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2000-04-18 第147回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十八日(火曜日)     午前九時四十二分開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 佐々木憲昭君       石原 伸晃君    大石 秀政君       大野 功統君    栗原 博久君       桜田 義孝君    塩谷  立君       下村 博文君    砂田 圭佑君       高市 早苗君    滝   実君       中野 正志君    西川 公也君       萩野 浩基君    林  幹雄君       宮本 一三君    村井  仁君       村上誠一郎君    山口 泰明君       渡辺 博道君    岡田 克也君       奥田  建君    鍵田 節哉君       河村たかし君    桑原  豊君       末松 義規君    仙谷 由人君       中川 正春君    藤田 幸久君       青山 二三君    池坊 保子君       並木 正芳君    若松 謙維君       矢島 恒夫君    安倍 基雄君       西田  猛君    鈴木 淑夫君       二見 伸明君    横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 谷垣 禎一君    金融再生政務次官     村井  仁君    大蔵政務次官       大野 功統君    政府参考人    (人事院事務総局職員局長    )            中橋 芳弘君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 岡田  薫君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (金融監督庁検査部長)  五味 廣文君    政府参考人    (金融監督庁監督部長)  乾  文男君    政府参考人    (総務庁人事局長)    中川 良一君    政府参考人    (法務大臣官房司法法制調    査部長)         房村 精一君    政府参考人    (大蔵大臣官房長)    林  正和君    政府参考人    (大蔵省金融企画局長)  福田  誠君    政府参考人    (国税庁次長)      大武健一郎君    参考人    (全国銀行協会会長)    (株式会社第一勧業銀行頭    取)           杉田 力之君    参考人    (株式会社富士銀行頭取) 山本 惠朗君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   河井 克行君     山口 泰明君   桜井  新君     栗原 博久君   下村 博文君     中野 正志君   宮本 一三君     萩野 浩基君   岩國 哲人君     鍵田 節哉君   末松 義規君     桑原  豊君   谷口 隆義君     池坊 保子君   若松 謙維君     青山 二三君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     桜井  新君   中野 正志君     下村 博文君   萩野 浩基君     宮本 一三君   山口 泰明君     滝   実君   鍵田 節哉君     藤田 幸久君   桑原  豊君     末松 義規君   青山 二三君     若松 謙維君   池坊 保子君     谷口 隆義君 同日  辞任         補欠選任   滝   実君     河井 克行君   藤田 幸久君     奥田  建君 同日  辞任         補欠選任   奥田  建君     岩國 哲人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  預金保険法等の一部を改正する法律案内閣提出第三五号)  保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第五七号)  資金運用部資金法等の一部を改正する法律案内閣提出第五八号)     午前九時四十二分開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  内閣提出預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  本日は、参考人として全国銀行協会会長株式会社第一勧業銀行頭取杉田力之君及び株式会社富士銀行頭取山本惠朗君のお二人の方に御出席をいただいております。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。両参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますように心からお願いを申し上げます。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺喜美君。
  3. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 自民党を代表して御質問をさせていただきます。  杉田全銀協会長さん、山本頭取さんには、わざわざお越しいただきまして、まことにありがとうございます。我々国会議員は国民の皆さん説明をする責任がございまして、今回二つの法律を通す際に、健全化計画のフォローアップをしなければいけない、そういうことでございますので、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。  まず、中小企業向け貸し付け増加についてでありますけれども、せんだってお出しをいただいた資料で、どうしてこんなにふえるんかいな、こういう疑問があるわけですね。  お手元にお配りをしました三枚紙があると思いますが、この二枚目をおめくりいただきますと、「部門別資金過不足の推移(対名目GDP比)」という資料でございます。これを見ますと、個人お金の方は常にプラスなんですよ。個人お金を法人が、企業が借りて経済活動をやるというのが通常の形態なんですけれども、御案内のように、九〇年代に入りましてから、企業お金を返済する、企業資金が黒字に転じているという異常な状況があるわけですね。御案内のように、点線を見ますと、公共部門、つまり政府赤字を膨らませてお金を使っている、こういうことがあるわけであります。したがって、銀行お金を貸さずに、預金返済金で国債を買い増しをしている、そういうのがこのグラフ意味しているところであります。  そこで、三月以降急激に中小企業向け貸し出しがふえたんだということでありますけれども、中には、例えばこういう事例があるんですよ。  中小企業で優良なところです。長期、三年のフィックスで一・二%の分割払い、こういうような形でぜひ借りてほしいと銀行から頼まれる、そうすると、需要がないんだけれども、お借りをしてそれを定期預金にしておく、こういう話なんですね。ですから、仕訳でいえば、借方定期預金貸方長期借入金、こういう非常に芸のない話でありますけれども、一億円だったら金利が百二十万ぐらい、定期の方が預金金利が二十万ぐらい、そうすると差し引き百万円は銀行とのおつき合い料だみたいな融資が行われているという実態があるわけなんです。  そのほか、例えばSPC向け、SPCというのは今度の法律資本金十万円、現行法では資本金三百万円でありますから、これは中小企業なんですね。ですから、こういうところに融資をふやしているという実態があるのは御存じでしょうか。イエスかノーかだけで結構ですから、両頭取、お答えください。
  4. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  私ども、民間の商業銀行でございますので、営業活動ということで、やはりいろいろ貸出金のいわばセールスというような営業活動はございます。ただ、お客様の御意向を無視して無理にお貸し出しをしているということはないというふうに認識しておりますし、私どもの個別行で申しますと、SPCへの融資というのは実績がございません。  以上でございます。
  5. 山本惠朗

    山本参考人 お答え申し上げます。  個別の取引で今御指摘のようなものがあったかどうかということは私確認をしておりませんけれども、個別のお取引に当たりましては、取引先審査を十分にいたしまして、個別にお客様と御相談の上実行しているところでございます。  SPCにつきましては、SPCに対する貸し付けはございます。  以上でございます。
  6. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 金貸しリスクをとらないということは、これは金貸しじゃないんですね。  三枚目の表をお開きいただきますと、縦軸貸出残高横軸金利をとってございます。信託、都銀、長信銀、地銀、第二地銀、信用金庫、このあたりの平均約定金利がどの程度のところにあるかということがこのグラフでわかるわけでございます。一番金利の安いところで一・五から一・七五、一番金利の高いところでも三パーから三・二五ぐらいなんですね。そうすると、非常に狭いレンジに金利が集約されている。  多分こういうものは大半が土地担保にした融資なんですね。ですから、土地担保のない人は、資金需要があってもお金が借りられないという現状があるわけです。一方、このグラフはるか右の外れの方に三〇%の世界があるんですよ。それは、もうこの委員会でもさんざん議論をされた商工ローン世界なんですね。ですから、こういう非常にアンバランスな金利体系金融のシステムが依然として我が国の金融現状なんだということを考えるときに、私は、金貸し皆さんにはもっとリスクをとってもらいたい、こう思うんであります。  ですから、例えばこの中間地帯、なぜこういうところに、土地担保はない、企業赤字だ、でも資金さえつけてやれば必ずゴーイングコンサーンとして企業はうまいぐあいにいくんだ、そういう判断がなされれば金利リスクをとる、それが金融なんじゃないんでしょうか。いかがでございましょうか、両頭取
  7. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  今にして思いますと、バブルの時代には、資産の価値が右肩上がりで上がっていく中で、物的担保のみに注目いたしまして融資を行う面があったということは否めないというふうに思っております。私どもとしましては、そうした反省を踏まえまして、事業内容を十分に把握することによりまして、事業キャッシュフロー、つまり返済財源安定性を検証することによって融資審査におけるリスク判断基本としているところでございます。  銀行業務は、そもそも、リスクをとりまして、その対価としてのリターンを追求していくものかというふうに思っております。そのリスクを一定のコストと認識しまして、コストをカバーする対価として適正なリターン、すなわち金利確保していく融資体制の確立を急いでおるところでございます。  しかしながら、現時点では、いまだあるべきリターン、つまり金利水準確保には不十分な状況、言いかえれば道半ばにあるということも先生の御指摘のとおりでございます。このような考え方が広く浸透していくためには、これは時間を要するわけでございますが、お客様にも粘り強く説得、御理解を求めてまいりたい、このように思っております。  私どもといたしましては、信用リスクの統計的な定量分析の手法の高度化にも努めておりまして、従来以上に審査能力それからリスク管理能力を高めまして、適正なリターン確保により一層努力してまいりたいと考えておりまして、そういう意味では、先生の御指摘にはまさに意を強くしておるところでございます。  以上でございます。
  8. 金子一義

    金子委員長 山本参考人。時間が参りましたので、簡潔にお願いします。
  9. 山本惠朗

    山本参考人 金融の部分で、この辺に、我々の言葉で申し上げますと、商売の機会があるはずであるという御指摘はそのとおりかと思いまして、私どもは、幾つかの新しい商品開発、それからその商品提供チャネル工夫などをいたしまして、そうした分野に供給ができるような工夫を重ねているところでございます。  以上でございます。
  10. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 ありがとうございました。
  11. 金子一義

    金子委員長 訂正があるようでありますので。  では、杉田参考人
  12. 杉田力之

    杉田参考人 冒頭渡辺先生の御質問に対しまして、SPCの件でございますが、計画目標達成するためのSPCへの貸し出しはないという意味で申し上げまして、一般的にSPCということであれば残高はあるということでございます。訂正させていただきます。
  13. 金子一義

    金子委員長 次に、石井啓一君。
  14. 石井啓一

    石井(啓)委員 おはようございます。公明党・改革クラブ石井啓一でございます。  前回に引き続きまして、杉田参考人には全銀協会長ということでお越しをいただきましてありがとうございます。前回参考人質疑の際に、杉田会長の方から、公的資本注入を受けた十五銀行中小企業への貸し出しの三月末見込み額をおまとめいただいて、本委員会提出をいただいたわけでございますが、昨年九月末の中間実績からいたしますと、この半年間での伸びが非常に大きいということで、当初、経営健全化計画達成が難しいんではないかという報道もございましたので、私どももある意味では意外な感じがしたといいますか、どうしてこれだけ伸びたんだろうかな、こういうこともございまして、本日再び杉田会長お越しいただきました。また、特に昨年の九月末から本年の三月末までの貸し出し伸びが一番大きかったということで、富士銀行山本頭取にもお越しをいただいたわけでございます。  今、渡辺委員からも指摘がございましたように、今までこの委員会の中で、これだけ中小企業への貸し出しが急激に伸びた一つの事例として、特に優良な中小企業に対して、特段の資金需要がないにもかかわらず短期の貸し出しを引き受けてもらったんではないか、こういう指摘もされておりますし、また、例えば大企業に貸し出す際に、その大企業の子会社である中小企業に一たん貸し出してから大企業への貸し出しをしたんではないかというような指摘も出されたわけでございます。  したがいまして、この際、中小企業への貸し出しをこの半年の間に急激にふやせたその理由について、特に、いつごろから大きく伸ばすことができたんだという経緯も踏まえて、また、具体的な事例も交えてわかりやすく御説明をいただければと存じますので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。
  15. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  下半期中小企業向け貸し出し増加いたしましたのは、上半期に実施しましたいろいろな施策が実を結びましてその効果があらわれ始めましたことや、各行とも計画達成に向けて積極的に取り組んできた成果が出てきたのではないかというふうに思っております。  私としましては、先般の参考人質疑の際、とりあえず全銀協として、速報値といいますか実績見込み値として数字だけを取りまとめてまいりましたので、定性的な内容については、各行さんの状況については熟知しておらない、そういうことを前提にお話しさせていただきますが、全銀協としていろいろな施策をどうとってきたかについてちょっと御説明をしたいと思います。  全銀協といたしましては、下半期には加盟銀行あて金融円滑化を周知徹底してまいりました。昨年の十一月三十日、企業資金需要が高まる年末を迎えるに当たりまして、年末に向けた金融円滑化に全力を挙げて取り組む旨の申し合わせを行いました。また、十二月の初旬には、金融監督庁経由中小企業庁から年末の中小企業に対する金融円滑化についての要請がございまして、これを周知徹底いたしました。さらに、十二月の十六日には、金融再生委員長金融機関懇談会がございまして、年末、年度末の金融円滑化に関する要請がございました。これを周知いたしました。また、同懇談会におきましては、金融再生委員長から、経営健全化計画における中小企業向け貸し出し計画達成に向けて努力するようにとのお話もございました。加えまして、翌年、今年の一月十三日に行われました頭取社長級金融監督庁との意見交換会におきましても、経営健全化計画における中小企業向け貸し出し目標達成に向けて努力してほしい旨のお話もございました。  このようなことを踏まえまして、各行計画達成に向け一層の努力を行ったというふうなこともあろうかと思います。  次に、当行につきまして申し上げますと、平成十一年三月に資本注入をいただきまして、平成十一年度初めより早期健全化法の趣旨にのっとりまして中小企業向け融資の拡充に向けて積極的に取り組んでまいりました。平成十一年度初めの時点では、景気の不透明感も強くございまして、企業資金需要も低迷しておりましたので、思うように融資伸びておりませんでしたが、対象先約三千社につきましてメーン化検討会を実施いたしますとか、顧客ニーズ早期把握に努めまして貸し出しシェアアップを図ったり、あるいは新規専任担当者、これは百五名でございますが、中心新規開拓に注力するなど、さまざまな諸施策を講じまして、上半期では、実勢ベースで二千五百三十億、それから年間増加額で四千百億円の約六〇%を達成することができました。  下期に入りますと、資金需要回復も感じられまして、上期に実施してきました諸施策効果、例えば中小企業にも使いやすいような、取扱金額を小さくいたしました固定金利貸出商品等の取り扱いの実績伸びましたことや、営業店サポートのためのスタッフを本部内に設けまして、スピーディーに提案をし、あるいは対応力を強化しましたことによりまして、これが貸し出し実行につながってきたこともあります。  等々で、年間増加額計画の四千百億円を上回る六千四百—六千九百の増加となっておりまして、上期、下期の内訳で申しますと、上期で四割、下期で約六割というような達成状況になったかと思います。  以上でございます。
  16. 山本惠朗

    山本参考人 私ども、御指摘のとおり、下期に大幅に増加したわけでございますが、私ども平成十一年度、中小企業中心良質貸出資産増強運動というものをやっておりまして、商品の品ぞろえにつきましても、中小企業育成ファンド、その他いろいろな中小企業向け貸出商品を開発してまいりました。また、チャネルといたしまして、本店を中心に、専門家が直接電話その他で対応できるビジネス金融センターというものをつくりまして、受け入れ体制の強化を図ってまいりました。こうしたものの成果が下期になって徐々に貸し出し増加につながってきたという認識を持っております。  また、全般的な状況としましては、しばしば指摘されておりますように、直近の日銀の短観、あるいは、この一両日乱れておりますが、株式市場回復というようなことから、景況感の改善と設備投資底打ち感が示される結果が出ておりまして、私ども中小企業資金需要につきましても、業種別あるいは個別に跛行性はございますものの、全体として前向きな資金需要が見られるようになってきております。そうしたことから貸し出し増加につながったというふうに考えております。  以上でございます。
  17. 石井啓一

    石井(啓)委員 大変にありがとうございます。今後ともぜひ中小企業向け貸し出し増加には御努力をいただきたいと存じます。  以上で終わります。
  18. 金子一義

    金子委員長 次に、西田猛君。
  19. 西田猛

    西田(猛)委員 保守党の西田猛でございます。  杉田参考人山本参考人におかれましては、早朝より御苦労さまでございます。よろしくお願いをいたします。  まず冒頭お伺いをいたしたいと存じますが、端的にお答えいただきたいのであります。  銀行は当然私企業でございますから、私企業としての経営の態度、それから社会的な責務ということについて、両頭取はどのようにお考えでございましょうか。
  20. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  銀行は、私企業であると同時に、やはり社会的公共性といいますか、社会的な一種の公器、公的な機関であるという性格もあると思います。  したがいまして、私的企業としては、何といっても資本主義における私的企業でございますので、やはり収益の極大化を図っていく努力をしてまいるわけでございますが、一方で社会的公共性というものを重視していくという中で、やはりバランスをとった経営ということが一番肝要ではなかろうか、このように思っております。
  21. 山本惠朗

    山本参考人 銀行社会的責任私企業としての経営のあり方という御質問だと思いますけれども銀行というのは、一般企業とは違いまして、特殊な業種であるというふうに認識しております。良質資金安定供給を初め、金融面からお客様ニーズに的確にこたえていくというのが経営基本的な責任であるというふうに考えております。  また、社会的責任という観点につきましては、日ごろ、私どもは、取引に当たってのコンプライアンスというものを経営の行動の基本に据えておりまして、そういう面で、誠実公正な業務遂行を行っていくということに心がけているところでございます。  以上でございます。
  22. 西田猛

    西田(猛)委員 ありがとうございます。  そのような中で、マーケット、金融市場の中における私企業としての銀行競争ということは、どのような項目について、どのような形でなされるべきだというふうに両頭取はお考えでしょうか。
  23. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  目下、日本版金融ビッグバンがいよいよ本格的な仕上げに向けて進んでおるわけでございますが、そのような競争場裏におきまして、私ども常日ごろ考えますところは、結局、お客様に対してどれだけ良質サービス、総合的な金融サービス提供できるかということにかかっているかと思います。  そういう中で、私どもは、金融再編といううねりの中で、個々の銀行経営としてはいろいろな手を打っておるわけでございますが、いずれにいたしましてもキーワードは顧客第一、お客さんにどういうサービス提供できるか、やはりこういうことをめぐって競争が進んでいくんだろう、このように思っております。  以上でございます。
  24. 山本惠朗

    山本参考人 金融市場銀行競争というのがどうあるべきかという御質問かと存じますが、最近、規制緩和という方向で、世界金融市場競争活発化を図っております。  日本においてもそうした方向行政が行われているわけでございますが、このことを通じて、我々金融機関は、いかにそれぞれが緩和された規制の中で工夫を凝らして顧客利便性向上あるいはよりよい商品提供ということで顧客に支持されるかということに努めているところでございまして、我々の競争というもの、あるいは銀行が、金融機関が最後に残る基本のものは、顧客に支持されるということにあると考えております。そうした一点に向けて企業努力を続けているところでございます。  以上でございます。
  25. 西田猛

    西田(猛)委員 ありがとうございました。  今、銀行協会会長、それから富士銀行頭取におかれましては、顧客第一、あるいは顧客に支持されること、それから、ただ銀行については特殊な業態であるという御発言もありました。ビッグバン規制緩和というふうなことをおっしゃったわけでございます。  さて、そのような中で、規制緩和ビッグバンが進んでくる段階以前のいわゆる大蔵省による、あるいは政府と言ってもいいんだと思いますけれども銀行についての監督、それから銀行行政ということについて、未来を展望するために、過去の銀行行政について両頭取はどのようなお考えをお持ちであったか、お持ちであるかということをお伺いできますでしょうか。
  26. 杉田力之

    杉田参考人 過去の金融行政についての評価につきましては、まだ私自身きちっと総括しておるわけではございませんので、ちょっとここでのお答えについては御容赦をさせていただきたいと存じますが、いずれにいたしましても、金融ビッグバンが進む中で、金融界におきましても、また金融行政におきましても、透明性の高い、事後監視型行政への転換が図られていかなければならないし、またそのように進んでいるということを実感しているところでございます。  以上でございます。
  27. 山本惠朗

    山本参考人 お答え申し上げます。  従来の銀行行政というものが、しばしば指摘されておりますように、護送船団方式と言われるような手法がとられてきたということはそのとおりだと思います。その後、銀行法の改正その他いろいろな規制緩和の中で、行政の対応も私どもから見て着実に変わってきているというふうに思います。自己責任原則と市場規律に基づく透明性の高い金融行政への転換というのが進み始めているというふうに思っております。  ただ、率直なところ、行政側、我々、双方において、この新しい方式についてお互いのコミュニケーションが十分なれてきたかということになりますと、まだこれから工夫の余地があるというふうに認識しているところでございます。  以上でございます。
  28. 西田猛

    西田(猛)委員 ありがとうございました。  そのような中で、過去の銀行行政あるいはバブルの崩壊という経済状況はございましたけれども日本銀行が幾つか破綻を来すという状況がございました。これは、先日銀行協会会長にはお伺いしましたので、富士銀行頭取にお伺いをしたいのでございます。山本参考人にお伺いしたいのですが、日本長期信用銀行の破綻に関する処理のあり方について、個人的な見解で結構でございますから、どのような感想をお持ちでしょうか。
  29. 山本惠朗

    山本参考人 全く山本個人の感想として申し上げます。  長銀の問題の処理につきましては、金融再生委員会など、新しい問題の処理に当たって、金融システム安定化の観点から、大変な御努力をいただいた結果であるというふうに認識しておりまして、特にこれについて大きな問題があるというふうな認識は持っておりません。
  30. 西田猛

    西田(猛)委員 それでは最後に、両参考人にお伺いしたいと思いますが、私たちは早期健全化法ということを主導してつくらせていただきました。これは、市場淘汰ということを原則として、倒れるべき金融機関は倒れなければいけない、しかし生き残っていただける銀行にはたくさん資金をある意味で注入させていただいて、そして日本経済に潤沢な資金供給していただきたい、日本経済に回していただきたいという思いでつくりました。そのような中で、早期健全化法に基づいて注入された公的資金、これはすべからく早期に国庫に返済できるというふうにお考えでしょうか。
  31. 杉田力之

    杉田参考人 金融早期健全化法が成立いたしました後、私どもも昨年の三月に公的資金の注入をいただきました。ようやく資本の増強ということが果たせまして、いわゆるリスクテーク能力あるいは貸し出し余力というものが生じたわけでございますが、そうした意味で、今、金融円滑化に、あるいは円滑な資金供給ということを社会的使命と心得て懸命に努力しているところでございます。注入していただきました公的資金につきましては、経営健全化計画でスケジュールを一応立てることになっておりますし、私どもとしましては、予定されたスケジュールどおりに、一円も毀損することなく御返済しなければならないし、できるものというふうに確信しております。  なお、私どもは、個別の銀行状況を申し上げて恐縮でございますが、三行で事業統合をこの秋に行うことになっておりますが、そのために、経営健全化計画というのは当然見直しをしていくわけですが、その見直しの過程でも、事業を統合することによって当初の予定よりも早期に返せる努力をしていかなきゃいかぬな、返していかなきゃいかぬな、このように思っているところでございます。  以上でございます。
  32. 山本惠朗

    山本参考人 公的資金の返済についての御質問かと存じますが、営業基盤の強化によって付加価値を増強すること、それから大幅なリストラによって経費を削減すること、これらを基本といたしまして、内部留保を着実に積み上げていき、注入をしていただきました優先株につきましては、自己資本に余裕が生じた段階でできるだけ早期に償還あるいは消却をしてまいりたいという方針で対応しております。  また、杉田頭取と重複するわけでございますが、私ども三行の統合によりまして、中長期的に見ますと、収益の増強、コスト削減が一段と加速される計画を持っております。したがいまして、今申し上げましたような消却、償還というものにつきましては、単独の銀行計画していたものよりは前倒しの対応が可能であるというふうに認識しております。
  33. 西田猛

    西田(猛)委員 十分に質問の通告ができない中で、御懇切にお答えいただきまして、ありがとうございました。  以上で終わります。
  34. 金子一義

    金子委員長 次に、上田清司君。
  35. 上田清司

    ○上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。  本日は、参考人のお二方に、御協力ありがとうございます。  まず、先般杉田会長の方から提出いただきました下半期伸びについて、特に富士銀行の場合はその伸び額が全体の三分の一弱あるということで、大変驚愕しているようなところがございまして、しかも、先日杉田会長はいろいろ工夫してというふうなお話をされて、それは他意はないということでありますが、何か特別に、資金需要のないところも含めて、例えばとりあえず借りてくれというような形での工夫というのは全くなかったと言えますか。富士銀行の方から。
  36. 山本惠朗

    山本参考人 今、とりあえず借りておいてくれというようなことがなかったかという御質問でございますが、私どもは、昨年、中小企業中心とした良質貸出資産増強運動というものを上期から実行してまいりました。そうした中で、徐々に運動の成果が出てまいりまして、下期に急速にそれが開花していったという認識をしております。具体的なケースで、とりあえず借りておいてくれということがなかったかということになりますと、詳細に個別案件を私は全部つかめておりませんので、正確なお答えは御容赦をいただきたいというふうに思います。
  37. 杉田力之

    杉田参考人 まず、私どもとしましては、下期ふやす、あるいは上期からもふやしているわけですが、どのようなことをやってまいったかということについて、若干金額も含めて申し上げますと、いろいろな創意工夫というのは、私は、いろいろな施策を展開してまいりました、施策を打ってまいりましたというつもりで申し上げておりますことを再度ちょっと御理解いただきたいと思います。  私どもがやりましたことにつきましては、まず新商品の開発ということでスタッフを拡充いたしました。固定金利商品の拡充でございますとか、あるいは小口化をいたしまして、中小企業向け融資商品のラインナップを充実いたしました。具体的な商品で申し上げますと、十一年の八月の中旬から中小向けの固定金利貸し出しと固定金利転換可能型ローン、また十一年の十月の下旬からは固定金利予約型ローン、こういった商品の取り扱いを開始いたしました。これが十二年の三月末までに累計で約千八百件、金額で千三百五十億円の取り扱いの実績を上げております。  それから、営業店サポートのため、本部内に専門スタッフ、それからビジネス・ソリューション班というのを十一年六月に設置をいたしました。ここでは、事業戦略、例えば商あっせんでございますとか不動産とかMアンドAなどを行うところでございますが、それから経営戦略、これは事業継承でありますとか経営相談等を扱うところでありますが、こういった各種の顧客ニーズを一元的に管理いたしまして、スピーディーな提案力、対応力を強化してまいりました。この相談件数が千七百件ほどにも及びまして、その効果が下期にあらわれ始めました結果、貸し出し実行に結びついた案件としましては、約二百七十件、約七百億円の実績となっております。  さらに、これは新規の開拓ということでありますが、専門スタッフを拡充いたしまして各店に配置をいたしまして、新規開拓に注力いたしました。それは年度間で実績が約二千億円程度となっておりまして、このようにいろいろな諸施策を懸命に実施してきておりまして、これが中小企業向け貸し出し増加に寄与したものというふうに思っております。  なお、お客様融資を頼んだことはないかというお尋ねの点に関しましては、私ども営業活動の一環としていわゆる貸し出しをセールスするということはあり得るかもしれませんが、お客様の御意向に反し、あるいは無視して無理に御融資していることはないというふうに認識しております。  以上でございます。
  38. 上田清司

    ○上田(清)委員 山本参考人にお伺いいたしますが、個別の事情についてはわからないと言っておられましたけれども、これは全国の支店網にいろいろな形で指示をされると思うんですね。健全化計画の中で約束された中小企業貸し付け計画を実行する必要がある、このように判断されて、当然昨年の十二月に金融監督庁からも文書でそのような催促の文書が出、そして一月に越智委員長から関係者を集めて催促のお願いをされた経緯がありますから、当然各支店に基本的な方針を上げて出されたはずですから、例えば、先ほど私が例を申し上げましたように、借りたくなくても数字のつじつまを合わせるために、年度末に借りて年度が明けたらすぐ返して結構だからというような、そういうことは指示しなかったですねということを確認しているんですよ。あったかなかったかを頭取が一つ一つ知らないのはわかります。そうじゃなくて、明確にそういう数字のつじつま合わせをするようなことはしていないということをお答えいただきたいです。
  39. 山本惠朗

    山本参考人 つじつま合わせをするような指示をしたかということでございますが、私どもは、営業店に対しまして期末の期待水準、努力目標というものを設定して、それに向けて取引先の健全な資金ニーズに対して最大限こたえるように指導を徹底してまいりました。  短期的な部分についての御質問でございますが、先ほど杉田頭取の前に私がもう少し詳しく御説明をしておくべきだったと思いますので、御説明を先ほどの件とあわせて申し上げさせていただきたいと思います。  私どもは、平成十一年度につきましては、健全化計画の実行の実質……(上田(清)委員「端的に答えてください。私が質問したのは、端的に答えてくださいと言っただけですから、そういうのは一々要らないです」と呼ぶ)背景として御理解をいただきたいと思って申し上げているわけでございますが、そういう方針で、十一年度は、中小企業中心良質貸出資産の増強を経営の大きな柱として運営をしてまいりました。良質貸出資産増強運動というものを率先してまいったわけでございます。営業店に対しましては、中小企業育成ファンドその他幾つかの新しい商品をもってお客様需要におこたえするようにということで、サポートをしてまいりました。  営業店に対する指示、数字の努力目標等については、先ほど申し上げたとおりでございます。
  40. 上田清司

    ○上田(清)委員 お答えになっておられません。それをお伺いしたんじゃないんですから。取締役会でスピーディーに、極めて簡単に物事を決めていかれるような答弁をしていただきたいと思います。端的に私が聞いたのは、支店等に基本的な方針を出されるときに、数字のつじつま合わせだけはするなよとか、そういう指示をなされたかどうか、それだけを確認したいんです。
  41. 山本惠朗

    山本参考人 数字のつじつま合わせの点についてでございますが、私どもは、三月の末につきまして目標値を投げておりまして、営業店に対しましては、都度、このめど値の必達について実現をするようにということは言っております。他方で、審査部におきましては、個別の審査に当たりましては、御指摘のようにつじつま合わせのために取り上げるというようなことについては、私としてそういう指示をしておりません。
  42. 上田清司

    ○上田(清)委員 数字のつじつま合わせはしなかったという御回答であります。いずれ機会がありますので、またその点については明らかにさせていただきたいと思います。  ただ、私ども、日銀の二月の速報値、これは皆様の数字は実勢ベース、日銀のは残高ベースでありますが、二月の速報値を見ましても、引き続き融資残高がマイナスになっております。そういう現況からして、一気に、富士銀行に至っては一兆二千億から一兆三千億の幅で実勢ベース貸し出し伸び下半期あるということに関しては重大な疑念がありますことを私はあえて申し上げたいと思っております。この点については、また機会がありまして、やらせていただきたいと思います。  そこで、私ども超党派で、昨年の十二月の十三日に衆議院規則第五十六条の三の規定に基づいて予備的調査要請書を衆議院の議長に提出し、認められまして、各銀行協会あるいは地銀協会等々に調査のお願いをいたしております。その資料のわずか一部でありますが、この中で極めて私どもが不信を持ったのは、当時、バブルの時代に銀行、生保などの金融機関の行き過ぎた営業活動による個人債務者、契約者の被害の実態等々について調査の要請をしたところでありますが、実は、例えば大型フリーローンなんかについてのさまざまな調査項目に関して、地銀は全部答えておりますが、都銀の皆様方はことごとく答えていないという極めて不誠実な対応がございます。  例えば富士銀行の回答でありますが、平成十二年一月十九日付の書簡、衆議院発十六号の三において協力依頼がありました予備的調査に関し、別紙のとおりお答えいたします。このとおりこれを言いますと、なお、別紙の項目以外の事項につきましては、公表しているデータがないこともあり、回答を差し控えさせていただきます。公表されていれば我々は調査を頼まないんです。公表していないから調査のお願いをしているのでありまして、極めて不届きな回答書であります。  いいですか。同じ内容で、北海道銀行などは今の二行に比べて二十七ページ、ちゃんと答えているのですね。  こういうことが本当に大手銀行の対応なのか。第一勧銀もそうですからね。同じような対応なのですが、この予備的調査について、どのような御指示とまず受けとめられたのか。これは個別十五行にお願いした経緯がございますので、協会で頼みましたので、大変恐縮ですが、杉田会長の方に、協会としてどのように受けとめられたか、そしてどのように回答することを意識されたか、御答弁をお願いしたいと思います。
  43. 杉田力之

