディスクロージャーの点につきましては今後一層努力して拡充してまいります。
  199. 末松義規

    ○末松委員 厚生政務次官の方が来られているかと思いますが、自主運用の件についてお伺いをしたいわけでありますが、いろいろと自主運用の実施ということで、厚生大臣を中心に社会保障審議会とか、あるいは民間の運用機関によって市場運用するんだということをいろいろと言われておられます。御存じのように、上田議員からもお話がございましたけれども、年福の関係で、赤字になったりそういったことでいろいろと問題があるのですけれども、そういった自主運用についてどういうふうな総括をなされておられるか、それについてお伺いします。
  200. 大野由利子

    大野(由)政務次官 年金福祉事業団の資金運用事業につきましては、他の年金資金を運用する機関投資家と比較いたしまして遜色のない運用収益を上げてまいりました。また、年金福祉事業団は、資金運用事業の実施に当たりまして、この間、運用基本方針の明確化や効率的な運用体制の構築、また手数料の削減などにも努めてきたところでございます。  平成十年度末で、時価ベースで約一兆二千億円、簿価ベースで約一兆八千億円の累積赤字を生じましたことを重く受けとめておりますが、平成十一年度に入りましてからは、国内株式などの収益が貢献をいたしまして、簿価、時価ともに改善の方向に向かう見通しであり、今後とも収益のさらなる改善に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  201. 末松義規

    ○末松委員 午前中、さまざまな方がその自主運用の安全性についていろいろと議論されておられるので、私からそれほど言うことはないのかもしれませんけれども、私なんか、素人目に見て、民間の運用機関による市場運用ということで年金資金もやられることになるんだろうと思うのですけれども、債券、株式、外貨建て資産とか、いろいろと野心的な形でやられる。これも限度があるんだろうと思うのですけれども、例えば、今そのお金アメリカの株とかそういう形になれば、あちらで株の最高値を買わされて、それが一昨日とかああいう形でどんどん急落をしていった場合に、年金資金なんか、取り返しがつかないことになりますので、その点の運用については、赤字にならないようなかたいかたい運用の仕方をぜひお願いしたいと思います。  その意味で、いろいろな指針なんかも立てられるという話がありますけれども、何か特にコメントがあれば言ってください。
  202. 大野由利子

    大野(由)政務次官 委員御指摘のように、米国株式の資産などについては、単独ですと大変リスクが大きいわけでございますが、分散投資をすることによってリスクを回避して、債券を単独で運用するよりもより高い収益を上げることができる、こういうふうなわけで、リスクの回避のためにいろいろの運用の方針を定めております。  運用の基本方針でございますが、年金積立金の自主運用につきまして、厚生大臣が長期的に維持すべき資産構成割合等運用の基本方針を定める、このようにしております。この運用の基本方針を定める際には、保険料拠出者の代表や経済、金融等の専門家から構成される審議会の意見を聞き、資産運用に関して一般に認められている専門的な知見や内外の経済動向などを考慮することが法律上求められており、厚生大臣は、この運用対象資産のリスクについても十分配慮を行って、そして運用方針を定める、基本ポートフォリオ、このようにも言っております。  いずれにいたしましても、年金資金の運用は安全確実を基本といたしまして、国債などの債券を中心的にして、国内株式、外国株式など、そうした配分には限定的に行う、こういうふうにしているところでございます。
  203. 末松義規

    ○末松委員 さまざまな審議会とかの中で、私自身、別に言葉じりをとる気は全くないのですが、保険料拠出者の代表というのがどなたかというのは、私なんかはよくわからないわけなんですけれども、今事務方の方が来られていないから、そこは別に私も質問する気はありませんけれども、いろいろな審議会でもっともらしい方針が立てられてやるのですけれども、結局、年金福祉事業団も累積赤字がたまっているわけですよ。これの責任をだれがとりますかといったら、とる人はいないということになるわけですよね。  結局は年金資金でいずれ穴埋めせざるを得ないというような状況に決してならないようにしてほしいし、自主運用する責任者、もしこれが赤字になったら、赤字にしないというのが答えなんでしょうけれども、赤字になった場合の責任をどうとるのか。この辺については何かでお決めになっておられますか。
  204. 大野由利子

    大野(由)政務次官 御懸念のような心配が生じないようにということで、きちっとした基本方針の中で厚生大臣政策的資産構成割合を定めてまいります。  年金積立金の運用に関する研究会の報告によりますと、国債などの債券に七割から八割、国内株式で一割程度、国外株式では一割程度、こうした報告を念頭に置いて定めてまいりたい、このように思っております。  また、運用関係者の責任のあり方について御質問でございましたが、厚生省の運用関係職員や年金資金運用基金の役職員に対しまして注意義務や忠実義務などの受託者責任を法律上課しまして、それらに違反した場合には懲戒処分などを行うことによって責任体制の明確化を図ることとしております。  さらに、法律で規定された責任の具体的な内容につきましては、ガイドラインの策定などにより、運用のプロセスに即した形で明確化を図ってまいりたいと考えております。
  205. 末松義規

    ○末松委員 国内株式一割、海外の株式一割とかいう話ですが、二割なんて大変大きな割合ですから、どうかその運用を、ゆめゆめ赤字にならないようにお願いしたいと思います。  今郵政政務次官の方が来られておりますので、まさしく午前中からずっと私も御答弁を聞いておりますけれども、郵貯の自主運用についても、いろいろなガイドライン等はお話をいただきましたけれども、再度同じ質問をさせていただきたいと思いますが、もしこれで赤字が起こるというような場合にどなたが責任をとられるのか、その辺についてぜひ答弁してください。
  206. 前田正

