○宮澤国務大臣 前にも申し上げたと思いますが、この十三年の三月までというのは、
平成八年ごろに、まず
信用組合についてございまして、五年先のこと、その後これが広げられまして年月が進行したわけですが、多くの方が、大変先のことであるからというふうに、専門家は別でございますが、大して意識をしておられなかったように思います。
そこで、昨年に入りまして、もういよいよ時間だということで、
金融審議会がいろいろなことを討議していただきまして、それは要するに、これが予定どおり行われるための条件は何かというようなことについていろいろ検討をしていただいたことになるわけですが、私自身多少このことについての疑念を持っておりましたから、
審議会には
恐縮ですが、夏休みを返上していただいて、そして暮れまでには、大体これなら安心してできるなという条件をできるものなら提示していただきたいというようなことを申し上げておったわけでございます。
そのうちにだんだん、いよいよ十三年のことだなということを、私
どもの党内でも、政界でも、経済界でも、いろいろお話しになるようになりました。そのときに問題になりましたのは、やはり、かつて都道府県の監督下にあった
信用組合が、行政改革によって
平成十二年の四月から国の検査を受けるようになる、監督を受けるようになるということになりました。それは昨年の夏ごろでございますけれ
ども、そういうことが法制的に確定をしたということから問題は表面化したように思います。
つまり、今まで、そう言っては語弊があるかもしれませんけれ
ども、
信用組合というのは決して国の金融の大きな部分でもありませんし、どっちかといえば地方的な存在であり、その
預金についても一口千万円を超えるなんというのはほとんどないといったようなことでございますから、それに地方の監督でもあるし、まあ言ってみればそう大事に、これはシステミックリスクにかかわるというようなふうに考えなくてもいいということまでは、これは
関係者の間に大体コンセンサスがあったと思いますが、ただ、私
どもの党内あるいは政界等で議論をされることになりますと、
信用組合というのはやはりその
地域地域ではかなりの大きな存在であって、よかれあしかれというときもあると思いますが、かなり大きな存在でございますから、中央で考えているようにいわば十把一からげにしてもいいものではない、政治にかかわる人々はかなりそういうふうに
認識をしておるということが明らかになりました。
これは自由民主党に限らなかったと思いますが、そういう問題意識が出てまいりましたために、もしそれが
平成十二年の四月に本当に国の監督に入るというのであれば、そのときにきちんと
信用組合の中身も検査をし、そして
破綻すべきものはしようがない、それから
早期是正すべきものはそうしよう、金を入れたらよくなるというのならそうした方がいいではないかという、いわば
信用組合に
関係のある人たちからそういう議論が出、それが
一般の金融にかかわっている人たちにもある意味で私は波及したのだと思います。
つまり、年間に二十やそこらは毎年
合併したり
破綻したりしてきて、それはそれで仕方がない、中身もわからないしということであったものが、三百ほど残って、そしてこれがいよいよ国の所管になるということになりましたら、それだったらこれももう少しきちんとして、むしろ国の監督を受ける
金融機関の末端ではあっても仲間に入れた方がいいのではないかというふうに考える人々が相当出てこられた。
それについて、金融監督庁は、いわば監督官のトレーニングも非常に進みましたし、財務局を含めましてまたその増員ということも考えられる
状況でありましたから、たとえ四月からであっても、一年あればそういう仕事はできるというふうに考えておられたと私は思っています。
が、他方で、しかし四月からといっても、実際に帳簿書類等々が検査の対象になり得るのは六月からであろうから、六月から始めて、それを一生懸命やっていただけるとしても、検査そのものはともかく、その検査の後の処置ということまで、つまり先ほど三つの
可能性を申し上げましたが、それまで
平成十三年の三月までに全部し終わるかどうかということになると、それは、一生懸命やってもらうということはいいとして、さあどうだろうかという、これは割に真剣な形でそういう疑問が提出をされたというのが、先ほどお話しになりました昨年の暮れが迫りましたころの
状況であったと思います。
日本銀行総裁が、これは公約である、世間に対してそれを変えることはどうかと思っておられたことは私も存じておりました。したがって、新聞記者会見の質問でそうだろうと言われたときに、私は、今おっしゃったような返事をいたしたんだと思うのです。それは、そういうこととして
処理することも一つの考え方であると思いましたけれ
ども、他方で、今のような
信用組合までいわば国の
金融機関の末端として全部国の
制度のもとに整備をしていこうというのは、これは確かに一つの新しい考え方だと思いましたので、そこで議論をいたしておったわけです。
ただ、私自身は、そういう決定をすることが世界の何か日本の金融
制度に対する信頼を裏切るような結果になるというほど、言葉は悪うございますがシリアスな問題だとは当時から考えておりませんでしたし、約束したことはそのとおりすることは好ましいということは疑いませんでしたけれ
ども、ちゃんとした理由があって一年延ばすということであれば、私は、それは国際的な信用にかかわることではないだろう、他方でそう考えておりましたから、結局、各政党の間で御相談があってそうしようというときに、それは私にしてみると、金融監督庁がこれから
信用組合の検査をされ、それから後の
対応について検討されるにしては確かにちょっと時間が足りない、そのために一年が必要だということを言われる
方々の御説には無理のないところもある、こう思いましたので、そういう決心をいたしました。
したがいまして、先ほど、もう先々延ばすことはないんだろうなとおっしゃったお尋ねには、このような理由で私は再度延ばす理由は全くないというふうにお答えをいたしておるわけであります。