    杉田参考人 お答えをいたします。  まず、全銀協で取りまとめるとか、あるいは回答の内容についてどのように示し合わすとか、そういったことについては一切ございませんし、そのようなことは全銀協の活動の中には当然ないことでございます。  私ども第一勧業銀行といたしましては、御依頼いただきました調査項目のうち回答可能なものにつきましてはお答えをさせていただいたつもりでございます。  例えば、取り扱い開始以降直近までの月別かつ資金使途別の販売件数と契約など、その全部または一部に保有するデータがございませんでしたことから、一部に御回答できなかった項目もございます。また、監督当局と銀行にかかわる事柄につきましては回答する立場にないという考えから、御協力できなかったものもございます。  ただ、先ほど申しました資金使途別の販売件数とか契約高、この件で、例えばこの一年間のトータルの取扱件数と契約高というような制約つきでやれば、データを申し上げることができる状況でございます。  ちなみに、この点、この場で数字を言わせていただきますと、平成十二年三月までの一年間で二千七件で七百六十二億円ということでございます。しかしながら、これは書面では、御要求いただきました、お求めになっているデータの内容と合致しませんでしたものですから、お答えは控えさせていただいた経緯がございます。  以上でございます。
  44. 上田清司

    ○上田(清)委員 例えば、大型フリーローンについての調査依頼をして回答状況がありますが、先ほど申し上げましたように、地銀は全部答えております。各項目に関して、一から六まで。しかし、第一勧銀、富士、ほかの銀行もそうでありますが、第一勧銀は一と三だけ答えて、あと四項目、六は二つに分けておりますけれども、正確に言えば五項目、二項目答えて五項目一切答えないという極めてふまじめな対応をなさっておられますけれども、追加して調査に対する回答をしていただけますか。これだと本当に社会的な責任を果たせませんよ。地銀がきちっと答えられるのに、大手行は全く答えない。  資料を渡しておりますので、どうぞ、この件についても確認するということを言っておりますので、お答えをしていただきたいのですが、杉田会長山本頭取お願いいたします。
  45. 杉田力之

    杉田参考人 いま一度、御要求のございますデータに全部合致するかどうか、そういう作業ができるかどうか検討いたしますが、御要請のあるきちっとしたデータでなくても、こういう制約つきでこういう範囲であればこういうのがございますとかいうことで、弾力的にお考えいただければ何とか検討してみたい、このように思っております。
  46. 上田清司

    ○上田(清)委員 ちょっと答弁の前に。私どもはプライバシーにかかわるような要求の仕方をしておりません。例えば、販売件数であるとか契約高であるとかあるいは融資残高であるとか代位弁済の件数、金額とか競売申し立ての数だとか、数字の問題ですから、押さえてあるものそのまま出せば済む話でありますから、それすらも出されていないというこの現実に対して猛省を促したいのですよ。  なぜなら、地銀はちゃんと出しているのですよ、すべての銀行が。なぜ大手行だけ出さないのか。それも申し合わせたように同じような回答をしている。極めて不届きな、不見識な中身であります。これは院の議長を通じて出されたものですよ。国会全体の意思なんですから国民全体の意思だと思っていただきたいというふうに私は思いますので、ぜひそのことを踏まえて、山本参考人にはお答えをしていただきたいと思います。
  47. 山本惠朗

    山本参考人 私ども、可能な限りの保有しているデータに基づいてお答えしたわけでございますし、また、公表しているデータがないというような言葉がちょっと適当でなかったかもしれませんが、例えば直近の一年間のデータというようなことでありますと保有しているものもございますので、改めてどういうものが報告できるか検討させていただきたいというふうに思います。
  48. 上田清司

    ○上田(清)委員 今の御答弁もおかしい。バブルの時期のことについての調査のお願いをしているのでありまして、直近の一年の話をしているわけじゃありませんから。質疑内容はきのうレクさせていただいておりますし、この予備的調査も院から出されたものでありまして、極めて公式文書でありますから、そのような答弁をされると非常に困るのです、とんちんかんじゃ。今のはとんちんかんですよ、直近の一年のだったら公表できるなんて。そういう予備的調査はしていないのです。何を勘違いされているのかよくわかりませんが、大変失礼な言い方ですけれども、とんちんかんですよ、今のは。  バブル時期におけるさまざまな被害、裁判も山ほどあるじゃないですか。そういうことについての実態調査をお願いしているわけであって、二度とそういうことがないようにということで我々は実態調査をして、何に問題があったのか、どういう法的な未整備があったのか、そのことを確認してさまざまな法案づくりに役立てたいという思いでやっているのですから、警察じゃないのですから、その点を確認してください。何か今のはおかしいですよ。もう一回答弁してください。
  49. 金子一義

    金子委員長 きのうの打ち合わせが十分じゃなかったのかどうか。今の上田先生に対して、もう一遍御答弁できますか。直近一年ではなくて、バブル期のいわばその問題についてということなのです。  山本参考人
  50. 山本惠朗

    山本参考人 先ほど申し上げましたのは、私は、現在保有しているデータについて、直近のものはあるけれども、過去のものについてなかったので御報告をしなかったということを申し上げたわけでございます。過去のものにつきまして、再度これからデータがあるかどうかもう一度検討させていただきたいというふうに思います。  報告の時点では、私どもがまとまって所有しているデータがなかったということでございます。御理解をいただきたいと思います。
  51. 上田清司

    ○上田(清)委員 ここのところで余り時間を使いたくないのですが、山本頭取は若干何か勘違いされていると思います。  いいですか。一部販売内容だとかの記録は保持されて、そういうものは記録されているのだけれども残高が記録されていないとか契約高が記録されていないとかいうのはおかしいじゃないですか。全部記録が抹消されているというのだったらいいですけれども、一部はちゃんと出していらっしゃるわけですよ。都合の悪いところだけ要するに出していないだけじゃないですか。おかしいのですよ、お答えが。中身の性質が違いますからここで審議ストップというわけにもいかないのだけれども、普通の質疑だったら審議ストップなのですよ、申しわけないけれども。  これは議論あれしますが、極めて不誠実、なおかつあれですから、ぜひ委員長を通じて——若干私は不満がございます。調査そのものは院のものですから、こういう機会ですから、ぜひこの中身の実態についてお伺いしたいということで、なぜ御回答されていなかったのか、そのことを確認したかったんですから。  記録がないなんというのはおかしいわけでありまして、契約の内容の記録があって残高の記録がないなんというのは、そんなおかしなことはないはずです、銀行であれば。そんなことを言っていたら信用取引なんかできなくなりますよ、きついことを言って恐縮ですが。  それでは、これはもうそのままにしておきますので、個別に、もう一回ちょっと丁寧にお願いしたいと思います。  それで、健全化計画でございますが、一九九九年三月、昨年でありますけれども、この中で、四年間で三兆三千九百億、業務純益を七〇%増加させる、そのために、十五行で二万人削減、一三・八%ですね、支店で一四%弱の四百五十拠点を閉鎖する。そして、経費節減予定が三千三十五億、こんな感じでありまして、十五行で四年かけて、経費合計が三兆六千億の中で、いわば人件費の削減は、結果としてはこれは八・四%にしかならないと。  資料として、鉄鋼五十社と全国銀行(第二地銀を除く)の人件費の伸び資料を御配付させていただいておりますけれども、大変人件費を縮減されたというようなことも御答弁されておられます。賞与を除いて月ベースで四十六万円、先般そういうお話もございましたけれども、ここを見てわかりますように、今回の健全化計画の一〇%カットであっても、一九九〇年当時の水準に戻られるという形でありまして、鉄鋼五十社の人件費の伸びからすると、相当違いがございます。したがって、どういうことかと申し上げますと、人員を二万人、一三・八%削っても経費ではわずかに八・四%減にしかならないということでありまして、どちらかといえば新規採用を抑えるとかそういう形ですから、後年度負担はずっと続くということですから、銀行の収益ベースというのがなかなか厳しいんではないかというような判断を私はしております。  そこで、これはマッキンゼー社の調査研究でありますが、こういうベンチマーキングの形で出された資料を今提出しておりますけれども、ドイツとアメリカと日本の自己資本比率、あるいは経費、利ざや、そして資産の生産性等々の比較をして、いずれも大変日本が劣るということであります。今のベースの健全化計画においてもなかなか厳しいものが見られるなということで、このマッキンゼー社のアドバイスでは、利益を三倍にして、経費を二五%カットして、資産を五五%減らせ、そうすると欧米並みになるんだというようなことも言っておられます。  私も銀行経営のことはわかりませんが、銀行の給与、賞与を含めて、正当なものか、削減されて、他の業務分野と比べて妥当なものかどうかということについての認識が一点、そして、欧米の銀行並みにすることが必要なのかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。それぞれお願いしたいと思います。
  52. 杉田力之

    杉田参考人 まず、ただいまの、我々の銀行業務のありようの中で、給与水準なり報酬、給与が妥当かどうか、あるいは、今目指している削減の方向で十分なのかどうかという点についてでございます。  私ども、これからも削減に努力をしてまいる次第でございますが、そのような決意をしておるところでございますが、私ども、今処遇の面で一つ掲げております考え方というのは、やはり業務に見合った処遇ということで、業務の内容に応じてもう少し処遇に開きがあっていいんじゃないかと。そういう中で人件費の総額が落ちるような体系、こういうのを目指しているわけでございます。今までは、どうしてもゼネラルなところで、業務の内容に応じてめり張りのない処遇体系というふうになっていたのではないか、ここを是正することが必要だ、そういう中で削減効果をさらに高めていくというふうに考えております。  それから二つ目の、これは川本先生考え方かというふうに拝見しておりますが、利益を三倍、経費を二五%減らしまして、資産五五%減、いわゆる欧米並み、特に米並みの金融機関というベンチマーキングはどうかということでございますが、これは、アングロサクソンの金融機関のあり方として大変理想だろうと。我々としても大きくはそういう方向を目指しているわけでございます。  ただ、経費はいろいろ努力をするにしましても、資産の五五%減、証券化とかいろいろやっているわけですけれども、やはり問題は、こうした理想の姿に近づくためにどれだけ時間軸を見るか。そう時間は余裕はないんですが、どのくらいの時間をかけてここに達するのかということがかぎだろうと思いますし、御案内のとおり、日本では、翌日から七千人レイオフするというようなことも大変、言うべくして難しい世界でございますので、日本型、できない言いわけをすると言われるかもしれませんが、そういったこともございまして、経営者としましては、その辺をいかにやっていくかということが日夜腐心しているところでございます。  以上でございます。
  53. 上田清司

    ○上田(清)委員 どうもありがとうございます。  それで、杉田会長、どちらかといえば第一勧銀の頭取としてお伺いいたします。  資料でお渡ししておりますが、KG—サブ、会社名ですけれども、KGI—A、KGI—B、KGI—C、KGI—D、J、Kと、アルファベットをただくっつけただけの有限会社、何か、桜田門商事だとか田安門商事だとか、聞いたような話でありますけれども、単純にKGIにA、B、C、D、L、M、N云々というような感じでつけられたような、俗にこういうのをペーパーカンパニーと言うんでしょう。特に八番目のKGI—C・LだとかKGI—L・Lなどは、一ドルが資本金の会社でありまして、俗に言うタックスシェルターとかタックスヘーブンだとかいうケイマン島の私書箱が本店でありまして、支店が全部虎ノ門の大手ビル三階にひしめいている企業であります。  一兆円前後の不良債権処理を、十四の名前を挙げておりますが、十三の会社に振り分けられて譲渡をされたと私どもは、確認したわけではありませんが、推測をしております。これについて、そのような事実があるのでしょうか。
  54. 杉田力之

    杉田参考人 第一勧業銀行責任者としてお答えをいたします。  当行は、一九九八年三月に、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター社を投資家といたしまして、バルクセールを行いました。その取引の購入主体は、今先生お示しになりましたリストの中の上から二番目の有限会社KGI—A一社のみであります。したがいまして、リストにありますその他のKGI—B社以下ICRJαL社などの十三社につきましては、当行とは全くかかわりがございません。  なお、KGI—A社は、あくまでモルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター社の側で設立したものでございまして、当行とは資本関係、人的関係とも一切ございません。  ちょっとお時間をいただいて御説明をさせていただきますと、今申し上げましたバルクセールというのは、複数の貸出債権をまとめまして第三者に一括して売却することの総称でございまして、現在では、不良債権の最終処理法として広く一般的に認知されているものと思います。特に、日本金融機関が売り手、それから欧米の投資家が買い手という構図で大体定着しておるかと思います。  先ほど一兆円という御指摘がございましたが、当行がこのKGI—A社と行った取引はそのような大きな金額ではございません。全くけたの違う金額でございまして、約百億円程度でございます。  不良債権の最終処理それから財務の健全性の確保は、銀行経営にとりまして喫緊の課題でございます。長期にわたりまして回収エネルギーを要するような債権につきましてはバルクセールにより最終処理を行うことについては、有力な手段の一つではなかろうかというふうに考えております。  私どもといたしましては、バルクセールを行う際には、次の、今申し上げる二点を特に重要視しております。  その一つは、売却形態は当行とは一切関係のない第三者への完全な売り切り型であるということ。それから二点目が、当該スキームが関係諸法令に照らして違法性がないことを当行が確認するだけでなく、売却先にも同じレベルの対応を求めるということとともに、契約内容の具体的な盛り込み、法令に違反していないことの確認、表明義務を負わせた上で行う、こういうようにやっておるところでございます。  このKGI—A社との取引につきましても、当行は、当該取引が関係諸法令に適合していることを確認しておりまして、かつ、同社にも同レベルの対応を求めまして、契約書でその旨の確認、表明をさせていること、また売り切りであることなどから判断して、全く問題がないというふうに判断しております。  なお、一般的に言われております飛ばしということにつきまして私なりに考えてみますと、まず、関係会社等の親密な先への合理性のない売却を行いますとか、あるいは売却価格に透明性がない、すなわち、第三者の評価がないとかあるいは入札方式をとっていないとか、それから、買い戻し条項があるとかあるいはバックファイナンスを出すとかといったことが組み合わさっていることを言うのかなというふうに勝手に思いますけれども、そのKGI—A社との取引につきましては、今私が申し上げたようなことについて該当することは一つもございませんで、いわゆる飛ばしと言われるような要素も全くないというふうに断言できるか、このように思っております。  そもそも経営にとりまして、不良債権の最終処理を促進するという課題からして、飛ばしというような行為を行うことは全く何の意味もないというように考えておるところでございます。  以上でございます。
  55. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。力強い御答弁でございましたので、その点については極めて高く評価させていただきたいと思います。  この代表者のシュミット・フレデリック・カツロという方、経営者という方、どのような経歴でどのような御商売をやっていらっしゃるかということについては、頭取は御存じなんでしょうか。
  56. 杉田力之

    杉田参考人 その方の属性につきましては、正確かどうかは定かではありませんが、私なりにその情報は持っておりますが、内容につきましては、守秘義務もございまして、回答につきましては御容赦願いたい、このように思います。
  57. 上田清司

    ○上田(清)委員 知っておられるということであれば、それはそれで結構でございます。  私どもが調べたところでは、それなりの調査機関に頼んでも、どのような経歴なのか、どのような仕事をされてきたのかわからない状態でございます。また、この会社も巨額のお金を動かしておられる形跡が見られますし、十三社が同じ建物の中に入っているわけでありますけれども、動いておられる方は四、五人。そして、具体的にインタビューをしても、一切お答えできない、そういう状態であるということを、私はあえて申し上げておきます。私どもから見ると、十分正体がわからない企業あるいは経営者ではないかというふうに思いますので、また改めて機会を設けさせていただきたいと思っております。  それでは、もう一度第一勧銀の杉田頭取お願いをいたします。  私ども民主党の銀行監視プロジェクトチームで、自民党への献金問題について報道がございましたので、一応念のために文書でそういう事実があるかないかということを確認しましたところ、各行は全部ない、お話すらないというようなことだったんですが、第一勧銀だけは回答を差し控えさせていただきます、こういう御回答でありましたので、なぜ差し控える御回答になったのか、お尋ねをしたいと思います。
  58. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  平成十二年一月二十五日付で御回答申し上げているとおり、当行は従来から献金については、個別の政党や政治家に対するもののみならず、一般の財団等への寄附についても、要請の有無を含めまして一切公表していないということで、回答は御容赦を願った次第でございます。
  59. 上田清司

    ○上田(清)委員 各行はそのような事実はないという御回答をいただいたわけでありまして、差し控えるというのはいかがなものかというふうに思います。  今、銀行の信頼性が問われているわけでありまして、私どもも相当な費用をかけまして銀行業界の調査を党でやりました。どのような印象を国民が持っておるかということについて、相当数出てきたわけですが、公的資金を投入すること自体についての国民の不満というか批判はそんなに強くないんですね。むしろ、結果として銀行を甘やかしたんではなかろうかというような考え方を持っていたり。  ただ、一番問題なのは、銀行の公開性やそれから経営者の責任、こうしたものに対してとっていないじゃないかとか、そういうことが強くこの調査の中で出てきておりますから、第一勧銀だけはお答えにならない、各行はお答えになるということであれば、第一勧業銀行はそういう銀行だということの一つの証拠になってしまうということを……。胸を張って、別にやっていませんと言えばそれだけのことでございますから、差し控えまするというのは私には合点がいかないんですが、それは結構でございます、このことでまた時間をとりたくないと思いますので。  富士銀行にお尋ねをさせていただきます。  御承知のとおり、戦後最大とも言われます富士銀行赤坂支店に関連する不正融資事件、これは未回収額が二千七百億程度だと私は聞いております。個別の数字については幾らかいろいろな試算の違いがあるかもしれませんが、この部分も富士銀行に投入された一兆一千億の公的資金の中から、金に色はついていないかもしれませんが、何らかの形で処理された可能性もありということで、私は重大な関心を持っておりまして、何回か決算委員会、大蔵委員会等々で質疑をさせていただきました。その間について、二点だけ確認をさせていただきたいと思います。  俗に言う尾花万里子さんへの融資は、富士銀行からすれば不正融資ではなくて正規の融資だと思っていたということを、当時の橋本頭取もお答えをされ、大蔵大臣当時の橋本大蔵大臣も答弁され、総理大臣当時の橋本総理大臣も答弁をされておりますが、時系列的に見たりあるいは検事調書を見ますと、どうしてもそれはおかしいというふうに私は判断をしておりまして、天下の富士銀行がうその答弁をされた疑いがあるというふうに私は思わざるを得ません。  その点について、大蔵省に御報告されたことが正しいのか、そしてまた、そのことは後で調べたら実は違っていたんだというようなことであれば、時系列的にも司法警察によるところの調書にも合致するわけでありまして、今までみたいな答弁をなされると、なかなかこれは真っ向から、時系列的にも、それからまた主犯の中村調書からも大きく乖離するものになりますので、この点についてお伺いしたいと思います。
  60. 山本惠朗

    山本参考人 いわゆる赤坂支店における不正融資事件について、尾花さんに対する貸し出しが、当時、富士銀行が、尾花さんが富士銀行の正当な融資であると認識していたということについて、時系列で見ておかしいという御指摘でありますが、そのことがどの部分がおかしいか、私よくわかりませんけれども、尾花さんにつきまして、事件発覚後いろいろ本人から私どもが直接伺ったところ、それから私どもの記録等から見まして、本人は富士銀行からの融資だというふうに認識をしていたというふうに判断をいたしました。  その後、尾花さんが富士銀行からの借り入れと認識していたことが明らかになりましたので、私どもとしては、尾花さんとの間で正規の貸付契約を締結しまして、担保の登記手続も終わり、正常な取引にした、こういうのが経緯でございます。  以上でございます。
  61. 上田清司

    ○上田(清)委員 きょうは時間がありませんので、金融監督庁を通じてこの件については徹底的にやっていきたいと思います。またもやうその答弁をされたというふうに私は理解をしております。  もう一つお伺いします。  先ほど時系列の話をしましたが、平成三年七月二日の「赤坂支店問題の対処方針」、個別案件処理で、尾花さんの案件がその中に載っておりますが、これが、私質問をかつてさせていただいたときに、プロジェクトチームが七月二日に発足して、八月十六日に調査が終了した、しかし、この案件の中身そのものは四十五日さかのぼらなければならない話でございまして、なぜ四十五日さかのぼって稟議書に印鑑を皆さんで押されたのかということを当時の西村銀行局長に伺ったところ、富士銀行の慣行だからしようがない、こんな御答弁をされておられました。山口銀行局長になられて、さすがにこの答弁はまずいと思われたのか、こういうことは不適切だ、当然一致するのが望ましい、概略すればこういったお話をされておりましたが、富士銀行では稟議書を四十五日さかのぼって日付を打ったりすることがあるんでしょうか。
  62. 山本惠朗

    山本参考人 御指摘の「赤坂支店問題の対処方針」という書類の件でございます。これは、少し時間をいただきまして、この書類の性格を御説明申し上げたいと思います。  七月の一日にプロジェクトチームを発令いたしまして、七月の二日から実働を開始いたしました。何分にも、非常に多岐にわたる問題、案件、関係者が、関係者といいますのはお取引先になるわけですが、非常に多いというようなことで、このプロジェクトチームが実際に行動をしていくにつきましては、詳細な検討を踏まえた対処というよりは緊急の対応が必要であったわけでございまして、私どもは、そうした個別の案件につきましては、担当の役員が文書、こうした稟議書という形態ではない文書をもとに口頭で指示を与え、方針を決めてまいったわけであります。  そうしたものを、行内の手続といたしましては、銀行でございますので、経営管理上の観点から、意思決定を明確に記録に残すということが私どものやっていることでございました。個別に決定をしていたこと、それから今後の対処方針、この二つのものを八月の中旬になりましてまとめたというのがこの文書の性格でございます。  この文書は、したがいまして、起案の日が七月二日付ということになっておりますのは、そうした決裁について、実態的に七月二日から行われていたものについて事後的に承認を与えるという性格のものが入っているということでございます。事実、この文書がつくられたのは、役員室に入った日付というものが文書の裏にナンバリングで記録されることになっておりまして、この日付で確認をしたところ、役員室の受け付けの日付が八月十六日というふうになっております。  それから、これは二日付の文書でございますが、七月二日以降の尾花さんの案件以外の件について、七月下旬に発生をいたしました事項が既に発生をしたという事実がこの文書に記載をされておりました。そういう点からも、八月十六日に役員室に入って、役員室の回覧、決裁が行われたということは、この事実からも時系列的に正しいというふうに考えております。  この点につきましては、平成八年でしたか、この件が週刊誌に取り上げられたときに、大蔵省に当該書類について今申し上げたようなことを確認していただいております。  以上でございます。
  63. 上田清司

    ○上田(清)委員 時間になりましたので、終わります。本当にきょうはありがとうございました。  私どもも、銀行の公的な責任や公的な性格を問題にしながら、利益はしっかり出しなさいというような、なかなか矛盾したことを申し上げております。大変悩ましい時期と重なっておりますが、そう遠くない時期に、銀行協会の方でも、きちっとした経営体でいくのか、あるいはそういう社会的な性格をきちっと認めた上で経営体としてやっていくか、そういう整理をする時期があるかと思いますので、そのことだけ申し上げまして、終わります。  きょうはありがとうございました。
  64. 金子一義

    金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
  65. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  先ほどの上田議員の質問に若干補足をして質問させていただきたいと思います。予備的調査の報告書の件でありますが、先ほどの御答弁では、直近の数字だけではなくて、過去にさかのぼって出せるかどうか、それを検討して、その上で回答したいというふうにおっしゃいました。  大型フリーローンについての資金使途別販売件数だけではなくて、四番、五番、六番、七番、例えば、系列保証会社が代位弁済している件数と金額、それから月別の競売申し立て数、これは当然数字がなきゃおかしいわけでありますが、この点について、これも一緒に報告をしていただくということでよろしいですね、杉田参考人山本参考人
  66. 杉田力之

    杉田参考人 お答えをいたします。  全体を含めまして、どの程度、どれが可能なのかについてもう一度検討したい、このように思っております。
  67. 山本惠朗

    山本参考人 全項目について可能かどうか、再度調べさせていただきたいというふうに思います。
  68. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ぜひ全体を、検討の上、最大限出していただきたいと思います。  次に、中小企業向け貸し出し計画達成の問題についてお聞きをしたいと思います。  前回参考人質疑の際に提出された十五行の達成状況は、前半ではほぼ横ばいでありましたが、後半になって急増しておりまして、前期の伸びと下期の伸びとを比べますと、六倍から七倍平均して伸びております。とりわけ富士銀行は最も大きなマイナス、九月時点で一千六百六十八億円のマイナスでした。それが、下期に急激に伸びておりまして、下期だけでの伸びた数字を言いますと、一兆二千六百五十八億から一兆三千百五十八億と、本当に大変な伸びをしているわけです。なぜこのような達成を実現できたのか大変不思議に思うわけであります。  先ほども幾つか御説明がありましたが、どうも納得できないわけでありまして、具体的な手段、どういう手段でこのような高い伸び達成できたのか、まず山本頭取にお伺いしたいと思います。
  69. 山本惠朗

    山本参考人 私ども中小企業向け貸し出しの増強について、どんなことをしたか御説明を申し上げたいと思います。  まず、平成十一年度といいますのは、健全化計画の実質第一年度という位置づけをいたしまして、この年、良質貸出資産増強運動、とりわけ中小企業にウエートを置いた、そうした全行の増強運動をやっております。一年間を通じてやってきたところでございます。具体的に、この運動を支えるものとして、中小企業育成ファンド、それから貸出優遇特別ファンド、その他各種の具体的な商品の開発をし、そういうもので増加を図るということを施策としてやってまいりました。  もう一つは、チャネルを変えて、もっとお客様が使いやすいようにしようということで、ビジネス金融センターというものを本部につくりまして、中小企業融資の専門部隊が相談に乗りながら貸し出しをふやしていくという体制をつくってまいりました。下期に入りまして徐々にこれが貸し出し増加として結実してまいりました。最終的に、株式市場回復が見られたというようなこと、さらに全体としての景況感が改善してきたというようなことから、中小企業資金需要につきましても、業種ごとあるいは個別企業ごとに跛行性はあるものの、全体として徐々に盛り上がってきたというような背景があるというふうに認識しております。  ちなみに、中小企業育成ファンド、貸出金利優遇特別ファンド等々で、件数にして約一万件、金額にしまして四千億円の貸し出し増加を行っているところでございます。
  70. 杉田力之

    杉田参考人 お答えをいたします。  当行の例で申し上げますと、融資拡大のポイントというのは、顧客ニーズに応じました最適商品提供をいかに迅速に行うかというふうに考えておりまして、主に中小企業をターゲットといたしまして諸施策を実施してまいりました。  まず、新商品開発に関しましてスタッフを拡充いたしまして、固定金利商品の拡充でございますとか小口化をいたしまして、中小企業向け融資商品のラインナップを充実したわけでございます。具体的な商品で申し上げますと、昨年の八月の中ごろから、中小企業向けの固定金利貸し出し、それから固定金利に転換できる可能型ローンというものを始めました。また、十一年の十月の下旬から、固定金利の予約型ローンというのも開発をいたしまして、取り扱いを開始いたしました。この新商品関係で、この三月までに千八百件で約千三百五十億円の実績を上げております。  二つ目に、営業店のサポートというのがございます。営業店をサポートいたしますために、本部内に専門スタッフ、これはビジネス・ソリューション班というふうに呼んでおりますが、これを昨年の六月に設置いたしました。ここでは、事業戦略や経営戦略等の各種のお客様ニーズを一元的に管理いたしまして、スピーディーな提案力、対応力を強化いたしました。設置して以来の相談の件数は約千七百件に及びまして、その効果が下期にあらわれ始めましたということが言えると思いますが、具体的な金額、つまり貸し出し実行に結びついた案件としましては二百七十件ほどございまして、金額で七百億円弱、六百八十億円程度となっております。  三つ目でございますが、今まで、新規専任担当者が百五名おりましたのですが、昨年の十月に新規の開拓特命専任スタッフを設置いたしまして、主な店に配属をいたしまして新規開拓に注力をしてまいりました。その効果もございまして、平成十一年度全体の新規開拓実績が年度で約二千億円となっておりまして、こうした、今るる申し上げました諸施策を懸命に実施したことが中小企業向け貸し出し増加に寄与したのではなかろうか、このように思っております。  以上でございます。
  71. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の説明は、一般方針をお聞きしたという感じでありまして、具体的な対応策がどうも、これだけの大きな内容につながっていった、そういう感じがつかめないわけであります。  それで、例えばこういうことは仕組みとしてあり得るのかどうかという点をお聞きしたいと思います。  まず一つは、皆さん銀行のそれぞれの子会社がありますね。その子会社は当然中小企業扱いになると思うんですが、その子会社に対して融資をした、これは中小企業向け融資の拡大というふうにカウントされるんでしょうか。仕組みの上でお聞きしたいと思います。
  72. 山本惠朗

    山本参考人 子会社の多くは中小企業に分類されております。
  73. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そうしますと、第一勧銀ももちろん同じだと思います、子会社に大規模に貸し出すということが行われているのではないかということを私どもは情報としてつかんでおりますが、そういうやり方を三月末に、急増させる手段としてとったということはありませんか。
  74. 杉田力之

    杉田参考人 私どもの場合も、いわゆる日銀の分類で言う中小企業に相当する子会社がございます。そこに対する取引は、経常的な範囲、あるいは実需に基づく貸し出しという取引はございます。
  75. 山本惠朗