    ○前田政務次官 お答えいたしたいと思います。  現在、郵貯の金融自由化対策資金及び簡保資金につきましては、郵政大臣が運用するとされております。全額自主運用後の郵貯と簡保資金の運用についても、同様に、総務大臣が運用する旨郵便貯金法等の一部を改正する法律案に規定しており、総務大臣が自主運用後の運用責任を負うことといたしております。  しかし、総務大臣といたしましては、適切な資金運用を行い、毎年度、預金者、加入者への元利金、保険金等の支払いが適切に行われるように、やはり安定的な収益を確保するという責任を負うことになると考えております。  法律上の措置ということでございますが、郵便貯金法等の一部を改正する法律案におきましては、次のような措置を講ずることとしております。  第一に、運用対象についての安全確実な債券を中心として法定することとしております。  第二に、郵便貯金資金においても、簡保と同様に、社債等リスクある債券についてもそれぞれ必要最低限の運用制限を設けることとしております。  第三に、運用計画については、郵政審議会において運用の専門家のチェックを受けるなど、適切な運用手続をいたしております。  運用上の措置でございますが、特定の銘柄に偏った運用とはならないように、分散投資を行うこととともに、短期間の利ざや稼ぎを目的として頻繁に売り買いを繰り返すことによるリスクを避けるために、長期的、安定的な運用方法をとることなどによりまして、さらにリスクの低減を図ってまいりたいと思っております。  それからまた、保有資産の価格変動のリスクに対応するために、損益計算書とか貸借対照表、準備金を整備することといたしております。  その運用担当者の責任ということにつきましては、個々の運用担当者につきましては、その責任を明確化する観点から、今般の郵便貯金法等の一部を改正する法律案におきまして、運用職員の責任を規定いたしております。  具体的には、運用職員につきましては、「運用計画に従つて、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。」という責務を定めるとともに、秘密保持義務等を課し、これに違反した職員に対しては懲戒処分をしなければならないということを規定しておるところでございます。
  207. 末松義規

    ○末松委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。
  208. 金子一義

    金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
  209. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  提案されております財政投融資制度改革案、これは内容からいいますと、五十年に一回あるかないかという大変重大な、重要な改革でございます。これは預金保険法と比べてもまさるとも劣らぬ重い内容のものだというふうに思います。ところが、それにもかかわらず、残念ながら質疑時間は大変短い。まことに残念であります。こういうやり方はぜひ改めていただきたいという立場を申し上げまして、質問に入りたいと思います。  これまで行われてきた財政投融資というのは、郵便貯金や公的年金などの国の制度を通じて集められる各種の資金を財源として、国の政策目的実現のために行われる政府の投融資活動であります。それは金融的手法を使った財政政策の手段であり、したがって第二の予算とも呼ばれているわけであります。  この財政投融資の原資は四つから構成されておりまして、資金運用資金、簡保資金政府保証債、産業投資特別会計、これで構成されているわけですね。これが入り口でございます。この八割近くを占めているのが資金運用資金でありまして、郵便貯金、厚生年金、国民年金の積立金、国の特別会計の積立金など、法令によって資金運用部に預託が義務づけられている資金で構成されております。資金運用資金の出口としては、公庫、公団などの財投機関に融資されるほか、国債の引き受けにも充てられているというのが現状であります。これを大改革しようというわけでございます。  初めに大蔵大臣にお聞きをしたいわけですけれども、この財政投融資というのは、国の信用で集められた資金を、総体として、全体として統合管理、運用ということによって成り立ってきたものでありまして、大蔵省理財局が出された財政投融資リポート99、これを見ましても、こういうふうに書かれているわけです。「こうした公的資金が公的目的のために最も効率よく活用されるためには、一元的に管理され、統合的に運用されなければなりません。」というふうに書かれているわけでございます。  それで、これまでのこの制度の統合管理という仕組みのメリットですね、これはいろいろあると思うのですけれども、これまでの統合管理のメリットというのはどういうところにあったか、この点、まず前提としてお聞きをしておきたいと思います。
  210. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 制度理想的に運用されておるといたしまして、資金運用部というところで集められまして、そうして、財投機関であるとかプロジェクト等々、国の判断する優先度に従ってそれが運用される。でございますから、理想的にいくならば、一番国が必要とするところへお預かりした資金が貸し出されるということでございます。  しかし、非常に大きな資金になってまいりましたし、市場原理からいって、国がそんなに大きな資金の流れについて支配権を持っていいのか、それは非効率にならないかとか、いろいろ批評のございますことは御承知のとおりでございますが、理想的に申し上げましたときのメリットはただいま申し上げたようなことであろうと思います。
  211. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今おっしゃったように、必要とするところに、必要とするところというのは、政策的な目的に沿った形でこれが運用され、貸し出されていくということだろうと思うのですね。  この財投リポート99を見ましても、三つのメリットというのが書かれております。これは、去年の八月に出されたものでございます。一つは、予算編成と一体となって、政策目的に応じた国全体としての資金配分が可能となる。今、大臣の御答弁になったとおりのことが書かれております。二つ目に、統合運用した方が、個別ばらばらに運用するよりも重複投資やコスト増を避けることができる、行政機構の簡素化にも資するというふうに書かれております。三つ目に、いろいろな性格を持った資金を統合管理することによって、調達、運用における金利リスクを吸収することができ、社会資本整備などの長期資金を低利で供給することができる。このようにこのリポートの二十四ページのところで整理をして書かれているわけでございます。  このメリットというものが今度の改正案によってどのような修正を受けるのか、これが大変重要だと私は思っております。改正案は、財政投融資の中の中枢を占める資金運用資金につきまして、中心的な財源である郵便貯金、年金積立金、この二つで資金運用資金残高の九割近くを占めているわけですけれども、これを預託義務から今度は外すわけですね、それで自主運用を認めていくということになるわけであります。そして、その資金は金融市場で運用されていく、市場原理に次第に任せる形になるわけです。  この結果、財投の中心部分である資金運用部は、安定的ないわば資金源を失うという結果になるわけであります。このことによりまして、財政投融資は入り口と出口が分断をされる。その分断が目的だということだろうと思うのですけれども、そうしますと、そのことによってどういう結果が生まれるか。財政融資資金特別会計というのが、新たに財投債という名の国債を発行して市中から資金を調達しなければならない。入り口と出口が分断されて、いわばその中間に金融市場が介在する形になってきて、つまり財政投融資制度の内部に今度市場原理が導入されていくわけですね。仕掛けとしてはそういう仕掛けをつくろうというのが今回の提案だろうと思うのですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
  212. 大野功統