    山本参考人 子会社貸し出しにつきまして、三月末を九月末比で見ますと、十億以上増加してるところが数社、マイナスになっているところが数社というような状況でございまして、特別大きく貸し出しをしたというようなことはございません。
  76. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 十億以上の新たな貸し出しをされるということは、子会社の数が多ければそれだけ金額が膨れるわけであります。これは子会社との関係でいえば、親会社の銀行の方の意向が非常に強く反映されるわけでありまして、貸して一定期間経過したらまた引き揚げるということも可能なわけで、仕組みとしてそういうことが可能だということはわかりました。  二つ目に、中小企業に対しては、相手の経営状況、例えば赤字企業、こういう企業には貸し出しはそれほど急増していないと思います。これは、皆さん方が実際に経営リスクの高いところには貸さない、これは変わっていないと思いますね。  そうしますと、どうしても優良企業に貸し出す。先ほどもお話の中で良質貸出資産増強運動というふうに言われましたね。もちろん優良な中小企業に必要な資金を貸し出すのは当然だと思いますが、中には、ともかく短期間でいいから借りてほしい、こういうことをやって短期的な貸し出しを三月の末に実行した、こういう事例は、先ほども質問ありましたが、全くありませんか。
  77. 杉田力之

    杉田参考人 お取引先資金ニーズは、期間の長いものからごく短期間のものまでさまざまございまして、私どもといたしましては、こうしたさまざまな資金ニーズに対しまして、適切かつ迅速に対応するよう心がけておりまして、お取引先の意向を無視したり、あるいは無理に融資を行うということはない、このように認識しております。  以上でございます。
  78. 山本惠朗

    山本参考人 ただいま御指摘のようなことはないと認識しております。
  79. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 意向を無視したやり方はしない。相手の了解を得たら、それは相手の意向を尊重して融資をしたという形になりますからね。そういう意味で、これはかなり大規模にやられている可能性があると私は思います。本店、支店が貸出先のリストをつくって、それで三月末の実績を上げるために、ともかく相手側が要望していないのに頼み込んで貸し出しをふやしている、こういう実例を聞いております。今、完全には否定をされませんでしたね。  三つ目の問題では、中小企業に貸し出さなければならないので、例えば大企業に貸し出す場合に、まず最初にその大企業の子会社である中小企業貸し出して、一定期間たったときに大企業に振りかえる、こういうやり方はやっておりませんか。
  80. 杉田力之

    杉田参考人 大企業の子会社、関係会社が直接資金調達を行うことは一般的でございます。そのような先に対しまして銀行融資を行うことは、これまた一般的にあろうかと思います。  ただ、それはお取引先側の事情によるものでございまして、当行では、お取引先の意向を無視して無理に中小企業向け融資に振りかえたり、あるいは子会社経由で大企業融資したりするようなことは行っていないというふうに認識しております。  以上でございます。
  81. 山本惠朗

    山本参考人 従来から、私ども、大企業の関連子会社向けの貸し出しも存在しております。大事な取引先だというふうに考えております。  ただ、御指摘のようなことをやっているというふうには認識しておりませんで、一般の取引先同様、一件ごとに個別のニーズを厳正に審査した上で行っております。  以上でございます。
  82. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 表向きはそのような回答をされるだろうと思いますけれどもね。しかし、現実に具体的な相手側との関係ですから、相手側と交渉して、まず三月に子会社に貸し出して、四月には親会社の方につけかえるということをやっているという事実を私は知っておりますので、そういう点を具体的に資料を出していただかないと、私はなかなかお話だけでは了解できないわけであります。もちろん個別の企業名を出すということは無理だと思いますけれども、少なくとも、この半年間の各月ごとの実勢ベースの金額と残高ベースの金額、この二つをそれぞれ月ごとに提出をしていただきたい。これが一つ。  それから二つ目は、先ほど一番最初にお聞きをいたしました銀行の子会社向けに、この間、月ごとにどのように融資をふやしてきたか、その融資額、子会社向けのトータルで結構ですから、月ごとにそれを提出していただきたい。この二点、いかがでしょうか。それぞれ。
  83. 杉田力之

    杉田参考人 まず、月次に数字を出せということでございますが、実勢ベースについてはいろいろ議論なされているところでございますが、表面残高に、貸出金の償却でございますとかバルクセール、それからCCPCそれからRCCへの売却等の不良債権処理によりまして表面残高が減少した分、あるいはまた、それに加えまして債権流動化による表面残高が変動している分を調整したものでございまして、これは通常期末のみに行っておる作業でございます。これを月次に行いますのは、全体の調整額のうち、特に中小企業向け貸し出しの調整額を仕分けるなどの困難を伴いまして、月次での提出につきましては御容赦をいただきたい、このように思っております。  関係子会社の、私どもの子会社の数字につきましては、実勢ベース提出することは可能かというふうに思っております。
  84. 金子一義

    金子委員長 佐々木君。  いや、今のと当然同じでしょう。(佐々木(憲)委員「それぞれ」と呼ぶ)協会長としてのあれですから同じでしょう。
  85. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 では、今協会長としてお答えいただきましたので、二番目の、子会社への融資実勢ベースでの提出を、十五行について提出していただくということを先ほどの御答弁でお約束いただきましたので、ぜひ後ほど提出をしていただきたい。  以上で終わります。
  86. 杉田力之

    杉田参考人 子会社に対しましては、私が申し上げたのは、持ち帰りまして検討させていただきたい。実勢ベースでは私自身は可能かなというふうに思っておるところでございます。
  87. 金子一義

    金子委員長 これは理事会でまた協議させていただきます。  次に、鈴木淑夫君。     〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
  88. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。  全銀協杉田会長富士銀行山本頭取、きょうは御出席、まことにありがとうございます。  もう既に多くの委員質問しておりますし、時間も限られておりますから、私は少し違った角度から問題を取り上げてみたいと思います。  率直に言って、私は、皆さん銀行界の方々、その経営者の方々は、九〇年代の大蔵省金融行政の間違いの被害者という側面があると思っているんですね。全部大蔵省のせいではないけれども、明らかに九〇年代の大蔵省金融行政は順番を間違えたと思います。  アメリカが八〇年代にやった、バブル崩壊後の金融システム、金融業界の立て直しというのは、まず最初に不良債権の処理をやるわけですね。プロンプト・レゾリューション・オブ・バッド・ローンズというのがまず最初に来るわけですよ。不良債権を処理すれば当然資本が傷みます。そこで今度は早期是正措置のようなもので資本を回復するわけです。そして、経営を立て直したところで競争力強化という話に来るわけですが、残念ながら、日本では順序を間違えた。最初に早期是正措置を持ち出したですよ、九五年、六年に。そして、不良債権処理、九〇年代前半からやるべきことを先送りしてきた。皆さん方も一緒になって先送りしたわけですが、しかし、銀行さんの中にはもっと早く処理しようとして大蔵金融行政にとめられた銀行もあるということを私は十分承知しておりますから、これは大蔵省金融行政の間違いであると思います。  一番最初にやる不良債権の早期処理を先送りしながら、早期是正措置を入れてきて、おまけに、一番最後に来なきゃいけない金融ビッグバン金融業界の経営効率の向上、そして国際競争力を高めていけというのを、金融ビッグバンで続いて出してきたわけですよ。ビッグバンは九七年度ですから、早期是正措置を発表したのはもっと前だ。ところが、九七年の秋から九八年にかけて金融危機が発生する。そこからですよ、皆さん方に対して不良債権早期処理を迫ったのは。  つまり、皆さん方は、大変お気の毒なことだけれども、三つのことを一遍に要求された。不良債権早期処理と自己資本比率の回復と、そして経営効率の改善ですよ。こんなむちゃな要求は米国に比べるとちょっとひど過ぎると私は思っているんですが、しかし追い込まれたからやむを得ない。  そういう中で皆さん方が最初におやりになったのが貸し渋りです。僕は当然だと思うんですね、この三つを一遍にやろうと思ったら。不良債権を早期処理すれば自己資本比率は下がる、そういう中で、自己資本比率を上げて経営効率を上げようと思ったら、分母の貸し出しを抑えるのが一番早い。それをやったと思うんですね。だから、私は必ずしも、貸し出しが十分伸びないということについて皆さん方だけを責めるつもりはないんです。  以上は、どちらかといえば失敗の話、過去の話ですが、私、最近非常に明るい気持ちになったことがある。それは、先般発表になった三月調査の日銀の短観を見ますと、皆さん金融界、その中には内訳があって、ちゃんと都市銀行というのもある。その設備投資がずっと落ちてきていた。九九年度などはマイナス二五・二%です。それが、二〇〇〇年度、本年度は一気に六五・八%増です。ということは、ようやく不良債権処理あるい自己資本比率の回復というのが進んできたために、三番目の、一番大事な国際競争の面で負けないようにする前向きの設備投資を始めたなというふうに私は見ておりますが、そこで質問です。  この二〇〇〇年度の大幅な金融機関設備投資増加の中身、並びにこの資金調達方法はどうなっているか。全体のことが言えなかったら、杉田さん、御行さんだけでもいいですよ。どういうことでこんなに設備投資がふえて、資金繰りはどうつける計画になっておるか、お答えください。
  89. 杉田力之

    杉田参考人 お答えをいたします。  先生指摘のとおり、三月の日銀短観によりますと、都市銀行設備投資は、九九年度は前年比二五・二%減ったわけでございますが、二〇〇〇年度は対前年比で六五・八%も伸びると発表されているところでございます。  投資は企業の戦略そのものでございまして、個別銀行頭取の立場で申し上げますと、当行につきましては、総投資額ベースで、九九年度は、二〇〇〇年、Y2K問題の影響で、特に年末を挟みまして投資を凍結しなければいけないというような期間がございました。このため約三割ほど、金額で三百二十億円でございますが、落ち込みになりました。  しかし一方で、二〇〇〇年度は九九年度に比べまして九〇%増、約倍増の六百二十億円と大きな投資増を見込んでおりまして、先生の御指摘のとおり、当行におきましても積極的な設備投資計画しておるところでございます。  その投資の内容につきまして申し上げますと、三つほどございまして、まず一つは、四〇一k対応等、お客様ニーズに的確におこたえするための新商品開発や、それを支えますデータベースのインフラ整備をやってまいります。それから二つ目に、お客様の利便性を高めるためのインターネットバンキング、それからATMの二十四時間化、それからコンビニエンスストアへのATM設置など、いわゆるIT関連投資がございます。三つ目に、統合を進めてまいりますが、統合に伴う経営効率化、それからリスク管理に対する機械化投資、システム投資などで、大きな点で三つございます。  私どもは、既に発表しておりますところの三行統合の事業、御当局の認可と株主総会での御承認を前提といたしまして進めているわけですが、我が国の金融機関が、ボーダーレス化が進み、国際的にも一流プレーヤーとして通用するような地位を確立するために、金融ニーズの高い次元で的確、迅速にこたえられるお客様への顧客対応力と、強固な財務体質に支えられた信用力、この二つの要請を兼ね備える必要がございまして、厳しい経営環境にあるわけでございますが、生き残りのためには、経営基盤の確立に必要不可欠な投資を行っていかなきゃならない、このように考えておるところでございます。  なお、三行統合のみずほIT関連投資というベースで申し上げますと二〇〇〇年度で約千五百億を計画しておるところでございます。  以上でございます。
  90. 山本惠朗

    山本参考人 御指摘のように、銀行設備投資額がふえる状況になりまして、私は、頭取として大変にこの局面にうれしく思っております。  私どもは、今お話がありましたように、みずほフィナンシャルグループということで、三つの銀行が一緒になってIT投資をやるというのも、三行が統合するための一つの大きな理由、契機でございました。  IT投資は、私が先生方に申し上げるのもまた失礼なことかもしれませんが、御存じのとおり、金融界におきましては、金融界の勝敗を決する最も大きなファクターであるというのが、特にグローバルな競争においては、そういう認識がこの数年一般化しておりまして、私どもは率直なところ、不良債権の処理の過程で、欧米の銀行が行ってきたようなIT投資が十分行えなかったという状況にございました。  そういう観点から、今年度以降積極的にIT投資を行い、国内の顧客利便性の向上、それから国際的な取引に備えての金融技術の面での投資、さらにはマーケティング、リスク管理等々、国際的な競争にたえられるような銀行づくりのために、IT投資を積極的にやってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  91. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 時間がなくなってしまったので、ごく簡単にお答えいただくだけで結構なんですが、そういう前向きのIT投資を中心とした投資が始まる、経営の合理化で勝負をするというときには、護送船団方式あるいは奉加帳方式の行政というものが最も皆さん方にとっては困ることだと思うんですね。今審議している預金保険制度に即して言えば、依然として特別料金が乗っかっている。皆さん方は、信用力に応じて保険料率を変える可変保険料といった問題についてどう考えておられますか。それが最後の質問です。
  92. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員長代理 質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いいたします。  杉田参考人
  93. 杉田力之

    杉田参考人 大手行の立場として申し上げます。  私ども大手行では、平時の金融システムのあり方を考えた場合には、モラルハザードはできるだけ小さくすることが望ましいというふうに考えておりまして、特例措置終了後の恒久的制度としましては、小さな預金保険制度を目指すというふうに主張してまいりました。預金保険料につきましても、金融機関経営の健全性に応じまして保険料率を設定する可変保険料率の導入が基本的な方向としては望ましい、このように考えております。  ただ、基準指標のとり方、それから料率格差のつけ方、個別金融機関への適用料率の公表の是非など、具体的な方向についてはさらに検討が必要であり、早急な導入には慎重を期さなきゃいけない点もあるというふうに考えております。  金融審議会の答申でも私どもと同様の方向性が示されておりますし、さらに改正法案では法的手当てをいただいているところでございまして、この点につきましては大いに評価をしているところでございます。  以上でございます。     〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 金子一義

    金子委員長 次に、横光克彦君。
  95. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  きょうは、杉田参考人そして山本参考人、御苦労さまでございます。  各委員がいろいろと質問をされました。とりわけ、経営健全化計画の、この三月期に当たって大幅に中小企業への貸し付けが増額している、これはなぜそのようになったのかという質問が相次いだわけでございます。それに対しまして、さまざまな施策をとられたという御説明もございました。  また一方では、質問者の方から、やはり各銀行あるいは大企業が持っている子会社への融資貸し付け、そういった方法がとられたのではないか、実例等の中でそういった疑問点も出されました。  もしそうであるならば、私は、貸し渋りは解消されているはずだと思うんですね、皆さん方のお話のとおりであれば。では中小企業への貸し渋りが解消されたのかというと、なかなかそこまでいっていないと思うんですね。公的資金を注入されたわけですから、そういった意味では、そのような方法で数字だけ目標達成したということがいずれ明るみになったとしたら、これは国民からすると大変理解できない、納得できないことであるということをまず申し上げておきたいと思っております。  ちょっと違うことでお伺いしたいんですが、第一勧銀、そしてまた富士銀行、これが、ことしの秋にも日本興業銀行とまず証券子会社を統合し、段階的に経営の統合を図るということになっておりますが、長銀、日債銀が御案内のように倒れてしまいました。唯一の長信銀となったのが興銀でございます。その興銀は、経営統合後も金融債は引き続き発行認可を求める意向であるということを表明しておりますが、このことについてお二方に、興銀の意見に同じか同じでないかというだけで結構ですので、お答えいただきたいと思います。
  96. 杉田力之

    杉田参考人 お答えいたします。  金融債は、投資家にとりまして大変流動性の高い運用手段であります一方、調達する側から見ますと、中長期の調達手段といたしまして、金利リスクやあるいは流動性リスクのコントロールに活用できるものとして定着をしておりまして、相応の市場規模を有しているわけでございます。  こういうことから、私どもとしましても、金融債を引き続き取り扱うことが我々個別のグループとしては望ましい、このように考えております。
  97. 山本惠朗

    山本参考人 全く同意見でございます。
  98. 横光克彦

    ○横光委員 確かに、金融債というのは、長期資金を専門に貸し付ける長信銀が安定的に資金調達をできる、特別に認められている債券だと私は思うんですね。  ところが、長銀がああなる、日債銀はそうなる、それから興銀も今度統合される。そして、今流れは金融債でなくていわゆる普通社債、これが昨年の十月に解禁されて、そういったものが発行される流れが今始まっているわけですよ、各都銀においては。そういう流れが一方である。しかも、長信銀はほぼ形が終わりつつある。  そういった中で、普通社債は求めながらさらに金融債も求める。興銀が今度統合されることによって、長期じゃなくて個人的な、いわゆる個人預金という資金調達手段も新たに加わるわけですね。そういった中で、金融債を求めるということは、なかなか理解を得にくいのではなかろうか。いわゆる金融債のある意味での役割は終わったのではないかという思いは持っておるんですが、そこのところはどうですか。杉田さん、もう一回お聞かせいただきたいんですが。
  99. 杉田力之

    杉田参考人 金融債につきましてどう認識しているかにつきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、運用面それから調達面ということでそれなりの金融債の意義があるというふうに申し上げたところでございます。  なお、社債との関係では、金融債の店頭発行とかで、機動性とかそういった意味ではやはり社債よりも金融債という面、すぐれた面があろうかというふうに思っておるところでございます。  以上でございます。
  100. 横光克彦

    ○横光委員 東京三菱銀行の六年間という経過措置もございますし、これからこの問題はさらに論議されていくべき問題だろうと思っております。  次に、先ほどからずっと中小企業に対する貸し渋りの問題が取り上げられておりましたが、さらに不良債権の処理の問題です。  昨年の三月、九九年の三月に、十五行が七兆四千五百億円という膨大なる公的資金の注入を受けたわけですね。その際に、それまでの九兆円に上る不良債権は処理したんだ、そして注入を受ける際、一年後の三月の処理額はその十分の一である九千億に減るんだ、このように計画に明記されていたわけですね。  ところが、これが昨年の九月、半年後の中間決算期では、いきなり見通しが二兆二千五百六十億円に膨れ上がった。さらに、これがことし三月期決算の見通しでは三兆円を上回るであろう、そういったことが明らかになりつつあるわけでございますが、本当にわずか数カ月で八千億もふえている。最初のころから比べると膨大な量の不良債権の見通しがふえているわけですね。  これはいろいろ理由がございましょう。理由はございましょう、しかし、半期ごとに履行状況を報告する不良債権の終結宣言が、半年ごとにこれだけころころ変わってしまったのでは終結宣言の意味がない。しかも、国民からすると不良債権を早く処理してほしい、これは終わってほしいというような願いなんですが、いつまでたっても、終わるどころか膨れ上がってしまっているわけですね。非常に疑問点と不安が多いわけですが、これは、いわゆる各行の見通し、次の報告をするための見通しが甘いと言われても仕方ないんじゃないかと思うのですが、お二方いかがでしょうか。
  101. 山本惠朗

    山本参考人 不良債権の処理がなかなか終わらないように見えるということでございますが、償却の水準と、それから不良債権そのものの残高ということになろうかと思いますが、不良債権と言われる、公表されているリスク管理債権の残高というものは着実に減っているわけでございます。ただ、予想していたほど急速に減らない理由は、担保不動産の減価と、それから景気が低迷していた、平成十一年度後半若干持ち直しておりますが、景気の低迷による企業向け貸し付けの質的悪化という問題がございます。  それからもう一つ、不良債権処理の問題でございますけれども、これにつきましては、今申しましたような残高そのものが予想以上に減らないということの反映として、引当金の積み増し額が予想以上になっているという事情が一つと、もう一つは、十一年三月期の決算では、金融検査マニュアルの趣旨にのっとりまして、また我々はその趣旨にのっとった自己査定を改めて行い、償却、引き当てについてもこの厳しいガイドラインの趣旨を踏まえて行ったということで増加をしたという一時的な要因もございます。  以上が全般的な状況でございます。
  102. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。
  103. 金子一義

    金子委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人におかれましては、大変御多用中のところを当委員会にお出かけをいただき、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表し、厚く御礼申し上げます。どうぞ御退席ください。     —————————————
  104. 金子一義

    金子委員長 引き続き、両案を議題とし、政府に対する質疑を行います。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として金融監督庁検査部長五味廣文君、金融監督庁監督部長乾文男君、大蔵省金融企画局長福田誠君、警察庁長官官房審議官岡田薫君、金融再生委員会事務局長森昭治君、人事院事務総局職員局長中橋芳弘君、総務庁人事局長中川良一君、大蔵大臣官房長林正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  106. 金子一義

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原伸晃君。
  107. 石原伸晃

    ○石原委員 委員の皆様、また宮澤大臣、谷垣大臣を初め、皆様、お疲れのところでございますが、もうしばらくおつき合いを願いたいと思います。  預保法の改正案、また保険業法金融機関等更生手続の特例に関する法律の改正案等の質疑も終盤を迎えてまいりましたが、冒頭、先週末からの株価の動向等を含めて、日本の経済のファンダメンタルズ等につきまして、若干宮澤大臣にG7のお話等もお聞かせ願いたいと考えております。  けさ、ニュースで、ニューヨークのマーケットが非常に安定していて、先週末に比べて二百七十六ドルアップの一万五百八十二ドルというダウ平均、そしてナスダックの方も、これは過去最大の上げ幅の二一七ポイントアップの三五三九ポイントと、アメリカの方は小康状態。もちろんその中で、下げ株の方が上げる株よりも多かったといったような状況はありますけれども、大臣がきのうもおっしゃられたような状態で推移をしていたなと感じておりました。日本の前場の終わり値は、一万八千九百四円ですか、百円程度昨日より下げているわけですけれども、こんな状態を今見られて、宮澤大臣にお聞かせいただきたいのですが、日本の経済の状況、景気の明るさ、あるいは企業収益の改善等も見えてきたわけですけれども、私は大きな変化はなくて、やはりここは見守っていくという大臣の考えに賛成なのですが、今はどのようにファンダメンタルズを見ていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  108. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 結論といたしましては、石原委員のおっしゃいますように私も考えておりますが、私が週末に参りましたアメリカの金曜日の相場がちょうどああいうことになったわけでございますが、会議に集まりました我々の仲間は、遅かれ早かれ一遍価格調整はあるだろうと見ていた人が多うございますので、その中で、これが従来から言われていたことの結末であるのか、あるいはこれから何か新しいことが展開していくのか、その辺のことが読めない。さしずめ月曜の相場を見ていたいというようなことでございました。  月曜は、半分ぐらい戻すだろうと思っていた人が多かったのではないかと思いますが、そうしますと、しかし、月曜から後、これがどういうことになるか、これでもう終わるのかというようなことは、これからのアメリカ当局の政策を決定する一つの判断になろうと思いますが、そういう意味では、ちょっとまだ先がわかっていないということではないかと思います。  我が国に関します限り、おっしゃいますように、景気の回復がかなり強い力を持っておると思いますので、対応はともかくといたしまして、別に大きな影響はないのではないかというふうに考えております。
  109. 石原伸晃

    ○石原委員 宮澤大臣、G7の中でのお話も御披露いただいたわけですけれども、こんな中で、今週一週間の株価の動向、また為替の動向というのは非常に重要、どの程度調整をするのか。それこそグリーンスパンさんにおいては、もう一九九六年のころから、ダウ平均で六千ドル台のころから調整必至という話が出ているわけで、ことしも経済を担う上で、多くのエコノミストがニューヨークの調整局面がどのぐらい、いつ来るかということが最大のターゲットであったから、ある程度マーケットの方も落ちついた動きをしていると私も思うのです。  こんな中で、我が党も含めまして与党三党が、株価がクラッシュをするような状態になったら一兆円の公的資金で買い支えよう、そういう話が昨日なされたわけですけれども、私は個人的に申しますと、この連立政権の始まる自社さ政権のときも実は公的資金による株価の買い支えみたいなものがなされて、二万円台をキープはしていましたけれども、結果としては、そのお金、突っかい棒がなくなったら経済の実体に見合ったようにすとんとおっこちた。言葉をかえますと、構造改革しないで、その場はばんそうこうをぺたっと張って傷口は何とかふさがっていたけれども現状が何も変わっていませんから、突っかい棒を外したらまたもとに戻ったという苦い経験がある中でこんな話が出てきたわけです。  大蔵大臣、御発言しにくいかと思いますけれども、御所見がございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  110. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨日のようなことがございますと、政党がそれに対してできるだけ早く反応をしなければならない、そういう政党の持っております機能はよくわかっておりますので、それはそれとして理解をいたしております。  今お尋ねの問題につきましては、関係で申せば郵政省あるいは厚生省でございましょうが、そういう資金を持っておりますところが自主運用として、その立場からどうこうされるということは全く自由なことでございますし、また私どもがそれに干渉することではないのでございますけれども、何かそれで相場というものがそういう資金によって影響を与えることができる、あるいは影響を与えるといったような物の考え方は、にわかに同調できないところでございます。
  111. 石原伸晃

    ○石原委員 私も大臣と同じ考えの立場をとっているということを改めて申し述べたいと思います。  そこで、先ほど月曜日のニューヨークは戻すというような話をG7の中で話されている方が多かったというお話もあったわけですけれども、私、G7の共同声明の要旨を見ておりましてちょっと残念だなと思うのは、せっかく景気もよくなり、企業収益もよくなり、上り調子で来ていると私は思うのですけれども、「世界経済の動向」の中で、日本経済は明るい兆しが見えてきているものの、民需の確実な回復には至っていない。マクロ経済政策が持続可能な内需主導の成長を支援することが重要だ。当局は、ゼロ金利政策との関連で、デフレ懸念の払拭を確かなものにするよう、十分な流動性を引き続き供給することを決定した。潜在的な生産力の向上、金融セクターのリストラを促すため、構造改革は継続されるべきだ。これは言っていることはもっともだと思うのですけれども、これを一項目言わざるを得なくなった。  その一方で、為替レートにつきましては、ことしの一月くらいでございますか、大臣に御努力いただいて円高懸念という言葉が入っていたのに、この円高懸念が落ちて、主要通貨間の為替レートは経済のファンダメンタルズを反映すべきだ、引き続き為替市場の動向を注視し、適切に協力していくと、私が考えるとちょっと一歩引けたような文書になってしまった。  マーケットの状態というものも非常に大切だと思うのですけれども日本の景気を民需主導の確固たるものにしていく上で、今の円レートは、若干戻して百四円台で推移していますけれども、円高の方が日本の経済にとっては非常にボディーブローのようにきいてくる。そういう意味で、このG7においてどんなやりとりがあったのか、また株価のことについては、逆に何にも言わなかったから失望感がマーケットに広がった等エコノミストも言っておりますけれども、その二点につきまして、話せられる限りで結構でございますが、お教え願いたいと思います。
  112. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず後の方から申し上げますけれども、月曜には半分ぐらい戻すだろうと言っていたのは、私どもが飯を食ったりしながら話していることでございまして、いずれにしても、この話は正式の話題にはなりませんでした。もう御察しのように、何を言ってもこれは何かをトリガーするということになってほしくないということでございました。ですから、何も言わなかったことが失望売りになったという新聞の評価もございましたけれども、言わなかったのか言えなかったのか、どっちにしてもここは月曜を見るしかないなという雰囲気であったわけでございます。  それから、前段の点は、今、十—十二のできが非常に悪くて、殊に消費がよくない、それはリストラもあったからでございますが、他方で設備投資がプラスになった。そういう状況を、IMFの専門家、あるいはアメリカ政府当局もそういう見方が強いようでございましたが、これで、いい兆しは出ているけれどもそれが家計につながるかどうかということについて、リストラもありますものですから、そこはちょっとわからないな。しかも、まだ下げ続けていますから、まだ日本にはデフレの懸念があるんだということをその人たちはかなり強く考えている。  私なんかは個人的には、もう設備投資も出てきたし、五%ぐらいの失業率はあり得ることだが、大局的にはやがて大体つながっていくのではないか。そこのところの見方が、いつというあたりが違っておりまして、それがここに出ております。それはこういう見方も確かにあるわけでございますから、私ども、別に反対はしておりません。  こういうことがあるので、そこで為替のところで、したがって本当はまだそんなに日本経済は問題がないわけじゃないので、しっかりファンダメンタルズを反映しているとは言えないじゃないか、そこに円のある意味での高過ぎるという問題があるという、その問題の意識そのものは特に疑問を持っている人はいないということになります。  これが議論の筋道であったわけですが、しかし、それを言い出すと、ユーロというものは実際はあんなに弱くていいのかなという意見がございます。いや、そうなるとユーロも円も、今度はドルは一体これでいいのかねというような話になって、そこは実は余りだれも、ああいう執拗だものですから突っ込みたくないところでございますが、そうすれば結局、三つの通貨あるいは主要通貨の話にしてしまった方が我々の感じは出てくるのかな、そういうことになりまして、円ということを言わずに主要通貨ということを言いまして、最後のところでは適切に協力するとなっておりますものですから、これで言いたいことは大体お互いに言っているということでありました。  石原委員の言われますように、我が国の一部のジャーナリズムにも、前回まで、円はなかなか大変なのでということが名指しで書いてありまして、今度はないじゃないか、そういう質問を持っている人は当然おりましたけれども実態が大体理解されておって、正直なところ、過去何カ月かの間に、私ども必要だと思って市場に介入を、余り市場攪乱的な場合にはしておりますので、そのことは今後も必要があればそうするつもりでありますものですから、余りそこに固執することもない。むしろ、大きな通貨間の調整の問題として考えるということでいいのではないかというふうに判断をいたしました。
  113. 石原伸晃

    ○石原委員 大臣のお話で、為替レートの趣旨の読み方が非常によくわかりました。  引き続いて、やはり百四円台に戻しているのも、介入の警戒感というものがマーケットにあるということも非常にありますし、アメリカの株も、ダウとナスダックともに戻していますけれども、さっき言いましたように、下げ株の方が多いわけですから、不安定要因を非常に含んでおりますので、行政当局、大蔵大臣としても、マーケットに優しい気持ちを持って、注意深く監視をしていっていただきたいと思います。  それでは、法案の方の質疑に入らせていただきたいと思うのですが、先日、新聞を読んでいたら、首都圏の信用金庫、信用組合の資本増強や連帯などの動きが目立ち始めている、これも金融検査マニュアルに基づく信組へのヒアリングを開始するなど、当局の監視が強まっているからだ、地域金融機関に早急な経営強化策が求められているというような記事が日経新聞に載っておりました。  私、東京都内の数、もうここ十年ぐらいで大分信組、信金も減ったということでちょっと調べてみましたら、例の東京協和、安全、コスモが破綻したころは五十信用組合がございましたが、十一年度末で、五信組は事業譲渡、四信組は金融整理管財人の派遣になっていますが、四十と、かなり淘汰されてきているような気もいたします。  しかし、東京の信組の組合の幹部の方と話すと、今三十幾つ実態的に残っているのですが、正直言って、この規模では地域密着型、中小企業対象の金融機関としても実は多過ぎると。大きい声では言えないが、五つか六つぐらいに再編しないと自分たちの事業も生きていけないというような話をされていたことが非常に印象に残りました。  また、信用金庫の数も、同じく平成六年、平成七年のころは五十ぐらいであったものが、今四十。このうち二信金は破綻処理中。あと第二地銀も、旧相互銀行ですけれども、五つだったものが、昨年、国民と東京相和ですか、破綻しましたので、三つ。これでも実態の規模としては、本当に数としては適正なのか、私も非常に悩むところなのです。やはりまだまだ多過ぎるんじゃないか。  そして、谷垣大臣の前々長官であります柳沢委員長は、金融システム安定のためにはオーバーバンキング状態の解消が不可欠だと、金融機関の数が多過ぎる問題をどう整理統合していくかということを盛んに言及されておりました。私も九八年、初期の金融国会のときに、この問題は避けては通れない、もちろん中小企業の方々に圧倒的な融資のシェアがあり、また地域に密着しているという信組、信金という特性を考慮しても、やはり整理淘汰というものは避けて通れないんじゃないかという立場を私はとっております。  その点につきまして、谷垣大臣、どのようにお考えになられ、また適正規模、オーバーバンキング、その地域の特性が非常にあると思うのですね。村井政務次官のところは、この間ちょっと話を聞いたら、何か信組と信金が少ないのですよね、たしか長野県は。そんな地域の特性も含めまして、どうあるべきか、またどうお考えになっているか、新大臣の御所見、また村井次官のお話を聞かせていただきたいと思います。
  114. 村井仁