    大野(功)政務次官 今、先生のお話を伺っていまして、出口と入り口の分断については、なるほどいろいろな意見があるものだな、こういうふうに感心して伺っておったのでございます。と申しますのは、まさに今の財投システム、資金運用部のあり方そのものが、出口と入り口が切り離されているから財投の肥大化が起こった、こういうふうに我々は解釈しておるわけでございまして、まさに先生おっしゃるように、統合管理、統合運用というのは、神様がやればすばらしい、理想的な運用ができたかもしれない。しかし、市場介在がなくて入り口と出口が完全に切り離されているがために、市場原理も働かなければ財政規律も働かない。そこで、その反省の上に立って——先生のおっしゃることは非常に理想的なことだと思います。それ以上の欠点が出てきた、それが財投の肥大化の問題であり、財政コスト、財政政策の問題である、こういうふうに我々は認識しておるところでございます。  したがいまして、そういう観点から、今申し上げた、先生も御指摘になりましたけれども、郵貯、年金積立金資金運用部への預託義務、これはもう廃止します、こういうことでございますし、また、特殊法人等財投機関は、みずから財投機関債を出して、そして厳しい市場原理に遭いながらスリム化していく、事業の規模をきちっと本当に必要なものに絞っていこう、これが一つ。それからもう一つは、その必要な仕事を効率的にやっていこう。こういうふうに市場原理にさらされた効率化をねらいとする、これが今回の改正でございます。
  213. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の御答弁ですと、現状の制度が入り口と出口が離れているという認識というふうに受け取りましたけれども、どうも違うのじゃないですか。現在の制度というのは、入り口から入ったものを統合的に、一元的に管理をして、そして出口で政策目的に沿った機関に貸し出していく、これが現状でありまして、ですから、分断されているのではなくて、統合的に管理されているという特徴があるのじゃありませんか。どうでしょう。
  214. 大野功統

    大野(功)政務次官 統合管理という意味ではそうでございます。しかしながら、必要なお金に対して、入り口を先に考えるか出口を先に考えるか。こういう意味で、今の制度では、幾らでもお金がありますよ、ではお金があるから、むだ遣いはないと思いますけれども、その辺の財政規律が弱まってくる、こういう問題がありますから、入り口と出口をきちっと市場原理、財政規律で考えていかなければいけない。そういう意味でございます。
  215. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 予算編成と一体となって、現状は政策目的に応じた国全体としての資金配分が可能となる、これがメリットだと昨年の八月に出されたこの財投リポートには書かれているわけです。それから、総合的な管理運用によって重複投資やコスト増を避け、行政機構の簡素化に資するというふうにこれに書かれているわけです。それから、統合管理によって調達、運用における金利リスクを吸収することができる、そういうことが書かれていたわけでありますが、統合管理から市場原理へと転換することによって、これまでのメリットが失われるのではないか。デメリットの話もされましたけれども、私はメリットの話をしている。そのメリットは失われていくことになるのではないか。この点をお聞きしているわけであります。
  216. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず第一に、御理解いただいていると思いますけれども、今のメリットよりも、今のシステムから出てきたデメリットの方がよっぽど大きい、こういう点でございます。  それから、今のメリットの中で、例えば予算編成と一体として運用できるのかどうか。これは、今の改革後の財投システムでもできると思います。しかしながら、そのプロセスが市場原理に照らして非常に効率的なものになっていく。ぎりぎりの、本当にこの政策でやっていくべきか、それとも別の政策手段を使うか、こういうことまで含んで検討して出てくるわけです。そういう効率化という面がありますけれども、では予算と一体となった財政投融資計画であるか、こういう御質問であれば、これは一体となった予算でございますから、問題はございません。  それから、金利についてでございますけれども、これもぎりぎりに市場原理に照らしてやるものであります。したがいまして、例えば今の調達方法でございますと、預託者について若干の配慮をしていかなければいけないのじゃないか、こういうことがございますから、そこはどういうふうに評価するか。今回の制度でございますと、市場金利に即して貸出金利を設定していく、こういうことでございますので、市場原理から見て問題はないのじゃないか。ただ、その辺の、例えば変動する金利に対してどう対応していくか、あるいは事務コストをどうするか、流動性の問題をどう考えるか、こういうことは若干の工夫をしてございます。
  217. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 どうも、私が質問していることにかみ合った答弁になっていないのであります。  財政投融資の現状というのは、もちろん多くの問題を抱えていると私も思っております。そのあり方がやはり問われていると思いますね。しかし、問題は、こういう公的な管理、公的な制度がそれ自体として問題があるというふうな認識を私は持っておりません。この制度を利用して、専ら浪費的な公共事業だけ膨らませていく、あるいは産業基盤投資にどんどん投資を拡大していく、あるいは一般会計の赤字を当面糊塗するために財投資金を流用するとか、そういう形でこれまでの財投のあり方がやはりゆがめられてきた、問題はそういうところにあると思うのです。  したがって、財投の改革は急務であると思いますね。しかし、それは、この制度そのものを解体してしまうことでメリットも一緒に失わせてしまうということではなくて、私は、その問題点に対して一つ一つメスを入れて改革を行う、本来のメリットを発揮させるということが大変重要なことではないかというふうに思います。  財投の真の改革というのは、やはりディスクロージャーを徹底して行う。国民の監視のもとに置いて、そしてその公的な資金を国民生活や福祉基盤、こういう分野に重点的に配分をしていく。この投融資の対象を転換していくといいますか、このことが大変重要だと思うのですね。ところが、どうもそういう検討をやった形跡が余り見られないわけでありまして、何か制度自体がもう全部解体しなければならないというところにまで結論を持っていったところに私は問題を感じております。理念なき改革という言葉もありますけれども、どうもそういう感じがするのですね。  それで、具体的にお聞きをしたいのですけれども、これは理財局長にお伺いしますが、アメリカの事例ですけれども、昨年一月にクリントン大統領が、一般教書で公的年金資金を株式に運用するという提案を行ったことがございます。先ほども上田議員が質問しておられましたが、その後クリントン大統領は、FRBのグリーンスパン議長の批判を受け入れて撤回したというふうに聞いておりますけれども、その経緯はどういうものであったのか。この点について御紹介いただきたいと思います。
  218. 中川雅治

    中川政府参考人 昨年一月の一般教書演説におきまして、クリントン大統領は、政府による公的年金積立金、社会保障信託基金の株式への投資について提案を行いました。しかしながら、グリーンスパン連邦準備制度理事会議長が、この提案に対しまして反対意見を出したわけでございます。  その反対意見の概要でございますけれども、政府による巨額の資金運用に対する問題として、政治的な介入が行われるため、非効率な投資が行われ、収益率が低下するおそれがある。また、社会保障制度のもとでは、政府が給付額を保証しているため、利回りに対する国民の関心が低く、収益率に対する監視機能が十分働かない。  二番目に、資金の総量が変わらない限り、米国債から株式市場への大量の資金移動は、同時に米国債の価格下落、利回りは上昇ということになりまして、一般資金は逆に米国債に移動、株式市場の平均利回りは低下する。長期的には、資金を入れかえしただけのゼロサムゲームになるということを言っておられます。  また、信託基金が証券市場において高利回りを得ることができたとしても、民間セクターのファンドが低利回りに甘んじることとなるはずである。この場合、これら民間セクターのファンドの多くは退職資金として預託されていることから、社会全体の公的・私的退職資金の合計はさして増加しないということになりかねない。こういったことを指摘し、反対をされたということでございます。  このような議論を踏まえて、クリントン大統領は、昨年十月、政府が公的年金を株式市場へ運用することを認めないこととする新たな社会保障改革案を議会に提出したと聞いております。
  219. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今御紹介いただきましたけれどもアメリカのグリーンスパン議長の批判の論点というのは、私は大変納得できるところが多いわけであります。結果として、運用を株式で行うということは撤回をされたということであります。  金融ビジネスという雑誌の昨年の四月に金融評論家が書いている論評を見ますと、三つの問題があると。例えば、「株式投資への政治の介入が問題だ。」と。これはグリーンスパン議長の懸念と同じ見解を述べているわけですけれども、「日本でも八六年から公的年金による株式投資が行われている。その資金は、たびたび株価テコ入れ策に利用されてきた。さらに、これまでの運用成績は、一兆円の累積欠損となるなど悲惨な結果である。」これは日本に引き比べて、日本の現状をこのように述べているわけです。  第二の問題は、「このように失敗してもなかなかやめられないことである。賭け事で絶対負けない方法として、負けた分を勝つまで賭け続けるというものがある。」「巨額な資金を持ち、倒産しない政府はこの誘惑に駆られる。」こういうことを言っております。  それから三つ目に、「株式市場の活力が失われる」「米国の公的年金による株式運用の背景には多世代にわたる資金プールでの危険負担能力によって株式投資利回りの向上が図れるという理論がある。しかし、これが正しいとしても、こうしたプレーヤーの株式市場への参加がフェアといえるであろうか。」「このプレーヤーは資金力もあり、倒産しないのだ。結局、この異質なプレーヤーは株式市場の活力を奪う。これも日本の教訓である。」というふうに論評しております。  私は、この観点は大変重要だというふうに思うのですね。公的な資金をこういう株式市場を含めた自主運用ということでどんどん切りかえていくということになりますと、逆の大変危険な状況が生まれてくる。これはアメリカ自身の議論からも、やはりしっかりと学ぶべきだというふうに私は思うのです。  法案では、簡保資金はもちろん、郵貯、年金資金の全額をそれぞれ自主運用する方向に切りかえるということであります。これによって巨額の国民の資金が金融市場で運用されるわけでありますが、その規模というのは一体どのぐらいの規模になるのか、数字を示していただきたいと思います。
  220. 中川雅治