    村井政務次官 谷垣大臣からお答えいただきます前に、私から、ちょっと実態あるいは認識などを含めまして申し上げたいと存じます。  いわゆる地域密着型の第二地銀あるいは協同組織型の金融機関、今石原委員指摘のように、確かに大都市圏では相当整理統合が進行している。一方、私の出身でございます長野県の場合は、ただいま御指摘のように数が比較的少ないという実態がございます。ただ、それでどうだということが直ちに言えるかどうか、これもまた難しいところでございまして、数の多い少ないだけで議論はできない。  要は、端的に申しまして、これから非常に金融機関間の競争も激化してまいる、それからシステム投資等々の面で非常にコストもかかる体制になってくる、それに耐え得るような体力をそれぞれの金融機関が持っていけるようなことになっていくかどうか。そこは第二地銀であろうとも協同組織型金融機関であろうとも実態は変わらないと思うのでございまして、そういう意味で、私は、いずれにしましても、そういうことに耐えられるだけの体力に至るまでに統合が進むということが大切なのではないか、そういうふうな認識を持っております。  その認識というものは、それぞれの地域においても責任を痛感しておられる金融機関経営陣においては十分に御認識だろうと思っておりますし、そのような経営判断に大いに私どもも期待し、また監督官庁という立場でも精いっぱいの支援をしてまいりたい、こんなふうに思っております。
  115. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 今、村井総括政務次官から御答弁申し上げたこととそれほど違うことを申し上げるわけじゃないのですが、金融機関の数が多過ぎるという議論は、まさに石原委員がおっしゃったように、地域によってもかなり違いがございますので、多過ぎるという議論は確かに存在するのですが、地域によって見なきゃいけない。やはりそれぞれの地域金融機関が、では自分たちの地域ではどうしていくのかということをお考えいただいて、例えば今の村井政務次官のシステム投資をどうするかとか、いろいろな問題があろうかと思いますが、まず自主的に御判断をいただくべきことであろうと思います。  ですから、日本全体を見て多いとか少ないとかいうのはなかなか正直言って申し上げにくいのでございますが、今の御質問の中で、柳沢さんは一県二行ということを言われていたのじゃないかというふうにおっしゃいました。私も柳沢大臣の御発言を逐一フォローしているわけではないのですが、私の理解しますのは、柳沢さんも必ずしも一県というふうにおっしゃったわけではなくて、やはりそれぞれの経済圏と申しますか地域というものは違いますので、それを一県二行というのは、ちょっと理解として、柳沢さんの御真意としても余り正しくないのではないかなという気がしております。  いずれにせよ、金融再生委員会で「地域金融機関の資本増強についての基本考え方」というのを前にお出ししたわけですが、その中で、主要な役割をその地域において果たしている金融機関、それから適正な競争確保の観点から必要である競争行、こういうものには優遇しよう、それからまた、資本増強を契機として合併や提携等の金融再編が行われる場合に優遇しよう、こういうことを言っておりますので、例えば主要行というのも一つなのかどうか、これはやはり地域によって違うのだろうというふうに思います。  いずれにせよ、今私、それぞれの自主的判断考えていただくことであると申しましたけれども、では、我々全く中立的なのかというと、それは必ずしもそうではなくて、早期健全化法に、再編を促進することによって金融システムの効率化を図るということがあるわけですから、我々は基本的にそういうスタンスは維持していくということでございます。
  116. 石原伸晃

    ○石原委員 谷垣大臣、村井次官がおっしゃられた点は、多々私も考え方で一致すると思いますが、全体の数、地域の特性等はあるにしても、やはりまだまだ多過ぎると。  これも今年度新しくなりまして、四月一日から監督庁の方に信組の検査権限が移ってまいりました。七月に金融庁になられて、これから本格的な検査をされていかれると思うのですけれども、先ほど村井次官言われたように、体力をつけるという、そこが整理統合の上でもう一つ重要なポイントで、実際に貸し出し余力があって、利用してもらえる地域の金融機関として残っていっていただかなければならない。  そんなことでこの法律案を読ませていただきますと、早期健全化法、今大臣が言及された中の改正案の第五条関係で、優先出資の引き受け等の承認等ということで、何々を要件として、その優先出資の引き受けを行うことができるとするほか、これらの金融機関について、優先出資の引き受け申込期限を一年延長して平成十四年三月三十一日まで行うことができるようにすると。  すなわち、これまで銀行が発行する優先株に相当する優先出資証券みたいなものを信組にも解禁して、自己資本をふやして、優先出資証券を国が引き受けることによって、ある意味での、国からの公的資金というのでしょうか、資本増強、体力増強というのですか、そういうことを図るというような法律になっていると思います。  それによって、体力をつけるべきところはつけ、経営者側のモラルハザードというものも、いろいろなところで目に余るものが多々聞こえてきておりますので、徹底的な検査を行っていただいて、一生懸命やっている金融機関とそうでないものの峻別というものを、急いで、駆け足でやっていっていただきたい。大手の方は四つの大きなグループに再編されるなどスピードアップしているんですけれども、私の目から見て、地域に密着した金融機関の方はまだまだスピードが遅いような気がいたしますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  それと、さらに、検査のこれからの方向と、どのように進んでいくのか、そんな点につきまして御所見があれば、事務方でも結構ですけれども方向性等につきまして、お教え願いたいと思います。
  117. 五味廣文

    ○五味政府参考人 ただいまお話しになりました地域密着型金融機関を、第二地銀、信用金庫、信用組合というふうに整理をさせていただきますと、第二地方銀行は、御承知のとおり、金融再生トータルプラン第二次取りまとめに基づきまして既に全行検査を一巡しておりますが、さらに、金融検査マニュアルができましたので、昨年九月の決算がまとまるのを待ちまして、ことし一月から二巡目の検査に入っております。これを引き続き続行してまいります。  これは、金融検査マニュアルを全面適用した検査でございますので、単なる財務状況の確認だけでなくて、むしろ、財務状況の悪化を未然に防止するような、あるいは法令に違反するような行為が起こらないような体制をどうつくるか、リスク管理の体制を重点的にチェックしていくという、いわば予防的な検査、こういう形で実施をしてまいります。これまでに、第二地銀七行に対して、金融検査マニュアルによる二巡目の検査が実施されております。  信用金庫につきましては、当面は財務の実態を早急に把握するための集中的な検査を行っておりまして、信用金庫数、ことしの三月末で三百八十六ございますが、このうち三百四十八に対しましては既に検査を実施しております。したがいまして、残る金庫数、三十八金庫になりますが、これにつきましては、平成十三年の三月末までには検査を一巡するということで、財務実態の把握にまず注力をしてまいります。  信用組合に関しましては、今月一日に国に検査監督事務が移管をされました。これを受けまして、ことしの三月期決算が確定するのを待ちまして、これは通常六月末ころになります。したがいまして、ことしの七月以降、直ちに検査を実施してまいりたいと考えております。平成十三年三月末までには、すべての信用組合について検査を一巡できると見込んでおります。  なお、信用組合の中には、都道府県の区域を超える区域を地区とする信用組合、これは十二ございまして、都道府県ではなく金融監督庁監督をしておりますけれども、このうち六組合については、現時点で既に検査が実施されております。  以上でございます。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
  118. 石原伸晃

    ○石原委員 引き続いて検査をよろしくお願い申し上げたいと思いますが、一点だけお話し申し述べたいのは、検査マニュアルの中にも、金融機関が置かれている状況などの特性を考慮して検査することという記述もありますので、地域特性、また中小企業の方の利用者が多いという特性も十分考慮して資産査定等を行っていっていただきたいと思います。  それで一点、ちょっとこれは与党として聞きづらい点なんですが、どうも、これまでの議論を聞かせていただいておりまして、預保法の附則の十六条、十九条、いわゆるペイオフの解禁延期でございますね。ここの理由が、私の中でもどうもすとんと落ちませんし、私は今でも本当に一年間延期する意味があるのかと。もちろん信用組合等の利用者の方々は、お金預金して、それ以上のお金を借りて事業をやっていらっしゃる方もいらっしゃいますから、そこの部分の相殺さえ、万が一破綻が起こったとき行えば、大きな問題は生じないのではないかと今も考えているわけであります。  そこで、どなたでも結構でございますけれども、なぜ一年間延期することになったのか。新聞等の報道でも多く出ているのは、凍結解除延期の一因となったのは、いわゆる信用組合が多く破綻して経営状況が不安定であるということも書かれているわけですけれども、もう一度念のために、なぜ一年間延期をするのか、しなきゃならないのかという点をお聞かせ願いたいと思います。
  119. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは私と前の越智大臣との間で御相談をしていた事柄でございますので、便宜私から御説明いたします。  この委員会でも何度か、主として野党の方からお尋ねがございましたけれども、私どもに関する限り、これは党でいろいろ議論はありましたものの、比較的合理的な判断をしたつもりでおります。  私自身は、五年前の約束でございますから、なるべく時間どおりやりたいと考えてまいりました。しかし、金融審議会の審議が少し、それにしてはまだ尽きていないと思いましたので、夏休みを返上してやっていただきまして、疑問の点はかなり解決をしていただきました。  その段階で、私は、信用組合というものは、今まで政府監督下ではなかったわけでございますし、金融機関の中でもそういうことでございますから、これは金融機関という範囲の中から、ある意味実態を反映したものにして、別にしてもいい、こう思ってみたりもしておりました。  が、その中で、暮れが迫りまして、政府・与党の間で、いや、信用組合というものは、やはりまだ三百近く残っていて、日本金融システムの安定とかいうことには本当は関係はないかもしれないが、殊に千万円以上の預金を持っている人は一%だということでもございましたが、しかし、政府が本当にこれから検査をするということになるとすれば、政府の検査を受けた金融機関としては、これは金融機関といってもちょっと別だというふうに今後とも言うのか、いや、もう少しちゃんと、検査をした以上は撤退するものはしてもらうが、早期是正とか金融的な援助とかいうものをしてちゃんとしたものにして、金融機関の中に抱いていこうではないかという考え方は、私は一つの考え方だと思っておりました。  私どもの党内でもいろいろ御議論がありまして、議員の中で、比較的議員歴の古い方といいますか、年齢の上の方が、信用組合というものについて、やはりそれは外しちゃいけないんじゃないかという御議論であったし、もう少しいろいろ、いわば新鋭の議論をなさる方は、そんなものは構うことはないよといったような、そういう分かれであったと思います。  結局、各党の御議論もありましたが、私自身も、それは、これから抱いていこうというのは一つの考え方だろうと。ただ、現実には、検査は四月からしか始まりませんし、ということは、書類等々を考えると六月からだろう、六月から始めて、そういう後の措置も含めて来年の三月までに済ますというのは少し無理があるかな、金融監督庁は、いや、それは何とかやってみると言われたんですけれども、ちょっと無理があるのだろうな、そうすれば、延ばすのならみんな一緒に延ばすしかないな、こういうところでそういう結論になりました。  十二月の非常に遅くの段階での話でありましたものですから、その間についての情報の流れもちょっと十分でなかった点もあろうと思います。したがって、マスコミュニケーションからは何かそういうこととして扱われたのは気がついておりましたが、私自身は、延ばすことによって失うところのものはない、海外の信用を失うとかいうことは余りそう思いませんでしたので、失うところのものはないんだから、それならば、こうして、今後は信用組合までやはり金融のシステムの中で考えていくということも一つの考え方だろう、こう思っていたしましたわけであります。
  120. 石原伸晃

    ○石原委員 政治は説得でありますので、私どもの説得がまさらなかったと解釈をして、保険の話も若干聞かせていただきたいと思うのです。  保険業法の百二十二条の二の「指定等」というところで、「金融再生委員会は、民法第三十四条(公益法人の設立)の規定による法人であって、」保険数理の専門的知識及び技能を有する者の養成及び研修を行うこと等の業務を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有するものを、当該業務を行う法人として指定することができる、いわゆる日本アクチュアリー会を調査研究業務を行う法人として指定するということが記載されております。さらに、保険業法の二百六十五条でございますか、機構は、二百五十九条の目的を達成するために次に掲げる業務を加えることとする、保険管理人または保険管理人代理の業務云々とあるのです。  私、ちょっとここでお聞かせ願いたいのは、アクチュアリー会を公益法人と指定する、さらには保険契約者保護機構の業務も拡大する、こういうことが、私も党の方で行革本部の金融の主査なんかをやっていた関係で、世の中、官から民へ、アウトソーシングをする流れであるのに、再生委員会が指定をするとかそういうことは時代に逆行するようなことがないのか、あるいは、非常に短絡的な話ですけれども、天下りの受け皿になるようなことがないのか、こんなところはやはりしっかりと範を示していかなければならないと思いますので、どうお考えになるか、お聞かせ願いたいと思います。
  121. 福田誠

    ○福田政府参考人 お答えいたします。  まず、日本アクチュアリー会の指定法人化でございますが、大きく理由が二つございます。  アクチュアリー会自体は、昭和三十八年に社団法人化された保険数理に関する専門家の団体でございます。御案内のとおりでございますが、指定法人化の必要性につきましては、まず第一に、保険会社を取り巻く市場リスク等が大変増大しておりまして、保険数理の技術の向上がこれまでにも増して重要となっておりますので、そういう専門家の団体である日本アクチュアリー会に法律上の位置づけをはっきり与えるということによりまして、業務を一層推進し、我が国の保険数理技術の向上を図る必要があるというのが第一点でございます。  第二点は、保険監督上、生命表の作成等々、保険数理の専門家に委託することが適当な事務があるわけでございますが、これを行政の事務の一部ということで民間に行わせるに当たりましては、行政透明性確保の観点から、委託の基準を明確にすることが適当である。  そういう主に二つの理由から、保険業法上、指定法人制度を導入いたしまして、指定法人については行政庁から保険数理に関する事務の委託を受けることができる旨、規定を置いたものでございます。  行革との関係のお尋ねでございますが、ただいま申し上げましたように、保険会社を監督する上で保険数理に関する専門的知識が必要不可欠でございますが、このような専門性の高い知識、技能を有する人材を政府部内ですべて充足することは必ずしも実際的ではございませんので、適宜外部の専門家の能力を活用することが行政のスリム化からも合理的ではないかということでございます。  なお、天下りにつきましては、当然でございますが、現在アクチュアリー会についても、その役員はその事業運営で適当な方を選任しておられるわけでございまして、今後とも自主的な判断で選任されるものと考えております。今現在、大蔵出身者はおりません。  それから、保険契約者保護機構の業務拡大につきましては、御指摘のとおりでございまして、従来の救済保険会社に対する資金援助あるいは保護機構による保険契約の引き受け以外にも、今回の改正によりますと、新たに保護機構が子会社として設立いたします承継保険会社による保険契約の承継事務あるいは更生手続、破産手続における保険契約者の手続代理等々、新しい業務が追加されております。  実は、これらの状況に対しまして、現行の保護機構の事務局の体制は、生保の保護機構ですとわずか三名、損保二名と極めて不十分でございますので、今回の業務の拡大に際しまして、契約者の保護の万全を期すために、現在それぞれの保護機構におきまして法施行に合わせて体制強化の検討をしていただいているわけでございます。こちらにつきましても、その役員は総会において適任者を選任していただくものでございまして、今後ともそのような運用がなされるものと考えております。いやしくも天下りとかという発想は一切ございません。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  122. 石原伸晃

    ○石原委員 まだまだ質問通告をしておりましたが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
  123. 金子一義

    金子委員長 次に、鈴木淑夫君。
  124. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。大分おなかがすいてきましたが、もうしばらく御辛抱いただきたいと思います。  私、九七年の金融ビッグバンの審議のときから主張しておりましたので、あるいは御記憶にあるかと思いますけれども、率直に言って九〇年代の大蔵省金融行政は順番を間違えたというふうに私は思っています。  どういうふうに順番を間違えたかといいますと、本来であれば、バブル崩壊後、九〇年代の前半にまず不良債権処理に取りかからなければいけなかった。米国で言うプロンプト・レゾリューション・オブ・バッド・ローンズに取りかからなければいけなかったと思うのですね。それを先送りしてきた。実際は、そこで不良債権処理をする、そうすれば不良債権処理に伴って資本が傷みますから、次に自己資本比率規制を入れて、キャピタル・アディカシー・レシオのレギュレーションを入れてくる。そして、不良債権も処理した、資本も十分な水準を回復したというところで、さあ国際競争に打って出る、こういう順番が私は適切であったと思うのです。  米国は、八〇年代にやはり不良債権処理を先にやって、自己資本比率を回復して、それで強い銀行になってきたと思うのですよ。日本はそれを間違えちゃって、九五、六年ごろに早期是正措置とかいって自己資本比率規制を入れるぞという。続いて、一番最後に到達しなきゃいけないこと、すなわちビッグバンで国際競争する、これを九七年に入れたわけですね。一番最初にやらなきゃいけない不良債権処理をおっぽり出しておいて、そういう間違った順番でやったものですから、不良債権が火を噴いた。九七年秋から九八年の金融危機でございます。その結果、泡食って今度は不良債権処理まで入れてきたものですから、不良債権処理と自己資本比率の適正化、そして国際競争力を高めるための経営の効率化、三つ一遍に銀行に要求したものですから、これはたまったものではない。一番手っ取り早い対応の仕方は不良債権の処理をする、自己資本比率が下がる、そうしたら分母を小さくしちゃう、つまり貸し渋りですね、こういう対応を銀行はしたのだと思います。  金融三法で、そこに公的な資本を注入したり、あるいは不良債権処理を促進したりして何とかここまで来たと思うのですね。ここまで来たという意味は、銀行もようやく前向きに、IT関係を中心とした設備投資をやろう、今までの不良債権処理とか傷んじゃった資本を回復するというのはかなり後ろ向きの対応ですが、いよいよ国際競争に打って出るぞということを含めて設備投資をやるぞという態勢にようやくなってきたと思います。  三月の日銀短観、御存じだと思いますけれども、ずっと落ちてきた金融機関設備投資が二〇〇〇年度にはプラスに転じる、特に銀行業全体で昨年度マイナス二四・五からことしはプラス三八・五になる。特に都市銀行はプラス六五・八という大変高い伸びをする。ここまで来たのは結構なことだと思うのです。  そこで、宮澤大臣に御質問申し上げたいのは、こういう傾向、今までは、不良債権がたくさんある、自己資本比率も低い、がたがたの日本金融機関経営を立て直す、そして金融システムを立て直すということに追われてきましたが、ようやくこういう前向きの動きも出てくる。そして、今出ている法案のように、ペイオフは一年延ばしますが、最終着地は、本当の意味のペイオフ、二〇〇三年四月からというところは動かしていないわけです。ですから、二〇〇三年の四月をにらんで大丈夫だというところへ持っていこうとしているわけですが。  宮澤大臣、この二〇〇三年四月以降については、本来であれば、小さな預金保険制度にならなければいけない、あるいは公平な預金保険制度にならなければいけないのだと私は思いますね。もう大臣おわかりだと思います。小さなという意味は、特別保険料を乗っけておりますが、二〇〇三年四月からもうやめるよと言えるところへ持っていきたいものだ、さらに言えば、二〇〇三年四月からは、ペイオフ解禁するだけではなくて、銀行の信用力に応じて可変的な保険料を入れてくるということだって考えたいものだと。  これは、金融審議会は、そういうことを言った先生がいるものですから、そういう問題もあるよという指摘だけになっておりますが、私は、特別保険料をみんなから資金量割り当てで取っちゃうというのは、これは一種の奉加帳だと思います。一種の護送船団方式だと思います。決別しなければいけない大蔵金融行政のしっぽがまだそこに残っておるというふうに思うのですね。可変保険料を入れないのも、これは一種の奉加帳ですよ。  ですから、奉加帳方式、護送船団方式からきっぱり決別するためには、本当は、特別保険料を外し、可変保険料を入れてくる、そこまで展望してみんなで努力しなければいけない。二〇〇三年四月以降はそこまで持っていくというぐらいのつもりでなければいけないと私は思うのですが、この法案はそこは書いていないのですね、どうなるかわからぬという格好をしておりますが。  いかがでございましょう、大臣。私は、二〇〇三年四月以降にそういう姿を頭に置きたい、すぐにできなくてもそこへ持っていきたいと思いますが、いかがでございますか。
  125. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 冒頭に、不良債権の処理の仕方、全体のビッグバン考え方、逆であったとおっしゃいまして、それは確かに今から考えてそうだと思いますが、恐らく護送船団行政のもとには不良債権というものはあり得ないと考えたのだろうと思いますね。銀行も何となくそういうふうに考えていいと思ったようですし、政府監督者ですから、護送船団でそんなものは出るはずはないと。そこは全くのフィクションがあったと申し上げるしかないと思います。  それで、最後のお尋ねのところへそれが続くのですが、先々保険料を出してお互いの預金を保険機構で保険するという考え方が、それはそれで受け入れられるとしまして、しかし、みんなが同じ保険料を払うわけはないだろう、リスクが明らかに違うわけでございますから、それを同じ保険料でやろうというのは、冒頭に申しました護送船団方式のしっぽだねと、そこは私は大変に正直共感をいたします。ひょっとしたらもうそういう機構に入りたくないという銀行があるかもしれませんとまで思いますのですが、そうはおっしゃいませんでしたから、まあやはりリスクの違うものが同じだけのリスクの保険料を払うということはどうも理屈が合わない。  ですから、このたびも、法律では可変だということがあり得るとしてございますのは、おっしゃるような思想を反映しておりますが、さてそこで、しっぽではあっても、そのしっぽになるまでの現実に保険機構というものがあって、かなりの借金をしておるわけでございますから、まあ従来の思想をとにかく受け入れてもらえるなら、その借金というものがなくなるまでと申していいかどうかわかりませんが、このような状況である限りはもうしばらく従来の制度を、甘受と申していいかもしれませんが、受け入れてくれないかというのが、可変保険料は可能だがそのプログラムを具体的には申していないということの意味合いではないだろうか。  しかし、それだけ申しまして、あと大きな流れからいえば、私は、鈴木委員の言われることは十分に理解のできるところであると考えています。
  126. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 預金保険制度の将来のあり方、方向性として、宮澤大先輩の御賛同を賜りまして、私も大変うれしく存じますし、自信を持ちました。  私自身、もちろん二〇〇三年四月にいきなり可変保険料を入れて大丈夫か、あるいは特別保険料を全部取っ払って大丈夫かというのは、やはりそのとき慎重に判断すべきだと思っておりますが、方向性について御賛同をいただきましたことを大変うれしく思います。  では、これをもちまして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  127. 金子一義

    金子委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時五十分開議
  128. 金子一義

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  政府参考人として法務大臣官房司法法制調査部長房村精一君、国税庁次長大武健一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  130. 金子一義

    金子委員長 質疑を続行いたします。上田清司君。
  131. 上田清司

    ○上田(清)委員 民主党の上田でございます。  午前中に参考人質疑を受けまして、若干その関連について確認をさせていただきます。  まず、第一勧銀絡みでございますが、さきに仙谷議員の方から若干の質疑がございましたが、時間切れみたいな感じで中身がはっきりいたしませんでしたので、その追加の質疑みたいな形になるかと思いますが、この点についてよろしくお願いしたいと思います。  まず第一点でありますが、午前中に配りましたABCみたいなものでありますけれども、KGI—AからKGI—Kまでの会社が、債権管理回収業に関する特別措置法に基づく法務大臣の認可をいただいているかどうかということについての確認でありますが、いかがでございますか。
  132. 房村精一

    ○房村政府参考人 ただいま先生お尋ねのKGI—AからKGI—Kの会社でございますが、本日現在、これらの会社に対しまして法務大臣からの債権管理回収業の許可は与えられておりません。
  133. 上田清司

    ○上田(清)委員 そうしますと、金融監督庁にお伺いしたいと思いますが、この有限会社KGI—AからKまでの会社は、どう見ても同じ会社内にありまして、代表者が同じでございます。こういう実態からして、第一勧銀が百億という債権譲渡をして、そして、こちらに回収をしていただくような仕組みをつくるということ自体、違法行為ではなかろうかというような疑いを持たざるを得ませんが、この点についてはいかがでしょうか。
  134. 乾文男

    ○乾政府参考人 一般論で申し上げますと、金融機関が不良債権のオフバランス化によります実質処理を図るという観点から、原債務者の保護等に留意しながら、外資系金融機関などに一括売却するバルクセール等の手法を近時積極的に活用しているわけでございまして、その際、多数の投資家からマネーを調達する場合には、取引ごとに分別管理をするためのファンドを設立する必要があるというふうに言われているわけでございまして、そうした場合、一般にいわゆるSPCを活用する場合が多いわけでございます。こうした手法は、不良債権処理の一つの手法として現在では一般に定着しているものと承知しております。  そこで、違法かどうかのお話でございますけれども、言うまでもなく、民間金融機関の個々の不良債権処理の対応に当たりまして、関係諸法令への適合性も含めまして、各金融機関責任におきまして監査法人、弁護士等と十分協議、検討をされるべきものというふうに考えているところでございます。
  135. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは答弁になっていないのですよ。それだったら私もわかるのです、そのぐらいのことは。そうじゃなくて、実際どうなっていますかということを確認したのです。いや、時間が足りなくてわからないというのだったら、それはそれでわかりますし。ただ、今のは答弁になっていないのですよ。
  136. 乾文男

    ○乾政府参考人 今、一般論で申し上げましたけれども、個別の取引につきましての答弁は差し控えたいと思うわけでございますが、けさ、まさに上田議員が杉田参考人に対しましてお尋ねになりまして、杉田参考人からは、繰り返しませんけれども、有限会社KGI—A一社のみに対してバルクセールを行った、またその取引は約百億円だったという答弁があるわけでございまして、個別の話につきましてはこれ以上立ち入りませんけれども、一般論として申しますと、そうした手法をとったところ、自分の経営判断におきまして法令適合性も含めて判断されるべきものと考えているところでございます。
  137. 上田清司

    ○上田(清)委員 その法令適合性に疑義があるということでお尋ねをしておりますので、調査をお願いしたいということを言っているのです。個別の問題であろうと何であろうと、金融監督庁はそれに問題があればちゃんと調査をする必要がありますので、適当にやっているだろう、そんなふうに答えられては困るのです。
  138. 村井仁

    村井政務次官 これも一般的なお答えを申し上げることでまたおしかりをこうむるかもしれませんけれども、私ども金融監督庁といたしまして、検査監督等を通じまして、もし法令に違反するような事実があればこれに厳正に対処する、こういう姿勢でやってまいることを明確に申し上げておきたいと存じます。
  139. 上田清司

    ○上田(清)委員 第一勧銀はこのKGI—Aだけやったということでありますけれども、これが百億ということですから、例えば小口化してずっと二百億以内でやって、いわば監査役等の組織的監査の義務や規制を逃れるための仕掛けをしている可能性もあるのではなかろうかと、私は少し疑いを持っております。  わざわざこのように役員一人あるいはケイマン島を通じた一ドルの資本金の会社にして、そして本店の所在地を虎ノ門のあるビルにする、あるいはまたケイマン島の支店の方はこの虎ノ門のビルにする。私どももこれは調査会社に依頼をしておりまして、若干そのことも触れておりますけれども、代表者の資料が一切上がらない、ほとんど不詳でございます。それから、会社の内容についても極めて何をやっているかわからないという状態であります。  仮にも公的資金を受けた第一勧銀が、百億という債権譲渡をして仕事の関係をつくっておられる。それが、仮にも関連会社として、およそ田安門じゃありませんけれども、地下鉄の名前や江戸城の名前を使って幾つもペーパーカンパニーをつくったという事例で、まさに飛ばしをしていた日債銀やあるいは長銀と同じような事例がこの中にもあるのではなかろうかというような疑いを私は抱いているわけであります。  法令に従って適当にやっていますと。適切にやっていてずっと失敗してきたじゃないですか、今まで。では、なみはやは何だったのですか。ずっとそうじゃないですか。我々は債務超過じゃないかという疑いがあると言って、ちゃんと検査をしています、日銀や大蔵に確認しました、大丈夫です、何回それを繰り返したのですか。だから、そんな答弁をしてはだめなんですよ。では指摘をいただいた点については調査をしますとか言ってもらわないと困るのです。  まず、基本的に、一つのある会社の四十坪のビルの中で、これだけ多くの会社が存在し、しかも、タックスヘーブンの島を通じて支店をこの中に置くというような仕組みの中で、しかも、実はこのシュミット・フレデリック・カツロという方は、債権回収業の登録の社長にもなっておられます。それは許可をとられております。極めて基本的な業務がそういったところにあるということだけは推測できるのです。そういう関連性について私は重要な問題があるというふうに思わざるを得ませんので、ぜひこれは確認をしてもらいたいと思っております。  曲がりなりにも公的資金を投入された銀行が、うさん臭いような会社を相手に何かやっているというような状態では極めて困るということでありまして、私は今の次官の答弁には納得できません。調査をしていただくのかどうかということを確認させてください。
  140. 村井仁

    村井政務次官 個別の問題でございますので、私どもといたしまして、その件についてどうこうというコメントはあえて差し控えさせていただきますけれども金融機関のさまざまの行為につきまして、私ども法令に基づいて厳正な検査監督をする。そして、今御指摘の調査をやれというお話でございますが、一般論でございますけれども、国会でいろいろ御指摘をいただきましたことは、これは私ども、当然のことでございますけれども真摯に受けとめまして、調査あるいは検査監督の際にさまざまの調査も心して行っている、このことは申し上げておきたいと存じます。
  141. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは、大武次長が来ておられますので確認いたしますけれども、今言ったような事例で債権回収によって益金を得た場合には、益金に対する譲渡益等々についてどのような課税状況になるのか、一般論で結構ですので教えてください。
  142. 大武健一郎