    中川政府参考人 それぞれの自主運用の御判断でございますので、大蔵省の方から株式運用の比率、基準というものをお示しするわけにはまいらないわけでございますが、株式などのリスク性資産につきましては、単独の資産として見ればリスクが大きいことは事実でございますが、債券などを中心に複数の資産に分散して投資することにより、資産全体のリスクを管理しながら、債券単独で運用するより高い収益を上げることが期待できるというように考えられていることから、年金の自主運用に当たりましても、その一部を株式に対して運用することを予定していると聞いております。  この場合、株式につきましては、国や年金資金運用基金が直接運用するものではございませんで、民間運用機関へ運用委託を行うことにより間接的に運用することとしたほか、情報公開の徹底などについて法律上明示的に規定することによりまして、こうした問題の解決を図っているものと承知いたしております。  また、将来の年金積立金の自主運用に当たりましては、資産の一部について、今申し上げましたように株式にも運用を行うことになるわけでございますが、そうはいっても、基本的には国債などの債券を中心に、安全確実を基本とし、効率的な運用を行うというように聞いております。
  221. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、この自主運用というものの総額をお聞きしたのです。その運用の仕方を聞いたのではありません。総額として幾らになるのか、数字を聞いただけです。
  222. 中川雅治

    中川政府参考人 失礼いたしました。現在、自主運用と申しますのは、十一年三月末の残高で申し上げますと、資金運用事業等ということで九十四兆円ということになっておりますけれども、今後は、これはもちろん経過措置があるわけでございますけれども、郵便貯金が、十一年三月末の数字でございますが、二百五十一兆円、年金積立金が百三十四兆円ということでございまして、この二つの資金が預託義務を外れるわけでございますので、この部分がいわゆる完全自主運用になる。現在の仕組みから外れて自主運用になる金額といたしましては、この二百五十一兆円と百三十四兆円の合計額ということになります。
  223. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それだけでも、約四百兆円という大変大規模な資金が自主運用という方向に切りかわるわけであります。  言うまでもなく、国の信用で集めた資金というのは非常に巨額でありまして、確実、有利というのはもちろんですけれども、公共の利益に沿った配分ということも大変重要なことだと思うのですね。  それで、資金運用資金法には、確実かつ有利とともに、公共の利益の増進に寄与するというのが第一条の目的に掲げられております。しかし、これが全額自主運用という方向に切りかわっていきますと、市場原理というのは当然最優先、その原理にいわば従わざるを得ない。そうしますと、利益を出さなければならない。そうなっていきますと、利益とともに、またデメリットといいますかリスクも非常に大きくなる。そうすると、そのことによって公共的な原理といいますか公共性というものが損なわれていくことになるのではないか、そういう心配をするわけであります。  例えば、国民の零細な貯金、将来の生活保障である年金資金ですね、これが金融市場で運用されるということになりますと、例えば国債、社債というのはもちろんありますが、SPC証券、CP、外債、先物為替等、非常に高いリスクの商品にも運用できるということになるわけで、これはもちろん一定の制限を加えるという説明が先ほどありました、何%というふうに制限をするというふうに説明がありましたが、それにしても大変高い比率で運用されるということになるわけであります。それから、株式運用もどんどん可能になっていくということであります。  年金福祉事業団の運用がどれだけ大きな損害を出したかということはもう既に御承知のとおりでありまして、この自主運用によって年金福祉事業団は一兆七千億という大変な損失を出しましたし、やり方としては、銀行、証券などのプロを引き抜いて運用しているんだと言いますけれども、その結果がこういう巨額の損失につながっているわけであります。  従来の自主運用の、九十四兆円というふうに言われましたが、これの四倍も五倍も大きな金額がこのような危険なリスクにさらされるということになるわけでありまして、そういう点では、国民の財産を危険なリスク、市場原理にさらしてしまう、そのことのデメリットというのは大変大きなものがあるのではないか。  私は、この年金基金の株式投資、少なくとも株式投資への運用というのはもっと厳しく規制する、このことがアメリカの事例からいっても当然行われなければならない課題だと思いますけれども、その点はどのように考えておられますか。
  224. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、自主運用の問題は、基本的には所管省庁でございます郵政省または厚生省、今後の総務省ないしは厚生労働省の問題でございまして、本当に厳格にその辺は議論していかなきゃいけないし、また現実にその辺は十分議論、検討されているものと思います。  しかしながら、御指摘のとおり公的性格でございますし、そして厳格なルールでやっていかなきゃいけない、株式などはどういうふうに考えていったらいいのか、こういう議論を資金運用審議会懇談会でやっておりまして、一つの論点整理、議論の整理があることは御存じのとおりだと思います。一々申し上げませんが、そこでは安全確実ということは強調いたしておりますし、国民に負担を及ぼしたらいけない、そういうような原則をきちっと書いておりますから、そのような原則に従って当然運用されていくということであります。一義的には所管省庁の問題であることを繰り返し申し上げておきます。
  225. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 政府による株式の買い支えというのが最近議論になっております。こういう巨額の資金が金融市場で運用されるということになりますと、金融市場影響を受けると同時に、影響を与えることになるわけですね。価格形成にも大きな影響を与えるわけであります。  大蔵大臣にお伺いしますが、このようにして大量の資金が自主運用という形になっていきますと、今までも幾つか行われてきました政府による株の買い支え、このやり方が規模が大規模な形で可能になっていくということにもなると思うのですね。少なくとも、今すぐやるかどうかは別ですよ、しかし、PKO、株価維持の操作が大変大きな規模になり得る、仕組みとしてその条件が生まれる、そういうことになると思うのですが、その点はどのようにお感じでしょうか。
  226. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど、論点整理として総括政務次官が言われました数点が心構えでございますが、その中には、株価を高く維持することとか株価の形成に影響を与えることとかいうのは無論書いてございません。恐らくそれは、そもそも、安全有利等々、いろいろなあそこに掲げてある条件に当たらない、資金の運用としてはそういうことを当然想定していない、むしろ否定的に考えておるものだと思っております。
  227. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それでは、これらの自主的運用資金の郵貯資金あるいは簡保資金年金積立金というのは、それぞれ別々に市場で運用されるということになりますね、それぞれの責任で。そうなりますと、同じ政府部内でありながら、運用の仕方というのはそれぞれのやり方をとるわけですから、ばらばらに行われるということになりますね。その結果、全体の調整がありませんので、例えば投資が重複するということになったり、あるいは一方に偏ってしまう、そういうことによって市場に悪影響を与えたりあるいはコストが非常にかさんでしまう、こういう可能性が生まれるのではないか。  つまり、先ほど御紹介した財投リポートで言っているコストの削減ですとか効率的な運用ですとか、こういう点から外れてしまって逆の作用が生まれてくるのではないか、そういうふうに感じますけれども、そうならないという保証はどこにあるのでしょうか。
  228. 大野功統

    大野(功)政務次官 そういうふうにならないのが市場原則だと思います。市場というのは常に、例えば厚生労働省がどうしているか、総務省がどういうふうに投資をするのか、運用するのか、そういうことをすべて考えながら反応を示してまいりますので、その辺は市場に任す、あるいは所管省庁もやはりそういう点は気にしながらやっていく問題だと思っておりますから、一番効率的な方法でやっていく、それは市場に聞く、こういうことだと思います。
  229. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、逆だと思うのですね。つまり、統合して管理をしていく、一元的に全体の配分を考えていくという運用の仕方がコストの削減につながる。ですから、この財投リポートではこういうふうに言っているわけです。「原資ごとに、個別に資金運用を行えば、重複投資はもとより、行政機構・人員の重複も生じかねません。その結果、コストの増大を招くことは必至です。資金を一元化すれば、その弊害を取り除くことができます。」全く逆のことを言っているのじゃありませんか。
  230. 大野功統

    大野(功)政務次官 それは両論あると思います。私は、率直に申し上げて、両論あると思います。もし、神様が運用する、神様が調達する、こういうことであれば、先生のおっしゃっていることは私は正しいと思います。しかし、もし間違ったらどうなるのか、あるいは野方図に幾らでもお金が入ってくるから幾らでも使え、こういうことになったらどうなるのか、こういう反省が生まれてきているわけでございます。  過去の資金運用部、財政投融資は、それはそれなりの私は大きな役割を果たしてきたものだと思います。しかしながら、その辺の市場原理なり財政規律が、どうしても財投計画、財投の事業が巨大化する、肥大化していったために崩れてきた。もう一つは、やはり将来の国民の負担を考えないじゃないか、将来国民の負担がこのぐらいになるんだという政策コスト分析がなくなってしまっているじゃないか、こういう反省の上に立って、そして市場原理、財政規律を重んじたやり方に変えていった、こういうことでございます。
  231. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 どうも説明が、財投の必要性を訴えるときに統一的な管理をした方がコストが安くて済む、こういう説明を一方ではされていた、今の答弁では、市場原理にゆだねた方が、ばらばらにした方がコストが少なくて済む、その時々、同じ理屈で別なことをやろうとしている、全然一貫性がないのじゃありませんか。  この出口の点について私はお聞きをしたいのですけれども特殊法人などの個々の財投機関が公的な機関として必要かどうか、あるいはその財投機関がどの程度国の関与を必要としているか、財政資金を必要としているか、この点については、宮澤大蔵大臣、基本的には国の政策判断によって、こういう政策が必要であるからこのような機関が必要である、したがって財政的にはこういう支援が必要である、これは基本的には国の判断というのが一義的に求められる、それが必要だというふうに思いますけれども、それはいかがでしょうか。
  232. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこが先ほど申し上げたところで、理想的に行われればということを申し上げましたのは、殊に我が国が戦後復興しますときに、このような資金を効率的にプライオリティーの高いものから使うという判断は国がすることが恐らく一番有効であったろう、そういう意味で財投が動いてきたわけでございますが、それについての、繰り返して申しませんが、いろいろな弊害が明らかに出てきましたし、また、中には市場経済の原理に任せた方がいいと見られるものも出てきたりいたしておりますものですから、かつての功績はそれとして、国がプライオリティーをつけてこういう大きな資金を動かすということに疑問が出てきているということを思っておるわけでございます。
  233. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 国がプライオリティーをつけてやること自体に疑問が出てきたというふうにおっしゃいました。  そうしますと、例えば政府系金融機関が幾つかございますね。政府系金融機関には、政策投資銀行ですとか国際協力銀行ですとかございますが、同時に、国民生活金融公庫ですとか住宅金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、こういう政府系銀行がございます。これを、例えば九六年度の計算をもとにしてある試算を専門家がやったところによりますと、補助金収入を除くと、利益でプラスになるのは二つしかないのです。日本開発銀行と日本輸出入銀行の二つだけであります。あとは全部マイナスなんです。特にマイナスが大きいのが住宅金融公庫、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、それから農林漁業金融公庫。つまり、中小企業、農林漁業、それから国民の生活、ここに関連をしている金融機関というのが大変な、いわば政府の援助がないと採算がとれない、そういう状況にあるわけでございます。そういう金融機関は、これを市場原理に任せるということが必要なんだ、政府の援助を引き揚げて、そして自主的に自分財投機関債発行するなり、あるいは別な形で資金調達をする、そうなっていきますと、これはなかなかやっていけない事態になっていくのはもう火を見るよりも明らかでございます。  そうしますと、市場原理にゆだねるということは、結果として、国民生活関連、中小企業、農林漁業関連、この金融機関をいわば糧道を断って破綻させてしまう、こういうことにつながるわけでありますが、その点はどのように判断されていますでしょうか、宮澤大蔵大臣
  234. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ちょっと、いつもと立場が逆になっているものですから、なかなかお答えに戸惑うわけですけれども。  そもそも財投機関というものは、もうけ仕事では基本的にはできにくいということでやっているわけでございますから、それは国が関与してやっているわけで、それ自身には意味がないと申し上げているのではもちろんないわけでございます。殊に、今おっしゃっている中で、これこれの金融機関以外は赤字であるといったようなことは、確かに、例えば国民生活金融公庫でございますと、赤字であることは恐らくやむを得ない、そういう意味での金融だと思います。ですから、これはなかなか民間には任せられないですが。  赤字であるということがその仕事本来からくる場合と、生産性が低い、つまりコストの削減が不十分であるということからくる場合と、両方ございますので、いかに政府の仕事であって、利益を求めないとは申しても、コストを切り下げることによって生産性を上げるということは、これはできるはずでございますので。そこで、今の財投機関というもののかなりのものが自分で金も調達しないものですから、どうも楽をして、もっとコストの節約の道があるのではないかという批判にこたえようとしておるわけでございまして、必ずしも何でも利益を出せと言っておるわけではない。利益を出すのなら民間でもできるではないかという今朝からの御議論になるわけでございます。  私どもは、したがいまして、財投機関というものは、もうけろとかなんとかいうことを申しておるのではありませんで、できるだけ能率を上げて、そして冗費を節約してほしい、そのためのこういう改革であるというふうに考えておるわけでございます。
  235. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 生活や営業にかかわるところは大変な状況の中で融資を受けてやっているわけです、今の不況の中で。それを支援する政府系金融機関というのは、今申し上げましたように国民生活金融公庫ですとか中小企業金融公庫ですとか農林漁業金融公庫ですとか、こういうところが担っているわけでありまして、それを一律に自主的にやりなさいということで政策投資銀行などと同じレベルでやってしまいますと大変な事態になりますので、そこのところは余り市場原理主義という形で突っ走らないようにしていただかなければならないと思います。  私どもは、そういうところにこそ本来もっと支援を行うべきだ。もちろん効率的な運用というのは当然のことだと思います。そこはきちっとやっていくというのは当然のことだと思いますが、それは国民の生活と営業を守るという観点からさらに政府は力を入れるべきだというのが私ども考え方でございます。  次に、ディスクロージャーの問題でありますが、財投計画というのは四つの原資から成っているわけですね。個別に国会の議決を得るということになってきたわけですが、この点は従来と変わりませんか、仕組みの上で。
  236. 大野功統