    ○大武政府参考人 お答えさせていただきます。  一般論で申し上げますと、その法人が債権を適正な価格によって譲渡した場合ということでございますが、三つのケースがございます。  内国法人がその債権を譲り受けて、債権の回収に伴い利益を得た場合には、その利益に対して法人税が課されることになります。それから、国内に支店等を有します外国法人がその債権を譲り受けて、債権の回収に伴い国内の支店が稼得した利益、それを得た場合には、その利益に対して法人税が課されることになります。他方、国内に支店等を有しない外国法人がその債権を譲り受けた場合には、利子など一定の国内源泉所得が課税されますけれども先生の言われましたような債権の譲渡益課税は原則として課税されないことになる、こういうことでございます。
  143. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。次長、御退席いただいて結構でございます。  それでは、確認いたしますが、第一勧銀から譲渡を受けた債権の回収を行うことは、債権管理回収業に関する特別措置法第二条第二項に規定する債権回収業に該当するかどうか、これをちょっとお伺いします。
  144. 房村精一

    ○房村政府参考人 個別の事案に関するお尋ねですので、その点についての直接の答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、銀行の有しております貸付債権を譲り受けて、みずから訴訟、調停、和解その他の手段によってその回収を行うことを営業とすることは、債権管理回収業に当たるということになります。
  145. 上田清司

    ○上田(清)委員 それで、村井次官、先ほど個別のことは云々というようなことでありますが、私は今までずっと大蔵委員会で、長銀の問題あるいは日債銀の問題、すべてこれは基本的に個別の話であります。そういう個別のことは云々と言われると、何ら審議する対象がなくなってしまいます、本当に。そんなふうなことで、もう少し考えていただきたいと思います。  問題があるから個別の問題を出しているのであって、これが何の問題もなければ出しませんので。今答弁で、問題があれば何らかの形で調査や検査のときにその点を含んでいただいているということでありますから、また個別に調査の内容についてお伺いしたいと思いますが、これは相当問題のある案件だというふうに私は認識しております。それでは、この件はちょっと飛ばしまして、次に移りたいと思います。  これもずっと私も長い間やっている案件でありますが、きょう生に富士銀行の方からお話を承る機会がありました。この点について二点ほどまた確認をさせていただきます。  大蔵省あるいはまたそれを継続されました金融監督庁の立場の中では、富士銀行の言われる内容に従った御答弁がずっとありましたけれども、実は私もずっと指摘しておりましたこの尾花万里子さんという方は、まさに金融や不動産のプロでございまして、そういう貸し借り等々をやった方であります。例えば富士銀行から直接お金が送られてこずに、中村氏本人が二千万持ってきたり、それから全日販という企業を通じて振り込まれたり、そういうことがしばしばあって、なぜ富士銀行は確かな融資というふうに確認をされたのか、そして、なぜそれを当時の大蔵省はそのとおりでございますということが言えるのか。  この点は、小学生、中学生が聞いても、普通、銀行からお金を借りるのであれば、だれかが勝手に手提げかばんに入れてお金を持ってきたりするわけではないでしょうし、もちろんきちっとした形で現金を持ってこられる場合もあるかもしれませんが、振り込みがある。しかも、振り込みだったら富士銀行から振り込まれるのであって、勝手にわけのわからない企業から振り込まれたりするわけがないわけでありまして、そういう実態があるにもかかわらず、なぜ富士銀行が言われるのを認められるのか、このことをまず質問したいと思います。
  146. 村井仁

    村井政務次官 この点につきましては、当時の大蔵省銀行局が富士銀行に確認いたしましたところ、平成三年の四月下旬に尾花氏から富士銀行に対しまして借入金の返済をしたいという申し出があった、それで、銀行としては融資した事実がないので、そこで正規の融資手続がとられていないことが判明し、その後、富士銀行が事件の解明を進める中で、富士銀行と尾花氏との間で正規の融資契約を締結した、このように大蔵省銀行局が報告を受けているということでございまして、私どもは、その事実をそのとおりお答えを申し上げているということであります。
  147. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは、富士銀行が言ったらそれをそのままお答えするのがお仕事なんですか。
  148. 村井仁

    村井政務次官 この件につきまして、それ以外に私どもといたしまして確たる反証と申しましょうか、それに対しましてこれが違うということを確認する手段を持っていないということになろうかと思います。
  149. 上田清司

    ○上田(清)委員 確認する手段は以前に私は提出したことがあると思いますが、週刊フライデーにも出ましたけれども、私はこの原本のコピーは持っておりますけれども、ちゃんと丸晶興産から尾花万里子さんに振り込まれたというものが出ているじゃないですか。富士銀行から振り込まれていないじゃないですか。たった一つでもあるじゃないですか。いわんや中村の調書ではいっぱい出ていますよ。現金で三千万持っていきました、それから、さまざまな形で全日販の事務員を通じて振り込みました、そういう調書がたくさん出ていますし、九二年の二月四日の警視庁二課の作成の中村調書に添付された伝票で、全日販から尾花さんに送金された伝票。太陽神戸三井銀行の株式会社全日販代表取締役花田敏和さんからは二千万、同行から住友銀行人形町支店の尾花万里子さんの口座に二千万。全然富士銀行から行っていないじゃないですか。  だからそういうのを確認しなさいと言っているんですよ。そういう怪しげな話が全部あるじゃないですか。なぜそれを確認しようとしないんですか、金融監督庁は。時効だからというわけじゃないんですよ。当然、一貫してこれまでの金融監督行政というのが問われているわけですよ。  どれだけ我々に対して、とにかく頼むから、なみはや頼むと、つぶしたじゃないですか、現実に。そういうことを繰り返してきたわけですからね。佐々波委員会のときはどうだったんですか。あれだけ議論したじゃないですか。これは債務超過ですよ、ペーパーカンパニーにいっぱい飛ばしていますよ、仙谷さんや私らがずっと言ったじゃないですか。そうしたらそのとおりになったじゃないですか。どうして確認をされないんですか。それを御確認したいと思います。
  150. 乾文男

    ○乾政府参考人 この点につきましても、けさ上田先生富士銀行山本頭取にお尋ねになりまして、山本頭取の方からも答弁がありました。今、村井政務次官からも御答弁申し上げたわけでありますけれども、尾花氏がどういう認識を持っていたかということになりますと、これは私どもわからないわけでありますけれども、尾花氏から富士銀行に対しまして借入金の返済をしたいという申し出があった、そこで富士銀行としていろいろ調べてみたら、銀行としては融資した事実がないんですけれども尾花氏の方はそういう認識を持っていたこと等を考慮しまして、それで富士銀行として正規の融資手続がとられていないことが判明したことを踏まえて、同行の事件の解明を進める中で富士銀行と尾花氏との間で正規の融資契約を締結した、そういうお答えであったというふうに承知しております。
  151. 上田清司

    ○上田(清)委員 承知の仕方が違うんですよ。なぜそういう承知をするんですか、承りましたと。何のための監督庁なんですか。承るだけだったら何でも勝手じゃないですか。  いいですか。あなた方は答弁の仕方が間違っているの、承知しますというやつ。何が承知するんだというんですよ。承るんだったらだれだってできるんですよ。調べてくれと私は言っているわけですよ、一貫して。何にも答えようとしないね、本当に。だめだよ、大きなお金を入れるんだから、こういうことを一つ一つクリアしていかないと。我々、だからペコラ委員会をつくれという修正案も出しているんですよ。修正案は論議されない、きちっと答弁をしない、これでは話にならないじゃないですか。  いいですか、もう一回言いますよ。尾花さんのこの案件の前に、もともと発覚したのは平成三年の五月二十三日。大蔵省に報告したのは六月十七日。それから、この中村さんを六月九日から七月二十八日まで、五十日も缶詰にして内部の調査報告書をつくっているんですよ。だからわかっていたのです、この時点では、とっくの昔に尾花さんの案件を。わかっているはずなんですよ。首をかしげなくてもいいんです。普通の常識に戻ってくださいよ。  いいですか、だから、わかっているはずのものをなぜわからないと言っているんだと。だから、内部調査を見てくださいよ。あなた方は見る権利と能力があるわけじゃないですか。答えてくださいよ。
  152. 乾文男

    ○乾政府参考人 私ども富士銀行から聞いておりますのは、尾花氏と同行との間では、同行が融資した事実がなかったわけでありますけれども、その後、同行が事件の解明を進める中で同行と尾花氏の間で正規の融資契約を締結した、これはまさに聞いていると申しますか、けさ山本頭取もお答えになったということでございます。
  153. 上田清司

    ○上田(清)委員 私は、それはうそだと言うんですよ。だれも調査報告書が見られないからそういうことを言っているんですけれども、そういう話だと検事調書がうそだということになっちゃうし。いいですか、尾花万里子さんの生き方の中で、数十回不動産転がしをやっておられて、あっちこっちのノンバンクから借り入れたりいろいろされている経過があるんですよ。そういう経過の中で富士銀行取引している。正規の融資だと思っていたと言うんだったら、なぜ住友銀行から送られてきたり、花田さんから送られてきたりするんですか。尾花さんが確信するわけないじゃないですか。それでもいいですよ、尾花さんがそう言っているというんだったら。  そうではなくて、富士銀行は、そういうことに関して内部の調査をすれば、尾花さんが正規の融資であると確信したというふうに絶対思われないと思わなきゃだめなんですよ、事実関係は違うと。早い時期からわかっていたわけですよ。そもそも、この尾花さん、だれが紹介したんだ。元大蔵大臣の橋本元総理の秘書さんが紹介したんだ。そして、そのプライベートな事務所でそういう相談をして出てきたんだ、中身が。だからずっと、そういう不正融資の話を含めてわかっているはずなんですよ。だから調査をしてくれと言っているんですよ。  あなた方はあくまで、承知をしています、そんなふうに報告を受けています、そういうことをずっと言われるんだったら、一切あなた方の存在は意味がないじゃないですか。明らかにこれは問題だということを言っているし、検事調書ではそういうことは出ていない。中村さんはそういう話をしていない。尾花さんにはっきりそういう形の中でお金を出している。全日販を通じたり、あるいは住友銀行を通じたり、そういうことをやっているんです。だから、ちゃんと調べてくれないと困るんですよ。じゃないと、あなた方を一生私は信用できないですよ。信用できないんじゃないですか、何回でもだまされて。よくそういうことをいつまでも言えるなと思う。  調べてくださいよ。だから、渡しているでしょう。富士銀行不正事件の概要と尾花さんの融資案件の検事調書の一部を資料で渡しているでしょう。素直に普通の人が見ればわかるじゃないですか、こんなことぐらい。村井政務次官、どう思われますか。
  154. 金子一義

    金子委員長 乾監督部長、もう一遍言ってください。
  155. 乾文男

    ○乾政府参考人 これは随分以前の話でございますけれども、私ども銀行の個々の取引につきまして、尾花さんがそう思ったかどうか我々はわからないわけでありますけれども、少なくとも富士銀行が、事件の解明の中で、これはそれまでは正規の融資の手続がとられていなかった、しかし、その後の解明の中で、富士銀行と尾花氏との間で正規の融資契約を締結した、そのことは事実だと考えておるわけでございます。
  156. 上田清司

    ○上田(清)委員 では、監督部長、検査部長、その正規の融資というのを、どんな形でどのようにとられたのか、それの報告は聞いているのですか。ちゃんと聞いていないんでしょう。言われたのをうのみにしてぽっと言っているだけじゃないですか。
  157. 村井仁

    村井政務次官 この件、当時の大蔵省銀行局の調査の結果を私ども踏まえましていろいろ申し上げているわけでございますけれども、御高承のとおり、中村何がしをめぐって、これはもう完全な犯罪が行われた。これはもう上田委員十分御承知のことでありまして、そういう意味で、それをめぐるさまざまのデータといいますか資料も、当時の大蔵省銀行局の立場からいたしますと、もう既に捜査が入りまして、捜査が入ったためにいろいろ情報がとりにくい環境にもあった、そういう状況もあったことを御理解をいただきたいと存じます。  その前提で、ただいま尾花氏の件につきまして申し上げておりますように、富士銀行として正規の融資をしていないのに返済の申し出があった、そこで、事件の解明を進める中で富士銀行と尾花の間で正規の融資契約をきちんと締結する、こういう処理をした、そういう報告を当時の銀行局が受けている、これを私どもとしては御報告申し上げているということであります。
  158. 上田清司

    ○上田(清)委員 乾さん、言えますか、正規の融資云々という話。——いや、いいですよ。そんな細かいことはわからないということであれば、わからないほど大した報告を受けていないということなんだから。  そういうことなんですよ、あなた方は。そのくせにちゃんと答弁だけはしっかりするんですよ。中身はしっかり知らないくせに、富士銀行側に立った答弁しかしないんだ。だから私は文句を言っているんですよ。村井次官だってそうですよ。とんでもない話ですよ。  尾花さんが、私、富士銀行からお金を借りているんですけれどもと言って、次官、いいですか、九三年の七月二十日ごろに富士銀行の方に電話をかけて確認したわけですよ、借りているんですけれどもと。いや、あなたはそんなお金を借りていませんよと。では、借りていたお金は何なんだろうということで正規の融資に切りかえたというのが、これは橋本頭取も言っていますし、それから小倉常務も、当時新進党の疑惑追及若手有志の会の会合でも言われました、七月二十日ごろだと。  ところが、今言ったように、もう七月二日の赤坂支店の案件の処理のところでちゃんと尾花さんの名前が出て、稟議書に印鑑まで押している。先ほどの答弁みたいに、いやいや、終わった八月十六日に印鑑を押したんだ、だから七月二十日はわからなかったというような子供だましみたいなことが世の中で通じるかというんですよ。考えてもみてください。わかっていた話なんですよ。だから、丁寧に調べてもらえればわかると言っているんですよ。  それをなぜあなた方は、どうしてかばうんですか。どうしても私にはわからない。別にだれかが困るわけでも何でもない、これは。銀行基本的な融資のあり方やそういうことが問われているわけですから、そういうことをきちっと総括できるかできないかが問われているわけですよ。これでまたいいかげんにしたら、先ほどの大型フリーローンの話じゃありませんけれども、回答すらしないじゃないですか、地銀は全部回答しているのに。個別具体的な話じゃない、件数、残高だけ知らせろときちっと言っているのに、そういうこともしないんですよ。どれぐらいたくさんのことをやったかを知られたくないから。大手の銀行としていろいろな悪いことをやっているわけですよ。だから、そういうことは悪いことでございましたということできちっと総括をしなくちゃいけないのに、あなた方はその総括の邪魔をしている、私に言わせると。言葉に語弊があったらそれは謝りますけれども。  しかも、この日付の問題に関しては、再三再四私は決算と大蔵委員会で、以前西村銀行局長のときにやり合ったんですよ。余りにひどいことを言うから、当時の安斎日銀理事を呼んで、あなたの日銀で考査をしたときにこういうのを見たらどうするんだと言ったら、こんなことを言っておられるんですよ、安斎理事は。日銀が不正事件の報告を受ける場合、原則として日付をさかのぼって受け付けることはありません、不正事件についての報告についていろいろ種類があるが、速報的なもの、追加的な報告、いずれにしましても、報告については報告を受けた日をもって報告としますと。  日銀考査の場合はそうすると言っているんですよ。それを当時の西村銀行局長は、富士銀行の内部の慣行の問題でございます、内部で慣習でそんなことをやっていたら、それはそれで結構でございますと言っているわけですよ。許せない対応でしょう、こんなことは。  村井次官、もし西村銀行局長、今銀行局長はおりませんけれども、もし監督部長がそんなことを言ったら認めますか。内部の慣行の問題でございますと言ったら認めますか。それを聞きたいと思います。
  159. 村井仁

    村井政務次官 先ほどの参考人質疑の際に、富士銀行山本頭取からその間の経過についてのお話がございましたのを私も聞いておりました。それは、そういう処理の仕方もあるのかなということは私もその経過としてそれなりに承りましたが、適当だったかどうかということをあえて委員からお尋ねを受けますと、大変、適当だったとも言いにくい。  しかし、一方で、七月の二日に起案したものが最終的に役員室に入ったのが八月の十六日だった、たしかそんなようなことを言っておられたように思います。その起案して実際にそれが最終的に決裁を終了するまでに時間がかかるということはあり得る。そういう意味で、私もいろいろな職場で仕事をしたことがございますけれども、起案日と、それから最終的にその書類が完結する日付との間に相当な期間があるということは、それはあり得るんだろうと思います。  そういう非常に具体的な話でございますので、私といたしましては、今の上田委員の御質問に対しまして、これは適当であるかどうかという私の判断を申し上げるのに、いささかのちゅうちょを覚える次第であります。
  160. 上田清司

    ○上田(清)委員 ちゅうちょされるのが当たり前でありまして、ちゅうちょされることなく当時の西村銀行局長は強弁をされておられたわけです、内部の慣行だと。だから許せないと言っているわけですよ。そういうことが平気で当時の大蔵省銀行局でなされていたということなんですよ。そういうことも含めて総括をしなければならないということなんですよ。
  161. 村井仁

    村井政務次官 お言葉でございますが、今私がちゅうちょすると申しましたのは、いいとも悪いともこれは言いようがないということを申し上げたのであります。要するに、一体その書類が、上田委員は、完結したのが七月二日だ、こういう前提で議論を進めておられる。しかし、それが完結したのはいつだということは私はわからないから、それがよかったか悪かったかは言えない。ただ、始まったのは七月二日だ、そして役員室に入ったのが八月十六日だというお話が先ほどあった。それがどうだったというようなことについての評価は私はできないということを申し上げているわけです。
  162. 上田清司

    ○上田(清)委員 だから調べてくださいとずっと三年もやっているじゃないですか。調べようとしないじゃないですか。富士銀の内部調査報告書を見ればすぐわかるんですよ、いつどういうことが行われたか。当時、中村さんが克明にしゃべっているんです。その一部はこっちにもありますよ。そして、検事調書でもしゃべっているじゃないですか。どちらが正しいのか、富士銀行が正しいのか、それとも中村さんが言っていることが正しいのか、それを確認してくださいと。我々は確認できないじゃないですか。  仮にも国会でうその答弁をされたんだったらたまらないですからね。うその答弁をされて、なおかつまた大蔵省や関係者にうその報告をもし富士銀行がやっていたとすればとんでもない話でありますから、そういう銀行は本当に社会的に大変問題があるというふうな形になりますから、あなた方はどうして富士銀行が言ったとおりをそのとおりでございますと言うんですか。こんなに大事件じゃないですか、二千七百億、六千五百億。なぜ富士銀行の言うとおりばかり聞くんですか。検事調書で出ている部分や内部報告書のほんの一部の部分とか、そちらの方をなぜ見ようとしないんですか。私にはわからない。  谷垣大臣、どうなんですか。本当に調べる気はあるんでしょうか。私は納得できないですよ。
  163. 乾文男

    ○乾政府参考人 御指摘の文書の問題につきましては、これはやはり銀行から報告を受け、あるいはまた、きょう山本頭取がお答えになったところでございますけれども、七月の初めからプロジェクトチームで調査活動を開始した、それで取りまとめたのは八月中旬だったと。それが、どういう理由かわかりませんけれども七月二日という日付になったというふうに聞いているわけでございまして、そのことにつきましては、以前から上田議員から御指摘がございますけれども、私ども、その評価を申し上げれば、たとえ内部書類であるとはいえ、これらの日付が一致していないことは適切とは言いがたいというふうにお答えをしているわけでございます。
  164. 上田清司

    ○上田(清)委員 それを山口銀行局長になったときに修正されたのはそれはそれで評価いたしますけれども、そうじゃないんですよ、調べてほしいと言っているんですよ、何度も申し上げますけれども。尾花さん自体が富士銀行からの不正融資でないというふうに思わなかったことがおかしいんですよ。富士銀行以外の銀行からお金が送られてきて、関係のない他人からお金が送られてきて、それはみんな一つのグループなわけですよ、中村さん、小林さん、花田さん、尾花さん、一緒に飲んだり食ったり遊びに行ったりしているんですよ。わかっているわけですよ。考えてくださいよ。そういうところからお金が送られてきてなぜ正規の融資だと思えるんですか。  そういう問題があるから、その七月二日だって八月十六日の日付だって臭いわけですよ。なぜそうしてうのみにするんですか。調べてくださいと言っているんですよ。その調べる方法は簡単ですと。本人を五十日缶詰にして、外に漏れないように丁寧、克明に内部報告をつくっているんですよ。それを見ればすぐわかるんですよ、どんなことをしてきたのか。そして、国会に対してうその答弁をしたのかしていないのか、あるいは大蔵省銀行局に対してうその報告をしたのかしていないのか、すぐわかるんですよ。私が確認してくださいと言っているのですからなぜ確認しないのですか。向こうがそう言っています、そう言っていますとばかり言って。  見ればわかるじゃないですか、重大な事件というのは。半端な金額じゃないんですよ。何度も言っていますように、これは公的資金も何も入れていなければ単なる一銀行の、民間銀行の事件でしょう。しかしそうではないじゃないですか。債権処理をしているじゃないですか、毎年毎年、何千億あるいは場合によっては何兆という。その中の一部に入っている可能性は高いわけでしょう。だから私は問題にしているわけですよ、これはいいチャンスだ、もう一回富士銀をやれると思って。だから、ちゃんと答えてくれないと困るんです。  それでは警察庁に聞きますけれども、確かにこれは微妙な話でございます。当時の現職の大蔵大臣がこれと関連する証券不祥事で責任をとっておやめになった、この部分も含めたというような意味もあったというふうに、私も、当時籍を持っておりませんでしたけれども、そんなことも聞いております。  いずれにしても、さる刑事が担当だったのですが、その方はノンキャリアであったのですが、異例の出世をされて、その後ほかの事件で逮捕されて失職をされているわけでありますが、この人の御親族も厚生省で異例の天下りもされたりして、何か癒着をにおわせるような動きがその周辺にあります。ひょっとして政界ルートというものをつぶしたのかなというふうな疑いも持たざるを得ません。  そういう意味で、当時の記録として、多分この委員会で言えない話かと思いますけれども、自分たちからつぶしましたとは言いませんでしょうから、このとき警察庁は、こうした政治家の秘書が絡むルートについて、どのように捜査を進めてどのような結論を出されたのか教えてください。
  165. 岡田薫

    岡田政府参考人 どうも大変恐縮でございます。  お尋ねの事件は平成三年から四年にかけて警視庁で捜査した事件についてのことだと思いますけれども、警察におきましては、刑罰法令に触れる行為がございますれば、法と証拠に基づき、いついかなる場合においても厳正に対処しているところであります。  富士銀行赤坂事件につきましても、警視庁において、告訴により犯罪の事実を認知し、所要の捜査を遂げ、法と証拠に照らして刑罰法令に触れると認められた事実につきましてはすべて検察庁に送致をして捜査を終結したものと承知しております。
  166. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。どうぞ御退室されて結構でございます。  ただし、これを聞いていただきたいと思います。九八年の五月十八日、千葉刑務所内での中村出張尋問でありますが、このように言っておられますね。中村さんは、小林先生とは自分自身、もうべったりでした。小林先生も私にべったりでした。そういう関係ですと。転勤阻止の人事の口ききは、小林さんに橋本事務所で直接頼みました。間違いありません。小林さんから本店の秘書室長に、中村を動かさないでくれという電話がいったと思います。それは後に人事部の人からじかに言われて確認しました。人事はそのせいで動かなかった。こう出張尋問に中村さんは答えております。  ただ小林さん自身は、週刊ポストのインタビューに対して、そんなことは言っていないというようなことを言っておられますが、当時、九一年の九月五日の参議院の証券・金融特別委員会で橋本富士銀行頭取は、初めから人事の話で転勤を延ばせないかということだったということを答弁されておりますが、現実にこのような癒着もあるわけです。そこからスタートしたわけですね、尾花万里子さんの不正融資の件に関しては。  そこのところも踏まえれば、不自然だと思っていただかなくては困る。だから、それを調べてくださいと私は何度も言っておるわけですよ。今言ったように、太陽神戸、住友、そこからもお金が行っております、全日販からも行っています、こういうおかしなところからたくさん行っている。当然、尾花さんは富士銀行から融資を受けているんだったら富士銀行から振り込みがあるのです。関係のないところから振り込みがあってなぜ富士銀行だと思うのですか。だれが見てもおかしいじゃないですか。  そのおかしい部分を勘案すれば、日付の問題にしても、このときの本当のてんまつはどうだったのか。国会にうそをつかなかったのか、うそをついたのか。きちんと大蔵省に対して、当時の銀行局に対して富士銀行は報告をしたのかどうか。このことを確認してくださいと。なぜこんなことが確認できないのか私にはわかりません。ぜひ確認するという御答弁をいただきたいと思います。
  167. 乾文男

    ○乾政府参考人 尾花氏が富士銀行からの融資と認識していたかどうかについて、これは、私ども、答えたりあるいは調べたりする立場にないわけでありますけれども、今先生からいただいた文書を読んでおりまして思いましたのは、富士銀行赤坂支店の中村氏が尾花氏と専らそういう融資の話をしていたことから、ひょっとしてそういうふうに尾花氏自身も思ったのかなと思ったりしたわけでございますが、それは別にいたしまして、私どもが先ほどからお答えしておりますのは、富士銀行は、事件の解明を進める中で尾花氏との間で正規の融資契約をその後締結をした、そういう報告を私どもは受けておりますし、頭取もけさお答えになっておるところでございますので、私どももそのように考えておるところでございます。
  168. 上田清司

    ○上田(清)委員 大臣、私は納得ができないのです。しかも、先ほど申し上げましたように、山口銀行局長になってから答弁が変わりましたから少しは私の怒りも和らぎましたけれども、日付が異なるような話を、当時の銀行局長が銀行内部の慣行の問題だなどと平気で答えられて、この問題を看過できないのです。納得のいくまで確認しないと、私はこれから、少なくとも大蔵省やその流れをくむ金融監督庁の言っていることは信用できないとしか言いようがありません。  幾つも裏切られてきたじゃないですか。なみはやといい、長銀といい、日債銀といい、次から次じゃないですか。あなた方が言ってきたのは間違ってばかりじゃないですか。幸福銀行だって平成八年に、明らかに大蔵省の示達書の中で書いてあるじゃないですか、三百何十億債務超過だと。にもかかわらず、そういうことを見逃してしまった。だから、せめてこの部分を明らかにしてくださいよ。調査して確認します、報告しますと。それがない限り、私は納得できないです。大臣、お願いします。
  169. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 上田委員が言っておられるように、その日付の扱いがさかのぼった日付である、それが内部の処理というだけでは納得できないとおっしゃるのは、先ほどから聞いておりまして、私自身も、確かにそういう扱いが大銀行の中で行われていたのが適切かどうかと聞かれると、これはやはりおかしいな、適切ではないなというふうに私も思います。  ただ、この事件は、今も警察からも御答弁がございましたけれども、当時、警察、検察で捜査を遂げまして、刑事事件としては完結をして、そして服役をした方もある。それから、当時、私も過去の事実関係を一々つまびらかにしているわけではありませんけれども、当時の大蔵省銀行局とされましても、それなりのヒアリング調査を行ったということと聞いております。そして、銀行でも処分をされたということで、私は、当時、事件としては一応完結している、こういうふうに考えているわけでございます。  今の段階で、私、今お話を伺っていて、お答えできるのはそういうことでございます。
  170. 上田清司

    ○上田(清)委員 事件が完結しているのは、既に服役中の方もおられれば出てこられた方もおられるし、控訴もしていませんし、事件としては完結しているわけです。ただし、大蔵の金融行政の不透明な部分、このことについては解明していないんですよ。村井次官は首をかしげておられますけれども、わかるでしょう。なぜ不正融資でないとわかるんですか、尾花万里子さんがこういう事情で。いろいろなところからお金を送ってきて、あるいは素手で運んできたり、幾つもそういうのが検事調書で出ている、あるいは内部報告で出ている、ほんの一部ですけれども。  だから、調べればすぐわかるじゃないですか。なぜそれを調べようとしないのか私にはわからないですね。なぜそうなのか。そんな調子でいろいろな問題をかわされて、お金だけどんどんつぎ込んでいくんだったら、とても賛成できません。  時間が迫っていますので、どう押し問答してもお答えできないというのであれば、またさらに強力な何かを出して、そこまで強力なものが出るんだったらやむを得ぬというぐらいの思いを持ってもらうしかないので、もう一つだけちょっと強力なのがありますが、それがまだ届いておりませんので、そのときにまた改めてこの問題は追加質問させていただきます。  それでは、ちょっと時間がなくなって恐縮ですが、朝銀の方ですが、宿題を少し出させていただいておりましたので、どこまでできたか確認をさせてください。できた部分だけでもいいですから、報告をお願いいたします。  まず、多分再検査の方はまだまだ時間がかかると思いますが、法令違反の問題ぐらいはそう時間がかかる話じゃないかなと思いますので、エリア外の融資についての法令違反の問題について確認をさせてください。
  171. 村井仁

    村井政務次官 個別の融資の問題につきましてコメントすることは差し控えさせていただくことでございますけれども、一般論として申し上げますと、国会の場などで御指摘を受けた場合につきましては、その内容を十分検討いたしまして、必要に応じ事実関係につきましてヒアリングを行い、その結果、法令違反等の事実が把握できれば、これは法令にのっとり適切に対処するというのが私ども基本的な態度でございます。  現段階では、そこまでしか申し上げることができません。
  172. 上田清司

    ○上田(清)委員 個別の案件と言われますが、公的資金を三千億既につぎ込んだ案件でございまして、プライバシーも何もありません。既に多くのところで話が出ております。このことでその銀行が何か不利益を受けるということもありません。既にその金融機関は消滅をしております、衣がえをしておりますから。取引関係でそれがゆえに何か不利なことになるということはありませんから、事実関係として法令違反なのかどうかということは、すぐお答えが出せるはずです。あるかどうかを確認するのに二週間かけられちゃ困ります。それは困ります。絶対答えてくれないと、もう時間を待ちましたから。  では、一般論では違反なんですか、それとも違反でないんですか。せめてそのぐらい言ってください。
  173. 村井仁

    村井政務次官 せんだってのお話とも少し関連させて、しかし一般論として申し上げざるを得ないわけでありますが、信用組合の組合員資格を有する者は、中小企業等協同組合法の八条によりまして、地区内において事業を行う者、こうされている。したがって、事業者の支店などが地区内にある場合には、本店の所在地にかかわらず組合員資格を有する場合があるわけでありまして、いずれにいたしましても、私ども金融監督庁といたしましては、信用組合に対する監督権限の移管を受けたところでございまして、他の金融機関と同様に、法令にのっとり適切な監督をこれからも行っていくということでございます。  いずれにいたしましても、法令に違反するという事実がはっきりいたしました場合には、きちんと処理をいたしてまいる、そういうことを申し上げるにとどめさせていただきます。
  174. 上田清司

    ○上田(清)委員 大阪朝銀の場合はきちんとした処理ができていないから問題を提起しているわけでありまして、なぜそういう答弁ができるんですか。明らかな過剰融資、明らかに全く圏外のところに融資をするというような、現実の登記簿がある。そういう資料提出させてもらっている。なぜそれで適切にこれからやると言えるんですか。適切にやっていないんですよ。  だから、誤りを認めてもらわなくちゃ困るんですよ、本当は。調べた結果、怪しいものがたくさんありますという御答弁じゃないと困るんです。そして、もう少し調査をした上で明確に答えますと言えばいいんですよ。答弁の仕方を教えますよ。
  175. 村井仁