    大野(功)政務次官 その点は変わりません。
  237. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これらを一体として示したものが財政投融資計画というものでありますね。これは予算とともに参考資料として国会に提出されております。財政投融資計画の国会提出は法律上義務となりますけれども、議決は以前のとおりでしょうか。
  238. 大野功統

    大野(功)政務次官 その点でございますけれども一つ一つ財投債あるいは政府保証債、これが議決の対象になります。したがいまして、全体として出てきたものは、これは二重議決になってしまうということで、そこは法制局と十分相談した上、議決しない、参考資料として提出するということでございます。
  239. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 財投原資の大部分を占めます郵貯資金年金積立金が、預託義務を解かれまして自主運用となりますね。そうすると、財政投融資の範囲は、財政融資資金特別会計、産投会計、そして政府保証債ということになって、その外れた分だけ規模は額としても縮小するというふうに思いますが、そういう仕組みになりますね。
  240. 大野功統

    大野(功)政務次官 原資の方でとらえますと、一つ財投機関債、それから一つ政府保証債、それからもう一つ財投債、あるいは特別会計余裕金、これは預託になりますので、そういうものがございます。今、産投特別会計のこともおっしゃったかと思いますが、これと別枠でまた産投会計がございますから、全体の財投計画というのは、それをすべて含めて、もう一度申しますと、財投機関債政府保証債、それから財投債を主たる原資とする財政融資資金特別会計からの融資、そして産業投資特別会計、こういうことになります。  それで、縮小するのか縮小しないのか、こういう問題点につきましては、これから議論してその規模を決めていきますので、今は制度的にこうなるということを申し上げた次第でございます。
  241. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 自主運用の部分と財投機関債発行というのは財投計画からは外れるわけですね。そういうことですね。
  242. 大野功統

    大野(功)政務次官 外れます。
  243. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 外れるわけですね。  そうしますと、その部分は国会の議決から外れるということに当然なりますね。
  244. 大野功統

    大野(功)政務次官 これまで自主運用というのは財投計画から出ていっておりましたので、そういう意味国会の議決の対象になっておりましたけれども、今度はそういうプロセスがありませんので、国会の議決の対象から外れます。
  245. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そうしますと、出口である特殊法人等の実態や経営状況については、今までもディスクロージャーや国会への報告は私は不十分だと思っておりますが、その点で特に改善が行われるというわけでもないわけですね、仕組みとしては。  今までこの財投問題がいろいろ議論をされて問題点を指摘されていました中に、言葉は悪いですけれども、伏魔殿ですとかあるいはブラックボックスだというようなことで、中身がなかなかわかりにくいと言われておりました。むしろそういう点を開示してディスクロージャーの対象にしていくというのが本来の筋なんだけれども、そのところがはっきりされていない。むしろ財投計画の範囲が縮小する。  そうしますと、外れた部分は、国民から見えない部分がより大きくなる。国会への報告や議決の範囲も全体としては範囲が小さくなる。そうなると、国会や国民からの監視あるいはチェックというのは後退するということになるのじゃありませんか。
  246. 大野功統

    大野(功)政務次官 一つは、自主運用のところでそういうことをおっしゃっているのかと思います。  それにつきましては、十分御存じのとおり、これから工夫を重ねて、どういうふうな運用をやっていくのか、それぞれの所管官庁でやっていくことだと思います。  それから、例えば先ほど申し上げました、二重チェックになるから最終的には財投計画としては国会の議決をとらない、こういう問題を申し上げましたけれども、それは全体として国会に資料が提出されるわけでございますし、そこはきちっとなっている。  それから、財投機関各別については、市場原理にさらされるから、当然ディスクローズしていかなきゃいけないということでございますが、さらに、行政機関情報公開法におきまして情報公開につきまして法制上の措置を講ずる、こういう段取りになっておりますし、これを受けまして、昨年の七月でございますが、特殊法人情報公開検討委員会というのをつくっておりまして、特殊法人の情報公開制度、その他これに関連する制度について、ことし七月ごろに報告をまとめるべく検討している、これが現状でございます。その報告がなされた後は、法案の立法作業を速やかにやっていく、これが今の状態でございます。
  247. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今回の改定で、財政融資資金というのは、その財源を基本的には財投債発行によって市場から調達するということになるわけであります。この財投債というのは、特別会計の発行する債券であります。発行によって得られる資金によって、金融資産、貸付債権を形成する、そこからの回収金によって償還ができる、そういう意味で、一般会計の発行する国債とは性格が違う。しかし、国が最終的に償還責任を負う、そういう点で国の債務にほかならないわけであります。  そういう意味では、財投債というのは、性格は基本的には国債と同じものだというふうに考えてよろしいですね。
  248. 大野功統

    大野(功)政務次官 かぶっている帽子は国債でございます。しかしながら、中身としまして、例えば建設公債、赤字公債、将来の国民負担で賄われるものと、それから財投債のように有償で貸し付けを行っていますから、当然そこから償還が行われるわけでございます。  ですから、帽子は国債ということでございますが、中身は全く違う。したがいまして、これは国の債務にならない、これは世界的に共通の認識でございます。
  249. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 この財投債は、国債と一体のものとして、同一券面、同一条件で発行されるということが予定されていると言われております。  現在の財政危機のもとで、それに加えて、恐らく数十兆を下らない巨額の財投債発行されるのではないだろうか。そうなりますと、従来の国債に加えて、巨額の財投債発行されていくわけでありまして、その消化問題が次に問題になってくると思います。  関係大臣の合意で、当面は郵貯、年金などの資金によってこの一部が引き受けられる形になると言われています。しかし、一定期間を経過した後はその保障もなくなっていくというふうに聞いておりますけれども、そのことはよろしいですね、そういう仕組みだということで。
  250. 大野功統

    大野(功)政務次官 経過措置のことは今おっしゃいましたので申し上げませんが、一番大事なことは、やはり債券市場に大きな影響を与えない、これが一番大事なことでございますし、もう一つの理由は、今までやっております既存の事業、いわば既存の貸し付けについて余り影響を及ぼしたくない、この二つの理由がございますが、市場だけに限ってみますと、影響を与えないために特別の措置を講ずる次第でございます。この措置が七年というふうになっているわけでありますが、七年を過ぎた場合どうなるんだ、ここはその時点になってみてやはり考えていかなきゃいけないという問題が一つあろうかと思います。七年でぴったり切れたら、これは理想的にありがたいなと思うのでありますけれども、その時点での市場の状態をやはり考えておかなきゃいけない、これが一つの問題だと思います。  もう一つの問題は、円満に、円滑に市場に消化してもらうためには、国債管理政策というのをきちっと検討しなきゃいけないのじゃなかろうか。国債の多様化の問題を含めて、そこは十分検討していかなきゃいけない問題だと思います。
  251. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 資金運用部は、毎年、財投計画の計画外ということで国債の引き受けを行ってきております。現在、残高で約九十兆円、国債発行残高の約三〇%の国債を保有しているわけです。改革後も、資金運用部を引き継ぐ財政融資資金がその国債保有を続けるということになるわけですね。  財投債資金源とした財政融資資金が国債を保有するということは、いわば国債で国債を保有するような形になるわけで、どうも姿としては大変異常な感じがするわけですけれども、結局、財投債を含めた大量の国債発行というふうになっていきますので、深刻な消化難問題を引き起こすと思います。今いろいろ説明がありましたが、その結果、長期金利の上昇、こういう可能性も出てきます。それを避けるためにということで、日銀による国債の大量引き受けということが再燃する危険性はないのかどうか。日銀は、郵貯集中満期のときの資金運用部の資金繰り対策として、資金運用部から一時的に国債を購入することを決めておりますけれども、こうした措置が一時的なものにとどまらなくなるおそれもあるのではないか。  最後に宮澤大蔵大臣、この大量の財投債、国債の発行日銀による引き受けという問題、この危険性は強まるのではないかと思いますが、私は、こういうことが実際に行われた場合大変な事態になる、インフレのおそれというのが非常に強まると思いますので、その点についての認識を最後にお聞きしたいと思います。
  252. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 定額貯金が満期になりましたことに伴って、短期の金を日銀から短期的に供給してもらうということは確かにございますけれども、これは、おっしゃるように短期のことでございます。  そこで、今政務次官からお答えがありましたように、財投債は償還財源が納税者の金ではなくて極めてはっきりいたしておりますから、そういう意味で通常の国債と性格的に異なるということはそのとおりだと思います。  しかし、これを日本銀行の担保にとってもらうというようなことは考えておりません。それはやはり、結果としては非常に似たような効果になるおそれがございますから、そういうことをすることは考えておりません。
  253. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。
  254. 金子一義

    金子委員長 委員各位に申し上げます。  すばらしい委員会への出席、さすが大蔵委員会でありました。委員各位の御協力に、改めて心から感謝を申し上げます。  次回は、来る二十一日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会