    村井政務次官 再三同趣旨の御答弁を申し上げることで恐縮でございますけれども、法令に違反するということになりましたら、きちんと私ども処分をさせていただきます。
  176. 上田清司

    ○上田(清)委員 では、もう一点。いわゆる本店、支店の関係についての調査はどのようになりましたか。  言ったでしょう。まさにそれぞれの信用組合が独立した存在ではなくて、朝鮮総連の下部組織になって、それぞれ支店の関係ではないかというふうな問題提起をさせていただきました。そして、人事異動についての問題を提起させていただきました。そして、福岡の信用組合が東京の物件にお金を出したり、あるいは大阪の信用組合が神奈川の物件に手を出したり、全国的にそのような事業の関係が交差しているということから見ても、これは尋常じゃないということを指摘させていただきましたから、その点についての調査のお願いをしておりましたから、その調査結果についてはどのようになされたかをお伺いしております。
  177. 乾文男

    ○乾政府参考人 各県の朝銀が実質的には一体でないかという御指摘をいただきましたけれども、これにつきましては、信用組合の役員の選出につきまして、中小企業等協同組合法に基づきまして、総会または総代会の手続を経て就任すべきということになっているわけでございますけれども、私ども、それについて法令違反があったという事実は都道府県から聞いておらないわけでございます。  いずれにいたしましても、金融監督庁といたしましては、四月一日に監督権限の移管を受けたところでございまして、朝銀信組を含みます信用組合に対しましても、他の金融機関と同様、法令にのっとり適切な監督を行ってまいりたいと考えております。
  178. 上田清司

    ○上田(清)委員 もういいかげんにしてほしいと思いますね、法令にのっとりやりますと言うのは。法令にのっとってどう調べたのかを聞いているんですよ。十年これをするつもりでいるのですか。こんなことでは審議できませんよ。富士銀行だって何にも答えないではないか。もう私もいいかげん怒りますよ。
  179. 村井仁

    村井政務次官 朝鮮総連といわゆる朝銀との関係等々につきまして、上田委員からいろいろ御指摘ございました。  私どもといたしましては、先ほど監督部長がお答え申し上げましたように、中小企業協同組合法に基づきまして人事等々の手続が行われているかどうか、そういった点は、上田委員からああいう御指摘を受けておりますから、信用組合につきまして私ども移管を受けたところでございますから、もちろん心してこれからいろいろな意味でのチェックもいたしてまいります。そういう観点で、その上で法令違反ということになりましたら、それはそれなりにきちんと対応をさせていただくということを申し上げているということでございます。
  180. 上田清司

    ○上田(清)委員 同僚議員の御了解をいただきまして、少し民主党の枠でお時間を賜りたいと思います。  私は、調査の依頼をお願いしております。事三千億円という大変な金額でありますし、極めて不明朗な、もうだれが見ても、そんなにむきになって調査しなくたって過剰融資であるということはわかるのです。  先般、大野総括次官の選挙区にあります、こう言っては大変恐縮ですけれども、さほど高くない土地あるいは建物に対して平気で二十九億の融資をしているようなそういう業務が、とても法令にのっとって速やかにやったというふうには思われないわけですよ。そういうところに、破綻状況の中で受け皿金融機関に三千億円投入されている。そして、だれ一人刑罰も受けなければ何ら訴追も受けていない。これは明らかにおかしいということを申し上げておりますから、法令にのっとってこれからきちんとやりますというのでは間に合わないのですよ。  ちゃんとした答弁をしていただかないと、最小限度、今ここに着手して、いつまでにきちっとした報告ができますというような答弁をしていただかないと、こんな調子で三年も五年もやられたらたまらないですよ、そのうち人がかわったりしますから。お願いします。
  181. 村井仁

    村井政務次官 破綻した朝銀大阪信用組合につきまして、これは御案内のとおり、朝銀近畿に事業譲渡が行われている。不良資産につきましては、整理回収銀行、現在では整理回収機構に売却が行われていることは御案内のとおりであります。  それで、整理回収機構におきましては、破綻金融機関から買い取った債権を回収する過程で、破綻金融機関経営者、借り手等の民事、刑事上の責任が明らかになれば、これは当然、適切な責任追及を行うというものでありまして、私どもはそのように承知している次第であります。
  182. 上田清司

    ○上田(清)委員 だから、村井次官、私たちは政府委員制度の廃止の中で、政治家の答弁を聞きたいのであって、官僚答弁を聞きたいのではありません。承知しておりますではないのです。そういう言葉はやめてください。それは承っているという話であって、自分の判断がないではないですか。大先輩に大変失礼でありますけれども、心の中でわびておりますが、本当に申しわけありませんが、しかし、本当にそれではだめなのですよ。  何のためにそこをたたいたかといったら、では、重大な疑義があるから御指摘についてスピードを上げて調査をしますという答弁だったら納得しますよ。何も言われないではないですか。私みたいな素人が見ても、これは重大な問題だということぐらいわかるではないですか。だから、御指摘は重大な問題ですので調べますと言えばわかるのですよ。ちゃんと答えてください。
  183. 村井仁

    村井政務次官 私どもも、上田委員と同様に、率直に申しまして、今度は朝銀近畿に事業譲渡が行われたわけでありますし、三千億円という金額がいずれにしましても投入されているという事実があるわけでありますから、それは重大な関心を持っていることは当然であります。  ただ私ども、いわゆる信用組合につきまして移管を受けましたのは、この四月のことでございます。そういう意味で、これから来年の三月末日までに私どもいろいろな形で検査に入って、それできちんと対応していくということを考えているわけでございまして、その際に、当然のことでございますが、上田委員ただいま御指摘になられましたようなことも十分念頭に置いて対応をしてまいりたい。そして、そこで法律に違反するような事実がありましたら、これは厳正に対応していくということでございます。
  184. 上田清司

    ○上田(清)委員 それは十三信組と四つの受け皿の話でありまして、そうではなくて、もう既に行われた部分について再調査をしてくれという私の要請であります。  それから、念のために、もう釈迦に説法で恐縮ですが、例えば、大和銀行が破綻した朝銀信用組合の受け皿になったとか、今度の受け皿というのはそういうものではないのですから。合併という形をとって、何もなかったものをつくって受け皿にしたわけですから、これは極めて異例の仕組みなのですよ。過去になかった話ですからね。そうでしょう。過去にこういう話があったのでしょうか。五つなら五つの信用組合がすっといなくなって、新しい違う名前の信用組合をつくって、そこに金銭贈与があった、こういう事実というのは過去にあったのでしょうか。なかったはずですね。  だからこそ、この方式について極めて重大な疑義があれば、再調査をしなければいけませんので、私は再調査のお願いをして、その結果どうですかということを幾つか段階を経て、当然検査の内容は相当時間がかかるだろうから、そうではない部分については比較的時間がかからないから、その部分だけを先にお尋ねしているのです。  しかし、それでも何か全部これからこれからというような話ばかりだったら、それでは何のために質問して、何のために答弁してもらっているのかわからないではないですか。同じ話の繰り返しではないですか。壊れたテープレコーダーではないのですから、何回も言っているとばかばかしくなってくるではないですか。ぜひ、本当にちゃんと言ってください、どのくらい時間がかかるのか。事務局からどういう報告を受けているのですか。ちゃんと言ってください。
  185. 村井仁

    村井政務次官 私ども、端的に申しまして、受け皿になりました四つの信用組合、これにつきましてこれから検査へ入っていくわけでございますけれども、その過程を通じて、今御指摘のような問題につきまして解明をしていきたい。その時期等につきましては、これは一般論でございますけれども、検査の時期等につきましていろいろ申し上げることは私どもいたしておりません。そのことを御理解いただきたいと思います。
  186. 上田清司

    ○上田(清)委員 何度言っても論点がすれ違いますね。もう次官はわざとそらしておられるとしか申し上げようがありません。私が聞いているのは、先ほど申し上げた点について報告を求めている、その報告について答えていただければいい、それだけのことであります。まだできていません、あるいは、いつできますとか、たったそれだけのことを何度も何度もこうしてやりとりしなくてはいけないのですよ。なぜそんなふうな答弁をされるのですか。  いつできるのか、あるいは、できたのかできないのか、最初からそれだけを聞いているのですよ。それも、時間がかかりそうなのはわざとずらしてあげて、比較的時間がかからないだろうということについてだけ尋ねているのに、何も答えようとされないではないですか。何を考えているのですか。
  187. 五味廣文

    ○五味政府参考人 ちょっと立入検査をしないとわからない部分というのが実はあるわけでございまして、簡単な整理をさせていただきますと、先ほど答弁でも出ておりましたが、例えば朝銀大阪の例でございますが、既に清算中ということで、法人格は一応有しておりますけれども、清算中ということで資産は実質的にはない。その資産がどこへ行ったかといいいますと、先ほどのように整理回収機構と、それから朝銀近畿に行っている。この朝銀系統は大体そういうパターンでいっているわけでございます。そうしますと、いわゆる再調査とおっしゃっているような案件のうちの幾つかのものといいますのは、整理回収機構に今はあるか、あるいは既に引き継ぎの時点で消滅してしまっているか、あるいは、例えば朝銀大阪であれば朝銀近畿に今あるか、こういう分類になるわけでございます。  事業譲渡の時点、あるいは整理回収機構に譲渡いたしました時点で存在をしておりました、例えば貸付債権などの実態、これがどうであるかというような話になりますと、整理回収機構はそちらでやっていただくとして、金融監督庁としてできますこと、そしてやらなければいけないこと、これは、受け皿金融機関に対して厳正な検査をかけまして、そこで解明をしていく、残っておるものであればそういう手法で確認ができる、こんな整理になるわけであります。  この受け皿となりました幾つかの朝銀系の信用組合、その多くは最初の決算がことしの三月期でございますので、まだ決算が出ていないわけでございます。先ほど総括政務次官から御答弁申し上げましたようなスケジュールの中で、厳正な検査を実施して、実態把握、これは資産だけでございませんで、金融検査マニュアルに基づく法令等遵守体制も含めた検査を実施してまいりたい、こう思っております。
  188. 上田清司

    ○上田(清)委員 だから、その部分については何にも聞いておりません、最初から。検査の部分は時間がかかるでしょうからと最初から言いました。  私が聞いているのは、エリアについての違法性、そして、支店なのかあるいは総まとめのグループなのか、独立しているのか支店なのか、そのことを最初から聞いているんじゃないですか。それをずっとこのような形ではぐらかし、はぐらかしでお話をされているんじゃないですか。  今、五味さんが言われたことは、私だってわかっています、簡単に出ないということは。だから、その件は全然聞いていないんです、最初から。聞いていることだけにきちっと答えていただけば、こんなに時間をつぶさなくてもいいんですよ。ずっとはぐらかされているじゃないですか。法令にのっとって一生懸命やります、それは当たり前のことでありまして、そうじゃなくて一生懸命やった結果を聞いているんですよ、どういう結果になったのかと。  前回と同じ答弁をされているじゃないですか。まだできていませんと言えばまだいいですよ。では、いつできるんですかと私は聞きますから。同じことばかり言っていらっしゃるじゃないですか。そんな無責任な対応で法案審議を求めるんですか。  委員長、ちゃんと注意してください。
  189. 村井仁

    村井政務次官 いずれにいたしましても、今五味検査部長からお答えいたしましたような状況でございますから、私どもといたしましては、受け皿になりました四つの信用組合、これにつきまして検査をやるという形で、これまで上田委員指摘になられましたようなことにつきましてもきちんとチェックをしてまいるということを申し上げさせていただきます。
  190. 上田清司

    ○上田(清)委員 私は納得できません。きちっとした答弁ができておりません。検査の部分はよくわかりますが、全部検査しなけりゃすべてわからないなんというようなことを言っていたら、何年たってもできません、本当に。そういう意味で、わかる部分をきちっと出してください。特に、法令違反の部分なんというのはわかるはずですから、すぐ出せると私は思っておりますので、もう一回事務当局に細かく、なぜそういうことをしないのか、伺ってみたいと思います。  大変時間を超過しまして、北橋議員には申しわけありませんでした。  どうもありがとうございました。
  191. 金子一義

    金子委員長 次に、北橋健治君。  北橋委員にあらかじめお伺いいたしますけれども、今上田先生の超過の部分は、北橋先生のところで調整していただくということでよろしいですね。
  192. 北橋健治

    ○北橋委員 はい。  民主党の北橋健治でございます。  宮澤大臣におかれましては、このたびのアメリカへの御出張、強行日程で当委員会にお帰りをいただきまして、ありがとうございます。  時間が限られておりますので端的にお伺いいたしますが、今回のニューヨーク市場の株価下落、これを単なる調整過程の始まりと見るか、場合によっては、かつて日本が味わったバブルの崩壊のような大変深刻な事態にもなりかねない事態と考えているか、それについて率直な御所見を承るのですが、日本のかつてのバブル崩壊に類似した傾向ではない、こういうふうに大臣は明言できますか。
  193. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実は、その問題は、まさに私もワシントンで米政府の当局者と話をいたしておりました。だれがどう言ったということを申し上げることを控えますけれども、それは土曜のことでございますが、月曜になれば新しい相場というのは出てくるだろう、ただ、それを見たところで、これで一つの、今まで言われていたことに答えが出るのか、あるいは新しい展開になるのか、そこが一番自分たちとして知らなければならないところであって、そのいかんによってこれから後の金利政策等々を考えなければならない。  ただ、恐らくは月曜そのものは半戻しのような状態になるかと思っているけれども、したがって、もう少し時間を見ないと、今まさに委員のおっしゃったようなことについての判断がつかないと思っている、何となく二人の話の間でそういったようなやりとりになりましたので、まさにそのことがこれからの問題であろうと思います。
  194. 北橋健治

    ○北橋委員 きょうは日銀総裁はまだお帰りでございませんので、日米の間で、今後の我が国の財政金融政策に影響がありかねない、いろいろな重要なお話があるかもしれませんので、またそのときに質問を譲ります。  さて、この株価の急落を受けまして、与党の方から、公的資金一兆円を株価対策等に充てる、そういうお話も出てまいったわけでございますが、率直に言って、私どもは、非常にこれは安易な考え方ではないかと思うので、ここで大臣の見解をお尋ねしておきたいと思うのです。  今回の株価急落を受けて、四つの項目について与党の方から要請があったやに聞いておりますが、その中で、言うなれば財政の追加的な措置に当たるような公共事業の前倒し、五千億円の予備費の早急な執行、まずはこういった二つの項目があります。今までの政府・与党内の議論を伝え聞くところによれば、そのように主張する自民党政調会長初め有力な意見もありますが、一貫して、大蔵大臣としては、景気は少しずつ明るさを取り戻している、財政の規律もこれまた重要な課題である、したがって、追加的な財政措置、いわゆる前倒し執行あるいは補正予算というものは念頭にないということを、自民党首脳や経済企画庁長官の意見と比べますと際立った考え方を示されておったわけでございます。  それからいたしますと、このような二項目の案をここでもし政府が採用するということは、悪乗りといいますか、今回のニューヨーク市場の急落にうまく便乗して政治的な思惑を政府に対して実行させるということにもなりかねません。どのようにお考えでしょうか。
  195. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨日のような出来事が起こりますと、国民の関心、心配も高いことでございますから、政党としての考え方を述べるということは、これは政党の機能であると思いますので、それはそういうものとして理解をいたさなければなりませんから、政府としても、中身については十分吟味をしなければならないと思っております。  そこで、具体的におっしゃいました第一の問題は、もう既に年度が始まりましたので、公共事業の執行については方針を決定しておりまして、その中で、特に前倒しをするということを今考えておりませんけれども、年度の初め、四月、五月というのは、とかく公共事業が出渋るときでございますから、その両月については顧慮をするように、特に気をつけるようにということは、これはもともと申してございます。そういう程度のことですと、年度初めには当然考えなければならないことであります。  それから、その次に、公共事業予備費のことでございますが、これは、いずれにしても予備費でございますので、国会御開会中は、そうであれば補正予算案を組むべきことでございますから、そこで予備費を使用するといったようなことは、これは実行するわけにはまいらない。これは、むしろ法規上の問題として、国会開会中にそういうことを考えるわけにはまいらない、これは申し上げることができると思います。
  196. 北橋健治

    ○北橋委員 報道によりますと、サマーズ長官初めアメリカ側からも、今後、日本の景気の着実な回復のためにいろいろと要請があったやに伝えられております。それだけに、追加的な財政措置というのは我が国だけの問題ではなくなっておりますので、非常に重要な政治的な判断を要するわけでございますが、私は、やはりこういったところに便乗して今までの発想を政府持ち込むということは非常に危険なことである、そういった意味で、大蔵大臣は財政の規律ということも念頭に置かれてこれからの経済運営を考えていらっしゃると思いますが、そのような政治的な思惑に左右されないように、しっかりとかじ取りをしていただきたいと要望しておきます。  続きまして、一兆円程度の株価の維持、プライス・キーピング・オペレーションにつきましても与党から提案があったやに聞いておりますが、これは過去、九二年にやったときも非常に問題がありましたし、そしてまた、九八年のときもその効果については各方面で大変疑問視された。もともと郵貯の資金を指定単で運用しておりますけれども、これを仮にPKOに使うとなれば、本末転倒、これはもともと郵貯や簡保の方々に利益を確保するということで運用されているわけでございまして、株価維持のために安直に使われることは念頭にはないはずであります。  そういった意味で、もしも仮にこのような何かあったときに公的資金が投入されるというようなことがこれから既成事実化していきますと、これはもう海外から日本金融市場に対して私は重大な不信を招くのではないか、大変危険な発想である、こういうのはやってはならない、そのように感じますが、大臣はどうされますか。
  197. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 郵便貯金、簡易保険あるいは年金等の資金をいわゆる自主運用するということは、これは当然認められておりますが、その自主運用は、当局が最も自分の資金の運用として有利かつ安全である場合に、それに従って行われるべきものであって、他者がかれこれ言うべきことではございません。  また、そのような投資を株価の水準を左右するような目的に使うべきものではない、これは明瞭であります。
  198. 北橋健治

    ○北橋委員 ぜひこの件については、私は、海外から大きな不信を招かないように、一時的な政治的思惑のもとで振り回されないことを強く要望させていただきたいと思います。  最後の四点目ですが、急激な為替相場の変動を阻止する適切な措置ということがございますが、毎日新聞の報道によりますと、政府、日銀は九九年度、史上最高の為替介入、七百三十億ドル台まで介入したのではないか、市場関係者の推計ということで報道しています。そして、このために差損も五兆円に達している、このように言うわけであります。このようなことをまた繰り返すのでしょうか。大臣の見解をお尋ねいたします。
  199. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 為替の水準が何かの思惑によって急激に変動をするということは、我が国の景気回復にしばしば害になることがあると考えておりますから、そういう場合には介入をいたします。過去においてもいたしましたし、今後においてもそうでございます。
  200. 北橋健治

    ○北橋委員 そうしますと、この九九年度、史上最高の介入によって差損が五兆円というのはびっくりするほどの数字でございますが、何兆円になろうが、やるときにはやるということですか。
  201. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 差損というのも、どういうふうに計算するかには問題がございますから、恐らくその報道は私としてはコンファームができないなと思いますが、どのくらいの介入資金が要るかということは、そのときの相場の状況によります。必要があれば、介入の目的を達するだけの資金を出さなければならないこともあります。これからもあるかもしれません。
  202. 北橋健治

    ○北橋委員 この点については、大臣も御見識がおありで、我々と必ずしも一致はしませんが、株価の動きというものをもうしばらくの間見守って、改めて、また日銀には日銀のお考え方もあるでしょうから、お尋ねをさせていただきたいと思います。  預金保険法の改正に関連いたしまして、附則の改正で、今回、東京都の三信組、すなわち、東京協和、安全、コスモ、その信組の破綻処理に伴う損失補てんにつきまして、一定の方向づけをされました。  御案内のとおり、これらの破綻処理につきましては、預金保険法改正前の九四年、九五年に破綻したものでございますが、今回、法改正の規定を遡及するという形までして適用する理由はなぜでしょうか、お伺いいたします。
  203. 大野功統

    大野(功)政務次官 今のお尋ねでございますけれども、まず今のシステム、御存じのとおり、全信組連がいわば東京都信用協会の不良債権買い取りの資金融資している、つまり預金保険機構の役割を果たしております。それから、東京都の信用組合協会が、いわば整理回収機構、RCCの役割を果たしております。  したがいまして、今回どういう問題が出てくるかといいますと、第一点は、全信組連は、これから信用組合を本当に肌のぬくもりを感じ合いながら融資できるような、そういうものに再編、統合していかなきゃいけない、育てていかなきゃいけない大きな義務を、仕事を持っているわけでございます。そういう全信組連について、環境を整備していかなきゃいけない、いわばいつまでも時限爆弾を持たせていくようなことであってはならない、こういう問題点が一つあろうかと思います。  それから、信用協会の方でございますが、信用協会は、RCCと同じような役割を果たしているわけでございますから、こちらの方は、いわばRCCに統一して仕事をやってもらった方が効果的じゃないか、効率的じゃないか、こういう問題がございます。  それから三点目は、今先生もお触れになりましたけれども、これは金融三法ができ上がる前の処理でございまして、今であれば今のシステムで処理できることでございます。そういうことで、基本的な処理方法でこの問題を処理していこう、こういうことであります。  念のため申し上げますと、しかしながら、処理する場合の必要なお金でございますが、これは特例業務勘定から出しておりますけれども、この特例業務勘定の特別保険料で支払うわけでございまして、これは交付国債で賄われることはございません。この点を付言させていただきます。
  204. 北橋健治

    ○北橋委員 この二信組が破綻するに当たりましては、国会でも参考人招致で、ずさんな放漫経営実態が明らかになったイ・アイ・イ・グループへの乱脈融資ということが大きな原因になっているとも言われております。そして、これまでこの二信組の破綻処理に伴う負担は、国と東京都とそして金融業界がお互い押しつけ合いをしてきた経緯がありまして、結局、不良債権の回収業務は都信協に回されて今日に至っているわけです。  ところが、回収業務は難航を極めまして、まだ一四、五%という関係者のお話もございますが、結局三信組合わせて一千億円に上る二次損失が残されている。さあ、これをどうするかという過程におきまして、伝え聞くところによりますと、大蔵省は一貫して、金融三法が整備される前の破綻損失を現行制度で穴埋めすることはできないと突っ張ってこられた、このように聞いているわけです。そして、その協議は迷走を続けるわけでございますが、一千億円の二次損失のうち七百億円は預金保険と信組業界が負担して、都は三百億円負担するという案を出したところ、都が猛反発した、そして、国がやるからお前もやれなんというのは通らない、だめなものはだめなんだという形で石原知事が去年の十二月三日、はっきりと金融当局の案を一蹴した、こう聞いております。  これまで大蔵省は、この損失の負担については非常に難色を示された、突っ張ってきた。それが東京都との話し合いの過程において最終的に折れたわけでございますが、これだけの重要な案件について、我々はその過程を明快に知ることができない。そういった意味で、私どもは、金融問題監視院等をつくって、納税者、国民の目にしっかりとその過程が見えるようにすべきだということを主張するわけでございますが、この機会に、なぜ反対をし渋っておられた国の損失処理について東京都との間で最終協議が行われたのか、その過程を簡潔にお示しいただきたいと思います。     〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
  205. 村井仁

    村井政務次官 私どもとしましては、全信組連の信用組合協会向け不良債権買い取り資金融資をめぐる問題を先延ばしすることなく解決したいということで、先ほど大野政務次官からもお話ございましたように、債権回収業務を整理回収機構に円滑に一元化するという方針でいるわけでございますが、その際に、全信組連に顕在化するロス額につきまして、現在御提案しております改正法案に基づきまして処理するにつきまして、東京都の支援額につきましては、預金保険制度を通じて金融機関に負担させるのは適当でない、こんなふうに考えておりまして、この額につきましては引き続き全信組連が東京都との間で協議を続けていく、こういうことになっております。  政府といたしましては、信組業界の基盤強化に向けましての政府の取り組みの趣旨を東京都が御理解くださり、この問題の解決を含めて、信組業界の基盤強化に向けての東京都の支援が得られるように、今後とも全信組連を支援してまいる、そういう所存でございまして、いろいろ折衝をさせていただいているわけでございますけれども、当方から都に対しましては、信用組合の再編強化に当たって大きな役割を果たすことが期待されるこの全信組連につきまして、これを強化するという観点から、都におかれても御協力をいただくようにお願いを申し上げている、そういうことでございます。  なお現在、具体的な協議をいろいろ進めている状況でございますので、それ以上のコメントはちょっと差し控えさせていただきたいと存じます。
  206. 北橋健治

    ○北橋委員 東京都がこの問題で強く難色を示し反発をしてきたというのはなぜか、皆様も御案内のとおりだと思うのですね。納税者が見ているからですよ。なぜあのようなでたらめな乱脈経営のしりぬぐいを我々の税金で面倒見なきゃならないのか、そういう声があるからこそ、東京都も踏み切れなかったのと違いますか。そういった意味におきましては、全信組連のこれからの重要な機能に着目しての措置だということはわかるのですけれども、やはりこれは納税者の立場からすると、非常に不透明で納得のいかないことが相当にあるのではないかと思います。  実は、私どもも、東京都民がなぜ石原さんの外形標準課税に拍手喝采を送ったのか、いろいろな角度から世論調査を内々させていただきましたけれども、この間の信組の取り扱い一つをとりましても、なぜ我々の税金があのような放漫経営のツケでしりぬぐいに使われているのか理解できない、それに対する大蔵当局、あるいは当時信組は都が監督をしておりましたから、その金融行政に対する不信感というものが渦巻いているのですね。それに一石を投じたことに対する拍手喝采ではなかったかと私は受けとめるわけです。  そういった意味におきまして、イ・アイ・イ・グループのあのようなひどい融資を長いこと続けていた、都の財務局は一体どういう監督をしていたのか、どんな検査をしていたのか。そして、四月一日からその資料金融監督庁に移管をされているわけです。  その当時、東京都がこの破綻した二信組、そしてイ・アイ・イ・グループ、その関係につきまして、私はそれなりに克明に調査をしたはずだと期待をしたいのですけれども金融検査部が当時検査報告書あるいは示達書と呼んでいた、それに準ずるような都の資料を国会にお出しいただきたいのであります。そして、果たしてその措置が納税者が納得できるかどうかというのを改めて審議の場で明らかにせねばならないと思いますが、提出いただけますか。
  207. 村井仁

    村井政務次官 突然のお尋ねでございますので、これにつきましては、申しわけございません、ちょっとコメントを差し控えさせていただきまして、私どもとしても研究させていただきたいと存じます。
  208. 北橋健治

    ○北橋委員 同僚の委員から、今回の預金保険法の審議に当たりまして、長銀、日債銀に七兆円の国民の税金がつぎ込まれた、そして、七兆五千億円の公的資金が十五行に注入された、そして、その中でも富士銀行は一兆一千億円の税金を注入されている。しかし、その過去には、先ほどから、十二億円の、政治家の、あるいはその秘書の影響力がなければあり得ないような融資も各方面から指摘されてきた。  そういう問題を、司直の手にゆだねているからというふうに答弁されたわけでございますが、例えば日債銀にしても、検察の方が間違いなく立件できる、裁判で勝てるというところに絞っているのであって、そのほかにも有価証券の不実記載がいっぱいあったと思うのですね。そういった意味で、国会の場というのは政治的、道義的責任というのが大きいと思うのです。  私は、名前はケンジですけれども、関係者をここに引っ張ってこいと言うつもりはありませんけれども、これだけの税金を使っているわけです。そして、それを許してしまった金融当局、大蔵省責任もまた厳しく追及されていると思うのですね。金融行政に対する信頼を回復する、そして、二度とこのようないろいろな不祥事を起こさないようにする、破綻を繰り返さないようにするという意味におきまして、私は、平成二年、三年当時の富士銀行に対する金融検査部の検査報告書、示達書、これは絶対に提出をしていただきたい。  そして、長銀、日債銀についても、弁護士から成る内部調査委員会が設置されて克明に内部の問題を、我々から見ればそれはまだ十分とは思えませんが、そういったものもある。そういった資料も全部出していただく。あるいは、東京都との話し合いにおきまして、都がやってきた検査の内容についても出していただく。そういうものを議論せずして、司直に任せてあるからとか、そういうことだけでやっていったら、一体我々は納税者にどうやって説明すればいいのでしょうか。  私は、大蔵省を責めることだけが目的ではなくて、金融行政に対する信頼回復のためにもそういった資料を提示いただきたい。そして、それを議論する場として、民主党が主張しているようなペコラ委員会金融問題の監視院を国会にしっかりとつくる。それが金融再生への大前提でなければならないと私は主張するわけでございますが、いかがでしょうか。
  209. 村井仁

    村井政務次官 一般的に、検査の後に出ます示達書等は、相当、金融機関の個別の融資につきましていろいろ記述がございますものでございまして、これをお出しするということが可能であるかどうか、この問題につきましては、私、率直に申しまして、過去もいろいろな事例がございますけれども、固有名詞をあえて墨で塗りまして、それで限られたメンバーの中でお示ししたというような例も過去にはありますけれども、これも非常にいろいろな意味で問題があるケースじゃないかと思っておりまして、直ちにこれにつきまして肯定的なお答えを申し上げるのはいかがかと思っております。
  210. 北橋健治

    ○北橋委員 二年前に私、野党の大蔵筆頭理事を仰せつかっておりまして、当時、接待疑惑、金融不祥事で大揺れに揺れたときがございます。そして、大蔵の理事会におきまして資料要求をいたしました。予算委員会の方でも、これは重要案件となりまして、すったもんだ与野党で闘いまして、結局、名前の出ているところはプライバシーその他の問題で全部マジックで消しまして、理事会室で時間を決めて、メモをとってはならないという、欧米の政治家が聞いたら、一体日本というのはどんなところだろうかと思うと私は思うのですが、残念ながら、力関係で我々はやむを得ずそれで妥協してそれを見ました。  私は、そのときに率直に感じたのは、金融検査部の職員の方というのは、退官後小説家になれるのじゃないかというぐらいに実に鮮やかに、なぜこのようなひどい物件に対してこれだけの融資をしていたのかということがよくわかるように書かれているわけです。  今、村井次官の方から、金融検査報告書、示達書は出せないのだ、こういうお話でございますが、書いてあるからじゃないのですか。富士銀行の尾花さんに対する十二億円の融資を初めとして、政治家の秘書がかかわっていることが書いてあるのじゃないですか。それをかばうために出さないのではないかと思われてしまいます。  すべて公開せよとは申しません、理事会で結構です。そして墨を塗って出してきても結構です。それでも金融検査報告書は見ればよくわかるようにできています。あのような融資がなぜ行われたのか。そして、その銀行に一兆一千億円も税金がつぎ込まれている。私は、出せないということはだれかをかばっているとしか思えないのであります。  質問をいたしましょう。平成二年、三年当時、富士銀行に対する金融検査報告書の中で、政治家あるいは政治家の秘書が記載された事実はあるかないか、それだけで結構です。お答えください。     〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  211. 五味廣文

    ○五味政府参考人 個別金融機関の立入検査の結果につきましては、当該金融機関経営内容を当事者の意に反して開示することになること、また、その取引先経営内容等を当事者の意に反して開示することになること、さらには、信用秩序に重大な影響をもたらすおそれがあること、以上の理由から開示はいたしておりません。  ただし、例外として、金融機関が破綻をいたしました際には、その検査における財務内容の概略につきまして、これを発表いたしております。また、検査の結果が根拠となりまして行政上の処分が行われ、この処分が公表されました場合には、その根拠となった検査結果の概略について発表いたしております。  以上が、当局が検査を発表する際の基本姿勢であり、すべてであります。
  212. 北橋健治

    ○北橋委員 つまり言えないということですね。大変残念であります。結局そういうことで、やはりいろいろな思惑が生じてくるわけです。私どもも実際それを見ていないのだからわからないのですね。ですから、私どもは、納税者に理解、納得が得られるように、やはりそういう重要な資料については国会に提出すべきである、それを認めない現在の政府・与党についてはまことに遺憾に思うところであります。  さて、この審議で、私も保険業法のことについては質疑する時間が余りないので、一点だけお伺いしておきます。  いろいろと議論されました。そして、生命保険に対するセーフティーネットを再構築する必要性、重要性についてのお話も承りました。その場合に、私どもの同僚委員指摘しましたように、このような生保の経営不安定に至った行政責任というのは、はっきりしていないのではないか。  超低金利政策で過去十兆円の逆ざやに苦しんできたというだけじゃありません。大量の外債を買うようにお勧めになられたのじゃないでしょうか。そのために、かつて二百四十円時代にたくさん買って、百円台に落ち込んで膨大な為替差損を出したと聞いておりますし、国債も、日銀もふえているけれども生保も大変な量を買っています。あるいは金融機関が倒れたときに奉加帳が回ってきておつき合いもさせられている。これは全部大蔵省がかかわっているのじゃないでしょうか。  あるいは予定利率、一たん決めると下げられないという生命保険の特質を十分御承知でありながらも、例えば簡保が上がったから生保も必要だということで、実質的に護送船団方式の中で、生保のやることを、手足をしっかりと縛って、皆様方のポリシーに従って誘導してきたではありませんか。それが今日の状況に至っている。  それに対して、やはり金融当局、大蔵省責任ある立場の方には、このような事態に至った責任は重いものがあると思っています。  そういうものをしっかりしなければ、このたび公的資金を用意するという生保にとっては画期的な制度改正でございますので、多くの国民の理解を円滑には得られないと私は思います。その辺の責任をどうお考えでしょうか。
  213. 村井仁

    村井政務次官 どのような資産に運用するかというようなことは、基本的にそれぞれの金融機関、ただいまの場合でございましたら生保ということでございますが、その経営判断の問題だろうと思っております。  それから、予定利率の問題につきまして御付言がございました。確かに、当時大蔵省でございますけれども、昭和五十一年と六十年と二回、いわゆる予定利率の引き上げをやっているという事実はございます。ただ、その当時、いずれも現実の運用利回りというのは相当な水準になっていたわけでございまして、それなりに、その当時予見可能な期間において十分それでやっていけるという判断をした。それが、残念ながら期間の経過につれて、バブルの崩壊、そしてまた低金利というような事態が生じましてそれを実現することができなかったということでございまして、そのこと自体は非常に残念なことだと思っております。  私どもとしましては、こういう事態を踏まえまして、今後このようなことが起こらないように、各生保あるいは他の損保等もそうでございますが、それらに対しましてしっかりした監督そして検査をやってまいりたい、そのように思っておる次第でございます。
  214. 北橋健治

    ○北橋委員 時間が来てしまいましたが、最後に大蔵大臣に、四千億円の公的資金を用意したことについてはるる意見があるわけでございますが、やはり年金だとか生命保険だとか、自分の未来に対する安心というものが崩れた場合に、もう日本の経済も社会も本当に大変なことになると私は思うのです。  そういった意味におきましては、今回、更生手続法の改正で、保険業も早期発見、早期治療ということで、できるだけ損失の負担が出ないようにするということもございますが、やはり私は、与党内でもいろいろな賛否両論があったと聞いておりますが、生保のセーフティーネットをがっちりとつくっておくことは国民生活にとって欠かせないことだ、その決意に立って今後運営していただきたいのでございますが、その点についての大臣の御所見を承って、私の質問を終わります。
  215. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 生命保険に依存している国民の割合というのは非常に高うございまして、ハウスホールドでいえば九割と言われておるわけでございますから、それはもう明らかに生活の設計の一部になっていると思います。  先ほどもちょっとおっしゃいましたが、現在の、いわんや生命保険会社の経営の困難さというものが異常な低金利というものに決して無関係ではない、そのような低金利政府なり日銀なりの方針というものとまた無関係ではないということもございますから、そのような国民生活を保護しなければならない機構に政府がある程度の貢献をするということは、どうも十分に理由のあることでもあるし、また避けられない政府としての務めではないかというふうに私は思っておりますので、委員の言われるような考え方に私も同感でございます。
  216. 金子一義

    金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
  217. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 佐々木憲昭でございます。  預金保険法、保険業法、この二つの法案の質疑の最後の質問になると思います。もっとやりたいのですけれども、残念ながら打ち切られてしまうということでありますので。  提案されている預金保険法の改正案は、これまでの質疑を通じまして、国民の税金を金融機関に投入する仕組みを延長し、さらに固定化するものであるということがいよいよ明らかになりました。護送船団方式からの脱却が求められているにもかかわらず、税金投入の仕組みを温存するというのは逆行ではないだろうか、私どもはそう考えます。これでは、行政金融機関との癒着、政治と銀行業界との癒着を断ち切るということはできないと思います。  振り返ってみますと、ちょうど二年前に、大蔵省は接待汚職で大変大きく揺れました。そのとき、監督下にある金融機関大蔵省の癒着、とりわけ金融検査を実施する側とされる側の接待というのが大問題になったわけであります。その後、不十分ながら一定の処罰が行われ、ことしの四月一日からは公務員倫理法も施行されて、倫理規程も閣議決定されました。  まず、大蔵大臣にお聞きしますけれども、それぞれの公務員に全体の奉仕者としての自覚が求められると思いますが、これは言うまでもないことだと思いますけれども、同時に大事なのは、大蔵省として、組織全体として、関係業界との癒着あるいは腐敗、こういう問題が進まないように常に自己点検を心がけるというのは大変大事なことだと思います。  この点について、初めに大臣の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
  218. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 公務員が憲法のもとに、公務員をやめました後も自分自身の生活を支えていくために職を見つけなければならないということ、そういう憲法上の権利は当然持っておりますし、また、公務員のそのような経験あるいは才能を社会が有効に使うということも大事なことである、これは申し上げるまでもありません。  しかし、そうではありますけれども、そのようなことが公務員にとって具体的な期待権になるような状況を、大蔵省のメンバーであるがゆえに、あるいは在職中にした仕事のゆえに生ずるということは、これはまた弊害の生ずるもとでございますから、前者は前者として、しかし後者は後者としておのずから慎まなければならない規範というものが、個人にとってもまた組織としての大蔵省にとっても存在しているということは、私も同感でございます。
  219. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 関連業界との癒着を正すという点で公務員倫理法がつくられたということであります。しかし、それだけではまだ足りないと思うのですね。やはり関連業界に対する天下り問題というのがもう一つございます。天下りについては、国民の批判も非常に強いわけでございます。  そこで、総務庁にお聞きをいたしますけれども、天下りについては、この間具体的にどのような改善が行われたでしょうか。
  220. 中川良一

    中川政府参考人 国家公務員のいわゆる天下り問題につきましては、行政に対する国民の信頼確保の観点から重要な課題と考えております。  政府といたしましては、昨年三月に公務員制度調査会から答申が出ております、また昨年四月には中央省庁等改革の推進に関する方針というものを定めましたが、これに基づきまして、本年度から幹部職員の再就職状況を公表いたしますとともに、公務員の人材情報と企業等からの求人情報の調整等を通じて再就職を支援する仕組み、人材バンクと申しておりますけれども、この人材バンクを導入いたしまして、再就職の公正性、透明性確保を図るということにいたしております。  今後とも、中央省庁等改革の推進に関する方針に基づきまして、政府として、公務員の早期退職慣行の是正、再就職の公正性、透明性確保を図っていく必要があると考えておるところでございます。
  221. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 人材バンクということもお話がありましたが、問題は透明性というだけではなくて、このような天下りそのものに対して規制を加え、基本的にこの方向を是正していく、なくしていくということが大事だと私は思うのです。  天下りの害悪につきまして、今から四年前の九六年二月九日付の朝日新聞の天声人語に、住専のドンと言われた、日本住宅金融、これは住専の一つでありますが、その設立時から社長として君臨してきました庭山慶一郎氏は、記者会見でこう言っております。記者が庭山氏に、あなたが社長当時、大蔵省の立入検査を一たんは拒否したそうだがと、こう尋ねたのですね。そうしましたら、庭山氏は、自分の後輩に自分の会社を指導してもらうようなそんな見識のないことは私はやりません、こう言った。大蔵省の課長補佐が来たが帰った、次に銀行局長が来た、君が来たのなら、君のやった政策のせいで困った結果が当社に起こっているからと、そういう意味で検査することを許可したわけです、こういうことを住専のドンと言われた庭山さんが語っていた。検査に来た人間を追い返したり、私が検査を許可したんだということを言うに至っては言語道断であります。天下りした元大蔵省幹部がこういう姿勢をとっていた、その実態がここによく出ていると私は思います。  そこで、人事院に具体的にお聞きをしたいのですけれども大蔵省から金融機関への天下りは、平成十一年に何人いたでしょうか。この数年、傾向としてふえているのか、それとも減っているのか、御報告をいただきたいと思います。
  222. 中橋芳弘

    ○中橋政府参考人 私どもが、公務員法百三条に基づきまして営利企業等への就職承認をいたした者の中で、大蔵省で、かつ金融・保険業等に就職した者の数でございますが、平成七年が三十九人、平成八年が十四人、平成九年が十三人、平成十年が十人、平成十一年が七人、かようになっております。
  223. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 数字としては、確かに傾向として減っております。  ただ、問題は、ここに抜け道があるのですね。離職後二年を過ぎてから営利企業に天下りする場合は結構ですと。それから特殊法人に天下る、あるいは公益法人または業界団体、こういう場合も、形式上は営利企業ではないということで、ここに天下るのはノーチェックである。さらに、在職していた国の機関と密接な関係がない営利企業であればオーケーだ。在職していた国の機関と密接な関係がある営利企業でも、その在職が離職前五年より前である場合にはオーケーだ。こういうふうに、天下りを規制するということを言いながら、そしてまた人事院が承認した数は減ってはいるけれども実態的にはどうなっているのだろうか、変わっていないのではないかということがいろいろと指摘をされているわけであります。  そこで、私の手元に、大蔵省が一昨年の三月十一日に大蔵委員会理事会に提出をいたしました天下り一覧表の資料がございます。証券会社、都市銀行長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合、生命保険会社及び損害保険会社の役員のうち大蔵省出身者、その一覧表であります。  これを見ますと、集計いたしますと、皆さんに配付いたしました資料の一枚目のようになります。証券会社六十九社に八十人、都市銀行一行に一人、長期信用銀行三行に三人、信託銀行二行に二人、地方銀行三十二行に四十一人、第二地銀五十一行に七十人、信用金庫二百三十四金庫に二百八十六人、信用組合八信組に九人、生保十一社に十三人、損保六社に九人、合わせまして四百十七の金融機関に五百十四人が天下っております。これは今から三年前の資料ですから、新しい資料があれば提出していただきたいわけですけれども、今手元にあるのはこの資料であります。  大変驚きましたのは、この中で信用金庫が大変多い。全体の六割近くが信用金庫に天下っております。  信金だけを取り出したのが、次の二ページから十九ページまでのリストでございます。個人名はここでは白く抜いておきましたけれども、しかし、これだけ大量の天下りが信用金庫に対して行われております。信金の名前が一番左にありまして、検査年月日、天下りした者の氏名、これは消してありますけれども、それで一番右側に最終官職が書かれております。その結果、二百三十四金庫に二百八十六人が天下っているという、これが実態であります。  平成九年三月末時点の日本の信金は約四百でありましたから、六割の信金に天下っている、天下りのない信金は逆に少数派である、こういう驚くべき状況になっております。  そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、なぜ信金にだけこんなに大量に大蔵省から天下りが行っているのか、その理由は何だというふうにお思いになりますか。
  224. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 なるほど多いので私もちょっと驚きましたが、大体、財務局に勤めていた職員、財務局には財務事務所がまたございますから、そういうところにいた人たちが多いのだろうと思います。  実情を申しますと、信用金庫というのは信用組合と違いましてかなり近代化された組織でございます。したがって、その運営には、もともとからいえば、代々お家柄の人が常務理事長とかなんとかそういうことになるわけでございますけれども、あとエキスパティーズに当たる部分は、かなり実務の知識を持った人でないとやれない。もともと地域のあれでございますから、大きな人の異動というようなものはもともと難しゅうございまして、役職員も事務方も難しい、しかし結構専門的な知識が要るという社会でございますものですから、勢い、財務局なり財務事務所にいた人たちが、長い間仕事の上では行き来がございますし、多くはその地域に住んでおる、そしてその地域で生涯を送るというようなことがございますものですから、自然にそういうところから望まれて入るというケースが多いというのは事実と思います。よほどすぐれた人ですと、理事長になるというケースはないわけじゃございませんでしょうが、余り聞きませんで、まあ専務それから常務あたり、実際のところはかなり仕事のエキスパティーズを買われて入ったということが、私の見ております限りでもどうも多いようでございます。  多いようでございますが、しかし、佐々木委員の御質問の裏っ側は、何となくその土地のそういう財務局にいた人の期待権になっているんじゃないか、どうも、たまには、たまにはと申しますが、だれかがやめた後はだれかみたいな、そういうこともあるかもしれない、全く弊害がないとは申し上げにくうございますけれども、地域の、しかもその仕事について専門的な知識を持った人が、かなりそれも長いこと就職してその金庫のために働くというケースが、これは比較的自然に多いのではないか、私の知っております範囲ではそういうふうに思います。
  225. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 常務、専務だけではなくて、理事長もかなりおりますよね。それから、おっしゃるように、地方財務局の天下り先という点で、相当網の目の細かな配置が行われているというふうに私はこの表を見て思いました。  信用金庫に対する検査というのは、これは金融監督庁が本庁から直接行ってやるわけじゃありませんね。監督庁にお聞きしたいのですけれども、信金に対する検査というのはどのような体制でやっているのでしょうか。財務局はどうかかわっているのでしょうか。
  226. 五味廣文

    ○五味政府参考人 お答えいたします。  信用金庫に対します検査は、金融再生委員会金融監督庁長官からの委任を受けて、その指揮監督のもとに、財務局長が厳正かつ公正な検査を実施する、こういう体制でございますが、法律関係を申しますと、信用金庫法八十九条一項において銀行法の二十五条、これすなわち立入検査の規定でございますが、これが準用されまして、金融再生委員会が信用金庫に対する検査を行う、こういうことになっております。  ただ、金融再生委員会の信用金庫に対します検査権限は、信用金庫法の八十八条第一項の規定で金融監督庁長官に委任をされ、この長官の権限についてさらに信用金庫法の八十八条三項及び同法施行令第十条第二項、さらに同法施行規則二十七条一項六号、この規定によりまして、金融監督庁長官から財務局長に再委任をされている、こういう形になっておりまして、実際の検査の執行は、先生ただいまおっしゃいましたとおり、財務局の検査官がこれを実施するということで今まで遂行してきております。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  227. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 監督庁が委任をして地方財務局が実施をしている。そうしますと、天下りとの関係でありますけれども、かなり細かく天下りが行っておりますが、天下りを受け入れている信用金庫と天下りを受け入れていない信用金庫に対して、例えば受け入れていないところに対してはかなりきつい検査をやるとか、受け入れているところは甘いとか、そういうことはありませんか。
  228. 五味廣文

    ○五味政府参考人 結論から申しますと、そういうことはございません。どの金融機関であれ、検査に入りますときには検査に使います指針をそれぞれ確認いたしました上で入ってまいります。OBがいるいないで、検査の内容に厳しかったり緩かったりということが出るということはございません。むしろ、検査官の体験談を聞きますと、金融検査の実務の経験が長いOBさんが行っている信用金庫に行った場合というのは議論が結構沸騰いたしまして、そういう詳しい方がおられないところですと検査官のいろいろな指摘になかなか十分なお答えをいただけないケースもあるのですが、そういう信用金庫の場合には逆に検査に際しましてのいろいろな意見交換で議論が沸騰しまして、かえってその信用金庫の問題点が明らかになるというようなケースも多い、こんなふうに聞いております。
  229. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 先ほどの住専の庭山さんのような、先輩が相手側の信用金庫にいるとなかなか検査がやりにくい、こういうこともあり得るわけでありまして、したがって、この天下りの問題というのは大変重大な、是正の対象となるべき課題だと私は思います。  東海財務局の事例皆さんにお配りした資料の二十ページから二十二ページまで、紹介をしておきました。これは、平成一年から十一年度にかけて、東海財務局の課長以上の幹部が金融・証券関係の会社にどのように天下っているかを示したものであります。この時期の勧奨退職者、いわゆる肩たたきを受けて退職した幹部ですが、五十一人います。そのうち、金融・証券関係の会社に再就職し、現に勤務している者は四十人であります。その退職時の平均年齢は五十一・三歳であります。定年よりも九歳も若くして天下りしているという実態であります。  重要なのは、過去の関係部署でありまして、金融・証券検査、こういうところに関連をしている方々がこのうちの二十七人、六七・五%、約七割に上っております。大蔵大臣にお聞きしますけれども、こういう関係、これは大いに好ましいというふうにお思いでしょうか。それとも、これはちょっと行き過ぎだというふうにお思いでしょうか。どちらでしょうか。
  230. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはなかなか何とも言えないところがございまして、先ほど申し上げましたように、信用金庫となりますとかなり専門的な知識がありませんと実務の運営が難しいものでございますから、そういう人が地域にざらにいるわけではない。当然のことですが、やはり財務局なんかにおりまして、それも地域に住んでいるということから、地域の縁もできている、よくも悪くもお互いに顔見知りでもある、そういうことでございますから、あそこにあなたは勤めていらっしゃるが、おやめになったらうちへ来てくださいませんかといったような関係が比較的自然にできやすい。無論、そうばかりじゃございません。そうばかりじゃございませんが、できやすいということがあって、私は、人物経済からいうと比較的いい方の関係ではないだろうか。  無論、あの人がいるから検査を手控えするなんということは、とてもとてもそんなことができるこの世の中じゃございませんから、そんな心配はございませんけれども、金庫がうまく、法令に従ってえこひいきなく運営されているということには、私は、こういう人事関係が貢献している場合の方が多いのじゃないかと。一般には申し上げられないことですが、そういう面もごらんいただきたいという気はいたします。
  231. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は逆の面から見ておりまして、専門的な知識というのは当然必要でありますが、何も外から呼んでこなくても、それぞれの信用金庫の中からそういう能力のある方を役員にすればいいわけでございまして、その信用金庫に人材がいないから全部外から持ってこなきゃいけないということではないと思いますね。そういう意味で、私は、このような状況は大変好ましくないと思います。やはり、ここはしっかりと規制をするということがお互いの関係にとって好ましいことだと思うのです。  四月から、信用組合が約三百、都道府県の管轄から監督庁、財務局の管轄に入るということになりますね。そうしますと、これは谷垣大臣にお聞きしますけれども、今は都道府県との関係が深いわけで、大蔵省との関係が薄いということでしょうか、天下りは九人しかございません、先ほどの数字を見ますと。しかし、監督庁の管轄に入りますと、これは信金のように六割、七割という規模で天下りの対象になる、天下り先になるんじゃないかと私は危惧するのですけれども、そういうふうにならない保証はありますか。
  232. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 金融再生委員会金融監督庁は、まだ歴史の新しい役所でございますので、幸か不幸かと言ってはいけないかもしれませんが、まだ一人も天下りを出したという経験はないわけでございます。  しかし、今委員が御指摘のように、この四月から信用組合が国の権限になってきた。それで、一番大事なことは、大蔵省から我々は分かれてきたわけでございますけれども、先輩がいるということで手心が加えられるなんというようなことがあってはならないわけでございまして、もうこの委員会でもたびたびお答えをしておりますが、こういうふうに行政の組織が変わってきたということは、行政の手法も変えていって、透明な手法で、ルールに基づいてきちっとやっていこうということでございますから、そこは我々、決意を込めて、必ずきちっとやるということを申し上げたいと思います。  ただ、先ほどの宮澤大蔵大臣がおっしゃったことと同じでございますけれども、私も天下りが全部悪であるというような見方はやや狭いのではないかなと思っておりまして、これだけ高齢化にもなってまいりますと、お年をとってもまだまだ元気だという方の働き場所というのは私は必要だろうと思っております。  私も、ある金融機関の方に聞いたことがございますが、なかなかこの分野で練達な人を求めるのが難しい、むしろ、経営している立場からいうと、どこに問題点があるか専門的立場から指摘をしてくれるような人がいるとありがたいんだというお話、私、この職につく前でございますが、そういう話を聞いたこともあります。  そんなにきれいにばかりいっているかという御批判がありましょうが、私はやはりそこのところは、金融機関に行っていただいたら、その金融機関経営を少しでもよくしていく、透明なものにしていく力になっていただきたいし、また、私たちも、先輩がいるからといって手を緩めずにきちっとやる、そういういい関係をつくるように努力をしたいと思っております。
  233. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 まだまだ元気だという人がいてというお話がありましたが、平均五十一歳で肩たたきして、やめなさいと。それは元気ですよ、五十一歳は。六十でやめて別なところという場合は今おっしゃったようなことは成り立つでしょう。しかし、組織的にこれだけの大量の人たちをみんな見ていただきたい、先ほどの東海財務局の年齢は、五十一、五十二、全部そういう年齢であります。一斉にその年齢になったら天下り先にもう既にポストが用意されている、こういうやり方というのが大変問題なわけであります。  ここに衆議院の決算行政監視委員会提出された公務員制度改革・天下り問題に関する関係資料というのがあります。これは平成十年三月に提出されたんですけれども、この中に、人事院の新たな時代の公務員人事管理を考える研究会というのがありまして、そこの委員意見の中間整理というのが出ております。それを見ますと、「組織的な再就職斡旋が制度として定着していることがおかしい。これをどのようになくしていくのかを考えるべきではないか。」というふうな意見が出ております。私は、ここで言っている「組織的な再就職斡旋が制度として定着している」という表現、これは一体どういう意味なのか。先ほど言ったように、大蔵省が五十を過ぎるともう一斉に肩たたきをやって、天下り先も全部用意して、それで関係業界にどんどん天下りさせていく、こういう制度が定着しているのですか。この点をお聞きしたいのです。
  234. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 非常に言葉の正確な意味でお答えするのは難しゅうございますけれども、今ここにこれだけの人が就職しているというようなことは、もとより一朝一夕にできることではございません。やはり長い間そういう、制度とは申しませんが、慣行のようなものがあって、そして、あるときまでは余り疑わずにお互いがそういう関係ででき上がっておったと申し上げるのが、恐らく正直なお答えだろうと私は思います。  だから、それはいいのかとおっしゃられれば、まさに問われなければならないことでございましょう。ただ、偶然にこんなことができてしまったというお答えは、どうも正直でないと思います。
  235. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 宮澤大蔵大臣にお聞きしますが、このような日本的天下り制度は日本独特のものではないかと思うのですけれども、国際経験豊かな大臣の知識からいって、このような天下りの仕組みというのは欧米ではありますでしょうか。
  236. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 存じません。寡聞にして存じません。
  237. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これも決算行政監視委員会資料を見ますと、こういうふうに書かれておるのです。簡単に結論だけ言いますと、欧米ではないのです、こういう仕組みといいますか天下りという現象は。  アメリカは、政治任命以外の公務員は、年金支給開始年齢、大体五十七歳から六十二歳であります。そこまで勤めて年金による老後生活に入る場合が多い、転出するケースでも組織的に支援されることはない、こういうふうに報告されています。イギリスの場合、上級ポストにおいて普通退職年齢六十歳で退職する者は、退職年金を十分支給されるので、民間等に再就職することは一般的でない。具体的なポストの世話をすることはない。イギリスの場合、彼らはその生涯をほぼ行政世界で送る。これはイギリスです。フランスは、年金支給開始年齢後の再就職はまれである。年金支給開始年齢まで大体勤めて、その後の再就職がまれである。ドイツは、一般的には定年年齢である六十五歳、本人の申し出では六十二歳ですけれども、そこまで勤務し、再就職はせず、恩給生活に入る。  大体、国際的には日本のようなこういう天下りの制度というのはないのです。これはやはり日本的な特殊な状況だと思うのですけれども、そうお思いになりませんか。
  238. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一つは、やはり老後の年金と申しますか、そういうものの整備の問題があるように思いますね。各国で確かに公的年金あるいは私的年金、それが多うございますから、それで暮らせる、そういうことが一つございますと思います。  それから、割に日本人はやはり働きバチですから、五十になったらどこかで牛でも飼おうなんていっても、そういう場所もそうございませんし、やはり何か働きたいという気持ちももう一つある。  それからもう一つは、駐在のお巡りさんが村の人と仲がいいように、お役人と住民というのは日本は仲がよろしゅうございますよね。敵でないということがやはり一つありますので、したがって、やめた後、そういうコミュニティーに入りやすいということもあるのだろうと思います。  いろいろありまして、恐らく日本的な、かなり日本的なしきたりだろうと思っておりますが、やはり一つは年金のようなものの不備ということが関係しているということは間違いないだろうと思います。
  239. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の大臣の御答弁でありますが、これはちょっと私、納得できないのですね。つまり、行政の側が組織的に天下る仕掛けをつくっているわけですよ。だから、そういう日本的な天下りの状況というのが延々と続いているわけです。何も五十一歳でやめなければならぬということはないので、六十まで勤めればいいわけです。上がつかえるからという話もあるけれども、そんなのは関係のない話でございます。  そういうことを、今は方向としては人事院もそういう方向に切りかえようということを先ほどおっしゃいましたが、やはり抜本的に、このような天下り先をたくさんつくって次から次へと入れかえるというようなやり方は、これは業界と行政、あるいはもっと言えば政治との癒着の一つの典型的な形式になっていると私は思うのです。そういうことのないように、ここにやはりメスを入れて天下りそのものを禁止する、基本的にはそういう腹構えで癒着を断ち切るということをぜひやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、大蔵省の内部の人事政策についてお聞きをしたい。  国家公務員法の第百八条の七では、「職員は、職員団体の構成員であること、これを結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと、又はその職員団体における正当な行為をしたことのために不利益な取扱いを受けない。」とされております。また、人事院規則八—一二、第二条では、「いかなる場合においても、」「法第百八条の七の規定に違反して職員の任免を行つてはならない。」こう定めております。これは当然のことで、憲法十四条の法のもとの平等、信条による差別禁止ということから出てくる要請でもあります。当然大蔵省もこれを遵守しなければならないと思いますけれども、人事院としてはどのような見解をお持ちでしょうか。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  240. 中橋芳弘

    ○中橋政府参考人 国家公務員法百八条の七、人事院規則八—一二等につきましては、今先生がお読み上げになられましたような規定でございます。そのような趣旨を当然各省庁においても人事管理の上において遵守し、厳正、公正に運用されていかなければならない、かように考えております。
  241. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 大蔵大臣も当然そういう立場だと思いますけれども、一度確認しておきたいと思います。
  242. 林正和

    ○林政府参考人 お答え申し上げます。  大蔵省は従来から、職員団体との間に正常な労使関係が保たれるように努めてきたところでございます。職員団体の健全な発展を望んでおりまして、したがって、職員団体の正当な活動に制限を加えたり、あるいは介入したり、あるいは不利益な取り扱い、こうしたものは行っておりませんし、また行う考えもございません。
  243. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 では、大蔵省は正規の業務として、職員団体の組合員がどんな動きをしているか、これをひそかに調査したり、組合活動の情報を収集する、こういうことを大蔵省の仕事として、大蔵省の業務としてはやっていないということでよろしいですね。
  244. 林正和

    ○林政府参考人 先ほど申し上げましたように、職員団体との間に正常な労使関係が保持されるように努めてきたところでございまして、職員団体の正当な活動に制限を加えたり、介入したり、あるいは不利益な取り扱いは行っておらないし、また、行うつもりもないということでございます。
  245. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、職員団体の組合員の動きや、あるいは職員団体そのものの情報を収集するということを業務としてはやっていないかということを聞いているのです。
  246. 林正和

    ○林政府参考人 先生の御指摘は御配付になられました資料についてだと思いますが、この御配付になられました資料の「静岡支部臨時大会の開催結果について」の業務記録を今拝見いたしますと、財務事務所の総務課長が、職員団体の窓口の担当として所内で開催された静岡支部の臨時大会の結果を聞いたもので、備忘録としてメモしたものであると思っております。  したがって、職員団体に対する不当な干渉を行っているものではないというように私どもは理解しております。
  247. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今、先に資料のことをおっしゃいましたが、これは、静岡財務事務所が業務記録として残しているものであります。平成八年七月三十一日付で、区分は「情報」という区分でありまして、件名「静岡支部臨時大会の開催結果について」。この中には、大会の参加者三十一名、ほかに委任状五名というようなことまで書いてありまして、そして、支部長がどんなあいさつをしたか、修正案等の説明、採決、代議員の選出などの内容が詳しく書かれております。  これは備忘録だというふうにおっしゃいましたが、まさにこれは業務として記録をし、業務として情報を報告しているのじゃありませんか。これは備忘録じゃないですよ。しかも、起案者がいて、総務課長の判と所長の判がある。これを大蔵省に正規に報告をしているということじゃないのですか。
  248. 林正和

    ○林政府参考人 先ほども申し上げましたように、「業務記録」と書いてありますが、財務事務所の総務課長が職員団体の担当の窓口であるということで、所内で開催された静岡支部の臨時大会の結果を聞いたものということで、備忘録としてメモしたものである。  先生の御指摘の、業務かどうかというのはなかなか難しゅうございますが、私どもは、これは備忘録としてメモしたものでありまして、これ自体、職員団体に対する不当な干渉とかそういうことではないというように理解をしているということでございます。
  249. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは、業務記録として本庁に報告されているのですか。
  250. 林正和

    ○林政府参考人 「業務記録」となっておりますが、性格としては今申し上げましたような備忘録でございまして、なお、私ども本省の方にはこれは報告されておらない、そういう性格のものでございます。
  251. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 このようなことを出先の財務局が勝手にやるということは考えられないわけでありまして、地方財務局を担当している大蔵省の地方課が、地方財務局の総務課に対して、組合の情報を収集し報告するよう意識的に指示をし、そして提出をさせているとしか考えられないわけです。これを大蔵省が指示してやらせているのじゃありませんか。  資料を見ていただきたい。次の二十四ページの資料であります。  ここには、地方課職員補佐から各局総務課長というふうに、これは指示文書であります。上の方に読後破棄と書かれておりまして、何で読後破棄しなきゃならぬのか。よっぽど後ろめたい文書だと思うのですけれども、一つは平成十年十一月二日付、もう一つは平成十年十月三十日付であります。  こういう裏通達を出して、十一月二日付の指示文書には、組合幹部や一般職員に対する特定の文書の伝達の方法、質問、当局回答、その後の反響等、「(含む情宣紙・添付)」などと書いてありますね。しかも、この裏通達が出されたのが十一月二日であります。そのわずか二日後の「十一月四日(水)午後五時までにファクシミリにて、報告されたい。」こういうふうに書かれている。先ほど業務報告は受けていないと言っていましたけれども、これは明らかに、情報をとり、そしてその情報を中央に報告するようにという文書であります。  重大なのは十月三十日付の通達であります。  ここには、「情報の収集等については、日頃から留意していただいているが、」ということはこれは常にやっているということですね、「今後、下記事項には十分配意願いたい。」と書かれている。「合同庁舎入居官署の組合の動向」として、「合同庁舎入居の他官署組合の動向を入手した場合には速やかに報告。」何でほかの組合のものをこのように報告しなきゃならぬのか。「また、掲示板に行革関連の情宣紙の掲示があった場合には、可能な限り要旨を把握し報告(対応には十分注意)。」と書かれております。  しかも、「職場集会」として、「力量を客観的に見る重要な情報にて、集会結果は原則当日中に報告。 幹部の発言内容は後刻で可(情報収集に努めること)。」となっております。また、「他の単組との接触状況 署名活動等で加盟共闘以外と接触していないか注視。」と書かれております。  つまり、情報を収集し報告するよう大蔵省が指示し、その指示文書は読後破棄で、いわば裏通達を出してこういう組合活動の情報を積極的に収集しているということが明らかではありませんか。そういうことをやっているのですね。
  252. 林正和

    ○林政府参考人 先生のただいま御指摘になられました二つの資料につきましては、当時の中央省庁等改革におきます公開資料、これは職員の勤務条件にも大きく影響するところでございますので、組合に対して提供をし、そのときの反響を把握しようというものでございます。  あくまで、省庁改革の中の職員の心情把握といいますか、職員にも影響するところであるからということで組合にこうした資料提供した、そのときにどういうふうに組合が反響したかというものを把握するためのものでありまして、職員団体に対する不当な干渉とかいうようなものを行うためのものでは全くないということでございます。
  253. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 反応を見ただけだと言うけれども、この文書の内容を見ますと、「他の単組との接触状況」、何もこれは反応じゃありませんよ。「署名活動等で加盟共闘以外と接触していないか注視。」「集会結果は原則当日中に報告。」こういうふうになっているわけですね。これは何も反応を見ただけじゃありませんよ。組合活動そのものの具体的な動きを把握し、それの対応策を考える、当然その前提となる資料収集をやっている、そういうことになるのじゃありませんか。まさに干渉のための情報収集であります。  しかも、こういう指示文書が何で読後破棄というふうになるんですか。読後破棄にした理由は何ですか。
  254. 林正和

    ○林政府参考人 読後廃棄にした理由というお尋ねでございますが、これは、この文書を、一時的に情報収集するということでやっておりますもので、この文書自体を長期間にわたって保存するものではない、そういう趣旨で読後廃棄ということにしておるわけでございます。
  255. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは全くの言い逃れにすぎません。こういう文書が表に出たらまずいから読後破棄になっているはずであります。書かれている内容が、まさに組合に対する事実上の干渉であります。干渉、監視であります。  私は、このような通達、いわば読後破棄というふうに書かれているこういう通達をすべて調査の上、過去の通達を全部ここに出していただきたい。
  256. 林正和

    ○林政府参考人 先生から通達というお話がございましたが、これはあくまで、先ほど申しましたように、省庁改革の中でどういうような職員の人たちの反応があるのかということを把握したいということからやったものでございます。  それから、先ほど答弁し忘れましたが、他官庁の分についても何でそんな情報を収集するんだという御指摘もありました。ただ、これは、地方支分部局を一本化しようというような議論も行革の中ではなされていた、そういうことを踏まえて、他省庁の支分部局、こういうところの反響も同時に把握しておきたいということでなされたものでございます。  職務に基づくあれでも、まさにそういう趣旨で、できるだけの職員の反響を知りたいということでやったものでありまして、通達というか、職務権限に基づいて権力行使をするというような行政のあれではございませんので、そのところは御理解をいただきたいと思います。
  257. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 反響を知りたいということで出した文書であれば、そのほかの文書も含めて全部、当委員会資料として提出していただきたい。それは約束してください。
  258. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そのお約束はできません。読後廃棄なんという公文書はあり得ませんから、私文書だと思います。
  259. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私文書であろうが、組合の情報を収集する、そのために、先ほど認めたように、これは反響を知るために出した文書だと。読後破棄というのは、そのときだけのものであるから破棄だと書いたと。要するに、私文書じゃないですよ。公的な業務としてこの文書を出したということは明らかじゃありませんか、先ほどの答弁では。公的な業務の一環として、当然の仕事としてこういう文書を出した、そうおっしゃったんだから、これはぜひ出していただきたい。このことを要求したい。  委員長、これは理事会でも検討していただきたい。
  260. 金子一義

    金子委員長 委員長としては預かれません。  引き続き、政府側に質疑してください。
  261. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 答えないので、これは理事会で検討することを要求します。
  262. 金子一義

    金子委員長 林官房長。
  263. 林正和

    ○林政府参考人 これまで申し上げましたように、当時の中央省庁改革という中で、これは職員の勤務条件にも大きく影響するところなので、組合に対してこういう情報を提供して、そのときの反響を把握しようという、まさに地方課の、これは地方課というところが担当しておりますが、そこの担当職員がいわば個人的にそういう情報収集をする、そういう性格のものでございます。  したがいまして、この中の資料に、これは地方課の職員がつくりましたもので間違いございませんが、先ほどの公文書のような形にはなっておりません。そういうことを御理解いただきたいと思います。
  264. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 答弁が支離滅裂であります。先ほどは、情報を収集するために、反響を知るために仕事としてやったと。今の答弁は個人的にやったと。全然違うじゃないですか。  だから、本当に言い逃れにすぎないんですよ。結局、この文書は、表に出たらまずいという文書なんですよ。だから読後破棄になって、そして、組合の情報をこういうふうに収集しているということが知られると非常にまずい、そういう後ろめたい文書だということを事実上認めたことになる。  次に聞きたいのは、地方財務局についてですが、地方財務局が開いている管内の所長会議、この会議はどんな目的で行われているか、年何回開いているか、参加者はどのような範囲でありますか、答えてください。
  265. 林正和

    ○林政府参考人 ちょっと正確に、突然のお尋ねでございますのであれですが、大体、年三回程度実施しております。  地方の財務事務所、大きい財務事務所ではそこの次長も参りますが、財務事務所長と次長、それから財務局の局長以下幹部が集まる会議でございます。
  266. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 この会議では、組合活動に対して大蔵省財務局がどのように介入するか、その方法について打ち合わせるということはやっていませんか。
  267. 林正和

    ○林政府参考人 やっておりません。
  268. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そんなことはありません。  お渡しした資料の二十七、これを見ていただきたい。二十七ページの資料であります。「管内所長会議所長携行資料」、こういう文書であります。これは私がたまたま入手したものですけれども、作成者は静岡財務事務所の総務課、東海地域の管内所長会議に静岡財務事務所の所長が持っていく資料であります。ここには驚くべきことが書いてある。  「平成十一年度静岡支部執行部体制について」という項目があります。こんな項目自体、こういうところに掲げること自体、重大問題であります。そして、「次の三案が考えられる。」こう書いてあります。第一案として、「三役のうち一役を良識派が占める。」何ですか、この良識派というのは。ここで言う良識派というのは、一言で言うと、当局の言いなりになる当局派のことであります。第二案は、「三役のうち二役を良識派が占める。」第三案は、「三役全てを良識派が占める。」この三つの案の可能性を検討しているわけであります。  ここに書かれている「M3S3O」というのは、組合活動家のイニシアルを使った符号であります。第二案のところを見ますと、「三名のうち一名を十一年度に転勤させることにより、三名で保持していた力を減少させ、良識派が書記長に加え、支部長もしくは副支部長を占めることとする。」こう書かれています。とんでもないことです。  第三案のところを見ると、「この案を実行するためには、総務課、人事課の次の協力が必要と思われる。」「M3S3O三名のうち一名を十一年度に転勤させる。」「二役の対抗馬を人事異動で静岡へ転勤させる。」と書かれております。  これは人事権の乱用であります。人事権を使った組合への明確な介入、不当労働行為であります。財務局管内の所長会議ではこんなことを検討しているのですか。
  269. 林正和

    ○林政府参考人 ただいま御指摘になられました管内所長会議所長携行資料でございますが、これは、現時点では、だれが一体どのような目的で作成したものなのか、私ども承知しておりません。静岡財務事務所を所管いたします、これは東海財務局でございますが、そこで事実関係を調査させたいと思います。  いずれにしても、大蔵省としては、先ほど来申し上げておりますとおり、職員団体の正当な活動に制限を加えたりあるいは介入したり、あるいは不利益な取り扱い等は行ってはならないというように考えておるところでございます。
  270. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ここで提出した資料というのはすべて真実の資料であります。検討している内容を見ると極めてリアルなんですね。  例えば、第二案のところでは、「三名のうち異動に比較的問題がないと思われるのは、十一年度の身上申告書「一身上の事情」欄に特に記述のないMが無難である。」「他の二名については、本人、家族の健康問題及び経済問題があり静岡を離れて異動させることは難しいと思われる。」こう書かれているのですね。こういうことは当局でなければ決してわからない内容のものです。だれかが勝手に書いたものではありません。  それだけじゃない。次のページを見ていただきたいのですけれども、二十九ページであります。上に昨年九月二十二日の定期大会で決まった新しい執行部体制について書かれております。下の方に「平成十一年度の執行体制及び展望」という見出しがあります。そこには、「将来の組合役員候補者を育成するべく有能な若手職員を複数執行委員に参加させている。 なお、十年度執行委員であったN、Yは、職場集会等の場でS、Oの政治的発言に対して牽制と批判を行い、S、Oの発言が健全で正当な組合運動を阻害する要因となることを一般の組合員に知らしめることとする。」こういう方針が書かれている。だれがどんな発言をするのか、そういう方針まで書いてある。これは明らかに組合への不当な介入であります。国家公務員法、人事院規則違反であります。  これは直ちに調査をし、こういう事実をやっていたということであればそれに対してきちっとした処分をしてもらいたい。そして、今後こういうことがないようにきちっとした対応をしてもらいたい。こういうことをやめてもらいたい。いかがですか。
  271. 林正和

    ○林政府参考人 先ほども申し上げましたように、この資料は一体だれがどのような目的で作成されたものなのか、現時点では承知しておりません。したがいまして、東海財務局に事実関係をできるだけ早急に調査をさせたいと思います。
  272. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 答弁としては、今の段階では私が提示したばかりですから、時間的には調べる時間がないと思いますので、直ちにこれは東海財務局に調査をさせ、そしてこのようなことが行われないように是正をしていただきたい。  こういう形で組合に対する介入というのが、これまで何回か繰り返されてきております。人事権を使って、気に入らない組合員をその執行部から外すように転勤させる、その転勤の条件があるのはこの人間だ、こういうことまでやっている。それを財務局管内の所長会議で、この文書を使って検討している。二日あった財務局の所長会議のうちの最初の日は全体会議をやる、二日目には個別に財務事務所の組合の対策をやる、静岡の場合はそういうことをやっているのじゃありませんか。これは、私が知り得た情報ではそういうことが確実に行われている。  このことは、まさに今問題となっている労働組合に対する介入であり、大蔵省の内部のまさに民主主義そのものにかかわる重大な問題であります。内部でこのような監視体制をとり、情報を収集し、上からの指令で情報を集め、そして財務局はそれぞれの組合に対してこういう形で直接介入をし、当局の言いなりになる組合をつくっていくという、とんでもない話であります。  こういうことが繰り返されれば、私は日本行政というのは内部から腐っていくと思います。対外的に天下りをしたりあるいは銀行業界との癒着を深めていくというような問題も、これまでも繰り返し指摘されてきましたけれども、そういう体質は内部にも反映するわけであります。こういうことが二度と起こらないように、私はしっかりした対応をやってもらいたいのです。  最後に、大蔵大臣金融担当大臣のこの点についての決意を聞かせていただきたい。
  273. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 書類の性格を調べるそうでございますから、それからにいたしましょう。
  274. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 大蔵大臣と同様でございます。
  275. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それでは、調査をした上、調査結果を当委員会に報告していただきたい。その上でしっかりした議論を私はしていきたいと思っております。具体的な調査の内容の報告を当委員会にしていただくというその約束だけしていただけますね。
  276. 林正和

    ○林政府参考人 まず調査をしっかり行いまして、その結果を踏まえた上で対応したいと考えております。何とぞ御理解をいただきたいと思います。
  277. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 もう時間でありますから以上でやめますけれども、しっかりした対応をして、正当な組合活動、正当な職員組合の動きに対して干渉をすることのないように、最後に繰り返して申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  278. 金子一義

    金子委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  279. 金子一義

    金子委員長 この際、ただいま議題となっております両案中、預金保険法等の一部を改正する法律案に対し、岡田克也君外二名から、民主党提案による修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。上田清司君。     —————————————  預金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  280. 上田清司

    ○上田(清)委員 預金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  一昨年の金融国会において、民主党は、いわゆるペイオフの凍結が解除される二〇〇一年三月末までに、不良債権処理を完了させ、金融不安を一掃することを主張いたしました。何よりも改革のスピードが要求される時代だからこそ、六十兆円という巨額の公的資金の投入も認めたのであります。  しかしながら、政府は、ペイオフの凍結解除は予定どおり実施すると公約しておきながら、いとも安易にその公約をほごにしてしまいました。まさにこの事実は、政府がバブル経済の清算という国際公約を果たせないことを如実に証明するものであります。その責任は極めて重大であります。  民主党は、二〇〇一年四月のペイオフ凍結解除という大原則を決して崩さず、その間に金融不安を一掃すべきであることを改めて強く申し上げます。そのため、今般、政府提案の預金保険法の一部を改正する法律案に対し、修正案を提出するものであります。  以下、修正案の内容の概要を御説明いたします。  第一に、政府案では、いわゆるペイオフコスト超の資金援助及び預金等債権の特別買い取りの特例の適用期限を一年延長することとしておりますが、これを現行どおり二〇〇一年三月末までの時限措置とします。  第二に、協同組織金融機関について、政府案では、早期健全化法に基づく資本増強が容易となるよう同法の適用要件を見直すとともに、その適用期限を一年延長することとしておりますが、厳格な資産査定と適正な引き当ての実施及び資本注入の条件の厳格化等について早期健全化法の規定を改正した上で、現行どおり二〇〇一年三月末までの時限措置とします。  第三に、政府案では、金融整理管財人制度やブリッジバンク制度、金融再生法の特別公的管理銀行制度に相当する特別危機管理銀行制度等の規定が預金保険法に移行されることになっておりますが、これらの制度は金融不安が一掃されれば当面は無用の制度であり、現行どおり二〇〇一年三月末までの時限措置とします。  第四に、金融システム不安の解消のために巨額の公的資金が投入されているにもかかわらず、この間、金融不安を招いた金融当局や金融機関経営者等の責任追及がほとんどなされていない現状にかんがみ、一九三〇年代に米国で金融犯罪の解明を目的としてペコラ委員会が設置された歴史の教訓に倣い、国会に金融問題監視院を設置することとします。  以上が、修正案の内容の概要であります。  間もなく二十一世紀を迎えようとしております。今世紀中にバブル経済の真の清算を完了させるためには、ペイオフという構造改革を先送りするわけにはまいりません。民主党は、構造改革を断行することができない政府に対して、未来への責任を持つ政党として、構造改革を断行することを強く申し上げます。  各会派の御賛同をお願いいたします。
  281. 金子一義

    金子委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。大蔵大臣宮澤喜一君。
  282. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの預金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案については、政府としては反対でございます。     —————————————
  283. 金子一義

    金子委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。
  284. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私は、自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党を代表いたしまして、ただいま議題となっております「預金保険法等の一部を改正する法律案」及び「保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案」について賛成、民主党提出預金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案に反対の討論を行います。  まず、預金保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  我が国の金融システムは、預金保険法、金融再生法及び早期健全化法の枠組みを用いて官民一体となって不良債権の処理や金融機関の再編整理等に集中的に取り組んだ結果、安定化してきております。  今回の改正法案は、このような状況のもと、今後の恒久的なセーフティーネットのあり方を示しつつ、預金等の全額保護をスムーズに終了させ、名実ともに金融システムを自己責任原則と市場規律に立脚した平常の状態に回帰させるためのものであり、いわば、これまで金融システム安定化のために続けられてきた努力の締めくくりに当たるものであります。  以下、政府提出案に賛成する理由を申し上げます。  まず、恒久的な破綻処理制度として、破綻処理の迅速化、多様化を図り、破綻に伴う混乱を最小限に抑えるための配慮がなされており、さらに、危機管理的な観点から、将来、万が一システミックリスクが懸念される事態が生じる場合に備えて、それに対応するための仕組みが整備されていることであります。  また、預金等の全額保護の特例措置を一年延長して平成十四年三月末までとするとともに、協同組織金融機関経営基盤の強化を図るための諸措置が講ぜられているなど、特例措置を滞りなく終了させるための配慮がなされているところであります。  なお、民主党提出の修正案につきましては、システミックリスクへの対応を規定せず、特例措置の延長を取りやめ、かつ協同組織金融機関経営基盤の強化策も削除するなど、特例措置をスムーズに終了させることに全く配意しないものとなっておりまして、我々と考え方を異にするため、反対いたします。  次に、保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  我が国の保険業を取り巻く環境は厳しいものとなっており、各保険会社にあっては、競争力の強化、事業の効率化と同時に、一層の経営の健全性の確保が必要な状況にあります。  今回の改正案は、このような状況のもと、保険相互会社の株式会社化を円滑化するほか、保険会社に係る倒産法制を整備し、さらに生命保険契約者保護機構に対する財源対策を講じることにより、保険契約者の保護及び保険業に対する国民の信頼の確保を図るためのものであります。  以下、政府提出案に賛成する理由を申し上げます。  第一に、保険相互会社の株式会社化を容易にすることにより、自己資本の増強、再編を通じた保険会社の体質強化を可能としていることであります。  第二に、株式会社のみを対象としている更生手続について、相互会社への適用を可能とし、損失の小さい段階での処理により、破綻処理費用の抑制を可能としていることであります。  第三に、保険契約者保護の観点から、生命保険契約者保護機構に対して、借り入れに係る政府保証の恒久化及び時限的な政府補助を可能とすることにより、生命保険契約者保護機構のセーフティーネットとしての機能の維持を図っていることであります。  以上申し上げましたとおり、政府提案の預金保険法等の改正案及び保険業法及び金融機関等更生手続特例等の改正案は、金融システムの一層の安定化と利用者の保護を図るため、国民の基本的な貯蓄であり生活保障の手段でもある預金及び保険について、ともに破綻処理制度の拡充、セーフティーネットの財源の拡充及び経営基盤の強化手段の整備を行うものであり、まことに時宜を得たものであります。  以上、「預金保険法等の一部を改正する法律案」及び「保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案」に賛成する理由を申し述べ、討論を終わります。(拍手)
  285. 金子一義

    金子委員長 次に、北橋健治君。
  286. 北橋健治

    ○北橋委員 私は、民主党を代表し、政府提案の預金保険法等の一部を改正する法律案に反対し、民主党提案の修正案に賛成する立場から、また保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成する立場から討論を行います。  まず、政府提案の預金保険法等の一部を改正する法律案に反対し、民主党提案の修正案に賛成する理由を申し述べます。  政府は、ペイオフの凍結は予定どおり二〇〇一年四月に解除することを繰り返し公言してまいりました。しかし、与党間協議によりこの国際公約は簡単にひっくり返され、宮澤大蔵大臣もいとも安易に、やむを得ないとして受け入れを表明しました。あいた口がふさがらないとはまさにこのことであります。いやしくもかつて内閣総理大臣まで務められた宮澤大蔵大臣が、いとも安易にみずからの言を翻すことは、我が国政府に対する国際的な信用を失墜させるものだと言わざるを得ません。  国際的に公約していたペイオフの凍結を解除できないという事実は、金融不安がいまだに解消されていないことを如実に証明するものであります。金融再生法や六十兆円という公的資金枠が用意されたにもかかわらず、金融不安をいまだに解消できない政府責任は極めて重大であり、政権担当能力が欠如していると言うほかありません。民主党は、二〇〇一年四月のペイオフ凍結解除という大原則は決して崩さず、その間に金融不安を一掃すべきであることを改めて強く申し上げます。  以下、預金保険法等の一部を改正する法律案に反対する主な理由を述べます。  第一に、ペイオフ凍結解除を先送りすることは、金融不安の解消と金融システム改革そのものを先送りすることであります。金融業界のみならず、世界は目まぐるしいスピードで変革を続けており、改革を先送りすることは、我が国金融業界の国際競争力を決定的に失わせることになりかねません。  第二に、預金保険法改正前の九四年から九五年に破綻した東京都の三つの信用組合の破綻処理に伴う損失について、十分な議論もなく国民に負担を押しつけることは全く道理に合わないことであります。政界との癒着も取りざたされたイ・アイ・イ・グループが関与した東京協和信組と安全信組を含む三信組の破綻処理に伴う損失は、実に一千億円に上るものであり、監督官庁である東京都との間で処理策が協議されてまいりました。しかし、東京都が負担を拒否するや、結局は国民に明確な理由もなく負担を押しつけることとしたのであります。  第三に、いわゆるシステミックリスクの際の例外的措置について、ルールがあいまいであり、裁量行政への逆戻りが懸念されることであります。特に、二〇〇二年三月で廃止するペイオフコスト超の資金援助をシステミックリスクの際に認めることは、結局、大銀行については事実上永遠にペイオフを実施しないことを意味しています。  第四に、危機対応業務に対する財政措置を今後も続けることは、国民負担が際限なく膨らむことにつながるおそれがあります。国と地方の借金が六百四十五兆円にも達し、財政健全化の青写真を示すことが焦眉の課題であることを考えると、財政措置にはおのずと限界があると言わねばなりません。  民主党提案の修正案は、これらの問題点を修正した上、日本版ペコラ委員会ともいうべき金融問題監視院の設置を盛り込んでおります。すなわち、金融システム不安の解消のために巨額の公的資金が投入されているにもかかわらず、この間、金融不安を招いた金融当局や金融機関経営者等の責任追及がほとんどなされていない現状にかんがみ、一九三〇年代に米国で金融犯罪の解明を目的としてペコラ委員会が設置された歴史の教訓に倣い、国会に金融問題監視院を設置することとしております。  次に、保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成する理由を述べます。  現在、生命保険業界は、年間一兆六千億円もの逆ざやに苦しめられておりますが、その原因がバブル崩壊後の銀行救済とも言える超低金利政策にあることは火を見るより明らかであります。今回の法改正に伴う措置として、政府は四千億円の公的資金確保することとしておりますが、生命保険が国民の重要な生活保障手段であることを考慮すれば、保険契約者を保護するためにそれもやむを得ない措置だと考えます。  しかし、このような事態を招いた金融当局の責任は重大であり、公的資金投入の大前提として、政府はみずからの責任を明確にすべきであります。また、今日の経済不振と超低金利政策が続く限り、公的資金の投入額が四千億円以内で済むのかという大きな不安があります。政府は、国民負担のさらなる増大を招くことがないよう、生命保険各社の経営実態のディスクロージャーの徹底に努めるべきであることを申し上げます。  以上で討論を終わります。(拍手)
  287. 金子一義

    金子委員長 次に、矢島恒夫君。
  288. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、日本共産党を代表し、政府提出預金保険法等一部改正案、保険業法等一部改正案並びに民主党提出預金保険法等一部改正案に対する修正案の三案に反対する討論を行います。  預金保険法等一部改正案に反対する理由の第一は、法案が、預金全額保護措置の延長を口実に、破綻処理への公的資金投入策を一年延長するとともに、六兆円もの交付国債を増額していることです。  政府はこれまで、公的資金金融不安に対応した時限措置だとしてきました。しかし、今や当事者の銀行も宮澤蔵相も銀行不安は解消したと述べており、公的資金投入の前提は崩れています。公的資金投入策を延長することには何の道理もありません。今こそ破綻処理の費用は預金保険料で賄うという原則に立ち戻るべきであります。資金が足りなくなったから交付国債を積み増すという政府の対応は、逆立ちしたものだと言わざるを得ません。さらに、交付国債の増額は我が国の公債依存度を押し上げ、財政危機に拍車をかけるものであります。安易な国民へのツケ回し政策は直ちに中止するよう求めるものであります。  反対する理由の第二は、金融危機への対応という名目で、資本増強などによる恒久的な財政資金投入の道を開いていることです。金融危機対応措置は、信用不安のおそれがあると政府判断すれば発動できるものであり、財政資金の投入につながる危険性は大きいと言わざるを得ません。財政資金投入策の恒久化は、金融業界の中に安易な財政資金への依存心を生み、新たな国民負担を招くものであって、到底認められません。  第三に、協同組織金融機関に優先出資の発行を認め、公的資金で資本増強を図ろうとしている点についてであります。優先出資による外部資金の導入は、協同組織金融機関の協同性を掘り崩すとともに、経営支援の名のもとにこれらの金融機関の整理再編を一気に進めるものであり、賛成できません。  次に、保険業法等一部改正案に反対する理由を述べます。  第一に、破綻した生命保険会社の処理のための契約者保護機構の借入金に対する政府保証を恒久措置とし、政府補助として四千億円の支援措置を決めようとしていることであります。今日、多くの生命保険会社が予定利率を上回る資金運用ができず、また、多額の不良債権を抱えていますが、これは生命保険会社の経営者みずからが招いた結果であります。同時に、生命保険業界を適切に監督指導しなかった監督官庁の責任も見逃すことができません。また、この政府の支援策は、さらなる公的資金拡大の道を開いていく可能性もあり、容認できません。  第二に、破綻のおそれがあることを理由に、保険会社の更生手続を開始し、予定利率の引き下げ、早期解約控除の設定等を進めようとしている点であります。これは保険会社の整理、淘汰を促進し、保険会社の犠牲のもとに保険業界の再編を進めようとするものと言わざるを得ません。  第三に、本法案が、生命保険会社を中心に、保険相互会社の株式会社への転換を促進しようとしていることであります。これは、自己資本強化の名のもとに、金融ビッグバンに対応した金融資本本位の保険業界の再編をねらったものであります。保険契約者の保護というのは看板だけで、多くの保険契約者の従来からの社員としての権利や契約条件が低下することは明らかであり、賛成できません。  なお、民主党提出預金保険法等一部改正案に対する修正案は、金融危機対応措置の削除や金融問題監視院の設置など賛同できる内容も含んでいますが、公的資金投入策を前提としており、六十兆円銀行支援策の中止を求める立場から賛成できないことを申し上げ、日本共産党を代表しての反対討論といたします。(拍手)
  289. 金子一義

    金子委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  290. 金子一義

    金子委員長 これより採決に入ります。  預金保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、岡田克也君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  291. 金子一義

    金子委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  292. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  293. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  294. 金子一義

    金子委員長 この際、預金保険法等の一部を改正する法律案に対し、根本匠君外三名から、自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党及び自由党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。根本匠君。
  295. 根本匠

    ○根本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     預金保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 今般、預金等の全額保護のための特例措置を一年延期した趣旨にかんがみ、この間、適切な検査及びモニタリング、これに基づく的確な監督及び指導を行いうる体制を整備し、より強固な金融システムの構築を図るとともに、時価会計の具体的な運用に当たっては、中小企業に対する金融の円滑の重要性にかんがみ、金融機関の規模・特性に応じた対応を行うこと。  一 政府資金が投入された結果再生する金融機関においては、可及的速やかに経営を立て直し、十分な利益を上げて、法人税等の形で、投入された政府資金の実質的還元を図るよう、最大限努力すること。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。
  296. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  297. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。  次に、保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、鴨下一郎君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。石井啓一君。
  298. 石井啓一

    石井(啓)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     保険業法及び金融機関等更生手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 保険契約者保護の観点に立ち、生命保険契約者保護機構の会員の負担能力を超える規模の破綻が発生した場合には、本法に基づき、早急、かつ、適切に対応すること。  一 保険会社の財務状況等を的確に把握し、適切な監督を行うとともに、経営実態のディスクロージャーの徹底に努める一方、事業継続困難となった会社に対しては、損失の小さい段階で厳正に対処すること。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。
  299. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  300. 金子一義

    金子委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。  両附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。まず、金融再生委員会委員長谷垣禎一君。
  301. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に留意してまいりたいと存じます。
  302. 金子一義

    金子委員長 次に、大蔵大臣宮澤喜一君。
  303. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして、配意してまいりたいと存じます。     —————————————
  304. 金子一義

    金子委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  305. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  306. 金子一義

    金子委員長 次に、内閣提出資金運用部資金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。大蔵大臣宮澤喜一君。     —————————————  資金運用部資金法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  307. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました資金運用部資金法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、平成十年六月に成立した中央省庁等改革基本法第二十条第二号の規定に基づき財政投融資制度の改革を実施することとし、郵便貯金及び年金積立金の資金運用部への預託を廃止し、資金調達について市場原理にのっとったものとするため、関連する三法、すなわち「資金運用部資金法」、「資金運用部特別会計法」及び「資金運用部資金及び簡易生命保険の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律」について、一括して所要の改正を行うこととし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、御説明申し上げます。  第一に、郵便貯金及び年金積立金の資金運用部への預託義務を廃止するとともに、資金運用部資金を財政融資資金に改める等の措置を講ずることとしております。  第二に、資金運用部特別会計を財政融資資金特別会計に改めるとともに、同特別会計の負担において国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとする等の措置を講ずることとしております。  その他、郵便貯金資金及び簡保積立金の地方公共団体への貸し付けについて国会の議決を経ることとする等、所要の措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  308. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明十九日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十六分散会